やはり俺が涼風青葉の先輩なのは間違っている。 (ニケ)
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やはり比企谷八幡は先輩である。

どうもニケという者です!


実は以前pixivであるクロスオーバーの小説を投稿させていただいていたんですが………多忙が続き数年前に投稿ストップするという体たらくに終わってしまっていたので、こちらのハーメルンで新しい小説を上げたいなと思って書かせていただきました。

誤字脱字など至らぬ点などがありましょうが、なにとぞ…なにとぞ!生暖かい目で見守っててくださいm(*_ _)m


比企谷八幡は八神コウの同期という設定になっています。



青春とは嘘であり、悪である。

 

青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺き、自らを取り巻く環境のすべてを肯定的にとらえる。

 

彼ら学生は青春の2文字の前ならばどんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げてみせる。

彼らにかかれば嘘も罪とがも失敗さえも青春のスパイスでしかないのだ。

しかしそれは社会に出れば何も通じない。

嘘も罪とがや失敗はすぐに上司に叱責され、嘘も罪とがや失敗をしなくても結局は粗を探され叱責される。

そんな腐敗した世界が社会なのだ。

しかし、彼ら学生はこの腐敗した世界で揉まれ続けた大人の言葉も「はぁ〜?意味わかんないんですけどw」と聞く耳も持たずに一蹴する……。

それもまた青春のスパイスなのだろうか。

ならば、そんな事さえも青春なり得るのなら大人が馬車馬のように働く姿も青春と呼べるのではないだろうか?

しかし、彼らはそれを認めないだろう。

そう、すべては彼らのご都合主義でしかない。

 

 

 

「涼風青葉です、よろしくおねがいします…。涼風…」

 

 

 

結論を言おう。

 

こともなげに青春(モラトリアム)を謳歌せし者達よ…

 

 

 

「よし!………ってほんとに入っていいのかな?」

 

 

 

「砕け散れ……!」

 

 

 

「ひっ!………ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

 

 

「……………………あ」

 

 

 

しまった……。口に出てたか…。

てか、この子誰だよ。俺知らないぞこんな子。

 

見たとこ中学生?くらいか…?

 

 

 

「すまない。驚かせるつもりは無かったんだ通報だけはしないでくれ……!」

 

 

 

「えぇ!?しませんよ通報なんて!」

 

 

 

 

……よかった。通報は免れたようだ。

しかし中学生?がなんでまたこんな所に……

 

 

 

「なぁ…、どうしてこk

 

 

 

「あら〜、どうしたの?八幡くん」

 

 

 

 

遠山さんか……。丁度いいか。

 

 

 

「あ…、いや。このk

 

 

 

「もしかして、また独り言ブツブツ呟いてたんでしょ?」

 

 

 

 

さっきから言葉を遮りすぎだよ遠山さん……(遠い目)

 

しかもなんでわかるんだよ…、てか今回が特別だよ?

その言い方だと俺がいつも独り言言ってる危ないヤツみたいじゃん…。

え、違うよね……?

 

 

 

「あら?この子は?」

 

 

 

そうだよ、そこだよ!それを言おうとしてたんですよ!

 

 

 

 

(いや、なんか扉の前でウロウロしててな…?)コソッ

 

 

 

(あら、そうなの?)

 

 

 

 

「……………………?」

 

 

 

 

1人状況がわからないのか頭にハテナを浮かべている謎の女の子……。

くそ、割と可愛いな。

え?ロリコン?やだなぁ〜違いますよ?(真顔)

 

 

 

 

「ごめんなさいね?ここは会社だから子供は入っちゃだめよ。」

 

 

 

「ご、ごめんなさい…」

 

 

 

やっぱこういう時にこの人いると楽だなぁ…。

 

関係者じゃないと判断したのか一言注意して会社に入ろうとする遠山さんの後ろに続く…

でもあれ?今日は新人くるとか言われてなかったっけ?

まぁでも、あの子なわけないか!

 

と思っていると後ろから肘を引かれた…………!?

 

 

 

 

「……て、違います!!」

 

 

 

「ううぇい!?」

 

 

 

なんだよ!?いきなり引っ張るなよ!?

変な声出ちゃっただろ……。

 

 

 

「あら、新入社員さんだったのね」

 

 

「ごめんなさい私ったら…」

 

 

 

「わ、私こそごめんなさい!」

 

 

 

誤解だとわかったのか遠山さんが謝るとその子も返すように謝ってきた

……新入社員だったのか、さっきは“なわけないか!”とか思っちゃったよ…。

 

すみませんでした。心の中で合掌……。

 

 

 

 

「す、涼風青葉といいます。入社するって聞いてますか…?」

 

 

 

「涼風……あ、聞いてます。一緒のチームだわ」

 

 

 

「ほんと!?」

 

 

 

 

「私はADの遠山りんです。よろしくね」

 

 

 

「そしてこっちが……」

 

 

 

遠山さんが俺の自己紹介をしようとしたので一応名乗ることにしよう

 

 

 

「比企谷八幡だ」

 

 

 

「「え、それだけ……?」」

 

 

 

「………………?」

 

 

 

え、なにか間違った……?

俺的に言えば噛まずに言えただけでも賞賛ものなんだけど。今夜1人で祝杯あげちゃうレベルなんだけど…。

 

 

 

 

「…はぁ、まぁいいわ。あまり期待してなかったから」

 

 

 

なにそれひどい…

 

 

 

「この人は比企谷八幡くん。」

 

 

 

それはさっき言いましたよ。遠山さん。

 

 

 

「私たちと同じチームでキャラデザと3D、キャラリーダーをしているわ」

 

 

「え!?キャラデザですか!?」

 

 

 

「今言ったこと全て半端だけどな…。」

 

 

 

「いいじゃない、ホントのことなんだから。」

 

 

 

そうは言ってもですね…

 

 

 

 

「あ、あのADって大変ですよね!」

 

 

 

「テレビでよく見ますけど雑用ばかりで大変なイメージだし…。」

 

 

涼風がなにを勘違いしたのか喋り始める。

……テレビ?雑用?

 

 

 

「ああ…、私のADはアシスタントディレクターじゃなくてアートディレクターよ」

 

 

 

「だから全てのグラフィックの管理が仕事なの」

 

 

 

ああ…、そゆこと。

 

そうかアシスタントディレクターだと勘違いしたのか

 

 

 

「…………」

 

 

 

「申し訳ありませんでした…。」

 

 

 

「え?ちょ…いいのよ!」

 

 

 

間違いに気づいて涼風が土下座をし始め、慌てて遠山さんが止めていた…。

いきなり土下座とか……親近感わくな。

 

こいつとはいい酒が飲めそうだ……!まぁ誘わないけど

しかしかなり童顔だがこいつ成人してんのか?

 

しっかしADをアシスタントディレクターとは………

 

 

 

「………………ふっ」

 

 

 

 

「こら八幡くん!笑ったら可哀想でしょ!」

 

 

 

「………………うぅ/////」

 

 

 

 

###

 

 

「ここがオフィスよ、皆時間ギリギリにくるからまだ誰もいないけど」

 

 

 

 

涼風を連れてオフィスまで来た。

ちなみに連れてくるまでの間、俺は終始空気だったぜ!

 

 

 

「ここがあなたの席、そうだ何か飲む?」

 

 

 

「それじゃあオレンジ……」

(いけない、今日から社会人なんだ…)

 

 

 

「コーヒーブラックで」キリッ

 

 

 

涼風ェ……お前は多分社会人という事を意識していることと思うがそれは逆に子供っぽいぞ。

 

見ろ、あの遠山さんが苦笑いしてらっしゃる……。

 

 

 

「そ、そう。わかったわ」

 

 

 

「八幡くんは何か飲む?」

 

 

 

「あ、じゃあいつもの頼むわ」

 

 

 

「またあれ?そんな沢山飲んでたら体壊すわよー」

 

 

 

そんな事を言いつつも遠山さんは飲み物を取りに行ってくれた。

 

 

 

 

「はぁ、優しそうな人でよかった〜」

 

 

 

「不安だったのか?」

 

 

 

「そりゃあそうですよ!」

 

 

 

「でも私も今日から働くんだ……!」

 

 

 

何か気合を入れている。なんか小動物みたいで微笑ましいな…。

 

 

 

「そうだな…、頑張れよ」ポンポン

 

 

 

「ふぇ!?///」

 

 

 

 

「っと、すまんつい癖でな…許して欲しい。」

 

 

 

「は、はい…///」

 

 

 

 

 

ああああぁぁっっぁぁああああっぁあぁ〜!!!!!!

やっちまった〜〜!新入社員に初っ端から悪印象刷り込ませてどうするんだよ!

もうだめだ……これからずっとやばい先輩のレッテルを貼られて働いていくんだ……。死にたい。

 

 

 

「疲れた…もうやだ……。」

 

 

 

 

俺ももうやだよ…。ってあれ?

 

この声は…

 

 

 

「ぎゃーーーーーーー!」

 

 

 

「涼風、うるさい」

 

 

 

 

「す、すみません!でも!」

 

 

 

 

「平気だ、おばけとかじゃねぇから………………八神」

 

 

 

俺は涼風を連れて八神を起こしにいく

 

 

 

「ううん……?」

 

 

 

「おぱんつーーーーー!?」

 

 

 

 

八神の姿を見た涼風は悲鳴をあげた……。

まぁそうなるよな、うん。それが正しい反応だと思います。

 

 

 

「……えぇ?って八幡!?///」

 

 

 

「ちょっと向こう向いてて!」ハキハキ

 

 

 

八神は急いでズボンを履き始める……。

いや、そんなに照れるなら最初から履いといてくれませんかね……?

なぜ俺が照れないかって?そりゃ最初見た時は今の涼風さながら驚いていましたさ、しかしそれも何回も続くと慣れてしまうものがあると言いますか…。

 

いや、そんなのに慣れてはいけないってわかってはいるんですよ?わかってはいるんです。

だけど、もうそんなんじゃ動じないメンタルが手に入ってしまったと言いますか、培われたと言いますか。

ほら、お前らだって母親のパンツ見て興奮しないだろ?それと一緒だよ。違うか、違うな…。

 

まぁ当の本人は未だに全然照れているんですがね…。

 

 

 

 

「…も、もういいよ///」

 

 

 

どうやら着替え終わったようだ

 

 

 

 

「で、八幡。この子は?中学生?なんで子供がいるの?」

 

 

 

 

「子供じゃないです!」

 

 

 

八神の一言に反応して涼風が声を荒げる。

まぁ中学生に見えるよね…、うん。そこは許してあげてほしい。

だって俺もそう思ったもん。

 

 

 

「こいつは今日から入社した涼風青葉だ。」

 

 

 

「あら、起きてたの?」

 

 

 

「あ、これ八幡くんと涼風さんのね?」

 

 

 

「サンキュー」

 

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

 

 

遠山さんが俺らの飲み物を持ってこっちへ戻ってきた。

俺らは遠山さんから飲み物を受け取る。

 

 

 

 

「あ、りん〜、私のは?」

 

 

 

「ないわよ…、起きてるって知らなかったし」

 

 

 

「えぇ〜、まぁいいや。八幡ちょうだーい」

 

 

 

「……………………………………」ジト

 

いいんじゃねぇのかよ……

 

 

 

 

「まだ飲んでないからいいけどよ。ほらよ。」

 

 

 

「………………………………!?」

 

 

 

「サンキュー、んでどこの班に…」

 

 

 

 

「ゲホゲホ!これ砂糖入ってないじゃん!」

 

 

 

 

「あ!逆だったわごめんなさい!」

 

 

 

 

え、なにコーヒー逆だったの!?

なんだよ危ねー……。いや別に飲めないって程じゃないよ?ほんとだよ?

でも苦いじゃんブラック…。人生は苦いからコーヒーくらいは甘くていいんだよ。そこらへんまだ涼風はわかってないな。ふふん。

 

 

 

「ませてるなぁ〜、ブラック飲むの?」<交換!

 

 

 

 

社会人(おとな)ですから!」

 

 

 

 

「…………」ゴクゴク..

 

 

 

 

 

「けほっ!けほっ!けほっ!」

 

 

 

「飲めないのかよ!」

 

 

 

 

いや、飲めないのかよ!

不覚にも八神と同じツッコミしちゃったよ!

やっぱりマックスコーヒーが正義だな…。

 

 

 

 

「歳はいくつなの?」

 

 

 

 

「18です!」

 

 

 

「へぇ!高卒できたの!?珍しい!」

 

 

 

 

珍しいとか言っちゃうんだ……笑

 

 

 

「でも高校生にも見えないな、はっはっは!」

 

 

 

「あ、あなたこそおいくつなんですか!」ムッ

 

 

 

 

「……いくつに見える?」

 

 

 

「……う」

 

 

 

 

 

でた、でたよ。答えづらい質問……。

これって上げすぎても下げすぎてもいけないし、かと言ってジャストで当ててもいけないんだよな、なにそれ理不尽。

女性にこういう質問された時は実年齢よりも少しだけ下げて言うのがベストだと思う。

 

 

 

「ままままままさか、みそ……」

 

 

 

 

「そんなにいってないわい!」

 

 

 

 

俺が世の理不尽に思考を馳せている間に涼風がフェアリーズストーリーのポスターを見て予想を外したらしい…

 

三十路て

 

 

 

 

「25だよ、私も高卒で入ったの」

 

 

 

そう、ちなみに俺も高卒で入ったのだ。

働きたくはなかったが働くなら早くからの方がよかったからな。

 

 

 

「あああああの、ごめんなさい」

 

 

 

「うふふ、いいのよ気にしなくて」ニコニコ

 

 

 

遠山さんがフォローに回っていた

 

 

 

「ちなみに私はいくつに見えるかな?」

 

 

 

 

「……………………23?」

 

 

 

「同い年だよ!」プンスカ

 

 

 

「いい子ね」ウフフ

 

 

 

どうやら涼風は遠山さんだけ適切な答えを引き当てたようだ。

 

 

 

「で、でも感動です!」

 

 

 

「子供の頃に好きだったゲームを作ってた人が目の前にいるなんて!」

 

 

 

「私、あのゲームでキャラクターデザイナーになりたいって思ったんです!」

 

 

 

 

お、おう。俺も携わってた側としてはちょっと照れるな

あ、八神も照れてやんの。こらこっちを睨むな。

 

 

 

 

「あら、ならここにいる八神コウと比企谷八幡くんがそのキャラデザだったのよ」

 

 

 

 

「八神先生だったんですか!!」

 

 

 

 

「急に態度変わったなっ」

 

 

 

「あれ?でも比企谷さんもキャラデザだったんですか?」

 

 

 

 

あぁ、遠山さん余計なことを……。

 

 

 

 

「俺はちょっとした手伝いだよ。メインのキャラデザは八神だったし、名前も八神が乗ってただろ?」

 

 

 

「俺はもっぱら3Dの方だったよ」

 

 

 

「そんな事ない!八幡がいてくれなきゃあのゲームはあそこまで良いものにはならなかった!」

 

 

 

 

「ち、ちょっとコウちゃん……!」

 

 

 

 

八神が俺の言ったことに異議を立てるが遠山さんが宥めてくれる……。

 

 

 

「……まぁ、基本は大体八神がやってたんだよ。ほんとに。」

 

 

 

 

「そうだったんですか…。そんな話が聞けるなんてやっぱりイーグルジャンプに来てよかったです!」

 

 

 

 

「比企谷さんもすごい方だったんですね!」

 

 

 

涼風がテンションMAXになって話かけてくる。

え、もうちょっとシリアスな感じじゃなかった?

