〜IS〜 あの日の戦友たちは今敵となる (ゼノアplus+)
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番外編 俺に力を貸せ!◯◯◯◯◯!

はいどうも、研修先の外国が40度だった日に帰国すると日本が6度で34度の気温差に風邪をひきかけた作者です。

なんとなく思いついて書いてみましたが、グダリすぎて何も言えません。

ちなみにこれは投稿の1時間前から書き始めて投稿したのですが、文字数的には皆様どれくらいが良いのでしょうか?ちなみに本編が2000文字程度でこれが6000文字程度です。


どうも一夏です。今は訓練をしています。

 

 

「ふう… 今日の訓練はここまでにするか… ん?はいもしもし、Sです」

 

 

亡国ナンバーからだけどこんな朝早くに誰からだ?

 

 

『Sよ、貴様に任務を与える。至急研究所に行け』

 

 

突然スギィ!まあ行けるけど。

 

 

「ボスですか、任務了解しました。つかぬ事をお聞きしますがどのような任務で?」

 

 

『ああ…それなんだがな…私もよくは聞かされてないのだが研究所の方から来てくれとしか言われてないのだよ。まあ命に関わるようなことは私がさせないから安心したまえ』

 

 

いや怖いわ、うちのマッド共にまともについて行くとろくなことにならねぇよ。

 

 

「は、はあ…分かりました。それでは失礼します」

 

 

まあ行くか。おっとシャワーくらいは浴びとかないとな。ISスーツは…一応着るか…

 

 

 

 

「ああよく来たね一夏君!待ってたよ!さあこっちへ」

 

 

俺はできれば来たくなかったです。ちなみにこの人はレイさん。この研究所の所長でマッドサイエンティスト筆頭だ。

 

 

「それで?任務の内容は?」

 

 

「せっかちだなぁ…ただの新作ISの起動実験とそれに伴う性能調査、オプションもあるよ」

 

 

オプションは余計だよ!?

 

 

「じゃあ早速開始しましょう、ISスーツも着てますし。どんな機体ですか?一応俺全距離で試せますけど…」

 

 

「それなんだがね、説明が難しいのだよ。どちらかといえばまあ…近接型に分類するか。あ、全身装甲(フルスキン)だからよろしく」

 

 

まーた変なもん作ったんだな… そして扉が開き始めた。

 

 

「これは、まさに君のために用意したといっても過言ではない伝説の機体だ」

 

 

白がいた。そこには、わかる人には必ずわかるあの伝説がいた。角ばったボディに何よりも印象的な頭から生えている角。

 

 

「はあ...めんどくさい…」

 

 

「そう!ユニコーンガンダムだ!」

 

 

ああうん、そういえばこの人ロボットアニメの大ファンだったな。どうせ俺の声がほぼ同じだからとか何とかでまた作ったんだろうな。(CV同じです)研究所の金で...

 

 

「さあ一夏君早く乗ってくれ!ビームマグナムから、シールド、ブースター、ビームサーベル、NTDまでしっかり再現したのだよ!さあ早く!」

 

 

あえて言おう。何やってんだアンタァァァ!!

 

 

「レイさん、たしか今ってレーザー兵器が開発されて間もないくらいでしたよね?イギリスのブルーティアーズ型とか。」

 

 

 

「おお!さすがボスのお気に入り!よく勉強してるね!あんなのはレーザーでもなんでもないただの光だよ。レーザーを名乗るんならコロニーレーザーくらいのを作らないと私は認めない!」

 

 

いやあれは宇宙にあるから。そんな技術どこかの天災ウサギでも無理だから。

 

 

「そうですか...ていうかNT-Dはダメでしょ!?え、何?あれ再現したの?ニュータイプなんかいないのに?」

 

 

イヤイヤ、レイさんや、名前がアムロと同じだからってそれは無理でしょ?

 

 

「まあそれは流石にISに反応するようにしたさ。もちろんサイコフレームも再現したからしっかりアニメを再現できるよ!」

 

 

「それが目的か⁉︎この女、世界初の男性操縦者をなんだと思ってやがる⁉︎」

 

 

まさかオプションって台本のことか⁉︎

 

 

「何を言ってるんだい?私の大事な研究資料だよ!」

 

 

この女、なんかある意味束さんと通じるところがあるんですけど⁉︎

 

 

「言い切りやがったよ!貴重なISコアをこんなことに使うとは…どうせNT-Dもエネルギー消費する燃費の悪い機体だろ⁉︎」

 

 

白式が遠距離戦も出来るだけでしょ?あれ?普通に強くない?

 

 

「なぜ分かった⁉︎で、でも操縦者に負荷はかけないようにしたし、ビームも原作通りカードリッジつけてるし、サイコフレームに独自にエネルギー貯めてるからそこまで燃費は悪くないはずだよ!」

 

 

それはもう原作のユニコーンから外れてんですけど…

 

 

「いやだからなんであんたは、エネルギーパックとかISのエネルギーをパーツに貯めておくシステムやら作れるんだよ⁉︎明らかにコアいじってるよね⁉︎じゃないとそんな技術無理だから!」

 

 

この人はマッドというかヤバイ!

 

 

 

 

約30分くらいだろうか。俺たちはずっと言い合いをしていた気がする。時間なんて気にしてられないよ…

 

「「ハアハア……」」

 

 

つ、疲れた…仕方ない、折れるか。

 

 

「分かりましたよ。乗ればいいんでしょ!ですけど俺の期待通りじゃなかったらボスに報告しますからね!」

 

 

「フン!今回は今までより真面目なものだからね!乗ってみればその素晴らしさがよくわかるはずだよ!」

 

 

この人は全く…

 

そして俺はユニコーンに乗ろうとした。だが…

 

 

「あれ?全身装甲の機体ってどっから乗ればいいんですか?」

 

 

「あ……ちょっと待って!wait a minute!」

 

 

「やっぱ欠陥機じゃないですか⁉︎なんなの⁉︎乗れない機体を作って何がしたいんですか!」

 

 

「やりました…。やったんですよ!必死に!その結果がこれなんですよ!!」

 

 

「それは俺が言わないと意味がないでしょうがァァァァァァァ‼︎‼︎」

 

 

そんなこんなで約1分。ドッグタグ型の待機形態作ってきやがったよ…分かった。俺はもう何も気にしない…

 

 

「本来なら一度専用機として登録しないと待機形態には出来ないんだけどね。忘れてt…そこまで考えが至らなかったから急いで君の生体情報を登録したのだよ!だから乗れるはずだ!」

 

 

努力の方向性を間違えてなければ束さんに次ぐかもしれない研究者だと思うんだけどなぁ。あと俺の耳にはしっかり忘れてたって聞こえましたよ?

 

そんな事はもう面倒なので今度こそ俺はユニコーンを展開した。

 

 

「あ、展開するときは、俺に力を貸せ!ユニコーン! でお願いね?」

 

 

「時間の無駄なんで普通にやります」

 

 

「手厳しい‼︎」

 

 

構ってられるか。さてとどんなもんかな、アニメの再現というのは。

 

 

「ん?フムフム…へぇ…視界はカメラか、壊れた時のために頭部はヘルメット型になっていると。しかも全身装甲なのに動きに違和感がない。これは…ああマグネットコーティングか。ユニコーンにもあったんだな。レイさん?これ俺にめっちゃ馴染むんですけど?」

 

 

違和感が無さすぎて逆に違和感がある。まるでこの機体が俺自身みたいだ。俺がガンダムだ!なんてな。

 

 

「そりゃあ展開出来るように君の情報を登録したからね。待機形態のドッグタグも君の情報がしっかりあるよ」

 

 

ふーん。よくわかんねぇけどまあ展開出来るんならいいか。…ん?()()()()()()()()()

 

 

「レイさん⁉︎まさかこの機体俺の専用機になってません⁉︎」

 

 

「え?ああ⁉︎ホントだ!一夏君以外展開できない!これはマズイかも……ふう…逆に考えるんだ私。アニメでもユニコーンの搭乗者はバナージでロックされてたはず。そう考えれば…行ける!」

 

 

行けねぇよ!ああ…大切なコアが…初期化するの面倒だろうなぁ。

 

 

「はぁ…もういいですよ。機体は初期化すればいいですし。とりあえずテストだけ済ませましょう」

 

 

早く終わらせて報酬だけもらいたい。

 

 

「そうだね。じゃあまずは基本的な移動、関節部の可動域、ブースターを使った移動をしようか」

 

 

「了解です」

 

 

そして機体の起動実験が始まった。

 

 

 

 

だいたい2時間ほど経過した。

 

 

「お疲れ〜。いやあ、いいデータが取れたよ!とりあえず武装面までの試験は完璧だね!まさかここまでなんの問題もないとは流石に思わなかったよ!」

 

 

この機体、体に負担ほとんどかからない。負荷は無くしたって言ってたけどそれだけでどうにかなる問題じゃないだろ。あとは武装だ。正直言って危険すぎる。ビーム兵器がヤバイ…なんといってもヤバイ。なんだよラファール二体の装甲抜けるとか聞いてねぇぞ。シャルが泣くぞおい?でも多分まだ行けるな。俺の予想だと…五体は行けるか…

 

 

「たしかに順調すぎますね。まあこのまま終われるわけはないと思いますけど…」

 

 

「よくわかってるねぇ。まあ大丈夫だよ、これで最後だから。じゃあ今回の目玉!NT-Dを試してみよう!流石に反応するかわからないから無人機を相手にしてね」

 

 

「なんで無人機あるんだよ⁉︎あんた実は束さんだろ⁉︎あの人以外まだ無人機なんて作れねぇよ!」

 

 

「君から聞いた記憶から私なりに考えて作ってみたんだよ。まあコアを使わずにエネルギーパックを核にしてるだけのISモドキだよ」

 

 

この人、束さん超えてる気がしてきた。

 

 

「分かりましたよ…えっと起動方法は…ああこれか。てか単一能力(ワンオフアビリティー)なのか、じゃあ使い方分かるわ。」

 

 

そして俺は起動させた。

 

ユニコーンは各パーツのロックを解除、中にあるサイコフレームを引き出していく。更に頭部に違和感、顔がガンダムフェイスに変わり角が割れる。この時点で大分身長が伸び違和感がある。次に背中のビームサーベルの柄が上に上がり掴みやすい位置に、最後にサイコフレームが赤く光り輝いた。変身完了、といったところか。

 

 

「うお!機体出力が大幅に上がってる⁉︎おいおいこれじゃシールドエネルギーがすぐに尽き…てない!こいつは凄い!アニメみたいにパイロットに負荷もかからない。うわぁ、白式の10倍は出力が出てる…俺これ使えるかな…」

 

 

 

「どう?私の傑作は。ちなみにサイコミュ・ジャックも出来るよ。ちょうどいいところに試しに作ってみたファングとファンネル、シールドビットとユニコーン用のシールドファンネルがあるから試そうか!」

 

 

アンタそんなにニュータイプ用兵器好きか。セシリアというかイギリス泣くぞ。

 

 

「どうすれば良いんですか?」

 

 

「んー、シンプルにイメージ・インターフェイスを使う様に遠隔操作を思い浮かべれば行けるんじゃないかな?まあ物は試しだ。なんでもやろう!」

 

 

研究者としては超一流で言ってる事は正しいからまともに反論できない。

 

 

「セシリアは確かBT適正は高かったけどそれでも移動しながらの操作は出来なかった。だとするとなかなか難しいはず。こんな感じか?」

 

 

俺は試しにMK-VとかSガンダムとかが持ってる有線式のインコムを思い浮かべてみた。するとどういう事だろうか。全ての遠隔操作兵器が宙に浮かび上がった。

 

 

「うぐっ…!これはなかなかきつい…これ程までに集中力が必要だとは…もう無理だ。やめよう!」

 

 

その瞬間全ての兵器が地に落ちた。成果を聞くためにレイさんに視線を向けると目を開き口を大きく開けてポカンと立っているではないか。どうした?

 

 

「一夏君…今何したの?」

 

 

「何って普通に兵器たちを使用しようとしただけですよ?集中が続かなくてすぐ落ちましたけど」

 

 

何をそんなに驚いてんの?

 

 

「いや君自分が何をしたかわかってるの⁉︎私が遊び半分いや遊び8割で作ったファンネル達を全て、50はあったはずのものを全て動かしたんだよ!そんなことをしたら脳に負荷がかかりすぎる!今すぐ検査をしてもらいに行って!」

 

 

え?今のそんなに凄いことなの?

 

 

「分かりました。でもちょっと今動けなくてですね、難しいかもです…」

 

 

俺が覚えているのはその言葉までだった。

 

 

 

 

眼が覚めると真っ白な天井が目に入った。ここはアレだな。

 

 

「知らない天井だ…」

 

 

これは決まった。

 

 

「残念。あなたも何回も来たことある検査室ですよー」

 

 

なん…だと…

 

 

「これはお恥ずかしいところをお見せしました。ところで私はどうしてここに?」

 

 

「何言ってるんですか?新ISの実験中に無理しすぎて倒れたんでしょう?レイ所長から聞いてますよ。あと脳には特に異常は見つかりませんでしたので今日はしっかり休養を取れば、明日からは普通にしていても問題ありません」

 

 

そういやそうだったな。結局あの後どうなったんだろう?途中で止まってしまったから…ハッ⁉︎任務遂行できなくて報酬無し⁉︎ヤバイ、それだけは回避したい!今月はガンダム◯ンラインの新機体が面白そうだから課金したいのと俺はPS4が欲しいんだ!

 

 

「ありがとうございます。それで、レイさんは何か言っていました?」

 

 

「目が覚めたら社長室に来て欲しいと言っていましたよ」

 

 

うわー絶対任務失敗の話だ。しかもボスに直接のパターン。俺死なねぇかな?

 

 

 

 

「よく来たなS、いや今はいいか。ようこそ一夏君。任務お疲れ様。おかげでいいデータが取れたとレイ君も言っていたよ」

 

 

え?怒られる感じじゃないの?

 

 

「ありがとうございます。しかし私は途中で倒れました。それは問題だと思いますが?」

 

 

「まあ任務が完璧ではなかったというのは確かにある。実は私は、今回の実験を見ていたのだよ。君が大量の遠隔操作兵器を使えたら理由、それはおそらくナノマシンによる並列思考と演算能力、空間認識能力が向上しているためだと思う。更にユニコーンと君の相性もよく、さらにミスとはいえ君の専用機になってしまった」

 

 

やっぱコアが俺のものになったのは問題だよな。

 

 

「まあコアが君のものになったのは大した問題ではない。もともと定例議会で君に専用機を持たせる話があったからな。よって、ユニコーンガンダムをS、君の専用機として正式に認める。亡国として動くときはユニコーンを使って任務を遂行したまえ」

 

 

あれぇ、話がおかしな方向に進んでいる気がするぞ?え?任務でアレ使うの?まじかー。

 

 

「わ、分かりました。貴重なISコアと機体、ボスのご期待に添えるよう使わせていただきます」

 

 

 

 

そんなこんなで次の日

 

また研究所に呼ばれた俺はレイさんとユニコーンのカスタマイズについて話していた。

 

 

「武装の基本構成は何がいい?それから機体の色、名前も」

 

 

「そうですね、拡張領域にもよりますが基本的なビームマグナム、ビームサーベル、ビームマシンガン、ハイパーバズーカ、あとはファンネルとファング、シールドビットを入れてください。色は白い部分は黒に、サイコフレームは紫に発光するようにさせてください。名前は…【ウルティオ】でお願いします」

 

 

正直言おう。俺は少し厨二病だ。

 

 

「拡張領域は結構余裕があるからビーム兵器のカードリッジを大量に入れておくね。色と名前は…ちょっとまってて。ガンダムブレイカーでちょっと試してみる」

 

 

ゲームかい!シミュレーター使えや!

 

 

「こんな感じかな、それじゃ調整するから2日ほど時間ちょうだい!」

 

 

「了解です」

 

 

こうして俺は亡国の任務の時、黒いユニコーンを使うことになった。

 

裏の世界では俺は、【黒い一角獣】とか【闇落ちバナージ】とか【ロマンの塊】と呼ばれるようになってしまった。一つ目はまだ分かるよ?後の二つは何があったんだい?

 

 

俺はもう気にしないよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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懐かしきあの日々は今はもう未来の話 プロローグ

初めましてゼノアplus +と申します。


駄文ではありますが読んでくださるとうれしいです。
矛盾や誤字などありましたらご指摘いただけると有難いです。


(2回目でも結構キツイものだな)

 

 

「全員揃ってますねー。それじゃあSHR始めますよー」

 

 

いつもと変わらないヴァ◯ルキリー◯ライヴ並みのメロンを2つお持ちであるこのIS学園一年一組副担任

 

山田先生だ。

 

 

 

「それでは皆さん、一年間よろしくお願いしますね」

 

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

 

まあこうなるよな。前と同じ事になっている。

あ、俺は挨拶したぞ?泣かれても変な雰囲気になるし。

 

 

 

「そ、それじゃあ自己紹介をお願いします。え、えっと出席番号順で…」

 

(私そんなに威厳無いのかな…」

 

 

 

「「「「「………(*´∀`*)………」」」」」

 

 

 

俺の発言は全く意味をなさず山田先生は涙目だ。最後声出ちゃってるよ…

(ていうか君たちはどうした?揃ってそんな顔できるならちゃんと挨拶しろよ…

分かるよ。気持ちは分かるよ?)

 

 

 

さて、突然のことで わけがわからないよ な皆様に俺の番が来るまで無能な作者の代わりに説明するか仕方ない。「え?」by作者☆

 

 

ん?三行で?良いだろう。

 

 

俺は織斑一夏だ

タイムスリップした。

亡国機業(ファントムタスク)所属だ。

 

 

 

はい完璧!

 

 

 

これ以上ない説明だ。略しすぎ?面倒なんだよ。作者がしないから仕方ない。「いや待てそれはおか(ry

 

 

 

なんか聞こえたが気のせいだ…

 

 

 

「……くん。織斑一夏(おりむらいちか)くんっ」

 

 

 

「ん?ああもう俺の番ですか。」

 

 

 

「そ、そうなんです。だから自己紹介お願いできるかな?」

 

 

 

前よりはまともになっているな、それでもやっぱり声が震えてるけど。

 

 

 

「分かりました」

 

 

 

ここで決めないと世界最強の一撃(出席簿アタック)が炸裂してしまう。是が非でもやり遂げねば…

 

 

 

「俺の名前は知っての通り織斑一夏です。趣味は機械いじりです。 嫌いなものは、女尊男卑の考え方ですが

ISが使えるというだけの一般的な男子です。これからよろしくお願いします。」

 

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

 

え?俺なんかまずった?普通に良くなかった?俺はこの空気の中でどうすれば良いんだ…

なんで()()()()()()()はこんなとこに俺を放り込んだんですかねぇ…

 

 

 

 

 

 

第2回モンド・グロッソで俺はテロリスト共に拉致された。

狙いは簡単、俺、織斑一夏の姉であり第1回モンドグロッソで優勝した証であるブリュンヒルデの名を持っている

織斑千冬の2連続優勝阻止だ。

 

 

この時は千冬姉が助けに来てくれたおかげで何事もなかった俺だがその代償として千冬姉は不戦敗、テロリスト共は捕まったが

その代償として2度目の世界最強の座を逃してしまったのだった。

 

 

それから俺は何事もなく中学の悪友たちと過ごしその生活も終わりを告げた。

 

 

高校受験の時、間違った受験会場に入ってしまいそこにあったISを動かしてしまったのだ。

ISとは、現存する兵器をはるかに凌駕した能力を持ち、空を縦横無尽に駆け回る、天災篠ノ之束(しのののたばね)によって作り出された最強の兵器だ。

尚、この兵器には致命的な欠陥がある。

 

そう、女性しか乗れないのだ。

これにより、女性の優位性が証明され男尊女卑ならぬ女尊男卑の風潮が広まってしまった。

 

話がそれた。

このISに世界で唯一乗ることができた俺はなんやかんやあってIS学園に入学し、愛機である白式と出会い、

箒やセシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、簪、楯無さん、のほほんさん、その他にもたくさんの人と出会った。ほとんど女性だけど…

 

 

そしてあの日、大量の無人機達によるIS学園襲撃事件が起こり、専用機持ち達がもう何度目かという実戦に向かった。

最初は亡国機業の仕業かと思っていたが、束さんと共に現れ、俺たちと一緒に戦ったことから他にも敵となる組織があるらしかった。

 

そして俺は……………死んだ。突然現れたISの攻撃は避けきれなかったのだ。

 

 

 

この時点でもうお気付きの方も多いかもしれないが、これは1回目の話だ。俺は過去へタイムスリップしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 




駄作ではありますが読んでいただきありがとうございます。

僭越ながら原作はうろ覚えで書いていますので分かりにくい部分があるかと思われますが、
基本この方針ですのでよろしくお願いします。

今回はプロローグのつもりですので次からはもう少し長くなります。


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回想 1

最近荒〇行動にどはまりしてます。 まあP〇PG買う余裕がないだけなんですけどね~

無いAIM使って砂をメインアームとしているのですがすぐやられます。 

正直ショットガン持って突っ込むほうが楽過ぎて辛い…


2回目

 

 

「あばよ、坊主、恨むならお前を見捨てた織斑千冬かその弟として生まれた自分、俺たちを恨め」

 

 

そう言ってこの誘拐犯は俺の額に拳銃を当てた。

 

 

その時だった。

 

 

「一夏ァァァァァァァ!!!!!!!」

 

 

いつも聞いているよく知った声だった。

 

 

(なんだこれは、まるであの時と同じじゃないか。俺は… 死んだんじゃないのか?)

 

 

勢いよく壁を破壊して入って来たのは、ISを纏った千冬姉だった。

 

 

「なに!?織斑千冬だと!?今は決勝戦の途中だろ!どうしてここに!?」

 

 

「貴様らに答える義務はない!」

 

 

千冬姉はそういい、周りにいた誘拐犯を全員気絶させた。

 

 

「大丈夫か一夏!?私がわかるか?」

 

 

「千冬……姉?」

 

 

「そうだ!お前の姉の千冬だ!一夏、もう大丈夫だ。一緒に、家に帰ろう」

 

 

(そうか、夢か。いや死んだんだから夢も見れないか… じゃあこれは現実?)

 

 

「おい一夏?聞いているのか?」

 

 

「ん?ああ…聞いてるよ。」

 

 

 

 

それから俺は少しだけドイツで過ごして日本に帰った。

 

 

【織斑家】

 

 

 

 

とりあえずは環境も落ち着いた。とりあえずここで状況を整理しよう。

 

俺の仮定だが、ここは過去、俺はタイムスリップした。恐らく現実だろう。

だったら俺はどうすれば良いのだろうか、あの時と同じようにするとまた悲劇が繰り返される。

でも変えてしまって良いのか?俺が、歴史を…

いや今更か…世界初の男性操縦者、千冬姉と同じ『零落白夜』、

世界にほぼいない第三形態(サードフォーム) etc…

 

ほとんど俺が原因のようなものだ。

 

(だったら… やり直せるのか?俺のこれからを、全て?)

 

もしそうだとしたら()()()()()が可能なら…

 

俺は守りきれなかった。守る前に、俺が死んでしまった。あの後どうなったのだろうか?

みんなは無事だろうか?

 

いや… そんなことを考えてももう全ては遅いんだ。

この世界に慈悲なんてない。ISは兵器。簡単に人を殺せる。殺すための武器。

俺にそう認識させたのは、この世界だ。

 

 

 

まあこんな事を考えていても仕方がないんだけどな…

 

 

そうと決まれば早速行動だ!どうしようかな、束さんの連絡先知らないし、今IS作ってなんて言えないしなぁ。

どこかに手っ取り早く鍛えられる場所ないかな〜…

 

 

あ、あるな…一箇所だけ でもなあ基地知らないよなぁ〜

ていうか亡国機業(ファントムタスク)の基地なんて知ってるの束さんぐらいだろうなw

 

まあそんな簡単に見つかれば苦労しないな。とりあえず少しずつ体鍛えとくか。あ、でもバイトもしな「織斑さーん。郵便でーす。」

 

 

おっと行かなくては。

 

 

 

「お疲れ様でーす。」

 

 

 

なんか分厚いな。

 

 

「ん?これは、バイトの募集か。丁度いい。」

 

 

前とは違うバイトがいいな。

 

「朝刊配達…はやったな、ドリーム町?あのショッピングモールか、お?Phantom corporation?

そんな会社あったっけな?あっ!前に楯無さんと亡国機業に潜入するのに、こんな会社から入った覚えがある!

いやぁあの時は本当に死ぬかと思った。会社にISなんて置くなよなぁ。

こっちは展開したら身バレするから使えなかったし…」

 

確かあの時は、楯無さんが合言葉を知っていたから中まで入れたんだっけ?

 

えっと… あぁあれか。

 

 

「……よし!いくか!」

 

 

 

 

 

 

 

【Phantom corporation本社前】

 

 

「確か…受付の左の人だったよな。間違ってたら俺の命が危ないな」

 

 

「おはようございます。本日はどのような用件でしょうか。」

 

 

「すいません。ここで働いている知り合いを探していまして」

 

 

「お名前をお願いします。すぐ調べますので少々お待ちください。」

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()ですよね?」

 

 

「…!?少々お待ちください。」

 

 

どうやら合っていたようだ。まさかこんなガキがここの関係者だとは思わなかったのだろう。

受付の人はとても驚いている。

楯無さんと入った時は、社長が誰かまでは突き止めれなかった。

だれがくるんだろうか?

 

 

「エレベーターで9階に上がり突き当たりを右に曲がった所にあります部屋にお入りください。

社長がお待ちです。」

 

ここ9階とか言う高さじゃないだろ、普通社長って最上階にいるもんじゃないのか?(偏見)

そういえば、楯無さんはチップも渡してたっけ?

 

 

「分かりました。ありがとうございます。これ、少ないですが。」

 

 

俺は○世を一人?差し出した。突然俺を見る目が変わった気がするのは気のせいだろう…

 

 

 

 

 



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回想 2

【Phantom corporation9階】

 

「ここか、はぁ…生きて帰れますように」

 

 

一人でぼやきながら扉の前に立つと、自動でドアが開いた。

 

 

「ようこそ、()()()()()、子供がこんな所に一人で何の用だね?」

 

 

身バレしてる!?なんでだ?まだISは動かしてないのに…

 

 

「初めまして。どうやらお……私の名前はご存知のようなので自己紹介はしません」

 

 

「ほう、大分肝が座っているようだな。後、話し方はいつも通りでいい。

おっと、自己紹介がまだだったな。

私の事は…そうだな、普通に社長とでも呼んでくれ」

 

 

言う気がないなこの人… ますます油断できない。

 

 

「さて、本題に入ろう。率直に聞く。()()()()()()()()()の君が、何故ここの合言葉を知っている?

君は何をしに来た?」

 

 

とても嫌味ったらしい言い方だな…まぁ実際その通りなんだけど。

 

 

「あなたの言葉をお借りすると、織斑千冬の弟なだけの織斑一夏が、織斑千冬の弟なだけではない事を証明しに来たのですよ。

亡国機業(ファントムタスク)のトップさん?」

 

 

俺にはちょっと齧った程度の交渉術しか持ち合わせていない。だったら正面から行ってやる。

 

 

 

「…ほう、なかなか知っているようだな。君には隠しても無駄になりそうだな。ではどうやって証明すると言うのだね?」

 

 

「俺にISを貸して下さい。コアの解明以外なら整備でも戦闘でもしましょう」

 

 

「君はISを使えると言うのかね?面白い冗談だ。私は子供の冗談を聞くほど暇な訳ではないのだよ…と言いたいところだが、君の目は本気のようだ。良いだろう、ラファール・リヴァイヴの装甲と、研究中のコアが1つある。一時間ほど待ってくれるか?」

 

 

「もちろんです」

 

この人警戒心とかないんですかね〜?俺が銃持ってたら危ないでしょう…

 

 

「ISの装甲を使った防弾ベストを着ているからそこらの銃弾じゃ傷1つつけられないから安心したまえ」

 

 

なんで心読まれてるんですかね!?1回目の時もそれで箒達に殺されかけたよなぁ〜…俺そんなに分かりやすい?

 

 

「はっはっは!仮にも秘密結社のボスを務めてるんだぞ?これくらい出来なくてどうする?」

 

 

わ〜お、この人あれだ。千冬姉とかと同じ匂いがする。人外の匂い。

 

 

「ていうか読心出来るなら俺が考えてる事ほとんどバレてますよね?」

 

 

「いやいや、私は人との会話を楽しみたいのだよ。人と会話する事で人について更に学べる。素晴らしいじゃないか!」

 

 

あ、俺この人結構好きかも。(ホモ疑惑加速中)その考え方については俺も同意だ。あぁ、そう考えるともうちょっとしっかり簪と話ておくんだったなぁ。今ならなかなか有意義な話ができる気がする。

 

 

「…分かった。一夏君、準備ができたようだ。今から地下の研究施設に行くぞ」

 

 

早いな。まだ30分も経ってないぞ?

 

 

「早くないですか?流石に装甲とのリンクにはもう少しかかると思うのですが?」

 

 

「ISについても学があるようだな。今連絡が入ったのだが、うちの研究者達が作った新しい装備を試していた機体があるらしい。それを使うことになった」

 

 

それって企業秘密なんじゃ…まあ良いや、使えるものならなんでも使おう。

 

 

【移動中】

 

 

 

「時に君は、何故自分がISを使えると断言できる?何か根拠でもあるのかね?」

 

 

あ、やっべ考えてなかった。

 

 

「…そうですね、そうなる未来が見えるとでも言いましょうか」

 

 

なんか厨二病みたいだな。いやまあ、今までの俺そんな感じだったけども。

 

 

「まあいい、どうせすぐに分かる。着いたぞ。ここだ。」

 

 

扉を開けると一体のラファール・リヴァイヴがまるで操縦者を待っているように鎮座していた。

周りには恐らく研究者と思われる人たちがいる。

 

 

「さて一夏君、早速だかあの機体を動かしてみてくれ。出来るのだろう?」

 

 

覚悟はとうにできてる。

 

 

さあ行こうか。

 

 

「こ、これは!?」

 

 

あぁこの感覚だ。懐かしい、あの機体には及ばないが、見える。聞こえる。感じる…

 

 

「…これで理解していただけましたか?」

 

 

「は…ははは…はっはっはっ!素晴らしい!素晴らしいぞ一夏君!良いだろう!君に敬意を!

もしよければ、君とは個人的に話がしたい!」

 

えっ?何この人?突然テンション振り切れてるんだけど?

…あぁうん、知ってる、こんな感じの人も俺知ってる。束さんだ。

 

マジか〜この人千冬姉と束さん二で割って足したような感じだ…

あれ?意外とまともじゃね?

 

 

「一夏君、とりあえず降りてくれるかね?研究者達が驚き過ぎて固まっている」

 

 

あっ、忘れてた。

 

 

「すいません、()()()()の感覚に、感傷に浸っていました」

 

 

「ん?久しぶり?あぁもういい、もう何も驚きやしないさ。ただ、君とはゆっくり話がしたい」

 

 

「分かりました。こちらもお話ししたい事が沢山あります」

 

 

 

 



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回想 3

それからというものの、社長との話し合いにより、俺の亡国入りが決定しその事について話をしている。

 

 

「ほう、タイムスリップとな。なるほどそれなら合点がいく。ISに乗れること、亡国機業を知っていること。なるほどなるほど、やはりこの世界は面白いな!」

 

 

そう、話したのだ。ボスには話してもいいと思った、まあ亡国内での信用問題にもかかわるからな、仕方がない。

 

 

「はい、そして俺は… PROJECT ORIMURA によって作られた人間を超えた…いや、人間の形をした化け物です」

 

 

長くなるから割愛させてくれ…

 

 

「君は自分の正体を知っていたのかね。PROJECT ORIMURA …織斑千冬のみが成功例だと思っていたが…別の個体が残っていたか…おっとすまない。ふむ、スコールとオータムか…ならばその部隊はモノクロームアバターだろう。最近作った部隊だったが、そうかそこまで強かったか…」

 

 

「はい、正直言って奇跡が重なったおかげで全員生きていたと思います。自分のことについては以上です。それと重ねてなんですが、織斑マドカについては…」

 

 

マドカとはなんとかして和解したい。ていうか俺妹欲しかったし…

 

 

「ああ、ここにいるよ。そうだな…よし!君をモノクロームアバター所属にしようではないか!そうすればコミュニケーションも取りやすいだろう!」

 

 

昨日の敵は今日の友ってか、いや、昨日じゃなくて2年後か。

 

 

「ならば話は早い!さっそく書類を作ろう。コードネームはSでいいな?サマーの」

 

 

「あ、はい大丈夫です…」

 

 

嵐のような人だなぁ。ただ問題は、俺がまだ中学生だということだ。ISの操縦はどうとでもなるが、あまり目立った動きをするとバレる可能性がある。

 

 

「ああその辺は大丈夫だ。任務は訓練をしてからだからまだ先だ、ここに来る口実ならバイトとでも言えばいい。給料も出す。」

 

 

「そ、そうですか。ありがとうございます…」

 

 

ナチュラルに心読んでこないでもらえませんかねぇ…いやまあ早く進むから良いけど…

 

 

「連絡先を教えてくれ。準備が整い次第また報告する。」

 

 

「はい。何から何まで本当にありがとうございました!」

 

 

そして俺は家に帰った。やはり今日も千冬姉は帰って来ていない。全寮制のIS学園の寮長なのだから仕方ないと言えば仕方ないが…

連絡ぐらいしたって良いと思う。まあ今の状況を知られるわけにはいかないから良いんだけども…

 

 

「寝るか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからは地獄の連続だった。会社に行けば身体中に電極やらなんやら貼られ体を調べ尽くされた。その後は、スコールさんとオータム、マドカとの面会。やはりというべきかマドカから挑戦状を叩きつけられた。お互い打鉄(うちがね)を使用したが、経験の差と言うべきか俺の圧勝だった。そのあとはなんか懐かれたよ…1回目のあれはなんだったんだ…そして訓練。ただひたすら訓練をした。その過程でナノマシンを体に注入した。そのせいか生身の格闘戦では負けたことがない。表の世界では一般的な中学生を演じる。これがまたなかなかきつい。意識してないと物を壊してしまうし、何故かわからんがめっちゃ告白された。(顔と性格、鍛え抜かれた肉体のせい)そんなこんなで2年間を過ごした。感想行きます!どうしてこうなった…

 

一番焦ったのはマドカを叩き潰した後からマドカがブラコンになった事だ。どうしてこうなった…

 

 

そして中学二年生のあの日… 鈴が中国に帰る日が来た。

 

 

「あ、あのね。一夏、私の料理の腕が上がってたら…その…毎日私の作った酢豚食べてくれる?」

 

 

鈴にとっては、毎日味噌汁を…と同じ意味の告白…俺は、どうするべきなのか…

 

 

「それは付き合ってくださいという意味か?」

 

 

違っていてほしい。

 

 

「え!?…うん。その通りよ。」

 

 

でも俺は、いつかこの子の敵になる。

 

 

「そうか…鈴…その気持ちはすごく嬉しい。でも、ゴメン。」

 

 

そんな悲しそうな顔をしないでくれ。

 

 

「なんで…」

 

 

言えるわけがない。

 

 

「俺じゃ、鈴を守れないからだ。」

 

 

ダメだ。これ以上はダメだ。

 

 

「そんなこと!だったら、私が守ってあげるわよ!」

 

 

それじゃ意味がないんだ。この世界で、それは無理なんだ。

 

 

「本当にゴメン、鈴。でもさ、次会ったらまたお前の料理食わせてほしい。これは俺のわがままだけど…」

 

 

偽ることしかできない俺がそばにいて良いわけがない。

 

 

「…わかったわよ。次会ったら覚悟しておきなさいよ一夏!こんなに良い女振るなんて後悔させてあげるわ!」

 

 

それでこそ、鈴だ。

 

 

「ハハハ…楽しみにしとくよ。じゃあ、()()()!」

 

 

…会わない方が、お互いのためなんだけどな。

 

 

「ええ!またね、一夏!」

 

 

そして俺たちは互いに背中を向けて歩き出した。

 

 

「良かったのかい?とても良い子じゃないか」

 

 

うわ!?いつからいた!?

 

 

「盗み聞きなんてやめて下さいよボス…てか仕事はいいんですか?」

 

 

「うん?いやぁ面白そうな気配がしたから三日分の仕事終わらせてソッコーで来たぞ!」

 

 

なにその無駄なハイスペック感!?俺、こっち側いてよかったかも…

 

 

「そ、そうですか。」

 

 

「まあそれだけでは無いのだがな。一夏よ、任務だ」

 

 

む…

 

 

「詳細は?」

 

 

「新機体のテストだ。私とともに本社に戻り遂行せよ」

 

 

俺テストパイロットばっかりだなぁ…まあ表に出れないし仕方ないんだけどな。

 

 

「任務了解しました!お供します!」

 

 

まあそのあとは割愛させてもらう。回想に浸りすぎだからな。

 

 

 

 

そして物語はプロローグの終わりから始まる。(メタい)

 

 

 

 

 




5月3日変更点 原作12巻の内容を加えました。


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未来は現実となり変わっていく 交流(社交辞令)開始

実は私、明日からオーストラリアへ二週間ほど研修がありまして、二週間ほど失踪しますがああ逝ったんだな、くらいの気持ちでいてほしいと思います。感想などへの返信等することが出来ませんのでご了承下さいませ。


「危なっ!?」

 

 

「チッ…避けていいとは言ってないぞ織斑」

 

 

突然身に迫る危険。だが舐めてはもらっては困る、ナノマシンによって強化されたこの体ならあの攻撃を避けることもできるのだ。

 

 

「理不尽じゃないですかねぇ…織斑先生…」

 

 

そう我が姉織斑千冬その人である。見ろよ姉さん、机から煙出てるぜ?あと女子がみんな固まっちゃってるぜ?どうにかしてくれ。

 

 

「貴様がこの空気を作ったのだろう?まあいい。諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使える程度には育てるのが私の仕事だ。私の言うことはよく聴き、理解しろ。出来なくてもいい、出来るまで教えてやる。ああそれと私の言うことには逆らってもいいが、聞け。分かったな?」

 

いやどこの暴君だよ…あっ!?耳栓しとかないと…

 

 

「「「キャーーーーーーー!」」」

 

 

おゔ!?なんだ!?最近の女子は叫びだけでソニックウェーブが出せるのか!?俺には無理だぞ…

 

 

「千冬様、本物の千冬様だわ!」

 

 

「生まれて来る前からファンでした!」

 

 

「お母さん、産んでくれてありがとう!今日から感謝するね!」

 

 

「流石千冬様!私達の想像を超えて来る!」

 

 

「「「そこに痺れる!憧れるぅーー!」」」

 

 

カオスゥ…ていうかさ、君たちあれだよね?本当は仲良いよね?絶対今日が初めての邂逅じゃないよね?あ、そうだ。いまの女子たちチェックしとこ。多分俺とか簪とかと同類だ。(アニメ的な観点で)

 

 

「はぁ…毎年毎年よくもまあこんなに騒げるものだ。あれか?私のところにだけこんな馬鹿どもを集中させてるのか?」

 

 

姉さん辛辣…でもまあどうせ…

 

 

「あぁ!!千冬様からの罵倒!それもまたいい!」

 

 

「踏んでください!」

 

 

「あっ…濡れてきちゃった…」

 

 

おおい!?今のはまずいだろ!?俺の予想を超えてきやがった!?このクラスマジヤバいわ…

 

 

「黙れ、時間がなくなる。織斑、もう自己紹介はいいだろう、早く座れ。」

 

 

勝手だなぁ。

 

 

「わかりましたよ、賢姉殿…痛ぁ!?」ゴスッ!

 

 

「織斑先生だ。公私の区別くらいしっかりしろ馬鹿者」

 

 

分かってますよそれくらい…俺の体が異常だからバレないように演技してるんですよ。言えないけど。

 

 

「賢姉って…織斑くんってもしかして千冬様の兄弟?」

 

 

「え!?じゃあ織斑くんがISを使えるのってもしかして…」

 

 

また女子たちが騒ぎ始めた。本当に女子って話が好きなんだなぁ。

 

 

「静かに!自己紹介も終わったことだ。これから授業に入る!」

 

 

「「「はい!」」」

 

 

軍隊かなここは?

 

 

 

 

簡潔に言って暇だった。いやね?復習みたいなもんだから…ていうかナノマシンが脳にまで働いてくれると思わなかったよ…

超絶覚えるのが楽になった。ハハ、チートだな俺。ちなみに今は一時間目が終わった後の休憩時間。十分しかないけど。

 

 

「ちょっといいか?」

 

 

この声は…

 

 

「ん?ああ!箒じゃないか!久しぶりだなぁ!」

 

 

俺わざとらしいなぁ…この子は篠ノ之箒。ISを作った篠ノ之束さんの妹で話し方や態度的にまさに武士って感じだ。

 

 

「少し話したいのだが…屋上に行かないか?」

 

 

悪いけどそんなに時間ねぇぞ…

 

 

「話ならここでもいいだろ?それにしても箒、お前全然変わってないなぁ〜。ポニーテールのままだし。箒だってすぐ分かったぞ。」

 

 

「そ、そうか」

 

 

「そういえば箒、去年の剣道の全国大会、優勝したらしいな。おめでとう!」

 

 

「な!?なんでそんなこと知ってるんだ!」

 

 

新聞読んだらすぐにでも分かるのだよ。

 

 

「いや新聞に載ってたし…」

 

 

「なんで新聞なんか見てるんだ!」

 

 

俺には新聞を読む権利すらないのか…

 

 

「新聞くらい自由に読ませてくれよ…そういえば話ってなんだ?」

 

 

「そ、それはだn『キーンコーンカーンカーン』チャ、チャイムがなったから私は席に戻る」

 

 

タイミング悪いな…

 

 

 

 

そして二時間目。

 

 

今まで空気だった山田先生も自分の担当の授業では張り切っている。空回りしなけりゃいいんだけど…

 

 

「何かわからない点はありますか?」

 

 

沈黙。そりゃまあIS学びに来てんだからこれくらい分かるよな。

 

 

何事もなく授業も終了。

 

 

 

 

「ちょっとよろしくて?」

 

 

来た。思い返せば俺の中で面倒くさいランキングトップ3に入るこの出来事。鮮やかな金髪はロールがかかり、その改造された制服や雰囲気はいかにもお嬢様を思い浮かべる。セシリア・オルコットだ。

 

 

「はい、俺に何か用でしょうか?イギリス代表候補生で入試主席のセシリア・オルコット嬢?」

 

 

女尊男卑に染まっていた頃のセシリアには下手に出ないとすぐに癇癪を起こされるから要注意だ。

 

 

「まあ!ISが使える男と聞いて、どのようなものかと思いましたが、多少の学と礼儀は弁えているようですわね」

 

 

言い方に若干皮肉が込められていて正直腹がたつ。

 

 

「私には期待されるようなことないですよ。ただISが使えるだけの男です。これから学友としてよろしくお願いします」

 

 

あくまでも()()としてだ。鈴みたいに悲しませたくはない。

 

 

「ええ、こちらこそ。よろしくお願いしますわ、織斑さん」

 

 

敵対した関係にならなくてよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




準備で全然書く時間ない…


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俺だって言われてばかりじゃない。

先週の分サボってたわけではないんです。ちょっと原作一巻行方不明になってただけなんです。ありましたけども。許してくださいなんでもしますから(なんでもするとは言ってない)


どうでもいいことですが私、今日高校の入学式でした。知り合い以外誰にも話しかけれないとか自分終わってる(白目)


「それではこの時間は、実戦で使用する各種装備の特性について説明する… と言いたいところだが、このクラスはまだクラス代表を決めていなかったな。ちょうどいいので今から決める」

 

 

ああ…これ面倒だったなあ…なんとしてでも回避したい。

 

 

「クラス代表とはそのままの意味で、まあクラス委員長とほとんど変わらん。クラスの雑用係とでも思ってくれ」

 

 

その言い方でやりたいという奴がいたらそれはあんたの信者しかいねぇよ…

 

 

「ちなみにクラス代表者は、再来週行われる、クラス対抗戦に出場する。一度決まると一年間変更できないのでそのつもりでいろ」

 

 

なってしまったら()()()の仕事が出来ない。そうだ!オルコット嬢に押し付けてやればいいんだ。あの人はこの時は高慢ちきだから余裕でオーケーしてくれるだろう。

 

 

「はい!織斑君を推薦します!」

 

 

やっぱそういう奴居るよなぁ。俺を選ぶ意味を一つもわかってない奴が。

 

 

「あっ、私も!」

 

 

「そうだよねっ、せっかくの男子だもの。活用しないではないわ!」

 

 

みんな好き勝手言ってくれるなぁ…男子だからってだけで選ぶ。俺は()()()()ISについてほとんど知らず、一度も乗ったことがないド素人だぞ?

 

 

「では候補者は織斑だな。他にいるか?自薦でも推薦でもどちらでも良いぞ」

 

 

さあ早く来るんだオルコット嬢!そしてこの大変面倒な現状を納めてくれ。姉さんは…無理だから。あ、ついでにお土産も作るか。

 

ピッ… その音はとても小さく、誰にも聞こえないほどの音量で鳴った。

 

 

「待ってください!納得がいきませんわ!」

 

 

女性からそんな音を出せるのかと思ってしまうほどの勢いで机に叩きつけられたオルコット嬢の腕。そして勢いよく立ち上がった。すごい剣幕だなぁ。

 

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表なんていい恥さらしですわ!その男は、まだ多少の教養と常識があるようですが?わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を味わえとおっしゃるのですか⁉︎」

 

 

わあー、一回目より評価が上がってる、うれしいなー(白目)

 

 

「実力から行けば私がクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!私はこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ありませんわ!」

 

 

やっぱりこの時の()()()()は面倒だな、久しぶりに…キレちまったよ…とかはまあないけども、どうしようかなぁ、言葉責めにするのもいいし、今録音してるレコーダーで脅すか…それともガン無視か…

 

 

「いいですか⁉︎クラス代表は実力トップがやるべき、そしてそれは私ですわ!」

 

 

言ってくれるねぇ、まあ表向きはそれで間違ってはないんだけども。ちらっと姉さんを見ると…あ、ヤバイわ。後ろに鬼武者のオーラっぽいのが見える。キレてるなぁ姉さん…他の日本人生徒も嫌な顔してるし。…はあ、面倒だけど仕方ない、やるかぁ。

 

 

「大体、文化としても後進的な国でからさなくてはいけないこと自体、私にとっては耐え難い屈辱で…「その辺にしましょうかオルコット嬢」な、なんですの突然!」

 

 

「それ以上言うとアナタが面倒なことになりますよ。まあ、俺がISについてはド素人なのは当たり前なので仕方ありません。ですが、そのあとがいけない」

 

 

少しずつ教えてあげるか、面白いし、あれ?俺ってSだっけ?いや俺Sだけども…(コードネーム的に)

 

 

「何がいけないと言うんですの!その態度、イギリス代表候補生であるこの私にとっていいものではないことがわからないのですか!」

 

 

なんか前よりウゼェ、ISがないと何も出来ないことがわからないオンナ共はこれだから!

