キャラメル風味の短編集 (とけるキャラメル)
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FGOネタ 朱纏の草子
FGOネタ 朱纏の草子 其の一


 時は平安、まだ文化の花開かぬ頃、越後国にひとりの男児が生まれた。生まれながらに髪と歯を生やし、驚くべき早さで成長、知能を発達させていく彼だったが、余人の目には鬼の子供と映るらしく、すぐに山寺に預けられてしまった。そこで外道丸と名付けられた彼は、いくらなんでもあんまりなネーミングだろうと思いつつも、しばらく稚児として僧侶の身の回りの世話などをしていた。が、驚異的な学習能力を見込まれた数え12の頃。なんでも徳の高い僧が最近建てたという小寺で、奉公する稚児が足りないので比叡山へ紹介されることになった。

 

比叡山へと移った外道丸であったが、何しろ寺院である。どこを見てもはげ頭ばかりで、あまりのシュールさに吹き出しそうになったのは一度や二度ではない。持ち前の要領の良さ、気配りで日々の雑務をこなしていったのだが、すぐに出奔を決意するに足る事実に気付くのだった。

 

ホモがいた。

 

数え13にして絶世の美少年へと成長した外道丸は、持ち前の聡明さでもって己の身に迫る危機を察知する。冗談ではない、女もまだ知らぬ身だというのにホイホイされてたまるものか。脱走を敢行するもホモの眼光からは逃れられず、直前で気取られてしまう。もっともらしいことを言って誤魔化す外道丸であったが、しつこく食い下がるホモ坊主はついに強引な態度に出る。取っ組み合いに持ち込まれ、かつてない身の危険を感じ、護身用にと隠し持っていた刃物でとうとう刺し殺してしまう。まあ当然の結果であるが、理由はどうあれ殺人を犯してしまった以上、もうここにはいられない。もともといたくないのでこうなったのだが。

 

そそくさとその場を後にするも、すぐに悲鳴が上がる。あの声はよく話す稚児のものだ、いずれかのホモ坊主に呼び出されたのだろうか。死体を直視してしまい可哀想にと考えながら、少年にあるまじき瞬足で山中を駆け抜けてゆく。

 

 

比叡山からずいぶん離れた里に落ち着いた外道丸は、偽名として九頭竜と名乗ることにした。何のことはない、逃げる途中たまたま目に付いた川を由来とする思いつきだ。

もう大人に匹敵しようかという体力を持つ九頭竜は、それを活かして工事の日雇い作業員として日銭を稼ぐ。勤勉で気が利き、気前が良かったので荒くれぞろいの労働者にたちまち打ち解けていった。意外と教養があると知れた九頭竜は、しばしば舞などを披露するうち、いつしか里のちょっとした名物と見なされるようになる。いかん、悪目立ちしすぎたか、と反省する九頭竜であったが里の長に気に入られ雇用の誘いを受ける。角が立つと思い、はじめは断ったがどうやら長の娘が自分に執心らしい。しつこく食い下がる様にデジャヴを感じるも、義理を知る故に相手の顔を立てることにしたのだった。

 

かくて屋敷での奉公に転職した九頭竜であったが今までのつきあいも忘れない。たまに荒くれたちへ酒を持って行ってやると大層喜ばれた。こうして機嫌を取ったり仕事を斡旋するよう金持ちに提言することで里の治安維持を図るという打算もあるが、何しろ初めてのまともな知り合いである。彼らが犯罪者になるようなことはあって欲しくない。酒が回り顔を赤らめながらそんなことを考えていると、いつもの礼だ、もっと飲め飲めと勧められる。おいおい、これは(おれ)が持ってきた酒だろう、そっちこそ飲めと返す。飲めや歌えや騒げや踊れ、いつの間にやらそこかしこから酒が持参され、ただの酒盛りがちょっとした祭りの様相を呈していた。

 

思い出したように誰かが九頭竜、舞え、と騒ぎ立てるものだから、酔いが回り気分が良いのでリクエストに応えてやることにした。闇夜の下、焚き火が舞い散りアルコールで赤くなった顔を照らし上げる。おう、鬼踊りかとまた誰かが言うから、悪乗りした九頭竜は適当な枝切れを布で括り付け角に見立てる。どんちゃん騒ぎはすでに里じゅうに広がっており、皆がこぞって九頭竜の舞を見に来ていた。酩酊状態で見る舞はどこか神秘的な印象を与え、いつの間にか当たりは静まりかえっている。薪の割れる音だけが響く中、ある種の神懸かり的な舞は見る者を釘付けにしていた。が、唐突に九頭竜がうずくまったところで終わりを迎える。正気に戻った村人たちが近づくと、寝息を立てているだけだった。村人たちは大笑し、またどんちゃん騒ぎに戻っていった。

 

 

翌朝、目を覚ました九頭竜は酔いを覚ますべく桶に水を張るも、驚いてこぼしてしまう。なぜなら水面に映った自分の姿は赤い顔で、二本の角を生やした鬼のそれであったからだ。慌ててもう一度水を張ると、今度は見慣れた自分の顔。飲み過ぎたか、しっかりせねばなと自戒し、いつもの仕事に取りかかる。しかし、誰が知ろう。これこそが穏やかな日々の終わりを知らせる兆候だったのだ。

 

 

ある日、屋敷の主人たる初老の男に呼び出された九頭竜。神妙な顔で切り出したのは、里を出て行って欲しいという頼みだった。というのも、どこから伝わったのか、比叡山でホモ坊主を刺殺したことがばれたらしい。事情が事情とはいえ殺人犯をこれ以上置いておくことは里の信用に関わる、申し訳ないが言うとおりにして欲しいと告げる主人。まあ、そうなるだろうな、九頭竜は慌てることなく考える。むしろ捕らえたり殺さないぶん良心的だ。快く許諾した彼は早速旅支度を調え、まだ正午になる前に出立。顔なじみたちはどうしたのだと問いかけるが、ただのお使いだよ、しばらく戻りそうにないと返答する。莫迦正直に追い出されたと言おうものなら長の評判に傷が付くかもしれないからだ。気を付けて行けよ、おう、内心でもう会うこともないだろうがなと思い歩みを進める。

 

森に差し掛かったところで自分を呼び止める声に振り返る。長の娘だ。続けられる言葉は予想の通り過ぎて拍子抜けする。長から真実を聞かされていないはずだが女の勘というものは面倒事に限って鋭いらしい。理路整然と欺瞞を交えて説明する九頭竜だがヒステリーを起こした少女にその言葉は届かない。このままではなだめているうちに日が暮れそうだ、流れ者が長の娘とくっつけるわけがないだろうに、この女は(おれ)を山中で野垂れ死にさせたいのか?本気でそう疑いつつあった九頭竜は思い切って冷たく突き放す。すると娘は何やら勝手に納得し、これを私と思ってどうだの寂しいときに見ろだのまくし立て恋文を押し付けた。ようやく終わった、旅立つ前からどっと疲れた九頭竜は、乾いた笑いを漏らしつつ重い足取りで歩みを進めるのであった。

 

数日後、食事のために川で釣った魚を焼くべく、九頭竜は焚き火の支度を始めた。雑嚢から火打ち石などを取り出したところ、何やら軽い物が落ちた。すっかり忘れていたが先日もらった恋文である。丁度良い、困ったときの紙頼み。娘よお前の思いは(おれ)の役に立ってくれそうだぞと思いながら点火すると、読みもせずに燃やしたのが悪かったのだろうか、不自然に多い煙を立てて彼を取り囲んだ。明らかに尋常ではない様子に危機感を覚え、忌まわしき稚児時代の思い出とともに法華経を唱えだした。しかし込められた恋心・怨念は凄まじく、頭が割れるような激痛にしばしのたうち回る。

 

ようやく痛みが引き、煙が晴れた頃、九頭竜の額にはいつか見た二本の角が存在していた。先ほどの頭痛の原因はこれか、と人ごとのように考えながら、さてこれからどうしたものかと火起しを続けた。

 

 

さしあたっては修験者を頼ることにした。何せ彼らは山で狂人の如き暮らしをしているという。ならば自分を見てもそう驚くまい。偏見と誤情報に満ちた予想を抱き、頭巾で顔と角を隠した九頭竜はにわか坊主を装って山を目指す。(おれ)の人生山ばかりだな、そう独りごちながら霊峰とされる伊吹山へと進むのであった。

 

結論から言えば、大当たりであった。なんとそこの修行者は本物の神仙の類。九頭竜を一目見るなり訳ありと悟ったのだ。不憫な、鬼へと堕ちる業なくして鬼に堕とされるとは。その言葉にぎくりとする九頭竜だったが、何せまだ十代の少年である。つい感情が(せき)を切って、好きで鬼になったのではないわい、(おれ)の人生けちがついてばかりじゃ、と怒鳴ってしまう。しかし修行者は落ち着いた様子で提案した。この山で心身を鍛えよ、さすれば少しは楽になろうと言う。修行するのに楽とはこれ如何に、鬼であっても神仏は救うのかと問えば、そのうち気にならなくなるから平気平気、それと神仏は救ってなどくれぬから自分であがけ、と何ともありがたい言葉を授かった。

 

 

 

 

