HuGっと!プリキュア 竜騎の暗殺者 (水甲)
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第1話 転移した場所

「シャンバラの切り札でお前は世界の果てに飛ばされて……」

 

褐色の男、ワイルドハントのリーダーであるシュラ。奴は帝具シャンバラの切り札を発動させようとしていた。

俺は切り札発動前に奴に近づき、喉元にナイフを突き刺した。

 

「悪いな。お前はここで終わりだ」

 

喉を切り裂き、シュラは絶命した。俺は仲間であるタツミとラバを助けようと思い、二人の方を振り向いた瞬間、異変に気がついた。

シュラの帝具から黒い穴が現れ、俺はそれに吸い込まれた。

 

「くそ……ふたりとも……悪い。ここで俺は脱落だ」

 

俺はそう告げ、黒い穴に吸い込まれるのであった。できれば帝国を潰す所を見ておきたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと蒼い空が広がっていた。

 

「俺は……シャンバラが作り出した次元の穴に吸い込まれて……」

 

起き上がりあたりを見渡すと、見たことのない建造物がいくつもあった。どこなんだ?ここ……

 

「帝国領じゃないってことだよな。いや、そもそも俺が知っている世界なのか?」

 

まさかと思うけど、別世界に飛ばされたとか……そんな事あるわけ無いと思いたいけど、あのときシャンバラが暴走したことを考えるとありえる。

 

「さて、どうしたものか」

 

今いる場所は建物の屋上みたいだ。帝具もしっかり持っているけど……困ったことにこの先どう暮らすべきか

 

「ある程度寝泊まりできる場所を探さないと……」

 

そう思い移動しようとした瞬間、さっきまで青空が広がっていたのに急に曇りだし、更にはどこからともなく悲鳴が聞こてきた。

悲鳴が聞こえてきたほうを見ると広い場所で巨大な怪物が暴れていた。おまけに何故か人が倒れている。

 

「面倒事に巻き込まれたな。仕方ない」

 

俺は帝具を握りしめ、化物のいる方に向かった。

 

 

 

 

化物がいる場所につくと化物の隣には変な男が立っていた。化物はあいつが操っているのか?それに女の子が化物の前に立ちはだかっていた。どう見ても戦えるようには見えない。

 

「壊れてないことを祈るしかないな。『呉越竜騎!!レガオン!!』」

 

持っていた短剣型帝具が形を変え、俺の右腕に巨大な剣として装着され、俺は女の子の隣に飛び出した。

 

「おい、お前!」

 

「えっ?誰?」

 

「なんや?あのごっつい剣は?」

 

「何だ!何でお前ネガティブになってないんだ?」

 

「ネガティブ?よく分からないけど!!」

 

レガオンを大きく振りかぶり、化物に叩きつけた。化物はそのまま地面に倒れ込むけど、何だか変だ。

 

「倒せない?変な化物だな」

 

「アホか!!オシマイダーを倒せるわけ無いだろ」

 

男がそう言うけど、倒せないけど止めることは出来るって言うことだな。それだったら……

 

「そこのお前!!逃げろ」

 

「そや、逃げるんや」

 

何だかさっきからネズミが喋ってる気がするけど、気のせいだろうか?

 

「お前じゃないもん!はなだもん!ここで逃げたら…かっこ悪い!」

 

女の子がそう告げていた。逃げたらかっこ悪いか……今のお前は十分かっこいいように見えるけどな

 

「そんなの…私がなりたい野乃はなじゃない!!」

 

突然女の子と近くにいた赤ん坊が光だすと、小さな宝石が現れた。あれは帝具なのか?

 

「心があふれる!!」

 

「ミライクリスタルが生まれた!!はな!お前の気持ち!かましたれーっ!!」

 

「いっくよー!」

 

女の子がまばゆい光に包まれ、光が消えるとそこにはさっきの女の子によく似た子が立っていた。

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

プリキュア?よく分からないけど、さっきの女の子が変身したって言うことでいいのか?

 

「キュアエールでいいのか?一緒に行くぞ」

 

「うん!!」

 

とりあえず協力することになり、俺は化物にレガオンを叩きつけた。さらにキュアエールは化物の腕を掴み、地面に叩きつけていた。俺ら二人の攻撃を食らってひるんだ化物。するとネズミが大声で叫んでいた。

 

「いったれー!キュアエール!!」

 

「うん!」

 

キュアエールは両手首に付いている装飾をポンポンに変えると

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

ピンク色のエネルギー弾が化物に命中した。化物は安らかな顔をして

 

「ヤメサセテモライマス」

 

化物はそのまま消えるのであった。それにさっきまでいた男もいなくなっていた。

レガオンを元の形に戻すとキュアエールは元の姿に戻り、俺の手を掴んだ。

 

「ありがとう。救けてくれて、私、野乃はな」

 

「俺はミナト・ユウ。ちょっと聞きたいんだけどここは一体どこなんだ?」

 

「どういう事?」

 

「なぁ、お前、まさかと思うんやけど」

 

ネズミが話に入ってきた。というか喋れるものなのか?

 

「異世界から来たのか?お前……」

 

「異世界?」

 

「ネズミの言うとおりだ。とりあえずいろいろと話したいんだが」

 

これが俺にとってプリキュアとの出会い、そして新たな戦いの始まりであった。

 

 



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第2話 これからのこと

この世界に転移した次の日

 

色々と事情やこの世界のことを知るべきなのだが、ネズミ……ハリー曰く落ち着ける場所でしっかり話すべきということになった。

 

「それにしてもてっきりこっちだとネズミは普通にしゃべるものだと思ってたけど、お前も異世界から来たのか」

 

「だからネズミちゃうって言ったやろ!?」

 

俺は赤ん坊のはぐたんを抱きながら、はなが来るのを待っていた。それにしても何ではぐたんは俺の腕の中で落ち着いて寝ているんだよ。血の匂いとか染み込んでるのに……

 

「にしてもはなの家族は変わってるな~ミナトみたいな不審者をよく泊める気になるわな」

 

「俺はそれより本当に善意な気持ちで泊めてくれたのが吃驚だよ」

 

あっちだと田舎者を騙して色々とやらかす奴らがいたからな……純粋な善意ってやつは久しぶりに感じた。

 

「は~ぐ~た~ん!」

 

はなの声が聞こえると同時にはぐたんが目を覚まし、嬉しそうにしていた。

 

「ミナトくん、はぐたんのことありがとうね」

 

「お礼を言うのはこっちの方だよ。昨日泊めてくれてありがとう」

 

「ううん、困ってる人を助けるのは当たり前のことだから大丈夫だよ」

 

何というかはなを見ていると本当にここは良い世界だな。ちょっと気になるのはあっちにいるみんなは大丈夫だろうか?

 

「それでハリー、ここになにかあるの?」

 

「ふっふー、ここはな、オレらの家や」

 

家?特に変わったところはないみたいだけど、ここにテントでも貼るのか?それははぐたんがカワイそうに思えるんだが……

 

「はな、ミライクリスタル出し」

 

「うーん、ネズミなのに偉そう」

 

「ネズミちゃう言うてるやろ!ハリハム・ハリーや!」

 

はなは言われるまま、ミライクリスタルと呼ばれる宝石を取り出すと、ハリーは鞄から何かを取り出し、投げると木に家ができた。

 

「どやっミライクリスタルがあったら、こんなこともできるんや!」

 

「ミライクリスタルって帝具か何かなのか?」

 

「帝具とかようわからんけど、違う。それに驚くのはまだ早いで、ハリー、イケメンチェーンジ」

 

ハリーが煙に包まれるとそこに現れたのはイケメンな男だった。すごいな人型にも変身できるのか

 

「どや?」

 

「何だか驚き疲れたよ~」

 

「何というか色々と変身できるやつが知り合いにいるから、そこまで驚きはないな」

 

「お前ら……」

 

呆れているハリー、するとはぐたんが急に泣き出したため、俺らは小屋に入るのであった。

 

 

 

 

 

 

はぐたんが泣いた理由はどうやらおむつだったみたいで、おむつを取り替えるとはぐたんは嬉しそうにしていた。

 

「それで色々と聞きたいんだけど、昨日のあの化物はこの世界じゃ普通に現れるものなのか?」

 

「ううん、そんなことないよ」

 

「あれはオシマイダー。クライアス社が生み出した化けもんや」

 

「クライアス社?」

 

何だか聞く限り悪の組織みたいだ。おまけに生み出すって言うことはかなり厄介な奴らみたいだな

 

「そうや。オレらの世界を目茶苦茶にした悪もんや。ヤツらはミライクリスタルをねろうてる」

 

「ミライクリスタル……はなが持っている宝石のことだな。ソレは一体?」

 

「ミライクリスタルちゅうのはな、皆の元気パワー、明日への希望のパワーがアスパワワ。その結晶がミライクリスタルなんや」

 

要するにみんなの希望が詰まった宝石ということでいいのか?

 

「それが奪われたら…世界から未来が無くなる」

 

「未来が無くなる…って、どういう事?」

 

「はな、そのままの意味じゃないのか?未来がなくなるっていうことは永遠に明日が来なくなるっていうこと……つまり死んじゃうってこと。そうだろ。ハリー」

 

「死ぬっていうのはちょっとちゃう。時間が止まってしまうって言ったほうが正しいな」

 

時間が止まるか……

 

「ソレってどういう事?」

 

「誕生日もクリスマスもお正月も来いひんちゅうこっちゃ!!」

 

「えっ!?めちょっく!!」

 

はなもようやく理解し、驚きを隠せないでいた。

世界の時が止まるって言うけど、もしかして何とか出来る方法はあるかもしれないな。

 

「ハリー、それを止める方法っていうのは昨日、はなが変身した」

 

「そや、プリキュアなら皆の未来を守れる」

 

ハリーはそう言いながら、鞄からはなが持っている小物を取り出した。

 

「プリハートはあと3つある。まずは一緒に戦ってくれる仲間探しやな」

 

確かにはな一人じゃ荷が重い。だとしたら仲間を集めるのが先決だな。

だけどはなは何故か唸っていた。

 

「何や?」

 

「プリキュアは私一人でやる!」

 

「何やて!?」

 

「はぐたんは私が守る!それに、一人の方が恰好良いじゃん?目立つ!」

 

とんでもないことを言い出したこの子……

俺はため息をつき、自分のことを話すことにした。

 

「俺のことについていいか?」

 

「せやけど、ミナト!?」

 

「ミナトくんのこと?」

 

「まぁ簡単に世界のこととかな」

 

俺は簡単に説明した。帝国のこと、帝国が行ってきた悪行の数々。俺は帝国警備隊の一人だったけど、帝国のやり方についていけなかった。

そして俺は帝国の支配から人々を解放する軍隊、解放軍のナイトレイドと呼ばれる暗殺者集団に入ったこと……

 

「そ……そんな世界があるんだ……」

 

「クライアス社よりもひどいな……」

 

「それでコレが48しかない武具『帝具・呉越竜騎レガオン』これは特殊な方法で作られていて、俺のは身体の一部に装着させることで武器の形状を変えることが出来る代物だ」

 

呉越竜騎レガオン。使用者が体の部位に装着できる。昨日は右腕に巨大な大剣を装着した。他には左腕、両足、背中、腰にも装備できる

まぁ奥の手がある事を今は言うことじゃないな

 

「因みに昨日の大剣は切る事はできなくって、叩きつけるって感じで……」

 

「いや、そういうのはええ。それでミナトがここに来たのはその帝具ってヤツのせいなのか?」

 

「あぁ、そうなる」

 

転移系の帝具とはいえ、別世界に飛ばされるなんてな……というか今思うとこの話、13歳のはなに聞かせるのは酷過ぎたか?

俺ははなの方を見るとはなは何故かまた唸っていた。

 

「どうした?」

 

「ん~似たような話、今日聞いたような聞かなかったような……あれ?」

 

「ただの勘違いやろ」

 

 

 



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第3話 元同僚と天使

ハリーの家に住むことになった俺は、はぐたんの面倒を見ながら読書をしていた。

読んでいる本はこちら側の世界の歴史が書かれたもので、昨日はなに頼んで持ってきてもらった。

 

「お前、朝からずっと本を読んでいて飽きないな~」

 

「ここのことを知るためだから仕方ないだろ。とはいえ少し疲れたな。ちょっと気分転換にでかけてくる」

 

「ちょい待ち」

 

僕はレガオンを持って出かけようとするとハリーが止めに入ってきた。何だ?なにかあるのかな?

 

「それ持ち歩いて出かける気か?捕まるで」

 

「あぁ、そうだな」

 

この世界って剣とか持ち歩いていたら捕まるんだっけ。俺ははなからもらったリュックにレガオンを入れた。これなら問題ないな

 

「それじゃ少し出かけてくる」

 

「きぃーつけてなー」

 

「あいっ」

 

ハリーとはぐたんに見送られ、俺は適当に街をぶらつくのであった。

 

 

 

 

 

 

「本当に変わった建物が多いな……」

 

ぶらつきながらそんなことを呟いていると、何故かはなの学校の前に来ていた。はなはここで勉強してるのか……

 

「学生って大変だな……」

 

そろそろ帰らないと怒られそうだな。

 

「そこの人!!」

 

帰ろうと思った瞬間、誰かに声をかけられた。もしかして学校の前で立ち止まっていたから不審者扱いされたか?

 

「ここに何か……えっ?」

 

「いや、ただ……ん?」

 

声をかけてきた人を見て、俺は驚きを隠せないでいた。それは声をかけてきた奴も同じだった。そいつは髪を一つにまとめ、はなより少し年上くらいの少女……俺はこいつを知っている。

 

「ミナト……」

 

「セリュー……」

 

何で異世界で元同僚のセリューがこんな所にいるんだよ

 

「……どうしてミナトがここにいるの」

 

「お前こそ……いやそれ以前にマインに殺されたはずじゃ……」

 

なんとも言えない空気が流れる中、誰かがこっちに向かって走ってきた。

 

「セリューさん、お弁当届けに来ました」

 

「あれ?ミナトくん、こんな所でどうしたの?警備員さんに声かけられたの?」

 

やってきたのは青く長い髪の少女とはなだった。というか警備員って……

 

「……お互い話し合うべきみたいですね。ここはあそことは違うみたいですし」

 

「そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺、はな、はなの友達はセリューに連れられ、警備員室に入った。はなとその友達はお弁当を食べる中、俺らはと言うと……

 

「まず先に聞きたいことがあるんだが、何でお前は普通に生きてるんだ?それに何というかこっちに馴染んでるし」

 

「私がこっちに来たのは一年前くらい、そこにいるさあやに保護されました」

 

さあやって言うのか……というか保護って……

 

「はな、こっちの世界の医療ってものすごかったりするのか?」

 

「ん?どういう事?」

 

例えば上半身と下半身が真っ二つにされても助かるのかって聞こうと思ったけど、食事中に言うべきことじゃないな

 

「……死ぬかもしれない大怪我負っても助かるものなのか?」

 

「流石にそこまで医療は進んでないよ」

 

「あの、ミナトさん……セリューさんは怪我してなかったですよ」

 

怪我してない……どういうことだ?ここに来た時に不思議な力で怪我を治したとかそんなものなのか?俄に信じられないけど……

 

「まぁ俺が考えても分かるわけないし、今はこうして出会えたことを喜ぶべきだな。セリュー」

 

「そうね。こうして話せるのは良いことだし」

 

「お二人はどんな関係なんですか?」

 

さあやの質問にどう答えるべきか……普通に元同僚で、殺し合う仲とか言ったらまずいだろうし……

考え込んでいるとなにか音が鳴り響いた。何だこれ?

 

「ほら、ふたりとも休憩は終わりよ」

 

「そうだ。薬師寺さん、早く行こう」

 

「うん」

 

二人は急いで部屋から出ていき、俺も帰ろうとするとセリューが呼び止めた。

 

「あの二人の前では話せなかったけど、私の傷はこっちに来た時に治っていた。それに何故かはわからないけど、十王の裁きやコロの力が使えるようになっている」

 

「それってつまり……融合しているっていうのか?」

 

そんな事ありえるのか?本当に訳がわからなくなってきた。

まさかと思うけどシャンバラの暴走が次元や時間を越えて、セリューをこっちに飛ばし、おまけにその影響でセリューと帝具が融合したとか……

 

「そんなバカな……まぁいいや。殺し合う仲だったけど、こうしてセリューと出会えたのは嬉しいよ」

 

「……そうだね」

 

思わぬ再会をした俺は、セリューと別れ、家に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方になり、学校から戻ってきたはなと一緒にはぐたんの世話をすることになり、はなもはぐたんも一杯遊んだのかソファーで眠っていた。

 

「はなから聞いたけど、なんやミナトの友達がこっちに来てるんやな」

 

「友達っていうか元同僚だよ。まさか会えるとは思っていなかったけど……」

 

「元って言うとまさかと思うけど敵同士だったとか言うんじゃないやろな」

 

ハリー、正解だよ。俺は帝国のやり方……弱いものが虐げられることが嫌になり、帝国を抜け出した。その時にセリューに止められた

 

 

 

 

『悪いけど、俺は帝国の敵になる』

 

『それは………私の両親を殺した奴と同じ悪になるっていうこと……』

 

『セリュー、これだけは言わせてもらう。お前が悪を憎むのはダメだとは言わない。だけど憎しみでお前の正義を歪めるな。悪は悪なりに理由がある』

 

『……ミナトみたいに帝国を変えるために悪に染まるっていうこと?』

 

『あぁ、あと約束してくれ。戦場で出会ったら殺し合おう。だけどもし休暇とかで出会ったら………また前みたいに話そう』

 

『………』

 

 

 

「おーい、ミナトー、何惚けてるんねん」

 

「悪い、昔のことを思い出してな」

 

「あっ…何?今の夢…」

 

はなが突然目を覚ますと同時にはぐたんも泣きじゃくっていた。はなは慌ててあやしていた。

 

「はぎゅ~!!はぎゅ~!!」

 

「ごめんねはぐたん!寝ちゃってた!」

 

「何泣かしとるんや!」

 

「お願い!泣きやんで!はぐたんは良い子でしょ~?」

 

何かあったのか?もしかして怖い夢見たとか……

すると扉の方から気配を感じ見てみると、扉を開けて入ってきたのははなの友達のさあやとセリューの二人だった。

 

「野乃さんと……えっと……」

 

「ミナト…ここにいたんだ」

 




セリューの感じが変わっているのは、ミナトの影響的なものです。


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第4話 新たな仲間

何故かはなの友達のさあやって子とセリューがこの家にやってきた。はなは二人を家に上げるけど、ハリーに家に上げるなとか言われないか心配だけど、ハリーは特に問題がないということで、何も言わず物陰に隠れていた。

 

さあやははなと一緒にはぐたんの面倒を見ている中、俺はセリューにあることを聞いた。

 

「お前、何でここに?」

 

「さあやと家に帰る途中に、急にさあやがここに入ろうとしたから付いてきたのよ。でも、ミナトがここに住んでるなんて吃驚したわ」

 

「あれ?ミナトくんってここに住むの?」

 

俺らの話にはなが入ってきた。住むのって、別にはなの許可は……

 

「昨日お父さんとお母さんにミナトくんが私の家に住むこといいって言ってたよ」

 

「お前、相談くらいしてからにしろよ」

 

というかどんだけいい人なんだよ。お前の両親は……

 

「あのミナトさん……でしたっけ」

 

「何だ?」

 

「ミナトさんはもしかしてセリューさんと同じように異世界から来たんですか?」

 

おい、セリュー、何をあっさりバラしてるんだよ。俺はセリューの方を睨むとセリューは困った顔をしていた。

 

「事情を話したまでです。でもさあやは私の話を疑いもせず受け入れてくれたし……」

 

「さあや、一応疑うっていうこと覚えろ」

 

「は、はい」

 

「薬師寺さん、はぐたんのこと見ても驚いたりしないのってセリューさんのことがあるから?」

 

「それもあるけど……あのね前に…不思議な事があってね。空から赤ちゃんの声が聞こえたの」

 

赤ちゃんの声?

さあやの言うことには、ある日、突然赤ん坊の声が聞こえ、おまけに世界が止まったみたいだったらしい。

それってクライアスって奴らがやろうとしている『未来を無くす』っていう予兆だったのか?

 

「良く分からないけど、赤ちゃんの泣き声の方へと向かうと、いつも野乃さんに会うの」

 

「そっか。あの時も」

 

だからなのかはぐたんの声が聞こえて、ここに来たのか?だとしたら納得できる。

もう少し話を聞こうとすると、ミルクが出来上がり、さあやははぐたんにミルクを上げ始めた。

 

「絵になる…さすが天使」

 

はなはミルクを上げるさあやを見てそう呟いた。確かに天使に見えるな。

 

「……ここは本当に平和だね。ミナト」

 

「あぁ、こんな風にみんなが明るく、未来へ希望を持てているくらいだからな」

 

「もしかしたら私はミナトとあっていなかったら、こんな風に話したり、ただ悪を憎むだけの人になっていたかもしれない」

 

「それは……」

 

俺はセリューに約束を守ってくれたからだろって言おうとしたけどやめた。今更言うことじゃないしな

 

「薬師寺さんは凄いよ。色々丁寧だし、賢いし…私には出来ないや」

 

ミルクを上げるさあやをみて、はなはそう呟くがさあやはこう返した。

 

「私に出来ない事が、貴女には出来ます。貴女に出来ない事が、私には出来ます。力を合わせれば、素晴らしい事がきっと出来るでしょう」

 

「誰の言葉?」

 

「マザー・テレサの言葉だよ。私ね、マザー・テレサを尊敬しているの。そしてね…私、この言葉がとても好き。野乃さんは自由な発想があって、なりたい自分の未来があって…私よりずっと凄いよ。私には…なにもないから」

 

「みんなに優しく出来るじゃない」

 

「それくらいしか出来ないの…野乃さんみたいに勇気がない」

 

それくらいしか出来ないか……俺とセリューはさあやの言葉を聞いて、ため息を付いていた。それしか出来ないっていうのは良いことだと思う。

 

「薬師寺さん…いや、うーん…」

 

「委員長でいいよ」

 

「委員長と話してるんじゃないもん!さあやちゃんと話してるの」

 

「さあやちゃん、勇気あるよ!」

 

「えっ?」

 

「だって、誰かに優しくするって、すっごく勇気がいる事だもん!」

 

「でも…私…」

 

「褒められたらありがとうだよ?」

 

「なぁさあや、それしかないとか言ったけど、かなり十分だと思うぞ」

 

「そうですね。勇気があるということはくじけない心を持っているということ。十分誇っていいと思う」

 

「野乃さん、ミナトさん、セリューさん」

 

「未来は無限大!!なんでもできる!なんでもなれる!フレフレさあやちゃん!」

 

はなはさあやのことを応援をし始めた。何というかはなは本当にすごいな……

 

「あのね、さあやちゃん、お願いしたいことが……」

 

はなは何かを言いかけていた。もしかしてさあやをプリキュアにスカウトするのか?引き受けてくれるかどうかわからないけど……

そんな事思った瞬間、突然建物が揺れ始め、俺とセリューは直ぐ様飛び出した。

 

 

 

 

 

 

外に出て何だか騒ぎが起きていた。俺たちは騒ぎの中心に行くとそこにはこの間の化物……オシマイダーが暴れていた。それを見てはぐたんも泣きじゃくっていた。

 

「あかん!アスパワワがどんどん無くなっとる!!」

 

「えっ!?喋って…」

 

さあやはハリー(ネズミ)が喋っていることに驚いていた。まぁ普通は驚くことだろうけど……

 

「はな!」

 

「うん!はぐたんは私が守る!」

 

「ダメ!危ないよ!」

 

「さあやちゃん!私…プリキュアなんだ!!」

 

はなは光りに包まれ、キュアエールに変身した。俺もレガオンを取り出し、左腕に装着させると左腕が斧に変わった。

 

「セリュー、さあやのこと……」

 

「何言ってるんですか。私も戦えます!!」

 

セリューは地面に手をつくと地面から巨大な刀を取り出した。

 

「十王の裁き!!正義宋帝刀!!」

 

「それ、コロにしまってあった武器だよな」

 

「よく分からないけど、どこからでも取り出せるようになったの」

 

帝具の力って言うことなのか?まぁ今は気にすることじゃないな。

 

「来たな!!プリキュア!!あと変な武器使い!!ミライクリスタルを奪え!!オシマイダー!!」

 

あの男……クライアス社の幹部って言うことだよな。アイツを倒したほうが今後楽になるかもしれないな

 

「セリュー、あの男を狙え」

 

「分かった」

 

セリューと一緒に男に襲いかかろうとすると、オシマイダーが立ちふさがり、巨大な腕に吹き飛ばされてしまった。

 

「面倒だな」

 

「危ない!?」

 

気がつくと上からオシマイダーが落下してきた。潰される瞬間、キュアエールが救けに入り、俺とセリューは潰されずにすんだけど……

 

「女の子一人に守られるなんて……私も鈍りましたね」

 

「戦うことがない世界だから仕方ないだろ。はな、無理はするな」

 

「大丈夫……みんなの未来を……守る…ッ!!」

 

キュアエールがオシマイダーの身体を押し上げていき、吹き飛ばした。そんなキュアエールを見ていたさあやは何かを呟いていた。

 

 

「なんでもできる…なんでもなれる…」

 

彼女がそう呟いた瞬間、青白い光があたりを照らした。これははなと同じ……

 

「心が、あふれる!!」

 

光が消え宝石のような石がさあやの手に乗った。そうかさあやもプリキュアになったんだな。

 

「ミライクリスタルが生まれたんや!!プリキュアになるんや!!」

 

「私がプリキュアに…!?私に…そんなことできるのかな…。ううん、できるよね。私の中にも、きっと勇気が…!!」

 

さあやはプリハートにミライクリスタルをはめ込み、まばゆい光に包まれるとプリキュアに変身した。

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「プリキュアが増えただと、ふっざけんな!!いけ!オシマイダー!!」

 

オシマイダーがキュアアンジュに向かって何本も鉄骨を投げつけてきた。俺とセリューは投げつけてきた鉄骨を切り裂くが、残った鉄骨がキュアアンジュに向かっていく、まずい、間に合わない

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

キュアアンジュが青白い障壁を展開させると、襲いかかる鉄骨を弾き返した。

 

「攻撃を弾いた」

 

「守りの力か……それじゃこっちも」

 

「うん」

 

「任せて」

 

俺とセリューはオシマイダーの後ろに回り込み、巨大な腕を切り裂くと同時にキュアエールがオシマイダーの足を蹴ると、オシマイダーは地面に倒れ込んだ。

 

「トドメ、頼んだぞ!」

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!!」

 

ピンクの閃光がオシマイダーに命中し、オシマイダーは恍惚の顔で消えていった。おまけにあの男の姿もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いを終えるとセリューに敵のこと、プリキュアのことを改めて説明した。

 

「平和だと思っていたけど、それを脅かす悪がいるんですね」

 

「あぁ、俺ははなたちの手伝いをすることにしたんだけど……お前は?」

 

「もちろん、協力します。それに伴って、ミナト、私と一緒に学園の警備をしない?」

 

「警備?」

 

「彼女たちの手伝いをするって言うなら、彼女たちの側にいたほうが良いと思う。私の口利きならすぐに働けると思うよ」

 

確かにそうした方がいいかもしれないな。それにこっちではお金とか必要になるし……

 

「それだったらミナトくん、余計私の家に住んだほうが良いよ」

 

「それは……」

 

「さあやちゃんから聞いたけど、セリューさんも一緒に住んでるんだよね。それだったら同じように……」

 

何だか言い訳しようとか思ったけど、面倒になり、俺ははなの家に居候をすることになった。



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第5話 居候と暗躍

さあやがプリキュアになり、セリューの紹介で明日からはなたちが通う学校の警備員になった俺は、はなの両親の好意で野乃家に居候することになった。

 

「ミナト・ユウです。これからお世話になります」

 

「この街に来て苦労してたって聞いたからね。自分の家みたいにいてもいいんだよ」

 

「はなをいろいろと助けてくれているみたいだし、そのお礼も兼ねてね」

 

はな曰く俺は物凄く苦労していて、一人旅をしている時にはなを助けたとか何とか……よくそんな理由が通じると思ったな……

 

「ミナトくん、実は昨日の内に部屋用意したんだよ。行こう」

 

「お姉ちゃん、慣れない掃除してもしかしたら散らかっていたらごめんね」

 

「もう、ことりは……」

 

何というかはな、妹のほうが大人な気がするぞ。それにしてもこの人達は本当に善意で俺のことを住まわせてくれるなんて……

あっちにいた時には考えられなかったな。

 

 

 

はなに案内されて、俺は用意された部屋に入った。

 

「頑張って掃除したんだ~」

 

「お前の妹が言っていたみたいに散らかってないな」

 

「めちょっく!?ミナトくんまでそんな事言うなんて……」

 

めちょっくってなんだよ。いや、いちいち気にしない方が良いか?

俺はベッドの上に座り、はなが借りてきた本を読もうとすると、何故かはなが隣りに座った。

 

「どうしたんだ?」

 

「う~ん、せっかく一緒に暮らすことになったからいっぱいお話しようかなって」

 

「話すことって……これからしばらく一緒にいることになるんだからいつでも話せるだろ」

 

「そうだけど……」

 

俯くはな。俺ははなの頭を撫でた。全くそんな顔をされるとこっちが困るよ

 

「仕方ない。少しずつ話してやるよ。まずは俺のことでいいか?」

 

「ミナトくんの事?」

 

「あぁ」

 

俺は自分の過去を語った。

地方の村で生まれたこと、正義の味方に憧れて街を守る帝国警備隊に入ったこと、そこでセリューに会ったことや、悪人が持っていた帝具を手に入れて、帝具使いになったことを……

 

「警備隊って、おまわりさん?」

 

「そんな感じ。とはいえ中が腐っていたから……」

 

「腐っていたって……」

 

「世の中にはいろいろとあるんだよ。俺も仕事をしていてずっと違和感を覚えていたけど、正しい行いをしているって思い続けていた。だけど……」

 

俺はとある貴族の噂を聞き、勝手に調査をしていた時に……

 

「……はな?」

 

「すぅ~」

 

いつの間にか寝ているし、続きは明日でいいか。

俺ははなを背負い、はなの母親に部屋の場所を聞き、寝かせるのであった。

 

「そういえば……あのとき助けたあいつ……どうしてるんだろう?」

 

貴族の家で助けたあの子、イェーガーズに入って幾度となく戦った少女。サヨはあっちで生き残ってるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

黒と紫が基調の奇怪な衣装の少女と金髪に褐色の男がある話をしていた。

 

「上層部から報告書の催促が来ています。迅速かつ速やかな提出をお願いします」

 

「そういわれてもな~ルールーちゃんには教えてあげようかな。実は見たことのないプリキュアが現れちゃって、しかも二人。おまけに変な武器を使う奴らも出てきたしね」

 

「捜索中のプリキュアではないと、速やかに報告書の提出を」

 

「ダメダメ、そんな事したら上司に叱られちゃうじゃん。おまけに出すとしてもあのおかしな奴らの事も調べて書かなきゃいけないじゃん」

 

「おかしな奴ら……そいつらが使っている武器、帝具と呼んでいなかったか?」

 

突然二人の前に白髪の男が現れた。金髪の男……チャラリートは白髪の男を睨みつけた。

 

「誰?あんた」

 

「こちらはクライアス社研究部門所長です」

 

「研究部門?あぁそんなのあったね~何しているかわからないけど、話に割り込まないでくれない」

 

「いやいや、済まないが私自身興味があってね。チャラリートくん、次出る時、教えてくれないか?できれば私と6人の精鋭たちが挨拶したくってね。君が望むなら帝具使いの足止めをしてやろう」

 

「へぇ、面白いこと言うじゃん。いいよ乗った」

 

「所長。上層部から苦情が来ています。実験を行うのはいいが誤作動が多いと」

 

「誤作動。違うな。あれも実験の一つだ。そして実験は完遂した結果が6人の精鋭だ」

 

白髪の男は笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、俺は警備員の仕事をそつなくこなしつつ、初めての休日のこと。はなたちと一緒にハリーの家に行くと何故かハリーは目の下に隈を作り、疲れた顔をしていた。

その理由はどうやらはぐたんの夜泣きが原因だった。どうにもここ最近落ち着かなくって大変みたいだ。

 

「何だか悪いな。手伝えなくって」

 

「ええって、ミナトも仕事が大変やろ」

 

ハリーがそう言うけど、本当に申し訳ない。さあやはパソコンというやつで調べていると

 

「赤ちゃんは新しい環境がなれなく、不安で愚図ることがあるって」

 

「便利なものがあるんだな……」

 

「使い方教えますか?」

 

「こっちで仕事する以上、ミナトは覚えたほうが良いですよ」

 

「機会があったらな。それにしても不安か……」

 

はなはそれを聞いて、変顔をしてご機嫌を取ろうとするがはぐたんにそっぽ向かれていた。

 

「こういうときいいもんがあった気が~そやあれがあった」

 

ハリーは鞄の中を漁ると中から変な板を取り出した。

 

「わぁ~!何?それ!タブレット?」

 

また機械的なものか。色々と勉強することが増えたな。この間なんか自動車を鉄の箱とか言い出しちゃったからな……

 

「プリキュアだけが使えるパッドや。色んな事が出来てなぁ。はぐたんが困った時にでも調べられる、超イケてるしろもんや」

 

「すごーい!!…って、そんな便利な物があるなら早く出してよ!!」

 

ハリー曰くミライパットを使えば、はぐたんが望むものが映し出されるみたいだ。早速反応が現れ、俺らはそこへと向かうのであった。

 



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第6話 嬉しい再会と現れた悪

ミライパットの案内でたどり着いた場所は移動動物園という動物たちと触れあえる場所だった。

 

「ここは?」

 

「私も始めてきたよ」

 

「ここはのびのび町の名物、車で移動する動物園だよ」

 

動物園か……本で読んだことあるからなんとなく知っているけど、動物園にしてはおかしくないか?

 

「さあや、動物園の割にはライオンやらゴリラとかいなくないか?」

 

俺の言葉を聞き、さあやは苦笑いを浮かべ、セリューとはなは呆れていた。

 

「ミナトくん、ふれあいだからそんな猛獣いないよ……」

 

「町中にそんなのがいたら大騒ぎになるよ」

 

馬鹿な!?いないなんて……ちょっと見てみたかったのに……

そういえばハリーはどこにいるんだ?あたりを見渡すとハリーは子どもたちに囲まれていた。

 

「かっわいい~ネズミさん!!」

 

めっちゃ可愛がられてるから放っておいてもいいかな。それにしてもここにはぐたんに必要なものがあるのか?

はぐたんは未だに機嫌が悪いのか泣きじゃくって、はながあやしていた

 

「ビービーうるせぇなぁ。だからガキは嫌いなんだよ」

 

何だかどっかのオヤジが絡んできたな。こういう時は関わらないほうが良いけど、セリューが飛び出しそうになっているから俺はセリューを抑えるのであった。

 

「いちいち相手にしなくていいからな」

 

「でも」

 

「何だ?なんか文句でも……」

 

まだ絡んでくるオヤジ。すると俺らの間に見知らぬ女の子が入ってきた。はなとさあやはその女の子を見て、驚いていた。

 

「輝木ほまれさん!?」

 

「何だ姉ちゃん?」

 

「かっこ悪い」

 

「んだとっ!?」

 

「ガキは嫌いって…あなたも昔は子供だったんじゃないの?」

 

ほまれって子がそう告げた瞬間、オヤジが殴りかかろうとした。何という短気なオヤジなんだよ。俺はオヤジの腕をつかもうとした瞬間、誰かが腕を掴んでいた。

 

「ここは動物たちと触れ合う場所だよ。暴力沙汰はやめよっか」

 

「出るとこ出ても良いんですよ」

 

赤髪にアメを咥えた女の子と黒髪の女の子……うん、どう見ても見覚えのある二人組がオヤジを脅してる。

 

「ちっ」

 

オヤジは分が悪いと思ったのか去っていった。

 

「もうほまれは正義感強いんだから~」

 

「でも駄目だよ。私達がいなかったら大変なことになっていたんだから」

 

「ごめん」

 

「いや、何してるんだよ。チェルシー、サヨ」

 

何でこの二人、特に一人は殺されたはずなのに生きてるし、セリューなんか気まずいかったりしないのか?

 

「ありゃ、ミナト」

 

「セリューちゃんの言うとおりだったね」

 

「警備の仕事でいつか会うと思っていたけど、ここで会うなんてね」

 

待て、セリューはこの二人がこっちにいるっていうこと知ってたのかよ。俺はさあやの方を見つめると

 

「チェルシーさんとサヨさんも学校の警備員ですよ。会ったことないんですか?」

 

「勤務の都合上でね」

 

「ミナトくん、もしかしてお友達?」

 

「友達っていうか……まぁ仲間だな」

 

「ねぇ、その人、警備の人だよね。何で二人と一緒に?それにその赤ん坊……」

 

ほまれははぐたんのことを見つめていた。クールの感じの人だな……

 

「かわいい~」

 

さっきまでのクールな感じや女の子なのにイケメンオーラが一気になくなったぞ。もしかして可愛いものに目がないって感じなのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなたちが動物たちと触れ合っている中、俺はチェルシーとサヨに事情を聞いていた。

 

「何でお前らがここにいるんだよとかチェルシーは死んだはずなのに生き返ってるんだよとか敵同士だったのに仲良かったりとか同じ職場だったりとかいろいろと突っ込みたいことがあるんだが」

 

「まぁまぁいいじゃない」

 

「ミナト、ごめん。チェルシーが後々驚かそうって言うから……」

 

セリューとチェルシーが仲良くなってるし、俺はサヨに助けを求めた。

 

「私とチェルシーさんは一年くらい前にこっちに飛ばされてきたの。最初はその場で戦いが始まるはずだったんだけど、お互い知らない場所で争うこともないし、チェルシーさんはせっかく生き返ったから、すぐに死ぬのはごめんっていうし」

 

「二人でこれからどうしよって話してたら、あの子が声をかけてきてね。最初は悪意でもあるのかなって思ったけど、この世界はいい人ばかりね」

 

「その後くらいに私が二人と会って、同じ警備員として働いてる感じです」

 

三人の説明を聞き、とりあえず理解したけど、ますます奇妙だな。俺はてっきりシャンバラの暴走の影響でこっちに飛ばされたと思ったけど、俺はチェルシーの死体を確認している。セリューみたいに爆発に巻き込まれてって言うなら、奇跡的に生き残ってこっちに飛ばされたって言うなら分かるけど……

 

「うん、わけがわからん」

 

「ミナトは考えすぎちゃうからね~」

 

「ミナトさん、ちょっと伝えたいことがあるんですけど、実は私がいた時間って、帝国と革命軍の戦いが終わった後なんです。ナイトレイドが……タツミ達が平和を取り戻して……」

 

「時間のズレまであるのか……詳しいことは聞きたいけど」

 

俺ははなたちの方を見た。本来の目的を忘れないようにしないとな。

はなたちと合流したとき、

 

「お姉ちゃん~?」

 

聞き覚えのある声がして、振り向くとことりとはなのお母さんがいた。

 

「赤ちゃん!?」

 

ことりははぐたんを見て驚いていた。そりゃそうだろう。姉がいきなり赤ん坊を抱っこしてたら……

 

「えっ、何してんの?」

 

「だっこさせて」

 

「えっ?うん」

 

はなのお母さんははぐたんを抱っこすると、さっきまで不機嫌だったはぐたんが落ち着いていた。すごいな。これが母親か

 

「この子、どこの子?」

 

「娘さんに、えらいお世話になってます」

 

人間形態のハリーがそう告げた。というかさっきまで子どもたちにいじられていたけど、もう大丈夫なのか?

 

「あなたがこの子の!?若いお父さんね」

 

「えっ…お父さんて言うか…」

 

「ママも動物園に来たの!?」

 

「ちょっと取材。タワーにね。良かったら一緒に来る?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちはタワーの展望台に行き、景色を眺めていた。本当にいい景色だな。

 

「うわ~!!」

 

「あなたがさあやさんで、あなたがほまれさん、セリューさんね。そっちの方は……」

 

「わ、私の親戚のチェルシーさんとサヨさんです」

 

「初めまして」

 

「セリューちゃんとミナトさんの同僚です」

 

「そうなんだ。ミナトくん、はなと仲いいからそのうちって思っていたけど、素敵な人達がいっぱいの職場にいるのね」

 

「ミナトとあの子がね……」

 

「仲いいって……」

 

あれ?何だか視線が痛いぞ。なんだろうこれ?

 

「ミナトお兄ちゃん、どうかしたの?」

 

一緒に景色を見ていたことりが心配そうにする中、また視線が痛い。

 

「サヨ、聞いた。お兄ちゃんですって」

 

「一応この世界だと犯罪になるから」

 

「あっちでもかなり犯罪になるけど……」

 

「いい景色だな~」

 

何だか泣きたくなってきたよ。というか女性陣ばかりじゃなくって男性陣もいてほしかった。

今の所男性陣って俺とハリーしかいないし……

 

 

 

 

はぐたんが眠りにつき、よくよくミライパットを調べるとどうやらミライパットの光ははなのお母さんだったみたいだ。確かに赤ん坊のことは母親が一番知っているよな。

そんな中、はなはハリーにある事を聞いていた。

 

「ねぇハリー」

 

「うん?」

 

「はぐたんのママは?」

 

「オレがおった世界もこうやった」

 

「えっ?」

 

「明るくて、笑顔と希望にあふれる世界やった。あいつら…クライアス社の連中に時間をとめられるまではな!!アスパワワが奪われて、未来がなくなってもうた。オレ以外は…」

 

「そんな…はぐたんのママも…?」

 

平和な世界を乱すクライアス社、未来への希望を奪っていく帝国。嫌な所で似ているな。

 

「なんとかオレははぐたんと一緒にミライクリスタルホワイトの力で逃げてきたけど、ミライクリスタルホワイトはそん時力を使てしもた。はぐたんに八個のミライクリスタルの力を与えたら、また時間が動き出すんや」

 

「ミライクリスタルって?」

 

「はな達のクリスタルのことや」

 

「って事は…残り六個…」

 

「ああ、見つけんと」

 

「クライアス社のヤツらを放っといたら、ここもオレの世界みたいに…」

 

どうにかしないといけないけど、一番は奴らの本拠地を潰すことだよな。でも場所がわからない。方法としてはあの怪物を操っている男を捕まえて、本拠地を聞き出すのが一番か

そんな事を考えていたときだった。突然タワーが揺れだし、外を見ると巨大なオシマイダーが暴れていた。

 

「チェルシー、サヨ。避難の方を頼めるか?」

 

「あれがセリューが言っていた怪物ね。避難の方は任せて」

 

「気をつけて、ミナトさん」

 

俺とセリューは避難の方を二人に頼み、はなとさあやと一緒に屋上に出た。

 

「でたな!プリキュア!!おまけに帝具使い!!」

 

ん?変な武器使いじゃないのか?というか帝具の事知ってたのか?