まぁ俺としてはこっちの方が助かるんだけど…。

 

 

 

 

「ちなみに今日から八幡くんとコウちゃんが涼風さんの上司だから、皆仲良くね?」

 

 

 

 

 

「……が、がんばりまシュッ!」

 

 

 

 

 

 

あ、噛んだ

 

 

###

 

 

「んで八神よ、俺ら2人が上司と言われたが…。」

 

 

 

「うん、どっちがどう青葉の面倒をみるか」

 

 

 

 

正直面倒臭いから全部八神に押し付けたいな…

 

 

 

 

「今、全部私に押し付けようと思ったでしょ…」ジト

 

 

 

「そ、そんな事ありませんにょ?」

 

 

 

「噛み噛みだし……」

 

 

はぁ、やっぱ無理か

 

 

 

「わかった、一応は俺がキャラリーダーだからな。あいつへの業務連絡や進捗状況の確認なんかは俺がやる」

 

 

「技術的な面はお前が教えてやれよ」

 

 

 

「ん、りょーかい。じゃあ早速いってらっしゃーい」

 

 

 

「………………こいつ」

 

 

 

 

じゃまぁ、とりあえず仕事してもらいますか。

 

###

 

 

「涼風」

 

 

 

「は、はい」

 

 

 

ふ〜、1体1で喋るのはやっぱ緊張するな…

落ち着け八幡、さっきは噛まずに自己紹介出来たんだ

今回だってできるはず!

 

 

 

 

「す、涼風は3Dの経験はあるにょか?」

 

アッハッハッハ-!!

 

 

「え、絵以外はなんにもわからないんですけど…」

 

 

 

 

あぁー!噛んだ……!噛みっ噛みだ……死にたい。

だが涼風も緊張で気づいてないみたいだし、気にするな八幡!

……後ろで笑ってる奴は後で泣かす。

 

 

「お、OK大丈夫」

 

 

 

「ではまず、この参考書の第1章をやってくれ」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

「いい返事だ、じゃあよろしく」

 

 

 

 

「あ、あれ?」ソレダケ...?

 

 

 

 

ア、アレハチマンコワイヨ...?

 

オマエミテワラッテタロ

 

 

 

 

 

つづく?




どうだったでしょうか!
続くかどうかはみなさんの反応や私の気分ややる気や気まぐれで決まりそうです……笑

八幡っぽさを出すのはやっぱり馬鹿だとちょっときついものがありますね…。
あと私自身オリジナリティを大事にしていきたいと思ってはいますが他の方の作品も読ませていだたいているため話がかぶってしまったり、少し“あれ?これぱくりじゃね?”と思う場面があるかも知れません。
そういった場合は指摘していただけると幸いです。
私自身もわざとやっている訳では無いのでソフトな言い方だとなお助かりますm(*_ _)m

もしリクエストなんかもあったら取り入れたいなぁとも思っています!
ご意見ご感想のほどお待ちしております!


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なぜか滝本ひふみは俺に懐いている。

なんとか続き書きました!

ちなみに私はNEW GAME!は2期のEDが一番好きです。


早々にチームの皆に涼風に挨拶回りをさせ、早速仕事に入ってほしいところだが…

今年の新入社員はあいつだけみたいだが大丈夫だろうか?

 

まぁどうにかなるか、涼風も気合を入れているようだし

 

 

 

「あの……」

(ダメだー!)

 

 

 

なんかダメそう……

ていうか他の奴ら涼風には目もくれてないな……笑

篠田に至っては剣振り回してるし、涼風めっちゃ怯えてるからやめたげて!!

 

 

 

「おはようございます」

 

 

「あ、おはようございます!」

 

 

 

どうやらひふみが出社してきたようだが…、大丈夫だろうか。

あいつもコミュ障だからなぁ。ん?俺は?言わせるでない

 

 

「…………………?」スル〜

 

 

 

あちゃー、スルーしやがった…

 

 

 

「あ、あの……、今日から入社した涼風青葉です」

 

 

「…滝本ひふみ、よろしく」

 

 

「滝本さんもキャラ班なんですか?」

 

 

 

「………………」ジッ

 

 

「ご、ごめんなさい!」

(どうしよう…、誰とも仲良くなれそうにない!!)

 

 

 

ま、こうなるよな…。自己紹介出来ただけましか……

ピコン!

ん?社内メッセか

 

 

 

「from:ひふみ☆

 

八くん!どどどどうしよう\(; ºωº \ Ξ / ºωº ;)/

やっぱりちょっと冷たかったかな?(´;ω;`)

嫌われちゃってたらどうしよう:(´◦ω◦`):ガクブル」

 

 

 

…………ま、こうなるよな…。

 

 

 

「from:比企谷@働きたくない

 

まぁ落ち着け。とりあえずメッセでもいいから謝って聞かれた事はきちんと答えておけ(´-ω-`)」

 

 

「from:ひふみ☆

 

う、うん!了解ですっ ( ̄^ ̄ゞ」

 

 

 

ふぅ、ひふみも大変だな…

 

 

ピコ-ン!

「?社内メッセ…?」

 

 

 

ふむ、メッセはちゃんと送ったみたいだな

 

 

 

「…………………………」

(ひふみ先輩……!!)キラキラ

 

 

 

 

なんか涼風キラキラしてないか……?

まぁ、誤解が解けてよかった

 

 

 

「ん?八幡どうしたの?」

 

 

「お、八神。」

 

 

「いや、涼風とひふみのファーストコンタクトがちょっと手間取ってな。」

 

 

「ふーん。って言ってる間にもなんか青葉が困ってるぞ…?」

 

 

 

ほんとだ、ひふみがイヤホンしているせいか涼風が話しかけていることに気づいてないみたいだ……。

 

 

「しょうがないな〜、ひふみんに伝えてやるか」

 

 

 

どうやら八神がひふみにメッセで教えようとしているが…、大丈夫か?

 

 

ピコ-ン!

「from:コウ@定時に帰りたい

 

うしろ!うしろ!」

 

 

 

 

「……………………!?」ガタッ!

 

 

「!!」ビクッ!

 

 

「あの…えと……えーとっ…」

 

 

「あ……う……」

 

 

 

「あっはっは!あいつらなにやってんだ!」

 

 

ひふみが驚いていきなり振り返ったせいで涼風も驚いて軽く2人でパニックを起こしていた…。

いや、笑ってやるなよ…。そういう君だって人見知りでしょうが。

 

 

「仕方ない!助けてやるか!」

 

 

「………………そうだな」

 

 

 

「コウちゃん、八幡くん。そろそろ会議よ。」

 

 

「「あ!そうだった。」」

 

 

 

((頑張れよ…、涼風〔青葉〕……!))

 

 

 

あ、涼風にメッセだけ送っておくか…一応な。

 

 

「from:比企谷@働きたくない

 

 

ひふみへの質問はメッセの方がいいと思うぞ」

 

 

 

これでよし、と

 

 

 

「八幡〜?」

 

 

「今行くよ。」

 

 

「何してたの?」

 

 

「いや、ちょっと涼風にひふみにはメッセ使えってメッセ送ってた。」

 

 

 

「な〜んだ、じゃあ私と考えること同じだな」ニヒッ

 

 

 

八神も送ってたのか…。あれ?じゃあ俺が送る必要なかったじゃん…。余計なことしたかな…、まぁいいか

 

 

「まぁ…そうだな」

 

 

「…そういえばさ、私のことは八神じゃん?」

 

 

「おう、それがどうした……?」

 

 

「りんのことも遠山さんなのに、なんでひふみんだけ名前呼びなの……?」ジト

 

 

なんだそういうことか。理由はわかったからその眼差しをやめていただけませんか…、別に俺が何したわけでもないから。

 

 

「なんでだったかな、いつかひふみの方から名前でいいって言われたんだよ。お前や遠山さんも名前で呼んでるからって」

 

 

「でも八幡って呼べって言われて素直に呼ぶような性格じゃないじゃん。捻デレだし。」

 

 

 

おい、捻デレってなんだよ。なんで知ってるんだよ。あと少なくとも俺は捻要素はあってもデレ要素はないぞ。

 

 

「ばっかお前。俺はいつだって素直だよ。」

 

 

「じゃあ私のことも名前で呼んでよ…。」ムスッ

 

 

 

「……………………無理」

 

 

「なんで!?」

 

 

なんでって言われてもなー

 

 

 

「俺の中でお前は“八神”なんだよ、色々な意味で

それにこっちの方がしっくりくるし」

 

 

「なにそれ意味わかんない」クスッ

 

 

「まぁまず、そんなに色んな女子の名前を呼べるわけないだろ?俺だぞ?」

 

 

 

あ、なんか言ってて悲しくなってきた…。

目から汗が……、おかしいな。はっはっは……はぁ。

 

 

 

「やっぱひふみんが特別なんじゃん」ジト

 

 

「そんな事ねぇよ」

 

 

「どうかなー、ひふみんはひふみんで八幡に懐いているっぽいし?」

 

 

「呼び方だって“八くん”とかなんかあれだし…」

 

 

あれってなんだよ…。てかあなただってコウちゃんって呼ばれてますよね?あまり変わらないのでは?

 

 

「はぁ、どうした八神。今日お前なんかおかしいぞ?」

 

 

「そ、そんな事ないし…。」

 

 

はぁ、仕方ないか…

 

 

「俺は今はお前とのこの距離感が気に入ってんだよ」ニコ

 

 

「う///で、でも////」

 

 

八神は顔を伏せてなにかブツブツ言っている、がなにかだいけなかったのだろうか…?

 

 

 

「ほら、もう会議始まるぞ…?」

 

 

「うぐっ、今!今はこれで許してあげる!」フンッ

 

 

「…………さいで」

 

 

何が何だかよくわからんな…?

 

 

「……………………“今は”か」ボソッ

 

 

「?どうした八神?」

 

 

 

「なんでもな〜い」ニヒヒ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………」ゴゴゴゴゴゴゴ

(なによこれ、私完全に空気じゃない。もう!もう!)

 

 

 

 

モブ((((遠山さんが怖い……))))ガクガク

 

 

###

 

 

「うへ〜疲れた〜…。議題内容くらい初めから決めとけっつんだよ、まったく〜」

 

 

会議も終わり自分の席に戻る頃には八神が1人文句をたれていた…。まぁ確かにあれは疲れた。もう一生働きたくないまである。

 

ん?涼風からメッセが来てる…。

 

 

「from:キラキラ青葉

 

参考書の指示のあった項目まで終わりました♪

よゆーデス(`・ω・)b」

 

 

「影響されんの早……!?」

 

 

「ん〜?八幡どうしたの?ってなにそれ…」

 

 

「いや、どうやらひふみに影響されたみたいでな…」

 

 

「…これはお説教だな、私に任せて!」

 

 

「いいのか?」

 

 

「まぁ私も青葉の上司だし…、それに同性の方が言いやすいし角が立たないでしょ?」

 

 

ふむ、まぁそうだな。俺が言ったら最悪泣かせかねない

新入社員が早々に辞めさせたとなっては俺が殺されてしまう……!

 

 

「じゃあ、すまないが頼んだ。」

 

 

「ほいよー」カタカタ

 

 

 

「from:八神コウ

 

お仕事ご苦労様です。

ちょっと席まで来てくれるかな?

メッセの使い方も含めて教えることがあります」

 

 

 

 

「……………………」ザワ

 

 

 

「す、すみませんでしたー!!」

 

 

涼風が叫びながらこちらまでやって来た。

まぁこう言っちゃ悪いが自業自得だな……。

 

ピコ-ン!

 

ん?ひふみからだ。

 

 

「from:ひふみ☆

 

ごめんなさい八くん!(。>ㅅ<。) sorry…

青葉ちゃんがああなっちゃったのは

私が皆ラフだから大丈夫だよって言っちゃって…

私が焚き付けたようなもんなの(>_<;)」

 

 

ふむ、そうだったのか…

まぁしかし判断して使ったのは涼風だしな…

 

 

「from:比企谷八幡@働きたくない

 

そうだったのか…言ってくれてありがとな(^ ^)

もしそうでも使ったのは涼風だしもうあいつも社会人なんだ、自分の責任だよ(^_^;)

だからひふみもあまり気にするなヨシヨシ(。´・ω・)ノ゙」

 

 

ふぅ、こんなもんか

ピコ-ン!

 

 

「from:ひふみ☆

 

そう言ってもらえると助かります( ̄▽ ̄;)

えへへ〜、なでなで〜(*´ω`*)」

 

 

 

…………やっぱり懐かれているのだろうか?




どうだったでしょうか!?
ひふみん回にするつもりがコウちゃんもいっぱい出してしまってひふみんがあまり出せていない気がしたのですがちゃんと懐いてる感出てたでしょうか……?

割と書いているつもりなのに原作数ページ分しか進んでいない現実……多分大変なのはここからなんだろうなぁ

鈍筆ですが頑張ります!
そのためにも皆様のリクエストや指摘、感想など励みになるようなものから、ならないものまで待ち望んでいます!
よかったら感想・評価よろしくお願いしますm(*_ _)m


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やはり八神コウは仕事熱心である。

どうもなんとか続いて3話目です!
書き溜めて予約投稿をしているので感想が反映出来ていないこともあるのでご了承ください。

原作5巻のねねっちのおっぱ……胸がとても素晴らしいと思います。


「………ふぅ、トイレ行くか」ガチャ

 

 

「…………!?」

 

 

トイレに行こうとドアを開けたらそこには…………なぜか涼風が体育座りでうずくまっていた。

いや、何やってんだよ…。

 

「……ひ、比企谷さん」

 

 

「な、なにやってんだ…?」

 

 

「お手洗いに行ったら社員証がなくて、外から扉が開かなくて…」

 

 

あ〜、なるほどね。八神め忘れてやがるな…?

 

 

###

 

「社員証がないとオフィスの出入り以外にも出勤記録も取れないんだ」

 

 

「お前も災難だったな…」

 

 

まったく、しっかりしてくれよ八神…

 

 

「おい、八神」

 

 

「ん?どしたの八幡」

 

 

「お前まだ涼風の社員証用の写真撮ってないだろ」

 

 

「えぇ!?コウちゃんまだ撮ってなかったの!」

 

 

「ほへ?」

 

 

「もう!朝頼んでおいたはずでしょ!」

 

 

「……あ!」

 

 

「今から撮ってきまーす」

 

 

思い出したのか、八神が涼風の手を取りその場をあとにする。

つまりは全て八神が悪かったわけだな…

さ、トイレトイレ

 

###

 

「あ、八幡」

 

トイレから帰ってきたら八神に話しかけられた

 

「ん、どうした?」

 

 

「写真の方は出来たから青葉の社員証取りに行ってよ」

 

 

「え、やだよ。なんで俺が…」

 

 

「あたしは今こっちで忙しいの」トントン

 

 

八神がキャラデザの紙束を軽く叩く

うん、まぁそれを言われると弱いんだけどさ

でも俺も仕事がない訳じゃないのよ?ちゃんと俺には俺の…………乳酸菌

 

 

「あとほら丁度いいから渡す時に進捗状況でも聞いたらいいじゃん?」

 

 

「はぁ……、わかったよ。行ってくる」

 

 

「お、サンキュー。いってらっしゃーい!」

 

 

 

くっそー、顎で使われてるっつーか尻に敷かれてるっつーか。……もともと男1人の時点で肩身狭いんですけどね…はい。

 

 

そんなこんなで涼風の社員証を受け取って帰ると、そこではなんとお茶会が開催されていた…。

まぁ、珍しいことでもないんだが

 

 

「……噂ではそろそろ恐ろしく忙しい時期が来るんだって〜…」

 

 

篠田がなんか言ってるが…うん、まぁつれぇよ…。

どのくらいつらいかと言うと……いややめておこう思い出したくない。

 

 

「……なるよ」

 

 

「え?」

 

 

ん?

 

「……家に……帰れなく……なるよ…」

 

 

((((その喋り方シャレになってないから!))))

