コナンの最強な協力者 (シャト6)
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1話

「To beika-cho」

 

「へっ!?あ、アーユー…」

 

タクシーの運転手は、困った顔で英語で話そうとしていた。おっと忘れてた。ここは日本だったな。

 

「ああ、申し訳ない。いつもの癖で話してしまった。米花町○丁目までお願いしたい」

 

「分かりました」

 

日本語で話したから、運転手もホッとしてるな。そしてタクシーは出発した。

 

「これからは、再びあの町に戻るのか」

 

昔住んでいた場所を思い出しながら、男は嬉しそうに呟く。

 

「荷物整理とかが落ち着けば、あいつらに顔を出しに行かないとな」

 

昔の知り合いに、数年ぶりに顔を出すことを考える。タクシーでこれから住む家に到着した。

 

「ありがとう」

 

俺は金を払うと、家の中に入る。

 

「お帰りなさいませ」

 

「ただいま」

 

中からメイドが出迎える。名前はシャロン、向こうにいたとき、俺が保護した。それ以来俺に忠誠を誓ってくれてる。

 

「悪かったな。先に日本(こっち)に来させて」

 

シャロン「いえ、お気になさらないで下さい。飛翔様はお忙しいですから」

 

飛翔「いや、だからと言って先にシャロン達を来させて、後片付けを全て任せるのも」

 

シャロンと他数人は、俺より先に日本に到着いていた。俺は色々とする事があったため、シャロン達から1週間遅れて到着したのだ。

 

飛翔「で、他の連中は?」

 

シャロン「皆様ご自分の部屋、または地下室におられます」

 

飛翔「そっか。他の連中は既に此方で仕事してたんだっけ?」

 

シャロン「はい」

 

飛翔「なら、後で個人的に話聞いとくか」

 

俺はシャロンに荷物を渡す。

 

飛翔「シャロン、悪いけど久々に戻った町を見て回ってくる」

 

シャロン「畏まりました。乗り物は何になされますか?」

 

飛翔「そうだなぁ」

 

シャロンは、アタッシュケースを開け、そこに沢山嵌め込まれているキーを見せる。

 

飛翔「今回はバイクでいい」

 

俺はバイクのキーを取る。

 

シャロン「そちらのバイクですね。表に手配しておきます」

 

飛翔「ありがとう」

 

シャロン「お気をつけて行ってらっしゃいませ」

 

外に出ると、先程選んだキーのバイクが既に用意されていた。

 

飛翔(毎回思うけど…一体いつ用意してるんだよ)

 

そんな事を疑問に思いながら、キーを回してエンジンを吹かす。そしてメットを被り、久々に戻った町を探索する。

 

飛翔「久々に昔通ってた学校を寄ってみるか」

 

俺は通ってた小、中、高の学校をまずは見て回る事にした。ま、そのまま前を通るだけだけどな。そして目的の場所も見終わり、次の場所に行く。

 

飛翔(しっかし変わってなかったな~。俺が通ってた時のまんまだ)

 

通ってた頃と変わりない校舎に少し嬉しいな♪

 

飛翔(さて、次はいるか分からないが久々にアイツの家に行ってみるか)

 

俺は次の目的地を目指して、バイクで走り出す。暫く走り目的地に到着する。

 

飛翔「相変わらずデカイな。流石は有名小説家」

 

大きな屋敷の前にバイクを止める。表札には『工藤』と書かれている。そう、ここはあの有名な小説家、工藤優作の家なのだ。そして、その息子が俺と知り合いなのだ。チャイムを鳴らす。

 

飛翔「…あれ?留守か?」

 

時間は14時だが、今日は土曜日だ。学校があっても午前中で終わってる筈だ。すると、門を押すと開いたので、中に入ってみる。直接扉をノックする。それでも反応がない。駄目元でノブを回してみると開いた。で、中に入ると白衣を着た女性と複数人の男がいた。

 

「…誰かしら?」

 

飛翔「いや、あんたらこそ誰だ?」

 

俺は女性にそう問いかけると何故か黙る。

 

「ここの家主と知り合いなんだが」

 

「……」

 

そう言うと、女性を含めた全員が警戒し始める。

 

飛翔(なんだコイツら。まるで見つかっちゃ不味いって反応だが…)

 

「…ここの家主の人に頼まれてね。息子である工藤新一君が行方不明だから、家を調べてくれないかって」

 

え~、家をね。あの人がそんなこと頼まないと思うけどな。

 

飛翔「なるほど。けどおかしいな。アイツが普段から色々といなくなるのは昔から。だからあの人達はあんまり気にしないはずだが。それに、万が一何か起きてたなら、知り合いの警察の人に頼むはずだけど?あんた達、どう見ても警察の人間じゃないみたいだが?」

 

俺がそう言うと、女性…女は黙り男連中は更に警戒する。すると、俺の背後にいた男が俺に襲い掛かってきた。

 

「おらああああ!!」

 

飛翔「踏み込みが甘ぇ!コリエシュート!!」

 

俺は背後から襲ってきた男を外に蹴り飛ばす。流石にここで叩き付けると、玄関の修理が面倒だしな。で、そんな事をすれば、案の定他の連中も襲い掛かってくる。

 

飛翔「面白い。まとめて蹴散らしてやらぁ!!」

 

…で、数秒も経たない内に女以外全員ノックアウトさせた。もう少し粘ると思ったんだがなぁ。

 

「……」

 

飛翔「で、まだやるか?」

 

俺は1人の男をアイアンクローしながら女に質問する。

 

「そうね、抵抗したところで私が敵うわけないものね。色々と調べ終わったから、もうここには用はないわ」

 

そして女はそのまま出ていく。他の連中も起こし、自分の足で出ていかす。

 

飛翔「しかし…新一の奴が行方不明って言ってたが」

 

俺は女の言葉を思い出す。

 

飛翔「もしかしたら、あの人や博士が何か知ってるかも知れねぇな」

 

俺はそう思い、工藤邸の隣に住んでる阿笠博士の家に向かったのだった。

 

飛翔(やれやれ、帰ってきて早々面倒な事になりそうだな)



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2話

俺はそのまま隣の阿笠邸に来ている。

 

飛翔(挨拶回りが、新一の事を聞くことになりそうだな)

 

そしてチャイムを鳴らす。中から太っちょの男が出てきた。この家の主“阿笠博士”だ。

 

阿笠「はい?」

 

飛翔「どうも博士。お久し振りですね」

 

俺は挨拶するが、博士は俺と分かっていないみたいで首を傾げていた。

 

阿笠「えっと…すまんがどちら様で?」

 

飛翔「酷いな~博士。いくら数年ぶりとはいえ、昔は新一達と一緒に来てたのに」

 

阿笠「新一とじゃと?」

 

飛翔「ええ、その後アメリカに引っ越しましたけどね」

 

そう言うとようやく俺が誰か分かったみたいだ。

 

阿笠「もしや…飛翔君か?」

 

飛翔「そうです」

 

阿笠「お~!本当に久し振りじゃな!元気じゃったか?」

 

俺と分かると、博士は嬉しそうな声を出す。

 

飛翔「まぁなんとか。博士も相変わらず変な発明ですか?」

 

阿笠「変な発明とは失礼じゃな。それより立ち話もなんじゃし、中に入りなさい」

 

飛翔「それではお邪魔します」

 

俺は中に入ると、博士はコーヒーを出してくれた。

 

阿笠「しかし本当に久し振りじゃの」

 

飛翔「そうですね。確か新一達が中学校入学頃でしたね。俺が日本を離れたのは」

 

阿笠「そうじゃったな。その時蘭君や園子君達が泣き出して、中々君から離れなかったのぅ。モテモテじゃな♪」

 

飛翔「アハハ…」

 

日本を離れた時の事を話し出す。確かにそうだったな~。

 

阿笠「で、もう蘭君達には会ったのかの?」

 

飛翔「いえ、時間も時間ですから」

 

阿笠「出来るだけ早く会ってあげなさい」

 

飛翔「そうします」

 

俺はコーヒーを一口飲み、先程の事を話だす。

 

飛翔「博士、つい先程アイツの家に行ったら、白衣を着た女と男が複数にいたけど、誰だあいつら?」

 

阿笠「なんじゃと?おかしいの。新一の家の鍵はわしが預かっとるんじゃが」

 

そう言いながら、ポケットに入れてた鍵を出す。

 

飛翔「後、新一が行方不明って聞いたが…本当なのか?」

 

俺は真剣な表情で博士に質問する。

 

阿笠「あ、いや…別に行方不明って訳じゃないぞ。いつも通り、事件の捜査をじゃな」

 

飛翔「……」

 

俺は博士の顔をじっくり見る。どうもオドオドしてるし、それにさっきと比べて呼吸、心音が速くなってる。これは嘘をつくときの症状と同じだ。

 

飛翔(つまり、博士は何らかの理由で嘘をつかなきゃならないって事か。普通に考えれば新一の事だが…)

 

俺は先程の博士の会話を思い出す。

 

阿笠『あ、いや…別に行方不明って訳じゃないぞ』

 

飛翔(行方不明って訳じゃない…ってことは、それに似た状況って事だよな?新一に何かあったのは確かだな)

 

俺はもう一度博士の顔を見る。すると博士は、汗をかいていた。

 

飛翔(汗…)

 

余程秘密にしなければいけないみたいだな。けど、新一を含めた皆は、俺の弟や妹みたいなもんだ。危険があるなら、出来るだけ協力してやりたい。

 

飛翔「博士」

 

阿笠「な、なんじゃ」

 

飛翔「ホントの事を言ってくれ。アイツに何があったんだ?どう考えても、あの連中は普通じゃない。大切な弟や妹達を助けるのも兄のつとめだしな♪」

 

阿笠「…そうじゃったの。皆からすれば、君はお兄さんじゃったな」

 

昔の事を思い出したのか、懐かしい顔をする。

 

阿笠「分かった。新一の事を話そう」

 

飛翔「そうか」

 

阿笠「ただし!今から話す事は誰にも言ってはいかん。もちろん、蘭君達にもじゃ」

 

飛翔「蘭ちゃん達にもか。分かった。約束する」

 

俺は頷いてそう答える。そして博士は、新一の身に起きたことを話した。

 

飛翔「へ~、薬で小さくか」

 

話の内容を聞いて、俺は素直なことを口にした。

 

飛翔「けど、相変わらず事件で変なことに首突っ込む癖は治ってないみたいだな」

 

阿笠「まぁの」

 

飛翔「けど、今の名前が“江戸川コナン”か。そして、蘭ちゃんの家に居候で小五郎さんの仕事を影で手伝ってるって訳か」

 

阿笠「その通りじゃ。毛利君が有名になれば、新一の体を小さくした連中の事が舞い込んでくるかも知れんからのぅ」

 

確かにその通りだな。けど大変だな。あの人、昔は刑事で敏腕だったけど、探偵になってからは今一つだったしな。蘭ちゃんからも電話やメールで愚痴聞かされたし。

 

飛翔「最近はいいけど、少し前までは家計のやりくり大変だっただろうな。蘭ちゃん」

 

阿笠「そうらしいの。1年前位から、あのビルの所有者も変わったから、家賃なども色々とあったじゃろうし」

 

飛翔「ああ、あのビルね」

 

俺はある場所に連絡する。そして暫くすると、シャロンが書類の入った封筒を持ってきた。

 

シャロン「飛翔様、例の物をお持ちいたしました」

 

飛翔「ありがとう」

 

俺は封筒を受け取り中身を確認する。

 

阿笠「あ~…飛翔君や」

 

飛翔「はい?」

 

阿笠「彼女は誰なんじゃ?」

 

おっと忘れてた。博士達はシャロンの事知らないんだった。

 

シャロン「初めまして、阿笠博士様。3年前から飛翔様のメイドをしております“シャロン・クルーガー”と申します」

 

阿笠「これはどうもご丁寧に」

 

シャロン「それでは飛翔様。私は戻ってお夕食の続きをしておきますので」

 

飛翔「分かった。出来るだけ早く帰る様にするから」

 

そしてシャロンは帰っていった。

 

阿笠「飛翔君、君はいつからメイドなんかを雇ったんじゃ?」

 

飛翔「ああ、実は…」

 

俺はシャロンと出会った時の事を話した。

 

阿笠「なるほど。それで彼女は君のメイドになったんじゃな」

 

飛翔「ええ、まぁ」

 

阿笠「その内蘭君達に刺されやせんかのぅ」

 

飛翔「アハハ…」

 

俺は博士の言葉に苦笑いするしかなかった。さて、話を変えてこの書類だ。

 

飛翔「実はですね博士。蘭ちゃん達が住んでいるあのビルの所有者なんですが…つい先程俺の物になりました」

 

阿笠「な、なんじゃと!?」

 

飛翔「これがその書類です」

 

俺は、毛利探偵事務所があるビルの書類を博士に見せる。

 

阿笠「じゃ、じゃが…一体いつ」

 

飛翔「1時間前に俺電話したでしょ?その時にシャロンに指示して、このビルと土地を所有してる人に売ってもらったんですよ」

 

阿笠「……」

 

飛翔「で、これであのビルは俺の物になったわけですから、これから家賃とかは振り込まれても、上手い具合に蘭ちゃん達の元に戻るって事です」

 

阿笠「つ、つまり、あのビルの家賃とかは」

 

飛翔「タダです♪あ、もちろん光熱費とかは払ってもらいますけどね」

 

阿笠「驚きすぎて、わしは何も言えんわい」

 

椅子にもたれ掛かる博士。

 

阿笠「じゃが飛翔君、何処にそんな大金があったんじゃ?」

 

飛翔「博士…株ってチョロいですね」

 

俺は笑いながら、博士にそう言うのだった。



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3話

あれから2日後、博士には俺が日本に帰ってきてる事は内緒にしてくれと頼んだ。何故か聞かれたが、その方が面白いからと言ったのはご愛敬で♪

 

飛翔「さて、色々と確認しなきゃなんない事あるんだよな」

 

俺はただいまパソコンとにらめっこ中。すると、パソコンにメールが入る。同時に携帯にもくる。パソコンにメールが来た時、携帯にも来るようにしたのだ。で、中を確認する。

 

飛翔「誰からだ?」

 

メールを開き中を確認する。

 

飛翔「差出人は…ミネルバからだ。何々、『マイアミ・オープン女子で優勝したよ!』か。流石だな」

 

メールの相手は、アメリカの時に知り合ったプロテニスプレーヤーである“ミネルバ・グラス”からだった。

 

飛翔「けど、今のところは順調だな。また四大大会見に行けたら行かないとな。本人からのお願いだし」

 

そう考えながら、パソコンの電源を落とした。

 

飛翔「ん~!どうするかな」

 

時間は夕方、ボチボチ夕飯の時間か。

 

飛翔「たまには外に食いに行くか」

 

俺は久々に外に飯を食いに行く事にした。俺はシャロンに話に行く。

 

飛翔「シャロン」

 

シャロン「飛翔様?如何なさいましたか?」

 

飛翔「少し出掛けるから、夕食は今日はいい。外で食ってくるから」

 

そう言うと、シャロンは少し残念そうな顔をする。

 

シャロン「…かしこまりました」

 

飛翔「折角用意してくれたのに悪かったな」

 

シャロン「いえ」

 

飛翔「作ってくれたのは、ラップして冷蔵庫に入れてくれ。もしかしたら夜食で食べるかもしれないから。最悪明日食べるさ」

 

俺はそう言い、シャロンの頭を撫でて出ていった。

 

飛翔「久々に何処で食うかな。昔行った店まだやってるかな」

 

ブラブラと歩いてると、ある家にパトカーが止まっていた。

 

飛翔「何かあったんですか?」

 

警察「ええ、中で殺人事件がありまして」

 

飛翔「そうですか」

 

殺人事件か。相変わらず世の中物騒だな。

 

警察2「おい聞いたか?探偵の毛利小五郎が今推理してるらしぞ」

 

警察「なら犯人が分かったのか?」

 

毛利小五郎…小五郎さんが来てるのか。

 

飛翔「すみません、毛利さんに頼まれた物を持ってきたんですが、中に入っていいですか?」

 

警察2「そうか。分かった。入っていいぞ」

 

飛翔「ご苦労様です」

 

俺は上手い事言い、中に入り人が集まってる離れに向かった。すると中から声が聞こえてきた。

 

小五郎「私は疑っているんじゃありません。確信しているんです。貴方が犯人だとね」

 

「何だと!?」

 

小五郎「あるんですよこの部屋に。諏訪さんが犯人だと言う決定的な証拠が!」

 

目暮「ど、どこに!」

 

飛翔(へ~、小五郎さんが推理中か。けど、何で座ってるんだ?)

 

俺は小五郎さんの格好に疑問に思うが、取り合えず推理の続きを聞く。

 

小五郎「部屋中に刀傷を付けた本当の理由はね、ある物を隠す為だったんです」

 

目暮「ある物を隠す?」

 

小五郎「タンスの傷です」

 

そう言うと全員が部屋の右側のあるタンスを見る。

 

小五郎「傷をよ~く見てください。繋がっていない所があるでしょ」

 

目暮「た、確かに…」

 

小五郎「それは犯人によって、意図的に入れ換えられたもの。それを元に戻すには、一番上の段の左から二列目の引き出しと、同じ段の右端の引き出しを入れ換えて下さい」

 

小五郎さんの指示で、目暮警部が引き出しを入れ換えていく。

 

小五郎「次に、上から二段目の左端の引き出しと五段目の左端を。二段目の左から二列目と二段目の右端を。三段目の左から二列目を四段目の右端と。最後に、五段目の左から二列目を四段目の左から三列目と入れ換えて下さい」

 

全て入れ換えると、タンスにある文字が浮かび上がった。

 

目暮「こ、これは!?すわ!」

 

小五郎「おそらく、諏訪さんが阿久津さんの電話に気を取られてる隙に、被害者が刀で書いたものでしょう。それに気づいた貴方は、引き出しを入れ換えその上から傷を付けて文字を分からなくした。だが、そのままでは傷が付いたタンスだけが目立ってしまう。だから部屋中に刀傷を付けたんだ。タンスに刻み込まれた、ダイイング・メッセージを我々の視界から消すためにね!」

 

目暮「しかしどうして!彼は借りた金を持ってきているじゃないか!!」

 

諏訪「…刀ですよ」

 

すると、諏訪という男が話す。

 

目暮「刀?被害者が握っていたそれか」

 

諏訪「ふん!そんなナマクラじゃありませんよ。借金の形に預けてあった、我が諏訪家に代々伝わる『菊千代』。それを…あの男は!」

 

どうやら、被害者がその刀を売ってしまい、それで刀で殺したそうだ。

 

諏訪「気が付いたら…私は彼を一太刀にしていた。そう…こんな風にな!!」

 

すると諏訪は、警察が持ってた刀を奪い、小五郎さんに襲い掛かる。

 

諏訪「つあああああああ!!!!」

 

蘭「きゃあああああああ!!!!」

 

蘭の叫び声が響き渡る。だが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パキン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

諏訪「なに!?」

 

飛翔「やれやれ。随分と荒っぽい犯人だな」

 

俺は素早く小五郎さんと諏訪の間に入り、持ってた刀を蹴り折った。

 

蘭「えっ…嘘」

 

諏訪「私の太刀を蹴りで受けるとは…」

 

飛翔「太刀も何も、んな迷いのある太刀筋簡単に対処できる」

 

『いやいや…無理だって普通』

 

諏訪「…フッ、確かにそうですな。私にとって、最も大きな計算ミスは、貴方がここにいた事のようですな」

 

そして手錠をはめられ、諏訪は警察に連れていかれた。

 

目暮「毛利君!また見直したぞ!」

 

小五郎「あん?」

 

小五郎さんは、寝てたかのような反応するな。

 

蘭「……」

 

コナン「……」

 

飛翔「えっと…久し振り…だね」

 

蘭「…一体いつ戻ってきたんですか」

 

飛翔「えっと…三日前」

 

蘭「だったら」

 

ヤバイ…蘭ちゃんから凄いオーラが出てる。

 

蘭「三日前に帰って来てるなら、連絡の1つくらししてくれてもいいでしょう!!」

 

飛翔「お、落ち着いて蘭ちゃん!!」

 

蘭「問答無用!!頬肉(ジュー)シュート!!!!」

 

飛翔「ふべらっ!!?」

 

俺は小さい頃に教えた俺の技を食らった。

 

飛翔(蘭ちゃん…空手してるから、更に上達してるね)

 

俺は放物線を描き、庭に吹き飛んだのだった。

 

コナン「アハハ…女の嫉妬は怖ぇ~」



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4話

蘭ちゃん達と出会って数日後、蘭ちゃんから伝わり園子ちゃんからもビンタをいただいた。で、コナン改め新一にお前の事を博士から聞いたと言い、事件に首を突っ込んだ時の事を説教した。だが、これからは俺が出来るだけ博士と同じ様に協力するとも言った。

 

飛翔「黒ずくめ…黒の組織か。その組織が持ってた薬を飲まされて体が縮んだ。本来は毒薬だったみたいだから、問答無用で殺すつもりだったみたいだな」

 

すると、シャロンが部屋に入ってきた。

 

シャロン「失礼します」

 

飛翔「どうしたシャロン」

 

シャロン「いえ、毛利蘭様からお電話がかかっております」

 

飛翔「蘭ちゃんから?こんな時間に?」

 

現在の時間は10時。こんな遅くに電話だなんて何かあったのか?