 

「お前ら帝具使いの相手はオシマイダーじゃない。研究部門の奴らだ!!」

 

男がそういった瞬間、ビルの屋上に黒い穴が現れ、そこから白髪の男とどうにも見覚えのある6人が現れた。

 

「初めまして、クライアス社研究部門所長ハイトだ。そしてコイツラのこと知っているだろ」

 

一人はピエロの大男、一人は舌を出す細身の男、一人は口から鋭い牙をはやしたの少女、一人は白衣を身にまといメガネを掛けた男、一人は古風な格好をした男、一人はメガネを掛けた女性。こいつらは……

 

「あら、ナイトレイドにセリューじゃない。ひさしぶりね」

 

「Dr.スタイリッシュ……」

 

「あの小僧。覚えてるぞ!!俺達の邪魔をした……」

 

「どうして……ドクターが生きているんですか!?確か殺されたはずじゃ…」

 

「それはねセリュー、彼の持つ皇具『時界・ユートピア』のおかげよ」

 

「皇具……」

 

「これは千年前に私が帝具に対抗するために作ったものだ。能力は時と次元を歪め、つなぎ合わせること、そこにいる小僧は別として小娘、お前はユートピアの力でこっちに来たのだ。いや、お前だけじゃないな。他にも5人ほどいるな」

 

「5人って、チェルシーさんとサヨさんの他にもミナトくんの仲間が……」

 

「どうしてそんなことを……」

 

さあやがそう聞いた瞬間、所長は笑みを浮かべていた。

 

「決まっているだろう。実験だ。時空と次元の移動をした結果、どんな結果が待っているか知りたくってな。結果的には死んだ人間は生き返る事がわかった。それに小娘、お前は興味深いな。普通の人間のように見えて、帝具と融合しているな」

 

「そ、それは……」

 

「うふふ、セリュー、あなた、ユートピアの影響で『コロ』と混ざりあったみたいね。もしかして十王の裁きを使えたりするのかしら?それだったら捕まえて調べないと……」

 

「ドクター……」

 

「小僧。さっきから黙りこくっているが、理解できていないみたいだな。一度殺した奴が再び襲ってくることの恐怖を」

 

「ミナトくん……」

 

「ミナトさん……」

 

「ミナト……」

 

はな、さあや、セリューの三人が心配そうにする中、俺はビルの屋上にいる所長……いや6人に向かって言った。

 

「誰?お前ら?」

 




アカメが斬る!メンバーの転移の元凶登場でしたが、中途半端な所で終わります


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第7話 悪の元凶との戦い

「誰だ?あんたら?」

 

『えっ?』

 

僕がそういった瞬間、はな、さあや、セリュー、研究部門所長、あと知らない6人。おまけにさっきまで暴れていたオシマイダーの動きが止まった。

すると細身の男が怒りの篭った声で僕に怒鳴ってきた。

 

「てめぇ!!忘れたとは言わせねぇぞ!!こっちはお前とあのランとか言うやつにボコられたんだぞ」

 

「いや、マジで覚えがないんだけど……」

 

「あのミナト、ドクターは知ってますよね」

 

「あぁ、サヨを助けてくれた恩人だから覚えてるよ。ただあそこの幼女と古風な男と眼鏡の人は会ったことないんだけど」

 

「そうじゃったな。妾とお前は会ったことなかったのう」

 

「拙者は一度会ったことが有るが、お前はシュラと戦っていたからな」

 

「あ~私は会う前に死んじゃってたからわからないか」

 

ドクター、幼女、古風な人、メガネはいいとして、残り二人は……

 

「あぁ思い出した。クソどもだった。何?汚物からまた這い出てきたの?」

 

「ちょっとミナト、言葉」

 

おっとはぐたんに聞かせるのまずいな。それにはなたちにも聞かせるのも悪いし、俺ははなたちに変身して、オシマイダーの方へ行くように言った。

 

「はな、さあや、オシマイダーの方はよろしく」

 

「う、うん」

 

「ま、任せて」

 

俺は二人を見送ると、細身の男が襲いかかってきた。

 

「月光麗舞シャムシール!!」

 

曲刀を防ぎ、細身の男の腹を思いっきり蹴り飛ばした。

 

「悪いな。クソみたいな集団のクソ野郎のことは一刻も早く忘れるようにしてあるんだ」

 

「クソが!!」

 

「エンシン。下がれ」

 

「あぁん、何を……」

 

「下がれと言っているだろう。元の世界に戻すぞ。まぁ戻った所でお前は死体に戻るだけだ」

 

「ぐう」

 

エンシンとかいうやつは直ぐ様、ビルの屋上に戻ると、所長とかいうやつが一瞬で俺の前に立った。

 

「面白い小僧だ」

 

「皇具とか知らないけど、あんた、クライアス社の目的について知ってるのか?」

 

「もちろん。未来を無くすのだろう。実験上問題はない」

 

「そうかよ!!レガオン!!」

 

レガオンを大剣に変え、思いっきり降るが、所長はナイフで受け止めていた。

 

「レガオン……知っているぞ。身体に武器を装備させ、強力な一撃を与えるというもの」

 

「ナイフ一本で止めたっていうのはあんたの皇具って言うやつの力か?厄介だな」

 

「ユートピアの力だと思っているのか?それは違う!!」

 

レガオンが弾かれ、俺は距離を取ろうとすると目の前にナイフが飛んできていた。ギリギリの所で避けるが、頬をちょっと切ってしまった。

 

「皇具『探求・パシュート』一度狙いをつけたものを永遠に狩り続け皇具」

 

「帝具は一人一個まで、それが決まりだったはずだ。皇具は違うのか?」

 

「皇具も同じだが、創造主である私にはそんな法則関係ない」

 

更にナイフを投げつけてきた。避け続けるけど避けた先で追ってくるのか……それだったら……

 

「破壊するまで!!」

 

大剣の形を変え、素早く、そして切れ味の鋭い刀でナイフを全て叩き潰した。

 

「ほう、形を変えることが出来るのか」

 

「レガオンは元になった危険種の力がそのまま使えるからな。それにしても帝具に対抗するために作ったのか……ただの嫉妬だな」

 

「……何?」

 

「昔の皇帝がすごい武器を作るからって、それに対抗して自分もすごい武器を作ろうか……子供みたいな嫉妬だ」

 

「フッ、エンシンみたいに私の怒らせるつもりか……その手には乗らんぞ」

 

「おまけに掃き溜めみたいな連中を部下にするなんてな。どうせなら俺が知っている中で恐ろしく最強に近い二人を部下にしたほうがいいんじゃないのか?」

 

「てめぇ!!言わせておけば……」

 

「黙ってみているのは飽きた。お前を殺して、お前の仲間を……」

 

ピエロの男がタマみたいなものを持って大きく振りかぶった瞬間、どこからか飛んできた砲撃が奴らの立っている場所に当たり、命中した。

 

「悪いですけど、ミナトだけじゃなく私がいることを忘れないように」

 

セリューは巨大な大砲を抱えてそう告げる中、俺ははな……キュアエールたちの方を見るとどうやらオシマイダーを倒したみたいだ。

 

「足止めも終わりか。戻るぞお前たち」

 

「逃がすわけは……」

 

「セリュー、やめとけ。追う必要はない」

 

「小僧、名は何と言ったか?」

 

「ナイトレイドのミナト・ユウ」

 

「千年、皇具によって生き延びたかいがあったな。これから先を楽しみにしておくぞ」

 

ハイトは黒い穴を作り出し、ビルの屋上にいた全員が穴の中に入っていった。何とか退けたって言うことか

 

「ミナトくん、セリューさん」

 

「大丈夫ですか?」

 

「私達は大丈夫ですけど、二人も無事ですね」

 

「本当に良かった。でもミナトくん、強いんだね。あの人達に負けてなかったよ」

 

「ただあの暴言はちょっと……」

 

キュアエールとキュアアンジュが褒める中、僕はため息を付いた。

 

「俺が強い?何言ってるんだよ。あいつら一人ひとり戦っていたら、俺は負けていた可能性があったんだぞ」

 

「「えっ?」」

 

「やっぱりあの暴言は相手を怒らせて、動きを単調にするためのものだったんですね」

 

あのエンシンとかっていう奴は上手く乗っかってくれたけど、他の連中は本当に厄介だな。おまけに今後あいつらが関わってくるとなると戦いが厳しくなる。

 

「とりあえずチェルシーたちの所に行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

はなたちがほまれたちと合流する中、俺とセリューはチェルシー達に今回起きたことを話した。

 

「皇具に……ワイルドハント……どっちも聞いた覚えがないわね」

 

「ワイルドハントはチェルシーとセリューが知らなくても当然、死んだ後に出来た組織だからね。ただ本当に厄介な連中が出てきたわね」

 

サヨもワイルドハントのことを知っているから、あいつらの強さもクソっぷりも知ってる。

 

「おまけに次元と時空を歪めるっていう皇具、それで私達がここに来たのね。おまけに生き返れるというおまけ付きで」

 

「今後、クライアス社と研究部門の奴らと戦うことがある。そのために二人にも協力してほしい。頼めるか?」

 

「もちろん、協力するに決まってるじゃない」

 

「まぁ私は戦闘向けじゃないけど、やれることはやるつもりよ」

 

サヨもチェルシーも協力してくれることになり、二人はほまれと一緒に帰るのであった。

 

今後のことを考えて戦力がもう少し欲しい。一応ハイトが言っていたサヨとチェルシー以外にも三人、こっちに転移しているって話……

 

「探してみる価値はあるか」

 

「あれ?光が動いてる」

 

「本当だ」

 

はなたちはミライパットに映し出された。反応ってはなのお母さんじゃなかったのか?



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第8話 スカウト

ハリーハウスで、皇具によって転移した残り三人の居場所の手がかりを探しているけど、これと言って見つからないでいた。

というよりかはハリーが何かの準備をしていて集中できなかった。

 

「何してるの?」

 

はなも気になり、ハリー(ネズミ形態)に聞くとハリーは作業しながら答えた。

 

「うん?こっちで暮らすためにも店でも開こうと思て、ヘアメーク・ファッション、その他色々。女子のあこがれが詰まったショップ。その名もビューティーハリーや」

 

店ね……というかハリーもお金に困ってるんだな……

 

「それいいね。私もカリスマ店員になる。ミナトくんもどうかな?」

 

「俺はやめとく。田舎もんだからファッションとかよく分からないし、そもそもこっちの服装とかよく分からない」

 

唯でさえいま着ている服なんて結構周りで浮いてるし……いや、この服だって暗殺家業では目立たず、目立たすぎない感じだから気に入ってるけど……

 

「それじゃミナトくん、私が教えてあげるよ」

 

「はなが?機会があったらでいいよ」

 

「いや、お前らにはやることあるやろ。残りのプリキュア探しや」

 

「そっか……でもちょっと誘ってみようかなって思ってる人がいるの。だからミナトくん」

 

「ん?」

 

「明日、警備のお仕事だよね」

 

「あぁ、確かサヨとだっけかな?」

 

「サヨさんに輝木ほまれさんに会いたいってお願いできないかな?」

 

ほまれをプリキュアにか……というかプリキュアって誰でもなれるのか?俺はハリーの方を見るが、ハリーは作業に戻っていた。

 

「まぁ頼んでみるよ」

 

「ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、校門前ではなに頼まれたことを伝えた。

 

「ほまれに会いたい?」

 

「そう、プリキュアにスカウトするんだってさ」

 

「スカウトって、そんな風にプリキュアってなれるの?」

 

「さぁ?」

 

「さぁって……それにしてもプリキュアにクライアス社……平和な世界なのにどうしてそれを脅かす人たちが出てくるのかしら?」

 

サヨの疑問はもっともだけど、俺としてはある考えがある。それは……

 

「世の中にはいい人だけじゃないってことだよ。お前もあっちでよく分かってるだろ」

 

「……ミナトさんの正義と私の正義は違う……」

 

「そういうことだ」

 

俺は帝国のやり方が気に入らず、中からではなく外から帝国を変えようとし、サヨは……イェーガーズの良心的な人たちは中から変えようとしていた。

お互いの考えが違う所為か、何度かぶつかったことがある

 

「そういえばお前、帝具は?」

 

「持ってきてるよ。エスデス隊長がどこかの偉い人が持っていた帝具をもらってきたこのアッキヌフォートをね」

 

アッキヌフォート、対象の名前を叫びながら射ると矢は永久的に追尾するってやつか。かなりすごい帝具だけど、矢とか弾くか防いだりしたら意味ないからな……主にインクルシオとか

 

「そういえばほまれのことだよね。会いたいって言ってもあの子……」

 

サヨがいいかけた瞬間、見覚えのある少女がこっちに向かって歩いてきた。噂をすれば何とやら、ほまれだった。

ほまれは俺とサヨの姿に気が付き、

 

「お勤めご苦労さま」

 

「ほまれ、ギリギリよ」

 

「はいはい」

 

サヨのお小言を適当にあしらうほまれ。何というかこの間あった時とはぜんぜん違うな

 

「全く、学校に来るだけでもいいけど、授業に出なかったりして……きっとはなちゃんもほまれがクラスメイトだって知らないと思うわ」

 

「一緒にクラスなのか?」

 

「そうよ」

 

だったら頼む必要ないじゃんか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警備の仕事も一段落し、俺とサヨの二人はハリーと合流し、学校が終わったはなたちと一緒に買い出しに向かっていた。

 

「ほまれさんプリキュアに似合うと思うんだけど」

 

「うん……」

 

「あれ?さあやちゃん反対なの?」

 

「そうじゃないけど…プリキュアって誘われてなるようなものなのかなって…」

 

さあやも俺やサヨと同じ意見だったか。なんとなくハリーの話を聞いていて、プリキュアって特別な何かがないとなれないものだと思っていた。

 

「行こう、もぐもぐ」

 

どうしたものか悩んでいると聞き覚えのある声が聞こえ、声のしたほうを見るとそこにはほまれが犬の散歩に出かけようとしていた。

 

「輝木ほまれさん!?」

 

「なんでこんなとこに……」

 

「買い出しの途中や」

 

「はぎゅ~」

 

「きゃ…きゃわたん…」

 

うん、やっぱり朝見たときと感じが違う。この子、可愛いものに目がないって感じか。

女の子らしいチャ女の子らしいけど、

 

「犬、飼ってたんだ」

 

さあやがそう聞くが、ほまれは首を横に振った。

 

「拾っただけ。迷い犬なんだ。だから、飼い主を探している間だけあの病院で預かってもらってるの」

 

「もぐもぐって?」

 

「と、取り敢えず今だけの名前」

 

せっかくだからということで、みんなでもぐもぐの散歩に付き合うことになった。はながもぐもぐとの出会いについて聞くと、ほまれ曰くどうにも不思議な出会いで、トラックに引かれそうになったもぐもぐを助けようとした時、赤ん坊の声と共に時間も止まった感覚があったらしい。

 

「なんだったんだろう」

 

それって、前にさあやから聞いた現象と同じ……まさかそういう不思議な現象に巻き込まれたということはプリキュアの素質があるっていうことなのか?

 

「同じだ」

 

はなたちも俺と同じことを考えていたみたいだ。

 

「出てけ!出てけ!ここは俺達が使うんだ!あっち行け!!」

 

どこからか声が聞こえてきて、見てみると子どもたちが何か言い争っていた。子供同士なら止める必要はないかと思うと、

 

「コラァ~!」

 

いつの間にかはなが止めに入ってるし……俺達もはなのところへ行くのであった。

 

「意地悪ダメ!!」

 

「何だ?生意気な小学生だな」

 

「小学生じゃな~い!うぬぬ…」

 

「どうしたの?」

 

「バスケしたいのにこの人たちが出てけって…」

 

「公園の一人占めは良くないよ」

 

「じゃ、俺達に勝てたら代わってやるよ」

 

「バスケで?さあやちゃん得意?」

 

「球技はそこまで…」

 

ほまれは小学生たちからボールを受け取ると、馬鹿にした輩に思いっきり投げ渡した。

 

「スリー・オン・スリーで良いの?」

 

「勿論」

 

もしかして勝負する流れになってる?まぁ俺はのんびり見てるか。

 

「ミナトだっけ?あんた、この子の代わりに入って」

 

「さあやの代わりに?ルールわからないんだけど」

 

確かにさあやはスポーツに向かなそうだけど、ルールがわからん。

 

「えっとね。ボールを相手チームのゴールに入れるの」

 

さあやがある程度のルールを教えてくれた。なんとなくわかったけど、とりあえず聞いておくべきことは

 

「相手に全力でボールを当てるのは?」

 

「そ、それはちょっと……」

 

何だ駄目なのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

「残業ご苦労さまね~」

 

「いえ」

 

チャラリートはルールーからプリキュアに関するデータを受け取り、出かけようとしていた。するとそこに一人の少女がやってきた

 

「どこか行くのか?チャラリート」

 

「あんたは……」

 

「妾はドロテア。丁度いい、実験体の調子を見たくてな。妾も付き合う」

 

「お前みたいなお子様が?」

 

「こう見えて、お前より年上じゃ」

 

「ババアかよ!?」

 

「なんじゃと!!」

 

チャラリートとドロテアが喧嘩する中、ルールーはある事を聞いてきた。

 

「そういえばチャンプとエンシンはどうなさったのですか?戦いに行くのであればかれらも一緒のほうが……」

 

「ハッキリ言うが、チャンプとエンシンは暴れすぎるからとハイトが動きを封じておる。他の奴らは興が乗らんみたいだ」

 

「そうですか」

 



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第9話 心の痛み

何でかバスケをすることになった俺ら。ある程度のルールについてはさあやから聞いたけど、どうにも面倒だ。

 

「ほらほら、どうした!!」

 

ボールを奪おうとするけど、なかなかそれが出来ない。意外とスポーツって難しいな。

相手がゴールに向かおうとした瞬間、ほまれがボールを奪った。

 

「マグレだ!!」

 

「どうかな」

 

ほまれが相手を躱しつつ、ゴールへと向かっていく。ほまれのやつ、結構すごいんだな。

ほまれはボールを投げようとした瞬間、何故か動きが一瞬おかしくなり、はなにボールを渡し、はなはボールを投げるとゴールに入った。

 

(今の……ほまれどうしたんだ?)

 

「やった!」

 

はながほまれに駆け寄ろうとしたが、思いっきりすっ転んでしまった。

 

「じゃなかった、めちょっく…」

 

「大丈夫?って…めちょっく?」

 

「めちょっくは!めっちゃショックの略なの!イケてるでしょ?」

 

めちょっくってそんな意味だったのか。この世界の言葉って本当に難しいな。

 

「フッ…何それ」

 

「思い出した!お前天才スケート選手の輝木ほまれだろ!!」

 

「何!?有名人か!」

 

「天才で有名人か!?」

 

「逃げろ!!有名人には敵わねぇ!!」

 

「チクショー!覚えてろ!!」

 

なんだろうあの三人組。有名人だからって逃げるって……アホなのか?まぁ困っていた子どもたちも嬉しそうにしているし、これはこれでよかったのかもな。

 

「ほまれさん!超カッコ良かった。運動神経抜群!めっちゃイケてた」

 

「あんたの方がイケてるよ」

 

「ほまれちゃん」

 

「ちゃん?」

 

「私、ほまれちゃんと仲良くなりたい!またね!」

 

ほまれは黙ったまま帰るのであった。サヨもそんなほまれに付いていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宙飛ぶ期待の星、天才、輝木ほまれ」

 

次の日、はながほまれのことについてミライパットで調べていた。どうにもスケート?の選手ですごい活躍していたらしい。

 

「どうしてやめちゃったんだろうって、ずっと気になってたんだけど…」

 

「ジャンプ失敗、ケガによる長期休養へ。ケガしてたんだ!バスケはあんなに凄かったのにほんとはまだ足が痛いのかな…?」

 

「痛いのはきっと足じゃなくて…」

 

さあやは何か思い当たることでもあるのか、あることを言いかけた。俺もなんとなくほまれがジャンプしなかった理由が分かった。

 

「そっちだとどうにもならないかもしれないな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サヨSIDE

 

ほまれと二人で一緒に橋の近くを歩いていた。するとジョギング中の先生と出会った

 

「輝木、それに警備のサヨさん」

 

「先生……」

 

「こんにちわ。先生」

 

私はほまれと先生の話を後ろから聞いていた

 

「お前のスケートを初めて見たとき、俺は感動した。お前の姿に元気をもらえた気がしたんだ。輝木ほまれ、お前はスターだ。だからもう一度頑張ってみないか?」

 

「やめて、もういいんだって……」

 

「輝木……」

 

ほまれは先生の横を通り過ぎ、帰ろうとした。私は先生にお辞儀をし追いかけた。

 

「俺はなんて不甲斐ないんだ」

 

「トゲパワワ発見。明日への希望よ!消えろ!ネガティブウェーブ!発注!オシマイダー!」

 

突然ジャージ姿のオシマイダーが姿を現し、近くで先生が倒れていた。まさかこんな時にオシマイダーが現れるなんて

 

「先生!?先生!?」

 

「ほまれちゃん。先生のことお願い」

 

私は弓矢の帝具を取り出し、構えた。

 

「狙いはオシ……」

 

矢を射ろうとした瞬間、後ろから何かが襲いかかってきた。私は避け、襲ってきた相手を見ると黒い虫の姿をしたなにかだった。

 

「これ……前に現れた新種の危険種にそっくり……」

 

「ほう、そいつらの攻撃を避けるなんて、流石はイェーガーズじゃな」

 

私たちの前にドレスの少女が突然現れた。この人、ワイルドハントの……

 

「改めて自己紹介しようか。妾はドロテア。錬金術師だ」

 

「錬金術師……」

 

「悪いが邪魔と実験体のテストをさせてもらうぞ」

 

実験体の数は6体。おまけに私の帝具だと能力が発動できそうにない。こういう時は……

 

「行け!!」

 

実験体が襲いかかる中、私は身構えて肉弾戦で対応しようとした。だけどその時、巨大な大剣が実験体の一匹を叩き潰した。

 

「サヨ!!」

 

「ミナトさん!?それにはなちゃん、さあやちゃん」

 

「あんた達……それにそれは……」

 

「ほまれちゃん!?なんでここに!?」

 

「事情はあとで説明する。はな、さあやはあのオシマイダーを!俺はこいつを!」

 

「分かった。行くよさあやちゃん」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

二人がプリキュアに変身し、俺は目の前の敵に集中した。

 

「帝具レガオン……テストに十分じゃな」

 

「あんた、ワイルドハントの一人だな」

 

「そうじゃ。妾はドロテア。錬金術師。こいつらはスタイリッシュと共に作った危険種じゃ」

 

危険種まで作れるのかよ。いや、前に現れた新種の危険種は確かスタイリッシュが作ったとか聞いた覚えが有る。だったら可能か

 

「邪魔とテストをさせてもらうぞ」

 

実験体五体が迫り来る中、俺は装着した大剣を刀に変え、叩き潰していった。

 

「こういう虫型は叩くに限るな」

 

「余裕でいられるのも今のうち」

 

叩き潰した二匹の実験体が起き上がり、俺の両腕に変な液体を飛ばしてきた。避ける余裕もなく喰らってしまったが、どうにも相手を溶かす液体って言うわけじゃない。何だこれ?

 

「何のつもりだ?」

 

「よく見てみろ。お前の両腕を……」

 

ドロテアの言葉を聞いた瞬間、異変に気がついた。何だか腕が固まって動かない

 

「今回の実験体は相手の動きを止めることに特化したものじゃ」

 

しかも実験体は倒せていないし……とりあえずレガオンを元の姿に戻すことは出来、距離を取ろうとすると大きな音が響いた。振り向くとキュアエールとキュアアンジュが倒れていた。

 

「データはばっちりなんだよ!!」

 

二人も手こずっているみたいだな。さてどうしたものか……するとハリーが到着したけど、こんな危険な場所にはぐたんを連れてくるなよ。

 

「あんた!なんか知ってんの?あの二人がプリキュアって…」

 

「はぁ!?何でバレとんねん!?」

 

「ハリー、事情は後だ。ほまれを連れて逃げろ!!」

 

「プリキュアって…なんで、そんな…。でも…」

 

ほまれは必死に戦っている二人に目を離せなかった。ほまれからしてみればどうして普通の女の子がここまで戦えるのか不思議でしょうがないのだろうな

 

「もう終わりかよ?じゃあ、さっさとギブアップして、ミライクリスタルをこっちに頂戴」

 

「そんなの……ダメ…」

 

「諦めない…」

 

「プリキュアは、諦めない!!」

 

「諦めない………私も…私も…もう一度…!!」

 

ほまれがそう告げた瞬間、突然まばゆい光がほまれを包み込み、空に宝石……ミライクリスタルが生まれた。

 

「あれってミライクリスタル!?」

 

「出やがった!?」

 

「何あれ…」

 

「走れ!!あれはお前の…未来や!!」

 

ほまれはハリーの言葉の通り、走った。オシマイダーがそれを邪魔しようとするが、キュアエールとキュアアンジュが止めに入った。

 

「ミライクリスタル。折角だ。実験体!!」

 

「させない!!」

 

サヨが実験体を殴り、動きを止めた。

 

「いっけー!!ほまれちゃん!!!」

 

ほまれがミライクリスタルに手を伸ばそうとした瞬間、何故かつかめず、ほまれはそのまま落ちそうになった。俺は駆け出し、ほまれを受け止めた。

 

「ほまれちゃん…」

 

「無理…私…とべない」

 

「やっぱり…痛いのは…心」

 

ほまれはやっぱり心の傷が原因で……するとオシマイダーの様子もおかしかった。何故か泣いている。

 

「また…泣かせてしまった…オレはなんて不甲斐ない教師なんだ…」

 

「さっさとプリキュアを叩きのめせ!!やれってんだよ!出来損ないがぁ!!」

 

落ち込むほまれ、泣いているオシマイダー。そんな中、キュアエールがポンポンを取り出し、

 

「フレフレ!ほまれちゃん!フレフレ!先生!!」

 

応援をし始めた。全く名前のとおりだな。

 

「いい加減、その虫も踏み潰すか。レガオン!!脚部!!」

 

俺の叫びとともにレガオンが足に装着し、俺の腰から下が真っ赤に鎧に包まれ、後ろには赤い尻尾が生えていた。

 

俺は襲いかかる実験体を思いっきり飛び上がって攻撃を避け、落下と共に思いっきり一匹踏み潰し、残った5体は尻尾で薙ぎ払った。

 

「ほまれちゃん…私まだ…なんだかよくわかんないけど!でも!!負けないで…!!負けちゃ駄目!!フレフレ!ハート・フォー・ユー」

 

キュアエールがオシマイダーを倒れ込まし、砲撃を食らわし、オシマイダーを倒した。

 

「ほう、実験体をすべて倒すか。今回のテストは終わりじゃ。次はもっとすごいものを用意しておく」

 

ドロテアもそう言って、黒い穴に吸い込まれて消えていった。もっとすごいものか……まさかと思うけど、超級とか作るわけないよな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生を助けてくれてありがとう。それじゃあ、ここで」

 

「ミナトさん、またね」

 

落ち込んだほまれとサヨの二人は帰ろうとした。やっぱりほまれはミライクリスタルを手に入れられなかったのがショックだったのか

 

「うん…」

 

「なんか…ごめんね…」

 

ほまれがそう言って立ち去ろうとするとはなは大きな声で

 

「フレフレ!ほまれちゃん!!」

 

エールを送るが、間髪入れずに

 

「やめて!!」

 

ほまれは怒鳴った。心の問題は応援するだけじゃ駄目か……

 

「ごめん。今の私には…」

 

「今はそっとしといたれ…」

 

「また明日…また明日ね!!」

 

はなが必死の思いでそう告げるが、ほまれは答えなかった。こういう時本当にどうすればいいんか俺にはわからない。

 

 

 



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第10話 開店と不思議な三人組

とある理由でほまれとチェルシーの二人がハリーのお店に来ていた。何故来ているかはもちろん、はなたちが呼んだからだ。

 

「と言う訳で!もうすぐお店オープン何だけど…何かが違うと思うんだ!力を貸して~」

 

二人を呼んだ理由は、ハリーのお店が何というかえらく趣味が悪いことになっていることについて、どうすればいいのかと言う相談だった。

 

「何というか趣味が悪いわね~もしかして私も呼ばれたのは改装の手伝いだったり?」

 

「チェルシーだったら割りかしオシャレだからと思ってな。セリューも手伝ったんだけど……」

 

「私もこういうのは疎くって……」

 

女の子だったら誰でもおしゃれかと思っていたけど、そうは行かないもんな。俺なんかも田舎者だからよく分からないし……

 

「うーん…どんなお店にしたいの?」

 

「そらぁ、ぎょうさんお客さんが来る店にしたいがなぁ~。お子様から、マダ~ムまで!ビューティーハリーが…お洒落にまとめまっせ!!」

 

「だったらお店のイメージズレてると思う」

 

「なんやて!?めっちゃセレブ感出してんのに~!なんでや!?」

 

「とりあえずチェルシー、手伝って」

 

「はいはい」

 

ほまれとチェルシーの二人がお店のイメージに合った内装を考え、俺らはそれを手伝い、しばらくしてからさっきとは打って変わって綺麗な感じにまとまった。

 

「こんな感じでどうかな?」

 

「「わぁ~かわいい~」」

 

何というか相談して本当によかったのかもしれないな。はなはソファーにくつろぐ中、ほまれが携帯?を取り出し、あることを聞いてきた。

 

「ねぇ、お店の写真キュアスタに上げてもいい?」

 

「「是非~!」」

 

「う、うん……」

 

「それじゃ私も」

 

チェルシーも携帯を取り出し、写真を撮りだした。というかチェルシー、お前……

 

「携帯使えるのか?」

 

「あら、サヨもセリューも使えるわよ。貴方は……あぁ機械音痴だもんね」

 

機械音痴じゃないし、ただ単に知らないだけだし……なんて文句を言いたいけど、言ったら言ったで言い返されそうだしやめて、俺は外に散歩に出かけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなside

 

何だかミナトくんが逃げ出してしまった。もしかしてチェルシーさんにからかわれて怒っちゃったのかな?追いかけようと思うけど、さっきあげたキュアスタのおかげなのか物凄い数のお客さんが来てしまって、それどころじゃなかった。

 

はぐたんもお客さんがいっぱいで泣きそうになっていた。

 

「はな~そんな時はこれや!タンバリンや!」

 

ハリーがそう言って渡してきたタンバリンを受け取り、鳴らすとはぐたんは嬉しそうになり、何だかお客さんたちも楽しそうにしていた。

 

「おっ、何だか楽しそうな店だな」

 

ふっと誰かがそんなことを言い、私はその声のほうを見ると黒髪に何だか磯臭いお兄さんがいた。お兄さんは私に気がつくと

 

「悪いんだけど、なるべく安めの服を買いたいんだけど……何でもいいんだ」

 

「えっと……ちょっと待ってください」

 

私は言われた通りなるべく安い値段の服をお兄さんに渡すけど、全部女ものだけど、着るのかな?

 

「悪いな。これ、お代」

 

お兄さんはお代を渡しお店から出ていった。何だか気になり、追いかけるとお兄さんのほかに黒髪の女の子とミナトくんと同い年の子がいた。

 

「ほら、買ってきたぞ」

 

「ありがとう」

 

「それにしてもいつの間にか入っていたお金を全部服に使うなんてな……」

 

「そりゃ、彼女にはおしゃれになってほしいからな」

 

「のろけか?」

 

不思議な三人組はそんな事を話しながら、去って行った。何だか気になる感じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

散歩から戻ると店にあった洋服が全部売れていた。何というか物凄い成果だな

 

「ダッハッハハハ、こない人が来るんやったら…価格、倍にしといたらよかったわ~」

 

何かハリーは金もうけのことしか考えてない人の目をしてるし……

 

「ねぇ、ほまれちゃん!写真撮って!」

 

突然のはなの発言を聞いて、驚くほまれ。はなは笑顔で

 

「ビューティーハリーオープン大成功記念に!お願いお願い~」

 

はなはほまれとさあやの三人で撮ろうと言い出すのだった。まぁ確かに記念に何かを残すのはいいかもしれないな。

 

「分かった分かった」

 

「ハリーとミナトくんたちも」

 

「遠慮しとくわぁ。オレが入るとお前らが霞んでまうやろ」

 

「俺もやめとくよ。三人の邪魔するのも悪いし」

 

「じゃあ行くよー?せーの」

 

「ま、どうしても言うんやったら…」

 

「おー!良い写真が撮れた!」

 

「ほんまにハブにすんなや~!」

 

情けない声を出すハリー、その瞬間、ハリーが人間形態からハムスターの姿に戻った。おいおい、ほまれはプリキュアについて知ってるけど、お前の姿については知らないんだぞ

 

「今…何か変な生き物が…」

 

「アッハハハ…んなアホな」

 

何とかごまかすハリー、どうにも店の準備やらなんやらで疲れが出てきたみたいだな。

 

「ほら!もうキュアスタに!」

 

「本当だ~!キュアスタ映えする良い写真!!」

 

さあやが話を変え、何とかほまれの興味を引いた。ナイス判断だな。

 

「ねえ、何で今日…私の事誘ってくれたの?私…プリキュアになれなかったんだよ?」

 

ほまれがうつむきながらそう告げた。プリキュアになれなかったとか関係なくないか?

 

「プリキュアとかプリキュアじゃないとか、関係ないよ!私、ほまれちゃんが好きだし、仲良くなりたいんだ!」

 

「ごめん。ちょっとはぐたんと散歩してくる」

 

ほまれははぐたんを抱いたまま、外へと出るのであった。やっぱり心の傷は深いな

 



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第11話 ほまれの勇気

はながどうしてもほまれのことが気になり、一緒にほまれのことを探しにいくとほまれははぐたんを抱っこしたままブランコに乗っていた。

 

「なんでわたし……こうなんだろう」

 

落ち込んでいるほまれ、俺らはほまれにそっと近づき、

 

「ごめん、来ちゃった」

 

「あんた達……ごめんね」

 

「何が?」

 

「応援してくれたのにきついこと言っちゃった」

 

もしかしてこの間、はなの応援を拒絶したことか?そのことをずっと気にしてたのか?

はなは隣のブランコを漕ぎながらあることを言い出した。

 

「何て声をかければいいのか正直わからなかった。もっとイケてる言葉を言いたかったけど、心がうっーてなってフレフレしか出来なかったの」

 

「変なの。わたしはあんたみたいなのになりたいのに、みんなあんたみたいな子好きでしょ」

 

「そんなことないよ。おっちょこっちょいだし、グイグイ行きすぎて引かれちゃうことあるし、だけど私…なりたい野乃はながあるの。だから頑張るの!」

 

なりたい野乃はなか……何というかはなの原動力がわかった気がするな。

 

「私、ほまれさんの事好き。前よりずっと好きになった。私やはなちゃんに出来ない事が、ほまれさんには出来る」

 

「ほまれさんには出来ない事が、私達には出来る。私達、きっと凄く仲良くなれる」

 

「ほまれちゃんは、どんな自分になりたいの?」

 

「やめてよね!そのほまれちゃんって言うの…なんか恥ずかしい…やめて」

 

三人がそんな話をする中、チェルシーとセリューの二人に俺はあることを話した。

 

「三人を見ているとさ。俺が望んでいた未来を見ている気分だよ」

 

「ミナトが望んだ未来って?」

 

「前に言っていた。戦いが終わった先、今までの遺恨もなく敵味方関係無くただ平穏な日々を生きていけるようにってことだよね」

 

「あぁ……その一歩がセリュー、お前との約束だったんだ」

 

「約束……戦場で出会ったら戦い、戦場以外では普通に友達として接しようだっけ?」

 

我ながらものすごい約束をしたものだけど、約束のおかげでナイトレイドやイェーガーズも関係なし接することが出来た。

 

「輝木ほまれちゃんだよね?」

 

すると聞き覚えのある声が聞こえ、振り向くとそこにはチャラリートがいた。チャラリートはほまれを縄で縛り上げ、宙に浮かせ

 

「ナンパしに来ました」

 

「質の悪いナンパだな!!」

 

俺はレガオンを取り出し、チャラリートを叩き潰そうとするがギリギリの所で避けられ、チャラリートはほまれを連れてどこかへ向かった。

 

「追うぞ!!」

 

 

 

 

 

チャラリートを追っていくと鳥型のオシマイダーが暴れまわっていた。周辺を見るとほまれから黒い何かが溢れていた。

 

「あれって、ほまれちゃんの……」

 

「助けなきゃ」

 

「うん」

 

はなとさあやの二人がプリキュアに変身し、俺とセリューとチェルシーの三人は捕まっているほまれのところへ向かおうとするが、

 

「フン!!」

 

鋭い斬撃が襲いかかってきた。俺はセリューとチェルシーの二人を突き飛ばし、レガオンの大剣で防ぎ、襲ってきた相手、古風な格好をした男を睨みつけた。

 

「今の斬撃を防ぐか。流石はシュラを倒した男」

 

「あんた……ワイルドハントの……」

 

「拙者はイゾウ。そしてこいつが愛刀の江雪。ナイトレイドよ。貴様の血を江雪に吸わせてもらうぞ」

 

「とりあえず邪魔するな!!」

 

思いっきり大剣を振り落とすが、イゾウは難なく避け、鋭い斬撃を喰らわしてきた。俺は避けるが、少し切られた

 

「どうだ。拙者の斬撃は!!」

 

「アカメの方がすごいぞ!!セリュー、チェルシー、今のうちにほまれのことを……」

 

俺がそう叫び、二人が捕まったほまれのところへ行こうとするが、二人の前に大量の土龍が現れた。何で危険種が……いや、答えは分かってる

 

「ふふふ、また来たぞ。小僧よ!」

 

「こいつ……」

 

「そこの小娘共、気をつけたほうが良いぞ。そいつらはただの土龍ではない。妾とスタイリッシュが一から作り上げ、凶暴性に特化した土龍じゃ」

 

「面倒な相手ってことね」

 

「まぁどれくらいなものかわかりませんが、正義執行です」

 

セリューが地面から刀を取り出し、土龍に向かっていく、はなたちの方を見るとオシマイダーが回転し、巨大な竜巻に変わっていた。はなたちは竜巻に飲み込まれ、近くのビルに叩きつけられていた。

 

「モウ、トベナインダー…モウ、カガヤケナインダー」

 

これはほまれの心の声……しかも暗い声……

 

「モウ、ミライハナインダー!」

 

「もう…未来は無い…。もう…飛べない…」

 

「諦めるな!!」

 

「よそ見をしている場合か!!」

 

俺がほまれに向かって叫んだ瞬間、イゾウの斬撃が迫ってきていた。俺は咄嗟に避けようとするが避けきれない……

 

もうだめかと思った瞬間、金属音がぶつかりあう音が聞こえた。

 

「ふう、こいつの相手は私がやってもいい?」

 

イゾウの斬撃を防いだのは黒い髪に黒い衣装を身にまとった少女。何でこいつが何て今更言うつもりはない

 

「お前は……クロメ!?」

 

「ミナトだっけ?久しぶり」

 

「お前に助けられるとはな……」

 

「私一人じゃないよ」

 

「拙者を無視するな!!」

 

更にイゾウが斬撃を食らわせようとするが、二つの影がクロメの前に現れ、イゾウを吹き飛ばした。

一人は黒い鎧を身にまとい、一人は白い鎧を身にまとっていた。

 

「グランシャリオとインクルシオ……だよな。なんか形状変わってるけどタツミなのか」

 

「あぁ、久しぶりだな。ミナト」

 

「こっちに来て色々とあったけど、お前らと合流できるなんてな」

 

「とりあえずあそこにいる子、助けに行ったら?」

 

「あぁ、頼んだ」

 

俺は頼もしい三人にイゾウを任せ、ほまれのところへ向かった。

 

「ぐぅ、ナイトレイドにイェーガーズの残党が……」

 

「悪いけど、ここで倒させてもらうよ」

 

「クロメ、無理はするなよ。こっちに来て身体の状態が良くなったからって……」

 

「それを言うならウェイブもだろ。帝具二つ同時発動の後遺症があるんだから……」

 

「それだったらドラゴンになってた時の後遺症とか大丈夫なの?」

 

「戦いの最中で喋っているな!!」

 

イゾウが攻撃を仕掛けるが、三人はそれを避け、ほぼ同時にイゾウを蹴り飛ばすのであった。

 

「あっちは大丈夫そうだな。ほまれ、諦めるな。諦めたままじゃ飛べるものも飛べないぞ。無謀でも何でもいい。未来を信じて飛んでみろ!!」

 

「こわい…でも…私は…私は…もう一度…飛びたい…!!!もう一度…輝きたい!!」

 

「行け!!ほまれ!!」

 

ほまれが頷いた瞬間、まばゆい光が溢れてきた。

 

「心が…あふれる」

 

ほまれは現れたミライクリスタルを手にし、飛び上がりまばゆい光に包まれ、プリキュアに変身した。

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

キュアエトワールはキュアエールたちの方を行き、俺もそこに行った。

 

「お待たせ」

 

「キュアエトワール……」

 

「勇気、出したんだな」

 

「ありがとう。ミナト」

 

オシマイダーはまだ回転をしていた。まずはアレを止めないとな。

 

「フレフレ!ハート・スター!」

 

キュアエトワールが星型のエネルギー弾を発射し、オシマイダーに巻き付き動きを止めていた。

 

「ミナト!!」

 

「あぁ!!レガオン!!装着背中!!」

 

レガオンを背中に装着すると赤い翼に変わり、動けないオシマイダーに思いっきり突っ込んだ。

 

「今だ!!キュアエール!!」

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー」

 

キュアエールの光りに包まれ、オシマイダーを倒した。チャラリートは思いっきり落ち込んだ状態で姿を消した。

 

「ふむ、土龍全滅。だが実験としては成功じゃな。それにイゾウ。帰るぞ」

 

「くっ、次会うときこそは……」

 

ドロテアもイゾウも姿を消すのであった。とりあえず戦いは終わりか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリーの店に戻り、俺はタツミ達に事情を話した。

 

「皇具……それのせいで俺たちはこっちに来たのか」

 

「おまけにワイルドハントにドクターまで……」

 

「でも皇具の力で私達の身体がよくなったんだよね」

 

「タツミたちはサヨと同じ時間から来たんだな。色々と話は聞いてるけど、大変だったんだな。ドラゴンになったりとか……」

 

「あぁ、でも今はなんともないと言うか……インクルシオの奥の手が透明化から竜化に変わった感じなんだ」

 

帝具にも影響が起きてるのか。だとしたらレガオンの奥の手にも影響が出ているかもしれないな。

 

「とりあえず俺たちもクライアス社と言う奴らとの戦いに手を貸すぜ」

 

「だけど住む場所どうする?また橋の下に住む?」

 

「ミナトくんのお友達、ホームレスだったの?」

 

はなたちも話を聞いて、そんなことを言ってるけど、流石にそれは失礼だぞ。はな

 

「それやったら、ここに住むとええ。店も開店したんやけど、店員がワイ一人やからな。店を手伝ってもらうのが条件や」

 

タツミたちはハリーの提案を引き受けるのであった。これで転移してきた全員が揃ったって言うことだな

 

「それじゃまた明日ね!ほまれちゃん!じゃなくて……また明日ね!ほまれ!さあや!」

 

はなと一緒に帰ろうとする中、はなが二人を呼び捨てで呼び始めた。ようやく本当の友だちになれたからだろうな

 

仲間も増え、これから先どうなるかわからないけど、ただ不安なのが、皇具の影響で誰かが転移してきそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、イゾウは敗北したか」

 

「死んではおらぬがな。どうするつもりじゃ?奴らの戦力が上がった以上今後大変になるぞ」

 

「ふふ、イゾウにはいいものを与えるとしよう。それにドクターの方もスカウトしている」

 

「スカウト?誰を?」

 

「実験の中、一人転移した。そいつをな」

 

 

 

 

 

 

 

「というわけなのよ。どうかしら?」

 

「ほう、クライアス社とやらの目的には興味はないが、タツミにセリューの親友が来ているのか。ならばいいだろう。だが私はその皇具を作った男の指示に従うつもりはない。お前もだろう。ドクター」

 

「もちろんよ。実験の都合で付き合っているだけ。私としては帝具と皇具がぶつかり合う中、何が起きるか見てみたいだけよ」

 

「相変わらずおもしろいな。ドクタースタイリッシュ」

 

「貴方もね。エスデス将軍」

 

 

 




次回はプリキュア本編ではなく、ミナト達側の話をやるつもりです


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第12話 たまには昔話を

ほまれがプリキュアになってから一週間が過ぎ、俺達はハリーのお店に集まっていた。

 

タツミ、ウェイブ、クロメの三人は住み込みでハリーのお店に働くのを俺、セリューの二人で見ていた。

 

「どうなんだ?三人は?」

 

「おう、しっかり働いてくれてるで、まぁウェイブは磯臭いからちょっと心配だったけどな」

 

「おい、店長!!磯臭いとか言うなよ!!」

 

「でも私はウェイブの匂い好きだよ」

 

「あ、ありがとう。クロメ」

 

「なぁタツミ。あの二人どうにかしてくれへんか?いちゃつかれると独り身としてはこっちは辛いんや」

 

「いや、ハリー店長。しょうがないと思うぞ。というか俺も元の世界に奥さん残してるし……」

 

タツミの発言を聞いて、ハリーが俺たちの方を見た。いや、こっちを見ても……というかタツミ、マインと結婚したのか。前までは恋人同士になったって聞いたのに……

 

「ウェイブとクロメの二人が付き合うのは意外……でもなかったですね。意外と仲良かったですし」

 

「そうだよな。休暇中に帝都に行くと二人が一緒に行動してることあったし……」

 

「その度にカフェでサボろうぜとか言ってきたからな。ミナトは……」

 

「懐かしいな……」

 

みんなで懐かしがっていると、はぐたんと遊んでいたほまれがあることを聞いてきた。

 

「ねぇ、ちょっと聞きたいことあるんだけどいい?」

 

「何だ?」

 

「サヨやチェルシーからも聞いてたけど、あんた達、敵同士だったんだよね。なのにすぐに仲良くなってて……」

 

「確かに敵同士だったら、争ったりするのに……どうして?」

 

さあやもどうやら気になっていたみたいだな。するとはなが何かを思い出したかのように言うのであった。

 

「あれ?ミナトくんとセリューさんは友達同士だったからその繋がりじゃないの?」

 

「その繋がりもありますが……」

 

「いい機会だから話しておくか。あれは確か……タツミが拉致されたくらいのときか」

 

「「「拉致!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アジトで待機していた俺はラバとレオ姐さんからタツミがドs将軍エスデスに拉致されたことを聞いた。

 

「ナイトレイドだってことがバレたって言うわけじゃないんだな」

 

「そうみたいなんだよ。こう流れるように拉致ってったからな……」

 

「助け出すのに助けられなかったしな」

 

何か目的でもあるのか?アカメやマイン、みんなもどうにか無事を確認したいだろうけど……仕方ない

 

「アカメ、悪いけど休暇もらうぞ」

 

「……分かった。ただ」

 

「分かってる。お前に見張られながら得た信用だから……」

 

「あの女に情報を聞くってこと?あっちも素直に話してくれるかどうかわからないわよ」

 

シェーレが殺されたことでかなり恨んでいて、情報を信用していないみたいだな。まぁ本来の約束を守るのが第一だし、聞けるかどうかは怪しいところだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都のあるカフェベースで俺はある人物待ち合わせをしていた。少し早めに来たかと思っていると待ち合わせの人物はすでに来ていた。

 

「待たせたな。セリュー」

 

「そんなに待ってないよ。ミナト」

 

昔の同僚で、今は敵同士だけどこうして一緒にお茶をするくらいの付き合いであるセリュー。ちゃんと約束を守っているということだな

 

「二週間ぶりくらいだっけ?」

 

「だな。お前の方も忙しいみたいだったし……イェーガーズだっけ?」

 

「うん、そこの配属関係で忙しかったし……そっちでも情報は手に入れてるでしょ」

 

「一応はな。ただメンバーがお前とあの子……サヨだっけ」

 

「そう、彼女もイェーガーズよ」

 

差し障りのない話をする中、俺はあることに気がついた。帝国側としては俺とセリューの約束に関して、セリューが裏切っているんじゃないかって思っているやつがいるから、影で見張ってるやつが一人くらいいると思っていたけど……

 

「今日は数が多くないか?」

 

「ごめん。みんなに信用してもらうために……」

 

仕方ないことだけど、こう見られてはな。しょうがない。

俺は立ち上がり、見張っているやつが隠れている所に向かった。

 

「そんな所にいないで、こっちにきて一緒にお茶でもしないか?」

 

「おい、バレたぞ」

 

「ウェイブが気配を隠すのが下手だから……」

 

「仕方ないですね。素直に出ていきましょう」

 

建物の影から金髪のイケメンが出てきた。こいつもイェーガーズの一員って言うことか?

