ISアドベンチャー 聖騎士伝説 (イナビカリ)
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設定 機体設定①

登場機体設定

 

専用機名

ロイヤルナイツ

 

世代

第5世代

 

操縦者

八神太一

 

待機状態

デジヴァイス

 

特殊能力

デジタル・セレクト

・太一の意思で戦闘中でも別の【ロイヤルナイツ】に瞬時に切り替える能力

 

説明

 【イグドラシル】が八神太一に与えた機体

 デジタルワールドを守護する13体の聖騎士型デジモン【ロイヤルナイツ】全ての力と能力を持っている

 展開する際、13体の【ロイヤルナイツ】の中から1体を選び、その姿になる

 武装、能力はそれぞれの【ロイヤルナイツ】と全く同じ

 太一の意思で好きな姿に瞬時に切り替える事が出来る

 待機状態は太一が生前から使っていた【デジヴァイス】、相棒のアグモンもこの中に入っており自由に出入り出来る

 束にすら解析出来ない機体だが、分類上第5世代という事にしている

 

各形態

 モード:オメガモン

     武装:グレイソード

        ガルルキャノン

     必殺技:グレイソード

         ガルルキャノン

     特殊形態:オメガモンX

          武装:グレイソード

             ガルルキャノン

          必殺技:グレイソード

              ガルルキャノン

              オールデリート

     BGM:brave heart

 

 モード:デュークモン

     武装:聖槍グラム

        聖盾イージス

        グラニ

     必殺技:ロイヤルセーバー

         ドラゴンドライバー

         ファイナル・エリシオン

     特殊形態:デュークモンX

          武装:聖槍グラム

             聖盾イージス

          必殺技:ロイヤルセーバー

              ジークセーバー

              ファイナル・エリシオン

         :デュークモン・クリムゾンモード

          武装:神槍グングニル

             神剣ブルトガング

          必殺技:インビンシブルソード

              クォ・ヴァディス

     BGM:One Vision

 

 モード:マグナモン

     武装:無し

     必殺技:プラズマシュート

         エクストリーム・ジハード

     特殊形態:マグナモンX

          武装:無し

          必殺技:プラズマシュート

              エクストリーム・ジハード

              シャイニングゴールドソーラーストーム

     BGM:Break up!

 

 モード:デュナスモン

     武装:無し

     必殺技:ドラゴンズロア

         ブレス・オブ・ワイバーン

         ドラゴンコランダー

     特殊形態:デュナスモンX

          武装:無し

          必殺技:ドラゴンズガスト

              ブレス・オブ・ワイバーン

     BGM:The Last Element

 

 モード:ロードナイトモン

     武装:パイルバンカー

     必殺技:アージェントフィアー

         スパイラルマスカレード

     特殊形態:無し

     BGM:With The Will

 

 モード:アルフォースブイドラモン

     武装:Vブレスレット

     必殺技:シャイニングVフォース

         アルフォースセイバー

         テンセグレートシールド

     特殊形態:アルフォースブイドラモンX

          武装:Vブレスレット

          必殺技:シャイニングVフォース

              アルフォースセイバー

              テンセグレートシールド

         :アルフォースブイドラモン・フューチャーモード

          武装:Vブレスレット

          必殺技:シャイニングVフォース

              アルフォースセイバー

              テンセグレートシールド

     BGM:brave heart

 

 モード:クレニアムモン

     武装:魔槍クラウ・ソラス

        魔楯アヴァロン

     必殺技:エンド・ワルツ

         ゴッドブレス

     特殊形態:無し

     BGM:Believer

 

 モード:ドゥフトモン

     武装:無し

     必殺技:エルンストウェル

         アウススターベン

     特殊形態:ドゥフトモンX

          武装:無し

          必殺技:ブラオンネーベル

              アイネ・ビリオン

         :ドゥフトモン・レオパルドモード

          武装:無し

          必殺技:エアオーベルング

              ブローカッデ

              ヴォルケンクラッツァー

     BGM:Believer

 

 モード:スレイプモン

     武装:聖弩ムスペルヘイム

        聖盾ニフルヘイム

     必殺技:ビフロスト

         オーディンズブレス

     特殊形態:無し

     BGM:Believer

 

 モード:エグザモン

     武装:カレドヴールフ

        アンブロジウス

     必殺技:アヴァロンズゲート

         ペンドラゴンズグローリー

         ドラゴニックインパクト

     特殊形態:無し

     BGM:brave heart

 

 モード:ガンクゥモン

     武装:ヒヌカムイ

     必殺技:鉄拳制裁

         ちゃぶ台返し

         地神!神鳴!神馳!親父!

     特殊形態:無し

     BGM:brave heart

 

 モード:ジエスモン

     武装:アト

        ルネ

        ポル

     必殺技:轍剣成敗

         シュベルトガイスト

         アウスジェネリクス

     特殊形態:無し

     BGM:brave heart

 

 モード:アルファモン

     武装:聖剣グレイダルファー

     必殺技:デジタライズ・オブ・ソウル

         聖剣グレイダルファー

     特殊形態:アルファモン・王竜剣

          武装:究極戦刃王竜剣

          必殺技:デジタライズ・オブ・ソウル

              究極戦刃王竜剣

     BGM:brave heart

 

 

 



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機体設定②

専用機名

 ライズ・ドレイク

 

世代

 第4世代

 

操縦者

 八神マドカ(織斑マドカ)

 

武装・技

 トライデントリボルバー

 ライジングデストロイヤー

 ソリッドストライク

 ジオグレイソード

 

待機状態

 黄色い首飾り

 

特殊能力

 無し

 

単一仕様(ワンオフ・アビリティー)

 エヴォリューションプログラム

 

説明

 束が箒の専用機として開発していた【紅椿】を急遽マドカ用として造り直した機体

 太一から提供されたデジモンのデータの中から【ライズグレイモン】のデータを元に開発した

 使用されているコアは強化された【ブルー・ティアーズ】のコアを元に改良したもの

 左腕に大型リボルバー【トライデントリボルバー】を装備しており、砲身で相手を殴る【ソリッドストライク】を使える

 【トライデントリボルバー】は威力が高いせいで砲身にもダメージを与えてしまうので拡張領域(バススロット)に予備の砲身を複数格納してある

 近接武器として【シャイングレイモン】の【ジオグレイソード】も装備している

 両肩と翼に装備されているビーム砲による弾幕【ライジングデストロイヤー】を撃てる

 単一仕様(ワンオフ・アビリティー)は【エヴォリューションプログラム】と呼ばれる能力

 この能力はデジモンの進化を疑似的にISで表現する能力で【ライズ・ドレイク】の場合、元になった【ライズグレイモン】の究極体【シャイングレイモン】を模したIS【シャイン・ドレイク】へと変化する事が出来る

 

 

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専用機名

 ブルー・ドレイク

 

世代

 第4世代

 

操縦者

 セシリア・オルコット

 

武装・技

 ギガデストロイヤー

 トライデントアーム

 サイバーランチャー

 

待機状態

 蒼いイヤーカフス

 

特殊能力

 自立機動兵器『ブルー・ティアーズ』×4

 

単一仕様(ワンオフ・アビリティー)

 エヴォリューションプログラム

 

説明

 束がセシリアから預かった【ブルー・ティアーズ】を解析したところ、【リヴァイアモン】に憑りつかれていた為かコアが強化されていたので、そのまま返すよりもと考え勝手に改造した機体

 【クロスウォーズ版メタルグレイモン】のデータを元にしている

 左腕に大型アーム【トライデントアーム】、右腕に大型ランチャー【サイバーランチャー】を装備し、翼や背中に誘導式のビーム砲を装備している

 それらを一斉に打ち出す【ギガデストロイヤー】が必殺技

 【ブルー・ティアーズ】だった時のビットも束がプログラムを改良し翼の先端部に装備されている

 単一仕様(ワンオフ・アビリティー)は【ライズ・ドレイク】と同じ【エヴォリューションプログラム】

 本機は【ウォーグレイモンX】をベースに【ジークグレイモン】のデータも組み込まれた【クロスウォー・ドレイク】へと変化する

 

 デジモンの公式サイトでは【クロスウォーズ】のデジモンには進化段階が表示されていないので【クロスウォーズ版メタルグレイモン】は【メタルグレイモン】と同じ完全体と言う位置付けにしています

 

 

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専用機名

 メガロ・ドラグナー

 

世代

 第4世代

 

操縦者

 凰鈴音

 

武装・技

 アトミックブラスター

 ダブルエッジ

 アサルトバランサー

 

待機状態

 黒のブレスレット

 

特殊能力

 衝撃砲『龍咆』

 

単一仕様(ワンオフ・アビリティー)

 エヴォリューションプログラム

 

説明

 【ブルー・ティアーズ】と同じ状態になった【甲龍(シェンロン)】を束が魔改造した機体

 【メガログラウモン】をモデルにしている

 両腕に巨大な斧【ペンデュラムブレイド】を装備しており、取り外して使う事も出来る

 【ペンデュラムブレイド】を両腕に装備した状態で相手を切り裂く技【ダブルエッジ】を使える

 また背中には伸縮自在の鞭の様な槍【アサルトバランサー】も装備している

 また左右の浮遊ユニットにこの機体の最強の大型砲【アトミックブラスター】を搭載している

 【甲龍(シェンロン)】の衝撃砲も引き続き装備しているが【アトミックブラスター】を使用した直後は使えないと言う欠点がある

 単一仕様(ワンオフ・アビリティー)は【エヴォリューションプログラム】

 この機体は【デュークモン】では無く【メギドラモン】のデータを使用された【メギド・ドラグーン】へと変わる

 

 

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専用機名

 ガルダ・ドランザー

 

世代

 第4世代

 

操縦者

 シャルロット・デュノア

 

武装・技

 シャドーウイング

 グレートスピリット

 

待機状態

 十字のマークのついたオレンジ色のネックレス・トップ

 

特殊能力

 無し

 

単一仕様

 エヴォリューションプログラム

 

説明

 束が【ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ】を改造した【Dシリーズ】

 今迄の3機と違い、竜型デジモンではなく鳥人型デジモン【ガルダモン】をモデルにしている

 【ガルダモン】をモデルにしているだけあって、進化前の【Dシリーズ】最速の機体

 武装はトーテムポールの様な形の槍《グレートスピリット》

 必殺技は全身から鳥の形をしたエネルギー波を放つ《シャドーウイング》

 単一仕様(ワンオフ・アビリティー)は【エヴォリューションプログラム】

 この機体は【エヴォリューションプログラム】による進化を最初から想定したものとなっている

 

 

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専用機名

 ワー・フェンリル

 

世代

 第4世代

 

操縦者

 ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

武装・技

 カイザーネイル

 円月蹴り

 レールカノン

 ワイヤーブレード×2

 

待機状態

 腿の黒いレッグバンド

 

特殊能力

 AIC

 

単一仕様

 エヴォリューションプログラム

 

説明

 シャルロットの【ラファール】と一緒に束が改造した【Dシリーズ】

 獣型デジモンの代表格と言われている【ガルルモン】の完全体【ワーガルルモン】をモデルにしている

 【ワーガルルモン】をモデルにしているので基本武装は無く手足の鋭い爪による《カイザーネイル》と《円月蹴り》による格闘戦を主体にしている

 だが、束がそれだけでは心許ないと考え【シュヴァルツェア・レーゲン】に装備されていたレールカノンを小型化し背中に装備している

 更に両腕の手甲にはワイヤーブレードが1本ずつ装備されている

 機体の運動性を損なうのでワイヤーブレードを2本に減らしレールカノンを小型化した

 単一仕様(ワンオフ・アビリティー)は【エヴォリューションプログラム】

 

 



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機体設定③

専用機名

 シャイン・ドレイク

 

世代

 第5世代

 

操縦者

 八神マドカ(織斑マドカ)

 

武装

 ジオグレイソード

 

必殺技

 グロリアスバースト

 シャイニングブラスト

 

《バーストモード時》

 コロナブレイズソード

 ファイナルシャイニングバースト

 トリッドヴァイス

 

待機状態

 黄色い首飾り

 

特殊能力

 バーストモード

 

説明

 八神マドカの【ライズ・ドレイク】が単一仕様(ワンオフ・アビリティー)【エヴォリューションプログラム】によって進化した姿

 究極体【シャイングレイモン】のデータを元にしている

 武装は【ライズ・ドレイク】から引き続き《ジオグレイソード》…ただし斬れ味や強度などが数倍に上がっている

 必殺技は光のエネルギーを集中して放つ火球《グロリアスバースト》と光の翼で突撃する《シャイニングブラスト》

 特殊能力【バーストモード】は一時的に機体の限界を超えた力を発揮出来る

 この姿の時は炎を模った剣や盾を使用する

 戦闘が終わると元の【ライズ・ドレイク】に戻る

 

 

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専用機名

 クロスウォー・ドレイク

 

世代

 第5世代

 

操縦者

 セシリア・オルコット

 

武装

 ドラモンキラー

 トライデントファング

 プラズマレールガン

 ハイパーランチャー

 ブレイブシールド

 

必殺技

 ガイアフォース

 ポセイドンフォース

 グレートトルネード

 デストロイスマッシャー

 ファイナルストライクス

 

待機状態

 青いイヤーカフス

 

特殊能力

 無し

 

説明

 セシリアの【ブルー・ドレイク】が【エヴォリューションプログラム】によって変化した機体

 【ウォーグレイモン】と【ジークグレイモン】のデータが組み込まれている

 この機体の外見は【ウォーグレイモン】を元にしており、そこに【ジークグレイモン】の装備を取り付けたものとなっている

 その結果【ウォーグレイモン】の格闘能力と【ジークグレイモン】の砲撃能力を合わせたものとなっている

 近接武器として右腕には【ウォーグレイモン】の《ドラモンキラー》、左腕には【ジークグレイモン】の《トライデントファング》を装備している

 射撃武器には【ジークグレイモン】のデータから高出力砲《プラズマレールガン》と《ハイパーランチャー》を背中に取り付けている

 更に背中には大型の盾《ブレイブシールド》を装備している

 必殺技は《ドラモンキラー》と《トライデントファング》に大地のエネルギーを集中して放つ《ガイアフォース》

 海のエネルギーを集めて撃つ《ポセイドンフォース》

 高速回転して突撃する《グレートトルネード》

 同じく高速回転して《プラズマレールガン》と《ハイパーランチャー》を乱射する《デストロイスマッシャー》

 相手に突撃し《トライデントファング》に溜め込んだエネルギーを零距離で解放して爆散させる《ファイナルストライクス》

 こちらの機体も戦闘後元の【ブルー・ドレイク】に戻る

 

 

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専用機名

 メギド・ドラグーン

 

世代

 第5世代

 

操縦者

 凰鈴音

 

武装

 クリムゾンブレイド(オリジナル)

 クリムゾンテイル(オリジナル)

 

必殺技

 ヘル・ハウリング

 メギドフレイム

 

待機状態

 黒のブレスレット

 

特殊能力

 無し

 

説明

 鈴の【メガロ・ドラグナー】が単一仕様(ワンオフ・アビリティー)で進化した姿

 【四大竜】の1体、邪竜型デジモン【メギドラモン】のデータが反映されている

 他の2機と違い、特殊能力も無く、武装や技が多い訳でも無いがその分、基本スペックは3機の中で一番高い

 というより【メギドラモン】のデータが使われた為、特に攻撃力が格段に上がっており、そのせいで一切の手加減が出来ない機体になってしまった

 尚、名前は元になったデジモンが【ドラモン】系に変わったため本機の名前も【ドラグナー】から【ドラグーン】に変わっている

 【メガロ・ドラグナー】の《ペンデュラムブレイド》と《アサルトバランサー》が強化された《クリムゾンブレイド》を両腕に装備し、腰の尻尾の部分には《クリムゾンテイル》をそれぞれ装備している

 必殺技は巨大な翼の羽ばたきによって起こる衝撃波《ヘル・ハウリング》と高熱量の爆炎《メギドフレイム》

 こちらも戦いが終われば元に戻る

 

 

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専用機名

 ヴァルキリー・ドランザー

 

世代

 第5世代

 

操縦者

 シャルロット・デュノア

 

武装

 フェンリルソード

 アウルヴァンディルの矢

 

必殺技

 フェンリルソード

 アウルヴァンディルの矢

 

待機状態

 十字のマークのついたオレンジ色のネックレス・トップ

 

特殊能力

 フレイア

 

説明

 【ガルダ・ドランザー】が単一仕様(ワンオフ・アビリティー)で進化した機体

 束が鳥型デジモンのデータを見繕って入れた結果、【ガルダモン】の究極体である【ホウオウモン】では無く、【ヴァルキリモン】をモデルにした機体になってしまった

 想定外の進化だったがそれでも高い性能を誇り、近接武器の《フェンリルソード》と遠距離武器の《アウルヴァンディルの矢》を装備している

 特殊機能として鳥型の支援ユニット《フレイア》がある

 《フレイア》の目は視界が遮らるような場所でも視認する事が可能で見ている映像をシャルロットに見せる事も可能な第3の目とも呼べる物

 さらに《フレイア》の目で狙いを補足すれば《アウルヴァンディルの矢》を撃っても相手を自動で追跡する事も可能

 ただし、《フレイア》の目から逃れた場合は誘導する事が出来なくなる

 

 

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専用機名

 メタルクロス・フェンリル

 

世代

 第5世代

 

操縦者

 ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

武装

 ガルルトマホーク

 メタルストーム

 ビーム砲

 ミサイルポッド×3

 ガルルファング(オリジナル)

 

必殺技

 コキュートスブレス

 ガルルバースト

 

待機状態

 腿の黒いレッグバンド

 

特殊能力 

 無し

 

説明

 【ワー・フェンリル】が進化した機体

 【ガルダ・ドランザー】同様、束が【ワー・フェンリル】に【ガルルモン】系のデータを纏めて詰め込んだ結果、究極体の【メタルガルルモン】をモデルにした機体にはなったがX体の方になってしまった

 全身に重火器を搭載しており、左腕にガトリング砲《メタルストーム》、右肩にビーム砲、左肩と両足にミサイルポッド、背中には大型冷凍ミサイル《ガルルトマホーク》を装備している

 ミサイルは冷凍弾に切り替える事も可能

 尚、右腕が【オメガモンX】の右腕の様に【メタルガルルモンX】の頭部になっており、《ガルルファング》と言う牙による近接戦も可能

 右腕の口を開けば腕も出てくる 

 必殺技は右腕の【メタルガルルモンX】の頭部パーツから撃つ冷凍ビーム《コキュートスブレス》と全火力兵器による一斉砲火《ガルルバースト》

 名前に【クロス】と入っているがセシリアの【クロスウォー・ドレイク】と違い本機の場合はXデジモンがモデルになっている事から【クロス】の名前が入っている

 

 

 



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登場デジモン紹介

この作品に登場するデジモンの紹介コーナーです!



【太一サイド】

 

名前

 アグモン

 

レベル

 成長期

 

タイプ

 恐竜型

 

属性

 ワクチン

 

武装

 無し

 

必殺技

 ベビーフレイム

 ベビーバーナー

 

備考

 ご存知、八神太一のパートナーデジモン

 【イグドラシル】がISの世界に行く事になった太一の為に連れてきた

 太一よりも先に【イグドラシル】から事情を聞いており、その時、デジモンが自分一人の世界と聞かされても、太一と共に生きていく事を決心した

 何十年と太一と一緒にいた為、太一の考えは誰よりも理解しており、言葉に出さずとも大概の事は分かる

 何十年たってもその性格は一切変わっていないが、太一にとってはそのお陰で心が休まっている

 

 

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名前

 ウォーグレイモン

 

レベル

 究極体

 

タイプ

 竜人型

 

属性

 ワクチン

 

武装

 ドラモンキラー

 ブレイブシールド

 

必殺技

 ガイアフォース

 ブレイブトルネード

 

備考

 アグモンの究極体

 敵が究極体の【七大魔王】の為、成熟期のグレイモン、完全体のメタルグレイモンよりもこの姿で戦う事が一番多い

 

 

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名前

 コロモン

 

レベル

 幼年期Ⅱ

 

タイプ

 レッサー型

 

属性

 無し

 

武装

 無し

 

必殺技

 泡

 

備考

 アグモンの幼年期の姿

 アグモンが成長した事で進化によるエネルギー切れが殆ど起きなくなったのでこの姿になる事は殆ど無くなったがそれでも長時間究極体のウォーグレイモンで戦えばこの姿に戻ってしまう

 この見た目のせいでIS学園の生徒達から襲われてしまう(色んな意味で)

 

 

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名前

 グレイモン

 

レベル

 成熟期 

 

タイプ

 恐竜型

 

属性

 ワクチン

 

武装

 無し

 

必殺技

 メガフレイム

 

備考

 アグモンの成熟期

 戦闘は究極体で行うのでこの姿になる事は殆ど無いが、太一にとってはアグモンの姿に次いで思い出の深い姿

 

 

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名前

 メタルグレイモン

 

レベル

 完全体

 

タイプ

 サイボーグ型

 

属性

 ワクチン

 

武装

 トライデントアーム

 

必殺技

 ギガデストロイヤー

 

備考

 グレイモンの正しい完全体 

 スカルグレイモンと違い学園の生徒達からの受けは悪くない

 

 

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名前

 スカルグレイモン

 

レベル

 完全体

 

タイプ

 アンデット型

 

属性

 ウイルス

 

武装

 無し

 

必殺技

 グラウンド・ゼロ

 

備考

 グレイモンの間違った完全体と言われる姿

 以前はこの姿になると理性を失い、破壊の限りを尽くしていたが、今では自由に進化でき、理性は保てるが状況によっては暴走の危険性が残っている

 本音との一件以来、IS学園の生徒や教師達からは恐怖の象徴ともいえるデジモンとなってしまった

 その為、太一には二度とスカルグレイモンには進化させないでくれと懇願された

 

 

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名前

 エンシェントグレイモン

 

レベル

 超究極体

 

タイプ

 古代竜型

 

属性

 ワクチン

 

武装

 ルードリー・タルパナ

 

必殺技

 ガイアトルネード

 オメガバースト

 

備考

 アグモンが【ブラックウォーグレイモン】のデータを取り込むことで、更なる進化をした姿

 グレイモン系を始めとする竜型デジモンの始祖にあたり、始まりの究極体の1体

 体の大きさはアグモンの進化形の中でも一番のサイズを誇るメタルグレイモンよりも巨大で【インペリアルドラモン】並のサイズを誇る

 見た目の巨体からは想像できない程の飛行能力を有しており、更にはパワーも従来の究極体を凌駕している正しく『究極』の存在

 背中に装備された《ルードリー・タルパナ》から高出力レーザーによる射撃も出来、遠近両方に死角が無い

 必殺技は《ガイアトルネード》と《オメガバースト》

 究極体のウォーグレイモンから更に進化するという事で超究極体の位置付けになっている

 

 

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【魔王サイド】

 

名前

 リヴァイアモン

 

レベル

 究極体

 

タイプ

 魔王型

 

属性

 ウィルス

 

武装

 無し

 

必殺技

 ロストルム

 カウダ

 

依り代

 セシリア・オルコット

 

備考

 七大魔王の一体、嫉妬を司る魔王型デジモン

 セシリア・オルコットの中に潜んでいた

 セシリアの嫉妬の心が頂点に達した時、彼女を取り込み姿を現した

 【オメガモン】となった太一と激闘の末【オメガモンX】の《オールデリート》により真っ二つにされ消滅した

 

 

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名前

 デーモン

 

レベル

 究極体

 

タイプ

 魔王型

 

属性

 ウィルス

 

武装

 無し

 

必殺技

 ケイオスフレア

 フレイムインフェルノ

 

 超究極体時

  アルゴルズフレイム

 

依り代

 凰鈴音

 

備考

 憤怒を司る七大魔王の一体

 凰鈴音に潜んでいた

 鈴の一夏に対する激しい怒りにより姿を現した

 【アルフォースブイドラモン】との戦いの中、超究極体になったが、同じく超究極体になった【アルフォースブイドラモン:超究極体(フューチャーモード)】の《シャイニングVフォース》を受け消滅した

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

名前

 バルバモン

 

レベル

 究極体

 

タイプ

 魔王型

 

属性

 ウィルス

 

武装

 魔杖デスルアー

 

必殺技

 デスルアー

 パンデモニウムロスト

 

依り代

 ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

備考

 強欲を司る七大魔王の一体

 ラウラ・ボーデヴィッヒに憑りついていた

 力を求めるラウラに反応し彼女を取り込み姿を現した

 一度は【マグナモン】となった太一を異空間に閉じ込めるが、【マグナモンX】の力で脱出した太一の《エクストリーム・ジハード》により消し飛ばされた

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

名前

 ベルフェモン

 

レベル

 究極体

 

タイプ

 魔王型

 

属性

 ウイルス

 

武装

 無し

 

必殺技

 スリープモード

  エターナルナイトメア

  ランプランツス

 レイジモード

  ランプランツス

  ギフトオブダークネス

 

依り代

 シャルロット・デュノア

 

備考

 怠惰を司る魔王

 シャルロット・デュノアの中に潜んでいた

 先に現れた3体の魔王と違い、自身が司る怠惰の力がシャルロット・デュノアにも影響を与え彼女のやる気を次第に削いでいった

 そのせいで太一には正体が見破られており、【バルバモン】を倒した後、その事を指摘されると宿主であるシャルロット・デュノアを取り込み姿を現した

 ただし、最初は【スリープモード 】で現れた為、その外見から学園の生徒達から喜ばれていた

 その為、攻撃を仕掛けた太一にブーイングが起きた

 だが、首元の時計が0にった為、本来の姿【レイジモード】になり暴れ始めた

 【エグザモン】になった太一と戦い、成層圏からの《ドラゴニックインパクト》を受け倒される

 

 

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名前

 ルーチェモン・フォールダウンモード

 

レベル

 完全体

 

タイプ

 魔王型

 

属性

 ウイルス

 

武装

 無し

 

必殺技

 パラダイスロスト

 デッド・オア・アライブ

 

依り代

 篠ノ之箒

 

備考

 傲慢を司る魔王

 篠ノ之箒を依り代として選んだ

 他の6体と違い完全体のデジモン

 箒の自分勝手な不平不満が爆発し復活した

 箒を自分の為に存在する人間、世界広しと言えどココまで傲慢な人間はいないと豪語していた

 復活する直前、箒を操り太一とアグモンへの対策として二人が元いた世界から【ブラックウォーグレイモン】を自分の人形として復活させていた

 【ブラックウォーグレイモン】への仕打ちに【ロードナイトモン】を纏った太一の怒りの《アージェントフィアー》により粉砕された

 

 

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名前

 ルーチェモン・サタンモード

 

レベル

 究極体

 

タイプ

 魔神型

 

属性

 ウイルス

 

武装

 無し

 

必殺技

 パーガトリアルフレイム

 ディバインアトーンメント

 

依り代

 篠ノ之箒

 

備考

 【ルーチェモン】の最終形態

 太一によって倒されたと思われた【ルーチェモン】が、箒の持つ傲慢な心を糧に復活した

 復活の影響か【サタンモード】には理性の欠片も無く、【ゲヘナ】の中にある本体【ラルバ】が操っている

 箒もこの【ラルバ】の中におりエネルギーの供給源となっている

 【ロードナイトモン】から【デュナスモン】へと切り替えた太一と激しい空中戦を行うが、そこに新たな進化を果たした【エンシェントグレイモン】と太一の共闘で《ドラゴンコランダー》で動きを封じられ《オメガバースト》で消し飛ばされた

 残った【ラルバ】は逃亡を図ろうとしたが太一の《ブレス・オブ・ワイバーン》で止めを刺され今後こそ完全に消滅した

 

 

 

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【その他】

 

 

名前

 イグドラシル

 

レベル

 不明

 

タイプ

 不明

 

属性

 不明

 

武装

 不明

 

必殺技

 巨大なクリスタル

 

備考

 太一とアグモンをIS世界に送り込んだ張本人

 天寿を全うした太一を生き返らせ15歳の頃まで若返らせると言う自然の摂理に反する事も出来る文字通りの神の如き力を持つ

 IS世界を侵略しようとする【七大魔王】を止めようとしたが【デジタルワールド】を管理する為に動けない自分に変わって、太一とアグモンを呼び寄せて【七大魔王】の討伐を依頼した

 二人を送る際、太一に【ロイヤルナイツ】の能力を持つISを託し、彼の【デジヴァイス】を色々とアップグレードしてくれた

 

 イグドラシルはデジモンではありませんがこちらに掲載します

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

名前

 ブラックウォーグレイモン

 

レベル

 究極体

 

タイプ

 竜人型

 

属性

 ウィルス

 

武装

 ドラモンキラー

 ブラックシールド

 

必殺技

 暗黒のガイアフォース

 ブラックトルネード

 

備考

 太一とアグモンが元いた世界から【ルーチェモン】が復活させ連れてきたデジモン

 復活の際、生前の人格は消去され【ルーチェモン】の命令を忠実に守るように調整された

 【ブラックウォーグレイモン】が生まれた時の経緯を考えるとある意味、今の姿こそが本来の姿と言ってもいい

 ウォーグレイモンとの戦いの中でかつての心を取り戻したが、【ルーチェモン】の命令に逆らう事が出来ずウォーグレイモンに止めを刺して貰うように頼んだ

 消滅していく中、ウォーグレイモンに自分の僅かなデータを託し完全に消滅した

 

 




新しいデジモンが出るたびに更新していきます。

文字数の関係で現在は一括りにしてますがデジモンが増えれば各陣営毎に分けようと思ってます。



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本編 第001話:終わる勇気

 

 その日は雲一つ無い晴天だった

 とある1軒の家、その縁側に一人の老人が座っていた

 そして、その隣には黄色いトカゲの様な生物…1匹のデジモンが寄り添うように座っていた

 

老人

「…お前には…色々と…世話になったなぁ…」

 

デジモン

「それはこっちのセリフだよ。」

 

老人

「ハハッ…そうかもな…アグモン…」

 

デジモン

「そうかもね…太一…」

 

 そう、この老人こそかつて選ばれし子供の一人として世界を救ってきた【八神太一】その人だった

 そして隣にいるデジモンは彼の生涯のパートナー【アグモン】だった

 

太一

「なあ…アグモン…俺、お前と出会えて…本当によかった…」

 

アグモン

「…うん!…僕も…太一に出会えて…嬉しかった!」

 

 次第に小さく弱々しくなっていく太一の声と、涙混じりのアグモンの声…

 二人には分かっていた…

 太一の命が尽きようとしている事を…

 かつて太一と共に旅をした7人の仲間は既に先立ち…

 残る最後の一人が太一だった…

 だからこそ二人は最後の言葉を交わしているのだ…

 

太一

「…アグモン…」

 

 太一は懐から一つの小さな機械を取り出した

 それは長い年月の間に色あせ、ボロボロになってしまったが太一とアグモンの絆の証【デジヴァイス】だった

 

太一

「…アグモン…最後の頼み…聞いてくれるか…」

 

アグモン

「…うん!モチロンだよ!」

 

太一

「…ありがとう………アグモン…進化だ…」

 

 太一がアグモンに向けて【デジヴァイス】を翳すと光り輝きアグモンを光が包み込んだ

 

アグモン

「アグモン進化―――っ!!…【グレイモン】!!!

 

 光の中から出て来たのはオレンジの体色と青い縞柄に3本の角を持つ兜を被った様な恐竜型デジモン・グレイモンだった

 太一は進化したグレイモンを見上げると、力一杯両腕を広げた

 

グレイモン

「!?…太一…」

 

 それを見たグレイモンは太一が何をしたいのかがすぐに分かった

 グレイモンは膝をつき四つん這いになると自分の顎を太一の広げた両腕に持ってきた

 

太一

「…友達の…印…」

 

 『友達の印』…太一が妹のヒカリと初めてデジモンと出会った時に教わった事だった…

 

グレイモン

「…うん…友達だよ!僕達は…今迄も…そしてこれからも…ずっとずっと…友達だよ…太一!!」

 

太一

「…ああ…俺達は…これからも…ずっと…友達だ!!」

 

 二人は互いに最後の涙を流しながらお互いの友情をかみしめていた…

 そして…

 

太一

「…ありがとう………アグモン………」

 

グレイモン

「!?………おやすみ…太一…」

 

 太一は相棒に見守られながら安らかな眠りについた…

 先に待つ仲間たちの元へと旅立ったのだ…

 だがこれは太一とアグモンの新たな冒険のほんの始まりでしかなかったのだ…

 




 <予告>

 生涯の相棒に別れを告げその人生に幕を閉じた太一

 だが、世界はまだ彼に安らぎを与えてはくれなかった

 太一の前に現れたデジタルワールドの神【イグドラシル】

 太一の新たな冒険が始まろうとしていた!



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 始まる勇気

 今、冒険が進化する!



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第002話:始まる勇気

 

太一

「………うっ………ココは…何処だ?俺は死んだ筈じゃ?」

 

 気がついた時、太一は辺り一面が真っ白にな空間にいた

 

「目を覚ましましたか…」

 

太一

「誰だ!?」

 

 声をかけられた方を向くと、そこには巨大な白い機械がいた

 

「私の名は【イグドラシル】。デジタルワールドを管理するホストコンピュータであり、神と呼ばれる存在です。」

 

太一

「【イグドラシル】だと!?」

 

 【イグドラシル】…その名前に太一は聞き覚えがあった

 太一は昔、別世界で出会った【大門大(だいもんまさる)】という人間から【イグドラシル】について聞いた事があった

 

太一

「………その神様が俺に何の用だ?…それ以前に俺は死んだ筈だ!」

 

イグドラシル

「はい。実は貴方にお願いがあって、私が貴方を生き返らせました。」

 

太一

「生き返らせたって…そんな事が…」

 

イグドラシル

「無論、それは本来あってはならない事です。ですが、今この危機を救えるのは、太一、貴方だけなのです。」

 

太一

「…危機と言っても俺は95の爺さんだぞ?そんな俺に何が出来るっていうんだ?」

 

イグドラシル

「心配いりません。自分の身体をよく見てください。」

 

太一

「え?」

 

 そう言われて、太一は自分の身体を見てみると…

 

太一

「な、何じゃこりゃあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 その姿は95歳の老人の身体ではなく、10代頃の若々しい肉体だった

 

イグドラシル

「今の貴方の身体は15歳の頃のものです。」

 

太一

「15歳!いくらなんでも若すぎるだろ!」

 

イグドラシル

「いいえ、貴方に行って貰いたい世界ではそのくらいの年齢が丁度いいのです。」

 

太一

「…行って貰いたい?…ちょっと待て!世界の危機って俺のいた世界じゃないのか!」

 

イグドラシル

「違います。それをこれから話します。まずは太一…貴方は【七大魔王】と呼ばれるデジモン達の事を知っていますか?」

 

太一

「【七大魔王】?いや、聞いた事は無いが…」

 

イグドラシル

「【七大魔王】とはその名の通り七体の魔王型デジモンの総称です。彼らは【七つの大罪】と呼ばれる罪を司る強大な力を持つデジモン達です。」

 

太一

「【七つの大罪】?」

 

イグドラシル

「そうです。【七つの大罪】とは【憤怒】【暴食】【色欲】【傲慢】【強欲】【嫉妬】【怠惰】…この七つの罪の事です。【七大魔王】はこれをそれぞれ司っています。」

 

太一

「なるほど…当然そいつらも究極体なんだよな?」

 

イグドラシル

「いえ、【憤怒のデーモン】【暴食のベルゼブモン】【色欲のリリスモン】【強欲のバルバモン】【嫉妬のリヴァイアモン】【怠惰のベルフェモン】の6体は究極体デジモンです。ですが【傲慢のルーチェモン】は完全体です。それでも究極体並みの力を持っています。」

 

太一

「そうか…そいつらは何をしようとしてるんだ?」

 

イグドラシル

「彼らはある世界を侵略し、世界を永遠の闇に包み込もうとしているのです。」

 

太一

「永遠の闇、か…それで俺に奴等を倒してくれと?」

 

イグドラシル

「はい。」

 

太一

「何故俺なんだ?…【イグドラシル】…お前は俺の世界の神じゃないんだろう?」

 

イグドラシル

「気付いていましたか。」

 

太一

「これでも俺はデジタルワールドの外交官をしていたんだ。デジモン達の組織の話を聞く機会はいくらでもあった。お前の名前は聞いた事があったがそれは別世界に行った時だ。自分の世界じゃお前も【七大魔王】なんて言葉も一度も聞いた事は無かった。」

 

イグドラシル

「その通りです。私は貴方とは違う世界の【イグドラシル】です。【七大魔王】達も私の管理する世界の者達です。そもそも貴方のいた世界には【私】は存在しません。」

 

太一

「やはりか。…なら俺の世界のデジタルワールドは【四聖獣】達が管理してるわけか…」

 

イグドラシル

「そうです。…そして、私が違う世界の貴方を選んだ理由は、貴方に行って貰いたい世界が普通では無いからです。」

 

太一

「は?」

 

イグドラシル

「その世界はある理由で腐敗の一途を辿っています。私の世界の者達ではまだ若過ぎてその世界の環境に耐えきれない可能性があるのです。」

 

太一

「…だから年老いて死んだ俺に行ってほしいと?」

 

イグドラシル

「言い方は悪いですがその通りです。長い経験を積んだ貴方でなければその世界の重圧に耐えきれないでしょう。」

 

太一

「そこまで酷い世界なのか…」

 

イグドラシル

「世界中の全てと言う訳ではありません。ですが、あのままでは滅びるのも時間の問題かもしれません。」

 

太一

「なら放っておけばいいんじゃないか?どうせ滅びるなら?」

 

イグドラシル

「そうもいきません。滅びが人間の手によって起こるのなら私も何もしません。ですが、デジモンの手によって起こるのであれば止めなければならないのです。例えそれが【七大魔王】による侵略でもです。」

 

 【イグドラシル】の言葉はあくまでデジモンを中心にした考え方だった

 デジモンが関わらなければ人間の世界がどうなろうと関係無い、【イグドラシル】は人間の太一にハッキリとそう言っているのだ

 

太一

「…そうか…」

 

イグドラシル

「貴方からすれば私のこの考えも身勝手なものでしょう。死んだ貴方を生き返らせ私の管理世界のデジモン達が起こす事件の尻拭いをさせようとしているのですから。」

 

太一

「………」

 

イグドラシル

「それでも貴方に頼るしか私には出来ません。私はデジタルワールドの管理の為、動く事が出来ないのです。」

 

太一

「…【イグドラシル】…」

 

イグドラシル

「お願いします。太一、私に力を貸してください。」

 

太一

「…そんなに畏まるなよ。…俺は引き受けないとは言ってないぜ。」

 

イグドラシル

「太一。」

 

太一

「その頼み、引き受ける!」

 

イグドラシル

「感謝します。」

 

太一

「それで、俺に行って貰いたい世界ってどんなところなんだ?」

 

イグドラシル

「はい、その世界は【インフィニット・ストラトス】通称【IS】と呼ばれるパワードスーツが存在する世界です。」

 

太一

「パワードスーツ?…それがお前が言ってた腐敗の原因か?」

 

イグドラシル

「そうです。ISはその世界最強の兵器と呼べる物なのです。ですが、そのパワードスーツは女性にしか動かす事が出来ないのです。」

 

太一

「なるほど、大体分かった。大方そのパワードスーツが原因で男女間のバランスが崩れているんだろ?」

 

イグドラシル

「その通りです。現在その世界では女性が男性を虐げるという状態になっています。一部の女性達は男性と言うだけで無実の人間に罪を着せたり、酷い時には赤ん坊でも男と言うだけで殺す事もあります。」

 

太一

「!?…赤ん坊でもだと!?…そこまで腐っているのか!!」

 

イグドラシル

「はい。」

 

太一

「…そこまで酷い世界とはな…【七大魔王】に目をつけられる世界なだけはあるな…」

 

イグドラシル

「かもしれません。」

 

太一

「…【イグドラシル】…引き受けると言ったが俺で大丈夫なのか?俺は男だぞ?」

 

イグドラシル

「大丈夫です。貴方が使えるISを用意しました。」

 

太一

「俺が使える?」

 

イグドラシル

「はい。…太一、貴方は【ロイヤルナイツ】と呼ばれるデジモン達の事は知っていますか?」

 

太一

「そっちも聞いた事が無いな。だが、それがどうしたんだ?」

 

イグドラシル

「【ロイヤルナイツ】はデジタルワールドの最高位に存在する13体の聖騎士型デジモンの総称です。彼らはデジタルワールドの平和と秩序維持を目的としています。太一、【オメガモン】も【ロイヤルナイツ】の一員なのです。」

 

太一

「【オメガモン】もだと!?…そう言えば【オメガモン】も聖騎士型デジモン!!」

 

 自分のパートナーデジモンの最終形が【ロイヤルナイツ】の一員としてカウントされていると聞いてさすがの太一も驚いていた

 

イグドラシル

「貴方の世界には【ロイヤルナイツ】も存在しませんから、特別なデジモンという訳ではありません。」

 

太一

「…そうだったのか…」

 

イグドラシル

「話が逸れてしまいましたね。貴方に用意したISとはその【ロイヤルナイツ】達なのです。」

 

太一

「は?」

 

イグドラシル

「簡単に言えば、デジモンの姿をしたパワードスーツです。勿論、能力や武装、技に至るまで本物と同じ能力を持っています。」

 

太一

「俺はその中から一つを選べばいいのか?」

 

イグドラシル

「違います。貴方には13体全てを渡します。その時の戦いに応じて使い分けて下さい。」

 

太一

「全部!?」

 

イグドラシル

「はい。」

 

 【イグドラシル】が返事を返すと太一の前に小さな光が現れた

 その中にあったのは太一の【デジヴァイス】だった

 

太一

「…これは…俺の【デジヴァイス】!」

 

イグドラシル

「それが貴方のISです。ISには待機状態と言う収納形態があります。貴方の【デジヴァイス】をISにさせて貰いました。無論、今迄の機能も全て使う事が出来ます。他にもいくつか機能を追加しておきました。」

 

太一

「追加って何をしたんだ?」

 

イグドラシル

「それは後で説明します。まずは、貴方のISである13体の聖騎士達を呼び出して下さい。」

 

太一

「どうやるんだ?」

 

イグドラシル

「【デジヴァイス】を頭上に掲げて下さい。」

 

太一

「分かった。」

 

 太一は【イグドラシル】に言われた通りに掲げると【デジヴァイス】は光り輝き、13個の光が飛び出し、そこから太一を囲む様に現れたのは【オメガモン】を筆頭とする13体の聖騎士達だった

 

太一

「これが【ロイヤルナイツ】…ん?…コイツ等は!?…【マグナモン】…【デュークモン】…【アルファモン】に【ジエスモン】…それに【ガンクゥモン】まで!?」

 

 太一が13体を見渡すとその中のいくつかに見覚えがあった

 【マグナモン】は太一の後輩、【本宮大輔】のパートナー【ブイモン】がアーマー進化したデジモンだった

 【デュークモン】は別世界で出会ったテイマー【松田啓人】とパートナーの【ギルモン】がマトリックスエボリューションしたデジモン

 【ガンクゥモン】はデジタルワールドの歪みを修正する為に太一を呼び寄せたデジモン

 【アルファモン】と【ジエスモン】は太一が17歳の時に起きた事件で出会ったデジモン達だった

 

太一

「彼等も【ロイヤルナイツ】だったのか…」

 

イグドラシル

「はい。そして貴方が知らない残りのデジモン達が【デュナスモン】【ロードナイトモン】【アルフォースブイドラモン】【クレニアムモン】【ドゥフトモン】【スレイプモン】【エグザモン】です。」

 

太一

「………」

 

イグドラシル

「そして太一、貴方を向こうに送る際、連れて行ってほしい者がいます。」

 

太一

「連れて行ってほしい?」

 

イグドラシル

「貴方がよく知る者ですよ。」

 

「太一…」

 

太一

「!?…ま、まさか…」

 

「…久しぶり…なのかな?」

 

太一

「ア、アグモン!?何でココに!?」

 

 現れたのは太一のパートナー、アグモンだった

 

アグモン

「【イグドラシル】に連れてこられたんだ。太一にもう一度会いたいかって聞かれて。」

 

太一

「それを信じたのか?」

 

アグモン

「うん!太一にまた会えるなら僕は何処にだって行くよ!」

 

太一

「アグモン………バカな奴だな~…何の確証も無い話を信じてこんな所まで来るなんて…」

 

 太一はそう言いながらもその眼には涙が溢れていた

 

アグモン

「そうだよ…僕はバカだよ…それでも…太一に…会いたかったんだ…」

 

 そしてアグモンの眼にも涙が溢れていた

 暫くすると太一は涙を拭い【イグドラシル】に向き直ると…

 

太一

「…【イグドラシル】…アグモンともう一度会わせてくれた事は感謝する。だが、アグモンを連れて行く事は出来ない!!」

 

 アグモンの同行を拒否した

 

アグモン

「太一!?なんで!」

 

太一

「アグモン…向こうの世界にデジモンは存在しない。【七大魔王】を倒せば、デジモンはお前一人だけになる。そうなったらお前は………」

 

アグモン

「太一!!!」

 

太一

「!?」

 

アグモン

「確かに仲間のデジモン達ともう会えないのは寂しいよ。でも、それ以上に僕は太一と一緒にいたいんだ。太一とまた生きていきたいんだ!」

 

太一

「…アグモン…」

 

イグドラシル

「太一、アグモンはすでに覚悟を決めています。彼には事情を全て話してあります。それでも貴方と共に行く事を望んだのです。」

 

太一

「アグモン!…お前…」

 

 アグモンの眼を見た太一は彼の覚悟が伝わって来た

 

太一

「…一緒に…来てくれるか?」

 

アグモン

「うん!!」

 

太一

「ありがとう…アグモン…」

 

 アグモンの覚悟を受けて太一もまた覚悟を決めた

 

イグドラシル

「では、アグモンも同行するという事で、太一、貴方の【デジヴァイス】に追加した機能について説明します。」

 

太一

「ああ!」

 

イグドラシル

「追加した機能はいくつかありますが、その中で重要な機能は二つ。一つ目はデジモンの全データが入れてあります。分かり易く言えばデジモンの図鑑機能です。」

 

太一

「何でそんな機能付けたんだ?データだけなら【七大魔王】だけでいいだろ?」

 

イグドラシル

「【七大魔王】達が他のデジモンを呼び出す可能性があるからです。特に暗黒系デジモン達は【七大魔王】の眷属ともいうべき存在ですから。」

 

太一

「そういう事か…ならもう一つは?」

 

イグドラシル

「【デジヴァイス】にアグモンが入れるようにしてあります。向こうの世界にはデジモンが存在しませんから、アグモンが外に出ると騒ぎになりますからね。」

 

アグモン

「そっか!【イグドラシル】ありがとう!」

 

イグドラシル

「いえ、【デジヴァイス】への出入りはアグモンの意思で自由に行えるようになってます。」

 

アグモン

「分かったよ!」

 

 【デジヴァイス】の説明も終わりいよいよ【イグドラシル】は、太一とアグモンを目的の世界に送る事にした

 

イグドラシル

「残りの機能は向こうで調べて下さい。…それでは二人とも準備はよろしいですか?」

 

太一

「ああ!」

 

アグモン

「大丈夫だよ!」

 

イグドラシル

「分かりました。それでは行きます。」

 

 【イグドラシル】がそう言うと太一とアグモンを光が包み込んだ

 そして完全に光包まれると二人は光の玉となって飛んで行った

 

イグドラシル

「太一…アグモン…世界に…光ある未来を…頼みます!」

 

 太一とアグモンに未来を託した【イグドラシル】は二人の無事を祈っていた

 

 

 




 <予告>

 【イグドラシル】によって送り込まれた世界

 そこは【インフィニット・ストラトス】と呼ばれるパワードスーツによって女が男を虐げる世界だった

 そして、太一の前に現れた5人の女性達

 彼女達は果たして太一の敵なのか?味方なのか?



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 ファーストコンタクト!篠ノ之束!

 今、冒険が進化する!



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第003話:ファーストコンタクト!篠ノ之束!

 

 ココはとある島…地図にも載っていない無人島…なのだが…

 現在この島では5人の女性が暮らしていた

 

「あ~~~暇だな~…」

 

 機械のウサ耳とエプロンドレスを着た女性が愚痴っていた

 彼女の名前は【篠ノ之束】…ISの生みの親であり、自ら天災科学者を名乗っている変人である

 

「何か面白い事無いかな~…いっその事起こしちゃおうかな?」

 

 などと物騒な事を考えていると…

 

?2

「束様!島の上空で空間の歪みが発生しています!」

 

「何ですと!?」

 

 突然入って来た銀髪の少女は束の助手、クロエ・クロニクルだった

 

?3

「クロエ!それホントなの!?」

 

 クロエの言葉に、長身で金髪の女性が聞き返してきた

 彼女はスコール・ミューゼル…かつて【亡国機業(ファントム・タスク)】と呼ばれる組織の幹部だった

 

クロエ

「はい!」

 

「とにかく外に出てみよう!!」

 

 3人が外に出ると先にロングヘアの女性と黒髪の少女が空を見上げていた

 ロングヘアの女性はオータム、黒髪の少女はマドカ、二人共スコールと同じ【亡国機業(ファントム・タスク)】に属していた

 束達も二人の見ている方を見るとそこには空に黒い穴が開いていた

 

「…アレが空間の歪み…」

 

オータム

「まるで穴みたいだな?」

 

マドカ

「何か落ちてきたりするのか?」

 

スコール

「そんなまさか…って!?」

 

「ホントに何か落ちて来たよ!って人間!?」

 

 落ちて来たのはモチロン【イグドラシル】に送り出された太一であった

 

「危ない!!」

 

 束は胸元からリモコンを取り出すと侵入者撃退用に用意していた仕掛けを動かした

 地面から巨大なネットが現れ、落ちてきた太一を受け止めた

 束達は太一をネットから降ろすと彼を囲む様に見ていた

 

「…見たところ男の子の様だね?」

 

クロエ

「その様です。………アレ?」

 

スコール

「どうしたの?」

 

クロエ

「この子の持っているこれって………」

 

「…これ…もしかして…」

 

 束が【デジヴァイス】を手に取ろうとした時…

 

 カッ!

 

 【デジヴァイス】が輝きだした

 

「わっ!?」

 

アグモン

「…ココは…着いたのかな太一?…太一?」

 

 光が収まるとそこにいたのは【デジヴァイス】から出て来たアグモンだった

 

「な、何この生き物!?」

 

クロエ

「黄色いトカゲ!?」

 

マドカ

「しかも、しゃ、喋った!?」

 

 束達はアグモンを見て狼狽えていたが、肝心のアグモンはそれに気付かず、未だに意識を取り戻さない太一に呼びかけていた

 

アグモン

「起きてよ太一!太一~!」

 

オータム

「…太一?…コイツの名前か?」

 

アグモン

「太一~!折角生き返ったんだから起きてよ~!」

 

束達

「は?」

 

スコール

「今、生き返ったって言わなかった?」

 

オータム

「言ったな。」

 

 そして漸く太一が目を覚ました

 

太一

「…うっ…ココは…!?…アグモン!?」

 

アグモン

「太一!よかった目を覚ましたんだね!」

 

太一

「…アグモン…また…会えたんだな…」

 

アグモン

「うん!…また会えたんだよ太一!」

 

太一

「アグモン!」

 

アグモン

「太一!」

 

「あの~~~…お取込み中悪いんだけど…」

 

太一&アグモン

「…誰(だ)?」

 

「それはこっちが聞きたいんだけど…君達は何者なの?」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 太一達は取り合えず互いに自己紹介をする事にした

 

太一

「…俺の名前は八神太一。人間だ。」

 

アグモン

「僕はアグモン。デジモンだよ。ヨロシク!」

 

「私は篠ノ之束。天災科学者の篠ノ之束さんだよ~♪」

 

クロエ

「束様の助手を務めておりますクロエ・クロニクルと言います。」

 

スコール

「スコール・ミューゼルよ。訳あって束の所で世話になってるわ。」

 

オータム

「俺はオータムだ。」

 

マドカ

「…マドカ…」

 

 互いに名乗ると太一は自分達が何処から来たのか、デジモンの事、この世界に来た目的を話した

 太一の話を聞いた束達は当然驚いていた

 

「別の世界からやって来たあああぁぁぁ―――っ!!」

 

クロエ

「デジモン…ですか…」

 

スコール

「貴方が95歳で死んだお爺ちゃんって言われてもね…」

 

オータム

「生き返って若返るとかそんな事があるのか?」

 

マドカ

「だがこの男が現れた時の事を考えれば嘘とも思えないが?」

 

 太一の現れ方からマドカは嘘ではないと判断した

 そして、束達もマドカの言う事に頷いた

 

スコール

「それにしても【七大魔王】の侵略ね~…」

 

 次に束達が気になったのは太一がこの世界に来た目的だった

 

オータム

「…なあスコール…もしかして…」

 

スコール

「多分そうね…【亡国機業(ファントム・タスク)】を壊滅させたのはそいつらの仕業ね。」

 

太一

「心当たりがあるのか!?」

 

スコール

「ええ、私とオータム、マドカの3人は【亡国機業(ファントム・タスク)】って言う組織に所属していたんだけど、少し前に謎の襲撃を受けて壊滅させられたのよ。」

 

オータム

「その時、本部を襲ってきた奴らはISにしては変わった姿をしているとは思ったんだが…」

 

太一

「そいつらを見たのか!?」

 

オータム

「あ、ああ…と言っても遠目でだけどな。」

 

太一

「ならこの中にいないか?」

 

 太一は【デジヴァイス】を起動させオータムに【七大魔王】のデータを見せた

 

オータム

「え?…コイツ等が【七大魔王】か?…え~っと………あ!コイツと…コイツだ!!間違いない!この2体だ!!」

 

 オータムが指したのは悪魔の様な姿をしたデジモンと長い顎鬚を生やし杖を持った老人の様なデジモンだった

 

太一

「…【デーモン】…【バルバモン】…【憤怒】と【強欲】か…」

 

マドカ

「【憤怒】?【強欲】?何の事だ?」

 

太一

「【七大魔王】が司っているものだ。【七つの大罪】って言葉を知っているか?」

 

スコール

「それなら聞いた事があるわ。確か人間の持つ七つの罪の事よね?」

 

太一

「そうだ。【憤怒】【暴食】【色欲】【傲慢】【強欲】【嫉妬】【怠惰】この七つだ。」

 

オータム

「その罪をこの魔王達は象徴にしてるって事か?」

 

太一

「ああ、その【亡国機業(ファントム・タスク)】って言う組織を潰したのは【憤怒のデーモン】【強欲のバルバモン】の2体だ。」

 

「その魔王達は何が目的なの?まあ【亡国機業(ファントム・タスク)】を潰してくれたのはありがたいけどさ。」

 

スコール

「束…元とはいえ【亡国機業(ファントム・タスク)】の人間の前で言わないでよ…」

 

「別にいいじゃん。もう無いんだから。それで?」

 

太一

「奴らの目的はこの世界を永遠の闇に包み込む事だ。」

 

マドカ

「何故そいつ等はこの世界に来たんだ?自分達が元いた世界ですればいい事だろ?」

 

太一

「さあな?…奴等は俺のいた世界とも違う世界から来たから元の世界がどうなっているのかは俺も知らない。ただ、奴らがこの世界を選んだのはココが奴等にとって侵略しやすい世界だからだろうな。」

 

マドカ

「侵略しやすいだと!?」

 

太一

「…俺達はこの世界に来たばかりだから詳しくは知らないが、俺達をここに送り込んだ【イグドラシル】が言うにはこの世界は女尊男卑とか言う思想で腐敗の一途を辿りこのままでは滅びるのも時間の問題だと言っていたな。そんな世界だから【七大魔王】達に目をつけられたんだ。何時滅んでもおかしくないからな。」

 

束達

「!?」

 

太一

「こんな世界だから俺が選ばれたんだ。相手がデジモンだけなら【イグドラシル】の世界の子供達でも何とかなるかもしれない。けど、相手が人間、それもそんな腐った思想を持った危険な人間が大勢いる世界に若い子供達は危険だからな。そうじゃなきゃ、違う世界の、それも老衰で死んだ俺をわざわざ生き返らせた上に若返らせてまでココに送ったりしない。」

 

束達

「………」

 

太一

「…ISって言ったか…あの欠陥品の名前?アレが原因でこの世界は腐っていく一方らしいな。…誰が造ったのかは知らないが下らない物を作ったもんだ。」

 

「!?…けっ欠陥品!!下らないだと!!」

 

太一

「そうだろ?女しか使えないなんて欠陥以外の何だっていうんだ?男女関係なく使えていればこんな腐った世界にならずに済んだ筈だろ?」

 

「………り…せ!」

 

太一

「ん?」

 

「…取り消せ…今言った言葉…取り消せ!!!」

 

太一

「何をだ?」

 

「ISを欠陥品って、下らないって言った言葉!…今すぐ取り消せ!!」

 

太一

「何故アンタが怒るんだ?」

 

 束は太一に対して殺気と怒気を出して睨みつける

 篠ノ之束は見かけはこれでも人外と言ってもいい人間だが、束の出す殺気では太一は全く怯まなかった

 それもその筈、太一は中身は95歳の老人であり7歳の頃からデジモンに関わってきた為、束や【亡国機業(ファントム・タスク)】のスコール達とは比べ物にならない程の修羅場をくぐって来たのだ

 そこに人生経験も加算されているのでこの程度はどこ吹く風と言う感覚なのだ

 

クロエ

「…ISを造ったのは束様です…」

 

太一

「え?…アンタが造ったのか?なら怒ってもしょうがないか…けど俺は取り消さないぞ。」

 

「何!?」

 

太一

「あんな欠陥兵器が出て来たばかりにこの世界は滅びに向かってるんだ。取り消すつもりなんて無いな。」

 

「兵器だと!?ISは兵器じゃない!!そんな事の為に造ったんじゃない!!宇宙に行く為に造ったんだ!!」

 

太一

「宇宙に行く、ね…なら聞くが今世界の何処かでISを宇宙開発の為に研究してる国や組織が一つでもあるのか?」

 

「そ、それは…」

 

太一

「無いんだろ?アンタ自身も含めて。」

 

「!?」

 

太一

「アンタ自身が研究しているなら自分がしていると答える筈だ。だがアンタは答えなかった。それはつまりやっていないって事だ。それでよくISは宇宙に行く為の物なんて言えたな?」

 

「ぐっ…ううっ…」

 

太一

「欠陥を残したまま世に出てしまったのか、あえて出したのかは知らん。だがアンタは欠点を直そうともしなければ本来の目的の為の研究もしていない。それで俺の言葉を取り消せなんてよく言えるな。」

 

「………」

 

太一

「アンタがIS本来の目的を忘れたのか、それとも諦めたのかは知らない。だが、今ここでアンタが何を叫ぼうとその言葉に俺は何も感じない。言葉に何の重みも無いからな。」

 

「…言葉の重み…」

 

太一

「そうだ。…もしアンタが研究を続けていて、宇宙に行く為と言えば俺は言葉を取り消した。世界は腐って行ってもアンタだけは本来の目的を目指してるんだからな。その覚悟が言葉にも込められる。」

 

「………」

 

太一

「思いの込められていない言葉では誰も動かない。何も伝わらない。ただ自分が惨めになっていくだけだ。」

 

「………私だって…」

 

太一

「ん?」

 

「…私だって…思いを込めて叫んだんだ!!…ISを造って…発表会で宇宙に行きたいって皆に叫んだんだ!!…でも…誰も聞いてくれなかった!!馬鹿にされるだけだったんだ!!!」

 

太一

「………」

 

「だから思い知らせてやったんだ!!…ISの優秀さを世界に知らしめる為に【白騎士事件】を起こしたんだ!!」

 

太一

「【白騎士事件】?」

 

スコール

「…10年前に起こった事件よ。当時世界中の軍事基地から日本に向かって2000発以上のミサイルが発射されたの。」

 

オータム

「それをISを纏った一人の女がミサイルを全て撃墜して日本を守ったんだ。」

 

マドカ

「その時、現れたISが全身が白く、剣を持っていた事から【白騎士】と呼ばれた。それから、その事件を【白騎士事件】と言う様になったんだ。」

 

太一

「なるほど…その事件がきっかけでISが世界中に知れ渡った訳か。」

 

クロエ

「…はい…」

 

太一

「…やはりISは兵器だな。宇宙に行く為の夢のパワードスーツじゃ無い。」

 

「!?」

 

太一

「俺が事前に聞いた話だとアンタの作ったISの登場で調子に乗った女共の中にはただ気に食わない、男だからと言う理由だけで赤ん坊でさえ平気で殺す奴もいるそうだな?」

 

スコール

「そ、それは…」

 

太一

「正直その話を聞いた時は自分の耳を疑ったよ。同じ人間としてそこまで腐った人間がいるなんて思いたくなかったからな。」

 

「………」

 

 太一の言葉に誰も言い返す事が出来なかった

 太一が言っている事は全て事実であり、腐ったと言われればその通りだからだ

 

太一

「所でアンタ発表会でISを紹介したって言ったけど何回やったんだ?」

 

「え?…1回だけだよ…」

 

太一

「バカかお前?」

 

「何!?」

 

太一

「たった1回叫んだだけで人の心が動くと思ってるのか?どんなに優れた発明でも最初は誰にも受け入れられないものなんだ!!それは歴史が証明している!飛行機に最初から皆が乗ったのか?皆が自分の家に電話を置いてくれたのか?皆が初めから電気を使って生活してくれたのか?」

 

「それは…」

 

太一

「最初は与太話、法螺話と言われる物なんだ!それでも今この時にそれらが生活の一部になるほど浸透しているのは何故だと思う!」

 

「………」

 

太一

「諦めなかったからだ!周りに何を言われようと決して諦めずに叫び続けたんだ!!それが一人、また一人と理解者を増やしていったんだ!!時にはそう言った理解者が先人達の夢を引き継いでくれもしたんだ!それらの積み重ねがあるから今も彼らの発明は万人に受け入れられているんだ!偉大な人間として歴史に名前が刻まれているんだ!!!」

 

「…諦めない…」

 

太一

「そうだ!アンタと先人達の一番の違いだ!!アンタはたった1回で諦めた!!10回、20回と諦める事無く叫び続ければ少しづつではあっても理解してくれる者達も現れたはずだ!!」

 

「………」

 

太一

「だがアンタは自分でそれらの可能性を潰した!たった1回受け入れられなかっただけで安易な方法を選び自分の夢を自分で潰し、自分の夢を込めたISを兵器と言う最低な物に貶めたんだ!!」

 

「あ…ああ…」

 

太一

「アンタの名前は後世の歴史に刻まれるだろうな!…だがそれは、偉人としてじゃない!!人類史上最悪の兵器を造った人間…人類の汚点としてだ!!!」

 

「!?…うっ…うううっ…うあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

クロエ

「束様!?」

 

「…どうすれば…いいの?…私は…どうすればよかったの?」

 

太一

「知らん!時間は戻せない。過去を変える事は出来ない。」

 

「そんな…」

 

太一

「…だが…未来は変えられる。」

 

「…え?」

 

太一

「さっきも言ったがこの世界はいずれ滅びる。その理由の一つが【七大魔王】による侵略だ。」

 

束達

「………」

 

太一

「俺が来なければこの世界は闇に染まり、全ての命が奪われる。だが、今ここに俺がいる。俺が奴らを倒せば、少なくても【七大魔王】によって滅びると言う未来は回避出来る。」

 

「………」

 

太一

「それと同じだ。ISがこのまま兵器として使われ続けて世界を滅ぼす要因となるか…それとも、再び宇宙を目指す為に使われるのか…それは、これからのこの世界の人間たち次第という事だ。」

 

「これからの…私達次第…」

 

太一

「そうだ。」

 

オータム

「随分他人事みたいに言うな?お前が魔王達を倒した後、元の世界に帰れなかったらどうするんだ?お前も下手したらこの世界の滅びに巻き込まれる事になるんだぞ?」

 

太一

「別にそれならそれでいい。俺は一度死んだ身だ。骸が再び土に還る。ただそれだけだ。」

 

オータム

「な!?」

 

太一

「俺は別にこの世界がどうなろうと興味が無い。この世界には来たばかりだし、何が何でも守ろうと言う人間もいない。まあ折角貰った二度目の人生だからな、俺はアグモンと一緒にいられれば世界が滅びようと構わないんだよ。」

 

マドカ

「…お前…どういう神経してるんだ!」

 

太一

「神経ね…そんな物とっくの昔に擦り減ってるのかもな。」

 

マドカ

「ぐっ…」

 

太一

「そもそも俺に何が出来るって言うんだ?俺は【七大魔王】を倒しに来ただけだ。それ以外に出来る事なんか無い。」

 

束達

「………」

 

太一

「それにな!【イグドラシル】だって【七大魔王】がこの世界を侵略しなかったら放っておくって言ってたんだぞ?あくまでこの世界をどうするのかはこの世界の人間がする事なんだよ。」

 

「………フッ…フフフッ…」

 

太一達

「?」

 

「………束さんにここまで言った人間は初めてだよ………いいよ…やってやろうじゃん!」

 

太一

「何が?」

 

「ISを完成させるんだよ。男女両方が使えて宇宙に行く為のパワードスーツとして完成させるって言ってるんだよ!」

 

スコール

「束!?」

 

「…その為にも【七大魔王】が邪魔だね………よし!束さんは君に協力するよ!!」

 

太一

「………へ?」

 

 束の突然の提案にさすがの太一も面食らっていた

 

 




 <予告>

 突然、太一に協力を申し出る束

 その理由はISを完成させ無限の空に飛び立つ為だった

 協力関係を結んだ彼女達は太一の持つISに興味をそそられていたのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 ロイヤルナイツ

 今、冒険が進化する!



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第004話:ロイヤルナイツ

お気に入りが50を超えました♪

これからも頑張ります!!



 

 束の突然の提案に対して太一は…

 

太一

「どういう事だ?いきなり協力するなんて?」

 

「そのままの意味だよ!君の言う通り束さんはISを兵器にしてしまった大罪人だよ!欠陥品を出していい気になっていた似非科学者だよ!」

 

太一

「いや…似非科学者何て言ってないけど…」

 

「束さんは現実を知らない世間知らずの我侭女だと言う事がよく分かったんだよ!」

 

太一

「だからそこまで言ってないって…」

 

 自分の事を卑下しまくっている束に困惑していた

 

「まあ、冗談は置いといて!…君に言われて改めて自分がやった事の重さがわかったんだよ…」

 

太一

「………」

 

「君の言う通り私がISを造ったせいでこの世界は腐っていくばかりだよ。このままじゃ、後100年もすればこの世界は滅びちゃうね。」

 

太一

「そうだな。」

 

 太一は束の言葉を否定しなかった

 それは、太一自身もこの世界がそのくらいの時間で滅びると考えていたからだった

 

太一

「それで?その滅びの原因を作った張本人はこれからどうするんだ?俺に協力して何をするつもりだ?」

 

「さっきも言ったでしょ…ISを完成させる!」

 

太一達

「!?」

 

「男女両方が使えて、宇宙に行く為のパワードスーツとして完成させる!…それが終わったら束さんは自首するよ。【白騎士事件】から始まったISによって起きた犠牲者の人達に謝罪する為にね。」

 

クロエ

「束様!?」

 

太一

「そうか…それがアンタの答えと覚悟か。」

 

「そうだよ!…けどその為には【七大魔王】を倒さないといけないんだよ!」

 

太一

「…確かにそうだが…」

 

「という訳でこれから協力するからね♪よろしくね、たっくん、アッくん♪」

 

太一

「たっくん!?」

 

アグモン

「アッくんって僕の事?」

 

「そ~だよ~♪」

 

スコール

「束はね、気に入った相手にはあだ名を付けて呼ぶのよ…」

 

太一

「ちょっと待て!俺は気に入られる様な事はしてないぞ!」

 

「何言ってるの?君は束さんに対してあれだけ言いたい放題言ったんだよ♪そんな人間は君が初めてだからだよ♪」

 

太一

「何でそれで気に入るんだよ!!」

 

「まあまあいいじゃん♪それでさ、束さんはずっと気になってる事があるんだよ。」

 

太一

「ん?」

 

「たっくんってISを持ってるよね?アッくんが出てきた機械がISの待機状態なんだよね?」

 

太一

「…目敏いな…そうだ。【イグドラシル】が用意してくれたものだ。」

 

「【イグドラシル】って…たっくんを生き返らせたデジモン達の世界の神様だよね?」

 

太一

「正確にはホストコンピュータだがな。まあ神とも呼ばれているから間違ってはいないが…」

 

「つまりたっくんの機体は神様が造った物って事だよね!!」

 

太一

「まあ…そうなるな…」

 

「それ見せて!!神様が造ったISがどんなものか知りたいんだよ!!」

 

スコール

「束、落ち着きなさい。」

 

「なに言ってんの皆だって見たいでしょ?神様お手製のISなんだよ!!」

 

オータム

「それは、まあ確かに…」

 

マドカ

「見たくないと言えば嘘になるが…」

 

「でしょ!だから皆もたっくんに頼んでよ!!」

 

 束の熱意に促されたのか、スコール達は顔を見合わせると…

 

スコール達

「お願いします。」

 

 声を揃えて太一にお願いした

 

太一

「…はぁ…分かった…見せればいいんだろ?」

 

 太一も観念して【デジヴァイス】を束に渡した

 

「ワ~~~イ♪ありがとたっくん♪それじゃ~早速調べるね~♪」

 

スコール

「一体どんな機体なのかしらね?」

 

 スコールの言葉に全員が頷いていた…

 

「フ~フッフフ~ン♪…何々…え~っと…名前は【ロイヤルナイツ】って言うんだ…スペックは~っと………え!?…な、にこれ………」

 

クロエ

「どうかなさいましたか」

 

 鼻歌交じりに解析していた束の態度が次第におかしくなっている事に気付いたクロエが訪ねると…

 

「…どうしたもこうしたもないよ…何なのコレ!!!」

 

 束は叫ぶと同時に端末を操作しISのデータを表示した

 だが、表示された機体のデータ数が全部で13機あったのだ

 

スコール

「何この数!?」

 

オータム

「全部で…13だと!?」

 

マドカ

「どういう事だ!?これは1機のISではないのか!?」

 

クロエ

「なんなんですかコレは!?」

 

太一

「…【ロイヤルナイツ】…デジタルワールドを守護する13体の聖騎士型デジモンによって結成された組織の総称だ。」

 

「機体と同じ名前の組織!?でもそれが何なの?」

 

太一

「【イグドラシル】は【七大魔王】に対抗する為、俺に【ロイヤルナイツ】の能力を持つISを与えた。姿・武装・技・能力…本物の【ロイヤルナイツ】と全く同じ機体をな。そして、この機体はその13体を使い分ける事が出来るんだ。」

 

スコール

「だから機体のデータ量がこんなにあるのね!?」

 

オータム

「1機で13通りの姿を持つって事かよ!?」

 

マドカ

「それも全てが全くの別物だ!?」

 

クロエ

「………束様!?…この機体のスペックは…」

 

「うん…この機体の性能は現在のどの機体をも遥かに上回ってるよ…束さんでもこれを超えた機体を造る事なんて出来ない。いや不可能だよ!」

 

オータム

「お前でも造れないのかよ!?」

 

スコール

「待って!この機体は本物の【ロイヤルナイツ】と全く同じって言ったわよね?」

 

「そうだよ…つまりデジモンの力はISを上回るって事だよ…」

 

マドカ

「じゃあ、アグモンも?」

 

アグモン

「う~ん…流石に成長期のこの姿じゃISには敵わないよ。進化すれば別だけどさ。」

 

束達

「進化?」

 

太一

「そう言えばまだデジモンの生態を説明してなかったな。」

 

 太一は束達にデジモンの生態、進化の段階に関して説明した

 

「………じゃあ、アッくんはその成長期って言う段階なんだね?」

 

アグモン

「そうだよ~♪」

 

スコール

「なら【ロイヤルナイツ】達は…」

 

オータム

「普通に考えれば進化の最終段階の究極体だな。」

 

太一

「生憎と究極体は12体だ。残りの1体はアーマー体と呼ばれる別の進化をしたデジモンだ。」

 

マドカ

「アーマー体?」

 

太一

「特定の成長期、成熟期のデジモンの中には【デジメンタル】と呼ばれる道具を使う事で進化出来るデジモンがいる。その進化をアーマー進化と言うんだ。」

 

クロエ

「アーマー進化………もしかして【七大魔王】にもそのアーマー体がいるんですか?」

 

太一

「いやいない。ただ、【傲慢】の魔王は完全体だ。他は究極体だけどな。」

 

マドカ

「1体だけ完全体がいるのか?」

 

太一

「ああ、だがその力は究極体に引けを取らない。完全体だからと言って舐めてかかると返り討ちに会うだろうな。」

 

マドカ

「そ、そうか…」

 

「13体の【ロイヤルナイツ】………【オメガモン】…【アルファモン】…【デュークモン】…【マグナモン】…【アルフォースブイドラモン】…【デュナスモン】…【ロードナイトモン】…【エグザモン】…【クレニアムモン】…【ドゥフトモン】…【スレイプモン】…【ジエスモン】…【ガンクゥモン】………どれも物凄い性能だよ…」

 

スコール

「…これが…【ロイヤルナイツ】…」

 

オータム

「なあ?他にもデジモンの組織みたいなものがあるのか?」

 

太一

「ん?ああ、他には【四聖獣】【四大竜】【三大天使】【十二神将(デーヴァ)】【十闘士】【オリンポス十二神】と言った奴等がいるな。」

 

「どんなデジモン達の組織なの?」

 

太一

「【四聖獣】は【四神】とも呼ばれている日本や中国に伝わる【朱雀】【青龍】【白虎】【玄武】のデジモン達の事だ。【十二神将(デーヴァ)】はその四体に仕える【干支】を模したデジモンだ。」

 

スコール

「【四神】に【干支】…他は?」

 

太一

「【四大竜】は三体の聖竜型デジモンと一体の邪竜型デジモンの総称だ。【三大天使】はその名の通り【熾天使】【智天使】【座天使】の三体の天使型デジモンの事だ。」

 

オータム

「なら【十闘士】ってのは?」

 

太一

「【古代デジタルワールド】に存在していたと言われる10体の究極体の事だ。それぞれが火・氷・風・土・木・光・闇・雷・鋼・水を1つずつ司る最初の究極体デジモン達の事だ。」

 

マドカ

「最初の究極体…そんなのまでいるのか…」

 

クロエ

「では【オリンポス十二神】と言うのは、もしかしてギリシャ神話の?」

 

太一

「そうだ。と言っても俺のいた世界には【四聖獣】しかそう言った奴等はいなかったがな。」

 

マドカ

「そうか…しかしデジモンと言うのは人間の世界の伝承や伝説に出てくる神や生物を模しているんだな。」

 

太一

「そうだな。他にも御伽噺なんかもあるな。」

 

クロエ

「御伽噺ですか?」

 

太一

「【西遊記】だ。【ゴクウモン】【サンゾモン】【チョ・ハッカイモン】【サゴモン】【キンカクモン】【ギンカクモン】【シャカモン】ってのがいる。」

 

「うわ~…まんま【西遊記】だね!?」

 

 それから太一達は【ロイヤルナイツ】の調査を続けていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 調査も一通り終わると…

 

太一

「さて、どうやって【七大魔王】を探すかだな…」

 

アグモン

「そうだね~…」

 

スコール

「何か手掛かりは無いの?」

 

太一

「生憎と【イグドラシル】からは手掛かりになる様な事は聞いてないんだ。」

 

オータム

「…そうか…」

 

 太一はこの後どうするか悩んでいると…

 

「ねえたっくん。IS学園に入学してみない?」

 

 束がIS学園への入学を進めてきた

 

太一

「IS学園?何だそれ?」

 

クロエ

「その名の通りISを学ぶ為の学園です。そこには世界中から優秀な人材が集まりますし、世界でもトップクラスの情報量があります。」

 

太一

「そこで情報収集しろって事か?だがISの学校って事は女しかいないんだろ?男の俺が入れるものなのか?」

 

オータム

「それなら最近男でISを動かせる人間が一人見つかったんだよ。そいつはIS学園に強制入学する事になってるからそれに便乗してみたらどうだ?」

 

太一

「男の操縦者だと?」

 

スコール

「名前を織斑一夏………ここにいるマドカの双子の兄よ。」

 

太一

「何?」

 

マドカ

「そうだ…私のフルネームは織斑マドカ…織斑一夏とは双子の兄妹だ。」

 

「付け加えるなら今そこには二人の姉のちーちゃんがいるんだよ!」

 

太一

「ちーちゃん?」

 

「織斑千冬…束さんの幼馴染でいっくんとマドちゃんのお姉さんだよ♪」

 

オータム

「更に付け加えるなら織斑千冬は【モンドグロッソ】って言うISの世界大会を剣1本で制した初代優勝者だ。優勝者には【ブリュンヒルデ】って称号が与えられるんだよ。」

 

太一

「【ブリュンヒルデ】か………そこで何をしてるんだ?」

 

マドカ

「私と同じテロリストの癖に教師をしている。自分の尻拭いさえ出来ない駄姉だ!」

 

太一

「駄姉?それにテロリスト?」

 

スコール

「そう言えばまだ言ってなかったわね。私達が所属していた【亡国機業(ファントム・タスク)】は所謂テロ組織なのよ。」

 

太一

「テロ組織!?」

 

スコール

「マドカはちょっと事情があってね。この子の両親は織斑千冬と織斑一夏の二人を捨てて、マドカだけを連れて海外に逃げたのよ。」

 

オータム

「その両親は事故ですでに死んでいる。残されたマドカをスコールが拾って【亡国機業(ファントム・タスク)】に入れたんだよ。」

 

マドカ

「私の事はいい…スコールやオータムには拾ってくれて感謝しているし【亡国機業(ファントム・タスク)】に入った事も後悔はしていない。」

 

太一

「そうか…それでテロリストって言うのは?」

 

マドカ

「あの女が【白騎士】の正体だ!…お前の言う腐った世界を作った張本人の片割れだ。」

 

太一

「そう言う事か………それで、その【白騎士】は今の世界をどう思ってるんだ?」

 

マドカ

「さあな…反省してるのかさえ分からん!」

 

スコール

「まあ、もう一人の片割れは貴方のお陰で反省したみたいだけど…」

 

 スコールの言葉に全員の視線が束に集まった

 

「………すみません………それでどうかなたっくん?行ってみない?」

 

太一

「………本音は?」

 

 太一は束の提案に裏がある事を読んでいた

 

「やっぱり分かっちゃうか………いっくんを…守ってほしいの………あそこはいっくん以外女しかいない…女尊男卑に染まった奴等も沢山いる…そんな奴等から守ってほしいの…」

 

太一

「…そいつは自分の身も守れない奴なのか?」

 

「え?…それは…分かんない…」

 

太一

「そうか…そいつを守るかどうかは実際会ってからだな…」

 

「それじゃあ!?」

 

太一

「ああ、行こう…だがどうやって入るんだ?」

 

「束さんがちーちゃんに推薦状を出しておくよ。二人目が見つかったって知れば簡単に入れてくれるだろうし。」

 

太一

「分かった。それから織斑一夏の護衛だが、そいつを見極めてから決めさせてもらうぞ。」

 

「…ちなみにどんな基準で決めるの?」

 

太一

「自分の身を守れるだけの力があるかだ。弱いなら護衛しながらしごいてやる。」

 

「うん、それでいいよ。」

 

太一

「それから、【七大魔王】が現れた場合はそっちを優先させてもらうからな。もし邪魔するようなら誰であろうと叩き潰す!!織斑一夏やお前の妹であってもだ。」

 

「分かったよ。後、マドちゃんとオーちゃんもIS学園に行ってね♪」

 

マドカ&オータム

「は?」

 

「二人にはたっくんのサポートをお願いするよ。」

 

オータム

「ちょっと待て!?俺は学生って年じゃないぞ!!」

 

「分かってるよ。だから研修生って事で入って貰うんだよ。マドちゃんは普通に学生として入ってね♪」

 

マドカ

「…つまりあの馬鹿姉と会うって事か…」

 

「………そうなるね…マドちゃん…やっぱりちーちゃんを許せないの?」

 

マドカ

「当り前だ!!あの女がお前と一緒にやった事は決して許される事じゃない!!アイツが罪を償うまで私は決して許しはしない!!!」

 

「…そう…」

 

マドカ

「学園に行くのは了承する。だが、一つ条件がある!」

 

「条件?」

 

マドカ

「私を八神太一の妹として入学させろ!」

 

束&太一

「え?」

 

マドカ

「さっき言ったようにアイツが罪を償うまで私はアイツを許さん!その時までアイツと同じ織斑の姓を名乗るつもりは無い!!」

 

「マドちゃん………分かったよ…たっくんもいいかな?」

 

太一

「俺は構わないが…本当にいいのか?」

 

マドカ

「ああ!お前には悪いが八神の姓を貸してくれ!」

 

太一

「…分かった…ならこれからお前は『八神マドカ』だ。いいな?」

 

マドカ

「モチロン!よろしく頼むぞ…『兄さん』!」

 

 こうして太一は入学までの数日間、束達からISに関する知識を叩きこまれる日々を送る事になった

 




 <予告>

 七大魔王の情報を探す為、IS学園に入学する事になった太一

 そこで出会うのは世界最強と呼ばれた女性・織斑千冬

 もう一人の男性操縦者・織斑一夏

 太一の女だらけの学園生活が始まる



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 IS学園

 今、冒険が進化する!