 

 

「………おい、ひふみあんまり皆を脅すなよ」

 

 

「「「「八くん(八幡さん)(比企谷さん)」」」」

 

 

俺の存在に気がついたのか4人がこちらを向いた

 

 

「あ、ほれ涼風。社員証出来たぞ」

 

 

「わぁ…」

 

涼風が社員証を眺めながら感嘆の声を漏らす

 

「なんだかホントに入社した気分です!」

 

 

「……いや、とっくに入社してるから」

 

 

なんで今更なんだよ…。ていうかそれでも“気分”なのかよ。

 

 

「あ、八幡さんもお茶いります?」

 

 

飯島が気を利かせて声をかけてくる

 

 

「あ、いや、いい。そんなに長居する気はないからな」

 

 

「そうですか…」

 

 

「……は、八くん。……お菓子………食べる?」

 

 

「ああ、じゃあ一ついただくわ。サンキュな?」

 

 

「……う、うん…」

 

 

俺はひふみから貰ったクッキーを一つ食べる

うん、うまいな。マックスコーヒーもあると最高なんだが飲み物いらないと言った手前取りに行くのもな…

ま、後でいいか

 

 

「それにしてもなんでそんな話してたんだ?」ポリポリ

 

 

「今作ってるゲームの発売日の話になりまして…」

 

 

俺の質問に涼風が答えてくれる

 

 

「あ、でも帰れなくなるって……八神さんはもう泊まってましたよね」

 

 

「なんでですか?」

 

 

「あ〜、あいつはああ見えて仕事の虫だからな…。

会社に住んでるって方が正しいかもしれん」

 

 

「でも、比企谷さんは毎日帰ってますよね?キャラデザも担当していたり、リーダーなのにいいんですか?」

 

 

うぐ、いや別にいいじゃん…?仕事はちゃんとこなしてるし…この子時々、妙に切り込んでくる時ないか?

 

 

「……俺の場合はキャラデザっつってもメインじゃないから基本的に八神の補佐みたいなもんなんだよ…」

 

 

「補佐?」

 

 

「ああ、まぁ俺がキャラを考えたりする時もあるが大体は八神がやるし、俺は八神が行き詰まった時に一緒にアイディア出したりするくらいだよ」

 

 

「最近はそういうことも減ったから専ら3Dだな」

 

 

「へぇ〜、そうだったんですか…」

 

 

「もともとあいつも残る必要はないんだが、めちゃくちゃ仕事してて泊まることが多いんだ」

 

 

「俺が泊まらないのは、まぁあいつも一応女だしな男と同じ空間で泊まるわけにもいかないだろ?」

 

 

「……………残業したくないし」ボソッ

 

 

((((あ、最後のがきっと本心なんだろうな…))))

 

 

いや、普通に考えて残業とか無理でしょ…自分の仕事が終わってるのに余計に仕事抱えて残るとか正気の沙汰じゃない……八神って実はMなんじゃないだろうか…。

これ以上はやめておこう

 

 

「でもやっぱ凄いですよね。八神さんって」

 

 

「1人で数人分の仕事しちゃうし」

 

 

脱線しかけた話を篠田が戻してくれる

まぁそこだよな…あいつは抱えるだけでなく、それを綺麗にこなせてしまうのだ。そこは素直にすごいと思う。

 

 

「ま、性格はアレだけど…」

 

 

「そうだな、……アレだな」

 

 

 

「「わははははは!」」

 

 

 

 

「…………………………ふ〜ん」

 

 

「「………………」」ギギギギギギギ

 

 

 

篠田と2人で笑いあっていたら奥の方から不機嫌そうな声が聞こえて、俺らはまるで油の切れたロボットのような動きでそっちを向いた

 

 

 

 

ゴンッ!ゴンッ!

 

 

 

 

「「〜〜〜〜〜〜〜!!」」

 

 

 

二人揃って八神の鉄拳制裁を受けました、はい。

八神さん?暴力はよろしくなくってよ?

……すみませんでした、僕達が悪かったです…。

 

 

 

「自業自得やな…」

 

 

「……は、八くん……大丈……夫!?」

 

飯島が真っ当なことを言っていた

あぁ^〜ひふみが天使に見えるんじゃ〜

 

 

 

「はぁ、休憩も大事だけどまだ終業前なんだから…さっさと仕事再開してね」

 

 

「特に八幡」

 

 

 

「「はーい」」

 

「あ、はい…」

 

 

八神の注意に飯島と篠田が脳天気な返事を返す

あの……、俺にだけあたり強くないですか…?

 

 

「で、八幡は進捗状況は確認したの?」ジト

 

 

わかりました、わかりましたからその目をやめてください……危うく死にたくなっちゃうだろ。

 

 

「………涼風、どのくらい進んだ?」

 

 

「あ、はい。参考書の半分くらいまでは…」

 

 

 

お、割と早いな……これならあと少しで仕事も振れそうか?

 

 

「了解した。もうちょっとしたら仕事振るからよろしく頼む。細かいところは実践で覚えていこう。」

 

 

「はい!」

 

 

涼風の元気な返事を聞いてから俺と八神は席に戻る

すると今度は遠山さんから話しかけられる

 

 

「青葉ちゃんの調子はどう?」

 

 

「進捗的には問題ないな、むしろ早いくらいだ」

 

「技術的な面では八神に聞いてくれ」

 

 

「そう、でどうなの?コウちゃん」

 

俺の言葉を聞いて八神に話を振る遠山さん

 

 

「割と物わかりがよくて助かってるよ。期待できるかも」

 

 

そうか、ならよかった。

これから皆には育っていって貰わなきゃ困るからな…

八神に頼りすぎないように……もとい俺が楽するために

 

 

又、涼風が今度は社員証を机に置き忘れたままトイレに向かい結局もう1回オフィスの外でうずくまっていたのだが……あいつなにやってんだよ…。




はい!今回はちょっとだけ八幡がやっているキャラデザの内容がわかったのではないでしょうか!
なんでなったのかや詳しい内容は後々やる予定です。

なにかあったらご指摘ご感想お願いしますm(*_ _)m
あ、あと評価もお願いしますm(*_ _)m


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実は涼風青葉は期待されている。

…お久しぶりでございまする。

いやはや、ちょっと今まで受験だのバイト探しだの大学準備だので多忙が続きまして…続きを書けなかったといいますか、書かなかったと言いますか…

待っていてくださった方々には大変申し訳ないことをしたと思ってます……はい。
これからはちょくちょく上げていけたらなと思ってます!

久しぶりすぎて色々と前と違うぞ?って思う部分も出てくるかもしれないんですが、そこはなんとか優しく教えてくださいm(*_ _)m

では、どーぞ!


「うーん…だいぶ良くなったけど、まだかたいね。もうちょっと各バランスにこだわって!」

 

 

 

現在、八神によって涼風の担当している村人の3Dモデルのチェックが行われている。

 

 

 

「え…でもこれって村人ですよね?そんなに見ないんじゃ…」

 

 

 

「そう?私はしょっちゅう見てるけど」

 

 

「こんなふうに〜」グググ

 

 

 

八神がモニターでモデルの顔面をドアップでチェックしてる様子を涼風が複雑そうな目で見ている…。

まぁでも、八神に限らず結構いるんだよなぁ…

なんて事ないモデルのグラフィックとか出来の良さとかを念入りにチェックするやつって。

 

斯く言う俺もその1人だったりするんだが…

あ、決してスカートの中とかを念入りに見てるわけじゃないよ?(パンツ作りこんでんなぁ)とか、スカートの中が真っ黒だと(妥協すんなよ!おい!)とか思ったりしてないですよ?ほんとだよ?ハチマンウソツカナイ…

 

 

 

「今日1日あげるからリテイクお願い!」

 

 

「……はい」

 

 

 

どうやら八神はリテイクを指示したらしい

 

 

 

「…リテイク、出したんだな」

 

 

 

「あ、八幡。」

 

 

「なんだよ〜、聞いてるなら八幡もこっちくりゃよかったのに…」

 

 

 

「技術的な面は八神に任せたからな」

 

 

 

「とかなんとか言ってー、会話に混ざりにくかっただけでしょ?このこのー」ウリウリ

 

 

八神が肘で脇腹をつついてくる。この仕草を見るとあの人を思い出すな…

それにしても…

 

 

 

「うぜぇ…」

 

 

「な…!そこまで言わなくたっていいでしょー!」ムキ-

 

 

 

「はいはい、そういうのいいから…で、さっきのだが」

 

 

 

「ん?なに?」

 

 

 

「最初にしてはできは悪くなかったんじゃねーかなって…思ってな」

 

 

 

そう、さっき涼風が提出してきたモデルは最初にしては全然うまくできていて通常であれば充分にOKラインなのである。

 

 

「んー、まぁそうなんだけどさ」

 

 

「八幡ならわかってくれるでしょ?」

 

 

 

八神の言わんとしてることは、わかる。

恐らく八神は涼風にはもっと上を見てほしいのだろう。

だからこそ通常のOKラインで満足して欲しくないのだと思う。

 

 

「…まぁ。そう思えるだけのポテンシャルはあると思う」

 

 

 

「でしょ?逆に聞くけど、八幡だったらさっきのでOK出した?」

 

 

「ばっか出すに決まってんじゃねぇか。そっちの方が早く仕事が進む、という事は早く帰れる、それが続けば終盤に残業までしなきゃいけなくなる可能性が減る。」

 

 

「俺は早く帰れる、涼風はOKが出て嬉しい。win-winじゃねーか」

 

 

「とかなんとか言っちゃって、今も青葉がちゃんと時間を使えるようにその分の仕事自分に回してんの知ってるんだから」ニヤニヤ

 

 

「最初からOK出すなんて思ってたらそんなことはしないよねー?」ニヤニヤ

 

 

 

八神が意地の悪い笑みでこっちを見てくる…くそ腹立つなこいつ…

 

 

 

「……別に、俺は仕事が滞るのが嫌なだけだ」

 

 

 

「はいはい、まったく捻デレなんだから〜」

 

 

 

「うっせ」

 

 

 

 

 

 

…てかなんであなたも捻デレ使ってるのん?

 

 

###

 

 

 

「…………………ふぅ」

 

 

 

今日のノルマは終わったなー

しかし、涼風の遅れの分も考えるともう少しやってった方がいいか…?少し甘やかしすぎか?

 

いや、俺は仕事が滞るのが嫌だからやってるだけであって別に涼風のためにやってるわけじゃないんだからね!

……しゃーない、まだ残ってくか

 

 

 

「お疲れ様です〜」

 

 

あぁ、俺も帰りたい…

 

 

 

「えっ!?もう夜!?」

 

 

 

涼風のあの様子だとまだ終わってない感じか…?

…少し進捗の確認でもするか

 

 

 

「おい、涼k「青葉ちゃん調子はどう?」………」

 

 

「遠山さん…………と、比企谷さん?」

 

 

 

「…ははは」

 

 

 

何でこういつも遠山さんは俺の言葉と被るんでしょうね…?もしかしてわざとなのん?俺ってば嫌われてる…?

 

 

 

「…進捗はどうだ?」

 

 

 

気を取り直して涼風に聞いてみた

 

 

 

「あ、あの…まだ…」

 

 

 

涼風が不安そうな目で終わってないことをこちらに伝えようとしてきた。

怒る気は無いんだがな…どうするか

 

 

 

「あーそのなんだ…」チラ

 

 

どうにかならんかとなんとか遠山さんにアイコンタクトをしてみる。

これで、目が腐ってるからって逸らされたら八幡泣いちゃう…

 

 

 

「……コクン、青葉ちゃんちょっと見せてもらってもいい?」

 

 

 

意図を理解してくれたのか遠山さんは優しく涼風に話しかけてくれた。

 

 

 

「……………」

 

 

「しっかりできてるじゃない。最初でこれはすごいと思うわ」

 

 

遠山さんはしっかりチェックをして、そう言った。

だけどやはり涼風には納得の行かないところはまだあるらしく、自分でもリテイクの原因はわかってはいるようだった。

まぁこういうのは1度やり始めると止まんないからな。

ソースは俺(作者)

 

 

 

「今日はもう遅いし帰りましょう?」

 

「遅れは大丈夫だから、ね?八幡君?」

 

 

…なんで俺に聞くんですかねぇ。もしかしなくても遠山さんにもバレてらっしゃる?

 

 

「……はい」

 

 

 

涼風は渋々と言った様子で頷いた。

 

 

 

「八幡君ももう帰るわよね?」

 

 

 

「あ、いや。俺は今日はもう少し残ろうかと…」

 

 

 

「ふーん(…ていうことは今から八幡君とコウちゃんが二人きり?いえ、八幡君に限って間違いなんて起こらないと思うけれども、それでも万が一ってこともあるし、でも今までだって2人で遅くまで残るなんてあったじゃない大丈夫よね?…は!?でも最近はなんかコウちゃんの様子も少し気がかりだし、八幡君は平気でもコウちゃんの方が…いやいやいやいや!そんなことあるはず無いわよね!無いわよね!………でもやっぱり心配だわ。今日のところは八幡君には一緒に帰ってもらいましょう。)」

 

 

なにやら遠山さんがいきなり顔を赤くしたり青くしたり百面相を始めたんだが…?おや?少し悪寒が…

 

 

 

「…八幡君ももう帰るわよね?」

 

 

 

「あ、いやだから。まだしごt…「カエルワヨネ?」帰ります。」

 

 

 

帰ります。帰りますから!頼むからその笑顔をやめてください…怖いよ…あと怖い。

 

 

###

 

 

ガタンゴトン ガタンゴトン

 

 

 

結局あの後帰宅することとなった俺は今涼風と遠山さんと同じ電車に乗っている。ちなみに2人は席に座っていて俺はつり革に捕まってたっている状況だ。

…いやさ?まぁそんな急ぎでもなかったから帰るのはいいんだよ?でも別に一緒に帰んなくてもよかったんじゃないですかね?女子二人に俺一人だと明らかに話すことなくて空気なんですけど…

 

え?いつもの事だって?

…確かに高校の頃から今の職場まで俺はいつも男子1人だなぁ。むしろ高校の頃の経験があったからこそ今の職場でもなんとかやっていけてるまである。

 

そういえば最近あいつらとも会ってないな…まだゆるゆりしてるんだろうか…。

 

 

 

 

「NPCは作ってて楽しい?」

 

 

 

俺が物思いにふけっていたあいだも会話をしていた遠山さんはふと涼風にそう聞いていた。

 

 

 

「楽しいです…だけどこんなに大変だと思ってませんでした…」

 

 

「今までは1人で絵を描いてそれで終わりだったから、修正がくるのも初めてだし…」

 

 

 

「そうね、それがモノを作ってお金を貰うってことよね。」

 

 

 

「それに初めの頃は私達だって大変だったわよね?」

 

 

「…まぁな」

 

 

 

特に俺は入社したての頃はパソコンの扱いこそ出来たものの、絵なんて趣味程度でしか描いてこなかったから着いていくのに死に物狂いだった…。

いやぁ、あの頃は大変だったなぁ…。まさか中二病時代に趣味で絵を描いてたことが活きるとも思わなかったしな…笑

 

 

「…………………」ジ-

 

 

 

「…………?」

 

 

 

遠山さんが少し考えるようにこちらを見てくる、が、申し訳ないが俺には意図を汲み取るなんてことは出来ん!

 

 

 

「…実はね?今朝青葉ちゃんが提出してきたのは、本当ならOKなの」

 

 

「あ」

 

 

 

「………………………………………」

 

 

言っちゃったよこの人…。涼風だって訳分からん顔してるじゃん。

 

 

 

「ふぇ!!?」

 

 

「うう、どういうことなんですか…。OKなのにOKじゃないって…」

 

 

 

ほら涼風がパニックになっちゃった。

 

 

 

「青葉ちゃんには通常のOKラインで満足して欲しくなかったんじゃないかな?期待してるのよ、あれで」

 

 

「ね?」

 

 

 

 

「…いやここで俺に振らないで貰えますかね…。」

 

 

「でもまぁ俺は八神じゃないからわかんねぇけど、そうなんじゃねぇの?」

 

 

そう言ったら丁度いいタイミングで乗り換えの駅に電車が停車した。

 

 

 

「あ!私達この駅で乗り換えだわ。お疲れ様、頑張ってね!」

 

 

 

「じゃーな」

 

 

 

「お疲れ様です!」

(私が…期待されてる!)

