ソードアート・オンライン 覇王と絶剣 (高島 秋)
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第1章 SAO編
第1話 SAO攻略開始!?


SAOを読んで、俺だったらこう言いたい!ってことがあったり、
主人公(キリト)が羨ましくて…って言うのだったり…

皆さんが楽しめるように精一杯頑張りますので
感想等よろしくお願いします!


(これはゲームであっても、遊びではない。)

 

(たしかに彼…茅場晶彦は俺との会話でそう答えた。だが、実際にデスゲームと化すと恐怖を覚えた。自分は死んでしまうのではないかと…現実に残してきたものはもう無い。あちらの世界ではやりたいことは全てやったように思える。勉強だってした。彼女もいた。…あっ…それが心残りだな…置いていってしまった事が…だが…悔やんでも過去は変えられない。今の自分の状況を正しく理解し、行動することだ。俺が…いま…すべきこと…それは

…強くなること。そして1秒でも速く。このデスゲームをクリアすること。)

こうして俺はこの世界でのキヒロは強くなることを決めた。

 

そうして1ヶ月がたった頃にはLvは28になっていた。筋力要求値は大幅に余っていたのでアニールブレードをもう一本取りに行くことにした。

 

1時間ほど狩りをしていると、近くにプレイヤーの反応があった。MAPを見た訳では無いが、長年培ってきた経験に基づき数は1人と断定。それは男性プレイヤーだと推測。足音。歩く幅。呼吸。これらに基づいた推測なので間違えるということは無いだろう。だが気になっていたことがある。この時間になってくるのは誰なのか。今は午前2時。普通のプレイヤーはまず間違いなく寝ている。となると残るは攻略組。だが、そんな奴がこの時期に。この時間にここに来る必要が無い…これは戦闘用意していた方がいいかもしれない。そのように判断したキヒロだったが、現れたのは中世的な顔立ち。ぶっちゃけると女顔の男がそこにはいた。よく見るとそいつが背に背負ってる武器は…アニールブレードだ。なら尚更おかしい。俺が疑問に思ってるのが悟られたのか先に口を開いたのは女顔の方だった。

 

?「あんたがキヒロか?」

 

いきなり名前を当てられて正直驚いた。なんせ俺はこいつと1度もあったことがない。声は…聞いたことあるかもしれない…でもそんなレベルだ。向こうが俺のこと知る手立てがない。何故だ…

 

?「鼠から聞いたんだよ。とてつもないハイプレイヤーがいるってな。」

 

鼠…なに人の個人情報まで喋ってんだよ。しかも俺がハイプレイヤー?冗談にも程がある。ただ黙々とレベリングをしてたら勝手になってた。ただそれだけだ。

 

?「名乗るのが遅くなってすまない。俺の名前はキリト。よろしく。」

 

キヒロ「鼠に何を聞いたか知ら無いが、強くないぞ。」

 

キリト「俺のレベルは18。キヒロは?」

 

えっ?聞き間違いか?こいついま18って言ったのか?28の間違いじゃないよな?って言うかこれ答えないといけない空気じゃん…何なのこいつコミュ力高いな…さしずめβテスターってところか?顔から余裕の色が見え見えだぞ。よし、上げてやったから落とさせてもらう。

 

キヒロ「俺は28だが?」

 

端的に言うと引かれてた。何そんなにおかしい数字?こんなものじゃないの?むしろこいつが低いもんだと思ってたんだが…どうやら違うみたいだな…

 

キリト「そのレベルがあるなら是非!ボス攻略に参加してくれ!」

 

は?いやいや待て待て。ようは勧誘ってことか!?俺なんかが?いやでも。何でこいつこんなに真剣な顔してんだ?

 

キヒロ「そのボス攻略に出て俺にメリットはあるのか?」

 

キリト「このデスゲームから開放されるのが前より早くなる。としか言えない。あとレアアイテムが貰えたりとかするぐらいだな。でもキヒロは安全マージンも十分すぎるほど取れてるし、死ぬ心配はない。」

 

キヒロ「あのさ…安全マージンって?」

 

キリト「………………」

 

えっなに俺変な事言った?どうして日本人はこうなの?なんで固まるの?俺単純に質問しただけだよね?やっぱアメリカの方が住みやすい…

 

キリト「今までどうやって生き残ってきたんだ?」

 

キヒロ「失礼なやつだな…わからないものは分からないんだ。答えろ。」

 

キリト「簡単に言うとある程度のレベル差があれば死なないってことかな?まぁこの世界じゃそうはいかないけど。」

 

キヒロ「なるほどな。それで1層はどのくらいだ?」

 

キリト「層+10と言われてるよ。」

 

俺はここで初めて、自分のレベルの数値がおかしいことに気づいた。最近レベルが上がりづらいと思ってたのはこのことだったのか。だとすると上に行かないと無理じゃん。もっと早く教えろよこいつ。

 

キヒロ「勧誘しに来た理由はわかった。そして俺が参加するメリットも出来た。」

 

キリト「ありがとな。では今日の12時半。トールバーナの噴水の前に集合な?」

 

キヒロ「了解した。」

 

さてさて、久しぶりに面白くなってきたな。

 

そして次の日。俺はキリトに言われた待ち合わせ場所に来たわけだが、なかなか人がいることに驚いた。リーダーはあの青髪みたいだな。ん?キリト…何女連れてんだよ…ちょっとからかってやるか…

 

キヒロ「よっ」

 

ぽん

 

キリト「うわぁぁぁあああ!!!」

 

?「びくっ!」

 

キヒロ「驚き過ぎだキリト。」

 

キリト「お前気配無さすぎだろ!全然わかんなかったぞ!」

 

つい昔の癖が出てしまったみたいだ。

 

キヒロ「悪いな。してそちらの女性は?」

 

キリト「よく女だってわかったな…」

 

?「…」

 

キヒロ「そういうの見分けるのは得意なほうだからな。」

 

最もこれに限らずなんだがな。

 

キリト「そうか。じゃーこっちに来てくれ。」

 

キリトに言われるがままについて行ったらあの好青年のところに連れていかれた。紹介でもすんのか?

 

キリト「紹介するよ。彼はディアベル。こっちはキヒロ。」

 

ディアベル「よろしく!今日のボス攻略絶対勝とうな!」

 

キヒロ「あぁ。必ずな。」

 

こうして自己紹介も済んだところで、俺たちは迷宮区に向かった。




まだまだ文才及び量が足りないですね…そこは反省です。
変なところがあったら遠慮なく言ってください!
あと更新はそこまで早くはないほうですがそこはご了承ください。
ただまだ始まったばかりですので、
そこそこ更新はしていけると思います。
自分で書いていてもどのようにたどり着くか全く予想できませんが(笑)
これからもよろしくお願いします!


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ビーター

おまたせしました。(読んでる人いるかな?泣)まだ始まったばかりですのでめげずに頑張ります!感想書いてくれると個人的にとても嬉しいです!ではどうぞ!


俺達は遂に第1層のボス攻略を開始する。ボス部屋に着いてすぐキバオウ(頭がモヤットボールみたいなやつ)がキリトに(「LAボーナスは今回は取れんな」)みたいな事言ってたんだが…どういう意味だ?取ること自体はなんも悪くないはずだし。むしろ個人的にはキリトがとった方がいい気がするけどな。まぁ今回俺たちの役割は取り巻きの相手だし。たしかにとること自体は難しい。でもβとの変更点があれば…そのような状況になった時に一番最初に対応できるのは間違いなくキリトだろう。まぁ他にもβテスターがいたら無理かもしれんが。取り敢えず俺たちはこの雑魚の相手をしっかりしてればいいか。まぁ向こうのコンビはなかなかいい感じだし?いや別に嫉妬してるわけじゃない。俺は1人でも相手できるからしてるだけだし…やっぱ虚しいな。別に向こうはそんな気がなくてもなんか負けた気がする…このイライラを俺はひたすら雑魚にぶつけるぶつけるぶつける!…やっぱ虚しいやつだな俺…さて、向こうはどうなったかな?

!?武器が違う?曲刀ってあんなに真っ直ぐだっけ?これは聞いてみないとわからな…どうやら違うみたいだな…

 

ディアベル「おれがいく!」

 

キリト「駄目だ!全力で下がれ!」

 

ぐるるるるるる!

 

ずばっ!

 

ディアベル「ぐぅぁぁあ!」

 

キリト「くそ!」

 

あーあやっちゃったよ。LA欲しさに突っ込むとこうなるのか…

なんかみんな固まってるし。死にたいのか?こいつら。

 

キヒロ「おい。固まってる暇なんかないぞ。残りの指揮はあんたがとれ。キバオウ。」

 

キバオウ「わいが!?」

 

キヒロ「あくまで臨時だ。取り敢えず頼んだぜ。」

 

俺は返事を待つことなく一直線にキリトのところへ向かった。

 

キヒロ「おい。大丈夫か?」

 

ディアベル「何とか…キリトさんが助けてくれたからね。」

 

キヒロ「なら一旦下がれ。βテスターのあんたなら、この状況が不味いことぐらいわかるだろ。」

 

ディアベル「!?…そうだね。あとは頼んだよ。ボスを倒してくれ。」

 

キヒロ「了解した。必ず倒そう。」

 

 

キヒロ「キリト!」

 

キリト「キヒロ!?どうしてここに!?」

 

キヒロ「手助けに来てやったんだよ。」

 

?「私も手伝う…」

 

キヒロ「頼んだぜお嬢さん。」

 

?「わかったわ」

 

キリト「あーもう!手順は雑魚と同じ!行くぞ!」

 

キヒロ ? 「「了解!」」

 

キリトが弾き俺と謎の少女が攻撃を入れる。この単純作業を10回ぐらいした辺りで、ついにキリトが見誤ってしまった。おい何飛ばされてんだよ…俺しかいないとかどういう状況だよ。

 

キリト「キヒロ!一旦下がれ!」

 

下がる?この俺が下がる必要などない。むしろここでとどめ刺してやるよ。あんまりこれは見せたくなかったがな。まぁスキルじゃないし別にいいか。

 

 

シャラーーン…

 

キリト「なっ!?」

 

二刀流

 

キヒロ「とっとと死にな。雑魚が」

 

左から右へ。下から上に。斜め切り。切り上げ切り落とし。突き。

ありとあらゆる攻撃を浴びせた。にしても知らないスキルを弾こうとすると神経が疲れるな。そろそろキリトも回復しただろうし代わってもらうか。

 

キヒロ「キリト。スイッチ。」

 

キリト「わかった!アスナ!」

 

アスナ「えぇ!」

 

はぁぁぁぁぁああああ!

 

二人の雄叫びが聞こえる。てかあの子アスナって言うのか。ん?聞いたことある名前だな。そういえばあの声もどこかで…あっ。フードが消えた。!?アスナって明日奈かよ!?おいまじかよ。知り合いがいるとか驚きなんだが!?こういうのがあるって本当なんだな…いやにしても。綺麗になったなあいつ。何考えてんだ俺!?こんなときに!くっそ頭から離れない!

 

おーい

 

あいつと初めてあったのはいつだったか。どこで?それはやっぱり親のあれだよな〜付き添いで会った気がする。ってなると4年前か。あいつ受験生じゃん。可哀想に。待て一応あいつ年上だよな?2歳だっけ?敬語使うべきなのか?うわー…現実世界に帰ったら殺されるんじゃない?俺…

 

おい!

 

キヒロ「おおっと!なんだよ。」

 

キバオウ「なんやさっきの!」

 

キヒロ「なんだって言われても。剣を2本構えて振っただけだが?」

 

キバオウ「スキルやないんかい!?」

 

キヒロ「なわけないだろ。」

 

キバオウ「だとしたらなんや!」

 

キヒロ「現実世界でのを少しやってみただけだ。」

 

キバオウ「なっ!?」

 

 

パリィーん…

 

おっどうやら終わったみたいだな。

 

キヒロ「お疲れ。キリト。」

 

キリト「さんきゅ。キヒロ。」

 

アスナ「ねぇ君。なんで私のなまえ…が…」

 

あっ気づいたっぽいな。だってガクガクしてるもん。ん?俺なんかしたっけ?

 

アスナ「あなた。4年まえの…」

 

キヒロ「覚えてくれててどうも。こっちの世界ではキヒロだ。」

 

アスナ「…アスナです。」

 

まさかプレイヤーネームを本名にするか普通…面白すぎんだろこいつ。

 

 

アスナ「何笑ってるのよ!」

 

キヒロ「いや、だって、なぁ。ぷっ」

 

アスナ「しっ、仕方ないでしょ!思いつかなかったのですから!」

 

キヒロ「いやぁこれは失敬。アスナさん。…ぷっ」

 

アスナ「んぬぬ。ってところで君。」

 

キリト「ん?」

 

アスナ「なんで私の名前知ってるのよ。」

 

キリト「それはな?パーティーを組むと視界左端の方に名前と、HPバーが表示されるんだ。顔の視線は変えずに見てみろよ。」

 

アスナ「き、り、と?」

 

キリト「そっ!よろしくな?」

 

アスナ「えぇよろしく。」

 

 

キバオウ「なんでや!」

 

は?

 

キバオウ「なんでディアベルはんに、情報を教えんかったんや!」

 

おいおいおい。大丈夫か?こいつ。負担かけすぎたか?俺。

 

キバオウ「ディアベルはんにボスの情報を教えとけば、あんな危ない目にあう必要なんてなかったやろ!」

 

?「あいつきっとβテスターなんだ!」

 

おいおいおいおいおいおい。まさかここで再燃焼かよ。何とかしないと。よし。

 

キヒロ「それを言うならディアベルも、βテスターだ。」

 

?「なっ!くっ!でも!」

 

キヒロ「キリトとは違うと言いたいのか?」

 

キバオウ「その通りだ!そんな汚いβ上がりと一緒にすんなや!」

 

キヒロ「そもそも危ない目にあったのはどう見ても自業自得だ。ちゃんと武器を見れば死にそうになることなんてあるわけなかっただろ?違うか?」

 

キバオウ「だからそれをそいつは伝えるべきだったんだ!」

 

キヒロ「βと違うんだから知らなくて当然だろ。実際に殺るまでは。それにキリトのお陰でそいつは生きてるんだ。むしろ感謝されることはあっても、暴言を吐かれる理由がないな。」

 

キバオウ「くっ!」

 

キヒロ「あの場にキリトが居なかったらまず間違いなく、ディアベル含めそのパーティーは死んでたろうな。それに。」

 

キバオウ「なんや!」

 

キヒロ「βテスターは貴重な情報源だ。むしろ彼らがいなかったらもっと攻略が遅れていてもおかしくはないだろ?」

 

キバオウ「でもそいつは情報を独占して!」

 

キヒロ「配布bookもらっといてその態度は頂けないな。これを作るのにこいつは協力してたのにな。まだ何か言いたいことでもあるか?」

 

キバオウ「…今回は下がってやる。」

 

キヒロ「何言っている。これが最初で最後だ。頭でわからないのなら、体で教えるしかないと、俺は思うが?」

 

流石にやりすぎか?嫌でもこのぐらいしないもこんなやつ止められないし。まぁいいだろ。さっさと2層のアクティベートしに行くか。

 

 

キリト「キヒロ。」

 

キヒロ「なんだ?感謝の言葉はいらないぞ?俺が言いたくて言っただけだからな。」

 

キリト「それでも言わせてくれ。ありがとな。」

 

キヒロ「そうか。これからもよろしくな?キリト。」

 

キリト「あぁ。」

 

キヒロ「アスナ。強くなれよ。死んだら家族が泣くぞ。」

 

アスナ「えぇ。必ず生き抜いてみせるわ。あなたも、無事でいるのよ。」

 

キヒロ「姫の命令なら仕方ないな。」

 

こうして俺は彼女と再開したのであった。




第1層攻略無事に終わりましたね。気づいた方もいると思うんですが、キヒロが使った二刀流。そして技。アレですあれ。16連撃のやつです。まぁソードスキルとしてじゃないので威力は高くないんですが。そしてついにアスナ(名前が)初登場しましたー!そうこれは…次回の本編で書こうと思います!これからもよろしくお願いします!


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第10層攻略

まずは…遅くなってすみませんでしたー!!!(ダイビング土下座)いやこれから言うことは単なる言い訳なんですが、ネタがどーしたものかと思って…どこであのキャラ出そうかどこにあの話を入れるか迷っていたらこんなに遅くなってしまいました!申し訳ありません!(まぁ見てくれてる人がいるかどうかは怪しいですが…)これからもめげずに完走していきたいと思いますのでよろしくお願いします!


第1層が攻略されてから、約2ヶ月がたち、俺たち攻略組は第10層までたどり着いた。1層でのあの話が効いたのか、あれ以来表立ってβテスターを排除しようという行動は無くなった。と思っていいと思う。そのぐらいビギナーの中にβテスターが、溶け込めていると思う。まぁここに来るまでに色々あったが今はなんとか攻略が順調に進んでいるし、死者も減った。あくまで0では無い。まぁこの調子でいけばボス攻略に支障が出るほどではないから、良しとするか。で今の現状は、大体的なギルドが今現在3つある。1つ目は、ディアベル率いるアインクラッド解放隊。2つ目は、キバオウ派のドラゴンナイツ。そして最後に。個人的には最強と思う血盟騎士団がある。なんと言っても、リーダーのヒースクリフ?って男が強い。なんでこの時期になって出てきたかわからないくらいだ。キリトと同じくらい強いんじゃないんか?剣さばきも見事なもんだし。現実世界でも剣を振っていたのかと思うくらいだ。とまぁそれは置いといて。明日奈もそこに入ったのは意外だった。まぁ確かにいいギルドに誘われたら断るなよとは言ったけど。大丈夫かな?キリト。少し心配だ。にしても明日奈が攻略の鬼なんて言われてるなんて。まぁ分からなくはないが。あいつはやると決めたらとことんやる女だからな。今詰めすぎな気もするが…まぁこんな感じに順調にアインクラッド生活を送っています。未練はないと言ったら嘘になるけど。まぁなんとか死ねないでいます。

 

 

キリト「やっと節目の第10層まで来たな。」

 

キヒロ「そうだなー。もうちょっと早く来ても良かったと思うけどな。」

 

アスナ「そこ。無駄口を叩いていないで集中しなさい。」

 

キヒロ「はいはい。」

 

アスナ「返事は1回!」

 

キヒロ「はい」

 

キリト「お前らどういう関係なの!?」

 

キヒロ「気になる?(笑)」

 

キリト「いや?別に」

 

 

 

つまんな。

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

 

ディアベル「ボスの名前はカガチ・ザ・サムライロード!」

 

キバオウ「刀一本のボスモンスターや!」

 

ヒースクリフ「だが攻撃パターンの変更も十分ありうる!各自気づき次第早急に対応するように!」

 

みんな「おおおおおお!!!!!」

 

キヒロ「刀かー!」

 

キリト「ん?」

 

キヒロ「いや。刀ならラストアタックボーナスが刀の可能性あるんじゃないんかなー?って思って。」

 

キリト「え?なんで?キヒロの武器片手直剣じゃん?」

 

キヒロ「刀の方がロマンない?」

(まぁ現実世界の剣技を生かすなら刀の方がいいっていうだけだけどな。)

 

キリト「へー。まっ、譲ってやるよ。」

 

キヒロ「そりゃどうも」

 

こうしてボス攻略が始まった。

 

 

 

いゃゃゃぁぁああ! てぇゃゃゃやぁぁああ! そりゃ! おりゃ!

 

 

順調にHPバーは削れている。残り1段と少しだ。ここまで新たなパターンは出てきてないが、そろそろ出てもおかしくない。

 

 

キヒロ「そろそろ新たな攻撃パターンが出る可能性がある!全員今1度、気を引き締めろ!」

 

おぉぉー!

 

 

ザク

 

 

 

ブゥン

 

 

残り1段。さぁどう変わる…

 

 

 

シャラーーン…

 

 

なっ!

 

 

キリト「二刀流!?」

 

 

武器を2本持ちとは!今までには出てこなかったぞ!いや今はそんなこと気にしてる場合ではない。とにかく倒さないと!

 

 

キヒロ「キリト!こい!」

 

キリト「えっ!?あぁ!わかった!」

 

 

ヒースクリフ「…」

 

(さぁ…どんな戦いを見せてくれるのかな?)

 

 

キヒロ「らぁぁぁぁああああ!!!」

 

俺が弾き、

 

キリト「はぁぁあ!」

 

キリトがダメージを与える。たまに俺も攻撃入れてを繰り返す。まさか現実世界の剣技がこんなに役に立つとはな。夢にも思わなかった。俺が剣の腕を磨いていたのは。この時のためだったのか。とさえ思った。

 

 

ヒースクリフ「ふむ。」

(少しばかり早いが。アノ武器をLAに、変えるか。)

 

 

キヒロ「おおおおおおおおおおお!!!!」

 

切り上げ切り落とし、横薙ぎ払い、突き、ため払い、回転斬り。

 

パリーん…

 

こうして第10層ボス攻略。ラストアタックボーナスは。

 

 

 

妖刀"村正"

 

 

ヒースクリフ「Congratulations!いい剣技だったね。見ていて惚れ惚れしてしまうよ。どうかな?うちのギルドに入るというのは。」

 

キヒロ「いえ!遠慮しておきます!」

 

ヒースクリフ「…そうかい。そりゃ残念。」

 

キヒロ「すみません!急いでるんで!」

 

ダダだだだ!

 

キリト「何を急いでるんだ?あいつ」

 

ヒースクリフ「(まぁそれはそうなるか)」

 

キヒロ「(マジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかマジかーーーーー!!!!!!!)」

 

 

こうして念願の刀を手に入れた。どうもSAOの刀はイマイチだったからな〜。しかも手に入れたのは妖刀村正!あの伝説級の刀だとは!いやー久しぶりに頑張って良かったー!ただ一つ疑問が…それはこの刀の要求値が高すぎるのだ…そう高すぎる!有り得ないだろ!普通10層のボスモンスターからドロップするようなものじゃないぞ!?なんだこの数値!今俺のレベルは51。それでも装備できないとか。頭湧いてるんじゃないか?この武器。まぁ名前がこれで逆に簡単に装備できたら出来たらでそれもどうかと思うが…だからってこれはないだろ。何でここで出るんだこれが?こんなの宝の持ち腐れだ。てかご褒美が目の前にあるのにお預けされる犬の気持ちがわかっちゃうとか。家に帰ったら優しくしよ…ごめんな…クロ…

よし。当面の目標はこいつを装備できるまでレベリングだな。よーし頑張るぞ!




どうしても入れたかったこの刀。実は私幼少の頃より剣道を習っていたのもあってか、刀好きになりまして…どうしても入れたかったんですー!すみません!アスナ好きな人には今回出番が少なくなってしまい申し訳ないと思っております。もしかしたら優しいアスナに戻る時まであまり出番がないかもしれません。その代わり!ほかの子を出す予定ですので!これからも頑張ります!えぇぇっと評価、コメント、お気に入り登録を待っております!駄作って思うかもしれませんが、皆さんの指摘なども含めて成長していきたいと思いますのでよろしくお願いします!次こそは早めに出します!では!


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第25層攻略 新ギルド登場

遅れてた分早めに出します!と言いましたが、まさか4時間後位とはと思った方もいるでしょう。はい。構想自体は大体出来ました。あとは突っ走るだけであります。どうぞこれからもよろしくお願いします!ではどうぞ!


今の最前線は第25層。この世界に捕らわれてから約半年が過ぎ、それぞれの役割みたいなのができた。まずは攻略組、まぁその中にもソロプレイヤーとかで分かれるのだが。そしてもう一つは生産職。武器防具の素材集めだったりをしてものを作る人。主に鍛冶屋が多いなこれは。次に商人。主に取引専門。代表的なのがエギルだったり、一応アルゴもその部類になるのかな?そして最後に。宿屋に籠る人。いくら攻略方法が出てきたとはいえ、やはり死ぬのが怖いんだろう。これはただのゲームではないのだから。HPが0になったら死ぬ。俺も日々最前線に出ては命のやりとりをしてるが何をしたら死ねるのか。最近はそんなことを考えてる方が多いな。幼少の頃より武術に力を注ぎ勉学にも力を入れてきた俺は、別に何を考えてるわけでもなくただ適当に戦闘してるのにほぼノーダメで敵を倒せてしまう。逆にどうやったら死ねるのか。それに…たとえ現実世界に帰っても俺の居場所はもう無いだろう。だったらいっそのこと死んでしまいたいのだが、それが簡単に死ねないのでどうしたものかと…まぁそんな感じで、日々を送っております。前までは3大ギルドだったのがここ最近、力をつけてきた(と言うよりもとても腕の立つ凄腕少人数ギルド)のがあるみたいだからそのギルドを見学しに行こうと思ったんだが…どこにあるのか聞き忘れたな…仕方ない。鼠に聞くしかないか…

 

 

鼠へ

 

最近力をつけてきたギルド名及び場所を教えてくれ。

キヒロ

 

うん。単純明快。わかりやすく簡潔でいい。何言ってんだ俺…ついに悲しくて精神崩壊でもしたのか?

 

ピロン

 

流石だな。返信が早くて助かる。

 

 

キヒロへ

 

後で1000コルナ。ギルド名はスリーピングナイツ。場所は特にナイナ。まぁそレジャー探すの大変だろうからリーダーの名前だけ教えとくよ。

 

(それは助かる。てかギルド本部がないってどうゆう事だよ。)

 

名前はラン。副リーダーはユウキって名前ダ。今は25層の迷宮区にいるゾ。

アルゴ

 

 

ラン。ユウキか。聞いたことないな。って迷宮区ってだけで分かるか!!さすがに無理があるだろ!って言ってもこれしか手がかりがないのか。仕方ない。レベリングも兼ねて行くか。

 

 

 

数時間経過。

 

 

キヒロ「いない…」

 

どこにいるんだマジで。結構虱潰し探したはずだが?

 

スイッチ! わかった!

 

ん?向こうの方で声が聞こえるな。あっちにいるか!

 

 

キヒロ「えっ?女!?」

 

?「あなた誰かしら?」

 

キヒロ「俺の名前はキヒロ。よろしくな。」

 

?「あなたがキヒロですか!今日のボス攻略から参加させて頂きます。ギルド、スリーピングナイツのリーダー、ランと言います。よろしくお願いします。」

 

?「ボクはユウキです!よろしく!」

 

キヒロ「2人ともよろしくな。」

 

他のメンバー達とも挨拶を交わし、少しの間、一緒に回ることになった。それにしてもいい連携をとる。何より個人としての力もある。それぞれの武器の相性もいいし。何よりリーダーと、副リーダーはずば抜けてるな。ランはアスナと同じ傾向だな。剣速が凄まじく正確だし、ユウキはとにかく反応速度が早い!キリトより早いのか?あれ。見たら絶句しそうだなあいつ…まぁこんだけ強ければ十分だな。ボス攻略に期待できそうだな。

 

キヒロ「よしっ。ランたちの実力もわかったし。俺はそろそろ帰るとするよ。」

 

ラン「あのー、ちょっとお時間くださらないでしょうか?」

 

キヒロ「あぁ?構わないが?」

 

ラン「見ての通り私たちのギルドはほかと比べて圧倒的に人数が足りてないのです。それに数も奇数ですのでもしよろしければ、と思いまして。」

 

まさかの勧誘ときた。会ってそんなに時間はたってないが不思議と嫌な気持ちじゃなかった。まぁそれだけ楽しいギルドだな。それは素直に認めよう。そして俺の速度にここまでついてこられたギルドは初めてだ。どうしようすごく迷う。

 

ラン「うちのギルドはレベルのノルマとかは特にありません。会議とかも特にありませんし、ドロップしたものとかの分配も揉めることは決してありません。今必要な人に与える。決してキヒロさんに負担等をかけることはありません。」

 

とても好条件ではないか。ノルマ無し。分配で揉めることもなし。会議なし。何が問題が逆にあるのだろうか?いや無い。答えは一つ。

 

キヒロ「わかった。そこまで言うのなら。」

 

ラン「では!」

 

キヒロ「これからお世話になります。」

 

ユウキ「よろしくね!キヒロ!」

 

恥ずかしながらにも、この美少女の笑顔に惹かれてしまった。てかなんだこの気持ち。明日奈との頃はこんなのなかった。(まぁあれは政略結婚みたいなものだしな。)あの頃はお互いそういう風に接してたからな。意外と普通になれてよかった。でそんなことより。この気持ち何?胸がドキドキするし。

 

ユウキ「どうしたの?キヒロ?」

 

その上目遣いでこちらを見るのやめてもらっていいですかね?心臓に悪いんです。死んじゃいますから。って死んじゃいますから!あっでもこれで死ぬのならそれはそれでいいかもな。ってまずい、変な人に見られてる絶対。なんとか返事しないと。

 

キヒロ「なんでもないよ?ユウキ。」

 

いや何でもなくありません。あなたに惹かれそうになりました。

 

ユウキ「そっか!ならいーや!」

 

守りたい、この笑顔。

 

 

 

 

そんなこんながあって第25層はクォーターポイントだというのにあっけなく終わった。ほんとに呆気なく。やはりみんな驚いてたな。俺だって驚いたもん。キリトと、アスナ固まってたからな。ヒースクリフはなんか普通の反応でつまらなかったな。

 

 

アスナ「キヒロくん。」

 

キヒロ「どうした?アスナ。」

 

アスナ「君がうちのギルドに入らなかった理由はあれかな?」

 

キヒロ「まぁそうなるな。」

 

アスナ「そっ。まぁ頑張ってくださいね?キヒロ君。あと。」

 

キヒロ「あと?」

 

アスナ「呼び捨ては大概にしなさい。突きまくるわよ。」

 

キヒロ「えぇー別にいいだ」

 

アスナ「だ!め!」

 

キヒロ「はい。」

 

キリト「なにしたんだ?」

 

キヒロ「向こうが歳上だからな。仕方ない。」

 

キリト「えっ?歳上なのか?」

 

キヒロ「あれ言ってなかったっけ?アスナの方が2つ、上だ。」

 

キリト「へぇー。所でギルド入ったんだな。」

 

キヒロ「まぁな。俺にあってる気がするし。なんと言っても…」

 

キリト「何と言っても?」

 

キヒロ「いや?何でもない。」

 

流石にこんなことは言えん。

 

こんな感じで第25層攻略は終了した。約半年で4分の1攻略。あと2年弱かかる計算か。この調子でいけばの話だがな。まっ!気長に頑張りましょ!

 

 

 




はい!ユウキ推しのかた!お待たせしました!やっと出せました!どうしても原作で死んでしまったのが下せなくて…なら!自分の手で蘇らせよう!と思ったのがこのssの始まりと言っても過言ではありません!笑さぁどうなるのかなー?これから先!書いていくのが楽しみです!皆さん!待っててくださいね!すぐ出せるようにします!(*´∇`)ノシ ではでは~


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攻略組との差は。

ここら辺からちょこちょこ小話を入れていきます。みなさんの推しの人達が出てくるかもしれません!キャラが違うぞ!とか思ったら指摘してください。もう一回原作を読んできますので!笑ではどうぞ!


今の最前線は第28層。そこそこ攻略は進んでいると言えるだろう。あと一週間もすれば、ボス部屋が発見されるだろう。まぁそんなことはどうでもいいんだが、最近キリトが見当たらない。迷宮区に行けばほぼ毎日のようにあってたのに。ある日を境に忽然と姿を消してしまった。死んだのか?とも思ったが、フレンドリストにも名前はしっかりあるし。えぇっと今いるのは、22層か。素材集めかなんかか?何かちょっと心配だな。様子見に行くか。

 

 

時は遡り。

 

キリト「はっ。」

 

(俺は一人で素材集めをしていた。今使ってる武器の強化したいのでその素材集めと言ったところだ。そんな時にあるパーティーが目に止まった。ソロプレイヤーの俺から見ても明らかに効率の悪いという印象だった。あまりにも危なかっしいので手伝うことにしたんだ。それがギルド、月夜の黒猫団の人達と関わるきっかけとなった。前衛できる人が二人。だから人数的な問題もあって、サチという女性プレイヤーを転職させようということらしいのだが…無理だろ。ここは助言しておくべきか。)

 

キリト「無茶はしない方がいい。サチは攻撃する時目をつぶっているんだ。当たるはずがないよ。」

 

ケイタ「それはそうなんだけどね。でも今のままじゃとても回っていけない、というのも事実なんだ。」

 

(確かにケイタの言うことも事実だ。このままではいつ、死者が出てもおかしくはない。)

 

ケイタ「あっそうだ!キリトさんがうちのギルドにはいるっていうのはどうでしょう!」

 

(予想してなかった訳じゃないが…どうしよう。レベル差は圧倒的な差があるし。かといって隠してバレた時の反動も痛い。攻略組といって怖がられるのもあれだし。)

 

キヒロ「キリト!」

 

(何で来たんだ。もう隠せないじゃないか。)

 

ケイタ「キリトさん。あの方は?」

 

キリト「はぁ。キヒロだよ。名前くらい聞いたことあるだろ?」

 

ケイタ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

キヒロ「えっ?なに。俺そんなに有名人なの?」

 

ケイタ「知らないんですか?今やヒースクリフと並ぶ最強剣士!ヒースクリフの方は絶対防御と呼ばれてまして。キヒロさんの方は覇王と呼ばれているんです!」

 

キヒロ「えっ?なんで?」

 

(何故こうなったかというと。まぁ単純にいうとヒースクリフの方はHPバーがイエローになった所を見た者がいないというのがあり、キヒロの方は時々モンスターが可哀想になるぐらいの攻撃を加えその有様が覇王の元になったみたいだ。)

 

ケイタ「えっじゃあもしかしてキリトさんも…」

 

キヒロ「こいつは黒の剣士って呼ばれてるよ。」

 

(見た目が真っ黒だから。もうちょっと理由無かったのかなー?泣)

 

ケイタ「そんな二人にお聞きしたいことがあるのですが…」

 

キヒロ「なんだ?」

 

ケイタ「僕達と攻略組の違いとは何でしょうか?」

 

キリト「情報の差だな。攻略組の奴らは自分に取っていい情報は独占していたいって奴がほとんどだ。そんなんじゃダメなはずなのにな。」

 

キヒロ「俺はな?この世界にどれだけ真剣に生きてるかってところだと思うぞ?」

 

ケイタ「真剣に…生きてるか?」

 

キヒロ「そっ。まぁこのデスゲームではそんなこと言っていられないのもわかる。この世界での死は現実世界での死を意味するからな。でもな?この世界にはこの世界の良さがある。俺はこの世界で自分はここまで出来た!精一杯に生きた!って思ってから、現実世界に帰りたい。何もしないまま腐るぐらいなら、最後まで自分のままでいたい。そんな思いを持ってる人が、攻略組の中にはいる。たかがゲームと思ってる人が攻略組には少ないと思うぞ?」

 

ケイタ「なるほど。キヒロさん、キリトさん。僕達も自分達なりの答えを見つけ出し、この世界で足跡の残る生活を送ろうと思います。」

 

キヒロ「あぁ。がんばれよ。」

 

キリト「なんかあったらすぐ呼べよ。」

 

ケイタ「はい。あっ、フレンド登録お願いします。」

 

キヒロ キリト「「あぁ。」」

 

 

 

キリト「キヒロがあんなこと思ってるとは。正直意外だったな。」

 

キヒロ「どうしてだ?」

 

キリト「俺の目にはさ。勘違いかもしれないけど、お前が死に急いでるように写ったからさ。」

 

 

俺はこの時、周りが気づくほどまでに死に急いでるのだと初めて実感した。

 

 

キヒロ「なわけないだろ?」

 

キリト「そうだよな〜。ユウキを置いて死ぬなんてことは出来ないよな〜?」

 

何のことだ?確かにあいつは可愛い。俺が初めてそう思った女でもある。だがそれとこれとは話が別ではないか?

 

キヒロ「何のことだ?」

 

キリト「そうかー?あいつを見る時だけ、お前の目が違うぞ?」

 

実はわかりやすいのかな?俺。結構隠してるつもりだったのだが…

 

キヒロ「気のせいだ。今は色恋沙汰に目を向けてる暇はない。」

 

キリト「まっ確かにな。明日からも頑張ろうぜ?師匠!」

 

キヒロ「そうだな。」

 

 

月夜の黒猫団という不思議なギルドに出会い。キリトによく見透かされた日にもなり。何が何だか。これは暫くユウキの顔を見ない方がいいよな?でも出来るか?俺。無意識のうちに見てしまうほどだぞ?なんでだ?今までこんなこと無かったのに。また勉強しなくてはいけない分野が生まれたな。人の心とは。まぁその答えはこの世界を出るときまでには出せそうだな。俺はそんな根拠もないことを柄にもなく思った。今まで理論においてあらゆることを決定づけてきた俺にとっては難問かもしれない。何故なら人の心とは、考えても理解できるものではなく、人との接触によって得ることが出来るものであるからだ。では何故それを分かってもなお俺はわからない。どうせ同じ作るならそういうことも組み込んで欲しかったぞ?父よ。

 

 

ユウキ「ふふふーん!」

 

ラン「ユウキどうしたの?随分ご機嫌ね?」

 

ユウキ「よくわかんないんだけどね?ある人と会話したらなんか嬉しくて!あぁー楽しかった!」

 

ラン「…相手は?」

 

ユウキ「相手?」

 

ラン「その嬉しかった相手の人よ!」

 

ユウキ「あぁーキヒロだよ!なんかよくわかんないけどいい!ピピっと来るものがあるんだよねー!」

 

ラン「………」

(遂に。あのユウキに色恋沙汰の話が出るとは!)

 

ラン「頑張ってね!ユウキ!」

 

ユウキ「何を頑張るのかよくわかんないけど?頑張るよ!」

 

互いの心互いに知らず。




はい。なんか違うと思ったそこのあなた。私も書いてるうちにない書いてんだろ、と思いました。でもでも!次回こそは!次回こそは!そこそこちゃんとしたものが出せるはずです!(あくまでハズです。)どうぞこれからもよろしくお願いします!ではでは!


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FNC克服プロジェクト

はい。またこいつ投稿したよって方いるかもしれません。(そもそも読んでないし、なんだこいつって方もいるかもしれませんね…)ssを書く喜びを感じているこの頃です。第5話までにアスナ、サチ、ユウキと出てきました!さて次は誰かな?予想しながらこれからも読んでみてくださいね!ではどうぞ!


ようやく折り返し地点手前だ。時期は秋、あのデスゲームが始まってからもうすぐ1年が経とうとしている。現実世界では今頃なにしてたのかなー?もう1度学校生活を遅れると思っていたのに…日本の学校楽しみにしてたのに…まぁ悔やんでも仕方ない。今俺がしていることはキリトとアスナの観察だ。何でそんなことしてるかって?暇だったからかな?アスナといえば今や最強ギルドである血盟騎士団副団長までになった。キリトは相変わらずソロプレイヤーである。ん?ここで疑問がある人もいるだろう。何故月夜の黒猫団に入ってないのか。それはあのあとキリトは形的にはギルドには入った。まぁ最初に入るって言ったのだから。それはそれで自然な流れなんだから仕方ないんだが…なんとメンバーの一人が、家を買いに行っているケイタを驚かせるためにコル稼ぎに行こうと言い出したらしいんだ。そしてその場所として選ばれたのが、第27層、最前線のすぐ下だった。流石に危ないとキリトは止めたらしい。その判断は正解だと思う。あの層はトラップが多く、攻略組でも死者が出たそうだからだ。だが多勢に無勢。多数決で行くことになったらしいんだ。安全マージンは一応取ってたみたいだし、途中までいや帰る手前まで順調だったらしい。だが…ここで事件が起きた。メンバーの1人。ダッカーがアラームトラップを開けてしまったのだ。キリトは即座にみんなをまとめ善戦したと思う。だが敵は最前線と同じレベルだったらしい。1人でみんなを守り抜くのは難しいのは当然。2人。犠牲になってしまった。その状況によると逆によく生き残ったなというぐらいだが…キリトの心に傷がつくのには十分だったのだろう。ケイタは事情を聞き、逆に危険に晒して申し訳ないと謝ったそうだ。キリトからすればもうちょっと引き止めればと思っていた分、余計に罪悪感を感じたらしい。そんな事情があり、今もソロプレイヤーである。

 

 

そして今の最前線は第40層。そこでアスナから珍しく相談事が来た。あのアスナからだと…しかも年下である俺に…よほどの事なんだろうと思った。まぁ内容は簡潔にいうと、ギルドメンバーの一人に、ノーチラスという男がいるみたいだ。彼は団長、ヒースクリフの見立てによると軽めのFNCらしい。(FNCとはフルダイブ不適合の略)そんな男が最前線にいたこと自体驚いたが、最近1軍に上がったばかりのものらしい。それただの実践不足なんじゃ…とも思ったが、敵を目の前にすると足が動かなくなるというのだからそれは流石にまずいと判断したらしい。そこで俺にどうにか出来ないかと来たわけだ。

 

アスナ「で。何とかできそうかしら?」

 

キヒロ「無茶言うな。FNCなら引きこもってるほうがいい。」

 

そう。何をどう考えても引きこもってるほうがいいに決まってる。死ぬかもしれないのにわざわざ出てくる必要などない。

 

アスナ「まだFNCと決まったわけじゃないわ。」

 

キヒロ「ほう。根拠はあるのか?」

 

アスナ「彼は、剣の腕もいいし、反射能力も悪くない。単に経験不足なのよ。そこで頼みがあるの。」

 

キヒロ「まさか…特訓しろってか?」

 

アスナ「よろしくね?今連れてくるから!」

 

でたよ。聞いた感じ確かに磨けば掘り出し物が出てくるかもしれない。だがそんなに責任重大なのはごめんと言いたいところだが。相手がアスナとなると現実世界に帰った時に、何言われるかわからない。ここは大人しく引き受けておくか…

 

ノーチラス「初めまして。ノーチラスと言います。」

 

キヒロ「キヒロだ。よろしく。」

 

アスナ「じゃっ!あとはよろしくね!キヒロくん!」

 

くっそ。

 

キヒロ「で、お前に質問だ。」

 

ノーチラス「はい?」

 

キヒロ「大切な奴がいるか?」

 

ノーチラス「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」/////

 

こりゃいるな。しかも重度の。

 

キヒロ「そいつ連れてこい。今すぐに。」

 

ノーチラス「えっ?あっはい。」

 

 

5分経過。

 

 

?「どーしたの?ノー君?」

 

ノーチラス「この人が連れて来いって。」

 

キヒロ「はじめましてキヒロだ。よろしくな?」

 

?「えっ?あっはい。よろしくお願いします?名前はユナです。」

 

キヒロ「ユナと言ったね?少しいいかな?」

 

ユナ「はい?」

 

 

俺は大まかに事情を説明し、協力してほしいと言った。彼女は快く快諾してくれ少しほっとした。その方法とは。

 

1回ユナというアバターを消すこと。

 

 

そう。ノーチラスの前でユナが死にそう、もしくは死んでしまったのを見せるというものだった。だが、本当にユナを死なすのではなく、防具欠損ダメージを利用し、丁度耐久値が切れる時に転移結晶を使うというものだ。これなら限りなく死を偽装できエイジの本当の力を引き出せるのではないか。と俺は考えた。人は誰かが死ぬ。または自分が死にそうになった状況において、本来の力を発揮できることが数多くある。それを利用しようということだ。少し荒療治だが、正直これ以外の手は思いつかなかった。そこでユナに質問されたのが、黒鉄宮のやつはどうするのか?と聞かれたが、そこはおいおい話すとしよう。こうして俺の一大プロジェクトが始動した。

 

 

 

時期は以外にも早く訪れた。どうやらギルド、風林火山のメンバーが迷宮区に閉じ込められたらしい。しかも敵は沈黙デバフをかけてくる厄介者で敵もそこそこの強さみたいだ。これはチャンスだ。

 

ユナに目配せで合図をし。

 

ノーチラス「ユナはここで待っ…」

 

ユナ「私も行く。」

 

ノーチラス「…えっ?」

 

まぁ当然の反応だな。順調。

 

キヒロ「ユナの吟唱スキルを使えばなんとかなるかもしれない。」

 

ノーチラス「でも!」

 

ユナ「ノーくん!私は大丈夫だから。ね?」

 

ノーチラス「わかった。ユナは必ず僕が守る!行こう!」

 

ここで初めて俺はノーチラスの血盟騎士団装備を見た。なかなか様になってた気がするな。俺も戦闘用の装備に変えてっと。そうすると、助けに行くメンバーから、すげーだのkobだの覇王だの色々聞こえたがそんなことより、急がないと!何かあったら大変だ…

 

 

 

急いで現場に着いたのが功を奏したのか、まだ5人全員生き残っていた。だが、状況自体はそんなに良くない。どうやらボスの後ろにあるレバーを引けば開くみたいだな。てかかなり広いな…不気味な広さだ。てかこの格子が邪魔だな。あのレバーと連動してると考えるのはいいとして問題はそのレバーが間違いなくこのフィールドボスの後ろにあるということだ。つまり、ここを出るにはあのボスを倒すしかない。舞台は整った。

 

 

キヒロ「ノーチラス。ボスを倒すしかないことは明確だな?」

 

ノーチラス「あぁ。だけど。それだとみんなが」

 

キヒロ「風林火山の奴とお前であいつのタゲ取りだ。俺は雑魚を殲滅してる。頼むぞ。」

 

ノーチラス「はい。分かりました。」

 

キヒロ「おい!なかのやつ!レバーを引け!」

 

中のヤツ「わかった!」

 

 

キヒロ「ユナ。ここだぞ。」

 

ユナ「はい。」

 

キヒロ「ではこれより、いくぞー!!」

 

 

オォォォォ!!!

 

 

以外にも早く雑魚は殲滅できた。あとはボスだけ。っ!あいつ!マジで!ならやるなら今しかない!

 

キヒロ「いまだ!」

 

ユナ「!」

 

作戦通りユナには予め装備にダメージを与えていた。そろそろだ。ここで吟唱スキルを使えば雑魚がそっちによる。上手くやれよ。

 

ノーチラス「まって!ユナが!」

 

キヒロ「今ボスを倒さなければ全滅する!周りを良く見ろ!」

 

ノーチラス「くっ!」

(くそっ!なんで動かないんだよ!僕の足!うごけ!うごけ!うごけ!大切な人をなくすのは嫌なんだ!うごけ!うごけ!うごけーー!!!)

 

ダッ

 

動いたなやっと。

 

キヒロ「俺らで倒し切るぞ!」

 

ノーチラス「ユナー!!!」

 

 

こうしてボスを倒したのと、ユナが死んだように見えた爆散は同時に起きた。ノーチラスには悪いことしたな…だがまぁ動いてよかった。

 

 

 

ノーチラス「キヒロさん!ユナに吟唱スキルなんで使わせたんですか!しかもヘイトをユナに集めさせてあなたは殺した!」

 

キヒロ「俺は何もしていない。ユナはあの時1番の働きをしたよ。それに、君の足がもっと早く動けば、助けられたんじゃないか?」

 

(そうだ。その通りだよ。僕の足が動くのが遅かったから!ユナが死んだ!ユナ。ユナ。ユナ…)

 

どうしよう。まさかここまでとわ。ネタバレしそびれたじゃん…黒鉄宮の名前も線引いちゃったし…マジで詰んでね?俺。

 

キヒロ「お前はユナの分も生きなきゃいけない。強くなれ、ノーチラス。」

 

 

 

キヒロ「入るぞ」

 

ユナ「どうぞ!」

 

キヒロ「悪いな。こんなとこに住ませてしまって。しばらくはここで頼む。」

 

ユナ「いえ。構いません。それよりノーくんの状態は?」

 

キヒロ「思ったよりも、精神的に来てたな。失敗だったかもしれない。」

 

当初の目的は確かに達成した。

 

 

だが、この事件が、後に再開した時に、思わぬ事件となることを彼らはまだ知らなかった。

 




ユナ出したぜ!いぇぇーい!(っ'ヮ'c)ウゥッヒョオアアァアアァな気分です。こんな展開になるとはと思った方もいるのでは?OSを入れたのはこの作品が初登場だと思いたい!(実際のところどうなんだろう?)まぁちらっと続編で出そうな感じで終わりましたが、どうなりますかね?笑(*´∇`)ノシ ではでは~


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第50層 仲間の死

遅くなりました〜!続編です!この回は少し壊れます笑それでも大丈夫だよって方はどうぞ!


SAO事件が起きてから1年とちょっと過ぎたこの頃、ようやく折り返し地点まで来た。今の最前線は第50層。このままだとあと1年過ぎるだろう。その頃現実世界に復帰したとして、俺は家族と、友人とまともに過ごせるのだろうか?2年も経てば人間関係なんて面白いぐらい変わる。それが自分に起きないと断言できるか?だけどそれは死ぬ理由にはならない。俺はこの世界で生きる意味を探せた。ユウキとなら…俺はこの世に生を受けて初めて誰かのために生きようと思った、この命は大切な人のために使うのだと。だがそれは死ぬことではない。ユウキとともに生きていくということだ。ってまだ告白すらしてないのに何言ってんだ俺…独占欲早くも働いてるのか?やばいやばい、気おつけないとな。あの事件は少し後味が悪くなってしまったし、ユナと引き合わせて取り敢えず納得させたという感じだな。恨まれても仕方ない。そして今俺たちは、第2のクォーターポイントであるボス攻略会議をしている訳だが、確か名前がティアマト・ザ・ロアードラゴンという名前だったな。見た目としての情報は蛇みたいな龍らしいな。そして水龍か。水ブレスとか放ってくるのかな。めんどくさいなそれは…飛ばない代わりに尻尾とかでの攻撃とかもあるだろうし。まぁ当たって見ないことにもなんも言えないけどね。そんな感じで会議が進み、いよいよボス攻略が始まった。

 

ヒースクリフ「各自警戒を怠るな!どこから現れてもすぐに対処できるように!」

 

オォォォォ!!!

 

キリト「でないな…」

 

キヒロ「これからだろ。」

 

ユウキ「キヒロ!」

 

キヒロ「どっ、どうしたユウキ?」

 

ユウキ「ちゃんとボクのこと守ってね?」

 

何この急展開。いきなりは心臓に悪いよ!?ただでさえ意識しちゃってるのに、そんなことされたら全力で守りますよ!いや言われなくてもそのつもりです!だが、これを表に出してはいけない…と言うより伝えてはいけない。

 

キヒロ「わかった。」

 

ユウキ「うん!」

 

守りたい、この笑顔。

 

いよいよボス戦だ。いっちょ頑張りますか!

 

 

ぐぅぅぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!

 

えっ?マジかよ。まさかの八岐大蛇だったとは。まぁたしかにベストかもしれないな。北欧神話だけじゃないんだな。だよな、でなければ村正なんて出ないよな。

 

ヒースクリフ「各自持ち場につけ!」

 

 

オォォォォ!!!

 

相変わらず落ち着きすぎてて怖いわあいつ。

 

 

 

あれからどのくらいだったのだろう。

 

ぎゃぁぁぁぁぁ!!!

 

うわぁぁぁあああ!!!

 

やめろぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!

 

まだ生きてたァァァぁぁぁぁぁぁあい!

 

初めてボス戦で死ぬ奴が出たな。せっかく一層で助けたのに。

 

助けて!!キヒロぉぉぉぉおおおお!!

 

パリィん…

 

その時俺の中で何かが崩れ去った。

 

リミッター解除30%

 

 

キヒロ「ふざけるなよ…」

 

ユウキ「キヒロ?」

 

キヒロ「ふざけるなよ、仲間を。返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!」

 

ユウキ「キヒロ!」

 

 

ズバッ、ズバッ、ズバッ。

 

どうだ?死に近づく感じは。

 

ズバッ、ズバッ。ズバッ。

 

人を殺してどうだった?

 

ズバッ。ズバッ。ズバッ!

 

楽しかったか?

 

ズバッ。ズバッ!ズバッ!

 

俺はな今すごく楽しいぞ?

 

ズバッ!ズバッ!ズバッ!

 

お前をキリコロシテヤルヨ。

 

スバババババババババッッッッ!!!!!

 

ハハッハハッハハッハハッハハッハハッ!

 

ズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッ!!!!

 

あはははははははははは!!!!

 

キヒロ「たのしいな!キルのって!」

 

ぐぅぅぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!

 

キヒロ「苦しいか!?じゃーもっともっと!!」

 

ズバッ!

 

ぐぎゃぁぁぁぁぁァァァぁぁぁぁぁぁあ!!!

 

キヒロ「苦しくなるように!もっと!きってやるよ!!」

 

ズバン!!!

 

ウギョゥゥァァァァァァァァアアアアア!!

 

HAHAHAHAHAHAHA!!!

 

ガシッ!

 

キヒロ「!?」

 

ユウキ「キヒロ!もうやめて!」

 

キヒロ「あっ!?なんで止めるんだよ!!?」

 

ユウキ「いつもの!いつものキヒロに戻ってよ!」

 

 

ハッ!

 

俺は何を…少し力を出しすぎたな。疲れた。

 

キヒロ「すまない…ユウキ。」

 

 

ドサッ…

 

ユウキ「えっ…」

(キヒロ?ねぇ起きてよ、ねぇ。)

 

ユウキ「寝てるだけだよね?」

(そうだよね?寝てるだけだよね?ボクまだ何も伝えてない。伝えたいことまだ何も伝えてない。行かないで。キヒロ。)

 

キリト「キヒロ!?くそっ!俺が相手だ!」

 

うぉぉぉぉおお!!

 

 

 

 

パリィん…

 

Congratulations!

 

終わったらしいな。

 

どうやら俺はまだ生きてるみたいだ。

 

だとするとお話をしなければいけないかもな。

 

主に俺の体の秘密を。

 

 

 

 




キヒロ壊れましたね〜!こんな主人公もいいかなーって思って書いてみましたー!さぁいよいよこの作品1番の秘密が明らかになる(かもしれない)!!(*´∇`)ノシ ではでは~


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告白

遅くなりました!どのような展開にしようか迷ってたらいつの間にかこんなに遅く…次回は早めに出します。必要ないと思いますが、ティッシュの用意を…(下手したらブラックコーヒーも。)


(第50層突破してから早2時間。今ここにいるのは、俺、アスナ、ラン、ユウキ、クライン、エギル、そして、キヒロだ。キヒロから話があるらしく呼ばれたから来てみたら、あまりにもなんかキヒロの顔が強ばっている気がするのは気のせいか?)

 

キヒロ「よく来てくれたな。みんな。」

 

キリト「キヒロに呼ばれたらな。」

 

ラン「そうですね。何かあったのですか?」

 

エギル「何があった?」

 

クライン「俺に出来ることなら何でもするぜぇ!」

 

アスナ「何があったのかしら?」

 

キヒロ「まず、隠していたことを話さなくてはならない。」

 

 

(隠していたこと?)

 

 

キヒロ「俺は…

 

 

茅場晶彦と面識がある。」

 

 

全員「なっ!!」

 

 

キリト「どうゆうことだ!?」

 

キヒロ「今説明する。」

 

以外と視線が痛いな。まぁだよな。

 

キヒロ「俺は、このゲームを作る過程であいつと接触した。茅場晶彦は当時俺がいたところ、マサチューセッツ工科大学にきた。理由としては、俺にこのゲームの制作において絶対的に必要なシステムのことについてだ。あいつは俺に依頼してきた。」

 

(茅場晶彦「君の技術力、発想力を期待してお願いがある。」

 

?「なんですか?茅場さん。」

 

茅場晶彦「君に私が新しく作るゲームにおいてのことでの頼みだ。」

 

?「僕は何をすればいいのですか?」

 

茅場晶彦「メンテナンスを必要としない、システムを作って欲しい。出来れば1年以内に。」

 

?「簡単に言いますけどそれ結構大変ですよ!?てか前例がないじゃないですか!?メンテナンス不要とか…」

 

茅場晶彦「だが君ならできると思っているよ。頼りにしてる。」

 

?「わかりました。早急に手がけます。」)

 

 

キヒロ「このようなことがあり、俺は茅場晶彦と接することとなった。」

 

クライン「ちょっ待ってくれ!お前なんさ」

 

キヒロ「すまん。質問はあとだ。終わってからだ。」

 

クライン「わ、わかった。」

 

キヒロ「再開するぞ。」

 

((それから俺は一生懸命期待に応えようと必死だった。茅場晶彦は俺のあこがれでもあったからな。なんとしても作り上げたいと思った。報酬も凄かったし。)

 

それから半年が過ぎたある日。

 

 

toルルルルル toルルルルル

 

ガチャ

 

?「はいこちら……研究し」

 

茅場晶彦「久しぶりだね……君。」

 

?「かっ茅場さん!どうかしましたか!?こちらは順調です!」

 

茅場晶彦「そうか。それは良かった。今の現状を聞いておこうと思ってね。もしかして邪魔だったかな?」

 

?「いえ!そんなことは無いです!」

 

茅場晶彦「完成したら一度日本に来てくれ。アーガス本社で待ってるよ。」

 

?「はい!わかりました!」

 

 

それから約3ヶ月後。遂にメンテナンスを必要としないシステムが完成した。俺は日本にいる茅場さんに会うためにアーガス本社にきた。

 

?「お久しぶりです。茅場さん。」

 

茅場晶彦「まさかこんなにも早いとは。君には驚かされてばっかだな。ありがとう。報酬はしかと渡すよ。」

 

そう言って茅場さんはケースを俺に渡した。

 

茅場晶彦「それが報酬だ。受け取ってくれたまえ。」

 

?「ありがとうございます。あっあと、」

 

茅場晶彦「なんだね?」

 

?「必要ないかと思ったのですが…」

 

茅場晶彦「?」

 

?「AIプログラムを何個か作っておきました。茅場さんの話してたゲームにはあってもいいのかな?と思いまして、」

 

茅場晶彦「…いや大いにありがたい。助かったよ。あぁ、」

 

?「?」

 

茅場晶彦「その報酬以外にも渡すものがあったんだった。」

 

スっ

 

?「こっこれは!」

 

茅場晶彦「ナーヴギアだ。受け取ってくれたまえ。」

 

?「ありがとうございます!」

 

茅場晶彦「だがプレイする前に1つ忠告しておこう。」

 

忠告?遊びすぎるなとか?

 

茅場晶彦「これはゲームであっても遊びではない。」

 

!!!

 

茅場晶彦「心してSAO。ソードアート・オンラインをプレイするように。」

 

俺はこの時悟った。これはデスゲームになるのだと。だがそれを俺に話したということはもう後戻りができないところまで来たのだということを。そこで俺はこのナーヴギアを改良し、GMに多少抗えるアカウントを作ることを。

 

 

それからの日々は何日も寝ない日々が続いた。犠牲になるかもしれない人が出る可能性がある。それを阻止するために。

 

 

そして、

 

 

出来たのが。

 

 

カウンターアカウント。)

 




無理やりすぎましたが、こんな感じです。まだ秘密のひとつでしかありませんが、ここからが正念場となるので。(*´∇`)ノ ではでは~


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生きる意味

評価こないなー(寂しい…)お気に入りこないなー(寂しい)みんなー!まってるよー!笑では!どうぞ!


ここまで話しての反応は。やはり驚かれるものだったらしい。それはそうだ。あの茅場晶彦と面識があり、このゲームにおいての関係者が目の前に現れたのだから。罵倒されてもおかしくない。むしろされて当然だ。てなんで話してんだろうな。誰かに聞いて欲しかったのか?俺はなんで話した?何のために…

 

クライン「カウンターアカウント…か…」

 

キヒロ「あぁ。来るべき時が来たら、必ず俺が責任をもって倒す。」

 

キリト「それで…か」

 

キヒロ「ん?」

 

キリト「キヒロ。お前は、その全責任を死で償う気なんだな。」

 

!!!!!

 

こいつは、よく頭回るな。

 

 

ユウキ「そうなの!?キヒロ!」

 

キヒロ「…キリトの言う通りだ。」

 

ユウキ「なんで!」

 

キヒロ「俺が茅場晶彦に手を貸したのは事実。このゲームをデスゲームにするのに欠かせないプログラムを組んでしまったのは俺だ。だから、俺」

 

ユウキ「責任をもって死ぬっていうの!」

 

キヒロ「あぁ。」

 

ユウキ「そんなことしたら!ボクも死ぬ!」

 

!?

 

なぜ?ユウキが死ぬ必要なんてない。

 

キヒロ「ユウキが死ぬ必要なんてな」

 

ユウキ「キヒロが死んでしまったら!ボクは生きてる意味ない!」

 

!!!

 

キヒロ「何を馬鹿なこと…」

 

ユウキ「わからないの!?そのぐらいキヒロなら!わかるでしょ!」

 

俺は人の心を読み取るのが苦手なほうだ。主に恋愛面。だが、今回ばかりはさすがの俺でもわかった。ユウキは俺のことが好きなのだと思う。

 

キヒロ「ユウキの気持ちは嬉しい。だが、俺は今までに死んでいった約2000人の命と俺一人の命。比べたらやはり俺は生きてる資格なんてない。茅場晶彦と同罪だ。俺が2000人を殺した。だから、最後まで生き残って、できるだけ多くの人に生きていってもらうためにこの命は使うと決めた。だからユウキたちとはそこでお別れにしようと思う。」

 

ユウキ「確かにキヒロは茅場さんに手を貸し、多くの人の命が亡くなってしまったことは償い切れないものがある。でもキヒロは少なくとも渡すまで知らなかった。」

 

キヒロ「知らなかったでは済まされないのも事実だ。」

 

ユウキ「でも!それを死で償うのは違うとボクは思う。」

 

キリト「ユウキの言う通りだ。」

 

ラン「そうですよ。人が死んでいい理由なんて無いんですから。」

 

アスナ「向こうでまた会いましょ。」

 

クライン「そうだぜ!?ラーメン奢れよ!?」

 

エギル「現実世界で俺はお前に会いたいぞ?」

 

なぜ。なぜこんな風に思うのだろう。今目の前にいるのは大量殺人者。大罪人。悪魔と変わらないんだぞ。なのに何でこんなふうに…接してくれるんだ。俺はこの温かさを。心のどこかでは望んでいたのかもしれない。だけど。それじゃ生きてる意味にはならない。俺はなんのために…

 

キヒロ「…ずっと…ずっと、考えてた。死ぬべき俺が…この世界に存在する意味は、なんだろうって………って。誰一人助けることも出来ず、たくさんの人を殺し、周りに危害を与え続けている…自分も悩み、苦しんで……その果てに、ただ消えるだけなら…今この瞬間にでもいなくなるべきだと…何度も何度もそう思った………なんで…俺は…生きているんだろうと…って……ずっと……」

 

ユウキ「キヒロ…」

 

キヒロ「ん?」

 

ユウキ「でも…でも…ボクはね?こう思う。…意味、なんて……なくても……生きてて、いいんだよ……って。」

 

キヒロ「っ!」

 

ユウキ「だから。生きて…キヒロ…それがボクの。いやボク達の望み…ううんそれも違うね…生きなきゃダメなんだよ…キヒロ…亡くなってしまった人の分まで…生きなきゃ…生きなきゃ…ダメなんだよ…?わかった?キヒロ…?」

 

俺はこの世界に来て初めて泣いた。どっかの知らない人、攻略メンバー、ギルメンが死んでも、涙1つ出なかったのに…俺は…自分のことを…必要としてくれる人を…探していたのか…こんな俺でも…生きてて…いいのか…それと同時に俺は思った。

 

 

これからは、ユウキのために生きようと。

 

 

キヒロ「ありがとう。ユウキ。」

 

ユウキ「うん!だからもう死ぬなんてこれから先絶対言わないこと!」

 

キヒロ「あぁ。わかった。さてと、さっきの返事をしなければな。」

 

ユウキ「?」

 

キヒロとユウキ以外全員(「ついに来たかこの時が。なんて返事するんだろ?」)

 

キヒロ「ユウキのことが…好きだ。」

 

(ぉぉぉおおお!!)

 

ユウキ「!?!?!?!?!?」

 

キヒロ「こんな俺だが、そばにいて欲しい、ユウキは俺にとって、掛け替えのない存在だ。」

 

ユウキ「//////////」

 

キヒロ「必ず幸せにします。」

 

ユウキ「//////////!?」

 

キリト「おいそれって…」

 

アスナ ラン「(きゃぁぁーー!!!)」

 

クライン エギル「(おいおいマジかよ。)」

 

ユウキ「(プロポーズされたぁぁああ!!////////////////////)」

 

キヒロ「どう…かな?」

 

ユウキ「ふっふっふっ不束者ですがよろしくお願いします!/////」

 

キヒロ「あぁ。よろしく、ユウキ。」

 

アスナ ラン「「おめでとーー!!!!ユウキ!!」」

 

ユウキ「ありがとう!!ねえちゃん!アスナ!!」

 

キリト「おめでと。」

 

キヒロ「ありがと。」

 

クライン「くぅっそぉぉー!!おめでとさん!!見てろよ!俺にもいつか!いつかぁぁぁああああー!!!」

 

キヒロ「ありがとな。あと頑張れよ。」

 

エギル「おめでとうだな。キヒロ。」

 

キヒロ「I have a wife,but w(妻いるくせに笑)」

 

エギル「!?Why,that!!」

 

キヒロ「なんとなくw」

 

エギル「くっ!嵌めたのか!」

 

キヒロ「別にいいだろ?」

 

エギル「(何故か憎めん…)」

 

アスナ「あなたもなかなかやるわね。」

 

キヒロ「なにが?」

 

アスナ「なにが?ってあれ。プロポーズじゃない!少し見直したわ!」

 

キヒロ「それがどうした?」

 

アスナ「!?」

 

キヒロ「まさか、付き合うって結婚前提だよな?普通。」

 

ユウキ「キヒロと結婚キヒロと結婚キヒロと結婚キヒロと結婚…」

 

ラン「妹をよろしくお願いしますね?キヒロさん。」

 

キヒロ「妹なのか!?こちらこそお願いします。お姉さん。」

 

ラン「もし、ユウキが泣くなんてことをしたら…」

 

キヒロ「笑顔溢れる関係にしようと思う。」

 

ラン「それなら。安心です。」

 

アスナ「ランさん。キヒロ君は結構現実世界でもしっかりしてるので大丈夫ですよ。」

 

これは後でなんか買うことになりそうだ。うん、視線がそう言ってますよ?アスナさん。

 

ラン「よかったね。ユウキ。」

 

ユウキ「うん!!よろしくね?キヒロ!」

 

キヒロ「ユウキ…」

 

ユウキ「なーに?」

 

キヒロ「愛してる(小声で)」

 

ユウキ「っ!ボクもだよ(小声で)/////」

 

キヒロ「そっそうか/////」

 

ユウキ「うん!/////」

 

 

終始照れまくりな二人。

 

 

キリト「一時どうなるかと思ったけど。なんとか大丈夫そうだな。」

 

クライン エギル「そのようだな。よかったぜ。」

 

アスナ「結婚式には呼びなさいよ?」

 

キヒロ「あぁ。もちろん。」

 

 

いささか話が飛びすぎた二人でした。

 

 

 

 

存在価値を見いだせた少女少年。

 

生きる意味を見つけた少年。

 

誰かのために。

 

愛する人のために。

 

武器を取り、

 

戦場へ向かう日々が続く。

 

こんな言葉を聞いたことがある。

 

 

愛は時に、人を強くする、と。

 

 

 




今回の方がティッシュ必要だったかも知れませんね?(最後はブラックコーヒーが。)全然いらなかったよ!って人もいるかもしれませんね。それはこれからの語彙力成長を期待しててくださいね!?(*´∇`)ノ ではでは~


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ユニークスキル

題名から察する方も多いかな?まぁあれですよあれ!本文読んで楽しんでくれたら幸いです!では!どうぞ!


次の日。ある人物から相談が来た。その人物とはキリトである。相談内容は第50層を突破した時に起きたことらしい。何が起きたのやら…取り敢えずその相談に乗るとしよう。

 

キヒロ「相談事ってなんだ?」

 

キリト「実はさ、見たこともないスキルが追加されてて」

 

ほほぅ…これはなかなか興味深い。一体なんのスキルなんだ?

 

キリト「二刀流ってスキルなんだけど」

 

なにそれ…しらない…えッまじか、ついにキリトもユニークスキル持ちになったのか。いやーこれからの攻略が捗るなー!うんうん。生きてればいいことあるもんだな!ユウキに感謝!じゃなくてえぇと。

 

キヒロ「聞いたことないなぁ。ユニークスキルなんじゃないか?」

 

キリト「やっぱそうだよなぁ…はぁ大変なことになった。」

 

たしかに大変なことになったな…攻略するにはとてもありがたい事なんだが…ネットゲーマーの嫉妬は凄いらしいからなぁ…公にしない方がいいよなこれ。万が一の事考えてPKとかされても困るし…うむむ。

 

キヒロ「それで、熟練度上げに付き合ってほしいと。」

 

キリト「あぁそれもあるし」

 

キヒロ「それも?」

 

キリト「このスキル、たしかに強いんだけどな?耐久値の減りも早いんだよ。試しにアニールブレード使ってみたんだけど1回使っただけで折れたからな。」

 

なんということだ。つまりはそういうことか。

 

キヒロ「つまり、もう一方の剣と同等の剣を入手しなければいけないということか。」

 

キリト「そうなんだよ。どっかでいい武器手に入らないかな?」

 

キヒロ「まず、キリトが持ってる武器知らん。」

 

キリト「あっそれも言わないとな。第50層のLAボーナスでエリュシデータって片手剣がドロップしたんだ。」

 

キヒロ「…へぇ…いい剣だな!」

 

解明者…なかなかいいネーミングセンスしてるな。茅場さん。

 

キリト「だろ?」

 

キヒロ「だが、これと同等以上の剣か〜こんな魔剣クラスのやつだと骨が折れるな。」

 

キリト「だよな〜…宝の持ち腐れになっちまうか…」

 

キヒロ「取り敢えず今のところ剣については諦めろ。」

 

キリト「えぇぇ!!」

 

キヒロ「まぁそうなる気持ちもわからなくはないがな?現状どの層においてもそれと同等の武器すら無いと断言出来る。」

 

キリト「えッまじか。」

 

キヒロ「アルゴと調査済みだ。ちなみに刀もだ。」

 

キリト「まだ村正使えるのかよ…あれほんとに10層で落ちるべきものだったのか?」

 

キヒロ「実際アルゴとエギルによる鑑定だと75ぐらいまで余裕で使えるみたいだな。」

 

ちなみにこれは今鑑定できる段階での話らしい。

 

キリト「はは。化け物だな。」

 

キヒロ「なんせレベルが80になってやっと使えたからな。」

 

今現在俺のレベルは85。

 

キリト「相変わらずお前も化け物だな…」

 

こんなこと言ってるキリトも今は77である。決して俺が異常な訳では無い。こいつもそこそこ異常だ。あれ?この理論だと俺異常以上ということに。じゃーなんだ?変人?あっそうだそうだ。

 

キヒロ「じゃー俺のにも手伝ってくれよ。」

 

キリト「?あぁ。構わないよ。ちなみにスキルは?」

 

キヒロ「……」

 

正直これ言うのすっごく恥ずかしい。中二病ぽい…

 

キヒロ「しゅ…手裏剣術…」

 

キリト「ぷっ!」

 

キヒロ「わ、わらうな!」

 

キリト「悪い悪い、ぷっ!出現条件は!?」

 

たっく…まぁこれは確か笑われても仕方ないかもしれん。逆だったら笑ってるところだ。

 

キヒロ「恐らく1番投擲武器を使った攻略組だな。」

 

俺は基本ソロプレイをしているため、(ギルドに入る前。)人目を気にせず思うがままに楽しみながらやっていたのだ。そしたらいつの間にか熟練度が1000に達していたのだ。つまりカンスト。びっくりしたわ。

 

キリト「カンストしてるのお前だけだと思うぞ…」

 

キヒロ「えっ?そうなん?」

 

結構人気だと思ったんだけどな〜。

 

キリト「まぁ現段階でユニークスキル持ちは3人ってことか。」

 

キヒロ「そうだな。俺的にはアスナとかラン、ユウキの攻撃スピードもユニークスキル加味されてるのかと思う時もあるけどね。」

 

キリト「女性陣もなかなかだよな…神速なんてスキル持ってたりしてな笑」

 

可能性が大いにあると思うし俺も同じこと考えてた。

 

キヒロ「ユニークスキルって何個あるんだろうな?」

 

キリト「結構ある気がしてきたな。」

(そう言えば何個あるんだろう。もし武器ごとにあるならば予め対策とかできないこともない。そうすればもっと活気が出てくるはず…)

 

キヒロ「キリト。今じゃないぞ、それするのは。」

 

キリト「あぁ。わかった。」

 

キヒロ「さてと、熟練度上げに行きますか!」

 

キリト「あぁ!」

 

こうして二人はそこそこの頻度で熟練度上げに行ったのであった。

 

その頃のユウキはと言うと?

 

 

 




ユニークスキル出しちゃいました!刀といえば侍!侍といえば忍者!忍者と言えば手裏剣!ネズハも投擲使ってたしこれいけるんじゃないかと!思って入れました!次回はユウキ回!(*´∇`)ノ ではでは~


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平凡でもあるが幸せな日々

前回予告した通り今回は、ユウキ回です!!!以外にも少ないと思うかもですが、今回以外にも増やしていくつもりです!これからもよろしくお願いします!では!どうぞ!


その頃のユウキはと言うと…

 

 

アスナ「ユウキ。次はこれ入れて?」

 

ユウキ「わかった!アスナ!」

 

熱心に料理していた。俺に食べてもらうためであるらしい。元々現実世界でも姉であるランとそこそこ料理していたらしいので、そこまで手順などで困ることは無いみたいだ。当然、この世界に来ても料理スキルを取っていたどのこと。アスナとランともにカンストしたのはいいのだがなにか物足りないと。そう感じていたアスナは現実世界での味を再現するべく奮闘し、出来上がったひとつを今教えているのだ。ユウキが今教えて貰っているのは、日本人なら誰でも懐かしく感じるであろう。"醤油"である。醤油は日本人には欠かせないものである。味噌と同じく地域によって味はもちろん、風味、作り方。使う用途。なんの料理にどの醤油を使うかでも差が出る。つくづく思う。日本人でよかったと。ちなみに俺は刺身が好きだ。

 

 

ユウキ「ふんふふーんふんふふーん♪」

 

ラン「随分機嫌いいわね?ユウキ。」

 

ユウキ「だって!ねぇ!うふふ」

 

アスナ「幸せそうでいいね、ユウキ。」

 

ユウキ「うん!今すっごい幸せ!」

 

アスナ「見ているこっちまで幸せになってくるよ!」

 

ラン「姉としてこれ以上の幸福はないわ。」

 

ユウキ「ボク、今すっごい幸せ!」

 

そんなこんなで少し時間が経ち、

 

ユウキ「これでいいかな?」

 

アスナ「うん!完璧だよ、ユウキ!」

 

ラン「お疲れ様、ユウキ。」

 

ユウキ「ありがとう!ふたりとも!」

 

ラン「これでキヒロさんに振る舞える料理が増えたわね。」

 

ユウキ「なっ!/////」

 

アスナ「昨日今日で来ればわかるわよ流石に笑」

 

ユウキ「うぅ〜/////」

 

(なんて可愛いの…この子。私の妹とは思えない…)

 

(ユウキも頑張ったんだから私もキリト君に…ってなに考えてるの私!/////)

 

ユウキ「どうしたの?早く次やろ!」

 

ラン「えぇ。そうね。」

 

アスナ「うっうん!わかった!」

 

えっと次はね?

 

うんうん。

 

 

 

実は、あいつらにはまだ言っていないことがあるんだよな。いつ言うか。まぁ来るべき時はいつか来るだろう。

 

 

 

キリト「ビーストテイマー?」

 

キヒロ「そっ。どうやらそこそこレアなモンスターをテイムできた子が居るみたいなんだ。見に行ってみないか?」

 

キリト「へぇ。ちなみに何をテイムしたんだ?」

 

キヒロ「リザードラゴンの幼竜みたいだ。」

 

キリト「…こうりゃ」

 

キヒロ「テイムした本人のレベルが足りてないからそこは諦めろ。」

 

キリト「そっ、そうか。」

 

キヒロ「取り敢えず依頼も兼ねて行ってみようか。」

 

キリト「了解だ。」

 

 

こうして俺たちは希少なビーストテイマーに会いに第35層に向かった。そこで俺達が目にしたものとは…




中途半端に終わってしまい申し訳ない!次回はあの子ですね!はい!ユウキ可愛い!今回はそればっかり筆者思ってました笑(*´∇`)ノ ではでは~


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迷いの森

年末年始少し忙しくて投稿できなかったことお詫びします。申し訳ない!そしてあけましておめでとうございます!今年もよろしくおねがいします!少し長めですが、では!どうぞ!


35層迷いの森

 

(きっかけは些細な事だった。街に戻った時のアイテム分配についてパーティーメンバーの一人がこう言ったのだ。

 

?「あんたはそのトカゲが回復してくれるんだから、回復結晶なんていらないでしょう?」

 

前髪をいじりながらそう言ったのは槍使いの女性プレイヤー。その言葉に子竜を頭に乗せたツインテールの少女がムッとした表情になり、

 

?「ロザリアさんこそ、ろくに前衛に出ないのに、回復結晶が必要なんですか!」

 

そう言って反論する。実際彼女はろくに前衛に出ず、後ろばかりにいた。ダメージを受けてるはずがない。ロザリアと呼ばれた女性プレイヤーは尚も髪いじりを続けながら

 

ロザリア「もちろんよ。お・子・様・アイドルのシリカちゃんみたいに、男たちが回復してくれるわけじゃないもの?」

 

そう言ってのけた。その言葉にシリカと呼ばれた少女は益々ムッとした表情になる。残りのパーティーメンバーは険悪な雰囲気にオロオロとするばかりだ。

 

シリカ「わかりました!」

 

シリカ「アイテムなんて要りません! もう貴女とは絶対に組まない! 私を欲しいっていうパーティーは山ほどあるんですからね!!!」

 

背を向ける。メンバー達が止めるのも聞かず私は森の奥へと進んでいった。)

 

 

 

(パーティーと別れ、私は森を一人迷い歩いていた。私は後悔した。いやあのことについての後悔ではない。地図を持ってくることを忘れたことに後悔した。この森は踏み入れた者を惑わせ道を迷わせる。地図がなければまず突破は不可能だろうと言われている。そんな中、私は森の中でも最強の部類に属するドランクエイプとエンカウントしてしまった。

 

その数は3体。

 

前にも私はこのモンスターと遭遇していたが、その時はパーティーメンバーがいたので難なく倒す事ができた。それに自分には相棒の子竜もいる。故に私は今回も大丈夫だろうとタカをくくっていた。

 

それが仇となった。

 

最初はソードスキルを駆使し、ドランクエイプのうち一体を一気の追い詰める。しかし、止めを刺そうとした瞬間、別のドランクエイプがスイッチして飛び込んできたのだ。それだけではなかった、奥に引っ込んだドランクエイプは持っていた壺の中の液体を飲み始める。

 

直後、HPが全快してしまったのだ。

 

その光景に私は驚きつつ焦った。

 

戦況は必然的に徐々に傾いていき、私は追い詰められていく。減っていくHPを子竜が回復させてくれるが、それはアイテムには遠く及ばない。連続してくる攻撃を躱し、HPを回復させようとポーチから回復アイテムを出そうとして…………そこで気付く…

 

(アイテムが……ない!?)

 

私はその時が来るまで全く気づかなかった。ポーチにある回復アイテムはすでに底を尽きていることを。

 

一瞬の動揺。

 

それが大きな隙となり、ドランクエイプの攻撃が私を襲った。

 

が、それは私に届く事はなかった。

 

相棒の子竜が私の前に飛び出し攻撃を受けたのだ。

そのまま子竜は地面に叩きつけられる。)

 

シリカ「ピ……ピナ!!」

 

私は子竜こと、ピナに駆け寄った。

表示されているHPは勢いよく減っていってしまう。そしてそれはあっという間に尽きてしまい、ピナの身体が光と共に四散した。眼の前で起きた事に私はただ頭が追いついていかなかった。ピナが…死んだ…そんな心ここに在らずの状態である私にドランクエイプは無慈悲に武器を振り上げた。あぁ。ここで私は誰に知られることもなく、ひっそりと死ぬのだと。そう思い覚悟を決め…攻撃をまった。いよいよだ。

 

武器は…

 

勢いよく……

 

振り下ろされなかった。刹那、三体のドランクエイプはポリゴン片になり爆散した。私は何が起きたのかまるで分からなかった。一気に3体もの数を消し去るなんて…神業にしか見えない。舞い散るポリゴン片の向こうには1人のプレイヤーが立っていた。

 

薄汚れた灰色っぽい道着と袴を着た少年。

 

漆黒の瞳をした人がそこに居た。

 

しばらくの沈黙。やがて私は眼の前に落ちていた羽を拾う。それを抱える様に握りしめる。

 

シリカ「ピナ……あたしを独りにしないでよ……ピナぁ……う、うぁぁぁぁ……」

 

ボロボロと涙を零し、相棒の名を呼んだ。そんな彼女を見て少年は刀を収めて、

 

?「君がビーストテイマーだったのか。すまない。……君の仲間を助けられなくて…」

 

(言いながら歩み寄ってくる。だが、私は仕方ないと思っていた。)

 

シリカ「いいんです……あたしが馬鹿だったんです、一人で森を抜けようとしたから……」

 

?「……その羽根、アイテム名設定されてる?」

 

(少年はしゃがみ込んでシリカに訪ねる。言われるがままに羽根をタップすると『ピナの心』と表示された。それを見て私はピナが死んだのだと改めて思い、眼に再び涙が溢れ始めた。)

 

?「お、落ち着いて。心アイテムがあれば使い魔を蘇生できると思う。」

 

(そう言った。それなら、ピナは…

 

その言葉に私は少年と言うよりよく見ると青年っぽい男の人を見る。)

 

?「最近わかった事なんだけど、47層のフィールドダンジョンの

『思い出の丘』に使い魔の主人が行けば、蘇生用のアイテムが入手できるらしいんだ。」

 

それを聞いて顔が一瞬明るくなるがすぐにの表情は曇ってしまう。恐らくレベルが足りないのだろう。基本この世界では階層数よりもレベルが+10されてないと安全とはいえないみたいだ。

 

シリカ「……今は無理でも頑張ってレベル上げすれば……」

 

?「蘇生できるのは死んでから3日以内なんだ…」

 

静かに告げる。

 

それを聞いて目の前の女の子は泣きそうな表情になった。まぁ仕方ない。レベルなんてそんなすぐ上がってくるものじゃない。しかもドランクエイプに3体に苦戦しているレベルなら尚更だ。まぁ噂のビーストテイマーはこの子で間違いない。おっキリトが来た!

 

キヒロ「おーい!こっちこっち!」

 

(青年がそう呼んで来たのは全身真っ黒の少年だった。しばらくして軽く状況を説明し、自己紹介をし終わった頃、眼の前にトレードメニューが表示された。記されているのは聞いた事もないような装備品ばかりだった。)

 

キヒロ「これなら5、6レベルは底上げできる。俺も一緒に行くし、コンビ組んでるこいつにも協力してもらうからなんとかなる筈だ。」

 

そう言ってシリカに向かい合った。

 

立ち上がったシリカは疑問符を浮かべて

 

シリカ「どうして……そこまでしてくれるんですか?」

 

と問いかける。まぁ当たり前のことだ。見知らぬ人にいきなり装備あげる人なんて普通いない。するとさっき来た少年はバツの悪そうな顔をして、

 

キリト「……笑わないって約束するなら……言うよ」

 

シリカ「笑いません」

 

真剣な表情でシリカは返した。少しどんな返事が返ってくるかワクワクしながら、

 

キリト「君が……妹に似てるから……」

 

少年は恥ずかしそうに、そう呟いた。それを聞いてシリカはキョトンと呆気にとられるも、

 

シリカ「ぷっ……あはははははは」

 

キヒロ「あはははははははははは!!!」

 

すぐに堪え切れず笑いだしてしまった。笑わないって言ったのに。キヒロさんは大爆笑してるけど…キリトさんは苦い表情になって顔を背けた。

 

キリト「笑わないって言ったのに…キヒロは笑いすぎ!」

 

キヒロ「だって、なぁ、ぷっ!あはははははははははは!!お腹痛い!あはははははははははは!!」

 

(少し笑いすぎな気がします…)

 

シリカ「あ、ごめんなさい。」

 

言いながら残っていた涙を拭き、

 

シリカ「これ、足りないかもしれませんが……」

 

自分の所持金からいくらか出そうとするが、それを止められる。

 

キリト「お金はいいよ。俺の目的と被らないでもないし……」

 

そう言ってシリカの方を向いた。当の彼女は一瞬キョトンとしたがすぐに笑って言った。

 

シリカ「助けてくれて、ありがとうございます。」

 

35層 ミーシェ

 

 

森を脱出した俺達は街に戻ってきた。今はシリカの泊っている宿屋に向けて歩き出したところだ。その途中、何人かの男性プレイヤーに声をかけられる。内容はシリカのパーティーへの勧誘だった。俺達とパーティーを組んでいる事を理由にそれを断ると、男たちは判り易い嫉妬の眼をキリトに向けた。キリト可哀想に…シリカに促されその場を後にする。男たちは未だにキリトに嫉妬の視線を送っていた。

 

キリト「君のファンか……」

 

キヒロ「シリカは人気者なんだな。」

 

その問いかけにシリカは苦笑いになる。

 

シリカ「違いますよ……マスコット代わりに誘われているだけです……」

 

可憐な容姿を持ち、なおかつアインクラッドでは珍しい子竜、フェザーリドラをテイムしたシリカを中層では知らないプレイヤーはいないらしい。メイン武装の短剣も攻略組には及ばないものの中々の腕を持っていると聞く。それゆえ彼女を勧誘するギルド、パーティーは後を絶たないみたいだ。

 

シリカ「なのに……『竜使いシリカ』なんて呼ばれて……いい気になって……」

 

呟き思い出すのは相棒の子竜であるピナ。

 

自身の頭にいつも感じる筈の相棒の重さと温もりは今はもう無い。自身の慢心が招いた結果にシリカは再び涙目になった。そんな彼女に、

 

キリト「心配ないよ、必ず間に合うから」

 

キヒロ「そうだよ。だから泣かないで? な?」

 

二人はそう言って微笑みかけてくれた。それを見てシリカは涙を拭いて頷いた。

 

シリカ「そういえばお二人のホームって……」

 

ふと疑問に思った事をシリカは尋ねた。

 

キヒロ「少し上の層にあるんだけど……面倒だし、今日はここに泊るか。構わないよな、キリト?」

 

キリト「あぁ、構わないよ。」

 

問いかけにキリトは答える。するとシリカは笑顔になり、

 

シリカ「そうですか!ここのチーズケーキ、結構いけるんですよ!」

 

キリト「へぇ~、楽しみだなぁ~」

 

そうやりとりしていると

 

?「あらぁ? シリカじゃない?」

 

シリカの耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。幻聴かと思ったが、振り向くとそこには一番会いたくない人物がいた。

 

シリカ「ロザリアさん……」

 

表情を曇らせて眼を逸らす。

 

ロザリア「無事に森を抜けられたのねぇ? よかったじゃない」

 

嫌味を含んだ声で言いながら歩み寄ってくる。

 

ロザリア「あら? あのトカゲどうしたのよ? ……もしかしてぇ……」

 

更にいやらしい笑みを浮かべてロザリアは問いかける。それに対しシリカは、

 

シリカ「ピナは死にました……でも、絶対に生き返らせます!」

 

ロザリアを睨むように向かい合いそう言い放った。ロザリアの表情が変わったのに気づいたのはキヒロのみだった。

 

ロザリア「へぇ……って事は『思い出の丘』にいくんだぁ? でも、あんたのレベルで突破できるのかしら?」

 

対してロザリアはそう返す。その言葉にシリカは悔しそうな表情で口ごもる。

 

すると

 

キヒロ「余計な御世話だよ。オバサン」

 

キヒロがシリカを庇うように前に出て言い放つ。突然の言葉にロザリアは唖然とした表情になった。

 

ロザリア「お、オバっ……」

 

キリト「突破なら出来るさ。そんなに難易度の高いダンジョンじゃないからな」

 

続いてキリトも言い放つ。そんな二人を見回して、

 

ロザリア「ふぅん? 見たとこそんな強そうじゃないけど……ま、がんばってね」

 

そう言った。キリトは背を向けて

 

キリト「行こう。」

 

とシリカ達を促した。そうして去っていく彼らの背中を、ロザリアは意味ありげにニヤリと笑いながら見送っていた。

 

 

3人はNPCレストランの一席に座り夕食を採っていた。食事を終えてデザートがくるのを待っている時、

 

シリカ「なんで……あんな意地悪言うのかな?」

 

シリカが俯いたまま呟く。それに答えるように

 

キリト「君は、MMOはSAOが初めてなのか?」

 

キリトが問いかける。シリカは頷いた。

 

キリト「そうか……どんなMMOでも人格の変わる奴はいる。進んで悪人を演じるプレイヤーもね」

 

キヒロ「俺達のカーソルは緑色だよな?でも、犯罪を起こしたプレイヤーは、カーソルがオレンジになってオレンジプレイヤーって呼ばれるようになるんだ」

 

キリトの言葉に俺が続けて口にした。

 

キヒロ「なかでも、それ以上に危険なのがレッド……進んで殺人を犯すプレイヤーがいるんだ。」

 

真剣な表情で言う。

 

シリカは息をのみ…

 

シリカ「そんな……人殺しなんて……」

 

そう返す。

 

キヒロ「従来なら悪を気取って楽しめた。でも、SAOは訳が違う……ここで死ねば現実でも死んでしまうんだ。」

 

そこまで言って俺はカップを持つ手に力を込める。

 

キヒロ「このゲームは遊びじゃないんだ……」

 

苦い表情でそう言った。

 

キリト(きっとまだ罪悪感を感じているんだろうな…)

 

シリカ「キヒロさんはいい人ですよ! あたしを助けてくれましたから!それに、キリトさんだって!!」

 

そう言ってシリカは身を乗り出した。

 

キヒロ「……ありがとう、シリカ。」

 

キリト「ありがとな。」

 

 

デザートを食べ終えて、俺達はそれぞれの部屋に戻った。節約の為と言う事で一緒の部屋に居る。ベッドに腰掛けてキヒロは背筋を伸ばしてキリトに言った。

 

キヒロ「ん~……キリト、さっきのオバサンだが」

 

キリト「ん?」

 

キヒロ「多分、依頼人が言っていた人だ。」

 

言いながらキヒロは椅子に座った。

 

キリト「なっ!」

 

キヒロ「おそらく明日仕掛けてくるかもしれない。万が一の事を考えて、キリトはシリカの護衛を頼む。」

 

キリト「了解した。」

 

話していたその時、ドアを叩く音が聞こえた。

 

キリト「だれ?」

 

シリカ「あの、シリカです。明日の事を聞きたくって……」

 

訪ねてきたのはシリカだった。彼女を招き入れ、テーブルを用意しそこにアイテムを設置する。見慣れないアイテムにシリカは首を傾げて

いる。

 

シリカ「これ、なんですか?」

 

尋ねてきた。まぁ知らないものがあれば普通聞くしな。

 

キリト「ミラージュ・スフィアっていうんだ」

 

問いかけにキリトが笑顔で答える。社交がうまくなったなと素直に関心。キリトがタップすると、それは大きく展開されて47層の全体図が映された。指をさしながら、

 

キリト「ここが主街区で、ここから南の道を下りていくんだ。その先に橋が……」

 

説明していたがそれを止めさせる。疑問符を浮かべたシリカは、

 

シリカ「キリトさん?」

 

と呼びかける。瞬間、俺は扉目掛けて駆け出した。キリトはシリカを庇うように前に出る。

 

キヒロ「誰だ!!」

 

タタタタッ

 

勢いよく扉を開けたが、そこには誰もいなかった。俺は息をついて扉を閉めた。

 

キヒロ「聞かれてたな」

 

呟く。

 

キリト「そうみたいだな。」

 

答えるようにキリトも言った。シリカは疑問符を浮かべたまま、

 

シリカ「ドア越しの声はノックしないと聞こえないんじゃ……?」

 

問いかけてきた。キリトは首を振って、

 

キリト「聞き耳スキルが高い場合は別だ。そんなの上げてる奴、滅多にいないけど……」

 

言いながら扉の方に視線を向けた。

 

シリカ「で、でも……どうして立ち聞きなんか……」

 

シリカは不安そうな表情で呟いた。

 

キヒロ「……今日はもう寝よう。説明は明日の朝、出発前に改めてするから。シリカ、なんかあったらすぐ呼ぶんだ。決して1人で行動するな。」

 

シリカ「はい。?」

 

パタン。

 

キリト「はぁ。」

 

キヒロ「明日は荒れそうだな。」

 

キリト「だな。俺達も寝るか。」

 

こうして眠りについた。夜は更けていき、朝が訪れる。3人は準備を整えて47層の思い出の丘を目指し宿を出た。

 




次回で解決の予定です!今はこれしか言えない!笑(*´∇`)ノ ではでは~


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1日だけのお兄さん

頑張って遅れてた分を書きました!まぁ構造自体は出来てたのでちょこちょこ修正した感じですが。では!どうぞ!


第47層 フローリア

 

使い魔蘇生アイテムを手に入れるために俺達は第47層の街『フローリア』に訪れた。眼の前に広がる辺り一面の花畑。

 

シリカ「夢の国みたい!」

 

キリト「この層は通称『フラワーガーデン』と呼ばれてて、街だけじゃなくフロア全体が花だらけなんだ。」

 

キヒロ「いつみても綺麗だよな。ここ。」

 

ふとシリカは周りに居るのが皆、男女のペアである事に気付いたらしい。この層はデートスポットとしても有名なのだ。みるみる顔を赤くしていくシリカ。

 

キリト「シリカ?」

 

キリトは不思議そうに呼んだ。

 

シリカ「い、いえ!なんでもないです!!」

 

振り返り手をぶんぶんと振って答えた。キリトは疑問符を浮かべている。察しろこのバカ。

 

キリト「?まぁ、いいや。思い出の丘に行こうか」

 

そう言って背を向けて歩き出す。ほんとこいつ無駄に鈍感だよな。やがて主街区を出て、思い出の丘の入り口の橋に辿り着いた。そこで立ち止まり、そして転移結晶を取り出して渡す。

 

キリト「これを。」

 

シリカに差し出した。当の彼女は疑問符を浮かべている。

 

キリト「君の今のレベルとこの装備なら、ここのモンスターは問題なく対処できると思う。でもフィールドじゃなにが起こるか解らない。俺達が逃げろと言ったらどこでもいいからこれを使って転移するんだ。」

 

キリトは真剣な表情でそう言った。当のシリカは戸惑いながら、

 

シリカ「あ……でも……」

 

キヒロ「大丈夫だよ、俺達なら心配ないから。な、キリト?」

 

不安そうなシリカを安心させるように言う。キリトも頷いて、

 

キリト「キヒロの言う通りだ。だから、約束してくれ。」

 

言葉を紡ぐ。シリカは頷き転移結晶を受け取った。

 

キリト「よし、行こうか。」

 

言ってキリトとキヒロは歩き出す。シリカもその後をついていった。

しばらくフィールドを歩いていると、シュルっと何かがつたう音がした。直後

 

シリカ「ぁわ、きゃぁぁぁぁ!!」

 

響き渡るシリカの悲鳴。

 

キリト「どうした!」

 

キヒロ「シリカ?!」

 

振り返った俺達。その視線の先には食虫植物に似た巨大なモンスターによってシリカが宙づりにされていた。逆さに吊り下げられている為スカートが捲れないように片手で押さえている。下を見るとモンスターが巨大な口を開けている。それを見てシリカは鳥肌を立たせているに違いない。あんな綺麗なお花畑がある所にこんな奴いたら鳥肌ぐらいたつだろ。

 

シリカ「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

絶叫しながら短剣をブンブンと無造作に振り回した。当たるわけあるか。いやない。

 

シリカ「いやーーーー!! キリトさん達助けて!!見ないで助けてーーーーー!!」

 

その嘆願にキリトは眼をそむけながら、こう返す。

 

キリト「いや……それ無理…」

 

キヒロ「シリカ! それすっごく弱いから!!俺たちは後ろ向いてる!」

 

シリカ「は、はい!このっ!いい加減に……しろぉーーーーーーー!!!」

 

キヒロに言われ、スカートを押さえていた手を離し、足をからめとっているツタを掴んで引き寄せてから短剣で斬った。そのまま落下しながら短剣ソードスキル『ラピッドバイト』を発動させてモンスターに叩きこんだ。HPを削り切り、モンスターは四散する。着地したシリカは振り向いて、当然の如く聞いた。

 

シリカ「見ました?」

 

と頬を赤く染めながら尋ねてきた。

 

キリト「み、見てない……」

 

キヒロ「大丈夫だ。安心しろ。」

 

 

それから幾度か戦闘をこなして思い出の丘の道を歩いていると、

 

シリカ「あの、キリトさん…」

 

不意にシリカが声をかけてきた。キリト達は振り返る。何を聞くのだろうか?するとシリカは意を決したように、あることを聞いてくる。

 

シリカ「妹さんの事、聞いていいですか?」

 

そう尋ねてきた。正直この手の質問が来るとは予想してなかった。

 

キリト「何で急に?」

 

キリトは疑問符を浮かべる。まぁ当然だ。俺も少し気になるが…

 

シリカ「あたしに似ているって言ったじゃないですか。現実の事を聞くのはマナー違反ですけど……いいですか?」

 

キリトは少し困った顔をしているなこれ。

 

キリト「うーん……まぁ、いいか。いい機会だからキヒロにも話すよ。歩きながらでいいか?」

 

同時に頷く。キリトは再び歩き出しながら、

 

キリト「妹って言ったけど、本当は従妹なんだ。」

 

そう口にする。えっ?マジ?こりゃまたまた予想外。

 

シリカ「え?」

 

キリト「生まれた時から一緒に育ったから向こうは知らないはずだけど、その所為かな……俺の方から距離を取っちゃってさ……」

 

懐かしむような、それでいて後悔しているような表情でキリトは言う。

 

キリト「祖父が厳しい人でね。8歳の時、俺達を近所の剣道場に通わせたんだ。でも俺は二年でやめちゃって……そりゃぁ祖父に殴られたよ。」

 

キヒロ「まぁそりゃそうか。」

 

シリカ「えぇ!?」

 

キヒロ「剣道やってた人なんてそういう人ってそんな人ばっかだよ。」

 

キリトは頷く。

 

キリト「そしたら妹が「私が二人分頑張るから叩かないで!」って俺を庇ったんだ。それからあいつ頑張って、全国大会まで行くようになってさ……」

 

シリカ「すごいじゃないですか!!」

 

シリカの言葉にキリトはまた表情を曇らせている。全国区なら俺見たことあるかな?

 

キリト「でも、俺はずっと妹に引け目を感じてたんだ。他にもやりたい事があって、俺を怨んでるんじゃないかって……シリカを助けたくなったのは、妹への罪滅ぼしをしている気になってるのかもしれないな……」

 

キリト「ごめんな、シリカ…」

 

苦笑いでそう告げた。きっと妹さんはそんなこと思ってないだろうに。

 

シリカ「好きでもないのに頑張れないですよ。きっと、剣道が好きなんですよ!」

 

キヒロ「俺もそう思うぞ?だからお前がきに病む必要は無い。」

 

キリト「そうか……そうだといいな…」

 

キリト「二人ともありがとな?」

 

シリカ「よーし! あたしも頑張りますよー!」

 

そう言ってシリカは元気よく歩いていく。

 

キヒロ「キリト。現実に帰ったら、妹さんとちゃんと話してみるほうがいい。きっと判りあえる筈だ。」

 

キリト「あぁ……そうするよ。」

 

更に道を進み何回か戦闘をこなして思い出の丘の頂上に辿り着いた。視線の先には台座のような岩が浮いている。

 

シリカ「あ、あれですか!?」

 

キリト「そうだよ。」

 

それを聞いたシリカは走る速度を速めて台座の前に立つ。するとそこに一輪の花が咲いて出た。シリカがその花をそっと掴むと『プネウマの花』とアイテム名が表示された。よかったな。シリカ。

 

シリカ「これでピナが生き返るんですね。」

 

キリト「ああ。」

 

キヒロ「よかったな、シリカ。」

 

花を抱きしめるようにしてシリカは喜びを噛みしめる。そりゃそうだよな。

 

キリト「でも、ここだと強いモンスターも多い。生き返らせるのは街に戻ってからにしよう。」

 

キリトはそう言って促す。シリカは涙を拭って頷いた。幸い帰り道はモンスターとエンカウントする事はなかった。相棒が無事戻ってくる喜びでシリカは始終笑顔だ。だよな。やがて街の近くの橋まで辿り着く。そこで俺はシリカを制して、言う。

 

キヒロ「そこで隠れている奴、出てこいよ。」

 

そう告げた。シリカは疑問符を浮かべる。そんな彼女をキリトは自分の後ろへと下げた。すると橋の向こうにある木の陰から女性プレイヤーが現れる。シリカは2度と会いたくないと思ってた人物に…

 

シリカ「ろ、ロザリアさん!?」

 

シリカが驚いたように声を上げた。現れたのは昨夜、35層の街に居たロザリアなのだから。まぁ俺たちはある程度予測してたから驚きはしなかったが。

 

ロザリア「私のハイディングを見破るなんて、中々高い索敵スキルね剣士さん達。侮ってたかしら?」

 

言いながらロザリアはシリカに視線を向ける。

 

ロザリア「その様子だと、首尾よく『プネウマの花』をゲット出来たみたいね? おめでとう。」

 

ロザリア「じゃぁ、さっそくそれを渡してちょうだい?」

 

醜悪な笑みに変えて問いかける。表情が汚いなこいつ。

 

シリカ「な、何言ってるんですか!?」

 

キヒロ「そうはいかないな、ロザリアさん。いや、オレンジギルド『タイタンズハンド』のリーダーと言った方がいいかな?」

 

驚くシリカを余所に、俺は言いながら数歩踏み出す。ロザリアの眉が少し動く。

 

ロザリア「へぇ?」

 

笑みが消える。

 

シリカ「で、でも、ロザリアさんはグリーン……」

 

驚きが収まらないままのシリカはロザリアのカーソルを見る。何度見てもその色はグリーンだ。まぁ当たり前だ。

 

キリト「オレンジギルドって言っても全員がそうじゃないんだよ。グリーンが獲物をみつくろって、待ち伏せのポイントまで誘導するんだ。」

 

シリカの疑問にキリトが答える。それを聞いたシリカは驚愕の表情だった。彼女は気づいてしまった。

 

シリカ「じゃあ……この二週間の間、一緒のパーティーにいたのは……」

 

ロザリア「そうよぉ。あのパーティーの戦力を分析するのと同時に冒険でお金が貯まるのをまってたの。」

 

言いながらロザリアは舌なめずりをする。ほんとに汚いなこいつ。その様子にシリカは悪寒が走ったみたいだな。無理もない。

 

ロザリア「一番楽しみな獲物のあんたが抜けちゃってどうしようかって思ってたら、なんかレアアイテム取りに行くっていうじゃない? それにしても、そこまで判っててその子についてくるなんて、あんた達馬鹿なの?」

 

嘲るようにロザリアは言う。

 

キヒロ「いいや、そうじゃない。」

 

キリト「俺達は貴女を探してたんだ。」

 

そう言い切る。ロザリアは疑問符を浮かべる。気づけよこのバカ。

 

ロザリア「どういう事かしら?」

 

キリト「オバサン、10日前に『シルバーフラグス』っていうギルド襲ったな? メンバー4人が殺されて、リーダーだけが脱出した……」

 

ロザリア「ああ、あの貧乏な連中ね。」

 

対してロザリアは興味なさそうに答えた。ムカつく…

 

キリト「リーダーだった男はな。毎日最前線の転移門広場で、泣きながら仇撃ちをしてくれる奴を探してた。けど彼は、依頼を受けた俺達にあんた達を「殺してくれ」とは言わずに「牢獄に入れてくれ」って言ったんだ……あんたに彼の気持ちが分かるか?」

 

静かな怒りを込めてキリトはロザリアに問いかける。それを聞いたロザリアは、なんて返すか…

 

ロザリア「解んないわよ。マジになっちゃってバッカみたい」

 

そう言って吐き捨てた。殺してやろうかこいつ…だが、ロザリアは気にするでもないようである。

 

ロザリア「ここで人を殺しても、ホントにそいつが死ぬ証拠なんてないし。そんな事より、あんた達の心配した方がいいんじゃない?」

 

不敵な笑みを浮かべて指を鳴らした。すると木の陰からぞろぞろとプレイヤーが現れる。皆頭上のカーソルはオレンジだ。その数は7人。それを見たシリカは後ずさる。

 

シリカ「に、人数が多すぎます! 脱出しないと!!」

 

キリト「大丈夫、問題ない。」

 

頼んだぜ?よしいっちょやるか。俺は村正を抜きながら集団に向かい歩く。

 

キリト「シリカは俺の後ろに隠れててくれ。」

 

キリトも優しく言いながらシリカを庇うように前に出る。

 

シリカ「でも、キリトさん。キヒロさんも!!」

 

そう叫ぶシリカ。その時、彼女が叫んだ名を聞いたプレイヤーの一人が気づく。

 

?「キヒロ……キリト……?」

 

俺たち二人を見比べ後ずさった。

 

?「黒尽くめ装備に盾無しの片手剣……それに、刀装備のプレイヤー……まさか、『黒の剣士』と『覇王』!!?」

 

慌てた表情でプレイヤーはこういう。

 

?「や、やばいよロザリアさん! こいつら………攻略組だ!」

 

そう叫んだ。それを聞いたシリカはと言うと、

 

シリカ「攻略組……キリトさん達が……!」

 

二人を交互に見て驚いたように呟く。それもそうだ。攻略組、それも二つ名付きが二人も目の前に居るのだからな。デスゲームをしていてもやはりゲーマーの性というものはなくならない。ただでさえ実力が抜きんでている攻略組の中でも、更に一目置かれている者はいつしか二つ名が付けられていた。

 

それが『黒の剣士』キリトと『覇王』キヒロである。頭1つどころか10も抜けてる気がするほどの実力差のある彼らにプレイヤー達は動揺を隠せないらしい。しかし、やはりバカはいた。

 

ロザリア「攻略組がこんなトコに居る訳ないじゃない!! ただの仮装野郎どもに決まってる! さっさと始末して身ぐるみ剥がしな!!!」

 

ロザリアがそう叫んだ。こいつこれでよくリーダーやってるよ。

 

?「そ、そうだ! 攻略組なら、すっげぇレアアイテムを持ってるかもしれねぇ!!」

 

一人がそう叫んだのを皮切りに攻撃に来た。ほんとバカばっか。

 

?「死ねやぁ!!」

 

7人はキヒロに向かい駆け出す。それぞれの武器がライトエフェクトに包まれ、連続してキヒロに浴びせられた。

 

 

シリカ「やめて!キヒロさんが!キヒロさんが死んじゃう!」

 

シリカがそう叫ぶが攻撃は止まらない。まぁ止むわけない。

 

シリカ「キリトさん!このままじゃキヒロさんが!!」

 

そう訴えるシリカ。まぁ気持ちはわからなくもない。だが、キリトは落ち着いた様子で言う。

 

キリト「大丈夫だよシリカ。キヒロのHPをよく見て?」

 

そう言って指差した。言われるままに見るとシリカは眼を見開く。確かにダメージは与えられている。しかし、どうゆうわけかそれは瞬く間に回復し最大の状態に戻っていく。

 

シリカ「ど、どういうことですか……?」

 

目の前で起こっている事に、シリカはただただ疑問符が浮かんだ。

やがて、

 

ロザリア「何やってんだ!! さっさと殺しな!!」

 

苛立ったロザリアの声が響く。プレイヤー達は攻撃を止めて異常なものを見るようにキヒロを見ていた。

 

キヒロ「うーん、10秒あたり400ってとこか……それがあんたら7人が俺に与えるダメージの総量だ。すくな。」

 

やば、本音出ちまった。こんなに差があるもんなんだ。

 

キヒロ「俺のレベルは86、HPは21500、さらに『バトルヒーリング』スキルによる自動回復が10秒で800ポイントある。何時間やっても俺は倒せないよ。」

 

それを聞いたプレイヤーの一人が信じられないものを見るような目で

俺を見る。

 

?「無茶苦茶だ……アリかよ、そんなの!」

 

そう言う。

 

キヒロ「アリなんだよな、これが。たかが数字が増えるだけで無茶な差が付く。それがレベル制MMOの理不尽さなんだよ。」

 

実力差を思い知らせるように言った。忌々しげにロザリアは舌打ちする。まぁこれでわかったろ。流石に。

 

キヒロ「これは俺達の依頼人が全財産をはたいて買った回廊結晶だ。監獄エリアが出口に設定してある、これで全員牢屋に跳んでもらうぞ?逃げられると思うなよ?…コリドーオープン!」

 

プレイヤー達を見回した後、回廊結晶を展開した。

 

?「ちくしょう……」

 

諦めたように呟き一人、また一人とコリドーへと姿を消していくプレイヤー。その光景をロザリアはおもしろくなさそうに見ていた。

 

キヒロ「オバサンはどうする?」

 

ロザリア「はっ!それで勝ったつもりかい?言っとくけど私はグリーンだ。手を出せばあんた達がオレン――」

 

もう我慢ならなかった。俺は一瞬で間合いを詰め、剣先を首に添えて言う。

 

キヒロ「一日二日オレンジになっても問題はないよ。それに、あんたを殺すことに躊躇いはない。」

 

ロザリア「ぁ……」

 

キヒロ「それと……俺はあんたみたいな人達が1番嫌いなんだ。大事なものを理不尽に奪って笑うようなあんたがな。」

 

放たれる殺気。それを感じたロザリアは力なく槍を落とした。俺はロザリアの襟首を掴んでコリドーまで歩いていく。そのまま彼女をコリドーまで放り込んだ。それを最後にコリドーは閉じていく。そして腰に手を当てて一息ついた。キリトが歩みよってきた。

 

キリト「キヒロ脅しすぎだ。少し抑えろって。」

 

そう言って苦笑いしていた。仕方ないだろ。我慢の限界だったんだ。

 

キヒロ「だって、ムカついたんだ!」

 

そんなやりとりをして後、座り込んでいるシリカのもとに二人は歩み寄る。あれ?怖がってるかな?