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第005話:IS学園

 

 IS学園入学初日、太一はマドカ、オータムと共にIS学園校門前に来ていた

 その前には一人の女性教師が待っていた

 

「お前が束から紹介された二人目か。私は織斑千冬、この学園で教師をしている。」

 

太一

「わざわざ出迎えありがとうございます。俺は八神太一。今日からお世話になります。」

 

千冬

「礼節はしっかりしているようだな。一緒にいるのは………!?」

 

 互いに自分の紹介をすると、千冬は太一の後ろにいる少女の顔を見た瞬間、その表情は驚愕へと変わった

 

千冬

「お、お前は!?…まさか!?」

 

マドカ

「………初めまして…私は八神マドカ…兄共々よろしくお願いします。」

 

千冬

「や、八神だと!?…お前はマドカだろ!!私の妹の織斑マドカだろ!!」

 

オータム

「何を仰ってるんでしょうか?この子は八神マドカですよ?私はオータム、篠ノ之束博士からこの二人のサポートをするように言われてきました。」

 

千冬

「い、いやだがこの子は…」

 

オータム

「(後で詳しく話してやる。今はさっさと教室に案内しろ。)」

 

千冬

「!?」

 

オータム

「後、私はココには教育実習生として赴任しますのでよろしくお願いしますね。」

 

 オータムに促され、千冬は3人を自分が受け持つ1年1組の教室に案内した

 教室の前に着くと…

 

「よろしくお願いします。…い、以上です!」

 

 ズガシャーンッ!

 

 何かが大量に倒れる音が聞こえてきた

 

千冬

「あの馬鹿…スマナイが少し待っていてくれ。呼んだら入って来てくれ。」

 

 千冬がそう言って中に入ると…

 

 スパァーン!

 

 キャアアアアアァァァァァ―――――ッ!!!

 

 …と言う音と歓声が廊下まで聞こえてきた

 

太一

「中で何が起こってるんだ?」

 

マドカ&オータム

「さぁな?」

 

千冬

「…3人とも入っていいぞ。」

 

 千冬に呼ばれ教室の中に入る太一達

 

 ザワザワ…

 

 教室内の生徒達は太一とマドカの姿を見た瞬間、驚きの表情を浮かべていた

 それもその筈、太一は男、マドカは織斑千冬に瓜二つなのだからだ

 

千冬

「…挨拶しろ…」

 

太一

「八神太一…人間だ。今日からよろしく頼む。」

 

マドカ

「八神マドカ…兄共々よろしくお願いします。」

 

 太一の自己紹介に生徒達は動揺していた

 普通は自分の紹介に『人間』なんて言葉は使わないからだ

 しかし太一はデジモンのいる世界の出身の為、その様な紹介が癖になっていたのだ

 

「…マドカ………お前マドカか!?」

 

 突然マドカの紹介を聞いた一番前の真ん中の席の男子生徒が声を上げた

 彼こそが世界でただ一人の男のIS操縦者、織斑一夏でありマドカの双子の兄だった

 

一夏

「俺だ!お前の双子の兄の一夏だ!?」

 

マドカ

「………。フゥ…久しぶりだね…一夏兄さん♪」

 

千冬

「!?」

 

一夏

「やっぱりマドカなのか!!でも、何で八神って名乗ってるんだ?」

 

マドカ

「…ゴメン…兄さんには悪いけど今の私は織斑の姓を名乗るつもりは無いんだ。だから太一の妹として八神の姓を借りてるんだよ。この事に太一は関係ないよ。私が無理を言って名字を使わせて貰ってるだけだから。」

 

一夏

「そ、そうか…」

 

マドカ

「話は後でゆっくりしよう。」

 

千冬

「マ、マドカ…」

 

マドカ

「何でしょうか?織斑千冬先生?」

 

千冬

「!?…な、何故そんな他人行儀なんだ!私を姉と呼ばないんだ!?」

 

マドカ

「…私はお前を姉とは認めない…」

 

千冬

「え!?」

 

マドカ

「私が八神を名乗っているのはお前と同じ織斑の姓を名乗りたくないからだ!お前と同じ血が流れているだけでも私にとっては腹立たしいんだ!!!」

 

 ザワザワ…

 

一夏

「マ、マドカ!?どうしたんだ?何で千冬姉だけ…」

 

マドカ

「一夏兄さんは知らなくていい事だよ。…私の血のつながった兄妹は一夏兄さんだけだ!お前は赤の他人だ!!」

 

千冬

「!?………マドカ…何故だ…」

 

マドカ

「気安く私の名を呼ぶな!!(自分が10年前何をやったか思い出すんだな…【白騎士】!!)」

 

千冬

「!?」

 

マドカ

「先生、私と太一兄さんは何処に座れば?」

 

 マドカは千冬を無視し、後ろにいた副担任の山田真耶に自分と太一の席を聞いた

 

真耶

「え!?あ、はい!お二人は後ろにあるあちらの席にお願いします。…それで…あの、貴方は?」

 

オータム

「やっと紹介できるか。え~俺はオータム。教育実習生として今日からこのクラスで織斑、山田の両先生の補佐をする事になった。後この二人のサポートも兼任している。よろしく頼む。」

 

 それから太一とマドカは席に着きHRの続きを始めたが、千冬は放心状態になってしまい、HRが終わるまで教室の隅でただ突っ立っていた

 




 <予告>

 千冬を完全に拒絶するマドカの姿に兄の一夏は動揺していた

 マドカに何があったのか知ろうとする一夏は太一に聞こうとする

 だが、太一は答えてはくれなかった

 そんな中、太一と一夏に近づく二人の少女がいた



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 交わらない姉妹

 今、冒険が進化する!



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第006話:交わらない姉妹

お気に入り数が100件を超えました♪

皆さんのお陰です♪

これからも頑張ります!!


 

一夏

「少しいいか?」

 

 HRが終わり次の授業まで参考書を読もうとした太一に織斑一夏が話しかけてきた

 

太一

「ん?確か…織斑一夏…だったな?」

 

一夏

「あ、ああ…名前知ってるのか?」

 

太一

「君は有名だからな。俺は八神太一、改めてよろしく。君には悪いが妹さんとは兄妹って事にさせて貰っている。」

 

一夏

「あ、俺は織斑一夏…一夏でいいよ。」

 

太一

「なら俺も太一でいい。それで用件は?」

 

一夏

「マドカに何があったのか知っているなら教えてくれないか?…聞いても答えてくれないんだ。」

 

太一

「………悪いが言えない。」

 

一夏

「な、何で!?」

 

太一

「俺はマドカとは兄妹と言う立場だが、それでも他人だ。本人が答えたくない事を俺が言う訳にはいかない。違うか?」

 

一夏

「………そう…だな…すまなかった…」

 

 太一に正論を言われ一夏は黙り込んだ

 

?1

「ちょっといいか?」

 

太一&一夏

「ん?」

 

 二人は呼ばれた方を振り向くと黒髪の少女がいた

 

一夏

「お前………もしかして箒か?」

 

太一

「(コイツの知り合いか?)君は?」

 

「私は篠ノ之箒…八神だったな?すまないが一夏を借りてもいいか?」

 

太一

「ああ、持ってっていいぞ。(この子が束の妹か。)」

 

「悪いな。」

 

 太一に断りを入れると箒は一夏を連れて教室を出て行った

 一夏に入れ替わる形で今度はマドカがやって来た

 

太一

「いいのか話さなくて?数年ぶりに再会した兄さんだろ?」

 

マドカ

「ああ、放課後にでもゆっくり話せばいいよ。アイツみたいに焦る必要は無い。」

 

 アイツと言うのはモチロン一夏を連れて行った箒の事である

 

太一

「そうか…」

 

マドカ

「それにこんな短い時間じゃ、話し込んで遅刻なんて事になるだろうからな。」

 

太一

「フッ…そうだな…初日にそれは嫌だな…」

 

マドカ

「だろ?…所で太一兄さんは大丈夫なのか?」

 

太一

「動物園のパンダの気分だよ。」

 

 HRが終わるとクラスの生徒だけでなく他の教室の生徒達も太一と一夏を見に来ていた

 そして、一夏がいなくなったので視線の全ては太一に向けられているのだ

 

マドカ

「…まあ、暫くすれば落ち着くだろ?それまでの辛抱だよ。」

 

 マドカはそう言って自分の席に戻って行った

 残った太一は今度こそ参考書を読もうとしたら…

 

?2

「ちょっとよろしくて?」

 

太一

「ん?(今度は誰だ?)」

 

 再び呼ばれたので、目線を移すとそこには金髪縦ロールの少女がいた

 

太一

「君は?」

 

?2

「まあ!わたくしを知らないのですか!?」

 

太一

「スマナイ。俺は途中から来たからクラスメイトの名前をまだ知らないんだ。」

 

?2

「そう言えばそうでしたわね。いいですわ。わたくしはセシリア・オルコット、イギリスの代表候補生ですわ!」

 

太一

「君が代表候補生の一人か…という事はかなりの実力があるんだな?」

 

セシリア

「あら?分かっていますのね?そうですわ。わたくしはそのエリートなのですわ!」

 

太一

「(…エリートなんて言ってないんだが…随分自意識過剰な子だな…)それで俺に何か用か?」

 

セシリア

「噂の男性操縦者と言うものがどれ程のものかと思いましたので。」

 

太一

「君がどんな期待をしているか知らないが、生憎と俺はマドカやオータムに基礎部分を短期間に詰め込まれただけでな。代表候補生や試験を受けた他の子達ほどの知識も経験も無いんだ。」

 

セシリア

「あら、そうでしたの…まぁわたくしの足を引っ張る様な事だけはしないで下さいね?」

 

太一

「ああ、そうならないように願うよ。」

 

セシリア

「多少の礼儀はわきまえていらっしゃるようですね。安心しましたわ。」

 

太一

「それはどうも。」

 

 太一がそう言うとチャイムが鳴ったのでセシリアは一礼して席に戻っていった 

 それとほぼ同時に千冬とオータムも教室に入って来たが、千冬の顔はHRが終わる前よりもさらに暗くなっていた

 千冬に何があったのか…それは…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 時間は戻って、HRが終わると千冬はオータムを連れて生徒指導室に来ていた

 千冬は誰もいない事を確認すると…

 

千冬

「…オータム…マドカに何があったんだ…教えてくれ!!」

 

 早速、マドカに何があったのかを問い質して来た

 

オータム

「………【亡国機業(ファントム・タスク)】って知ってるか?」

 

千冬

「【亡国機業(ファントム・タスク)】だと!?あの国際テロ組織の事か?…まさかお前は!!」

 

オータム

「そうだ!俺は【亡国機業(ファントム・タスク)】の工作員の一人だ。もちろんマドカもな。」

 

千冬

「マ、マドカが【亡国機業(ファントム・タスク)】だと!?」

 

オータム

「もう無いけどな。」

 

千冬

「無いだと!?どういう事だ!」

 

オータム

「そのままの意味だ。【亡国機業(ファントム・タスク)】は数か月前に壊滅したんだよ。俺とマドカ、もう一人の仲間はその生き残りだ。路頭に迷っていたのをお前の幼馴染に拾われたのさ。」

 

千冬

「た、束が!?」

 

オータム

「先に言っとくがお前と弟を捨てた両親は事故でとっくの昔に死んでるぜ。」

 

千冬

「…アイツ等は死んだのか…」

 

オータム

「残されたマドカを俺の上司が拾ってそのまま【亡国機業(ファントム・タスク)】に入れたのさ。そいつは今は束の所にいるけどな。それとマドカは【亡国機業(ファントム・タスク)】に入った事は後悔してないそうだぜ。」

 

千冬

「マドカを助けてくれた事は感謝する!…だが何故マドカをテロリストなんかにしたんだ!!」

 

オータム

「ハッ…お前がそれを言うのかよ?ええっ【白騎士】さんよ?」

 

千冬

「うっ!?」

 

オータム

「俺が言うのもおかしいが、自分の事を棚に上げてんじゃねえよ。お前だって【白騎士事件】を起こした立派なテロリストの片割れじゃねえか。」

 

千冬

「そ、それは…」

 

オータム

「なあ【白騎士】さん?今のこの世界…どう思う?」

 

千冬

「え?」

 

オータム

「この世界をどう思ってるかって聞いてんだよ!この腐っていくばかりの世界を作り上げた張本人によ!!」

 

千冬

「!?…わ、私は…」

 

オータム

「お前が束と起こしたあの事件がきっかけで、この10年の間にどれだけ多くの人間が無実の罪を着せられたと思ってる!何の罪も無い人間が殺されたと思ってる!!未来を奪われたと思ってんだ!!!」

 

千冬

「ぁ…ぁ…ぁぁ…」

 

オータム

「そいつらを殺したのはお前と束だ!未来を奪ったのはお前だ!!それを分かってんのか!!!」

 

千冬

「わた、私は…た、束に…」

 

オータム

「言っとくが今のアイツは自分の罪を認識してるぜ?今はISを男女で使える様にして宇宙に行く為の物にする研究をしている。それが完成したら自首するとさ。」

 

千冬

「じ、自首だと!?あの束が!!」

 

オータム

「そうさ!マドカがお前を拒絶するのは、お前が自分の犯した罪を償うどころか見向きもしないからだ!そんな奴を姉とは呼びたくないんだとよ!!」

 

千冬

「!?」

 

オータム

「それにな、確かにマドカは【亡国機業(ファントム・タスク)】に所属していたし、俺達が戦闘技術を叩きこんだ。だがな、アイツの手は汚れちゃいねえよ!マドカがやっていたのは情報収集の様な裏方作業だからな。アイツはまだ綺麗な体のままだ。」

 

千冬

「そ、そうなのか…よかった…」

 

オータム

「だが、お前は違う!お前のその手は10年の間に世界中の血で汚れきってんだよ!」

 

千冬

「!?」

 

オータム

「分かったらこれからマドカを妹なんて呼ぶな!汚れきった今のお前にアイツの姉を名乗る資格なんかねえんだよ!」

 

千冬

「ぁ…ぁぁ…」

 

 オータムに言われて千冬は自分の両腕を見た

 千冬の眼には自分の両腕がまるで血に染まったかのように見えていた

 

オータム

「ん?もうすぐ時間だな。オイ、教室に行くぞ!」

 

千冬

「………」

 

オータム

「最後に言っておくが、お前の正体は誰にも言わねえよ。もちろん弟にもな。」

 

千冬

「………スマナイ…」

 

 その言葉に千冬は絞り出すような声でお礼を言うとオータムと一緒に教室に戻った

 予鈴が鳴ると同時に教室に来た二人より後に一夏と箒が入ってきたので…

 

オータム

「初日の授業から遅刻するな!」

 

 ゴンッ!ゴンッ!

 

一夏&箒

「す、すみません!」

 

 二人はオータムから拳骨を喰らう羽目になった

 




 <予告>

 初日の授業が進む中、クラス代表を決めなくてはならなくなった

 クラスメイトから推薦される太一と一夏に不満を爆発させるセシリア

 男を見下すセシリア達の言葉に太一はISの意味を彼女達に問いかけるのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 ISの意味

 今、冒険が進化する!



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第007話:ISの意味

 

 一夏と箒がオータムから拳骨を喰らった後、授業が開始された

 授業が始まったからか千冬も多少は元の状態に戻っていたが…

 

一夏

「………」

 

 一夏の様子が授業が始まってからおかしかった

 

真耶

「…ココまでで分からない人はいますか?」

 

 真耶は黒板に授業の内容を書き終えると、振り向きながら生徒達に問いかけた

 

真耶

「織斑君と八神君は分かりますか?」

 

太一

「分かり易いですよ。」

 

 太一は真耶にそう答えたが…

 

真耶

「そうですか♪…織斑君はどうですか?」

 

一夏

「………すみません…分かりません…」

 

 一夏は授業に着いて行けてなかった

 

真耶

「分からないってどこですか?言ってくれれば先生が教えますよ?何せ私は先生ですから任せて下さい!」

 

一夏

「………全部です…」

 

真耶

「…へ?」

 

 真耶はその言葉に固まってしまった

 

真耶

「本当に全部ですか?」

 

一夏

「はい、全然分かりません!」

 

 真面目な顔で答える一夏に、真耶は狼狽えてしまった

 そのやり取りを見ていた千冬は一夏に問い質したが…

 

千冬

「織斑、入学前に渡した参考書はどうした?必読と書いてあった筈だが?」

 

一夏

「古い電話帳と間違えて捨てました。」

 

 ガンッ!

 

 一夏の答えに出席簿で殴った

 

千冬

「新しい物を出す。1週間で覚えろ!!」

 

一夏

「あ、あの厚さを一週間って言うのは…」

 

千冬

「自業自得だ!…やれ!!」

 

一夏

「…はい…」

 

 そして、そのまま授業は続けられた

 太一は、後ろの席から呆れた顔をしながら一夏を見ていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 休憩時間に入り一夏は太一に勉強を教えて貰いに来たが…

 

一夏

「頼む太一!俺に勉強を教えてくれ!!」

 

太一

「悪いが俺はやる事があるんだ。お前の勉強を見る時間は無い。」

 

一夏

「そ、そんな~…」

 

 太一はアッサリ断った

 

太一

「俺に頼まなくてもマドカに教わればいいだろ?久しぶりに再会した兄妹だ。勉強しながら話したらどうだ?」

 

一夏

「そうなんだけど…その…」

 

太一

「まさかお前、妹に教わるのはカッコ悪いとでも思ってるのか?言っとくが勉強してなかった時点でお前は大恥かいてるんだぞ?今更気にする事か?」

 

一夏

「うぐっ!…その通りです…マドカに頼んできます…」

 

太一

「そうしろ。」

 

 そう言って一夏はマドカの席に行った

 マドカは一夏の頼みを二つ返事で頷いてくれた

 そんな二人にセシリアが話しかけていたが、太一はその後のやり取りを気にせずにいた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「授業を始める前に、クラス代表を決める。」

 

 授業が始まるとそう話し始めた

 

千冬

「クラス代表は文字通りクラスの代表の事だ。各連絡事項やクラス代表会議の出席等が主な仕事になる。近い内に開かれるクラス対抗戦の代表選手にもなる。」

 

太一

(…クラス代表…嫌な予感がするな…)

 

千冬

「それでは立候補する者はいるか?自薦、他薦は問わない。後、選ばれた者に拒否権は無いからそのつもりでいるように。」

 

 千冬がそう言うと…

 

生徒1

「はい!織斑君を推薦します!」

 

一夏

「え!俺!」

 

生徒2

「私は八神君がいいです!」

 

太一

「………(やっぱり俺を推薦したか…)」

 

生徒3

「私も八神君がいいと思います!」

 

生徒4

「私は織斑君です!」

 

 太一と一夏が推薦された

 

一夏

「待ってくれよ千冬姉!」バキッ!「織斑先生…」

 

千冬

「自薦、他薦は問わないと言った!拒否権は無い。他に誰かいないか?」

 

セシリア

「納得できませんわ!!」

 

 突然セシリアが叫んだ

 

セシリア

「そのような選び方納得いきませんわ!物珍しいからと何も知らない男を代表にして、恥晒しもいいところですわ!」

 

 セシリアは一夏を睨みながら続けた

 

セシリア

「大体、無知な極東の猿に代表が勤まりますの!?実力でしたらわたくしの方が上でしてよ!」

 

 勢いからなのか日本に対して侮辱を言い始めた

 周りのクラスメイト達がセシリアを睨み始めるが当の本人は気付いていなかった

 

セシリア

「大体、文化なども後進的な…」

 

一夏

「いい加減にしろ!!」

 

セシリア

「…何ですって!?」

 

 今度は一夏が吠えた

 

一夏

「さっきから黙って聞いてれば好き勝手に言いやがって!イギリスだって島国で碌な料理なんか無いじゃないか!?激マズ何連覇だよ!?」

 

セシリア

「なっ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

 

一夏

「先に言ってきたのはそっちだろうが!?」

 

 白熱していく二人の口喧嘩を太一は冷めた目で見ていたが…

 

一夏

「おい太一!!お前も何か言ってやれよ!!」

 

 一夏が太一に話題を振って来た

 

太一

「は?」

 

一夏

「は?じゃねえよ…お前何とも思わないのかよ!!あれだけ言われて腹が立たないのかよ!!」

 

 一夏はこう言うが実年齢95歳の太一にしてみれば、この二人の喧嘩はハッキリ言って馬鹿馬鹿しいだけなのである

 その上、太一はこの世界の人間ではない為、そもそも愛国心と言う物自体が無いのだ

 その為、腹が立つという事自体起きないのだ

 

太一

「…そうだな…まあ俺は君達が何を言おうとどうでもいいが…」

 

一夏

「どうでもいいって…自分の国が馬鹿にされて何とも思わないのかよ!!」

 

太一

「別に…だが、君達二人に言っておく事が幾つかあるな。」

 

一夏

「え?俺も?」

 

太一

「まず、オルコット…君はイギリスの代表候補生だろ?君の発言はイギリスの発言と取られてもおかしくはないんだぞ?」

 

セシリア

「え?」

 

太一

「そして、君はさっき無知な極東の猿と言ったが、周りにいるのは誰だ?教師は誰だ?」

 

 太一に言われセシリアは周りを見ると自分を睨みつけている生徒達がいた

 

太一

「ココは日本…つまりクラスの大半は日本人だ。君は一夏だけでなくこのクラスの日本人全員に喧嘩を売った事になる。」

 

セシリア

「!?」

 

太一

「そしてISを造った人は何処の国の出身だ?世界大会の【モンド・グロッソ】の初代優勝者は何処の国の出身だ?」

 

セシリア

「あ!?」

 

太一

「篠ノ之束と織斑千冬は共に日本出身。君の発言はイギリスが日本に宣戦布告したと取られてもおかしくはないんだ。コレが切っ掛けで日本とイギリスの間で戦争が起きた場合、君はその責任を取れるのか?それを分かって言っているのか?」

 

セシリア

「あ…あ…あ…」

 

 太一の言葉にセシリアは言い返す事も出来ず、口をパクパクしていた

 一夏は言い返せないセシリアを見てガッツポーズを取っていたが…

 

太一

「次に一夏…お前だ…」

 

 太一の標的が一夏に切り替わった

 

一夏

「お、俺もか?」

 

太一

「お前の発言も問題だ。まずお前はイギリス料理を食べた事があるのか?」

 

一夏

「え?…な、無いけど…」

 

太一

「お前は食べた事も無い料理を激マズと言って貶したのか?」

 

一夏

「だ、だって雑誌とかじゃ…」

 

太一

「お前は雑誌や噂を鵜吞みにして自分では食べた事も無いイギリスの食文化を馬鹿にしたのか?」

 

一夏

「そ、それは…」

 

セシリア

「…八神さん…」

 

太一

「食べる人によっては日本料理を不味いと言う人もいる。美味い不味いは人によって様々だ。違うか?」

 

一夏

「………」

 

太一

「それにお前達はクラス代表の事で喧嘩してたんだろ?食べ物を話題に出す必要があるのか?」

 

一夏

「ぐっ…」

 

太一

「そもそも一夏、お前歳いくつだ?お前の言ってる事は子供の悪口と同じだ。幼稚園児でもあるまいし、いい年した奴の言う事じゃないぞ。」

 

一夏

「ううっ…」

 

全員

「………」

 

 太一の反論を許さない正論に二人はすっかり黙り込んでしまった

 さっきまでの大騒ぎが嘘のように静まり返っていた

 

太一

「最後にこれは俺のポリシー…と言うか持論の様なものだが…」

 

一夏

「…え…」

 

 一夏はこれ以上何を言われるんだと思ったが…

 

太一

「食はその国々の文化に密接に関係している大切なものだ。それを馬鹿にする奴は最低だ!!」

 

一夏

「!?」

 

 太一の『最低』と言う一言に見事に打ちのめされた

 

マドカ

(まあ、太一兄さんならそう言ってもおかしくないか…)

 

オータム

(アイツは生前、外交官をしてたらしいからな…食文化に触れる事も多かっただろうし、そんな考えを持つようになっても当然か…)

 

 マドカとオータムは生前の太一の職業を知っているので、その考えを持つ事に納得していた

 

セシリア

「…八神さん…わたくしの国の料理を弁護してくれた事に感謝します…それと…」

 

太一

「ん?」

 

セシリア

「確かにわたくしは言い過ぎました…それについては皆さんに謝罪します。申し訳ありませんでした。」

 

 セシリアは太一に言われた事に対してクラスの全員に頭を下げ謝罪した

 しかし…

 

セシリア

「ですが!ココまで来ては引き下がれません!!織斑さん、貴方に決闘を申し込みます!!」

 

 一夏に対しての怒りは収まっていなかった

 

一夏

「オウいいぜ!「待て。」…え?」

 

 一夏もそれを受けようとしたら太一が会話に入って来た

 

太一

「その前に一夏、お前は謝らないのか?彼女はちゃんと皆に謝ったぞ。それともお前の言った事は暴言じゃないとでも言うつもりか?」

 

一夏

「ぐっ!………すまなかった…」

 

 一夏のヤル気を削ぐ様に太一は一夏に謝罪する様に言った

 太一の言う事も尤もな為、言われた通り一夏もセシリアに頭を下げた

 

一夏

「太一!お前はどっちの味方なんだ!?」

 

太一

「どっちの味方でも無い。そもそも喧嘩してたのはお前だろ?勝手に俺を巻き込んでおいて何言ってるんだ?男同士だからって味方になると思うな。」

 

一夏

「うっ!」

 

 太一の言う通り一夏は傍観していた太一に無理矢理話題を振った

 太一からすれば迷惑でしかなかったのだ

 

セシリア

「それで織斑さん、受けますの?」

 

一夏

「あ!いいぜ!受けてやる!その方が手っ取り早いからな!!」

 

セシリア

「言っておきますけど、ワザと負けたりすればわたくしの小間使い…いえ、奴隷にしますわよ!」

 

一夏

「侮るなよ!真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない!!」

 

セシリア

「そうですか。」

 

一夏

「それで…ハンデはどのくらいほしい?」

 

セシリア

「あら?早速お願いですか?」

 

一夏

「いや、俺がどのくらいハンデを付ければいいかなって。」

 

太一

(コイツ…自分で何を言ってるのか分かってるのか?)

 

 太一は一夏の言葉がおかしい事に気付いたが…

 

生徒達

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハッ♪」

 

生徒1

「織斑くん、それ本気で言っているの?」

 

生徒2

「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」

 

生徒3

「織斑君と八神君は確かにISを使えるかもしれないけど、それは言い過ぎよ!」

 

太一

(コイツ等も何言ってるんだ?)

 

 生徒達が次々に言う言葉を太一は理解できなかった

 

一夏

「…じゃあハンデはいい…」

 

 続けて一夏のハンデ撤回の言葉、太一は一夏やクラスの生徒達に完全に呆れ果ててしまった

 

太一

「…はぁ~…」

 

セシリア

「八神さん!今の溜め息は何ですか?」

 

 そのせいで太一は大きな溜め息を吐いたが、それにセシリアが反応した

 

太一

「…いや…阿保らしくてな…」

 

セシリア

「あら、貴方も織斑さんをそう思いますか?」

 

太一

「何言ってるんだ?阿保らしいのは一夏を含めた君達全員だ。」

 

全員

「!?」

 

セシリア

「…どういう事ですか!?」

 

 全員の視線が太一に集まる中、太一は一夏に視線を移した

 

太一

「…まず一夏…お前自分が何を言ってるのか分かってるのか?」

 

一夏

「え?」

 

太一

「分かってないのか?…お前さっき…『真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない』…そう言ったんだぞ?」

 

一夏

「それがどうしたんだよ!」

 

太一

「はぁ…ハンデって言葉は相手に対して手を抜くって事じゃないのか?」

 

一夏

「………あ!?」

 

太一

「お前は自分で自分の事を腐ってるって言ったんだ。」

 

一夏

「そ、それは…」

 

 一夏はココまで言われて漸く自分の言った言葉が矛盾している事に気付いた

 だが、すでに取り消す事は出来なかった

 

太一

「それに、あのタイミングでハンデを撤回したら、お前がオルコットに恐れをなして取り消したとしか聞こえないんだが?」

 

一夏

「お、俺はそんな事…」

 

太一

「お前の言い方とタイミングだとそうとしか聞こえないんだよ。さっきの事もそうだが、もっと考えてからものを言え。」

 

一夏

「ううっ…」

 

 一夏は自分の失言の数々を太一に指摘されすっかり凹んでしまった

 

太一

「次に君達に聞くが…女は男より強いって言ったな?」

 

生徒1

「え、ええ!そう言ったけど!!」

 

生徒2

「それがどうしたのよ!本当の事じゃない!!」

 

太一

「…なら証明しよう。…そうだな、君がいい。」

 

生徒1

「え?私?」

 

太一

「俺と今から腕相撲で勝負しよう。女の方が強いなら俺は勝てない筈だよな?」

 

生徒1

「え!?そ、そんな…む、無理よ!」

 

太一

「どうしてだ?女の方が強いんだろ?それとも女が強いって言うのはⅠS有りでの話なのか?君はⅠSが無いと男に勝てないのか?」

 

生徒1

「ううっ…」

 

太一

「男には生身でやらせて、君達女はⅠSを使って勝負するって言うのか?それは不公平じゃないのか?それともそれが君達女の間では公平と言うのか?」

 

全員

「………」

 

 太一の言葉にさっきまで余裕を見せていた生徒達は黙り込んでしまった

 

太一

「そもそも、君達は何故あんな欠陥品でそんなに偉そうに振舞えるんだ?」

 

全員

「!?」

 

セシリア

「…八神さん…今なんと言いました?」

 

太一

「ⅠSを欠陥品と言ったんだが?それがどうかしたのか?」

 

セシリア

「どうかしたですって!?ISを欠陥品と言っておいてよくそんな事が言えますわね!!」

 

太一

「は?ISは欠陥品だろ?女しか使えない事が欠陥以外の何だって言うんだ?男女両方使えて初めて最低限完成された物だろ?」

 

セシリア

「何を言ってますの!?ISはわたくし達、選ばれた女性の象徴ですのよ!そもそも男の貴方が使える事の方がおかしいのですわ!!」

 

太一

「君こそ何を言ってるんだ?ISは宇宙に行く為に造られたパワードスーツなんだぞ?」

 

セシリア

「そんな事知ってますわ!!」

 

太一

「そこに女性だけの物なんて無かった筈だが?」

 

セシリア

「え?」

 

太一

「ISは偶々女しか使えなかったと言うだけで、その目的は純粋に宇宙に行く事だ。君の言うような女性の象徴として造られた物じゃない。」

 

セシリア

「!?」

 

太一

「まあ、今はそんなこと誰も覚えていないようだがな。【白騎士事件】だったか?あの事件のせいでISは夢のパワードスーツからただの兵器になってしまったからな。」

 

千冬

「!?」

 

マドカ&オータム

「………」

 

 太一の言葉に千冬は内心激しく動揺した

 マドカとオータムはその千冬の反応に気付いていた

 

セシリア

「へ、兵器ですって!?」

 

太一

「そうだ。俺はIS本来の目的、宇宙に行くと言う事は素晴らしい事だと思う。女しか使えないって言う欠陥を差し引いても、夢があるしロマンを感じる。だが【白騎士】とか言う奴のせいで、その本来の目的をISは見失ってしまった。」

 

千冬

「………」

 

太一

「その結果、今のISは女性の象徴とか言って男を見下す為の道具にされた。本来向かうべき場所に行く事が出来ず、下らない兵器に成り下がってしまった。」

 

千冬

「………」

 

セシリア

「………貴方は…先程はわたくしの国を弁護してくれたから…見所のある殿方と思いましたのに…わたくし達の誇りを…ISを…そこまで愚弄するなんて…」

 

太一

「俺は愚弄なんかしてないぞ?ただ本当の事を言っただけだ。」

 

セシリア

「何ですって!?」

 

太一

「そもそもこの学園だっておかしい…いや、ココに入学した君達がおかしいと言うべきか?」

 

全員

「!?」

 

太一

「ISは兵器、力と言ってもいい。だが、それを使う君達は力を扱うにしては余りにも能天気すぎる。」

 

生徒達

「………」

 

太一

「君達からは力を使う事への覚悟、力に対する恐怖、そう言った心構えが微塵も感じられない。」

 

生徒達

「………」

 

マドカ

「力に対する覚悟と恐怖か…」

 

太一

「織斑先生、山田先生、貴方達は入試の時、そう言った事も考えて合否を決めたんですか?彼女達を見ているとそんな事を考えている様には見えないんですが?」

 

真耶

「そ、それは…」

 

太一

「貴方達は成績しか見なかったんですか?確か入試には面接もあると聞きましたが、その時に彼女達の何を見ていたんですか?」

 

真耶

「う、うう…」

 

太一

「他の学校ならそれでも構わないでしょうが、ココはIS学園。世界最強の力を学ぶ場所ですよ?成績以上に心構えと言う物が大事だと俺は思うんですが?」

 

真耶

「………」

 

太一

「ハッキリ言って貴方達二人は俺から見てとても教師には見えません。」

 

真耶

「え!?」

 

千冬

「何!」

 

太一

「教師と言うのは生徒に知識だけを教える者の事ですか?貴方達が学生の時に教えを受けていた教師はただ勉強だけを教えていましたか?それとも貴方達はその人達から他の事を学ばなかったんですか?それなら通信教育で十分じゃないんですか?貴方達の必要性は何処にあるんですか?」

 

真耶

「あ…あ…」

 

太一

「山田先生、貴方は前の授業で一夏に自分は先生だから任せろと言いましたね?今も同じ事が言えますか?」

 

真耶

「!?」

 

太一

「貴方達が教師を名乗るなら今の男を見下す発言を注意するべきじゃないんですか?なのに何故貴方達は何も言わなかったんですか?彼女達の偏った考えを正すのもまた教師のする事じゃないんですか?それとも貴方達も同じ考えを持っているんですか?」

 

真耶

「ち、違います!!」

 

太一

「違うなら何故何も言わなかったんですか?まさか気づかなかったなんてふざけた事を言うつもりですか?あれだけ大声で何人も言っていた事に二人揃って気付かなかったんですか?」

 

真耶

「そ、それは…」

 

千冬

「………」

 

太一

「俺はさっき全員に呆れたと言いましたが、それは貴方達二人も含まれているんですよ。貴方達は教師として勉強を教える以前に必要最低限な事をしていないんですからね。そんな貴方達に教師を…先生を名乗る資格なんてありません。」

 

千冬&真耶

「………」

 

太一

「貴方達は『先生』と言う言葉の意味を考えた事がありますか?」

 

真耶

「…え?」

 

太一

「『先生』とは『先に生きる』と書きます。その言葉の通り先に生きる者として後から続く者を導いて行く人の事です。」

 

千冬&真耶

「………」

 

太一

「今の貴方達は後から続く者を導いていると胸を張って答えられますか?」

 

千冬&真耶

「………」

 

 太一の言葉に真耶は元より千冬ですら何も言えなかった

 しかし、千冬は今迄の太一の言葉から太一に対して疑問を持っていた

 

千冬

「…八神…お前は一体…何者だ?」

 

太一

「ただの人間ですが?」

 

千冬

「そう言う意味じゃない!…お前がさっきから言っている事は15の子供の考えでは無いぞ!!」

 

マドカ

(15の子供ね…生憎太一兄さんの中身は人生経験豊富な95の老人なんだよ。馬鹿姉。)

 

オータム

(コイツはお前や【亡国機業(ファントム・タスク)】にいた俺達よりも遥かに激しく濃い経験を積んでいる。コイツから見れば俺達なんて生意気なガキにしか見えないだろうな。)

 

太一

「俺は俺ですよ。まあ貴方達にはこのくらい言っておけばいいでしょう。これからも胸を張って教師を名乗りたいなら何が自分に足りないか、何が間違っているのか、よく考えた方がいいですよ。貴方達が()()を名乗るのならね?」

 

千冬&真耶

「………」

 

太一

「さて…次は生徒の皆に聞きたい。」

 

生徒達

「!?」

 

 千冬ですら反論出来なかった太一の正論と言う名の説教が今度は自分達に向けられた事にクラスの生徒達は激しく動揺した

 千冬はともかく真耶は既に立つ事すら出来ず蹲りながら半泣きするほどに太一によって教師としての自信を粉々に打ち砕かれていたからだ

 

太一

「君達はココに何しに来たんだ?何を目的にココにいるんだ?」

 

生徒達

「………」

 

太一

「君達はココに男を見下す為に来たのか?面白そうだから来たのか?便利な道具を使って見たくて来たのか?織斑千冬に会いたくて来たのか?」

 

生徒達

「!?」

 

 太一の言った理由に殆どの生徒が反応した

 しかし、誰も言い返せなかった

 彼女達が入学した理由が正しく太一の言った通りだからだ

 自分達の入学した動機を言い当てられ、苦虫を噛み潰したような顔をしていた

 

太一

「何か言ったらどうなんだ?黙ってると言う事は俺の言う事を認める事になるぞ?あれだけ大笑いして、偉そうな事を言っておいて、何も答えられないのか?」

 

生徒達

「………」

 

太一

「俺はココに入る時、この学園には世界中の優秀な人材が集まると聞いたが、君達がそんな逸材にはとても見えないんだがな?」

 

生徒達

「!?」

 

太一

「君達はココが学校だと言う事を忘れたのか?ココは学ぶ場所であって遊びに来る場所じゃない。アイドルに会いに来る場所でもない。君達はそんな事も分からないのか?」

 

生徒達

「………」

 

太一

「ココに入学した以上退学にでもならない限り3年は外に出られない。君達は3年もの時間をそんな不純な考えで使ったのか?ハッキリ言って捨てる様な物だが?」

 

生徒達

「………」

 

オータム

「そのくらいにしておけ。太一、コイツ等はお前の言う通り下らない理由で入学した奴等が殆どの様だ。」

 

太一

「その様だな。誰か一人くらい言い返してくると思ったが…所詮は口先だけのつまらん奴等ばかりのようだ。力を持つ事の意味も分からん只のガキだったようだな。」

 

生徒達

「!?」

 

セシリア

「…今…何と言いました…」

 

太一

「ガキと言ったんだが?」

 

セシリア

「貴方は…どれだけ馬鹿にすれば………いいですわ!」

 

太一

「ん?」

 

セシリア

「織斑さんの前に…八神太一!貴方に決闘を申し込みます!!わたくしを馬鹿にした事を後悔させて差し上げますわ!!」

 

 怒りが頂点に達したセシリアは太一に決闘を申し込むが…

 

太一

「断る。面倒臭い。」

 

 太一はアッサリ断ってしまった

 

セシリア

「め、面倒臭いですって!?」

 

千冬

「待て八神…お前はクラスの代表の候補に選ばれている…候補が複数いたら試合で決めるつもりだった…一週間後に試合を行うからその時に決着を付けろ。」

 

セシリア

「分かりました!!」

 

太一

「そう言えばそうだったな…面倒だが仕方ないな…『()()』の言う事は聞かないといけませんからね?」

 

千冬

「ぐっ!?」

 

 太一はわざと『先生』という言葉を強調して答えた

 それを聞いた千冬は苦い顔をしていた

 

セシリア

「必ず貴方を倒し、わたくしの前に跪かせて差し上げますわ!!」

 

オータム

「…オルコット、意気込むお前に一ついい事を教えてやる。太一は恐ろしく強いぞ。コイツからすればこの学園にいる奴等は教師も含めてケツの青いガキでしかないからな。」

 

セシリア

「何ですって!?」

 

マドカ

「その通り。織斑先生だって勝てないぞ。あの【白騎士】だって太一兄さんの前じゃただの雑魚だからな。」

 

千冬

「!?」

 

 マドカは間接的に千冬では太一には勝てないと2回続けて言っていた

 

一夏

「待てよマドカ!太一はそんなに強いのか!?」

 

マドカ

「そうだよ。この世界に太一兄さんに勝てる人間はいないよ。」

 

一夏

「…そんな…嘘だろ…」

 

 一夏を含めクラスの全員がマドカとオータムの言う事が信じられなかった

 だが、マドカの言う事は本当の事だった

 太一は生前、パートナーのアグモンと共にIS以上の強さを持つデジモンと生身で今まで戦って来たのだ

 この世界で太一以上に戦いの経験を積んだ人間は存在しないのだ

 

オータム

「…では話は纏まったな。一週間後、織斑、オルコット、太一の試合を行うぞ。」

 

一夏

「………え?俺も?」

 

オータム

「お前も候補に選ばれていただろ?それに、自分で自分を腐った人間と言ったのを忘れたのか?」

 

一夏

「あ…」

 

オータム

「その試合で自分が腐っていないと証明するんだな。」

 

一夏

「………はい…」

 

 太一によって徹底的に追い込まれ何も出来なくなった千冬と真耶に変わってオータムがその場をしめた

 こうして一週間後に、クラスの代表を決める試合が行われる事になった

 




 <予告>

 試合は一週間後に決まった

 そんな中、太一とアグモンはマドカ、オータムと共に七大魔王の情報を集めていた

 そこに千冬が現れ太一に勝負を挑んで来るのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 最強からの挑戦!

 今、冒険が進化する!



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第008話:最強からの挑戦!

 

 クラス代表を決める試合が行われる事が決まってからの授業は、ハッキリ言って全く進んでいなかった

 その理由は勿論太一である

 太一によって千冬も真耶も教師としての自信を粉々に破壊され、授業を行う事が出来なくなっていた

 真耶に至っては自分が授業をする事でまた太一に何か言われるのではないかと怯える程だった

 その為、授業は実習生のオータムが代わりに行うと言う状態になっていた

 そして、入学初日の授業を全て終えた放課後…

 

真耶

「織斑君、後、や、八神君もまだいてくれましたか…」

 

 教室にいた太一と一夏に真耶が慌ててやって来た

 真耶は昼間の説教が原因で太一の顔すらまともに見れなくなっていた

 

太一

「何か?」

 

真耶

「は、はい!…お二人の部屋割りなんですけど…」

 

一夏

「部屋割り?…確か一週間は家から通う事になっていたはずじゃ?」

 

真耶

「そ、そうなんですけど、事情が事情ですので今日から入寮するように手配しました。」

 

太一

「そうですか。それで俺と一夏の部屋は何処ですか?」

 

真耶

「は、はい!えっと、それが部屋の空きが無くて八神君は一人なんですけど、織斑君は女子と同室になってしまいました…」

 

一夏

「えっ!?」

 

太一

「分かりました。」

 

真耶

「本当にすみません!!1カ月ぐらいで個室が用意出来ますからそれまで我慢して下さい!」

 

一夏

「そ、そんなに謝らないで下さい!怒ってませんから!」

 

真耶

「本当ですか~…」

 

一夏

「本当ですから落ち着いて下さい!」

 

真耶

「ありがとうございます~…ではこれが鍵です。1025号室が織斑君の部屋です。こ、こちらが…や、八神君の部屋の鍵…です。八神君は…1034号室になります。」

 

 部屋の鍵を渡すだけでも太一に対して完全に怯える始末だった

 

一夏

「…あ、俺の荷物!」

 

千冬

「私が手配しておいてやった。ありがたく思え。着替えと携帯の充電器があれば十分だろ。残りは休みの日にでも取りに行け。」

 

一夏

「…はい、ありがとうございます…」

 

真耶

「後、夕食は6時から7時に寮の一年生用食堂で取って下さい。ちなみに各部屋にはシャワーがありますけど、大浴場もあります。学年ごとに使える時間が違いますけど…お二人は今のところ使えません。」

 

一夏

「何でですか?」

 

太一

「お前、同年代の女子と一緒に風呂に入りたいのか?」

 

一夏

「え!」

 

真耶

「お、織斑君!女子とお風呂に入りたいんですか!?」

 

一夏

「い、いや、入りたくないです!」

 

真耶

「えっ?女の子に興味が無いんですか!?」

 

太一

「お前まさかそっちの趣味があるのか?」

 

一夏

「え!ちちち違~~~う!!!俺は普通に女の子が好きだ~~~~~っ!!!」

 

太一

「大声で言うなよ。女好きの変態って思われるぞ?」

 

一夏

「じゃあどうすりゃいいんだよ!!」

 

太一

「大声出さなきゃいいだけだろ…」

 

一夏

「………あ、そっか…」

 

真耶

「…え、えっと、そそそそれじゃあ私達はそろそろ会議があるので、これで失礼しますね。織斑君、や、八神君、ちゃんと寮に帰るんですよ。道草くっちゃ…ダメ、ですよ。」

 

一夏

「寮まで50mくらいしか無いのに道草って…」

 

太一

「分かりました。…それから山田先生?」

 

真耶

「は、はい!!」

 

太一

「生徒に怯える様じゃいずれ舐められますよ?『教師』なら『教師』らしくもっと堂々としたらどうなんですか?」

 

真耶

「!?…す、すみません…」

 

 太一はそれだけ言うと怯えながら謝る真耶に目もくれず教室から出て行った

 

一夏

「………あ!ま、待ってくれよ!」

 

 その後を一夏も着いて行った

 

真耶

「………」

 

 残された真耶はまた俯いて凹んでいた

 そしてそんな真耶にどう声を掛ければいいのか分からない千冬だった

 ちなみに二人はそんな状態だったので会議には見事に遅刻して叱られたのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一方教師二人がそんな事になっている時、太一は一夏と自分に宛がわれた部屋に向かっていた

 

一夏

「…あれ?そう言えば太一…お前の荷物は?」

 

太一

「俺は元から殆ど荷物を持ってない。お前とほぼ同じだ。着替えと歯ブラシくらいしかない。」

 

一夏

「そうなんだ…」

 

 そして、太一は自分に宛がわれた部屋の前に着くと…

 

太一

「1034…ココか…じゃあな…」

 

一夏

「あ、ああ…」

 

 一夏と別れ中に入ると太一はまず、【デジヴァイス】の中のアグモンに小声で話しかけた

 

太一

「(アグモン…この部屋に盗聴器の類があるか調べてくれ。)」

 

アグモン

『(分かった。)』

 

 アグモンはすぐに電脳ネットワークに侵入すると、太一の部屋に仕掛けられた盗聴器を調べた

 その結果、部屋の中には全部で5つの盗聴器が仕掛けられていた

 

太一

「(やっぱりあったか…アグモンそっちから回線を切って使用不能にしてくれ。)」

 

アグモン

『(任せて!)』

 

 太一に指示された通りアグモンは盗聴器を無力化すると【デジヴァイス】の中から出て来た

 

太一

「アグモン、ご苦労様。」

 

アグモン

「大した事ないよ♪…でも、僕お腹すいたな~…」

 

太一

「ハハッ、分かったよ。食堂に行って夕飯を貰って来るよ。後、購買で食材を買ってこよう。」

 

アグモン

「うん♪」

 

 アグモンを再び【デジヴァイス】に入れると太一は食堂に向かった

 太一が部屋を出るのとほぼ同時に一夏の部屋では彼が一騒動起こしていた

 一夏は太一に助けを求める為、中の住人がいない事にも気づかずに扉を叩きまくっていた

 それから暫くして周りから五月蠅いと言う苦情を聞いた千冬から拳骨を喰らう羽目になった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

真耶

「はぁ~…」

 

 放課後の職員室…

 会議を終えた真耶は深い溜息を吐いていた

 

千冬

「どうした真耶?」

 

真耶

「…先輩…私…教師としてやって行く自信が無くなりました…」

 

千冬

「…八神か?」

 

真耶

「…はい…私、八神君の言った事…反論出来ませんでした…」

 

千冬

「………」

 

真耶

「…八神君の言う通りですよ…ISはとても危険な物です…だから、それを使う人の心構えが一番大事な事です…なのに私、成績しか見てませんでした…何の為に面接したのか分かりません…」

 

千冬

「そうだな…アイツの言う通りだ…もし八神の言う通りに入試をやり直せば殆どの奴らが不合格になるだろうな…」

 

真耶

「はい…でも、そんな子達を私達は合格にしてしまったんですよね…不合格になった子達の中には本当は合格に値する子がいたかもしれないのに…それに…」

 

千冬

「お前の言いたい事も分かる…私もあそこまで面と向かって、お前は教師に見えないなんて言われた事は無い。」

 

真耶

「…私…教師がどう言うものか分かっていませんでした…八神君の言う通りあの時は生徒達の暴言を注意すべきでした…でも…それに気付かず…聞き流してしまった…」

 

千冬

「…それは私も同じだ…だからこそ八神は私達に教師を名乗る資格が無いと言ったんだろう…」

 

真耶

「…はい…先輩…私達これからどうしたらいいんでしょう…どうすれば…八神君は私達を教師と認めてくれるんでしょう…八神君…さっき私に注意しましたけど…一度も私を見ませんでした…」

 

千冬

「そうだな…八神から見て今の私達は自称教師にしか見えない…教師でも無い奴の顔を見る必要は無いのだろう…私達はそう思われても仕方のない失態を犯してしまったんだ…」

 

真耶

「…はい…」

 

千冬

「…たった一言注意するだけで良かったんだ…だが、その一言を言わなかったせいで私達は八神から自称教師と思われるようになってしまった…あの一言はそれだけ教師として言わなければならない大事な事だったんだ…私達は…それに気付かなかった…」

 

真耶

「………はい…」

 

千冬

「…今更入試をやり直す事は出来ない…なら私達に出来るのはアイツらの不純な考えを叩き直す事だけだ…私達の失態を取り返す方法はそれだけだ…私達は…()()だからな。」

 

真耶

「…はい!………先輩…八神君…本当に何者なんでしょうか?」

 

千冬

「分からん。アイツに関しては不明な事が多すぎる。」

 

 二人は太一の正体を考えるが結局分からずじまいだった…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 次の日、一晩経って千冬と真耶は少しは立ち直っていた

 お陰で何とか授業は進められていた

 そして、午後の授業が始まる時…

 

千冬

「織斑、お前のISだが学園の方で専用機を用意するそうだ。」

 

一夏

「へ?…専用機?」

 

 千冬がそう言うとクラスの生徒達は騒めきだした

 

生徒1

「せ、専用機!?」

 

生徒2

「嘘ッ!?1年生に専用機が用意されるなんて!?」

 

生徒3

「いいなぁ~私も欲しいなぁ~…」

 

一夏

「…そんなに凄い事なのか?」

 

 肝心の一夏自身はまるで分ってなかった

 

太一

「…一夏…教科書の6ページを声に出して読め…」

 

 太一は参考書を読みながら一夏に音読する様に言って来た

 

一夏

「え?え~~~っと………」

 

 太一に言われたページを声を出して読み始めた…

 その内容は要約すると…

 ISの『コア』は467個しか存在しない

 『コア』を作れるのは篠ノ之束博士のみで、博士は現在『コア』の製造を拒んでいる

 『コア』の取引等は禁止されておりIS委員会によって国家や企業毎に割り振られている

 と、言う事になる

 

太一

「…分かったか?」

 

一夏

「…はい………ん?…あのちふ、織斑先生…太一には専用機は用意されないんですか?」

 

千冬

「ああ、それはな…」

 

オータム

「太一は既に専用機を持ってるぜ。」

 

生徒達

「えええええええぇぇぇぇぇぇぇ―――――――っ!!!!」

 

 太一が既に専用機を持っている事にクラスメイト達は驚くが…セシリアは余裕の笑みを浮かべていた

 

セシリア

「安心しましたわ。勝負は見えているとはいえ専用機同士の対戦でなければフェアではありませんから…」

 

 太一はそんなやり取りを気にせず参考書を読んでいた

 

太一

「………」

 

セシリア

「!?…何か言ったらどうなんです!!」

 

太一

「…何か聞きたい事でもあるのか?」

 

セシリア

「…では一つお聞きします!貴方は何処で専用機を手に入れたのですか?」

 

太一

「…知り合いがくれたんだよ。これを使えって言ってな。」

 

 太一の言う知り合いとは【イグドラシル】の事である

 

マドカ

(まあ、そう言うしかないよな…【イグドラシル】の名前を出す訳にもいかないからな…)

 

オータム

(神様から貰ったなんて言っても誰も信じねえだろうしな…)

 

セシリア

「…そうですか…分かりましたわ………ですが、貴方の専用機などわたくしの【ブルー・ティアーズ】の前では敵ではありませんけどね!」

 

マドカ

(馬鹿な奴だ…どっちが敵にもならないと思ってるんだ…)

 

オータム

(太一の【ロイヤルナイツ】の前じゃどんなISもガラクタ同然だからな…)

 

 マドカとオータムは太一の機体の性能を知っている為、勝敗は分かりきっていた

 その為、セシリアの言う事は茶番にしか聞こえなかった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 放課後になり太一は、マドカ、オータムと資料室で【七大魔王】の情報を探していた

 アグモンには学園の電脳空間から探して貰っていた

 

マドカ

「…やはり、そう簡単には見つからないか…」

 

オータム

「…そうだな…俺達だって【亡国機業(ファントム・タスク)】が潰されてなかったら【七大魔王】の事を信じられなかっただろうしな…」

 

太一

「…悪いな、手伝って貰って…」

 

マドカ

「気にしなくていいよ。それが私達がココに来た理由でもあるしね。」

 

オータム

「そう言う事だ。」

 

太一

「スマナイ…」

 

 そのまま3人は【七大魔王】が現れた記録を探していると…

 

千冬

「…何をしている?」

 

 千冬がやって来た

 

オータム

「見ての通り調べものだ。」

 

千冬

「それは分かる。だが教育実習生とは言え教師のお前まで一緒に調べる必要があるのか?」

 

オータム

「ああ、元々俺達がココに来たのはココが世界でも指折りの情報量を持つからだ。束の奴も探しているがそう簡単に見つかる物じゃないからな。」

 

千冬

「束まで!?…一体何を探してるんだ?」

 

マドカ

「織斑先生には関係ない事ですよ。それで用件は何ですか?」

 

千冬

「(マドカ!?)………八神…お前と勝負がしたい!」

 

太一&マドカ&オータム

「は?」

 

 突然勝負を挑んできた千冬に3人は作業していた手を止めてしまった

 

太一

「いきなり何ですか?理由は?」

 

千冬

「昨日、マドカとオータムはお前の方が私より強いと言った。世界の誰も勝てないとな。」

 

マドカ

「確かに言いましたね。でもそれが?本当の事を言っただけですよ?」

 

千冬

「それが本当か確かめたい。私との勝負、受けて欲しい。」

 

オータム

「どうする太一?」

 

太一

「…仕方ない…ただし条件がある。」

 

千冬

「何だ?」

 

太一

「立ち合いはマドカとオータムだけだ。それからISではなく生身での勝負だ。」

 

千冬

「いいだろう。…では、今夜11時に学園の剣道場に来てくれ。そこで勝負だ。」

 

太一

「分かった。」

 

千冬

「待っているぞ。」

 

 そう言って千冬は資料室から出て行った

 

オータム

「面倒な奴に目を付けられたな?」

 

太一

「お前達が余計な事を言うからだろ?」

 

マドカ

「だって本当の事だし!」

 

太一

「はぁ…まあいい…過ぎた事を今更言っても仕方ないか…続けよう…」

 

 3人はそのまま時間一杯まで作業を続けた

 だが、【七大魔王】の情報は見つからなかった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 時間になり太一達は剣道場にやって来た

 そこにはすでに胴着に着替えた千冬が座禅を組んで待っていた

 

太一

「待たせたか?」

 

千冬

「いや、私が早く来ていただけだ。気にしないでくれ。」

 

 千冬は竹刀を手に取ると立ち上がり、太一に向けて竹刀の先を向けた

 

千冬

「八神太一!お前の強さ…見せて貰うぞ!!」

 

 千冬は竹刀を構えた

 対する太一は竹刀を持たずただ立ったままだった

 

千冬

「…竹刀を使わないのか?」

 

太一

「必要無い。オータム、審判を頼む。」

 

オータム

「分かった。」

 

マドカ

「太一兄さん…手加減してやれよ。」

 

千冬

「マ、マドカ!?…クッ!!」

 

 自分を応援するどころか相手の太一に手加減する様に言っている妹に千冬はショックを受けた

 

オータム

「準備はいいな?………それでは…はじめ!」

 

 オータムの合図と同時に千冬は勢いよく太一に近づき一般人では反応出来ないスピードで竹刀を振り下ろした

 だが、太一は半歩引いて軽く躱した

 一撃目を躱された事に千冬は驚いたが、すぐに連続で攻撃を仕掛けた

 だが太一はそれを全て最小限の動きで躱していった

 

千冬

「ハァハァ…(何なんだコイツは!?こうも簡単に私の剣を躱すとは!くそっ!!)…ハッ!」

 

 千冬は再び太一に仕掛けるがこれもまた躱された

 

千冬

「なっ!?」

 

 その時太一は千冬の足に自分の足を引っ掛けて千冬を転ばせた

 

千冬

「ぐっ!…ク、クソッ!!…ハアァッ!!」

 

 躱され続けた上に簡単に転ばされた千冬は大振りになるが、太一はそれを待っていたかのように懐に潜り込むと彼女の腕を掴みそのまま一本背負いの様に投げ飛ばした

 

千冬

「なっ!」

 

 千冬は自分が投げられた事に信じられない表情を浮かべた

 太一は床に仰向けになった千冬の顔の真上に足を持ってきた

 

千冬

「!?」

 

 ドンッ!

 

 太一はそのまま踏み潰す勢いで足を振り下ろした

 

太一

「…まだやるか?」

 

千冬

「くっ………私の…負けだ…」

 

 太一の足は千冬の顔の横ギリギリの位置にあった

 千冬は太一に掠らせる事も出来ずに負けた

 

千冬

「…八神…お前は何故そんなに強いんだ…私よりも年が下なのに…」

 

太一

「年は関係ない…色々あっただけだ…色々とな…何より…俺はアンタと違って力の意味を理解しているだけだ。…【白騎士】…」

 

千冬

「!?」

 

太一

「10年前…アンタが束と起こしたあの事件…あの時アンタが自分の使った力がどれだけ危険なものか分かっていれば…束を止めていれば…この世界はココまで腐る事は無かっただろうな…」

 

千冬

「………」

 

 千冬は何も言えなかった…

 束が【白騎士事件】を起こす時、彼女を止める事が出来たのは千冬だけだった…

 だが、千冬は止める所か束に協力してしまった…

 その結果、今の世界が出来上がってしまった

 

太一

「勝負は終わりだ。俺達はもう寝かせて貰うぞ。」

 

千冬

「…ああ…無理を言ってすまなかった…」

 

 そう言って太一達は道場から出て行った

 一人残った千冬は…

 

千冬

「………お前の言う通りだ………この世界は…私が腐らせてしまったんだ………」

 

 そう呟いていた…

 




 <予告>

 クラス代表を決める戦いが始まる

 第一試合は太一対セシリア

 だが、セシリアが挑むのは最強の二つ名を持つ白き聖騎士

 果たして二人の戦いの行く末は



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 伝説の始まり!出陣!オメガモン!!

 今、冒険が進化する!



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第009話:伝説の始まり!出陣!オメガモン!!

 

 あれから1週間が経ち、クラス代表決定戦当日

 ピットには太一と一夏、何故か箒がいた

 

千冬

「…織斑…お前の機体なんだがまだ届いていない。だから先に八神とオルコットの試合を行う。」

 

一夏

「え!?…そうなのか…」

 

千冬

「八神、準備は?」

 

太一

「俺は何時でも出られるが………」

 

千冬

「何だ?」

 

太一

「いや…何で篠ノ之がココにいるのかなと思ってな…」

 

「私は一夏の幼馴染だ!いて何が悪い!!」

 

太一

「は?…何言ってるんだ?なら妹のマドカはどうなんだ?アイツは幼馴染どころか血の繋がった実の妹だぞ?お前以上にココにいる資格があるって事になるぞ?」

 

オータム

「そうだな。オイ篠ノ之!お前出て行け!ココは関係者以外立ち入り禁止だ!幼馴染だからって来ていい場所じゃねえんだよ!」

 

「で、ですが…」

 

オータム

「ですが何だ?妹のマドカだってその辺を分かって観客席にいるんだぞ?」

 

「グッ…」

 

 マドカの名前を出されては何も言えなかった

 マドカはピットではなく観客席で観戦していた

 

オータム

「大体お前、幼馴染って言葉をやたら使ってるが意味分かってんのか?幼馴染ってのはただの呼び方の一つであって免罪符じゃねえんだよ!分かったらとっとと出て行け!!」

 

「…分かり…ました…」

 

 渋々、箒が出て行くとそれと入れ替わるように真耶が入って来た

 

真耶

「お待たせしましたっ!!織斑君の専用機が届きましたよ!織斑君はこちらに来て下さい。」

 

 そこには一つの白いISがあった

 

一夏

「これが俺の…」

 

真耶

「はい!織斑君の専用機【白式】です!」

 

一夏

「【白式】…」

 

千冬

「織斑、すぐに初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)を済ませるぞ!さっさと【白式】に乗れ!」

 

一夏

「は、はい!」

 

オータム

「…終わるまでどの位かかる?」

 

千冬

「早くて30分ってところだ。」

 

オータム

「30分か…太一、聞いた通りだ。30分試合をもたせろ。」

 

太一

「分かった。行ってくる。」

 

 太一はそう返事をするとカタパルトからアリーナに出て行った

 

一夏

「あ、あのオータム先生…」

 

オータム

「ん?」

 

一夏

「30分もたせるって…30分逃げ回れって事ですか?」

 

オータム

「あ?何言ってんだ?もたせるってのは対戦相手のオルコットの事だ。アイツは普通に戦うだけでも1分もかからず試合を終わらせられるからな。本気を出せばオルコット程度なら10秒で終わるぞ。」

 

一夏&千冬&真耶

「10秒!?」

 

真耶

「そんな…仮にも相手は代表候補生ですよ!!」

 

オータム

「お前等まだ分かってないのか?言っただろ?アイツからしたら俺もお前等もケツの青いガキなんだよ。」

 

一夏&千冬&真耶

「………」

 

オータム

「信じられないって顔だな?まあその考えもすぐに変わる。アイツの…八神太一の聖騎士の姿を見ればな…」

 

千冬

「聖騎士?」

 

 オータムの口にした『聖騎士』と言う言葉の意味を聞こうとしたが…

 

オータム

「見てれば分かるぜ。…それから織斑、本当ならお前は次の試合を公平にする為にこの試合は見せねえんだが…」

 

一夏

「そ、そんな…」

 

オータム

「まあ、見てもいいぜ。」

 

一夏

「へ?」

 

 オータムはそう言ってピットから管制室に向かった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「オータム…自分で公平にする為と言っておきながら何故織斑に試合を見せるんだ?」

 

 管制室に向かう途中、千冬はオータムに何故一夏に試合を見せるのかと聞いて来た

 

オータム

「見た所で太一に勝てる訳ねえからだよ。」

 

真耶

「え?」

 

オータム

「コレは俺からのハンデだ。アイツは自分にハンデが与えられたなんて気付いてもいないだろうがな。」

 

真耶

「な、何でそんな事を!?」

 

オータム

「世の中にはな?どれだけハンデを貰っても勝てねえ奴がいるんだよ!」

 

千冬

「…それが八神だと言うのか…」

 

オータム

「ああ、以前も言ったがこの世界に太一以上の強さを持つ人間はいない。それもただ力が強いだけじゃねえ、アイツは心の方も強い。」

 

千冬

「心…か…そうだな…」

 

オータム

「千冬…お前じゃ太一のいる高みには手が出せねえぞ。」

 

千冬

「…高み…」

 

オータム

「アイツのいる場所にお前は行く事が出来ない。その理由は分かってるだろ?」

 

千冬

「………ああ…」

 

真耶

「先輩?」

 

千冬

「…何でもない…(私には八神のいる高みには行けない、か…いや、私には行ける資格が無いんだ…私は10年も前にその資格を自分で捨てているんだからな…)」

 

 千冬は太一に負けた時から自分が【白騎士事件】を起こしてしまった事の罪の意識を持つようになっていた

 その為、千冬はオータムの言う高みに上る為の資格が無い事が分かっていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一方、カタパルトからアリーナに出てきた太一をすでにアリーナに出ていたセシリアが上空で見下ろしていた

 

セシリア

「あら、怖気ずに出てきましたの?てっきり逃げ出したのかと思いましたわ。」

 

 セシリアの言葉を無視して、太一は【デジヴァイス】を取り出すとアグモンが話しかけてきた

 

アグモン

『太一、どれで行くの?』

 

太一

「もう決めてる。やっぱり最初はアレで行くよ。」

 

アグモン

『そうだね!やっぱり太一にはアレが一番似合うよね!!』

 

太一

「フッ…そうだな!」

 

セシリア

「何を先程から独り言をブツブツ言ってますの!ISを纏いもしないで出て来るなんて試合をする気がありますの!?」

 

太一

「ああスマナイ…今見せる…」

 

 太一はそう言うと【デジヴァイス】を掲げた

 すると【デジヴァイス】が輝きだし、太一の周りに13個のウインドウが現れ、ゆっくりと太一の周りを回っていた

 

 [BGM:brave heart]

 

太一

「いくぞ!!デジタルセレクト!!【モード:オメガモン】!!!

 

セシリア

「!?」

 

 太一が叫ぶとウインドウの一つが太一の前で止まり、13のウインドウは太一を包み込む光の柱となった

 そして、光の中からISを纏った太一が現れた

 

 ザワザワ…

 

 会場の観客たちも太一のISの姿に騒めいていた

 

セシリア

「な、何ですの…コレは!?」

 

 セシリアの前に現れたのは…左腕が黄色い竜の頭…右腕は青い狼の頭…表が白、裏地が赤のマントを羽織った白い聖騎士が彼女の目の前にいた

 太一は上空に飛び上がると両腕を広げマントを靡かせながら自分の名を名乗った

 

太一

「…我が名は…【ロイヤルナイツ・オメガモン】!!!

 

 それは最強の聖騎士が降臨した瞬間だった

 今この時から…太一とアグモンの新たな冒険…伝説が始まったのだ!!!

 




 <予告>

 オメガモンの圧倒的な力に成す術の無いセシリア

 その時、セシリアに起きる突然の異変

 それは、太一の真の戦いの幕開けだった

 遂に姿を現した嫉妬を司る魔王

 その巨大な顎は世界の全てを吞み込んでしまうのか



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 悪魔獣咆哮!嫉妬の罪リヴァイアモン!!

 今、冒険が進化する!




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第010話:悪魔獣咆哮!嫉妬の罪リヴァイアモン!!

 

千冬

「全身装甲のISだと!?」

 

真耶

「な、何ですか…この威圧感は…」

 

 管制室に移動した千冬は【ロイヤルナイツ】の姿に驚き、真耶は【オメガモン】が放つプレッシャーに気圧されていた

 

オータム

「(…まずは【オメガモン】で出たか…)アレが太一の専用機【ロイヤルナイツ】だ。」

 

千冬

「【ロイヤルナイツ】…聖騎士だと!?」

 

オータム

「だから聖騎士って言ったろ?」

 

千冬

(聖騎士の名を持つIS…誰があんな機体を造ったんだ…使い手だけではなくISまで謎に包まれているとは…)

 

 千冬の太一に対する疑惑はさらに深まっていった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

セシリア

(な、何ですのこの機体は!?)

 

太一

「これが俺のIS【ロイヤルナイツ・オメガモン】だ。」

 

 アリーナでは真耶同様、セシリアも太一の【オメガモン】の放つプレッシャーに気圧されていた

 そんな中、遂に試合開始のアナウンスが流れ始めた

 

セシリア

「しょ、所詮は見せかけだけですわ!!」

 

アナウンス

『それではこれより、八神太一VSセシリア・オルコットの試合を始めます。………試合開始!』

 

セシリア

「喰らいなさい!!」

 

 セシリアは試合開始の合図と同時に大型ライフル【スターライトmkⅢ】からレーザーを放つが、太一は微動だにせずその攻撃を受けた

 

セシリア

「避ける暇もなかったようですわね!」

 

 セシリアは自分の射撃を太一が避けられなかったと思ったが…

 

太一

「…この程度か…」

 

 太一は避けなかっただけである

 セシリアのライフルの威力を確かめるためワザと攻撃を受けたのだ

 

セシリア

「な、何ですって!!」

 

太一

(30分避け続けるのも面倒だな…それに、この程度の威力なら【オメガモン】の装甲に傷一つつける事は出来ないな………よし!)