 

 

 

###

 

 

「うーす」

 

 

翌日、いつも通りに出社すると昨日会社に残ったであろう八神と遅れ分を取り戻しに来たのか涼風がいた。

 

 

「あ、比企谷さん。おはようございます!」

 

 

「八幡、おはよー」

 

 

「おう」

 

 

 

「比企谷さん!聞いてください!OK出たんです!」

 

 

 

「お、おう…よかったな」

 

 

 

青葉さん…?興奮しすぎて主語が抜けちゃってますよ?それじゃなににOKが出たかわかりませんよ?

まぁ流れ的に昨日のNPCってのは容易に想像できるが。

 

 

 

 

「まぁ今回は1週間以上かかっちゃったけど、次は3日で作ってみようか」

 

 

 

「………え?」

 

 

 

「だからスリーデイズ!」

 

 

 

いや別に英語で言って欲しかったわけじゃないと思うぞ八神よ…

 

 

 

「せめて4日になりませんか…?」

 

 

 

「なに言ってんだ、最終的には1日1体作ってもらうつもりだぞ」

 

 

八神の代わりに俺が答える

 

 

 

「まさか、ひふみ先輩の言ってた帰れなくなるってこういう事ですか?」

 

 

 

「ま、まぁ終われば帰れるよ」

 

 

 

 

「いやです!私、下着姿で寝るなんてありえないです!」

 

 

「いや、そん時は俺もいるから流石に八神も脱がんし他のみんなもそんな格好になるわけじゃねぇよ…」

 

 

 

「そうだよ!流石に私も八幡のいる前で下着姿になったりしないよ!」

 

 

 

八神は少し顔を赤らめながらそう言った。

 

 

いや…、頼むからお前は俺がいない時でも下着姿になるなよ…別に俺以外に男性社員がいないわけじゃないんだからね…?

 

 

 

 




はい!今回はこれで以上になります!
久しぶりに書くと想像以上に疲れますね!

もしかしたら前回までに比べてキャラの感じとかに違和感などあるかもしれませんがどうかお許しくださいm(*_ _)m
前書きにも書きましたがこれからはなんとかちょくちょく上げていけたらな思っているので!

高評価!お気に入り!ご感想等!よろしくお願いします!
していただけると…やる気が…でます!(パクリ)

ではまた次の話でお会いしましょう|・x・)ノシ


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やはり飲み会の雰囲気は苦手である。

お久しぶりです…。

………お久しぶりです。


「それではちょっと遅くなっちゃいましたが、涼風青葉ちゃんの新人歓迎会を行いたいと思います。」

 

「乾杯!」

 

「「「「「かんぱーい!」」」」」

 

 

遠山さんの音頭で涼風の新人歓迎会が始まった。

まぁ飲み会だな、しかし俺はこういったタイプの飲み会が苦手なんだよなぁ…。特定の仲いいヤツとかいないからすぐ1人で飲むことになっちゃうし、いつも端っこ陣取っちゃうから食べ物あまり食べれないし……俺レベルになると存在自体を忘れられちゃうから取り分けてもらうには自分から言わなきゃきついんだよなぁ、だが俺にそんな勇気があるはずもなく大抵の場合は飲み会が終わった後に1人でラーメン屋に行ったりする。

 

まぁ今回は身内しかいないから大丈夫だと信じたい。え、信じていいよね…?

 

 

「今日は会社の奢りだから、皆好きなだけ飲んで食べてね!」

 

 

「というわけで、よっしゃ食うぜーー!」

 

 

 

「あぁ!そんなに肉を持ってかないでくださいよぉ!」

 

 

言うが早いか八神が率先的に肉を持っていく。

おいおい、俺の分の肉はとっとけよ?てかあれ、ちょっ俺遠くて自分で取れないんですけどぉ…誰か取って貰えます?あのぉ…もしかしてフラグ回収…?

 

 

 

 

「……は、八くん、お皿……貸して?」

 

 

そうだ!今日はひふみがいる!俺は1人じゃない!仲間がいた!

 

 

「さんきゅーひふみ、愛してるぞ…!」

 

 

「あ、あいっ!!?……八くん、、もう酔ってる?」ジト…

 

「…いや、すまん。ちょっと感極まってな…」

 

 

 

危ない危ない、あまりの感動でつい過剰に返してしまってひふみに睨まれてしまった。

そんなやり取りをしているうちにひふみから鍋をよそわれた皿が渡される。

ちなみに席順は

 

 

 

飯島 涼風 ひふみ 俺

□□□□□□□□□□□□□

遠山 八神 篠田

 

 

になっている。

 

 

 

ガヤガヤ

 

「青葉!入社祝いにこれ食べてみ」

 

 

 

「え?なんですか?」

 

「まぁほれほれ」ヒョイ

 

 

 

「!?」

 

 

 

「けほっけほっ、なにこれ辛い!」

 

 

「ははは!からし入りロシアンたこ焼き大当たり!」

 

 

八神も酷いことするなぁ、もし俺が入って早々の歓迎会でしょっぱなそんなもの知らずに食わされたら帰るまである。そして次の日から職場に行きづらくなりやめてしまうところまで想像出来てしまうね。

てか誰も手をつけてない1/6から当たり引いたのか、すごいな。ん?てか1/6?…6?今日の飲み会の人数は……はは、まさかね!

 

いらぬ心配に気を回していたら遠山さんが涼風に話しかけていた。

 

「青葉ちゃんはこういう飲み会は初めて?」

 

 

「は、はい」

 

「というかまだお酒飲めへんもんね〜」

 

 

「え!?もう酔ってる!?」

 

 

え、飯島はやくね?

ひふみはひふみでマイペースに飲んでるし、まぁ俺もだけど…

 

 

「ゆんさん寝ちゃダメですよ、………?」

(ひふみ先輩は強そう…)

 

 

「比企谷さんもお酒強そうですね!」

 

 

ひとり酒をあおっていたら涼風からそう言われる

 

 

「“も”ってなんだ、“も”って」

 

「大方、ひふみでも見て酒強そうって思ったんだろうが」

 

 

「…うっ」

 

 

当たりかよ…

 

 

「わ、私はどうかわからないけど…は、八くんは…強い、よね?」

 

 

「そうなんですか!?」

 

 

「強いかどうかは知らねぇけど、まぁ人と飲んでて酔ったことはあまりないな」

 

 

あんま人と比べたことないからわかんねぇけど…

 

 

 

「…でも、私と飲む時は…八くんが酔った所、あまりみたこと…ない」

 

 

「そうなんですね!……ってお二人で飲みに行ったりするんですね!」

 

 

 

「ん?まぁたまにな」

 

 

 

ひふみは酒が好きなのかたまに誘ってくるんだよな、断ってもいいけど…ひふみ相手だとなぜか気が進まない…。…まぁ基本的にはいつも暇だからいいけどな

 

 

 

「以前から思ってたんですけど…、お二人ってd「てか青葉って彼氏いないの??」」

 

 

 

涼風がなにか言い出そうとしてたら八神から横槍が入った

 

 

 

「へっ!?」

 

「い、いるわけないじゃないですか!」

 

 

「…でも八神さんはいそうですよね」

 

「へっ!?」

 

 

おーっとこれは綺麗に決まったぁ!クロスカウンターだー!

 

 

 

「い、いるわけないじゃん!」チラッ

 

 

「なに初々しく照れてるんすか…」

 

 

篠田に激しく同意。てかなぜこっちを見る…?

 

 

「仕事ばっかしてっとよ!」

 

「そんな暇ねぇっつーの!」

 

 

八神は見事に出来上がっていた…

 

 

 

「ちょっとコウちゃん、飲みすぎじゃない?」

 

 

「これは私が飲むわ」ヒョイッ

 

「ちょっその酒強いよ?」

 

 

 

「私も彼氏いないわ…」ポ--

 

 

「聞いてねー」ゲラゲラ

 

 

遠山さんも出来上がった…

 

 

 

「あおばちゃん!しんじんはせんぱいにおさけをつぐものれす!」

 

 

 

 

あぁでたーーこういうノリ、社会の悪いところだよなぁ…

暗黙の了解とはいえ、なんなんだろうね?これ

心無しか涼風も困っている。

 

 

「はぁ…」トクトク

 

「…………………………」

 

 

ハァ-…

 

 

「す、すみません!」

 

 

 

 

涼風がついだビールは見事に8:0だった…

まぁ難しいよなぁそれ、それにしても遠山さんが面倒くさすぎる…ほら、篠田だってあんな顔…いや篠田、いくらなんでも先輩にそんな顔しないの、いや確かに面倒だけど!

 

 

 

「びーるのただしいつぎかたってのわね〜こうするのよ〜」

 

「はちまんくん!…はとおいからこうちゃん!」タ-ンッ

 

 

「……………………」トクトク

 

 

「これ!これがえてきにもあじてきにもべすとなの!」

 

 

「おぉ…!」

 

 

「いや、そこ感動するとこ違うから…」

 

 

ごもっともである。

 

ていうかなんでビール飲めんの?あんな苦いの普通の飲めないくない?美味しさがわからない…

とりあえずとりあえずビールの人ぉ!!っていう風習なくして欲しい…あれでほかの頼むと、え…って顔するやつなんなん?別に好きなの飲めば良くないですかねぇ!!

 

 

###

 

 

程なくしていい感じに場も盛り上がり遠山さんと飯島なんかはもうすでに眠りこけている。

 

 

クイクイ

 

「ん?どうしたひふみ?」

 

 

「注文、お願いします…」

 

 

ひふみが袖を引いてきたと思ったらそう言ってきた。

相変わらず人と話すのは苦手ね…

 

 

「あいよ」

 

 

店員をよぶ

 

 

 

「森武蔵をひとつ」

 

 

「かしこまりました。飲み方はいかがいたしますか?」

 

 

「ロック、水割り、ソーダ割りがありますが」

 

 

そういえば聞いてなかったな…

 

 

 

「ひふみ?」

 

 

「そ、そのままで…」

 

 

「あいよ、ストレートで大丈夫です」

 

 

「かしこまりました。少々お待ちください。」

 

 

 

「…………」ジ---

 

 

注文を終えるとなぜか涼風がこちらを見つめていた

 

 

 

「どうした?」

 

 

「あ、いえ。ひとつのお酒でもそんなに飲み方があるんだなーと」

 

 

「ん?まぁそうだな。やっぱ慣れないもんか?」

 

 

 

「そうですね…でもお酒って高いですね、1杯800円ってのもあったりして」

 

「漫画一冊買えちゃう…」

 

 

「そうだぞ、だからタダ酒はうまいんだ」ニヤ

 

 

「うわっ…なんか悪い顔してます…」

 

 

失礼な、これはこの世の真理だろう…

そうこう言っているうちにひふみが注文した酒が来た。

 

 

 

「……あの…ひふみ先輩?1口だけ飲ませてもらってもいいですか?」

 

 

「!?、え…あ…ひ…ひとくち…だけだよ?」

 

 

 

涼風は酒に興味が湧いたらしい。が、なんでひふみの方がおっかなびっくりなんだよ…

俺は別に1口くらいなら全然いいと思うけどな、社会見学みたいなもんだろ。

 

 

 

「………………………」ドキドキ

 

 

涼風はグラスを持ったまま緊張した面持ちでグラスを見つめている、と

 

 

 

 

「お客様ー?」

 

 

 

「ひぃ!!?」

 

「ごごごごごめんなさい!ででででもまだなにもしてないです!」

 

 

「???」

 

 

 

涼風は店員さんに注意されたと思ったのか必死に弁明を始めた…おいおい、店員さんもなにがなんだかで困ってるぞ…。

 

 

「あの、ラストオーダーとなりますので、ご注文がありましたらお願いできますか?」

 

「えー!もう!?はや!」

 

 

八神がラストオーダーの報せに独りごちる。

しかしまぁあの涼風の慌てようといったら…

 

 

「………………ふっ」

 

 

「どう、したの…?」

 

 

「いや、涼風。お酒は20歳になってから、な…?」

 

 

 

 

 

「……もっと早く止めてくださいよ…///」

 

 

 

###

 

 

 

「えーそれでは、もうお開きみたいなんですが!二次会くる人!」

 

 

 

居酒屋を出てすぐ八神がそう言う。

俺は二次会は不参加のつもりだ、まぁまだ小腹も空いてるしラーメンでも食って帰るかな、てか結局ラーメン屋寄るのかよ…

 

 

「は、八くんも…もう帰るの…?」

 

 

「ん?あぁまあな。まだ小腹が空いてるからラーメン屋にでも寄ってからだけどな」

 

 

「そっか…、ラ、ラーメン…一緒しても…いい?」

 

 

「おう、構わないぞ」

 

 

「ありがとう、じゃあ…行こ?」

 

 

 

「ん?お、おう」

 

 

 

そう言うとひふみは歩き出したのでそれに続く。

あー、あいつらに最後くらい挨拶してこうと思ったんだがなぁ。一応涼風の歓迎会だったし…

 

 

 

アレ?ヒフミセンパイトヒキガヤサンハモウイナクナッテル…

 

ワタシハイケマス…!!

 

ヨシ!!ジャアサンニンデイコウ!!

 

 

 

…まぁいっか、今あいつらの所に行っても強制連行されそうだし…。なにより相手すんの面倒くさすぎる。

 

やっぱり俺は飲み会が苦手だな。

 

 

 

 

 

 

 

「…八くん…?」

 

 

 

「…なんでもない、行くぞ」

 

 

 



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番外編:なぜか最近の滝本ひふみはよく笑う。


感想が暖かすぎて涙がちょちょぎれそうです…。

今回はひふみ回です!




 

 

涼風の歓迎会後、俺とひふみはラーメンを食べるべくラーメン屋に向かって歩いていた。

 

 

 

「は、八くん…どこ…行く?」

 

 

「うーん、俺はまだ結構いけそうだからガッツリいきたい気もするんだが…ひふみはどうだ?」

 

 

実際飲み会の時は結局飲んでばっかりだったしな。

 

 

「わ、私は…どこでも…大丈夫…!」

 

 

 

「ん?そうか、じゃあ二郎系とかでも大丈夫か?」

 

 

 

「た、多分…」

 

 

「おし、じゃあ行くか」

 

 

 

そうと決まればあとは早い、近くの二郎系ラーメン屋に向け足を進める。

 

 

 

「あーなんだ、涼風とはうまくやってけそうか?」

 

 

 

「う、うん…最初は、いじわるな子だったらどうしよぅって思ってたけど…今は、大丈夫…そう」

 

 

「そうか、まぁ無理する必要は無いが、なんかあったらひふみからもアドバイスとかしてやれ。もうちょっとしたらひふみにもなんかしらの役職とか付くかもしれんからな。」

 

 

「今のうちに練習っつーわけでもねぇけどよ」

 

 

ラーメン屋に向かいながらそんな話をする。

まぁなんだ、いつまでも八神に頼りきりってのもなんかあった時とか怖いからな…。

 

 

 

「や、役職…!?…わ、私は向いてないと…思う。から!他の人が…いいんじゃ、ない…かな?」

 

 

 

「それを決めるのはひふみでも俺でもないから、今言ったって仕方がねぇよ」

 

 

 

結局、遠山さんとあのちゃらんぽらん上司がなんと言うかだ。

俺に決定権なんぞないからなぁ。

 

 

 

「は、八くんは…私がそういうの、出来ると思う…?」

 

 

 

「さぁ?そういうのはそん時になってみないとわかんないだろ」

 

 

 

「そ、そっか…」

 

 

 

 

 

 

「……ただ、まぁなんだ?ひふみが変わろうと思えたんなら、できるんじゃねぇか?」

 

「最近も職場で笑うことも増えてきてるし、変われてきてる証拠なんじゃねぇの?」

 

 

 

 

「…そっか」

(ちゃんと見ててくれてるんだ…)

 

 

 

 

 

 

「八くん」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

「…なにがだよ」

 

 

 

 

…ほんと、よく笑うようになったな。

 

 

 

###

 

 

 

話しながら歩いていると店まで着いていた。

俺たちは流れるように食券を購入しカウンター席に着く。

 

 

 

 

「普通盛りにしてたけど食えるか?」

 

 

 

「え、うん…こういうとこはあまり来たことないからわかんないけど、まずは…普通かなって」

 

 

 

「そうか、でもこの店普通って言っても結構な量あるぞ?」

 

 

 

「そ、そうなの…?」

 

 

ヘイオマチ!!