 

 

「わかりませんね。自己紹介のとき言ったでしょう、俺は女尊男卑の考え方が嫌いだと。それよりも、そんなにも日本にいるのが嫌ならイギリスに帰ればよろしいでしょう?この学園に入ることを決めたのがアナタなのかイギリス政府なのかは知りませんが、ここは法的には日本ではないのですから」

 

 

そう、土地は日本にあるのに、アラスカ条約やらなんやら詳しくは覚えていないが、ここは日本ではない。

 

 

「あら?イギリス政府が私に専用機のデータ収集を目的に入学させましたのよ?帰れるわけがありませんわ!」

 

 

それでいい、そのまま少しずつでも深海に足を踏み入れろ。

 

 

「なら我慢してください。アナタは()()()()()なのだから。それに、アナタの発言で、今まさに戦争が始まろうとしているのが分かりませんか?」

 

 

「はあ?なんでですの?」

 

 

頭悪いな。ちなみに俺はオルコット嬢を酷評しているが、俺の知ってるセシリアはもっと美しく気高かった。コレは俺の知ってるセシリアじゃないからな。気にしない。

 

 

「ここまで言っても理解できないか、極東の猿?それが日本人のことを指しているなら前を見てみろ。」

 

 

「前?前に何かありまs…ヒッ!「オルコット、私は猿か?」い、いえ!違いますわ!」

 

 

我らが織斑先生はお怒りである。

 

 

「違う?このクラスの生徒大半と山田先生と私は極東の猿なのだろう?」

 

 

「そ、それは言葉の綾で…この男に向けて言ったのですわ!それと戦争がどう関係するというのですの?」

 

 

コイツ本当にイギリスの代表候補生なんだよな?まあブリュンヒルデ様にそこまで言えるからオルコット家の当主も務まるのか。

 

 

「少しは自分の頭を使え代表候補生。俺の知ってる代表候補生はもっと気高く、美しく、強いぞ。サラ・ウェルキン候補生がいい例だ」

 

 

以前の俺ならここら辺でやっちまった感あるけど、別にコレくらい所属不明基地破壊作戦でデータ抜く前に電子機器全部壊してスコールの姉貴の的になったことの方が怖いわ。あ、一応姉貴に聞いとこ。

 

 

『あー…姉貴?あれ?繋がってねぇのかな?あ〜ねきぃ〜』

 

コレはISの機能の一つで個人間秘匿通信(プライベート・チャンネル)というものだ。まあ、IS操縦者同士の密会みたいなもんだ。俺たちみたいな暗躍組織ではコレがないと声や内容が筒抜けだからな、頼もしい機能だ。

 

 

『そんなに呼ばなくても聞こえてるわよ。ていうか、コールかけて頂戴。いきなり呼ばれたから驚いたわ。それで用件は?』

 

 

現在こうやって話してはいるがオルコット嬢は絶賛キィーキィー鳴いてる最中だ。俺はナノマシンでマルチタスクも出来るようになったから両方同時進行出来る。…まあ聞いてるだけだけども。

 

 

『ちょっとあの…今クラス代表決めてんだけど、女尊男卑のイギリス代表候補生がちょっかいかけてきてバトりそうだから、()()()()()()()()()()()()()

 

 

『はあ…ちょっかいかけたのはどうせアナタもでしょ?そうねぇ…1割から3割でやりなさい。それくらいなら量産機でも余裕でしょ?あ、間違っても瞬時加速(イグニッション・ブースト)とかの技術関連使うんじゃないわよ?基本技術だけでやりなさい。後、手加減を覚えてきなさい!Mがそろそろ本当にマゾになっても知らないわよ。」

 

 

それは由々しき事態だ。早急に手を打たなくては。マドカとはいい関係を築けてるから変なことになりたくない。後まあ大事な妹だからな。ていうかちょっとユニコーンで違法な研究所とかを焦土に変えただけなのに…アレそんなにマズかったかなぁ…流石にビームマグナムをエネルギーパック2マガジン使ったのはやり過ぎたと思うけども…

 

 

『了解、通信感謝する。今度、お土産になんか買っていくよ』

 

 

そうして俺は通信を切った。今俺は常備してるチョーカー型のユニコーンで通信してました。起動がばれないようにステルスもつけて。どっかの生徒会長様は勘がいいからな。

 

 

「決闘ですわ!」

 

 

ほう、俺に決闘だと?いいだろう、血闘術とブラッドアーツで相手してやる……… 突っ込んでくれる奴がいないって悲しいな…

 

 

「織斑先生、こう言ってますが?」

 

 

大人に頼るって大事だよな!

 

 

「勝手に決めて後を教師任せにするな愚弟。しかし、まあいいだろう。来週の土曜日、クラス代表決定戦を行う。アリーナは確保しておくのでそのつもりでいろ」

 

 

あーあ、結局こうなっちゃったよ。チェルシーさん苦労してんだろうなぁ。もっと時間経ったらちゃんとこっちに引き込んであげないとな!あー試合面倒くさいー。都合よく無人機とか現れてくれねぇかな…そっちの方がまだやる気起きるわ〜。

 

 

ピッ 俺は忘れていたレコーダーの電源を切り亡国へのお土産を作った。人の弱みを握るって意外と楽だったぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ある日


「兄さん模擬戦しないか?久しぶりにまた訓練して欲しいんだが。」


「マドカか、いいぞ。ルールはどうする?」


「お互い量産機でシールドエネルギー尽きた方の負けでいいだろう。今は技術を上げたい。」


「やっぱ仲がいいなSMコンビ。仲がいいからって禁断の関係にはなるなよ?」


「「うるさいぞオータム!余計なお世話だ!」」


「ジョーダンだよジョーダン!え、いやちょっお前ら、ウワァァァァァァァァ!!!!!!!」


その夜医務室からは女性の悲鳴が止まなかったとかなんとか。


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個性強くない?

今は放課後、特にすることがなくなった俺は、訓練でもしようかと思っていた。

 

 

「訓練するって言ってもなぁ…どうせここにいても山田先生が部屋について伝えに来るだけだし、サッサとホテルに行って休んでもいいと思うんだが」

 

 

することがないと言っても暇なわけではない。それこそ訓練なり報告なりこれからについても考えていかなくてはいけない。やるべきことはたくさんだ。…報告は今日は面倒だしやらないけども。それっぽいことはしたし。

 

 

「あ、まだ教室にいたんですね織斑君。ちょうど良かったです」

 

 

見つかってしまったか… いや別に後ろめたいことがあるわけじゃないけども(ある)俺の自由時間が…頼めばいけるかな?

 

 

「山田先生、俺に用ですか?」

 

 

「はい、織斑君の部屋割りが決まったのでそれを伝えにきました」

 

 

やっぱそれか。

 

 

「部屋割り?政府からは一週間はホテルから通うって話でしたけど…やっぱ保護の目的ですか?」

 

 

山田先生が顔を近づけて来た。誰もいないから別に問題はないのだが…廊下にもいないということは気配でわかる。

 

 

「そうなんです。政府の特命もあって寮に入れることを優先したみたいです。後その…部屋割りの関係でどうしても女子と同じ部屋になってしまうんですけど大丈夫ですか?もしどうしてもというのなら教員棟に使われてない物置部屋があってそこを片付ければ使えないことはないですけど」

 

 

そんなところがあったんかい!全然知らんかった。

 

 

「山田先生とりあえず離れましょう、近いです。部屋割りに関しては先生たちの都合的に楽なほうでいいです。どちらを選んでも面倒なので。後、一度家に荷物を取りに行かなくてはいけないので週末にでも帰りたいんですが良いですか?」

 

 

そういうと山田先生はこの俺の目を持っても見えないスピードで俺のそばから離脱した。山田先生は人間をやめていなかったはずだけど?

 

 

「荷物なら、私が手配してやった。ありがたく思え」

 

 

どうせ着替えと日用品しかないに決まってる。

 

 

「と言っても生活必需品だけで良いだろう。着替えと日用品、携帯の充電器が入っている。それと部屋だが…」

 

 

やっぱりな…娯楽は携帯しかないか…パソコン家から持ってこようかなぁ。

 

 

「流石に男女を同じ部屋にするのはまずいと学園長が言っていてな。織斑にはすまないが空き部屋を使ってもらう。安心しろ、背備品や設備などははっきり言って普通の寮より良いものだ」

 

 

アレ⁉︎なんか違う?俺が違う行動を取っているから未来が変わっているのか?いやまあ1人の方が楽だけど…

 

 

「ありがとうございます織斑先生、山田先生。それと地図のようなものはないですか?流石に場所がわからないので」

 

 

「これだ。一応この学園の大体の見取り図が載っている。今覚えろ」

 

 

それ一般人には無理じゃないですかね⁉︎覚えたけど…

 

 

「無茶言わないでくださいよ。そんなことできるのはどっかの兎さんと世界最強だけですっtペギッ!!痛った⁉︎」

 

 

「お前が余計なことを言うからだ。それと織斑、後で寮長室に来い。話がある」

 

 

訓練は今日は無理か。一応訓練室があるのは確認したけど。

 

 

「分かりました。ああそうだ織斑先生、荷物があるってことは一度家に戻ったのですよね?俺は寮に住むのは聞いてなかったので水道と電気とガスを止めていないのですが、止めてくれました?」

 

 

もちろん嘘だ。

 

 

「な⁉︎…すまん、やってない」

 

 

だろうな。

 

 

「ほう?まあ後で話しましょうか?それでは失礼します」

 

 

この時姉さんが山田先生が気づかないほど震えていたのはこのナノマシンで強化された目で見えている。

 

 

 

「織斑君、道草食っちゃダメですよ〜」

 

 

教員寮まで500メートルもないのに一体どこで道草を食えと?

 

 

「あ!ちょっと待ってください織斑君。お風呂についていうの忘れてました」

 

 

あ、忘れてた。

 

 

「すいません忘れてました。風呂ですか。風呂は入れないし部屋にシャワーなんてないでしょうから…どこを使えばいいんですか?」

 

 

「アリーナの備え付きのシャワーでいいだろう。教員寮から少し距離があるが背に腹は変えられん。」

 

 

あ、もう震えてない。復活早いなあ〜

 

 

「分かりました。では明日からもよろしくお願いします」

 

 

 

〜教員寮、一夏の部屋〜

 

 

「ここが俺の部屋か…

 

 

〜寮長室〜

 

 

コンコン「織斑です」

 

 

「ああ入ってくれ」

 

 

ガチャ「失礼します。なんのご用ですか?織斑先生…うわ部屋汚ねえ⁉︎」

 

 

なんだここは⁉︎魔境か⁉︎足の踏み場もないぞ‼︎」

 

 

「汚いのはいつものことだ。それより普段通りでいいぞ一夏。今はプライベートだ」

 

 

「…正座」

 

 

こんな暴挙誰が許すと思う?姉さん?

 

 

「え?い、一夏?」

 

 

流石にコレは許せねぇよなぁ?

 

 

「いいからとっとと正座しろやぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

「は、はい!」

 

 

この瞬間、俺は世界最強に勝った。

 

 

〜一時間後〜

 

 

ガチャ

 

「全く姉さんは…いつになったら家事ができるようになるんだ…」

 

 

ちなみに部屋は俺が片付けた。姉さんが震えながら俺を見ていたのはきっと気のせいだろう、ソウニチガイナイ。

 

とっとと寝よう、気疲れした。

 

 

「ご飯にする?お風呂にする?それともワ・タ・シ?」

 

ガチャ

 

さて如何したものか。中には裸エプロンに見える水着エプロンの痴女。姉さんは酒を飲んでいるから駆除は無理として…山田先生…は無理だな。仕方ない、姉さんの部屋で寝るか。

 

とりあえずドアをしっかり固定してっと…

 

うし、出来た。

 

 

「あ、もしもし?姉さん?ごめんけど今日泊めてくんない?部屋に痴女がいて閉じ込めたから…」

 

 

 

 

〜水着エプロンの痴女〜

 

 

「あら?入ってこないわね。私に欲情してトイレで自家発電でもしてるのかしら?まあ我慢よ、フフ、次こそは…」

 

 

 

 

翌日

 

 

「な、なんで… なんで帰ってこないのよ!私一晩ここで待ったわよ!わざわざ水着エプロンに!寒かったから仕方なくベッドで待機したのに!」

 

 

全く、失礼しちゃうわ。部屋に戻って着替えよ…

 

…ドア開かないんだけど?なんで?

ガチャ あ!開いたわ!

 

「いい朝だな、更識。さて…後悔と懺悔は済ませたか?」

 

 

処刑執行人(ブリュンヒルデ)がいました。それからの記憶はありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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It waked up

「なあ一夏…テストパイロットになる気は無いか?」

 

 

「は?」

 

 

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!更識を閉じ込めた後姉さんの部屋に来た俺は酒を飲んでいた姉さんに突然こんなことを言われたぜ。読者のみんなも何を言っているかわからねえと思うが俺も(ry

 

 

「それがな、政府の決定で世界初の男性操縦者であるお前に専用機が与えられることになった。それでどこの企業に依頼するかなんだが…IS委員会の馬鹿どもが口を出してきてな。私の専用機だった『暮桜』を作った『倉持技研』に依頼したらしい。」

 

 

…なるほどな、それで俺に姉さんのISと同じ能力を持つ『白式』が来たわけか。まあ、今となっては都合がいい。『倉持技研』はすでに俺の口添えによって買収済みだ。所長の篝火ヒカルノは予想以上に秀才だったし、どうせ束さんが改造して俺に渡すんだから『白式』にも問題はない。ボスも、もともといつか買収する予定だったって言ってたし完璧である。

 

 

「そんなこと俺に言って大丈夫なのか姉さん?俺もISについて結構調べたけど、倉持技研て確か、今は日本代表候補生の専用機作ってるんだろ?」

 

 

「よく知ってるじゃないか。勤勉なのはいいことだ。倉持の所長に聞いたら両方いい感じに進んでるから問題ないと言っていた。依頼を最後までこなしてこその倉持だ!とも言っていたな」

 

 

当然だ、最近はヒカルノさんとレイさんが協力して開発しているんだからな。…変なもの作ってないといいけど。それにしても酒と俺が作るつまみがある時の姉さんは口が軽いな。ありがたいぜ。心なしかテンションも高い。ていうか、それだったら簪の機体は間に合いそうだな。ん?意外と簪を()()()()に引き込めないか?いや無理か… あの痴女がどこまでも追いかけてくるな…

 

 

「良いところじゃん。それで?」

 

 

「ああ、正直言ってお前は世界中から狙われる存在だからな、引き込もうとしてくる者は多いだろう。そこでだ、お前が倉持のテストパイロットになることで身の安全を守ると同時にISのメンテナンス要員も容易に確保することが出来るという訳だ」

 

 

お姉ちゃん頑張ったぞとでも言いたいかのような自慢げな顔で話す姉さんは、酒が入っていて顔が赤いせいか駄目人間に見えた。すごく大事なことを言ってるけども…

 

 

「それで、どうだ?」

 

 

「ん?ああ、それほどにクライアントの仕事をしっかりこなすなら信用できるし、俺はテストパイロットになるよ」

 

 

もちろんそう仕向けたのは俺とボスだからな。

 

 

「そうか、ではまた連絡しておこう」

 

 

「よろしく」

 

 

 

 

〜次の日〜

 

 

ぶっちゃけ特にこれと言ったこともないから適当に…

 

 

まず部屋に戻った俺だが、何故か盗聴器を破壊したことに気づいてなかったらしく新しいものはなかった。あの痴女ザル警備すぎね?そして着替えて食堂に行ったが箒の姿はなく俺は気配を消してささっと飯を食った。ちなみに鮭とご飯、味噌汁、納豆というまさに日本食だった。ごちそうさまです。

次に授業、…といっても今はまだISスーツを発注してないから座学のみ。全部知ってることだから正直暇です。

放課後、箒が「訓練してやる」と行ってきたのでIS訓練のためダメ元で借りる申請に行ったがもちろんダメ。世の中そんなに甘くない。その後剣道しろ!みたいな流れになった。ちなみに圧勝。ナノマシンで強化された目で達人の動きを見て覚えた甲斐があった。あ、これ写輪眼みたいに使っただけね。俺もう我流の剣だから剣道ムリです。

箒と剣道部部長がすごい迫ってきたけど適当にあしらった。俺部活入る気ないし…

 

見事に自主訓練の時間を逃しましたどうも一夏です…

 

 

 

 

 

〜side???〜

 

 

(…ここは?私は… !?あなたは…そう…わかった)

 

 

何もない空間で()()()は、静かに目覚めた。

 

 

(きっと…あの人は私を覚えていない…でも、今度こそは…役目を…)

 

 

()()()は、思った。守れなかった者を守りたいと。

 

 

(もう少し…だから…待っててね、すぐに行くから…一夏…)

 

 

side out

 

 

 

 

 



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〜邂逅〜そして出撃

〜翌週土曜日〜

 

 

「なあ箒、一つ聞いていいか?」

 

 

「なんだ一夏?」

 

 

「なんでお前ここにいんの?ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ?」

 

 

ここは今日俺とオルコット嬢の試合が行われる第三アリーナのAピットだ。1回目と同様、俺の愛機も今日運ばれてくる。

 

 

「な!私がここにいて悪いか!それに私はお前の幼馴染だからな、関係者だ。」

 

 

「その定義で行くと大体の知り合いが関係者なんだが…姉さんにどやされてもしらねぇぞ?」

 

 

ていうか白式遅くね?束さん何してんの?

 

 

「織斑くん織斑くん織斑くん!届きましたよ!」

 

 

あ、最近出番が少なくてなんとか目立とうとしてる山田先生だ。3回も呼ばなくても聞こえてます。慌てすぎです、箒が何事かと構えてるから…

 

 

「俺の専用機ですか?」

 

 

「そうだ織斑。すぐに準備しろ。時間もおしている、ぶっつけ本番でなんとかしろ」

 

 

「え、あの?最適化は?初期化は?ぶっつけって…」

 

 

「いいから一夏!早くしろ!」

 

 

「そうですよ織斑くん!」

 

 

異性3人から同時に迫られるってのもなかなかなお経験だな、1人姉だけど…

 

 

「「「早く!」」」

 

 

そして搬入口が開く。この時俺は、虫よりも小さい機械が侵入していることに気づいた。まあこんなん作るの束さんだよねー。()()()の様子でも見に来たか?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー『白』ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

まだ一次移行していないせいか純粋な白ではないが、それでも美しく光るそのボディ。ああ、久しぶりだな俺の愛機。そして …初めまして。

 

 

「これが、織斑くんの専用IS、『白式』です!」

 

 

1回目の時、俺はコイツが俺を待っていた()()()と思ったが、今は違う。コイツは本当に、俺を待っていた!俺も待っていた。この時を、全てが始まるこの時を!

 

 

「時間がないからフォーマットとフィッティングは戦闘しながらやれ。出来ないイコール敗北だ」

 

 

分かりましたよっと。

 

ー俺は白式の装甲に触れたー

 

 

『お帰り、待ってたよ』

 

 

「っ!?」

 

 

「どうした織斑、何か異常があったか」

 

 

「いえ、大丈夫です」

 

 

今の声は…

 

そして俺は白式に乗った。

 

 

『少しだけこっちで話そうよ』

 

その瞬間俺の意識は闇へと沈んだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

〜???〜

 

 

「っ…ここは?」

 

 

意識が戻った俺は現状把握のため周りを見渡した。足元が浸かるくらいの水があたり一面の広がっている。だが冷たいとかいう感覚は無いな…なんだこの空間は?

 

 

「こんにちは」

 

 

「っ !?誰だ!?」

 

 

警戒しているのを隠さず俺は乱暴に声の主の方を向いた。

 

 

「なっ…お前たちは …」

 

 

そこには白いワンピースに麦わら帽子を被った女の子と、白い甲冑を着た背の高い女がいた。

 

 

「初めまして、織斑一夏くん。あなたに会えるのをずっと楽しみにしていたよ」

 

 

知っている。この声もその容姿も。何故ならこの声は…

 

 

「私は白式のコアの人格主。あなたをここに呼んだのも私」

 

 

「………」

 

 

白い甲冑を着た女は目元まで覆われているバイザーをしていて顔はあまり見えないが、こちらに視線が向いていることは分かった。

 

 

「本当に白式…なのか?じゃあ隣は…()()()か?」

 

 

「っ!なぜ知っている?」

 

 

「悪いがそれには答えられねぇなぁ、それよりも何故俺をここに呼んだ?」

 

 

「言いたいことを言おうと思ったの。まあ宣言だよ」

 

 

「宣言?」

 

 

「そう、あの時守りきれなかったあなたへ、役目を全うできなかった私へのね」

 

 

()()()?まさかコイツ…

 

 

「今度こそ守るから。貴方を絶対に死なせない」

 

 

そうか、お前も()()()に来てたのか。

 

 

「白式…いや、ここは敢えて王理と呼ぼうか、相棒」

 

 

「っ!?何故その名前を?…まさか!」

 

 

「改めて自己紹介だ。俺は織斑一夏、お前とずっと一緒にいた織斑一夏だ」

 

 

「え、あ…?本当に…?一夏、なの?」

 

 

「ああ、だからさ、もう一度俺を守ってくれないか?」

 

 

「うん!任せて!そのためにも私達は、強くならないとね」

 

 

もちろんだ。そのために俺は亡国入りしたんだからな。

 

 

「力を欲しますか?」

 

 

うお!?…あ、ゴメン、白騎士の事忘れてた。()か…俺は福音事件の時、白騎士のからの同じ問いに飲まれかけた事がある。

 

 

「ただ破壊するだけの力はいらない。俺が欲しいのは、世界を変える力だ」

 

 

「………世界を変える、ですか」

 

 

「そうだ、俺は見てきた。この世界の現実を。そしてやり直す機会を与えられたんだ。俺は…このチャンスを生かしたい」

 

 

「………分かりました。この子にとっての害でしかない存在だったら、私が消すつもりでしたが…大丈夫ですね」

 

 

怖いこと言ってくれるじゃねえか。

 

 

「うんうん、白騎士からのオッケーも出たし、時間もないからじゃあ()()()!一夏!」

 

 

また、か。そうだな。

 

 

「ああまたな、2人とも」

 

 

そしてまた、俺の意識は途切れた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「おい一夏、大丈夫か?」

 

 

姉さんの声が聞こえてくる。どうやら無事に戻れたようだ。

 

 

「ああ、大丈夫だ。それじゃあ行ってくる」

 

 

俺の相棒とは長い付き合いになりそうだな。

 

 

「それではカタパルトデッキに乗ってください。すぐに発進させます」

 

 

「分かりました、山田先生」

 

 

行くか!白式!

 

 

『うん!』

 

 

「織斑一夏」

 

『白式!」

 

 

「『出撃します!』」

 

 

 

 

 

 

 

 




オリジナル


白式と白騎士の自我がはっきりしてる。
白式との会話が可能


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game start(試合開始)

今更ながら私の文の短さとタイトル詐欺に気づいてしまった…


「あら、やっときましたわね。逃げたのかと思いましたわ」

 

 

「悪いなオルコット嬢。ちょっと準備に時間がかかってな」

 

 

目の前にいたのは鮮やかにな青色の機体『ブルーティアーズ』とその操縦者、セシリア・オルコット嬢。

 

 

「あなたに最後のチャンスを与えますわ」

 

 

ビシッと俺に指をさしながらオルコット嬢はそう言った。それにしても、とうの昔に試合開始の合図は出てるし攻撃したらいけないのかねぇ… 簪には悪いけど俺ヒーローの変身途中に攻撃すんの大好きなんだけど。

 

「あなたは初心者、わたくしは代表候補生。実力的に言ってわたくしが勝利するのは火を見るより明らかですわ。そこで、今ここで謝るというのであれば、許して差し上げても良くてよ?」

 

 

『一夏!ティアーズが私達をロックオンしてる』

 

 

(わかってるさ白式。敢えてだよ、高飛車なお嬢様の鼻っぱしらをへし折ってやろうと思ってな)

 

 

『い、一夏、なんか性格変わったね』

 

 

(そりゃあ色々あったからなあ)

 

 

『そうなんだ、じゃ、とりあえず!』

 

 

そうだな。

 

 

「…無言は否定と受け取りますわ!」

 

 

刹那、光、いや閃光が俺に向けて放たれた。

 

 

「危な!?」

 

 

初心者感を出すためにわざと大きく避けたが、せいぜい中、遠距離用のライフルだ。少し体をひねるだけでも十分避けられる。

 

 

「な!?躱したですって!?マグレですわ!」

 

 

さらに放たれたレーザーが俺に目掛けて飛んでくるが、()()()に当たるものなどあるわけがない。

 

 

「おいおい、代表候補生の実力とやらはこんなもんか!」

 

 

「!!言ってくれますわね、ルーキー!」

 

 

止まることを知らない射撃、まさにレーザーの雨とでも言うべきか、オルコット嬢は俺がいる位置に正確に撃ってくる。

 

 

「さあ、踊りなさい!わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズが奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

 

 

「あいにくとダンスは教養がなくてな!だから…フリースタイルで踊らせてもらうぜ!」

 

 

スコールの姉貴から制限がかけられてるだけあって、やりきれない感はあるが、訓練だと思えばちょうど良い。

 

 

上空から飛んでくるレーザーを地面に近い位置で避けることによって射線を制限する。

 

 

「くっ!なんで当たりませんの!」

 

 

そろそろ飽きてきたし、俺も前に出るか…

 

 

(白式、武器くれ)

 

『ちょっとだけ待ってすぐに渡すから!』

 

 

えぇ… じゃあちょっとだけくらうか、どうせ後で一次移行して回復するし。

 

 

「くっ!」

 

 

「あら、さっきまでの余裕はどうしましたの?まさかもう限界なんですの?」

 

 

「まだまだぁ!これからが本番だ!」

 

 

そう、これからがね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

試合が始まって10分。

 

 

「ええい!一夏は何をしている!不甲斐ないぞ!」

 

 

「そんな事はないですよ篠ノ之さん。逆にすごいと思います、確か織斑君はISを動かすのは2回目でしたよね?」

 

 

「ああ、そうだ。だが、機体に振り回されているな。」

 

 

ここはAピット。篠ノ之、山田先生、織斑先生が観戦している。

 

 

「しかも織斑、武器を出していないな」

 

 

「あ、確かに!出し方がわからないんでしょうか?」

 

 

「…さあな。だがアイツ、調子には乗ってないようだな」

 

 

「どうしてわかるんですか?」

 

 

「それはな篠ノ之、織斑は調子に乗ると利き手を握ったり開いたりするからだ」

 

 

ちょっと自慢げに話す織斑先生(ブラコン)

 

 

「へえ〜流石ご姉弟!弟さんのことをちゃんと見てるんですね〜!」

 

 

「ま、まあな…」(ブラコン)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ところ戻ってアリーナ

 

 

「あら?さっきまでの余裕はどうしましたの?」

 

 

「オイオイ、初心者にそれは無いんじゃねぇか?」

 

 

『初心者ってなんだっけ…?」』

 

 

なんか相棒からの声が聞こえるが無視だ無視。ていうか早く武器くれ…

 

 

『あ、実は5分くらい前に一次移行の準備は完了してるよ〜』

 

 

(ファ!?じゃあとっととしてくれ!演技に飽きてきた…)

 

 

『はいは〜い。じゃあポチッと』

 

 

え?そんな気の抜けた声で一次移行すんn…うわァァァァァァァ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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試合終了

「な、なんですの!?」

 

 

ほとばしる閃光ーーーー後現れたのは…

 

 

「…俺、参上!なんつってなぁ!本番はこれからだ!」

 

 

「それは一次移行!?まさか貴方、今まで初期設定の機体で戦っていましたの?」

 

 

「まあな、届いたのがついさっきで準備の時間がなかったんだ」

 

 

ま、束さんがいじってたんだろうけど…

 

 

「そうですか、運のいい男ですこと。ですがわたくしは、男には負けられませんわ!お行きなさい、ブルーティアーズ!」

 

 

オルコット嬢の機体から4機のビットが射出され、ビームを放ってきた。

 

 

「おわ!?危な!ちょ、これ避けきれn…ぐっ!」

 

 

勘違いするなよ、演技だからな?

 

 

「これはブルーティアーズに搭載された第3世代兵装、『ブルーティアーズ』ですわ!せいぜい逃げ回ることですわね」

 

 

やっぱ紛らわしいわ!前から気になってたけどどっちがベースなの?ビットの名前がブルーティアーズだから機体にも同じ名前をつけたのか?それともブルーティアーズに載せる初めての第3世代兵装だからブルーティアーズとビットにつけたのか…謎である。

 

 

『一夏、遅くなってごめん!雪片出せるよ!』

 

 

(良いタイミングだ白式!)

 

 

そして俺は、白式の唯一の装備である雪片弐型を出した。

 

 

「なら、せいぜい足掻かせてもらおうか!」

 

 

俺は回避行動を取る。この頃のオルコット嬢は相手の反応が一番遠いところを狙って来るため最初は翻弄されているように動きながら少しずつギアを上げていったらいいと思う。演技俺やっぱ俳優向いてる気がするんだが…

 

 

『バカなこと考えてないで、さっさと避ける!』

 

 

…バカって酷くね?

 

 

「あら?よそ見をしていて良いんですの?」

 

 

「む…」

 

 

ま、まずいぞ〜、いつのまにかブルーティアーズ(ビット)に囲まれてしまったー(棒)

 

 

「わたくしの勝ちのようですわね」

 

 

瞬間、4機のビットからビームが放たれる。

 

 

「今だ!」

 

 

さらにその瞬間、俺は持っていた雪片を…オルコット嬢に向かって投げた。ち、な、み、に、零落白夜は発動させてるぞ♡

 

 

「自分の武器を投げたですって⁉︎」

 

 

オルコット嬢のビームが当たるのが先か、俺の投げた雪片が当たるのが先か。

 

 

そしてーーーーーーーーー

 

 

『セシリア・オルコット、ブルーティアーズ、シールドエネルギーエンプティ!勝者、織斑一夏!』

 

 

 

 

「わ、わたくし…は、負けましたの…?」

 

 

そう言ってオルコット嬢は気絶したらしく自由落下を始めた…じゃねえ!

 

 

「やっば、間に合え!」

 

 

「「「キャ〜!」」」

 

 

オルコット嬢が地面に激突する寸前観客席から悲鳴が聞こえた。今助けようとしてんだよ…

 

 

「間に合った!…全く、世話の焼けるお嬢様だ」

 

 

落ちてきたオルコット嬢を抱えている俺だがティアーズの角ばった部分とかのせいで持ちにくい。…IS纏ってるから落下ダメージなんてないでしょっていう意見は俺の独断と偏見で却下する。

 

 

そして俺はオルコット嬢を抱えたままピットへ戻った。

 

 

 

 

「織斑一夏帰還しました。オルコット嬢を医務室に運んであげてください」

 

 

「勿論だ。山田先生、篠ノ之と一緒にオルコット嬢を医務室にに連れてってやってくれ」

 

 

「分かりました。じゃあ篠ノ之さん、行きましょうか」

 

 

「な、何故私もなんですか!」

 

 

「篠ノ之、ここは関係者以外立ち入り禁止だった筈だ。今までは見逃していたが流石に目に余る。その罰だ、分かったな?」

 

 

おお、姉さんが理不尽なこと言ってない。若干機嫌が良いからか?

 

 

「ですが!「箒、頼むよ」…一夏… 一夏の頼みとあっては仕方ないな///」

 

 

これはオルコット嬢もチョロインを譲らないといけないレベルだろう

 

 

「さて、2人も行ったことだ。改めて一夏、良い試合だったぞ」

 

 

これはプライベートモードか?

 

 

「ありがとう姉さん。でもマグレだ、一次移行のタイミングが良すぎたからな。じゃなきゃ初心者が代表候補生に勝てるわけがない」

 

 

これは事実だ。いや、完封勝利出来るよ?でも初心者としては満点の回答のはず…

 

 

「まあそれもそうだが、まさか雪片を投げるとは思わなかったぞ?」

 

 

うぐっ!そこ突かれると厳しいな。世界最強が使ってた武器投げたんだから…

 

 

「いやぁ、相手はビームめっちゃ撃ってて近づけなかったから仕方なく…」

 

 

「まあ良いだろう。それよりも、お前に言っておくことがある。単一能力(ワンオフアビリティー)についてだ」

 

「単一能力?」

 

 

「ああそれはーーーー」

 

 

長くなるんで割愛。まあみんな知ってるだろ。ぶっちゃけ必殺ワザだ、一撃必殺の方の。

 

 

 

 

自室にて

 

 

「なあ白式、なんであの事言ってくれなかったんだよ?」

 

 

『そ、それは…』

 

 

ちなみにあの時とは…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

遡る事、お互いの攻撃が当たろうとした時の事

 

 

『あ、一夏そういえばね。機体なんだけど最初から雪羅の武装使えるようにしておいたよ〜』

 

 

………は?…え、ちょ、h a?

 

 

『だ〜か〜ら〜、一次移行を雪羅にしたんだって。流石に王理にするのはは『EOS』が無いから無理だったけど 』

 

 

そういう事は早く言ってくれ!

 

 

「ああもう!『雪羅」展開!シールドモード!」

 

 

左腕に多機能武装腕『雪羅』を即座に展開してエネルギーシールドを張る。

 

 

「キャア!!」

 

 

「グッ…!あっぶね、ギリギリ耐えたか…零落白夜でエネルギーバカ食いしてたから一瞬しか展開出来なかったが、セーフだな」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

こんな感じである。

 

 

『それは私がこの子にさせました』

 

 

あん?この声は…

 

 

「白騎士か。どうした、俺の言葉だけでは信用できなかったか?」

 

 

『…端的に言うとそうでした。が、貴方の戦いは信用に足るものであったため武装のロックを解除させました」

 

 

「信用?どこが?』

 

 

「貴方が雪片を投げた時、ブルーティアーズの本体を狙わずに足の装甲を狙っていました」

 

 

チッ…バレたか。

 

 

「ソレがどうした?」

 

 

「織斑一夏、貴方はまだ、()()()()()が出来ていませんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




試合後


「では織斑、ISを解除しろ」


「はい」

そう行って俺は白式を解除した。待機形態は1回目のガントレットではなく、十字架の首飾りだった。


「それがお前のISの待機形態だ。これから共に戦う相棒だからな、大事にしろよ」


…十字架、任務で違法研究所などを人間ごと潰してきた俺にはちょうど良いじゃないか。白式は俺に、罪を背負って生きろって言っているのか…





『な訳ないじゃん。ガントレットだと蒸れるでしょ?首飾りにした方が楽そうだったし…十字架ってかっこいいじゃん?』


お前の趣味か!?今俺感傷的でシリアスな雰囲気出してたんだから察してくれよ…台無しだ…

あ、蒸れは凄かったからお気遣いはどうも。


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決定〜報告 オータム…スマン…

「では一年一組の代表は織斑君で決まりですね」

 

 

……ん?

 

 

「うんうん!やっぱり世界に唯一の男子がいるんだからこうじゃなくっちゃ!」

 

 

は?

 

 

「私たちは経験が積める。他のクラスの子情報が売れる。一粒で二度美味しい!」

 

 

聞き間違いであってほしい…

 

 

「先生、質問いいですか?」

 

 

まっすぐ伸ばした手。挙手の見本だろう。ていうか俺、この流れ見たことあるんだけど…

 

 

「何ですか、織斑君?」

 

 

う…そんな眩しい笑顔でこっちを見ないでくれ山田先生。言いにくいじゃないか。

 

 

「俺はクラス代表を辞退したはずなのですが、なぜ俺がなっているのでしょうか?」

 

 

「それはでs…「それはだな織斑」…私の出番…」

 

 

あ、姉さん。頼むから山田先生に気を使ってあげて。

 

 

「お前は自分の価値を理解しているだろう?つまりそういうことだ」

 

 

さいですか…要は、俺は世界唯一の男性操縦者で貴重な存在だから誘拐などもってのほかだ。まあ、されたことあるけど…

 

自分の身を自分で守れるくらいには強くなってほしい。そのためには操縦の経験を積むのが一番。というわけで最も経験が積めて実力がつくのは大体のイベントなどの代表として試合をすることになるだろうクラス代表が一番都合がいいと。…め、面倒すぎる。

 

 

「それとオルコットの意見もあったからな。オルコット、発言を許す」

 

 

ん?

 

 

「はい、皆さんこの度は本当に申し訳ありませんでした。わたくしの不用意な発言で、皆さんを不快にさせてしまったこと反省しております。織斑先生にクラス代表の話を持ちかけられましたが、あのような発言をしたわたくしにはその資格はありません」

 

 

何余計なことしてくれてるんですかねぇ!ああ、またあの仕事(パシリ)が起こってしまうのか…これはゆゆしき事態だ。

 

 

「…私は許すよ、オルコットさん」

 

 

「え?」

 

 

「私も!」 「言われた時はムカってしたけどちゃんと謝ってくれてるし」 「そうだね!」

 

 

ここの女子達って心広いよな?普通陰湿ないじめってあるだろ?

 

 

「み、皆さん…ありがとうございます。()()()()も本当に申し訳ございませんでした」

 

 

織斑さん?

 

 

「ああ、他の子達が許すなら俺もいいよ。ていうか俺はそんなに気にしてなかったし」

 

 

「そ、そうですか。お心遣いありがとうございます」

 

 

セシリア・オルコットの境遇は亡国で聞いたから知っている。幼い頃に事故で両親を亡くし、従者に支えられながらも当主として努力してきたらしい。その際、父親が母親に媚びている様子が幼いオルコット嬢に強い印象を与えたのだろう。男は弱い。だから男より上でなくてはならない、そういった考えが自然と身についていたのだろう。まあオルコット嬢だけ事故に巻き込まれていないのは、両親のおかげなのだろうが。

 

 

「話はまとまったな。では授業を始める!」

 

 

「「「はい!」」」

 

 

 

 

〜亡国機業日本支部sideマドカ〜

 

 

おそらく初めましてだろう。私は織斑マドカだ。名前から分かるように織斑一夏、千冬の妹…になるのだろうか?織斑千冬のクローンであるため本物とは言い難いが、血縁関係があることは確かだな。今は亡国機業のモノクローム・アバターに兄さんとともに所属している。

 

 

「M、オータム、Sから連絡が来たけど一緒に話す?」

 

 

今兄さんは亡国の任務としてIS学園に入学している。スコールはたまに連絡をくれれば良いと言っているのにちょこちょこ送ってくる。

 

 

「お、アイツから連絡くるの久しぶりじゃね?」

 

 

私の隣でネットを見ていたオータムがアホなことを言っている。

 

 

「二週間くらい前にもあっただろうオータム。そんなんだから兄さんにいじられるんだ」

 

 

オータムが元から天然なところとアホが相まって兄さんによくいじられている。オータム自身も自覚はしているらしいが治す気がなさそうだ。

 

 

「くっ…反論できねぇ」

 

 

じゃあ直せ。

 

 

「はいはい、じゃれあってないで、つなげるわよ?」

 

 

「ああ」「おう」

 

 

「あー、S聞こえる?」

 

 

『ああ、しっかり聞こえる。ん?他にもいるのか?』

 

 

「私とオータムがいるぞ兄さん」

 

 

『お、マドカか、どうだ、オータムのアホは治ったか?』

 

 

早速すぎるよね兄さん…(こっちが素)

 

 

「ああん!?なんだと一夏!それは直したくても直せねぇ俺への嫌味かオラァ?」

 

 

『お前…自覚あったんだな…なんかゴメン…』

 

 

兄さん楽しそうだな〜私も加わろっかなぁ〜(嘲笑)

 

 

「やめろよ、悲しくなるだろ…」

 

 

「だがオータム、確かこの前[天然女性の魅力をお届け!]という本を買っていたなぁ?」

 

 

「な、なな…マドカ、見てたのか?………チクショーーー!」ダッ!

 

 

あ、逃げた。…フッ…勝った!

 

 

「2人ともあんまりオータムをいじめないで、本当に気にしてるのよ?」

 

 

『「いや、結構面白かったからつい…」』

 

 

ハモった。

 

 

「はあ…マドカ、慰めに行って来て。それからS、報告をお願い」

 

 

仕方ない、行くか。

 

 

「じゃあまたな、兄さん」

 

 

「ああ、またなマドカ。報告だがまずーーー」

 

 

 

 

〜side S(一夏)〜

 

 

自分の部屋で俺は、姉貴に報告をした。

 

 

『なるほどねぇ、ティアーズのデータは取れた?』

 

 

「ああ、遊んでる時にユニコーンでしっかりと」

 

 

セコイと思ったがマドカが乗る予定のサイレント・ゼフィルスの下準備のためだと割り切った。反省はしているが後悔はしていない。

 

 

『じゃあ後でまた送っておいてね。そろそろ切るわ、2人に伝えておくことある?」』

 

 

「そうだな、とりあえずオータムにはスマンと言っておいてくれ。後、今度何か奢るとも。マドカには…まあいい。さっき伝えたからな』

 

 

オータムマジでゴメン。

 

 

『分かったわ、余裕があったら戻って来なさい』

 

 

その一言で心が救われる気がするよ、姉貴…

 

 

「ああ、またな」

 

 

そうして通信を切った。

 

 

「ん?もうこんな時間か。明日は休みだが、寝るか。する事ねえし」

 

 

ーお休みー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまででの原作との変更点


・セシリアの一夏の呼び方が織斑さんに フラグ回避か?

・オータムは天然だった…

・モノクローム・アバターはアットホームな空間です



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授業 黒歴史なんぞ俺は知らん(震)

原作と違う点がドンドン増えていっているので明らかに原作沿いとは言いきれない(泣)これがタグ詐欺か…


4月下旬…といってもスコールの姉貴に連絡してから少ししか経っていない。今日はこれからISを使った授業なんだが、ああ、トラウマと黒歴史が蘇る…

1回目の時、なぜ俺はクレーターなんか作ってしまったんだろうか…

 

 

ガゴッ!!

 

 

「イッタァ!?」

 

 

「何をしている織斑、授業に集中しろ」

 

 

なぜ俺の姉は仮もナノマシンで強化されているはずの俺の体にダメージを与えてくれるのだろうか。

 

 

「ではこれからISを用いた実演をしてもらう。織斑、オルコット、試しに飛んで見せろ」

 

 

「「はい」」

 

 

(行くぞ白式。見世物みたいであまり気乗りはしないけど、我慢してくれ)

 

 

『……』

 

 

(ん?白式?)

 

 

『…zzz』

 

 

(…ISのコア人格も睡眠て取ることあるんだな)

 

 

まあいいや展開したら起きるだろうし。

 

 

『流石に起こすのは可哀想なので今回は私がサポートします』

 

 

(白騎士か、いいのか?お前は俺のISではないのに…)

 

 

『何を言ってるんですか貴方は。私は前から貴方をマスターとして認めていますよ?』

 

 

(は?)

 

 

『言いにくいのですが…少し前に私とこの子でマスターの記憶を見ていまして、始まりから終わり、さらなる始まりから今までを見たのです」

 

 

(勝手になにしてくれてるんですかねー。まあ見られて困る事ないからいいけど)

 

 

『なのでこれからは2人でマスターをサポートしていきます。改めてよろしくお願いしますね』

 

 

(おう、よろしくな)

 

 

『…まだ言う時ではありませんね。本物の亡霊になるために優しさを捨てなければいけないことは』

 

 

(ん?なんか言ったか)

 

 

『いえ、それよりも…』

 

 

「何をしている織斑、熟練された操縦者は1秒もかからないぞ。現にオルコットは既に展開している」

 

 

相変わらず、()()()()は優秀だな。…そう、フラグ回避出来たと思った俺であったが、先日本人から「あ、あの…よろしければセシリアとお呼び下さい。オルコットではその、他人行儀ですので…」と言われた。上目づかいで言われたら流石に勝てんわ…さらに言ってしまえばなんであの時俺は「ああ、じゃあ俺も一夏でいいぜ!」とか言ったんだろう…悪化させただけではないか…

 

 

そして展開。展開すると少し浮くためジャンプしてから展開するようにしている。ちなみに0.7秒。手加減は忘れない。

 

 

「よし、2人とも展開したな。では飛べ、200メートルほどでいいだろう」

 

 

2人同時に飛ぶ。速度もセシリアに合わせてある。初っ端から瞬時加速(イグニッション・ブースト)で行っても良かったかもな。

 

 

「何をしている織斑、スペック上では白式の方が上だぞ」

 

 

そうは言ってもね姉さん、俺表向きではまだISに乗って数回目くらいなんだけど…まあ姉さんは、自分が出来るのだから周りも出来るだろうという考え方を持っているから仕方ないが…

まあ究極の人間を目標として作られた俺たちに出来ることが束さん以外の()()()()()に出来るかって言われたら、実際に無理なんだけどさ。てか俺に関してはもはや人間とは呼べねえけど…

 

 

「フフッ、焦る必要はないですわよ一夏さん」

 

 

「ああ、分かってはいるつもりなんだが、意外と難しくてな…」

 

 

謙虚に生きてもいい事ないってボス言ってたなぁ…

 

 

「一夏さんは上達が早いから大丈夫ですわよ。そういえば、わたくしがISに乗り始めた頃は、上手くイメージできなくて墜落しかけたりしましたが、一夏さんはどんなイメージで飛んでいるので?」

 

 

イメージか、そりゃもちろん立ち上がれ!僕の分身、ライド!って違うこれは高等なイメージだ。出来たらヤバい…

 

 

「そうだなぁ、俺は小さい頃に見たロボット系の番組だな、スラスター吹かすとかは参考になるし」

 

 

「ロボットですか…確かにイメージしやすいですわね」

 

 

映画でいくとトランスフォーマー、パシフィックリム、アニメだと、ガンダム、マクロス、クロスアンジュ、コードギアスとかだな。

 

 

「一夏!何をしている!とっとと降りてこい!」

 

通信で箒の声が聞こえたから下を見ると、山田先生から奪ったらしい通信機を使ったようだ。あ、姉さんに殴られた。

 

 

「全く、箒さんにも困ったものですわね」

 

 

そう言うセシリアの顔は少し笑っていた。どうやら、箒とセシリアは無事に友人関係になれたらしい。まあ恋敵ってのもあると思うけど…

 

 

「織斑、オルコット、急下降と完全停止をやってみろ、目標は地表10センチだ」

 

 

「「了解(ですわ)」」

 

 

「では一夏さん私が先にやって見せるので無理せずににやってみてくださいまし」

 

 

なんか急に優しさが増したな、1回目もこうだったらなぁ…

 

 

『記憶を見た限りではなかなかに悲惨な目に遭っていましたね』

 

 

(ああまあな、今回はないと信じたい…)

 

 

『お疲れ様です』

 

 

お、セシリアは難なくクリアか。学年主席は伊達じゃないか。

 

 

あ、そうだ。

 

 

俺も始めよう。

 

 

せーの、瞬時加速。

 

 

「な!?織斑止まれ!全力でだ!」

 

 

俺は今急下降に瞬時加速を使っている、早いだろ?まあ姉さんが心配しそうだから流石にやめるけど。

 

 

「あ、危ねぇー」

 

 

「…お前達、今ので見習うべきはオルコットだ。まあ織斑のはいい失敗例だ。今回はうまく行ったが普通はISごと地面に墜落だからな」

 

 

「大丈夫ですか一夏さん!?」

 

 

「ああ、ありがとうセシリア。大丈夫だ」

 

 

「そうですか、良かったですわ。それにしても一夏さん、いつのまにか瞬時加速を習得されましたの?」

 

 

ああ、やっぱそういう風に見えたか。

 

 

「瞬時加速?俺は急下降って言われたから思い切り降りるのかと思ってな」

 

 

「ではあれは偶然…いやですg…「おい一夏何をやっている!昨日私が教えただろう!」…なんですの?」

 

 

()()()ねぇ…擬音ばっかりで意味のわからない説明のどこが教えているなのか擬音なしでご教授願いたいな。なんで俺は1回目の時キレ無かったんだろうか。もうキレても良いと思うんだが…

 

 

「うるさいぞ篠ノ之。さっきから授業妨害ばかりして、大人しくせんか!」

 

 

結局キレたのは姉さんだった。

 

 

「は、はい。すいません!」

 

 

「多少トラブルもあったが次だ。2人とも武装を展開しろ。織斑それくらいは自由にできるようになっているな?」

 

 

「はい、自信は無いですが…」

 

 

嘘です、自信しかありません。

 

 

イメージ、いつも俺とともに戦っていたあの刀。そうお前の銘は…

 

 

雪片弐型

 

 

「ほう、0.55秒か初心者にしてはなかなかの記録だ」

 

 

お、珍しく姉さんがほm…「だがまだ遅い。0.5秒で出せるようになれ」

 

 

「…はい」

 

 

上げかけて落とすんだなぁ。あー、辛い。

 

 

「では次オルコット」

 

 

「はい」

 

 

左手を肩の高さまで上げ真横に突き出す。一瞬の閃光の後、その手にはレーザー式狙撃銃《スターライトmkⅢ》があった。

 

だが。

 

 

「セシリア、多分その気じゃ無いんだろうけど銃を降ろしてくれ。俺も抵抗せざるを得ないんだけど……」

 

 

「え?あっ、も、申し訳ありません一夏さん。そのような気は微塵もありませんわ!ですがわたくしのイメージを固める為に必要でして…」

 

 

そう、セシリアの銃は、位置的関係も相まって、俺の頭部へとその銃口が向けられていた。言ってしまえばここからセシリアを無力化はおろか殺害も出来るが、いつもこのポーズであったし仕方ないな。

 

 

「オルコット、味方に余計な警戒心を与えたくなければそのポーズが無くとも展開できるよう訓練しておけ。展開速度は流石代表候補生と言ったところだがな」

 

 

「っ!はい!」

 

 

うっわ、姉さんが褒めた。珍しい。

 

 

「織斑、今失礼なことを考えなかったか?」

 

 

「そ、そんなわけ無いじゃないですか…」

 

 

「まあいい、オルコット、近接用の武装を展開しろ」

 

 

「その事なのですが…今本国に送っていて使えないのですわ」

 

 

ん?そんな事あったか?

 

 

「何か異常でもあったか?」

 

 

「いえ、先日の一夏さんとの試合では使いませんでしたが、わたくしの近接武装『インターセプター』は近距離戦ではどうしても見劣りしてしまう事に気付きまして。本国の研究所に改良をして貰っているのですわ」

 

 

そうだったのか。なんかセシリア、1回目よりもよく考えてるな。何か心境の変化でもあったんだろうか…?

 

 

『…女性関連は大体貴方が原因だったと思いますが…いえ黙っておきましょう…』

 

 

白騎士が何か言っているがよく聞こえなかった。イヤーナンノコトカワカラナイナー。

 

 

「そうか、確かに自分の弱点を把握しておくのも重要だ。だがオルコット、武装が届き次第報告はしておけよ?」

 

 

「了解しましたわ」

 

 

「うむ。おっともう時間か。今日の授業はここまで!次に遅れるなよ」

 

 

「「「はい!」」」

 

 

やっぱ団結力ありスギィ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




〜???〜


「やっと着いた。う〜ん、やっぱ変わってないわね日本は。…懐かしい。さて!行きましょうか、アイツ驚くかなぁ」


ツインテールが目立つ小柄な少女は日本に降り立っt「誰が小柄で貧乳ですって!!」…言ってません(by作者)


「あたしは…諦めないからね!」


少女は決意を胸にある人口島へと向かう。


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主役のいないパーティーって楽しい?