 

セシリア

「ば、馬鹿にして!!」

 

 セシリアは【スターライトmkⅢ】で連射攻撃をするが太一は腕を組んだまま全く動かず攻撃を受け続けていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一方管制室では千冬達は太一の行動が分からずにいた

 

千冬

「何故、攻撃も回避もしないんだ!あれでは30分経つ前にSEが尽きてしまうぞ!」

 

真耶

「…コレは…織斑先生!!」

 

千冬

「何だ?」

 

真耶

「八神君はISの絶対防御を解除してます!!」

 

千冬

「何だと!?では今のアイツは機体の装甲だけでオルコットの攻撃を受けているのか!!」

 

オータム

「なるほど。確かに絶対防御を解除すればSEが減る事は無い。動かずに時間稼ぎをするにはうってつけだな。」

 

千冬

「何を呑気な事を言ってるんだ!絶対防御を解除したら下手をすれば死んでしまうぞ!」

 

真耶

「………いえ…織斑先生…八神君の機体…あれだけレーザーを受けているのに傷一つ付いていません…」

 

千冬

「何!!」

 

 千冬達は太一の【オメガモン】の強度に驚愕していた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 場所は戻ってアリーナではセシリアがレーザーを撃ち続けていたが…

 

セシリア

「はぁ~はぁ~…(どういう事ですの?あれだけの攻撃を受ければ既にSEが0になっている筈ですのに!)」

 

太一

「もう終わりか?」

 

 太一の【オメガモン】は傷一つ付かずピンピンしていた

 

セシリア

「クッ!ならこれはどうです!!」

 

太一

「ん?」

 

 セシリアは背部に搭載されているパーツを4基切り離した

 

太一

「何だこれ?」

 

セシリア

「これがわたくしの切り札!自立機動兵器【ブルー・ティアーズ】ですわ!さあ踊りなさい!【ブルーティアーズ】の奏でる円舞曲を!!!」

 

太一

「勝手に躍ってろ。」

 

 セシリアが4基のビットで攻撃を仕掛けたが、太一は微動だにせず全方位から攻撃を受けていた

 

セシリア

「何故、何故倒れないのですか!!」

 

 セシリアは太一が絶対防御を解除しているとも知らず攻撃を続けていた

 そして、試合が始まってからもうすぐ30分が経とうとしていた

 

太一

「(そろそろいいか。)遊びは終わりだ。」

 

セシリア

「え?」

 

 太一はそう言うと左腕を右腰に持ってくると勢いよく左斜め上に振り上げた

 

 ジャキンッ!

 

 すると左腕の竜の口から巨大な剣《グレイソード》が出て来た

 

セシリア

「け、剣!!で、ですがそんな物!!」

 

 セシリアはビットで攻撃するが…

 

太一

《グレイソード!!!》

 

 太一はそう叫びながら左腕を振りぬいた

 

 ドドドドッ!

 

セシリア

「キャアアアアアァァァァァ―――――ッ」

 

 《グレイソード》の剣圧によってビットのレーザーは弾き飛ばされ、4基のビットが全て破壊された

 そしてセシリア自身もその剣圧で吹き飛ばされた

 

セシリア

「そ、そんな…ビットが一瞬で…」

 

 呆然とするセシリアに対し、太一は今度は右腕を左肩に持ってくると、今度は右下に振り下ろした

 

 ガキョンッ!

 

 右腕の狼の口から今度は巨大な大砲《ガルルキャノン》が出て来た

 

セシリア

「こ、今度は大砲!?」

 

 太一は照準をセシリアに合わせると…

 

太一

《ガルルキャノン!!!》

 

 ドギュゥン!

 

 《ガルルキャノン》を発射したが…

 

セシリア

「はっ!?」

 

 ドガアアアァァァンッ!!

 

 砲弾はセシリアのすぐ横を通り過ぎ、後ろのバリアに命中した

 《ガルルキャノン》の命中したバリアは消滅寸前の状態になっていた

 

セシリア

「…バリアが…何て威力ですの…」

 

太一

「…2割で撃ったが…威力が強すぎたか?…それともバリアが脆いのか?」

 

セシリア

「あ、あれで2割ですって!」

 

太一

「この程度なら1割で十分だな。」

 

セシリア

「1割ですって!!…何処まで…何処までわたくしを馬鹿にすれば………喰らいなさああぁぁ――い!!!」

 

 セシリアは腰に装備された2機のミサイルを発射した

 

 ドガアアァァ――ンッ!!

 

 このミサイルに対しても太一は避けずに喰らった

 【オメガモン】は爆発の煙に包まれていた

 

セシリア

「どうです!!レーザーは効かなくても実体弾なら…」

 

 ダメージを受ける筈…そう言おうとしたが…

 

セシリア

「!?」

 

 煙が晴れるとそこには無傷の【オメガモン】が立っていた

 

セシリア

「そ、そんな…ミサイルの直撃を受けて無傷何て…」

 

太一

「…もう終わりか?」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

生徒達

「………」

 

 場所は変わって観客席では太一の【オメガモン】の力に生徒達は声が出なかった

 彼女達は試合が始まった時、セシリアが太一を完膚なきまでに倒すと思っていた

 一週間前、自分達を馬鹿にした男が無様に負ける姿を見て笑ってやろうと思っていた…

 だが、実際は違っていた

 セシリアは太一にダメージ一つ与えられず、【オメガモン】の圧倒的な力に成す術もなくなっていた

 そんな彼女達をマドカは内心ほくそ笑んでいた

 

マドカ

「流石は太一兄さんだな。」

 

「ね~ね~…マドマド~?」

 

マドカ

「ん?…何だ本音?」

 

 マドカに話しかけてきたのは彼女のルームメイト…布仏本音だった

 相手に対して変わったあだ名を付ける、不思議っ子である

 

本音

「マドマド~あのIS何なの~?凄く強いね~!」

 

マドカ

「何を言ってる?太一兄さんはまだ性能も実力も半分も出していないぞ?あんな雑魚相手に本気になるほど兄さんはバカじゃないからな。」

 

本音

「そ、そうなんだ~…」

 

 マドカのその言葉に本音だけでなく周りの生徒達も驚いていた…

 代表候補生をマドカは雑魚と呼び、太一は本気で相手をしていないと言っているからだ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 アリーナではセシリアは太一の剣の一振りと大砲一発で追い詰められていたが…

 

セシリア

「くっ…くうぅぅ………ま…しい…」

 

太一

「ん?」

 

 セシリアの様子が突然変わった

 

セシリア

「…妬ましい………その力が…」

 

太一

「オルコット?」

 

セシリア

「…羨ましい………その機体が…」

 

太一

「どうした?」

 

セシリア

「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――っ!!!!!!!」

 

 突然、叫び声を上げるセシリア

 すると彼女の額に謎の紋章が浮かび上がった

 

太一

「あれは!?」

 

 そして紋章から黒と水色の光が溢れ出し、セシリアを包み込んでいった

 セシリアを包み込むとそれは卵の形に姿を変えた

 

太一

「…【デジタマ】だと…」

 

 セシリアを包み込んだ【デジタマ】は、今度は膨らんでいくように巨大化していった

 そして、その大きさはアリーナのバリアを圧迫し破壊するほど大きさへと膨らんだ

 観客席にいた生徒達は何が起きたのかも分からず自分達の頭上にある巨大な【デジタマ】を見続けていた

 

 ピシッ!

 

 ひび割れる音がすると、【デジタマ】全体にヒビが入っていき…そして…

 

 バリイイイィィィ―――ン!!!

 

 【デジタマ】が割れ、中から出て来たのは…

 

『グワアアアアアァァァァァァ―――――ッ!!!!!』

 

 それは巨大なワニ…

 全身を覆う赤い鱗と青い背びれ…二本に分かれた長い尻尾…そして、一番の特徴が体の3分の1を占める程の巨大で長い口だった

 

太一

「くっ!そうか!?オルコットの中にいたのか!!!」

 

『…ソウダ…コノオンナハオレノヨリシロ…コノ…【リヴァイアモン】ノナアアアァァァ―――ッ!!!』

 

 突如として現れた巨大なワニ…

 その正体は【七大魔王】の1体、嫉妬を司る魔王…【リヴァイアモン】だった

 

観客達

「キャアアアアアァァァァァ―――――ッ!!!」

 

 【リヴァイアモン】の姿に観客席にいた生徒達は恐怖し、悲鳴を上げて逃げ始めた

 アリーナ中に悲鳴が木霊する中、太一は目の前に現れた【リヴァイアモン】を見上げていた

 

太一

「…嫉妬の魔王…【リヴァイアモン】………ようやく現れたか!!!」

 

リヴァイアモン

『キサマ…ナニモノダ?』

 

太一

「…俺は八神太一…貴様達【七大魔王】を倒す【ロイヤルナイツ】だ!!!」

 

 




 <予告>

 遂に姿を現した、嫉妬の魔王リヴァイアモン

 ウォーグレイモンと共にリヴァイアモンに挑む太一

 セシリアを救い出す為、太一はオメガモンの新たな力を発動する

 果たして太一はリヴァイアモンを倒せるのか



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 聖騎士VS魔王 発動!Xモード!!

 今、冒険が進化する!



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第011話:聖騎士VS魔王 発動!Xモード!!

お気に入りが300行きました!

これからも頑張ります!!



 

 現在管制室ではセシリアが変質した【リヴァイアモン】の出現によって観客席同様混乱していた

 

千冬

「何だあの化け物は!?」

 

真耶

「きょきょきょ巨大なワニ!!!!」

 

オータム

「………【リヴァイアモン】…チッ!いくら探しても見つからない筈だ…オルコットに憑りついてやがったのか!!」

 

千冬

「【リヴァイアモン】だと!?…オータム!?お前アレが何か知ってるのか!?」

 

オータム

「ああ、アレが俺達が探していたものだ…」

 

千冬

「何だと!?」

 

オータム

「今はその事はいい!!オイ千冬!すぐに学園全体に避難命令を出せ!!」

 

千冬

「学園全体だと!?」

 

オータム

「そうだ!アイツが暴れ出したらこの学園は一瞬で沈んじまうぞ!!」

 

真耶

「そんな!?ならあのワニはどうするんですか!?」

 

オータム

「アイツは太一に任せておけ!太一以外にあのワニと戦える奴はいねえ!!」

 

千冬

「お前、八神一人を戦わせる気か!?」

 

オータム

「他のISじゃ役に立たねえんだ!太一のISだけがあの化け物と戦えるんだよ!!学園の教員部隊は全生徒の避難に回せ!!いいか、絶対に奴と戦うな!!戦えば死ぬぞ!!!」

 

千冬

「死ぬだと!?」

 

オータム

「そうだ!事情は後で話してやる!!今は急げ!!!」

 

千冬

「…分かった!…山田先生、すぐに避難命令を!!」

 

真耶

「は、はい!………!?…織斑先生!?アレを!!!」

 

 真耶が指さした方向には【リヴァイアモン】に向かって行く一夏の姿があった

 

千冬

「何をしてるんだアイツは!!すぐに呼び戻せ!!」

 

真耶

「は、はい!!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 ピットから飛び出した一夏は【リヴァイアモン】に向かっていた

 しかし、その前に太一が立ちふさがった

 

太一

「一夏、何をする気だ?」

 

一夏

「何ってアイツを倒すんだ!!このままじゃ学園が破壊されちまう!!」

 

太一

「奴を倒すのは俺がやる。お前は避難していろ。」

 

一夏

「な、何言ってんだ!?お前一人で倒せるわけ…『一夏!!』…ち、千冬姉!?」

 

 突然、一夏に怒鳴り声を上げた千冬の通信が入った

 

千冬

『お前、そこで何をしている?』

 

一夏

「お、俺はアイツを倒そうと…」

 

千冬

『誰がそんな事をしろと言った!今学園の全生徒に避難命令を出した、お前もさっさと避難しろ!あのワニの相手は八神がする!!』

 

一夏

「そんな!?なんで太一はよくて俺はダメなんだよ!!」

 

千冬

『馬鹿かお前!?一次移行が済んだばかりの機体でISに碌に乗った事も無いお前に何が出来ると言うんだ!!それにオータムが言うには奴を倒せるのは八神だけらしい、だから今はそれを信じるしかない!!分かったらお前はすぐに戻れ!!』

 

一夏

「そ、そんな…い、嫌だ!!俺も戦うぞ!!………なあ太一、俺も一緒に戦わせてくれ!!」

 

太一

「………」

 

 太一は未だに戻ろうとしない一夏に《ガルルキャノン》を向けると…

 

一夏

「た、太一?」

 

太一

《ガルルキャノン!!》

 

 ドガァン!

 

一夏

「ぐああああぁぁぁぁ――――っ!!」

 

 《ガルルキャノン》で一夏を撃ち落とした

 

千冬

『八神何をする!!』

 

太一

「アイツは邪魔だ。何を言っても戻りそうになかったから実力行使をさせて貰った。さっさと回収してアンタも下がれ。」

 

千冬

『お前…』

 

 千冬が何かを言おうとしたがその前に太一は通信を強制的に切った

 そして、目の前の【リヴァイアモン】を再び見据えた

 

太一

「さて…邪魔者は消えた…行くかアグモン!!」

 

アグモン

「うん!!」

 

 太一がそう言うと【オメガモン】の胸の宝玉が光り、中からアグモンが出て来た

 

 [BGM:brave heart]

 

太一

「行くぞアグモン!!…進化だ!!!」

 

アグモン

「アグモン!ワープ進化ァァァッ!………ウォ――グレイモ――ンッ!!!

 

 アグモンが光り輝くとそこには黄色い肌と全身に鎧を纏った竜の姿をした戦士【ウォーグレイモン】が立っていた

 

ウォーグレイモン

「行こう!!太一!!!」

 

太一

「ああ!!行こうぜ!!ウォーグレイモン!!!」

 

 二人は互いにそう言い合うと【リヴァイアモン】に向かって行った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一方、管制室では突然現れたアグモンとアグモンの進化を見て千冬達は更に混乱していた

 

真耶

「何ですかあの生き物!?」

 

千冬

「黄色いトカゲが…人型になっただと!?…オータム!お前あの生物の事も知っているのか!?」

 

オータム

「ああ、知ってるぜ。」

 

千冬

「なら教えろ!!」

 

オータム

「その前にお前らも避難した方がいいんじゃねえか?あいつらが戦い出したらココもどうなるか分からねえぜ?」

 

千冬

「…お前はどうするんだ?」

 

オータム

「俺は残るぜ。今後の為にもアイツ等の戦いを見ておきたいからな。」

 

千冬

「………」

 

オータム

「それに太一に吹っ飛ばされたお前の弟はどうするんだ?目を覚ましたらまた太一の所に行くぞ?そうなったら、今度は吹き飛ばされる程度じゃ済まないだろうな…それ以前にアイツ等の戦いに巻き込まれてあの世行きだろうな。」

 

真耶

「お、織斑先生…」

 

千冬

「…真耶…お前は一夏を回収して避難しろ。私は残る。」

 

真耶

「そんな!危険ですよ!?」

 

千冬

「分かっている!だが、私もこの戦いを見届けたいんだ!!だから真耶…一夏を頼む!!」

 

真耶

「………分かりました…織斑君は任せて下さい!ですが、お二人とも無事でいて下さいね!!」

 

千冬

「ああ、ありがとう…」

 

 千冬がそう言うと、真耶は管制室から出て行った

 

マドカ

「へぇ~…残ってたんだ?お前にそんな度胸があるとは思わなかったな。」

 

 真耶と入れ替わる形で管制室に避難したと思われていたマドカが入って来た

 

千冬

「マドカ!?何故ココに来た!!お前も避難しろ!!」

 

マドカ

「私がお前の指示を聞くと思ってるのか?」

 

千冬

「今は緊急事態だ!!そんな事を言ってる場合じゃない!!」

 

マドカ

「冗談だ。…私もオータムと同じ理由だ。太一兄さんの戦いを見ておきたいんだよ。」

 

千冬

「………お前もあの巨大なワニの正体を知ってるのか?」

 

マドカ

「知ってるよ。だが、お前に言う必要は無いな。」

 

千冬

「マ、マドカ…」

 

マドカ

「フンッ!それも冗談だ。だが、お前に言うべきかどうかはこの戦いの後に決めさせてもらう。今は、太一兄さんの戦いを見ていろ。自分との力の差と言う物を知るんだな。」

 

千冬

「力の差…」

 

 マドカがそう言うと、3人は上空で戦いを始めた太一とウォーグレイモンを見つめていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 上空に佇んでいた【リヴァイアモン】と同じ高さまで来た太一とウォーグレイモンは上がってきた

 

リヴァイアモン

『キタカ…【オメガモン】ト【ウォーグレイモン】…マサカコノセカイニワレライガイニデジモンガイルトハオモワナカッタゾ!』

 

太一

「フッ…お前達がココに来なければ俺もゆっくり眠れたんだがな…」

 

リヴァイアモン

『ナラバ、スグニマタネムラセテヤル!』

 

太一

「そうは行くか!折角またアグモンに会えたんだ…そう簡単に眠ってたまるかよ!!」

 

ウォーグレイモン

「その通りだ!眠るのはお前の方だ!!」

 

リヴァイアモン

『オモシロイ!ヤッテミセルガイイ!!』

 

 太一とウォーグレイモンは【リヴァイアモン】に向かっていった

 

太一

「ウォーグレイモン!まずは奴を学園から引き離す!」

 

ウォーグレイモン

「分かった!」

 

 太一はそう言って渾身の力を込めた《グレイソード》で斬りかかった

 

太一

《グレイソ―――ド!!!》

 

リヴァイアモン

『ヌゥ!!』

 

 《グレイソード》の剣圧によって【リヴァイアモン】の巨体は押され、そこにウォーグレイモンが追撃を仕掛けた

 

ウォーグレイモン

《ガイアフォ―――ス!!!》

 

リヴァイアモン

『アマイワ!!』

 

 ウォーグレイモンの放った巨大な火球《ガイアフォース》を【リヴァイアモン】はその巨大な口で飲み込んでしまった

 

ウォーグレイモン

「《ガイアフォース》が!?」

 

リヴァイアモン

『フン!ハラノタシニモナランナ!!』

 

太一

「ならこれでどうだ!!《ガルルキャノン!!!》

 

 太一は今度は最大出力の《ガルルキャノン》で砲撃した

 

 ドガアアアァァァンッ!!!

 

 巨大な爆発が起こり【リヴァイアモン】はIS学園から離されてしまった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一方管制室では、太一達の戦いに千冬達は驚愕していた

 

オータム

「これが太一達の戦いか!?」

 

マドカ

「こんな戦いを見せられたらISなんてただの玩具にしか見えないな…」

 

オータム

「ハハハッ…違いねえ…」

 

千冬

「な、何だコレは…何なんだこの戦いは!!」

 

 何も事情を知らない千冬は、太一達に恐怖すら感じ始めていた

 

千冬

「…あの剣も大砲も…オルコットとの戦いの時より遥かに威力が高い…」

 

マドカ

「当たり前だろ?太一兄さんがあんな雑魚相手にフルパワーで攻撃するわけないだろ?第一あの威力で撃ったら普通のISなんて塵一つ残さず消し飛ばされるぞ?」

 

千冬

「………」

 

 マドカの言葉に千冬は何も言えなかった

 【オメガモン】の力を見てマドカの言う事が事実だと認めてしまったからだ

 

千冬

「…誰が…誰があんな物を造ったんだ…あんなIS…束にだって造れない…いや、あれは本当にISなのか!?」

 

オータム

「ISだぜ…一応な。」

 

千冬

「………」

 

 オータムの一言に千冬は再び言葉を失った

 そのまま太一達の戦いを見始めた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 《ガルルキャノン》によって【リヴァイアモン】は学園から離れた海上へと移動していた

 

リヴァイアモン

『オノレ!オレヲフキトバストハナカナカヤルナ!!』

 

太一

「…フルパワーの《ガルルキャノン》でも、ダメージを与えられる程度か…それに、この程度しか動かせないとはな…流石は【リヴァイアモン】…【七大魔王】の…いや、全デジモンの中でも最大クラスの大きさを誇る事だけはあるな…」

 

リヴァイアモン

『コンドハコチラノバンダ!!』

 

太一&ウォーグレイモン

「!?」

 

リヴァイアモン

『クラエ!!《カウダ!!!》

 

 【リヴァイアモン】の長大な尾による薙ぎ払い《カウダ》が、太一とウォーグレイモンに襲い掛かってきた

 だが、二人は紙一重で躱す事が出来たが…

 

 ザバアアアアアアアァァァァァァァッ!!!!

 

 《カウダ》の余波により巨大な津波が起きてしまった

 幸い、津波の進行方向は陸地ではなかったが、それを見た太一達は改めて【リヴァイアモン】の強さに驚いていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 再び管制室では【リヴァイアモン】の放った《カウダ》を見た千冬達は太一以上に驚き、恐怖すら感じていた

 

オータム

「なんつう力だよ!?尻尾の一振りで大津波を起こしやがったぜ!?」

 

マドカ

「これが【リヴァイアモン】の力…あの一撃がこちらに来ていたらと思うとゾッとするな…」

 

オータム

「確かにな…あんなの喰らったら確実にあの世行きだ!?ISの絶対防御すら紙くずみてぇなもんだぞ!」

 

マドカ

「そうだな…オータム…私は改めて分かった…ISは絶対じゃない…奴らの前じゃ何の役にも立たないガラクタだと言う事がな…」

 

オータム

「同感だ!」

 

千冬

「ぁ…ぁ…ぁぁ…」

 

 マドカとオータムは【リヴァイアモン】に恐れながらも話し合っていたが、千冬は恐怖から声すら出せない状態になっていた

 

マドカ

「…それにしても、これがあのブリュンヒルデなのか?完全に怖気づいてるな。」

 

オータム

「まあそう言うな。俺達だって太一の戦いを事前に見ていなかったらこうなっていただろうぜ。」

 

マドカ

「………それもそうだな。」

 

 二人のそんな会話も今の千冬には聞こえていなかった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一方、海上では《カウダ》を放った【リヴァイアモン】が余裕の笑みを浮かべて笑っていた

 

リヴァイアモン

『クククッ!ハハハハハハハッ!ドウダ!オレノチカラハ!!』

 

太一

「…尻尾の一振りでこれ程とはな…」

 

ウォーグレイモン

「…太一…どうする…」

 

太一

「…このまま戦えば陸地にも被害が起こる。ならやる事は一つだ!!」

 

ウォーグレイモン

「太一!!」

 

太一

「一気にケリをつける!!」

 

リヴァイアモン

『クククッ!ワラワセテクレル!コノオレヲタオセルトオモッテイルノカ!!』

 

 太一の言葉に尚も余裕の表情を見せる【リヴァイアモン】だったが…

 次の瞬間…その表情が一変した

 

太一

「…なら見せてやるぜ!【オメガモン】の更なる力をな!!」

 

リヴァイアモン

『ナニ?』

 

 [BGM:brave heart]

 

太一

「【オメガモン】!!モードチェンジ!!」

 

 太一が叫ぶと【オメガモン】を光が包み込んだ

 

太一

【オメガモンXモ―――ド】!!!

 

 そして、光の中から現れた【オメガモン】は今迄の丸味を帯びたフォルムから全体が鋭角的な外見へと変わっていた

 これが【オメガモン】の強化形態…【オメガモンX】の姿だった

 

リヴァイアモン

『Xモードダト!?』

 

太一

「いくぞ!!」

 

 【オメガモンX】となった太一は《グレイソード》《ガルルキャノン》を展開し【リヴァイアモン】に向かっていった

 

リヴァイアモン

『コザカシイ!!《カウダ!!!》

 

 【リヴァイアモン】は再び《カウダ》を太一に叩きつけようとしたが…

 

太一

《グレイソ―――ド!!!》

 

 ザシュゥッ!!

 

 太一は迫ってくる二本の尾の内の一本を《グレイソード》で斬り落とした

 

リヴァイアモン

『グギャアアアアアアアァァァァァァァ―――――――ッ!!!!!』

 

 尾を斬り落とされた事で【リヴァイアモン】は苦悶の声を上げるが…

 

太一

《ガルルキャノン!!!》

 

 間髪入れず太一は【リヴァイアモン】の横腹に《ガルルキャノン》を撃ち込んだ

 

リヴァイアモン

『ガアアアアアァァァァァ―――――ッ!!!』

 

 『ガルルキャノン』の直撃を受け【リヴァイアモン】は大きく仰け反った

 

ウォーグレイモン

「太一!今の内に止めを!!」

 

太一

「…いや…中にいるオルコットを助けるのが先だ!!」

 

ウォーグレイモン

「あっ!?…そうだった…だがどうする?」

 

太一

「こう言う場合はやる事は決まってるだろ?」

 

ウォーグレイモン

「………まさか…太一?」

 

太一

「奴の腹の中に入るんだよ!!」

 

ウォーグレイモン

「それしか無いか…」

 

太一

「と言う訳で行ってくるぜ!!バックアップを頼む!!」

 

ウォーグレイモン

「分かった!!」

 

 太一はそう言って【リヴァイアモン】の正面に向かって飛んで行った

 

リヴァイアモン

『グウウウッ…チョウシニノルナニンゲンゴトキガ!!』

 

太一

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ―――――――っ!!!!!」

 

リヴァイアモン

『カミクダイテクレルワ!!!《ロストルム!!!》

 

 【リヴァイアモン】はその巨大な口を空け、全てを嚙み砕き破壊する技…《ロストルム》で太一を噛み砕こうとしたが…

 

太一

「やれるものならやってみろおおおおおぉぉぁぉぉ―――――っ!!!」

 

リヴァイアモン

『ナニィッ!!!』

 

 【リヴァイアモン】が噛み砕くより早く太一は【リヴァイアモン】の口の中に突入した

 

リヴァイアモン

『オレノハラノナカニハイッタダト!?ナカカラタオスツモリカ!コシャクナコトヲ…コノママトカシテヤル!!』

 

 中に入った太一を【リヴァイアモン】は中からの攻撃と思い、胃液で溶かそうと考えた…だが、それは大きな間違いだった

 太一の目的は【リヴァイアモン】が取り込んだセシリアの救出だからだ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 【リヴァイアモン】の体内に入った太一はセシリアを探していた

 

太一

「…どこにいるんだ?………ん?」

 

 暫くすると太一の目の前に水色の球体が現れた

 

太一

「これは…」

 

 太一はすぐにその球体を【オメガモン】のセンサーでスキャンした

 すると…

 

太一

「…生体反応アリ!…この中か!!」

 

 太一は《グレイソード》でその球体を斬り裂くと中からセシリアが出て来た

 

太一

「オルコット…よし!後はココから出るだけだな!!」

 

 太一は《ガルルキャノン》を真上に向けると…

 

太一

《ガルルキャノン!!!》

 

 ドギュゥゥンッ!!!

 

 【リヴァイアモン】の腹の中で最大パワーの《ガルルキャノン》を撃ち込んだ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

リヴァイアモン

『グッ!?ナ、ナンダァ!!グゥッ!ガアアアアアアアアッ!!』

 

 背中が突然盛り上がり苦しみだした【リヴァイアモン】を見てウォーグレイモンに太一が脱出しようとしている事が伝わった

 

ウォーグレイモン

「上手く行ったようだな!よしっ!!」

 

 ウォーグレイモンは【リヴァイアモン】の真下に潜り込むと、両腕に装備されている大型の爪付き手甲《ドラモンキラー》を頭上で合わせると高速で回転しだした

 

ウォーグレイモン

「オオオオオォォォ―――ッ!!《ブレイブトルネ―――ド!!!》

 

 そのまま真上の【リヴァイアモン】に突っ込んでいった

 

リヴァイアモン

『ゴアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』

 

 ドゴオオォォンッ!!バゴオオォォンッ!!

 

 ウォーグレイモンが《ブレイブトルネード》で【リヴァイアモン】の腹を突き破ると間髪入れずに太一が《ガルルキャノン》でウォーグレイモンと共に【リヴァイアモン】の腹の中から背中を突き破って出て来た

 

ウォーグレイモン

「太一!無事に助け出せたんだな!」

 

太一

「ああ!」

 

リヴァイアモン

『オ、オノレエエエェェェ―――ッ!?オレノヨリシロヲタスケダスノガモクテキダッタノカ!』

 

 【リヴァイアモン】は太一が抱えているセシリアを見て漸く太一の狙いに気付いた

 

太一

「腹にそんなにデカい穴が開いてまだ動けるとはな!」

 

リヴァイアモン

『マ、マダダ!!マダコノクライデコノオレガ!!!』

 

太一

「コレで止めだ!!」

 

 太一はセシリアを右手で抱え直すと左腕を頭上に掲げた

 

 ジャキンッ!!

 

 出て来た《グレイソード》が輝きだし、太一はそのまま【リヴァイアモン】に向かって斬りかかった

 

太一

《オ――――――ル…デリ――――――ト!!!!!》

 

リヴァイアモン

『グギャアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァ――――――――――ッ!!!!!!』

 

 振り下ろされた《グレイソード》によって【リヴァイアモン】は真っ二つにされた

 【オメガモンX】最強の必殺技…《オールデリート》…《グレイソード》に触れたものを全て消滅させる斬撃を受け、両断され断末魔の悲鳴を上げた【リヴァイアモン】はそのまま《オールデリート》により消滅していった

 

セシリア

「…うっ…あ…」

 

 その時、取り込まれていたセシリアが目を覚ました

 自分を抱き上げている太一の姿を見てセシリアは…

 

セシリア

「………聖…騎士…様…」

 

 そう呟くと再び意識を失った

 

 




 <予告>

 セシリアを救い出し、リヴァイアモンを倒した太一

 だが、安心するのも束の間、アリーナに戻った二人を千冬が待ち構えていた

 連れていかれた先で太一達は学園の理事長と出会い、説明を求められる

 太一は理事長や千冬、取り込まれていたセシリアに七大魔王と自分の正体を話し始める



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 世界を覆う闇!その名は七大魔王!!

 今、冒険が進化する!



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第012話:世界を覆う闇!その名は七大魔王!!

 

太一

「終わったな…」

 

ウォーグレイモン

「まずは一体目だな…」

 

太一

「ああ…」

 

 【リヴァイアモン】を倒した太一とウォーグレイモンはアリーナに降りてきた

 だが、そんな二人を…

 

千冬

「動くなっ!!」

 

 正気に戻った千冬がISを纏って待ち構えていた

 

太一&ウォーグレイモン

「………」

 

千冬

「八神…ISを解除しろ!お前達には今回の事で色々と聞く事がある!」

 

太一

「拒否権は?」

 

千冬

「無い!これ程の騒ぎになっているんだからな!!拒否すると言うなら力づくで答えて貰う!!」

 

太一

「力づく?お前に俺をどうこう出来ると思ってるのか?」

 

千冬

「な、何だと!?」

 

 太一にそう言われ千冬は言葉を詰まらせた

 力づくとは言っても千冬には太一を抑える事が出来ないのは千冬本人が分かっていたからだ

 

太一

「…まあいいだろう…こうなった以上説明しなければならないからな…」

 

 太一はそう言うと【ロイヤルナイツ】を解除した

 そして、抱きかかえていたセシリアを地面に降ろそうとした時…

 

セシリア

「うっ…ココは…」

 

 セシリアが再び目を覚ました

 

太一

「ん?起きたか?」

 

 ジャキンッ!

 

 目を覚ましたセシリアに千冬はISの銃を向けた

 

セシリア

「え!?な、何ですの!?」

 

千冬

「オルコット…お前何が起きたのか覚えてないのか?」

 

セシリア

「…は、はい…気が付いたら八神さんに抱き上げられていたとしか…」

 

千冬

「…なら後で説明してやる。…八神、それとそっちのデカいの…」

 

ウォーグレイモン

「デカいの?俺の事か?」

 

太一

「ウォーグレイモン…成長期に戻っていいぞ。」

 

千冬

「成長期?」

 

ウォーグレイモン

「分かった。」

 

 そう言うとウォーグレイモンは輝きだし、体が小さくなると成長期のアグモンに戻った

 

千冬

「!?…さっきのトカゲ!?」

 

アグモン

「僕はトカゲじゃないよ!!アグモンって名前だよ!!」

 

千冬

「ア、アグモン?さっきと呼び方が違うぞ!?」

 

太一

「別にいいだろ。それで、俺達をどうするんだ?」

 

千冬

「あ、ああ…お前たちの取り調べだが、理事長も話を聞きたいと言うので今回は理事長室で執り行う!」

 

太一

「…分かった…ただし、その場にはマドカとオータム、オルコットも同席させて欲しい。」

 

セシリア

「わ、わたくしも!?」

 

千冬

「何故オルコットも同席させる?」

 

太一

「彼女も今回の件の当事者だ。聞く権利はある。」

 

千冬

「…分かった…ついて来い!」

 

セシリア

「あ、あの、織斑先生…」

 

千冬

「何だ?」

 

セシリア

「着替えてもよろしいですか?」

 

千冬

「そうだな…着替えて来い。」

 

セシリア

「ありがとうございます。」

 

 セシリアは千冬にお礼を言うと着替えに向かった

 千冬は他の教師たちに避難した生徒達を呼び戻すように指示をすると、自分も着替えに向かった

 その間、太一とアグモンを更衣室の前で待たせていた

 待っている間にマドカとオータムもやって来た

 

セシリア

「お待たせしました。」

 

千冬

「では行くぞ。」

 

 着替えを終えると千冬は太一達を連れて理事長室に向かった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 理事長室に向かう途中、真耶とも合流しそのまま、千冬に連れられ、理事長室の中に入るとそこには壮年の男性が一人座っていた

 

千冬

「理事長…連れてきました。」

 

轡木

「ご苦労様です。皆さん初めまして。私は轡木十蔵。この学園の理事長をさせて貰っています。」

 

 轡木が挨拶をすると、太一達に目の前のソファーに座るように促した

 太一とアグモン、セシリアとマドカがソファーに座ると、オータムはその後ろに立った

 向かいのソファーに轡木が座り、後ろに千冬と真耶が立った

 

轡木

「それでは単刀直入に聞きます。八神君、君は何者ですか?そしてあの巨大なワニは何ですか?」

 

セシリア

「ワニ?」

 

千冬

「これを見ろ。」

 

 千冬はセシリアに【リヴァイアモン】に変化していく自分の映像を見せた

 

セシリア

「な、何ですかコレ…コレがわたくしなのですか…」

 

轡木

「そうです。それについても聞きたいんです。どうか答えて下さい。」

 

太一

「いいだろう。ただ、先に電話をかけさせてくれ。そいつも交えて話をしたい。」

 

轡木

「…いいでしょう。」

 

 そして、太一が電話をかけ、繋がるとスピーカーに切り替えた

 

『久しぶりだねちーちゃん♪』

 

千冬

「た、束!?」

 

真耶

「え!?篠ノ之博士何ですか!!」

 

 太一が電話をかけた相手は束だった

 束が電話に出た事に千冬達は驚いていた

 

『たっくん、早速一体目に出会ったんだね。』

 

太一

「ああ、まさかオルコットの中にいるとは思わなかったけどな。いくら探しても見つからないわけだよ。」

 

『そうだね。流石の束さんもこれは予想出来なかったよ。けど、この様子じゃ残りも誰かの中にいるかもしれないね?』

 

太一

「そうだな…」

 

千冬

「オイ!お前達で話を進めるな!私達にも説明しろ!」

 

『オッとそうだったね。じゃあ、たっくん説明よろしく~♪』

 

太一

「分かった…まず俺の正体だが………」

 

 こうして太一は自分の正体とデジモン、そしてこの世界を支配しようとする【七大魔王】の事を話した

 

太一

「………以上だ。」

 

全員

「………」

 

 太一の説明を聞き千冬達は言葉が出なかった

 聞かされた話があまりにも荒唐無稽な上、信じられない話だったからだ

 

轡木

「君が…違う世界の人間?…それも95歳で死んだ老人?…私よりも年上なのか?」

 

太一

「アンタがそう言うならそうなんだろ。…尤も、体が若返ったせいか最近感情的になり易くなってな、年相応の対応がしづらくなった。」

 

千冬

「………オータム…お前が言っていたのはこういう事だったのか…」

 

オータム

「そうだ。俺やお前等よりコイツは人生経験が豊富な上に、今日みたいな戦いを7才の頃からして来たんだぜ?しかも大人になれば現実世界と【デジタルワールド】の二つをまたにかけて外交官をしていたんだ。そんな奴から見たら俺達なんてただの生意気なガキにしか見えないだろ?」

 

千冬

「…そうだな…」

 

真耶

「…はい…」

 

セシリア

「…あの時の八神さんの言葉は…自分が外交官をしていたからこその言葉だったんですね…」

 

マドカ

「ああ、そもそも太一兄さんは私達の知ってる外交官とは違う。人間の住む【リアルワールド】とデジモンの住む【デジタルワールド】…二つの世界と二つの種族…その懸け橋になっていたんだ。兄さんと比べればこの世界の外交官なんてその名を名乗る資格すら無い。」

 

セシリア

「………」

 

マドカ

「兄さんは誰よりも外交の難しさも脆さも知り尽くしている。だからあの時、お前の発言に対して忠告したんだ。」

 

全員

「………」

 

 千冬達はこの時、少しではあるが太一と言う人間が分かった

 自分達の何倍も生きてきた上に、デジモン達の戦いに身を投じ、二つの世界を行き来して人間とデジモンの間を取り持ってきたのだ

 そんな人間に千冬達が敵う筈は無いのだ 

 

轡木

「それにしてもデジモンですか…そんな生物がいるなんて信じられませんけど…」

 

マドカ

「実際に目の前にいるだろ?」

 

 マドカの言葉に、全員の視線がアグモンへと向けられた

 

轡木

「確かにそうですね。…そして八神さんのISはそのデジモンをモデルになっているのですね?」

 

『少し違うね。たっくんのISはデジモンをモデルにしたんじゃなくてデジモンそのものをISにした機体なんだよ。』

 

千冬

「デジモンそのもの…束、お前から見てISとデジモンではどちらが強いんだ?」

 

『悔しいけどデジモンの方が上だよ。そこにいるイギリスの子の専用機でさえ成熟期デジモンと同じレベルってところだからね。その上の完全体と究極体の前じゃIS何てただの玩具にしかならないよ。』

 

セシリア&千冬&真矢&轡木

「なっ…」

 

 …デジモンの方が上…

 束自身の口から言われたその言葉に千冬達は言葉を失った

 ISの生みの親がISをただの玩具と言ったのだ

 

真耶

「そ、そんな………じゃ、じゃあ八神さんのISの強さは…」

 

『【ロイヤルナイツ・オメガモン】は究極体デジモンなんだよ。当然この世界のISじゃ手も足も出ないよ。…ちーちゃん達もあの戦いを見たならその力は良く分かったでしょ?』

 

セシリア&千冬&真矢&轡木

「………」

 

千冬

「…束…お前なら【ロイヤルナイツ】を造る事は出来るのか?」

 

『残念ながら出来ないよ。』

 

セシリア&真矢&轡木

「えっ!?」

 

『たっくんの【ロイヤルナイツ】はデジモンの世界の神様…【イグドラシル】が造った物…たっくんをそっちに送る前に束さんも【ロイヤルナイツ】を解析したけど殆ど出来なかったよ…』

 

真耶

「し、篠ノ之博士でも解析出来なかったんですか!?」

 

『そうだよ…解析出来ない物を造る事なんて出来ないでしょ?』

 

千冬

「確かにそうだな…」

 

 束の言葉に千冬達は何も言えなかった

 天災とまで言われる篠ノ之束が造れないと断言したのだ

 それを聞き千冬達は改めて太一の【ロイヤルナイツ】の凄さを思い知ったのだ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 【ロイヤルナイツ】の驚きから全員が落ち着くと…

 

轡木

「それで八神さん…その【七大魔王】と呼ばれるデジモンがこの世界への侵略を開始したと言う事ですが…オルコットさんが変化したあの巨大生物がその魔王なんですか?」

 

 轡木が話題を【七大魔王】に話を変えた

 

太一

「そうだ。奴の名は【リヴァイアモン】…【嫉妬】を司る魔王だ。」

 

セシリア

「【嫉妬】…ですか?」

 

『【七大魔王】は【七つの大罪】って言う七つの罪をそれぞれ司っているんだよ。今回の【リヴァイアモン】は【嫉妬の魔王】なんだよ。』

 

轡木

「【七つの大罪】…聞いた事はありますが、後は確か…」

 

太一

「【憤怒】【暴食】【色欲】【傲慢】【強欲】【怠惰】の6つだ。」

 

真耶

「あんなのが後6体もいるんですか!?」

 

マドカ

「そうだ。」

 

セシリア

「…【嫉妬】…わたくしの中に【リヴァイアモン】が住み着くほどの嫉妬があったのですね…」

 

太一

「そうなるな。」

 

セシリア

「あんな…あのような醜く巨大な姿がわたくしの中に…」

 

 セシリアは自分の中の嫉妬心が【リヴァイアモン】を引き寄せてしまった事にショックを受けていた

 

太一

「…気休めになるか分からないが、【リヴァイアモン】は初めからあの姿と大きさだ。お前の心が反映した訳じゃない。」

 

セシリア

「…でも、わたくしは…」

 

太一

「後悔しているなら顔を上げろ!前を向け!下を向いていたらまた付け込まれるぞ!【嫉妬】は誰の心にもある感情だ!それを受け入れ前に進め!!」

 

セシリア

「!?…八神さん…はい!!!」

 

千冬&真耶&轡木

「………」

 

 落ち込んでいたセシリアを叱咤激励するだけで立ち直らせた太一に、千冬や真耶、轡木は人としての格の違いを見せつけられていた

 

轡木

「…八神君…いや、八神さんと言った方がいいかな?」

 

 そのせいか轡木は太一をさん付けで呼び始めた

 

太一

「好きに呼べばいい。それで何だ?」

 

轡木

「では八神さん…貴方の言う【七大魔王】は何故この世界に来たのですか?」

 

太一

「ココが侵略しやすいからだ。」

 

全員

「え?」

 

太一

「この世界は女尊男卑と言う風潮で腐り果てている。100年もすれば人類は滅びるだろう。そんな世界なら侵略するのも簡単だと思ったんだろうな。」

 

全員

「………」

 

太一

「【イグドラシル】が俺を生き返らせたのもそれが理由だ。この世界じゃ男と言うだけで赤ん坊でさえ平気で殺す奴がいる。そんな、いつ殺されるか分からない世界に子供を送り込むわけにはいかないからな。」

 

全員

「………」

 

轡木

「…貴方の言う通りです…この世界は…神に祈りたくなるほどに…腐り果てています…」

 

千冬

「………」

 

太一

「神か…祈っても無駄だろうな…この世界はその神から見捨てられている様な世界だからな。」

 

全員

「!?」

 

真耶

「な、何でですか!?」

 

太一

「俺を生き返らせ送り込んだ【イグドラシル】はデジモン達の世界では神とも呼ばれる存在だ。その【イグドラシル】が俺を送り込んだのは侵略とは言え、デジモンが関わっているからだ。逆に言えばデジモンが関係しなければどうなってもいいと思ってるんだよ。」

 

真耶

「そ、そんな…」

 

太一

「デジモンの神とはいえこの世界は神に見捨てられた世界だ。だが、そんな世界にしたのはこの世界に住むお前達だ。」

 

全員

「………」

 

轡木

「…その通りです…この世界をここまで腐敗させたのは…ココに生きる私達です…」

 

マドカ

「まあ、そもそもの原因は【白騎士事件】を起こした奴だけどな。そう思わないか織斑先生?」

 

千冬

「!?」

 

 マドカの言葉に千冬は過敏に反応した

 それは、マドカが『お前のせいだ』と千冬と束にだけ分かるように言っているのだ

 

『マドちゃん…』

 

マドカ

「フンッ!」

 

千冬

「………」

 

轡木

「…それで八神さん…貴方はこれからどうするんですか?」

 

太一

「暫くはこの学園にいようと思う。もしかしたらオルコットの他にも【七大魔王】を宿す奴がいるかもしれないからな。」

 

真耶

「他にもいるかもしれないんですか!?」

 

太一

「その可能性があると言うだけだ。」

 

オータム

「まあ、もしいるようなら今度こそこの学園は壊滅するかもな。俺の前の職場の様にな。」

 

千冬

「…まさか…【亡国機業(ファントム・タスク)】を壊滅させたのは!?」

 

オータム

「【七大魔王】だ!【憤怒】と【強欲】を司る魔王の襲撃を受けたんだよ!」

 

轡木

「【亡国機業(ファントム・タスク)】ですと!?あの国際テロ組織の!?貴方は【亡国機業(ファントム・タスク)】の一員だったのですか!」

 

オータム

「ああ、それでどうする?俺を捕まえるか?」

 

轡木

「…いえ…今の話は聞かなかった事にします。貴方は八神さんのサポートの為にここにいる訳ですから【七大魔王】の脅威がある以上それは出来ません。何より貴方の言う通りならもう無いのですから。」

 

オータム

「クククッ…アンタいい性格してるぜ!」

 

轡木

「いえいえ…それで八神さんはこの学園にいるという事は良しとして…一番の問題はオルコットさんをどうするかですね…」

 

セシリア

「わ、わたくしですか?」

 

轡木

「はい。貴方は依り代になっていただけとはいえ大勢の生徒達の前であの様な姿になってしまいました。…残念ですが、貴方に対する生徒達の風当たりは厳しい物になるでしょう…」

 

セシリア

「そんな!?」

 

 轡木の言う通り、今の生徒達はセシリアを化け物として見ている

 例え本人が違うと言っても誰も信じてはくれない状況だった

 事情を知った以上、千冬達も何とかしようとはしてもその方法が思いつかなかった…

 

『なら束さんが何とかするよ。』

 

 そんな時に声を上げたのが束だった

 

全員

「!?」

 

千冬

「お前が!?一体どうする気だ?」

 

『簡単だよ。【七大魔王】への変化をISに植え付けられたウイルスって事にするんだよ。』

 

千冬

「そんな事で誤魔化せるのか?」

 

『別に嘘じゃないからね。【七大魔王】はウイルス属性のデジモンだし。それで少しは君に対する風当たりは軽くなると思うよ?』

 

セシリア

「ほ、本当によろしいのですか?」

 

『いいよ。その代わり君のISを束さんに暫く預けて貰うよ。【リヴァイアモン】に憑りつかれたISがどんな状態か調べておきたいんだよ。いいよねちーちゃん?』

 

千冬

「…私ではなくオルコットに聞くべきだろ…どうする?」

 

セシリア

「お願いします!!」

 

『分かった。じゃあ、明日の朝、生徒を全員集めておいて。そっちに行って直接説明するから、君の機体もその時に預かるからね。』

 

セシリア

「わ、分かりました!」

 

千冬

「お前が直接来て説明するのか?」

 

『その方が信じるでしょ?ついでにそこにいる奴らに言いたい事もあるしね。』

 

千冬

「言いたい事?」

 

『明日分かるよ。』

 

轡木

「それでは篠ノ之博士…明日、お越しになるのをお待ちしています。」

 

『うん、じゃあね。』

 

 束が電話を切ると、室内は静寂に包まれた

 

太一

「………さて、後は明日アイツが説明してくれるのを待つだけだな。…他に話す事はあるか?」

 

轡木

「いえ、ありません。織斑先生達は?」

 

千冬

「…私も…ありません…」

 

真耶

「私もです。」

 

轡木

「では今日はここまでにしましょう。…それから八神さん。」

 

太一

「ん?」

 

轡木

「申し訳ないのですが、オルコットさんを今晩貴方の部屋に泊めてあげてくれませんか?」

 

セシリア

「え!?」///

 

太一

「………周りの眼か?」

 

轡木

「…はい。…明日、篠ノ之博士が説明するまでは貴方といた方が彼女は安全かと思いまして…」

 

太一

「…オルコット…お前はどうする?」

 

セシリア

「は、はい!…その、よければ今晩…泊めて頂けると…」

 

太一

「分かった。なら急いで着替えを持って俺の部屋に来い。面倒が起きる前に移動しろ。」

 

セシリア

「わ、分かりました!!」

 

 セシリアは一人先に理事長室から出て行った

 

太一

「マドカ…お前も一緒に行ってやれ。念の為だ。」

 

マドカ

「分かった。」

 

 セシリアの後をマドカも着いて行った

 

太一

「俺も部屋に戻らせてもらう。…それから他の教師達への説明はあんた達に任せる。俺の事を正直に話すか、それとも明日の束の説明で誤魔化すか好きにしろ。」

 

 そう言って太一はアグモンを【デジヴァイス】に入れて理事長室から出て行った

 残された教師陣は…

 

轡木

「他の教師達への説明ですか…」

 

オータム

「俺は後者の案に賛成だ。説明が面倒だし…何よりアイツは一度死んで生き返った上に若返った人間だ。そこから欲望丸出しの奴らが狙うかもしれねえからな。」

 

 オータムも自分の意見を言って理事長室を後にしていった

 

轡木

「確かに彼女の言う通りですね。では明日、篠ノ之博士に説明して貰うと言う事にしましょう。よろしいですかな?」

 

千冬

「…はい…」

 

真耶

「それで構いません。」

 

轡木

「それでは申し訳ありませんが、お二人は皆さんにそう説明して下さい。」

 

千冬&真耶

「はい。」

 

轡木

「…ではこの話はここまでにしましょう…お二人に聞きますが、八神さんをどう思われますか?」

 

 教師達への対応も決まり轡木は話題を太一の事に変えた

 

真耶

「…私は何と言うか…格の違いと言うか…年季が違うと言うか…兎に角、自分が未熟者だと改めて思い知らされました…生徒達の暴言に気付きもしなかった私じゃ、教師を名乗る資格なんてあの人から見ればありませんよ…むしろ生徒の事を事細かく見ていた八神さんの方が教師に相応しいくらいです………自分は先生だって言って胸を張っていた自分が恥ずかしいです…そんな自分が今は酷く情けなく感じます…」

 

千冬

「…私は………彼が…羨ましいです…」

 

轡木

「羨ましい…ですか?」

 

千冬

「はい…軽く聞いただけでもあの男は自分の人生に満足していたみたいでした…あのアグモンと言うデジモンと共に真っ直ぐに、精一杯生きて、笑ってこの世を去ったのでしょう…ですが私は…満足に死ぬ事は出来ません…必ず後悔と罪悪感が付き纏います………私には…笑って死ぬ資格すらありません…」

 

真耶

「な、何でですか!?」

 

千冬

「………」

 

轡木

「…言えないのですね?」

 

千冬

「…すみません…こんな事を言っておいて…」

 

轡木

「いえ、誰にだって言いたくない事の一つや二つはあるものです。…ですが、貴方はそれが原因で八神さんの生き様が羨ましいんですね?」

 

千冬

「………はい…(私は10年も前に人としての道を大きく踏み外している…その罪は余りに深く大きすぎる…例え死んでも償いきれる事じゃない…私から見れば八神は光そのものだ…私にはもう歩く事すら出来ない光の道をアイツは真っ直ぐ歩いている…だから…羨ましいんだ!)」

 

真耶

「先輩…」

 

轡木

「織斑先生…私は何も聞きません…ですが、もし相談したくなったらいつでも言って下さい。」

 

千冬

「理事長!?…ありがとうございます…」

 

 千冬は轡木の気遣いに心から感謝していた

 その後、千冬と真耶は他の教師達に束の名前は出さずに明日、説明が行われる事を伝えた

 




 <予告>

 束が来るまでの間、太一の部屋で過ごす事になったセシリア

 リヴァイアモンとの戦いを経て太一への思いを募らせたセシリアは自分の気持ちを伝える

 太一はセシリアにどう応えるのか?

 そして、一夏への対応はどうするのか?



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 蒼き少女の想い 白い少年の評価

 今、冒険が進化する!


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第013話:蒼き少女の想い 白い少年の評価

 

 自室に戻った太一がアグモンとくつろいでいると…

 

 コンコン…

 

太一

「開いてるぞ…」

 

セシリア

「…失礼します…」

 

マドカ

「入るぞ。」

 

アグモン

「いらっしゃ~い!」

 

 セシリアとマドカがやって来た

 

セシリア

「…その…一晩お邪魔いたします…」

 

太一

「ああ…ベッドはそっちを使ってくれ…」

 

セシリア

「…はい…」

 

 セシリアは空いているベッドに荷物を置くと、太一に向き直った

 

セシリア

「…あ、あの…八神さん…」

 

太一

「ん?」

 

セシリア

「…その…お、お礼を…まだ言っていませんでした………た、助けて頂いて…ありがとうございます!!!」

 

太一

「…気にするな…俺は自分のやるべき事をやっただけだ…」

 

セシリア

「そ、それでも感謝してます!!本当に…ありがとうございます!!」

 

太一

「…ならその言葉を素直に受け取っておこう…」

 

セシリア

「は、はい!!」///

 

マドカ

「…オルコット…お前何かあったのか?今までと態度がガラリと変わってるぞ?」

 

太一

「言われてみるとそうだな?…何かあったのか?」

 

セシリア

「い、いえ!…何もありません………あ、あの…皆さん…」

 

太一&アグモン&マドカ

「ん?」

 

セシリア

「わ、わたくしの事は…セシリアとお呼びください!」

 

太一

「…そうか…なら俺も太一でいい。」

 

アグモン

「僕はそのまま呼べばいいよ。」

 

マドカ

「私も名前でいいぞ。」

 

セシリア

「はい♪よろしくお願いします!太一様♪アグモンさん♪マドカさん♪」

 

太一&アグモン&マドカ

「………ん?」

 

 セシリアが3人の名前を呼ぶと太一達はそのまま固まってしまった

 一人だけ呼び方がおかしかったからだ

 

太一&アグモン&マドカ

「………太一…『様』?」

 

セシリア

「はい♪」

 

マドカ

「お前頭でも打ったのか?」

 

 太一を様付けするセシリアにマドカは頭を負傷したのかと失礼な事を聞いて来た

 

セシリア

「いえ、打ってませんが?」

 

マドカ

「なら何で太一兄さんを様付けしてるんだ?」

 

セシリア

「そ、それは…太一様が…」///

 

マドカ

「…お前まさか…太一兄さんに惚れたのか?」

 

太一&アグモン

「は?」

 

 頬を染めるセシリアの様子からマドカは理由が分かってしまい、本人の前で確認してしまった

 

セシリア

「………はい…その…お慕い申しております!!」///

 

太一

「………セシリア…お前さっきの話を聞いてなかったのか?俺は体こそ15歳だが中身は95のジジイだぞ?」

 

セシリア

「年は関係ありません!!わたくしは命を助けて頂いた太一様に感謝しております!その時の凛々しいお姿を見て…その…ひ、一目惚れをしたんです!!」

 

 必死に自分の気持ちを太一に伝えるセシリアだが…

 

太一

「………悪いが俺にはお前の気持ちに応える事は出来ない。」

 

セシリア

「え…」

 

 太一の答えはNOだった…

 

太一

「俺はこの世界の人間じゃ無い…【七大魔王】を倒せばこの世界から消えるかもしれない存在だ。そんな奴に惚れても実を結ぶ事は無いぞ?」

 

セシリア

「そんな…」

 

太一

「俺を慕ってくれるのは嬉しいがその想いは忘れろ。お前の為だ。」

 

 セシリアの告白をキッパリと断る太一…だが…セシリアも諦めろと言われそれをすんなり受け入れる訳も無かった

 

セシリア

「………あ!?」

 

 その時、セシリアはある事に気付いた

 

セシリア

「…ですが!」

 

太一

「ん?」

 

セシリア

「【七大魔王】を倒しても残る可能性はありますわよね?」

 

太一

「…それは…」

 

 それこそがセシリアが気付いた事だった

 【七大魔王】を倒せば太一はこの世界から消えるのかと問われれば…それは太一本人にすら分からない事なのだ

 

セシリア

「太一様にも分からないんですね?」

 

太一

「………そうだ…」

 

セシリア

「でしたら…わたくしは太一様が【七大魔王】を全て倒し、貴方の使命が終わるその時までこの想いを持ち続けます!!」

 

太一

「…セシリア…」

 

セシリア

「もし、太一様がこの世界に残り続けるのなら、もう一度わたくしはこの気持ちをお伝えします!その時こそお応えください!!」

 

 セシリアの真剣な眼差しを受け…

 

太一

「…分かった…」

 

 …太一の方が折れた

 

セシリア

「ありがとうございます♪」///

 

太一

「はぁ~…まさかこの年になって告白されるとはな…」

 

 セシリアの告白を受け太一は盛大な溜息をついた

 95歳の自分が異世界に来て生活している上に、80歳も年下の少女に好意を持たれるとは思ってもみなかったからだ

 

マドカ

「人生色々あるって事だろ。」

 

太一

「あり過ぎだろ…」

 

アグモン

「太一!」

 

太一

「…アグモン…」

 

アグモン

「…頑張ってね♪」

 

太一

「ア~グ~モ~ン~!!」

 

 他人事みたいに言うアグモンに太一は…

 

太一

「他人事みたいに言いやがって!!こうしてやる!!」

 

アグモン

「アダダダダダッ!!ゴメンゴメン!許して太一~~~…」

 

 アグモンの頭を拳で挟んでグリグリする太一…

 だが、その顔はまるで怒ってはおらず笑っていた…

 アグモンも痛がってはいるが笑っていた…

 

マドカ&セシリア

「………」

 

 マドカとセシリアはそんな二人を見て喧嘩をしているのではなく、ただじゃれ合っているだけだとすぐに分かった

 そんな二人をマドカとセシリアは羨望の眼差しで見つめていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

太一

「それにしても…お前も物好きな奴だな?ゾンビの様な俺に惚れるとは…」

 

 一頻りアグモンと戯れた後、太一はセシリアに聞いてきた

 

セシリア

「太一様!!そうやってご自分を卑下するのはやめて下さい!!」

 

太一

「はいはい、だが、俺よりも一夏の方がいいんじゃないのか?」

 

セシリア

「冗談でもよして下さい!わたくしは別に織斑さんに対しては特別な感情は持っておりません!それに一週間前のあの方を見る限り、頭で考えるより先に口が出る人みたいですし、自分で自分の首を絞めるような自滅男に着いて行ったらわたくしまで巻き込まれてしまいますわ!!」

 

 一夏に対してキツイ事を言うセシリアだが、彼女は隣に誰がいるのかをすっかり忘れていた…しかし…

 

マドカ

「………セシリア…私は一夏兄さんの実の妹なんだが…」

 

セシリア

「あ!?その…すみません…」

 

マドカ

「いや、実は私もお前の言う事に納得してしまっているんだ…」

 

セシリア

「え?」

 

 意外な事に一夏の実の妹であるマドカは怒るどころかセシリアに同意していた

 

マドカ

「あの時は私も太一兄さんの言ってる通りだと思ったからな…まさか自分で自分を腐っているなんて言うとは思わなかった…しかも言った本人がそれを分かってないとは…」

 

太一

「マドカ…アイツは昔からああなのか?」

 

マドカ

「分からん!…一夏兄さんと別れたのは物心ついた頃だったからな…」

 

太一

「…そうか………さて…どうするかな…」

 

セシリア

「…どう…とは?」

 

太一

「アイツを護衛するかどうかだ…」

 

セシリア

「え?」

 

マドカ

「太一兄さんは束から一夏兄さんの護衛を頼まれているんだ。」

 

セシリア

「護衛…」

 

太一

「理由は言わなくても分かるだろ?」

 

セシリア

「…世界でも二人しかいない男性操縦者だからですね?」

 

マドカ

「いや、太一兄さんは元々この世界の人間じゃ無いから、一夏兄さんが世界でただ一人の操縦者になる。」

 

セシリア

「なるほど…ですから織斑さんを守る為に…」

 

太一

「そうなんだが…束にはアイツを護衛するかどうかは俺の判断で決めさせて貰うと言っている。」

 

セシリア

「…その基準は何なんですか?」

 

太一

「アイツが自分の身を守れるかどうかだ。出来るなら放っておくつもりだったんだが…」

 

セシリア

「太一様は…織斑さんに自分の身を守れるだけの力が無いと見たんですね…」

 

 セシリアは太一の言い方から一夏には自衛するだけの力が無いと分かった

 

太一

「ああ…」

 

セシリア

「…その場合はどうされるんですか?」

 

マドカ

「太一兄さんが護衛しながら鍛えるそうだ。」

 

セシリア

「そうなのですか…あの…太一様…」

 

太一

「ん?」

 

セシリア

「その時はわたくしもご一緒してもよろしいでしょうか?わたくしも鍛えて欲しいんです!!」

 

太一

「構わないが?」

 

セシリア

「ありがとうございます♪」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 コンコン…

 

太一

「ん?」

 

 突然扉を叩く音がしたので、太一が出ると…

 

千冬

「少しいいか?」

 

 千冬がやって来た

 太一はそのまま千冬を中に入れるが、マドカは千冬の姿を見ると目つきが僅かではあるが鋭くなった

 太一とセシリアは気付かなかったが、千冬はそれに気付いていた

 

千冬

「………」

 

太一

「それで用件は?」

 

千冬

「あ、ああ…他の教師達への説明は束に説明させる事にした。その事を伝えに来た。」

 

マドカ

「そうですか…ならもう用は無いですね?出て行って下さい。」

 

千冬

「!?…ああ…」

 

 マドカに出て行けと言われ千冬は落ち込みながら部屋を出ようとしたが…

 その後のマドカの言葉で足を止めた

 

マドカ

「所で…太一兄さんから見て…一夏兄さんはどう見えた?」

 

太一

「弱い!!」

 

 太一は一夏への評価をたった一言で表した

 そして、その言葉に千冬が反応し、部屋から出ようとしたところを踵を返し戻って来た

 

千冬

「八神…さん…今のはどういう意味…ですか…」

 

 太一の正体を知ってしまった為か千冬も太一に対してさん付け、敬語で話し始めた

 

太一

「そのままの意味だ!それもアイツは、力は勿論だが力以上に精神…心が弱すぎる!」

 

マドカ

「心?」

 

太一

「アイツは自分を過大評価する傾向があると俺は見ている。一週間前の代表を決める時がまさにそうだ。」

 

 太一に言われ3人は一週間前の一夏の事を思い出していた

 確かに、あの時一夏はセシリアに喧嘩を売り相手の実力も分からずハンデをやると言って見下していた

 その後、太一に自分の暴言が矛盾している事を指摘され凹んでいたが…

 

マドカ&セシリア&千冬

「………。確かに!」

 

 それに千冬も含めた3人は同時に頷いた

 

太一

「そして今日の【リヴァイアモン】との戦いの時だ。」

 

千冬

「あの時の事か…確かにそうだな…」

 

マドカ

「【リヴァイアモン】との戦いって…あの時何があったんだ?」

 

太一

「実はな………」

 

 太一は【リヴァイアモン】と戦う前に起きた事をマドカとセシリアに話した

 

太一

「………と言った事があってな…」

 

マドカ

「私が管制室に着く前にそんな事があったのか…」

 

セシリア

「【リヴァイアモン】に…魔王に戦いを挑もうとするなんて…」

 

マドカ

「確かに精神が弱いな…【リヴァイアモン】との力の差も分からないなんて…」

 

千冬

(一夏…お前と言う奴は…実の妹にまで呆れられてるぞ…)

 

 千冬は内心、マドカにまで呆れられている弟に情けない気持ちになっていた

 

太一

「ああ、俺や織斑先生がいくら止めても自分も戦うと言って聞かなくてな…余りにもしつこかったから《ガルルキャノン》を撃ち込んで黙らせたんだが…」

 

セシリア

「《ガルルキャノン》って…あの大砲を撃ち込んだんですか!?」

 

太一

「そうだ。1割で撃ったらSEが0になってそのまま気絶してたな。」

 

セシリア

「本当に1割の威力で倒せたんですか…」

 

太一

「ああ、SEが0になるのは分かるが気絶までするとは思わなかった…いくら何でも脆過ぎる。」

 

マドカ&セシリア&千冬

「………」

 

千冬

「…確かにな…あの時は非常事態だから気づかなかったが…言われてみると、いくら至近距離で撃たれたとはいえ…たった一発で気絶するとは…」

 

マドカ

「…太一兄さん…力も弱いと言ってたが…そっちの理由を聞いてもいいか?」

 

太一

「…理由も何も………今日までのアイツを見るとな…」

 

セシリア

「何があったんですか?」

 

千冬

「何も無かったんだ…」

 

マドカ&セシリア

「へ?」

 

 セシリアの質問に太一に変わり千冬が答えた

 千冬の答えに二人は間の抜けた声を上げた

 

太一

「その通り。マドカ…その事で聞きたい事があるんだが…」

 

マドカ

「聞きたい事?」

 

太一

「試合が始まる前に一夏と篠ノ之の話を聞いてたんだが、篠ノ之がアイツのコーチをしていたらしいな?何故お前が教えなかったんだ?俺はお前が教えると思ってたんだが?」

 

マドカ

「…質問を質問で返すようで悪いがどんな話をしていたんだ?」

 

太一

「…剣道だけでISに関する事は何一つしてないらしい。ISは実機が無いから出来ないと篠ノ之は言っていたが…」

 

セシリア

「本当なんですか?」

 

千冬

「本当だ。私も聞いていたからな…」

 

太一

「ああ、アイツの練習を少し見に行ったが剣道をしている所しか見ていない。」

 

セシリア

「何を考えてますの…」

 

 セシリアもまさか今日の試合の為に剣道だけしかしてなかったとは思わなかった

 

マドカ

「アイツ!自分に任せろと言っておいて何だそれは!!」

 

太一

「それで何故なんだ?」

 

マドカ

「…最初は太一兄さんの言う通り私が教えようと思ってたんだ。一夏兄さんも私に頼んで来ていたしな。」

 

セシリア

「?…では何故篠ノ之さんが教えていたんですか?」

 

マドカ

「実は一週間前…あの後の昼休みの時なんだが………」

 

 マドカはその時の事を思い出しながら太一達に話し始めた

 

マドカ

「…私は兄さんと篠ノ之の3人で食事を取っていたんだが、その時に兄さんが私にコーチを頼んで来たんだ。ところがその時、上級生が一人やって来て自分が教えてやると言って来たんだ。」

 

太一

「…マドカ…話の途中で悪いが、その後の展開が何となく分かったんだが…」

 

マドカ

「多分それで合ってるよ。」

 

セシリア

「え?どう言う事ですの?」

 

千冬

「…そう言う事か…」

 

太一

「その上級生を追い返す為に、篠ノ之が束の名前を出して自分が教えると言ったんだろ?」

 

マドカ

「その通り。それでその上級生は引き下がったんだが、アイツはそのまま自分が教えると言い出したんだ。兄さんは私に頼んでいたのにだ。」

 

セシリア

「それなら何故マドカさんは引き下がったんですか?織斑さんはマドカさんに頼んでいるのですから本人の意思を尊重すればいいのでは?」

 

マドカ

「私もそう言ったんだ。だがあの馬鹿は兄さんを睨みつけて無理矢理自分に変えたんだ。」

 

セシリア

「強引ですわね。そこまでして織斑さんを独占したいのでしょうか?」

 

マドカ

「そんな所だろ。」

 

セシリア

「妹相手でもですか…随分と【傲慢】な方ですわね。」

 

マドカ

「全くだ!」

 

太一

「それで本人の意思と言ったからお前は引き下がった訳か…そして、その結果があの体たらくとはな…」

 

マドカ

「そうなるな。あの役立たずめ!まさか勉強すらしていなかったとは!!この一週間剣道しかしてなかったら弱いに決まってる!!」

 

 マドカは怒りの表情をしながら箒に悪態をついていた

 

太一

「確かにな…だが、一夏自身にも問題はある。」

 

マドカ&セシリア&千冬

「え?」

 

太一

「篠ノ之が剣道しか教えなかったからとは言え、それを当日になって文句を言うのもおかしい!篠ノ之が剣道しか教えない事には2,3日もすれば分かるはずだ。それならアイツは自分で勉強をすればいい。参考書も新しいのを貰っている訳だから勉強が出来無い訳じゃ無い。」

 

マドカ

「確かにそうだな…」

 

セシリア

「太一様の言う通りですわね…」

 

千冬

「箒にも問題はあるが、一夏自身も問題があった訳か…あの馬鹿者共が…」

 

太一

「そうだ!つまりアイツの体たらくはアイツ自身の自業自得でもある。この一週間で一夏は成長と呼べる事を何一つしていない。多少打たれ強くなったぐらいだ。」

 

セシリア

「殆ど役に立たないではないですか…」

 

太一

「そうだな…アイツは体、知識、そして精神…全てが低すぎる!!」

 

マドカ&セシリア&千冬

「………」

 

 マドカとセシリアは一夏の今日までの行動を聞いて呆れ果てていた

 

太一

「その中でも特に精神が弱い!【リヴァイアモン】に戦いを挑もうとした時点でアイツは馬鹿だと分かる!!自分より圧倒的な力を持つ者を前にして考え無しで突っ込もうとしたんだからな!!」

 

千冬

「八神…さん…それは何も悪い事ではないと思うんですが?」

 

太一

「確かに先生の言う事にも一理ある。だがそれは試合の場合だけだ。」

 

マドカ&セシリア&千冬

「試合…」

 

太一

「今日行われる予定だった試合なら俺は別に何も言うつもりは無い。一夏が突っ込もうが、返り討ちに会おうが、自滅しようが好きにすればいい…だが【リヴァイアモン】との戦いは命を懸けた戦い!敗れれば死ぬ事になる戦いだ!!時には退く事も必要な事だ!!!」

 

マドカ&セシリア&千冬

「………」

 

太一

「アイツはその違いが分かってない!!命知らずとも違う!!勇気と無謀の区別がつかないただの馬鹿だ!!」

 

マドカ

「…流石に言い過ぎな気もするが…太一兄さんがそう言うならそうなんだろうな………それで一夏兄さんをどう鍛えるんだ?」

 

太一

「…まずはアイツの実力を俺が直接計る。試合が普通に行われていればその手間も省けたんだがな…」

 

セシリア

「…すみません…」

 

太一

「別にお前を責めてる訳じゃ無い。それに…アイツの機体に関して少し気になる事があるしな…」

 

マドカ&セシリア&千冬

「気になる事?」

 

太一

「…束からの情報にあったんだが…アイツの機体…【零落白夜】が使えるらしい…」

 

マドカ&セシリア

「!?」

 

千冬

「【零落白夜】か…」

 

 太一の口にした【零落白夜】と言う言葉に二人は反応した

 千冬は太一が何を言わんとしているのかが分かった

 

太一

「同じ能力を使っていた織斑先生なら分かると思うが…詳細を見る限りあれはかなり危険の能力だ…アイツがその危険性に気付いているのかも確認する必要がある………とは言っても、多分と言うか絶対気づいてないだろうな…」

 

マドカ&セシリア

「………」

 

千冬

「…そうですね…」

 

 今迄の一夏の評価から、太一は【零落白夜】を一夏が使いこなせるとは思っていなかった

 千冬もそれに同意していた

 

太一

「まあ、後は明日の束の説明の後だな………そう言えば織斑先生…クラス代表はどうなるんだ?」

 

千冬

「明日、束の説明が終わった後HRで決めるつもり…です。」

 

セシリア

「織斑先生…わたくしは辞退します。…あの様な事をしてしまいましたから…」

 

千冬

「…分かった。なら一夏で決定だな。」

 

マドカ

「やはりそうなるか…太一兄さんじゃ強すぎて無理だからだろ?」

 

千冬

「…ああ…ココに来る前にクラス代表の事で少し話したんだが…他のクラスから八神さんは代表にしないでくれと頼まれた…」

 

太一

「そうか…まあ、俺もやるつもりは無いから丁度いい………それから織斑先生…俺に対して敬語とさん付けはやめろ。」

 

千冬

「い、いやしかし…そちらの方が年上だし…」

 

太一

「ココでの俺は15の子供だ。山田先生ならともかく、アンタが敬語で話すと周りから色々言われるし、俺の正体もバレるかもしれん。」

 

千冬

「…分かりまし…いや、分かった!」

 

太一

「それでいい!」

 

 その後は太一達は軽く話をした後、マドカと千冬は部屋から出て行き、この日を終えた

 




 <予告>

 リヴァイアモンとの戦いから一夜明けたIS学園

 セシリアに対する生徒達の反応は予想通りの物だった

 そして、生徒達を集め説明をする為に現れる束

 だが、束は生徒達に説明するだけでなくISとは何かを問いかけるのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 束の問い掛け

 今、冒険が進化する!