 

「初めまして、ランといいます。貴方はナイトレイドのミナトですね」

 

「知ってるか。それでどうする?捕まえるか?」

 

殺気を出しながらそう言うと、ランは笑顔を向けた。まさかこいつ、笑顔で人を殺すようなやつか?

 

「いいえ、今日はセリューさんの約束に則って、戦うのはやめましょう」

 

何というか仲間思いのやつだな。こいつ……

すると他の二人も影から出てきた。どうやらランの言うとおりにするみたいだな。

 

「おい、ラン、いいのか?」

 

「エスデス隊長から命じられたのはセリューさんの見張り……それだけです。それにここで戦えば被害が出ますから」

 

「優しいんだな。あんた……でも」

 

「えぇ、戦場で会った時は容赦はしません」

 

笑顔で言うことじゃないけど、面白いやつだな。こいつ……

 

「仕方ない。俺はウェイブ。俺もセリューの約束に則ってお茶くらいしてやる」

 

「クロメ。ナイトレイドだったら……」

 

「あぁ、アカメの妹だろ。元気にしてるぞ」

 

「そう……」

 

ウェイブはちょっと警戒してるみたいだけど、クロメは全く気を抜いてないな。これはこれであたり前のことだけど……

 

「何だか騒がしくなったね」

 

「まぁいいんじゃないのか?こういうのも……そうだ。ちょっと聞きたいんだけど……」

 

「うっかり情報を話すことはしませんよ」

 

「ランだっけ?情報を聞き出すつもりはない。セリューとの約束だしな。俺が聞きたいのはこの間、エスデス将軍が一般人を拉致ってなかったか?」

 

俺がそう聞いた瞬間、セリュー達が固まっていた。もしかして奴隷扱いされてるんじゃないだろうな。

 

「えっと、タツミくんでしたっけ。彼、エスデス隊長の……恋の相手になりました」

 

「ぶほっ!?」

 

口に含んだコーヒーを思いっきり吹いてしまった。恋の相手って好きになったって言うことか。だからって拉致するのはまずいだろ

 

「どうにもエスデス隊長の相手の条件に当てはまったみたいで……」

 

とりあえず無事っていうことだな。だったらいいけど……とりあえず無事を確認できたということで、帰ろうと思った瞬間、突き刺すような冷たい気配を感じ取り、振り向くとそこにはエスデス将軍と覆面をかぶった男がいた。

 

「ほう、見張りにしては近いみたいだが……」

 

「た、隊長……」

 

「まぁいい。ナイトレイドのミナト・ユウだな」

 

「あぁ、そうだ」

 

「ふっ」

 

エスデス将軍は近くの席に座り、飲み物を注文していた。何だ?捕まえに来たとかじゃないのか?

 

「セリューが約束をするほどの男を見ておきたくてな。なかなか面白い男だ」

 

「セリューさん、隊長も見張りに来たんじゃなくって、お二人が恋人同士じゃないかって……」

 

「「恋人?」」

 

俺とセリューの二人がハモりながら首を傾げた。特に俺たちにはそういう感情はないしな……

 

「何だ。違うのか。まぁいい、ミナト・ユウ。お前はナイトレイドだがイェーガーズに入る気はないか?」

 

「悪いな。そんな気はない」

 

「ほう、貴様のレガオンの奥の手をナイトレイドが止められると思っているのか。私だったら止められる」

 

やっぱり知ってるよな。奥の手について……だけど裏切るつもりはない

 

「だったらあんたに止められないくらいの力を見せてやる」

 

「面白い」




ミナト達の昔話は次回に続きます。


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第13話 チーム名決定

「出会いがこんな感じだったかな?」

 

俺ははなたちにウェイブたちとの出会いについて話し終えると、何だかみんな黙り込んでいた。

 

「どうかしたのか?」

 

「何ていうか……殺し合いしてたんだよね」

 

「その割には仲いいっていうか……」

 

「友達って感じだね」

 

ほまれ、さあや、はなの三人がそれぞれ感想を述べる中、ウェイブは何かを思い出した

 

「そういえばお礼言ってなかった。ミナト、ボルスさんの家族を助けてくれてありがとうな」

 

「………気がついてたのか」

 

「奥さんから聞いたんだ」

 

「ミナトくん、助けたって?」

 

「お子様には刺激が強すぎるから、あっちではぐたんと遊んでろ」

 

「えぇ~」

 

はなが聞きたそうにしているが、俺の意思を読み取ったのかはぐたんが大声で泣きじゃくった。

 

「ほれ、はなたちはあっちではぐたんのこと頼むわ。ミナト、俺は聞いてもええやろ」

 

ハリーは聞く気満々か。こいつの場合いくつくらいかわからないけど話しても問題なさそうだな

 

「助けた理由も含めてちょっと遡るけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休暇中、帝都でのんびりお茶をし、帰ろうとしていた時、足元に果物が転がってきて、俺はそれを拾うと綺麗な女性がこっちに駆け寄ってきた。

 

「すみません。それ私の……」

 

「あぁ、ほら」

 

俺は果物を渡し、帰ろうとするとした時だった。

 

「あれ?ミナト……くんだよね」

 

何だか見覚えのないイケメンに名前を呼ばれたのだけど、この人だれだ?知り合いにこんなイケメンはいないはず……いやいるとしたらランくらいだけど……違うしな

 

「あぁ、この格好じゃわからないですよね。私ですよ。ほら、この間エスデス隊長と一緒にいた覆面の……」

 

「あぁ、ボルスさんだっけ………んん?素顔がこんなにイケメンだったの!?」

 

「ははは、そんなイケメンじゃ……」

 

「いやいや、かなりイケメンですって、それにその人ってもしかして……」

 

「えぇ、奥さんです」

 

イケメンに、こんな美人な奥さんがいるって……完全に勝ち組だよな。なのに……あんなひどい所業をしてるんだよな。奥さんは知って……るよな

 

「どうかしたんですか?ミナトくん」

 

「いえ、仕事柄あんたがやってきたことを知っている身としてはなんと言えば……」

 

「……そうですよね。知ってますよね」

 

「甘いことを言うとあんたとは戦いたくないし、殺したくない。できれば俺達の前に出てこないでほしいかな」

 

「そんな事できませんよ。ウェイブくんたちを見捨てることは出来ません」

 

この人は本当に優しい人だな。全く俺もまだ未熟だ。殺したくないって思うなんてな

 

「なるべく戦場で出会わないことを祈ってますよ。ボルスさん。できれば幸せに」

 

「えぇ、ミナトくん」

 

俺はボルスさん一家と別れる中、心の中から殺したくないと願った。できれば平和になった後でも幸せに過ごしてほしいと

 

でも、そんな願いは叶わず俺たちナイトレイドとクロメ、ボルスさんと戦うことになり、チェルシーがボルスさんを暗殺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらく経ち、俺はみんなに内緒で毎日ボルスさんのお墓に花を添えていた。

 

「……………」

 

「あら、貴方は……」

 

気がつくとボルスさんの奥さんとその隣には二人の間に出来た子供がいた。もしかして毎日来ているのか?

 

「…………」

 

俺は何も言わず、この場から去ろうとすると奥さんが俺の手を掴んだ。

 

「待って下さい。貴方のことはあの人から聞いてます」

 

「聞いてるなら、呼び止めたのはなんですか?敵討ちですか?」

 

「いいえ、確かにあなた達のことは恨んでいますけど……あの人はそんな事望んでいませんから……」

 

「……ママ」

 

本当にこの夫婦はいい人すぎだろ。普通だったら殺しにかかってくるのに……

 

「貴方は後悔しているんですよね。だから花をいつも……」

 

「後悔してる暇なんてないですよ。俺はただ凄く強くって優しかった戦友に対して、花束を送っているだけです」

 

俺はそう言ってその場から去るのであった。

 

 

 

 

アジトに帰ろうとした時、手に花束を持ったままのことを思い出した。

 

「逃げ出したから供えるの忘れてた……また会っちまうな」

 

仕方ないと思い、戻るとお墓の前に妙な集団がいた。あれは聞いた情報通りだとワイルドハントのシュラ、チャンプ、エンシン……ゲス野郎共の前にはボルスさんの家族……

 

「……ここであいつらと戦うとなるのはまずいけど……」

 

見過ごす真似……出来るわけないよな。そんな事したらただのクソ野郎だからな。俺はレガオンを両足に装着し、娘さんに襲いかかろうとしているチャンプを思いっきり蹴り飛ばした。

 

「がふぅ!?」

 

「あぁん、誰だ。お前、俺達が誰だと……」

 

「あぁ、ごめんなさい。ボールを蹴っただけなんですけど、もしかして七光の坊ちゃまの部下でしたか。コレは失敬」

 

「てめぇ……見覚えあるぞお前……確かナイトレイドの……がふぅ」

 

シュラが言い終える前に思いっきり顔面を殴り、俺はボルスさんの奥さんにあることを告げた。

 

「逃げて下さい」

 

「あ、貴方は……」

 

「いいから早く!!」

 

「は、はい」

 

俺は二人が無事この場から逃げるのを確認すると、細身の男、エンシンが斬りかかってきて、俺はレガオンを大剣に変え防いだ。

 

「お前、いい度胸してるな。ワイルドハント相手に一人で相手……」

 

俺はエンシンの腕を掴み、思いっきり投げ飛ばした。もちろん、最初に地面に落ちる箇所を顔面にしてだ

 

「ブサイクな顔だな。整形してやるよ……もっと不細工になるように」

 

「てめぇ!!」

 

「どけっ!!」

 

殴り飛ばしたシュラが俺に殴りかかってきた。咄嗟に避けるが頬をかすめた。なるほど、小物に見えて結構強いな。

 

「なめてかかってると痛い目見るぜ。こう見えて……」

 

「十分だな。それに一瞬だったら制御できるし倒せる」

 

「あぁん?」

 

「クソどもにはもったいないが、見せてやるよ。一瞬だけな。レガオン!!奥の手発動!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って感じだったかな」

 

「なんやお前も結構あまちゃんだったんやな」

 

「まぁミナトが墓参りをしてたの。みんな知ってたけどな」

 

「マジで!?タツミ、どうしてだ?」

 

「アカメが気になって後をつけてたからな。俺たちも話を聞いて止める気はなかったし……」

 

みんな知ってたのか。それはそれでショックだったな。するとクロメが俺にあることを聞いた。

 

「ワイルドハントの連中、ボコボコにしただけだったの?」

 

「あぁ、レガオンを制御するためにボコボコにしただけど……まぁその後にきっちり殺したけどな」

 

あの時、クロメもランも動いていたみたいだったからな。暗殺がやりやすかった

 

「私もその時生きてたらきっとワイルドハントが街で暴れていた時に正義執行していたかもしれませんね」

 

「セリューだったらきっと楽勝だったよ」

 

「だけど今、ワイルドハントの奴らがいるんだろ。今度こそきっちり倒しておこうぜ」

 

「あぁ、敵同士だったけど今は仲間同士だからきっと誰にも負けないよな」

 

「そうなると良いけどな」

 

「なぁ、ナイトレイドとイェーガーズやったっけ?こっちでなんて名乗るんや?」

 

ハリーの言葉を聞いて、ちょっと考え込んだ。せっかくナイトレイドとイェーガーズが同じ目的で手を組んだんだから何かチーム名的な……

 

「まぁ安直だけど、ナイトイェーガーズでいいか」

 

「変に考えるよりかは良いかもな」

 

「あぁ、それにリーダーが決めたんだからな」

 

「正義をきっちり執行していきましょう」

 

「何だか楽しくなってきたね」

 

みんな、納得してくれたみたいだな。それにしてもウェイブ、リーダーって……

 

「ミナトを中心に集まったんだから、リーダーでいいだろ」

 

「まぁいいけど……」

 

チーム名もリーダーも決定したし、これからのことをゆっくり考えるとしようとした時、さっきまではぐたんのお世話をしていたはながあることを言い出した

 

「ミナトくん、デートしよう」

 

「………はぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでいいかしら。エスデス隊長」

 

「あぁ、これが皇具の力か。死者を生き返らせるとはな」

 

「生き返らせたわけではなく、次元を歪めた結果ですよ」

 

エスデスの前にとある3人が集まっていた。エスデスは嬉しそうにしながらあることを語った。

 

「タツミ、お前にまた会えるな。そしてミナト、お前の力を見せてもらうぞ。行くぞ!!三獣士!!」

 

「「「はっ!!」」」

 




次回から原作6話の話になります。



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第14話 みんなでデート

突然のはなからのデートの誘い。普通だったらドキドキしたりとかするのだろうけど、俺の場合はちょっと違った。きっとどこかに遊びに行こうということをデートと言っているのだろうな

 

「誰と誰が行くんだ」

 

「みんなでデートしよう。プリキュアが3人揃った記念で」

 

やっぱり思ったとおりのデートだった。はな、少し言葉の意味をしっかり考えて発言したほうが良いぞ

 

「やばいぞ。ミナトのやつ、普通に返しやがったぞ」

 

「アイツの場合、恋愛とかそういうの一切興味なかったからな」

 

ウェイブとタツミの二人がなにか言っているけど、気にしない方が良いな。

 

「記念で出かけるのは良いけど、みんなでって言うと店のほうが誰もいなくなるぞ。ハリー的にはどうなんだ?」

 

「閉めるわけには行かへんからな。誰かしら残った方がええやろうし……」

 

というと誘いを受けた俺は行くとして、ハリーとはぐたんはもちろん、はな、さあや、ほまれも行くことになる。

だとしたら……

 

「タツミ、一緒に行くか?」

 

「俺で良いのか?」

 

せっかくだから積もる話もあるし、良いかもしれないな。ウェイブとクロメも良いと言っているし、タツミが抜けた分セリューが代わりにお店を手伝うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでデート(プリキュア3人増えた記念のお出かけ)で俺たちはホームセンターHUGMANと言うところに来ていた。

 

「何でホームセンター?」

 

「ふふふ、さぁ行こうー」

 

はなは何か隠しているみたいだけど、ここって確か……

 

俺たちはとりあえず中に入ると中はものすごく広く、さあやもほまれも驚いていた。

 

「ほらほら、服もアクセサリーもスポーツ用品も何だって揃うんだよ」

 

はなが自慢げに言う中、俺とタツミの二人はあるものを見つけて驚きを隠せないでいた。

 

「ミナト、大変だ!?」

 

「あぁ、平和な世界かと思っていたのに……拷問器具が普通に置いてあるなんて……」

 

俺とタツミは棚に並んだドリルを見てそう言うと、ほまれは呆れていた。

 

「あんたらお約束みたいなもんなの?」

 

いやだって、あれ、拷問器具だろどう見ても……絶対にエスデス辺り嬉々として見てそうだし……

 

「すごい!充実のラインナップ。このフィット感。そして軽い」

 

まさかのさあやが大喜びでドリルを見て回っていた。

 

「なぁ、さあやって……」

 

「言うな。怒らせたくない」

 

「あんたら……」

 

俺たちはとりあえず自由に見て回ることになり、俺はタツミと一緒に見て回ることになった。

 

 

 

 

 

 

「にしても皇具って言うのはよく分からないけど、帝具と似たようなもんなんだよな」

 

「あぁ、ハイトの持つ皇具はシャンバラと似たような力を持っていると言うか……上位互換みたいなものだった」

 

「ということは他の帝具の上位互換もあるっていうことだろ。インクルシオとか村雨とかの」

 

「ありそうだけど……」

 

村雨の上位互換ってどんな能力だよ。刀を抜いた瞬間に即死だったりするのか。ソレは嫌だな」

 

「だとしたらあの至高の帝具の上位互換とかも……」

 

「至高の帝具?」

 

「……ありえないよな」

 

タツミはすぐに首を横に振るのであった。至高の帝具って一体なんなんだ?タツミは俺がいなくなってからのことを詳しくは話してくれないけど……何があったんだ?

 

「それはそうと今のままで戦力的に大丈夫なのか?リーダー」

 

「戦力的に……大丈夫じゃないのか?ウェイブもクロメもタツミも……セリューもサヨもかなり強いほうだし……チェルシーは戦闘向きじゃないけど色々とやってくれそうだし」

 

「そうだけど……こう何ていうか死んだ人間もお構いなしに転移できるんだから……もしかしたら」

 

タツミ、もしかしてブラートとシェーレのことを言ってるのか?それに聞く限りじゃラバックも死んじゃったみたいだし……

 

「あんまり期待はしないほうが良いぞ。そうそうみんながこっちに来るわけ無いだろうし……」

 

「そうだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなSIDE

 

パパにさあやたちのことを紹介する中、人手が足りないということでミライパットでお花屋さんに変身し、お花屋さんを手伝うことになった私たち。

 

「ミナトくん達、どこ行ったんだろう?」

 

「まぁ積もる話もあるって言ってたし、店内を見て回りながら話してるんじゃないの?」

 

「それにミナトさんも何だか昔の仲間に会えて嬉しそうにしてるしね」

 

「そうだけど……」

 

たまにミナトくんは私達に聞かせたくない話だからって、私達に聞かれないように内緒話をすることがある。私としては何かしらの悩みだったら教えてくれても良いのだけど……

 

「そこの店員。少しいいか?」

 

突然声をかけられ、振り向くとそこには氷のように綺麗な女の人が黒服の三人組を連れていた。

 

「は、はい」

 

「この店に毒をもった花とかは置いてあるか?」

 

なんだろうこの人……なんてことをいきなり訪ねてきているんだ?

 

「あの……えっと……」

 

「そういうのはこういう所に置いてないから」

 

どう答えれば良いのか悩んでいるとほまれが女の人にそういった。すると女の人は笑みを浮かべた。

 

「すまない。いろいろ疎くてな。まぁ器具は買ったから良いだろう」

 

私は三人組が持っている袋を見るとさっきさあやが見ていたドリルが袋に入っていた。何の仕事をしている人なんだろう?

 

「邪魔をしたな。行くぞ」

 

「「「はっ」」」

 

私は女の人達を見送るとほまれはあることを呟いた。

 

「なんだかミナトたちと似たような感じだったけど……気のせいかな」

 

「それにボディーガードみたいな人たち連れてたよね。もしかして……」

 

「どこかのお嬢様だったりするのかな……でしょはな」

 

さあやもおんなじことを思ったみたいだ。でもなんだかまた会いそうだな

 



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第15話 現れし強敵

はなたちと合流するためにタツミと二人でどこにいるか探していると、店内からアナウンスが流れた。

 

『野乃はなさま。お連れ様がお待ちです。迷子センターまでおいでください』

 

「何だ?」

 

「何かあったのかもな。迷子センターってどこなんだ?」

 

「えっと……」

 

俺は店内の地図を見て、迷子センターへと向かうとはなたちと合流できた。

 

「何があったんだ?」

 

「実ははぐたんが迷子になっていて……」

 

はぐたんが迷子って……ハリーが面倒見てたんじゃないのか?それにはなたちの格好は一体何なんだ?

とりあえず迷子センターに向かうとそこには

 

「きっとママが来るからね」

 

「お兄ちゃん泣かないで」

 

「うぅ、はぐたん~」

 

幼い子どもたちに慰められているハリーの姿があった。見た目が大人のくせに何迷子になってるんだよ。

 

「迷子ってあんた……」

 

はなたちも呆れていた。とりあえず俺たちははぐたんを探しに回ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つからないな……」

 

はなたちと別れてはぐたんを探すが、見つからない。どこに行ったんだ?もしも見つかったなら連絡とかほしいけど、残念ながら俺は携帯?と言うやつを持っていないから無理そうだった。

 

「どうしたものか……一旦はなたちが言っていた花屋さんに戻って……」

 

戻ろうとした瞬間、突然笛の音が鳴り響いた。これは……

 

「見つけた。ナイトレイドみたいだね」

 

後ろから声が聞こえ、振り向いた瞬間、笛を持った小柄の少年が立っていた。あれって帝具……それにタツミが言っていたのが本当ならあいつは……

 

「エスデスの直属の部下……三獣士!」

 

「僕はニャウ。こっちに来てからかな……帝具の能力が上がって目的の人物を笛の音で探し出すことが出来るみたい」

 

三獣士までこっちの世界に来ているのか。それにしてはハイトの奴によく従っているな

 

「さぁ殺し合おうか」

 

「ここでやるっていうなら……」

 

俺は近くにあった窓から外へと飛び出した。外へ飛び出すがかなりの高さだ。俺はレガオンを取り出し、足に装着させ、何とか着地した。

 

「ふぅ」

 

追ってこないだろうと思った瞬間、目の前に巨大植物の化物が暴れていた。

 

「ミナトくん!?」

 

「はな、さあや、ほまれ、タツミ」

 

「オシマイダーが現れたみたい」

 

「というかあんた、今どこから現れたのよ」

 

「何があったんだ?」

 

「実は……って説明は後だ」

 

「うん、行くよみんな」

 

はなたちはプリキュアに変身すると突然オシマイダーの隣から現れたおばさんが何かを言ってきた。

 

「ちょっと待った。あんた誰?」

 

「あんた誰?プリキュアだって……」

 

「プリキュアだって!?何で増えてんのよ。チャラリートの奴め……私はパップル様よ。行け!!オシマイダー!!」

 

オシマイダーの攻撃を避け、キュアエール達が攻撃を食らわしていく中、俺とタツミはパップルに向かっていった。

 

「ちょ、ちょっと!?なんてね」

 

パップルの後ろから衝撃波が放たれてきて、俺とタツミは吹き飛ばされた。

 

「今のは……」

 

「は~い、今のはコスミナちゃんだよ~久しぶりだね。ナイトレイド」

 

「こいつ……ワイルドハントの!?」

 

「まずいな。ワイルドハントと三獣士が手を結びやがった」

 

「三獣士が!?」

 

「三獣士?私は一人できたんだけど?」

 

コスミナがそう告げた瞬間、どこからともなく斧が降ってきて、俺とタツミとコスミナはそれを避けた。

 

「ミナトくん!?きゃあ!?」

 

キュアエールがこっちに行こうとした瞬間、水の龍がキュアエールたちを吹き飛ばした。

何というか嫌な予感がしてきたな。

 

「ナイトレイドにプリキュア……あとはおかしな奴らがいるが、経験値稼ぎにはいいな」

 

「クライアス社とワイルドハントですよ。ダイダラ」

 

「お待たせ~勢揃いみたいだね」

 

「丁度いい。顔合わせするにはな。それに会いたかったぞ。タツミ、ミナト」

 

屋上の方に四人の人影があった。本当にこの世界では会いたくなかったな。

 

「エスデス!?」

 

「えっ?あの人って……」

 

「うん、毒を持った花がないか聞いてきた人たち。やっぱりミナト達の関係者だったんだね」

 

「キュアエトワール。あれを関係者にしないでくれ。厄介すぎて関わりたくないんだから」

 

「ちょっと!?あんたたち誰よ。何も聞いてないわよ!!」

 

「私も聞いてないよ。ハイト様は何も言ってないし……」

 

「ふふ、挨拶が遅れたみたいだな。そしてこれがお前たちへの挨拶代わりだ!!」

 

エスデスが手を大きく掲げた瞬間、巨大な氷塊が俺たちに襲いかかってきた。俺は咄嗟にレガオンを握りしめた

 

「一瞬だけなら……タツミ!!しばらく動けなくなる」

 

「あ、あぁ」

 

「奥の手!!」

 

俺は真っ赤な光に包まれ、一瞬で氷解を破壊するが久しぶりだから身体がしびれていた。地面ギリギリの所でタツミが受け止めてくれた。

 

「サンキュー……」

 

「お前、一瞬しか発動できないのか?奥の手は……」

 

「そういうわけじゃないけど……」

 

「やはり恐れているみたいだな。ミナト。まぁいい。タツミと出会えたことを祝して……」

 

エスデスが指を鳴らした瞬間、オシマイダーが氷漬けにされた。

 

「プリキュアとやらとどめを刺すのだな」

 

「え、あ、うん」

 

エスデスに言われるままに、キュアエールがオシマイダーを浄化するのであった。

 

「ちょっと何やらかしてるのよ!?」

 

「私の活躍が~」

 

パップルとコスミナの二人はそんな捨て台詞を吐きながら、車に乗って帰っていき、エスデスたちもいつの間にか消えていた。

 

「エスデス……クライアス社と手を結んだって言うわけじゃないのか?」

 

「みたいだけど、敵には変わりないな」

 

俺とタツミはこれからの戦いが激しくなることを考え、溜息をつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなたちは花屋の手伝いに戻り、俺とタツミとハリーはその様子を見ていた。

するとはなの母親、すみれさんが様子を見に来ていた。

 

「どうだった?お仕事体験は?」

 

「みんなの笑顔、最高だった」

 

「そう、じゃあ連載してみよっかな」

 

「何を?」

 

「はなたちのお仕事体験ルポを、タウン誌にね」

 

何だかんだで、はなたちはすごい大役に選ばれたみたいだな。

 

「なぁ、ミナト……どうするんだこれから?」

 

「どうするかはこれから考えればいいんだよ」

 

「そう言うけど……」

 

俺としてははなたちと一緒に平穏な日々を過ごせれば何だっていいな。それを邪魔する奴らを倒すだけだ。

 

「あら?あなたひょっとして……さあやちゃんじゃない?」

 

すみれさん、一度会ったことあるんだから知ってるはずじゃないのか?何をボケをかましてるんだ?

 

「野菜少女のさあやちゃんよね」

 

「「あっ?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第16話 さあやの秘密

「にんじん兄さん、ねぎ姉さん、野菜は私の家族なの~♪」

 

学校帰り、偶々帰り道一緒になったため、俺とチェルシーの二人ではなたちと帰る中、はなはある歌を口ずさんでいた。

その歌は昔、さあやが出ていたCMの歌みたいだ。

 

「さあやが出ていたCM。よく覚えてるよ。まさかあの野菜少女がこんな身近にいたなんて……」

 

「さあやったら、恥ずかしがってみんなに内緒にしてほしいって言ってたからね~」

 

「チェルシーたちは知ってたんだ」

 

ほまれの言う通り、チェルシーとこの場にいないサヨの二人はさあやの隠し事は知っていたみたいだ。

すると俺とチェルシーの二人は草むらの方からなにかの気配を感じとり、足を止めた。

 

「どうしたの?」

 

「誰かがいる……」

 

「ちょろっと、お姉さんたちに任せてもらっていいかな?」

 

「そこにいるのは分かってる。出てこい!」

 

俺がそう告げた瞬間、草むらから一人の女の子が出てきた。

 

「オーッホッホッホ!薬師寺さあや!ここで会ったが百年目!一条蘭世でございますわ」

 

どうやらさあやの知り合いみたいだ。それはそうだよな。敵だったら殺気とか感じるし。

話を聞くとどうやらさあやが出ていたCMに昔共演した女の子みたいだ。

 

「あなたは野菜少女としてお茶の間に親しまれた。なのに私はネギ。ただのネギ。悔しかった。惨めだった。あの時誓ったの。いつか貴方をギャフンと言わせてやると」

 

いるんだな。どの世界でもギャフンと言わせてやるとかいう人は……というかめんどくさそうな人だから関わらずに帰ってもいいかもしれないな。

 

「貴方にはわからないでしょうね。大女優の母の後ろ盾持つ貴方には」

 

「まぁまぁ……ってうん?大女優?」

 

「この子の母親はあの大女優薬師寺れいらですわ」

 

「知ってる。知ってる。あのCMのきれいな人だよね」

 

大女優の母親……それにその娘って、さあやは本当にすごい家の子なんだな。でもさあやは母親がすごいからって自慢したりしてないし……

 

「一方私は何のバックも持たず、どんなに小さな役でもコツコツやってきましたわ。あなた、今度やるヒロインのオーディションを受けるでしょう。私も同じオーディションを受けることにしましたわ。必ずやあなたをけをおとして、役をゲットしてみせますわ。オーッホッホッホ」

 

蘭世は高笑いを残して去っていった。何というかやっと帰ったか……

 

「オーッホッホッホなんて言う人いるんだ……」

 

「あら、ほまれ。私がいた世界では普通にいたわよ」

 

「あぁ、いたな。貴族とか……」

 

「そりゃあんたらの世界ではそうだけど……」

 

「さあや。なんだか大変なことになったみたいだけど、オーディション、頑張ってね」

 

「う、うん」

 

「それじゃ帰るとしますか」

 

さあやとチェルシーの二人はそのまま帰っていった。俺らはとりあえずハリーのお店に行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリー達にさっき会ったことを話すのであった。

 

「さあやがオーディションを受けるとは驚きやな」

 

「まぁさあや自身、隠してたみたいだけどな」

 

何で隠していたのだろうか?もしかして恥ずかしいとかか?

ふっとはぐたんが何かをやってみるのを見た。なんだかアクセサリーを作ってるみたいだ。

 

「はぐたん。上手上手」

 

「これええやろ。可愛いハートのアクセが作れるんや」

 

「それだったらたくさん作って、はぐたんが作りましたって書いて売ったほうがいいんじゃないの?」

 

クロメがそういった瞬間、はなとほまれの二人がサムズ・アップしながら

 

「「それいい!!絶対に買う!!」」

 

「クロメも商売について勉強してるんだな」

 

「ここで働く以上、勉強をしといたほうがいいってウェイブが言うから……」

 

「まぁ俺も商売とかわからないから、ハリーに教わってるけどな」

 

「タツミやウェイブ、クロメはそういう所疎いからな。ミナトと同じ戦うことしか考えてない脳筋で教えることが多いんや」

 

「「「脳筋言うな!!」」」

 

俺、タツミ、ウェイブがハリーにツッコミを入れる中、はながある事をクロメに聞いてきた。

 

「そういえばクロメさんの帝具ってどんなものなの?」

 

「私の?私のはコレだよ」

 

クロメが腰に付けた刀を抜いてはなに見せた。というかはぐたんがいるんだから抜いて見せるなよ

 

「帝具八房。切り捨てたものを躯人形として操ることが出来る。だけどここに来る前にウェイブに壊されたせいなのか、ストックしてある躯人形がいなくなったの」

 

「躯人形って……」

 

「いわゆるゾンビを操るっていう感じなんだ……」

 

「まぁここで骸人形をストックすることは……」

 

いや、あいつらの操る危険種を倒していけば何とか出来るか?

 

「あっ、はぐたん。できたんだね」

 

どうやらアクセサリーが完成したみたいだな。はなは早速さあやに届けに行くと言い出し、探しに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあやがいそうな所を探すと森の中の泉にさあやの姿を発見した。はなが声をかけようとした瞬間、俺達の目にあるものが写った。

さあやの背中に天使のような羽が生えているように見えた。

 

「天使様?」

 

「はな!?ほまれ!?それにミナトくん、クロメさんも……」

 

「天使がいると思ったら、さあやだったの。天使がさあやで、さあやが天使で」

 

「ありがとう。今度のオーディション、地上に降りた天使の役なの」

 

「もう一回やって」

 

「えっ?」

 

「ワンモア、ワンモア」

 

はなが見たいと急かし、さあやはもう一度やってみせた。

 

「暗クテ何モ見エマセン」

 

何故か片言になっていた。もしかしてさあやは……

 

「さあや、見られてると恥ずかしくなったとか?」

 

「ミナトくん……そうなの。人に見られているとこうなっちゃうの。特にオーディションは駄目」

 

さあやは語った。昔は何も考えずに役を演じることができたけど、周りの大人達からのプレッシャーに負けてしまい、役を演じることが分からなくなったみたいだった。

 

悲しそうな顔をしているさあやにはなは思いっきり水をかけた。

 

「わぁ!冷たい!何?」

 

「さあやがこんなかおしてたから」

 

はなに続いて、ほまれも水をかけ始めた。

 

「もう、ほまれまで……」

 

「ねぇ、さあやはどうしてオーディションを受け続けてるの?」

 

「それは……きっと自分の気持ちがわかりたいからだと思う。答えが分からないままあきらめたくない」

 

「別に悩めばいいじゃん。私達がそばにいるし」

 

「はな、ほまれ……」

 

「さあやは母親の七光りで野菜少女の役を手にしたって言うわけじゃないだろ」

 

「ミナトくん……うん」

 

「だったらそれはさあやの実力だよ。自分に自信を持て」

 

「自身……ありがとう。ミナトくん」

 

さあやが笑顔でお礼を言う中、クロメはある事を言い出した。

 

「七光……アレとは違うんだね」

 

「あれは七光を思いっきり利用して自由にやっていただろ。さあやにはあんなふうになってほしくない」

 

「うん」

 

 

 

 



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第17話 さあやの頑張り

クライアス社

 

「おや、ルールー、出撃かい?」

 

「ドロテア様。あなたも出撃ですか?」

 

「妾は出撃せん。行くとするならコスミナが調整のために出撃するくらいかの。にしてもお前が出撃するとは珍しいことがあるものじゃな」

 

「パップル様が彼氏と出かけるということで代わりに……」

 

「……機械人形とは言え、嫌なことは嫌といったほうがいいぞ。まぁ上司に逆らえないようにプログラムされているから仕方ないだろうが……まぁ行くならコスミナも連れていき、データを取っておいてくれ」

 

「了解しました。所でドロテア様。前回負傷したイゾウ様はどうなさっているのですか?」

 

「奴か。奴ならハイトが作った皇具の調整に入っておる。そのうち面白いことになるであろうな」

 

「上には報告は?」

 

「もう報告済みじゃ。では任せたぞ」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあやのオーディションの日、はな、ほまれ、ハリー、はぐたん、俺、クロメでさあやを見送りに来ていた。本当はチェルシーも呼んだんだけど、どうにもクロメと顔を合わせるのは嫌だとか……まぁ殺された相手だから仕方ないけど……

 

「ここからは一人で大丈夫」

 

「応援しとるで」

 

「さあや、これ、はぐたんとみんなで作ったの。プリキュア三人でお揃いのやつ」

 

はなはアクセサリーをさあやに渡し、自分たちのも見せるのであった。本当は俺達のも作ろうかという話だったけど、何というかこういうのは恥ずかしいのでやめた。

 

「ありがとう」

 

俺らはさあやを見送ったあと、オーディション会場からざわめきが聞こえてきた。どうやら蘭世がさあやにプレッシャーを与えるために余計なことを言ったみたいだ。

 

「あの子……わざとみんなに聞こえるように」

 

ほまれはそれを聞いて怒るが、クロメが止めに入った。

 

「プレッシャーをかけるというのは悪いことじゃない。戦略の一つだよ」

 

「そうだけど……」

 

「ふふふ、それだったらこっちは……」

 

はなはミライパットを使い、はなとほまれの二人がキャビンアテンダントの姿に変わった。

 

「な、何をするつもりや?」

 

「それはもちろん、さあやの緊張を解きに行ってくる」

 

「なるほどね。行こう。はな」

 

はなとほまれの二人がオーディション会場に入っていくのであった。何というか友達のためにここまでするなんてすごい奴らだな

 

「一人じゃないから」

 

「フレフレさあや」

 

二人がさあやに声を掛ける中、俺は審査員の中のひとりが笑っているのに気がついた。

 

「どうかしたの?」

 

「いや、あそこの審査員……何だか安堵しているような……」

 

気のせいかな?すると二人から元気をもらったのかさあやが演技を始めた。

 

「分からない。暗くて何も見えません。わたしはわたし、私の道は私が開く」

 

さあやはプレッシャーもなくなり、演技を終えるのであった。これも二人のおかげだな。

俺はとりあえず帰ろうとした瞬間、蘭世が倒れ込む姿を目撃した。蘭世の身体からトゲパワワが溢れているのが見えた。

 

「はな、ほまれ!?」

 

「これって……」

 

「クライアス社の……」

 

会場の外から大きな音が響いていた。もしかしなくてもやってきたっていうのか……

 

「さあや!!」

 

「う、うん、みんな……」

 

「オーディション参加者の皆さんは避難して下さい」

 

審査員の一人が避難誘導を始めていた。何だかどうにも動きが早すぎる。他の参加者や審査員が避難を終えるとその審査員の姿がチェルシーに変わった。

 

「ふぅ」

 

「チェルシー、お前……」

 

「さあやの事が心配でね。何とかサポートできないかって思って……まぁはなとほまれのおかげでなんとかなったみたいね」

 

いつの間に……というかお前が化けていた審査員は大丈夫なのか?そこが心配だけど、今はクライアス社をどうにかしないと

 

「クロメ。行くぞ」

 

「うん」

 

「あぁ、クロメ、ちょっといい?」

 

外に行こうとするとチェルシーがクロメを呼び止めた。チェルシーは笑顔でクロメに向かってあることを頼んだ。

 

「私は戦闘向きじゃないから一緒に戦えないけど、ミナト達のこと頼んだよ」

 

「……うん、任せて」

 

クロメも笑顔で答えるのであった。これはこれで関係はよくなったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に行くとオシマイダーとその足元にはこの間戦ったコスミナの姿があった。はなたちはプリキュアに変身し、俺は斧を装着すると空から円盤が現れた。

 

「現れましたね。プリキュア、帝具使い」

 

「誰だ?というかそれは何だ?あれも車とかそういうのか?」

 

「いや、違うから。UFOだよ」

 

「よく分からないんだけど……」

 

「ミナトくん、今は戦いに集中しよ」

 

キュアエールに注意されてしまった。だってこっちは本当に知らないことが多いんだから仕方ないだろ。

キュアエールはオシマイダーに向かっていくがあっさり攻撃が避けられ、思いっきり反撃を食らっていた。

 

「エール!?だったら……はぁ!!」

 

キュアエトワールが攻撃を繰り出すが、予想打にしなかった動きをされ、オシマイダーの反撃を食らっていた。

 

「プリキュアのデータは把握済み。キュアエールは直線的で読みやすい。キュアエトワールは身体能力は高いけど、思いがけない出来事に対しては非常にもろい。そしてキュアアンジュ」

 

オシマイダーが攻撃をキュアアンジュに繰り出そうとするが、キュアアンジュはハートフェザーで防ごうとする。

だがハートフェザーの障壁をオシマイダーが簡単に打ち砕いていた。

 

「戦闘能力は最も低く、得意のバリアーも私のオシマイダーで破壊可能。そして帝具使い、ミナト、クロメの二人の行動は……」

 

俺とクロメはオシマイダーを操っているUFOにのった少女に向かって攻撃を繰り出そうとするが、寸前の所でコスミナが目の前に現れ、鋭い攻撃で吹き飛ばされた。

 

「私たちを直ぐ様攻撃する行為が見られますが、防ぐだけで十分です。あなた達だけではオシマイダーを倒すことはできません」

 

「あははは、ドロテアに調整してもらって、一部分だけこんな風に変化できるようになったんだよ」

 

コスミナの両手は虫が持つ大きな鎌に変わっていた。あれはタツミに聞いてたコスミナの危険種姿の一部っていうのか?こんな事ができるようになるとはな……

 

「クロメ、どうする?」

 

「両腕を斬り裂くことができれば、何とか……隙作れる?」

 

「一瞬だけで十分か?」

 

「十分」

 

「それだったらレガオン!!両腕装着!!」

 

俺の呼びかけに応えるようにレガオンが両腕に装着し、真っ赤な篭手に変わり、コスミナに向かって連打を繰り出した。

 

「おっととと、殴るだけじゃ逆に切り裂いちゃうよ~」

 

「クロメ!!」

 

「はぁ!!」

 

コスミナが俺の方に気を取られ、横から迫ってきたクロメに気が付かなかった。クロメは思いっきり八房を振り落とし、コスミナの両腕を切り裂いた。

 

「ぎゃあああああああ!?」

 

「コスミナ様……」

 

「そこの女!?データとか何とか言ってるけど、人間の凄さっていうのを知ったほうがいいぞ」

 

俺がそう告げた瞬間、キュアアンジュから青白い光が眩く照らしていた。

 

「私は諦めない!何故ならミナトくん達……はなとはまれを守りたい気持ちは誰にも負けないから!!フレフレ・ハートフェザー!!」

 

ハートフェザーの障壁がオシマイダーに向かっていき、オシマイダーを吹き飛ばした。俺は吹き飛んできたオシマイダーを思いっきり殴り、地面に叩きつけた。

 

「今だ!!キュアエール!!」

 

「フレフレ・ハート・フォー・ユー!」

 

キュアエールの攻撃で、オシマイダーが浄化され、両腕を切り裂かれたコスミナは気絶し、UFOの中に吸い込まれるのであった。

 

「プリキュア、帝具使い………もう少しデータ改善する必要がありますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事、戦いも終わり、オーディションの結果はさあやは落ちてしまったけど、満足そうにしていた。

 

「オーディションを受けてよかった。女優になりたいかはまだ分からないけど、自分の心をきちんと見つめて頑張ろうって思えたから」

 

さあやは前に勧めたのだな。それにこの二人も

 

「ふふふ、クロメちゃんってお姉ちゃんに似て、綺麗な髪だね~」

 

「そ、そう?」

 

「もしアカメがこっちに来た時のために、うんとおしゃれして驚かせちゃおう」

 

「う、うん」

 

クロメとチェルシーも前に進めたんだな。まぁウェイブはクロメを取られてちょっと悔しそうにしてるけど……

 

「ほまれ……」

 

ふっと気がつくと見知らぬイケメンが現れ、ほまれに近づき……

 

「やっと会えた」

 

抱きついていた。

 

 

 

 



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第18話 ほまれ脱退?