 

キヒロ「ごめんな、シリカ。君を囮にするような事になっちゃって……」

 

キリト「俺達が攻略組だって言うと怖がらせちゃうと思ってさ。ごめんな?」

 

俺たちは微笑んでそう言った。

 

シリカ「大丈夫です。お二人はいい人達ですから」

 

キリト「じゃぁ、街まで行こっか。」

 

シリカ「あ、足が動かなくて……」

 

シリカは顔を赤くしてそう告げた。キリトは笑って手を差し出す。こいついい兄貴だな。シリカはそれを取って立ち上がった。

 

35層 ミーシェ

 

宿に戻った三人は部屋を取り、ベッドに座っていた。少しの沈黙。それを破る様に発せられた。

 

シリカ「行っちゃうんですか?」

 

シリカが問いかける。

 

キヒロ「ああ、5日も前線を離れちゃったからな。」

 

キリト「すぐに戻らないとな。」

 

それを聞いたシリカは少し残念そうに俯く。

 

シリカ「そう……ですよね……凄いですよね、攻略組なんて。私なんかじゃとても……」

 

キヒロ「レベルなんてただの数字さ。この世界での強さは単なる幻想にすぎないよ。そんなものより、もっと大事な事があると思う。」

 

キリト「次は現実世界で会おう。そしたらきっと、また友達になれるよ。」

 

キリトがこんなこと言うなんて!成長したなーキリト!お兄さん涙出ちゃうよ。キリトの言葉を聞いたシリカは笑顔になり頷いた。

 

キヒロ「さぁ、ピナを生き返らせてあげようか。」

 

シリカは頷いてメニューを開く。オブジェクト化した羽根にプネウマの花から零れる滴をかける。すると羽根は大きく光り輝いた。

 

(ピナ。いっぱい、いっぱいお話ししてあげるからね。今日の凄い冒険の話と……たった一日だけの2人のお兄ちゃんとの話を)

 

輝く光を見ながらシリカは心の中でそう語りかけたのだった。

 




シリカ推しの方からしたら今回は待ちに待った回ですね!さてと、次は誰が出るかなぁ〜?(*´∇`)ノ ではでは~


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新たなる剣

題名からしてSAO知ってる人ならわかるのではないでしょうか!そうです!あれですあれ!ででででは!どうぞ!


第48層 リンダース

 

プレイヤーホームに設置された巨大な水車が緩やかに回る。なんとも趣のある家だ。その中からは、カンカンと金属を叩く音が心地よく聞こえてきていた。中では少女が一人、工房で忙しく武器作成を行っていた。いくらか叩かれた金属が剣の形に変わっていく。ほほぅ…あんな感じに出来るのか…そして、出来あがった剣を手に取り品質を真剣に確認する。

 

?「……まぁまぁ……ね」

 

なるほど。とりあえず入るっか。

 

カランカラン

 

?「接客も仕事のうち!っと」

 

笑顔を作り、店の売り場に続く扉を開く。

 

?「リズベット武具店へようこそ!」

 

今入ってきたのは2人のプレイヤー。黒尽くめの少年と灰色装備の青年だ。

 

キリト「ここか?」

 

キヒロ「そっ、ここだよ。よっリズ、久しぶり。」

 

リズ「なんだぁ〜キヒロか、で、今日はどうしたの?」

 

キヒロ「その前に自己紹介するぞ。こいつが前に言った鍛冶師のリズベットだよ。リズ、この黒い人はキリトって名前なんだ。」

 

キリト「えーっと……リズベットさん?」

 

紹介された黒の少年、キリトは少し遠慮気味に尋ねた。年は私より少ししたかな?

 

リズベット「リズでいいわよ。そっか、コレがキヒロの相棒の『黒の剣士』かぁ……あんまり強そうに見えないわね。」

 

キリトに向かい合い鍛冶師の少女、リズベットは言う。まぁ確かにな見た目だけわな…どうしようもない。当のキリトは苦笑いだが。

 

キリト「よく言われるよ。」

 

リズベット「で、どうしたのよ? 装備のメンテでもしに来たの?」

 

気を取り直してリズベットは二人が訪ねてきた理由を問う。その問いにキヒロは首を振る。

 

キヒロ「違うよ、キリトが剣を造ってほしいんだと。」

 

キリト「あぁ、オーダーメイドを頼みたいんだ。予算は気にしなくていいから、今造れる最高の剣を造ってほしいんだ。」

 

そう言ってキリトは前に出る。リズベットは少し難しい顔をする。だろうな。もう少し具体的にしてあげないと…

 

リズベット「そうは言っても、具体的な目標数値を出してもらわないと解んないわよ。」

 

キリト「それもそうか……じゃぁ、この剣と同等かそれ以上のを頼む。」

 

言いながらキリトは背の剣を鞘ごと取り外してリズベットに渡す。エリュシデータと同じ以上って早々作れるものじゃないが…大丈夫かな。受けとったリズベットは思わず剣を落としそうになってた。

 

(おっも! ものすごい要求筋力値ね)

 

思考を巡らせて剣の鑑定を始めるリズベット。剣をタップすると鑑定結果が表示される。固有名は『エリュシデータ』、作成者銘なし。

 

リズベット「銘なしって事はモンスタードロップ……しかも魔剣クラスじゃない!」

 

現在のアインクラッドでの武器のカテゴリーは二種類ある。一つは鍛冶師が鉱石を使って造りだした『プレイヤーメイド』と呼ばれるもの。もう一つはモンスターやボスなどがドロップする『モンスタードロップ』と呼ばれる物がある。キリトの愛剣であるエリュシデータは50層のフロアボスでドロップしたもの。そうそう同等以上のものが見つかるわけないのだ。リズベットは少し思案し、やがて一角に置かれた剣を手に取る。

 

リズベット「これならどう? 私が打った最高傑作よ!」

 

言いながらリズベットはそれをキリトに渡した。受け取ったキリトはその剣を2、3度程素振りする。音からして軽そうだな…

 

キリト「……少し軽いな。」

 

あっやっぱり?

 

リズベット「使った金属がスピード系だったからね。」

 

キリト「……ちょっと試していいか?」

 

やめとけよ…

 

そう言ってキリトは左手でエリュシデータを握り、右手でリズベットの最高傑作を構える。マジでやるんだ。

 

リズベット「ちょ!試すって、耐久値のこと!?やめなさいよ、あんたの剣が折れるわよ!!」

 

残念ながら逆だ。リズ。

 

キリト「その時はその時……さ!」

 

リズベットの制止も虚しく、キリトはソードスキル『バーチカル』を発動させる。

 

やっちまったな…

 

勢いよく刃が振り下ろされ……バギンという音が店内に響き渡った。これは剣が折れた音。折れたのはリズベットの最高傑作。半分に折れた刀身は宙を舞う。それをリズベットは呆気にとられながら見ていた。折れた刀身はカランと音を立てて床に落ち、ポリゴン片となり砕け散った。その様子にキリトはヤバいといった感じの表情になっていた。これは止めるべきだったか?

 

リズベット「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

 

ようやく正気に戻ったリズベットは勢いよくキリトから剣を奪い取る。状態を確認するが、

 

リズベット「修復……不可能……」

 

駄目だったようだ。まぁ仕方ない。そもそも魔剣クラスの剣に打ち込むキリトが悪い。そして残りもポリゴン片となり砕け散る。リズベットはわなわなと肩を震わせていた。

 

リズベット「な……なぁんて事すんのよぉ!!!!」

 

ほんとだよ。何してくれてんだ。始めてきて初っ端からこんなことするとは…恐れ入ったぞ…

 

キリト「い、いや!まさか当てた方が折れるなんて思わなくて!」

 

それは言ってはいけないぞ?キリト。

 

リズベット「それはアタシの剣が思ったよりやわっちかったって意味ぃ!?」

 

キリト「あぁー……まぁ……そうだ。」

 

何開き直ってんだ。こいつ。取り敢えず謝っとくか。

 

キヒロ「済まないな、リズ?」

 

こりゃ、おさまんなそうだわ。

 

リズベット「キヒロが謝る必要ないわ!言っときますけどね!金属さえあれば、あんたの剣なんかポッキポキ折れちゃうのが造れるんだから!!!」

 

いや流石にポッキポキは無理だろ。やめろキリトニヤけるな気持ち悪い。

 

キリト「ほほぅ?じゃぁ、作ってもらおうかな? これがポキポキ折れるヤツをさ。」

 

そう言った。馬鹿だこいつ。その言葉にリズベットはさらに頭に血を上らせる。そりゃ上るよ…

 

リズベット「むっきー!そこまで言ったからには最初から付き合ってもらうわよ!! 金属採りに行くとこからね!!」

 

キリト「金属のあてはあるのか?」

 

リズベット「55層の氷雪地帯の西の山に、水晶を餌にするドラゴンがいるらしいの。そいつが体内に金属を溜めこんでるって話よ。」

 

おい、それって。排泄物だろ…絶対。

 

キリト「あ、それ聞いたことあるな。55層か……俺一人で行ってくるよ。二人はここで待っててくれ。」

 

そう言ってキリトはエリュシデータを鞘に戻し、背に背負う。えっ、俺も?

 

リズベット「残念だけど、金属を手に入れるには『マスタースミス』がいないとだめらしいわよ?」

 

キリト「しょうがないな……」

 

そう言って頭を掻いた。なにがしょうがないんだ…

 

 

第55層 西の山

 

辺り一面白一色。銀世界とはこのことを言うのだろう。雪が降り積もった山道を、俺達は歩いている。いや〜いい景色だなぁ〜!

 

リズベット「うぅ……さっむぅ~……」

 

キリト「氷雪地帯なのは知ってたけど……ここまで寒いなんてな………」

 

俺は振り返り、メインメニューを開く。アイテムストレージからコートを二着取り出してこいつらに渡す。

 

キヒロ「ほら、これ着てろ。」

 

リズベット「キヒロは?大丈夫なの?」

 

キヒロ「安心しろ。もう1個ある。」

 

この俺が準備を怠るわけないだろ。

 

(……キヒロには、きっとあるんだろうな……本物と思える大切な『何か』が……それに比べて、アタシは……)

 

思考を巡らせて二人の後をついていった。やがて3人は頂上に着く。辺りは水晶で囲まれていた。うん。とても綺麗。ユウキと来た時の方が綺麗に見えたのは気のせいだろうか?白い雪と透き通る水晶が別世界を創り出しているように見える。

 

キリト「さて、ドラゴンとは俺とキヒロが戦う。リズは水晶の陰で大人しくしてろよ。」

 

リズベット「なによ!アタシだってマスターメイサーなんだから戦えるわよ!」

 

キリト「駄目だ!」

 

そんなに強く言わなくてもなぁ?まぁ、あんなことあったし、仕方ないな。

 

キリトが真剣な表情で強く言う。その姿にリズベットはたじろいだ。映る瞳はどこまでも真剣だ。

 

キヒロ「リズ、俺達なら大丈夫だからね?」

 

リズベットは静かに頷いた。

 

キリト「んじゃ、いくかな。」

 

そう言ってリズベットの頭に軽く手で触れた。その後を追う。リズベットは彼が手を置いた頭に自身の手を添えた。

 

リズベット「…温かい……」

 

そう呟いた。その時、

 

ギュオオオオォォォォォォォォ!!!!

 

猛々しい雄叫びが響いてきた。

 

キヒロ「リズ!水晶の陰へ!」

 

キヒロに促されてリズベットは大きめな水晶の陰へと退避する。現れたのは白銀の竜。巨大な翼をはばたかせ、宙へと舞い上がる。なんだこのデカさ…そして、繰り出されたのは氷のブレス。さぁってと!

 

リズベット「ブレスよ!避けて!!」

 

避ける必要ないんですよリズ。こいつにはな。キリトのエリュシデータが青く光る。ブレスが直撃する一歩前に剣を回転させてブレスをかき消した。そして気合いをこめ、剣を握りなおす。

 

キリト「いくぞ、キヒロ!」

 

キヒロ「了解だ。」

 

直後に二人はドラゴンに向かい駆け出す。

 

ギュァァ!!

 

大きく鳴きドラゴンは二人を迎え撃つ。鉤爪による攻撃がキヒロに向かって放たれた。それを華麗に躱しすれ違いざまに一撃を入れる。背後に回り込み、そこからソードスキル『ホリゾンタル・スクエア』が放たれた。水平に正方形を描くような4連斬撃がドラゴンの背中に直撃する。それにより体勢が揺らいぐ。

 

キヒロ「キリト!」

 

キリト「おぉぉ!!」

 

キリトは『ヴォーパルストライク』を繰り出す。鋭く重い突撃刺突攻撃がドラゴンを貫くように直撃する。HPは確実に削られていた。その光景を水晶の陰からリズベットは息をのんで見ていた。

 

(キヒロが凄いのは知ってたけど、キリトも凄い!あれが『黒の剣士』の実力なね……)

 

思考を巡らせながらドラゴンとの戦闘を見守るリズベット。HPバーを見るとそれは既にレッドゾーンに突入してた。早すぎない?

 

それを見てリズベットは油断してしまった。

 

リズベット「ほら、はやくカタをつけちゃいなさいよ!」

 

水晶の陰から出てきてそう叫ぶ。それがあれを引き起こすとは。

 

キリト「なっ!馬鹿!まだ出てくるな!!」

 

それに気付いたキリトは慌てて叫ぶ。しかし、遅かった。ドラゴンは高く舞い上がる。巨大な翼を羽ばたかせた。竜種特有の突風攻撃である。強大な風が雪を舞い上がらせながらリズベットを襲う。あっ、これやばい。直撃し彼女は投げ出された。その真下には巨大な縦穴。えっ?本格的にヤバくない?これ。

 

リズベット「うそ!うそぉぉぉ!!!」

 

こっちのセリフだわ。

 

リズベットは成す術なく縦穴に落ちていく。そんな彼女の腕を何かが掴む。キリトだった。あいつカッコよすぎな。彼女が突風を受けた瞬間に全速で駆けだしたのだろう。命知らずとはこういうやつのことを言うのだろう。

 

キリト「摑まれ!」

 

いいながらキリトはリズベットを守るように抱きかかえる。二人はそのまま穴の底まで落ちていった。その様子を見ていた俺は縦穴のすぐ近くまで駆け寄る。はて、どうするべきか。誰か呼ぶか?ロープどのくらいあれば足りるだろうか?まぁあとはキリトに任せよう。ん?この穴もしかして…ドラゴンの巣じゃないのか?だとしたらあるな。ここに。

 

 

リズベット「ぅ……」

 

眼を開けると黒い何かがリズベットの目に映る。キリトだった。

 

キリト「助かったな……」

 

そう言いながらキリトは起き上がる。続いてリズベットも起き上がる。

 

リズベット「生きてた……わね……」

 

そう呟いた。そんな彼女にキリトはハイポーションを差し出す。

 

キリト「飲んどけよ、一応な。」

 

リズベット「…うん。」

 

受け取ったハイポーションをリズベットは口に含んだ。キリトも同じようにハイポーションを飲み始める。お互いにイエローまで落ちたHPが緩やかに回復していった。

 

リズベット「あの……ありがと、助けてくれて…」

 

キリト「礼を言うのはまだ早い……どうやって登ったもんか……」

 

言いながらキリトは上を見る。そんな彼にリズベットは当然の如くこんなこと言う。

 

リズベット「テレポートすればいいじゃない。」

 

言いながら転移結晶を取り出し叫ぶ。

 

リズベット「転移!リンダース!」

 

しかし結晶は反応を示さなかった。

 

リズベット「そんな……」

 

キリト「結晶が使えないなら、他の手段がある筈だ。」

 

リズベット「そんなの解んないじゃない!落ちた人が100%死ぬって想定した罠かもしれないでしょ!」

 

キリト「なるほど……そうかもな。」

 

リズベット「ちょっと!少しは元気付けなさいよ!!」

 

落ち着いた様子のキリトに苛立ったように食ってかかるリズベット。やがて思案し終わったらしい。何を話すのか。

 

キリト「一つ提案がある。」

 

リズベット「ホント?」

 

キリト「あぁ、壁を走って登る。」

 

真顔で言うキリト。その言葉にリズベットは呆れた表情になる。うん、俺もこれ聞いたときは流石に絶句したわ。

 

リズベット「…バカ?」

 

キリト「バカかどうか、試してみるか?」

 

言われたキリトは立ち上がり数歩下がる。そして勢いよく蹴りだした。跳躍し壁を勢いよく駆けあがる。意外と登れると思ったらしい。

 

リズベット「うそーん……」

 

呆気に取られながらリズベットは呟く。ちょっと見てみたかったなそれ。

 

直後、キリトは足を滑らせる。どうやら凍っていた部分を踏んでしまったみたいだ。

 

キリト「ぉわぁぁぁぁぁあぁああああぁぁぁあぁ!!!!」

 

悲鳴と共にキリトは落下し地面に叩きつけられた。

 

キリト「も……もう少し助走があればいけたんだよ。」

 

リズベット「んなわけないでしょ!」

 

いじけたように言い訳するキリトにリズベットはしゃがみ込んでそう言った。やがて日が落ち夜が来る。2人は互いに寝袋に入って寝ころんでいた。沈黙が続いていたがここで破れる。

 

リズベット「ねぇ、キヒロはどうしたかな?」

 

不意にリズベットが尋ねてくる。まぁそう思うのは自然だよな。

 

キリト「あぁ、キヒロなら、ここに来る前に互いに何かあったら無理せずに街にいったん戻るように打ち合わせてたんだ。明日の昼になっても戻らなかったらフレンドに協力依頼出すようにもな。」

 

問いにキリトは答えた。信頼してるみたいだ。正直羨ましいと私は思ってた。そんな相手がいて…

 

リズベット「……信頼してんのね、キヒロの事…」

 

キリト「まぁな……第一層のころからの付き合いだし、俺の師匠だしな!」

 

師匠?

 

リズベット「なんの師匠よ。」

 

キリト「剣のだよ。凄いよ。あいつは。」

 

やっぱ凄いんだ、あいつ。

 

リズベット「ねぇ、も一つ聞いていい?」

 

キリト「なんだ?」

 

リズベット「どうして、アタシを助けたの?死ぬかもしれなかったのに。」

 

実際問題、死ぬ可能性の方が高かったのだ。その問いにキリトは少し沈黙する。

 

キリト「誰かを見殺しにはしたくはない。そんなのは二度とごめんだ。それに死ぬ気はないよ。俺を待っていてくれる人がいるからな。」

 

リズベット「変な奴……でも、そっか……そうなんだね。」

 

答えを聞きリズベットは納得したように頷く。再び沈黙が訪れる。そして唐突に…

 

リズベット「ね……手、握って…」

 

言いながらリズベットは手を伸ばす。キリトは不思議そうな顔をしてリズベットを見た。

 

キリト「うん。」

 

頷いてキリトは手を差し出す。手が重なるとリズベットが軽く握ってきた。

 

リズベット「……温かい。」

 

キリト「え?」

 

呟きにキリトは疑問符を浮かべた。俺も聞いたとき疑問だった。

 

リズベット「アタシもあんたも……仮想世界のデータなのに……」

 

キリト「リズ……」

 

互いに目が合う。するとリズベットは軽く微笑んで眼を閉じた。キリトも眼を閉じる。互いの手を重ねたまま、2人は眠りについた。

 

翌日。

 

リズベット「んぅ~~~~~っ」

 

目覚めたリズベットは寝袋から出て背伸びをする。ふと隣を見るともうひとつの寝袋は蛻の殻だった。耳を澄ますと後ろの方から、ザクザクと雪を掻きわける音が聞こえてくる。振り向くとキリトはそこに居た。雪を掻きわけて何かをそこから取り出した。そこで私が目にしたのは…

 

リズベット「そ、それって!」

 

手に握られていたのは水晶のように透き通った鉱石だ。それを受け取ったリズベットはタップしアイテム名を確認する。

 

『クリスタライトインゴット』

 

キリト「俺達が探しに来た鉱石だろうな……ドラゴンは水晶をかじり、腹の中で精製する……見つからないわけだ。」

 

リズベット「でも、なんでこんな所に?」

 

キリトの説明に疑問符を浮かべるリズベット。どうやって説明したんだろ。キリト。

 

キリト「この縦穴は罠じゃなく、ドラゴンの巣だったんだ。つまり、その鉱石はドラゴンの排泄物、ンコだ。」

 

さらに淡々と説明するキリト。なんと彼は仮にも女子に対し、普通に説明したらしい。もう少し遠回しで言ってあげるべきだ。あと渡す前に言ってあげろ…

 

リズベットは手に持っている鉱石とキリトを交互に見る。そりゃみるよな。やがて、意味に気付いたリズベットは何とも言えない表情でそれをキリトに投げ渡した。俺も投げ飛ばすかも。それをキリトは掴み取り、ストレージに収納する。

 

キリト「さて、これで目的は達成だな。後は……」

 

そこまで言った時、リズベットが何かに気付く。気づいてしまったのか。まぁこれで帰れるんだしな。

 

リズベット「ねぇ?ここってドラゴンの巣でしょ?でもってドラゴンは夜行性だから、つまり……」

 

恐る恐る言うリズベット。その意図をキリトも察したみたいだ。

 

その直後、

 

ギュォォォォォ!!!!

 

咆哮と共にドラゴンが降下してきちゃったらしい。

 

リズベット「きたーーーーーーー!!」

 

予感が的中してリズベットは顔面蒼白で叫ぶ。そこでキリト、よく分かってらっしゃる。

 

キリト「ちょいと失礼!」

 

言いながらキリトはリズベットを担ぎあげた。担ぎ上げたの!?

 

リズベット「は?んあ!?」

 

キリト「しっかり摑まってろよ!」

 

そう叫んで跳躍する。直後にドラゴンは穴底で急停止する。その後ろをキリトはリズベットを担いだまま走り抜け、壁を蹴り剣を抜いた。落下速度を利用しながらドラゴンの背に刃を突きたてる。うん、予想通り。

 

それに驚いたドラゴンは

 

ギュアァァ!!

 

と咆哮と共に今度は急上昇する。一気に縦穴を登りぬけて、上空で急停止した。反動で剣が抜けて2人は投げ出される。リズベットを抱えたままキリトは地面に着地した。

 

キリト「よし、脱出成功!」

 

ドヤ顔でそう言った。対するリズベットは、

 

リズベット「寿命が縮むかと思ったわよ!」

 

キリトに向かい講義する。まぁだよね。

 

キリト「まぁまぁ、目的は果たしたからいいだろ?」

 

言いながらキリトは巣に戻っていくドラゴンを見た。キリトって見た目の割に意外と行動が大胆だよな。

 

キリト「鉱石の取り方が解れば、もう無闇に狩られる事はないだろ。達者で暮らせよな。」

 

リズベット「はぁ……もういいわ…」

 

呑気なキリトに対しリズベットは諦めたように溜息を吐いた。うん、諦めも肝心。

 

キリト「さて、街に戻るか。キヒロが心配してるからな。」

 

そこまで心配してませんでした。

 

そう言って転移結晶を取り出す。それを使い街に戻ろうとした、その時、

 

リズベット「まって!」

 

リズベットがそれを制した。キリトは疑問符を浮かべて彼女を見る。

 

リズベット「帰る前に、キリトにお礼が言いたいの!」

 

キリト「助けた礼はもう言ってくれたろ?」

 

その言葉にリズベットは首を振る。

 

リズベット「違うの。アタシね……アタシ、ずっとこの世界でのホントの『何か』を探してたんだ。この虚ろな世界で、何もかも偽物の世界で……」

 

キリト「リズ……」

 

一度リズベットは俯く。が、すぐに顔を上げる。

 

リズベット「でもね、キリトが手を握ってくれた時、温かかった! この温かさは本物だって思えたの!だから、だからね! ありがとう! キリトのおかげで、アタシもまだこの世界で頑張れる! この『熱』がある限り、前を向いていける気がするの!」

 

真直ぐにキリトの眼を見ながらリズベットは言う。それを聞き終えてキリトは、

 

キリト「俺も、リズにお礼が言いたいんだ」

 

キリトも真直ぐに彼女を眼を見て口を開いた。

 

キリト「俺は以前……助けられなかった人たちがいるんだ。その事がどうしても悲しくて悔しくて、認めたくなくて、自暴自棄になってた時がある。」

 

キリト「色々あって、それは何とか心の整理がついたんだけど……それからは一人で生き残るくらいなら死んだ方がマシだって思ってたんだ。でも、穴に落ちた時、リズが生きてて嬉しかった。誰だって生きるために生きてるんだって思えたから……だから、ありがとう。」

 

言いながらキリトは微笑む。それを聞いてリズベットはこう返したらしい。

 

リズベット「そっか……その言葉、みんなにも聞かせてあげなさいよ。それから、周りをこれ以上悲しませない事! わかった?」

 

キリト「そうだな……」

 

リズベット「それじゃ、街に帰りましょ!」

 

そう言って転移結晶を取り出す。互いにそれを掲げて叫ぶ。

 

「「転移!リンダース!」」

 

 

第48層 リンダース

 

街に戻った2人は真直ぐにリズベット武具店に足を運ぶ。扉を開けると奥にはキヒロがいた。2人に気付いて駆け寄ってくる。

 

キヒロ「お疲れ様。なんとかget出来たみたいだな。」

 

キリト「あまり心配はして無いんだな?てかよくgetできたの分かったな。」

 

キヒロ「あれで死んだら拍子抜けだよ。あれ巣だったんだろ?」

 

リズベット「それよりもほら!剣作るんでしょ? 片手用直剣でいいのよね?」

 

キリト「あ、あぁ。」

 

ストレージから鉱石をオブジェクト化する。それを受け取ってリズベットは奥の作業場へと歩き出す。2人も作業場へと向かった。俺達は椅子に座ってリズベットの作業を見守った。カン、カンと金属が叩かれる音がリズムよく作業場に響いている。それが十数分過ぎた時、叩かれていた鉱石は光り輝き、一振りの剣へと姿を変えた。翡翠色に輝く刀身が一目で業物だという事を示していた。その剣をリズベットは手に取りタップする。

 

リズベット「名前は『ダークリパルサー』アタシが初耳って事は情報屋のリストにまだ載ってない筈よ。試してみて。」

 

闇を払う者、か。いい名前だ。キリトはそれを受けとってそれを2、3度素振りする。重そうな音。

 

リズベット「ど、どう?」

 

少し不安そうな声で尋ねるリズベット。ドキドキするよぁ。こういうの。

 

キリト「…重いな。いい剣だ。魂が籠ってる気がするよ。」

 

キリトにしては珍しくちゃんと言えたな。振り向いてキリトは満足そうに答えた。それを聞いてリズベットはガッツポーズをとる。

 

リズベット「やった!」

 

キリト「ありがとうリズ、剣の代金払うよ。いくらだ?」

 

そう問いかけた。対してリズベットは首を振って、

 

リズベット「代金はいいわ。その代わり二つ条件があるの。」

 

キリト「条件?」

 

疑問符を浮かべながら問うキリト。リズベットは一呼吸置いて、

 

リズベット「件の一つは、アタシをあんた達の専属スミスにする事!冒険が終わったらここにメンテに来なさい!」

 

そう言って2人を指差す。俺も?てか既に来てますよ?

 

キリト「それはいいけど……もう一つは?」

 

リズベット「もう一つは、あんた達が終わらせて、この世界を。」

 

問いかけにリズベットは真剣な表情でそう言った。

 

リズベット「アタシも頑張る。この『熱』がある限り頑張るから!」

 

そう言って自分の胸に手を当てた。それを聞いた俺たちは、

 

キリト「あぁ、約束するよ。」

 

キヒロ「終わらせてみせる。もちろん生きてこの世界をな。」

 

決意を込めて頷いた。2人の答えを聞いたリズベットは満足そうに、

 

リズベット「うん……これからも、リズベット武具店をよろしく!!」

 

とびっきりの笑顔でそう言った。

 

 




意外と長くなったな〜って感じています。リズベット推しの方からしたら物足りないと感じるかもしれませんね。やっとここまで来ましたー!次回も頑張ります!(*´∇`)ノ ではでは~


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隠し事

うーん。今回は少しキヒロとアスナの関係が明らかになるね!気になっていた方もいるかな?まぁまだ明かせない部分もありますが、大体出たかな?と思います!では!どうぞ!


キリトの剣を造りに行ってから何日か経過したある日。特に何するでもなく暇していた。レベリング?今98だぞ?今の層(70層)でこのレベルだともはや上がるものも上がらない。1週間篭って1しか上がらないとか。正直やってられない。だから今は本当に暇である。ユウキはギルメンとレベリングしに行ったし。アスナは副団長だからまず無理だし、キリトは今日は誰かに会いに行くって言っていたから無理だし、クラインやエギルはやめとこ…つまり相手がいないのである。もう少し友達つくっておくべきだったかな?人肌が恋しい。

 

ピロン♪

 

誰からだ?

 

toキヒロ

 

少しお話があるわ。私の家に来なさい。

 

アスナ

 

怖すぎだろ。なんの呼び出しだよ。てか家に上がれとか相当だよこれ。今日命日です父、母よ。今までありがとうございました。

 

ふざけてないで行くか。

 

 

第61層 セルムブルグ

 

アスナ「遅いわよ。」

 

キヒロ「すまない。それで、話ってなんだ?」

 

アスナ「……」

 

何だ?珍しく口ごもってるな。

 

アスナ「あなた…お父さんにどう説明するつもりなの…」

 

そういえば考えたこともなかった。そうか、説得しないといけないのか。

 

キヒロ「アスナこそ、どうするつもりなんだ?」

 

アスナ「私は…ってまだ付き合ってないわ。」

 

キヒロ「へぇ。"まだ"ね。」

 

おっ。顔赤くしちゃって。初々しいなおい。あっ睨まれた。

 

アスナ「あなた一応年下なのだから年上をからかうのはやめなさい。」

 

キヒロ「ちょっと前まで俺の許嫁だったくせに。あっ。」

 

アスナ「あっ。」

 

「「それどうやって説得するんだ!(のよ!)」」

 

アスナ「はぁ、すっかり忘れてたわ。」

 

キヒロ「ユウキになんて説明すれば…」

 

アスナ「それもそうだけど、現実世界に帰ってからもこれは一大事のお話になるわね。」

 

キヒロ「最悪、追い出されるかも。」

 

アスナ「あなたはその可能性あるわね。私はかなり怒られるかもしれないけど…」

 

キヒロ「てかそもそもこのご時世に許嫁とか意味わからん。相手ぐらい自分で決めるのが今の普通だろう。」

 

アスナ「親の気持ちもわからなくはないけど、流石に相手ぐらいは、ねぇ。」

 

キヒロ「子供には高確率で幸せになって欲しいとかいうけどさ…俺はどうなの?」

 

アスナ「…」

 

キヒロ「生まれた時から普通じゃない俺は…幸せと言えるのか?」

 

アスナ「でも、あなたにはユウキという大切な人ができた。」

 

キヒロ「あぁ。掛け替えのない存在だ。手離したくない…」

 

アスナ「そういえば、あなたの体…大丈夫かしら?」

 

キヒロ「普通の人より丈夫だから平気だろ。」

 

アスナ「そういう事じゃなくて…"アレ"よ。」

 

キヒロ「あぁ。"アレ"ね。それについてはなんとも言えん。治るか、治らないか。流石にアレは投与しちゃダメだったと思うけどね。」

 

アスナ「第50層の時、リミッター解除したわよね?それの方は?」

 

キヒロ「…よく分かったな。まぁ思ったより、酷いとしか言えない。」

 

アスナ「…死んだりしないわよね。」

 

キヒロ「大丈夫だろ。あれ自体は命に支障来すほどのやつじゃない…なぁ、アスナ。」

 

アスナ「なに?」

 

キヒロ「現実世界での俺たちがどうなってるか。考えたことあるか?」

 

アスナ「…どうにか生かされてる。そういう状態だと思うわ。」

 

キヒロ「だろうな。そうするとこっちとは関係なく、タイムリミットがあるわけだ。」

 

アスナ「そうね。それなのに今では攻略に躍起になってる人は減ってしまったからね。」

 

キヒロ「そこでだ。どうやったらすぐ終わると思う?」

 

アスナ「どうやってって…普通に今まで通りに進めるしかないと思うけど。」

 

キヒロ「一番確実なのはそれだな。だが、100層に行く頃にはこっちの世界とは関係なく死ぬ人が増えるだろうな。」

 

アスナ「でもどちらにしろ、それしか方法がないわ。」

 

キヒロ「…質問を変えよう。このゲームをクリアするには?」

 

アスナ「ラスボスを倒すしかないわよね?100層の」

 

キヒロ「このように考えたことないか?ゲームマスターを倒せばクリアできるのでは?と。」

 

アスナ「!っで、でも!この世界にいるとは限らないじゃない!」

 

キヒロ「いや、あいつはいる。」

 

アスナ「…その確証は?」

 

キヒロ「想像してみろ。他人のやってるゲームを眺めているよりつまらないものは無いだろ?他人がやってるものほど人はやりたがるだろ?実際に本人もそう言っていた。」

 

茅場(「他人のやってるゲームを眺めているよりつまらないものは無いだろ?……君。」)

 

アスナ「…では、この世界にいるとは仮定して。どこにいるのかしら?」

 

キヒロ「さらに考察を重ねるとだな?こういうシナリオがあってもいいと思うんだ。」

 

 

 

キヒロ「最強のプレイヤーが一転、ラスボスになるって展開。」

 

アスナ「なっ!まさか!」

 

アスナ「あなた、団長を疑ってるの!?」

 

キヒロ「考えてもみろ。普通ありえないだろ。HPバーがイエローにならないなんて。どんな受けをしても普通なる。」

 

アスナ「でもあの人ちょくちょくポーション飲んでるし流石にそれだけでは」

 

キヒロ「それに、俺が60層で使った装備はどうだった?」

 

アスナ「そういえば珍しく盾あり片手剣装備だったわね。ガチガチに固めて。」

 

キヒロ「試しにやってみたんだ。ヒースクリフに憧れてやってみましたって言ってな。」

 

アスナ「いつもいかない、イエローにまで落ちてたわね。あっ!」

 

キヒロ「だろ?あの格好で素早く動けるはずがないんだよ。俺は確かにステを均等に振ってるが、それでもヒースクリフより早いんだぞ?レベルもあいつより高いんから筋力要求値だってあのガチガチにしても余るぐらいなんだから。」

 

アスナ「だとしたら、団長があんなに避けれるのは不自然と言いたいのね?」

 

キヒロ「あぁ。そういうことだ。システムアシストでも使ってるに違いない。」

 

アスナ「だとしたら、なんでkobを作ったの?後々困るでしょ?」

 

キヒロ「さぁ?それは分からない。単に自分を隠すのによかったんじゃないか?」

 

アスナ「にわかには信じられないけど、筋も通ってるからなんとも言えないわね。って随分話がそれてしまったけど、結局どうするの?」

 

キヒロ「うーん。話するしかないと思う。まぁユウキにも頑張ってもらわないとな。主に勉強を。」

 

アスナ「私もそうなるのかな?きっと。」

 

キヒロ「いつ告白するんだ?」

 

アスナ「ふぇ?だ、だれに?」

 

キヒロ「えっ?キリトに?」

 

アスナ「す、する訳ないでしょ!このアホすけ!」/////

 

ええ。まぁ、好きなのはわかったよ。

 

キヒロ「でも早くしないと大変だぞ?」

 

アスナ「えっ?」

 

キヒロ「敵は多いし、どいつもこいつも手強いぞ?」

 

そんな絶望の顔で俺を見るな。

 

キヒロ「ちゃんとアプローチも時には必要だぜ?」

 

アスナ「くっ、ムカつくけど、正しいから余計にムカつく。」

 

酷くね?ちゃんとフォローしてるのに。

 

アスナ「で、どうする?」

 

まだあんの?

 

キヒロ「その話はさっき終わったんじゃなかったか?」

 

アスナ「私たちの過去の関係を話すべきかどうかよ。」

 

うーん。どっちがいいんだろ。

 

キヒロ「聞かれたらでいいと思うが、どうだ?」

 

アスナ「私は…私はね?話しておいた方がいいと思うの。現実世界に帰って、それぞれ会う訳じゃない?その時に聞かれて言うのとこっちから言うのと…やっぱり知らなかったで済む話ではないから。」

 

アスナの言うことも一理あるな。隠されてたよりかはそうじゃない方がいいに決まってる。

 

アスナ「言うとしたらタイミングは私が決めるわ。」

 

キヒロ「…言おう。腹を括るしかない。それとタイミングは俺が決める。」

 

アスナ「…わかったわ。今日の話はこれでおしまいよ。次会うときは掃討作戦の日ね。」

 

キヒロ「あぁ。ついに始まるのか。」

 

アスナ「えぇ。被害が攻略組にも出始めてしまったらしいから。」

 

キヒロ「だな。じゃあな。」

 

アスナ「えぇ。また今度。」

 

話すべきこと。現実世界に帰ってやること。そしてボスのこと。やることてんこ盛りだな。まぁ取り敢えずいっちょ頑張りますか。




読んで下さりありがとうございます!えぇっと、少しづつですが秘密が出てきましたね〜笑なんとかここまで来ました!ありがとうございます!次はついにあいつが出てきます!個人的には性格はともかくカッコイイと思うのですが…笑(*´∇`)ノ ではでは~


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ラフィン・コフィン

まず、前回予告した人は名前だけしか出ません!次回はちゃんと出るよ!では!どうぞ!


あれから数日だったある日、現実世界では今頃暑さで死にそうな8月に突入している頃だ。そんな日に俺達は今第56層にある整竜連合の本部に攻略組であるギルドや、ソロプレイヤーが集合している。理由はある殺人ギルド…"ラフィン・コフィン"掃討作戦を決めるためである。数時間がたち、大まかに決まったことは、1・あくまで殺すのではなく無力化すること。2・ソロプレイヤーはギルドの援護。そして3は、やむを得ない場合は倒すこと…となった。倒すとはつまり殺すということ。今回少なからず死者は出るだろう。そして資料として提供されたのは…

 

ラフィン・コフィンのリーダー

PoH

武器 友切包丁

 

幹部

ザザ

武器 エストック

 

幹部

ジョニー・ブラック

武器 毒ナイフ

 

それぞれが武器との相性が良く、PSも高い。中でもリーダーであるPoHはずば抜けているみたいだ。だが、どいつもこいつも手強い。連携をうまく取られたら確実に死ぬ。ジョニーによる毒ナイフで麻痺でも喰らえば他の奴らに滅多斬りされるだろう。かといってジョニーだけに意識しているとザザやPoHに襲われやすくなる。何ともやりづらい。

 

 

シュミット「ラフィン・コフィンの根城の場所は下層のある小さな洞窟と判明した。」

 

小さなどよめきが起こる。今までももちろん探していたが唯一見つからなかったのがラフィン・コフィンの根城だったのだ。探す過程でいくつかのオレンジギルドを見つけるとこにはなったが、ラフコフのだけは見つからなかった。

 

まぁこれ見つけたの俺なんだがな。正直途中から本気になって探しました。そんだけわかりづらかったです。はい。まぁアルゴさんが探そうとしてたので無理やり俺が引き受けたのだけどね。アルゴなら問題なく見つけることは出来たと思う。あいつの事は高く評価している。それ故に根城探しで命を散らせるような真似はしたくなかった。俺ならたとえ見つかって仕方なく戦闘しなければいけない状況になってしまったとしても戦い切ることは可能だ。だが、アルゴは無理だろう…十中八九死ぬだろう。もしくは向こう専属の情報屋にされるかだ。そうなってしまったら、たとえ逃げることが出来ても、それから先情報屋として活動はできなくなる。そうなれば攻略組としては致命的。そこで俺がやって調べたんだが…

 

 

キリト「にしてもよくこんなとこ見つけたなキヒロ(小声)」

 

キヒロ「…勘のいいガキは嫌いだ。」

 

キリト「アルゴの為とはいえ無茶し過ぎだけどな…」

 

かもしれない…

 

シュミット「では、各自にアイテムを分配する。」

 

ぶっちゃけ俺要らないんだよな…

 

シュミット「では、突撃方法を言う。まず、血盟騎士団が先頭で切り開いてもらう。そしたら我々が続く。次にソロプレイヤー、そして最後にスリーピングナイツの人達…よろしく頼む。」

 

キヒロ「了解した。」

 

ヒースクリフ「では解散だ。日時は、明日の午前2時…決行だ。」

 

みんな「おう!(はい!)」

 

こうして討伐作戦は決行された。

 




かなり短めですが取り敢えず投稿です。遅れて申し訳ないです!その分連投するのでよろしくお願いします!(*´∇`)ノ ではでは~


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掃討作戦開始

おっくれましたー!
今回またひとつ、キヒロの情報がでてきます!
では!どうぞ!




今日は8月の13日。日にち的には最悪の日だから不安でしょうがない。因みにメンバー編成ではかなり揉めた。うちのギルドの女性陣を連れていくかどうか…何故こんなことになったか、まず第一に隠すことが出来なかったということだ。アスナが参加するということで必然的にラン達に伝わってしまったのだ。さて困った。男性陣からすれば出来ればというより絶対に参加して欲しくないというものである。女性陣からすれば、自分の知らないところで大切な人が亡くなってしまったらと思うといてもたってもいられなくなるという事だ。取り敢えず何とか必ず帰ってくるということを約束に不参加させることが出来た。よって今のメンバーは俺・ジュン・テッチ・タルケンである。血盟騎士団からは15人。聖竜連合からは10人。その他ソロプレイヤー6人。合計35人という攻略組のメンバーが集まった。この人数を揃えなければいけない程の実力があり、人数がいるのだろう。なんとも恐ろしいギルドだ。いっそのことそいつら全員を攻略組に仕立てあげられればどんだけスムーズに進むか。まぁ、無理なのは諦めよう。

 

 

キリト「キヒロさぁ」

 

キヒロ「どうした?」

 

キリト「あれ以来PoHとは会ってもいないしどのくらいの実力になったかわからないんだけどさ、どう、思う?」

 

キヒロ「少なくともアイツだけは俺らと同じくらいの実力はあるだろうな。あと幹部の2人も。」

 

キリト「…あいつら出てきたら、俺達が対処するほうがいいな。」

 

キヒロ「まぁ、状況によって考えようぜ。」

 

キリト「それもそうだな。」

 

 

この時俺達は話が出来るほどには精神的には問題なかった。ほとんどの者は目が死んでたが…まぁ無理もないな。"殺さなければ"いけない時が来るかもしれないからな。

 

 

シュミット「なっ!いない…だと…」

 

 

 

そんな馬鹿な…ありえない。

 

 

まさか…

 

 

作戦がバレていたのか…

 

 

だとしたらこれは…

 

 

キヒロ「シュミット!罠だ!気をつけ」

 

気をつけろと言おうとした瞬間、シュミットら先頭は突如現れたラフコフのヤツらに…襲われた。

 

 

シュミット「うわぁぁぁあああ!!」

 

ズバッ

 

 

よく考えればそうだ。ここはあいつらの根城。知り尽くしていて当然。大して俺らはここについての情報は皆無。知っているとしたら……あの落ち着いてやがる……団長しかいないだろうな……

 

 

?「みぃーつけった!!」

 

ヒュッ!

 

キィン

 

キヒロ「背後を狙ったみたいだったが、残念だったな。殺気を出しすぎだ。」

 

?「それがどーした!お前を殺してやるよ!ひゃはっは!」

 

キヒロ「お前には無理だ。ジョニー。」

 

ヒュッヒュッヒュッ!

 

キィンキィンキィン!

 

ジョニー「くっ!ちょこちょこ避けるんじゃねーよ!当たれよ!」

 

なんて奴だ。

 

キヒロ「言ったはずだ。お前では無理だと。」

 

?「なら、2人、がかり、なら、どう、かな?」

 

ヒュン!

 

 

この速さ。アスナと同等だと…いや、下手したらこいつの方が…

 

 

キヒロ「いきなりお前も出てくるか。ザザ。」

 

ザザ「お前を、殺す、夢ばかり、見ていた。今、それが、叶う。」

 

キヒロ「簡単には死ぬつもりないんで、なっ!」

 

ヒュッヒュッ!

 

サッサっ

 

キヒロ「くっ!」

 

ザザ「お前の、攻撃には、殺意が、篭ってない。そんな、腑抜けた、奴に、俺が、負けるわけ、ない!」

 

ヒュッヒュッヒュッヒュッヒュッ!

 

キィィィィィン!!

 

くっ!なんだこの速さ。これが、人を殺すやつの剣、なのか。

 

ザザ「どうした。もっと、殺す気で、こないと、死ぬ、ぞ?それとも、」

 

 

 

ザザ「先に、"絶剣"を、殺した方が、やる気が、出るか?"覇王"。」

 

 

ユウキを殺す…だと…

 

 

 

 

リミッター解除…50%

 

 

ヒュッ!

 

ザザ「なっ!?」

 

ザクッ!

 

キヒロ「望み通り、本気を出してやるよ。」

 

ザザ「ちっ。」

 

ジョニー「なーにしてんだよ!ザザ!」

 

ザザ「…行くぞ…」

 

 

2人同時に来るとさすがに面倒臭いな。取り敢えず足と手を切り落としとくか。

 

 

ヒュッン…

 

 

ボトボト。

 

 

ジョニー「なっ!」

 

ザザ「ありえない…」

 

キヒロ「精々そこで見てるんだな。"仲間"が死んでいくところを。」

 

ザザ「!?」

 

ジョニー「アイツ!殺す気なのか!」

 

 

キヒロ「…じゃあな…」

 

 

 

?「死ねーー!!!」

 

お前が死ね。

 

ズバッ!

 

 

?「くあっ!?」

 

パリィン…

 

 

キヒロ「もっと気をつけろ。」

 

シュミット「あっ、ありがとう。」

 

キヒロ「全員!俺のところに集めろ!」

 

?「はっ!自殺願望者か!なら望み通りに!殺してやるよ!」

 

ヒースクリフ「くっ!(何をするつもりだ。キヒロ君。)」

 

キリト「何言ってんだ!キヒローーー!!!」

 

 

集まってきたな。やっと俺の型が、存分に使えるぜ。地獄を味わいな。

 

 

 

飛天御剣流…

 

 

 

飛天無限斬…

 

 

?「ぐぁっ!」

 

?「なんだとっ!?」

 

?「そんなバカな…」

 

 

パリィン…

 

 

キヒロ「次は…誰だ…」

 

?「………」

 

キヒロ「自殺願望者とか言ってたな…」

 

ヒュッ

 

ザクッ

 

キヒロ「お前が死んじゃったな…」

 

?「う、うわぁぁぁああああ!!!」

 

ザザ「……」

 

ジョニー「アイツ…あれが…本気のアイツなのか…」

 

ザザ「(あんな、イカれた、野郎には、勝てない…)」

 

キヒロ「なぁ、今まで人を殺してきてどうだった?」

 

ザクッ

 

キヒロ「ちゃんと悪いと思ってるのか?」

 

ザクッ

 

キヒロ「本当にそう思ってるなら。」

 

ザクッ

 

キヒロ「死をもって償うのは当然だよな?」

 

?「ひっ!」

 

キヒロ「何びびってんだよ。」

 

ザクッ

 

キヒロ「お前らが与えてきた苦しみは…」

 

ザクッ

 

キヒロ「こんなものじゃなかったはずだが?」

 

(今の攻撃は、なんだ?どうしちまったんだよ…キヒロ。)

 

キリト「キヒロ。もう、やめろ…」

 

キヒロ「すまない。少し取り乱した。」

 

キヒロ「シュミット…捕縛しろ。」

 

 

(はぁ…後一歩言うのが遅かったら…全員を殺してたな。)

 

 

シュミット「あっ、あぁ。」

 

ヒースクリフ「では、ラフコフの者らを捕縛せよ!」

 

血盟「はっ!」

 

 

(こうしてラフコフ掃討作戦はキヒロの活躍により、討伐隊死者0で終わった。だが、ラフコフの方は死者数35人中25人…その全員をキヒロが殺す結果となった…)

 

 

(だが、これにより、ラフコフの力は無力化できたと言ってもいいと思う。幹部である、ザザやジョニー・ブラックを捕縛できたのは大きい。だが、気になることがひとつ…リーダーであるPoHがいつになっても出てこなかったのは少し気がかりというべきか?まぁこれ以上被害が出ることはないだろう。あとは攻略に向けて、全力でいくまでだ。今の最前線は70層。少しだが、光明が見えてきたところだ。この勢いのまま突き進んでいきたい。)

 




読んで下さりありがとう!
出たと言うかな?笑
(*´∇`)ノ ではでは~


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その後

あの後、何があったのでしょうか!
では!どうぞ!



(俺は前から気になっていたことがある。キヒロが時々暴走する時のことだ。いつもの動きとはまた違い、格段に早くなる。さっき見た剣技は初めて見た。キヒロは、いったい…何者なんだ…)

 

キリト「…」

 

キヒロ「何か言いたげだな。キリト。」

 

キリト「いや?別に…」

 

キヒロ「そうか。帰るぞ。」

 

(無言が続く。正直なところ、聞きたいことは山ほどある。さっきのこともそうだし、だけどそれは流石に聞き辛い…現実世界でのことは暗黙のルールにより聞けないし…)

 

キヒロ「キリト。ちょっと聞いてもいいか?」

 

キリト「え、な、なんだ?」

 

キヒロ「お前、最近アスナと、どうなん?」

 

キリト「あっ、アスナ?別に何にもないが?」

 

アスナ…頑張れよ…まぁ多分大丈夫だ。

 

キヒロ「そうなのか?てっきり付き合ってるのかと、」

 

キリト「ぉぉぉぉ俺が付き合えるわけないだろ!?」/////

 

そこまで否定しなくてもいいだろ。ん?顔が赤くなってるのは気のせいか?少しからかってやるか。

 

キヒロ「その割には顔が赤いみたいだが?笑」

 

キリト「きっ、気のせいだ!」

 

強情な奴め。

 

キリト「そっ、そういうキヒロこそユウキと、デートとかしないのか?」

 

あっ、そういえば恋人らしいこと何もしてなかったな。悪いことしたな。

 

キヒロ「てっ言ってもさ、デートなんてしたことないしよ…」

 

キリト「俺もよくわからないが、取り敢えず場所決めて、プレゼント渡せばいいんでは?」

 

キヒロ「ふーむ。まぁ、要は遊びだよな?」

 

キリト「えっ?」

 

キヒロ「え?だってデートって彼女と行くからデートって言ってるだけであって、別に友達と行くのとそんなに変わんないだろ?」

 

キリト「まっまぁ、そ、そうなのかもしれない…」

 

なんかよくわからんが、誘ってみよう。

 

 

 

帰宅して最初に言われたこと。『ボクは、例え全世界がキヒロを否定しても味方だよ。』なんでこんなこと言われたのか。アスナがすべて話してしまったらしい。俺のおかげで討伐隊死者数0だったこと。ラフコフはほとんど殺したこと。別に俺は気にしてないんだが一緒に十字架を背負うよとか言われてしまったし、そこまで言われてしまうと、なんか、申し訳ないことしたなと今更ながら思った。ランにはめっちゃ怒られた…ラフコフの奴らより怖かった。安易に人殺してはいけないのは重々承知の上でやっと事をめっちゃ怒られた。まぁ当たり前だけどな。最後の方には何故か泣き出しちゃうし。挙句の果てには私も十字架背負いますとか言うし…本当に申し訳ない…てか、こんな思い雰囲気の中でどう誘えばいいんだろ。俺はそういうスペックは高くないから困るんだが…

 

 

ラン「まぁ、言いたい事は言えましたし、たまには羽を伸ばしてきてください。キヒロさん。」

 

キヒロ「えっ?」

 

アスナ「えっ、じゃないわよ。せっかくユウキと付き合ってるのに、デートの一回もしないなんて…男としてどうなのよ?」

 

キヒロ「デートかぁ、行くか?ユウキ。」

 

ユウキ「えっ!?ちょっ、いきなり言わないでよ!こっ、心の準備が!」//////////

 

何この生物。可愛すぎる。

 

キヒロ「行くの?行かない」

 

ユウキ「行きます行きます!」

 

キヒロ「えっとじゃあ明後日行こうか。」

 

ユウキ「うん!やったー!!」

 

ラン「羽伸ばしていらっしゃい。2人とも。」

 

ユウキ「うん!ありがと!姉ちゃん!」

 

キヒロ「お言葉に甘えるよ。"光速"さん。」

 

ラン「キヒロさん…」

 

キヒロ「なっ、なんでもないっす。」

 

どんだけ嫌いなんだよ…

 

アスナ「キヒロ君。来なさい。」

 

相変わらず俺に対してだけ冷たくないですかね?アスナさん。俺泣いちゃいますよ?いや泣かないけどね?こんなのもう慣れたからな俺!…どんだけ悲しいやつだよ…こんなのには慣れたくないよー!

 

 

アスナ「貴方…まともに出来そう?」

 

ぐっ…痛いところついてきましたね。流石です。

 

キヒロ「"あの頃"のデートとは訳が違うからな。」

 

アスナ「あんなのデートのうちに入りません。記憶から消去しなさい。」

 

キヒロ「はい。わかりました。」

 

アスナ「はぁ。それで、明後日にしたのね?」

 

キヒロ「流石。よく分かってらっしゃる。」

 

アスナ「一応許嫁だったんですけど?忘れましたか?」

 

忘れてる訳ありませんよ…人生で初めての彼女が許嫁だったのだからな…それはインパクト強かったわ。

 

キヒロ「それで、いいですかね?」

 

アスナ「あくまで私はサポートです。決めるのはあなたということを忘れないように。」

 

キヒロ「わかりました。先生。」

 

アスナ「突き殺されたいのかしら?」

 

キヒロ「んなわけあるか。」

 

こんなやり取りがあり、一日が過ぎていった。まともに俺はデート出来るようになるのか!

 

 

 

 

 




短いですが、区切りがいいのでここまで!
次回はアスナとの回です。
(*´∇`)ノ ではでは~


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誓い

これ結構書きたかったんですが、こういうの初めてでちょっと時間かかりました!

では!どうぞ!


昨日あんな事があって人生初(厳密に言えば初ではないがあれは、記憶から抹消したということにした。)のデートをすることになったのだが…っていうかアスナさんもちゃんと覚えてたんですね。なんかちょっと嬉しいです。

 

キヒロ「って、デートって何すればいいんだ?」

 

アスナ「一緒に出かけるとか?」

 

キヒロ「それいったら今の俺達だって」

 

アスナ「指導です。」

 

キヒロ「はい。すみません。」

 

そんなに俺とデートするのヤダ?

 

アスナ「あとはプレゼントを渡すべきね君は。」

 

キヒロ「ほほう。で、好みとかわかるの?」

 

アスナ「それ言ったら君が選んだことにならないじゃない。」

 

確かにそれはその通りなんだが…まぁ、頑張りますか。

 

アスナ「場所は決めたのかしら?」

 

キヒロ「フローリアにする予定だが?」

 

アスナ「定番すぎるわね…でも、この世界ではそこしかないかもしれないわね。」

 

そこ以外にどこかあったらぜひ知りたいと思ったが、どうやらアスナの脳内にもなさそうだな。って事でやるべき事は一緒に出かけることと、プレゼントを渡すことだな。

 

アスナ「言っときますけどデートは単なるお買い物とはわけが違いますからね?」

 

えっ?違うの?なんか汗出てきた。

 

キヒロ「そ、そうなのか?」

 

アスナ「あなた、もしかしてよく意味もわからず一緒に行こうとか言ったのかしら?」

 

否定出来ない…結構軽く言った記憶しかない。

 

アスナ「はぁ。あのね?女の子にとっては彼氏とのデートはとっても嬉しく、恥ずかしく、楽しい気持ちになるイベントだわ。」

 

キヒロ「俺とのはどう」

 

アスナ「あれはアレです。」

 

キヒロ「はい…」

 

すみません。もう少し勉強しとくべきでした…

 

アスナ「とにかく、女の子にとっては重要な日にもなるという事です!」

 

なんかテンション上がってきてない?怖。

 

アスナ「服装はそれで行くのかしら?」

 

キヒロ「え?だめ?」

 

アスナ「戦闘装備で、デートする人なんてどこにいるんですか!」

 

キヒロ「圏外でたら」

 

アスナ「どこに行く気よ!」

 

キヒロ「フローリア。外も出ようかなと。」

 

アスナ「絶対ダメ!」

 

はっはい。そういえば、明日奈と出かけると言った時も母に言われたな…デートするだけで結構大変だな…

 

アスナ「あそこの店に入りましょう。」

 

キヒロ「服はあるぞ?」

 

アスナ「なら、これで終わりです。」

 

え?

 

アスナ「言ったはずです。あくまで手伝いをするだけだと。」

 

いや確かに言ったけどさ?ここで終わりですか!?

 

アスナ「君はセンスだけはいいほうだと思うわよ。では、また今度。」

 

マジで帰りやがったよ…しっ仕方ない…買い物行くか。

 

 

 

?「あれ?キー君?」

 

キヒロ「え?………ユナ!?」

 

ユナ「久しぶり!何してるの?」

 

救世主、いや、女神が舞い降りた。

 

キヒロ「折り入って頼みがある。」

 

ユナ「なになにー?」

 

キヒロ「その、なんていうかな。」

 

なんか恥ずかしくなってきた…

 

ユナ「ユウキにプレゼントかな?」

 

女の人ってみんなエスパーかなんかですかね!?

 

キヒロ「そうなんだが…」/////

 

ユナ「好みだけなら教えてあげるよ?」

 

キヒロ「十分だ。」

 

ユナ「紫が好きだよ。終わり。」

 

キヒロ「………えっ?………終わり?」

 

しかもそのぐらいは知っていたぞ。俺でも。

 

ユナ「だってこれ以上言っちゃったら私が選んだプレゼントになっちゃうじゃん?」

 

デジャブったな…

 

ユナ「私には?」

 

へ?

 

ユナ「私には?ないの?プレゼント。」

 

えっ、そうきましたか。うーむ…あっこれなんかどうだ?

 

キヒロ「たっく…ほら。」

 

ユナ「え?」

 

キヒロ「要らないのか?」

 

ユナ「ううん。ありがとう。でもこれどこで。」

 

キヒロ「素材集めでドロップした物だ。前からギター欲しいって言ってたしな。」

 

ユナ「ありがとう!あってことは音楽系のスキルなにか上げてるね?」

 

キヒロ「あ、あぁ。それかどうし」

 

ユナ「ユウキに聴かせてあげればいいじゃん!」

 

なるほど。そういうのもありか…

 

 

キヒロ「さんきゅ。また今度な〜」

 

ユナ「うん!また今度ねー!」

 

 

よし。大体やることは決めたし、プレゼントと決めた。後は実行するのみ!ん?今日は9月の1日。明日で、15か。この世界に来てもう2年が経とうとしてるのか。

 

 

 

〜次の日〜

 

 

今は午前9時45分。待ち合わせ時間の15分前だ。アスナに、耳にたんこぶができるほど、(「遅刻は絶対しないこと!」)って言われたから、早く来たぞ!こんだけ早ければ大丈夫なはず。

 

流石に早かったか?

 

最終確認するか。プレゼントある。よし、大丈夫だ。緊張するな、俺。大丈夫だ。落ち着け。ダメだ…全然ダメだ…

 

ユウキ「キヒロー!」

 

全然落ち着けない。こんなに緊張するのか?デートって。世の男性陣は凄いな…

 

ユウキ「キヒロー?」

 

こんなのを毎回経験しなくてはいけないのか?ストレスで死ぬかも…

 

ユウキ「キヒロー!!!」

 

キヒロ「うわっ!あっ、」

 

ユウキ「もう。お待たせ。」

 

え、やっば。

 

ユウキ「どう、かな?」

 

女神は実在した。今俺の前にいるのは紫を基調とし、所々に桔梗の柄があるワンピースを着た美少女。いや、女神がいる。

 

ユウキ「やっぱ、変かな?」

 

ヤバすぎるだろ。何この破壊力。もし二人きりだったら理性が危なかったかもしれない…

 

ユウキ「なんかいってよー。またラグってるの?」

 

キヒロ「えっと、あの、その…」

 

なんて言えばいいのだろう…そんな目で見つめないでくれ。可愛すぎて俺死んじゃう。

 

キヒロ「す、すっごく、綺麗だ…」/////

 

ユウキ「あっ、ありがとう!」/////

 

上目遣い…反則です。

 

ユウキ「にしても、キヒロが照れてるところなんて初めて見たー!」

 

人生最大の失態。

 

キヒロ「っ!い、いくぞ!」

 

ユウキ「ちょっ、待ってよー!」

 

 

キヒロ「そういえば、希望とかあるのか?」

 

ユウキ「うーん、ボクとしては一緒に入れればいいんだけど?」

 

最高だわ。嫁にしていいか?

 

キヒロ「じゃあ、お話でもしてるか。向こうのでも。」

 

ユウキ「い、いいの?」

 

キヒロ「俺は向こうに戻っても、ユウキと出会ってまた思いを告げるよ。」

 

ユウキ「あ、ありがとう…」///////////////

 

そんなに顔真っ赤にしないでください。こっちまで恥ずかしくな…って、結構大胆な事言ったな…我ながら…

 

 

2時間後…

 

ユウキ「結構話したねー!」

 

キヒロ「だな。まさか同い年とはな。」

 

ユウキ「それに関してはボクの方が驚いたよ!てっきり年上かと!」

 

キヒロ「茅場さんとの話のことでか?」

 

ユウキ「うん!…………ん?」

 

キヒロ「どうした?」

 

ユウキ「……ボク、凄いお勉強しなきゃいけないね…」

 

キヒロ「え?なんでだ?」

 

ユウキ「キヒロと、一緒に入れるために。同じ場所とまではいかなくても、そばにいれるほどの学力つけないとね。」

 

キヒロ「そうだな。頑張れよ。わからなかったら教えてやるから。」

 

ユウキ「うん!あっ、そろそろお昼にしようよ!」

 

キヒロ「じゃあ、どっかに食べ」

 

ユウキ「ボクのお弁当があるよ!」

 

これが愛妻弁当…いやまだ妻になってないから違うか…

 

キヒロ「凄いな…食べていいのか?」

 

ユウキ「もちろん!はい、どうぞ!」

 

パク。なんだ、と…これは、あの懐かしの…

 

キヒロ「マヨネーズ、だと…」

 

ユウキ「正解!他にもあるよ!」

 

マジか…スゲーな。

 

キヒロ「これは、醤油!ついに完成させたんだな!」

 

ユウキ「うん!次は…」

 

 

食事ってこんなに楽しいのか。この世界は素晴らしい…

 

 

無事に食べ終わり、現実世界でのことを語りつくした今、夕日がではじめた頃だ。そろそろだな…

 

 

ドックン…ドックン…

 

 

ヤバい…まぁ、当たり前だな。人生最大のイベントが、始まるわけだからな…俺の親父もこの道を通ったのか…

 

 

覚悟を決めよう。

 

 

キヒロ「ユウキ…話があるんだ。」

 

ユウキ「は、はい。」

 

ユウキも俺の雰囲気で悟ったみたいだな。よし。

 

スゥー

 

キヒロ「ユウキ、俺はこれから先、大変なことに巻き込むかもしれない。悲しませたり、怒らせたり、そのようなことがあるかもしれない。」

 

ユウキ「…」

 

キヒロ「でも、俺はそれ以上に、嬉しかったり、楽しかった。そんなことを増やしていくつもりだ。」

 

ユウキ「…うん。」

 

キヒロ「俺はユウキのことが、かけがえのない存在です。そして、必ず幸せにしていくことをここに誓います。なので、」

 

あとは、これを言うだけだ。

 

キヒロ「俺と、"結婚"してれませんか?」

 

ユウキ「っ!はい!喜んで!ボクにとってもキヒロはかけがえのない存在だしね!」

 

キヒロ「なら、交換してくれるか?」

 

スッ

 

ユウキ「こっ、これは。」

 

指輪。それは夫婦になる証としてとても重要なもの。

 

キヒロ「俺にも嵌めてくれ。」

 

ユウキ「うん!」

 

スッ

 

キヒロ「必ず、幸せにします。」

 

ユウキ「よろしくお願いします!」

 

キヒロ「今度は、現実世界で、な?」

 

ユウキ「もちろん!」

 

 

そして俺たちは、誓のキスを交わした。重なる程度のものだが、とても長かった気がした。

 

 

ユウキ「なっ、なんか恥ずかしいね。」//////////

 

キヒロ「そっ、そうだな。」/////

 

 

 

こうして何とか、人生最大の大一番を切り抜けた。デート、上手くいったと言っていいだろう。

 

後は現実世界で!

 

 




読んで思った方もいるでしょう。まだ、結婚してなかったの!?と
はい。してませんでした。って事でほぼ無理矢理ですが笑
(*´∇`)ノ ではでは~


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S級食材

段々終わりが見えてきましたね?
(終わるとは言ってない。)
あっあと、多少原作と取れる場所違います。
では!どうぞ!


昨日めっちゃくちゃ緊張した…はぁ。でも嬉しそうにしてくれたし、俺も楽しかったし、いい日になったな。さてと、攻略に向かいますか!

 

 

アスナ「ユウキ、昨日楽しめてよかったわね。」

 

ユウキ「うん!すっごい楽しかった!」

 

ラン「指輪まで貰っちゃうなんて!あぁ、私にも来ないかしら?」

 

ユウキ「姉ちゃんにもそういう願望あるんだ!」

 

ラン「ユウキ…私だって女の子ですよ?」

 

アスナ「気になってる人とかいるの?」

 

ラン「今のところいないかしら?」

 

ユウキ「見つかるといいね!」

 

 

〜Sideキヒロ〜

 

誰と行こうか。キリトの奴は今日は月夜の黒猫団に顔だしてからって言ってたから多分時間かかるだろー?昨日今日でユウキと一緒に行くのははずかしいし…アスナ誘うか。ちょっと話しておきたいこともあるしな。そうと決まれば早速連絡するか。

 

toアスナ

 

一緒に攻略しないか?場所は71層。

 

キヒロ

 

 

 

ユウキ「でねでね!」

 

ピロン♪

 

(ん?キヒロから?何のようかしら。攻略ね〜昨日今日でユウキがここにいる理由がわかったわ…なんてことしてるのよあなた…たっく…)

 

アスナ「ごめん2人とも。用事できたから抜けるね?」

 

ユウキ「うん!また今度ね!アスナ!」

 

ラン「わかりました。ではまた。」

 

 

(まぁ、丁度いいわ。聞いておきたいことあったし、返信しておきますか。)

 

 

toキヒロ

 

今から行くわ。

 

アスナ

 

 

よかったー。まさか来てくれるとは…心臓バックバクだったぜ。これでヤダとか言われたら泣いちゃうかも…まぁ来るまでしばらく狩ってるか。

 

 

パリィン。

 

パリィン。

 

パリィン。

 

ピロン♪レベルが上がりました。

 

久しぶりに見たな、これ。これでやっと100か。MAX幾つなんだろ?

 

アスナ「お待たせ。」

 

キヒロ「おう。急に済まないな。」

 

アスナ「ほんとよ。全く…」

 

キヒロ「まぁ、取り敢えず狩るか。」

 

アスナ「話しながらでいいかしら?」

 

キヒロ「?あっ、あぁ。構わないが?」

 

アスナ「まずは、おめでとう。」

 

キヒロ「ありがとな。アスナも頑張れよ。」

 

アスナ「ふぅ。これでやっと踏ん切りが付いたわ。」

 

え?

 

アスナ「貴方は違うかもしれないけど、少なくとも私はあの頃、本当に好きでいたわ。いえ、この世界で会った時も…」

 

な…んだと…

 

アスナ「けど、久しぶりに再開だと言うのに貴方は私を見向きもしなかった。あの時私は、私だけが本気だったんだなって、思ったの。」

 

キヒロ「そう…なのか…てっきり嫌われてるのかと…」

 

アスナ「貴方は私から見たら魅力的だったわ。それはいつまで経っても。だから、忘れるために、貴方に冷たくしてたのよ。」

 

マジか…

 

アスナ「でも、一日たりとも忘れることは出来なかった…頑張ってキリト君を好きになろうと思った。いいえ、傍から見たら好きでいたに違いないし、私もそう思ってた…」

 

キヒロ「…」

 

アスナ「でも、でも。でも!それでも、一番は貴方だった!貴方に冷たくしてたのに、それに対して怒りもしなくて、笑って、冗談とか言って私に対して…優しすぎるのよ!」

 

あれは…そういう意味だったのか…

 

アスナ「もう、優しくしないでよ!私、折角…忘れようっていう時に貴方は私の前に現れて、話してくれる…」

 

 

アスナ「まぁ、そんな君だから…好きなんだけどね…」

 

キヒロ「…ごめん。」

 

アスナ「何誤ってるのよ。これは、諦められない私の責任よ。むしろひどい言葉とか使ってごめんなさい。」

 

キヒロ「別に気にしてないよ…俺は、もっと、アスナの気持ちに気づくべきだったな。」

 

アスナ「あなたには無理よ…その体では…」

 

キヒロ「確かにそれはその通りだが…」

 

アスナ「それに気づかれても困るわ。恥ずかしいし…」/////

 

キヒロ「だから、踏ん切りが付いたってことか。」

 

アスナ「そういうことになるわ。ただ、貴方は私に多くのものを与えてきたからすぐ忘れるなんて無理だと思うけど…」

 

キヒロ「そ、そんなにか?」

 

アスナ「デートだって、私にとってはかけがえのない記憶よ。」

 

なんだと…/////

 

アスナ「そういえば、いつ言うの?」

 

キヒロ「あっ、忘れてた。」

 

アスナ「では、今日帰ったら言いましょ?」

 

キヒロ「気まずくならないかな…」

 

アスナ「きっと大丈夫よ。それに私はもう貴方から、身を引くわけだから。」

 

本当に…申し訳ない…明日奈…

 

ドクンッ

 

キヒロ「くっ!」

 

ガクッ!

 

アスナ「ちょ、どうしたの!?」

 

キヒロ「大丈夫だ…ただ…」

 

アスナ「まさか、また使ったの?」

 

キヒロ「あぁ。もしかしたら、あまり、"長くない"かもしれないな…」

 

アスナ「何とかならない?それに体、丈夫だったはずではなかったかしら?」

 

キヒロ「いくら丈夫でも、使い続ければこうなる…それにこの世界で体を動かすために使うのは脳…現実世界で、動かすのとは負担の度合が違いすぎる…」

 

アスナ「…脳に、ダメージが蓄積してるということかしら?」

 

キヒロ「あぁ…この世界をクリアするのが先か、俺が死ぬか…どっちが早いかもう俺にもわからない…」

 

アスナ「あと28位あるのだけれど…」

 

キヒロ「一層あたり2週間として計算したら間に合わないだろうな…」

 

アスナ「そっそんな!」

 

キヒロ「落ち着け。あくまで仮定したに過ぎない。必ずじゃない。それに…あと28層するとは限らないだろ。」

 

アスナ「でも、違ったらどうするの?」

 

キヒロ「いや、もうアイツしかいない。」

 

アスナ「そう…あっ、そういえばノーチラス君なんだけどね?」

 

キヒロ「ノーチラスがどうかしたか?」

 

アスナ「すごい強くなってて驚いたわ…聞いたら貴方が剣術指導してるって言ってたけど。」

 

キヒロ「あぁ。週三ぐらいでな。」

 

アスナ「それなら納得だわ。」

 

キヒロ「あれは、俺に万が一のことがあった時の弟子だ。」

 

アスナ「飛天御剣流の…」

 

キヒロ「こんなところで俺が途切れさせるわけにはいかない…」

 

アスナ「ってもうこんな時間だわ!早く帰りましょ!」

 

キヒロ「あっ、あぁ?」

 

 

キヒロ「ふぅ。」

 

アスナ「そういえばなに狩ってたの?」

 

キヒロ「なにって?ラグーラビットだ。」

 

アスナ「えぇぇ!?」

 

キヒロ「なんか今日めっちゃPOPしてたからそいつら狩りまくってた。」

 

アスナ「ちなみに、何体くらいかしら?」

 

キヒロ「10ぐらいかな?」

 

アスナ「……………」

 

絶句するな。まぁ、確かにこれは全くエンカウントしないことで有名だし、例え見つけても持ち前の敏捷度で逃げられるのがほとんどだし。まぁ、俺からは逃げられませんけどね?(追いかけっこしたら追いついた。)

 

キヒロ「!」

 

キヒロ「アスナ。声出すなよ…(小声)」

 

アスナ「わかった。(小声)」

 

 

おいおいおい。マジかよ…これ巣ですね…ここまで再現してるとか…やりますね茅場さん。

 

取り敢えずピックを4~5本で足りるな。

 

シングルシュート

 

ブス、ブス、ブス、ブス

 

ぴぎゃ!

 

パリィン。

 

キヒロ「よし!」

 

アスナ「1気に4体なんて…幾ら硬直時間が短くたってそんな連発で打てるなんて…」

 

キヒロ「あぁ、これは剣技連携(スキルコネクト)ってやつだな。まぁ勝手に名前つけただけど。」

 

アスナ「スキルコネクトね〜。どうやってるの?」

 

キヒロ「ソードスキルが終わる直前にもう一方で動き始めると硬直がカットされるみたいだな。」

 

アスナ「成程ね。それは使い勝手があっていいわね…」

 

キヒロ「だろ?あっ、ご飯食べていくだろ?てか作ってくれ。」

 

アスナ「え?」

 

キヒロ「まぁ、最後の晩餐的なやつやりたいんだよ。クラインとエギルも呼んでさ。」

 

アスナ「貴方がいいなら行くけど。」

 

キヒロ「よし。じゃ決定だな…足りるよな?」

 

アスナ「通りで、ラグー狩りやってるわけね…大丈夫よ。きっと足りるわ。足りなかったら他のも作るから。」

 

キヒロ「それは助かるよ。さんきゅ。」

 

 

こうして、最後の晩餐が始まろうとしていた。

 

果たしてこれが本当に最後になってしまうのか…




書ききれなかった…
これからは大体3000位を切れ目として投稿していく予定でーす!
アスナさんのこの気持ちはずっと前からの構想段階で温めていたやつです。笑
(*´∇`)ノ ではでは~


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晩餐会

今回久しぶりにあいつが出ます!

遅れましたが、

では!どうぞ!


咄嗟に言ってしまったけれど…とてつもなく恥ずかしい…彼にはあのように言ったけれどまだ気持ちの整理はついていない。すぐにつくわけないのだけれど。でもユウキの邪魔したくないし…恋するのも、楽じゃないわね…

 

 

キヒロ「ただいま。」

 

ユウキ「あっ!お帰り!キヒロ!」

 

キヒロ「ユウキ、今日は客が来るからな。食事多めで頼む。」

 

ユウキ「あいあいさー!って何人くらい来るの?」

 

キヒロ「ギルメンとキリトアスナ、クラインエギルだ。」

 

ユウキ「おっけー!食材足りるかな…」

 

キヒロ「これ使ってくれ。」

 

ポン

 

ユウキ「こっ、こここここれって!」

 

アスナ「ラグーラビットのお肉よ。」

 

キヒロ「遅かったな。」

 

ユウキ「アスナ〜ボク1人じゃちょっと大変だから手伝って〜!」

 

アスナ「はいはい。」クスッ

 

心が痛むな…別に悪いことした訳じゃないのに、なぁ。

 

クラインエギル「「きたぞー!」」

 

キヒロ「随分と早いな…」

 

キリト「久しぶりだな。」

 

ジュンテッチタルケン「「「お邪魔しマース!」」」

 

キヒロ「お前らは結構な頻度で来てるだろ…」

 

ラン「お誘いありがとうございます。キヒロさん。」

 

シウネー「少し意外でしたけど。」笑

 

ノリ「そうだね!」

 

キヒロ「どういう意味だ…」

 

ユウキ「はーいみんなー!席についてー!」

 

クライン「おっ!出来たのか!」

 

アスナ「はい。」

 

エギル「お、おいこれって…」

 

キリト「ららららら…ラグーラビットーー!?」

 

ギルメン「…………」

 

クライン「どっどうしてこんなに…」

 

キヒロ「今日狩りしてたら結構取れた。」

 

キリト「そんな軽く言ってるレベルじゃないぞこれ!」

 

エギル「……ホントにいいのか?」

 

キヒロ「俺はお前らだから呼んだんだ。遠慮せず食べてくれ。」

 

ユウキ「にしても凄いねー!10匹位いきなり出てきたからびっくりしたよー!」

 

アスナ「まさか本当だったとわ…」

 

え?疑ってたんですか?泣いちゃいそうです…

 

エギル「今度店に来た時安くしとくぜ!」

 

ギルメン「ありがとうございます(ありー!)」

 

キヒロ「よし、じゃー揃ったことだし。」

 

みんな「いただきます!」

 

こうして"俺の中"での最後の晩餐が始まった。どいつもこいつも幸せそうに食べてるな…アスナなんか生きてて良かったって言ってるし…クラインとジュンってあんなに仲良かったっけ?てか酔ってね?エギルとテッチも仲いいな。似たもの同士ってやつか。女性陣は固まってガールズトーク始めたし、てかまだ食ってるんかよ、男性陣たちよ。あまり食いすぎるとデザート入らないと思うんだが…あっ、この世界にそういうのってあるのか?

 

俺はつくづく思う。人に恵まれてると。変なやつも中にはいるが根は優しく、とても頼りになるやつばかりだ。そのお礼に少しでもなったかな?人生で初めてかもしれないな。ここまで人と親密な関係になるとは。帰ったら驚かれそうだな。あの俺がコミュニケーションを取るようになったと。いや前からとってはいたが、なんというか、事務的みたいだったらしい。改めて思う。

 

ネットすげー!

 

 

アスナ「キヒロ君、ちょっといいかしら?」

 

呼ばれるがままについて行く。少しみんなから離れたところで彼女は話し始めた。

 

アスナ「いつ、どのタイミングで言うつもり?」

 

やっぱそれ聞いてくるよな…

 

キヒロ「正直言うべきかなのかすら、迷っている…」

 

アスナ「私も、少し躊躇している。気持ちがまだ、整理ついてないというのが正しいのだと思うけど…」

 

キヒロ「そう簡単に人の気持ちは変わらないだろ。」

 

ユウキ「なんの話?」

 

マズイナ…このタイミングでユウキが来るとは…想定外だな…

 

ユウキ「まぁ、言わなくてもわかるけどね…」

 

こわ…

 

アスナ「ユウキ…」

 

ユウキ「アスナ…ボクは別に怒ってるわけじゃないよ?」

 

アスナ「え?」

 

ユウキ「自分の彼氏がモテるのは悪い気しないし。でもね?」

 

アスナ「大丈夫よ。身を引くつもりだから。」

 

ユウキ「ううん。その点に関してはボクと正々堂々戦ってほしいの。」

 

アスナ「ユウキ?」

 

ユウキ「言っとくけど簡単にキヒロは渡さないよ。」

 

怖すぎ…でも不思議と悪い気はしない。

 

アスナ「あっ、ありがとう。では許可も出たことだし、暫くはそういうことだから。キヒロ君。」

 

ダキッ

 

キヒロ「ちょっ!」

 

アスナさんの2つの富士山が俺の腕に当たってるとか…なんという至高!あっ、殺されるかも…

 

ユウキ「いきなりとはやるね、アスナも…ならボクも!」

 

ダキッ

 

ほほう。この慎ましやかな感じがまたいい…ただの変態じゃないか俺…

 

 

ユウキ「いよいよ、終わりが見えてきたね…」

 

アスナ「そうね…」

 

ユウキ「2人ともさ、現実世界での名前を教えてよ。」

 

アスナ「えっ、そんな急に…」

 

キヒロ「俺は無理だ。」

 

ユウキ「な、なんで?」

 

キヒロ「……今はの話さ。どこで聞かれてるかもわからない…」

 

ユウキ「あっ、そういうこと!びっくりしたよー!」

 

キヒロ「驚かせて済まないな。」

 

彼は…教える気がない…感じだわね。

 

当たり前かもしれない。

 

先の短い自分がいたとして、

 

私だったら教えるかしら?

 

いえ、

 

そんなことは決してない。

 

彼なら尚更。

 

寧ろ忘れさせるためのことをするかもしれない。

 

決して自分を追いかけてこないように…

 

悲しい思いをさせないために。

 

彼はそういう人だから。

 

 

 

最近体が悲鳴をあげてるのがわかる…

 

これ以上耐えられないとそう言っている気がする…

 

無理もない。

 

重い病気を患っているにも関わらず、

 

体を酷使している自分がいる…

 

当然拒絶反応が起こる。

 

だが、

 

どうせ短い命。

 

なら最後まで、

 

大切な者の為に、

 

精一杯この命を、

 

使わせてもらおうではないか。

 

 

 

2人は何か隠し事をしている。

 

それは間違いない。

 

今日だって恐らく、

 

アスナはキヒロと会っていた。

 

決してキヒロを疑ってるわけじゃない。

 

と言うより現実世界で知り合いの、

 

アスナにしか言えない。

 

そういうことがあるんだろうな。

 

ボクを信頼してないわけじゃないとおもう。

 

キヒロもそう言ってたし。

 

なら、なぜ言えないのか。

 

答えは単純…

 

ボクを悲しませないため…

 

なら、どういうことか。

 

それは、

 

例え現実世界に帰っても…

 

会えないということなんかな?

 

教えることが出来ないってことは、

 

自分の場所を知られたくないってことだと思う。

 

ボクが、何かあった時追いかけてこないようにするために。

 

助けに行かないようにするために。

 

たとえそれで死ぬことになっても、

 

キヒロはボクを呼ばない。

 

ボクに死ぬ姿を見せないため。

 

でもボクは最後の瞬間まで、

 

例えどんな事があっても。

 

一緒に生きていきたい…

 

これがボクの唯一の希望なのに…

 

 

 

師匠は最近泣き言を結構言う。

 

死にたくないと…

 

俺には何のことかはわからない。

 

ただ独り言のように呟いたあと、

 

何事も無かったかのように、

 

稽古を再開する。

 

でも決まってその後の稽古は、かなり厳しくなる。

 

まるで時間が無いみたいな…

 

そんな鬼気迫った感じで…

 

一時期は恨んだ時もあった。

 

ユナを犠牲にしたことに、

 

激しい怒りを覚えていた。

 

だか、数日しないうちに彼女と再開した。

 

ユナに聞かされたのは、

 

俺のFNCを克服するために、わざとああいうことをしたのだということを…

 

あの人は何故、

 

自分を大事にしないのだろう…

 

もう少し感じるべきだ。

 

自分を大切にすることの意味を…

 

 

 

あいつには結構はぐらかされることがある…

 

まぁ、そんなことは別に気にしてない。

 

ただ、

 

ある動きというより身体的なリミットを解放したような時の後は、

 

決まって倒れる。

 

体に多くの負荷がかかっているに違いない。

 

あいつはどんな時でも仲間の命優先で、

 

自分の命はまるで紙切れであるかのように。

 

何のためらいもなく酷使していく。

 

正直みてられない…

 

それに、ここ最近の話だが。

 

HPが減った訳では無いのに、この世界から、

 

退場するものが出てきたと聞く。

 

詰まるところ、死んだということだ。

 

それがあいつに来ないとは限らない…

 

一刻でも早く…

 

クリアしなければ…

 

俺達が現実世界で会うことは…無くなる…

 

 

キリト アスナ ノーチラス ユウキ

(俺が(私が)(ボクが)キヒロを(師匠を)助けなくては。)

 

 

 

キヒロ「俺が、みんなを必ずあっちに返す…」

 

 

願うことはただ1つ…

 

 

 

生きて…(必ず返すぞ…)

 

 

 

(俺の命に変えても…)

 

 

キヒロ…(みんな…)

 

 




なんかちょっとシリアスな感じになってしまいました…

てかこれからはそういう展開が増えそう…

どうなっちゃうのかなー?

私もよくわかりません!
(*´∇`)ノ ではでは~


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クラディール

題名からしてみんな大好き(逆)クラディール君の登場です!笑
では!どうぞ!


今の最前線は第74層。遂にここまで来た。今のところ俺の体は大丈夫そうだな。このペースでいけばなんとか持ちそうだ。さてと、今日はユウキと一緒に攻略しに行く日だ。本当なら二人でいく予定だったのだがアスナも来るということで少し不機嫌なユウキさん…怖いです…

 

ユウキ「アスナ呼んだの…?」

 

キヒロ「いや?明日私も行くからとしかきてないぞ?俺は何も知らん。」

 

ユウキ「まっいっか。」

 

怖いです…

 

シュゥワアァン。

 

なんか飛んで来たぞ…

 

アスナ「どっどいてー!」

 

たっく…危ないから受け止めてやるか…

 

キヒロ「よっと。」

 

俺はこの時失態を犯したことに気づいた、いや気づいてしまった…まだユウキにすらしていない"お姫様抱っこ"をしてしまったのだ。なんということだ…隣から黒いオーラを感じる…

 

ユウキ「きーひーろー?」

 

アスナ「あっありがとう、キヒロ君。」/////

 

天使が堕天使になりそうだ…アスナ照れないでくれ、反応に困る…

 

ユウキ「後でボクにもしてよね!」

 

必ずします。てかさせてください!

 

ユウキ「きっ聞こえてるよ!」/////

 

これは、両手に花という状況だな。待てそれのちのちやばい事に…

 

?「アスナ様。さぁ、本部に戻りましょう。」

 

いずれ一人選ばなければいけないってもう決めたことだろ俺!

 

アスナ「なっなんであなた朝から私の家の前にいるのよ!」

 

ん?今聞いてはいけないことが聞こえたような?

 

?「私の仕事はアスナ様も護衛です。それは家の監視も含まれるかと…」

 

いやいや、ただの変態じゃないか…てかストーカー?犯罪だな…

 

アスナ「ふっ含まれないわよ!」

 

?「さぁ、本部に戻りましょう。」

 

なんと強情なやつだ…

 

キヒロ「悪いな。お前のところの副団長さんは今日は俺が借りてるんでな。」

 

?「なっ!」

 

アスナ「キヒロ君。」/////

 

少しやりすぎた…殺気が凄い…

 

キヒロ「てなわけで帰っていいぞ?安心しろ。護衛はちゃんとするから。」

 

?「キッ貴様のような雑魚プレイヤーにアスナ様の護衛が務まるものか!」

 

こいつ俺を知らないの?そこそこ有名なつもりだったんだが…いやそうでもないみたいだ。周りの奴らはそれ相応の反応してるしな。

 

アスナ「貴方より全然役に立ちますわ。クラディール。」

 

クラディール「そんな訳ありません!私の方が務まるに決まってる!貴様!私と勝負だ!」

 

めんどくさいけど、これは仕方ないな…はぁ。気分ガタ落ちだぜ…

 

キヒロ「啖呵切ったからにはそれ相応の実力があるんだよな?」

 

クラディール「貴様よりはあるわ!」

 

あっさいですか。じゃー申請を受けてっと。

 

カウントが始まって5秒経過。相変わらず長いな…えぇと、武器は両手剣か。あっ、もう雰囲気でわかる…刀抜くまでもないな…

 

向こうが先に出たか。あの構えはアバラッシュだっけ?確か両手剣の中でもそこそこ強いやつだったかな?

 

何勝ち誇ったような顔してんだこいつ…軌道は丸見えだし、遅いし。

 

やっぱ抜く価値無かったな…

 

振り下ろしてきた"手"を俺は下から上に思い切り振り上げ、武器ごと吹っ飛ばす。案の定武器は飛び敵は丸腰でしかも硬直モード…蹴りで充分…

 

ドカッ!

 

あっやっべ、飛ばしすぎた…まぁ少し雑魚呼ばわりされてムカついたから丁度いいや…

 

クラディール「くっ、きっ貴様!何をした!」

 

キヒロ「武器を飛ばして蹴っただけだが?」

 

クラディール「そんなことできるわけないだろ!」

 

キヒロ「お前みたいのを"井の中の蛙"って言うんだな…哀れで可哀想だなお前…」

 

クラディール「なっなんだと!」

 

キヒロ「言っとくけど何回やっても同じだ。お前は俺に勝てないよ…雑魚があまり調子に乗るな…」

 

クラディール「なっなんだと!貴様より遥かに」

 

アスナ「クラディール、今日で貴方の護衛役は解任します。指示が出るまで本部にて待機。これは命令です。」

 

どんだけ嫌だったんだよ…

 

クラディール「くっ…転移、アルゲード…」

 

ふぅ。やっと終わったな…これから攻略だってのに体力持つかな…

 

アスナ「さてと、行きましょ!キヒロ君。」

 

富士山やばいわ。

 

ユウキ「キヒロ〜!何デレデレしてるのー!」

 

キヒロ「いや決してそんなことは!早く行くぞ!」

 

ユウキ アスナ「「まっまちなさーい!」」

 

全力で行こ…

 




短いですが区切りがいいのでここまで!
(*´∇`)ノ ではでは~


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隻眼の悪魔

はっはっはっー!(急にどした…)
ついにここまで来たぜ!これもみなさんが読んでいてくれるおかげです!ありがとうございます!
では!どうぞ!


なんとかデュエルに勝ち俺は今逃げている。2人の女性プレイヤーから…ユウキ顔すっごい怖いし、アスナなんかしてやったり感があってなんかむかつく…とまぁ取り敢えず迷宮区に着いたし攻略始めますか!

 

 

アスナ「はぁぁ!!」

 

はへー、相変わらず正確な剣だなぁ〜ユウキはマジで早いけど…なんて言うかもう怒りをぶつけてる感が凄い。こっち向いたら一緒に切られそう…

 

アスナ「キヒロ君、スイッチいくよ!」

 

キヒロ「あっ、あぁ。」

 

マジでそれ実は細剣じゃないだろ…

まぁ取り敢えず倒しておくか。

 

パリィん…

 

アスナ「お疲れ様。」

 

ユウキ「キヒロー!なんでボクには手伝ってくれないのさ!」

 

いやいらなかったでしょ…自分で倒しきってたじゃん…

 

キヒロ「じゃあ次はユウキな?」

 

ユウキ「うん!それでよし!」

 

アスナ「ちょっ何勝手に決めてるのよ!」

 

女ってこわすぎる…

 

先行っとこ。

 

アスナ ユウキ「「まっまってーー!!!」」

 

待つわけ…

 

ておおっと!!

 

ユウキ「はぁはぁはぁ。」

 

アスナ「はぁはぁ、何本気で走ってるのよ!」

 

キヒロ「そんなことよりこれ…」

 

ユウキ「ボス部屋だよね…これ…」

 

アスナ「どうする?覗く?」

 

キヒロ「どういうやつか知らないと対策の立てようも無いしな。一応転移結晶準備な。」

 

よし。じゃあ、開けるか…

 

グ、グゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

キヒロ「おい…アレなのか?」

 

アスナ「…」

 

ユウキ「い、い、い、いやぁぁぁぁああああ!!!」

 

キヒロ「ちょっ!ユウキ!」

 

なんつー速さだ!逃げ足速!ってアスナもはえー!抜かれたんだけど!

 

なんとか安全地帯に着いた頃には、息が上がってた。どんだけ全力だったんだ…

 

キヒロ「にしても速かったな〜ユウキ。」

 

ユウキ「なっ!しっ仕方ないし!」/////

 

アスナ「私も久しぶりにあんなに走ったわ…」

 

ここ最近いや、始まって最速じゃね?

 

キヒロ「まぁ、パッと見武器は大型剣1つだが特殊攻撃はありそうだな。」

 

ユウキ「盾装備が十人は欲しいねー!」

 

シュゥワアァン

 

キヒロ「あれは、キリトとクライン?」

 

アスナ「そういえばなんでキリト君は盾使ってないのかしら?」

 

あっこれはヤバイ…

 

アスナ「片手剣最大のメリットでもあるのに…ユウキ、も、ねー?」

 

ユウキ「うーん。動きづらいからだね、ボクの場合は!」

 

とまぁ雑談してたら、何故かうちのギルドとキリト、クライン率いる風林火山のメンバーがこっちにやってきた。珍しい組み合わせだな…

 

キリト「よっ、久しぶり。」

 

キヒロ「久しぶりだな。にしてもソロのお前がクライン達といるとは。」

 

クライン「偶然会ってよー、入れさせたんだ。」

 

キヒロ「まぁ人はいるほうがいいだろ。」

 

アスナ「そうね。70層を超えたあたりからモンスターのアゴリズムにイレギュラー性が増した気がするし…」

 

クライン「そうといえばお前らどこまでマッピングした?」

 

ユウキ「ボス部屋前までだよー!」

 

キリト「…覗いてきたのか?」

 

キヒロ「まぁな。」

 

てな感じの流れで聞かれたんで答えてたらある連中が来た。"軍"だ。第50層ボス戦において大打撃を受けてからボス攻略には全く出てこなかった連中だ。今更何を…

 

?「私はアインクラッド解放軍、コーバッツ中佐だ。」

 

軍って周りが勝手に呼んでいたやつじゃなかったの!?しかも中佐とか。どこまであるんだろ…

 

コーバッツ「君たちはこの先までマッピングしているのか?」

 

キヒロ「あぁ。」

 

コーバッツ「ならそれを提供してもらおう。」

 

ここまでの奴は初めてだな。俺はマップデータで商売することは無いが、流石に腹立つな…なんか言ってやろう

 

クライン「て、てめぇ!マッピングする苦労がわかって言ってるのか!」

 

先に言われた…まぁ、マッピングするのは確かに楽じゃない。生半可な気持ちでは絶対無理だし、このデータはそこそこな額で取引されることもあるのだ。それをこの男はさも当然のように言ってきたのだからクラインの反応が普通だ。だが、ここにはかなりのお人好しがいるんでな…

 

キリト「キヒロ、金には困ってないだろ?」

 

やっぱりきたよ…はいはい。提供しますよ、そんな顔で見るなよ…

 

キヒロ「はぁ、まぁどうせ街に帰ったら公開するつもりだったものだ。あんたらにもやるよ。」

 

コーバッツ「うむ。協力感謝する。」

 

その感謝の気持ちを感じれんのだが…まっいっか!

 

 

キリト「なぁ、一応様子見に行かないか?」

 

ここまでくると最早重症レベルのお人好しなんだが…尊敬しちまうぜ。あのー皆さんそんな目で見てあげないでくださいね?これは彼なりの罪滅ぼしなんですよ?

 

 

ラン「では、様子見に行きますか。」

 

ギルメン「おぉー!!」

 

なんで君たちそんなにやる気なの!?

 

てか進んでも進んでも会わねーなー。もう転移結晶で帰ったとか?それかまだ奥まで行ってるとしたらボス部屋しかないんだけど…

 

ユウキ「ねぇ、キヒロ。流石に行ってないよね…」

 

キヒロ「さぁ。あいつらと言うよりコーバッツさんは尋常じゃ無かったからな…突入してるかもしれない…」

 

ギヤァァァァァ!!!

 

うっそだろ…本当に突入したんかよ!

 

キヒロ「いくぞ!お前ら!」

 

っと、来れたのはキリト、アスナとスリーピングナイツのみんなか。クライン達はエンカウントしちまったみたいだな。

 

おいおいおいおいおい!

 

人…

 

1人、

 

足りないぞ…

 

脱出出来たならいいが…

 

キリト「おいお前ら!早く転移しろ!」

 

軍「だっだめだ!転移結晶が使えない!」

 

結晶無効化空間、ってやつか!確かキリトが、月夜の黒猫団に入ってすぐ起きた事件の場所もそうだったな。回復結晶も使えないんだっけ?致命的だな…え?ちょっアスナさん?あっやばい…

 

アスナ「だめぇぇぇぇぇぇええええ!!!!」

 

行っちまったよ…おっクラインも来たか。なら行けるかな?

 

キヒロ「行くぞ!」

 

ユウキ「わかった!」

 

クライン「どうとでもなりやがれ!」

 

キヒロ「キリト!"あれ"使え!」

 

キリト「!わかった!」

 

あーあ。折角ここまで育てたのになぁ…"消さなきゃ使えない"とか、どんな鬼畜設定だよ…

 

 

刀スキルを削除しますか?

 

 

はい

 

 

削除されました。

 

 

 

まっ、人命かかってるから仕方ないな。

 

 

あっやば!アスナが吹っ飛ばされた!

 

キヒロ「キリト!頼む!」

 

キリト「うぉぉぉぉおおお!!!」

 

めっちゃ重そう!何あれ!やば!

 

筋力値振りのキリトが押されてるところ初めて見たわ…やっぱり消しといてよかったわ…

 

キヒロ「キリト!スイッチ!あと準備!ラン!指示頼む!」

 

キリト ラン「「了解!」」

 

キリト「スイッチ!」

 

ラン「風林火山の人達は軍の人達のhelpを!」

 

さぁ、ここからは俺達のターンだ…

 

 

リミッター解除…

 

70%…

 

 

村正

 

武器スキル解放

 

与 毒・火傷

 

シャラァァァン…

 

村雨

 

武器スキル解放

 

与 麻痺・出血

 

キヒロ「はぁぁぁあああ!!!」

 

右から左へ。上から下。左斜めから右斜め下へ。とにかく斬りまくった。デバフを与えまくった。

 

 

ユニークスキル

 

手裏剣術

 

 

千剣時雨

 

 

STR低下・VIT低下・AGI低下

 

そして…

 

視力低下…

 

 

こんだけデバフくっつければキリトの攻撃も通るな。俺の役目はここまでだ…少し疲れた。

 

ユウキ「キヒロ!」

 

ドサッ

 

キリト「さんきゅ、キヒロ。」

 

キリト「うぉぉぉぉおおお!!!」

 

ザクッ!

 

ぐきょぉおおおお!!!

 

ガッン!

 

キリト「スターバースト…ストリーム!!」

 

 

 

キリト「うぉぉぉぉおおお!!!

 

 

ぜぇぇぇぁぁぁぁああああ!!!」

 

パリィん…

 

(終わったのか…)

 

クライン「おっおい!きりの字!」

 

 

こうして第74層攻略は終わった。

 

 




ふぅあああ!!
やっと出せたー!ユニークスキル!
はっはっはー!
あと2、3話で終わるかと思ったら終わりそうにありません!笑
次こそ!なるべく早めに出したいと思いますのでこれからもよろしくです!
(*´∇`)ノ ではでは~


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MHCP YUI

これは結構オリジナルかな?

あっ、あと少し文章の書き方を変えました!

では!どうぞ!


キリト「はっ!」

 

(俺はどうやら気絶してたらしい。何故かランが抱きついてきてるが…?どういうことだ?)

 

ラン「心配させないでください!キリトさん!」

 

キリト「あっ、あぁ。すまない。どのくらい時間たった?」

 

ラン「ほんの数秒です。」

 

クライン「コーバッツ含め、3人死んだ。あのバカヤロー…」

 

(そうか。死んだのか。被害者を出すなんて63層以来だな…だが、急に始まった割には生き残った方だな。!あっ、あいつは!)

 

キリト「き、キヒロは!?」

 

アスナ「まだ目を覚ましてないわ。時期に目を覚ますでしょう。」

 

(嘘ついてごめんなさい…恐らくそんなすぐには…)

 

 

《重たい空気が漂う。精神的な疲労が今回はかなりあった。そんな中それを吹っ切るようにある男が質問する。》

 

 

クライン「それよりおめぇー、なんだよさっきのスキルは!」

 

(ぐっ、やっぱり聞かれるか…軍もいるしあんま言いたくはないんだが…腹を括るか。)

 

キリト「エクストラスキルだよ。二刀流。」

 

《その瞬間、まるで救世主が現れたというようなどよめきが起きた。まぁそれもそのはず、先程の猛攻を見ていたのだから。》

 

クライン「情報屋のスキルリストにもねぇ。ってことはお前専用のスキルか!」

 

キリト「先に言っておくが、出現条件はわからない。」

 

クライン「そっか。だから言わなかったいや、言えなかったんだな。」

 

《ネットゲーマーは嫉妬深い奴が多い。というよりもこの世の中もモノは自分より優れている、もしくは優れている物を見ると嫉妬するものだ。それはどんな人にも起こりうるもの。仮想世界だろうが現実世界だろうがやはり根本的なものは変わらないのである。》

 

(ランどうしたんだ?もう大丈夫だと言うのに。)

 

クライン「まっ、修行の一つだと思って頑張りたまえ少年!」

 

(何言ってんだこいつ。)

 

クライン「アクティベートは俺達がしとくからよ。」

 

キリト「助かるよ。」

 

(クライン達と軍が行ったあと、俺達は雑談をしていた。していたというよりそうして、時間を潰していたという感覚だ。理由は簡単、キヒロが目を覚まさない為である。あれから既に1時間近く経つ。ユウキは離れないし、スリーピングナイツの皆も表情が暗い。仕方ないと思う。)

 

キヒロ「っん。」

 

ユウキ「きっ、キヒロ!!!」

 

キヒロ「ゆ、ユウキか。悪い、心配させてしまって。帰るか。」

 

《キヒロが目覚め彼らは自分たちのホームへと向かって歩き出すはずが、何故か全員キヒロとユウキの家に行くことになった。2人の家は第22層にあるログハウスだ。ちなみに近くにあるもう一つの家にはランが住んでいる。》

 

キヒロ「ふぅー、やっぱり家は落ち着くなって思ったが今回に限ってはすげー賑やかだな。」

 

《彼は苦笑いを浮かべる。だが、周りのみんなは気が気でなかった。いつ倒れるか予想がつかない訳でもない。決まってボス攻略の後。だとしても不安なものは不安なのだ。言葉で言っても気持ち的に落ち着かなくなるのが人と言うものだ。勿論彼もそのことについては理解している。彼らの対応にありがたく思ってるし、それを無下にできないとも感じている。それなのに苦笑いする理由とは、》

 

俺はもう…そんなに長くないな…

 

《彼は薄々感じていたのである。もし、"頼んでいたものができなかったら"死ぬことを。だからこその苦笑いである。死ぬところを見られたくない、見せたくないという思いが彼の中にはある。だが、それに気づいている者もいる。長年の付き合いがあるアスナだ。彼女はキヒロの身体のことについてもほとんど知っている。どんな病気なのかとかそういう事も…その時、ある人物が訪ねてきた。》

 

キヒロ「ユウキ、開けてやれ。」

 

ユウキ「う、うん。」

 

ガチャ…

 

?「はじめまして。」

 

ガタッ!

 

《勢いよく椅子から飛び跳ねたのはキヒロである。彼は彼女にはもう二度と会えないと思っていた。カーディナルシステムによって制御されてる彼女にはこの世界ですら触れることも出来ないのだと。だが、こうして目の前にいるということは頼んでいたものが"できた"ということだ。約2年ぶりの再開に心が高揚していると見ていいだろう。》

 

?「私の名前はメンタルヘルスカウンセリングプログラム、略称MHCP、Codename、YUIです。」

 

ユウキ「へ?」

 

皆「へ?」

 

見事にハモったな…まぁとにかくこれで俺は"助かる"。

 

キヒロ「久しぶりだな。ユイ…」

 

ユイ「はい。父上。」

 

クライン「ち、父上ーー!!!?」

 

アスナ ユウキ「「え!?」」

 

キヒロ「紹介はさっき聞いたな?これは俺がカーディナルシステムを、作る時に一緒に作ったって、言ったろ?それがこいつだ。」

 

キリト「幼女が好きなのか…」

 

キヒロ「一応言っとくが他にもいるぞ?っと、それなら他の子も紹介しよう。ユイ、他の子はどうした?」

 

ユイ「他のAIは"アレ"を作る過程において、エラーが蓄積し、消滅したというところです。」

 

そうか。俺が殺したのか。自分が生き残りたいと思うばかりに…

 

キリト「なるほど…」

 

キヒロ「あっ、そ、そうだ。できたのか?」

 

ユイ「はい。完成しました。これで父上は"生き残る"ことができます。」

 

《そのワードにいち早く食いついたのがアスナであった。ユウキはというとなんで?という表情だ。他の皆も同様の表情である。そもそも生き残るには勝ち続けるしかないこの世界においてそのワードが出てくること自体おかしい。皆もそう感じていた。》

 

アスナ「本当!?ユイちゃん!」

 

ユイ「はい。"この世界"があれば、父上は生き残ることができます。」

 

《疑問を抱くものが多いだろ。この世界というのは言うまでもなくほかの仮想世界のことでしかない。だが、ログアウト不可能なこの状況で移動なんてできない。皆不思議そうな表情が崩れない。》

 

キヒロ「っと、皆疑問そうな顔してるから言うな?

 

俺が、倒れてる原因としてあるのが脳へのダメージが大きいからだ。」

 

キリト「なっ!」

 

キヒロ「そこで修復しないとたとえ現実世界に帰っても社会復帰が難しいという結論に至った。というより、十中八九死ぬだろう。」

 

ユウキ「だっだから、ボクに名前を…」

 

キヒロ「そういう事だ。そこで俺は考えた結果、生き残るには仮想世界にて、脳の欠損部分を修復するしかないと。」

 

ユイ「そこで私たちにお願いして来たのです。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ユイ「父上を助けるにはこれしかありません!手を貸してください!」

 

?「我が主を助けるにはそれしかないというのなら、何とかやってみよう。ただし、儂1人ではとても出来んのでな。君たちにも手伝って欲しい…」

 

ユイ「勿論です!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ユイ「こうして私達は"新たな世界"を作成し始めました。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

?「制御しながらのこの作業は楽ではないな。2!それをこっちに!」

 

2「はっはい!」

 

?「時間が無い!儂たちを作ってくれた主を救うのだ!」

 

皆「「「はい!」」」

 

(儂はこの世界にいる、AIを集めプログラム作成をした。今までと同じでは主は時間が足りず死んでしまう。そこで考えたのが"時間を加速する"ということである。現実世界に合わせていたら間に合わない。だから時間が進む"スピード"を格段に上げ時間軸を変えたのだ。それが結果的に多くのAIを消滅させることになる。そしてついに完成した世界の名が…)

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ユイ「このようなことがあり、ついに完成しました。主に動いていたのは"カーディナル"です。彼女の働きがなければ完成しなかったでしょう。」

 

キリト「カーディナル!?まさかシステムに感情持たせていたのか!?」

 

 

 

キヒロ「何かと楽かと思ってな。っと言うよりも高度なAIだと言った方が正しいか?」

 

 

 

ユイ「そうして出来た仮想世界の名は…

 

 

"アルマトラン"です。

 

この世界があれば父上は助かります。」

 

 

《皆驚愕していた。無理もない。一人の少年が作ったAIが、ここまで進化していることに驚きを隠せるわけがなかった。そしてアスナを除いた皆が内心思っていたことは…

 

 

何者なんだ?ということだろう…

 

それに関しては後ほど明らかになる…》

 

 




ユイちゃん原作とは少し(かなり?)性格違いますがそれはご了承ください!

そしてついに(というより2つ目)マギネタ出ました!1つ目もこっそり出てるんですがわかったでしょうか?笑

結構最近出てきましたよー!

次もなるべく早く出します!

(*´∇`)ノ ではでは~



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黒と紅の剣舞

前回投稿から2週間空いてしまい申し訳ありませんでしたー!
(ダイビング土下座)

では!どうぞ!


キリト「とっとにかく、その世界があれば助かるんだな?」

 

キヒロ「これでダメだったら困るがな。」

 

クライン「にっしてもすげーな!おめぇさんはよ!」

 

こんなに祝福してくれるとは…改めて思う。俺は人に恵まれたと…

 

《アイコンタクトで聞かれる。相手はもちろん…》

 

(本当に大丈夫なの?)

 

《アスナだ。だがキヒロはまだ言ってないことがひとつある。それは、決してこの世界に飛んだからと言って"病"が治る訳ではないということだ。この世界で可能なのはあくまで失った脳の修復のみ…事情を知っているアスナからすれば不安でたまらないのだ。だが、彼はきっとこう答えるだろう。「何も心配ない」と》

 

(何も心配ないさ、アスナ。)

 

(そう。)

 

この時実は知らぬ間に、予想以上にことは大きくなっていたのである。

 

 

 

翌日

 

《キリトは根城に居られなくなった。理由は二刀流スキルのことが新聞に載ってしまい、朝から剣士だの情報屋だのが押し寄せてきたのだ。だから彼は仕方なく、エギルの店に避難してきているわけである。さらにほかの場面でも同時に、事は進んでいた。》

 

エギル「がっはっは!これは大きく出たな!」

 

キリト「盛りすぎだっつの…」

 

キヒロ「ボスを単独撃破した二刀流スキル!50連撃、だって!ぷっ、ぶははははは!!!錯覚にも程があるだろ!笑」

 

キリト「なんでお前の事書いてないんだ!?」

 

キヒロ「単に俺のよりキリトの方が凄かったからだろ。」

 

キリト「お前のあのスキルも化け物だろ!」

 

タタタタッ

 

ん?誰かきた…

 

アスナかな?

 

バタン!

 

《勢いよく扉を開けて入ってきたのは、血盟騎士団副団長であるアスナだ。相当急いでいたらしい。この世界では呼吸を必要としないが、一定の値を超えると、疲労というデバフがかかる。これはあくまで裏設定での事なので余程のことが無い限りボス戦でも出ない…だが出たということは…それ相応のことが絡んできたという事だろう…》

 

キヒロ「何があった…」

 

アスナ「たっ大変なことになっちゃった…」

 

 

 

〜血盟騎士団本部〜

 

ヒースクリフ「久しいな、キヒロくん達。」

 

キヒロ「どもっ、で、要件とやらは?」

 

ヒースクリフ「ん?アスナ君から聞いてないのかい?」

 

キヒロ「なにも?」

 

ヒースクリフ「ふむ、まぁよしとしよう。本題なんだが、アスナ君が血盟騎士団を一時退団を望んできてな。」

 

うおっまじか。なんてこと言ってんだアスナさん…ん?それ俺たち関係なくね?

 

ヒースクリフ「聞けば暫くは君とパーティーを組むという。ただ私の立場としてもはいそうですかと、渡すわけには行かなくてな。」

 

おっしゃる通りです…

 

ヒースクリフ「欲しければ剣で奪いたまえ…この世界ならではの決着で決めようではないか。ただし、君が負けた場合は君が血盟騎士団に入るのだ。」

 

いきなりなんてこと言いやがるこのおっさん!どう考えても俺では相性悪すぎだろ!