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第014話:束の問い掛け

 

 一夜明け、太一はセシリアと寮を出て学園の体育館に向かっていた

 その途中で…

 

一夏

「太一!!」

 

 険しい表情をした一夏と出会った

 

太一

「一夏か。何か用か?」

 

一夏

「用かじゃねえ!!お前!昨日のアレはどう言うつもりだ!!」

 

太一

「アレ?」

 

一夏

「俺をいきなり大砲で撃っただろうが!?」

 

太一

「ああアレか…邪魔だったからああしただけだ。」

 

一夏

「じゃ、邪魔だと!俺はお前と一緒に戦おうと…」

 

太一

「それが邪魔だと言ってるんだ。あの場にお前がいても足手纏いなだけだ。第一、お前は織斑先生から避難しろと言われていただろ?織斑先生はお前に戦えとは一言も言って無いぞ。」

 

一夏

「ぐっ…そ、それでも…」

 

太一

「あの時のお前は何を言っても戻りそうになかったからな。お前の説得に時間をかけている間に学園を破壊されたら元も子もないだろ?だからああ言う手段を取らせて貰っただけだ。」

 

一夏

「ううっ!」

 

太一

「それにあのワニは俺がフルパワーで撃った大砲でもピンピンしていたんだぞ。大砲1発でSEが0になった上に、アッサリ気絶したお前に何が出来る?それも本来の1割で撃った砲撃でだぞ。」

 

一夏

「あれで1割だと!?」

 

太一

「そうだ。そもそも避難指示を無視したお前に文句を言われる筋合いは無い。」

 

一夏

「くっ…」

 

 太一は正論を言って先を進もうとした時…

 

太一

「なにより…ド素人のお前に俺の背中を預けられる訳無いだろ。」

 

一夏

「!?」

 

 最後にそう言って太一はセシリアと行ってしまった

 残った一夏は…

 

一夏

「…背中を預けられる訳無い…だと…」

 

 太一の最後の言葉に悔しさに顔を歪めていた

 

一夏

「…クソッ………チクショオオオオオォォォォォ―――――ッ!!!!!」

 

 悔しさから声を上げて叫んだ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一夏と別れ体育館に向かいながら太一は…

 

太一

「…言い過ぎたか?」

 

 後ろから聞こえてきた叫び声から自分が言い過ぎたのではないかと考えていた

 

セシリア

「いえ…ココは一度ハッキリ言った方がいいと思いますわ。」

 

太一

「それならいいんだが…」

 

セシリア

「あの…太一様…」

 

太一

「ん?」

 

セシリア

「先程仰っていた事なんですが…太一様が背中を預けられる相手というのは?」

 

太一

「当然アグモンの事だ!アグモン以外に背中を預けられる奴なんて俺にはいない!…そうだろアグモン?」

 

 太一は【デジヴァイス】を取り出すと中のアグモンに聞いて来た

 

アグモン

『モチロンだよ!僕も太一以外に背中を任せられる相手はいないよ!』

 

セシリア

「…やはりアグモンさんなんですね…」

 

太一

「それがどうかしたのか?」

 

セシリア

「いえ、他意は無いんです。…ただ、それ程お互いを信頼しているお二人が羨ましんです…わたくしにはそんな人がいませんでしたから…」

 

太一

「…本当にそうなのか?」

 

セシリア

「え?」

 

太一

「お前は俺達とは違う。信頼の仕方は人それぞれだ。よく思い出してみろ?お前にも気の置ける相手がいる筈だ。」

 

 セシリアはそう言われ自分の周りにいる者たちの事を思い返していた…そして…

 

セシリア

「あ!?」

 

太一

「いるんだろ?」

 

セシリア

「はい!メイドのチェルシー…彼女はわたくしの良き相談相手でした!」

 

太一

「ならいないなんて言うな。それから、そう言う人は大事にしろよ。」

 

セシリア

「はい!ありがとうございます!!」

 

 セシリアがお礼を言うと二人は体育館の前に来ていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 体育館の中に入るとそこにはIS学園の教師と生徒が集められていた

 

 ヒソヒソ…

 

 そして、セシリアの姿を見つけた生徒達は小声で話し始めた

 

セシリア

「………」

 

 生徒達が列を作って並ぶ中…

 セシリアは太一と共に真耶の隣にいた…

 それから暫くして一夏を含めた生徒が全員集まると…

 

千冬

「全員静粛に!!」

 

全員

「………」

 

 千冬が壇上の上に現れると一気に静まり返った

 

千冬

「今日、諸君を全員集めたのは他でもない!昨日起きた事の説明をする為だ!」

 

 ザワザワ…

 

 千冬のその言葉に全員が騒めき出したが…

 

千冬

「静まれ!!」

 

 千冬の一言で再び静まり返った

 

千冬

「説明に関してだが、私ではなくより詳しい者に行ってもらう!全員驚くだろうが静かにしているように!!」

 

全員

「………」

 

千冬

「…では、頼むぞ!」

 

 千冬がそう言って横に逸れると、壇上の裏から一人出てきた…それは…

 

「ハ~~~イ♪皆のアイドル♪篠ノ之束だよ~~~♪」

 

 ISの生みの親…篠ノ之束だった

 

全員

「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――っ!!!!!!」

 

「ね、姉さん!?」

 

一夏

「どうしてココに束さんが!?」

 

 突然現れた束の姿に生徒たちは混乱していた

 特に束の妹の箒と知り合いの一夏が一番驚いていた

 

千冬

「全員静まれと言っている!!!」

 

 千冬が怒鳴り声をあげ、全員を再び黙らせた

 

千冬

「…束…始めてくれ…」

 

「ハイハ~イ♪さて、この束さんがわざわざ君達の為に説明しに来てやったよ。先に言っとくけど説明は1回しか言わないし、途中からの質問は許さないからね。後、騒ぐようなら話を途中で切り上げるからね!」

 

全員

「………」

 

「…では説明しよう!まず昨日、君達も知っているとは思うけど、そこにいるイギリスの子のISがデカいワニに変化したよね?」

 

 束の言葉に全員が無言で頷いた

 それを見たセシリアは顔を俯かせていた

 

「実はね…アレはISのコアに感染している新種のウイルスによる変化なんだよ!このウイルスを束さんは【SINウイルス】と呼んでる。」

 

全員

「!?」

 

 【SINウイルス】…【SIN】は『罪』…【七大魔王】が司る【七つの大罪】から束が考えた名称だった

 

「…と言っても全部のISじゃないよ。色々調べたら【SINウイルス】は全部で7つ。つまり7機のISコアに感染してるって事だよ。」

 

全員

「………」

 

 全てのISでは無いと言う束の言葉に生徒達は安堵の表情を浮かべていた

 

「ここまで言えば分かるよね?イギリスの子のISにはその【SINウイルス】の一つが感染してたんだよ。そして、【SINウイルス】が発動すると昨日みたいに搭乗者ごと取り込んであんな化け物にISを変化させるんだよ。」

 

全員

「!?」

 

「しかもこのウイルスはどのコアに感染してるか束さんですら見分けがつかないんだよ。発動して初めて分かる代物なんだよね~。まあ、そんな訳で【SINウイルス】に感染したコアを使っていたイギリスの子は運が無かったとしか言いようがないんだけどね。…ちなみに【SINウイルス】を造った奴はもう死んでるよ。だから捕まえる事は出来なくなっちゃったけどね。」

 

セシリア

(篠ノ之博士…ありがとうございます!!)

 

 セシリアは心の中で束に感謝をした

 

「そして、たっくん…八神太一のIS【ロイヤルナイツ】はその【SINウイルス】に感染したISを唯一倒す事が出来る機体なんだよ。」

 

全員

「!?」

 

「だからってたっくんから奪い取ろうなんて考えない方がいいよ!【ロイヤルナイツ】はたっくん以外には誰も使えないようなってるし、束さんでも登録を変更する事は出来ない。するつもりもないけどね。」

 

全員

「………」

 

 生徒の何人かはその言葉に悔しそうな表情を浮かべていた

 それを見た束は内心舌打ちをした

 

「(ふんっ!)たっくん以外は【SINウイルス】に対抗出来ない。だから束さんはたっくんを全面的にバックアップしている。もし、たっくんのISを奪おうとしたり、【SINウイルス】との戦いを邪魔する様なら誰であろうと束さんは許さない!!…例えそれが…実の妹でもね!!それを覚えておけ!!!」

 

全員

「!?」

 

「ね、姉さん…」

 

一夏

「束さんが…あんな事言うなんて…」

 

 実の妹でも許さない…それは束と言う人間をよく知る一夏や箒からすれば信じられない言葉だった

 何より太一をあだ名で呼んでいる事が二人には信じられなかった

 

「束さんからの説明は以上だよ。………それとね…折角ココに来たわけだから…束さんは君達にいくつか言いたい事と聞きたい事があるんだよ。」

 

全員

「?」

 

「君達さ…ISを何だと思ってるの?」

 

全員

「え!?」

 

「ISはさ…束さんが宇宙に行く為だけに造った物なんだよ。それをスポーツとして使う分にはまだ束さんは許せるよ。でもさ、君達はそのISを何に使ってるの?何て呼んでるの?」

 

全員

「!?」

 

「確かにISは女にしか動かせないよ?まあ、ココには例外が二人いるけどそれは今はいいよ。けどさ、いつからISは男を見下す為の道具になったの?いつからISが女の象徴何て呼ばれるようになったの?束さんは一度だってそんな風に使った事も呼んだ事も無いよ?」

 

全員

「………」

 

「じゃあさ?今この場で束さんがISのコアを全部使い物にならなくしたら自分がどうなると思うの?」

 

全員

「………」

 

「…答えられないなら言ってあげようか?…今まで虐げてきた人達に報復と言う名の復讐をされるよ!何ならこの後、一時的にコアを全部止めてみようか?それを世界中に知らせたらどうなるだろうね?」

 

全員

「!?」

 

生徒1

「や、やめて下さい!?」

 

生徒2

「そんな事されたら!?」

 

「さっき言った通りになるだろうね。でもそれは自業自得。やられたからやり返されるだけだよ?むしろ仕返しって理由があるだけまだマシだよ。気に入らないだの機嫌が悪いだの理由とも言えない事を言う奴等に比べればまだ理由として納得出来るからね!」

 

全員

「………」

 

「そもそもさ、君達が男を見下すのは勝手だよ?個人の自由だから好きにすればいいよ。でもさ、そこにISを持ち出さないでくれる?君達にそんな使い方されているのを見るとさ…ハッキリ言って不愉快なんだよ!!」

 

全員

「!?」

 

「…まあ、踏ん反り返っていられるのも今の内だけどね。」

 

全員

「え?」

 

「束さんの今している研究を教えてあげるよ。…それはね…ISを完成させる事…つまり男女両方使えるISを開発する事だよ!」

 

全員

「!?」

 

生徒1

「ま、待ってください!!」

 

生徒2

「そんな物を造られたら!!」

 

「待て?そんな物?それどう言う意味かな?」

 

生徒1&2

「!?」

 

「束さんはこれでも科学者なんだよ。だからISの欠点…女しか動かせないって言う欠陥を直そうって言ってるんだよ。それがいけない事なのかな?未完成の発明を完成させる事がそんなにいけない事なのかな?」

 

全員

「………」

 

「フンッ!君達がどう思おうと束さんはこの研究を止めない。…【インフィニット・ストラトス】…【無限の成層圏】の名前の通り無限の空…宇宙に向かう為に完成させるだけだよ!!」

 

全員

「!?」

 

「束さんの話は以上だよ!…【無限の成層圏】…その意味と君達のその腐った考えとの違いを考えるんだね!」

 

全員

「………」

 

「あ!それからイギリスの子はISを預かるから着いて来て。たっくんも少し話したいから一緒に来てね。」

 

全員

「!?」

 

「ほら行くよ~♪」

 

 全員が驚く中、束は太一とセシリアを連れて体育館から出て行った

 その後をマドカとオータム、千冬も着いて行った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 太一達は束に連れられ学園前の校門に移動していた

 束は拡張領域から自家用の人参型ロケットを出していた

 

セシリア

「…篠ノ之博士…こちらが【ブルー・ティアーズ】です。それからこちらは機体のスペックデータになります。…調査の件、よろしくお願いします。」

 

 セシリアは束に待機状態の【ブルー・ティアーズ】を預けていた

 

「うん。確かに預かったよ♪」

 

セシリア

「はい。…あの、どのくらいで戻ってきますか?」

 

「う~ん…それは調べて見ない事には何とも言えないね~…多分、早くても2、3日はかかると思うよ?まあ調査が済んだらちゃんと返すからそこは信用していいよ!」

 

セシリア

「分かりました…それから…篠ノ之博士…」

 

「ん?」

 

セシリア

「申し訳ありません!!」

 

「何が?」

 

セシリア

「…先程、博士はISは女性の象徴ではないと仰いました…実は…わたくしもISをそのように考えておりました!」

 

「………」

 

セシリア

「…博士のISに対する思いも考えず…勝手な考えを持ってしまい…本当に申し訳ありませんでした!!」

 

「気にしなくていいよ。」

 

セシリア

「え?…で、ですが…先程は…」

 

「束さんがさっき言った事は本当だよ。女の象徴なんて物にされているのは腹が立つよ。でも、君は言う必要が無いのに束さんにちゃんと謝った。だから君に対しては束さんは何も言うつもりは無いよ。」

 

セシリア

「あ、ありがとうございます!!」

 

「それにしても…君みたいに謝りに来る事を少しは期待したんだけどね~…やっぱり無理だったみたいだね~…」

 

千冬

「束…悪いがそれは無理だ。こいつ等以外は教室に戻らせたからな。」

 

「な~んだ!つまんないの!」

 

セシリア

「篠ノ之博士…それと…」

 

「ん?」

 

セシリア

「先程の説明で弁護して頂き…ありがとうございます!!」

 

「そっちも気にしなくていいよ。本当の事を言う訳にもいかないから吐いた嘘だからね。」

 

セシリア

「それでも感謝しております!」

 

「ふむ…ならそのお礼は素直に受け取っておくよ♪…え~っと…名前…何だっけ?」

 

セシリア

「セ、セシリア・オルコットです!」

 

「ふむ、セシリアちゃんだね。覚えておくよ。」

 

セシリア

「は、はい!」

 

千冬

「………」

 

 セシリアの名前を覚えておくと言う言葉を千冬は信じられなかった

 自分と一夏、箒以外の人間は例え実の親であろうと道端の石ころ程度にしか思わない束が太一やオータムだけではなく今日会ったばかりのセシリアの名前を覚えたのだ

 束と言う人間を知っていれば驚いて当然である

 その後、束は太一と暫く話した後…

 

「じゃあ、束さんはもう行くね♪」

 

 帰る事にした束がロケットに乗り込もうとした

 その時…

 

「姉さん!!」

 

 妹の箒が一夏と共にやって来た

 

「おや箒ちゃん♪久しぶりだね~♪」

 

「…そうですね…」

 

「そう言えば挨拶してなかったね♪ゴメンね~今、色々と忙しくてね♪」

 

「い、いえ…気にしないでください…先程の話で忙しいのは分かりましたから…」

 

千冬

「…所でお前達…何故ココにいる?教室に戻る様に言われている筈だが?」

 

一夏&箒

「!?」

 

千冬

「束の妹や知り合いだから許されるとでも思ってるのか?」

 

一夏&箒

「………」

 

 千冬の言う通りこの二人は教室に戻れと言う指示を無視してココに来ていた

 

千冬

「まあ篠ノ之は構わん。久しぶりに会えた姉だからな。積もる話もあるだろうから少しくらいなら許してやる。だが織斑…お前は別だ!」

 

一夏

「………」

 

千冬

「何しに来た?」

 

 千冬に睨まれながら一夏は意を決して用件を話し始めた

 

一夏

「た、束さん!俺の【白式】を強くしてください!」

 

「は?何で?」

 

一夏

「俺も昨日の奴と戦う為です!太一の【ロイヤルナイツ】みたいに俺があの化け物を倒したいんです!!」

 

 【七大魔王】を自分が倒す…その為に【白式】を強化してくれと一夏は言って来たのだ

 それを聞いた千冬は…

 

千冬

「馬鹿かお前?」

 

一夏

「ち、千冬姉!?」

 

 呆れながら一夏の言う事をあっさりと切り捨てた

 

千冬

「束の話を聞いてなかったのか?アレは八神でなければ倒せないと言っていただろ?」

 

一夏

「で、でも、束さんならあの化け物を倒せる機体を…」

 

「造れないよ。」

 

一夏

「…え?」

 

「だから造れないの!たっくんの【ロイヤルナイツ】並の機体を造る事なんて束さんでも出来ないよ!精々サポートする機体が造れる程度だよ。」

 

一夏

「そ、そんな!?」

 

「大体さ?仮に造れたとしていっくんにその機体を扱えるの?」

 

一夏

「え?」

 

「いっくん…何か勘違いしてない?ISって誰が乗っても同じじゃ無いんだよ?同じならいっくんよりちーちゃんを乗せた方が戦果を挙げられるでしょ?だから機体の性能が高ければ高いほど使う人間の能力もそれに見合ったものじゃないと駄目なんだよ?」

 

千冬

「一夏…お前はそんな機体を扱えるのか?昨日【白式】を貰ったばかりのお前が?碌にISに乗った事も無いお前が?」

 

一夏

「………」

 

千冬

「そもそもお前は今の【白式】を完全に使いこなした上で束に【白式】を強くしろと言っているのか?」

 

一夏

「そ、それは…」

 

 一夏は千冬の言葉に黙り込んでしまった

 【白式】を使いこなしているかと聞かれれば、一夏は全く扱えていないからだ

 

千冬

「使いこなせてないならそんなふざけた事を言うな!今のお前の台詞は【白式】その物を否定する言葉だ!!」

 

「そうだね。ちーちゃんの言う通りそんな事を言う人の機体を弄る気は束さんには無いよ。」

 

一夏

「た、束さん!?」

 

 一夏は束の言葉が信じられなかった

 自分の知る束なら頼めばやってくれるだろうと思っていたからだった

 

「いっくんの用件がそれだけなら束さんはもう行くよ!早くこのISを調べたいからね♪」

 

 そう言って束はセシリアから預かった【ブルー・ティアーズ】を一夏に見せた

 

一夏

「………」

 

「そうそういっくん?」

 

 ロケットに乗り込もうとした時、突然束が思い出したように一夏を呼んだ

 

一夏

「!?」

 

「もしいっくんがその【白式】を完全に使いこなせる様になれば、その時は束さんが強化してあげるよ。」

 

一夏

「ほ、本当ですか!?」

 

「本当だよ♪…それでもたっくんの【ロイヤルナイツ】には敵わないけどね!」

 

一夏

「そ、そう…ですか…」

 

「箒ちゃん、また今度ゆっくり話そうね♪」

 

「…そうですね…」

 

「じゃあね~♪」

 

 束はそう言うとロケットに乗り込み飛んで行ってしまった

 ロケットが見えなくなると…

 

千冬

「全員教室に戻るぞ!織斑、篠ノ之、お前達は後で勝手に出てきた事で説教だ!!」

 

一夏&箒

「…はい…」

 

 二人はこの後に待っている千冬の説教に凹んでしまった

 




 <予告>

 束が帰り、教室に戻った太一達

 セシリアは改めてクラスメイト達に謝る

 クラスメイト達もセシリアの謝罪と束の説明を受け彼女を非難しようとはしなかった

 そして、クラスの代表が決定した



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 クラス代表決定

 今、冒険が進化する!



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第015話:クラス代表決定

お気に入りが400越えました!!

これからも頑張ります!


真耶

「と言う事で…クラス代表は織斑君に決定しました♪1繋がりでゴロもいいですね♪それでは皆さん拍手♪」

 

 パチパチパチパチ…

 

一夏

「………何で?」

 

 一夏はこの状況が分からなかった

 

一夏

(ええ~っと、何でこんな事になったんだっけ?…確か…千冬姉達と教室に来たら………)

 

 一夏は教室に来てからの事を思い返した…

 

一夏

(…HRを始めて…まず最初に…クラス代表を決める事になって…それで………さっきの山田先生の台詞だな…あれ?)

 

真耶 

「それでは織斑君♪無事に代表に就任したのでクラスの皆に一言お願いします♪」

 

一夏

「いやちょっと待って下さい!俺はやるなんて言ってませんよ?何で俺がやる事になってるんですか?オルコットは?太一は?」

 

真耶

「ああ、それはですね…」

 

セシリア

「わたくしが辞退しました!」

 

一夏

「え?辞退?」

 

セシリア

「はい!それで織斑先生…発言の許可を頂きたいのですが…」

 

千冬

「いいだろう。」

 

 千冬から許可を貰うとセシリアは教壇の前に来て…

 

セシリア

「皆様…先日は申し訳ありませんでした…」

 

 頭を下げて謝った

 謝罪するセシリアに対してクラスメイト達は…

 

生徒1

「気にしなくていいよ!」

 

生徒2

「篠ノ之博士の説明でオルコットさんが悪い訳じゃ無いんだし!」

 

生徒3

「運が悪かっただけだよ♪」

 

 束の話を信じ、セシリアに対して非難することは無かった

 

セシリア

「皆様…ありがとうございます!!」

 

真耶

「…と言う訳でオルコットさんは辞退しました♪」

 

一夏

「じゃ、じゃあ太一は?」

 

千冬

「八神は無理だ。」

 

一夏

「何で!?」

 

千冬

「昨日の騒動の後、各クラスの担任から頼まれてな…」

 

一夏

「え?」

 

千冬

「…八神は代表にしないでくれと言われた。」

 

全員

「…え?」

 

千冬

「お前達も知っての通り八神は昨日のあの大ワニを倒した。そんな奴が代表になったら勝てないから別の奴にしてくれと頼まれたんだ。」

 

全員

「………」

 

 千冬のその言葉に誰も何も言えなくなってしまった

 

千冬

「その為、推薦されて残ったのはお前だけだ。お前がやれ!拒否権は無い!!」

 

一夏

「そ、そんな…」

 

千冬

「いい加減諦めろ!!」

 

一夏

「………はい…」

 

真耶

「それでは織斑君、改めて皆さんに一言お願いします♪」

 

一夏

「え?あ、はい…え~…が、頑張ります!」

 

 ズコッ!

 

 全員がズッコケた

 

一夏

「アレ?駄目?」

 

 ガンッ!

 

千冬

「駄目に決まってるだろ!もう少しマシな事を言え!!」

 

 千冬からダメ出しを言われながら殴られる一夏だった

 

一夏

「す、すみません…」

 

千冬

「織斑…これでお前は代表になった訳だが…さしあたってお前がする事は2週間後に開かれるクラス代表対抗戦に出る事だ。」

 

一夏

「クラス代表対抗戦?」

 

オータム

「その名前の通り各クラスの代表が行うトーナメントだ。ちなみに優勝したクラスの全員には学食デザートのフリーパス半年分が配られる事になってるぞ。」

 

全員

「ワアアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーッ♪」

 

生徒1

「織斑君!絶対勝ってね!!」

 

生徒2

「フリーパスゲットだよ!!」

 

生徒3

「皆の幸せは織斑くんに託された!!」

 

一夏

「お、おう…」

 

千冬

「お前達の意気込みに水を差す様で悪いが…今のままでは織斑は優勝出来んぞ。」

 

一夏

「え?」

 

生徒1

「何でですか!?」

 

千冬

「コイツには優勝するだけの実力が無いからだ。」

 

一夏

「そ、そんな事…」

 

千冬

「違うのか?昨日八神の大砲1発で気絶したお前が?この一週間、勉強らしい事も、訓練らしい事もしなかったお前が?」

 

一夏

「!?…それは…」

 

千冬

「私は対抗戦の賞品はどうでもいい。だが、自分の受け持つクラスの代表に無様な姿を晒して欲しくは無い!」

 

一夏

「………」

 

千冬

「だからお前には試合当日まで放課後の間は八神兄妹とオルコットの特訓を受けて貰う!」

 

一夏

「太一とマドカにオルコットが!?」

 

 千冬は太一達3人に一夏の訓練をさせると言うが、それを聞いて黙っていられない者がいた…

 

 バンッ!

 

「必要ありません!!一夏の訓練は私がしています!!」

 

 一夏の訓練は自分の担当だと言い張る箒だった…だが…

 

マドカ

「役立たずは引っ込んでいろ!」

 

 この1週間の箒の訓練内容を聞いたマドカが同じ様に黙っていられる訳も無かった

 

「何!?今なんて言った!?」

 

マドカ

「役立たずと言ったんだ!お前…この1週間何していた!!」

 

「何って…」

 

マドカ

「お前、昨日の試合までの1週間…一夏兄さんに剣道しか教えなかったらしいな?さっき織斑先生が言った勉強も訓練もしなかったって言うのはお前に対しても言った言葉だぞ!!」

 

「うっ…」

 

マドカ

「お前1週間前私に何て言った!一夏兄さんは最初私に訓練を頼んだ!それをお前が横から自分がやると言って横取りしたんだろうが!!それでやった事が剣道だけか!!ISの試合に剣道だけやって何の意味がある!!!」

 

「そ、それは…練習しようにも…」

 

マドカ

「機体が無いから出来なかったと言うつもりか?それならそれで勉強すればいいだけだろうが!ましてお前は兄さんと同室だ!!勉強する機会ならいくらでもあった筈だ!!!」

 

「ぐ…」

 

一夏

「ま、待てよマドカ…そこまで言わなくても…」

 

 マドカを止めようと仲裁に入る一夏だが、それを見た太一は…

 

太一

「…一夏…何故お前が口を挟むんだ?」

 

一夏

「え?何言ってんだよ…俺の事で言い合ってるからだろ!」

 

太一

「確かに内容はお前の事だが…お前は自分の今の状況が分かってるのか?」

 

一夏

「え?何の事だ?」

 

太一

「やはり分かってないか…なら言わせて貰うがこの1週間の間の出来事はお前にも問題があるんだぞ?」

 

一夏

「お、俺?」

 

 …一夏の体たらく振りを指摘し始めた

 

太一

「そうだ。まずお前は昨日ピットで篠ノ之に剣道しかしてないって愚痴ってたな?」

 

一夏

「え?あ、ああ…」

 

太一

「お前にそんな事を言う資格があるのか?」

 

一夏

「え?」

 

太一

「確かにお前があの時言った通り剣道しか教えなかった篠ノ之は悪い。マドカの言う通りそいつは役立たずもいいところだ。」

 

「き、貴様!?」

 

 マドカと同じように自分を役立たずと言う太一を睨みつける箒だが、太一は箒の視線など一切気にせず話を続けた

 

太一

「だがな一夏?篠ノ之が剣道しか教えないのは2,3日もすれば気付く筈だ。それなら何故お前は自分で勉強しなかった?新しい参考書は貰っていたから勉強が出来なかった訳じゃないだろ?」

 

一夏

「!?」

 

太一

「自分では何もせずに他人任せにしていたお前が当日になって篠ノ之に文句を言うのはお門違いじゃないのか?」

 

一夏

「うっ…ぅぅっ…」

 

太一

「つまり怠け者のお前には初めから文句を言う資格も、マドカの仲裁をする資格も無いと言う事だ。」

 

一夏

「………」

 

太一

「だから俺達がお前のその軟弱な怠け根性を叩き直す!放課後はアリーナの時間一杯まで俺とセシリアによるISの訓練!その後はマドカに知識を詰め込ませる!!飯と風呂と寝る時以外は休めると思わない事だ!!」

 

一夏

「そ、そこまでするのか!?」

 

太一

「そこまでだと?本当なら睡眠時間を削って、朝と授業の間の休憩も使うところだ。」

 

一夏

「そ、そんな…いくらなんでもやり過ぎだろ!!」

 

太一

「碌な勉強も訓練も何一つしなかったお前が他の連中に追いつくにはそれくらいしないと無理だと思うが?」

 

一夏

「ぐっ…で、でも…」

 

太一

「そんなにやりたくないのか?それならそれで俺は構わんぞ?」

 

一夏

「え?」

 

太一

「篠ノ之との訓練でいいと言うならそれでいいと言ってるんだ。…だがそうだな…今日の放課後は俺との訓練に付き合え。ああは言ったがお前の実力が分からないからそれを見ておきたい。」

 

一夏

「…分かった…」

 

太一

「それから、俺との訓練が嫌だと言うなら今後お前が泣きついて来ようと俺はお前の訓練は()()にしないからな。俺もやる事があるから本当ならお前の相手をする時間も惜しいからな。」

 

一夏

「!?…何…だと…」

 

「ならお前は引っ込んでいろ!一夏の訓練は私が引き続きやる!!」

 

マドカ

「また剣道だけか?」

 

「ぐっ!今日からはISを使った訓練だ!!だからお前達は必要ない!!」

 

太一

「…一夏…篠ノ之はこう言ってるがお前はどうする?このまま篠ノ之に教わるか、俺にしごかれるか、好きな方を選べ。」

 

 太一は自分達に教わるか箒に引き続き教わるか選べと言った

 そして、一夏の答えは…

 

一夏

「…俺は………このまま箒に教わる!!」

 

「一夏♪」

 

 箒との訓練を選んだ…

 それを聞いて箒は喜んでいるが、一夏は別に箒との訓練がしたい訳では無かった…

 

太一

「いいんだな?」

 

一夏

「ああ!時間が惜しいなんて言われてまで俺はお前に教わりたくはない!!お前に教わるくらいならまだ箒の方がマシだ!!」

 

「い、一夏?」

 

 ただ太一に教わりたくなかっただけだからだ…

 この選択がいずれ自分を追い詰める事になるとも知らずに…

 

太一

「そうか…それがお前の選択なら何も言わん。織斑先生…そう言う訳でコイツの訓練は引き続き篠ノ之がする事になった。悪いな。」

 

千冬

「…織斑…私も聞くぞ?本当にそいつでいいんだな?篠ノ之なんかより八神の方が教わりがいがあるぞ?」

 

一夏

「ああ!」

 

千冬

「八神は私より強いと言ってもか?」

 

一夏

「…え!?」

 

 ザワザワ…

 

 千冬の言葉に一夏だけでなくクラスの全員が反応した

 

真耶

「あの…それってどういう事ですか?」

 

千冬

「そのままの意味だ。私は一週間前、八神に勝負を挑んだ。」

 

一夏

「なっ!?いつの間にそんな事を!」

 

 千冬のその言葉に全員が驚いていた

 

千冬

「知らなくて当然だ。勝負と言ってもISを使わず生身でやったからな。時間も消灯時間を過ぎた後に行った上に、立ち合いは八神妹とオータムの二人しかいなかったからな。」

 

一夏

「と、当然勝ったのは千冬姉だよな!!」

 

 一夏は自分の姉が負ける筈は無いと思っていた…だが…

 

千冬

「八神は私より強いと言っただろ。当然勝ったのは八神だ。私は竹刀で、八神は無手で勝負したが私は一発も掠らせる事すら出来ずに負けた。」

 

 実際は太一の圧勝だった

 

一夏

「う、嘘だ…千冬姉が負けるなんて!?」

 

千冬

「本当の事だ。そんな相手との訓練をお前は断ると言うんだな?」

 

オータム

「言っとくが太一は自分で言った事は余程の事が無い限りその通りにする人間だぞ?お前が泣きついても本当に手を貸す事はねえぞ?それを分かった上で言ってんだろうな?」

 

一夏

「ぐっ…あ、ああ!!俺は太一の手は借りない!!」

 

千冬

「…いいだろう…そこまで嫌がるのなら私は何も言わん!(コイツ…自分のプライドを優先させたな?【七大魔王】と言う脅威がある中、八神がわざわざ時間を割いてくれると言うのに!)…どうなっても知らんからな!」

 

 太一の訓練を一夏は拒否した…

 それを聞いた千冬は一夏が自分のプライドを優先させたのだとすぐに悟った

 そして、次のクラス対抗戦は1回戦で負ける一夏の姿が容易に想像出来た

 

全員

「………」

 

 そしてクラスの全員もまた複雑な表情で一夏を見ていた

 彼女たちの想いは一つ…

 

全員

(篠ノ之さんに頼んで本当に大丈夫なの?)

 

 マドカの言った事から箒に任せる事に激しい不安を感じていた

 




 <予告>

 授業も終わり、放課後のアリーナ

 そこには太一と一夏が向かい合っていた

 太一はロイヤルナイツ、第2の聖騎士の姿で現れるが、その姿に一夏達は驚愕する

 そして太一は一夏の持つ力の危険性を教える為、その拳を叩きこむのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 鉄拳制裁!ガンクゥモンの拳!!

 今、冒険が進化する!



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第016話:鉄拳制裁!ガンクゥモンの拳!!

 

千冬

「では、これよりISの基本的な飛行操縦を実践して貰う。織斑、八神、試しに飛んで見せろ。」

 

 現在は実技授業…

 だが、内容としては実機を使った授業ではなく、実際のISの動きを見る授業である

 千冬に呼ばれた二人は前に出てISを展開する

 ちなみにセシリアは束に【ブルー・ティアーズ】を預けているので見学側にいる

 

太一

「デジタル・セレクト!!【モード:オメガモン】!!」

 

 太一は【オメガモン】を選択し展開した

 

セシリア

「…【オメガモン】様…」///

 

 【オメガモン】の姿にセシリアは頬を赤らめていた

 

千冬

「…八神…お前の機体はそうしないと展開出来ないのか?」

 

太一

「そうらしいです。」

 

千冬

「それなら仕方ないか…変わった仕様だな?………しかし…」

 

 機体を展開した太一と違い、一夏は未だに【白式】を展開出来ずにいた

 

千冬

「早くしろ!」

 

 千冬に睨まれ一夏は腕を突きだし、ガントレットに手を添えて集中する事で漸く展開出来た

 

千冬

「遅い!熟練した操縦者は展開まで1秒とかからないぞ!」

 

一夏

「は、はい!?」

 

千冬

「よし、飛べ!」

 

 千冬の合図と同時に太一は飛び上がり、一足遅れて一夏も飛び上がった

 先に飛び上がった太一はすでに上空で待機しており、一夏は飛ぶのに慣れていないようで悪戦苦闘しながら太一のいる高さまで登っていた

 

千冬

『何をやっている!【白式】のスペックなら既に八神の高さまで上がっているぞ!!』

 

一夏

「そんな事言ったって…ISの操縦何て昨日が初めてだし…それに詳しい説明何て………あ!?」

 

 この時、一夏は自分が勉強していればまだマシに飛べていただろうと気付いた…だが…

 

一夏

(…これが、俺が体たらくって事かよ…)

 

 気付くのが遅かった

 それからしばらくして漸く太一のいる高さまでやって来た

 太一は腕を組んだ状態で静止していた

 

太一

「…やっと来たか…」

 

一夏

「ぐっ!…悪かったな…」

 

『一夏ぁっ!!いつまでそんなところにいる!早く降りてこい!!』

 

 一夏が太一のいる高さまで上がると、箒の怒鳴り声が二人に聞こえてきた

 

太一

「何だ?」

 

 二人が地上を見ると、箒が真耶からインカムを奪い取って喋っていた

 が、すぐさま千冬から出席簿で殴り飛ばされ蹲る事になった

 

太一

「アイツ…何を考えてるんだ?どう見ても授業妨害だぞ?」

 

一夏

「………」

 

 太一の言う事に一夏は何も言えなかった

 一夏も太一の言う通りだと思ったからだ

 そんな箒を見て一夏は…

 

一夏

(…本当にアイツに教わって大丈夫なのかな…)

 

 箒に引き続きコーチを頼んだ事を早くも後悔し始めていた

 

千冬

『お前達、急降下と完全停止をやってみろ。目標は地上から10センチだ。』

 

太一

「10センチか…一夏…まずは俺から行くぞ?」

 

 千冬からの次の指示を受け、まずは太一が動いた

 

一夏

「え!あ、ああ…」

 

太一

「じゃあな。」

 

 そう言うと太一は地上に向かって急降下して行った

 地上に近づくと太一は前方に1回転し、そのまま停止した

 

千冬

「…ふむ…10センチ丁度だな。合格だ。」

 

太一

「どうも。」

 

 千冬から合格を貰う太一だが、次の瞬間…

 

 ドゴオオォォ――ンッ!!

 

 何かが地面に直撃した音と振動が鳴り響いた

 

太一&千冬

「…はぁ…」

 

 太一と千冬はそれが何なのかすぐに分かり溜息をついた

 

一夏

「ぐっ…ぐぐっ…」

 

 落下によって出来た大穴から二人の予想通り一夏が這い出てきた

 

千冬

「馬鹿者!!誰が墜落して大穴を空けろと言った!!」

 

一夏

「す、すみません…」

 

「全く!あれほど私が………」

 

マドカ

「あれほど何だ?」

 

「な、何でもない!!」

 

 箒は教えたと言おうとしたが、自分が実は何も教えていなかったのを思い出し口を噤んだ

 そんな箒をマドカやセシリアは呆れた目で見ていた

 

千冬

「織斑、武装を展開しろ。それくらいは出来るな?」

 

 千冬は次に武装を出すように指示を出す

 

一夏

「は、はい!」

 

千冬

「では始めろ!」

 

 一夏は左右に人が居ない事を確認して、集中し始めた

 剣を構えるような姿勢になり、両手に光が集まりその光が収まるとその手には【雪片弐型】が握られていたが…

 

千冬

「遅い!0.5秒で出せるようになれ。」

 

 …千冬の評価は厳しい物だった

 

一夏

「はい…」

 

千冬

「次に八神だが…お前の機体は拡張領域(バススロット)に武器はあるのか?」

 

太一

「ありません。この【オメガモン】の武装は《グレイソード》と《ガルルキャノン》の二つだけですよ。」

 

 太一はそう言うと両腕をクロスさせそのまま両腕を斜め下に振り下ろした

 

 ジャキンッ!ガキョンッ!

 

 左腕から《グレイソード》右腕からは《ガルルキャノン》をそれぞれ展開した

 千冬はその二つの武器を見ると…

 

千冬

「間近で見ると本当に大型の武器だな…」

 

太一

「そうですか?」

 

 感想を言っていると終了のチャイムが鳴り響いた

 

千冬

「時間か…それでは授業を終わる。…それから織斑、お前は自分で空けた穴を塞いでから休憩に入れよ。以上解散!」

 

一夏

「え!?そ、そんな…」

 

 千冬はそう言うと他の生徒達とさっさと行ってしまった

 残された一夏は…

 

一夏

「そ、そうだ太一!手伝っ………あ!?」

 

太一

「ん?何だ?」

 

一夏

「い、いや…何でもねえよ…」

 

太一

「…そうか。」

 

 太一に手伝って貰おうとした…

 だが、先程太一に対してあれだけ大見得をきった手前、言いかけていた言葉を噤んだ

 

一夏

「………」

 

 結局一夏は一人で穴を埋める事になった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 放課後のアリーナ…

 ココには今、太一と【白式】を纏った一夏が向かい合っていた

 観客席にはマドカやセシリア達クラスメイトの他に千冬達教師陣、他のクラスの生徒や教師も見に来ていた

 

太一

「さて、お前の力を見せて貰おうか?」

 

一夏

「だったらお前も早く機体を展開しろ!!」

 

太一

「…そうだな…さて、どれで行くかな………コイツで行くか…デジタル・セレクト!!

【モード:ガンクゥモン】!!

 

一夏

「え?」

 

 【ロイヤルナイツ】を纏う太一…だが、その姿は一夏達が知る【オメガモン】では無かった

 黒いライダースーツの様なスーツを身に纏い、白いコートをマントの様に羽織り、赤い下駄を履いた姿だった

 

 ザワザワ…

 

 太一の【ガンクゥモン】の姿に観客席にいる者達も驚き騒めいていた

 

一夏

「な、何だそれ!?」

 

太一

「…【ロイヤルナイツ・ガンクゥモン】!!」

 

一夏

「【ガ、ガンクゥモン】!?お前、他にもISを持ってたのか!?」

 

太一

「俺のISは【ロイヤルナイツ】だけだ。この機体は複数の姿を持つISでな、状況に応じて使い分ける事が出来るんだよ。」

 

一夏

「複数だと!?」

 

太一

「無論、この【ガンクゥモン】は【オメガモン】とは武装も能力も全て違うぞ。」

 

一夏

「そ、そんな!?」

 

 【オメガモン】と戦うと思っていた一夏は戦う前から出鼻を挫かれていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 観客席では太一の【ガンクゥモン】にマドカとオータム以外の全員が動揺していた

 

千冬

「【ガンクゥモン】だと!?…複数の形態を持つISなど見た事も聞いた事も無いぞ!?」

 

真耶

「ホントですよ!あれじゃあ、一人でいくつものISを持つのと一緒ですよ!?」

 

セシリア

「複数………あっ!?…だから【ロイヤルナイツ】!?」

 

千冬

「ん?オルコット…どう言う事だ?」

 

セシリア

「皆さんが聖騎士と仰っていましたから気づきませんでしたけど…【ロイヤルナイツ】は正確には『聖騎士』では無く『聖騎士団』と言う意味なんです!!」

 

千冬

「聖騎士団だと!?ではまだあるかもしれないと言うのか!?」

 

セシリア

「多分そうだと思います…あの、マドカさんは知ってますの?」

 

マドカ

「ああ、全部知ってるぞ。だが、そうだな…教えるのはやめておこうか。」

 

千冬

「何故だ?」

 

マドカ

「その方が面白そうだからだ!太一兄さんが新しい聖騎士を出すたびの皆の反応を楽しもうと思ってな!」

 

オータム

「ハハハハッ♪そりゃあいい!」

 

 マドカの言う事にオータムは笑いながら同意する

 二人の様子から【ロイヤルナイツ】の残りを聞く事は出来ないと全員が判断した

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 アリーナでは【ガンクゥモン】の姿に一夏は慌てていたが、気を取り直して【白式】の近接ブレード【雪片弐型】を構えた

 対する太一は腕を組んだまま、微動だにしなかった

 

一夏

「…武器を出さないのか?」

 

太一

「生憎とこの【ガンクゥモン】は基本は素手での戦闘でな。武器もあるにはあるが使いどころが難しいんだ。」

 

一夏

「ちっ!そうかよ!!なら最初からそれを使わなかった事を後悔させてやる!!いくぞおおおぉぉぉ―――っ!!!」

 

 一夏は太一が【ガンクゥモン】の武装を使わないのは自分に対して手を抜いていると思った

 だが、実際はそうではなく、太一の言う通り【ガンクゥモン】の武装は使いどころが限られているから使わないだけなのだ

 

太一

「………何か勘違いしてないか?…まあいいか…」

 

 一夏は【雪片】で太一に斬りかかったが、太一は以前千冬と勝負した時のように半歩ほど動くだけで躱した

 

一夏

「何!?クソッ!!」

 

 その後も一夏は連続で攻撃を仕掛けるが、太一は必要最低限の動きだけで躱していた

 

一夏

「何で…何で当たらないんだ!!」

 

太一

「どうした?それで終わりか?」

 

一夏

「クソッ!」

 

 一夏は再び斬りかかったが太一はその全てを簡単に躱していった

 すると…

 

一夏

「避けるな卑怯者!!」

 

 太一を卑怯者呼ばわりし始めた

 

太一

「お前何言ってるんだ?攻撃されれば普通避けるだろ?それの何が卑怯なんだ?」

 

一夏

「うるせえええぇぇぇっ!!」

 

 太一の指摘をまるで聞かないとばかりに大声を出して再びツッコんで来た

 

太一

「(…自分勝手な奴だな…仕方無い…少し忠告しておくか)ぬんっ!」

 

 ツッコんでくる一夏に対して太一はある考えが浮かび、一夏の攻撃を躱すと拳を振り下ろした

 だが、その拳はとても遅いもので一夏でも容易に躱せる程度の速度に落とした物だった

 

一夏

「!?…うおっ!?」

 

 だが、そんな遅い拳でも一夏には早く映ったようで太一の拳を一夏は慌てて()()()

 

一夏

「あ、あぶねえな!!」

 

太一

「………一夏…今の俺の拳…何故躱した?」

 

一夏

「え?」

 

太一

「躱すのは卑怯者のする事なんだろ?」

 

一夏

「!?」

 

太一

「俺には避ける事を卑怯と言っておいて自分がやるのは良いのか?」

 

一夏

「あ、ぐっ…」

 

 一夏は何も言い返せなかった

 太一が避ける事を卑怯者と言った直後に自分も太一の攻撃を避けてしまったからだ

 

太一

「入学初日の事と同じ事をお前はまたしたんだぞ?あの時の事をもう忘れたのか?」

 

一夏

「!?」

 

 それは入学初日にクラス代表を決める時の一件の事だった

 あの時、一夏はセシリアに対して『手を抜くほど腐っていない』と言っておきながら自分で手を抜く発言をして自分の事を腐った人間だと言ってしまった

 その時と同じで今回は自分で自分の事を卑怯者と呼ばれる行動をしてしまったのだ

 

太一

「…だがまあ…あれだけ簡単に避けられればそう言いたくもなるかもしれないしな。だが、今度からそんな事は言わない方がいいぞ?今は模擬戦だからいいが本番の試合でそんな事を言えば批難されるのはお前の方だぞ?その上自分で批難した事を自分でやればそれこそ言い訳の出来ない事になる。それこそお前の言う卑怯者になるぞ?次は気を付ける事だ。」

 

一夏

「ぐっ…くぅぅっ…」

 

 その言葉に一夏は呻き声を上げるだけで何も言い返せなかった

 太一の言う事は何一つ間違っていなかったからだ

 太一は一夏が試合の時でも同じ事を言いださない様にする為に自分と同じ状況を作り一夏に忠告したのだ

 

太一

「…しかし…やはり姉弟だな…」

 

一夏

「何!?」

 

太一

「姉と太刀筋が似ているな…」

 

一夏

「千冬姉と!?」

 

 太一から千冬と太刀筋が似ていると言われ、驚く一夏だが、内心は喜んでいた

 しかし…

 

太一

「…だが…腕の差は歴然だな。雲泥の差と言う奴だ…」

 

一夏

「何だと!?」

 

 千冬と比べて剣の腕は劣っていると太一に言われてしまった

 

太一

「ISの有る無しを考えても織斑先生に比べて剣の鋭さも無ければ重みも無い。その上お前の繰り出す剣は全て単純な物ばかりで簡単に避けられる。」

 

一夏

「単純…だとぉぉ!!馬鹿にするなあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

太一

「…はぁ…」

 

 太一は溜め息を一つ付くと、その場に足を組んで座り込んだ

 

一夏

「何のつもりだあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 一夏が構わず突っ込んでくると…

 太一は両腕を地面に突き刺した…

 すると…地面が巨大な円盤になり太一の腕はその縁にあった

 

太一

《ちゃぶ台…返―――しっ!!!》

 

 太一はその巨大な円盤をひっくり返した…

 円盤の下には足が取り付けられており、それはまさしく巨大な《ちゃぶ台》そのものだった

 

一夏

「なっ!!ごへっ!!」

 

 一夏は《ちゃぶ台》の直撃を喰らい吹き飛ばされた

 太一はひっくり返した《ちゃぶ台》を元の位置に戻すと《ちゃぶ台》は元の地面に戻った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 観客席にいる千冬達は太一の放った攻撃を見て顎が外れるくらいの勢いであんぐりした状態になっていた

 

セシリア

「な、何ですのアレ…」

 

マドカ

「《ちゃぶ台返し》…【ガンクゥモン】の技の一つだ。」

 

千冬

「《ちゃぶ台返し》って…地面を《ちゃぶ台》に変えてひっくり返したのか!?」

 

オータム

「そうだぜ!太一が言ってただろ?【ガンクゥモン】の武装は使いどころが難しいってよ!」

 

真耶

「こう言う事だったんですね…」

 

千冬

「地上でしか使えない技という事か…【ガンクゥモン】…あの外見と言い…使う技といい…アレのどこが聖騎士だ!頑固親父と言った方がしっくりくるぞ!!」

 

 千冬の言葉に全員が頷いていた…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 暫くして《ちゃぶ台》に吹き飛ばされた一夏が起き上がって来た

 

一夏

「ぐぐっ…何だ今のは…」

 

太一

「《ちゃぶ台返し》…地面を《ちゃぶ台》に変えて相手諸共ひっくり返す技だ。」

 

一夏

「ふざけた事しやがって!!真面目に戦え!!!」

 

太一

「俺は真面目だ。そもそも怠け者のお前にそんな事を言われる筋合いはない。」

 

一夏

「ぐっ!?だ、黙れ!!」

 

太一

「…はぁ…」

 

 今日何度目かの溜め息をつく太一

 それを見た一夏は【雪片弐型】を構え…

 

一夏

「馬鹿にしやがって!俺の力を見せてやる!!【零落白夜】発動!!」

 

 【白式】の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)…【零落白夜】を発動させた

 それを見た太一は…

 

太一

「【零落白夜】…『()()()』、か…」

 

一夏

「そうだ!コレは千冬姉が世界を制した時に使ったのと同じ能力だ!!この力で俺はお前を倒す!!そして皆を守るんだ!!!」

 

 一夏の言動から太一は彼が【零落白夜】を使いこなせず、振り回されているとすぐに分かった

 【零落白夜】を構える一夏に対して、太一は全身に力を込めた

 

太一

「ハアアアアアァァァァァ―――――………」

 

一夏

「な、何だ!?」

 

 次第に太一の体からオーラが発せられ、それは次第に獣の様な形になって行った

 

太一

「ハアァッ!!!」

 

 そして【ガンクゥモン】の後ろに、金色の獣の形に象られたオーラが現れた

 

一夏

「こ、これは…」

 

太一

「フウゥゥ――ッ…《ヒヌカムイ》…【ガンクゥモン】のもう一つの武装だ。」

 

 太一はそう言うと再び腕を組んだ

 

一夏

「な、何が《ヒヌカムイ》だ!!そんなこけおどし、俺の【零落白夜】で叩っ斬ってやる!!!」

 

 【零落白夜】を纏わせた【雪片弐型】で太一に上段から斬りかかる一夏…

 

 ガキイィィーンッ!!

 

 だが、【雪片弐型】は太一の《ヒヌカムイ》が片腕で受け止めていた

 

一夏

「何っ!!ガハッ!!」

 

 そして、もう片方の腕で一夏を殴り飛ばした

 殴り飛ばされた一夏は《ヒヌカムイ》を信じられない目で見ていた

 

一夏

「な、何で…何で【零落白夜】が効かないんだ!!【零落白夜】で斬られた物は…」

 

太一

「愚か者が…」

 

一夏

「何だと!?」

 

太一

「お前は自分の機体の事を何も分かっていない!【零落白夜】…その能力は【バリア無効能力】…ISの絶対防御を突破し本体を切り裂く事が出来る力だ。だが、その能力も所詮はその刀身に纏わせたエネルギーを使う事で出来る物。エネルギーにエネルギーをぶつければ簡単に相殺出来る。そして相手を上回るエネルギーを用いれば今の様に相殺せず弾き飛ばす事も可能だ。」

 

一夏

「じゃ、じゃあ…」

 

太一

「《ヒヌカムイ》はお前の【零落白夜】を上回るエネルギー量を持つと言う事だ。そして、今の攻撃で分かった。お前はその力を使いこなせていない!その危険性に気付いていない!!」

 

一夏

「何だと!?」

 

太一

「お前ISを使えるからって自分が強くなったとでも思ってるのか?」

 

一夏

「!?」

 

太一

「図星か?いいか一夏、お前はISを手に入れた()()でそれ以外は何も変わってはいない。お前の身体能力が上がった訳では無いんだぞ。」

 

一夏

「うっ…ぐぅっ…」

 

太一

「お前は今朝束に言われた事をもう忘れたのか?」

 

一夏

「え?た、束さん…」

 

太一

「束が言ってただろ?ISは誰が乗っても同じじゃない。高い能力の機体には乗り手もそれに見合った実力が必要だと。」

 

一夏

「!?」

 

太一

「今日の実習を見る限りお前にはそんなに高い技術は無い。」

 

一夏

「ぐっ!?」

 

 一夏は今日の授業の事を言われ口を噤んだ

 実習授業では一夏は【白式】で空を飛んでも上手く上昇出来なかった

 急降下と急停止をやれと言われたら地上に墜落して大穴を空けた

 太一の言う通り高い技術を持つのならまずそんな事にはならない

 

太一

「…今の一太刀もそうだ…俺が《ヒヌカムイ》で防がなかったらどうなっていたと思う?」

 

一夏

「…え?」

 

 一夏は太一の言う事が理解出来なかった

 

太一

「…俺の機体は全身装甲(フルスキン)だからまだいい…だが、他の連中にはその力は余りにも危険だ。」

 

一夏

「何が言いたいんだよ!?」

 

太一

「…分からないのか?…【零落白夜】はISの絶対防御を切り裂く事が出来る。試合ではそれでSEを一気に削れる。だがな、絶対防御を突破するという事は相手をそのまま斬り裂く事も出来ると言う事だ。」

 

一夏

「え?」

 

太一

「いわばお前のその剣は、絶対防御と言う鎧をすり抜けて鎧の中身…つまり生身の人間を真剣で斬り殺す事が出来ると言う事だ。」

 

一夏

「!?…き、斬り殺す!?」

 

太一

「そうだ。お前は振り下ろした刃が俺の何処に当たるか何も考えずに斬りかかったな?」

 

一夏

「ぐっ!?」

 

太一

「やはりそうか…なら当たっていたらどうなったか教えてやる。今の一太刀、俺がそのまま受ければお前は俺を脳天から斬り殺していただろうな。」

 

一夏

「!?…お、俺が…こ、殺…」

 

太一

「お前はそんな事も分かっていなかったのか?自分の使う機体の事も、使う力も理解せずに、皆を守ると言ったのか?…笑わせるな!!」

 

一夏

「う、嘘だ!!嘘だあああぁぁぁ―――っ!!」

 

 太一が【零落白夜】の危険性を教えるが一夏はそれを信じようとはしなかった

 今度は出鱈目に【零落白夜】で斬りかかる一夏を、太一は呆れながらも《ヒヌカムイ》で受け止めた

 

一夏

「嘘だ嘘だ嘘だああぁぁ――っ!!いい加減な事を言うなああぁぁ――っ!!」

 

 太一の言う事をかたくなに信じようとしない一夏

 そんな一夏に流石の太一も付き合いきれなくなって来た

 

太一

「…どうしようもないなコイツは…」

 

 その為、この模擬戦をもう終わらせる事にした

 太一は息を思いっきり吸い込み…

 

太一

「この…馬鹿もんがあああぁぁぁ―――っ!!!

 

 太一は怒鳴り声をあげ《ヒヌカムイ》で一夏を投げ飛ばした

 

一夏

「がっ!」

 

 再び息を吸い込み更に全身に力を込め…

 

太一

《地神!!…神鳴!!…神馳!!…親父!!!!》

 

 凄まじい怒声を上げ自分を中心とした周囲の物を一夏諸共吹き飛ばした

 

一夏

「ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――っ!!!!」

 

 【ガンクゥモン】の必殺技《地神!神鳴!神馳!親父!》を受け何とか立ち上がろうとする一夏だが…

 

一夏

「ぐっ…ううっ…はっ!?」

 

 目の前には太一がいた

 

一夏

「た、太一!?」

 

太一

「…一夏…俺の言う事が信じられないならそれでも構わん。だが、その力を正しく理解しなければお前はいずれ過ちを犯す事になる。」

 

一夏

「そ、そんな事…」

 

太一

「俺の言葉が信じられないなら、俺以上にその力に詳しい者に聞け。」

 

一夏

「え?」

 

太一

「お前の姉…織斑千冬だ。」

 

一夏

「ち、千冬姉に…」

 

太一

「そうだ。お前がさっき言ってただろ?その力は姉と同じだとな。」

 

一夏

「………」

 

太一

「目を覚ましたら聞きに行くんだな…」

 

一夏

「………え?」

 

 太一の最後に言った言葉の意味が分からず一夏は太一を見ると…

 太一は右腕に力を込め振り上げていた

 

一夏

「…え?…え?」

 

太一

「この一撃で沈め…」

 

一夏

「ま、待ってくれ!?」

 

太一

《鉄・拳・制・裁!!!》

 

 ドゴオオオォォォンッ!!!

 

 太一の振り下ろした拳は一夏の脳天に直撃し、その衝撃で激しい土煙が起きていた

 

全員

「………」

 

 観客席の生徒、教師達は目の前の光景から目を放す事が出来ず、煙が晴れるまでずっと見つめていた

 それから暫くして煙が晴れると…

 

全員

「!?」

 

 そこには首から下が地面にめり込み白目を剥いた一夏の姿があった

 太一の放った《鉄拳制裁》を受けた結果、この様な姿になった

 当然、一夏は意識を失っており【白式】のSEも0になっていた

 

太一

「………」

 

 その後、太一は一夏を掘り起こしISを解除すると彼を医務室に連れて行った

 その際、太一は一度、千冬に目配せをして去って行った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「………後は私に任せるという事か…」

 

 太一が一夏を連れて去った後、千冬は太一の目配せの意味を察していた

 太一が語った【零落白夜】の危険性…その言葉に他の生徒達も動揺していた

 【零落白夜】を使いこなせていない一夏と戦えば、下手をすれば自分は殺されるかもしれない…

 生徒達はそう考えていた

 

千冬

「…早めにアイツに言っておく必要があるな…」

 

真耶

「…織斑先生…」

 

千冬

「…真耶…悪いが後を頼んでいいか?…八神の言う通り早めにあの馬鹿に教えておかないと手遅れになる…」

 

真耶

「分かりました!!」

 

 周りを見て千冬も早く説明しておいた方がいいと判断した

 

千冬

「頼む!………後は…」

 

 千冬は少し離れた場所にいる箒に目を向けた

 

千冬

「…アイツをどうにかする必要があるな…」

 

 千冬には箒が一夏を訓練する際【零落白夜】を正しく使いこなせる様に教えられるとは思えなかった

 それは傍にいたマドカ、セシリア、オータムも同じ意見だった

 

 




 <予告>

 太一の前に完膚なきまでに叩きのめされた一夏

 目を覚ました一夏に千冬は自分がかつて使っていた力、そして今は弟に引き継がれた力が何かを語り始める

 太一の言葉を信じなかった一夏は千冬の話を聞きどうするのか?

 そして、一人の少女がIS学園に向かっていた



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 零落白夜

 今、冒険が進化する!



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第017話:零落白夜

一夏

「ぐっ…ううっ………ココは…」

 

 太一に叩きのめされた一夏が最初に見たのは白い天井だった

 

千冬

「起きたか?」

 

一夏

「ち、千冬姉!?」

 

 声のした方を向くとそこには自分の姉、織斑千冬がいた

 

一夏

「千冬姉…ココは…」

 

千冬

「医務室だ。お前は八神に負けてココに運ばれた。」

 

一夏

「!?………千冬姉が運んでくれたのか?」

 

千冬

「お前をココに連れてきたのは八神だ。」

 

一夏

「太一が!?」

 

千冬

「そうだ。」

 

 自分を負かした相手が連れてきたと聞いて一夏は複雑な気持ちになっていた

 

千冬

「どうだ?初めてISで戦った気分は?」

 

一夏

「………」

 

千冬

「まあ、いい気分では無いだろうな。八神にあれだけ大見得きっておいてあんな派手な負け方をすればな。」

 

一夏

「ぐっ…ア、アレはまだISに慣れてなかっただけで…」

 

千冬

「慣れていれば勝てたと?」

 

一夏

「そ、そうだよ!」

 

千冬

「ありえんな。」

 

 自分が負けたのはISに慣れていないからだと言う一夏に千冬は完全に呆れた

 だから一夏の言った事を即否定した

 

一夏

「え?」

 

千冬

「お前今朝のHRの事を忘れたのか?八神は私より強いと言っただろ?お前は私と勝負して勝てるのか?」

 

一夏

「それは!?…勝て…ない…」

 

千冬

「言っておくが1週間前の勝負では私は全力を出した。だが八神は本気にもなっていなければ全力を出してもいなかった。」

 

一夏

「なっ!?」

 

千冬

「私の言いたい事が分かるか?私にすら本気にならなかった八神がお前との勝負で本気を出す訳無いという事だ。むしろ私以上に手を抜いていただろうな。」

 

一夏

「千冬姉より!?」

 

千冬

「そうだ、そもそも代表候補生のオルコット相手でもアイツは本気を出していなかったんだ。昨日【白式】を受け取ったばかりで、まるで使いこなせていないド素人のお前相手に本気を出す訳無いだろ?(使いこなしても本気にはならんがな…)」

 

一夏

「ぐっ!?」

 

千冬

「それに、アイツの【ロイヤルナイツ】は本来、束が説明した【SINウイルス】に対応する為の機体だ。通常のISとは次元が違う。【ロイヤルナイツ】の力に比べれば【零落白夜】ですら霞む程だ。」

 

一夏

「なっ…」

 

 千冬の言葉に一夏は言葉を失った

 だが、千冬の言う事は本当だった

 太一の機体はISを遥かに上回る力を持つ聖騎士型デジモン【ロイヤルナイツ】と全く同じ力を持っているのだからだ

 

千冬

「だからと言って八神は機体の性能に頼ってなどいない。アイツは【ロイヤルナイツ】を一般のIS並みに抑えているからな。そうでなければお前は八神の一撃で死んでいる。」

 

一夏

「し、死ぬ!?」

 

千冬

「そうだ。だがお前は生きている。それは使いこなせなければ出来ない事だ。…むしろ機体の性能に頼り切っているのはお前の方だ。」

 

一夏

「そ、そんな事ない!!」

 

千冬

「ならさっきの戦いは何だ?」

 

一夏

「!?」

 

千冬

「お前【零落白夜】を『俺の力』と言ったな?確かにその通りだが、あんな台詞は【零落白夜】に頼り切っていなければ出てこない。」

 

一夏

「!?」

 

千冬

「その上【零落白夜】を発動させても何も考えず出鱈目に斬り付ける事しかしなかっただろ!」

 

一夏

「………」

 

千冬

「それにさっきの戦いで八神に何て言った?」

 

一夏

「な、何って…」

 

千冬

「アイツを卑怯者と言ったな?攻撃を躱す事の何処に卑怯と呼べる要素があるんだ?私だって剣道の試合や【モンドグロッソ】では相手の攻撃を躱していたぞ?お前がそれを知らない筈は無いよな?」

 

一夏

「そ、それは…」

 

千冬

「しかもお前は自分で卑怯者と言った直後に自分も八神の攻撃を躱したな?お前は自分で自分の事を卑怯者と呼ばれる行動をしたんだぞ?」

 

一夏

「!?」

 

千冬

「お前のやった事こそが本当に卑怯者と呼ばれるんだ!勢いもあるかもしれんがもっと考えて言葉を選べ!!」

 

一夏

「うっ…ううっ…」

 

 千冬の言う事に一夏は言い返せなかった

 だがその時、太一に言われた事を思い出した

 

一夏

「………あ…千冬姉…その…聞きたい事が…」

 

千冬

「【零落白夜】の事か?」

 

一夏

「う、うん…千冬姉…太一の言った事…嘘、だよな…【零落白夜】が人を殺す事も出来るなんて…太一の吐いた嘘だよな!!」

 

 一夏は太一の言った事を未だに信じていなかった

 太一以上に【零落白夜】について詳しい自分の姉なら太一の言った事を否定してくれる

 一夏はそう思っていた…だが…

 

千冬

「本当だ。」

 

 千冬の返答は否定ではなく肯定だった

 

一夏

「!?…そ、そんな!?」

 

千冬

「【零落白夜】は使い方を間違えればISを纏った相手であろうと簡単に殺す事が出来る。」

 

一夏

「じゃ、じゃあ太一は!?」

 

千冬

「本当の事を教えてくれていたという事だ。まあお前の【白式】がかつて私の使っていた【暮桜】と同じ単一仕様(ワンオフ・アビリティー)を持っていたのは私も知らなかったし驚いたがな。…だが、それ以上に驚いたのはお前が【零落白夜】の事を知らなすぎた事だ。」

 

.一夏

「…え?」

 

千冬

「少し前のお前なら【零落白夜】に関する知識は世間一般の者と大差が無くても私は別に気にしなかった。」

 

一夏

「………」

 

千冬

「だが、今のお前は嘗ての私と同じように【零落白夜】を使える様になっている。なのに何故お前は世間とほぼ同じ程度の事しか知らないんだ?」

 

一夏

「そ、そんな事…」

 

千冬

「なら【零落白夜】とは何か言ってみろ。」

 

一夏

「…そ、それは…千冬姉が世界を…」

 

千冬

「馬鹿者!お前ふざけてるのか!!誰がそんな事を聞いた!私が聞いているのは【零落白夜】の本質の方だ!!」

 

一夏

「…ほ、本質………えっと…絶対防御を斬り裂いて…SEに直接ダメージを与えられるって…」

 

千冬

「そうだな、それが【零落白夜】の有利性だ。では他は?」

 

一夏

「ほ、他?」

 

千冬

「私が聞いているのは欠点や危険性の事だ。」

 

一夏

「………」

 

千冬

「答えられないか?お前【零落白夜】が完全無欠の能力だとでも思ってたのか?」

 

一夏

「!?」

 

千冬

「図星か?まあ、私も【白式】が【零落白夜】を使えるのは昨日の夜知ったからな…後で教えようと思っていたんだが、あんな勘違いをした状態で先に八神と戦うとは思わなかった。」

 

一夏

「え?」

 

千冬

「本題に入るぞ。私がココに居るのはお前に【零落白夜】の事を理解させる為だ。」

 

一夏

「理解…」

 

千冬

「そうだ!今から言う事は【零落白夜】の全てだ!そこに嘘偽りはない!いいな?」

 

一夏

「…はい…」

 

千冬

「まず有利性だが…それはお前も知っているようだから省く。次に欠点だが、【零落白夜】は八神の言う通り【バリア無効能力】だ。だがその為に【白式】自身のSEを転化して発動する。」

 

一夏

「【白式】の!?」

 

千冬

「そうだ。つまり長時間は使用出来ない。アレは発動しているだけでSEを消費し続けるから、使い所を選ぶと言う事だ。それが欠点だ。」

 

一夏

「………」

 

千冬

「そして、これが一番お前が覚えなければならない事…危険性だ。」

 

一夏

「………」

 

千冬

「…とは言っても、私が言う事は既に八神がお前に言ってるんだがな。」

 

一夏

「え?」

 

千冬

「だが、お前は八神の言葉を信じなかった。だから私の口からもう一度言ってやる。」

 

一夏

「………」

 

 千冬にそう言われ一夏は太一の言葉を信じず力任せに斬りかかった時の事を思い出した

 

千冬

「【零落白夜】はISの絶対防御を斬り裂く事が出来る。それはそのまま相手を斬り裂く事が出来るという事だ。八神の機体は全身装甲だが、他のIS、お前の【白式】やオルコットの【ブルー・ティアーズ】を思い返してみろ。ISの装甲が覆っている面積と生身が露出している面積…どちらが多い?装甲で覆われているのは主に何処だ?」

 

一夏

「そ、それは…」

 

 千冬に聞かれ一夏は言葉に詰まった…

 答えは分かりきっている…

 明らかに生身の面積が多い…そしてISで覆われているのは手足と胴体のほんの一部のみ…

 絶対防御が無ければ鎧としてすら機能せず銃やナイフでも簡単に致命傷に出来てしまう…

 

千冬

「答えろ。」

 

一夏

「…生身の方が…多い…手足と…体の一部だけ…」

 

千冬

「なら、何も考えずに【零落白夜】で斬りつけたらどうなる?」

 

一夏

「………当たり所が悪ければ………死ぬ…」

 

千冬

「そうだ!お前はそれを分かっていたのか?分かった上で皆を守ると言ったのか?」

 

一夏

「………」

 

千冬

「答えろ!!」

 

一夏

「…分かって…いなかった…俺は…【零落白夜】がどれだけ危険か…分かってなかった…」

 

千冬

「だろうな。あんな出鱈目に振り回していたお前が【零落白夜】の欠点や危険性を考えている訳無いからな。お前の頭には有利性しかなかっただろ?」

 

一夏

「………」

 

 一夏は言い返せなかった

 欠点や危険性の事を考えていたかと言われれば一夏は【零落白夜】の有利性の事しか考えていなかったからだ

 

千冬

「なまじお前は【零落白夜】何て一撃必殺の能力が使えるから勘違いしている。確かに1撃当たれば勝てるだろうがその1撃を当てるまでの事をお前は何も考えていない。代表決定までの1週間を剣道以外何もせずに過ごした状態で【零落白夜】と言う強力な力を手にした結果、ISを扱う為の基礎や知識を覚えようともせず【零落白夜】に頼り切っているのが今のお前だ。」

 

一夏

「………」

 

千冬

「そんなお前では八神どころかオルコットにも絶対に勝てん!お前に守られれば巻き添えを喰らって斬られるのがオチだ!」

 

一夏

「ううっ…」

 

 一夏は言い返す事が出来なかった

 【零落白夜】に頼り切っていると言われればその通りとしか言えず、巻き添えを起こすと言われたら一夏自身にもその時のイメージが容易に想像出来てしまったからだ

 

千冬

「一夏…これで【零落白夜】に関する説明は終わりだ。今の話を聞いてお前が今後どうすべきか考えろ。」

 

一夏

「………」

 

 千冬は最後にそれだけ言うと医務室から出て行った

 

一夏

「…どうするかって…そんなの【零落白夜】を…【白式】を使いこなせる様になるしかないじゃねえか………」

 

 一夏はその為にはどうすればいいか考えていると、一人の人間の顔が浮かんだ…

 

一夏

「…やっぱり…太一に頼るしかないのか…でも…」

 

 だが、今朝の一幕を思い出すと、太一が引き受けてくれるかどうか不安だった

 それもその筈、一夏は太一の訓練内容を聞いて嫌がってしまった

 その上、さっきの勝負では【零落白夜】の危険性を教えてくれていた太一の言葉を信じず斬りかかってしまった

 

一夏

「…あんな事があった後で…引き受けてくれるのかな………いや!駄目元で頼んでみよう!!」

 

 意気込む一夏だが、彼は太一本人やオータムに言われた事を綺麗サッパリ忘れていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

全員

「織斑君!!代表就任おめでとう♪」

 

一夏

「あ、はい…どうも…」

 

 太一と一夏の勝負から一夜明け、現在、一夏のクラス代表決定を祝い1年の食堂で歓迎会が開かれていた

 だが、一夏は今の状況に着いて行けていなかった

 何故なら一夏はサプライズという事でこの事を知らなかったからである

 

一夏

「………」

 

 しかし、自分の歓迎会の割に一夏の顔はすぐれていなかった

 

生徒1

「…織斑君…どうかしたの?」

 

生徒2

「…もしかして迷惑だった?」

 

 そんな一夏の様子に当然クラスメイト達も気づいた

 一夏の周りにいたクラスメイト達は不安な顔をして一夏の顔を覗きながら聞いて来た

 

一夏

「え!?…あ!ち、違うんだ!ちょっと考え事していただけなんだ!迷惑なんて思ってないよ!」

 

生徒1

「…それならいいんだけど…」

 

一夏

「本当にごめん!考え事は明日にする!今は楽しませてもらうよ!」

 

生徒2

「うん♪」

 

 一夏は少し離れた場所でセシリアやマドカと話している太一を横目に見ながらそう答えた

 それを聞いたクラスメイト達も笑顔に戻って、一安心していた

 …実は一夏は朝から太一に訓練を頼もうとしていた

 …だが、中々言い出せずに放課後にまでなっていたのだ

 

一夏

(…太一に頼むのは明日にするか…)

 

 それから暫くして…

 

「すみませ~ん!話題の新入生にインタビューに来ました~♪」

 

 一人の生徒がやって来た

 胸元のリボンの色が違う事から違う学年の生徒だと分かる

 

「私は新聞部副部長2年の黛薫子です。これが名刺ね♪」

 

 黛は名刺を一夏に渡すと、ボイスレコーダーを出し早速インタビューを始めた

 

「早速だけど織斑君!クラス代表になった感想とか聞かせてくれないかな?」

 

一夏

「え?…その、何と言うか…が、頑張ります…」

 

「もっといいコメントちょうだいよ~!例えば『俺に触ると火傷するぜ!!』とかさ?」

 

一夏

「自分…不器用ですから…」

 

「うわ!前時代的~!まあ、そこは適当に捏造しとくからいいや…」

 

一夏

「捏造するのかよ…」

 

「じゃあ、次はセシリアちゃん!いいかな~?」

 

 一夏とコントの様なインタビューを終えた黛は次にセシリアに話を振った

 

セシリア

「わたくしですか?」

 

「そ~そ~!ズバリ!あの一件の事で何かないかな?」

 

セシリア

「!?」

 

 黛の質問を聞いた瞬間、セシリアは顔を俯かせてしまった

 

「あれ?セシリアちゃん?」

 

太一

「おい!」

 

「え!何、か…な…」

 

 呼ばれた黛が振り返るとそこには凄まじい威圧感を出す太一がいた

 

「き、君は…や、八神君…」

 

太一

「先輩…何の権利があってセシリアにその事を聞いてるんだ?あの一件はセシリアにとって苦い記憶だと分かって聞いてるんだろうな?」

 

「あ!?そ、それは…」

 

セシリア

「太一様…」

 

太一

「アンタのその一言でセシリアがどれだけ傷付いたか分かってるのかと聞いてるんだ?それとも何か?よくドラマとかで使われている報道の自由とか言えばどんな身勝手な発言も許されると思ってるのか?相手の気持ちを無視してもいいのか?」

 

「ち、違う…そ、そんな事…」

 

太一

「違うなら何故さっき一夏のコメントを捏造すると言った?それも十分身勝手な事だと思うが?」

 

「ううっ…」

 

太一

「あの程度の一夏のコメントなら捏造しても何も言うつもりは無い。だが、セシリアに今聞いた事は報道だ捏造だ言う以前に人として最低の質問だ。クラスの皆だってセシリアに気を使ってその件に関しては何も聞かないんだ。それを行き成りやって来てズケズケと聞くとは…アンタはそんな事も分からないのか?…それとも報道に関わる奴はアンタみたいな()()()な人間ばかりなのか?」

 

「!?…すみません…」

 

太一

「謝る相手が違うだろ!!」

 

「は、はい!!オルコットさん…ごめんなさい!!」

 

セシリア

「いえ…気にしないで下さい…」

 

 セシリアは気にするなと言うが明らかに落ち込んでいた

 そして、セシリアをそんな状態にした張本人は1組の生徒達から冷めた目で見られていた

 

「ううっ…」

 

太一

「先輩…俺達はさっきまで一夏の歓迎会を楽しんでいたんだ。それをアンタの不用意な発言のせいで今はこんな重たい空気だ。アンタにこれ以上いられると目障りだ。もう出て行ってくれ!!」

 

「………はい………皆…ごめんなさい…」

 

 最後に黛は全員に謝罪すると、肩を落としながら食堂を出て行った

 その後ろ姿は最初に現れた時とは真逆の状態になっていた

 

太一

「皆!パーティーを続けよう!」

 

全員

「………。はい!!」

 

 黛がいなくなっても暗い雰囲気だった食堂を太一が何とか持ち直そうとすると、全員がそれを察したのか力強く返事をした

 そして、再び楽しい歓迎会を続けたのだった

 ちなみに黛はその日、自分の発言の不用意さに後悔しながら布団の中で一晩中泣いていた…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一騒動起きた一夏の歓迎会も終盤に差し掛かろうとしている時、IS学園に一人の少女が訪れていた

 

「此処がIS学園ね!…待ってなさいよ!一夏!!」

 

 そう意気込む少女はそのまま学園の受付へと向かって行った

 そして、この少女が新たな波乱を巻き起こす事になるのだった

 




 <予告>

 歓迎会から一夜明け、1組では2組のクラスの転校生の話で持ちきりだった

 中国から来た転校生と聞き、昔を思い出す一夏

 その時、一夏に宣戦布告をする為に一人の少女が現れた



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 中国からの転校生

 今、冒険が進化する!