人生の師より貰った名は、伊吹。山にちなんだ安直な名だが、少年はこれを大層気に入り、これのみを本当の名とすることに決めた。修行の日々は想像以上につらく厳しい。その苦難は忌まわしき比叡山の比ではなく、死にかけたことは一度や二度ではない。しかし、不思議とやめる気にならなかったのは、鬼たる我が身を救うためというよりも、厳しくも優しい師匠を慕ってというところが大きい。心身を鍛え、神仏に祈る。祝詞を上げたかと思えば経典を読み、いわゆる加持祈祷もすれば、一見して意味の分からない儀式もやった。一方で妖魔に対する守護の術や天狗の如き妖術など、実践的なまじないも習った。他にも薬草学、応急手当、骨子術、柔、様々の武芸、およそ役に立ちそうなことは何でも習う。

 

空を知り、百を学ぶ。伊吹を師匠はこう表現した。自分が無知であることを悟り、教えずとも自発的に学びしかも驚異的なペースで習得していくのだから、何とも教え甲斐のない弟子である、という意味とのこと。事実、伊吹はその名の由来となった山にこもって以来、めきめきと頭角を現していった。角はもう生えているのだが。

 

そうして早くも数年が経過した頃、唐突に新事実が判明する。お主、蛇の気配がする。それも古く強大な神だ。この山の気配によう馴染んでおったから今まで気付かなんだ。そう語る師匠によれば、なんでも伊吹には神蛇の血が流れており、今までの不幸はどうやらそれが原因らしい。

ここへ来たのは運命かもしれぬ、と師の言葉は続き、この伊吹山こそかの八岐大蛇が傷を癒やすための潜伏先として選んだ霊峰であるという。素戔嗚尊(すさのおのみこと)に殺されたんじゃなかったのか、と尋ねる伊吹であったが知らぬわそんなのとにべもない。原因はわかったがどうすればよいのか。悩む伊吹に師は返答する。

 

「刀を打て、伊吹。大蛇退治の折、その尾より(つるぎ)が出でたと聞く。その故事に倣い、自らを大蛇に見立て、打った刀にお主の神気を封じ込めるのだ。さすればその刀は神器名剣となり、その功徳を持ってお主は救われる……かもしれん」

「断言はせぬのか……」

「わしは嘘が嫌いだ」

「うむ、(おれ)もだ」

 

かくて刀鍛冶に転職することになった伊吹。(おれ)の人生転職ばかりだな、と思いつつ修業先を師に尋ねてみれば、なんか伯耆国(ほうきのくに、現在の鳥取県中部・西部)がいいんじゃないかという何ともアバウトな返答である。ともあれ、師の言うことに間違いはなかった。少なくとも今までは。数日後、旅支度を終えた伊吹を見送る師匠。お主老けぬのだからちゃんと教えた術で見た目をごまかせよ、と助言するその姿は出会った頃より幾分か年老いて見えた。心得ております、お世話になり申した、と返し出立。涙は見せない。親を知らぬ伊吹であったが、親子の絆がそこには確かにあった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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FGOネタ 朱纏の草子 其の二

「げえ、比叡山を通り抜けねばならぬのか」

 

伯耆国を目指す伊吹であったが、忌まわしきかの山が立ちはだかる。が、よく考えてみればもうずいぶん昔のことであるし、ホモを拒否され死んだ僧侶など笑い話。今更下手人をとがめるような真似はするまい、掘り返せば寺の評判に関わる。そう開き直りつつも、なるだけ迂回しながら全速力で通過する。自分の噂もないようであったし、やはり杞憂に終わったかと安心。生来の瞬足は師の教えをもって、さらなる神速へと成長し、特に何事もなく伯耆国へ到着した。まあ実際は、強盗などに出くわしたのであるが、商売相手を間違えた彼らは功徳を積まずして仏と相成った。放置すればさらなる被害者が生まれるかもしれぬから仕方ないね。殺生功徳とは因果なものである。

 

 

 

かくて伯耆国入りした伊吹は安綱と名乗ることにした。綱とは長いもの、即ち蛇の暗喩であり、意訳すると『自分の中の大蛇を鎮める』という意味の願掛けである。(おれ)の人生偽名ばかりだな、というか、(おれ)の親父は蛇であったのか、とお決まりのパターンを交えての独白。ともあれ名工と評判の鍛冶師に弟子入りすることにした。が、ポッと出の余所者は怪しすぎて、さんざん頼み込んでようやく下働きはさせてもらえたが、肝心の鍛刀はまるで教えてもらえぬ。まだ信用が足りぬのか盗み見ることすら許されず、しかし安綱はくそ真面目に働いた。あいにく下働きは慣れきっていたので苦ではなかったが、もう二年も経過しようと言う頃。突然やってみろ、と言われたのだからさすがに面食らった。まあ隙を見て覗いていたので大まかな手順は記憶していたが、いきなり手伝わされたのだからおっかなびっくりである。

 

差し当たり信用は得られたようである。(おれ)の人生修行と雑用ばっか、デジャヴを感じつつ食事の支度をする安綱である。刀工の幼い娘がかまってくれと妨害してくる中、弟子を取ったのは安綱が初なのだと婦人から教えられた。鍛冶以外は不器用なの、あれで貴方に期待しているのよ、とは彼女の弁である。そう言われると、もとより軽い気持ちでは断じてないが、一層真剣に、文字通り真剣に取り組もうという気にもなるものだ。決意を新たにする中しつこく娘が話しかけてくる。あにさま、あにさまが名工になったら私があにさまと夫婦(めおと)になってあげる。人生何度目かのデジャヴを感じ、また呪われてはかなわぬ今度は鬼以下の魔物にされるのかと考えそっと釘を刺す。おう(つが)ってやろうとも、(おれ)並に(つら)がようなったらな、と言うのだから童女相手にナチュラルな鬼畜である。

 

さらに十数年が過ぎ、安綱はすっかり精悍な若者と育っていた。まあ幻術なのであるが。鬼であり、神の子(らしい)であり、神仙の類である安綱は老化しない。これでは老いて死ねるかもわからぬと独りごち、身を清め着替える。作業場に向かう安綱を出迎えたのは、刀工の師と自身が鍛えた刀である。まだ未完成の刀に、これから魂を打ち込むのだ。一心不乱に鎚を振ること何刻か、刹那とも永劫とも思える時の経過。気がつけば一振りの太刀が出来上がっていた。師からそう声をかけられ、ようやくその事実に気がつく。作業何日目からか記憶がない。鍛冶の場には神が降りると言われるが、自分がまさにそれであったらしい。なぜなら自分の作はひいき目に見ても傑作の出来映えであったからだ。疲れ果てた安綱は、片付けもほどほどに、しばし死んだように眠るのであった。

 

 

 

数日後、すっかり元気を取り戻した安綱であるが、これほどの太刀を打ったのにけろりとしている弟子に師は静かに驚愕する。ここまでやっても刀に魂を取られぬとは、こいつを教えて正解であったかな。娘をやることを真剣に検討するのであった。銘を切る(ブランド名などの刻印)段階になり少々迷ったが、結局『安綱』、とだけ刻むことにした。こういうのは下手にこだわるとかえって駄目になるのだ。思い切りの良さを珍しく褒められたが、ブランドはしっかり刻んでおかないと贋作が横行するんじゃ……。仕事以外不器用な師を安綱は案じた。一通りの作業が終わり、刃物として完成させるべく仕上研ぎを行う。この時代では研ぎも刀工が行っていたとされるから何ら不思議なことはない。神妙な顔で太刀を持つ安綱、面白いようにすいすいと研いでゆく。まるで太刀自らが研がれに動いているようだ、妖しげにきらめく刃にふと触れてみれば動かしてもいないのに指が切れた。血吸、この太刀にはそう名付けよう。後の名刀が、ここに誕生した。

 

 

安綱、ここに骨を埋めないか、お前になら娘をやるぞ。頑固親父の師もずいぶん丸くなったものだ、その顔はやはり老いていた。刀工の娘はすっかり大きくなり、誰もが振り向くほど美しく育っていた。美男美女の鍛冶師、と結婚もしていないのに辺りでは評判だ。師の言葉は嬉しくもあり、しかし人三化七(本来の意味はものすげー不細工)の自分には受け入れられぬ。伊吹山の恩師に報告があるからすぐ行かねばと断った。一家揃って残念そうな顔をする刀工らであったが、婿入りはともかく報告したらすぐに戻ってくると言えば明るくなった。

 

 

 

 

 

「その様子だと出来たようだな。ようやった、伊吹」

「師匠……貴方ほどの行者でも……」

 

伊吹山へと舞い戻った安綱もとい伊吹を出迎えたのは、すっかり老いて病床に伏す大恩の師の姿であった。

 

「驚いたか?生あるものはいずれ皆こうなる。だからそう嘆くでない」

 

験力、知識、武芸、そして人格。伊吹を心底より敬服させた大修験者であったが、その彼をして老いには勝てぬらしい。無言で、ただ向かい合う。もはや師弟に、親子に言葉は不要であった。不意に、修験者は微笑む。と、それきり動かなくなった。弟子の、あるいは子の成長を見届けるため、気力にて長らえていた修験者であったが、見るべき物を見届けたのか。その死に顔は、未練と無縁であった。

 

旅立つときはついぞ見せなかった涙が、あふれ出ては少年の頬を濡らす。さめざめと泣き、泣いて、泣いて、泣いて、ようやっと師の亡骸を葬った。

 

これから先、ずっとこうしてひとが()くさまを見届けねばならぬのか

 

老いぬと言うこと、死なぬということは、いつまでも子供なのだ。

永遠の少年は、しかし愛する人を失い、モラトリアム(猶予期間)の終わりを迎える。

少年は大人になったのだ。

 

泣き腫れて、すっかり赤くなった目で星を見上げる。

 

 

 

 

 