 

飛翔「とにかく電話に出るか」

 

俺は部屋の子機で電話に出る。

 

飛翔「もしもし、蘭ちゃんかい?」

 

蘭『飛翔さん、さっきの女の人…誰ですか?』

 

あ、しまった。蘭ちゃん達にシャロンの事話してなかった。

 

飛翔「あ、ああ。彼女はウチのメイドだよ」

 

蘭『へ~…メイドですか』

 

飛翔「あ、ああ」

 

蘭『ま~今はいいです。今度ゆっくりと話を聞かせてもらいますから』

 

飛翔(電話越しにでも、怒気が含まれてるのが分かる~((T_T)))

 

俺は説明の時の事を思いながら泣いた。

 

飛翔「そ、それよりもどうしたんだい?こんな時間に」

 

蘭『そうだった!飛翔さん、コナン君そっちに来てませんか?』

 

飛翔「コナン君かい?いや、今日は会ってないけど、何かあったのかい?」

 

蘭『今日コナン君、友達とデパートの仮面ヤイバーショー観に行ってるんですけど、まだ帰ってきてなくて』

 

飛翔「なるほど。確かに時間も時間だし」

 

蘭『それに、他の子達の所にも電話したんですけど、皆まだ帰ってきてないみたいで』

 

新一を含めた子供達がこの時間まで帰ってきていないか。何か変な事に巻き込まれてなきゃいいがな。

 

蘭『私、これからお父さんと一緒に目暮警部の所に行くんです』

 

飛翔「そうか。俺も探してみるよ。何か分かったら連絡して」

 

蘭『お願いします』

 

そして電話が切れる。

 

飛翔「しかし、新一の奴はともかく、子供達まで帰ってないとはな」

 

シャロン「如何なさいますか?」

 

飛翔「俺達も探しに行く。他の皆にも要請しておいてくれ」

 

シャロン「畏まりました」

 

そして俺はバイクで、新一達を探しに出掛けた。

 

飛翔「博士の所にはいないだろうな。昨日から発明関係の事で家空けるって言ってたし」

 

となると、まずはその仮面ヤイバーショーが行われたデパートに向かってみるか。

 

飛翔「えっと、デパートで仮面ヤイバーショーをしてる場所って…何処だ?」

 

なんともしまらねぇな…俺。で、あの後調べて今日仮面ヤイバーショーが行われたデパートへ行くと、細い路地からデパートの窓が見え、ペンキか何かでSOSと書かれていた。

 

飛翔「あれか!」

 

俺は急いでシャロンと蘭ちゃん達に連絡した。蘭ちゃんは急いで小五郎さんと目暮さんと一緒に来るそうだ。

 

シャロン「お待たせいたしました飛翔様」

 

飛翔「大丈夫だ」

 

シャロン「あれ…ですか」

 

シャロンは窓に書かれたSOSの文字を見る。

 

飛翔「ああ。おそらくだが、新一が向かいのビルにいる人に向けたメッセージだろう。だが、誰からもそんな通報が無かったって事は、気付かれなかったんだろな」

 

取り合えず俺達は、デパートの正面の入り口にやって来た。

 

飛翔「当然っちゃ当然だが、やっぱシャッター閉まってるよな」

 

シャロン「そうですね。おそらく社員専用の入り口も同じかと」

 

飛翔「だろうな。けど、どうすっかな~。こじ開けて中に入る訳にもいかないし。…ん?待てよ。デパートの中にいるなら、普通に警備の人に事情を説明すれば出してくれる筈だよな?」

 

シャロン「はい。おそらくですが、これが原因ではないかと」

 

シャロンはそう言い、取り出した新聞を俺に見せる。そこには、閉店後のデパートを襲った事件が書かれていた。

 

飛翔「おいおい…まさかあの文字の意味って」

 

シャロン「はい。このデパートの中に、その事件を起こした犯人がいると思うのが妥当かと」

 

飛翔「なら躊躇してらんねぇな。はぁ…また金がかかるな。いや、その前にお説教か?」

 

俺は嘆きながら、社員専用のシャッターの前に行く。

 

飛翔「羊肉(ムートン)ショットォ!!」

 

そしてシャッターを蹴り飛ばす。

 

飛翔「やっぱりか。どうやってるか知らないが、ご丁寧に警報を切ってるみたいだな」

 

シャロン「その様ですね」

 

飛翔「シャロン、お前は蘭ちゃん達にこの事を伝えてくれ。そして警察と一緒に連れて来てくれ」

 

シャロン「かしこまりました」

 

そしてシャロンは、蘭ちゃん達を呼びに行ってしまった。

 

飛翔「さて…何人いるんだか」

 

人数がわからない限り、無闇な行動はできない。新一や他の子供達もいるからな。

 

飛翔「取り合えず上に向かうか。中央のエスカレーターで上っていけば見つかるはずだ」

 

俺は止まってるエスカレーターで上に上がっていく。さて、どこにいるのやら。

 

2階に上がると、奥の方から何か臭ってくる。

 

飛翔「この臭い…アルコールだな」

 

その場所に行くと、辺りに酒瓶や樽が転がっており、犯人の1人がコードで縛られていた。

 

飛翔「へ~やるじゃねぇか。ってことは、もしかしたら、他にも捕まってるかもな」

 

俺は更に上に上っていく。すると、3人の男が同じ様にコードで縛られていた。そして少し離れた寝具コーナーのベットで、男の子2人と女の子1人が寝ていた。

 

飛翔「ハハッ、可愛い寝顔だな。だが、新一の姿が見えないな」

 

辺りを見回していると、何処からか音が聞こえてきた。

 

飛翔「今の音…銃声か!」

 

俺は忍術を急いで銃声が聞こえた方に走り出す。場所は階段で、所々銃弾の後が残っていた。

 

飛翔「屋上に向かってるな。銃弾の数からして、犯人は残り1人だけみたいだな」

 

ようやく俺は、屋上に到着した。扉の影から外を見ると、犯人であろう女と新一がいた。

 

「出てきな!遊びは終わりだよ」

 

女がそう言うと、新一は隠れてたバスケットボールのカゴをひっくり返して、中からボールを転がす。

 

「所詮は子供の悪あがきよ」

 

すると、1つのボールが新一の方に飛んでいく。それを新一は女目掛けて蹴った。

 

コナン「いっけぇぇぇぇ!!!!」

 

ボールは見事女が持ってた拳銃の手に命中する。

 

飛翔「今だ!」

 

俺は弾かれた拳銃を見て、素早く女を取り押さえた。

 

飛翔「大人しくするんだな」

 

俺は少し殺気を出しながら女に言う。それを感じたのか、女は大人しく俺に拘束された。

 

飛翔「やれやれ」

 

コナン「何で飛翔さんが?」

 

飛翔「蘭ちゃんから電話があったんだよ。『未だにコナン君が帰ってないんです。他の子供達も』って。それで、俺とシャロンが探しに出たら、窓に書かれたSOSの文字を見つけたんだよ」

 

コナン「なるほど。それで、あいつらは?」

 

飛翔「新一の友達なら、下の寝具コーナーのベットで仲良く寝てたよ」

 

コナン「ったくあいつら、呑気だな」

 

俺の言葉を聞いて、新一は安心しつつ呆れていた。

 

飛翔「仕方ないさ。もう夜明けの時間だしね。それと、もうじきシャロンが蘭ちゃん達を連れてここにやって来るよ」

 

コナン「そうですか。ところで飛翔さん、シャロンって誰ですか?」

 

飛翔「ああ、蘭ちゃんにも後で紹介するけど、俺が向こうに行ってる時に助けた人だよ。今はウチでメイドをしてくれてるよ」

 

コナン「メイドって」

 

そんな話をしてると、サイレンの音が聞こえてきた。

 

飛翔「どうやら来たみたいだね」

 

コナン「みたいですね」

 

飛翔「それじゃあ、あの子達と犯人を下まで下ろそうか」

 

こうして、無事に犯人と子供達は助け出され、後日デパートから新一達が表彰された。その間に食べた物や、壊した物のおとがめは一切なかったそうだ。

 

蘭「それで飛翔さん。シャロンさんの事説明してください」

 

シャロン「私は、飛翔様に全てを捧げています」

 

蘭「なっ!///」

 

シャロンさ~ん!余計なこと言わないでくれますかね~!!



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5話

家でパソコンを弄っていると、ドアがノックされる。

 

飛翔「はい」

 

『失礼します。シャロンでございます』

 

飛翔「空いてるよ」

 

シャロン「失礼します」

 

そしてシャロンが俺の書斎室に入ってくる。

 

飛翔「何かあったの?」

 

シャロン「はい。実は飛翔様宛にお手紙が届いていまして」

 

飛翔「俺に手紙?」

 

シャロンから手紙を受け取り、差出人を確認する。手紙には[松本小百合 高杉俊彦]と書かれた結婚式の招待状だった。

 

飛翔「へ~、小百合さん結婚するんだ」

 

シャロン「…飛翔様」

 

するとシャロンが物凄い顔で俺を見ていた。

 

シャロン「その松本小百合様とは、どの様なご関係なのでしょうか?」

 

飛翔「いや…関係っていうか、この人の父親が警視庁・警視で、昔爺ちゃんの関係で知り合ったんだよ」

 

シャロン「…そうでしたか」

 

飛翔「確か、帝丹中学の音楽教師になってたはずだよ」

 

彼女は昔から音楽が好きで、将来は音楽関係の仕事をしたいって話してたもんな。

 

飛翔「それでシャロン、その日の予定は?」

 

するとシャロンは、手帳で俺の予定を確認する。

 

シャロン「はい。その日は総理夫妻との食事がございます」

 

飛翔「そうだったか。なら悪いけど、向こうに事情を説明してキャンセルさせてもらって。流石に知り合いの結婚式に出ないわけにはいかないしさ」

 

シャロン「かしこまりました」

 

そしてシャロンは部屋を出て行った。んで結婚式当日。既に結婚式が行われる会場には、新郎新婦の関係者でごった返していた。

 

飛翔「流石に多いな。ま、新郎は高杉グループの跡取り息子だしな。その関係者が多いわけか」

 

すると、人混みの中に見知った顔を発見した。

 

飛翔「お久しぶりです松本さん」

 

松本「ん?おぉ飛翔君か。随分と立派になったから、最初は誰だか分らんかったよ」

 

飛翔「そんな。目暮さんもお久しぶりです」

 

目暮「おぉ飛翔君。あの事件以降中々会えなかったからな」

 

松本警視の隣にいた目暮警部にも挨拶をする。

 

松本「けど、ウチの娘の結婚式に態々来てもらって。君にも色々と予定があっただろうに」

 

飛翔「気にしないで下さい。総理夫妻との食事の約束をキャンセルしただけですから」

 

俺がそう言うと、松本警視、目暮警部は時間が止まったかのように硬直していた。

 

目暮「ひ、飛翔君…わしの聞き間違えじゃなければ、総理御夫妻との食事をキャンセルしたと聞こえたんだが」

 

飛翔「ええ、そうですけど?」

 

目暮「ああ…そうかそうか。聞き間違えじゃなかったか」

 

何故か目暮警部は頭を抱えていた。

 

松本「おいおい…それなら娘の結婚式を欠席しても良かったのに」

 

飛翔「いいんですよ。向こうにもだいぶ前から、知り合いなどの行事があった場合はキャンセルする事があるって話していますので」

 

松本「そ、そうか…」

 

そう言ってはいるが、やはり落ち着かないんだろうな。ま、当然と言えば当然だけど。

 

松本「しかし残念だ。君が私の娘と結婚してくれれば、どれだけ安心できた事か」

 

飛翔「ま~、それはご縁がなかったって事で」

 

松本「はっはっはっは!そうだな。君を思っている相手は多いからな。普通なら許せんが、君がいいなら娘をその中に加えてもいいと思っていたんだよ」

 

なんですと!!?そんな親公認でそんな話が出てたなんて俺知りませんよ!?

 

「あははは…と、取り合えず小百合さんの所に行きませんか?」

 

目暮「そ、そうですな」

 

そして俺達は、小百合さんがいる控室に向かった。中に入ると、蘭ちゃんに園子ちゃん、そして新一がいた。

 

(あ~、そう言えば蘭ちゃん達も帝丹中だったな。俺の後輩だもんな)

 

「な、何ですかあなたいきなり!!」

 

園子「蘭!やっつけちゃってよこんなゴリラ!!」

 

飛翔「はいはい、蘭ちゃんストップストップ」

 

俺は蘭ちゃんと松本警視の間に入る。

 

蘭「えっ?な、何で飛翔さんが?」

 

目暮「あれ?蘭君じゃないか!」

 

蘭「め、目暮警部まで」

 

園子「どういうこと?」

 

飛翔「実はね、俺は昔から小百合さんとの家族と付き合いがあってね。結婚式の招待状を貰ったんだよ。んで、後ろにいる人は小百合さんのお父さんで目暮警部の上司である【松本清長警視庁・警視】だよ」

 

そう教えると、蘭ちゃんと園子ちゃんは慌てて松本警視に謝る。

 

「「さ、先程は失礼しました!!」」

 

小百合「いいのよ、毛利さん、鈴木さん!こんな怖い顔してる父さんが悪いんだから…」

 

松本「毛利?」

 

飛翔「松本さん、元目暮警部の部下の小五郎さんですよ」

 

松本「おお、君か!世間で名探偵ともてはやされとる、毛利小五郎の娘さんというのは…」

 

蘭「は、はい…」

 

松本「君の父上が手柄を挙げる度に、肩身の狭い思いをしとるよ…どうしてあんな有能な人物を捜査一課から出したと、上の者から責められてな…」

 

蘭「そ、そんな…」

 

松本警視にそう言われ照れる蘭ちゃん。それと一緒にコナンの姿の新一も照れている。

 

(いやいや、お前まで照れたらおかしいだろ!見ろ!園子ちゃんが不思議な顔してるぞ)

 

そして目暮警部達部下は部屋を出て行った。

 

松本「それで、あの男…本当にいいんだな?今ならまだ飛翔君がお前を引き受けてくれるんだぞ!あれだけ好きだと言ってたじゃないか!!」

 

小百合「ちょっ!父さん!!」

 

その言葉に小百合さんは顔を赤くする。で、それと同時に、俺の両肩に手が置かれる。振り返ると蘭ちゃんと園子ちゃんがニコニコと笑っていた。

 

園子「飛翔さん」

 

蘭「どういうことですか?」

 

飛翔「いや…その…」

 

蘭「それ以前に、松本先生と随分と仲がいいですね」

 

園子「ホントにね」

 

2人の顔がどんどん近づいてくる。この顔…シャロンの時と同じだ!!

 

小百合「あら?毛利さんと鈴木さんも飛翔君の事が好きなのね」

 

小百合さんがそう言うと、2人は先程とは違い顔が茹蛸みたいに真っ赤になっていた。

 

小百合「正直…今でも飛翔君の事が好きよ。けど、流石にここまでしたからには、相手にも悪いし、そもそも一度は私が諦めてあの人を父さんに紹介したんだもんね」

 

松本「…そうか」

 

小百合「ところで、娘の姿を見て何か言う事はないの?」

 

松本「ああ…奇麗になったよ。死んだ母さんには負けるがな」

 

そう言い残して、松本警視は部屋を出て行った。

 

小百合「ったく、素直に褒めないのね」

 

小百合さんは、あったかいレモンティーをストローで飲んでいた。

 

(相変わらずだな。そのレモンティー好きは)

 

昔から飲んでいたのを思い出し、俺は微笑んでいた。そして俺も控室を出ていき、式が始まるまで会場をぶらつく事にした。それから暫くして、何やら騒がしくなって話を聞くと、小百合さんが血を吐いて倒れたそうだ。俺は急いで控室に向かう。到着すると、真っ白なウェディングが血で赤く染まっていた。

 

飛翔「小百合さん!!」

 

コナン「飛翔さん」

 

飛翔「し…コナン君!!」

 

見ると新一が、小百合さんの口の中を烏龍茶で洗い流していた。

 

小百合「ゲホッ!ゴホッ!!」

 

しかし小百合さんは、咳でむせ返していた。

 

コナン「クソッ!!」

 

飛翔「それじゃダメだ!何かタンパク質のような物じゃなきゃ」

 

コナン「そうだ!さっき蘭が買ってきた物の中に牛乳が!!」

 

飛翔「それだ!!」

 

俺はそれを受け取り、口の中をゆすぐように小百合さんの口の中に牛乳を流し込む。そしてようやく到着した救急車で病院に運ばれていった。小百合さんが搬送された後の控室には警察に鑑識、そして小百合さんと話した関係者が集まっていた。

 

鑑識「目暮警部!!レモンティーに混入されてたのは、苛性ソーダだと思われます…」

 

目暮「じゃあ彼女はそれを飲んで?」

 

松本「で?どうなんだ娘の容体は?」

 

目暮「松本警視…き、救急隊員の話ですと、まだ微かに息はあるものの出血が酷く、毒を飲んでからの時間が経ちすぎているため、病院までもつかどうかと…」

 

松本「…そうか…」

 

園子「そ…」

 

蘭「そんな…」

 

飛翔「……」

 

すると、救急隊員が部屋にやって来た。

 

「誰か一緒に乗って行かれる方は!?」

 

高杉「ボ、ボクが!!」

 

「「私達も!!」」

 

松本「待て!!お前らはここから出てはならん!!小百合に毒を飲ませた犯人かもしれんからな!!さあ、早く行かんか!!!」

 

「は、はい」

 

そして救急隊員の人は部屋を出て行こうとする。

 

飛翔「すみません」

 

俺はそれを止める。

 

飛翔「普通の病院では治療が間に合いません。ここからならこの場所に向かって下さい」

 

俺はそう言うと、隊員にある物を手渡した。

 

「こ、これって!!?」

 

飛翔「事情はこちらから説明しておきます。急いでください!!」

 

「わ、わかりました!!」

 

そして隊員は出て行った。

 

松本「飛翔君、何を渡したのかね?」

 

飛翔「ええ。ここから近い病院でも一時間半はかかります。ですので、私の知り合いですので、現総理等が使われる最新医療の病院に案内したんですよ。その時に必要な俺のICカードを渡したんです」

 

『!!?』

 

その言葉に全員が固まった。俺はそれを無視して、ある人に連絡する。

 

飛翔「もしもし。すみませんお忙しい時に。実は私の知り合いが誰かに毒を飲まされて危険なんです。ですので、すみませんが、総理が使われる最新医療の病院を紹介したんです。はい…はい…ではお願いします。ええ、今度はこちらがご馳走させて下さい。それでは」

 

そして俺は電話を切ったのだった。



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6話

かなり遅くなりましたが、令和になってからの初投稿。新しい元号になり自分も新しくなりたい。そう思う今日この頃ですw


小百合さんが救急車で運ばれたのを見送った後、新郎の高杉俊彦が松本警視に叫ぶ。

 

高杉「い、今は犯人どころじゃないでしょ!?貴方も父親なら、娘さんの側についていたいとは思わないんですか?」

 

松本「フン…ワシは、父親である前に警察官だ…事件の真相を究明する義務がある…それに我々が行ったからといって、娘が助かる訳でもあるまい…」

 

松本さん、確かにその通りだが…

 

松本「それとも。現場から離れなければならんワケでもあるのかね、婿殿…?」

 

高杉「な!?」

 

梅宮「そういえば、先生の部屋に最後に行かれたのは、貴方でしたよね…?」

 

高杉「そ、それは…」

 

竹中「俊彦…まさかあなた…」

 

高杉「ち、違う!ボクじゃない!!ボクは小百合に毒なんて…」

 

周りから犯人扱いされ慌てる高杉。そりゃそうだよな。誰だって自分が犯人扱いされちゃ焦るわな。

 

コナン「あれ?レモンティーの中に、何か浮いてるよ…ホラ、ストローの側に」

 

「こ、これは…」

 

新一に言われ、鑑識はストローの側にあった物を拾い上げる。

 

鑑識「カプセル!?」

 

『!!?』

 

そう聞いた瞬間、全員が驚きの表情になる。

 

飛翔(ん?今一瞬だが、呼吸音が変わった気が…)

 

カプセルを見た瞬間、誰かの呼吸音が一瞬だが変わった。だが、ほんの一瞬だったから誰だったか分からない。

 

目暮「そうか!犯人はこのカプセルの中に苛性ソーダを入れ、レモンティーに放り込んだ…そうすれば、毒が溶けだすまでに時間がかかり、犯行時刻が特定できなくなる…つまり、花嫁の部屋に出入りした君達七人なら、誰でも花嫁のレモンティーに毒を入れる事ができたというわけだ!!!」

 

飛翔「目暮さん、七人ってもしかしてコナン君も入ってます?」

 

目暮「あっ…」

 

おいおい…

 

目暮「お、おっほん!と、とにかくこのカプセルを鑑識にまわせ!」

 