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第018話:中国からの転校生

 

 一夏の歓迎会から更に一夜明け…

 

生徒1

「八神君おはよ~♪転校生の噂って聞いた?」

 

 教室に来た太一に生徒の一人が話しかけて来た

 少し前までの太一はクラスの殆どの生徒から目の敵にされていたが、【リヴァイアモン】との戦いと先日の歓迎会の一件から、太一への接し方が柔らかくなっていた

 

太一

「転校生?聞いて無いが?」

 

生徒1

「何でも中国の代表候補生らしいよ?」

 

太一

「中国からだと?何でわざわざこんな時期に来るんだ?」

 

生徒2

「さあ?」

 

 太一の疑問も尤もだった

 入学してからまだ1カ月も経っていないからだ

 そんな時期に転入するなど普通は無いからだ

 

一夏

「おはよう。」

 

 太一が転校生の事を考えていると一夏が箒とやって来た

 

一夏

「…どうかしたのか?」

 

生徒1

「うん!隣の2組に中国からの転校生が来たらしいんだよ。しかも、代表候補生なんだって!」

 

一夏

「…中国か…」

 

「気になるのか?」

 

 転校生が中国から来た転校生と言う話に一夏は反応していた

 

一夏

「あぁ、少しな…」

 

「フンッ!」

 

 それを見て横にいた箒は機嫌が悪くなったが…

 一夏は気づいていなかった

 

「お前にそんな事を気にする余裕はあるのか?もう少しでクラス対抗戦だろう?」

 

一夏

「…そう…だったな………やるだけ頑張ってみるよ…」

 

「頑張ってみるじゃない!優勝出来るに決まってるだろ!この私が教えているんだからな!!」

 

全員

「………」

 

 自信満々に言う箒だが、クラスの全員がそのセリフに不安しか感じなかった

 

一夏

「………」

 

 そしてそれは一夏自身も同じ気持ちだった

 一方、太一はマドカ、セシリアと転校生の事を考えていた

 

太一

「………確かこの学園は編入率がかなり高かった筈だが…」

 

マドカ

「そうだな、普通の高校より難しいらしいぞ?」

 

太一

「………」

 

セシリア

「太一様…何故それほどまでに転校生の方を気にするのですか?」

 

太一

「いや、その転校生…何が目的でココに来たのかと思ってな…」

 

セシリア

「目的ですか?」

 

太一

「ああ…入学が遅れたと言うならまだ分かるんだが…話を聞く限り2組にやって来たのは間違いなく()()()だ。」

 

マドカ

「そう言う事か…入学してまだ一カ月も経ってない…初めからココに入るつもりなら入学試験を受けて入る方が楽な筈…代表候補生ならなおさらだ。」

 

太一

「あぁ、同じ代表候補生でもセシリアは最初からここに入学したから別にいいんだが…」

 

セシリア

「言われてみればそうですわね…」

 

太一

「という事はその転校生は急遽ココに来る事になった、もしくは来る事にしたと言う事だが…」

 

 太一はそう言いながら一夏に視線を向けた

 

マドカ

「(…狙いは一夏兄さんかもしれないという事か?)」

 

セシリア

「(確かに一番あり得そうですわね…)」

 

太一

「(ああ…だが、もしそうなら…また面倒が増えそうだな…)はあぁ~…」

 

 太一は深い溜息をつきながら自分の予想が外れてくれる事を祈った

 だが、そんな太一の思惑に反し一夏の方では…

 

生徒1

「けど、専用機は1組と4組の人しか持ってないらしいから…」

 

 生徒の一人がそう言いかけた時…

 

「その情報古いわよ!」

 

 聞き覚えの無い声がしたので全員が声がした方を向くと…

 

「2組も専用機持ちが代表になったからそう簡単には勝てないわよ!」

 

 小柄なツインテールの少女が入り口の前に立っていた

 そして、その少女を見た一夏は…

 

一夏

「鈴!?お前…鈴か!?」

 

「そうよ!久しぶりね一夏♪中国の代表候補生、凰鈴音!今日は宣戦布告に来たわ!」

 

 どうやら一夏の知り合いだったようだ

 鈴と呼ばれた少女は小さく笑う

 それを見た一夏は…

 

一夏

「何やってんだ?すげぇ似合わないぞ。」

 

「なっ!…何て事言うのよあんたは!?」

 

 似合わないと言われた鈴の雰囲気が変わった

 そんなやり取りを見て太一は、明らかに一夏関係で面倒事が増えたと確信し、心の中で大きな溜息をついていた

 

「おい。」

 

「何よ!?」

 

 スパン!

 

 いつの間にか千冬が来ていたのだ

 そして、いつもは一夏に落とされている出席簿が今回は鈴に落とされた

 

千冬

「凰、クラスに戻れ!それに入口に立つな、邪魔だ!」

 

「ち、千冬さん…」

 

千冬

「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ。それとも…」

 

 千冬は再び出席簿を構える

 それを見た鈴は…

 

「わ、分かりました!じゃあ一夏、後でね!?逃げないでよ!?」

 

 そう言い残して大人しく2組へ戻って行った

 

千冬

「ではHRを始める。織斑、号令!!」

 

 そして今日の授業を始めた

 ちなみに鈴の事が気になるのか箒は授業に集中出来なかった為、千冬達に注意を受けていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 昼休み…

 食事を取りに来た一夏と箒、マドカの3人が食堂に来ると…

 

「待ってたわよ一夏!」

 

 ラーメン片手に鈴が食券販売機の前で仁王立ちしていた

 

一夏

「何が待ってただよ?そこに居ると食券出せないだろ?」

 

「分かってるわよ。あんたが来ないのが行けないのよ!」

 

 鈴が退いたので、3人は食券を購入した

 一夏は食堂を見渡すと、太一がセシリアと食事を取っているのを見つけその席に着いた

 

一夏

「久し振りだなぁ。お前いつの間に日本に帰ってきたんだ?おばさん元気?いつ代表候補生になったんだ?」

 

「質問ばっかしないでよ!あんたこそ何でIS使ってるのよ。ニュース見てびっくりしたじゃない。」

 

一夏

「…まあ…色々あって…」

 

 先に座っていた二人を他所に会話を始める一夏達だった

 

「一夏!そろそろどういう関係か説明しろ!!」

 

「か、関係って…」///

 

「…付き合ってるのか?」

 

「べべべ、別に付き合ってる訳じゃあ…」

 

一夏

「そうだぞ!ただの幼馴染みだよ。」

 

 そう言った瞬間、一夏を睨みつける鈴だった

 

一夏

「何で睨むんだよ?」

 

「ふん!何でも無いわよ!!」

 

 不機嫌になる鈴だが、その理由を一夏はまるで分っていなかった

 

「一夏!お前の幼馴染は私だけだろ!!」

 

一夏

「いや、箒はファースト幼馴染なんだよ。それで…箒が引っ越したのが小4だろ?…鈴は小5の時に来たからセカンド幼馴染になるんだよ。で、中2の頃に中国に帰ったから会うのは大体1年ぶりだな。」

 

「…そうか…私がファーストか…なら…いいか…」///

 

「…私がセカンド…」

 

 自分が最初の幼馴染と言われ喜ぶ箒だが、2番目と言われた鈴は更に不機嫌になっていた

 一夏は二人の心境などまるで気付かず互いの紹介を続ける

 

一夏

「鈴、こっちが箒、前に言ったろ?俺の通ってた道場の娘さんだよ。」

 

「そう…アンタが…凰鈴音よ。これからよろしくね。鈴でいいわ。」

 

「篠ノ之箒だ。こちらこそよろしくな。」

 

 互いに挨拶を交わす箒と鈴…

 それを見た一夏は…

 

一夏

(あれ?二人の後ろで火花が散った様な…幻覚か?…俺疲れてるのかな?)

 

 目を擦っていた…

 一方、箒と鈴が互いに火花を散らす中、太一とセシリア、マドカの3人は完全に我関せずの状態になっていた

 それから二人が暫く睨み合っていると…

 

「…ところでさ…さっきから気になってたんだけど…」

 

 鈴はマドカに視線を向けて聞いてきた

 

マドカ

「………」

 

「千冬さんにそっくりなあんたは誰?」

 

一夏

「この子はマドカ。お前にも話した事があるだろ?昔離れ離れになった俺の双子の妹だよ。」

 

「え!?この子が!!あの行方不明になったって言うあんたの妹!?」

 

マドカ

「………そうだ。私は八神マドカ。訳合って一夏兄さんとは別姓を名乗っている。」

 

「訳って?」

 

一夏

「………マドカは…千冬姉が嫌いみたいなんだ…だから千冬姉と同じ織斑の姓を名乗りたくないらしい…」

 

「何でそこまでするのよ?」

 

マドカ

「お前には関係ない。」

 

「何よその言い方!?」

 

マドカ

「これは家族の問題だ。幼馴染だろうが赤の他人のお前が出しゃばっていい事じゃない。」

 

「ぐっ…」

 

「!?」

 

 流石の鈴も家族の問題と言われてはこれ以上口出しは出来なかった

 そして箒も、マドカが『幼馴染だろうが』と言った為に口出し出来なくなってしまった

 

「…そう言われたら何も言えないわね…ならアンタ達は?」

 

 鈴はマドカへの追求を諦め、今迄会話に入って来なかった太一とセシリアに話を振った

 

太一

「八神太一…人間だ。」

 

セシリア

「セシリア・オルコットですわ。貴方と同じ、イギリスの代表候補生です。」

 

「ふ~ん…アンタが二人目か…変な挨拶の仕方ね?私は凰鈴音…鈴でいいわ。…って八神?」

 

マドカ

「そうだ。私はこの学園では太一兄さんと兄妹と言う事になっている。だから私の苗字は八神なんだ。」

 

「そうなんだ………それにしても…」

 

 鈴は今度はセシリアに視線を向けた

 

セシリア

「何か?」

 

「アンタが謎の化け物になったって言う代表候補生?」

 

セシリア

「!?」

 

一夏

「り、鈴!?いきなり失礼だろ!」

 

「え?…あ!確かにそうね…ゴメン…」

 

 鈴がセシリアを化け物と言った理由…

 それは数日前、束が学園に来て説明した【七大魔王】の事を誤魔化す為に言った【SINウイルス】の事は既に世界各国に伝えられていた

 当然、中国の代表候補生である鈴にもその事が伝えられていた

 その為、鈴はセシリアを化け物と言ってしまったのだ

 一夏と箒、マドカの3人はこの時、鈴の発言から昨日の光景を思い出した

 セシリアに対して同じ様な事を言った先輩がどうなったのかを…

 だが…

 

太一

「凰…一夏の言う通り失礼だぞ。初対面の相手に化け物呼ばわりするのはどうかと思うぞ?」

 

一夏&箒&マドカ

「え?」

 

 以外にも太一は鈴に注意するだけで終わった

 それを見た一夏達は驚いていた

 

「?…どうしたのよ?」

 

一夏

「い、いや…太一がその程度しか言わなかったから…」

 

「その程度って?」

 

マドカ

「昨日…セシリアにお前と同じ様な事を聞いてきた新聞部の先輩がいたんだ。」

 

「そうなの?…その先輩がどうかしたの?」

 

一夏

「太一の怒りを買って、ボロクソに説教されて追い返されたんだ。」

 

「…でも私には注意しただけよ?」

 

 鈴の疑問は一夏達も同じだった

 

太一

「あの先輩と凰では状況が違うからな。」

 

全員

「え?」

 

太一

「凰は今日この学園に来た。あの件の事を知りたがるのは仕方の無い事だ。酷い聞き方だがな。」

 

「うぐっ!?」

 

太一

「だが、あの先輩は束から事情を説明されているにも拘らずセシリアの事を何も考えずに興味本位で聞いて来た。だから追い返した。その違いだ。だから凰…1度目は俺も注意で済ませるが、2度目は内容によっては先輩と同じようにするぞ。」

 

「わ、分かった…それからセシリア…そのゴメン…いくら何でも言い方が悪すぎたわ…」

 

セシリア

「…いえ…」

 

 昨日と同じく落ち込んでしまうセシリアを見て、流石の鈴も自分の発言が悪すぎたと痛感した

 

「それと私の事は鈴でいいって言ったわよ!!」

 

太一

「断る。初対面の相手を化け物呼ばわりする奴を何故名前で呼ぶ必要がある?言っておくが俺から見たお前の第一印象は最悪な物だぞ?」

 

「ううっ…」

 

 太一の言葉に鈴は言い返せなかった

 太一の言う通り鈴がセシリアに言った言葉は第一印象としては最悪と言ってもいい言葉だった

 そんな相手から名前で呼べと言われて呼ぶ者はそうはいない

 

太一

「セシリア気にするな…凰も悪気があって言った訳じゃ無い…」

 

セシリア

「太一様~…」

 

「ぐぐっ…」

 

 慰められるセシリアを見て、自分の発言の悪さに更に居心地が悪くなる鈴だった

 

「何よ!これじゃ私が悪者みたいじゃない…」

 

「実際お前の言い方が悪いんだから間違って無いだろ?初対面の人間をいきなり化け物呼ばわりする奴が何を言ってるんだ?」

 

「ぐっ………ゴメン…」

 

セシリア

「凰さん…もう気にしなくていいですわ♪」

 

 改めて謝る鈴だが、セシリアは先程までと違って上機嫌になっていた

 

「え?」

 

セシリア

「貴方のお陰で太一様に慰めて貰えましたから♪」///

 

太一

「あ~はいはい…そう言う事は人前では言わないようにな~…」

 

セシリア

「ウフフッ♪」///

 

「え?アンタ等もしかして付き合ってんの?」

 

太一

「付き合って無いぞ!」

 

セシリア

「はい♪告白はしましたが訳合って太一様のお返事を持っている状態ですわ♪」

 

箒&鈴

「告白!!!」

 

一夏

「太一!お前告白されたのか!?」

 

太一

「ああ…」

 

一夏

「なら何で返事をしないんだよ!?」

 

太一

「すぐに答えられない事情が俺にはあるんだ。セシリアには事情を説明してあるし納得もして貰っている。」

 

一夏

「そうなのか?」

 

セシリア

「ええ♪わたくしは太一様がお返事をくれるその時まで何時までも待っていますわ♪」

 

一夏

「太一!…どんな事情か知らないけど女の子を待たせるなんて男として最低だぞ!!」

 

箒&鈴

「………(コイツに()()は言われたくない!!)」

 

セシリア

「…織斑さん…今、何て言いました?」

 

一夏

「え?」

 

セシリア

「待つと言ったのはわたくしです!!何も知らない人が余計な口出ししないで下さい!!」

 

一夏

「え!?…す、すまない…(何で俺が文句を言われるんだよ…オルコットの為と思ったのに…)」

 

 一夏はセシリアの為と思って太一を非難したのだが、そのセシリアから余計な事だと言われてしまった

 しかし、太一の事情を知るセシリアからすれば一夏の言う事は余計でしかなかったのだ

 

「………(いいなぁ~…)」

 

「………(羨ましい…)」

 

箒&鈴

(それに引き換えこの朴念仁は!!)

 

 一方で箒と鈴から見ると、返事待ちとは言え太一に自分の気持ちがしっかりと伝わっているセシリアが羨ましく見えていた

 

「…え、え~っと…ね、ねえ一夏…アンタクラス代表なんでしょ?私がISの操縦を見てあげようか?」

 

 とりあえず話題を変える事にした鈴は、一夏のコーチを買って出たが…

 

一夏

「え?お前が?」

 

「必要無い!!一夏に教えるのは私の役目だ!頼まれたのは私だ!!」

 

 箒が黙っている筈無かった

 

「私は一夏に聞いたの!外野は黙ってなさいよ!!」

 

「一夏に頼まれたのは私だ!!」

 

 そんなやり取りを延々と繰り返す二人に…

 

太一

「…お前達…痴話喧嘩がしたいなら他所でやってくれないか?」

 

 太一が口を挟んできた

 

箒&鈴

「何だと(ですって)!!」

 

太一

「一夏…気になっていたんだが、空いてる席なら他にもあるのに何でわざわざ俺達のいる席に来たんだ?何か用でもあるのか?」

 

 太一の言う一夏の用件とは訓練を頼む事だったのだが…

 

一夏

「…え?…それは…その………」

 

 一夏は啖呵を切った事とそこから太一に頼む事へのプライドが邪魔をして中々言い出せずにいた

 

太一

「………何も無いのか?…無いなら俺は席を変えさせて貰うぞ。横で痴話喧嘩なんかされると迷惑なんでな。食事ぐらいゆっくり食べたいんだ。」

 

箒&鈴

「ぐっ…」

 

 太一はそう言うとトレイを持って立ち上がった

 セシリアも太一に着いて行くつもりなのか同じ様に立ち上がった

 

一夏

「あ…」

 

 結局一夏は何も言う事が出来ず太一はそのままセシリアと他の席に行ってしまった

 

マドカ

「一夏兄さん。悪いけど私も向こうで食べさせて貰うぞ。正直こいつ等は五月蝿過ぎるからな。」

 

 そう言うとマドカも太一を追いかけていった

 

「何よあいつ等失礼ね!!」

 

「私達のどこが五月蝿いと言うんだ!!」

 

 二人はこう言うが、実際の所…この二人はかなり五月蝿い

 周りの生徒達も迷惑そうな顔をしていた

 しかし、この二人には自分達が大声で騒いでいると言う自覚がまるで無かった

 

箒&鈴

「そうだろ(でしょ)?一夏?」

 

 その為、二人は一夏に同意を求めるが…

 

一夏

「え!?あ、いや…その…」

 

 一夏も五月蝿いと感じていた

 しかし、それを正直に言えば自分がどうなるか容易に想像出来てしまった

 その為、どう答えるべきか悩んでいた

 どう答えようと碌な事にならないとも気付かずに…

 




 <予告>

 鈴が現れた事で一夏の周辺はより一層騒がしくなった

 そんな中、束の開発したマドカの専用機と共に調査を終えたセシリアの機体が届けられた

 だが、その姿は彼女の知るブルー・ティアーズでは無かった

 2体の完全体デジモンのデータを元に開発された2機のISが起動する



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 新たなIS Dシリーズ!!

 今、冒険が進化する!


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第019話:新たなIS Dシリーズ!!

皆さん自分の作品を呼んで下さってありがとうございます。

突然ですがアンケートを行おうと思います。

太一とアグモンの援護としてイグドラシルに送り込まれたデジモンと言うのを考えています。
候補が2体いるのですが皆さんにどちらがいいのか、または必要無いのか聞きたいと思いました。
もしよろしければメッセージの方に投票をお願いします。
候補はこちらになります。

①イージスドラモン

②ギガシードラモン

③必要無い

尚、参戦させる場合、登場タイミングは臨海学校で最後は死ぬ事になります。
それを考慮に入れて投票をお願いします。
期間は5月中の間になります。

沢山の投票をお待ちしてます♪



 

 鈴がIS学園に現れた事で一夏の周辺は更に騒がしくなった

 食堂の一件の後の放課後、訓練を終えた一夏に鈴が会いに行くと、一夏が箒と同室だと知り、箒と部屋を変わって欲しいと二人の部屋に乗り込んで来た

 その際、またもや一夏はやらかしてしまい、鈴を怒らせ一騒動起こしてしまった

 ちなみに、太一は関わり合いたくなかった為、そのまま無視を決め込んでいた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

オータム

「マドカ、オルコット、悪いが今日の放課後は予定を空けといてくれ。太一、お前もな。」

 

 朝のHRが終わるとオータムが太一達3人にそう言って来た

 

太一

「理由は?」

 

オータム

「今朝束から連絡があった。オルコットの機体の調査が済んだから使いの奴に持ってこさせるそうだ。」

 

セシリア

「…そ、それで…結果は?」

 

オータム

「大した問題は無かったみたいだぞ。詳しい事は機体を渡す時に言うそうだ。」

 

セシリア

「よ、良かったですわ…」

 

マドカ

「オータム…何故そこに私と太一兄さんが必要なんだ?」

 

オータム

「お前の専用機も一緒に持ってくるそうだ。」

 

マドカ

「私の機体だと?」

 

 ザワザワ…

 

 オータムの言葉にマドカだけでなく、クラスの全員が驚いていた

 

マドカ

「アイツ、いつの間にそんな物造ってたんだ?」

 

オータム

「さあな?とりあえず機体を受け取ったら、太一と軽く模擬戦をして欲しいそうだ。」

 

太一

「だから俺も呼んだのか。」

 

オータム

「まあそう言う訳だから放課後は空けておけよ。それから他の奴等は来るなよ。もし見つけたら説教と反省文だ!!」

 

全員

「えええええぇぇぇぇぇ―――――っ!!!」

 

オータム

「喧しい!!…特にこの間勝手に抜け出してきた二人!お前らも来るなよ!!身内だの知り合いだのそんな事関係無いからな!!!」

 

 オータムは以前、束が来た時の事を考えてこの二人がまた勝手に来るかもしれないと思い先に釘を刺しておいた

 

一夏&箒

「………はい…」

 

千冬

「オータム…私達は?」

 

オータム

「ん?…ああ、お前達ならいいぞ。」

 

千冬

「分かった。なら私と山田先生も立ち会わせて貰うぞ。」

 

オータム

「好きにしろ。」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 放課後の第3アリーナ…ここは現在千冬の指示で出入りが禁止されている

 その中で太一達が束の使いが来るのを待っていた

 それから暫くして…

 

 ドゴオオオォォォ―――ンッ!!!

 

 人参型ロケットがアリーナに降って来た

 

太一

「…来たか…」

 

 そして人参から銀髪の少女が出て来た

 

クロエ

「皆様、お待たせしました~♪」

 

オータム

「クロエ、使いってお前かよ!」

 

クロエ

「はい、初めてお会いする方もいますね。私はクロエ・クロニクル。束様の助手を務めております。」

 

千冬

「束の助手か…そんな奴がいるとは知らなかったな。」

 

クロエ

「…まあ…色々ありまして…」

 

千冬

「…そうか…」

 

 千冬は深く聞かない方がいいと判断した

 

マドカ

「それでクロエ。話に聞いた私の専用機とやらは?」

 

セシリア

「あの…わたくしの【ブルー・ティアーズ】も…」

 

クロエ

「どちらもお持ちしてますよ。………こちらになります。」

 

 クロエがそう言うと上空から二つのコンテナが降って来た

 

全員

「………」

 

 そしてコンテナが開くと出て来たのは、片方は左腕に大型のリボルバーが取り付けられ、背中には大型の翼を持つ赤い機体

 もう一方は、青を基調とし、大型の左腕とライフル、翼と背中も砲身らしきものが取り付けられた機体だった

 

セシリア

「………アレ?」

 

 だが、そこにセシリアの【ブルー・ティアーズ】は無かった

 

セシリア

「…あの…【ブルー・ティアーズ】は?」

 

クロエ

「これです。」

 

 セシリアは自分の機体は何処かと聞くが、クロエは青い機体を指さし、これが【ブルー・ティアーズ】だと言い張る

 

セシリア

「コレが…【ブルー・ティアーズ】!?」

 

千冬

「おい!!どういう事だ!!一体あれから何があった!!」

 

クロエ

「…実はですね…あの日、束様が帰ってきた後の事なんですけど………」

 

 そして、クロエはセシリアが束に【ブルー・ティアーズ】を預け、ラボに帰って来た時の事を話し始めた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それは束がIS学園からアジトに戻った時の事だった…

 

「ただいま~♪」

 

スコール

「お帰りなさい。」

 

 IS学園から戻った束は早速セシリアから預かった【ブルー・ティアーズ】を調べ始めた

 

「…え~~~っと…機体の基本スペックがこうなってて…今がこう…」

 

 束はセシリアから渡されたスペックデータと、今の【ブルー・ティアーズ】のデータを見比べていた

 

スコール

「どんな感じ?」

 

「今の所変わってないね。…でもこの機体の【BT兵器】って言うの…プログラムが武装の能力に着いて行けてないね。これじゃあ宝の持ち腐れだよ。」

 

スコール

「貴方何を調べてるのよ?」

 

「え?…あ!そうだったね。でもこんな不完全なプログラムを見るとさ~………弄りたくなるんだよね~♪」

 

スコール

「…貴方まさか…」

 

「折角だからこの武装のプログラム…束さんが改良してあげよう♪」

 

スコール

「…はぁ…何してるんだか…」

 

 束はそう言うと【ブルー・ティアーズ】のコアにアクセスしてプログラムを書き換えようとした

 そんな姿をスコールは呆れながら眺めていた

 だが…

 

「フ~フ~ン♪………ん?…アレ?」

 

スコール

「ん?」

 

「…コレ…」

 

スコール

「どうかしたの?」

 

 束の様子が変わった事に気付いたスコールは声をかけたが、束は返事をしなかった

 気になったスコールは束の邪魔にならないように横から作業を覗いてみた

 

スコール

「…別のコアのデータ?」

 

 束が調べていたのは束の手元にあるコアの一つのデータだった

 

「………スーちゃん…クーちゃんを呼んできて!」

 

 今まで話しかけても反応しなかった束が突然スコールにクロエを呼んでくるように言って来た

 

スコール

「え?…わ、分かったわ!」

 

 束のただならぬ雰囲気にスコールはすぐにクロエを呼びに向かった

 

クロエ

「お呼びですか?」

 

 暫くするとスコールがクロエを連れてきた

 

「これ見て。」

 

クロエ

「?…はい………え?…何ですかコレ?」

 

スコール

「一体どうしたのよ?」

 

「………簡単に言うとね…コアが強化されてる。」

 

スコール

「強化?…コアが?…そんな事あるの?」

 

「普通はありえないよ!でもこの機体のコアは容量や演算速度が他のコアの5倍近くになってるんだよ!!」

 

スコール

「5倍って…初めからそうじゃなかったの?」

 

「違うよ!束さんが残していったコアの性能は全部同じなんだよ。一つだけ違うなんて事はありえない!!」

 

スコール

「だとしたら何でこんな事に………まさか!?」

 

「十中八九…【リヴァイアモン】が原因だね。電子生命体のデジモンに取り込まれたせいでコアの能力が底上げされたんだと思う。」

 

スコール

「そんな事になってこのコアは大丈夫なの?」

 

「見た所何とも無いね。何かウイルスを持ってる訳でもないみたいだし大丈夫だと思うよ。」

 

スコール

「そう…ならこの機体は無事に返す事が出来るわね。」

 

「………」

 

スコール

「…束………貴方…何を考えてるの?」

 

 スコールは黙ったままの束を見て嫌な予感がしていた

 そして、その予感は…

 

「…ねえ、スーちゃん、クーちゃん…この子さ…このまま返していいのかな?」

 

スコール

「貴方やっぱり!?」

 

「折角コアがパワーアップしたんだから機体の方もそれに見合った物にした方がいいよね~♪」

 

 見事に的中した!

 

スコール

「そんな事したら色々と面倒になるからやめなさい!!」

 

クロエ

「そうですよ!!」

 

「ヤダ!!」

 

 そして束は周りが止めるのも聞かず【ブルー・ティアーズ】を改造し始めたのだった…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

クロエ

「………と言う訳で、オルコット様の機体を束様が改造してしまいました。」

 

 クロエから【ブルー・ティアーズ】を改造した経緯を聞き、全員が驚いていた

 

オータム

「…コアのパワーアップなんて本当にあるのかよ?」

 

クロエ

「皆様が信じられないのも分かりますが事実です。私も何度もこの機体のコアのデータを見直しました…ですが…」

 

千冬

「…結果は変わらず【ブルー・ティアーズ】のISコアは強化されていたんだな?」

 

クロエ

「はい…オルコット様の機体はその強化されたコアに合わせて改造されました。そしてマドカ様の機体のコアは【ブルー・ティアーズ】のコアを元に新たに造った物です。」

 

千冬

「あの馬鹿…勝手にそんな事を…イギリスにどう説明すればいいんだ…」

 

セシリア

「…何とかしてみます…」

 

千冬

「スマンな…報告する時は私を呼べ。一緒に説明してやる。」

 

セシリア

「…ありがとうございます…」

 

クロエ

「…では、そちらの事はお任せしますね。」

 

 イギリスへの報告等は完全に人任せにしてクロエはマドカとセシリアの新型の説明を始めた

 

クロエ

「まず、マドカ様の機体ですが…名前は【ライズ・ドレイク】と言います。」

 

マドカ

「【ライズ・ドレイク】…」

 

太一

「ん?…【ライズ】?」

 

 太一はその名前に引っかかった

 

クロエ

「武装は左腕に装備されている大型砲《トライデントリボルバー》と、両肩にそれぞれ1門ずつ、翼に3門ずつ、計8門のビーム砲を搭載しています。それから近接武器として拡張領域(バススロット)に《ジオグレイソード》と呼ばれる双剣を格納してます。」

 

マドカ

「《ジオ…グレイソード》だと!?まさかこの機体!?」

 

クロエ

「はい♪そのまさかです。後、8門のビーム砲からビーム弾幕《ライジングデストロイヤー》を放つ事が出来ます。」

 

マドカ

「…必殺技が使えるという事か…」

 

クロエ

「そう取って頂いていいですよ。次にオルコット様の機体は【ブルー・ドレイク】と言います。」

 

セシリア

「【ブルー・ドレイク】…」

 

クロエ

「こちらの機体は武装として左腕に近接戦闘用の大型アーム《トライデントアーム》…射撃武器として大口径ランチャー《サイバーランチャー》…背中に2門、片翼に3門ずつの誘導ビーム砲を全部で8門装備しています。後、改造前に装備していたビットもプログラムを改良して翼の先端に取り付けてありますよ。」

 

 【ブルー・ドレイク】の説明を聞いていると、その中に太一にとても聞き覚えのある単語が含まれていた

 

太一

「《トライデントアーム》だと!?…まさかその機体《ギガデストロイヤー》を!?」

 

全員

「《ギガデストロイヤー》?」

 

クロエ

「その通りです!太一様の知る《ギガデストロイヤー》とは違いますけどね。【ブルー・ドレイク】の《ギガデストロイヤー》は全てのビーム砲による一斉砲撃です。太一様にはこの2体が何を元にしているのかはもうお分かりですよね?」

 

太一

「…【メタルグレイモン】と【ライズグレイモン】…2体の完全体デジモンだな?」

 

千冬

「何!?」

 

マドカ

「やはりそうか…デジモンのデータを組み込んだISと言う事か…」

 

クロエ

「少し違いますね。これは束様がISでデジモンの能力を再現した機体なんですよ。」

 

真耶

「再現ですか?」

 

クロエ

「はい。それがこの2体…【Dシリーズ】です。」

 

オータム

「【Dシリーズ】?…その『D』ってデジモンのDか?」

 

クロエ

「そうです。【Dシリーズ】と言うのは他のISと区別し易くする為の総称です。」

 

千冬

「分かった。これからはそう呼ぼう。だが、何故究極体ではなく完全体がモデルなんだ?」

 

クロエ

「それはですね…太一様のISは【ロイヤルナイツ】と呼ばれるデジモン達を完全に再現されている機体です。ですがデジモンの中でもIS以上の力を持つ究極体デジモンを再現する事は束様でも出来ませんでした。」

 

太一

「…究極体は無理か…だからこの2体は完全体デジモンがモデルになっているのか?」

 

クロエ

「…そうです。それでも完全体をギリギリ再現出来たと言う状態です。本来なら完全体ですらISを上回っているんです。…究極体の再現の為に実験的に取り付けた【ライズ・ドレイク】の《ジオグレイソード》でさえ、本物の半分以下の能力しか持たせる事が出来ませんでした。」

 

千冬

「実験?…どう言う事だ?」

 

太一

「《ジオグレイソード》は完全体の【ライズグレイモン】の武装じゃない。究極体の【シャイングレイモン】の武器だ。」

 

マドカ

「究極体…【シャイングレイモン】…」

 

千冬

「クロニクル…何故究極体の再現が出来なかったんだ?」

 

クロエ

「理由は色々ありますが、その中でも理由は特に二つ…出力と素材です。」

 

千冬

「出力と…素材だと?出力の方は何となく分かるが素材と言うのは…」

 

太一

「………【クロンデジゾイド】の事か?」

 

全員

「【クロンデジゾイド】!?」

 

 太一の発した聞き慣れない単語にクロエ以外の全員が首を傾げていた

 

太一

「【クロンデジゾイド合金】は【デジタルワールド】にのみ存在する特殊合金だ。その強度は【デジタルワールド】最硬と言われている。」

 

クロエ

「その通りです。太一様の【ロイヤルナイツ】はその【クロンデジゾイド合金】で造られているんです。ですが私達が究極体の能力をISで再現をしようとすると、どうしても装甲の強度が圧倒的に足りないんです。」

 

千冬

「待て!!それはつまり、その【クロンデジゾイド合金】はこの世界のどの金属よりも高い強度を持つと言うのか?」

 

クロエ

「はい!束様も【クロンデジゾイド】を造ろうとしたのですが無理でした。恐らくあれは【デジタルワールド】でしか精製出来ない物です。ですから【デジタルワールド】が存在しないこの世界での精製は不可能です。」

 

千冬

「そうか…ならこの2体の装甲に使われているのは…」

 

クロエ

「この世界の物です。モデルが完全体ですが何とかなりました。それでも世界最硬クラスの金属でなければ造れませんでした。」

 

千冬

「…世界最高クラスの金属を使っても完全体クラスがギリギリ造れるレベルか…デジモン…一体どれだけの力を持つ生物達なんだ…」

 

 千冬の言葉に太一以外の全員が頷いていた

 そして、クロエは説明を続けた

 

クロエ

「…それとですね…実は《トライデントリボルバー》なんですが…威力が強すぎて連続で撃ち続けると砲身が次第に歪んでしまう未完成の代物なんです。」

 

マドカ

「未完成だと!?」

 

クロエ

「…ですから交換用の砲身をいくつか拡張領域(バススロット)に入れてあります。交換自体は簡単な作業ですから異常を感じたらすぐに取り換えて下さい。《トライデントリボルバー》の対処は今も束様が考えてくれていますから、それまでの辛抱と言う事でお願いします。」

 

マドカ

「…分かった。」

 

 大まかな機体説明も終わると、マドカとセシリアは細かい話をクロエに聞き始めた

 そんな中、太一はセシリアの【ブルー・ドレイク】を見ていた

 

太一

「…【メタルグレイモン】か…」

 

セシリア

「太一様?その【メタルグレイモン】と言うデジモンがどうかなさいましたの?」

 

太一

「ん?言ってなかったか?【メタルグレイモン】はアグモンの完全体だ。」

 

セシリア

「え!?そ、そうなのですか!?」///

 

 自分の機体が太一のパートナーの完全体を元にしていると聞きセシリアは喜んでいた

 

太一

「だが、この機体のモデルになった【メタルグレイモン】はアグモンの完全体じゃない。」

 

全員

「え?」

 

太一

「【メタルグレイモン】は2種類存在する。セシリアの機体のモデルになっているのはもう一つの方だ。」

 

 太一はそう言うと【デジヴァイス】を取り出し、操作し始めた

 暫くすると【デジヴァイス】から3体のデジモンのデータが表示された

 

千冬

「…これは?」

 

太一

「【メタルグレイモン】と【ライズグレイモン】だ。」

 

真耶

「コレがですか…」

 

千冬

「確かにこの赤と青の装甲のデジモンはクロニクルが持ってきたISと所々似てるな。」

 

セシリア

「では、この体の一部が機械になっているデジモンがアグモンさんの完全体なんですね?」

 

太一

「そうだ。」

 

オータム

「…なあクロエ…この2体の名前が同じなのって、もしかして元になったデジモンがどっちも【グレイモン】だからか?」

 

クロエ

「そうです。【グレイモン】系がモデルになった機体を束様は【ドレイク】と名付けたんです。」

 

太一

「なら他の名前のデジモンで造った機体は?」

 

クロエ

「まだ決めてません。造ったのはこの2体だけですから。」

 

オータム

「そうか。」

 

 オータムがクロエと機体の名前について話している間、マドカとセシリアは【メタルグレイモン】と【ライズグレイモン】のデータを見ていた

 

マドカ

「………《ソリッドストライク》?…《トライデントリボルバー》の砲身で殴る技だと?」

 

セシリア

「…《サイバーギガンティックランチャー》…《サイバーランチャー》に全エネルギーを集めて撃つ必殺技…」

 

 クロエの説明以外にもあった技について考えていた

 それから少しして…

 

千冬

「さて、そろそろ八神との模擬戦を…と言いたいが。まずは初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)だな。オルコット、八神妹、機体に乗れ。クロニクル、作業を始めてくれ。」

 

マドカ&セシリア

「はい!」

 

クロエ

「分かりました。」

 

 千冬に言われマドカとセシリアがそれぞれの機体に乗り込むとクロエは2機の調整を始めた

 クロエのタイピングの速さを見て…

 

真耶

「早いですね~!流石は篠ノ之博士の助手ですね~!?」

 

クロエ

「そ、そんな事ありませんよ。私より束様ならこの倍の速さで作業を進められますよ。」///

 

 驚く真耶にその様に言われてしまい、クロエは照れていた

 それから数十分経ち、クロエは二人の機体の調整を終えた

 

クロエ

「終わりました。」

 

千冬

「ご苦労。…では八神!」

 

太一

「ああ、<デジタル・セレクト>…【モード:オメガモン】!!」

 

 太一も【オメガモン】を展開すると、マドカとセシリアの二人に向かい合った

 

千冬

「準備は言いな?…よし!始めろ!!」

 

 千冬の合図と共に太一、マドカ、セシリアの3人は上空に飛び上がった

 




 <予告>

 新たな機体を手にいれ、太一と手合わせをするマドカとセシリア

 だが、それと時を同じくして再び鈴と問題を起こす一夏

 クラス対抗戦の日が近づく中、一夏はどうするのか



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 少女の怒り 崖っぷちの少年

 今、冒険が進化する!



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第020話:少女の怒り 崖っぷちの少年

遂にお気に入りが500件を超えました♪

これからも頑張っていきます♪


 

 空中では【オメガモン】を纏った太一に束が開発した新型のISを纏ったマドカとセシリアが向かい合っていた

 戦いを始めようとした時、マドカにクロエから通信が入った

 

クロエ

『マドカ様。一つお願いがありました。《トライデントリボルバー》ですが、先ほども言いましたがそれは撃ち続けると砲身が歪みます。』

 

マドカ

「ああ、分かってる。あまりコイツは使わないつもりだ。」

 

クロエ

『いえ、歪むまで撃って下さい。』

 

マドカ

「何?」

 

クロエ

『私が模擬戦を頼んだのは実戦における《トライデントリボルバー》の耐久力を調べる為でもあります。ですからバンバン撃って下さい。』

 

マドカ

「…なるほどな…分かった!………では早速!!…《トライデントリボルバー!!!》

 

 ドンドンドン!!!

 

 マドカは《トライデントリボルバー》の高速3連射で太一に攻撃を仕掛けた

 

セシリア

「参ります!《サイバーランチャー!!!》

 

 それに続く形でセシリアも右手に構えた《サイバーランチャー》を撃って来た

 

 ドギュゥゥンッ!

 

 だが、二人の砲撃を太一は難なく躱す

 そして、マドカとセシリアは自分で撃った武器に驚いていた

 

マドカ

「くっ!?…何て反動だ!コレでまだ未完成なのか!?」

 

セシリア

「【スターライト】の何倍も威力がありますわね。」

 

太一

「どうした?ドンドンかかって来い。」

 

マドカ

「セシリア!接近戦だ!!」

 

セシリア

「はい!」

 

 マドカは《ジオグレイソード》を展開し、セシリアは左腕の《トライデントアーム》を構え、太一に向かって行った

 

 ガキガキィィンッ!

 

 二人の攻撃を太一は両腕で受け止めた

 

マドカ&セシリア

「くっ!?」

 

太一

「ぬんっ!!」

 

 太一は両腕を振るって二人を弾き飛ばした

 

マドカ

「ぐっ!?…まだだ!!《トライデントリボルバー!!》

 

 ドンドンドン!!!

 

 飛ばされながらもマドカは太一に向かって《トライデントリボルバー》を撃って来たが…

 

 ガキョンッ!

 

太一

ガルルキャノン!!

 

 ドガアアァァ――ンッ!!

 

 太一は《トライデントリボルバー》の砲弾を《ガルルキャノン》で撃ち落とした

 

マドカ

「セシリア!!」

 

セシリア

「はい!!」

 

 マドカは体勢を立て直すと同じく態勢を立て直したセシリアに声を掛け二人は機体の全ビーム砲を太一に向けた

 

マドカ

《ライジング…》

 

セシリア

《ギガ…》

 

マドカ&セシリア

《デストロイヤ―――!!!》

 

 二人は広範囲のビーム攻撃を仕掛けたが…

 

 ジャキンッ!

 

 太一は《グレイソード》で二人のビーム攻撃を一振りで弾き飛ばした

 

マドカ&セシリア

「なっ!?」

 

セシリア

「あれだけの砲撃を剣の一振りで…」

 

マドカ

「…流石は【オメガモン】と言った所か…束の新型ですら歯が立たないとは…」

 

太一

「当然だ。俺の知る限り【オメガモン】は《グレイソード》の一振りで数千の砲撃を弾き返した事もあるからな。この程度は俺からすれば弾幕とも言えん。」

 

マドカ&セシリア

「数千!?」

 

 太一は子供の頃の記憶…【ディアボロモン】との戦いの時の事を思い出しながらそう言った

 

マドカ

「数千の砲撃を弾き返すなんて信じられないが…」

 

セシリア

「太一様なら…【オメガモン】様ならそのくらい出来ても不思議ではありませんわね…」

 

マドカ

「そうだな…」

 

 それから、マドカは《トライデントリボルバー》を、セシリアは《サイバーランチャー》とビットを数度撃ち合うと千冬から終了の声がかかり3人は模擬戦を終えた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

クロエ

「お疲れ様です。どうですかその機体は?」

 

 太一達3人が模擬戦を終えて、地上に降りてくると、クロエは早速マドカとセシリアに新型の感想を聞いて来た

 

マドカ

「悪くないが…《トライデントリボルバー》の反動が強いな。」

 

クロエ

「反動ですか…分かりました。そちらの方もやっておきます。オルコット様は?」

 

セシリア

「【ブルー・ティアーズ】よりも格段に性能が上がってますわ♪ビットの操作もとてもしやすかったですわ♪」

 

クロエ

「それは良かったです。」

 

 クロエはそう答えるとマドカとセシリアのISの確認を始めた

 

マドカ

「クロエ…《トライデントリボルバー》は?」

 

クロエ

「…大分歪んでますね。…データを見る限り今回の模擬戦では6発目までは問題なく撃ててます。…9発目まででギリギリと言った所です。ですが10発目以降は完全に歪んで狙いが定まりませんね。」

 

マドカ

「6発か…《トライデントリボルバー》は一度に3発撃つから2回までしか使えないな。」

 

クロエ

「そうなります。」

 

マドカ

「まあ、太一兄さん以外の相手には2回使えれば十分だな。それに歪んだなら《ソリッドストライク》として使えばいいからな。」

 

クロエ

「そうですね。」

 

 その後もクロエは2機の確認を続けた

 

クロエ

「………《トライデントリボルバー》以外は問題ないですね。…今までとは違ったコンセプトの機体ですから少し心配でしたけど。マドカ様もオルコット様も完全とは言えませんがそれぞれの機体を扱えていますね。お2人とも、これなら大丈夫です。」

 

セシリア

「良かったですわ♪」

 

マドカ

「そうだな。」

 

 それから、クロエは二人にいくつか注意をすると、人参ロケットに乗って帰っていった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 太一がマドカとセシリアの新型と模擬戦をしている頃、別のアリーナでは…

 

一夏

「何だとこの貧乳!!………あ…」

 

 一夏と鈴が口喧嘩をしていたのだが、一夏は鈴の禁句を言ってしまった

 

 バキィッ!!

 

 それを聞いた鈴は右腕のみISを部分展開し、地面を殴りつけた

 

「…今…言ってはならない事を言ったわね…」

 

一夏

「(まずい!鈴に『貧乳』は禁句だった!)ご、ごめん!今のは俺が悪かっ…」

 

「今の『は』!?今の『も』よ!!アンタはいつもそうよ!!いつもいつもアンタが悪いのよ!!いい加減自覚しなさいよ!!!」

 

 鈴が自覚しろと言うが肝心の一夏は何を自覚すればいいのか理解出来てなかった

 

「…素直に謝れば手加減してあげようと思ったけど…もう手加減しない!!全力で叩き潰す!!」

 

 鈴はそう言い残すとアリーナから出て行った

 

一夏

「…やっちまった…」

 

 残された一夏は自分の失言に反省すると同時に、更に追い詰められていくのだった…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 次の日、朝のHRで千冬達からマドカとセシリアの機体【Dシリーズ】の事が説明された

 当然クラスの全員はその事に驚いていた

 そしてその日の放課後、太一はマドカ、セシリアと共に訓練に向かおうとした

 

一夏

「な、なあ…」

 

太一

「ん?」

 

 その時、一夏が話しかけてきた

 

太一

「何か用か?これから訓練に行くところなんだが?」

 

一夏

「…そ、それなんだけど………」

 

太一

「用があるなら早く言え。」

 

一夏

「………頼む太一!!俺を…俺を鍛えてくれ!!」

 

 意を決して漸く太一に訓練を頼んで来た

 

「なっ!?」

 

太一

「………」

 

一夏

「…このままじゃ俺は強くなれない!…だから…頼む!!」

 

 頭を下げて太一に頼む一夏

 

太一

「お前何言ってるんだ?」

 

一夏

「何って…鍛えてくれって言ったんだ!マドカやオルコットはよくても俺は駄目だっていうのかよ!!」

 

太一

「お前自分で言った事忘れたのか?」

 

一夏

「え?」

 

 その反応を見て太一は一夏が本当に忘れているのだと分かった

 すると太一は【デジヴァイス】を取り出し操作し始めた

 

全員

「?」

 

 その場にいる全員が太一のしている事の意味が分からずにいた

 そして、操作を終えると【デジヴァイス】から…

 

一夏

『ま、待てよマドカ…そこまで言わなくても…』

 

 一夏の声が聞こえてきた

 

一夏

「こ、これって…あの時の…」

 

 それは数日前、クラス代表が決まった時の会話だった

 太一の【デジヴァイス】は【イグドラシル】が他にも色々と機能を追加していたのだ

 これはその一つ、いわゆるボイスレコーダーの機能がついていたのだ

 太一はあの時、こっそりアグモンに頼み、自分達の会話を録音しておいて貰っていた

 その後も【デジヴァイス】から聞こえてくる会話を全員が聞いていた

 

一夏

『…俺は太一の手は借りない!!』

 

 この言葉を最後に太一は【デジヴァイス】を止めた

 【デジヴァイス】を仕舞うと太一は一夏に視線を向けると…

 

太一

「一夏…もう一度言ってみろ。」

 

一夏

「うっ…」

 

太一

「俺とオータムはお前に何て言った?お前は俺に何て言った?織斑先生はお前に何て言った?」

 

一夏

「………」

 

太一

「ああ言っても後で頼めば手を貸してくれるとでも思ったのか?それとも本当に忘れてたのか?」

 

一夏

「うっ…」

 

太一

「図星か?随分と都合のいい事を考えていたんだな?」

 

一夏

「………」

 

太一

「自分で言った事くらい自分で責任を持て。…それに、今更遅い。」

 

 太一はそう言うと教室から出て行った

 これは事前に太一自身とオータムが言っていた事だった

 だが、一夏はその事を忘れてしまっていた

 

一夏

「………」

 

 太一が断って出て行った事で一夏は漸く自分の認識の甘さを理解した

 一夏は千冬が推薦した太一との訓練を拒否した

 だがそれも、太一の言う通り忘れていた上に頼めば手を貸してくれるだろうと言う考えがあった

 しかし、実際頼んでみれば太一はあっさりと断ってしまった

 そして一夏の耳には先ほど太一が【デジヴァイス】で再生した言葉が何度も聞こえてきた

 

太一

『俺との訓練が嫌だと言うなら今後お前が泣きついて来ようと俺はお前の訓練は()()にしないからな。』

 

一夏

「………本当に手を貸してくれないのかよ…」

 

太一

『碌な勉強も訓練も何一つしなかったお前が他の連中に追いつくにはそれくらいしないと無理だと思うが?』

 

一夏

「…どうすればいいんだ…」

 

 頼みの太一に断られるとは思っていなかった一夏は途方に暮れていた

 そこに…

 

「一夏!!今のはどう言う事だ!!」

 

一夏

「箒…」

 

 案の定、怒鳴りながら箒が一夏に詰め寄って来た

 

「お前には私が教えているだろ!!何故アイツに頼むんだ!!」

 

一夏

「…何故って…千冬姉も最初は太一に教われって言ってただろ?…だから頼もうと…」

 

「だがお前は断っただろ!!それを何故今になって頼むんだ!!」

 

一夏

「…俺はもっと強くなりたい。でもその為にはお前に教わるだけじゃダメだと思ったんだ。」

 

 一夏はそう言って教室から出て行こうとした

 

「待て一夏!何処に行く!!」

 

一夏

「…もう一度頼みに行ってくる。」

 

 そう言うと一夏は太一を追いかけて今度こそ教室から出て行った

 残された箒は…

 

「何故だ…一夏…」

 

全員

「………」

 

 箒は何故自分では無く太一に頼るのか分からなかったが、クラスの全員からすれば一夏の判断は正しいと思っていたのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一夏の頼みを断った太一は、後から来たマドカとセシリアと一緒にアリーナに来ていた

 

太一

「さて、始めるか。」

 

マドカ

「…なあ、太一兄さん…」

 

太一

「…一夏の事か?」

 

マドカ

「ああ…訓練を付けてやってもよかったんじゃないか?」

 

太一

「…いや…ココで頼みを聞くとあの馬鹿を甘やかす事になる。アイツには少し現実の厳しさを教えておいた方がいい。」

 

マドカ

「………」

 

太一

「お前の心配も分かるがクラス対抗戦が終わるまでは手を貸さん。…終わったら千冬からもう一度頼むように俺から言っておく。悪いがそれで納得してくれ。」

 

マドカ

「…分かった…確かにそうだからな。」

 

セシリア

「では始めましょうか?」

 

太一

「ああ…デジタル・セレクト!!【モード:オメガモン】!!」

 

 太一が【オメガモン】を展開すると二人も自分のISを展開した

 

 ザワザワ…

 

 二人が機体を展開すると周りにいた生徒達が騒めきだした

 

マドカ

「ん?何だ?」

 

セシリア

「恐らくわたくし達の機体が原因でしょう。わたくしの専用機は変わっていますし、太一様の機体もまだ全員が見た事がある訳ではありません。そしてマドカさんも専用機を手に入れた訳ですからね。」

 

マドカ

「なるほどな…」

 

太一

「周りの事は気にするな。始めるぞ。今日はそうだな…お前達二人は遠距離射撃が得意だから接近戦の訓練をするか。」

 

セシリア

「接近戦ですか?…確かにわたくしは接近戦が苦手ですわね。」

 

マドカ

「わたしもどちらかと言えばそっちが苦手だな。」

 

太一

「だから今日はそこを重点的にやる。いいか?遠距離攻撃は禁止だ。それだけを守ってかかって来い!!(…さて、この二人は俺の言った事の意味を理解したかな…)」

 

セシリア

「参ります!!《トライデントアーム!!》

 

マドカ

《ジオグレイソード!!》

 

 セシリアは左腕の《トライデントアーム》で、マドカは拡張領域から《ジオグレイソード》を展開して、それぞれ太一に仕掛けたのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「………なによあのIS…全身装甲なんて初めて見た!?」

 

 太一達と同じように訓練に来ていた鈴は太一達3人のISに驚いていた

 

「…あの性能…明らかに手を抜いているのに私の【甲龍】を遥かに上回ってる!?」

 

 鈴は太一達の訓練を見て太一の力が自分の専用機を超えた性能を持つ事に気付いた

 

「それにあのイギリスの専用機…あんな形じゃ無かった筈よね?…事前に手に入れた情報と形状が違い過ぎる!?どう言う事なの?アレも話に聞いた一部のISに感染しているウイルスが原因だって言うの?」

 

 中でもセシリアの機体が変わっている事に驚いていた

 鈴はこの時点で【SINウイルス】の事は国からの報告で聞いていたが【Dシリーズ】に関する情報は何も聞いていなかった

 一方、もう一度太一に訓練を頼みに来た一夏も始めて見た【Dシリーズ】の機体に驚いていた

 

一夏

「………アレが【Dシリーズ】!?………いや!そんな事より…どうすれば太一に鍛えて貰えるんだ…頼んでも断られたし…」

 

 太一達の訓練を見ながらどうやって頼むか考えていた

 

一夏

「………こうなったら!!」

 

 そして一夏は太一に鍛えて貰う為にある考えが浮かんだ

 だが、それが自分をさらに追い詰める事だとも気づかずに…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一夏が碌でもない事を考えている間も太一達の訓練は続いていた

 太一は《グレイソード》でマドカの《ジオグレイソード》を受け止めると…

 

マドカ

「…え?」

 

 右腕の《ガルルキャノン》をマドカの胴体に押し当てて…

 

太一

《ガルルキャノン!!》

 

 ドゴンッ!

 

 《ガルルキャノン》を撃ち込んだ

 

マドカ

「がはっ!」

 

セシリア

「マドカさん!?太一様!遠距離武器は使用が禁止だと仰ったではないですか!?」

 

太一

「…やはり気付いてなかったか。」

 

マドカ

「ぐっ…どう言う事だ?」

 

セシリア

「マドカさん!大丈夫ですか!?」

 

マドカ

「あ、ああ…兄さん…今の砲撃は何だ?あれだけの至近距離で…いや、0距離であの《ガルルキャノン》を喰らって私のSEが残っているのは何故だ?」

 

太一

「今のは空砲だ。0距離で撃っても精々衝撃を受ける程度だ。」

 

マドカ

「空砲であの衝撃だと!?…いや、そんな事より兄さん!今の言葉はどう言う意味だ!!」

 

太一

「思い出してみろ。俺は訓練を始める前に遠距離攻撃は禁止だとは言ったが遠距離武器を使うなとは一言も言って無い。」

 

マドカ&セシリア

「あっ!?」

 

 太一に言われて二人は気付いた

 確かに訓練を始める前、太一は遠距離から攻撃はするなとは言ったが武器は使うなとは言っていなかった

 

太一

「今日の訓練の本来の目的は遠距離武器…つまり射撃武器を接近戦で使う方法を教える事…そして言葉による駆け引きだ。」

 

マドカ

「言葉の駆け引き?」

 

太一

「そうだ、相手が人間である以上言葉は少なからず交わす。ロボットが相手なら別だがな。」

 

セシリア

「そうですわね…」

 

太一

「言葉はただ会話をする為だけの物じゃない。使いようによっては言葉も武器になる。」

 

マドカ&セシリア

「え?」

 

太一

「分かり易く言えば挑発や悪口の事だ。悪口は言わない方がいいがアレも挑発と似たような物だからな。」

 

マドカ&セシリア

「………」

 

太一

「今の攻防もお前達二人は俺が言った『遠距離攻撃は禁止』と言う言葉を『遠距離武器を使うな』と勝手に勘違いしていただろ?」

 

マドカ&セシリア

「あ!?」

 

太一

「つまり言葉一つでお前達は射撃武器を自分達で封じてしまったという事だ。」

 

マドカ&セシリア

「………」

 

太一

「戦う時は相手の言葉を一字一句聞き間違えないように心がけるんだ。一字違うだけでも言葉の意味は大きく変わる事もある。これは俺の経験から来たものだから覚えておいて損は無い筈だ。」

 

マドカ&セシリア

「はい!」

 

 太一がそう言うと二人は大きく返事をした

 生前外交官をしていた事を知っている二人は太一の言う事に納得していた

 

太一

「次に射撃武器で近接戦をする方法だが…」

 

マドカ&セシリア

「………」

 

太一

「今の俺の攻撃がその一つだ。近接武器で相手に接近し、その隙に射撃武器を至近距離で撃ちこむと言った戦い方だ。」

 

マドカ&セシリア

「………」

 

太一

「幸い、お前達の機体はどちらも強力な近接武器と射撃武器を持っている。今の俺の方法を使う事も出来るだろう。」

 

 そう言われて二人は自分達の持つ武器を見た

 マドカは《トライデントリボルバー》と《ジオグレイソード》

 セシリアは《トライデントアーム》と《サイバーランチャー》を見ていた

 

太一

「射撃武器だから遠くから使う物である必要は無い。またその逆、近接武器も使いようによっては遠距離から使う事も出来る。…こんな風にな!」

 

 太一はそう言うと《グレイソード》を真上に向かって振りぬいた

 

マドカ&セシリア

「!?」

 

 降りぬいた《グレイソード》はそのまま斬撃となって上空に向かって行った

 

太一

「まあ、こんな事も出来る。と言ってもこれは《グレイソード》だから出来る方法でもあるがな。だが、お前達も自分の武器を使いこなせれば、いずれ似たような事が出来るかもしれない。だがまずは接近戦の訓練からだ。」

 

マドカ&セシリア

「はい!」

 

 二人が力強く返事をした時…

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉ―――――っ!!!」

 

太一&マドカ&セシリア

「ん?」

 

 声を上げながら誰かが襲い掛かって来た

 太一は声の主が誰かすぐに分かったが、とりあえず《グレイソード》でその攻撃を受け止めた

 

 ガキィン!

 

太一

「何のつもりだ一夏。」

 

 そう、太一に斬りかかったのは一夏だった

 

一夏

「…お前に訓練の相手になって貰う為だ!!」

 

太一

「それはさっき断っただろ?」

 

一夏

「ああそうだ!お前が相手をしてくれないなら無理矢理相手になって貰う!!」

 

 一夏が仕掛けてきた理由を聞き、太一は呆れ果てた

 

太一

「随分勝手だな?俺との訓練を嫌がったのはお前だろ?あれだけ啖呵を切ってそれを今更相手をしろとは随分と虫のいい話だな?」

 

一夏

「ぐっ!…ああその通りだ!…虫のいい話だってのは分かってる!それでも今の俺はそれだけ追い詰められてるんだよ!!」

 

太一

「それはお前の自業自得だ!さっきも言ったが少しは自分で言った事に責任を持て!」

 

 太一はそう言うと《グレイソード》で一夏の【雪片弐型】を弾き飛ばすと《ガルルキャノン》を一夏の体に押し当てた

 

一夏

「…え?」

 

 バコォォン!

 

一夏

「ぐあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 先程のマドカと同じ様に0距離で《ガルルキャノン》を撃ち込んだ

 しかし、今度は威力を抑えているとはいえ、実弾を撃ち込まれたので一夏は爆発と共に地上に墜落した

 《ガルルキャノン》を喰らった【白式】はSEが0になり、強制解除してしまった

 

太一

「…さて、続きを始めるぞ。」

 

マドカ

「…いいのか…アレ?」

 

太一

「放っておけ。自分の思い通りにならないからって無理矢理付き合わせようする奴にはいい薬だ。それに…」

 

マドカ&セシリア

「それに?」

 

 太一は地上に落下した一夏が気絶しているのを確認した

 

太一

「…仮にアイツに無理矢理とは言え付き合ったら、それで味を占めて俺が訓練をする度にやってくる可能性がある。」

 

セシリア

「そう…ですわね…」

 

マドカ

「…だな…」

 

太一

(…馬鹿な奴だ…今の行動も自分を追い詰める事だと分からないのか?…これじゃあ、大会の後に千冬に頼んで訓練を当てて貰うのも難しくなったな…)

 

 太一は地上で意識を失っている一夏を見ながら、その愚かとしか言いようのない行動に呆れ果てていた

 

太一

(仕方がない…後で千冬に少し相談するか…)

 

 太一はそんな事を考えながら二人の訓練を続けた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「…アイツ…何してるんだろ?」

 

 鈴はアリーナでのびている一夏を見て一連の行動に首を傾けていた…

 

 

 




 <予告>

 遂に始まるクラス代表戦

 一回戦は何と1組の一夏と2組の鈴

 だが、相も変わらず鈍感な一夏の態度に鈴の怒りは頂点に達した

 それは怒りの魔王の目覚めの時だった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 魔王覚醒!憤怒の罪デーモン!!

 今、冒険が進化する!



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第021話:魔王覚醒!憤怒の罪デーモン!!

アンケートの途中経過です

イージスドラモン 2票

ギガシードラモン 1票

必要無し 6票

となっています。
これからも投票をお待ちしてます♪


 

 一夏が太一に返り討ちにあってからクラス対抗戦当日…1回戦の組み合わせは…

 

 『1組代表・織斑一夏 対 2組代表・凰鈴音』

 

 …となっていた

 現在ピットでは一夏が【白式】を纏って準備をしていた

 そして、その場には前回注意されたにもかかわらず懲りずに箒がいる

 

一夏

「…いきなり鈴か…」

 

「情けないぞ一夏!何を怖気づいている!!」

 

一夏

「…箒…」

 

「この大会に勝って八神を見返してやるんだろ!!その為に今日まで特訓をしてきたんだぞ!!」

 

一夏

「…そうだな!!」

 

 一夏は太一に返り討ちにあった次の日から箒と猛特訓をしていた

 一夏は太一を見返す為に…

 箒は太一より自分の方が一夏の役に立つと太一と一夏に知らしめる為に…

 …ただし、それは二人から考えての猛特訓であり、太一から見れば生温いと言うレベルでしかなかった…

 

アナウンス

『織斑選手。アリーナに出てください。』

 

 試合を始める為、アナウンスに呼ばれる

 

一夏

「よし!…織斑一夏!【白式】行くぜ!!」

 

 気合を入れ、一夏はカタパルトから飛び立っていった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 カタパルトから飛び立った一夏はすでにアリーナで待っていた鈴の前に来た

 鈴は自分の専用機、第3世代型【甲龍(シェンロン)】を纏っていた

 

「逃げずによく来たわね!今謝れば少しは手を抜いてあげるわよ!!」

 

一夏

「手加減なんていらねえよ!(…それを言って以前太一に滅茶苦茶に言われたからな…)」

 

「何か言った?」

 

一夏

「何でもねえよ!!全力で来い!!」

 

「どうあっても謝る気は無いって事ね!!なら容赦しない!!この【甲龍(シェンロン)】で叩きのめしてあげるわ!!!」

 

アナウンス

『それでは両者…試合開始!!』

 

 試合の合図とともに鈴は近接武器の【双天牙月】を連結させ斬りかかった

 

 ガキイィィン!!

 

一夏

「くっ!」

 

 一夏はその攻撃を受け止めた

 

「ふぅん…初撃を防ぐなんてやるじゃない。」

 

一夏

「…どうも…」

 

「あ!…そうそう、あんたのそのISって千冬さんと同じ【零落白夜】が使えるらしいわね?」

 

一夏

「!?」

 

「確かにその【雪片】の【バリアー無効能力】は強力だわ。…でもね?【雪片】じゃなくても攻撃力の高いISなら絶対防御を超えて本体にダメージを与える事が出来るのよ!」

 

一夏

「え!?」

 

 鈴の言った事に一夏は驚いた

 自分だけでなく鈴もまた同じような事が出来ると言って来たからだ

 

「勿論この【甲龍(シェンロン)】もね!!…つまり…条件は互角って事よ!!!」

 

 だが、鈴は一夏と違い迷いなく仕掛けて行った

 

一夏

(くっ…捌きにくい!!一端距離を取って…)

 

 鈴の連続攻撃に防戦一方になった一夏は鈴から距離を取ろうと下がろうとしたが…

 

「甘い!!」

 

 ドウンッ!

 

 鈴は左右の浮遊ユニットに搭載されている武装【龍咆】を撃ち込んだ

 

一夏

「がっ!?」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 観客席で試合を観戦していた太一は隣にいるマドカとセシリアに先程の鈴の攻撃の事を聞いて来た

 

太一

「…何だ今のは?いきなり吹き飛ばされたように見えたが…」

 

セシリア

「あれは…衝撃砲ですわね…」

 

太一

「衝撃砲?」

 

マドカ

「空間に圧力をかける事で砲身を作り出し、それによって生まれた衝撃を撃ち出す第3世代兵装の一つだ。」

 

太一

「空間に圧力をかけるか…だから砲弾が見えなかったのか?」

 

セシリア

「その通りです。」

 

太一

「…見えない攻撃…今の一夏には厳しい攻撃だな…」

 

マドカ

「そうなのか?」

 

太一

「ああ、アイツは俺に返り討ちにあってから篠ノ之と特訓をしていたようだが…少し気になって見に行った事があるんだが…」

 

 太一はその時の一夏の特訓風景を思い出しながら答えた

 

太一

「俺から見れば特訓とも呼べない簡単な物だったな。あの程度じゃ対して強くはならんだろう。」

 

マドカ

「簡単って…」

 

セシリア

「…太一様の訓練を考えると何となくですが分かる気がします…」

 

マドカ

「…そうだな…」

 

 セシリアの言葉にマドカも同意した

 二人は今日まで太一にしごかれていたが、その内容は実戦さながら…と言うか実戦その物の模擬戦だった…

 そのお陰でこの二人の実力は格段に上がっていたが…そのかわり何度も死にかけたのだ

 

セシリア

「アレに比べればどんな訓練も霞んで見えますわ…」

 

マドカ

「…ははは…そうだな…何度死にかけた事か…」

 

 光の消えた目でそう言うセシリア…

 そして同じような目をしながら乾いた笑いを上げるマドカも同意していた

 だが…

 

太一

「あの程度で死にかけるとはまだまだだな。」

 

マドカ&セシリア

「あの程度!?」

 

 太一の一言に二人は揃って目を見開いて驚いた

 

太一

「当り前だろ?…何ならこの大会が終わった後はもう少しキツくしてやろうか?」

 

セシリア

「ち、ちなみにどのような感じに…」

 

太一

「…そうだな…【オメガモン】で言えば…まず《ガルルキャノン》を空砲から実弾に変える。威力はそうだな3割でいいか?1発喰らえば病院行きになる程度だな。後は《グレイソード》の剣速を倍ぐらいに上げるかな。どうだ?」

 

マドカ&セシリア

「勘弁してください!!」

 

 太一の訓練内容を聞いて二人は速攻で拒否した

 

マドカ

「私達の実力ではまだそれは早すぎる!!」

 

セシリア

「今の訓練で十分です!!」

 

太一

「そうか?なら今のままでやるか。」

 

マドカ&セシリア

「ほっ…」

 

 太一が諦めた事に二人は心の底から安堵していた

 ちなみに、太一達の周りにいた生徒達も今の話を聞いており、その内容に冷や汗を流していた

 

太一

「所でマドカ?」

 

マドカ

「な、何…」

 

太一

「俺がアイツを返り討ちにしてからなんだが…アイツはお前の所に訓練を頼みに来たか?」

 

マドカ

「え?…いや、来てないけど…」

 

太一

「セシリアは?」

 

セシリア

「わたくしもです。」

 

太一

「…そうか…」

 

マドカ

「それがどうかしたのか?」

 

太一

「いやな、アイツ何で篠ノ之と引き続き訓練をしていたのかと思ってな…」

 

セシリア

「どう言う事ですか?」

 

太一

「お前達も篠ノ之がまともな訓練が出来ないのは知ってるだろ?俺に断られたのならお前達のどちらかに頼むかと思ったんだが、声を掛けてもいないとはな…」

 

マドカ&セシリア

「あ~~~…」

 

太一

「まぁ俺もこの間アイツに言った事は普通に反省させる為だからお前達の所に行かなかったからって何も言う気はないが…俺が駄目なら普通は篠ノ之と続けるよりお前達のどちらかに頼むと思うんだがな?」

 

マドカ

「確かに…」

 

セシリア

「本当に何を考えてるんでしょう?」

 

太一

「…自分で聞いておいて何だが…分からん…」

 

 一夏の行動が結局分からない太一達だった

 

太一

「………ん?」

 

 それから少しして、話を終えて試合を見ていた太一が突然何かに気付いた

 

セシリア

「どうかしましたか?」

 

太一

「…あの衝撃砲…一夏でも攻略出来るかもしれないな。」

 

マドカ&セシリア

「え?」

 

太一

「凰の視線だ。アイツは衝撃砲を撃つ時に狙う場所を見ている。アレが囮でないなら攻略する事も可能だ。」

 

 太一に言われ二人は鈴の顔をよくみて見た

 確かに太一の言う通り鈴は【龍咆】を撃つ時に狙う場所を見ていた

 

マドカ

「…本当だな!」

 

太一

「もっとも、一夏がそれに気付いたとしてもまだ凰の方が実力は上だ。僅かに勝率が上がると言った程度だがな。」

 

 太一は今迄の攻防で鈴の方が実力は上と見ており、一夏では勝てないだろうと見ていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ほらほらどうしたの?逃げてばかりじゃ勝てないわよ?」

 

一夏

「くそっ!!」

 

 一夏は鈴の放つ見えない砲弾に防戦一方となり更に追い詰められていた

 そんな中、突然鈴は攻撃の手を止めた

 

一夏

「?」

 

「どう一夏?…いい加減自分の否を認めて謝る気になった?」

 

一夏

「何言ってんだよ!何で俺が謝る必要があるんだ!勝手にキレたお前の方が悪いだろ!!」

 

 ブチッ!!

 

 一夏がそう言った瞬間何かが切れる音がアリーナ中に響き渡った

 

一夏

「何だ今の音?」

 

「…アンタは…アンタって奴は…一体何処まで…」

 

一夏

「り、鈴?」

 

「がああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――っ!!!!!」

 

 一夏の言動にとうとうキレてしまった鈴は大声で雄叫びを上げ始めた

 

「あああああああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――っ!!!!!」

 

 だが、次の瞬間、鈴の額に謎の紋章が現れた

 その光景に一夏は見覚えがあった

 

一夏

「…ま、まさか…」

 

 それはセシリアが【リヴァイアモン】へと姿を変えた一連の光景と全く同じだった

 紋章から溢れ出す黒とオレンジの光…光はそのまま鈴を包み込みセシリアの時と同じように卵の形…【デジタマ】へと姿を変えた

 

一夏

「う、嘘だ…鈴が………何で鈴が!?」

 

 鈴が【デジタマ】になってしまった事を信じられない一夏

 だが、そんな一夏の想いとは裏腹に鈴を取り込んだ【デジタマ】は【リヴァイアモン】の時のように膨らんでいった

 しかし、【リヴァイアモン】の時とは違いアリーナを内側から圧迫するほどの大きさにはならなかった

 そして…

 

 ピシッ!

 

一夏

「あ…ああ…」

 

 バリイイイィィィ―――ン!!!

 

 【デジタマ】が割れ、そこから出て来たのは…

 

『クククッ…人間…感謝するぞ!』

 

 その姿はワニの姿をしていた【リヴァイアモン】とは全く違っていた

 耳まで裂けているほどの大きな口…2本の長い角…異様に長い左腕…蝙蝠のような巨大な翼…

 正しく悪魔と呼ぶに相応しい姿だった

 

一夏

「り、鈴…」

 

『我が名は【デーモン】!!…【憤怒の魔王】…【デーモン】だ!!!』

 

 鈴を取り込み、現れたのは【憤怒】を司る第2の魔王…【デーモン】だった

 

デーモン

『ハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!』

 

一夏

「り―――――――――――んっ!!!!!」

 

デーモン

『ハ―――――ッハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!』

 

 鈴の名を叫ぶ一夏だが、そんな声も【デーモン】の笑い声に搔き消されていた

 




 <予告>

 第2の魔王…憤怒のデーモン

 デーモンの出現によって生徒達は混乱するが、アリーナから外へ出る為の扉がデーモンによってロックされてしまう

 更なる混乱にみまわれるアリーナで、太一はデーモンに対して新たな聖騎士で挑む

 神速の蒼き聖騎士と悪魔の王の戦いが今始まる



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 風の守護者!神速のアルフォースブイドラモン!!

 今、冒険が進化する!



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第022話:風の守護者!神速のアルフォースブイドラモン!!