 

ここはキリトに任せるか…

 

こいつならきっと…

 

"気付くだろう…"

 

キヒロ「俺だと分が悪いから、代理でキリトでいいかな?」

 

キリト「えっちょ?!」

 

ヒースクリフ「…ふむ、よかろう。」

 

キリト「えええ!?」

 

キヒロ「あとそっちばっか条件つけるのはアレだからこっちも付けさせていただくわ。」

 

あっ人払いしとくか…

 

ヒースクリフ「構わん、言ってみなさい。」

 

キヒロ「その前にっと、ふたりとも席を外していてくれ。」

 

キリト アスナ「「おう。(はい。)」」

 

バタッん

 

キヒロ「さてと、話なんだが、どうやら75層の主街区にはコロッセオがあるみたいだな。」

 

ヒースクリフ「うむ、して何を?」

 

キヒロ「観客動員してみてはどうだ?たとえ負けても4分の1はこちらが貰おう。勝ったら半分だ。決して悪くは無い条件だろ?そっちは最低半分だからな。」

 

ヒースクリフ「ふむ。いいだろう。幹部の者達にもそう伝えておく。」

 

キヒロ「ご理解感謝します。」

 

キリト…すまん…俺はこの程度しか手伝えん…

 

だが、

 

お前なら倒せるだろう…

 

この2年間、

 

二刀流スキルを得る前からお前には二刀流を叩き込んできた。

 

勝てるよな?

 

 

 

少し心配だ…

 

稽古するか…

 

 

キリト「おっ終わったみたいだぞ。」

 

キヒロ「早速で悪いが稽古だキリト。あと試合は明日だ。」

 

キリト「本当に急だな!?」

 

キヒロ「時間が無い。いくぞ。」

 

キリト「ちょっ待てよ!」

 

アスナ「稽古…大丈夫かしら?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

翌日

 

《彼、キリトは相当ハードな稽古したらしい。戦う前だというのに半分死んでる…このまま戦って果たして勝てるのか?》

 

キリト「勝たなきゃ…」

 

(キヒロが言った通りなら、負けたらランを取り込まれると言っていた…それだけは避けなくては…)

 

キヒロ「キリト。"二刀流"は使うな…」

 

キリト「え?」

 

キヒロ「なるべく通常で押し切ろ。もし無理なら最後の最後で使え。なんと言っても奴は"初見"のはずだ。見切れはしない。」

 

(少し言ってる意味が理解出来なかった…初見のはず?初見で間違いないだろ?なんで"はず"なんだ?)

 

 

キヒロ「じゃっ、頑張れよ。」

 

ラン「キリトさん!勝ってくださいね!」

 

キリト「(絶対勝つわ…)」

 

 

エギル「さぁさぁ安いよー!買った買ったー!」

 

モブ1「おい、あれ買わね?」

 

モブ2「美味そうだしな!」

 

キヒロ「順調か?」

 

エギル「お陰様で儲けさせてもらってるぜ!」

 

この調子で行けばキリトの新しい家ぐらい買えるかな?ランの隣にしてやろう。たしかまだ空いていたはずだ。

 

キヒロ「んじゃ、あとは頼んだ。」

 

エギル「おう!」

 

 

《キヒロが戻った頃にはまさに始まる数秒前だった。

 

残り、

 

5…

 

4…

 

3…

 

2…

 

1…

 

0!》

 

先制はキリトか。流石のスピードだ。さてと、"アレ"使うかな?ヒースクリフ…これで使ったら確定だな…俺ですらキリトの二刀流を防ぎ切るにはリミッター解除する必要があったからな。ここは見ものだ…

 

 

ヒースクリフ「さすがの反応速だな。キリト君。」

 

キリト「そっちこそ、硬すぎるぜ!」

 

(正直ここまでだとは予想外だったな。まさか対人戦も無敵ってか?)

 

キリト「?!ふぐっ!」

 

たっ盾!?ダメージ判定出るのかよ!向こうは盾ありの二刀流ってことか!?強すぎだろ!

 

キッキン キンっ!

 

(もっとだ…もっと速く!)

 

ヒースクリフ「ふっ…」

 

(そうしないと…この男には勝てない…)

 

キリト「うぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!」

 

スターバースト・ストリーム

 

左から右へ、下から上へ、同時斜め切り、

 

キリト「ここだ!」

 

《キリトはヒースクリフの盾を押し切ることに成功した。後は一撃加えれば勝ちだ。だが、ここで不可解な現象が起きた…ぜったい間に合うはずのない盾が迫ってきたのだ。》

 

キリト「(うそ…だろ。)」

 

ガンッ!

 

《見事に弾かれたが、ここで諦めるキリトではなかった。体を捻り、ヒースクリフの背後に回った。これはキヒロから教わった重心移動の練習の賜物だ。》

 

ヒースクリフ「…(まさか…ここまでとは…)リザイン!」

 

キリト「!?」

 

Wienner kirito

 

キヒロ「…やはりな…」

 

アスナ「まさか、それが狙いだったの?」

 

キヒロ「というのもあるし単純にキリトの戦いを外から見てみたかったのさ。」

 

アスナ「ふぅん…で何がわかったの?」

 

キヒロ「やっぱり、"アイツ"だったと言うだけさ。」

 

アスナ「そう…」

 

ヒースクリフ「congratulations!いい剣舞だったね。機会があればまたやろう。」

 

キリト「いえ、もうコリゴリです。」

(見間違いじゃ無ければ確かにあの瞬間だけ異様に速かった…だとしたら何故…)

 

《彼がそれに気づくのはそれからしばらくあとのこととなる…》

 




ここまで来たからあとは少しですね!
って書いてて思ったんですけどこれだとどうやってあれを出せばいいかとなってしまったので、ここらから話は急転直下していきます!今夜には出せるよう頑張ります!

(*´∇`)ノ ではでは~


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まさかの再開

題名通りまさかっ!って、思ってくれると嬉しいです!

では!どうぞ!


《キリトがヒースクリフに辛うじて勝って3日と経たないある時、キリトとランは迷宮区に篭っていた。この調子でマッピング出来れば明日にはボス部屋が見つかるだろう。実はキヒロ達も誘ったのだが何故か断られたので今日は2人だけらしい。だが、この時まだ闇の手がすぐ近くに迫っているとは予想にもしてなかった…》

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

キヒロ「サプライズとしてはOK、かな?」

 

アスナ「いいんじゃない?」

 

ユウキ「にしても姉ちゃんがまさか、っとは思ったけど…」

 

アスナ「私は時々相談にのってたから知ってたわよ?」

 

何それ初耳…

 

キヒロ「ちなみにいつぐらい?」

 

アスナ「そーねー…60層くらいの時だったかしら?」

 

あれれ?確かキリトもそのぐらいだったような…?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

キヒロ「いつになったら教えてくれるんだよ。」

 

キリト「え?」

 

キヒロ「別にいいだろ?好きな人ぐらい…」

 

キリト「おっ俺にはまだ早い気が…」

 

そんなこと言っていたらあっという間に爺さんになるぞ…

 

キヒロ「まぁまぁ言ってみなって、協力はするからさ!」

 

キリト「(正直いってキヒロに協力してもらえるのは助かる。)」

 

キリト「えっと、その、なっ?…誰にも言うなよ…」

 

キヒロ「わかってるよ。アスナだろ?」

 

キリト「ん?あー違うぞ?ランだ。」

 

ん?んんっ?んんんっ!?たっ確かに傾向は似ているかも…全然気が付かなかったわ…

 

キヒロ「…」

 

キリト「おっおい、なんか言えよ。ラグってるのか?」

 

キヒロ「いっいや、別に。んーなるほどね…」

 

キリト「?????」

 

キヒロ「お前お姉さん系好きなのか。あとロングだよな。可愛いっていうより美人系か。」φ(゚Д゚ )フムフム…

 

キリト「わっ悪いかよ!」///////////////

 

キヒロ「わかりやすいなお前…」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

うん、やっぱりそうだ。こいつら相思相愛だったのかよ…やっぱ俺こういうのは疎いな…あっあと流行にも疎いな…何回姉さんにおじさん臭いって言われたことか…

 

アスナ「それで、ここを買うんでいいよね?」

 

キヒロ「あっ、あぁ。この家だ」

 

《場所は第53層の主街区にある一軒家だ。ランも今はここに住んでるらしい。22層のやつはギルドホームである。そして今日からランの隣にはキリトが住むことになる。もちろん二人とも知らない。》

 

ユウキ「いいお家だね!てかこの距離なら一緒に住めばいいのに…」

 

それは俺も思ったが流石にまだ早い気がしたからな…付き合ってすらないみたいだしな…

 

キヒロ「まぁこっから先はあいつらが決めるだろ。」

 

モブ3「ごーがーい!ごーがーい!」

 

モブ4「"あいつら"が脱獄したぞー!」

 

ん?

 

"あいつら?"

 

まさかっ!

 

キヒロ「1部くれ!」

 

モブ3「はいよ!あっあんたか!今回の件はかなりやばいぜ!」

 

《そこに書かれていたのは…

 

 

ラフコフの脱獄だった…》

 

 

アスナ「なっ!そんな、ありえないわ!」

 

《そう、これはありえない事態が起きていると考えていいだろ。脱獄なんて例はないし、あそこには軍がいたはずだ。そんな簡単に出来るはずが無いのだ。だが、ある人の名称がより真実だと思わざるを得なくなった。その名称は…》

 

キヒロ「アルゴ情報だ…なら、間違いなくあいつらは脱獄したことになる…」

 

ユウキ「しかもどこに居るのか分からないんでしょ?」

 

キヒロ「早く見つけないと…1人でも内通者が圏内にいたら…全員復活するハメになる…」

 

アスナ「装備揃えられる前に探し出しましょ!」

 

?「あーちゃん!ゆーちゃん!おっ…キヒロっちー!」

 

何間違えそうになってんだよ…まっちゃんと呼べたしいっか。

 

キヒロ「どーした?アルゴ。」

 

アルゴ「今幹部だった者達が最前線にいたんだヨ!」

 

はい?なんであいつらが?

 

アルゴ「もしかしたらキー坊を狙ってるのかもしれんゾ!」

 

キヒロ「最悪だ…確かに今は2人きりのはず。囲まれたら終わるぞ…」

 

ユウキ「すぐ行こ!」

 

アスナ「ありがとう!アルゴさん!」

 

アルゴ「いえいえ、では、おと…キヒロっちと一緒に頼むよー!」

 

また間違えそうになって…後でお仕置きかな?

 

取り敢えず急ぐか…

 

 

その頃…

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

《案の定居たのはラフコフの幹部のみだったと言うと、少し語弊がある。血盟騎士団が1人、何故かそこにはいた。数は4対2…しかも幹部の者達は相当な実力者と聞く…絶体絶命のキリト達だが果たしてキヒロは間に合うのか…》

 

?「まっさか、お前らが2人きりだとはな。」

 

キリト「俺としては会うことなんてないと思ってたがな…」

 

?「俺達は、お前らを、絶対、殺す。そう、決めている。」

 

ラン「すぐ援軍がくるわ!」

 

?「なーにを根拠にいってるんだ〜?あんまり生意気だと麻痺ラせちゃうよ?」

 

?「あいつがいないのは釈然としないが、代わりにお前達を殺してやろう。いや?女の方はアスナ様には及ばないがなかなかの美貌だな。ヤッチマッテイイカ?」

 

?「落ち着け、なら先に黒の剣士をぶっ殺さなければいけねーだろーが。」

 

キリト「生憎だが簡単に負けるつもりもない。俺達は必ず生きて帰る!」

 

?「させると、おもうか。」

 

ラン「私達は必ず生き残るわ。」

 

?「だーかーらー!させねーって言ってんだろ!?」

 

?「妄想だけでも充分…早く味わいてぇ…」

 

?「あんまりお喋りしてる暇ないんでな。んじゃ、It’s show time!」

 

《先に切りかかってきたのはラフコフの頭領…Pohだった。最初はキリトとランでなんとか持ちこたえられたが、5分たったあたりから劣勢に陥っていった。元々攻略において疲労しているところを襲われたのだ。それよりなんと言っても…彼等のスキルの高さが予想を遥かに上回っていた。Pohはまるで腕と剣が一体化しているような感じで、赤目のザザに関しては間違いなくこの世界において最速・最強の細剣使いだろう。ジョニーに関していえば立ち回りが上手くなった。個々相手ならまだ負けはしない。だが、あまりにも連携が取れすぎている…残る1人は全然弱いのだが、一撃が重いため無視はできない…》

 

Poh「あれ?思ったよりもよえーな、黒の剣士。」

 

キリト「くそっ。」

(連絡しなきゃ来るわけないよな…すまん…俺はここまでのようだ。)

 

ジョニー「よっしゃ!このアマぴよったぜ!」

 

目を向けるとランが麻痺によって倒れていた…つまり4人がいっせいに俺1人に来ることになる…すまない…守りきれなかった…

 

キリト「ラン、聞いてくれ…」

 

ラン「はい…」

 

キリト「来世があるとしたら、俺と付き合ってくれるか?」

 

ラン「…!はい。はい!」

 

キリト「そうか…ありがとう…」

 

Poh「最後のお別れは済んだみたいだな。んじゃ、」

 

キヒロ「させると思ったか?」

 

!!

 

ザザ「ちっ!」

 

ジョニー「はっ!?なんでだよ!?」

 

?「きっ、きさまー!!」

 

キヒロ「あれ?変態もいるな。名前は確か…」

 

アスナ「クラディールよ。」

 

ユウキ「姉ちゃん!大丈夫!?」

 

ラン「えぇ、なんとか。」

 

キヒロ「キリト下がってろ。あとは俺たちでやる…」

 

キリト「すまん。」

 

Poh「流石にこれは予想外だぜ。これもVRMMOの醍醐味と言ったところか。」

 

 

リミッター解除50%

 

スパッ…

 

クラディール「なっ!」

 

キヒロ「悪いな。お前らとお話する気はないんでな。」

 

Poh「愛想のねーやつだな、相変わらず。まだ楽しんでいこーか!」

 

ザザ「殺す…」

 

ジョニー「しねぇ、しねぇ!」

 

まず1人…

 

クラディール「この、人殺しが…」

 

パリィン…

 

ジョニー「おいおい!あいつ弱すぎるだろ!?」

 

Poh「いや?確かにあいつは弱いが…見たところ単純にこいつが強いだけだ…化け物だ。…癪だがずらかるぞ…」

 

ザザ「いつか、必ず、殺す。」

 

ジョニー「首洗って待ってろ!」

 

行ったか。

 

 

《なんとか間に合い、全員生きて帰ることが出来た。これを機にキリトとランは付き合うことになった。そしてそれから2日後…遂に75層ボス戦が始まる…》

 

 




予告した日より遅くなってごめんなさい!

クラディールちゃんと消せたぜ!(サイコパス感)

あと2話で終わりの予定!(SAO編が)

これからもよろしくお願いします!

(*´∇`)ノ ではでは~


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今回は意外なことが出てきます!笑

では!どうぞ!


(やられた…キヒロ達め…いや確かに新しい根城は探してたけどさ?なにもランの隣はないだろ!?昨日あんなことあったばっかでそれはちょっと…嬉しいんですけどね?心が追いついていかないんだが…まぁあいつらも色々考えて買ってくれたみたいだし…ありがたく使わせてもらうとするか…)

 

《キリトとランは昨日の事件後、もう1度キリトが告白し直し、晴れて恋人となった。そして今日はこれからとんでもないことが起きる…》

 

 

アルゴ「呼び出しってなんだヨ。」

 

ピシッ!

 

アルゴ「いった!なっ、なにするンダヨ!」

 

キヒロ「間違えそうになったバツだ。はぁ、いつになったら慣れるんだよ…"姉さん"」

 

アルゴ「あっはっはー…多分無理…」

 

アルゴは俺のリアルの姉だ。年はアスナと同い年。情報屋をやっているのだが、危なっかしくてこっちはいつも心臓が止まりそうになる…ラフコフのアジト探しに行くって言った時は驚いたな。流石に身内を行かせる訳には行かないと思ったから俺が変わりに行ったけどな…まぁ"アルゴも使える"から大丈夫っちゃ大丈夫なんだけどね?女だからどうしても不安になるんですよね…本人にはあまり自覚はないんですけどね…

 

アルゴ「で?今日呼び出した理由は?」

 

急に素に戻るなよ…

 

キヒロ「取り敢えず連絡しとかなければいけないことがある。まず最初に俺は、このゲームがクリアされたら別の世界に行くことになっている。」

 

アルゴ「治療かな?」

 

女って…すげー…

 

キヒロ「察しが良くて助かる。で、2つ目なんだが、もしキリト達になにかあったら力になってあげて欲しい…」

 

(成長したね…)

 

アルゴ「まさか、弟くんからそんな言葉を聞けるとは…人は変わるものだね。」

 

キヒロ「最近は人の心も分かるようになってきたんだ。帰ったらまた面倒臭いことやらされそうだな…」

 

アルゴ「かもね。学校どうするの?」

 

キヒロ「そうだな。多分この世界に来た中高生は1箇所に集められると思うぞ?」

 

アルゴ「監視かな?」

 

これ絶対聞く前にわかってたでしょ、姉さん…

 

キヒロ「まぁ、向こうにいる人からすれば2年、いやもしかしたらそれ以上長い時間異世界にいた人間に、何かしら影響を受けていると思っているだろうからな。精神カウンセラーとか来て何かしらやらされるだろうな。」

 

アルゴ「場合によっては病院送りってとこかしら?」

 

キヒロ「恐らくはね?」

 

アルゴ「ってそんな事じゃなくて、どうするのよ?」

 

キヒロ「ん?…あー、そういうことか。」

 

アルゴ「"戻るの?戻らないの?"」

 

キヒロ「さぁな?分からない…まずそこまで生きているとも限らないしな。」

 

アルゴ「お父さんの馬鹿ね…普通自分の息子を実験台にする?」

 

キヒロ「俺に聞くなよ…」

 

まぁ普通ではないと思うけどな…

 

アルゴ「しかもよりによって"アレ"はしっかりと発症してしまうなんてね…」

 

ほんとだよ。いくら何でもアレはやり過ぎだと思ったわ。

 

キヒロ「まっ、なんとかなるだろ。」

 

アルゴ「兎に角、まずはこのゲームのクリアね。」

 

キヒロ「そうだな。」

 

アルゴ「あの人が誰なのか、検討は付いているんでしょ?」

 

だからなんでわかんの!?

 

キヒロ「あぁ。後はタイミングだ。」

 

アルゴ「頼んだわよ、…君。」

 

キヒロ「任せな。姉さんよ。」

 

《こうしてキヒロ達は別れた。次いつ会うかは分からないが、会えると信じて、前を向いて進んで行く。》

 

 

ピロン♪

 

ん?アスナから?

 

なっ!?

 

〜血盟騎士団ギルド本部〜

 

キヒロ「あの話!本当なのか!?」

 

アスナ「残念ながら本当よ…」

 

ヒースクリフ「昨日偵察隊5ギルド合計20名を送った。最初の10人が入ったのと同時に扉が閉まり、なんとかして開けようとしたみたいだが、何をしても開かなかったそうだ。そして数分たって再び開いた頃には誰も居なかったそうだ。」

 

キリト「ボスの姿すら分からない現状か。」

 

ヒースクリフ「うむ。念の為、黒鉄宮に名簿確認しに行ったが…だからって、攻略を諦めるわけにはいかない…」

 

キヒロ「ぶっつけ本番ってわけか。」

 

キリト「聞いた感じによると結晶無効化空間か。」

 

ユウキ「でも、するしかないんだよね。」

 

ヒースクリフ「そうだな。出発日は明日の午前10時。君たちの活躍。期待しているよ。」

 

バタん

 

ノーチラス「師匠。お久しぶりです。」

 

キヒロ「ノーチラス!?お前まさか…」

 

ノーチラス「はい。今回から1軍で、ボス攻略に参加することになりました。」

 

キヒロ「だっ、大丈夫なのか?」

 

ノーチラス「やだなー、心配しすぎですよ。あっ、そうだ。紹介したい奴がいるんです。エイジ。」

 

エイジ「初めまして。エイジと言います。よろしくお願いします。」

 

ノーチラス「此奴は俺の2つ下の弟でな?まぁよろしく頼みますわ。」

 

キヒロ「おっ弟なんて居たのかよ!」

 

ノーチラス「えぇ、まぁ、何かあったらよろしくお願いします。」

 

キヒロ「縁起でもないこと言うな…」

 

ノーチラス「勿論死ぬつもりはありませんよ?まぁ念の為に、此奴には師匠の剣技を教えてました。」

 

キヒロ「そっ、そうなのか。」

 

ヒースクリフ「久しぶりの再開の最中に悪いのだが、そろそろ時間だ。」

 

キヒロ「必ず、生き残るぞ。」

 

みんな「はい!」

 

《こうして、第75層のボス攻略が始まった。彼らはこのあと地獄を見ることになるだろう…》

 

《人は大切なものの為にどこまで自分を犠牲に出来るのか。人と人との絆が今試される。》

 

(さぁ、私にシステムすら超越する力の存在を見せてくれる者はいるかな?)

 

 




短くてごめんなさい!

次回はもう少し長くする予定です!

あと1、2話で終了予定です!

最後までよろしくお願いします!

(*´∇`)ノ ではでは~


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骸骨の狩手

いつの間にかここまで来たのか…

では!どうぞ!


《いよいよボス攻略開始の時間まであと二時間というところまで来た。その為、75層の主街区コリニアの転移門前には、一見してハイレベルと判るプレイヤーたちが集結していた。今回参加するギルドは血盟騎士団、整龍連合、スリーピングナイツ、風林火山だ。後はソロでキリトやエギルといった有力プレイヤーがここには集結している。にしても物凄い豪華であり、有名なプレイヤー全員がここに集まっていると言っても過言では無いだろう。二つ名持ちが、6名。ユニークスキル持ちが3名。間違いなく彼等が他のものにやる気を与えているに違いない。》

 

キヒロ「スゲーなこの人だかり。」

 

ラン「一応有名人らしいですからね私達…」

 

中には頼んだぜユニークスキル使い!なんてのも聞こえてくる。

 

キリト「そう言えばなんでキヒロのバレてないんだ!?」

 

そう。何故か俺はまだバレていないのだ。影薄すぎ?

 

キヒロ「まっ細かいことはきにするな。」

 

?「そうだぜ、きりの字!」

 

《人一倍うるさい男がキリトの肩を叩く。そこには刀使いのクラインの姿があった。さらにその横には、両手斧で武装した商人エギルの姿もある。》

 

キリト「なんだ……お前らも参加するのか。」

 

いやもうちょっと言葉なにかないの君!?

 

エギル「なんだってことはないだろう!今回はえらい苦戦しそうだって言うから、商売を投げ出して加勢に来たんじゃねぇか。この無理無欲の精神を理解できないたぁ……」

 

野太い声を出して主張しているエギルに向かって、キリトはなんとこう言った。

 

キリト「無欲の精神はよーく解った。 じゃあお前は戦利品の分配から除外していいのな。」

 

鬼かこいつ!現実世界だったら仕事はさせるけど給料は払わないってことだぞ!?

 

エギル「いや、そ、それはだなぁ……」

 

こんな反応するのは当たり前だ。寧ろ裁判沙汰起こしても余裕で勝てるぞこれ…ん?血盟騎士団の精鋭部隊が来たか。相変わらず真っ赤っかな格好をしたヒースクリフと、血盟騎士団副団長、アスナの姿も確認することが出来た。これで全員集合かな?あーやめてくれよ、この緊張した雰囲気俺苦手なんだよな…

 

ヒースクリフ「欠員はないようだな。よく集まってくれた。状況はすでに知っていると思う。 厳しい戦いになるだろうが、諸君の力なら切り抜けられると信じている。…解放の日のために!」

 

《彼の力強い叫びに、プレイヤーたちは一斉に声を上げ答えた。ヒースクリフはある人物の方に振り向くと、微かな笑みを浮かべ、こう言葉を発した。》

 

ヒースクリフ「キリト君、今日は頼りにしているよ。二刀流…存分に発揮してくれたまえ。」

 

キリト「こっちこそ頼む。神聖剣使いのヒースクリフさん。」

 

そういえばこの二人いるんだから俺の出番はあんまり無さそうだな。

 

ヒースクリフ「では、出発しよう。コリドーオープン!」

 

ついに始まるのか…

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

《75層迷宮区は、僅かに透明感のある黒曜石のような素材で組み上げられている。なんとも幻想的で、誰もが想像していたであろう世界が目の前に広がる。そこには、鏡のように磨き上げられた黒い石が直線的に敷き詰められているたて、空気は冷たく湿り、薄い靄もやがゆっくりと床の上を棚引いているように感じる…》

 

ユウキ「……なんか……嫌な感じだね……」

 

キヒロ「ああ……」

 

この場所自体は嫌いではないが、この空気は好きではない。どっちだかはっきりしないがまぁ察してくれ…

 

 

ふと周りを見るとほぼ全員メニューウィンドウを開き最終確認をしていた。やばい不安になってきた…

 

ユウキ「約束しよう。 絶対生き残るって…」

 

キヒロ「わかった…約束だ。」

 

なんとしても、ユウキだけは、守り抜く。

 

ヒースクリフ「皆、準備はいいかな。今回、ボスの攻撃パターンに関しては情報が無い。基本的にはKoBが前衛で攻撃を食い止めるので、その間に可能な限りパターンを身切り、柔軟に反撃をして欲しい。」

 

いよいよ始まるか…

 

ヒースクリフ「では……行こうか。」

 

《ヒースクリフが扉に手をかけた瞬間から、全員に緊張が走った。男達は最後になるかもしれない言葉を交わす。》

 

キリト「死ぬなよ。」

 

キヒロ「死んだらぶっ飛ばすぞ…」

 

クライン「へっ、お前らこそな!」

 

エギル「今日の戦利品で一儲けするまではくたばる気はないぜ。」

 

ノーチラス「死んだらぶっ飛ばせませんよ師匠…」

 

?「はっはっ…やっと間に合った!」

 

《その言葉に全員が振り向く。なんとそこに居たのは、アインクラッドの歌姫…ユナがいた。》

 

ノーチラス「ちょっ!どうして!」

 

キヒロ「悪いがもう時間ない!ノーチラス!ユナを守り抜け!」

 

ユナ「待っ、待ってください!私の吟唱スキルでバフを付けます!」

 

えっ?まじか。ユナ有能…なんかダジャレぽくなったな…

 

ヒースクリフ「ふむ。これはなかなかのスキルだな。では、戦闘、開始!」

 

《完全に開ききった扉の中へ、全員が一気に走り出す。内部は、かなり広いドーム状の部屋だった。ある程度進んだところで、自然な陣形を作って立ち止まった直後…背後で轟音を立てて大扉が閉まった。最早開けることは不可能であり、ボスが死ぬか、彼等が全滅するまで開くことは無い。》

 

モブ「おい…まだ…」

 

《誰かが、長い沈黙に耐え切れず声を上げた、その時。その瞬間を狙ったかのように、あるものが現れた…》

 

キヒロ「上だ!全員落下地点予想して回避しろ!!」

 

(キヒロが叫びそう指示をする。皆半信半疑で上を見た。俺もその場の流れに乗ってみると…ドームの天頂部に…"何かが"貼りついていた。凶悪な形をした頭蓋骨を持ち、鎌状に尖った不気味な腕を持った敵の名は…

 

【The Skullreaper】…骸骨の狩り手。

 

まさかとは思ったが、本当に上にいたとは…あいつの感覚には本当に驚かされるぜ。)

 

キヒロ「固まるな!距離を取れ!!」

 

《幸い殆どのものが彼の言葉によって遠ざかることは出来た。だが、落ちてくるスカルリーパーのちょうど真下にいた三人の動きが、僅かに遅れてしまった。ここから悲劇は始まった。》

 

キリト「こっちだ!!はやく!!」

 

《彼は慌てて叫んだ。その言葉によって、呪縛の解けた三人が走り出す…だが、その時には既に遅かったのだ。スカルリーパーが地響きを立てて落下してきた、その瞬間に彼らの命運は決まった。なぜなら、床全体が大きく震え、足を取られた三人がたたらを踏んでいる間を、ボスが見逃すはずもなかった。その三人に向かって巨大な大鎌が横薙ぎに振り下ろされた。

 

三人が背後から同時に切り飛ばされたその瞬間、彼らの人生は終わった。

 

宙を吹き飛ぶ間にも、HPバーが猛烈な勢いで減少していき、黄色の注意域から、赤の危険域と留まることをまるで忘れてしまったかのようにどんどん進む…そして、あまりにも簡単に…ゼロになった…まだ空中にあった三人の体が、立て続けに無数の結晶を撒き散しながら、跡形もなく消えていった…この瞬間にまた、人が死んだ…》

 

クライン「……一撃で……死亡……だと…んな馬鹿な…」

 

クラインが口に出した言葉通りに俺もそう思った…こんなこと…有り得るわけない…そもそもSAOでは数値的なレベルさえ高ければそれだけで死ににくくなるはずだ。特に今日は高レベルプレイヤーだけが集まっていると聞いている。攻撃は数発の連撃技なら持ちこたえられるはず、というよりそうでなくてはMMORPGとしては成り立たないだろ…それが、たった一撃で…こんな無慈悲な攻撃があっていいのか?茅場さん、流石にこれはやりすぎでしょ…

 

アスナ「こんなの……無茶苦茶だわ……」

 

だよな、俺もそう思った。しかもこのボスモンスターこんなの序の口みたいな感じに見えるぞ…

 

モブ「わぁぁぁ――!!」

 

あっやべ!くそっ!間に合え!

 

キヒロ「なっ!」

 

嘘だろ…なんだこれ、重すぎる…!

 

がぁん!

 

ユウキ「二人同時に受ければいけるよ!ボクとキヒロならできるよ!」

 

流石俺の嫁さんだ。助かるぜ。

 

キヒロ「ああ、頼む!ヒースクリフ!もう1本はあんたに託した!」

 

ヒースクリフ「ふっ、任せたまえ!」

 

キヒロ「指示はラン!アスナ!任せた!」

 

ユウキ「鎌はボク達が防ぐ!皆は側面から攻撃して!」

 

アスナ ラン「「了解!!」」

 

キヒロ「キリト!一旦俺と変わってくれ!」

 

キリト「!わかった!」

 

俺の武器スキルを使えばある程度は削りやすくなるはず…

 

キヒロ「スイッチ!」

 

右から左へ、下から上へ。交わしては切ってを繰り返しそこそこのデバフをつけることに成功した。それが功を奏したのか、他のみんなの攻撃が敵の体に食い込み、ようやく初めてボスのHPバーが減少した。

 

キヒロ「よし!この調子で行くぞ!」

 

モブ「うわぁぁあああ!!!」

 

視線を声がした方に向けると、スカルリーパーの尾の先についた長い槍状の骨に数人が薙ぎ払われ、倒れるが見えた。え?あれもダメージ判定出るのかよ!

 

キリト「くっ……」

 

キヒロ「悪いがキリト!そのまま頼む!」

 

ユウキ「キヒロッ……!」

 

キヒロ「必ず戻ってくる!」

 

ユウキ「でっでも!」

 

キリト「ユウキ!向こうに気を取られると、やられるぞ!」

 

ユウキ「……わかった。必ず戻ってきてね!」

 

キヒロ「当たり前だろ!」

 

よしっ、じゃーそろそろ本気出すか。

 

リミッター解除…80%…

 

もう…惜しんでる暇はない!

 

キヒロ「うぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!!」

 

飛天御剣流…

 

龍槌閃…

 

九頭龍閃…

 

龍槌翔閃…

 

双龍閃…

 

 

何度技を放ったか…気が遠くなるまで、刀を振り続けた。

 

その結果…

 

一時間以上の激戦の果てに、ついに、決着がついた。

 

疲れた…

 

《遂に75層ボス攻略に成功した攻略組…だが、このあと思わぬことが起こる…》

 




よぉっしゃー!!!!

ここまでは決めていたんで連投出来て良かったぜ!

さぁてと…今日中に終わるかな?

(*´∇`)ノ ではでは~


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最後の戦い

遅れてすみません!

ちょっと煮詰まってしまって…

では!どうぞ!


《ボス攻略戦が終わって5分ほど経過したが未だ誰1人歓喜に満ちた者はいない。ある2人を除いては。そんな激戦を終え、彼らは驚愕の真実を知ることとなる…》

 

クライン「何人…やられた……?」

 

(クラインに聞かれたから数えてみたが…本当に…あってるのか…)

 

キリト「…15人…死んだ……」

 

(自分で数えておきながらとても信じることできないなこれは…皆トップレベルの、歴戦プレイヤーだったはずだ。生き残り優先で戦っていればこんなことにはならないはずなのに…)

 

ノーチラス「ユナ…ユナは!?」

 

キヒロ「残念ながら…ユナはもう…」

 

ノーチラス「!?嘘だろ…」

 

すまないな…ノーチラス。君の大切な人を…守りきることが出来なかった…

 

エギル「……うそだろ……」

 

《ようやく四分の三…まだこの上には25層もある。1層ごとにこれだけの犠牲者を出してしまえば、最後のラスボスに対面出来るのはたった一人になってしまう可能性がある。

 

おそらくその場合は、今立っていられているあの2人だろう。》

 

 

(視線を部屋の奥に向けると、そこには、ほとんどの者が床に座り込んでいる中、背筋を伸ばして立っている人物がいた。

 

ヒースクリフだ。

 

流石の彼でも無傷では無かったみたいだ。HPバーがかなり減少している。だが、気になることが一つある…

 

ヒースクリフのあの視線、

 

あの穏やかさ…

 

あれは傷ついた仲間を労わる表情では無いだろう。

 

あれは…

 

神の表情だ…

 

何故か俺は、ヒースクリフとのデュエルを思い出していた。

 

あれは、SAOシステムに許されたプレイヤーの限界速度を超えていたと思う。キヒロと同等だろう。

 

プレイヤーでは、出来ない事を可能にする存在。

 

デスゲームのルールに縛られない存在。

 

NPCでも無く、一般プレイヤーでも無い。

 

となれば、残された可能性はただ一つ、この世界の創造者だけだ。

 

だが、確認する方法が無い。

 

いや、ある。 今この瞬間一つだけある。

 

ヒースクリフのHPバーは、ギリギリの所でグリーン表示に留まっている。

 

未だかつて、ただ一度もHPバーをイエローゾーンに落としたことが無い男。

 

圧倒的な防御力。

 

この世界を創り上げた人間ならそういう設定にすることが可能だろう。

 

ここまで考察してはみたが間違ってたらほかのプレイヤーから制裁を受けるだろうな…

 

ごめんな。ラン…)

 

 

《彼はヒースクリフに向けて突進体制を取り、地面を蹴った。床ぎりぎりの高さを全速で駆け抜け、右手の剣を捻りながら突き上げた。

 

片手剣、基本突進技《レイジングスパイク》

 

威力が弱い技なので、たとえクリティカルヒットしてしまっても殺してしまうことは無い。

 

彼の剣は空中で軌道を変え、盾の縁を掠めてヒースクリフの胸に突き立つと思われたとき。

 

寸前で、目に見えぬ障壁に激突した。

 

同時にヒースクリフからシステムカラーのメッセージが表示された。

 

【Immortal Object】

 

即ち"不死存在"

 

通常プレイヤーにはありえない属性。

 

静寂の中、ゆっくりとシステムメッセージが音もなく消滅した…》

 

まさか、キリトも気づいていたとはな…

 

キリト「これが伝説の正体だ。この男のHPバーは、どうあろうとイエローまで落ちないようにシステムに保護されているのさ。 ……不死属性を持つ可能性があるのは……システム管理者以外有り得ない。だが、このゲームには管理者は居ないはずだ。ただ一人を除いて……この世界に来てからずっと疑問に思っていたことがあった……あいつは今、何処から俺たちを観察し、世界を調整しているんだろうってな。 でも俺は単純な真理を忘れていたよ。 どんな子供でも知っていることさ。」

 

お見事だ。キリト。

 

 

キリト「《他人のやっているRPGを傍から眺めるほど詰まらないことはない》……そうだろう、茅場明彦…」

 

 

ヒースクリフ「……なぜ気付いたか参考までに教えて貰えるかな。」

 

キリト「……最初におかしいと思ったのはデュエルの時だ。最後の一瞬だけ、あんた余りにも速過ぎたよ。」

 

やはり、俺がしなくてよかったな。

 

ヒースクリフ「やはりそうか。あれは私にとっても痛恨事だった。君の動きに圧倒されてついシステムのオーバーアシストを使ってしまった。」

 

ヒースクリフ「予定では攻略が95層に達するまで明かさないつもりだったのだがな。」

 

待て待て、本当にそのつもりだったんなら、もっと死んでたって事か…あの選択間違えなくてよかった…

 

 

ヒースクリフ「確かに私は茅場明彦だ。付け加えれば、最上階で君たちを待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある。」

 

えぇぇぇえええ!!!

 

キリト「……趣味が良いとは言えないぜ。最強プレイヤーが一転最悪のラスボスか。」

 

ヒースクリフ「なかなか良いシナリオだろう? 盛り上がったと思うが、まさか四分の三地点で看破されてしまうとはな……君はこの世界で最大の不確定因子だと思ってはいたが、まさかここまでとは。」

 

確かにキリトに関しては茅場さんの意見に同意だな。

 

アスナ「まさか、本当にあなたの言ってた通りだなんて…」

 

キヒロ「俺的にはキリトも気づいたことに驚いたがな。」

 

ヒースクリフ「……最終的に私の前に立つのは君だと私は予想していた。全十種存在するユニークスキルの内、"二刀流"スキルは全てのプレイヤーの中で最大の反応速度を持つ者に与えられ、その者が魔王に対する勇者の役割を担う。それにこの想定外の展開もネットワークRPGの醍醐味と言うべきかな……」

 

《その時、凍りついたように動きを止めていたプレイヤーの一人がゆっくりと立ち上がった。血盟騎士団の幹部を務める男だ。》

 

 

モブ「貴様……貴様が……。俺たちの忠誠を……希望を……よくも……よくも……」

 

おいおいまじかよ…

 

モブ「よくも〜~〜~〜~〜~ッ!!」

 

《絶叫しながら地を蹴った。大きく振りかぶった両手剣が茅場へと刺さる寸前。

 

だが、茅場の動きの方が一瞬早かった。

 

素早くウインドウを開き操作し、男の体は空中で停止してから床に音を立て落下した。HPバーにグリーンの枠が点滅している。

 

麻痺状態だ。

 

茅場はそのまま手を止めずにウインドウを操り続けた。》

 

ラン「キリトさん……」

 

(予想してなかった訳じゃないがまさか、こうなるとは…)

 

キリト「……どうするつもりだ。この場で全員殺して隠蔽する気か……?」

 

ヒースクリフ「まさか。 そんな理不尽な真似はしないさ。」

 

ヒースクリフ「こうなってしまっては致し方ない。 予定を早めて、私は最上階の"紅玉宮"にて君たちの訪れを待つことにするよ。 90層以上の強力なモンスター群に対抗し得る力として育ててきた血盟騎士団。 そして攻略組プレイヤーの諸君を途中で放り出すのは不本意だが、何、君たちの力ならきっと辿り着けるさ。 だが……その前に……」

 

へぇ、"育ててきたね"か。キレそう…

 

ヒースクリフ「キリト君、君には私の正体を看破した報奨を与えなくてはな。チャンスをあげよう。今この場で私と一対一で戦うチャンスを。無論不死属性は解除する。私に勝てばゲームはクリアされ、全プレイヤーがこの世界からログアウト出来る ……どうかな?」

 

 

キリト「……受けてやるよ……。 此処で全て終わらせてやる……!」

 

《彼は、己の創造した世界に一万人の精神を閉じ込め、その内の四千人の意識を電磁波によって殺した。プレイヤーたちが絶望や恐怖する様子を、すぐ傍で眺めていたということになるのだろう。そのような男を優しい彼が許せるはずがなかった。》

 

エギル「キリト!やめろ……っ!」

 

クライン「キリトーーッ!」

 

(お礼言わなきゃな…)

 

キリト「エギル。今まで、剣士クラスのサポート、サンキューな。知ってたぜ、お前の儲けの殆んど全部、中層ゾーンのプレイヤー育成に注ぎ込んでいたこと。」

 

《目を見開くエギルに微笑み掛けてから、顔を動かしクラインに視線を向ける。》

 

キリト「クライン………あの時、お前を……一緒に連れて行けなくて、悪かった。 ずっと、後悔していた…」

 

キリト「て……てめぇ!キリト!謝ってんじゃねぇ!今謝るんじゃねぇよ!!許さねぇぞ!ちゃんと向こうで、メシの一つも奢ってからじゃねぇと、絶対に許さねぇからな!!」

 

(はは。相変わらずだな。クライン。)

 

キリト「解った。約束するよ。次は、向こう側でな。」

 

 

キリト「……悪いが、一つだけ頼みがある…」

 

ヒースクリフ「何かな?」

 

キリト「簡単に負けるつもりはないが、もし俺が死んだら……暫くでいい、ランが自殺出来ないように計らって欲しい…」

 

は?何言ってんだこいつ…

 

ヒースクリフ「良かろう。 彼女はアルゲードから出られないように設定する。」

 

ラン「キリトさん!!それはないですよ!!!」

 

キヒロ「おい!何戦う前から弱気なんだよ!勝つんだろうが!キリト!!」

 

キリト「…キヒロ…俺にもし何かあったら…あとは頼んだ…」

 

こいつのことは…絶対…死なせるものか!

 

《茅場がウインドウを操作すると不死属性が解除された。

彼の頭上に、

 

【changed into mortal object】

 

不死属性を解除したというシステムメッセージが表示される。》

 

(これはデュエルでは無い。単純な殺し合いだ。そうだ……俺は、あの男を……)

 

 

 

キリト「殺す……ッ!!」

 

 

《遠い間合いから右手の剣を横薙ぎに繰り出す。茅場が左手の盾でそれを難なく受け止める。一気に加速した二人の剣戟の応酬の衝撃音が周囲に響いた。》

 

(俺の"二刀流"スキルをデザインしたのは奴だ。

 

単純な連撃技は全て読まれる。

 

俺はシステム上で設定された連撃技を一切使わず、奴を倒さなければいけない。

だから、ソードスキルが使えない。

 

ふと目があった時、

 

茅場……ヒースクリフの瞳は冷ややかであった。 人間らしさは、今は欠片も無い。

 

俺が今相手にしているのは、四千人もの人間を殺した男なのだ。

 

その事を改めて感じてしまった…

 

それに耐えられず…

 

俺は恐怖してしまった…)

 

キリト「うぉぉぉぉぉ!!」

 

(俺は心の奥に生まれた恐怖を吹き飛ばすように絶叫した。だが、俺の攻撃は十字盾と長剣を操る茅場に全て弾き返されていた。)

 

まずいな…

 

キリト「くそぉっ……!!」

 

(ならば……これでどうだ……!)

 

《キリトは攻撃を切り替え、

二刀流最上位剣技"ジ・イクリプス"

を放った。いや、放ってしまったというのが正しいのだろう。

 

茅場は、システムに規定された攻撃を待ち構えていたのだ。

 

彼の顔には、勝利を確信した笑みがあった。

 

彼はキリトを焦らせソードスキルを放つように誘導したのだ。

 

ソードスキルは途中で止めることが出来ない。

 

二刀流の大技を放った後は、大きな硬直時間が課せられる。

 

キリトが放つ攻撃は、最後の一撃に至るまで茅場に把握されている。》

 

(……ごめん……ラン……せめて君だけは……最後まで生きてくれ……)

 

《27連撃…最後の左突き攻撃が、十字盾に中心に命中し、火花を散らした。

 

直後、彼の左手に握られてた"ダークリパルサー"が砕け散った。》

 

ヒースクリフ「さらばだ……キリト君。」

 

《彼が死を覚悟したその時、猛然と迫ってくる黒い影が物凄いスピードで迫ってきた。ヒースクリフの長剣がキリトに当たる寸前で…何者かがそれを妨害した。》

 

?「悪いが、こいつを死なせるわけにはいかなくてね。」

 

キリト「きっ、キヒロ!!!?」

 

キヒロ「悪いな。少し遅くなった。」

 

ヒースクリフ「なぜ君が、動ける…」

 

キヒロ「やだなぁ、忘れてしまいましたか?茅場さん。」

 

ヒースクリフ「!」

 

どうやら思い出してくれたみたいだな…

 

キヒロ「さぁて、第2Rといきましょうよ。」

 

ヒースクリフ「よかろう。きたまえ。」

 

キヒロ「悪いけど、本気でいくんで…なんなら、システムアシスト使ってくれてもいいですよ。」

 

キリト「ちょっ、キヒロ!?」

 

キヒロ「心配するな。少しは師匠をたててくれよ。」

 

さぁてと、いくら尊敬していても我慢ならないものもあるんでね…

 

本気で…

 

"殺す"

 

リミッター解除…

 

100%…

 

これが最初で最後だろうな…

 

キヒロ「行くぜ…」

 

ヒースクリフ「?!」

 

(なんだこの雰囲気…今までの"彼"ではない…)

 

ズバァァァァアアアアアン!!!

 

ヒースクリフ「???????!!!!!!!」

 

(なっ!ありえない!ナーヴギアでその速さなんて!彼は現実世界で一体何を!?研究者では無かったのか!?)

 

キヒロ「何驚いてるんだ?こんなのまだ序の口だぞ。」

 

(そんな馬鹿な…明らかに、私のシステムアシストより速い!)

 

キヒロ「ほらほら、ちゃんと避けないと死ぬぞ。」

 

ズバズバズバズバズバ!!

 

ヒースクリフ「くっ!」

 

(しかも二刀流でくるとは!キリト君で慣れていたつもりだったが…比にならないだと!?)

 

パリィん…

 

ヒースクリフ「なっ!?」

 

キヒロ「解除した時から思ってはいたが、"壊れてくれて"助かったぜ。」

 

キリト「盾が…」

 

アスナ「壊れた!?」

 

キヒロ「さぁ、これで本当に最後だ…」

 

《彼は現実世界で会得した構えをとる。対してヒースクリフはこの世界で培った構えをとる。果たして結果は…》

 

ヒースクリフ「(これで…どうだ!)」

 

《ヒースクリフが先制を仕掛けた。技は"ヴォーパル・ストライク"突進技としては申し分ない。それに今のヒースクリフはシステムアシストを限界まで使用している。普通のプレイヤーは反応どころか、何もさせてもらえないだろう。だが、"この男"は普通じゃない…彼には"見えていた"そして使う技は…》

 

飛天御剣流…

 

奥義…

 

天翔龍閃!!

 

ズバッ!

 

キヒロ「これで、終わりだ…」

 

ドサッ

 

ヒースクリフ「見事な剣だ…私の負けだ…」

 

パリィん…

 

どっくん…

 

キヒロ「くっ。」

 

ドサッ

 

ユウキ「キヒロ!!」

 

キヒロ「ゆ、ユウキ…すまない…」

 

パリィん…

 

ユウキ「そんな…そんなの…そんなのないよーー!!!!」

 

 

……ゲームはクリアされました……ゲームはクリアされました……ゲームは……

 

 

《こうして最後の戦いに終止符がうたれた。》




まさか、終わりきらなかった…次回で終わりです!

なるべく早めに更新します!

(*´∇`)ノ ではでは~


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第30話 世界の終焉

遂にSAO編完結です!!!

ここまで長かったですがお付き合い下さり、

ありがとうございました!!!!

では!どうぞ!


キリト「ここは…どこだ?」

 

《キリトが今いるところの足場は、分厚い結晶の板だ。透明な床の下には、赤く染まった雲が連なりゆっくりと流れている。どこまでも続くような夕焼け空。赤金色に輝く雲の空に浮かぶ小さな水晶の円盤、その端にキリトは立っていた。》

 

(まだSAOの中に居るのか……?どう見ても、この黒いレーザーコートや長手袋といった装備類はあの時のままだ。だが、その全てが僅かに透き通っているんだけど!?何俺死んだの!?

 

半信半疑に、右手を伸ばし、指を軽く振ってみたら、聞きなれた効果音と共にウインドウが出現する。ということは、此処はまだSAOの内部だ。だがそのウインドウには、装備フィギアやメニュー一覧が無い。ただ無地の画面に一言、小さな文字で、

 

【最終フェイズ実行中 現在54%完了】

 

と表示されているだけだ。これはどういうことだ?)

 

ラン「……キリトさん…」

 

(振り返るとそこには、俺の最愛の人が立っていた。ランも同じように全身が僅かに透き通っていた。

 

夕焼け色に染まり、輝くその姿は、この世に存在する何よりも美しいと思った。重症ですね。)

 

キリト「ラン…また会えたな。」

 

ラン「はい。ところで、ここはどこなのでしょう?」

 

キリト「う~ん、どこだろうな?」

 

(本当に此処は何処だろう?)

 

?「キリトー!」

 

?「キリト君。」

 

(まじか…)

 

アスナ「ここには私たちしかいないみたいね。」

 

ユウキ「そーみたいだね!」

 

ラン「(明るく振舞ってはいるけど…)」

 

キリト「(目の前で最愛の者が亡くなった時って…どういう心情なんだろ…)」

 

アスナ「あっあれは…」

 

 

《遠く離れた場所に見えた、円錐形の先端を切り落としたような形をした物体。薄い層が無数に積み重なって全体を構成している。目を凝らせば、層と層の間には小さな山や森、湖、そして街が見える。》

 

ユウキ「アインクラッド……」

 

アスナ「うん。 そうだね」

 

(まさかとは思ったけど…間違いない…あれはアインクラッドだ。俺たちが二年間の長きに渡って戦い続けた剣の世界だ。

 

色んなことあったけど、思い出深いものばかりだったな…)

 

ラン「全部無くなっちゃうんですね…」

 

キリト「そうだな…」

 

?「なかなかに絶景だな。」

 

《突然聞こえた声の主は…

 

茅場明彦だ。

 

今の茅場はヒースクリフの姿では無く、SAO開発者としての本来の姿だ。白いシャツにネクタイを締め、長い白衣を羽織っている。茅場も消えゆく浮遊城を眺めている。茅場の全身も、キリト達と同じように透き通っている。ここでキリトが疑問に思ったことを口にする。》

 

キリト「此処は、どうなるんだ?」

 

茅場「現在、アーガス本社地下5階に設置されたSAOメインフレームの全記憶装置データの完全消去作業を行っている。 後10分ほどでこの世界の何もかもが消滅するだろう。」

 

(じゃあ、あの数字が100%になったらこの浮遊城が完全消滅するってことか。)

 

ユウキ「あそこに居た人たちは……どうなったの?」

 

茅場「心配には及ばない。先程生き残った全プレイヤー、6147人のログアウトが完了した。」

 

ユウキ「キヒロは…キヒロは!?」

 

茅場「ん?キヒロ君もログアウトが可能な状態だが?」

 

ユウキ「最後…茅場さんとの戦いに決着がついた時に…」

 

?「心配には及ばんぞ。」

 

ユウキ「え?」

 

?「わしじゃ。カーディナルじゃ。」

 

ユウキ「!って、てことは!」

 

カーディナル「うむ。無事に転生したぞ。」

 

ユウキ「よっ、よかったぁ。」

 

茅場「ふむ。初めて目にするがこれはなかなかだな。」

 

カーディナル「流石我が父上なのだ。」

 

茅場「さすがとした言いようがないな。」

 

キリト「…もうひとつ聞いていいか?」

 

茅場「なんだね?」

 

キリト「…死んだ連中は? 今まで死んだ4千人を元の世界に戻すこと出来ないのか?」

 

茅場「命は、そんなに軽々しく扱うべきではないよ。彼らの意識は帰ってこない。死者が消え去るのは何処の世界でも一緒さ。君たちがここにいるのは…単にお話がしたくてね。この時間を作らせて貰った。」

 

(それが四千人を殺した人間の台詞かよ…と思ったが、不思議と腹が立たなかった。

 

俺は長い間疑問に思っていたことを聞いてみた。)

 

キリト「なんで…こんなことをしたんだ……?」

 

茅場「なぜ、か。私も長い間忘れていたよ。何故だろうな。フルダイブ環境システムの開発を知った時…いや、その遥か以前から、私はあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則を超越した世界を創り出すことだけ欲して生きてきた。そして……私の世界の法則を超えるものを見ることが出来た……」

 

(へぇ…茅場さんにも、そういう時期があったとはな…)

 

茅場「子供は次から次へと色々な夢想をするだろう。空に浮かぶ鉄の城の空想に私が取りつかれたのは何歳の頃だったかな……その情景だけは、何時まで経っても私の中から去ろうとしなかった。年を経るごとにどんどんリアルに、大きく広がっていった。この地上を飛び立って、あの城に行きたい……長い、長い間、それが私の唯一の欲求だった。私はね、キリト君。まだ信じているのだよ……何処か別の世界には、本当にあの城が存在するのだと……」

 

キリト「ああ……そうだといいな…」

 

茅場「…言い忘れていたな。ゲームクリアおめでとう。 キリト君。」

 

茅場「さて、私はそろそろ行くよ。」

 

ユウキ「まって!!」

 

茅場「ん?なんだね?」

 

ユウキ「ボクを…キヒロのところへ!連れていってください!」

 

茅場「そこに関しては私じゃなくてこの子に聞いてくれたまえ。ではな。」

 

 

 

《風が吹き、それにかき消されるように…気付くと茅場の姿はもう何処にも無かった。》

 

ユウキ「えっ、ちょっと!」

 

カーディナル「お主は我が主のところへ行きたいのか?」

 

ユウキ「はっ、はい!行かせてください!」

 

カーディナル「決して安全では無いかもしれんぞ?」

 

ユウキ「構いません。ボクはキヒロのそばに居たいんです。」

 

カーディナル「……死ぬかもしれんじゃぞ…」

 

ユウキ「覚悟はできています。」

 

カーディナル「うむむ。

 

わかった。二言はないな?」

 

ユウキ「はい!ありません!」

 

カーディナル「じゃ、伝えたいことは伝えとき。」

 

ユウキ「姉ちゃん、アスナ。キリト…行ってきます!」

 

ラン「えぇ、気をつけて。」

 

アスナ「キヒロ君をお願いね?」

 

キリト「頼んだ。」

 

ユウキ「うん!じゃっ!」

 

カーディナル「そんなんでいいのか?」

 

ユウキ「うん!きっとまた会えるから!」

 

カーディナル「そーか…では行くぞ。」

 

シュゥワァン…

 

ラン「…行っちゃいましたね…」

 

アスナ「そうね…あっ最後にみんなの名前教えてよ。あと年齢も。じゃーキリト君から。」

 

キリト「えっ、あぁ。俺の名前は桐ヶ谷和人。多分先月で16歳。」

 

ラン「きりがや……かずと……さん…」

 

ラン「私の名前は紺野藍子です。今年で15ですね。」

 

アスナ「私が一番年上かー。名前は結城明日奈です。17です。」

 

キリト「ランが年上で、アスナが年下のイメージだったんだが…」

 

アスナ「それどーゆー意味よ!」

 

(こうして雑談してたら、あっという間にその時がきた。)

 

(ここは何処だ……?

 

周りをまた感じ、ここはどこかの病院…

 

ってことは。

 

"帰ってきた"

 

ならば俺がやることはただ1つ。

 

ラン…紺野藍子を探すことだ。

 

ゆっくりなんてしていられない…

 

はやく…会いたい…現実世界でのあいつに…)

 

キリト「……ラ……ン…」

 

(喉いった!?って当たり前だよな。2年間使ってなかったんだから…さてと、ナーヴギアとってと。コードもとって。ナースコールするか…)

 

《2年間の戦いを終え、復帰したキリト達…だが、SAO事件はまだ終わってはいなかった…》

 

 

SAO編

 

 

 

~完結~




次回からはALO編です!!!

みんな大好き○べ○ロ○とか、○ー○ァとか出てきたりしマース!

最後に感想とかくれると嬉しいです!

(*´∇`)ノ ではでは~


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人物設定
人物紹介


まぁ、取り敢えずの設定はこんな感じです。
(キヒロに関してはまだ明かせない部分もあるのでご了承ください。)



桐ヶ谷 和人 脱出時 16歳

 

キリト 二つ名持ち。"黒の剣士"

 

・基本原作通り。

 

・片手剣使い、最後はユニークスキル、"二刀流"使いとして攻略に多大な貢献をした。

 

・SAO内において最強クラスのソロプレイヤー。

 

・長い年月を経てランと付き合うことになった。

 

 

 

結城 明日奈 脱出時 17歳

 

アスナ 二つ名持ち。"閃光のアスナ"

 

・基本原作通り。

 

・細剣使い。

 

・血盟騎士団副団長を務めあげた実力者。

 

・現実世界では親同士の利害関係の都合上、キヒロと付き合っていた。

 

・SAOに囚われるまでは学習院に通っていた。

 

 

 

紺野 木綿季(ゆうき) 脱出時 15歳

 

ユウキ 二つ名持ち。"絶剣"

 

・基本原作通り。

 

・片手剣使い。キリトとアスナを足して2で割った感じ。

 

・第50層のことがきっかけとなり、キヒロと付き合うことになる。

 

・以外と勉強はでき、慶應の中等部に通っていた。

 

 

 

紺野 藍子(あいこ) 脱出時 15歳

 

ラン 二つ名持ち。"光速"

 

・細剣使い。

 

・アスナに正確さは劣るものの、スピードはアスナより速い。

 

・キリトと付き合うことになる。

 

・木綿季とは双子で藍子の方が姉である。学校は木綿季と同じ。

 

・性格はアスナみたいなお姉さん系。

 

 

工藤 継裕(くどう つきひろ) 脱出時 15歳

 

キヒロ 二つ名持ち。"覇王"

 

・当初は片手剣を使用していたが第10層ボス攻略においてのLAボーナスにより、刀に変更。以後使用し続ける。

 

・ヒースクリフとは対照的で、絶対的な攻撃力を誇る。

 

・茅場晶彦とは同じ研究者として尊敬していた。

 

 

 

茅場 晶彦

 

ヒースクリフ 二つ名持ち。"絶対防御"

 

・片手剣使い。大型の盾を装備した技術は他の追随を許さない。

 

・システムは絶対的な考え方だったが、最後の最後で人間の可能性を見出す。

 

・仮想世界の中でいつも答えを探し続けている。

 

 

 

壷井 遼太郎

 

クライン

 

・基本原作通り。

 

 

 

アンドリュー・ギルバート・ミルズ

 

エギル

 

・基本原作通り。

 

 

工藤 葵 (くどう あおい) 脱出時 17歳

 

アルゴ 二つ名持ち。"鼠"

 

・基本原作通り。

 

・継裕の姉。

 

 

篠崎 里香(しのざき りか) 脱出時 17歳

 

リズベット

 

・基本原作通り。

 

・皆の姉貴みたいな人柄。

 

 

綾野 桂子 (あやの けいこ) 脱出時 14歳

 

シリカ 二つ名持ち。"竜使い"

 

・基本原作通り。

 

・キリト達との交流後、中層プレイヤーの中ではトップレベルになった。

 

 

後沢 鋭一 (のちざわ えいいち) 脱出時 19歳

 

ノーチラス

 

・基本原作通り。

 

・軽度のFNCだったが、キヒロの協力もあり、克服に成功。

 

 

重村 悠奈 (しげむら ゆうな) 脱出時 19歳

 

ユナ 二つ名持ち。"アインクラッドの歌姫"

 

・基本原作通り。

 

・最後の最後で、ボス攻略に参加し、多大なる貢献をした。

 

 




次からはALOです!

(*´∇`)ノ ではでは~


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第2章 ALO編
第31話 始動


遅くなってしまって申し訳ないです…

言い訳としましては、この時期というのがあります…

でも最後までやります!

のでこれからもよろしくお願いします!

では!どうぞ!


〜復帰〜

 

 

(現実世界に復帰し数日がたった。まだ体の自由は全然効かないが、食事できる程度には回復することが出来た。少し状況整理でもしとくか…確か一番最初にあった男、菊岡誠二郎との会話において、俺は内部での話を提供する代わりに、ある交換条件を取り付けた。調べてほしい人をリストアップし、連絡を取れるようにすること。現在地を教えてもらうことにした。連絡を取れたのはエギルとクライン…たったの2人だけだった…キヒロとユウキに関していえばまだ納得はできる。…だが、ランとアスナで連絡つかないのは疑問に感じてた。菊岡さんの話によると、未だに約300人の人が意識を覚ましていないらしい。その中に2人の名前もあるというのだ…まだ、SAOは終わってないというのか…)

 

 

《キリトが懸命にリハビリをし、退院して数週間後、SAO事件終了から2ヶ月がたった頃。桐ヶ谷家にある人物が訪ねてきた。その人物とは…》

 

?「ふっ!ふっ!」

 

和人「相変わらず精が出るな、スグ。」

 

直葉「あっ、お兄ちゃん。もぅ見てたなら声かけてよね?」

 

和人「ははっ、悪い悪い。あまりにもしっかりやってるから悪いと思ってな。」

 

直葉「まぁ、もう習慣になってるからね。」

 

(こいつは桐ヶ谷直葉。年は俺の一つ下だが、勉強に関しては既に抜かれてしまっている。やれやれ、やること多くて大変だぜ。スグは今年から高校生、しかも剣道の特待生として入るみたいだ。なにせ全国ベスト8の実力者だからな。そーいえば"あいつ"も剣道やってるって言ってたよな?試しに聞いてみるか。)

 

和人「スグさ、工藤継裕って人、しってるか?」

 

直葉「えっ!?お兄ちゃん今あの人がどこにいるか知ってるの!?教えて教えて!!!」

 

(何この反応…あいつそんなに有名人なの?どうなんだろ…)

 

和人「えっ?いやわからないけど…どういう人かなーって思ってさ。もしかして知ってるのか?」

 

直葉「知ってるも何も、小学一年生の時から中学一年まで全国大会連覇してた人だよ!?2、3年の時に出てこなかったから一時期は死亡説まで流れてたんだけど…その口ぶりだと生きてるみたいだね!」

 

(しっ、死亡説!?まぁ、ある意味そうかもしれん…てか感良すぎないか!?なんとか平静をよそわないと…)

 

和人「へっへぇ。強いんだな。」

 

直葉「強いってレベルじゃないよ〜あんなのチートだよチート!1回だけやらせてもらったことあったけど剣筋が見えなかったもん!とても同年代には見えなかったよ!」

 

(そう言いながらも直葉はなんか嬉しそうだったのは見間違いだろうか?まぁこれではっきりした。あいつが強いのは仮想だけじゃないってことだ…現実も化け物だったとは…)

 

直葉「それで?その人がどうかしたの?」

 

和人「別に?」

 

?「別にってことは無いだろ…」

 

おいおい…ここまで言っておいてそれは無いだろ…キリト…

 

(えっ?今の声って…)

 

和人「きっ、きっ、キヒロ!?」

 

継裕「よっ、こっちでは継裕だ。よろしくな?」

 

和人「ななななんでここが分かった!?」

 

(なにこいつ怖!急に現れてくるとか!忍者かよ!タイミングも良すぎだし!)

 

継裕「眼鏡に聞いた。ん?こっちは直葉さんかな?久しぶり。」

 

(おいクソ眼鏡…)

 

直葉「はっはい!お久しぶりです!」

 

継裕「同年代なんだか敬語はいらないって。」

 

直葉「えっえっと…」

 

継裕「まぁ、呼びやすいほうでいいよ。あっそうそう。こいつには向こうで何度も助けられた仲なんだ。」

 

直葉「えっ、お兄ちゃんが!?ってことは、継裕さんも"SAOサバイバー"なんですか!?」

 

("SAOサバイバー"これはあのデスゲームから帰還したものを指す言葉。生き残った約6000名の者達はそう呼ばれている。)

 

和人「まぁ、一応な?てか俺が助けられたことの方が多い気が…」

 

継裕「えっ?そうか?」

 

和人「てかお前リハビリは?」

 

(そういえばなんでこいつここにいるんだ?アルマトランに行ってるはずじゃなかったっけ?でもキヒロが来てるんならユウキも帰ってきたんだよな?)

 

継裕「終わった。」

 

和人「!!!!!!???????」

 

(何涼しい顔して言ってんのこいつ!?時間的に考えても俺よりは帰ってきたのは絶対遅いよな!?)

 

直葉「いつ退院したの?」

 

継裕「先週。」

 

(???????!!!!!!!早すぎだろ!!ありえないレベルだぞ!?一応聞くか…)

 

和人「なっ!そんな早くできるものかよ!?」

 

継裕「まぁな。」

 

(えっ?…それだけ!?)

 

直葉「あっあのう、お願いいしてもいい?」

 

継裕「ん?やる?試合。」

 

直葉「はっはい!是非!」

 

継裕「んじゃ、キリト審判よろしくー。」

 

(どうしてこうなった…てか大丈夫なのか?って思ったけど、改めて体見て見ると…大丈夫だなこれは…少なくとも俺よりは…しかも色々負けてるし…筋肉とか身長とか…くっそ…)

 

《継裕対直葉の試合だが、結果だけをいえば継裕の圧勝だった。直葉の剣筋はすべて見切られ、まるで相手にならなかった。2年のブランクがあるとは思えない動きをしていたようだ。昔戦った時よりは格段にレベルは上がってるらしいが流石過去連覇していただけに簡単には勝てないらしい。》

 

直葉「くっ…なんでよ〜…」

 

継裕「いや〜強くなったなぁ〜、でも、まだまだだね。」

 

直葉「つ、次こそは!」

 

継裕「いいねぇ、その負けん気。」

 

(いやいやいや!?おかしいだろこいつ!身体どうなってんだよ!)

 

《未だにキリトは継裕の異常さについて理解不能だった…》

 

和人「そういえば、なんでここに来たんだ?」

 

(1番肝心なこと聞いてなかったな…そういえば…)

 

継裕「いや、ちょっとな…」

 

(なんでそんな、"言いずらそうな顔"するんだよ…)

 

継裕「明日奈と、藍子のいる場所がわかった。」

 

和人「なっ!」

 

(わかったって…菊岡さんでもわからないって言っていたのに…)

 

継裕「直葉さん、"アルヴヘイム・オンライン"を知ってるか?」

 

直葉「知ってると言うよりやってますが…」

 

和人「えっ!?PC音痴のスグが!?」

 

直葉「うっ…で、でも!これでも古参プレイヤーなんだからね!」

 

継裕「なら聞いておいて損は無いな。2人は"その中"にいるんだ。」

 

(はっ?中にいるって…どういう意味だよ…)

 

和人「えっ!?でもどうやって…」

 

継裕「この画像を見てくれ。」

 

(そう言って継裕が見せてきた画像には…決して画質は良くないが、確かにアスナとランに似た人が写っていた。)

 

直葉「これって、上空制限が出されるきっかけとなった写真ですよね?」

 

継裕「そっ。たまたまだけど、これを元にあいつらの居場所を探してたらそこにいた。ってわけさ。」

 

和人「ど、どうやってそこに!」

 

(俺は自分の感情を抑えきれずつい、キヒロに掴みかかってしまった。キヒロはそれを振りほどくなどということはせず、そのまま静かに告げた。)

 

継裕「世界樹を攻略するしかない。あいつらのSignalはその上空だからな。」

 

直葉「そっ、そんなすぐにはとても無理だよ。だって、1年経っても未だに攻略されてないんだよ!?」

 

継裕「やってみなきゃわからないだろ?勿論行くよな?キリト。」

 

和人「あぁ…勿論だ!」

 

継裕「じゃっこれあげるよ。」

 

(そういって差し出してきたのは…アルヴヘイム・オンラインのソフトだった。正直いって何をしてここまで調べきれたのかは不思議でたまらないがこうなったら、最後まで力を借りよう…)

 

和人「ありがとう。」

 

継裕「おう。よし、今日から行くぞ。直葉さん、あなたも来てくれると助かるんだが。」

 

直葉「はい!もちろん行かせていただきます!」

 

継裕「助かるよ。プレイヤーネームとかできる限り詳細が分かるとありがたいんだが。」

 

直葉「あっはい。名前はリーファっていって、種族はシルフ。見た目は金髪のポニーテールってところを除けばほぼ、リアルと同じです。」

 

(金髪だと…どんな感じなんだろうか…)

 

継裕「よし。じゃー今日の12時位にログインってことでいいか?俺はインプにする予定だから。」

 

和人「了解。俺は見た感じスプリガンかな?」

 

継裕「じゃっ、いっちょ頑張りますか!」

 

(こうして2人の救出作戦が始まった。まだ先は見えないが俺達なら必ず助けられると信じて…前へ進む、いや、"進むしか"道はない…2人を取り戻すまで…)

 

《だが彼らはこれから待ち受ける闇にまだ気づいていなかった…》

 




ALO編始動です!!!

ぶっちゃけると個人的にはめちゃくちゃ難しい…

まぁできる限り原作とは違うオリジナル要素を作りたいと思ってるのでよろしくお願いします!

(*´∇`)ノ ではでは~


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Alfheim Online

今回結構原作に近いかもしれません…

では!どうぞ!


(約束の12時まではまだ時間あるので、俺はアルヴヘイム・オンライン、略してALOの事について調べることにした。それで分かったこととは、

 

1・どスキル性、プレイヤースキル重視であること。SAOみたいなレベル性ではなく、ひたすら各種スキルを反復使用することによってしか上昇せず、育ってもHPは大して上がらないそうだ。戦闘もプレイヤーの運動能力依存で、ソードスキルなし、魔法ありのSAOという感じみたいだな。グラフィックや動きの精度もSAOに迫るスペックらしい。まさか茅場晶彦と同等の奴がいるとはな…

 

2・PK推奨であるということ。まず最初にプレイヤーはキャラメイクで色々な妖精の種族の中から1つを選ぶわけだが、違う種族間ならkillありみたいだな。しかも、それぞれの種族にある領地と呼ばれるところから1歩でも外へ出れば他種族は攻撃可能になるみたいだ。安全といえるのはあくまで領内ということらしい。こんなの売れるのか?

 

3・この世界においては飛ぶことが可能らしい。なんでもフライト・エンジンというシステムを搭載しているからだとか。最初は補助コントローラーを使って飛ぶみたいだが慣れてくれば随意飛行で飛べるらしい。だが、これも無限ではなくて時間制限があるとの事。どの種族でも約10分が限界らしい。なんというかいよいよファンタジーの世界が近づいてきたということか。というか、どうやって羽を制御すればいいんだ?

 

4・魔法があるというのもSAOとの違いだな。それぞれの種族ごとに得意不得意があるみたいだが、スプリガンはというと…トレジャーハントと幻惑魔法かよ…どっちも戦闘不向き。やっぱ下調べしてから選んだ方が良かったな…

 

5・制作会社が、大手電子機器メーカーである"レクト"だということだ。といっても、その中でもVR部門が、担当しているということになるんだろう…

 

そういえば、約1週間前…)

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

(今日は藍子に会いに所沢にある高度医療機関に来た。そこにおいて、藍子こと、ランは眠っているというからだ。彼女は相変わらず美しく感じる。肌の色は透き通るように白く、病的な色合いは全くないな。)

 

《その時、ある2人の男が入ってきた。1人は初老の男性。もう1人はかなり若いと思われる男性だった。》

 

?「やぁ、来ていたのだね。桐ヶ谷君。いつもすまないね。」

 

和人「いえ、来たくてきてるので。」

 

?「紹介しよう。彼は総合電子機器メーカーレクトにある研究所で主任をしてる須郷さんだ。」

 

須郷「よろしく、須郷伸之です。そうか、君があの英雄キリト君か。」

 

和人「…桐ヶ谷和人です。よろしく。」

 

?「いや、すまないね。SAOサーバー内部のことは口外禁止だったな。あまりにもドラマティックな話なのでつい喋ってしまった。彼は結城彰三氏の腹心の息子でね。その縁もあって昔からよく話す仲なんだよ。」

 

須郷「あぁ、紺野さん、その事なんですが…」

 

紺野「…そうか。しかし、君はいいのかね?まだ、若いんだ。新しい人生だって…」

 

須郷「僕の心は昔から決まっています。藍子さんが、今の美しい姿でいる間に…ドレスを着せてあげたいのです…」

 

紺野「…そうだな。そろそろ、覚悟を決める時かもしれん…では、私はこれで失礼させてもらうよ。桐ヶ谷君、また会おう。」

 

(は?話の流れ的には…"結婚だよな?"どういうことなんだよ…)

 

須郷「…君はあのゲームの中で、藍子と暮らしてたんだって?それなら、僕と君とはやや複雑な関係ということになるかな?」

 

(なんだよ。その顔…酷薄という以外に表現する言葉を持たない…恐ろしくいやらしい顔だ…)

 

和人「さっきの話ぶりだとまるで結婚するみたいな言い方だったが、この状況で出来るわけないよな…」

 

須郷「確かに、この状態では意思確認が取れないゆえに法的な入籍はできない。書類上は僕が紺野家の養子に入ることになる。…実のところ、この娘は、昔から僕のことを嫌っていてね。親達は知らないが、いざ結婚となれば拒否される可能性が高いと思っていた。だからこの状況は僕にとってとても都合がいい。」

 

(何言ってんだ、こいつ。藍子の昏睡状態を利用する気なのか!?)

 

須郷「いっておくが、これは正当な権利だよ。ねぇ、桐ヶ谷君。SAOを開発したアーガスがその後どうなったか知ってるかい?」

 

和人「…解散したと聞いた。」

 

須郷「うん。開発費に加えて事件の補償で莫大な負債を抱えて、会社は消滅。SAOサーバーの維持を任されたのがレクトのフルダイブ技術研究部門さ。具体的にいえば僕の部署だよ。」

 

(なっ!この男、藍子の現状どころか生命そのものを己の目的のために利用する気なのか…だとしてもそれなら普通に考えて明日奈になるはずだ…藍子になるわけ…)

 

須郷「今疑問に思っただろう?確かに紺野家は直接は関与していない。だが、資本提供等でうちと繋がっている。最初は明日奈にしようかと思ったけど、こちらの方が"上"なんでね。」

 

和人「そんなこと…許されるとでも…」

 

須郷「誰が許さないんだい?これは正当な権利だと言ったはずだがね?まぁともかく、どんな約束をしたか知らないが、今後一切ここには来ないでもらいたいな。紺野家との接触も遠慮してもらおう。まぁ、そもそも、君と藍子じゃ全然釣り合わないがね。」

 

須郷「式は来月この病室で行う。君も呼んでやるよ。せいぜい最後の別れを惜しんでくれたまえ、英雄君。」

 

(この時俺は、無力なんだとはっきり思い知らされた。ここは仮想空間じゃない。剣が無ければ、俺は何も出来ないのか…)

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

和人「やはり、須郷が絡んでいるとみて間違いなさそうだな…そろそろ行くか…」

 

(頼む、もう一度だけでいい。俺に力を貸してくれ!)

 

和人「リンク・スタート!!」

 

 

 

キリト「ふぅ。少し早かったか?ん?キヒロもログインしてるみたいだな。」

 

シュゥゥワァァン…

 

キリト「えっ?ちょっ?!」

 

(なんでいきなり転送されてんだ!?てかこの世界にそんなものあったか!?)

 

?「よっ、久しぶり。」

 

(目の前にいたのは、とても見覚えのある顔、格好をしたキヒロだった。)

 

キリト「なっ!なんでお前!"あの時"のままなんだよ!」

 

キヒロ「まぁまぁ、そう怒るなって。ほら、お前のもやってやるからよ。」

 

(そういって急に、ホロキーボードを恐ろしい速度で打ち込んでいくのを見届けていたらいきなり前が光に包まれた。そしてその光が消えると…)

 

キリト「こっ、これは!?」

 

キヒロ「お前も、"あの時"装備だ。」

 

(なんという男だ…これはまさに、SAOでの俺の姿だ。武器、ロングコートに至るまで全てがあの時のままだ。)

 

キヒロ「アイテムは破棄しろよ?使えもんにならないから。」

 

(言われた通りにアイテム欄を開くとわかったこと。

 

1・ステータスが初期どころの話ではないということだ。見を覚えがあるというレベルではない。なんと、ここまであの時のままだった。流石に二刀流は無かったが…なんというか、こんなのビーターじゃなくてチーターだな…

 

2・アイテムは全て文字化けしていたということだ。まぁこれが当たり前なんだきっと。多分この中には思い出深いものがあったに違いないが、1個もまともに読めないとは…

 

てかこれGMに見られたらまずいんじゃ。)

 

?「直接みられない限り問題はありませんよ。」

 

(ん?なんだか聞き覚えのある声だな…)

 

キヒロ「ユイの言う通りだ。だから普通にしていろよ?目をつけられたら終わりだぞ。」

 

(いやいやいや、こんなの普通にしてられるレベルをとうに超えてるぞ…てかやっぱりユイだったのね…)

 

ユイ「さてと"また転移"しますか?父上。」

 

キヒロ「ん、そうだな。頼むわ。」

 

ユイ「キリトさん、もう少し近づいてください。」

 

(ん?転移するだと?どこに?)

 

ユイ「転移、"スイルベーン"」

 

《こうして、藍子、明日奈救出作戦が本格的に始動した。期限は1ヶ月。そしてその頃のあの娘達はというと…》

 

 

 

 

?「信じてますからね…

 

 

 

キリトさん…」

 

 

 

 

 

?「あの人大丈夫かしら?

 

 

 

キヒロ君。」

 

 

 

 

 

?「お兄ちゃんおそいなー。」

 

 

 

 

 

?「早くリハビリ終わらせないと、

 

 

 

キヒロに会えない。」

 

 

 

 

 

?「継裕のやつ、大丈夫かしら?私が助けに行った方がいいのでは…」

 

 

 

 

《そして、ある男達はというと…》

 

 

 

 

?「藍子ちゃん達をしっかり助け出せよ、キリト。」

 

 

 

?「早くラーメン食いに行きてーぜ!きりの字!」

 

 

 

 

?「お前も成長したのだな、流石我が息子だ。」

 

 

 

 

 

 

 




いやーつっかれたー!w

途中から矛盾点が出てきそうになって冷や冷やしたわ…

まっ、新キャラ出せたし!よしとさせてくれ!w

(*´∇`)ノシ ではでは~


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いざアルンへ

亀更新で申し訳ありません…どうにも苦手で…

遅くなりましたが、

では!どうぞ!


〜スイルベーン〜

 

ユイ「着きました、父上。」

 

キヒロ「うーん、いいところだな!」

 

(なんでこの2人普通にいられてんだよ…てかここ、"他種族の領地"だろ?大丈夫なのか?)

 

?「あっ、やっと来たー!」

 

キヒロ「悪い悪い、ちょっと準備があってな。えぇっと、名前はリーファだっけ?」

 

リーファ「はい!えーとキヒロさんですよね?ってことはそっちがお兄ちゃんってことかー。で、その子もしかしてナビゲーションピクシー!?」

 

キヒロ「そ、って事で世界樹まで案内頼めるかな?」

 

リーファ「りょーかいです!では行きましょう!」

 

キリト「…なんかやけに張り切ってるな…」

 

?「待て、リーファ。どこに行くつもりだ。」

 

うわまじか…なんか厄介事になりそうだ…

 

《そこに立っていた男は、シルフにしてはずば抜けた背丈に、荒削りだが男っぽく整った顔。この外見を手に入れるためには、かなりの幸運か、かなりの投資が必要だったと思われる。体をややあっの銀のアーマーに包み、腰には大ぶりのブロードソード。額に幅広の銀のバンドを巻き、波打つ濃緑の髪を肩の下まで垂らしている。男の名前はシグルド。ここ数週間リーファが行動を共にしているパーティーの前衛だ。シグルドはシルフ最強剣士の座をいつもリーファと争う剛の者で、また同時に、主流派閥に関わるのを忌避しているリーファと違って政治的にも実力者だ。現在のシルフ領主はサクヤだが、彼は彼女の側近としても名を馳せる、言わば超アクティブ・プレイヤーである。その恐るべきプレイ時間に裏打ちされた各種スキル数値とレア装備はとてもリーファの及ぶところではなく、シグルドとのデュエルはいつも、いかにして彼の頑強な防御を打ち砕くかというしんどい戦いになる。実力者としては申し分はない。だが、人間誰にも一つや二つ欠点がある。彼の場合は性格に難があった。やや独占的で、束縛を嫌うものからしたら辟易とする場面が多々ある。》

 

シグルド「パーティーを抜けるつもりなのか?」

 

リーファ「うん、まぁね。貯金もだいぶ出来たし、少しのんびりしようと思って。」

 

シグルド「勝手だな。他のメンバーに迷惑がかかると思わなかったのか?」

 

(えぇー!?勧誘してきた時束縛は御免だとしっかり伝えてあったはずなのに…)

 

シグルド「お前は俺のパーティーの一員として既に名が通っている。そのお前が理由もなく抜けて他のパーティーに入ったりすれば、こちらの顔に泥を塗られることになる。」

 

リーファ「…………」

 

(まさかレコンの言う通りだったなんてね…結局、現実世界と何ら変わらないということか…)

 

キリト「仲間はアイテムじゃないぜ。」

 

さっすがキリト!いいこと言うぜ!さてどう切り抜けるかな?

 

シグルド「……なんだと……」

 

キリト「他のプレイヤーを、あんたの大事な剣や鎧みたいに、装備欄にロックしておく事は出来ないって言ったのさ。」

 

うんうんその通りだね〜でもこいつ絶対納得しないだろうな…てかキリトのやつ、ちょっと怒ってね?

 

シグルド「き、貴様っ!!」

 

(お兄ちゃん…)

 

シグルド「屑漁りのスプリガン風情がつけあがるな!リーファ、お前もこんなやつの相手をしてるんじゃない!どうせ領地を追放されたレネゲイドだろうが!」

 

リーファ「失礼な事言わないで!キリト君は、私の新しいパートナーよ!ついでだけどこの人もね!」

 

ん?今ついでって言ったよね?…泣きそう…

 

シグルド「………領地を捨てる気なのか………」

 

リーファ「えぇ、そうよ。あたし、ここを出るわ。」

 

ってええ!?いきなり剣抜くか普通!?ここSAOより危険なんじゃ…

 

キリト「斬りたければ斬ればいい。ただしデュエルでだ。俺が勝ったらリーファを自由にさせてくれ。」

 

男らしすぎて惚れちまうぜキリト!!!

 

リーファ「ちょっ、キリト君!?正気!?シグルドはシルフ随一の実力者だよ!?」

 

キヒロ「なーに心配するな。キリトが間違いなく勝つよ。」

 

シグルド「……ふん、いいだろう……勝てるものなら勝ってみろ。」

 

キリト「おっけー、んじゃ、申請するわ。」

 

あーあ始まっちゃったよ。シグルドだっけ?ご愁傷様です。

 

シグルド「(ふん、スプリガンがどこまで出来るか…いい機会だ…精々足掻いてくれ…)」

 

 

《結果、キリトの圧勝だった。SAOで培った反応速度は相変わらずのようでシグルドの攻撃は何一つ当たりはしなかった。途中からキリトは避けることに飽きたのだろうか、ただ一度のパリィをし、そこから一気に連撃を決め、勝負ありという感じになった。そのあまりの剣の華麗さに周りのシルフから喝采を浴びていた。まるで演舞のような剣だったという。》

 

キヒロ「武器破壊(アームブラスト)すればよかったのに、」

 

キリト「うーん、なんかそれじゃ物足りないなと思ったからな。と言うより身内のあの姿を見てアームブラストだけで済ますのは俺的に許せなかった。」

 

なんて家族思いのやつだよ。まぁ俺もこの位は家族思いのはず!………だよな?

 

リーファ「こっちの世界で鍛えた剣が向こうにまで影響してたんだね〜」笑

 

キリト「そ、そーなんだよ、あはは…」

 

シグルド「……今回は見逃してやる……リーファ、戻ってきたくなった時のために、土下座よ練習をしておくんだな…」

 

いやする必要ないだろ…って早く行かないとな。

 

キヒロ「そろそろ行こうぜ、2人とも。」

 

キリ リー「「りょーかい!」」

 

 

キリト「なぁ、またアレ使えないのか?」

 

キヒロ「人が多すぎる。目立つから禁止だ。」

 

キリト「ちぇ、あれ使えば一瞬なのに…」

 

リーファ「なんの話?」

 

キリト「転移の話さ、そういやなんで使えたんだ?この世界には無いだろ?」

 

キヒロ「簡単な話さ、基幹プログラムやグラフィック形式が完全に同一なんだ、SAOと。まぁ簡単に言うとサーバーのコピーだな。」

 

(確かに1から作るよりコストの削減にもなるから至極当然の話だよな…)

 

リーファ「えぇ!?それ大丈夫なの!?」

 

キヒロ「無論リーファが心配するようなことは起きないよ。ナーヴギア出ない限りはね。」

 

リーファ「よ、よかったー。ん?お兄ちゃん買ったっけ?アミュスフィア。」

 

キリト「え、あ、あぁ。買ったんだよ。うん、買った。」

 

キヒロ「…ったく。」

 

(あっ、キヒロにバレちまった…)

 

リーファ「取り敢えずあの森は抜けたいね〜、そこまで頑張ろー!」

 

キヒロ「んじゃナビ頼んだ。ユイ、プレイヤー及びモンスターの反応あったらよろしく。」

 

ユイ「了解しました。」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

?「またこれを被っているのか。継裕。まぁ何も心配はしてないが…"あいつ"を探してもらいたいというのに、この調子では当分先だな…」

 

?「お館様、"まだ見つからないか"と催促がきています。」

 

?「わかっている。ではこう言っておけ……"残るは1人"と…」

 

?「!?本当にそれでよろしいんですか…」

 

?「ああ…今はそれで凌ぐしかない…」

 

?「わかりました…そう伝えておきます。あと奥様から伝言があります。」

 

?「なんだ、継裕の新しい恋人についてか?」

 

?「左様にございます。1度私達2人で見に行きましょうとのこと。」

 

?「そうだな、日にちを決め次第伝えろと言っておけ。」

 

?「かしこまりました。私からは以上です。他になにかお伝えすることはありますか?」

 

?「…そうだな…菊岡に連絡を。恐らくこれに、あいつは感づいて捜査してる。こちらの手助けも必要だろう。」

 

?「わかりました。早急に連絡いたします。では失礼致します。」

 

?「うむ。」

 

バタン

 

《子と親は切っても切れない縁がある。考えていること。行動する力。解決力。あらゆるところで似てくる。いやこの親子の場合は"似せている"という方が正しいのかもしれない。その頃の木綿季はと言うと。》

 

木綿季「うーんいい天気!なんだけどなぁ…これで姉ちゃんも居れば言うことなしなのに…あっ!キヒロに連絡しなきゃ!………番号がわからない………」

 

?「元気そうですね木綿季君。」

 

木綿季「うん!今日退院だからね!今までありがとうございました!倉橋先生!」

 

倉橋「うん。木綿季君がここまでリハビリをよく頑張ったからですよ。普通の人の何倍も早いですからね。」

 

木綿季「ボク昔からよく外で動いていたからかもね!あっ、先生〜キヒロって子知ってますか?」

 

倉橋「!?ゆ、木綿季君!その名前どこで!?」

 

木綿季「ふぇ?SAOの中でだよ?どうして?」

 

倉橋「…いや、なんでもありません…ついこの間まで担当していたというだけなんで…つい…」

 

木綿季「今どこ!教えて!」

 

倉橋「い、今は家にいると思いますよ。家の場所はここです。」

 

木綿季「ありがとう!先生!」

 

倉橋「えぇ、気をつけてくださいね。」

 

木綿季「はぁーい!」(何に気をつけるんだろ?)

 

《まだ木綿季は知らなかった…いや他の人よりは遥かに知っている。だが、彼が隠していたことはそれだけでは無かった。彼女は彼の両親の事は、何も知らなかった。そして継裕の事についても…彼女は全てを知りどう答えるか…》

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

リーファ「うーん、なーんでお兄ちゃんはヒット&ヒットなのよ!ヒールしてるこっちの身にもなってよ!」

 

(って言ってもあんまりHPが減ってないから無駄な心配かも…)

 

キリト「す、すまない。」

 

キヒロ「うっひょー空飛ぶの楽し過ぎる!」

 

リー キリ「「あなたは(お前は)もっと貢献して!(貢献しろ!)」」

 

キヒロ「えっ、だって俺の出る幕ないし…」

 

キリト「じゃー次からキヒロonlyな!!」

 

キヒロ「なっ!」

 

リーファ「にしても、もう少し回避を意識してほしいけどね。近接型と遠距離型混合パーティーが相手だったら間違いなく魔法で狙い打たれるわよ…」

 

キリト「それって避けるの不可能?」

 

リーファ「不可能じゃないのもあるけどホーミング性のいいのや範囲のやつは無理ね。」

 

キリト「ぐぬぬ、覚えること多いな…」

 

 

《数秒後ある人物がとんでもないことを言い出した。》

 

 

キヒロ「斬ればいいんじゃないのか?」

 

《キヒロである。当然絶句する場面だが…》

 

リーファ「…………」

 

(何ていう発想してるのよ…)

 

キリト「あーなるほど、斬れば話は早いしな。」

 

(えぇぇぇ!!!!?何話に乗ってんの!)

 

《この男は違った。》

 

キヒロ「ってことで斬り方教えてくれ。」

 

リーファ「んな無茶言うなー!!!!」

 

《派手にぶん殴られたキヒロでありました。

 

そしていよいよ空の旅を終え、ここから先は洞窟超となる。》

 

リーファ「じゃーここでローテアウトしよっか。」

 

キリト「ろ、ろーて?」

 

キヒロ「交代でログアウト休憩することだよ。」

 

リーファ「そそ、中立地帯だから、即堕ちできない。だからかわりばんこに落ちて、残った人が空っぽのアバターを守るのよ。」

 

キリト「なるほど、了解。スグからどうぞ。」

 

リーファ「ありがとー!じゃ20分程よろしく!」

 

 

キヒロ「暇だな…」

 

キリト「だな…かと言ってデュエルして無駄にHP減らしたら怒られそうだし…」

 

キヒロ「何かすることないかな〜あっ、質問タイムにしよう。さぁどんどんこい!」

 

キリト「きゅ、急だな…んとじゃぁ、お前のことについて聞かせてくれ。」

 

(その瞬間身悶える感覚があった。今も寒気がする…なんと言うか聞くなみたいな雰囲気を放っているように感じた。顔を見ると別に普通なんだけどな…)

 

キヒロ「どーしてもって言うならひとつだけ教えるよ。」

 

キリト「ひ、1つだけかぁ〜…んじゃ、身体のこと…教えてくれるよな?」

 

キヒロ「…………」

 

(やっぱり、これだけは今までもはぐらかされてきたからなぁ…厳しいか…)

 

キヒロ「それでいいんだな?」

 

キリト「え?あぁ。それで頼む。」

 

キヒロ「まぁ、向こうで散々心配させたって言うのもあるしな…

 

俺の身体は昔、病に犯されていた…」

 

《キヒロが語るあの2年間のこと。果たして彼は一体なんの病に!?》

 

 




オリジナル結構書けたかな?

次回!キヒロのある意味最大の謎が暴かれる?!

ぜひ読んでくださいね〜!

(*´∇`)ノ ではでは~


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修羅場

更新が遅くなってしまい申し訳ありません…

では!どうぞ!


違うページに飛んだら全部消えるのなんとかしたい…


キリト「やっ、病!?」

 

キヒロ「ま、当然の反応だな。それで、病名だが…"後天性免疫不全症候群"だ。名前ぐらいは聞いたことあるだろ?」

 

(聞いたことあるも何も…難病としてはかなり有名なやつじゃないか!2025年の今現在でさえ、特効薬が開発されておらず、尚且つこれといった治療法は確立されてない。それに完治することは不可能と言われていたはず…)

 

キヒロ「これは通称AIDSと呼ばれるものだ。感染経路としては輸血感染だった…手術するに当たって血が足りない状況だった。そんな時悠長にも検査なんかしていられるわけがなく、そのまま投与した…その結果、感染した。」

 

キリト「…こんな事は聞きたくはないんだが…どうやって、治したんだ?」

 

キヒロ「治療法としては骨髄移植だ。拒否反応が起きず、尚且つHIVウイルスに対抗できるものが必要だった。まずはそれを探すことから始め、そしてドナーが見つかった。それで完治したわけさ。」

 

(確か新聞にも載ってたな…世界初骨髄移植でAIDSが完治されたっ、てまさか!)

 

キリト「あの新聞のって、キヒロだったのか!」

 

キヒロ「まぁ、そうなるな。」

 

って言っても、それは"世間に対する報告"だ。

 

キリト「と、取り敢えず大丈夫なんだな?」

 

キヒロ「あぁ。問題ない。」

 

リーファ「お待たせ!モンスター出なかった?」

 

キヒロ「静かなもんだったぜ?キリト行っていいぞ。」

 

キリト「んじゃ、お先失礼。」

 

《その頃。現実世界では、新たな展開が起きていた。》

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

(倉橋先生に教えて貰ったところに来たけど…

 

これ本当に家?

 

大き過ぎない!?

 

え?だって横幅普通の家の5軒分、いやもうちょっとあるかも…にしても大きい…もんもなんか立派すぎるし…ボクのお家の軽く2、3倍あるんじゃないかな…とっ、取り敢えず…)

 

ピンポーン

 

?「はい?どなたでしょうか。」

 

木綿季「紺野木綿季と言います。お時間よろしいでしょうか?」

 

?「…!?しょ、少々お待ちください!」

 

(なんとか噛まずに言えた…緊張する…それにしてもなんだか慌ただしかったな〜)

 

 

?「旦那様!只今紺野木綿季さんが、お見えになりました!」

 

?「何!?直ちに応接室に通せ!〜〜も呼べ!」

 

?「畏まりました。」

 

(見定めさせて貰おう…紺野木綿季くん…と言っても、もう決まってはいるがな…)

 

 

?「お待たせ致しました。只今門を開けさせていただきます。」

 

木綿季「ありがとうございます。」

 

?「では、ご案内いたします。私の後を付いてきてください。」

 

木綿季「わかりました。」

 

(ここにいる人…まさか全員執事さん?ちょっと多くない?多分あの人は庭師でしょ?あの人は…なんだろ?)

 

?「申し遅れました。私澤入と申します。以後お見知り置き下さい。」

 

木綿季「ぼ…私は紺野木綿季です。」

 

澤入「慣れてる方で構いませんよ。旦那様もそのような事気にはしないので。」

 

木綿季「そうですか。」

 

(そんな事言われても…気にしちゃうよ…にしても広いなー。あれ全部外車だー!5台もある…こっちはフリースペースかな?ん?なんかよく空港で見かけるやつが…)

 

澤入「では、こちらのゲートをお通り下さい。」

 

木綿季「は、はい。」

 

(警備めっちゃ硬い…今気づいたけど、門にガードマンが居るんだけど…)

 

澤入「では、どうぞ。入って1つ部屋を行った先の左側に扉があります。それを通って行けば応接室でございます。」

 

木綿季「どうもありがとう。」

 

(き、緊張する…どんな人なんだろ…)

 

ガチャ

 

木綿季「し、失礼します。」

 

?「やぁ、よく来たね。私の名前は工藤裕忠だ。どうぞよろしく。」

 

木綿季「紺野木綿季と申します。よろしくお願いします。」

 

裕忠「まぁ、かけたまえ。しばらくしたら家内が来る。」

 

木綿季「失礼します。」

 

(この人がお父さんかな?)

 

?「お待たせしました。」

 

裕忠「妻の由里子だ。」

 

由里子「由里子と申します。よろしくお願しますね。」

 

木綿季「紺野木綿季と申します。よろしくお願いします。」

 

裕忠「さてと、見ての通り、私が継裕の父で妻が母だ。」

 

由里子「あなた、自己紹介はその程にして、本題に入りましょう。」

 

(本題?何のことだろ?)

 

裕忠「あぁ、そうだな。話としては、君がうちの息子と交際しているという前提で進めるが構わないかね?」

 

木綿季「はい。継裕さんとは正式にお付き合いさせて頂いております。」

 

(まさかとは思ったけど…やっぱりこの話が来るか…そうだよね…こんだけ大きいお家に住んでいるんだから当然と言えば当然だね。)

 

由里子「貴方は継裕のことをどこまでご存知ですか?」

 

(あまり無いけど、こればっかりは仕方ない…)

 

木綿季「姉がいると、言うことと病気を患っているということです。」

 

由里子「なるほどね…貴方は継裕のことを聞いても、後悔はしないと誓えますか?」

 

(この話しぶり…"相当なことを話す"に違いない…)

 

裕忠「これはあまり外には漏らしたくない事なのでな…守れないとなったらやむを得ないという事も頭に入れといてくれ…」

 

(やむを得ない…ボク達を"消す"ということかな?例えそうだとしても…)

 

木綿季「例えどんなことを聞いても、ボクは継裕と一生を共に生きていけたらなと思います。」

 

(これが、ボクの覚悟!)

 

裕忠「…」

 

(この子なら…安心だ…)

 

由里子「…うんうん。」

 

(この子なら…)

 

裕忠「合格だ…」

 

(えっ?)

 

裕忠「君を継裕の交際相手として認めよう。」

 

(なんて言ったってあの紺野家のご令嬢だからな。文句はない…よく見つけたと思った程だ。あぁ、そう言えば、)

 

木綿季「あっ、ありがとうございます!!!」

 

裕忠「にしても大きくなったな〜」

 

木綿季「え?」

 

裕忠「覚えてはいないだろうが、君は私の病院で生まれたんだよ。まさかこのような事が起きとるとはな。」

 

(この子、どこかで聞いたことあると思えば…私としたことが。)

 

由里子「小さい頃はよく、うちの病院で息子と遊んでいたのですよ。」

 

(……全然記憶にない…これって不味い?どうしよう…)

 

裕忠「本当は今会わせてやりたいのだが、今少し忙しくてな。」

 

木綿季「いえ、ボクが無理に来たのが行けないので。貴重なお時間を使わせていただき、ありがとうございました。」

 

由里子「いえいえ、またいつでもいらっしゃい。貴方なら大歓迎よ。あっ、そうそう。」

 

(この子なら、教えてもいいかしら?)

 

《そう言って母は木綿季にこう耳打ちした。》

 

由里子「継裕の好物の料理、教えて差し上げましょうか?」

 

木綿季「是非!教えてください!!」

 

由里子「あらあら、うふふ。いいわ、付いていらっしゃい。という事なのでこの子借りますわよ。」

 

裕忠「あぁ、構わん。木綿季くんには我が家のことを沢山知ってもらいたいのでな。」

 

(なんか、認められたって言うのですっごく幸せな気分だ。)

 

 

?「お父さん。」

 

裕忠「ん?どうした。葵。」

 

葵「あの子はSAO内でもよく継裕の事を精神面から救ってたわ。何度も言ったと思うけど。」

 

裕忠「あぁ、私もあの子と話してそれが確信に変わったよ。本当はもう少し見定めるつもりだったのだが、その必要を感じなくなった。本当にいい子だ…」

 

葵「珍しくべた褒めね。そんなに気に入ったの?」

 

裕忠「うむ。あの子なら、継裕も心を開いてくれそうだ。元はと言えば私のせいなんだがね…その点に関しては悪かったと思う…」

 

葵「本当よ。いくら何でもHIVウイルスを投与するのは不味かったでしょ。」

 

裕忠「まぁ結果的にいえば、抗体も作れたし、問題は無い…ということにはできないか…」

 

葵「あのねぇ、あれのせいで無菌室にまで入って、メディキュボイド使う羽目になったんでしょ?もうしないでよね?」

 

裕忠「あぁ、もうしない。そう、約束したしな…」

 

(木綿季くん…うちの息子を頼んだぞ…)

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

キリト「お待たせ。次キヒロどうぞ。」

 

キヒロ「あぁ。んじゃ、頼んだわ。」

 

 

継裕「ふぅ。さっさと風呂入って飯食べるか。」

 

 

次回、再開!!!乞うご期待!笑




短いですが、上げましたー!

多分勘のいい皆さんなら分かってはいたかな?というのもあります笑

ALOあんまり進んでないけど大丈夫かな?笑

(*´∇`)ノ ではでは~


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驚愕

タイトル通りに書けてればなと思います!

では!どうぞ!


 

継裕「ふぅ。さてと、さっさとやることやるか。」

 

《着替えを持ち、風呂場へ向かう。部屋を出て階段を下り、左に曲がってまっすぐ行けば脱衣所だ。ふとその時、トントンと包丁の音が聞こえてきた。なんとタイミングがいい事なのか。時間が無いため手短にシャワーで済ませ、急いで髪を乾かし再び廊下に出て左に曲がってダイニングルームに入る。いい匂いがする方へ顔を向けたその時、彼は驚愕する。》

 

継裕「なっなっなっ…」

 

由里子「あら、来たのね。これからご飯だから座っていなさい。」

 

木綿季「き、き、き、…」

 

《言葉が出ない…決してかける言葉がわからないという訳では無い。向こうの世界では何度も顔を合わせているはずだが、こうして向かい合っていると…なんというか、恥ずかしさがこみ上げてくるというものらしい。長い沈黙の末、継裕が沈黙を破る。》

 

継裕「おかえり。木綿季…」

 

木綿季「ただいま。継裕…」

 

葵「お母さん、ちょっとこっち…」

 

由里子「えっ、ちょっ」

 

(これが、感動の再開ってものかな?おめでとう、継裕。)

 

《気付いたらその場に残っていたのは2人だけだった。徐々に、徐々に…歩み、近づいて行く…二人の距離があと数cmのところで止まった。》

 

継裕「なかなか会いに行けなくてすまなかったな…」

 

木綿季「ううん、ボクの方こそリハビリ終わるの遅くて」

 

《木綿季が、言い切らない内に継裕は強く、強く木綿季を胸に抱きしめた。今まで会えなかった分のが一気に溢れ出ているようだ。大して木綿季は普段このようなことをしない継裕に多少驚いてはいたが、数回の瞬きをした後、抱きしめ返した…まるで数年ぶりにあったかのような雰囲気を纏っていた。》

 

継裕「木綿季、愛してる。」

 

木綿季「うん、ボクも愛してるよ。継裕。」

 

《固い抱擁をした後一瞬離れ、再び近づきお互いの存在を確かめるよう、優しくシルエットを重ねた。互いの心に深く残ったのは間違いない…》

 

木綿季「し、しちゃったね…」///////////////

 

なんつー可愛い反応しやがる…したくなるだろ…

 

《そうして彼はもう一度、自分のを彼女に重ねる。今度は先程と違い、時折激しく、長く口付けを交わした。》

 

木綿季「つ、継裕!!」//////////

 

継裕「木綿季が可愛い反応するのがいけない…つまり、これからずっとこうなるから覚悟しとけよ。」

 

木綿季「こ、これからずっと…」/////

 

(ほとんどプロポーズじゃん!!!//////////)

 

 

由里子「…聞き耳立てるのはどうかしらと思ったけど…これは聞いててよかったわ。まさかあの子があんなに信用する子が出来るとはね…」

 

葵「…そうだね…で?どうする。ご飯。」

 

由里子「そうね…もう少しだけ、待っててあげましょうか。」

 

 

継裕「そこにいるのは知ってるぞ。飯頼む。母さん。」

 

由里子「え!?えぇ、あっ後は並べるだけだから葵ちゃんも手伝ってくれるかしら?」

 

葵「えぇ、勿論。」

 

(相変わらず、気配がしなすぎなのよ…と言うより"使いこなせてきた"という感じかな?)

 

木綿季「えっ、おっ、お義母さん!?」

 

由里子「ごめんなさいね。少し気になったもので、大丈夫よ。見てはいないから。」

 

木綿季「///////////////」

 

継裕「取り敢えず食べようか。父さんも呼んでくるよ。」

 

由里子「えぇ、お願いね。」

 

 

継裕「父さん、ご飯だよー。」

 

忠裕「ん?あぁ、今向かう。」

 

《こうして家族団欒の時間を過ごした。継裕はローテアウト中という事をちゃんと覚えているのだろうか…》

 

 

キリト「遅いな…」

 

リーファ「だね…そろそろモンスター湧いちゃうよ。」

 

ユイ「もう少ししたら戻ってきますよ。多分」

 

 

継裕「そう言えば、紹介遅れたけど、俺の嫁の木綿季だ。」

 

木綿季「んん!?」//////////

 

《どうやら料理が喉に詰まったようだ。慌ててお義母さんと、葵が手助けに入る。父はというと、継裕のはっきりとした言動に少々驚いたようだった。まぁ当然だ。彼女ではなく、いきなり嫁と紹介したのだから…》

 

木綿季「ぷはっ!あっ、ありがとうございます。」/////

 

葵「ふぅ。よかったー。継裕〜?いきなりそういう事言わないの。」

 

継裕「すまん木綿季。でも俺本気だから。」

 

木綿季「う、うん。」///////////////

 

忠裕「継裕、それに関して言えば何も問題は無い。強いて言うならお勉強を頑張ってくれという事ぐらいだ。」

 

由里子「貴方の口から直接聞けたのは良かったけど…もう少し前振りしてからにして頂戴ね?木綿季の身に何かあったら貴方を追い出すからね?」

 

継裕「ふぇ?まっ、まぁ取り敢えずご馳走様。」

 

木綿季「もう…行っちゃうの?」/////

 

それは反則すぎる…/////好きな人に上目遣い目ウルウルは破壊力高すぎ…/////

 

忠裕「すまないね木綿季君。もう少しいても構わないところなんだが、君のお父さんが迎えに来ててね…大変心苦しいんだが…」

 

木綿季「えっ…ちょっと交渉してきます。」

 

継裕「だとしても木綿季、俺少し用があるから夜遅くなるけど…」

 

木綿季「わかった!!」

 

(何としても交渉する!!これは絶対成功させないと!!)

 

《以上に燃えていた木綿季であった。木綿季が、交渉しに行ってる間継裕はと言うと。》

 

由里子「とてもいい子ね。木綿季ちゃん。」

 

葵「妹にしたいぐらいだよ。」

 

継裕「それはダメだ。」

 

忠裕「継裕、そろそろ時間だろ?急いだ方がいいぞ。」

 

やっべ、とうに30分経ってる…これは怒られるかな?

 

忠裕「ただし、24時前には一旦降りてきなさい。」

 

継裕「りょーかいした。んじゃ、木綿季が来たら相手頼みます。」

 

葵「はいはーい、頑張ってね〜」

 

(アーちゃん達を頼んだゾ。)

 

 

 

キヒロ「わり、戻るの遅くなった。」

 

キリト「おう、おかえり。」

 

リーファ「よし、キヒロ君も戻ってきたところで中入りますか!」

 

ユイ「その前にキリトさん、暗視魔法をかけてください。」

 

キリト「……」

 

《キリトはユイに怒られながらもスペルワードを読み上げた。最初はグダグダだったが何回かやるうちにたどたどしさは無くなり、スラスラ言えていた。そして以外にもこの暗視が役に立つとはリーファは思わなかったようだ。》

 

リーファ「へー!スプリガンも捨てたもんじゃないのね!」

 

キリト「その言われ方は傷付くぞ…」

 

キヒロ「まっ、取り敢えず進もうか。」

 

《中に入って数十分。キヒロ達は無双していた。元はと言えばSAOサーバー内最強の三剣士の内の2人なのだ。オークなどという雑魚モンスターでは、全く意味をなさない。スイッチという高等技術を目の前で見たリーファは驚愕していた。本来ALOでは、スイッチというものをせず、前が耐えて後ろが攻撃すると言う所謂耐久力勝負となることがほとんどだったからだ。圧倒的物量差をものともしないのはやはりこの2人の実力の高さを示している。》

 

(やっぱり…追いつけないなぁ…ん?なんだこれ?エス?さ、し、す、…うーん…もうちょっとわかりやすくしてくれないかなー…)

 

ユイ「!?父上!!プレイヤーの反応があります!数は12!」

 

キヒロ「!?なんだと。」

 

リーファ「とっ、取り敢えずやり過ごそ!」

 

《リーファが詠唱し、3人の体を緑に輝く空気の渦が足元から巻き起こり覆った。これで外部からはほぼ完璧に隠蔽されたはず。》

 

リーファ「喋る時は最低のボリュームでね。あんまり大きい声を出すと魔法が溶けちゃうから。」

 

キリト「了解。にしても便利だな。」

 

ユイ「あと2分です。」

 

この金属音。ん?あれは…トレーシング・サーチャー!?火属性…まさか…

 

ズバッ

 

キヒロ「走るぞ!」

 

キリ リー 「「えっ?」」

 

キヒロ「さっき、火属性のトレーシング・サーチャーを斬ったんだ。トレーサーを潰すしたのはもうバレてる。そしておそらく敵は…」

 

キリト「サラマンダーか!」

 

リーファ「なっ!そんな!?」

 

《一目散に街に向けて走っているリーファ達。そしてもう、橋のところまで来た。後は逃げ切るだけ…そう思ってた時、彼女らの頭上を背後から来た二つの光点が高速で通過した。そして後一歩というところで行く手を遮られてしまった。》

 

リーファ「こんな高位の土属性魔法を放てるなんて…」

 

キヒロ「なかなか歯ごたえのある奴がいそうだな。」

 

キリト「まぁ、こうなっちまったら仕方ないし…いっちょやりますか!」

 

《12対3…数的不利の中一体どう戦うのか!》

 




なんとか書けた!よし!

次回も早めに出せるといいなぁ〜

(*´∇`)ノシ ではでは~


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新たな力

最近サブタイトルを考える時間が長くなったように感じている日々です。

お気に入りこないかなー?感想来ないかなー?待ってるよー!

では!どうぞ!