突如現れた少年がほまれに抱きついていた。それに驚くはなとさあや。するとほまれは無表情で少年を言った。

 

「アンリ、やめて」

 

「つれないな~僕と君との間じゃないか」

 

「何しに来たの?」

 

「君を迎えに来たんだよ。ほまれ、一緒に僕とモスクワに行こう」

 

何だか勝手に話進めてきたぞ。このイケメン……

 

 

とりあえず謎の少年、アンリをハリーハウスに招き入れるとさあやがアンリが誰なのか調べていた。

 

「若宮アンリくん。中学3年生、すごいフィギュアスケートで出場した大会全部一位だ」

 

「スケート界の新星。未来を約束された王子様ってとこやな」

 

「なぁ、タツミ、なんだろうな?俺、イケメン見ると無性に殴りたくなってくるんだけど」

 

「ウェイブ、偏見だからな」

 

「いや、俺から見たらウェイブもイケメンじゃないか?」

 

「うん、ミナトの言うとおり、ウェイブはイケメンだよ」

 

「あ、ありがとうな。クロメ」

 

ウェイブとクロメがいちゃつき始める中、試着室からアンリが出てきた。だけどアンリが着ている服、どうみても女性ものだけど……

 

「ちょ、それ、レディースやで」

 

「似合っていれば問題ないだろ」

 

「うん、凄く似合ってるよ。まるで女神様みたい」

 

「フフ、よく言われるよ」

 

あれ?なんだろう?この苛立ち……俺もイケメン嫌い病になったのか?だけどハリーは……

 

「あぁネズミだからか」

 

「ミナト、いきなり何言ってのや」

 

「君たち、どういう集まりか知らないけど、ほまれをここに縛るのはやめてくれないか?」

 

「しばる?私達がほまれを……」

 

「君たちとほまれは住む世界が違うって分かってる?本格的にスケートを始める大事な時期はもうすぐだ。ほまれ、よく考えて」

 

アンリはそう言って、去っていった。というかあいつ、自分の服置いていったぞ

 

「ハリー、この服、処分しとくか?」

 

「ミナト……お前どうしたんや?」

 

「俺にもよくわからん」

 

やっぱりイケメン嫌い病にでもかかったのか?やれやれ、どうすれば治るんだこの病気は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、何となくはなの様子が気になり、部屋を尋ねると何だか元気がなかった。

 

「どうしたんだ?」

 

「ミナトくん、私ね、ほまれとお別れしたくないなって……」

 

「せっかく友だちになれたのにか?」

 

「うん……」

 

はなの気持ちは分かる。仲良くなったのに離ればなれになるのは嫌だもんな。だけど……

 

「はな、今は別れたくないっていうのはしょうがない。だけどいつかお別れすることになった時、どうするんだ?」

 

「えっ?」

 

「俺は大切な仲間と別れることになったりしたさ。それももう二度と会えないくらいにな。その度に辛くなったよ。だからはな、覚悟はしといたほうがいい。ほまれの答えを聞く覚悟を……」

 

「覚悟……」

 

「それじゃおやすみ」

 

俺はそう言って部屋を後にするのであった。

 

「覚悟か……どんなに覚悟しても結局別れる時は辛いもんな。あのアカメだって……」

 

あいつは自分の気持を隠すのが本当に得意だった。今、あいつはどうしてるんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事があってからの数日後、はなたちと一緒におでかけに来ていた。はなたちとハリー、はぐたん、俺の他にはサヨとウェイブも一緒に来ていた。

各々が公園で楽しむ中、俺、ウェイブ、サヨ、ほまれの四人で散歩をしていた。

 

「それでほまれ、どうするんだ?」

 

「どうするって?」

 

「あのイケメン野郎の言うとおりにモスクワに行くのかってことじゃないのか?」

 

ウェイブに言われてしまった。あくまで決めるのはほまれだから俺らがどうこう言うつもりはない。だたどうするのかが気になっていた。

 

「私は……」

 

「ほまれ」

 

振り向くと後ろにアンリがいた。どうやら答えを聞きにでも来たのか?

 

「何だ。隠れてるのに飽きたのか?」

 

「気がついていたのかい?」

 

「割と気配でバレバレだった。まぁ殺気を感じなかったから放っておいたけどな」

 

俺も、ウェイブも、サヨも気配については気にしないように決め、ほうっておくようにしていた。

 

「君たちは一体何者なんだ?いや、聞かないほうがいいか……」

 

アンリは何かを悟り、それ以上は何も聞くつもりはなかった。

 

「僕はほまれがスケートを辞めたのが凄くショックだった。だけど君はもう一度スケートを始めてくれた。そのきっかけをくれたのは彼女たちだろ。だけどほまれと同じ世界を見られるのは僕しかいない。彼女たちでは無理だ。赤ん坊の世話をしたり、お店やさんのマネをしたり、今の僕たちに必要なことかい?友達と遊ぶのは引退してからだって出来る」

 

アンリはほまれに手を差し伸べた。考え方には同調できないけど、これもアンリなりにほまれを気遣った上での言葉なんだろうな。

 

「私は……」

 

「そ、そんな!?」

 

ほまれの後ろから声が聞こえ、振り向くとそこにははなともぐもぐがいた。話を聞くのに夢中になっていて気が付かなかったな……

 

 

 

 



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第19話 背負っていくもの

俺たちの話を聞いてしまったはな。そんなはなをアンリは笑顔であることを言った。

 

「立ち聞き?いい趣味してるね」

 

お前が言うなって言わない方が良いな

 

「影で様子見ていたお前が言うな」

 

ウェイブ……言ってやるなよ。

 

「君には関係ない話だよ」

 

「でもほまれ、困ってる顔してるから……」

 

「じゃあ、君、ほまれのために何が出来るの?」

 

ほまれのために出来ること……はなはその問に笑顔で答えた。

 

「私、夢応援するよ。フレフレ、ほまれ!頑張れ、オッー!」

 

「止めるんだ」

 

はなの応援を止めるアンリ。アンリはにらみつけるようにはなを見た。

 

「ごめん、君って無責任だよね。頑張れって言われなくってもほまれは頑張るよ。応援なんて誰にも出来る。その無責任な頑張れが彼女の重荷になってるんだよ」

 

「あんたね!!」

 

アンリの言葉を聞き、サヨは怒り出し、文句を言おうとするが俺はそれを止めた。

 

「さぁ、行こう。ほまれ」

 

アンリはほまれに手を差し伸べ、ほまれはその手をとるが、はなの手も握っていた

 

「ごめん、私、アンリとは一緒に行けない。見てほしいものがあるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちはほまれに連れられ、スケート場に来ていた。ほまれがアンリに見せたいものって一体何なんだろう?

 

「私、頑張れって言われるたびに凄く辛かった。そんな資格が無いって、心がギュッとなって……」

 

「分かるよ。そんなほまれを救えるのは僕だけだ」

 

「だけど私に新しい世界を見せてくれたのは、はなとさあや。それにミナトたちなの」

 

ほまれの言葉を聞いて、嬉しそうにするはなとさあや。俺らだって言われたけど、俺らは特に特別なことはした覚えがないんだけど

 

「はな、フレフレして」

 

「ほまれ……うん!!フレフレ、ほまれ、頑張れ頑張れオッー!」

 

はなの応援を聞いて、ほまれは満足そうにしていた。

 

「私はもう一度みんなの頑張れを背負っていく!!」

 

ほまれが演技を始めた。ほまれの姿はただただ美しく、さあやみたいな天使の羽が見えた。

アンリもそんなほまれの姿にも惚れていた。

 

「なぁ、アンリ」

 

「……なんだい?」

 

「お前ははなの無責任な頑張れが重荷になってるって言うけど、ほまれにとっては重荷になんかなってないよ……お前は頑張れって言われて重荷に感じたことあるのか?」

 

「そんなわけ……」

 

「俺がいた場所では、頑張れとか言われたらそれは応援じゃなく、ただの哀れみだった。だけどこっちに来てはなの応援を聞いて、嬉しく思えるんだよ。哀れみじゃなく背中を押してくれるような感じがしてな」

 

「君は……」

 

ほまれが演技を終えるのと同時に窓の外からオシマイダーの姿が見え、俺達は直ぐ様外へと駆け出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「渋滞なんて人生でもっとも無駄な時間よね」

 

「おいおい、おばさん。来たみたいだぜ」

 

「誰がおばさんよ!?」

 

俺たちは駆けつけるとビルの上にパップルとエンシンの姿があった。

 

「何だ。久しぶりじゃないか。どうしたんだ?ハイトのやつに気持ち悪いって言われて閉じ込められたのか?だったら整形してやろうか?顔面を殴って」

 

「てめぇ!!」

 

エンシンが剣で斬りかかってくるが、それをグランシャリオを装着したウェイブが受け止めた。

 

「おらっ!!」

 

「てめぇは……イェーガーズの!!」

 

「ミナト、こいつは俺とサヨがなんとかする!!」

 

「頼んだぞ。ウェイブ、サヨ」

 

「あぁ」

 

「任されたよ」

 

エンシンを二人に任せ、俺はキュアエールたちと一緒にオシマイダーと戦おうとした瞬間、地面から水の龍が現れ、俺に向かってきた。

俺は咄嗟に避けるとオシマイダーの近くに三獣士のリヴァがいた。

 

「レガオンのミナトだな」

 

「邪魔する気か……研究部門と手を結んだって言うことでいいのかな?」

 

「手を結ぶか……笑えない冗談だ!!」

 

リヴァの周りの地面から水の柱が吹き出し、俺に向かって攻撃を仕掛けてきた。避け続けるが、水の柱は鋭く地面をえぐり続けてきた。

 

「前に本で見たことがあるけど、ウォーターカッターみたいなもんか」

 

「コチラ側だと中々面白いことが書かれているものがあるからな!!」

 

水の刃をレガオンで弾いていくが、水だから壊すことができない。凍らせれれば楽なんだけど……

 

「ミナト!!」

 

キュアエトワールに呼ばれ、振り向くと何か合図をしていた。何となくだけど、これであってるかな?

俺はレガオンを足に装着し、水の刃から逃げる。だけど逃げた方向はオシマイダーがいる場所に……

 

「おらよ!!」

 

オシマイダーとぶつかる寸前で、俺はオシマイダーの頭上を飛び越えた瞬間、水の刃がオシマイダーに突き刺さった。

 

「ほう」

 

「ちょっと、何やってくれてんのよ!?遊んでるんじゃないわよ。私に無駄な時間は許さないのよ」

 

「無駄な時間なんかない!!仲間と過ごす時間がとても愛おしい!!」

 

キュアエトワールからまばゆい光があふれると共に、キュアアンジュのハートフェザーとキュアエトワールのハートスターでオシマイダーを吹き飛ばした。

 

「エール!!今だよ!!」

 

「フレフレ・ハート・フォー・ユー」

 

キュアエールの必殺技でオシマイダーが浄化された。それにしてもさっきの光、ほまれの心の成長に合わせたみたいだったけど……

 

「グランフォール!!」

 

「ぐああああああ!!」

 

エンシンをウェイブの必殺技で吹き飛ばしていた。流石にウェイブも強くなってきたな。

 

「これでお終いだな。ワイルドハント」

 

「ふふふ、お終いか……面白いこと言うじゃねぇか」

 

「見て、ウェイブ!?」

 

「こいつ!?」

 

ケリを喰らった箇所が見る見る内に再生していく。こいつ、コスミナみたいに危険種に改造されてるのか?

 

「こいつはいいな。それに……」

 

エンシンは持っていた帝具を地面に落とし、踏み砕いた。

 

「帝具はもういい。次は皇具の力を見せてやるよ」

 

エンシンはそう言いながら、姿を消すのであった。それにパップルもリヴァの姿もなかった。

 

「皇具の力……か……」

 

戦いも終わり、アンリもほまれの行道を認めていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンリSIDE

 

ほまれがプリキュア。それにあの彼らは……

 

「中々大変な事情を抱えてるんだね。ほまれは……」

 

一人でそう呟いた瞬間、目の前にまばゆい光が落ちてきた。光が消えるとそこには黒髪の少女と背の高い男が倒れていた

 

「君たちは……」

 



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第20話 みんなでハイキング

今日ははなたちと一緒にのびのびヶ原にハイキングに来ていた。俺の他にナイトイェーガーズのメンバーで着いてきたのは休みがあったセリューだけだった。

 

「ハイキングか。こういうのも悪くないな」

 

「そうね。たまに思い出すわ。ここは平和な世界だって」

 

「あんたらたまに思うけど、もうちょっと平和を実感したら?」

 

ほまれに突っ込まれるけど、だって平和な日常とか本当になかったから仕方ないだろ。

 

「ハイキングだぁ~!出発~!」

 

はなが楽しそうに走ろうとしたときだった。

 

「スト―――ップなのです」

 

突然呼び止められた。俺たちは声が聞こえたほうを見るとそこには一人の女の子がいた。

女の子ははなの近くにあった小石をひろうと

 

「ふぅ、あと一歩で石につまずいで、転んで坂を転げ落ち、泥まみれになったところだったのです」

 

「えぇ、いや、そんな……」

 

「そんなとはなんですか!!ハイキングはとても危険なんです。ハイキングに行きます。お弁当を食べます。そしたらデザートのみかんが転がって、追いかけている内に迷子になって、二度と帰れなくなる。そんな未来が待っている……なのです」

 

あれ?何でだろう?さっきの話を聞いて、頭の中にはなが迷子になっているイメージが浮かんだんだけど……

 

「まぁこの子みたいな大げさじゃないけど、うっかり転んではぐたんに怪我したら可愛そうだもんな」

 

「あ、そっか」

 

「それに俺の知ってる山はかなり注意力が必要だったから、気をつけて進むべきだと思うぞ」

 

フェイクマウンテンでの特訓はかなり苦労したからな。周辺に注意を払わないと擬態した危険種が襲ってくるし

 

「そこのお兄さんの言うとおりです。いろいろと注意をしたほうが……あの、なんですか?」

 

はなは女の子をじっと見つめていた。するとたちまち笑顔になり

 

「お人形さんみたい~かわゆいの~」

 

「えみるちゃ~ん」

 

「ん?ことり?」

 

「あれ?お姉ちゃんに、ミナトお兄ちゃん。来てたんだ」

 

「ことり、この子と知り合い?」

 

「うん、同じクラスの……」

 

「6年1組、愛崎えみるです」

 

ことりの友達ということはやっぱり同じ年だよな。まだ小さいのに注意力があってすごい子だな

 

「クラスでハイキング行くことになったんだけど、えみるちゃん、集合場所あっちだよ」

 

「本当に行くのですか?ハイキングはとっても危険なのに……」

 

「えみるちゃんは行きたくないの?」

 

「その割には大きいリュックだけど……」

 

「これは危険に備えてるんです」

 

えみるはリュックの中を広げてみせた。緊急用のパラシュートやら何やら結構備えていた。

 

「確かに必要なものばかりね」

 

「あぁ」

 

「あんたらの価値観で言わないでほしんだけど」

 

「せやな……行きたないんやか楽しみなんかどっちなんや?」

 

ここで価値観の違いが出てしまった。いや、セリューは同意してくれたからな。

 

「絶対楽しいと思うんだけどな……」

 

「あなた、信用ならないのです」

 

「私!?」

 

「発言に根拠ない人は信用できません」

 

発言に根拠がないって、いや、まぁ確かにそうかもしれないけど……子供の言うことにいちいち気にしない方が良いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だかんだでことりたちとも一緒に行くことになった。歩いていくと途中石橋の近くまでやってきた。

 

「この石橋を渡るみたい」

 

さあやが地図を見ながらそう言い、みんが石橋を渡ろうとした瞬間、えみるがそれを止めた。

 

「ストップなのです」

 

「今度は何?」

 

「みんなで渡ったら、重さに耐えきれず崩れ落ちてしまうのです」

 

「えっ?」

 

「いやいや、そんなわけ……」

 

「きちんと渡れるか確かめる必要が……」

 

えみるがトンカチを取り出し、確かめようとしていたが、俺は橋の近くに倒れていた看板を見つけた。

 

「えみる、ちょっと待った」

 

「何ですか?」

 

「看板が倒れてた。確認する必要はない」

 

俺は倒れていた看板を起こしながら、えみるに見せた。だけどえみるは何故か納得してなかった。

 

「確かに看板に渡るな危険と書かれていますが、ちゃんと危険かどうか確認しないと、もしかしたら修理したのに、看板を取り外し忘れたとか……」

 

「どんだけ心配性なのよ……」

 

「ここまで来ると気にしすぎですね」

 

ほまれとセリューの二人が呆れる中、俺はえみるの頭を撫でた。

 

「もし危険かどうか確認して、えみるが怪我したら大変だろ」

 

「そ、それは……」

 

「えみるちゃん、こういう時はちゃんとした場所に確認しましょう」

 

さあやは電話でこののびのびヶ原の管理人に確認を始めるのであった。確認が終わるとどうやら渡らないほうがいいとのことだった。

俺とセリューはえみるが持っていたロープを使い、うかつに渡れないように処置をするのであった。

 

「これでどうだ?」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ミナトお兄ちゃん、かっこいいよ」

 

とりあえずえみるも納得してくれたみたいだし、これで先に進めるな

 

「何というか、ミナト」

 

「何だよ。ほまれ」

 

「あんた、小さい子に人気あるけど、この世界で手を出したら捕まるからね」

 

「人を小さい子にしか欲情しない変態ピエロと同じにしないでくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 



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第21話 心配性の女の子

何だかんだで花畑までたどり着いた俺たち、するとことりとえみるの友達二人がある花を見ていた。

 

「この花、可愛いね」

 

そう言いながら、女の子二人が花に触れようとした瞬間、えみるがそれを止めに入った。

 

「お花に触っちゃ駄目なのです」

 

「可愛いのに何で?」

 

「そ、それは……」

 

「行こう」

 

注意をして、何だか落ち込むえみる。何で触っちゃ駄目なのか気になっていると、はぐたんが同じ花に触れようとしていたが、さあやがそれを止めた。

 

「この花、アザミね。アザミの花は棘があるから危ないの」

 

「そっか、えみるが友達のことよく見てるのって」

 

「危険な目に合わせたくないからか……」

 

何だかんだで優しい子だよな。えみるって……

しばらく歩いていくとはなたちはある男の子に話しかけた。

 

「あ、ひなせくん」

 

「うん?野乃さん、来てたんだ」

 

「ひなせくんもハイキングに来てたんだ」

 

「うん、こういう開けた所で演奏するの気持ちいいからね。さっきも男の子と一緒にディエットしたし」

 

「男の子と?」

 

「うん、笛を持った子とね。何だか人を探してるって言って」

 

笛を持った子って……いやいや、まさかな。戦いの日々が続いたせいですぐに連想してしまうのは悪い癖だよな。

 

とりあえず自由行動ということで、俺は散歩しに行くのであった。

 

 

 

 

しばらく散歩をしていると、どこからか赤ん坊の声が聞こえてきた。

 

「ん?この声、はぐたん?」

 

声が聞こえた所まで行くと、大きな穴の中から聞こえてきた。俺はとりあえず降りてみるとそこにははなとえみるとはぐたんがいた。

 

「ミナトくん!?」

 

「こんな所で何やってるんだ?遊び場にしてはロープとかハシゴとかないし」

 

「どうして、普通に降りてくるんですか!?普通は覗き込むとか……」

 

えみるの言葉を聞いて、何となく理解した。どうやら二人して穴に落ちてしまい、出れなくなっていたのか。

 

「しょうがない。ちょっとロープか何か探してくるよ。もしかしたらさあやとほまれ、セリューあたりが探してるだろうし」

 

「そんなの無理です。探してくるってここから出れないんですよ」

 

「いやいや、これくらい、よっと!!」

 

俺はジャンプし、壁に足をかけた瞬間、さらにジャンプをした。それを繰り返し、穴から脱出した。

 

「すごい~ミナトくん」

 

「に、人間離れしてます……お兄さんは何者なんですか?」

 

「ん~影で人々を守るヒーローかな?」

 

「ヒーロー……」

 

「それじゃ、何か探してくるな。大人しく待ってろ」

 

「うん」

 

ロープかなにかを探しに行くが、そう都合よく見つからないし、ここはさあやたちと合流したほうがいいかな。

そう思いながら、探していると直ぐ様さあやたちと合流した。

 

「ミナトさん、はなたちどこに行ったか知りませんか?」

 

「そこの穴に落ちてたぞ」

 

「あんた、それだったら……」

 

「悪いけど、ロープ的なもの持ってなかったからな。誰か持ってないか?」

 

「ミナトお兄ちゃん、ロープはさっき……」

 

「石橋の所で使っちゃったでしょ」

 

あぁ、そういえば……だとすればどうすれば……とりあえずさあや達にはな達がいる場所まで連れて行くのであった。

 

 

 

 

 

はなたちの所まで連れて行くと、何故かはなとえみるの二人は穴から出てきていた。

 

「二人とも、どうやって出たんだ?」

 

「天使だよ」

 

「「天使?」」

 

俺とほまれの二人はさあやの方を見るが、さあやは顔を真赤にさせながら、首を横に振った。

 

「ミナトくんと別れてすぐに男の人が来てね。目閉じてって言われて気がついたら穴から出てたの」

 

「それにこれ……」

 

えみるはその男がおとした白い羽を見せた。なるほどな。それで天使か……

 

「………ミナト、この羽根」

 

「まさかな……」

 

あいつがいるわけ無いと思うけど、きっと俺たちの思い過ごしだろうな

 

「とりあえず無事で良かったな。さてみんなも心配してるだろうし……」

 

ことりたちの所に戻ろうとした瞬間、地響きが聞こえ、振り向くと巨大な化け物の姿があった。

 

「あれって、」

 

「オシマイダーや」

 

「はなたちは、急いで向かってくれ。俺はえみるを安全な所に連れて行く」

 

「わかった。行こう、二人とも」

 

「え?え?」

 

「えみる、行くぞ」

 

俺はえみるをどこか安全な所に連れて行こうとした瞬間、森の中から何かが現れた。それはピエロの姿をした……

 

「ババアの付き合いで来てみたら、めっちゃかわいいんですけ………ぶへぇ!?」

 

俺は思いっきりそれを蹴り飛ばした。えみるはものすごく動揺していたけど……

 

「え?え?今のって……」

 

「………新種の熊だ」

 

「言葉を……」

 

「ぶへぇって鳴いてただろう。新種の超キモピエロ熊だ。人間の幼い子を見ると直ぐ様襲いかかりに来るんだ。退治しておくからどこか隠れてろ」

 

「は、はい」

 

えみるを物陰に身を潜めさせると、蹴り飛ばした男の方を向いた。

 

「てめぇ、俺の楽しい時間を……」

 

「うるせぇよ。ロリショタコン野郎。お前みたいなゲス野郎は外出するなって文句言ってやる」

 

「この野郎がぁぁぁ!!!快投乱麻ダイリーガー!!嵐の玉!!」

 

ものすごいスピードで玉が投げつけてきた。俺はレガオンで防ごうとするが、玉に触れた瞬間、竜巻が起き、思いっきり上に巻き上げられた。

 

「くっ!?」

 

「上じゃ避けきれないよな!!爆の玉!!」

 

また玉を投げつけてきた。まずい、空中じゃ避けきれない。目を閉じ、ものすごい爆発音が響いた。

 

「はははははははは、弱っちいな。さて、可愛い天使はどこに……」

 

「やらせるか!!」

 

「なっ!?」

 

俺は大剣でチャンプを思いっきり叩き、更に足に装着させオシマイダーがいる方まで蹴り飛ばした。

 

「ふぅ」

 

「お兄さん!!」

 

えみるが心配そうにこっちに駆け寄ってきた。何だ、まだ隠れていてほしかったんだけどな

 

「だってすごい音がして……あちこち焼け焦げてますよ」

 

「いや、別に怪我は……」

 

あの時爆発に巻き込まれそうだったのに、気がついたら地面に落ちていた。何で無事なのか考えていると白い羽が落ちているのが見えた。

 

「助けられたっていうのかな?」

 

「誰にですか?」

 

「さぁな。えみるは怪我は?」

 

「大丈夫です。はぐたんも必死に守りました」

 

「そっか、えみるはヒーローだな。隠れてみんなから色んなことから守ったんだろう。前にことりから聞いたぞ。何だか必死になっている子がいるって」

 

「そ、それははな先輩にも言われました」

 

先輩か……はなのことを認めたって言うことでいいんだよな。

 

「俺ははなたちのところに行くから、えみるはまだ隠れてろ」

 

「は、はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなたちのところへ行く途中、チャンプが倒れていたので、思いっきり蹴り飛ばしながら向かうと、オシマイダーが攻撃を仕掛けようとしていた。俺はチャンプを思いっきり蹴り飛ばすとオシマイダーの頭にあった皿に当たった

 

「ミナトくん!?」

 

「ナイスです」

 

「どういうことだ?」

 

「ミナト、あのオシマイダー、頭のお皿が弱点みたい」

 

ということはナイスタイミングだったということか

 

「というか蹴り飛ばしながらきたの?」

 

「キュアエトワール、それの何が悪いんだ?」

 

「いや、あんたにはもう突っ込まないほうが良いわね。エール、とどめ」

 

「うん」

 

キュアエールが必殺技でオシマイダーを倒し、俺は気絶して動けないチャンプを掴み、

 

「おい、おばさん」

 

「だから誰がおばさんよ!?」

 

「ハイトとかに伝えておけ、危険物はしまっておけってな!!」

 

思いっきり蹴ると、パップルはチャンプに押しつぶされるのであった。

 

「うぐっ、お、覚えておきなさい!?」

 

逃げたということはこれで終わりだよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ」

 

「こんな所にいた」

 

「おや、貴方は?」

 

「僕は三獣士ミャウ。ドクタースタイリッシュの情報通り、ここに飛ばされてきたみたいだね」

 

「どうやら事情を知っているみたいですね。それで連れて行くんですか?ですが私はあいつらと一緒に戦うことはできません」

 

「知ってるよ。隊長から聞いてる。だけど安心して、私達も一緒に戦うって言うよりかは邪魔しているようなもんだし」

 

「ほう、それは興味深いですね」

 

「どう?来る気になった?」

 

「えぇ」

 

 

 

 

 

 

ハイキングから数日後、自分の部屋で本を読んでいると扉からノックが聞こえた。

 

「どうぞ」

 

きっとはなだろうと思うと部屋に入ってきたのはことりだった。

 

「どうかしたのか?」

 

「えっと、ミナトお兄ちゃん。ちょっとお願いがあるんだけど……」

 

「お願い?」

 

「実は……えみるちゃんとデートして」

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、オリバナになります。



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第22話 ヒーローの違い

ハリーのお店で俺はあることに悩んでいた。それをどうにか回避するためにはやっぱり……

 

「ほまれ、さあや、頼み事があるんだ」

 

「どうかしたの?」

 

「ミナトさんが頼み事って珍しいですね」

 

「実は言うと……」

 

「ミナトくん、もしかしてえみるちゃんと出かける話?」

 

はながそう告げた瞬間、ほまれが冷たい目をしていた。

 

「あんた、言ったよね。手を出したら犯罪だって」

 

「ほまれ、俺は別に小さい子に欲情するつもりはないからな」

 

「はな、何があったの?」

 

「えっとね、ことりの話だと、えみるが何だかミナトにヒーローの何たるかを教えてほしいからって、一緒にどこか出かけようって」

 

まさかこんなことになるなんて思ってみなかった。どうすればいいんだ

 

「別に気にしなくていいんじゃないの?ミナトの場合独り身なんだからこれをきっかけにね」

 

遊びに来ていたチェルシーがニヤニヤしながらそう言ってきた。こいつ、俺をどうにもロリコンにしたいのか?

 

「あのな……」

 

「タツミやウェイブなんて奥さんや恋人いるんだから、ミナトもそろそろ作ったら良いんじゃないの?」

 

「俺は別に……そういうのは……」

 

恋愛やら何やら全くわからない。いや、誰かと付き合いたいって言う気持ちはあるけど、いざ付き合ってどうすれば良いのかがわからない。

 

「まぁまぁ、えみるにヒーローについて教えるくらいだから別に気にしなくていいんじゃないの?」

 

「それは……そうだな。気にしない方が良いな」

 

まぁ問題はそのヒーローということについてどう教えれば良いのやら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だかんだで問題の日、近くの公園で待っているとえみるがやってきた。

 

「すみません。遅くなりました」

 

「いや、大丈夫だよ。それでことりから聞いたんだけどヒーローについてだっけ?何で俺なんだ?」

 

「そ、それは……ミナトお兄さんがプリキュアと同じヒーローに見えて……どうすればあんなふうになれるのか気になって……」

 

プリキュアと一緒か……えみるは何か勘違いしてるな。

 

「えみる、俺はヒーローだと思われてるようだけど、お前が思っているヒーローとはぜんぜん違うぞ」

 

「えっ?」

 

俺は近くのベンチに座り、えみるを見つめた。

 

「お前がいうヒーローは助ける人々を助けるようなヤツのことを言うんだろ」

 

「は、はい」

 

「そのヒーローは誰も助けたいっていう気持ちが強いんだ。それがどんな相手でも……でも俺は違う」

 

「で、でも、ミナトお兄さんは私を助けてくれました」

 

「俺の場合は影で人々を守る。どんな手を使っても、手段を選ばず……汚いことに手を染めたヒーローなんだ」

 

帝国に巣食う悪を俺は殺してきた。どんなに周りに善人面をしていようが関係なくだ。

 

「お前がヒーローに憧れるのはいいけど、対象を間違えるな。お前が憧れるべき対象は……」

 

「あ、あの、ミナトお兄さん。何を言ってるかよくわからないんですが、お兄さんはヒーローじゃないですか」

 

「お前がそう思うならそうだろうけど……」

 

「それってつまりダークヒーロー的なものですよね。それだったらヒーローに変わりません」

 

ダークヒーローって何だよ?こいつはどんだけ俺にヒーローとしてのあこがれを感じてるんだよ。

何だかこれ以上は何言っても無駄みたいだな。

 

「えみる、俺みたいなヒーローじゃなくって、プリキュアみたいなヒーローを目指せ。お前はそっちのほうが似合ってるぞ」

 

「は、はい」

 

えみるは笑顔で頷くのであった。それにしてもヒーローか……タツミが最初にナイトレイドに入った時に似たようなことを言ってたな。

 

「……終わったの?」

 

気がつくとはな、さあや、ほまれが来ていた。こいつら気になって来ていたのか?

 

「あぁ、一応はな」

 

「えみるちゃん、何だか嬉しそうだったけど、ちゃんと教えられたの?ヒーローについて」

 

「まぁそれなりにな。というか影で聞いてたんじゃないのか?」

 

「私らはさっき来たばっかりだから……」

 

「そっか……」

 

俺は立ち上がり、三人に向かってあることを告げた。

 

「三人はプリキュアってヒーローだよな。だから……俺たちナイトレイド組みたいなヒーローにはなるな」

 

「えっと……どういうこと?ミナトくん」

 

「お前たちはちゃんとみんなを守ってやれってことだよ」

 

俺はそう言って、立ち去るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞いてたよ~ヒーローについて語ってたんだよね」

 

帰り道、チェルシーが電柱の影から姿を表し、そんな事を言っていた。

 

「聞いてたのか」

 

「……ほまれたち、プリキュアと私達ナイトイェーガーズは違うからね」

 

「あぁ、三人には俺達と同じ道は進んでほしくないな」

 

この世界の住人には辛い役目になってしまうからな。それに……

 

「俺も昔はどんな人でも助けたいって思っていたことがあるんだ」

 

「ふ~ん、でも今は……」

 

「この道に進んだ以上はそれを貫き通すつもりだよ。今もこれからもな」

 

 

 

 




次回はプリキュア10話の話になります。


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第23話 何が出来るか

「ここやな」

 

「すごい人だな」

 

「フードフェスってやつだっけか?」

 

俺、ハリー、はぐたん、ウェイブの四人ではぐくみフードフェスティバルに来ていた。まぁただ食べ歩きに来たということより、今回はなたちがお手伝いをしているということでその様子を見に来ていた。

 

はなたちがどこにいるか探していると、ウェイトレス姿のさあやとほまれを見つけた。

 

「は~ぎゅ~」

 

「「はぐたん!」」

 

「お~い、イケメン店長もおるで~」

 

「な~んだネズミも来てたの。それにミナトにウェイブも」

 

「俺達ははぐたんのついでか?」

 

「ウェイブ、気にするなよ。頑張ってるみたいだけど、はなは?」

 

何故かはなの姿が見当たらなかった。一体どこにいるんだ?

 

「ほら、あそこだよ」

 

ほまれが指を指した方向を見ると、そこには法被姿のはながいた。何ではなだけ?

 

「どうしたんだ?その格好?」

 

「ミライパットで変身したら、この格好で……それで自動的にたこ焼き屋担当にされちゃって……」

 

「たこ焼き屋ってあれか?俺食うたことあるで、たこ焼き一筋50年のおっちゃんがやってるんや」

 

「おぉ、前にハリーが買ってきた奴か。確かに美味しかったな」

 

「お前ら、意外とこの世界に馴染んできてるな。それにしても何ではなだけなんだろうな?」

 

「そりゃ、ミライパットはんの考えがあるんかもしれへんな」

 

ミライパットの考えって、何かしら意思があるようには見えないけど、まぁ不思議な力を扱える時点で、意志とか関係ないのだろうな。

 

それからはなたちは仕事を頑張るが、はなだけ失敗ばかりだった。

 

「はなのやつ……」

 

「失敗してるみたいだけど、大丈夫か?」

 

「仕方ない。励ましてくるか」

 

俺はウェイブと別れ、はながいる場所に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなは裏の方で落ち込んでいるのを見つけた。

 

「どうしたんだ?はな」

 

「ミナトくん……」

 

「いた。はな」

 

「ミナトさんもはなを?」

 

どうやらほまれとさあやもはなの事が心配で来てくれたみたいだ。

 

「私、何にもできない。2人みたいにできない」

 

「何言ってるの!人と自分を比べたってしょうがないじゃん」

 

ほまれの言うとおりだ。今のはなは自分でやるべきことを見失っている。こういう時は全部を教えるよりかは……

 

「はな、ちゃんと自分を見つめ直せ。そしたら分かるはずだから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社研究室

 

「さて、完成だ」

 

ハイトが一本の刀をイゾウに渡した。イゾウは笑みを浮かべていた。

 

「これが皇具……」

 

「皇具『鬼陣ヘイトレッド』だ」

 

禍々しい刃を見つめていた。

 

「よく聞いておけ。それを抜いた瞬間お前がするべきことは……」

 

イゾウはヘイトレッドの使い方を知り、どこかへ消えていくのであった。残ったハイトの所にドロテアがやってきた。

 

「イゾウに渡したもの。かなり危険なものじゃなかったか?」

 

「奴自身に確かめたさ。どうするかと。奴はただ頷いた。それが答えだ」

 

「まぁイゾウとヘイトレッドが組み合わせれば、ナイトイェーガーズも終わりだな。とはいえ妾はドクタースタイリッシュの動きが気になるがな。いいのか?」

 

「あぁ、彼自身、帝具と皇具の行く末を知るために自由にしている。それにあの将軍も良い戦闘データが取れそうだ」

 

「まぁ、お前さんがそれでいいのなら妾は文句は言わん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなにアドバイスをしてからしばらくしてから、例のたこ焼き屋に行くと何故かはなの姿がなかった。

 

「すみません。さっきここにいた女の子は?」

 

「あんた、あの子の知り合いかい。悪いんだけど彼女に伝えてくれねぇか?何でもできねぇってことは、これから何でも出来る可能性があるってことだって」

 

この人、無愛想に見えて結構いいこと言うな。

 

「わかりました。それとたこ焼き一つ」

 

「あいよ」

 

たこやきを受け取り、俺ははなを探しているとベンチに座り込んで落ち込んでいた。ハリーもはぐたんもウェイブも心配そうにしていた。

 

「さっき言われたこと言わないとな」

 

俺がはなたちの所に近付こうとした瞬間、突然殺気を感じ、持っていたたこ焼きを投げ捨てた。投げ捨てたたこ焼きが真っ二つに切り裂かれ、そこにはイゾウがいた。

 

「ほう、流石はナイトイェーガーズだな」

 

「あんたか。何しに来た」

 

「お前を切るために……」

 

「ミナト!!」

 

「ミナトくん!?」

 

ウェイブ達もこっちに駆けつけた瞬間、今度はオシマイダーが出現した。

 

「ウェイブ、はなたちと協力してオシマイダーを頼む」

 

「大丈夫か?あの刀、やばそうだぞ」

 

「大丈夫だ。任せろ」

 

俺はレガオンの斧を装着し、斬りかかるがイゾウは受け止めた。

 

「ふふ」

 

「何がおかしい」

 

「お前の仲間は大丈夫なのか?」

 

「どういう……」

 

俺ははなたちの方を見ると、何故かはなが変身できないでいた。一体どうしたんだ?

キュアアンジュもキュアエトワールも何とか二人で戦えているが、キュアエールがいないんじゃ勝てそうにない

 

「くそ、お前をさっさとぶっ倒す」

 

俺はイゾウに向かって斧を振り上げた。イゾウは防御することもなくただ切られるのであった。どうして受けようとも避けようともしなかったんだ?

 

「ふふふ、ふはははははははは!!」

 

「な、何だ?」

 

「この痛み、この屈辱、この憎しみ!!ヘイトレッドよ!!今こそ力を!!」

 

イゾウの刀が真っ赤に染まった瞬間、禍々しい形に変わり、イゾウの姿も異形の姿に変わった。

 

「グガガガ」

 

「皇具の力か……仕方ない。本気を……」

 

俺はレガオンの奥の手を発動させようとした瞬間、イゾウは何かに向かって走っていった。

イゾウが向かった先には、キュアアンジュとキュアエトワール、ウェイブを応援しているはながいた。

 

「くそったれ!!」

 

レガオンを足に装備させ、イゾウよりも早くはなのところへ駆け寄った。

 

「グガガガ、読んでいたぞ!!」

 

イゾウの斬撃を防ぐこともできず、俺は斬られ、地面に倒れるのであった。

 

「ミナト……くん?」

 

「ミナトォォォォォォ!!」

 

やばい、意識が……なくなり……

 

「これでとどめだ!!」

 

イゾウがとどめを刺そうとした瞬間、誰かがイゾウの腕を切り裂いた。

 

「なるほど、皇具は人をそういう物に変貌させるのだな」

 

「あんたは……」

 

なんで、エスデスが……だけど俺はそこで意識が途絶えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなSIDE

 

オシマイダーははぐたんが、イゾウって人はエスデスって人が何とか追い返したけど……

 

「はぐたん……ミナトくん……」

 

「はな……」

 

「はな、落ち込むの後、今はミナトを……」

 

「待ってろ。グランシャリオで急いで運べば……」

 

「待て、ウェイブ」

 

エスデスさんがウェイブさんを止めた。どうして止めるのだろう?

 

「この傷の深さではこの世界では助からない。だから……」

 

「あたしの出番ってことね」

 

「あんたは……ドクタースタイリッシュ。」

 

ミナトくんは助かるのだろうか?でも、ミナトくんは私を助けようとして……それってつまり……私のせい……



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第24話 なりたいもの

タツミSIDE

 

出かけていたハリーたちが帰ってくるやいなやミナトは大怪我をし、はぐたんも苦しそうにしていた。だけどそれよりも何でDr.スタイリッシュとエスデスがいるのか気になった。

でも今はそんな事を気にしていられない。ウェイブ、セリュー、クロメの三人でスタイリッシュを見張り、俺、チェルシー、サヨははなたちと一緒にはぐたんを見守っていた。

 

「熱は下がったけど」

 

「苦しそう……」

 

「はぐたんのアスパワワをあの時、全部使てしまったんやな」

 

「はぐたん、ごめんね。私のアスパワワ全部あげるから!だから目を覚まして!お願い!」

 

「はな、無理や。今オレらに出来ることは何もないんや」

 

「私のせいだ。私のせいではぐたんもミナトくんも……わたし、もうプリキュアできない」

 

はなの突然の発言にハリーたちは驚いた顔をしていた。なんでそんな結論に至るんだよ

 

「もう決めたから……ごめんね」

 

「マジ意味分かんないんだけど」

 

「はぐたんとミナトくんに苦しい思いをさせて、プリキュア失格だよ」

 

「………確かに失格だな」

 

ずっと黙ったまま俺たちの様子を見ていたエスデスが突然そう言ってきた。

 

「隊長!?そんなこと……」

 

「何もわかってないくせに偉そうなこと言って……」

 

「ごめん」

 

はなはそう言い残して出ていった。本当にどうすればいいんだよ。

するとスタイリッシュとウェイブとセリュー、クロメが部屋に入ってきた。

 

「治療は終わったわ。とりあえず峠はこせそうよ」

 

「ご苦労だった。スタイリッシュ」

 

「エスデス隊長……どうして俺たちを助けるんだ?俺達と隊長は敵同士じゃ……」

 

「敵同士……か。私は別にお前たちと争うつもりはない」

 

「それって……どういう……」

 

「タツミ、今度の戦いは私達がいた場所での戦いよりも厳しいものになる。今のままではそのうち殺されてしまう。とはいえ、私やもしこの世界にあの女がいたら何とか渡り合えるが、お前たちではまだ駄目だ」

 

エスデスが何を言おうとしているのか理解した。もしかしてこの人、自分の部下だけじゃなく、俺たちナイトレイドのことを考えて……

 

「さてスタイリッシュ。帰るぞ」

 

「えぇ、それと彼はしばらく安静ね」

 

エスデス達二人はそのまま帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

目が覚め、すぐに自分の状況を理解した。

 

「そうか……あの時……」

 

痛みがあるが動ける。俺は起き上がろうとするとあることに気がついた。何故かベッドの近くにセリューが寝ていた。もしかして看病していてくれたのか?

 

「悪かったな。さて……」

 

俺は外へと出て、少し考え込んだ。あの時、薄れゆく意識の中、はなの悲しそうな表情。絶対自分のせいだって気にしてるだろうな。

 

「やれやれ、どんだけ責任を背負い込むんだよ」

 

「無理に動かないほうがいいよ」

 

声が聞こえ、振り向くとそこにはクロメが立っていた。俺が外に出たことに気がついたって言うことか

 

「傷は誰が治してくれたんだ?」

 

「ドクターが……エスデス隊長が指示を出してた」

 

何で敵同士だって言うのにっていうのはおかしいか。あの人は俺たちのために動いていることに気がついていた。

 

「ハイトたち打倒のためにか……」

 

「うん、タツミ曰く隊長は私達を鍛えなおそうとしてる。今の私達じゃ皇具に対して勝つ可能性が低いからこそ、私達と戦っていたって……」

 

だろうな。何気に協力してるように思えた。それにしたって……

 

「もう少しやり方っていうもんがあるだろうに……」

 

「それがエスデス隊長だよ。ミナト」

 

「そうだな……さてと……」

 

日が昇り始めた。いい加減はなのところに帰ってやらないとな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロメに肩を借りながらはなの家に行くと、さあやとほまれに励まされた後のはなの姿があった。

 

「無理して出てくることなかったな」

 

「ミナトくん!?」

 

はなは俺に近寄り、心配そうにしていた。

 

「怪我は大丈夫なの?もう動いて……」

 

「あぁ痛みはあるけど大丈夫だ」

 

「ごめんね。私のせいで……」

 

落ち込むはな。俺はため息をつきはなのおでこにデコピンをした。

 

「あのな。責任感じる必要はないからな。俺が勝手にやったことだから……」

 

「で、でも大怪我して……」

 

「俺達はそういう戦いをしてるんだ。怪我ぐらいするって」

 

「そうなの?」

 

「そうだ」

 

「そっか」

 

はなは笑顔で頷いた。何とか元気になったみたいだな。

 

「ミナトさん、本当に怪我は大丈夫なの?」

 

「今からはぐたんのところに行くんだけど、その怪我でまたクロメさんに介護してもらいながら行くの?」

 

流石にそれはクロメが大変だよな。俺はここで待っていてもいいかもしれないな。

そう言おうとした瞬間、はなが何故か俺に肩を貸してくれた。

 

「ここは私ががんばる」

 

「無理するなよ」

 

「してない」

 

何というか元に戻ったのはいいけど、今度は無理しすぎないか心配だな



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第25話 新たな力

はぐたんの目を覚ますきっかけがのびのびタワーにあるとミライパットより情報を持たされた俺達は、のびのびタワーへと向かうのであった。

因みに俺は今度はタツミに肩を借りていた。

 

「ミライパットがしめしていたのはひなせくんの演奏会だったのね」

 

タワーの中で開かれていた演奏会。これがきっかけではぐたんが元気になるというのか?