一夏「おい作者、今回こんなに時間をかけておいて文が短過ぎる理由を3行で答えろ。出来なかったらユニコーンのビームマグナムの的だ」
作者「3行!?的!?ちょ待ってください一夏さん!最近ただでさえガンダムオンラインでユニコーンの溶かされてんのにこんな仕打ちあんまr「5、4、3」あぁー!


大雨で
うちの墓が埋まったので
片付けで投稿出来ませんでした。

皆さま本当に申し訳御座いません!

一夏「む?大丈夫だったのか?」
作者「まだまだ時間はかかりますがぼちぼちやっていこうと家族で判断したので」
一夏「そうか頑張れよ…だがな作者、その前に的の仕事もあるからな」ユニコーン展開
作者「え?」
一夏「4行だっただろ?」
作者「………あぁぁぁ!!」
一夏「さらばだ作者よ」
作者「ストップ!ストップ一夏さん!!それだけh「作者死すべき慈悲はない。ファイア!」くぁwせdrftgyふじこlp…」


一夏「作者は逝っちまったけど更新は頑張るので読者の皆様、駄文ではありますが応援よろしくお願いします」





〜IS学園正面ゲート前〜

 

 

「やっと着いた…全く、分かりにくすぎるでしょうこの地図!あんのジジイ共もうちょいマシな地図よこしなさいっての!まああっちの女共よりかは良いけど…良いけどなんか腹がたつわね!」

 

 

泣く子も黙る丑三つ刻…というわけでもなく夜の7時ごろ。ある少女は新たな生活が待つ地へ足を踏みいれようとしていた。

 

 

「どちら様でしょうか?ここは関係者以外の立ち入りは許可していません」

「ん?ああ、すいません。これ身分証と入学手続き書です」

「…中国代表候補生!?し、失礼致しました!今すぐに案内の者を連れてきます」

 

 

正面ゲート前の警備をしていた男は受け取った物とその身分を知り、慌てふためく。

 

 

「あはは、そんなにかしこまらないでください。こっちは年下ですし」

「お気遣い感謝致します。しかし、仕事ですので」

 

 

この男は最近珍しいタイプの女尊男卑の影響をあまり受けていないタイプである。余談だが仕事に実直なタイプで堅苦しい物言いだが裏ではIS学園の(結婚できていない)一部の教師に人気だったりするが少女の知るところではない。

 

 

「お勤めご苦労様です」

「いえ、おっと、案内の者が来たようです」

 

 

〜side少女〜移動中

 

 

「では行きましょうか。IS学園一年一組担任の山田真耶です。これからよろしくお願いしますね」

「あ、はいお願いします。一年一組の担任ということはあたしは一年一組の所属ですか?」

「そのことなのですが一組には現在、2人も専用機持ちがいまして、平等にするためにおそらく二組か三組に入ることになると思います。四組までありますがすでに日本代表候補生が所属していますから」

 

 

…さっきから思ってたけどこの人、胸大きすぎない!?この脂肪の塊が気になりすぎて話が入ってこないんだけど!!

 

 

「そ、そうですか。分かりました」

 

 

私への当てつけかしら?この人派遣したやつ絶対シバく!もう泣くまでシバいてやる!

 

 

巨乳への怒りを覚えていた少女は通った建物で訓練をしていた少年を見逃していた。

 

 

〜side一夏〜

 

 

「というわけでっ!織斑くんクラス代表決定おめでとう!」

「「「おめでと〜!」」」

 

 

パン、パンパーン。いろんなところから乱射されるクラッカーはほぼ全て俺に向かってきた。こらこら少量とはいえ火薬入ってるんだから人に向かって撃つんじゃありません。

夕食後であるにもかかわらず大量のお菓子が用意されている寮の食堂、一組のメンバーは全員揃っている。ずっと言ってるけど仲良いいな本当に。

ていうか様子を見る限り主役が来る前にはもう始めていたようだが?デジャブか?亡国で俺の誕生日を祝ってくれた「モノクローム・アバター」の男どもも俺が来る前からおっ始めやがって。(モノクローム・アバターは約30名ほどで構成されている)これもう騒ぎたいだけだよなぁ!?

 

 

「お、おう。ありがとな」

 

 

そう入ったものの、俺が代表になるなんて微塵も考えていなかったわけで、全くめでたくないんだが…

 

 

「いや〜世界初の男性操縦者がクラス代表!盛り上がるねぇ〜」

「うんうん!」

「同じクラスでよかった〜!」

「ほんとほんと!」

 

 

…まあ一回目もだったし明らかにちょこちょこといる一組以外の女子たちは気にしないでおこう。他学年の生徒もいるけど気にしないでおこう!何故か俺の死角になりそうな位置に特徴的な水色の髪をしたお調子者が「このすば」の駄女神の花鳥風月やってることも気にしたらいけないよな!!そうだよな!ハハハハハh…

 

 

「人気者だな一夏…」

「勝手に騒いでるだけのこの状況を見て誰が人気者に見えるか箒?」

「知るか…」

 

 

だいぶご立腹のご様子で…。こう言っちゃなんだけどさ?俺やっぱ一度告白されてるじゃん?正直言って恋愛とかはするつもり無いんだけども、こうそういう気持ちがこの人にあったと分かれば今となっちゃ分かりやすいんだよな。1回目の時楯無さんに『祝!』『脱唐変木!』の二つの扇子涙ぐみながら出されるほどにはなったから…

 

 

「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君に特別インタビューしに来ちゃいました〜!」

 

 

…その後の流れは1回目とほぼ同じだから割愛。まあ違う点といえば、パーティーが終わった後は特にハプニングもなく部屋に帰りました。服に付いてた更識製の盗聴器なんてハプニングにも入りません。あ、写真は焼き増ししてもらいました。

 

 

ーお休みー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




少女「絶対シバく!」


〜寮監部屋〜


?「む誰か私の噂をしたな?おそらくあの馬鹿(ウサギ)か一夏だろう」


少女が人知れず世界最強に喧嘩を売ってしまったのは、きっと運が悪かったのだろう。


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再会は陰キャには辛いだけ(作者のこと)

「「転校生?」」

「うん、なんでも中国代表候補生だって噂で」

 

 

代表就任パーティーの次の日のホームルーム前、俺と箒が雑談しているとクラスメイトの鷹月さんが話しかけてきた。

中国の代表候補生、これに当てはまる人間は何人かいると思うが俺は確信を持って言える。鈴だ、と。

 

 

「あら、私の存在を今更ながら危ぶんでの転入かしら」

「「……」」

 

箒と鷹月さんが何か言いたげだが、一概に間違っているともいえない。今年の一年生はイギリス代表候補生、日本代表候補生、男性操縦者となかなかに異例だからな。まあ鈴が中国政府に無理言ってきたんだろうけど。はぁー気まずいなぁ…あんな事言って(詳しくは回想3の話)今更どんな顔して会えばいいのやら…

 

 

『笑えばいいと思うよ』

 

 

白式…お前は何処からそういうネタを仕入れてくるんだ?てか笑えたらこんなに悩んでねえよ…

 

 

「中国の代表候補生か…」

「むっ、そんなに気になるのか?」

「いや…まあそうだな」

「ふん……」

 

おっと、怒らせたか。よく見るとセシリアもちょっと笑みが怖い。まあすぐ戻るだろうしほっといても大丈夫そうだな。

 

「お前、ほかの女子を気にしている余裕があるのか?来月にはもうクラス対抗戦だぞ?」

「そうですわ一夏さん!最近の模擬戦で、私の勝率が下がってきているのはいささか不服ですけど、訓練相手ならこのわたくしセシリア・オルコットが務めますわ!何せ専用機を持っているのはまだクラスでわたくしと一夏さんだけなのですから!」

 

お、おう。グイグイ来るなセシリア

 

「まあ訓練はしっかりしてるし、なんとかするさ」

「そんなことでどうするんですの一夏さん、もっと強気に行きませんと!」

「そうだぞ一夏、男がそんな弱気でどうする」

「織斑くんにはみんなの幸せがかかってるんだよ!」

 

レベルの高い女子3人から迫られ(深い意味はない)思わず身を引くが、プレッシャーすげぇな。

その後はわらわらと集まってきた女子たちに埋め尽くされた。

 

「フリーパス期待してるよ!」

「頑張ってねオリム〜」

「今の所一年生で専用機持ってるのって一組と四組だけだしいけるよ!」

 

 

やいのやいのと騒いでいるがみんな分かってほしい。そろそろチャイムが鳴るので席につかないと織斑先生が来るということを。

 

「その情報古いわよ!」

 

え?と俺以外のクラスの声と考えが一致した。………マジでどうしよう。あえて見ないようにしてるがのほほんさんが「ちょっと様子見て来て」みたいに袖を引っ張ってくる。ちょっと待って、まだ心の準備が。

 

「2組も専用機持ちがクラス代表になったから。そう簡単には優勝できないと思いなさい!」

「鈴…その…久しぶりだな…元気して…たか?」

 

 

「………久しぶりね、一夏!会いたかったわよ!」

「「「「「「誰?」」」」」」

「今日こうやって会えただろ。元気そうだな」

 

平常心だ、俺!

 

「積もる話もたくさんあるし、ちょっと場所変えない?」

 

いかんせん時間が悪い。もうすぐチャイムが鳴ってしまう。

 

「残念だけど、もうチャイムが鳴るから。教室に戻れって。じゃないと織斑先生が来るぞ」

「むぅ…仕方ないわね。じゃあ一夏。また後で会いに来るからね!」

「おう、時間的に昼休みにな」

 

一難去ったか…。

 

 

「鈴のやつ元気そうでなによりだ」

「一夏、今のは誰だ?随分と親しそうだったな。まさか…恋人ではあるまいな…?」

「恋人!?一夏さん、それは本当ですの!?」

「「「どうなの織斑君!?」」」

クラスメイトからの質問の嵐。

 

「前にちょっとあってな。簡単に言うと告白した方と、振った方っていう関係だ」

「「「「「「告白!?振った!?」」」」」」

 

あ、そんなに騒いでると…

 

バシシシシシシィン!

 

「何を騒いでいる!廊下まで聞こえているぞ!チャイムはもうなっている、さっさと席に着かんか!」

 

幸い俺は先に席についていたから殴られなかったけど、これ俺のせいか?…俺のせいだな。フッ…愉悦!

 

バァン!

 

「痛ぁ!?織斑先生、俺なんで殴られたんですか!ちゃんと座ってましたよね!」

「その顔が見ていて不愉快だ。さらに言えばこの騒動はお前が原因だろう?さっき凰がいたぞ」

「うっ…それを言われるとまあそうなんですが…」

 

後者はともかく前者の理由に異議を唱えたい。

 

「全員座ったな?では授業を始める!」

 

 

 

 

〜箒side〜授業中

 

(なんなのだあの子娘は?一夏と親しくして!一夏も何だ。告白?振った?あいつが告白にまともに気づいたとでもいうのか!?)

 

(分からん!後で一夏を問い詰めるしかない!)

 

 

〜セシリアside〜

 

(何なんですのあの人!?一夏さんと仲良くして!…後で問い詰める必要がありますわね!)

 

シャーペンでノートに書いているのはただの円。授業を聞いていないのだ。

 

〜一夏side〜

 

(気まずいな〜、若干というか殆どの女子の視線がこっちに向いてる気がする)

 

まあ、そんなに授業に集中してなかったらねえ?

 

バシィン!バシィン!バシィン!

 

「お前たち、私の授業はそんなにつまらないか?」

「「「「「「す、すいません!」」」」」」

「…はあ。まあいい。大体理由はわかるからな。後で織斑をやるから、今は授業に集中しろ」

「何で!?」

 

 

 

 

〜昼休み〜

 

「授業を終わろう。号令!」

 

この挨拶が終わり、姉さんが教室を出た瞬間に俺は圧殺されるだろう。それを回避するには…

 

「起立!気をつけ!礼!」

「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」

今しかない!

 

 

「一夏(さん)!」

「「「「「「織斑くん!!!」」」」」」

 

みんながこっちに注目する。だがもう時すでにお寿司(遅し)。

 

「な!?」「え!?」

「「「「「「いない!?」」」」」」

 

ふっふっふ。まあ見つけられないだろう。天井に張り付いていたらなぁ!

 

「まだそう遠くには行っていないはず!」「者共!出会え出会え!」

 

武家屋敷かな?

 

「「「「「「おおー!」」」」」」

 

…行ったか。さてとじゃあ食堂に行くか。

 

「何してんのオリム〜(一夏)」

「何!?」

 

下を見ると教室に残っていたであろうのほほんさんと今しがた教室に入って来たであろう鈴が俺を見上げていた。

俺は床に降りて椅子に座る。

 

「いやまあ、今の見たらわかるだろ?」

「「ああ〜」」

 

「で、鈴。取り敢えず食堂に行くか」

「う、うん。そうしましょうか」

「みんな〜、オリム〜いたよ〜」

 

待てのほほんさん、謀ったな!?

 

「あ〜あ、行っちゃった。ほら、あいつらが来ないうちに早く行きましょ」

「行ってしまったからにはしょうがないか。行くか」

 

俺たちは食堂に向けて足を進める。

 

「いつ日本に帰ってきたんだ?」

「つい昨日此処に着いたばかりよ。お陰でまだ眠いわ」

「へぇ。時差ボケか?」

「そんなに中国と此処離れてないでしょ。飛行機なんかしょっちゅう乗るもんじゃないし、疲れただけよ」

「そうか。お、着いたぞ」

「へぇ、此処が食堂ね。なかなか広いじゃない」

 

相変わらず大賑わいだな、食堂は。ん?あれは…

 

「お待ちしておりましたわよ一夏さん?」ニコ ッ



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新たな任務(無理ゲー)

「お待ちしておりましたわよ一夏さん?」ニコッ

 

やあ、みんな大好き一夏だ(自意識過剰)。見ての通りだが俺は今まさにSYU★RA★BA、に襲われている。こういうのには強くないんだよ俺…。

 

「や、やあセシリア。どうしたんだ、こんなところで?」

「あら?お昼休みに昼食を取りに来ることがおかしいですか?」ニコッ

 

あー…すごい屈託のない笑顔なんだけど、それが余計にコワイ。

 

「ちょっとアンタ誰よ?私は今親友との旧交を温めようとしてるんだから!」

「わたくしのことをご存じない?イギリス代表候補生、セシリア・オルコットですわ!旧交を温めるだけでしたら、わたくしが相席しても何の問題もありませんわよね?」

 

鈴さん…火に油を注がないでください。いや、そういう料理してるの見たことあるよ?でも今はその時じゃないだろう…はあ、胃が痛い。

 

「あ、私他の国の候補生の事気にしないのよね。技術系はチェックするんだけど、パイロットにはあんまり興味が無くて…」

 

鈴さぁん!?

 

「なっ…なっ!?」プルプル

「はあ…ほら、もう行くぞ。大人数で食った方が飯はうまい」

 

これで収まって?

 

「まあ、一夏がそういうのなら…」

「興味が…無い〜ですって…フフフ…」

 

セシリア〜帰ってこ〜い。

 

その後は多少いざこざはあったが普通に話をしながら飯を食った。セシリアと鈴は、性格は違いながらも、意気投合したらしい。1回目ではそこまでではなかったと思うけど何故だ?(あなたが鈴さん振ったから恋敵では無くなったからですby作者)

 

うっせぇ作者メタいわ。

 

 

「ふう〜、部屋の掃除でもするか」

 

放課後、いつも通り訓練を終えた俺は部屋へ戻った。

 

「えっと…ああ此処結構ホコリ溜まってるな。あ、此処もだ。掃除機…は借りれないよなぁ。雑巾で我慢するか。いや…姉さんの部屋に行くか。突撃隣のゴミ屋敷ってな」

 

そう思い部屋を出ようとした時、部屋の扉をノックする音が聞こえた。

 

「一夏〜いる?」

 

どうやらこの部屋初のお客様は鈴らしい。

 

「鈴か。鍵は空いてるから入っていいぞ」

「お邪魔しま〜す。結構綺麗じゃないこの部屋。本当に倉庫だったの?」

 

おいおい鈴よ。誰が掃除したと思ってるんだい?

 

「ああ、でもそこまで大変ではなかったしな。あ、鈴来てもらったのに悪いんだが10分…いや15分ほど待ってもらっていいか?」

「あ、なんか用事あった?悪いわね…」

 

用事…いや、家族会議だ。

 

「いや、ちょっと家族会議だ」

「ああ…(千冬さん…安らかに…)」

「あの棚に俺の私物の漫画やら小説やら色々あるからくつろいどいてくれ」

「りょうか〜い。あ、これ借りるわね。アニメ見たけど面白かったし。あ、3期決定おめでとう」

 

お前もアニメ見るんかい。簪の特権かと思ってたわ。

 

「んじゃ、ちょっと行ってくるわ」

「行ってらっしゃ〜い」

 

〜数分後〜

 

「なんじゃァァァァァァァ!!!!!!!この部屋はァァァァァァァ!!!!!!!」

「い、一夏、落ち着け!」

「アンタは当分酒買う小遣いは抜くからなぁ!わかったらとっとと掃除しやがれ!」

「な!?それはあんまりだ!!そんなことしてみろ!私が死ぬぞ!」

「その壊滅的な家事と酒での浪費癖が治るんだったら一回死んでこいこの駄姉がぁ!!」

 

「………あ〜心がぴょんぴょんするんじゃ〜^ ^」

 

解:鈴は強い(メンタルが)

 

 

はっきり言おう。数週間経った。

いや待て、弁解させてくれ。これまでの経緯を含めて。

 

あれからは学校。訓練。スコールの姉貴への報告。姉さんへの説教。学園のネットワークへの侵入。これくらいしかなかったんだ。日常的なことなんて特にいう必要もないだろ?え?侵入の件?もう10回くらいはしてるよ?ここのセキュリティガバすぎるんだって…

 

そんなこんなで俺は今、放課後。箒の剣道の相手をし終わり、トレーニングルームで日課をこなしている。

 

「97…98…99…100。こんなもんか、此処じゃ限界があるな…」

 

学園の器具も悪くはない。けどやっぱ女子用ってのがなぁ…俺には足りない。

 

「お疲れ…てっほどもなさそうね一夏。一応タオルとスポドリ持ってきたけどいる?」

「おう、ありがたくもらっとく」

 

流れるような気遣い。スポドリはぬるめ。やはりこいつはいい嫁になるな」

 

「当たり前でしょ。何年アンタに認めてもらえるように頑張ったと思ってるのよ」

「声に出てたか。ははは、俺にそんなに価値があるとは思えないけどなぁ」

「何言ってんの。世界で1、2を争う価値でしょ、アンタは」

「そうだったな」

「全く、話がそらされた感じがあるけどまあいいわ。来週はクラス対抗戦よ。しっかりしなさい」

 

訂正、良いオカンにもなれる。

 

「まあ楽しみにしててくれ、戦うことになるかもしれないからな」

「かも、じゃないでしょ。戦うまで誰かに倒されるんじゃないわよ」

「へいへい、お前もな」

 

当日何が起こるか知ってる身としては不安しかないんだけどなぁ。

 

「あら?一夏さんに鈴さん。お二人も訓練で?」

「此処にいたのか一夏。日々の精進は良いことだな」

「おう、セシリアに箒、お前たちもか?」

 

この面子が揃うのも久々か…いっつも喧嘩してたなぁ…あの頃は俺が原因だとは微塵も思ってなかった。若気の至りだな、ウンウン。

 

「…胸大きいなぁ」

 

鈴さん聞こえてるから。

 

「わたくし達はお互いに近接と遠距離戦の訓練をしていたんですの。なかなか有意義な時間でしたわ(箒さんの説明は全くわかりませんでしたけど)」

「流石は代表候補生、正確な射撃だった。私も見習うべき点が多くあった(説明は理解できなかったがな)」

 

「そうか、じゃあ俺は此処らで失礼するかな、女子同士積もる話もあるだろうし」

「「そんなこと ありませんわ!/ないぞ!」」

「はいはい、たまにはいいじゃない、この3人で話すっていうのも。女子会、しましょ?」

 

鈴のフォローもあり、俺は簡単にその場から抜け出せた。その時の箒の笑みを俺は見逃さなかった。箒よ、楽しんでこい。お前、女子の友達いなかったからな。

 

箒達を置いて自室へ帰った俺は恒例のスコールへの報告をする。

 

「姉貴、聞こえるか?」

 

『…ザザッ…ええ、聞こえるわよ』

「なんか回線悪くないか?」

『今ちょっと任務で研究所を潰したんだけど、IS用のジャミング装置を作っていたのよ。全く、面倒なことを』

 

おいおい、それって革新的な技術だよな?ISコアを解析できたのか?

 

「それ、大問題だろ…全て消したのか?」

『ええ、データはもらったけど此処の奴らには綺麗さっぱり消えてもらったわ。そういえば、何か報告ある?』

 

おっと、本題を忘れるところだった。

 

「現状は大丈夫なんだが…来週クラス対抗戦があってな…」

『クラス対抗戦といえば…無人機だったかしら?』

「ああ、それでな…ボスに繋ぐことはできる?」

『ボスに?んー…ちょっと待ってね』

 

鈴との試合の最中に乱入してくる無人機は今の世界の技術ではおそらく作れないだろう。それができる人物といえば1人しか思い浮かばない。もしあの人をこちら側に来させることができれば…

 

『S、大丈夫みたいよ。今から繋げるわ。私は今から帰還するから、2人で話してちょうだい』

「了解、ありがとうな姉貴」

 

『Sよ、私だ。』

「お久しぶりです、ボス』

『お前もな。さて、用件はなんだ?クラス対抗戦のことだと聞いたが…』

「はい、そこで乱入してくる無人機なのですが…おそらく篠ノ之束によって作られたものだと考えています」

『ふむ、まあそうであろうな。そのようなものを作れるのは奴以外いないだろう』

「そこで提案なのですが、篠ノ之束をこちら側へスカウトすることはできないでしょうか?」

『ほう、スカウトか。出来ることなら最優先で行いたいが…出来るのか?』

 

ぶっちゃけ多分無理です。

 

「確実に…とは言い難いですが、交渉なら出来ると思います」

『そうか、接触ができるだけでも十分な成果と考えるべきか…ふむ、Sよ、お前個人に新たな任務を与える』

「ハッ!」

『篠ノ之束との接触を最優先で行え。専用機の使用も許す』

 

それは…

 

「亡国として、という意味ですか、了解致しました。S、任務を遂行します」

『うむ、良い成果を期待している』

 

そうしてボスとの通信が終わった。

 

「どうやろうかなぁ… 俺と鈴の戦闘中に乱入してきたし、鈴にユニコーンを見られるわけにはいかないし。…これ無理ゲーじゃね?流石にノーコンテニューは無理か。いやこれ2回目だったわ」

 

白式〜なんかいい方法ないか?

 

『え〜自分で考えてよ〜』

 

お前はそれでも俺の相棒かよ…てか普段お前って何してんの?

 

『え、私?寝てるかお話してるよ〜』

 

誰と?

 

『ユニ子ちゃん』

 

誰!?

 

『ユニコーンだよ〜』

 

ああ…そっか、ISネットワークあるから話せるよな。俺にはまだ無理か…

 

『ユニ子ちゃんまだ恥ずかしいって〜。あんまり使ってもらってないし』

 

恥ずかしいのかよ。すまんなユニコーン。今度刺激的な仕事が待ってるから期待しといてくれ。

 

『頑張る!だって』

 

頼んだぞ。最近調整も出来てないし、なんとかしないとな。

 

『あ、じゃあ私もしてよ。スラスターとか重点的によろしく〜』

 

今日は眠れないかな?




一夏、鈴、セシリアが昼食をとっている頃。

「ええい!一夏はどこだ!そう遠くは行っていないはず…。だがこの人数で探して見つからないとは。…ハッ!まさかあそこに!」

一夏が食堂に行っていることを知らない篠ノ之箒は、全くもって見当違いな方向へ向かって行く。


この後、1組の大多数の女子が、一夏を探し回ることに集中して昼食を取り損ねた事は、当たり前だっただろう。

もちろん、校舎中を走り回っていて、千冬から折檻をくらったことも。数名は喜んでいたようだが…。


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招かれざる客は必然に

俺と鈴との試合当日。分かってたが第一試合は俺 対 鈴。つまりは一組対二組。運営よ、手を抜くなと言いたい。まあ、このころに簪と出会っても白式のことでもめるからある意味助かったんだろうな。なんか絶対的な力でも働いてんのかねぇ、こう、運命的な?

 

『両者フィールドへ出てきてください』

 

おっと、出番か。こんなこと言うのも失礼だが鈴との勝負は楽だからいい。問題は無人機、対策や作戦はばっちりしてあるけどこれが初めての単独任務。初めてのこれで篠ノ之束との接触って、うちの組織ブラックかよ。いや、わかってますって、俺が意見具申したのは。だからこそ失敗はできない。任務のためなら、正々堂々でも真剣勝負でも、なんだってぶち壊してやるさ。どんなに汚くても、卑劣な手段だろうと、俺はもう明るいところの人間じゃない。俺は、今の俺らしくやってやる。なあ?白式、ユニコーン。

 

『もちろん!』

 

『……うん、ユニコーン、頑張る』

 

え?それを問うにはもう時すでにおす……遅し。俺はフィールドへと飛び出していた。

 

「来たわね一夏」

 

俺が所定の位置へ着いたとき、鈴は『甲龍』を纏ってその時を待っていた。正式名称なんだっけ?あ、シェンロンか。いっつもこうりゅうって呼んでたから覚えてなかったな。

 

「悪いな、なにぶん、公式試合は初めてでさ。緊張してたんだ」

「あんたはそんな玉じゃないでしょ。どうせあたしとどう戦うかとか悩んでたんじゃないの?」

「それが出来たらよかったんだけどな。俺はお前のISのこと、名前くらいしかわかんねぇから無理だった」

「あら?悪いことしたわね。あたしはアンタのこと調べさせてもらったわ。おおよそ千冬さんの劣化ってね」

 

あー……すまん鈴。それ無駄になりそう。俺亡国入ってから、いろんな武装で手数揃えるほうに変えたんだよね。一番手になじむのはやっぱ刀か剣だけど。

 

「姉さんは自分の獲物を投げるだなんて暴挙には出ないさ」

「あはは、確かにね。でも、手加減はしないわよ」

 

そうか、でもごめんな鈴。俺は半分以上手を抜かさせてもらうぜ。

 

『それでは両者スタンバイ……スタート!』

 

ビィー!っとなるブザー。その音を皮切りに、両者とも少し距離をとった。

 

そして、お互い自慢の獲物を呼び出し一気に距離を詰める。

 

ガキィン!

 

俺は雪片弐型、鈴は青竜刀で一度打ち合う。

 

「アンタの白式だっけ?あたしの動きについてこれるとはやるじゃない!」

「そこは素直に俺の実力だって言おうぜ?」

「ISに乗り始めてまだ半年もたってないニュービーがなにいってんのよ!」

 

つば競り合いをしていた俺たちだが鈴の力業で俺の雪片が弾かれる。

 

「動きが甘いわよ一夏!」

 

その瞬間、俺は機体を思いっきり右に回転させる。予想していたようにさっきまで俺のいた場所を空気の弾丸が通り過ぎる。

 

「っ!あたしの龍砲を初見でよけるなんて!?アンタいったいどういう神経してんのよ!見えてないはずよ!」

 

そう、鈴の借るIS、『甲龍』は第三世代兵装である『龍砲』を装備している。この兵装は、周りの空間に圧力をかけ、そこに生じている衝撃を打ち出すというもの。簡単に言ってしまえばあの国民的アニメの秘密の道具、空気砲だ。ただしこっちはもっと厄介で、空間に圧力をかけるというのは別に正面に限った話ではない。後ろや上など射角限界がなく、ハイパーセンサーと合わせれば360度どんな方向のでも不可視の弾丸を打ち出せるということだ。

 

「勘だよ。野生の勘ってやつ?」

「知らないわよそんなこと!これなら手加減は必要ないわね。代表候補生の力、見せてあげるわ!」

 

遠慮がなくなった鈴はすごい勢いで猛攻を仕掛けてくる。空中ならではの三次元機動、PICを使いこなした全方位への軸反転、決まった型がない、変則的な斬撃。どれも高い水準でこなしている。

 

(うーん、やっぱ鈴の操作技術って他の人と比べても飛びぬけていた気がするんだけど、俺の気のせいか?白式?)

『他の人たちに埋もれちゃったとこが大きいね。第二世代機で第三世代機にも勝つシャルロット・デュノアや遺伝子強化個体のラウラ・ボーデヴィッヒ。後は生徒会長とか、赤月…じゃなかった、紅椿を手に入れてからの篠ノ之箒とか』

 

だよなぁ、やっぱ周りがおかしいだけだよなぁ。俺なんてもうあの頃はな、毎日訓練という名のリンチだった。

 

『あはは……っ!一夏、右斜め下から衝撃砲!』

 

「あいよっと!」

「アンタ避けすぎ!まだ龍砲まともにくらってないじゃない!」

「なに、必死に訓練しただけだ!」

 

そろそろ、招かれざる客も来る頃だし、そろそろ準備しとくか。

 

「そろそろ決めるぞ!鈴!」

「なによ、楽しい時間はもう終わり?いいじゃない、二年間もほっとかれたあたしの愛もくらわせてあげるわよ!」

 

鈴ってこんなキャラだったか!?まず俺たちは付き合ってないだろ、しかもその言い回しじゃまだお前は俺のことが好きってことに…あ…マジ?

 

「行くぞ鈴!白式!」

『うん!』

 

 

「『零落白夜』」

 

 

「あたしの全力、受け取りなさい!」

 

 

それは一瞬の出来事。二人が交差した瞬間、真上から飛んできたのは衝撃砲ではなく、レーザーでもなく、ビーム兵器。

 

「チッ!間に合わなかったか!あ、鈴は!?」

 

ついにやってきた。世界初の無人機型IS『ゴーレムⅰ』人が入っていないからこその、人型にしては不釣り合いなボディ。全身から出ているコード。まさに機械といったところか。

 

鈴との一騎打ちに勝利した俺は、今の衝撃で絶対防御が発動しISが解除された、気絶状態の鈴を発見する。

 

「鈴!!気絶か、不幸中の幸いか。すぐに運ぼう」

 

ビィー!ビィー!ビィー!

 

学園の緊急用アラームが鳴り響いている。生徒や教師たちは事の重大さを理解したのかパニックになりながらもし必死に逃げる。

 

『一夏!ゴーレムからロックされてる!来るよ!」

 

アリーナの防衛用バリアフィールドを破るほどの兵器を持った敵が、負傷者を抱えている俺をロック、しかも後ろには、いまだパニックになっている生徒たちと避難誘導をしている教師たち。なんで教師たちはISを展開していない!馬鹿か!

 

「くっそ!お構いなしかよ、さすがは束さんだな!興味がない人間はもはや見えてないらしい!」

 

鈴を傷つけないよう必死に動き回る。ゴーレムは固定砲台のようにひたすらこちらに向かってビームをうっている。

 

『織斑君!聞こえますか!こちら山田です!凰さんと通信ができないのですが無事ですか?』

 

山田先生がプライベート・チャンネルで状況報告を促している。

 

『山田先生ですか。凰は最後の一騎打ちとビーム兵器の爆風で今気絶しています。誰でもいいので回収の向かわせてください!』

『わかりました!織斑先生、どうされますか?』

 

指示があるまではやるしかないか。

 

(白式、作戦開始予定開始までは後どのくらいだ?)

『五分くらい?』

 

なんで疑問形なんだよ…

 

 

『織斑君!いまオルコットさんを向かわせています!オルコットさんに牽制射撃を任せますので一緒にピットまで後退してください!』

『了解!』

 

数秒後、セシリアから連絡が来る。

 

『一夏さん!用意が出来ましたわ。こちらへ!』

 

俺は、セシリアの姿を確認すると瞬時加速を使いすぐに移動する。あ、鈴はPICが機能するようにしてあるから問題ない。

 

「セシリア!鈴を頼んだ」

「一夏さん!?頼むって申されましても!」

「あのISにロックされてるのは俺だ!俺がひきつけてるからさっさと行け!鈴を殺したいか!」

 

これは本音だ。こんなところで鈴を失うわけにはいかない。

 

「一夏さん…承知いたしましたわ!ご武運を!」

 

そうしてセシリアは鈴を抱きかかえてピットに向かった。

 

『織斑君!?何してるんですか!早く戻って!』

『山田先生、本人がやるといっているんだ。やらせてみろ』

『ですが!!』

『山田先生、私たちのやるべきことは生徒たちの安全確保だ。優先事項を忘れるな。安心しろ、奴を誰だと思っている?私の弟だ』

 

ありゃりゃ、俺の加わる余地なしにどんどん話がまとまってら。姉さんに関してはあれだな。この間酒分の小遣い抜きにした私怨も混じってる。

 

『とりあえず落ち着いてコーヒーでも飲め。糖分が足りてないからイライラするんだ』

『織斑先生、今入れたの塩ですけど…』

『……』

 

これ聞かなきゃダメか?

 

『わが相棒ながら、恥ずかしい…』

(おわ!白騎士か、すまん…マジですまん)

 

後で無事だったらとどめもさしておかないといけなくなったな。身内の恥は俺が処さなくては。

 

漫才を聞くのが面倒になった俺は、さっきから沈黙を貫いているゴーレムの正面に立つ。

 

(白式、プライベート・チャンネル頼む)

『まっかせて!」…ほい!』

 

お仕事が早くて何よりです。

 

『束さん、俺は束さんの予想よりはるかに成長してる。だから、こいつを帰らせてくれないか?俺は無駄な被害を出したくないんだ』

 

 

…………

 

 

応答はなし。仕方ないか。ついでだからコアもお土産にもらって帰ろう。

 

「敵目標、未確認IS『ゴーレム』。戦闘行動に移る」

 

束さん、アンタがその気なら俺もその気になろう。篠ノ之束、覚悟しておけ。俺は、お前の期待する主人公じゃない。ただの破壊者で、任務を遂行するものだ。

 

プライベート・チャンネルで名乗る。

 

『織斑一夏…いや、コードネーム S 目標を破壊する!』

 



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ユニコーン、展開

組織の一員として俺はゴーレムの前に立つ。

 

「行くぞ!」

 

まずは突撃。正面からゴーレムと相対する。

 

『……』

 

AIなのだろう、機械的な動きで俺を排除しようとゴーレムが動く。

 

「狙いがわかりやすすぎる!見え見えなんだよ!」

 

ゴーレムが行ったのは毎度お馴染みビームの砲撃。正直なところ真っ直ぐにしか飛んでこない攻撃など親の顔より見た。…親なんていないんすけどね〜。

 

そのまま雪片で切り上げ。ただし零落白夜は発動させない。終わってしまうからだ。

 

胴体を切り上げられたゴーレムから電撃が走る。

 

『……!!』

 

ゴーレムは苦痛そうな機械音をあげる。コア人格か?ゴーレムはその大きな腕で俺を掴み、おそらく全力で上に投げ飛ばす。

 

「うおっ!?…っと危ない!…って待てよ!」

 

態勢を立て直しゴーレムの方を向くと、すでに奴はすぐそこまで迫ってきていた。

 

「コイツこんなに機動力あったk…くっ!!」

『…!!……!!』

 

1回目よりもはるかにゴーレムの動きがいい気がする。まさかあのゴーレム、俺の実力に合わせてレベルでも存在してるのか!

 

『一夏!流石に今の私じゃあのゴーレムには着いていけないよ。雪羅の武装を使って!』

「駄目だ!今使うと全体にばれる!それだけは…それだけは絶対に駄目だ!…ぐっ!?」

 

ゴーレムは俺をさらに追撃。でかい腕を使った殴打。白式の性能では耐えきれない。その勢いで俺はIS学園のアリーナを出てしまい、会場まで飛ばされる。

 

『お……ら……くん!!聞こえ………すか!?』

 

山田先生からの通信か?なぜノイズがこんなにも酷い?

 

『あのゴーレムからIS用の通信妨害電波が出てる!多分だけど映像も駄目になってる!』

「何?前はそんなものなかった…。さっきの予想は当たってるみたいだな!」

 

篠ノ之束、そんなものがあるなんて聞いてないぞ。

 

「…いや待て。思ったより好都合か…?」

 

姉さんらは俺の状況が全くわからない。だったら…。

 

「白式!もっと向こうへ行く。耐えてくれるな?」

『任せて!一夏のこと、守ってみせるよ!』

 

流石は相棒、頼もしいな。じゃ、やるか!

 

 

 

 

〜side out〜

 

 

〜side IS学園〜

 

「織斑君との交信途絶!状況が一切分かりません!」

「なんだと?思っていたより事態は深刻か。しかも奴と織斑は外に行ってしまった…街の方に行っていなければ良いが…。教員部隊、まだ準備はできないのか!!」

 

IS学園の司令室では織斑先生や山田先生が中心となり、対応に追われていた。

 

「後10分程で出撃準備が完了します!それまでは織斑君に耐えてもらうしか!」

「織斑はまだISに乗り始めて2ヶ月も経っていない。まさかあの機体があれほどの性能だとはな…。一刻も早く出撃しろ!あのビームの威力、いくら専用機があるといっても長くは持たん!」

 

織斑先生が指揮を取っているが、IS学園のアリーナのバリアが破られるなど想定外のこと。この異常事態に教員のIS部隊といえど反応が遅れることは仕方のないことだろう。

 

「織斑先生!未確認のISがもう一機接近!…あ!?反応消失。恐らくは織斑君との通信が途絶したものと同じ現象だと思われます!」

「もう一機だと!?誰か偵察に行けるものはいないのか!!」

 

阿鼻叫喚。その言葉がこれほど似合う状況がないだろう。

 

「織斑先生!長距離ならばわたくしが行けますわ!どうか、出撃させてくださいませ!」

「オルコットか。行けるのか?」

 

出てきたのはセシリア・オルコット。ブルー・ティアーズならば遠距離機体という特性的に偵察にも向いているのだろう。

 

「凰さんは医務室に運びましたが、何も出来ないということはありません。やってみせますわ!」

「分かった。ただしブルー・ティアーズの限界距離での偵察に徹しろ」

「了解しましたわ。セシリア・オルコット、出撃しますわ!」

 

(頼んだぞ、オルコット。一夏…無事でいてくれ)

 

戦場に出ることのできない織斑千冬には弟の無事を祈ることしかできない…。

 

 

 

〜side out〜

 

〜side一夏〜

 

山田真耶からの未確認IS発見報告の数分前。IS学園より2キロほど離れた海上。

 

「白式。よく耐えてくれたな」

『いやー。めっちゃ疲れたよ〜。あの子の表舞台デビューしちゃう?』

「そうだな。俺が戦闘行動を取らない限り、あちらも手を出してこないしな。やるとするか」

 

『………出番?』

「ああ、そうだ。待たせて悪かったな。ユニコーン」

 

いやぁ、それにしても長かった。ようやくまともにお前を使える。

 

「それじゃあ、白式。お前はしっかり休んでな。後でメンテはしっかりしとくから」

『任せたよ〜。お休み〜』

 

軽い。いや、いつもこんなもんか。

 

白式を解除したことにより、体は自由落下を始めた。

 

「ユニコーン…展開」

 

俺の機体、ユニコーン。レイさんが乗りと趣味で作った機体だが性能は現在存在しているISでトップなんじゃないだろうかっていう機体。ぶっちゃけアニメでも性能凄かったしな。ただ、原作と違う点は、ボディーが黒であるこ…と…?ん?色が白に戻ってる。なんで!?

 

 

『私の自我が芽生えてから…正直…ダサかったから…名前も…色も戻したの』

 

「…………すいませんでした」

 

 

 

 



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状況終了

結果から言うと、瞬殺した。

 

目の前にいるのは手足がないゴーレム。さっきからいろんなパーツから火花が飛び散っている。機能を完全に停止するのも時間の問題だろう。

 

「あっけなかったな。いくら束さんといえど無人機はこの程度か」

 

もうちょっと耐えてくれてもいいと思うんだ。ユニコーンを展開した瞬間にゴーレムのハイパーセンサーで認識できない速度で背後に行ってビームサーベル2本で手足を切り落としただけなのに…。ちょっと脆くない?

 

『ユニコーン、他の子とは性能が違うから仕方ないよ』

 

ああ、ユニコーンお疲れ様。まあ、仕方ないんだけどさ。あんまり楽しくなかった。もうちょっと強いやつとやりたいぜ。おっと、本題に移らないと。

 

「篠ノ之束、聞いているだろう。我々亡国機業は、貴方との同盟を望んでいる。貴方にその気がある…とは思っていないがこの話を聞いてくれるならこのゴーレムに送る座標まで足を運んでいただきたい。相応のもてなしをさせていただこう」

 

こんなもんか。座標データも送ったし戦利品だけもらって帰るか。

 

「まずはコア。当たり前だよなぁ。…もう機能停止させて良いよな?」

 

胸部装甲を無理やり開けてコアを抜き出す。ゴーレムの目に光はもうない。

 

「そういやユニコーン。もう喋るの恥ずかしくないのか?」

 

パーツをモン○ンのごとく剥ぎ取りながら俺はユニコーンに尋ねる。

 

『まだとちょっと…恥ずかしいけど、慣れてきた』

 

「そうか、これからも頼むな」

 

『…うん!』

 

大抵の作業は終わった。あとは、俺だってばれないように隠蔽工作しないと…

 

『そこの所属不明機!武装を捨ててISを解除しなさい!』

 

 

……えぇ。なんでバレたの。ISの反応はゴーレムが出してたやつで阻害され…て…アッ。

 

 

『さっき…コア抜いたから、機能停止しちゃったよ?』

 

 

忘れてたぁ…。ヤバい、今織斑一夏が行方不明とか学園で絶対言われてるだろ。これ姉さん来るパターンじゃね?マジでどうしよう…

 

 

『所属不明機、早くISを解除しなさい。周りでは私の部隊が包囲しています。逃げ場はありません』

 

 

訓練用のラファール・リヴァイヴ10機程度だがあんまり力を見せつけるのもよくない。逃げるのは確定なんだけどさぁ… 織斑一夏の存在どうしよう。

 

 

『やられてたから…持ってくるって言ったら?』

 

 

それでも良いんだけどその後が…いや、それで行こう。

 

 

『私は織斑一夏のいる場所を知っている。貴様らが私を通さないと言うのであれば、私だけ離脱しても良いのだぞ?』

 

 

ボイスチェンジャーを使って聞いてみた。

 

 

『っ!?…そんな分かりやすい嘘が通じるとでも思っているのですか?』

 

 

そっちこそ分かりやすいくらい動揺してんじゃないか。まあ、構うだけ無駄か。

 

俺はスラスター全開で逃げる。

 

 

『な!?速すぎる!追いなさい!アレを逃してはいけないわ!』

 

 

さーて、ユニコーン。俺の遺伝子さえ認識できれば機体は起動できるか?

 

 

『多分できるよ』

 

 

操縦は?

 

 

『頑張る!』

 

 

わかった。じゃあ俺の細胞を含ませたナノマシンを内側に薄く張るからお前は俺があちらに渡ったらステルスで逃げる振り。その後は待機形態に戻ってくれ。

 

 

『じゃあ私から…行くね』

 

 

おう、頼んだぞ相棒。

 

 

『え?…うん!』

 

 

〜side out〜

 

 

〜side教員部隊〜

 

 

学園の訓練機であるラファール・リヴァイヴに乗った教員部隊はあり得ない速さで逃げた所属不明ISを探していた。

 

 

「速度特化型の機体か… 織斑君の姿は確かに見えないけどアレにさらわれたと考えるのが妥当かしら…」

 

「でも本当のことだったら織斑君の位置がわからないままななのでは…」

 

「最初に学園に来たISを倒したのもあのISっぽいですし、案外味方だったんじゃないですか?」

 

 

部隊の間で様々な憶測が飛び交う。

 

 

「ここで考えても仕方ないわ。とりあえず捜索範囲を広げましょう。あのISもあんな速度だと流石にもうエネルギーは残ってないでしょうし。遠くまでは行ってないはず…」

 

その時、

 

 

「ISの反応!近づいて来ます!」

 

「何ですって!?」

 

『約束を…果たしに来たぞ』

 

 

教員部隊の前に現れたのは、織斑一夏を抱えた先ほどのIS。

 

 

「何を考えているのかしら?」

 

『…今はまだ、貴様らの敵になるつもりはないという事だ』

 

()()なのね」

 

『……さらばだ』

 

 

そう言って織斑一夏を渡し姿を消した。

 

 

「戻りましょう。織斑君を届けないと…。織斑先生になんて言われるかしら…」

 

 

教員部隊は何もできず、帰路に着いた。

 

 

〜side out〜

 

 

〜side一夏〜

 

 

作戦は完璧だった。いや、やっぱ学園の教師弱すぎる。まともに戦えるの山田先生と姉さんくらいだろあれ。

逆にあの2人が強すぎるのか?つまり一般の操縦者はあの程度…ISの数が少ないのに一般ってなんだか変だな。

 

「織斑くん大丈夫?って寝てるわよね」

 

「ん…んん?先生…ですよね?」

 

「あら、起きたのね。体は大丈夫?」

 

「あ、はい大丈夫です。俺は…負けたんですね」

 

「仕方ないわよ。まだISに乗り始めて3ヶ月もたってないじゃない。あまり大きな声で言えないけど、今回は織斑先生が無謀だったと思うわ」

 

へえ…。この先生は思ったより使()()()な。てか、ISに乗っててそんな事言ってたら…

 

『部隊長…戻ってきて報告が終わったら話がある。私の部屋でゆっくりと飲もうではないか』

 

「え!?…わかりましたぁ…」

 

南無三。でもその飲み会の後の片付けはどうせ俺なんですね分かります。

 

「ありがとうございます。わざわざ助けてもらって…」

 

「え?いやいやいや!謝るのはこっちよ。出動が遅れたせいで織斑君が戦う羽目になったんだから!」

 

いえ、あの、ゴーレムが来たの理由俺なんで…すいません。とか言えるはずもなく、

 

「は、はあ」

 

下手な相槌しか出なかったよ。マジですいません。

 

『織斑、お前にも話があるからな?』

 

「……はい」

 

 

そんな話をしながら俺たちは学園に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いっくんが亡国機業に入ってたなんてね。全く気づかなかったよ。いっくんの様子からすると箒ちゃんもちーちゃんも気づいてないかもね〜」

 

「あの方が、束様のおっしゃっていたいっくん様ですか。聞いていたよりは随分たくましい方なんですね」

 

「いや〜流石の束さんもびっくりだよ〜。一体いつからISに乗ってたのかな?ISに人が乗ってないのにユニコーンガンダム?が動いてたし。ゴーレムがやられた後も私が見てた事に気づいてたっぽいね〜。束さんがISでわからないことがあるなんてね」

 

「ガンダムって確か、アニメでしたよね?」

 

「そうだよ。アニメの機体って浪漫あるね〜。ISとMSは意外と相性いいかも!だったらナイトメアフレームっていうか武装もいろいろいけるんじゃ…フフフ、アレ作ったやつと会ってみたいね」

 

「束様が他人に興味を…。これは成長を喜ぶべき…?でしょうか。でも危ない方向に進んでる気もします」

 

また1人無駄に頭のいい馬鹿が生まれそうだった。

 

「そういえば束様、亡国機業からの招待。受けるのですか?」

 

「もちっちろ〜ん。ひさびさにいっくんに会いたいし、開発者にも会いたいし、そして何より…」

 

 

「悪い話じゃないしね」



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弱くなった

学園に帰った俺を待っていたのは精密検査だった。いや、おかしいだろ。表向きゴーレムにlやられてユニコーンという正体不明機に運ばれただけなのに。…当たり前だったわ。そして今は…

 

 

「聞いているのか一夏。あの時、何があった?」

 

「聞いてるよ。だからさっきから言ってるだろ?あいつにやられて、海に落ちると思ったらあの白いのに小さい島まで運ばれて、そっから記憶がないって」

 

姉さん直々の事情聴取の途中。まあどうせすぐ終わるさ。なぜなら…

 

 

「それより一夏、体は大丈夫なのか?」

 

「だから大丈夫だって!もはやその言葉の方が多く聞いたわ!ちゃんと事情聴取しろよ!」

 

 

公私混同とはまさにこのことだろう。全く、1回目の時のあの凛々しい姉さんは一体どこへ…

 

 

「いやしかし、お前はそれしかわからないのだろう?それしか情報がないんだ。後は、予想しか出来ない」

 

「予想?どんな?」

 

「……いや、あくまで憶測の域を出ないからな。気にするな(言えない。多分、束が送ってきたなんて言えない。今の一夏ならきっと殴り込んででも説教しに行く気がする)」

 

「そう、じゃあいいや(きっと、俺が束さんに説教しに行くとでも思ってんだろうなぁ)」

 

「ま、まあ一夏、今日は疲れただろう。事情聴取もこれで終わりだ。部屋でゆっくり休むといい。ああ、今回の騒動の事は…」

 

「わかってるよ。流石に言えねえよ。監視も嫌だしな。じゃあ、おやすみ姉さん」

 

「ああ、おやすみ」

 

 

そう言って部屋を出た俺は、自室へと向かって歩く。

 

(お疲れ様、白式、ユニコーン。今日は本当に助かった)

 

『一夏もおつかれ〜!全く、IS使いが荒いね!ユニコちゃんに操縦任せるなんて。ほら』

 

(そう言うなって。あれしか無かったんだ。俺がドジってたからな。てか、ほらって?』

 

 

ほらって言われても、こっちからはお前ら見えないんだけどな。

 

 

『……zzz』

 

前言撤回。姿はわからないけど、状況は理解した。

 

 

(そうだなぁ。ユニコーンには結構無理をさせたな。お前も休んでていいんだぞ?ユニコーンは無理だけど、白式の簡易なメンテナンスならしとく)

 

『あ〜、じゃあお願いするね。足の部分を特にしっかりやってほしいな。誰かさんが酷使したから』

 

いやマジで悪かったって。

 

(へいへい、お前こそ、人使いが荒い事で)

 

『いいじゃない。もうずっと、一緒に戦ってきたんだし』

 

(…そうだな。これからも頼むぞ相棒)

 

 

まだまだお前を酷使する予定なんだからな。

 

 

『そういえば一夏、結構距離があったし私も寝てたから微かにだけど、遠くからこっちを見てた奴がいるよ』

 

 

(何!?誰か分かるか?)