《現状としては、キヒロ達3人はサラマンダーの追っ手から逃げていた。何が悪いことをした訳では無いがここは中立地帯。何が起きるかわからない場所で他種族と会うのは避けたいところ。しかもわざわざサーチャーを使ってまで探しているということだと、簡単には見逃してはくれないだろう。人数も揃えてきているところから本気なのは間違いない。しかも前衛はガードに徹する盾役とし、残る9人のメイジが回復と攻撃を担うという布陣みたいだ。圧倒的物量差の中彼らはどう戦うか…》

 

 

キヒロ「にしても分が悪過ぎる…どうやら敵さんはかなりの高位魔法まで使えるらしいが、こちとら魔法戦士は居ないんだよな…しかもなんだあの前衛、ガチガチ過ぎだろ…」

 

(キヒロ君の言う通り、これは明らかに"私たち対策"の陣営…2人の物理攻撃の威力の高さを把握しているということなの…?理由はどうであれ、状況はかなり不利…)

 

キリト「状況はどうであれ、ここにいたら狙い打たれる。突っ込んで活路を開くしかない。」

 

《そう言ってキリトは飛び出していった。確かにキリトの攻撃の重さに関しては一目置いている。1人相手なら軽々打ち破れるだろう。だが、今回のタンクは3人。いくらキリトでも少し無理があった。果敢に何度も挑むがすべて弾き返され、狙い打たれる。リーファが回復魔法をかけ続けてはいるがいずれ、数の差を思い知ることになる。相手のメイジの数は9人。こちらは2人。しかもリーファ達は魔法特化してる訳じゃないので、スキル値もそんなに高い訳では無い。じりじりとだが、確実に敗北…全滅に近づいていた。》

 

リーファ「キリト君!もう諦めようよ!また1からやり直そ!」

 

キリト「それはやだ。俺が生きている限り、パーティーメンバーを、殺させはしない!そう決めたから!」

 

そうか…まだ"あの時のこと"…引きづっているのか…無理もない…か。

 

(お兄ちゃんはちゃんと、"この世界を生きてる。ここをただの仮想世界としてじゃなく、"もうひとつの現実"として捉えている。

 

だったら私も、たとえ負けるとしても、最後まで足掻いてやる!)

 

ユイ「リーファさん、次の攻撃を全力で防いでください!」

 

リーファ「えっ?でも」

 

《リーファはユイから感じる並々ならぬ覚悟を感じた。彼女はそれに耐えきれず、同意した。その時なんと、キリトが戻ってきた。当然敵からしたら、まとまっているのですぐ様攻撃魔法を放つ為スペルワードを読み上げた。リーファはそれに対抗すべく得意の高速詠唱で追いつき、少しばかり早く、リーファの魔法が発動された。敵はこれで勝利を確信した。マナポイントの差でも勝てるとふんでいた。だが、彼らはある一人を見をとしていた。》

 

キヒロ「上出来だ。こっからは任せな。」

 

(何、この詠唱?確か見た目を変える魔法だったかな?でも大抵はスライム相当の雑魚モンスターにしかならないはず…これは賭け失敗かな?でも人数差の割には善戦できた。)

 

《リーファの見立て通りキヒロが詠唱したのはまさにその魔法だった。だが、それはあくまで"聞かせてる"だけであり本来はこう発音していた。"システムコマンド、ID〜、パスワード〜"と。》

 

リーファ「えっ?なにあれ…"誰?"」

 

《リーファたちが目にしたのは長い青髪に露出がそこそこある衣装の出で立ちで、身長ほどもあろうかという長い魔法杖を持った青年だ。顔の出で立ち等はほぼ変わってないことから、なんとかわかると言ったところだが、顔を見慣れてないと誰だか判別するのは難しかっただろう。》

 

キヒロ「ラムズ・アルサーロス!(降り注ぐ雷槍!)」

 

《彼が放った技は、敵のパーティーを全滅に追い込んだ。一撃でこれほどの威力を持つものは今までになかったのだろう。あっという間に全滅した。術者が消滅したとともに、土魔法の壁も消えた。そしてここから、ある推測に至る。》

 

リーファ「にしてもなんで私達狙われてたんだろ?」

 

キヒロ「……なにか連絡来てないか?フレンドから。」

 

リーファ「え?ちょっと確認してみるね。」

 

(やっぱり、あの一件以来きてないわね。一応いうべきかな…?まぁ、言わないよりはいっか。)

 

リーファ「えぇと、やっぱり僕の思った通りだった。気をつけて、Sで終わってるけど…これがきたわよ?」

 

文的に送り主は何かしら調査してたみたいだな。それに情報を抜き取るのに一番いいのはターゲットの近くにいること。そして恐らくターゲットは…S…さ、し…まさか!?

 

キヒロ「シグルドだ、多分だけど。一旦落ちてリアルの彼に連絡とった方がいい。」

 

(シグルド?確かにSだけど…まぁ取り敢えず落ちて連絡とるか。)

 

リーファ「わかった。確認してくるね。」

 

 

 

キリト「なんで、シグルドなんだ?」

 

キヒロ「可能性としての話だよ。俺が知ってるSなんてそいつしかいないし。あと単純にSがスパイ用語だからかな?」

 

キリト「へぇ、スパイだとしたらなんのだ?」

 

キヒロ「確かシルフの前領主は討たれて金が偉くかかったんだろ?今回も多分それだ。しかもケットシーのおまけ付きと来たらスパイとしての活用はあるな。」

 

キリト「ケットシー?なんで出てくるんだ?」

 

キヒロ「このルグルー回廊を抜けた蝶の谷って所で同盟の調印式をやるみたいなんだ。で恐らく襲うのはサラマンダー。しかもスパイはシルフ出となったらケットシーとシルフとの戦争は避けられないだろ?そーすればサラマンダーにとってはいい事づくめなんさ。パワーバランスも逆転されたくないって言うのもあるんだろうな。」

 

キリト「なんでそこまで知ってるんだ!?」

 

キヒロ「事前にユイに先行ってもらっててそこで洞窟内を進んでいるサラマンダーの大部隊を確認することが出来たみたいだ。さらにその奥に両種族合計12名確認できたらしい。俺はそれをもとに推測し、言っただけさ。」

 

キリト「だとしても人間離れしてるがな!?」

 

 

リーファ「……ごめん……あたし行かなくちゃ……」

 

キヒロ「助けに行くんだろ?スマンがお手を拝借。」

 

リー キリ 「「えっ?」」

 

キヒロ「間に合うといいな…転移!!〜!!」

 

《二人同時に思う。

 

(この人何者?本当に同い年?)

 

(前から思ってたけど、何者なんだ?逸般人では無い気がするけど…)

 

たしかに彼は傍から見たら一般人の範疇を超えているかもしれない。だが、彼が超えているのはそれだけでは無かった。彼の本当のことを知れる日がくるのか…》

 

 

 

《まだ、サラマンダー部隊は到着していない。本当にギリギリの所でキヒロ達は間に合った。まぁ突然会議場に人が現れたことにその場にいたものは驚愕していたが、そんなことを気にする間もなく、刻一刻と時間は迫ってきていた。》

 

 

キヒロ「俺のことはウンディーネで頼む。」小声

 

リーファ「えっ?あーうん、りょーかい!」

 

キリト「りょーかいだ。んじゃそれをうまく使わせてもらうな?」

 

キヒロ「あぁ、そうしてくれ。なるべく戦闘は避けたい。」

 

(だよねー。あんな技ALOには無いって言ったら凄くあたふたしてたし…今更だけど…キヒロ君めっちゃ怪しい…)

 

?「止まれ。予想外の種族がいるな…」

 

キリト「俺はキリト!!スプリガン・ウンディーネの同盟大使だ!!この場を襲うからには我々4種族との全面戦争を望むと解釈していいんだな!?」

 

《とてつもない大声に敵陣営は多少後ずさりしたが、先頭にいる男。ユージーンは違った。その獰猛な瞳で真実か否かを見極めようとしている。》

 

ユージーン「貴様が大使とはにわかには信じ難いが…?護衛の一人もいない貴様がか?」

 

キリト「ここには貿易の取引しに来ただけだからな!それに俺に護衛は逆に足でまといなんでな!」

 

ユージーン「ふっ…そちらのウンディーネの貴様は?どうなんだ?」

 

キヒロ「俺も同じく同盟大使だ。確かめたいのなら少しばかりやってみるか?」

 

《その瞬間、場の空気が凍った気がしたという。まぁそれもそのはず彼が喧嘩売ったのはサラマンダー最強の剣士、即ち"ALO最強の剣士"なのだから。果たしてどうなる!?》




ここで終わりにしてごめんなさい!

次回はいよいよ…って感じです!

(*´∇`)ノ ではでは~


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裏切り

ここは少し原作と違います!と言うよりほぼオリジナル!

コメントこないかなー?泣

では!どうぞ!



《キヒロが言った瞬間その場の空気が凍った。ALO最強の剣士と言われているユージーンに勝負を挑むとは誰が思っただろう。あちこちから自殺願望者だの、ドMだの言いたい放題言っているのが聞こえてくる。本人は全く気にしてはいないが…それにユージーンがこれに乗る必要は無いのだ。乗った振りをして全員で突撃なんていう可能性もある。いやそうすべきなのかもしれない。だが、この男はプライドが高いがために話に乗ることにした。》

 

ユージーン「ふっ、威勢がいいのは嫌いじゃない。俺の攻撃を30秒耐えきったら貴様を大使と認めてやろう。」

 

キヒロ「まっ、そうこなくっちゃな。」

 

《普通の人ならため息ぐらいつきたくなるこの状況。実際ある人物以外のものは皆、盛大なため息をついた。勿論リーファもそれに含まれるが…》

 

キリト「まっ、頑張ってこいよ。」

 

《キリトは信頼をしていた。勝つとは思ってても、負けるとは微塵たりとも思っていない。当然といえば当然。あのSAOでの動きを見ていたのだから。だが、どうやって闘うのかは想像出来なかった。今のキヒロの武器は杖だ。斬撃要素は無く打撃要素しかない。当然攻撃パターンもそんな多い訳では無いから…という思考にいたり少々不安になってしまったキリトでした。》

 

キヒロ「いつでもいいぞ。どっからでもかかってきな。」

 

(なんという挑発…キヒロらしいと言えばらしいけどな。)

 

ユージーン「ふっ、ではゆくぞ!!!」

 

《ユージーンは正面から斬りかかっていった。当然キヒロはガードする為杖を前にかざし…なんということか、ユージーンの剣がすり抜けた。そのままキヒロに迫り…真正面からの攻撃をもろに受けたキヒロは地面と衝突し、派手な音を立てた。》

 

サクヤ「不味いな…あれは魔剣グラム。伝説武器の1つ。対抗できるのは同じく伝説武器のエクスカリバーのみと言われているが。」

 

アリシャ「しかもエクストラ効果付きで物体をすり抜けるんだよ!?」

 

リーファ「そんな…!?」

 

(それにエクスカリバーの方は入手方法も見つかってないのに…)

 

《土煙の中から飛び出しユージーンに"斬りかかった"キヒロ。果たしてどうやって闘うのか。》

 

キヒロ「随分と面白い効果付きだなその武器は!」

 

ユージーン「ほう、よく生きていたな。首をとるまでに変更でいいな?」

 

キヒロ「最初っからその気だったろ!?」

 

にしてもやばいなあれ…すり抜けとかチートじゃん…さてとどう攻略するかな!

 

取り敢えず"杖に纏わせて"おくか。

 

《キヒロが、行ったのは杖に"気"を纏わせることだ。気=魔力だ。これにより、魔剣グラムの効果を防ぐことが出来る。そう、要は"物体に触れさせなければ良い"のだ。これでエセリアルシフトを完全にシャットアウトした。ここからキヒロの猛攻が始まる。》

 

ユージーン「(可笑しい…何故、俺の剣が通らない!?)」

 

キヒロ「所詮は武器の性能に頼っていた奴ということか?そんな程度なら、俺には勝てないぞ。」

 

《キヒロは杖に纏った気から斬撃を飛ばし始める。あくまでこれは"気"であるのでユージーンにガードする手段はない。》

 

キヒロ「(気攻剣!!)」

 

ユージーン「くっ!?」

 

(防げない、だと!?馬鹿な、有り得ん!)

 

キヒロ「そろそろ終わりにするな。」

 

《そう言いながらキヒロは"もう一本の杖"を生成し、二刀流として、ユージーンに斬りかかった。後数回当てれば消滅というところでユージーンの、恐らく防具の特殊効果だと思われる防御結界が張られた。が、それをものともせず結局キヒロが押し切り、勝利した。

 

数秒の沈黙…

 

それを破ったのはサクヤであった。》

 

サクヤ「見事!見事!」

 

アリシャ「すごーい!ナイスファイトダヨ!」

 

《2人の言葉を皮切りに色んな所から拍手喝采が起きた。いくら領主間で争いがあるといい、やはり彼らも1プレイヤーなのだ。目の前で素晴らしい剣技を見たら感嘆とするものだ。そんな時彼らは…?》

 

 

キヒロ「ふぅ、ちょっと危なかった〜」

 

キリト「結構余裕だったみたいだけどな?」

 

リーファ「武器生成魔法なんて無いんだけど…」

 

 

キヒロ「頼む、誰か蘇生してくれ。」

 

サクヤ「分かった。」

 

 

ユージーン「まさかウンディーネに貴様のような者がいたとはな。世界は広いということか。」

 

キヒロ「どうかな?信じてもらえるか?まぁ、無理っていうなら今度は容赦なく」

 

ユージーン「遠慮しておこう。先程の戦いで嫌という程わかった…出来れば貴様とはまた戦ってみたいものだな。」

 

キヒロ「機会があれば、な。だが、こーゆーのはやめてくれよな?」

 

ユージーン「あぁ、ではまたな。」

 

《そう言ってユージーン率いるサラマンダーの大部隊は自分の領地に向かって帰っていった。そしてキヒロは問い詰められる…》

 

サクヤ「見事であったな。だが、ユージーンのあの剣を防ぐとは一体どのような手を使ったのか、気になるところだな。」

 

アリシャ「キミ本当にただのプレイヤー?にしてはちょっと強すぎる気もスるけど?」

 

《こんなこと聞かれるのは仕方ないだろう。ユージーンを破っただけならまだ話はわかる。だが、問題は初撃以外全くキヒロが攻撃を喰らわなかったことだ。魔剣グラムの能力を知っているものなら尚更不信感を抱くに違いない。だが、彼のことをかばってくれる仲間がいた。》

 

キリト「その点に関しては大丈夫だ。こいつは俺のリアルの友達だから。」

 

リーファ「うん、あたしもその点に関しては保証する。確かにチートみたいに強いけど…」

 

サクヤ「そうか、リーファがそこまで言うなら信じよう。それより何故ここが分かった?」

 

リーファ「それはね?」

 

《リーファはレコンの努力によりわかった情報をサクヤに伝え、それで、ここまで来たのだと言った。それを聞いた彼女はしばしの時間驚いたものの、納得したような表情で言った》

 

サクヤ「そうか、ここの所シグルドから苛立ちめいたものは感じてはいた。きっと許せなかったのだろう。誇り高いあいつのことなら尚更…」

 

リーファ「だとしてもこれは」

 

キヒロ「男ってそーゆーものだぜ。特にプライドの高いシグルドのようなやつは特に。たとえ罠だとわかっててもきっと奴は同じことをしたさ。」

 

サクヤ「そうだな、私もそう思う…ルー"月光鏡"頼めるか?」

 

アリシャ「夜じゃないからあまり長くは持たないヨ?」

 

サクヤ「構わない、すぐ終わる。」

 

月光鏡ってなんだ?よくディズニー映画で見るあれか?鏡に自分以外のが映るやつ。あっ、シグルドのおじさんだ。

 

サクヤ「シグルド」

 

《彼女の凛とした声を聞いた鏡の向こうにいる相手、シグルドは驚愕の表情で椅子から飛び上がった。めは限界まで開かれ、少し動揺しているようにも見える。》

 

シグルド「さ、サクヤか。なんだ?会談はどうした?」

 

サクヤ「無事に終わりそうだ。そうそう、予期せぬ来客が来た。"ユージーンが君によろしく"と言っていたよ。」

 

《ユージーン、その名前が出た瞬間、シグルドは顔面蒼白となった。自分の裏切りがバレたと悟ったのだ。傍らに映るリーファ達を見て疑惑が確信に至った。だが、この男は高を括っていた。軍務を預かっている自分が追放されるわけないと。》

 

サクヤ「シルフでいる事が耐えられないみたいだからな。貴様を自由にしてやろうと思った。」

 

《領主専用のシステムウィンドウを開き、シグルドにメッセージを送るサクヤ。それを見たシグルドは驚き、そして怒った。》

 

シグルド「正気かサクヤ!?この俺を、追放するだと!?」

 

サクヤ「そうだ。レネゲイドとして中立域を彷徨え。いずれそこにも新たな楽しみが見つかることを祈っている。」

 

シグルド「うっ、訴えるぞ!権力の乱用で訴えてやる!」

 

サクヤ「好きにしろ。」

 

《次の瞬間、鏡の向こうにいた男は消えた。きっと今頃アルンを除くどこかの中立域をさまよっているだろう。

一息ついたサクヤはアリシャを代表とするケットシーの者達に謝罪をした。領主であるアリシャからは死んでなければ結果オーライという励ましを受けたのであった。

そしてここからとんでもない勧誘が始まる…》

 

サクヤ「さてと、キヒロ、と言ったな。どうかな?シルフで傭兵をやらんかね?」

 

ちょっと待て、なんだこれ…めっちゃ柔らかいのが当たってる当たってる!?

 

アリシャ「ケット・シーはどうかな?3食おやつとお昼寝付きだヨ!あっ!サクヤちゃん色仕掛けハンターい!!」

 

とか言いつつこの人も当ててきてるんだよなぁ…てか逆からだったらハラスメントコード出ないのね…なんかいい匂いするんだけど…耐えろ…

 

サクヤ「人のこと言えたものか!貴様も密着しすぎだ!」

 

誰か助けて…

 

リーファ「だめー!!キヒロ君はあたしの」

 

キリト「リーファ?」

 

《この時リーファは気づいてしまった。キヒロ…継裕に抱いていた気持ちを…そしてこの気持ちは中学の大会で見てからの気持ちと同じだということに…》

 

(そっか…あたし、キヒロ君が好きなんだ…)

 

キヒロ「お言葉はありがたいんですが、俺達、アルンに行くことになってるんです。出来れば世界樹攻略の手助けもしていただきたいんですが…」

 

(商売上手だなキヒロのやつ…)

 

サクヤ「勿論協力はするがとても1日2日では…

 

リーファ、領地をでるのか?」

 

リーファ「うん、ちょっと旅に出てくる。大丈夫、いつか戻ってくるよ。」

 

サクヤ「そうか、達者でな。」

 

キヒロ「資金ならこれくらいあれば足りるか?」

 

《そう言ってキヒロがオブジェクト化し、出したものは…

 

10万ユスリル硬貨だ。かなりの数がある…続けて袋が3つそこには置かれた。》

 

アリシャ「……何してこんなに稼いだの……こんなの城が立つレベルだよ……」

 

サクヤ「これだけあればおそらく足りるだろう。けどいいのか?こんなにも。」

 

キヒロ「時間が無いしな。それにまだあるから心配するな。」

 

《本日2度目、場の空気が凍った。通常、この袋1杯稼ぐにしても邪神級モンスターを気が遠くなるまで狩っても満パンにはならないのだがら…それを3つもしかも、まだ余力があるとなれば絶句するのも当たり前だ。

 

暫し会話を交わした後、それぞれの領主は世界樹攻略の為にと領地へ帰っていった。残ったリーファ達は近くの街に泊まるため、向かって行った。》

 

リーファ「じゃ、また明日。」

 

キヒロ「あぁ、お疲れさん。また明日な。」

 

キリト「お疲れ、明日は昼ぐらいからでいいか?」

 

今の時間は23時30分…うん、大丈夫だな。

 

キヒロ「うん、それで頼む。」

 

《こうして3人ともログアウトしていった。

 

ログアウトしたキヒロは父が言っていたことを思い出し、父の元へいく。》

 

 

継裕「なんのよう?父さん。」

 

 

《ここで父に言われることとは!?》

 

 

 

 

 




色々衝撃だった方もいるかもしれませんね。笑

次回も結構衝撃的かも笑

(*´∇`)ノシ ではでは~


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捜査

遅くなりましたが更新です。今話題のをちょっと入れこみました。

これからもよろしくお願いします!!

では、どうぞ!


呼び出された理由はなんとなく察しがついている。恐らく"対象"の捜査についてだろう。SAO内で1人見つけたがそれ以外は見つからなかった。父が言っていた世界に5人いる内の、3人までは確実だ。そして残る2人のうちの1人も見つけたと言っても過言ではない、と思いたい。今はこれを報告するしかないか…

 

「来たか。取り敢えず座れ…」

 

言われるがままに俺は父の前に座る。この場にいるのは俺と父2人のみ…と思っていたが、そこにもう1人現れた…

 

「久しいな。継裕よ。」

 

この人は俺の祖父…身長178、体重85kg。決して太っている訳では無い、なにせ体の75%以上が筋肉という年齢の割には随分ガタイのいいお祖父さんだ。歳は今年で65になるというのに…まだまだ現役で働いている。しかも勤め先は、警察庁警備局警備企画課、その中でも、通称…"ゼロ"と呼ばれているところだ。そしてそこでウラ管理官をしている。表向きは警察庁長官、という経歴を持つ。またICPOにも内通しており、数多くの協力者がいる。その手を伝って"奴"を探して入るのだが、今のところ見つかった報告はない。

 

「お久しぶりです。それにしてもどうしてここに…」

 

そうだ。なぜこの人がここに…

 

「…どうやら、"アレはあの組織"にいるらしい。」

 

俺は激しく動揺した。記憶にはないが、"同じ仲間"がそこにいると思うと、正直な話、気が動転してしまうかと思った。しかし、父、祖父は特に気にしている様子はない。何故なのか。

 

「やはり、そこにいるのですね…」

 

「あぁ、お前の想像していた通りだ。」

 

そうか…そうだ。よく良く考えれば"アイツら"からしたら"奪うのは必然"だったのだろう。恐らくどこかでその情報を入手し、幼子の時から自分たちの手駒として扱おうとしたのだろう…ある意味使い方は間違っていない。たまたまそいつだっただけで、俺だった可能性もあるのか…

 

「潜入している彼らからは何も報告は来ていない。今しばらく時間はかかるだろう。それと、No.4と接触はしたか?裕忠。」

 

「はい。彼は我々の協力者として力を貸してくれるとのことです。今は公安により保護、監視されてます。」

 

「分かった。継裕は引き続き、No.3、No.5の捜索。ぬかるなよ。」

 

「えぇ、勿論です。」

 

「話は以上だ。継裕、私に付いて来なさい。」

 

「はい。お祖父さん。」

 

そうして連れていかれたのは、まだ1度も入ったことのない地下室だった。存在自体は知っていたが、足を踏み入れることは無かった。と言うよりも、階段降りたらすぐ鍵付きの扉があり、それには鍵がかかっていた為入れなかったのだが…地下降りて、左に曲がって数歩進むと右手側に扉があった。何重にもしてある鍵を開け、俺は初めて、祖父の部屋に入った。

 

「これが資料だ。奴らのな…」

 

「奴らって、まさか!?」

 

「俺の息子達が潜入している国際犯罪組織のだ。そこに、先程話した、奴の事が書いてある。」

 

耳を疑った。先程は何も報告は来ていないと言っていた。それなのに何故、ここに情報があるのか。

 

「疑問が生じるのはわかる。だが、それは記録を読んでからにしてくれ。」

 

パソコンを起動し、その人物についてのデータを見る。

 

 

 

 

 

 

 

俺は目を疑った…

 

 

 

 

 

 

 

まさか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"俺とほぼ同じスペック"だとは思わなかった。

 

体内における数値、耐性、頭脳、身体能力だけを見れば俺とほぼ変わらない。つまり…

 

 

 

 

 

 

 

 

もし、闘うことになったら…

 

 

 

 

 

 

 

"ほぼ互角"という事…

 

 

「さらにだ。そいつはその組織においてエリート教育を受けている。あらゆる面でのな。その点に関してもほぼ同等。」

 

「だから、か。」

 

「そうだ。此奴は"お前しか相手が出来ない"」

 

確かに、こんな奴と父や叔父さん達との実力は歴然の差だ…一瞬にして、"殺される"…

 

「あいつらを助けられるのは、お前だけだ。頼んだぞ…」

 

思えば祖父が俺に頼み事をするのはこれが初めてだな、と。

 

 

 

それに彼は気づいていなかった…

 

 

 

まさか奴と、

 

 

 

"あんな場面で遭遇していた"

 

 

 

なんて、想像もしていなかった…

 

 

しかも、

 

 

 

 

"因縁の相手として"…

 

 

 

 

気づいた時には、既に闘いは…

 

 

 

始まっていた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

部屋に戻るとそこには天使がいた。何故いるかは何となくわかった。何がなんでも交渉するとは言っていたが本気だったとは…しかもよく見ると、俺の部屋の片隅には明らかに旅行用の荷物がある。何日泊まる気なんだと思ったし、客人の部屋は別にあるのにと思ったが、この顔見れば話は別だ。疲れたのか寝てしまってはいるが、寝顔まで美しいとは、神に感謝せねば。頬を突っつくとうにゃとかいう、可愛い寝言を言っている。かなりの写真を撮った。えぇ撮りましたとも。何かいけませんかね?この可愛い寝顔を撮らなくてどうするんですか!?何なら待ち受けに登録するレベルです!

 

取り敢えず起こすか…

 

「おい、木綿季。1回起きてくれ。」

 

「う、うーん…あっ、継裕〜おはよ〜………えっ?」

 

「何がえっ?だよ。それはこっちのセリフだ。人の布団でぐっすり寝やがって…木綿季じゃ無かったら床に叩きつけてるところだったわ。」

 

「それは痛いからやめてあげてね…ごめんね?ボク気づいたら寝てたみたいだね。って、継裕いつも椅子に座ってログインしてるの?」

 

「あぁ、あの椅子心地いいしな。あっ、だから気づかなかったのか…」

 

油断した。起きた時に気づくべきだった…

 

ん?

 

"この俺が気づけなかった!?"

 

「あのね、ボクしばらく泊まることになったから。この部屋に。」

 

ん?今サラッと変な事言った気が…

 

「もう1度確認していいか?どこに泊まるんだ?」

 

「え?この部屋に泊まることになったって、お義父さんから聞いてない?」

 

聞いてないし…てか俺の心臓持つかな…?

 

「もしかして…嫌?」

 

嫌なはずが無い…だが、理性が…いや、自分を信じろ継裕。お前なら出来る。鋼の理性の俺なら…

 

「嫌じゃないけど…わかった。許可するよ。」

 

「やったー!!んじゃ、お義姉ちゃん呼んでいい?ってか起きたら呼ぶように言われてたし呼ぶね!」

 

「はい?」

 

え?なんで!?何する気なの姉貴!!!???

 

「って事で、お邪魔しますね〜」

 

しれっと入って来やがった…もうどうとでもなれ…

 

「じゃー、継裕。ALOについて教えて!」

 

え?それ…?姉さん呼ぶ必要ないんじゃ…

 

toるるるる♪

 

ん?父さん?……!?

 

「悪い、また今度な。」

 

そう言って、継裕は部屋を出てしまった…あーあ。折角お話できると思ったのに…

 

「…ごめんね木綿季ちゃん、継裕について知りたいことあるなら私が答えるわ。」

 

「ううん、継裕から聞きたいから…」

 

「そう、ね。じゃ、恋バナしよっか!」

 

「ふぇ?」

 

いきなり?でも、お義姉さんのも気になるし…

 

「うん!いっぱいしよ!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「話は終わったんじゃなかったのか?」

 

「すまんな。ついさっき菊岡くんから連絡があってな。伝えておこうと思って。」

 

「菊岡?なぜあいつから…」

 

「例のやつの調査らしいが、外部で捜索するには限界らしい…今わかっている情報はこれだけだとという報告が来た。」

 

そこに置かれたのは数枚の紙束、それは俺が依頼した調査の報告書だった。どれを見ても大したことは書いてないが、1つだけ、有難いものがあった。

 

 

藍子君の画像で間違いない。彼女の座標は世界樹の枝にある籠から出れないよう固定されている。外部からはこれ以上深追いはできない。あとは頼んだよ。継裕くん。

 

 

籠…つまり、須郷が意図的にそこに置いているとしか考えられない。そして、旧SAOサーバーは彼の管理の元だ…恐らく、約300人の座標もそこにあるはずだ…いや、菊岡さんの報告で、確定した。外は削った。あとは中からこじ開けるのみ!

 

 

 

救出作戦が、いよいよ正念場を迎える………!!!

 

 

 

 

 




これが肝になるところですね。
これからのstory展開に大きく影響するのが、
書かれていると言っても過言では無いでしょう!

(*´∇`)ノ ではでは~


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早めに出せたことに歓喜!!

これからもよろしくね!

では、どうぞ!


 

「では、おやすみなさい。父さん。」

 

「あぁ、おやすみ継裕。」

 

俺の部屋は2階にある。階段上って右に曲がり数歩進めば俺の部屋だ。因みに上りきってすぐの所には姉の部屋がある。

 

「あっ、おかえり〜継裕〜」

 

「おかえりひろくん♪」

 

まだ居たのかこの人…そろそろ寝たいんだけど…

 

「心配しなくても、部屋に戻るよ〜そんなに早く木綿季ちゃんと一緒に寝たいの〜?」クスクス

 

「なっ!?」

 

そうだ。そうだった…今日からこの部屋で何日か過ごすんだった!

 

「ふぇ!?そ、そうなの継裕!?」

 

どう答えるのが正しいか…本心は一緒に寝たい。それは否定しない。でも、それはどうなんだと思ってもいる…なかなか難しい問題だな…

 

「じゃ、私はこの辺で失礼するね〜」

 

そう言って俺の姉、葵は部屋に戻っていった。取り敢えず寝たい…今日は疲れた…

 

「つ、継裕?」

 

「悪い、少し寝たらしたらどくから…」

 

え?ってもう寝てるよ…よっぽど疲れてたんだなぁ〜ぐっすりだね。そんな状態なのに、ボクがいるから…ボク1人分なら大丈夫そうだな。隣お邪魔するね?継裕…

 

 

こうして2人揃って同じベットで寝たのでありました。

 

 

 

次の日

 

 

 

なんで木綿季が隣にいるんだ!?心臓に悪すぎる!?えっと確か俺はあの後寝て…そっから先記憶にない…変なことしてないよな…そう言うのはちゃんと結婚して、経済的にも安定してきたらと思ってたし…大丈夫だよな俺!?

 

「ん、あ、おはよ〜継裕。」

 

「あっ、あぁ、おはよう木綿季。」

 

大丈夫そうだな…

 

「おっはよー!!2人とも!!朝ごはんだよ!!」

 

あっ、1番めんどくさいの来た…

 

「おっはよー葵お義姉さん!!!」

 

「木綿季ちゃん継裕に変なことされてない?大丈夫?」

 

……大丈夫だよな?俺………

 

「ん?変なことされてないよ?ってか、ボクの方が継裕に抱き着いて寝てたから苦しかったかも…ごめんね継裕。」

 

寧ろご褒美です。ありがとう木綿季!だがここはあくまでポーカーフェイスを貫く。それが男だ。

 

「別に気にすんな。」

 

朝は、ご飯に味噌汁、御菜に漬物と言う一般的な料理だ。基本、工藤家では朝はこのように和食が多い。これは両親ともにそう言う家で育ったというのが大きい。木綿季の家はわからんが…

 

「美味しそうですね!お義母さん!」

 

「ありがとう木綿季ちゃん。今度からは木綿季ちゃんにも一緒に作ってもらおうかしら?」

 

「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!!」

 

そんなに嬉しいことなのか?まぁ、木綿季が喜んでいるのなら良しとするか。

 

「今日の予定は何かあるお母さん。」

 

「そうねぇ、今日は特に無いかしら?」

 

「なら木綿季と一緒に皆でお出かけしませんか?勿論継裕も連れて。」

 

なんでだよ…

 

「そうねぇ、それはいいかもそれないわね。」

 

まぁこうなるとは思ったけど一応反論しとこ…

 

「俺1人でも平気だから女性の皆さんで楽しんできたら?」

 

空気読みなさいよバカ弟…

 

「ぼ、ボクは継裕と一緒に行きたいな…」

 

「行きます、いや行かせてください。」

 

案外簡単な男ね継裕って…

 

「えっ、えぇ。では、9時出発にしましょうか。」

 

こうして俺達は約2年ぶりに家族で出かけることとなった(父はいない)

場所は、少し離れた所にあるショッピングモールだ。と言うのも普段母はこういうところに来ないので、偶にはという事で、葵姉さんが誘ったからだ。まぁ、女性が4分の3を占めるため、必然的に回る所は決まってくるが…

 

「では、お気をつけて行ってらっしゃいませ。」

 

「澤入さんも、羽を伸ばしてきてくださいね。」

 

「ありがとうございます奥様。では、失礼致します。」

 

とか言いつつ、SPはそこら中に居るんだけどね…母さん達は気づいて居ないみたいだけど…

 

「何でもあるのねこの場所は。」

 

「それがひとつの魅力だからね。木綿季どこか行きたいところある?」

 

「うーん、このアクセサリー店に行きたいかな?」

 

…………、探そ……………

 

そのアクセサリー店には、主に鉱石を使った物が多く存在した。その為なのか、値段が高くあまり客は見当たらない。何故、このような店がここにあるのか…えぇっと、確か木綿季の誕生日は5月23日だったな。誕生石は…エメラルドだっけ?ブレスレットかネックレスか指輪か…指輪はもっとちゃんと決めたいからまた今度にしよう…うん、ネックレスだ。5万くらいか。悪くない。あいつらはあそこか。ならバレず買えるかな?

 

「すまん、これくれ。」

 

「こちらですね。5万と2450となります。」

 

「カードで。後、プレゼント様に包んでくれ。」

 

「はい。わかりました。どうぞ。」

 

「どうも。」

 

ふぅ。何とか買えた。念の為カード持ってきておいて助かったわ…まだかかりそうだな。外出て待ってるか。

 

数分後

 

「お待たせ!」

 

「お待たせって継裕も何か買ったの?」

 

「ん?言っとくがこれは姉さんのじゃないぞ。木綿季のだ。って事ではい、どうぞ。」

 

「え?あっ、ありがとう…実はボクも継裕の買ったんだぁ。はい!!」

 

俺が木綿季から貰ったのは…

 

俺の誕生石のサファイアのネックレスだ。

 

「えへへっ、お揃いだね!」

 

なんか、初めて恋人らしいことが出来た気がする。楽しいなこういうのは…俺、幸せだ。

 

「次は服屋さんに行こー!!」

 

服選んでいる時、木綿季はずっと姉達の着せ替え人形だった。着替える度俺に感想求めるのだが…どれも可愛すぎてまともに正面から見たのは1つも無いかもしれない…直視するには美しすぎた…ワンピース、スカート、ショートパンツ…どれをとっても素晴らしすぎた…まさに女神ここにありという感じだ。無論何を着せても、良いとしか言わない俺だから、途中から意見を聞くことは辞めたらしい…だって、それしかいいようがないんだから仕方ないだろ!?そこそこ時間かかると思ったのでしばらく外で待っていたら、なんと3人とも着替えて出てきた。その瞬間周りの人達の視線は彼女等に注がれる。母さんはまさにLadyと言うような出で立ち。姉さんは素肌を惜しげも無く披露した女子高生らしい服装。木綿季は、ボーイッシュに決めており尚且つ可愛いという正に最強の格好をしていた。これに目を奪われない方がおかしい。だが、当然俺がそこに見合うわけない為(結構ラフな格好)、急いで服屋に向かった。(一応メールで伝えた。)

 

 

「にしてもまさかあんなに変わるとはな…はぁ。木綿季可愛すぎかよ…」

 

さてと、速攻で選んでちゃっちゃと木綿季達のところに戻りますか!

 

俺が選んだのは、雑誌に載ってたモデルとまさに同じ格好だ。正直気が引けたが、悩んでる時間がおしいと思ってたし、手っ取り早いので、これに決め速攻で買い着替えた。店を出ようと思い更衣室を出て出口に向かっていったのだが、突然店員に呼び止められた。

 

「あっ、あの、すみません!お写真いいでしょうか!?」

 

「え?構いませんが?」

 

って、咄嗟のことで言ってしまった…

 

何枚か撮ったあとこんなことを言われた。

 

「どっかのモデルさんなんですか?すっごくお似合いですね!」

 

どうも、また次もいいのあったら買ってやるよ。さて木綿季達のところに急がないと。

 

 

なんだなんだ?めっちゃ写真取られてる気がするんだが…

 

「悪い、待たせたな。」

 

そこにはモデルばり…いや、それ以上の人がいた…びっくりし過ぎて呼吸が止まった…え?本当に継裕?こんなに変わるものなんだ…

 

「お、おかえり継裕…そ、その…とても似合ってるよ。」

 

「お、そうか?雑誌に載ってたモデルのを参考にしたんだ。木綿季も凄く綺麗だよ…」

 

「あっ、ありがとう」/////

 

そこかしこから美男美女だの最強カップルだの今まで聞いたことなかったようなものが聞こえてくる…服装でこんなに変わるものなのか。面白い世の中だな。

 

「あのーすみません。貴方はどこかのモデルか何かですか?」

 

そこら辺にいたjkが俺の腕にまとわり付きながら話しかけてくる。正直こういうやつは嫌いだ。お色気出せば男が振り向くと思っているような女は。少しキツめに言っとくか。

 

「モデルじゃない。悪いがこの腕話してもらおうか。そして2度と近づくな…」

 

腕にまとわり付いていたjkは、顔を青ざめていたが、何が起きたのか急にぱぁと笑顔になりながらすみませんでしたって言って帰っていった。どうやら友達と思われる人に喜々しながら何か言っているが…何故、木綿季の頬が膨れてる?

 

「どうした木綿季?」

 

「べっつに…この堕とし魔が…」

 

何に怒ってるんだ?

 

「まっ、まぁ木綿季その辺にしてあげてよ。ひろくんちゃんと断ってたし、ね?」

 

「うん、そうだね。いこっ!継裕!」

 

彼女に腕を引っ張られ次の目的地へ。

 

 




思えば現実初だなと思いながら書いてました。

初めての嫉妬木綿季。笑
次は上手くかけるといいなぁ〜

コメント、お気に入りまってまーふ!

(*´∇`)ノ ではでは~


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幸 2

あれからまた日が空いちゃった…

今回は前回の続きです!

では、どうぞ!


 

今は午前10時23分。約束の昼までまだ時間はある。アクセサリー店、服屋に行ったから次はどこに行くんだろ?それともまた別の服屋とかに行くのだろうか?

 

「あっ、あそこ行っていい?」

 

「楽器屋?何かやってたのか木綿季?」

 

「ピアノとか!久しぶりだからちょっと見てみたくて!」

 

音楽は好きなほうだ。趣味の中でも力を入れていたと思う。と言っても俺がしていたのはバイオリンとピアノ、ギターという少し変わった組み合わせだ。因みに葵はフルート、母はトランペット、父はオーボエというやろうと思えばオーケストラが出来る組み合わせとなる。木綿季はピアノ以外にも何か出来るものがあるのだろうか?

 

「継裕は何が出来るのー?」

 

「俺はバイオリンとか、だな。姉さん達も楽器できるぞ。」

 

「へぇ。ちょっと弾いてみない?」

 

木綿季と連弾…家族とやるのでは違う嬉しさがある。しかも彼女と…ちょっと夢だったんだよなぁ。明日奈とは全然する機会がなかったし。連弾出来るやつだけどこれ木綿季弾けるよな?

 

「モーツァルトの連弾ソナタ、K381 ニ長調 第一楽章でいいか?」

 

「うーんいいね!やろやろ!」

 

へぇ、結構弾けるみたいだな…燃えてきた。

 

「いくぞ。」

 

「おっけー!」

 

3、2、1…

 

 

人生初、彼女との連弾。弾き始めから木綿季はそこそこの上級者だと分かった。なら負けじと俺も本気を出す。すぐ調和の取れたハーモニーが出来上がり、2人だけの世界に入っていけた。雑念など一切無い。今、木綿季と2人で1つの作品を創り出している。とても心地よい空間が広がり、ずっと弾いていたいと思った。それ程までにのめり込んでいた。とても良い時間を過ごせた。

 

 

弾き終わって気づいたのだが、いつの間にかギャラリーが多くいることに驚いた。でもこれは必然だったのかもしれない。只でさえ目立つ格好をしている2人が連弾をしているのだ。それは注目も浴びるだろう。木綿季に至ってはそれで乗ってきたのか2曲目も続けて弾き始めた。確かこれは、超絶技巧練習曲より第5番『鬼火』…こんなの迄弾けるのか…オケに入れるレベルだぞこれ…

 

案の定大歓声…しかも俺が弾か無ければいけないようなこの空気…はぁ、さて何にしようか…

 

 

あれにしよう。

 

 

ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調

 

 

なかなか気に入っている曲だ。ピアノの中ではかなり上位に位置する程好きな曲だ。なんと言っても冒頭から素晴らしい。更にサビにかけての曲調、サビの盛り上がり。どれをとっても名曲と呼ぶにふさわしいだろう。この曲を弾くときは必然と心が高揚する。

 

 

終わった直後、すぐ様聞こえてきた。

 

「ブラブォ〜!!」

 

拍手喝采。このようなものは久しぶりだなと感じていたその時、ある人が尋ねてきた。

 

「継裕だよね!?ピアノの腕、全然落ちてなくて安心したよ。」

 

ピアノの恩師だ。と言うより、音楽の恩師…マエストロと言ったところの人だ。まさかこのような場所で再会するなんて…でも何でここに?

 

「君のお父さんに聞いたらここにいると教えてくれてね。そこで、ものは相談なんだが…」

 

父さん…せめて連絡しといてくれ…

 

「"オーケストラに入らないか?"」

 

………・……………

 

 

まじかよ……

 

 

 

 

 

「どうするの継裕〜?」

 

「どうするって言ったてな木綿季…」

 

正直あの提案はとても嬉しい。ある意味待ち望んでいた言葉だ。あの頃の俺はまだ小さ過ぎて、入ることは叶わなかった。だが、こうして認めれた今、入団するには絶好のチャンス。逃したらもう、入らないだろう。でも今は…木綿季の事もあるから…

 

「ボクのことを考えてるなら、心配しなくても大丈夫だよ?」

 

「え?」

 

「ボクも誘われたから。だから入るなら一緒に、ね?」

 

 

こんなの入る一択だろ…

 

 

「にしても濃い一日だったね〜お母さん。」

 

「そうねぇ、まさか先生とあんな場面で再会するなんて思わなかったもの。」

 

 

今の時間は11時6分。間に合うかな〜?

 

 

「ご飯どうする?食べて行く?」

 

嘘だろ姉さん…どうしよう…

 

「継裕は用事あるんでしょ?ならここで退席してもいいわよ?」

 

少し心苦しいが…仕方ないな…

 

「悪い、この埋め合わせは必ずするから。」

 

「気をつけてね。」

 

 

にしても何で帰ろう…移動手段あったっけ?

 

「継裕様。お車をご用意してあります。」

 

流石だわ。さてと"俺の愛車"に乗って、帰りますか。

 

「引き続き、母さん達の護衛を頼む。先程より近めでな。」

 

「了解致しました。早急に対処出来る配置に致します。」

 

「うん、じゃあな。」

 

「お気をつけて。」

 

さてと、少し急がないと。

 

そうして俺は、愛車に乗って帰路についた。今日本の法律では、免許を取れるのは18歳以上。つまり高校3年生からだが、俺はアメリカで既に取得していた為、特例で(世間的には知られていないが)車の運転を認められている。まぁ、単独で捜査をする時に、足がないのは痛いからと言う政府の目論見もあるのだろう。だが、特に状況を決められている訳では無いからこうして、常時自由に移動することが可能なわけだ。少なくとも使えて不便なことは無い。ただ、何も知らないそこら辺の交番の警察官に話を聞かれたりしたら面倒臭い事になるのが少々辛いところ。

 

ようやく家に着き、門を開けてもらい家に入ったのが12時10分前。結構ギリギリだが、まぁ、法定速度を守ってきたのだから仕方ないと自分に言い訳しながら、部屋に入りアミュスフィアを被る。そして魔法の言葉を唱えれば夢に世界に…

 

 

 

「リンク・スタート。」

 

 

 

 

目が覚めると、何故かインプ領にいた。確かに宿に泊まったはずなんだが…取り敢えずこの格好は目立つから陰に隠れメッセージを確認する。すると何と、あの宿はギミックだったことが判明。俺たち3人は地下迷宮、即ち、

 

"ヨツンヘイム"

 

 

に放り出されたらしい。その時既に俺のアバターはログアウト済みだったらしいのだが、そこから何とかして、アルンにたどり着いたみたいだ。丁度今ログインしてるので、メッセージを送ったら待ってると着たので早速転移魔法を使って向かうとしよう。

 

 

 

 

〜アルン〜

 

 

「へぇ、ここがアルンか。」

 

一言で言えば、かなり大きい木を中心に数多くの店や種族が入り乱れており、中々賑わっていた。とてもこの中から探し出すのは大変だが、キリトに至ってはあの頃の装備だから目立つだろうな。あっ、いた。

 

「よっ、キリト。」

 

「あぁ…キヒロか。キヒロ!?」

 

前回とは違う驚き方だったが、これはこれで面白いな。

 

「随分早かったね…」

 

そんな目で見ないでください直葉…チーター並と言うよりチーター扱いになるけど、そこは目を瞑ってくれ…

 

「あっ、あのなキヒロ…ランが…ここに居るんだ。」

 

それは知ってたが、どこかで嘘であって欲しいと思ってたのか、体が少し震えていた。ランが居るということはアスナもいるということ。でも何故確信できたのか…

 

「管理者権限のあるカードが、落ちてきたんだ。」

 

なるけど、恐らくユイが警告音声モードで2人に知らせ、偶然にもそのカードを持っていたから投げ捨てた。私達はここに居ると知らせる為に…でもそんなカードを須郷が持たせているとは思えない。つまり、あの二人は1度、脱出を試みたんだ。ただ待ってるより自分から出ようとしたんだ。ここまで約3週間かかっている。そろそろ須郷が2人に手を出してもおかしくはない…ここで救い出さないと…

 

「世界樹に挑むにはあの扉から入るんだよな。」

 

「うん、そうだよ。実はキヒロ君が来る前に1度挑戦したんだけど半分くらいしか行けなかったよ…」

 

キリトとリーファ2人の実力を持ってしてもか…

 

「ユイ。その時の戦闘情報あるか?」

 

「はい。ガーディアン単体としては父上達なら一撃で倒せる程ですが何しろ湧出量が異常です。あんなの攻略不可能のレベルです。」

 

つまり、より固まれば決して死なない大ボスというところか…

 

「ですが、一瞬の突破で道を切り開けたら、可能性はあります。」

 

なるほど。ならそれにかけて見るしか無さそうだな。

 

「じゃあ行こうか。2人を救いに。」

 

「待ってくださ〜い!僕も行かせてください!」

 

確かレコンとか言うやつだっけか?………足でまといになるんじゃ……

 

「決して足でまといにはならないんでお願いします!!」

 

「人数もいないし、つれてこ?」

 

こればっかりは仕方ないな。

 

「死ぬなよ…」

 

いよいよ、世界樹攻略戦が始まる!




ALO編も終わりに近づいてきたなぁ…

次話は早めに出そうと思うのでよろしくお願いします!!

(*´∇`)ノ ではでは~


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第41話 決着

最近更新出来てめちゃんこ嬉しい!!

これからも楽しく書いていきまーす!

では、どうぞ!


「死ぬなよって、SAOじゃないんだから…」小声

 

確かにキリトの言う通りだが…なんせALOは須郷が作った物。俺達を消す為なら手段は問わないだろう。それに、これはキリトと同じだが…"例え仮想世界であっても、仲間が死ぬのを見るのは嫌"と言うのが大きい。故に、死者0でいきたいのはそれが理由だ。

 

「いくぞっ」

 

扉を開け中に入るととてつもなく広く、高いドーム状の中に入った。SAOのボス部屋よりかなり広いし上にちらっと見える扉までの距離もそこそこある。なるほど、確かにこれを攻略するのは楽ではない。たが、俺達はどんな困難にぶち当たっても乗り越えなければならない。2人の仲間を救う為に…

 

「俺とキリトで切り込む。2人は後方支援。」

 

「「了解!!」」

 

だが、この割り振りは特に意味なかったことがすぐ分かる。何故なら、敵は前衛後衛関係なく攻撃してくるのだ。何かしら動作をした時点で敵として認識されるみたいだ。つまり、ヒーラーとしての役割を果たすことは不可能。仕方なくリーファ達は上に上がってきた。

 

「リーファちゃん。これって凄く大事な事なんだよね?」

 

どう答えるか迷っていた直葉だが、言葉を慎重に選び答える。

 

「…うん、今だけはゲームじゃないの。」

 

その返事を聞き、何かを覚悟したような表情をするレコン。そしてすぐ男の顔になり、補助コントローラーを使いながらフラフラと上空へ上がっていく。何かのスペルワードを唱えながら…

 

 

あれって確か、闇属性の…

 

3人が見届けている間にレコンの周りを魔法陣が囲い、そして一気に爆散した。その威力は絶大なもので周りのガーディアン達は一瞬にして消え去った。レコンはと言うと…

 

 

リメントライトと化していた…

 

 

 

つまり彼は"死んだのだ"

 

 

仮想世界としてだが、彼は今死んだ。仲間を助ける為に…

 

 

「自爆魔法…」

 

デスペナ相当あるのに…あいつは弱いながらも一生懸命この世界を生きていた。ここまで積み上げてきたものは本物だと私は保証する。あいつの為にも、負けられない!!

 

3人が突っ込む寸前、新たな援軍が来た。

 

 

「済まない、遅くなった!」

 

サクヤ達だ。彼女らは間に合わせてくれたのだ。

 

「シルフ部隊、エクストラアタックよーい!!」

 

「ドラグーン隊、ファイヤブレスよーい!」

 

「放てー!!(撃てーー!!)」

 

その合図と共に放たれた一撃は想像を絶するものだった。前にいたガーディアン達は半分ほど消え去った。だが、まだ半分残っている。そろそろ俺の出番かな?

 

「全員下がれ!!巻き添え食らうぞ!」

 

そう言って俺は皆を後に下げる。ここまで数秒足らずだが、ガーディアンの数はほぼ戻りつつある。やはり、攻略させる気は無いのだ。いくら技を放とうが突破することは不可能。ならば…

 

"湧き出るのを止めてしまえばいい"

 

 

「ゾルフ・メドウン(力場停止)」

 

キヒロが謎の技を詠唱した後、何故かガーディアンが湧き出るのが止まった。そしてその後また聞いたことない技を発動する。

 

「ラムズ・アルサーロス!(降り注ぐ雷槍)」

 

シルフ、ケット・シー両種族ですら消しきれなかったのを一瞬にして消し去った。当然、その場に居合わせた者達は隣の者と話し始める。"彼は何者なのか"と。だが、それは俺にとっては些細な問題だった。今こうしてラン達への道が切り開けたのだ。このチャンスを逃すわけには行かない!

 

「あまり時間は持たない!!行くなら早く行け!キリト!!」

 

予想通りだが、カーディナルに目をつけられた。もう長くは使えないな…

 

あとは頼んだぞ、キリト…

 

「リーファ、俺のこのアバターはもう時期消える。だが、心配はするな。必ず戻ってくる。仲間達は引かせろ。いいな?」

 

彼はそう言い残し、静かに消えた。これは推測に過ぎないけど、きっと運営かなにかに目をつけられちゃったのだと思う。まぁ、あれだけの強さはチーターになっちゃうから仕方ないけどね…さてと、サクヤ達を引かせないと。

 

お兄ちゃん、頑張って。

 

「うぉぉぉぉぉおおおお!!!!」

 

俺はただひたすらに叫んだ。敵が来ようが兎に角突き進んだ。結果、扉にたどり着いた。だが、それは管理者でないと開けないパンドラの箱だった。そこで、あのカードを思い出した。咄嗟にユイにコードを転写してもらい、そして…

 

扉は開けた。

 

これでやっと、ランに会える!

 

 

「シルフてったーい!!」

 

こうして、世界樹攻略は終わった。

 

 

 

「ふぅ。」

 

現実世界に帰ってきた時には既に14時だった。あれから2時間も経っていたのかと少々驚いたが、こんなものだろと自分を説得し、父に報告しに行く。

 

「父さん、世界樹の内部に入ることに成功しました。」

 

少し耳が動いた程度で他には反応を示さなかった父。

 

「そうか、ご苦労だった。この後どうする?」

 

この後、恐らく須郷とキリトの決着になるだろう。となるとアイツの保護のために、近くにいた方がいいかもしれない。確か明日奈は埼玉の方の病院だ。今から行かないと夜になる。

 

「取り敢えず、須郷がバレてどう動くか不安な部分もある。今から所沢に向かおうと思う。」

 

「そうか、後処理はこちらでする。何かあった時は、"その力"を使え。」

 

「勿論、そのつもりです。では、失礼します。」

 

まぁ、アレを使う必要は無いだろうがな…

 

 

 

「はぁ〜」

 

やっぱり継裕さん変人だな〜

 

なんであんな人が好きなんだろ?それとも錯覚かな?うん、きっとそうだ。だってあれ以来特にドキドキしたりする事ないし、その場の空気のせいだきっと。にしても、あのお兄ちゃんが青春してるとは思はなかったなぁ…あのPCオタクのお兄ちゃんが。彼女さんもとても綺麗だし…うーん、どんなところに惚れたんだろ?まぁ、優しいけどそれ以外あんまりぱっとしないけど…

 

ってお兄ちゃん恋愛に興味あったのかな?すごく疑問。

 

 

ドタバタ音がするなぁ、帰ってきたみたいだね。

 

「お兄ちゃん終わった?」

 

「あぁ、全部終わった。今から病院に行こうかと思ってるところ。」

 

「はーい、行ってらっしゃい!」

 

今度はちゃんと会えるよね?

 

 

須郷…まさかあんなに非人道的な奴だったとは…

 

あの時、あいつが俺を助けてくれたのか?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「奴はゲームマスターなんだ…」

 

「それはあの戦いを汚す言葉だな。

 

さぁ、

 

立ちたまえ、キリト君。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ありがとよ、茅場。」ボソッ

 

 

16時10分前。

 

「くそっ、あのガキ…痛いじゃないか。僕の目を、どうしてくれるつもりなんだあのガキは!?おい!あいつは必ずここに来る。しっかり痛めつけろよ!?」

 

 

何も知らないキリト、忍び寄る闇の手。キヒロは今東京北千住に来たばかり。間に合うのか。

 

 

恐らく、須郷は激昂している。キリトに対して暴力沙汰になっても、何も違和感はない。寧ろそうなるだろう。急がねばって、思ってるけど少し後ろの方からサイレン聞こえてくるんだよなぁ…法定速度守って行こうと思ってたけど、こればっかりは仕方ないな。久しぶりに映画ばりの抜きをしようかな。

 

そう言って俺は、車のハンドルを切った。次々と牛蒡抜きにして行き、サイレンの音は段々と遠くなっていった。

 

「うわっ!なんだあれ!?」

なにあの人!?どんな抜き方だよ!?

 

 

 

 

今から迎えに行くぞ、ラン…

 

 

ドカッ

 

 

なっ!?今、誰かに殴られ…

 

 

「遅いよ、僕が風邪ひいたらどうするんだよ…」

 

そこには右目が限界まで開いている須郷がいた。俺が剣を刺したところだ。確かペインアブソーバをレベル0の状態で刺したから…その影響がここまで及んでいたとは…と言うより、なんだこの人の数。あいつ含めて6人…部下か?

 

「悪いけど、君には死んでもらうよ。最も痛めつけてからだけどね。」

 

「なっ!?」

 

まずい、今の俺は黒の剣士、キリトでは無い。剣もなければただの高校生。大人6人に叶うはずがない。

 

 

ん?あれは、和人か!?大人に殴られてる!?くそっ!ここでもう降りるか!

 

そう言って、乱暴に車を横付けし、集団に向かって全力で走った。あと5秒程で着くだろう。だが、彼らは和人を殴る蹴る事にしか注意が向いてないらしい。今なら、奇襲できる。

 

まず、1人。

 

ドサッ

 

「なっ、誰だ!君は!」

 

「悪いけど、あんたに名乗るつもりは無いよ。それより、よくもキリトを…」

 

助けに、来てくれたのか…にしても凄い殺気だな…助けられてるはずなのに、こっちまで体が震えてくる。

 

「さぁ、命惜しくないものから来な。」

 

そう言われて、舐めてると思われたのが癪だったのか須郷除く者達はナイフを取り出し、一気に継裕に斬りかかった。継裕はそれを華麗にすべてを交わし、尚且つ交わしながらナイフを持っている腕をことごとく折っていくという神がかったカウンターをした。当然男達は悶絶し、明らかに闘志を失っている。とてもさっきまで襲っていた表情の欠けらも無い。只今は虎に睨まれたネズミみたいな顔してる。

 

「まだ腕1本だからな。あとどこがいい?左腕?それとも足?選んでいいよ?」

 

継裕はキレていた。和人もそこそこ仲間意識は強いほうだが、継裕も、特に大事に思ってる人に対しては過剰と言うほど守るという意識が強い。彼は相手にキレているのもあるが、自分にもキレていた。もっと早く来れなかったのか?もし来れてれば、和人が、傷を負うこともなかったのにと。そんな状態になった彼を止めるのは不可能だった。結果、須郷の部下達は2本以上手足を折られた。残すのは須郷ただ1人。流石の彼も、継裕の異常ぶりに恐怖していた。

 

「まっ、待ってくれ。金は出す!桐ヶ谷君の治療費も出す!研究も捨てる!」

 

必死に許しを扱いた。だが、腹の内はそんな気が無いのは継裕にはバレバレだった。

 

「そんなこと当然だろ?何言ってんだお前。んじゃ、目1個で勘弁してやるよ。どうせ見えてないんだし」

 

そう言って、継裕は須郷の右眼、異常状態になっていた右眼を抉り出した。流石に和人もそれには驚いた様で、これ以上する前に止めようと思った。

 

「継裕、これ以上はもういい。と言うよりやり過ぎだ…」

 

確かに、少しやり過ぎだかもしれないな…

 

「和人がそう言うならもう止める。後処理は任せろ…藍子のところに行ってこい。もう、目を覚ましているはずだ。」

 

「あぁ、ありがとな…」

 

継裕…少しは丸くなったと思ったけど…

 

 

「継裕、少しやり過ぎだ。我々より先にその辺の刑事が先に来たらどう説明するつもりだった。」

 

「申し訳ありません…以後気をつけます…」

 

「だが、捉えた事には感謝する。後は任せろ。」

 

 

後日、レクトのVR部門による非人道的研究が公に明かされた。これにより、レクトは大ダメージを受け、仮想世界も無くなると思われたが?

 

 

「どうだエギル?」

 

「凄いもんだなこれ。これ残したのが茅場だとは…あいつも仮想世界が好きなんだろうな…」

 

ヒースクリフ、茅場晶彦が残した世界の種子、ザ・シードは簡単に言えば、それをダウンロードさえしてしまえば誰でも、仮想世界を作り出すことが出来る代物だ。これのお陰で、1度は死んだと思われた夢の世界が、生き残った。

 

 

そして、ALOが新しい会社に引き継がれた後の最初のアップデート。なんと…

 

アインクラッドの復活だ。

 

SAOをプレイできなかった者達へのご褒美だろう。勿論、元は剣の世界である為ソードスキルも復活。更に、ALOと合体した事もあって魔法有りの剣の世界というまさに夢の世界へと変貌を遂げた。攻撃パターンが増えた為当然、ボスの強さもあの頃とは桁違いになるだろう。だが、今の俺には仲間がいる。俺達なら、どんなクエもクリア出来るはずだ。さぁ、新しいく生まれ変わった世界を存分に楽しもう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………見つけたわ、ソロモン王よ…………」

 

 

 

忍び寄る闇の手…

 

ここから新たな物語が始まる!

 

 

 




継裕…大暴れしちゃいましたね…彼は人一倍仲間思いなので…

そして新章匂わせる台詞!

乞うご期待!笑

(*´∇`)ノ ではでは~


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人物紹介兼新情報
新たな新キャラクター


新しく出た人達の紹介と、前回出しそびれた人達の紹介だよ!

皆さん気になる人居るかな〜笑

では、どうぞ!


 

桐ヶ谷直葉 15歳

 

リーファ

 

・基本原作通り。

 

・兄がどういう世界に取り憑かれていったかを知るために、長田真一ことレコンと共にALOを始める。

 

・現実世界での反射神経を生かした剣技は、かなりの実力者として名を残す源となる。

 

 

長田真一

 

レコン

 

・原作通り。

 

 

 

須郷 信之

 

オベイロン

 

・萱場に次ぐ天才。だが、本人はそれをよく思ってはなく、いつも対抗心を燃やしていた。

 

・魂を操ろうとする悪魔の研究にのめり込んだ結果、警察に捕まる。

 

 

 

 

菊岡 誠二郎

 

・原作通り。

 

 

 

 

紺野家

 

・父は元々アーガス職員だったが、解散とともに企業立ち上げ、成功する。主に電子機器関係の物を売る。

 

・母は普通の専業主婦。いつも木綿季達に暖かいご飯を作っている。優しいお母さん。

 

 

 

 

工藤 由里子(ゆりこ)

 

・天皇家の次女。縁あって工藤家に嫁いだ。

 

・家庭的で、とても面倒見が良い。裁縫、料理なども完璧にこなす。また、護身用で合気道をやっており、2段の有段者。

 

・子供たちを愛しすぎて偶にうざがられる。

 

 

 

 

工藤 裕忠(ひろただ)

 

・継裕の父。1代で日本医療界の中では知らぬ者はいないという病院を作り上げた。腕も一流で、よく難病患者が流れ込んでくる。

 

・基本、難病患者しか相手しない。

 

・表向きは病院経営者。裏では祖父と同じ所属。また、国から秘密裏の任務を与えられ、成功した。

 

・剣道有段者。全国優勝の過去を持つ。これは祖父も同様。

 

 

 

工藤 裕文(ひろふみ)

 

・継裕の祖父。

 

・仕事は警察庁警備企画課の中でも、通称ゼロと呼ばれるところに所属。表向きには警察庁長官。それとウラ管理官歴任中。

 

・子供は計4人。内2人は国際犯罪組織に潜入中。残る1人は研究者。

 

・妻は既に他界。

 

 

 

新たに追加情報

 

継裕

 

・捜査では残りNo.3、No.5の2人のみとなっている。

 

・楽器もこなせ、オーケストラに入団を勧められるほど。これは木綿季も同様。

 

・身体能力がかなり高く、それなりに力を出せば人の手足を折ることは容易い。

 

・運転技術も高く、偶に規格外の走行をする。

 

・部屋に置いているものは、机,パソコン(3台),衣装ケース,など簡素にしている。

 

工藤家

 

・家がとても広い。駐車スペース5台分。駐輪場も兼ね備え、倉庫もある。さらに、酒蔵まであり世界的に有名なワインも多数。勿論日本酒もある。

 

・門はゲート式。無断で入ると重さでセンサー反応。玄関に入る前にもゲートがあり、危険物がないか取り締まる。

 

・2階建てであり、地下もある。地下は主に祖父、父の仕事場となっている。

 

 




どうでしょうか!?皆さんの知りたいこと書いてありましたか?
まぁ、まだ書いてないこともありますがそれは追追…笑

(*´∇`)ノ ではでは~


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第3章 GGO編
第42話 SAOサバイバー


ある日の日常のことを書きましたー!

さらに今回からGGO編です!

これからもよろしくお願いします。

では、どうぞ!


2025年4月。俺達の事は通称SAOサバイバーと呼んでいる。SAOサバイバーとは、SAOから生還したプレイヤーたちを指すネット用語。

生還者達は2年間という長期間をVR世界で過ごしたためか仮想空間への適性が高く、常人なら音を上げる長時間のダイブにも耐えられるが、事件の影響でVRワールド拒否症状となってフルダイブを拒絶するプレイヤーが少なくない。一方で、HP全損=死という極限の環境の中で余りにも長い時を過ごしてしまったため、何処か浮世離れした雰囲気を纏っている。SAOクリア直後、須郷伸之により生存者6147人中約300人がALOに拉致され精神操作研究の被検体にされるも、須郷の逮捕後全員解放され現実に帰還することが出来た。ゲーム開始当時高校生以下だったプレイヤー500余名は、政府の配慮により西東京市に設置された高等専修学校に通っている。積極的殺人歴のある本格的な"オレンジプレイヤー"はカウンセリングの要有りということで1年以上の治療と経過観察を義務付けられている。

 

学年的には明日奈と篠崎里香が3年。和人が2年。俺と木綿季、藍子が1年。綾野珪子は中学3年というバラけ具合だ。そして今は昼食の時間なのだが、集まっているのは和人と藍子除いた人達だ。俺以外女子が4人いるというなんとも居づらい空間なのだが、耐えなければいけない。そもそもなんでこうなっているかと言うと、和人らは2人きりで昼の時間を過ごしたいのだとか。まぁ、家がそれぞれ離れているから仕方ないが、いくら何でもイチャイチャし過ぎ、との事らしい。藍子に至っては復帰してそんなに日数は経っていないので、暫くは2人の時間をという意味もあるみたいだ。とか言いつつ、リズ、シリカら2人はさっきから和人達をガン見している。今俺達がいるテラスから和人達は丸見えなのだ。だからと言ってあんまり見すぎるのもどうかと思うが…2人にとってあの光景はとても羨ましいものらしい。そしてそれは2人に限らず、木綿季達も同じであったことは言うまでもない。

 

和人には散々世話になったから何かプレゼントしたいけど…でもこれは親の許可が必要だからはいどうぞなんて出来ないしな…

 

「何考えてるの継裕?」

 

今声掛けてきたのは俺の天使こと木綿季。声、仕草、ルックス。全てにおいて好みドストライクなんですよね。最早見るだけ、声を聞くだけで癒しになってる。

 

「いや、あのさ。和人に一室プレゼントしてあげたいんだけどさ。こればっかりは親の許可ないと難しいだろうなと思って。」

 

「あー、多分ボク達の家は大丈夫だよ!現にボクは平気だし。」

 

今の発言でわかったと思うが、俺は今木綿季と暮らしている。まぁ、理由としては神奈川から西東京まで通うのが大変と言うのが一番の理由だ。かと言って西東京には住む気がないと言ったら文京区にあるマンション一室を借りることになった。そこで木綿季と2人暮ししている。という事もあって大丈夫と言ったのだろう、が。2人の親にとってみれば、愛する我が子が2人とも家から消えるのは寂しいものがあるのだろう。実際俺が家を出る事になった時には、母はものすごく引き止めたものだ。姉さんが家に残る事でなんとか事態は収束したが…

 

「まぁ、そこは本人達に任せるか。さっ、飯食べようぜ。」

 

「そうだね!はいっ、どうぞ!」

 

2人暮しの為、家事は2人でこなさなければならない(当たり前だが)。基本お弁当も朝ごはんは木綿季が作ることになっている。夜は俺。

 

割り振りとしては、洗濯各個人(恥ずかしいらしい)。食器洗いは作ってない人(つまり木綿季が作っていたら俺、またはその逆)。掃除は基本ルンバ、届かないところとかは気づいた人がやっている(だから塵一つない)。まぁ、2人協力してやれていると思われる。買い物も学校帰りに済ませるし、と言うか彼女と買い物デートっていうのも憧れていたんですよね。多分これは彼氏共通のことだと思う。和人もそう言っていたし。にしても相変わらず料理が美味い。負けてられない…

 

「いつもありがとな木綿季。今日も美味いよ。」

 

「ボクの愛情がい〜〜ぱいっ!こもってるからね!」

 

 

 

結婚しよ…

 

 

 

ピロン♪

 

 

誰だ?

 

 

急で済まないのだが、今週の土曜日。銀座で会えないかな?

出来れば来て欲しい。

 

菊岡

 

 

また厄介事かな菊岡さん…俺って昔から巻き込まれ体質だよなぁ…まぁ、どうせ父にも話はいっているんだろうし行かなきゃいけないんだろうけど。にしてもなんだろうな〜?

 

 

 

授業はつまんない。特に理数系。全て履修し終えてる俺からすると暇でしかない。そんな俺が何故この学校に通っているかというと、木綿季と過ごす為としか言えない…実際選択肢の中にあったのは、研究室に戻るかここかのどちらかだったから当然と言えば当然だが…

 

まぁ唯一国語系は楽しめる。まだまだ数を読んでないから見知らぬ物を見るとワクワクする。作者の考え、想像を読み解いていくのは飽きないからな。まぁ、いくら暇だからといって寝ているわけにはいかない。と言うより寝かせてくれない。隣の子が…

 

「ねぇ継裕…ここどうやるの?」

 

木綿季は生粋の文系脳らしい。よって理数系はほぼ俺が教えてる。それは藍子にも当てはまる。この双子はとことん似ていて見ていて飽きない。逆に古文とかを教えて貰っている。ぶっちゃけ先生よりわかり易くてとても有難い。そして何よりも天使。先生はおじさんだから見ていてもあれだが、木綿季は別だ。まぁ、惚れたもん負けだ。チャイム鳴ったし帰りますか。

 

 

「やっと学校終わった…」

 

なんでそんなに疲れてるのだか…さっさと帰ろ。

 

「ねぇ継裕、部活見ていかない?」

 

嫌なWordだなおい…

 

「この学校結構色々あるので見て回りませんか?ちなみに和人さんはPC部見たいですよ。」

 

ちゃっかり入ってんのかよ和人の奴…って言ってもなぁ…

 

「はぁ…木綿季に任せるよ。」

 

「え、いいの!?」

 

逆に俺の知らないところで活動してるのは想像したくない。

 

俺って結構独り占めしたい人なのか?

 

「実はね〜軽音部に興味あったんだぁ〜!」

 

まぁ軽音ならいいか。多少はできるし…

 

「了解。藍子は?もしかして同じ?」

 

「はい。そうですよ?と言うより女性陣は皆さんそのつもりですよ?」

 

やる気あり過ぎだろ…って和人省かれてるみたいだけど大丈夫か?

 

「和人さんも入っているので1人ぼっちでは無いので…」

 

タイミング的に心を読み取ったのかと思うけど恐らく、入るか心配だったからだろうな。女子onlyだったら実際願い下げだったしな。和人もいるみたいだし。やって見るか。

 

剣道どうしよっかな〜。てかそもそもこの学校無いんだよな…剣道部。SAOサバイバーのいる学校に置かないって理由も分からなくはないけどな…そういえば担当は何になるんだ?

 

「もう担当とか決まってるのか?」

 

「うん、明日奈さんと木綿季がボーカル。リズさんがドラム、シリカちゃんはキーボード。和人さんはギターで私がベースかな?」

 

待て待て待て待て、俺の入る余地ないじゃん。どうなってるんだよ…

 

「継裕はギターボーカルの予定だよ!」

 

そうきたか。でもそうなるよねうん。もうこうなったらやるしかないか…

 

「分かったよ。入るよ。」

 

こうして、新たな環境での新たな生活が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

週末

 

 

 

 

 

 

確かここだよな?菊岡の奴なんでこんないかにも高級って所に…

俺、桐ヶ谷和人は総務省に務めている菊岡という怪しい人物に、メールで今週の土曜日会えないかな?と来たので仕方なく来たということだ。本当は来たくなかったか、お金は全てこっちで持つと言われ、簡単に餌につられてしまったわけである。ここの所財布事情が厳しくなってきたというのもあるだろう。にしても本当にここか?

 

「1名様でしょうか。」

 

「いえ、連れがいるんで。」

 

店内を一望し、呼び出した張本人を見つけた。俺はいかにも不機嫌そうにズカズカと目的の人物に向かって進む。軽く挨拶して、席に座りそして、右足を踏む。その予定だったのだがバレていたのか避けられてしまった。

 

「もう少し待っててもらえるかな?あと1人くるんだ。」

 

あと1人って絶対あの人やん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は、本当に、何者だ…練玉艶…」

 

 

 

 

 

「私?そうねぇ…復讐を誓う者、かしら?」

 

そう言いながら不気味か笑顔の彼女…果たして一体何者なのか…

 

 

 

 

 

 




久しぶりの更新かな?ちょこちょこ情報を出していますよ〜

(*´∇`)ノ ではでは~


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捜査開始

いよいよGGO始動です!
銃のこと詳しくは分からないですが頑張っていこうと思います!
そしてついにあの子が!?笑
推しの方もいるかもですね!?

では、どうぞ!


 

「ここはぼくが持つから、なんでも好きに頼んでよ。」

 

「言われなくてもそのつもりだ。」

 

つっけんどんに答えてメニューに目を走らせると、恐ろしいことに最も廉価なのが"シュー・ア・ラ・クレーム"1200円也で、反射的にブレンドひとつと答えそうになるが、よくよく考えれば目の前の男は超高級取りの官僚であり、それ以前に支払いは交際費、つまり国民の血税によって行われるのだ。阿呆らしくなった俺は、平静を装った声で次々にオーダーした。

 

「ええと…パルフェ・オ・ショコラ……と、フランボワーズのミルフィーユ……に、ヘーゼルナッツ・カフェ。」

 

「かしこまりました。」

 

たったのあれだけで3900円だ。本当ならその辺のバーガーショップにでも行って差額分をよこせと言いたくなる。ちなみに、何が来るかは全く分からん。

 

糖尿病になるんではないかと思うほど生クリームの乗った巨大プリン(こちらもカラメルが異常なほどかかってる)を食べている男、菊岡誠二郎は特に目立つような格好もせず、顔立ちもぱっとしない男だがこんなのでも国家公務員のキャリア組なのだ。所属するのは総務省総合通信基盤局高度通信網振興課第二別室、省内での名称は通信ネットワーク内仮想空間管理課、通称"仮想課"。

つまりこの男は、現在無秩序な氾濫状態にあるVRワールドを監視する、国側のエージェントもしくはスケープゴートというわけだ。本人はことあるごとに飛ばされたと我が身を嘆いているが、それはまぁ、事実であるだろうと俺も思う。だってこんな変な人、あんまりいないし…

 

「遅くなって申し訳ないな菊岡。あれ?和人もいたのか。」

 

聞き間違えるはずのない声が俺の耳に届いた。何度も死の淵をともにしたやつの声だ。でもなんでここに?予想はしていたが本当にこいつだとは。

 

「よく来てくれましたね継裕君。今回も頼むよ。」

 

今回も?前回は一体何を…

 

「本来は"逆"だがこの際仕方ない…話が話だ。あっいつものやつ頼む。」

 

「かしこまりました。」

 

そう言って先程のウェイターは去っていく。え?何こいつ来慣れてんの?菊岡さんもそうだけど、こいつも中々掴めない男だよなぁ…

 

「で、話ってなんだ?菊岡。」

 

「うん、最近バーチャルスペース関連犯罪の件数が増え気味でね…」

 

「本題は?」

 

継裕の方が年下のはず、さらに言えば一学生に過ぎない継裕の方が明らかに菊岡さんより立場が高いように見えるのは気のせいか?さっきから呼び捨てだし。菊岡さんはそう言うの気にする人ではないけど引っかかるな…まぁ、理由はどうであれ手短に済むに越したことはない。だが菊岡さんはこれで諦めるような人ではなく、小さい事件から次々と俺たちに意見を求めてきた。優越感と劣等感のバランスをどう保っているかという話の時には彼女がいると答えたがこれは今考えれば死ぬほど恥ずかしい答えだった。

現実世界で優越感に浸るためにはかなりの努力をしなくてはいけない。ここで菊岡さんは、受験で死ぬほど勉強したが東大には落ちたといったら、継裕の奴が

 

「なんであそこに落ちるんだ?」

 

と、恐らく本人には何も悪気はないのだろうが菊岡さんの反応を見る限り、かなりの大ダメージだったようだ。今はただの屍みたいだ。

 

結論として、VRワールドは優越感に浸るためにはうってつけだということ。そして、"VRでの強さが、現実を侵食する"という事だ。どうやらここまでの話は、今日の本題を話す上でのことだったらしい。継裕にとってはかなり遠回しになったらしいが…

 

「誰だ?」

 

「ええと、先月の14日にこの男性が死んでいるのが発見された。死後5日半。部屋は荒らされた形跡はなく、遺体はベットの上に横になっていた。そして頭にはアミュスフィアを装着していた。」

 

話によるとこの変死した男は2日間"ガンゲイル・オンライン"というゲームにログインしっ放しだったらしい。悲惨な話だが、この手の変死はよくある。飯代は浮くしゲームに時間を費やせるしで2日に1回の食事ペースの人もいる。そんな事をしていれば心不全で死ぬなんてこともざらにある。一体何がいいないんだこの男は…

 

「要するに、"VR内での死が現実世界に影響した"と思うのだろ菊岡?」

 

継裕の言葉を聞き、菊岡さんは静かに首を縦に降った。どうやらMストに参加していたプレイヤーが突然落ちた。そしてほぼ同時の時間。奇妙な出来事があったらしい。

 

GGO内で死んだ男のアバター、ゼクシードに向かって発砲。その僅か数秒後にこの男は現実世界から永久退場したという事だ。さらに驚きなのが同じ事件がもう1つあり、そして同じやつの仕業という事だ。そしてその謎な奴はこう言い残している。

 

俺の名前は死銃、デスガンと…

 

「確かにきな臭い事件だな…」

 

「しかも死因は脳死ではなく心不全…これまた厄介だな…」

 

継裕の言う通り、アミュスフィアをかぶっている時点で脳死することは無い。これは菊岡さんも言っていたから間違いはない…では一体どんな方法で?

 

「……………被害者は全員一人暮らしか?」

 

「済まない、そこまでは手が回ってないんだ。そもそもこんな偶然に近いことに人を割けなくてね…」

 

一時期イマジェネレイター・ウイルスが話題になったが、あれでも死者がでることは無かった。他に心臓を止める程のものがなにかないかと考えたが、結果特に何もではしなかった。無駄な時間を過ごしたと思い、席をたとうとした時、継裕に止められた。渋々座ることにする。

 

「要するに、そこまでの結論が出ていながらこんな長ったらしい話をし、要件はただ一つ。その謎のアバター、死銃に撃たれて来いってことだろ?」

 

何言ってんだ継裕と思ったがどうやら本当にその気だったらしい菊岡さんを見てめちゃくちゃ腹立たしいっていったらありゃしない。しかも嫌なところが、先程の話で死ぬ事は無いということで話をまとめてしまったがためにうまく断る言葉が見つからない…先程の話はすべて、ここで逃げないように外堀を埋めたというわけか。まんまと1杯食わされた…

 

「それに俺は飛び道具苦手なんだ…他を当たってくれ。」

 

「それに関しても問題は無い、頼むよ継裕君。」

 

え?

 

「そゆことだ。いっちょよろしく頼むな。」

 

こいつもグルだったのか…

 

こうして、謎の人物…死銃を追うこととなった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すべて計画通りねここまでは…」

 

「貴様は、やらん、のか?」

 

「私?私の手を借りるほどでもないでしょ?」

 

そう言って彼女は立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最初から知ってたな継裕〜まんまと騙されたぜ…」

 

「悪い悪い、でもこうでもしないとヒキニートのお前は出てこないと思ってな。」

 

心外だが間違ってはいないから否定出来ないのが、とてつもなく悔しい。

 

「まぁ、それはもうお咎め無しにしてやる。それより継裕はGGOやってたんだな。」

 

「ん?まぁな。結構ハマっちまってよ…次のBobには出るつもりなんだ。」

 

「てかそれに出ないと接触出来ないんだろ?」

 

「ああ。正直言って、金が足りないと思うぞ?何なら貸してやるが…」

 

「いや別にいいよ。何とかするさ。」

 

「まぁ、カジノっぽいやつもあるしそれで稼ぐしかないな。」

 

不穏な言葉が聞こえたのはおそらく気のせいだ…気のせい…

 

となると、1回コンバートしなきゃ行けないからってこと考えると中々大変だな…エギルに頼むしかないな。それと、少し潜ってみてみないとな。いきなりってのも大変気を使うことになるしな。となると、癪だが継裕に頼むしかないか…

 

「今日空いてるなら早速入るか?」

 

先に言われたし!でもまいっか。

 

「おう。頼むわ。」

 

こうして、少し変わった調査が始まった。桐ヶ谷和人にとっては因縁の相手とも知らずに…また継裕にとっても会いたくはない人であろうに…

 




全然オリジナル要素作れんかった…やっぱり最初は難しいよね。

随時感想等お待ちしてまーす!

(*´∇`)ノ ではでは~


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GGO

長らくお待たせ致しました!かなり期間が開いてしまい、申し訳ありません!
では!どうぞ!


藍子とのデートでは死銃のことを除いたことを話しながら皇居を周った。時間になったので帰路につき家に着いた頃には既に20時を回っていた。軽く飯を食べ、風呂に入り、新しい世界に飛び込む準備をする。継裕が俺に渡してきた"GGO"なるものをセットし、フレンドコードも確認し、いざ

 

「リンク・スタート」

 

この世界に降りたってまず思ったこと。それは今までどの世界においても経験したことのない独特の煙臭さがあるということだ。さてと、継裕に言われたコードを打ち込み、会えるまでの間は暫くこの世界について色々見とこう。どうもここにいる男達は歴戦の猛者感が凄く、とても屈強な男という感が溢れ出ている。恐らくこの世界では見た目も重要なパラメータなのだろう。それとも世界観に合わせて、このような出で立ちになりやすいのか?兎に角、今の自分の状態を知っておくべきだ。SAO、ALOでは散々女顔と言われてきたのでせめてこの世界では…という思いだったのだが。

まず体。明らかに細い。まるで女性みたいだ。男らしさなんて一欠片もない。幸い胸部にそれらしいものは無かったが、もしあったら女と間違われるのは必須…恐る恐るそばにあるガラスに近づき顔を確認する。嫌な予感は的中した。これは酷い…SAOの頃より女顔ではないか…よく見ると、身長もリアルより低めになっている。髪もかなり長めだ。腰くらいあるか?何も知らない人からしたらどこから見てもこれは女性だ。

 

「そこのお嬢ちゃん運がいいね!そのアバター売ってくれないか?」

 

早速絡まれた。提示額は3M。リアル換算で3000円だ。売れるぐらいなら売ってるところだが生憎そういう訳にも行かない。

 

「悪い、俺男なんだ。」

 

「な、なんだって!?じゃ、じゃあもっと出す!5、いや7Mだす!どうだ?」

 

7000円だと…と言うよりもなんで男の方が高いんだ?

後で知ったことだが、どうやらこのアバターは相当レアらしいな…

 

「悪いな。こいつ俺の友達なんでな。」

 

いつも思うがタイミング良すぎないかお前…狙ってるのか?

 

まぁ、こいつのおかげでさっきの奴らはどっかに行ったけどさ…

よく見ると、こいつもSAOのやつとはあまり変わってないな。俺と比べるとだいぶ男らしくなってるけどな…身長も高いし…いやそこはリアルとあまり変わらないか?

 

「金はあるか?キリト。」

 

そうか、コンバートしたばっかりだからステータス以外初期か…

 

「1000M…」

 

「そうか、ならいい稼ぎ場所があるんだがどうする?」

 

全力で行くに決まってるだろ!

 

キヒロに連れてこられたところは大型マーケットの一角にあるゲームだ。ルールは単純で、近づけた距離によって貰える金額が違い、最後まで行ければ全額バックという事らしい。

全額!?

 

「久しぶり、シノン。」

 

「えぇ、でもなんであなたがここに?それとその子は?」

 

完全に女だと思われてるんだが!?

 

「えぇとキヒロの友達のキリトです。男です。」

 

そんな顔するな…俺だってなりたくてこんなのになった訳じゃないんだ!

 

「金稼ぎにきたんだよシノン。こいつ、コンバート勢だから金なくてな。」

 

一応頷いてはいるけど、一瞬俺を一瞥してそして、鼻で笑われた。此奴がみたいな感じに思われたのかもしれない。だが、キヒロにやり方は聞いたし。多分クリア出来る…はず…

 

 

最初は単発3回。次は連射。次は何故かフルオート…そして最後は本当に謎なビーム…これ作ったやつ相当頭がおかしいに違いない…何とかクリアはしたが異常な疲労が襲ってくる気がした。

 

「あなた、よくこんなインチキな奴をクリア出来たわね…」

 

「だってこれって、"弾道予測線を予測する"って言うゲーム、ですよね?」

 

それを言った瞬間、その場の空気が凍った…勿論キヒロ以外だが…

 

何とか30万という大金を手に入れた俺は武器を買いに何故か、シノンという女の子も交えた買い物に行くことになった。キヒロ曰く、自分より古参プレイヤーだからという理由らしいが。

 

「シノンさん、キヒロはこの世界ではどういう立ち位置なんですか?」

 

「まず敬語はやめてね。うーんと、簡単に言うと"銃の世界なのに剣を使う異端者"だって事かしらね。まぁ、それプラス銃の腕前のかなりのものだから、有力プレイヤーとしては有名ね。」

 

道理であいつと歩いていた時視線を感じたわけだ。そんな事より、この世界にも剣があることに驚きだ。元々俺は飛び道具が得意じゃないしな。まさかとは思うがキヒロの奴、そこまで考慮した上での事だったのか?全く、油断ならない男だな。

 

無事に武器、防具を買った頃にはbobなるもののエントリの時間が迫っていたらしく女の子は今にも泣きそうな表情だったが、どこからか拾ってきたのか、キヒロがバギーを持ってきたのでそれに乗ったのだが…乗るんではなかったと後悔した。決して進まなかった訳では無い。いやその逆。上手すぎたのだ。上手すぎるが故に、普通の人なら通らない道を通るから何回か死ぬかと思った。車体が90度に傾いた時とかはかなり焦った。あとは前のトラック?に突っ込んで、それを上手く利用して上の道路に乗り上げるなんて荒技もしたりして…エントリーには間に合ったが、出来れば二度と乗りたくないと思った。

 

俺とシノンはFブロック。キヒロは事前に済ませていたらしく、Aブロックとの事だった。予選では決勝まで残れば最終戦に進めるみたいだから、3人とも行ける可能性はある。さぁ、いよいよ新しい世界での戦いが始まる。




リアルがやっと落ち着いたので、更新することができました!
(短いですが…)
まだまだ未熟者ですが、これからもよろしくお願いします!
(*´∇`)ノシ ではでは~


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予選開始

まず最初に謝罪します!遅れて申し訳ありませんでした!
リアル多忙になってしまいなかなか書く機会が無く…
暫くの間は更新できるかと思われます。
では!どうぞ!


 

一通りキヒロとシノン(この世界で知り合った)にレクチャーして貰い、無事にエントリーも出来たのだが…と言うよりも元々は死銃との接触が目的であって別に大会に出ることではない。確かに有名プレイヤーになるにはそれが手っ取り早いが幾らなんでも初参戦の俺には厳しい気がしてならない…と言うより厳しい戦いになるだろう。取り敢えず決勝戦まで残れば本戦出場決定だからそこまではなんとしても残らないといけない。一応この世界での戦い方もレクチャーしてもらった方がいいのだろうか。百聞は一見にしかず、って事で聞いてみることにする。

 

「なぁキヒロ。この世界ではどうやって戦ってるんだ?俺のメイン武器光剣だろ?本当に大丈夫か?」

 

案外返事はすぐに返ってきた。

 

「うーん、キリトが"あの世界"で鍛えた感覚があれば特に問題は無い。強いて言うなら銃弾は斬り捨てるか避けるかしかないからな。こればっかりは慣れとしか言えない。」

 

予想通りでした。やはり"斬る"しかないのか。

 

予選についての説明としてはこうだ。まず1km四方の正方形のフィールドに自動転送。天候、時間、地形はランダム生成。勝てばこの待合室?にて待機。もし2回戦の相手が決まっていたらすぐ転送、を決勝まで繰り返す。至って普通のトーナメント戦だ。

 

「必ず残るのよキリト。決勝まで。」

 

「勿論。シノンこそ平気なのか?」

 

すると彼女は笑みを浮かべながらこう言った。"今度こそ全員殺す"と。あまりにも強烈だった為、一瞬"この子が死銃なのではないか"と疑ってしまったほどだ。よほどのメンタリティの持ち主なのだろう。素直に感心したとともに少しばかりか恐怖もした。そんなこと考えていた時、

 

『長らくお待たせ致しました。只今より第3回Bullet of Barrett予選トーナメントを開催いたします。皆様のご武運をお祈りしています。』

 

「いよいよ始まるな。全員必ず勝ち上がるぞ。」

 

キヒロがそう言うと、

 

「今度こそ、貴方に敗北の味を教えてあげるわ。」

 

とシノンが言う。どうやら前回大会はキヒロに軍杯が上がったみたいだ。さてと、ここからは自分一人の闘いだ。気を引き締めていかないとな。

 

 

第1戦は何とか価値を拾った感じだ。SAOで鍛えたハイパーセンスと言うシステム外スキルが無かったら敵の位置探り当てることは不可能だったし、ALOでの魔法を斬るという事を学んで無ければ銃弾を斬ることも出来なかっただろう。倒す時咄嗟にSAOで好んで使用していたヴォーパルストライク使っちまったが気づくやついないよな?

 

そんなこと思っていたその時。

 

「お前、本物か」

 

金属質な重低音が響いた。どこかで聞いたことある独特な口調の持ち主。菊岡さんが持ってきたボイスレコーダーに録音されてたやつにそっくりだ。だが、本当にこいつが死銃だとはまだ断定できない…他になにか情報が。

 

「剣を、使ったな」

 

「えっ、あぁいいだろ別に。ルール違反ではないはずだ。」

 

こいつは俺の、何を知っている…

 

「この名前、あの剣技。もう一度聞く。お前は、本物か?」

 

さっき使った剣技と俺のプレイヤーネームその両方を知っている…

そんな奴もう、あの世界にしか…

 

その時薄らとあるタトゥーが見えた。これから先見るとこはないと思われていたあれを…

 

笑う棺桶…だと…

 

「ほ、本物ってどういうことだ。」

 

やばい。冷静さを保てない…

 

「フンっ。どちらでも構わないが、本物だったら…いつか、"殺す"」

 

そう言って、謎の奴は去っていった。いや転送されたのか。

 

まさかラフコフがまだ残ってるなんて…

 

 

ふぅ。やっと終わった。キリトは大丈夫か、な…?なんだあれは…

 

そこに映し出されていたのは、最低限、致命傷になり得るものしか斬り捨てず、ただ阿修羅のごとく敵に刃を向けるキリトがいた。一体何が彼をここまで駆り立てるのだろう。

 

理由はともかく、勝つに越したことはないが…あれは少しばかり異常だ。まさかとは思うがデスガンと遭遇したのか?少し不安だな。おっ、3回戦始まるか。取り敢えず俺は俺で試合をこなすしか無いな。にしても、この銃使いづらい…

 

 

キリトが見たものは果たして死銃なのか!?

 

そしてキヒロが使っている銃とは!?

 

果たして結果は!?

 




かなり短めです…次は長めになる予定です。
(*´∇`)ノ ではでは~


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敗北

また期間空いてしまい申し訳ありません…
もう少しスパン短くできるよう頑張ります…!
では!どうぞ!


 

何とか銃の扱いに慣れてきた頃には決勝戦になっていた。決勝の相手はSterbun、スティーブン?変わった名前だという程度にしか思ってなかった。記憶として残ってたのは今回から参戦する新人という程度。姿形が分からないというのは不気味だが、苦戦することは無いと思われる。だが、後後それが全て間違っていたと知る羽目になる。

 

「Sterbunだっけ?どこにいるんだ〜?」

 

気配をまともに感じ取れない。こんな経験は初めてだ。人間生きてれば少なからず"気"を発して生きているもの。それが全く微塵も感じられない。決してゲームの中だからという理由ではない。今までもこの

"気"を感じ取ることで生き残ってきた。いよいよヤバい奴が出てきたのかもしれない。などと呑気に考えていたその時。それは突然に訪れた。身体が"麻痺"したのだ。銃声が全くしなかった。という事は敵が使っているのは俺のと同じ、"L115A3"か!全く警戒してなかった訳では無い。いや寧ろ決勝戦まで勝ち残ってくる相手だから今まで以上に集中していた。なのに気づかなかったのは…単純に俺が舐めていたのかそれとも、"対戦相手の技術"がずば抜けているかのどちらかだ。確かに、この世界でスナイパーライフルを使いこなすには心を無にしなくてはならない…だとしてもだ。初戦は人間。だから気を隠し切るなんて不可能だと俺は高を括っていた。いや舐めていたという表現が正しいのかもしれない…結果俺は電磁スタン弾を撃ち込まれ、電磁スタン弾!?

 

そこまで思考が至った時、目の前に現れた。いくら思考に没頭していたとはいえ目の前に来るまで気づかなかった、だと…

 

 

咄嗟に彼は口を開いた。そうやって心を保つしかなかった。

 

「お前は…誰だ…」

 

答えは以外にも早く返ってきた。

 

「貴様も、よく、知っている、はずだ。俺の、ことは。」

 

俺が、よく知っているだと…!?一体どういうことだ?

 

その時少しばかり見えたタトゥーを俺は見逃さなかった。いや視線を外せなかった。なんせそこに描かれていたのは、俺が壊滅させた殺人ギルド…ラフィン・コフィンのエンブレムが描かれていたのだから…

 

「懐かしいな、kihiro。俺はこの日を、どれだけ、待ちわびたか。貴様に、牢獄に、ぶち込まれた日から、幾何千何万と、腕を磨いて、きたんだ。貴様は、本当の、死の恐怖を、味わうことに、なるぞ。」

 

そう彼は言って、クククッと気味の悪い笑い声を浮かべながら消えていった。

 

結果だけを言えば奴がリザインしたせいで、俺の優勝だ。だが、普通に考えれば、俺の負けだ…いやそんなことを気にしている場合ではない。早くこのことを話さなくては…いや、話して何になる。そもそも話せることがほぼ無い。わかったのは名前だけ。なんせ、姿は見えなかったのだから…こんな圧倒的な敗北を味わうのは生まれて初めてだ…そうか、これが"負ける"か…

 

 

文京区にある自宅に帰ったら、鬼の形相をした嫁(気が早い)が仁王立ちしていた。最早その姿すら可愛いと思うのは病気かな?

そして今俺は土下座させられ説教中です…

 

「お義父さんから聞いたよ!?また危ない事に首を突っ込んでるって!昔からいつもいつもいつもいつもいつも!心配ばっかりかけて!少しはボクのことを考えてくれてもいいんじゃないの!?」

 

仰る通りで…何も言い返せない…だが、今回に至っては仕事だからなんとも言えない…おそらく親父はなんとか本質だけは話さないようにしたんだろうが…結果的にはそれで正しいのだろうが、これは結構きつい…

 

「罰はなにがいい?継裕〜?」

 

とても顔が怖いのですが…笑ってはいるけど怖いのですが!?

はて、どうしたら許してもらえるだろうか…はっ、これなら行けるか?

 

「次の休みの日、遊園地に行こう。それでどうだ?」

 

一瞬釣られそうになっちゃったけど、これだけで許してあげないもんね!で、でも遊園地には行きたい…

 

くっ、これだけでは足りないか…ならば最終手段!

 

「あと、3つまで何でも木綿季のいうことを聞く。」

 

最後まで口にした時、俺はこの選択は間違いだと悟った。だって木綿季の顔が笑顔で満ち溢れていたから。(悪い意味で)

 

「うん!それで手を打ってあげるよ!ささ!今日のこと話してもらえるかな〜?」

 

あっそれはもう強制なのね…

 

死を覚悟したkihiroでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よくやったわ。流石私が鍛えただけあるわ。」

 

「ふん、貴様なんぞに…」

 

「あら?何か言ったかしら?」

 

ふふふ。

 

 

せいぜい首を洗って待っているのね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我が元王よ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度こそ、私が勝つわ。例えどんな手段を用いても、ね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

kihiroに忍び寄る影の手…果たして彼は打ち勝つことが出来るのか!?




短いですがお願いします!

今回初めてkihiroが負けました。そんな相手に決勝ラウンドではどう立ち向かうのか!

(*´∇`)ノ ではでは~


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第3回 Bullet of Barrett 本戦

あと数話でGGO編も終わりです!
よろしくお願いします!
では!どうぞ!


 

なんとか重たい体を起こしてリビングに向かう。リビングに入り、昼食の準備をし終え、いざ食べようかという時、唐突に、その時がきた。

 

 

「おにぃーちゃん」

 

 

目の前の少女がとても素敵な笑顔で少年に呼びかけてきた。

 

現在時刻は12時40分。

 

俺、桐ヶ谷和人は嫌な予感を抱いた。それは自分に後ろめたさがあるからに違いないなと思いながら、

 

「な、なんだよ、スグ?」

 

食事の手を止めて妹、桐ヶ谷直葉に聞き返す。すると直葉は素敵な笑顔を崩すことなく、隣の椅子からあるものを手にとって…嫌な予感だけは当たるんだよなぁ俺…

 

「あのね。今朝、ネットでこんな記事を見つけんたんだよね〜」

 

いいながら見せてきたのは『MMOトゥモロー』のニュースがコピーされたA4サイズのプリント用紙。上部に『ガンゲイル・オンライン最強者決定戦。第三回バレット・オブ・バレッツ本戦出場者30人が決定』と書かれている。その下には出場するプレイヤー名が書かれており、ある二つの名前の下には赤いペンで線が引かれていた。

 

『Aブロック1位-kihiro(2)』

『Fブロック1位-kirito(初)』

 

とその部分を指差して、

 

「この名前、すっごく見覚えあるんだけどな〜?」

 

直葉は問いかけてくる。見せているのは笑顔だが何処か怖い。いやかなり怖い。こういう時の女子の笑顔は半端なく怖い…

 

「い、いやー、似たような名前があるもんだなぁ。あっははは……」

 

と一応誤魔化そうと試みる…ってここまで来たら隠すのは無理だが…

 

「似てるんじゃなくて、同一人物だよね?」

 

結局先程の誤魔化しは通用しないことが判明した。予想はしてたが…

 

「ま、まぁ……そうだな」

 

と答えた。と言うよりそう答えるしかない…ちらりとスグに視線を向けると、彼女は未だに笑顔だ。しかし内心は怒り心頭といったところだろう。なにせ彼女にはアバターをコンバートした事は黙っていたのだから。どう説明しようか迷うぞこれ…

 

「また怖い顔してる…」

 

そう言って直葉は溜息を吐いた。まて今のため息はなんだ…

 

「ホントはね。お兄ちゃんと継裕さんがALOからアバターをGGOにコンバートしたの知ってたんだ。」

 

「え?」

 

まじかよ…

 

「だって、お兄ちゃんと継裕さんの名前がフレンドリストから消えてたんだもん。気付かない訳ないじゃない。」

 

確かに、スグが気づかないわけない、か。

 

「昨日の夜に2人がリストから消えてるのに気付いて、すぐログアウトしてお兄ちゃんの部屋に突撃しようとしたの。でも、お兄ちゃんや継裕さんが、なんの理由もなくALOから居なくなるなんて思えなくて、何か事情があるんだと思って藍子さんと、木綿季さんに聞いたの。」

 

和人はアバターをコンバートする事を、恋人である藍子と、アイテムやユルドを預かってもらっているエギルには言ってあった。もっとも、コンバートの理由は『菊岡誠二郎からの依頼で、ザ・シード連結社の調査の為GGOに行くことになった』と説明し、『死銃』の事は伏せてあるのだが…これはまずい傾向だな…

 

「藍子さんは、(いつも通り大暴れしたら戻ってくるよ)って言ってたし、さっきも帰る前にお兄ちゃんを信じようって言ってくれたけど……私、心配だよ……きっと、藍子さんも内心では不安がってると思う。」

 

そう言ってスグは不安そうな表情で俺を見ていた。どう説明しようかなと思っていた時、

 

「行かないよね?また何処か遠くに行っちゃうことなんてないよね?嫌だよ。私、そんなの絶対に嫌だからね?」

 

直葉は言葉をそう続けた。兄がまた、SAOに囚われた時のように手の届かない所へ行ってしまうかもしれないという恐怖からの言葉。それを考えれば当然かもしれない。だが、俺は兄として妹に心配させるわけにはいかない…

 

「行かないよ。俺はちゃんと帰ってくる。ALOにも、この家にも。」

 

そう言った。

 

「ほんとう?」

 

「ああ、約束する。決着をつけて必ず帰ってくるよ。」

 

「……うん。」

 

なんとか落ち着かせ、一息吐き、食事を再開しようと箸を手に取ったその時、

 

「そういえば、藍子さんから聞いたんだけど……今回の『お仕事』って、すっごいバイト代が出るんだってね?」

 

「うっ……」

 

にこやかに笑いながら尋ねてくるスグに、俺は言葉を詰まらせた。確かに今回の依頼で30万円という、一介の学生が簡単に稼ぐことは出来ない額の報酬が出る。まぁ心配かけさせてしまったし、慰留費は必要かもな…

 

「お、おう。なんでも奢ってやるから楽しみにシテロヨ。」

 

最後はなんとなく片言になりながらもそう言った。これしかないな。うん。

 

「やった!あのねぇ、前から欲しかったナノカーボン竹刀があってねー!」

 

目を輝かせていう妹に、俺は苦笑いで頷き、内心で盛大に溜息を吐いたのだった。はぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Bob本戦のルールとしては、30人が入り乱れてのバトルロワイヤル。同じフィールドに30人がランダム配置される。最初の立ち位置は最低でも他のプレイヤーとは1km離れており、すぐ撃ち合い合戦になることはない。全体としての地形は様々で、ある特定の武器やステータス有利とは限らない地形らしい。広さは10km四方に囲まれてるとのこと。

 

 

 

どちらにせよ、俺にとっては近づかないと攻撃すらできないのだからあまり関係ないな…そう言えば、参加者には"サテライト・スキャン"というアイテムが無料配布させられるんだったな。それは15分事に来るため、同じ場所に隠れるのは精々15分が限界とのこと。さらに表示された者をタップすれば名前までついてくるらしい。

 

 

そして、

 

 

戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

 

 

どうやらあいつは俺と真反対の方にいるのか。なら片っ端から近い奴を片付けて行くしかないか…

 

 

 

 

Bob本戦が開始されて、すでに30分近く経過していた。この時点で、私はすでに2人のプレイヤーを倒している。だが、全体でどれだけのプレイヤーが残っているかは、15分ごとのサテライト・スキャンでしか確認できない。と、その時だった。二度目のサテライト・スキャンが行われ、端末に幾つもの光点が表示される。その中で21個の光点が光っている。単純計算で9人のプレイヤーが脱落していようだ。端末に表示されている自身の周囲1km圏内の光点は4つ。その一つずつをタッチしていく。北東600メートルに『ダイン』、そのやや東に『ペイルライダー』がいる。さらに、800メートル南に静止しているのが『獅子王リッチー』である。ダインを示す光点は西に向かって移動しており、ペイルライダーがそれを追従しているという感じだと思われる。

それを確認した直後、衛星が去ったようで、端末に表示された光点が点滅し情報がリセットされる。端末をポーチにしまい、北東のほうを見る。

 

2人は現在、ステージを二分する大河へと向かい移動しているのを先程のスキャンで確認してる。おそらく、ダインは森の中でリスキーな戦闘をするくらいなら、見通しのいい橋で迎え撃つつもりなのだろう。その橋は、2人よりもシノンの方が距離的に近かった。周囲の気配に気を配りながら、素早く移動を開始する。全速で駆け、大きな橋のかかった大河、その200メートル離れた位置で停止し、私はヘカートを設置して息を潜めた。やがて、細道と鉄橋の境に生える太い古木の陰からダインが飛び出してきた。橋を一気に駆け抜けて、身を潜める岸辺まで渡り終えると、地面に伏し伏射の体勢を取る。

 

「確かにこの状況なら、一方的に撃ちまくる事が出来るわね。でも、脇が甘い。」

 

「どんな時も後ろに注意、でしょ?」

 

そう呟き、ダインに照準を合わせた。

 

思考を巡らせ、トリガーに指を添えた、その時だった。彼女の首筋に冷たい戦慄が奔った。本能が訴えている。自分の後ろに誰かがいると…

 

(しまった!狙撃のチャンスに夢中になって警戒が甘くなってた!)

 

そう思考が巡ると同時に、彼女は勢いよく身を翻し、左手でサイドアームの『MP7』を抜いた。その間にも思考は巡る。

 

(でも、さっきのスキャンでは後方には『獅子王リッチー』しか表示されなかった。一体どうなって……)

 

MP7を真後ろに突き出すと同時に、黒い銃口が向けられた。やはり気のせいではなかった。これほど近距離にまで接近していた事に気付かなかった事を悔みながらも、シノンは相討ち覚悟で引き金を引こうとする。

 

が、その前に銃口を向けている襲撃者から低い囁きが聞こえてきた。

 

「まて。」

 

途端にシノンは目を見開き、視線を銃口から襲撃者の顔へと向ける。映った顔は見知った顔だった。

 

「キリト……?」

 

ありえない…さっきのには写ってなかったのに…!?

 

「待ってくれ。提案がある。」

 

「何をっ……」

 

何甘い事言ってんのよ…この男は…

 

「この状況で提案も何もないわ!どちらかが死ぬ、それだけよ!」

 

「撃つ気なら、いつでも撃てた!」

 

捲し立てるシノンに、俺はあくまで冷静に、それでいて切迫した声で返した。

 

彼が見せている表情も真剣そのもので、私は押し黙るしかなくなってしまった。

 

「今派手に撃ち合って、向こうに気付かれたくない。」

 

「どういう事……?」

 

「あの橋で起こる戦闘を最後まで観たい。それまで手を出さないでほしいんだ。」

 

何言ってるの…

 

「観て……それからどうするの?改めて撃ちあうとか、間抜けな事を言わないでしょうね?」

 

「状況にもよるが、俺はここから離れる。君を攻撃はしないよ。」

 

「私が背後からアンタを撃つかもしれないわよ?」

 

「それならそれでしょうがないさ。諒解してくれ、始まるみたいだ。」

 

言うや否や、キリトは双眼鏡を取り出して橋の方へと視線をむけた。

どんだけ私を信頼してるんだか…

 

「……仕切り直せば、今度はちゃんと戦ってくれるのね?」

 

「約束する。」

 

こうなったら、仕切り直すしかないようね…

 

「……アンタがここまでして観たがってる戦闘、このままじゃ起きないんじゃない?ダインだって、いつまでもああしてるとは限らないわ。あいつが移動しようとしたら、私が撃つからね。」

 

「その時は、そうしてくれていいさ……いや……」

 

直後、反対側の岸から一人のプレイヤーが姿を見せる。MP7を左腰のホルスターに納め、ヘカートのスコープを覗きこんだ。痩せた長身に、奇妙な青白い迷彩スーツを身につけたプレイヤー。シールド付きのヘルメットを被っている為、顔は見えないものの、武装は右手にぶら下げている『アーマライト・AR17』である事が確認できた。彼がペイルライダーで間違いないのだろう。その立ち姿には力みが感じられず、ダインが構えている銃口も恐れることなく橋へと近づいている。

 

「……あいつ、強いわ……」

 

思わず呟く。初見ではあるものの、纏っている雰囲気から、その実力はある程度推し量れる。弾道予測線という未来予知的なアシストがあるものの、フルオートマシンガンを構えた敵に近づくのはおいそれと出来るものではない。けれどペイルライダーは何を気にするでもなく、まっすぐに歩き進んでいる。その姿に、この状況を狙っていた筈のダインですら戸惑いを滲ませた。が、それでもBobに出場する程の実力者だけあって踏ん切りも早かった。一秒も経たないうちに、ダインは『SG550アサルトライフル』のトリガーを引いたのだ。軽快な音を響かせながら、発射された十数発の弾丸は勢いよくペイルライダーへと襲いかかる。それを、ペイルライダーは思いもよらない方法で躱してみせた。橋を支える幾つものワイヤーロープの一本に飛びつき、左手だけで登りはじめたのである。慌てて銃口で追おうとするダインだが、伏射姿勢の所為で上方が狙いづらくなっていた。その為、二度目の射撃は照準が定まらず、その隙を突きペイルライダーはワイヤーの反動を利用して長跳躍を行ったのだ。伏射姿勢のダインのすぐ近くに着地した。その光景を見て、私は驚きを隠せずにいた。

 

「STR型なのに装備の重量を抑えて、三次元での機動力を底上げしてる……おまけに軽業のスキルがかなり高いわね。」

 

ペイルライダーの着地と同時に、ダインは膝立ちになり、三度トリガーを引いた。だが、それも読まれていたようで、呆気なく躱されてしまう。

 

「んなろっ……」

 

悪態をつきながら、ダインは空になったマガジンを交換しようとした。しかし、その前にペイルライダーの右手に握られたアーマライトが大きく火を噴いた。至近距離からのショットガンによる銃撃。これはもはや回避不可能だ。吐き出された弾丸を受けて、ダインはHPを減らしながら大きく後ろに仰け反った。けれど、マガジン再装填の手は止めていなかったようで、再度構えようとした瞬間、再び轟音が響いた。

 

ショットガンという武器は与えるダメージが大きいのもあるが、真に恐ろしいのは仰け反り効果が高く、相手に何もさせることなく連続で撃ちこむ事が出来ることである。

 

二度目の被弾で更にHP減らすダイン。ペイルライダーは更に距離を詰め、無慈悲にも三度目のトリガーを引いた。轟音と共に放たれた弾丸は、残り僅かなダインのHPを完全に吹き飛ばす。

 

大の字になってダインは地面に倒れ込み、その上に『Derd』と表示されたウインドウが出現した。彼はバトルロワイヤルから脱落したということだ。

 

「……あの青いの、かなりやるな。……奴は現れないか……あの青いのは狙われてないのか……?」

 

「なに? どういうこと?」

 

聞き取ってはいけないような、そんな言葉が聞こえた。

 

「いや、なんでもない……」

 

意味不明…

 

「……あいつ、撃つわよ?」

 

シノンは一息置いてそういうと、返答を待たずにヘカートのトリガーに指を添えた。ダインを倒したペイルライダーはすでに移動を開始している。こちらに気付いていない今は最大の狙撃チャンスなのだ。

 

「……ああ、構わない……」

 

キリトの掠れた声が聞こえてくる。シノンは照準をペイルライダーに合わせ、引き金を引こうと指に力を込めたその時。

 

彼の右肩に着弾エフェクトが閃き、同時に痩せた体躯が弾かれたように左へと倒れたのだ。

 

 

「「あっ……」」

 

 

 

思いもよらない光景に、2人は同時に声を上げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ〜結構倒したなぁ〜。」

 

 

彼が通った跡は、敗退者が数多く転がっていた。

 

 

 

 




今回は長めにできました!と言っても前回までのは本来だったら同じタイミングで出す予定だったものなので…
そろそろ来るね!奴が!w

(*´∇`)ノ ではでは~


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死銃

ここまで来たか!第50話!!
皆様ありがとうございます!