 

 現在管制室では【デーモン】の出現によって緊急事態に陥っていた

 

オータム

「チッ!もう次が出てきやがったか!!」

 

千冬

「次だと!?ではアイツも!?」

 

オータム

「【デーモン】…【亡国機業】を潰した【七大魔王】の片割れだ!!」

 

千冬

「アイツが【亡国機業】を!?なら鈴がやったと言うのか!?」

 

オータム

「分からねえ…【亡国機業】が潰されたのは数か月前だ!奴ら【七大魔王】がオルコットや凰に憑りついたのは何時か分からねえからな!!」

 

千冬

「そうか…いや、今はそんな事はどうでもいいか!!」

 

 千冬の言う通り【デーモン】が現れた事で会場中がパニックに陥っていたが、真耶からさらに悪い知らせが届く

 

真耶

「織斑先生!!オータム先生!!大変です!!」

 

千冬

「大変なのは見ればわかる!!」

 

真耶

「そっちじゃありません!!観客席の扉が全てロックされてるんです!!」

 

千冬&オータム

「何っ!?」

 

 真耶の言った通り、現在、観客席の扉がロックされ中の生徒たちが避難する事が出来なくなっていた

 

千冬

「原因は!!」

 

真耶

「学園のシステムが何者かにハッキングを受けているみたいなんです!!そのせいでこちらからの操作を受け付けません!!」

 

オータム

「ハッキングだと!!…まさか!?」

 

 原因に気づいたオータムはアリーナにいる【デーモン】に視線を移した

 つられて千冬と真耶もアリーナを見た

 

オータム

「アイツの仕業か!?」

 

真耶

「ど、どうしましょう!!」

 

千冬

「…【七大魔王】が出てきたのなら私達に出来る事は一つだけだ!」

 

真耶

「で、では…」

 

千冬

「すぐに八神に連絡を取れ!!」

 

 千冬がそう言うと真耶はすぐさま太一に連絡を取った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

一夏

「り、鈴…」

 

 一方アリーナでは一夏は目の前にいる鈴であった存在を信じられない目で見ていた

 

デーモン

『クククッ…さて…小僧!』

 

一夏

「!?」

 

デーモン

『改めて礼を言うぞ!ワシを蘇らせてくれた事にな!』

 

一夏

「な、何!?俺が…お前を蘇らせた!?」

 

 一夏は【デーモン】の言う言葉の意味が理解できなかった

 

デーモン

『クククッ!さっき言っただろう?ワシは【デーモン】…【憤怒の魔王】だと?』

 

一夏

「【憤怒の…魔王】!?」

 

デーモン

『我が力の源は【憤怒】!即ち【怒り】だ!!ワシの依り代となったこの小娘の貴様に対する激しい怒りによってワシは蘇る事が出来たのだ!!クククッ…ハハハハハハッ!!感謝するぞ小僧!!ハハハハハハハッ!!!』

 

一夏

「そ、そんな………俺の…せいで…鈴が…」

 

 自分のせいで鈴は【デーモン】に変わってしまった

 【デーモン】自身の口から語られた真実に一夏は衝撃を受け、その表情は絶望に染まった

 

デーモン

『クククッ…小僧、貴様はワシが蘇るきっかけをくれた礼に見逃してやる。ワシにはやらねばならん事があるからな…』

 

 【デーモン】はそう言うと視線を一夏から周囲のアリーナに向けた

 

デーモン

『出て来い!!我が同胞【リヴァイアモン】を倒した人間よ!!ワシは奴の様に容易く倒される事は無いぞ!!』

 

 【デーモン】は同じ【七大魔王】である【リヴァイアモン】を倒した人間…即ち太一を呼び出した

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

太一

「………」

 

 一方、アリーナの観客席で【デーモン】に名指しされた太一はゆっくりと立ち上がった

 

セシリア

「太一様…」

 

マドカ

「行くのか?」

 

太一

「ああ………ん?」

 

 ザワザワ…

 

生徒1

「ア、アレ?開かない!?」

 

生徒2

「何ですって!?じゃああの化け物がこっちに攻撃してきたらどうなるのよ!?」

 

生徒3

「やだああぁぁ――っ!!死にたくないよおおぉぉ――っ!!」

 

 太一がISを展開しようとした時、周りの生徒達が逃げられないと騒ぎだした

 

マドカ

「…どう言う事だ?まさか…扉が開かないのか!?」

 

セシリア

「恐らくそうなのでしょう!そして原因は…」

 

太一

「…【デーモン】の仕業だな…」

 

 Prrrrrr

 

太一

「ん?」

 

 その時、太一に通信が入った

 

千冬

『私だ!』

 

 通信の相手は千冬達だった

 

太一

「千冬か…何の用だ?今から出る所なんだが?」

 

千冬

『そうか!スマナイが奴の相手を頼む!!』

 

マドカ

「オイ!そんな事言う前に早く扉を開けてやれ!!」

 

オータム

『開けたくても【デーモン】にハッキングを受けてこっちから操作出来ねえんだよ!!』

 

マドカ

「チッ!やはりそうなっているのか!」

 

太一

「………アグモン…」

 

 マドカ達の会話を聞いていた太一は、【デジヴァイス】の中のアグモンに話しかけた

 

アグモン

『どうしたの太一?早く行かないと!』

 

太一

「いや、今回は俺一人で戦う。お前にはやって貰いたい事がある。」

 

アグモン

『やって貰いたい事?』

 

太一

「お前は学園のシステムに侵入して扉を開けられるようにしてくれ。俺は出来るだけ奴を学園から遠ざけてみる。」

 

全員

「!?」

 

千冬

『そんな事が出来るのか?』

 

太一

「当り前だ。電脳空間はアグモン達デジモンにとって庭の様な物だ。例え始めて侵入したシステムでも簡単に動き回る事が出来る。」

 

オータム

『だから【デーモン】も現れてすぐに扉を封鎖出来たのか!?』

 

太一

「そうだ。…アグモン、構わないか?」

 

アグモン

「分かったよ!任せておいて!」

 

太一

「それからアグモン、ロックを解除するのに時間が掛かるようなら千冬達に連絡してくれ。」

 

アグモン

『いいけど…どうして?』

 

太一

「その場合はマドカとセシリアに扉を破壊させる。」

 

マドカ&セシリア

「え!?」

 

千冬

『お前何を言ってるんだ!?』

 

太一

「今は生徒達の避難が先決だ!扉の一つや二つ壊しても構わんだろう?」

 

千冬

『ぐっ!…それは…』

 

太一

「扉は壊しても後で直せる!だが、命は一度失えば二度と戻っては来ない!…一度生き返った俺が言うのもおかしいけどな…」

 

千冬

『………そうだな…オルコット!八神妹!お前達は私達の指示が来たらすぐに扉を破壊して生徒達を避難させろ!!』

 

マドカ&セシリア

「分かった(りました)!!」

 

 二人が頷くのを確認すると太一は近くにあった端末に【デジヴァイス】を向けた

 

太一

「頼んだぞアグモン!」

 

アグモン

『任せてよ!』

 

 アグモンを学園のシステムに送り込むと太一は【デジヴァイス】を掲げた

 

太一

「行くぞ!!デジタル・セレクト!!【モード・アルフォースブイドラモン】!!!」

 

マドカ&セシリア

「!?」

 

 それは第3の新たな聖騎士だった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 [BGM:brave heart]

 

デーモン

『…来たか!』

 

 観客席の一角から激しい光が溢れ出しそれを見た【デーモン】は目的の人物が現れた事に気付いた

 

デーモン

『…ほう…まさかこんな所で【ロイヤルナイツ】と出会う事になるとはな!』

 

 光が収まるとそこには3体目の【ロイヤルナイツ】を纏った太一がいた

 全身に青い鎧を纏い、竜の頭部と巨大な翼を持つ聖騎士…【アルフォースブイドラモン】が立っていた

 その姿に混乱していた生徒達はいつの間にか目を奪われていた

 そんな中、太一はアリーナの中の【デーモン】を見据えると…

 

太一

「………」

 

 ビュンッ!!

 

 風切り音と共に姿が一瞬消えると、次の瞬間にはアリーナの中に移動していた

 

全員

「!?」

 

 その光景を逃げ惑う生徒達は今度は信じられない物を見るような目で太一を見ていた

 それもその筈、観客席とアリーナの間にはバリアが張られており破壊されてもいないにも拘らず太一が中にいたからだ

 生徒達から見れば太一が瞬間移動したようにしか見えなかった

 実際は太一はただ観客席からピットに移動し、カタパルトからアリーナの中に入っただけだった

 ただ、あまりにも速過ぎて生徒達には瞬間移動した様にしか見えなかったのだ

 そんな生徒達の心情など太一は気にもせず、【デーモン】の前までやって来ていた

 

デーモン

『貴様か…【リヴァイアモン】を倒した人間は?』

 

太一

「ああ、お前も奴と同じように俺が倒す!!」

 

デーモン

『クククッ…面白い!!やってみるがいい!!!』

 

 互いに構え睨み合う太一と【デーモン】…

 だがそこに…

 

一夏

「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――っ!!!!!」

 

 叫び声を上げながら一夏が【デーモン】に向かって突っ込んで来た

 

デーモン

『ん?』

 

一夏

「ああああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 ガキンッ!

 

 【零落白夜】を発動させた【雪片弐型】で斬りかかるが…

 

一夏

「何っ!?」

 

 …その攻撃は【デーモン】の体に傷一つ付ける事が出来なかった

 

一夏

「そ、そんな!?【零落白夜】が…効かない!?」

 

デーモン

『何のつもりだ小僧?見逃してやると言ったのを忘れたのか?』

 

一夏

「黙れ!!黙れ黙れ黙れええぇぇっ!!鈴を…鈴を返せえええええぇぇぇぇぇ――――っ!!!」

 

 鈴を返せと叫びながら【零落白夜】で滅多切りにする一夏だが、そんな攻撃が【デーモン】に効く筈は無かった

 

デーモン

『…邪魔だ!』

 

 【デーモン】はそう言うと一夏の胸元の前で中指を丸め、親指で抑えた

 それは【デコピン】の形だった

 

一夏

「…え?」

 

 バチィィン!

 

一夏

「ぐふぅっ!!」

 

 【デーモン】のデコピン1発で一夏は太一のいる方に弾き飛ばされた

 

太一

「………」

 

 それを太一が片腕で一夏を受け止めたが…

 

一夏

「ぐっ…げほっ…ごほっ…く、くそおおおぉぉぉ―――っ!!!」

 

太一

「一夏…奴とは俺がやる。お前は下がれ。」

 

 なおも【デーモン】に向かって行こうとする一夏を太一は肩を掴んで下がる様に言うが…

 

一夏

「五月蠅い!!アイツは俺が倒す!!俺が…俺が鈴を助けるんだあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!!!」

 

 聞く耳を持たなかった

 

太一

「…はぁ…」

 

 太一は呆れながら前回の【リヴァイアモン】との戦いの時の事を思い出した

 その為、今回も実力行使で黙らせる事にした

 

太一

「…おい!」

 

 太一は掴んでいた一夏の肩を引き寄せ正面を向かせると顔を鷲掴みにした

 

一夏

「…がっ!?…た、太一…な、何を!?」

 

太一

「…邪魔だ!」

 

 【デーモン】と同じ事を呟くと太一は一夏をピットのカタパルトに向かって投げつけた

 

 ドガアアァァンッ!!

 

一夏

「ごはぁぁっ!!…がっ…あっ………」

 

 壁に叩きつけられた一夏はそのまま蹲っていたが、今回は辛うじて意識を失うことはなかった

 

太一

「さて、邪魔者には退場して貰った。…待たせたな。」

 

デーモン

『くくくっ…まあ、ワシとしてもあのガキは邪魔だったからな。…では…行くぞ!!!』

 

 【デーモン】の掛け声と共に太一と【デーモン】は互いの拳をぶつけた

 

 ドゴオオオォォォ―――ンッ!!!

 

 ピシピシッ…バリイイイィィィ―――ン!!!

 

 太一と【デーモン】の拳がぶつかった時の衝撃でアリーナのバリアが一瞬で破壊されてしまった

 

生徒達

「きゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――っ!!!!!」

 

 バリアが完全に破壊された事とその衝撃で観客席は更なる混乱に陥った

 

太一

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ―――――――っ!!!!!」

 

デーモン

『はあああああああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――っ!!!!!』

 

 バチイイィィ――ンッ!!

 

 互いの拳をぶつけあった衝撃で太一と【デーモン】は互いに弾き飛ばされた

 太一はそのまま上昇し、アリーナの外へと飛び出した

 

デーモン

『逃がすか!!』

 

 【デーモン】も太一の後を追ってアリーナから飛び出していった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「…何て奴等だ…拳をぶつけただけでアリーナのバリアが…」

 

真耶

「こ、これが…聖騎士と…魔王の…た、戦いなんですか!?」

 

 太一と【七大魔王】の戦いを始めて見る真耶は恐怖から全身が震え涙目になっていた

 

オータム

「ビビってる場合か!?太一が【デーモン】を引き付けている間に生徒達の避難を急がせろ!!」

 

真耶

「は、はい!!…でもこちらからの操作が…」

 

オータム

「くそっ!!アグモンはまだか!!」

 

 アグモンからの連絡が無い事にオータムはいら立ちが募っていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一方、学園のシステムに侵入したアグモンは…

 

アグモン

「え~~~っと…コレが扉の開閉システムだね………ん?」

 

 目的の場所に着いたアグモンは扉を開けようとしたが、その時何かに気付いた

 

アグモン

「これは………先にこっちをやった方がいいな!」

 

 そう言ってアグモンは開閉システムを後回しにして、別のシステムを弄り出した

 

アグモン

「あ!?…連絡しておかないと!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

アグモン

『皆~っ!』

 

オータム

「アグモン!?」

 

アグモン

『悪いけど扉を壊してもらっていいかな?』

 

千冬

「何?解除出来ないのか!」

 

 管制室でアグモンからの報告を待っていた千冬達は扉を破壊しろと言う言葉からアグモンでも開けられないと思った…

 だが…

 

アグモン

『少し手間取るけど出来るよ。でも…』

 

オータム

「でも何だ!?」

 

アグモン

『扉を開けても通路の隔壁も降りてるから結局避難する事が出来ないんだよ。』

 

 アグモンは開けられないのではなく、開ける暇が無いのだった

 それよりも先にやる事があったからだ

 

全員

「な!?」

 

 アグモンからの情報に管制室にいた3人は騒然とする

 【デーモン】は観客席の扉だけでなく学園中の至る所にある隔壁も全て降ろしていたのだ

 

アグモン

『だから僕は隔壁の方を開けるよ。扉の方はそっちでお願い。』

 

千冬

「わ、分かった!」

 

 千冬達はすぐさま観客席で待機しているマドカとセシリアに連絡を取った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

『…と言う訳だ!お前達は扉を破壊してくれ!』

 

マドカ&セシリア

「分かった(りました)!!」

 

 千冬からの通信を終えると二人はISを纏った

 

マドカ

「…まさか隔壁まで降ろしていたとは…セシリア、二手に分かれるぞ!」

 

セシリア

「分かりましたわ!」

 

 二人は左右に分かれ、扉を破壊する為に動き出した

 

 




 <予告>

 アグモン達が避難に動いている頃、太一はデーモンと空中で激しい戦いを繰り広げていた

 太一のアルフォースブイドラモンの力に追い詰められていくデーモン

 だがデーモンは更なる力を解放する

 そして太一もまたアルフォースブイドラモンの真の力を発動させるのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 激突!!超究極体(フューチャーモード)VS超究極体

 今、冒険が進化する!



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第023話:激突!!超究極体(フューチャーモード)VS超究極体

投票結果を発表します。

イージスドラモン 2票

ギガシードラモン 1票

必要無し 8票

となりました。

よって、太一達への援軍は『無し』で進めていきます。

皆さんの投票ありがとうございました♪


 

 アグモン達が生徒達の避難活動をしている時…

 

太一

「うおおおおおぉぉぉぉぉ―――――っ!!!」

 

デーモン

『はあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!』

 

 ドゴォーンッ!バゴォーンッ!ズドォーンッ! 

 

 太一は【デーモン】と激しい空中戦を繰り広げていた

 

デーモン

『喰らえっ!!《ケイオスフレア!!》

 

 【デーモン】は巨大な爆炎《ケイオスフレア》を太一に向かって放った

 だが…

 

太一

《アルフォースセイバー!!!》

 

 太一は腕に装備されている《Vブレスレット》から光の剣《アルフォースセイバー》で《ケイオスフレア》を斬り裂いた

 

 ドガアァンッ!

 

デーモン

『チッ!』

 

太一

「今度はこちらから行くぞおおぉぉ――っ!!」

 

 そう叫ぶと同時に太一は物凄いスピードで【デーモン】に向かって行った

 その速さは常人では影すら見る事が出来ず、ISを使っても姿が捉えられない速さだった

 

デーモン

『ぬぅぅ…小癪な!!』

 

 【デーモン】は【アルフォースブイドラモン】の速さに翻弄され、手をこまねいていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 管制室から太一の戦いをモニターしていた千冬達は、【アルフォースブイドラモン】の速度に目を見開いていた

 

千冬

「何だあの速さは!?」

 

真耶

「全く見えませんよ~!?」

 

オータム

「当たりめえだろ!【アルフォースブイドラモン】は【ロイヤルナイツ】の中でも最速!!神速のスピードを持つ聖騎士だぞ!!ISのハイパーセンサーでも捉えられねえよ!!!」

 

千冬&真耶

「神速!?」

 

 オータムから語られた【アルフォースブイドラモン】の力に二人はさらに驚いていた

 自分達の目の前でその圧倒的は速さと強さを目の当たりにしてしまってはオータムの言う事を信じるしかなかった

 

オータム

「【アルフォースブイドラモン】にスピード勝負で勝てる奴なんていねえよ!!」

 

千冬&真耶

「………」

 

 遂に二人は言葉を失ってしまった…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

マドカ

《ジオグレイソード!!》

 

セシリア

《トライデントアーム!!》

 

 一方、観客席で扉を破壊して回っているマドカとセシリアは…

 

マドカ

「これで最後だ!」

 

 最後の扉を破壊し終えた

 

セシリア

「後はアグモンさんが隔壁を開けるのを待つだけですわね!」

 

マドカ

「ああ!私達に出来る事はやった!」

 

セシリア

「はい!………それにしてもあれが太一様の3番目の聖騎士ですか…」

 

マドカ

「ああ…【アルフォースブイドラモン】…神速の聖騎士だ!」

 

セシリア

「神速…納得出来る速さですわ…ハイパーセンサーを使っても動きがまるで見えませんわ。」

 

マドカ

「そうだな…IS如きじゃ究極体同士の戦いに手出しは出来ないって事なんだろ…」

 

セシリア

「IS如き…ですか…以前のわたくしなら反論したでしょうけど…デジモンの事を聞かされた今なら分かりますわ。」

 

マドカ

「ほぉ…大分現実と言う物が分かるようになったようだな?」

 

セシリア

「…耳が痛いですわ…あの時はISを上回るものが存在するなど思っても見ませんでしたから…」

 

 セシリアはクラス代表を決める時の事を思い出し自嘲していた

 

マドカ

「それを言われたら私や束達だってそうだ。だが太一兄さんがこの世界に来た事で世界の外にはIS以上の物がいくらでもあるって事を知った。」

 

セシリア

「…そうですわね…」

 

 二人は上空で繰り広げられる戦いを見てそんな話をしていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

一夏

「………な…何だよ…これ…」

 

 一方、太一にピットに叩きつけられた一夏は初めて見る本気の太一の戦いと、その太一が戦う【デーモン】を見て恐怖で体を震わせていた

 それは誰が見ても分かる、あまりにも次元が違う戦いだったからだ

 

一夏

「…お、俺は…あんな化け物と戦おうとしてたのか…あんな怪物を倒すと言っていたのか…」

 

 一夏は自分が何をしようとしていたのかを思い起こし、それがどれだけ愚かの行為だったか改めて思い知らされていた

 

一夏

「何で…何でアイツは…あんな化け物と戦えるんだ!!…俺にもっと力があれば…鈴を助け出せるのに…何で俺じゃないんだ…何でアイツなんだよ!!!」

 

 それと同時に【デーモン】と戦える太一に嫉妬し、自分がその力を持たない事に怒り、より強い力を欲していた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

デーモン

『ええーいっ!ちょこまかと動きおって!!』

 

 太一の動きを捉える事が出来ない【デーモン】はある事を思いつき真下を見た

 

デーモン

『…ならばこうすればどうだ!!』

 

 【デーモン】はそう言うと左腕を真下に向けた

 その先にあるのは先程太一が【デーモン】と飛び出したIS学園のアリーナだった

 

太一

「まさか!?」

 

 それを見て太一も【デーモン】が何をしようとしているのかがすぐに分かった

 

デーモン

『クククッ!《フレイムインフェルノ!!!》

 

 太一の予想通り【デーモン】はアリーナに向かって最大の技…全てを焼き尽くす地獄の業火《フレイムインフェルノ》を撃ち込んだ

 

生徒達

「きゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――っ!!!!!」

 

 【デーモン】の撃ち出した巨大な炎の塊に避難を終えてない多数の生徒達が恐怖の悲鳴を上げていた

 だが、例え避難していようと《フレイムインフェルノ》が地上に直撃すれば学園は跡形もなく消滅するのだが

 

 ドガアアアアアァァァァァンッ!!!

 

生徒達

「?………!?」

 

 生徒達は爆発音がしても自分達が無事な事に不思議に思い上を見上げると

 そこにいたのは…

 

太一

《テンセグレートシールド!!!》

 

 自分達を庇うように【デーモン】との間に来ていた太一だった

 太一は《Vブレスレット》から球体上の光のバリア…《テンセグレートシールド》で【デーモン】の《フレイムインフェルノ》を防いでいた

 

太一

「…アリーナに向かって撃つとはな…」

 

デーモン

『クククッ!これなら貴様も動き回る事が出来まい!…《ケイオスフレア!!》

 

太一

「!?」

 

 ドガンッ!ドガンッ!ドガンッ!ドガンッ!

 

太一

「くっ!?」

 

 《テンセグレートシールド》を張った事で防戦に回り動きを止めてしまった太一に向かって【デーモン】は《ケイオスフレア》を連続して撃ちこんで来た

 

太一

「…ぬぅっ…俺を…舐めるなっ!!」

 

 だが、太一はバリアを張ったまま【デーモン】に向かって突撃して行った

 

デーモン

『何っ!!』

 

 太一は【デーモン】の眼前にまで来ると、バリアを解除し《アルフォースセイバー》で斬りかかった

 

 ガキィィン!!

 

 【デーモン】は自分の腕をクロスさせ太一の攻撃を受け止めていた

 

デーモン

『ぬううっ!!…ふんっ!!…《フレイムインフェルノ!!!》

 

 そこから、両腕を広げる事で太一を弾き飛ばすと、そのまま自分の必殺技を放った

 

太一

《シャイニングVフォ―――ス!!!》

 

 対する太一も胸のV字の装甲から【アルフォースブイドラモン】最強の技…《シャイニングVフォース》を放った

 

 ドガアアアアアアアァァァァァァァンッ!!!!!

 

 互いの必殺技の激突した事で大爆発が起こった

 

生徒達

「きゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――っ!!!!!」

 

 その爆発の余波はアリーナにいた生徒達にも襲い掛かり、その衝撃で吹き飛ばされかけていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

オータム

「派手にやってんな~…」

 

千冬

「何を呑気な事を言ってるんだ!!」

 

オータム

「わーってるよ!隔壁は上がったか?」

 

真耶

「…はい…校舎内はまだいくらか残ってますがアリーナ周辺の隔壁は殆ど上がっています!扉は既にオルコットさんと八神さんが壊してくれたので避難は順調に進んでいます!!」

 

オータム

「ま、避難しても意味は無いだろうけどな…」

 

 アグモンとマドカ、セシリアのお陰で避難は進んでいるが、オータムはその行動が意味は無いと分かっていた

 

千冬

「何を言って…」

 

オータム

「あの戦いを見てもそう言えんのか?」

 

千冬

「ぐっ!…それは…」

 

 オータムの言葉の意味を千冬も真耶も分かっていた

 太一と【デーモン】の攻撃が1発でも地上に命中すれば学園は消滅すると、上空の戦いを見れば誰にだって分かる事だからだ

 

オータム

「避難なんてただの気休めだ…アイツ等の力なら学園地下の避難シェルターも簡単に破壊出来るからな…」

 

千冬

「………そうだな…コレがデジモンの最終進化形…究極体同士の戦いなのか…」

 

オータム

「あんな馬鹿気た戦いが出来るのはやり合ってるのが聖騎士と魔王だからだろうけどな…」

 

千冬

「確かにな…ぶつかり合う度に空気が震えている…アイツらが戦っているのが今は空中だからこの程度で済んでいるが…」

 

真耶

「ち、地上だったらもっと酷くなるって言うんですか!?」

 

千冬

「恐らくな…」

 

オータム

「そう言えば以前太一に聞いた話だと、東京のお台場が闇のデジモン達との戦いで廃墟になったって言ってたな。」

 

千冬&真耶

「廃墟!?」

 

オータム

「ああ、アイツが11歳の時に東京の各所でデジモンと戦ったそうだ。確か…東京タワーは曲がって…レインボーブリッジは半分落とされて…フジテレビも完全に破壊されたそうだぞ。」

 

千冬&真耶

「………」

 

 千冬と真耶はオータムの言う事に目を見開き、顎が外れる勢いで口を開けていた

 

真耶

「と、東京タワーにレインボーブリッジ、フジテレビって…東京のシンボルのような施設が三つも破壊されたんですか!?究極体の戦いってそんなに凄いんですか!?」

 

オータム

「いや、その戦いは成熟期と完全体でやり合ったそうだ。その時点でもうお台場はあちこちぶっ壊しちまったってよ。究極体で戦ったのは最後だけだったそうだぞ。」

 

千冬

「成熟期と完全体の戦いだけでお台場が廃墟にされたのか!!」

 

オータム

「ああ、特にフジテレビ周辺は戦争の後みたいに瓦礫だらけの状態になったって言ってたぞ。」

 

千冬

「じゃあ死傷者は!?」

 

オータム

「死人は0だったそうだ。敵対していたデジモンがお台場中の人間を一か所に集めていたお陰で逆に全員助かったそうだ。」

 

千冬

「そ、そうなのか…アイツ…その年でなんて戦いをしているんだ!?」

 

 オータムの話から二人は改めて太一の生前の凄まじさを知ったのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

太一

「………」

 

デーモン

『………』

 

 互いの必殺技を撃ち合った後、太一と【デーモン】は睨み合ったまま動かなくなった

 

デーモン

『…ふんっ!やるではないか人間!!』

 

 先に沈黙を破ったのは【デーモン】だった

 

太一

「…【デーモン】…聞きたい事がある。」

 

デーモン

『ん?』

 

太一

「【亡国機業】と言う組織を潰したのはお前達だな?それはつまりお前の依り代がやったと言う事か?」

 

デーモン

『違う!ワシがこの小娘を選んだのはその組織を消した後だ!』

 

太一

「ん?…なら何故人間に憑りついた?わざわざ自分を封印する様な事をしてまで?」

 

デーモン

『フン!簡単な事よ!この世界に来たワシ等は力の大半を失っていた。その中で比較的力が残っていたワシと【バルバモン】がその組織を力試しを兼ねて消したのだ!!!』

 

太一

「…そう言う事か…その後は力を回復させる為、お前達の力の源でもあるそれぞれの大罪を持つ人間を探し出して憑りついたという事か…」

 

デーモン

『その通りだ!!…さあ無駄話は終わりだ!!…人間よ!!この【デーモン】をココまで追い詰めた事は褒めてやる!!だが、これで終わりだ!!!』

 

太一

「?」

 

デーモン

『グオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォ―――――――――――ッ!!!!!!!』

 

 【デーモン】は突然凄まじいエネルギーを発し始めた

 そのエネルギーは黒い光となって【デーモン】を包み込んだ

 

太一

「………まさか!?」

 

 光が消え、姿を現したのは…

 

デーモン

『【デーモン超究極体】!!!』

 

 超究極体へと更に進化した【デーモン】だった

 

太一

「…超…究極体…」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「何だあの姿は!?」

 

オータム

「超究極体だと!?馬鹿な!?究極体の更に上の進化形態があったのかよ!!」

 

真耶

「究極体を超えたって…そんなのまでいるんですか!?」

 

オータム

「知るか!!俺だって初めて知ったんだ!!」

 

真耶

「す、すみません!!」

 

 超究極体を見てそんなやり取りをしていると…

 

セシリア

「織斑先生!!!」

 

 管制室にセシリアがマドカと共に駆けこんで来た

 

千冬

「お前達!!避難はどうなった!!」

 

マドカ

「そっちはもう終わった!ココに残ったのは私達だけだ!一夏兄さんも避難させた!!」

 

千冬

「アイツも避難したか…」

 

セシリア

「ごねてましたが何とか避難させました。」

 

千冬

「ごねただと!?…あの馬鹿…アレを見てもまだそんな事をしていたのか!!」

 

マドカ

「あの戦いに乱入出来るかと言ったら大人しく避難したぞ。それに【白式】もガス欠で動かす事は出来なくなっていたからな。」

 

オータム

「そうだろうな…あんな戦いに乱入したら速攻で死ぬくらい馬鹿でも分かる事だ…」

 

千冬

「そうだな………ん?」

 

 カッ!

 

全員

「!?」

 

 突然ディスプレイの一つが光り出し、管制室にいた全員が目を瞑ってしまった

 目を開けるとそこにいたのは…

 

全員

「アグモン(さん)!!」

 

 学園のシステムに侵入していたアグモンが現れたのだ

 

アグモン

「隔壁は全部開けたよ!」

 

 アグモンもまたマドカとセシリアと同じように自分のすべきことを終えたので管制室にやって来たのだ

 

千冬

「そうか!ご苦労だった!!」

 

アグモン

「うん!」

 

オータム

「アグモン…超究極体って知ってるか?」

 

アグモン

「僕も詳しくは知らないよ。ただ、デジモンの中でも超究極体にまで進化出来るのはほんの一握りだけって聞いた事があるよ。」

 

マドカ

「一握り…よりにもよって【七大魔王】の1体がその超究極体になれるとは…」

 

真耶

「…はい………八神君…勝てるのでしょうか…」

 

アグモン

「太一は負けないよ!!」

 

セシリア

「そうです!!太一様は負けません!!」

 

真耶

「す、すみません…」

 

 真耶の弱音を聞いたアグモンとセシリアは太一が負けないと言って信じていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

太一

「うおおおおおぉぉぉっ!!!」

 

デーモン

『ぬんっ!!』

 

 ガギィッ!

 

 太一の拳を【デーモン】は受け止める

 太一と【デーモン】はそのまま互いに押し合い、その場で膠着状態となった

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!

 

 だが、互いの力の衝突により周囲には凄まじい衝撃とエネルギーが発生していた

 

太一

「おおおっ!!」

 

 膠着状態を太一が破ると、続け様にラッシュを仕掛けた

 

デーモン

『はっ!!』

 

 そこに【デーモン】は長い左腕を更に伸ばしてきたが太一はその腕を掴んだ

 だが、今度は指と爪も伸びていき太一を包み込むように襲い掛かってきた

 

太一

「くっ!?」

 

 太一は《アルフォースセイバー》で【デーモン】の指と爪を切り裂いた

 だが、斬り落とされた指は【デーモン】が左腕を元の長さに戻すとすぐに生えてきた

 

デーモン

『クククッ!』

 

太一

「チッ!」

 

 太一はすぐさま【デーモン】の後ろに回り込むと《アルフォースセイバー》で斬りかかった

 そして間髪入れず…

 

太一

《シャイニングVフォ―――ス!!!》

 

 《シャイニングVフォース》を放った

 

 ドガアアアアアアァァァァァンッ!!!!!

 

太一

「………!?」

 

 だが、爆煙から出て来た【デーモン】は《シャイニングVフォース》を受けたにもかかわらず全くの無傷だった

 

デーモン

『クククッ!この程度か?』

 

太一

「………やはり効かないか…」

 

デーモン

『クククッ!当り前だ!超究極体の前に【ロイヤルナイツ】など敵ではないわ!!!』

 

 【アルフォースブイドラモン】最強の技が効かない…

 その光景を管制室から見ていた千冬達は騒然となったが…

 そのような状況であっても太一からは自分が追い詰められていると言う気配は微塵も感じなかった

 

デーモン

『チッ!いい加減くたばれ!!』

 

 尚も向かって来る太一に対して…

 

《アルゴルズフレイム!!!》

 

 業を煮やした【デーモン】は超究極体最強の技…暗黒の火球《アルゴルズフレイム》を撃ち込んだ

 

太一

「!?」

 

 ドゴオオオォォォンッ!!!

 

太一

「ぐあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 《アルゴルズフレイム》の直撃を受け吹き飛ばされる太一

 

デーモン

『ハハハハハハハハッ!!どうだ我が力は!!』

 

太一

「…まだだ…」

 

デーモン

『ハハハ…何!』

 

 【デーモン】が笑い声をあげる中、太一の声が聞こえてきた

 そこには傷付きながらも立っている【アルフォースブイドラモン】がいた

 

太一

「…まだ…俺は倒れてはいない!!」

 

デーモン

『貴様!まだ抗うか!!』

 

太一

「当然だ!!………【デーモン】…今度はこちらが見せてやろう!!」

 

デーモン

『何?』

 

太一

「【アルフォースブイドラモン】の更なる力をな!!!」

 

デーモン

『まさか…貴様も!?』

 

 [BGM:brave heart]

 

太一

「【アルフォースブイドラモン】!!…モードチェンジ!!」

 

 太一の叫びと同時に【アルフォースブイドラモン】は眩い光に包まれた

 

太一

「【アルフォースブイドラモン:超究極体(フューチャーモード)】!!!」

 

 光から現れたのは【アルフォースブイドラモン】の更なる進化形…超究極体…【フューチャーモード】だった

 

デーモン

『貴様も超究極体になっただとっ!!』

 

太一

「決着をつけるぞ!!【デーモン】!!!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

全員(アグモン以外)

「超究極体!!」

 

 管制室に残っていた千冬達は太一の【アルフォースブイドラモン】が超究極体に姿を変えた事に驚いていた

 

マドカ

「太一兄さんも超究極体に!?」

 

オータム

「【アルフォースブイドラモン】も超究極体に進化出来るデジモンだったのか!?」

 

セシリア

「…【フューチャーモード】…何て美しい姿なんでしょう…」

 

真耶

「そうですね~…」

 

アグモン

「だから言ったでしょ?太一は負けないって!」

 

千冬

「こう言う事だったのか…」

 

 超究極体になった【アルフォースブイドラモン】の姿に管制室にいる者達は思い思いの感想を言っていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 【アルフォースブイドラモン】と【デーモン】…2体の超究極体が現れた事で、戦いは最終局面へと移った

 

デーモン

『ふざけるなああぁぁっ!!!』

 

 ドンッ!!

 

 【デーモン】は太一に向かって《アルゴルズフレイム》を撃つが…

 

太一

「ぬんっ!!」

 

 太一は腕の一振りで《アルゴルズフレイム》を掻き消した

 

デーモン

『何っ!!うおおおおおぉぉぉぉぉ―――――っ!!!』

 

 ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!

 

 【デーモン】は《アルゴルズフレイム》を立て続けに撃つが全て太一の前に掻き消されていった

 そして太一はそのまま【デーモン】の懐まで来ると《アルフォースセイバー》で【デーモン】の腹部を切り裂いた

 

デーモン

『ぐはっ!!』

 

太一

「そこだあああぁぁぁ―――っ!!!」

 

デーモン

『何ぃ!げはっ!?』

 

 すると太一はその斬り口に左腕を突っ込んだのだ

 

太一

「…ぐぐっ………!?…見つけたあああぁぁぁ―――っ!!!」

 

 そして太一が傷口から腕を引き抜くと、何と【デーモン】に取り込まれた鈴を掴んでいた

 太一は鈴を救い出す為に腕を突っ込み【デーモン】の腹の中から引き摺り出したのだ

 

デーモン

『ゴハッ!…き、貴様!ワシの依り代を!!』

 

太一

「コレでお前を気兼ねなく倒せる!!」

 

デーモン

『ぬかせえええぇぇぇ―――っ!!!』

 

 【デーモン】はそのまま太一に向かって行った

 太一は鈴を抱え直すと全てのエネルギーを胸部に集め…

 

太一

「消えろ!!《シャイニングVフォ―――――スッ!!!》

 

 最大パワーの《シャイニングVフォース》を放った

 

デーモン

『ギャアアアアアアアァァァァァァァ―――――――ッ!!!!!』

 

 《シャイニングVフォース》を受けた【デーモン】は後方も無く消し飛ばされた

 

 




 <予告>

 デーモンとの戦いを終えた太一

 目を覚ました鈴に太一はデーモンが目覚める程の怒りの理由を問い質した

 その理由に太一は勿論、マドカやセシリア、千冬も呆れ果てた

 そしてその原因となった少年に鈴はどのような言葉をかけるのか



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 冷めきった怒り

 今、冒険が進化する!



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第024話:冷めきった怒り

登場デジモン紹介に【デーモン】を追加しました

お気に入りが600件を超えました!

これからも皆様のご期待に添えられるように頑張ります!!



 医務室…

 ココには太一によって【デーモン】から救い出された鈴が運びこまれていた

 

「…うっ………ハッ!?」

 

 それから暫くして鈴が目を覚ました

 

千冬

「…起きたか?」

 

 その隣には千冬が座っていた

 

「ち、千冬さん!?…ココは!…ぐっ!…か、体が…」

 

千冬

「あまり動くな。お前の体は激しい疲労とダメージを負っている。暫く安静にしていろ。」

 

「………はい…あの、千冬さん…」

 

千冬

「何が起きたのか聞きたいんだろ?」

 

「は、はい…何で私こんな所にいるんですか?」

 

千冬

「やはりお前も覚えていなかったか…」

 

「お前も?」

 

千冬

「…そうだ…簡単に言えばお前はオルコットと同じ状態になったんだ。」

 

「!?」

 

 セシリアと同じ…それだけで鈴は自分に何が起きたのかすぐに分かった

 

「私の機体にも…【SINウイルス】が感染してたんですか!?」

 

千冬

「ん?【SINウイルス】?…ああ、そう言えばそうやって誤魔化していたな。」

 

「え!ご、誤魔化す!?」

 

千冬

「まあ、お前も当事者になったから言ってもいいか…【SINウイルス】って言うのは束が吐いた嘘だ。」

 

「う、嘘!!!」

 

千冬

「いや、嘘ではあるが嘘でも無いからな…」

 

「どう言う事ですか!!もっと分かり易く言ってくださいよ!!!」

 

千冬

「…スマン…説明しようにも私一人の判断で言っていいのか分からないんだ…何しろ突拍子もない話だからな…」

 

「………」

 

 鈴は千冬の態度からどう話していいのか本当に分からないように見えていた

 

千冬

「どう説明すればいいのか…」

 

 尚も悩み続ける千冬に鈴はどう声をかければいいのか分からずにいた

 そこに…

 

太一

「なら俺が話す。」

 

 太一がマドカとセシリアを連れてやってきた

 

千冬

「八神!」

 

太一

「事情は俺が話す。構わないな?」

 

千冬

「お前がいいのなら私には止める権利は無い。」

 

「え?どう言う事?」

 

太一

「お前の身に起きた事、そしてこの世界で何が起きているのかを話してやると言ったんだ。」

 

「この世界って…」

 

太一

「聞く気があるなら黙って聞け。」

 

「わ、分かったわよ…」

 

太一

「まずお前に何が起こったかだが………」

 

 こうして太一は鈴に事情を説明した…

 鈴が【七大魔王】の1体【デーモン】を宿していた事…

 その【七大魔王】を倒す為に違う世界からやってきた太一自身の事…

 そして、アグモンや【七大魔王】達デジモンの事…

 

太一

「………以上だ。」

 

「………」

 

 太一の話に鈴は言葉を失ってしまった

 内容が余りにも自分の常識を越える話だったからだ

 だが…

 

「………異世界からの侵略者…【七大魔王】…【憤怒のデーモン】………そんな化け物が私の中にいたの…」

 

太一

「そうなるな。」

 

「ハ、ハハ…何よそれ…これじゃあ私…セシリアの事化け物なんて言えなかったじゃない…私も…化け物だったなんて…」

 

 自分が【七大魔王】の1体【デーモン】を宿していた事にショックを受けていた

 

セシリア

「凰さん…」

 

「ごめんセシリア…私…あんな事言って…ごめんなさい…」

 

セシリア

「凰さん…わたくしはあの時言いましたでしょう?気にしなくていいと?」

 

「でも…私…アンタに酷い事言って…本当にごめん!!」

 

セシリア

「…では今の謝罪は受け取っておきます。ですからもう謝らなくていいですわ…鈴さん♪」

 

「…え?…アンタ…私の名前…」

 

セシリア

「はい♪鈴さんが名前で呼べと仰ったではないですか?もう過ぎた事ですし、これからはそう呼びますわ♪」

 

「セシリア…うん…ありがとう…」

 

セシリア

「…太一様もいい加減名前で呼んであげてはどうですか?」

 

「…あ…そ、そうだ太一…あ、あの…」

 

太一

「ん?」

 

「…まだお礼を言ってなかった…た、助けてくれて…ありがとう…」

 

太一

「気にするな。セシリアにも言ったが俺は俺のするべき事をしただけだ。」

 

「う、うん…あの…アンタはやっぱり名前で呼んでくれないのかな…」

 

 太一はあの食堂での一件以来、一度として鈴を名前で呼ぼうとはしていなかった

 

太一

「………。まぁ、あの時は俺も言い過ぎたしな…丁度いい機会か…」

 

「じゃ、じゃあ…」

 

太一

「鈴…これでいいか?」

 

「うん♪ありがとう太一♪」

 

アグモン

「良かったね~♪」

 

 漸く太一が名前で呼んだ事に笑顔になる鈴

 そこに【デジヴァイス】からアグモンが出て来た

 

「わっ!?ア、アンタ誰!?って言うか何この生き物!?」

 

太一

「今説明しただろ?コイツが俺のパートナーデジモンのアグモンだ。」

 

「コイツがデジモン!?」

 

アグモン

「そうだよ~♪僕はアグモン!よろしくね~♪」

 

「よ、よろしく…凰鈴音よ…鈴でいいわ。」

 

アグモン

「よろしくね鈴♪」

 

「う、うん…」

 

アグモン

「どしたの?」

 

 自分を見る鈴の様子がおかしい事にアグモンは首を傾けた

 

「いやその…さっきの太一の話からデジモンってもっと恐ろしい生き物なのかなって思って…」

 

マドカ

「ハハハッ!確かにな…だが、お前に憑りついていた【デーモン】は恐ろしい姿だったぞ。」

 

「どんな姿なの?」

 

千冬

「こんな姿だ。」

 

 そう言って千冬は鈴に太一と【デーモン】の戦いの映像を見せた

 

「こ、これが【デーモン】!?…悪魔そのものじゃない!!…それと…こっちの青いのは?」

 

セシリア

「太一様のISですわ!」

 

「コレが太一!?…確かアンタのISはデジモンをモデルにした機体よね?」

 

太一

「モデルと言うか…デジモンそのものだ。本物と全く同じだからな。」

 

マドカ

「それも【デジタルワールド】を守護する聖騎士型デジモン…【ロイヤルナイツ】だ。」

 

「聖騎士【ロイヤルナイツ】…私が以前見かけた白いのと姿が違うわね?」

 

セシリア

「鈴さんが以前見た白いのと言うのは【オメガモン】様の事です。そして、今回の戦いで使用されたのは【アルフォースブイドラモン】と言う聖騎士ですわ。」

 

「【アルフォースブイドラモン】か…カッコいいわね!!」

 

太一

「そうか?」

 

「うん♪ねえ、もっとデジモンの事教えてよ!」

 

太一

「構わないが…」

 

 それから太一とアグモンは鈴からデジモンに関する質問攻めにあった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 暫くして鈴が太一とアグモンにデジモンの事を聞いてる時…

 

セシリア

「そう言えば少し気になったのですが…何故鈴さんはこんなに疲弊しているのですか?」

 

 …セシリアがふと思い出したかのように聞いて来た

 

「へ?どう言う事?」

 

セシリア

「わたくしは太一様に【リヴァイアモン】から助け出されてすぐに目を覚ましましたし、動けました。【七大魔王】に同じ様に取り込まれたのに何故こうも違うのかと思いまして…」

 

マドカ

「言われてみるとそうだな…」

 

 セシリアの疑問にマドカ達も同意した

 すぐに動けたセシリアと違い鈴はすぐに目を覚まさず、今もベッドから動けない状態だからだ

 

太一

「恐らく鈴を取り込んだのが【デーモン】だからだろう。」

 

 その理由を太一が予測した

 

全員

「え?」

 

太一

「セシリアを取り込んだ【リヴァイアモン】はこの学園以上の巨体だ。俺が奴の腹の中に入れる程にな。対して【デーモン】は【リヴァイアモン】程の大きさは無い。普通のISの倍くらいの大きさだ。」

 

千冬

「なるほど…【リヴァイアモン】ならどれだけ暴れてもあのサイズだから体内のオルコットに影響を与えなかったという事か…」

 

マドカ

「それに対して【デーモン】のサイズなら戦闘による外からの衝撃の類が体内の鈴にも影響を与えていたとしてもおかしくは無い…」

 

太一

「それと、超究極体に進化した事も影響しているんだろう。」

 

セシリア

「超究極体が?」

 

太一

「究極体を超えた究極体…それが超究極体だ。そんな強大な力を持つデジモンの体内にいて、ただの人間が無事でいる方がおかしい。」

 

「じゃ、じゃあ…もしアンタが【デーモン】を倒すのに手間取っていたら…」

 

太一

「死んでたかもな…むしろこの程度で済んだのは運が良かったと思った方がいいだろう。」

 

「ア、アハハハ…そ、そうなんだ…」

 

 太一の救出が遅れたら死んでいたかもしれない

 それを聞いた鈴は冷や汗を流し、その笑い声は乾いていた

 

千冬

「ん?それなら八神…お前は平気なのか?今回使った【アルフォースブイドラモン】も超究極体になっただろ?」

 

太一

「俺の【ロイヤルナイツ】は元からその辺りの事も考えて【イグドラシル】が造ったものだ。そもそもあの【デーモン】が取り込んだ人間を一々気にかけると思うのか?」

 

全員

「思いません!!」

 

 太一の問いに全員が口を揃えて答えた

 

太一

「だろ?」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「あ!そうだ八神!実は私も聞きたい事があったんだが…」

 

 今度は千冬が太一に尋ねてきた

 

太一

「何だ?」

 

千冬

「お前が【デーモン】と戦っている時にオータムから聞いたんだが…お前が11歳の頃にデジモンとの戦いで東京のお台場を廃墟にしたと言うのは本当なのか?」

 

セシリア&鈴

「へ?」

 

太一

「ああそれか…そうだな…そんな事もあったな…」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!それ本当!?」

 

マドカ

「本当らしいぞ?私もオータムと一緒に聞いた話だからな。東京のあちこちで戦って色々壊したと言っていたが…」

 

セシリア

「色々って…何を壊したんですか?」

 

千冬

「聞いた話だと…東京タワーは折れ曲がって…レインボーブリッジは半分落とされて…後はフジテレビが完全に破壊されたそうだ。」

 

「その3つって東京で特に有名な建造物じゃない!アンタなんて物を壊したのよ!!」

 

太一

「人聞きの悪い事を言うな!壊したのは俺や仲間達じゃない!敵対していたデジモン達が破壊したんだ!!」

 

セシリア

「それでも破壊された事は否定しないんですね…」

 

太一

「事実だからな。」

 

マドカ

「付け加えるならその戦いは成熟期と完全体だけでやったそうだぞ。究極体は最後の戦いにしか出てなかったそうだ。その時点でお台場は廃墟にしていたらしい。」

 

「………マジで?」

 

太一

「マジだ!」

 

セシリア&鈴

「………」

 

 太一の話にセシリアと鈴は言葉を失い、改めてデジモンの力を思い知るのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

太一

「所で鈴…俺の方も一つ聞きたい事があるんだが?」

 

 鈴とセシリアが落ち着いたので今度は太一が鈴に聞いて来た

 

「何?」

 

太一

「さっきも言ったが、お前には【七大魔王】の【デーモン】が宿っていた。」

 

「…うん…」

 

太一

「奴が司るのは【憤怒】…つまり【怒り】だ。お前はあの試合の時、一体何が原因で【デーモン】が目覚めるだけの【怒り】を持ったんだ?」

 

「【怒り】…か…そんなの決まってるじゃない…」

 

太一

「やはり一夏か…」

 

「分かってたの?」

 

太一

「あの状況でお前を怒らせるなんてアイツしかいないだろ?それに【デーモン】自身が自分が蘇ったのが一夏のお陰と言っていたからな。俺が知りたいのは一夏がお前に何を言ってそこまでの【怒り】を持たせたかだ。」

 

「…それは…少し長くなるんだけど………」

 

 そして鈴は自分と一夏の間に起きた事を話した

 鈴は昔、転校する際に一夏に『料理が上達したら毎日私の酢豚を食べて欲しい』と言う告白をしたらしい

 ところがこの学園で再会した時その事を聞いたら『酢豚を奢ってくれる』と言って鈴の告白を間違えて記憶していた

 その事で鈴は一夏に間違えて覚えていた事を謝れと言ったが肝心の一夏は何が間違っていたのか分からず謝ろうとしなかった

 その後も売り言葉に買い言葉を続けて今日の試合の日にまでなってしまった

 そして、試合中一夏を追い詰めた鈴は改めて謝る様に言ったが、一夏は謝るどころか勝手にキレた鈴の方が悪いと言って来た

 その言葉で鈴の我慢も限界となり怒りが爆発

 【デーモン】が復活してしまったという事だった

 

「………という訳…」

 

太一

「はあぁぁ~~…あの男…そこまで馬鹿だったのか…救い様が無いな…」

 

 鈴からの話を聞き、太一は盛大な溜息を吐き、一夏の行動と言動に完全に呆れ果てていた

 

千冬

「スマン鈴!!…あの馬鹿が!!」

 

マドカ

「今回の事は明らかに一夏兄さんが悪い!!妹として謝らせてくれ!!」

 

「…別にいいわよ…二人に謝られても意味無いし…」

 

セシリア

「そうですわね…謝るなら張本人が言うべきですが…」

 

太一

「自分に非があるとも思ってないあの馬鹿が謝る訳無いか…」

 

 太一とセシリアは鈴の話から自分が悪いと思っていない一夏が謝るとは考えられなかった

 

「…私もそう思う…」

 

 そんな二人の言葉に鈴も同意していた

 

太一

「…千冬…前々から聞こうと思っていたんだが…お前アイツをどう言う育て方したんだ?いくらなんでも常識と言うものが無さ過ぎるぞ?」

 

千冬

「そ、それは…その…」

 

太一

「まさかとは思うが…放ったらかしにしたらああなったとは言わないよな?」

 

 太一がそう言いながら千冬を睨むと視線を逸らし口籠り始めた

 

千冬

「…いえ、完全に放ったらかしと言う訳では…無いです…ただ…生活費を稼ぐのに必死でアイツの面倒をあまり見てなかったのは…本当です………」

 

 太一に睨まれながら答える千冬だが、太一の威圧感に圧されたのか敬語になっていた

 

太一

「つまりお前は面倒は殆ど見ずに半分は放ったらかしにしていたという事か?お前それでも姉か?いくら親に捨てられたからっていくらなんでも放置し過ぎじゃないのか?鈴の話を聞くと一夏の鈍さの被害者は相当いるみたいだが?何故それだけの数が出るまで放っておいたんだ?同じ女としてその子達が可哀想だとは思わなかったのか?」

 

 太一の言葉を否定する千冬だが、同時に肯定もしていた

 それを聞いた太一は更に矢継ぎ早に問い質してきた

 

千冬

「い、いや…私も時々だがアイツにその事を言ってはいたんです…その…八神さんの言う通りその子達が可哀想だったから…で、でもアイツの鈍感さは生まれつき凄まじいもの…でし…て…」

 

太一

「…一応指摘はしていたのか…だがな…お前が放置した事が拍車をかけたんじゃないのか?」

 

千冬

「…その通りです…」

 

 千冬の言い分を聞いて多少は納得した太一だがそれでも反論を許されなかった

 そして千冬は見事に凹んでしまった

 

「こんな千冬さん始めて見たわ!?」

 

セシリア

「そう言えば彼…割と世間で知られている事もあまり知りませんでしたわね?…ニュースとか見ないのでしょうか?」

 

千冬

「…言われてみると…余りそう言うのは見てなかった気が…」

 

太一

「だからあんな常識外れの大馬鹿になったのか…全く…お前達はやはり姉弟だな…面倒な事はやらない怠け癖はそっくりだ…」

 

千冬

「…はい…言い返す言葉もありません…」

 

 千冬は自分の私生活の事を思うと太一の言葉を言い返せなかった

 

太一

「マドカ…まさかとは思うが…お前も…」

 

マドカ

「私がこのズボラ女みたいな事をすると思ってるのか?」

 

千冬

「うぐっ!?」

 

太一

「だよな。まあいい…これ以上あの馬鹿の事を考えると頭が痛くなる………それで鈴…お前その馬鹿とこれからどう接するつもりだ?」

 

「どうって?」

 

太一

「今回の事があっても変わらずアイツと接していくのかって事だ。」

 

「あ…それか…」

 

 鈴が答えようとした時…

 

 コンコン!

 

オータム

「ちょっといいか?」

 

 扉を叩く音がしたので全員がそちらを向くとオータムが立っていた

 

千冬

「オータム…避難させた生徒達は?」

 

オータム

「全員シェルターから出て部屋に帰らせた。…それから凰。」

 

「は、はい!何ですか?」

 

オータム

「お前のISを預からせてくれ。さっき束から連絡が来てオルコットと同じようにお前の機体も調べたいそうだ。」

 

「し、篠ノ之博士が!?わ、分かりました!」

 

オータム

「後、こっちに織斑が向かって来てるぞ。」

 

「え?」

 

太一

「どうする鈴?俺達はいた方がいいか?」

 

「………太一は…この部屋にいてくれない?…他の皆は席を外して欲しい…」

 

太一

「分かった…なら俺は隠れているから何かあれば呼べ。」

 

「…うん…」

 

 太一はそう言って空いてるベッドの一つの陰に隠れた

 オータムは鈴から【甲龍(シェンロン)】を預かると千冬達と一緒に医務室から出て行った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから暫くして…

 

一夏

「鈴!!」

 

 一夏が医務室に駆け込んできた

 

「…一夏…」

 

一夏

「大丈夫か!?」

 

「見ての通りよ。疲労感がするだけで体に異常は無いわ。」

 

一夏

「そ、そうか…良かった…」

 

 【デーモン】に取り込まれた自分を心配してくれている一夏に鈴は今度こそ自分の否を認めて謝ってくれるだろうと思った

 鈴はその時は笑って許してあげようと考えていた

 だが…

 

一夏

「…俺にもっと力があれば…あんな化け物…俺が倒してやれたのに!!」

 

「………は?(コイツ…いきなり何言ってるの?)」

 

 …一夏は鈴の想いとは別に違う事を言い出した

 

一夏

「…何で太一なんだ!…俺にも【ロイヤルナイツ】みたいな強い機体があれば…俺にも同じ力があれば…アイツが出しゃばる前にあんな化け物…俺が倒せたんだ!!………鈴もそう思うだろ?」

 

 自分に謝るどころか太一に対して悪態を吐き、さらには同意を求めてきたのだ

 

「(まさか…コイツ!?)…ねえ一夏?」

 

一夏

「何だ?」

 

「アンタ、今日の一件…何が原因で起きたのか分かってるの?」

 

一夏

「え?…何が原因って…()()()()()()()()()()?お前がいきなり束さんの言ってた【SINウイルス】ってのに取り込まれたんだぞ。」

 

 それを聞いた瞬間、鈴は一夏が自分が原因だと言う自覚が無い事に気付いた

 

「………今の…本気で言ってるの?(太一や千冬さんが言うには【デーモン】は自分の復活の理由を一夏に話していると言ってた…)」

 

一夏

「何言ってるんだよ?お前が吠えたらああなったんだぞ?何か間違ってるのか?」

 

「…そう…それがアンタの答え(…コイツがこんな事を言うって事は…そう言う事か…)」

 

 それはつまり一夏は【デーモン】に言われた事を忘れているという事だった…

 

一夏

「鈴?」

 

 その瞬間…鈴の中で何かが一気に冷めていく感覚がした

 

「…一夏…アンタさ、私が昔言った約束…もう一度言ってくれない?」

 

一夏

「え?何だ急に?…え~っと…確か『料理が上達したら酢豚を奢ってあげる』だろ?それがどうしたんだ?」

 

「…アンタまだ思い出さないのね…もういいわ…間違いを教えてあげる。あの時ね、『料理が上達したら毎日私の作った酢豚を食べてくれる』って言ったのよ。」

 

一夏

「そうなのか?それが一体…」

 

 鈴が間違いを正してもまだその意味が分からない一夏だった

 

「アレは私の告白よ。日本の『毎日味噌汁を食べて』って言う告白を酢豚に変えて言ったのよ。」

 

一夏

「………え?…告白?」

 

「そうよ…告白よ告白…愛の告白。アンタが好きだからプロポーズしたの。ココまで言えばアンタでも分かるでしょ?」

 

一夏

「…あ、愛の告白!?プ、プロポーズ!?り、鈴が…俺に!?」

 

 ココまで言われて漸くその意味を理解した

 だが…

 

「けどもういいわ…今度こそ忘れて頂戴。」

 

一夏

「え?」

 

「もうアンタを好きでも何でも無いから忘れろって言ってるのよ。」

 

一夏

「り、鈴?お前何言って…」

 

 鈴の一夏を見る眼が完全に変わっていた

 その眼は一夏が始めて見るとても冷たい眼となっていた

 一夏との話から鈴の気持ちは完全に冷めきってしまっていた

 

「言いたい事も言ったから出てって…」

 

一夏

「…え?」

 

「聞こえなかった?出て行けって言ってるのよ…今はアンタの顔なんか見たくも無いのよ…アンタの鈍感さにはもう【怒り】も沸いて来ないわ…」

 

一夏

「ま、待ってくれ!?は、話を!?」

 

「アンタと話す事なんてもう無い…」

 

一夏

「り、鈴!?」

 

「出てけ!!!」

 

一夏

「!?」

 

 鈴に出て行けと叫ばれた一夏は何も言う事が出来ずふら付きながら医務室を出て行った

 一夏が出て行って暫くすると…

 

太一

「…いいのか?…ああ言った以上、お前はアイツの隣に立つ事はもう出来ないぞ?」

 

 隠れて二人の会話を聞いていた太一が出て来た

 

「…構わないわ…私があんな状態になった原因の癖にその自覚が無いんだもの…しかもアンタの文句は言うし…【デーモン】に言われた事も忘れてるし…自分に都合の悪い事はすぐに忘れるなんてハッキリ言って最低よ…だから話してる内にアイツに対する気持ちも…【怒り】も…ドンドン冷めて行ったわ…それに今回の事でアイツの鈍感ぶりにはもう嫌気が差した…あんな奴こっちから願い下げよ…」

 

 太一の問いに答える鈴は先程までと同じ様に冷めた口調で一夏に対する気持ちを話していた

 それは一夏への想いが完全に消え去った証拠だった

 

太一

「…そうか…」

 

「…私の恋って何だったのかな…何であんな奴に惚れたんだろ…」

 

太一

「…さあな…それはお前にしか分からない事だ。」

 

「…そうよね………はぁ…わざわざ無理言ってまで編入したのに…何の為にココに来たんだろ………国に帰ろっかな…」

 

太一

「好きにしろ。…だが一つ言っておく。アイツに惚れたその時の気持ちが本物だったのなら、それは思い出として大事にしておけ。」

 

「太一………」

 

 太一はそう言って医務室から出ようとしたが、一夏と出くわすのは不味いと考え窓から外に出て行った

 鈴はそんな太一の姿を見つめながら…

 

「………一夏より先に…アンタに会いたかったわ…」

 

 先ほどまでとは違い、優しい笑みを浮かべながらそう呟いていた…

 

 




 <予告>

 鈴に完全に拒絶された一夏

 もはや一夏を見る事が無くなった鈴は今の自分の気持ちを太一に伝える

 そんな中、鈴に束から新たな機体が届けられる



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 竜騎兵、その名はドラグナー!

 今、冒険が進化する!



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第025話:竜騎兵、その名はドラグナー!

 太一と【デーモン】の戦いから数日が経過した

 クラス対抗戦は中止となり、学園内の動揺も落ち着いていた

 鈴も次の日には回復し、動ける様になっていた

 そして太一の周辺ではある変化が起きていた

 

「太一~♪」

 

太一

「ん?」

 

 鈴が一夏ではなく太一と行動する様になった

 

「今日もこれから訓練?」

 

太一

「ああ、マドカとセシリアを鍛えてやらないとな。」

 

「…私も【甲龍(シェンロン)】があれば一緒に鍛えて欲しいんだけど…」

 

 鈴の専用機…【甲龍(シェンロン)】はまだ束の元から戻っていなかった

 

太一

「戻ってきたら一緒に相手をしてやる。それまでは見学していろ。それだけでも色々と勉強になるぞ?」

 

「そうね♪」

 

 そう言うと鈴は太一に着いて行った

 

一夏

「………」

 

 そんな二人の背中を一夏はただ見つめる事しか出来なかった

 鈴は一夏をフッた日を境に赤の他人のように接する様になっていた

 顔を合わせても軽い会釈をする程度で会話すらせず、せいぜい挨拶をする程度であった

 実際、今も鈴と太一の間に一夏がいたのだが、鈴は手を上げ呼びかけた一夏を無視し、横を素通りして太一の所に向かったのだ

 

一夏

「…何でだよ鈴…何で…そんな態度を…」

 

 肝心の一夏は何故自分が鈴にフラれたのかを未だに分かっていなかった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 その日の放課後も太一を相手にマドカとセシリアが実戦さながらの模擬戦をしていた

 ちなみにこの日の太一は【ガンクゥモン】で相手をしていた

 

太一

「《地神!神鳴!神馳!親父!!》」

 

マドカ&セシリア

「きゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――っ!!!!!」

 

 アリーナでは【ガンクゥモン】の必殺技を受けて吹き飛ばされる二人の姿が何度か見られた

 そんな訓練を鈴が観客席から見学しているのだった

 そして…

 

「皆お疲れ様♪はいコレ!」

 

 …訓練を終えた太一とマドカ、セシリアに鈴が差し入れのドリンクを持ってきた

 

マドカ

「助かる。」

 

セシリア

「ありがとうございます♪」

 

太一

「悪いな。………そう言えば鈴…お前国に帰るとか言ってたが結局どうするんだ?」

 

 鈴の差し入れを受け取りながら太一が思い出したように聞いて来た

 

セシリア

「え!そうなのですか!?」

 

「あ~それね…最初はそれでもいいかなって思ったんだけど…よく考えたら編入してすぐに帰るのはいくら何でも不味いのよ………それに…」

 

 鈴はそう言うと頬を染めながら太一に視線を移した

 それを見たマドカとセシリアは鈴が帰るのをやめた理由が分かった

 

セシリア

「鈴さん…貴方もですか?」

 

「…えへっ♪」///

 

マドカ

「お前結構惚れっぽいんだな…」

 

太一

「は?………まさか…」

 

 彼女達の会話から太一も気づいた

 

「…そ、その…アンタの事が…好きに…なったみたい…」///

 

 普段の活発な雰囲気とは違い、俯き頬を染めながらしおらしく太一に自分の気持ちを伝える鈴

 

太一

「………お前本気か?」

 

「うん…」///

 

太一

「この間も言ったが俺はこの世界の人間じゃ無いぞ?」

 

「分かってる…」///

 

太一

「外見こそお前と同い年だが中身は95のジジイだぞ?」

 

「知ってる…」///

 

太一

「【七大魔王】を倒せばこの世界から消えるかもしれない人間だぞ?」

 

「それも分かって………え?…どう言う事?」

 

 太一のその言葉を聞き俯いていた顔を上げた

 

太一

「俺がこの世界に来たのはあくまで【七大魔王】を倒す為だ。それが終わればこの世界に俺がいる必要は無くなる。」

 

 それを聞いた鈴は太一と初めて会った時の会話を思い出しセシリアの方を見た

 

「…まさか…前に言ってたすぐに返事が出来ない訳って…」

 

セシリア

「そう言う事です。…ですが、わたくしは太一様が【七大魔王】を倒してもこの世界に残る可能性に賭け、今の気持ちを持ち続けているのです。そして太一様の使命が終わった時、この世界に残られるのなら改めてお返事をして下さるように約束したのです。」

 

「そっか………なら…私も待ってる!!」

 

太一

「…鈴…」

 

「セシリアに便乗するみたいだけど…私もアンタの返事を待つ!!」

 

太一

「…セシリアといい…お前といい…俺のどこがいいんだ?」

 

「…駄目…なの?」

 

 鈴は上目づかいで潤んだ目で太一に聞いて来た

 

太一

「…セシリアの時に諦めている…」

 

「じゃあ♪」

 

太一

「…好きにしろ…」

 

「うん♪」///

 

 こうして太一はセシリアだけでなく鈴にも好意を持たれ、全てが終わった後、返事をする事になった

 

太一

「まさかセシリアだけじゃなく鈴にまで告白されるとは…」

 

「何よ!女の子にモテるのがそんなに嫌なの!!」

 

太一

「そうじゃない…この年になって80も下の娘から好意を持たれた事に混乱しているんだ…しかも二人だぞ…」

 

「あ!そう言う事…まあ、普通はそんな事無いもんね…」

 

セシリア

「この様な状況は太一様にしか起きませんもの…」

 

マドカ

「だよな…」

 

 太一が動揺している理由を聞き3人とも納得するのだった

 

「そう言えばマドカ…アンタは太一にそう言う感情無いの?」

 

マドカ

「私か?…ん~…なんだかんだで兄妹として過ごして来たからそう言った感情は今の所無いな。」

 

「そうなんだ。(良かった…)」

 

 太一の一番近くにいるマドカがそう言った感情が無いと聞いて安心する鈴だった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

オータム

「太一、マドカ…今日の放課後空けておけ。」

 

 数日後の朝、教室に来たオータムが開口一番にそう言って来た

 

太一

「今度は何だ?」

 

オータム

「束から凰の【Dシリーズ】が届くから模擬戦をしてくれだとよ。」

 

 ザワザワ…

 

千冬

「オルコットの時と同じようにまた勝手に改造したのか…面倒な仕事を増やしおって…」

 

 千冬はセシリアと一緒にイギリス政府に説明した時の事を思い出した

 セシリアが【ブルー・ドレイク】を受け取った後、千冬はセシリアと一緒にイギリス政府に連絡し、事情を説明したのだ

 デジモンや【七大魔王】の事は誤魔化したが、イギリス政府も束の吐いた【SINウイルス】と言う嘘をすぐに信じると言う訳にもいかなかった

 だが、束が【ブルー・ティアーズ】を改造したという事は事実なので政府はセシリアの機体の改造を事後と言う形で許可をする事にした

 その為セシリアは【ブルー・ドレイク】の正式な所有者となり今に至っている

 

真耶

「ご愁傷様です…」

 

千冬

「…山田先生…変わって「無理です!」…だよな…はぁ…」

 

 そのような事があった為、千冬はまたあの時と同じような事をしなければならないのかと思うと気が重くなるのだった

 

マドカ

「オータム、そこに何で私も必要なんだ?」

 

オータム

「束からの連絡で《トライデントリボルバー》の欠点を直す方法を見つけたそうだ。だからその調整もするってよ。後、予備の砲身も持ってくるそうだ。」

 

マドカ

「《トライデントリボルバー》の?…やっとか…」

 

セシリア

「良かったですね♪」

 

マドカ

「ああ、砲身のストックも少なくなっていたからな…」

 

セシリア

「…太一様との訓練でかなり消費しましたからね…」

 

マドカ

「…そうだな…ははっ…はははっ…」

 

全員

「………」

 

 乾いた笑いを上げるマドカにクラスの全員が何も言えなかった

 

オータム

「それから千冬と山田、後はオルコットは来ていいぞ。他の奴等は前回同様駄目だからな。」

 

全員

「えええええええぇぇぇぇぇぇぇ―――――――っ!!!!」

 

オータム

「うるせえ!!織斑!さっさと号令かけろ!!」

 

一夏

「は、はい!!」

 

 オータムは一夏にHRの号令をかけさせ無理矢理話を打ち切った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 放課後になり、アリーナの一つには太一とマドカ、セシリア、鈴、オータム、千冬に真耶が集まっていた

 前回同様立ち入り禁止の状態にしてある

 

「………【Dシリーズ】か…私の【甲龍(シェンロン)】…どんな姿になってるのかな?」

 

セシリア

「さあ…わたくしの【ブルー・ティアーズ】も今はこの様な姿になってしまいましたから…」

 

マドカ

「一つ言えるのは確実にパワーアップしている事だ!」

 

「それはありがたいんだけど…コアのパワーアップって本当なの?」

 

 鈴はココに呼ばれた後、太一達からセシリアの機体が変わっていた事の経緯を話し、それが自分の機体にもされている事に驚いていた

 

千冬

「ISのコアを唯一作れる束が言うんだから間違いないだろう。」

 

「…【七大魔王】に取り込まれた事によるコアの能力の底上げか…未だに信じられないわね…」

 

真耶

「そうですね~…だからこの事は私達しか知らないんですよ。デジモンの事を知らない他の人達には言えませんからね~…」

 

オータム

「そう言う事だ。………ん?」

 

太一

「来たか…」

 

 ドゴオオオオオォォォォォ―――――ンッ!!!

 

 太一達が話をしている間に上空から前回同様人参ロケットが落ちてきた

 

クロエ

「お待たせしました―――っ!!」

 

 こちらも同じ様にクロエが中から出てきた

 

「あの…この人は?」

 

マドカ

「こいつはクロエ・クロニクル。束の助手だ。」

 

「篠ノ之博士の助手!?」

 

クロエ

「はい♪クロエ・クロニクルです。よろしくお願いしますね。凰鈴音様。」

 

「あ、こちらこそ…凰鈴音…です…鈴でいいです…」

 

クロエ

「分かりました。鈴様。」

 

セシリア

「あのクロエさん…今更遅いと思うのですがわたくしも名前で呼んでほしいのですが…」

 

クロエ

「そうですか?ではこれからはセシリア様で。」

 

セシリア

「ありがとうございます♪」

 

オータム

「それでクロエ?凰の機体は?」

 

クロエ

「はい!こちらになります!」

 

 クロエがそう言った瞬間、上空からコンテナが1機落ちてきた

 そしてコンテナが開くとそこには…

 

「これが…【甲龍(シェンロン)】なの?」

 

 セシリアの【ブルー・ティアーズ】の時と同じ様に元の原形を留めないほどに改造されたISが出てきた

 

クロエ

「そうです!名前を【甲龍(シェンロン)】改め【Dシリーズ:メガロ・ドラグナー】です!!」

 

「【メガロ・ドラグナー】…」

 

 その姿は両肩に巨大なバーニアが取り付けられており、両腕には巨大なブレードが装備されている

 背部の浮遊ユニットも【甲龍(シェンロン)】の【龍咆】が装備されていた場所には大口径の砲身が取り付けられていた

 更に背中には尻尾の様なブレードが装備されていた

 その上、【ブルー・ティアーズ】と違い色も変えられており、黒と紫の【甲龍(シェンロン)】のカラーリングから黒と赤の2色になっていた

 

太一

「…この機体…モデルは【メガログラウモン】か?」

 

 その外見から太一はどのデジモンがモデルになっているのかを言い当てた

 

「【メガログラウモン】?もしかしてそれデジモン?」

 

クロエ

「そうですよ!この機体は完全体の【メガログラウモン】のデータを元に開発しました!」

 

「完全体?究極体って言うのじゃないの?」

 

 究極体をモデルにしていない事に不満を言う鈴だった

 

千冬

「究極体は無理だ。」

 

「え?無理って何でですか?」

 

クロエ

「それはですね………」

 

 クロエは前回の時に千冬達にも話した完全体までの機体しか造れなかった理由を話した

 

クロエ

「………と言う訳で、強度や出力、その他もろもろの理由で完全体までが精一杯なんですよ…」

 

「そうなんだ…究極体ってそんなに強いんだ…」

 

オータム

「そうだな…太一の戦いを見れば嫌でも分かるぞ?デジモンの前じゃIS何てガラクタ同然だってな。」

 

「ガ、ガラクタですか!?」

 

セシリア

「流石にガラクタは言い過ぎですけど…歯が立たないのは本当です。デジモンの力はISを遥かに上回っていますから。」

 

「そっか…ねえ、セシリアとマドカの機体も【Dシリーズ】ならどんなデジモンをモデルにしてるの?」

 

セシリア

「わたくしの【ブルー・ドレイク】は【メタルグレイモン】と言うデジモンですわ。ちなみにアグモンさんの完全体も【メタルグレイモン】何ですけど…」

 

「けど?」

 

太一

「【メタルグレイモン】は2種類いる。セシリアの機体のモデルになっているのはアグモンの完全体とは別の【メタルグレイモン】だ。」

 

「そうなんだ。じゃあマドカは?」

 

マドカ

「私のは【ライズグレイモン】がモデルになっている。」

 

「どっちも【グレイモン】がモデルなんだ。………もしかして二人の機体が同じ名前なのって…」

 

マドカ

「【グレイモン】系がモデルだからだ。」

 

「…て事は【メガログラウモン】は【グレイモン】系じゃないから…名前が【ドラグナー】になってるって事ね…」

 

クロエ

「その通りです。では鈴様、そろそろこの機体の説明をしたいのですが?」

 

「あ!ごめんなさい!お願いします!」

 

 それからクロエは鈴に【メガロ・ドラグナー】の説明を始めた

 

クロエ

「まずこの機体はパワーと防御力を重点を置いています。更に武装も近接武器の方を主体にしてます。」

 

「パワーと防御重視の近接型…そこは【甲龍(シェンロン)】とほぼ同じね。」

 

クロエ

「はい。マドカ様とセシリア様の機体は砲撃と機動力を重視した遠距離型ですからお二人の機体とは真逆の設計ですね。」

 

セシリア

「そうですわね。」

 

クロエ

「次に武装ですが…まず両腕に大型のブレード《ペンデュラムブレイド》を装備してます。これは取り外して使う事も出来ます。次に背中から伸びているのは《アサルトバランサー》と言う武器です。こちらは鞭の様に伸縮自在に伸ばして槍の様に突き刺す事が出来ます。」

 

「《ペンデュラムブレイド》と《アサルトバランサー》…」

 

クロエ

「最後に左右の浮遊ユニットには【メガロ・ドラグナー】最強の火力武装…《アトミックブラスター》が搭載されています。その威力はマドカ様の《トライデントリボルバー》を上回ります。」

 

マドカ

「《トライデントリボルバー》以上だと!?」

 

クロエ

「はい、その代わり連射は出来ませんし射程も短いです。その上《トライデントリボルバー》以上に威力が強すぎるので一度撃つと暫くの間冷却しなければなりません。」

 

「使い所の難しい武器ね…これなら【甲龍(シェンロン)】の衝撃砲の方が使い易い様な…」

 

クロエ

「そう思って衝撃砲も引き続き使える様にしてありますよ。」

 

「ホント!?」

 

クロエ

「はい、ただし《アトミックブラスター》を撃った直後は使えません。ある程度冷やせば使えますが、その状態で衝撃砲を使えばその分冷却が遅くなるので次弾発射が更に遅くなります。ですから《アトミックブラスター》には2つのリスクがあります。」

 

「発射直後は衝撃砲も使えない事と冷却中に使えば次弾発射が遅くなるって事ね…分かったわ!」

 

クロエ

「以上で【メガロ・ドラグナー】の説明は終わりです。では鈴様、初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)を行うので乗って下さい。それからマドカ様も【ライズ・ドレイク】を展開して下さい。同時に《トライデントリボルバー》の調整をします。」

 

マドカ

「分かった。」

 

 クロエに言われ鈴は【メガロ・ドラグナー】に乗り込み、マドカは【ライズ・ドレイク】を展開した

 

マドカ

「それでクロエ…《トライデントリボルバー》の欠点をどうやって直すんだ?」

 

クロエ

「ヒントは【零落白夜】です。」

 

千冬

「【零落白夜】だと?」

 

クロエ

「はい!アレは自分のSEを使って発動しますよね?そこからヒントを得て機体本体とは別に《トライデントリボルバー》にも絶対防御を展開する様にするんです。」

 

オータム

「なるほど…そうすれば撃っても砲身にダメージが通らない訳か…だがそうなると…」

 

クロエ

「撃つ度にSEが減ります。それでも発動しているだけでSEが減り続ける【零落白夜】と違って撃つ時しか減らないですから燃費は遥かにいいですよ。」

 

真耶

「確かにそうですね…」

 

クロエ

「一応マドカ様の意思で砲身への絶対防御を使うかどうかの切り替えは出来る様にしておきます。SEが少なくなった時は切り替えてください。それから反動も絶対防御が中和してくれていますので今までより楽に撃てますよ。」

 

マドカ

「分かった。」

 

 それからクロエは二人の機体の調整を始めた

 

「ねえ太一、【メガログラウモン】ってどんなデジモンなの?」

 

 その間、鈴は太一に【メガログラウモン】の事を聞いて来た

 

太一

「少し待て。」

 

 太一は【デジヴァイス】を取り出すと【メガログラウモン】のデータを表示した

 

「コレが【メガログラウモン】…まるで恐竜をサイボーグにしたみたいなデジモンね?」

 

太一

「まるでもなにも【メガログラウモン】はサイボーグ型デジモンだ。進化前の成熟期の【グラウモン】は魔竜型だが恐竜と大して変わらん。」

 

「そ、そうなんだ…魔竜のサイボーグ…」

 

太一

「ちなみにだが、マドカとセシリアの機体の元になった【メタルグレイモン】と【ライズグレイモン】もサイボーグ型だ。」

 

「そうだったんだ………ん?…《ダブルエッジ》?…《ペンデュラムブレイド》で斬り裂く技?こんな技があったんだ………使えそうね!」

 

 【メガログラウモン】のデータの中から自分にも出来そうな技がある事を発見した鈴は後で試そうと考えた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

クロエ

「終わりました!」

 

 暫くするとクロエは、鈴の【メガロ・ドラグナー】の初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)、マドカの【ライズ・ドレイク】の《トライデントリボルバー》の調整を終えた

 

千冬

「では八神…凰の相手を頼む。」

 

太一

「分かった…<デジタル・セレクト>…【モード:アルフォースブイドラモン】!!」

 

「コレが【アルフォースブイドラモン】!?…生で見ると更にカッコいいわね!!」

 

 その後、【アルフォースブイドラモン】を纏った太一を相手に鈴は新型で模擬戦をするのだが…

 

「何よその速さあああぁぁぁ―――っ!!!」

 

 【アルフォースブイドラモン】のスピードを捉える事が出来ず翻弄されていた

 

「少しは手加減しなさいよおおおぉぉぉ―――っ!!!」

 

 その後も太一に掠らせる事も出来ずにマドカとセシリアの時と同様、ぼろ負けするのだった

 

「新型のお披露目なんだから少しは花を持たせなさいよおおおぉぉぉ―――っ!!!」

 

 鈴のそんな叫びがアリーナに木霊するのだった………

 

 




 <予告>

 太一の訓練は鈴も加わり更に激しくなっていく

 そんな中、千冬は太一に師事する様に一夏に再び持ち掛けた

 それが切っ掛けとなり一夏と箒の本質が露になるのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 告げられた本質

 今、冒険が進化する!