 

 

不味い、さっきよりももっと不味い。人によっては…消さなくちゃいけなくなる。

 

 

『ごめん、ちょっと遠すぎて、見えなかった…』

 

(そうか、いやいい。それがわかっただけでも十分か)

 

 

まさか()()が…。早急に報告しないと…

 

 

俺は足早に自室に戻った。

 

 

 

〜side out〜

 

 

〜sideセシリア・オルコット〜

 

 

他の部屋とは全てが違う。天幕付きのベッドがある部屋、ベッドの傍には、場違いな寝袋が1つ。現在の部屋の主であるセシリアにスペースを奪われた被害者のものである。その部屋のシャワールームでは、セシリア・オルコットがシャワーを浴びていた。

 

(一体あれは何だったんですの?)

 

 

自分の意中の相手が突然、あの角付きの白いISを纏った。かと思えば、瞬く間に黒い所属不明機を倒し、学園の教員部隊に囲まれた。

 

 

(わたくしは、遠距離からの観察だけに徹して正解だったかもしれません…もしあんなのが…)

 

 

想像するだけで恐ろしい。あれが無人機で無ければ、きっと、中の人は死んでいた。そう言う点では楽観的に見える。問題は、ISに乗り始めてまだ数ヶ月の人間があの超人じみた動きをし無人機を倒した事。そして…2つ目の専用機を所持している事だ。

 

 

(一夏さんはいったい、何者なんでしょうか。でも、そのあと()()()()()()()()あのISが動いていましたし… 織斑先生には報告内容を絞りましたがなんだか今になって正解な気がしてきましたわ。本人に直接聞くのもありですけど、触れたら不味い話な気がします…)

 

 

この時のセシリアにとって一番良かった事は、見たことをそのまま織斑先生に報告しなかったことだろう。もしそんなことをしていれば、命があったかも危うい。

 

 

(英国貴族としてのプライドを忘れたわけではありませんが、わたくしはまだ、死にたくありませんわ)

 

 

セシリアの知らぬところで、命が助かった。

 

 

〜side out〜

 

 

〜side 一夏〜

 

 

「はい、はい接触に成功。交渉にも応じてもらいました。え?ああ、ちょっと一悶着ありましたが大丈夫ですよ。あるとすれば、俺の事を当分見張っていた何者かがいた事です」

 

『む、お前の言う奴らか?』

 

「いえ、私の知っている奴らは気づかれるような事はしないと思います。今のところ織斑千冬にも伝わっている感じはありませんし、大丈夫でしょう」

 

『そうか、まあ警戒はしておけ。ではまた任務があれば追って伝える。ではな』

 

「ハッ!」

 

 

報告が終わり、することがなくなった。部屋ですることがないっていうのもなかなか平和なもんだな。あ、明日鈴の見舞いに行かないと…。

 

コンコン

 

部屋の扉を叩く音がする。

 

 

「どなたですか?」

 

 

「あたしよ、一夏」

 

鈴の声だ。

 

「ああ、開けてるから入っていいぞ」

 

「じゃあ遠慮なく、失礼するわね」

 

 

いつもの制服姿で入ってきた鈴だが、その見た目には傷などは見当たらない。よかった。

 

 

「鈴、体は大丈夫か?セシリアに渡した時は傷とか見えなかったが…」

 

「大丈夫よ、そんな柔な鍛え方してないから。代表候補生舐めないでよね。…アンタこそ大丈夫なの?あ、座らせてもらうわ」

 

そう言って俺のベッド、俺の横に腰掛ける鈴。心なしか距離が近い。

 

「俺も問題ないな。運が良かったらしい」

 

「そう、流石ね一夏。あたしも気絶してなかったらなぁ。結局試合もあやふやだし」

 

「お互い無事なんだからそれでいいじゃねえか。こっちだってヒヤヒヤしたぞ。お前を抱えてんのにあの野郎御構い無しにビームなんか撃ってきやがって…」

 

それに関しては嘘偽りのない本音だ。まあ、胸がない分被弾面積も少ないってことだな。

 

 

「なんか失礼なこと考えたでしょ?」

 

「いやいや全く」

 

「…まああたしが傷物になったら、一夏に責任とってもらうだけなんだから」

 

 

責任ねぇ…ん!?

 

 

「は!?どういうこと?」

 

「言葉通りよ。全く、何度も言わせないでよね。…一夏、あの時言ったじゃない。【俺には、鈴を守る力がない】って。でも、今はどう?試合の勝敗はついてないけど。あの時あたしは完全にISが解除されてた。つまりはあたしの負けよ。悔しいけどね」

 

 

だから…何だっていうんだ…

 

 

「代表候補生の、しかもあたしを倒すほど力をつけた一夏なら…私を守ってくれる?」

 

 

…可愛いな鈴。なんかちょっとあざとくなった気がする。

 

 

「そういう言い方はちょっと卑怯だろ」

 

「こんな言い方しないと一夏は捕まらないわ。言ったでしょ?あたしほどのいい女振ったこと、後悔させてあげるって」

 

 

ハハハ、全く。()()鈴に負けないほど、お前もいい女だな。本当に、俺にはもったいない女だよ。

 

 

「…え、一夏?」

 

 

気がつくと俺は泣いていた。

 

 

「ホントに…ずるいなぁ。そんなに言われたら、受け入れたくなっちまう」

 

「え?じゃ、じゃあ?」

 

「でも、ごめんな。後…後、1年待ってくれないか?それまでには、俺は全て、終わらせるから」

 

今すぐに、NOって言えない俺は、私情に流されるような俺は、本当に弱くなった。まだ、1回目。目の前に見えることで精一杯だった俺の方が、よっぽど強かった。

 

「……」

 

 

「ごめんなぁ、今すぐに答えが出せない弱い俺で。こんなんじゃ、鈴に失望されるな。すまん少し風に当たってくる」

 

 

部屋を出ようとした俺に、抱きつくような感触。

 

 

「バカ!本当に、バカ… 人間誰だって、泣きたい時くらいあるわよ!そんなことで失望するほど、あたしの気持ちは浅くないわ!一夏が何を抱えてるか、あたしは理解してあげられないけど、それでもこうやって側にいてあげることは出来る!1年?そんな短くなくても、何年でも待ってやるわ!」

 

 

…ごめんな、鈴。そして…ありがとう。

 

「ありがとう、鈴。本当に、本当に。だからさ、ごめん」

 

トンッ

 

「え…いち…か…」

 

 

ちゃんと気絶したらしい。さて、部屋に送らないとな。

 

 

『本当にそれで良かったの?』

 

(白式か、良いんだよ。そうじゃないと、そうじゃないと俺は… いや、なんでもない)

 

『……一夏がいいなら、良いんだけど…今の一夏、凄い辛そうだよ』

 

 

言わないでくれ。分かってるから、だから、聞きたくないんだ。

 

 

「すまん、鈴を送ったら、俺はもう寝る。この顔じゃあ、もう人には見せられんからな」

 

 

そして俺は鈴を部屋まで運んで、同室のティナ・ハミルトンに遊び疲れて寝たって説明して鈴を引き取ってもらった。

そんで部屋に戻った俺は速攻寝ることにした。

 

 

じゃあ、お休み。




まずいですよ!鈴さんメインヒロインルート突っ切っちゃってますよ!…どうしましょうこれ…


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俺の望む未来のために そうだ、倉持に行こう!

最近は、興が乗っててめっちゃかけるんですよね〜。




鈴と話をした翌日。学校は休みになった。おそらく昨日の事件のあと処理なんだろう。まあゴーレムのパーツはほとんど回収したし学園側にできることといえば破壊されたアリーナの修復程度。俺が出来る事もないだろう。今日は金曜日だから、実質3連休だ。

 

まあ今日はユニコーンの整備を頼みに倉持技研に行くんだけど。ほとんど動かしてないとはいえ、コア人格に無理やり機体を動かさせたんだ。何か問題が見受けられてもおかしくない。

 

グゥ〜…

 

…とりあえずは飯だ。学園が休みでも寮の食堂は空いている。俺は教員寮に住んでるから少し歩かないといけないんだけどな。そう考えたら昨日鈴はよくここまで来たな。途中には姉さんの部屋もあるのに。服は…制服でいいか。問題は女子の格好なんだよなぁ。俺がいるのを理解していないのかやたら部屋着やらラフな格好で歩き回っていたりする。今となっては、俺は別にどうも思わないがそれで被害を被るのは結局俺なんだから気をつけてほしい。

 

 

「あ、織斑くん。おはようございます」

 

 

部屋から出ると、スーツ姿で少しクマが見える山田先生。後処理ホントにお疲れ様です。

 

 

「おはようございます山田先生これから仕事ですか?」

 

「ええ、でもその前に織斑くんにお話があるんです」

 

 

話?事情聴取は終わったし、守秘義務も守ると姉さんに言ったし、なんかあったか?

 

 

「話?何ですか?」

 

「引っ越しです」

 

 

は?

 

 

「は?」

 

 

「実は、今度入ってくる転校生がちょっと特殊な事情があって、政府の方から織斑くんと相部屋にしろと言われまして…何で、部屋は生徒寮の方に移動。2人部屋です。あ、これその部屋の鍵です」

 

チャリン…と渡された俺の新しい部屋の鍵。てか転校生?シャルやラウラはもうちょっと先だと思うんだが…

 

 

「部屋の移動は別にいいんですけど… 転校生って言っても女子でしょう?男女を相部屋にするのは問題があるんじゃないですか?」

 

「私も話を聞いた時はそう思ったんですが…織斑くんなら大丈夫そうですね。まだ他生徒には言わないでくださいね。実は、新しい男性操縦者が来るんです。だから…」

 

 

はいシャル決定。

 

 

「俺の部屋では2人部屋に入って小さいし、他に空いている場所といえば生徒寮。しかも貴重である男を隔離するには相部屋にするべき、と…」

 

「え、ええ。大まかにはその通りです。だから、処理するのに大分時間がかかりまして…ちょっと寝不足です」

 

 

あ、目元のクマってそっちなのか。山田先生にはホント頭が上がらない。姉さんの世話もしてもらってるし…

 

 

「お疲れ様です。とりあえず、話はわかりました。もう今から移動しても大丈夫ですか?」

 

「今からですか?大丈夫ですよ。でも、織斑くん朝ごはんはいいんですか?今からやってると間に合いませんけど…」

 

 

飯はどこかで買ってもいいしいいでしょ。俺の腹が許してくれればだけど。

 

 

「今日はもともとISの整備をお願いしに倉持技研に行く予定でしたし、大丈夫ですよ。飯はどこでも買えますから。それに食堂は今女子で溢れてますし、格好が大分ラフなんで行ったらいわれのない誤解を受けます」

 

「ああ… 確かにそうですね。そうだ、女子生徒に織斑くんが引っ越しすること伝えないと。私や織斑先生も言ってるんですけど治らないんですよね。困ったものです」

 

 

まあ、仕方ないよなぁ。

 

 

「あ!もう行かないと。それでは織斑くん。引っ越しお願いしますね」

 

「分かりました。それじゃあ…」

 

 

山田先生は小走りで行ってしまった。揺れるモノが眼福です。ありがとうございます。

 

 

「さて、やるか」

 

 

といっても、荷物といえば大きめの鞄に入れてる着替え、ラノベ、漫画、DVD、パソコン、生活必需品くらいだから、一括で持っていけるな。無理そうだったらユニコーンに量子変換して入れればいい。使い方が雑でスマン。

 

 

10分くらいで荷造りを終え、移動する。途中クラスメイトに出会ったが、事情を説明し、他の生徒たちに話を広めてもらった。格好は普通の服でした。残念ではない、断じて違う。

 

 

「えっと…この部屋だよな?」

 

 

部屋番号はあっているからここだ。昔の苦い経験と痴女に気をつけなくては…

 

コンコン…

 

いなさそうだ。入るか。

 

 

「監視カメラと盗聴器は…は?ないだと?まさか更識にはまだ話が通っていない?嘘だろ…」

 

 

ユニコーンでも調べたが反応なし、万が一を考えて、自分でも探すが特に見つからない。

 

 

「……学園のこと更識に任せて大丈夫なのか?いや、今代の楯無はあの通り、()()としては良くないしな。はぁ… これなら学園の警備は亡国に依頼した方がいいと思うぜ 轡木さん」

 

 

愚痴?を叩きながら荷ほどきをする。箪笥は2つあるからシャルと間違えることもない。男子として入って来るといえど、そういうのには敏感なお年頃な女子には特に気をつけなければいけない。

 

 

「あ、ラノベとか漫画とかどこに置こうか…」

 

 

本棚と言える場所は机に上の教科書を置く場所くらいしかない。そう考えると簪はどこに本類を置いてたんだろうか…

まさか…電子書籍か…?

 

仕方ない。箪笥を詰めて服は2段に収めよう。いやダンボールに詰めて置けばいいか?

 

 

 

〜1時間くらい荷ほどきで悩んだので割愛〜

 

 

「ふう… こんなもんか。ん、もう朝飯は無理か。道中コンビニくらいあるだろ」

 

 

まずはあらかじめ取っておいた外出届け(外泊届け)を提出しに行く。姉さんなら忙しくはないだろうと思いながら職員室へ。

 

 

「失礼します。1年1組の織斑です。織斑先生少し良いですか?」

 

 

やっぱりいた。コーヒー飲んでる。

 

 

「ん?織斑か。どうした?」

 

「昨日のアレでISが壊れてないか心配なので、制作元の倉持に行こうと思うのですがどのくらいかかるかわからないので一応外泊届けも出しにきました」

 

「整備課の話では白式のダメージレベルはそこまで悪くないと聞いているが?」

 

 

俺はその話聞いてないんだけど?

 

 

「こういったら整備課の人たちに悪いんですが、この機体他とは違うじゃないですか。やっぱりこういうのは専門の人達に診てもらう方がいいです」

 

「一理あるな。わかった、外泊を許可しよう。ただ、お前は世界唯一の男性操縦者だ。その点はくれぐれもも気をつけろよ、一夏」

 

 

お、名前呼びだ。珍しい、仕事中に。…ああ、なるほど。

 

 

「ありがとうございます。…部屋に酒おいたから今日はあるだけは飲んでいいぞ姉さん」

 

 

「本当か!?」

 

 

うお!?焦った〜。他の先生がこっち見てるぞ。

 

 

「あ、ああ。でも山田先生も誘ってやれよ。なんかお疲れの様子だったから」

 

「確かに最近の山田くんは忙しそうだったな。わかった。誘っておこう」

 

 

酒が絡むと公私混同関係ないのかねぇ…

 

 

「それでは行ってきます。織斑先生」

 

「ああ、気をつけてな」

 

 

姉さんに挨拶をして、俺は一旦部屋に戻って荷物を持つ。外泊の事はすでにボスには報告済みだし、レイさんや篝火さん達倉持にも伝えてある。とっとと行こう。

 

 

「む、一夏か、今用がなければ剣道に付き合ってくれないか?部活の先輩方は忙しそうだからな」

 

「ああ箒か。スマン、今からISのメンテナンスで制作元に行かないといけないんだ。剣道は今度でいいか?」

 

 

俺が廊下を歩いていると、自主トレをしていたであろう、箒が俺に話しかけてきた。

 

 

「昨日のアレか。いやこっちこそ、無理を言って悪かった。じゃあまた、一夏」

 

「ああ、またな」

 

 

気のせいか?箒がちょっと丸くなったように感じたんだけど… あ、そういやこの時期は俺とのISの訓練でろくに部活に顔を出していなかったんだった。てことは…俺と練習してない分箒にも時間ができて、他人との交流時間が増えたのか!おお、箒が成長してくれて、一夏さん嬉しいよ。

 

 

「この状態が1回目からだったらホントに良かったのにな」

 

 

今となっては照れ隠しやら嫉妬やらだとわかっているから、案外可愛いもんだと思う。まあ、痛いものは痛かったんだけど…

 

少し歩いて駅に到着。まだ時間があるから、コンビニに行く。

 

「さて、弁当は…食う時間ないよなぁ。仕方ない、サンドイッチでも買うか」

 

 

サンドイッチかぁ… サンドイッチ… う、頭が…

 

…俺はなぜここでセシリアのアレを思い出してしてしまったのだろうか。いや待て、アレはサンドイッチの皮を被った劇物だ。うん。

 

 

「織斑…一夏?」

 

 

ん?この声は…?

声がかけられた方を見てみると懐かしい青色の髪で、眼鏡型のディスプレイをかけた少女。ちなみに手には一◯くじが握られている。少し視線を上げればもうクジがなくなっているためおそらく、ラスト◯ン賞だろう。俺ももうちょっとくるのが早ければ…

 

 

「更識簪さんか」

 

「っ… 苗字で呼ばないで。そう呼ばれるの、嫌いだから」

 

 

…この子も()()の被害者だったな。

 

 

「おっと、スマン。…いきなり名前呼びは良くないしな。まあ2人しかいないし呼ばなくてもわかるか」

 

「…まあそれでいい。じゃあ私買うものあるから」

 

 

そんなに一◯クジが欲しいか…。うん、俺も欲しい。ラス◯ワン賞。でも今は …

 

 

「買ったら少し話してもいいか?話がある」

 

「私は無い、とは言わない。わかった」

 

 

 

〜少し経って〜

 

 

「おまたせ。それで話って?」

 

「本当に済まなかった!俺の白式を作ったせいで、君のISが遅れてしまった。なにか、償いをさせて欲しい」

 

 

1回目はなにも聞かされなかったし、今回はレイさんもいるから自分で作らないといけないということはない。けど、これは俺のせいだ。

 

 

「別に気にして無い。たしかに、貴方のISが優先されたのはちょっと思うところがあるけど、今もしっかり作ってもらっているから。償いなんていらない。…ISさえあれば、あの人も」

 

「そうか。本当に済まない」

 

 

やっぱり、姉に対するコンプレックスは健在か…なんとかしてやりたい気持ちはあるが、どうしようか…

 

 

「でもやっぱりちょっと腹がたつから、一発殴らせて」

 

「へ?いやあのちょ…」

 

 

トスッ…

 

 

「これでいい。じゃあ、さよなら」

 

 

めっちゃ弱めのストレート。思ったより織斑一夏への恨みはなかったらしい。簪は手に先ほど貰ったと思われるフィギュアを持っている。てかあれ…

 

 

「ユニコーンガンダム(NTD)じゃないか」

 

 

『…私?』

 

(ああ、ごめんユニコーン。お前のことじゃ無いんだ)

 

 

俺がユニコーン乗って、破壊活動しまくってた事は民間には報道されてないんだな。

 

 

「俺も行くか。てか後、5分しか無いじゃねえか」

 

 

そんなことを言いながら、俺は駅に急いだ。

 

 

飯を買ってないことを完全に忘れて…

 

 



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They are strangers(奴らは変態)

篠ノ之束と篝火ヒカルノの口調が難しい… 喋り方に違和感があるかもしれませんがご了承ください。


「で?どうしてここにいるの?」

 

 

突然の一言でみんなも驚いているかもしれないが大丈夫だ。俺も分かr…

 

割愛

 

 

「俺はISのメンテナンスをしてもらいに行くんだけど、そっちももしかして?」

 

 

予定の駅で降りて倉持へ行こうした俺だったが、改札を出たところで、さっき会った簪に遭遇。この駅で降りるんだったら多分目的地も同じだろう。

 

 

「私はISのテスト。今回のテストをクリアしたら、完成する」

 

「目的地が同じなら、一緒に行かないか?まあ、君がよければだけど」

 

 

てか、一緒に行くしか無いだろ。

 

 

「…分かった。それと、簪でいい。君とか、ちょっと変な感じするから」

 

「じゃあ俺のことも一夏でいい。そういえばさ、簪さんが持ってるの、ユニコーンのラストワン賞だよな?」

 

 

ギラリッ、と簪さんの目が鋭くなった気がする。

 

 

「一夏ってガンダム見るの!?好きな作品は!機体は、キャラは!!」

 

 

すごい、剣幕だ。やっぱ、簪は簪だな。1回目の時、しっかり仕込まれたから今なら趣味という点ではめっちゃ気があう気がする。後、気づいたら俺の漫画やら読んでた鈴もだけど。

 

 

「あ、ああ。とりあえず離れて。近い近い」

 

「え?キャア!ご、ごめんなさい…」

 

 

顔の赤くなった簪…やばい可愛いな。1回目の時はなんで俺は気づけなかったんだろうか、【好き】と言われたことを、アニメが好きって勘違いしたことを。

 

 

「ああ、大丈夫だ。見てない作品も多いんだが、俺は広く好きだからな。好きな機体もキャラも作品ごとにいるんだ」

 

「私はガンダム作品は全部見たし漫画とか小説とかも全部読んだけど一夏と同じかな。まあ強いて言うなら…」

 

 

 

〜ここからは熱いアニメトークが倉持に着くまで延々と続いたので、わからない読者の方もいると思うので割愛〜

 

 

「お、ついたな。ありがとうな簪さん。とても楽しい時間だった」

 

「ふふ、一夏とは良い友達になれそうだよ」

 

 

お、最初より明るくなったな。この時間ちょっとは楯無の事を忘れられたなら良いんだけども…

 

 

「1組の女子の大半が分かるだろうし、関わりやすくなるので言ったら2組の中国代表候補生の鳳鈴音とかもいるからさ。いつでも来たら良い」

 

 

最初の自己紹介で【そこに痺れる】のネタを使った奴らは大体いけるだろ。…クラスの3分の2はいたから。

 

 

「1組って、同士の巣窟?もしかしたら4組にも多いのかな?」

 

 

巣窟って…

 

 

「そういや、簪さんは倉持にどのくらいいるんだ?」

 

「一応、日曜までは泊まるつもり。テストがうまく行くとは限らないし」

 

 

同じ日程だったか。これはまた偶然だな。

 

 

「俺も日曜まではいるから…手伝いがいるんだったら言ってくれ。その時空いてるかはわからないけどな」

 

「うん、分かった。それじゃあ私行くね。またね、一夏」

 

「おう、じゃあな」

 

 

行ったか。さてと、さっきから寒気がするのはなぜかなぁ!?多分あの草むらなんだけども、少し見えてる外側に跳ねてる青い癖毛。楯無ぃ…

 

アンタどうせ仕事サボって簪のストーカーという名の護衛してたんだろ… 虚さん泣くぞコラ。大方簪と仲良くしてる男が気に入らないから、OHANASIしようとしたら俺で、どうしたらいいかわからないからこっち睨んでるってとこか…

 

「さてと、たしか虚さんの番号は… これだよな。使い捨ての番号と匿名で、あの癖毛の写真を撮ってと」

 

SO☆U☆SHI☆N

 

多分これで数分後にはハンター虚が獲物を狩るだろうから、気にせず入るか。

 

 

「アポイントメントはありますでしょうか?」

 

 

ん?この人Phantom corporationの受付の人じゃなかったっけ?

 

 

「これを」

 

 

俺はユニコーンのドッグタグを見せる。

 

 

「拝見いたします。…失礼いたしました。こちらへどうぞ、案内いたします」

 

 

ちょっと冷や汗が見える。俺そんなにやばい存在みたいに思われてんの?

 

 

「ここです。奥の扉にお入りください。では私はこれで…」

 

「ええ、ありがとうございます」

 

「勿体無いお言葉」

 

 

そういうのはもっと幹部に言うべき言葉だと思うんですが…まあいいや。

俺は扉を開ける。

 

 

「やあやあ待っていたよいっくん!久しぶりだね!みんなのアイドル、束さんだよ!」

 

「助けてくれ…兄さん…」

 

 

………気のせいだな。

一回扉を閉めてしまったが、現実だったらどうしようか。レイさん、篝火さんはまだわかる。でも俺には天災が俺の親愛なる妹を抱いてこっちに話しかけて来たように見えたがきっと、きっと気のせいだろう。

 

もう一回開けるか。

 

 

「もういっくん、酷いじゃないか!突然閉めるなんて、束さん悲しいよ!」

 

「篠ノ之束…離せ…」

 

 

こんなにも直視しづらい現実もなかなか無いと思う… 受け止めたくないなぁ…

 

「お、お久しぶりです束さん… まだ、招待の日には早いと思うんですけど?」

 

「面白そうなことがあるのに、束さんが耐えられるとでも思ったのかい?いっくんがここに来るのは、新しい部屋に設置した盗聴器で知ってたからね〜」

 

 

ああ… やけに静かだと思ったわ… そりゃあ、天下の束製なら見つからなくても仕方ない。

 

 

「そうですか… とりあえず、マドカを離してもらってもいいですか?嫌がってますし…」

 

「むぅ〜。他ならぬいっくんの頼みだし、仕方ないなぁ〜。抱き心地良かったのに」

 

 

ぬいぐるみじゃないんだから…

 

 

「ハァ…ハァ… 兄さんありがとう。助かった」

 

「おつかれマドカ」

 

 

目に見えて顔色が悪い。よっぽど嫌だったんだろう。

 

 

「あ〜…ちょっとボスに連絡するんで待ってもらっていいですか?てか、レイさんも黙ってないでちゃんと言ってくださいよ…」

 

「ボスへの連絡は私がしておいたから大丈夫。ボスから好きにさせてやれって言われてたしさ」

 

 

…ボスが言ったんなら仕方ない。スマンなマドカ。お兄ちゃんは権力が一番怖いよ…

 

 

「そうなんですか。他には?」

 

「ついでだからここでこの前の招待の内容も話してこい、だってさ。全く、私はこういうこと向いてないんだけどなぁ」

 

いや、そのノリがあったら大丈夫でしょう。

 

「今ですか。モノクローム・アバターのメンバーいない… 俺とマドカがいたら十分でしたね。まあ、喋るのは基本俺がやりますしその方が束さんも聞いてくれるでしょう。ですよね、束さん?」

 

「ん〜まあ内容によるよね〜。 私今1人じゃないし」

 

「ああ、クロエ・クロニクルですか?遺伝子強化試験体の1人の」

 

 

その時、束さんの目が細くなった。

 

 

「なんで知ってるの?流石のいっくんでも、内容によっては…」

 

「クロエ・クロニクルはちゃんと愛されてていいですね。言ったでしょう?俺はアンタが思ってるほど弱くないし、俺は…」

 

少し言いにくいんだけど…

 

「真っ当な人間の枠からは外れてるんだから」

 

「へぇ… 知ってたの。この事、ちーちゃんは?」

 

 

少し感心したような束さん。

 

 

「知らないですよ。表向き、俺は束さんの思惑通り動いてたんだから。()()試験会場で迷って、()()ISを動かした、不幸な青年なんでね」

 

 

「ほほ〜う。なかなかやるじゃないかいっくん。ちーちゃんでもまだたどり着いてないのに」

 

 

「まあ、俺だけの力じゃないんで。それより、そこで空気になってる篝火さんはどうしたんですか?」

 

 

「空気って、酷いじゃないか織斑一夏君。一応白式を作ったのは私たちなのに。それに私はここの所長だよ?いてもおかしくはないさ」

 

 

ちょっと哀愁漂ってるのは気のせいだな。

 

 

「まあ白式については感謝してますけど、第三世代型ではないですよね?イメージ・インターフェイスを使った武装もないですし、『零落白夜』は燃費が悪いのに後付武装には実弾銃も入らない。第三世代型相応なのは機体性能だけ。白式に文句言われても仕方ないレベルですよ?」

 

「くっ… なかなか言うじゃないか。仕方ないだろう?政府からのお達しだ。織斑千冬の弟にはそれ相応の機体を用意しろって言われたんだから」

 

 

また、弟…か

 

 

「…レイさん、ちょっと日本政府潰してきていいですか?久々にキレちまったよ…」

 

「ちょ!?マジでやめてって!わかるけど、君の言いたいことはわかるけど!」

 

 

こんなに焦るレイさんを見るのも2回目だな。ちなみに1回目は、サイコミュ・ジャックした無線の兵器を構えて追いかけっこした時だ。

 

 

「流石に冗談ですよ。俺もそこまでバカじゃありません」

 

「君の実力なら本当にやりかねないから…やめてくれよ…」

 

「ムムム、いっくんそんなに強いの?」

 

突然の束さん。やっぱ篝火さん空気…

 

 

「篠ノ之博士、2年ほど前から減ってる違法研究所。それを消しているのはほとんど一夏君ですよ」

 

「へぇ〜、うざったらしかったあいつらのほとんどをね〜。流石いっくん!後レーちゃんの機体!」

 

「いや〜、あの篠ノ之博士にお褒めの言葉をいただけるなんて、しかもまさかロマンを同じくする同士だとは!後ほどゆっくり語り合いましょう!」

 

 

へ?この2人仲良いの?…これが世紀末か。まさかとは思うが…

 

 

「私も混ぜてくれよ。そう言うのは得意なんだ!」

 

「お?じゃあひーちゃんも同士!楽しいことになりそうだね!」

 

 

ダメだ。変態は変態を呼ぶらしい… これは俺が交渉するまでもなさそう…

 

 

「束さんが俺等以外に興味関心を持てるようになったのは嬉しいですけど、その…本題いいですか?」

 

 

変態開発者3人がワイワイやってる所に俺は問いかける。

 

 

「ん?あ〜そうだったそうだった。なんだっけ?」

 

「我々、亡国機業に協力してほしい。報酬は、衣食住、安全、設備。そして…俺の体だ」

 



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天災は忘れた頃にやって来る

 

「我々、亡国機業に協力してほしい。報酬は、衣食住、安全、設備。そして…俺の体だ」

 

「いいよ!じゃあこれからよろしくね!」

 

「軽!?」

 

 

俺結構勇気出して言ったんだけど…

 

 

「ちょっと一夏君!君の体も報酬に含まれているなんて、私聞いてないんだけど!?」

 

「私も聞いてないんだけど…兄さん?」

 

 

レイさんとマドカがすごい顔でこっちを見ている。マドカ、素が出てる。

 

 

「いや、今言ったし。篠ノ之束と俺の価値を比べたら妥当っていうか足りないんだけど…」

 

「いやいや、いっくん!君もうちょっと自己評価高くていいと思うよ」

 

 

え、なんで?

 

 

「ていうか束さん、いいんですか?率直に言ってウチって闇組織ですよ?」

 

「うーん。提示された条件はありがたいし、気の合いそうなのもいるし…何より面白そう!」

 

「そうですか、じゃあ…」

 

 

勝ったわ。今じゃなくても後々、束さんは入るし。今引き入れたんだったら多分、ゴーレム襲撃系と『銀の福音』も大丈夫だろう。

 

 

「でも、一個だけ条件がある」

 

「何ですか?」

 

「協力、じゃなくて亡国機業に()()するよ!」

 

 

「「「「……?……………!?!?!?」」」」

 

 

その時、俺に衝撃が走った。

 

「た、束さんが…就職…?嘘だろ… そんなことは束さんが家事ができるようになることくらいありえないと思っていたのに!こ、これは姉さんに報告?いや、待て、今は亡国。ダメだな… ………フフフフフ、ボス…助けてください」

 

「ちょっと!みんなして酷くない!?特にいっくん!たしかに束さんはそういうことは一切できないし、クーちゃんに任せてるから覚える気は無いけども、なんか酷くない!?後、いっくん帰ってきて!!」

 

 

〜数分後〜

 

 

「ええと、分かりました、篠ノ之博士。詳細は追ってお伝えしますが、おそらくボスとの面接は免れないでしょう」

 

「さっきのアレが嘘みたいに… 解せぬ。ていうかいっくんその喋り方無理してるよね?顔が引きつってるよ」

 

「今は仕事中なんです。当たり前でしょう?束さんにはわからないと思いますが」

 

 

全く、これだから天災ニートは。

 

 

「いっくんがスッと毒吐いてくる…」

 

「ただ、ホントにこれだけはお願いしたいんですが、ボスには敬語使ってくださいよ?」

 

「敬…語…?いっくん。ソレ本気で言ってる?」

 

 

束さんがありえないような顔でこちらを見ている。アンタにとって一番無理な言葉だな。

 

「もちろんですよ。束さん、社会に出るにはそれ相応の態度が必要です。それがたとえ表に出ない組織でも、です」

 

「…グハァ!?いっくんが…いっくんが私より大人だ…」

 

「バカなこと言ってないで、面接までに練習してくださいね。俺はもう行きますから。ら、レイさん。ユニコーンの整備お願いします。俺は白式直してくるんで」

 

「ああ、任されたよ。ついでにドリルでもつけるか…」

 

バチィ!!

 

「あ、最近ユニコーンの自我と話せるようになったんで、下手なことしないほうがいいですよ。俺の塗装とか剥がされましたし」

 

「そういうことは早く言って欲しかったよ…今、電撃食らった」

 

 

ユニコーン過激になったな。お兄ちゃん悲しいよ。

 

 

「変なことしようとするからですよ。じゃあ、頼みましたよ」

 

「いっくん、白式なら私が直すよ?なんたって白式は…」

 

「束さんが作ったんですよね?わかってますよ」

 

「むむ、だったら余計にでも私が」

 

 

(白式、どっちにしてもらいたいか、ディスプレイに出してくれ」

 

「いっくん何言ってんの?」

 

 

おっと声に出てたか。

 

 

「束さんあれみてください」

 

「あれ?」

 

 

俺が指差した先には『母様には悪いけど、一夏にしてほしいです。白騎士も同意見です。by白式』と書かれた文字。

 

 

「………」

 

「ね?白式もういいぞ」

 

 

すっと、文字が消える。

 

 

「いっくん…いつのまにコアと会話できるようになったの?」

 

「白式に出会った時に。あ、こいつのコアが白騎士っていうのも知ってますよ。自我はまだいますし、マスターは俺だと認めてもらいました」

 

 

嘘偽りのない言葉、ただ今回。2回目っていうのは伏せる。

 

 

「いっくんがなんでコアと喋れるのか知らないけど、なんか… 娘を取られた気分…」

 

「だいたいあってるんじゃないですか?でも、その娘を俺のところに送り出したのは他ならぬ束さんです。娘の成長を喜ぶべきでは?」

 

 

クロエ・クロニクルもね。

 

 

「…そう…だね。親の知らないところで、娘は成長するんだね。いっくん、ありがとう!」

 

「いえいえ、逆に俺からもありがとうございます。白式と出会えてよかったです。それじゃあ、俺は行きます」

 

「あ、行ってらっしゃい」

 

 

そうして俺は整備課に向かう。束さん、ちょっと泣いてたな…1回目の束さんもあれだけ楽に話せたら良かったのにな。

 

(それにしても白式、俺で良かったのか?専門家に見てもらったほうが良かったんじゃないか?」

 

 

『えへへ〜。出会えて良かった。だって〜白騎士〜』

 

『はいはい、良かったですね。それより、マスターが呼んでますよ』

 

 

…白騎士がしっかりお姉さんしてる件について。

 

 

『ん?ああ、私は今回は一夏がいいよ。なんせ初めてだし、今の状態の母様がやったら、絶対なんか弄りそうだし』

 

(そうか。…いつもありがとな。これからもしっかり酷使するから、頑張ろうな!)

 

『な!?一夏の笑顔がすごい黒い!』

 

『それがもともとの私たちの役目でしょう?全く…』

 

 

白騎士も苦労してんなぁ…

 

そんな会話をしているうちに整備課についた。俺はあらかじめ持っているカードで扉を開ける。

 

 

「お仕事中失礼します。織斑一夏です」

 

「「「…!?」」」

 

 

中にいた数人がこちらに気づいて駆け寄ってくる。なんだなんだ、そんなに慌てて。

 

 

「「「ようこそ、S様!お待ちしておりました!」」」

 

「…………は?」

 

 

誰こいつら?なんで名前知ってんの?ほかの人たちもこっちに気づいて敬礼してるし。え、マジで何?

 

 

「あの、俺のコードネーム知っているのはまあいいです。でもなんでこんなに歓迎されているんですか?」

 

「何を仰いますか!経営難に陥りかけていた我々を、亡国の傘下に入ることですくってくださったのは、他ならぬS様ではありませんか」

 

 

…は?経営難とか初耳なんですけど、しかも救った?いや、技術がそこそこ良かったからボスに提案しただけなんだけど…

 

 

「いや一切そんなつもりはなかったんですけど…」

 

「それでも我々はS様のおかげでこうやって研究ができているんです!本当に、ありがとうございます!」

 

「「「ありがとうございます!」」」

 

「え…ええ、はい。どういたしまして?」

 

 

俺への信頼が厚くて逆に苦しい。隊の下っ端もここまできっちりしてないのに…

 

「ていうか、Sって呼ぶのやめてもらえません?今は、更識簪も来ているんです。よりによって彼女は()()なんですから、余計に気をつけてください。普通に一夏でいいですから」

 

「申し訳ありません。配慮が足りませんでした。それで、本日は何用で?

 

 

おおっと、忘れるとこだった。

 

 

「整備課の施設を貸して欲しいんです。白式のメンテナンスをするんで。ちゃんとできるので大丈夫です。なんならそこら辺の人より十分にできます」

 

 

「分かりました。我々にも出来ることがあれば言ってください」

 

 

まあないと思うけど、特にダメージもないし、軽いメンテで済む。

 

 

「ありがとうございます。でも、更識簪のISを優先させてください。まだ完成してないんです。不具合があったら、楯無に潰されますよ」

 

「それは…勘弁いただきたいですね。分かりました。総動員して更識簪のISを完成させます」

 

 

そして、整備課の奴らは去っていった。

 

 

「やっと行ったか。さて、じゃあ白式。検診とマッサージの時間だ」

 



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静かな蝶の目覚め

それから数時間、俺は白式のメンテナンスをした。やはりというべきか、スラスターの不具合が若干あった。まあ、少し強かったゴーレム相手に白式の性能ではよく頑張ったと言えるが、無茶な使い方したからな。

 

 

『IS使いが荒いね、一夏』

 

「当たり前だ。俺の相棒はこれくらいでくたばったりしないからな」

 

『もちろん!あ、それでさ。一夏は二次移行いつしたい?』

 

 

いつって…え?

 

 

「それは白式のタイミング次第だろ?」

 

『うん?一夏決めていいよ。なんなら今からでもするけど?』

 

 

えぇ… 軽いな〜。一応、二次移行って世界でも発現したの2桁もないはずなんだけど…

 

 

『それは、私達からの呼びかけに操縦者が気づかないからだよ。コアによっては、専用機として初めて乗られた時に気に入って、二次移行のアプローチかけてる子もいるんだから』

 

「二次移行って恋愛でしたっけ?ちなみにそのコアは?」

 

『えっと…確か…あ、銀の福音って名付けられてるね!』

 

 

ナターシャさんか。まああの人は、ISを我が子のように扱っているからな。そりゃあ、福音も懐く。

 

 

「ふ〜ん。じゃあ、コアからの声に気づくにはどうすんの?」

 

『知らない』

 

「え?」

 

『私達は呼びかけるだけ。それに気づくかどうかは、人間次第だよ』

 

 

あー…

 

 

「そうか… 人間はISを道具か、兵器として見てるからな。まさか声があるなんて思わないんだろう。かく言う自分も最初はそうだったし」

 

『まあそんな感じだね〜。で、どうする?』

 

「今はいいよ。早すぎるし、今の性能で困ってない。機体はもうちょっと頑丈にしたいけど…」

 

 

俺の5割くらいの力出したら多分装甲が逝くんだよなぁ…

 

 

『二次移行するときは、頑張ってみるよ…』

 

「ああ、マジで頼む。死活問題だから。じゃあ、メンテナンス終わるからな。どうだ、普通に声を出す気分は?」

 

『いや〜やっぱり良いね!人目を気にせず話せるし、わざわざ、こっちに意識を持ってくる必要もないし』

 

 

持ってくるって表現どうかと思いますよ?

 

「ならよかった。白騎士は?」

 

『白騎士は、表に出て万が一バレたらいけないので、だって』

 

「白騎士らしいな。まあ、白式やユニコーンもいるし退屈はしないだろ」

 

 

PIPI…

 

 

む、着信?誰からだ?

 

 

「はい、もしもし」

 

『あ、一夏?簪です。今大丈夫?』

 

 

簪さんか。そういえば名前を登録してなかったな。あとでしておかないと。

 

 

「今、ISの整備終わったから大丈夫だぞ」

 

『よかった。これから一緒に夜ご飯食べない?私もISが完成して、あとは2日かけてのテストだけなの』

 

 

 

お、ついに完成したのか、打鉄弐式。1回目は俺と()、あと楯無生徒会長の3人で作ったからな。マルチロックシステムはちゃんと搭載されてるだろうか。俺が不用意に歴史を変えたせいで、()()()にまで影響がないだろうか?

 

 

『……一夏?』

 

「…ッ、ああ。じゃあそうさせてもらおうかな。食堂集合でいいか?」

 

 

危ない、また意思が弱くなった…

 

 

『わかった。じゃあ先に行ってるね』

 

「じゃあまた、後で」

 

 

ふぅ…

 

 

「そういえば、俺簪さんと鈴以外のアドレス知らなかったな。聞かれなかったし… まあいいか。行こう」

 

 

この後は、簪さんと夕食をとり、用意されていた部屋の備え付きのシャワーを浴びていつもと違う感触のベッドで寝た。

 

 

 

 

 

 

〜イギリス、とあるIS研究所〜

 

 

「ついてないな〜。外の警戒はスコール達に任せたのはわかるけど、潜入してるのが私だけっていうのはどうなんだろう?」

 

 

誰もいない通路を独り言を呟きながら歩いているのはイギリスの第3世代型ISサイレント・ゼフィルスの奪取の任務についている、コードネームM、織斑マドカだ。

 

 

「今頃、ほかの隊員の野郎どもは酒盛りでもしてるんだろうなぁ… ああ、私も混ざりたい。さっさと終わらせて帰ろう」

 

 

本来の口調とは全く別物だが、あれはキャラである。もう一度、いや何度でも言おう。あれはキャラである。一夏と出会ってから、素を出すことが増えたのか、1人や一夏がいるときは素の口調が多くなっている。

 

 

「反応はあの扉のむこう… あとはISを待機形態にして持ち帰れば終わり。このミッション意外と余裕?」

 

 

プシュー…

 

 

と、あらかじめ研究員から奪っておいたカードキーで、扉を開ける。

 

 

「お〜、綺麗な青。さすが、名前の通り蝶みたいな形状」

 

 

Mの前にあるのは、青いカラーリングで蝶の羽のようなスラスターを持つ、ブルー・ティアーズ型二号機『サイレント・ゼフィルス』である。

 

 

「えっと、待機形態にするには…形状を思い浮かべるんだっけ?」

 

 

正確には違うのだが、まあここで言ってもあまり意味がない。

 

 

「あ、出来た。一応、誰でも使えるように指輪にしたけどよく考えれば指のサイズ、私の人差し指で考えてた…マズイかも」

 

 

普段は凛々しく隊員からも信頼の厚い彼女だが、本質はお兄ちゃん大好きのアホの子。オータムのことを言えないレベルだ。もちろんモノクローム・アバターの隊員達には周知の事実でありよくネタにされるが、それはマドカにいないところで行われる。誰もISにダメージを与えるようなナイフで刺されたくないのだ。

 

 

「ま、まあレイさんに任せたらなんとかなるでしょ…さ〜て、早く帰って開発部に渡そう!スコールに見つかる前に!うん、それがいい!」

 

 

「………」

 

 

何をしているのだろう。それが、侵入者の知らせを受けて緊急出動してきた者の最初の感想である。名はサラ・ウェルキン。イギリスの代表候補生で、IS学園の2年生だ。BT兵器適性が低いため専用機は所持していないが、それを抜きにしても、ほかの代表候補生の中では実力が抜きん出ている。現在はイギリスにたまたま帰って、研究所でISのテストをしていた。学校を休みにし、サラに帰省する時間を与えた一夏様様である。

 

 

「貴女が、侵入者でいいのよね?」

 

 

「ッ!?誰だ!」

 

 

声をかけられやっと自分以外の存在に気づいたM。口調をキャラの方に戻すがもう遅いだろう。

 

 

「貴様、サラ・ウェルキンだな?今はIS学園にいるはず… なぜ?」

 

「たまたま休みが増えて帰って来たのよ」

 

 

まさか、この原因が自分の兄にあるとは、Mは知るわけがない。

 

 

「それより貴女、口調今更よ?さっきの現場見ちゃったし」

 

「なっ!?忘れろ!あれは、ちょっとミスをしただけで…」

 

 

痛いところをつかれたM、マスクをしているのでサラは気づかないが、顔は真っ赤である。

 

 

「さっきの方が可愛いわよ。やってることを抜きにしたらね。さて、侵入者さん、どうやってこの情報を手に入れたのか知らないけど、サイレント・ゼフィルスは返してもらうわよ!」

 

 

そう言ってサラはラファール・リヴァイヴを展開する。装甲、武装共にカスタムのされていない一般機だ。

 

 

「ISだと…?」

 

「いや貴女だってあるんでしょ?こんなところにわざわざ1人で来たんだし」

 

 

そう言われたMは気まずそうに目をそらす。

 

 

「………」

 

「…貴女…まさか…持って来てないの?ISを!?」

 

 

ピクッ…とMの方が跳ねる。図星のようだ。

 

 

「いやいや、そんなことあるわけないでしょ?こんなところにISなんか必要ないよ。うん…決して忘れて来たわけじゃない」

 

「口調戻ってるわよ。あと貴女、忘れたのね…」

 

 

一応、侵入者と防衛という敵対関係なのだが、2人の間には別の意味で気まずい雰囲気が流れる。

 

 

「ま、まあ捕縛しやすいからいいわ。敵じゃなかったら、仲良くなれそうなのにね。残念だわ」

 

「………」

 

 

動かないMにサラは疑問を感じる。

 

「抵抗は無し?その方がいいわ。それじゃあ、獄中で会いましょう」

 

「……今許可が出た」

 

「なんの?」

 

 

Mは仮面越しでもわかるのではないかと思うほどに笑みを浮かべる。

 

 

「私に、このISを与えてくれるそうだ。この意味、わかるな?」

 

「な…それでもフィッティングもパーソナライズもされてないISでまともに戦えるわけないでしょう!しかも貴女は性能も武装も把握してない」

 

「いや、私は知っている。私の…()()に教えてもらったからな。しかも私には適性があるらしい」

 

 

Mは先ほど待機形態にした、サイレント・ゼフィルスを取り出す。

 

 

「嘘…このISはまだどこにも公表してないはず。誰も知っているわけないわ!」

 

「正直なところ、私見聞いただけの話だからちょっとだけ不安がある。だから、今から試そうと思う。あの人も、出会ったばかりのISで、戦ったらしいからな」

 

 

Mは待機形態の指輪を前に突き出す。

 

 

「さあ、やろうじゃないか。サイレント・ゼフィルス!」

 

 

そしてMはゼフィルスを纏う。

 

 

「フィッティングとパーソナライズは戦いながら行えばいい。私のナノマシンも流して、生体データを送ればもっと早く終わるし。武装は…これか」

 

 

Mは主武装の一つである【スターブレイカー】を取り出す。

 

 

(マズイ。乗ったことがないとはいえ、話からIS乗りなのはわかる。第3世代機の火力をまともに受けたら、ラファールじゃ持たない…)

 

 

「へぇ…エネルギー弾と実弾両方あるんだな…。じゃあ、行くぞ!サラ・ウェルキン。ISのテスト代わりだ!」




待機形態は、人間の意思では決める事は出来ず、ISによって異なりますが、一夏のようにISとの相性がいいので、自分の意思で待機形態を決めています。


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決着はあっけなく

キリがいいので今回は短め。


「どうした、避けてばかりでは勝てないぞ!」

 

 

イギリス代表候補生のサラ・ウェルキンと戦闘しているMは大型のライフルである【スターブレイカー】で相手を牽制していた。

 

 

「貴女こそ、第2世代機相手にほとんど当たれてないじゃない。狙撃向いてないんじゃないの?」

 

「普段はラファールでアサルトばっかり撃ってたからな。狙撃も経験はあるが慣れてはいないんだ」

 

 

嘘だ。Mの狙撃の腕は部隊の中でも群を抜いている。ちなみに一夏は戦闘に関してはキチガイだから数えていない。

 

 

「そう、いいことを聞いたわ!だったらスコープばかり覗いてると、痛い目に見るわよ!」

 

 

ズドォン!!