高杉「あの…ボクもまだ容疑者なんですか?」

 

目暮「もちろんだ!!お湯なら1分足らずで溶けてしまうカプセルもありますからな。そう…カプセルの一部がまだ残っていたのは、紅茶がこぼれて冷めてしまい、溶ける速度がおちたから。犯人はそれを計算に入れてなかったんだよ…」

 

コナン「ねえ…この人は数に入らないの?」

 

新一が松本さんを指さしながら言う。

 

コナン「このオジサンだって、花嫁さんの部屋に来たと思うけど…」

 

目暮「おいおい…ま、まさか警視が自分の娘を…そんな…」

 

飛翔「いえ目暮さん。いくら貴方の上司であり警察官であるからといって、自分達と同じ様にこの部屋に来て、あのレモンティーの缶に触ったのなら同じ犯人扱いになると思いますが?」

 

松本「目暮、その子や飛翔君の言う通りだ。ワシも容疑者の1人にかわりはない…だが目暮、どうやって犯人(ホシ)を割り出す?」

 

目暮「そ、そうですね…犯人が毒を入れるところを誰か見てればいいんですが…君達は見とらんのかね?ずっと花嫁の側にいたんだろ?」

 

園子「さぁ…そんな目で見てませんでしたから」

 

蘭「あ!そういえば私達、ビデオ撮ってました!」

 

目暮「なに!?」

 

そういえば、蘭ちゃん達はカメラ係だったな。

 

園子「そっか~。置きっぱなしでこの部屋出てきちゃったっけ?」

 

目暮「も、もしかしたらこれに犯人が映っているかも…よ~し!ただちにビデオデッキとモニターを用意しろ!!」

 

警察「ハッ!!」

 

そして俺達の部屋に、ビデオデッキとモニターが用意され、蘭ちゃんのカメラを繋いでテープを確認する。

 

松本「う~む…毒を入れる所は映っとらんようだな…」

 

飛翔「みたいですね」

 

コナン「でもこれで、皆が花嫁さんに会った時間は分かるんじゃない?」

 

目暮「そ、そうだな…」

 

飛翔「ん~…小百合さんの友人の竹中さんが会った時間は、小百合さんが倒れる24分~21分前…松本さんが17分~14分前、小百合さんの教え子の梅宮君が10分~8分前、花婿の高杉さんが4分~1分前」

 

目暮「で、君らが3人は30分前から花嫁と一緒にいて、蘭君と園子君が7分前に一度抜け出し、2分前に戻って来たというわけだが…」

 

松本「この時点で、娘の缶に触れていない飛翔君は、容疑者から外れる訳だな」

 

目暮「そうですな」

 

俺は小百合さんの缶に触れていない為、容疑者から外された。勿論新一や蘭ちゃん、園子ちゃんもだ。

 

目暮「ビデオを見る限り、殆どの者が一度は問題の缶に触れておる…」

 

松本「つまり、誰にでも毒を入れるチャンスはあったわけだな…どうやら容疑者全員の指紋をとり、徹底的にこのビデオを調べる必要がありそうだな」

 

それから数時間後、松本さんと目暮さんは、未だに蘭ちゃん達が撮ったビデオを確認している。

 

コナン「まだ見てるよあのおっさん達…」

 

飛翔「けど仕方ないよ。松本さんは、自分の大切な娘なんだしさ」

 

すると、新一は小百合さんの鞄を持ってる鑑識の人に声をかける。

 

コナン「あれ?それ先生の荷物?」

 

鑑識「ああ…一応鑑識で調べるんだ…」

 

コナン「ねぇ…その中に乾燥剤とかなかった?」

 

鑑識「乾燥剤?そんな物なかったよ」

 

コナン「ふ~ん」

 

いや新一、その姿でそんな事言っても意味ないぞ。

 

飛翔「おい新一、お前相変わらず自分の立場を分かってないな」

 

コナン「えっ?」

 

飛翔「その姿であんな話してみろ、万が一蘭ちゃん達に話伝わったらどうするんだ?以前にも言っただろ、探偵業もいいが、その興味本でお前がそんな姿になったのを忘れた訳じゃねぇだろが」

 

コナン「……」

 

飛翔「フォローするとは言ったが、お前自身から正体をバラしたらフォローはしないからな。よく覚えとけ」

 

コナン「…すみませんでした」

 

全く…それだから変な組織に変な薬飲まされるんだよ。

 

園&蘭「「あの…先生が運ばれた病院から、まだ連絡はないんですか?」」

 

警察「いや…まだありませんが」

 

園子「ま、まさか先生もう…」

 

蘭「え、縁起でもない事言わないでよ…」

 

飛翔「そうだよ園子ちゃん」

 

俺は不安がってる蘭ちゃんと園子ちゃんに話しかける。

 

飛翔「小百合さんが運ばれたのは、日本の医療技術が最先端の病院だよ。それに、園子ちゃん達が小百合さんの事を信じてあげないとどうするの?」

 

蘭「飛翔さん…」

 

園子「そう…ですよね」

 

「うん。それに、終わり次第俺の携帯にも連絡が来るよ。多分警察の方よりも早くね」

 

「警部!!鑑識の結果が出ました!!」

 

目暮「おお、早いな!!」

 

「まずカプセルですが…これをレモンティーに入れたと仮定すると、溶けて中身が出るまでに15~16分かかる物だそうです」

 

目暮「15~16分…と言う事は犯人は、花嫁が倒れる15~16分前に会った人物…た、確かそれは…まっ、松本警視!?」

 

松本「おいおい、よく考えろ…分かったのは16分以前に毒が入れられたという事だけだ。毒が溶けてすぐ、小百合が飲んだわけじゃあるまいし…」

 

梅宮「フフフ…でもこれで、ボクと花婿さんの疑いは晴れた訳だ。ボク達が先生に会ったのは、倒れる10分前ですからね…」

 

鑑識「あの~、毒の入っていた缶の事で、妙な点があるんですが…」

 

目暮「妙な点?」

 

鑑識「つ、ついてないんですよ。警視の指紋がどこにも…」

 

「「!?」」

 

その言葉に、俺と新一は驚く。おかしい…俺は松本さんと一緒に来たが、普通に小百合さんが飲んでた缶に触っていた。それなのに指紋がないだと?

 

松本「バカモノ!何を言っとるんだ!?ワシはこの通り…ちゃんと問題の缶を握っとるわ!!貴様!!こんなくだらん事で、ワシに疑いをかける気か!?」

 

目暮「ちゃんと調べたのかね?」

 

「はあ…」

 

俺と新一は、もう一度ビデオを見ることにする。

 

飛翔「しかしおかしいね。松本さんが小百合さんの飲んでた缶を持っているのに、指紋がついていないなんてさ」

 

コナン「はい…ん?」

 

新一は何かに気づいたのか、何度もビデオを巻き戻している。

 

「警部!!こんな物を発見しました!!」

 

目暮「ガラスのビン?中に入っているのは乾燥剤みたいだな…」

 

コナン(乾燥剤!?)

 

目暮「間違いない!これは、犯人が苛性ソーダを入れていた容器だ!!あの薬は水に弱いからな!!」

 

コナン「ねぇ、それどこから見つけたの?まさか、この部屋の…」

 

「廊下に置いてあるゴミ箱からだよ…」

 

コナン「ろ、廊下…じゃ、この部屋の窓の外なんかじゃないんだね?」

 

「あ、ああ…」

 

そういうと、新一は顔を下にする。

 

飛翔「新一、犯人が分かったのか?」

 

コナン「はい。後は誰を探偵役にするか…」

 

飛翔「俺が引き受ける。はっきり言って、俺も小百合さんをあんな目に合わせた奴を許せない」

 

コナン「…分かりました。お願いします」

 

飛翔「了解。俺は口パクで話すから後は頼むよ」

 

さて、いったい誰が小百合さんのドレスを血まみれにした奴だ?

 

飛翔「さて、そろそろこのくだらない事件を終わらせましょうか」

 

『!?』

 

目暮「ひ、飛翔君?」

 

飛翔「小百合さんのいた、この部屋に出入りしたのは8人!そして先生が倒れる前にその8人が部屋にいた時間は、さっき目暮さんが言った通り…つまり、小百合さんのレモンティーに毒を入れる事ができたのはこの8人…」

 

目暮「容疑者は5人だよ…レモンティーの中から、毒と一緒にカプセルが見つかっとるんだぞ!!しかもあのカプセルは、溶けて中身が出るまでに15分はかかる。つまり犯人は、被害者が倒れる15分前以前に、毒入りカプセルをレモンティーに入れたという事だ!だから、10分前以降に被害者に会いに来た、梅宮君と高杉さんは容疑者から外されると思うがね?」

 

飛翔「確かにそうです。ですが、もし毒が本当に…あのカプセルに入ってたとしたらですが」

 

目暮「な、なに!?」

 

飛翔「分かっているのは、毒が混入されたレモンティーにカプセルが浮いてたという事だけ。毒がカプセルの中に入っていたとはかぎらない」

 

目暮「じゃあ、まさか犯人は…」

 

飛翔「ええ。毒と溶けかけのカプセルを別々にレモンティーに入れたんです。自分達にそれを毒入りのカプセルだと思い込ませ、毒を入れた時間を小百合さんが倒れた15分前以前に錯覚させるために!」

 

なるほど。確かにそれだと、後半の梅宮や高杉にも犯行は可能になるな。

 

目暮「そ、それが本当なら、君達にも犯行は可能だったという事か…」

 

梅宮「待って下さいよ!その人が言ってるのはただの推理…本当に毒入りのカプセルだったかもしれないでしょ?」

 

飛翔「証拠ならありますよ」

 

梅宮「え?」

 

飛翔「犯人がそのトリックを使った証拠なら、蘭ちゃんが撮ってたビデオにちゃんと映ってますよ」

 

「「ビ、ビデオに!?」」

 

すると新一は、俺の後ろからリモコンで操作を始める。

 

蘭『いっけな~い!ビデオの電池切れかかってる…』

 

園子『ウソ~ッ!!私達ちょっと電池買って来ます!!』

 

目暮「こ、これのどこが?」

 

飛翔「よく見て下さい。最初と最後の缶のラベルを…」

 

目暮「ん~?…!?ラ、ラベルの向きが変わってる!?し、しかしどうして…?」

 

飛翔「蘭ちゃん、この時園子ちゃんが飲んでたレモンティーをどこに置いたか覚えてるかな?」

 

蘭「はい…確かあの時園子は…テーブルの上に…え?」

 

飛翔「思い出したみたいだね」

 

園子「この缶、もしかして私の…」

 

蘭ちゃんと園子ちゃんも気づいたみたいだね。

 

飛翔「そう!一つに見えるのは、二本の缶が重なっていたから…そしてあの後、小百合さんは手前にある園子ちゃんの缶を…」

 

「「あ!」」

 

飛翔「そう…小百合さんは偶然取ってしまった。自分の缶と園子ちゃんの缶を間違えてね。その証拠に、その前に小百合さんの缶に触っていたはずの松本さんと梅宮さんの指紋は、毒の入ってた缶にはついていなかった…多分園子ちゃんの指紋は沢山付着してるはずですが…」

 

目暮「本当か!?」

 

鑑識「は、はい。その人の言う通りです」

 

飛翔「つまり、小百合さんが飲んだ毒入りのレモンティーは、小百合さんが倒れる7分前まで園子ちゃんが持っていたという事です!!」

 

なるほど。だから入れ替わる前まで触ってた松本さんの指紋がなかったのか。

 

飛翔「園子ちゃんが持ってたんですから、他人に毒を入れられるわけがない。そうするとあの缶に、あらかじめ毒を入れられたのは園子ちゃんだけ…でもあの缶は、小百合さんが偶然取り違えた物…それに直接小百合さんの缶に入れずに、わざわざ自分の指紋がたくさん付いた缶に、毒を入れるなんて事はしません」

 

目暮「なるほど。予め園子君の缶に毒を入れておくのは考えられんという事か!」

 

飛翔「はい。つまり、小百合さんは間違えて園子ちゃんの缶を取ってから倒れるまでの数分間に、毒と溶けかけのカプセルを別々に入れてたってわけです。その数分間に小百合さんの側にいたのは、コナン君と4分前に来た高杉さんと、2分前に戻って来た園子ちゃんと蘭ちゃんの4人!もちろん子供であるコナン君は問題外です。そして園子ちゃんと蘭ちゃんが戻って来た時、その缶は高杉さんが持っていて、彼が直接小百合さんに渡してたから、園子ちゃんと蘭ちゃんが毒を入れるのは不可能…」

 

目暮「じゃあ残るは彼だけ…」

 

飛翔「いえ、もう1人います。誰にも気づかれずに毒を入れられる人物…それは小百合さん本人です(嘘だろ!!?)」

 

目暮「じ、自殺か!?」

 

小百合さんが、自ら毒を飲んだのか!?

 

飛翔「そうだとすると、溶けかけのカプセルは誰かに罪をきせるために入れたと考えられる。でも、小百合さんが自殺するために毒を入れたなら、倒れる直前に入れたはずです。当然、毒はすぐ溶ける錠剤のままレモンティーに入れられた事になる。となると、なくてはならない物があります」

 

目暮「み、密閉できる容器と乾燥剤か!?」

 

なるほど。あの見つかった容器に毒を入れてたって訳か。

 

目暮「し、しかしその容器が発見されたのは廊下のゴミ箱の中だったはず…」

 

飛翔「そう…容器がこの部屋でも窓の外でもなく、廊下のゴミ箱の中にあったという事は、小百合さん以外の何者かが、この部屋に毒を持ち込んだという証拠。つまり…あのレモンティーに毒を入れる事ができたのは…高杉さん、貴方しかいません!!」

 

竹中「と、俊彦…あんた…」

 

松本「き、貴様…よくもワシの娘を…」

 

松本さんは我慢ができなかったのか、高杉の胸倉を掴む。

 

松本「言え!何故だ!?何故娘をあんな目に!!?」

 

飛翔「松本さん!落ち着いてください!!」

 

俺は松本さんを高杉から引きはがす。

 

高杉「……フッ…あんたにも味わわせてやりたかったんだよ…」

 

松本「なに?」

 

すると高杉が話し出す。

 

高杉「20年前に俺が味わった思いをなぁ!!!!!」

 

目暮「に、20年前?」

 

高杉「てめぇが覚えてる訳ね~よな!ただの事故で片づけられちまったからよ!」

 

高杉は言う。なんでも20年前に当時地元を騒がせてた犯人を追いかけてた松本さん。だが、犯人が運転する車が高杉の母親を引き、それを松本さんが気づかずに犯人を追いかけてしまったそうだ。

 

松本「だ、だったら…どうして…どうしてワシを殺さなかったんだ!?

 

高杉「フン…てめーが死んだら味わえねぇだろ?大切な人を失った…あの悲しい思いはよぉ…」

 

その言葉に、誰も何も言えなかった。

 

高杉「ラッキーだったぜ一美…俺の女だったお前が、小百合の友達だったんだからな…しかし、あいつもバカな女だ…俺が復讐の為に近づいたとも知らないで。プロポーズの時は少し渋られたがな。どうせ高杉家の財産に…目がくらんだ…ぐげっ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パリーン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『!?』

 

そこまで言いかけた高杉が、突然窓の方に吹き飛び窓を割って外に飛び出た。

 

飛翔「……」

 

全員が俺の方を見る。

 

飛翔「…さっきから黙って聞いてりゃ、グダグダグダグダ耳に触る事を言いやがって」

 

俺はゆっくりと吹き飛んだ高杉の方に歩いていく。

 

蘭「ひ、飛翔さん…」

 

飛翔「小百合さんが高杉家の財産に目がくらんだ?ふざけんじゃねぇぞ!!!!

 

高杉「うっ…ぐっ…」

 

俺は未だに痛みでうずくまってる高杉の髪を掴み上げる。

 

飛翔「小百合さんがそんなのに目がくらむはずねぇだろうが!舐めてんのか!!あぁっ!!」

 

俺は再び高杉を殴る。

 

高杉「うげっ!ぐげっ!た…助けて…」

 

飛翔「オイコラ!誰が寝ていいって言った?まだ寝るにははえぇぞオイ!」

 

松本「そこまでだ飛翔君!!」

 

すると松本さんと目暮さん、蘭ちゃん、園子ちゃんが俺を抑える。

 

目暮「相手も十分反省している!これ以上手を出すと、君を捕まえなければならん!!」

 

松本「そうだ!ワシならもう十分だ!だからこれ以上は君の立場が悪くなる!!」

 

蘭「そ、そうですよ飛翔さん!これ以上はダメです」

 

園子「落ち着いてください!!」

 

飛翔「……」

 

俺はようやく落ち着き、掴んでた高杉の髪の毛を離す。

 

飛翔「…すみません松本さん。目暮さんや蘭ちゃん達にも迷惑をかけて」

 

目暮「ふぅ…なんとか落ち着いてくれてよかった」

 

松本「ホントだな」

 

飛翔「すみません」

 

すると、俺の携帯に連絡が入る。

 

飛翔「すみません…もしもし?はい…はい…無事成功ですか!ありがとうございます!!」

 

俺は電話を切り、松本さん達の方に振り向く。

 

飛翔「松本さん!小百合さんの手術…無事に成功しました!!」

 

蘭「そ、それじゃあ先生は…」

 

飛翔「暫くは入院が必要だけど、一命はとりとめたよ」

 

『やったあああああああ!!!!!!!』

 

小百合さんの無事を確認して、全員が喜びに沸いた。こうして、結婚式場で起きた事件は幕を閉じたのだった。2か月後、小百合さんは無事に退院した。

 

園子「よかったですね。意外と早く退院できて」

 

小百合「誰か側にいた人が、応急手当てしてくれたおかげだそうよ」

 

コナン「それは飛翔兄ちゃんのおかげだよ」

 

小百合「そうなの?」

 

飛翔「え、ええ」

 

小百合「そうだったの…ありがとう!飛翔君!!」

 

そう言うと、小百合さんは俺の腕に抱き着いてきた。

 

園子「ちょっ!?」

 

蘭「せ、先生!?」

 

小百合「やっぱり、私の旦那さんは飛翔君しかいないわ。結婚も破談になったし、これからはアピールしていくわよ♪」

 

「「……」」

 

小百合さんがそう言うと、蘭ちゃんと園子ちゃんちゃんの機嫌が悪くなる。後ろに阿修羅とかが見えるのは気のせいか…

 

コナン「ぼ、ボク学校に急ぐね」

 

すると新一はこの状況から逃げて行った。あいつ!?

 

蘭「せ、先生…いくら飛翔さんが命の恩人でも、流石にそれは近すぎませんか?」

 

小百合「あら?そんな事ないわよ」

 

園子「そ、それに飛翔さんのお嫁さんは私なんですから!!」

 

蘭「ちょっと!園子も抜け駆けしないでよ!!」

 

小百合「フフッ…私もう我慢しないからね。毛利さん、鈴木さん、手加減しないわよ」

 

蘭「…負けません!」

 

園子「私だって!!」

 

いつの間にか、右に小百合さん、左に蘭ちゃん、背中に園子ちゃんが抱き着いていた。そして、3人の睨み合いは俺を挟んで行われており、ついでに周りの男連中から嫉妬というなの殺気が俺に降り注ぐのだった。

 

飛翔「…勘弁してくれぇ」



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7話

飛翔「いい天気だなぁ」

 

俺は久々に1人で出かけている。いつもはシャロンが一緒にいるんだが、アイツにも休暇をやらないといけないしな。でないと、完全にブラック企業になるし。

 

飛翔「けど、逆に休暇を出すと泣きそうな顔をするのは止めてほしいがな」

 

そんな事を思いながら歩いてると…

 

「は、離して下さい!!」

 

「なんだよ!少しくらいいいじゃねぇかよ」

 

「そうだぜ。こんな所を君みたいな女が1人で歩いてちゃ、悪い連中に絡まれちゃうよ♪」

 

いや、お前らの方が十分悪い連中にしか見えないんだが?

 

「だからさ、俺達が一緒に行ってやるからよ」

 

「だ、だから、結構です」

 

やれやれ…見たからには放っておけないし助けるか。

 

「ああもう!めんどくせぇ!!さっさと来いって言ってんだよ!!」

 

飛翔「はいはい。お兄さん達そこまでにしましょうよ」

 

「ああっ?なんだテメェは」

 

「た、助けて下さい!!」

 

飛翔「通りすがりの通行人Aですよ。ところで見た感じ、お兄さん達がこの女性を無理やりどこかに連れて行こうとしてるみたいですけど?」

 

「だったらどうだってんだ?」

 

飛翔「止めた方がいいですよ。そんな事して、後で大変な事になりませんか?」

 

俺はひとまず人前で話す口調で喋りかける。

 

「んなの知るかよ。脅しの写真でも撮っときゃ口止めなんていくらでもできんだよ。分かったらすっこんでろ!!」

 

飛翔「やれやれ…」

 

そんな台詞を堂々と言うとはな。

 

飛翔「ま、その台詞を聞けたらもう大人しくする必要もないな」

 

「はぁ?何訳分からねぇ事言って…ぶへっ!!?」

 

俺は男を殴り飛ばす。それを見たもう1人の男と女は驚く。

 

「て、てめぇ!!」

 

そしてもう1人の男も俺に殴りかかって来るが、簡単に避け腹に蹴りを入れる。

 

「ぐえっ!!!」

 

飛翔「いい加減にしな。これ以上戦るってんなら…」

 

「「す、すみませんでしたぁ!!!」」

 

男達はそのまま走り去った。

 

飛翔「ったく、ビビんなら最初からするなっての」

 

「あ、あの…」

 

おっと、こっちの事すっかり忘れてた。

 

飛翔「大丈夫ですか?」

 

「は、はい。危ない所をありがとうございます」

 

飛翔「いえいえ…ん?」

 

この女、どこかで見た気が…

 

「あの…何か?」

 

飛翔「う~ん…」

 

…思い出した!!アイドルの沖野ヨーコだ!