ではいきますよー!


「な、なんだ。今の…」

 

クラインがそう呟いた。いま目の前のモニターにはペイルライダーが倒れている姿が中継されている。ダインを一瞬にして倒した奴が一瞬で倒されたのだ。こういう反応とるのも無理はない。

 

「継裕は大丈夫かな…」

 

木綿季がそう呟く。彼女は継裕から行ってくるとしか聞いてないのだ。彼の父にも聞いたのだが、うまく言いくるめられてしまっていた。ただ、共通してどこか殺気めいた空気を纏っていた。

 

「継裕君なら大丈夫よ。彼ならどんな相手にも、決して負けたりはしないわ。」

 

明日奈がそう言ったのは、経験から基づくものだ。昔から何をやっても負けた試しがなかったのだ。唯一父や祖父との勝負に敗れていたぐらいで、それも年齢が重なる度に勝ちが増えていった。だから安心はしている。

 

「でも、今回の件、普通じゃない気がするの…」

 

「私もそう思います。和人さんとお話した時、どこか上の空でしたので…」

 

「あたしもそう思う。お兄ちゃん凄く怖い顔してたし…」

 

「だとしたら一体なんだってんだ?何があいつをそうさせてる?」

 

この場にいるのはエギルを除いたいつものメンバー。アスナ、リーファ、シリカ、リズベット、ラン、ユウキ、クラインと言った面々だ。このメンバーで理由を探っていた時、それは突然訪れた。

 

「俺と、この銃の名前は死銃、デスガンだ。俺は、いつか、貴様等の前にも、現れる。この銃で、本物の死を与える。忘れるな、まだ終わってなどいない。手始めは、奴らからだ。……イッツ・ショウ・タイム。」

 

突然、アスナ、ラン、ユウキ、クラインがガタッと音を立てながら立ち上がった。驚いた他のメンバーはその理由を聞く。

 

「ど、どうしたってのよクライン。」

 

「い、いや、そんなはずはねぇ…」

 

「まさか、ラフィン・コフィンがいるなんて…」

 

ラフィン・コフィン…それはSAO内で最も最悪のギルドとして名を馳せた殺人ギルド。あらゆる手段を用いり、数多くのプレイヤーを死に至らしめた。その数約100人近く…もっと多いとも言われている。兎も角そんな恐ろしいギルドのメンバーだった者が、あのGGO内にいる。それだけで、キリト達がその世界に飛んだ理由がわかった。

 

「和人さん…彼らのことを分かってて…」

 

「止める、つもりなんだね…継裕…」

 

「で、でも可笑しくない!?確かバイトって話でしょ!?」

 

そう。キリト達は彼女らにそう説明していたのだ。心配させないために。つまり、ここから導き出せるのは依頼人は最初からこのことを知っていて、彼ら二人を送り込んだことになる。そんな事を彼女2人が許せるはずもなく…

 

「アスナ!菊岡さんを呼べる!?」

 

「え、…えぇそうね。呼んでくるね。」

 

 

 

 

 

「キリト達は共闘でもしてるのかな?まぁ誰が狙われているかわからない以上その方が安全だから助かるけど、…ん?」

 

自動端末を見て彼は驚愕した。1人、脱落しているのだ。"サーバーから"

 

待て…もしあいつがやったとしたら…あいつらが危ない…!

 

っ!

 

その時、彼は確かに感じた。"殺気"を…だが、それは彼のでは無い…

 

「誰だ…」

 

気配を感じることは出来たが、位置まで特定できなかった。特定する前に、気を"遮断"されたのだ。ここまで気を自在に操れるのは数多くは存在しない。継裕でさえ使いこなすのに5年弱かかっている。しかもそれは幼少期からの英才教育の賜物であって、生まれつきできた訳では無い。さらに、自分と同じような人間もそうそういない。となると自ずと確定してくる。

 

「まさか、あいつらが紛れ込んでるのか…?」

 

だとしたら一体どんな理由で潜り込んでいるというのだ。ただ単に俺に対しての復讐をしに来た訳では無いだろう。もっと他に、恐ろしい理由があるに違いない…いやあって当然だ。

 

 

 

 

やはりあの時の"あの選択"は…

 

 

 

 

 

間違いだったのか…?

 

 

 

 

 

「危ない危ない、危うくバレるところでした。流石にまだ衰えきってはないようですね。少しばかり平和ボケしているようですが。まぁそれも今回ので変わるでしょう。あなたと私は切っても切れない関係なのだから。そして気づくでしょう。あの行為は到底許されるべきことではないと。うふふ、楽しみですね、kihiro。」

 

 

 

魔の手がkihiroに忍び寄っていることに、本人はまだ気づいていない。いや、想像もしたくないのだろう。"あの時"の復讐をしにわざわざ来ているなどとは。

 

 

 

「恐らく奴は幹部の誰かなんだろうが…誰だっけ?あんなに強いやついたか…?」

 

 

 

「ふっふっふっ…見ているがいい、kihiro。貴様が、このぬるい空気を、吸っている間に、俺は、強くなった。お前を、凌ぐほど、な。ふっふっふっ…貴様の次は、絶剣だ…ふっふっふっ…」

 

 

 

 

 

「どういう事ですか菊岡さん!!」

 

鬼の形相をした木綿季が菊岡に詰め寄る。明らかに向こうの方が年上なのだが、完全に、木綿季が圧倒している。

 

「わ、わかったよ。説明するよ。」

 

怒っている時の継裕君並みに怖いよこの子…

 

一通り説明し終えた時、菊岡、クリスハイトの胸ぐらをクラインが掴んだ。

 

「てんめー、そんなに危ない所にあいつらに行かせたのか!」

 

「落ち着いてくれクライン君、僕と彼らの意見として、仮想世界による攻撃では死なないと結論づけた。」

 

「…じゃあなんでそこまで、固執するの…その事件に…もっとほかに何かあるんでしょ?例えば継裕のお父さんによる事とかで。」

 

その瞬間、菊岡の目が見開いたのを木綿季らは見逃さなかった。そして確信した。やはり彼はなにか、"隠していると"

 

「さぁ、何を隠しているか…吐いてもらうよ…」

 

そう言うと、菊岡は観念したように言った。

 

「はぁ…わかったよ。君達には隠し切れそうにないや…特に、ユウキ君にはね…」

 

 

 

「本来の目的としては、死銃氏との接触。と言うのは間違ってない。だが、それはキリト君にだけのものであり、キヒロ君には別のことを頼んでいるんだよ。」

 

「その、別のことって。」

 

「それは言えない。僕にも守秘義務があるからね。」

 

今度はユウキが思いっきりクリスハイトの胸ぐらを掴んだ。

 

「ねぇ、さっきと言ってること違うけど…?どういうつもり?ボク達のこと、何も知らないただの子供とでも思ってるの…」

 

この並々ならぬ殺気…まるで、彼を見ているようだ。

 

「守秘義務なんだ本当に、こればっかりは許可ないと厳しい。なんせ相手は、君の推察通り、キヒロ君のお父さんだからね…」

 

やっぱり、あの人なにか隠しているとは思ったけど…

 

「ただ、一つ言えるのは…もし捕まえることが出来なければ、何が起こるか分からないということだ。それに加え、相手の情報をほとんどキヒロ君には伝えられてない。」

 

「そんな…!そんなの捕まりっこないですよ!」

 

シリカがそう叫ぶ。確かに、キヒロに対しての依頼は馬鹿げているとしか思えない。言わば太平洋の中に鍵落としたんだけど探してくれないと言っているようなものだ。余りにも雑すぎる。

 

「なんで、そんないるかいないかわからないような人を探させてるの?」

 

「いや、いるのは確実なんだ。なんせ敵は、ユウキ君、君もいたことのある世界から妨害していたのだから。」

 

 

 

 

 

ボク達のいる世界から…?SAOだとしたら、キリトの話で方はつく。じゃあALO?いやそれも考えにくい…だとしたら残るのは…

 

 

 

 

 

 

「もしかして…"アルマトラン"の事を言ってるの?」

 

 

「そうだよ。だから彼は分かるはずだ。もしあの世界の住人が来ていたら。これは彼にしか頼めないことなんだ。どうかご理解して頂けると有難い。」

 

 

確かに、あれについてならキヒロに任せるしかない。ボクでは足でまといになる可能性が高い…でも、何もしないなんてことは出来ない…ただ、ここで見てるだけなんて…出来ない!

 

「クリスハイト、キヒロ達の場所わかるんだよね?」

 

「え、あぁ、勿論。なんせ僕達が手配し」

 

「どこ!」

 

「ち、千代田区の病院だよ。ほらキリト君がリハビリしていたところだよ。」

 

「行こう!姉ちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「怖い思いさせたな。シノン。」

 

死銃から、なんとか砂漠に逃げ切った。逃げている途中でキヒロと合流(と言うより、キヒロが狙撃してくれたおかげで、逃げ切ることが出来た。が正しい。)した。奴の狙撃能力もかなりのものだが、キヒロもかなりセンスがあると思われる。まず第1射撃で、馬の足を打ち砕き、2射目は近くの車に撃ち込み、爆発させ、ダメージを与えて逃走。その間わずか2秒ほど。とんでもない集中力を発揮させていた。

 

「ねぇ、あれは本当に、死銃なの…?」

 

それにキヒロがすぐ答える。

 

「あぁ、それについては間違いない。既に奴は2人殺してる…言い忘れたんだが、俺の決勝の相手はあいつだった。結果はやつの勝ちだ。」

 

今キヒロは何言ったんだ?負けたって言ったのか?でも結果は1位突破だった気がするが…

 

「電磁スタン弾を撃ち込まれたんだ。普通の実弾なら、俺の負けだ。やつは強い。」

 

「そう、だな。なにか情報掴んでいるか?」

 

「あぁ、さっきの戦闘で確信した。」

 

「え?」

 

「奴は…

 

 

 

 

 

 

 

 

ザザ、赤眼のザザだ。」

 

 

 

 

遂に死銃の正体を突き止めた2人。果たして結果はいかに?




ここまで来たかーって感じです。w
最後まで走り抜きますよー!

(*´∇`)ノ ではでは~


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幻影の一弾

お久しぶりです!今日は特に何も無いので更新していきます!
遂に佳境に入ってきたGGO編。
果たしてどうなる!?

では!どうぞ!


 

「ざ、ザザ!?」

 

困惑した表情でキリトがそう問いただす。それにキヒロは至って冷静に答える。

 

「あぁ、間違いないと思う。奴が持ってたあの銃、予選決勝で使用したのと同じだ。あれは、L115A3だ。通称、"サイレント・アサシン"。」

 

「だから、狙撃音が全く聞こえなかったのね。」

 

シノンはペイルライダーが倒れた時のことを思い出していた。キヒロはそれについて頷き、

 

「レアリティもシノンの持つへカートと同等だ。そこでなんだが、囮を俺かキリトでやり、仕留めるのはシノン、でどうだ?」

 

このバトルロイヤルには衛生スキャニングが15分置きに行われている。だが、これには抜け道があり、洞窟などという場所なら回避できるのだ。よって1人だけでも表示されれば、そいつ目掛けて死銃が来ると予想し、囮役が狙撃されたらシノンが場所を特定出来る。そして死銃を倒そう。という作戦だ。

 

「む、無茶よ!奴の銃には人を殺す力があるのよ!?」

 

シノンがそう叫ぶ。だがキヒロは冷静にこう返す。

 

「殺害方法はあの銃では無い。これは断言出来る。」

 

するとキリトが疑問をキヒロにぶつける。

 

「な、なら一体どうやって…」

 

 

キヒロは説明した。死銃が行っている殺害方法を。

 

 

 

まず、総督府において有力プレイヤーの住所を特定。さらにその中から比較的セキリュティの低いところに住んでいる独り身に絞る。その中から距離的にも殺害可能な人物に絞る。殺害方法は心不全から推測するに、サクニシルコリンを使用した可能性が高い。そして死銃が十字架をきる理由は時間を確認するためであり、銃を撃つタイミングに合わせて現実サイドの人間が薬を撃ち込む。

 

 

つまり、今現在2人のプレイヤーが死んでいる。という事は、少なくとも現実サイドで2人以上関わっている可能性がある、という事だ。

 

 

 

 

「そんな恐ろしいことに、複数人が関わっているなんて…」

 

シノンがそう言葉を振り絞った。その声は少し震えている。

 

疑問は解決出来た。だが、キヒロの話が事実だとしたら、"シノンがその対象になっている"ことは確実だ。そしてその準備は整っているということも…

 

「キリト、囮役頼めるか?俺は狙撃に備える。」

 

「私1人で十分よ?」

 

「いや、念には念を、だ。わかった。囮役引き受けるよ。」

 

3人はそれぞれの目的の為、次なる場所へ向かう。

 

 

 

「継裕!」

 

木綿季がそう叫びながら、部屋に入る。続けて藍子も入る。

 

「話は聞いてるよお二人共。今のところ容態は安定してるよ。」

 

そう言うのは、美人ナースこと安芸さん。そのナイスなプロポーションは同じ女から見ても美しく見えるほどだ。

 

「ママ、今中継を繋げます!」

 

この発言は、高度AIを持つユイだ。当初はキヒロのことを父上、ユウキのことを母上と呼んでいたのだが、木綿季がそれだと距離感があるとか何とか言って、パパ、ママに変えさせたのだ。それによって、見た目とのマッチがはまって益々愛くるしくなったという。

 

そしてそこに映っていたのは、だだっ広い砂漠で立っているキリトの姿であった。

 

「な、何してるのですか…?キリトさん…」

 

「姉ちゃん、2人を信じよ?」

 

「そうね…うん。信じましょ。」

 

そして2人は再びモニターに目を向けた。

 

 

 

 

「ふっ…」

 

何とか闇風を倒した。後は任せたぞ…キリト…

 

 

 

 

 

感じるんだ…やつの気配を…研ぎ澄ませるんだ…奴の殺意を…

 

 

 

2人を…信用するんだ。

 

 

 

………………………………………っ!

 

 

 

きたっ!

 

 

 

間一髪で避けた弾丸はキリトの髪を幾分かもっていった。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」

 

飛んできた方向に向かって、キリトが猛然とダッシュをし始める。

 

 

 

「順調、だよな?シノンの場所もバレてないは…ず…」

 

 

その時、ザザをスコープで捉えていた時、ある人物が映った。

 

 

確か、"あの世界"で共に闘った人。でも、先程のスキャンには俺含めて5人しか映って無かった。一体どうやって…

 

 

いける。そう思ったその時、敵と目が合った。そんな筈は無い…だって、私は移動してから1発も撃っていない…それなのに、目視されてる!?

 

迷っている暇はない…

 

今っ!

 

 

 

死銃とシノンが同時に撃ったその時、キヒロも撃った。死銃からシノンに向かっていった銃弾を撃ち落としにいったのだ。

 

結果は死銃の銃弾はシノンに届くことは無かった。代わりにシノンの狙撃は見事命中した。これで、死銃に闘う手段は残されてはいない。そう思った。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」

 

 

そう叫びながら、ヴォーパル・ストライクを放つ。

 

が、

 

それが届くことは無かった。死銃が軽く避けたからだ。そして避けながらキリトに"一刺し"した。何も武器を持つはずがないのに。

 

「なんだ、その武器は…まさかこの世界にも金属の剣があるなんてな…」

 

「お前と、したことが、勉強不足、だったな。これは、宇宙戦艦の、装甲板で、出来ている、そうだ。長さ、重さは、これぐらいが、限界、だがな。」

 

「へぇ、じゃあ俺好みの剣は無理そうだな。」

 

「ふっ、相変わらず、STR要求高めの、が好きなのか。なら、そんなおもちゃじゃ、物足りない、だろ?」

 

すると、少しばかり不機嫌になったのか光剣からスパークがバチバチと出た。

 

「いや?こういうのも1度は使ってみたいと思ってたしな。」

 

「そうか、それが、命取りにならなければ、いいがな…」

 

その言葉を皮切りに、死銃こと、ザザは鋭い一突きを放ってきた。あまりの速さに、キリトは対応しきれず、まともに食らってしまったが、一旦距離を取り、次の攻撃に備える。ザザの攻撃は厄介だが、ダメージ量が微々たるものなので、すぐに死ぬ事は無い。が、防ごうとするのはかなり厳しい。

 

 

 

 

「キリトが、押されてる…」

 

「私より、速いかもしれません…」

 

2人は驚愕した。例えどんな相手であろうと、キリト達が負けるとは予想していない。だが、現状は不利になっていっている。キヒロに至ってはまだ出てこないからどうなのかはわからないが、キリトが押されてるのは確かだ。

 

 

「藍子さん、和人さんの手を握ってあげてください。温もりが届くかも知れません。」

 

ユイなりの励ましだ。元々メンタルヘルスを行う為に開発されたAIであるため、こういう事はお手の物だ。

 

「ありがとう、ユイちゃん。」

 

 

継裕は平気かな…

 

「大丈夫ですよママ!パパなら無事ですよ!さっき物凄い狙撃してましたし!」

 

狙撃、その単語に安芸は思わず反応してしまったが、何とか2人にはバレることは無かった。

 

「うん…ありがとうユイちゃん。」

 

ユイちゃんに気を使わせちゃったな…しっかりしなくちゃ!ボクが不安がってたら心配させちゃう…

 

 

 

「まさか、避けるとはねぇ…」

 

継裕ことキヒロは死銃の弾丸を撃ち落とした後、もう1人の人物…死銃よりさらに後方、約300メートルにいる人に向かって狙撃した。距離にして約2.5キロ。その距離から撃とうとするのも馬鹿げているが、時間にして約1秒ほど。視認してても避けるのは至難の業。それを"彼女"は軽々と避けて見せた。狙撃にはそこそこの自身があったキヒロにとっては幾分かショックな出来事である。

 

ん?あいつ、"キリトの方へ向かっている"!?

 

まさか…!

 

 

 

「甘いわねキヒロ。私はこんなものじゃ倒せないわよ…?さてと、あなたに会えた前祝いといきましょうか…」

 

 

 

「くっ…!」

 

「どうした…?こんなものか?"黒の剣士"。」

 

キリトの残りHPは約5割ほど。対してザザは8割程残っている。キリトの光剣は一撃が重いだけに1度でもチャンスが来れば逆転の可能性はある。

 

 

 

くそっ…!今この現状を打破できるなにか一手は!?

 

 

その信念が通じたのか…一時の間合いを取った時、弾道予測線(バレット・ライン)が死銃を捉えた。その瞬間、死銃が狼狽えた。それをキリトは見逃さなかった。間合いを一気に詰め、上から光剣を振りかぶる。咄嗟にザザは迷彩を用いて消えようとした。

 

その時、キリトは微かだが、左手に温もりを感じた。そのおかげで今まで忘れていたもう1人の相棒を思い出せた。FN5.7だ。それを引き抜き、死銃に向かって撃ち込む。5発撃ったうち、3発程当たったがHPを消しきるには至らず…

 

「ちぃ…!」

 

すかさず死銃が反撃する。だが、距離は既にゼロに近い。キリトは回転しながら死銃…ザザの脇腹に光剣を切り込んだ。そのまま押し流し真っ二つに…

 

派手な爆発音と共に死銃とキリトは吹っ飛んだ。

 

肩で呼吸しながら、キリトは死銃の行く末をみた。

 

「まだ、終わらない。終わらせない。あの人が、お前を…」

 

そう言いながら、死銃は退場となった。

 

「いいや、もう終わりだ。これに置いて、ラフィン・コフィンの殺人は完全に終わったんだ。」

 

 

シノンが近づいてきた。後もうすぐでキヒロも来るだろうな。

 

その時、俺は今まで以上にない殺気を感じた。ザザとは比較にならない殺害を…

 

「まずは貴方からぁ〜」

 

そう言いながら、彼女はキリトに切り込んだ。

 

 

 

 

悪い予感は当たった…!

 

「キリト!!」

 

だが、遅かった。

 

「貴方が来るの遅かったから。お友達2人死んじゃったけど?残念だったわね。うふふ…」

 

 

 

まさか、またこいつと会うことになるとはな…

 

 

 

 

「久しぶりだな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"アルバ"」

 

 

 

 

更なる強敵現る!?




果たして次回はどうなるのか!?

これからもよろしくお願いします!

(*´∇`)ノ ではでは~


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第50話 因縁

ひとまず区切りをつけました!
では!どうぞ!


「な、キリトが…負けた!?」

 

クラインがそう叫ぶ。たった今、キリトはある1人の女性に負けたのだ。それも剣の勝負で…幾らHPに差があるとはいえ、幾重にもなる実力差の壁があった。後にキリトはこう言っていた。まるでSAOでのキヒロみたいだと。

 

 

「和人さんが…負けた…?」

 

藍子は信じられなかった。自分を守ってきてくれ、救ってくれた彼がいとも簡単に負けたからだ。だが、藍子が驚くことは他にもあった。木綿季の肩が震えていることだ。それを姉である藍子は見逃さない。すかさず理由を聞いた。

 

「どうしたの木綿季、そんなに震え」

 

「あの人…ボク知ってる…ううん。知ってるなんてレベルじゃない。"戦ったことある"。」

 

なんと木綿季はモニターに映る彼女と戦ったことがあるという。

 

「あの世界で……?それで、結果は………?」

 

「結果は……

 

 

 

 

 

ボクの完敗だったよ…

 

 

それに剣の腕は、純粋にボクより上だよ…」

 

藍子は驚愕する。SAO内でのデュエルで木綿季が負けたことを見たことは無いし、それは今においてもそうだ。誰かから、木綿季が負けたことを聞いたことがない。それにただ負けたのではなく、はっきりと"完敗"と言ったのだ。しかも負けず嫌いの木綿季がだ。さらに褒め称えるとは少し異例だ。

 

「木綿季ちゃん、あの女の人とはどこで知り合ったの?」

 

そばで話を聞いていた安芸さんが木綿季に尋ねる。

 

「継裕と一緒にいた、"アルマトラン"で知り合ったの。名前はアルバ。強くて優しいいい女の人だった…」

 

 

"アルバ"

 

 

このワードを聞いた安芸は思わず立ち上がってしまった。その名前は、継裕の父親から聞いていた名前と一致したからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルバと呼ばれた女性はキヒロに向かってこう言った。

 

「また、大切な人を助けられなかったわねぇ〜キヒロ。」

 

アルバはニヤニヤしながらキヒロに向かってそう言った。

 

「アルバ…お前は、何しにこの世界に来た…?」

 

キヒロはアルバにそう問う。アルバは答える。

 

「あなたに会いに来た。ただ、それだけよ。」

 

一瞬キヒロは理解出来なかった。彼は彼女は復讐のために来たのだと思っていたからだ。それが、ただ会いに来ただけだとは。想定もしていなかった。

 

「まぁ、今回は本当に理由はそれだけ。それに、役者がまだ揃ってないから。いずれまた会いましょ、キヒロ…」

 

そう言い残し、彼女は消えた。どうやって消えたかと言うと、自爆したのだ。自ら持っていた小型の爆弾を使って。

 

それにより、第3回bobが終了した。優勝及び、最多kill賞はキヒロだった。

 

 

 

 

 

 

 

「アスナ、今の人わかる?」

 

そうリズが問う。ここに残っているメンバーで1番キヒロについて詳しいのはアスナだ。だが、そのアスナでも答えられないことがある。

 

「ごめんなさい、私もわからないの…」

 

明日奈は継裕については殆どと言っていいほど知っている。恐らく今の木綿季と互角かそれ以上だろう。だが、そんな彼女でも知らないものがある。継裕の仕事についてだ。そして彼の父親がどういう人物なのか…継裕が語りたがらないというのもあるが、単に、人には言えないというのがあるらしい。それを言われて以来、明日奈は彼の仕事に関することは聞かなくなった。それは今でも変わらない。

 

 

 

 

 

 

 

後日

 

 

 

 

 

 

「君達2人を、こちらの不手際により危ない目に遭わせてしまい申し訳ない。」

 

謝罪しているのはエリート国家公務員である菊岡誠二郎だ。先日の死銃事件においての詳細及び詫びをしに、わざわざ2人の為に時間を取ったのだ。並の国家公務員なら手紙での謝罪が一般的だが、この一風変わっている菊岡という男は、そのようなやり取りは性にあわないらしい。このような対処は極めて異例だが、本人が好きでやっているので和人に関しては特にきにしてはいない。だが、そんな和人でも気になることが1つあった。

 

「なぁ菊岡さん。継裕は今日来ないのか?」

 

菊岡は一瞬沈黙し、そして口を開いた。

 

「彼は今日別件があるらしくてね、それ次第とのことだが、恐らく来れないと思うよ。」

 

といかにもそれらしい返事をした。和人は多少疑問に思ったが、考えても仕方ないと思いそれっきりにした。ここでシノンこと、朝田詩乃が口を挟む。

 

「あの、継裕くん…って誰ですか?」

 

「あぁそうだったね。継裕君はキリト君と一緒に行動してた子さ。ほら今回の大会優勝者。」

 

その説明で納得したようだ。そしてもう1つ疑問をぶつける。

 

「…あの女の人…何者なんですか?」

 

菊岡は一瞬口ごもった。どう答えればいいかは事前に聞いてはいたが、いざ聞かれるとやはり焦ってしまうものらしい。

 

「彼女はある人の古い親友だと聞いているよ。」

 

和人は疑問に思った。彼は確かに感じたのだ。彼女の並々ならぬ殺気を。ラフィン・コフィンの者らとは格が違ったそのおぞましさ。全身の毛が立つほど寒気がした。VR内なのに、汗をかいたような気がした。それ程までに恐ろしい殺気だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり、あの女で間違いないか。」

 

「間違いありません父親。」

 

「NO.1からNO.4までは分かったものの、NO.5だけ見つからんが、そのおなごの近くにいると見て間違いなさそうだな。」

 

「はい。恐らく我々が捜索している彼らはその集団にいると思われます。」

 

「うむ。では引き続き、継裕は彼らの調査。裕忠についても同様だ。」

 

「「了解致しました。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちゃんと挨拶してきたのだろうな…」

 

「えぇ勿論。しっかりとしてきたわ。」

 

「ふんっ。さぁて、どう出るかなキヒロよ…くくくくく…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回のことしっかりと説明して貰いますよ和人さん!!」

 

「はい…」

 

 

 

「ねぇもしかしてあの女の人って…」

 

「今説明する…」

 

男二人は説明におわれていた。

 

 

 

 

 

次回

 

«キャリバー»

 




どうでしたか?早く次書きたくてうずうずしております。
(*´∇`)ノ ではでは~


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第4章 キャリバー
キャリバー


キャリバー編はほんと1、2話の予定です。(下手したら1話かも…?)
個人的にはなるべく早めに終わらせて次行きたいなと思ってるのでw
かと言って巫山戯るつもりは無いですけどねw

よろしくお願いします!

では!どうぞ!




「なっ!スグそれは本当か!?」

 

俺は今とてつもない悲しみに落ちている。今スグの口からキャリバーが見つかったらしいと言われたのだ。証拠に今朝のMMOトゥモローの記事を見せてくれた。俺はこのとき早とちりしていたが、エクスキャリバーはもう取られていたと思っていた。だが、続きを聞いてみるとどうやらまだ見つかっただけで、獲得には至ってないとの事。俺は早速いつもの仲間達に連絡を取ることにした。

 

 

 

 

トンキーに乗れる上限は確か9人。はてどうするか。

 

 

 

 

行くメンバーは、俺、藍子、明日奈、直葉、珪子、里香、詩乃、遼太郎、木綿季の9人だ。継裕は何やら別件があるらしく今回は不参加とのこと。まぁ、トンキーに乗れる上限的にも厳しいのでなんとも言えない気持ちになるのだが…

 

 

 

 

お昼頃、和人からLINEが来た。とはいえグループなので、全員にいってる。その内容によると、エクスキャリバーを取るのを手伝って欲しいとの事だ。俺は木綿季と顔を見合わせた。

 

「どうする木綿季…?」

 

実は、今日は別に確かめたいことがあったのだ。それはこの前の事が関係している。ただ、レアアイテムの話となるとゲーマーとしての血が疼くのは抑えようがない。その証拠に木綿季がアミュスフィアをチラチラ見ながらモジモジしている。トンキーの上限は9人らしいとの事なので、俺は今回は不参加と伝えた。代わりに楽しんでこいと伝えた。木綿季は少し寂しそうだが、何かあったら連絡してくれれば飛んでいくと言ったら満面の笑みで行ってくると言った。

 

因みに用事と言うのは、捜査の続きというところだ。あれからの捜索の結果により、ALO内にいる可能性が高いということが分かった。そこで俺は、囮作戦を実行し目標を炙り出すことにした。その決行日が今日だったというだけだ。それに木綿季達がログインする迄にはまだ時間の余裕がある。さて、魔法の言葉を唱えていざ。

 

 

 

「久しぶりにこのアバターになったな。」

 

そこに現れたのは、青髪に上半身は胸と上腕を隠してるぐらい(スカーフみたいのを巻いてる。)で、下は少しゆったり目のズボン?という感じだ。簡単に言うと、イスラム圏でよく見そうな服装。武器は先端が楕円っぽい球体の先に針が付いたような長めの杖。この出で立ちはまさに、アルマトランでのキヒロの姿であった。なぜこのような姿なのかと言うと、アルバなる女性とはそこでしか知り合ったことがない。よってその当時の格好をしていれば、向こうの所在の有無を明らかにできると思ったからだ。勿論かなりのリスクを伴う可能性があるが、そのようなことを言っている場合ではないのも事実。

 

この魔導士としての出で立ちでも、アルマトラン時代の魔法が使えることは既に明らかになっている。威力においては半減以下になってしまっているが、この世界において脅威になるのは変わりはしない。魔力の源はMPでは無いため、基本制限はない。いわゆる"マギ"としての扱いになる。そもそもアルマトラン時代から魔力(マゴイ)は無限であった為、そんなに気にしたことは無かったが…

 

あれから数十分たったが、未だに現れる気配はない。そろそろ、キリト達もヨツンヘイムに向かうはずだ。俺もそこに向かうとしよう。

 

 

 

 

「なんか大掛かりなクエになっちゃったねお兄ちゃん…」

 

そう言うのは妹であるスグ、リーファだ。なんと今回のクエスト内容は、スリュムヘイムとやらにあるエクスキャリバーを引き抜いて欲しいとの事だ。なんでも昔、巨人の王・スリュムが湖に聖剣エクスキャリバーをぶん投げ、それで世界樹の根を断絶してしまい、それによってヨツンヘイムはかつて世界樹よりもたらされていた恩恵を受けることが出来なくやってしまったのだとか。スリュムはヨツンヘイムを支配するに飽き足らず、動物型邪神を妖精の力をも利用して、アルンにまで登ってやろうとの算段らしい。それを止めるにはスリュムを倒し、エクスキャリバーを台座より引き抜くしかないとのこと。さらに時間制限もあり、リーファに渡されたメダリオンが全て暗黒に染まった時、スリュムの侵攻が始まるとのこと。

 

「あまり時間もないしな…皆!こうなったら最初から全力で行くぞ!」

 

 

そうして1層のラスボスにまでたどり着いた。ラスボスは金色と黒色の2体の牛人型のモンスターだ。金色の方は物理耐性が高く、黒色の方は魔法耐性が高いというキリト達にとってかなりやりづらい相手であった。何故なら、アスナとラン以外、全員物理戦士だからだ。魔法系スキル持ちなんてリーファとランぐらいしかいない為、かなり苦戦していた。その時、ある人物が駆けつける。

 

 

「たっく、この脳筋パーティーめ…

 

 

 

ラムズ・アルサーロス!(降り注ぐ雷槍)」

 

 

聞いたことあるようなないような微妙な感覚を持ったまま振り返ると、あの時のキヒロがそこにはいた。普段より格段に目立つ格好をしている彼が。

 

 

「なっ!どうやって!?」

 

「説明はあと!お前らはHP、MPフル回復しとけ!この牛は俺が倒す!」

 

そう言い放つとキヒロは大型魔法を数発撃ち込んだ。するとあんなに苦労した牛があっという間に爆散した。黒色の方は何が起きたかわからないという感じだったが、わからせる前に俺達脳筋パーティーで一瞬にして爆散させた。

 

「相変わらず変な技使いますねキヒロさん…」

 

そうリーファに言われても笑顔のこいつはメンタルどうなっているのか不思議でたまらない。結構なガチトーンだったと思われるのだが…

 

「終わったんキヒロ?」

 

ユウキがキヒロに話しかける。そのあとの会話はよく聞こえなかったが、話しかけた内容からするに、何かしらの用事が終わったのだろう。にしても今回はかなり助かる。キヒロの言う通り、俺らのパーティーは物理戦士が多いので、魔道士が1人いるいないはかなり違ってくる。さらに強力な魔法を使えるときたら願ったり叶ったりだ。そんな感じで進んでいったらあっという間にラスボス部屋まで来た。途中、クラインのアホがフレイヤなる女性を相手にしてたので多少時間かかった。何故かその時キヒロはクラインの味方をしていたので、ユウキが不機嫌になったのは言うまでもない。何故ならフレイヤとやらの女性は、美しく、全体的にスタイルがいいのだ。出るべきところは出ており、引っ込むところは引っ込んでいる。リーファとアスナのいい所ずくめと言った感じだ。それはユウキが不機嫌になるのも致し方ない気がするが…

 

決戦前、フレイヤにはHP、MP上限が上昇という未知のバフをかけられた以外は通常通りに。最終決戦前に、一呼吸置く。この動作はかなり重要だ。SAOでのボス戦前にこれをやるやらないではかなり違うことを経験済みだ。

 

そして俺たちは、最終決戦に臨む。

 

 

 

 

 

 

 




短めで戦闘シーンあまりないですが…
次回は書こうかなと思っております!

(*´∇`)ノ ではでは~


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スリュム

久しぶりの連投(時間差)!!(歓喜)

さて、さくっと行きましょう!

では!どうぞ!


扉を開けると、そこにはそこらかしこに散りばめられた金銀の宝石や金貨があった。職人が本業のリズは目を輝かせた。と言うよりこれを目の当たりにしたら、たとえ職人ではなくとも目を輝かせるに違いない。現にクラインやキヒロ、ユウキは真っ直ぐ宝石の方へ向かっていった。とその時、重低音の声が響いた。すぐさま戦闘モードに切り替える。そして声のした方へ目を凝らした。部屋の明かりがついてないので正確な大きさは分からないが、今までのボスを見てきた経験として、今回のボス、スリュムは今まで以上に大きいと予想していた。地面が揺れるほどの振動を起こしながら少しづつ、だが確実にこちらに迫って来ているはずなのだが未だに腰ほどまでしか視認できない。さらに近づいてきたがその時既に、顔はかなり上の方を向いていた。そこでようやくスリュムのシルエットを確認出来た。

 

そこに現れたのは、足はまるで大木のように太い筋肉で包まれ、腰から肩にかけても一体どれほどの筋トレをしたらこうなるのかというような、ファンタジーの世界ではよくある筋肉付きをしており、これぞ逆三角形という立ち姿だ。肌、髪、目に至るまで基本青色の姿をしているこれが。"巨人の王、スリュム"の姿だ。

 

「うぅぅむ、羽虫がブンブン音をたてて飛んどるのか?どれ、この世のものがわしのものとなる前の前祝いとして、少々遊んでおくか。」

 

そう言いながらなんとも気味悪い笑い声を響かせた。そして、フレイヤに目が止まったらしい。そして何とも表現し難い気色の悪い言葉を惜しげも無く言い放つこのおっさんに女性陣はもう我慢ならなかったみたいで、女性剣士は斬りかかっていった。その後を追うようにクライン、キリトと続いて行った。後衛として、アスナ、ラン、シノン、キヒロ、フレイヤも戦闘準備に取り掛かる。アスナ、ランは主に回復、シノン、キヒロは攻撃担当といったところだ。キヒロに至っては攻撃する時MP使わないので、回復もお手の物らしい。

 

こうして、スリュムとの最後の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

予想していたよりHPが削れず、皆の中からだんだん焦りが出てきた。どんな状況でも焦っていたら本来のパフォーマンスを発揮するのは難しい。それは頭では分かっていても上手くコントロール出来ないのが人というものだ。確実にスリュムのHPを削れているのはキヒロとフレイヤの魔法攻撃のみ。それによりここにいるもの全員スリュムは物理耐性の方が魔法耐性より高めだとわかった。だが、ただ分かってもできないことの方が多い。HPバーはまだ2本少々残っている。とてもソードスキルだけで削りきれるとは思わないが、念の為聞くことにする。

 

「キリト!!ソードスキルを使って削りきれるか!?」

 

案の定返事はこう返ってきた。

 

「ソードスキルだけでは押し切れない…あと何か、一押しがあれば…!」

 

キリトがああ言うには"アレ"を使ってもとの事なんだろう。とその時、フレイヤなる女性があるものを探してほしいと頼んできた。この時点で俺はかなり嫌な予感はしていた…

 

聞けば肩幅くらいの黄金の金槌をご所望とのこと。ここで俺の嫌な予感は的中することが確信した。昔読んだある神話に内容があまりにも似ていたからだ。スリュム、フレイヤ、盗まれた宝、黄金の金槌…条件としては十分だった。ただ、個人的な意見としては、それは見たくないというのもあるのだが…そんなことを言っている場合では無い。キリト達前衛はスリュムによる新攻撃により大ダメージを負っている。その為、シノンがタゲを取っているという状況だ。あまり長くは持たないだろう。兎に角今は私情を振り切って探すしかない。

 

雷系魔法でいけるかな…壊れないよな…?

 

「ふぅ…バララーク(雷撃)」

 

金属に雷を当て、反応したところに恐らく捜し物はある。そして予想通り反応してくれ、そこら一帯を掻き分け見つけたのだが何分流石に"彼"がご所望するだけあってかなり重い。恐らくぶん投げても大丈夫だろうと高を括りストライク送球した。かなり山なりになったが。黄金の金槌はまるでフレイヤの手に吸い込まれるようにピタッと手に収まった。その僅か1秒後、フレイヤの体が金槌に反応した。次第にその鼓動は大きくなっていき、やがて"1人のおっさんへ"変身を遂げた。その時のクラインの反応は何ともまぁ可哀想なことだった。無理もない。絶世の美女(これは言い過ぎかもしれないが)だと思い、助けたと思ったら、実はおっさんでしたなんて冗談にはかなりきついと思われる。特にクラインのような奴には。

 

それには流石のスリュムも激怒し、タゲをフレイヤ基トールに移した。それにより、全員でのフル攻撃が可能になった。

 

「ここで一気に畳み掛けるぞ!!」

 

キリトの声により、一同それぞれの持ち武器を構え直す。そこには今までヒーラーとして支えてきてくれた2人も含む。そこから怒涛の攻めが始まった。

 

キリトに至っては片方のみでソードスキルを撃ったと思ったら今度は意識をもう1つの剣に意識を移し硬直をなくすという離れ業を見せるし、ユウキもOSSを叩き込むというどう見てもリンチしているようにしか見えない現場へと化した。かくいう俺も各系統の大魔法を連続で放ったり、2〜3系統の魔法を組み合わせより強力な魔法を撃ち込んだりしたから人のことはあまり言えないのかもしれない。

 

その他のメンバーも負けてはいない。リーファはリアルを生かした剣さばきによってより深くダメージを与えているし、クラインもあんな事があったのにもう立ち直って、と言うより開き直って攻撃できている。シリカに至ってはピナとの連携は最早誰にも真似出来ないだろう。リズに至っては本当に職人が本業かと聞きたくなるほどの片手棍使いだ。アスナの正確さは相変わらずでまさかの全てクリティカルという化け物っぷりを遺憾なく発揮している。ランは速すぎてちゃんと見てないと見逃しそうになる。シノンに至っては弓としての範疇を超えすぎていて最早なんて表現すれば良いのか検討つかない。

 

つまり今のところ最強パーティーだと思われる。だがそれはスリーピングナイツの次だが。

 

そうこうしているうちに、スリュムのHPを削りきり、トールが容赦なく頭に金槌を埋め込ませる勢いで叩きつけた。それによりスリュムは完全に爆散した。ここに、巨人の王と妖精との戦いは終了した。

 

トールの消え方は至って神みたいだった。金槌が光ったと思ったら一瞬で消えた。帰る際にはクラインに伝説級武器を授けた。まぁ斧スキルをびた一文上げてないクラインからしたらただの大金になる武器程度の価値しか無いのだが…

 

「パパ!後方に螺旋階段が生成されています!」

 

俺の愛娘であるユイがそう言う。どうやらキリト達にも聞こえたみたいで、皆一斉に走り出す。そしてたどり着いた先には、あの伝説の剣。

 

 

エクスキャリバーが台座に埋め込まれていた。

 

満場一致でキリトが抜きにかかる。物凄い雄叫びをあげながら今か今かと抜ける瞬間を待ちわびていたのだが、抜けた後の動きがあまりにも普通すぎて拍子抜けしたのは内緒にしてある。

 

キリトが引き抜いた瞬間に世界樹の根が伸び始め、あっという間に降りてきた螺旋階段は破壊され、完全に退路を絶たれてしまった。因みにクエストの方はと言うと7割方黒く染まってしまったが、何とかクリアすることに成功したみたいだ。

 

いよいよ本格的にやばいと思ったがここはヨツンヘイム。キリト達は飛ぶことは不可能だ。俺は飛行魔法を使えばいいだけだが、1人だけ脱出しようなんてできるはずもなく。その時、クラインが自慢?のハイジャンプを見せるとか見せないとか意味のわからないことを言いながら跳んだのたが、流石クラインといったところか。見事に空振り、そのままの落下により完全にフリーフォール状態になってしまった。シリカが本気で怒ったことは中々強烈だった。皆で心中しそうになった所にトンキーというもう1人の仲間が来た。次々跳び乗るのだが、キリトはどうやら剣の重さにより跳ぶことができないみたいだ。代わりに持ってやろうかと言おうとしたら驚いたことに、宙に放り投げたのだ。流石にこれには焦ってしまった為、急いで取りに行った。

 

キリトに渡しに行く時、リーファにジト目で見られたのは気のせいだと思いたい。まぁリーファに限らず、ユウキを除いたメンバーは不思議そうに俺を見ている。それもそのはず、俺は今"飛んでいる"のだから。

 

 

 

 

 

 

 

あの後、ウルズという湖の女神そして、その妹達によって報酬を受け取り、これにてエクスキャリバーのクエストは完全クリアとなった。年最後としてのクエストとしてはかなり充実出来たと思われる。

 

帰り際にこの後エギルの店で打ち上げやることになったのだが、流石にこの人数の料理を作るのは大変だろうと思い、俺と木綿季はすかさず手伝いに行った。後でエギルから言われたのだが、木綿季は兎も角俺が料理出来るのは意外だったらしい。流石にこれには心外だったが…

 

皆が集まり、雑談している途中、何故か流れで和人にご馳走になるという流れになってしまい、結果的に俺が払うことになったのは秘密である。全額俺が払った代わりに和人には色々手伝って貰うことを決めた。

 

 

そして新年があけていく。

 

 

 

 

 

 

 

敵サイドも着実に事を進めていた。




(☝ ՞ਊ ՞)☝ウェーイって感じですw

OS編に入る前に、少々学校編書く予定です!
これからもよろしくお願いします!

(*´∇`)ノ ではでは~


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第5章 オーディナル・スケール
第53話 普通の日常


お久しぶりです!!
随分と期間が空いてしまい、申し訳ありません!!!

学校編は小話程度に挟んでいこうと思います!!

では!どうぞ!!


2026年。SAO事件から4年。今や世間を新たな次元へと連れていく機器が発表された。

 

 

第1世代・ナーヴギア

 

第2世代・アミュスフィア

 

 

そして満をきして発売された第3世代。"オーグマー"

 

製作者及び会社は、重村教授が所属するカムラ社だが、これにはある1人の人物が絡んでいる。

 

工藤継裕

 

彼はARアイドル、"ユナ"を作製し、重村氏に提供した。前作、"MHCPユイ"を作製した実力を重村氏は高く評価しており、今回のこともあり、依頼したとのこと。

 

今回作製された"オーグマー"とは一体何なのか。それは、今までとはまるで趣向の違うものであり、VR、所謂"仮想現実"でしか表現できなかった世界を現実サイド。つまり、AR、"拡張現実"という形で表そうとして創り出されたものだ。最大の相違点は覚醒状態でも使用可能という所にあるだろう。今まで生身で体験することは不可能だったものを、体験することが出来るのだ。これには多くのゲーマーが目を向け、売り上げがかなり伸び、カムラ社が急成長を遂げた要因にもなる。

 

 

 

「継裕君、ご苦労さま。」

 

この人はオーグマー作製者、重村教授。それと俺への依頼人。今日はメンテナンスに来ただけだから帰ることにする。

 

 

家に帰ると、心温まるようなとてもいい匂いがしてくる。席につき、運ばれてくる食事を待ち、全て揃ったところで、食べ始める。一口入れてすぐ、今日は特に凝ってるなとわかった。下準備から時間かけてるなと感じ、今すぐにでも嫁にしたいと思った。既に嫁みたいな感じにはなっているが。食事が済んだら、食器を洗い、テレビを見ながら今日一日のことをお互いに話し、共有する。何があって何が楽しかったとか悲しかったとかと言った具合だ。休憩が済んだら学校より出された課題に取り組む。分からないところはお互いに教え合い、これを寝るまで続ける。終わった頃には24時前になっていたのでそれぞれの部屋に向かい、布団にもぐる。すると直ぐに意識が遠のき、深い眠りに落ちた。

 

 

「おはよう〜継裕。」

 

俺に挨拶をしてきたのは、天使こと紺野木綿季。もはやこれだけの為に同棲していると言っても過言ではない。いや、他にももちろん理由はあるがここは敢えて言わないことにする。ごく普通に挨拶を返し、朝ご飯を食べ、学校へ向かう準備をする。2人同時に準備が終わり、向き合い微笑みながら家を出る。俺たちが借りている部屋は3LDKと言ってはいるが実際に入ってみると、都心に建っているマンションとは思えない広さであり、2人で暮らすには十分過ぎる広さであった。ベランダもあり、お風呂とトイレは別。キッチンも広々としており、2人での共同作業も楽しくやれている。

電車に乗り、西東京にあるSAO帰還者学校へと向かう。私服ではなく制服のため、俺達のことをそういう目で見るやからもいるが、恐らく木綿季が可愛いおかげだろうか。徐々に暖かい目へと変わっていく。だかその目はまた徐々に変化していき、今度は嫉妬に溢れた目へと変わっていく。目は口ほどに物を言うとはまさにこの事なのだろうと痛感している。

 

 

継裕と毎日一緒に暮らせ、学校に行けるのはとても嬉しいのだけれど、ボクには一つ悩み事がある。それは継裕が非常にモテるという事だ。彼女という立場からしたら自慢の彼氏なので悪い気はしないのだけれど、なんというかその、つまり、嫉妬してしまうのだ…継裕本人は別に全然気にしてなくてボクに一途なのが伝わってくるので、嬉しいと恥ずかしいという気持ちが半々なのだが、それでもやはり、嫉妬はしてしまうものである。さらに言うと、継裕は周りの好意について全く気付いていないのだから困る。ボクのにも途中まで全く気付いていないと言っていたからその辺については諦めてたんだけど。でもさり気なく手を繋いでくれたり、周りの人から守ってくれたりするから許すとしようっていうのが毎日続いている。ボクって幸せ者なんだなぁとしみじみ感じていた。

 

 

学校に着き、俺たちのクラス、2年1組の教室に入る。最初の頃はクラス中が固まったが、今や見慣れた光景である為もう誰も何も言ってこない。SAOにおいて上位プレイヤーだったりした者は木綿季の相手が俺だということに驚きを隠せなかったとのこと。知っている者は知っているが知らない者は知らないらしい。木綿季に至っては有名人だった為、男達の嫉妬の嵐がすぐさま俺に降りかかってきたのも今ではいい思い出?だと思う。まぁそんなこんなで楽しくやれている。

 

 

午前中の授業が終わり昼の時間になれば、いつものメンバーが集まる。まずスリーピングナイツの皆。そして和人達。そこにいるのはSAO内で二つ名持ちの者が5人もいるのだから一際目立つのも致し方ない。昼の時間が終わると午後の授業に突入する。お腹いっぱいになって眠くなったのか、目尻が下がってきている木綿季がそこにいた。今の授業は木綿季が苦手な数学の為、出来れば聞いてもらいたいのだが、後で俺が教えてやればいいかと1人で完結し、木綿季の分もノートを取っておく。なるべく字を似せて取りきった頃には次の授業が始まろうとしていた。次は世界史との事だが、生粋の文系脳である木綿季は先程までの睡眠は効果あったのだの言わんばかりの目の開きようである。好きこそ物の上手なれとはこのようにして生まれたのだなと肌身を持って感じた。授業終了後、数学のノートを渡したらとても申し訳なさそうな表情をしながら、教えてくださいと言われたので放課後勉強タイムにすることにした。ただ本人的には学校に残ってするのはヤダみたいなので、カフェにでも行って行うことにする。帰りの準備が終わった頃には、明日奈や和人達に呼ばれ、放課後カフェにでも寄らないかと提案されたので、了承することにする。木綿季も快諾したので、早速向かったのだが…

そこで待っていたのは、オーグマーを使ったゲームだった。てっきり和人が率先してやるものだと思っていたら、俺と一緒に勉強しているという何ともまぁ珍しい光景となっている。逆に、勉強しようと言った木綿季は明日奈と里香、恵子、藍子とゲームしている…という状況なのだ。はてどうするべきものか。

 

「やったークリアです!」

 

「やったねシリカちゃん!ナイスアシストリズ、ユウキにアスナもありがとう!」

 

と言う声が聞こえてきた。タイミングを見計らったのか分からないが、和人が木綿季達に向かってゲームをし過ぎなんではないかと言った時には目が飛び出るかと思った。その時、先程のゲームのクリアボーナスセットのケーキがやってきた。どうやらそのケーキはそれぞれの好みが持ってこられてるらしいので、争いが起きることは無かった。里香が和人に向かって、誰かさんならこんなことにはならなそうだけど、等と言い放ったと思ったら、和人も負けじと言い返したのが、クリーンヒットしてしまったみたく、里香の機嫌を損ねてしまうことになるのは必然であった。

 

とあるショッピングモールに着くと、里香の仕業により、シリカがARアイドルであるユナの曲を歌う羽目になってしまった。ほんの1部だが、そこそこのギャラリーが集まった。なるほどこれはいいなと思い、和人にもしてやろうと思ったのだが、先手を打たれており、歌う羽目になってしまった。曲はwherever you are 。ONE OK ROCKの代表曲でもあるものだ。しかしなぜこの選曲なのかはイマイチピンとこなかったが、幸い知っている曲であった為流れで歌うことにする。

 

歌い終わった時にはギャラリーがびっしりとおり、木綿季の頬が真っ赤に染っているのが見えた。半分以上木綿季の方を向いていたのだから当然といえば当然かもしれない。この曲はラヴソングだからだ。直接自分の口から言うのが恥ずかしくてなかなか言えないからこそ、歌に気持ちを込めた。少しは届いているといいな程度だったのだが、どうやらバッチリ届いたみたいだ。ある意味和人にはお礼をしなければなと思いながら、俺たちは帰路に着くことにした。

 

帰りの電車の方向は皆違うので駅にて解散となった。俺と木綿季は電車で互いに肩を寄せながら、降りる駅に着くまで、しばしの間睡眠を取った。起き上がった時には周りにいた女子高生が赤面しているのが目に映ったが、そんな事は気にせず、俺と木綿季は家に向かって歩を進めた。

 

いつも通りの食事をし、いつも通りの勉強をし、娯楽の時間を取り、そして睡眠に落ちていった。

 

 




ほのぼのしたの書こうと思ったのですがどうでしたでしょうか?
次はちゃんと本編に入れるかな?

(*´∇`)ノ ではでは~


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仕事

継裕のリアルが垣間見ることが出来るかな?

では!どうぞ!!


 

場所は西東京にあるマンション。そこに潜伏している者がいるとの報告を受け、俺は始末にかかった。人数は5人。2人がアサルトライフル、1人は刀、残る2人はその複合といったところとのこと。対して俺は日本刀1本で臨んでいる。10階建ての最上階を陣取っているとの事。元々は人が住んでいたらしいが、今は廃墟と化しているこの場は言わばそういう者達の溜まり場になっていた。それを定期的に見つけては処分にかかるのが俺の主な仕事だ。ただ殺す事はしてはならないというのがあるため、少しめんどくさいのが本音だ。戦闘不能にするのと殺すのはほんの紙一重の差だ。上手くそのへんを見極めないといけない。さてこうしているうちに9階まで辿り着いた。小さいが声が聞こえる。距離は18メートルといったところか。その時俺は珍しく過ちを犯した。まさかそこに爆弾が仕掛けられていると思っていなかった。

 

激しい爆発音をたて、その辺一帯が塵くずとなる。間一髪で避けたがこれで俺の場所は目標にバレてしまった。このまま隠れていてもジリ貧なので突っ込むことにする。

 

 

「ガキ1人だ!一気に片付けるぞ!!」

 

アサルトライフルを持った身長185はあろうかと思われる男が俺に照準を合わせてくる。

 

リミッター解除 10%

 

間髪入れずに銃弾が放たれる。俺はそれを一つ一つ斬り落としながら男に向かって進む。

 

「なっ!?馬鹿な!!」

 

俺が斬り落とすことに驚愕と焦りが見える声で叫びながらも、手はしっかりと動いているのは、流石プロだと敵ながら心の中で賞賛する。だが、相手がプロであるのと同時にこちらもプロである。このぐらいどうということは無い。

 

「悪いな。」

 

そう一言だけ言い、俺は彼の両腕の肘から先を斬り落とした。これで銃を使用するのは難しいだろう。残る敵は4人。続々と出てきたが何人来ようと同じことだ。

 

「撃ち殺せ!!」

 

刀を持った男が銃持ちの3人に命令する。男達はその命令を聞いた瞬間、一斉に火を噴いた。流石にアサルトライフル一丁にショットガン二丁はきついが横には避けられるようなスペースはない。であれば、移動スピードを上げる他ない。

 

リミッター解除 30%

 

さらに速くなった俺を見て、化け物を見るような目で俺を見てくる。そこからは気が狂ったように乱射してくる彼らだが、照準が先ほどよりズレている。これでは当たるものも当たらないだろと思いながらまず正面の1人を戦闘不能にする。至近距離になった為、男二人は短刀に持ち替え、斬りかかってきた。だが、剣での戦闘は俺にとっては好都合。遠慮なく斬り落とした。

 

最後の一人となった男は怒りに満ちた表情を顔全体で表現しながら刀を抜き放った。構えから中々の有段者と悟った。

 

「お前は強そうだな。」

 

咄嗟にそんな言葉が出てしまった。決して貶してる訳では無い。寧ろ褒めている。だが、こちらの思いが伝わるわけがなかった。

 

「な、な、舐めてんのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!」

 

こんな反応をするのも当然である。一回り年下と思われる俺にから言われたのだ。逆の立場でもムカつくなと思いながら、相手の刀を受け止める。俺はその受けた状態から刀を滑らせながら相手に向かって斬りかかった。だが奴はそれを避けながらそのままバク転し、体勢を整えてきたと思ったら間髪入れずに斬りかかってきた。今度は連続であった為、何度か受けては斬りを繰り返していた。

流石命令を下していただけはあると思いながらどうしようかと思っていたら、もう一本の刀が迫ってきているのに気付くのがコンマ数秒遅れた。避けきれず、腹を多少斬られてしまった。

 

「ちっ、そんな程度か。俺の部下を一瞬で倒しただけのことはあるな。」

 

まさかの賞賛を食らったが、あまり長いと動きが鈍る可能性があるので決着をつけに行く事にした。

 

「どうも。悪いけど、これで終わらせるね。」

 

流石にキレたのか今度は発狂しながら迫ってきた。正直な話、冷静な状態を最後まで保てない奴は負けだと俺は思ってる。

案の定、両手首を斬り落とすことに成功した。俺の仕事はここまでで、後始末は父親達が引き受けることになっている。

 

「終わったぞ。」

 

「そうか、ご苦労。その場にて待機。」

 

「了解。」

 

短いやり取りを交わし、俺は柱に体を預け座り込んだ。多少痛むが応急処置でどうにかなりそうだ。夕方には塞がっているだろう。ただこの後帰るのは無理だなと思い、木綿季にどう説明するか俺は思考に沈むことになった。

 

 

 

 

「駄目じゃないあいつら。C-6。奴らを始末しなさい。」

 

「了解。」

 

短く返事し、C-6と呼ばれた者は床に転がっている男に照準を定めた。一秒後、続けて5発放った弾丸は全て5人の男の眉間に命中した。

 

「ご苦労だわ。さて、引くわよ。」

 

彼女らはその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

「くそっ、やられた…」

 

正直な話、こういうのが0だという確証はなかった。だからこそ警戒すべきだった。貴重な情報源になる可能性があった者をみすみす死なせてしまった。これは怒られるなと思いながら、渋々追加報告した。

 

「すみません、対象を殺されてしまいました。」

 

暫くの沈黙が続く。それもそうだ。成功が目の前に転がっていたのだ。それをミスミス逃してしまったのだから。

 

「詰めが甘いぞ継裕…まぁいい。変わらず待機だ。」

 

「了解。」

 

今回は散々な結果となった。久しぶりなんて言うのは言い訳にできない。次は必ず成功させねばと心に誓った。

 

 

 

 

 

「おはよう木綿季。あれ?継裕は?」

 

ボクに挨拶してくれたのは継裕の親友、和人だ。いつも2人で学校に来てるボク達のことを知っているからこそ、ボクが1人という事に疑問を持ったようだ。今までにも継裕が居ない時はあったけど、それは基本学校が休みのときだった。だから和人達が、ボクが一人でいるのを見るのは始めてだと言える。だからこそ、返事に困ってしまった。事前に聞いておけばよかったと思いながら、どう返事をしようか迷っていたとき、継裕からメールがきた。どうやら今日は学校を休むらしい。取り敢えず、これで和人に言うことが出来る。

 

「今日は休みなんだぁ〜、風邪ひいちゃったみたい。」

 

和人は心配そうな顔しながらボクに継裕のこと頼んだぞって言ってきた。こう言われるとなんか夫婦みたいでいいなと思ったけど、そんなこと口にすることが出来るわけもなく、わかった。と返事した。

 

 

 

授業が終わり、電車に乗って帰ってきたのだけれど、継裕はまだ帰ってきてないみたいだ。鍵は持ってるから大丈夫だろうと思いながら、ボクはアミュスフィアを被り、夢世界に飛び込むコマンドを言う。

 

「リンク・スタート!」

 

現実とは違う紫色の長髪に紫主体の装備に包んだアバターが現れた。現実のボクは髪短めなんだけど継裕本人はそっちの方が好みみたいだ。ロングも似合ってていいとは言ってくれたがやはりショートなのは譲れないらしい。さてと、アスナと約束した所に集合するとしますか。

 

「やっほーあっすなー!!」

 

元気に私に挨拶してくれたのはキヒロ君の彼女、ユウキだ。今日呼んだのはオーディナル・スケールでの新情報について話す為だ。今シノのんもきたので今から話が始まる。

 

「みんな来てくれてありがとな。早速で悪いんだが、オーディナル・スケールでアインクラッドのボスモンスターがPOPしているのを聞いたことあるか?」

 

皆一瞬考え込む。そしてすぐに、殆どのものが聞いたことないというのがわかった。今日集まってもらったのは他でもない。それが本当なのかどうかを確かめる為だ。それに参加できるかと聞いたところ、クライン率いる風林火山と紺野姉妹、俺というメンバーだ。場所は東京秋葉原にあるUDX。21時との事だ。

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ帰るか…」

 

俺は木綿季に言うことが決まらないまま、病室を出た。すると遼太郎から今日21時にUDXに来れるか?と来たのだが、近いので行くことにする。今18時なので、暫くその辺で時間潰すとしようと思い、まず手短にあった牛丼屋に入り、腹ごしらえをすることに決めた。その後は秋葉原に行って、満喫してこようと思う。木綿季には怒られるなとと思いながらも、久しぶりのゲームの誘いだったので、断りきれなかったんだ…すまない…木綿季…

 

 

 




ふぃ〜ちろっと継裕のことが見えたかな?
こんな感じで書いていくぜ〜!

(*´∇`)ノ ではでは~


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ランク2位

かなり時間が空いてしまい申し訳ありません…!
リアルが忙しくて…

そして遂にあの子が出ます!

では!どうぞ!


 

誤算だった。いや、もう少し考えればこのような事になるのも想像出来たはずだ。木綿季が来るという可能性をなぜ考えてなかったのだろうか。完全に虚を突かれた俺は木綿季に対して咄嗟になんと言えば良いか言葉が出てこなかった。

 

 

「ボクに何の連絡もなしに何してたのかな〜継裕?」

 

 

怖い。とても怖い。今までにないくらい怖い。ここまで怒るのも無理はないのだが…夜中に家を抜け出し、学校には行かず、何時に帰るとも言わず、挙句の果てにはゲームをしようとしているのだから…こんなことされて怒らないわけがない。だが、こんな時になんとか言い訳を探す悪い癖が働き、咄嗟にこう言った。

 

「悪い、親父の手伝いしててな。ここにいるのもそれが理由だ。」

 

咄嗟に言ったが、決して嘘ではない。このゲームで旧アインクラッドのボスが出るという情報を聞かされ、調査してこいとも言われたので辻褄合わせが可能だ。だが、俺はこれ以上の追求を避けるすべがなかった。

 

「ここにいる理由はわかった。で、夜中に家を抜け出した理由は?」

 

先程より圧の篭もった声で聞いてきた。どうやらこっちの方が本題みたいだ。それにこっそり夜中に家を抜け出したのもバレていた。その説明は家に帰ってからすると言ったら、察したのかりょーかいと元気に言われてしまった。これは最後まで言わされるぞと俺の経験が語りかけたような気がした。現在時刻は20時58分。あと2分程でボス戦が始まる予定だ。今までにも何度か出てきたようだが、それは倒しきれなかったようだ。さて噂通りにアインクラッドでのボスなのかどうか。今、明らかになる。

 

派手な音と共に登場したのは、第10層ボス"カガチ・ザ・サムライロード"だった。こいつは俺にとっては思い入れがある奴だ。10層という低層で、結局最後までお世話になる妖刀村正が手に入ったからだ。因みに新ALOでは流石にドロップしなかった…どうやら俺たちの他にもSAOサバイバーが居たようで、視認しだい攻撃をし始めている。

 

「行くぞ継裕、皆!」

 

和人の掛け声に続き、俺達はサムライロードに向かって行く。だが、声をかけた本人はAR慣れして無いのか普段よりキレが無かった。というよりただの運動不足のように感じだ。

 

紺野姉妹に至っては流石運動は得意と言っているだけあるなと思う動きをしている。明らかに和人とは違う。個人的に驚いたのは、遼太郎率いる風林火山だ。普段はよろくし社畜をしていると思っていたので、なかなかの動きに感嘆とした。比べてみるとやはり和人が1番動けてないように思わざるを得ない。突発的な瞬発力は若いだけあって遼太郎達より素早いが、その他に至っては負けているようにしか見えない。いや実際負けてる。俺はと言うと抑えないと疑われてしまうので程々って感じだ。その時、和人がタゲを取られたのだがそれを知ってかサムライロードに向かって低空姿勢で走っていく。運動不足の割には走れるなと思ったのもつかの間。小さな段差によって和人は転んでしまった。運悪くサムライロードの真下で止まってしまった。当然斬りかかるのだが、これを普通なら当たっていると思われるのに避けてみせ、敗走してきた。反応速度がうりなのは伊達じゃないなと思いながらも、せめて1回ぐらいダメージ入れて来いよとも思った。

豹みたいなアバターの男がいかにもって感じの銃を取り出したと思いきやサムライロードに照準を合わせ撃った。だが、それは避けられ、後ろにいたユナに当たりそうになっていた。思わずやべっとと聞こえたのは気のせいだと思いたい。俺もこれは当たるなと思いながら見てたらなんと剣で銃弾を弾き返した者がいた。弾き返された弾丸はサムライロードにヒットした。見事だと思っていたらなんとランク2位の者だった。

 

「す、すっげぇ…」

 

「ランク2位!?」

 

あちらこちらから驚きの声が聞こえる。それもそうだ。2階相当の所から飛び降り、ユナに当たりそうになっていた銃弾を弾き返し、ダメージを与えるという離れ業を見せたのはSAOで俺達と共に戦った戦友、の弟だ。そして父からの命令により、探していた男の一人でもある。という事を知っている者だから、今の彼の動きに対して疑問等は湧かないが傍から見たら体操の選手…いや軍関係者と思われる動きっぷりだ。そんな彼の活躍もあり、無事にボスを倒すことができた。その後に"ARアイドル ユナ"がボーナスと称して藍子の頬にキスをしたのは少々驚いた。木綿季達も驚いていたがその中でも特に和人は驚いていた、いや衝撃を受けていたと言った方が正しいのかもしれない。何せ目の前で彼女がキスされたのだ。いくら同性とは言えそうなるのも無理はないだろう。もし俺がその立場になっていたらと思うと…いやこの先を考えるのはやめておこう。などと考えてたその時だった。

 

"仕事用の携帯"から通知が来たのだ。内容は、

 

"アメリカに行く"という内容だった。人数及び人選を見る限りどうやら捜査が進展しているようだ。期間は1週間。となると学校は丸々休むことになる。更に言うと出発の日時が明日の早朝。これは木綿季と話している時間もなさそうだ。などと考えていたらある人物が俺の耳元で囁いた。

 

「僕は貴方を許さない…」

 

一瞬何を言っているか分からなかったが、人物を見て確信した。彼は鋭二。SAOでのノーチラスの弟だ。彼を保護しに行った時既に彼の兄は命を絶っていた。原因はユナ、悠那を守れなかったことにあるだろう。鋭二はその二人ともとても大事に思っていた。ユナとノーチラスを最前線に連れ出したのは俺だ。許されなくて当然だと思う。だから、天国にいる彼らが残した人を守っていくつもりだ。本人はそれを望んでいないが…

 

「継裕〜帰ろ?」

 

木綿季がそう言ってきたのでこれより帰宅することにする。近くに停めていた車まで歩き…一瞬迷ったが今更なきもしたのでそのまま歩を進める。木綿季は驚いた顔をしたが暫く車を眺めた後助手席に乗り込んだ。シートベルトをしたのを確認してからアクセルを踏み、俺らを乗せた車は闇夜に消えていった。

 

「なぁ、あいついつ免許とったんだ!?」

 

遼太郎がそう叫んでるとも知らずに…

 

 

 

「ねぇ継裕。いなかった理由ってお仕事?」

 

なんの脈絡もなく聞いてきた為少し動揺したが、特に隠す必要も無いのでそうだよと答えた。木綿季はそれを聞いたら納得したのかそれ以上は追求してこなかった。

 

「木綿季、あのな。」

 

俺が話しかけると顔をこっちに向けながら、な〜に?と聞いてきた。一つ一つの仕草が最早国宝級なのだがそれは抑えて、

 

「俺、来週はアメリカに行くことになる。さっきメールがきてな…」

 

木綿季はそう聞くと、少し考えた後、行ってらっしゃい。と言ってくれた。木綿季がこういうのに駄々を捏ねるタイプじゃなくて良かったと思ってしまった自分がいるのが恨めしい。ただ、寂しくなるな、と小声でボソッと言われた時は、心臓が張り裂けそうになるくらい辛かった。それに対し俺はごめんな、しか言えなかった。その後はさっきまでの会話を忘れようとお互いしてるのか明るい話で盛り上がった。木綿季が体育祭楽しみだね!と言った時は少々驚いた。まさか知らなかったのと言われたがちょうどその時俺は居なかったという事で色々説明して貰った。いくつかの種目があり、それは完全に組対抗なんだそうだ。組は全部で5組あるらしく、それで頂点を狙っていくとのこと。所属組も発表されており、俺と木綿季は同じで黄色組だそうだ。ちなみに組名は"麒麟"とのこと。めちゃくちゃ強そうなネーミングだなって言ったらそれぞれの組は中国に伝わっている四神よりとってるらしい。てか今はまだ4月。だいぶ早いと思ったら体育祭自体は5月の中旬開催とのこと。一瞬出られないかもと思ったがその心配は無さそうだ。

 

「楽しみだね!よぉーしいっちょ頑張るぞー!」

 

気が早いなとか思ったけど、俺も同じ気持ちだったのは内緒だ。そうこうしてるうちに家に着き、木綿季が物凄いスピードで部屋まで向かいこれまた強烈な勢いでベットに突っ込んだらしい。ドアの向こう側から悶絶しているのかドタバタを騒がしい音がする。暫くしたら音が休まったので寝たかな?と思い俺も睡眠をとることにした。こうして少しハードな1日が終了した。この時はまさかあいつがあんな事するなんて想像がつかなかった。

 




初鋭二かな?
(SAOでのやつはノーカンで…あまり絡んできてないので…)
なるべく期間が開きすぎないように頑張ります!

(*´∇`)ノ ではでは~


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事件

よっしゃぁぁぁああ!!早めに出せたー!!!
まぁ内容的にはあまりテンション高めにはいけないんですけどね…

では!どうぞ!


 

継裕が向こう(アメリカ)に行って1日目。基本的にはいつもと変わらない。朝起きて、ご飯を食べて歯磨きをして制服に着替えて戸締りをして学校に向かう。電車に乗って2、3回乗り換えをし、学校の最寄り駅まで着いたら降りて学校に向かう。歩を進め、校門をくぐり自分の教室に向かう。いざ入ると珍しいものを見るような目でクラス中のひとがこっちを見てきた。小声でボソッと「今日は1人なのか」とか、「喧嘩でもしたのかな?」等と余計な心配をしている。HRが始まる時に担任から継裕が休みと告げられたら皆納得したようで、安心している人もいればほんの僅かだが残念がってる人もいたのは少し悲しかった。という感じで、いつものボクからは考えられないほどのテンションの低さで、午前中の授業を受け、皆と集まって他愛もない話をしながらご飯を食べ、また授業を受けて、部活へと向かう。今日は"God knows..."を練習する日だ。年間予定表によると夏休み前に文化祭があるのでそれに向けての練習だ。ひとしきり練習し終わったら下校のチャイムが鳴ったので皆で帰ることに。皆でゲーセンに行き、プリクラを撮ったりした。そろそろ帰ろうかという時に、

 

「木綿季、大丈夫?」

 

と姉ちゃんに声をかけられた。心配をかけさせちゃった。なんでかはよくわからないけど注意しなきゃ。

あとはこのまま真っ直ぐ家に向かって帰るだけだ。寄り道は基本皆と以外はしない。あ、あと継裕と以外は!1人では決してしない。これが2人で暮らす為の条件でもあるからね!ご飯は足りるとは思うけどもし足りなかったらお義母さんを呼んでいいと継裕に言われているし大丈夫!なんて考えていたら、気づいたらお家の前に着いていた。けどこの時ボクはもう1人の存在に気づかなかった。

 

「木綿季!お邪魔するね!」

 

そう元気よく声をかけてきたのは明日奈だった。なんでいるんだろうとも思ったけど、明日奈が抱えている傍に荷物に思わず目がいった。明らかに泊まる前提で来る荷物の量だなぁと思いながら、ここまで来てくれて帰すのも酷だと思ったし、一人ぼっちよりは全然いいし、それに明日奈だし!等と思ったので快く向かい入れた。でも一応なんでいるのか聞かないと。

 

「なんでいるの〜?」

 

返事はこう返ってきた。継裕に頼まれたのだと。1週間もボクが1人で居るのが心配なんだってって言われた時は嬉しいような恥ずかしいようなそんな気分になった。継裕にとっては連絡もあまり取れないことを考えるとこうした方がいいと思ったみたいだ。と、唐突に目の前が見えなくなってしまった。明日奈が心配したような慰めているような声色で声をかけてくるのから察するにボクは今、泣いているのだ。今日1日なんかモヤモヤしてたのは"寂しかった"んだと実感した。1日目からこれで持つかなボク。そう思っていたら一通のメールが届いた。内容は自分の近況と僕に対しての心配メール。その中には"もし寂しくなったら俺の部屋に入ってもいいぜ!"なんて来てたのだ。ボクを何歳だと思ってるんだ!と思ったけど…どうしよ。早速お世話になりそう…でもこれなら1週間持ちそうなどと思ったボクは単純だなと思った。

念願でもあった明日奈と共同作業での料理にテレビ鑑賞した。明日奈にはボクのベットで寝てもらって、ボクはと言うと継裕のベットで寝ることにした。そう言った時の明日奈の顔は暫く忘れることが無理そうと思いながら、ボクは深い眠りに落ちていった。

 

2日目、3日目と過ぎていき、今日は4日目。今日の予定としてはスリーピングナイツのみんなを除いた所謂キリトパーティー?とOS戦の予定だ。本当はクラインも参加する予定だったんだけど連絡が取れないとのことで不参加扱い。いつからというと、一昨日らしい。明日奈がクラインとOS戦に一緒に参加予定だったらしいのだが結局最後まで来なかったらしい。なんでも仲間の1人と連絡がつかないとかなんとかで。それに関しキリトが疑問を浮かべたような顔を浮かべていたけどそれについてはキリトに任せようと思った。思えば久しぶりに継裕と一緒にボス戦しないなぁなどと思っていたら21時になった。今回はアインクラッド第12層ボス。"ザ・ストリクトハーミット"というやつで簡単に言うとめちゃくちゃおっきいヤドカリ!攻撃方法はそんなにないしパターンも分かりやすいから避けやすかったけど、何分ヤドカリというだけあって堅かったのを覚えている。ボク達のパーティーはリズの盾頼りだった。タンクとしてリズがひたすら耐えボクと明日奈でダメージを与えるといったのをさっきから繰り返してる。まぁこれがザ脳筋パーティーと言った感じかな?リズがさっきからこの役しんどい!て言ってるけどちゃんと受け続けてくれるのは助かる。これが姉御肌といったものかなどと感心していたらもう一体のモンスターがポップした。出てきたのはシリカの使い魔であるピナだった、のだが、急におっきくなっちゃった!

 

 

「キリトさん!あれはアインクラッド91層ボスとして用意されていた"ドルゼル・ザ・カオスドレイク"です!」

 

「91層、だと!?」

 

俺の地点からはシリカがそのバカ強い奴に火の玉と言うにはとても物足りないが兎に角それを撃たれながら追われているのが見えた。そしてこの前のNO.2に当たってしまったのが見えた。シリカは当然すぐ謝ったのだが、何が気に入らなかったのだろう。彼は突き飛ばしたのだ。それを見ていたらしい木綿季は激怒してるみたいでそいつに近づいて行ったのだけれどあの巨大な龍が迫っているのが目に入ったのだろう。咄嗟にシリカを庇ったのだ。それにより木綿季にダメージが入ったのだがどうやら様子が可笑しい。それを見た明日奈が今度はNO.2に鬼の形相で向かって行ったのだが、その男は驚いたことに抜剣したのだ。ギリギリ明日奈の首に当たるか当たらないかという所で。

 

「鋭二君!!どういうつもり!木綿季に何をしたの!?」

 

「どういうつもりも何も僕は何もしてませんよ。」

 

確かに彼は直接何かをした訳では無い。でも木綿季が泣いているのを見て黙っている訳にはいかなかった。そもそも彼がシリカちゃんを突き飛ばしさえしなければこんな事にはならなかったのだ。やはり怒りが治まりそうにない。

 

「何か知っているとしたら継裕さんなら知っていると思いますよ。」

 

なんでここで彼の名前が出てくるのか。でもどうせ聞いても教えて貰えない。どうすれば…!

 

「先に言っておきますけど、貴方は僕には絶対に勝てません。例え"黒の剣士"と共闘でもね。」

 

継裕君に事前に聞いていた通りだ。彼はもう、"私達の知っている彼じゃない"。強さもあの頃とは次元が違うと継裕君に言わしめた人だ。恐らくさっきのもはったりじゃないんだと思う。本気で私とキリト君が相手しても多分勝てない。

 

気づいたら彼は消えていた。

 

「木綿季!!大丈夫!!??」

 

未だに辛そうな表情を浮かべている。と言うより苦痛に満ちた顔と表現した方が正しいのかもしれない。何か痛みがあるのだろうか。兎も角継裕君に連絡しないと。と思ったとき、がしっと誰かに手を掴まれた。

 

「連絡、しないで…継裕に、心配をかけたく、ない。」

 

木綿季だった。辛いのは目に見えて分かってるのに、私に訴えかけた声だって震えながら、涙ながらの声だった。私はその場ではわかったと言ったけど、木綿季と一緒に家に帰って、木綿季が寝たのを確認してから継裕君にメールを送った。

 

 

継裕君へ

 

 

木綿季がOSでの戦闘でHPが0になったら、痛みからなのか涙を流していたの。傍から見ても尋常ではない感じだったわ。このメールを見ていたらすぐこっちに帰ってきなさい。そっちの都合も大事だと思うけど、木綿季第一に考えてよね。

 

 

明日奈

 

 

これでよしっと。

 

 

 

「なんだ、このメール…」

 

木綿季に何があった…まさかとは思うが…

 

 

 

オーグマーに何か仕掛けられてるのか…!?

 

取り敢えず明日奈にその時の状況を詳しく聞くしかない。いやそんな事言っている場合では無い。木綿季に何かあったのは確かだ。なら俺のすることは決まっている。

 

「裕忠捜査官。至急、帰国させて下さい。」

 

「構わん。粗方済んだしな……………………何かあったのか…?」

 

俺が頷くと父はすぐ様帰国の手配をしてくれた。と言っても、飛行機だと時間かかるので特別に色々と使わせて貰った。こういう時は融通が聞くのでかなり助かる。

 

 

明日奈へ

 

 

その時の状況を詳しく求む。こちらの用事は粗方済んだのでそろそろ帰れそうだ。

 

 

継裕

 

 

俺はその後に届いたメールを読んで状況を理解出来た。ただ、その後別の用でのメールを読んで怒りで頭がどうにかなってしまいそうだった。もしこれが本当なら、鋭二はそれを知っていて行なったことになる。止められるのは俺しかいない。

 

 

お互いの正義が次回ぶつかる。




これからフルパワーでいきますよ継裕が!!(多分)
映画とは色々立場が違いますがまぁそこは、ね?笑
和人があまり活躍できてなくて申し訳ない…次回以降する予定です!

(*´∇`)ノ ではでは~


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復讐

遅くなって申し訳ない!
あんまり前書きで書いちゃうのもアレなので…w

では!どうぞ!


 

ガタッと音が鳴った。そこそこ大きめな音が木綿季の居る部屋から聞こえてきた。時間は1時29分。真夜中だ。さすがに心配になった私は木綿季の居る部屋に向かった。ノックをし、開けるよと声をかけて入ると、布団にうずくまっている木綿季がいた。小刻みに体が震えており何かに怯えているようにも見えた。私は思わず声をかけた。

 

「大丈夫…?木綿季…。」

 

帰ってきた返事はいつもの木綿季からは全く想像ができない、弱々しい声だった。

 

「明日奈…どうしよう…」

 

その言葉の真意を理解するのには少し時間がかかった。どうやらいつもは鮮明に思い出せるはずのSAOでの記憶が不透明になってきてしまったらしい。それは継裕とのことも含めて、だ。SAO以外の事は鮮明に思い出せるとの事なので、私は木綿季がリハビリのときお世話になったという倉橋先生の所に診察に行くことになった。その事を藍子に連絡したら一緒に行くことになった。

 

診断結果は何らかの理由でSAOでの記憶が抜かれている、との事だ。ただ、その事について木綿季は大分ショックを受けていた。同じような症状を表している人はここ最近増えているらしい。和人君からの話によるとクラインさんも同じ症状らしい。そして同じ症状があらわれた人に共通しているのはオーディナル・スケールをしていた、ということ。これが分かっただけでも進歩したと言える。私は和人君と藍子の2人に協力をお願いした。

 

 

菊岡さんにオーグマーの中止をお願いしたがすぐには難しいと言う返事が帰ってきた。理由としては経済省も絡んでいる巨大プロジェクトだからとの事。明日奈からの連絡により、俺と藍子はまずランキングを上げることにした。理由としてはNO.2の男、エイジと言う奴が木綿季の記憶を返してあげると言ったからだ。確証はないがその望みにかけるしかないと思ったのと同時に、只で返してくれるとは限らないという考えにたどり着いたために、ランキングを上げることにした。最終的に俺は9位、藍子は12位、明日奈は7位と2位を相手するには十分と思われるランキングを手にすることが出来た。

そして、約束の場所。新国立競技場の地下3階の駐車場に揃った。

 

「揃いましたね役者が。でも1人足りないようにも思えますがね。」

 

「返してもらうわよ!木綿季の記憶!」

 

「許しません…」

 

明日奈と藍子は怒りを隠しきれていない。かく言う俺も今回に限ってはかなり頭にきている。この場に来れてはいないが恐らく継裕の奴は怒りでキレるに違いない。

 

「言いましたよね、貴方達では僕を倒せないと。」

 

「やってみなきゃわからないだろ。」

 

「そうですか…なら試してみますか…?」

 

一気に緊迫の空気が漂う。そしてほぼ同時に唱えた。

 

「「「「オーディナル・スケール、起動!」」」」

 

まず和人が斬り掛かる。さらに入れ違う形で女剣士2人が突きを入れようとしてくる。だが、それを読んでいたのか綺麗に避けられてしまう。明日奈達はそこからも間髪入れずに完璧な連携を取りながらエイジに攻撃をしていく。だが、どうやっても攻撃が入らない。一旦和人達は距離をとる。

 

「中々やりますねぇ。ですが、やはり僕には敵わない。」

 

可笑しい。明らかにランキングだけでの差では無い。と言うより、"継裕と同じ感じがする"!?

 

 

「リミッター解除、30%…」

 

どこかで聞き覚えのある言葉が和人達の耳に届いた。そう、これは"継裕が言っていた"言葉だ。という事は…

 

先程よりも断然早い攻撃が和人達を襲う。必死に防戦するが、時間とともにじわり、じわりと負けに近づいていった。その時爆音が鳴った。何かが和人達のいる方向に迫っていっている。それは1台の車だ。それは和人達の方に迫って行った。和人達とエイジを分断する様に車が通り過ぎ、停止した。そこから降りてきたのは、誰も見た事のない、鬼の形相をした、

 

継裕だった。

 

「鋭二、貴様、オーグマーに何をしくんでいるんだ…!?」

 

この発言により、和人達は木綿季の記憶障害の原因がオーグマーであることがハッキリした。ただ、それと同時にある事を悟った。"もし、今会場にいる奴らのところにボスモンスターが現れるとしたら"と。大惨事になるのは間違いない。

 

「和人、ここは俺が引き受ける。先に会場に行け!」

 

継裕がそう言うと、和人達は会場に向かって行った。3人が行ったのを見届けてから継裕は鋭二に話を振った。

 

「何故、オーグマーに"記憶スキャニング"できる機能を埋め込んだんだ!?」

 

「分かりませんか?"回収するため"ですよ。ユナ、悠那の記憶を!」

 

そう言いきった鋭二は継裕に猛烈な勢いで斬り掛かっていった。継裕はギリギリのところでそれを躱した。そこから数回ほど同じようなやり取りをし続けた。

 

「流石公安に居るだけのことはある。ですが、NO.4の僕に適うと思っているのですか?」

 

そう言われた継裕は末恐ろしい笑みを浮かべた。思わず、鋭二は1歩後ずさりしたが、その状態を払うかのように斬り掛かった。だが、斬り掛かった先に継裕は居なかった。

 

「どこに目をつけてるんだ?NO.4。いや、コードネーム、ヘラクレス!」

 

明らかに鋭二は動揺した。それを知っているのは管理官のみのはず。若しくは"同じNo持ち"と言われている。つまり、この男、継裕も持っているという事だ。

 

「驚いた顔してんな。それもそうか。お前が他のNO.持ちと会うのは初めてだからなぁ。」

 

「な、なぜ、だ。貴様は、何番だ!」

 

「悪いがそれには答えられない。守秘義務なんでな。」

 

そこからは継裕の攻撃が続いた。継裕はまんまと動揺している隙をついたという訳だ。だが、徐々に落ち着きを取り戻してきた鋭二は反撃を開始する。そして、継裕に問われる。

 

「何故あんなことをした!」

 

この質問に鋭二は呆れも感じたが、怒りが勝った。鋭二は一時も忘れたことがなかった、あの日を。

 

まず、ユナが死んだ日。そして、

 

自慢の兄が自殺した日。

 

兄が自殺したのはユナが死んだからだ。その原因となったのはキヒロって男が最後となったボス戦にユナを巻き込んだからだ。俺は兄が死んだ日からキヒロっていう男を探し続けた。そんな時だった。家に公安と名乗る者が来たのは。その中の1人に居たのだ。キヒロと同じ顔の男だ。ボス戦の前に1度顔を見ただけだが、忘れることは無かった。公安に保護されてからは今まで受けたことの無い訓練や勉強を受けた。かなりきつかったし、何度か脱走しようとも思った。だけど、あいつに、キヒロに復讐する為に俺は地獄の訓練を耐え続けた。漸く、人員の一人として認められ、重村教授の所でお世話になるようになると、ユナ復活の計画を聞いた。俺は迷わずその計画に協力することを誓った。そしてその過程で、ユナと関わりを持った人間の記憶が必要なことがわかった。これを利用し、俺は復讐することに決めた。

 

「あんたに、ユナを殺されたからに決まっているだろ!!」

 

鋭二はさらにリミッター解除を続け、遂に80%まできた。これを超えると、人体に甚大な損傷が出る。それに加え、今の状態は長くは保てない。ただ、それには抜け道がある。それは感情の状態によって、持続時間が変わることだ。今の鋭二なら最低でも10分は保てる。

 

「ユナが死んだのは確かに俺のせいかもしれない…だが、あの状況下においてでは最大限の結果を残した。ボス部屋が結晶無効空間だと言うことぐらい知っていた筈だろお前は!」

 

人は例え自分の言っていることがただの逆恨みだとしても、それを分かっていてもぶつけてしまう時がある。それが今の鋭二だ。彼は勿論知っていた。兄から聞かされていた通り、あの状況下ではああするしかなかったと。ただ、どんな状況にしろ自分にとって大切な2人が奪われた事実は変わらない。そこでこう考えるようになった。

 

"奪われたなら、奪い返せばいい"と。

 

「奪われる苦しみを味わえぇ!!」

 

再び鍔迫り合いになる。

 

「お前がそうなるのも分かる。だけど、それが本当にお前のしたかった事なのか!」

 

鋭二は理解出来なかった。復讐の為に今まで生きてきたからだ。

 

なに、を、いって、いる。

 

「そうして自分を殺し、未来も殺すのかお前は!」

 

「構わない!こんな体なんていくらでもやる!!俺はただ!あの二人を取り返したいだけだ!」

 

「そんな事を、あの二人が望むと思うかぁ!!!」

 

望むか望まないかなんて言ったら、あの二人が望むわけない。だけど、それじゃぁ僕が納得出来ないんだ。何故あの二人が死ななければならなかったのか。寄りにもよってなんで、と。僕はただ、一緒にあの頃に戻りたかっただけなのだ。それを消した奴はたとえどんな奴でも…

 

「貴方の言いたいことは分かりました。ただ、納得は出来ません。」

 

これ以上何を言っても無駄、か…

 

「そうか。では本気でいくぞ…」

 

リミッター解除、50%。

 

目があった瞬間。地を蹴り目の前の相手に斬り掛かる。継裕は抜刀しながら、鋭二は上段の構えから。

 

 

 

 

 

 

 

「過去に囚われたまま戦うのはやめるんだ…そんな事をしても、何も戻りはしない…」

 

 

 

 

 

 

 

勝者 継裕

 

 

次回 決断




終わりませんでしたぁ〜!?
次早めに出しますね!(構想だけはいつも早く終わっている…)

(*´∇`)ノ ではでは~


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第58話 決断

思ったより早めに出せてうぃんうぃんやー!
両局面で活躍するかな?

では!どうぞ!


今この現状は想定しうる限り最悪の状態だろう。複数のボスが現れ、今まさにHPを0にしようと攻撃してくる。更に状況を困惑させているのは全ての扉にロックがかかっている事だ。俺ら3人が入って数秒後には閉められた。恐らく倒しきらない限り出られないだろう。かと言って戦える人数もそう多くはない。時間が経つにつれ、被害者が増えていくのは必然だ。そしてこれを止める手立てはひたすら倒し続けるしかないという事だ。とても時間が足りない。などと考えながら、1体目、因縁のグリーム・アイズを倒した時だった。そこに現れたのは、後に継裕から聞いた話だが、アインクラッドにある始まりの街の地下迷宮に存在したボスモンスター。発見当時の継裕のLvは101。それで見えた数値は、70層までのボスモンスターとは比較にならないとの事。Lvは95。あの継裕が唯一倒しきれなかった奴らしい。そんな化け物が今、目の前にいる。木綿季は完全に怯え、リズ、シリカ、シノンも戦意喪失している。何とか戦える意思を保てているのは俺、藍子、明日奈、エギルだ。死神と呼ぶにふさわしい格好をしたモンスターが、斬りかかって来たがそれが当たることは無かった。俺らの前にユナによく似た少女が現れ、シールドでカバーしてくれたのだ。

 

「キリト、よく聞いて!今オーグマーのフルダイブ機能をアンロックするから!」

 

突然、突拍子もない事を言われた。まさか、オーグマーにフルダイブ機能がついているとは予想すらしていなかった。話によると、オーグマーはアミュスフィアの機能限定版でしか無いから可能だという。更に、この前俺と会った紅玉宮でボスモンスターを倒してと言われた。藍子筆頭に皆協力してくれることになった。木綿季にはユイがしっかり見ておくとのことでその場を収めた。ユナが機能をアンロックし、みんなで一斉に言った。

 

「リンク・スタート!!」

 

 

 

 

「やりやがったなあのおっさん…」

 

目の前にはロックの文字が点滅している。ぶん殴って開けようとも思ったが扉の向こうに人がいたら怪我をする恐れがあるので何も出来ない。何か別のルートを探す羽目になり、たどり着いたのが天井の開閉式の屋根だ。ここからなら恐らく人1人くらい入る隙間がある。そう結論づけた俺は自分の感覚だけを頼りに骨組みの上を走り、なるべく1番高低差が無いところを選び、何箇所か経由しながら、観客席に降り立った。電光掲示板に示された数値の通りだとするとあと3000ちょいしか無い。あれが1万になったら、この会場でオーグマーを付けている人に高出力の電磁波が放たれる。こんな大勢いるところでそんな事をされたら共鳴効果で全員死ぬ羽目になる。今の段階で削れる限り削らないと。俺も未知の領域だが、やれる限りやってみるしかない。それが、NO.持ちとしての使命だ。これにより、身体がどのくらいダメになるかは想定できない。だが、俺はこれをやらないと恐らく一生後悔するだろう。

 

 

 

 

 

 

リミッター解除 …

 

 

 

 

 

 

100%

 

 

 

 

 

 

ボスを倒しながら進んでいくと木綿季の姿が目に入った。その隣には和人達が…ユナのあの状況を見る限り、フルダイブをしていると結論づける。なら、中はあいつらに任せるとしよう。俺はここにいる人達を救う為に動くしかない。

 

 

 

 

目の前に出てきたのはどうやらどこかの天辺みたいだ。ポッカリと穴が空いたが、俺たち全員が入るとすぐさま閉じてしまった。目の前に現れた、いや、居たのは何処から見てもボスなのだが、その大きさは今までとは比にならない。兎に角でかい。これが本来のSAOでのラスボスなのだとしたら勝てる要素が見つからない。あの茅場でさへ…

そんな事を考えている余裕は一瞬にして無くなった。起動したと思ったらいきなり攻撃をしてきた。標的となったのはエギルだが、間一髪斧で受け切っている。だが、それで終わるはずなく、もう一対の剣で斬り裂く。シノンを除いた俺達は一斉に斬りかかった。近づいていくと何色にもなる波状攻撃が飛んでき、それを避けきれたのは俺と藍子だけで、漸くたどり着いたと思ったら防壁が張ってあり、まず、それを壊すことから始まった。防壁自体は意外とすぐ壊れたのだが、その後のモーションは流石に予想外だった。なんと、HP全回復に加え、上限突破してきたのだ。只でさえHPバーが10本もあったのに、それらが全て増えたのだ。最早勝てる見込みがない。そんな絶望的な状況にさらなる追い打ちの攻撃が加えられた。

 

 

 

 

「木綿季!!大丈夫か!?」

 

聴こえてきたのはここ数日、1番聞きたかった声だ。何度も何度も何度も思い出しては寂しさを紛らわせ、布団にも潜って温かさを感じ、それでも完全には寂しさを忘れることは出来ず、更にはSAOでの大切な思い出も消えてしまったボクはあの日、明日奈の胸で小さい子供みたいに泣いた。それほどまでに寂しさを初めて感じたが、今、それは全て解決した。

 

「継裕〜!!!」

 

飛び込むようにして継裕の胸に顔を埋める。時折、少しばかりの文句を言いながらポカポカ叩いて、…ボクは会えた喜びを十分に伝えた。

 

「パパ、和人さん達がアインクラッド100層ボスに苦戦しています!」

 

「ユイ、恐らくだが、旧SAOのデータはまだ生きている。それを和人達に与えてくれ。あと、俺も後で行く。アレを頼むぞ。」

 

「了解です!パパ!」

 

そう言って、俺達の最愛の娘は任務を果たしに行った。さて、俺はまだここにいる雑魚を狩らなきゃいけない。あと4分の1ぐらいまでに減らすことにしよう。

 

「あ、待って!!」

 

継裕は行ってしまった。きっと、また自分の身を削って人を助けるんだろうな…継裕はそういう人だから…

 

その時、いつかは分からないけど、ある後ろ姿がフラッシュバックした。なんでかはまだ分からないけど、その姿は確かに、ボクに戦う力を与えてくれた。

 

「ユナちゃん!ボクもキリト達と同じところに連れてって!」

 

私は一瞬躊躇ったが、彼女の目を見て、止めることはできなかった。方法は分からないけど、少しだが、確かに取り戻したのだ。なら、私にできることは…彼女の望みを叶えること!

 

 

 

 

俺達はかなりの大苦戦を強いられた。下から生えてきた木によって俺以外の剣士組は固定され、シノンはビームを放たれ、俺は斬りかかった所を脅威の反射能力で鷲掴みにされた。まさに絶体絶命とはこのことを言うのだろう。VR内ではそこそこ強いという自負はあったが、それが一瞬にして崩された。トドメを刺されようと言う時に、上から物凄いスピードで人が落ちてきた。かなりの爆音を立てながらボスの目に剣を突き刺したのは、ユウキだった。

 

「ユウキ!!!」

 

アスナがそう呼びかける。お互いアイコンタクトを取り、希望の光が見えかけたその時、怒り狂ったボスが俺達に斬りかかって来たが、風属性の魔法がボスの周りを取り囲む。それを放ったのは、

 

「お待たせー!お兄ちゃーーん!!」

 

妹の直葉であった。その直葉のとんでもないところからユイが飛び出してきたと思ったら、クライン筆頭に、ALO組の領主及び、スリーピングナイツの皆、更にはGGO組の奴らまで参戦してきた。最後にユイが俺達をSAOアバターに変えた。戦いはいよいよ最終局面を迎えた。シノンの正確無比な射撃及びGGO組の援護射撃に加え、サクヤ、アリシャ、シウネーらの防壁援護、ユージーン先頭に斬り裂くALO組。残るSAO組はキリト筆頭に数々の華麗なるソードスキルを的確にヒットさせていく。リズ、シリカの連携の後、エギルが叩きつけるような攻撃を加えたあと、またしてもHPフル回復のモードに入った。これには元副団長のアスナが遠距離組に的確な指示を飛ばし妨害に成功。ボスモンスターはアスナ達に目がけ攻撃をしてきたがそれをリーファ及びシノンが3つの内2つの妨害に成功。残った1つはアスナとランが斬り裂く。その後繰り出された槍の突き出しはキリトが上手く起動をずらしながら後方に移ってたアスナとランが入れ替わるようにして前に出る。二人同時に神速のスタースプラッシュを叩き込み、入れ替わりで入ってきたユウキがまさに剣技と呼ぶにふさわしい11連撃、マザーズ・ロザリオを入れ、最後にキリトの代名詞ともなっている16連撃、スターバーストストリームを決めた。最後の一撃がヒットした直後、ボスモンスターは爆散した。

 

皆が歓喜に浸る中、ある男の声がした。

 

「これで完全クリアだな、キリト君。」

 

茅場だった。と言っても彼は本物ではない。彼自身が脳を焼き尽くしたことにより生まれたデジタルゴーストだ。クリア報酬なのか空から巨大な片手直剣が降ってきた。茅場曰くまだやることがあるだろという事らしい。俺はその光り輝く剣を手にした。

 

 

 

「クソ…いくら斬っても減りやしねぇ…」

 

かれこれ半分以上は倒したような気もしたのだが一向に減る気がしない。それもそのはず、倒すのと同時に新たなボスモンスターが湧いてきていたのだから。はんば諦めかけていた時だった。突然交戦していたはずのボスモンスターが爆散したのだ。周囲を見渡すと懐かしの彼が長大な剣を振るっていた。一撃でモンスターを倒していく様は、まさに英雄と呼ぶにふさわしいだろう。

 

「遅せぇよ…馬鹿野郎が…」

 

駄目だ。これ以上は意識を、保てそうに、ねぇ、や。

 

すまない…木綿季…

 

ドサッ

 

 

 

全てのボスモンスターを倒し切った俺達は現実世界に帰ってきた。ユナの最後の単独ライブも終わったと同時に、悪夢も消え去った。たった一つの犠牲を残して…

 

 

「継裕、継裕!継裕!!」

 

木綿季がそう何度も呼びかける。ユナに指摘され、見つけた時には酷い状態だった。腕や足という至る所から血が滲み出ており、出血の量が異常なことはすぐ分かった。何度も呼びかけるが反応はなく、呼吸も出来ているか怪しいところだった。その時だった。これは後ほど知ったのだが、継裕の父親が来たのだ。後ろにいた救急救命の人を引き連れ、継裕を運んで行った。継裕の父親と入れ違いである女の人が来た。

 

「おっす、久しぶりだな、キリ坊〜。」

 

この聞き覚えのある呼び方は…あのSAOで大変世話になった情報屋のアルゴだ。まさか、継裕の姉だとは思わなかったが…兎に角、継裕の姉、葵さんが継裕のいる病院に連れていってくれることになった。そこそこでかい車に、一番後ろに右からエギル、俺、藍子。その前にはリズ、シリカ、シノン、明日奈という具合。(本来は3人分しかないのだが、みんな細いので全然余裕だった。)助手席には木綿季が座った。ただ、俺達は車に乗ったことを後悔した。やはり血は争えないのか、継裕と似たような、いやそれでもかなりマシな方なのだが、そこそこのスピードで爆走して行った。本来なら20分弱かかる所を5、6分で着いてしまったのだから…まだGGOで継裕の運転を知っている俺とシノンからしたらジェットコースターぐらいの面白みだったのだが、シリカ筆頭に(木綿季は除く)物凄い剣幕で迫られていたのは必然であった。

 

 

暫く復帰には時間がかかるという話を俺らは聞き、木綿季以外のメンバーはそれぞれ帰ることになった。

 

「継裕は、大丈夫なのですか…」

 

「お父さんが対処してるから最悪の事態にはならないわ。」

 

と言っても、あの状態になったのを見たのは私を含めお父さんも初めてだから断言は出来ないけどね…

 

 

継裕の命運は如何に…!?

 

 




久しぶりに長くなりました。
継裕はどうなってしまうのか…

(*´∇`)ノ ではでは~


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〜幕間〜学校編
帰還


随分と遅くなりました!申し訳ございません!!
ある程度の充電期間があったため、
ストックを解放していこうと思います!

では!どうぞ!




懐かしい夢を見ていた気がする。場所は四方を壁で囲まれたとある研究施設。そこに居たのは幼少の頃だったからもう10年近く前になるのか、と懐かしく思いながら見ていた。ある5人の少年少女が様々な競争をし、1位を取っては子供ながら喜んでいた、なんてことは無く、冷静沈着に次への競争に目を向けていた。傍から見たら子供らしさなんて感じられないだろう。まるで優秀な大人がそのまま体が幼児化したようなものだ。様々な競争の中には勿論知能的なものもあったが、その部屋では主に体力、などといった身体的な競争が続いた。単に短距離を走る、または一定のペースでただひたすら走る。飛んできたものを避ける。動いてる標的に当てる。柔軟。重量挙げ。目をつぶり感覚を鍛えるなどといったものだ。よく見てみるとそういった身体的な競争が苦手な子が1人いた。その代わりその子は勉学はとてもでき、常に1位2位を争っていた。他の2人はどちらの競争も平均的な立ち位置。世間一般的にはかなり上位だが、この5人の中で言ったらという意味だ。残る1人はどちらにおいても常に1位。他を圧倒していた。最後の一人は…サボり魔だった。だが、それも致し方ない気がする。まだ子供の彼にはつまらな過ぎたのだ。だが、そんな彼にもたった一つだけ真剣にやっていたものがある。対人戦を想定した訓練だ。それだけは何故か楽しそうにしていた。これが原因なのかは分からないが、子供たちを管理している大人は彼を危険視する声もあれば、期待する声も上がっていた。そしてその事を、彼はよく理解していた。

ある日、その彼が消えた。いや、消えたという表現は正しくないのかもしれない。彼の中では予定通りだったのかもしれない。外出の許可が下りたとき、逃げ出したのだ。勿論監視者はすぐそばに居たし、万が一の事があっても保護できる場所にいた。只、大人達は、まさか逃げるとは想定もしていなかった。逃げる、などという教育は一切していない。したとしたら、別室に大量にあった本の中でだ。だが、彼に至ってはその心配もないと大人は判断していた。知っての通り、サボり魔の彼だからだ。今思えば彼はサボっているふりをしていただけかもしれない。それを見抜けなかったがために、1人の人材を失った。

ある程度育てた子供達は2人を残し、とある家庭へと預けたれた。子供たちにはそれまでの記憶を消去させた上でだ。それから5年、10年と月日が経った。

 

 

 

「戻ってきた、か。」

 

日付を見た限り、目覚めたのはあれから3日半後だった。ナースコールを押した5分後には父が到着。体の状態などをしつこく聞かれ、日が傾きかけたぐらいにかけがえのない仲間たち、木綿季が見舞いに来てくれた。木綿季にはかなり泣かれた上、明日奈と藍子によるお姉さん'sによるおっ説教をくらい、和人達からは課題やお菓子などを貰い、姉からは着替えなど日用品を有難く受け取った。

 

木綿季達に明日から学校に行けると伝えると、喜び、そして不安の声が上がった。勿論彼らが心配してくれているのは分かっていたし、それらを含めたことについてはしっかりとお礼をさせてもらう事にした。こうした中、学校に復帰することになったのだが、校内では3週間後に迫っている一大イベントについて非常に盛り上がっていた。

 

とは言ってもこの開催が決まったのは今年度からなのは目をつぶって欲しいとの事。もちろん生徒達はそのへんの事情はしっかりと理解してるので反感の声など上がらなかった。

 

さて、今年度から組み込まれた学校行事。

 

それは…

 

 

 

 

"スポーツフェスタ"

 

 

 

 

今日は(体育祭)の出場種目の割り振りを決める日だ。種目は至って普通。だが、普通ではないのが、"組"ごとに割り振りを決めるとのこと。こういう仕様になったのは言うまでもなく、昨年度にはこの行事が無かったためである。あと、学年及びクラスごとによる偏りを無くすためだとか。

 

ではまず組の割り振りはどうなっているのかと言うと、とその前に、組の名前から言うべきか。

 

朱雀組 略称赤組。

所属者 リズ、テッチなど。

 

青龍組 略称青組。

所属者 シリカ、シウネー、タルケンなど。

 

白虎組 通称白組。

所属者 ジュン、ノリなど。

 

玄武組 通称黒組。

所属者 和人、明日奈、藍子など。

 

麒麟組 通称黄色組。

所属者 俺、木綿季など。

 

という顔ぶれだ。このわけ方を見た時、和人達と別れたのは惜しいような嬉しいようなという複雑な心境となった。まぁ戦えるという面だけで言うならいいもんだ。そして発表された競技は以下の通りだ。

 

 

競技内容

 

・100走

 

・1レース5人で行う。

・それぞれの組から代表20名(男子女子それぞれ10名)。

 

 

・玉入れ

 

・5組同時に行なう。

・制限時間は3分、計2回行なう。

・女子限定。

 

 

・騎馬戦

 

・5組同時の入り乱れ戦。

・制限時間は3分、計2回行なう。

・大将が倒されても続ける。

・男子限定

 

 

・障害物競走

 

・人数は男女含め1組当り6人まで。(偏ってもいい)

・一斉にスタート。

 

 

・借り物競争

 

・100メートル走と基本同じ。

・お題をクリアするまでゴールすることは出来ない。

・時間制限あり。

・人数は100メートル走の半分。

 

 

・綱引き

 

・リーグ戦。

・1回勝負。

 

 

・二人三脚

 

・人数及び基本は100メートル走と同じ。

・レース数は半分。

 

 

・組対抗リレー

 

・距離は女子は100メートル、男子は200メートル。

・男女混合の選抜8名。

 

 

・ 前提として全員何かしらの種目に出ること。

・採点結果は種目が終了する度に発表となる。

 

 

これらが並ぶのだがそこそこの数だと思われる。障害物競走が何やら怪しい匂いがするのだがそれは当日にならないと分からないだろう。人数の為か人選によって順位が大きく変わる事になりそうだ。さて気になる配点だが、以下の通りになった。

 

 

・個人競技

 

1位…10点

2位…8点

3位…6点

4位…4点

5位…2点

 

・団体競技

 

1位…50点

2位…40点

3位…30点

4位…20点

5位…10点

 

・組対抗リレー

 

1位…250点

2位…200点

3位…150点

4位…100点

5位…50点

 

とのことらしい。予想通りだがやはり最後の種目は大逆転の可能性を感じさせる配点をしてきた。個人的には思ったより、団体競技の点数が高いことに驚いた。あとたとえビリでも点数が貰えるのはありがたいといったところか。

 

 

話を進めていくうちに何故か団長になってしまったがなったからには全力で勝ちにいくことにする。俺達麒麟組は作戦を練ることにした。

 

まず、俺達麒麟組はそれぞれ得意なものは何かというのを聞いて回った。何故なら60人弱いるのだ。それぞれ得意なやつに当てはめればそれだけ勝率が上がる。更に、全員が出なければならないと書いてある為より勝率を上げるためには致し方ない場面も出てくるだろうと予想して、運動が苦手な人には一応謝罪を入れといた。ということで結果的に、

 

走るのが得意な人

 

男子10名。女子7名。

 

という具合だ。これによりまず、組対抗リレーのメンバーを早い順に固定する。この中から選抜で選ばれた8人(それぞれ4人)は100メートル走には出ないことを決めた。理由としては、

 

・個人競技は配点が低い。

・怪我をするリスクを伴う。

・無駄な疲労が溜まる。

 

という事だ。俺達麒麟組は勝ち優先という意識で固まっているため、反論は出なかった。その後も着実に何が得意かを皆に聞き回って出る種目を決めていった。それでオーダーを組み、その中でもさらにどのような作戦で行くかを各担当に決めてもらった。どの種目に対しても決して抜かりは無い。そんな気がした。

 

俺達の戦い方は、

 

・個人競技はある程度の点数としてみる。

・その分団体競技にかける。

 

という感じだ。個人競技は100メートル走などといった走る系が主になる。足りない分は何人か代わりに走るがそれでも多くて4つだ。まさに勝つことを目標にしている。等と話している内にほぼほぼ決まった。最終的なオーダーを見、これなら例え他の組との作戦が被ってもある程度はカバー出来ると感じた。その後練習を繰り返し、本番に望んだ。

 

さて、時は5月中旬。いよいよ本番だ。まだ開会式すら始まっていないというのに麒麟組の団結感は半端じゃない。これは手を抜いたら殺されるなと柄にもなく思った。俺が学校に着いたのはいつも通りの8時40分。9時半から開会式だと言うのに、組の中では1番遅かった。中には7時前には着いていたなんて言うアホもいたらしい。勿論その事については決して口には出さない。体を暖め時間は9時ジャスト。円陣を早くも組み、絶対優勝を心に決め、その意気込みのまま俺達麒麟組は開会式に向かった。

 

長ったらしいいかにも開会式というのをやり、これまた定番の選手宣誓及び準備体操を行ったらいざ決戦だ。最初の種目は100メートル走。知っている顔としては明日奈、ノリ、シリカ、リズの姿が見える。まさかの男性陣は全員不参加と言うとんでもないものを目にしたようだがそれもそのはず、先ずは女子からなのだ。勝手に早とちりしてかなり恥ずかしい。幸い口には出してなかったので周りにバレることは無かったが…

 

直接対決したのは明日奈とノリだけで、明日奈がノリに負けるというまさかの展開がいきなり起きた。いや単に俺がノリが速いことを知らなかっただけなのだが…ノリが速いことは木綿季にあとから聞いた。なんと50メートル走7秒を切るとのこと。中々の速さだ。まぁそれでも明日奈は2位という素晴らしい結果を残した。何故ならほかの走者は運動部だからだ。因みに俺らの組の子は最下位。シリカ、リズは順当とも言うべきかそれぞれ1位だった。

 

続いて男子はテッチとジュンだけだった。まぁこれも予想通りかな。残念ながら直接対決はならなかったがそれぞれ1位をもぎ取って行った。ジュンに至っては陸部にすら勝っていくという中々の活躍をして行った。さて、100メートル走が終わった段階での途中経過の予想としてはまぁ計20レースだからざっと計算して100ポイントぐらいかな?

 

 

(ここから略称)

 

赤組

148

 

青組

141

 

白組

109

 

黒組

102

 

黄色組

100

 

 

まさかのぴったり賞か。でも予想通り。他クラスの人員を調べ、どこに入れてくるかを予想した結果としては悪くは無い。何ヶ所か外れたが、大した得点差ではない。勝負は始まったばっかだ!