 

ドン!!

 

 

 

「」

 

 

 

「だから言ったろ…?」

 

 

 

運ばれてきた普通盛りの量を見てひふみは顔を青くしていた。

まぁ女の子にこの量はヘビーだよなぁ。だってまず野菜で麺が見えないし…スープにすごい背脂浮いてるし…チャーシュー多いし…。食べる男からしたらコスパいいし最高なんだけどな!

 

 

 

「…は、八くん」

 

 

 

ひふみが縋るような目で俺を見てくる。

やめて!そんな目で私を見ないで!!

 

 

「ま、まぁ食べきれないようなら俺も協力するよ」

 

 

 

「う、うん………よし、やったるで…!」

 

 

 

そうしてひふみは気合いを入れていた。

 

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

結果的にいえば、食べきれた。

俺も少し手伝ったし…、ただしひふみの顔は最初に出てきたラーメンを見た時よりも青く染まっており今にも天元突破してしまいそうだ…。かくいう俺も自分の分+‪ひふみの分を食べたので結構きつい。

 

 

 

「お、おいひふみ?大丈夫か?」

 

 

 

「だ、大丈夫………………っ!」

 

 

「きゃー!まてまて!耐えるんだ!…1人で帰れそうか?」

 

 

 

「……ち、ちょっときつい…かも」

 

 

 

「…だよなぁ」

 

 

 

ひふみは水の入ったペットボトルを片手に辛そうにしていた。

さすがにここでこんな状態の後輩を1人で返すほど俺は鬼ぃちゃんではない。仕方がないが、送ってくしかないだろう。

 

 

 

「…家どこだ、送ってく」

 

 

 

「いいの…?」

 

 

 

「仕方がないだろ、ほら歩けるか?」

 

 

 

「う、うん…」

 

 

 

こうして、俺はひふみを家まで送り届けることとなった。

 

 

 

 

###

 

 

 

 

電車を乗り継ぎ、程なくしてひふみの家に到着した。

ひふみが家の鍵を開ける。

 

 

 

「じゃあここまでだな、気をつけろよ」

 

 

 

「ま、待って…!す、少し…上がっていかない…?」

 

 

 

「…は?」

 

 

 

「お、お世話になったし…お茶くらいなら出すから…電車もまだある…よね?」

 

 

 

「そら、あるけど…」

 

 

 

さすがに一人暮らしの女性の家に入るのは…

 

 

 

「………………だめ?」

 

 

 

 

…だからそんな目で見るなって…断りにくいだろ…。

 

 

 

「はぁー、わかった。終電までだぞ?」

 

 

 

 

「う、うん!」

 

 

 

 

ひふみは返事をするとそのまま家の中に入っていく、俺もその後に続き入った。

そのままソファーへと促される。

 

 

「飲み物、取ってくるから…座って待ってて」

 

 

「お、おう」

 

 

 

そう言うとひふみは飲み物を取りに行く。

手持ち無沙汰だったので失礼だが部屋を見渡す。しかし綺麗にしてあるなぁ、一人暮らしの男の家とは大違いだぜ…。

未だに俺の部屋には定期的に小町が来ては「お兄ちゃん彼女ができればこんなこと小町がしなくても済むのにね!!」と文句を垂れつつ掃除をしてくれている…。いやぁ兄として情けない限りです…。

しかしそういう時は毎度の如く俺の財布から諭吉が1人で家出したりする。あいつ…俺の部屋の掃除を体のいいアルバイトだと思ってないか…?

 

そんな事を考えながら部屋を見渡していると小さなケージが目に入る。

 

 

 

「ん?」

 

 

 

「ど、どうしたの…?」

 

 

 

「あ、戻ってきてたのか」

 

 

 

「う、うん…それで、どうかした…?」

 

 

 

「いや、あれが目に入ってな」

 

 

 

 

そう言いながらケージに指を向ける。

そういえば前にハリネズミを飼い始めたって言ってたっけな。

名前はなんて言ったっけ……えーと、宗一郎?

 

 

 

「あ、宗次郎のこと?」

 

 

「そーそー宗次郎だ」

 

 

「え?」

 

 

 

「あ、いや。なんでもない」

 

 

「そ、そっか…最近やっと素手で触れるようになったんだ」

 

 

「お、それは慣れてきてるってことか?」

 

 

 

「…うん」

 

 

また笑った。いい成長じゃないか、宗次郎のお陰だったりするのだろうか?

 

 

 

「…宗次郎に会ってみる?」

 

 

 

「お、いいのか?」

 

 

「う、うん」

 

 

 

そう言うとひふみはケージまで行き、その中にいたハリネズミこと宗次郎を手に乗せて運んできた。

そのまままた俺の横に座り膝の上に乗せている…なんて羨ま…げふんげふん!

 

 

 

「これが宗次郎…やっとここまで仲良くなれたんだ…」

 

 

 

「そうか、よかったな」

 

 

 

ひふみが宗次郎を撫でていると宗次郎が急に鼻をならして周りを見始めた。

 

 

 

キュ-キュ-!

 

 

「…?どうしたの宗次郎?っきゃ!」

 

 

「うおっ!」

 

 

宗次郎がいきなり俺に向かって走り込んできた…!

と、思ったら今度は俺の膝の上に落ち着いたぞ…?

 

 

 

キュ-

 

 

「これは…」

 

 

「わ、私にはこうなるのに結構かかったのに…」

 

 

 

「す、すまん…」

 

 

い、いや…なんか本当にごめん…。だからそんな目で見ないで!…いやなんでかカマクラには懐かれなかったけど、他の動物とかにはやけに懐かれるんだよなぁ、ほらあいつ、サブレとか。

しかしこれは…撫でたりしてもいいのだろうか…?

 

 

 

「ひ、ひふみ?これって撫でたりしても大丈夫なのか?」

 

 

「え、う…うん。そこまで懐いてたら平気だと、思う」

 

 

 

そうなのか…どれ

 

 

 

ナデナデ

 

 

キュ-♡

 

 

 

「なんかこれかわいいな…」

 

 

 

「で、でしょ!かわいい…でしょ!」

 

 

 

「お、おう」

 

 

そんなに鼻息荒く食いつくあなたの方がかわいいです。とは言えないわな…

 

 

 

ナデナデ

 

 

キュ-キュ-

 

 

 

 

パシャッ!

 

 

 

 

「お、おい…写真は」

 

 

 

「い、いいの…思い出」

 

 

 

 

 

 

「……さいで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…今日一の笑顔見せられたら、ダメとは言えんよな…?

 

 

 



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やはり八神コウは叱れない。

どうも、気まぐれ執筆に定評のあるニケです。

…………………………………………………………反省はしてます。


チュンチュン

 

 

 

 

 

「……………………んあっ!…やべ、今何時だ?」

 

 

 

 

 

……おはよう世界。

 

 

 

 

###

 

 

 

おはようございます。昨晩小説を読みながら横になっていたら見事に寝落ちを決めて寝坊してしまった比企谷八幡です。

いやぁなんなんだろうね、あの本の魔力っていうの?キリのいいところまで、キリのいいところまでって思って読んでると止まらなくね?あの現象に名前をつけて欲しいわ…。

 

高校の頃から結構遅刻していたし、今の職場もあまり厳しくは無いので時々こうやって寝坊して遅刻してしまいそうな時がある。

が、今回はなぜか1本早い電車に乗れたので少しだけ余裕ができ駅から悠々自適に歩いている。まぁそれでも遅刻しそうなことには変わりないんだが……え?ならもっと焦って走れって?

ばか、これから仕事で疲れるのにその前から疲れてどうするんだ。

 

むしろ社会人になってそれなりに年月も経っているのにも関わらずこういうことが起きたのは、少なからず俺が日々にストレスを感じそれを発散させるために行った行為が原因であるため、そんなストレスを感じさせている社会が悪い、よって俺は悪くない。いや、まぁストレス云々がなくても本は読むしゲームもするしアニメも見るんですけどね?普通に好きだし…フヒッ

 

そんなことを考えながら歩いていたらもう少しで会社という所まで来た。ほら、ギリギリセーフだったろ?

 

 

 

「「はぁはぁ…はぁはぁ…!」」

 

 

 

「ゆんさん、はぁはぁ…ごめん…なさい…もう…走れません〜」

 

 

「私より遅いやん!」

 

 

 

会社までもう少しのところで後ろから飯島と涼風が走って来ていた。あいつらも遅刻か、ご愁傷さまだな(他人事)

 

 

「あ、八幡さん!おはようございます!」

 

 

「おは、おは…よう…ござい…ます〜」

 

 

 

「うす、お前らも遅刻か?」

 

 

「はい…。ていうか八幡さんは急がなくていいんですか!?」

 

 

「ばっかお前、走ったら疲れるだろ?ただでさえこれから仕事で疲れるのにその前から疲れるようなことしてどうすんだ。」

 

 

俺はさっきまで考えてたことを飯島に伝える。っていうか涼風大丈夫か?さっきからずっと息切れすごいけど…

 

 

 

「うわ〜、クズや……」

 

 

「…そこ、クズとか言わない」

 

 

「そうや、こんなこと言っとる場合ちゃう!青葉ちゃん!ちょっと時間食ってもうたけどまだ間に合う!頑張って最後まで一緒に走ろ!!」

 

 

「は、はい……っあ!!」

 

 

息は整ったが疲れた足が絡まったのか涼風が転びそうになる。

なので転ばないように咄嗟に涼風の腹に手を回す。

 

 

 

「っと、大丈夫か?」ギュッ

 

 

「えっあ、あぅ…ありがとうございまs」…バラバラ

 

 

俺が手を回したことで涼風は無事だったが、転びそうななったことで涼風が鞄を手放してしまい辺りに中身が散乱してしまう。

 

 

 

「あーっ!!」

 

 

飯島が叫ぶ。

これは、遅刻確定だな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なに、してるの…?」

 

 

 

ふと、後ろからひふみの声が聞こえる。

 

 

 

「あぁ、ひふみか。おはよ「なに、してるの…?」う…」

 

 

 

珍しく俺から挨拶をしようとするとこれまた珍しくひふみが俺の言葉を遮って聞いてくる。え、こわい…なにか怒ってる?

ひふみの視線をたどると見ていたのは俺の手だった。

そういえばまだ涼風を抱えたままだった。

あぁ、そういうことか、大丈夫!せっかく仲良くなった後輩だもんな…別に取ったりなんかしないぞ!

 

 

 

「涼風が転びそうになってな、ほら、大丈夫か?手、回して悪かったな」

 

 

「い、いえ!ありがとうございます…!///」

 

 

 

「……ふーん、そう…なんだ…」

 

 

「ああ、そういえばひふみも遅刻か?珍しいな」

 

 

「う、うん…朝…ごはんが…おいしくて…時間が、かかっちゃったの…///」

 

 

 

えぇ…なにこの天使、お持ち帰りしてもいいですか??

 

 

「結婚しよう(そうなのか)」

 

「えぇ!!?」

 

 

あ、つい本音と建前が…

 

 

 

「すまん、間違えた。涼風の持ち物拾うの手伝ってもらってもいいか?」

 

 

 

「う、うん…(なにと、間違えたんだろう)」

 

 

アオバチャンダイジョウブ?

ハ、ハイ…!!

 

 

 

 

###

 

 

 

涼風の荷物を拾い終える頃にはすっかり遅刻確定の時間になっていた。

 

 

 

「うぅ…みなさんすみません。巻き込んでしまって…」

 

 

「ええってええって!あんなん仕方あらへんよ…!」

 

 

 

会社に入りブースへ向かう途中で飯島が涼風を慰める。

 

 

 

「でも、遅刻なんて…やっぱり怒られるんでしょうか…」

 

 

「うーん、そんなやと思うけどなぁ。八幡さんとかも時々するけどそんな怒られてるとこ見たことないもん。ねぇ、八幡さん」

 

 

「ま、まぁそうだな…」

 

 

やめて飯島さん!!一応俺この子の教育係みたいなもんなのに!先輩の威厳というものがなくなってしまうじゃない!

え?元々そんな無い?だまらっしゃい!そのなけなしの威厳を大事にしたいんだよ!

 

そんな会話をしているうちに俺らの仕事場に着く。

 

 

デキルヨ!シッケイナ!!

 

 

 

「「おはようございます」」

 

「…うっす」

 

 

その場にいたメンバーに飯島と涼風、俺は挨拶をする。ひふみは通常運転で黙っているが…

 

 

「おいおい、遅刻だってのに随分のんびりしてるね。自覚はあるの?」

 

 

「ご、ごめんなさい…「特に青葉!」」

 

 

「まだ入社して1ヶ月も経ってないのに学生気分じゃ困るよ!」

 

 

「は、はい…!」

 

 

 

…珍しく八神が怒ってるな。だがまぁ今回は理由もあるし、俺から伝えておくべきか…。

 

 

 

「あー、なんだ。八神「八幡は黙ってて!」…はい」

 

 

 

えー、発言すら許されないんだけど…

 

 

 

「…コウちゃ…会社の…前…までは…」

 

 

「ん?」

 

 

俺らのやり取りを見てひふみがなんとか八神に事情を伝えようとする。それに飯島も続くように弁解する。

 

 

 

「青葉ちゃんがさっき転びかけてしもて、鞄の中身が散らばってしもて拾うてたら遅くなってしもたんです…」

 

 

「…え?ちょっと、転びかけたって大丈夫なの?怪我は?」

 

 

 

「あ、それは寸前で比企谷さんが助けてくれたので大丈夫です!」

 

 

 

「そ、そうなんだ…それならそうと早く言ってよ!八幡!勘違いしちゃったじゃん!」

 

 

 

「いや、俺言おうとしましたよね…?」

 

 

なにそれ理不尽…

 

 

 

「…青葉はいつも頑張ってるし学生気分だとは思ってないよ。でも一応上司だし…とはいえ、酷いこと言って…ごめん」

 

 

「今日ところは遅刻じゃないことにしてあげるけど、4人とも遅刻届は出すように!行くよ!八幡!」

 

 

 

「へいへい」

 

 

「へいは1回!」

 

 

いや、へいなのはいいんかい…

八神と奥に行くと遠山さんは既に居て八神は自分の机に蹲る。

 

 

 

「はぁ、慣れないことしたら失敗した…」

 

 

 

「なんだ、やっぱりわざとだったのか?」

 

 

「うん…4人も同時に遅刻なんて気が緩んでるのかなって…ちょっと厳格な態度で接するべきかなって思ったんだよ…」

 

 

「まぁ何はともあれ、コウちゃんはまず先に事情を聞きなさい?」

 

 

「うん、気をつける…」

 

 

###

 

 

数分後…

 

 

 

「…で、これはなんなのかな……?」

 

 

 

「え、遅刻届ですけど…」

 

涼風がそう答えると八神は俺らの出した遅刻届をみて微妙な顔をする。

 

 

 

「そうじゃないよ!なんで遅刻理由が青葉もゆんも『寝坊』なの!?これじゃ帳消しにできないじゃん!」

 

 

「「…あ」」

 

 

 

「書き直し!」

 

 

 

「そしてひふみちゃん……これはなに…?」

 

 

八神が持つひふみの遅刻届には『朝食に時間がかかりました(;´д`A』と書いてあった。いや、3人とも正直すぎるだろ…。

 

 

「…朝…ごはんが…おいしくて…つい…///」

 

 

「んなこと聞いてないよ!まず書類に顔文字書かないでよ!!」

 

 

 

慌てるひふみ、怒る八神

 

 

 

「最後に八幡!お前は会社舐めてんのかーー!」

 

 

ピラッ

『俺は悪くない、社会が悪い。』

 

 

 

だってそう思ったんだもん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああもう!反省して損したーーー!!」

 

 



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番外編:なぜか比企谷八幡は休めない。


気分が乗ると書いちゃうんですよねぇ…笑

今回は番外編です!オリジナルストーリー、俺ガイルキャラもちょっとだけ出るので苦手な方はブラウザバック推奨です。(して欲しくはない)




「みなさん、休日ってなにしてるんですか?」

 

 

 

とある日のいつものお茶の時間。涼風がみんなに質問していた。

 

 

「内緒や」

 

 

「え、即答?」

 

 

 

「なにか言えない理由でも〜?」

 

 

「内緒なもんは内緒やの!」

 

 

即答する飯島に篠田が茶化す。まぁ確かにこいつらと話さない訳では無いが、あまりプライベートな話は聞かないな。

ひふみがコスプレが趣味なのは知ってるが…。ことある事に誘われているがその度にお断りさせていただいている。だって俺のコスプレとか誰得だよ…。

 

 

 

「はじめさんは?」

 

 

 

「わたしは…いや、わたしも内緒にしとくよ…!」

 

 

 

涼風の質問に篠田も黙秘する。まぁみんな女子だし、秘密の一つや二つあることだろう。

篠田の休日か…、イメージ通りならヒーローショーなんか見に行ってそうだな。いや、さすがにないか…笑

 

 

 

 

「えぇ!?じゃ、じゃあ比企谷さんは休日なにしてるとかありますか?」

 

 

 

「ん?俺か?俺は…、日曜朝のヒーロータイムは欠かさず見るようにしてるぞ!」

 

 

 

「あ、あはは…」

 

 

 

 

涼風が微妙な顔をしている…。いや、別に良くね?大人が見たって…さ、最近のプリキュアは凄いんだぞ!大人が見たって泣けちゃうんだぞ!プリティーでキュアッキュアなんだぞ!