伯耆国に戻った伊吹もとい安綱を襲ったのは、またしても世の無常である。鍛刀の師とその妻は、あわれ強盗の手にかかり、あっさりとその命を散らしていた。そう告げたのは見る影もなく痩せ衰えた娘であった。両親が死んですっかり気がふさぎ、収入も激減して困っているうち結核にかかってしまったのである。あにさま、そばにいて。それが末期(まつご)の言葉。方々手を尽くしたものの、よき人ばかりが先に()く。神仏よこれはあまりに殺生ではないか。現世(うつしよ)に救いはないのか!?命の儚さ、神仏の無情。そして医療の貧弱を嘆いた少年は、この悲劇を繰り返さぬようさらなる勉学を志した。

 

 

 

 

 

数年後、伊吹は船上の人となっていた。いや、彼は自身を救済の鬼と定めていたのだ。愛しい人々の死は彼を突き動かすのに十分な力を与え、異国の最新医学を求め伊吹は遊学の士と相成っていた。唐国(からくに)、天竺、はては羅馬(ローマ)から埃及(エジプト)まで。しかし迷信と技術限界の蔓延る様が、伊吹を失望させるのにそう時間はかからなかった。すっかり酒浸りになった伊吹であったが、酩酊した頭脳が唐突に天啓を得た。

 

―――――そうだ、(おれ)は鬼で修験者ではないか―――――

 

この世の無常が相手ならば、我が身の外道をもって相対(あいたい)すればよい。大陸の神仙は千里眼をもって三千大千世界を見わたすという。中には未来を覗く秘法もあるとか。しかし鬼たる自身が修練しても、功徳を積むまでどれほど時間がかかるか見当も付かない。

 

―――――たしか陰陽師などは、式神とかいう鬼神を使うそうな―――――

 

そうだ、これだ。蠱術(こじゅつ)、これをやろう。(おれ)の体で。秋津島を箱に見立て、妖魔どもを殺し回り力とするのだ。さすれば病魔に勝る大鬼神となりて万病の処方を知ることもできよう。名付けて八津島蠱術、とでもいったところか。思い立ったが吉日、されど妖魔どもにとっては凶日のはじまりである。百鬼夜行を千切っては投げ、千切っては投げ。殺戮の嵐と化し、美しい顔を返り血で染めた伊吹はいつしか妖魔どもから朱纏(しゅてん)童子と仇名され、神州広しといえど妖魔どもにその名を知らぬ者はいないほど恐れ忌み嫌われるのであった。

 

めぼしい妖魔はあらかた狩り終え、さて千里眼もそろそろ育ってきたか。最初に垣間見た未来の医術、その基本は酒精(アルコール)をもって傷口を清めることであった。古は破傷風も恐ろしい死因のひとつ。しかし消毒に使えるのは焼酎すなわち蒸留酒である。平安の世で主流な酒は濁り酒。ジャムの如き甘さでアルコール度数がまるで足りない、そも酒の流通量、ひいては原料たる米の収穫量が足りない。そうだ、稲作普及活動しよう、平民の主食はアワやヒエで、全然お米がない。よしまずは農業改革だ。酒造など、現時点では夢のまた夢よ……。嘉祥2年(849年)、大江山に居を構えることにした朱纏童子こと伊吹。なぜ山暮らしかというと山パワーを得るためであり修験者だからである。ふもとの農民らに技術とそれによる富をもたらす引き替えに、何やら労働者を募って酒造所を設立する。大酒喰らいとの誤解が広まるのに大した時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

気付けば村々もすっかり大きくなり、自分は豪族と認知されていた。いつまでも死なない領主はしかし富をもたらす故、誰一人疎む者はいない。何しろ、伊吹が居座ってからというもの、餓死者、病死者が目に見えて減ったのだ。平安三大疾病の原因は栄養失調にあると()()()()伊吹は、食生活を改めるよう啓蒙を徹底した。肉食え、玄米食え、野菜食え、ていうか量食えよ、うわっ…平民の食事量、少なすぎ……。おっと、皮膚病対策も忘れずに。羅馬(ローマ)を参考に上下水道や公衆浴場、原始的な水洗トイレの開発・普及を指示。江戸時代よりはるかに早く、劇的な衛生都市となった大江山ふもと村。酒造(というかアルコール)技術開発研究の一環で山葡萄を原料としたワインを製造。ポリフェノールなるものが豊富に含まれ、健康長寿に一役買うという。とはいえ度数が高く、まだ量産が利かないため飲み過ぎないよう注意も欠かさない。おっと、鉱毒対策とやらもしておかなければ。大江山地下に何かを感じ、気になった伊吹が占ってみたところ無尽蔵の金属資源が埋もれていることを発見した。丁度良い、(おれ)が鍛冶を教え、金属製新型農具を普及させれば収穫も増えて諸問題は一挙に解決。仕事があると知れれば労働者はそこかしこから集まってくる。さらなる採掘を行うために未来知識を見てみると恐るべき鉱毒被害の情報を得る。まだ実害が出る前で良かった。病を防ぎ癒やすための技術開発だのに、それが元で病をばらまいてどうする。ほっと胸をなで下ろし、開発と平行して対策を指示する伊吹であった。

 

 

 

 

 

 

 



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FGOネタ 朱纏の草子 其の三

 豊かになれば、その豊かさにあずかろうとする者が必ず出てくる。この場合、まっとうに仕事を求めてやって来た者ではなく、不当な手段で富を得んとする者ども。詐欺を働こうというのではなく、もっと単純。つまりは盗賊の類である。およそ文化的な生活が始められて以来、為政者や民草を悩ませ続けてきた問題である。里の自衛のため、朱纏は軍事力の強化を余儀なくされるのであった。未来より得た情報により、ただの農民がたやすく兵を屠るてつはう?てっぽう?なる武器、一撃で町すら焼き払うばくだん、果ては空飛ぶ鉄の蜻蛉など。千里眼は次々とアイデアを見せてくれるが、しかしどれほど強力な武器も今この時代で作れぬのならば意味がない。それに無用の破壊と虐殺をばらまくことになる。自分が発展させたこの里の工業力で製造でき、維持し、賊を退けるだけの兵器。とりあえずバリスタやカタパルトなどを試作することとした。

 

かつては世界を滅亡させる兵器と本気で憂慮されたカタパルトであったが、遙か未来の超兵器を垣間見た身では乾いた笑いが漏れるばかりである。吹っ飛ぶ盗賊を見て朱纏は茶を啜った。賊の中にはしばしば妖魔の類と思しき者どもが混じっていたが、防衛兵器にはそういった連中への備えもしてある。もっとも、里は結界で覆われているため神魔の類は里に踏みいることかなわず、もたもたしていればまじないを施された石と矢が雨あられと降り注いでくる。まれに大物が攻めてくることもあったが、すでに大魔縁と化した朱纏の敵ではなかった。つまり、大江山のふもと村は、全くの安泰であったのだ。

 

ところで、なぜ望まずして鬼となった少年が朱纏と地の文に呼ばれているのか、説明せねばなるまい。この心優しき鬼は自らを救済の鬼と定め、人としての幸福と縁切ったけじめとして伊吹と名乗ることを戒めたのだ。まあ、つまりある種の自分ルール、決意表明であるが、ともかく彼はよくやっていた。そんな朱纏の元に、天からの救いであろうか、同じ時を歩める者がやって来た。

 

里の近くをうろついていた少女に気付き、あまりに貧相な体を一瞥してすわ欠食児童かと疑ったのである。しかし同時にそれなりの妖気を放っていることはよく注意せねば気付かなんだ。人をやる前で良かったと独りごち、朱纏は彼女に話しかけるべく近づいていった。突然現れた同族に少女はびびりまくり、しかし明らかに虚勢と分かる態度で威嚇する。その初々しさにかつての自分を思い出し、つい意地悪する朱纏。紆余曲折あり、二人は打ち解け、少女は少年の根城たる大江山へと案内されるのであった。この少女こそ、かの茨木童子である。

 

酒金村、竜宮の里、現常世(うつつとこよ)、鬼の浄土、などと呼ばれる里を見て、茨木童子は驚愕することしきりであった。見たこともない清浄で栄えた町並み、人々の血色は良く皆表情が明るい。市場には様々な食物が並び、いずこから芳醇な酒の匂いが漂ってくる。店先には見るも美しい服や髪飾り、何に使うのかとんと見当の付かぬ道具があるが、さも当然というふうに人々は買い求めてゆく。住人たちは人のみにあらず、百鬼夜行もかくやという妖魔、下位の神々なども散見される。この里に存在せぬ物はないのではないか、そんな感想を茨木は抱いていた。が、それ以上に彼女を驚かせたのは、鬼たる朱纏が民草から神のようにあがめれていることであり、そのためか鬼たる自分を見ても驚く者は一人もいない。母の教えを厳格に実行する茨木にとって鬼は人の恐怖の象徴たるべき、しかし畏怖と尊敬を集め君臨する朱纏の姿はあまりに衝撃。こやつ一体どうしたらこんなことになるのだ。強烈な疑問を抱いた茨木は、この光景を作り出した鬼に対し自分をそばに置くよう頼み込むのであった。

 