 

 

 

次の種目は玉入れ。人員は主にバスケ部やソフトボール部に任せた。彼女らも投げるのは得意と言っていたし、実際適任だと思った。逆にここで負けると結構痛い…なぜなら彼女らは足も速いからだ。果たして結果はいかに…

 

結果としては圧勝。ただ入った分だけ得点として認められないのが残念なところ。そしてこれにより、順位を2つ上げた。

 

赤組

178

 

青組

161

 

白組

119

 

黒組

142

 

黄色組

150

 

相変わらず得点が綺麗だなぁなんて感想は置いておいて、どうやら黒の剣士様が率いる組はうちと同じ作戦と言えそうだ。この結果が全てを物語っている。個人的にはリズが団長をしている赤組が善戦していると言ったところか。3位ではあるが黒組とは僅差だ。相対的に運動能力が高い奴が多いのか?でも均等に分けられたはず等と考えていたら俺の出番が来た。さて、行きますか。

 

 

続いての種目は騎馬戦。男達が意中の女子に男気を見せるところ、らしい。うちの組には少なからずいる。で、俺らの組は大将は俺ではない。理由としては自由に動けないからだ。俺らの組は大将を囮にするというとんでもない手段を用いてる。これはどの組にも見られないが俺らからしたら好都合でもある。実質組最強の騎馬は俺のであるからだ。もし倒しても得点は高くはない。更に大将のを回るように囲みその周りにまとわりついた敵を俺らの騎馬が倒すという算段だ。上手くいくかはともかく負ける気はしない。

 

派手に炸裂したピストルのゴングにより戦は開戦した。騎馬戦は入り乱れ戦の為、死角が出来やすい。俺らの組は高さより機動力を重視した為か、気づいたら取られてるというまさに作戦通りに進んでいた。俺らの騎馬は青組、白組の大将騎を倒し赤組のを倒しに行こうかと思ったその時、黒組が赤組の大将を倒していた。黒組の騎馬の上に乗っているのは…

 

和人だった。

 

 

「よっ、継裕。ここで俺らを見逃すって言うのは」

 

「ない!!」

 

和人のは高さがある。だが幸いしたのは和人自身がそこまで高くないことだ。お陰で幾らかリーチが長い俺と和人の騎馬としての高さは同じくらいだった。いざ戦ってみると流石と言うべきか、SAO、GGOで鍛えられてきたハイパーセンスが力を発揮している。かといってこちらも負ける気は無い。和人から繰り出される攻撃を的確に弾く。長く攻防が続いていたのだが、試合終了の合図とともに終わりを告げた。

 

残された騎馬数及び大将騎はそれぞれポイント化され、その総合ポイントにより順位が決まる。結果はこうなった。

 

赤組

208

 

青組

171

 

白組

139

 

黒組

182

 

黄色組

200

 

3種目終了時点で2位に付けることが出来た。残る午前の種目は2つ。果たしてこの後どうなる…!?

 

 

 

 




重ねてお詫び申し上げます…!
すみませんでした!!

この続きは今日か明日上げます!

(*´∇`)ノ ではでは~


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波乱の体育祭

随分と遅くなってしまい申し訳ありません…!
リアルがガガガガガガガガガガガガガガガガ…

って事で(どういう事…)
よろしくお願いします!

では!どうぞ!



 

続いての種目。それは二人三脚だ。2人ペアがどれだけ息を合わせられるかが勝負の鍵となるこの競技に出場するのは、リズ・テッチペア、藍子・和人ペア。そして、俺と木綿季ペアだ。正直なところ、負ける気が全くしない。厄介なのは和人ペアぐらいだと思われる。正直な話し、それ以外は相手にならないだろう。何故なら俺と木綿季が組んでいるからだ。練習でも他のペアの視察をしたりしたが、俺らのペアが圧倒的に速かった記憶しかない。と言うのも、俺と木綿季は息を合わせることに関してはほぼ完璧だったので、調整として歩幅を合わせたりするぐらいだったので、より密度の濃い練習を行うことが出来た。恐らくその点では和人らも同じだろうが、単純な運動能力的に問題は無いと思われる。ただ難点は、平均して和人明日奈率いる黒組は速いのだ。俺らの組は個人競技ということもあり、真ん中の順位を想定して組んでいるから、結果的には黒組に抜かれるかもしれんが、せめて俺らだけでも勝とうと心に決めた。木綿季もそのつもりのようで、勝とうね!っとやる気に満ちあふれている。さて、いよいよ俺らの番だ。好機、とも言うべきか和人ペアと同じレースになった。

 

「悪いけど、勝たせてもらうよ。」

 

先に宣戦布告された。和人と藍子の視線からは自信に満ち溢れているのを感じ取れる。だが、それについてはこちらも同じだ。和人の宣戦布告については木綿季が負けないからねっ!と答えてた。何故この子はこんなにも癒されるのか。動作一つ一つが最早天使過ぎて昇天してしまいそう。等というのは置いといて、

 

レースが始まった。たかが50メートル。だが、その短さは驚異でもある。1度離されたら抜くのが困難だからだ。だからこういう競争は先手必勝に限る。そう思って望んでいたのだが…和人ペアのまさかの奇策に度肝を抜かされた。確かに二人三脚だ。だが、走っているのは和人だけ。藍子は振り落とされないように和人にしがみついている。ルール的には問題は無いだろうが、あの和人が人目をはばからずあのような事をするとは、想定外だった。成程。だから練習に一切顔を出さなかったのかと感心した。だが、幾ら奇策を用いられても、これだけは負ける訳にはいかない。少々不本意だが、俺も和人と同じ作戦をとる事にする。木綿季の横腹を自分の方に寄せ、片足を浮かせたら猛然と走る。木綿季は驚いてはいたが何やら嬉しそうなのでこのまま走りきることにする。残り5メートル程で追いつき、最後の最後で抜き去ることに成功した。

ゴールした後に多少の時間を要した。俺達の方法を認めるか否かだ。結果はルールに明記してなかったという点で今回だけ得点を認めるとのこと。ただ、次からのレースは通常通りに行われることがアナウンスされた。ブーイングも覚悟していたのだが、待っていたのは黄色い歓声と悲鳴。それと羨ましいだの代われだのといった言葉が並んだ。他にも単純にすげーという賞賛の声も上がった。まぁそれも納得だ。なんせ人一人分抱えて走ったのだから。和人はゴール後死にそうだったが…

 

得点はこうなった。

 

赤組

260

 

青組

217

 

白組

229

 

黒組

254

 

黄色組

250

 

白組がかなり追い上げて来たことに少々驚いた。まさか二人三脚1位をもぎ取っていくとは。現時点では3番手だが、まだ得点差が大きい訳では無い。寧ろ予想していたよりいいかもしれない。さて、続いての競技は、綱引きだ。意外と綱引きは物理が関係しているっていっても、恐らくそんな事どの組も知っているだろうから結論力勝負になるだろう。今この場にエギルが居ればなぁなどと思いながら綱を引く、引く!引く!!ここで何故かムキになって体力を消費したことは内緒だ…リーグ戦の為、ある程度は試合をこなさなくてはならないのだが、順位が意外にもあっさりと決まっていき俺らは1位を手にすることが出来た。なんか取らされたような気もするが気のせいだと思いたい…結果はこうだ。

 

赤組

300

 

青組

237

 

白組

239

 

黒組

284

 

黄色組

300

 

遂に1位に躍り出ることが出来た。ただ同率なのは予想外だが…思っていたより赤組が強い。リズの闘志が皆に伝染しているのかもしれないが…

ここから一時間ほどお昼休憩なのだが、その時間は組関係なく多くの者が普段談話などをして過ごす友人の元へ散っていった。俺はというと、特に誰と食べるとか決めていなかったし、木綿季が2人で食べようとも言っていたので静かに過ごせる場所へと移動していった。

案の定、先約はおらず、他愛もない会話をしながらお昼を堪能し始めることにした。ちなみにお弁当は、木綿季お手製の愛情たっぷり弁当らしい。お弁当をしっかりと味わい、美味しかったよと言ったらありがと!と、とても美しい笑顔で返された。俺はお弁当以上にこの笑顔でかなり充電が完了した。暫く寄り添って寝ていたらいつの間にか午後の競技が始まる時間になっていた。午後の部最初の競技は、借り物競争だ。これはある意味定番と言えば定番だ。多くの中高であるようにも思われるが、内容はイマイチという声が多い。それもそうだ。色恋沙汰のようなものは駄目という学校が多いというのがあるからだ。だが、この学校は違う。金銭面を除いた運営面及び内容は、生徒の自主性に任されている為、そのような内容がある事はある程度想定済み。これを機にカップルが増えるのか否か。個人的には誰か告白してめでたしっていうのを観たい。中々他人のそのような場面を見れることは無いし、見ていて面白そうだ。これに出るのはテッチ、シリカ、タルケン、木綿季だ。個人的にテッチとタルケンが出るのはかなり意外だった。(因みに木綿季も意外だと思ったらしい。)

 

気になる最初のお題は、眼鏡を掛けている人だった。これは真っ先にタルケンを連れていった人が1着だった。もっとはっちゃけるものだと勝手に思っていたが、思っていたより普通だった。

 

続いてのお題は、ポニーテールの子だ。藍子がひっそりといたことに気づいたのは明日奈を連れてゴールした後だった。あれポニーテールでいいのか?も思ったが、どうやら問題ないらしい。

 

3問目は団長法被を着ている人。組の子が真っ赤な表情のまま取り逃げの様に去っていったのは何故だろうか。

 

4問目は剣道部。部員自体は20名程いるが知っている人いるか?と思ったが、以外にも早く終わった。因みに俺はテッチに連れていかれ1位を献上した。

 

5問目が可愛い人。

 

6問目がかっこいい人。

 

7問目が先生。

 

8問目が彼氏いる人。

 

9問目が彼女いる人。

 

などと続き、いよいよ最終問題。中々の問題がここまで続いたらいよいよあれしか無いだろうなと思った。そしてそれは現実となる。気になるのは木綿季は兎も角、タルケンとシリカが残っていることだ。果たしてどうなるのか…?

 

10問目、好きな人。

 

等とコールされた瞬間。場が一気に湧いた。最も木綿季がすぐ様俺の元へ走ってきた時はだよね笑等という空気が漂ったのは言うまでもない。俺は藍子とかの方へ行かれたらどうしようかなど、恥ずかしいことを考えたものだとゴールへ向かいながら心の中で反省した。ただ、反省しながらもあぁ、俺は木綿季が好きなのだと心の底から思った。この笑顔を懸命に守りたいと、思った。

 

さて、気になるのはあの二人だが、思ってたより直ぐに行動に移してた。シリカはジュンの元へ、タルケンはノリの元へ。それぞれ向かっていき、無事?という表現は変だろうか。だが、仲間内でカップルが出来るのは悪い気がしないなと思った。俺的にノリやジュンのあんな表情を見たのは初めてだったので新鮮に感じ、また1つ仲間のことを知れたなと嬉しく感じた。木綿季に至ってはずっとニコニコしていて嬉しいというのがビンビン伝わってくる。あとから聞いた話なのだが、それぞれ4人から相談を受けていた木綿季的には絶対成功すると思っていたらしい。俺が一切相談受けていないことはそういう事なのだと勝手に判断し勝手に凹んだ。

 

こうして波乱の借り物競争が終わったのだがここでの結果はこうなった。

 

赤組

350

 

青組

277

 

白組

259

 

黒組

294

 

黄色組

330

 

少し離されたがまだ許容範囲。まぁ赤組が1位を取っていくのは予想外でもあった。だが、それもあの様子を見ればわかる。1組だけ、熱さが違う…なんと言うかそのまんま"赤"を表しているのだ。そう燃えているとはこの事だとばかりに。さて次は障害物競走だろうと思い準備に向かおうと思ったがコールされた競技は別だった。

 

コールされたのは組対抗リレーだった。予想通りの点数配分だった為てっきり最後だと思っていた。だが、確かに誰も最後とは言っていないということを思い出した。となると障害物競走がリレーを上回る競技だということになるのだろう。まさか最後のやつが盛り上がらないなんて事は無いだろうからな…となるとその内容はかなり気になるが、この周りの雰囲気的にそんな暇は無さそうだ。それもそうだ。どの組もここにかけていると言っても過言では無いだろうからだ。得点は盛り上がり度を表すのだと顕著に現れている。さて、そろそろ向かうことにしよう。

 

案の定、見たことあるメンツが揃った。何があってこんなにも揃うのか…しかもアンカーである俺には女顔のあいつがいた。晒されている素肌からそこそこ鍛えてきたようだが負ける気はしない。ただ和人に繋ぐまでの人選がえぐい。こちらより速いように感じる。木綿季が女子2位だったとは聞いたが、1位のやつが向こうにいるのだ。しかも木綿季と同じ走順。つまりアンカーの前だ。

先頭には明日奈やリズ等の姿もあり、ある意味オールスターだななどと思っていたら、スタートの合図のピストルが火を吹いた。

 

まず先頭に躍り出たのは明日奈。流石閃光と言われていただけのことはある。その明日奈は3位らしいから木綿季はあれよりも速いのか等と驚いていたら次走に襷が渡る。言い忘れていたが、このリレーではバトンではなく襷だ。次走でノリがぐんぐん追いついて行き、トップとの差はほぼ無くなった。この時点でトップは黒組だ。因みに黄色は4位。3走目でタルケンとテッチが出てきたのだが、驚いたことにあのタルケンが物凄い形相で走っているのである。まぁ可愛い恋人にいい所を見せたいのは分かるがそのペースで走って持つのだろうか等と思っていたらもう4走目。ここでジュンが登場。うん、ショタイケとはこの事を言うのだろう。なんかいい具合にmatchしているからか黄色い声援が飛ぶ。遠くからシリカの応援が聴こえたのか、スピードが上がったのは男ながらカッコイイなと思った。恋人のために頑張る。素晴らしい青春だ。さていよいよ後半戦だ。5走目にてトップについたのは黒組だった。それもそのはず。走っているのは藍子なのだ。明日奈には僅かながら劣るもののほぼ同等の速さを持っているのである。これにより7走目まで1位を取っていくのは必然でもある。遂に木綿季らに回ってきた。些か緊張した顔持ちなのは気の所為だろうか?無理もないか。相手は女子1位なのだから。体格は最早女子では無いが…

 

襷を受け取り走り始めようという時悲劇が起きた。木綿季がコケてしまったのだ。その間に抜かされていき、5位になった。つまりビリだ。ただ、ここでめげないのが木綿季のいい所。泣きそうな表情になりながらも、いやあれは泣いてるかもなと思いながら回ってきたので、渡すギリギリのところで貰う。木綿季にできるだけ負担を掛けないように…

 

「ごめん、継裕…」

 

何言ってんだかこいつは。走るのは俺だぞ?

 

「任せろ、木綿季!」

 

そう言い残し、俺は走り始めた。当初はこんな予定ではなかった。予定としては2位通過で襷を受け取り程々のスピードで和人を抜き去って1位のつもりだった。ただ、トップとの差は約25メートルほど。幸いなことに男子は200メートルだ。いける。そう思ったら自然と足が動いた。この瞬間俺は風になれたような気がした。自然と笑みが零れる。普段は出せない多少の本気を出せるから。若しかしたら俺はこういう展開を臨んでいたのかもしれないなどと思いながら、ただひたすらに走った。あっという間に4位のやつを抜き、3位、2位となっていた。残すは20メートル。和人は5メートル前。

 

3、2、1。

 

抜き去ったのはほんとギリギリだったが、勝ちは勝ちだ。俺ら黄色組は見事にリレーで1位を取った。感想は、少し疲れた、かな?

 

自陣に戻り仲間に揉みくちゃにされたのはまぁ言わなくても分かるよな?中には化け物を見るような目のやつもいたが…まぁ恐らく非公式記録ながら代表並の速さで走ってしまったからな等と勝手に解決し、木綿季の元へ向かう。

 

「おつかれ、木綿季…」

 

案の定木綿季は泣いていた。1人で…

 

「ごめぇん…」

 

俺は出来るだけ優しく木綿季を慰めた。いやよくやった方だと俺は思う。このリレーに1番力を込めていたのは木綿季だ。それに加え周りからの重圧。期待。これを背負うには16のまだ小さい女の子にはきついものだろう。そんな役を押し付けてしまった俺が全て悪い。木綿季をあの配置にしたのは自分だ。説得には色々使ったが、本当の理由は単に俺が木綿季から襷を受け取りたかったからだ。他の女子から受け取るなんて考えられなかった。だが、俺のその自己満が木綿季を追い詰めた。結果的には勝ったが、和人らの方が戦略的には上をいっていた。だからこそ、ただ勝つだけでは…

 

「継裕はさ」

 

「ボクから…受け取りたかったんでしょ?」

 

一瞬の沈黙。木綿季には隠しきれないなと思いながら告げる。

 

「あぁ。俺の自己満のせいで木綿季を傷つけた…すまな」

 

「うぅん!ボクも継裕に襷渡したかったからそれは違うよ!」

 

そうか。それもそうか。木綿季だって普通の女の子。普通に恋人らしいことをしたいのも事実あったのだろう。だが、俺が最初にか掛けてしまった戦略的に中々言い出しづらい空気を作ってしまったのかも知れない。俺もまだまだだなと思いながら木綿季をそっと抱きしめ、おつかれともう一度告げた。

 

「だんちょー15分の休憩らしいーでーす。」

 

団員に見られているとは知らずに…

 

 

 

 

 




久しぶり過ぎて色々ヤヴァイかも…(語彙力どした)

最近、感想を貰えて色々浮き足立ってしまっております。w
感想お待ちしてます!
(いっぱいください!あっ、評価もよろしくぅ!)

(*´∇`)ノシ ではでは~


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体育祭終焉

新年あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!!(おっそ…)

えぇ書き出して数分後にはこれでいいのか!?と思ったけど、
自分に言い聞かせ書き上げましたw

では!どうぞ!


 

小休憩をとり、再び校庭に戻ると先程のリレーの結果と今現在の順位が出ていた。が、それよりも目の前にある建造物に目を奪われた。高さは約4メートル程。周りをどうやら囲まれているようで中の様子は見えない。ひょっとしたらこれは…いや、いくら変わってるとはいえ所詮学校は学校。わざわざそんな物を作るわけ…ん?そう言えば姉さんが何か言ってたな。今回の体育祭には父が1枚噛んでいると…その話とこの目の前の建造物を見れば合致せざるを得ない…そう、これは

 

"巨大迷路"

 

なのだ。父が見に来るとか言っていたから何かしら自分が楽しめるような催しをしてくるとは思ったが、まさかこのような大規模なものだとは…校庭丸々埋まるとはそこそこの大きさだぞこれ…まさかこれが障害物競走だとでも言うのか…?いくら何でもそれは駄目だろと思いながら、未だに現実を受け入れない俺がいた。

 

「つ、継裕。これってもしかして…」

 

「あぁ…迷路だろうな…」

 

参加者は皆驚いた表情をしている。唯一、明日奈は呆れたような表情をしていたが。代表委員の彼女なら俺の父親が関係していることは知っていたのだろう。内容まではいかなくても。

 

個人的にはかなり楽しみだ。要するに他の組より早くなんか見つけろって事なんだろうけどそれだと障害物競走では無くなる。まだ何かあるのか…?そう考えていたらルール説明が始まった。

 

ルール

 

・どこかに隠されている宝をどの組よりも早く見つけ出す。

 

・他組への妨害もあり。

 

・倒された場合その場にて待機。

 

・物資は本部より支給された物以外使用不可とする。

 

・宝を発見しても、持ち帰ってこられなければ無効とする。

 

 

何とも物騒な空気が漂うルールだ。

そして支給された物資は…

 

やはり銃器であった。勿論モデルガンではあるが、どうやら使用するのはただのBB弾では無く、それぞれの組の色のペイント弾らしい。さらに、軍服と言っても遜色のない防具服を与えられた。これはつまり、ここでガンゲーをしろということか。幸いなことに痙攣を起こすような子はおらず、最後の競技が始まった。と、その前に現在の得点はと言うと、

 

赤組

400

 

青組

377

 

白組

409

 

黒組

494

 

黄色組

580

 

となっている。余程変なことが起きない限り俺たちの優勝はほぼ確定だ。ただ、ルールも特別仕様であるこの障害物競走ではどのような得点配分なのか。タイミングよく配分が発表されて。そこに書かれていたのは異様とも言える配分だった。

 

 

一般兵

50点

 

リーダー

150点

 

宝発見

300点

 

生き残った人数✖️50点

 

となっている。つまり、どの組にもまだ優勝の可能性が残っている。1人でもやられたら相手に50点も配点することになる。もしリーダーなんて当てられたりしたら、一気に逆転の可能性さえ在る。となると、誰がどう動くか、どういう方針で行くかがかなり重要となる。この配点だと例え敵を発見してもそのままスルーってのも全然ありだ。1チーム6人編成だから、600点も稼ぐことも可能だ。それに加え、宝は持ち帰らなければならないというのも難点だ。折角行き誰にも会わずに手に入れても帰り遭遇して戦闘で負け取られたりなんかしたら全てが台無しだ。つまるところ、この競技の主催者は戦闘不可避だと考えていることになる。なんともいやらしい主催者だ。頭の中でどういう想像しているか見てみたいものだ。まぁそんな愚痴を言っている時間はなくなり、いよいよ開始だ。装備的には盾持ちが2人。アサルト持ちが2人。スナイパー持ちが1人。そして、剣持ちが1人。これが俺らのチームだ。この剣にもペイントが付いており当てると付着するようになっている。剣と言っても短刀ほどで長さは警棒程だ。長さは約60センチ程。だからこれで銃弾を弾くことは可能だ。恐らくそれ様なのだろうが…因みに、1人1個グレネードを所持している。当たると弾けペイントがぐっちょりつく仕様だ。こんなのどこの戦闘区域だよと心で悪態付きつつ、進むことにする。

 

前後を盾持ちが塞ぎ、出来るだけ音を立てず、素早く動いていてはや10分程が経過したように思える。チームで1人だけ持つことが可能なトランシーバーによれば、既に戦闘が始まっているようだ。戦っているのは赤組と白組。得点差が近い2チームにとっては1人たりとも欠けたくは無いだろう。甲高い銃声音が響いては消えを繰り返しという状況が続いている。今現在俺達の半径5メートル以内に敵はいないと思われる。が、モデルガンとはいえ、扱いに慣れてるやつなら15メートル程なら飛ばし当ててくるだろう。そこまで範囲を拡げてもいいなら拡げたいが、そんな事したら変な目で見られるのは確実だから出来るわけない。今現在でさえ、感だと言って嘘付いてる状況だ。

 

と、その時、微かだが、足音がした。真っ直ぐ此方に向かってきていると思われる。1チーム向かってきており、今から逃げるのは時間的にアウト。背中を見せたら負けを意味する。ならここで、向かい撃つしかない。事前に説明した配置につかせ、敵を待つ。俺を除いたメンバーで陣形を組み、被弾しないようにきっちりとガードを固める。俺はと言うと、1人単独行動。敵の背後に向かい、奇襲を仕掛ける。基本これが俺たちの作戦だ。守りを優先し、万が一敵に遭遇した場合、攻撃を仕掛けるのは俺のみ。他の皆は援護程度という事にしてる。あくまで俺達は生き残りを優先した。

こちらの攻撃範囲に入った時、敵が攻撃を始めた。銃弾の数、音より全員が乱射しているように思われる。所謂FPS初心者なのだろう。数撃てば当たる。そんな作戦は俺達には通用しない。そう、俺は油断していた。だからこそ、危険な目にあった。

たまたまなのかも知れない。だが、俺が足を踏み入れた先には、別チームが居た。どう考えても、位置的に最初の敵、青組に攻撃をするはずだ。だが、目の前に現れた敵、白組はできる攻撃をしなかった。つまり、この2チームはグルだ。となると、俺のこの位置はかなり不味い。なんせ向こうからしたら1番の厄介者である俺が現れたのだ。対処する他ない。案の定見つけた瞬間、数々の弾丸が飛んできた。と言ってもBB弾だが、当たってはいけない。ギリギリ物陰に隠れることに成功したが、このまま逃げ続けては勝ち目はない。

 

なら、攻撃を仕掛けるしかない。

 

幸いな事に、ここは一直線では無い。小刻みに走り、脇道に入りながら当てていけばいい。すぐさま行動に移した。だが、流石にその程度は読んでいたみたいで、出てきた瞬間撃ってきた。俺はそれを体操選手ばりのしなりで避けていきながら、警棒みたいな剣で弾いていった。そして先頭にいた奴の頭を狙い撃った。幸先よくヒットし、次の敵へ照準を向ける。だが、その前に1度避けることにする。身体を捩りながら移動先へ手を伸ばし着地。そして、1つ気づいた。今俺の手元には剣とハンドガン、それと、グレネードがある。これを投げれば、あの場にいる全員にヒットするのでは?などと言う浅はかな気持ちがあったが、これが成功すれば楽だな程度の思いで投げたら案の定全員OUT。これにより、1チーム消すことに成功した。この時点で、2位の黒組との点差は486点。だが、まだ安心はできない。黒組もどこか1チーム全滅させ、宝を手に入れでもしたら逆転される。宝の計算を除いても逆転されないよう敵を多く倒すしかない。そう考えていたらアナウンスが流れた。

 

「おおっとここで赤チームと白チームは脱落です!残るは3チーム!皆さん!頑張ってください!」

 

なんと、赤チームも脱落していた。無傷で済んだのかは分からないが、もしそうなら俺らとの点差は僅かに86点。十二分に逆転の可能性がある。となると青組を倒さなくてはならないのだが、どうやら見失ったようだ。そしてここでもアナウンスが再び流れた。

 

「あぁっと!ここで青チームが黄色チーム撃破!黄色チームは残り1人のみとなりましたぁ!青チームも残り4人!」

 

なんという事だ。つまりここで、生き残り分のポイントは見込めない…青チームは250ポイント獲得。俺らとの点差は243。宝を手に入れられたら終わりだ。こうなった以上作戦を変更せざるを得ない。第1目標宝に変更だ。

 

 

「黄色チームが残り1人ってのは…」

 

「継裕君だと思うよ…」

 

厄介な相手が残っているなぁと思いながら俺ら黒チームは進んでいた。このまま順調にいき、誰一人なく脱落者を出すことが無ければ例え宝を手に入れられなくてもあと2人ほど倒せば黄色チームを上回る。例え青チームが宝を手に入れても、1位だ。ただ、この計算は継裕は勿論、青チームもしているだろう。きっとどこかでぶつかる。と、その時、継裕が居た。居たと言うより、こちらに向かってきている…!?

 

「全員!構え!撃てぇ!」

 

すぐ様指示を出したが、それを継裕は予想していたようで撃ち出された弾丸は全て弾かれるか避けられていく。相変わらず化け物じみた動きだ。距離が近づくにつれアクロバティックになっていき、遂には壁を走ったりし始めた。そして、あと5メートル程のところで壁に向かってジャンプをした。意図は全く掴めなかったが、やるべき事は変わっていない。撃ち落とすことだ。だが、ここである失態に気づいた。先頭2人が伏射姿勢だった事だ。それを見抜いてか、壁の上部に手を掛け、器用に移動しながら先頭2人を撃ち抜かれた。明日奈が撃ってくれたがその時には壁の向こう側へと移動していた。久しぶりに継裕のあんな顔を見た気がする。余程木綿季が脱落したのが答えたのだろうか、と勝手に自己完結した。俺達は継裕の相手をすることは一旦諦め、青チームへと向かっていった。

 

 

1番点差の近い黒組から倒すのが先決だと判断した俺は走りながら探し回った。途中、青組に遭遇したが、戦闘すること無く抜けきり、そして、黒組を発見した。壁の高さ的にジャンプすれば余裕だなとか思いながら一目散に黒組に向かって走っていった。目障りな弾丸は全て弾き落とし、軽くジャンプしながら先頭の2人を倒し壁の向こうへと移動。ここまではかなり理想。これにより、黒組は生き残りボーナス100ポイント分を失い、俺ら黄色組は逆に100ポイント得た。この点差は大きい。現時点で生き残りも計算した上でだと、36点差。青組は仮に宝を手に入れたとして、俺らとの点差は7。あと一人。青チームから倒せば宝を取らなくても優勝だ。いや仮に黒組が手に入れたら終わりだ。結局は取らないといけないのか。

そう考えながら走っていたら青組と遭遇した。運がいいのか悪いのか。警棒まがいの剣を抜き、左手にはハンドガンを構えながら俺は敵に向かっていった。

 

継裕が青チームに向かって行っている。恐らく継裕は全員倒してくれるだろう。倒し切ったところを俺らがやれば漁夫の利といったところか。そんなことを考えたが、そんなのを待っていたら確実に負ける。そう思った俺達は継裕目掛けて放った。

 

まさか後ろを取られていたとは予想もしてなかったが、ここは入り組んだ迷宮。躱すことなど容易だ。そう思ったのも束の間。上から、グレネードが降ってきた。このグレネードは触れたら弾け飛ぶタイプなので剣で弾くことは不可能だ。よって、避けるしかない。避けて避けて避けて…軽く2桁は飛んできたろうか。これ、俺じゃなかったら確実に当たってるぞと悪態付きながら走った。青組の後ろを取ったと思ったが、ここで予想してなかったものを目にした。見慣れないものを持っていたからだ。恐らくあれが宝だ。 それをわかってか、慎重に運んでいる。その為かスピードが遅い。間に合うと思ったがここで別の障害にぶち当たった。和人達だ。この距離では闘うしかない。俺は再び突っ込んでいった。

 

 

 

結果は青組が宝を手に入れた。俺は最後の最後で和人達を全滅させた。

 

 

最終結果が発表された。こうなった。

 

 

赤組

400

 

青組

1187

 

白組

409

 

黒組

894

 

黄色組

1430

 

 

終わってみれば意外と大差で、俺達麒麟組は優勝した。仲間たちに手荒い御祝いを受けたのは言うまでもない。更に言うと、このテンションが収まる筈もなく、ほぼ強引に打ち上げに連れて行かれた。まぁ中々これも楽しかったので全て良しとした。

 

そこそこ楽しめた体育祭ではあったが、最後の競技?だけは来年からは無しになるだろうなと思いながら、木綿季と一緒に帰って行った。LINEで、和人らに最後はごめんと打って送信した。本当にすまない…

 

 

 

 

 

この時、とある事件が近く起こることをこの時、まだ誰も知らなかった。

 




はい、無双してしまいました(汗)
当初はこんな予定ではなかったのですが…

まぁこんな感じの方が継裕君のやばさ伝わるかな…?汗

(*´∇`)ノシ ではでは~


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第6章 UW編
第59話 失踪


ついに来ましたね!(何が来た…)

あまりここで言っちゃうとネタバレになるので控えます!

では!どうぞ!


最近、継裕は学校を休むようになった。木綿季に聞いても分からない。そもそも家に帰っていないのだ。わかるはずがない。継裕の姉だという葵ことアルゴに聞いても風邪なのだとくらいしか分からなかった。詰まるところ、ここ暫く顔を見せないのは誰も知らないという事だ。それも本当かどうかは怪しいところだが…気掛かりなのは彼の父親も失踪しているという事だ。継裕の馬鹿でかい実家にも皆で訪問したのだが、出てきたのは執事らしき人と、お母さんだけだった。そこで俺は継裕のことを知っていそうなもう1人の人物、菊岡にも聞こうと思ったのだが家族が知らないことを知っているわけもなかった。

数日後には学校から継裕は休学中だと教えて貰った。理由は病院にいるとの事だが、どこかは教えてすら貰ってないらしい。見舞いに行こうにも行けないのが現実だ。ただ、継裕が病院に居るとしたら父親が経営してる病院で間違いないだろうとの事で、明日奈、藍子、木綿季を含めた4人で向かったのだが、名乗ったら木綿季を除き、門前払いをされてしまった。帰ってきた木綿季に問うても何も答えてもらえず、俺達はただひたすらに、口を開いてもらうのを待つしか無かった。

そんな時だった。俺が菊岡からバイトの話が来たのは。なんでも次世代のVRに関するバイトとの事で、そっち系の進路を希望している俺がそれを、断る理由がなかった。快く、という訳では無いがそれを引き受ける事にした。残念とでも言うべきなのか、バイト中の記憶は一切無いことだ。普通に考えて、ただの一般高校生に過ぎない俺が、そこそこ時給のいいバイトをさせてもらっているだけでも感謝するべきなのかもしれない。でも内容を知りたいとは思うのは些か身勝手すぎるか…?

いつも通りバイトをこなし、藍子と詩乃とダイシーカフェでティータイムを楽しみながらバイトの事に付いて少々話した帰りのことだった。

 

「すみませぇえん、あの〜駅ってどこですぁあ?」

 

今どきスマホで調べないなんて変わっている人だなぁなんて私は思いながら、少し身長の高めの痩せ細った男性の質問に答えようとした。それを和人さんは横に割って入ってきた。

 

「お前、随分前から俺らの後をつけていたな…なんのつもりだ。」

 

その言葉の意味を理解するのに、私は数秒、時間がかかった。私達をつけていた。その理由が全く掴めなかった。ただ、それを理解するのには時間はかからなかった。

 

そこから先のことはあまり覚えていない。和人さんと敦と名乗った男、ジョニー・ブラックはそれぞれ傘と薬品を刺しあった。和人さんに刺さった薬品、サクニシルコリンは心臓などの筋肉を止める、劇薬だ。死銃事件の証拠品ともなっている劇薬を撃たれ、救命隊が到着するまでの5分ほどの時間。

奇跡的に彼は助かったが、脳に何かしらの致命傷が残っていても可笑しくない状況へとなっていた。そんな時に再び、事件は起きたのだ。

 

 

 

「お兄ちゃんが消えたのは菊岡さんが防衛大病院に移送するってときなんだよね、ユイちゃん。」

 

「はい、そう考えて間違いありません。防犯カメラ等にも映ってないことからそう考えられます。そして、キリトさんの最終的な移動先はこちらです。」

 

ユイが説明したキリトの最終的な位置情報は、港区のとある場所だった。ここから2手に分かれ、遼太郎ら車組は和人の最終位置へ、詩乃らはラースの現住所へと向かったのだが、何方もそれといった収穫は得られなかった。

 

 

結局、直接向かうことにした。ユイのハッキング能力をフル活用し、和人さんと面識のある神代凛子博士の力も借り、和人さんが居るとされる"オーシャン・タートル"へと向かった。現地に着き、何重にもなる顔認証を受けさせられ、ある人物の元へ向かった。

 

 

「遥々ようこそ、神代博士。お待ちしてました。」

 

そう話したのは、1ヶ月もの間、ここに居るとされる菊岡さんだった。

 

 

 

「何故私がここに居るかおわかりでしょう!?」

 

努めて冷静に接するつもりだったのだが、今回は我慢がならない。和人さんを無断で、こんな異地に連れてきたことに対して等、色々な疑問をぶつけた。彼はどれに対しても曖昧な答えしか返さなかったが、ここで予想外の人物が現れた。

 

 

 

 

 

「そこで何をしている。藍子。」

 

 

 

 

継裕君だった。

そして彼は続けてこう言った。

 

「菊岡、警備体制は万全のはずでは無かったのか…?」

 

菊岡さんにそう問うていた。菊岡さんの表情から焦りが読み取れることから、立場的に継裕君の方が上なんだろうなと何となく感じた。そして、続けてこう言った。

 

「少し制裁が必要だな。」

 

そう無機質とも言える声で言い放った瞬間、彼は菊岡さんの腹を殴打した。1発で菊岡さんはその場に倒れた。一体どれほどの威力なのか。少年が大人1人を拳を加えるところなんて初めて見たものだから、私は震えてしまった。ただ、震えているのは私だけでなく、隣の神代博士や比嘉さんも含めたその場にいた全員が怯えていたのは言うまでもない。菊岡さんは殴られても、無抵抗と言うのが恐ろしさを物語っている。

 

 

「さて、話を戻すか。何故、藍子がここにいる…」

 

私は隠しきれるとは思っていなかったので、ありのままに話した。それに対しての反応とは、

 

「なるほど、中々面白い話ではないか。この話によれば、多少俺にも責任があるようだが、

 

何故自分の足で、確認しに行かなかった…?」

 

いつもの彼からは想像もつかない低い声が全身の毛を逆立たせる。これ程までに恐ろしさを感じる声を聞いた事があっただろうか。上手くは説明出来ないけど、なんと言うか、"感情を全く感じない"。そんな声だ。ここで菊岡さんは継裕君に対して疑問を述べた。

 

 

「確かに、僕が確認しに行かなかったのは謝罪に値するだろう。だけど、君がいくら公安とは言え、役人である僕に手を加えるのはどういうつもりだ…?」

 

継裕君が公安だとは知らなかったが、良く考えれば菊岡さんも総務省の役人だ。何も問題ないとは言いきれなさそう…

 

「何も問題はない。菊岡、お前は俺の部下なのだからな。」

 

その瞬間明らかに菊岡さんの顔が強ばった。2人も同様だ。公安と総務省。どう考えても上司部下の関係にはならない。まだ何か、2人を結びつけるものがあるのか…?

 

「確かお前は、菊岡2等陸佐、だったけか?」

 

「な、何故それを君が…!?はっ!まさか…!?」

 

「そうさ。俺の父親がそっち方面でも多少パイプを持っているのは知っているな…?で、俺に与えられた役職は、自衛隊特殊部隊所属、隊長ってわけだ。」

 

「そ、そんな階級は聞いたことが無い…!そもそも、自衛隊は陸海空ともに不可侵であって、それぞれのトップ以上はいないはず…」

 

「確かにその通りだ。だが、それは内閣総理大臣というトップを除いてだろ…?俺は総理直属とも言える立場に当たるわけだ。つまり、

 

 

 

お前の上司に当たる存在でもある。」

 

 

そこから暫くは継裕による菊岡さんへの指導があり、その場はお開きになった。神代博士にも厳重注意がされ、次は私の番、だと思われた時、こう言われた。付いてこい、と。

 

彼に付いて行った先に居たのは、ナーヴギアの何倍もある、機器だった。後で、あれはナーヴギアを元にしたVR機器、メディキュボイドの派生系だと言われた。

更に、私はここから出ることは許可され無かった。継裕さんが何かしらの判断をするまで基本自室で待機。アミュスフィアの使用は許可されたけど、妙な事をしたと判断された場合は即使用禁止。等、厳しい制限を数多く掛けられた。

そして、私に明日奈達へ報告の義務を言い渡した。勿論、継裕君の監視付きで。

 

ログイン早々、皆キヒロさんが居ることに戸惑いも感じていたが、彼自身がそれを素っ気なく対応していたので、次第に私が話せる空気が生まれた。

結果はどうなるか分かっていた。だから彼に、それでも来るのか聞いてきた。彼はそれでも行くと言ったが、やはり置いてくるべきだったのだと思う。皆、キヒロさんを冷たい目線で見てる。それをキヒロさんも同じような目で返してる。そんな空気を更に凍りつかせることが起こった。いや、起きてしまった。

 

 

「ユイ、お前は色々知り過ぎた。暫く眠っててもらう。」

 

そう言った彼は、何やら物凄いスピードでホロキーを打ち、そして…

 

 

ユイちゃんは消滅した。

 

 

その場の空気は更に硬直する。それを切り裂いたのは、アスナだった。

 

「キヒロ君!ユイちゃんになんてことするの!?」

 

アスナのそれを切っ掛けに、リズ、シリカ、リーファがキヒロ君に対して激昂し様々な言葉を投げる。それを打ち破ったのはキヒロ君だった。

 

「当たり前だろ。これ以上知られてはこちらに支障をきたす。だから、消えてもらった迄だ。」

 

「だ、だとしても…!」

 

「本来なら貴様らも処罰の対象だ。勝手に政府関連の情報を知った罰は重いぞ…?幸いそれに気づいたのは俺だけだったからユイが残した痕跡を消すのは簡単だったが…」

 

自らも処罰の対象。そう言われ、皆は黙るしか無かった。私達がした行いによって、ユイちゃんが消された…

 

「二度とこういうのするな。ラン落ちるぞ。」

 

そう言われたら私は落ちるしかない。キリトさんの為にも、今は言うことを聞くしかない。後で事情は全て聞くことにして…

 

 

「そうだ、言い忘れていた。もし、この事を世間にバラしてみろ。和人の命はないと思え…」

 

「なっ!貴方にとって守るべきものはなによ!?」

 

リズがそう投げかける。帰ってきたのは、予想もしてなかった答えだった。いや、その現実から目を背けたかったのかもしれない。

 

「優先順位の問題だ。今、俺が守るべきものがキリトより優先順位が高い。ただ、それだけだ。」

 

 

そう言って彼はログアウトしていった。もう私の知る継裕君はもう居ないのかも知れない…

 

 

 

 

「菊岡、悪い知らせだ。既に奴らは潜伏していると思われる。」

 

「なっ!?一体、どうやって!?」

 

「恐らく、藍子が来たようにここのシステムをハッキングしてきたのだろう。今は神代に監視してもらってはいるが、

 

既に近くに敵が潜んでいると思え…っ!」

 

 

俺は菊岡の袖に付いていた小型の盗聴器を見つけた。それはすぐ様潰したが、思ったより敵が近いと考えた方が良さそうだ。一応重要人物の身体検査を全員し、発信機及び盗聴器は全て破壊したが、この艦内に仕掛けられていないとも限らない。中々骨のおれる仕事だな…

例え仲間に嫌われようとも、俺は、この命が果てるまで、この国を守らなければならない…その為に、迷いを無くすために、"昔の俺に"戻らなければ…邪魔する者は…排除する…

 

 

 

 

 

 

 

 

とある海域…

 

 

 

 

 

ザザっザザっ…

 

 

「既に近くに敵が潜んでいると思え…

 

ブチッ…」

 

 

つーつー…

 

 

「The communication was cut off.(通信が途切れました。)」

 

「It's just as I expected.Who do you think he is?(予想通りだわ。相手を誰だと思ってるの?)」

 

「Japan's only pride as a genius boy...(日本が誇る天才少年としか…)」

 

「If you don't know, that's fine.(知らないならそれでいいわ。)」

 

 

 

It's no different from the boys we boast of.You are a master of murder.You all know that with your own hands.

 

I will take everything away from you, who took everything away from me.

 

Even if this body dies, I will do my best to kill you.Yeah, like that world...

I'll let you win this time.Wait.Solomon.

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ…」

 

Come on!I'll make a clean breast of it.

 

 

両者の対決まで、残り僅か…




久しぶりに早めに出来ましたァ!
(って言っても、構想自体はずっと決まっていたんですけどね…)

ダーク継裕君はどうでしたか?w
主人公が闇堕ちってのも中々いいですよね!?

最後の方の英語は何個か訳していますが、訳していないのもあります!気になる方は是非!訳してみてください!面白さ倍増!(のはず。)

(*´∇`)ノシ ではでは~


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覚悟

色々考え直しまして構想を練り直したっ!
その為という訳ではありませんが遅れてしまい申し訳ありません!

では!どうぞ!


 

 

「継裕、お前の存在意義はなんだ?」

 

 

そう問われたのは約2時間前。今となっては木綿季の為にだと即答できる。だが、前の俺なら…?どう答えるのだろうか。現実世界に未練が無かった俺は死のうとしていたのだ。せめて、誰かの役に立ってからこの世界からさよならをしようとしていた。そんな時に木綿季と出会い、数多くの冒険をして、恋をして…初めて俺という存在が"道具"として以外で認められたと思った。そんな大切な友人らとあんな形で別れるのは少々心残りだが致し方ない。きっと彼女らなら理解してくれるはずだ。俺が守りたかったもの。俺のしたかった事。ただ、あの時と違うのは、今の俺は心残りがある事だ。置いていくことになるのは申し訳ないとは思うが、きっと木綿季なら理解し、俺の事を怒りながらも許してくれるだろう。済まない木綿季…

 

 

 

「自分の存在意義、か…」

 

 

父は、情が無い人間になるように俺の事を育ててきた。その情は、時に自分に対して脅威となり得るし、死へと直結する事もあるからだ。まぁ普通の人間ならそんなことを考える必要は全く無いのだが、俺の場合は色々事情が重なる上仕方ない気もする。

戦闘中の極限状態において、人としての情を残していては勝てるものも勝てない。それは決して殺し合いに関わらず、武道を心得ている者ならあながちなくはない話だ。

 

父はこうも言っていた。

 

 

同程度の敵と戦った時に勝つのは…人としての情を捨てた者だ。

人を斬ることに躊躇うような奴は、死ぬ他ない。

 

 

 

だから俺は、ある目的を完遂するまでは人の心を捨てることに決めた。例えそれで数多くの人に嫌われようとも、信念を貫き通す為になら、喜んで悪役に身を染めよう。それが、俺がこの世に生を受けた意味。"存在意義"なのだから。

 

 

 

 

 

ドゴォン!

 

突然の衝動がオーシャン・タートルを襲う。自室にいた俺はこの衝撃音により、危惧していた事が現実になってしまったと、最悪の事態を悟った。

 

「菊岡!侵入者だ!俺は迎撃に向かう!何人か借りるぞ!」

 

「えっ!?わ、わかった!継裕君頼んだよ!」

 

 

 

数時間前。

 

 

「なに!?和人のフラクトライトがダメージを負っただと!?」

 

どうやら内部において、和人自身に何かしらダメージを負ったことにより、精神的にも来てるとの事だ。元々ここ、オーシャン・タートルに運ばれた理由は、死銃事件のもう一人の協力者である金本淳による襲撃で負った脳へのダメージをSTLによって回復させる為だった。そのはずだったのに、また中でダメージを受けては意味が無い。そう思うのと同時に、またあいつは誰かの為に傷ついているのだろうなと思った。そんな彼だからあんなにも多くの人に愛されているのだと。そんな優しい、いや優しすぎる彼が辛い記憶に心が苛まれているのだと思うと心が酷く痛む。フラクトライトによるダメージは想像するよりも遥かに苦しい。死んでしまった方がましなレベルだ。だから、最後をそんな辛いものにさせる訳にはいかないんだ…

 

「何か解決策あるかね継裕君!?」

 

「ちっ!」

 

思い至ったのは、STLを使って回復させるぐらいしか無いという事。そしてその使用者は詩乃と直葉が1番の適任だと言うこと。恐らく2人が最も彼と近しく、愛していると思ったからだ。その為、六本木にあるラース支部へ連絡し、彼女らに協力を依頼することになるのだが、俺は別任務で忙しい。そこで、俺が作りあげた世界最高のトップダウン型AI、ユイに頼むことにした。

 

「ユイ、頼み事がある。」

 

立ち上げ当初は、申し訳ない気持ちと悲しい気持ち、怒ってる気持ちなどが混ざり合って今にも決壊して泣きだしそうな様子だったが、俺のかなり端折った説明でも理解したのだろう。すぐ行動に移してくれた。幾らなんでも都合良すぎるとは思ったが使えるものは使わないと救えない。これがせめてもの彼女らに対しての償いになるだろう。

 

「比嘉さん!和人のSTLに今から指示するのを繋げてくれ!」

 

「わ、わかった!」

 

 

そして今に至るのだが、侵入者は恐らく祖父らが調べていたNSAから依頼を受けている某民間軍事会社のどれかだ。なんせここは高適応性人工知能と人工フラクトライトを作っているからだ。軍事的に利用価値の高いものをみすみす見逃すわけがない。それを奪いに来たのだとされる。祖父からはその可能性が高く、遅いに来るかもしれない。場合によっては消されるかもしれないと忠告を受けていたが、まさか本当に来るとは。

第一関門は難なく突破された模様。数名の自衛隊員と共にアサルトライフルを携えながら、敵を迎撃しこのオーシャン・タートルを死守する。それが今俺の優先順位において最上位である、日本を守ることに繋がる。その為なら、人間性を捨てることを厭わない。

覚悟を決め、いざ、決戦の火蓋が落とされる。守りきるか、奪われるか。それはここを守りきるかどうかにかかっている。

 

「待て、俺が確認する。」

 

隊員の1人が先走りそうになったので止める。まずは敵の位置を正確に把握する事が大切だ。耳に全神経を注ぎ、どんなに小さい微かな音も逃さないよう耳を澄ませる。聞こえた音的に人数は8人。男は6人女は2人。ただ、その内の1人は後方にいる。体に触れる音からして武器は銃器の類がほとんど。近接用に短刀も所持しているが、メインはアサルトだろう。ここまで数秒ほど使ったが、ここまでは想定内。あとは俺の指示通りにいけば殲滅とはいかなくてもここを防衛しきることは可能だ。ただ、ここで一つ誤算が生じた。それは1人の隊員が出てしまったこと。待ちきれなかったのだろう。強い正義感からなのか正面で撃ち始めたが実戦経験的に圧倒的に向こうの方が上なのが分からなかったのだろう。あっという間に蜂の巣にされ好ましくない音を立てながら横に倒れた。こちらの居場所がバレてしまってはもう戦闘するしかない。それは事前の話し合いで決めていたのでなんとか混乱することは無かった。

誤算はもう一つあった。それは予想より敵の連携が取れており、こちらの動きも読まれていることだった。既に重傷者もで始めており、かなり不利な状況だが応援を呼んでいる時間はない。一瞬、木綿季が頭をよぎったが頭を横に振りながらすぐ消し去る。俺が彼女に会うことはもう二度と無いと覚悟を決め、残り1人となってしまった隊員に最後の命令を下した。

 

「殿は俺が引き受ける。お前は菊岡に報告しに行け。」

 

「えっ!?いやしかし」

 

やめろ。俺の判断を鈍らせるな。

 

「早く!!」

 

どうやら、俺の表情から理解したのかご武運をと言い残し菊岡の元へ走っていった。本来なら無線使いたいところだが盗聴されてる可能性が高いと判断した為この手段をとった。銃声音から相手は残り1人だと敵も判断したのだろう。じわじわ寄ってくるのがわかる。やはり、戦闘慣れをしている。若しくはリーダー役のやつが相当な手練なのか。万が一の時に具え短刀を持ってきて正解だった。あまり弾数が残ってないから既に戦死した仲間のを拾ったりして使ってもいるがそれも時間の問題だ。さぁどうする…

 

 

 

「There's only one person left to deal with, but be careful.(相手は残り1人だけど、油断のないようにね。)」

 

「OK, boss.(了解、ボス。)」

 

 

突っ込むしかない…か。

 

 

「ちっ…はぁぁぁぁぁあああ!!!」

 

雄叫びを上げながら俺は突進して行った。敵は思いがけない行動に面食らっていたが構うことは無い。驚いている間に距離を詰め、叩き斬るだけだ。

 

リミッター解除、60%…

 

 

 

 

「はぁ、はぁ。菊岡2等陸佐っ!報告があります!」

 

「ど、どうし」

 

菊岡は言葉を続けられなかった。よく見ると、彼はそこかしこに血がついており出血もしている模様。これで聞くのは正直身にこたえるが立場上聞かない訳にもいかない。

 

「どうした…?」

 

「はっ!ご報告致します!生き残りは私を含め2人、現在工藤隊長が殿を務めております!」

 

菊岡はこの言葉で状況を全て把握した。敵が予想以上だと言うこと。あの継裕が苦戦しているということ。そして、ここで命を散らすつもりだということ。

 

「君!今から僕が渡すものを彼に届けてくれっ!」

 

これは言わば賭けだ。彼が生きているということに対しての賭け。

 

「もし、渡せなかったら…無事に帰ってこい…」

 

こんな言葉しか絞り出せずにいた。

 

 

 

まず1人、良く考えればこいつらも手練なのだろうが、それはあくまで"普通であったら"の話。幾ら軍人といえどリミッター解除を使えない奴は俺からしたら虫けら同然だと言うことを忘れていた。そうだ、俺が最初からこれを使っていれば犠牲を出すことがなかったのでは…?そう思い至った時にはそこには4体の屍が転がっていた。どう考えても数が足りない。後ろで待機の女1人。ここには男4人。残りの奴らはどこへ…まさかの数え間違いか…?そう考えていたら後方に居たはずの女から"斬りかかってこられた。"ここで俺は3つ目の誤算に気づいた。何故、"こいつが居ないと"勘違いしていたのだろう。

 

 

 

 

「なるほど。お前がいたならこちらの損害も納得だ…

 

 

 

アルバっ!!」

 

 

「久しぶりねぇ、こちらでは継裕かしら?さっ!お互いいい試合をしましょ!」

 

そう言って彼女は斬りかかってきた。その笑顔は狂気に満ちていた。

 

 

 

 

 

 

「なんで…どうしてなんだ!?和人君!?」

 

紺野藍子、朝田詩乃、桐々谷直葉が接続する3台のSTLからは、桐ヶ谷和人の傷ついたフラクトライトを補完するべく、膨大なニーモニック・データが流れ込んでくる。これまであまたの実験を繰り返してきた比嘉でさえ驚愕せずには居られない、奇跡とすら思えるデータ量を持ってしても、和人のフラクトライト活性を示す3Dグラフは、機能回復ラインの直前で止まっている。

 

「これでもまだ…足りないのか…」

 

せめてあと一人、和人君と深い繋がりを持ち、強いイメージを蓄積している人間がいれば…しかし、継裕隊長いわく、今接続している3人の少女達が、間違いなく全世界で最も桐々谷和人を知り、愛している人間らしい。それに、使用可能なSTLはもうどこにも存在しない。

 

「くそっ…畜生…」

 

「まだ諦めないでくださいっ!」

 

どこからか聞こえてきた声に比嘉は驚愕しながら周囲を見渡した。だが、誰もいない。それに今の声は確か1度聞いたことがあるような気もしていた。

 

「あなたの携帯端末です。パパからの伝言です。

 

もし足りないのならば、"中の住民で繋げられる奴は居ないのか?"

 

との事です。」

 

中、ということはUW内のことに違いない。普通に考えてそんな事は起こりえない。幾ら人口フラクトライトとはいえ所詮はデータと思っていた比嘉は継裕の言いたい意味がイマイチ理解できなかった。だが、彼は比嘉が尊敬もしている茅場先輩も認めた天才なのだ。それに、望みがあるとしたらもうそこにしかない。恐る恐る携帯端末に送られてくる情報通りに操作し、和人のSTLに繋いだ。

 

「それにしても、驚かされたよ。まさか、擬似フラクトライトの存在に目を向けるとは…」

 

 

 

 

「くっ!」

 

「あらあら、随分弱くなったわね継裕、それとも"遊んでいるのかしら?"」

 

 

 

負けられない闘いがここにある。




∩(´^ヮ^`)∩って感じ(どんな感じだよ。)

中途半端ですが次話は早めの予定です…!

〜(*´∇`)ノシ ではでは~


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勝者

よしっ!なんとか出せたぞ!
(今までが遅すぎたのだ…)
てか気づいたら60話だと…(ありがとうございますっ!)

いよいよ継裕がピンチ?な状況だが果たして!?

では!どうぞ!


遊んでいる、だと。冗談じゃない。確かに全力とは言えないかもしれない。だが、リミッター解除している状態の俺を遊んでいると表現するとは。相変わらず、末恐ろしい女だ。だが、良く考えれば、"かの世界で"こいつに剣術で勝ったのは記憶を辿る限り両手で数えられるかどうかという程。戦った回数はほぼ毎日だったような気もするから、勝率としては1%もいってないのではとさえ思える。

 

「貴方は確かに、仮想世界なら最強かもしれないわ。でも、ここなら私の方が強いかもね?」

 

実際その通りだろう。単純な剣術勝負ならほぼ負け確実だ。辛うじてリミッター解除なんていう離れ業があるから何とか凌げているがそれも時間の問題だ。およそ60%では1時間ほど。80%にもなると30分ほど。100なんて言うと10分程しか持たないだろう。ただこれはあくまで"それのみでの計算"である為、当然、重ねていったら使用可能時間は短くなるに決まっている。それ故に出来るだけこのままの状態で倒したいがそれすら叶わぬ現状。さて、どうする…

 

 

「私結構君のこと知ってるよ〜特に身体のこと。

 

リミッター解除って体をかなり酷使するんでしょ?だから私を早く倒したいんだよね?

でもね?

私貴方のように使える人と何度も戦ってきたから、慣れているのよね〜」

 

慣れている。これは脅威だ。だが裏を返せば、慣れていること以外をやられると焦り始め、今まで対処出来ていたものすら出来なくなるという点だ。ただ、ここまで戦闘に関しての情報が多い奴ではそれを見つけることすら叶わないまま死んでいく。

 

「ほらほらっ!このままだと死んじゃうよ!?もっと抗ってみせてよ!」

 

腹を思い切り蹴られた。もし力をいれていないままだったら、内臓までダメージを受けていたであろう事は容易に想像がついた。現に、カバーしたにも関わらず、暫く立つことすら苦しいほどのダメージを負った。この状態で更に、リミッター解除の制限を解除していくと通常の半分持つか持たないか、という所だろう。

でも、やるしかない、のか。この化け物女に勝つには…たとえ勝っても、生きれる保証はないのに、でも僅かな希望を消さないために、やるしか、ない!

 

リミッター解除、80%…

 

 

「おっと!?」

 

先程の彼とはえらい違いだ。剣先が掠るとすら思ってい無かったが、これは考えを改め無くてはならない。先程からこちらも"擬似、リミッター解除"を使用してはいるがやはり本家には勝らないということか。なんとも忌々しい。だが、ここで勝てば私は更に認められる。私の欲しかったものが手に入る。だからこんな年端も行かない青年に、負ける訳にはいかない。

 

「悪かったなアルバ。お望み通り本気で行くぞ。」

 

と言っても、これでは長い時間は持たない。適度に切って入らねば体は持たない。ただ、その操作自体もかなり難しいから結局は消耗するのだが、それは相手も同じこと。言わば消耗戦で勝つのはどちらかという事だ。

 

「楽しみだわあなたの本気。ならこちらも誠意に答えなくちゃ。」

 

擬似、リミッター解除90%。

 

同時に地を蹴り、神速とも言えるスピードで剣を交差させ、弾き斬りこみを自らが持てる限りの重さ、速さを相手にぶつけて行く。呼吸を整えている間はない。有るとしても鍔迫り合いの最中であったり2人とも下がっていた場合だ。息が切れたら怒涛の攻撃を食らうためである。同じレベル通しの相手であった場合、先に息が切れた方が負ける。防戦一方となって勝つ事があるとしたら、相手が攻め急いだか、それすら跳ね返すカウンターがあるか。たが、そのカウンターをするにも、労力は使う。つまり、それが出来るまでは耐えねばならない。だから極めて防戦一方の奴は勝つ可能性が低いのだ。

人が負けるとしたら、先に心が折れた方だとも言われている。一度折れたものは二度と立ち向かうことは出来ない。だから持てる限りの力を持って戦い抜かねばならないのだ。

 

 

大分斬りあったが、未だ勝機は見えない。何せ隙が全く見当たらない。どこに斬りこんでも返される未来しか見えない。どうすれば、いい。いや、考えるな。感じろ。人間は完璧ではない。いつかどこからか勝手に隙は生まれるものだ。そこをつけば…

 

流石と言わざるを得ない。VRでの戦闘が現実に影響を与えるとは聞いていたけど、まさかここまでとは。段々私の攻撃に順応し始めている。早いとこケリをつけないと。いや、ここは私が耐え切って、別働隊のアイツらが来るのを待つっていうのもありだ。それなら確実に殺せる。だけど、それは、

 

私のプライドが許さない。

 

彼は、私がずっと、お会いしたかった人を殺したのだ。

その日から、私の心は決まっている。

 

あの方が受けた報いを、晴らすと…

 

 

「っ!?」

 

急にアルバの剣が重くなった。俺はそれに対応しきれず弾いた。だが、それは場面を好転させることは無く、寧ろ悪転させてしまった。アルバは弾かれた衝動を利用し、回転しながら俺の左腕に斬りこんだ。

 

 

 

 

 

私は懸命に走った。工藤隊長に武器を渡す為に。

 

私からして、最初の彼の印象は最悪だった。幾ら上司とは言え菊岡2等陸佐を問答無用で殴り飛ばし、我々に指示出しをしたからだ。だが、彼がその立場には実力でいる事はすぐ知ることとなった。菊岡2等陸佐の袖につけられた盗聴器を真っ先に発見し、その後艦内に設置されていた実に30にも及ぶ盗聴器等を見つけ出し破壊して見せたからだ。中には爆弾機能も付いたものも数多くあったのだがそれも難なく解除して見せた。それに彼は、非情ではあるが正論を述べる。これは戦地では1番重要なことだ。感情的にならず、一何時も冷静沈着で居られるのは容易なことではないからだ。

彼の凄さは皆肌で感じ、心で感じていった。私はそう思っていた。皆、私と同じ気持ちのはずだと。だが、実際は違った。先程の防衛戦も、隊長を信用してないから起きた惨事だ。確かにこの短い期間では難しいかも知れない。でも私は、皆思いは一つだと、勝手に勘違いしていたのだ。その結果がこれだ。もっと私から彼らに伝えられることはあったはずだ。そうすれば、隊長が1人で殿をすることも無かったのに…!

 

現場に着いた時には、決着が着来そうな場面だった。隊長の左肘から下の部分はそこに落ちていた。夥しい量の血が流れ、止まらずにいた。今すぐ止血しなければ出血多量で命が危険になるレベルだ。もう、私しかいない。私がやらねば…!

 

 

 

 

「まさか、ここまでとは、な。」

 

「簡単には殺さないわよ…もっと痛い目に遭わせてあげるから…」

 

ごめんな、木綿季。お前が俺に話したこと、叶えてあげられそうにないわ。幸せにするって誓ったのになぁ。嘘つきで、悪かった。

 

ありがとう、木綿季。

 

 

 

「たいちょぉぉぉぉおおおおお!!!!」

 

 

あいつは確か、俺が送り出したやつじゃ…

彼は走りながら、継裕に振りかかっていた剣を止めた。

 

 

その刀は、俺の…

 

 

「相棒じゃねーかよ…」

 

 

俺が愛用している刀は、2尺6寸ばかり程のものだ。少し長めだが、この位が自分にとっては1番扱いやすい。その相棒が目の前にある。俺はまだ、死んではいない。まだ、戦える。

 

「隊長っ!これでどうか」

 

これ以上言葉を続けることは無かった。アルバによって首元から斬り落とされたからだ。頭は宙を舞いながらもなにか訴えかけているような気がした。そして残った胴体からは、血が勢いよく、噴射し血のシャワーを浴びせた。その時、俺の頭の中である記憶がフラッシュバックした。俺の愛する人が、殺されている映像を…

 

 

「邪魔が入ったけど特に問題は無いわ。さっ、続きを」

 

ふぅん。今までの中で一番の殺気ね。余程頭にきたのかしら…?

 

「お前、"シバ"もこんな風に…殺したのか!?」

 

「シバ…?あぁあのこね。ええそうよ。彼女は面白かったわっ!だって私には絶対に勝てないと分かっていても抵抗してきたのよ!あれこそ過去最高に血が煮えたぎったわね!」

 

「そうか、なら丁度いい。貴様を殺しがいがあるってものだ…」

 

 

どこからそんな力が出るのであろう。アルバは疑問に思った。今受けている刀の重さは先程までとは比にならない。気持ちが乗るだけで、こんなにも変わるものなのか…?意思では私も負けていないつもりだった。でも彼は私の意思を遥かに上回っているとでも言うのだろうか。あの世界のように、意思でどうにかなるなんて事は起こりえないはずだ。でも目の前の重さは、それを塗り替えてしまうほどに、重い。

 

そこから私は防戦一方になった。先程までと完全に逆転だ。継裕は腕が1本無いはずなのに、出血量も夥しい筈なのに。何故、まだ、動ける!?

 

そう考えていたら、あっという間に右腕を斬り落とされた。刀は下に落ちていった。切先が地に着く前に、継裕の剣先が私の首に迫る。だが、そこまでが限界だったのか。僅かに軌道がズレた。私は間一髪で避けきり、右腕を拾い、逃げることを選択した。今回は勝てなかったけど、次こそはという思いを込めて。

 

 

 

なんとか撃退した。自分でも不思議なくらいだ。人をあんなにも、憎しみを込めて殺そうとしたのは初めてではないか…?そう思うと同時に、自分の左腕から激痛が走った。思い出してみれば、自分の左腕は斬り落とされていたのだ。この出血量から見ても、よく動いていたなと思う。アドレナリンが切れたのだろうか、次第に瞼が重くなってきた。左胸に入っている携帯端末からなにか聞こえるが、もう聞き取ることは出来ない。

思い返せば、濃い人生だったなと思えた。高度な英才教育。感情豊かな仲間たち。守りたい人も出来た。

目の前に誰かが来た。もう、目もよく見えない。黒ずんでいる。それは何かしらの症状なのか、血なのかは分からないが、まぁわかる必要も無いだろう。俺の戦いは終わった。守り切ったはずだ。胸を張れる、筈だ。ここまでの人生において、悔いはない。

来世は普通の子供として、生きてみたいな。

 

 

 

ありがとう。

 

 

 

 

 

僕が彼を見つけた時は酷い有様だった。明らかな出血多量。普通なら死んでいてもおかしくは無いが奇跡的に、脈はある。残念なことに意識は無かったがまだ助かる可能性がある。なら僕がすることはひとつだ。何としてでも助ける。それが彼に対して行える罪滅ぼしだ。彼が進んで行った悪役。そんな誤解をされたまま死なれては後味が悪い。ちゃんと誤解を解いてもらわなねば。

 

 

 

 

 

 

「shit!」

 

 

まさかここまでとは…途中まで完全にいけると思った。いや、行けてた。なのに…!

 

「Only you survived?(生き残ったのは貴方だけ?)」

 

「No, I have the Vasagos(いいえ、後ヴァサゴ達がいるはずよ。)」

 

 

「He lost the game inside.with the captain(彼なら負けましたよ。隊長と共に。)」

 

 

 

So, it was only this engineer and us who were left behind.Well, I can't go back like this.

I'll win next time.Tsuguhiro

 

 

 

 

The battle has just begun.

 

 

 




出せたっ!(出す出す詐欺しなずにすんでよかった…)

次回はどうなるのやら…

(*´∇`)ノシ ではでは~


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第62話 Underworld Edition Complete

最近ペース良さげ!(これからも続けるぞっ…)

ってことで投稿です!現実サイドのみだから早く終わった!

では!どうぞ!


継裕の入院先にて。

 

 

 

 

 

「なにを、しているんですか…?」

 

ボクは目の前の光景を理解するのに時間かかった。目の前で"行われている事"は継裕のお父さん曰く、"実験"らしい。でも、どこからどう見ても、虐待に近い行為には変わりはないのではって思った。そこには、何かしらの薬を撃ち込まれ、もがき、苦しんでいる継裕が居たからだ。ボクはただそれを見ているだけなんて御免だ。ボクと継裕はあの世界から、互いを助け合うって決めたから。

 

「継裕を解放してください!」

 

「それは出来ない。」

 

「何故です!?」

 

継裕のお父さんは未だに心の奥底がよく見えなくて怖い。ここで歯向かったらボクにも何かされるかもしれない。でも、それでもやらないといけないと、言われた気がした。

 

「継裕は来るべき戦いに備え、このような実験に"協力"しているのだ。邪魔することは、彼の意志を無視する事になる。」

 

あれが、協力?

 

正直、継裕のお父さんは正気の沙汰では無いと思わざるを得なかった。息子を実験台にする親が普通いるのか…?少なくともボクの周りにはそういう人達はいなかった。継裕の話で聞いた事があるのは、海外の王家で、毒殺されないように少量の毒を事前に飲み、耐性をつけるというものがあると聞いたことがあるが、目の前のこの光景はそれを遥かに凌駕していると思える。拘束具で手足の自由を奪い、地面に寝台を固定し、完全に身動きを封じている。あれの何処が"協力"なのか。それとも他に何か意図があるのか。それを確認するためにボクは1歩半前に進んだ。

 

「危ないから下がりなさい。」

 

1歩半進んだと言ってもまだ1メートルは離れている。さらにガラス越しにも2メートル程は離れていると思われるから、幾らボクの目が良くても詳細は想像でしか補えない。それにこのガラスはどう見ても強化ガラスだ。そういうステッカーが貼ってあるし。それでも尚、何が危ないのだろうか。答えは数秒後にわかった。

 

なんと、継裕を固定していたはずの拘束具は引きちぎれており、寝台は地面から完全に離れている。いや、離れたのだ。そして起き上がった継裕はそのままこちら側に向かってきて、力の限り強化ガラスを殴った。

ボクはその光景に目を疑わざるを得なかった。普通に考えれば人の手が粉砕骨折して、強化ガラスは無傷だ。だが、実際に起きたのはその逆だった。ギリギリのラインで継裕のお父さんがボクの前に立ったから無傷だったけど、ガラス片の飛び散り具合的にお義父さんは無傷では無いはずだ。そう思って声かけようと思ったその時、

 

「だから言っただろ?危ないと。」

 

 

そしてお義父さんが右に避けて目の前に現れたのは、両手首が拘束具が付いたままの継裕だった。目は本当にボクの知っている継裕と同一人物なのか疑うほど殺気に満ちているし、露出している肌からは血管の浮き出がハッキリわかる。少々血管フェチでもあるボクでも少し引くレベルのだ。そして殴ったとされる右手からはガラス片が刺さってる以外の外傷は見当たらなかった。

 

 

 

 

「おい、何故木綿季がいる。ここには呼ばない約束だろ親父。」

 

 

 

緊迫した空気があたりを覆う。継裕がお義父さんにあんなにも鋭い眼光を向けたのを見たのは初めてだった。これがもし親子喧嘩と言うのであればその空気はかなり異様だ。

 

「いずれ知ってもらなくてはいけないものだ。」

 

「時期尚早だ。」

 

「適切な時期だ。お前に情を芽生えさせた木綿季君には知ってもらうべきだと思ったのだがな。」

 

情を、芽生えさせた?

 

「ペラペラ喋ってんじゃねぇよ…」

 

「それすらも話していないのか。ではこれも知らないだろうな。」

 

そしてお義父さんはボクの方へ向き直ってこう言った。継裕は必死に言わせるのを避けようとしてたけど、お義父さんの口が開く方が僅かに早かった。

 

「継裕はな、"○○○○○○○○"なんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「迎えに来たぞ、菊岡君。任務ご苦労だった。」

 

他に声掛けが無いのかと思ったがこれに期待するだけ無駄だと思い出した。継裕君を引き取りに来たのは彼の父親だった。どうやら近隣に停泊中のイージス艦は既に買収された後だという事だ。それなら敵がこんなにも容易く侵入してきたのにも説明がつく。既に管理者は捕縛済みだと言うがそれにしてはここに来るのが遅いと思っていたら、戦闘することを踏まえ事前準備も兼ねて来た様だというのは明らかだった。彼の父へ謝罪と共に継裕を引渡した時驚きのあまりか目を見開いていたが口から出た言葉は、父としてなのか軍人としてなのかは分からなかった。

 

「一体誰が継裕をここまでに…」

 

 

 

 

 

オーシャン・タートル内に残された他のけがも全て運び込まれ、残ったのは無傷の人らと、神代凛子博士、そして和人と藍子だった。この2人はアリシゼーション計画の最終目標でもあるアリスを保護することに尽力した結果、2500万倍に加速されたUW内に取り残されたとの事。15分後には開放されたが何せ、中で200年ほどの時を過ごしただけあって、目覚めることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか自らを死なせる"設定"にするとは驚きましたよ。

 

 

 

菊岡さん。」

 

 

こう言うのは比嘉君。本当のところ僕より適任な人が居たのだが、その人にすると世界規模で問題になってしまうと口止めされたので、今回世間に公表される死亡者は僕となっている。それと実際に亡くなったのは自衛隊員。彼らを守りきれなかったのは僕の責任なので、彼が戻ってきたら真っ先に謝罪と、お礼を言いに行かなくてはと誓った。もっとも、目覚めたらの話だが。

 

 

 

今、木綿季と共にある人物の見舞いに来ている。その人物は言わずもがな継裕だ。俺がUWに囚われている間にあった現実サイドでの戦闘において致命的ダメージを負ったらしく、こうして長い間入院している。遂に木綿季の口からあの時のことについて聞くことは無かったが、何かしら事情があるのだろうと読み取った。今いるのは紺野姉妹と俺だが、あと2分ほどで他のメンバーも集まる予定だ。早速、1人目だ。

 

直葉だ。なんでもUW内では地神テラリアを扱い、ダークテリトリー、いや海外サーバーの奴らと戦い抜いた凄腕剣士。これは後で聞かされたのだが俺のフラクトライトの治療に力を貸してくれたのも彼女らしい。

 

次に来たのは遼太郎基クラインとエギルだ。相変わらずエネルギッシュな存在感を放つ2人だが、表情は決して明るくはない。この2人もUWを守る為に尽力してくれた。俺の大切な仲間だ。

 

更にリズ、シリカ、シノンが到着。3人ともUW内でこれまでに無い戦いっぷりだったそうだ。特にシノンは暗黒神ベクタ基サトライザーに一撃見舞った凄腕狙撃手。すぐと同様に、俺の回復するのに手伝ってもくれた命の恩人だ。

 

最後に明日奈。これはこっちに帰ってきてから知ったのだが、元々は継裕の許嫁だったらしい。だから、という訳では無いだろうが継裕の事を大事に思っているひとりだ。UW内でも流石元血盟騎士団副団長と言うだけあって見事な指揮っぷりだったとみんな褒めていた。勿論本人はあまり宜しくは思ってはいないが。ただ、役に立ったのなら良かったと言っていた。この辺が彼女の優しさが滲み出ているところであり、魅力の一つなのだろう。

 

と、ここで予想外の人物。菊岡さんが現れた。なんでも継裕に関して俺らに伝えておきたい事があるらしく急遽参加という形だ。そして彼の後ろには継裕の姉である、アルゴ、葵さんがいた。

 

 

「おほん、今日は皆に伝えたいことがあってこの場を借りることになった。」

 

皆、静かに聞いている。今か今かと菊岡さんが発する言葉を急いている様にも感じた。

 

「事前に藍子君から継裕君がALO内で発した言動、それについて弁明させて頂きたい。そう思ってここに来た。」

 

心当たりの人間がいるのだろう。その当人達はしっかり、耳を傾けていた。俺は何があったか全くわからないが。

 

「まず分かってもらいたいのは、あれは彼の本心ではない、という事だ。」

 

その時、勢いよく立ち上がったのはリズ、里香だった。

 

「そんな事は言われなくても分かってるわよ!ただ!その理由を知りたいの!」

 

これには明日奈、シリカ、すぐも同調するように首を縦に振る。菊岡さんはまるで用意してたかのように、その質問を答えた。

 

「そうだね。理由はね、簡単に言うと彼はいつも"最前線で戦っているから"。では駄目かな?」

 

「私達にもわかりやすく、お願いします。」

 

こう言ったのは明日奈だ。まぁ確かに何が言いたいのかはよく分からないが引っかかる言い方でもあるなと俺は思った。

 

「うーん。君達が守りたいものを守るように彼も守りたいものがあるでも、駄目かな…?」

 

どう見ても明日奈達は納得している様に見えなかったので、菊岡さんは、ため息を付きながら覚悟を決め話そうとしていた時、それを制止する声が後ろから聞こえた。

 

 

「そこまでだ。菊岡。」

 

 

発したのは継裕だった。すすり泣きが聞こえると思ってはいたがまさか起きてたとは。因みに木綿季は直ぐに気づいたらしい。流石と言わざるを得ない。これは後で言われたのだが、姉である葵さんも気づいてたらしい。みんながあまりにも気づかないから笑ってしまうところだったと言っていたが目が純血していたのでこれは嘘だろうなと思った。

 

「い、いつから起きてたのかね…」

 

冷や汗が出てるような気がするのは気の所為だろうか。そう言えば俺は、結局のところ、2人の関係を知れなかったのだと唐突に思い出した。

 

「守りたいものがある、からだな。いいんだ菊岡。別に俺は弁明される必要は無い。」

 

「体起こす?」

 

そう問いかけたのは木綿季だった。かなりの涙声なのは致し方ないが継裕の行動を見るまではなんて言っているか正直分からなかった。木綿季の頭をポンポンしながら、柔らかい微笑みを木綿季に向けてたのはかなり木綿季的に嬉しかったようだ。いつの間にか涙も引っ込んでおり今は満面の笑みでいっぱいだ。なんか久しぶりに木綿季の笑顔を見たような気がしてこっちまで笑顔になる。周りの皆も気づいたら泣いていたり鼻をかんでいたりでティッシュが秒で無くなりそうな勢いだ。

数分経たないうちに継裕の父親が来て色々検査し、1週間もすれば退院出来るとのこと。またこのメンバーが揃うんだ、と思うと涙が止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「How about it?Are you on?(どう?進んでる?)」

 

「Yes.I will be able to link it soon.(はい。もうすぐリンクさせることが出来ます。)」

 

「so,Please let me know as soon as you are ready.(そ。準備が完了次第連絡ちょうだい。)」

 

 

 

 

 

A new battle is not so far off in the future.And it's the biggest war ever, war.




よしっ!取り敢えずUW完結かな?
(ちょくちょく話題では出すかもだけど…)

次からは新章!こっからは完全オリジナル!
(色々ぶっ込むぞー!)

(*´∇`)ノシ ではでは~


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第7章 新ALO編
第63話 奇妙な出来事


続きを待っていた人もいたかもしれません…!
ですが!
想像してたものが消えてしまう前に書かないとっ!
と思いまして…(今までもこうして何回か消えてる…)
折角まとまったので先にこちらを出しました!

では!どうぞ!


 

これは夏休み期間中に起きたある出来事である。

 

 

 

「なぁ、キヒロ。最近妙なバグ多くなってきてないか?」

 

こう指摘するのはキリト。確かにキリトの言う通り、ここ最近妙なバグが増えてきているのは事実だ。例であげるとするなら、未実装のアイテムだったり、見慣れないスキルがあったり(しかもこれは取得不可能で文字化けでよく読めない)、兎も角全体としたら微々たるものだが、ゲームとしては致命的になりかねないバグが相次いでいるのだ。しかもそれ自体はここ一週間続いているのでそろそろ運営から何かしらお知らせがあってもいいものだと思われるのだが…

 

そんな時、運営からお知らせが来た。大体的なアップデート予告するからと全ユーザーにログインするように勧めてきた。これが、またあれが始まる前兆だとは微塵にも思わなかった。

 

「ようこそっ!新しき世界へ!」

 

これが悪夢の始まりだった。

 

空1面、血のような赤色に塗りつぶされる。アインクラッドの空を埋めつくしたのはへキサゴナルパターンだ。それらの表面にはWarning、そしてSystem Announcementという文字列が交互に並んでいる。これは、あの日、もう4年近くも前のこととなる、2022年11月6日。世界初のVRMMO-RPG、ソードアート・オンライン正式サービス開始初日の午後5時30分、1万人のプレイヤーは街の広場に強制転移させられ、直後、真紅の六角形が空を埋めたのだ。結局、あれを脱出するのに2年もかかったのだ。まさか、あれが繰り返されるのかと、そういう、心境だった。

 

今回は前回と違い、1箇所に集められるとのことは無かった。ただ、それ以外はあの頃と全くもって同じだった。顔を始め、体型なども現実のものへも変わっていったのだ。そして、ルール説明だとし、ぬけぬけと説明し始めた女の口調を、俺はどこかで聞いたことがあるような気がした。いや、明らかに加工した声だったので女だったかも怪しいが。

 

 

 

説明された内容は甚だ信じ難い。ただ、上空に映し出された現実世界の様子が全てを物語っていた。

 

告知された内容はこうだ。

 

・ALOに既存している魔法とは別のものを追加すること。

 

・アインクラッドを第100層まで攻略すること。

 

・この世界で死んだら現実世界でも死ぬこと。

 

・今までの小さいバクはこの前兆であったこと。

 

 

内容はこの4つだったが、全プレイヤーを驚愕させるのにはあまりにも充分すぎた。しかしどのようにしてアミュスフィアで脳へダメージを与えられるようにしたのか。それについてもすぐ説明がなされた。その方法とは、サーバーから直接、高出力マイクロウェーブを放出するというかなり大胆な方法だった。勿論リミッターが発動するはずだが、それを解除すること自体はそう難しくない。そして、サーバーから直接送れる理由がもう1つ。それはこの世界は加速している、という事だ。つまり、UWと何ら変わりはない。つまり敵は何処からか盗み出したのだ。加速世界の実現方法を。

 

ここまでの事を聞かされ、たどり着いた答えは1つしかない。敵は間違いなくアルバらだということ。目的は未だに分からないが、分かるのはそう遠くない未来だろう。

 

 

 

 

一頻りの説明が終わったのか。バイバーい等といかにも場違いな声のトーンで話す声が聞こえなくなったと思ったら空は真紅から透き通るような青色へと変わっていった。

 

まず確認しなければならないのは、追加された魔法やアイテムについて調べることだ。魔法の方はどうやら発動条件が今までのと完全に違うことだ。基本的には何ら変わりはない。ただ、人によって魔力量が違うという事だ。これはキリトのと見比べたので間違いはないだろう。そしてもう1つ。これはあくまで推測だが、この世界に現存する粒子、つまり空間リソースが魔法の威力に大きく関わるだろうということだ。これはUWの加速能力を利用しているからという希望的観測からもたらされた結論だが、もしこれが可能なのだとしたらかなり戦闘には有利に動くはずだ。物は試し、だ。早速やってみることにする。

 

 

「えぇと、ハルハール・インフィガール!(灼熱の双掌)」

 

推定射程5メートル、威力は目の前にあった木が焼けるほど。これは単純に自身が持ちうる魔力を使っての話だ。って事で、空間リソースを利用するというものを試してみたら、推測が正しかったことを証明出来た。射程、威力ともに2倍以上になったのだ。しかも魔力消費量も先程より抑えられている。早速ユウキ達と合流して、これを伝えようと意見が合致したのだがここで更に事件が起きる。なんと、

飛べないのだ。

羽が完全に消滅しているらしい。恐らく、これすらも魔法で補っていくしかないのだろう。キリトはコツを掴んだのかスイスイ飛んで行った。ここに来てUWの経験が生きているのだろう。確か心意とか言うやつだ。思いの外空間リソースの使い勝手が良かったので、これならアインクラッド攻略も昔よりは早く終わるかななどといった希望をもてた。今の最前線は46層。しかもリセットされた形跡は無いので案外すぐ脱出出来るかもななんて思っていたのは間違いだと、気付かされることとなる。

 

 

 

 

 

「くそっ!まさか、こうくるとは!」

 

まさか、UWの技術がこう悪用される日が来るとは誰が思っただろうか。それもこんなにも早く。思えば我々は奴らを甘く見ていたかもしれない。公安によって厳重に管理されたイージス艦の保安官も獄中にて毒殺された時から、いや、もっと前から対策を念に練っておく必要があった。こんなにも大体的に来るとは全く持って予想してなかった訳では無い。ただその可能性は低いだろうと見ていた。それ故に何も手を打たなかったのが我々の対処が遅れている原因だ。敵は我々のことをよく把握している。人材の適材適所が正しく行われ、ある程度の犠牲も厭わない。操作の甲斐あってか、組織における順位ずけや役職はハッキリしてきたが詳細は未だ不明の部分が多い。対して、こちらの陣容は割れているようにも思える。この状況下で敵を見つけ出し、捕縛するのは簡単ではないがやり遂げなければ報われない者も数多いはずだ。だからという訳では無いが、ここを終着点にするつもりで戦っていこうと思う。父として息子には負けられないしな。

 

 

 

 

 

 

 

これで、私が戦う準備は整った。今の状況では戦っても楽しくは無いだろうから、もう少し待つことにしようかしらね…?ふふふ…

 

 

 

 

争いは争いを呼ぶと言うように、戦いも戦いを呼ぶのだろう。そしてそれは互いの信念が強ければ強いほど、激しさを増す。その先にあるのは……………

 

 

 

 

 

 

 

破滅のみ…

 

それを覆すことは、出来るのか…

 

 

 

 

Is it the hell of heaven that has stirred up those who experienced war again?

 

 




まぁ序章としてはいい感じ?(と思いたい…)

色々設定はこれから進めながら詰めていくつもりです!

SAO見たんですけど(唐突)ベルクーリいい声やなぁ。
勝手な妄想なんですけど、継裕の父親の声を諏訪部順一さんで
自分は再生してました笑

皆さんはどうですか?もし宜しければ教えてくれると嬉しい!

(*´∇`)ノシ ではでは~


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記憶

2週間遅れとなってしまいました(よかった越えなくて…)
って事で投稿しますぅ!

では!どうぞ!


 

今の最前線は50層。ここが解放された時真っ先に行動を起こしたのはエギルだ。旧アインクラッドでも店を開いていたがここでも開くつもりらしい。あの阿漕な商売をまた始めるのかとキリトは顰めっ面をしていたが内心嬉しいに違いない。それはエギルの店を知っている者ならみんなそうだろうか。因みにリズベットもだ。47層が解放された瞬間、本当に女性なのか疑うレベルの表情をしながら懐かしの建物を購入しようと走ったのは今でも忘れられない。まぁそれ程思い入れがあるのだろう。

仲間が少しでも精神的に和らぐのなら俺的にはこれ以上のことは無い。少しづつだが、他のプレイヤーにも活気は戻ってきている。あれから3層突破してきたが、ここまで死者が0なのは喜ばしいことだ。あくまで攻略組としての話だが。やはり、中層プレイヤー以下のヤツらにとってここは地獄でしかない。まさにデスゲームなわけだ。

 

今この最前線を支えているのは、1度目のデスゲームでも最前線を張っていた者や、このALOにおいての最前線プレイヤーらだ。お陰で上手くバランスが取れ、攻略において何も支障はない。だからこその不安、もあるがそれはボス戦としての経験を積むほどに払拭されていく。それもそのはずだ。魔法無しの剣の世界で生き残ってきた前線プレイヤーと、魔法主体の世界での前線プレイヤー。この組み合わせが上手く噛み合えば難なく攻略することは出来る。そしてそれはボス戦への結果として現れている。

 

 

 

「ラムズ・アルサーロス!(降り注ぐ雷槍)」

 

 

今俺が放ったこの技は8つに分かれた雷槍が突き刺さる技だ。基本防ぐことは出来ない為、被ダメージが大きいのが最大の魅力だ。ただそのためなのか、消費魔力が高い。あまり基礎魔力量が高くない傾向があるノームやサラマンダーはこれほどの技は連続で3発撃てるかどうかといったところだ。ウンディーネですら10発撃てればいい方らしい。因みにこの魔力とやらを復活させるには休憩するしか無いので、基本的にはALOから使われている詠唱魔法がやはり主流だ。

ただ、やはり例外はいるようで中には基礎魔力量が高い者も存在する。そいつらは攻略においては最大の戦力となる為、かなり重宝されている。因みにスリーピングナイツにおいてこれに該当するのは、俺とユウキとランだ。他に俺の知っている人からでは、アスナとリーファ、サクヤといったところだ。他にも10名ほどいるらしいがそれはこの世界でも立ち上げられた血盟騎士団に所属しているらしい。俺はてっきりアスナは戻るものだと思っていたが戻ってはいない。理由は知らないが。因みにその血盟騎士団を率いているのは鋭二、ノーチラスだというのだから何が起こるかは分かったものじゃない。

 

暫く新たな魔法の練習をしていた俺の元に1人の女性が近づいてきた。

 

「キヒロ、ちょっといい?」

 

ユウキだ。俺は首を縦に振り返事をする。

 

「その技、アルマトランで覚えたんだよね?」

 

「そうだがそれはユウキも知っているだろ?」

 

ユウキは首を縦に振る。正直今ユウキが何を考えているかは予想できない。ユウキはこの技使えるし、なんなら空間リソースを使って威力の増大だって可能だ。俺的にはそれをどこで身につけたって思うがな。

 

「ねぇキヒロ。本当にボクのアルマトランでの姿、覚えていないの…?」

 

深刻そうな顔してたから何事かと思えばその事かと思った。この質問は1度や2度されたものでは無い。恐らくこっちの世界に囚われてから幾度となく聞いた質問だ。その度俺は申し訳ない気持ちになるが知らないものは知らない。だから答えることは出来ない。こればっかりは嘘ついてもいつかバレると思っているし、嘘つきたくもない。ただこれだけは確信していることがある。きっと、ユウキ、木綿季はあの世界でも俺を支えてくれていたのだと。

 

「すまん、覚えていない。」

 

「そう、だよね。ごめんね、変な事聞いて。」

 

 

ボクはキヒロなら名前を告げなくてもボクだと分かってくれると思っていた。だけどそんなことは無かった。それもそのはずだ。ボクの見た目は完全にSAOの頃とは別人。更に言うと声も違う。辛うじて性格が一致しているくらいかな…?そしてボクもキヒロを探し、見つけ出すまで物凄い時間かかった。ずっとそばに居たのに気づかなかった。あの時、スリュム討伐でその姿を見るまでは。だから、ボクは人のこと言えない。この世界でもその姿になれればと思っていたけど、何をしてもうまくはいかなかった。キヒロに至っては、そもそもあのアバターは別垢だから今なることは不可能だと言っていた。結構好きだったんだけどなぁあの姿。

 

 

 

 

 

「どう?今人員どのくらい?」

 

「ざっと50人ほどです。」

 

「そう、その調子でね。」

 

 

 

 

 

「キー君。」

 

俺をこう呼ぶのはこの世で一人しかいない。

 

「なんだ?アルゴ。」

 

俺の姉、葵ことアルゴだ。度々こうして会っては現段階の死亡数とかの情報を流してくれる。だが今日は違う内容だった。

 

「実は最近中層プレイヤー間において不穏な空気が漂ってて。」

 

「内容は?」

 

「プレイヤーが次々に消えていくって話。これはちゃんと調べたから間違いないと思う。」

 

なるほど。にしてもなんで中層プレイヤーなのだろうか。何か意図があるのだろうか。

 

「更に言うと、消えていく人の傍には必ず杖を持った女の人がいるらし」

 

「どんな杖だ!?」

 

キー君がこう乱れるのは珍しい。冷静沈着。それがキー君という人間だからだ。ただこうなるのは決まって嫌な予感がする時だ。案の定、説明をしていくにつれ顔が青ざめていく。そして言ったことは、

 

「いいか、落ち着いて聞いてくれ。恐らく、中層プレイヤーが消えていくのは序章に過ぎない。恐らく時間が経つにつれ攻略組も消え始める。これは"奴ら"が動いていると見て間違いない。」

 

なるほどそういう事か。だから慌てたような表情をしているのか。

そのあとこの怪事件を新聞に載せることに決めた。キー君が言う奴らはもちろん伏せて、だ。ただ例え新聞に載せることにしても被害は勿論止まらないし減ることもないだろうとキー君は言っていた。

 

 

 

51層から60層間で印象に残った層は、55層、58層、60層だ。

 

55層ではハクビシン・ザ・ブレイズコアというボスモンスターだったがこれは名前からは想像もつかない凶暴さだった。ハクビシンは漢字で書くと白鼻芯と書く。その名の通り、額から鼻先にかけて白い線があるのが特徴的なネコ科の可愛い動物なのだ。中国等では昔食用とされていたらしいが…決して大き過ぎないし人間に対して害を与えることは無い。昔とある病気に関して媒体源だと疑われていたらしい。結局コウモリだったのだがそれは置いといて。兎も角、名前からは想像もつかない凶暴さだった(大事なことなので2度言った)。

 

58層はアヌビス・ザ・イビルサーガというモンスターだった。名前の通り、アヌビスというから形態は犬なのだろうと想像していた。実際は違ったが…見た目は確かに犬だった。だが、動き方は人間そのものだった。お陰で腕が2本空いたからか巨大な大剣を持っていたから驚異の他なんでもない。俺らの攻撃が虚しくなるほどに攻撃力が凄まじいのだ。それはもう泣きたくなるほどに…大剣を振っているから大振りなのだろうと思っていたら急に剣を手放し犬らしい動きしてくるし、兎に角手を焼いた相手だ。ボスには珍しいパワーとスピードの合わせ技だ。こん時はかなり理不尽だと思った。せめてどちらかにステ振りしてくれと思っていたのは俺だけではないはず。という程手を焼いていた。ただ手は焼いたが死者は出ていない。

 

60層はナラカ・ザ・パニッシャーと言う奴だった。こいつも酷かった。武器は刀1本だったのだが何が酷いって重厚な鎧を着込んでいることだ。お陰でまずパワー至高の奴らで鎧を壊すことから始まったのは言うまでもない。まぁ敵もそれをみすみすさせてくれるわけはなかった。仕方なく鎧の隙間を上手く攻撃しダメージを与えるしか無かった。案の定鎧というだけあって膝裏や肘裏は守りきれていなかったのでそこを重点的に攻撃していった。ただここで待ち望んだことが起こる。いや人によっては悲劇だろう。なんと鎧を破壊することに成功したのだ。恐らくダメージ量によって破壊される設定なのだろうが、これには唖然とする者がいたのもお察し出来るだろう。中にはこのことにキレて見違えるほどの活躍を見せた者がいたのは想像するに固くないだろう。

 

 

 

そんなこんなであっという間に10層突破して行った。この調子ならすぐ終わると、誰もが思っていた。相変わらず中層プレイヤーが消えていくという謎の事件が未解決のまま、攻略は進んで行った。それが鮮明化するのはもう少し先の話。

 

 

 

 

「ざっと100人って所かしら?どう?いい感じ?」

 

「はい。ですがそれもそろそろ打ち止めかと。」

 

打ち止め…?この計画を完成させるにはより多くの人材が必要。なら打ち止めなんて手段は有り得ないわ。理由を聞かなくては。

 

「何故?」

 

「我々が放った者らからの情報によると、こちらを探っている者がいるようです。名は確かキヒロとか言うものです。」

 

やはり貴方なのね。キヒロ。でも、幾ら勘づいても無駄よ。貴方は、あの力を使うことは出来ないのだから。私達が負けることは無いわ。

 

「そっ。」

 

「まぁ我々の驚異にはならないでしょう。"かの王"でさえ無ければ。」

 

「おいおい、"あいつ"がこの世界にいるって言うのか?ま、だとしても何一つ問題は無いがな!」

 

そう。何一つ問題は無い。たとえ彼がどんなに偉大な王であったとしても、それは過去の話。今の私たちに適うはずはない。彼はもう、ただ、待つことしかできないから。

 

 

 

 

 

The game against the boss is just a passing point.The enemy they really should fight against may be unexpectedly close.Yeah, I might be next door to you at this moment too.

 

If so, would you pull out your sword first and be slashed?If I can't do it, I'll just die.without knowing why.

 

In this world, the ruthless survive.Kindness alone cannot produce anything.




展開早くて申し訳ない。ただここでダラダラやってると
長くなりすぎちゃうので省略を許して頂きたい…

(*´∇`)ノシ ではでは~


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復活

3週間遅れとなってしまい申し訳ないです…
ここんところリアル立て込んでて…

では!どうぞ!


 

 

攻略は順調に進んでいき、遂に辿り着いたのは74層。キリトにとっても俺にとっても因縁深い相手のいる層だ。まぁあれは自業自得なんだろうが、63層以来の犠牲を伴うことになったからだ。STRに多めに振っているキリトが押し負けそうになった初めての相手では無いだろうか?しかもキリトはここで二刀流のユニークスキルを発動する羽目になり、俺は刀ソードスキルを消す羽目になった。まぁあの時は人命が掛かっていたから特に未練はない。代わりに得たスキルも化け物並に強かったしな。さて、今回の討伐だが前回の情報もフル活用しベストの布陣で挑むことを決めた。これはデスゲームが始まった頃からもやってはいるがあの時とは違う。前回はここから結晶無効空間だった。ならば今回も同じだろうと予想を立てた。あの時は扉が閉まることも予想できず何人も犠牲になったからだ。と言うように、ここまで前回の情報を持ち込んでいるから何とか死者は0だ。レベリングで死んだ奴とかはいるらしいが。とまぁそんな感じでボス戦に挑むことになった。

 

人選はいつも通りと言えばいつも通りだ。

新生血盟騎士団。団長はノーチラスが務めている。ヒースクリフとは傾向が違うが、彼も団長に相応しい実力者だ。今ではキリトと並ぶ片手剣使いと呼ばれている。まだ辛うじてキリトの方が実力は上だが…

 

風林火山。昔ながらのメンバーで武士街道を進む人らだ。リーダーはクライン。相変わらず悪趣味なバンダナを額にまいているがそれが様になってしまっているから不思議だ。実力は誰もが認めるものを持っている。突破口としての活躍は目覚しい。

 

新生アインクラッド解放隊。リーダーはキバオウが務めている。あの頃とはまるで別人だ。俺が言うのもなんだが大人になった。前みたいな髪型通りのトゲトゲしたような奴ではなくなっている。寧ろ同じ人間が疑うレベルである。今ではそんなキバオウがリーダーなのもあるのだろうか、メンバーも比較的穏やかな奴が多い。あくまで揉めるという点での話でだ。

 

新スリーピングナイツ。リーダーはラン。この中にキリトらも加わった。なのでかなり厚みは増した、はずだ…前衛はキリトにランにユウキにアリス、エギルにジュンにテッチ。中衛はシリカにリズにリーファ、ノリにタルケン。後衛にアスナにシノンにシウネー。と見るとやはり脳筋に近い。まぁ前衛と一括りにしたがキリトにランにユウキにアリスはアタッカーであってエギルらはタンクだからと分ければそれぞれに一人づつでちょうどいいように見えるが、人数的にヒールが全く間に合うわけがない。だから仕方なく俺はヒーラーに徹することになる。それでも足りない場合はリーファに手伝ってもらうしかない。何故こんなにもアンバランスなギルドなのか…だが戦力的には削る訳にはいかないらしくいつも半分は血盟騎士団と組んでヒールを半分ずつにしてもらっている。

 

事前の情報通りボスが動いてくれた為比較的楽に倒せた。あの時あんなに苦労したのになとキリトが苦笑いしてたのは言うまでもない。この時俺は、前から気になっていたことをキリトに聞いてみることにした。

 

「なぁキリト。OSSを作るつもりはないのか?」

 

OSS。オリジナル・ソード・スキルの略だ。今のところ、ユウキが作った"マザーズロザリオ"11連撃が最高と言われている。その連撃数の多さから結構な頻度で頼られることが多い。ユウキのステに加えあの連撃を加えたらそりゃものすごい火力が出るから要所要所で使いたくなるのは分かるが、何分ソードスキルであることに変わりはないため、疲労が溜まるのは必然だ。決してユウキに負担が多すぎるからという訳では無い。キリトも使えた方が楽になると思ったからだ。因みに俺は滅多に前線に出ないので取得していない。

 

「うーん、どう思うキヒロ。」

 

「どう思う、とは?」

 

「いや、確かにあった方が楽だとは思うけどさ。」

 

キリトは言葉を続けなかったが、恐らく、"あの世界での二刀流は役目を終えた"的なことを考えているんだろうなと思った。だが、それではこの先守りきれなくなるだろう。こいつには、"俺がいなくなった"後の攻略組を精神的にも引っ張っていって欲しい。スキルコネクトを使えるのはかなり良いとは思うがやはりそれだけでは物足りない。何がなんでも習得して貰わなければ…

 

「キリト。そう遠くない未来に、俺より強い剣士が現れる。そうなったら、お前はそいつを倒せるか。」

 

そう投げかけられた俺は、キヒロが冗談で言ってないのを表情から察したが、正直どう答えればいいか分からなかった。まず第一にキヒロより強い剣士が本当に居るとしたら俺が勝てるわけない。

 

「更に言うと、そいつは二刀流を得意としている。どうだ、勝てそうか?」

 

「勝つしかないんだろ?」

 

俺はそう答えた。二刀流。それは俺とキヒロがあの世界で何度も磨きあった剣技だ。決して型なんてないが、俺はそれを1番信用している。そう思える。SAOでもALOでも、GGOは銃だったが、UWでも俺を守ってくれたのは、二刀流だった。だからこそ、この世界でも守ってくれると思っている。

 

 

「んじゃあ、最後の指導だキリト。」

 

さい、ご…?

 

「師匠として最後の試験だ。二刀流同士で俺を倒せ。」

 

「それが最後の試験じゃ仕方ないな。わかった、やるよ。」

 

二刀流同士。キヒロとこうしてデュエルするのはいつぶりだろうか。だけどその時は刀だったような気もするし、実質、SAO以来か。などと思い出していると残り10秒程だった。

 

カウントが0になった瞬間、キヒロは俺に突進してきた。

 

右手に携えた剣を捻りながら左胸、心臓の方へ突きこんでくる。バックステップして回避しようとするが、突きは止まることは無かった。左手に構えているエクスキャリバーで弾こうとしたが完全には出来ず、多少ではあるが、ダメージを受けた。今度は右手のエリュシデータで斬りかかったがこれは難なく翻された。どうやら今の動き的にキヒロは本気みたいだ。この"デスゲームであるSAO"でである。

 

「おいキヒロ、俺を殺す気か!?」

 

あくまで冗談のつもりで言ったことに対しての返事は想像の遥か上にいった。

 

「そうだ。お前も俺を殺す気でこい。」

 

あの目は1度も見た事がない。恐ろしさで言ったらOSの時の激昂してた時の方が上だろうがなんと言うか、今のキヒロから全くと言っていいほど、生気を感じない、光が点ってない、どこを見ているかわからない。そんな感じだ。だが、剣に乗せてきている重みは間違いなく殺気だ。その根拠にキヒロが持ってる片手剣は禍々しいオーラを纏っている。

 

10分程だろうか。体感的には1時間程の斬り合いをしたような気がする。結局キヒロの剣が折れるという形で俺が勝利を収めたがなんか納得がいかない。なんと言うか、折にいったような気がしたからだ。

 

 

次の日、ユウキからキヒロ失踪との連絡を受けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと見つけたぞ。アルバ…」

 

「思ったより遅かったわね。まぁいいけど、何しに来たの?」

 

「攫ったヤツらの、解放に来た。」

 

「無駄よ。ザガンの能力使っているもの。どんなものかは貴方も知らないわけじゃないでしょ?」

 

「っ!」

 

「まぁ、ここまで来た御褒美として、少し遊びましょ?キヒロ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

キヒロがアルバと戦っている間、攻略組はキヒロ抜きで攻略を進め、遂に80層まで突破した。その後、殺人ギルドとして暗躍してきた"アル・サーメン"の根城を突き止め討伐しに向かったのだが失敗に終わったのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

「うふふ、どうキヒロ?好きでない人からこのようなことされるのは?」

 

「ふっ、気持ち悪いに決まっているだろう。聞くまでもない。」

 

「そっ、まぁそれは時間の問題かしらね?これが終われば、あなたは楽になれるのよ。私の子として。」

 

 

 

「そいつはゴメンだ…」

 

キヒロの身体が発光し、アルバは思わず顔を覆った。その隙にキヒロは壁を壊し、外へ脱出した。"かつての自分としての姿で"

 

 

「やっと出てきたわね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソロモン…

 

 

 

 

 




まぁ読者の皆さんは知っていたと思いますが

ソロモン=キヒロです。

これがどう絡まっていくかは続きをどうぞw

(*´∇`)ノシ ではでは~


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新たな試練:開幕:

なんとか月が変わる前に出せたぞ…
年度末って忙し過ぎない!?

って事で、

では!どうぞ!




 

アインクラッド第80層を攻略し、81層の主街区を堪能している時、それは現れた。かのアンダーワールドにおいてアドミニストレータが作り上げた狂気とも言える作品。ソード・ゴーレムだ。思わず目を見開いたのはキリトとアリス。それもそのはず。2人はこの化け物に対して全くと言っていいほど歯が立たなかったからだ。一撃で即死ダメージを喰らうほどの相手など2人にとっては数える程しかいない。その中でも突出した強さを見せたのがこのソード・ゴーレムだ。

 

「な、なんでこいつが…」

 

「わかりません。ですがこの化け物がいるということは。」

 

俺はアリスの言わんとすることを察した。恐らく、アンダーワールドの者がここで再現出来ると言うなら、"武装完全支配術"などを使うことも可能なはずだ。もし使うことが可能だとしたらある程度は戦えるだろう。だが他の奴らは…

 

「キリト!」

 

考えている暇なんて無かった。アリスの悲痛の叫びが聞こえた頃には、既に俺の体に剣が迫っていた。とても避けきるなんてできず腹に突き刺さった。そう、突き刺さったのだ。通常ならば"圏内"である主街区でだ。本来なら守ってもらえるはずの障壁も現れず、俺はそのまま近くの宿屋らしき建物を壊しながら止まった。

 

「なっ!そんな…!」

 

その場にいたエギル、クライン、ジュンら男性陣。ラン、アリス、ユウキら女性陣はほぼ同時に驚きの声を上げた。それもそのはず。キリトのHPが減っていたからだ。それも微量ではなく半分も一撃で消え去ったからだ。

 

「くそっ…」

 

あいつを倒すには核となっている物を破壊するしか無かった。だけど、それをやってのけた茶髪の青年、ユージオはもう居ない。俺がやらなければ…皆が、危ない。今度こそ、"全員"を守りきるんだっ!

 

 

「はぁぁぁぁぁぁああ、ああああああ!!!」

 

この世界で出来るという確信はまだ、ない。だが、やらなければ、出来なければという思いが、俺を動かした。SAOに捕われたあの頃から最も使用し、信頼してる一撃必殺技。

 

 

「ヴォーパル…ストライク!!」

 

彼が放った奪命剣は剣の巨人に向かっていく。周囲の人間が、彼の装備の変化に驚愕している中、奪命剣は確実に剣の巨人に近づいていった。そして確かに捉え、剣の巨人の抵抗虚しく、木っ端微塵に散っていった。

 

「や、やったのですか…」

 

アリスがそう呟いた。だが俺はこれがまだ序章にしか過ぎないのではと、思っていた。突如現れたソード・ゴーレム。破壊不能オブジェクトと圏内の消滅。どれを取ってみても、"これからが本番"だと、そう言われている気がした。

 

 

「ラムズ・アルサーロス!(降り注ぐ雷槍)」

 

 

これも幾度となく聞いたことのある技が聞こえた。だが、声の主は"知らない声"だった。

 

「よぉ、あんたがキリトか?」

 

いきなり雷撃を放ってきた奴が俺に話しかけてきた。そもそも俺はこいつとは面識全くないし、雷撃を撃たれる理由もない。それよりも気になったのは、雷撃の威力の強さだ。キヒロが使っていた時より強力な気もする。いや、確実にこっちの方が上だろう。その前に、聞かなければいけないことあるな。

 

「そうだが、あんた、誰だ?」

 

「俺?イスナーンって言うんだ。以後よろしく。」

 

イスナーン。やっぱり俺はこいつを知らない。周りを見ても知っていそうな奴は、いた。一人だけ、いた。ユウキだ。その表情からは有り得ない、そんなはずは、というような表情がみてとれた。

 

「って事で、お互い挨拶したし、そろそろ殺りあおうじゃねーか!」

 

そう言ってもう一度、先程の雷撃を放ってきた。雷槍は全部で7本あるが1発でも当たったら残り半分のHPは吹き飛びそうだ。さっきのも掠っただけで1割ほど削られたしな。以外にも呆気なく死ぬもんだなと思った。だが俺はやっぱり運がついてるらしい。目の前に迫ってきた雷撃は青髪の1人の青年によって遮られたからだ。

 

「悪い、遅れた。」

 

「おせーよ、キヒロ。」

 

俺の方を向いて謝罪した覇王さんに向かって少しばかりの悪態をついていた時、イスナーンとか言ったやつがいきなりこう言った。

 

「なんでぇここに居るんだよ!?ソロモン!!」

 

「守りたい人らが、いるからな。」

 

そう言った後キヒロは俺に小声でこう言った。

 

「あとは頼んだぞ、キリト…」

 

そう言い残したあいつは真っ直ぐ上空へ向かっていった。それをイスナーンらが見逃すはずがなく、

 

「ラムズ・アルサーロス!!!」

 

「フラッシュ・アジョーラ!!!」

 

「アラ・ラケーサ!!!」

 

などと複数の魔法がキヒロに向かって放たれた。だがキヒロはそれを避けようともしなかった。代わりに魔法を唱えた。

 

 

「ゾルフ・サバーハ!!!」

 

その魔法を唱えた瞬間、キヒロに迫っていた複数の魔法は放った本人らに、"跳ね返されていった"のだ。今まで魔法を避ける、相殺する、斬るは見たことあったしやった事あったが、跳ね返すのは初めて見た。そして続けて、こう唱えた。

 

「ゾルフ・エンター・サバーハズ・インビリティ!!!」

 

そう唱えた後、上空に何か膜っぽいのが張られたような気がした。そしてそれは驚くべき効果を発揮した。

 

イスナーンらがもう一度キヒロに向かって魔法を放つ。今度は避け、俺たちの方に向かってきた魔法が当たる、なんてことは無かった。上空にて張られていた膜が受け止めたのだ。そしてそれで終わらず、受け止めた魔法を放った相手に向かって弾き返した。しかもそれが1度きりなんて言う訳ではなく、その後何度も何度も受け止め、弾き返していった。これならこの膜の中に入れば安全と思った矢先、キヒロの様子がおかしいことに気がついた。ユウキも気づいていたようで心配そうな表情をしている。そして雄叫びを上げたキヒロは、黒く染まっていった。目は光を失い、彼を覆う何かは真っ黒に染っていた。それをイスナーン達は嘲笑った。そしてこう言った。

 

「ソロモンは我々の手に落ちた!貴様らの負けだ!」

 

そう言ったのだ。ソロモン。恐らくキヒロの事だろう。アイツらの手に落ちる。そんな訳ない。あいつの強さは誰よりも俺が知っている。現実世界でも、仮想世界でも。そしてその強さを愛する者のために振るう姿も、私利私欲には決して使わない。いつも俺らを守ってくれたあいつが、キヒロが負けるわけ、ない。

 

 

「あらあら、やっと堕ちてくれましたか。」

 

そこには、GGOの世界において、全く歯が立たなかった一人の女がいた。結局名前は分からずじまいだったが、ついにここでハッキリするわけか。

 

「あんた、名前は?」

 

「うん?あら、あなたはあの時の剣士さんかしら?あなたも後でちゃんと相手してあげるわね〜」

 

「おいアルバ、そろそろ行くぞ。」

 

アルバ、か。

 

クラインらbobの中継を見ていた人らが思い出す。

あの時の凄腕剣士。

 

シノンが思い出す。

あの時唯一怖いと感じた敵。

 

ランが思い出す。

あれが、あの時言っていたユウキより強い剣士…

 

 

ユウキが思い出す。

 

ボクよりも強く、優しく、綺麗で、笑顔がとても似合う人。

そして、あることがきっかけで、袂を分かつことになった人。

最後には殺し合わなければならなくなった人。

あの世界でボクより序列が高かった人。

 

 

 

「さて、要件は済んだからこれでお暇させて頂きますね。

 

キヒロを返して欲しければ、81層のボス部屋まで来る事ね。

 

楽しみにしてるわ。」

 

そう言って、上空にいた魔道士軍団は転送魔法陣を用いて、退却して行った。

 

 

彼女らは、彼を取り戻し、この世界に平和をもたらす為に、戦場へ舞い戻る。だがそれはこれまで以上に厳しく、辛い道のりの始まりであった。

 

 

「ったく、アルバよぉ。もう少し堕ちるのが遅かったら俺ら死んでたぞ!?」

 

「ごめんなさいねぇ。でも、彼を相手にしているのだから、時間掛かるのは仕方ないのよぉ。」

 

 

さぁ、ついに手に入れましたわ。あの子からやっと、奪い取ることが出来たわ。また会う時、どんな顔をするのか、楽しみだわぁ…

 

 

 

【次回 剣の王】

 

 

 




はい、自分でも書いてて訳わかんなくなっちゃった泣
いつもある程度妄想してから書き始めるわけですが、
今回、妄想し過ぎてまとめるのが難しくなってしまいました。

次回はちゃんとまとめるつもりですので…

(*´∇`)ノシ ではでは~


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剣の王

年度替わり初投稿だぁ!