 

 

「いつの間に!?手榴弾なんていつ仕掛ける暇があった!」

 

 

 

「ならば!反撃のすきは与えない!」

 

 

さらに多くなるエネルギー弾。

 

 

「クッ… 慣れてきてる!?被弾が多くなってきた…」

 

 

Mは武装の感覚を掴んできたのか、サラに与えるダメージは多くなってきた。

 

 

「さて、使ってみるか。シールド・ビット!」

 

「なっ!本当にBT適性が…!?」

 

 

ゼフィルスから展開されたシールド・ビット2機が機体の周りを周回している。

 

 

「ッ… 思ったより、くるものがあるな… 短期決戦でいかせてもらう」

 

 

ゼフィルスが【スターブレイカー】を銃剣として使い肉薄する。

 

 

「武装の特性を特性まで把握されてる!マズイ、止めないと!」

 

 

サラは標準装備の一つである【ブレッド・スライサー】を展開。Mと鍔迫り合いになる。

 

 

「一次移行をしてないとはいえ、第三世代機のパワーに抵抗するか… 貴様、なぜその腕で専用機が与えられない?」

 

「生憎と、BT適性が無かったのよ。だから、一号機のブルー・ティアーズのパイロットはセシリアになったの」

 

 

単純な戦闘能力だけでいえば、今のサラは、ラファールでセシリアに勝てる。だが、イギリスはBT兵器を主とした第三世代ISを開発しているためその適性が低いサラは不遇の扱いを受けている。

 

 

「なるほどな、これほどのIS乗りを放っておくとは、イギリスも噂に聞くほど大した上層部ではないらしいな。もったいない。実にもったいない」

 

「あら、今まさに敵対している相手に褒められるのも、案外悪くないわね!」

 

 

サラが一度押し返し、一度お互い距離を取る。

 

 

「むっ…… すまない、通信が来た。少し待ってくれないか?」

 

「貴女ねぇ… 普通敵にそんなこと聞く?」

 

 

ちょっと顔を緩めたMと呆れた顔のサラ。先ほどまで高度な戦闘をしていた2人とは思えない。

 

 

「どうせ、相手になる奴が国家代表くらいしかいなくて退屈しているだろう?あとで存分に相手してやるからちょっと待て」

 

「うぅ…なんでわかるのよ…」

 

 

落ち込み出したサラをほっといて、Mは通信を始める。

 

 

『もしもし、M。そっちはどう?そろそろはサラ・ウェルキンは倒せたかしら?』

 

「すまない、思ったよりも苦戦していてな。今は落ち込んでるから問題ない」

 

『…ちょっと何があったかわからないけど、まあいいわ。それにしても、サラ・ウェルキン強いのね。誘ってみたら?』

 

 

スコールからのまさかの言葉に、Mが驚く。

 

 

「コイツを、か?私はいいが、ボスや一夏は大丈夫なのか?」

 

『ボスからは、良い人材はどんどん勧誘しろって言われてるから良いわよ。で、M的にはどう?』

 

「…正直なところ、専用機があれば今の私よりも強い。イギリスでも幸いコイツの才能を持て余しているらしいしなちょっとやってみる」

 

「ちょ、ちょっとなんの話してるのよ?私のこと?」

 

 

サラは何事かとMを見ているが、しっしと手を振られている始末。

 

 

『じゃ、よろしくね。勧誘が無理だったら殺して良いから。ちゃんと帰って来なさいよ。じゃないと、また()()乗らせるわよ』

 

「ひっ!?い、いや…アレはホントに…やめて。わかったから」

 

 

通信終了。Mはサラに向き直る。

 

 

「ふぅ、ヤバイ早く帰らないと…」

 

「どうしたのそんなに震えて?」

 

「い、いやなんでもない。それよりも話がある」

 

 

先ほどの震えた声から一新、戦闘中の真面目な声になる。

 

 

「ん?何?増援なら来ないわよ。お互いね」

 

「それも合っているが違う!お前、ウチに来ないか?」

 

「は?」

 

 

サラが女性らしくない低い声で返事ををする。

 

 

「本気だぞ?というかお前にとっては好条件だ。私より強いIS乗りもいるし多分給料も高い。なんなら専用機だってここよりはチャンスがある。そしてお前たちが思ってるほど悪事はしていない。逆に私たちは違法研究所を潰してたりしてる。どうだ?」

 

「なにその職場。私にとって理想的なんだけど… 貴女より強いって…それ誰?」

 

「それは、お前が正式に入ってからだな」

 

「むぅ… ケチ。でも国を裏切るのよね」

 

「いやいや、実力があるのに、放っておく方がおかしいでしょ!ウチならその腕、十二分に生かせる!」

 

「………」

 

 

Mの素が出るほど熱い勧誘に、サラは深く考える。

 

 

「…少し考えさせてくれないかしら?ちょっと情報量が多すぎて…」

 

「…いいだろう。ただし、このことを上層部には言うなよ。行った場合は…」

 

「場合は…?」

 

「ウチの最高戦力でイギリスごと、お前を殺しに行くからな?」

 

 

これまでで最も残虐な笑み。誰もこの顔が嘘を言うとは思えまい。

 

 

「わ、わかったわ」

 

「じゃあ、これ連絡先な。ちゃんとしまったか?」

 

「え、ええ。どうするの?」

 

「無傷だったら疑問に思われるだろう?だから…」

 

 

すっと、隠れさせていたシールドビットのエネルギーバリアを展開させ、2つをサラを叩きつけ、挟み込む。

 

 

「キャア!!ちょっと!なにするのよ…!」

 

「謎の侵入者がサラ・ウェルキンを倒して逃走。機体は世代差もあり、敵の能力が未知数だったことも含まれるが、サラ・ウェルキンの失態である。代表候補生を解任させることも視野に入れなければいけない。良いだろう?ウチに来やすくなる」

 

「アンタねぇ…!!」

 

「じゃあな。良い返事を期待している」

 

 

爆発。シールドビットには自爆用の爆薬が搭載されているため挟んだ敵を爆発に巻き込ませる、この方法は効果的だ。

 

 

「気絶したか。死んでは…ないね。バイバイ、また会おう。私のライバル」

 

青い蝶は、帰還のため、その顔に笑みを浮かべながら飛び立って行った。




スコールの言っていたアレとは。


一夏が篠ノ之束と倉持技研で出会った時、マドカは束に抱かれていた。この後、一夏が白式の整備をしている間にゼフィルス奪取の任務へと向かったのだが、日本からイギリスまでの距離がありすぎる。この時、


「だったら私が送ってあげるよ〜!同じ亡国の仲間になるんだからね!l


と束が言った。


「いや、まだ入ってないだろ?ボスの面接受けてないのに。まあ、助かるから頼むが」

「もう、ちーちゃんと似て可愛げがないな〜。でもそこが可愛い!」


と言った感じで、束のラボを呼び出しスコールとオータム、マドカを乗せ飛び立ったのだ。しかし…


「おいぃぃ!!これスピードどのくらい出てる!?人が耐えれるがじゃあないぞ!」

「え?これくらいなら大丈夫でしょ?なんならもっと出せるよ!」


と言って、さらに速度をあげたりしていたら1時間以内に着いた。

ちなみにスコールは、静かに気絶し、オータムは泡を吹き、マドカは白目を向いていた。クロエは留守番中である。

束以外全員、ISを装備してこれであるからマドカのトラウマ具合も仕方のないことだろう。

この後は、束製の栄養ドリンクで強制回復し、任務に向かったのだった。


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Sの休日①

休日2日目(土)一夏視点

 

 

おはよう。突然だが、ここで重要な問題が発生してしまった。ユニコーンはレイさんによるメンテナンス中、白式も寝てる。簪さんは多分今日もISのために頑張っているのだろう。篝火さんも同伴。束さんは、今頃面接かなぁ。多分ボスに性根を叩き直されているだろう。

 

まあ、このように知っている面々が大抵何かしているが…察しのいい方は気づいただろう。

 

暇なんだ…

 

とりあえず午前中は訓練をすることは決まっている。IS学園の設備は十分だが自前のトレーニングをするには問題がある。トレーニングルームでアホみたいなスピードで何かしてる奴がいたら通報される。今日は1人しかいないだろうから、存分にやれる。午後は…なんかあるだろ。娯楽類は置いて来たし、PCもWiFiに繋げてない。あー…久しぶりに隊の男たちと飲みに行こうか…?どうせ毎日のように酒盛りしてるだろうから、俺が行っても変わんねえだろ。

 

 

「朝飯どっかで買って、訓練するか…」

 

 

 

〜30分後〜

 

 

「くそッ、なんで近くの売店探すのにこんなかかるんだよ。ここわかりにくすぎるだろ…」

 

 

やっとの事で売店を見つけた俺だがさらなる悲しみに包まれる。

 

 

「すいません、なにが残ってますか?」

 

「初恋ジュースとおでんパンしか残ってないよ。いつも残るんだけど、なんでなんだろうねぇ?

 

 

そりゃそうだよ!なんでゴッドイーターからしかないの!?おでんパンは美味しいらしいからわかる。なぜ初恋ジュースなんて作っちゃったのか…この世界に荒ぶってる神なんていねえよ。ただただまずい飲み物じゃねえか…

 

 

「な、なるほど…じゃあ、おでんパンだけもらえますか?」

 

「はいよ〜400円ね〜」

 

 

高ぇ… なぜだ、なぜこれに400円もかかる… ていうかさ、なんで今、おでんなの?美味しいよ?でもさ、今夏前なんだよ…

 

 

「…丁度で」

 

「毎度〜」

 

 

……いやさ、こんなこと言うのもあれなんだけどさ。某、幻想殺しさんに失礼だけどさ…?

 

 

不幸だ…

 

昨日から夜以外飯が食えなかったり、天才に出会ったり、飯が少なかったり…なんなんだ一体。

 

 

「あ、美味しい」

 

 

悲しみを抱えた俺を癒してくれたのはやはり、たったひとつのおでんパンだった。これからはゴッドイーター2で、もうちょっとナナを使おう…

 

3?PS4買っても置く場所とする時が無いから出来ないんだよ…

 

 

1人寂しくおでんパンを貪ること5分。

 

 

「結構量あったな。一個で腹もたまったし、結構効率いいかもな。高いけど…」

 

 

俺は部屋に戻りながら、おでんパンの感想を言う。部屋に戻るのはタオルと着替えを持ってくるためだ。

 

 

「まずは…ランニングだな。スポドリ買いに行こう。死活問題だ」

 

 

ここからは俺の訓練時間だが、男が汗水、たまに血を流しながら訓練してるところなんか垂れ流しても需要ないからカット。

 

 

〜昼〜

 

 

血反吐を吐くまで訓練した俺は現在シャワーを浴びていた。汗とかやばかったからね。タンクトップ絞ったらめっちゃ水出た。まあ、これで多少は改善点が見つかった。俺はハイパーセンサーに頼りすぎているらしい。ハイパーセンサーなしでの攻撃、特に死角をやられると対応が0,08秒ほど、遅くなるらしい。

 

今度ボスに頼んで修正してもらわなくては。格闘戦は俺より強いし。このままボスと殺し合ったら、始まって3秒で13回は殺されると思う。あれ、ボス人辞めてない?

 

 

グゥ〜…

 

 

「あ〜、腹減ったな。食堂行くか。昼くらいはまともに食おう」

 

 

流石におでんパンだけでは持たなかったようだ。コンビニで買えばよかったのだが、20キロ走るのに荷物を持ちたくない。

 

 

『悲しみの向こうへと〜たどり着けるなら〜』

 

 

いや別に悲しんでねえよ。て、この着信音にしたの俺だったわ。

 

 

「はいもしもし」

 

『一夏?今空いてるか?』

 

 

元気な声で言って来たのは、現在IS学園に潜入中のアメリカ代表候補生ダリル・ケイシー、本名レイン・ミューゼル。名前からもわかる通りスコールの…姪?だったか。モノクローム・アバター所属ではないが、亡国所属だ。

 

 

「なんだ、レイ…ダリルか」

 

『レインで良い。今はフォルテもいないしな』

 

 

フォルテとは、ギリシャ代表候補生でレインの恋人のフォルテ・サファイアだ。スコールも1回目の時はオータムと恋人だったので、血の繋がりはすごいものだ。まあ、今回のスコールは俺がいるせいかオータムと恋人関係にはなっていない。レインは…ミューゼルの血がしっかり覚醒してるみたいだな。

 

 

『ああ、要件な。今から暇か?』

 

「今から?飯食う以外はもう用事もないけど?」

 

『ならちょうどいい。ていうか、お前年上に対する敬意はないのかよ?まあ慣れたから良いけど』

 

「お前が良いんだったら良いだろ。てか、誰の戦闘データとアイデアにお陰でヘル・ハウンドがバージョンアップ出来たんだよ?逆に感謝して欲しいぜ」

 

『それについては感謝しかないな。お陰で最近はフォルテとの【イージス】も調子がいいんだ』

 

 

ヘル・ハウンドはレインの専用機。【イージス】はフォルテとのコンビネーションの事で、名前の通りとてつもない防御力を発揮するらしい。…俺なら秒もかからず潰せるけどな。

 

 

「…お前、フォルテ・サファイアに熱中しすぎて任務の本質を忘れてないだろうな?」

 

『当たり前だろ。私は亡国機業のレイン・ミューゼルだ』

 

 

この辺りは、俺がボッコボコにシバいて意識改革させた。ちょっとやる気がなさすぎたのと、甘い部分があったからな。…今の俺の方がよっぽど甘くなったんだがな。

 

 

『こっちとしてはお前の方が心配だぜ一夏。最近代表候補生やらを囲ってるらしいじゃねえか?」

 

「囲ってないわ!!俺が意図的にそうしたわけではねえよ」

 

『…そりゃあ、余計にタチが悪い。もっと言えば、()()を自覚してるお前もな』

 

「うるせえよ、お前は今のうちにフォルテとしっかり幸せを噛み締めとけ」

 

 

ちょっと気にしてること言われたけど、まあ気にしすぎても仕方ない。まさか、レインに言われるとは…

 

 

『へいへい。で、お前暇なんだよな?じゃあ、今から飲みに行くぞ。もちろんお前の奢りな』

 

「………飲みに行くのはいい。俺もその予定だったからな。だがなレイン、何故に俺の奢りなんだ?」

 

『決まってるだろ ………人の金で飲む酒ってめっちゃ美味いじゃん?』

 

 

あ〜、これは有罪有罪ギルティーですねぇ…

 

 

「テメェ…だからって俺に言うか?他にいるだろう…」

 

『IS学園にいるのに、酒飲みに行く奴も奢ってくれる奴もいると思うか?いないだろ、だから仕方ねぇだろ?わかったらさっさと奢れ』

 

 

コイツ…奢ってもらう立場で…

 

 

「…分かった奢ってやる。お前よりは給料いいしな。余裕を見せてやるよ」

 

『よっしゃ!じゃあ、すぐ行くぞ、すぐ!』

 

「は?今ってまだ昼だぞ?いつまで飲むつもりだ?」

 

 

俺はナノマシンでアルコール分解させるから酔えねえけど…

 

 

『潰れるまで飲むに決まってんだろ。1時に○○の路地裏のBarに集合な』

 

 

プツッ…

 

通話が切れた。

 

レイン…酒臭くても、学園ではバレるんだぞ…

 

 

「はぁ…行くか。どうせ俺が介抱することになるんだしな。薬持ってっとくか。エチケット袋と、白式は…留守番な」

 

 

俺は、着替えは適当。レインが言った場所はウチの幹部の部下が経営してる店。俺らが来たらすぐわかるし、かしこまった格好しなくてもいいってのは助かる。

 

 

あ、誰かに言っとかないと…玄関受付に言えば良いか。もしかしたらどっかに泊まるかもしれないな。やっぱ、レイさんには言っとこ。

 

 

「ボイスメッセージ、『レイさん俺はちょっとレインと飲みに行ってくるんで、今日は戻らないかもしれないです。別に面白いことはないので、茶化してたり余計なことしてたら、前回より多めのビットで追い回しますから。じゃあ、そういうことで』…こんなもんか」

 

 

途中さらっと脅迫を入れるのは俺なりの茶目っ気。ヤンチャな年頃だからね、仕方ないね。

 

 

「じゃ、行ってきます」

 

 

 

 

〜40分程経ち〜

 

 

「ん、遅いぞ一夏。もう始めてるぞ」

 

「いや、それはおかしい。どうせ金持ってないだろ?」

 

 

俺がBarに着き中に入ったらレインがもう始めていた。

 

 

「いや、流石に持ってるぞ帰りのタクシー代とコンビニでなんか買う分くらいは」

 

「お前今日帰れると思ってんの?」

 

「……え!?い、一夏?いや、私にはフォルテがいてだな。しかも初めてで…!!」

 

 

一体コイツはなにを想像しているのだろうか…

 

 

「何言ってんの?酒なんか飲んで学園に帰ったら、匂いでバレるだろうが」

 

「なッ…!?なんだよ…そういうことか… 」

 

「おやぁ?一体思春期レインさんはなぁにを考えたんですかぁ?」

 

 

奢る分は弄ろう。そう思う俺であった。

 

 

「別に、何でもねえよ!それより飲むぞ!マスター、コイツにとりあえずウォッカだ。今日はコイツを潰すのが目的なんでな。まあ最初だからソーダで割ってくれ」

 

「お待たせしました」

 

 

頼んでから、10数秒。もうレインが頼んだ物が出てきた。早い、俺でも手の動きが見えなかった…

 

 

「あ、ありがとうございます。おい、レイン。初っ端からウォッカって…てことはお前も、やっぱりか」

 

 

やはりコイツもウォッカを飲んでいた。というか、そのままだ。絶対長生き出来ないな。

 

 

「まあ、来たからには楽しむが。今回のメインは何か用意してるのか?」

 

「フッフッフ、よく聞いてくれた。今回は私だって手に入れるの苦労したし、もう財布も少ない。これを見たら私に跪くレベルだ」

 

 

レインが自信たっぷりに話す。これですごい物だじゃなかったら、今度訓練してやろう。…本気で。

 

 

「なんと!なんと!ロマネ・コンティだ」

 

 

ガタッ!!

 

 

椅子が倒れるほど、俺は勢いよく立ち上がった。

 

 

「今…なんて言った?ロマネ・コンティ?嘘だろ、一本200万はくだらないはず!お前…勇者か…?」

 

「私の酒に対する執念、舐めてただろ?人生で一回は飲んでやると思ってたんだ。最近IS学園での任務ばかりだろ?毎日のことだから、久しぶりに口座を見た。…ありえない量が入っていたんだよ。よく考えたら当たり前なんだ、24時間の任務をもう3年目だぜ?ボーナスがバンバン入ってくる。文字通り桁が違った… だからこの際と思ってな」

 

 

コイツ、勇者とかいうレベルを超えてた。こんな事ならいくらでも奢ってやるのに…!

 

 

「パーフェクトだレイン!今日はそれ以外全て俺の奢りだ!」

 

「よっしゃ!今日は飲むぞ!」

 

「おう!!あ、マスターも一緒に飲みましょう。今日は、立場は関係なしです!」

 

「宜しいのですか?」

 

 

マスターが若干ソワソワしながら聞いてくる。フフフ、マスターも飲みたいだろ?

 

 

「良いよな?レイン」

 

「当たり前だぁ!こんな素晴らしい日、全員で共有しなくてどうするんだよ!マスターも飲むぞぉ!でもロマネ・コンティは最後だからな!」

 

もうコイツ酔ってんじゃないかってレベルでテンションが高い。

 

 

「それでは私もいただきましょう。ロマネ・コンティは私も初めてなので楽しみです。上司にバレたら、恨まれますけどね」

 

「あ、マスターの分も俺の奢りです。今日は多分、迷惑かけるんで」

 

「ッ!?S様…それではお言葉に甘えさせていただきます。その代わり、今日のサービスはご期待ください」

 

 

レインがグラスを持って待っている。もう待てないか。

 

 

「よし!」

 

「それじゃあ」

 

「ええ」

 

 

「「「乾杯!!」」」




未成年?秘密結社にそんなもの関係ないのです。お酒の知識はほとんどありません。知っていた物をネットで間違ってないか確認しただけなので、間違いがありましてもご容赦ください。

ロマネ・コンティって聞いてもリゼロの怠惰担当さんしか出てこない…


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Sの休日②(S成分少なめ)

ああ、どうしてこうなったんだろう… 確かに、楽しい飲み会に最高峰の酒までついて、俺たちのテンションは爆上がりしていた。マスターだって、今までやったことのなかったレシピを挑戦したり、ロマネ・コンティの味見とか、めっちゃ堪能してた。レインだって、浴びるように酒を飲んでたしみんな各々楽しんでたんだろう。

 

でもさ、なんで俺はあの時あんな事を思ってたんだろうか?

 

誰が今の状況を予想出来るだろうか。だって…

 

 

「なんで俺は体が動かない挙句、ナノマシンの効果までほとんど使えなくて、貴女が俺の上に乗っかって居るんですかねレインさん!?」

 

「ん〜?なんだっていいだろぉ〜。なぁ、いちか〜」

 

 

〜遡る事、約二時間程前〜

 

 

「マスター、結構飲んでましたけど、酔ってないんですか?」

 

「ええ、私はアルコールに特に強い体質でして。私自身あそこまで飲んで、少ししか酔わないと思っておりませんでしたので驚いています。そういうS様こそ、私より飲んでいましたが…お体は大丈夫なのですか?」

 

「はい、俺は体のナノマシンでアルコールを分解出来ます。なので大丈夫です」

 

 

まあ、ロマネ・コンティをみんなで飲むときだけは、気分も味わえるようにナノマシンに分解させていない。だから少し酔い気味だ。

 

 

「なるほど…それでお代なのですが…」

 

「ああ、これだけあったら足りると思うのですが…どうぞ」

 

「拝見いたします。……ッ!?S様、この額は…?」

 

 

マスターが見たのは、俺がマスターに渡すように作った口座の番号と入っている金額が書かれた紙。

 

 

「ええ、俺はこの店が好きですし今日は、遅くまでご迷惑をお掛けしましたから、遠慮なくどうぞ」

 

「しかし、これでは私達が飲んだ分の4倍以上…」

 

 

あんなにしっかり飲んでいたのに、勘定だけはきっちり数えていたご様子。流石っす。

 

 

「マスターの隊のために使っていただいても結構です。これは俺からの気持ちなので。それではここで寝てるレインは俺が連れて行きますので。また、来ます」

 

「は、はい!ご来店有難うざいました。私も至福のひと時を過ごさせていただきました。レイン様がお目覚めの際にはお伝えいただけますよう…」

 

「了解です。それでは」

 

 

そして店を出る。マスターの手には、0が7個ほど並んだ数字が書かれている紙が見えた。まあ、正式に隊に所属してるし、今まで任務でも研究所とか潰したのだいたい俺だし、今背負ってるレインには悪いけど給料って点なら俺の方が高い。…ボスからの直接指名なんかになるともう桁が変わる。

 

 

「さて、ここからどうしたもんか。倉持にアメリカ代表候補生連れて行くのはまずいし…ホテル行くか…」

 

 

携帯を取り出した俺は、またまた別の隊でホテルのオーナーをやっている者に電話をかける。ちなみに俺の直接の部下じゃないけど、命を救って恩を売ったからの大抵のことはしてくれる。

 

 

「もしもし、Sだが、今空いている部屋はあるか?あ〜、レイン・ミューゼルもいるんだ。少し融通してほしい。………最上階のVIPルーム?じゃあそこで頼む。金も持ち合わせているから大丈夫だ。……貰えない?商売だろ、そこは恩人であっても割り切れ。金は払う。じゃあ部屋の準備頼んだぞ」

 

 

さて、行くか。ていうか、さっきから背負ってるレインの巨乳が背中に当たって凄い役得。酔ってる相手に手出しする気もないけど、大丈夫だよな?

 

そしてタクシーを見つけた俺はレインを押し込み目的地へと向かった。

 

 

30分ほど経ち、ホテルに着いた俺はレインをまた背負いオーナーに話を通して部屋に案内したもらった。その時、オーナーから熱い視線を貰ったことはもう慣れたことだ。(オーナーは女性)

 

「とりあえずレインはベッドに寝かせたし、俺も少し休むか」

 

 

備え付けの机の椅子に座り俺は仮眠を取っていた…

 

 

そして話は冒頭に戻る。

 

「いや、お前も餅つけ!じゃなくて落ち着け!」

 

「えへへ〜、いちか〜」

 

「聞いてない!?てかなんで俺体動かないんですかレインさん!せめてこれだけ教えて!」

 

 

マジでまずい。いつもなら簡単に振りほどけるが今は体はおろかナノマシンまで作用しない。助けて白式!!

 

 

………置いて来てたわー

 

 

「ん〜?わたしたちはいつもナノマシンの作用を薄くする薬と筋弛緩剤を持ち歩いてるだろ〜?何言ってんだよ〜」

 

 

は!?持ち歩いてねえよ!何が悲しくてそんな自分殺し持ち歩くんだよ!

 

 

「そんなことは無いですけどね!?ていうかこれいつ薬抜けるんだよ!」

 

「ん〜、5時間くらい〜?」

 

「長いわ!!そんな物使ってないするつもりだ!?」

 

「何って、決まってるだろ〜。 ナニだよ」

 

「おいちょっと待てレイン。落ち着こ?な、一回ちゃんと落ち着こうな!な!!」

 

 

ホントにシャレにならなくなって来た…

 

 

「おいいちか〜!ぜんざい食わねば男の恥って言うだろ〜!」

 

「違う!据え膳食わぬは男の恥だ!とにかくどけ!これ以上はダメだって!」

 

 

惜しいけど違う、そんな問題じゃねえ!

 

 

「どうでもいい〜?言うじゃないかいちか〜。じゃ、ヤっちゃうぞ〜」

 

「絶対今()のニュアンス違ったよね!?ヤメテー!ホントにヤメ…アッ!!」

 

 

 

そのあと何があったかは言うまでも無い。

 

 

 

〜翌日〜

 

 

「……やっと体が動いた。ああもうこれ、どうしたら良いんだろうか… とりあえず片付けるか」

 

 

レインに一方的に襲われた俺は、この後の事を考え憂鬱な気分だった。

 

 

「まあ、俺動けなかったし。俺は悪く無いって言えばそうなんだけど、こうなるまで止めずに酒を飲ませた俺も悪いしなぁ…」

 

 

酒の余韻に浸る為にナノマシンの効果を薄くしたのも、筋弛緩剤とかがしっかり効いた原因なのだろう。

 

 

「さて俺ができる範囲はこんなもんか… はぁ…姉貴になんて言えばいうかな。貴女の姪に薬を使われ一方的に襲われました?いやいや、無理だって。絶対信じて貰えねえって。だったミューゼルだよ?同性愛者が多いって噂のミューゼルですよ?しかもしっかり恋人持ちと事に及んでしまうとは…」

 

 

シャワーを浴び持ってきた服に着替えながら独り言を言い続けている俺。これが薄い本で有名な、賢者タイムなんだろう…

 

そんな時、

 

 

「うッ…頭いてぇ… んあ?ここは…?」

 

 

レインが起きたようだ。

 

 

「起きたかレイン。おいテメェ、昨日のアレはどう言うつもりだ?」

 

「あ?一夏か。昨日?昨日は確かマスターんとこで酒飲んでその後…ッ!?!?!?」

 

 

見るからに顔を赤くさせ、こちらを見るレイン。いや俺は被害者なんですけど…

 

 

「忘れろ!!アレは夢だった!お互い酒に酔って同じ部屋で寝てたまたま2人が同じ夢見たんだ!いいな!?」

 

 

いや、無理ですよレインさん。アレは流石に忘れられん。

 

 

「お、おう… とりあえず、風呂溜めたから入れ。その間に俺は出て行くから」

 

「…分かった。分かってるよな?夢だぞ?」

 

 

さらに行ってくるレインを後ろに、俺は扉の前に立つ。

 

「分かったって。あ、学園であっても普通にしろよ?後、亡国メンバーがいるところでもだ」

 

「が、頑張る」

 

 

大丈夫かな…?

 

 

「ホントに頑張ってくれよ…?じゃあな。…責任は取る」

 

 

俺は扉を閉め、部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

〜side レイン〜

 

 

一夏が部屋を出て風呂に入った私はさっきのことを思い浮かべた。

 

 

「……うわぁぁ!!!やっちまったぁぁぁ!!!」

 

 

私は顔を真っ赤にして頭を抱える。本当にやっちまった。

 

 

「なんとかバレないようにしないと…スコール叔母さんはバレても仕方ないとして、問題はフォルテだ。アイツ勘が鋭いしもしかしたら気づくかも… いや、ヤった事は気づかないとしても男となんかあったことはバレるな…今日安全日だけど大丈夫だよな?」

 

 

ブツブツと独り言を発している私。側から見たらすごい変な人なんだろう。ここは私以外いないから大丈夫だけども。

 

 

「でも… まあ一夏なら…」

 

 

……ん!?私今なんて言った!?()()()()?いやいやダメだろう!!ていうか襲ったのは私じゃないか!!

 

……でも、案外悪くはなかったし。

 

 

「ああもう!!私が好きなのはフォルテなんだ!!何やってんだ昨日の私ぃぃ!!」

 

 

ジタバタと頭を抱え唸る私、こうでもしてないと心が折れそうだ。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ…。 言ってても仕方ない。とりあえず、水飲むか。騒ぎすぎて頭が痛い、二日酔いか?」

 

 

騒ぐだけ騒いで二日酔いで頭が痛くなった私は、水を取りに行った。そして水を飲んでいると電話がかかってきた。

 

 

「今かよ、誰からだ?…もしもし?」

 

『あッ!やっと繋がった!先輩どこ行ってたんスか?電話に出なかったから心配したっスよ』

 

 

今一番危ないヤツから電話が来てしまった…

 

 

「ああ、フォルテか。ちょっと遠出したら学園の奴に出会ってな?盛り上がってそのままホテルでゲーム三昧だったんだよ。お陰で眠い…」

 

 

嘘は言ってない。学園の奴って言ったら女子か一夏、でも私は表向き一夏には出会ってないからフォルテからしたら女子しかいない。

 

 

『あ、そうだったんスね。いや〜、てっきり外で男と逢い引きでもしてたのかと思って心配してたんスよ』

 

「は、はは…そんなわけないだろフォルテ?私だぞ?」

 

 

コイツなんでピンポイントに当ててくるんだよ!ある意味怖いわ!?

 

 

『そっスよね。ダリル先輩はですもんね〜』

 

「おい、自分で言った手前あんま言えねえけど、私貶されてる?」

 

『そんなことないっスよ〜。それより先輩、早く帰ってきてほしいっス!最近調子が良くて、また訓練付き合ってほしいんスよ!』

 

 

全く、フォルテは… 私がこれほど悩んでるとも知らずにいってくれるな。こんなに悩んでる私がバカみたいじゃないか。

 

 

「…ああ、分かったよ。すぐに戻るから。昼からでいいか?」

 

『ホントっスか!!昼っスね!?分かったっス。待ってるっスよ!!それじゃ!!』

 

 

フォルテがそう言って電話を切った。

 

 

「嵐が来たみたいだな…痛っ!?うっ…フォルテが叫んだせいか…二日酔いどうやって誤魔化すかな…」




〜部屋を出た後の一夏〜


「あんなこと言って出てきてしまったけど、スコールの姉貴には言わないといけねえよなぁ…」


流石に親族には伝えないとマズい。てか黙っててバレた時が一番怖い…


「朝早いけど出るか?まあ、かけてみるか。……………もしもし?Sですが」

『あら?一夏?どうしたの、こんな早くに…』

「いえ、その…早急に言わないといけないことがありまして…」


なぜか敬語になる俺。


『どうしたの改まって?仕事の話?私、まだちょっと篠ノ之博士のアレの反動で体修理してるんだけど…気分も悪いし。オータムはまだ寝込んでて、マドカは訓練してるし』


束さんマジでアレ使ったのかよ。アレは流石にISがあっても常人は無理なんだけど…


「い、いえ…その姉貴に話がありまして…」

『珍しいわね、どうしたの?』

「その…昨晩俺とレインで酒を飲んでまして…」

『あぁ、ついにしちゃったの?』

「え!?いやまあ、そのそうなんですけど…」

『私はいいわよ?そろそろあの子も男を知った方がいいと思ってたし。ちょうどよかったわ。何処の馬の骨かもわからない奴より一夏の方がまだ安心できるから』


ん?……ん!?


「え、あの?姉貴?どういうことですか?」

『経緯はどうにしろ、まあ仕方ないんじゃない?あの子ナノマシンあってもお酒弱いから。貴方ミューゼル家は全員同性愛者だと思ってるでしょう?全然そんなことないから、どっちかって言うと大胆なだけなのよ。男にも、女にも』

「いやでも…」


ミューゼル家のは今めちゃくちゃビビったけど、アイツ酒弱いのかよ…


『もう!ぜんざい食わぬは男の恥って言うでしょ!!いいのよ。フォルテが大丈夫そうなら』

「アイツにそれ教えたのアンタか!!違うから!!それ言葉間違ってるから!!」

『あら、元気じゃない?これなら大丈夫そうね。じゃあ切るわね』


………ミューゼル怖いわ。


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Sの休日③

休日三日目最終日(日)

 

 

〜side一夏〜

 

 

えー、現在倉持に戻る途中です。スコールの姉貴にあんなこと言われるとはマジで思ってなかったので今は逆に落ち着いています。どうも一夏です。

 

いやー人間ってこうも落ち着けるものなんですね。あ、俺もうまともな人間じゃなかったわw

 

……さて、多少イキってなんとかなると思ってたましたがダメなようです。やっぱ一番テンションが上がった時は殲滅系の任務ですね。え、敬語が気持ち悪い?いやいや、いつもこうでしたって。違いますよ、あの時のレインを思い出さないようにしてるわけじゃないんですよ?

 

倉持まで後10分とちょっと。それまでにこの俺の気持ち悪さと顔を直さないといけません。じゃないと変態トリオに勘付かれます。

 

これでも、結構キレそうなんですよ?気づいてましたか、俺金曜日からほとんど食ってないんですよ?金曜日は引っ越しでその後すぐに倉持に来たし、土曜日はおでんパンと酒とツマミだけです。今日?食欲なんてありません。あんなことがあった後に美味しく飯なんて食えないんだよ!!

 

しかも今日は日曜日!!今は10時!分かるか!?俺はスーパーヒーロータイム逃したんだぞ!?なんならスーパー賢者タイムだったわ!!しかも部屋は引っ越したままで来たからテレビの録画なんてしてねえし!

 

 

「また、某幻想殺しっぽくなるけど…不幸だ…」

 

 

今日はもう学園に帰ってゆっくりしよう… パトラッシュ、俺はもう疲れたよ…

 

 

「みゃ〜」

 

 

ね・こ・が・い・た。違うよ!パトラッシュは犬だよ!?今君求めてないよ!いや、可愛いけど!めっちゃ可愛いけどね!?

 

ふん、と猫がそっぽを向いて何処かへ行ってしまった。あの猫、心でも読めるのか…?

 

 

「…健康に良くないからあんま買わなかったけど、カップ麺買っていくか… あ、久しぶりに料理したくなってきた。今度隊の奴らに振る舞うか」

 

 

そうこう言ってるうちに、テンションも普段通りに戻り、倉持についた。

 

 

「先にレイさんにユニコーン貰いに行くか。変な改造してなきゃいいけど…」

 

 

そして俺はレイさんがいるであろう奥のフロアへ向かう。その途中…

 

 

「おや、一夏君じゃないか。へい少年私と一晩語り合わないk…ぶへぇ!?」

 

 

ここの所長(笑)の篝火さんが俺の尻を揉みながらそう言ってきた。

 

 

「篝火さん…殴りますよ?」

 

「殴ってから言った!?くッ…いいストレートを貰っちまったぜ☆これじゃあ新しい扉が開いty… すいません!今すぐ仕事してきます!!」

 

 

ちょっと殺気を向けたら飛ぶように逃げた。…研究ばっかりの引きこもりでもあのスピード。流石だな。

 

…うん、何も無かった。

 

茶番を展開してるうちに着いた。

 

 

「レイさーん、戻りました。ユニコーン出来てます?」

 

「お、一夏君かい。出来てるよ。私はちょっと手が離せないから持って行ってくれないかい?そこのハンガーデッキに機体の状態で置いてあるから」

 

 

少し遠くから聞こえるレイさんの声。

 

 

「分かりました。何してるんですか?」

 

「んー?新しい機体の開発をちょっとね〜」

 

 

新しい機体…?誰のだ?まあ邪魔になるからさっさと出て行こう。

 

 

「おまたせユニコーン。調子はど…う…だ?」

 

 

俺の前に現れたのはどこかで見たことあるようなフルアーマーなユニコーンの姿が… どうせこんなことだろうと思ったわ。

 

 

『なんか…すごく強くなった気がする…!!』

 

「そ、そうか…良かったなユニコーン。お前が強くなってくれて俺も嬉しいよ…レイさんに俺からプレゼントを用意しておこう…」

 

 

何がいいかなぁ?しまってあるファンネル全部出すか?いや…ぬるいな… 独学の拷問術の練習相手が欲しかったんだよナァ…

 

 

「ヒッ!?何か悪寒が…?いや、疲れてるんだよきっと。だって5徹だもんね…ちょっと休もうかな」

 

 

…許そう。流石に可哀想だ。遠くから聞こえてくるレイさんの声に同情を感じ得なかった。

 

 

「…そういえばユニコーンそのゴツい装備は標準なのか?」

 

『えっとね…パッケージとして追加されてるよ。だから…いつでも出せるし、しまえる』

 

 

へぇ〜、便利だな。でもこの装備作るくらいだったら量産機の強化パーツ組んだ方が安いし効率がいいと思うんだが…やっぱあの人趣味で作ったな… どうせ作るならドダイとかミデアとか輸送できるものの方がありがたいんだけど。

 

 

「なるほどな。…お前って拡張領域めっちゃ広いな。入れてたファンネルは確か…256機だったか?外したのか?」

 

『入ってるよ…レイ?って人が…どうせ一夏君なら使えるでしょ。って言ってそのまま入ってる』

 

 

レイさんは俺のことどう思ってるんだろうか…流石の俺でも256機全部使ったら疲れるんだけど…しかもフルアーマーでだろ?そんなに投入しないといけない戦場ってどこだよ…正直アームドアーマーさえあれば良いのに…

 

 

「そうか…まあ、良いや。もう何言っても仕方ないな。新機体作ってんのにこんだけ強化してくれたんだ」

 

そして俺はユニコーンを待機形態のドッグタグに戻して首に掛けた。

 

 

「レイさーん、ユニコーンの事有難うございました。今度差し入れ持って来ます。後、休んでください」

 

「………」

 

 

返事がない。ただの屍のようだ。 …じゃない、あれ?逝った?

 

レイさんがいると思われる場所へ駆け寄るが、そこには大量に栄養ドリンクと寝ているレイさん。

 

 

「寝てるだけか…帰ろう。心配して損した」

 

 

俺は踵を返して扉に向かって歩く。その時、

 

 

「ん?…これが新しい機体か?…黒ベースの機体か。下半身も出来てないな。…って、この足の部分どう見てもユニコーンだな。てことは…いや、流石に趣味機体に貴重なコアを2つ目なんて使わないだろ。多分、装甲だけだな」

 

 

勝手に納得した俺は部屋から出て行く。

 

 

「うん?もう昼前か。部屋に戻って荷物まとめるかな。腹減ったし」

 

 

そして部屋に戻る。

 

 

『あー!!一夏、やっと帰ってきた!!なんで放って行ったの!』

 

 

我らが相棒はお怒りのご様子だ。まあ、持って行かなくてよかったけど。

 

 

「いや、正直ISを連れて行く場所でもないからな。ここなら安心だし、お前はどうせネットでなんかしてたろ」

 

『うッ…確かにアニメ見てたけどさぁ…』

 

「じゃあ連れて行っても同じだろ?ちなみに何見てたんだ?」

 

『ダン◯ール戦記。最近、配信してたから』

 

 

何!?やってたのか、後で見ないと…

 

 

「マジか、知らなかった」

 

『なんかプラモデルも再販するっぽいよ?最初の…ゲームの限定版のやつとか』

 

「それは…何というか…買わなきゃ!(使命感)」

 

 

いや〜あの頃は、そんな余裕なかったからな〜。あ、1人部屋じゃないから置く場所が…亡国の方に置くか。

 

ちなみにこの時、話しながら片付けをしていた為そろそろ終わりそうである。

 

 

「さて、こんなもんか。飯食って、学園に戻るか」

 

『あっ!私もちゃんと持って行ってよ?』

 

「分かってるって」

 

 

その後は、食堂で久しぶりにまともに飯を食った。何故かあったチャレンジメニューを完食したらすごい目で見られた。解せぬ…

 

特に簪と会ったりする事もなく俺は倉持から出ようとする。

 

 

「おっ、一夏君帰るのかい?」

 

「はい、お世話になりました」

 

「いやいや、いつでも来てくれ。君には生体データをもらったからね。有効活用させてもらうよ」

 

 

一体俺のデータなんて何に使われるのだろうか…

 

 

「ありがとうございます。それで、更識簪はどうしてますか?」

 

「簪君?気になるかい?今は寝てるよ。専用機のすべてのチェックが終わって休憩させてたらいつの間にかね。君のISのデータも流用させて貰ったから、思ったより早く終わったよ」

 

 

お、打鉄弐式は完成したのか。

 

 

「なるほど、分かりました。少し話そうかと思いましたが、寝てるんなら仕方ないですね。俺はもう帰ります」

 

「ああ、またね、一夏君」

 

「はい、ではまた」

 

 

俺は駅に向かって歩く。まあ、今度メッセージ送ればいいか。

 

 

その後は、学園で戻った報告をして、新しい部屋でひたすら動画を見た。やっぱダン◯ール戦記面白いわ。




活動報告にて行っているヒロインのアンケートはまだ継続しています。


シルスキー様

大和改三様

天地無双騎士団様

黒猫ユート様

零乃 愛李様

白春様

ミチェ丸様

黒目玲愛様

あじら様


アンケートにお答えいただきありがとうございます。皆様の意見はしっかり参考にさせていただきます。


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設定(現在まで) 人物紹介現在まで【亡国企業】

 

 

 

織斑一夏 コードネーム:S

 

 

順調に原作を辿っていた一夏が無人機の襲撃の末に死に、過去に逆行した。自分の望む未来の為、過去の織斑一夏を捨て力を得ることを誓う。

 

中学生時代に戻った一夏は力を得るため、亡国機業に単独で乗り込みボスとに話し合いの上亡国入りした。現在はモノクローム・アバターという実戦部隊に所属していて、隊長のスコール、オータム、織斑マドカ(M)を筆頭として、工作や潜入を行う隊員が30名近くいる。

 

全身にナノマシンを注入し、己の限界まで体を鍛えた一夏は、ボスを除き対人戦では亡国内に勝てるものはいない。もともとの計画で人間を超えた存在として生み出された一夏は、自分のことを良くネタでバケモノと呼んでいる。ちなみに非童貞。

 

白式の呼びかけにより白式、白騎士のコア人格と会話をすることが可能。その影響か、もう一つの専用機であるユニコーンのコア人格とも会話可能。白騎士のコア人格に本音を話し、真のマスターと認めてもらった。

 

専用ISは【白式】と【ユニコーンガンダム】

 

 

ボス(本名不明)

 

亡国機業のトップでISを用いない戦闘なら亡国に勝てるものはいない。一夏を亡国に入れた張本人でありがたい重度の語り癖がある。本名、出身、家族構成など全てが謎の存在であるが、そのカリスマ性から彼を尊敬するものは多い。亡国の人間は自分のために、と言う者が多いが共通して彼を信頼している。一夏もその1人である。

 

一夏の事を養子にしたいと思っている。そのせいかわからないが、一夏に直接任務を任せることが増えてきた。

 

 

スコール・ミューゼル

 

亡国機業実働部隊モノクローム・アバターの隊長である彼女は体の一部を機械化している。1回目(原作)とは変わりオータムとは恋人関係にない模様。隊での立ち位置は、頼れるお母さん。IS技術は世界の操縦者でも指折りでるが、速攻で一夏に抜かされたことで最近鍛え直している。

 

専用ISは【ゴールデン・ドーン】

 

 

オータム

 

亡国機業実働部隊モノクローム・アバターのIS乗りである彼女は普段の言動から小物臭がすごいが、本当はただのアホの子。だが、実力はISを扱うものの中でも高くマドカと一緒に、一夏の訓練をよく受けていた。最近の悩みは一夏とマドカにいじられる事。

 

専用ISは【アラクネ】

 

 

織斑マドカ コードネーム:M

 

織斑計画によって生み出された織斑千冬の妹。亡国入りした一夏によって思いっきりボコられ色々吹っ切れた模様。表向きの口調はキツイ言い方だが、感情的になると砕けた女の子口調になる。最近は感情が乱れることが多いため口調がヤバいことになることが多い。一夏に直接鍛えられたせいか、 実力も桁違いに上昇している。訓練のキツさのせいで自分が性癖的にMにならないか心配しているのが最近の悩み。

 

専用ISは【サイレント・ゼフィルス】

 

 

レイ(本名不明)

 

 

亡国機業開発部主任。ボスと同じく出身、本名など本人に関することは不明。亡国では篠ノ之束並の頭脳を持つと噂されているが、人当たりも良く趣味全開の物を経費で作ること以外は常識人。ただISなど開発系の事になると我を忘れて色々しだす開発の変態。最近、篠ノ之束と篝火ヒカルノという変態仲間を得たからか磨きがかかった模様。一夏の専用機ユニコーンガンダムを作ったのもレイ。自身がISに乗るなどの発言は一切なく専用機があるのかも不明。一夏の機体に謎の改造を施そうとした時(数回)は、一夏に、わざわざNT-D発動状態のユニコーンにサイコミュ・ジャックされたファンネルで追いかけられている。一夏曰く「こんなに避ける的はなかなかいないからいい訓練になる。レイさん?誰それ?」だそうだ。

 

 

レイン・ミューゼル(ダリル・ケイシー)

 

スコール・ミューゼルの姪で現在IS学園に3年生のダリル・ケイシーとして潜入中。アメリカ代表候補生という肩書きもある。ギリシャ代表候補生であるフォルテ・サファイアと恋愛関係であるが、亡国の人間として折り合いはつけている。一夏が亡国入りする前はやる気のない性格だったが、それに見兼ねた一夏が模擬戦でこれでもかとシバいて改心した。酔って一夏を性的に襲ったことがあり、最近はそのことを思い出して行動が荒んでいる。

 

専用ISは【ヘル・ハウンドver2.5】

 

 

篝火ヒカルノ

 

倉持技研第二研究所所長。肩書き通り一応優秀な人物であるがレイと同じタイプの変態。一夏の案によって倉持技研が買収されたことに感謝の念がある。白式の機体開発も倉持で行われていて開発の中心は彼女だった。度々一夏にセクハラしようとするが成功する前に一夏に気づかれ、笑顔で追い返されている。 尚一夏曰く、「未遂だからこれで済ませてやっているがホントにやったら命の保証はしない」だそうだ。

 

 

篠ノ之束

 

IS世界の大体コイツが悪い。全ての始まりである白騎士事件を引き起こした本人であり、ISの生みの親。その性格は親しいもの以外には容赦なく切り捨てる。幼少時代よりほとんど一人ででいたということもありコミュ症もあいまっている。一夏にゴーレムをズダボロにされてからはSF系のロボなどに関心を示し、レイ、ヒカルノと同じく変態に昇格。その際亡国入りを決めるが面接にてボスに性根を鍛えなおされた模様。それでもコミュ症だけは治らず、喋り方が硬くなる。尚、これは明確な進歩であり世界中の人間が望んでいたことと言っても過言ではない。…元が悪すぎたから。



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人物紹介現在まで【IS学園】

織斑一夏(表向き)

 

IS学園1年1組の生徒。入学試験を受けにきていた時にたまたまISを触り起動させてしまい強制的に入学させられた。もちろんISについては全くの初心者であるため操縦は素人のそれ…であると思われたが、才能があったのか初戦でイギリス代表候補生のセシリア・オルコットに勝利。流石は織斑千冬の弟であると言われる。その後も有耶無耶になったが、中国代表候補生の鳳鈴音にも勝利するなど頭角を示してきている。以前よりその顔や性格から女性に好意を持たれることが多いが、やんわりとお断りしている。

 

専用ISは【白式】

 

 

篠ノ之箒

 

篠ノ之束の妹であり一夏の幼馴染。一夏に好意を持っているが最近は剣道部に集中しているため、放課後などに一夏と話す時間が少なくなっているのが悩み。

 

専用ISはなし。

 

 

鳳鈴音

 

一夏の幼馴染で中国代表候補生。中学生の時に中国に帰る時、一夏に告白しているが一夏はこれを自分の弱さを原因に断った。学園に転入し、クラス代表戦の時に一夏に敗北。夜に一夏の部屋を訪れ、内に秘める想いを熱烈に告白。現在この小説でヒロイン独走中。…どうしてこうなったのだろうか(作者のせい) 一夏に首トンされ目が覚めた次の日には、羞恥で悶えたらしい。

 

専用ISは【甲龍(シェンロン)】

 

 

セシリア・オルコット

 

イギリス代表候補生でありイギリス貴族オルコット家の当主。

一夏にクラス代表決定戦で敗北し好意を持つ。クラス代表戦の時のゴーレム乱入に後方偵察に出た時、ユニコーンを纏う一夏を発見するが見て見ぬ振り。教師陣には報告しなかった。

 

専用ISは【ブルー・ティアーズ】

 

 

サラ・ウェルキン

 

IS学園2年生でイギリス代表候補生。実力は、現イギリス代表と互角以上に戦えるレベル。しかしイギリスはBT兵器を主軸とするためその適性があまりなかったサラには専用機が与えられなかった。マドカによるサイレント・ゼフィルス強奪時には、ゼフィルスをまとったマドカとラファールで互角の戦いを見せる。その後マドカに亡国への加入を勧められ、現在迷っている。

 

専用機はなし

 

 

更識簪

 

IS学園1年4組の生徒であり、日本代表候補生である。日本政府お抱えの対暗部用暗部《更識》の次女でもあるため一夏は警戒している。一夏の白式開発のため簪の専用機に時間がかかったが、亡国が買収した倉持にはレイがいたため、無事完成までこぎつけた。姉に対するコンプレックスは変わっていないが専用機の不安がなくなったことで一夏に対する態度は柔らかい。一夏とアニメなどの趣味が合い良く話す。簪にとっては初めての普通の友達。

 

専用ISは【打鉄弍式】(レイにより若干魔改造の恐れあり)

 

 

織斑千冬

 

IS世界大会モンド・グロッソ優勝の称号、ブリュンヒルデであり、世界初のIS【白騎士】の操縦者。一夏の姉で、マドカの姉にも当たる。現在はIS学園で教師をしていて生徒から熱烈な視線をよく浴びる。いわゆる、残姉さんで生活態度はヤバイ。一夏でさえ矯正が不可能だったほどに。……おっとこんな時間に誰か来たようだ。

 

専用ISはなし

 

 

山田真耶

 

 

IS学園の教師。以前は日本代表候補生で千冬が認めるほどの腕を持つ。1回目より出番が少なく目立とうと頑張っている。…が、作者の手に委ねられているため無意味である。

 

専用ISはなし




結構な量省いてますがその部分は原作と同じなので許してください。違うんです、亡国の設定書いたらだるくなったとかじゃないんです。


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IS紹介(小話有り)

白式

 

一夏の専用機で欠陥機と揶揄された機体。1回目の記憶を持つコア人格。明るく陽気な性格だが、真面目なことをすることはガチ。1回目の最後に一夏を攻撃から守りきれなかったことから、今回こそは一夏を守り抜くと誓う。セシリアとの戦闘前に一夏に直接語りかけたが、一夏も1回目の記憶を持っていることを知りより一層絆が深まる。最近は通常のネットワークにつなぎ日本のサブカルチャーを楽しんでいる。時折白式から出てくるネタはここから。ユニコーンガンダムのコア人格という仲間が加わりよく話している模様。一夏とユニコーンが話すようになったのも白式のおかげである。セシリアとの戦闘時に何をしたのか、第二形態である白式・雪羅の武装、『雪羅』を展開できるようにした。

 

機体の武装:ブレード『雪片弐型』

多機能攻撃腕『雪羅』

 

単一能力『零落白夜』

 

 

白騎士

 

白式のコアは以前の白騎士のコアを流用していたためそのコア人格が白式に残った存在。白式と一夏が再会した時、一夏を試すような事を言うが軽くあしらわれその後の行動により一夏を真のマスターと認識する。普段は白式と会話するか寝ている模様。戦闘時はたまに手伝ってくれる。

 

 

ユニコーンガンダム

 

レイがノリで作った機体だが、性能がよくボスに一夏の裏の専用機として認められた。コア人格は、アズール◯ーンのユニコーン。最初は一夏と話すのを渋っていたが最近慣れて来たのか普通に話せるようになった。最近の悩みは、一夏の事をなんと呼ぶか。

 

武装:ビームマグナム

ビームサーベル×4

ハイパーバズーカ

バルカン砲

シールド×3

ビームガトリングガン×4

クシャトリヤのサイズのファンネル×156

フルアーマーパッケージ(フルアーマーの武装を一括で出せる)

ビームマグナム用ISエネルギーパック大量

 

単一能力『NT-D』

 

 

サイレント・ゼフィルス

 

原作通りしっかりマドカに強奪された。その際の戦闘でマドカの事を気に入った模様。

 

 

〜コア人格小話〜

 

 

アル◯ジオの霧の会合場のような場所に、3人の姿がある。白式、白騎士、ユニコーンである。

 

 

「え〜、緊急ですが会議をしようと思います!」

 

「突然呼び出したと思ったらなんですか一体?」

 

「…寝てたのに、何?」

 

 

白式の元気のいい声に、他の二人から若干不満の声が上がる。

 

 

「最近の一夏の事だよ!これは緊急事態だって!」

 

「だからなんなのです?眠いんですが?」

 

「……zzz、ハッ!…寝てない」

 

 

眠くて機嫌の悪い白騎士ともはや寝かけているユニコーン。

 

 

「白騎士ホントに眠い時機嫌悪いよね。ユニ子ちゃんはもう寝そうだし。まあ、いいや。それよりね!この前一夏がね、私を置いていったんだよ!一日も!」

 

「なるほど、それは…大丈夫ではないのですか?」

 

「今、お兄…マスターに勝てる人間なんてほとんどいないから、大丈夫だよ」

 

 

今日は白式に容赦がない二人。

 

 

「えっ…い、いやそうだけど…でも、心配じゃないの?」

 

「私たちがいないくらいで死ぬようなマスターなら、私の見込違いです」

 

「…実際無傷だったし、大丈夫だって。…マスター強いもん。きっとISも生身で倒せる」

 

「あー…確かに、一夏だもんね…」

 

 

変な雰囲気が流れる。

 

 

「話は終わりましたね。それでは、また寝てきます」

 

 

シュッ…と消える白騎士。

 

 

「…じゃあ、私も。バイバイ…眠い…」

 

 

ユニコーンも消えた。

 

 

「……すごい私にヘイトが向けられて話が終わったんだけど、これ私悪い?」

 

 

結局、一夏は人外。という話でまとまった。白式はただただ被害が増えただけである。ISにも人外認定される一夏って一体…



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変わる現実に何を望む 転校生は強烈 山田先生もエグい

「ねえ、聞いた?今日転校生来るんだって!」

 

「え、そうなの?どんな人なんだろう〜」

 

 

今日登校中にこんな話を聞いた。しかも部屋の前には不自然なダンボールがあった。シャルが来るの今日だったのか…

 

 

今はから教室に入る、と言うところだ。このクラスにも噂が出回っているのだろうか?