意を決して頼んだが思いの外あっさりと受諾され、拍子抜けしつつ大江山山中を進む茨木。と、先導する朱纏。美しき鬼の少年を茨木はじっと見つめていた。朱纏が振り返れば慌てて目をそらす。ただの鬼にあるまじき不可思議な雰囲気を漂わす美鬼を、入念に観察しているのだ。吾とこやつ、なにゆえ、かくも異なるのか……。考え込んでいると朱纏が歩みを止める。ここが(おれ)の根城じゃ、と言われてみれば、竜宮もかくやとばかりの御殿がそびえていた。なるほど鬼の住まいにふさわしい大きさ、豪奢よりも風雅を感じさせるたたずまいは嫌みがなく、満たされているという言葉がふさわしい。なかなか趣のある造りの屋敷である。と、何か大きな影がのっそりと、奥の方から近づいてきた。何者かと身構えれば見上げるほどの背丈を誇る赤鬼である。これほどの鬼すら従えるとは朱纏めやはり大した奴、と思えば異国の術法を用いて作り上げた生人形であるという。酒を滋養として千人力を発揮し、里を脅かす賊や掟を破った罪人を見せしめとして喰らうのだ、と自慢げに語る朱纏。よほど自信作であろうか、珍しき鬼人形すら作り出す知と力に茨木は何度目かの驚愕を覚えるのであった。

 

 

 

 

 

時の流れは速いもので、はじめは戸惑っていた茨木もすっかり里の暮らしに慣れていた。破壊の大王も微笑む文明的な生活はまさしく当時最先端のそれであり、自ら何かを生み出せない鬼に里を抜けるという発想が出るはずもない。茨木は朱纏の指導の下、確実に以前よりも強大な鬼に成長しているのだが、それを感じられないほど快適な暮らしに慣れきっていた。しかし腑抜けるということもなく、ときどき攻めてくる妖魔どもを蹴散らしているので、やはり恐るべき鬼として朱纏同様その勇名は轟いていた。

そんな茨木に対する領民たちの認識は領主の妻というものである。謎多き領主が見初めた鬼の娘、その力は夫に勝るとも劣らぬ、また組織の頭として夫をよく支えている、ということになっていることをこのときの彼女はまだ知らない。

 

 

 

所変わってここは都。ねえ晴明最近人口流出止まらないんだけどどうなってるの?ははーっ大江山の鬼が原因っぽいです、じゃあ討伐しようね。こうして時の帝の命により、大臣から指名されたのが源頼光。あやかしの力を持つ鬼相手に大群で向かっても仕方がないと考え、腕利きの四人を選ぶのであった。即ち渡辺綱、坂田金時、以下略。本当はもう一人、知恵ある友として平井保昌なる者がいたのだが、いてもいなくても変わらないので、ここでも省略される。

 

大江山といえばいまや知らぬ者のいないほど栄えた里、同時に鬼の里としても知られていた。底を守る者は強靱にして勇猛。領主にあやかり角の生えた鉢巻き、兜を身につけ、鎧を砕く鉄の棍棒を振るう。血のように赤い酒を飲み、肉を喰らって精を付ける。もはや住人らは、どこまでが人で、どこからが鬼かわからない。妖魔が白昼堂々と闊歩するこの世の異界だとか。

覚悟を決めて里を目指す一行、たどり着いたはいいが不可思議な力に阻まれ進めない。妖魔除けの結界である。正確には神魔の血を引く頼光、金時が入れないのである。どうした者かと困り果てていると、突如三人の老人が出現し何やら話しかけてきた。実はこの三人、神である。八岐大蛇の血を引く朱纏を疎み、討伐隊の派遣に乗じて謀殺せんとしているのだ。さも好々爺といった風で兜と酒を差し出し、自分たちは手を汚さないのだから器が小さい。

ともあれ、三老人の助言は修験者を装えば怪しまれず通過できるというものであった。

この時代旅をしていても何ら不思議はない職業である。が、読者はご存じ、この変装をされては朱纏は……!!

 

かくて里に侵入した一行。あまりの発展ぶりに我が目を疑うのであった。これが本当に鬼の里か……!?伝え聞いた悪評とのギャップに戸惑うことしきり、それとなく聞き込みをしても帰ってくる言葉は領主をたたえる声ばかり。それも、本当に心の底から感謝していることが分かる。

ともあれ、観光もそこそこにして任務に戻る。我らは見ての通り旅の山伏なのですが、噂の里を一目見たく、こうしてやって参りました。領主様に謁見願いたいのですがどこへうかがえば……?と尋ねたところ、そんなものは特になく、用があるなら山に入ってかまわないという。不用心というか、剛毅というか。まあ、そういうわけで山道へ進みゆく一行であった。

 

 

山も深く、清水が流れる川でいったん休憩しようかという頃、一行は洗濯する老婆に出会う。不審に思っていると友好的な態度で話しかけられた。何でも彼女は近くの村で姥捨てにあい、途方に暮れていたところ朱纏の屋敷で使用人として雇われているのだとか。飢え死にを免れたどころか、近頃は体の調子もよくて全く領主様様でございます、と満面の笑みを浮かべる老婆。いよいよ返答に困る頼光一行である。はたしてこのまま攻め入ってよいものか……。心なし重くなった足取りで進めば、立派な門が見えてきた。

 

門番を務めるのは二体の鬼である。里へ来てようやく目にしたいかにもな人外を相手に闘志を取り戻し、意気込む一行。領主様に謁見願いたいのですが……と、献上品の酒もちらつかせ、門番鬼にうかがってみる。実はこの鬼たち、本物の鬼ではなく朱纏の手による式神である。何かと問題を起こす鬼を従えるべきでないと学んだ朱纏にとって、人件費ただ同然の労働力は当然の選択であった。逆に言えば鬼にあるまじき聞き分けの良さを持つ茨木であるからこそ、朱纏の作り出す快適生活を満喫できるのだ。

さて式神とはあまり上等でない魔物が使役されるものであり、しかし主が桁違いに強力な故、必然彼らのレベルもきわめて高いものであった。だから頼光らはこの先に待ち受ける館の主、その恐ろしさを嫌が応にも悟り、その脳裏にて討伐のシミュレートを行いつつ返答を待つ。

 

ええよ、通したって。主人からの許可は、あまりにあっけなく下りたのだった。

 

 

 

 

 

 



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FGOネタ 朱纏の草子 其の四

大変お待たせ致しました。

先日、必須タグ・性転換を入れ忘れたら警告されました……。TS入れたのに……こわい……。
なんということでしょう、これでは遠坂家のことを笑えません。
架空のキャラクター相手にこれほどの屈辱は初めてですよ……!
皆さんも投稿する際は気を付けてください。




拍子抜けである。

いざ鬼の居城へと意気込んだ武者たちを出迎えたのは、見るも美しき少年の鬼。その傍らにはどこか小動物めいた、しかしこれまた美しくも人ならざる少女。いつの間にやら集まってきた使用人たちに案内され、あれよあれよという間に部屋があてがわれた。しきりに入浴を進められ、何か思惑があるのかと疑いながらも怪しまれぬよう言われたとおり風呂場へと案内される一行。大江の里では考慮するべくもないことだが、なにしろ、今は平安時代である。率直に言えば、臭かった。少なくとも常に清潔を維持できる朱纏らの感覚でいえば、であるが。そしてそのことを莫迦正直に口に出すほど、大江山の鬼は無礼でも非常識でもないのだ。

 

 

沈む夕日を背景に、季節の草木を眺めながら露天風呂。これだけでも結構な――――――時代を考慮すれば大変な――――――贅沢であるが、入浴を終えた一行は趣向を凝らした山海の珍味でもてなされる。鬼の振舞う馳走というものだから、髑髏のつけ焼きとか()()()()だの、さぞおぞましいものを出されると身構えていたが、珍しくも美味な料理に安心とともに驚愕する。見透かしたように、飢饉であっても人は食いたくないなぁと鬼屋敷の主人はこぼした。鬼でいらっしゃるのに人を食べぬのですか、某四天王の迂闊な質問に涼しい顔で答える朱纏。口を利くものを食す気にはなれぬよ、もっともかような考えをする鬼は(おれ)くらいであろうが。少女の鬼が気まずい顔をしているのに、気づいたものはいただろうか。

 

 

一宿一飯の礼に差し出された酒を、伏魔殿の主は優雅な手つきでで口へ運ぶ。と、たちまち飲み干してしまった。何か言いたげな少女に涼しい顔で微笑みかけるものだから、とうとう抗議の機会を失う茨木であった。白く美しい肌に赤はよく目立つので、朱纏が酔っているのはだれの目にも明らかである。珍しいこともあるのだな、朱纏が酔うなど滅多にないものだから、よほど良い酒を持ってきたのだろう。独り占めされたことより朱纏の幸運を想うとは、なるほど茨木、彼女は鬼らしくない。であれば、そのような者を鬼へと堕とす業とは、いかほどむごく、そしておぞましいものであろうか。さて、この一連を見守る頼光一行が何と思ったか。神ならぬ身、しかし千里眼もつ鬼たる朱纏にはわかるはずだが、無暗に心をのぞく身勝手は、この少年の嫌うところであった。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「……夢?」

 

酷く、不快な気分だ。

他人の記憶を垣間見たことそのものが、ではない。それによって思いがけずとはいえ、プライバシーを侵してしまったことがだ。

 

寝汗で張り付く服に二重の不快感を覚えつつ、ゆっくりと起き上がった。

 

私、藤丸立花が先日召喚したサーヴァント・朱纏童子。夢で見た光景こそ、知られざる彼の真実なのだろう。おそらく誰一人知りえないものを知ったことに、ささやかな優越感と深い罪悪感を私は覚えていた。

 

ふと、枕をどかしてみる。案の定そこにはあるべきものはなく、机の上に置かれたままだった。

 