 

飛翔「もし間違っていたらすみませんが、貴方はアイドルの沖野ヨーコさんですか?」

 

「!!」

 

飛翔「ああ、安心して下さい。別に追っかけとかじゃありませんから」

 

「そ、そうですか」

 

飛翔「しかし、アイドルの貴方が何故こんな住宅街に?」

 

ヨーコ「実はこの先にある神社で、ドラマの撮影があるんです」

 

あ~それでか。

 

飛翔「ですが、普通アイドルや俳優、女優の方達は車で目的地の近くまで行くのでは?」

 

ヨーコ「それは私が無理を言って、途中で降ろしてもらったんです」

 

飛翔「マネージャーも付けずにですか?」

 

ヨーコ「マネージャーとはぐれちゃいまして。目的地は知ってたのでそこに向かってたんですが…」

 

飛翔「その途中であの連中に絡まれたと」

 

ヨーコ「はい…」

 

やれやれ。このまま1人で行かせるのも不安だし、その神社まで送ってってやるか。

 

飛翔「よかったらですが、自分がその神社まで送りましょうか?」

 

ヨーコ「そ、そんな…悪いですよ」

 

飛翔「けど、ここで別れてもまたさっきみたいな連中がいないとも限りませんよ?」

 

ヨーコ「うっ…」

 

そう言われ気まずそうになる沖野ヨーコ。

 

ヨーコ「じゃ、じゃあお願いしてもいいですか?」

 

飛翔「ええ、任せて下さい」

 

そして俺は、沖野ヨーコのボディーガードを兼ねて、神社までの道を案内するのであった。到着すると、既に撮影のスタッフや他の役者達が集まっていた。

 

「ヨーコちゃん!!!」

 

ヨーコ「マネージャーさん!!」

 

マネージャー「よかった…携帯も繋がらないし」

 

ヨーコ「あっ…すみません。携帯持って行くの忘れてました」

 

マネージャー「よ、ヨーコちゃん…」

 

流石にそれを聞いてマネージャーは呆れていた。

 

マネージャー「ところでヨーコちゃん、そちらの人は?」

 

ヨーコ「あ!こちらの方は…」

 

飛翔「初めまして。自分は高橋飛翔といいます」

 

ヨーコ「高橋さん、本当にありがとうございました」

 

マネージャー「何かあったの?」

 

飛翔「いえ、沖野さんがここまでの道が分からなかったみたいですので、送っただけですよ」

 

流石に襲われかけた事は黙ってた方がいいだろう。俺は沖野にウインクしてその旨を伝える。

 

マネージャー「そうでしたか。本当にありがとうございます」

 

ヨーコ「高橋さん、よかったら撮影見ていかれませんか?」

 

飛翔「いいんですか?」

 

ヨーコ「はい。今日は特別ゲストも来られますので」

 

飛翔「でしたら、お言葉に甘えさせていただきます」

 

こうして俺は、沖野の誘いでドラマの撮影現場にお邪魔した。んで、特別ゲストというのがまさかの小五郎さんだった。当然俺を見た新一や蘭ちゃんは驚いていたがな。撮影は順調に進む。

 

「カット!よ~し!このシーンOKだ。ヨーコ、いい芝居だったぞ」

 

権藤武敏監督の言葉を聞いて、マネージャーはホッと息を吐き小五郎さんは大きく拍手をしていた。

 

蘭「ドラマの撮影って面白いね」

 

コナン「うん」

 

飛翔「一般人がこんな近くで見る機会は滅多にないからな」

 

俺達はそんな話をする。

 

ヨーコ「ふぅ…ありがとうございました」

 

「この二枚目スター、那智真吾の演技にミスなんてあるものか」

 

小五郎「ヨーコちゃ~ん!お疲れ様~」

 

小五郎さんは勢いよくタオルを持って沖野の所に行く。小五郎さん、少し引いてるぞ…今度は権藤監督に褒められ更に天狗になる。隣を見ると、新一はマッチ棒パズルをしていた。

 

那智「こら!勝手に触るんじゃない」

 

蘭「すいません那智さん。私がちゃんと注意してなかったんで」

 

那智「おっ…ま、まぁ可愛い君に免じて許してあげるよ」

 

蘭「ありがとうございます」

 

二枚目俳優ねぇ…こりゃ女好きだな。

 

蘭「那智さんって、マッチ棒パズルが趣味なんですか?」

 

那智「まぁね。俺みたいな二枚目は、趣味も知的なのさ」

 

((ああ、そうですか))

 

自分で言ってりゃ世話ないっての。

 

「那智さん、お疲れさまでした。タオルをどうぞ」

 

那智「おお、サンキュー。ねぇ君、今夜食事に付き合わない?」

 

タオルを受け取りながらそう言う那智。お前数秒前まで蘭ちゃん見てなかったか?まぁいいけど。

 

「あ、いえ…」

 

権藤「ダメだよ。妙子は来月コイツと結婚するんだから。なぁ島崎」

 

島崎「え、えぇ…まぁ」

 

蘭「そうなんですか?おめでとうございます!」

 

妙子「ありがとう」

 

結婚か。俺もいつかするのかな…

 

「結婚なんて、する前が花だよな。甘~い夢だけ見てられるもんな」

 

島崎「なんだと!」

 

島崎はそう言った男に詰め寄るが、彼女が前に入る。

 

妙子「裕二さん止めて」

 

島崎「あいついつも嫌味な事ばかり言いやがって」

 

「一般論だよ。そう怒るなよ」

 

『ウへへへへへ!あひゃひゃひゃひゃひゃ!』

 

すると突然不気味な声が聞こえた。

 

「腕時計のアラームだよ。面白い音だろ?先月アメリカに行った時に買ってきたんだよ」

 

『……』

 

男はそう言うが、俺達は白けていた。そして撮影現場の後片付けが始まった。

 

コナン「ねぇ蘭姉ちゃん、友達から那智真吾のサイン頼まれてたんじゃないの?」

 

蘭「忘れてた!那智さんは?」

 

コナン「とっくに着替えに行っちゃったよ」

 

蘭「いっけない!」

 

すると蘭は新一の手を掴んで那智を探しに行った。やれやれ。そして撮影スタッフは今夜泊まる旅館に到着する。

 

権藤「毛利さん、私らは今夜この旅館に泊まるんですがね、宿泊費は持ちますんでどうですか?ひと風呂浴びて一杯♪」

 

小五郎「おぉ!いいですな♪」

 

蘭「お父さんたらもう…」

 

島崎「蘭さんや高橋さん、コナン君も一緒にどうぞ」

 

蘭「あ、はい」

 

那智「ダッセ~旅館」

 

すると那智が旅館を見てそう言う。

 

那智「俺みたいな二枚目が、こんな所に泊まれるかよ」

 

((一々二枚目二枚目って煩い奴だな))

 

那智「俺は帝探ホテルに泊まるよ」

 

そして那智は行ってしまった。そして俺達は旅館に入り温泉に入りお広間に集まる。

 

権藤「さぁ毛利さん、ググっと!」

 

蘭「飛翔さん、どうぞ」

 

飛翔「ありがとう蘭ちゃん」

 

俺は蘭ちゃんにビールを注がれる。

 

ヨーコ「飛翔さん、どうぞ」

 

空になると隣の沖野…ヨーコに注がれる。何故ヨーコと呼んだかと言うと、本人からそう呼んでほしいと言われたからだ。んでお開きになり部屋でゆっくりする。俺は小五郎さんと同じ部屋…なんだが、いびきがうるさい。

 

「寝れるか俺…」

 

すると部屋の戸がノックされる。出ると新一に蘭ちゃん、そしてヨーコがいた。

 

飛翔「三人揃ってどうしたの?」

 

蘭「えっと、今から少しコンビニに行くんですけど、飛翔さんに着いて来てほしくて」

 

なるほど。確かにこの時間女性だけ出歩かせる訳にはいかないな。

 

飛翔「分かった。俺も一緒に行くよ」

 

そして俺達はコンビニに向かった。因みに新一が顔を赤くしてた理由を聞くと、蘭とヨーコの着替えを見たらしく、羨ましく思った俺はひそかに新一にケツを抓ってやった。

 

ヨーコ「ね?大丈夫だったでしょ」

 

蘭「ホント。意外と分かんないもんですね」

 

飛翔「確かに」

 

そんな話をしていると、撮影した神社から何かが落ちてきた。上を見上げると人影が見えた。

 

ヨーコ「なに?今の人…」

 

蘭「まさか賽銭泥棒?」

 

俺達は上に上がり人影を追いかける。駆け上がると賽銭前に人が倒れている。

 

ヨーコ「誰か倒れてる!」

 

俺と新一が駆け寄ると、倒れていたのはあの悪趣味な腕時計をしてた男だった。

 

コナン「安西さん!」

 

男は安西という名前らしい。俺は安西の脈をとる。

 

飛翔「…死んでる」

 

コナン「警察に連絡して」

 

蘭「あ…あ…」

 

蘭ちゃんは現場を見てパニックしてる。

 

「「早く!!」」

 

蘭「わ、分かった」

 

どうにか落ち着き蘭は旅館に戻り警察に連絡した。



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8話

蘭ちゃんが警察に連絡して、小五郎さんも起こして全員が神社に集まっている。

 

飛翔(しかし、毎度毎度ご苦労ですね目暮さん)

 

今回もいつも通り目暮警部が来ている。

 

飛翔(俺だったら絶対に気が滅入る自信があるな)

 

というか、昔より凄い事になってるじゃねぇか新一の奴。昔から『事件が俺を呼んでいる』みたいな事言ってたがな。その当時ははいはいって感じで蘭ちゃん達と流してたけど…ここまで頻繁に起きるとなると、お前が死神にしか見えん。

 

目暮「死体を発見する前に、境内に不審な人影を見たんだね?」

 

蘭「はい。暗かったので、男か女かさえ分かりませんでしたけど」

 

目暮「それが10時半頃…つまり、犯行時刻は被害者が旅館を出た10時頃~10時半頃の間か」

 

小五郎「ふふふ…」

 

すると小五郎さんは笑い出す。

 

小五郎「警部、この事件は意外と簡単ですな」

 

目暮「なんだって?」

 

随分と自信満々だね。

 

小五郎「まず第1に、凶器のナイフがドラマ撮影に使用された物である事。第2に、狛犬といえば神社。つまり、この2点から犯人は…豆垣妙子さん、貴方だ!」

 

久作「馬鹿な!妙子が人殺しなど!」

 

小五郎「妙子さん。貴方宴会の時、1時間近く出掛けていましたな」

 

妙子「実家に探し物があったので…家は神社の裏にあります」

 

目暮「それを証明できますか?」

 

妙子「おじいちゃんは出掛けていたので、私1人でしたから…」

 

蘭「でもお父さん、妙子さんは安西さんが旅館を出るのと、入れ違いで戻って来たのよ」

 

小五郎「なんだって!?」

 

蘭ちゃんの証言で小五郎さんは驚いてる。

 

小五郎「妙子さんは戻って来てから、ずっと広間にいたよなぁ…」

 

目暮「それでは犯行は全く不可能じゃないかねぇ」

 

コナン(しっかりしてくれよな)

 

小五郎さんの言葉に、目暮さんや蘭ちゃん、それに新一は呆れていた。

 

目暮「おい、凶器から指紋は出たのか?」

 

鑑識「いえ、拭き取られた跡があります」

 

それは変だな。指紋を拭き取る事ができるなら、普通なら凶器を持ち去る筈だ。

 

目暮「皆さんの中で、10時~10時半までの間、旅館を出た人はいますか?」

 

『いや…』

 

目暮さんが、旅館に泊まっていたスタッフに尋ねる。

 

島崎「あの…俺煙草買いに行きました」

 

目暮「それはいつ頃かね?」

 

島崎「えっと…「9時45分だよ」えっ?」

 

コナン「丁度その時、時計を見たんだ」

 

新一の発言で、島崎さんの出た時間を教える。

 

目暮「で、戻って来たのは?」

 

島崎「30分後くらいです」

 

目暮「ということは10時15分…ところで那智さん」

 

目暮さんは今度は那智に話しかける。

 

目暮「貴方だけ旅館に泊まらず、帝丹ホテルに行ったそうですが?」

 

那智「あんなボロい旅館に泊まるなんて、二枚目俳優のプライドが許さなかったんでね」

 

相変わらずだなコイツ…

 

目暮「今夜10時~10時半までの間、何処にいました?」

 

那智「10時まではホテルのバーにいたなぁ。証人も大勢いるぜ」

 

目暮「その後ですよ」

 

那智「…ホテルの部屋にいたよ」

 

目暮「証人は?」

 

那智「ずっと1人だったからいないよ!」

 

そしてそれぞれの質問は終わる。さて、新一はどう動くつもりだか。

 

高木「警部!被害者の部屋からこんな物が」

 

高木刑事が写真を持って来た。

 

那智「!!?」

 

目暮「ん?これは…那智さんが女性とホテルから出てくる所ですな」

 

小五郎「あっ!この女!!女優の萩山律子!!」

 

山岸「えっ?でも彼女はもう結婚してますよ」

 

目暮「不倫の証拠写真か」

 

不倫ねぇ。俺の大嫌いなものの1つだな。

 

蘭「あっ!そういえば…」

 

小五郎「蘭、何か知っているのか?」

 

蘭「私、夕方見たわ。那智さんが安西さんに脅迫されているのを」

 

目暮「脅迫されていた!?」

 

小五郎「やっぱりお前が犯人か!」

 

那智「違うって言ってんだろ!俺が犯人なら、コマイヌってのはどういう意味なんだよ」

 

小五郎「そういうあだ名があるんじゃないのか?」

 

那智「ばっかやろ~!!!この二枚目俳優!那智真吾に!狛犬なんてブッサイクなあだ名が付く訳ないだろぉ!!!

 

小五郎さん…流石にそれは…ほら、那智もヒートアップしてるじゃない。

 

那智「大体、俺がここに来たって証拠でもあるのかよ!」

 

コナン「あれ?この字変なの。これ書き方間違ってる」

 

小五郎「あのガキまた!お前な!何度言ったら…

 

コナン「この人大人のくせに、カタカナの書き方間違えてるんだよ」

 

小五郎「書き方間違えてる?」

 

新一が言うので、俺も近くに行き確認する。

 

コナン「ほら、コっていう字はここんとこ一続きで書かないといけないのに、これは続けずに書いてるんだもん」

 

小五郎「なんだと!?」

 

新一の指摘で書かれてたメッセージを見る。

 

「そうですね。ヌの横棒も繋がっていませんね」

 

小五郎「なに!?もしかして、コの縦棒とヌの横棒は後から書き足されたのでは?」

 

そうなると、コの横棒とヌの縦棒を取ると…

 

小五郎「ニマイメ!!?」

 

そうなるよな。

 

小五郎「二枚目といえば、那智真吾!」

 

目暮「決定的証拠が出たようだな」

 

那智「ち、違う!俺じゃない…確かに俺は、10時半にここで安西と会う約束をしてたけど、俺が来た時、安西はもう死んでたんだ」

 

目暮「いい加減な事を言うな!」

 

那智「本当だよ!本当にもう死んでたんだ!慌てて逃げようとしたら、ニマイメって書いあるのが見えたから、咄嗟にマッチ棒パズルの要領で、棒を書き足したんだ!!」

 

小五郎「あんたが犯人じゃないなら、何で被害者はニマイメなんて書き残したんだ?」

 

那智「知るかよそんなの!!」

 

ん~、聞いた感じ那智が嘘を言ってるとは思えないな。

 

那智「俺じゃない…俺はやってない!」

 

小五郎「今更みっともないぜ。二枚目さんよぉ…のぉ!はやぁ~…」

 

すると小五郎さんが後ろの木に倒れるようにもたれかかる。

 

(まさか…)

 

俺は木の後ろに隠れてる新一を見る。

 

コナン(飛翔さん)

 

(…見せてもらうぞ)

 

目暮「まぁ、詳しい話は署で聞こうか」

 

小五郎『ちょっと待ったぁ!目暮警部、那智さんは犯人じゃありませんよ』

 

目暮「なんだって?」

 

小五郎『何故なら、犯行時刻は10時より前だからです』

 

目暮「そんな馬鹿な!?」

 

蘭「何言ってるのよお父さん!私達、10時頃旅館を出て行く安西さんを見てるのよ!腕時計のアラームの音だって聞いたし」

 

小五郎『警部、被害者の腕時計を見て下さい』

 

目暮「腕時計…」

 

新一に言われ、目暮さんは安西の腕時計を確認する。

 

小五郎『腕時計には血が付いていないでしょう?』

 

目暮「た、確かに!」

 

小五郎『つまり、被害者が殺された後、腕時計を死体の腕から外した人物がいるという事です』

 

目暮「腕時計を外した人物…」

 

小五郎『その人物は、犯行時刻を実際より後に思わせたかった。そこで、腕時計を旅館へ持ち帰り、被害者の部屋でアラームを鳴らす事を思いついた。しかし、戻る途中で血が垂れては困るので、時計の血を拭ってしまった』

 

ヨーコ「それでは、私達が旅館で見たのは」

 

小五郎『そう!安西さんではなかった。安西さんの部屋でアラームを鳴らしたその人物は、安西さんに成りすまして旅館を出たのです。旅館を出たその人物は、急いで境内へ戻り死体の腕に時計を戻し、帽子とベストを死体の側に置いた。そして、那智さんに罪を着せるため、ニマイメと書き残した』

 

目暮「那智さんに罪を着せたいんなら、何故那智と書かなかったのかね?その方が偽装工作としては確実だろう?」

 

確かに目暮さんの言う通りだ。

 

小五郎『那智とは書けなかったんですよ。何故なら、被害者が既に犯人を示す文字を書いていたからです』

 

目暮「犯人を示す文字!?」

 

小五郎『そうです。ニマイメとは、被害者が書いた文字に別の文字が書き足されて出来た文字です』

 

目暮「それでは、被害者が最初に書いた文字とは」

 

小五郎『それは…マメです』

 

『!!?』

 

小五郎『豆垣妙子さん。犯人は、貴方ですね』

 

久作「ばかな!妙子が!!」

 

蘭「そんな…」

 

ヨーコ「でも毛利さん!妙子さんは、安西さんに変装した人物が旅館から出て行くのと入れ違いに戻って来てるんですよ」

 

島崎「俺だよ!俺が安西を殺したんだ!偽装工作をしたのも俺だ!マメなんて文字は書いてなかった!!」

 

小五郎『島崎さん、偽装工作をしたのは確かにあんただが、犯人ではありえない。死体の周りには、酷く血が飛び散ってるでしょう。犯人もかなりの返り血を浴びたはずです。しかし、あんたの服には一滴の血も付いてはいない。血を浴びた服を着替え、体に付いた血を洗い流す時間があったのは…妙子さんだけなんですよ』

 

島崎「違う!俺が殺したんだ!!」

 

妙子「裕二さん…もういいわ」

 

島崎「妙子!」

 

妙子「毛利さんの仰る通りです。私が安西を殺しました」

 

蘭「た、妙子さん…」

 

ヨーコ「そ、そんな…」

 

「……」

 

蘭ちゃんやヨーコがショックを受けている。

 

目暮「貴方、島崎さんが偽装工作を行っている事を知らなかったのかね?」

 

妙子「はい。ですから、旅館の入り口で安西を見た時は、本当にびっくりして…」

 

蘭「でも妙子さん!どうして…」

 

「それはね蘭ちゃん、多分だけど妙子さん、貴方も安西さんに強請られていたんじゃないですか?」

 

妙子「…はい。私、高校の頃、両親を事故で亡くして少しグレていた時期がありまして…」

 

妙子さんは、昔の事を話し出す。なるほど、安西とは高校時代の付き合いだったのか。

 

妙子「裕二さんと結婚して、幸せな家庭を築けると思っていた!」

 

「そして、安西さんに脅迫されたんですね」

 

妙子「はい。あの事件は私も共犯だ。杉山さんが自殺した原因は私にもあるんだって…何度も。今夜9時半頃、ここで安西とお金を渡す約束でした。でも、私はナイフを持って行って逆に安西を脅したんです。ですが、安西が逆に襲い掛かってきて…」

 

「その弾みで、刺してしまったんですね」

 

妙子「…殺すつもりなんてなかったのに…ウッ…ウゥッ…」

 

そして、安西を殺した妙子さんと、偽装工作をした島崎さんは警察に連れていかれたのだった。

 

「……」

 

あれから俺は自宅に戻り、いつものように仕事をしている。

 

シャロン「飛翔様?」

 

「ん?」

 

シャロン「大丈夫ですか?」

 

「…どうだろうね。大丈夫と言えば大丈夫だし、そうでもないともいえるね」

 

シャロン「……」

 

「…愛する人を守るために偽装工作…か。果たして、それが本当にその人の為になるのかと言えば、微妙なところだね」

 

シャロン「そうですね。ですが、やはり好きな人…愛してる人の為にそんな行動をする。少し分かる気もします」

 

「……」

 

すると、玄関のチャイムが鳴る。シャロンが出て戻ってくると、ヨーコのマネージャーの山岸さんが来た。

 

「山岸さん?」

 

山岸「どうも」

 

「どうしたんですか?」

 

山岸「高橋さん、実は折り入ってお願いがありまして」

 

「お願い…ですか?」

 

山岸「はい。実はヨーコちゃんが、高橋さんの事務所に移籍したいと言い出しまして」

 

「…はい?」

 

まさかそんな話だとは思わなかったな。確かに俺は、小さいながらも事務所も経営している。一応数人だが俺の事務所に所属している人もいる。一応ミネルバもその1人だ。

 

「ウチとしては嬉しいんですが、そちらの事務所はどうなんですか?」

 

山岸「ウチとしては止めるつもりだったんですが…既にヨーコちゃんが先手を打ってまして」

 

「あちゃ~」

 

山岸「移籍を許してくれないと、芸能活動を暫く休業するって言いだして」

 

おいおい…随分と行動派だな。

 

山岸「それで、事務所の社長もヨーコちゃんの願いを叶えるために承諾しまして」

 

「なるほど。後はウチ次第って事ですか」

 

確かに、ウチの事務所は他と違い、売り上げの8割は所属する連中に渡しているので、世間では物凄いホワイト事務所と言われている。それと、所属してる連中もかなりの人物がいるしな。

 

「分かりました。では本日から、沖野ヨーコさんはウチの事務所に所属してもらいます」

 

山岸「あ、ありがとうございます!「ただし!!」」

 

俺はそれだけでは移籍させない。

 

「山岸さん、貴方もウチに来て引き続きヨーコさんのマネージャーを続けてもらいます。それがウチに移籍する条件です」

 

山岸「あ、ありがとうございます!!!」

 

山岸さんは、俺に思いっきり頭を下げて、ヨーコに報告しに帰って行った。

 

シャロン「……」

 

「えっと…シャロンさん?何でそんなに不機嫌なんでしょうか?」

 

シャロン「いえ、そんな事はございません」

 

いやいや!そう言いながら俺の体を糸で拘束しようとしてるよね!!