 

「ひなせくん、前に言ってたんだけど、一つ一つの音が重なり合うことで、想像を超えた素敵な音が奏でられるんだって」

 

音楽についてはよく分からないけど、今演奏しているものを聞いているいいものだと思える。

 

「私達の心の音はどんな音かな?はぐたんが元気になれるような音なのかな?」

 

はなたちは心の音をはぐたんに聞かせるように寄り添うと、はぐたんがゆっくりと目を覚ました。

 

「はぎゅ、はぎゅ」

 

「「「はぐたん!?」」」

 

はなたち三人とハリーが喜び合う中、俺とタツミは

 

「みんなの心の音が聞こえたっていうのか?」

 

「かもしれないな。とりあえず一件落着って言うことだな」

 

安心する中、外から大きな音が響いてきた。こんな時にオシマイダーが出てきたっていうのかよ。

 

「タツミ!行くぞ!」

 

「待て、お前、その体で……」

 

「大人しく休んでる暇はないんだよ」

 

俺は痛みに耐えながら、外へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外へと出るとそこには今までのオシマイダーとは違い、見覚えのある姿をした怪物が暴れていた。

 

「こいつは……チャラリートとかいうやつにそっくりな……」

 

「ミナト!!」

 

「ミナトくん!?」

 

みんなが駆けつけてきた瞬間、上から何かが降ってきた。俺はレガオンで防ぐが体の痛みが激しく、膝をついてしまった。

 

「ぐうう」

 

「グガガガ!!」

 

襲ってきたのは異形の姿をしたイゾウ。それに聞いた限りじゃ腕をエスデスに落とされたと言う割には再生してるっていう事は……

 

「完全に化物になったていうことか」

 

「ミナト!!インクルシオ!!」

 

タツミがインクルシオを装着し、イゾウに向かっていく。俺も戦いに参加しようとするが、その時、何かしらの気配を感じ取った。

 

「これは……」

 

あたりを見渡すと建物の屋上にパップル、見覚えのない紫髪の少女、ハイトの姿があった。

 

「あいつら……」

 

「ハリー、ミナトくんの事お願い」

 

「あぁ」

 

「はな、お前……」

 

「ミナトくんが頑張ってくれたから……今度は私達が頑張る番だよ!なんでもできる。なんでもなれる!」

 

はながそう叫んだ瞬間、まばゆい光と共にプリキュアに変身をした。覚悟を決めたって言うことか

 

「ハリー、悪いけど」

 

「駄目や。傷が開くぞ」

 

「みんなが戦ってるのに黙ってみていることなんて……」

 

「だけどな……」

 

「もしくは一瞬だけでもいい」

 

俺はレガオンを構えた。タツミがイゾウの体制を崩した瞬間を狙えば……

 

「ハアアアアアアアアアア!!」

 

タツミは拳の連打でイゾウを押していくが、急に動きを止めた。

 

「ぐう」

 

「力任せに押し込めばなんとかなると思っているのか!!」

 

よく見てみると鎧にヒビが入っている。異形の姿に変わったことで斬撃の威力が上がってるというのかよ。

 

「タツミ!!」

 

「大丈夫だ。ミナトは休んでろ」

 

無茶しすぎだろ。キュアエール達もオシマイダーの攻撃を喰らい、倒れそうになっているし……

 

「体勢を崩すのを待つより、俺が崩したほうがいいな!!レガオン!奥の手発動!!竜騎!!」

 

俺の叫びとともにレガオンが真っ赤な鎧に変わり、俺の身体に装着した。

 

「うおおおおおおおおおおおお!!!」

 

全速力でイゾウに突っ込み、イゾウを思いっきり吹き飛ばし建物の壁にめり込ませ、全力で殴り続けた。

 

「ミナト!?大丈夫なのか?それにそれは……」

 

「タツミに見せるのは始めてだったな。威力はすごいけど使用できる時間は短い。だからこそ」

 

俺はキュアエールの方を見ると、キュアエールは落ちてきた瓦礫を支えていた。近くにいるのはことりとえみるの二人。

俺は駆け出し、キュアエールが支えている瓦礫を木っ端微塵に砕き、オシマイダーの顔面を思いっきり殴り抜いた。

 

「ぐうう!!限界か……竜騎解除」

 

鎧を解除した瞬間、身体にものすごい疲労と痛みが襲ってきた。やっぱりまだだな

 

「ミナトくん!?」

 

「キュアエール。後のことは任せた。頑張れよ」

 

「うん!!フレフレ、私」

 

キュアエールの胸からまばゆい光と共にミライクリスタルが生まれ、光り輝く剣に変わった。

 

「あれはプリキュアの剣や!?」

 

「プリキュアの剣?」

 

剣から放たれる光がオシマイダーを苦しませ、動きを止めさせた。

 

「やったれ!!エール!!」

 

「はああああああ!!えっ!?」

 

キュアエールがオシマイダーに斬りかかろうとした瞬間、何かに気が付き動きを止めた。

 

「どないしたんや?エール?」

 

「あのオシマイダー、あの人だ。駄目、切れないよ」

 

「甘いことを言うな……」

 

どこからともなく現れたハイトがキュアエールにそう言ってきた。

 

「お前は敵でも殺せないというが、奴はお前たちを殺すつもりだぞ」

 

「そうだけど、それでもこれは私がなりたいプリキュアじゃない」

 

「それが甘いと言っているのだ」

 

ハイトがどこからともなく取り出した槍をキュアエールに投げつけた。俺は咄嗟に盾になろうとするが反動で動けない。くそ……

 

「ふっ、面白いことを言う女だ」

 

もうだめかと思った瞬間、キュアエールの前に氷の盾が現れ、槍を防いだ。そしてキュアエール達の側にエスデスがいた。

 

「人を殺めないということは、あそこで苦しんでいるやつをどう救うというのだ?」

 

「…………」

 

キュアエールは苦しむオシマイダーをそっと抱きしめた。

 

「心が苦しいのは分かるよ。わたしもそうだもん。私も頑張れない時が有るもん。でもその苦しい気持ちは私が抱きしめるから」

 

キュアエールから放たれたアスパワワがオシマイダーの苦しみを和らいでいき、プリキュアの剣が形を変えた。

 

「これが私の応援。私のなりたいプリキュア!!」

 

プリキュアたちが新たな武器、『メロディソード』を手にし、三人同時に浄化の技を放った。

 

「「「プリキュアトリニティコンサート!!」」」

 

『心があったけ……俺にも未来が』

 

オシマイダーは浄化され、街も元に戻った。するとハイトは笑みを浮かべていた。

 

「プリキュアの力か……本当に面白いものをみせてもらったが……ここで終わりだ」

 

ハイトがそう告げた瞬間、安堵していたキュアエール達の側にイゾウの姿があった。まだ生きていたのか

 

「プリキュア!!死ねぇぇぇぇぇ!!」

 

「キュアエール!?みんな!?」

 

俺が叫ぶが、間に合わない。エスデスもタツミも距離が遠すぎて間に合わない。どうすれば……

 

「葬る!!」

 

黒い影が一瞬イゾウの横を通り過ぎた瞬間、イゾウは倒れ込んだ。

 

「今のって……」

 

「あの声は……」

 

さっき助けに入ってくれたのって……まさか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………タツミ、ミナト……」

 

「いいのか?合流しなくて……」

 

「いや、まだだ。まだするべきじゃない。おまえはどうなんだ?」

 

「まぁあのランとかいうやつが言っていたように、こっちにはこっちのやるべきことが有るからな。アンリのおかげで情報が集まりそうだしな」

 

「やれやれ、君たちの仲間はすごい奴らだよ。それと調べた結果、君たちの予想通りだったよ」

 

「やはりか」

 

「あの皇具を作った男……ハイトっていうやつはかなりやばい奴だって言うことだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぐたんも元気になり、プリキュアの新しい力も手にし、更にははぐたんがはなのことをママと呼ぶようになった。

 

「なぁ、ミナト。あの時助けに入ったのって……」

 

「あぁ、間違えないけど、エスデスがいうには一緒に行動していないって。というより来ていることすら知らないって言ってたぞ」

 

全く来ているなら、来ていると言ってほしいものだな

そう心の中で呟いていると、はぐたんが俺の袖を引っ張り、

 

「パパ、パパ」

 

「……何で俺がパパになってるんだよ。ハリーのことをパパって言ってやれよ」

 

「パパ、ママ」

 

何故か俺とはなのことをそう呼ぶはぐたん。はなははなで顔を真赤にさせてるし……はぁ、どうすればいいんだよ

 

 

 

 

 




次回、パジャマパーティー回ではなく、またオリジナルの話になります


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第26話 謎の本屋をさぐれ

今回はオリジナルになります


それはある平日の日、学校の警備の仕事中、校長先生に臨時で自習の監督をするように頼まれた。しかもはなたちのクラスでだ。

まぁ監督くらいだったら別に引き受けてもいいかと思い、教室の扉を開くと

 

「………なんだこれ?」

 

扉を開けた先には、ほまれが仁王立ちし、さあやは座り込み、はなはそんなさあやに何かを言っている。そして仁王立ちしているほまれの前には数人の男子生徒が正座をさせられていた。

 

「……よし、いますぐセリューと交代してくるか」

 

「ちょっと待った!!」

 

ものすごく関わりたくないから、俺は直ぐ様その場から立ち去ろうとした瞬間、ほまれに呼び止められた。くそ、逃げられなかったか。

 

「はぁ、何があったんだよ。ほまれ。俺は校長に頼まれて自習の監督しに来たんだけどな」

 

「だったら都合いいじゃん。これを見て」

 

ほまれが渡してきたのは数冊の本だった。普通の本だったら特に気にするようなものじゃないけど、その本はどれもエロ本だった。何で学校にエロ本が……

 

「ほまれ駄目じゃないか。持ってきちゃ……」

 

「あんた、私が持ってきたって思ってるのかしら?」

 

やばい、ものすごく怒ってる。変なことを言わない方が良いな。

 

「状況見る限り、男子生徒がエロ本を持ち込み、さあやがそれを発見してその状態になったっていうことか?」

 

「そういうこと」

 

まぁこのくらいの年だとそういったものに抵抗があるっていうから、さあやがそうなるのはしょうがないよな。とりあえず監督役としては……

 

「没収しておく。持ってきた奴らは俺と一緒に来い」

 

俺は男子生徒を引き連れて教室から出ていくのであった。それにしてもこの世界じゃ適応した年齢じゃないとこういった本を買えないはずじゃないのか?そこらへんも詳しく聞かないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、ハリーショップではなたちにあることを話した。

 

「どうにも男子生徒は全員、ある本屋で入手したらしい」

 

「本屋って……普通に買えるものじゃなくない?」

 

「どうにもそこらへんの話を聞く限り、店主がどうにもそんなの関係なしに売ってるらしんだ。いや、売ってると言うより貸してるだな」

 

「貸す?レンタル品ってことなの?」

 

「で、でも、警察とかに捕まるんじゃないのかな?」

 

さあやはまだビクビクしている。どんだけ耐性ないんだよ。いや、これが普通なのだろうけど……

 

「とりあえず没収したこの本を返しに行かないといけないからな。ちょっと行ってくる」

 

俺はそう言って没収した本を手にしながら、出かけようとするが、何故かほまれに肩を掴まれた。

 

「ちょっと待ってもらっていい?」

 

「何だよ」

 

「あんたがどうにも協力的すぎない?」

 

「何言ってるんだよ。こういうものはどうにかしないとだな」

 

「あわよくば自分もその本を借りれるんじゃないかって思ってないよね」

 

「………」

 

いや、だって……仕方ないことだろう。俺だって男なんだから……

 

「あんまり行きたくないけど、私らもついていってもいいよね。ミナト」

 

ほまれ……勘がすごすぎないか?だけどさあやはものすごく嫌がってるけど……

 

「さあや、大丈夫。何かあったら私たちが付いてるから。それにミナトくんの好みも知れるかもしれないし……

 

はな、なんか呟いたみたいだけど、一体何を考えてるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえずはなたち三人とたまたま暇そうにしていたチェルシーを連れて例の本屋に訪れた俺たち。因みにハリーははぐたんの教育に悪いと言って留守番をしていた。

可哀想にお土産にねずみ図鑑でも買ってきてやるか。

 

本屋に入ると一見普通そうな本屋だった。

 

「何だか普通だね」

 

「ほら、さあや、大丈夫みたいだよ」

 

「ほ、本当に?」

 

聞いた場所であってるはずだよな。俺は近くの本を手にするが普通の文集とか漫画しか置いていない。騙されたか?

 

「おや、お兄さん、お探しものでも?」

 

何だかサングラスにマスクを付けた怪しい人が出てきた。というかどこか見覚えがあるんだけど……

 

「店主か?聞きたいことが有る。この店に男が喜ぶような……あいてっ!?」

 

ほまれに思いっきり頭を叩かれた。いや、俺は別にほしいというわけじゃないんだぞ

 

「あんた、ここ最近男子の連中にエロ本を貸してるって人だよね」

 

「おや、女性のお客さんは初めて……」

 

「あら、余計な動きは見せないほうがいいわよ」

 

チェルシーが店主の首筋に一本の針を突きつけていた。というかチェルシーも気がついてるだろ。そいつが誰なのかって……

 

「ふぅ、やれやれ、仕方ないな」

 

店主はサングラスとマスクを外した。やっぱり見覚えがあると思ったら、お前も来ていたのか。

 

「まさか客としてくるとはな。ミナト、チェルシー」

 

「やっぱりラバだったか」

 

「ああいった本と貸すっていう所で気がついてたいけどね。全く何してるのよ」

 

「それはこっちの台詞だからな。俺も含めて何で二人は生きてんのさ」

 

「えっと……」

 

「もしかして」

 

「ミナトくんの仲間の人?」

 

はなたちも何が何だかわかっていないみたいだし、とりあえず事情を説明しないとな

 

 

 

 

 

俺とチェルシーはラバに今までのこと説明するのであった。話を聞き終わったラバは何故か考え込んでいた。

 

「なるほどね~二人が言っていたのはこういうことだったか。まぁこうして再会できたのはいいことだな。それで生徒たちにエロ本を貸し出すなってことか?」

 

「そうだよ。というか普通に捕まるからね」

 

「仕方ないな~男だったら誰だって嬉しいことなのに……とりあえず気をつけておくよ。ミナト、今度そっちに遊びに行くからな」

 

とりあえず問題になっていたことは解決したって言うことでいいんだな。それにラバの店だったらあとで読み放題だしな。これならはなたちにバレないよな

 

俺たちは本屋を後にするのであった。

 

「そういえばちょっと気になったのだけど」

 

帰り道、さあやが何か気になることがあったみたいだった。なんだ?何か気になることでも有るのか?

 

「普通お店を開くとしたら、色んな所から許可が必要だけど、異世界の住人のラバックさんがどうしてお店なんて開けたんだろう?」

 

そういえばそうだよな。俺やチェルシー、セリューにサヨなんて特別扱いみたいで仕事できてるけど……どうやって店なんて開いたんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃい。って何だ。アンリか」

 

「何だとはひどいな……君のお店を開くのに協力しただろ」

 

「協力って、あのお嬢様が何とかしてくれた方が大きいんだけど」

 

「前に会場であったつながりだったけど、彼女も彼女でそういうことに理解ある人で助かったよ」

 

「理解ありすぎだろ。異世界からの住人だっていうのも普通に信じてるし……一体何者なんだ?この四葉って人は?」

 

「まぁ気にしなくてもいいかもね。それで彼女たちに言われた情報は集まってるのかい?」

 

「あぁ、皇具についてだろ。半信半疑だけどまさか皇具のほとんどがこっちの世界で作られ、発掘されたものなんてな。何者なんだ?ハイトって奴は?」




最後に出てきた四葉は、あのプリキュアの四葉です


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第27話 みんなでパジャマパーティー

今日はみんなでスーパーに買い物に来ていた。それにしても何で急に?

 

「おぉ、あれは新発売のお菓子」

 

はなはいつも以上に興奮しているせいか、聞いても何をするのか教えてくれない。

 

「あんまりお菓子とか食べたくないんだけどな……」

 

「どうして?」

 

「栄養バランス考えて、管理しないと大変だから」

 

まぁほまれからしてみたら、太ったりしたら大変だからな。

 

「なし、今日はそういうのなし。だって、待ちに待ったパジャマパーティーなんだから」

 

「パジャマパーティー?」

 

何だか聞き覚えのない言葉が出てきたけど、一体何なんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを悩みながら、ハリーショップに着くと何故かはなに止められた。

 

「ミナトくん、ちょっとまってて」

 

「何で?」

 

「着替えるからだよ」

 

まだ時間からしてみれば四時前だけど、何に着替えるんだ?気にしない方が良いか?

俺ははなに言われるまま、外で待つことにするが、何故かタツミとウェイブも外で待っていた。

 

「お前らも追い出されたのか?」

 

「あぁ、ミナト……」

 

「男子は着替えを覗いたら承知しないって、セリューとチェルシーに言われてな。だけどな。俺は……」

 

「惚気はいいから」

 

「なっ!?」

 

どうせウェイブのことだからクロメの裸しか興味が無いって言うのだろうな。さて、それにしても着替えるまで何してるかな?

 

「ふぅ、男たちが絶好のチャンスだって言うのにのんびり外で待っているのは可笑しくないか?」

 

突然声が聞こえた方を見るとラバが来ていた。

 

「ラバ、何しに来たんだ?」

 

「近い内に会いに行くって行ったろ!!」

 

「それでラバ、おかしいって?」

 

「決まってるだろ。女子が着替えてる。男だったら覗くしかないだろ」

 

「「「うわっ……」」」

 

俺、タツミ、ウェイブの三人は思いっきり引くのであった。覗き自体はどうでもいいけど、その女子の中にとんでもない奴らがいるのをわすれてないか?

 

「さぁ、行くぞ。パラダイスへ!!」

 

「ちょ、ラバ……」

 

止めようとするが、間に合わず覗こうとするラバだったが、扉から誰かの手が伸び、思いっきり引きづられ、中で何か殴る音が聞こえ、音がなくなった瞬間、扉が開くといつもの服のクロメとボコボコにされたラバが出てきた。

 

「ミナト、ちゃんと監視して」

 

「りょ、了解」

 

「ウェイブ、クロメを怒らせないほうがいいな」

 

「あ、あぁ」

 

俺たちはボコボコにされたラバを見て、新たな決意を固めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして着替え終わり、みんなそれぞれのパジャマに着替え終わる中、ハリーがある質問をしてきた。

 

「なぁ、そのパジャマパーティーって何?」

 

「えっ?知らないの?」

 

「あぁ、俺も知らないんだけど、なんなんだ?」

 

「パジャマパーティーって言うのはイケてる女子のたしなみ。それがパジャマパーティー、夜更けまで本音のガールズトークに花を咲かせるの。大人のお姉さんの華麗なる宴だよ」

 

ようするにみんなで楽しく遊ぶってことか。

 

「まぁ何なのかわかったけど、どこでやるんや?」

 

ん?ここでやるんじゃないのか?はな、もしかしてお前……

 

「えっと、ハリー、今晩お世話になります」

 

「おい!」

 

許可をもらってなかったのかよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

何だかんだではなたちはパジャマパーティーを楽しむ中。ラバは俺たちナイトイェーガーズだけを集めて、ある話をしていた。

 

「実はな。ある事情でハイトってやつについて調べてたんだ」

 

「ハイトのことって……あいつはオレたちと同じ世界の住人だからこっちに情報とかないんじゃないのか?」

 

「普通はそう思うけど……」

 

「まさか……」

 

セリューは何か気がついた。まさかと思うけど、ハイトは……

 

「どうにもこの世界の歴史の裏にはハイトが蠢いてるみたいなんだ」

 

ラバは何枚かの写真を見せた。そこにはどれもハイトの姿があった。

 

「どういうことだ?これ……」

 

「タツミ、ハイトが千年前に存在したやつだっていうのは知ってるだろ」

 

「あ、あぁ」

 

「皇具の力で長い年月生きながらえてきたそんな奴だと思ってたんだけど、どうにもそれだけじゃない。それがこの写真だった」

 

何でハイトがこの世界の過去にいるんだ?あいつは一体……

 

「それにある筋の情報だと皇具はハイトが作り、それをこっちに持ってきたと思ってたんだけど、どうにも埋まっていたものを発掘したみたいなんだ」

 

「どういうことだ?」

 

全員が訳がわからないと頭の中で思う中、ラバはため息を付いた。

 

「ようするにハイトって奴はかなり特殊なやつだって事だ。だからこそ……いや、言う必要はないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

「研究熱心じゃの。ハイト」

 

「ドロテアか。何の用だ」

 

「聞きたいことが有るんじゃが……」

 

「何だ?」

 

「お前、人間か?」

 

ドロテアがそう聞いた瞬間、ハイトは不気味な笑みを浮かべていた。そして一本の剣を取り出した。

 

「人間だよ。一応な。だが、皇具の力で生きながらえている」

 

「それは知っているが、この世界のことを知るためにいろいろと調べていて知ったのだが、何故お前がこちらの世界にいるんだ?」

 

「ふふ、ふははは、そこに気がついたか。まぁいい。教えてやる」

 

ハイトはドロテアにあることを教えた瞬間、ドロテアは驚いた顔をして固まっていた。

 

「そ、そのようなことが……ありえるのか?帝具でもありえないはずだ」

 

「錬金術師なら分かるであろう。人を作れることがあるのだからな」

 

「お前は……」

 

「そうだな。いずれ見せてやる。3つの傑作の内の一つを」



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第28話 星空の下で

深夜になり、不意に目が覚めた俺は外に出るとはな、さあや、ほまれ、ハリー、はぐたんが起きていた。

 

「何してるんだ?」

 

「あっ、ミナトくんも起きたの?」

 

「まぁ、ちょっとな」

 

ラバから聞いた話が気になり、眠れなかった。はなたちははなたちでどうにもパーティーが楽しかったのか寝付けなかったみたいだった。

 

「きれいやな……夜空はどこの世界もいっしょや……」

 

「ぱ~ぱ、ぱ~ぱ」

 

はぐたんが抱っこをせがんできて、俺は仕方なく抱っこをしてやる中、ほまれはある事をハリーに聞いた。

 

「ハリーとはぐたんは違う世界から来たんだよね」

 

「そや」

 

「違う世界って、どこにあるの?ミナトみたいに異世界とか?」

 

そういえばハリーたちのいた世界が少し気になっていた。俺たちがいた世界とは全然違うのかな?

 

「そやな、そろそろ言うてもええか。俺たちがいた世界はここよりもずーーっと未来の世界なんや」

 

「今よりも先の!?」

 

これはかなりの衝撃だな。てっきり異世界人かと思ってたのに未来の人間なんて……

 

「クライアス社の連中が俺たちの世界をめちゃくちゃにしよってな。……なんとかはぐたんをつれて……命からがらここまで逃げてきたってわけや。呆れるほど、えらい時間を超えてな」

 

「ハリー……何でまた俺たちにそのことを話したんだ?正直に言うと初めて会った時に話すべきことだったのに、お前は何かを気にして話さなかった」

 

「ミナト……そうや。本当ならプリキュアが四人になってから話そうと思ってたんやけど、メロディソード、プリキュアの剣があないな形に変わるとは思ってなかった。あの姿を見て心の底から思った。お前らなら明るい未来を切り開けるって……」

 

「明るい未来か……」

 

俺たちも明るい未来を目指して戦ってきた。それははなたちも同じだけど……正直俺たちが目指す未来とはなたちが目指す未来の明るさっていうのは違うものなのだろうか?

 

「ハリー、きっと大丈夫だ。はなたちなら……プリキュアなら素晴らしい未来を作れるはずだから」

 

「ミナトくん……何だかそれって……」

 

はなが何かを言いかけた瞬間、街の方から爆発音が聞こえてきた。俺たちは急いで爆発が聞こえた場所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騒ぎの所にたどり着くとそこには何だかいろいろと混ざったオシマイダーが暴れていた。

 

「来たわね!!プリキュア!それにナイトイェーガーズ!!」

 

「今回はワイルドハントの奴らはいないけど……見限られたのか?」

 

「見限られてないわよ!!どうにもやることがあるって言って、来てくれなかっただけよ」

 

何かを企んでいるってことだな。

 

「行きなさい!!オシマイダー!!」

 

オシマイダーから空き缶型の砲撃が放たれ、キュアエール達は避けようとするが攻撃を食らってしまった。

 

「大丈夫か?」

 

俺は砲撃をレガオンの斧で切り裂いていく。今回のオシマイダーはどうにも強いな

 

「おほほほほ、街中から集めた小さなトゲパワワも集まればこうまで強くなるなんてね。塵も積もればなんとやらね」

 

「確かにそうかも知れないけど……」

 

「それぞれちがうけど、違うからこそ」

 

「合わさった力は強い!!」

 

キュアエール達が立ち上がった。全く本当に頼りになるよ

 

「それだったら、俺が敵のスキを作る!!」

 

俺はレガオンを両手、両足に装着させ、ものすごい速さで蹴りと拳を与え、オシマイダーの体勢が崩れた。

 

「キュアエール!!」

 

「うん、フラワーシュート!!」

 

メロディーソードから薔薇型の砲撃が放たれ、オシマイダーを吹き飛ばした。

 

「フェザーブラスト」

 

「スタースラッシュ」

 

キュアアンジュとキュアエトワールも砲撃を放ち、オシマイダーに確実にダメージが入り動けずにいた。

 

「更に追撃!!」

 

俺は更にオシマイダーの頭に踵落としを食らわし、オシマイダーが地面に倒れ込んだ。

 

「トドメを頼む!!」

 

「任せて、エールタクト!」

 

「アンジュハープ!」

 

「エトワールフルート!」

 

「「「心のトゲトゲ飛んでいけ〜!プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

虹色のエネルギー弾に包まれたオシマイダーが浄化された。

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

「く~あの研究部門が動かないから負けたのよ」

 

パップルは捨て台詞を吐き、姿を消すのであった。これで今回の戦いも……

 

「!?」

 

終わりかと思った瞬間、ものすごく嫌な殺気を感じた。今のって……

 

「どうしたの?」

 

キュアエールが心配そうに声を掛ける中、俺は気のせいだと言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今のがプリキュア、ナイトイェーガーズ」

 

「どうじゃ。お前的には勝てるか?」

 

「余裕だな。特に力を恐れているやつに負けるつもりはないよ。僕はね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だかんだでパジャマパーティーも終わり、絆を深めた俺達であった。

俺とはなは家に帰るとすみれさんが出迎え

 

「突然なんだけど、知り合いの娘さんを預かることになって……」

 

すみれさんの後ろには紫色の髪の少女がいた。

 

「よろしくおねがいします。野々はなさん、ミナト・ユウさん」

 



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第29話 新たな同居人

パジャマパーティーから帰ってくるとすみれさんの知り合いの娘さんが一緒に暮らすということになった。

 

「お会いしたことがありますよね」

 

「え、えっと……ひ、久しぶり~ナイスチュ~ミ~チュ~」

 

はなは咄嗟にハグをしているけど、彼女のことをどうにも覚えていないということなのか勢いでごまかしたということだな

 

「俺は会ったことがないけど、はじめましてでいいのか?」

 

「えぇ」

 

俺は会ったことがないか……にしてもこの娘……どうにも……

 

「それでルールーちゃんのお部屋なんだけど、今開いてる部屋がなくって」

 

「それだったら暫くの間、ハリーの所に泊まるよ」

 

開いてる部屋がないのに住むことになるのはちょっとおかしいけど、すみれさん的には押しが強すぎて断れなかったんだな。

 

俺はハリーの所に行こうとした瞬間、何故かルールーが俺の腕を掴んだ。

 

「同じ部屋では駄目なのですか?」

 

「ちょ、ちょっとルールー、駄目だよ。年頃の男女が同じ部屋なんて……」

 

「………出来る限り彼と一緒にいたほうが良いと思ってのことですが……」

 

こいつ、何を考えてるんだ?振りほどこうと思っても力強すぎて無理だし

、俺は諦め、ルールーと同じ部屋に住むことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず部屋半分使っていいから。あとで必要なものは買いに行くとして……」

 

「必要なものですか?」

 

「布団とか日常品とかだよ。あと寝る時はベッドな。俺は床に寝袋か何かで寝てるから」

 

「一緒に寝れば……」

 

こいつ、常識とかないのか?

 

「あとは……」

 

俺は腰につけていたレガオンを抜き、ルールーの首筋に切っ先を当てた。ルールーは特に驚く様子もなく、じっとこっちを見つめていた。

 

「……前にオシマイダーと戦った時にパップルとお前に似た奴が一緒にいたのを見た。人違いなら謝るけど……」

 

「……誤魔化しても疑われる可能性80%。ここは正直に言うべきですね。貴方が思っている通り、私はクライアス社のアルバイトです」

 

「目的は?」

 

「野々はな、キュアエールの力の源の調査です」

 

「……それだけか?」

 

「それだけです」

 

調査のためにこの家に入り込んだのか。それにこいつは何だか感情がないというか……

 

「一応聞くけど、人間なのか?」

 

「私はアンドロイドです」

 

要するに機械人形ってことか。クライアス社の技術力はすごいな。だけど……

 

「調査関係はいいけど、多分大変だと思うぞ」

 

「大変?」

 

「やっていけば分かる。因みに何で俺と同じ部屋に?」

 

「貴方も観察対象です。特にその武器の本当の力を隠している理由を知りたいです」

 

こいつ、気がついているのか……確かに奥の手にはまだ秘密があるけど、見せることはできない。見せた瞬間、みんなが危険な目に合うかもしれないから……

 

「まぁ好きにしろ。俺もお前の正体については話すつもりはないし……」

 

「わかりました」

 

とりあえず危険性はないから、俺はルールーのことをほうっておくことにするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日、ルールーがはなたちの学校に転入してきたのだが、

 

「「「「つきあってください!!」」」」

 

見回り中にルールーが男子生徒たちに告白されているのを目撃した。まぁ可愛い方だから告白されるのも仕方ないけど、

 

「どこにですか?」

 

うん、そういう意味じゃないからな。男子生徒たちもそういう意味じゃないと伝えると、ルールーは近くにあった柱を思いっきり殴り、ヒビを入れた。

 

「突き合う。こういうことですか?」

 

「「「「ひ、ひぃ~~~~!!?」」」」

 

そりゃ普通の女の子が柱にヒビを入れた逃げ出すよな。というかヒビを入れるなよ

 

「おい、ルールー」

 

「何ですか?」

 

「壊すな」

 

「……わかりました」

 

素直に納得してくれるのはありがたいけど、どうにもこいつは常識とかそういうのがかけている気がする。調査とかするんだからいろいろと気をつけてほしいけど……

 

「ミナト」

 

「ミナトさん」

 

するとほまれとさあやの二人がこっちにやってきた。というか気配でわかっていたけど、のぞき見してただろ

 

「はなの家にホームスティしてるんだよね」

 

「それにしては仲が良いけど……」

 

「まぁ一緒に暮らしてるから当たり前だろ」

 

「……それに同じ部屋で寝ていますから」

 

ルールーの言葉を聞いた瞬間、ほまれとさあやが凍りついた。うん、まずは空気を読むということを覚えさせないと駄目か。それとも……

 

「ミナト、聞きたいことがあるんだけど」

 

「一緒に寝るって……その……」

 

「お前らが思っているようなことはしてないからな」

 

「言葉の意味どおりです」

 

「ルールー、頼むから少し黙っていてくれ」

 

「ミナト、ちょっと話があるんだけど」

 

「だ、駄目だよ。ルールーちゃんにはまだそういうのは早いから」

 

うん、これは誤解を解くのに苦労するな。



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第30話 ルールーの歩み

ルールーが着てから一週間が過ぎた。特にこれと言った悪意というものを感じたりはせず、本当にはなのことを調べていた。

 

「この一週間野乃はなを観察し続けた結果、学業・運動ともに特に優れた点は確認できませんでした」

 

ルールーは映し出されたホログラムに調査書を書いていた。

 

「なぁ、ルールー」

 

「何でしょうか?」

 

「俺はお前の行動やら何やらをみんなに伝える気はないけど、多少は隠れて調査書とか書かないか?」

 

「どうしてです?貴方は私の正体を知っている。ならば隠れて行うことは非効率です」

 

「そういうものか?」

 

まぁいちいち口を挟む必要はないな。

 

「所で先程から野乃はなの動きが奇妙です」

 

「それだったら確かめに行ったらどうだ?」

 

きっとはなたちがルールーのためにサプライズを開くために動いてるからな。俺とルールーは一緒に部屋を出るとまさに怪しい動きをしていたはなを見つめた。

 

「一体何を企んでいるんですか?」

 

「わぁ!?ミナトくん、止めてくれなかったの?」

 

「ルールーでも気がつくくらいだから、少しは気配を消して動くくらいしてみたらどうだ?」

 

「そ、それはミナトくん達くらいしかできないと思うけど……でも、こうなったら、結果オーライ。連れてっちゃえ」

 

はなとことりの二人がルールーを連れて、リビングに入るとクラッカーが鳴り響いた。

リビングにははなたちの同級生に、ハリー、はぐたん、セリュー、サヨも着ていた。

 

「ルールーのサプライズ歓迎会だよ」

 

「歓迎会?それにそれは……」

 

「手巻き寿司よ」

 

すみれさんはルールーに手巻き寿司を作ってみせた。更にハリーとはぐたんがちょっとした宴会芸を見せるのだが、ルールーはそれを見つめ、

 

「どうして食べるのに未熟な赤ん坊の手を借りる必要があるのですか?効率が悪すぎます。理解不能です」

 

「めちょく!?」

 

「それにこの料理、調理を食べる側にさせるなど非効率きわまりないです」

 

う~ん、これはちょっと止めたほうがいいな。

 

「ルールー、ちょっといいか?」

 

「……そもそもなぜ歓迎会を?あいさつなら初日に済ませたはずです」

 

止めようとするがルールーは俺の言葉を無視し、更に話を続けていった。

 

「そんな言い方ないんじゃないの?こういうのは気持ちの話で……」

 

「………理解不能です」

 

ルールーはリビングから出ていくのであった。何というかアンドロイドだから気持ちとかそういうのが分からないというのは仕方ないことなんだろうけど……

 

その日、とりあえずみんなは家に帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

俺ははなたちと屋上でルールーについて話していた。

 

「そりゃ、勝手に歓迎会をしたのこっちだけど……」

 

「みんなでわいわいしたくない人もいるよね。でも私達のことを嫌いってわけじゃないみたい」

 

「はな、ミナト、一緒にいてつかれない?」

 

「えっ?全然なんとかなるよ」

 

「その根拠は?」

 

「えっと……なんとかなるよ」

 

「まぁ、ルールーは人の気持ちとかそういうのが乏しいんだよ。そのせいで俺も苦労したからな」

 

前にほまれとさあやに思いっきり説教されたことを思い出しながら、二人を笑顔で見つめた。

二人は目線を外していた。

 

「まぁそのうち、なんとかなると思うけどな」

 

俺はそう言って、屋上から出ていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

警備室に戻るとチェルシーが俺にあることを聞いてきた。

 

「聞いてるよ。何だか新しく来た子に苦労してるみたいなんだね」

 

「まぁな。今の所問題はないけどな」

 

「………彼女、何者かしらね」

 

「………気がついてるのか?」

 

「さぁね~まぁセリューやサヨたちは気がついてないみたいだけど、そこら辺長けてる人からしてみれば、彼女は人間とは思えないということかしら」

 

暗殺者ならではということだな。チェルシー自身気がついてるなら、話しておくべきか。

俺はルールーについて、目的について、敵意は今の所ないと言うことを話した。

 

「調査ね………まぁナイトイェーガーズのリーダーが決めたことだから従うけど、もし彼女と戦うことになったら……戦えるの?」

 

「戦えるよ。あの世界でも俺はセリューやサヨ、ウェイブ、クロメたちと戦ってきたんだからな」

 

「……それは昔の話でしょ。今はどうかしらね」

 

「今は………そんときになったらだな」

 

「そう……まぁゆっくり考えるべきね」

 

チェルシーはそう言って、警備室から出ていくのであった。今のことか……俺は戦えるのであろうか……

 

「本当にそうなったらだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仕事も終わり、繁華街を歩いていると突然なにかの騒ぎが起きていた。俺は騒ぎの中心地に行くとそこにはオシマイダーが暴れていた。

 

「パップルとかいうやつの姿はないな。もしかして……」

 

俺はオシマイダーの周囲を見ると近くに円盤型の飛行物体があった。もしかしてアレって……

 

「全く理解できずに暴れることにしたのかよ!!」

 

俺ははなたちが来るまでの間、オシマイダーの動きを止めに入ろうとした瞬間、横から何かが襲いかかってきた。

 

「おっと、騒ぎに合わせてワイルドハントの誰かが着たか?」

 

俺はレガオンを右腕に装着させ、襲いかかってきたやつを見つめた。フード姿で顔を確認できない。何者だこいつ?

 

「………抹消対象確認。ハイト様の命令通り、攻撃を開始する」

 

フードの男は右腕から刀を抜き、斬りかかってきた。俺はレガオンで男の斬撃を受ける。

 

「こいつ、ワイルドハントの連中じゃないのか?」

 

「違う。僕はハイト様の忠実なる下僕!!」

 

鋭い斬撃を繰り出していく男。全く面倒なやつだな

 

「ミナトくん!?」

 

「はな、さあや、ほまれ……オシマイダーを頼む」

 

「うん、」

 

駆けつけてきたはなたちはプリキュアに変身し、オシマイダーへと向かっていった。俺は男の腹を思いっきり蹴り飛ばし、レガオンを構えた。

 

「悪いけど、一気に決めさせてもらう!!奥の手発動『竜騎』」

 

真っ赤な鎧に身を包み、俺は男を殴り続けた。

 

「奥の手……強大だが……使用者から恐怖を感じる」

 

男の言葉を聞き、俺は拳を止めた。男は何事もなかったように刀を構えた。

 

「現状、殺すのに手間はかからない。いつでも殺せる」

 

男はそう言って、姿を消すのであった。あいつは一体……

 

「恐怖を感じるか……」

 

何というか感じ取られたか。だけど今はそんな事を考える暇はないな。急いでルールーを止めないとな

 

俺はキュアエール達が向かった場所へと走ろうとした瞬間、目の前にルールーが現れた。

 

「プリキュアたちによって、オシマイダーは浄化されました」

 

「何を暴れてたんだ?」

 

「……野乃はなに悪印象を持たれたため、調査が不可能だと思い……」

 

「それでもうアジトに帰るのか?」

 

「いえ、まだ調査はします。この胸の痛みが何なのかわかりませんので……」

 

ルールーのやつ、もしかして何かしらが生まれ始めようとしてるのか?それならいいけど……

 

「そっか、まぁはなたちにばれないようにな。バレた時、辛いのははな達だからな」

 

「それは……」

 

「あっ、ルールー、ミナトくん」

 

「ほら、行くぞ」

 

「……はい」

 

戦いも無事に終わり、俺達は家に帰るのであった。それにしてもあの男は一体……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハイト様。抹消対象はいつでも消せます」

 

「ほう、だがまだ生かせておけ。面白いものを発見した」

 

「それは?」

 

「レガオンの詳細だ。これから先見ものだな」

 

 

 

 

 



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第31話 さあやvsルールー

ある日の朝、物凄い物音で目を覚ました俺。時計を確認するといつも目が覚める時間をかなり過ぎていた。

 

「何の音だったんだ?」

 

音が聞こえた場所はどうやらはなの部屋にだった。俺はノックして入ると床に倒れ込んでいるとはなとそれを見つめるルールーの姿があった。

普通だったら等々やったのかと冗談を言うべきなのだが、ルールーには通じないし……

 

「何してるんだ?」

 

「野乃はなを起こしに来ました。引きずり出してもいいとのことでそれを実行したまでです」

 

よく見るとベッドが偉いことになっていた。うん、言葉通りに実行したのはいいことだろうけど加減してほしいな。

 

「そういえば今日は何かあるって話じゃなかったっけ?」

 

確か仕事体験の日じゃなかったっけ?まぁ俺は疲れているから今回はついていかなくていいか

 

「そうだった。ミナトくんも今日は……」

 

「寝る」

 

俺はそう告げて、部屋に戻ろうとすると何故かルールーに腕を掴まれていた。

 

「ルールー、離してくれないか?」

 

「あなたも行かないといけません」

 

「昨日、仕事が大変で……」

 

「だめです」

 

「……眠いんだけど……」

 

「だめです」

 

これ以上の問答は無理だな。俺は諦めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のお仕事体験場所は保育園だった。はな、さあや、ほまれ、ルールー、ハリー、はぐたん、それに何故かセリューが来ていた。

 

「セリューがいるんだったら俺、いらなくないか?」

 

「全く昨日の疲れを残すなんて未熟なんじゃないんですか?ミナトは……」

 

「ここ最近、疲れが取れなくって……まぁ原因はわかってるけど……」

 

仕事の疲れというわけではなく、この間、奥の手を使用した際の後遺症が出てきてるな。

セリューの言うとおりまだまだ未熟だな。

 

「まぁまぁセリューさん、ミナトくんたちはどこかで休んでていいよ」

 

「まぁあんたら付き添いだしね」

 

「ミナトさん、職員の人が休憩室を使っていていいそうです」

 

三人に気を使われ、俺は職員に案内された休憩室で少し仮眠をとることになったのだった。

 

 

 

 

「ミナト、ミナト、起きて」

 

「ん?セリュー、どうかしたのか?」

 

仮眠に入ってからまだ二時間くらいしか経ってないけど、何かあったのか?俺はセリューに連れて行かれる場所に行くと、何故かさあやとルールーが険悪なムードになっていた。

 

「何があったんだ?」

 

「あぁ、ミナト、ちょっと……」

 

ほまれ曰くどうにもさあやがルールーに対抗心を持ってしまい、ルールーも負けじと対抗心を燃やしていた。

 

(さあやは意外だな。だけどルールーが対抗心を燃やすなんて……本当にアンドロイドとは思えないな)

 

心の中でそう呟いていると、さあやとルールーの二人が一人の赤ん坊をあやしていた。

 

「せいたろうくん、この格好をすると喜びます」

 

「ちがってよ!正確にはこうきて、こうきて、こうよ」

 

「いいえ、この動きです」

 

「違うわ。この動きからの連続ですわ」

 

何だかさあやの口調がおかしくなってないか?