…なんか篠田がこっちを見て目を輝かしているが放っておこう。

 

でも休日かぁ、なんか最近微妙に休めてる気がしないんだよなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

###

 

 

 

八幡の休日

 

 

 

 

 

 

「…………………zzZ」

 

 

 

 

ピンポ-ン!ピンポ-ン!

 

 

 

 

「……………zz」

 

 

 

 

 

ピンポンピンポンピンポ-ン!!

 

 

 

 

「……んだよ、うるせーなぁ…」ムク

 

 

 

 

ある土曜日の朝、けたたましい呼び鈴の音で起こされた…。

ったく誰だよ…こんな時間に、まだ10時じゃねぇか…いや充分寝てんなぁ。

 

体を起こして状況を確認し、その間も鳴り続けている呼び鈴に煩わしく思いつつも玄関に向かう。

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

 

するとそこには…

 

 

 

 

 

 

「おはよう!お兄ちゃん!」

 

 

 

 

 

最愛の妹、ラブリーマイスイートエンジェル小町がいた。

 

 

 

###

 

 

 

 

「もう!またこんなに散らかして…!」

 

 

 

 

休日にわざわざ一人暮らしの兄の家を尋ねてきたかと思えば、小町はぷりぷりしながら部屋の掃除を始める。

いや、わざわざ来てくれるのはありがたいが小町ももう社会人よね?いいの?休日に兄のところ来て…暇なの?

 

 

 

 

「いつもすまないねぇ、だが小町さんや…俺らもいい歳だし、別にわざわざ休日を利用してまで来なくてもいいんだぞ?」

 

 

 

 

「お兄ちゃんに彼女の1人でも出来れば小町もこんな事しなくてすむんですけどねぇ!ほら、お兄ちゃんも手を動かす!」

 

 

 

 

 

耳が痛い限りです…

いやでもほら、そんなに散らかってる訳じゃなくない…?ちょっと本や服が出しっぱなしになってたり、食べたものがそのままになってたりしてるだけであって……え?酷いって?

いや、社会人こんだけやってて男の一人暮らしよ?別に変な匂いとかがしないだけマシだと思って欲しい。

 

ゴミの処理は小町に任せて自分は出しっぱなしになっていた本を元にあった場所に戻したり、服を洗濯機に突っ込んだりする。

 

 

 

 

「あぁもう!またこんなものばっか食べて、お兄ちゃん自炊しなよ!もういい歳なんだからさ…病気になっても知らないからね!」

 

 

 

 

小町の手にはカップ麺の残骸。いやだってほら、最近のカップ麺って凝ってて美味しいし、種類があるから飽きないし…それにいい歳って言ってもまだ25だし、そんなに体に出てくる歳でもない気がするけど…まぁこの前の健康診断で糖質控えた方がいいとは言われたけども…

 

 

 

 

「お昼は材料も買ってきてあるし小町が作ってあげるから!ほんとにお兄ちゃんもちゃんとしなよ?」

 

 

 

 

 

「いつもすまないねぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ほんとだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…え、そこは「それは言わない約束でしょ?」の流れでは…?

 

 

 

 

###

 

 

 

 

掃除を終え、お昼に小町特製チャーハンを食べたら小町は「じゃあ小町はもう帰るから!お兄ちゃんもそろそろしっかりしないと!お嫁さん貰えないよ!」とありがたい言葉を言って帰っていった。

 

現在午後の2時過ぎ。これからどうするかなぁ、本でも読むか、ゲームをするか…

 

 

 

 

 

pipipipipipipipipi!!

 

 

 

 

 

などと考えていたら俺の多機能暇つぶし機能付きアラームが鳴り出した。誰だ?と思って手に取り電話に出てみると…

 

 

 

 

 

 

「やっはろー!ヒッキー元気?」

 

 

 

 

 

 

出たのはアホの子、由比ヶ浜結衣だった。

 

 

 

 

 

「……ッム、ヒッキーなんか失礼なこと考えてない?」

 

 

 

 

いやなんでわかるんだよ…。俺の周りの人間ってなんでこうも俺の思考を読んでくるの?なに?サトリなの?それとも俺がサトラレなのん?

 

 

 

 

 

「……別になんも考えてねぇよ。それよりもどうしたいきなり」

 

 

 

 

 

「あ、や、やー…特に理由はないと言いますか…ふと、ヒッキー元気かなぁって思って電話をかけた次第でありますというか…えへへ」

 

 

 

 

「そ、そうか。いやまぁ別に特段変わったことはねぇよ。」

 

 

 

 

 

「そ、そっか…」

 

 

 

 

か、会話が続かねぇ…。俺に会話繋げとか無理難題である。いつもは由比ヶ浜が会話を回してくれるし…由比ヶ浜が黙ってしまうと会話が途切れるのは必然と言いますか…

 

 

 

 

 

「そ、そっちはどうなんだよ…仕事、慣れたか?」

 

 

 

「…ふふ、ヒッキーいつも同じこと聞いてくるね。うん!もうさすがに慣れたよ!ばっちこいって感じ!」

 

 

 

 

「…そうか」

 

 

 

由比ヶ浜が現在保育士をやっている、まぁ昔から何故か面倒見がいい場面があったし、天職なのかも知れないな

 

 

 

 

 

「あ!そうだ!今度よかったら休み合わせてどっか行こうよ!最近なかなか会えてなかったしさ、ゆきのんも誘って!…どうかな?」

 

 

 

「いいんじゃないか?つっても雪ノ下も忙しそうだから何時になるかもわからんけどな」

 

 

 

 

雪ノ下は今は家とのわだかまりも消え、雪ノ下建設の重役として働いている。その都合もあってかなかなか3人の予定が合わせづらい。

 

 

 

「そうだねぇ…でもさすがに夏とかには何とかなるんじゃない?あ、海!海とか行きたい!」

 

 

 

「夏、ねぇ。まぁ仕事が忙しくなければな」

 

 

 

 

納期の時期と被らなければいいが…

 

 

 

 

 

 

「うん、楽しみにしてる!」

 

 

 

 

 

###

 

 

由比ヶ浜との電話も1時間ほどで終え、少し小説でも読もうと思って過ごしていたら思いのほか熱中してしまい現在午後の6時。そろそろ晩飯の準備でもしないとなぁ。どうするかな、さすがに小町に言われてすぐカップ麺や惣菜っていうのも気が引ける。

 

 

 

 

 

 

pipipipipipipipipi!!

 

 

 

 

 

 

などと考えていたらまた着信があった。今日はスマホが良くなる日だな。普段はAmaz〇nとかからのメールとかしか来ないのに。

とりあえず電話に出るか。

 

 

 

 

「あ、八幡!飯行くぞ飯!」

 

 

 

チョットコウチャンッ!!

 

 

 

 

電話口から聞こえてきたのは八神、それと遠山さんか…?

 

 

 

 

「あー、なんだ?いきなりどうした。」

 

 

 

 

 

「だから、飯だよ飯!ご飯!りんが行こうって誘ってきたからせっかくだし八幡も誘おうと思って!」

 

 

 

 

「そ、そうか、なんだ…遠山さんもそこにいんのか?」

 

 

 

「え?いるけど…」

 

 

 

 

「じゃあ少し代わってもらえるか?」

 

 

 

 

「い、いいけど」ハイ

 

 

 

 

「……も、もしもし代わりました…」

 

 

 

「あ、遠山さんか?飯のことなんだけど…」

 

 

 

 

「…な、なによ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、それ俺行っていいの?」

 

 

 

 

おそらく、遠山さんは二人で行きたくて八神を誘っただろうし…俺が言ったところでおじゃま虫にしかならないだろう。

あの人はゆるゆりというか、がちゆr…おっと誰か来たようだ。

 

 

 

「…来ちゃダメな理由なんかあるわけ?」

 

 

 

 

「え、言っていいの?」

 

 

 

 

 

 

「…………………………………ふふ、なにが?」

 

 

 

 

…え、怖い怖い怖い怖い。かつて笑うだけでここまで人を恐怖させることができる人がいただろうか。

 

 

 

 

「いや、なんでもないです…」

 

 

 

 

 

「あらそう…まぁ別に来て大丈夫よ?」ソウジャナイトフェアジャナイシ…

 

 

 

 

「え、すまん。最後聞き取れなかったんだが…」

 

 

 

 

「なんでもないわよ!とにかく来ること!いい!?」

 

 

 

 

 

 

「あ、はい…」

 

 

 

 

###

 

 

 

 

と、言うわけで電話で呼び出されてから少しして、俺は着替えて待ち合わせである会社の最寄り駅まで来ていた。

 

 

 

 

 

「あ、おーーい!八幡こっち!」

 

 

 

「ちょっとコウちゃん!声おっきい…!」

 

 

 

 

八神が俺に気が付き声をかけてくる。が、少し声が大きい。めっちゃ周りの人に見られるからやめて!八幡のライフがゴリゴリ削れられていってるのがわかる…!

 

 

「お、おう。待たせたか?」

 

 

 

「いんや?私たちも今来たとこ!」

 

 

 

 

 

「そ、そうか。それにしても今日はどこ行くんだ?あんまお高いとこは嫌だぞ?」

 

 

 

 

「え?普通に居酒屋だけど…?」

 

 

 

 

「そ、そうか…」

 

 

 

普通の居酒屋に行くにしては今日の八神はちょっと格好に気合いが入ってないか…?いつもはそんなに着飾ったりするタイプじゃないのに…

 

 

 

 

「ま、まぁいいじゃない!ほらご飯行きましょ?」

 

 

 

 

そう言いうと進む遠山さんと八神の後に続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ1週間おつかれー、かんぱーい!」

 

 

「かんぱーい」

 

 

 

 

居酒屋に着き飲み物も揃ったところで八神の音頭で乾杯をする

 

 

 

「こうして3人で飲むのも久しぶりね」

 

 

 

 

「そうだなー、この前は青葉の歓迎会だったしな」

 

 

 

 

 

「そうだ、聞いてよ八幡くん。コウちゃんったら今日も会社に行こうとしてたのよ?マスター前でもないのに」

 

 

 

 

「で、でもこうやってコツコツやってればマスター前に残る可能性だって少なくなるだろー?」

 

 

 

 

「まぁ確かにそうならないようにするのが私たちの仕事ではあるけど…」

 

 

 

 

 

八神は仕事の虫だからなぁ、つっても自主的に休日出勤はやりすぎだろ…

 

 

 

 

 

 

「ゲームしっかり売れるかしら?」

 

 

 

「どうだろうね、私たちは自分が納得いけばそれでいいし。ね、八幡」

 

 

 

 

「まぁ、そうだな」

 

 

 

 

正直俺もゲームが売れようが売れまいがあまり気にしない。自分が納得出来るゲームが作れれば満足だし、給料が貰えれば文句はない。

 

 

 

 

「強いなぁ」

 

 

 

 

「初めてのADで胃が痛いか?」

 

 

 

「うん、ちょっと…やっぱりコウちゃんや八幡くんがADの方がってよく思うよ。ゲームの顔はコウちゃん達だし」

 

 

 

 

「…言っとくけどりんが仕切ってくれるから、私たちは安心して作業に専念できるんだからね」

 

「それに背景だってゲームの顔だし、なにより私の性格じゃ皆ついてこないと思うし…あああ!なんで弱音みたいなこと吐いてるんだ私!!」

 

「売れるかは私には分からないけど、いいゲームにはなってるよ。多分。ね、八幡!」

 

 

 

 

 

…え、ここで俺に振るの?

 

 

 

 

「…まぁ遠山さんのADになんか問題があったらボロくそ言ってやろうと思ってたが、言えなくて残念だな」

 

 

 

 

 

「「…………………………」」

 

 

 

 

 

え、なに二人で顔を見合わせて…ちょっと恥ずかしいからなんか言って欲しいんですけど…

 

 

 

 

 

「「…捻デレだ(ね)」」

 

 

 

…ねぇその捻デレってのやめてくれない?

 

 

 

 

「うっせ…まぁ真面目な話、新人の涼風が楽しそうにしてるうちは大丈夫なんじゃねぇの?知らんけど」

 

 

 

 

「確かに、つまんなかったらあんな顔しないね!」

 

 

 

「そうね…青葉ちゃんはいい子でよかったわ」

 

 

 

“は”ってなに“は”って?

 

 

 

「でもキャラデザやりたいんだったら、もっとガツガツして欲しいところではあるんだけど…。私だったら好きな設定のキャラ見つけてダメ元でも描かせてって言いに行くのに」

 

 

 

「厳しいなぁ」

 

 

 

多分それができるのあなたくらいですよ…

 

 

 

 

「でも青葉ちゃんは村人のお仕事でいっぱいいっぱいだと思うわよ。それが落ち着いたら簡単なデザインでもさせてあげたらいいんじゃないかしら?ね、八幡くん」

 

 

 

「…まぁそうだな、しっかり村人作りきったら任せてみてもいいかもって…遠山さんちょっと飲むペース早くない?」

 

 

 

「そんなことないわよ」

 

 

 

前の歓迎会の時も結構べろんべろんだったんだから気をつけて欲しいもんだ…

 

 

 

 

###

 

 

それから数時間後

 

 

 

「それでねだからこうちゃんは…」

 

 

 

 

遠山さんは完全に出来上がっていた…だから注意したのに…

 

 

 

 

「んーーー、いい時間だしそろそろ出るかー」

 

 

 

 

「八神は今日は平気そうだな」

 

 

 

「まぁりんがこんなんだし今日はちょっと抑えたから」

 

 

 

チョットキイテルノッ!!?

 

ハイハイ…

 

 

 

 

「そうか、とりあえず会計してくる」

 

 

 

 

遠山さんを八神に任せて俺は会計を済ませてくる。外に出ると遠山さんは八神に肩を貸して貰っていた。

 

 

 

 

「お会計ありがと…次は私が出すから!」

 

 

 

 

「あー、まぁ気にすんな…遠山さん大丈夫そうか?」

 

 

 

 

「んー、平気だとは思うけど今日は私ん家に泊めるよ。…でもさーほら、い、一応女の子二人だし、酔ってるからさ…?良かったら…」

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ、送っていけばいいんだろ」

 

 

 

 

 

 

 

「……うん!!」

 

 

 

 

 

 

…まぁ送らないで変に事件に巻き込まれても寝覚めが悪いからな…てか今日の俺全然休めてなくね?小町来て、由比ヶ浜と電話して、八神たちと飲んで……まぁ充実はしてなくもなかったから、いいか。

…そういえば会計した時に財布から諭吉さんが1人消えてたのは何故だろうか?ねぇ、小町さんや?