 

「ここは…逃げる!!」

 

俺は家から逃げ出した。帰ってから他の連中に何言われるか分からないが、命あっての物種だ!!!



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9話

「ん〜…ウチの事務所に入りたいって人多いなぁ」

 

俺は只今たくさんのメールや手紙とにらめっこ中。つい先日、タレントの沖野ヨーコが、ほぼ無名のウチの事務所に移籍したのが切っ掛けだ。他の事務所と比べても、所属している人数はかなり少ない。だが、そこそこ仕事は入ってくるし、業界内では【ホワイト事務所】とも言われている。

 

「とは言っても、あんまり移籍させるつもりもないみたいだし」

 

メールや手紙のほぼ半数は、タレント、アイドル、俳優が個人的に送ってきているものだ。なので、自分が今所属している事務所には話を通していない。

 

「はぁ…後の事は事務所同士に任せるってか?そんな奴は除外っと」

 

自分で話をつけてこない人を雇うつもりは更々ない。すると、シャロンが書類を持って部屋に入って来た。

 

シャロン「飛翔様。例の件ですが、ようやく終わりました」

 

「本当に!?ありがとうシャロン。色々大変な事を押し付けちゃって」

 

シャロン「いえ。それが私の使命ですので」

 

そう言うシャロンに、俺は頭を撫でる。最近シャロン自身から、何かができた時に頭を撫でてほしいとお願いされる。それ以外にも、給金や欲しい物とかも聞くけど、基本はこれがいいそうだ。

 

「となると、明日から行けるわけか」

 

シャロン「はい。それと同時にアルバイトを数人応募しましたところ、数名が面接に来られます」

 

「分かった。なら、明日俺が直々に行って面接するよ」

 

シャロン「お願いします。お昼から夕方にかけてになりますので」

 

「分かったよ」

 

そしておれは、ワクワクしながら明日を迎えた。翌日、俺は朝から毛利探偵事務所前に来ている。だが、今回は小五郎さんや蘭ちゃんには用はない。あるのはこのビルの1階にある店。

 

「お待たせしました」

 

「貴方が前のオーナーさんですか」

 

「はい。今回はここを購入していただいてありがとうございます。そろそろ引退しようと思っていたんですが、中々上手くいかなくて」

 

「いえ。こちらこそ私の願いが叶って嬉しいです」

 

「そうですか。ですがいいんですか?店の名前はそのままでも」

 

「はい。店の名前は色々と考えてましたけど、やはりこの名前がいいかなと」

 

「そうですか。私が引退しても、店と店の名前が残るのは嬉しいですね」

 

そう。俺が今回購入したのは、毛利探偵事務所の下にある喫茶店ポアロだ。前々から喫茶店を開くのが夢だったのだ。コーヒーや紅茶を出して、のんびりとした空間を楽しんでもらう。俺自身も、喫茶店の雰囲気は好きなのだ。

 

「それでは、私はこれで」

 

「是非ウチに来て下さい」

 

「ええ。その時は寄らせてもらいます。それでは」

 

そして前のオーナーは行ってしまった。

 

「さて、取り敢えず中に入るか」

 

鍵を開け中に入る。中はすぐにでも営業できる状態だ。なんと前のオーナーさんが、椅子やテーブル、食器等前まで使っていた物を全て譲ってくれたのだ。理由は、余生を過ごすのに充分過ぎる程の金を払ったかららしい。

 

「後は、仕入れ業者とかだな」

 

それは既にシャロンが行っている。相変わらず仕事が早い。つまり俺は、面接する以外する事がないのだ。

 

(あれ?俺って…駄目人間?もしかして)

 

店の事も業者の事も、全てシャロンがしてくれてる。俺は与えられた物で店を開く…

 

「駄目じゃん…俺」

 

俺は1人ショックを受けるのだった。

 

「すみません。今日面接に来た者ですけど」

 

そうだ!俺には面接をするという大事な任務がある!決してダメ男じゃないぞ!!

 

「いらっしゃいませ。では、あちらにお座りください」

 

そして面接が始まった。あれからも面接を行い、ようやく後2人になった。

 

「ん〜…なんかイマイチだな」

 

面接に来る連中が、どうもイマイチなのだ。ヤル気がありすぎる者。なさすぎる者。極端な人しかいない。

 

「取り敢えず、残りの2人をやるか」

 

そして次に来たのは女性だった。俺と同じくらいか?

 

「それでは面接を始めさせてもらいます。この店のオーナーの高橋飛翔です」

 

「よろしくお願いします。榎本梓さんです」

 

「ご年齢は…23歳。学生…」

 

梓「いえ、今はアルバイトで生計を立ててます。そこで、ここで社員として働けると書いてまして」

 

「はい。暫くの間は私も出ますが、長い事働いてくれたり、仕事内容次第では店長を任せたいと思っていまして」

 

梓「はい」

 

なるほど。元気もいいし落ち着いた雰囲気もある。これは採用かな。

 

「それでは榎本さん。合否ですが…来週からウチに来てください」

 

梓「それじゃあ…」

 

「はい。採用させていただきます。本来なら、後日合否をお伝えするんですが、私の独断で決めさせていただきました。ですので、来週からよろしくお願いします」

 

梓「あ、ありがとうございます!よろしくお願いします!!」

 

そして榎本は帰っていった。さて、次がラストか。

 

「よろしくお願いします」

 

「よろしくお願いします。えっと、まずはお名前を」

 

「香坂夏美です。年齢は25歳です」

 

「香坂夏美さん。えっと…履歴書を見た感じですが、パティシエをされていたそうですが、どうしてウチの店に?」

 

夏美「はい。前まではパリで働いていたんですが、そろそろ日本で活動しようと思っていたんですが、流石にお店を出せなくて。ですが、私の作ったお菓子を多くの人に食べてほしくて」

 

「なるほど。確かにウチの募集にはお菓子作り出来る人歓迎と書いてましたが」

 

夏美「はい!お店の雰囲気も素敵なので」

 

「分かりました。では香坂さん。来週から店に来てください」

 

夏美「ありがとうございます!」

 

こうして、ポアロで働く人を2人採用が決定した。さて、後は来週の新規開店に合わせて知り合いとかを呼ばないとな。そしてそこから一週間俺やシャロンは大忙しだった。そして一週間後、いよいよ新生ポアロの開店だ。今日はシャロンも手伝いに来てくれている。すると早速1人目の招待客がやって来た。

 

「いらっしゃいませ」

 

ヨーコ「飛翔さん、ポアロ開店おめでとうございます」

 

「ありがとうございますヨーコさん。とはいえ、元々していた店の新しいオーナーになっただけですけどね」

 

山岸「おめでとうございます高橋さん」

 

「山岸さんも今日はありがとうございます」

 

梓「奥の席へどうぞ」

 

すると次の客もやって来た。

 

目暮「やぁ飛翔君」

 

「目暮さん。今日は来れないって言ってませんでしたっけ?」

 

目暮「少しだが時間が出来てな。佐藤くんや宮本くんも来ているぞ」

 

すると、目暮さんの後ろには美和子さんと由美さんがいた。

 

美和子「新規開店おめでとう飛翔君」

 

由美「これ、ありきたりだけど開店祝い」

 

「ありがとうございます。空いてる席へどうぞ」

 

目暮さん達を空いてる席に案内する。

 

蘭「飛翔さん!」

 

園子「来ましたよ!」

 

小百合「へ~、感じのいい店ね。毛利さんが中学生の時に家庭訪問で、場所は見た事あったけど」

 

「やぁ蘭ちゃん、園子ちゃん、小百合さん、いらっしゃいませ」

 

元太「おっす飛翔の兄ちゃん!」

 

歩美「こんにちは飛翔お兄さん」

 

光彦「今日はお招きありがとうございます」

 

阿笠「じゃが、まさかポアロの新しいオーナーになったと聞いた時は驚いたのぅ」

 

コナン「ホントだよね」

 

博士や新一達子供達も招待してある。

 

夏美「空いてるお席にどうぞ」

 

そしてあっという間に店の席は満席になった。今日は完全貸し切りだ。他にも今日来れない人からも花束なんかが届けられている。ミネルバや秋庭怜子等、ウチの事務所の所属してる連中からも届いている。まぁ、名前を見た瞬間驚いてる連中がいたけどな。ま、これからこの店でどんな客がくるのか楽しみだ。




主人公の年齢が20~22歳付近をイメージしている為、佐藤美和子や香坂夏美等の年上キャラを年齢近くしたかったため、25歳とさせて頂いています。


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10話

俺は店の買出しに街をぶらついている。

 

飛翔「ん~っっっ!!いい天気だな」

 

過ごしやすい気候で眠たくなるな。

 

「イッテ~…」

 

飛翔「ん?今の声は…」

 

声が聞こえた方に行くと、歩道橋で新一と小五郎さん、蘭ちゃんが女の人の下敷きになっていた。

 

飛翔「大丈夫ですか三人とも」

 

蘭「あ、飛翔さん!」

 

コナン「飛翔兄ちゃん」

 

小五郎「完全にツキに見放された~…」

 

俺は上に乗ってる女性をどかして、三人を立ち上がらせる。

 

「大丈夫ですか?」

 

しかし女性は目を覚まさない。

 

蘭「取り合えず病院に連れて行きましょう」

 

小五郎「そうだな」

 

俺達はタクシーを拾い、病院に向かった。病院で女性の脳などを診察してもらっている間に、担当した医者から説明を受けていた。

 

小五郎「それじゃあたいした怪我はないんですね?彼女」

 

医者「ええ。ただ一つの問題を除いてね」

 

問題?

 

医者「あの患者は、自分自身に付いてただ真夜という名前しか覚えてないんです」

 

『ええっ!?』

 

マジかよ…

 

蘭「それって」

 

小五郎「記憶喪失ですか?」

 

医者「正確には逆行性の軽い健忘症。部分的な記憶障害です」

 

蘭「まさか、あの歩道橋から落ちた時に…」

 

コナン「……」

 

蘭ちゃんがそう言うと、新一は何かを考え始めていた。

 

小五郎「治るんですか?」

 

医者「もちろんです。ただ、それが明日か一ヶ月先か三年後か現段階ではなんとも…」

 

蘭「そんな…」

 

小五郎「よぉうし!!名探偵の出番だ!真夜さんの記憶は毛利小五郎が回復させてみせる!!」

 

あら~…張り切っちゃってるよ。それに、名前以外分からないのにどうやって回復させるんだろうね~それから小五郎さんは、真夜さんの持ち物を預かり事務所で考えているそうだ。俺は今は店に戻っており、小五郎さん達が動く時に一緒に行くと言ってその日は解散した。数日後、蘭ちゃんから連絡があり、彼女が持っていた聖書の切れ端が手掛かりになると聞き、俺達は合流して三ツ星以上のホテルを回る事となった。

 

蘭「すみません飛翔さん。車を出してもらって」

 

飛翔「気にしないでいいよ蘭ちゃん。それに、医者から外出許可をもらってるとは言え、彼女を歩かせるのはね」

 

「すみません」

 

それから俺達は何件ものホテルを回るが、彼女が泊まっていた痕跡はなかった。

 

蘭「ここで12件目よ。疲れたぁ…」

 

覚悟はしてたが、やっぱ何件も回ると疲れるな。確認の為に中に入ろうとすると…

 

「お帰りなさいませ。橘様」

 

コナン「し、知ってるの!?このお姉ちゃん」

 

「はい。当ホテルのお客様でございますが」

 

そしてフロントで確認する。

 

「橘真夜様。確かに二日前からお泊りいただいております」

 

蘭「やったわね真夜さん!」

 

そして俺達は彼女が泊まってた部屋に入る。

 

小五郎「当たりだ。間違いない」

 

小五郎さんは持ってた聖書の切れ端を部屋の聖書と合わせた。そして新一と小五郎さんはクローゼットの中を調べるが、新一が彼女の下着を取り出し慌てていた。

 

蘭「もう。あたしが調べるから二人ともどいてて」

 

コナン「はい」

 

飛翔(何やってんだよ…)

 

蘭「身元を特定するような物は何もないわね」

 

コナン「何か思い出さないお姉ちゃん?」

 

新一にそう言われるが、真夜さんは首を横に振る。

 

小五郎「ん~まいったな~。さっきフロントの記録にあった住所や電話番号は架空のものだったし。かといって、真夜さんがこの部屋に宿泊していたのは間違いない。いったい…」

 

真夜「名前だって本当かどうか…」

 

飛翔「……」

 

確かに、普通にホテルに泊まるだけなら、住所や電話番号をわざわざ架空のものにする必要はない。となると、何か原因があるって感じだな。

 

真夜「あたしはいったい…グッ!!」

 

すると突然頭を抱えだした。すぐに収まったようで、首からかけていたペンダントを見る。

 

コナン「ペンダントがどうかしたの?」

 

真夜「頭が!!痛い!!!グッ…もう嫌!」

 

そう言って彼女は部屋から飛び出してしまう。

 

コナン「お姉ちゃん!」

 

「「「真夜さん!!」」」

 

俺達も追いかけて行く。

 

小五郎「待つんだ!」

 

外に出ると、彼女が出たと同時に車が物凄いスピードで彼女と小五郎さんに突っ込んでくる。

 

コナン「危ない!!」

 

飛翔「チッ!!」

 

俺は素早く飛び出し、小五郎さんと彼女を両脇に抱えて高く飛び上がる。が、彼女は素早く回避していた。

 

飛翔(なんだと!?あの動き…並みの人間じゃねぇ。何か訓練されてる…)

 

そして車はそのまま走り去っていく。

 

飛翔「大丈夫ですか!」

 

小五郎「あ、ああ。飛翔君のおかげでな」

 

飛翔「それじゃあ俺はコナン君を追いかけますんで」

 

俺は蘭ちゃんに後を任せ、車を追いかけた新一を追いかける。

 

飛翔「新一!」

 

コナン「飛翔さん!」

 

飛翔「犯人は?」

 

コナン「ごめん。見失った」

 

飛翔「そうか」

 

残念だが仕方ない。相手は車だしな。

 

飛翔「で、お前は何でバスの標識を見てたんだ?」

 

コナン「それは「コナン君!」」

 

すると蘭ちゃん達もやって来た。しかし、事故現場を見た彼女が動揺している。

 

真夜「バス…トラック…衝突…お、覚えてる…あたし覚えてます!」

 

蘭「凄いよコナン君。やったわね」

 

コナン「偶然だけどね」

 

小五郎「しかし、何故その後姿を消したんだ?手当も受けず」

 

コナン「きっと、お姉ちゃんを狙ってた奴が迫ってたんじゃない?」

 

小五郎「記憶を失いながらも、本能的に危険から逃れようとしてたわけか」

 

すると、事故車を迂回しながらバスがやって来た。

 

蘭「ねぇ、乗ってみようよバス」

 

飛翔「そうですね。事故が起きなかったら何処まで行くか思い出すかもしれませんしね」

 

そして俺達はバスに乗り込んだ。

 

次々停留所を過ぎて行く。

 

真夜「…ダメ」

 

小五郎「何も思い出しませんか」

 

蘭「焦らないで。ここまで思い出せたのよ」

 

すると彼女は、横にあったガスタンクを見て立ち上がる。

 

真夜「ここです!あたし、ここで降りるつもりだったんです!」

 

そして俺達はそのバス停で降りる。

 

コナン「とにかくこの辺を歩いてみようよ」

 

新一の提案により、俺達は周辺を歩いてみる。廃墟の前に行くと

 

コナン「!!危ない!!」

 

上から瓦礫が落下してきた。

 

飛翔「クソっ!」

 

俺は瓦礫を蹴り返そうとする。しかし、彼女も避けたので俺もそのまま避ける。

 

飛翔(やっぱり…こいつ一般人じゃねぇな)

 

真夜「うぅ…!!」

 

すると彼女は、ペンダントのところからワイヤーを取り出していた。

 

飛翔「ペンダントに仕込みワイヤー。何者だ?」

 

小五郎「ふざけやがって!俺達を皆殺しにするつもりか!とっ捕まえてやる!!」

 

蘭「お父さん!」

 

そう言って小五郎さんは廃墟の中に入っていく。俺も直ぐに後を追う。

 

飛翔(いや違う。あの時は襲われたのは彼女かと思ったが…今のタイミングは、完全に小五郎さんを狙っていた)

 

追いかけると、犯人は渡った板を蹴り落としそのまま逃亡する。小五郎さんは落ちそうになっていたところを助け、俺は助走をつけて隙間を飛び越えた。しかし下に下りると既に犯人の姿はなかった。

 

飛翔「クソッ!逃がしたか!!」

 

俺は諦めそのまま小五郎さん達と合流する。しかし、蘭ちゃんから彼女を見失ったと言われ、俺達は彼女を探した。

 

小五郎「お前達はあっちを探せ。飛翔君は向こうを」

 

俺達は分かれて彼女を探す。だが、小五郎さんが狙われてる以上、優先するのは小五郎さんの方だ。

 

飛翔「確かこっちに小五郎さんは来てたはずだが…!?」

 

すると、目の前の廃工場の中で、彼女…橘真夜がペンダントに仕込んでいたワイヤーで、小五郎さんを引っ張り上げていた。

 

飛翔「やろう!!」

 

俺は中に入る。

 

飛翔「止めろ!」

 

真夜「!!お前は」

 

飛翔「小五郎さんを離せ。さもないと…」

 

真夜「さもないと何?こいつの命は私の手の中にある。一歩でも動けば…分かってるよね?」

 

飛翔「チッ…外道が」

 

すると外から野球ボールが物凄い勢いで、彼女の手を直撃した。

 

真夜「きゃああ!!」

 

飛翔「今だ!!」

 

俺はその隙に彼女を抑え込む。

 

真夜「この…」

 

飛翔「動くな。少しでも動けば…」

 

真夜「ひっ!!」

 

俺は少し殺気を出して彼女を脅す。すると彼女は大人しくなった。

 

コナン「真夜さん。貴方の記憶は、湯田にコンクリートを落とされた時に戻ったんですね?」

 

真夜「……」

 

飛翔「答えろ!!」

 

真夜「ひっ!!そ、そうよ…湯田のおかけで記憶が戻ったの。アイツには感謝しないとね」

 

コナン「あ~…飛翔さん」

 

飛翔「どうした?」

 

コナン「その…なんで真夜さんはそんなに怯えてるんですか?」

 

飛翔「怯えてなんかないよね?ん?」

 

俺は笑顔で真夜さんに話しかける。

 

真夜「は、はい!そうです!!怯えてなんかいないです!!!」

 

飛翔「ほら、彼女もこう言ってるだろ?」

 

コナン「は、はい(どうみても怯えてるようにしか見えねぇっての…)」

 

そして蘭ちゃんが警察に連絡していた為、彼女と湯田は逮捕となった。

 

真夜「どうやらコイツも私も、ターゲットを間違えたようね。小さな名探偵さん。それと…ひっ!!」

 

おいおい…脅したけどそんなにビビるか普通。

 

蘭「ねぇ…真夜さん、飛翔さんを見る度に恐がっていますけど」

 

飛翔「さぁ?何か怖い者でも見たんじゃないかな?ね、コナン君」

 

コナン「た、多分ね…(蘭には口が裂けても、原因が飛翔さんだなんて言える訳ねぇな)」

 

蘭「そう。でもその前にも何か言ってたような…」

 

コナン「あ~いやだから、二度もアイツを逮捕するなんて、さっすが毛利小五郎は名探偵だなって!完全にツキ戻ったみたいだね」

 

小五郎「そ、そうか♪って事は、今度のG1レースはパーッといただきだな!ナハハハハハハハ!!!!!