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第026話:告げられた本質

機体設定②に【メガロ・ドラグナー】を追加しました



 【メガロ・ドラグナー】を受け取った次の日から鈴は放課後の太一達の訓練に参加する様になった

 だが…

 

太一

「《シャイニングVフォ―――――ス》!!!」

 

 ドカアアアァァァ―――ンッ!!

 

マドカ&セシリア&鈴

「きゃあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 【アルフォースブイドラモン】の必殺技を受けて3人纏めて吹っ飛ばされていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから数日が経ったある日、午後の授業も終えた時、千冬が…

 

千冬

「八神…」

 

太一

「何か?」

 

千冬

「スマナイが織斑を鍛えてくれないか?」

 

一夏

「え!?」

 

 太一に一夏を鍛えてくれと言って来たのだ

 実は千冬のこの台詞は事前に太一から頼まれていた事だった

 『千冬から自分に一夏の訓練を頼んでくれ』と…

 それを聞いた千冬は一夏の訓練をしてくれる太一に感謝した

 

一夏

「きゅ、急にどうしたんだよ千冬姉!?」

 

「どう言う事ですか千冬さん!!」

 

千冬

「織斑先生だ!お前達何時になったら公私の区別が出来るんだ!!小学生でもあるまいし、一体何回言い直させるつもりだ!!」

 

一夏&箒

「す、すみません!?」

 

千冬

「それで何故八神に頼むかだが…織斑…入学してからもう一ヶ月以上経つが少しは実力をつけたのか?」

 

一夏

「え!?」

 

「な、何を言ってるんですか!?強くなってるに決まってるじゃないですか!私が鍛えてるんですよ!!」

 

太一

「私が…ね?」

 

「何だ八神!何か言いたい事でもあるのか!!」

 

 成長していると言う箒の台詞を聞いて太一は呆れていた

 

太一

「どの口が言ってるのかと思ってな?」

 

「何だと!?」

 

太一

「織斑先生…今日の実習の一夏を見てどう思いました?」

 

一夏

「え?」

 

千冬

「悪いがもう少し具体的に頼む。」

 

太一

「それはすみません…なら今日と…そうですね、一カ月前の一夏…動きはどのくらい変わりましたか?」

 

一夏

「………」

 

千冬

「そう言う事か…なら言わせて貰うが…殆どと言っていいほど変わっていない!」

 

一夏&箒

「え?」

 

千冬

「無駄な動きばかりでまるで改善されていない。精々機体と武器の展開速度が少し早くなったぐらいだ。あれでは【白式】の性能を半分も引き出せていない。」

 

太一

「コレを聞いてもまだコイツが強くなってるって言えるのか?」

 

「くっ…だがそれは一夏が…」

 

太一

「一夏が何だ?覚えが悪いコイツのせいだとでも言うつもりか?自分から教えると言っておいて人のせいにするのか?」

 

「!?」

 

太一

「確かにお前の言う事にも一理ある。だが俺はお前達の練習を見に行った事があるが、あんな擬音だらけの説明で覚えろと言う方も無理だ。あれで理解出来るのは言ってる本人だけだ。それもあんな稚拙な訓練で強くなるわけないだろ?」

 

「ち、稚拙だと!?」

 

太一

「それ以外に何て言えばいいんだ?ただ剣を振ってるだけで強くなると思ってるのか?模擬戦をするにしても何処が問題かを指摘して改善させなければやる意味もない。俺が見た限りお前はそんな事を一度としてしていなかったがな?」

 

「な、何だと…」

 

太一

「だから一夏は一度は俺に頼みに来たんだろ?そもそも不満が無ければ俺に頼む事などしない。」

 

「………」

 

太一

「まあその時は断ったがな。だがそれもコイツの自業自得だ。」

 

一夏

「う!?」

 

千冬

「織斑…だから私はあの時に念を押して聞いたんだ…その結果が今のお前だ。1カ月経っても量産機にすら勝てない体たらくだ。」

 

一夏

「………だ、だから俺は…あの時に頼んだんだ…でも…」

 

千冬

「断られて当然だ!あれだけ大見得きって断ったのはお前の方が先だ!それを後から頼めば聞いてくれるとでも思っていたのか!」

 

一夏

「ううっ!」

 

太一

「あの時にも言ったがお前はどれだけ自分に都合のいい甘い考えをしていたんだ?俺が何故あの時すぐに断ったと思う?」

 

一夏

「え?」

 

太一

「引き受けたらお前を甘やかすだけだと思ったからだ。」

 

一夏

「そ、そんな!?」

 

千冬

「その上訓練中の八神達に乱入するとはお前は何処まで馬鹿なんだ?そんな事をすれば訓練を頼む事なんて余計に出来なくなる事が分からんのか?お前は自分で自分を追い詰めている事すら分からんのか?」

 

一夏

「ううっ………その…通りです…」

 

千冬

「これが最後の機会だ!本当なら私も何も言うつもりは無かったが、お前の体たらくは余りにも酷過ぎる!だから一度だけ私から八神に頼んでやる!後はお前が決めろ!」

 

一夏

「………(太一の訓練…一度断られた俺としてはありがたい…けど…)」

 

 千冬に太一からの訓練を進められた一夏は悩んでいた

 だが、以前太一に返り討ちにあった時の事と自身のプライドで中々頷けなかった(自業自得)

 

「一夏!!八神の訓練など必要無いとハッキリ言ってやれ!!」

 

 一夏が悩んでいると横から箒が口を出してきた

 

千冬

「お前の意見など聞いていない!横から口を出すな!」

 

「私は一夏の訓練担当です!意見を言う資格はあります!」

 

千冬

「なら私も八神を推薦した者として言ってやる。お前にそんな事を言う資格があるのか?」

 

「え!?」

 

千冬

「八神がさっき言っただろ?お前が織斑の訓練をした結果、今のコイツはどうなっている?」

 

「そ、それは…」

 

千冬

「スペックでは上回っている専用機を使っているのにも拘らず未だに量産機にすら勝てないほど弱いままだ!普通なら一カ月も訓練すればそんな事はまずありえんのだ!その理由は何故だ!!」

 

「ううっ…」

 

千冬

「ハッキリ言ってやる!原因はお前だろうが!!」

 

「!?」

 

一夏

「ま、待ってくれよちふ「ん!!」お、織斑先生…」

 

 また懲りずに名前で呼ぼうとした一夏を千冬は睨みつけ呼び方を直させた

 

千冬

「何だ?」

 

一夏

「あ、あの…太一の訓練を俺は受けるよ!で、でも…箒との訓練も一緒に続けたいんだ…」

 

太一

「無理だ。」

 

一夏

「え?」

 

 太一と箒の二人に教わりたいと言ってきた一夏の言葉を太一は切り捨てた

 

一夏

「な、何で?」

 

太一

「簡単だ。教える内容が違うならともかく、同じ場合は必ず意見の食い違いや衝突が起きる。そうなったら訓練どころではなくなる。特に篠ノ之との場合はな。」

 

一夏

「………」

 

太一

「お前が俺との訓練をしたいと言うなら篠ノ之との訓練を止めろ。」

 

「何!!」

 

太一

「他の者なら一緒にやっても何とかなるがコイツと一緒にやれば必ず文句を言って来る。最後には癇癪を起こして刀を振り上げて暴力沙汰にまで発展するのが目に見えている。」

 

「ふざけるな!!私がそんな事するか!!」

 

全員

「………」

 

 箒は太一の言う様な事をしないと言うがクラスの生徒達は太一の言う通りの事が起きるだろうと容易にその時の光景が想像出来てしまった

 

マドカ

「どの口が言うんだか?」

 

「何!?」

 

 そんなクラスメイト達の心情を代弁する様に今まで黙っていたマドカが太一と同じ事を言って口を挟んだ

 

マドカ

「お前、鈴に向かって行き成り竹刀で殴りかかったそうじゃないか?それも鈴が止めなかったらかなり危ない所に当たっていたらしいな?」

 

「!?」

 

マドカ

「その前も入学初日に一夏兄さんを行き成り木刀で殴りかかったらしいな?まあそっちはノックもせずに部屋に入った兄さんの方にも否があるからどっちもどっちだがな。」

 

一夏

「うっ!?」

 

マドカ

「だが、その後一夏兄さんを狙って扉越しに木刀で突いたそうだな?お前何学園の備品を平気で壊してるんだ?それに扉に穴を空ける様な突きを喰らったらどうなると思ってるんだ?」

 

「!?」

 

マドカ

「当たり所が悪かったら普通に死ぬぞ?お前そんな事も分からないのか?これだけ言えばお前にも分かるだろ?」

 

「………」

 

マドカ

「どれもお前が短気を起こした暴力沙汰だろ!それでよく太一兄さんの言葉を否定出来たな!!」

 

 箒は言い返せなかった

 それは確かに箒自身が起こした事だからだ

 

「くっ…ううっ…だ、だが私は…篠ノ之束の…」

 

マドカ

「束の名前を出すのか?おかしいな?お前は姉とは関係無いのだろ?」

 

「!?」

 

マドカ

「随分都合のいい姉嫌いだな?普段は姉とは関係無いと言っておいて都合が悪くなれば姉の名前を平気で使うとはな。」

 

「くっ!?」

 

マドカ

「そう言えば以前も一夏兄さんの訓練を買って出て来た先輩を追い返す時にお前は束の名前を使っていたな?お前には恥と言うものが無いのか?それとも自分が恥を晒している自覚が無いのか?」

 

クラスメイト

「………」

 

 周りの生徒達も箒が束とは関係無いと言っている事は知っていた

 だからこそ、箒が束の名前を出した事に対して冷たい視線を向けていた

 

マドカ

「束と関係無いと言うならアイツの名前を出すな!!」

 

「ぐうっ…」

 

マドカ

「篠ノ之!!お前みたいに何でもかんでも自分の思い通りにしようとする奴を何て言うか知ってるか!!…【傲慢】って言うんだよ!!!」

 

太一

「!?」

 

「何だとおおおおおぉぉぉぉぉ―――――っ!!!」

 

 マドカのその言葉に箒は遂にキレて何処からか出した木刀で殴りかかった

 

マドカ

「フンッ!」

 

 だがマドカは木刀を指で挟んで止めていた

 

「な、何っ!?」

 

マドカ

「お前これは何だ?さっき太一兄さんの言った通りの事をしてるじゃないか?」

 

「!?」

 

マドカ

「それに何だこの雑な太刀筋は?お前本当に剣道の全国大会で優勝したのか?この程度ならセシリアでも同じように止められるぞ?」

 

「何だと!?」

 

マドカ

「どうなんだセシリア?」

 

セシリア

「…そうですわね…流石にマドカさんみたいに指だけでは無理ですが止める事は出来ますわ。」

 

「!?」

 

セシリア

「そのくらいの速さでしたら目がすっかり慣れていますもの。」

 

「な、慣れただと!?」

 

セシリア

「ええ、そもそもわたくし達は太一様を相手に訓練してるんですよ?そのくらい出来るようになっていて当然ですわ。」

 

「な、何!」

 

セシリア

「…例えるなら授業で1週間掛けて教える内容があるとしましょう。ですが貴方では1カ月掛けても教えきる事が出来ません。対する太一様は2,3日で教えてくれます。太一様と貴方ではそのくらいの差があります。」

 

「き、貴様!?」

 

 ガシッ!

 

 箒は今度はセシリアに殴りかかろうとした

 だが、木刀を振り上げた瞬間動かなくなった

 

「!?…千冬さん!?」

 

 木刀は後ろから千冬が握って動けなくしていた

 

千冬

「篠ノ之…教師の前で暴力事件を起こすとはいい度胸だな?」

 

「ち、違います!?私は…」

 

千冬

「何が違う?この木刀で八神妹に殴りかかった上に、今もオルコットを殴ろうとしただろ?…それからオルコット。」

 

セシリア

「はい?」

 

千冬

「今の例えは良かったぞ。…教師としては少し自信を無くす例えだがな…」

 

セシリア

「あ!…す、すみません…大袈裟に言い過ぎました!」

 

千冬

「良かったと言っただろ?謝らなくてもいい。…それに丁度いい…織斑、今日は八神達と訓練をしろ。コイツは今から懲罰房に入って明日の朝までは出てこれないからな。」

 

一夏

「え?」

 

「な、何で私がそんな所に入らなければいけないんですか!!」

 

千冬

「馬鹿かお前?今言っただろ?教師の前で木刀振り回して暴力事件を起こしたのは誰だ?」

 

「そ、それは…」

 

千冬

「そんな事をした奴をお咎め無しにする理由が何処にある?まさか束の妹だから許されるとでも思っていたのか?」

 

「ね、姉さんは関係無いでしょう!!」

 

千冬

「なら懲罰房に入れられても文句は無いな?尤も束の名前を使おうとしたお前がそんな事を言っても説得力は無いがな。」

 

「くっ…」

 

千冬

「織斑…コイツは今から懲罰房に放り込むから邪魔される心配も無い。コイツと八神の訓練の違いを身を持って知るいい機会だぞ。」

 

一夏

「………」

 

千冬

「行くぞ篠ノ之!!」

 

 千冬はそのまま箒を連れて教室から出て行った

 

太一

「…【傲慢】…まさかアイツ…」

 

 太一は連れられて行く箒を見ながら先ほどマドカが口にした言葉を考えていた

 

太一

(…少し警戒しておくか…)

 

 太一は箒に対して警戒しておく事にした

 そして太一はマドカとセシリア、一夏を連れてアリーナに向かった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから太一は一夏を連れてアリーナに向かった

 

「あ!遅いわよ皆!!…!?」

 

 そこにはすでに鈴が待っていたが、一夏もいるのを見て表情を変えた

 

一夏

「り、鈴…」

 

 そんな鈴の姿を見て一夏は動揺していた

 一夏はあの日以来鈴とは全くと言っていいほど関わりが無くなっていたからだ

 

「…太一…何でコイツがいるの?」

 

 鈴は太一に何故一夏も一緒にいるのかを聞いて来た

 その声はとても冷めた口調だった

 

太一

「織斑先生の指示だ。コイツが弱すぎるから鍛えてくれとさ。」

 

「ああそう言う事…流石の千冬さんもアンタに頼まないと無理って判断した訳ね?」

 

一夏

「!?」

 

太一

「そんな所だ。」

 

「なら箒は?コイツがいるならアイツもいるんじゃないの?」

 

マドカ

「あの馬鹿なら今頃懲罰房に放り込まれているところだ。」

 

「懲罰房?アイツ何したの?」

 

セシリア

「織斑先生の目の前で木刀振り回してわたくしとマドカさんに殴りかかって来ました。」

 

「は?…何それ?アイツ本当に馬鹿ね?」

 

マドカ

「馬鹿だからな。」

 

「それもそうね…じゃあ早く始めよ!」

 

太一

「そうだな。」

 

一夏

「り、鈴…その、よろしく…頼む…」

 

 一夏は何とか鈴との仲を戻そうと話しかけたが…

 

「ん?ああそうね?まあアンタは適当にやっとけば。私は太一達と訓練するから。」

 

一夏

「!?」

 

 鈴の返事はとても冷めたもので、一夏の事を見ようともしなかった

 

一夏

「待てよ鈴!!何でそんな態度を取るんだよ!!」

 

「………呆れたわね…まだ自分が拒絶されてる理由に気付いてなかったなんて…アンタ馬鹿なの?ってそう言えば馬鹿だったわね?」

 

一夏

「な!?」

 

 自分に対して見向きもしない鈴の態度に一夏は遂にキレた

 だが鈴はそんな一夏の態度に逆に呆れ果てていた

 

「私あの時言ったよね?アンタは私の告白を間違えて覚えていたのよ?しかも私は違うって言ったのにアンタは思い出そうともせず、謝りもしなかったわね?終いには私の方が悪いって言って来たわよね?」

 

一夏

「!?」

 

「あのさ?普通そんな事されて平気でいると思うの?アンタが同じ事されたらどう思うの?」

 

一夏

「う………」

 

 鈴に言われ一夏は自分が鈴と同じ状況になった時の事を想像してみた

 鈴の言う通りそんな事をされればそんな相手の事を嫌いになるし関わりたくも無くなる

 

「そんな奴嫌でしょ?話したくも無いでしょ?一緒にいたくないでしょ?そんな気持ちになる事をアンタは私にしたのよ?分かる?分かるなら頷きなさい。」

 

一夏

「………」

 

 一夏は首を縦に振った…

 ココまで言われて一夏は漸く鈴の今までの態度の理由が分かったのだ

 

「分かったなら私に関わってこないで。授業や訓練の時は最低限相手をしてあげるけどそれ以外の時はアンタなんかと話もしたくないのよ。」

 

一夏

「ううっ…」

 

「先に言っとくけど今更謝っても遅いわよ?アンタの謝罪なんてもう何の意味も無いからね。それでもしたいなら勝手にすればいいわ。私は聞く気なんか無いけどね。」

 

一夏

「!?」

 

 一夏は土下座をして鈴に謝ろうとした

 だが、鈴からすでに遅いと言われてしまい、もはや謝る事すら出来なくなってしまった

 

「それからコレも言っておくわ。アンタいつも『皆を守る』って言ってるけどさ?どの口が言ってんの?」

 

一夏

「え?」

 

「この際だから教えてあげるけど、アンタ昔から沢山の女の子に好意を持たれてたのよ。」

 

一夏

「…は?な、何言ってんだよ?俺がそんな訳…」

 

「あるのよ。…で、話を戻すけど、アンタに好意を持ってた子達はどうなったと思う?」

 

一夏

「え?」

 

「アンタが無自覚にフッてったのよ。私みたいに告白しても全く気づかれずにその子達の気持ちは踏み躙られて来たのよ。アンタの事だから自分に好意を寄せていた子が誰なのか顔も名前も分からないんでしょ?アンタは昔からそんな男として最低な事を平然としてきたのよ。」

 

一夏

「そ、そんな…う、嘘だ!?」

 

「嘘なもんですか。だったら千冬さんに聞くといいわ。何なら弾でもいいわよ。二人とも私と同じ事を言うから。」

 

一夏

「千冬姉と弾が!?」

 

「そうよ。…それでさ?もう一度聞くけど…誰が誰を守るの?」

 

一夏

「!?」

 

「今まで大勢の子達の想いを踏み躙って傷つけてきたアンタが誰を守るって言うの?他人の気持ちを知ろうともしないアンタに誰かを守る事なんて出来るの?私には出来るとは思えないけどね?」

 

一夏

「………」

 

「私ならアンタにだけは死んでも守って欲しくないわね。アンタに守られる位ならプライドなんて捨てて土下座でも何でもして命乞いをするわよ。」

 

一夏

「!?…そ、そこまで言うのかよ…」

 

「当たり前でしょ?自分を殺そうとした奴に守って欲しいなんて思う馬鹿が何処にいるのよ?」

 

一夏

「…え?…殺す?」

 

「そうよ、アンタはあの代表戦の時、私を殺そうとしたのよ。」

 

一夏

「な、何言ってんだよ?何で俺がお前を殺そうとするんだよ?」

 

「フン、やっぱり気付いてなかったわね?」

 

一夏

「…え?」

 

 鈴は一夏に【デーモン】との戦いの時のことを話し出した

 

「アンタあの化け物に【零落白夜】で斬りかかったわよね?千冬さんに見せて貰った映像に映ってたから間違いないわよね?」

 

一夏

「あ、ああ…確かにそうだけど…」

 

「…アンタ【零落白夜】の危険性忘れたの?」

 

一夏

「!?」

 

「聞いた話だと太一と千冬さんが【零落白夜】の事をアンタに教えていたそうね?」

 

一夏

「…そ、それは…」

 

「ねえ?【零落白夜】であの化け物を斬り付けたら取り込まれていた私はどうなったのかな?」

 

一夏

「!?」

 

「元々あの化け物にはアンタの剣なんかじゃ掠り傷一つ付けられなかったけど…もしアンタの剣が通ったらどうなったと思う?」

 

一夏

「ううっ…」

 

「化け物ごとアンタに斬り殺されてたわよね?」

 

一夏

「ち、違う!?」

 

「何処が違うの?あんな滅茶苦茶に斬り付けていた奴が何言ってんの?アンタは太一と千冬さんの忠告を忘れたのよ。でなきゃあんな事する筈無いでしょ?」

 

一夏

「………」

 

 一夏は鈴のその言葉を否定出来なかった

 あの時の一夏は【デーモン】に言われた事が原因で正常な判断が出来なくなっていた

 その為、太一と千冬に言われた【零落白夜】の危険性が頭の中から無くなってしまい、鈴を助けるつもりが鈴を殺そうとしたのだ

 尤もISに対しては絶大な破壊力を持つ【零落白夜】もデジモンの前では効力は発揮されず【雪片弐型】はただの刀になってしまうので、中の鈴は勿論【デーモン】には傷一つ付かなかった

 

「これだけ言えば分かったでしょ?私はアンタに守って欲しくも無ければもう好きでも無い。私の言いたい事はこれで全部…自分がどれだけ鈍いかよく分かったかしら?」

 

一夏

「………」

 

「…あっ!そう言えばもう一つ言いたい事があったわ。これから私の事を『幼馴染』なんて呼ばないでね?私にとって今のアンタはもう『ただの他人』でしかないからね。」

 

一夏

「た、他人!?」

 

 『幼馴染』ではなく『ただの他人』…それは鈴が一夏との関係を全て捨て去る事を意味する言葉だった

 

「そうよ。あ~言いたい事言ってスッキリした♪…ゴメンね太一…今度は私が待たせちゃって…」

 

太一

「気にするな。」

 

「うん♪ありがとね太一♪」

 

一夏

「!?(ま、まさか鈴…お前太一を!?)」

 

 先程までの一夏に対しての冷たい態度とは打って変わって、鈴はとても明るい表情で太一と話していた

 それを見て鈴の今の気持ちが自分では無く太一に向いている事に一夏は気付いた

 

一夏

「………」

 

 今まで自分に向けられていた笑顔が今は太一に向けられている

 そして、鈴にとってもはや他人でしかない一夏にその笑顔が向けられる事は無くなった

 その事にショックを受けていたがそれも元を正せば全てはこの男が自分で招いた事である

 

一夏

「…くっ!」

 

 一夏はそのままアリーナから出て行った

 

太一

「…今日のアイツは訓練は無理だな…明日もう一度誘うか…鈴…構わんな?」

 

「さっきも言ったでしょ。最低限の相手をするだけよ。」

 

太一

「そうか…(徹底してるな…『ただの他人』とまで言ったんだからこの反応が当然なのかもな…好きの反対は嫌いでは無く無関心と言うが…今の鈴の事を言うんだろうな………だが、流石にこのままという訳にもいかんな…いずれは何とか出来ればいいんだが…)」

 

 太一はいずれは鈴と一夏の仲を友人までには戻せないかと考えながらそう言った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 アリーナから飛び出した一夏は千冬を探していた

 

一夏

「ち、千冬姉!!」

 

千冬

「織斑先生だと…まあ今はいいか…お前何をしている?訓練はどうした?」

 

一夏

「それより教えて欲しい事があるんだ!!」

 

 そして廊下にいた千冬を見つけると早速鈴に言われた事を話した

 

千冬

「鈴がそんな事を…」

 

一夏

「な、なあ…嘘だよな?…俺が…そんな事してたなんて…嘘だよな!?」

 

 一夏は千冬なら否定してくれると思っていた

 だが…

 

千冬

「本当だ。」

 

一夏

「………え?」

 

 千冬からの答えは肯定だった

 

千冬

「鈴の言う通りだ。お前はその異常なまでの鈍感さで大勢の子達の気持ちを踏み躙って来た。」

 

一夏

「そ、そんな…な、ならなんで言ってくれなかったんだよ!?」

 

千冬

「お前覚えてないのか?私や五反田は何度かその事を忠告してたんだぞ?」

 

一夏

「え?」

 

千冬

「だがいくら私達が注意してもお前はその意味をまるで理解しようとはしなかったんだ。だからお前に文句を言われる筋合いはそもそも私には無い!!」

 

一夏

「う、うう…」

 

 一夏はまさか千冬達がその事を何度も指摘していたとは思ってもみなかった

 千冬の言う通り今の一夏の台詞は千冬には言われる筋合いの無い言葉だった

 

千冬

「それにな…私は本当ならお前の恋愛事には関わりたくはなかった。」

 

一夏

「………え…」

 

千冬

「恋愛は個人の自由だ。誰が誰に惚れようとそいつの勝手だ。だが、お前の鈍さで泣く子達が余りにも可哀想だから時々口出ししていたんだ!何故私が弟とは言えお前の恋愛事情に口出ししないといけないんだ!?自分にだって彼氏がいないのにだぞ!!」

 

一夏

「そ、それは…」

 

千冬

「もしかしたらその中にお前を射止める奴がいるかもと思ったが…結局は全員が無自覚のお前にフラれてしまった…私の手助けも無駄にされるし、それ以上に皆には可哀想な事をした…」

 

一夏

「ううっ…」

 

千冬

「一夏…自分の鈍感さを自覚したなら鈴に感謝しろ。鈴が言わなければお前の被害者はこれからも増え続けていく一方だ。いずれはお前を背中から刺す奴が現れただろうからな。(…既にやりそうな奴が一人いるんだが…)」

 

 千冬はそう言いながら先程懲罰房に放り込んだ黒髪ポニーテールの少女の顔が浮かんでいた

 

千冬

「(まあ今はいいか…)これからは自分の言動に気を付けろ!言っておくが私は今後一切お前の恋愛事に関しては口出しせんぞ!いい加減疲れた!自分で何とかしろ!!背中から刺されても知らんからな!!」

 

一夏

「…はい…」

 

千冬

「いいか一夏!!お前が今までしてきた事は今の風潮以前に男として最低な事だ!!その中でも今回の鈴の件はお前が今までフッてきた者達の中でも一番酷い!!鈴のお前への態度も当然だ!!それだけの事をお前は鈴にしたんだ!!!」

 

一夏

「………」

 

千冬

「今度鈴の時の様な事をすれば私はお前の姉としてではなく一人の女としてお前を許さん!!分かったな!!」

 

一夏

「!?」

 

 千冬は最後にそう言うとそのまま行ってしまった

 

一夏

「…俺…そんなに最低な奴だったのかよ…」

 

 残された一夏は今迄の自分がしてきた事、そして自分がどういう人間かを突き付けられその場を動く事が出来なかった

 

 




 <予告>

 鈴と千冬によって自分の本質を突き付けられた一夏

 そんな中、改めて太一の訓練に参加する事になったが、そこに箒も現れた

 更に二つの国からやって来た転校生達によって太一の周囲は更に混沌となるのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 金と銀の転校生

 今、冒険が進化する!



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第027話:金と銀の転校生

 一夏が鈴と千冬から自分の本質を突き付けられた次の日の放課後…

 一夏は改めて太一達と訓練する事になったのだが、やはり鈴を見ると前日の事が原因のせいか表情は暗くなっていた

 さらにそこには…

 

「………」

 

 懲罰房から出て来た箒も【打鉄】を纏ってその場にいた

 

太一

「何故お前もいる?」

 

「私は一夏の訓練担当だ!!」

 

マドカ

「まだ言ってるのか?織斑先生からも役立たずと言われたのに懲りん奴だな?」

 

「何だと!?」

 

太一

「篠ノ之…また刀を振り回すなら力づくで黙らせて放り出すぞ?」

 

「!?…くっ!」

 

 流石の箒もISを纏った太一に力づくと言われては黙る事しか出来なかった

 

太一

「…お前がこの場にいるのは構わん。ただし、お前が教わる側としてならな?」

 

「………いいだろう!ならお前の訓練を見せて貰うからな!!」

 

マドカ

「言ったな?なら余計な口出しはするなよ?」

 

「訓練の邪魔をするなら私達が追い出すからね?」

 

セシリア

「その通りですわ!」

 

「…分かった…」

 

一夏

「………」

 

太一

「さてやるか…<デジタル・セレクト>…【モード:オメガモン】!!」

 

 太一は【オメガモン】を纏うと早速訓練を開始した

 

一夏

「…まずは何からするんだ?」

 

太一

「俺の訓練は常に実戦形式の模擬戦だ。戦いながら色々とアドバイスをしてはその度に改善させている。」

 

一夏

「…実戦形式…」

 

太一

「いつもなら何か条件を付けてやっているが今日はお前達二人もいるから条件無しでやるぞ。」

 

一夏

「条件?」

 

マドカ

「内容は色々あるよ。例えば遠距離攻撃無しとか飛行禁止とかそう言った限定された条件下で太一兄さんは色々と教えてくれてるんだよ。」

 

一夏

「そ、そうなんだ…」

 

太一

「話は終わりだ!始めるぞ!」

 

マドカ&セシリア&鈴

「はい!!」

 

 マドカ達が勢い良く返事をすると太一達4人は上空へ飛び上がった

 一夏と箒も遅れて上がって来た

 

太一

「遠慮は無用!来い!!」

 

「では遠慮なく行くぞ!!!」

 

 太一がそう言うとまずは箒が正面から斬りかかって来た

 

「くたばれえええええぇぇぇぇぇ―――――っ!!!」

 

 物騒な事を叫びながら…

 

太一

「………」

 

 だが太一は体を横に向けるだけで軽く躱し、通り過ぎた箒の背中を蹴り飛ばした

 

「ぐはっ!?…くっ!」

 

太一

「力の入れ過ぎで大振りになってるぞ。もう少し力を抜け。それに正面から斬り付けるにしては速さが足りん。」

 

「黙れえええぇぇぇ―――っ!!!」

 

 太一が改善点を言うが箒は全く耳を貸さず今度は出鱈目に刀を振り回しながら斬りかかって来た

 

太一

「………」

 

 だがそんなただ振り回しているだけの剣が太一に当たる筈も無かった

 

「くそっ!避けるな!!」

 

 すると何時かの一夏の様な事を言いだした

 

太一

「…何を言ってるんだか…まあいいだろう…避けるのは止めてやる。」

 

「何っ!?」

 

 だが、その時と違い太一はいきなり避けないと言って動きを止めた

 それを見た箒は笑いながら刀を構えると…

 

「なら動くなよ…喰らえええええぇぇぇぇぇ―――――っ!!!」

 

 などと明らかに小物の様な事を言って斬りかかった

 だがこの時、周りにいたマドカ達(一夏以外)は箒の浅はかさに呆れていた

 箒は太一が避けないと言った理由が分かっていないからだ

 

「おおおおおぉぉぉぉぉ…」バキッ!「…がっ!?」

 

 太一は箒の剣が当たる直前に左腕を箒の腹に叩き込んだのだ

 殴り飛ばされ吹き飛んだ箒は太一を睨んで来た

 

「卑怯者!!貴様避けないと言ってただろうが!!」

 

 太一を卑怯者呼ばわりする箒だが…

 

マドカ

「お前本当に馬鹿だな。それはただの逆ギレだ。」

 

「何!?」

 

セシリア

「気付かなかったのですか?太一様は避けないとは言いましたが攻撃しないとは一言も言ってませんわ。」

 

「太一はアンタの攻撃が当たる前に殴り飛ばしただけで避けてないじゃない?」

 

マドカ

「それで何故卑怯者呼ばわりされるんだ?」

 

「ぐっ!?」

 

 箒の言う事を逆ギレと言う3人に箒は言い返す事が出来なかった

 

「避けないのならその前に相手に攻撃を打ち込むだけでしょ?アンタ太一が避けないって言った意味が分かってなかったの?」

 

「何だと!?」

 

マドカ

「そもそもお前、以前一夏兄さんが太一兄さんに言われた事忘れたのか?あの時お前もあの場にいたよな?」

 

「何!?」

 

 マドカが言っているのは太一が初めて【ガンクゥモン】を使った時の模擬戦の事だが、箒はその時の太一が一夏に対して言った忠告をキレイサッパリ忘れていた

 

セシリア

「(コレは本当に忘れてますわね…)貴方は本番の試合でも同じ事を言うつもりですか?試合中に相手に避けるなと言って本当に避けない人が何処にいるんですか?貴方は本番の試合の時にも相手にそう言って避けさせないつもりですか?」

 

マドカ

「お前はそんな事で自分の攻撃が当たって嬉しいのか?」

 

「だ、黙れ!!黙れ黙れ黙れえええええぇぇぇぇぇ―――――っ!!!お前は私の言う通りに動かずにやられればいいんだ!!!」

 

 マドカ達の正論に我慢出来ず遂に箒は訳の分からない暴言を言い始めた

 

「それって太一にサンドバッグになってろって事?」

 

マドカ

「お前馬鹿を通り越して最低な奴だな。」

 

セシリア

「それは訓練ではなく只のイジメですわ!」

 

「五月蠅い五月蠅い五月蠅い!!!全部お前のせいだ!!!お前さえ!!お前さえいなければあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 もはやマドカ達の言葉すら聞かず全て太一のせいにして襲い掛かって来た

 

太一

「…ハァ…ダメだなコイツ…」

 

 ガキョンッ!ドンッ!ドガァァンッ!(展開⇨砲撃⇨着弾音)

 

「ぐわあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 太一は溜息を吐くと《ガルルキャノン》を展開して向かって来た箒を1割以下の最小出力で砲撃した

 さらに…

 

 ドンッ!ドガァァンッ!

 

「ごはあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 落下する箒に二発目を撃ち込んだ

 最小出力とは言え《ガルルキャノン》を二発撃ち込まれた箒は地上に墜落して気絶していた

 

一夏

「ほ、箒!?」

 

「放っときなさい。」

 

マドカ

「やっぱり邪魔になったか。」

 

セシリア

「こうなるのが目に見えてましたわね。」

 

 墜落して気絶している箒を一夏は心配するがマドカ達3人は見向きもせずに言い放った

 そんな3人に一夏は何かを言おうとしたが…

 

「言っとくけど今のは全部アイツが悪いわよ。」

 

セシリア

「太一様のアドバイスを聞こうともせずにあのような暴言を吐くんですもの。」

 

マドカ

「自業自得だ。」

 

一夏

「うっ………」

 

 箒に否があると先に言って来た  

 一夏もそう言われてしまっては言い返す事が出来ずに黙り込んでしまった

 

太一

「続けるぞ。」

 

 太一達は気にせずに訓練の続きを始めた

 一夏は箒の事を気にしながらも太一との訓練を始めた

 

一夏

「…いくぞ!!」

 

 そして一夏は太一に向かって行った

 太一は一夏の攻撃を捌きながら問題点を指摘していき、その度に改善させていった

 それは今まで箒と訓練してきた一夏にとって厳しかったがとても充実した訓練となった

 訓練を終えると一夏は気絶した箒を回収して帰って行った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから数日の間も一夏は太一の訓練に参加していた

 但し、マドカ達は今迄と同じ太一との模擬戦だが、一夏は始めはISを用いた基礎的な訓練をさせ、最後に模擬戦を行うと言うものに変えられていた

 更に、訓練を終えた後は自室で1時間ほど座禅を組めとも言われた

 コレは今迄の一夏の失言や行動、更には鈴との一件を考え一夏の精神面が弱すぎると判断した太一の訓練だった

 座禅に関しては理由が分からず一夏が聞いたところ、太一に精神を鍛える為だと言われ納得した

 ちなみに太一に撃ち落とされた箒は次の日もやって来たがマドカ、セシリア、鈴の3人が昨日と同じ事をされるのは迷惑だと言って追い返した

 それからも一夏を連れて行こうと毎日やって来ていたが一夏本人が太一との訓練を選んでいる以上は無理だと言われていた

 当然反発する箒だがその度に3人で返り討ちにしていた

 そんな日々を過ごしていたある日の朝…

 

生徒1

「やっぱりハヅキ社製がいいなぁ。」

 

生徒2

「ハヅキってデザインだけじゃないの?」

 

生徒1

「そのデザインがいいのよ!」

 

生徒3

「性能的にミューレイのがいいなぁ、スムーズモデル。」

 

生徒2

「物は良いけどさぁ、高いじゃん。」

 

 朝から生徒達がISスーツのメーカーの話で盛り上がっていた

 

一夏

「おはよう。」

 

 そこに一夏がやって来ると…

 

生徒3

「あ!織斑君!ねえ織斑君のISスーツってどこのなの?見た事の無い型だけど。」

 

 生徒の一人が一夏のISスーツの事を聞いて来た

 

一夏

「え?何でも特注品らしいよ。どっかのラボで作ったそうなんだ。」

 

生徒1

「へ~そうなんだ~。」

 

真耶

「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を検知して操縦者の動きを各部位に伝達、それを受けてISは必要な動きを行います。」

 

 そこにスーツの解説をしながら真耶が教室に入って来た

 

真耶

「また、スーツは耐久性にも優れているので小経口拳銃の銃弾なら完全に受け止めます。ちなみに衝撃は消せませんのであしからず。」

 

生徒2

「山ちゃん詳しい!」

 

真耶

「それは先生ですから…『先生』…ですからね…」

 

生徒3

「あ!」

 

 真耶は自分の変なあだ名にも突っ込まずに自分を『先生』と言った途端に表情が暗くなってしまった

 あれから大分経つが未だに太一に言われた事を引きずっていた

 

真耶

「………今日は…スーツの申し込み開始日ですから…予習してあります…」

 

 真耶は先程の説明の時の口調とは違い沈んだ声音でそう言った

 

生徒達

「………」

 

 そんな真耶に生徒達もどう声を掛ければいいのか分からずにいた

 

本音

「センセ~聞いてもいいですか~?」

 

真耶

「…はい…何ですか?」

 

 そこに本音が話しかけて来たので返事をした

 

本音

「やがみんってスーツ着てないですけど何でですか~?」

 

 太一がISスーツを着ない事を聞いて来た

 今更だが実は太一は今までISスーツを一度も着た事が無かったのだ

 

真耶

「それですか…私も詳しくは知りませんが彼の場合は【ロイヤルナイツ】その物にスーツと同じ機能が組み込まれているようなんです。だから彼自身はスーツを着る必要が無いんですよ…」

 

本音

「そうなんだ~…いいな~着替えなくていいなんて~…」

 

真耶

「…そうですね…私も着替えるのは面倒でしたよ…」

 

 本音が話しかけた事で真耶は少しは立ち直ったようだった

 それを見て生徒達は安心し本音に感謝していた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから暫くすると太一が教室に入って来た

 太一が席に着くと今度は千冬とオータムが入って来た

 

千冬

「諸君おはよう。」

 

生徒達

「おはようございます!」

 

 千冬が来ると一瞬で空気が変わった

 

千冬

「さて、今日から本格的な実戦訓練を開始する。訓練機だがISを使用するから気を引き締めて行うように。各自のスーツが届くまでは学校指定の物を使って貰うが、それを忘れたら水着で受けて貰う。それも無いようなら下着でやれ。」

 

 などと男が二人いるクラスで無茶苦茶な事を言う千冬だった

 

太一

「………」

 

千冬

「…まあ下着と言うのは冗談だ。」

 

 千冬自身もこんな事を本気で言ったらまた太一の説教が待っている事は分かっていたのですぐに自分の言った事を取り消した

 

千冬

「まずはHRを始める前に今日からこのクラスに転校生が二人来る事になった、」

 

全員

「え!?」

 

千冬

「入っていいぞ。」

 

 ガラッ…

 

 千冬の合図とともに扉が開き二人の生徒が入って来た

 

全員

「ええっ!?」

 

 だが、クラスの生徒達はその内の一人を見て固まってしまった

 

千冬

「自己紹介をしろ。」

 

?1

「はい!フランスから来ましたシャルル・デュノアです。この学園には僕と同じ境遇の人がいると聞き、本国から転入して………」

 

 一人は男だったからだ

 

女生徒達

「キ…」

 

シャルル

「キ?」

 

女生徒達

「キャアアアアアアアァァァァァァァ―――――――ッ!!!!」

 

 そして3人目が来たともなれば女生徒達も黙っている訳が無かった

 歓喜の雄叫びを上げる中、太一、マドカ、セシリア、千冬、オータムの5人はこうなるだろうと思い予め耳を塞いでいた

 

一夏&箒&真耶

「み、耳がああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 耳を塞がなかった一夏と箒、真耶は彼女達の雄叫びに耳をやられていた

 

生徒1

「男子!新しい男子!」

 

生徒2

「しかもうちのクラス!」

 

生徒3

「さらに美形!織斑君達と違った守ってあげたくなる系!」

 

生徒4

「地球に生まれて良かった~!!」

 

オータム

「うるせえお前等!静かにしやがれ!!」

 

真耶

「み、皆さん!まだもう1人の自己紹介が終わってませんよ!」

 

 騒ぐ生徒達をオータムと真耶が注意してやっと静かになった

 

シャルル

「ア、アハハハ…」

 

太一

「………(コイツ…まさか?)」

 

 だがそんな中、太一はシャルルを見て違和感を感じていた

 

千冬

「…挨拶をしろ…ラウラ。」

 

ラウラ

「はい、教官。」

 

 太一がそんな事を考えている間に千冬がもう一人の転校生に自己紹介をするように促した

 

千冬

「今の私はお前の教官じゃない、この学園の…教師だ。」

 

ラウラ

「了解…ドイツ軍IS特殊部隊【シュヴァルツェ・ハーゼ】隊長、ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐だ。」

 

生徒達

「………」

 

太一

(ドイツ軍…アイツ軍人か…何故軍人がこの学園に来たんだ?)

 

真耶

「あ、あの…以上ですか?」

 

ラウラ

「以上だ。」

 

 ラウラはそれだけ言うと一夏の前に移動して…

 

ラウラ

「貴様が!!」

 

 バチィン!!

 

 いきなり一夏に平手打ちをかました

 

一夏

「何しやがる!?」

 

ラウラ

「私は認めない!!貴様があの人の弟など!!認めてたまるか!!!」

 

一夏

「…え?」

 

 ザワザワ…

 

 ラウラの突然の行動に生徒達は騒然となった

 

千冬

「(全くアイツは!)HRは以上だ!!今日は2組と合同授業だ!!すぐに着替えて第2アリーナに集合しろ!!」

 

 周りが騒ぐ中、千冬が無理矢理HRを終わらせ授業の為に移動するように促した

 

千冬

「八神、織斑。」

 

太一

「何か?」

 

 太一と一夏が廊下に出ると後から千冬が二人を呼び止めた

 その隣にはシャルルがいた

 

千冬

「デュノアの面倒を頼む。同じ男だろ。とりあえずは更衣室に案内してやってくれ。」

 

一夏

「分かりました。」

 

シャルル

「よろしくね。織斑君♪八神君♪」

 

太一

「あぁ………一夏…悪いがデュノアの案内は任せていいか?」

 

一夏

「え?何でだ?」

 

太一

「俺は少しオータムに用がある。先に行っててくれ。」

 

一夏

「…分かった…なら急ごうぜデュノア!女子は教室で着替えるけど、男子はアリーナの更衣室で着替える事になってるんだ!」

 

シャルル

「あ、うん…」

 

 二人が離れたのを確認すると太一は廊下に出ていたオータムの下に向かった

 

オータム

「用ってなんだ?」

 

太一

「お前も気づいてるんだろ?」

 

オータム

「ん?…クククッ…ああ…シャルル・デュノア…アイツは女だ!」

 

 太一とオータムはシャルルが実は女だという事を見抜いていた

 

太一

「…束に連絡を頼む。あの女の目的を知りたい。」

 

オータム

「分かった。」

 

太一

「…そう言う訳だ…束からの連絡が来たらそっちにも知らせる。」

 

千冬

「…スマナイ…」

 

 太一は後ろにいた千冬にも聞こえる様にそう答えた

 

太一

「こちらとしてもアイツの周りで起きる面倒事を減らしたいだけだ。鈴の時の様な事はもうごめんだからな。」

 

千冬

「…そうだな…本当にスマナイ…あの馬鹿の為に…」

 

太一

「それが俺がココにいる理由の一つだ。」

 

 太一はそう言うと第2アリーナに向かって行った

 

千冬

「………」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 太一と別れた千冬とオータムは一緒に別の通路を通ってアリーナに向かっていた

 

千冬

「…はぁ…」

 

オータム 

「千冬…お前の弟…本当に何とかしねえとマジで色々とやべえぞ?」

 

 その移動中…二人は一夏の今後について話していた

 

千冬

「…分かってる…分かっているんだ…だがアイツは自分を取り巻く環境が分かっていないんだ…いくら言ってもそれを理解しないんだ…この間も外出すると言うから護衛を付けようとしたら拒否した…」

 

オータム

「護衛を拒否しただと?それってよ、殺されても誘拐されてもこっちには文句を言えないって事だぞ?アイツそれを分かって言ってんのか?」

 

千冬

「…分かってる訳無いだろ…アイツは2年前に本当に誘拐されたんだぞ…だから同じ事が起きない様にする為の護衛だと言うのに…その事を分かっていないんだ…」

 

オータム

「なあ、実の姉にこんな事聞くのもどうかと思うけどよ………アイツ脳味噌あるのか?」

 

千冬

「………ある…と断言出来なくなっている…時々カニ味噌が詰まってるんじゃないかと思う時がある…最近ではパチンコ玉くらいに脳味噌が小さいのかと思った事もあったな…」

 

 明らかに失礼な事を聞くオータムに実の弟に対してこれまた失礼極まりない返答をする千冬だった

 

オータム

「………そこまで言うか…」

 

 自分で聞いておきながら千冬がまさかそこまで言うとは思わなかった

 

千冬

「…言うほどだ…それにアイツは今まで自分が男として最低な事をしてきた自覚がまるでなかった…鈴の一件で何とかその事は認識させた…だがそれもどこまで分かっているのか正直分からん…アイツは無自覚に相手を惚れさせ、そのままフッてしまう男だからな…それを今まで無意識にやっていたんだ…分かったからと言って止められるとは思えん…」

 

オータム

「…つまり天然スケコマシのフラグクラッシャーって事かよ…最悪だな…」

 

千冬

「………」

 

オータム

「下手したら今日来たあの二人もアイツの餌食になるぞ?」

 

千冬

「…そうだな…」

 

オータム

「千冬、言っておくが俺がココにいるのは太一のサポートの為だ。お前の弟がどうなろうと興味は無い。アイツが誘拐されようが誰を惚れさせようが勝手にすればいい。だがな、太一の仕事を増やすなよ。アイツの目的はあくまで【七大魔王】を倒す事だ。お前の弟の護衛はそのついででしかないんだからな。」

 

千冬

「分かってる…八神にはそうなった時は【七大魔王】討伐を優先して貰う。アイツが邪魔するようなら私があの馬鹿を叩きのめす。」

 

オータム

「それでいい。尤も太一は【七大魔王】の討伐を優先すると言っていたし、邪魔する奴はお前の弟だろうが束の妹だろうが容赦なく潰すって束には伝えてあるけどな。」

 

千冬

「そうだったのか…そう言っていたならいい…」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから二人は第2アリーナに着いたが、太一は既にいたが何故か最初に出た一夏とシャルルはまだ来ていなかった

 生徒の話によると他のクラスの生徒達に追い掛け回されたらしい

 そしてチャイムが鳴ると…

 

一夏&シャルル

「遅くなりました!」

 

 二人がやって来た

 

千冬

「遅い!!」

 

 ガンッ!ガンッ!

 

 とりあえず遅刻した二人に千冬の出席簿が振り下ろされた

 

 




 <予告>

 新しいクラスメイトを加えた2組との合同授業

 千冬はマドカ、セシリア、鈴の3人に太一と戦えと言って来た

 一方の太一は3人に対して最強の盾と最強の槍を持つ第4の聖騎士で迎え撃つ

 果たしてマドカ達3人は勝つ事が出来るのか



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 越えられぬ壁!矛盾のクレニアムモン!!

 今、冒険が進化する!



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第028話:越えられぬ壁!矛盾のクレニアムモン!!

お気に入りが700を超えました!!

これからも完結目指して頑張ります!!


 遅刻した二人に制裁を加えた千冬は授業を始めた

 

千冬

「本日から格闘及び射撃を含む実践訓練を開始する!まずはオルコット、八神妹、後は凰…お前達に模擬戦をして貰う。」

 

 千冬に呼ばれた3人は前に出て来たが…

 

「何で私がやるの?」

 

セシリア

「見世物みたいになるのは…」

 

マドカ

「同じく…」

 

 不満を愚痴っていた

 

千冬

「そうか…ならこれならやる気が出るか?八神!!」

 

マドカ&セシリア&鈴

「え?」

 

太一

「ん?俺か?」

 

千冬

「ああ、この3人を相手に試合をしてくれ。」

 

マドカ&セシリア&鈴

「え!?」

 

千冬

「それから使う機体なんだがまだ見せていない奴で頼む。」

 

マドカ&セシリア&鈴

「ええっ!?」

 

太一

「ふむ………まあいいだろう…どれで行くかな…」

 

 太一は【デジヴァイス】を取り出すとどの聖騎士を使うのか選び始めた

 

セシリア

「新しい聖騎士ですの!?」

 

「一体どんなの!?」

 

 それを見たセシリアと鈴は興奮しだした

 

マドカ

「オイ…言っておくがどれが相手でも私達は勝てないぞ?」

 

セシリア

「そんな事分かってますわ!」

 

「それでも今までのと違って他の聖騎士なら一撃くらい当てられるかもしれないでしょ!」

 

千冬

「どうだ?やる気になったか?」

 

セシリア&鈴

「はい!!」

 

 二人はやる気になった

 

マドカ

「…一体どの聖騎士が相手なんだ…」

 

 マドカは自分達が戦う相手がどの聖騎士なのか不安だった

 

太一

「…これにするか…」

 

マドカ&セシリア&鈴

「!?」

 

太一

「<デジタル・セレクト>…【モード:クレニアムモン】!!

 

 【ロイヤルナイツ】を展開し光に包まれる太一

 光が消え現れたその姿は…

 

全員

「!?」

 

マドカ

「げ!?【ク、クレニアムモン】だと!?」

 

「これも…聖騎士なの!?」

 

セシリア

「確かに今までのと比べると一番騎士の様な姿ですけど…顔が…」

 

 全身を紫の西洋甲冑に身を包んだ騎士だったが…その顔は髑髏の様な顔をしていた

 

千冬

「コレが4体目…【クレニアムモン】か…八神…その…そいつの顔は…」

 

太一

「顔は別にいいでしょう?大体外見なら【ガンクゥモン】も似たようなものですが?」

 

千冬

「た、確かに…」

 

ラウラ

「教官!!」

 

 外見の事を注意された千冬にそれまで黙っていたラウラが話しかけて来た

 

千冬

「何だボーデヴィッヒ?」

 

ラウラ

「先程仰った4体目と言うのはどう言う事ですか!?まさかコイツはISを複数所持しているんですか!?」

 

千冬

「そう言えばお前とデュノアはまだ知らなかったな?八神のISは1機だけだ。だがコイツのISは複数の姿を持つ機体でな、状況に合わせて使い分ける事が出来る。」

 

ラウラ

「複数の…姿だと!?」

 

シャルル

「あの…全部でいくつの姿があるんですか?」

 

千冬

「生憎といくつあるのかは私も知らない。この学園で本人以外に知ってるのはオータムと八神妹の二人だけだ。」

 

ラウラ

「オイ!いくつあるんだ!!」

 

 千冬がそう言うとラウラは隣にいたオータムに問い質した

 

オータム

「教えねえよ。」

 

ラウラ

「何だと!いいから答えろ!!」

 

オータム

「嫌だね!教えねえのはその方が面白いからだ。」

 

シャルル

「面白いって…そんな理由で…」

 

オータム

「どうしても知りたきゃ太一本人に聞くんだな。まあ、アイツが自分の機体の機密をアッサリばらす訳ねえけどな。専用機を持ってるお前等ならその意味は分かるよな?俺が言わないのもそれが本来の理由だ。」

 

シャルル&ラウラ

「………」

 

 二人はそう言われては何も言えなかった

 専用機を持つ事の意味はこの二人にも良く分かっていたからだ

 

オータム

「それからボーデヴィッヒ…お前何教師にタメ口聞いてる上に命令してんだ?」

 

ラウラ

「何ッ!?」

 

オータム

「言っとくがココは軍隊じゃなくて学園だ。ココでのお前は軍人じゃなくて只の学生だ。学生なら学生らしい態度で教師に接しろ。それが嫌なら国に帰れ。」

 

ラウラ

「なっ!?」

 

オータム

「俺は別に喋り方一つでどうこう言うほど神経質じゃねえよ。だがお前のその千冬以外は完全に見下した態度と話し方は問題あり過ぎだ。そいつを改めねえと後で後悔するぞ。」

 

千冬

「オータムの言う通りだ。ボーデヴィッヒ…お前の今の話し方は明らかに問題だ!」

 

ラウラ

「きょ、教官!?…ですが!」

 

千冬

「ですが何だ?オータムの言う通りココでのお前は只の学生だ。お前が軍人で私が向こうでのかつての教官だからと言って私以外を見下していい理由にはならんぞ。」

 

ラウラ

「!?」

 

千冬

「私は何も全員に敬語で話せとも愛想を良くしろとも言っていない。ただその態度を直せと言ってるんだ。分かったらすぐに直せ!!」

 

ラウラ

「………分かり…ました…」

 

千冬&オータム

「………(絶対に分かって無いな…)」

 

 ラウラは分かったと言うが本当に直せるとは千冬もオータムも思っていなかった

 

千冬

「…さて、無駄話をしたな…八神達を残して全員観客席に移動するぞ!」

 

全員

「はい!」

 

 千冬がそう言うと太一、マドカ、セシリア、鈴の4人を残して全員が観客席に移動した

 全員が移動すると…

 

千冬

「…始めろ!!」

 

 ドンッ!

 

 千冬の合図と共に4人は上空に飛び上がった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 飛び上がったマドカ、セシリア、鈴は太一を囲むような位置に着いた

 そして、太一は3人の準備が出来たのを確認すると…

 

太一

「…来い!《魔槍クラウ・ソラス》《魔楯アヴァロン》!!!」

 

マドカ&セシリア&鈴

「!?」

 

 【クレニアムモン】の武器を呼び出した

 それは巨大な槍と盾だった

 

セシリア

「アレが…」

 

「【クレニアムモン】の武器…」

 

マドカ

「お前達!気をしっかり持てよ!!相手は【クレニアムモン】だからな!!」

 

セシリア

「分かってますわ!!」

 

「太一相手に油断も慢心も出来る訳無いでしょ!!」

 

マドカ

「では行くぞ!!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「さて【クレニアムモン】か…オータム…アレはどんな聖騎士だ?」

 

 観客席では戦い始めた太一を見て千冬がオータムに【クレニアムモン】の事を聞いて来た

 

オータム

「一言で言えばある言葉を体現した聖騎士だ。」

 

千冬

「ある言葉?」

 

オータム

「見てればそれも分かるぜ。…ああそうだ、今更だけどよ、俺もマドカも【ロイヤルナイツ】の事を何でも知ってる訳じゃねえぞ。」

 

千冬

「…ではどの程度までなら知ってるんだ?」

 

オータム

「せいぜい名前と武装、後は簡単なスペックくらいだ。それぞれの聖騎士の持つ細かい能力や技については知らねえよ。」

 

真耶

「そう言えば【アルフォースブイドラモン】がちょ…じゃなくてモードチェンジした事も知りませんでしたね。」

 

 真耶は危うく『超究極体』と言おうとしたが他の生徒達の前でその単語を言う訳にはいかずすぐに言い直した

 

オータム

「まあそう言う事だ。そんな訳で何でも俺に聞くなよ。」

 

千冬

「ああ、分かった。」

 

 そして千冬達は再び視線を上空で戦う太一達に戻した

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「はぁはぁ…何て頑丈な盾なのよ!!」

 

 一方、鈴たちの攻撃は全て太一の持つ盾《アヴァロン》によって防がれていた

 

セシリア

「あれだけの攻撃を受けて傷一つ付かないなんて…いくら何でも硬すぎますわ!?」

 

マドカ

「…最強の盾…《アヴァロン》…」

 

セシリア&鈴

「え?」

 

「マドカ…今なんて言ったの?」

 

マドカ

「最強の盾と言ったんだ!【クレニアムモン】の盾《アヴァロン》は【ロイヤルナイツ】の中でも最強の防御力を持つと言われる盾だ!!」

 

セシリア&鈴

「な!?」

 

 マドカから語られた《アヴァロン》の強度に二人は驚愕した

 

太一

「それだけではない…」

 

 そこに太一も話しかけて来た

 

セシリア

「どう言う事ですか?」

 

太一

「…鈴…中国出身のお前に聞くが『矛盾』と言う言葉を知っているか?」

 

「『矛盾』?まあ知ってる、け…ど………まさか!?その盾と槍って!!」

 

 鈴は太一の『矛盾』と言う言葉から【クレニアムモン】の武器がどう言うものか分かった

 

セシリア

「鈴さん…何ですかその『矛盾』と言うのは?」

 

太一

「説明してやれ。」

 

「分かった…いいセシリア…『矛盾』って言うのはね?最強の盾と最強の矛の事よ。」

 

セシリア

「…最強の…盾と矛?」

 

「昔話にあるのよ。…昔、ある商人が盾と矛の二つを売りに出していたのよ。その商人は『この盾はあらゆる攻撃を防ぐ最強の盾』と『この矛はいかなる防具も貫く最強の矛』と言って宣伝していたのよ。」

 

マドカ&セシリア

「………」

 

「そこに客の一人が『全てを貫く矛で全てを防ぐ盾を突けばどうなる?』って聞いたの…そう言われた商人はその二つをぶつけたのよ。」

 

セシリア

「…それで…どうなったんですか…」

 

「…どちらも粉々に砕け散ったわ!」

 

セシリア

「え?」

 

「コレが『矛盾』…同じ強さを持つ物同士がぶつかったら互いに潰れてしまうって言う意味よ…会話や行動でも食い違ったり辻褄が合わない時なんかにも使われている単語よ。」

 

セシリア

「食い違う…辻褄が合わない…ですか?」

 

「分かり易い例えは一夏よ!アイツの言ってる事とやってる事がその『矛盾』そのものなのよ!」

 

セシリア

「…織斑さん?…あぁなるほど!」

 

 鈴は例え話として一夏を引き合いに出した

 それを聞いてセシリアも『矛盾』の意味が良く分かった

 鈴の言う通り一夏は口では『皆を守る』と言っておきながら、無自覚に自分に好意を寄せる少女達を傷つける行動をしていた

 『矛盾』を例えるのに一番身近にいる人間だったのだ

 

マドカ

「…まぁ確かに兄さんの行動と言動は『矛盾』してたからな…」

 

 鈴の例えにマドカまでもが納得してしまっていた

 

「そう言う事よ…多分…【クレニアムモン】のあの槍と盾はその『矛盾』と同じなのよ!」

 

セシリア

「最強の盾と…最強の槍…」

 

マドカ

「【矛盾の…クレニアムモン】…」

 

太一

「その通り!それが【クレニアムモン】の最強の槍《魔槍クラウ・ソラス》と最強の盾《魔楯アヴァロン》だ!!」

 

「『矛盾』と同じ意味の武器なんて…どうやれば勝てるのよ…」

 

太一

「…ではこうしよう…この最強の槍の斬撃を掻い潜り、最強の盾を越え、俺に一撃当てて見ろ!!それが出来ればお前達の勝ちにしてやる!!」

 

 太一はこの模擬戦の勝利条件を提示したが…

 

セシリア

「それが出来れば苦労しませんわ!!」

 

「そうよ!!」

 

マドカ

「もう少し勝利条件を緩くしてくれ!!」

 

 弱音を吐く三人にだった

 

太一

「………お前達…何の為に毎日俺と訓練してるんだ!!少しは頭を捻れ!!!」

 

マドカ&セシリア&鈴

「すみません!!」

 

太一

「分かったらかかって来い!!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一方、観客席にいる千冬達は…

 

千冬

「…まさかお前の言っていた言葉が『矛盾』とはな…だとしたらあの盾はかなり厄介だな…」

 

オータム

「ああ、あの盾の強度はマドカも言ってたが【ロイヤルナイツ】の中でも最強だ。《アヴァロン》を壊せるとしたら対になっている《クラウソラス》で同士討ちにするか、他の【ロイヤルナイツ】でしか破壊は出来ねえだろうな。それも各聖騎士の最強の必殺技じゃねえと無理だ。」

 

千冬

「最強の必殺技…【オメガモン】の《オールデリート》とかの事か?」

 

オータム

「そうだな、アレなら《アヴァロン》を破壊出来るかもな。」

 

千冬

「あの技でなければ破壊出来んとは…つまりあの盾を破壊出来るのは八神自身だけで他の誰も破壊出来ないという事か…4体目もとんでもない聖騎士だな…」

 

オータム

「まだまだあるぜ♪」

 

千冬

「まだまだって…なあオータム…一つだけ教えてくれ。今回の【クレニアムモン】で4体目だが…全聖騎士の半分を超えたのか?」

 

オータム

「…まあそのくらいなら教えてやってもいいか…半分もいってねえぞ。」

 

全員

「えっ!?」

 

 オータムのその言葉に全員が言葉を失った

 半分を超えていない…それはつまり、まだ倍以上の数があるという事だからだ

 実際太一は3分の1しか出してはいない

 

千冬

「半分も出てなかったのか………これから私はどれだけ驚くんだろうな…」

 

真耶

「織斑先生…私…体が持つ自信がありません…」

 

千冬

「それは私の台詞だ…」

 

 千冬と真耶はこれからどれだけリアクションを取る事になるのかと思うと気が重くなっていた

 

千冬

「…それにしても凰の奴…『矛盾』の説明に織斑を使うとは…」

 

一夏

「………」

 

 鈴の例え話を聞いた一夏は自分がやって来た事と言っている事が今話に上がっている『矛盾』していると言われ俯いていた

 

千冬

「その通りだから何も言えんな…」

 

一夏

「!?」

 

 そして鈴の例えをマドカだけでなく千冬までもが認めていた

 姉と妹から揃って『矛盾』していると言われ更に落ち込む一夏だった

 

シャルル

「あの…織斑先生…」

 

 そんな一夏の心情を気にせずシャルルが千冬に質問してきた

 

千冬

「何だ?」

 

シャルル

「先生達の会話から八神君の機体が凄いって言うのは分かったんですけど…八神君自身はどのくらい強いんですか?」

 

千冬

「そうだな…今の戦いでも八神は半分も実力を出していない。」

 

シャルル

「は、半分以下ですか!?」

 

千冬

「オルコット達3人は本気で戦ってるが、それでもアイツの足元にも及ばん。」

 

シャルル

「そ、そんなに強いんですか!?」

 

千冬

「そうだ。もっとも足元にも及ばないのは私にも言える事だがな。八神の強さはそもそも次元が違う。私でさえアイツには手も足も出ないのだからな。」

 

ラウラ

「きょ、教官が!?」

 

千冬

「八神は私よりも遥かに強い。私は以前アイツに勝負を挑んだが掠らせる事も出来ずにいい様にあしらわれてアッサリ負けた。」

 

ラウラ

「教官が…負けた!?」

 

 千冬が負けた事にラウラは信じられない表情をしていた

 

千冬

「そうだ。私では一生かかってもアイツに勝つ事は出来ないだろうな…」

 

一夏

「な、何言ってるんだよ!?一生勝てないってそんな事あるはずないだろ!太一に負けたのだって偶々…」

 

 一生勝てないと言う千冬の言葉に一夏は俯いていた顔を上げ否定し、太一が千冬に勝てたのは偶然だと言って来た

 

千冬

「馬鹿者!!戦った相手と自分の力量差を比べるくらいは私にも出来る!八神が私に勝ったのは偶然でも何でもない、アイツが私より遥かに強かったからだ!!決して運などではない!!!」

 

一夏

「で、でも一生なんて…」

 

千冬

「アイツと私では見ている世界が違う!私では決して手の届かない高みに八神は立っている!それは本当の強さを持つ者だけが立つ事の出来る場所だ!…それが違いだ!」

 

一夏

「そ、そんな…」

 

ラウラ

「…アイツが教官以上だと…馬鹿な!そんな事があって堪るか!!」

 

 千冬の言葉に一夏は言葉を失い、ラウラは頑なに信じようとはせず、上空で戦う太一を睨みつけていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 ガキィン!

 

マドカ

「くっ!?」

 

 マドカは《ジオグレイソード》で斬りかかったが太一の《クラウソラス》で弾き飛ばされた

 

セシリア

「やはり接近戦はこちらが不利ですわね!」

 

「でもいくら撃ってもあの盾に防がれるわよ!」

 

マドカ

「どうする!?」

 

セシリア

「………あ!…そうですわ!砲撃が防がれるのなら防げない砲撃をすればいいのですわ!!」

 

マドカ&鈴

「え?」

 

セシリア

「《アヴァロン》を超える事しか考えていなかったので気づきませんでしたわ…」

 

「何を?」

 

セシリア

「…太一様は『槍を掻い潜り、盾を越えて自分に一撃を当てろ』と言いましたわ。つまり、太一様の体に一撃当てればこちらの勝ち、槍を躱す必要も盾を壊す必要も無いという事ですわ。」

 

マドカ&鈴

「あ!?」

 

セシリア

「あの盾は確かに恐ろしい程の強度を持っていますけど防げるのは一方向だけですわ。」

 

マドカ&鈴

「ああっ!?」

 

セシリア

「こちらは3人…全方位から撃てば誰かの攻撃は当たる筈ですわ!!」

 

マドカ

「………ま…また引っかかったあああぁぁぁ―――っ!!!」

 

「た~い~ち~…アンタそう言って私達に正面から攻撃するように誘導したのね!!」

 

 セシリアの言った事に二人は本気で悔しがっていた

 

太一

「フッ…それにしてもセシリア…よく気付いたな。」

 

セシリア

「はい!これも言葉の駆け引きという事ですね?危うく気付かずに負けてしまう所でしたわ!」

 

太一

「ならばどうする?」

 

「決まってるでしょ!!アンタの望み通り全方位から仕掛けてやるわよ!!」

 

 鈴がそう言うと3人は最初と同じように太一を取り囲む位置に着いた

 

マドカ

「行くぞ!!」

 

 [BGM:Believer]

 

マドカ

「《ライジングデストロイヤー》!!!」

 

セシリア

「《ギガデストロイヤー》!!!」

 

「《アトミックブラスター》!!!」

 

 そしてそれぞれの機体の必殺技を太一に向かって放った

 3人の砲撃は太一を完全に囲んでおり、《アヴァロン》では全てを防ぐ事は誰が見ても不可能と言う状態だった

 模擬戦を見ていた千冬達もそう思っていた

 だが…

 

太一

「甘い!!《ゴッドブレス》!!!

 

 太一は《アヴァロン》を頭上に掲げると、【クレニアムモン】の技を発動した

 

 ドガガガガガガガァァァァァ―――――ンッ!!!!

 

 それと同時に3人の砲撃が全て太一に命中した

 

「…やったの?」

 

太一

「………残念だがまだだな。」

 

マドカ&セシリア&鈴

「!?」

 

 太一の声がすると煙が晴れ、そこには無傷の【クレニアムモン】がいた

 

マドカ

「まさか!あれだけの砲撃を受けて無傷だと!?」

 

セシリア

「例え無傷でも一発くらいは当たった筈です!!」

 

太一

「残念だが俺はお前達の一斉砲火を喰らってはいない。」

 

マドカ&セシリア&鈴

「え!?」

 

太一

「嘘だと思うなら俺のSEの残りを聞いてみろ。」

 

 太一にそう言われマドカ達はすぐに観客席にいる千冬達に確認した

 

真耶

『ほ、本当に減ってません…八神さんは今の攻撃を受けてません!』

 

マドカ&セシリア&鈴

「なっ!?」

 

 それを聞いて3人は驚きの声を上げて太一を見た

 

「アンタ何したのよ!!」

 

太一

「【クレニアムモン】の技…《ゴッドブレス》を使っただけだ。」

 

マドカ&セシリア&鈴

「《ゴッドブレス》!?」

 

太一

「《ゴッドブレス》は《魔楯アヴァロン》で発動する全方位防御技。3秒間だけだがあらゆる攻撃を無効化する事が出来る。」

 

セシリア

「無効化!?」

 

マドカ

「全方位だと!?」

 

「じゃあ…私達の攻撃は…」

 

太一

「《ゴッドブレス》で無効化したという訳だ。」

 

セシリア

「そ、そんな!?」

 

 自分達の一斉攻撃をいとも容易く防いだ太一の【クレニアムモン】の力にマドカ達は驚愕した

 

マドカ

「だが《ゴッドブレス》の効力は3秒!!今度は時間差で仕掛ければ…」

 

太一

「生憎と次は無い。」

 

マドカ&セシリア&鈴

「!?」

 

 太一はそう言うと《クラウソラス》を両手で持って頭上に掲げた

 そして、そのまま回し始めた

 

マドカ

「な、何をする気だ!?」

 

 回し続ける《クラウソラス》は次第に回転速度が上がって行き、それは巨大な竜巻の様になっていった

 

「た、竜巻!?」

 

セシリア

「コレは!?引きずり込まれ…」

 

太一

「さあ踊るがいい!!…《エンド・ワルツ》!!!

 

 【クレニアムモン】の必殺技…《エンド・ワルツ》によって発生した超高速の竜巻に3人は引きずり込まれてしまった

 

マドカ&セシリア&鈴

「キャアアアアアアアアァァァァァァァァァ―――――――――――ッ!!!!!!」

 

 暫くすると太一は《エンド・ワルツ》を止めた

 そして巻き込まれた3人が地上に落ちて来た

 

 ガシャンッ!ガシャンッ!ガシャンッ!

 

マドカ&セシリア&鈴

「きゅううう~~~~~………」

 

 落ちてきた3人はSEが0になっており、完全に目を回していた

 その後、太一も地上に降りて来た

 

太一

「大丈夫か?」

 

セシリア

「だ、大丈夫ではありませんわ~~~…」

 

「何なのよあの技~~~…」

 

マドカ

「ま、まだ…目が回る~~~…」

 

 マドカ達は何とか上半身だけ起き上がるが未だに目を回しているのかふら付いていた

 

太一

「目を回す程度に抑えておいたんだ。そのくらいは我慢しろ。」

 

「そのくらいって…じゃあ本気のあの技を喰らったらどうなるのよ~…」

 

 目を回しながらも太一の使った《エンド・ワルツ》の事を聞いて来た

 

太一

「《エンド・ワルツ》を喰らった者は完全に粉砕されるまで『踊り』続ける。つまりお前達のISを粉々に破壊して全身が切り刻まれる事になる。」

 

マドカ&セシリア&鈴

「ええっ!?」

 

 全力の《エンド・ワルツ》の力を聞いて、3人は回っていた目が元に戻るほどに驚き、太一が手加減してくれた事に本気で感謝していた

 それから暫くして観客席にいた千冬達もアリーナに戻って来たのだった

 

 




 <予告>

 クレニアムモンとの模擬戦も終わりISの実習を始める生徒達

 だが、そこでもまた問題が起きてしまう

 そして、その日の夜、太一達はシャルルを呼び出しその正体と目的を問い質すのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 金の正体と目的

 今、冒険が進化する!



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第029話:金の正体と目的

 模範演技を終えた太一とマドカ、セシリア、鈴の4人が暫く休んでいると観客席で見学していた千冬達が生徒達と戻って来た

 

千冬

「ご苦労だったな…八神…その4体目も恐ろしい機体だな…」

 

太一

「そうですか?」

 

千冬

「ああ、『矛盾』と同じ意味の武器を使う奴なんてどう倒せばいいのか私にも分からん!」

 

全員

「ウンウン!!」

 

 千冬の言葉に全員が頷いていた

 

千冬

「まあとにかく授業を続けるか…さて、次は専用機持ちをリーダーにしたグループでISの歩行練習を行う。全員別れろ。」

 

 千冬がそう言った途端、太一、一夏、シャルルの所に人だかりが出来た

 

生徒達

「第一印象から決めてました!よろしくお願いしまーす!」

 

千冬

「この馬鹿共が!出席番号順に別れろ!!」

 

 それを聞いた千冬が怒鳴りつけるとそれぞれの前に移動し始めた

 

千冬

「全く!」

 

 その後、各グループでISの乗り降りと歩行の練習を始めた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬&オータム

「………はぁ…」

 

 千冬とオータムは練習を見て溜息を吐いた

 その理由は一夏、シャルル、ラウラの班が問題だった

 ラウラはまるでやる気が無く全て生徒達の自主練の状態になっていた

 一夏は前の生徒がISを立ったままで解除してしまったので、次の番だった箒をいわゆるお姫様抱っこの状態でISに乗せたのだが、それを見た他の生徒達も自分達もして貰おうと真似しだし、それがシャルルの班にも広がって全く練習が進んでいなかった

 太一の所もそうしようとした生徒がいたが、太一に睨まれて結局はする者はいなかった

 ちなみに太一、マドカ、セシリア、鈴の4人はそれぞれの教え方で順調に行っていた

 その後、最後に各グループでレースを行ったのだが、一夏達3人のグループは1位を争うどころか最下位を争うと言う結果になってしまった

 

千冬

「この…馬鹿どもがあああぁぁぁ―――っ!!!」

 

一夏&シャルル&ラウラ

「!?」

 

 そのような結果を出した3人には千冬の雷が落とされたのだった 

 

オータム

「お前らやる気あるのか!!」

 

一夏

「あ、ありますよ!」

 

オータム

「ならこのザマはなんだ!!」

 

一夏

「うっ!」

 

千冬

「ボーデヴィッヒ!!お前はさっきから何をしている!!」

 

ラウラ

「………」

 

千冬

「自分の班の生徒達に助言すらせずに放ったらかしにしおって、やる気が無いならいても邪魔だ!今すぐ荷物を纏めて国に帰れ!!」

 

ラウラ

「!?」

 

千冬

「織斑!デュノア!お前達も何をしていた!!毎回毎回あんな手間と時間のかかる乗せ方と無駄な話ばかりしおって!!練習内容はISの乗り降りと歩行だ!!それをお前達が乗せてどうする!!何故ISを座らせて降りるように注意しなかった!!」

 

一夏&シャルル

「………」

 

千冬

「お前達3人と織斑とデュノアの班は罰として使用したISを全部片付けろ!八神達が使ったのも含めてだ!!」

 

ラウラ

「な、何で私の班の奴等はやらなくていいんですか!?」

 

オータム

「あいつ等はお前が何もしなかった分、自分達なりに精一杯やっていた!だからお咎め無しだ!!そもそもお前にそんな事を言う資格があんのか!!!」

 

ラウラ

「くっ!?」

 

千冬

「織斑とデュノアの班は言わなくても分かるな?」

 

一夏とシャルルの班

「………はい…」

 

 ラウラの班はリーダーであるラウラはともかく班員は全員が真面目に取り組んでいた

 だが一夏とシャルルの班は全員が揃って真面目にやっていなかった

 だから千冬の言わんとしている事は分かっていた

 自業自得だと…

 

 キーン!コーン!カーン!コーン!