 

 

 

 

 

 

妹に思いを馳せながら八神と帰路につく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ん、もういっけんいくわよーーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「行かない!!」」

 

 



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もっと滝本ひふみは笑いたい。


おっとこんなに直近で投稿するのは最初の頃以来ですね!
今日も今日とて気まぐれに筆を取ります。ってか投稿時間もだいぶ気まぐれっていうね…笑

今日はひふみ回です!


 

とある日の昼。俺はいつも通り自分のデスクで昼飯を食べていた。…いや、別に一緒に食べる人がいないわけじゃないよ?ほら、俺のチームって俺以外女しかいないから…ね?べ、別に他の人と一緒に食べたいわけじゃないんだからね!!

まぁ八神に誘われたりとかもするんだが、なんかこう気を遣わなければいけない気がするんだよなぁ…いや誰にとは言わないが…

 

 

 

ジャン♪ジャンジャン♪

 

 

 

 

そうしてひとり昼飯を食べていたら隣から大音量で音楽が聞こえた。なんだなんだ?

 

 

 

 

 

「おい、すごい音聞こえたけどどうした?」

 

 

 

 

「は、八くん…」

 

 

 

 

 

「あ、いえ…ひふみ先輩はお昼ご飯食べないのかなぁって思って見てたら驚かしてしまったようで…」

 

 

 

 

「なるほど」

 

 

 

 

 

「わ、私は…もう家で食べちゃったから…」

 

 

 

 

 

そう、俺が1人でデスクで食べている理由の一つでもある。ひふみはよく昼飯を家で食ってから来るのだ。たまに会社で食べる日は時折俺を誘ってくることもあるんだが…出社が昼に近いからって早めに食べてくる余裕はすごいよな、俺はギリギリまで寝ていたい

 

 

 

 

「へぇすごい、私そんな余裕ないです」

 

 

 

 

おっと涼風もこっち側か…?(黒笑)

 

 

 

 

「宗次郎といっしょに…たべたくて…」

 

 

 

「宗次郎!?そそそそ宗次郎さんって…まさか、かかかれ」

 

 

 

 

あぁ、宗次郎ってあのハリネズミか。ひふみも相変わらず好きだなぁ…それにしても涼風はなにを慌ててるんだ?

 

 

 

 

「みる?」

 

 

「はい!」

 

 

 

ひふみの提案を受ける涼風。ひふみはすごい速さでスマホを操作して写真を探している。こういう時の動きは素早いんだけどなぁ…

 

 

 

 

「これ」スッ

 

 

 

そこには宗次郎が床で丸まっている写真があった。

 

 

 

 

「…たわし?」

 

 

 

 

「ハリネズミ…」

 

 

 

「なんだ、宗次郎っていうからてっきり彼氏さんかなにかかと…」

 

 

 

 

「かれ…し…?…わ、私は…多分一緒にいて落ち着けるような男の人は、そんないない…から…」チラッ

 

 

「あ、わかります。ちょっと緊張しますよね!」

 

 

 

ひふみは涼風にそう答えるとこちらに意味ありげな視線を向ける。まぁひふみはコミュ障っぽいとこあるもんなぁ、そういう意味では俺はひふみに親近感が湧いているといってもいい

 

 

 

 

「………………………」ジ-ッ

 

 

 

「?(な、なんだなんだ?)」

 

 

 

 

 

「…はぁ、ごめん…テキトーに言った…」

 

 

 

 

「ごめんなさい、私も想像でした…アハハ」

 

 

 

 

ひふみがこっちに視線を向けてきたと思ったらため息をつかれた。……解せぬ。

 

 

 

 

「他にもあるよ」シャッ

 

 

 

 

「わ、可愛い!」

 

 

「でしょ」

 

 

 

「ハリネズミって懐くんですか?」

 

 

 

「ううん、いつも巣穴に…隠れてる…。すごく…臆病…。」

 

 

 

「(なんかひふみ先輩ににてるな…)」

 

 

 

…臆病な割には俺にはすぐ懐いてくれたな。実家のかまくらもそれくらい懐いてくれればいいのに…あいつ絶対俺の事自分より格下だと思っているよ…いや案外間違ってもないのかもしれないが…。

 

ちなみに比企谷家のヒエラルキーは母>小町>かまくら>俺>親父、だったりする。いや、猫に負ける息子と父親って…。

 

 

 

「でも、素手で触れるくらいには…慣らしたよ…?」

 

 

 

ひふみはそう言ってスマホを操作して他の写真も涼風に見せていた。

 

 

 

 

パッ

 

 

「あ、ひふみ先輩が笑顔…」

 

 

 

「ん?」 「!?」

 

 

 

 

 

そこには宗次郎を片手に乗せ、楽しそうに笑っているひふみの写真があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「忘れて…」

 

 

 

 

「お金!?」

 

 

 

 

恥ずかしかったのかひふみは顔を真っ赤にして財布から英世を取り出し涼風に渡してなかったことにしようとしていた。

可愛いなぁ、なに?戸塚や小町が天使ならひふみは女神なの?天界から舞い降りた女神なの…?控えめに言ってお持ち帰りしたい。

 

 

 

 

「いや、だって…こんな顔…」

 

 

 

 

「そんな!笑顔も素敵じゃないですか…!だってすごく優しそうで、これなら話しかけやすいのに…ですよね、比企谷さん!」

 

 

 

 

「ん?お、おう…そうだな。俺もひふみは笑ってた方がいいと思う、ぞ…?」

 

 

 

 

「なんで最後が疑問形なんですか…」

 

 

 

 

「うっせ」

 

 

 

 

ひよっただなんて言えない…

 

 

 

 

「おかしく…ない…?」

 

 

 

「おかしいわけないだろ。ひふみはもっと感情を表に出していいと思うぞ?」

 

 

 

 

「…じゃぁ………………………」ピクッピクッ

 

 

 

 

 

「「………………………」」

 

 

 

俺らの言葉に背中を押されたのかひふみは笑顔を作る。が、その笑顔は硬く頬が引き攣っていてなんと反応したらいいかわからない表情になっていた。

 

 

 

「う〜〜〜〜〜〜〜!///」

 

 

 

「いや、出来つつありましたよ!?」

 

 

 

俺らの反応を見て察したのかひふみは顔を真っ赤にして手で覆ってしまった。

 

 

 

 

「…無理」

 

 

 

「え!?え、え〜とじゃあ!比企谷さん!お手本を見せてあげてください!」

 

 

 

え、なにその無茶ぶり…やだよ。今までの人生でどれだけ俺が笑ってるのキモって言われて傷ついてきたか知ってる?

まじで中学生の時に笑ってる俺の顔を見てキモ谷キモ谷言ってた田中は絶対に許さない。

 

 

 

「いや、やだよ…?」

 

 

 

「そんなこと言わずに!ひふみ先輩を助けると思って!」

 

 

 

 

「わたしも、八くんの笑顔…みたい、な…?」

 

 

 

……ぐっ、やめろぉ!そんな目で俺を見るなぁ!

俺は立っていてひふみは椅子に座っている状態なのでそんなひふみに見つめられると必然的に上目遣いになって大変可愛らし…ゲフンゲフン!断りづらい状況になってしまっている。仕方ない1回だけだ、覚悟を決めるか…

 

 

 

 

 

「……………………………フヒッ」ピクッピクッ

 

 

 

 

「「…………………………………」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひ、ひふみ先輩!今度は私を見ずに宗次郎を見て練習しましょう!」

 

 

 

「う、うん…」

 

 

 

 

 

……いいよ、知ってたさこうなる事ぐらい!でも焚き付けたのは涼風なんだからフォローぐらいはしてくれない??

 

涼風は完全に俺を見ないようにしてひふみのスマホで宗次郎の写真を選別していた。すると…

 

 

 

 

 

「え………」

 

 

 

そこには俺が宗次郎と鼻を突合せて微笑んでいる写真があった。そ、それはあの時の…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「忘れてくれ…」

 

 

 

「またお金!?しかも額が増えてる!」

 

 

 

俺は迅速且つ最速に財布から諭吉を取り出すと涼風に渡してなかったことにしようとする…もう何この仕打ち…八幡おうち帰るぅ…

 

 

 

 

「もう!いいですからお金はしまってください!…でもこれってどういう事ですか…?…は!まさかおふたりは実は付き」

 

 

 

「そ、それは…!この前の飲み会の帰りに、八くんが家まで送ってくれて…その時の写真で、別になんとも…ない」

 

 

 

ひふみが俺に変わって弁明してくれる。が、なんでか言葉が終わるの連れて声が小さくなっていっていた。

 

 

 

「そ、そうなんですか…でもこの写真の比企谷さん、笑ってますね」

 

 

 

「う、うん…なんか宗次郎とも私なんかよりすぐに仲良くなっちゃって、2人で遊んでる時はすごいいい笑顔だったんだぁ」

 

 

 

「(ひふみ先輩がすごい饒舌に喋って、しかも笑ってる…)」

 

 

 

うぅ…何この空気、すごい恥ずかしいんですけど…八幡虐められてるのん?実は職場いじめが始まってるのん?

 

 

 

 

 

「ひふみ先輩!今の笑顔ですよ!」

 

 

 

 

「え、今わたし…笑ってた…?」

 

 

 

 

「はい!それもういい笑顔でした!今のを思い出してもう1回笑ってみましょう!」

 

 

 

 

「う、うん…」

 

 

涼風にそう言われてひふみはもう一度笑顔を作ろうとする

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………」ピクッピクッ

 

 

 

 

 

「「…………………………」」

 

 

 

 

 

結果、変わらなかった。

 

 

 

###

 

 

「なにやってんだ…?」

 

 

 

笑顔が硬いひふみに涼風が頬のマッサージをしていると八神が帰ってきていた。

 

 

 

 

「ひふみを笑顔にするトレーニング」

 

 

 

「なんだそれ…?青葉、昼飯は?」

 

 

 

 

「あ!そうでした。終わってなくて休憩無しなんでした」

 

 

 

え、そうだったの?ひふみに構ってる暇なかったんじゃん。てかそうなると涼風は昼飯抜きか…仕方ない。

 

 

 

「昼飯抜きかよ…じゃあおにぎり一個やる」ホイッ

 

 

「俺もサンドイッチ少しやるよ」

 

 

 

 

八神はおにぎりを、俺は昼飯のサンドイッチを少し涼風にわけてやる。まぁコンビニのだがな

 

 

 

「わっ、なんかすみません…ゆんさんにもスナックもらったりで…おふたりにも倍返ししますね!」

 

 

 

「「仇で返す気か…!」」

 

 

 

「え?」

 

 

 

涼風は意味がわかってないようだった。

 

 

 

「忙しい時は出社前になにか買っておくんだね。ほら八幡も戻ろうぜ?マッ缶買ってきてあるから」

 

 

 

「まじでか!サンキュー八神!愛してるぜ!」

 

 

 

「ばっ!そ、そういうこと言うな!!」

 

 

 

何故か怒ってる八神と自分のデスクに戻る、マッ缶マッ缶〜♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ひ、ひふみ先輩の顔が凄いことになってる…!はっ、早く食べてやることやらなきゃ…!)」モクモク

 

 

 

 

「(…八くん……………………………………………、あ、青葉ちゃんご飯食べt…!!……宗次郎!の仲間!!)」

 

 

 

 

 

チョンチョン、ナデナデ…

 

 

 

 

「???」チラッ

 

 

 

 

 

「……………………」ニコニコ

 

「…あ!ごめん…」

 

 

 

 

「い、いえ…(ドキッとしたぁ…、でもなんか今のひふみ先輩の笑顔、どことなくさっきの写真の比企谷さんの笑顔に似てたな…)」

 

 

 

###

 

 

 

 

 

 

「八くん、お昼…一緒しない…?」

 

 

 

 

次の日の昼、ひふみから昼飯の誘いがかかる。

 

 

 

「ん?あー、別に構わないが。今日は弁当なんだな?」

 

 

 

 

「うん…宗次郎と喧嘩したから…」

 

 

 

「喧嘩…?」

 

 

 

 

 

 

「うん、宗次郎は…私の笑顔…嫌いみたい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやどゆこと…?」

 

 

 



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やはり比企谷八幡は先輩である。/やはり残業をするのは間違っている。

鳴かぬなら 代わりに飼おう カブトムシ

夏が近づいてきて暑くなってきましたね…。
今回は2部構成で珍しく後書きもあります。少し長めですが読んでいただけると幸いです!


 

◆やはり比企谷八幡は先輩である。

 

 

 

 

 

 

 

「うーむ……OK!八幡終わったよ」

 

 

 

後ろの席の八神から声がかかる。見てみると涼風の村人の3Dモデルを確認していたようだ。

 

 

 

「わかった。ふむ、これで涼風に頼んだ村人の仕事は全部終わったな」

 

 

 

「大変でしたほんと…」

 

 

 

 

見ると涼風はいかにも疲れきってます…って姿をしていた。まぁ新人にしては結構量あったし、慣れないことも多くて疲れるもわかる。さて、だがそんな涼風には朗報だな…

 

 

 

「おつかれさん。じゃあ次は一体キャラデザしてもらうから、ほい仕様書。」

 

 

 

「えーーーーーーーーー!」

 

 

 

涼風は自分がキャラデザの仕事を貰えたのが嬉しいのか仕様書を受け取るとそれに目を落とす。

 

 

 

 

 

「えっと、『サーカス団に入団したばかりの18歳の女の子、明るい色の髪のツインテールが特徴、真面目で元気だが少し天然なところがある』…あれ?どこかで…」

 

 

 

 

「(青葉じゃん…!)」プッククク

 

 

 

涼風が口にする仕様書の内容を聞いて八神が笑いをこらえる。まぁそういう反応になるよな…

 

 

 

「『主人公一行を次のダンジョンへ案内する途中に……盗賊に襲われて死んじゃうんですか…!?』」

 

 

 

 

「ま、まぁな」

 

 

 

「な、なんか可哀想ですね…で、でも頑張ります!」

 

 

 

そう意気込むと涼風は軽い足取りで自分のデスクへ戻って行った。

 

 

 

「な〜んか楽しそうじゃん?」

 

 

 

「まぁ多かれ少なかれあいつはキャラデザに憧れがあっただろうからな、嬉しいんじゃないか?」

 

 

 

「でもそのキャラデザの指定が自分って…ぷふっ!」

 

 

 

「まぁそっちの方が印象に残っていいじゃないか」

 

 

 

 

 

だからそんなに笑ってやるなって…

 

 

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

 

 

 

さて、涼風の様子はどんなもんかな…

 

 

 

 

「お、どこ行くの?」

 

 

 

席を立つ俺に八神が聞いてくる。

 

 

 

「ちょっと涼風の様子を見にな」

 

 

 

「ほーん、行ってらー」

 

 

 

 

さて、進んでるといいが…

 

涼風のデスクまで行くと涼風は資料を調べようとしているようでパソコンに向かっていた。何を調べてるかと思い覗いてみると…

 

 

 

『ツインテール』

 

 

 

 

 

「いや、頭についてんだろ…」ポスッ

 

 

 

 

「えひゃ!?」

 

 

 

持っていた書類を丸めて涼風の頭を叩くと驚いたのか変な声を上げる。ふと疑問に思ったがこれってパワハラにならないよね?叩いたって言ってもすごい優しくだし、ツッコミみたいなものだし…まぁそんなことはどうでもいいか

 

 

 

「どうだ?調子は。」

 

 

 

 

「まだ全然です…」

 

 

 