 

やれやれ…



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11話

飛翔「さて、取り敢えず足りない材料は買ったし、急いで店に戻るか」

 

今日は俺も店に出ている日だ。基本は週3〜4日出ている。俺も色々とあるからね。最初の内は俺が出ない日は休みにしていたんだが、採用した梓さんと夏美さんがかなり優秀でな。今では、あの二人に店を任せてるし、梓さんが店長、夏美さんが副店長兼パティシエをしてもらっている。んで、今日は店に出て足りなくなった材料を買いに行ってたって訳だ。

 

飛翔「ホント、俺の周りには優秀すぎる連中が集まりすぎだよな」

 

そんな事を考えていると、横から出てきた人とぶつかった。

 

「キャッ!」

 

飛翔「イッタタタ…す、すみません」

 

「いえ、こっちも見ていなくて」

 

「お姉ちゃん大丈夫!?」

 

起き上がり顔を見ると、俺は驚いた。だって、一緒にいたコイツ、前に新一の家にいた女だったからな。

 

「あ、あなた…」

 

「どうしたの志保?」

 

飛翔「へ〜…志保さんって言うんですか」

 

志保「!!」

 

飛翔「もしよければ、ぶつかったお詫びをさせて下さい」

 

「そんな。悪いですよ」

 

飛翔「いえ、気にしないで下さい。実はこの先にある喫茶店を経営していまして」

 

「そうなんですか?」

 

飛翔「はい。それで、是非お詫びとしてケーキでもと。ウチのケーキは、この辺りでは美味しいって評判なんですよ」

 

それに、後ろの女に色々と聞かなきゃなんないしな。

 

「ささ、どうぞどうぞ」

 

俺は強引に2人を店に連れて行った。

 

飛翔「ただいま戻りましたよ」

 

梓「オーナー。お帰りなさい」

 

夏美「すみませんオーナー。わざわざ買い出しをお願いしちゃって」

 

飛翔「いえいえ。実質私は暇していましたし」

 

梓「あ、お客様ですか?」

 

飛翔「ええ。私のお客でして。梓さん、夏美さん。すみませんが人数分の…コーヒーでよろしいですか?それとも紅茶の方が?」

 

「あ、私は紅茶でお願いします」

 

志保「…コーヒーでいいわ」

 

飛翔「ではコーヒー2つと紅茶、そしてウチの自慢のケーキを事務所までお願いしてもいいですか?」

 

「「分かりました」」

 

そして俺達は事務所に入る。すぐに梓がコーヒーと紅茶とケーキを持ってきてくれた。

 

飛翔「どうぞ、召し上がって下さい」

 

「はい。いただきます」

 

志保「…いただくわ」

 

2人は、紅茶とコーヒーを飲み、ケーキを食べた。…さてと

 

飛翔「どうですか?」

 

「とっても美味しいです!紅茶もケーキも」

 

飛翔「それは良かった。では…志保さん…でしたね?」

 

志保「…何かしら?」

 

飛翔「あなた…前に俺と会いましたよね?俺の知り合いの家で」

 

志保「!?」

 

飛翔「あの時は白衣を着てたが…」

 

志保「……」

 

すると志保は黙っている。

 

「あなた…何者なの?」

 

すると姉の方が俺に話しかけてきた。

 

飛翔「いや、志保さんがいた家は、俺の知り合いの家でね。聞いたが、誰も志保さんの事を知らず、その上俺が問い掛けたら、周りにいた連中が襲い掛かって来たからな。ま、コイツ以外全員返り討ちにしたがな」

 

「なっ!?」

 

すると姉は、懐から拳銃を取り出すが、俺が素早くスライド部分を掴んだ。

 

「!?」

 

飛翔「やれやれ、こんな美人な人が銃を持つだなんて、物騒な世の中になったもんだ」

 

俺は銃を奪い、横に置く。

 

飛翔「で、なんであの家にいたんだ?それに、銃を持っている理由も聞かせてもらおうか?」

 

「それは…言えないわ。言えば…貴方が危険な目に合うわ」

 

飛翔「危険な目に…ねぇ……シャロン」

 

シャロン「こちらに」

 

シャロンが背後から現れ、2人は驚いていた。

 

飛翔「で、何か分かったか?」

 

シャロン「はい。まずお姉さんの方ですが、本名は宮野明美。宮野厚司と宮野エレーナの間の生まれたイギリス人のクォーター。年齢は25歳」

 

明美「な、なんで私の事を…」

 

シャロン「…そして、工藤新一様が襲われた黒の組織の一員です」

 

飛翔「なるほど。で、志保さんは?」

 

シャロン「本名宮野志保。組織のコードネームはシェリー。明美様と同じく、宮野厚司と宮野エレーナの間に生まれたイギリス人のクォーターです。年齢は18歳。同じく黒の組織の一員であり、新一様が飲まされた薬を作った人物です。工藤様のご自宅には、新一様の生存を確認する為だそうです」

 

志保「!!そこまで調べたのね」

 

飛翔「まぁな。けど、流石に俺も組織の事まで調べてたとは思わなかったがな。大丈夫なのか?」

 

シャロン「はい。ご安心下さい。実は公安が組織の事を調べていると聞き、そこで情報を入手しました」

 

明美「まさか、公安警察に潜入したの!?」

 

シャロン「はい♪」

 

いや、『はい♪』じゃねぇよ。シャロンの事だから、証拠は残してないと思うけど…普通に考えて公安警察に潜入するかね。

 

飛翔「まぁ…と言うことだ」

 

「「……」」

 

飛翔「だが、俺が感じた感じだが、あんたら2人は、嫌々組織にいるんじゃないのか?」

 

明美「…はい」

 

飛翔「そうか」

 

明美「私はどうでもいいと思われてるかも知れませんが、妹の志保が薬の開発者だけあって、組織は志保の事は狙っている筈です」

 

飛翔「なるほど。薬の開発者だけあって、組織も手放したく無いって事か。シャロン」

 

シャロン「そうですね。店の周りに数人ですがいますね」

 

飛翔「やっぱりな。盗聴器とかはないが、基本は監視下に置いてるって訳か」

 

「「……」」

 

さて、どうするかな。

 

飛翔「取り敢えず」

 

俺はある紙を渡す。

 

飛翔「これは俺とシャロンの電話番号だ。何かあれば力になってやる」

 

明美「えっ?」

 

飛翔「あんた等が組織に従順じゃないって分かっただけで収穫だ。なら、なるべく俺達も手助けしてやりたいんだよ」

 

志保「なんで…」

 

飛翔「なんで…か。なんでだろうな…ま、美人が困ってたらって事にしておいてくれや」

 

「「……」」

 

シャロン「飛翔様…」

 

飛翔「いひゃい…いひゃいでふしゃふぉんひゃん…」

 

俺はシャロンに思いっきりホッペを引っ張られるのだった。

 

「「…フフッ」」

 

飛翔「ん?」

 

志保「お姉ちゃん…おかしいわよこの人…フフッ」

 

明美「フフッ、そうね。普通組織の事を知って、その上関わってくるなんて」

 

志保「しかもその理由が『美人が困ってたら』よ?」

 

明美「そうね…フフフ…」

 

飛翔「……」

 

笑うといい顔するじゃねぇか。やっぱ人間笑顔がいいってもんだ。



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12話

カタカタカタ……

 

 

 

 

飛翔「う〜ん…」

 

俺は今、パソコンとにらめっこしている。理由は、ウチの事務所に所属している人達のスケジュール管理についてだ。ウチはレギュラー番組や、余程の大きい番組以外は、基本休みを作る。そして、時間もかなり余裕を持たせてスケジュールを組む。だが、今回は大手番組や、大物芸能人やTV関係者からの問い合わせが多い。理由は、ウチの事務所に電撃移籍してきた沖野ヨーコ絡みだ。

 

「いくらなんでも、このスケジュールは俺が許可できない」

 

何度も話し合いをしてるが、向こうはこっちの事務所が小さいと思って、無理難題を押し付けてくる。いくら大物芸能人やADとかでも、話し合いなどは俺が直接行っている。しかも、俺は当然その話し合いにレコーダーや博士に頼んで作ってもらったサングラスやメガネに付いた小型カメラで撮影しているので、脅してきた連中には、早々に芸能界から消えてもらっている。えっ、文句を言ってきたらって?ウチには専属の凄腕弁護士と契約してるから大丈夫だ。

 

飛翔「取り敢えずこんなもんか」

 

なんとかスケジュールの調整も終わり、ウチの連中に送信してパソコンを切る。それと同時に、店から連絡が来る。

 

「もしもし?」

 

梓『あ、オーナーですか?お疲れ様です、梓です』

 

飛翔「お疲れ様です。どうかしましたか?」

 

梓『はい。実は5時間ほど前から、ずっと店にいるお客様がいるんです』

 

5時間もだと?

 

飛翔「そうですか。分かりました。これから店に行くので、そのまま様子を見てて下さい」

 

梓『分かりました。夏美さんにも伝えておきます』

 

俺は電話を切る。すると背後にシャロンが控えている。

 

シャロン「ご用意できています」

 

飛翔「ありがとう。家を頼んだぞ」

 

シャロン「お任せください♪」

 

そして俺は、バイクでポアロに向かった。ポアロに到着して、外から店の中を見る。

 

飛翔「あの褐色で金髪の男か」

 

シャロン「はい」

 

シャロンが背後から声をかける。出会った時は驚いたが、今では慣れたもんだ。

 

飛翔「梓さんから電話で聞いたが、あの男5時間も店にいるらしいな」

 

シャロン「はい。その間に1名男性と話していましたが、10分程度で出ていかれました」

 

飛翔「なるほど。一応後で店内のカメラも確認しておくか。…んで、あの男…何者だ?」

 

シャロン「以前宮野明美様と志保様が関わっている組織の人間です。本来は公安警察におられ、組織に潜り込んでいるそうです」

 

飛翔「組織関係者か。それで表の顔は公安警察って…日本でもそんなのしてるんだな」

 

シャロン「はい」

 

飛翔「アイツの情報は?」

 

シャロン「こちらに」

 

そう言ってシャロンは封筒を渡す。

 

飛翔「ありがとう。中で確認する。今日は梓さんと夏美さんを家に呼ぶから料理を頼んだぞ」

 

シャロン「かしこまりました」

 

シャロンは消え、俺は店の中に入る。

 

梓「いらっしゃいませ…あ、オーナー」

 

夏美「こんにちは」

 

飛翔「梓さん、夏美さん、いつもお疲れ様です」

 

夏美「いえ、私もお菓子を自由に作れて嬉しいです」

 

飛翔「それは良かった」

 

俺は2人と他愛ない会話をする。

 

「それで、あの人ですか?」

 

梓「はい。一番奥に座っている人です」

 

夏美「見た目はカッコいいんですけど、コーヒーや軽食を頼んでから今までずっといるんです」

 

飛翔「ハハッ。夏美さんや梓さんにカッコいいって言われるとは、少し羨ましいですね」

 

梓「オ、オーナーも…カッコいい…です

 

飛翔「ありがとう。私はカメラを確認しに事務所にいます。何かあれば連絡して下さい」

 

「「分かりました」」

 

そして俺は事務所に行く。カメラを確認しつつ、シャロンから受け取った資料を確認する。

 

「ん〜何々…あの男の名前は降谷零。表の顔は私立探偵で名前は安室透。本当の正体は、黒の組織に潜入している警察庁警備局警備企画課(ゼロ)所属の公安警察。組織でのコードネームは【バーボン】か。なんだ、組織の名前は酒に因んだ名前じゃなきゃなんないのか?確かに志保の奴も【シェリー】ってコードネームだったな」

 

志保のコードネームを思い出す。

 

飛翔「そして、コイツのパートナーの名前は風見裕也」

 

俺はカメラに映ってる、降谷と話してる眼鏡をかけた男を見る。

 

飛翔「多分こいつが風見って奴なんだろうな。報告か何かだろうな」

 

さてと、まだ店にいるみたいだし、どうやって話しかけるか…多分、以前明美と志保がウチの店に来て、俺と話しているのを組織の連中が報告して、コイツ(降谷)が様子を見に来たって感じだな。

 

飛翔「さて…どう接触したものか」

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

 

 

 

 

 

 

すると事務所のドアがノックされる。

 

飛翔「どうぞ」

 

夏美「失礼します」

 

入って来たのは夏美だ。

 

飛翔「どうかしましたか?」

 

夏美「はい。実は5時間も待っていた人が、オーナーと話がしたいそうです」

 

飛翔「話ですか?」

 

夏美「はい。理由を聞いたら。ここでアルバイトの面接を希望したいそうで」

 

アルバイト…ねぇ。今のところ手は足りてるが…丁度いい。採用するかは別として、話せる機会ができた。

 

飛翔「分かりました。ではその人を呼んできて下さい」

 

夏美「分かりました」

 

夏美はそう言って事務所を出ていった。さて、どんな話をするかな…



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13話

「失礼します」

 

夏美に案内され、降谷零が入って来た。

 

飛翔「初めまして。私はこの店のオーナーの高橋飛翔といいます」

 

「初めまして。今日は無理を言ってすみませんでした。どうしてもここで働きたくて。自分は安室透と申します」

 

安室透か。私立探偵で使ってる名前を使ってきたな。

 

飛翔「安室さんですね。では今から面接を始めさせてもらいますね。安室さんは、何故ウチの店で働きたいと思ったんですか?」

 

安室「はい。何度かここに来たり、私の知り合いからこのお店が新しくなり、従業員もたのしく働いていると聞きまして」

 

飛翔「ふむふむ」

 

安室「お恥ずかしい話ですが、私は結構コーヒーやスイーツが好きでして。偶に休日には自分で作ったりするんです」

 

飛翔「なるほどなるほど」

 

嘘は言ってないな。ま、確かにコーヒーとか煩そうだな。さて、別に採用してもいいんだが…

 

飛翔「それでは、次の質問いいですか?」

 

安室「はい」

 

飛翔「では…貴方は何の目的で、ウチの店に来たんですか?…降谷零さん?」

 

降谷「!?」

 

俺がコイツの本名を言うと、降谷は驚き立ち上がる。

 

飛翔「おや?違いましたか?警察庁警備局警備企画課(ゼロ)所属の公安警察降谷零さん?」

 

降谷「あ、貴方はいったい…」

 

飛翔「ウチには優秀なメイドがいましてね。貴方の事を調べさせてもらいました。そして…コードネーム【バーボン】」

 

降谷「!!」

 

飛翔「恐らく、以前俺が偶然出会った宮野姉妹が、ここで私と話した事を組織の人に聞き、俺がどんな人物か直接見に来たってとこか?」

 

降谷「組織の事まで…」

 

降谷は懐に手を入れようとする。だが…

 

シャロン「動かないで下さい」

 

既にウチの優秀メイドが控えてるんだよ。

 

降谷「!?」

 

シャロン「ゆっくりと懐から手を出して上に上げてください」

 

そう言われ降谷は手をゆっくりと頭上より高く上げた。

 

「さて、ゆっくりコーヒーでも飲みながら話を聞かせてもらおうか」

 

降谷「……」

 

観念したのか、降谷はソファーに座り、シャロンが淹れたウチのコーヒー飲む。

 

降谷「…美味い」

 

「だろ?この豆は俺のお気に入りでな。家でも飲んでるが、店にも置いてるんだ」

 

少しコーヒーの話をしながら、降谷の事を話し出す。

 

降谷「…貴方は何故組織の事を知ってるんですか?」

 

「まぁ、ウチの知り合い…弟みたいに可愛がってた奴が、組織が開発した薬の餌食になってな」

 

降谷「なんですって!?」

 

「特に驚いたのが、まさか体が縮むとはな」

 

降谷「体が縮む?」

 

「子供になったんだよ」

 

降谷「まさか、組織がそんな薬を作っていたなんて」

 

「いや、組織はその薬が毒薬と思い込んでる節がある。アイツに薬を飲ませた奴がそんな事を言ってたと聞いてな」

 

降谷「そんな…」

 

降谷の奴も驚いてるな。

 

「さて…あんたはこれからどうするつもりだ?」

 

降谷「そうですね…」

 

「あんたがいいなら、ウチで雇ってもいい」

 

降谷「えっ?」

 

「その代わり、組織の情報をウチに隠さず全て報告する事。それを守れば特に咎める事はしない」

 

ま、別に情報を渡さなくてもいいんだがな。シャロンが調べてくれるだろうし。

 

降谷「…何が目的だ」

 

「ん?」

 

降谷「いくらなんでもその条件がおかしすぎる!」

 

「……」

 

降谷「他にも目的がある筈だ!」

 

「…松田陣平」

 

降谷「!?」

 

「萩原研二。2人はあんたの元同僚だったよな?」

 

降谷「な、何故その名前を」

 

「あの2人とは、昔付き合いがありましてね。よく教えられましたよ。爆弾の解体の仕方とかをね」

 

降谷「……」

 

「2人が亡くなったと聞いた時はショックだった。そして、その爆弾魔はまだ捕まっていないと聞き、警察達の無能さにイライラした」

 

降谷「……」

 

俺の言葉を聞いて、降谷は顔を逸らす。

 

「いや…あんたに言っても同じか。とにかく理由はそんな感じだな。あんたがあの2人と同じ課にいたって知った時は驚いたがな」

 

降谷「そう…ですか」

 

「ああ。黒の組織の情報があれば、俺達も色々と動きやすい」

 

降谷「…分かりました」

 

「なら交渉成立だ。これからよろしく頼むぞ。降谷零…いや安室透君?」

 

降谷「よろしくお願いします。オーナー」

 

こうして俺は、黒の組織の情報を貰う代わりに、公安警察の降谷零を働かせる事にしたのだった。



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14話

あれから降谷がポアロに来て、女性客…特に若い女性客が増えたな。ま、売上になるからいいけど。けど、俺と降谷が2人いる時が1番多いんだよな。そのせいで梓と夏美に抓られるしよ…

 

シャロン「飛翔様、そろそろお時間です」

 

飛翔「おっと、ありがとうシャロン」

 

俺は待ち合わせがあるので出発する。待ち合わせはとある喫茶店。

 

飛翔「やれやれ。バイクを停める場所を探すのに手間取った。待たしちまったな」

 

待ち合わせの喫茶店に到着し中に入る。

 

店員「いらっしゃいませ」

 

飛翔「えっと…待ち合わせを…」

 

「飛翔君、ここよ」

 

飛翔「あ、いました」

 

俺は待ち合わせの人の席に向かう…って

 

飛翔「あれ?コナン君じゃないか」

 

コナン「ひ、飛翔兄ちゃん」

 

何で新一がここにいるんだ?