普段は枕の裏に敷いてあるはずの小さな袋。

それは朱纏童子から贈られた安眠のお守りだ。夢で英霊の過去を垣間見てしまい、夢の中でも気を抜けない私のため、わざわざ朱纏が作ってくれたものだ。神秘は古いほど強く、だから古い魔術師ほどすごい礼装がつくれるのは魔術師の常識(だとドクターは言ってた)。朱纏は魔術師じゃないらしいけど、千年前の鬼が作ったお守りだけあってその効き目は折り紙付きだ。ダ・ヴィンチちゃんが言うには普通の魔術師なら垂涎の品らしいけど、いろんな意味で他人に譲る気にはなれない。

 

これのおかげで毎日ぐっすり安眠できるのだから、骨身に染みるありがたさだ。彼は本当に鬼なのだろうか?私にとっては地獄に仏だよ……。それに朱纏のおかげで所長も生きてるし(鬼になっちゃったけど)、もう本当に足を向けて寝られない。

 

だというのに、せっかくもらったお守りを敷き忘れたばかりか、とてつもなく嫌なことをしてしまった(わざとじゃないけど)。

 

「あ~、謝ったほうがいいのかな?勝手にスマホを見ちゃったようなものだし……。でも朱纏って、わかりやすく気を遣うより、なあなあにしたほうが好きかなあ?」

 

なにせ日本人(鬼)だし、とひとりごちる。おかしなことに今までなら返事が返ってくるのだけれど、自室には私一人だけだ。というのも2人くらいいる愛が重いサーヴァントたちが、カンカンになった朱纏にこっぴどく叱られたらしい。らしいというのはスパルタクスさんからの又聞きで、人として当然の気配りもできぬのか!!とか、鬼に説教されるようでは世も末だぞ!!とか、説教部屋(即席)から廊下まで響くほどの怒りっぷりだったらしい。寝てたから気づかなかったけど。

彼いわく、こういうところで気が利くから朱纏はギリギリ圧制者ではないらしい。そういえば夢の中でも人々に慕われていたな。そんなことを考えつつ、身支度を終えて私は部屋の外に出た。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「「源頼光?」」

「左様。彼奴はおれが打った太刀を持っておる。あれがあればオルガマリー、お前を人に戻せるであろう」

 

冬木での戦いを辛くも勝利した私たちだったが、敵の残した爪痕は想像以上に深かった。特に所長は、今は落ち着いているけど心に大きな傷を負っているはずだ。信じていた人が実は自分をずっと疎んでおり、敵の手先で、自分を肉体的に殺害し、さらにもう一度殺そうとしたのだから。改めて羅列するといくらなんでもひどすぎじゃないだろうか。もっとも裏切り者・レフは早々にその報いを受け、所長はこうして生きている。額から角がのぞいているけど。

 

戦いが苛烈さを増す中、新たなサーヴァントを召喚する必要があるわけで、当然その中には現代の魔術師がひっくり返るようなキャスターもいた。そんな彼らをして、鬼になった所長をもとに戻すのはほとんど無理だという。なにしろ鬼というものがどんなものなのかわからないから、下手に手出しして失敗するわけにはいかないのだ。そんなわけでただ一人の専門家にうかがったところ、所長の容態も安定してきたからそろそろ手を打とうということになったのだった。

 

「源頼光、10世紀から11世紀にかけての日本の英霊だね。多くの英雄を輩出した源氏に連なり、怪異・神秘殺しとしても非常に強力だ。そして、その……」

「濁さずともよい。おれを殺した女だ」

 

自国の英霊を知らないのはちょっと恥ずかしいかなあと思っていると、ドクターが説明し朱纏が補足する。とても大事なことをさらっと言うけど、被害者としてはそれでいいんだろうか。というかアーサー王といい、どうしてこう、すごそうな英霊に限って女の人なんだろう。歴史家の怠慢とか、歴史の闇を感じざるを得ない。

 

「でも、なんでその人が朱纏の刀を持ってるの? 朱纏の宝具なんでしょ?」

「あれは作ったきり、どうなったかなぞ知らなんだ。されど英雄の元へ流れ着いたとあれば、我ながら大した刀を打ったものよ。まこと奇縁よな」

 

手放した以上自分の宝具じゃないということだろうか。朱纏の持ってるお酒も元は貰い物らしいし、エクスカリバーも精霊からもらったから逆のこともあるのだろう。

 

「まあとにかく、英霊としては間違いなく一級。此度は太刀目当てだが、その後は存分に戦働きが期待できよう。その点でも召喚して損はない」

 

朱纏がそこまで言うからには相当な強さを誇るのだろう。今のカルデアには誰でも知ってるような大英雄も少なくないけれど、そんな彼らに引けを取らない朱纏を殺したなんて、異次元の存在としか思えない。残念ながら私の貧弱な想像力ではまるでイメージが湧かなかった。

 

「あの、そんな方を召喚して大丈夫なんでしょうか。朱纏童子さん斬った方ということは……」

「そ、そうよ! 鬼の敵なんでしょう!? 私まで斬られたりしないでしょうね」

 

マシュの疑問に乗っかる所長。確かに、鬼退治って一人残らず斬り捨てるイメージがあるし、実際のところ大丈夫なんだろうか。所長を人に戻すために召喚したいのに斬り殺されては本末転倒だ。

 

「もっともな懸念だが心配ない。そう血の気の多い者でもないからな。むしろ喜んで協力してくれるであろうよ」

 

 

 

 

 

 

そんなわけで頼光さんを召喚したのだけれど、空気が重い。

 

狙った英霊を召喚するには触媒が必要で、生前の因縁がある朱纏はこれ以上ない触媒の役割を果たす。ということで朱纏立会いの下召喚が始まったのだけれど、一発で成功はしなかった。いや、頼光さんを呼べた以上紛れもなく成功なのだけれど、それまでに彼女以外の朱纏の関係者が召喚されたのだった。

 

頼光さんの部下の一人。日本人ならたぶん誰でも知ってるおとぎ話・金太郎(正確にはそのモデルらしい)その人、坂田金時。

 

朱纏童子の片腕で、その力は朱纏と同等といわれる鬼、茨木童子。

 

全員でないとはいえ、被害者と加害者が一堂に会するという世にも奇妙なこの状況。みんながみんな気まずげな表情で、普段悠然としている朱纏ですらばつが悪そうにしているものだから、誰も話を切り出せない。こういう場合マスターである私が切り出すべきなんだろうか。それにしても気まずい。

 

「あ、あぁ~~、その、よ、ようこそカルデアへ~。私、藤丸立花っていいます。カルデアのマスターやってまして、皆さんを呼んだのはもちろん一緒に戦って欲しいからなんですけど、実はもう一つお願いがありまして~……」

「……うむ、頼光。そなたに頼みたいことがあるのだ。これは人を救うためであるからどうか聞いてほしい」

 

よかった、朱纏がつないでくれた。もしみんな黙ったままだったらどうしようかと思ったよ。

 

「……と、言いますと……?」

「そなたの太刀を貸してほしいのだ。そこな娘、オルガマリーはこのカルデアの頭でな。敵の策によって深手を負い、助けるために止むを得ず鬼にした。そのままでは不都合が多いから、人に戻すためにそなたの太刀が必要なのだ」

 

それにしてもいろいろとすごいな頼光さん。こんな人が見た目中学生の首を切り落としたって……。なんというか、犯罪臭がすごいぞ。

 

「血吸をですか? まぁ、人助けのためというのなら構いませんが……。これで一体どうするつもりですか?」

「鬼に落ちてなお人を殺める前であれば、血吸で斬ることによって人に戻すことができる。まがりなりにも神剣であるからな」

「この太刀にそのような謂れがあるとは……。どこでそのことを?」

「はじめからよ。なにせ、血吸はおれが打ったからな」

「!! それでは、貴方が……」

「いかにも、おれが安綱じゃ。」

 

気のせいか頼光さんたちが複雑な表情に。特に茨木童子はひどく驚いた様子で朱纏に問いかけている。もしかして、同時代の人なのにみんな知らなかったんだろうか。朱纏ってよほど大事なことでない限りわざわざ言わないイメージがするし。

 

「安綱?」

「えっと、様々な名剣を打ったとされる刀工だね。血吸は彼の代表作の一つで、童子切安綱、鬼切安綱、鬼切丸、髭切、鬼丸といった様々な別名を持つらしいよ」

 

すかさずドクターが答えてくれた。それにしても何でもできるんだなあ、朱纏。

 

「へえ~~、朱纏って多芸なんだね。まるでダ・ヴィンチちゃんみたい」

「あれは真の天稟よ。おれくらい無駄に生きれば誰でもできる」

 

まさかこんな形で歴史の新事実が明かされるなんて思ってもみなかったよ。しみじみ考えていると朱纏が声を張り上げた。

 

「さて、話もこれくらいにして、そろそろやるとしようか。手筈はこうじゃ。まず、おれが血吸でオルガマリーを斬る。さすれば術が解けて半死人に戻るから、すかさず神変鬼毒酒を飲ませる。斬った時点で人に戻っておるから酒の力で傷が癒えるはずじゃ」

「はずじゃ困るのよ!! 絶対成功させて頂戴!!」

 

大丈夫かなあ、ホントに。

 



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FGOネタ 朱纏の草子 朱纏童子 ステータス

諸事情によりスキル変更。
更新をお待ちの方はもうしばらくご辛抱を。


茨木は157cm、わずか(重要)に胸が増量している。

 

 

アヴェンジャーの場合

【真名】朱纏童子(伊吹)

【身長/体重】165cm / 76kg

【出典】史実、御伽草紙など

【地域】日本

【属性 / カテゴリ】混沌・中庸 / 地

【性別】男性

【イメージカラー】朱色

【特技】知識・技術の習得、他者にものを教えること

【好きなもの / 苦手なもの】茶、酒 / ホモ、ヤンデレ

【天敵】神仏

【CV】?