次の元号は令和になりましたね!
さて、気持ちを新たにいざっ!

では!どうぞ!


 

 

 

キヒロが攫われ、攻略組の士気は間違いなく落ちたと言ってもいいだろう。なぜなら魔法系統に関して群を抜いていたからだ。キヒロほどの威力、射程、持続を持つ魔法を放てるやつはいない。そこで今話し合われているのは、今後の進行だ。

 

「一刻も早くキヒロを取り戻すべきだ!」

 

「いやその前にある程度の魔道士を育てるべきだ!」

 

などと言うように意見が割れている。そんな時、一人の少女がふらっと立ち上がり、ドアの方へ向かっていった。そして当然、それは呼び止められた。

 

「どこ行くんや自分。」

 

「第81層ボス部屋。」

 

キバオウが呼び止め、ユウキに尋ねる。ユウキはさも当然のようにスラリと答え、また歩み始めようとしていた。だがそれはまたしても止められた。特徴的なスキンヘッドに、岩のようなゴツゴツした体躯を持つエギルにだ。

 

「わりぃが、1人では行かせられない。」

 

「どいて。」

 

「無理だ。」

 

「そ、ならそれ相応の覚悟を持ってね。手段は選ばないつもりだから。」

 

そう言いながらユウキは抜剣した。当然、周囲は驚きに充ち、そして少しづつユウキから遠ざかっていった。流石のエギルも驚いており、1歩引いてしまった。その隙が見逃されるはずはなく、ユウキはエギルを小突いて隙間を作り会議場から抜け出してしまった。

 

「無理もない、わね。あれから2時間留まったんだから。十分我慢したと思うわ。」

 

そういうのはラン。そしてすぐ、ユウキのあとを追いかけて行った。流れるようにアスナ、リズ、シリカ、リーファ、シノンにアリスとスリーピングナイツの皆が出て行った。この状況を渋い表情で見ていたキバオウとノーチラスはお互いの顔を見て、そして頷いた。

 

「自分らもあいつらの後を追いかけろぉ!」

 

 

 

ユウキら全員が揃い、いざボス部屋と思っていた矢先だった。既にボス部屋の扉は開閉されていた。新たな仕様なのかと勘繰った者もいたが、いつも通りだった。ボスは既に倒されていたから解放されていたのだ。その証拠に、次の層への扉の前に2人の人間が陣取っていた。1人はアルバだと確定したがもう1人がわからない。目の部分に仮面をしているためである。更にフードも被っているため、性別も不明だ。身長はそんなに高くないように見える。アスナぐらいか?

 

「やっと来たのね。待ちくたびれたわぁ。」

 

アルバはそう言いながら欠伸をかいた。その態度にイラついたのかキバオウ率いるアインクラッド解放隊及びノーチラス率いる血盟騎士団は一様に抜剣した。先に飛び出していった奴らは既にしていたが。

 

「あらまぁ血気盛んなこと。いいわねぇ。そそるわ。でもごめんなさいねぇ。あなた達の相手は私じゃないわ。」

 

そう言った直後だった。アルバのそばにいた奴がこちらに近づいてきた。そして、聞き取れはしなかったが何か言葉を口にしたように思えた。口の動きが止まった瞬間、敵の取り巻く空間から剣などが出現した。何も無かったところから生まれたから錬金の類か等と、こんな時なのにゲーム脳が発揮されてしまうのが少しばかり恨めしく思った。

 

「さぁ、敵を蹂躙しなさいっ!」

 

アルバがそう言ったらまた何か魔法を唱え始めた。その術は剣たちを重ね合わせていったり結合させていったりして、そうして、出来上がったのは…

 

 

「またこいつですか。ソードゴーレム…」

 

アリスがそう呟く。またしてもという感じだがなにか考えがあるのだろう。まぁ前回と同じだったら一撃で倒せる自信がある。

 

「そうよぉソードゴーレムよ。ただ、前回出たあれとは訳が違うわ。」

 

前回はただの物体としていたソードゴーレムだった。だから粉々にすれば再生するなんてことがなかったから一撃で倒れたが。おそらく今回はかのUWのように、核を用意するつもりなのだろう。まさか…

 

俺はその嫌な予感が何となく当たるような気がした。俺の初めての親友ユージオと、カーディナルによって完成したあの剣は、ユージオの体を依代としたからだ。そう思いながら、これから起こることに目を背けるなんてことは出来なかった。

 

あの世界で核となっていた部分に一人の人間が収まったのだ。それと同時に、後ろの扉は閉められた。あのアルバという女は俺達に選択肢を与えないつもりらしい。そして更に驚愕することをサラリと言った。

 

「あぁ、言い忘れていたけど、それ、あなた達の仲間かもね?」

 

そう言いながら俺たちの方を見た。声は悲しそうだったが顔は笑っていた。歪んでいた。俺達の表情をみて、それまた嬉しそうにはしゃぎ、声高く嗤った。

 

「あははははっ!あなた達はそれを知っても尚!これを斬れるかしら!?」

 

勿論攻略組は知っていた。中層プレイヤーに加え、攻略組も消えてしまった事件だ。結果的にアルバ率いるアル・サーメンが強奪している事は判明していた。当然、足は動かない。それか後ずさりするか、この状況に耐えきれず座り込むか、悲しみが限界を超えるか…家族や恋人がいるやつは耐えられない状況だろう。だが、ここで一人の男が動いた。

 

「おい自分。連れ去った人んらはどうした。」

 

「私達の可愛い子供にしてあげたわ。」

 

「それは治るんかいな。」

 

「無理よ。」

 

その答えを聞いたキバオウは何かを決心したのか、俺らの方へ向き直ってこう言った。

 

「わいはあいつを倒す。誰か手伝ってくれへんか。」

 

倒すと、言った。つまり、俺達の仲間だったり家族だったり恋人かもしれないやつを、殺すと言ったのだ。

案の定反対意見もでた。それでキバオウが言ったのは、

 

1人の命より、1000、2000の命や。ここで倒さなければ、はるか多くの人間が死ぬ…わいらは、最小限の犠牲に収めなあかん。

 

理屈は通っているし実際そうすべきだ。あのキバオウがっていう感じだが…この言葉で腹を括ったのか、皆前を向いた。

 

「なんだぁ、気持ち決まっちゃったの?まぁいいわ。存分に楽しんでね。」

 

それを皮切りに人が乗ったソードゴーレムが突進してきた。そのスピードはあの時よりも確実に早く適切な距離まで詰めてこられた。刃は高スピードで飛んでき、受け止めるだけで精一杯の重さを併せ持つ。物理攻撃は全くと言っていいほど効かず、魔法攻撃も当たらない。あの巨躯で異常な程の敏捷度も持っていたら当たるわけない。そもそも詠唱の速さ順に襲っていくためなかなか放つまで持ち込めない。元ALO組は特に苦戦している感じだ。古参になればなるほどきつい闘いとはなんとも巫山戯てる展開だ。さらに核となっている人間は攻略組で間違い無いだろう。動きが的確すぎる。それともアルバが指示出しているのか…いや考えても無駄だ。今は目の前のこいつをなんとかしないと。

 

 

 

どのくらいたっただろうか。一向に倒せる気配がしない。こちらは視認だけでも3人は死んだ。このままでは、全滅だ。エギルやテッチらタンクが頑張ってくれているのに…俺は何も出来ないまま、なのか…

 

ソードゴーレムは一瞬の思考すら許してくれなかった。物思いに更けていた俺にその鋭く尖った刃を伸ばしてきた。これが走馬灯と言うやつかな。とてもスローに見えた。ごめんな、ラン…

 

 

 

だが、実際に起きたのは俺の人生史上最悪のものだった。

 

 

 

「がふっ。」

 

思考が止まる。今の声は俺じゃない。というか俺にあの刃は届いていない。俺の前に黒髪ロングの子がいる。恐る恐る顔を上げるとそこに居たのは…

 

「ラ、ン…」

 

ランだった。

ソードゴーレムはただ貫くだけでは飽き足らず、ランを壁際まで吹き飛ばした。遠くからアスナやシウネーの叫び声が聞こえる。他の攻略組の驚愕と怒号の混じった叫び声もあたりに響き渡る。そして攻撃していく。それなのになんで、

 

 

"俺の足は、動かないのだろう"

 

 

その時、どこからかふと、声が聞こえた。

 

 

 

大丈夫だ。ランは助かる。お前がいなければ、奴は倒せない。お前が、やるんだ。

 

 

立って、キリト。そして、お前の手で、

 

 

この世界を、救ってくれ…

 

 

誰かに背中を押された気がした。多分俺の脳が勝手に作りだした妄想に過ぎないのだろう。そう昔の俺なら言っただろう。でも今は、親友が俺の心で生きている。だから、さっきのもきっと、幻じゃない。

 

 

「っ!うぉぉぉおおお!!!」

 

俺の雄叫びを聞いた攻略組が一斉に振り返る。そしてそれと同時に叫ぶ。

 

「スイッチ!!」

 

攻略組一丸となって作りだした隙。恐らくこれが最初で最後だ。ありったっけの力を込めて、想いをのせて…俺の全てを、ぶつける!

 

 

 

「スターバースト・ストリームっ!!!」

 

 

 

左から右へ、右から左へ、上から下へ、突いて、薙ぎ払ってを繰り返した。だが欠ける気配すら見えない。ただ、1点のみを重点的に繰り返し攻撃を当てた。16連撃目。呆気なく終わった。結局剥がせなかった。そしてソードゴーレムから一撃が迫ってきていた。ただ、この時俺はまだ動ける、そんな気がした。

 

 

「まだだぁああああ!!!」

 

至近距離からヴォーパルストライクを放つ。感覚的には17連撃目になるのだろうか。俺は兎に角無我夢中に突き刺し続けた。すると、僅かではあるが、ヒビが入った。ただ、それ以上俺も押し続けることは出来そうになかった。

 

「スイッチ!!」

 

突然聞こえた声に慌てながらスイッチする。相手はユウキだった。今まで見たことも無い鬼の形相をしていたが無理もないだろう。実の姉が腹を貫かれたのだから。俺はここでようやくさっきのソードスキルの硬直がきた。あとは頼んだぞ、ユウキ。

 

 

姉ちゃん、みてて!ボクが敵を打つ!

 

 

「やぁぁぁあああ!!!」

 

マザーズ・ロザリオ。ユウキのオリジナル片手直剣ソードスキル。OSSと呼ばれるそれは現仮想世界では最大連撃数とも呼ばれている。その11連撃に俺らは幾度となく助けられた。キヒロ無き今、間違いなく最強に違いない。そのユウキが心意の力も使いこなせたら、キヒロを取り返すのも楽になるだろう。

 

右斜め上から左斜め下へ、左斜め上から右斜め下へ放った後、クロスした中心部へ渾身の一撃を放つ。間違いなくこの戦いの中では最大の威力のはずだ。

 

「いけぇ!ユウキぃぃいい!!!」

 

俺の掛け声に他の攻略組も続く。皆がユウキに思いを乗せている。みんなのこの思いは、どんな装甲にも負けないはずだ。それは心意となってユウキに届くはずだから。

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇええ!!!!」

 

ユウキの怒号とともに、ソードゴーレムの中心部が弾け飛んだ。中身となった人間が弾き出され、横たえた。

 

「あら、やるじゃない。でも、"まだ終わってないわ"。」

 

何言ってる。核となっている人間は心臓付近を中心にほぼ無くなっているだろう。両サイドが皮でなんとか繋がっているようなイメージだ。腕や足はソードゴーレムの中に置いてきたのか不細工に引きちぎれている。だが、それでも、奴は立った。いや正確には浮いていると言った方が正しい。今の状態はとても生きているとは呼べない体だ。だが、あの状況を見る限り、本体は頭にあると考えた方が良さそうだ。そしてそれは直ぐに証明された。残された頭から触手が伸び、ソードゴーレムへと連結されたからだ。それを視認して確信したのかアスナ、ユウキ、そしてアリスが真っ先に飛び出し3方向から突き刺しに行った。流石に防ぎきれないだろうと思った。が、それはあるものに遮られた。ソードゴーレムだ。核無き今動かせるはずがないと思っていた。アスナらがその後吹き飛ばされ見せられたのは、ソードゴーレムを触手で操っている敵の姿だった。

 

「おい自分っ!他の奴らもこないなっちゅるがな!?」

 

キバオウがそう尋ねる。恐らく、キバオウ自身もここまでのものだとは思っていなかったのだろう。俺も精神が支配されているに過ぎないと、そう思っていた。だがあれはどう見ても、体まで別物へと変化してしまっている。

 

「そうだけどなにか?」

 

彼女はサラリとそう言った。そしてこう続けた。

 

「さぁ、第2R始めましょ?」

 

その言葉と同時に先ほどよりも幾らばかりか動きの早いソードゴーレムがきた。このスピードアップした状態ではとてもソードスキルでは対抗できない。まるで、あいつを見ているかのよう。恐らくは脳から直接伝達しているからだろうが。

 

兎に角予想外の攻撃が多かった。1度上の飛び、全ての剣を展開したあと落ちてくる。しかも中々のスピードでそれを繰り返すため逃げている暇などほとんどない。この攻撃で5人程死んだ。あとは今までは目の前の敵を蹂躙しにいっていたのに対し、今度は回転斬りなどを加え全方位への対処をこなしていた。

 

だが、以外にも呆気なく終わった。ユウキがヴォーパルストライクを放ったからだ。あの状況下でよく正確に放てたものだ。前回俺がソードゴーレムを倒す時に使った伸びるソードスキルだ。1回しか見せていないのにあんなにも早く使えるとは、さすがと言わざるを得ない。

 

ユウキのソードスキルが命中し、頭が弾け飛んだ。

 

「ふーん、まっ、面白いものを沢山見せてもらったし今回はこれで引いてあげるわ。82層へのアクティベートはしておいてあげるわね。」

 

そう言い残したあと、アルバは消え去った。それと同時にソードゴーレムも大爆発を起こしながら消え去った。こうして81層攻略は完了した。

 

 

「姉ちゃんっ!!」

 

あの後俺らはすぐランの元へ向かったがその状況までもがUWにとても似ていた。血が出ていたのだ。その場はなんとかアリスが覚えていた神聖術で凌ぎ切った。あの天命を移す術式だ。俺はすっかり忘れていたので後で怒られたのは言うまでもない。まぁ怒られるのは当然だ。今まで心意で色々出来てしまっていたがこの世界で心意が影響を及ぼすのは攻撃や防御といった類のみらしいからだ。

 

攻略から帰宅し、生存者の確認等をした。合計12人亡くなっており、半数がタンクを務めたものだった。しかも最悪なのが今回は正当なボスじゃなかったことだ。次回も恐らくアルバが用意したボスとなると、俺達の状況をどこかで観察し、それに合った敵を用意してくるはずだ。その意見を全員で共有した後、解散となった。思わぬ攻略を強いられることとなったが、愛する者のために、どこかで剣を振るう。

 

 

次回

 

【重き鉄槌】

 




遅くなってしまい申し訳ありませんっ!
次回予告し始めました。その通りになれたかな?

えぇと新生活を送る方々楽しんでください!(何目線…)

(*´∇`)ノシ ではでは~


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重き鉄槌

遅くなってしまいましたっ!
書きだめするだけして投稿してませんでした…

では!どうぞ!


半信半疑だったが第82層へのアクティベートはしっかりと完了していた。今後もこのようにしていくつもりなのか否か。俺らとしては初見モンスターに殺されるリスクが無くなるためとても有難い話ではある。だが、向こうにとって果たしてメリットは有るのだろうか。あくまで、目的は俺達と闘うことだけなのか、いまいち敵の真意が見えない。それが攻略組の見解だった。ただ1人、ユウキを除いて…

攻略組の中でアルバらと面識があるのはユウキだけだ。勿論それを知っているのは極一部の人間だが…それが影響しているのか、ここ最近のユウキの精神状態は決して穏やかなものではない。常にランやアスナやシウネーが傍に付いていないと今すぐにでも飛び出してしまいそうだ。唯一、戦闘時は前から知っているユウキに戻る。いや、ただたんに戦闘中は気を紛らわすことが出来る、と言うだけかもしれない。それでも偶にオーバーキルをしていたりするのでそろそろ限界なのかもしれない。ランの話によるとユウキがここまで精神状態が不安定な時は今まで見たことないらしい。それほど、ユウキの中でのキヒロの存在が大きいのだろう。まぁそんな今の状態のユウキに近づく者はごく限られた人間だけだ。それほど追い詰められているように写っている。ある者は見ているだけでもこちらの精神が摩耗すると言っていたが無理もないだろう。偶にランですら、俺に泣きついてくることがあるくらいだ。そんなユウキに対しての特効薬はキヒロなんだろうが…兎も角、俺達は前のユウキに戻ってもらうために、キヒロが無事だと信じて、今日も剣を振るう。

 

そうして決行日。迷宮区に攻略組が向かおうとした時、そいつは現れた。

 

「攻略組の皆さん。お久しぶりです。ここからは私が案内致します。」

 

どうぞ。との声と同時にコリドーオープンした。どうやらアルバとやらはボス部屋前までマッピングを既に済ませているようだ。一体どれほどの実力者なのか…兎も角無駄な戦闘をする必要が無くなったのは有難い。ただ、こうまで敵に手助けされてはなんか癇に障る。

全員が転移し終わったら、ゲートと扉が閉ざされた。これも前回同様だ。扉が空いていたことからもう既に本来のボスは倒されたのだろう。なんともまぁご苦労様ですと言わざるを得ない。今回は70人ほどの精鋭だ。15人ほどは魔道士隊にした。回復と支援を優先にしてもらう為だ。

対して敵は、たったの1人だ。しかも前回同様ハッキリとした姿は分からず、目の付近に仮面を付けているのも変わらない。恐らくこいつも誰かの友人であったり、家族であったり、恋人であったりするのだろう。ただ背丈は3メートル程あると思われる。兎に角でかいというのが最初の印象だ。そして右手に携えているのは片手棍のようだ。こうして敵の情報を視認してから、攻略組一同揃って抜剣した。

 

「さぁ、第2の試練といきましょう!」

 

試練、だと…?

ただ考えている時間なんて無かった。きっとアルバの言葉が動き始めるタイミングなんだろう。言い終わった直後に突進してきたからだ。たしかに片手棍の主な攻撃は殴るとかそういった類のものしかない。それにしても単調では無いだろうか。恐らくテッチもそう判断したのだろう。迷わず防御姿勢を取った。自分が受け止めた後、周りの者に攻撃をしてもらう為だ。勿論それを理解して準備している者もいる。

ただ、それが果たされることは無かった。

 

「ぐはっ」

 

テッチが壁際まで吹き飛ばされたからだ。当然スイッチの用意をしていた者らは咄嗟のことに判断が追いつかず、追撃を受けた。その攻撃を見て思った。あれはもう、片手棍などではないと。そして蹂躙される悪夢が始まった。

まず攻撃の重さが異常だ。確かにリーチはあるが筋肉質という訳ではないと思われる。どう考えてもテッチらが吹き飛ばされるほどの攻撃は出来ないはずだ。あの吹き飛ばそうとする攻撃を耐えたのはエギルだけだった。ただ、攻撃が重いと言うだけあってスピードがバカ速いという訳でもないので、次第に躱しながら攻撃を入れられるようになってきた。5分ほどたっただろうか。敵がここで初めて言葉を口にした。ただその言葉は、一部の者達にとっては驚愕するものだった。

 

 

 

「エンハンス・アーマメント。」

 

 

 

機械じみた声だったが、はっきりとそういったのが聞こえた。敵が持つ片手棍の武装完全支配術は、元が何なのかよく分からなかった。先端部分が扇状に広がっただけだからだ。あれなら展開する前の方が強そうと思わざるを得ないほどだ。簡単に言うと落胆した。武装完全支配術は完全にチート技だと思っていたので、正直いってあれは敵ながらあっぱれと言うより敵ながら残念という感じだ。一体あれからどんな攻撃が放たれるのか疑問に思った。ただ俺の知っている武装完全支配術では無いことは確かだ。元がわからないからなんとも言えないが、あの状態を保つのはそれほどなかった気がする。俺のもアリスのもユージオのも一時的に爆発的な攻撃力を得られるだけで、決して持続的なものではなかった。

敵が振りかざした先端部分が扇状に広がった片手棍が当たる直前、先端部分が更に扇状に広がった。扇の上に扇を重ね、有効範囲を広げた形だ。当然、そのような攻撃を予想していたものなんておらず、多くの攻略組がダメージを受けた。今の攻撃で確信したが恐らく元は柏だ。柏は葉が特殊な生え方するらしいがその話で聞いた感じとよく似ている。だが攻撃方法が分かれば大した問題じゃない。

 

敵の攻撃を完全によけ、俺とユウキとランによる攻撃を入れようとしたその時、敵はもう1つの術式を解放した。

 

 

 

「リリース・リコレクション。」

 

 

 

記憶解放術。予想通り、柏の木が片手棍より生えた。それはみるみる成長し瞬く間に1本の大木へと化した。

 

「キリト君!」

 

アスナに呼ばれ、振り返ると異様な光景が広がっていた。アスナらは地面から生えた根のようなものに巻き付かれているのだ。それが何を意味しているかはすぐ分からなかったが、

 

「キリト!この根から私達は天命を吸われています!」

 

アリスがそう教えてくれたお陰で、思ったよりもまずい状況なのがわかった。そして何故か拘束されてなかった俺ら3人を見逃すはずはなく、地中から生えた根に追いかけ回される事となった。

 

「キリトさん!やはりあれを破壊するしかないようです!」

 

あれとは勿論片手棍だ。だがそれはかなり困難を極める。この根からの追い討ちを躱しながらあれを破壊しよう等無謀極まりない。手が無くなったと思ったその時、

 

「リリース・リコレクションっ!!!」

 

金木犀の花が片手棍の周りに舞い、切り裂いた。そして程なくして破壊され、根は消え去った。ていうか使えたのか。

 

「アリス!!ありがとう!!」

 

「礼は不要です。それよりまだ、闘いは終わっていません。」

 

そう、まだ本体を倒していないのだ。敵はまた新たな武器を手にしていた。今度は短剣。背丈も140センチほどに縮んでいた。確かにあのままでは扱いづらいではあろうが先程の高さで慣れていたからこれは厄介だ。

いきなり斬りかかってきたが、攻撃は先程とほぼ真逆。ただスピードがあるだけで重さはほぼない。やりづらいことに変わりはないがさっきよりダメージは入らないから比較的楽だ。ただ、

 

「速すぎだろぉぉおおお!!!!」

 

クラインがそう絶叫していた。無理もない。俺らより2回りほど小さくすばしっこさなんて加えられたらフラストレーションが溜まる一方だ。そんな時堪忍袋の緒が切れたのはリズだった。

 

「あぁーもう鬱陶しいわね!!」

 

そう言って片手棍を振りかざして無造作に振り下ろした。恐らく何も考えていなかっただろうが見事当たった。どんなパワーで撃ち込まれたかは想像したくない。敵の頭が地面にめり込んでいたからだ。これで倒れてくれたら楽だなぁ…勝負あったかと思ったがそれで止まるほど敵はやわではなかった。

 

「エンハンス・アーマメント。」

 

またしても無機質な声でそう言った。リズに向けられていた短剣から火ブレスが飛び出した。それをもろに受けたリズはMAXだったHPが4割近く減った。しかも火が消えた訳じゃないので継続ダメージ付きだ。もう一撃受けたらかなり危険だろう。アスナが咄嗟に火を消してくれたから大事には至らなかったが大切な仲間を目の前で失う所だった。これに怒ったクラインやリーファ、シリカが斬りかかっていったが、敵は更に重ねて術式を唱えた。

 

あの短剣の記憶解放術はなるほどと理解することが出来た。敵の異常なスピードはほぼ滑空していたから。そう、記憶解放術で現れたのは鳥。いや、正確には四霊の内の一つである鳳凰であると思われるため鳥と呼ぶには些か無理があるかもしれない。その鳳凰と敵は離れている為何人か本人に攻撃しにかかったがそれを許されるわけなく、突風によって吹き飛ばされた。どうやらまた本体には攻撃出来ないらしい。

翼からは鋭い羽が飛ばされ、近づいたら突風だったり火ブレスを放ってくる。この展開を打開してくれたのはまたしてもアリスだった。まず飛んでくる羽は武装完全支配術で凌いでくれ、タゲも取ってくれたた。

 

「アリス!そのまま耐えててくれ!」

 

「なるべく早く済ませてください!長くは持ちません!」

 

だろうな。火属性攻撃はアンダーワールドでも苦手にしてたから無理もないか。それに、あの鳳凰とやらは風魔法と炎魔法を重ね合わせてより一層強力にしている。かなり辛いはずだ。アリスが耐えてくれている間にアタッカー陣は鳳凰を取り囲み、一斉に攻撃した。

 

「うぉぉぉおおお!!!」

 

敵を目隠し状態にしたのも大きいだろうが、たった一度で成功したのは運がいい。まぁ1番は数多くの局面を切り抜けた仲間だからというのもあるのだろう。これでやっと本体かぁと思った矢先、また新たな武器を出した。今度は両手剣だ。

 

「まっ、なかなかやるじゃない。でもこれはどうかしら?」

 

アルバがそう言ったが、恐らくそんなには苦労しないだろう。それにどうやら今度は術式が無いただの両手剣ぽい。背丈は170ぐらいになった。ころころ変わるなぁ。相変わらず細身ではあるが腕は異様に太いような…

多くの攻略組はそう思ってた。だから周りから斬りこみにいったが…

数秒後には謎の攻撃によって弾かれた。今の攻撃で突撃した奴らのHPは残り3割ほどだ。1振りでその威力は洒落にならない。

 

「なんか可笑しいぞキリト。」

 

そう俺に問いかけてきたのはノーチラスだ。どうやら"何も無い空間で斬られた"とのこと。俺の角度では見えなかったが…なるほど。一応確認のためアリスにも尋ねたが、あの攻撃は間違いなくアリスが叔父としたるベルクーリの技だ。あの時はユージオが相手して勝ったらしいが。兎に角、闇雲に突っ込んでは確実にダメージを受ける。

 

「はぁぁああ!!」

 

ノーチラスが斬り掛かる。敵は剣を一振しノーチラスの剣の軌道を止める。背後からは俺が攻撃しに行く。タイミング的に交わし切れはしないはずだ。だがこれでは弱すぎる。あと数センチのところでまた新たな両手剣が生まれた。これによって俺の剣は止められる。すかさずもう一方の剣で斬り掛かってくるのでバックステップで交わす。

 

「そのぐらいじゃなきゃ張り合いないぜっ。」

 

さっきまでが強すぎたせいか今回のは弱く見える。まぁ攻撃力がアホみたいなのは認めるがそれ以外に特徴となるものが見当たらない。

暫く斬りあっていたがどうも強く感じない。それで油断はしていたが、急に速くなった敵に対処しきれず俺は腹に剣を刺された。腹から血が吹き出しまるで内臓が焼けるような痛みを感じた。刺されたまま壁まで吹き飛ばされ突き刺しになってしまった。

これで分かったのは、敵は斬撃を残せるし、自身のスピードもあげることが出来る。遅らせるのも早まらせるのも容易ということか。

 

「エンハンス・アーマメント!」

 

アリスがそう言って敵の周りを囲んだが傷一つ負わせることはできなかった。斬撃を自身の周囲に残し、アリスの攻撃を無効化したのだろう。まさに打つ手なしだ。訂正。時を操る能力はチートだ。

何とか剣を引き抜き落下をエギルに受け止めてもらい治療した。フル回復とはいかないが十分戦える範囲まで回復した。その足でアリスのところへ向かった。

 

「打開できそうか?」

 

「正直、打つ手はありません。」

 

そうだよな。やれる手はもう残っていない。と、その時驚愕の声が聞こえた。

 

「うわぁぁぁああ!?」

 

叫び声を上げた奴を見ると、手に武器を持っていなかった。自殺行為だろそんなのと思ったがよく見たら足元にインゴットやら素材が落ちている。まさかな、そんなの出来たらチートもいい所だ。ベータテスターなんて可愛いものじゃないか。

 

「あいつの武器に触れるな!剣を溶かされるぞ!」

 

そう叫んだ者もいた。何故俺らの武器が溶かされ無かったのかと思ったがそもそもこれはドロップ品だからだ。無論ノーチラスのもアリスのも。こうなるとドロップ品持ちしかアタッカーに回れなくなり、益々劣勢になった。

アリスの武装完全支配術。俺やユウキの伸びるソードスキル。ランやアスナの縫い目を突くような正確な突き。エギルやリズの斬撃の上からでもダメージを与えようとするパワー。どれをとっても奴を捉えることは出来ず最早万事休すと言ったところだ。

今は敵が一瞬でも隙を見せてくれることに期待して攻撃を続けてはいるものの、両手剣の二刀流を相手するのは決して楽ではない。まず範囲も広いしダメージもでかい。更に斬撃の膜を張られ隙もない。どうしろと。

その時、思わぬ状況に持ち込めた。ノーチラスが水魔法を使い、敵を捕縛したのだ。これを機に全員で様々なソードスキルを撃ち込んだ。

結果、倒すことに成功はした。ただ俺は疑問に思った。本当に攫われた攻略組だったりするなら、あくまでシステムの1部である以上、死ぬ時はあの特有のエフェクトが発生するはずだ。それはいつまで経っても出てこないし、代わりに土が出てくる。数秒もすれば消えるけど明らかに普通の死に方では無い。何かあるのかと思った。

 

「へぇ。やるじゃない。ではご機嫌よう皆さん。」

 

そう言ってアルバは転送魔法陣を展開し消え去った。

今回、敵が残した数々の未知なる攻撃。

そしてその強力さ。

あの世界の技。

どれも今の俺らには、重すぎた。

 

 

次回

 

【疾風】




次回何の武器が来るか当ててみてください!w

(*´∇`)ノシ ではでは~


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疾風

今回は早いでしょ!w
ここからドンドン行くよー!

では!どうぞ!


83層に着いてから生き残った人員を確認したところ、今回の死者数は過去最大の28人だった。全体の4割ほどだ…生き残ったもの達も重傷者が多かった。片腕無かったり腹からの血が止まらなかったり。まだ死者数は増えるだろう…

 

 

いつまで、この闘いを。いや、

 

"殺戮に抗っていけば…"

 

 

「いいのかアルバ。あんな温くて。俺らが直々に出れば奴らなんて」

 

「まぁそう仰らずに。これを楽しみましょうよ。絶望に晒されながら、どう立ち向かって来るのかを、ね?イスナーン。」

 

「いい性格してるよなアルバは。で、"いつ本物を出すんだ?"」

 

「そうねぇ。"誰か一人でも気づいたらにしましょ"。」

 

 

 

1週間は治療などに務めた。死者はあれから3人増えた。実に半分近いにんげんが今回の攻略で死んだことになった。幸い俺の仲間は誰一人として欠けてはいないが、それも時間の問題かもしれない…

 

2週間たった頃には多くの攻略組が体を動かし始めていた。次はどんなのだろうかと思案している者もいる。俺もそのひとりだ。まぁ予想できることなんて殆ど無いんだけどな…

 

「あら、いつになったら来るのかしらと思ったら。

 

どうしましたの?攻略諦めましたの?」

 

突如アルバが現れた。いやそもそも80層より上は敵の支配下にあるからどこから現れても不思議ではないが。そんな時、1人の剣士がアルバに斬り掛かった。

だがそれが届くことは無かった。確かあの魔法は

 

「ボルグ。貴方みたいな弱い人が傷つけられるとでも思って?」

 

そうだ。あれはユウキも使っていた防御魔法だ。だが、その強度は遥か上に違いない。杖を軽く一振しただけで斬り掛かった剣士は吹き飛ばされた。このアルバという女がキヒロを倒したらしいが。その実力は計り知れないな…

どこから現れたのか、ユウキがアルバが展開している防御魔法に剣を突き立てた。

 

「かえしてぇ!ボクのキヒロをぉぉおお!!」

 

かなり剣を振っていたが一向に破れる気配がない。寧ろ弾き返され始めている。

 

「あら?誰かと思えば貴方ねぇ。返して欲しければボス部屋に来る事ね。ゲートは開いてあげるから。それに、」

 

「"キヒロが出来たものを貴方が出来るまで私に勝てると思わない事ね"。まぁそれが出来たとしても、あなたに勝ち目はないけれど。」

 

そう言い残し消えていった。いったいあの言葉の意味は…あとに残されたのは、ボス部屋へ繋がる回廊結晶だった。

作戦をたてようにもたてようがないので、ほかの最低限のことをやる。装備を整えたり、回復アイテムの補充だったりだ。人数派この前より少なめの50人ほどだが、魔道士は以前の倍の30人。スリーピングナイツの皆は怪我が酷かったので今回は休みだ。

相変わらず1人の敵がポツンと立っていた。そしていつもの様に次の階層に続く階段にはアルバがいた。

 

「あら?人減っちゃったわね?大丈夫かしら?」

 

などと言っていたのが頭に来たやつが何人かいた。全く、沸点が低すぎるなぁ。分からなくはないが…しかもよりによって俺のよく知っている奴と来た。リズとクライン、それにユージーンとサクヤら元領主組だ。あっという間に突撃してしまった。いや作戦なんてものは無いから自由にとは言ったが自由過ぎないか?

 

「くたばれぇぇえええ!!!」

 

恐らく人形と推察される敵は抜剣などせず、空中に細剣を創り出した。そして軽く受け止める。その隙に周りを取り囲んでいた者が一斉に斬り掛かる。それが上手くいくはずはなかった。

今回は今までと違った。最初から2本同時に手に持っていた。つまり細剣の二刀流と言ったところだ。聞いたことはもちろんないが要領はきっと俺の二刀流と大差ない。重さより速さ重視に変わるぐらいだろう。そう考えたか飛び出して行った者ら全員が同時にソードスキルを発動させた。しかしそれは無慈悲にも打ち砕かれた。7人ほどの同時撃ちを全て弾き返したのだ。普通ではないが今までもかなりひねくれた攻撃を多くしてくれてたおかげで我を失う者はおらず、次への攻撃へシフトしていた。俺ら前衛も加わることにした。そしてその中でも最速の2人がソードスキルを同時発動させた。ランとアスナだ。光速と閃光。その2人のスタースプラッシュは俺もユウキも防ぎきれたことは無い。必ず攻撃は当たると信じていた。

だが、それすらも敵は凌駕してしまった。2人の同時撃ちを全て正確に当てたのだ。しかもシステムアシスト無しでだ。いくら人形とは言え、その速さで返していたら持つはずない。そう高を括っていたのだが、考えを改めなければいけない。

結局、全てを翻されたランとアスナはその後強烈な一突きを浴び後方へ飛ばされた。

当然、あの二人が敵うはずのないスピードを対処出来るものなんて俺とユウキしかおらず状況は明らか不利にへと追い込まれて行った。

魔道士部隊の攻撃、防御支援魔法や回復魔法もあってか死人こそ出なかったが魔力が無くなれば話は別だ。それこそ、一気に叩き潰される程にだ。それを見据えてなのか敵が新たな攻撃を始めた。

 

「エンハンス・アーマメント。」

 

今回の武装完全支配術も持続系みたいだが、全く掴めない。何しろ攻撃方法自体は何も変わっていないからだ。変わってるところを探している時、俺の所へきた。

 

「くっ、………!?」

 

異変を察知し咄嗟に武器を薙ぎ払い距離を取った。今の感じは、

 

「キリトぉお!あの剣に触れると魔力吸われるよ!」

 

そう言ったのはユウキだ。やっぱり、あの妙な違和感は魔力が吸われていたことなのか。だとしたらかなり不味い。ただでさえ敵はアルバから魔力を貰っているのだろうが、こっちはあれクラスの魔道士なんて居ないので魔力が切れたら木偶人形と何ら変わりはない。ん、?木偶人形?

 

「キリト!!」

 

どうやら物思いにふけている時間は貰えそうに無い。今はどうやってこいつを倒すかだけ考えないと!俺に近づいた敵は新たに術式を唱えた。これは、記憶解放術式。

 

「リリース・リコレクション。」

 

いったい何、が!?

思考が一瞬停止した。いや我ながらよく意識を戻せたと思う。敵の剣は首に迫っていたが辛うじて避けきれた。今のは一体…

2本あった細剣が1本になっている。正確に言うと、2本の細剣は融合したらしい。それで1本の細剣になったんだが、まるで避雷針だ。

そうか。周囲の魔力を集め、それを電撃に変えて解き放つ。敵は自らの魔力を一切使わず、俺らだけの魔力を利用しているんだ。めちゃくちゃ効率的だな…奴の剣に触れたら魔力が吸われるから迂闊に斬りこめないし、単純に雷撃も厄介だ。ただ、単調攻撃であることに変わりはない。もっと言えば、今までの中では一番ダメージは受けない。あの武器を破壊しなければならないというのを除いたらの話だが。

そう考えている間にも敵は迫ってくるし斬り殺しにくる。迂闊に受け止められない今避けるべきなんだろうが全部を避けるなんて不可能だ。かといってアリスの援護は望めない。あれはかなり魔力を消費するらしいからここぞという時に残しておきたいと言っていた。

 

だから俺は、やつの剣に魔力を与え続ける。無限では無いはずだ。いつか許容範囲を超え、壊れるはずっ!

 

「うぉぉぉおおお!!!」

 

空間リソースから集めた魔力を刀身に宿し、ヴォーパル・ストライクを放つ。当然敵は受け止めた。きっと全て吸い込めると思ったんだろう。だが、俺だってここに来るまで、血反吐を吐く思いで努力し、生き残ってきた。これまでの戦いで無念に散っていった奴らの思いを、想いを!背負っているんだ!負ける訳には、いかない…!

 

ユウキ、アスナ、それにランまでもどうやら習得していたようで、俺の攻撃に重ねてくれた。おかげで敵の細剣の耐久の限界を突破したようで粉々に粉砕できた。その時魔力も戻ってきた。なんかワ○ピ○スのやつであったような気がする、そんな話し。

 

 

最早当たり前のように次の武器が錬成されるのだが、よくよく考えたらおかしいと思う。ただでさえ普通のボス並の強さなのにまた新たに出すとかボス何体分だよって感じだ。いい加減武器種はひとつにして欲しいものだ…今回も3つなのか…?

 

次に現れた武器は片手剣だった。そしていきなり、

 

「エンハンス・アーマメント。」

 

奴が剣を地面に突き刺し武装完全支配術を展開したら氷が出現した。この技は元は亡きユージオの技だ。何故それをあいつが使える。剣は決して青薔薇の剣とは言えない。寧ろそこには、存在してるのかも怪しいほど薄く透き通った剣しかない。

案の定前衛の俺らは足を氷漬けにされた。そして敵は更に連続で放つつもりのようだ。どうやら次使うものによって色が変わるようだ。あれは金色だから…まさか…

 

「リリース・リコレクション。」

 

金木犀の剣になっていた。まさかアリスのも再現するとは思わなかった。ここまで来ると、全ての技を再現できるのではと思う…当然足を氷漬けされている俺らに逃げるなどという選択肢などなく、このまま攻撃を受けるかという所で防御結界が張られた。張ってくれたのは今回、後衛で参加しているリーファだ。今までも中衛よりの後衛という感じだったが、魔法力の高さによって後衛部隊に配属された。

攻撃を受け止めている間に氷を溶かしてもらい、戦闘態勢に戻る。敵の攻撃も止み、次は何かを考えていた時、それは放たれる状態に持ち込まれていた。

副騎士長ファナティオの技だったはずだ。だがあれはアリスには止められなかったはず。それにあの時俺が使ったやつは未だ使える気配がしない。後衛部隊が結界を張るが恐らく突破されるだろう。そんな時、俺が左手に持つダークリパルサーが青白く光り輝いた。そして俺の手を離れ俺らの前に出る。そして地面に突き刺さり術式を展開した。氷が敵に迫り捕縛した。青薔薇が咲き魔力を吸っているようだ。いやそんな事はどうでもいい。一体どうやって…

程なくして、捕縛は解かれたがそれは想定済みらしく、敵に向かって剣は勝手に斬り合いを始めた。まるであの頃を見ているかのようだ。ただ、違う点が一つ。勝てなかった。綺麗に縦に半分に斬られた。そして横たわったダークリパルサーを敵は踏み潰し折った所で爆散した。

俺はこの時激しい怒りを覚えた。ダークリパルサーはエリシュデータと並んで俺の相棒だ。二刀流使う際に自ら素材を取ってきた思い出深いものだ。それを全て踏みにじられたような気がした。いや言葉通り踏み躙ったのだが。だからこそ許せないと言う思いが強かった。剣に愛着を持つのは最初は馬鹿馬鹿しいと思っていた。でも、違う。人が剣を選ぶように、剣も人を選ぶ。人のように同じ剣なんて1つも有りはしないっ…!

 

「このやろぉぉおおお!!!」

 

左手に新たに添えたのはエクスキャリバー。あいつが自らの犠牲をささげ、俺らを守ってくれた。なら俺は、それに応えるだけっ!

 

敵の剣は次の技を放つ時、それが放てる固有の武器に姿が変わる。俺が何度、あの世界で見てきたと思うんだ。姿だけでも分かれば、対処可能だ!

 

時折、片手剣のくせにエルドリエとかの他の武器種の攻撃を放ってきたが関係ない。2度同じ技は食らわない。

その後何度も神聖術を使われたが全て避けるか、発動を阻害したりした。それによってこれでは勝てないと悟ったのだろう。敵は距離を取った。次の武器種が分からない以上闇雲に突っ込むのは危険すぎる。俺も様子見することにした。だが、一向に武器を出す気配がしない。ただ突っ立ってるだけだ。こっちから仕掛けようかと思った時、奴が手を俺らの方へ向けた。正確には指先をだ。そして指先で術式を展開し放ってきた。こいつ、あのダルマと同じことできるのか!?

 

簡単に言えば投擲武器だ。投げ方はだいぶ王道からそれてはいるが武器が武器だけにそう言わざるを得ない。威力は今までの中ではかなり低い。だが、毒だったり麻痺だったりの補助的なものがかなり強めだ。俺の中で知ってる限りで言うと全てLv5かそれ以上だ。麻痺をもし食らってしまい集中攻撃されたら、いくら攻撃力が低かろうが数食らえば話は別だ。

敵は更に手を加え、同時撃ちが10発になった。本当に元老長みたいだな。だが、あれより強いしなんと言っても速い。多少なりのダメージを想定して突っ込む手段を取ることは勿論不可能。まさか投擲武器にこうも攻めあぐねる時が来るとは。結界もいつまで持つかは分からないからそろそろ攻撃を仕掛けないといけないのだが…

こちらも遠距離型支援魔法を放つが避けられるか投擲武器を当てられ相殺させられるかだ。そうか。

 

「後衛部隊は引き続き遠距離型支援魔法を!前衛部隊も可能な限り妨害系魔法を!」

 

俺がそう指示を出すと全員頷いてくれた。

俺の合図で結界を解き、全員一斉に魔法を唱え始めた。そして放つ。妨害系魔法により、敵は術式を展開するのが遅れたり解除されたりした。まともに撃てたのは全て後衛部隊による魔法で撃ち落とされた。そして数で優ったこちらの攻撃が敵に届くかという所で、それすらも撃ち落とされた。

 

「なっ!?」

 

この場にいた全員そう思ったに違いない。今のは間違いなく当たる攻撃だと。だが俺らは忘れていた。もう既に奴らの体は"化け物になってしまっていたことを"。

 

背中から触手が生えており、そこから術式を展開した模様だ。となるともうチュデルキンより多い。更に術式が完成されるのがさっきまでより格段に早くなっていた。魔法陣が見えたらと思ったらもう武器は飛んでくる。こっちは詠唱している余裕なんてない。まさに絶体絶命。仕方なく防御結界を張るがそれも10秒持たない。もう突っ込むしかない。

 

「アリス!頼む!」

 

「…はっ!わかりました!」

 

アリスの武装完全支配術で少しでも弾ければっ…

 

「舞え!花たち!」

 

アリスの詠唱によって金木犀の花による盾が創られた。これの後ろに前衛部隊が並び、一気に近づいた。そして残り2メートルのところで四散した。後方のリーファとシノンの同時攻撃を敵が捌いている間に距離を詰め、それぞれソードスキルを発動させる。連撃数が多いやつだ。俺も二刀流ソードスキル、イ・ジクリプスを発動させた。

俺が左腕を、ランが右腕を斬り飛ばした。だがそれだけしか出来なかった。敵は触手を俺に伸ばし、捕え、少しずつ、俺の肩の付け根に投擲武器を刺し始めた。痛みが顔が歪む。徐々に切り離されていっているのがわかる。周りもそれを止めようとするが敵は更に増やした触手によって、俺の仲間達に攻撃する。

もう左腕の感覚が無くなってきた。それと同時に硬直も解けた。このゼロ距離のチャンスはもう巡ってこないだろう。左腕はくれてやる。俺はお前を倒す!

 

「うぅぅあぁぁあああ!!!!」

 

俺がエリシュデータを振ると同時に左腕は斬り落とされた。敵は自身の前に硬質化した触手を翳し、俺の攻撃を遮った!なんでもありだなこの触手。そんな危機的状況なのに、妙に頭は冴えていた。ふと、茅場の言葉を思い出す。

 

 

(エリシュデータ。解明者か、いい剣だな。)

 

 

なんで出てくるんだよ…でもおかげでこいつの本質がわかった気がする。

俺はエリシュデータを握る右手に過去最大の力を込めこう言った。

 

「エリシ…データ…!!」

 

翳された触手の中で最も脆い部分を見つけ、そこだけを斬りつける。すると今まで全く歯が立たなかったのがスルスルと入り込む。

 

「終わりだぁぁああ!!」

 

勢いよく触手を斬り裂き、敵のお面に向かって剣を伸ばす。真っ二つに頭を切り裂き、敵は崩れ、土へと還った。

 

「へぇ。ここまで突破しちゃうなんて、面白いわねぇ。じゃあまた後でね坊や。」

 

いつも通りのウザったらしい台詞を吐きながらアルバは消え去った。本当にいつもどこから見ているのだろうか。

 

 

 

 

次回

 

【正体】




これ主人公キヒロなのに出ない…
もうキリト主人公でいい?w

いつ出るかな?次の次くらいかな?
待ってる方少々お待ちくださいませ…!

(*´∇`)ノシ ではでは~


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真相

思ったより長くなりそうな予感…
いや既に予定の話数は過ぎているのだけれどね…

ま、いっか!w

では!どうぞ!


戦闘終了直後だからだろうが、皆疲労困憊だ。魔力なんてほぼつきかけているし、単純にステータスとして現れないところでの疲労がある。数えたところ、今回の死者は19人。約4割という所だ。それに殆ど魔道士というのがなかなかきつい。これからの闘いを考えたら魔道士は必須であるのは確実だ。そんな中で魔道士を失ったのは大打撃と言わずしてなんと言うべきか。

かく言う俺も、左腕を失ったので戦い続けるなんて不可能だろうが…

そんな時、ユウキが近くに寄ってきた。因みにランはもう俺の傍でわんわん泣いている。姉ちゃんを悲しませた!とかで怒られるのだろうか。それについては言い訳するつもりは無いがはてどうしよう…

 

「キリト、ちょっと見せて。」

 

ユウキはそう言って、斬り落とされた俺の肩の部分に近寄った。血は既に止められてはいるが痛みはまだある。木綿季をよく見ると、俺の斬り落とされた左腕を持っているので何するつもりなのかは大体予想はできたが、そんな事は不可能に決まっている。少なくともアンダーワールドにそんな術式は無かった。もしあったとしたなら、あの場面で俺が使わないはずはない。だが俺の考えを分かってはいる様子のユウキだが、やってみるつもりらしい。

小さく呟いた術式を聞き取ることは出来なかったが、どうやらとても高度な術式みたいだ。あくまで感覚としての話だが、俺の切断部同士の緻密な縫合がされていっているような気がする。かなりユウキの腕にはスパークが迸っているが辞めるつもりは無いらしい。絶え間なく術式が切断面を走っている。やがてそのスピードは緩やかになり、それは完全に消滅した。それと同時に、ユウキが派手な音を立てながら横たわる。相当力を使うというのは分かった。数秒したら起き上がって俺に向かって、

 

「キリト、2、3日は絶対安静すること。剣を振り始めるのは1週間たつてから。いい?」

 

ユウキは俺にそう告げるとまた倒れた。ランがユウキに感謝の弁を述べ、アリスはあの術式のことを聞く。ユウキが使ったあの術式はざっと500術式を重ね合わせたものらしいから末恐ろしい。一体どれほどの知識と何より経験を積めばこれほどの処置を施せるようになるのだろう。これはユウキが行っていたアルマトランについて、詳しく聞く必要があるのかもしれないと、思った。

 

84層に到着して主街区に着いた時、キバオウがこっちに歩み寄ってきた。なんだかんだでこいつがいなかったら今の攻略組の形は無かったのかもしれない。昔のことを流せるほどの努力はしていると思う。あいつ自身は、まだせなあかん!と思ってるらしいが。

 

「キリトはん。少し話がある。」

 

そうキバオウが言って話し始めたことはこれからの攻略組に多大に影響することだった。

 

まず第一に、次の攻略には参加しないこと。

第二に、80層以下に一旦帰還すること。

そして最後に、キバオウ自身はここに残り、共に戦うという事。

 

何故こんな話が出たかと言うと、それはギルドの甚大なる被害からだ。80層までは規模最大のギルドだったのが今では見る影もない程だ。それ程までの犠牲を1番払ってきたのはキバオウらが率いるアインクラッド解放隊だった。こう告げるのは本意でないことは十分伝わってくる。そして、一軍の人らがほぼ全滅した今、こうするしかないのも至極当然だ。これ以上の犠牲を払う前に一旦立て直しも含め、元々の拠点へ帰り、戦力の底上げを担いに行くのも合理的だ。ただ、キバオウ自身が、最初にやり始めようと言ったばかりに、引き返す訳にもいかないと本人が言っていた。その話は現段階で生き残っている攻略組全員が納得したので、キバオウ残してアインクラッド解放隊は転移門を通って帰って行った。新拠点に移ってきた約70人ほどいた人らは、帰る時には10人ほどだったのは、精神的にくるものがあった。入れ替わりでスリーピングナイツのメンバーが戻ってきてくれたのは心強いが損害分を補充できるほどのものでは無いのは皆重々承知のようで、決して表情は軽くない。

怪我の影響で暇な俺はアリスにとあることを聞いた。金木犀の剣の事だ。いつどのようにして習得したのかは聞いてなかったのでこの機会にと、聞いてみることにした。

その話はとても納得のいくものだった。あの場面で、敵の巨大化した柏を見て、ふと思い出したらしい。私の金木犀だって負けてはいない。寧ろ見ていて美しいとさえ思わせる美麗があると。その想いと、長年の付き合いもあってか、アリスの持つ聖剣・デュランダルが光瞬き、金木犀の剣へと変換したらしい。それで放てたとか。因みにそれ以来、元の剣に戻ることは無かった。今も金木犀の剣のままだ。

話を聞いて思ったが、想定していたより遥かに、この世界は人の思いに敏感なようだ。悲しみだったり憎しみだったり願いだったり。様々な思いが力となったり、自身を滅ぼしたりする。となると、アルバらの思いは一体何なのだろう。何が彼女らを、そんなにも突き動かすのか。それを知るのも、攻略の一途になるのかもしれない。と言っても、まるで検討がつかないが…

 

 

あれから9日経ち、悲壮感に満ちていた攻略組に活気が戻ってきた。選抜メンバーを決め、いざ出発する。何人か魔法の練度も上がり、この最前線でも一撃で沈められるほどにまで強化されていた。これは前衛もうかうかしていられないな。いつの間にか魔道士が前衛にいても可笑しくはないな…そのぐらい強くなっている。回復量もとても頼りになるほどまで成長したし、支援魔法もかなりの強度だ。実際、80層程なら雑魚モンスターの攻撃が通らないほどまで強化できる。本当にとても頼りになるレベルまでになってくれ、感謝しかない。特にALO古参組にはとても迷惑をかけたから、これが終わったらあっちで何か恩返ししないとな。

相変わらず、俺を監視しているのかと思わざるを得ないタイミングでボス部屋へ案内しにくるアルバがいた。まぁ今更これについて突っ込むことなんてないがな…いつかはこれが罠になるのではないかといつも思ってはいるのだが一向にそんな気配を見せないししてこない。これも気にしてたら仕方ないか。そんな感じで、ボス部屋に入った。

 

背丈は180近いと思われる。仮面で隠れているから分からないが好青年だったんだろうなと思う。こいつも触手を出せるように改造されているとしたら…許すことなんて出来るわけない…いや、許してはならない。まだ残っているかもしれない仲間を救うために、ここは突破しなければならない。

 

「さぁ、はじめましょう!!」

 

アルバがそう言った直後、敵は弓を取り出した。そしてそれを放ってくる。勿論矢が飛んでくると思っていたのだが飛んできたのは片手剣だった。重量あるからなのかとても早く1人の魔道士が壁に串刺しにされた。さらにそれで終わらず、串刺しにされた魔道士を中心に壁にヒビが入り始めた。

 

「全員、地面になにか突き刺せ!」

 

血盟騎士団団長のノーチラスがそう指示を出す。その1秒後に壁は破壊された。考えてみれば今まであれほどの激戦だったのに壁は壊れなかったな。これがまた新たな仕様か何かか?

 

「素晴らしいでしょ!遂にこの迷宮区も破壊できるように改造できたのよ!」

 

今までは爆風が起きても壁によって守られていたのがそれすらも無くなったということか。俺の予想より遥かにシステムに関して詳しいやつがいるのは間違いなさそうだ。ここにあいつがいればなぁ。てかここまでの攻撃手段的にアドミニストレータが生きているのかさえ思う。いや確実にあの時死んだんだから蘇るなんてことは無いはずだが…やりかねないなこいつらなら。

相変わらず、弓を引いて放ってくるのは剣とかその類で矢が飛んでこない。だが、今回敵は遠距離戦に持ち込みたいはず。近づかれれば対処できないはずだ。仲間達に指示を出し、散開する。円形上に近づいていくにつれ、敵は剣ではなく矢になっていく。ただ数は増えているが…斬り落とせない速さでもないし数でもないので思っていたより簡単に近づくことに成功した。これも魔道士達の身体能力強化魔法による移動速度上昇の結果だ。残り2メートル。この間合いなら敵は弓を引けない。そう思ったし結果はそうなった。だが、まさか武器が変形するとは思ってもいなかった。

 

「ちっ!槍だと!?」

 

敵はいつの間にか両手槍に持ち替えていた。いや速さ的に弓が槍になったと言うべきなんだろうがだとするとこの上なく厄介だ。遠距離か近距離戦、または中距離戦のどれかに偏っていたのがこれまでだ。だがこれらを融合されると最早手が付けられない。事実、遠距離攻撃は防御結界が無ければ防ぐのは困難であり、近距離に持ち込めば有効範囲の広い両手槍によって殲滅されかかる。

だが、それが分かれば対処できない攻略組ではない。今までも形は違えど散々殺されかけてきたのだ。本能的に死ぬかもしれない攻撃は避けられるようになってきている。これは第六感に分類されるのだろうか?簡単に言うと、皆、キヒロ化してきている。体を捩ってギリギリ躱したりもそこそこある。まぁ全部避けられるのは2つ名持ちだけだ。避けられるだけでカウンターしていくのはかなり労力使うができない訳では無い。

両手槍はその長さ故に、扱いづらく、攻略組には好まれていない。それはこいつにも当てはまるようで段々隙が出てきた。こいつの槍は両端で斬れるので回転斬りをよくしてくるのだが、何回もされるとさすがに目が慣れてくる。両端を二人がかりで抑えることができたので、俺は心臓部へ剣を突き刺し始める。

だがそれは遮られた。

両手槍が刀へと変形し、恐ろしい反応速度で俺の突きを弾き返した。そして、そばにいた木綿季が声を上げる。

 

「アルバ、それ、キヒロでしょ。」

 

え…?確かにあの刀のスピードはキヒロに匹敵するとは思うけど俺の感覚的にはもう少し速かった気がする。でも、言われてみればあの刀の捻り方はキヒロかもしれないな…

 

「…………どうしてそう思ったのかしら?」

 

意外にも長い沈黙をした後、アルバは木綿季にそう問いかける。そして木綿季は更に驚愕の言葉を並べる。

 

「その前に言わせてもらうけど、81層からの攻略から全て、キヒロだったでしょ。まぁその確信をもてたのはいまさっきなんだけどね。」

 

「………」

 

「ここまでの武器種の選択は、キヒロの苦手な武器順だった。そしてキヒロが最も得意としているのは、今この場で展開された3武器種。弓・槍・刀。それにどの武器使うにしても所々に出てきた癖を隠しきれていなかったよ。」

 

「………ふぅん。」

 

アルバはそう呟いたあと、いきなり腹を抱えながら笑い始めた。

 

「あはははははは!!!!おめでとうユウキ!!そうよぉ。今まであなた達が相手していたのはキヒロよ!!さぁ、キヒロ!!敵を蹂躙しなさい!」

 

このアルバの表情を忘れるなんてことは恐らく一生できない。人の不幸は蜜の味、という人がいるらしいがあの表情はまさにそれを表現している。人の不幸が、面白くて、可笑しくて、どんなに口元をきつくしても、つい笑みがこぼれてしまう。そんな感じだ。まさに、狂気と呼ぶにふさわしいだろう。多分この女はそういうやつなんだ。

 

「仰せのままに、アルバ様。」

 

アルバ、様?

あのキヒロにそう言わせるなんてどんな洗脳魔法なのだろうか…本当にあの女はそこがしれない。

キヒロは俺達に突進してきた。そして中衛にいたヤツらを3人まとめて串刺しにした後、そのまま放置。そして上空へ飛び弓を生み出し槍によって固定されてしまった3人に向かって矢を放つ。これをユウキが捌き、爆音をたてながら上空にいるキヒロに向かって飛んでいった。横顔しか見れなかったが、めちゃくちゃ怒っているように見える。

 

「キヒロ!!アルバはボク達の敵!討つべき相手を間違えないで!」

 

ユウキはそう言いながら、剣を振る。キヒロはそれを軽く受け止めながらこう返す。

 

「アルバ様を邪魔する者は、全員排除する。」

 

「っ!!キヒロォォオオオ!!!!!」

 

ユウキは左手に右手に携えているマクアファクテルと全く同じ物を再現し、二刀流へと切り替えた。キヒロは刀に切り替え、ここから壮絶な斬り合いが始まった。

恐らく、アインクラッド最強同士の剣士の斬り合い。どちらも全く無駄がない。どの一撃もひとつでも食らったら即死級のものだろう。だが、これほど悲しい斬り合いはあるだろうか。この事件が起きるまでは、最強夫婦なんて言われていた2人が斬り合っているのは、これ程までに切ないものなのだろうか。

状況的にはユウキが少し押され始めた。無理もない。キヒロは完全に堕ちているに違いない。それでもユウキの目からは取り返してみせるという意思が見える。決してその意思が弱い訳では無いのは皆分かっているだろう。ただ、純粋な殺気に勝るほどの意思を創り出すのは幾らユウキと言えど容易ではない。ユウキはキヒロを殺せない。殺したくない。その気持ちは痛いほどわかる。俺も、あの正体がキヒロだと分かったら途端に足が動かなくなったのだから。その点、ユウキは戦いまで持ち込めているのだから。

ユウキの二刀流はキヒロに敗れた。コンマ1秒の隙だったに違いない。それ程集中していたと思う。その僅かな隙すら見逃されず、斬り裂かれた。悔しかったに違いない。自分の愛する人が、全くの別人に変り、それを治せなかったことを。負けたことを。アスナとランがユウキの治療に付き添った。治療中、ユウキの目から一筋の涙が零れていた。

 

「………キヒロ。お前は1番泣かせてはいけない人を泣かせているだぞ!」

 

黙ってなどいれなかった。ここであいつにぶつからなければ…

 

「俺の心はアルバに捧げている。それ以外のやつのことなんぞ、興味が無い。まぁ、こうして話しているのも疲れるからそろそろ終わらせてやる。」

 

そう言ったキヒロは触手を地面に突き刺した。その直後、地面から植物が多数生えてきた。そしてそれぞれの枝には、分身と思われるキヒロが多数いた。そしてそれらはそれぞれで独立しているらしく、俺らに向かって攻撃してきた。1人相手するだけでも大変だったのに、いきなり複数になった。しかも最早どこから狙われているかなんて考えてられない。予測なんて出来るわけない。急にキヒロと全く同じ格好をした者が生えてきたりするのでどれが本物なのかなんてわからない。こういうものは大体本体を叩けば終わるのだけれど、それを探る方法がわからない。それに例え一体潰したところでまた新たに生えてくるのだからキリがない。

 

「ちっ!一体どれだけ出てくるのですか!?」

 

「分からないが全て叩き潰すしかない!」

 

アリスの問いかけに俺はそう答えるしかなかった。アリスの武装完全支配術を持ってしても、粉々に砕くだけだ。終いには追いつかなくなっていた。今や50体ほどいるだろうか?ここまで結構足掻いたつもりだったが、それすら及ばないとは…それにまだ数は増え続けているとは、全くもって巫山戯ているとしか思えない。

そんな時、敵は記憶解放術を発動した。

 

「リリース・リコレクション。」

 

多数の分身体から限界まで引き絞られた弓から矢が放たれた。その数は恐らく千を超えるだろう。この防御結界も持たない。ここでみんな死ぬのか。本当に、どうしちまったんだよ。キヒロ…

 

「ボルグ・アルサーム。」

 

その呪文が唱えられたとき、飛んできた矢は全て破壊された。一体誰がこの魔法を。後ろを振り向くと、姿が変わりかけているユウキの姿がそこにはあった。

 

「ボクがこんな程度で、諦めると思ったの!?キヒロ!!!」

 

「うっ!うぅぅあぁぁぁぁあああ!!!!!」

 

ユウキの姿を見たキヒロが急に叫び出した。そして頭を抱えている。一体何が起きたと言うのだろうか。

 

「ちっ!!!シバ!!!貴様ぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

そう叫びながら、アルバがユウキに向かって斬りに行った。初めて攻撃に向かう姿を見た気がする。ユウキがアルバの攻撃を受け止めた時、派手な爆音が鳴った。一体どんな攻撃をしているんだ…

 

「絶対キヒロは渡さないよ!アルバぁ!!」

 

「我々のソロモンよ!!貴方なんかには相応しくない!!!」

 

「それはアルバ達が決めることじゃない!」

 

「何甘ったれたことを!」

 

因みに今のユウキの出で立ちは桃色に近い紫色の髪にソロモン姿のキヒロと同じような服装。武器は三日月の形をしたものが先端についている杖に変わっている。

 

「アルバ!!貴方が本当に恨んでいるのはボク!!そうでしょ!?」

 

「いいえ、1番はソロモンよ!!あの傲慢さに私は我慢ならなかったの!」

 

「ならなんで殺さないの!?」

 

「生き地獄を味わってもらうため、よ!!」

 

完全に部外者である俺達は彼女らが何のことについて話しているかは全くわからない。まぁ物騒な話をしていることは確実だろう。ただ、この場はユウキに懸かっていることは確実だ。頼むぞ。ユウキ…

 

「生き地獄…?」

 

「そうよぉ。ソロモンは私達の寵愛によって精神的にダメージを、それをすることによって貴方へのダメージにもなるでしょ?ふふっ、愛は時に無情ねぇ。どう?仲を引き裂かれる思いは!!」

 

「アルバぁぁぁぁぁあああああ!!」

 

非人道的だなアルバは。恨みも進むところまで進むと手のつけようがないな…て言うかここまでガチギレのユウキを見るのは初めてだ。ユウキが発動した魔法はボルグを8つ首に分け、相手に物理攻撃を与える、と言ったところだろうか。まさかボルグにあのような使い方があるとは。

それに対してアルバが発動したのは、全てを斬り裂くようなものだ。地面は抉れ、空間も衝撃波によって切り裂かれているようだ。ユウキとアルバの魔法は激しくぶつかり合い、そして爆発した。どちらの魔法も高位の魔法なんだろう。辺り一面消し炭と化してしまうところだった。アルバ側にもダメージは通っているがこちら側も腕や足が吹き飛んだ奴が多い。結果は引き分けといったところか。いやユウキは無傷なので対戦相手同士で考えたらユウキの勝ちか。

 

「まさか、完成させてくるとはね…やるじゃないシバ。」

 

「言ったでしょ。ボクの想いはそんな軽くないって。」

 

「ふぅ。一時退散と致しますか。シバ、次もこう上手くいくとは思わない事ね。」

 

アルバはそう言い残し、去って行った。因みにキヒロだった者はいつの間にか消えていた。まぁあの激戦では生き残るなんて不可能だろう。

 

「リズさん!!」

 

「おい!クライン!!」

 

シリカとエギルが2人に声をかける。どうやら2人はさっきの戦闘によって手足を無くしてしまったようだ。辛うじて意識はあるようだが無事ではなさそうだ。他にも何人か同じような者がいる。そうだ…!

 

「ユウキ!!この前の俺みたいに出来ないか!?」

 

「ごめんねキリト。あれは繋げるだけだから出来たけど、1から創り直すことはボクには出来ない…」

 

ユウキが出来ないのなら不可能だろう。兎に角、今は出血を止めるしかないか。

そんな時、傷ついた者達の身体が光に包まれ始めた。まるで誰かの加護を受けているような。

5秒後。光に包まれながら負傷者はこの場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

「これは…」

 

「治すぞ。なんとしても。」

 

「うん。そうだね。」

 

 

 

そうか。お前がシバだったのか…ユウキ…

 

 

 

 

She got back. To survive. To get back what she loves.I stand up again to break the connection.

And as he looked at his friends falling down one after another, he wondered what they were thinking, and now he would take his sword.

Time has come. Now go back to fight for each other's justice!

 

 

 

次回

 

【戦争】




ぶっちゃけ無理やりですw
まぁでも最初からこうすることは決めていたので、
無理矢理でも無いのかな(言い聞かせ)

結局、キヒロの出番はほぼ無し!w
作者自身、いつ出るか分からない状態に…

(*´∇`)ノ ではでは~


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戦争

すみません!遅くなりました!
中々時間取れなくて、ちょこちょこ書いてはいたんですが…

えっと、何を書けばいいんだ()

うーんと、では!どうぞ!



「くっ…ん、はっ…」

 

本当は大声で叫びたい。泣きたい。でも、それをしても返ってこない。失ってはいけない人達を沢山失ってしまった。それぞれ将来を誓い合った者もいるだろう。それを俺は、数多く消してしまった。俺が死ぬべきなのに、

なんでまだ、生き残っているのだろう。

 

「生きて、この世、界に、幸せ、を…」

 

 

俺はまた、守れなかった。

誓ったはずなのに、また、守りきれなかった。

守りたい者ほど、守れないのはこの世の常であるのだろうか。

 

 

 

 

 

あのような事態があったからだろうか。アルバ等が手を出してくるということは無かった。それはとても好都合だった。第85層を突破したのは良かったが、あまりにも負傷者が多かった。死者も出た。毎回毎回こうも半分ほど殺られてしまってはこの先どうすればいいのだろうか。こちらの実力も確実に上がってきているはずなのに、一向に死者が減る様子が見れない。何か策を考えないと…

そんな時、あの女が来た。

 

「お久しぶりね皆さん。今日は大事なお話があって参りました。」

 

攻略組の中には、お前と話すことなんかない!とか帰れ!とか好き放題言ってる奴もいたが別にそれを止める気も起きない。寧ろ加わりたいぐらいだが、そんな事したらなんの為に奴が来たのか知ることが出来ない。ここは私情を捨てるしかない。

 

「なんのようだ。」

 

「3日後、第86層のフィールドにて私達は貴方方をお待ちしております。」

 

「それはつまり、ボク達に"宣戦布告"という事かな?」

 

「その通りよユウキ。私達は5万の兵力を持ってしてあなた達を排除するわ。」

 

そう言い残すとアルバは消え去った。

 

5万、だと…今ここにいる攻略組は50人ほどだぞ。不可能だ。この状態で戦闘なんかになったら間違いなく、全滅だ。嫌だ、それだけは避けなくては…

咄嗟に生命の危機を感じた数人が転移門へ向かって行った。だが、それが役割を果たすことは無かった。伝言を残したアルバの話によれば、下層から上層へ来ることは可能だが、その逆は出来ないようにしたとのこと。アルバという女は逃げ道を潰すのが得意なようだ。

下にはキバオウがいた為、下層より人員の確保は可能らしい。だが、どんなに集めようとしても5000もいかないという事だ。例え5000集まったとしても10倍。とてもじゃないが現実的ではない。

結果的に集まったのは3000人ほど。これでも集まった方だろう。あのキバオウが下層のありとあらゆる所を巡り、時には仲間に手助けを呼び掛けながらかき集めた人材とのこと。つまり、アインクラッド85層以下での最強布陣であることは間違いないらしい。レベルも攻略組と10以上離れていることは無く、それなりの戦闘経験もある。敵に対する知識はこれからでも間に合うだろう。不安なことに変わりはないのだがな。

 

「どうやら世界の危機のようだな坊主。」

 

この野太い声。かつてアンダーワールドで聞いた声。アリスを守るために、暗黒神ベクタと相打ちになった人界最強の、整合騎士長。

 

ベルクーリ・シンセシス・ワン。

 

彼がそこにいる。いや、よく見たら他にも何人か整合騎士がいる。彼の後ろに続くようにファナティオさんにデュソルバートさん、エルドリエにシェータさん。ネルギウスさんにエントキアさん。それに四旋剣の皆が出てくる。

 

そして………

 

 

「ユージオ…」

 

アリスがそう呟く。最後に現れたのはユージオだった。正直、最初にベルクーリさんが出てきた時にもしかして、という思いはあった。だが、俺はあの時、彼を、ユージオを失ってしまったのをこの目ではっきりと見た。でも、理由はどうであれ、また会えた、3人が揃ったということの方が大きかった。俺とアリスはユージオに駆けり、きつく、熱く抱擁した。

 

「く、苦しいよ2人とも。」

 

その言葉は、少し、ほんの少しだけ、涙声が混じっていた。

そんな時、後ろにいたユウキから驚愕とも取れる声が聞こえた。

 

「アルゴぉぉおお!?」

 

確かにアルゴがいる。更にその後ろには、消えたはずのリズとクラインまでもがいる。一体どういうことなんだ。状況が全く飲み込めない。それをわかりきっての事か、アルゴは次々に説明してくれた。

 

アンダーワールドの死者が蘇った理由は空間に散らばったそれぞれ個体の生命リソースをとある人物がかき集め、再結合した結果によるものだということ。これの難点は、傷を負った場合、通常より治りが遅いこと。それ以外は生前と同じように戦えるとのこと。

これ以上ない戦力アップだ。これなら5万の大軍でも、戦える。

 

「それと、キー君のことについてダガ」

 

これにはユウキが飛びついた。無理もないが少し落ち着いた方がいいだろう。そんなユウキを真っ先に宥めたのがランだ。流石としか思えない。

 

「キー君は今現在、アインクラッド地下100層の所にある部屋で療養中だゾ。」

 

療養中の理由としては、アル・サーメン…いや、アルバによる洗脳魔法を受けた際、黒い魔力を自身に取り込んでしまったことによって戦闘不能状態らしい。だが、それを利用して自分の分身を作り、アルバらの所へ潜入。今まではずっとそれを操ってきたらしい。だがそれが分身だとバレた事により、敵幹部は激怒。更にはそれを破壊。これにより、自らによる殲滅作戦に移行したとのこと。

 

「だから敵は魔法による殲滅魔法を繰り出すと思われるゾ。それを防ぐ方法をこの3日のうちに仕上げないとナ。」

 

それから地獄の鍛錬の日が始まった。

ちなみにキヒロの復活の日は近いらしい。もう少しで黒い魔力を除去出来るとのこと。クラインとリズは完全復活。気づいたら無くなったはずの手足が生えててびびったらしいが普通の反応だなこれは。

 

そうして迎えた3日後。

右翼部隊の隊長にはノーチラスが。数は1000。主に血盟騎士団が先導する。それと整合騎士達はこちらに集中させた。気心しれたやつが多い方がやりやすいだろうというアスナの配慮だ。

左翼部隊の隊長はキバオウ。数は1000。主にアインクラッド解放隊が先導をきる。他にはALOでの領主組や風林火山の人らが盛り込まれている。

中央部隊隊長はラン。数は500程だが殆ど魔道士部隊だ。先頭にはスリーピングナイツの皆や俺らのパーティーメンバーが構成されている。アスナ以外の全員はこの場に揃っている。まぁ俺は指揮するの苦手だからとても助かってはいる。

後方部隊。総隊長はアスナ。前線の戦況を事細かく伝達していく。アスナの指揮が勝敗に関わっていると見て間違いない。だが彼女なら大丈夫だろう。SAOで最強と言われた血盟騎士団の副団長を務めていたのだから。

開戦の時が、刻一刻と迫っていた。

そうして遂に、その時がきた。

 

「全軍前進!」

 

各部隊の隊長がそう叫ぶ。その叫びに負けぬよう雄叫びを上げながら敵部隊に迫っていく。そんな時、敵最前線に巨大な物体を視認した。全長20メートル程だろうか。かなりでかい。全身黒ずくめだからどう言ったものなのかはよく分からないが、人型をした人ならざるものと言うべきか。

それが大規模殲滅魔法を放つまで、あと3秒。

 

 

 

「腕が鳴るなぁ!」

 

こう話すのはユージーン将軍。いや、元将軍か。命懸けだと言うのに、何故この男はこうも興奮したような目をしているのだろうか。ALOでの種族間戦争の規模ではないことを分かってはいるのだろうか。そんな時、もう1人の緊張感ゼロの元領主が私に話しかけた。

 

「サクヤちゃん。絶対、生き残ろうネ!」

 

相変わらず、愛嬌のいい人だ。彼女の見た目に愛くるしさを覚えないやつは居ないのではないか?あぁ、1人だけいたな。まぁ彼は彼女にゾッコンだったからな。これが終わったら、またあの二人のイチャつきを見られるのかと思うと、微笑ましいようなイラつくような、よく分からない気持ちになった。断じて、私に恋人がいないのが理由では無い。断じてだ。

そんな事を考えている間に、開戦の火蓋が切って落とされた。それによって進軍しているのだが、敵兵がこちらに向かって来る気配が全くない。それに何か変わった物が最前列にいるのはなにか理由があるのだろうか。

 

「!サクヤちゃん!!」

 

アリシャがそう言って、私を突き飛ばした。一体何事だ。その答えは、直ぐに現れた。最悪の形で。

 

 

思わず、突き飛ばしちゃったけど、これでいいのかな?敵の最前線にいるあれはきっと、対軍殲滅部隊の一部だと思う。うちの竜騎士部隊にも同じような魔法があるからすぐ分かった。アスナちゃんも恐らくすぐ理解したんだと思う。魔法結界を張ったけど、全軍を防ぐのは無理だろう。そう悟ったうちは咄嗟に、サクヤちゃんを突き飛ばした。結界が貼られている方向へ。あぁ、魔法がこっちに向かってくる。にしても遅いなぁ。これが、走馬灯ってやつなのかなぁ。人生に悔いなし!とは言えないけど、ここで過ごした時間は、楽しかったなぁ。

 

 

「アリシャァァァァァァァァァァアアア!!!」

 

私を突き飛ばしたアリシャは、敵の攻撃によって、黒焦げにされた。かく言う私も、膝から先が無くなってしまった。痛みはもちろんある。足が焼かれていく感覚もまだ残っている。だけど、私にとってそれより重要なことがあった。這いつくばりながらでも彼女に近づく。消えてないことからまだ生きてはいるのだと希望を持ちながら、彼女に近づく。だが、結果は…

 

死んでいた。

どうやらこの戦争において、死者が消えることはないらしい。死んだ姿のままここに残り続ける。なんて酷い世界なのだろう。ほんの少し前まで、他愛もない話をしていたのに。また一緒に、酒が飲めると思ったのに。その夢は全て、打ち砕かれた。

 

 

「そんなっ…!」

 

勿論、敵の殲滅魔法に対して対策は立ててきた。だけど、その威力、射程、発動までの時間。どれをとっても想定を遥かに上回った。今の攻撃で最前列はほぼ壊滅寸前。救いなのが今まで生き残ってきた精鋭及び、整合騎士達にはダメージがないこと。だけど、決して無視できない損害であることは確か…こんな時に、彼がいれば…

 

「アスナ!指示をく」

 

恐らく、キリト君からだったのだろうけど、通信が途端に切れた。理由は分からないけど、これでは指示をとばせない…一体どうしたら…

 

 

 

「なっ、通信が途切れた!?」

 

「…………キリト、恐らくだけどこの魔法は、"絶縁結界"だよ。」

 

絶縁結界。ありとあらゆる魔法が使用不可能になる空間。その魔法を破るには何ヶ所にも渡る支点うちの何個かを破壊しなくてはいけないと、ユウキは言った。そんな時、またしても奴が現れた。地中から。

 

ガガガという音を立てながら地中から出てきたのはソード・ゴーレムだった。この距離では逃げるなんて手段は不可能。戦うしかないが最悪なことに魔法による支援は全く望めない。全く、敵は戦い慣れているとしか思えない。

 

数は10体。あれを打ち破るにはそれぞれ50人は欲しいけど…どうすれば…

 

「アスナ、朗報だゾ。」

 

アルゴさんが話しかけてきた。こんな状況で朗報?話によっては叩いてしまいそうだけど…

 

「そんな怖い顔するナ。キー君の復活ダヨ。今さっき連絡が来た。」

 

今の私はどんな顔をしているのだろう。絶望的な状況の中、たった一人の男の子が帰ってくる。それだけなのに、もう大丈夫だと、そう思えたのは私だけなのだろうか。

 

 

期待していいんだよね。キー君。いや、継裕…今に至ってはたった一つの光になる存在である君が帰ってくれば、この状況を打破出来るかもしれない、そうだよね。…お願いね、継裕…

 

 

 

「ん、お前ら、感じたか?」

 

「えぇ。我々を復活させてくれた方の気を感じました。」

 

「よぉし。ここでいっちょこのどデカい奴を倒し、恩を返そうではないか。」

 

「えぇ、整合騎士の名にかけて!」

 

 

 

 

くそ!何だこの化け物は!俺の仲間が、一瞬にして殺られた。これ以上後ろに行かせるわけにはいかねぇ。怪我したサクヤ達がいるんだ。

 

「ふん、ここで食い止められなければ、ALO最強剣士等とは名乗れんなぁ!」

 

風林火山の奴らやアインクラッド解放隊の精鋭メンバーと計3体の化け物を相手する。こいつらはとにかく速いし攻撃が鋭い。時間が経つにつれ仲間は次々に消えていく。今や残っているのは俺と風林火山のギルマスのクラインと解放隊の数人。そして残っている敵はあと2体。こんだけの犠牲を払ってたったの一体しか倒せないとは…ここは一旦前線を立て直すしかない。

 

「おいクライン。お前はこいつら引き連れキバオウのところまで行け。」

 

「な、死ぬ気かあんた!?」

 

「そうじゃねぇ。この状況を伝えてこい。それまでは耐えてやるからよ。」

 

クラインは俺の話が分かるやつだ。きっとあいつなら、俺の意図を汲んでくれるはず。おいさっさと行けこの野郎。気持ちが揺らぐだろうが。ああ、このアホとまた、酒を飲みたかったなぁ。

 

「行け!」

 

俺の掛け声によって、俺以外の奴らは全員後退していった。とてもじゃないがこの俺でも1人で2体を相手出来るとは思わない。だが、俺が駄目でも次の奴らに託せば、必ず、道は開かれるはずだ。だから、この俺の選択は間違いでは無いはずだ。だが、

 

「はは、"怖ーな"。」

 

次々敵の攻撃が俺に降り注ぐ。出来る限り避けるか弾くがなんせ相手は化け物だ。この全身が剣みたいなやつに、俺が勝てる、いや時間稼ぎすらすることは許され無かった。剣が吹き飛ばされた。取りに行くなんて事を許さないばかりか、俺の剣を真っ二つに折りやがった。これを絶望と言わずして、なんて言えばいいのだろうか。次から次へと俺の体に剣が刺さる。痛い、痛すぎる。次第に痛みが消えていった。目は血によるものなのか真っ赤になった。視界が次第に暗くなる。人としての感覚が無くなった。そうか、これが、

"死ぬ"という事か。

僅かに残っていた聴覚にはあの化け物が倒される音が聞こえた。あぁ、良かった。俺の死は無駄にはならなかった。あとは頼んだぞ。

 

 

 

 

「くそ、間に合わなかったか…」

 

ユージーン将軍。あんたは男の中の男だよ。どうか、安らかに眠ってくれ…後は、任せろ。

 

 

 

「おーい!!ユージーンの旦那ぁー!っ!?」

 

俺が見たものは、人としての原型を失ったユージーンの姿だった。では何故ユージーンだと分かったか、それは、半分に折られた剣がその傍に刺さっていたからだ。あの化け物は粉々に斬り裂かれていた。

 

「くそっ!分かってたはずなのに!止められたのに!」

 

「泣くんじゃないクライン。ユージーンが報われんぞ。」

 

キバオウの野郎にそう声をかけられた。そうだ、泣いてしまっては、旦那の賭した意志を無下にしてしまう。旦那が見れなかった、見るはずだった世界を、俺達は探し、見つけていかなければならない。それが、せめてもの償いだ。ありがとう、ユージーン…

 

 

 

 

ソード・ゴーレム。残り7体。

 

 

 

He will finally return to the battlefield.He wields his sword again because he has a life to save.

 

 

次回

 

【鬼神】

 




はい、やっと出ましたね。ほんの少しだけど…
次回はガッツリ出る予定(あくまで予定)

多分推しの人いると思うですけど…
ごめんなさい!
いや許して貰えるとは思わないけど…
本当にごめん!

(*´∇`)ノシ ではでは~


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光明

どうしよう…まだ終わる気配がしない()


では!どうぞ!


残るソード・ゴーレムは7体。たとえそれを全て破壊しても次はあの巨大魔道兵器だ。だが、とりあえずゴーレムさない限り、こちらに勝機はない。あれに勝てる奴らなんてそういないからな。それにぱっと見だが、敵にも剣士部隊がひかえている。やはり出来るだけ早くこの結界を破壊するし、一気に叩くしか手はない。ならばそれを託せるとしたら…シバであるユウキしかいない…

 

「間に合わせるしかない、か。」

 

 

 

「よしっ!この調子でもう一体!」

 

俺達中央先頭部隊は突如現れた4体のソード・ゴーレムの相手をしていた。まぁその前の魔法攻撃を全員が避けきれたのは不幸中の幸いと言うべきか。だが、それと同時に何故か魔法を使えなくなった。正直魔法の援護無しであの化け物とやりあうのは不安でしかないが、やるしか無かった。逃げようにもあのスピードではすぐ追いつかれてしまうからだ。だから連携しダメージを与え倒していこうと思ったのだが、向こうも予想以上に連携が取れる。理由は分からないがとても面倒なことは確かだ。かれこれ数十分かけてやっと一体倒せたという程だ。心意が使えなかったら全滅していただろう。

 

魔法が使えないことがこんなに負担になるなんて…ボクはアルゴが言っていた内容が頭から離れなかった。この戦闘中でもだ。今もいつになったら来るんだろうって考えてる。皆に迷惑かけてるし、このままではいけないんだと分かってるのに、頭から片時も離れない。あぁ。ボクが思っていたよりも、キヒロの存在は大きかったんだなぁって実感する。いつも危ない時は助けてくれた。そのくせ、自分が危ない時は呼んでくれないのはちょっと悲しかったりした。ボクは頼ってばっかりで、頼られたことなんてあったのだろうか。ボクが守ったことなんてあっただろうか。SAOでもALOでもGGOでもOSでも、UWでも、キヒロは守ってばっかりで、誰かに守られてことなんてあったのだろうか。そんな事考えていたせいか、ボクは一気に窮地に追い込まれた。剣は吹き飛ばされ、眼前には今にも振り被ろうとしている敵がいた。多分避けきれない。皆がボクの名前を呼ぶ。姉ちゃんにリズがこっちに向かって走ってくる。多分、いや確実にも間に合わない。意外と呆気なかったなぁボクの人生。未練、あるなぁ。そりゃもうありまくり。ただ、1つだけ願いを叶えるなら。もう一度、一瞬でもいいから。キヒロの顔見たかったなぁ。

そしてボクは目をつぶった。

 

いつまでたっても何もこない。いや正確には豪風がきた。それと甲高い音が届いた。でも、それだけだ。お腹を貫かれたような感覚はない。と言うより痛みすらない。あの距離で避けきれたとも思わない。一体、何故。いや、誰が止めてくれたの…期待、していいのかな…?ボクは恐る恐る、目を開けた。

 

「遅くなって悪かった。」

 

そこに立っていたのは、多分キヒロだったと思う。なんで多分なのかって言うと、声と最初に見えた姿しか判断材料が無かったからだ。その姿を見た瞬間、ボクは膝から崩れ落ちてしまった。もう会えないと思っていた大切な人、愛する人に会えたという事実に、嬉しくて、嬉しくて…戦闘中だと言うのに、大声で泣き始めてしまった。

 

ユウキの泣き出した姿を見て俺は、申し訳ない事をしたなと思った。俺の記憶の中で多分1番泣いていた。俺はユウキを泣かせてばっかりだなぁ。兎も角、話をするためにはこれを倒さないと。

 

ユウキの前に現れ助けたのはキヒロ君で間違いないと思う。ただ、その強さには圧倒された。2本の長刀の内の1本を逆手に持ったと思ったら回転斬りで一気に破壊。いやその前のも有り得ないと言いたくなる。ユウキに向かっていた剣の切っ先に正確に切っ先をぶつけ相殺していた。あの状況下で考えるに人というものを超越しているようにしか思えない。更に驚いたのが回転斬りの速さ。私達が数十分かけてやっと一体だと言うのに僅か2分程で残りの3体を倒してしまった。

 

「話がある。全員集まってくれ。」

 

キヒロはユウキを肩に抱き抱えたまま話し始めた。内容は、左翼部隊の壊滅よう。そしてこの結界のこと。その破壊をここにいる人だけでしなくてはいけないこと。個人的にはユージーンとアリシャが死んだという報告が一番心にきた。サクヤが重症だと聞いたリーファは駆けつけようとしたが今は安全だと知らされるとその場に落ち着く。左翼部隊は今人数は当初の3分の1程までに減り、何か突出した力を持っている訳でもない。なので俺らの中で半分ほどは左翼部隊に回ることになるという。

 

「キヒロ君はどうするの?」

 

ランがそう問いかける。多分ランが聞かなくても他の誰か聞いていたに違いない。するとこう答えた。

 

「俺は中央先頭部隊に残り、敵部隊の相手をする。」

 

俺達半分が左翼部隊に回り、もう半分は絶縁結界の破壊に回るということはこの一帯をキヒロ1人で背負うことになる。いくらなんでも無茶だ。そしてキヒロはこう続けた。

 

「敵部隊に剣士部隊がいることを視認している。右翼部隊のソード・ゴーレムが全滅し次第突撃してくるだろう。」

 

だから、結界をどれだけ早く壊せるかが、この戦争の勝利へと直結するとのこと。わかったと言ったのはユウキだ。いつの間に泣き止んだのやら。キヒロはこうして帰ってきてくれた。だから次も必ず帰ってきてくれる、とユウキは言った。まぁそう言われたらキヒロを信じてやるしかないと思わざるを得ない。班は俺とランとユウキが結界破壊組。その他は左翼部隊への援護ということで固まった。

 

「さて、敵剣士部隊は約2000。それを1人で相手しなければいけないとは。中々骨が折れる仕事を考えたものだ。」

 

 

「これで最後か。」

 

右翼前方を陣取っていたソードゴーレムを倒し切ったとの報告が届いたのと同時に、中央前衛部隊が2手に別れ、この絶縁結界の破壊に向かったと聞いた。そして残った人物はただ1人でありそれが、キヒロだということ。

 

わいが率いる左翼部隊に中央前衛部隊から応援が半分ほど来た。状況を聞き、大体の内容を把握したが問題はそこじゃない。たった一人で、あの剣士部隊と交戦するつもりということに腹が立った。わいらは信用されてないんかいと。だが、要するにこういうことやろ。

 

「「1人で抑えているから、その間に敵陣へ突っ込めと…」」

 

 

その考えに至った時、ある宣言が聞こえた。

 

 

「アルバァァァァアアア!!俺はここにいる!!とっとと姿をだせぇ!相手してやる!!」

 

 

まさか自ら姿を現すとは。私達がどれほどの思いで貴方を探していたのか分かっているのでしょうか。いいでしょう。魔法の使えないこの空間で相手をするというのなら、死にたいというのなら手伝ってあげましょう。

 

「あははははは!!!いいわぁ!剣士部隊に告ぐ!ソロモンを殺せ!肉片を1つたりとも残すな!!」

 

 

 

なんの冗談かと思った。俺ら整合騎士達に下された命令は、できる限り最前線へと向かえとの事だった。敵剣士部隊は真っ直ぐにキヒロの所へ向かっている。こちらには見向きもしない。見殺しにするつもりは無いだろうが、まさか1人にあの数を押し付けるとは何を考えているのやら。武装完全支配術とやらが使えるのならまだしも、それが使えないこの空間であの人数相手にするのは自殺行為。それをほうっておけと言うのか上の奴らは。

 

「ちっ、上の奴らは何を考えていやがる。」

 

「確かに。ここでキヒロを見殺しにしては、勝てるものも勝てません。」

 

「……いや、問題なさそうだ。」

 

デュソルバートが文句を言い、嬢ちゃんがそれに同調した。そしてファナティオがそう言ったから視線を向けてみるが、確かに問題はなさそうだ。まぁあくまで今のところはだが。序盤は誰しも動ける。問題は終盤に向けてそれが持続されるかだ。まぁこちらが心配しても仕方がない。今は信じるしか、いやそれしか出来ない自分が不甲斐なく感じる。

 

 

「いやぁ、注目を浴びようとは思ったけど、まさかこれ程とは。武器足りるかこれ…?」

 

とりあえず俺は、短剣・両手剣・投擲武器をオブジェクト化した。これらを手にするとソードスキルは使えないが別にそれでいい。てか使ったりなんかしたら硬直時狙われるだけだ。敵剣士部隊はただの剣士は1人たりともいない。全員、狂戦士化したやつらだ。よって幾ら麻痺させようが回復し次第こちらに向かってくるだろう。殺すしかない…例えそれが、元仲間であってもだ…

 

「安心しろ。苦しまないようにしてやる…」

 

そう言って俺は1人目の首を飛ばした。

両手剣を遠心力を利用して振り回し5人の首を切り飛ばした。ただ、数が数なだけあり、武器の痛み具合も早い。あっという間に欠け始めた。ので、両手剣を投げ飛ばし1人を串刺しにする。短剣では首を切り落とすことは出来なかったので、投擲武器として使った。左手でアイテムウィンドウを開きながら敵を相手し、オブジェクト化した武器を使いながら敵を屠る。一体どれほどそれを繰り返しただろうか。30程あった武器のストックもそろそろ底をつきそうだ。どれも上級武器であるのにここまでの損傷をされるとは想像してなかった。しかもまだ足りない。予想外だったのは敵の強さもあるだろう。さすがに足りないから、敵から奪い取った槍で敵を薙ぎ倒しながら進み、斬れ味が落ちたら3人程腹を貫通させる。片手剣で兜割りをしたり、細剣で身体を穴だらけにしたりした。どれもこれも決して綺麗ではない。痛みを感じることなく殺せた人なんてほんの数人だろう。こいつらは確実に死ぬ方法じゃないといくらでも向かってくる。多分だが、そういう風に洗脳されているのだろう。腹が切り裂かれても地面に這いつくばりながら俺に向かってくる奴もいる。結果的に、この人数差で、痛みを伴わないように殺すのはかなり難易度が高い。いや、本来なら殺さない方がいいんだがそれは今のところは不可能だ。フェニックスの能力を使うにはこの絶縁結界が解けていなければならない。

 

「AHHHHHHHHHH!!!!」

 

「っ!」

 

油断した。いや、これは疲れか?敵の薙ぎ払いを避けきれなかった。お陰で片目が潰れた。かなり不味い状況だ。左側は全くと言っていいほど見えない。案の定、左側から回ってき始めた。こう明らかな弱点を付いてくるとは、さすがとしか言いようがない。残りの武器は今手に携えている刀二振り。とあるサーバーに残されていたデータから抜き出した物だがまた会えるとは思ってなかった武器だ。まぁ思い入れがあるから血なまこになって探したんだがな。しかも性能もあの頃のままというオマケ付き。全く、つくづく恵まれているとしか思えない。

そこから多分25人ほど殺した時、体に違和感が生じたのを感じた。この感覚は、ある作戦が成功したことを意味する。

 

「ふっ。やったな、シバっ!」

 

 

 

 

「どーすんだよアルバ。絶縁結界破壊されちまったぜ。」

 

俺は結界が壊れたことにより復活した魔道具を使ってアルバへ通信を繋げた。案の定、めちゃくちゃキレていたのでそのまま通信を切ろうかと思ったがそうはいかなかった。

 

「アレを放ちなさい。イスナーン。」

 

いやいやいや。まぁ確かに、こちらの剣士部隊は全員どっかから奪ってきた連中だけだがそれを巻き添えにするのは惜しいような気もするんだが。まぁぶっちゃっけ、あれが洗脳解かれて寝返る方が最悪だからなぁ。まぁもう用済みだしいっか。

 

「りょーかい。」

 

 

 

「はっはっはっ。これかユウキ!?」

 

「そうだよ。これを壊せば、結界を解ける。」

 

一見しただけではどういうものなのかは理解できない。直径は約1メートルほど。高さは50センチほどの簡易的な作りをしている円柱のものだった。これが結界の支点の一部だと言われなければ通り過ぎるようなものだ。まぁ多少は気になるかもしれないがほぼ確実にスルーするだろう。そんな代物だ。さて、壊し方だがひたすら切りつけるしかないという。なんかギガスシダーを斧で切り倒そうって言うぐらいの面倒くささを感じる。あの時はソードスキルを使ったから今回も同じように、出来るだけ同じ箇所を斬った。一撃目、腕に鈍痛が走った。いやいやいや。硬すぎるだろ。あの化け杉ですらもうちょっと削れたように思える。ユウキが言うには傷が入ればいいって事なんだが、それすら危ういぞこれ。結局、50回を目処に交換で回すことにした。3人がそれぞれ2回こなした所でやっと壊せた。

 

「よしっ!戻るよキヒロの所へ!」

 

「え、まだ1個しか壊してないけど!?」

 

「1箇所だけでも壊せば結界は解ける!後はアルバ達を倒せばこの戦争は終わる!」

 

「なるほど。」

 

ようやく勝機が見えてきたという所か。今こうして会話していた間にも体が戻ってきているような感覚がある。まだ魔法を撃てる程ではないが、徐々に、だが確実にだ。ただ、ユウキの周りに魔力が異様に集まっているような気がするのは気のせいであろうか。いや俺やランとは明らかに違う。なるほど。これが"シバ"としての力というわけか。

 

 

「さて、力が戻ってきたのはいいが、こいつらどうするか。」

 

俺の前には残り半分ほどになった剣士部隊がいる。引き返すような空気は全くなく、ただひたすらに俺を殺そうと向かってくる。だが結界が解けた以上さっさと敵陣へと突っ込みたいのだが…っ!

 

轟音とともに放たれた光線は真っ直ぐ俺に向かってきた。いや回避不可能だろこれ。技撃って相殺するしかないか。

 

「雷鳴一閃。」

 

結果的に言うと、俺の放った技が地面にめり込んだ。いや終わったなと思ったのだが、運良く抉れた地面が光線を受け止める盾としての役割を果たした。まぁ2秒ほどだが、そのわずかな時間のおかげでなんとか避けられた。だが、そのあとの光景を、俺は一生忘れることは出来ないだろう。

 

ついさっきまでそこには1000人ほどいたのだ。それが一瞬にして全員黒焦げにされてしまった。どうやって再現しているかは知らないが、血は水をばら蒔いたかのように辺り一面に散らばっていた。眼球、腕、足、上半身、脳髄らがそこかしこに散らばっていた。これが人としての最後等とは、誰が望むだろう。即死なだけいいと思うべきなのだろうか。兎に角、俺がやるべき事が決まった。もう、あいつらを生かしてはおけない。この俺の手で直接殺すしかないか。いやどうなんだろう。俺だって自らの正義のために多くの人間を殺した。果たして俺と彼らに何か、違いはあるのだろうか。

 

 

I don't know why they kill me.Is it personal or duty?Either way, it doesn't matter to me.I don't want to know.All I have to do is... do more than I was born with this kind of existence.

 

 

You should know, Solomon.Why do we hate you, the world?

 

 

いよいよ、最終局面に入る。

 




遅くなりすぎてしまいました()

いやなんて言えば…

うん、次は早く出します!(フラグにしないっ!)

(*´∇`)ノシ ではでは~


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望外

煮詰まった()

いやここまでで既に何人死んだことやら…
(もう増えないで…)w

では!どうぞ!


中央部隊隊長として指揮を振るってはいるけど、正直なところ、勝ち目が見当たらない。いやそもそも勝ちを拾いに行くという気持ちでは駄目だとか怒られそう。本の数秒前までは勝てるような気がした。キヒロ君の復活。この絶縁結界の消滅。確実に良い方向に向かっていると思った。でもよく考えたら、敵の方が魔法については数段上だったということを失念していた。だからこの惨劇が起こってしまったのだろう。まさか、"私以外の人達が死んでしまうなんて"。

 

「貴方がアスナ、で、あってるかしら?」

 

「……えぇ、そうよ。」

 

目の前にいるのはアルバ。魔法陣が上空に現れたと思ったらアルバが出てきたのだ。転移魔法の一種なのだと悟るが次の瞬間、私の仲間達は全員、切り裂かれた。私は辛うじて防壁魔法を張れたので助かった。いやこれも次はない。たった一撃が当たっただけなのにヒビが入りそして、割れてしまったのだから。もう、次はない。アルバが放った魔法はその空間を全て切り裂くような、そんな魔法だった。まるで呪うかのように、複雑に、鋭利に、空間、地面を切り裂いた。500人ほどいた中央部隊は全滅。全員が選りすぐりの魔道士であったはずなのに。それすら撃ち砕くとは、やはり魔道士としての格が違うのだろう。こうも見せつけられると、反撃する気も失せる。今までにも強いひとは沢山見てきたけれど、群を抜いている。

 

「貴方、ソロモンについてどこまで知っているかしら?」

 

「あなたに話すことなんてないわ。」

 

そう言うと、アルバは限界まで引き攣った笑みを見せた。なんだろう。私に、"怒っている"ような気がする。これはまぁ、女の勘ってやつだけどね。

 

「ふぅーん、ま、いっか。彼の姉であるというアルゴという女に聞くとしようか。だからそこどいてくれる?」

 

「…通すとでも…?」

 

「それもそうね。なら死んでくれる?」

 

そう言うとアルバは杖を構えた。魔力を纏っているあたり、あの杖は容易く私を斬るだろう。そして私は死ぬ。でも、これは本能的なものなのだけれど、あの人を、アルバをここから先へ行かせては行けない。そう強く訴えかけている。ここにはもう、私以外残っていない。だからきっと、私の最後を知る人はいないのだろう。死ぬ前に言いたかったこと、伝えたかったこと、多くの人に、沢山ある。ならば、

 

「私は…最後まで…抗ってみせる!」

 

 

右翼左翼共に既に敵陣へ突入していた。とその時、後方で爆音がした。あの位置は、アスナが率いている魔道士部隊のはずだ。そしてそのすぐ後ろにはアルゴ達が。間に合うだろうか、今から行って…

またしても爆音。今度は前方だ。右翼左翼共に高出力大魔法を撃たれた模様。半分生きていればいいほうか。敵の注意が散乱している今、敵陣へ一気に突っ込めるチャンスだ。この気を逃したら、散っていった者達へどう顔向けすればいいのか。まだ万全ではないが、行くとしよう。

 

 

 

「あんたらは敵陣へそのまま突っ込め!ワイらがあの化けもんの相手しとるさかい!」

 

「でもキバオウさん!」

 

「ちんたらするな!さっさと行かんかい!」

 

わいは多分死ぬ。いや、確実に死ぬやろう。良く考えればわかる。こんな奴らに、敵うはずないって…昔の自分やったら迷わず他の奴らを犠牲にしてでも逃げた。でも今はそんな気が起きない。今脳裏に浮かぶのはどのようにして耐え、次へと繋ぐか。今までわいの所為によって死なせた人数しれず。これがせめてもの手向けや。こんなおっさんの命なんて要らん!なんて言うなや。もう、償わせておくれ。

 

「キバオウさん。俺達もついて行きます。」

 

何言ってんのや。はよ先行けや。2度、そう言ったが一向に聞く気配が無い。はぁ、こやつらを巻き込みたくは無かったんやがなぁ。しゃーない。じゃあ、ともに宜しく、と短く言った。

 

「さて、華々しく、散ろうか!」

 

「五月蝿いわねぇ。ねぇ、早くあれ消してよ。」

 

ファーランの命令により、高出力大魔法が放たれた。きっと、走馬灯を見ることすら叶わず、感傷に浸ることも出来ないまま、そこに、約50の尊い命が、終わりを告げた。

 

「あーあ、どうしよ。あっち側にこれ向けて撃つ訳にはいかないしなぁ。かと言って私が出る訳にも行かないし。と言うより、"あっちに行く方が危険なのにねぇ"。大人しくこっちで死んでた方が良かったのに。」

 

たのトゲトゲ頭、余計なことしてくれてぇ。再チャージするまでの間に何人か死んじゃったし。本っ当に余計なことを…まぁ跡形もなく消せたのは少しスッキリしたけど?満足は出来ないけどね。はぁー、何かこう、パァーっと出来ることないかしら?

 

「ファーラン、今すぐ中央にこい。」

 

ビリビリ男が通信してきた。相変わらず端的過ぎて何を伝えたいのか分からない。これだからモテないんだぞ。友達いないんだぞ。あっ、そもそも"私達に友達なんていなかった"。あぁ、なんでか聞かないと。

 

「なんでよ。」

 

「俺達じゃなきゃ、奴は殺れん。」

 

よを言い切る前には返事が来た。会話の相槌もろくに打てないんじゃモテませんわこれ。さて、奴かぁ。奴。あーアルバがお熱なやつ?勝手にしていいのかしら?いやまぁ命令は?生け捕りか殺すかどっちかだったけど、まぁ殺すよねぇ。ふふふ。楽しみができたぁ。

 

「………なーるほど?りょーかい。」

 

 

 

私とシリカ、リーファらと、スリーピングナイツの皆。そしてキバオウから預かった100人。彼らと共に私達は敵陣へと突入していた。その矢先に現れた3人の、子供、達?何故こんな所に。明らかに歳は12歳頃の子供だ。

 

「ようこそおいで下さいました。私は甕穹。」

 

「俺は那霊。」

 

「私は黍亞。」

 

 

甕穹には色欲が両手の甲に。那霊には強欲がお腹に大きく。黍亞には暴食が両頬に。どっかで聞いたことあるようなものが、それぞれの場所に刻まれていた。甕穹は黒髪短髪の落ち着いている女の子。那霊も黒髪短髪で少し子供らしさが残っている。黍亞は白髪の長髪。無である。色素が抜けているのと同様に、感情もどこかに落としてきたのかと言うよう。落ち着き具合は甕穹の比にならない。ある意味、1番の恐ろしさを備えている子だ。

 

「では、仕事をこなしましょう。」

 

「って事で、俺達が相手してやる。死にたいやつからこい。」

 

白髪の美少女がそう言うと、残りの2人もそれに呼応し、私達に襲いかかってきた。

 

 

 

 

「リリース・リコレクション!」

 

ユージオの記憶解放術で何人か足止め。それらは取り囲み倒す。上空に逃げた者はアリスの武装完全支配術によって、防壁を壊し、他の整合騎士達によって倒されていく。少人数とは言え、これ程の連携が取れていれば魔道士など恐るるに足らん。という状況だった。実際、推しているのは明らかにこっちだ。皆もそれを感じ取っているから士気は高まる一方だった。

 

「ふーん。様子見に徹していたが中々歯ごたえのある奴が何人かいるなぁ。あいつらはそうだなぁ。相手してやれ。晴明、蓮香。俺はイスナーンに呼ばれたんでな。」

 

「「御意。」」

 

「という事で、ここからは僕達が相手致します。晴明と申します。」

 

「蓮香です。よろしく。」

 

晴明と蓮香とやらはまるで双子だ。15歳ぐらいに見える男の方は晴明。12歳ぐらいに見える女の方が蓮香。晴明は背丈が180ばかりあり、手足が異様に長い。目は真っ赤に純血している。蓮香は如何にも女の子という感じでまだ大人の女性になる前の段階に位置する。両手の爪が5センチ程あり、綺麗に研がれている。まるであれで攻撃しますとでも言うような感じだ。更に、晴明は右目には傲慢。蓮香の左目には嫉妬の文字が刻まれている。一体あれは何を意味するのか。

 

「ん?あぁこれ?気になるやっぱり?そうだよねぇ気になるよねぇ。じゃあ僕に勝ったら教えてあげるよ。」

 

「あらそれは優しすぎるわお兄様。私、嫉妬してしまいますわよ?」

 

「あれは…」

 

アリスがぼそっと呟く。ユイとの会話の中で出てきた欲の話。確かその話の中にあったやつだと。the seven major crimes。通称、"七つの大罪"。

 

「さてさて、あまり時間かけると怒られるから。さっさと片付けようか。」

 

「はい。お兄様。」

 

 

 

爆音が聞こえてから約10分。音がした方向へ向かおうとしたその時、行先を阻むものが現れた。

 

「我が名は螺啤。」

 

「余は緻繇。」

 

「暫くはここで足止めしろとの命令でな。」

 

「まぁ、殺しの許可も得ている。」

 

なんなんだこいつら。螺啤と言うやつには額に憤怒の文字が刻まれている。緻繇と言うやつには胸に怠惰と刻まれている。歳は恐らく同い歳ぐらいだ。ただ、体つきは全然違う。螺啤の方は全身の筋肉が鍛え抜かれている。そんなイメージしかわかない。一方緻繇の方はすごく痩せている。いや比較したからそう見えるだけで、実際は俺と同じくらいかもしれない。いやそんな情報は後回しだ。

 

「なんでここで足し止めなんだ。そもそもここはこちら側だぞ。どうやってここまで攻め入ってきた。」

 

「は?馬鹿か貴様は。俺らがソロモンの相手なんかするかよ。」

 

「落ち着け緻繇。我らはアルバ様の転移魔法によってここまで来た。今頃本隊へ突入している頃だろう。」

 

何言っているんだこいつは。ソロモンの相手はしない。なのに本隊へ突入する。そもそも目的はソロモンのじゃないのか!?いやそれは間違いない。きっとこれは陽動だ。だから俺達が出来るだけ早く、こいつらを出し抜く必要がある。にしても、敵の戦力はまるで測れないな。

 

「アスナは!?アスナはどうなってるの!?」

 

「あすな?そんな奴知らんが、アルバ様を相手にしているならもう死んでいるだろうなぁ。まぁ詳しくはわからんから見に行くといい。」

 

「そうさせてもらうっ!」

 

ユウキが強引に突っ込もうとしたら物凄い勢いで蹴飛ばされた。数十メートル後ろへ吹き飛ばされたユウキを一瞥しながらこう言った。

 

「何勝手に通ろうとしてるんだ。ここを通すか通さないかは"我がきめる"んだよ。勿論、死体としてな。嫌なら倒してみるがいい。」

 

「なら強引にも、通させてもらう!」

 

 

果たしてキリト達はアスナの窮地に間に合うか。

 

 

 

 

「やっとお出ましか。お前ら…」

 

 

アルバに何言われているかは知らないが、今、楽にしてやる。

 

 

「お前の相手は俺らだ。ソロモン。」

 

 

教えてやるよ。何故俺達が、お前を"恨むのか"。

 

 

 




タイトル一応2つ意味かけてるよ!
(簡単でしかもつまらなくてすまん!w)


今回は短めだし、戦闘シーンほぼ無いけど、許して!w
次回は多めになるはず!

(*´∇`)ノ ではでは~


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絶望

前回書き忘れたので書きます。

甕穹(うきゅう)
那霊(なれい)
黍亞(きみつぐ)
晴明(せいめい)
蓮香(れんこう)
螺啤(らひ)
緻繇(ちより)

って読みます!