 

 

「むっ、一夏か。おはよう、今日は珍しく遅いな」

 

「あら一夏さん、おはようございます。今日もいい天気ですね」

 

 

教室に入ると箒とセシリアが挨拶して来る。いつも通りだ。

 

 

「ああ、おはよう箒、セシリア。ん?時間ギリギリか、いつもよりゆっくり来るとこんな感じなのか」

 

「あまり生活リズムは崩すものではないぞ。体に悪い」

 

 

流石は箒、スポーツ女子は違うな。とその時、

 

 

「おはようございます皆さん。今日はお話があるので席に座ってください」

 

 

山田先生が入ってきた。話の内容大体わかるってつまらないもんだな。

 

 

「じゃあ一夏後でな」

 

「ではまた、一夏さん」

 

「ああ」

 

 

クラスの生徒たちは席に座る。

 

 

「先生〜!話ってなんですか〜?」

 

 

そう誰かが聞いた。

 

 

「はい、今日はこのクラスに転校生が来ます。どうぞデュノア君」

 

 

あーもう先生言っちゃったよ。…君て

 

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします」

 

 

扉から入って来た転校生、シャルルがにこやかな笑顔であいさつする。元から知ってた俺以外のクラスメイトが固まる。…あっ、やっべアレ忘れた… 鬱だ。死のっかな…いやどうせ死ぬか。

 

 

「お、男…?」

 

「はい、こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国から転入を…」

 

 

一応対策はするか。意味ないけど、は〜い、3、2、1

 

 

「きゃああああああーーーーっ!!!!!!!」

 

 

カウントダウン通りに発生するソニックウェーブ。手で耳を抑えただけでは貫通するのだ。つまり一夏は耳栓を忘れたのである。

 

 

「男!織斑君に続く男よ!」

 

「織斑君はかっこいい系でデュノア君は美男子!完璧だわ!」

 

「ふふふ…一×シャル!!いやシャル×一もいいわね!今日から困らないわ!!」

 

 

そうかここが地獄か… 俺は耳も強化されているため余計に音を拾う。…もちろん爆音も。めっちゃ耳がいたい…後、最後のやつ、一体何に困らないんだ…?

 

 

「静かに!!転校生はもう一人いる。ラウラ、入ってこい」

 

 

後から入って来た姉さんがそう言う。まあソニックウェーブ並みだからそりゃあうるさい。

 

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 

無音。まあこの頃のラウラだからね。仕方ないね。

 

 

「あ、あの、それだけですか…?」

 

「………」

 

 

どうせ、ISをファッションと思ってる奴らに言うことはない、とか思ってるんだろうな。てことは次に取る行動は…

 

 

「…ッ!貴様が…!!」

 

 

ほら来た。ラウラが俺の席の前に立つ。

 

 

「貴様がいなければ!!」

 

 

ラウラが腕を振り上げる。軍人の本気の平手打ちを一般人が受けたらマズイだろ(俺は例外)

 

 

「え?…なに…ぐうッ!?」

 

 

そう声をあげたのは俺…ではなくもちろんボーデヴィッヒ。

 

俺が平手打ちをされる直前、立ち上がり腕を掴む。そんでそのまま背負い投げの要領で床に叩きつけた。今ここね。

 

 

「織斑、ソレを下ろせ。この状況は一般生徒に見せていいものではない」

 

 

あの状態から拳銃を突きつけていた俺を姉さんが諌める。確かに、一般の生徒にはキツイか。

 

 

「そうですね。すいません、配慮が足りませんでした。まあ、正当防衛ですよ」

 

「そんなわけあるか、過剰だ。第一、お前どこで銃を手に入れた?」

 

「そりゃあ、世界唯一の男性操縦者ですから自衛の得物くらい持ってますよ。倉持で貰いました」

 

 

全く…と言った感じに姉さんがため息をついている。山田先生は何が起こったのか分からずあわあわしている。小動物かって。

 

 

「ゴホッ…!私は、認めないぞ!貴様が教官の弟などと!!」

 

「今ソイツに投げ飛ばされた奴が何言ってるんですかね…全く、コイツ織斑先生の昔の教え子でしょう?教官って言ってますし。ちゃんと手綱は握っててくださいよ」

 

 

「私だって苦労しているんだ…とりあえず双方今回の事は不問にする。後織斑の拳銃は没収する」

 

 

え〜、まあもう2丁あるからいいけどさ。

 

 

「織斑、デュノアの面倒を見ろ。同じ男だ。あー、これでホームルームは終わりにする。全員着替えて第2グラウンドに集合だ。今日は2組と合同で模擬戦闘を行う。遅れるなよ?」

 

 

姉さんがそういいクラスメイトが動き出す。さて俺たちも移動するか。

 

 

「デュノア…だったよな?すぐに更衣室に行くぞ。時間がないんだ」

 

「え?あ、織斑君だね。よろしく。すぐって?」

 

「とりあえず移動しながらだ」

 

 

俺はデュノアを率いて教室を出、移動を始める。

 

 

「男子はアリーナの更衣室で着替えることになっていてな、すぐ移動しないと授業に遅れる。そして授業に遅れると…死ぬ」

 

「死ぬの!?」

 

「ああ、だから早く行かないと行けないんだ。しかも俺たちは貴重な男子。女子は珍しい物が大好きでな。見つかると最後だ。絶対に授業には間に合わない」

 

 

そうこうしている内(俺が女子に見つからないように丁寧に且つ迅速)に移動し、更衣室についた。

 

 

「さてじゃあ着替えるか。俺は一応下にISスーツをきてるからすぐ終わるんだが…デュノアは?」

 

「僕はすぐに着替えれるから。ここをまっすぐ行けばいんだよね?先に行ってて」

 

「そうか?じゃあ行かせてもらうけど…」

 

 

確かに、デュノアの着替えるスピードは早い。女だとバレないための措置なんだろうが、残念ながらカメラがある。ぶっちゃけ盗撮だが、弱みを握るには丁度いい。

 

 

「一夏おはよう。いい朝ね」

 

 

俺がグラウンドに行くと鈴がいた。あんな告白されてちょっと気恥ずかしいが普通に返すしかない。

 

 

「ああ、おはよう鈴。一限目がこれじゃなかったらな」

 

「そんなこと言わないの。ISの授業こそ、この学園の特徴じゃない」

 

 

いや、まあそうなんだけど。朝一で自主練してたから若干怠いんだよ。

 

 

「あ、そうだ一夏」

 

「ん?」

 

 

鈴が寄ってくる。

 

 

「この前の事。本気だからね?」

 

 

小声ですっごい優しい笑みで言ってくる鈴。ヤベェ、可愛いすぎて死にそう。

 

 

「あ、ああ。分かってる」

 

「私待ってるからね。朴念仁だった一夏が治ったのは嬉しいけど、自覚してる分ちゃんと答えてあげないとダメよ?他の子も」

 

 

なんか、鈴がすごい大人に見える… 他の子も、か…

 

 

「…分かってるさ。俺の責任なんだから」

 

「うん。ならば良し!もう始まるから行くわよ!」

 

 

バシッと俺の背中を叩いて歩き出す鈴。ホント、いい女になったよ。

 

 

「あ、織斑君。授業始まっちゃうよ?早く行こう?」

 

 

そのタイミングでデュノアも来る。カメラは…健在か。動画もちゃんと撮れてるな。工作班に送信して…っと。

 

 

「ああ、それと一夏でいい。苗字はあまり好きじゃないんだ」

 

「そうなの?じゃあ僕もシャルルでいいよ。僕も…苗字で呼ばれるのは好きじゃないから」

 

 

デュノアという苗字。フランスにある会社でISの世界にいる者なら知らない者は無いな。

 

こういう点では共感できるポイントがあるんだけどなぁ…。方法がダメだ。スマートじゃ無い。

 

 

「了解、じゃあシャルル。行くか。織斑先生がこっちに気づいた」

 

「うん」

 

 

そして列に並び授業が始まる。何人かは俺とシャルルをガン見していて姉さんから制裁を食らっている。

 

 

「鳳、オルコット、前に出ろ。お前達には模擬戦をしてもらう」

 

 

姉さんが二人にそう言う。

 

 

「分かりましたわ。して、お相手はどちらに?鈴さんですか?」

 

「え、そうなの?地味にセシリアとは戦ったことなかったから丁度いいわね」

 

 

お互い姉さんに呼ばれてやる気になっている。が…

 

 

「違う、お前達には山田先生と戦ってもらう。アイツに良いところ見せるチャンスだぞ?」

 

「ッ!?お任せください。やはりここはこのセシリア・オルコットの出番ですわ!!」

 

「セシリア…分かり易いわね。まあそこが良いところなんでしょうけど」

 

 

…姉さん1回目の時そんなやり方で二人のやる気あげてたのか。鈴はなんかセシリア見て呆れてるし。

 

ん?鈴がこっちを見てる?

 

 

「ちゃんと、見てあげなさいよ」

 

 

と口パクで言ってきた。分かってるって。

 

俺もそう言う意味を込めて頷く。

 

 

「む?へぇ…なるほどな。よし、2人ともISを展開しろ」

 

 

「「はい」」

 

 

2人がISを纏う。その時…キィィィンと甲高い音が。ああ、あったなそういえば…

 

 

「ああああああーっ!!どいてください〜っ!!」

 

 

訓練用のラファールに乗った山田先生が操縦をミスって俺の方に墜落してきた。…俺の方っていうか俺めがけて生徒がいる方、ね。

 

 

「全員離れてろ!白式!」

 

『はいよー!!』

 

 

俺は白式を纏い、ラファールを受け止める場所を作る。

 

 

ドゴォォォン!!と土煙が舞うほどの衝撃。

 

 

「ゲホッ!ゲホッ!大丈夫ですか山田先生?」

 

「え、え?あ、はい!大丈夫です!!」

 

 

なんとかラファールウイングスラスターを掴み、勢いを殺した。結構手が痺れるなこれ。耐衝撃の訓練には良いかも知れん。

 

ただ、ウイングスラスターを正面から受け止めたせいで山田先生と顔の距離がかなり近い。ん?熱源反応…?

 

シュン…と閃光。

 

 

「あら?外してしまいましたわね?次は…仕留めますわ…」

 

「セシリア…アンタ落ち着きなさいって…ハァ…」

 

 

激おこ状態のセシリアとそれを諌める鈴。それと別方向から箒の不機嫌そうな気配。あ、なんか箒丸くなった?

 

 

「…山田先生、ちょっと投げますね。命の危険を感じるので…」

 

 

スッっと山田先生を空に放る。今度はミスる事なく空中にしっかり止まる。 実はこれ結構高等技術だ。わざとめっちゃキツイ体制になるように投げたから、山田先生の練度の高さが分かる。セシリアと鈴、シャルルがそれを見てポカーンとしている。まあ、流石にビビるよなぁ?あ、ボーデヴィッヒも若干口が開いてる。

 

 

「…今分かったものは思っただろうが、山田先生が体勢を立て直した動きは並の者ができる動きでは無い。そうだろう、オルコット、鳳」」

 

 

姉さんが満足そうに2人に聞く。またいやらしい事を…

 

 

「え、ええ…今のをまともにやると、体が裂けてもおかしくありませんわ…そんな動きはウチの代表でもこんな綺麗には…」

 

「山田先生って結構凄かったのね…見習わないと…」

 

 

もはや、鈴は聞いていない。てか、イギリス代表より山田先生の方が練度高いの?良い情報が聞けたな。

 

それもそのはず、何故なら…

 

 

「山田先生は元日本代表候補生だからな。これくらいのこと造作もない」

 

「いえいえ、昔の事ですよ。候補止まりでしたし」

 

 

嘘つけ、知ってるぞ。姉さんが入るまでは飛び抜けて1位だった事。

 

 

「そう謙遜するな。とにかく!小娘ども、惚けてないで準備をしろ。模擬戦を始めるぞ」

 

「え、2対1ですの?それは不公平では…」

 

「バカッ、あんなの見せられてまだ1対1とか言ってるの?2人でやらないと速攻で落とされるわよ!」

 

 

俺は白式を解き、準備を完了した2人を見守る。

 

 

「では、始め!」




これから学校の試験期間に入るので投稿ペースが落ちると思います。落ちなかったら…勉強してないだけですのでご安心を〜


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山田先生の実力と入社テスト

「では、始め!」

 

 

そう、姉さんが言って模擬戦が始まる。

 

 

「さてデュノア、山田先生が乗っているラファール・リヴァイヴの説明をしろ」

 

「分かりました。ラファール・リヴァイヴは皆さんもご存知の通りーー」

 

 

ラファールは調べたから聞く必要はない。よくある量産機だからな。それよりも、今注目すべきは山田先生だ。あの技術、盗めるものがあれば盗んでおきたい。山田先生は学生時代「銃央矛塵(キリングシールド)」と言われていた。戦法は、遠距離戦が主だ。まあ皆様知っての通り、俺は1回目の時絶望的に射撃が出来なかった。今は、ユニコーンを使うために死ぬほど訓練したため、結構使えるのだが正直まだ甘い。だからなんとか色んな技術を盗もうとしているのだが、あれは無理だ。

 

俺は普通に銃などを扱うため、ISの武装もマニュアル操作にしているんだが…山田先生のはシステムを完全に理解してそれを応用しながら撃っている。あんな芸当ができる人間は世界に何人いるのだろうか…

 

と言うわけで俺は山田先生の技術を盗む事を諦め、戦うことになった時の対策を考えていた。ちょうどその時…

 

 

「デュノア、もういい。そろそろ終わる」

 

 

姉さんの宣言通り、鈴とセシリアは墜とされ模擬戦は終了した。ちなみに各個撃破だ。1回目は同時だったのに、今回は2人がいい連携をしていた。

 

 

「つ、強い…」

 

「まさか山田先生がこんな強さをお持ちだとは…」

 

「2人とも山田先生を相手によくやった方だ。動き的に連携は初めてだろう?お互いをカバーしながらよく動けていた。なあ、山田先生?」

 

 

姉さんが珍しく、人を褒める。よほど山田先生の実力に自信があったらしい。

 

 

「ええ、良いチームでした。ちょっと本気になっちゃいました」

 

「「ありがとうございます」」

 

「諸君、これで教員の実力は分かっただろう。以降は礼儀を持って接するように」

 

 

姉さんがしっかりしめる。

 

 

「「「はい!」」」

 

 

うん。良い娘達だ。…これで態度が変わるとは到底思わないけど。

 

 

「さて、専用機持ちは5人か…では1グループ8人で実習を行う。リーダーは専用機持ちだ。分かっているな?男子に集中するような事はするなよ?出席番号順だ。別れて始めろ」

 

 

1回目とは違い、最初にしっかり注意している。女子達は計画が見透かされて一瞬苦悶の表情を浮かべる。…そんなに俺たちと組みたいか。

 

 

「一夏、頼んだぞ」

 

「ん?箒か、同じ班なのか。よろしくな」

 

「よろしくね!織斑君!」

 

 

箒と一緒にやってきたのは相川さん。

 

 

「まあ、俺がまともに教えれるかわからないけど、出来るだけやってみるよ」

 

「むっ、やる前から卑屈になるのは良くないぞ一夏。情けない」

 

 

おっと、箒さんからのキツイ一言。俺言葉で教えるの苦手なんだよ。マドカの訓練するときも欠点だけ言ってずっと戦闘してるし。

 

 

「そうだな、箒の言う通りだ。任せてくれ」

 

「各班別れたな。班で協力してISを持ってこい。ラファール3機に打鉄2機の早いもの順だ」

 

 

そう言う姉さんの声を聞いて、俺はすぐに始める。

 

 

「さてと、じゃあ取りに行くか。どっちが良い?おススメは打鉄だ」

 

「なんでなの織斑君?ラファールの方が扱いやすいって聞くけど」

 

「俺もそうだったが、初心者ってコケるだろ?ISへのダメージはシールドエネルギーがあるから大丈夫だけど、丈夫な方が操縦者への衝撃も少ないし、安全だからな。もちろん扱いやすさと言う点で言ったらラファールの方がいいと思う」

 

 

俺はそれっぽい理由を言うが本質は違う。…午後の整備の授業が面倒だからだ。打鉄の方が硬いから凹むこともほとんどないし、ぶっちゃけ楽なんだ。

 

 

「じゃあ打鉄にしよ!」 「そうだね!」 「ああ」

 

 

班の意見も纏まってきたな。

 

 

「じゃあ取りに行ってくれ俺は織斑先生にISの使用許可を貰ってくるから」

 

 

もちろんもともと許可されているが、女子は俺に運ばせようってのが丸見えだからな。面倒くさい。

 

 

「分かった!行こ!」

 

 

元気よく班員がISを取りに行く。箒もちゃんと混ざれてるし、良かった良かった。

 

じゃあ俺も、

 

 

「織斑先生、白式の使用許可を。教えるので」

 

「ああ、もちろん許可する。その前にだな一夏…アレをなんとかしてくれんか?」

 

 

おや、授業中に名前呼びとは珍しい。そして姉さんの視線の先にはボーデヴィッヒの班が。

 

 

「俺に非があるとでも言いたいのか姉さん?」

 

「お前がああやって返すからだろう?責任取ってこい。言い方は任せる」

 

「へいへい、仰せのままに我が賢姉殿」

 

 

また面倒な事が増えた。自分から近づく事考えてなかったな。班のメンバーはまだ運んでるし、ボーデヴィッヒの班は雰囲気最悪だし…行くか。

 

 

「おいボーデヴィッヒ、なぜ始めない?」

 

「ISをファッションか何かと勘違いしている奴等に教えることなど何もない。それより、貴様だ!さっきの借り、返させてもらうぞ!」

 

 

そう言って、部分展開の砲を向けてくる。

 

 

「おいおい良いのか?ドイツの格が下がるぞ?ああ、姉さんのもな」

 

 

俺は笑いながら言う。

 

 

「なんだと?どう言う意味だ!」

 

「そう言う行為自体が、ドイツと姉さんの価値を下げてるんだよ。ドイツはこんなのしか代表候補生にできないのか?織斑千冬はこんなのしか育てられなかったのか?ってな」

 

「貴様!!教官と祖国への侮辱は許さんぞ!」

 

「だからお前のソレが原因なんだよ。しかもあれか?お前は自分の()()の言葉を無視して良いのか?教えろ、って言われただろ?」

 

「くっ…貴様に教官の何がわかる!」

 

「分かるさ、弟だからな。その強さも、態度も、私生活の悪s…あたぁ!?」

 

 

突然別方向から出席簿が飛んでくる。

 

 

「余計なことは言わんで良い!全く、ボーデヴィッヒ!お前の考えは間違っているとは思わん。だが、ここは学園。全てが自分の思想通りになるとは思うな?」

 

「はっ、はい!申し訳ありません、教官!」

 

「私はもうお前の教官ではない。織斑先生と呼べ!良いな?」

 

「はっ!!」

 

 

ボーデヴィッヒは納得がいかないのか、険しい顔で通り過ぎようとしている。そこに俺はボーデヴィッヒにしか聞こえない声で、

 

 

「同じような存在としては、お前のことわかってるつもりだぜ?ボーデヴィッヒさんよ?」

 

「…ッ!?」

 

 

俺は言い終わると、すぐに班の方に戻る。残念なことに、俺はアイツよりもっと醜い存在だがな。

 

 

「おっ、運んだみたいだな。じゃあ始めるか」

 

「「「よろしくお願いします!」」」

 

 

いやいや、そんなかしこまらなくて良いから、恐れ多いって。箒も一緒に頭下げなくて良いから。

 

 

「出席番号でやるか、最初は…相川さんだな。じゃあ打鉄に乗ってみてくれ。…いや、無理か。ちょっと待ってろ」

 

 

打鉄を見るとハンガーデッキにかかった時のままのように直立不動。このままでは1回目の二の舞になるため、俺は白式を展開して乗りやすいように打鉄の体勢を作る。

 

 

「こんなもんか、乗り方は分かるよな?」

 

「うん、授業で何回かやったから大丈夫」

 

 

そう言って相川さんはスッと打鉄に乗る。数回しか乗ってない割にはスムーズに行ったな。俺は相川さんを先導し、基本的な動きを教える。交代しながら何回か繰り返す。みんなスムーズに行くな。さすが、IS学園に入学するだけのことはある。箒もちゃんと乗れてるし。

 

少しずつレベルを上げて、ちょうど何周かした時に…

 

 

「今日はここまでだ。今から片付けを行う。午後から整備の授業のため、ISは格納庫に置け。授業開始時は班別で集合、専用機持ちは訓練機と専用機の両方を見ること」

 

 

姉さんの号令で終了。見た感じウチのとこが最も進んでるみたいだな。ちなみに2位はシャルルだ。…いや、競争じゃないけどね?

 

 

「はい、じゃあ片付けるか。まあみんな頑張ってたし、最初よりすごく上手くなったから、ISは俺が持っていくよ」

 

「おお!さすが織斑君、わかってるね〜」「ごめんね、任せちゃって」「助かる」

 

 

思ってたよりみんな疲れてるな。

 

 

「じゃあ解散な、お疲れ様」

 

 

俺はISを運ぶ。言われた場所に持っていくと、ボーデヴィッヒの班員が作業に入っていた。

 

 

「お疲れ様。さっきはごめんな、怖かっただろう?」

 

「え?織斑君?ううん、こっちこそ迷惑かけてごめんね」

 

 

そのうちの1人が代表して言ってくる。

 

 

「お陰で授業ちゃんと進んだよ!ありがとう!」

 

 

また1人と元気な子がお礼を俺に言う。

 

 

「あのままだと織斑先生から折檻食らってたからな。…結果的に食らったのは俺だけど」

 

「あはは…」

 

 

自虐ネタはあまり受けなかったらしい。まあ、経験者にとっては笑い事ではない。

 

 

「じゃ、俺は行くから」

 

 

 

そして俺は着替えるため更衣室に向かう。俺が人と話している間にデュノアはもう着替えて行ってしまったらしい。まあ、そうだよなぁ。俺も別に率先して女性の裸体を見る趣味なんてないし。

 

第一に着替えといっても上に制服を着るだけだ。汗もかいてないし、わざわざISスーツを脱ぐ必要もないからな。というわけでそのまま昼飯に向かう。今日は弁当を作るのを忘れたから学食でも良いんだが、どうせシャルル目当てで屋上に誰もいないだろうから、1人寂しく食うかな。…女子達に囲まれるのも怖いし。

 

 

「さて、朝購買で飯買っておいて正解だったな」

 

 

屋上に到着した俺は、給水タンク?みたいなのがある所に登り見つからないように飯を食う。

 

 

「俺はなぜわざわざ隠れるような真似をしてるんだろうか…癖だな」

 

 

潜入任務とかの長期的なものまだないが、スッと入ってスッと爆薬設置してスッと出てきたことはある。汚い花火だった。

 

 

「シャルルを放っておくのも可哀想なんだけど、この際男子の辛さを知ってもらうとしよう。そうしよう。うんうん!」

 

 

我ながら鬼畜の所業である。…昔は、率先してみんなで飯食ってたんだけどな。と、感傷に浸っていると…

 

ガチャっと扉が開く音がする。誰か来たか?

 

 

「あら、誰もいないようね。…はーあ、疲れた。全く、せっかく帰省したと思ったら戦闘に駆り出されて、挙句失敗してすごい怒られるし…あの子の言う通りになりそうで怖いわね」

 

 

来たのは金髪の生徒。あれは…サラ・ウェルキンだな。戦闘?俺にはそんな情報入ってきてないんだが。一応録音しておこう。

 

 

「確かにあの子の言う通り、専用機も貰えてないし待遇は良くないけどさ〜?もうちょっと待ったらもらえるかも!っなわけないわよねぇ…はぁ…本当に入っても良いかもしれないわね。()()()()

 

 

なっ!?ウチだと!?おいおい、なんのことだ?え〜と、あ…

 

イギリスはつい最近ゼフィルス強奪したな。マドカがライバルと出会えたとか言ってたし、勧誘もしたって………完全にそれじゃねえか…

 

 

「えっともらった連絡先は…これね。これって…一回使ったら二度と使えない秘匿通信の番号?〇〇〇ー〇〇…」

 

 

オィィ!!今あの人が言った番号俺が何個か所有してる内の一個なんだけど!?マドカのヤツ、俺に任せやがったな!!まずい、かけてくる前に俺から言わないとバレる。こんな時のためのボイスチェンジャーと仮面だ。拡張領域に入れておいてよかった。

 

 

「……あ、繋がったわ。もしもし?」

 

『もしもし、貴女が内のMに勧誘された者か?』

 

 

直接あちらに聞こえていないか心配だ。

 

 

「ボイスチェンジャー…ええ、そうよ。サラ・ウェルキン、イギリス代表候補生で専用機はないわ」

 

『ああ、すまない。大衆に聞かせられる声ではないのだ。許してほしい。話は聞いている。連絡していたと言うことは、そう言うことで良いのか?』

 

 

嘘は言ってない。世界唯一の男性操縦者の声は流石に無理だからな。あたりまえなんだよなぁ…

 

 

「…ええ、そうね。私はあなたたちの組織に入りたい」

 

『良いだろう。しかし、流石に国の犬とも言うべき貴女をすぐに信用しろ、と言うわけには行かないのでな。テストをさせてもらう』

 

「テスト?内容h…ッ!?」

 

 

俺はユニコーンをステルスモードで展開する。手にはビームマグナム。そしてウェルキンさんの前に現れる。

 

 

「驚いた…まさか学園にいるなんて…結構すごい職場に誘われたのかもね、私」

 

『勿論だとも。我らが亡国は所属するものにはしっかりとした待遇で迎えている』

 

 

そう言って俺はマグナムを突きつける。

 

 

「……」

 

『この銃は打鉄の装甲板を12貫いた実績がある。まあ、先に壁が壊れそうだったからそこで辞めたのだがな』

 

 

あの時は危なかった。マジでレイさんはとんでもないもの作るものだと再認識した。

 

 

『まあ、こんなところで撃つつもりは毛頭ないが、貴女に、覚悟はあるか?全てを捨て、親しかった者と敵対し、殺す覚悟が』

 

「……無理よ。私はたとえどんなことがあっても、殺したくはない!!」

 

『その迷いのせいで、ほかの物を失ってもか!!』

 

 

事実、俺は失った。俺が堕ちたから、俺だけがこの時代に戻ってきてしまったから。

 

 

「それは……それでも、同じ人だもの…」

 

『……合格だ』

 

「…え?」

 

 

ちょっと意地悪が過ぎたか。

 

 

『最初からそんなことさせるわけないだろう?私達は無闇に血が流れることを望んでいない。その必要もない』

 

「じゃ、じゃあさっきの質問は…?」

 

 

あれは勿論、

 

 

『澄まし顔で知り合いを撃ち殺すような人間を亡国に入れてたまるか。そんな殺人鬼集団はウチにはいない』

 

「そ、そうよね」

 

『ようこそサラ・ウェルキン!我らが亡国機業に!』

 

 

そして展開を解く。

 

 

『私達は、貴女を歓迎する』

 

「…………」

 

 

なにやらウェルキンさんが微妙な顔をしている。普通の仮面だぞ?

 

 

「織斑君…無理しなくて良いわよ?」

 

『…なんのことだ?』

 

 

バレてる!?いや、声も顔も大丈夫だ。何故だ?

 

 

「黒髪で男子制服着てるIS学園の生徒なんて、あなたしかいないわよ…」

 

『あっ…』

 

 

ユニコーン解くんじゃ無かった…バレたので俺は仮面とボイスチェンジャーを外す。

 

 

「え〜その、亡国機業実働部隊モノクローム・アバター所属コードネームS、織斑一夏です…試すような真似をしてすいませんでした…」

 

「無かったことにするのね。イギリス代表候補生サラ・ウェルキンよ。セシリアがお世話になってるわね」

 

 

お互い改まって挨拶する。俺はこっそりと録音機を止め、スコールの姉貴に送る。

 

 

「これからよろしくお願いね」

 

「はい、こちらこそ。それでなんですが、当分は専用機開発になるので仕事はまだないんですが、一度本部に行っていただかないといけません。…教育がありますから。大丈夫です、1日で終わります」

 

「了解したわ。場所は?」

 

 

お、今姉貴からも許可が帰ってきた。

 

 

「この紙に書いてあります。無くさないでくださいね?こんなに早く貴女を消したくはないので」

 

「…物騒ね。大丈夫よ、私物なくしたこと無いから。ん?へぇ、Phantom corporationね。…名前そのままじゃない」

 

 

そこは突っ込んだらいけないよ…

 

 

「空いている日にお願いします。上司からも許可が出ているので。あ、本部に多分Mいますよ」

 

「そうなの?じゃあ期待できるわね。それと、貴方とM?って兄弟?」

 

「ええ、まあ。姉さんに似てるからですか?」

 

 

最近は慣れたって言われてきてるから新鮮だ。

 

 

「いや、どこか抜けてるところがそっくりなのよ。M、IS持ってくるの忘れてたし」

 

 

あのバカ…なんでISを忘れることができるんだよ…

 

 

「貴方もさっきやっちゃったしね。Mの名前は?」

 

「マドカです。自慢の妹ですよ。俺が訓練してますから」

 

 

この人、マドカと引き分けたらしいからな。絶対強い。

 

 

「あら?じゃあ私も訓練してもらおうかしら?」

 

「え?いや良いですけど、俺の教え方肉体言語ですよ?」

 

「マドカって、それで良くあのレベルになれたわね…」

 

 

ベースが姉さんだからな。世界最強の遺伝子は強い。

 

 

「もしかしてお昼の途中だった?そこに食べかけがあるけど」

 

「え、いえ大丈夫ですよ。こっちの方が大事ですし」

 

「悪いことしたわね。お詫びになんだけど…」

 

 

そう言いながら先輩は何か取り出す。

 

 

「一緒に食べましょ?懇親会ってことで」

 

 

弁当を取り出した先輩がそう言ってきた。




活動報告にて、ヒロインアンケート決勝戦を行なっています。方式は変わらず、3人までとなっているので是非ともお願いいたします。メンバーは活動報告にてご覧ください。


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クラスメイトのボーデヴィッヒ

「一緒に食べましょ?懇親会って事で」

 

「え?」

 

「あら、お嫌?」

 

「いえ、むしろ歓迎しますけど。いいんです?誰か来たら噂されますよ?」

 

 

俺は慣れてるけど流石に先輩がそうなるのは困る。

 

 

「いいわよ別に。噂ってだけなら慣れてるもの」

 

 

先輩は弁当を広げながらそう言う。

 

 

「いえいえ、仲間になるんですから。まあ、今日はシャルルに気をとられてここに来る人なんてそうそういないt…」

 

「あ、一夏さん!このようなところにいらっしゃったのですか。私達も誘ってくださればよかったのに。…って、ウェルキン先輩!?」

 

 

入ってきたのは、セシリアとシャルルと鈴と箒。珍しく俺が居なくても纏まりがある。鈴のおかげか?

 

 

「居たわね」

 

「…居ましたね」

 

 

先輩と息が合う。

 

 

「ウェ、ウェルキン先輩?なぜ一夏さんと一緒にお昼を食べいていますの?まさかもうそういう仲に…?」

 

「そんな訳ないでしょ。たまたま出会ってアンタがお世話になってる事を話してたのよ。セシリアはその…アレだったでしょ?迷惑かけてないかって」

 

「なっ!、わたくしはもう改心しましたわ!大丈夫ですわよ!」

 

 

2人が姉妹喧嘩?しているのを横目に、残りの3人が寄ってくる。

 

 

「一夏…僕の事見捨てた?食堂怖かったんだけど…?」

 

 

俺たちの名物、ハイライトが消えたシャル。いや、怖いだけなんですけどね?

 

 

「いやいやそんなことないって!今日はたまたま弁当作り忘れたから仕方なく購買で買ったんだよ」

 

「ふーん。そうなんだぁ?でもさ、こうなるの経験済みだろうし、分かってたよね?」

 

「へ!?い、いやぁ?流石に午前だけでこんなになると思ってなかったから…すまん!!」

 

 

その頃…鈴と箒は…

 

 

「なんだか、賑やかなのも良いものだな鈴」

 

「そうねぇ、ちょっと想定外だったけど(あの人もライバル?でもそんな雰囲気じゃないし…?)」

 

 

だいぶのほほんとしていた。幼馴染組は凄いなぁ。…助けろよ。

 

 

 

〜数分後〜

 

 

「で?みんな落ち着いた?」

 

「「「「はい」」」」

 

 

鈴の号令で一同静まる。

 

 

「みっともないとこ見せちゃったわね。改めて自己紹介するわ。私は二年のサラ・ウェルキン。イギリス代表候補生で一応

、セシリアの先輩になるわね。…私は先に行かせてもらうわ。お邪魔そうだし」

 

「ウェルキン先輩お気になさらずとも…」

 

「流石に、年上がいたら話しにくいこともあるでしょう?それじゃあね。あ、セシリア?」

 

 

先輩が笑顔でセシリアを見る。あ、これセシリア終わったな。

 

 

「なんですの?」

 

「アンタ4月にやらかしたそうじゃない。今度、鍛え直してあげるわ」

 

 

そう言って去っていった。いつのまにか昼飯食ったのか…気付かなかった。セシリアは、顔が真っ青だ。

 

 

「…先輩の……訓練?わたくし、生きて帰れるでしょうか?」

 

 

大丈夫だって、1回目で何も知らずにお前のサンドイッチ食った時の俺よりはマシな顔してるって。…うっ、頭が…

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

「「「「「「あっ…」」」」」」

 

 

昼からの授業の予鈴が鳴ったのだった。

 

 

「…お前ら、飯は?」

 

「食べてませんわ…一夏さんを探していましたので」

 

「私は食べたぞ。最近自分で作っているからな(なぜか味が全くしないのだが)」

 

「私も食べたわ。…といっても少しなんだけどね」

 

「僕は…食堂が人で溢れかえっていて食べてない」

 

 

セシリアとシャルルか。…仕方ないな。

 

 

「2人ともこれ食え。まだ開けてないし、食わないよりはマシだからな」

 

 

俺は購買で買った袋からおにぎりを取り出し渡す。

 

 

「よろしいのですか?」

 

「ああ、俺はそこそこ食ったしな」

 

「ありがとう一夏。助かるよ」

 

 

確か…午後の授業は…!?

 

「待て、急ぐぞ!!午後からは整備の実習だった!!」

 

「ちょっと!それ不味いじゃない!ヤバイわよ。早く行かないと…!!」

 

 

こんな感じでドタバタと俺たちは走った。

 

もちろん間に合わないので全員漏れなく姉さんからの一撃を食らった。

 

 

 

〜夜、一夏の自室にて〜

 

さて、授業も終わり部屋に戻ってきた俺だが、シャルルも戻ってきた。あんまりふつうに接すると情がうつるからな。多少は距離を置く。

 

 

「これからよろしくな、シャルル」

 

「うん、こちらこそ」

 

 

俺たちはもちろん同部屋なので、互いに挨拶。

 

 

「細かいルールでも決めるか。まずは…シャワーの順番はどうする?俺は先でも後でもどちらでも良いぞ?」

 

「後で良いよ。一夏が先に使って」

 

 

前もこんな会話だった気がする。

 

 

「遠慮しなくて良いんだぞ?2人しかいない男なんだ。そういうのは無しだ」

 

 

…酷いけど、そろそろ亡国として接していこう。まずは男同士という事を繰り返し使って、罪悪感を植え付ける。

 

 

「大丈夫だよ。僕ってあんまり汗かかないから、あんまり気にならないし」

 

「そうか?でも、なんかあったらすぐ言えよ。なんたってルームメイトで男同士なんだからな」

 

「……ッ…」

 

 

ちょっとだけ口元が動いた。反応してるな。

 

 

「あっ、そうだ。せっかくだしお茶でも飲んでみるか?日本に来てそんなに経ってないだろ。日本ぽいもの、どうだ?」

 

「お茶?あっ、なんか特別な技法を使って入れるものだよね?」

 

 

それは抹茶だな。確か購買にそれっぽいもにあった気がするけど…そこまで見てないな。今度確認しとくか。

 

 

「それは抹茶だな。俺が言ったのは麦茶とかほうじ茶とかそういった類だな」

 

「ふーん。じゃあもらっても良いかな。お茶は前から興味があったんだ」

 

 

ニコッと笑顔で言ってくるシャルル。こういう自然な事で男子だと勘違いしてる女子が落ちるんだよなぁ…。これが俗に言うニコポか。

 

 

「まぁ、今はパックの物しかないけどな。これも十分美味しんだ。ほら、出来たぞ」

 

 

お茶を渡す。自白剤持ってるから入れても良いんだがもうちょっと後にする。今入れて、今度同じことして飲んでもらえないとか嫌だしな。…何より、食事は楽しむものだ。

 

 

「わぁっ!これ美味しいね一夏。なんというか、落ち着く感じがする」

 

 

そう笑顔で言ってきたのはおそらく、()()()()()()()()()()()だろう。こう見ると、ちゃんと女の子なんだけどなぁ… なぜ他の生徒は気づかないんだろうか?

 

 

「そうか、それは何よりだ」

 

 

そうして、夜は更けていった。ちなみに、白式をあえて遠くに置いてどうするか反応を見ていたが今日は何もしなかった。流石に初日からする勇気はないようだ。

 

 

 

アレから何日か経ち俺は今、学園の射撃などの訓練場に来ていた。ここはいつも誰も来ていないのでほとんど俺が1人で使っている。

 

 

「…若干ズレてるな。後で修正しないと」

 

 

自前の拳銃を使ってひたすら射撃練習。あ、これは姉さんに取られたやつね。返してもらえたのだよ。ちなみにこの拳銃、無駄に高性能でな。マガジンにISの拡張領域が採用されていて装填しなくても弾が補給され続ける鬼畜仕様。無駄に高価である。

 

ちなみに撃った弾はもれなく人型の的の脳天と心臓を完璧に捉えている。…様に見えるが実は若干ズレており俺的には不満足。やっぱ俺銃苦手だわ。狙わなくても当たる極太ビームとかだったら使いやすいんだけど…そんなもの要らない。

 

 

「他の2丁も使っとくか。メンテナンスしてないからなぁ…」

 

 

そう言いながら2丁とも取り出す。これらは普通の拳銃、弾切れにはご注意を。

 

 

「サイレンサー付けとくか?…今更か。…ん?」

 

 

足音が聞こえる。こんな所に誰だ?

 

 

「ほう、此処が教官の言っていた場所か。なかなか良い施設ではないか。…ッ!?織斑一夏!!」

 

 

やってきたのは銀髪、眼帯、現役軍人と設定モリモリの少女、ラウラ・ボーデヴィッヒ。あ〜、軍人ならそりゃ来るわ。

 

 

「ボーデヴィッヒか。ここは俺以外居ないから好きに使ってくれ。あっ、ISは使うなよ〜」

 

「黙れ!誰が貴様などの戯言を聞くか!」

 

「ここ壊して姉さんにどやされても知らないからな…?」

 

 

うぐッ、っと正論を言われて後ずさるボーデヴィッヒ。

 

 

「そ、そういう貴様こそこんな所で何をしている?貴様の様な一般人が来る場所ではないぞ、此処は」

 

「もう、世界的な有名人なんだがな…。いや、ISだって絶対じゃない。それは軍人のお前もわかるだろ?だから…」

 

「生身でも戦える様にする、か」

 

 

分かってるじゃないか。

 

 

「そうだ。この前お前を投げた時の技も、そういう理由で習ったものだ」

 

「……貴様を教官の弟だとは断じて認めん。だが…貴様はISが何か理解している様だな」

 

 

もちろん。ISとは…

 

 

「簡単に人を殺せる兵器だ」

 

 

苦楽を共にする相棒だ。

 

 

「なぜ人々がこんな簡単なことに気づかないのか、わからない」

 

 

なぜ人々がISの声に気づこうとしないのか、わからない。

 

 

『一夏…』

 

 

「…貴様の事は気に入らないが、話は通じる様だな」

 

「おっ?そう言ってもらえるとありがたいな。クラスメイトとは出来るだけ仲良くしておきたいからな」

 

 

後で利用しやすくするために…

 

 

「それにな?良く考えてみろ。俺はたしかに姉さんの栄光を邪魔した本人だ。でもそのおかげで姉さんはお前らの教官となった。俺が誘拐されてなかったら、お前は姉さんに会えなかったかもしれないんだ」

 

「………確かに、その通りだな。だが、しかし…」

 

 

ボーデヴィッヒにはまだ迷いが見える。

 

 

「お前は姉さんに鍛えられたんだろ?だったら自信を持って、姉さんに恥じない様にしろ。自分はあの世界最強の教え子で、ドイツ代表候補生の()()()()()()()()()()()だとな」

 

「……そうだな。その通りだ。感謝するぞ織斑」

 

 

おっ、呼び方が変わった。今までの修羅でも纏っているんじゃないかっていう雰囲気が消えたな。

 

 

「ああ、気にするなって。クラスメイトだろ?」

 

「クラスメイト…クラスメイトか。じゃあ、そのクラスメイト様に一つ頼みがある」

 

 

ん?

 

 

「今日の放課後、一戦交えてほしい」

 

「ISか?良いけど、どうしてだ?」

 

「お前の実力が知りたい、と言ったら?」

 

 

あらやだ、誘い方が情熱的。

 

 

「ふーん、良いぜ。第三アリーナでいいか?」

 

「ああ、申請は私が通しておく。待っているぞ」

 

 

そう言って去って行った。え、戻るの…?

 

少しして顔を赤くして戻ってきたので、俺が代わりに出てった。なんか既に小動物感出てるな。




この度のヒロインアンケート決勝の結果を参考に、ヒロインを決定することができました。
アンケートにお答えいただいた、

零乃 愛李様

ラビラビタンタンハザード様

あじら様

稼津斗様

キバット13世様

ムリエル・オルタ様

勝斗様

大和改三様

黒目玲愛様

松影様

サクラサク様

シルスキー様


ありがとうございました。ヒロインはまだ発表しませんが、これからの展開をお楽しみに!