 

【ステータス】筋力:A+ 耐久:A- 敏捷:B++ 魔力:A+ 幸運:D 宝具:B

 

 

【クラス別能力】

復讐者:B+

復讐者として、人の怨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。怨み・怨念が貯まりやすい。周囲から敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情はただちにアヴェンジャーの力へと変わる。

 

忘却補正:E

人は忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。時がどれほど流れようとも、その憎悪は決して晴れない。本人はあまり気にしていないため、申し訳程度のクラス補正。

 

自己回復(魔力):D

復讐が果たされるまでその魔力は延々と湧き続ける。魔力を微量ながら毎ターン回復する。魔力回復手段が充実しているためランクダウン。

 

【保有スキル】

鬼種の魔:A++

鬼の異能および魔性を表すスキル。天性の魔、怪力、カリスマ、魔力放出、等との混合スキル。

眼力だけで人を殺す鬼の魔眼、未来視・読心などを可能とする千里眼なども有する。

 

戦闘続行:A+

首を切断されても死なない。直ちに接合すれば鬼の治癒力と魔術の類により全快する。

 

神性:D

八岐大蛇を父に持つという逸話に由来する。本来はCランクだが、本人はこれに懐疑的なため低下している。

 

紅顔の美少年:A

絶世の美少年だったという逸話に由来する。魅了の魔術的効果を持つが対魔力スキルで回避可能。朱纏童子はこのスキルを嫌い、後述のスキルを身につけることで封印している。

 

鬼神の智慧:A+

あらゆる学問や技術を研磨し身につけた鬼神としての様々な智慧。

特定の英雄が所有するものを除いた全てのスキルをB~Aランクの習熟度で発揮可能。

また、相手の同意があるならば他者へ汎用的なスキルを授けることもできる。ただし日本の平安時代の技術をベースとしているため、西洋で発展した技術は精度が下がる。

主に使用するのは呪術、神通力、変化、対魔力、単独行動、等。

 

 

【宝具】

鉄鬼ヶ城(くろがねおにがじょう)

ランク:C

種別:対軍宝具

レンジ:-

最大捕捉:10人

朱纏童子の住居たる鉄の屋敷。敵の侵入を防ぐ堅固な山と要塞だが、一度侵入されるとあまりにも脆い。そのためかサーヴァントとなってからは壁として使う。

 

 

神便鬼毒酒(しんぺんきどくしゅ)

ランク:B

種別:対人宝具

レンジ:-

最大捕捉:1人

元々は神から源頼光に授けられた神器の片割れだが、朱纏童子を騙すため彼に譲渡された。鬼が飲めば力を失い、毒で体が麻痺し動けなくなるが、人が飲めば逆に力が増す。その効果は一時的なものであり、朱纏童子はこの宝具を救急救命に用いる。

 

 

五行童子(ごぎょうどうじ)

ランク:B

種別:対軍宝具

レンジ:1〜99

最大捕捉:500人

朱纏の使い鬼たる五鬼を召喚する。その最大の能力は五つの力を自在に振るうことにある。すなわち、植物を自在に操り神話の産物のような大木すら生やす『木行の熊』、火炎や爆発を自在に起こす『火行の虎熊』、地形を操作する『土行の石熊』、金属操作によりその場で必要な武器などを作り出す『金行の星熊』、洪水や嵐などの災害・天候操作や生物に活力を与える『水行の金熊』、からなる『五行』の力である。これらはかつて実在した本物の鬼ではなく、朱纏が作り出した架空の鬼、式神である。

 

 

鬼界転生・即身成魔(きかいてんしょう・そくしんじょうま)

ランク:B+

種別:対人(自身)宝具

レンジ:-

最大捕捉:1人

自身を巨大な赤鬼へと変化させる。

朱纏童子の号令により、彼を核として五行童子が融合。朱纏童子の体を覆い尽くし、日本三大悪妖怪たる巨大な赤鬼の姿に変じる。変化後は身体能力が跳ね上がり、五行童子の能力も行使することが可能。その威力はAランクの対城宝具と同等。この宝具のみを自立行動させることも可能。

デザインはガサラキに登場する骨嵬(くがい)・朱天を赤くした感じ。

 

 

 

 

人物

一人称は己(おれ)。大和の先住民族・まつろわぬ民の血を引く……かもしれない。

その生い立ちゆえ自分の命に対する執着が薄く、また死んでいる自分より生きている他人を優先する。他者の生存、人格、尊厳を軽視する者を嫌い、それ故に魔術師・英雄とは相容れない。日本を荒らされることを嫌い、召喚される機会を虎視眈々と狙っている。条件次第では召喚に割り込むことも可能で、その場合召喚直後に魔術師は洗脳される。

老成した大人と向上心に溢れた子供の性質が同居している。元人間とはいえ紛れもなく鬼であり、サツバツめいた平安メンタルと相まって「常識人」だが「優しく」はない。敵対者にとってはまさに悪鬼羅刹。

聖杯への願いはないが、茨木とまた一緒に茶や酒を飲めたらいいなと思っている。

 

 

能力

男なので身体能力は原作より上。修行に余念がないので能力の幅も広い。耐久は物理・神秘を問わず高いが神仏の権能、体の内側から作用する物には弱い。修験道の秘術や仙術により魔法一歩手前の跳躍術を行使できるため、ランク以上の敏捷を誇る。使用武器は太刀、薙刀、金棒、弓矢など。あらゆる間合いで戦える。数々の神魔を狩り殺したことから神性・魔性、その他人外の要素持ちに有利。相手の魔術を封じることもできるが一定以上のキャスター相手だと難しい。対人戦闘の経験に乏しく、特に人外要素のない純粋な技量タイプ(小次郎、沖田、李書文など)が苦手。

鬼神の智慧で高ランクの単独行動や魔力を都合するスキルを発揮すればマスターなしで現界可能。全力を発揮すれば神話級トップサーヴァントすら打倒しうるが、そのためには複数のスキルと宝具を使用する必要があり、Aランク宝具の複数連続使用並みの魔力を食う。これを続ければ凜ちゃん級の魔力タンクでも死ぬ。土地の霊脈から魔力を吸い上げることで魔法の域にある魔術すら行使できるが、その場合には遠坂邸クラスの土地は霊的に死ぬ。

ライダーのみ該当しないが騎乗スキルを得られるうえ、そもそも自力で移動した方が速い。本人のバカ高いスペックとスキルでクラスの縛りを受けず、魔力を補う手段も充実している当たり鯖。しかし日本で好き勝手にやらかす事を許さないため魔術師と鯖絶対殺すマンと化す。普通に戦っても十分強いが基本戦術が呪術による即死攻撃であり、対魔力では防げない。幸運が低いと倍率ドン。卑劣様並みに会っただけでヤバい。特にマスターを一度マーキングすればいつでも殺せる、操れる、頭の中読める、ワープできる。これに対処できるのはメディア級のキャスターくらい。

 

 

概要

容姿は酒呑童子とおおむね同じだが、髪型は艦これのレーベ(ただし黒髪)、表情はムスッとしている。

男なので原作より高身長。また角は短い。

 

服装は原作の酒呑のインナーの上に童子水干(Fateではなく一般的なイメージの牛若丸が着ている服)。

水干(アウター)は白で(ひとえ)(インナー)は朱色、袴は紫。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




●年表?
舞台は平安中期(901~1068年)
・弘法大師・空海(774~835年)
・伝教法師・最澄(767~822年)
・山の小寺(788)のちの比叡山延暦寺
・酒呑童子、平安初期(8世紀、701~800年)に越後国で生まれた。
・安綱(生没年不詳)
・坂上田村麻呂(758~811年)
・嘉祥2年(849年)、大江山に住み着く
・正暦5年(994年)、疱瘡(天然痘)大流行。伝説に関係?
・長徳元年(995年)、討伐

・茨木は摂津または越後の生まれ。


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FGOネタ 朱纏の草子 茨木童子 ステータス

生存報告&お茶濁し


バーサーカーの場合

【真名】茨木童子

【身長/体重】157cm / 56kg

【出典】史実、御伽草紙など

【地域】日本

【属性 / カテゴリ】混沌・悪 / 地

【性別】女性

【イメージカラー】黄色

【特技】ヘアカット

【好きなもの / 苦手なもの】朱纏童子、酒 / 渡辺綱、源頼光

【天敵】母親

【CV】東山奈央

 

【ステータス】筋力:B+ 耐久:A+ 敏捷:B 魔力:C 幸運:B+ 宝具:A

 

 

【クラス別能力】

狂化:B

ヘラクレスと同ランクながらも正常な会話も思考も可能だが、鬼である彼女に人間の価値観は通用しないため、意思疎通ができるとは限らない。

 

【保有スキル】

鬼種の魔:A+

鬼の異能および魔性を表すスキル。天性の魔、怪力、カリスマ、魔力放出、等との混合スキル。

魔力放出の形態は「炎」。

 

仕切り直し:A

戦闘から離脱、あるいは状況をリセットする能力。機を捉え、あるいは作り出す。また、不利になった戦闘を初期状態へと戻し、技の条件を初期値に戻す。同時にバッドステータスの幾つかを強制的に解除する。茨木童子は、頼光四天王の鬼退治から唯一逃げ延びた逸話、渡辺綱に腕を切り落とされても逃げ延びた逸話が昇華されたもの。