 

「さあや、せいたろうくん、ポカンとしてるよ」

 

「少し黙っててくださる?」

 

「あう……」

 

はなが止めに入るとさあやは笑顔でそういうのであったが、笑顔がものすごく怖いんだけど……

 

「よろしくってよ」

 

これは変に止めずに見守っていたほうがいいな。

 

「ひょっとして、さあやって、ものすごく負けず嫌いなんじゃないのかな?」

 

「えっ?私、今までそんなふうに感じたことないけど……」

 

「はなじゃ自分と張り合うようなレベルになかったとか……」

 

「めちょっく!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保育園より離れた場所にて、フードの男とドロテアの二人が保育園を見つめていた。

 

「見張るとはな。妾はてっきり直ぐ様襲いかかると思っていたが」

 

「……僕は君たちみたいな野蛮な存在じゃないよ」

 

「野蛮……まぁ一部の奴らだけじゃ。妾とコスミナと死んだイゾウはまだいいほうだぞ」

 

「ふん……」

 

フードの男は興味なさそうにしながら、見張りを続けていた。ドロテアはため息をつき一緒に見張りを続けた。

 

「それにしても見事なものじゃな。錬金術でもそこまで完璧なものは生み出すことはできんぞ」

 

「……ハイト様は全てに精通している。だからこそだ」

 

「主に従順みたいじゃな……」

 

「まぁでも、結構つまらない子だったりするんだよね~」

 

突然二人の後ろに一人の少女が現れた。フードの男は少女を見て苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 

「あら~ずいぶんと嫌そうな顔ね。暇つぶしに来たかいがあったわね」

 

「……用は済んだんだ。帰れ」

 

「それは断るわ。ハイト様のために私もちょっかい出してくるわ」

 

「なんじゃ、お前もハイトの言う3つの傑作のうちの一つか?」

 

「えぇ、そうよ。それじゃ……」

 

「待て、お前が行くなら僕が行く」

 

「そう、いってらっしゃ~い」

 

フードの男は直ぐ様姿を消すのであった。そして少女は不気味な笑みを浮かべていた。

 

「さぁて、ハイト様の言っていた面白い計画成就のために、頑張って引き出しなさいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おでかけに行く子どもたちを見送り、はなたちが赤ん坊を高い高いをしているときのこと

 

「わ~お!それええな。俺も俺も」

 

「ハリーは大人でしょ」

 

「大人かて飛びたいん時はあるんや!オレも~オレも~」

 

ハリーがルールーに高い高いをせがんでいると、ルールーは何も言わずハリーを抱えて

 

「おおき……にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!?」

 

ハリーは大空へと飛び、星になるのであった

 

「……ルールー」

 

「何でしょうか?」

 

「やりすぎ」

 

「……そうでしょうか?」

 

ルールーは落ちてきたハリーをキャッチし、ハリーはフラフラな状態で戻ってくるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第32話 負けたくない気持ち

それからというもの、赤ちゃんたちがルールーに集まり、ルールーは大人気になっていた。

さあやは負けじとおやつを持ってくるが、誤って落としてしまう。

 

さあやが落としたおやつを片付けをしている中、ほまれがあることを言った。

 

「それにしても意外だった。さあやにこんな負けず嫌いなところあったなんて……」

 

「なんか、恥ずかしい」

 

「いいんじゃない?そういうのいいじゃん」

 

「えっ?」

 

「そうそう、負けず嫌いっていうのは悪いことじゃないのよ」

 

セリューもさあやとほまれの二人の話に混ざった。

 

「負けず嫌いって負けたくない気持ちよね。それっていいことだと思う。しっかりとした信念があっていいわ」

 

「信念……」

 

「まぁ意地を張り続けないことが重要だけどね」

 

「……うん」

 

こういう時、一緒に住んでいる分セリューがさあやのことを一番理解していていいな。

ふっと気がつくとルールーの姿がなかった。

 

「はな、ルールーは?」

 

「何だかお手洗いに行くって言ってたよ」

 

それなら安心だな。そう思った瞬間、何か怪物の唸り声が聞こえた

 

「オシマイダー!!」

 

「今の声って……」

 

俺たちは顔を見合わせ、外に出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出るとそこにはオシマイダーが暴れていた。はなたちはプリキュアに変身する中、俺はあたりを見渡すとルールーの姿を見つけた。

 

「仕事に準じるって事か」

 

「どうしたの?」

 

「いや、なんでもない。みんな行くぞ!!」

 

キュアエールたちがオシマイダーに立ち向かっていく中、俺とセリューは突然何かの攻撃を喰らい、吹き飛ばされそうになった。

体勢を立て直し、前を見るとそこにはフードの男が立っていた。

 

「またおまえか」

 

「ミナト、こいつは?」

 

「前に襲ってきたやつだ。ワイルドハントの奴らではないことは確かだ」

 

俺はレガオンを斧にして装着し、振り落とすが、フードの男は片手で受け止めていた。

 

「ハアアアア!!」

 

斧を受け止めていたフードの男に向かって、セリューが鉄球を振り落とした。フードの男はギリギリのところで避けた瞬間、俺は両腕、両足にレガオンを装着し、フードの男を思いっきり殴り、フードの男は地面に思いっきり激突した。

 

「手応えありだな。キュアエール達は……」

 

俺とセリューの二人がキュアエールたちの方を見ると、何故かキュアエールが赤ちゃんのおむつを取り替えていた。

 

「何してるんだ?」

 

「ミナトくん、赤ちゃんたちが泣き出して……それにおむつも……」

 

「あぁもう……」

 

俺とセリューがオシマイダーの方へと向かおうとした瞬間、俺の足が何かに掴まれ、近くの木に投げ飛ばされた。

 

「ミナト!?」

 

「大丈夫だ……今のは……」

 

フードの男が落ちた場所を見るとそこには見覚えのある顔をした少年がいた。

 

「……今のは効いたぞ。だが……」

 

「その顔……ハイト?」

 

「にしてはちょっと若い気がするけど……」

 

俺たちがそういった瞬間、フードの男は顔を晒されたことに気がつき、男から殺気が溢れてきた。

 

「よくも僕の正体を……よくも……」

 

男がフードを脱ぎ捨て、腰につけていた刀を抜いた。

 

「本気で殺してやる!!」

 

男が何かを叫ぼうとした瞬間、突然何かが男の上に降ってきて、男の首を掴んでいた。

 

「殺しちゃだめよ。全く顔を見られたくらいであせちゃって……」

 

突然現れた少女は男にそう呟いた瞬間、男は刀を鞘に収めるのであった。

 

「初めましてナイトイェーガーズのメンバーさん。私はハイト様直属の下僕のリアン。この子はフォルシュ。今回は引いてあげるわ。じゃあね」

 

リアンがそう言って、姿を消すのであった。直属の下僕って、ワイルドハントよりうえってことだよな。

 

「隊長が言っていた私達じゃ勝てないって……」

 

「この事かもしれないな」

 

俺とセリューが落ち込む中、キュアエールたちのことを思い出し、振り向くとオシマイダーを出していたルールーが赤ちゃんたちを守っていた。

 

「あいつ……」

 

「今のうちに!!」

 

動きが止まったオシマイダーに向かって、俺とセリューは蹴りを食らわし、地面に倒れ込ませた。その瞬間、キュアエールたちのトリニティコンサートでオシマイダーを浄化させるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、ルールー、自分でオシマイダーを出したのにどうしてオシマイダーの邪魔をしてたんだ?」

 

「……それは……」

 

家に帰り、ルールーの行動が気になり、俺は思わず聞くのであった。ルールーは何故か答えづらそうにしていた。

 

「わかりません。あの時、プリキュアが赤ちゃんが気になり、戦いに集中できないでいた。私の目的である彼女たちの完全なデータが欲しかったため、あのようなことをしたと思います」

 

「本当にそうかな?」

 

俺としてはプリキュアたちを助けるために動いているように見えてたけど……まぁ言わないでおくか。

 

「ところでお聞きたいことがあるんだけど、あの時現れた二人は何だ?」

 

「わかりません。ですがもしかすると……いえ、敵である貴方に教えるべきことではありません」

 

やっぱり教えてくれないか。あのフォルシュってやつ……ハイトと同じ顔をしてるけど、まさかこの世界の歴史の裏で動いていたハイトなんじゃないのか?

 



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第33話 ルールーのとある一日

今回の話は主人公であるミナトの出番はあまりありません


ルールーSIDE

 

私は何故か一人で買い物に向かっていた。どうにも卵がほしいとのことで調査対象が困っているためだったが……

 

「命令されたわけでもないのに……私は何故?」

 

私の問に答えてくれるもうひとりの調査対象である彼は朝から仲間のところに出かけていた。ついて行こうとするが……

 

『悪いがお前がアンドロイドでも女の子である以上はついていくことは許さないからな』

 

とアンドロイドである私ですら恐怖を感じるほどの殺気を感じたため、ついていくのを諦めた

 

一人そう思いながら歩いていると一匹の猫が目の前から歩いてきた。特に危険性がないため無視をしようとした瞬間、

 

「ストーーーーーーップなのです!」

 

一人の少女が突然現れた。一体彼女は……

 

「事故が起こる前にみんなを守る!キュアえみーるなのです」

 

キュアえみーる……まさか彼女はプリキュア?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、違うから!?」

 

「どうしたんだ?ミナト?お気に召さなかったか?」

 

ラバのところでエ………聖書を読んでいたら急にツッコミを入れたくなってしまった?なんだろう?どこかの天然の子がボケをかましていた気が……

 

「いや、なんでもない」

 

「それよりここで読むだけでいいのか?こっちとしては金を払って借りていってほしいんだけど」

 

「悪いけど持って帰ることはできないんだよ。いろいろと問題があって……」

 

隠せるには隠せるけど、下手すればルールー辺りに見つかりそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたをお守りするのです」

 

プリキュアみたいな少女が私の腕を掴んで離さなかった。これ以上関わっていると任務をこなせなくなる。

 

(この人は何なのですか?)

 

「はっ、お待ち下さい」

 

キュアえみーるが突然掴んでいた腕を離し、ある場所を見ていた。そこには黒い衣装をまとった三人組がいた。

 

「あれは……データ照合……ミナト・ユウたちがいた世界の住人であり、敵でもあった……」

 

「そこの方!!逃げますよ」

 

「えっ、何?何?」

 

キュアえみーるが三人組の中で小柄な少年の腕を掴んでこっちに向かってきた。

 

「明らかにカツアゲされていました。安心してください。安全な場所まで……」

 

「えっ、いや、僕は……」

 

「行くなのです。貴方も」

 

何故か私の腕を掴み、どこかへ走っていくのであった。

 

「……おい、いいのか?」

 

「ふむ、どうしたものか……」

 

「何をしているのだ?お前たち」

 

「おや、彼がいませんが……」

 

「ニャウでしたら、おかしな格好をした少女に連れてかれました」

 

「「?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キュアえみーるに引っ張られながらも目的地にたどり着いた私は、目的の卵を買うことができた。

 

「はぁ、リヴァたちとはぐれたけど、どうしたものか」

 

「貴方でしたら彼女の手を振りほどくことが可能じゃないのですか?」

 

三獣士の一人、ニャウに私はそう告げると彼は私のことを見つめていた。

 

「君誰?」

 

「私はクライアス社のアルバイト、ルールーです。こうしてお会いするのは初めてですが、あなた達のことはデータ入力済みです」

 

「あぁ、ドクターが興味を持っていた人形か……こんなところで何をしてるの?」

 

「現在プリキュアとミナト・ユウの調査中です」

 

「ふ~ん」

 

彼は興味なさそうにしているとキュアえみーるが落ち込んだ状態で戻ってきた。

 

「キュアえみーるは全然皆さんのお役に立ちませんでした。ニャウさん、すみませんでした。勘違いでお連れして……」

 

「いいよ。もう……そのうち仲間と合流できそうだし……」

 

「それに落ち込む必要はありません。貴方が声をかけた人たちはみんな、笑顔になっていました」

 

「そ、そうですか?」

 

「はい、それが何故なのかわかりませんでしたが……」

 

「嬉しいのです……あの良ければ私の家に来ませんか?ニャウさんも一緒に……お詫びをしたいので」

 

「僕は……まぁいいか」

 

「嬉しいのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

「そういえば最近どうなんだ?」

 

「どうって何がだ?」

 

エロ……聖書をあらかた読み終えるとラバがそんなことを聞いてきた。

 

「聞いてるぜ。ハイトの直属の下僕が現れたって」

 

「あぁ、かなりやばい奴らだ。下手すれば俺たちより強いな……」

 

連携をしていけば何とか倒せない相手ではないけど、それでも油断はできないな

 

「まぁ手が必要なときは言えよな」

 

「あぁ、頼りにしてるよ」

 

「それと………お前の奥の手……制御できてるのか?あの頃より…」

 

「………一応一分間は制御できてる。それに制限時間を超えるようなことはしてない」

 

「そうか……タツミたちじゃまだ止められないか」

 

「あぁ」

 

 



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第34話 誰だってヒーローに

結局彼女はプリキュアでも何でもなかった。だが彼女から感じたアスパワワが何なのか気になり、私と街であったニャウと一緒に彼女の家に訪れていた。

 

「ここが私の家なのです。よくお城みたいだって驚かれますが……」

 

「お邪魔します」

 

「お邪魔しま~す」

 

「えぇ!?」

 

何故か彼女は驚いていたけど、一体どうしたのか?特に気にするようなことではないか。

 

中に入ると真っ黒で、一部分だけスポットライトが当たった。

 

「ラララ~ようこそ~」

 

「我が家へ~」

 

「「どうぞごゆっくり~」」

 

「変わった両親だとお思いでしょうが、あまり……」

 

「お邪魔します」

 

「ノーリアクション!?」

 

「何というかもっと変わった人たちを見たことがあるから、これぐらいは……」

 

変わった人たちというのは、以前ミナトが言っていた特殊な思考を持った貴族たちのことでしょうか?ですが、彼もまた変わった思考を持っているのでは?

 

「お友達かい?兄の正人です。よろしく」

 

またスポットライトが当たり、兄と名乗る人物がいた。彼はえみるのことを見つめるとあることを言った。

 

「ところでえみる。さっき街でお前を見かけたけど……」

 

「ルールーとニャウさんを案内しますので、これにてなのです」

 

えみるは私とニャウの腕を掴み、部屋まで連れて行くのであった。

 

 

 

 

 

 

「ここが私の部屋なのです」

 

私は部屋の中を見渡すといくつか見覚えのないものがあった。

 

「あれは何ですか?」

 

「あれは楽器です。楽器を知らないんですか?」

 

「はい」

 

「楽器というのは音楽を奏でるものです」

 

「音楽……音楽とはなんですか?」

 

「音楽を知らない!?」

 

「まぁ彼女の場合は余計なことを覚えないようにしてるから……」

 

「それでしたらお教えします」

 

えみるはそう言って、どこからともなく取り出した楽器を手にとった

 

「私が最も愛する楽器!ギターなのです」

 

彼女はギターを奏で始めるのであった。

 

「ギターは自由なのです。のれるのです。かっこいいのです。ギュイーンとソウルがシャウトするのです」

 

「はぁ?」

 

「えみる、ルールーはそういうのは早いみたいだよ」

 

「そうみたいですね。では、これはどうでしょうか?」

 

えみるは優しい音を奏で始めた。この音……聞いていると胸の奥が……

 

「いい音だね。それだったら」

 

ニャウも笛を奏で始めた。彼女たちの音楽を聞いていると何故こんなに胸が苦しくなって、こんなにも聞いていたいと思えるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

ラバのところを後にするとどこからか騒ぎが聞こえてきた。

 

「オシマイダーか?」

 

俺は騒ぎの中心地にまで向かうとそこにはオシマイダーがいた。

 

「ミナトくん!?」

 

「はな、さあや、ほまれ」

 

「行くよ」

 

はなたちがプリキュアに変身し、オシマイダーと対峙するなか、俺は周辺を確認した。今回はあいつらは出てこないのか。それなら手伝えるな

 

「オシマイダー!!」

 

オシマイダーが叫んだ瞬間、キュアエールたちが何かに吹き飛ばされ、俺も防ごうとするが防ぎきれなかった。

 

「今のは……」

 

「音波で攻撃してきたみたい」

 

「なるほど……よくわからない攻撃だな」

 

「あんた、使ってる武器がよくわからないのに、よくそんな事言えるわね」

 

キュアエトワールにそう言われる中、一人の男の子が泣いているのを見かけた。逃げ遅れたのかと思い、助けに入ろうとした瞬間、どこからともなく現れたプリキュアの格好をしたえみるが助けに入った。

 

だが、オシマイダーの音波を受けて吹き飛ばされてしまい、地面に落下する直前、キュアエールが助けるのであった。

 

「あ、あなたは……プリキュア」

 

「見てたよ」

 

「ありがとう」

 

「貴方もヒーローなんだね」

 

「ヒーロー……はい」

 

えみるが元気良く答える中、ビルの中から何かが出てくるのが見えた。

 

「あの女の命令で来てみたら、この間の可愛い子ちゃんじゃないねぇか」

 

「ひぃ!?」

 

「俺とあそ……ぶへっ!?」

 

何でこうえみるがいる時に限ってこいつが出てくるんだよ。ストーカーか?

 

「ミナトお兄さん……」

 

「超キモピエロ熊は街中に出るから気をつけろよ」

 

「いえ、ですからあれは……」

 

「てめぇ……また邪魔しやがって……」

 

チャンプが帝具を取り出し、投げようとした瞬間、どこからともなく笛の音が聞こえてきた。

 

「この音は……」

 

「な、なんだ?う、動けぇね……」

 

「もしかしてあいつか?何で助けてくれるのか変わらないけど、超キモピエロ熊は………」

 

俺は両手に鉄甲を装着し、チャンプの顎を思いっきり殴り、追撃に蹴りを入れるのであった。

 

「げほ、がはっ」

 

「ミナトお兄さん、強いのです」

 

「えみる、危ないから下がってろって」

 

チャンプが地面に倒れた瞬間、黒い穴からリアンが現れた。

 

「何だ。役立たずじゃん。はぁい、ミナト」

 

「リアン、お前か……」

 

「悪いけど回収するだけだから戦わないよ。それじゃあね」

 

リアンはチャンプを片手で持ち上げ、黒い穴に入り逃げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全くプリキュアがいたから良かったものの、危ないことするなよ」

 

「ごめんなさいなのです」

 

オシマイダーも無事に倒し、俺はえみるを怒っていた。

 

「……ミナト」

 

「ルールー、えみると一緒だったのか?」

 

「はい……彼女は街の危険放っておけなかったからこそ、こういったことを……」

 

「ルールー……」

 

なんかえみると関わって、ルールーが変わった気がする。何かあったのだろうな。

 

「とりあえず危ない真似はやめとけ。怪我したら大変だろ」

 

「はい、いまさら体が震えてきたのです」

 

「まぁ、怖いと思えているなら二度と危ないことはしないだろうな。とりあえずこれからも頑張れよ。ヒーロー」

 

「はい」

 

「……えみる、心拍数上昇……」

 

こうしてルールーとえみるの不思議な一日は終わるのであった。

 



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第35話 夕暮れの戦い

ある日のこと、今日はサヨと一緒に警備していた。俺はサヨが見回っている間、警備室で読書をしていた。

 

「………」

 

「………」

 

していたのだが、何故か警備室にほまれが来ていて、俺に話しかけることなくただじっと俺のことを見つめていた。

 

「なぁ……何か用なのか?」

 

沈黙に耐えきれず、声を掛けた。

 

「別に……ちょっとね」

 

「ここに来てからずっと黙りこくって……読書に集中できないんだけど……」

 

「あんた………それ普通の本よね」

 

「俺がエロ本しか読まないやつだと思っていたのか?」

 

「ちょくちょくあの本屋に入るところ目撃されてるわよ」

 

誰だよ。それをチクったのは……

 

「それで用があって来たんだろ」

 

「……実はさ」

 

ほまれは語った。どうにもあきというクラスメイトに弟子にしてくださいと言われたらしく、彼女曰くほまれは自分の考えを持っていて、大人っぽくって……

だけどあきとあきの親友であるじゅんなの二人はその弟子入りが原因で喧嘩をしてしまったらしい

 

「何というかお前、未だに不良って呼ばれてるんだな」

 

「悪かったわね……」

 

「まぁそういうのは気にしない方がいいことだぞ」

 

「不良呼ばわりは……」

 

「そっちじゃなく、その二人のことと自分の考えを持っていないとかそういうのだよ」

 

何というか年齢らしい悩みを持っているみたいだけど、こういうのは誰かに解決してもらうのではなく、自分で解決するしかない。

 

「まぁあとは自分でなんとかしろ」

 

「なんとかって……」

 

「昼休みもそろそろ終わるだろ。授業にもどれ」

 

「……わかったわよ」

 

ほまれはそのまま警備室から出ていくと、すれ違いにサヨが戻ってきた。

 

「特に異常はなかったけど、さっきほまれちゃんが来てたの?」

 

「あぁ、年相応の悩み相談を聞かされてた」

 

「そう」

 

俺は見回りに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見回りをしていると階段の踊り場にルールーが立ち尽くしていた。

 

「ルールー、何してるんだ?」

 

「……ミナト」

 

ルールーは前に比べて感情が表に出るようになった。アンドロイドだって言うのに、感情が生まれるっていうことはあり得るのか?

 

「先ほど……いえ、なんでもありません。授業に戻ります」

 

「……ルールー、迷ってるのか?」

 

「迷う?私が迷うことなど……」

 

「そうか、俺の勘違いならいいけど、もし迷っていたら自分がやりたいようにやるべきだ」

 

「……わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の帰り道、急に雨が降ってきたが、俺はとくに気にせず家に帰ろうとしていた。だけどそんな時に、はなが誰かと話しているのが見えた。

 

「はな!!」

 

「あれ?ミナトくん?」

 

「そんなところで何してるんだ?」

 

「あれ?さっきまでいたおじさんは?」

 

はなはあたりを見渡すが、さっきまで話していた人物が急にいなくなっていたらしい。確かに見たことのないおじさんがいたのは俺も見たけど

 

「とりあえず早く帰るぞ」

 

「うん、ってミナトくん、何でそんなにびしょ濡れなの!?」

 

「あぁ、これぐらいの雨に濡れてもいいかと思ってな」

 

「それはだめだよ。風邪引くよ!」

 

とりあえず先に行っているさあやと合流しに、俺達は先を急ぐのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一旦雨宿りしにハリーショップを訪れた俺、はな、さあや。すると何故かすみれさんが来ていた。

 

「ママ、どうしてここに?」

 

「実はいうとね。ハリーくんにはぐたんの事頼まれてるの」

 

「あのタツミさんやウェイブさん、クロメさんがいるんじゃ……」

 

「その三人なら確か今日は休暇だって言ってたな」

 

「とりあえずはなたちが戻ってきたから、私は帰るわね」

 

すみれさんはそう言って帰っていった。それにしてもどこで何をしてるのやら……

 

「たっだいま~なんや、はなたち来とったんか」

 

ハリーのことを話しているとちょうど帰ってきた。帰ってきたが何でびしょ濡れなんだよ

 

「ハリー、風邪引くぞ」

 

「ミナト、お前には言われたくないんやが……」

 

びしょ濡れになってどこで何をしていたのやら…………

 

とりあえず俺たちは服も乾いたところで家に帰ろうとした時、トゲパワワの反応を感じ取り、俺、はな、さあやの三人でそこへ向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

橋の近くまで来ると制服を着たオシマイダーが暴れていた。

 

「はな、さあや」

 

「うん」

 

「行きます」

 

二人はプリキュアに変身し、オシマイダーに向かっていく。俺は両足にレガオンを装着し、一緒に立ち向かっていくが、オシマイダーは三つ編みを自由に操り、俺たちを吹き飛ばした。

 

「厄介な攻撃だな!?」

 

「アンジュ、行くよ」

 

「うん」

 

二人はオシマイダーの攻撃をかわしていき、俺はその隙をついてレガオンの斧で切り裂こうと思った瞬間、橋の下にルールーがいるのを見つけた。

 

「何やってるんだ?」

 

ルールーは思いつめた表情でその手に持っているアプリハートを見つめていた。何であいつが持っているのか聞きたいけど……

 

俺はルールーのところに向かった。

 

「ルールー!?」

 

「ミナト……」

 

「悩むぐらいだったら自分がやりたいようにやれ!!」

 

俺はそれだけを伝え、戦いに戻るのであった。

 

「やりたいように……」

 

 

 

 

戦いに戻るが、オシマイダーの攻撃がどうにも激しい。強すぎないか?

 

「みんな、おまたせ」

 

するとキュアエトワールが遅れてやってきた。どうやらルールーは……

 

「俺があのオシマイダーをうまく押さえつけるから、三人はその隙にとどめを刺せ」

 

「「「わかった」」」

 

「奥の手!『龍騎』」

 

俺は奥の手を発動し、オシマイダーを思いっきり殴った。オシマイダーは三つ編みで俺の動きを止めようとするが、俺はなんなく三つ編みを掴み、そのまま地面にオシマイダーを叩きつけた。

 

「今だ!!」

 

それから三人の必殺技であるトリニティコンサートでオシマイダーを浄化することができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わり、一件落着かと思ったが、ほまれとハリーがルールーに問い詰めていた。

 

「あんた、何者なの?」

 

「………」

 

突然ルールーがキュアエールを突き飛ばすとそこに黒い光線が放たれ、ルールーに直撃した。

 

「私の邪魔をするなんて調整し直しね」

 

「おい、ババア、何してやがる!!」

 

俺は攻撃を仕掛けようとするが、パップルは倒れたルールーを連れてどこかへ消えるのであった。

 



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第36話 殺す覚悟

俺はみんなにルールーが何者なのか説明した。

 

「そんな……」

 

「本当の目的はそんな感じだった。俺も特に危険視はせずに見張っていたけどな」

 

「つうことはあいつがスパイってことやな」

 

「違う。スパイなんかじゃない」

 

「あのな……お前らは騙されてたんや」

 

「騙されてなんかない」

 

「いいや、騙されてたんや」

 

「違う」

 

ハリーとはなが口論するが、驚いたはぐたんが泣いてしまい、二人の喧嘩が止まった。俺はあることを思い、三人にあることを聞いた

 

「はな、さあや、ほまれ」

 

「何?ミナトくん……」

 

「もし次にルールーが現れた時……その時は敵としてあいつはお前たちに向かってくる」

 

「そんなこと……」

 

「もしもだ。もしも戦うことになって、ルールーは今までの記憶は消され、お前たちプリキュアを倒すためだけの存在になって、正気に戻すことができなかった場合………」

 

俺はあの時、はなたちがチャラリートを救ったときのことを思い出した。きっとこいつらは救うことを考えて戦うのだろうけど……もしもの場合はどうするんだ

 

「ルールーを殺す覚悟はあるか?」

 

「「「!?」」」

 

三人は俺の言葉を聞いて、固まっていた。俺は三人の答えを聞かずハリーショップから出ていくのであった。

出ていくとそこにはサヨとセリューの二人がいた。

 

「面倒な問題を与えるなんてね」

 

「何か考えがあるの?」

 

「あいつらは正義のヒーローだ。全てを救いたいって思っているけど……いつか訪れるであろう難題を前にどう立ち向かうか確認したかった。それだけだ」

 

俺は二人にそう言うと、セリューはため息を付いていた。

 

「ミナト、だからって泥をかぶるのは自分だけでいいって思ってるの?」

 

「そんなの間違ってます。私達はチームだから背負う時は一緒だよ」

 

「……お前らは背負う必要はない。お前らはあいつらを正しい道に導いてくれ」

 

俺はそう告げ、駆け出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

「プログラムを戦闘用に書き換えましょうか。それに試作品のアンドロイド用のパワードスーツも……」

 

「えっ、いや、そこまでするつもりは……」

 

「機械人形は機械人形らしくすればいいのです」

 

リストルがパップルに冷たく告げると、そこにハイトとドロテアの二人がやってきた。

 

「それならいいものがあるぞ。リストル」

 

「ハイト。いいものとは?」

 

「参考として召喚した帝具を、貴様が言うパワードスーツに組み合わせた」

 

「勝手なことを……」

 

「大事な商品なら鍵をかけてしまっておくのだな」

 

「まぁいい。そのパワードスーツと組み合わせた帝具とは何だ?」

 

「雷を操る帝具、雷神憤怒アドラメレクだ」

 

「妾たちがいた世界の将軍が使っていたものでな。強さは保証するぞ」

 

「ほう……」

 

『RUR-9500出撃します』

 

警告音が鳴り響き、ハイトは笑みを浮かべた。

 

「ドロテア、フォルシュとリアンを連れ、様子を見に行け。私はもうひとりの傑作品に渡す例の皇具を完成させてる」

 

「わかった」

 

「パップルさん、あとはお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くの公園にたどり着くとそこにはルールーが待っていた。

 

「よぉ、ルールー、こんなところで何をやってるんだ?」

 

「ミナト・ユウ。プリキュアはどこですか?」

 

「あいつらに何の用だ?」

 

「プリキュアは私が倒します」

 

恐れていたことが本当になるとはな。あいつらがいないなら俺は……ルールーを殺す

 

「……そうか。だったら……レガオン!!奥の手発動!!」

 

俺は奥の手を発動し、全身に鎧を身にまとうと、どこからともなく現れた鎧に似たものをルールーは装着した。

 

「ダアアアアアアアアアアアアアーーーーーー!!」

 

ルールーから放たれる拳のラッシュ。俺は受け切ろうとするが咄嗟にあることに気がつき、全てを避け距離をとった。

 

「その鎧の両腕……面白いものをつけてるな」

 

「これは貴方がいた世界の帝具です。能力は知っていますね」

 

「あぁ、嫌というほどにな」

 

なにせ、一度喰らったことがあるからな。俺は腕の部分を変形させ、剣に変えた。

 

「叩き潰す!!」

 

「帝具!!雷神憤怒アドラメレク!!」

 

ルールーから放たれる雷撃を避けていくが、それでも雷撃の数は多く避けきれずに雷撃を食らってしまう

 

「うぐっ!!こんなもの……」

 

俺は雷撃の嵐をダメージ覚悟で突っ込んでいき、左腕を斧に変えた。

 

「ルールー!!」

 

斧を振りかざすが、直前で俺は斧を止めてしまった。

 

「ソリッドシューター!!」

 

ルールーの両腕から雷の砲撃が放たれ、俺は直撃を喰らい、地面に倒れ込み、奥の手が解除されてしまった。

 

「何故、今のを止めたのですか?」

 

「……さぁな。今のお前ははなたちに会わせる前に殺しておくべきだったんだけど……どうにもあいつらの覚悟に毒されたのかもな」

 

「……トドメです」

 

ルールーは拳を振りかざした。だがそこにキュアエールたちとサヨ、セリューがやってきた。

 

「ミナトくん!?」

 

「現れましたね。プリキュア」

 

ルールーは振りかざした拳を下ろし、今度はキュアエールたちに襲いかかった。俺はなんとか立ち上がり、戦おうとするが

 

「あんた、殺すつもり?」

 

「あの子達がいる前でそんなことできるの?」

 

セリューとサヨの二人がそう言って、俺を止めようとした。殺すか……やろうとしたけど無理だった。だから……

 

「俺には殺せないよ。だから……あいつらのやろうとしていることを手伝う!!残り時間からしてみれば、十秒……」

 

俺はキュアエールたちと戦うルールーを見つめた。あいつはキュアエールたちの名前を呼びながら、苦しそうにしている。それだったら……

 

「解放してやる!!奥の手!!」

 

再度奥の手を発動させ、俺はルールーに思いっきり蹴りを喰らわした。蹴りの直撃を喰らったルールーは何とか倒れずに立っていたが、鎧は砕け散った。

 

「私は……うぅ」

 

「ミナトくん……」

 

「戦う力は奪ったけど、その帝具は破壊できなかったな」

 

ルールーの両腕にはまだアドラメレクが装備されていた。だけどあの鎧を破壊した今なら大丈夫だと思った瞬間、ルールーは苦しんでいた。

 

「うぅ、うああああああああ!!?」

 

「「「ルールー!?」」」

 

「あら、あんたら無茶なことをするから壊れたかしら?」

 

どこからともなく現れたパップルがそう告げた。どこまでルールーを道具扱いしやがっている!!

 

「パップル!!」

 

俺は再度奥の手を発動させようとしたが、体に痛みが走り膝をついてしまった。やっぱりダメージが大きすぎたか

 

「そのざまじゃ私を攻撃なんて……」

 

パップルが何かを言いかけた瞬間、パップルの顔を矢と銃弾がかすめた。

 

「次は当てますよ」

 

「邪魔はしないほうがいいですよ」

 

「うくっ……もういいわよ。ルールー、そのまま暴れて壊れてしまいなさい!!」

 

「う、うっ、うあああ、ああああああああ」

 

ルールーがなりふり構わず雷撃を放った。あいつが今苦しんでるのは……そういうことか

 

「キュアエール!?」

 

「ミナトくん?」

 

「お前なら救えるはずだ」

 

「……うん!!」

 

キュアエールはルールーを思いっきり抱きしめた。

 

「私はあなた達を……みんなを騙した」

 

「ううん、騙されたと思ってないよ」

 

「何で……どうして……」

 

「私がそう思ってないから……そうなの!」

 

「こんな痛みに苦しむくらいなら、記憶は消された方がよかった」 

 

「苦しいのは私も一緒だよ。もう……ルールーと戦いたくない。さっきから体よりも胸の奥の方がずっと痛いんだよ。ルールーのことが好きだもん」

 

「はな……」

 

ルールーは思いっきり泣きじゃくった。ようやく心が芽生えたのかな?

 

「何をないてるのよ!さっさと……」

 

パップルが泣きじゃくるルールーに命令をしようとしたが、パップルの足元に雷撃が落ちた。

 

「もう私はあなたの命令を従順に聞く機械人形ではありません」

 

「うくっ……もういいわよ」

 

パップルはそう言って、姿を消すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「データ収集完了」

 

「やはりハイトが持っているレガオンの記述書とは違うな。あの小僧は制御しておるのかのう」

 

「ふふふ、一分間だけ制御可能なのね。ドロテアさん、確かワイルドハント一体、改修中だっけ?」

 

「あぁ、エンシンが回収しておったな」

 

「だったら丁度いいわね。追加機能をつけてもらおうかしら?」

 



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第37話 正体が発覚

ルールーはクライアス社の洗脳から解放され、はなたちは安心する中、ルールーはあることを言った。

 

「ミナトとの戦いで各部に異常が見られます。どこか直せる人はご存知ありませんか?」

 

「直せるっていうてもな……」

 

「もうミナトくん、本気で戦うからだよ。ルールーに謝って」

 

「いや、はな。俺もかなりぼろぼろなんだけど」

 

奥の手発動に帝具アドラメレクの攻撃を受けて、結構ダメージが大きい。お互いギリギリの戦いをやったからだろうけど……

 

「流石に未来の技術で作られてるから、こっちで直すことはできないし……自己修復機能とかついてないの?」

 

「はい、ついてません。申し訳……」

 

「ご、ごめん」

 

落ち込むルールー。さてどうしたものかと思っているとさあやが携帯電話を取り出した。

 

「さあや、どこかに電話?」

 

「もしかして心あたりがあるの?」

 

「だから無理やって、未来の技術じゃ……」

 

「あっ、お久しぶりです。この間はセリューさんのことでおせわになりました」

 

「さあや?あぁ、あの人なら」

 

セリューはさあやの電話の相手に何故か心当たりがあった。一体誰に連絡してるんだ?

 

「えぇ、はい、できればすぐにでも……そうですか。わかりました」

 

さあやは電話を切り、笑顔で俺たちにあることを告げた。

 

「少し待ってて、すぐになんとかなる人が来るから」

 

しばらくしてから見覚えのある人がこっちに向かってやってきた。あれって……

 

「はぁい、久しぶりね。ナイトイェーガーズ。それにそっちの子たちは彼を治した以来かしら?」

 

やってきたのはドクタースタイリッシュだった。なんでここに……というかさあやとどういうつながりだよ!?

 

「セリューさんの体の調整とかでたまにうちに来るの。それで何かあったときに連絡を取りやすいように」

 

「セリュー、改造とかされてないよな」

 

「大丈夫よ。ただ帝具と混ざりあった体はどんな異常を起こすかわからない以上、時折診てもらってるの。でもドクターにルールーを直すことは……」

 

「はい、完璧よ」

 

数分で作業を終わらせたドクター。未来の技術だって言うのにどんだけだよ

 

「未来の技術だろうが何だろうが、基本的なことはどんな時代でも変わらないものよ」

 

「あ、ありがとうございます。ドクター……そういえば帝具は……」

 

アドラメレクがどこにも見当たらない。もしかして今回の治療費としてドクターが……

 

「どうにも相性が良いみたいだから、貴方の体に組み込ませてもらったわ。戦闘時に出現できるようにもしておいたわ。さて、今度は貴方よ。ミナト・ユウ。しばらく彼を借りていくわね」

 

ドクターが指を鳴らした瞬間、どこからともなくエスデスが現れた

 

「「将軍!?」」

 

「久方ぶりだな。セリュー、サヨ。それにプリキュア……いい目になったな」

 

「あ、ありがとうございます」

 

褒められてはなが照れる中、エスデスは俺を担いだ。

 

「こいつは借りるぞ」

 

俺はそのままドクターとエスデスに連れてかれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの場所から離れた場所にあるビルに連れてこられた俺は、ベッドに寝かされた。

 

「あんたら、こんなところに住んでるのか」

 

「少し前に私達の事情を知る少年が用意してくれた場所だ」

 

事情を知る少年って誰だよ。そこら辺は教えてくれないのか?

 

「私達はクライアス社には協力する気はない。いや、言うなればハイトに協力をするつもりはない」

 

前、クロメからその話は聞いてる。俺たちを鍛えるためだって言うけど……

 

「体のあちこちがボロボロね」

 

「アドラメレクの雷撃を受けたからな」

 

「いいえ、それだけじゃないわ。レガオンの奥の手……自分で制限をつけているけども、それでも体に少しずつ影響は出ているみたいね」

 

無茶をしすぎたか。気をつけているとはやっぱりな気がする

 

「恐れているからこそか?」

 

「あぁ、一度目はあんたとブドー将軍。二回目はアカメ……レガオンの奥の手は危険すぎるけど、使わないと行けない状況が多い」

 

「それほどまで奴は強大というべきだな。ドクター、ミナトの体は?」

 

「一晩寝ていれば治るわよ。とりあえず奥の手の制限時間を減らすか制御するかしないと危険よ」

 

「……わかった」

 

俺は起き上がり、軽く体を動かした。確かに傷は治ってる

 

「それとルールーに伝えおいてくれないかしら?」

 

「何を?」

 

「あの子が胸の苦しみを訴えた時、それは心が芽生えたからこそのものだっていうことをね。本当に面白いわ。アンドロイドに心が生まれるなんてね」

 

ドクターも驚いていた。やっぱりすごいことなんだろうな。でもルールーに心が宿ったのははなたちのおかげだろうな

 

「ミナト。近い内にお前たちの警備の職務に私の部下を送ってやる」

 

エスデスがそう言うけど、一体誰を送るっていうんだ?あんたの部下、変人が多いからな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、警備室に俺、セリューがいる時に金髪のイケメンが訪ねてきた。

 

「久しぶりですね。セリューさん、ミナトくん」

 

「「ラン!?」」

 

薄々この世界に来ているとは思っていたけど、まさかエスデスと合流していたなんて……

 

「将軍の命令で君たちに協力することになった。それに……ヤツも生きてるみたいだしね」

 

「やつって、チャンプのことか?この間ボコボコにしておいたぞ」

 

「殺しは?」

 

「してない。あんたがこの世界に来ているだろうからな」

 

「それはありがとうございます」

 

やっぱり決着は自分でつけたいよな。だからボコボコにするまでにとどめておいたけど……

 

「ラン、これからよろしくね。仕事が終わったらみんなを紹介する」

 

「彼女たち、プリキュアだね。そういえばさっき小さな女の子がここに入ってきていたけど……」

 

女の子?きっと誰かの忘れ物を届けに来た子だろ。もしかしてはなが忘れ物してことりが届けに来たとか……

 

『いらっしゃいましたね!』

 

窓の外から聞き覚えのある声が聞こえてきた。俺たちは窓から覗き込むとそこにはプリキュアの格好をしたえみるとはなたちがいた。

 

『私は見てしまったのです。お三方の秘密を!!』

 

『ちょ、ちょっとまって』

 

『あなたたちがプリ………』

 

えみるが言い終える寸前、ルールーが高速で動きえみるの口をふさぎ、四人はそのままえみるを連れてどこかへ行くのであった。

 

「………」

 

「………」

 

「ラン、早速だけど紹介しに行くぞ」

 



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第38話 心というもの

はなたちがえみるを連れてハリーハウスに来ていた。というかお前らまだ学校があるというのに抜け出して……

教師陣に何とか誤魔化しといたからいいけど……

 

「どうしましょう?」

 

ルールーがえみるを抱きかかえながらそんなことを聞いてきた。何というかプリキュアの正体がバレているということは、俺達のことも……

 

「特に気にせず戦っていたからいいか」

 

「ミナト、少しは隠す努力くらいしたら?」

 

「何だか色々と工程をすっ飛ばして、ここに連れてこられたみたいだね」

 

セリューは呆れながら、ランはハリーハウスを見ながらそう言っていた。

 

「にしてもランまで来てるなんてな」

 

「それもエスデス隊長と一緒に行動してるなんて……」

 

「というかあの人達にアジトを提供した人はだれなんだよ」

 

ウェイブ、クロメはランとの再会を喜びあい、タツミはエスデスたちの協力者のことが気になっていた。まぁ俺も気になっていたけど……

 

「あのミナト……話に参加してください」

 

ルールーにそう言われ、俺はえみるの口に貼ってあるテープを剥がした。

 

「えみる、見たって、何をだ?」

 

「ミナトお兄さん。私見たんです!!この三人がプリキュアから戻る姿を、それにそこのネズミが人の言葉を話すのを」

 

「ワイはネズミじゃ……あっ!?きゅ~」

 

「いや、もう遅いから」

 

というかネズミってそんな風に鳴くのか?