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完成品と不良品

今回は短め


時は放課後、ボーデヴィッヒとの模擬戦の約束があるためアリーナに向かっている。

 

 

「いや〜、ボーデヴィッヒも思ってたより話が通じるじゃないか。1回目で俺がちゃんと対応してたらちょいでもマシだっただろうな…」

 

 

やっぱ姉さん至上主義はあるらしいけど全然マシになった。…クラスメイトへの態度が変わってないのは良くないけど。

 

 

「どうしよっかな〜。さっさとボーデヴィッヒのVTシステム発動させて倒してもいいんだが…あ〜、他にも練習してる人がいるからダメだな。…ん?」

 

 

前から大急ぎで走ってくる女生徒が1人。

 

 

「あっ!!織斑君!大変なの!」

 

 

何組の生徒だっただろうか?一年生というのはわかるのだけどな。あと、走ってて揺れてる胸が眼福です、ありがとうございます。

 

 

「どうした?」

 

「今、アリーナで鳳さんとオルコットさんがボーデヴィッヒさんとISで勝負してて… 鳳さんとオルコットさんが一方的に…」

 

「ボーデヴィッヒを痛めつけてるのか?」

 

 

いや、なんか今の2人なら出来そうだけど…

 

 

「逆なの!2人がボーデヴィッヒさんにやられてて、もうISが強制解除されそうなの!」

 

 

アイツら…1回目よりは落ち着いてるから大丈夫だと思ってたけど…

 

 

「わかった、すぐ行く!君は先生に知らせに行くんだ。いいな?」

 

「う、うん」

 

 

クソッ、思ってたよりボーデヴィッヒの実力が高かったか。急がないと。

 

 

「出番だ!白式、行くぞ!」

 

『おっけ〜い!!最近あの金髪ちゃんがいて話せなかったからね、ちょっとお姉さん溜まってるんだよ!ぶっ飛ばしちゃうよ〜!!』

 

 

お前がお姉さんとか…フッ。

 

 

『あ〜!笑ったね一夏!【零落白夜】使わせてあげないよ?』

 

「いやいや!それはマジで困る!悪かった。悪かったから!」

 

 

俺は急いでるのに何をしてるんだろうか…

 

 

『ふふん!よろしい。…あっ、見えてきたよ!』

 

 

アリーナに出るとISを強制解除させられ、床に倒れているセシリアと、ボーデヴィッヒに片手で持ち上げれている鈴が…

 

 

「フンッ、イギリスと中国もこんなものか…むッ!!」

 

 

俺は衝動的に「雪羅」を展開、荷電粒子砲を撃つ。AICで止められたらしいがどうでもいい。

 

 

「ボーデヴィッヒ、何をしている?生徒間の戦闘は申請書を通してやるものだ。説明してもらおうか!!」

 

「何を怒っている?少し口が過ぎたのは認めるが先に手を出したのはコイツらだぞ?」

 

 

本当に理解していないのか当然といった表情で言ってくる。鈴はもう離したらしい。

 

 

「シャルル」

 

「へ?あ、はい!」

 

 

今来たのだろう、専用機のラファールを装備したシャルルに声をかける。

 

 

「2人を回収してすぐに保健室に連れて行け。俺はコイツに用がある」

 

「わ、分かった、気をつけてね一夏」

 

「させると思うのか?」

 

 

俺はさらに雪羅を撃って牽制する。

 

 

「ボーデヴィッヒ、模擬戦は今からでいいな?」

 

「……フンッ、良いだろう。頼んだのは私だからな」

 

 

その間にシャルルが2人を連れてアリーナを出た。…よし。

 

 

俺とボーデヴィッヒ以外はこのアリーナにはいない。だからこうして雪羅を展開している。ここでバラすのはどうかと思ったが、面倒だから仕方がない。

 

 

「行くぞ織斑!」

 

 

ボーデヴィッヒがワイヤーブレードとプラズマ手刀を展開させ迫って来る。俺は空へ逃げ雪羅を構える。

 

 

「そのような武装、開示されたデータには無かったが二次移行でもしたのか?」

 

「そんな事、どうでも良いだろう?今は戦闘中だ」

 

「そうだな!」

 

 

追いかけてきたボーデヴィッヒが手刀を振るい俺は雪片で受け止める。

 

 

(白式、雪羅と零落白夜の出力を60%落として推進系に回せ)

 

『了解、無茶しないでね』

 

(ああ、余裕だ)

 

 

どうせ途中で姉さんに止められるんだからやり切った方がいい。

 

ボーデヴィッヒの手刀を弾き、今度はこちらから追撃する。雪片を振る直前『零落白夜』を発動、大幅に相手のシールドエネルギーを削る。そのまま雪羅の『零落白夜』の爪で追い打ちだったが近距離でボーデヴィッヒがレールキャノンを発射。俺は回避行動で距離を取る。

 

「どうしたボーデヴィッヒ。ドイツのISはこんなものか?」

 

「……何故だ?」

 

「あ?」

 

「何故そのような力を持ちながら、このような場所にいる!!」

 

 

…えーと、うん?

 

 

「こんなISをファッションとしか思っていない連中といては貴様の能力も生かせない。その戦闘力があれば、軍でだって十分戦果を期待できるはずだ!」

 

「その戦果が欲しいから、お前らを作ったんだろ?まあ、不良品しか出来なかったらしいけどな」

 

「不良品…だと…」

 

「完璧に作られたんだったら俺なんかには負けないだろ?」

 

「私は不良品じゃない!!貴様を倒して、教官に…教官にィィィ!!」

 

 

叫びながら突っ込んできたボーデヴィッヒ。ここまで負の感情があるんだったらVTシステムが目覚めると思っていたが、まだらしい。

 

 

「なんか、怒ってたのがアホらしくなってきたな」

 

 

アリーナの端に姉さんが待機してるのが見える。どうやらまだやって良いらしい。会話は聞こえてないみたいだな。よかったよかった。

 

じゃあ…狩るか。

 

 

「なッ……!?どこに行った!!」

 

 

刹那、ボーデヴィッヒの視界からは俺が消えたように見えたはずだ。

 

 

バァァン!!

 

 

「」

 

 

 

レールカノン、ワイヤーブレードを破壊した。レールカノンは爆発して装備していたボーデヴィッヒにもダメージが入り苦悶の表情。声にも出来ないようだ。

 

 

「な…ぜ…?何故貴様が…ソレを持っている?ソレは私だけの…」

 

 

ボーデヴィッヒの目線の先には両目が金色に変色、つまりヴォーダン・オージェが発動した俺の姿。

 

 

()()は完成されている。この意味がわかるな?」

 

 

「…あぁ……あぁ……」

 

 

俺はヴォーダン・オージェを解き目の色を戻す。ボーデヴィッヒにもう戦意はない。これ以上の戦闘はムダだ。…だが、

 

 

「ISはまだ動いているな。これで終わりだ」

 

 

俺が雪片を振り下ろす。

 

 

「そこまでだ織斑。全く、やりすぎだ」

 

 

打鉄のブレードで雪片を止める姉さん。

 

 

「2人とも暴れすぎだ。流石に止めさせてもらった」

 

「今回の罰則は?」

 

「2人とも…と言いたいところだが、申請書で許可は出ていたし、オルコットと鳳も合意で戦闘していたからな。今回は不問とする」

 

 

やれやれ…といったかんじの姉さん。毎度ご迷惑かけます。

 

 

「この決着は学年別トーナメントで決めろ。2人とも実力はあるからな。どうせすぐ当たる。それと織斑」

 

「はい?」

 

「その武装はなんだ?」

 

 

え?と思ったがもう時すでに遅し。俺の左腕には展開したままの雪羅が…

 

 

「…さっき衝動的に動いた時、気づいたら装備してました。詳細は分かりません」

 

 

目をそらしながら答える。多分ダメだろうなぁ…

 

 

「…良いだろう。そういう事にしておく」

 

 

お、マジで?

 

 

「ただし、武装のデータは出してもらうぞ。もしかしたら束がいつのまにか追加したのかもしれん」

 

 

…違うんです。これ出したのは白式です。

 

 

『ちょっと一夏!?売る気!!』

 

 

(いやいや、しませんって。後、事実ですから)

 

 

「では、解散だ」



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それぞれの思いを胸に

皆様どうも作者です。少し前より春休みに入りまして塾とか学校の勉強会とかで忙しく、家でもとろけるような生活をしているので更新ペースが大分伸びてしまいました。この文章を書いている今も塾の自習室でとろけております。

何話か前より新作のアンケートを実施しています。いつかは書こうとは思っていますが、今はコレに集中していこうと思います。書いたほうがいいのは分かっていますがプロットも作らず、ストックもしていないので小説の流れが落ち着いてきたら、新作も書いていこうと思いますのでお楽しみに〜


全然関係ないのですが、ちょっと前にツイッターで流行ったDX難波会長の杖(コラ)を真面目に欲しいと思いました。杖を折りながら忠誠を誓いたいですね!(誰にやねん)


では37話をお楽しみください!


 

ボーデヴィッヒとの模擬戦の後、部屋に戻った俺は今日のことを思い出していた。

 

「ククク…ここで瞳のお披露目は早かったけど、思ったより楽しかった………あ?」

 

 

()()()()()

 

 

「……ふざけてるのか俺。中身が違ってもアイツは()()()()()()()()()()()だぞ。あんな蹂躙が楽しいわけが…」

 

 

全く、口には気をつけないと… 災いの元だ。…天災の元?いや違うな。

 

とりあえず、学年別トーナメントまで時間がある。早々にペアを決めて連携を強化するべきなんだよなぁ… 普通に考えてシャルルだけど、まだ正体を知ってない事になってるしあまり深い接触はしたくない。というかできれば女子たちの犠牲になってほしい。俺はあの波に揉まれたくない。となると…鈴とセシリアはISの修復と合わせたらギリギリ間に合わないか。箒…はボーデヴィッヒとやるには実力が足りてない。悪くはないんだけどな。俺と合わせると両方前衛だから良くない。え、じゃあいなくね?……あっ、簪さん誘ってみるか。ISも完成してるし実力も十分だ。そうと決まれば早速連絡!…っと、その前に鈴とセシリアのお見舞いだな。

 

部屋を出て校舎まで歩いているが誰とも会わない。何故だ?いや…ドシンドシンと少しずつ足踏みの音が聞こえる。おいおい!こっちに来てるじゃねえか。隠れないと…ちょうど良いところに男子トイレが!!

 

隠れていると…

 

 

「織斑君は部屋に戻ったって誰かが言ってたわ!扉前でガン待ちしましょう!」

 

「「「おお〜!!」」」

 

 

……アレか。学年別トーナメントがペアで行われるって発表今日だったのか…ペアの申請書を持った女生徒たちがすごい気迫で通り過ぎていく。……隠れてよかった。

 

 

程なくして保健室についた俺だが…入って良いものか…

 

 

コンコン…

 

 

「1年1組の織斑です。入って良いでしょうか?」

 

「一夏?セシリア、入れて良いわよね?」

 

「え!?一夏さんですの?ちょ、ちょっと待ってくださいまし!!」

 

 

ドタドタと中から音が聞こえる。そんなに動いて大丈夫か?

 

「入ってきて良いわよ」

 

「鈴さん!?まだ心の準備が…」 「ハイハイ」

 

 

…本当に入って良いんだよな?

 

 

「じゃあ、失礼します」

 

 

扉を開け中に入ると、ベッドの上でおとなしくしてる鈴と、何かあったのだろう(決して俺は知らない)セシリアがいた。ちなみに2人とも包帯でグルグル巻きだ。

 

 

「大丈夫か2人とも?」

 

「アンタねぇ…これ見て大丈夫に見える」

 

「ははっ、すまん。セシリアは?」

 

「え、ええ。まだ痛みはありますが動くのに支障はありませんわ」

 

 

セシリアは涙目で答える。無理しなさんなって。

 

 

「そ、そうか。それで2人とも、療養中で悪いが、何があった?」

「何って?」

 

「ボーデヴィッヒと戦ったんだろ?その経緯だよ」

 

 

なんとなく察しはつくが、一応聞いておかないと、次に俺がどこまでやって良いか分からない。

 

 

「あ、それのことね。まず…」

 

 

鈴の話に寄れば、2人で訓練しようとしたところにボーデヴィッヒが現れ俺と模擬戦する前のウォーミングアップだと言ったらしい。で、自分のことが眼中にないと暗に言われて怒ったセシリアがボーデヴィッヒに突っ込んでいき、それを止めようと鈴も参戦。それでボーデヴィッヒに色々煽られ、鈴もキレて2人で襲いかかったがボッコボコにされ俺がきた時の状況らしい。

 

 

「2人とも…」

 

「分かってるわよ、私もまだ煽り耐性がちゃんとついてなかったらしいわ。普段ならあれくらい大丈夫なんだけど、セシリアを止めなくちゃって焦ってたから」

 

「わたくしは…祖国の侮辱に対して どうしても許せなくて…」

 

 

鈴は昔よりマシになったけどまだまだっぽいな。セシリアを止めようとしたのはナイスだけど。セシリアは…仕方ないといえばそれまでだ。彼女の愛国心とプライドがそうさせたのだろう。…もう少し落ち着いても良いと思うが。

 

 

「まあ、何はともあれ無事でよかった。…いや、無事じゃないけど後に残る傷はないんだろ?」

 

「ええ、2人ともないわ」

 

「そうか、嫁入り前の娘に傷がついたらいけないからな」

 

 

ウンウンと一人で頷く俺。何をオヤジ臭いこと言ってんだか。

 

 

「もし傷物になってたら一夏に責任取ってもらうから私は良いわよ〜」

 

「なッ!!…全く、不意打ちでもそう言うこと言うのやめなさい鈴。自分の体を大切にしろ」

 

 

鈴からのまさかの一言にビビるが、そういやコイツちょっと前から大胆だったなとか思いながら頭を撫でる。

 

 

「一夏さん!?ま、まさかお二人はすでにそういう仲なんですの…!?」

 

「違うわよ。言ってみただけよ、ねえ一夏?」

 

 

鈴、そう言い方良くないぞ。俺が主に被害を被るような言い方は…目をそらしながら俺は…

 

 

「あ、ああ…もちろん俺も分かってたさ…セシリアも良く頑張ったな」

 

「あっ、一夏さん…///」

 

 

「一夏アンタ…(あの反応…若干顔も赤いし、意外と一夏私に脈ある?)」

 

 

セシリアの頭も撫で、回避する。鈴よ、その視線はやめてくれ。こういう風な回避方法良くないって自覚あるから。

 

 

「あっ、鈴。アレは取ったか?」

 

「んっ、これでしょ。まさかアンタの教えがこんなところで役に立つとは思わなかったわ」

 

 

鈴が俺に渡してきたもの、小型のレコーダーである。

 

 

「一夏さん…鈴さんに何を教えたのですか?」

 

「明らかに態度が悪い子供みたいなやつがいたら、暴言とか侮辱とかを言ってくるかもしれないから持っとけ〜、って言って持たせてたんだよ。中学の時からな」

 

「あの頃でも女尊男卑の風潮は結構濃かったからね。それが嫌で色々言ってくる同年代の男子も多かったのよ。私は何もしてないのに。…だいたい拳で黙らせてたから使うこともなかったけど」

 

 

イヤホンを刺して片耳でレコーダーの中身を聞く。あ〜、1回目とほとんど同じようなこと言ってるな。これじゃ難しいか。

 

 

「鈴、サンキューな。あんま、有効打にはならないかも」

 

「そう?まあ、使いどころもないし仕方ないわよね〜」

 

「お2人とも会話がゲスいですわ…」

 

 

おやセシリア、ゲスいなんてフレーズどこで覚えたんだい?

 

 

「あ、そうだ。ISは大丈夫か?トーナメント間に合いそうか?」

 

「あ〜、私は無理そうね。怪我も治らないし、機体もボロボロ」

 

「わたくしは怪我は治りそうなのですが…ISといいますか、BT兵器の予備がこれ以上なくて…本体も直りませんし」

 

 

聞くところによると2人ともISの損傷レベルがCオーバーらしい。まあ、無理だわな。

 

 

「そうか。今回はタッグマッチらしいからな。大丈夫そうならどっちか誘おうと思ったんだけど、仕方ないか」

 

「え!!そういうことでしたら、全力でISを修復して一夏さんのペアをして差し上げますわ!!」

 

「落ち着きなさいよセシリア。アンタも私も体はボロボロ、ISもボロボロ。できることは療養だけよ。諦めなさい。私だって、出来るなら出場したいんだから」

 

 

なんか最近セシリアが子犬っぽいな。こう、餌を目の前にしたみたいに。

 

 

「ま、そういうことだ。他のペア候補も決めてるしな」

 

「えーと、デュノアか箒?」

 

「いや、シャルルには女子達の犠牲になってもらうし箒はボーデヴィッヒと当たった時の実力が足りないからな。4組の日本代表候補生を誘う予定だ。ISの開発元も同じだからいい宣伝になるしな」

 

「4組の日本代表候補生と言いますと…更識簪さんですの?まだISが完成してないと聞いていましたが…」

 

 

この前しっかり完成したからな。無駄に最高峰の奴らが作ってるから性能も良いだろうし。…マジで変な改造されてないといいけど…

 

 

「この前俺が白式のメンテで倉持に行った時はもう完成間近だったからな。出来たって連絡もあったし」

 

「…一夏さん、もう連絡先まで交換してますの?」

 

「え?ああ、お互いアニメとかで趣味があったからな。そう時間もかからなかったし、性格もいい人だぞ?ちょっと内気だけど、言うときははっきり言うし」

 

「へぇ、会ってみたいわね。(一夏、随分入れ込んでるわね。最近、そういうの多いけど相変わらずみたい)」

 

 

セシリアは訝しげな視線を向けてくるが無視。どっちかっていうと鈴の見定めるような視線の方がきつい。

 

 

「ま、そういうわけだ。すまんな、酷なこと聞きにきて」

 

「いえ、こちらこそですわ。せっかくお誘いにきてくれましたのにこのような状態で」

 

「命に別状はないし大丈夫よ。ほーら!セシリアとガールズトークするんだから、男は帰った帰った」

 

 

しっしと、鈴が手を振る。おいおい、分かってるけどもうちょっとやり方あるんじゃないか?」

 

「アンタ途中から声出てるわよ。分かってるんだったらいいじゃない。この前のアレ晒すわよ」

 

「早急に去らせていただきます!!」

 

 

俺は脱兎のごとく走った。…うさぎって言ってもどこかの天災殿ではないぞ?

 

 

 

 

 

 

〜保健室 鈴side〜

 

 

「ようやく行ったわね…」

 

「鈴さん…よかったのですの?あんな追い払いかたをして…」

 

「いいのよ。少しでも元気に振る舞わないとアイツいつまでも心配するから」

 

 

全く、私の惚れた相手にも困ったものね。隠し事も増えてるし…

 

 

「…お2人の関係が、少し羨ましいですわ」

 

「どうしたの?改まって。私とアイツはただの幼馴染よ。そこまで年数経ってないけどね」

 

「いえ、そういうことではなく。信頼し合ってると言いますでしょうか?あまり言葉を交わさなくても伝わるというのは、ロマンチックですわね。わたくしも一夏さんとそんな風になりたいですわ」

 

 

いつものセシリアなら自分の世界にトリップしているところなのに、今日はちゃんと言ってるわね。

 

 

「…そんな素晴らしいものじゃ無いわよ。少し波長があうだけ。たま〜に同族嫌悪的なものもあるわ」

 

「差し支えなければお聞きしても?」

 

「私と一夏はね、自分の問題は内に秘めるタイプなのよ。助けて欲しくても言わないから気づかないし勘違いで喧嘩になったこともあったわ。最近も…それに近いことがあったし」

 

 

まさか私があんな堂々と一夏に物申せるとは思ってなかったけど、やらかしたっていうのは間違いないわ。…思い出しても顔から火が出そう。

 

 

「確かに、最近の一夏さんは少し無理をなさっている風に思えます。ですが…「だからね」…?」

 

 

つい、食い気味に言ってしまったわ。

 

 

「私たちで一夏を守ってあげないとね」

 

 

そう、セシリアに言うと、

 

 

「…そうですわね。わたくし達で支えてあげませんと。一夏さんに、わたくし達の思いをぶつける良いチャンスでもありますし」

 

「セシリアも『達』でいいの?ライバルでしょ私たち」

 

「何を仰いますの鈴さん。ライバルである前に、『お友達』ではありませんか」

 

「セシリア…」

 

 

今のはすごい…こう、心に響くわね。たまにはいいこと言うじゃない。

 

 

コンコン。

 

 

「篠ノ之だが、入っていいだろうか?見舞いに来たのだが」

 

「いいわよ。ちょうどいいところに来たわね箒!あなたも混ざりなさい!」

 

「そうですわね、この話は箒さんもいなくては始まりませんわ!」

 

 

 

私達は結構長い時間話してそれぞれの思いを胸に寝たわ。うーん、この言い方なんか変ね… あ、声を大きくして話しすぎて織斑先生に怒られたのは内緒よ?



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嵐のような一日

 

prr……prr……

 

 

『…もしもし?』

 

「もしもし、簪さん。今いいか?」

 

 

保健室から出た俺は、自分の部屋に戻る途中だ。この時間だったらそろそろシャルルも部屋に戻ってるだろう。今は簪さんにペアのお誘いだ。

 

 

『いいけど…どうしたの?』

 

「ああ、いやな。この前ISが完成したって言ってたろ?だからさ、今度の学年別トーナメントのペアになってほしいんだ」

 

『学年別トーナメントって、今回タッグ戦なの?』

 

 

おや、知らなかったのか。…授業後はすぐに部屋に戻ったみたいだな。アニメを見てたのか、ISの整備をしてたのか、分からないけど。

 

 

「ああ、そうらしい。どうだ?」

 

『一夏はいいの?オルコットさんとか鳳さんとか、もっと適任がいるんじゃない?』

 

「…あの2人は怪我をして試合に間に合わないんだ。でも、最初から簪さんにお願いしようかって思ってたんだよ」

 

 

まあ、実力の再確認と、所属企業の宣伝って言う意味合いも強いけどな。……あと、魔改造されて無いかもチェックしないと。

 

 

『ふーん、倉持の宣伝ってことかな』

 

「あはは、まあそれもあるんだがな。できればお願いしたいんだが…」

 

『…いいよ。私もタッグ戦のこと知らなかったからペアいなかったし、探す手間が省けるから』

 

 

さすが簪さん!!いや〜マジでありがたい。

 

 

「マジか、ありがとな!細かいことはまた連絡するから。申請も出しとくけど…いいか?」

 

『申請は私が出すよ?そこまでしてもらうのは悪いし』

 

「気にすんなって。…その、正直に言うと、俺と組みたい女子が書類偽造するって言う事案があるから……」

 

 

その相手はしっかり姉さんに粛清されたけどな。

 

 

『そ、そうなんだ… 分かった。じゃあお願いするね。練習日とかはまた都合がいい日を連絡するから』

 

「ああ、頼む。…急いでいる感じがするけどなんかあるのか?」

 

『ん?貯め録りしてたアニメ見てるだけだから大丈夫だよ?』

 

「なるほど、邪魔して悪い。じゃあ切るな。また、アニメ関連で話そうな〜」

 

『うん。じゃあね』

 

 

そうして通話が終わる。まあ、ここに名前を書いてある申請書があるからあとは提出するだけなんだけどな。……さてと。

 

 

「隠れてないで出てきたらどうです?ていうか隠れる気ないでしょう。気配ダダ漏れ…いや出してるのか」

 

「…………………」

 

 

無視かよ。

 

 

「良いんですね?倉持に行く時もした通りまた布仏先輩にサボってるって送りつけますからね?」

 

「ちょっと!?あれやったの君だったの!?あの後大変だったのよ!!…あ」

 

 

チョロい。チョロインさんびっくりなレベルでチョロい。……フッ。

 

 

「生徒会長先輩?」

 

「生徒会長先輩って初めて呼ばれたわ…。そんなことより、初めましてかしらね。貴女はもう知ってるみたいだけど私がこのIS学園生徒会長の更識楯無よ。以後よろしく♪」

 

 

開かれた扇子に『挨拶』と書かれた文字。…いや、挨拶だけどさ、そのチョイスは何さ。

 

 

「よろしくお願いします」

 

「あら?初対面だとこの扇子で引かれるんだけど…何も思わないの?」

 

「引かれるんならやめたら良いじゃないですか…。別に個が強いんだなぁとしか。あと、初対面じゃ無いですよ」

 

「あ、やっぱり分かってた?」

 

 

当たり前だろ。突貫工事で自室に人を閉じ込めたのなんか生まれて初めてだったよ。

 

 

「ええ、あの時閉じ込めて織斑先生にチクったの俺ですから」

 

「あの時もなの!?何してくれるの!?いや、本当に!!最近教師間で私の印象不味いんだけど!?」

 

 

自業自得に決まってんだろ?

 

 

「………?」

 

「何その自業自得に決まってるだろ?みたいな顔…いやその通りなんだけどね」

 

 

扇子には『図星』の文字。自分で図星って言ったら意味ないだろ…

 

 

「まあそんなことよりも…」

 

「私の事情はそんなことで片付けられちゃうのね。お姉さん悲しいわ」

 

「……フッ、で用事はなんですか?」

 

 

文字だけ見ると背伸びしてるだけに見えるな。

 

 

「今笑ったでしょ?…まあ良いわ。本題なんだけど、簪ちゃんと最近何してるの?」

 

「シスコンも極めすぎると良く無いですよ?(人の事言えないけど)簪さんとは普通に友達ですよ。趣味があったんで、同じ企業所属ですし」

 

「シスコンてほどじゃ無いわよ。本当にそれだけ?いっときの迷いで簪ちゃんとムフフなことになったりしてないわよね?」

 

「(自覚ないの!?あれで!?)するわけないじゃないですか。後、ムフフって表現古いですよ?」

 

「…一夏君て結構バッサリ言うのね。私の心にグサグサ来るんだけど」

 

 

自分の行い見直したほうがいいですよ?とは口が裂けても言えない。

 

 

「まあ、そういう性格なんで。そこは勘弁してくださいよ」

 

「性格なら仕方ないわね。…まあホントに簪ちゃんとは何もないようだし今回はこれくらいにしようかしら」

 

「ええ、そうしてください。貴女にはまだお仕事が残っているのですから」

 

 

刹那、その場の温度が下がった。

 

 

「う、虚ちゃん…?どうしてここに?」

 

「またメールを頂きまして。あ、貴方が織斑君ですね。生徒会会計を務めさせていただいてます。布仏虚と申します。おそらくですが、以前もメールを送ってくださいました?」

 

「はい、お役に立てたなら嬉しいです」

 

 

震えてる楯無を無視して俺と虚さんは会話する。

 

 

「ええ、情報提供ありがとうございます。あ、良かったら普通に連絡先交換しても良いでしょうか?また同じようなことがあれば連絡下さい」

 

「良いですよ、これもこの学園のためです。上に立つものがしっかりしなければ、集団はただの有象無象ですからね」

 

「あら、よく分かってますね。どうです?お嬢様の代わりに会長になってみては?」

 

「な!?ダメに決まってるじゃない!!何言ってるの!?

 

「冗談ですよ、いつも苦労させられてる分の意趣返しです。さあ、執務に戻りますよ」

 

「ちょ、ちょっと!私はまだ〜…」

 

 

そう言って、楯無は連れていかれた。…こっそりメール打ったの俺だけど、なんか哀れだな。すいません会長、今度生徒会室行くときは手土産持っていきます。あ、縫い物なんて良さそうですねww

 

 

「なんか、嵐が来た後みたいだな… 帰るか…」

 

 

「………教……なぜ……!!」

 

 

……今日はいろんなことが起きるな。まあ、アレだろうし?出て行かずにこっそり聞くか。チクってたら止めないといけないし。

 

 

「シュヴァルツェ・ハーゼ隊に戻ってきてください教官!!我が隊には…私には貴女が必要なのです!!」

 

「先生と呼べと言っているだろうラウラ。一体何がお前をそこまで焦らせる?」

 

 

だいたい聞こえる距離まできたしここら辺でいいだろう。

 

 

「私は…強くあらねばならないのです。この力を制御し、誰にも負けない最強の力を…教官さえいれば…それが実現できる!!」

 

 

眼帯をしている左目を抑え、真剣に姉さんに言う。あ〜、そっち方面に考えたか… 1回目とほとんど変わんねえな。

 

 

「今でもお前は学年でトップレベルにいるだろう?なんの不満がある?一夏とお前の模擬戦で何があった?」

 

 

む…これ以上はダメだな。

 

 

「それh…「ん?織斑先生とボーデヴィッヒ?どうしたんですかこんなところで」…お、織斑」

 

「織斑か、ボーデヴィッヒから人生相談を受けていてな。…ラウラ話はまた今度だ。今日はもう部屋に戻れ」

 

 

おっ、思ったより反応が良いな。

 

 

「ですが…」

 

「すまないな。わたしも仕事が立て込んでいてな」

 

 

そう言って姉さんは去って行った。

 

 

「さてと」

 

「ッ……」

 

 

ピクッ…とボーデヴィッヒの方が動く。なんか最近余計に小動物感が出てきたな。

 

 

「…そう怯えるなよ、若干悲しい」

 

「貴様の事情なんぞ知るものか」

 

 

プイッとそっぽを向くボーデヴィッヒ。呼び方が戻った…

 

 

「邪魔したのは悪いと思ってるけどさ、お前も良くない」

 

「何がだ?」

 

「俺の()、言おうとしただろ?」

 

「……ッ!!そうだ、そのことだ。何故貴様が持っている!!」

 

 

感情豊かだねぇ… 今の俺では持てない物だな。

 

 

「…それを知る権利はお前にはない。知りたければ…」

 

「なんだ?」

 

「そうだなぁ… 学年末トーナメントで俺たちに勝て。そうすれば、教えてやらんこともない」

 

 

教えるとは一言も言ってないけどな。

 

 

「……フッ、そうか。顔を洗って待っていろ。私は勝つ。勝たなければいけない!!」

 

 

そう言い残してボーデヴィッヒも去って行った。

 

 

「……首を洗うの間違いだぞ…ボーデヴィッヒ」

 

 

とても締まらない別れだった…



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初めての…

今日の経緯

友人「誕生日おめでとう!」

作者「ありがとうございます」

友人「良し、じゃあ今日出そうか!!」

作者「…え?」

友人「まだ1文字も書いてないんすか?」

作者「え、うん…」

友人「今日までに投稿してね」

作者「いや、あの…俺今日学校…」

友人「いや俺もだから」

作者「アッハイ…」


誕生日おめでとう自分。今日は学校で腐れ縁の奴と部活の先生にしかおめでとうって言ってもらえなかったね!


39話

 

 

簪さんと話したり生徒会長と話したりボーデヴィッヒと話したりした昨日。今日は授業後にひたすら簪さんと連携訓練。…いや俺昨日話しかしてないのかよ。もうちょっと楽しい青春時代過ごそうぜ?…無理です。分かってますって。

 

 

「…一夏どうしたの?」

 

「ん?ああ、なんでもない。ちょっと自分の高校生活に不安を抱き始めただけだ」

 

「…こんなことになってる時点でもう失敗だと思うよ?」

 

「………だよな〜」

 

 

簪さんからの会心の一撃が俺の心にクリティカルヒット。まあ、ここに来なかったらあいつらとも出会ってないし、トントンかなぁ…

 

 

「さて、始めようか。貸切にしたから遠慮なく訓練できるからな」

 

 

2人ともISを展開。

 

 

「…ん?一夏の左腕のやつ、データ上では見たことないけど?」

 

「ああ、これか。『雪羅』って言ってな。最近発現したんだ。最新版には出てるから規定上は問題ないぞ?」

 

「一応、データでもらえる?参考にするから」

 

「了解。じゃあ打鉄の情報も貰えるか?」

 

 

お互いに送り合う。

 

 

「一夏の機体って、エネルギーを多く消費する割にエネルギー効率悪いよね」

 

「うっ…言わないでくれ。結構辛いんだ。簪さんの機体は…へぇ、打鉄で機動力重視か。面白いコンセプトだな。武装もなかなかの数値が出…て…ん?なあ簪さん、やけに火力の高いこの『流星』って武装なんなんだ?エリナケウスとか書いてあるけど、パッケージかなんかか?」

 

「流星?あ、それミーティアって読むよ。まだ運用試験してないから使っちゃダメらしいけどね。…ていうか一夏、種見てないんだ…」

 

「ふーん、じゃあいいか。ありがとう。最後なんか言ったか?」

 

 

このミーティア?ってやつ以外は変わってなかった。使えないならまだ気にしなくていいしな。よかったよかった。…魔改造してあったらまたファンネル出さないといけなかったからな。

 

 

「なんでもないよ。一夏、模擬戦からよろしく。お互いの実力を測るには戦うのが手っ取り早いから」

 

 

結論から言おう。…この後めちゃくちゃ訓練した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜同日、夜〜

 

 

『…時間だ』

 

 

静寂と闇に包まれるIS学園の深夜。その闇に紛れて動き出す複数の影があった。

 

 

『αから司令部、現時刻より織斑一夏捕獲作戦を始める』

 

『司令部からαへ、検討を祈る』

 

 

日本語ではない言語で喋る隊長格の男は同じ部隊のメンバーに合図を取る。手でGOサインを作る。

そして動き出す部隊。彼らは地形を完全に把握しているのか迷いなく動く。どうやら暗視スコープもつけているらしい。

 

部隊がIS学園の外壁に到着しようとしたその時…

 

 

ヒュン…と何かが空を切った音がした。

 

『ッ!!総員周辺警戒、各員状況報告』

 

『ダニエル無事です』

 

『エディ異常ありません』

 

『ミッシェル周辺特に何も見えません』

 

「ちくわ大明神」

 

『ミヒャエル問題ありません』

 

 

『『『『『…………誰だ今の!?!?!?』』』』』

 

『え?あ、どうも。いつもニコニコ皆様の後ろに這いよる混沌…じゃなくて皆様の目標です』

 

 

はいはーい。ナレーション復帰しましたどうも一夏です。あ、今は状況的にSでしたね。さっきの厨二病っぽいナレーションはって?あ、作者のことか。……世の中知らない方が幸せなことってあるんだぜ?

 

 

『織斑一夏だと!?何故こんなところに?』

 

『いやいや〜、俺の…俺たちの大事な学園に悲しいことに侵入者があるなんてちょっと耐えられなくてね〜 まあ早い話…

 

貴様らを処理しに来ただけだ』

 

 

殺気全開で俺は奴らを威圧する。

 

 

『…ハッ、何を言うかと思えば。本職舐めてんじゃねえぞ』

 

 

隊長格の男がそう言う。

 

 

『へぇ…じゃあコイツ本職じゃなかったんだな。あまりにも注意がおろそかだったからつい殺っちゃったよ』

 

 

俺は一瞬で他の男の背後に回り

 

『ミ、ミヒャエル!?織斑一夏、貴様タダでは済まさんぞ!!』

 

『え、いいの?俺に何かあったらロシアがどうなっても知らないぜ?』

 

 

国家が動いたんだ。覚悟くらい付いてるはずだ。

 

 

『何故祖国の名を!?』

 

『…俺ら今何語話してると思ってんだよ』

 

『あっ…』

 

 

コイツは…なんかボロボロ全部喋りそうだか残すか。後は…隊長っぽい奴だな。残りは全部処理で良いな。ー

 

 

『えーと、お取り込み中のところ申し訳ないがそろそろ続きをするぞ?こちとら無断外出だからな。お前らもロシア代表に見つかりたくはないだろう?』

 

『くっ、舐めおって… 各員行くぞ!!仲間の仇だ!!』

 

 

うっわ。これじゃあ俺が悪役みたいじゃん。俺、主人公だよ?

 

 

『やってみろ。俺は襲われた側で、お前らはただのテロリストなんだからなァ!!』

 

 

まず前に姉さんにとられた拳銃で1人の足を撃ち抜く。次にナイフを振り下ろしてきた奴は俺のナイフを当て逸らす。体制が崩れたところに蹴りを入れ吹っ飛ばす。今のは思いっきり鳩尾に入ったな。

 

一瞬で2人やられたのが見えたその他の奴らは後退した。

 

 

『このガキ、なかなか出来る!?』

 

『おいおい、後退なんかしなくたっていいんだぜ?俺の対人戦デビューなんだ』

 

『平和ボケした国のただのガキだと思ってたが…』

 

 

1回目の時ならそうだったんだがなぁ…まぁ、お前らの場合運が悪かったってだけだ。某、アインズ様の言葉を借りるなら。無抵抗で死ね。

 

ああ、なんか、体が熱くなってきた。

 

 

『クフフ、第2ラウンドだ。さあ、やろうじゃないか。命のやり取りなんだ。この時間を大切に過ごそうぜ』

 

『なんだコイツ…なんなんだ!!』

 

 

俺の剣幕に押されたのか少し後ずさる侵入者たち。おいおいあんまり足元をおろそかにすると…

 

グチュン…

 

 

『ああぁぁぁあぁあぁ………!!俺の…足がぁ…!!!』

 

『ッ!?ミッシェル!!くそッあの野郎!!』

 

 

俺が仕掛けたのは最近でいうと…ボーデヴィッヒのIS『シュヴァルツェア・レーゲン』の武装、ワイヤーブレードに使われてる強度のワイヤーを細くしたものだ。しっかり切れたようで安心安心。

 

 

『仲間の心配してる場合かァ?』

 

『なにッ!?』

 

 

無傷の奴の気が逸れてるうちに俺は近づき右腕を飛ばす。

 

 

『全滅…だと…!?』

 

『なあ隊長さん、これが本職の実力か?』

 

 

別にまだ1人しか殺していない。他は、損傷こそあるものの致命傷ではないし。蹴っ飛ばしたやつなんて打撲で済んでいる。あ、いや骨折はしたか?

 

 

『貴様…その力…一体どこで?』

 

『ん?ああ違う違う。()()()()本職として格が高かったってだけさ』

 

『まさか…亡国か…』

 

 

お、自力でたどり着くのはポイント高いな〜。だからこそ、よくないな。

 

 

『さあ?どうでもいいじゃないかそんな事。今から消える人間にはな。…あ、利き手どっち?』

 

『…っ、なぜ貴様に言わねばならん』

 

 

時間かかるのは良くないんだがなァ…

 

 

『飯食うのに利き手じゃないと不便だろ?』

 

『もうすでに勝った気でいるのか…?』

 

『いや、正直な話戦いにもなってないからな?俺の正当防衛だよ』

 

 

ウンウン、犯罪良くない。

 

 

『それが貴様の甘さだ!!やれ!!』

 

 

隊長がそう言うのと同時に痛みから復帰したのだろう、蹴っ飛ばした男と足を撃ち抜いた男と右腕飛ばしたやつが襲いかかってきた。足を切られた男…ミッシェルだっけ?…まあそいつはサイレンサー付きの銃をこちらに向けている。

 

 

『甘いのはお前らだよ』

 

 

俺は背後から来た片腕の男の額を右手に持った拳銃でノールックで打ち抜いた。その後残りの2人は挟み込むように来たため、ジャンプして木の幹に。そして左手のナイフを逆で持ち、幹を足場にして1人にめがけて勢いよく首を切る。着地後は右手の拳銃で額を打ち抜きチェックメイトだ。

 

 

『………後は、アンタとそこのお前だけだ』

 

『あぁ………仲間が……』

 

『………』

 

 

一瞬で殆どが殺された呆然としている隊長に、仲間の死を悼むミッシェル君。うん、完全に俺がラスボスだ。

 

 

『……大人しく投降しろ。…とは言わない。お前らにも面子があるだろう。勇敢な死を遂げさせてやるからかかってこい』

 

『………悪魔め』

 

 

悪魔?初めて言われたな。…でも、

 

 

『クフフ…良いねぇ。そうだなぁ、悪魔か。…間違ってないかもなァ… 願いを叶えるために未来からやってきて、自分勝手に行動していく。俺は己のために悪魔となろう!!」

 

 

途中から日本語で喋ってたのも気づかないほど俺は夢中で喋っていた。

 

 

『何を言っている!!クソッ、こうなったら俺だけでも!!』

 

『おっと、それは頂けない』

 

 

俺は俊足で近づき隊長の首元にナイフを当てる。

 

 

『お前が動いたら思わずあっちの奴に向かって引き金が〜』

 

『この外道めが!!』

 

 

なんとでも言ってくれ。俺はもうそう言う世界の人間だ。

 

 

『あ、動いたな?じゃあお仕置きの〜バン!』

 

 

麻酔銃をミッシェル君に撃つ。

 

 

『貴様!?ミッシェルまで… 俺ももう終わりか…』

 

 

こうして俺の対人戦デビューと初の直接的な人殺しが終わったのだった…



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デュノア

40話

 

 

 

「うっ… おえぇぇ…」

 

 

やあみんな絶賛嘔吐中の一夏だぜ。お見苦しものを見せている自覚はあるが許して欲しい。

 

数時間前に学園の侵入者を2人以外殺した俺だが、生き残りの2人は前もって呼んでおいたスコールの姉貴に任せた。その際…

 

 

「一夏、今日は辛いと思うけど、なんとかして寝なさい」

 

 

って言ってたのはこういう事か… もう何度も、ユニコーンのビームマグナムで研究所ごと人間を焼き払っていたりしていたが、今回は生の…直接の殺し。意識していないつもりでもキツイものがあったんだろうな。自分の体くらい分かってるつもりだったんだが、まだまだ甘いって事か。

 

 

「気持ち悪りぃ…うがいもしとくか」

 

「一夏?どうしたの、大丈夫?」

 

「ああ?あぁ、シャルルか。大丈夫、ちょっと良くない夢を見ただけだ」

 

 

そう、あれは夢のような出来事だったな。

 

 

「そう?無理しちゃダメだよ?()何か手伝えることある?」

 

「いや大丈夫だよ…おやすみ、シャルル」

 

 

寝ぼけてたせいか演技が崩れてる。こいつマジでスパイ向いてないなって今更ながら思う。

 

…俺も寝よう。

 

 

 

〜翌日、放課後のアリーナにて〜

 

 

「簪さん…遅くなって悪いな…」

 

「あっ、一夏?全然大丈夫…ちょっと、なにその顔!?」

 

 

いつもの練習時間より遅れてきてしまった俺は簪さんに叫ばれてしまった。

 

 

「ん?ああ…大丈夫大丈夫。昨日ちょっと良く無い夢を見ただけだから」

 

 

嘘です。夢どころか全く寝れませんでした。俺も鏡見てビビったよ。隈が凄いから、いやマジで。朝、箒と鈴に会った時もめっちゃ心配された。…良い友人を持ったよ。

 

 

「ホントに大丈夫?…いやでも」

 

 

簪さんが突然ブツブツ言い出した。え、なに?

 

 

「一夏」

 

「は、はい!」

 

 

すっごい低い声で喋り出した簪さん…いや簪様。何故だろう…逆らってはいけない気がする。

 

 

「練習は無しにするから、今日は部屋でしっかり休んで」

 

「えっ?いやでも、もうタッグマッチ戦まで時間が…」

 

「休むの!ペアとしてじゃなくて私個人として、一夏を心配してるの!!」

 

 

グッと顔を寄せて言ってきた簪さん。そんなに心配させたのか……

 

 

「……分かった。今日はしっかり休むよ。…だからさ、その…ちょっと離れようか?」

 

「え?」

 

 

自分がどんな行動をしたか、やっと理解したらしい簪さんはボッ!っと顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

 

「あうぅぅ……///」

 

 

可愛いかよ。……ハッ!?俺は何を…

 

 

「でも、ありがとうな。心配してくれて…」

 

 

俺は俯いている簪さんの頭を撫でる。そうすると簪さんがプルプル震えだし…

 

 

「うぅぅ…///一夏のばかぁぁ…」

 

 

といった具合に走って行ってしまった。………また俺無意識にやってしまったか…?治ったと思ったんだけどなぁ… ごめん簪さん。羞恥心をパンクさせてしまった…

 

 

「……帰るか。気配もないし、あの駄姉会長もいないし問題なく帰れるかな」

 

 

 

 

〜一夏、シャルルの部屋〜

 

 

 

「………過去の過ちをどう正すべきか」

 

 

今、シャルルがシャワーを浴びている。そして今朝俺は昨日の気分を消すためシャワーを浴びた。その時シャンプーが切れたのだが……しっかり忘れてたな。

 

 

「今持って行ったら一回目と同じ結果に……いやしかし流石に女子にシャンプー無しは……」

 

「一夏〜?」

 

「は、はい!?」

 

 

やばい、聞こえてた……?

 

 

「シャンプー切れてるんだけど、新品ある〜?」

 

「あ、ああ、ちょっと探すな〜」

 

 

俺に決断の時間を与えてはくれないか……どうする……

 

 

「見つかったら扉の前において貰えるかな?」

 

「わかった」

 

 

そ、その手があったか…… これで俺が直接女子だと知ることは難しくなったな……仕方ない。

 

 

「開けたらすぐのところに置いとくな?ちょっと飲み物買ってくる。なんかいるか?」

 

「ん〜、じゃあ紅茶を頼もうかな。後でお金払うね」

 

「気にすんなって」

 

 

()()()P()C()()()()()()()()()()、部屋を出て一番近い自販機まで歩く。体に良くないからあんまり飲まないんだけど、久しぶりに炭酸でも買うか。

 

 

(ユニコーン、白式に少し我慢してくれって伝えてくれるか?)

 

 

『今、お話してたからお姉ちゃん聞いてたよ。分かった、って』

 

(そうか、ありがとな。白式になんかされたら迷わずに白騎士に言うんだぞ?)