逃走に関しては一級品であり、逃走の際には一瞬で大跳躍を行う。

 

変化:A

文字通り「変身」する。特に女性への変身に優れる。

 

支援鬼道:A

朱纏童子がどこからか呪術を中心としたサポートを行ってくれる。

 

【宝具】

鉄鬼ヶ城(くろがねおにがじょう)

ランク:C

種別:対軍宝具

レンジ:-

最大捕捉:10人

朱纏童子の住居たる鉄の屋敷。同居人の茨木童子もこの宝具を使える。

敵の侵入を防ぐ堅固な山と要塞だが、一度侵入されるとあまりにも脆い。そのためかサーヴァントとなってからは壁として使う。

 

一条戻橋の怪(いちじょうもどりばしのかい)

ランク:A

種別:対人(自身)宝具

レンジ:-

最大捕捉:1人

変化スキルに由来する変身宝具。こちらは女性に化けることに特化しており、容姿はおろか本人しか知りえない知識や記憶まで再現し、どんな女性にもなりすますことができる。

 

羅生門怨起(らしょうもんえんぎ)

ランク:A

種別:対軍宝具

渡辺綱によって腕を斬られた逸話に由来する宝具。片腕を犠牲にすることで必ず逃走に成功するが、両腕ともない場合は発動できない。味方を連れての逃走も可能だが人数が多いほど成功率が低下する。また、切断された腕を回収した逸話から発動後に腕は復元される。

 

 

 

 

 

概要

容姿は原作とおおむね同じだが、身長が伸び、わずか(重要)に胸が増量している。

 

人物

ほとんど原作と同じだが、精神が成熟している。頼光たち(人間)の事情もそれなりに理解があるため、さほど恨んでいないが複雑な内心。

聖杯への願いはないが、朱纏とまた一緒に茶や酒を飲めたらいいなと思っている。

 

能力

栄養状態が良いので身体能力は原作より上。またスキルやそれ以外の技術も軒並み向上している。

朱纏童子の支援鬼道により隙がなく、インチキ能力を発揮する。

実家が床屋でヘアカットが特技。

 

 



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Fate/Earthquaking Melusine~大地揺るがす竜の乙女~
FGOネタ FEM~大地揺るがす竜の乙女~


とけるキャラメルさんから挿絵をいただきました。
文章中にも掲載していますが、次回にも載せておきます。


●第一特異点「邪竜百年戦争 オルレアン」にて

 

竜の乙女(メリュジーヌ)?」

 

バーサーク・ライダーことマルタに勝利した藤丸立花たちカルデアだったが、彼女の口からもたらされた情報は何とも謎めいたものだった。

 

「そうです、彼女を探しなさい。竜殺しの所在は彼女が知っています」

 

竜の乙女。

竜の魔女によってフランスは滅亡の危機にしている。当然、子供や老人など非力な者たちが逃げ遅れているわけなのだが、そんな人々を竜の乙女は森の中で保護しているのだという。

普段は肉食獣がうろつき危険極まりない森だが、竜の乙女を恐れてか奥へと進むほどかえって獣と出くわさなくなる。竜の乙女自身もまた並みのサーヴァントよりはるかに強く、ワイバーンの群れをもってしてもまるで歯が立たないらしい。

その言葉を頼りに現在、立花たちは森の中を探索していた。

 

 

 

『メリュジーヌといえば、フランスの伝承に登場する美女のことだね。上半身は絶世の美女だけど、下半身は蛇やドラゴンの姿で、背中には翼が付いているともいわれているんだ』

 

「では、竜の乙女とはメリュジーヌの英霊なんでしょうか?」

 

『うーん、どうだろう。正直、英霊になるほどの逸話はなさそうだしなあ。それに伝承では正体を知られると、どこかへ飛び去ってしまうともいわれているし』

 

ロマンの解説を聞く限り、メリュジーヌとはあまり強くはなさそうに思える。もし本当にメリュジーヌが召喚されたのだとするとマルタの発言とかみ合わない。が、英霊の生前とサーヴァントの能力は必ずしも一致しない。もしかすると竜の乙女(メリュジーヌ)という言葉が独り歩きした結果、竜に変身する宝具か何かを獲得した、ということも考えられる。

 

「もし本当に竜の乙女さんがメリュジーヌだとしたら、とっても素敵! まさにフランス万歳(ヴィヴ・ラ・フランス)ね。フランスと関わりのない英霊だったとしても、民を守ってくれるんですもの。きっと素晴らしい方に違いないわ」

 

からからとした声でマリーが笑う。そんな風に議論しているうちに、開けた場所にたどり着いた。丸太を組み合わせた簡素な家が数件建ち並び、あちこちに切り株が点在する。木の根を掘り起こしてならしたらしい地面はまだ土の色が鮮やかだ。

どうやらここが目的の場所に違いないらしい。

 

人々は丸太小屋の中からこちらの様子をうかがっている。人里を襲ったのはワイバーンだけではない。それをけしかけたのが死んだはずの人間であるのだから、ただでさえ閉鎖的な中世の村は、より一層よそ者に対し強い警戒心を抱いているのだ。

 

しかし、いつまでもそうしているわけにはいかない。

意を決して立花が踏み出そうとしたその矢先、足音が響く。

ずしり、と重苦しい音が響くたびに木々がざわめく。それは単なる物理現象ではなく、大地が歓喜の声をあげているようだった。

ただ歩みを進めているだけにもかかわらず、大地に祝福されるように彼女は現れた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

(木が小さい?)

 

立花たち全員が同じ認識を抱くも、彼女と対面した時それが錯覚だと気付く。

あまりに巨大だった。冬木で戦ったシャドウバーサーカー、彼が小柄に見えるほどにまで。

しばし呆けていた立花たちだったが、目的を思い出し訊ねることにした。

 

「は、はじめまして。俺たちはカルデアといって、フランスを救うために活動しています。あなたが『竜の乙女』さんですか?」

 

「いかにも、そう呼ばれている。わたしはこの特異点に召喚されしサーヴァントである」

 

巨躯に反して涼やかな声に立花たちは束の間、聞き惚れた。特にアマデウスは「こんな美しい声がこの世にあったのか」とその表情が無言のうちに語っていた。

 

「お前たちがここを訪れし理由はわかっている。『竜殺し』の所在を求めてのことであろう?」

 

木々のざわめき、川のせせらぎ、鳥たちの歌声。そんな自然の奏でる音楽にも似た声で、竜の乙女は言葉をつづけた。いわく、竜殺しのサーヴァントは呪いに蝕まれており、そのために十全の力を発揮することができないのだという。

 

「実はな、元々わたしは竜殺しとともに戦っていたのだ。しかし我らの力をもってしても邪竜どもを根絶やしにすることはかなわず、攻めあぐねた敵は竜殺しに呪いをかけた。動けぬ竜殺しは己に構わず戦って欲しいといい、彼奴といったん別れた。だが……」

 

「逃げ遅れた民を守ってくれたのね! わたしはマリー、マリー・アントワネットよ。あなたのこと知ってから、ずっとお礼を言いたかったの。ありがとう、竜の乙女さん!」

 

「礼には及ばぬ。この時代は怪物のいるべき時代ではない。人の世において、本来いるべきでないものに狩られる人間たちが他人事とは思えなかったのでな」

 

「それでも、民を守ってくださったことを、王妃として感謝します。本当に、ありがとう……!」

 

 

○○○○○

 

 

 

「ねえ、竜の乙女さん。この呼び方も素敵だけれど、よろしければあなたの名前を教えてくださらない?」

 

「……すまぬが名乗ることはできぬ。わたしの伝承はあまりに醜聞が多いのでな」

 

そう言って竜の乙女は表情を暗くした。その巨躯のためか、心なし萎縮した彼女は、かえって実際以上に小さく見えた。

 

「勝手なことを言うが、伝聞よりも行動でわたしを判断してほしいのだ。……わたし自身の認識では、意図して悪を成したことは決してないと誓える。もっとも、確実にいたであろう、巻き込まれた者にとっては、知ったことではないであろうがな……」

 

 

 

○○○○○

 

 

 

●第六特異点「神聖円卓領域 キャメロット」

 

「我らはかつて生きるために戦った。だが、もはや生きていない我ら(英霊)が、生きている者を脅かすなどあってはならぬ。故に、わたしは今を生きる者のために戦おう」

 

大地を揺るがしながら、竜の乙女は大槍を振るい抜く。生まれたままの姿には程遠いが、それでもなお巨大すぎる肉体から発揮される膂力は円卓の騎士といえど止められるものではない。槍が直接触れなかった者たちも、衝撃波によって肉片へとその姿を変えていく。

 

「化け物が……!」

 

「百も承知だよ、女神もどき!」

 

 

○○○○○

 

 

 

●終局特異点「冠位時間神殿 ソロモン」

 

己の五体が、霊基が軋む音を聞いた。

身の程を超えた力の行使、その代償によるものだ。

本来の自分が持たない、持てるはずもない借り物の力。

己の力のみで何かを成し遂げることを望みながら、しかし自分たちのとっての『神』の力を借りるなど、自分一人であれば羞恥のあまり、木々をなぎ倒しながら逃走しただろう。

 

生前のように。

何も生み出せない己を恥じて、そしてそのことに恐怖を抱いた結果が、逃走の果ての無意味な死だった。

 

だが今は違う。

永遠の戦友、避けられぬ死を承知で戦い抜いた兄弟たち。

かりそめの生における、小さき戦友たちは、死を恐れている。

そしてそれ以上に、愛しい者と永遠に離れ離れになることを。

己の背中には、守るべき者たちがいるのだ。

守るためにはこの巨躯ですらまだ小さい。

だから、恥を忍んで借り物を振るう。

 