 

飛翔「1人かい?」

 

コナン「えっと…今買い物に行ってて、待ってるんだ」

 

あ〜、蘭ちゃんをね。

 

「あら、飛翔君の知り合いの子なの?」

 

飛翔「ええ。コナン君、悪いけど後でね」

 

コナン「う、うん!」

 

俺はコナンと分かれ隣の席に座る。

 

飛翔「遅れてすみません妃さん」

 

妃「そんなに待ってないわ。それに、飛翔君以外にも待ち合わせしてたもの」

 

あ〜、蘭ちゃんか。って事は、蘭ちゃんデートとか適当な事を言って、新一の奴が気になって来たわけか。

 

妃「それと、名前で呼んでって前から言ってるじゃないの」

 

飛翔「あはは…すみません英里さん」

 

英里「全く、真面目なのは相変わらずね。その真面目さが少しでもアイツにあれば、離婚せずに済んだものの」

 

飛翔「アハハ〜…お察しします」

 

英里「けどいいわ。離婚してからの方が色々と楽しいしね」

 

やれやれ…ま、これは小五郎さんが悪いわな。もう完全に修復不可能だし。

 

「うわああああああああああああ!!!!!!!」

 

「「!?」」

 

トイレから叫び声が聞こえ、俺はすぐに向かった。新一と大男の男も来た。ドアを開けると、男が座り込んで怯えていた。

 

大男「どうかしたのか?」

 

「あ、ああ…あああ…」

 

男は指を指しその方を見ると、トイレから血が流れていた。

 

コナン「血!?」

 

新一はすぐに近づく。

 

大男「お、おいボウヤ!」

 

コナン「あれ?何か突っかかってるぞ」

 

飛翔「コナン君!」

 

俺は新一を肩車する。

 

コナン「なに!?」

 

飛翔「どうした?」

 

コナン「女の人が…」

 

飛翔「そうか」

 

そして店長に事情を説明して警察が到着した。

 

目暮「ん〜…では、この写真の通り被害者はドアに体を密着させて倒れていた…そうだね、コナン君」

 

コナン「うん。鍵は開いてるのにドアが開かなかったから、上から覗いたんだ」

 

目暮「殺されたのは、姫野弥生24歳フリーター。心臓をナイフで一突きか」

 

刑事「警部、被害者の首に、何かで締められた細い跡が」

 

目暮「ん〜、血が飛び散ってるところを見ると、犯人は被害者の首を締め気を失わせた後、胸を突き引き抜いて出血しさせた。顔を見られて焦ったんだろうなぁ。金目当てのこそ泥の仕業だ。開いたままのトイレの窓とドア。外は人通りのない路地。凶器のナイフとともに散乱した被害者の荷物と空の財布。そして、トイレのドアを塞いでいた被害者の死体。つまり、窓から侵入した犯人は誰か来るのを待ち伏せ、偶々入って来た姫野さんを襲って殺し、金を奪って慌てて窓から逃走した…おし!外部犯に決まりだ!周辺の聞き込みに当たれ!」

 

コナン「ちょっと待ってよ警部さん!」

 

目暮「えっ?」

 

新一は、目暮さんを止める。だからお前なぁ…

 

コナン「ほら!あの窓を見てよ。何か綺麗すぎない?」

 

目暮「いいじゃないか、トイレは綺麗な方が」

 

コナン「そうじゃなくて!」

 

確かにそうじゃない。

 

英里「ボウヤの言う通りよ。目暮警部補」

 

飛翔「英里さん。今は警部ですよ」

 

目暮「あ、貴方は妃弁護士!それに飛翔君も!どうしてここに?」

 

英里「偶然この店にいたんですよ」

 

コナン「警部さん知ってるのその人?」

 

いや、お前は知ってろよ新一。

 

目暮「ああ。だって彼女は…」

 

英里「とにかく、出血の量から見て、犯人は体の何処かに返り血を浴びている筈。なのに逃走に使ったトイレの窓には何の痕跡もない。これは不自然よ!」

 

目暮「しかし、犯人が拭き取ったとも」

 

飛翔「それはないでしょう。凶器のナイフを現場に残して、慌てて逃げてるんですよ?慌ててる犯人がわざわざそんな事をすると思いますか?」

 

英里「そうね。凶器をそのままにしたのは持ち帰れなかったから」

 

飛翔「となると、犯人は内部…この店にいる誰かって事になりますね」

 

英里「そう言いたいんでしょう?ボウヤ」

 

コナン「!!」

 

ほら見ろ。感のいい英里さんがこう言うんだから、もう少し自重しろバカが。

 

目暮「でも妃さん、飛翔君。このトイレのドアは、死体で塞がれていたんだよ?死体をズラした跡もないし、隣のトイレに窓はない。犯人はどうやってトイレから出たと言うのかね?」

 

英里「上に」

 

目暮「上って…あの隙間かね!?いくらなんでも、大人にあそこは…」

 

英里「あなた、ちょっと上ってみて下さらない?」

 

警察「へっ?」

 

英里「現場を荒らさない様に隣のトイレで」

 

英里さんに言われ、警察の人が試す。

 

警察「いよっ…なんとか通れます」

 

英里「でしょ」

 

目暮「しかし、犯人が返り血を浴びているなら、上った時にも壁にも血が」

 

飛翔「いえ、幸いここはトイレです。血を洗い流す水も、拭き取る紙もありますし、壁に痕跡を残さない事も可能です」

 

目暮「偶然入って来た誰かに見られでもしたら」

 

英里「あら、気付きませんでした?このトイレ入り口のドアにも鍵が付いてますのよ」

 

目暮「ん?」

 

英里「あれをかければここは密室ですわ」

 

目暮「よ、よ〜し!被害者の前後にトイレに入った客を調べだせ!」

 

コナン「僕知ってるよ。見てたんだ偶然」

 

目暮「ほ、本当かね」

 

そしてコナンは外に出て、トイレに入った人を教えて戻ってきた。しかし、まさか英里さんも入ってたとはな。

 

目暮「では皆さん。トイレに入った順に、今日この店に来た目的を言ってもらいましょうか」

 

(すめらぎ)「はい。今日ここに来たのは、論文を書く為です」

 

英里「被害者が入った後、彼と入れ違いに入ったのは私ですわ。この店に来たのは、飛翔君ともう1人と待ち合わせをしていたから」

 

殿山「次に入ったのは俺だ。ここへは毎日の様に来てるぜ。マスターと駄弁りにな」

 

若王子「さ、最後に入ったのは僕です。待ってたんですよ女の子を」

 

目暮「順番はこれで合ってるかね?コナン君」

 

コナン「う、うん…」

 

そしてそれぞれ上の隙間を通る。1人目の星さんは簡単に通れた。2人目の若王子さんは引っ掛かり通れず。何故か新一がほっぺたを引っ張ってたが。で、残りの大男の殿山さんは無理なのは見て分かる。英里さんは簡単に通れると本人が言った。

 

刑事「警部!星さんのテーブルにこんな物が!」

 

刑事の1人が紐を持ってきた。ってか、テーブルに置いてる時点で違うだろ。

 

目暮「なに!星さん、これはあなたのモンですね?」

 

星「そ、それは本とノートを縛ってたただの紐です!僕は犯人じゃない!本当です!」

 

確かに星さんは犯人じゃなさそうだ。動悸は激しいが、それは犯人と疑われてるからだ。呼吸音もそうだ。となると…

 

英里「探偵ごっこはそこまでよ、ボウヤ!」

 

コナン「!!」

 

英里「これは大人の仕事。子供の領分を弁えなさい!」

 

飛翔「そうだ…ぞ!」

 

俺は新一に拳骨を喰らわせる。

 

コナン「イッテ〜!!」

 

飛翔「いい加減にしろ新一!お前今回は小五郎さんや蘭ちゃんがいないからって調子にノリすぎだ!」

 

コナン「ご、ごめんなさい…」

 

飛翔「ったく…」

 

コナン「後…飛翔さん、被害者のトイレの上を見てください」

 

飛翔「…何かあるんだな」

 

コナン「はい」

 

俺は新一に言われ、上の方を見る。するとそこに血痕があった。

 

飛翔「こんな場所に血痕が?」

 

鑑識官「それなら私も、現場の写真を撮る時に確認しましたが」

 

目暮「あぁ、何でそれをすぐに報告せんのだね!とにかく星さん、あんたの疑いはますます深まったみたいですな」

 

星「えっ…そんなぁ」

 

コナン「でもおかしくなぁい?」

 

目暮「ん?」

 

コナン「血が付いてたのは、死体で塞がれてたドアの天辺だよ。僕だったら、便器を踏み台にして、隣りのトイレの境を登るけど」

 

目暮「た、確かにそうだが…」

 

コナン「それに本当に犯人は返り血を浴びてたのかなぁ」

 

目暮「えっ?」

 

コナン「だって、あのおじさんが持ってるフクロを見てよ。凶器のナイフ、柄の所まで血が跳んでるよ」

 

俺達は凶器のナイフ見る。

 

飛翔「確かに変ですね」

 

目暮「それに何だ?この血の途切れた部分は?」

 

飛翔「なるほど。多分ここに何かを結んでいたみたいですね」

 

『!?』

 

目暮「そうか!犯人はナイフ紐を着けて刺し、トイレ抜け出した後で抜いたんだ!血が大量に吹き出すのは抜いた時だからなぁ。でも、何で返り血を浴びていないのなら、あんな所に血が?」

 

英里「トイレの上を乗り越えたのが犯人でなく、死体の方だったって事ですよ」

 

目暮「し、死体が乗り越えた!?」

 

英里「ドアの上にあった血は、被害者がトイレの中に放り込まれた時に滴り落ちたもの」

 

飛翔「多分犯人は、トイレの外で被害者を刺し、死体をトイレに放り込みドアを塞いだ。そしてトイレの外で紐を引っ張りナイフを抜いたんだと」

 

英里「そうしておけば、内部犯の仕業と分かっても、トイレの天井の隙間を通れない犯人は、容疑者から外れる事ができる…」

 

目暮「じ、じゃあまさか犯人は…」

 

飛翔「ええ。彼しかいませんよ。殿山さん!」

 

目暮「よし!この男を署まで連行しろ!」

 

殿山「お、おいおい…しょ、証拠もないのに逮捕なんてしてもいいのかい?」

 

目暮「ふん!そんなものあるに決まっとるだろう!ですよねぇ妃さん、飛翔君」

 

英里「…無いわ」

 

飛翔「ないですね」

 

目暮「なああ!!」

 

英里「例え逮捕しても、私が弁護に着けば、数時間で無罪放免は確実でしょうね」

 

殿山「あったりまえだ。今日俺は、マスターと駄弁りに来ただけなんだからな」

 

コナン「そうそう、僕も聞いてたよ。おじさんラグビー突き指しちゃったんだよね」

 

殿山「ああ。お陰で結婚指輪が…!あっ…」

 

なるほど。

 

飛翔「おかしいですね。普通、結婚指輪は薬指にする物のはず」

 

コナン「おじさんこの店に来た時、ちゃんと薬指に包帯巻いてたよね?まさか、トイレの中で巻き変えたんじゃ…」

 

目暮「そうか!被害者の首を締めたのも、ナイフに結び着けたのもその包帯!だとしたら、被害者の血液が何処かに付着しているはずだ!」

 

英里「あらあら、随分マヌケ名犯人さんね。こんな無精を今も身に着けているなんて。いくら私でも、弁護しきれなくってよ」

 

殿山「く…うおおおおおお‼‼

 

すると殿山は、目暮さん達を振り切り英里さんの方に来る。

 

殿山「どけ女ああああああ‼‼‼」

 

飛翔「悪いが、英里さんには指一本触れさせねぇぞ」

 

殿山「!!」

 

飛翔「コリエシュート‼」

 

俺は殿山の首を蹴る。あ、当然骨折や怪我はしない程度に抑えてるから。なんだけど…

 

 

 

 

 

 

バコーン‼

 

 

 

 

 

 

 

『……』

 

殿山「あ…あああ…」

 

飛翔「……」

 

英里「はぁ…飛翔君、やり過ぎよ」

 

飛翔「す、すみません。かなり加減したんですけど…英里さんが襲われそうになってつい」

 

英里「…ま、いいわ。ありがとうね///」

 

こうして犯人は無事逮捕された。英里さんは蘭ちゃんとも合流できた。俺がいた事に驚いてたけどね。

 

蘭「どうしたのコナン君、コソコソしちゃって」

 

英里「さっきまでは威勢が良かったわよ。この子のお陰で事件が解決した様なものだもの。ねぇコナン君」

 

コナン「う、うん…」

 

英里「あらあら。すっかり嫌われちゃったみたいね」

 

ま、そうだろうな。新一は蘭ちゃんと一緒で、小さい時にかなり怒られてたからな。体が勝手に拒否反応してるんだろうな。

 

蘭「ねぇお母さん。やっぱり戻って来ないの?」

 

英里「ええ。蘭には悪いけど、もうあの人とは赤の他人」

 

蘭「そっか…」

 

あ〜本当に修復不可能だな。流石にあの持ちビルを借金で失っちゃあねぇ…

 

『待って下さい』

 

すると、電気屋のTVで、前に新一が解決したVTRが流れていた。

 

英里「ま、頑張ってるみたいね」

 

蘭「うん」

 

『それでは、事件解決のポイントとなった、電話のシーンをVTRでどうぞ』

 

小五郎『女房?いいのいいの♪もう離婚したんだし。今夜は熱い夜を過ごそうね♪』

 

「「「「……」」」」

 

駄目だこりゃ。

 

英里「…飛翔君、行きましょう。話の続きもしたいしね」

 

そう言うと英里さんは、俺の腕に抱き着いてきた。

 

飛翔「え、英里さん!?」

 

蘭「お、お母さん!!」

 

英里「ごめんなさいね。こんなおばさんじゃ嫌かもしれないけど」

 

飛翔「そ、そんな事ないですよ。英里は綺麗ですし…」

 

英里「あらそう?嬉しいわ」

 

更にキツく抱き締める。

 

蘭「飛〜翔〜さ〜ん〜!」

 

飛翔「は、はいぃ!!」

 

蘭「お母さんだけって事ないですよね?」

 

飛翔「も、もちろんです!」

 

すると反対側に蘭ちゃんが抱き着いてきた。ケーキを新一に渡して。

 

飛翔(た、助けてくれ、新一!)

 

コナン(いや、無理です!こうなった蘭は止めれないの知ってるでしょ)

 

飛翔(そ、そんな薄情な!)

 

蘭「ねぇ飛翔さん。お母さんも一緒でいいんで、このまま買い物に行きませんか?」

 

英里「あらいいわね。この後は特に予定もないし」

 

蘭「やった!お母さんと久々に買い物するね♪」

 

英里「フフッ、そうね」

 

蘭「コナン君も来る?」

 

コナン「ぼ、僕は遠慮するよ」

 

蘭「あらそう?じゃあケーキ持って帰ってお父さんと食べていいわよ」

 

コナン「わ、わ〜い…ケーキだケーキだぁ」

 

そしてコナンは行ってしまった。あのヤロー…

 

英里「それじゃあ行きましょうか。飛翔君?」

 

蘭「行きましょう。飛翔さん」

 

飛翔「…はい。お供させていただきます…」

 

こうして俺は、2人のショッピングに付き合うハメになったのだった…

 

飛翔(誰か助けてくれ〜!)

 

コナン「飛翔さん、すみません!」



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15話

少しですが、かけたので投稿しました。まだまだ連続やすぐにはかけないと思いますので、長い期間になってしまうかもしれませんが、気長にお待ちいただければ幸いです。


飛翔「うぅ〜…さむっ」

 

昨日から雪が降っており、東京もかなり雪が積もっている。

 

飛翔「こんな日は暖かい家に居るに限るな」

 

書斎でパソコンを弄りながらそう呟く。流石に今日はポアロも閉めておく事にしている。夏美や梓、古谷もこの雪の中出勤させるのは気が引けるからだ。

 

 

 

コンコン

 

 

 

すると俺の書斎のドアがノックされる。

 

飛翔「どうぞ」

 

シャロン「失礼します。飛翔様、お電話が入っております」

 

飛翔「俺に電話?誰からだ?」

 

俺はシャロンから受話器を受け取った。

 

飛翔「もしもし…ああ、お久し振りです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コナン(やっぱ事情を全て知ってる博士に相談するっきゃね〜な…しっかし…おせ〜な博士…こんな時にどこほっつき歩いてんだよ…)

 

俺は博士の家の近くで隠れながら博士を待っていた。

 

コナン(本当は飛翔さんの家でもよかったんだけど、あの人は色々忙しいからな…)

 

するとようやく博士が帰ってきたのが見えた。

 

コナン「は、博…!?」

 

すると俺は何者かに口を塞がれ、意識が遠のいていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、俺はロープで体を縛られていた。

 

コナン(くそぉ…まだ頭がクラクラしやがる…あのババァ変な薬嗅がせやがって…)

 

クラクラしながらも、俺はシンクに乗って窓の外を見る。

 

コナン(2階?そうか…オレが気絶している間に、このボロ屋の2階に運ばれたんだ…)

 

「なに?まだ殺してないだと?」

 

「無理な事お言いでないよ!!それが上の命令なんだから…」

 

すると、ドアの向こうから俺を攫ったババァと男の声が聞こえた。幸いドアなボロボロで隙間があったからそこから向こうを覗く。

 

コナン(さっきのババァだ…それともう1人…手前にいるのは…)

 

女「なんでも薬の副作用の特例として、組織に連れ帰り調べるそうよ…」

 

男「フン…わざわざ俺様が出向いたというのに…」

 

コナン(そうか…それでオレを殺さなかったのか…それにしてもあの男…な、なんだ!?なんだlこの仮面の男は!?)

 

男は仮面をしていて、流石の俺も驚いた。すると仮面の男はこちらを向き、ドアに近づいてきた。

 

コナン(こ、こっちに来る!!!)

 

仮面男「……」

 

女「あのボウヤ起きたのかい?」

 

仮面男「いや…まだ薬が効いてるようだ…グッスリ眠っている…」

 

コナン「……」

 

仮面男「しかし、あれが本当に高校生探偵工藤新一なのか?俺には只のガキにしか見えんが…」

 

女「そうね…私もまだ信じられないけど…工藤新一が行方不明になった日と、あのボウヤが例の探偵事務所に現れた日が一致するし、その後、ボウヤの周りで起きた事件は何故かすんなり解決している…それに昼間、私の車から逃げたあの手際の良さ…どう見てもあれは工藤新一本人!!組織が開発した例の薬で小さくなったとしか考えられないわ!!」

 

仮面男「ああ…口封じの為に、組織が奴に飲ませたあの薬が…だが、あれは死体から毒が検出されない毒薬だったはずだが…」

 

女「そうよ…だからまだ信じられないのよ!」

 

仮面男「フフフ…それじゃ~試してみるか?」

 

女「試す?」

 

仮面男「俺も持っているんだよ…組織が新開発した例の毒薬を…こいつを他の人間に飲ませれば、本当にこれで人間の体が小さくなるか分かるはずだ…」

 

コナン「!?」

 

俺は仮面の男の話を聞いて驚いた。まさかあいつがオレが飲まされた薬を持っているとはな…

 

女「でも誰に飲ませるんだい?」

 

仮面男「フフフ…明日、我々が取引する例の男だ…組織は取引が終わり次第、その男を始末しろと言っている…この薬を試すには丁度いい…」

 

女「で?その薬で小さくなる事が分かったらどうするつもりだい?」

 

仮面男「ククク…取り敢えず取引相手の男を殺し…そしてその後…そこに寝ているボウズの息の根を止めるのだ!!まあ、ボウズの事は後回しだ。それより明日、会う男に取引場所をちゃんと教えたんだろうな?」

 

女「ええ…いつもの呼び出し方法で」

 

仮面男「取引は13時だ!それまでたっぷり寝ておけ!」

 

そして深夜頃に俺は動き出す。念の為隣の部屋にいる2人の様子を確認する。

 

コナン(よ~し2人共ぐっすり眠ってる…うへ…あいつ仮面を付けたままだ…薄気味悪いヤローだぜ…)

 

取り合えず寝ていることは確認できたな。まずはこの縄をなんとかしね~とな…

 

コナン(お!ワインのビンだ…よ~し、ビンをマットに包んで…そ~っと…)

 

 

 

 

 

 

パリン

 

 

 

 

 

コナン(やべ…今の音聞こえちゃったかな?)

 

俺は隣の部屋を見る。

 

コナン(大丈夫…まだ寝てる)

 

あおあいて割れた破片で縄を斬り自由になる。

 

コナン「ふ~…なんとかこれで自由に動けるな。さて、どうするか…」

 

昼間に見たけど、雪が積もってても流石に2階の高さは危険だな。となると、やっぱ隠れるのは冷蔵庫か…

 

 

 

 

 

ピチャン…ピチャン…

 

 

 

コナン「ん?」

 

なんだこの音?…そっか、さっき割ったワインが何処かに漏れてんだ…

 

コナン「!?こ、これは!?」

 

 

 

 

 

 

 

翌日…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面男「なに!?ガキがいなくなった!?」

 

女「ええ!起きたらもぬけの殻さ!きっとあの窓から外に…」

 

仮面男「ヤロォ…」

 

女「雪をクッションにして、ここから飛び降りたってわけね…」

 

仮面男「……」

 

女「なにしてるんだい?早くあの子を探すんだよ!」

 

仮面男「いやまて…奴はまだこの中にいる…」

 

コナン「!!」

 

ヤバイ…

 

女「な、なんだって!?」

 

仮面男「逃げたとみせかけてドアを開けさせ、俺達がここから出て行くのを待っているのさ…さぁ、出てこい小僧!!舐めたマネしやがって!!今度こそあの世に送ってやる!!…ん~?カカカ…そこか…」

 

コナン「……」ドキッドキッ・・・

 

仮面男「死ねぇ!!」

 

コナン(バレたか!!)