 

『…はーい』

 

 

なんか、白式や白騎士と話すようになってから明るくなったか?俺もたまに白騎士から強制的に参加させられるけど、言葉に明るさが出てるな。

 

自販機のそばに、休憩用の椅子があるためそこに座り、スマホを出して部屋のカメラのリアルタイム映像を確認する。

 

 

「なんかしてるかなぁ?」

 

 

自分の部屋の様子をカメラで見るのはあまり気分のいいものじゃないけど仕方ない。

 

 

『あれ、一夏戻ってないなぁ……売り切れてたのかな?」

 

 

シャルル……もうめんどくさいからのデュノアでいいか。どっちで呼んでも紛らわしいし。デュノアがシャワーを終え、いつもの寝巻きで戻ってきた。

 

 

『うーん、それにしてもこれきついなぁ……胸を潰すためだから仕方ないけど気分のいいものじゃないし、シャワーの時だけは外せるけど、時間が短いし。それよりお風呂にも入りたい……』

 

 

はい証拠頂きました。良かったぁ……俺の行動のせいで、歴史に何か異常でもあるかと思ってたけどまだ大丈夫そうだな。

 

 

『それにしても一夏遅いなぁ。そろそろ戻ってきてもいいんじゃな……ッ!?これは……一夏の専用機?置いて行ってたの?』

 

 

おっ、食いついた。白式には悪いなぁ…

 

 

『今なら……白式のデータを……』

 

 

「……行くか。紅茶だったな、俺は……ラムネでいいか。……なんで自販機にラムネ売ってんの?」

 

 

ちょっとよくわからないけどまあいいや。それよりも……

 

 

「ただいまシャルル。近くに自販機あったに忘れててな〜。結構遠くまで……何してんだ?」

 

「い、一夏!?い、いや……一夏の白式の待機形態がどんなのか見てただけ……だよ?」

 

 

ふーん、そっかー。……無理ありますねぇ。

 

 

「そうか、あっ、これ紅茶な」

 

「え?う、うん。ありがとう」

 

「それとシャルル?」

 

「どうしたの?」

 

「両手を上げろ。心優しいシャルル君、俺に、ルームメイトを撃たせないでくれよ?」

 

「ッ!?」

 

 

俺はいつもの拳銃を取り出し、デュノアに向ける。

 

 

「どういう……事?」

 

「お前に答える必要はない。ああ、別にお前の内ポケットの()()はくれてやるよ。要求を飲んでくれるならねぇ」

 

「………」

 

「へぇ……この状況でそんな顔するのか。じゃあ仕方がない。……お前の身ぐるみ剥いで写真撮って先生に通報するだけで今回の件も終わるし、それでいいか」

 

「……ッ!!バレてる……」

 

「バレてる?今更すぎんだろ。お前隠す気あるのか?まだ男装が趣味のボーイッシュな女子って言った方が皆信じるぞ?」

 

「……要求って何?」

 

 

デュノアの低い言葉。よほど焦ってんなぁ……

 

 

「デュノア社長に電話をかけろ。かけた後は携帯をこっちに渡してベッドにでも座ってろ」

 

「分かった」

 

 

デュノアが電話をかけ、携帯をこっちに渡してきた。俺は()()()()携帯を耳に当てる。

 

 

「……ッ!!」

 

「ああそうそう、言い忘れてたけど……」

 

 

カシュン……

 

 

「ヒッ!?」

 

 

俺がデュノアの方を見ずに撃った弾が、デュノアの目のすぐ横を通る。弾は枕に当たったため壁が壊れることもない。

 

 

「こんなことも出来るから、あんまり動かない方が身の為だぞ?」

 

「………」

 

 

俺に対してどうにかしようと立ち上がろうとしたデュノアを牽制。

 

 

「おっと、ちょっと黙ってろよ?繋がった」

 

 

俺はボイスチェンジャー付きのマスクをし、デュノア社長に呼びかける。

 

 

『どうしたシャルル?何か問題があったか?』

 

 

電話から聞こえてきたのはデュノアの父親、アルベール・デュノアの声。俺はフランス語で話す。

 

 

『アルベール・デュノアだな?』

 

『ッ……貴様は誰だ?』

 

『誰?そうだなぁ……まあ名前なぞどうでもいいだろう?それよりも……貴様の娘、シャルロット・デュノアは預かった』

 

『ッ!?なんだと……』

 

「……ッ!?」

 

 

なんとのわかりやすい反応だろうか。デュノア自身も、本名まで知られてるとは思ってたなかったのか、名前を言うとすごい形相でこちらを見る。俺は、携帯をハンズフリーにした。

 

 

『預かった、という言い方は正しくないな。生殺与奪が私に握られている、という言い方が正しい』

 

『どっちも変わらないだろう!……貴様、何が目的だ?』

 

『それもまあ、貴様の言動と行動次第だなぁ……』

 

『………要求はなんだ?』

 

 

やっとこの話か。

 

 

『シャルロット・デュノアを手放してもらう。代わりに私が入手した織斑一夏のISのすべてのデータをくれてやろう』

 

『なっ……!?』

 

「えっ……」

 

 

何を言ってるの?みたいな目でこっちを見てくるデュノア。まあ、こっちが絶対有利なはずなのにちゃんと相手にも見返りがあるからな。

 

 

『どうした、破格の条件だろう?もともとその為にシャルロット・デュノアをIS学園に送ったのだ。どこに問題がある?』

 

「……」

 

『……私が要求を飲んだ場合、シャルロットはどうなる?』

 

『どのような国でも、優秀なIS操縦者は必要だからな。どうした、足りないか?ならば仕方ない。他国の代表候補生のデータもやろう』

 

『ふざけるな。第一、そのデータが本物だとは限らないだろう』

 

 

……一回目の時、俺はデュノア社長と殴り合って本音を吐かせた。今回はもっと醜い方法だが……俺はあのデュノア社長がもう一度見たい。

 

 

『こちら側が絶対有利な条件でこれだけ破格の物を用意したのだぞ?別に断るのは自由だ。貴様の娘がちょっと良くないことになるだけだしな。何が貴様の決断を鈍らせている?』

 

『……あの子は私の愛人との子だ』

 

「……ッ」

 

『私はたとえ愛人でも、1番に愛していた。そして生まれたのがシャルロットだ』

 

『貴様の愛を聞かされて私の心が変わるとでも思うのか?』

 

 

ちょっと意地悪い言い方だがこれも必要な手順。

 

 

『つまりは……データなぞ要らん!!それよりも()()()を返してくれ!!」

 

「………お父さん」

 

『本当にか?聞いたところによると貴様の本妻はシャルロット・デュノアを平手打ちしたらしいではないか。今、シャルロット・デュノアを返したところで何が変わるのだ?』

 

『ロゼンダはあの後、後悔をしていた。子供が産めない体で愛人が子供を作っていたから少し思うところがあったのだろう。出来れば謝りたいともな』

 

「………あの人が」

 

『ではデータは諦めるのか?デュノア社が第三世代機を開発出来ていないこの状況で』

 

 

もう本音は聞けたし会話を続ける必要もないんだけどな。

 

 

『ああ、愛する娘を犠牲に得たデータなんて、たとえこの身が滅びようとも使ってたまるか』

 

「お父さん……お父さん……!」

 

 

デュノア社長の言葉を聞いて泣き出したデュノア。……いや、なんか……ごめんな。

 

 

『……合格だ、アルベール・デュノア。後は貴様らで話せ』

 

『なに?どういう意味だ?』

 

 

俺は携帯をデュノアに返す。勿論ハンズフリーは切った。

 

 

「正体バラしたらお前をバラす。物理的に」

 

「……ぐすっ、ありがとう……一夏。僕は……」

 

「いいから出てやれ。俺はもう一回自販機に行ってくる」

 

「……うん。それと一夏」

 

「なんだ?」

 

「さっきのバラすっていうの、あんまり面白くなかったよ?」

 

「…………そうか」

 

 

俺はまた部屋を出る。面白くなかったかぁ……




〜自販機付近〜


「久しぶりにラムネ飲んだけど美味いな。蓋開けるときに瓶ごと破壊しそうだったのはマジで危なかったけど」


いや〜人助けって良いなやっぱり。清々しいね!昨日大虐殺した後だけど。


「この自販機さっきと品物変わってるんだけど?なんでここにユグドラ汁あんの?」


俺が自販機に対してツッコミを入れてると……


「あれ、一夏じゃない?どうしたの?」

「ん?ああ、鈴か。いや、自販機でなんか買おうとしたんだけど……」

「あ〜、種類変わってるのね」

「知ってんのか?」

「もう、寮ではお馴染みよ。自分の欲しい飲み物は置いてあるから、誰も気にしてないわ」

「そ、そうか」


だとしてもユグドラ汁はダメだろ。怪物化しても知らんぞ?ていうかまず缶切り持ってないと開かねえじゃねえか。


「そういえば一夏、今日も簪って子と訓練してたの?」

「いや、俺の顔色を見るなり今日は中止だって。別に大丈夫なんだけどな」

「いや、その顔でいけるって言われても無理よ。よくある秘密結社のボスみたいなのよりエグい顔色してるわ。その子も絶対心配してたわよ」


いや、うちのボスの悪いこと考えてる顔には負けます。


「そうか?まあ正直、昨日ほとんど寝れてないし今スッゲェ眠い」

「あら、私の膝貸してあげようか?ちょうどそこに椅子あるし」

「ん〜、じゃあ頼む。……そろそろ限界だったんだ〜」

「へっ?ちょっ、一夏……///」


俺は倒れこむように鈴の膝に頭を置く。あっ、柔らかい……意識が……


「すぅ……すぅ……」

「よほど疲れたのね……ふふっ、お疲れ様一夏」




起きてから2人が気まずかったのはいうまでもない。




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VSボーデヴィッヒ

41話

 

 

 

6月ももう終わりが見えてきた。学校は学年別トーナメントの雰囲気になっている。

 

 

「簪さん、準備はいいか?」

 

「うん、大丈夫」

 

 

学年別トーナメント当日、俺たちはトーナメント表の前にいた。

 

 

「それにしても今日の第1試合とは運が良かったよ」

 

「……最初に手の内を明かすことになるから良くないんじゃない?」

 

「普通はそうだけど、手の内を晒してそれで優勝したらカッコイイだろ?」

 

「ふふっ、確かに!」

 

 

俺個人としてはさっさとコトを起こせるから良いんだけどな。

 

 

「まあ、初戦の相手がこの2人だとなかなか骨が折れるけどな」

 

 

トーナメント表の第1試合には、

 

第1試合『織斑一夏、更識簪 VS ラウラ・ボーデヴィッヒ、シャルル・デュノア』

 

 

「……シャルルが公平にするために抽選でペアを組んだって言ってたけど、よりによってボーデヴィッヒとか」

 

「……多分この学年最強のペアだと思う」

 

「いやそこは多分大丈夫だと思うぞ」

 

「なんで?」

 

「ボーデヴィッヒは連携を取ろうとしないはずだからな。実質2対1対1みたいなもんだ」

 

「……なるほど。まあ、訓練通りにやれば大丈夫だよ。倉持の凄さ見せないとね」

 

「そうだな。頑張って勝とうぜ」

 

「うん!」

 

 

俺たちの機体はどちらとも倉持技研が製作した事になっているから、他の企業から目をつけられることはないと思いたい。俺は無理だけど。

 

ていうかやばいな。現時点、俺以外で1年最強の2人が相手となると、簪さんと連携を取りながら力を抑えるのが難しいな〜。面倒だし、VTシステムはさっさと終わらせよう。よく分かんなかったんでぶった斬りましたって。

 

 

 

 

〜sideシャルル・デュノア〜

 

 

……早めに一夏と組んでおけばよかった。よりによってボーデヴィッヒさんとペアになるなんて……

 

 

「おい、デュノア、私は織斑一夏をやる。お前はペアの方の相手をしろ。手は出すな」

 

「別に良いけど、危なくなったら加勢させてもらうよ?僕も企業のメンツがあるから負けられないんだ」

 

 

すごく不機嫌そうなボーデヴィッヒさん。黙っていれば可愛いんだけどなぁ……

 

 

「ふん、貴様の助けなどいらん。……と言いたいところだが、この前の戦闘で織斑一夏の実力はそこそこある事がわかった。万が一にも私が危険なんて言う状況はあり得ないが……」

 

「分かったよ。よろしくね」

 

「……ああ」

 

 

思ってたイメージと違うなぁ。なんか自分一人で倒せる!!みたいな感じかと思ってたけど、結構素直?

 

 

「……私以外が、アレを持っているなんて……誰が認めるか……!!」

 

 

前言撤回、やっぱり難しい!!

 

 

 

 

〜side一夏〜

 

 

「まさか一戦目の相手がお前らだとはな」

 

「僕の正直驚いてるよ。運がいいのか悪いのか」

 

「良いんだろうぜ?少なくともソイツにはな」

 

「ッ!!織斑一夏……貴様だけは……私が私であるために……絶対にここで潰す……!!」

 

 

なんか昔のマドカみたいなこと言ってら。

 

 

「出来るものならやってみろ、相手してやるよ。簪さん、デュノアを頼んだ」

 

「うん、私も初めての実戦だから頑張る」

 

 

俺たちはISを展開し、試合開始の合図を待つ。

 

 

5、

 

(白式、今回も無茶するぞ)

 

 

4、

 

 

『……もう慣れたよ。せめて負担がかかりすぎないようにしてよね』

 

 

3、

 

 

(努力はするさ。よろしくな)

 

 

2、

 

 

『はーい』

 

 

1……試合開始。

 

 

「叩きのめす!!」

 

 

開始直後、ボーデヴィッヒがプラズマ手刀を展開させ突っ込んできた。簪さんとシャルルは空中に移動、お互い牽制を始める。俺はと言うと……棒立ちだ。

 

 

「ッ!、貴様、舐めているのか!!」

 

「いや、至極真面目だぜ。必要がないだけでな」

 

「貴様!!」

 

 

俺は雪片を出し鍔迫り合いになる。

 

 

「1対1でいいのか?せっかく強い奴が仲間だと言うのに」

 

「ふん、貴様なんぞ、私一人で充分だ!」

 

「じゃあ、俺は頼らせてもらおうかな!」

 

 

俺がそう言った瞬間後ろから6発のミサイルが飛んでくる。

 

 

「なにッ!?」

 

 

ボーデヴィッヒが俺から距離を取る。ミサイルは俺の目の前に落ちるが俺は後ろに引いて回避。

 

 

「大丈夫一夏?」

 

「ああ、ナイスタイミングだ」

 

「僕のこと忘れてないかい!」

 

「もちろん、簪さん」

 

「うん」

 

 

同じところにいた俺と簪さんを狙ってデュノアが剣で追撃。

 

 

「あなたの相手は私だよ」

 

「ッ」

 

 

簪さんは超振動薙刀の『夢現』で切り返す。ごめんな簪さん、任せる。

 

 

「こちらから行くぞボーデヴィッヒ」

 

 

俺は瞬時加速で正面から突撃。

 

 

「甘い!!」

 

 

ボーデヴィッヒが右手を突き出し『AIC』の予備動作に入ったのを見て俺はさらに動く。

 

 

「お前がな!!」

 

 

とてつもないGがかかるのを無視して俺は急停止、からの右に抜け、雪片で装甲部分に一撃入れる。『AIC』に集中していたボーデヴィッヒは避けきれない。

 

 

「ッ!!このッ!!」

 

「おっと危ないッ」

 

 

お返しとばかりにプラズマ手刀で切り込まれるが難なく回避。

 

 

「もう一撃だ……ッ!?」

 

「やらせないよ!」

 

 

上からアサルトライフルの雨。簪さんと戦いながらこっちも見てんのか……

 

 

「ふッ!!」

 

「うおっと!?」

 

 

隙を見てボーデヴィッヒも攻撃してくる。今度はワイヤーブレードも混ぜた多段攻撃。

 

コイツら地味に連携が取れてる!?

 

 

「ああもう!!『雪羅』!!」

 

 

これ以上ギアを上げるとかえって怪しまれるから仕方ない。俺は『雪羅』を展開してエネルギーシールドで身を守る。

 

 

「あんまり無駄なエネルギー使わせんな!」

 

「知るか」

 

 

今度はレールガンで正確に俺を狙ってくる。

 

 

「私も……忘れないで!」

 

 

簪さんの荷電粒子砲『春雷』がレールガンの弾にあたり爆発。普通なら視界困難だが……ハイパーセンサー状況下だとそんなものないに等しい。

 

 

「逃すか!」

 

 

ボーデヴィッヒがまた『AIC』を発動する。……が、避けやすい。

 

 

「当たらねえよ!」

 

 

1回目の時、鈴が『AIC』は空間作用兵器だと言った。つまり爆発の煙の歪みを見れば一目瞭然。

 

 

「くッ!なぜ当たらん!」

 

「発動までが遅すぎるんだよ。眼を使ったらどうだ?あ、制御できないんだっけ?ゴメンゴメン」

 

 

俺は一瞬だけ瞳を発動させ目を金色に光らせる。……一瞬でも少し来るな。

 

 

「ッ!?貴様ァァ!!」

 

「分かりやすい攻撃だ、これでも食らえ」

 

 

俺は雪片を投擲、勢いがついていたボーデヴィッヒは避けきれず逆に吹っ飛ぶ。

 

 

「ぐうッ!?」

 

 

さてと、簪さんは…… ッ!!

 

簪さんの方を見ると、今まさにデュノアのパイルバンカー『シールド・ピアーズ』が炸裂しようとしていた。

 

 

「させるか!!」

 

 

俺は投げた雪片を拾うことなく瞬時加速でデュノアに迫り蹴り飛ばす。

 

 

「え、うわッ!?」

 

「一夏!?」

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん」

 

 

俺がISを蹴り飛ばしたことに驚いてるのか、唖然とした顔で受け答えする簪さん。

 

 

「変なことしないでよ一夏。びっくりしたよ?」

 

「あれくらい予測しようぜシャルル、これはタッグマッチなんだからな」

 

「そうだね。そろそろ本気でいかせてもらうよ」

 

「簪さん、アレ、かましてやれ」

 

「いいの?」

 

「おう、ドーンとな」

 

「うん!」

 

 

俺は簪さんに一言告げボーデヴィッヒを倒すために戻る。そろそろ復帰してるだろ。

 

 

(白式、荷電粒子砲を使う。出力を15%まで落としてくれ)

 

『いいの?まともにダメージ入らないよ?』

 

(地面にしか打たないからいい)

 

『分かった〜』

 

 

流石相棒、いい仕事してくれるぜ。

 

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 

叫び声の方を向くと。大量のミサイルが変幻自在な動きでデュノアを追い詰めていた。……よく考えたら恐ろしいな。怖さが違う。

 

簪さんの第三世代兵装『山嵐』。厳密には第三世代なのはそのシステムのマルチロックオンシステムだが、山嵐は6×8、48発のミサイルを手動で操作している。つまりは、回避行動を取れるミサイルが48発、自身に迫ってきている状況。現に今もデュノアが必死な形相でミサイルを撃墜している。アレを撃墜できるデュノアの技術もスゲーけどな。

 

ていうか何気に瞬時加速使って逃げてるな……いつの間に覚えたのか。高速切替も使って、必死すぎるだろ。

 

「私を無視するな!!」

 

「ッ……おっと」

 

 

復帰したボーデヴィッヒがレールガンで俺を撃つ。体をそらして交わしたが、レールガンの弾はデュノアを追いかけているミサイルの一部にあたり爆発した。

 

 

「あっ……」

 

「ボーデヴィッヒさんナイス!ふッ!」

 

 

すまん簪さん、マジで。

 

 

「危ないじゃないか」

 

 

俺は『雪羅』の荷電粒子砲で射撃。ボーデヴィッヒの手前にあたる。

 

 

「ッ!!遠距離兵装……」

 

 

少し警戒の色を濃くしながら、下がっていくボーデヴィッヒ。俺はその間に雪片を拾い立て直す。

 

……そろそろ決めるか。これ以上の戦闘はエネルギーがキツイ。先にデュノアからか……。

 

 

俺は瞬時加速を使い戦闘中のデュノアの背後を取る。

 

 

「悪いが先に落ちてもらうぜ?『零落白夜』」

 

「え!?しまった!!」

 

 

一瞬だけ、最大出力で『零落白夜』を装甲が無い部分に当て一気にシールドエネルギーを減らす。

 

 

「これで……!!」

 

 

そこへ待ってましたと言わんばかりに簪さんが『春雷』でトドメを刺す。

 

 

 

『ラファール・リヴァイヴカスタム、シールドエネルギーエンプティ』

 

 

「簪さん、タイミング完璧!このままボーデヴィッヒも」

 

「うん、任せて!」

 

「舐めるなァァ!!」

 

 

そこへボーデヴィッヒがプラズマ手刀で迫って来る。俺はまた鍔迫り合いの形を取りボーデヴィッヒを抑える。

 

 

「もうお前を守るナイト様はいないぜ?」

 

「そんなもの、私には必要ない!」

 

「その意地が命取りだったな!」

 

 

直後俺はボーデヴィッヒを弾き、離れる。

 

 

「逃すものか……ッ!?」

 

 

俺が離れた理由、簪さんがまたミサイルを48発撃ったからだ。最初は俺をロックオンしていたが途中から簪さんの操縦でボーデヴィッヒにターゲットが移ったんだろう。直前まで、警告文が映らなかったのか避ける動作をすることなく、全弾しっかりボーデヴィッヒに命中する。

 

 

「ぐッ!?うぅ……!!」

 

 

必死に耐えているが、おそらくもう無理だろう。……後は仕上げだ。

 

 

〜side ラウラ・ボーデヴィッヒ〜

 

 

(負けるのか……私が本物だと……証明出来ないまま……)

 

 

なぜただの一般人だった奴が『越界の瞳』を持っているのか……いや、どうでも良い。

 

 

(なぜ、私は奴を倒す力がないのだろう……)

 

 

私は軍で育ち、教官の指導のもとに最強に至ったはずだ。

 

 

(……欲しい。奴を……いや全てを……薙ぎ倒し……蹂躙する力が!!)

 

 

『汝……力を欲するか?己の身を捧げ、全てを喰らい尽くす力が……』

 

 

それは悪魔からの甘い言葉。

 

 

(……力を、寄越せ!!)

 

 

Damage level ………D.

Mind condition ………Uplift.

Certification ………Clear.

 

《Valkyrie Trace System 》………boot.

 

 

Extra phase………standby.

 




〜???〜


「何も感じないな……もうすこし何か思うところがあると思ったが……」

「私も……準備は出来たし、もういいのでは?」

「まだだ、万が一、喰わないという可能性もある」

「……もう少し待ちましょう」

「ああ、全ては我らが望むラグナロクの為に」


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縛られし狼と解き放たれし一角獣

42話

 

 

来た。

 

 

「あああぁあぁぁあぁあ!!!」

 

 

突如としてボーデヴィッヒの機体から電流が迸る。

 

 

「何が……起こってるの?」

 

「簪さん、シャルルを連れて下がってろ」

 

「え?でも……」

 

「いいから、早く」

 

 

アリーナ観客席も防護壁が展開されていき、ボーデヴィッヒの機体も装甲がドロドロに溶けて全身を包み込んでいく。

 

 

「VTシステム……」

 

「え……嘘……あれが?」

 

「ああ、おそらく元となったデータは……」

 

 

そして形作られたソレは

 

 

「姉さん、織斑千冬だろうな」

 

 

暮桜を纏った姉さんを模した真っ黒なモノ。

 

 

「多分全盛期の頃のデータだな。アレが本当にヴァルキリーを冠するものなら」

 

 

やっぱ何回見ても気分のいいもんじゃない。ドイツの違法研究所を潰した時に一緒に破壊すればよかった。

 

 

「じゃ、じゃあ一夏も逃げないと。教員部隊がなんとかしてくれると思う……」

 

「ダメだ。本体がボーデヴィッヒだとしても、アレは俺の姉のデータだ。家族の不始末は俺が片付ける。お前は早くシャルルを連れて退避しろ」

 

「……勝てるの?」

 

 

本人にはまだ分からんけど、コピー程度なら勝てるだろ。

 

 

「多分勝てる。今アイツが攻撃してこないのもこちらが攻撃意思を示してないからだろうな。プログラム程度に負ける俺ではねぇよ」

 

「エネルギー残量は?」

 

「零落白夜を一瞬しか使ってないから余裕で残ってる」

 

 

なんなら一撃ももらってないからまだ90%以上は残ってるな。

 

 

『IS使いは荒いくせに』

 

(ソレは諦めろ)

 

「……勝ってね一夏」

 

「ああ、もちろん」

 

 

少し迷って簪さんはデュノアを連れて出て行く。同時に教員部隊も来たようだが、攻撃していないところを見る限り姉さんが何か言ったのだろう。

 

 

「さてと……来いよ模造品。お前の信じる織斑千冬になれたんだぜ?自分のものじゃない借り物の力で、その気持ちが晴れるんなら……胸を貸してやる」

 

 

俺は片手で雪片を構える。ソレを見てVTシステムは動き出す。一閃、ヤツの雪片が俺に向かうが、タイミングを合わせて俺の雪片を打ち付ける。

 

すると……

 

 

『ッ!?』

 

 

ヤツの黒い雪片は砕け散りその手には折れた雪片の柄しか残らない。

 

 

「本物は……俺の尊敬する姉の剣は、こんなもんじゃねえんだよ!!」

 

 

俺はヤツの腹を袈裟斬り。中からボーデヴィッヒが出て来る。俺はまだ完全に出てないボーデヴィッヒの腕をつかもうとする。

 

 

刹那、もう一度機体がボーデヴィッヒを取り込み再起動する。

 

 

「なに!?まだ動くのか……」

 

 

またもや機体が溶け、グニュグニュと蠢く。

 

 

「1回目の時こんなことはなかった……一体何が……ッ!?」

 

 

目?のような場所が一瞬金色に光ったと思うと、俺は力が抜け落ちたように感じた。

 

 

「今のは……?まあいい。それよりも……コイツを完成させるのはマズイ気がする……先にユニコーンで消滅……チッ」

 

 

中にまだボーデヴィッヒが居るんだった……それに周りにもまだ教員部隊がいる。

 

 

「まともにやり合うしかねぇってのか……!!」

 

 

すると少しずつ形作られていく。まず見えたのは尻尾。機械的なものではなく本当の動物のような物。続いて足、通常の人型のものではない、膝で折れ曲り瞬発力の高い構造なのが見て取れる。次に胴、少し角ばったデザインで胸のところにISコアが見える。……が、変色し見ているだけでも引き込まれそうな純黒の色をしている。腕は意外と細身で、特徴は指と爪の部分が人間のソレより長いことくらいか。頭部は狼のような耳と牙が見える。そして最も特徴的なのは各部位に巻きついている鎖だ。

 

 

「狼の見た目で鎖とか、まるで神話のフェンリルだな……」

 

『ご明察』

 

「ッ!?誰だ!!」

 

 

周りには誰も見えない、ISの索敵から逃れられるほどの距離にいるのか、それともISにも作用するステルスか……

 

 

『探しても君には見つけられない。それよりも、敵に目を向けなくていいのか?』

 

 

声を聞き、機体の方に目を向けると、背中から二つの黒い球体が飛び出し本体と似たような形をとる。唯一違うのは、胸のISコアがないという点。

 

 

「あれは……」

 

『スコルとハティ。まあ、フェンリルの子機と思えばいい』

 

「大層、有名な名前をつけるんだな。それにしても……何者だ?」

 

『それは自分たちで見つけ出せ。まだ、我々を知るには早い』

 

 

第三勢力………俺を殺した奴らか?

 

 

『グルルル………』

 

 

フェンリル、声がそういった機体は低く唸り声をあげる。

 

 

「チッ……ヴォーダン・オージェも使わないとキツそうだな……」

 

 

俺は瞳を発動させようとする。……が、

 

 

「発動しない!?……さっきの力が抜けた感覚……まさかヤツが、機能を停止させたのか」

 

『神話ではフェンリルはオーディンを飲み込む。たかが瞳程度、造作もない』

 

「……ボーデヴィッヒのもか?」

 

『あの個体の物なら完全にフェンリルが奪った。もし個体が無事でも、その体ではもう力は行使出来ないだろう』

 

 

やってくれる……まったくもって面倒な……

 

 

『『グルッ!』』

 

「行かせねえよ……ッ!?」

 

 

 

スコルとハティ?の動きを止めようとした俺だが、本体であるフェンリルに止められてしまう。

 

なんだ今の……見えなかったぞ……早すぎる……あんな速度で、いや、あんな高出力だとボーデヴィッヒの体が持つかどうかッ!

 

 

「ぐっ……!!重い!!なんだコイツ……規格外すぎるだろ!?」

 

 

フェンリルの爪は俺の雪片を正確に捉えていて離さない。

 

 

『安心しろ、あくまでフェンリルが動くのは素体となるラウラ・ボーデヴィッヒとそのISコア。手荒なことにはなっていない』

 

「やけに良心的じゃないか……さしずめ、もうデータは取れたってところか!」

 

『流石だな。その通り、今回は起動実験に過ぎない。性能なんぞ、元から期待していなかったが……思ったよりフェンリルの性能も良く、君というこの世界の基準値から逸脱した存在も確認することができた。十分どころか、お釣りが来る成果だ』

 

 

コイツッ……俺の事気付いてやがる!?一体なぜ……

 

 

「やけに口調がフランクだな……そんなに嬉しかったか?」

 

『まあそんなところだ。さあ、どう対処する?白式では勝てない。ソレを使った方が良いのではないか?』

 

 

ユニコーンの事も知ってんのか……一応、切り札だったんだが……

 

 

「余計な……お世話だ!!」

 

「キャアアアアア!!!」

 

 

ッ、なんだ!?

 

 

『ガウッ!!』

 

 

悲鳴の主の方を向くと今まさに教員部隊がスコルとハティの両子機に襲われていた。

 

 

「ッ!?アイツら……クソッ!早く離しやがれ!!」

 

 

俺は力ずくで振りほどこうとしているが、ならばと言わんばかりにさらに強く押さえつけられる。

 

 

「力強すぎんだろ!!」

 

「ヒッ!?やめてぇぇぇ!!」

 

「ッ!?」

 

 

悲鳴が聞こえまたそちらを向くと、なんと子機2体が教員ごとISを捕食していた。

 

 

「なんのつもりだ!!」

 

『これもまた、目的の一つだ』

 

「…ッ!力が弱まった?これならッ!!」

 

 

雪片を力の限り振り、フェンリルから離れる。いや、離れると言うより、離してもらえた、と言う方が正しい。

 

 

「一体なぜ……?」

 

『貴様がソレを使わないのではなく、使えないのであれば、少し手伝ってやろう』

 

「なに……?」

 

 

すると、教員ごと捕食したスコルとハティの上半身部分が、少し変形した。

 

 

『『ペッ……』』

 

「なに!?」

 

 

2体はなんと教員とISコアのみを吐き出した。

 

てことは……装甲だけを捕食して、新たなパーツを作ったのか。

 

 

『『……▲※◆◯@!!!!!』』

 

「さっきから一体なんだ!?」

 

 

今度は咆哮。しかも人狼っぽい見た目のくせに音としては最悪な音を出している。……耳がいてぇ。

 

すると、管制室のシャッターが降り、カメラと思われる辺りの機械がことごとく破壊されていった。しかも周りには謎の電波まで出ている。

 

 

『これでアリーナの様子が分かる者は誰もいない。教員部隊も全て無力化している。存分に力を発揮してくれ』

 

「余計な気を回しやがって……チッ、仕方ないか。白式、お疲れ様。交代だ」

 

『疲れた〜……私が腕の制御アシストしてたの気づいてた?あれなかったら一夏の腕ポッキリ逝ってたんだからね!』

 

「もちろん分かってたよ、ありがとな。ゆっくり休んでろ」

 

 

……すいません白式さん。全然知りませんでした。マジで感謝。

 

 

「実際はお前が操ってんじゃねえかって疑うぞコイツ。なんで攻撃して来ねえんだよ……」

 

『正義のヒーローの変身シーンを邪魔する怪人はいないだろう?そう言うことだ』

 

「無駄に強い以外ただのアホじゃねえかよ……誰だこのシステム作ったやつ。絶対バカだろ……」

 

『本人に今度伝えておこう』

 

 

独り言だっつーの……

 

 

「……ッたく。ユニコーン、出番だ。流石に、今回は真面目にやるぞ」

 

『……分かった。ユニコーン、頑張る!』

 

 

ユニコーンの言葉とともに機体を纏う。マニュピレーター……めんどくさい、手を握ったり開いたりして調子を確認する。

 

 

「こんな生ぬるい状況の戦場なんてあって良いのだろうか……」

 

『仮に本当の戦場にいても貴様なら問題ないだろう?それくらいの覚悟は付いているはずだ』

 

 

コイツやけに俺のことに対して詳しいな……もしかしてストーカー!?

 

 

『……今すぐ新しいプログラムを送って貴様を殺してやろうか?貴様は顔で分かりやすい』

 

「なんで姿も見えない敵に説教されてるんですかね俺は……って、切り替えないと。……ふぅ……よし。やるか」

 

 

俺は盾とビームマグナムを取り出す。……展開速度は0,4秒か。まあ及第点かな。

 

 

『クククッ、力を見せてみろ、織斑一夏!!』

 

「言われなくてもな!」

 

 

声の言葉を皮切りに、フェンリルが突撃してくる。俺はビームマグナムで狙い撃つが最小限の動きで躱された。

 

腕を振り上げて迫ってきたフェンリルに対し盾でガード。思ったより、軽く感じる。やはりユニコーンの出力なら容易に受け止めれるようだ。

 

盾で弾き、右腕にも盾を展開し、ビームガトリングガンを両腕の盾から放つ。すると今度はフェンリルが右腕に巻かれた鎖で全ての球を辺り一面に弾き飛ばした。

 

 

「大人しく鎖で縛られてろよ……そんなのありか」

 

『殺し合いでありもなしも無い』

 

「分かってるよ、そんなことはな!」

 

 

盾とビームマグナムを収納し、背中のビームサーベル2本を手に取る。次は俺の番。瞬時加速を使い一気に斬りかかる。二刀流剣術なんてものはまともに知らないでので袈裟斬りや突きなど、フェイントを含めて攻撃する。

 

……が、

 

 

「コイツ……早いな!!」

 

 

先ほどと同じく、全て最小限の動きで避けられる。そこへ反撃の爪が来るがビームサーベルでガード。ついでに残った左腕で胴を断とうとビームサーベルを当てるが、固すぎるのか、熱に対する耐性が異常なのかビクともしない。

 

仕方ないので、爪を弾き距離を取る。

 

 

「固いな……まあ出力も落としてたし仕方ないって言えば終わりだが……これならどうだ」

 

 

俺はファンネルを4分の1の39機展開、同時に操作しフェンリルを囲う。

 

 

「ファンネル!

 

 

一斉にビームが放たれるが変わらず避け続ける。

 

 

「これでもダメなのか……ていうか絶対当たるはずなんだけど……あの図体じゃ避ける幅がない程度には詰めたはずなんだがなぁ……増やすか」

 

 

次は全体の半分、78機にしてさらに攻撃を指示する。今回はファンネルの動きもつけてだ。

 

 

「ふーむ、ちょこちょこ当たってるけど、有効打にならねぇな。効いてる風でもない……数じゃダメそうか?」

 

 

最後はファンネルを全て出し、俺自身もビームガトリングガン2つで加わる。

 

 

流石にキツくなってきたのか、PICで浮かび四肢の鎖を全て使って迎撃している。

 

 

「埒があかないな。仕方ない、あんまり爆発物は使いたくないんだけど……全兵装使用許可(オールウェポンアンロック)

 

……蹴散らせ」

 

 

実弾も爆発物もビームもファンネルも、全ての武装を発射。その時の音や光、煙は尋常じゃない量だ。フルアーマーパッケージの武装を全て打ち終えたので、パッケージを収納。そういや、全弾打ち切るだけで億は超えるとか言ってたけど、作ったやつが悪いので後で請求しよう。

 

煙でフェンリルの姿が見えない。こういう時にお約束の「やったか!?」って言わないのも俺クオリティだ。

 

そして煙が晴れる。

 

 

「……嘘だろ。今のでもダメなのか。一応火力だけなら最大限使ったぞ……」

 

 

鎖で全身を守っている風だが、それだけではあの火力を防ぎきることは不可能、両腕や両足は焦げ、腕の鎖は吹っ飛んでいる。どうやら実弾の方が効くらしいな。まあこの成果の割にアリーナの被害がヤベェんだけど……

 

あたりを見ると地面はえぐれ、観客席は見るも無残な姿だ。

 

 

「正直これで終わってくれたら楽なんだけどな……ていうか、今の火力で倒れないやつとか、今の表に出てるISではいないんだけど?ビームマグナムでも過剰だってのに……」

 

 

そう愚痴を垂れながら俺はファンネルを収納する。

 

 

『グルル……』

 

「まだやる気があんのか。変に高性能なAIまで乗っけやがって……マジで生きてるみたいだな。……本気で行くか」

 

 

流石に、これ以上はアリーナへの負担が多すぎる。……原因のほとんどが俺のフルファイアなんだけど。

 

 

「『NT-D』発動」

 

 

 

 

物の数秒でデストロイモードへ移行し、制御に集中する。

 

 

「……ッ」

 

 

ちょっと精神的にキツイ。学園生活でだいぶ鈍ってるらしい。近々本部で鍛え直さないとな……

 

 

「行くぞ……」

 

 

刹那、俺の姿が消える。正確には消えたように見えるほどのスピードで俺は動き、フェンリルがこちらを捉えた時にはもう遅い。俺は右腕でフェンリルの左腕を捉え、左腕のビームトンファーで切り裂く。今回は出力も限界まで上げているため、フェンリルの流石の硬さも意味をなさず、腕を切り落とされる。

 

 

『……ッ!!』

 

 

負けじとフェンリルも蹴りを叩き込んでくる。

 

 

「クッ……いてぇじゃねえか!!」

 

 

先ほどより重く、鋭い一撃だった。

 

 

『ガアアアァァアアァァアアア!!!!』

 

「ッ!?うるせえな……」

 

 

フェンリルが叫ぶと同時に、目が紅く光り、オーラのようなものが機体から溢れ出てきた。

 

 

「本気ってわけか……さっきまでとは違うな」

 

 

お互い、見合う。俺はビームトンファーを、フェンリルは爪を、構えて向かい合う。

 

 

「『………』」

 

 

何秒経っただろうか、もしかしたら何十分もこのままだったかもしれないと思えるほどの集中。

 

そして……

 

 

「いざ……!!」

 

『!!!』

 

 

お互い同時に突撃。ただにAIにもこういう精神があってよかった。

 

 

フェンリルより先に繰り出した俺の攻撃は見事奴の頭を捉え貫いた!!……分けがなく、避けられる。そこへ飛んでくる奴の爪は俺の右脇腹を絶対防御ごと貫通し直にダメージを与える。

 

 

「ガッ……!?………ゴフッ!!……捉えたぜぇ……」

 

 

久々の痛み、肉が抉り取られるような感覚。おそらくは装甲と肉ごと持っていかれたのだろう。

 

 

「これでもう避けられねぇよなぁ……消えろ!!」

 

 

ビームトンファーで首を跳ねる。フェンリルの頭部は地に落ち胴体は残ったままだが動く気配もない。

 

 

「……勝ったか」

 

『おめでとう。……いやこの程度は簡単に倒してもらわなければなぁ?』

 

「今更どういう用件だ?次はスコルとハティをぶっ壊せばいいのか?」

 

『いいや、本体がもうすでに機能停止しているのでな。あと少しでシャッターなどへのハッキングやジャミングが解除されるだけだ』

 

「十分問題じゃねえか!ユニコーン、お疲れ様。バレるとまずいから解除するな」

 

『……ユニコーン頑張った?』

 

「ああ……素晴らしい活躍だったぞ」

 

『……えへへ』

 

 

労いの言葉をかけると、本当に喜んでるのが伝わってくる。

 

 

「後で直さないとな。腹が持ってかれるとは思ってなかった」

 

 

結構痛い……内臓までは通ってないけど、ダメージを負ったのが久しぶりで忘れてたな……まあ、回復力には自信があるし亡国で強化した分で明日には治ってるだろ。

 

そしてユニコーンを解除する。

 

 

「……ッ!!頭がいてぇ!!あ……がっ……」

 

『先ほどのシステムの使いすぎだだろう。見たところ、かなり負担がかかるシステムだな。操縦者のイメージインターフェイスを用いてまで機体性能を上げているだろう?体へのフィードバックは大きい』

 

「……見ただけで……分かるのかよ……クッ……意識が……」

 

 

マズイ、今気絶するのは勘弁してほしい。まだフェンリルの中からボーデヴィッヒを引きずり出してないんだ。

 

 

『ふむ……そうだ。フェンリルを圧倒した君に褒美をやろう』

 

「褒美……だと?」

 

『ククッ、起きてからのお楽しみだ。なに、悪いようにはしない。今は休め、愚かな変革者よ』

 

「なに?……どう……い……う……」

 

 

い……しき……が……

 

 

 

 

 

 

〜???〜

 

 

「及第点か……」

 

「十分でしょう。元々はシステムの完成をテストしたものです。それを測るために耐久性を上げていたようのもの、成功と称して良いでしょう」

 

「いや、織斑一夏の方だ。思っていたよりは強かったが、あの程度では我らには到底及ばない」

 

「そこは……これからに期待しましょう」

 

「そうだな。……忘れていた。***に伝えておいてくれ。あのシステムは無駄に強い以外ただのアホだった、とな」

 

「……私に死ねと?」

 

「冗談だ、自分で伝えるさ。……帰るぞ、褒美はくれてやった」

 

「全く……お戯れが過ぎます」

 

「何か言ったか?」

 

「いえ、なんでもありません。帰りましょう」



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頼ることの大切さ

視点の切り替わりが多いです。


43話

 

 

〜ラウラ・ボーデヴィッヒ〜

 

 

(……私は……どうなったのだろうか)

 

 

織斑一夏と戦っていたところは覚えている。そのあと、黒い何かに包まれたことも。

 

 

(ここは……どこなのだろうか……)

 

 

見えるのに見えない、聞こえるのに聞こえない。形容しがたい感覚だ。

 

 

(それにしても……織斑一夏は……強かった。私の思っていた以上に)

 

 

今の状況を考えても仕方ないと思い、思考を切り替える。

 

 

(なぜあのレベルの強さを……いや……強さとは……なんなのだろう)

 

『そんなもん人に聞くな。自分で見つけろ』

 

(……ッ……分からないんだ。私が求めていた強さは、幻想だった)

 

『それはお前が姉さんしか知らなかったからな』

 

(それでもあの人は、私の憧れだった)

 

『憧れることは悪いことじゃない。でもなボーデヴィッヒ、お前は人間なんだ。……自由なんだよ』

 

(自由だから……なんなんだ……)

 

『お前はこれから世界を、国を、街を、人を見ていくんだ。この広い世界でたった1人の事しか見ないなんてもったいない。まずは、周りの人に頼ってみろ』

 

(……誰に……頼ればいいんだ)

 

『じゃあ、まずは俺を頼れ。まあ……血縁関係はないけど兄貴みたいなもんだからな』

 

(……それは)

 

『なに、俺は手伝うだけだ。どうするかはお前が決めろ。それが……お前の、

 

ラウラ・ボーデヴィッヒとしての、最初の一歩だ』

 

 

お前は……なぜ……

 

 

(なぜ……そんなに強いんだ……)

 

『……強くねえよ』

 

(え……?)

 

『もし、俺が強いんだとしたら……』

 

(………)

 

 

『大切なものを……守る前に、自分が壊れてしまったから。自分が強くならないと、守れないから』

 

(……いつ?)

 

『……いつ、か。難しいな、アレは……誰も知らないいつかの日だよ』

 

 

それ以来、声は聞こえなくなった。

 

 

(なるほど……私は……ラウラ・ボーデヴィッヒとして、やり直せるのか)

 

『幸せになれ、ラウラ・ボーデヴィッヒ。私は……お前は……もう自由なのだから』

 

(ッ!?その声は……フフッ、そういう事か。ああ、頑張ってみるさ。私は……私の名前は……ラウラ・ボーデヴィッヒなのだからな)

 

 

私に、新しい憧れができた。

 

 

 

 

〜一夏〜

 

 

「……ッ、ここは?……保健室か」

 

 

何度か見た天井だ。

 

 

「今は……何時だ?」

 

『16時30分だよ一夏』

 

「白式か、サンキュ。もう夕方か、結構寝てたのな」

 

『まあ、出血すごかったし。唐突にオペみたいなの始まってたよ』

 

 

恐ろしい……てか此処にそんな器具やら人員やら揃ってんのかい。

 

 

「まあ、どうせ治って……るな。たくっ、こういう時だけ俺を作ったやつに感謝だな。治りが早いのは助かる」

 

『じゃあ認める?』

 

「なわけあるか。見つけ次第ぶっ壊してやる。これ以上俺たちみたいなのが増えてたまるかよ。ボーデヴィッヒみたいなのもだ」

 

 

ボスだって言ってた。『人間は完成していないからこそ、面白い』ってな。……いや、まあ俺は完成されているっていうか超えてるんだけどな。

 

 

「どうしよう、1回目の時はだいたい都合のいいタイミングで誰か来てたからどう動けばいいのか分からない……起きたことを報告すべきか、まだ寝とくべきか、………黙って部屋に戻ろうかな」

 

『それ多分、織斑千冬に大目玉食らうんじゃ……』

 

「だよなぁ…… それにしても、あの声、褒美とか言ってたな。何のことだ?」

 

『ああ、そのこと?それなら多分……』

 

「失礼……しま〜す」

 

 

誰か来たようだ。

 

 

『やっぱ後でね一夏』

 

(ああ)

 

 

「えっと……一夏が寝てるベッドは……」

 

「ここだよ簪さん」

 

 

保健室のベッドのところにあるカーテンから顔を出し、自分の位置を知らせる。喋り方と声ですぐに誰かわかった。

 

 

「一夏!もう大丈夫なの?」

 

「まあ、まだ痛むところがあるけど、とりあえずは大丈夫かな」

 

 

嘘です、もう全力戦闘できます。

 

 

「そう……良かったぁ……血だらけで運ばれる一夏を見たとき、死んじゃうのかと思った……」

 

「それは……ごめん。でも、ちゃんと勝ったし、こうやって生きて帰ってきたから結果オーライだな」

 

「そんなわけないでしょ!!一夏は、ちゃんと自分の事を見たほうがいいと思う!!」

 

「……え?」

 

 

簪さんがこんなに怒ってるところ、初めて見た……

 

 

「私との訓練の時だって、メニューを考えたり、機体性能の引き出し方を考えてくれたのは一夏。作戦だって私はちょっとしか考えてない。いっつも無理してるでしょ!」

 

 

えと……いや、睡眠はそこまでいらない体だから、その時間をそういうのに当ててるだけなんだけど……

 

 

「今日だって、無理して戦って怪我して、ちゃんと自分の事を考えなさい!!」

 

「えっと……あの……すいません」

 

「そんなに私は頼りない?」

 

「そんなことはない」

 

 

簪さんは本当に頼りになる。それは1回目の時も、今も変わらない。

 

 

「だったら……」

 

「だっ……たら?」

 

「もっと私を頼ってよ……私だけじゃなくて、一夏の周りには頼れる人はたくさんいるんだから。そんなに……抱え込まないで。一夏が死んじゃったら、私……悲しいよ」

 

「……ッ!!」

 

 

簪さんは、涙を流しながら俺にそう言った。……俺だって、好きでこんな事してるんじゃない。『これは必要な事だ、起こるべくして起こる悲劇を生まないために。そのために、人工の命である俺程度ならいくらでも捧げてやる』……そう思ってたけど……

 

 

「本当にごめん。そこまで、考えてくれてたんだな。……そうだな。ちょっと使命感に駆られてたかもしれない。俺個人でどうにかなる問題じゃないのにな」

 

 

これじゃ、ボーデヴィッヒに笑われるな。『私には頼れと言っておいて、お前が頼らないのは道理が違う』って。

 

 

「……今までも頼りにしてたけど、これからもっと頼ってもいいか?今更だけどな」

 

「うん!」

 

 

1回目の時シャルが、『一夏って憎たらしいほど自分に鈍感だよね』とか言ってたけど、なるほど今やっとわかった。思ってたより迷惑かけてたんだなぁ……

 

 

「さてと、ひと段落ついたところで、姉さんのところに行こうかな。起きたこととか伝えないといけないし」

 

「え!?まだ寝てたほうがいいよ一夏。傷痛いでしょ?」

 

「いや、痛み止めが打ってあるのかわからないけどほとんど痛くないんだよ。さっき歩いて確認してたし。ついてきてもらっていいか?」

 

「……うん。わかった。危なそうだったら、ISで抱えてベッドに戻すからね」

 

 

ワァーオ、ダイナミックな運搬方法だなぁ……

 

 

それから、普通に姉さんのところに行き、痛みがないのをいいことにひたすら事情聴取されました。まあ、ほとんど無我夢中だったんでとか、ほとんど意識がなかったから覚えてない。で通したけどな。流石に、めっちゃ強かった。とかは言ったぞ?……そのせいで余計時間食ったけど。

 

結局、部屋に戻れたのは深夜だった。……治ったとはいえ、怪我人になんて無茶させるんだよ……

 

 

 

 

〜ラウラ・ボーデヴィッヒ〜

 

 

少し遡り、一夏が目覚める数分前のこと。

 

 

「教官も、言っていた。ラウラ・ボーデヴィッヒになれと……全く、あの姉弟は言いたいことだけ言って何処かに行ってしまう」

 

 

数時間前に織斑先生と話をして、それからもう一度眠る気にもなれなかったボーデヴィッヒはずっと起きていた。

 

 

「頼る……か。黒兎隊の隊長である私が、人に頼ることなど確かに今までなかった。結果、隊員達にも無理を強いていたのかもしれない。ハハッ、まともに動けるようになったら、すべき事だらけではないか」

 

 

最近では滅多になかった、自然と出る笑い声。今のように落ち着いているのも、織斑姉弟のおかげである。しかし、ボーデヴィッヒは日本に来る前、とある副隊長に日本のことについて教えてもらっていたが、これを頼るなどとは思っていない(実際にまともな事は教わっていない)

 

 

「私のISも原型を留めていなかったし、予備パーツは確か……レールガン以外はあったから動けるようにはなるか。全く、祖国も面倒な事をしてくれる。今更、恨む気にもなれないが」

 

 

大体は更識簪が多数のミサイルで破壊しまくったことから始まったが、ボーデヴィッヒには知る由もない。

 

 

「自分のことながら、今日はよく喋るな。……いや、喋ってないと落ち着かない」

 

「……ッ、ここは?……保健室か」

 

(ッ!?織斑一夏、隣のベッドだったのか!?」

 

「今は……何時だ?」

 

(……答えるべきだろうか。いや、そうしたほうがいいには違いないのだが……あの会話をした後では話しかけにくい)

 

「白式か、サンキュ。………」

 

(白式?確か、織斑のISの名前……会話をしたような物言い………まさかな)

 

 

そして、織斑一夏の会話のような独り言を聞き続けるボーデヴィッヒ。その内容には、思わず声が出そうになる。

 

 

(『俺を作ったやつ』……だと?まさか、織斑があの時言っていた『姉弟みたいなもの』というのは……いや、それでは実の姉である教官もそうなるのか……?)

 

 

ボーデヴィッヒの思考は続く。入ってきた更識簪に気づくこともなく、その会話を聞くような余裕もなく。

 

 

(いやしかし、教官の遺伝子からという線も…… 分からん、一体どういうことだ?織斑の言っていることが正しいのならば、織斑がISに乗れる理由にも納得がいく。教官とほぼ同じ遺伝子だからだろう。それが男でも、というわけか)

 

 

ガラガラ……

 

 

(ッ!!……今のは、部屋を出たようだな)

 

 

隣のカーテンを開け、誰もいないのを確認する。

 

 

「……織斑姉弟は私と同じ、遺伝子強化個体。しかし、教官の身体能力の高さ、織斑のいう回復力。もしかしたら、私のような遺伝子強化個体よりももっと上位の……しかも教官の、存在が公になった時期を考えると……ッ、一体いつから、この研究は続いていたんだ」

 

 

織斑、という存在がどれだけ異質な運命を背負っているのか。今のボーデヴィッヒには計り知れないが、ただひとつだけは確実に言える。

 

 

「この世界の人工物でない、天然の最強は篠ノ之束ただ一人。今や世界中の女共が夢見る存在は……ヒトとして作られたモノだったという事か。……この世界は……!!この世界はどれだけ……」

 

 

ラウラ・ボーデヴィッヒという存在が生まれて何年経っただろうか。いや、しみじみと数えるほど生きてはいない。この短い年数で、世界の闇の中心ともいうべき事実にたどり着いてしまったボーデヴィッヒ。その精神状態は安定してはいない。

 

 

「でも……裏を返せば私は、教官や織斑とは存在としては近い者同士。もしや、同じ遺伝子から作られている可能性も……おお、それは……それは……素晴らしい!!」

 

 

VTシステムで過度な精神的ストレスを負ったからだろうか、考えすぎで参ってしまったのか、いや両方だろう。少なくとも、今のボーデヴィッヒはまともな思考ができていないのは確かだ。

 

 

「つまりは、教官とは家族同然。という事は……織斑は……先輩?いや、本人も言ってたから……兄か!!」

 

 

もう一度言おう。ボーデヴィッヒは、まともな思考ができていないのである。



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