「我らが『神』よ。燃え盛る野(プレグライ)より生まれ出でし大地(ガイア)の子、我ら巨人(ギガス)の末弟にして至高なる神よ。その威光、その威容、その神威を借りることを、どうか許したまえ……」

 

瞬間、炎がはじけた。

 

「『天地焼き尽くす凶嵐の炎(エンケラド・テュポン)』……!」

 

そして、凄まじい風が巻き上る。

 

炎と風が吹き荒れる中、竜の乙女は膨れ上がった。

時間神殿の空を覆い尽くすまでに。

 

巨大である。

ただ巨大としか言いようのない、今までよりもなお、巨大であった。

 

 

「遠からんものは音に聞け! 近くば寄って目にも見よ! 我ら、神より生まれされど神ならざる者たち! 我が名はエンケラドス! 大地の子ギガスが一人、大地揺るがす者なり!」

 

竜の乙女が口を開く。

美しい、しかし荒々しい声。

もしここが異空間でなく本物の空であったなら、星々さえもが震えたであろう。

 

『さあゲーティア、破滅の風で宇宙の果てに飛ばしてやろうかあ!! それとも地獄の炎で魂さえも焼き尽くしてやろうかあ!!』

 

 

 



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竜の乙女 ステータス(挿絵あり)

アヴェンジャーの場合

 

【真名】エンケラドス

【身長】309cm~690cm

【体重】451kg~5,500kg

【出典】ギリシャ神話

【地域】ギリシャ

【属性】混沌・悪 / 天

【性別】両性

【イメージカラー】深緑

【好きなもの】ガイア、兄弟たち、緑豊かな大地

【苦手なもの】アテナ、オリュンポス十二神、ヘラクレス

【天敵】アテナ、オリュンポス十二神、ヘラクレス

【CV】? 

 

【ステータス】筋力:A++ 耐久:A 敏捷:B 魔力:A+ 幸運:D 宝具:A++

 

【クラス別能力】

復讐者:B

復讐者として、人の怨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。怨み・怨念が貯まりやすい。周囲から敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情はただちに力へと変わる。

 

忘却補正:A

人は忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。時がどれほど流れようとも、その憎悪は決して晴れない。

 

自己回復(魔力):-

後述のスキルを保持しているため失われている。

 

 

【保有スキル】

大地の子:A+++

ギガスのみが持つ特殊スキル。最高ランクの「女神の寵愛」、「怪力」、「天性の魔」、「天性の肉体」、「黄金律(体)」、「戦闘続行」、「自己回復(魔力)」、「魔力放出(炎)」などが複合されている。

下半身が竜そのものであるため、魔力放出は炎のブレスを吐くことも可能。さらに、純粋な神霊に対する加護があり、勝てないまでも負けることはない。が、神霊が召喚されるケースがまずないため、あまり意味がない。また、神性を持つだけの英霊にはまったく効果がない。このスキルはギガスたち全員が保有しているが、大多数のギガスたちはA+ランクが限度である。

 

神性:B

純粋な神霊、それも原初神を両親に持つが、人であり怪物でもあるためランクは低い。大多数のギガスたちはCランクだが、エンケラドスはテュポンと同一視されるためこのランク。

 

 

【宝具】

災禍たる炎の大地(プレグライ・パレーネー)

ランク:A+

種別:対軍宝具

レンジ:1〜99

最大捕捉:1000人

由来:大地そのものを武器として戦った逸話。

生前の凄まじい膂力、文字通り「巨人の膂力」を一時的に蘇らせる。

ギガスにとっては大地そのものが武器であり、大地のあらゆる災害を自在に起こしたり、あるいは山脈すら投げつける力を発揮する。また、大地の力を一つに凝縮した「燃え盛る樫の巨木」を武器とすることも可能。

この宝具はギガスたち全員が保有している。

 

 

輝ける金剛の武具(アダマース)

ランク:A

種別:対人宝具

レンジ:2~10

最大捕捉:1人

由来:巨人たちが身に着けていた光り輝く青銅の武具一式。

鎧兜、盾、剣、槍からなる、光り輝く青銅の武具一式。鍛冶神ヘパイストスの作には劣るが、大地そのものが形を成した一種の神造兵装。

この宝具はギガスたち全員が保有している。

 

 

大地揺るがす同胞の歩み(ギガントマキア)

ランク:EX

種別:対軍宝具

レンジ:1〜99

最大捕捉:1000人

由来:巨人たちとオリュンポスの神々が繰り広げた宇宙の支配権を巡る大戦。

兄弟であり戦友である23人のギガスたちを召喚する。各巨人は全員が独立したサーヴァントで、宝具は持たないが全員がE-相当の「単独行動」スキルを有しており、短時間であればマスター不在でも活動が可能。また、一人ひとりが大地そのものを武器とする巨人であるため、総合的な攻撃力は高い。

この宝具はギガスたち全員が保有している。

 

 

天地焼き尽くす凶嵐の炎(エンケラド・テュポン)

ランク:EX

種別:対人(自身)宝具

レンジ:0

最大捕捉:1人

由来:ギリシャ神話最大最強の怪物・テュポンと同一視された逸話。

ギガスたちの中でも、エンケラドスのみが保有する最凶宝具。ギガスの末弟にして邪神・テュポンに変身する。

英霊の身でありながら神の権能をその身に再現する宝具であるため、発動と同時にエンケラドスの霊基は崩壊を始める。宇宙を破壊し尽くすという大神ゼウスの雷霆に匹敵する火炎と凶嵐により、あらゆる「存在」の概念を消滅させる。

 

 

 

●概要

エンケラドス。その名は「大音響を鳴らす者」の意。

 

ギリシャ神話における宇宙の覇権を巡る大戦「ギガントマキア」を引き起こした巨人たちの一人。

天空・宇宙そのものである天空神ウラノスと、世界そのものである大地母神ガイアを両親に持つ。世界の始まりの時から存在した原初神を両親に持ちながら、不死性を持たない神ならざる者。

 

ゼウスが神々の王の座に就いた後、ガイアが自分の子であるティタン神族たちに対する不当な扱いに怒り、ギガスたちに援助を求めた。母に頼まれた彼らは兄弟たるティタン神族を助け出すべく、オリュンポス十二神に戦いを挑む。だがその戦いはあまりにも不利なものだった。

ギガスたちは神々に負けはしないものの、ほぼまったく歯が立たず、神に対する不死性により辛うじて戦線を保っていた。その膠着状態も、ある一人の「人間」によって終わりを迎えることとなる。ギガースたちとの決戦用に生み出された人類最強の大英雄・ヘラクレスである。神々によって戦闘不能に追い込まれた巨人たちは、ことごとくヘラクレスの強弓の餌食となった。

 

ギガスたちはそのほとんどがヘラクレスによって討ち取られたが、エンケラドスは神々に倒された数少ない巨人である。戦女神アテナと戦いの末に敗走したところ、シケリア島を投げつけられ下敷きにされる。皮肉にも大地の子は大地そのものと、そして負けないはずの神によって倒された。

 

こうしてギガスたちは神々とヘラクレスによって皆殺しにされ、この壮大な戦争はオリュンポスの圧勝に終わったのだ。

 

 

 

●人物

見上げるほどの巨躯と性別を超越した美しさを誇る巨人。

原初の地母神から生みされた彼ら(あるは彼女ら)は生物として完全な肉体を持っている。彼らはどんな男よりも強く勇敢で、情に厚く義理堅い。彼女らはどんな女よりも美しく、包み込むような愛情を持つ。

野蛮で粗暴な後世のイメージと異なり、父性と母性を併せ持つ、成熟した人格の持ち主。

それ故に、圧倒的な不利と知りつつも、母と兄弟たちのために戦った。

 

ギガスたちは兄弟である他の巨人たちと異なり、大地の子でありながら何も生み出せない自身にコンプレックスを抱いている。その中でもエンケラドスは、逃走した上に結局敗北したことを大いに恥じており、しかし「倒されるべき怪物」として相応しい最期だとして受け入れてもいる。

だが、兄弟たちの生きた証を残したいと考えたことで、大英雄やオリュンポス十二神にすら成し遂げられなかった大偉業「黄金の時代を超える楽園世界」を作りたいという願いを抱いた。

 

 

●能力

大地を揺るがす巨人。人の身で彼らと戦うことは大地と戦うことに等しい。

伝承通り凄まじい膂力を誇るが、決して力任せではなく、その戦闘能力は戦士として一つの極みに至っている。光り輝く青銅の武具一式を持つうえ、多くのクラス適正を持つため、どんな条件でも柔軟かつ効果的に戦うことができる。

また、上半身が人間、腰から下が蛇または竜の姿をした怪物でもあるため、「竜種」としての属性をも持っている。

 

現界した時点でなんとヘラクレスの倍以上の巨体を誇るが、普段は縮小することが可能。それでも並みの英霊よりはるかに大きい。ちなみに本来の姿は凄まじく巨大であり、数百メートルクラスの巨体を誇るオリュンポス十二神をはるかに上回る。

 

 

●挿絵とその解説

髪の毛が見切れてます。

見づらいですが槍を持っています。

足に履いているのはパンティ部レスストッキングです。

 

 

【挿絵表示】

 

 

番号線の説明

 

通常時(309cm)の身長と対比

①ヘラクレス(253cm)

②ぐだ男(172cm)

 

巨大化時(690cm)の身長と対比

③ヘラクレス

④ぐだ男

 



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