「ちょっと見せてもらってもいいか?」

 

 

 

 

「は、はい!」

 

 

 

 

涼風から下書きの紙を受け取るとそこにはまだ抽象的なキャラクターと悩んで消したであろう跡が沢山あった。

 

 

 

「あー、なんだ?まだ迷走中か…」

 

 

 

「なかなか自信を持って描けなくて…それに最近仕事でいっぱいいっぱいで絵も描いてませんでしたし、キャラデザをさせてもらえるってわかってたら…!」

 

 

 

 

「言いたいことはわからんでもないが…」

 

 

 

 

「いや、わかってます。言い訳ですよね…はい…」

 

 

 

 

涼風の言いたいことも分からんでもない。が、俺は言い訳することが必ずしも悪い事だとは思わない。これが八神だとキッパリ言うんだろうがな…

 

 

 

「まぁ別に今は特別忙しい訳でもないから、涼風のペースで描けばいいさ。…焦って描いて中途半端な絵を持ってこられても困るしな」

 

 

 

 

「…はい!あ、そういえば…比企谷さんや八神さんも最初はコンペに参加したんですか…?」

 

 

 

 

「…あーそうだな、まぁテキトーに」

 

 

 

涼風の言うコンペはゲームに対してどんな絵がいいか1回みんなで描いて持ち寄るものだ。去年なんかは篠田が行き詰まってパンクしていたのを覚えてる。

 

 

 

「て、テキトーに!?…それでメインのキャラデザを勝ち取ったんですか!?」

 

 

 

「まぁメインっつってもコンセプトや絵の感じが似てるってのと新人ってのもあって八神と合同だったけどな」

 

 

 

「あ、それで八神さんもメインのキャラデザだったんですね!」

 

 

 

 

まぁあの時はあの時で一悶着あったが…ここで話すことではないだろう。でもそうか、涼風の年の頃にはもうメインのキャラデザやってたんだなぁ俺

 

 

 

「…まぁでも涼風の時には、八神って壁を超えなきゃ行けないから覚悟しておいた方がいいな」

 

 

 

「…う」

 

 

 

 

「えーなになにーなんの話〜?」

 

 

 

自分の名前を呼ばれて気になったのか八神がこっちへ来る。

今まで話してた事を八神にも伝える。

 

 

 

「えー、でも壁って言ったら八幡もでしょ?」

 

 

 

 

「俺っつっても次のコンペに出るかもわからんからな…めんどいし」

 

 

 

「え…それって…」

 

 

俺の言葉を聞いて八神はあの時のことを思い出したのか少し声のトーンが下がる。

 

 

 

 

「別にあの時の事は気にしてねぇよ。普通にめんどいからだ、今でさえ仕事ばっかで大変だっつーのにこれ以上増やしてたまるかっての…」

 

 

 

「……ふふ、なにそれ」

 

 

 

俺の軽口に八神はそっと微笑む。…そうだよ、お前はそれでいいんだ。お前に泣き顔は似合わない。

 

 

 

 

「あ、えっと…」

 

 

 

俺らの話についていけない涼風があたふたと困っていると後ろから遠山さんが来る。

 

 

 

 

「でも、そのキャラデザ勝ち取った時は八幡くんもコウちゃんもよくそのせいで先輩達に目をつけられていびられてたのよ?」

 

 

 

 

「え、どういう事ですか?」

 

 

 

 

「突然入社してきた新人にメイン持っていかれたら面白くないじゃない?」

 

 

 

 

そう、あの時は俺らが目立ってしまったせいで先輩達にいびられて半ば孤立していたことがあった。まぁ孤立と言っても俺と八神は嫌でも話し合わなきゃいけない状況だったからふたりぼっちみたいな感じだったけど…そんな中俺らに普通に接してくれていた遠山さんには今でも感謝していたりする。

 

 

 

 

 

「あ、あれは私達も生意気だったし…!」

 

 

 

そんな遠山さんの言葉に八神は異を唱える。え、私達って俺も入ってるのん?いやまぁ確かに褒められた態度ではなかったもしれないが…それでも俺は俺らをいびるだけいびっておいて他社に引き抜かれた大石、あいつだけは絶対に許さない…

 

 

 

「それで毎日毎日、私と八幡くんが愚痴聞かされてたんだから」

 

 

 

「りんやめてよ!」

 

 

 

先輩の面目、丸潰れである。

 

 

 

 

 

「…でも少しわかります。」

 

 

 

「「「?」」」

 

 

 

涼風が神妙な面持ちで話し始める。

 

 

 

 

「…私も今…比企谷さんと八神さんが私と同い年にはもうメインをやってたって知って、ちょっと悔しいっていうか妬ましい気持ちがあって……ってダメですね!いつまでも子供っぽくて私!」

 

 

 

「「………………………」」

 

 

 

 

涼風が思ってることはきっと誰でも思うことだろう。あいつが妬ましい、くやしい。そんな気持ちはきっと誰でも持っているものだと思う。

 

 

 

 

「…俺や八神が同じ立場でもきっと同じことを思うとおもうぞ。だってこの仕事を好きでやってんだ。」

 

 

 

「「八幡(くん)…」」

 

 

 

まぁ働くのは辛いけど

 

 

 

 

「涼風は村人の作ってて楽しかったか?」

 

 

 

「え?あ、はい!端っこのお仕事だとは思ってますけど楽しかったです。」

 

 

 

「そりゃよかった。さっきの村人たちがマップに乗ってる。サーバーに上がってるから見てみるといい。」

 

 

 

「は、はい」

 

 

 

 

涼風は返事をすると自分のパソコンからサーバーにアクセスする。するとそこには先程涼風が作成していた村人やその他の色々なキャラクターがいる街が映し出される。

 

 

 

「わぁ……!凄いです!ゲームに乗るとこんな風に見えるんですね…!」

 

 

 

「「…」」

 

 

涼風の反応を見ると俺と八神は顔を合わせる。すると今度は八神が喋り始めた。

 

 

 

「悔しいって気持ちも大事だけど、やっぱり楽しいって気持ちはこうやって伝わると思うんだ…それが一番大事なんじゃないかな」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

 

「私も青葉ちゃんの村人に動きを入れてて楽しかったよ!」

 

 

 

八神の発言に涼風が返事をすると、今度は後ろからモーション班である篠田がそんなことを言ってくれる。

 

 

 

「そう、この画面を作るだけでもモーション班や背景班、企画やプログラマー。いっぱい関わっているのよ」

 

 

 

「そうだ、俺たちの仕事は目立つ位置にあるが1人じゃ作れないんだよ」

 

 

 

「青葉の今のキャラデザもそのことは忘れないようにね」

 

 

 

「な、なんだか今度は責任重大すぎて緊張してきました…!」

 

 

 

「ははは」

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

 

「八神さん描いてきました!」

 

 

 

後ろからそんな声が聞こえて来たので俺も八神の方へ行きキャラデザの確認をする。

 

 

 

「うんいいんじゃないかな。ね、八幡。」

 

 

 

「ああ、名前は考えてきたのか?」

 

 

 

 

「い、一応考えては来たんですけど…えっと、えっと…なんか名前言うのすごく恥ずかしいですねこれ//」

 

 

 

「「躊躇ってるとどんどん恥ずかしくなるぞ」」

 

 

 

 

自分が描いたキャラに自分で名前つけるって恥ずかしいよな。うんうん、わかるぞその気持ち。今まで嫌という程やってきたからな。まるで中二病が再発したのかと思ったくらい黒歴史が刺激され恥ずかしかった…

 

 

 

 

「ソフィアちゃんです!」

 

 

 

俺が過去を思い出し内心悶えていたら涼風が思い切って名前を叫ぶ。

 

 

 

 

「ソフィアちゃんだって」 「ソフィアちゃんか…」

 

 

 

 

俺らは2人揃って名前を呟きながら涼風が持ってきたキャラデザの用紙と涼風を見比べる。その動きで涼風が気づく。

 

 

 

 

「あ!これ私ですか!?」

 

 

 

「へ、今気づいたの?」

 

 

 

「まぁ涼風は真面目で元気だが少し天然なところがあるからなぁ」

 

 

 

「最悪です!比企谷さんキモイです!八神さん大嫌いですー!」

 

 

 

き、きもいって…

 

 

 

 

「怒らないでよソフィアちゃん」

 

「まぁそう怒るなよソフィアちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もーーーーーーーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

◆やはり残業するのは間違っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「涼風、次の仕事はこのソフィアの3Dモデル製作な。ソフィアはイベントにも登場する重要NPC扱いだから、村人よりも少し豪華に作ってくれ」

 

 

 

 

「豪華…?」

 

 

 

ここら辺の話は少し難しいんだよなぁ…

 

 

 

 

「ゲーム画面に1度に表示できる総データ量は決まってるから重要度に合わせて密度を調整してるんだ」

 

 

 

「でも…死んじゃうんですよね。ソフィアちゃん」

 

 

 

「まぁそこはどうしようもない」

 

 

だから俺をそんな目で見ないで…!

と、そこに遠山さんから声がかかる。

 

 

 

「八幡くん、コウちゃん。そろそろ会議よ」

 

 

 

「「あ、了解」」

 

 

 

2人して返事をして会議の用意を始める。俺は使うであろう書類とメモ、筆記用具を手に持って席を立つと涼風が遠山さんと八神を交互に見ていた。

視線の先には会議に参加するために持っていく手荷物があった。遠山さんは予め用意してあっただろうクリアケースを持っていて八神は恐らくメモをするために紙とペンだけ持っている。

 

いやまぁそんな堅い会議じゃないけど流石に八神のそれは少なすぎやしないか?

と考えていたら最後に涼風が俺に視線を向ける。

 

 

 

 

 

「私間をとって比企谷さんを目指すことにします!」

 

 

 

 

「何言ってんだ?」

 

 

 

 

 

###

 

 

ー会議中ー

 

 

 

モブ「あの、キャラ班の残りキャラ数と残り日数って合ってますか?自分の数え間違えならいいんですが…」

 

 

 

 

「あぁ!ほんとだわ!?どうしようコウちゃん!八幡くん!」

 

 

 

「ああホントだ。こりゃ忙しくなるな〜」

 

 

「残業…かもな」

 

 

 

###

 

 

 

 

 

と、言うわけで会議終了後。俺ら3人はブースに戻ると他のキャラ班の3名に事情を説明する。

 

 

「ごめんなさい!私の計算ミスなの…キャラ班にはお泊まりか土日どちらか来てもらうことになると思うけど…」

 

 

 

遠山さんは終始申し訳なさそうにしていた。

 

 

 

 

「ちなみに会社命令の休日出勤は有給が増えるのでちょっとお得です。」

 

 

 

「んな悠長な…ほんなら私は休日に来ます」

 

 

 

「私も…」

 

 

 

飯島とひふみは休日出勤するようだ

 

 

 

 

「涼風はどうする?」

 

 

 

 

「…有給ってなんですか?」

 

 

 

 

「「そこからかよっ」」

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

 

 

 

「買ってきました!寝袋!」ジャ-ン

 

 

 

涼風は買ってきた寝袋を自慢げに掲げて見せてくる。

 

 

 

 

「さっそくやる気だな、残業も休日出勤もだなんて」

 

 

 

「最初だけですよ、ソフィアちゃんに時間をかけたいので!…ついでに着替えもあります!」

 

 

 

 

「いや、楽しそうだけどこれ残業だからな?」

 

 

 

 

この子ちゃんとわかってる?

 

 

 

「そういう八幡は残業なんだね、疲れたから帰るっつって休日出勤しそうもんだけど」

 

 

 

「ばっかお前休日くらい休まないとやってられないだろ。そのために残業しなくちゃいけないなら誠に遺憾であるがやるしかない…。」

 

 

 

休日くらい寝かせてくれ…それに休日出勤して有給増えたところで結局滅多に使わないからなぁ。

 

 

 

「え、比企谷さんもお泊まりするんですか!?」

 

 

 

「ん?あ、あぁ…安心しろ。俺は会議室使って寝るから」

 

 

 

「そ、そうですか…なんかすみません」

 

 

 

「気にすんな」

 

 

 

 

こういう職場だ、男が会議室使って雑魚寝してたり女が会議室使って雑魚寝してたり、マスター前なんかは男女関係なく自分のデスクで爆睡してたりするからなぁ…

 

残業する時のルールとかは八神に任せて、仕事しますかねぇ…

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

 

 

「……………………………」

 

 

 

 

もう寝ようかと思って会議室向かおうとしたところ自分のデスクで寝ている涼風を見つけた。…さて、起こすべきかそのまま寝かせておくべきか……まぁせっかく寝袋買ってたしこのまま寝て体痛めてもあれだしな、起こすか

 

 

 

 

 

「おい、おい、涼風…起きろ」ユサユサ

 

 

 

「は!ここどこ!?」

 

 

 

「いや会社だわ…寝袋があんならそっちで寝た方がいいぞ。体痛めてもあれだし」

 

 

 

「あ…そうでした。?……どうしたんですか?」

 

 

 

しまった、涼風のラフな格好が意外で見てたらバレてしまった。だってこいつ私服でいいって言ってんのに毎日スーツで来るからこういう姿をしているのが珍しいのだ。

 

 

 

 

「いや、なんだ。いつものスーツ姿じゃないから目にとまってな……その、いいんじゃないか?」

 

 

 

 

昔から小町に女の子の変化には褒めろと言われてきたから褒めてみたが、これでいいのか?いいんですかね!?小町ちゃん!

 

 

 

 

「!?…………………もう!ここの先輩方はなんでそう…!//」

 

 

 

「え…す、すまん…。」

 

 

 

 

怒られてしまった…勇気出したのに…八幡頑張ったのに。ぐすん…戸塚に会いたい…。

 

 

 

「そ、そういうことじゃなくて…!あー、もう!あ、ありがとうございます!もう寝ます!おやすみなさい!///」

 

 

 

 

「お、おう…おやすみ」

 

 

 

なんか理不尽…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンドンドン!!ドンドンドン!!

 

 

 

「青葉!起きろ!みんな出社してきてるぞ!」

 

 

 

 

 

「う、うーーん。なんだ…?」ゴンッ

 

 

 

「……………………zzZ」

 

 

 

朝、騒がしいノックで起きたら、横に熊の皮を被った涼風がいた。

 

もう一度言おう。

 

 

 

朝、起きたら、横に、涼風がいた。

 

 

いやなんで?え、俺ちゃんと会議室で寝たよね?てか八神が明らかに俺じゃなくて涼風を呼んでるあたり涼風も会議室使おうとしてこっちで寝たのか…?なぜいくつかある会議室からこの部屋を選んだ…。

これ見られたら誤解されるかなぁ、いやてか八神なら昨日いたし信じるだろ…

 

そう願って俺はまず会議室の扉を開ける。

 

 

 

 

 

「青葉ー!」

 

 

ガチャッ

 

 

 

「お、おう…」

 

 

 

「あれ?なんで八幡が…?」ヒョコ

 

 

 

 

八神が俺の後ろの涼風を見て状況を把握する。

頼む八神、お前が頼みの綱だ。誤解を解いてくれ…!

 

 

 

 

「…………………八幡、説明。」ハイライトoff

 

 

 

 

神はいなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり俺が残業するのは間違っている…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※この後ちゃんと涼風を起こして誤解を解きました。

 

 

 




はい!どうもニケです。
今回で原作1巻分が終わりました。大した話数もないのに約3年もだらだら書いていたこのシリーズもひとつの節目を迎えることが出来たのはひとえに皆様の応援のおかげです!
ありがたいことにUAは60000を超え、お気に入り登録数も1,100を超えていて、なんだかんだこの作品を愛していただいているんだなぁと実感して涙がちょちょぎれんばかりです!

改めて、今まで応援してくれている読者の皆様、大変ありがとうございます!作品自体はまだまだ続ける予定ですが節目として御礼申し上げます!
また、感想や高評価をいただけると次回へのやる気に繋がります!
これからもこの作品共々是非ともよろしくお願いいたします!


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