 

「まぁバレた以上は事情を話すしかないし……」

 

「いや、そんな簡単な……」

 

「でも仕方ないことだし……」

 

「えみる、私達がプリキュアだって言うことは秘密に……」

 

「はい、分かってます。ヒーローというのは正体を明かさないのが当たり前のことです。まぁ、はな先輩がプリキュアだって言うのは少しがっかりですが……」

 

「めちょっく」

 

とりあえずはな達はえみるにこれまでのことを話すことになった。そしてえみるはというと、みんなの日常を見てみたいということに言い、俺、ルール―、ランの三人はそれに付き合うことになった。

 

「これがプリキュアに選ばれし者たちの華麗なる日常」

 

えみるはほまれのスケートの練習風景を見て、目をキラキラさせていた。

 

「もっと気持ちを込めろ。心だ。心」

 

「心……」

 

ルールーは何故か心という言葉になにか反応をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次にさあやの演技の練習を見ることに、そこでもルールーは心という言葉に反応を示していた。

 

「彼女はアンドロイドなんでしたっけ?」

 

「あぁ、とはいえ心が芽生えてるけどな」

 

「ドクターが言っていたとおり、不思議なものですね。心を宿さないものが心を宿し、心を宿すべきものたちが心がない……」

 

「この世界ではそういった奴らはいないからいいけどな」

 

あの世界で非人道的なことをやってきた奴らのことを俺たちは思い出すのであった。本当にランの言うとおりだよ。心を宿すべき奴らには心がないなんてな

 

「しかし驚いたのです。まさかルールーが先にプリキュア修行を始めていたとは」

 

「何のことです?」

 

「ルールーのことは何でもお見通しなのです。なにせ、その……親友なのですから」

 

「そうなのですか?」

 

ルールーは未だにえみるのことを友達と認識してないのか。それはそれで悲しいけど……

 

「みんな~」

 

突然はながやってくるが、はなは思いっきり転んでいた。

 

「うぅ、みんな手伝って~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなの頼み事は今度歌のテストがあるらしく、それの練習を手伝ってほしいものだった。

そんな中、ルールーも歌うことになった。どうにもルールーの歌には心がこもっていないらしく、えみるもそれに気が付き、心に響かないと言ってしまう。

 

「やっぱり私には無理なんです。心……わからない。わからない……」

 

ルールーはなにかの警告音を出しながら、倒れてしまうのであった。

 

 

 

 

俺、ラン、えみるは倒れたルールーのそばに付いていた。

 

「アンドロイドというのは本当なんですか?」

 

「あぁ、本当だ」

 

「信じられないことかもしれないけど……」

 

えみるははなたちからルールーのことを聞いていたみたいだ。するとルールーは目を覚ました。

 

「えみる、ミナト……ラン」

 

「ルール―、はな先輩たちから聞きました。アンドロイドだって……信じられません。証拠を見せてください」

 

「わかりました」

 

ルールーは証拠を見せるために両腕を上げると同時に両腕が一瞬の内に帝具を装備した状態に変わった。

 

「これでどうですか?」

 

「あ、あ、はい。信じます」

 

「驚かせてすみません」

 

「……ルール―、私達は親友なのです。隠し事はなしにしましょう」

 

「親友?」

 

「です」

 

あっさり受け入れるえみる。えみるって結構器が大きいな。普通だったら化物とか罵りそうだけど……

 

「ルールー、私と一緒にプリキュアを目指しましょう」

 

「私がプリキュア……」

 

「はい、一緒に頑張りましょう」

 

えみるがルールーの手を握りしめながらそう言うが、ルールーはその手を振りほどいた。

 

「無理です。私はアンドロイドです。きっとプリキュアになれるのは貴方のような『人』です」

 

「ルール―、お前な……」

 

「私はえみるみたいに一生懸命な可愛らしい心を持っている貴方が……とてもうらやましい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はえみるを家まで送っていくことになった。心か……あいつはとっくに持っていると思うんだけどな

 

「ミナトお兄さん……私、余計なことを言ってしまったのでしょうか?」

 

「余計って?」

 

「一緒にプリキュアになろうとか……歌だって心に響かないって言ったことが原因で倒れてしまったのです。私は……」

 

落ち込むえみる。何というかクライアス社でもない俺でも今のえみるからトゲパワワが出ているのがわかる。

俺はため息をつき、えみるのおでこに軽くデコピンをした。

 

「痛いのです……」

 

「気にしすぎだ。お前はルールーの親友なんだろ。それだったらやることは落ち込むことじゃない。元気づけることだろ」

 

「元気づける……」

 

「それにルールーは心がないとか言ってるけど、あいつはまだ心というのを理解できてない。俺はあいつには心があると思ってる」

 

「……はい」

 

えみるも元気になったみたいだな。ルールーのことはエミルに任せても良さそうだな。

 

「ミナトお兄さんは本当にかっこいいなのです。あの……もし……」

 

「もし?」

 

「いいえ、なんでもないのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第39話 心のこもった歌

俺とさあやはルール―の歌の練習に付き合っていた。やっぱりまだ心がこもっていない。

 

「だめです。心がこもらない」

 

「ルール―、あのね、私も考えすぎて良いお芝居ができなくなるの。だから考えすぎずに心をこめてお芝居するの。無理しなくていいんだよ。止めようとしても溢れてくるのが心だから」

 

「さあや……」

 

「なぁルール―、俺はお前に心がないとは思ってない」

 

「ミナト……」

 

「ただお前はまだ理解できてないだけだ。お前もえみると同じような一生懸命で可愛らしい心を持ってると思うぞ」

 

「ミナト……」

 

「ミナトさん、それ何だか口説いてるみたいだね」

 

さあやは笑顔でそう言い、ルールーは顔を赤くしうつむいていた。いや、口説いているつもりはないんだけど……

 

すると突然街の方から煙が上がった。クライアス社の仕業だと思い、俺達は騒ぎの中心地へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騒ぎの中心地に行くとオシマイダーが暴れまわっていた。

 

「来たわね。プリキュア!ナイトイェーガーズ!それに裏切り者のルール―ちゃん」

 

「パップル!!」

 

「何だ。おばさんだけか。ハイトたちにも見限られたか?」

 

「うるさいわね!あいつらは何かに集中していて出動しないだけよ!!やっちゃいなさい!オシマイダー」

 

オシマイダーが俺たちに襲いかかってきた。俺は大剣でオシマイダーの攻撃を防ぎ、キュアエールたちが攻撃を当て、オシマイダーを吹き飛ばした。

 

「妙だな。弱すぎる」

 

「目標温度上昇!まずい!よけて!」

 

ルールーがそういった瞬間、オシマイダーが吹き飛んだ場所からビームが放たれ、キュアアンジュが防ぐのだが、防ぎきれず、プリキュアたちが吹き飛ばされてしまった。

 

更にオシマイダーが上から伸し掛かり、プリキュアたちを押しつぶそうとしていた。

 

「みなさん!?」

 

「残念ねぇ~仲間が守れなくって……ってか仲間って何?笑わせないで」

 

「………」

 

「所詮、あんたはこっちの人間。心無い機械人形のくせに」

 

「……おい、バ……」

 

「そんな事ないのです」

 

俺の言葉を遮り、えみるがパップルに向かって叫んだ。

 

「ルールーには心があるのです!心があるから悩んでいるのです!心があるから音楽を素敵だと言ってくださいました。心があるから私達は親友なのです!!」

 

えみるはルールーの手を握りながらそう言い、ルールーからは涙が溢れていた。

 

「えみる、俺の言いたいこと、全部言いやがって」

 

「あっ、ごめんなさい」

 

「いや、謝らなくていい。よく言った!!奥の手発動!!」

 

俺は全身鎧を装着し、プリキュアたちにのしかかっているオシマイダーを蹴り飛ばした。

 

「キュアエール!みんな、今だ」

 

「わかった。行くよ!」

 

トリニティコンサートを放ち、オシマイダーを浄化した。パップルはオシマイダーがやられたので、逃げようとするが、俺はパップルの前に立ちはだかった。

 

「な、何よ」

 

「次にルールーを心無い機械人形とか言ったら、殺すぞ!!他の奴らにも言っておけ」

 

「くっ、わかったわよ!!」

 

ちゃんと脅しをかけて、パップルを見送るの俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いも終わり、俺はまたえみるを送っていくとえみるにあることを相談された。

 

「あのミナトお兄さん」

 

「何だ?」

 

「私、ルールーと一緒に歌を送ってみようとおもいます」

 

「……歌?」

 

「はい、ルールーは私のギターに感動してくれました。それってつまり心があるからこそですよね。だから……歌で伝えたいんです。心があるって」

 

「……いいんじゃないのか?だってお前はルールーの……親友なんだからな」

 

「はい」

 

えみるは元気な笑顔で返事をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日のこと、えみるはルールーにあるものを見せていた。

 

「これは……」

 

「前に聞かせた曲に歌詞をつけたものです。一緒に歌いませんか?」

 

「私と?でも……」

 

「ルールーと歌いたいのです」

 

えみるはそう言いながら、ギターで曲を演奏を始め歌い始めた。

ルールーはその歌を聞いて、涙を流していた。

 

「二人の心が溢れだす」

 

「えみゅるー、るー」

 

「いい歌だね」

 

「うん、二人共、本当に親友だね」

 

はなたちがふたりの歌を聞きながら、そういう中、俺、ラン、ウェイブは

 

「彼女たちの歌を聞いていると本当に平和な世界だと実感できる」

 

「あぁ、あいつらのために……いいや、この世界の人達のために」

 

「俺達もしっかり頑張るか」

 

新たに決意を固めるのであった。そして俺は二人を見て……

 

「本当にいいコンビだよ。お前らは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し離れた場所にてアンリはえみるとルールーの歌を聞いていた。

 

「悪くないね」

 

「えぇ、本当に」

 

「君まで来る必要はなかったけど……」

 

「会いたいと思って……タツミやミナトに」

 

「そう。まぁいいんじゃないのかな?君や彼女たちもそろそろ会いたいって思ってるだろうしね。それじゃ行こうか。シェーレ」

 

 

 

 




今回の話から今週のキュアアムールとキュアマシェリ登場回まで個人的に神回過ぎて大好きです


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第40話 再会とランウエイの誘い

えみるたちの歌を聞いていると、そこにアンリとどうにも見覚えのある女性がやってきた。

 

「やぁ、ほまれ。ちょっといいかな?」

 

「アンリ……何しに来たの?」

 

「ちょっと頼みたいことがあってね。それとそこの彼……いや彼らの知り合いを連れてきたんだよ」

 

「な、何で……シェーレが……」

 

タツミはアンリが連れてきた女性……シェーレを見て驚きを隠せないでいた。というかタツミ、いい加減そこら辺はなれるべきじゃないのか?

 

「なぁ、ミナト、この人、前に手配書で見た覚えが有るんだけど……」

 

そういえばウェイブたちとは会う前だったんだっけな。

 

「ナイトレイドの一人だよ。万物両断エクスタスの使用者で、セリューに殺された」

 

「そういえばセリューが言ってたな。ナイトレイドの人を一人殺したって、だけどかなり後悔してたみたいだったし」

 

そこら辺に関しては俺も知っている。何せシェーレが死んだ後にセリューに泣きながら謝られたからな

 

「タツミ、ミナト、久しぶりですね。私がいなくなったあとのことは聞いてますよ」

 

「聞いてるって誰にだよ。というかアンリはいつの間に保護していたんだよ」

 

「彼女はつい最近だよ。まぁちょっと前から君たちの仲間を保護していて、機会があったら会わせてあげるよ。とりあえず話をしたいからいいかな?」

 

アンリとシェーレを中に入れ、俺はえみるとルールーの二人を呼ぶのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファッションショーに出演してほしい?」

 

「あぁ、僕の知り合いのデザイナーの吉見リタの主催のファッションショーさ。今回、僕も特別にモデルとして出演することになったんだけど、でも僕が出るだけじゃ当たり前すぎるでしょ、もっと面白くするためにちょっとノイズを立てたいと思ってね」

 

「なるほどな……それで俺達の誰かに出てもらうっていうことか」

 

だとするとほまれかさあやか?もしくはクロメとか?

 

「はなちゃんの時代がついに来たか~謹んでお受けしま……」

 

「君じゃないよ」

 

「めちょっく!?」

 

うん、はなは何というか……いや、言わない方がいいなこういうことは……

 

「君と君、えみるとルールーだっけ?」

 

「私達ですか?」

 

「君たちの凸凹感が素敵だなって思ってね」

 

この二人なら確かに任せられそうだな。それにいい経験になるし……

 

「ランウェー歩けるなんてなかなかない経験だよ」

 

ほまれがそういう中、何故かえみるは心配そうな顔をしていた。

 

「無理なのです。レッスンもしてないのにランウェーでウォーキングしたら、すってんころりん転んで、客席に落ちて、そのままファッションの街パリまで転がっていくのです」

 

いや、どんだけだよ。そういえば心配性なところがあったな……

 

「えみる、パリまで転がっていくことはできません」

 

「でも、砂浜まで行く可能性はあるのです」

 

「えみる、だったらレッスンすれば大丈夫じゃないのか?アンリ、時間はあるよな」

 

「あぁ、あるよ。そうだ、ミナトだっけ?君には彼女たちのマネージャーをお願いするよ」

 

「何で俺が……」

 

「君は色々と支えてくれそうだからね。今までのことを考えればね」

 

支えられるって、俺は別に支えてきた覚えがないんだけどな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、警備室でセリューにシェーレのことを話した。セリューは少し暗い顔をしていた。

 

「そう、あの時の人が……」

 

「まだ気にしてるのか?前に言ったように、そういう戦いだったんだ。気にするなって」

 

「そうだけど……私はあの人に謝りたい。そういう戦いだったとしてもこれからのことを考えていくと……」

 

「そうか……」

 

何というかこういう時は放っておくべきことだよな。クロメとチェルシーのときもそうだったし……

 

「まぁ今度ファッションショーあるからそのときにでも謝っておけ。そしてこれから一緒に戦うって言え」

 

「わかった」

 

俺はセリューにそう言って、警備に出かけるとはなとアンリの二人を見かけた。

 

「何かあったのか?」

 

「ミナトくん、聞いてよ。さっき……」

 

「やれやれ、君が気にすることじゃないよ。言いたいやつに言わせておけばいいのさ」

 

「アンリがそう言うなら気にすることはないんじゃないのか?」

 

「そうだけど……」

 

「ところでアンリ、悪いんだけどファッションショーの日にシェーレとセリューを話しする時間を作ってくれないか?」

 

「あぁ、いいよ。そうだな。終わったあとなら彼女も時間があるから大丈夫だよ」

 

後々から聞いた話だとシェーレはアンリの世話係をやっているとか……ドジをしていないか聞くとやっぱりドジをしてしまうが、アンリからしてみればいい刺激になっていいとのことだった。

 

「セリューさんとシェーレさんって何かあったの?」

 

「はな、あの二人は殺し合った仲なんだよ」

 

「……そっか、そうだったね。ミナトくんたち仲が良いからそんな風に見えないよ」

 

「昔は昔、今は今、いちいち気にしてられないよ。まぁ、セリューの場合は思いつめすぎだけどな」

 

「本当に君は面白いよ。彼女たちが認めるくらいだね」

 

「アンリ、お前のところにあと誰がいるんだよ」

 

「さぁて、それは会ってからのお楽しみだよ」

 

何というかはぐらかされたな。まぁいつか会う日を楽しみにしておくか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に帰るとえみるとルールーがパソコンでファッションショーの映像を見ていた。

 

「あっ、おかえり。ミナト」

 

「お邪魔してます。ミナトお兄さん」

 

「勉強熱心だな」

 

「えみるが頑張るって決めたから」

 

「ルールーも頑張るのです。あの……そういえばミナトお兄さんとルールーは同じ部屋なんですか?」

 

「あぁ、ルールーも気にしてないし」

 

「はい、ただミナト。いい加減床で寝るのは……」

 

「俺は慣れているから大丈夫なんだよ。女の子なんだからベッドで寝てていいから」

 

「ですが……」

 

「…………………」

 

何故かえみるは俺とルールーのやり取りを見つめては難しい顔をしているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルールーSIDE

 

ミナトに頼まれ、私はえみるを送っていくことになった。どうにもワイルドハントの中にはえみるを付け狙う人がいるらしく、そのための警戒らしい

 

「ルールー、聞きたいことがあるのです」

 

「えみる?」

 

「ルールーはミナトお兄さんとお付き合いしているのですか?」

 

「突き合う?」

 

拳を突き合うことなのかと思った。確かに前戦ったことがある。

 

「ルールー、多分ですが考えていることが違うと思うのですか?」

 

「では何ですか?」

 

「そ、それは……ルールーはミナトお兄さんのことが好きなんですか?」

 

好き?好意を寄せているということ……よくわからない。そういった感情は本当にわからない

 

「わかりません。ですが時折心拍数が上がってしまうことがあります」

 

「ルールー……」

 

「もしかすると私は彼のことが好きなのかもしれません。ですが、私よりもえみるやはなの方がお似合いかと……」

 

「………それは違うと思うのです。ルールーは諦めています」

 

「でも……」

 

「もしも私やはな先輩がミナトお兄さんとお付き合いすることになったときのことを考えてみてください」

 

「………」

 

想像してみると何故か心から嫌なものが出てきた。

 

「嫌な気持ちになっていませんか?」

 

「はい……」

 

「それは嫉妬というものです。ルールー、自分の心に正直になってください」

 

「心に正直に……ですがそれだとえみると喧嘩を……」

 

「それは大丈夫なのです。ミナトお兄さんが誰を選んだとしても私は後悔しません」

 

「………それじゃ私も同じように後悔しません」

 

えみるは手を差し伸べてきた。

 

「それでは親友としてライバルとして頑張りましょう」

 

「はい」

 

互いに握手を交わすのであった。それにしても私は彼のことが……だとしたら

 

「男性が喜ぶようなことを学ばないと……」

 

 

 



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第41話 和解と熱い男

ファッションショーの当日になり、俺とセリューはえみるたちと一緒に控室にいた。

 

「ど、どうでしょうか?」

 

「似合ってるぞ。えみる」

 

「ミナト、私は?」

 

「ルールーも似合ってる」

 

「何だか月並みの台詞なのです」

 

「えみる、落ち込まないでください。ミナトはそういう人です」

 

何だか小声で馬鹿にされている気がするのは気のせいだろうか?二人は控室から出ていくとセリューに耳を引っ張られた。

 

「ミナト、もっとこういい感じの褒め言葉とかないの?」

 

「そんなもん恥ずかしくって言えるか」

 

「えみるなんて、緊張してるみたいだったよ」

 

「たくっ何で俺が……というかそんな事言ってるお前も緊張してるみたいだぞ。少しはなんとかしておけ」

 

「……わかってる」

 

俺はえみるたちを追いかけるために、部屋から出るとえみるとルールーの二人が見知らぬ男に絡まれていた。

 

「帰ろう。えみる」

 

「えっ!?」

 

「女の子もヒーローになれる……おかしいよね。ヒーローって男のための言葉だよ。女の子は守られる側だろ。言葉は正しく使わなきゃ」

 

「そ……それは……」

 

「女の子はヒーローになれない」

 

何だこの眼鏡は……自分の考えを押し付けやがって……眼鏡はえみるの手を掴み、連れ去ろうとした。俺は飛び出そうとした瞬間、はながやってきて、眼鏡とえみるの手を引き剥がした。

 

「おいっ!?」

 

「誰の心にだって、ヒーローはいるんだよ!人の心を縛るな!!」

 

全くはなといい……何だかここ最近言おうとしたことを言われてるな。まぁいいか。

 

「たくっ、ごちゃごちゃ言いやがって、お前の価値観を押し付けてるんじゃない」

 

俺は眼鏡の前に出てきて、そう告げた。眼鏡は苛ついた表情で睨んでいた。

 

「最悪だな。えみる、友達は選べってお祖父様にも言われているだろ」

 

「お兄様……」

 

「えっ!?お兄さん!?」

 

「えみる、来るんだ」

 

それでもえみるを連れて帰ろうとする眼鏡兄。いい加減、切れそうになった瞬間、ドレス姿のアンリが出てきた。

 

「相変わらず君、つまらないことを言うね」

 

「若宮くん……はは、何だい?その格好……」

 

「ドレスだよ」

 

「それは見てわかるよ。何で君がそれを着ているか聞いてるんだよ」

 

「すごく素敵だと思ったから」

 

「君、男だろ?」

 

「だから何?自分がしたい格好をする。自分で自分の心に制約をかける。それこそ時間の……人生の無駄だよ」

 

「アンリ……よく言った。少しは考え方を変えたほうが良いぞ。眼鏡兄」

 

俺とアンリはえみるを連れて行くのであった。

 

「……お兄様……」

 

何というかえみるの前で言い過ぎた気がするけど……どうしたものか。

 

「そういえばシェーレと彼女が会うのはショーが終わってからでも良いけど、ちょっと君に合わせたい人がいるんだ」

 

「あわせたい人?シェーレ以外にか?」

 

誰だ?もしかしてアカメとか?アンリはアカメのことを保護してそうだしな……

 

「それは会ってからのお楽しみだよ。あの人もなかなかおもしろい考え方を持っているからね」

 

一体誰だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セリューSIDE

 

控室で二人の出番が終わるのを待っている私、この後きっと彼女と会うことになるけど……

 

「やっぱり怖い……」

 

クロメはチェルシーと和解ができた。私にもできるはずだと思うけど……

 

「きっと恨んでいたら……」

 

私はあの日のことを思い出した。

 

 

 

コロの狂化を使って、シェーレとマインと呼ばれる少女を追い詰めていく中、私はシェーレにあることを訪ねた。

 

「………ナイトレイドにミナトという人いる?」

 

「ミナト……いますよ」

 

「シェーレ!?言ったらだめ!?」

 

「……もしかして貴方がミナトと会っている人なんですか?」

 

「……えぇ、彼との約束を守るために……」

 

「約束……」

 

「私はここであなた達を討ち、ミナトに私は殺してもらう……」

 

「何よそれ!?勝手なことを……」

 

マインと呼ばれる少女をコロが捕まえ、握り殺そうとしていた。だけどシェーレがコロの腕を切り裂いた。

 

「マイン、逃げてください」

 

「シェーレ……あんた……」

 

「大丈夫です。きっと追いつくので……」

 

「くっ、でも……」

 

「いいから!?」

 

シェーレの声を聞き、マインはそのまま逃げ出すのであった。私はコロに追いかけないように指示を出した。

 

「……お名前はセリューさんでしたっけ?」

 

「えぇ」

 

「彼に伝えてもらっていいですか?私は最後まで格好良くドジを踏まずに……戦ったって」

 

「……わかったよ。約束する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局、ミナトに言えなかったな……」

 

シェーレの最後の言葉を……

 

「うじうじしてないで、えみるたちのランウェイを見てこようかしら」

 

私が控室から出ていこうとした瞬間、大きな音が響いた。私はすぐに事態を把握し、部屋から飛び出すと丁度、シェーレも出てきた。

 

「貴方は……セリューさん」

 

「シェーレ……」

 

なんて言えば良いのか分からなくなってきた。こういう時どうすれば……

そんな時、シェーレが私の手を握った。

 

「行きましょう。今度は殺し合う中ではなく助け合う中として……」

 

「シェーレ……えぇ、わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

突然オシマイダーが暴れだし、えみるとルールーを助けていたアンリがオシマイダーに捕まっていた。

はなたちもプリキュアに変身し、オシマイダーの前に出た。

 

「やぁ、君たち……これ僕、お姫様ポジションになっちゃてない?」

 

「良いんだよ。男の子だって、お姫様になれる」

 

キュアエールたちが攻撃を仕掛け、俺も斧でオシマイダーの頭を思いっきり叩いた。

 

「オシマイダー!!」

 

攻撃を喰らい、暴れる中、アンリは何かに気が付き、オシマイダーに向かって話しかけていた。

 

「僕は君のために僕を変えることはできない。誰に何を言われたってかまわない。僕の人生は僕のものだ。だってこれが僕、若宮アンリだから……君も君の心を愛して」

 

オシマイダーはアンリの言葉を聞き、手を離し、地面に落ちそうになった。だけどギリギリのところでセリューとシェーレの二人がアンリをキャッチした。

 

「やぁ、仲直りできたのかい?」

 

「はい」

 

「これからは助け合う仲としてね」

 

何だか知らない内に和解できたみたいだな。オシマイダーは更に攻撃を仕掛けようとした瞬間、どこからともなく声が響いた。

 

「誰に何を言われたってかまわない。僕の人生は僕のものだか。アンリはわかってるじゃねぇか!!」

 

オシマイダーの頭上から何かが落ち、オシマイダーを地面にめり込ませた。そして地面にめり込んだオシマイダーの前には白い鎧の男がいた。

 

「タツミさん?」

 

「何だか鎧の形が違くない?」

 

「もしかしてミナトさんの知り合い?」

 

まさかこの人までここに来てるなんてな。

 

「ブラート!!」

 

「よぉ、ミナト。元気そうだな」

 

全く、変わってないな……

 

「おい、プリキュアだっけ?この化物を頼むぞ」

 

「は、はい」

 

キュアエールたちのトリニティコンサートでオシマイダーを浄化するのであった。それにしても今回は何だか妙だった。パップルの姿がない。

 

「ふぅ、倒されちゃったか」

 

どこからともなく声が聞こえ、振り向くとそこには見たことのない女がいた。

 

「あなたは……」

 

「マイ ネーム イズ ジェロス。通りがかりよ。友情とか愛情とか、そういうの吐気がするほど嫌いなだけ。本番はまだまだよ。グッバイ、素敵な悪夢を見てね」

 

「逃がすと思ってるのか!!」

 

「ミナト!危ない!!」

 

俺が飛び出そうとした瞬間、兄貴が俺の前に出て何かを防いでくれた。

 

「周囲に気を配れ!!」

 

「悪い」

 

兄貴が防いでくれたものを見るとそれは蟲だった。しかもこれって危険種の……そしてジェロスの隣には黒い日傘を持った黒髪の女性が立っていた。

 

「お待たせ。ジェロス」

 

「遅かったわね。またナンパでもしていたの?」

 

「そんなところよ。そして初めまして、私はメラルド・オールベルグ。この名前、知ってるわよね」

 

「オールベルグ?おいおい……革命軍の同士が敵に回ってるのか?」

 

「ふふ、アンタみたいな暑苦しい男には興味が無いわ。そっちの彼女たちの方が興味深いわ」

 

キュアエール達女性陣が思いっきり体を震わせていた。何というかそういう性癖なんだな。

 

「今度会う時は楽しみましょう。まぁその前にそっちの男どもは始末するけどね」

 

ジェロスとメラルドはそう言って姿を消すのであった。新たな敵か……面倒なことになってきたな。

 




次回はプリキュア19話の最後らへんから20話の話を続けてやっていきます。



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第42話 どちらがなるか

無事にファッションショーも終わった。俺たちはハリーショップに戻りタツミ、チェルシーの二人にブラートの兄貴を会わせた

 

「兄貴……兄貴もここに来てたんだな」

 

「タツミか。どうやらインクルシオを渡して正解だったみたいだな。たくましくなったぜ」

 

「兄貴……」

 

「ふ~ん、この人がブラートね。ねぇ、聞きたいことがあるんだけど、インクルシオはタツミに渡したのよね。どうして貴方もインクルシオを持ってるの?」

 

そういえば俺もそれが気になった。一つしかない帝具をどうしてブラートの兄貴が持っているんだ?

 

「あぁ、これか?俺にもよくわからない。この世界に来た時にいつの間にか持っていたんだ」

 

これも皇具の力が関わってるのか?同じ世界に同じ帝具が存在するって……いや、よく考えればチェルシーの『ガイアファンデーション』や『八房』も破壊されたのに元の形に戻ってるみたいだし……

 

「ミナト、皇具についてはあいつが調査してる。そのうち会えるだろう」

 

「あいつって……あぁそうだな」

 

だとしたら今は考えるのはよしておくか。調査した結果、何かしらわかるだろうし

 

「それにしてもあの女の人……何だか怖かったね」

 

「ジェロスと一緒にいた人?」

 

「何だかあの人に見られた瞬間、鳥肌が立ったんだけど……」

 

「まるで獲物の前で舌なめずりをするようにしてたわね……」

 

はな、さあや、ほまれ、セリューの四人があのときのことを思い出しながら体を震わせていた。

 

「なぁオールベルグって何なんだ?革命軍の同士だったって聞いたけど……」

 

俺がオールベルグの名前を出した瞬間、チェルシーが物凄く嫌そうな顔をしていた。

 

「オールベルグって、もしかしてメラルド・オールベルグじゃないよね?」

 

「チェルシー、知ってるのか?」

 

「そういえばチェルシーはオールベルグにいたことがあったな」

 

「いや、思い出したくない。あのメラルドって奴はかなり危険なやつよ。特に女性に対しては……」

 

あの時の話を聞く限りやっぱりそうか。だとしたら男には容赦なく、女性は……

 

「暗殺結社オールベルグ。革命軍は奴らを雇っていたが、たまたま交渉がうまく行っていただけだ。下手すればあいつらも暗殺対象になっていたかもな」

 

「かなりやばい奴らなのか?」

 

「あぁ、悪人のみならず善人も殺すような奴らだからな」

 

あっちではたまたま味方になっていたけど、こっちだと敵同士か。かなり手強そうだな

 

「はな先輩、みなさん、お話があります」

 

俺たちがオールベルグについて話し終えるとえみるとルールーがある話を切り出してきた。

 

「私達、二人でプリキュアになろうと思っています」

 

「二人で?」

 

「はい、二人はプリキュア!なのです」

 

「どうでしょうか?」

 

「うん、すごく良いよ。それ、ねぇハリー」

 

「あぁ、そやな~でも問題が一つあってな……プリハートが残り一つしか……」

 

ここに来てある問題が起きるのであった。プリハートが残り一つって……そういえばそうだったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社、研究室

 

「さて、調整は済ませたぞ」

 

「はははははは、こりゃいい。力がみなぎってくる」

 

エンシンは自分の体から溢れてくる力を感じ取っていた。

 

「さて、早速だが奴と戦ってもらうぞ。エンシン」

 

「奴……ミナトって奴をか。いいぜ、いい加減あいつをぶっ殺さないといけないからな」

 

「期待しているよ。エンシン」

 

ハイトがそう告げ、エンシンは研究室から出ていくのであった。すると入れ違いにドロテアが入ってきた。

 

「どうやらリアンが言っていた面白い計画が始まるのだな」

 

「あぁ、面白いことになる。いいや面白いものが見れる。奴が仲間を殺すか仲間が奴を殺すかどちらかをな」

 

「それはそれは……でいつまでスタイリッシュを放っておくのじゃ?まぁ妾としては奴の研究を把握できておるから殺すなり生かすなりどちらでもかまわないがな」

 

「奴には私の3人目の調整を終わらせてもらったからな。奴の自由にさせておくさ」

 

「3人目……起動できておるのかのう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プリハートは残り一つ、えみるとルールーどちらかしかなれない。はな達はどうにかできないか考えていた。

俺はと言うと出かけていたクロメとウェイブの二人のそこら辺の話をしていた。

 

「何というか本当に奇跡を願うしかなさそうだな」

 

「そうだな……」

 

「ねぇ、ミナト、ウェイブ。ドクターに頼んでどうにかできないかな?」

 

「流石にあの人じゃ……」

 

「ルールーの細かい破損箇所を治したんだから、プリハートを作れるんじゃないの?」

 

「「いやいや、そんなまさか……」」

 

いや、まさかできるわけないよな。ダメ元で聞いて見る価値はあるけど……俺ははなと一緒にプリハートがどこかに売っていないか調べてるさあやにドクターに頼んでみないか聞くと……

 

「もう頼んでみました」

 

「早くないか?」

 

「そうですか?」

 

「ミナトくんの世界の技術だったら作れるかなって思って」

 

「いや、流石に……でも帝具とかあるから」

 

とはいえ帝具を作るのは本当に難しいからな……どうにかできるものなのか?

 

 

 

 

 

 

 



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第43話 誕生!愛の戦士

朝になり、はなが風邪を引いてしまい、ルールーと一緒に学校へと向かう途中、ルールーはある話を俺にしてきた。

 

「私はえみるに譲るべきなのでしょうか?」

 

「プリキュアになることをか?」

 

「はい、私もえみると同じようにプリキュアになりたいと思っています。ですがそれ以上にえみるの傷ついた顔を見たくないという気持ちが強いのです」

 

「だからえみるに譲るのか……」

 

ルールーはただ頷いた。何というか友達思いの優しい子だよな。お前は……だけど俺は昨日のみんなのやり取りを思い出した。

 

「なぁ、ルールー、昨日みんなは誰一人して考えてなかったぞ」

 

「何をですか?」

 

「お前かえみる、どっちがプリキュアになるべきかなんて話を……」

 

「それって……」

 

「みんな、お前ら二人にプリキュアになってほしいって思ってくれてるんだよ。俺もその一人だし」

 

ルールーは泣きそうになっていた。ルールーは何故か戸惑っている。

 

「どうしてでしょう?悲しくないのに……涙が溢れてきそうです」

 

「ルールー、それは嬉し涙っていうんだよ。すごく嬉しいと思えたときだって涙は出てくるものだ」

 

「嬉し涙……」

 

「みんなが何かしらの解決策を見つけるか。もしくはハリーが言うように奇跡が起きるのを待つか……俺はお前らがプリキュアになれることを願ってるからな」

 

「ミナト……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また次の日、俺はルールーと一緒にえみるに大きな木がある場所に呼び出された。しばらく待っているとえみるが嬉しそうにこっちに向かって駆け寄ってきた。

 

「ルールー、ミナトお兄さん」

 

「えみる」

 

えみるはルールーに思いっきり抱きつき、二人一緒に倒れ込んでしまった。

 

「これ、ライブのチケットなのです」

 

「ライブ?」

 

「お兄様がくれたのです」

 

もしかしてえみるとあの眼鏡兄……仲直りできたのか?まさかと思うけどこの間オシマイダーになって、浄化されたことがきっかけとか?

 

「これからはおうちでギターをひいてもいいって……私、あきらめなくってよかった」

 

泣きそうになるえみるとルールーはそっと抱きしめた。

 

「えみる、よかったですね」

 

「はい……ミナトお兄さん、私達と一緒にライブに行きませんか?」

 

「俺もか?」

 

「はい、それで……できればその後に言いたいことがあるのです」

 

「言いたいこと?」

 

「えみる、もしかして……」

 

「はい、ルールーも一緒に言いましょう」

 

「……えぇ」

 

なんだろう?二人が言いたいことって……二人の表情を見る限りものすごく大事そうなことだろうけど……

 

 

 

 

そしてライブの日、結局二人が何を言いたいのか予想ができずにライブ会場に来ていた。

 

「いよいよなのです」

 

「はい」

 

「ん?」

 

ライブが始まろうとした瞬間、会場からオシマイダーが現れた。人々が逃げ惑う中、俺はレガオンを抜いた。

 

「二人は下がってろ!!こいつは……」

 

「てめぇの相手は俺だぁぁぁぁぁ!!」

 

背後から声が聞こえた瞬間、鋭い蹴りが俺に襲いかかってきた。俺は咄嗟に防ぎ、襲ってきたやつを見るとエンシンだった

 

「何だ。しばらく見なかったけど、見限られなかったのか?」

 

「あぁん、その口、叩けなくしてやるよ。そしてそこにいる裏切り者、てめぇは俺様のペッ………うぎゃ」

 

とりあえず喋ってる途中で思いっきり殴った。汚らしい言葉を二人には聞かせられないな

 

「ミナトくん、お待たせ」

 

「エール、他の二人は?」

 

「二人は夢に向かって頑張ってるから……」

 

「そっか、だったらオシマイダーを任せたぞ」

 

「うん」

 

俺はエンシンへと向かっていき、キュアエールはオシマイダーへと向かっていった。

 

「今から皇具の力をみせ……うごっ!?」

 

「見せる前に潰す!!奥の手発動」

 

全身に鎧をまとい、エンシンを殴り続けた。厄介な皇具を使われる前に倒してしまえば、こっちのもんだ。

すると騒ぎを聞きつけてタツミとウェイブの二人も駆けつけてきた。

 

「ミナト、大丈夫か?」

 

「こっちは大丈夫だ。キュアエールを頼む」

 

「行くぞ。タツミ。グランシャリオ!!」

 

「あぁ、インクルシオ!!」

 

二人が帝具を纏い、オシマイダーに向かって攻撃を与えていくが、どうにも手が足らないみたいだな。

 

「プリキュアもミナトお兄さんたちも諦めてない。がんばれ!がんばれ!プリキュア!ナイトイェーガーズ!」

 

「フレフレ!エール!ミナト!」

 

えみるとルールーが応援する中、まばゆい光が二人から溢れてきた。はぐたんは二人にまばゆい光を当てるとミライクリスタルが現れ、ハリーが持っていたプリハートが二人の元へ……

 

「えみる、早くプリキュアに……」

 

ルールーはえみるに譲ろうとするが、えみるはルールーにプリハートを差し出した。

 

「さぁ、ルールー、プリキュアになるのです」

 

「何を言ってるのですか?えみるの夢は……」

 

「今、はな先輩達を助けられるのはルールーなのです」

 

「えみる……」

 

ルールーはそっとえみるを抱きしめた。

 

「プリキュアは諦めない。わたしはえみると一緒にプリキュアになりたい」

 

「わたしもルールーと一緒にプリキュアになりたい」

 

「「お願い」」

 

「アンドロイドが神頼み?馬鹿じゃないの?」

 

パップルの言葉を聞いて、タツミとウェイブとキュアエールの三人がパップルに向かってオシマイダーを投げ飛ばした。

 

「馬鹿じゃない」

 

「これは二人の純粋な願いだ」

 

「それすら分からない奴はどっか行ってろ!!」

 

「くっ、やっちゃいなさい!オシマイダー」

 

オシマイダー二人に襲いかかろうとした瞬間、二人が持っていたプリハートからまばゆい光が照らされ、プリハートが2つに別れた。

 

「奇跡が起こった!?」

 

「「あなたを愛し、わたしを愛する」」

 

二人がプリハートにミライクリスタルをはめ込み、まばゆい光とともに二人はプリキュアに変身した。

 

「「輝く未来を抱きしめて!!みんな大好き!愛のプリキュア!」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

新たなプリキュア、キュアマシェリとキュアアムール。二人のコンビネーションでオシマイダーを追い詰めていく。

 

「アユーレディ!」

 

「行きます」

 

「フレフレ・ハートソング!」

 

「フレフレ・ハートダンス!」

 

二人の放つ必殺技を喰らい、オシマイダーを浄化するのであった。何というか本当になれちまうなんてな

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

「「ふたりはプリキュア」」

 

「やったな。二人共。かっこいいぞ」

 

俺がそう言って、二人のところに近付こうとした瞬間、背後から誰かに押さえつけられた。

 

「ふふ、ふはははははは、油断したな!」

 

思いっきりボコボコにして動けないと思っていたのに、まだ動けるのかエンシン。

エンシンは右手を鋭い刃に変え、俺の体に突き刺した。

 

「皇具『速時・アクセレラ』こいつはお前の体の動きを止め、俺の動きを……」

 

「あら、ハイト様ってば悪い人ね」

 

突然リアンが俺達の前に姿を見せた、笑みを浮かべていた。

 

「どういうことだ?あいつからこの皇具のことを……」

 

「それは間違いよ。それはただ刺した相手の時間を進めるもの。突き刺し老化させて、殺すためのものだけど、今回はちょっと違うわ」

 

リアンの話を聞いて、俺はすぐに理解した。まずいこのままじゃ……

 

「みんな……逃げろ……」

 

「ミナトくん?」

 

リアンの目的は……奥の手を使用している俺だった。段々意識が無くなっていく

 

「タツミ、ウェイブ………頼む……お……れを…………殺してくれ」

 

その言葉を告げた瞬間、俺の意識がなくなるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

タツミSIDE

 

ミナトの言葉を聞き、戸惑っている俺たち。ミナトは動かなくなっていた。殺してくれって、どういうことだよ

 

「な、何だよ。動かなく……」

 

エンシンが何かを言おうとした瞬間、一瞬の内に首から上が無くなっていた。そしてミナトの手にはエンシンの頭を掴んでいる。

 

「ミナト?」

 

「始まった!!レガオンの隠された力!!それは狂龍騎!!すべてのものを破壊し尽くすまで止めることはできない!!さぁどうする?ナイトイェーガーズ、プリキュア」

 

リアンがそう言い残し、姿を消した。そしてミナトは獣のように鎧を変えていた。

 

「くそ、キュアエール達は下がってろ!ウェイブ」

 

「あぁ、止めるぞ」

 

 

 

 

 



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第44話 狂龍騎

タツミSIDE

 

俺とウェイブの二人で襲いかかるミナトに向かっていく。ミナトは両手の爪を鋭く尖らせ、俺たち二人を切り裂こうとするが、ギリギリのところで避けた。

 

「ミナト!?おい、やめろ!!」

 

「タツミ!?だめだ。こいつ、声が聞こえてない」

 

「くそ、殺るしかないのか!!」

 

俺とウェイブは同時にミナトの腹にケリを入れ、ミナトを吹き飛ばすのであった。

 

 

 

 

キュアエールSIDE

 

「ミナトくん?」

 

「一体何があったんですか?」

 

「ありゃ、まるで獣……いや龍だな。おい、タツミとウェイブの二人の邪魔になるから離れるぞ」

 

ハリーの言うとおりにその場から離れようとするが、キュアアムールだけはその場にとどまろうとしていた。

 

「アムール?」

 

「マシェリ、エール。二人は下がっていてください。私も戦います!帝具起動!!」

 

アムールの両腕に篭手が装着され、ミナトくんのところへと向かっていった。このままじゃだめだ。みんなを……ミナトくんを助けないと……

 

「マシェリ」

 

「分かっているのです」

 

「おい、お前ら!?」

 

「ハリーはセリューさんたちを呼んできて。何か知ってるかもしれないから」

 

「くそ、それまで死ぬんじゃないぞ!」

 

ハリーははぐたんと一緒にみんなのところへと行くのであった。

 

 

 

 

 

 

タツミSIDE

 

同時の蹴りを喰らったミナトだけど、特に痛みを感じる様子もなく背中から大きな翼をひろげていた。

 

「空に飛んで攻撃する気か!?」

 

「ウェイブ。ここは俺に任せて……」

 

ミナトが翼を羽ばたかせ、空に上がろうとした瞬間、その頭上から雷が落ちてきた。

 

「今のは!?」

 

「今です!!」

 

見るとキュアアムールが帝具を使い、ミナトの動きを止めていた。突然雷を喰らって動きが止まったミナトに、更にキュアエールとキュアマシェリが飛び出し、

 

「フレフレ!ハート・シュート!」

 

「フレフレ!ハート・ソング!」

 

二人の攻撃がミナトに直撃した。プリキュアの力なら今のミナトを止められる……

 

「グルルルルルル」

 

わけなかった。だけど俺はミナトの後ろに回り込み、押さえつけた。

 

「ウェイブ!!気にせずやれ!」

 

「あぁ、耐えきれよ!グランフォール!!」

 

鋭い蹴りをミナトに喰らわせる瞬間、俺は直ぐ様避け、ミナトは大きく吹き飛ぶのであった。

 

「やったか!?

 

「あぁ、直撃はした。これで気を失って貰えれば……」

 

俺とウェイブがミナトが吹き飛んだ場所を見ていた。今は土煙で見えなくなっていて、どうなったかわからない。

土煙が晴れていくとそこにはミナトの姿…………なかった。

 

「タツミさん!?ウェイブさん!?」

 

キュアエールの声が響いた瞬間、俺とウェイブは何かに叩かれ、壁に激突するのであった。

 

「グルルルルル」

 

「おいおい、避けたのかよ……」

 

「くそ……」

 

インクルシオとグランシャリオが解かれ、ミナトはゆっくりと俺たちに近づいてきた。まずい、このままだと殺られる

 

「待ってください!!ミナトお兄さん」

 

倒れた俺達の前にキュアマシェリがいて、ミナトに声をかけていた。

 

「お願いです。目を覚ましてください。今のミナトお兄さんなんて……見ていられません。優しいお兄さんに戻ってください」

 

キュアマシェリは呼びかけるが、ミナトは右腕を大きく振り上げた。

このままだと殺られると思った瞬間、ミナトの動きが止まっていた

 

「グル……ルル……え………み……る……」

 

「ミナトお兄さん?」

 

「グオオオオオオオオオ!!」

 

獣のような声を上げ、キュアマシェリを爪で切りつけようとした。もうだめかと思った瞬間、黒い影がミナトの爪を受け止めていた。

 

「………お前は……」

 

「おいおい、何でここに……」

 

「あ、あなたは……」

 

「………久しぶりだな。タツミ、ウェイブ。そしてミナト……その姿では会いたくなかったな」

 

ミナトの爪を弾くと、ミナトは大きく距離をとった。

 

「「アカメ!!」」

 

「後は任せろ」

 

アカメの斬撃とミナトの爪撃が激しくぶつかりあった。アカメまでここに来てるなんて……

 

「アカメ!!下がれ!!」

 

「あぁ!」

 

更にアカメの後ろから聞き覚えのある声が聞こえ、ミナトを蹴り飛ばした。

 

「兄貴!?」

 

「だらしないぞ。タツミ。だがまぁ、狂龍騎相手じゃ仕方ないか……一旦引くぞ!!」

 

兄貴は俺とウェイブとキュアマシェリを抱え、アカメはキュアアムールとキュアエールを抱え、その場から退いていくのであった。ミナトは特に俺たちを追うことなく空へと飛び上がり、どこかへ消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社 研究室

 

「ハイト様。様子はどうですか?」

 

「奴らの攻撃を受け、現在休眠状態に入っている」

 

映し出されたモニターには丸い球体が映し出されていた。ハイトは笑みを浮かべていた。

 

「思った以上の成果だ。だが油断はできないな。次の戦いに出るぞ」

 

「どうしてですか?あの子が仲間を殺すか。仲間があの子を殺すかしか道はないのに?」

 

「いいや、今の奴を止める方法は3つある。一つは殺すこと。一つは疲れさせること。そして一つは………」

 

ハイトの言葉を聞き、リアンは笑みを浮かべた。

 

「なるほど、じゃあ邪魔者を殺しましょうか。フォルシュ、あなたも行くでしょ」

 

「あぁ」

 

「よく見ておけ。いずれお前も手にする力だ」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリーハウスに戻り、さあやとほまれに手当をしてもらいながら、俺はアカメにレガオンのことを聞かされていた。

 

「レガオンは超級危険種レガオンドラゴンの素材を使っている。レガオンドラゴンは体の一部を変えることができ、更にはいろんなものに対して耐性を作ることができる。そして怒り出せば全てを破壊するまで止めることはできない」

 

「じゃあミナトは……俺みたいに……インクルシオに飲み込まれたときみたいになってるのか?」

 

「あぁ、止める方法は奴を疲れさせて解除するしかないが……ミナトはこの世界に来て成長しているためか……疲れさせるのにはそれなりの犠牲をはるしかない……」

 

これまでの戦いがここに来て影響してくるなんて……それじゃ止める方法は……

 

「残された手はミナトを殺すしか……」

 

「そんなのだめなのです」

 

アカメの言葉にえみるが反応し、大声を上げるのであった。

 

「殺すとか……ミナトお兄さんがそういった世界でそういう経験をしているのは聞いてますけど……貴方は仲間じゃないのですか?仲間なのに仲間を殺すなんて……」

 

「ではどうする?声をかけ続け、ヤツに殺されるか?」

 

「っ!?」

 

アカメの言葉にえみるは黙り込み、涙を流していた。そんな解決方法しかないのか?