 

 その時、授業の終わりのチャイムが鳴った

 

千冬

「時間になったか。今言った連中はISを片付けてから休憩に入れ!特にボーデヴィッヒ!今度はお前もちゃんとやれよ!後で確認するからな!!」

 

ラウラ

「………了解…」

 

千冬

「では解散!!」

 

全員

「お疲れさまでした!」

 

 千冬に釘を刺されたラウラは今度は一夏や他の生徒達と一緒にISを片付けていた

 それを見て太一達の班になった生徒達はこの4人の班で良かったと思うのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 ISを片付けている一夏達を残して太一はマドカ達と食堂に向かっていた

 

太一

「………」

 

 だが、その間太一は何かを考え込んでいた

 

「どうしたの?」

 

太一

「いや、何でISを片付けるのに台車を使ってるのかと思ってな。」

 

マドカ&セシリア&鈴

「へ?」

 

太一

「ISを纏って倉庫まで歩いて行けば簡単だと思うんだが?」

 

マドカ&セシリア&鈴

「あ!」

 

太一

「…何故誰もその事に気づかないのかと思ったんだが…まあいいか。どうでもいい事だしな。」

 

 大した事でもないからすぐに考えるのを止め、食堂に向かっていった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 その日の授業も全て終え放課後になると…

 一夏のいる1025号室では箒と入れ替わりシャルルが入る事になった…

 そして移動も終わり夕食を終えた一夏とシャルルが部屋でくつろいでいると…

 

 コンコン…

 

一夏

「ん?…はい、何方ですか?」

 

千冬

「私だ。」

 

一夏

「千冬姉?」

 

 千冬がやって来た

 

一夏

「どうしたんだ?」

 

千冬

「用があるのはお前じゃない。デュノアの方だ。」

 

一夏

「シャルルに?…シャルル…千冬姉が用があるって。」

 

シャルル

「何か御用ですか?」

 

千冬

「ココでは話せない。ついて来てくれ。」

 

シャルル

「はい…分かりました…」

 

 シャルルが千冬に着いて行こうとすると何故か一夏も着いて来た

 

千冬

「お前は来なくていい。」

 

一夏

「え!何でだよ!」

 

千冬

「これはデュノアのプライバシーに関係する話だ。それを何故お前にも聞かせる必要がある?お前はコイツとそれほど親身な間柄なのか?」

 

一夏

「うっ!」

 

千冬

「分かったら部屋に戻れ。」

 

一夏

「…はい…」

 

 渋々ながら一夏は部屋に戻った

 千冬は一夏が部屋に戻ったのを確認するとシャルルを連れて移動した

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 シャルルを連れ千冬が向かった先は…

 

シャルル

「…1034号室?…確かココは八神君の部屋じゃ…」

 

 太一の部屋だった

 

千冬

「ああ、アイツも交えて話すからな。」

 

 千冬はそう言うとノックをし、太一からの返事があると中に入って行った

 部屋の中には太一とオータムの二人が待っていた

 

オータム

「来たか、さて話を始めようか…()()()()()()()()()()()。」

 

シャルル

「!?…だ、誰の事ですか?ぼ、僕はシャルルですよ?(何で僕の本当の名前を!?)」

 

オータム

「しらばっくれるな。こっちにはあの天災科学者がついてんだよ。お前の正体を調べるくらい訳無いぜ。」

 

シャルル

「天災………まさか篠ノ之博士!?」

 

千冬

「その通り。アイツに頼んでお前の事を調べて貰った。」

 

シャルル

「何で僕の事を…」

 

太一

「男装なんてしてくる怪しい奴を調べない訳無いだろ?」

 

シャルル

「まさか!?」

 

太一

「お前の正体が女だって事は初見で気づいていた。」

 

シャルル

「え?」

 

太一

「お前の何処が男だ?声は女のままだし、男の服着て言葉使いを変えればバレないとでも思ったのか?」

 

シャルル

「うっ!」

 

太一

「………まぁ俺達以外は騙せていたみたいだから余り強くは言えんのだが…」

 

千冬&オータム

「はぁ~~~…」

 

シャルル

「…そっか…まさか行き成りバレるなんてね…はぁ…」

 

千冬

「お前の目的は何だ?」

 

シャルル

「…会社からの命令で…織斑一夏の…【白式】のデータを手に入れる事…そして八神太一のデータも可能なら手に入れる様に言われました…」

 

 自分の正体がバレた事に観念したのかシャルルは千冬達の質問に素直に答えていた

 

千冬

「八神はついでで本命は一夏という事か…」

 

オータム

「まあ、そんなこったろうと思ったぜ。お前んとこの会社、今経営危機らしいからな。」

 

シャルル

「はい…」

 

太一

「そこからの巻き返しって事か…阿保らしい。」

 

シャルル

「阿保らしいの?」

 

太一

「ああ、そもそもお前を男装させて送り込んだこと自体が愚策だ。お前の正体がバレれば当然誰が指示したのかを問われる。例えお前が自分でやりましたと言っても15の小娘の言う事など誰も信じない。しかもお前はボーデヴィッヒの様な軍人じゃないから罪を着せる事も出来ない。となれば指示を出したのは会社と結論付けられる。それは結果として世界中から非難される事に結び付く。最終的には自分で自分の会社を追い詰める事になるんだからな。」

 

シャルル

「………」

 

千冬

「なるほどな…」

 

太一

「だから阿保らしい。確かに男同士なら俺や一夏と接触はしやすい。だが、それ以上にバレた時のリスクが大きすぎる。お前を男装させてココに送り込んだ奴はそんな事も分からない阿保だという事だ。」

 

オータム

「デュノア…お前を送り込んだのは誰だ?」

 

シャルル

「…僕は…社長である父から命令されました。」

 

オータム

「父親か…束の調査によるとお前はそいつの妾の娘らしいな?」

 

シャルル

「………はい…母が死んで一人になった僕を父が引き取ったんです。父は分かりませんが本妻には嫌われてます。初対面でいきなり平手打ちされて『泥棒猫の娘』なんて言われましたから…」

 

太一

「そうか…」

 

シャルル

「あの…それで僕は…どうなるんでしょう…」

 

太一

「好きにしろ。」

 

シャルル

「え?」

 

太一

「俺達がココにお前を呼んだのはお前の正体の確認と目的を知る為だ。それさえ分かれば好きにしろとしか言わん。正直、俺はお前の家の会社が潰れ様が立ち直ろうが興味が無い。今の平手打ちされた話もどうでもいい。他所の家の問題に首を突っ込むほど野暮でも無いからな。」

 

シャルル

「な、何で…何でそんな事言うんだよ!!」

 

太一

「何だ?同情でもして欲しかったのか?可哀想だねって言って欲しかったのか?生憎と俺はそんな事言わないぞ。自分の不幸話を慰めて欲しいなら一夏にでも話せ。アイツならすぐに同情してくれるだろ。」

 

シャルル

「なっ!?」

 

太一

「して欲しいのなら、されるだけの行動をしろ。お前と会ってまだ一日だが自分で今の現状を変える気がないだろ?命令以外何もする気が無い奴に同情なんてする価値は無い。」

 

シャルル

「!?」

 

太一

「お前が俺やクラスの連中に危害を加えるようなら然るべき対処を取ろうと思ったが、そんな度胸も無さそうだしこの分なら放っといても大丈夫だな。」

 

シャルル

「………」

 

太一

「デュノア…お前との話もこれで終わりだから戻っていいぞ。それから折角休んでいた所を呼び出した事に関しては謝る。すまなかった。」

 

 太一はそう言ってシャルルに頭を下げた

 

太一

「織斑先生…悪いがデュノアを部屋まで連れて行って貰っていいですか?」

 

千冬

「ああ、行くぞデュノア。」

 

シャルル

「…はい…」

 

 千冬がシャルルを連れて部屋から出て行くと…

 

オータム

「少し言い過ぎじゃねえか?」

 

 オータムが先程までの太一の台詞に物申してきた

 

太一

「…千冬が戻って来るまで待て。アイツもお前と同じ事を聞くだろうからな。」

 

オータム

「お見通しって訳か。分かったよ。」

 

 それから暫くして千冬が戻って来た

 

千冬

「八神、さっきのデュノアに言っていた事だが…」

 

太一

「分かっている。オータムと同じ事を聞くな。」

 

千冬

「お前も同じ考えだったか。」

 

オータム

「ああ、流石に言い過ぎな気がしてな。」

 

千冬

「私もだ。…それで何故あそこまで言った?」

 

太一

「大した理由じゃない。ああいう諦めた奴にはあのくらいが丁度いいと思っただけだ。」

 

オータム

「諦めた?」

 

太一

「ああ、アイツの眼、正体がバレた途端に全てを諦めた眼に変わった。」

 

千冬

「眼だと?」

 

太一

「俺の生前の職業は知ってるだろ?俺は外交官として様々な人間やデジモン達と出会い話して来たが中には初めから全てを諦めていた奴もいた。そいつらは決まって同じ眼をしていたんだよ。」

 

千冬

「ではデュノアも同じ眼を?」

 

太一

「ああ、それに昼の授業でも思ったが、アイツは自分では何もせずただ周りに流されているだけに見えた。」

 

千冬

「昼の授業と言うのはあの実習の事か?」

 

太一

「そうだ、アイツは一夏の班の悪ふざけを自分の班の奴等が真似しても止めもしなかった。ただアイツ等に言われるままに動いていただけだ。」

 

オータム

「…言われてみれば…そんな感じではあったな…」

 

千冬

「確かに…」

 

太一

「その辺は一夏と似ているがな。そしてさっきの会話だ。アイツは俺達が聞いてもいないのに本妻にされた事を語った。俺にはアレが同情して助けろと言っているようにしか聞こえなかった。」

 

千冬&オータム

「………」

 

太一

「同情するならセシリアや鈴の方がまだしがいがある。セシリアは家、鈴はあの馬鹿との関係を自分なりに変えようと努力していた。内容こそ違うがあの二人は常に自分の意思で行動していた。」

 

千冬&オータム

「………」

 

太一

「だがデュノアは違う。アイツは一夏と同じで自分では何もしようとしない。そんな奴に同情する気なんて俺には無い。」

 

千冬&オータム

「………」

 

太一

「もちろんこれは俺の個人的な考えだ。デュノアの本心は分からないが…」

 

千冬

「お前はそう感じたんだな?」

 

太一

「ああ…さてこの話はこれでいいだろ。…オータム、束に連絡を頼む。」

 

オータム

「今度は何を調べて貰うんだ?」

 

太一

「デュノア社に関する事だ。社長と本妻、その周辺の人間関係も全てだ。」

 

千冬

「デュノアの為か?」

 

太一

「違う。俺が束にあそこを調べさせるのは別の理由だ。」

 

オータム

「別の?お前何考えてんだ?」

 

太一

「それは束が調査を終えた時に話す。」

 

千冬

「そうか…」

 

 二人は太一がデュノア社を調べるのはシャルルの為と思ったが、本人は違うと即答した

 その為、太一の考えがまるで分らなかった

 それから暫く3人で話した後、千冬とオータムは自分達の部屋に帰って行った

 二人が帰るとアグモンが出て来た

 

アグモン

「太一…何考えてるの?」

 

太一

「無駄になるかもしれないが上手くいけば束の研究もはかどるかもしれん。………ついでにアイツの家の問題もな…」

 

アグモン

「?」

 

太一

「それはな………」

 

 太一はアグモンに今考えている事を話した

 

アグモン

「なるほどね!確かに上手くいけばいい事づくしだよ!」

 

太一

「だがそれも…俺の想像通りの会社だった場合のみだ…」

 

アグモン

「………そうだね…」

 

 アグモンはデュノア社が太一の思惑通りであって欲しいと願っていた

 

 




 <予告>

 シャルルの正体を見破った太一

 次の日からも変わらずマドカ達と訓練をするがそこにシャルルも参加してきた

 訓練を続ける中、そこに更にラウラが現れた

 彼女の目的は一体何なのか?

 そして標的は誰なのか?



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 銀の標的と目的

 今、冒険が進化する!



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第030話:銀の標的と目的

 シャルルの正体が太一達にバレた次の日の放課後…

 いつもの様に太一達と訓練をしようとした一夏にシャルルが話しかけて来た

 

シャルル

「一夏…一緒に訓練しない?」

 

一夏

「オウいいぞ!」

 

 一夏は二つ返事でOKするとシャルルと一緒にアリーナに向かった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

一夏

「悪い遅くなった。」

 

シャルル

「!?」

 

 アリーナに着いた一夏が話かけた相手は…

 

太一

「ん?デュノアも一緒か?」

 

 太一とマドカ、セシリア、鈴の4人だった

 

シャルル

「い、一夏…や、八神君ともやるの?」

 

一夏

「ああ、俺は最近太一に教わってるんだ。」

 

シャルル

「そ、そうなんだ…(昨日あんな事言われた人と訓練するなんて…)」

 

 昨日の事があった為シャルルは今朝から太一とは関わらない様にしていた

 その為、太一と訓練するという事に抵抗を覚えていた

 

シャルル

(はぁ…面倒だな~…)

 

太一

「………。一夏、今日はデュノアと訓練しろ。」

 

一夏&シャルル

「え?」

 

太一

「俺はISの専門的な事は教えられん。デュノアに一度その辺りを詳しく教われ。」

 

一夏

「え、でも…ISの事なら俺だって勉強…」

 

太一

「俺が言ってるのは知識の事じゃない。ISの技術を学べと言ってるんだ。」

 

一夏

「…技術?」

 

太一

「例えば【瞬時加速(イグニッション・ブースト)】の事だ。お前アレが出来るのか?」

 

一夏

「あ!…出来ない…」

 

太一

「それにお前は射撃武器を始めとした武器の特性を分かってるのか?いくら自分が剣しか使えないからって知っているかどうかだけでもかなりの違いが出るぞ。」

 

一夏

「…俺…その辺の事は何も分からない…」

 

太一

「だからその辺りの事をデュノアに学べと言ってるんだ。セシリアや鈴だとまずお前は理解出来ないだろうからな。分かったか?」

 

一夏

「…はい…じゃあシャルル、今日は頼む。」

 

シャルル

「う、うん!…分かったよ!(良かった…これなら面倒な事になりそうにないや…)」

 

太一

「それから一夏、まだ先になるがお前が【瞬時加速(イグニッション・ブースト)】を覚えて実力も着いてきたら俺が戦法を一つ教えてやる。」

 

一夏

「戦法?そんな物があるのか?」

 

太一

「ああ、お前と【白式】にしか出来ない戦法を考えた。」

 

一夏

「俺と【白式】にしか…ど、どんな戦法なんだ!?」

 

太一

「今は言えん。実力も無い内にやればただの自爆になるからな。」

 

一夏

「じ、自爆!?」

 

太一

「分かったら少しでも早く実力をつけろ。」

 

一夏

「…オウ!」

 

太一

「それからもしこの戦法をお前が自分で思い付いたらその時は悪いが諦めてくれ。」

 

一夏

「オ、オウ…」

 

 こうして一夏は太一に言われた通りシャルルと訓練する事になった

 シャルルも、太一との訓練は抵抗があったので太一の提案は助かっていた

 だがこの時、シャルルは自分の中で起きた変化に気づいてはいなかった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一夏がシャルルと離れた場所で訓練を始めると…

 

マドカ

「太一兄さん…デュノアと何かあったのか?」

 

 マドカが先程のやり取りの事を聞いて来た

 

太一

「ああ、昨日の夜にちょっとあってな…悪いが何があったかは教えられん。」

 

セシリア

「…そうですか…」

 

「ところで今のどういう事?私とセシリアの説明を一夏が理解出来ないって?」

 

太一

「ん?一夏にはセシリアの理論的な説明も鈴の勘に頼った説明も合わないと思ったんだよ。当然篠ノ之の擬音だらけの説明もな。」

 

マドカ

「なるほど!」

 

「なんか納得いかないわね…」

 

セシリア

「そうですわね…」

 

太一

「まあ一夏に合わないって言うだけだからそんなに気にするな。…俺達も始めるぞ。」

 

マドカ&セシリア&鈴

「はい!!」

 

太一

「<デジタル・セレクト>…【モード:クレニアムモン】!!

 

 【クレニアムモン】を纏った太一はマドカ達と上空に飛び上がり訓練を始めた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 太一達が上空で訓練をしている頃…

 

シャルル

「え~っと…一夏…八神君が言ってたけど【瞬時加速(イグニッション・ブースト)】が出来ないのはホント?」

 

一夏

「うっ…はい…」

 

シャルル

「そっか…(入学して1カ月以上経ってるのに使えないなんて…専用機を持ってる人ならとっくに出来てる筈なんだけど…今迄何してたんだろ?)」

 

 シャルルは一夏が【瞬時加速(イグニッション・ブースト)】を使えない事に疑問を持った

 その理由は一夏に教えていた箒だった

 箒は訓練を買って出ていながらその実、1カ月以上もの間、全くと言っていいほど何も教えていなかったからだ

 その為、一夏は【瞬時加速(イグニッション・ブースト)】を始めとしたIS特有の技術と呼ばれるものを何一つ使えないのだ

 ただし、それは教わろうとも覚えようともしなかった一夏にも原因があるので、半分はこの男の自業自得である

 

シャルル

「と、とりあえず今日は射撃武器の特性を教えるね。…【瞬時加速(イグニッション・ブースト)】のやり方はまた今度教えてあげるよ。」

 

一夏

「…お願いします…」

 

シャルル

「う、うん…じゃあ、僕の銃を貸すからこれで試しに撃ってみて。」

 

一夏

「分かった。」

 

 シャルルからライフルを借りると一夏はそれを使って射撃練習を始めた

 

シャルル

(はぁ~…自分で誘っておいて何だけど…まさかここまで何も知らないなんて思わなかったな~…こっちはこっちでかなり面倒そうだし…こんな事なら訓練なんて誘わなきゃよかったかな~…)

 

 シャルルは銃を撃つ一夏を見ながらそんな事を考えていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

.

 

 それから暫くしてシャルルは全弾撃ち終った一夏に銃の説明をしている時…

 

 ザワザワ…

 

シャルル

「ん?」

 

 突然周りが騒めきだした

 

一夏

「何だ?」

 

シャルル

「さあ?」

 

 二人は何事かと周りを見渡すと…

 

生徒1

「ねぇ、あれって…」

 

生徒2

「うそ、ドイツの新型?」

 

生徒3

「まだトライアル段階だって…」

 

 アリーナで訓練していた他の生徒達の人だかりがいた

 そして、そこにいたのはISを纏ったラウラだった 

 ラウラは周りには目もくれず一夏の下にまで来ると…

 

ラウラ

「織斑一夏、私と戦え!!」

 

 一夏に戦いを挑んで来た

 

一夏

「嫌だ、理由が無い。」

 

ラウラ

「貴様に無くても私にある!貴様がいなければ…教官が大会二連覇の偉業をなし遂げていたのは明白だ!だから、私は貴様を認めない!!」

 

 断る一夏にラウラは【第二回モンドグロッソ】の一件を持ち出してきた

 

一夏

「(やっぱりコイツが俺を目の敵にする理由はそれかよ!)…また今度な。トーナメントの時にでもしてくれ。」

 

ラウラ

「ならば戦わざるを得ないようにしてやる!!」

 

 それでも断る一夏に対してラウラは肩に装備されているレールカノンを一夏に向け無理矢理戦おうとした

 そしてラウラがそのまま砲撃した、その時…

 

 ドガアァァンッ!

 

一夏&シャルル&ラウラ

「!?」

 

 ラウラの撃った砲弾が何かによって防がれていた

 煙が晴れるとそこにあったのは…

 

一夏

「コレは…《アヴァロン》!?」

 

 【クレニアムモン】の盾…《魔楯アヴァロン》が一夏を守っていたのだ

 

ラウラ

「何のつもりだ!!」

 

 ラウラはすぐに上空を見上げ《アヴァロン》を投げつけてきた相手に叫んだ

 

太一

「お前こそ生徒達が集まっている場所でそんなものを撃つとは何を考えている?」

 

 《アヴァロン》を投げたのは当然その持ち主の太一だった

 太一は地上に降りると何故撃ったのか聞いて来た

 

ラウラ

「そいつが私の挑戦を断るからだ!」

 

 だがラウラの答えを聞いて太一は呆れた

 周りの事を考えずに撃った理由が余りにも自分勝手すぎたからだ

 しかも…

 

ラウラ

「だが丁度いい!お前にも用があった!八神太一、私と戦え!」

 

 今度は太一に戦いを挑んで来た

 

太一

「なぜ俺がお前と戦う必要がある?一夏と違って俺にはお前と接点が無い筈だが?」

 

 太一の言うとおり太一はラウラとは何の接点もなかった

 

ラウラ

「教官は貴様の方が自分より強いと言った!私は認めない!お前が教官に勝ったなど…あの方より強い者がいるなど…認めてたまるか!!!」

 

 だがその理由もこれまた身勝手な逆恨みだった

 そしてラウラは今にも太一に襲いかかろうとした時…

 

先生

『そこの生徒!何をしている!学年とクラス、名前を言いなさい!』

 

 騒ぎを聞きつけた教師が止めに入って来た

 

ラウラ

「ちっ!…邪魔が入ったか…」

 

 水を差されたせいかラウラはそのままISを解除するとアリーナから出て行った

 

「何よアイツ!」

 

セシリア

「勝手すぎますわ!」

 

マドカ

「全くだ!」

 

 ラウラがいなくなったので後ろにいたマドカ達が話しかけて来た

 

マドカ

「太一兄さん、アイツどうするんだ?あの様子じゃまた絡んでくるぞ?」

 

太一

「放っておけ。」

 

マドカ&セシリア&鈴

「え?」

 

 マドカ達はラウラが再び太一に絡んでくると懸念していたが、肝心の太一は放っておけと言って来た

 

「放っておけって…それでいいの?」

 

太一

「構わん。ああ言う手合いは相手にするとすぐに調子に乗る。」

 

セシリア

「そうかもしれませんが…」

 

太一

「それでも絡んでくるなら以前の一夏みたいに追い払うだけだ。」

 

一夏

「うぐっ!?」

 

 太一の一言に一夏は以前訓練中に襲い掛かった時の事を言われダメージを受けた

 

シャルル

「前に何かあったの?」

 

一夏

「…ちょっとな…悪いが聞かないでくれ…」

 

シャルル

「分かったよ。(面倒な内容かもしれないから深く聞かない方がいいな…)」

 

太一

「………(気のせいか?…コイツ…昨日と雰囲気が変わっているような…)」

 

 太一はシャルルの僅かな変化に気付いた

 だが、それがどのような変化かまではこの時は分からなかった

 

太一

「(まあ今はいいか…)よし!訓練を続けるぞ!」

 

 こうして太一達は再び訓練を再開した

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 この日の訓練を終えた太一はマドカ達と別れ気分転換を兼ねて学園内の敷地を散歩していた

 ちなみにマドカ達は太一の訓練によってボロボロにされ真っ直ぐ部屋に帰って行った

 そして日も沈みかけたので寮に戻ろうとした時…

 

「何故ですか!何故こんな所で教師など!!」

 

太一

「ん?あの声は…」

 

 突然聞こえた声のした方を向くと…

 

太一

(千冬とボーデヴィッヒ?)

 

 ラウラが千冬に詰め寄っている場面だった

 

太一

(俺や一夏に戦いを挑んで来たと思ったら今度は千冬か?忙しい奴だな…)

 

 太一はその場面を見て見当違いな事を考えていた

 

千冬

「何度も言わせるな。私には私の役目がある。…ただそれだけだ。」

 

ラウラ

「このような極東の地で何の役目があると言うのですか!!」

 

太一

(極東の地…セシリアも以前言ってたが…何で極東=日本になるんだ?極東の国なら他にもあるんだがな…と言うか極東は別に田舎って訳でも無い筈だが…う~ん…)

 

 などと、本当に見当違いな事を考えている太一だった

 

ラウラ

「お願いです教官!我がドイツで再びご指導を…ココでは貴方の能力は半分も生かされません!」

 

 太一がどうでもいい事に頭を悩ませている間もラウラの千冬への勧誘は続いていた

 

ラウラ

「この学園の生徒達はISをファッションか何かと勘違いしてます!」

 

千冬

「………」

 

ラウラ

「そのような者達に教官が時間を割かれるなど…」

 

千冬

「そこまでにしておけよ小娘!」

 

ラウラ

「!?」

 

千冬

「少し見ない間に随分偉くなったな?ISがファッションだと?確かにそうかもな。」

 

ラウラ

「わ、分かっているなら…」

 

千冬

「だがそれはお前も同じじゃないのか?」

 

ラウラ

「え…」

 

千冬

「15歳で選ばれた人間気取りをしているお前とどこが違う?」

 

ラウラ

「わ、私は…」

 

千冬

「私がココにいるのはお前の様な考えを正す為だ。話は終わりだ。さっさと寮に帰れ。」

 

ラウラ

「………くっ!」

 

 話を切り上げられたラウラは悔しそうな顔をしながら寮へと走って行った

 

千冬

「…はぁ…アイツにも困ったものだな…何であんな風になったんだ?」

 

 ラウラが見えなくなると千冬は溜息を吐いた

 

太一

「お前の指導に問題が合ったんじゃないのか?」

 

千冬

「八神!?お前何時からいたんだ!?」

 

 そこに隠れていた太一が出て来た

 突然現れた太一に千冬は驚いた事から太一が盗み聞きしていた事に気付いていなかったようだ

 

太一

「ボーデヴィッヒがお前に詰め寄った辺りからだ。」

 

千冬

「割と最初からだな…って!それより私の指導に問題があるとはどういう事だ!?」

 

太一

「そのままの意味だ。そうでなければお前以外をあそこまで見下すとは思えないが?」

 

千冬

「うっ!」

 

太一

「お前がどんな指導をしたのかは知らないが、あのままだとアイツは孤立して行く一方だぞ?」

 

千冬

「ううっ!」

 

太一

「それにお前、アイツに力の使い方を正しく教えたのか?」

 

千冬

「…い、一応は…」

 

太一

「教えていたなら何故あんな風になったんだ?俺の見た所、ボーデヴィッヒは力=強さと考えているみたいだが?」

 

千冬

「そ、それは…」

 

太一

「はぁ~…俺が入学初日に言った事を覚えてるか?力を正しく使う為には心構えが大事だと言っただろ?」

 

 視線を逸らし口籠る千冬を見て太一は深い溜息を吐いきながら話し始めた

 

千冬

「ううっ…」

 

太一

「力はただ使うだけでは暴力と同じだ。そこに正しい心を組み入れる事で本当の強さになる。今のボーデヴィッヒにはその心が無い。俺から見てアイツは力以外を信じない愚者に成り果てている。あれではいずれ力に飲み込まれて自滅するぞ?」

 

千冬

「…すみません…」

 

太一

「俺に謝っても意味は無いだろ?」

 

千冬

「…はい…」

 

太一

「それにお前、何かアイツに変な事を言ったんじゃないのか?アイツはお前を心酔しているがいくら何でも度が過ぎるぞ?さっきアイツが俺や一夏に喧嘩を売って来たのもお前の汚点を消す為だろうからな。」

 

千冬

「アイツそんな事をしたのか!?」

 

太一

「ああ、今回は事なきを得たが…あの様子じゃまた来るだろうな。」

 

千冬

「本当にすみません!」

 

太一

「…俺の方はいい。だが一夏に対してはお前の方で何とかしろ。一夏と篠ノ之だけでも面倒なのにボーデヴィッヒまで相手にしたらいくら俺でも身がもたんぞ?」

 

 流石の太一も一夏や箒並みに身勝手なラウラの行動には関わり合いにはなりたくなかった

 

千冬

「はい!私が撒いた種ですからアイツは私が何とかします!」

 

太一

「そうしてくれると助かる………それで何か心当たりはないか?」

 

千冬

「心当たりと言われても…私が訓練以外でアイツにした事と言えば………一夏やマドカの話を軽くしたくらいですが…」

 

太一

「一夏とマドカの話?………それが原因じゃないのか?」

 

千冬

「え?いやいや、ただ家族の話をしたぐらいであんな馬鹿な行動をする訳無いでしょう?もしそうだとしたらアイツは筋金入りの大馬鹿ですよ?」

 

太一

「…だといいがな…」

 

 千冬は太一の言う事を否定した

 だが太一は自分の予想が的外れとはどうしても思えなかった

 その予想は見事に的中した

 実際の所、ラウラは千冬の言う大馬鹿だったと後になって千冬は思い知る事になるのだった

 

千冬

「…あの…ところで八神さん…一つ聞きたい事が…」

 

太一

「ん?」

 

 千冬はいつの間にか太一に対してさん付けの敬語になっていた

 

千冬

「その…八神さんは心の強さと言うのをどうやって学んだんですか…」

 

 太一が心の強さをどうやって学んだのか聞いて来た

 

太一

「ん?それか…まあ俺の場合は【デジタルワールド】で旅をした時に学んだんだ。それが必要になった時もあったしな…」

 

千冬

「やはり子供の頃の旅で…」

 

太一

「尤も最初は間違えたけどな…」

 

千冬

「間違えたとは?」

 

太一

「以前お前に【リヴァイアモン】に挑もうとした一夏は勇気と無謀の区別が付いていないって言っただろ?アレと同じ事をした上に力の意味を理解せず、ボーデヴィッヒみたいに仲間達を見下しちまったんだよ。」

 

千冬

「な!貴方がそんな事を!?」

 

太一

「ああ、そのせいでアグモンを間違った進化をさせちまった…」

 

千冬

「間違った進化?」

 

太一

「アグモンの本来の完全体は【メタルグレイモン】だ。だが俺が間違えたせいでアンデット型デジモン【スカルグレイモン】に進化してしまった。」

 

千冬

「【スカル…グレイモン】!?」

 

太一

「【スカルグレイモン】は骨とコアのみの体に破壊本能しかないデジモンだ。進化した【スカルグレイモン】はエネルギーが尽きるまで周りを破壊し続け暴れまわっていた。」

 

千冬

「………」

 

太一

「その後は色々とあって本当の心の強さって奴を学んだ俺はアグモンを【メタルグレイモン】に進化させる事が出来たんだ。」

 

 太一の話を聞いて千冬は遂に言葉を失った

 自分に対して全くひるまず説教をする太一が一夏やラウラと同じような過ちを犯していた事に驚いた

 だが太一はそこから間違いを正し本当の強さと言うものを手に出来ていたのだ

 

太一

「尤もその後も俺は色々と悩んだり疑問を持ったりしてな…その度に自分なりの答えを出してきたんだ。」

 

千冬

「…それが…貴方の強さの元になったんですね…」

 

太一

「そんな大層な物じゃない。確かに最初は大変だったがその後はずっと自問自答を繰り返してきただけだからな。俺がやっていたのはそんな簡単な事だ。」

 

千冬

「………簡単…ですか…」

 

太一

「ああ、簡単だろ?最初に自覚さえ出来れば後はどうとでもなるからな。」

 

千冬

「………」

 

太一

「まあ、お前にも思う所はあるだろ。お前が今後どうするかは自分で決めるしかないんだからな。俺の今言った事は参考程度に覚えておけばいい。」

 

千冬

「!?…はい…」

 

太一

「俺はそろそろ部屋に戻る。…それから、俺が言っても説得力が無いかもしれないが余り思い詰めるなよ?」

 

 太一は最後にそう言うと寮に戻って行った

 一人残った千冬は…

 

千冬

「…簡単か…ハッ…ハハッ…何度も悩んで考えて答えを出してきた、か………そうだな…確かに簡単だ………なのに…何で…私は…そんな簡単な事にすら…気付かなかったんだ…改めようとしなかったんだ………何故…あんな事をしてしまったんだ…今までのうのうと生きて来たんだ…」

 

 千冬は太一がいなくなると予想通り思い詰めてしまった

 太一の話を聞いて今迄の自分の過ちとそれに向き合おうとしなかった自分を悔いていた

 11歳で自分の過ちをすぐに認め、改め、真っ直ぐに生きて来た太一と当時の太一よりも年上だったにも拘らず【白騎士事件】を起こし、道を踏み外した事にすら気付かずに生きて来た千冬

 その余りにも違い過ぎる生き様に千冬は打ちひしがれていた

 だからこそ太一の言葉が…特に『簡単』と言う言葉が心に突き刺さっていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 そしてその日の夜…

 一夏とシャルルの部屋では…

 

一夏

「シャルル、ボディソープ切れてただろ?」

 

シャルル

「あ…」

 

一夏

「………へ?」

 

 一夏はシャワーを浴びていたシャルルの裸を見てその正体を知ってしまった

 その後、シャルルは先日太一達の時と同じように自分の事情を話した

 そして、太一に言われた事も話してしまった

 それを聞いた一夏は…

 

一夏

「太一の野郎おおおぉぉぉっ!!!」

 

 シャルルの話を聞いても同情すらしようとしない太一に怒りを燃やしていた

 

シャルル

「…一夏…」

 

一夏

「大丈夫だシャルル!!俺は太一とは違う!!お前の力になってやるから安心しろ!!」

 

シャルル

「う、うん…(八神君の言う通り本当に同情してくれた…)」

 

 シャルルは太一の言った通りの事をしている一夏に驚いていた

 




 <予告>

 シャルルの事情を互いに知った太一と一夏

 だが、シャルルに対して何もしようとしない太一に一夏は怒りのままに詰め寄って来た

 それに対して太一は自分では何もしようとしないシャルルに手を貸す気は無いと答えた

 そんな中アリーナではマドカ達3人の前にラウラが現れるのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 相反する思い

 今、冒険が進化する!



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第031話:相反する思い

一夏

「太一っ!!!」

 

 朝、教室にやってきた一夏は開口一番太一に怒鳴って来た

 

太一

「ん?何か用か?」

 

一夏

「用かじゃねえ!!何でシャルルの話を聞いて何もしねえんだ!!!」

 

太一

「何だお前も知ったのか?」

 

一夏

「ああそうだ!!お前俺よりも前にシャルルの事情を知ったのに何とも思わないのか!!シャルルが可哀想だとは思わねえのか!!!」

 

太一

「思わないな。」

 

シャルル

「!?」

 

 あっさりと答えた太一に一夏の後ろにいたシャルルは動揺した

 

一夏

「何だと!?」

 

太一

「俺はそいつに同情なんかしない。慰める気も無い。」

 

一夏

「何でだ!!何で何とも思わねえんだ!!」

 

 一夏は太一の襟をつかんで睨みつけながら叫んだ

 

太一

「そいつの眼だ。」

 

シャルル

「え?」

 

一夏

「眼、だと?」

 

太一

「そうだ、そいつの眼は何もかも諦めた人間のする眼だ。現状を変える事はおろか逃げる事さえも諦めた奴の眼だ。そんな奴に手を差し伸べるつもりは俺には無い。」

 

一夏

「なっ!?」

 

太一

「お前がデュノアを助けたいなら自分で何とかしろ。似た者同士頑張るんだな。」

 

一夏

「俺とシャルルが…似た者同士だと!?」

 

太一

「そうだろ?お前もこの学園では自分じゃ何もせずに他人任せにしている怠け者だろ?諦めて何もしようとしないデュノアとそっくりじゃないか?」

 

一夏

「くっ…」

 

 一夏は太一の言う事に反論出来なかった

 怠け者と言われればその通りの事をしてきたからだ

 太一は襟を掴む一夏の手を放すとシャルルに向き直った

 

太一

「デュノア、俺は手を貸して欲しいならされるだけの行動をしろと言った筈だが?」

 

シャルル

「そ、それは…」

 

太一

「それでした事が自分の身の上話を一夏にする事か?言っとくが似た様な話なら世界中何処にでもあるぞ。一夏ならともかく話をする程度で俺は動かんぞ。」

 

シャルル

「!?…何処にでも…ある話…」

 

太一

「当り前だろ?まさか世界で自分だけが不幸だとでも思ってたのか?」

 

シャルル

「………」

 

太一

「俺が手を貸すのは自分で今の状況から動こうとする奴だけだ。その場を動かず、立ち上がらず、抗いもせず、逃げる事すらもしようともせず、ただ手を差し伸べてくれるのを待っているだけの奴がどうなろうと知った事か。」

 

シャルル

「………」

 

太一

「まあそう言う訳で俺は手を貸す気は無いからお前達で勝手にやってろ。」

 

 太一はそう言うと席に戻った

 

全員

「………」

 

 クラスの他の生徒達も今の太一の言葉に何も言えなかった

 だが、事情を知らない彼女達にも一つだけ分かった事があった

 それはシャルルの事情に太一は関与しないという事だった

 だが、そんな太一の態度に一夏は納得いかなかった

 

一夏

「お前…見損なったぞ!!!」

 

 そう叫んだ時…

 

 ガンッ!

 

一夏

「ガッ!」

 

 突然一夏は後ろから殴られた

 

千冬

「朝から何を騒いでいる?」

 

 それは出席簿を持った千冬だった

 

一夏

「ち、ちふ、織斑先生…でもコイツは!!」

 

千冬

「五月蠅い!もうHRの時間だ。さっさと席に就け!」

 

一夏

「…はい…」

 

千冬

「HRを始める前に八神、放課後になったら職員室に来てくれ。少し話がある。」

 

太一

「分かりました。」

 

千冬

「ではHRを始める。織斑、号令を掛けろ!」

 

 こうして授業が始まった

 ちなみにその日の授業中と授業の合間は一夏は太一を睨みつけていたのだった

 当然の事ながらそんな事をしていた一夏は千冬とオータムから鉄拳を何度か喰らっていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 授業も終わり放課後になると太一は今朝言われた通り職員室に来ていた

 

太一

「失礼します。」

 

千冬

「待ってたぞ。」

 

 中に入ると千冬が待っており、そのまま別室に太一を案内した

 

太一

「それで何の用だ?」

 

千冬

「うむ、実はな…来週、学年別トーナメントが開かれるのは知っているな?」

 

太一

「ああ。」

 

千冬

「実はそのトーナメントがタッグ戦に変更になったんだ。」

 

太一

「タッグ戦?それで何故俺を呼び出したんだ?まさかとは思うが…」

 

千冬

「そのまさかだ。お前は一人で参加してくれ。」

 

太一

「理由は?」

 

千冬

「言わなくても分かるだろ?お前が強すぎるからだ。」

 

 太一もある程度予想はしていたが、まさか本当に自分が強すぎるからだとは思わなかった

 

太一

「強すぎるからか…一夏やボーデヴィッヒが聞いたら反発しそうだな…」

 

 だが、それを聞いた時の一夏やラウラの反応が気がかりだった

 

千冬

「確かにアイツ等ならやりそうだが放っておけ。アイツ等にはハンデが与えられるだけの実力は無いからな。」

 

太一

「そうだな…」

 

千冬

「それで構わないか?」

 

太一

「構わんよ。」

 

千冬

「すまないな………所で今朝の騒ぎだが…一夏の奴はデュノアの正体を知ったのか?」

 

 千冬はトーナメントの話から今朝の教室での騒動に話を変えた

 

太一

「その様だ。それで俺がデュノアを突き放したのを聞いて怒鳴ったんだろ。」

 

千冬

「…そうか…それでお前どうするつもりだ?」

 

太一

「どうもしない。前に言った通り俺はデュノアの件には関わるつもりは無い。」

 

千冬

「だが、お前はそのせいで一夏に睨まれてるぞ。」

 

太一

「そっちも放っておけばいい。そもそも一夏がデュノアの件に関わるからと言って俺も協力する道理は無い。」

 

千冬

「確かにそうだが…」

 

太一

「それより俺が気になるのは一夏がどうやってデュノアの件を解決するかだ。」

 

千冬

「あ…」

 

 太一の言葉に千冬も気づいた

 普通に考えればいくら【ブリュンヒルデ】と言われた千冬の弟とは言えただの一般人で一学生でしかない一夏に一つの企業の問題を解決出来る訳無いからだ

 仮に千冬の名前を使っても【ブリュンヒルデ】の称号にそこまでの力は無い

 

千冬

「…アイツ…どうするつもりだ?」

 

太一

「…千冬…確かこの学園には外部からの接触は出来ないって言う校則があったよな?」

 

千冬

「え?…特記事項21条の事か?…確かにそう言う内容だが………まさか!?」

 

太一

「あれで時間稼ぎをする気じゃないのか?」

 

千冬

「だがあの校則は…」

 

太一

「自分の国からの命令に対しては役に立たないんだろ?ましてや代表候補生の立ち場なら?」

 

千冬

「その通りだ。だが恐らくアイツは…」

 

太一

「その事に気づいてないな。アレを盾にして3年間乗り切ろうと考えているんだろ。」

 

千冬

「はぁ…そうだな…あの馬鹿が!」

 

太一

「…本当にな…そもそもあんな校則1つで3年も持つ訳無いのに…少し考えればあの校則は何の役にも立たないと分かる事だぞ?それに夏休みの様な長期の休みの時とかどうするつもりだ?デュノアをずっとこの学園に閉じ込めるつもりなのかアイツ?…そんな事も分からないとは、どれだけめでたい頭をしてるんだ?」

 

千冬

「…面目無い…」

 

太一

「千冬…アイツ本当にどうにかしないといずれ取り返しのつかない事になるぞ?…アイツの困っている人を助けたいって言う気持ちは分かる。だがアイツはその場の勢いばかりで何も考えていない。鈴の事で懲りたかと思ったがデュノアの件も下手をしたら同じ事になるぞ?」

 

 太一はシャルルの事でまた鈴の様な事が起きるのではないかと考えていた

 

千冬

「………それならそれでいい。」

 

太一

「ん?」

 

千冬

「鈴の事で私も改めて分かった。アイツに分からせるには口で指摘しても駄目だ。直接体に覚え込ませるしかない。」

 

 だが、千冬は一夏に自分の間違いを分からせる為に暫く放置すると言って来た

 

太一

「…直接か…ならそうするか…」

 

千冬

「ああ!」

 

 太一もその意見に賛同し一先ず二人は一夏の考え無しの行動は放っておく事にするのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから少し話をした後、二人が廊下に出ると…

 

生徒

「ねえ聞いた?今、第3アリーナで専用機持ち4人が模擬戦してるんだって!」

 

太一&千冬

「ん?」

 

 生徒達が模擬戦の話をしていた 

 

千冬

「4人の専用機持ち?」

 

太一

「内3人はマドカ達だろうが、残りの1人は…一夏か?それとも他の誰かか?」

 

千冬

「他…まさかアイツか!?」

 

 千冬は今の話からアリーナにいる最後の1人が誰か気づいた

 

千冬

「また面倒な事を!!」

 

 千冬は慌ててアリーナに向かった

 

太一

「…なるほどアイツか…」

 

 その後を太一も追いかけるのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 時間は遡り、太一が千冬と話している頃…

 第3アリーナでは、マドカとセシリアが鈴と合流していた

 

「は?一夏が太一に絡んできた?何で?」

 

 太一が来るまでの間、マドカとセシリアは今朝の騒動の話を鈴にしていた

 

マドカ

「分からん。だがデュノアが原因なのは確かだ。」

 

「アイツが?」

 

セシリア

「はい、どうやらデュノアさんには複雑な事情があるみたいなんです。」

 

マドカ

「それで一夏兄さんはデュノアの件には関わらないと言った太一兄さんが気に食わなかったらしくて絡んだようだ。」

 

「ふ~ん…アイツにどんな事情があるか知らないけどあの太一が関わらないって言うんならそれなりの理由があるんでしょ?」

 

セシリア

「はい。何でもデュノアさんの眼は全部諦めた人間のする眼らしくて、そんな人に手を貸す気は無いと言ってましたわ。」

 

「眼か…確かに『目は口ほどに物を言う』って言うし、太一の今迄の事を考えると説得力があるわね。」

 

マドカ&セシリア

「ああ(はい)!」

 

 太一の生前を知っているこの3人は太一の言葉に納得した

 

マドカ

「…で、お前は何時まで隠れているつもりだ?」

 

 話も一区切りついたところでマドカは後ろに隠れている人物に話しかけた

 

ラウラ

「気付いていたか…」

 

 するとISを纏ったラウラが出て来た

 

マドカ

「お前の気配くらいなら簡単に読める。」

 

ラウラ

「チッ!」

 

マドカ

「それで何の用だ?私達は兄さんが来たら訓練をするんだがお前も混ざりたいのか?」

 

ラウラ

「フン!私があんな奴と訓練だと?笑わせるな!」

 

「あっそ!なら邪魔だから向こうに行ってくれない?それとも何か用でもあるの?」

 

ラウラ

「…八神マドカ…お前に聞きたい事がある。」

 

マドカ

「私?」

 

ラウラ

「そうだ!私は教官がドイツにいた時、生き別れになった妹がいると聞いた事がある。お前がその妹なのか?」

 

マドカ

「違う。」

 

 ラウラの質問にマドカは違うと答えた

 

ラウラ

「だがお前と教官は瓜二つだ!教官も妹の名前はマドカと言っていた!お前と同じ名前だ!」

 

 だが、ラウラは更にマドカに問い詰めてきた

 

マドカ

「チッ!アイツ私の事をそこまで話していたのか…ああそうだ!確かに私とあの女は同じ血が流れている。世間で言う所の姉妹だ。忌々しい事だがな!」

 

ラウラ

「忌々しいだと!?貴様…妹とは言え教官を侮辱するのか!!」

 

マドカ

「フン!お前がアイツをどう思ってるのかは知らないが私はあの女を姉とは認めていない!あんな人間のクズ、どう言おうと私の勝手だ!!」

 

ラウラ

「ク、クズだと!?貴様っ!!」

 

 千冬をクズ呼ばわりされた事でラウラはキレかけていた

 

セシリア

「マドカさん…余り家族の事に口出しはしたくないのですが流石にクズは言い過ぎですわよ?」

 

「そうよ!」

 

マドカ

「む!確かにそうかもな…だが私にとってあの女が最低な人間である事に変わりは無いぞ!」

 

 事情を知らないとはいえ流石にクズと言うのは不味いとマドカを窘めるセシリアと鈴だった

 マドカも言い方が悪かったことに気付いたがそれでも千冬に対する態度は変わっていなかった

 普段のマドカは千冬の事を教師として接している為、礼儀を弁えた態度をするがそれ以外の場合は千冬に対して辛辣な評価と態度を取ってしまうのだった

 

ラウラ

「き、貴様…」

 

マドカ

「で?質問には答えてやったが用件はそれだけか?無いなら向こうに行け!」

 

ラウラ

「………お前達…あの八神とか言う奴に3人がかりで負けていたな?専用機持ちが3人がかりで手も足も出ないとは随分と情けないな?」

 

 ラウラを追い返そうとしているマドカ達に対してラウラは以前の模範演技の事で挑発してきた

 

ラウラ

「特にそこの二人は代表候補生の癖に負けるとは情けない。やはりただ古いだけの国と人が多いだけの国ではその程度の実力しかないのか?」

 

マドカ&セシリア&鈴

「………」

 

 挑発を続けるラウラに対して3人は何も言わなかった

 ラウラはそれを見て言い返せないのだと思った

 だが…

 

マドカ&セシリア&鈴

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!」

 

ラウラ

「!?…な、何が可笑しい!?」

 

 3人は突然笑い出した

 

セシリア

「いえ、貴方の下らない挑発が可笑しくて。」

 

ラウラ

「何だと!」

 

「こっちも言わせて貰うけどアンタの眼って節穴なの?それとも片目じゃよく見えないの?」

 

ラウラ

「何!?」

 

マドカ

「お前軍人の癖に相手の実力も分からないのか?太一兄さんの実力が分からないなんて三流もいいところだな?」

 

ラウラ

「三流だと!?」

 

マドカ

「まああの馬鹿女も最初は兄さんの実力が分からずに勝負を挑んで返り討ちにあったからな。その教え子のお前に分かれと言う方が無理があったな。教え子が三流なら教官も三流って事だな。」

 

ラウラ

「き、ききっ貴様っ!!一度ならず二度までも教官を侮辱するとは!!」

 

マドカ

「侮辱?私は本当の事を言っただけだぞ。三流軍人?」

 

 このように、この3人はラウラに言い返さなかったのではなく、ラウラの挑発に笑いを堪えていただけだったのだ

 そして太一の強さを分かっていないラウラに逆に挑発してきたのだ

 その結果、マドカ達の挑発に見事にかかってしまった

 

ラウラ

「貴様等…なら力の違いと言うものを思い知らせてやる!!纏めてかかって来い!!」

 

セシリア

「最初からそれが目的でしたのでしょう?あんなつまらない挑発をするくらいなら初めからそう言えばいいですのに。」

 

ラウラ

「くっ…」

 

 セシリアに自分の本来の目的を言われ言葉を詰まらせるラウラだった

 

「ホントよ。でさ、アイツ纏めてかかって来いって言ってるけどどうする?」

 

マドカ

「全員でかかる事無いだろ?すぐに終わるがそれではつまらん。」

 

「なら私が行ってもいい?アイツの機体ってドイツの最新鋭機なんでしょ?私の【メガロ・ドラグナー】とどっちが強いのか試したいのよ!」

 

セシリア

「そう言えばわたくし達何時も同じ相手とばかりでしたわね?【Dシリーズ】が従来のISとどのくらい違うのか試すいい機会ですわ!」

 

 因みにこの時、セシリアは訓練相手の中にいる一夏をあえて数に入れなかった

 その理由は未だに素人に毛が生えている程度の一夏が相手では【Dシリーズ】と通常のISの違いを比べる事が出来なかったからだ

 

マドカ

「そうだな…なら鈴、頼むぞ。」

 

 そしてセシリアのその考えはマドカと鈴も同じだった

 その為この3人はラウラでその違いを確かめようと考えたのだ

 

「まっかせなさい!太一が来るまでに終わらせるわよ!」

 

 鈴はそう言うと一歩前に出た

 マドカとセシリアはアリーナの壁際まで下がっていった

 

「てな訳で私がアンタの相手をしてあげるわ!」

 

ラウラ

「いいだろう!全員で来なかった事を後悔させてやる!!」

 

「ハッ!アンタの相手何て私一人で十分よ。…いくわよ!【メガロ・ドラグナー】!!」

 

 鈴はラウラを挑発すると【メガロ・ドラグナー】を展開した

 

「始める前に一ついい事を教えてあげる。私達3人は太一に訓練を頼んでるけどこの中では私が一番弱いわよ。」

 

ラウラ

「何?」

 

「私はマドカとセシリアよりも後から参加したから一番弱いのよ。つまり私に勝てないようじゃあの二人に勝てないって事。ましてや太一を倒す事なんて不可能よ。分かった?」

 

ラウラ

「減らず口を!貴様等の機体が篠ノ之束の手掛けた物なのは知っている!だがあんな得体の知れない男に負けた貴様如きが私の【シュヴァルツェア・レーゲン】に敵うものか!!」

 

「ならかかって来なさいよ。身の程ってものを私が教えてあげるわ。」

 

ラウラ

「くたばれえええええぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 こうして鈴とラウラの戦いが始まった

 




 <予告>

 売り言葉に買い言葉による挑発によって始まった鈴とラウラの戦い

 戦いを見守る太一と一夏は何を思うのか

 そして其々どのように動くのか



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 対決!メガロ・ドラグナーVSシュヴァルツェア・レーゲン

 今、冒険が進化する!



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第032話:対決!メガロ・ドラグナーVSシュヴァルツェア・レーゲン

 太一と千冬が別の場所でアリーナの戦いの話を聞いた時…

 

生徒

「聞いた?今アリーナで専用機持ち達が戦ってるんだって!」

 

 この二人も同じ内容の話を聞いていた

 

一夏

「専用機持ち?」

 

シャルル

「誰の事だろ?」

 

一夏

「行ってみようぜ!」

 

 そして一夏も太一達と同じようにその戦いが気なりアリーナに向かうのだった

 

シャルル

「う、うん…(面倒そうだから…本当は行きたくないんだけどな~…)」

 

 しかしシャルルは関わりたくない様だった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

一夏

「アレは…鈴!?…それにラウラだと!?」

 

 アリーナに着いた一夏とシャルルが見たのは鈴とラウラの戦いだった

 

一夏

「何であの二人が戦ってんだ!?」

 

シャルル

「さあ?(あ~やっぱり面倒な事が起きてる~…)」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 同じ頃、太一と千冬もアリーナに到着していた

 

千冬

「やはりラウラか!?」

 

太一

「相手は鈴か…マドカとセシリアは…あそこか。」

 

 太一は鈴が一人で戦っている事からマドカとセシリアが何処にいるのか探した

 二人はアリーナの壁際で戦いを見守っていた

 

千冬

「あの馬鹿!今度は鈴に喧嘩を売ったのか!!」

 

太一

「いや、恐らくマドカとセシリアも含めたあの3人にだ。だが、ボーデヴィッヒの相手は鈴一人でしているようだな。」

 

千冬

「…確かにアイツならそのくらいやりそうだな………所で八神、どっちが勝つと思う?」

 

太一

「そうだな…ボーデヴィッヒの機体は何か特別な機能があるのか?」

 

千冬

「ん?確か…【AIC】…【アクティブ・イナーシャル・キャンセラー】と言う機能がついている筈だ。」

 

太一

「【AIC】?」

 

千冬

「【慣性停止結界】とも言うんだが…【PIC】を発展させたもので任意の対象を停止させるシステムだ。」

 

太一

「対象を停止…つまり相手を金縛りみたいに出来るって事か?」

 

千冬

「そのような物だ。1対1では反則級の能力だ。…それで【AIC】を使うラウラに鈴は勝てるのか?」

 

 千冬はラウラの機体の能力を太一に教えると改めて聞いて来た

 

太一

「…まあ勝てるだろ。ボーデヴィッヒを相手に一番怖いのはその【AIC】くらいだ。どの程度の拘束力があるかは分からないが…【メガロ・ドラグナー】のパワーなら力づくで拘束を振り解く事も出来るだろうしな。何より…」

 

千冬

「何より?」

 

太一

「ボーデヴィッヒ程度に負けるような柔な鍛え方を俺がすると思うか?」

 

千冬

「…だよな。」

 

太一

「尤も一夏なら勝てないがな。」

 

千冬

「何?アイツも最近はお前に鍛えて貰ってるだろ?」

 

太一

「アイツには鈴達と違って根本的に足りないものがある。」

 

千冬

「足りないもの?何だそれは?」

 

太一

「それはな………」

 

 太一は一夏に足りないものを千冬に教えた

 

千冬

「…なるほど…確かにアイツにはまだそれが出来ていないな…ではお前の訓練は?」

 

 それを聞いた千冬は太一の話に納得していた

 

太一

「まずはそれを造る為の物だ。だからマドカ達とは違う訓練をさせている。」

 

千冬

「そこまでしてくれているのか…何から何までスマン…」

 

太一

「気にするな。それに今日からアイツは俺の訓練には来ないだろうからな。」

 

千冬

「何?…何故アイツはそんな事を…まさかデュノアの件か!?」

 

太一

「そうだ。まあアイツが参加したくないと言うなら俺はそれでいいがな。面倒も減るしな。」

 

千冬

「…そうだな…私もこれ以上は流石に…「【零落白夜】!!」…何!?」

 

 バキィィン!!

 

 千冬の言葉を遮って聞こえてきた一夏の声…

 そしてバリアが破壊された音…

 二人はすぐに声のした方を向くと【白式】を纏った一夏が【零落白夜】でバリアを破壊した所だった

 一夏はそのままアリーナの中へと突っ込んでいった

 

千冬

「あの馬鹿!!何をしてるんだ!!!」

 

太一

「…本当に後先考えない奴だな…」

 

 一夏の行動に千冬は怒鳴り声を上げ、太一は呆れ果てていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一夏がアリーナに突入する少し前…

 アリーナの中では鈴とラウラが戦っていたのだが…

 

「どりゃぁっ!!」

 

 ガキンッ!

 

ラウラ

「ぐっ!?」

 

 鈴達3人に喧嘩を売る為に挑発しに来て、逆に挑発されたラウラは鈴に押されていた

 ラウラは鈴の《ペンデュラムブレイド》を受けて後ろに吹き飛ばされていた

 

ラウラ

「く、くそっ!?」

 

「さっきまでの余裕はどうしたの?3人纏めて相手をしてやるって言ってた割に私一人に押されてるみたいだけど?まさかそれで全力なんて事ないわよね?」

 

ラウラ

「何だと!?」

 

 憤るラウラを横目に鈴は観客席に視線を移すと千冬といる太一を見つけた

 

「太一も来たみたいだしアンタの相手をするのは…終わりよ!!」

 

 その為、ラウラとの勝負を終わらせようと突撃した

 だが、その瞬間…

 

ラウラ

「調子に乗るな!!」

 

 ラウラは鈴に向かって右手を広げた

 

 ピタッ!

 

「アレ?…機体が…」

 

 突然鈴の機体が動きを止めてしまった

 

ラウラ

「どうだ!私の停止結界は!!」

 

「…停止結界?…あ~コレが【AIC】ね!…へ~、噂には聞いていたけど本当に動けなくなるなんてね…」

 

 これが先程太一と千冬が話していたラウラの機体の特殊能力【アクティブ・イナーシャル・キャンセラー】だった

 ラウラによって拘束された鈴は最初は機体が動かなくなった事に驚いたが、それがラウラの【AIC】によるものだと気付くと、いたって冷静に現状を確認していた

 

ラウラ

「…随分と余裕だな!今のお前は私の手の中にいると言うのが分からないのか!」

 

 拘束されているのにまるで慌てていない鈴にラウラは苛立った

 

「…そりゃ余裕よ…だって「り―――んっ!!」へっ?」

 

 突然自分を呼ぶ声が聞こえたので鈴はそちらを向くと一夏がバリアを破壊してこちらに突撃していた

 

「何してんのアイツ?」

 

 鈴もまた太一と千冬と同様に一夏の行動の意味が分からずにいた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 【零落白夜】でバリアを破壊しアリーナに突っ込んだ一夏

 何故一夏がこんな行動をとったかと言うと…

 

一夏

「鈴!?何でいきなり止まったんだ!?」

 

 最初は一夏もシャルルと一緒に二人の戦いを見守っていた

 だが鈴がラウラの【AIC】によって拘束されたのを見た瞬間…

 

シャルル

「アレ【AIC】だね。」

 

一夏

「【AIC】!?」

 

シャルル

「【アクティブ・イナーシャル・キャンセラー】…分かり易く言うと相手を金縛りに出来る能力だよ。」

 

一夏

「金縛り!?じゃあ鈴は!?」

 

シャルル

「あのままじゃ何も出来ないね。」

 

一夏

「そんな!?くっ!!」

 

 シャルルから【AIC】の事を聞いた瞬間一夏は【白式】を展開した

 それを見たシャルルは…

 

シャルル

「ちょっと一夏!何する気なの!?」

 

一夏

「決まってるだろ!鈴を助けるんだ!!」

 

シャルル

「助けるって…アリーナにはバリアが張ってあるんだよ!ココでISを展開してどうするのさ!助けに行くならピットから中に入らないと…」

 

一夏

「そんな時間あるか!!」

 

 一夏はそう言うとシャルルの制止も聞かず【零落白夜】でアリーナのバリアを切り裂き中に突入していった

 

シャルル

「一夏!…あ~あ…八神さんとオルコットさんが中にいるのに…」

 

 シャルルの言う通りアリーナの中にはマドカとセシリアが控えていた

 だが一夏は二人の存在を綺麗サッパリ忘れており、このような行動に出てしまった

 この行動の結果、自分がどうなるのかも分からずに…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 この様な事があって一夏は鈴を助けようとしてバリアをぶった切ってラウラに向かって突撃したのだ

 そして突撃の勢いのまま【雪片弐型】でラウラに斬りかかったのだが…

 

 ガキンッ!

 

一夏

「何っ!?」

 

 ラウラは右手を鈴に向けたまま体を一夏の方に向け左腕のプラズマ手刀で【雪片弐型】を受け止めていた

 

ラウラ

「フッ!随分と軽い剣だな?」

 

一夏

「何だと!?」

 

ラウラ

「くたばれ雑魚が!!」

 

 ガシャッ!ドドドドドンッ!

 

 ラウラはそう言うと肩のレールカノンを一夏に向け至近距離で連続で撃ち込んだ

 

 ドガガガガガァァン!

 

一夏

「ぐああああああぁぁぁぁぁぁ――――――っ!!!」

 

 レールカノンを喰らった一夏は吹き飛ばされた

 

ラウラ

「止めだ!!」

 

 ラウラは一夏にとどめを刺そうと倒れている一夏にレールカノンを向けた

 だがその時…

 

「あのさ~…私の事忘れてない?」

 

 【AIC】で拘束された鈴が話しかけて来た

 

ラウラ

「フンッ!コイツを始末したらお前も片付けてやる!大人しくやられるのを待っていろ!」

 

一夏

「そ、そうはいくかよ!俺は…鈴を助けるんだ!!」

 

 そう言って立ち上がる一夏だが…

 

「………アンタ何言ってんの?」

 

一夏&ラウラ

「え?」

 

 鈴の一言に一夏とラウラは声を揃えて固まった

 

「バリア壊してまで何しに来たのかと思ったけど…まさか私が追い詰められてると思ったの?だとしたらアンタ何見てたのよ?」

 

ラウラ

「貴様何を言ってる!私の停止結界で動けない状態で「こんなものすぐに抜け出せるわよ。」何だと!?」

 

「ぐぬぬぬぬっ…」

 

 すると鈴は両肩のバーニアを点火し全身に力を込め始めた

 

「ふんっ!!」

 

ラウラ

「ば、馬鹿な!?」

 

 そしてそのまま【AIC】の拘束を力づくで振り解いてしまった

 ラウラは【AIC】を破られた事に激しく動揺していた

 

「こう言う事よ!私を止めたかったら今の倍以上の拘束力じゃないと押さえられないわよ!だからアンタがココに来る意味って無いのよ。」

 

一夏

「そ、そんな…」

 

「それにこれは私とコイツの戦いなの。勝手に横槍入れないでよ。」

 

一夏

「………」

 

 鈴はそれだけ言うと一夏には目もくれずラウラに視線を移した

 

「さて待たせたわね?」

 

ラウラ

「くっ!」

 

 【AIC】を破られた事に立ち直ったラウラはレールカノンを鈴に向けた

 だがそれを見た鈴は…

 

(コイツ…さっきもそうだけどバリアが今は無いって分かってんのかしら?)

 

 レールカノンを撃とうとするラウラの行動に疑問を持ったが…

 

(…コイツならそんな事気にせずぶっ放すか…)

 

 相手がラウラだからという事ですぐにその事を考えるのを止めた

 

「(全く!一夏の馬鹿がバリアを壊したせいで衝撃砲も《アトミックブラスター》も使えないじゃない!…となると観客席に被害を出さない様にするには接近戦しかないか…)ならば!!」

 

 鈴は内心、一夏に毒突くと《ペンデュラムブレイド》を構えラウラに向かって突撃した

 

ラウラ

「正面から突っ込んで来たか!!」

 

 ラウラはそれを見て鈴に向かってレールカノンを撃ったが…

 

 ドカァン!

 

 鈴は避けずに砲撃を喰らい煙に包まれた

 

一夏

「り、鈴!?何で避けないんだ!!」

 

 一夏はそれを見て鈴の行動が分からなかった

 鈴のこの行動は躱せば観客席に当たるかもしれないと考えての行動だった

 そして鈴のこの行動のそもそもの原因は当然の事ながら一夏自身のせいなのだがこの男は勿論それが分かってはいない

 その時…

 

「はあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 煙の中から現れた鈴はそのままラウラに向かって突っ込んで来た

 

ラウラ

「チッ!いい加減くたばれ!!」

 

 ラウラは再びレールカノンを撃つが鈴は《ペンデュラムブレイド》を盾にしてラウラの砲弾を防いでいた

 先程の砲撃も鈴は同じ方法で防いでいたのだ

 

ラウラ

「クソッ!ならこれでどうだ!!」

 

 鈴にレールカノンが余り効果が無いと察したラウラは機体に装備された6本のワイヤーブレードを鈴に向かって放った

 だが…

 

「ハアァッ!!」

 

 ザザザザンッ!!!!

 

 ドガガガガンッ!!

 

 鈴は一端足を止め向かって来た6本の内の4本のワイヤーの先端を《ペンデュラムブレイド》で斬り裂き破壊した

 そして残る2本は…

 

「《アサルトバランサー》行けっ!!」

 

 ドガガンッ!!

 

 ラウラのワイヤーブレードと似たタイプの武装でもある、背中に取り付けられた《アサルトバランサー》で残りのワイヤーを突き刺して破壊した

 

ラウラ

「なっ!?」

 

 ワイヤーブレードがアッと言う間に破壊された事に驚くラウラだが、すぐさま向かって来る鈴を迎撃しようとレールカノンを向け、両腕のプラズマ手刀を構えた

 だが…

 

ラウラ

「!?…な、何っ!?」

 

 鈴はワイヤーを破壊した《アサルトバランサー》をそのままラウラに向かって伸ばし、巻き付けて縛り上げた

 

「コレで逃げられないわね!!」

 

ラウラ

「グッ!は、放せ!!」

 

 それは【AIC】で鈴を拘束したラウラが今度は鈴の《アサルトバランサー》で拘束されると言う形になってしまった

 鈴は両腕を正面で組み、再びバーニアを点火してラウラに向かって突進した

 その時《ペンデュラムブレイド》が輝きエネルギーの巨大な刃となった

 躱そうともがくラウラだが《アサルトバランサー》で縛りつけられている為、動く事が出来なかった

 

「喰らえ!!《ダブルエッジ》!!!

 

ラウラ

「うっ!うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!!!!!」

 

 バキィィンッ!!

 

ラウラ

「ガハッ!!!」

 

 鈴の《ダブルエッジ》が命中すると同時に《アサルトバランサー》の拘束を外されたラウラは激しく吹き飛ばさた

 

ラウラ

「ぐっ…く、くそぉ…」

 

「へ~?《ダブルエッジ》を正面から受けてまだ立てるなんて思ったより頑丈ね?でも…もう1発喰らっても立てるかしら?」

 

 起き上がり立ち上がったラウラを見て鈴は再び腕を正面で組んだ

 だがその時…

 

千冬

「そこまでだ!!!」

 

「むっ!」

 

ラウラ

「きょ、教官っ!?」

 

 観客席にいた千冬がアリーナに降りて来ていた

 

千冬

「随分とまあ派手に暴れたな?だがこれ以上は見過ごせんな!」

 

ラウラ

「止めないで下さい!!」

 

千冬

「馬鹿者!!お前は周りが見えてないのか!!」

 

ラウラ

「え?」

 

 千冬はラウラに怒鳴ると視線を一夏に向けた

 

千冬

「…織斑…何故バリアを斬った?」

 

 そしてバリアを破壊した理由を問い質した

 

一夏

「な、何でって…俺は鈴を助けようと…」

 

千冬

「それで何故バリアを斬る必要がある?凰を助けに行くならピットから回り込めば済む話だろ?」

 

一夏

「それは…鈴が…やられそうだったから…」

 

千冬

「なるほどな…だが見ての通り凰は苦戦などしていない。つまりお前の勘違いだ。」

 

一夏

「………」

 

千冬

「仮に凰が危険な状態だったとしてもその時はオルコットと八神妹が止めに入っていた。お前はアリーナにいた二人の存在に気付かなかったのか?」

 

 千冬は壁際から近付いてきた二人を指さしながら聞いて来た

 

一夏

「あ!」

 

千冬

「それにお前がバリアを斬ったせいですぐには復旧出来なかったんだぞ。」

 

一夏

「…え?」

 

 そう言うと千冬は今度はラウラに視線を移した

 

千冬

「ボーデヴィッヒ…バリアが破壊されたのに何故レール砲を撃った?」

 

ラウラ

「………」

 

千冬

「全弾命中したからよかったが1発でも外れていたら観客席に命中していたぞ?観客席に当たっていたらどうなっていたか軍人のお前が分からない訳無いよな?」

 

ラウラ

「………」

 

千冬

「やはりお前は以前私とオータムが言った態度を治せという事を守っていなかったか…」

 

ラウラ

「!?…い、いえ!私はちゃんと…」

 

千冬

「治せていればあの状況でそんなものを撃つ事などしない!!」

 

ラウラ

「ぐっ…」

 

 言い訳をしようとしたラウラだが千冬は今迄の行動から言われた事を守っていないのだと断言した

 

千冬

「まあ治せと言ってお前が素直に治すとは初めから思ってもいなかったがな。」

 

ラウラ

「!?」

 

千冬

「それからボーデヴィッヒ…何故凰がお前の撃った砲弾を避けずに全部受けたと思う?」

 

ラウラ

「ま、まさか!?」

 

千冬

「避けて観客席に命中する事を恐れて自分で受けたんだ!それにバリアが破壊されてから凰は一度も自分の射撃武器を使ってはいない!!」

 

ラウラ

「!?」

 

 千冬の言葉にラウラは目を見開き鈴を見ると、そのまま睨みつけた

 鈴は途中から射撃武器を使わなかった

 それはつまり最後は手を抜いていたという事に他ならないからだ

 そして千冬は再び一夏に視線を移した

 

千冬

「コレで分かったか!お前の考え無しの軽はずみな行動で客席の生徒達は危険に晒され、凰は武器に制限をかけ、生徒達を守る為に受けなくてもいい攻撃を受けたんだ!!お前のした事は凰を助ける所か邪魔以外の何者でも無い!!!」

 

一夏

「…そんな…」

 

 鈴の為を思っての行動が全て裏目に出てしまったと言われた一夏は激しく動揺しその場で膝をつき俯いた

 

千冬

「そんなに戦いたいなら今度の()()()トーナメントで決着を付けろ!!」

 

マドカ&セシリア&鈴

「…ん?」

 

 マドカ、セシリア、鈴は千冬の口にした単語に反応した

 

一夏&ラウラ

「………」

 

 だがこの二人は気付かなかった

 

千冬

「ではこれよりトーナメントまで全生徒は一切の私闘を禁止する!!…そして織斑、凰、ボーデヴィッヒは今回の騒動のペナルティを与える!!」

 

鈴&一夏&ラウラ

「………」

 

千冬

「まず凰はトーナメントまでに反省文10枚だ!」

 

「分かりました。」

 

千冬

「次に織斑とボーデヴィッヒは凰と同じ期限で反省文100枚の提出とその間のISの使用を禁止する!!」

 

一夏&ラウラ

「え?」

 

一夏

「ま、待ってくれよ千冬姉!!」

 

ラウラ

「何故私とコイツだけそんなに重いペナルティなんですか!!」

 

 自分達と違って鈴はペナルティが明らかに軽い事に異議を申し立てる二人だった

 

千冬

「この騒動は殆どお前達二人が原因だからだ!!」

 

一夏&ラウラ

「!?」

 

千冬

「凰とお前が模擬戦をしていた事に対して私は何も言うつもりは無い!だが問題はその後だ!…織斑!お前はバリアを破壊し生徒達を危険に晒した!!…ボーデヴィッヒ!お前はそんな状態で平気で砲撃を行った!!」

 

一夏&ラウラ

「………」

 

千冬

「凰は生徒を守っていた事もあるからペナルティを与える必要も無いと思ったが、お前がバリアを壊した後も戦い続けたからその事による罰だ!」

 

「あ~…確かにそうですね…すみませんでした…」

 

千冬

「うむ!…凰とお前達がやった事を比べればどっちのペナルティが重くなるか言わなくても分かるだろ!!」

 

一夏&ラウラ

「………」

 

千冬

「そしてISの使用を禁止したのはお前達がまた同じような事をしないとは限らんからだ!!」

 

一夏&ラウラ

「………」

 

 千冬の言った鈴とのペナルティの違いに二人は何も言えなかった

 

千冬

「以上だ!!解散しろ!!」

 

 

 




 <予告>

 鈴とラウラの戦いから始まった騒動は漸く収まった

 だが千冬の口にしたタッグ戦と言う言葉に再びアリーナは騒然となる

 そして太一に与えられたハンデ…

 それぞれの思惑が交錯する中、太一はどう動くのか?



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 交錯する思い

 今、冒険が進化する!



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第033話:交錯する思い

お気に入りが800を突破!!

これからも頑張ります!!



すみません日付の設定を間違えてしまいました。



セシリア

「あの…織斑先生…」

 

千冬

「ん?解散と言っただろ?」

 

 解散を言い渡した千冬はアリーナから出ようとしたが、そこにセシリアが呼び止めた

 

セシリア

「はい…それは分かってるのですが一つ聞きたい事が…」

 

千冬

「何だ?」

 

「さっき『タッグ』トーナメントって言いませんでしたか?」

 

 ザワザワ…

 

 鈴の口にした『タッグ』の言葉に観客席にいた生徒達も騒ぎ出した

 

千冬

「ああそれか…まあ後で正式に発表されるが今教えてもいいか…その名の通り来週開かれる学年別トーナメントがタッグ戦に変更になったんだ。」

 

マドカ

「なら組み合わせは?」

 

千冬

「誰と組んでもいいぞ。ただし、八神だけは駄目だがな。」

 

全員

「え?」

 

千冬

「今度のタッ