タイトル的にヤバそう…
では!どうぞ!


俺はきっと、あの出来事を忘れられず、一生後悔するだろう。

 

 

 

 

黍亞という少女は司令塔の役割を担うようだ。まだ子供らしさが残っている那霊のやんちゃ加減を甕穹含めた姉2人で抑えているような、そんな感じだ。姉弟とも思えるほどの連携だ。そして3人とも、人を殺すことに一切の躊躇いが無かった。そして、あの刻まれている文字。あれはやはり、

 

「七つの、大罪…」

 

俺が思っていたことをシノンもそう考えたみたいだ。だとすると能力はなんだ。色欲、強欲、暴食。強欲は兎も角、他の2つは戦闘向きではないように思える。ただ、能力を抜きにしても、戦闘力はかなり高い。それぞれ刀持ちだが、その練度の高さは群を抜いている。連携も見事であっという間に50人程殺されてしまった。だが、色々妙でもあった。俺達には一切攻撃してこず、黍亞に至っては動いてすらこなかったからだ。理由は分からないし考えている暇もない。直接的な攻撃はないが、巻き添えをくらいそうになったことは何度もあった。まぁそれを凌ぐので精一杯だったがな。

 

「お遊びはその辺にしなさい。」

 

黍亞がそう言う。途端に2人は戦闘を止め、黍亞の後ろに下がった。

 

「もう"時間がありません"。さぁ片付けますよ。甕穹、那霊。」

 

「あ゙あ゙?俺はまだ暴れ足りないんだが!?」

 

「命令に従えませんか?」

 

黍亞が那霊に向けるあの殺意は、果たして本当に味方としての扱いなのだろうか。見覚えがない訳では無い。あれはキヒロがヒースクリフやアルバとかに向けてたものとほぼ同じだ。だがあれはあくまで相手は敵だった。こいつらのように仲間同士で殺意を向け合うことは無かった。だがそのお陰で3人の力関係もわかりやすい。トップは間違いなく黍亞。そして甕穹と那霊は同等と考えていいだろう。あの2人は互いに殺意を向け合い言い合いばかりだが黍亞には決して、反論などしない。さっきの戦闘では参加してこなかったが、そろそろくるのか…?

 

 

「来るよ…」

 

リーファがそう言うと、甕穹が唱え始めた。

 

「七つの大罪より生まれし眷属よ。色欲の化身甕穹が命ずる。"憎悪喝采"。」

 

後ろに控えていた残り50人ほどが急に呻きだした。中には顔を爪で引っ掻き、血塗れになり、爪痕が濃く残るようなやつもいた。目はギョロギョロしており、真っ赤に純血していく。そして更に続けて甕穹は唱えた。

 

「"月影抹殺"。」

 

そして俺達に襲いかかってきた。甕穹が使う幻術はかなり高位の魔法だというのはわかる。だが、それを必要とするほどの実力ではない。ただでさえ、刀の腕は一級品なんだ。わざわざこいつらの力を借りるまでもないだろ。

そして向かってきた仲間達を相手しようと思った矢先、待ち構えていたがあいつらは俺達をスルーしていった。見向きもせずにだ。実は幻術にはハマっていなかったのか?かかった振りをしているだけなのか?

答えは直ぐにわかった。

 

「"絶対服従"。」

 

それを唱えた時、もう1人が動き出した。因みに絶対服従は言葉通りのようで、全員跪き、いや正座し首を差し出すような格好をしていた。よく時代劇で見る首斬りのシーンのやつだ。嫌でもわかってしまう。これから何が起きるのか。

 

「さんきゅー。これは楽でいいな。」

 

那霊はそう言って刀を音も立てずに引き抜きそして、50人の首を全て落とした。すると、那霊の身体と刀がどんどん大きくなっていくではないか。やがて霜の巨人族並の大きさにまで成長し、満足そうに頷いた。ドーピングも大概にしとけよ。チートにも限界があるもんだぞ。

 

「HAHAHAHAHAHA!凄い!凄い!凄い!これが力が漲るという感覚か!」

 

言葉通り、力は漲っていた。一振りで大地は裂け、空気がピリつき、爆風を運んでくる。今までとはスケールが違いすぎる。端的に言うと破格の強さだ。一撃一撃が重くそして速い。あの巨体で高速で動かれるだけでもまともに立つことすらかなわない。その時、那霊をの動きを止める一撃が出た。

 

「あまり私達を舐めないでよね。」

 

シノンさんが今まで1度も成功させたことのなかった心意による書き換え。UWでの太陽神ソルスとしての姿を取り戻せればどれだけの人を救えるかと、いつも言っていたシノンさんが、ここにきて取り戻した。胸部と腹部に金色のラインが入った金属アーマーが追加され、弓は神器アニヒレート・レイへと変化した。シノンさんが放った矢は那霊の腹部に深く刺さっているように見えたけど、それは数秒後には吸い込まれてしまった。少し驚いていたけどその後すぐ不敵な笑みを見せるシノンさんはとってもクールだと思う。同じケットシーとしてとても誇りです!そして忘れてはいけない人がもう1人。

 

「あたしだっているんだからぁ!」

 

リーファ。兄であるキリトが大好きな子。まぁ本当は従兄弟だから何も問題は無い!って本人は言ってました。一応、皆のお姉さんであるあたしから言わせてもらうとちゃんと相手見つけてほしーなーなんて思ったりしてる。勿論、本人には言ってないけどね!例え相手がいようが諦められないという点に関しては激しく同意できるからね。学校でしか会わないあたしたちと比べたら家で毎日会うリーファは辛いだろうなぁなんて思ったりもしてる。そんなリーファが大好きな兄を助ける為に飛び込んだ世界、UWでのアカウントは、大地神テラリア。鎧の甲冑を部分的に取り付けられており、その金属アーマーには銀色のラインが綺麗に入っている。繊細で美しく、そしてどこか力強さを感じさせる鎧としては間違いなく一級品のものだ。あたしでも作れるかしら?

 

「ほう。それはUWでのアカウントでは無いか!?欲しい、欲しい。欲しい!欲しい!!欲しい!!!」

 

「あげるわけないでしょ。」

 

「そうよ!!てか、私達あんたを倒すし!?」

 

「HAHAHA!よく言った!七つの大罪より生まれし眷属よ。強欲の化身那霊が命じる!"牙龍斬月"!」

 

その技は、現れた8つの竜頭が半径3メートルほどの空間を球形で削り取りそして、吸い込む技だった。武器であろうが、人であろうが、特に関係なくその空間にあった全てのものを吸い込み那霊へと吸収されていった。那霊はありとあらゆるものから"力"として吸収出来るということらしい。これが、"強欲"か。

 

「なるほど!よく避けた!だがそう何度も避けられると思うなよ!!」

 

そう言って那霊は続けざまに先程の技を放った。連続で3回。24つもの竜頭が半径3メートルもの空間を削り取る。避けきれない、そう思った時、あたしはあることを思い出した。第82層での攻略の事。片手棍使いとしてあれは忘れられない。そう思い出した時、あたしの持つ片手棍が光だした。

 

「何…?」

 

俺の出した技が半分程消された。消したのはあのピンク髪の片手棍使いだ。なんの技かはよく分からんが、あれを手にすれば些か楽になりそうだ。だけど俺は片手棍苦手なんだよなぁ。いやそれ以前にあれは邪魔だ。牙龍斬月をこうも消されては面倒だ。

 

「妙な技使うな女。」

 

「あまりあたし達を舐めないでよね!」

 

「そう、なら私が相手するわ。」

 

いきなり出てきた黍亞にあたしは対処出来なかった。気づいたらあたしを通り過ぎていた。左頬に激痛が走る。頬の肉が、"削り取られていた"。

 

「貴方、あまり"美味しくないわね"。まぁ、そんな事どうでもいいけど。」

 

そう言ってまたあたしに向かってきた。咄嗟に片手棍を目の前に翳して防御しようとした。けどそれすら打ち砕かれた。いや、"噛み砕かれた"が正しい表現かもしれない。あたしの片手棍はもう、ただの棒となってしまった。そして勢いそのまま、首元をかき喰われた。あぁ、これで死ぬんだあたし。まだ成人してないのに。付き合ったことないのに。やりたいこと、いっぱいあったのになぁ。なんであたし、出てきちゃったんだろ…

 

「リズベットぉぉおお!!」

 

クラインの馬鹿が叫んでいるのが聞こえる。いい人見つけなよクライン。あとは頼んだわよ。皆。

 

「ふぅん。最後はなかなか美味しかったわ。やっぱり、恐怖が入り交じった人間の血肉は質が上がる。あの片手棍もなかなかの美味だったわね。」

 

黍亞は口元に付いた血を上品に拭きながらそう感想を言った。だが悲劇はそれで終わらなかった。

 

「きゃぁぁぁあああ!!いやぁあ!!」

 

「シリカ!!」

 

「避けてください!!」

 

シリカはどうやら甕穹によって操られているようだ。しかも操り方は非道極まりない。精神状態には一切手を出さない。だが肉体は限界まで操るようだ。俺が避けると例え肩や肘の関節を外してでも追撃してくる。外す際に聞こえる音や戻す音。どれもがリアル過ぎてこちらまで精神的に参ってくる。だが甕穹は俺達を倒せないと早々に判断すると決断は早かった。

 

「もういいや。死んでいいよ。」

 

シリカの身体は四肢が捩れ捻られた。捻じ切れるまで続け遂にはダルマ状態にされた。血飛沫が迸り、辺り一面を血の海にした。もう声を出す気力も無くなったシリカに追い討ちをかけるように、首を捻じ切られた。これでもかと言うほどの残酷で、痛みを伴う殺し方は見たことない。この瞬間、若い2人が共に命を落とした。最後の最後まで、よく戦いきり、守り切った2人だ。だからこそ、ここで俺達が負けるわけにはいかない。

 

「あと4人かぁ。思っていたより余裕だな。」

 

「慌てないことよ甕穹、那霊。」

 

「「了解。」」

 

この瞬間誓った。必ず勝つと…

 

 

 

 

 

「さてさて、貴方方は僕達を楽しませてくれますか?」

 

「ふん。楽しませる余裕なんか与えさせないさ。」

 

エルドリエがそう言い放ち、真っ先に突っ込んで行った。あの馬鹿。何も情報がない中突っ走る奴がどこにいる。案の定、先に展開されてたと思われる魔方陣によって地面に拘束されてしまった。全く、やはり経験は重要素材であるらしいな。

 

「一応整合騎士なんでしょ?僕をガッカリさせないで欲しいなぁ。」

 

「お兄さま。あまり時間を掛けてしまいますと怒られますわよ?」

 

「それもそうか。遊ぶのも程々にしなくてはいけないなぁ。でも、少しならいいだろ?」

 

どうやら敵は俺達に大した評価はしてないらしい。なんと言うか、悔しい。敵として見られてない。ボスである奴の方を怖がっている。これがただの強気ならいいんだがな…

 

「じゃあ行くよ。七つの大罪より生まれし眷属よ。傲慢の化身晴明が命ずる。"連鎖氷結"。」

 

晴明とやらの頭上から魔方陣が5つ展開された。そこから50センチ程の氷塊が幾重にも飛ばされ続けた。多くのものは避けるか神器によって消し飛ばした。そこまではよかった。だがただ消し飛ばすだけでは何も解決していなかった。例え爆散させられても、"氷"であったものの存在自体はまだ晴明の掌の上にあるようだ。そこからまた新しく氷を作り出し、俺達の足を氷漬けにした。

 

「言ったよね?連鎖氷結って。」

 

「それがなんだと言うのです。」

 

アリスがそう言うと僕達の足を完全に封じ込めていた氷をバラバラに砕いた。そしてそれを僕の青薔薇に吸わせてと言われたので言う通りに吸った。氷自体を吸うというより、その氷を形成するために使った魔力を吸った感じだ。そのお陰か少し魔力が戻ってきたような気がする。

 

「へぇ。氷使いがいるのか。面白いねぇ。」

 

「お兄さま。真面目にお願いしますね?あと、この後でも私のお相手して下さいね?私、嫉妬で死にそうです。」

 

「あぁわかったわかった。んじゃ、行くよ〜。"波動龍滅"。」

 

先程から思っていたが、術式展開が異様に早い。だがそれに対してグダグダ文句は言っていられない。龍が幾つもの波を俺らに向けて発した。見事にくらったが、その瞬間、音が消えた。対象範囲は直線上と狭いらしいが効果は絶大だ。あっという間に、聴覚を奪われた。この状況はあまり良くない。敵は律儀にも、"技名"を発してくれていた。少なからず、名前からどのような技かは想像が可能だったりするものもある。その可能性を消された。戦略としてはかなりいいだろう。もし全員がこの技を喰らったらその瞬間、連携は取れなくなる。いや、現段階でも、俺との連携はかなり困難を極めるだろう。なら次に敵が奪いに来るのは…

 

「お前ら気をつけろ!さっきのは聴覚を奪う!次も"五感を奪う技"の可能性が高い!」

 

届いたかどうかは分からない、いやどうやら届いたようだ。聞き取れた訳じゃないが、あいつらの視線が理解を示していた。さて、次は何を奪いに来るのか。

 

「ほう。まだ1つ目しか見せていないというのに、勘がいいのか?まぁいい。"死喰滅盲"。」

 

1番厄介そうなのはあのベルクーリとか言うやつだ。あいつの剣は出来るだけ早く封じ込めたい。まぁそれもこれで終わりだ。視覚は人体の8割方の情報収集にあたっている。これを奪ってしまえばあいつは血の通った人形に過ぎない。後でゆっくりと殺せばいい。

 

「ファナティオ様、目が、目が…」

 

どうやら今度の攻撃は視覚を奪うものだったらしい。当然、俺のところへも来ていたが事前に張っておいたもののお陰で難を逃れたようだ。

 

「…何、?」

 

視覚を奪えたのはたったの4人だと。しかも肝心のベルクーリのは奪えていない。おかしい。座標は間違っていない。発動もした。それなのに何故、あいつから視覚を奪えていない!?

ベルクーリの事に気を取られすぎた俺は右腕を失った。斬った、いや貫いたのはあの女か。ファナティオとかいう女だ。相当怒っているなぁ。もしかして、視覚を奪った奴らと特別仲がいいとかか?

 

「私のお兄様に…よくも、よくも!」

 

まぁいい。礼を言おうファナティオ。貴様のお陰で蓮香が目覚める。嫉妬の化身を怒らせるとどれ程恐ろしいか、身をもって感じるがいい。"俺でも止められんぞ"。

 

「七つの大罪より生まれし眷属よ。嫉妬の化身蓮香が命ずる。"鬼化"。」

 

これはそのまま捉えていいのだろうか。ビキビキと音を立てながら両目は紅く染まり更に嫉妬が書かれていない方は、黒目と白目の所が反転し、白目になった部分は赤眼になった。見える範囲では、血管が太くなり血流まで視認できるようになっている。額にも青筋が浮き出ている。口には牙が生え、爪も8センチ程まで伸びている。僕の氷も一瞬で切り裂かれそうな爪だ。

 

「しねぇぇええ!!」

 

真っ先に向かっていったのはファナティオさんのところだ。既のところで避けたが頬に3本傷が出来た。蓮香は自分の腕に爪を食い込ませ、血で濡れた爪で攻撃してきた。

四旋剣の人達がファナティオの前に立ちはだかり蓮香の攻撃を受けた。なお蓮香に動きを止める様子はなく、四旋剣の人達に攻撃が延々と浴びせられた。遂に鎧が破壊され、4人とも腹を斬られた。どしゃっと音を立てながら4人を僕らはただ見てるしかできなかった。ほんの数秒で、4人が倒された。

 

「蓮香もすげーけど、俺も忘れるなよ〜?」

 

蓮香に気を取られすぎて晴明の方をすっかり忘れていた。地面から土の槍が突き出し、エルドリエさんらを串刺しにした。それを逃れたと思ったら今度は空間から飛び出した剣らによって串刺し。それらの攻撃を受けて残ったのは僕とアリスとファナティオさんとベルクーリさん。20人ほどいた整合騎士達は残り4人となってしまった。あんなに強かったデュソルバートさんやシェータさんらが一瞬にして倒されてしまった。

 

「あと4人か。意外とあっけない。なぁ蓮香。」

 

「はいお兄様!やはりお兄様は素晴らしいで」

 

晴明の身体が切り裂かれた。あの技は、僕は見たことある。未来を斬る剣。それがベルクーリ・シンセシス・ワンの技。時を穿つ剣。あの猛攻を避けながらこれもこなしていたのか。長年、人界を護っていた強さの所以これにありって感じだ。

 

「お、お兄、、さま?」

 

「ふふふ、はははっ。やはりお前が1番の強敵かベルクーリ!だがこれで終わりはせんぞ!ふははは!!…分かっているな蓮香よ。」

 

「…………はい、お兄、さ、ま…失礼致します。」

 

一体今更、これ以上何をしようというのか。

 

 

 

「さて、我らに歯向かおうとする愚か者は誰かな?」

 

「ここにいる全員だ!」

 

そう言って俺は剣を抜いた。二刀流、ダブルサキュラー。

 

「遅い。」

 

そう言って螺啤は、図体に似合わぬ動きを見せた。一振り目、二振り目を完璧に避けそしてがら空きになった横腹に蹴りを入れ込んできた。一瞬息が出来なくなっただけなのに物凄く苦しく感じた。蹴られた振動で肺や心臓にも影響を及ぼしているみたいだ。痛い痛い痛すぎる。呼吸すらままならない。やばいやばいやばい。

 

「あぶなっ。」

 

ユウキという女が攻撃してきたがなんだこれは。剣が伸びている?咄嗟に避けたが仰け反る程とは。当たったら死ぬと予感させる威力早さ正確さ。なるほど。アルバ様が注意するわけだ。この女、只者じゃない。まぁ、当たらなければ意味が無いがな。

 

「まぁ螺啤、落ち着いていこうぞ。決して殺せない敵ではない。」

 

「分かっている緻繇。てか俺に指図するな。殺すぞ。」

 

何も意図せず指図すると思うのかこの馬鹿は。憤怒の化身である貴様はそのように怒り憎しんでいった方が強いからに決まっておろうが。戦闘能力としては7人の内序列最下位である俺が、序列1位の貴様と組まされた理由は謎だが、余は貴様をこき使ってあ奴らを殺そう。

 

「さて、ではいこうか。七つの大罪より生まれし眷属よ。憤怒の化身螺啤が命ずる。"妖化"。」

 

螺啤は更に肉体面が強化されたように感じる。髪は白く染まり憤怒の文字はめらめらと燃えているみたいだ。耳は先が尖り、目は左右それぞれに1つずつ追加されていた。文字は黒塗りでそれ以外は血に染っているようだ。爪が少し伸び、血管がよく浮き出ていた。身長が少し伸び、185センチ程になっただろうか。そうして手に持つのは長大な槍。切っ先の方は三本に別れておりまるで刺叉のようだ。そして何か螺啤の身体の周りには不自然に燃えておりそして、螺啤自体は浮いていた。

 

「覚悟しとけゴミムシ共。勿論、死ぬ覚悟だ。」

 

一瞬で消えたと思ったら血を吐く音がした。その音の方向へ目を向けると、ランが腹を深く、貫かれていた。いや恐らく心臓も肺も何もかも、貫かれている。もうどうしようもなく、どうすることも出来ない事を、俺は一瞬で察した。もう戻ってこないのか。あの日々は…

 

「さて残りは2人。容易く片ずけるとしよう。」

 

 

 

「はぁ、はぁ…」

 

「どうしたソロモン。その程度か?」

 

全く敵わない。いやそれ以前にソロモンへ変化出来てない今、魔法力は圧倒的に向こうの方が上だ。正直、避けるので精一杯。打開策は生まれず、今は負けしか見えていないこの状況をどうすれば、ひっくり返せる…

 

「あぁ、1つ言い忘れていたけど。

 

"お前の分身"が相手してるぜ他の奴らは。」

 

分身、だと…その目で見たことは無いが、この発言からするに、"成功"してしまったのか。あの"実験"が。いや有り得ない。あってはならない。いやそれ以前に何故それをこいつらが知っている。あの実験はかなり極秘のはずだ。下手したらUWの存在よりも。俺らはこいつらの情報収集能力を、思っていたよりも下に見ていたのかもしれないな…

 

「その顔最高だなぁ。氷漬けにして飾りたいぐらいだ。」

 

「やってみろよ。」

 

「口だけは達者だなぁ。あんた。」

 

頼むから、無事でいてくれ。お前ら…

 

 

絶対的な絶望の中、それぞれどう立ち合うか。

 

 

 

 




分けようとは思いました。従来の2倍ぐらいなので…
ただキリが悪いなと…お許しを…
さてさて、予想してたよりやばかった人多いかもですね…
最後ちょっと意味深でしたが皆さんならどのような事なのか!
分かっちゃうかもしれませんね。w


(*´∇`)ノシ ではでは~


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当初の予定ではこの章は10話で終わる予定だったんです…
予想より長くなってますがお付き合いよろしくお願いします!


では!どうぞ!


甕穹、那霊、黍亞。この3人の戦闘能力は抜きん出ている。そんなことはわかり切っている。だがそれでもここで背を向け逃げるわけにはいかない。もう後ろに残っているのはアスナ達後方部隊にアルゴのいる本隊のみ。にしてもキリト達が来るのはいつになるのだろうか。もう結界が解けてから1時間はたっているだろう。いや下手したら2時間ぐらい経っていてもおかしくは無い。それなのに何故、会うばかりか一目見ることすら出来ていないのか。

 

「さぁ、後は貴方達でなんとかなるかしら?」

 

「おうとも!」

 

俺は甕穹の攻略方法を1つだけだか見つけた。それは、"奴の目を見ない"こと。視線が合ってしまったら最後。たったこれだけだ。たったこれだけなのに、それを実行することが難しい。理由としては奴は音も立てずに移動するからだ。決してスピードが速い訳では無い。俺たちでも十分追えるし追いつく。それなのに攻撃が当たらない理由は目が合った瞬間に幻術をかけられ避けられているからだ。さて、どうするか。いやもうこれしかない。伝わるかは分かんねーがやってみる価値はある。

 

「エギル!"盾になってくれ"!」

 

「えっ!?……あぁ!わかった!!」

 

何考えているか知らないけど、私に勝てるとでも思ってるのかしら。このなんとも醜い男2人が私に。いいわ。もう、楽にしてあげる。

 

「うぉぉおおおお!!!!」

 

巨漢の男が私の前に立ちはだかり身の丈の2倍程ある両手斧を振り下ろす。轟音が鳴り響くがそれが届くことはない。私の幻術によって動きを止められていたからだ。そして刀を引き抜き今まさに胴を切り裂こうとした時、首筋にヒヤリと感じるものがあった。そっちに意識を持っていった時には既に世界が反転していた。何が起きた。体と離れた感覚がある。今私の頭は、宙に待っているのか。視線をさっきまでいた所に戻して見た。そして状況を理解した。私の首を斬り落としたのはあの侍だ。あいつが、私の首を斬ったのか。馬鹿な。どうやって。

 

「やっぱりな。お前さんが強い理由は単純にその能力だけだ。その能力に頼ってばっかの奴に、俺達の連携まで斬れるとおもうなよ。」

 

は?連携?そんなものは必要ない。私達は連携はしない。互いを利用し、最も効率よく敵を殺すような手段のみを選ぶ。その最効率を得てきた私達、私を倒した、と言うのか。分からない。なんで、私は負けたの…?

 

「ちっ。まぁ弱い割にはよくやったわね。でも所詮その程度。そんなんだから、"いつも重要なことには呼ばれないのよ"。」

 

なんだ?重要なことって。そもそもこいつらは一体、"何者なんだ"?アルバらとどういう繋がりがある。そしてあの文字は能力としての意味しかないのか?他にも理由はあるべきだろう。いや、今考えても仕方ない。俺達は、今、最前を尽くす。

 

「さっ、私達もやるわよ!」

 

「はいっ!」

 

「ほざけ!!」

 

シノンが放った矢は悉く吸収されていってしまう。そこでシノンは何か思案し始めた。その間はリーファに任せることになってしまうが、恐らく何も問題は無い。なんと言っても、地神テラリアとしての能力は破格だからだ。

 

「くっ!?」

 

何が起きている。あの女と刃交えただけで天命が減る。いやあいつ自身も減りはするがすぐに回復する。減るのは俺だけだ。しかも奴は天命の上限が、上がっているように見える。となると、俺の天命を"吸っている"?馬鹿な。強欲であるこの俺から吸うだと…!?そんな事があってたまるか!

 

「はぁぁぁああ!!」

 

「やぁぁぁああ!!」

 

再び刃を交える。吸えない。奴から天命は疎か魔力すら吸えない。逆に吸収され続けている。やつの方が俺より性能がいいって事か!?冗談じゃない。俺は甕穹とは違う。現実だろうが仮想だろうが自らを律し、鍛えてきた。奴みたく能力頼りじゃない。現実では3番目に強かったんだ!剣術においてのみだが、データ対戦ではあのソロモンにすら勝った!そんな俺が、能力ゴリ押しの奴なんかに。負けてたまるかァ!

 

「うぉぉぉおおおお!!!」

 

「くっ!」

 

重い。相変わらず吸い続けることが出来ているのは私の方。それなのに、那霊から感じるこの威圧感に、押し潰されそうになる。空気が重い。上手く呼吸が出来ない。地面に膝を付けられ、いよいよ押し潰されるという時に、助太刀が入った。エギルさんとクラインさんだ。2人の薙ぎ払いによって那霊の体勢を崩した。ここが恐らく、最初で最後の、好機!!

 

爆発音が鳴った時には那霊の胴体が半分程消えた。撃ち消したのは、シノンさんのあの銃。冥界の女神と呼ばれる銃器だ。だが腹部に空けられた大穴すら、すぐ塞がれ始める。今まで吸った天命と魔力を糧として新たに創り出しているんだろう。でも、それをじっと眺めているわけにはいかない。何度も同じ攻撃は通じない。勝負を仕掛けるのなら、今しかない。

 

「やぁぁぁああ!!」

 

那霊が振り下ろした剣を避け、地面にくい込んだ刀をエギルさんとクラインさんが全力で抑えている。だけどそれはもって数秒。その間に、私が倒せなければ、3人とも倒される。そして首に剣を当て斬り裂こうとした。かなり硬い。恐らく急所なんだろう。どうすれば…

 

2度目の轟音と共に、那霊の首が8割ほど消え去った。シノンさんの攻撃だ。あの攻撃を受けてもまだ首が繋がっていることに驚きだけど、今ならいける!

そして首を切り落とした。長かった戦いもこれでようやく終わる。そう思った。だけど、ものの数秒で那霊の首からまた新たに生えてしまった。信じられない。もう、人の範疇を超えている。これが、強欲としての力なのだろうか。一体どうすれば、倒せる。あの化け物を。

 

「ふっ、はははははは!!!!!あれで倒せたと思ったか!?これが俺の強さだ!お前達"出来損ない"とは訳が違う!産まれた時から格が違うんだよ!」

 

「その通りね那霊。だから、貴方もう、用済みよ。」

 

そう言って黍亞は完全復活した俺の首を切り取っていた。いくらなんでも速すぎる。見えなかった聞こえなかった感じなかった。黍亞の顔がこんなにも近いのは久しぶりだ。てか用済みって、?俺はまだ殺れる戦えるぞ。

 

「1人も減らせないなんて、需要ないでしょ。もう、"私が喰べてもいいわよね"?」

 

喰べると言ったのか。不味い。この状況は非常に不味い。戦うか?いや、現実ならまだしも、この世界で勝てるビジョンが思いつかねぇ。仮にもこいつは序列3位の女だ。剣士としての腕も一流。単に女だから筋肉が付きにくいだけで剣術だけは螺啤と同等レベルと聞いた。単に噂なだけなかも知れないが、俺はこいつの"本気を知らない"。対して俺は常に全力だった。それでも五分の相手と果たして、殺り合えるだろうか。

 

「なーんも返事がないからもう喰べるね?いただきまーす。」

 

頭部を復活させ、黍亞に視線を向ける。背中から生えた約50本程の触手が俺に迫ってくる。回避回避回避回避!!だがそれを続けることは叶わず、腹を抉られた。いや、喰われた。引き抜かれた触手から血が迸る。

 

「うーん、あんまり美味しくはないわね。でもまぁ、"その力は頂戴ね"?」

 

一体、何が起きていると言うのだろうか。さっきまで私達と戦っていた那霊は、黍亞から攻撃を受けている。数分、那霊の体に触手を突き刺し、捕食していた黍亞だが、飽きてしまったのだろうか。今度は貫いたまま離さず、残った触手で那霊の体を取り込んだ。その取り込まれた中から那霊が暴れているのが見えたが、次第にそれは収まっていった。霜の巨人族程あった体躯を取り込んだ物は、みるみる小さくなっていき、遂には黍亞の体へと触手はしまい込まれていった。

 

「ふぅ。あんまりにも暴れるから消化に時間がかかってしまったわ。お待たせして申し訳ありませんね皆様。これからは、私が、御相手致します。」

 

そう言って黍亞は着ていた着物の上を脱いだ。胸部にはサラシが巻かれておりそして腹部には、強欲の文字が、新たに刻まれ始めていたのだ…これからの戦闘にこれまで以上の劣勢を強いられることは確実である。そう意味しているみたいだ。そしてそれを悟るのは容易であった。

 

「さぁ、楽しい楽しい、お食事会の時間です!!」

 

そう言って黍亞は気味の悪い触手を俺達へと伸ばしてきた。

 

 

 

 

「これが、兄として、の、最期の、術、だ…」

 

「はい。お兄様。後は私に、お任せ下さい。」

 

その光景に、目を疑った。有り得るのだろうかあんな事は。少なとも、人界では禁忌に反している。いやそれ以前に、あんな魔法を習得し、行使する者がいるとは思えない。晴明は恐らく瀕死に近い状態。だからといって、"自らを蓮香に取り込ませるとは"思いもしないだろ。全てを取り込み終わったのだろうか。蓮香はスっと立ち上がった。

 

「お兄様を殺した者を、私は絶対に許さない!!」

 

右目には新たに、傲慢の文字が浮き出した。ただ、それ以外に身体的特徴の変化はない。その為、どれ程パワーアップしたのかかなり分かりづらい。単純に、晴明も技も使えるのだろうか。それとも、何かしら制限があるのだろうか。また鬼化の影響はあんなものなのだろうか。色々気になることは多いが、目の前の事に集中せねば。

 

「血鬼術、"連鎖氷結"!!」

 

先程と同じ技なのだろうか。今確かに、血鬼術と言った。だが技は晴明の物だ。合わせ技なのだろうか。

先程は氷そのものが飛んできたが今回は真紅に染った氷だった。威力速さは先程より格段に上がっており、掠っただけで、そこが燃えるように熱く、電流が走ったみたく痺れる。寸前でわざと爆散させ、体の中へ取り込ませられる。すると全身が痺れ始めた。これは、毒の一種か。

 

「お兄様の素晴らしい術式に、私の血を少し加えただけでもこの威力。ふふ、流石ですわお兄様。」

 

「全く持ってその通りだ蓮香よ。やはり僕と蓮香の合わせ技は何度見ても爽快だ!見ろ蓮香!!お前の毒に悶える奴らを!」

 

「はいお兄様!!素晴らしい景色でございます!」

 

ちょっと待て。晴明は死んだのではないのか。生きているのか?蓮香の中で。いやそれとも蓮香が創り出した妄想の類か何かか?それとも蓮香の毒のせいで幻聴まで聞こえ始めているのだろうか。

 

「何やら私たちの状態に困惑しておりますよお兄様。」

 

「だろうな。まぁ冥土の土産に教えてやろう。僕達は元々、"2人で1人"なんだ。さっきまでの苦しんでるのは全て演技だ!」

 

「なん、だと…」

 

俺らの驚愕している表情を見て、蓮香がくすくすと笑っている。それもそうだろうな。奴らからしてみれば、やっと1人倒したと思ったら実は倒せてなかったなんて、笑い話にしかならないだろう。おまけに、会話できるという事は、入れ替わりなんてお手の物で、なんなら2人の技を合わせて使える。まるで死角が見当たらない。

 

「僕達は2人で1人。」

 

「傲慢、嫉妬の化身である私達。」

 

「「序列2位の我々が、お前たちの相手をしてやる!!」」

 

序列2位か。2人合わせてであるのなら、どちらが強いのだろうか。いや2人の実力は五分で、合わせると欠点らしきものが無くなるからこその2位なのか。いずれにせよ、厄介であることに変わりはない。このままでは、敵の本陣へたどり着けるかどうか…まずはここで、死なないようにしなくてはな。

 

「「さぁ、始めよう!!楽しい時間を!!」」

 

 

 

 

「どうした。先程までの威勢の良さはどこへいった。」

 

螺啤が格闘技の熟練者であることは間違いない。そして槍の使い手としても一流。重心のとり方、間合いの詰め方、呼吸の整え方、見切り方、状況判断、そして何より経験。全てにおいて俺を上回っている。人を殺すということに関してはスペシャルリストなんだろう。急所への攻撃、致命傷となりうる攻撃を躊躇なく放ってくる。今のところギリギリ交わしてはいるが掠っただけでもビリビリと振動がくる。これを諸に受けてしまったら終わりを予感させられる。

 

「ふむ。先程から俺の攻撃を避け続けるとは。賞賛に値する。少しばかりお前への認識を改める必要がありそうだ。」

 

「なにをっ!」

 

ここから俺は、二刀流での連撃を繰り出し、反撃した。一応は俺の相手をするが、螺啤とやらの注意は終始ユウキに向けられているようだ。俺の方へは目すら向けない。それでも俺の攻撃全てを交わし続けるのだから心が折れそうになる。ユウキの方に少し視線を向けると、顔に青筋が立ちまくっているのがわかる。要するに激怒しているわけだ。だがその剣筋には怒りに任せたものでは無く、冷静に己が磨き上げた剣技を遺憾無く発揮しているように見える。

 

今、ボクの思考はかなりクリアだ。螺啤が次何をしてくるか。手に取るようにわかる。分かるけど、後謂ってが出ない。なんでなんだろう。にしても、戦闘中に、こんなにも思考がハッキリしているのは初めてだ。姉ちゃんの腹を貫かれて怒ってはいるけど、なんと言うか。螺啤を倒してしまえば助かるかもしれないと思う自分がいる。分かってはいる。あの傷はどうしようもないと。それなのに、怒りで心が、身体が、支配されない。まるで、別人に乗っ取られたみたいに。

 

この女…確かアルバ様の情報によれば、ランとか言うやつは実の姉であったはずだ。それなのに、恋人のキリトと比べると感情の起伏が殆どみられない。なるほど。確かに厄介な存在だ。殺してしまうのが惜しいほどだ。無駄かもしれぬが、話してみようか。単純に、この女の存在に興味も湧いたしな。

 

「ユウキと言ったか。貴様、我々の仲間になるつもりはあるか?」

 

「血迷ってんのかな?ボクがそっち側に行くとでも思ったの?」

 

「そうか、残念だ。」

 

そう短く応えると、またしても猛撃が始まった。ユウキは受けられるが攻めへ転じられないといったところだ。なら今、奴の注意がユウキに逸れている間に、俺のできることを考える。1つは、UWでの姿になり、武装完全支配術等を使えるようにすること。もう1つは、エクスキャリバーの解放。エリュシデータに本来の力が発揮されたあの日以来。俺はエクスキャリバーでもそれが可能なのかずっと考えてきた。確信はないが、これかもしれないというのはある。失敗したら笑い物だが、成し遂げられるかもしれないとも思っている。疑心暗鬼になっているが、これを振り切らなければ…

 

「やはり貴様を失うのは惜しい。だが、致し方あるまい。」

 

「喋っていると舌噛むよ。」

 

「ふっ。"火炎柱"。」

 

螺啤の槍の先から放たれたのは、半径1メートルほどの火柱だ。威力は絶大。地面すら焼けるほどだ。火というよりマグマに近い感じだろうか。ユウキへのこれ以上の追撃を許してはいけない。あれを食らって無事とは思えないからだ。ここからは、俺の出番だ。

 

「なんだ。生きていたのか。眠っていればいいも」

 

「ああああ!!」

 

ジ・イクリプス。二刀流ソードスキル最大の連撃数を誇るものだ。この世界では、ソードスキルでの硬直がみられない。正確に言えば、この戦争が始まってからだ。だからシステムアシスト何てものも無いので、本当に魔法有利の世界だ。だけど、何千何万と同じ技を使ってきたSAOサバイバーには関係ない。もう、体に染み付いているからな。

 

妙だ。先程までははっきり言って余裕だった。だが、今はギリギリでしか躱せない。なんと言っても、本当に微妙にだが、"地形が変わってる"。足が少し縺れるほどにだ。この辺の地形は完全に頭に入れて置いたはずだ。となると誰の仕業だ。こいつは違う。俺を斬ることで他に頭は回らない。だとしたらユウキか。そんな能力はアルバ様から聞いてはないが…ん?奴の金色の剣が、変化しているか。なかなか面白くなってきたなこれは。

 

「エクスゥ、キャァリバァァアア!!」

 

エクスキャリバーは万物を断切する剣。その剣に切れるものはなしと言われたほどだ。27連撃目、螺啤の左肩へ切先が向かう。そして、刃がくい込んだ。

 

「なに…?」

 

「そのまま、断罪しろぉぉおおお!!」

 

このエクスキャリバーという剣。俺の左肩に切れ込みやがった。今までどの攻撃も、どの刃も、どの宝剣すら弾いてきたこの肉体に、傷が付いただと…侮っていた。このキリトという男を。

(認識を改めろ。お前の中での常識が通用しない相手など多くいる。少なくとも、お前の中での常識では、俺を倒せなかっただろ。)

ふん。あんな男のことを思い出すとは。だがこの男には感謝しよう。こいつのお陰で、俺はまた一歩。高みへ歩めそうだ。

 

硬い。エクスキャリバーでも通らないのか。だったら、もう一本。重ねてやる。装飾がSAOの頃に戻ってきているのがわかる。あの時と同じだ。諦めなければ、必ず、勝機が巡ってくる。今が、その時だ。

 

「まだだぁぁああ!!」

 

なんだこれは。話に聞いてないぞ。もう一対はエリュシデータでは無かったのか。所々情報が違う。いやそうじゃないか。こいつが、戦闘中さえ、進化してきているということか。些か認めたくはないがこれは事実だ。だがそれがなんだと言うのだ。エクスキャリバーは既に弾いた。そして傷も塞いだ。もう、これ以上ない好機をこいつは逃したはずだ。なのになんで、心が折れない。

 

この至近距離で避けられると思うなよ。螺啤、これで終わりだ。

 

 

 

 

「ふふふ、ははは。」

 

「何がおかしいソロモン。」

 

なんで笑いが込み上げてきたのだろう。よく分からない。考えてみれば、俺の分身がなんだって言うんだ。それなら今までだって相手してきたじゃないかあいつらは。そしてそれを全て打ち破ってきた奴らがいるのに、何を心配しているんだ俺は。あぁ、だから笑ったのか俺は。"安心して"。

 

「いや何。"俺の分身如き"がどうしたって話だ。」

 

「なに?」

 

「要するに、"俺だと相性が悪いんだろ"?だから、"お前達が俺の相手"をしにきたってわけさ。」

 

アイツらも熟知しているはずだ。俺の長所短所くらいは。だったら俺の分身程度なら、やられはしない。分身なんだから、恐らく殆ど一緒の筈だしな。まぁ、だからこそ、俺との相性は最悪だろうがな。

 

「その通りだソロモン。だが、あいつらには絶大な効果を発揮するだろうな。」

 

「だろうな。だが所詮贋作。じきに終わる。」

 

「はぁ!?てめぇ、"俺達"をなんだと思っている!!」

 

俺達…?ワヒードは確かにそう言った。俺の分身とやらの話をしていたのに急に自分達の話をしてきた。どうやったら話が繋がるのだろうか。いや、こうして自問自答してれば嫌でも気が付く。ワヒードが言ったのは、言葉通りそのままだ。俺達と、俺の分身とやらは多分。

 

"ほぼ、同一な存在なのであろう、と"。

 

だからこそ彼等は俺に対して怒っているのだ。俺の存在そのものを、許せないと思うのだ。だって、俺がいなければこいつらは。

 

"生まれてくるはずが、無かったからだ"。

 

「そうか。お前らも、俺の分身の一部なのか。」

 

「ちっ!ああそうさ!!俺達は、お前の"クローン"なんだからな!!だからこそ俺達はお前の存在が憎い!お前さえ居なければ、お前さえ居なければ!俺達は、こんな苦しみを背負うことなんて無かったのに!」

 

「ワヒードの言う通りだ。お前の存在自体が傲慢の象徴。お前の存在のせいで、何人の人達が犠牲になり、醜い思いをし、死んでいったと思う!?」

 

「そうよ!貴方がこの世に生を受けた時、そして私達が生まれた時、成長していく過程で私達は気づいた。私達の存在は、貴方の存在のために生まれた、歯車の一部でしか無かった時のこの絶望悲しみ憎悪を!一生背負っていかなければならないと悟った時の私たちの気持ちが貴方に理解できるかしら!?」

 

お前達が俺を憎み妬み嫉みする気持ちは理解出来る。

全てに絶望し、全てを恨み、全てを破壊したいと思う気持ちも理解出来る。俺も最初はそうだったから。だが、俺はいつの日か、俺の存在を尊み、欲し、愛する者がいることを知った。こいつらにもきっといたはずだ。まだ、会えていないだけで。そしてそれは、俺では決して救えない。俺と関わってしまった人達ではこいつらを癒せない。だから、こいつらがせめてこれ以上苦しまないように、俺はしなくてはいけない。それがせめてもの情けだ。

 

「知っているとも。かつて俺もそうだった。だが、それによって失われた人の命の数々を俺は見捨てるわけにはいかない。」

 

「やはり傲慢だ貴様は!その役目を、なぜ貴様がする!!」

 

「俺がこの世に、生まれてきてしまったからだ。」

 

「っ!?」

 

「演舞。雷鳴一閃。」

 

ソロモンは左手に握っていた刀を上空へ手放すと、村雨と言っていた刀を引き気味に構えた。そしてイスナーンへ一閃。瞬きする間もなく、イスナーンは雷の槍みたいなものに貫かれていた。ダメージの入り方的に、イスナーンが使う雷撃より高度なものかもしれない。

 

雷鳴一閃。

雷鳴の如く、素早く鋭く、敵に一直線に向かって貫く技。言うなれば、人口の雷と言ったところだ。動きを止めるのに最適な技だ。

 

「よそ見している暇はないぞワヒード。演舞。氷柱傷愴。」

 

爆発音がしたと思ったら、ソロモンは俺達より上空にいた。そして放り投げていた刀、村正を今度は握り、そして振り下ろした。昔針千本飲ませると言った約束事をする時の話があったような気がしたのを、唐突に思い出した。針千本とはどのくらいなのだろうかと疑問を持ったもんだが漸く納得がいったような気がする。この氷は、決して致命傷にはならない。次へ次へと繋げる技なのだろう。一撃自体は大したダメージにならないのが特徴だ。

 

氷柱傷愴。

氷柱を槍状へと変化させ、降り続ける技。決して致命傷には也はしないが、同時にこれを避ける手段はない。例え1度吹き飛ばしても、その次には自分の体へ突き刺さっている。更にこの氷には、微量の血を吸う呪いが込められている。

 

「演舞。風牙暴滅。」

 

体中に突き刺さった氷を引き抜くと同時に、血も吸われているような気がする。そして今度は二刀流で風を起こしたらしい。いやあれは風ではない。凝縮したトルネードと言った感じだ。対象となった者を切り刻み、瀕死へと追い込むといった感じだろうか。先程までの技と比べると、殺傷能力が高い。いよいよ私達を殺しに来たと言うわけか。

 

風牙暴滅。

鮫の牙のような風が、細かく対象物を切り刻む技。一度対象範囲に入ったが最後。終わるまで永遠と切り刻まれ続ける。例え防御結界を張ってもすぐ様破られる、技として一級品のもの。

 

「演舞はあと8つある。こちらとしてはあまり耐えて欲しくないものだ。」

 

「ふん。全て耐えきってみせるさ。そしててめぇを殺す!」

 

「あくまで抗うというのか。お前たちは早く楽になるべきなのに。」

 

 

深く刻まれた感傷に浸る暇などは無い。戦いは終わってはいない。

 

 

 

「貴方、その姿は一体…」

 

「例えどんな姿になろうと、私はここを通さない。」

 

 

彼と、約束したから。

 

 

 




長くなってしまった…(過去最長?)
話が進めば進むほど、
増えるという謎現象が起きていますが、お許しを…

そろそろ決着付けたいなぁ()

(*´∇`)ノシ ではでは~


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これからは定期更新になります。こちらは第1、第3日曜日になります。

では!どうぞ!



黍亞との戦闘はそれは過酷なものだった。まず那霊をも飲み込んだあの触手が厄介だ。本数がとにかく多く全てを対処しきれない。リーファはシノンを庇いながらなので疲労が普段の倍以上になっているのはその様子を見ればわかる。かくいうこちら側も決して対処しきれている訳ではなく、クラインの助けを借りながらでないと防ぐのすらできない。両手斧の弱点はこのような時に対処出来る小技がないことにある。一つ一つの技の威力は高いので適した相手だと真価を発揮できるのだが、黍亞は発揮出来ないタイプだ。はっきり言って俺は向いていない。つまり、現時点で戦力になるのはリーファとクラインの二人だけになる。それでもこの化け物を凌がなければ勝利どころか生きてるのかすらわからない。そんな状況下であった。

 

「ふぅあ」

 

対して黍亞は欠伸をしていた。それでも的確に攻撃してくるのだからあの触手とは意思が別にあるのではと思わざるを得ない。だが、なかなか俺たちを仕留められないでいると苛立ちがじわじわと出てきた。顔を歪ませ、腕組みをし、指先で常に腕をとんとんと叩いている。そしてその場を行ったり来たり歩き回り始めた。

 

「もういいや」

 

そして遂にうんざりしたのか目を充血させながら触手に変化を与えてきた。伸ばしている触手に銀色に輝く何かを纏わせ始めていた。そしてそれが先端にまでいく頃には、俺たちは誰も、その触手を切れずにいた。切ろうとしても弾かれるのだ。鋼鉄の類の何かを纏ったそれは今までと比べ、より強度と鋭さを増した。切れないのだから捌くか避けるしか無く、防戦一方に追い込まれた。休む暇もなく、次から次へと攻撃がくる。思えば今日はずっと戦っている。果たして、これはいつ終わるのか。敵がキヒロを討ち取ったらか。それとも、こちらを殲滅したらか。或いは、敵を殲滅したらか。

物思いに耽けながら無意識に触手の相手をしていた時だった。急にパタリと攻撃が止んだのだ。そして黍亞が何か叫んで、いや誰かに訴えているのが聞こえた。そしてものの数秒で黍亞の姿が消え去った。

 

「お許し下さい!」

 

私はある方に一つ、咎められていた。共喰いについてだ。私は彼らを倒す為仕方なく、喰べざるを得なかったと弁明したが、それが聞きいられることは無かった。全て見抜かれていた。私がこのままこいつらを殺したあと、他の大罪達を襲い喰うつもりだということがその方にバレていた。そもそも共喰いは禁止されていたのだ。個々の力でも十分強いからだ。それが寄り集まって形を成したら回収出来なくなる、ということなんだろう。

お声が脳内に響き、私を体内から侵食していく。元の持ち主が返せと言っている。嫌だ。私はどんな存在であろうと、この世に生を受けたからには最後まで全うしていきたかった。だからそれを邪魔する者は全て排除する心づもりだった。だけど、あの方には逆らえない。そう組み込まれているからだ。でも、私は生きたい。そう相反する気持ちが身体中を駆け巡りそして、私は壊れた。

 

「よくわかんねぇけど、俺たち勝ったって事でいいのか?」

 

クラインが問いかける。甕穹に那霊、そして黍亞が消滅した今、敵は残ってはいない。ただ、勝ったとは言い難い気もした。こちらで生き残ったのはたったの4人。それ程の犠牲を出して漸く左陣を突破したことになる。さてこれからどう行動するか。兎に角情報収集をする為、本陣へ帰還することに4人とも合意した。未だ来ないキリト達の無事を祈って、歩み始めた。

 

 

 

双子と思われる2人に4人は苦戦していた。先読みに長け様々な術式を展開できる晴明に加え、攻撃が早く重い蓮香の2人が合わさってしまっては手の出しようがない。明確な劣勢へと追い込まれていた。2人の魔力量は無尽蔵なのか、絶えず攻撃が繰り返されるため反撃の機会を伺うことすら叶わない。ひたすら耐えるしかないこの状況下では先にしびれを切らした方が負ける。それをここにいる全員が理解しているからか誰一人として集中を途切らせる者はいなかった。ベルクーリらが晴明らを出し抜くには2人の更に先を読んで動くしかない。後手に回っている以上、この2人からの勝機は皆無である。それを打開するために今必死に脳をフル回転させているがそれでも後一歩届かない。そんな状況下で一角でも欠けると一気に崩れる。

 

「全奪雷削」

 

あらゆる方向から雷撃がベルクーリへと飛んでいく。未来を斬る斬撃による結界を張るも全て覆いきれない。僅かな隙間から晴明の術式が入り込み、雷撃がベルクーリを蝕む。その数秒後。ベルクーリの目は何かを見つけようと必死にしているがそれが何かを捉えることはもうない。音も聞こえず、剣を握っている感覚すらもう無くなっている。今この瞬間、ベルクーリの五感は奪われた。ただ失われた訳では無い。ベルクーリの五感は今は晴明のものとして使われている。晴明は今までの五感に加え、ベルクーリの五感をも利用することによって、更なる先読みを得ようとしたのだ。そしてそれは可能になった。

 

「あははははは!凄いぞこれは!これが貴様の見てきた世界なのか!ベルクーリ!」

 

晴明の言葉によって、今も右往左往しているベルクーリの様子が何たるかを察した三人は怒りを滲ませ剣を握る手に力を今まで以上に込めた。どんな形であれ、三人ともベルクーリを慕っていた者たちだ。そんな三人が剣に乗せる思いは一際重い。よって、今までの武装完全支配術及び記憶解放術の力も一際大きくなる。幸いなのは晴明がそれを知らないことか。ユージオが展開した武装完全支配術は空中にいる二人を絡め取り、地面に叩きつけた。アリスの記憶解放術によって身体中を切り刻み、そして最後にファナティオによって胴体に大きな穴を空けられた。

 

「くそ、まだだぁ。このまま、死んでたまるかぁ!」

 

事前に展開されていたのであろう方陣が四方八方に展開される。炎、氷、雷、風、水など様々な属性の術式が四人を襲った。アリスはトレードマークでもある金色の鎧がそこかしこ破壊され、ファナティオは左腕を消された。

ユージオは胴を切断され、ベルクーリは四肢をもがれ転がっていた。

その様子を見て、晴明と蓮香は崩れ落ちながら、死んでいった。気味悪い笑い声を最後まで残しながら。

 

「なぁ、ここはどこだ。俺今、どうなってるんだ?」

「私はここにいます!ベルクーリ!」

 

ファナティオは必死にベルクーリに話しかけるが相変わらず目は虚ろだ。あと少しの命と悟ると、ファナティオはベルクーリを優しく抱き大粒の涙を幾重にも零しながら、今までもこれからもお慕いしております、と小さく呟いた。そのあとベルクーリが残した言葉にファナティオはより一層、涙が溢れ出した。

 

「俺は、幸せだった」

 

ユージオにアリスが治癒を施すがそれを遮られる。もう間に合わないから、いいと。涙を零しながらそんなはずはないと言い治癒を続けるアリス。そんなアリスを見て、ユージオは幼い頃からの想いを語る。

 

「僕、アリ、スのこと、好きだったん、だぁ」

 

連れていかれてしまった時、再開した時、最高司祭に負けた時、アリスに抱いていた想いを最後だからと、伝えるユージオ。もっと早く伝えたかったと、そして、僕はもう思い残すことは無いと言い、静かに、息を引き取った。

 

「ユージオ…?」

 

何にも代え難いものを失ってから気づくことは多々ある。アリスは今まで失ってきたものたちに対しても後悔のないように行動出来ていたかと自問する。ない、と小さく言う。私は後悔ばかりの人生だ。ありがとう、を筆頭に、伝えるべきことをあまりにも多く伝えていない。それを知っていながら、また、伝えられなかったという後悔の念と、伝えたかったという思いが、アリスの心を深く抉った。あぁ、叶うのならば、もう少し素直になりたいと、赤く染まっている空をみて願った。

赤子のように泣いたあと、二人は本部を目指し歩き始めた。これ以上後悔しないためにと、強く思いながら。

 

 

「エンハンス・アーマメント!」

 

僅か十センチ程の距離で放たれたそれは、螺啤の体から魔力を吸い上げた。螺啤はバックステップして避けたが、たった一秒程でもかなりの量を吸われたことに危機感を覚えた。このまま吸われ続けては、その強固な体を維持するのも難しくなるからだ。エクスキャリバーをも完全には通さない硬さは魔力による防壁を何層にも渡って掛けているからだ。計五層ある膜を突破されてしまってははっきり言って勝機はない。ここは一時撤退をと思った矢先、何者かに阻まれた。いや囚われていたと言うべきか。一辺三メートルほどの箱に囚われてしまった。だがこんな魔法を使うやつはいなかったはずだと考えた。

 

「いやー遅くなってゴメンなぁキー坊達」

「アルゴ!?」

「アルゴさん!」

 

螺啤はアルゴの存在に全く気が付かなかった。意識がキリトに集中していたとはいえ、こんな魔法を展開されるぐらいの者なら気づかないはずがない。とは言えまずはこの箱を破壊しなくては何も行動できないと考えたが、幾ら攻撃しても開く気配がないことに少々戸惑いを覚えた。そして螺啤はこのアルゴという女が、どのような女なのか興味が湧いた。

 

「アルゴと言ったか。貴様、何者だ」

「君にわかりやすく言うならば、ソロモンと同じと言えばわかるかな?」

 

その瞬間、螺啤はアルゴという女との相性の悪さを悟った。ソロモンと同じとされる人と対戦したことがあるが、一度たりとも勝ったことは無い。つまりもう、負け確である。

キリトはアルゴの言っている意味が理解出来なかった。ソロモンと同じってどういう意味なのかで今は頭が一杯である。対してユウキはさほど驚いている様子は無かった。後日談では驚いてはいたが、その可能性は高いとは思っていたので心の準備は出来ていたということらしい。

 

「じゃあ時間ないし、さっさと終わらせるね。」

 

アルゴはそう言って、箱の中で幾つもの極大魔法を放ち、あっという間に螺啤の防御を突破していった。そしてそれを探知したユウキがマザーズ・ロザリオを放ち、決着がついた。そしてアルゴはもう一つ、驚きの結果を見せてみた。

 

「ラ、ン?」

 

ランの治癒である。いや蘇生と言った方が正しいかもしれない。あと一歩というギリギリのところで間に合ったアルゴはまず、これ以上の損傷を抑える魔法をかけ、それから治癒の魔法をかけたのだ。通常ならば助かりようのない場面であるが、アルゴは治癒魔法に特化していることもあり、何とか一命を取り留めた。アルゴの功績も大きいが、キリト達が螺啤を抑えてくれていたこともランの回復に繋がっている。大魔法は基本的に発動に時間がかかる。瀕死からの回復となれば当然である。だからこの回復は、皆で勝ち取ったものだとアルゴが言うと、皆泣きながら、アルゴに抱きついた。自分より大きい子どもたちを抱き、背中をぽんぽんと叩くのを、悪くない寧ろ心地よいと感じていた。まるで三人の子どもをあやす一人の母親みたいに。

 

 

 

 




遅くなりましたがよろしくお願いします!

(*´∇`)ノシ ではでは~


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第1ラウンド

更新日です!よろしくお願いします!
(あまり語るべきではないと勝手に判断…)

では!どうぞ!


「どいつもこいつも。ここまで使えないとは」

 

アルバはイラついていた。ソロモンへ差し向けた3人はまだ抑えてはいるがじきに突破されることは確実。黍亞らを回した方も完全には倒しきれず全滅。双子の方も予想以上の反撃を受け敗退。更にキリトらに差し向けた螺啤及び緻繇はアルゴの活躍によって撃破。残る駒は自分一人と後方に残してある1万の魔道士部隊のみ。しかしこれらはソロモン対策へ総動員するつもりなのでこれ以上人員は割けない。通常なら痛み分けと言うべき戦力差ではある。ただ、アルバが上から受けた指示はソロモンの殺害または"捕獲"である。そのどちらも失敗となれば大敗北と言われるのはほぼ確定路線である。これ以上の失敗は自らの進退に少なからず関わるであろうこともわかり切っているため、アルバはイラつきを隠せずにいた。

ただ、この成果は評価されるだろうと。そう確信していた。5人の内の1人。ノーチラスという男。現実世界ではエイジとか言ったか。コードネーム"ヘラクレス"のこいつを仕留めた今、私は評価に値する人間だと。

 

 

1時間前。

 

「アスナ。その姿はなんだ」

「わからないわ。ただ、この姿は、私に力を与えてくれる」

 

それはそうだ。今のアスナの姿は私がアルマトランにおいて苦戦した敵のうちの一人。シバの姿なのだから。だがそれはユウキの姿であったはずだ。仮想世界においてデータは絶対。他人のデータを扱えるとしたらその持ち主が既に死んでいるかまたは、完全に譲り受けたかの二択だ。

 

だがそのどちらの可能性もない。それはアスナの体に纏う魔力が微妙に違うことからも確信を持って言えるのだが…いや、シバはアルマトランにおいては殺しているはずだ。実行したのはアルバでもあるから死んだと思っていた。だが、確実に息絶えたところを見た訳では無い。あの時の致命傷は何らかの方法により治癒、蘇生されていない限りユウキは生きてはいないはずだ。アルマトランもまた、旧SAOと同じデスゲームであったのだから。いや、1度死んだから権利が剥離した。だが蘇生したことにより権利は復活。しかし1部は回収しきれずといったところか。ユウキがシバの姿になるのに時間がかかったのも恐らくそれが原因だろう。

そう結論付け、アルバは微笑んだ。また、殺す機会を得たと心の底から喜んだ。

 

「ふふふふふ。あはははははっ!なるほどねぇ。なら、今度こそ確実に殺すわ!!」

「それはさせないさ」

 

アルバが振りかざした杖は何者かに阻まれた。アスナはその姿に驚いた。何故ならその人物は右翼に転属されていたはずの人物でありそこで指揮を取っていた者だからだ。そしてなにより、自分の記憶にある人物との差が大きかった。あっという間に懐に飛び込み、受け流しながら回し蹴り。ここまでの動きを出来ていただろうか。いや、できていれば間違いなく一軍で活躍していたはずだ。そして、FNCに陥っていた人物と同一とはとても思えなかった。

 

「ここは下がってくださいアスナさん」

「ノーチラス君!?どうしてここに!?」

「右翼は信頼に足る者に任せています。ここは僕が抑えるので」

 

ノーチラスという名前に、アルバは眉をピクっと動かし少し怪訝そうな顔になった。

 

「ノーチラス?ならあなたも、あの悪の根源と同じ…」

「そうだ。だから悪いが、お前たちの計画は阻止させてもらう」

「……そう」

 

そこから恐ろしい斬り合いが始まった。どちらもキヒロを彷彿とさせる剣技の応酬。所々に体術も交え、まさに殺し合い。アスナは先程までのアルバと自分との闘いは、アルバからしたらきっと、お遊び程度でしか無かったのだと思い知った。それ程の次元の違いだった。入り込む隙は全くなく、息をつく間もない。アスナはただ眺め、2人の闘いを見守るしかなかった。

 

「お前がNo2なのかアルバ」

「まさか。私はNo持ちではないよ」

 

ノーチラスはここでアルバの評価を改める。現実世界でのキヒロとの戦闘ではほぼ互角だと報告で聞かされていたがそれはあくまで、キヒロ、継裕が周りの者を庇いながらであり、少なからず油断もあったからなのだと思っていた。だが今直に剣を交えて思う。継裕の腕を切り落としたのもまぐれでは無い。実力だ。元からの不利な相手に対してもそれを互角にまで持っていってしまう実力。生半可な努力でどうにかなるものでは無い。その差を埋めるほどまでの何かが、アルバを突き動かしてるのだとノーチラスは知った。

既にノーチラスはリミッター解除をしている。それも第2段階の50%だ。あと段階は2回分あるが、それを使う前までに出来れば決着をつけたい。リミッター解除は使えるようになったが、まだ継裕みたいに使いこなせる訳でもないし、持続時間も短い。言わば短期決戦用でしかない。だがアルバがついてきてしまう以上、段階を上げるしかない。

70%。まだついてくる。というより、アルバもノーチラスに合わせ、スピードが上がっていく。杖にかける重みも増していく。

ここで初めて、ノーチラスに焦りが生じた。思っていたよりアルバの適応が速いこと。そして戦い方を知っていること。そしてなにより、感情を完璧にコントロールしていること。いやコントロールというより二分していると言った方が的確かもしれない。言動や表情はまるで狂戦士だが、その実、武器に乗る思いは洗練された殺意のみ。無駄な感情を武器に乗せることは一切無いためブレることは無い。二重人格とはまた別なのだろうがはっきり言って恐ろしいと感じていた。

 

これが、恐怖か。

 

「あら、もう限界ですか?」

 

なんだと。

 

「私まだ、上げられますよ?」

「………そうか。なら付き合ってやろうじゃないか」

 

正直、戦えるのは後20分程だろう。

そして更に上げるならその半分程だろうか。そしてそれで決着はつくのだろうか。考えても分からない。この女に関しては確信を持てない。

アルバはスピードを上げるついでのつもりなのか、二刀流に切り替えた。手数は増えスピードも上がる。はっきり言って捌き切るので精一杯だ。リミッター解除は既に90%。今の俺の中では最終段階。これ以上上げられはしない。つまり今出せる最高のスピードのはずなのだが、アルバは顔色変えずにこれを対処しきる。これ程までの強敵だとは。想像だにしてなかった。

負けた。気の緩みは無かったはずだ。つまり純粋に、剣の腕で負けたのだ。両腕を切り落とされそのままの流れで体を吹き飛ばされた。もう戦えない。死んだも同然だ。

でも、まだ死ぬ訳にはいかない。何とかして、何とかしないと。俺が何とかしないといけないのだ。そう思うと、自然と身体が動いた。

 

「…っ!?」

 

アルバは自分に向かってくるノーチラスを見て思考が一瞬停止した。何故まだ戦おうとするのか。何故抗おうとするのか。何故、切り落としたのはずの腕が生えているのか。

その思考の間に生まれた隙により、アルバは対処しきれず、左腕を失った。そしてある考察に至る。

 

「………なるほどねぇ。ヘラクレス。あの伝説から取っているのだとしたら納得いくわ」

「まだ、死ぬ訳にはいかないんでな」

 

ノーチラスの特異体質。それは、超回復であった。ありとあらゆる傷を瞬時に回復する力を持つ。着想はトカゲの尻尾からきているとか。ただ、これには限界がある。

そもそもヘラクレスという大層なコードネームをつけられている理由は、その超回復の回数故だった。かの大英雄ヘラクレスはヘラから与えられた七つの試練を乗り越えた半神半人の英雄。そう、この超回復は7回までであったら、たとえ即死攻撃であろうと回復が可能である。そう、7回までは。

 

「いいわぁ。何度でも殺してあげる!!」

「そう何度もやられるか!」

 

そしてノーチラスはあることに気づく。先程切り落としたはずのアルバの左腕が新たに生えているのだ。少なくともこちらと同じような能力と有していると仮定して対戦した方が吉と判断し、これまで以上に慎重に、的確に攻撃を重ねるのであった。

 

互いに何度も手足や頭を切り飛ばし、胴を切り離し、穴だらけになるまで刺し、雑巾を絞るように捻り、互いを殺しあった。

ノーチラスは限界を超えても尚、剣を振り続ける。たとえ自分が勝てなくても、次へ繋げるために。そうして戦い、全てを尽くしたにもかかわらず、アルバを倒すことは叶わなかった。

何度無様に転がっても立ち上がりそうして足掻いてきたノーチラスだが、アルバを倒すには明らかに経験が足りなかった。これは人を殺すことに長けているアルバ相手には、致命的だった。それをわかっても尚、立ち向かい続けた彼を賞賛しないものがいるだろうか。後にこの話を聞いたものは涙を交えながら、ありがとうと口にした。

 

「さて、あとはあなただけね。アスナ」

「………」

 

目の前で、あの激闘を見せられた後に、勝てるプランなどアスナには湧かなかった。ノーチラスみたいに時間稼ぎが出来るとも思わなかった。確実に死ぬとまで思っていた。そんな彼女がこの状況下で思ったこと。

 

逃げたい。目を背けたい。現実に返して。

なんで私が。死にたくない。生きたい。

嫌だ。嫌だ。嫌だ。

会いたい。話したい。伝えたい。

まだ、やりたい事沢山あるのに。

どれ1つとして叶えられる気がしない。このまま、何も出来ないまま、誰に知られることも無いまま、死んでいく未来しか見えない。

あぁ。私の人生は、一体、なんだったのだろうか。

こうして死んでいくのが私なのか。

認められず、否定され、必要とされず。

そんな私だから。あの時、切り離されたのだろうか。

 

否。

彼は違う。彼は私を認め、肯定し、必要としてくれそして。

支えてくれた。

それが偽りなわけがない。

ならば私は、まだ死ねない。会って話して、伝えたいことだってある。まだまだ知りたいこともあるし、一緒にやりたいこともある。まだまだ一緒にいたい。

その気持ちが、止まりかけていた私の命を、動かし始めた。

 

「…ゃやぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

「やっとやる気になった?!でも、もう遅い!」

 

鋭利な切っ先が喉元に迫る。だが、既のところで張られた膜によって、貫かれることは無かった。

防御結界。

まだ未熟だが、それでも、アルバの攻撃を止めることに成功した。この究極の極限状態だからこそ成し得た奇跡と言ってもいいだろう。

更にここから反撃に転じ、ほぼゼロ距離でソードスキルを放った。カドラプル・ペイン。ユウキのお墨付きのOSSだ。流石に全て命中したがまだ足りない。刺突攻撃は数がものを言う。だからまだ続ける必要があった。そこで咄嗟に選択したのは、

 

「はぁぁああ!!」

「くっ!!!!」

 

マザーズ・ロザリオ。ユウキのを真似しただけなので完全に同一とは言えないが、軌道はほぼ一緒。右肩から左腰へ5回、左肩から右腰へ5回。そして重なった中央へ一突き。最大最高の重さを乗せていく。

計16連撃を食らったアルバは胸から下には大穴が開き次第に分離していき、完全に切り離された。胸より上を残し、それ以外の残された部分は次第に消えていく。様々な想いがのったであろう攻撃は通じたのであろう。アスナの目にはアルバが苦しんでいるように見えた。

 

「……けんなよ」

「…え?」

「……っ!ふざけんなぁぁあああ!!!!」

 

思わず耳を塞いでしまう声量を出すアルバの様子にアスナは目を疑った。完全に分離したと思っていた部分には、黒い球体がありそれに黒い魔力が吸われているのが可視化出来たからだ。次第に黒い球体は大きくなりそして、アルバの体を新しく作ってしまった。

一体、どうやったらアルバを倒せるのだろうか。

そう考えてしまうのも無理はなかった。自分に出せるものは全て出した。にも関わらず結果がこれなのだ。もう、諦めるしかない。

でも、こんな絶望的な状況でも、光を求めるのが人だ。そしてアスナも例外じゃない。もう声出す気力も無くしつつあったが、心の中でどこかにいる彼へ届くように、強く、強く

 

助けて

 

と願った。

 

 

 

 

 

 




終わりが見えてきたと言っても平気かな?w
まだかよ!って人もいると思いますが、まだお付き合いお願いします。

(*´∇`)ノ ではでは~


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あと少し…あと少し…

では!どうぞ!


父は常日頃、俺のことを夢の存在だと言っていた。幼いながらにもそれを俺は理解していた。様々な障害があり、不可能だとされていた、遺伝子操作を施した人間を創ることは。遺伝子操作を施した人間の事を研究者たちはコーディネーターと言う。言葉通り、遺伝子レベルで優れているところを抽出しそれを組みあわせた人間ということだ。本来なら有り得ない身体的能力や頭脳を持つことも可能になり、新たな人類と言っても過言ではない。ただ、それだけの力を手にするには代償が伴うもの。研究した結果として生み出された結果は計5人。たった5人を生み出すのに一体どれ程の尊い命が犠牲になったことか。度重なる非人道的な実験は実に10年続けられ、その間に犠牲になった子どもは約1000人ほど。さらに子どもとして数えられない人間にすらなれなかったのも含めるとゆうに万は超えるだろう。それだけの犠牲を出してまでの意味は果たしてあったのだろうか。研究者たちは口を揃えてあったと言うだろう。彼らにとって成功とは犠牲の上に成り立つものだから。その考えに今までなんの疑問もなかった。まだ幼かった頃は単に、ありがとうぐらいにしか思ってなかった。

ただ、木綿季やアルバらを知ったことによって、疑念を抱くようになった。木綿季の他者を思いやる心。アルバらの俺に対する憎しみ。そのどれも俺にはなく、また必要とされていなかったものだ。だが、感情のない人間を果たして人と呼べるだろうか。ただでさえ、体の造りは人ならざるものと言っても何一つ反論できないほどのものだ。

こうして戦っていて思う。あぁ、俺は夢の存在なのではない。ただの殺戮兵器でしかないのだと。他者を殺すためだけに生まれ、障害を排除する。きっとこの戦いも、皆を守る為だとかという大層なものではなく、所謂本能的なものなのだろう。そんな俺を排除しようとするアルバらの方が正しいとすら思える。ただ、俺にはその選択ができない。その選択肢がないからだ。俺の本能的にありえないのだ。きっと、そこまで遺伝子操作を施しているのだろう。自分の想いでは死ぬことすら叶わない。そして体はもう、思考とは完全に分離する。目の前の敵を屠る為に動いている。頭ではもう、それを望みたくないのに。

こうして生きてしまうことが、俺の生に対する、罰なのだろうか。

 

 

「ラムズ・アルサーロス!!」

 

イスナーンが雷撃を放つがこれを雷鳴一閃で相殺。その様子を見て、イスナーンは舌打ちする。状況が一向に変わらない今、もどかしい気持ちなのはお互い様だ。出来ればもう戦いたくはないのだが一体どうすれば。もう、覚悟を決め、進むしかないのか。己が正しいであろうと思える道を。例え間違っていてもいい。もし俺が間違えていたのなら、木綿季や和人、明日奈らが修正してくれるはずだ。怒りながらでもぶつかりながらでも。そうやっていつも俺の過ちを正してきてくれてたではないか。何を今更悩んでいる。俺はもう、1人ではないのだから。

 

村正を納刀し、村雨を構える。チャンスは1度きり。3人の攻撃を全て見切った今、次の技を放たれるまでの僅かな時間。ここで3人同時に仕留める。

 

「は?」

 

今、何が起きた。奴が構えたと思ったら、斬られていた。俺だけじゃない。ワヒードもファーランもだ。一体何があったと言うんだ。いや、一つだけ確かなことがある。俺たちは、負けたんだ。

そして奴が小さく呟いた。

 

「演舞、水羅斬刹、3連撃」

 

演舞、水羅斬刹とはありとあらゆる物質を極小の単位で切り裂く技。それは物質を分子レベルまで入り込んで切り刻む。防ぐことが基本的に不可能な最強の技であり、切り札の一つである。

イスナーンは胸で、ファーランは腰で、ワヒードは手足の付け根から切り裂かれた。そして、その切れてしまった所を繋げる魔力は、もう3人には残されていなかった。

 

 

俺はどうしても、奴に聞きたいことがあったんだ。それは奴の存在を知ってから尚更深まった疑問だ。どうせもう終わりだ。後悔のないように。

 

「なぁ、ソロモンよ。聞きたいことがあるんだが」

「……なんだ?」

「俺たちの生きる意味ってなんだ?」

 

 

それを聞いたソロモンは絶句していた。そして数秒の沈黙の後、こう答えた。

 

「わからない…」

「じゃあお前の生きる意味はなんだ」

 

返答は大体分かってはいた。俺とこいつは似てるようで全く違う。そもそも造りが全く違うのだがら当たり前なのだが。俺の、俺らの疑問を解消できるとしたらこいつしかいないと思った。ただそれだけだ。

 

「………なんだろうな」

「………は?」

 

俺の勝手な想像だが、こいつは自らの欲するものの為に戦い続け、そして勝ち続け得てきたのだと思っていた。実際、こいつは手に入れられたものが多すぎる。例え遠回りだったとしても、欲しいものは手に入れていたように見えた。だから、この返事には正直驚いた。まだ足りないのか、それとも、実際に欲しかったものは違うのかと数秒思考したが、それを妨げる言動が飛び出した。

 

「俺も、お前達と同じように、わからないんだ」

「わからないはないだろ!?お前はその力を利用し、欲しいものは手に入れてきたじゃないか!?」

 

俺の見えてる世界が狭いのかこいつが広いのか。それとも他に何か、別の考えがあるのか。

 

「俺もお前達と同じように、造られた人間だ。そして造られた意味を知れば知るほど、自分が存在している意味や理由が消えていく。自分のことや、お前達のような存在を知れば知るほど、何故生きているのか。その答えを探している」

「…………同じ、だと?全然違うだろ!?」

 

実際、全然違う。身体の造りは勿論のこと、生まれ方、寿命など、挙げたらキリがない。俺らとこいつのどこが同じなんだ。同じでいられるはずがないのに。

 

「確かに生まれは違う。それはもう、どうしようもないほどにな」

「なら、何故そう言う」

「周りとは違いすぎるための"孤独"という面では同じはずだ。そしてそれをわかってくれる人などいないということも」

 

孤独か。その程度なのか。俺とお前の共通点は。そしてわかってくれる人はいない。そんなのは当たり前だろ。例え俺らじゃなくても、あかの他人を分かり合うなど不可能だ。そんなことが出来るなら戦争など起きやしない。こいつはまだ、夢の中にでもいるつもりなのだろうか。

 

「ただ、それを悲観しても仕方の無いことだ。それには抗いようがないしな」

「何が言いたい」

「俺らにできることは、自らの価値を見いだすことだ」

 

自らの価値を見いだす。それは、どういう意味でだ。俺らはただの…

 

「兵器としてか?」

「違う。1人の人間としてだ」

「あ?人とはかけ離れている存在でか?」

「そうだ。だがこれは俺達にはかなり難しいことだろう。外見上は人でありながらも人為らざる者としては。だけど、」

 

「それを見つけるまで探し続けるのが、俺たちの、"戦い"だろ?」

 

これが最高の人間の言葉か。最初に出た感想はそれだった。思えば俺らはそんなことを考えたこと、1度たりともなかった。組織の命令通りに動き、生きていた俺らにはその言葉は眩しすぎた。生まれはどうであれ、生きる意味を探していいのだと、見つけたら、その為に命を捧げてもいいのだと。最初は手探り状態から始まるだろう。だけど、始めなくては存在意義を見つけ出すことすら出来ない。そのきっかけを与えてくれた。もう遅いかもしれないが、初めて、自らの意思で、動きたいと思った。

 

「はっ、お前とは、もっと違うところで会いたかったぜ」

「あぁ。俺もだ」

「一つ約束してくれ」

「なんだ」

 

この約束を果たせる日はこないだろう。だけど、どうしても伝えなくてはと思った。俺らの存在を知って欲しかっただけなのかもしれないが。

 

「その生きる意味を見いだせたら報告しに行ってもいいか」

 

驚いた表情をしていたが、目元を滲ませながら快く返事してくれた。

 

「あぁ!必ずこい!」

「あたしもいくわ。てか呼びなさい」

「それは無理だろうよファーラン。あんたも見つけとけよ」

「わかったよ。ファーラン、ワヒード」

 

そして3人の目から、光が消えた。

 

俺達はどこで道を違えたのだろう。こればかりは後悔しても仕方がない。それは分かっている。だが考えるのをやめようと思ってもどうしても考えてしまう。夢だったら、と。目が覚めたら普通の子どもとして生活してる。なんてことになってたら。などという妄想をどれほどしたか。おそらく誰も悪くは無いだろう。俺らを生み出した研究者も己の欲望を満たしたいがために知識体力人生を捧げているのだ。それを妨げるのは間違いだろう。人の夢を阻害するほどの悪はない。きっと本当に悪いのは、俺らみたいなのから、夢を奪う人達だ。だから俺はその為に戦おう。まだ囚われている奴らを解放するためにも。これもまた傲慢なのかもしれないがそれでいい。夢を追うくらいなら傲慢くらいでないと。

 

「さてと、そろそろ行くか」

 

俺はアルバがいると思われる中央後方へ向け、全力で移動を開始した。1つはこれ以上の犠牲を出さないため。そしてもう一つは、俺の夢のために。

 

 

 

残る戦局は一つ。

ノーチラス対アルバも終わり、アスナ対アルバへと移行してる中、キヒロは最終戦局地へ向かう。果たして間に合うのか、それとも間に合わないのか。勝者は!?

 

 

 

次回 さよなら

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もっとド派手にいくべきかと思ったりもしました。
でも最終的にこうしたのは自分の中ではこれかなと言うだけ。

これ以上言うとあれなのでやめときます()

(*´∇`)ノ ではでは~


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さよなら

ひとまず区切り!

では!どうぞ!


さよなら。継裕君…私はあなたみたいに強くなれなかった。私を守るために何人も犠牲になって、その仇討ちすらできず、そして防衛線も突破されてしまう。このまま何も為すことなく、消えていってしまうのだろうか。

 

「どうしたのかしらアスナ。もう終わり?」

 

もう嫌味を言う気力すら湧かない。それどころか、体が動かない。こうして地面にうつ伏せになったことなんてあったかしら。アインクラッド最高日和とかいう日に草むらで寝そべった時や、団長の強制麻痺の時と比べてると徐々に感覚が消えていく気がした。比喩とかじゃない。手段は分からないけど、胸の息苦しさから指先へかけて感覚が消えていく。土の香りも薄くなっていき、アルバの声も段々と遠くなっていく。僅かに映る青空も段々と白夜に晒されているみたいに真っ白に染まっていく。さっきまでどんどん重くなっていった体が急に浮くように軽くなった。これが幽体離脱というものかしら。となると、私は、そうか。

 

死んでしまったのか。

 

でも、彼には託せた。生きて、この世界に、幸せを、見つけてね。

 

 

「アスナァァァァァァアアアア!」

「あら。今更来たのソロモン。少し遅かったみたいね」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

 

演舞 水羅斬刹

 

軽く避けられ、その先へ視線を向けると夥しい数の魔導士がそこにいた。生き残っていた残りの戦力のどれ程なのだろうか。もう、終わりなのか。ここぞという時に誰一人守れないのが、俺の人生なのだろうか。

魔導士の詠唱が聞こえてくる。同系統の魔法を重ね合わせより強大な魔法へと作り変えていく。あれを止める手段は今の俺にはない。キヒロである以上、あれを防ぐ術はない。ソロモンなら何とかできるだろうが。魔力をほぼ使い切ってしまっている今、ソロモンになることは出来ない。つまり、詰みだ。

 

「ハルハール」

「ラムズ」

「ゾルフ」

「アスファル」

「シャラール」

 

「「「「「インケラード!!!!!」」」」」

 

熱系、雷系、力系、風系、水系の極大魔法がキヒロを抉る。為す術がない以上ただ耐え続けるしかない。だがそれがいつまでも持つはずがない。自分の限界を感じ、そして漸く解放されるかもしれないという思いが吹き出してきているのを感じた。このまま楽になれるだろうか等ということも考えていた。ただそれは認められなかった。

 

「大丈夫!?キヒロ!!」

「………ユウキ」

「ここはボク達に任せて!」

 

ユウキがそう言うと、右翼に回っていた整合騎士2人に加え、スリーピングナイツの皆、エギルにクライン達。そして、キリトがいた。

 

「待ってろキヒロ。すぐ片付けてくる」

 

あぁ。彼みたいなのが英雄と呼ばれるに相応しい。どう考えても無謀としか言い様がないこの状況下で立ち向かうなんて英雄と言わずしてなんと言えよう。彼らは肝心な時に必ず、立ち上がりそして、必ず救ってきている。彼らこそ光だ。俺は彼らみたいな光にはなれない。だって、諦めてしまったから。打つ手なしの状況に陥った時、このまま死ぬのも悪くないと思ってしまった。いや、もっと簡単に言うと、このまま死んで自分の運命から解放されたいと思ってしまった。イスナーンらにあんな説法を説いておきながら自分はこのざまだ。こんな自分と分かり合うなど誰ができようか。

だけど、俺に新たな気持ちが芽生えた。この光達とともに歩んでいきたい。行けるところまで行ってみたいという願望、欲望が芽生えた。これまで散々周りを巻き込み傷付けながら言う台詞では無いだろう。だが、芽生えた欲望を抑えるのは難しいししたくない。決めたんだ。俺はもう、過去に、周りに、自分に囚われながら生きていくのは辞めるんだと。俺は、自分がしたいことをする為に生きていくのだと決めた。

 

「雨緑、いきますよ!」

「ボルグ・アルサーム!」

「リリース・リコレクション!」

「エンハンス・アーマメント!」

 

アリスが飛龍に乗り、その飛龍と共に広範囲殲滅攻撃を施し2割程消し去る。ユウキ・シバの攻撃に加え、キリトの全てを包み込む記憶解放術、ファナティオの悪を切り裂く武装完全支配術。皆の、守りたいという思いが織り成す心意攻撃。こちらにも被害は多少なりとあったが遂にアルバ一人まで追い詰めた。これで終わると思った。終わって欲しかった。

 

「ここまできて、終わってたまるかぁぁああ!!」

 

アルバの姿が更に変わる。額には三日月形の金属装飾が、直径5センチほどの大きな耳飾り。茶色の髪が所々青みがかっていき背丈ほどの神杖が2本展開されそのうちの一本は、ソロモンの杖だった。

 

「全てを消し去るのに貴方の力を使うのは少々癪だけどこれ以上ない絶望になるでしょう!!」

 

そう言って引き攣った笑みを見せながら、アルバは自身とソロモンの魔法を合わせた攻撃を放ってきた。

 

「獄滅力裂!!!」

 

地面を、空を、大気を、人を裂いたその魔法の威力は絶大だった。たった一度の攻撃で殆どの者が戦闘困難な状況に陥った。単に魔法の力だけではない。アルバの心意が、俺たちを滅ぼすという思いが彼女の力を増幅させている。打ち破るにはそれ相応の力が必要となるが今俺の脳裏にはその術が思いつかない。

駄目だ。また思考が良くない方へいっている。決めたじゃないか。自分の未来は自らの手で決めると。そう心に強く言い聞かせ、俺はアルバに向かって走り始めた。

あれをもう一度撃たれては終わりだ。だから、まずはそれを阻止する。

 

「気が狂ったのかしら?そのまま突っ込んできて勝てると思わない事ね!」

 

勝算があるとしたら、これしかない。俺の全魔力を使って、支点の位置を思い出して、アルバを誘導して、張る。

 

「ん?なっ!?ああっ!!」

「どんだけ威力が高くても、使えなくては意味が無いだろ?」

「絶縁結界!?くそっ!きさまぁあ!!」

「お前の負けだ」

 

次の瞬間、俺は肩口から胸にかけ切り裂かれた。

 

「くはっ」

「んふふふ…あはははははは!!!」

 

アルバが持っているのは、ノーチラスを最後まで支えたであろう剣だった。左手にはアスナの相棒を携えていた。

 

「こうなったら仕方ないわ。面倒だけど、1人ずつ、殺してあげるわ!」

「くそっ!」

 

この結界が、逆に仇になってしまうとは。整合騎士2人は神聖力を使えないため戦力はガタ落ちだ。シバの能力も利用出来ないためこの人数を守りきるのは難しい、いや不可能だろう。

ソードスキルを使うのは最終手段だ。硬直は彼女の前では命取りになる。ただでさえ速すぎるのだ。発動しても捉えることは出来ず、隙が生まれてしまうだけなら使うわけにはいかない。それは全員理解している。現段階この人数差で互角なのは認めたくはないが認めざるを得ない。誰一人として、彼女に傷一つ付けられなかったからだ。

 

「あらあらあら、私を封じるための結界が、まさか自らの首を絞めてたなんて。なんて滑稽で無様なんでしょう」

 

その通りだ。俺はまた、何も出来ずに…

 

「あら?まだ息があったのあなた。もう死んでいいわよ」

 

視線を向けると今まさに、1人の女性が突かれているのが見えた。それは、アスナであった。血が噴水のように湧き出て、体が海老のように跳ねる。この場にいる誰もが、もう救えないと思った。

 

「さて、これでこの結界も終わりね」

 

スタスタと歩いた先にある支点をアルバはたった二振りで破壊し、絶縁結界を解いた。いよいよ、後がなくなってしまった。だがその状況を好機とみたか、5人が飛び出しそれぞれ技を放った。

 

「頑張りは認めるけど、残念ね」

 

武装完全支配術、記憶解放術、極大魔法。それら全て技を放った本人へ返っていった。自らが放った技に自らが焼かれる。いや放った以上の威力を受けていた。

 

「ガハッ…」

「ふふふ。これがソロモンの見ていた世界ね〜。素晴らしい!この世界が見えていれば私は負けない!」

 

それを聞いて俺は察してしまった。俺がソロモンへとなれない理由。それは、アルバにその力を奪われてしまったからだと。最早魔力の問題ではないのだということを。

 

「冥土の土産に教えてあげますよソロモン。あの日、私と交わった日に残された魔力から辿って貴方の根幹となるものを得たのよ」

 

あの時から、アルバはこれを見越していたというのだろうか。いやその推測は今必要ではない。今必要なのはこれからどうするかだ。突撃した5人は暫く動けないだろう。今動くとしたら、俺しかいない。だけどさっきので魔力は枯渇している。どうすればいい。

この時起きたのは、まさに奇跡と言っていいだろう。無念に散っていった仲間達のリソースが魔力へと変換され、俺の元へきたのだ。声など聞こえるはずがないのに、ユージーン、サクヤ、キバオウ達左翼部隊。ベルクーリ、エルドリエ、デュソルバードら右翼部隊。シリカやリズ、アスナらの中央部隊。全ての状況を把握していたわけじゃない。だが、こうして集まった魔力を通じてみんなを感じる。そして知る。大切な人をこんなにも沢山、なくしてしまったことを。彼らは俺に語りかける。後悔していないと。私たちが守った世界の行く末を見せてくれと。その想いの光が集まり、俺の体の中へと収まっていく。そして感じる。彼らの痛み、悲しみ。そして願いを。その想いを決して無駄にしては行けないと心に強く誓う。

 

 

 

あとは頼んだよ。工藤継裕…

 

 

 

「なんの茶番かは知らないけどどっちにしろあなた達はもう終わりよ!」

「いいや、まだだ」

 

アルバへ向け、二刀を振り回す。

 

炎獄熱殺

村正、村雨を同時に振り辺り一面を炎の海と化す。それはアルバを囲みその灼熱はアルバを燃やしつくそうと、なんとか抜け出そうとするアルバを追いかけ燃やし続ける。決して消えることはなく永遠に燃え続ける地獄の灼熱と化す。

 

「ふはははは!!無駄よ!!」

 

アルバは自分の分身を炎の海の外へ新たに作りだし、それに自らの意識を移す。これによって、対象となっている元の体から抜け出すことによって受け続けるダメージから逃れる。だがこれには大量の魔力を消費する為、何度も続けられはしない。

 

「その程度は想定済みだ」

 

上空へ飛び、村正を思い切り振り下ろす。

 

荒星流災

荒い岩が流星の如く対象に振り続ける。その岩は技の使用者の支配下にあり、どう動くかは使用者の自由。また、この技が通り過ぎる頃には辺り一面が真っ平らの荒野へとなる。更に岩どうしのぶつかり合いは爆発的な高エネルギーを生み出し、周囲を吹き飛ばす。

だが力のベクトルを操る立場へとなったアルバには半分程支配下を奪われてしまい相殺されてしまった。しかし、この展開的に、アルバはまだソロモンの力を完全に行使できている訳では無いことがわかる。もし完全に手中に持たれていたら全て、支配下を奪われていたからだ。

 

「いつまで続くかしら?」

「お前が終わるまでだ」

 

音狂殲鬼

村正と村雨をある特定の動きによって擦り合わせた時に起こる振動を利用して空気中に分散させ、対象の聴覚から入り込ませ狂わせる。使用者には防御系の波が発生し、物理攻撃を全て弾く。なお、この効果は約10秒間である。

そしてこれは今や半ソロモンと化したアルバには聞きづらい。だが右耳から血が吹き出し、右目から血の涙が流れていることから多少なりと効果があるようだ。

 

「くっ!」

「まだ終わりじゃない」

 

キヒロはアルバへ最接近し二刀で無数に切り刻んだ。

 

華毒粉爪

斬られた又は刺された部位の傷口に花のような綺麗な痣が浮かび上がる。その毒は爪の先まで回ると体が激しく痙攣し頭痛、目眩などの症状が出る。周り切るまでには大体30〜60分ほどかかるが直前まで効果が出ないため、油断しやすい。又、深く刻まれれば刻まれるほど毒のまわりは早い。

そしてそれを察したアルバは自らの分身を作り終わったあとに、毒に侵された体を爆発させ、キヒロに毒を付与する。

 

「自らの技で苦しんで死ね!」

「その前に片をつける」

 

地面に落下している力を利用し、アルバの心臓へ力いっぱい突き込む。

 

薙突命力

突いた先を圧縮した重力が吹き飛ばす。溜めれば溜めるほど威力が増すチャージ型。段階は10段階あり1段階ごとに威力は10倍あがっていく。10段階目にもなると100人ほど一瞬で塵へとなる。使用者へのダメージも大きいためある制限を超えると使用者諸共吹き飛ぶ。

これによりアルバは全身、キヒロは左腕が消し飛ぶ結果になったがまだ魔力を削りきっていないため何度目かの復活をされる。

 

「このままじゃジリ貧じゃないかしら?」

「それはどうかな!?」

 

新たに作られたアルバの前に、正面に立ち右腕を上段に構える。そして振り下ろされた先には漆黒に染まった満月型の球体が地面を、アルバの体の一部を抉った。

 

冥闇残月

満月型に切り取られた箇所はブラックホールの如き闇に葬り去られる。切り取られた箇所は生命としての活動を奪われ、人であれば意識を向けても動かすことは不可能になる。これを治す手段はない。と言うより、治しようがない。切り取られた感覚がどこへ消えていくかは使用者ですら把握出来ない。

 

「なっ!何をしたおまえぇぇえええ!!!」

 

右手、左足が動かない。痛みは全くないのに、そこに残っているのに、どこかに忘れてきてしまったかのように、1ミリたりとも動かせない。更に魔力までもがどこかに封じ込められてしまった。後一歩だったのに!また邪魔されるのか!!

 

「アルバ!これで、終わりだ!」

 

村雨の切っ先が光り輝く。そして放たれた八つの光線はアルバを完全に包んだ。

 

八光大蛇

八首の大蛇が全てを無に返す光線を放つ。その場にあった対象を散り散りに貫いてしまう為使用には周りに十分な配慮が必要。

また副作用で、八光大蛇を受けたものは自分自身が成りたかった願望や希望を思い出し、その光景を見ながら消えていく。

後にも先にも苦痛や痛みを決して与えることはない。

 

 

 

 

 

 

私は、ただ。認めて欲しかった。ここに、私という人が生きているって。物じゃない、兵器じゃないんだって。人間なんだって。

生まれかたは普通じゃない。でも、人としての機能を持ち合わせているし、私は人でありたかった。

でも、誰も認めてくれなかった。コーディネーターの細胞から生まれたクローンである私を、誰も、この世に生まれた1人の人間として、見てくれなかった。

 

 

私は、ただ、人でありたかっただけ。それ以上は望まない。だから、次は、

 

 

 

 

 

ただの、人でありますように。

 

 

思考があやふやになってきていた時、誰かに話しかけられた。それは光の膜が人のかたちをしただけのなにか。特に興味は無かったが、思わず話しかけられたことに反応してしまった。

 

 

『俺は忘れない。お前という、人間が、ここにいたことを。ここで、生きていたことを。お前が、人として、1人の女として生きてきたことを』

 

 

この感じは恐らく、私の中に残っていたソロモンだ。かのアルマトランで彼が伝えたかったこと。

あぁ…

彼だけは、私を、人として、女として見てくれていたのか。

 

 

 

私は、報われたのだろうか。

 

 

キヒロが放った光は直径100メートルもの光の柱となり上空を包み込んでいた暗雲ごとその場を吹き飛ばした。

その様子を安堵の表情で見つめられるのも数秒。歓声、泣き声、拳をあわせる音。こちらに寄ってくる足音が俺をその景色から引き戻した。

 

 

 

 

継裕くん。ごめんね。愛しています…さよなら。

 

 

 

風が流れ、髪が靡くなか、彼女の声が聞こえた気がした。

守ると決め、守れなかった人。

俺はこの光景、この景色から目を背けられなかった。

眼前に映るものが、俺がこれからの人生で、背負うものだ。

そう、強く誓い、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 




一応終わったけどまだ現実サイドについてとか書くから
終わってはいない()

(*´∇`)ノ ではでは~


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解放

思ってたのと違う感じかもしれないけど許してw

では!どうぞ!


 

工藤裕文は悩んでいた。その理由は敵が社会を巻き込む大胆な作戦を実行したことにほかならない。全ALOプレイヤーを巻き込んだこの大事件は、最早隠し通せるものでは無くなっていた。だが、事実を全て伝えるわけにはいかない。よって警察庁が公式に発表したことには何点か、いやほぼ全て偽装したものを伝えた。

 

・敵の正体及び狙いはわかってはいない。

・アミュスフィアによって死ぬことは無い。

・強制ログアウトは不可能。

 

マスメディアから何回か鋭い質問が飛んできたがそれを全て躱し終えた頃には20時を回っていた。実に6時間もの記者会見だった。

 

まず、強制ログアウトが可能かどうか試みた。結果は不可能。アミュスフィアの制限機能のお陰で死ぬことは無い。だが、記憶が一部消える。酷ければ植物状態、脳死になる可能性があることが判明した。程度の差はあれ、後遺症が残る確率が高いことにより強制ログアウトの試みは中止された。

そしてもう一つの問題点。現在のALOはアンダーワールドと同じように時間が加速させられている。その為患者の処理が遅れる可能性もある。案の定、事件から2時間がたった頃には犠牲者が出始めた。

肘から下の感覚がない。そう報告された患者もいた。これによりALO内部ではペインアブソーバが無いことも判明。精神が不安定になる患者もいた。痛みや恐怖に人は簡単には耐えられない。簡単に人としての尊厳や存在を消すことが出来るということに直面した初めての光景だった。

 

これは、単に死ぬより辛い。いっそ死んでしまった方が、本人も、周りも救われるであろう光景が現実に復帰してきた患者の殆どに見られた。

 

医者としての治してやりたいという思いはある。だが今の私にはそれ以外にやることが多すぎる。

まずシステムに介入。だがこれは全員がログアウトするまでこちらが先手に回ることは無いだろう。

メディアへの説明。連日どこから嗅ぎつけるのか患者の容態、ALOはどうなっているのかと追求してくる。これを斥けるのは中々苦労した。

敵の把握。細かく言うと本拠地に探りをいれること。だがこれも難航。今まで継裕に頼りっぱなしだったというのもあるが単に人手が足りない。それに警戒しているのかALO内部以外では目立った活動がない。5万人以上の日本人を機能不全に追い込みたいだけなら確かに有力な手段だがそれだけの為にこれほどの騒ぎを起こすのか。もし狙いが継裕なのだとしたら現実であっても問題は無い。いやそっちの方が的確だ。捕らえるにしろ、殺すにしろ、だ。となるとそれ以外に狙いがある。戦力の半減か?確かに部下の中にALOプレイヤーがいるがそれでも動くことに支障は生まれないほどの人員はいる。火の車状態だが不可能ではない。

分からない。

継裕が言っていたように、単に楽しんでいるだけなのだろうか。それならまだつけ入る隙はあるが、なんというか不気味だ。こうも後手に回るのは慣れていない。

 

「久しぶりだな」

「!?」

 

髪は真っ白に染っており全体的に長めだが縛っているからか目元ははっきりと見える。二重の瞼に大きい瞳。だがその瞳に光はなく闇に沈んでいる。小ぶりの鼻に薄らとかかった唇。一言で言えば整った顔。だが肌が白すぎて体が悪いのかと思うがそうでは無い。こいつは、継裕と同様、つくられた人間、コーディネーターだからだ。

 

「なんか言うことは無いのかよ。あんたに会うのは初めてじゃないはずだが?」

「あぁ、そうだな。だがどうやってここに来た?」

「ん?決まってるだろ。全員殺してきたよ」

 

さも当然のように言ったがここに来るまでに20名もの部下がいたはずだ。全員に自動小銃を持たせてもいたのである程度なら仕留める若しくは撃退程度は可能な配備をしたはずだった。それすらくぐり抜けてきたというのか。武器無しでか。

 

「まさか、素手で殺したのか」

「まさか。刀持ってきてたんだけど最後の一人を口から差し込んできてやったのさ」

「俺を殺すつもりで来たんじゃないのか」

「そんなつもりは無い。交渉しにきたんだよ」

「交渉?」

「そっ。こっちの要件はただ一つ。工藤継裕を引き渡せ」

 

殺せ、ではなく引き渡せ、か。確かに戦力面でいったら喉から手が出るほど欲しいだろう。だがその必要は無い。目の前にいるこいつも継裕と同じパラメータを持っているんだ。これ以上データのとりようもない。はずだ。

 

「どうした?簡単なことだろ」

「理由はなんだ」

「彼の体を複製するためさ」

「なん、だと」

「彼ほどの人間なら有力なクローンがつくれる。それが10人、いや、100人1000人つくれれば最強の軍隊さ。その辺の小生意気な奴らを沈めるには十分」

「待て、それなら引き渡す必要が無い。お前で充分なはずだ」

「それが困ったことにねぇ。僕の複製であるアルバは継裕に勝てなかったじゃん?だからこそ彼が必要なんだよ」

 

いやそれはおかしい。アルバと呼ばれる女との戦闘後の継裕は満身創痍の体であったし何より左腕が切り落とされていた。なら彼女は複製としてはもう完成系だろう。それ以上何を望むというのだ。

 

「彼はまだ、本気を出していない。出したことがない。だからこそほしい。いやぶっちゃけその辺はどうでもいい。僕は彼の本気がみたい。彼が本気で人を殺す時、どれほどの力を発揮するのか!」

「……まさか、今回のこの事件は、」

「あぁそうだよ!?こうして彼の大切なものを封じ込め殺せば、彼も本気にならざるを得ないだろ!?」

 

狂気に充ちいている。いや、狂気に充ちいているのは我々の方か。こうしてこのような性格になるようにしたのは我々なのだから。

 

「さて、僕は帰るよ」

「は?」

 

音を立てることも無く、彼は立ち去っていった。後に異変を感じた部下数名が私の部屋に来る頃には事件から丁度5日過ぎていた。

 

 

 

 

 

「キヒロ、まとめ終わったぜ」

「ありがとうキリト。どうだ?」

「被害人数は約3000ほど。怪我人も含めたら3500ほどだな」

「そうか。わかった」

 

被害は深刻だった。今回の戦闘、いやほとんどの者にとっては殺戮に近いものに対して血が流れすぎた。果たしてこれは償いきれるのか。少なくとも、俺を助けようと奮闘して死んだものもいる。そんな彼らに対して俺は何ができるだろうか。

 

「キー君。ログアウトがまだできない状況だ。気は抜かないでくれ」

 

アルゴ、姉さんかそっと耳打ちする。こんな困惑した状況だからかまだ気が付かれてはいないがじきに騒ぎになるだろう。だがこればかりはどうしようもない。いや、確か地下迷宮にシステムコンソールがあったはずだ。アルバを倒した今、権限が剥奪されているはず。今の状態ならシステムに介入できるはずだ。なら誰に行かせる。決まっている。それは

 

「なんだ、あれ」

 

エギルが呟く。その視線の先に目を向けると黒い球体が浮かんでいた。距離にして約500はあると思われるがその距離でも大きく感じる。一体あれは。

 

「なぁキヒロ。あれ見覚えあるか?」

「いやない。俺も初見だ」

 

キリトが聞いてくるという事はアンダーワールドでも無いものなのだろうか。旧ALOでもあのようなものは存在していない。そしてアルマトランでもない。となると一体どこの

 

「2人とも!あれは、あの魔法は!」

 

アリスが慌てたような驚いたような、絶望しているような表情で訴えかけてきた。

 

「あれは、アンダーワールドで暗黒術師たちが放った、呪詛系術式、死詛虫です!」

「どういったものなんだ?」

「人の、生命を利用したものです。天命が1番高い者に襲いかかります。あれは剣や盾で防げるものではありません。それにあの大きさ、私が以前見たのはあれの半分、いや3分の1程でしょう。その時は3000もの命が使われました」

「さ、3000!?」

 

規模が違いすぎて驚いてしまった。それにその死詛虫とやらがまとまってる球体はまだ大きくなってる。アリスの話によれば現時点で既に1万もの命が使われている。いやその前にアリスはあれを呪詛系術式だと言った。つまりまだ誰か生き残っていることになる。しかもあれほどの大魔法を使える者がいる。

 

最終的にはアリスの知っているやつより10倍ほどの大きさらしい。魔法が効かないという事はないみたいなのでそれなりに対策はたてられるが。問題は時間だ。

 

「ユウキは結界を貼ってくれ。多少は時間稼げるだろう」

「ボクもいくよ!?」

「だめだ。ユウキが出たら誰が守る」

「でも!」

「俺なら大丈夫だ。もう、大丈夫だ」

 

そう。これは、この戦いは、ソロモンとしての最後の戦いだ。

力を、貸してくれ。

俺の最高の仲間たち。

 

左手が新たにうまれ、傷も全て消え、光り輝くソロモンの前に1柱、また1柱と光の柱が降りてくる。そして現れたのは、ソロモンのアルマトランでの仲間たち。72柱の魔人たち。

 

「我らがソロモン王よ。ご無事であられたか!」

「あぁ、そして毎回済まないが今回も力を貸してはくれないだろうか」

「何を申しまするか!このアモン!全力を尽くす所存にありまする」

「ありがとうアモン。さて、今回は君たち全員で最強の防御結界を張って欲しいんだ」

 

それぞれ固有の得意な魔法がありそれが絶大な威力を持つ彼らからしたら呼ばれてこの内容は拍子抜けするものだろう。だが、ソロモンの向ける視線の先にある物体を見るやいなや視線が鋭くなった。魔術に特化しているからこそ、あれの驚異がわかるのだろう。

 

「承りました。してどのように」

「シバが中心となり君たちが魔力を送ることによって強固にする形だ」

「シバ様もご無事なのですか!?」

 

完全に忘れていた。そう言えば彼らとの最後の戦いはシバが死んだ後だった。

 

「あぁ、無事だ。バアルが指揮をとれ。あとは頼んだぞ」

「お任せ下さい!」

 

こうして俺は死詛虫の元へ飛び立った。

 

 

「来たか人類最強の男よ。今度こそ仕留めてやる」

 

 

 

「展開!」

 

ユウキが展開した防御結界はかなりの強度を誇っているようだ。それぞれ距離をとった3重の結界にさらに重複している感じだ。お陰で死詛虫がこちらに届くことは無い。ただ、見ているしかできないというのもなんだか落ち着かないが。

 

 

「くそ!」

 

この死詛虫とやらは俺との相性は最悪だ。俺の固有の魔法では殺しきれない。防御をユウキ1人に任せて全員でかかった方が良かったかもしれない。それを嘆いても仕方ないし後悔はしていない。なぜなら俺はこれ以上、仲間が気づつく姿を見ているのは耐えられないからだ。虫が良すぎるがそれが今の俺の本音だ。勝てなくてもいい。向こうに行かないようにできれば十分だ。向こうに行ったのはこっちに引き寄せるようにしなければ。

 

熱魔法(ハルハール)

水魔法(シャラール)

力魔法(ゾルフ)

 

この3つを合わせた調律魔法。

大閃光(デストラクション)

これを更に多数展開。その数実に100。

 

大閃光・滅(デストラクション・インケラード)

 

これでどのくらい倒せた。認めたくはないんだが、ほんの一瞬しか視界がひらけなかった。すぐに気味の悪い音をあげる虫が覆い尽くした。魔力尽きるまで放つつもりだがこいつもやられっぱなしという訳では無いらしい。すり抜けたヤツらが俺の右足に絡みついた。心臓に向かって伸びてくるが膝上で切り落とすことによってそれ以上の損失を回避。

とてもじゃないが製造が追いつかない。焼き尽くすにしてもそれだけの時間をかけている間に他から回り込まれたらお終いだ。それにあまり天命を減らしすぎるもユウキの元へ向かってしまう。天命を維持しつつある程度は消さなければならない。半分まで消せればあれが使えるんだが。まぁ使ったら怒られそうだが。

 

 

「やはり我らが出るべきでは…」

「何を言うアシュタロス。王が任せろと言ったのだ。それを邪魔するのは無粋というもの」

「しかしわかってるだろアガレス。あれはジリ貧だ」

「いざとなったら私が出る」

「ベリアル。貴様でもあれを消し去るのは難儀だろう」

「ではどうしろと!ここで我が王を見捨てろと!?」

「落ち着けベリアル。王はやり遂げる。我々が目を向けるのはその後だ」

「バアルの言う通りじゃ。ここでワシらが出てもかえって邪魔になる」

 

 

王よ。私は悟りました。貴方様と我々が相見えるのはこれが最後なのだと。この世界に突然召喚された我々にはこの防御結界を維持するのが精一杯。仮に戦闘に参加しても極大魔法を1回放てるかどうか。

そしてそれは貴方様と同じ。もう尽きかけている魔力を使い、空間に散らばる魔力までをも利用して戦っておられる。我々にはその芸当は不可能。そしてそれでも倒しきれないことも承知している。

あれを完全に消し去るには根本から消さなければ復活する。一部焼けきった程度ではすぐにまた追いかけ回してくる。よって貴方様が最後にとる手段は…

 

 

もう魔力はない。ここが俺の限界だ。空間リソースもお互いに消耗仕切った今、残された手段はこれしかない。

 

「喰らいたければ喰うがいい虫ども!!!エンハンス・アーマメント!!!!!」

 

その瞬間、キヒロを中心に取り囲んだ死詛虫はキヒロの魔法に巻き込まれ全て爆散した。

 

 

「あ、ぁあ、あぁ、あぁ!!!」

「やったのか?」

 

その場は歓喜に包まれた。それは魔人たちも同様だ。3人を除いて。

 

「キー君…」

「いやぁぁぁぁぁああああ!!!!!!」

 

ユウキが飛び出したことにより結界は解けた。物凄いスピードでキヒロの元へ飛んでいったが何がそんなにユウキを突き動かすのだろうか。

 

「アル」

 

アルゴも気づいたら飛び出していた。何が何だか理解出来ていない時、1人の魔人が話しかけてきた。

 

「少年よ」

「あ、とえーと」

「バアルだ。シバ様が飛び出した理由が知りたいのだな」

 

心を読まれていたのだろうか。だがこれに関しては知っても損は無いので頷いた。だがその内容は、決して知りたくはなかったと後悔する羽目になる。

 

「王が最後に使った魔法。あれは、"自爆魔法"であります」

「……………は?」

 

咄嗟に視線を2人が向かった方へ向けると猛スピードで帰ってくる2人がいた。そして一緒にいるキヒロには、胴から下が無かった。

 

「ザガン!君治癒得意でしょ!」

「確かに私は治癒が得意にしておりますが、これは、施しようが」

「なら誰か!誰かいないの!?」

「ソロモンは死んだ」

 

そう発言したのは、キヒロのソロモンとしての姿とよく似た男だった。髪は白く、体の至る所に刺青が入っており先に太陽の形がした飾りが杖の先に付いていた。

 

「何者!」

「名か。そうだな。僕の名前はゲーティア、と名乗っておこう」

「なんだと!?」

「貴様ら72柱が善なる者だとしたら僕は悪なる者。と考えていればいい」

「お前があの術式を発動したものですか!」

 

アリスがそう問掛ける。そしてゲーティアと名乗る男はアリスを一瞥したあと、気になることを呟いた。

 

「君が光の御子か。なるほど」

「!?」

 

アリスの表情から察するに奴は初対面だと思われる。そしてアリスが光の御子だと知っているのはアンダーワールドにログインしたものやラースの人間だけだ。つまりこの男はオーシャンタートル襲撃チームと何らかの繋がりがあるとみていいだろう。

 

 

「いやいやいや。思わぬ副産物を得た。だが任務はこれにて終了。あぁ、もう帰っていいよ君たち」

「なんだと!?」

「僕の目的は果たした。だからもうログアウトしていいよ」

 

そう言って男は消えた。きっとログアウトしたのだろう。

結局何がしたかったのだこの男は。

言葉からは何一つ有益な情報は得られなかった。

一体、何者なのだろう。

 

ここでシステム音声が流れた。

 

全プレイヤー強制ログアウト、開始します。

 

「最後後味が悪いが、我々もこれにて解散だ。大した手助けを出来なくて申し訳ない」

「いえいえ。手助けありがとうございました。さよならバアルさん。またどこかで」

 

この少年、いや青年はどこか王と似ている。見た目とかは全然、いやそれなりに違うが心の通った強い青年だ。もしかしたら、王は彼に託したのかもしれませんな。彼に、未来を。

 

「……はい。またどこかで」

 

バアルらが消えたあと、そこら中に散らばっていた死体が光に包まれながら消えていった。それにはキヒロにも例外はなかった。そうして全てが無に帰った時、俺達も光に包まれた。

 

 

これにて、約1週間に及ぶ戦いは終わった。とても、とても多くの犠牲を払って、俺たちは現実世界へ帰還した。

 

 

次回 再会

 

 

 

 




思ってたより現実のほう少なくて笑った。
詰め込んでしまったけどそれなりに理由はあるので気にしないで!w

(*´∇`)ノ ではでは~


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