 

仮面男「……」

 

女「おやおや、勘が外れたようね…」

 

仮面男「フン…ど~せ奴には帰れる場所がない…今日の取引が終わったら、見つけ出して始末してやる…」

 

コナン「…ふ~、もう駄目かと思ったぜ」

 

床下収納の場所を見つけてなかったら、完全にヤバかったな…

 

コナン「さて、鬼の居ぬ間に例の薬を探すか…」

 

俺は部屋の中を探したが、肝心な薬はどこにもなかった…

 

コナン「やっぱないか…となると、あいつらが言ってた取引場所に持って行ったんだろうな」

 

となると、何処で取引をしてるかなんだよな…

 

コナン「ん?これは…」

 

ゴミ箱からひっくり返した新聞紙を見ると、所々切り抜かれた場所がある。

 

コナン「切り取られた文章の前後を推理すると…【いてほベルガ】…これを組み変えると…ベいカほてル…【米花ホテル】だ!!でもこれだけじゃホテルの何処なのかはっきりしない…ん?」

 

するとカレンダーを見つけそこを見ると、真新しかった。

 

コナン「変だな…側面はこんなに黄ばんでるのに…ん?これって…カッターの跡だ!!!」

 

表面に見えてるのが9月だから、破られたのは8月…そしてカッターの跡があった27日の上にあった数字は…30!!

 

コナン「つまり奴らが取引に関係するのは【米花ホテル30】!米花ホテルに行けば何かわかるはずだ!」

 

そして俺は、急いで米花ホテルに向かった…



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16話

米花ホテルにやって来た。しかしこのホテルは19階建てで30なんて階はない。受付のクロークの番号も26までしかない。しかし、駐車場に30の番号がある事に気づいた俺は、早速ホテルの地下駐車場に行き番号を確認した。止まってる車の持ち主に怪しまれたけど、その後大柄の男が30番の駐車場を暫く眺めていた。何かあると思い俺もそこを見ると、30と書かれた横に小さく1と書かれていた。

 

コナン(301はおそらく、このホテルの部屋番号…そしてあの男は…多分奴らの取引相手だ!)

 

男の後を追って行くと、思った通り301と書かれた部屋の前で立ち止まった。男がノックすると、中から出て来たのは仮面の男だった。

 

チーン

 

するとエレベーターから俺を攫ったあの女が降りてきた。

 

「いーい正男…このホテルのドアは自動ロックだから、ドアを閉めるだけでいいのよ!じゃ〜留守番よろしくね」

 

正男「うんママ!」

 

コナン「ハア!ハア!ハア!いやぁハハハ…」

 

正男「ド、ド、ドロボ…」

 

コナン「し〜っ私は怪しい者じゃない…ランポー星から悪い宇宙人を追ってこの星にやって来た…宇宙探偵コナンだ!」

 

苦しい言い訳で、当然子供には怪しまれたが、博士が作ってくれた変声機で誤魔化せた。そして俺は子供からチューイングガムを貰って部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お料理とワインをお持ちいたしました…」

 

女「ええっ?わたしゃそんな物頼んでないよ!!」

 

仮面「フッ…いいじゃないか…丁度腹も減ってたし運んでもらえ…」

 

女「で、でも…」

 

仮面「うるさい!!!さっさと中へ運ぶんだ!!!」

 

「ひっ」

 

女「わ、わかったよ…さあ中へ…」

 

「は、はい…」

 

女「もたもたすんじゃないよ!」

 

ウエイターに料理を中に運ばせさっさと部屋から出す。

 

仮面「!?(鍵穴にガム⁉︎)…カカカ」

 

どうやら既にネズミが入り込んでるらしいな。

 

女「取り敢えず乾杯といくかい?」

 

仮面「まて…その前に、もう一人のお客人を紹介するとしよう」

 

女「も、もう一人の…」

 

大男「客人?」

 

女は運ばれてきた料理の台車の下を覗き込む。だがそこには誰もいない。

 

仮面「フフフ…その台車はおとりだ…本当はこの…クローゼットの…中だ!!!」

 

クローゼットを開けると、中には工藤新一がいた。

 

仮面「ククク…まずお前は、お前が呼んだボーイと俺達が話してる間に、鍵穴にガムを押し込み自動ロックを不能にした…そして…俺達が台車に気を取られてる隙に部屋に忍び込み、クローゼットに隠れたんだ!!カカカ…俺様がそんな手にかかると思ったか…」

 

すると新一は、時計型麻酔銃を撃とうとするが、当然反応しない。

 

仮面「ククク…その面白い時計なら最初にお前を捕らえた時に動かないようにさせてもらったよ…」

 

コナン「なに⁉︎」

 

仮面「俺様を甘く見た事をあの世で後悔するんだな…え〜そうだろ?高校生探偵…工藤新一!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は銃で撃たれた。だが飛び出たのは吸盤が付いた矢。

 

コナン「オ、オモチャ?」

 

「「「ハッハッハッハッ!!」」」

 

コナン「?」

 

仮面「まだ分からんか?俺だよ俺」

 

仮面の男が仮面を外す。すると仮面の下の素顔は俺の知ってる顔だった。

 

コナン「あ、貴方は…飛翔さん!?じゃ〜あのオバサンは…」

 

女「ウフフ…ごめんね新ちゃん…」

 

コナン「母さん!!!」

 

有希子「でも、我が子に気づかれないなんて、まだまだ私も女優としてやっていけるわね♡」

 

コナン「…て事はその大男は…阿笠博士!!そ〜か、てめ〜らオレを嵌めるためにこんな手のこんだ事を…」

 

「「「ニッ」」」

 

俺たちの正体を知った新一は、ベットでぶす〜っとした顔で俺達を見ていた。

 

飛翔「まあそう怒るな。有希子さん達も心配だったんだからよ」

 

コナン「それは…わかってますけど…」

 

有希子「そんなに飛翔君を責めないで新ちゃん。私が無理にお願いしたんだもの」

 

コナン「博士から事情を聞いて、飛翔さんに協力を持ちかけたって訳か。んで、父さんは?」

 

有希子「さあ。知らないわよ」

 

優作さんお話をした途端、有希子さんの機嫌が悪くなった。

 

飛翔「おい新一…優作さんの名前を出した途端に、有希子さんの機嫌が悪くなったぞ」

 

コナン「ああ、飛翔さんは知りませんでしたね。ウチ今別居状態なんですよ」

 

飛翔「ハァ!?」

 

新一の言葉を聞いて、思わず声を上げた俺。

 

有希子「急にどうしたの飛翔君?」

 

飛翔「い、いえなにも!」

 

俺は博士も呼んで詳しく話を聞く。

 

飛翔「別居状態ってどういう事だよ!俺がいない間に何があった?」

 

博士「実はのう…飛翔君が海外に行って数ヶ月後に、優作君の…その…」

 

コナン「父さんの浮気がバレたんですよ」

 

飛翔「ゆ、優作さんが浮気!?」

 

新一の言葉を俺は信じれなかった。

 

コナン「新しい小説の出版が決まって、細やかなパーティが開かれたんですよ。まあ、そこまではいつも通りだったんですけど、その時に限って父さん滅茶苦茶酒を呑んだんですよ。それでベロンベロンに酔っ払って気付いたらパーティ会場にいた有名女優と朝を過ごしたみたいです。しかもお互い裸で」

 

マジか〜…そりゃ名前出したら有希子さんの機嫌も悪くなるわ。

 

コナン「それから数年が経った今でも、母さんは許してないんですよ。多分このままおっちゃんの所みたいに離婚になると思いますよ」

 

飛翔「いや『思いますよ』って、自分家の事なのにいやに落ちつてるな」

 

コナン「まあ、流石に今回の件は蘭とこのおばさんに頼んでも、弁護のしようがないしね。実際、母さんから話を聞いたおばさんも母さんの味方だし」

 

博士「ま〜優作君の自業自得とはいえ、蘭くんに新一両方とも離婚になるとは、流石のわしも思わんかったわい」

 

そりゃそうでしょうに…俺だって思いませんわ!

 

有希子「あ、そうそう飛翔君」

 

そんな話をしてると、有希子さんが俺に話しかけて来た。

 

飛翔「はい、どうしました?」

 

有希子「飛翔君、貴方個人で事務所もってたわよね?」

 

飛翔「ええ。人数は少ないですけど海外含め数人所属してくれてます」

 

有希子「だったら、私も入れてちょうだい」

 

飛翔「…はい?」

 

有希子「流石にこれからは自分の食い扶持は稼がないとね」

 

いやそれはそうですけど…有希子さん大分前に引退してますよね?

 

飛翔「いや…あの…流石に有希子さん女優業引退してから大分経ってますし…」

 

有希子「それなら大丈夫よ。復帰の話をしたら、昔の人達から是非にってたくさん声かけられてるから」

 

相変わらずの人脈だな…この人も…

 

コナン「飛翔さん、ああなった母さんはテコでも動かないんで諦めて下さい」

 

阿笠「いやはや…飛翔君の事務所は小規模とはいえ、所属している人達が強烈じゃの…」

 

有希子「っという訳で、今日からよろしくね。社長さん♪」

 

飛翔「は、はい…」

 

こりゃ断れねぇわ…博士と新一が、物凄く同情する目で俺を見ていたのだった。んで、工藤有希子改め藤峰有希子が女優に復帰したニュースは、瞬く間に世界に広がり、所属してる俺の事務所に大量の出演依頼の電話が鳴るのだった。

 

飛翔「じ…人員が圧倒的に足りない」

 

シャロン「飛翔様、流石に人員を募集するべきかと」

 

飛翔「だな」

 

シャロンの言う事は最もだが、人員の確保も慎重にしないとな。新一の事もあるからな…



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17話

「「イヤッホー!!」」

 

蘭「あれ?お父さん滑んないの?」

 

小五郎「バーカ。俺は滑る前にじっくり味わってんだよ。雲一つないあの大空を。そして、白銀に彩られたこの雄大な大自然を」

 

木にもたれかかり煙草を吸いながらそう言う小五郎さん。すると、そんな話をいてる小五郎さんの背後に蘭ちゃんと新一が回り込み、後ろから小五郎さんを押した。そんな事をしたら当然そのまま滑っていく。ポールを置いたまま…

 

飛翔「こら蘭ちゃん、コナン君。はしゃぐのはいいけど、あれで小五郎さんが怪我でもしたらどうするんだい?」

 

「「ごめんなさい…」

 

全く。俺は蘭ちゃんに誘われてスキー場に来ている。本当は有希子さんの件もあるから最初は断ったんだが、シャロンとまさかの安室から『ここ最近働きづめですし、偶には休んでください』って言われたからな。安室の奴は【黒の組織】の一因ではあるが、俺が信頼してたあの人達の仲間だったから、安心してポアロと事務所を任せられたのだ。本当はシャロンの奴も連れてきたかったが、流石に全部安室の奴に任せる訳にもいかないからな。さて、説明はここまでにして、せっかく貰った休日だ。俺も楽しむか。んで、俺達が泊まる貸別荘の前に帰ってきたんだが…

 

蘭「え~!貸別荘の鍵落とした!?」

 

小五郎「ったく、お前らがあんな事するからだ!」

 

飛翔「流石にこれは蘭ちゃん達が悪いね」

 

小五郎「とにかく!別荘の管理人に電話して、合鍵を持って来てもらうしかねぇな」

 

蘭「この辺に電話ボックスなんてないよ!あそこの別荘は建築中だし、スキーバス行っちゃったし…」

 

こりゃまずいな。

 

蘭「近くにあるのは、あの誰かの別荘だけど…」

 

小五郎「けっ!あんな所に別荘を建てる成金野郎の世話に…誰がなるか!」

 

すると小五郎さんはポールを持って扉の前に行く。

 

小五郎「仕方ねぇ!強行突破だ!」

 

「「ちょっと止めてお父さん/おじさん!!」」

 

飛翔「小五郎さん!流石にそれは後々面倒になりますから!!」

 

「あれ?貴方はもしかして…ああ!やっぱり探偵の毛利小五郎さんだ。いや~貴方の名推理、いつも新聞で拝見させてもらってますよ」

 

俺達に声を掛けてきたのは、大学で教授をしてる大山という男だった。どうやら小五郎さんの大ファンらしく、自分の別荘に招待してくれた。

 

小五郎「いや~!立派な別荘っすな~!この気品あふれる色といいデザインといい!」

 

コナン(さっき成金野郎とか言ってたのは誰だ?)

 

先程と態度が180℃変わっている小五郎さんを見て、蘭ちゃん達は呆れていた。ま、この人のおかげで俺達は助かったんだけどな。気持ちは分かるけど…

 

大山「そういえば、まだ名前を聞いてませんでしたねぇ。毛利さんのお子様達かね?」

 

蘭「はい。蘭といいます。この子は江戸川コナン君。ウチで預かってる知り合いの子なんです」

 

飛翔「私は違います。私はこういう者です」

 

俺は名刺を渡した。

 

大山「【高橋飛翔】…もしかして、あの藤峰有希子が所属している!!」

 

飛翔「はい。そこの社長をさせて頂いています」

 

大山「これは驚いた。お若いのにあそこまでの人達が所属している社長本人とお会いできるとは!」

 

そんな話をしてると、俺達以外の車がやって来て中から女性が降りてきた。

 

「大山先生」

 

大山「おお、中原くん」

 

中原「遅かったじゃないですか。皆待ってたんですよ。そちらの方達は?」

 

大山「ああ、さっき偶然会った儂の知人だよ」

 

『??』

 

何故態々俺や小五郎さんの事を教えなかったんだ?ま、取り合えず俺達は部屋に案内され今は全員で鍋を食べている。

 

蘭「へ~。皆さん同じ大学のお医者さんなんですか」

 

金澤「ああ。ここに集まった者は皆大山先生の教室員だよ。医者というのは派閥があってね。私はもう何十年と先生の元で学ばせてもらってますよ」

 

飛田「俺は、3年前にふだつの上がらねぇ前の教授からこっちへ移ってきたが、今回は本当に良かったと思ってるよ」

 

江角「先日、大山先生が発表されたあの論文、素晴らしかったものね」

 

中原「ああ確か、【大腸がんに対する遺伝子治療の改質】ってやつでしょ?」

 

江角「今学部中、先生の論文の評判でもちきりよ」

 

大山「な~に。儂の頭脳をもってすれば、チョロいもんだ。アハハハハハ!!」

 

そして食事は終わり、各自のんびりする。

 

蘭「ごちそうさまでした」

 

中原「ああいっけない!お酒のおつまみ買うの忘れてた」

 

江角「ええっ!」

 

中原「ちょっと麓のコンビニまで買いに行ってくるわ」

 

江角「じゃあポテチよろしく」

 

飛田「俺スルメ!」

 

金澤「私はサラダ」

 

中原「はいはい。ちゃんと買って来るから紙に書いてね」

 

飛田「へいへい」

 

そして中原さんはコンビニに買出しに行った。

 

江角「お父さんあの状態じゃ帰るに帰れないでしょ」

 

ま、確かにあの状態の小五郎さんを連れて帰るのは大変だしな。そして、大山教授と小五郎さん、金澤さんを除いたメンツが、先程の居間に集まって話している。

 

飛田「ん…く~温まる~!」

 

金澤「おっ、やっとるな」

 

江角「お風呂いかがでした?」

 

金澤「ああ、よかったよ~。おや?私の頼んだサラダは?」

 

中原「すみません売り切れだったんで。それにアイスクリームも無かったわよ。誰よ、こんな寒い中アイスなんか頼んだの」

 

飛田「大山先生じゃないのか?あの人アイス好きだから」

 

そんな話をしてると、新一が時計を見ていた。

 

蘭「どうしたの?コナン君」

 

コナン「あのドラマ10時に終わってる筈なのに、おじさん遅いんじゃない?」

 

中原「大山先生、いつもあのドラマビデオに撮って、いいシーンを何度も観直してるんだから」

 

どんだけあのドラマ好きなんだよあの教授…そして話は酒に酔って寝ている小五郎さんの話になる。

 

飛田「え?毛利小五郎?よく新聞に載ってるあの?」

 

蘭「ええ、父は探偵なんです」

 

コナン「ねぇもう11時過ぎだよ。あのおじさん遅すぎると思うけど?」

 

中原「私、ちょっと様子を見て来るわ」

 

金澤「ふ~ん。彼があの有名な」

 

飛田「人は見かけによらないな」

 

中原「きゃああああああ!!!!!!!!」

 

江角「香織?!」

 

新一と俺は、素早く部屋を出て教授のいる部屋に向かった。中に入ると、縄で縛られ包丁で刺された大山教授の姿があった。

 

「「「大山…先生」」」

 

金澤「…駄目だ。もう息はない」

 

江角「そんな…」

 

金澤「とにかく、先生の縄をほどいて…」

 

小五郎「それ以上触るな!」

 

後ろには顔を赤くした小五郎さんが立っていた。

 

小五郎「困るんだなぁ。勝手に殺人現場を荒らされちゃあ」

 

蘭「お父さん!警察も救急車もこの吹雪じゃ当分来れないって」

 

小五郎「そっか、しゃあねぇな。やっぱここは…この名探♪偵毛利小五郎の出番ってか!♪」

 

((まだ酔ってんな/まだ酔ってるね))

 

そして小五郎さんは、インスタントカメラで遺体と現場を撮るのだった。



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その他
お正月 2022年


コナン「皆さん!」

 

蘭「新年」

 

飛翔「明けまして」

 

「「「おめでとうございます!」」」

 

蘭「今年も無事にお正月を迎えられて良かったですね」

 

飛翔「そうだね。今はまた新たな変異株も見つかって、感染者も増えてますし」

 

コナン「でも、皆それに気を付けながら新年を楽しんでね」

 

ま〜、新年って言っても既に5日なんだけどな…ま、松の内まで正月でもいいだろ。

 

小五郎「プハ〜ッ!正月早々色んな土地の地酒が楽しめるなんてな…ヒックッ」

 

蘭「も〜お父さんったら…恥ずかしい///」

 

飛翔「ま、まぁまぁ蘭ちゃん。折角のお正月なんだし、たまには小五郎さんにも羽を伸ばさせてあげないと…」

 

コナン(ハハッ。あのおっさんは年がら年中羽伸ばしてっけどな…)

 

英里「蘭、飛翔君、コナン君、明けましておめでとう」

 

蘭「お母さん!うわ〜!晴着着て来たんだ!」

 

英里「ええ。折角のお正月ですもの。たまにはね」

 

飛翔「凄くお似合いですよ」

 

英里「あら♪ありがとう」

 

園子「飛翔さ〜ん!私達も着てるんですけど〜」

 

振り返ると、園子を始めとした女性陣がいた。

 

飛翔「ええ。皆さんとてもお似合いですよ」

 

美和子「なんか纏められた気がしないでもないけど…」

 

真純「ま〜許してあげます」

 

明美「ですね」

 

志保「ま、お姉ちゃんがそう言うならね」

 

コナン「おい灰原。何でお前だけ元に戻ってんだよ!!」

 

志保「貴方にも渡そうとしたのに、新年の挨拶があるからって勝手に行ったのは何処の誰かしら?」

 

コナン「うぐっ…」

 

志保「ほら、さっさと博士と合流しなさい。貴方用の着物の用意してくれてるわ。彼がね」

 

灰原は目だけを飛翔さんの方を見る。飛翔さんもこっちに気付いたのか、目配せをしてくれた。やれやれ。本当あの人には敵わないな。俺は灰原から薬を受け取り博士と合流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛翔「皆さんもどうか料理を楽しんで下さい。鈴木財閥の人達が用意してくれましたが、おせちやデザート類はウチからです」

 

梓「おせちは私と飛翔さん。デザートは夏美さんからです」

 

元太「うわ〜!うんまそ〜!」

 

光彦「意地汚いですよ元太君」

 

歩美「そうだよ〜」

 

子供達は嬉しそうだから嬉しいな。

 

和葉「せや。飛翔さんあっちで雑煮一緒に食べようや!」

 

紅葉「そうです。ご一緒しましょう」

 

真純「ちょっとちょっと!抜け駆けはいただけないな〜」

 

園子「そうよ和葉ちゃん!皆平等にって話したでしょう!」

 

和葉「せやかて、皆は東京におるからええけど、あたし等は大阪や京都なんやで?」

 

紅葉「少しくらい融通してくれても、バチは当たらへん思いますけど?」

 

園子「そ、そう言われると…」

 

真純「なんとも…」

 

すると、奥から声が聞こえた。

 

平次「く、くくく工藤!?」

 

新一「よう服部」

 

平次「おお、お前!元に戻れたんか!?」

 

新一「ちげ〜よ。飛翔さんが灰原と交渉してくれて、1日だけだが薬をくれたんだよ」

 

平次「なんや…それならそうと前もって言わんかい!ボケが」

 

新一「俺もここに来て知ったんだよ…」

 

そんな話をしている二人に俺は近付いた。

 

飛翔「驚いたか?」

 

平次「驚くもあるかい。人悪いでホンマに」

 

飛翔「ハハッ、悪かったね。けど、流石にこの日くらいはね」

 

平次「やろな。まだ俺ら以外にも登場してへんゲストぎょ〜さんおるからな」

 

新一「だな。まだ世良や佐藤刑事とかもまだだし」

 

飛翔「それ以上はストップね」

 

メタ発言止めろ。俺はその後も、目暮警部や松本親子、その他諸々と挨拶に行った。まぁ、設定のせいで工藤元夫妻の会話が全く無い事になったけど…いいだろ。

 

飛翔「それでは皆様、今年も1年この作品及び作者を宜しくお願いします!」

 

『宜しくお願いします!』



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