 

「違う。やっぱり違います!!」

 

すると今度ははながアカメに向かって叫んだ。

 

「違うとは?」

 

「ミナトくんを殺すのは違う。こんな未来なんて私が思っている未来じゃないです!!アカメさんはどうなんですか!!」

 

「はなの言うとおりです。私達は殺す方法しかないって考えられません」

 

「あんた、平然と殺すって言うけど……本当にそれでいいの?」

 

「………………」

 

アカメは黙り込み、はなたちに近寄った。

 

「じゃあ、どうするつもりだ?私だって仲間を殺すことはできない!!だがそれしか方法がないのだ!!私だって……」

 

「お姉ちゃん……」

 

涙を流すアカメにそっとクロメが寄り添った。くそ、何か方法はないのか?ミナトを救う方法が……

 

「方法ならあるぞ。殺す以外の方法がな」

 

突然声が聞こえ、振り向くとそこにはエスデスがいた。何か知っているのか?

 

 



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第45話 三人の思い

タツミSIDE

 

「エスデス……」

 

「エスデス!!」

 

ハリーハウスに入ってきたエスデスを見て、アカメは咄嗟に村雨を抜き、斬りかかろうとするが、それをクロメが止めに入った。

 

「待ってお姉ちゃん。エスデス隊長は敵じゃないよ!!」

 

「だが……」

 

「アカメ、本当だ。今は……協力っていうか……何というか……でも今は敵じゃないのは本当だ」

 

「………わかった」

 

アカメは村雨を鞘に収めると、エスデスは近くにある椅子に座った。

 

「こうしてまたお前と会うことになるとはな。アカメ」

 

「……それでエスデス。お前が言う他の方法は何だ?いや、それよりも何故ミナトが暴走したことを知っている」

 

「そこの彼女がドクター経由で連絡してくれたのさ」

 

エスデスはさあやの方を見てそういった。そういえばドクターの連絡先知ってるんだっけ?

 

「ミナトさんのことは私達だけの問題じゃないから……それにエスデスさんはきっと協力してくれるかなって思って……」

 

「さあや、お前、隊長のことよく知らないのに、よくとまぁ協力してくれって頼めたな」

 

ウェイブが苦笑いを浮かべながらそういうのであった。まぁ確かにさあやはどんだけエスデスのことを信頼してるんだよ

 

「それでエスデスさん、ミナトさんを止める方法って何ですか?」

 

「ブドーから一度だけ聞いたことがある。レガオン・ドラゴンは怒りだせばすべてを破壊尽くすまで止めることはできない。また下手をすればタイラントを一撃で仕留めることができるらしいが……」

 

「まじかよ……」

 

だとしたら今のはミナトは俺よりも強いってことだよな。初めて会った時はアカメに同等って言われたのに……

 

「だがお伽噺に近いものだが、レガオンを一度だけ怒りを鎮めたことがあった。それは一人の女の子だったらしい」

 

「女の子?」

 

エスデスは更に語った。レガオン・ドラゴンと女の子はどういった理由か彼女を殺そうとせず、ただ保護をしていたらしい。

だけど心無い人間がその女の子を連れ去った。怒り狂ったレガオン・ドラゴンは女の子を連れ去った人間が住む場所まで行き、暴れまわった。

だが怒り狂ったレガオン・ドラゴンは女の子の『やめて』という言葉を聞き、怒りを鎮めた。

後にその女の子は竜の巫女と呼ばれたらしい

 

「なんやそれ、ほんまにお伽噺じゃないか?」

 

「お伽噺に近いものだと言っただろう」

 

「それじゃミナトを止めるにはその竜の巫女って言う子を探せば……」

 

「でもこの世界にいるのかな?私達の世界じゃそんな話し聞いたことがないし……」

 

ほまれ、さあやが悩み

 

「もしくはここにいる私達の誰かがその血を引き継いでいるとか?」

 

「だとしても今の話じゃ分かっていても試すのは……」

 

「流石に私の帝具でその子に化けてって無理だろうしね」

 

サヨ、セリュー、チェルシーもまた悩んでいた。アカメとクロメの二人はただ黙り込んでいる中、俺、ウェイブ、はな、えみる、ルールーはあることに気がついた。

 

「そういえば……あのとき……」

 

「えみる……キュアマシェリの声に反応して、動きを止めた気が……」

 

「それじゃえみるは……」

 

「わ、わ、私が竜の巫女?」

 

「……エスデス様、流石にそれは違うますよね」

 

「あぁ、違う。竜の巫女というのは関係ない。ドクターがいうにはレガオン・ドラゴンが怒りを鎮めたの、レガオン・ドラゴンを愛するものだったからじゃないかっていう話だ」

 

愛する?それってつまり……俺はえみるの方を見るとえみるは顔を真赤にさせていた。

 

「ミナト……どんだけだよ」

 

「一応注意はしておいたんだけどね。えみるが惚れてたなんてね」

 

ほまれは呆れる中、ルールーは何かを決意した顔をしていた。

 

「エスデス様、その話が本当だったら……私にもミナトを止めることができます」

 

「ルールー、まさかと思うけど……」

 

「はい、この気持が本当にそうなのかわかりませんが、もしかしたら私は彼のことが好きなのかもしれません」

 

えみる以外の全員が驚き、その場で固まっていた。本当にあいつ、なんなんだよ。

 

「……………」

 

「と、とりあえず、ミナトを止める方法が分かったんやからなんとかなるんやな」

 

「あぁ、とはいえお前はどうなんだ?野乃はな」

 

「私は………」

 

まさかここに来て……はなまで……いや、はなは何となく分かっていた。ミナトに好意を寄せているのは……

 

「私もミナトくんのことが………」

 

顔を赤らめながら自分の思いを言おうとしているはな。エスデスは満足そうに笑みを浮かべ、はなの頭をなでた。

 

「十分だ。お前たちの愛をミナトにぶつけるんだ。そのためなら、私も手を貸そう。タツミ、お前も本気でやるのだな」

 

「……あぁ、あいつを止めるためなら、俺のインクルシオの奥の手を使う」

 

「それだったら、私も動けなくなるけど奥の手を使うわ」

 

俺もセリューもミナトを止めるために本気を出すことを決意した。

 

「………野乃はな。もしもお前たちがミナトを止められなかった場合、私が……」

 

「大丈夫です。アカメさんにつらい思いはさせません。ミナトくんを救う。それが私のなりたい自分だから……」

 

「そうか……」

 

アカメもはなたちのことを信じることをきめた。さぁ待っていろ、ミナト。お前を救ってみせるからな

 

 



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第46話 愛の力

タツミSIDE

 

ミナトを救う方法を見つけた俺たち。すぐにでも助けに行くべきなのだが、ミナトの行方がわからない以上動きようがなかった。

 

「エスデスは?」

 

「隊長なら戦力が必要だって出かけてるよ。お姉ちゃんも頼りになる仲間に声をかけに行った」

 

クロメがお菓子を食べながらそう言っていた。戦力か……それほどにまで今のミナトは強いってことだよな。

 

「……ウェイブには今回の戦いで帝具の同時使用はしないようにって言ってある」

 

「それはランがいるからじゃないのか?」

 

「ううん、実はウェイブのグランシャリオの奥の手が帝具同時使用したときと同じ姿になれるらしいの」

 

「そんなこと……」

 

いや、俺のインクルシオも奥の手が変わってるし、あり得るのか……だけどウェイブには使ってほしくないって……クロメなりに心配してるんだろうな

 

「だったらウェイブが奥の手を使う前にミナトを助けようぜ」

 

「うん」

 

クロメが笑顔で頷いた瞬間、どこからか大きな音が響いてきた。窓から見てみると丘の方に空を飛ぶ何かがいた。

 

「ミナト……助けてやるからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトがいる丘に行くと前よりも龍の姿に近くなったミナトが待ち構えていた。

 

「ミナトくん……」

 

「はな、助けよう」

 

「はな、えみる、ルールーなら助けられるから」

 

「お任せくださいなのです」

 

「必ず助けます」

 

はなたちがプリキュアに変身し、サヨ、クロメ、チェルシーはキュアエール、キュアマシェリ、キュアアムール、ハリーとはぐたんを守るように立ち、俺、ウェイブ、セリュー、キュアアンジュ、キュアエトワールはミナトの前に立った。

 

「いいか。あいつを抑え込んでいる間に三人はミナトをもとに戻してくれ」

 

「わかった」

 

「行くぞ。タツミ、セリュー」

 

「えぇ、ミナト………最初から全力で行かせてもらうわ!!奥の手!!狂化!!」

 

セリューの体が赤く染まり、ミナトへと向かっていった。

 

「うおおおおおおおおおおお!!」

 

拳の連打でミナトを圧倒していくセリュー、だけどどうにもミナトに通じていない気がする

 

「ウェイブ!!セリューが押しているうちに」

 

「あぁ、俺達もやるぞ!!」

 

インクルシオとグランシャリオを発動させ、ミナトに向かって攻撃を連続して繰り出していった。だけど攻撃していてわかった。ミナトのやつ……全部弾いていってる。怒りに満ちたレガオンの力とミナトのこれまで培ってきた経験が混ぜ合わさっているのか……

 

「タツミ!!挫けそうになってるんじゃねぇぞ」

 

「わかってる!!」

 

「ここは私に任せて!!アンジュハープ!!フェザーブラスト!!」

 

キュアアンジュが無数の水色のエネルギー弾を放ち、俺達は寸前のところで避けた。その隙にキュアエトワールが星にキュアアムールを乗せて、ミナトの近くの下ろした。

 

「ミナト……お願いです。自分を取り戻し……」

 

キュアアムールがそう言いながら、ミナトに近寄ろうとした瞬間、横から現れた何かに吹き飛ばされた。

 

「うくっ!?」

 

「これはこれは勢揃いだな」

 

「………」

 

「悪いけどその子を止めてもらったら困るから……死んでもらうわよ」

 

「さぁて、楽しいパーティーの始まりじゃな」

 

ミナト救出の戦いに乱入してきたのは、ハイト、フォルシュ、リアン、ドロテアの四人だった。いや、おまけに大量の危険種までいやがる

 

「こんなときに……」

 

「どうする?ミナトと戦いながらだとかなりきついぞ」

 

「正直私も長く持たないわよ」

 

「くそ!?」

 

どうすれば……どうすればいいんだ……

 

「はぎゅ……」

 

「こりゃピンチすぎやろ……一旦引くか?」

 

「ううん、引かない。ここで退くなんて未来はみたくない……だから!!」

 

「フッ、流石だな」

 

大量の危険種がキュアエールに襲いかかろうとした瞬間、一瞬のうちに氷漬けにされていた。更に現れた四人に向かって水の柱が襲いかかってきた。

 

「私が認めただけのことがあるな。キュアエール」

 

「エスデスさん……」

 

エスデスに三獣士、それにランがキュアエールの隣に立っていた。ようやく来てくれたのか……

 

「あら、増援?それぐらいだったら……」

 

「すみません」

 

リアンが襲いかかろうとした瞬間、リアンの背後からシェーレが攻撃を仕掛け、リアンはとっさに避けた。

 

「まだいるのね」

 

「あぁ、ミナトの仲間はやらせないぞ」

 

更にインクルシオを纏った兄貴がリアンに攻撃を仕掛けていく。リアンは距離をとった。

 

「ちっ!!」

 

フォルシュが倒れたキュアアムールに向かって切りつけようとしたが、ランと三獣士のダイダラが止めに入った。

 

「させませんよ」

 

「強いやつだな。俺の経験値の糧になりやがれ」

 

「邪魔をするな!!」

 

「……なるほど読んでいたということか」

 

「葬る!!」

 

ハイトの後ろに回り込み、アカメが村雨で切り裂こうとするが、ハイトは一本の剣を抜き、受けきっていた。

 

「初めまして、アカメ」

 

「皇具の創造主、ハイトだな」

 

「そのとおりだ。君の持つ村雨……研究させてもらうぞ」

 

「来い!!」

 

アカメとハイトの激しいぶつかり合い、その隙にキュアアムールが立ち上がり、ミナトにそっと近寄り……

 

「ミナト……私は貴方の優しさに救われました。だから……今度は私が助けます。目覚めて」

 

キュアアムールが声をかけ続けるが、ミナトは止まらずキュアアムールに攻撃を仕掛けようとするが、突然ミナトの動きが止まった。いいや、よく見ると糸で体を縛り上げられてる

 

「ふぅ、間に合ったぜ」

 

「ラバ!!」

 

「話はアカメちゃんから聞いてる。にしても言葉が届いてないな……」

 

「何をしている。そんな言葉で止められないだろ。いや、言葉だけで止められるか!!行動で示せ」

 

エスデスの言葉を聞き、キュアアムールは何かに気がついた。

 

「そうですね。愛で止めるなら………ミナト、私は貴方のことが好きです」

 

キュアアムールがそう言って、ミナトにキスをした。

 

「マシェリ!次は貴方です」

 

「私ですか!?その……キスは……」

 

「助けるためなんやから、ええやろ!!」

 

恥ずかしがるキュアマシェリを怒るハリー、キュアマシェリは顔を赤らめながら、ミナトに近づき……

 

「ミナトお兄さん……いいえ、ミナトさん。貴方は私のヒーローです。貴方と並ぶ立つようなヒーローになり、貴方を支えることができる女性になりたい……貴方のことが大好きです」

 

キュアマシェリがキスをした瞬間、ミナトが苦しみだした。失敗だったのか?

 

「よし、ミナトのやつが目覚めかけてるぞ!」

 

ラバがそう言うと、キュアエールがミナトに近づき……

 

「ミナトくん……いつも助けてくれてありがとうね。それに落ち込んでるときも元気づけようとしてくれてありがとう……ミナトくん、大好き」

 

キュアエールがキスをしようとした瞬間、ランとダイダラと戦っていたフォルシュがキュアエールの背後に回り込んでいた。

このままじゃ間に合わない……

 

「くそぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

フォルシュの刃がキュアエールを貫こうとした瞬間、その刃を何かが掴み、キュアエールは誰かに抱きしめられた。

 

「全く……殺せって言ったのに……みんなで助けてくれるなんてな。ありがとうな。みんな……」

 

フォルシュの刃をへし折り、フォルシュに向かって炎の塊を放ち、吹き飛ばした。全くようやくお目覚めか……

 

「ミナトくん……」

 

「後は任せろ」

 

狂龍騎の姿のまま、ミナトはそう告げるのであった。



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第47話 目覚めたもの

長い間眠っていた感じだったけど、いざ目が覚めるとものすごくスッキリした気分だ。

俺はアカメと戦っているハイトに向かって、思いっきりしっぽを叩きつけた。

 

「ミナト、無事だな」

 

「あぁ、アカメ。ようやく会えたな。出来ればもう少し早めに合流してくれ」

 

「悪かったな。奴らのことを調べるのでな」

 

アカメは村雨を構え、俺は両手を剣に変えた。ハイトはというと無傷でその場に立っていた。

俺は剣の連撃をハイトに食らわせるが、ハイトの前に見えない壁みたいなものがあって攻撃が届かなかった。

 

「これならどうだ!!」

 

大きく口を開き、熱線を放つと見えない壁が砕かれる音が響いた。俺は両手の剣を敗との腕に突き刺した瞬間、あるものを感じた。

 

「どうした?」

 

「ハイト……お前……」

 

「気がついたか」

 

俺は後ろへ下がった。ハイトのやつから感じたもの……体の内側に金属か何かが……

 

「なるほど……3つ目の方法で狂龍騎を完全にコントロールできるようになったか」

 

「3つ目の方法?よく分からないけどそうみたいだな」

 

「ふふ、ふはははははははは!!貴様には驚かせられるな!!だがこれで完成できる!!退くぞ!」

 

ハイトは黒い穴を開け、リアン、ドロテア、倒れたフォルシュを連れ、黒い穴には飛び込むのであった。

俺は狂龍騎を解除するとその場に倒れた。

 

「ミナトくん!?」

 

「流石に……反動が大きいな……」

 

俺はそのままみんなに連れられ、ハリーハウスに戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社 研究室

 

ハイトたちが戻るとそこには二人の女性が待ち構えていた。

 

「あら戻ってきたみたいね」

 

「ふふ、実験は失敗だったのかしら?」

 

「クライアス社の新たな幹部と呼び出されたものか」

 

「私はジェロス。彼女はメラルド・オールベルグ」

 

「男には興味がないが、こうして蘇らせてくれた恩を返さないとね」

 

「ふっ、リアンよ。手伝ってやれ」

 

「了解です。ハイト様。ところでフォルシュは?」

 

「すぐに傷が治るだろう。それに目が覚めた頃にはコレが完成する」

 

ハイトは青い剣を取り出し、その場にいた全員に見せつけた。

 

「レギオン。皇具『暴龍騎・レギオン』奴のおかげで完成できる。そして見せつけてくれるであろうな。全てを破壊するというものがどんな意味なのかを……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリーハウス

 

エスデス達はアジトへ、アカメ達はアンリの家に戻り、俺はというと傷の手当を受けていた。

 

「にしてもミナトの奥の手にあんなのがあるなんてな……アカメたちは知ってたみたいだけど……」

 

「タツミが入る前に一度だけ狂龍騎になったことがあるからな。まぁもっと前にブドー将軍に止められたけどな」

 

何とか制御しないと思っていたけど、今回の件で何とか制御できるようになったみたいだ。

とはいえ、セリューはベッドで横になっていた。

 

「奥の手使用後の後遺症まで同じなんて……」

 

狂化の後遺症で普通なら一ヶ月は動けなくなるけど、セリューが言うには普通に動く分にはすぐに回復できるけど、戦うには時間がかかるらしい

 

「セリューさん、今日はハリーハウスに泊まったほうが良いんじゃないんですか?」

 

「そうします」

 

さあやが心配そうにする中、はな、えみる、ルールーの三人が何故かもじもじしていた。

 

「あ、あのミナトくん……」

 

「その……あの件なのですが……」

 

「ミナト、貴方の答えが聞きたいです」

 

「答え?」

 

「あ、あのときミナトくんを助けるときに……その……」

 

「私達が言った言葉です」

 

「その答えを……」

 

「………悪いんだけど……何のことだ?」

 

「「「へっ?」」」

 

俺の返事に三人が固まるとタツミがあることを聞いてきた。

 

「お前、覚えてないのか?暴走してたときのこと?」

 

「あぁ、全然……気がついたらキュアエールが近くにいて……」

 

「「「はぁ~」」」

 

何故かはなたちが残念そうなため息を付いていた。

 

「覚えてないのでしたらこれはこれで良かったのかもしれませんね」

 

「はいなのです。まだチャンスが有るということなのですね」

 

「うん、チャンスはきっとある……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はハリーハウスに泊まることになったのだが、ある理由で寝付けず、夜の散歩に出ていた。

すると同じように散歩をしていたチェルシーとばったり出会った

 

「あら、ミナトじゃない。何をしてるの?」

 

「散歩だよ。どうにも寝付けなくってな」

 

「ふ~ん、寝付けないのは………あの子達の思いについて悩んでるからかしら?」

 

「!?」

 

チェルシー、気がついてたのか?いや、これはカマをかけているのに違いない

 

「思いって何だよ?」

 

「ふ~ん、言わないとわからないのかな?はな、えみる、ルールーの三人が告白したこととキスしたことを」

 

俺はすかさず土下座していた。お願いだから口に出して言わないでほしいのだけど……

 

「いつ気がついた?」

 

「あのとき三人が返事を迫ったときに、一瞬だけど動揺してたからね。何となくそうじゃないかなって思ったの」

 

やっぱり気が付かれていたか。正直に言うと狂龍騎に飲まれていた時の記憶は覚えていた。

だからあの時の三人の告白とキスの感触は……

思い出しただけでも顔が熱くなってきた。

 

「それでミナト自身、どうするの?」

 

「それは………わからない」

 

恋愛とかそういうのは本当にわからない。あの世界にいた時はそういうのを考えることができないくらい忙しかった。

それに誰か一人を選ぶっていうのは……

 

「まぁゆっくりと考えるのね。ミナト」

 

チェルシーはそう言いのこして去っていくのであった。考えるか……

 

 

 

 




次回からはプリキュア本編に戻ると同時にアカメが斬る!のあるキャラを登場させる予定です。
そのキャラは……アカメが斬る!特別編のキャラです


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第48話 偶然の産物

プリキュア本編に戻る予定がオリストになりました。


俺の一件から数日がたったある日のこと、俺はとある相談をしにラバのところに来ていた。

 

「はぁ!?告白されたことを覚えてた!?」

 

「あぁ」

 

「タツミからその時のこと覚えてないって聞いてるぞ」

 

「あれは答えられなくってつい……」

 

正直恋愛相談とか誰にすれば良いのかわからない。ただナイトレイド時代から仲が良いラバに試しに相談してみることにした。

 

「はぁ~お前って………それでどうするんだ?」

 

「どうするって……」

 

「あの三人、誰と付き合うんだよ!!はなちゃんか?えみるちゃんか?ルール―ちゃんか?」

 

ラバは胸ぐらをつかみながら、聞いてきた。というか声がでかすぎなんだけど、下手すれば誰かに聞かれるからな。

 

「いや……それは……誰かを選ぶなんて……」

 

「………ミナト……」

 

ラバは俺の両肩に手を置き、真剣な眼差しであることを告げた。

 

「ヘタレ」

 

「ヘタレ言うな!!?」

 

「ヘタレだろ!!誰かを選ぶことなんてできないって……理由はあれ?選ばれなかった二人が悲しい思いをさせてしまうからか?」

 

理由言ってないのに……何でラバは俺が思ってることがわかったんだ?

 

「まぁお前は恋愛経験とかなかったから仕方ないと思ってやるよ。そしてもし選ばなかった場合は……」

 

「選ばなかった場合は?」

 

「ノウケンみたいなことを……」

 

とりあえず俺はラバを殴っておくのであった。こいつ、要するにハーレムしてしまえば悩まなくっていいってことだろ。ふざけんな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本屋から出て、ハリーハウスに向かいながら、今度は誰に相談をするべきか悩んでいた。

 

「ここはマインと付き合ってる……というか結婚してるんだっけ?タツミに相談でも……」

 

「相談って何のですか?」

 

不意に声をかけられ、振り向くとえみるとルールーの二人に遭遇した。何でこんなタイミングで……

 

「いや、ちょっとな」

 

「相談ぐらいでしたら私達がいつでも乗りますよ」

 

あのな、えみる……相談の内容がお前らが一番関係してることなんだよ。何とかごまかそうとしていると何だか声が聞こえてきた。

 

「あの……こまります」

 

「いいじゃんか」

 

「俺達と一緒に遊ぼうぜ」

 

ガラの悪そうな男二人とその二人に絡まれてる女の子。何というかこっちの世界でもいるもんだな。こういう奴ら……

 

「仕方ない……」

 

「そうですね。えみる……えみる?」

 

いつの間にかえみるの姿がなかった。一体どこに行ったんだ?

 

「何をしているんですか!!」

 

気がつくとえみるがガラの悪そうなやつのところに言って、注意をしていた。全く……

 

「何だ?お前?」

 

「ガキはどこか行って……」

 

男の一人がえみるを殴ろうとしたが、俺は男の腕を掴んだ。

 

「……お前がどこか行ってろ!!」

 

殺気を込めた声でそう告げた瞬間、男たちはビビって逃げていくのであった。

 

「全く……えみる、前にも言ったけど無茶しすぎだ」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「ミナト、えみるのこと……」

 

「分かってるって、ほら、あんたも大丈夫か?」

 

俺は絡まれた女の子に手を差し伸べると何故か女の子は驚いた顔をしていた。

 

「あ、あの……あなたは……ミナトさんですか?」

 

んん?何でこの子、俺のことを?会ったことあったっけ?

 

「覚えていませんか?エアです」

 

どうしよう。まじで覚えがない……

 

「見つけました。ドクター」

 

「えぇ、しかもあなた達に先に見つけられるなんてね」

 

声が聞こえ、振り向くとそこにはランとスタイリッシュの二人がいた。ランは俺たち三人に近づき、あることを告げた

 

「色々とお話をしたことがあるのでよろしいでしょうか?」

 

「あ、あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちはハリーハウスに着いた。エアという少女ははなたちが見ていてくれていた。

 

「実は言うとね。とあるものが完成したのよ」

 

「とあるもの?」

 

「以前、さあやから頼まれて、プリキュアたちの変身アイテムを作っていたのは覚えているかしら?」

 

そういえば、さあやがそんなことを頼んでいたな。とはいえ結局の所必要がなくなったけど……

 

「開発を途中で止めるのは科学者としては不本意だからね。完成させようとしていたら、偶然にも『皇具・ユートピア』と似たような事ができる装置が完成したの」

 

俺、ウェイブ、セリューの三人は驚きを隠せないでいた。偶然とは言えそんなものが完成するなんて……

 

「とはいえ、偶然の産物。うまく機能ができないみたいで……あちらの世界から誰かを転移させてしまったみたいで……私とドクターの二人で転移の反応を追っていたら……」

 

「俺達と遭遇か……」

 

事情は理解したけど、何であの子は俺のことを知ってるんだ?するとはながこっちに近寄ってきて、

 

「ミナトくん、エアちゃんから聞いたけど、前に助けてもらったって……覚えてないの?」

 

「う~ん、ナイトレイドの仕事以外で人助けとかいっぱいしてるから……」

 

「あれ?あなた……もしかして」

 

セリューはエアをじっと見つめると何かを思い出した。

 

「前に喫茶店でひどい目に遭いそうになっていた……」

 

「お姉さん……あの時の……それにそちらのお兄さんたちも」

 

何だ?ウェイブもランも知ってるのか?それに喫茶店って……

 

「あぁ、思い出した」

 

「思い出したの?」

 

俺ははなたちにエアを助けたことを話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん、ブローカーね……」

 

「あぁ、奉公に来た女の子を変態共に売りつけようとする奴がいるみたいなんだ」

 

「って言っても、大体そういうのが多いだろ。メイドとして働いたりするのなんて今の時代本当に運が良くないと……」

 

俺はラバの店で調査している話を聞かされていた。何というか本当にそのうち依頼が来そうだな

 

「まぁ俺も休暇だけど情報を集めておくよ」

 

「頼んだぜ。どうせだったらお前の友達に頼んでみるのも良いかもな」

 

「未然に防げれるんだったら、でもそういう奴らって賢いからな……難しいだろうな。まぁ会う機会があったら言ってみるよ」

 

 

 

 

 

 

貸本屋から出ていき、散歩でもしようかと思っていると前を歩くセリューとウェイブとランの三人を見つけた。

 

「お~い」

 

「ん?ミナト。どうしたんですか?」

 

「というか敵同士なのに普通に声をかけるのはおかしくないか?」

 

「今の俺は休暇中だ。それにちょっと相談したいことがあってな」

 

「相談ですか……ナイトレイドであるあなた達では解決できないことでしょうか?」

 

「まぁそんなところだ」

 

ラバと話していた件について何か知ってるかもしれないし、うまく行けば色々と未然に防げる可能性があるしな。

適当な喫茶店で話そうと思い、近場のところに入ろうとするが何故か貸し切り中だった。

 

「貸切か……他の場所にでも……」

 

移動しようと思った俺たち、その時店の中から大きな音が聞こえてきた。セリューは一瞬のうちに店のドアを破り、中にはいった。俺たちも入るとそこには屈強そうな男たちが三人の女の子羽交い締めにしていた。更にはその中心にはいかにも変態的思想を持ってそうな奴らがいた。

 

「何だ?お前ら?」

 

「特殊警察イェーガーズです!ここで何をしているんですか!その子達を話しなさい」

 

「あぁ、お噂は聞いてますよ。初めましてバックと言います。これには事情が……」

 

セリューは店内の状況を見て、コロに何かを命じようとするが、ランがそれを止めた。

 

「事情というのは?」

 

「これは商談ですよ。彼女たちは彼らに買われたのです」

 

「買われたって……この状況で商談なんて……」

 

ウェイブもセリューと同じように切れそうになっていたけど、ランが制した。

 

「ラン!?何故止めるんです」

 

「そうだ!これは……」

 

「……彼らを見てください。貴族の方々です。下手に私達が動いたところで彼らは金の力でなかったことにします。それにこの件で私達は処罰を食らうことになります」

 

「ですが……」

 

「関係ないと言いたいでしょうが……隊長にも迷惑がかかります」

 

「うくっ……」

 

「そこの奴は分かっておるのう。変に正義ヅラをしておると痛み目を見るのはお前たちだぞ」

 

「えぇ、それにちゃんと許可をもらっているんですよ」

 

バックという男はそう言いながら、ニタニタ俺たちを笑っていた。というか俺もイェーガーズの一人だと思われてるのか?

 

「た、たすけてください……」

 

「………今の私達には助けることは……すみません」

 

ランも、セリューも、ウェイブも何もできずに悔しそうにしていた。やれやれ、こういうときって本当に大変だな。

 

バックは貴族の一人に何かをつぶやき、屈強な男の一人にあることを命じた。

 

「両足を折ってください」

 

バックのその言葉を聞いた瞬間、俺は屈強そな男の一人を殴り飛ばした。

 

「なっ!?」

 

「……これは一体どういうことですか?邪魔をするということは……」

 

「ということは?お前、何か勘違いしてないか?」

 

俺は女の子たちを捕まえている男たちの顔面を思いっきり蹴り飛ばした。

 

「俺は特殊警察の人間じゃない。言うなればその逆だ」

 

「は……?」

 

「だからお前たちの邪魔をしても誰も迷惑にならない」

 

襲いかかってくる男たちを全力でぶん殴っていった。数が多いな……

俺はランとアイコンタクトをすると、ランはすぐに理解してくれた。

 

「どうやら喧嘩みたいですね。これは止めないといけませんね」

 

「ラン?何を……」

 

「喧嘩っていうか……これは……」

 

「喧嘩ですよ。一人の少年が大勢の男達に絡まれているね」

 

ランがそういった瞬間、二人はすぐに理解し、俺を囲んでいる男たちをふっとばしていく

 

「喧嘩だったらまずは両方黙らせる必要があるな」

 

「俺もかよ」

 

「全く……喧嘩だったらコロを使う必要がありませんね。私は彼女たちを保護しておくます」

 

セリューは解放された女の子たちを保護すると、俺とウェイブ、ランの三人で男たちを黙らせた。

 

「こ、こんなことが許されると……」

 

貴族三人の一人がそういった瞬間、俺はレガオンを抜いた。

 

「許す?許されるつもりはない。そしてお前たちみたいなやつは…………」

 

大剣を装着し、思いっきり床に叩きつけた。

 

「ゴミムシみたいに叩き潰したほうがいいか?それとも……」

 

斧に変え、壁を切りつけた。

 

「切り裂いたほうがいいか……どっちがいい?」

 

「「「ひっひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいぃ」」」

 

叫び声を上げ、三人は気絶するのであった。残ったバックは震えながら……

 

「ま、待ってくれ。もうしないから……ほら、これを……」

 

うん、話を聞く気はない。

俺は思いっきりぶん殴るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁその後、セリュー達のおかげで逮捕したんだっけ?」

 

「えぇ、彼女たちも良い働き口を紹介しました」

 

「あの時は助けてもらってありがとうございます。お姉さんたちも……」

 

「いえ、私達は下手すれば……」

 

セリューは『助けられなかった』って言おうとするが俺はそれを止めた。実際助けたのはセリューたちなんだし。俺なんて暴れただけ。

 

「というかミナトって、他にもそういう人助けとかしてたの?」

 

「まぁ色々とな」

 

「サヨさんを助けたのもミナトさんでしたっけ?」

 

「やはりミナトお兄さんは正義のヒーローなのです」

 

「とはいえ、上司に怒られなかったのですか?」

 

ルールーがそういった瞬間、俺は苦笑いを浮かべた。

 

「まぁ怒られたよ」

 

勝手な行動をしてたしな。

 

「ミナトくん、エアちゃんはこれからどうするの?」

 

はなの言葉を聞き、考えた。確かに戦いとは無縁なこの子を巻き込むことはできないし、元の世界に返すのもドクターが作った装置が完全に起動できないと駄目だし……

 

「まぁ完成できるようにしておくわ。というかここはお店なんだから店員として働けばいいじゃないのかしら?ねぇ、ネズミのお兄さん」

 

ドクターはハリーにウィンクをしてそういうのであった

 

「まぁ確かにいいかもな。せやけどな、住む場所がな……部屋も余ってるわけないし」

 

「それでしたら私の家に来るのです」

 

「えみるの?大きいんだっけ?」

 

「はい、エアさん、どうでしょうか?きっとお父様たちも受け入れてくれます」

 

「い、いいの?」

 

「はい」

 

こうしてえみるの家にエアが居候することになったのだった。何というかメンバーもかなり増えてきたけど、流石に全員は来ないよな

 

「あぁ、そういえばあの二人について言ってなかったわね」

 

「えぇ、ミナトくん、実は言うとアカメさんとクロメさんの二人にはあることを頼んでいます」

 

「頼み事?」

 

「ドクターの装置に起動によって転移したのはエアさんだけではなく、他にも転移したものがいるのです」

 

それって……いやいやまさかな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回こそはプリキュア本編に戻ります


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第49話 えみるの悩み

「改めましてエアです。よろしくおねがいします」

 

メイド服姿のエアが丁寧にお辞儀をしていた。今日からエアもハリーショップで働くことになった。

 

「よろしくね。エアちゃん」

 

はなたちもエアとすぐに仲良くなった。

 

みんなが働いてる中、俺はこっそりタツミを呼び出し、相談をするのであった。

 

「覚えてたって……告白をされたことをか?」

 

「あぁ、あの三人の気持ちについては知ってるし、その……」

 

「な、何というか大変だな。お前も……それで相談ってなんだよ?」

 

「俺はどうすれば良いんだ?正直誰か一人を選ぶべきなんだけど……誰かを好きになるっていう気持ちがよくわからないし……他の二人のことを思うと……」

 

「ミナト……お前は本当に優しいやつだな。だけどきっと選ばなかった二人はきっと後悔しないと思うぞ。あの三人を見て俺はそう思う」

 

タツミははな、えみる、ルールーを見てそういうのであった。本当によく分かってるな。

 

「あとはお前の気持ち次第だと思うぞ。誰と一緒にいてドキドキするかって知るべきだ」

 

誰か一緒にいてか……そうだな。

 

「お~い、そこの二人、ちょっとええか?」

 

店の窓から声をかけてきたハリー、何事かと思うとえみるに買い物を頼み、ルールーもついていくということで俺とタツミも一緒に行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなSIDE

 

「えみるとルール―大丈夫かな?」

 

「大丈夫よ。ミナトさんたちも一緒だから」

 

「そうそう、変なことに巻き込まれないから」

 

さあやとほまれの言うとおり、そうそう変なことに巻き込まれるわけ……

するとお店の扉が開くとそこには金髪の女の人とピンク色の髪の女の子が入ってきた。

 

「いらっしゃいませ」

 

「ねぇ、あんた、ここの店員?」

 

「えっと、店員って言うわけじゃないですけど、お手伝いで……」

 

「まぁなんでも良いわ。ちょっと聞きたいんだけどここにタツミがいるって聞いたんだけど……」

 

「あたしらちょっと知り合いでね」

 

「タツミさん……もしかして!?」

 

この二人はもしかしてミナトくん達の知り合い?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

四人で買い出しに向かう途中、えみるはおばあちゃんを見て、慌てて走り出した。よく見ると車が向かってきている。

 

「あぶな~い!?」

 

「えみる、赤信号です」

 

轢かれそうだと思ったのかえみるは助けに行こうとするが、ルールーがそれを止め、おばあちゃんと一緒に信号を渡るのであった。

 

「あっ……」

 

何だかえみるは出遅れてしまい、暗い顔をしていた。

 

その後お店でも「おしまいだ」という声が聞こえ、慌てて変身しようとするが勘違いだったり……どうにも空回りしている気がした。

 

買い物を終え、ちょっと休憩しているときにえみるはギターを演奏するが、どうにも暗い音だった。

 

「今日のギターはずいぶんと暗いですね」

 

「……音楽というのは心が影響するのです……私の夢はプリキュアになることでした。夢に向かって頑張ってる先輩たちの分まで、プリキュアとして頑張ろうと思ったのですが……失敗ばかりで……これだったらルール―一人がプリキュアになったほうが良かったのです」

 

「えみる……そんなこと……」

 

「お前な……」

 

えみるはその場から逃げ出すように走り去るのであった。何というか荷物を置いていくなよ

 

「ミナト、追わないのか?」

 

「仕方ない。タツミとルールーは先に戻ってろ」

 

「はい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えみるの後を追いかけると公園の遊具で膝を抱えているえみるとハリー、ほまれ、はぐたんを見つけた。

 

「なんや、ミナトも買い物をそっちのけで来たのか?」

 

「ちゃんとルールーたちに任せたよ。たくっ、ルールーに八つ当たりして……ほら、帰るぞ」

 

「ミナトお兄さんは……怒ってないんですか?八つ当たりしたこと……」

 

「俺は別に……似たようなことあったからな」

 

「何?あっちの世界で?」

 

「あぁ、警備隊の頃、張り切りすぎて失敗ばかり……隊長に怒られたっけ……」

 

だけどだからこそ自分には警備隊はあっていないとか考えた時期もあったけど、それでも俺は……

 

「なぁえみる、お前は何のためにプリキュアになったんだ?」

 

「私は……」

 

「その気持ちだけ忘れなければ、失敗しても落ち込んでいても立ち直れるし、頑張れる」

 

「ミナトお兄さん」

 

えみるが俺に抱きついてきた。何というか恥ずかしいのだけど……というかほまれ、頼むから冷たい目で見るなよ

 

「はぁ、まぁ仕方ないよね。それにミナトだったら心配ないしね。ねぇはぐたん」

 

「パパ、パパ」

 

何というか未だにはぐたんは俺のことをパパって呼ぶのはやめてくれないな。後々になってはな、さあや、ほまれのことをママって呼んだり、名前で呼ぶのに……

 

「はぁ」

 

「なんや、ため息なんかついて」

 

「気にするな。そういえばちょっと気になったんだけどハリー」

 

「なんや?」

 

「ミライクリスタルって今は何個なんだ?それがあれば未来を変えられるんじゃ……」

 

「そうやな~8個集まっとる。おかげではぐたんも成長しとるしな」

 

「ふ~ん」

 

これで成長か……だけど俺ははぐたんの成長よりもハリーの様子が気になった。何か隠してる気がするけど、何を隠してるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

近くの丘に行くとルールーがギターを弾いていた。俺とえみるはそっと近寄り

 

「下手ですね」

 

「ギターは心を表すんです」

 

俺が見守る中、二人は歌い出すのであった。何というか本当に仲が良いな。

 

「ミナトお兄さん、伝えたいことが有るんです」

 

「伝えたいこと?」

 

「えみる……ミナト、私も」

 

この二人が伝えたいことって……もしかして……

 

「「私は貴方のことが…………」」

 

二人が告白しようとした瞬間、オシマイダーが現れるのであった。何というかタイミングが良いのか悪いのか……

 

「可愛い子ちゃんみっけ!ぶへぇ」

 

おまけに超キモピエロ熊まで出てきたのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第50話 危機と獅子。そして……

「キュアマシェリ、キュアアムール。二人はオシマイダーを頼む。俺はこいつを!!」

 

「はい!」

 

「わかりました」

 

オシマイダーを二人に任せ、俺はチャンプと対峙していた。

 

「いつも邪魔しやがって!!いい加減俺様も本気を出すぞ!!」

 

チャンプは6つの球を取り出すと、力を込め始め一つの珠にした。

 

「これが皇具!!天罰!!エレメントボールだ!!」

 

球を投げつけ、俺は避けようとするが球が消え、気がつくと背後に回り込んでいた。

 

「やばっ!?」

 

避けきれず、球が当たった瞬間、電撃が俺の体を包み込んだ

 

「ふははははは!!投げつければ何が出るかわからない珠!しかも消えてしまえば避けることも……」

 

「ふぅ、なるほどな」

 

体はまだしびれてるが、まだ体は動く。何というかこいつも可哀想だな。

 

「その皇具……かなりレベルが低いやつだな。帝具のときのほうがまだ手ごわかったぞ」

 

俺はレガオンを構え、反撃に出ようとするが、キュアアムールが何かを守ろうとしているのが見えた。

 

「あれは!?くそ」

 

俺も駆け出そうとした瞬間、キュアアムールが守ろうとしていたギターがオシマイダーに壊されてしまった。

 

「あぁ!?」

 

「間に合わなかった……」

 

「余所見をするな!!」

 

球が目の前に現れた瞬間、かなりの衝撃を受けてしまった。

 

「水の塊みたいなものだ。今のはいい感じだったな。さて、かわい子ちゃんとたのし……」

 

「そりゃ楽しそうだな。是非私と遊んでもらおうか!!」

 

聞き覚えのある声が聞こえた瞬間、チャンプが思いっきり殴り飛ばされた。更にはキュアマシェリとキュアアムールの前には見覚えのある銃を持った少女がいた。

 

「離れてください!ここは……」

 

「こいつがタツミが言ってたオシマイダーね」

 

「あなたは……さっきお店にいた……」

 

オシマイダーが少女に攻撃を仕掛けようとした瞬間、少女は当たる寸前で銃撃を放ち、オシマイダーを吹き飛ばした。

 

「ナイスピンチ!!」

 

「お前ら……マイン、姐さんか?」

 

何でマインとレオーネ姐さんがここに……いやもしかしてランが言っていた転移したものって……

 

「ミナトくん!」

 

キュアエールたちとランとタツミの二人も駆けつけてきた。

 

「マイン、無理すんなって!あとは……」

 

タツミがマインを下がらせようとするが、マインは怒った顔でタツミに銃口を向けた。

 

「悪いけど聞けないわよ。あんたたちが戦ってるのに待っているだけなんてできるわけないじゃない」

 

「マイン……」

 

「ほらほら、いちゃついてないで、ミナト、休んでるか?」

 

「いや、大丈夫だ。ラン、こいつ、俺がぶっ殺していいか?」

 

「えぇ、頼みましたよ。ミナトくん」

 

ランから許可をもらい、俺はレガオンを構えた。

 

「奥の手発動……狂龍騎!!」

 

真っ赤な鎧が禍々しくなり、獣のような姿に変わった。意識ははっきりしてるし、制御は出来てるな。

 

「ぐぅ、このまま……」

 

姐さんに殴り倒されたチャンプが起き上がった瞬間、俺は更に殴り、首を掴んで空に上った。

 

「は、離せ……」

 

「離したら死ぬぞ」

 

この高さで離したら、確実に死ぬだろうな。とりあえず希望通りに俺はチャンプを思いっきり高く上に投げ、地上に降りた。

 

「これで終わりだ!!」

 

落ちてくるチャンプに向かって、熱線を放ち、熱線を喰らったチャンプは燃えカスに変わるのであった。

 

「これならもう蘇ってこないだろうな」

 

「えぇ、地獄の底に落ちてほしいものですがね」

 

「聞いてたけど、制御できるようになったなんてな」

 

「いろいろとあってな。そんなことより、キュアエール達は」

 

姐さんとランと一緒にキュアエール達のところに行くと丁度戦いが終わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わったが、キュアマシェリは壊されたギターを手にし、落ち込んでいた。

 

「マシェリ……ごめんなさい。わたしの……わたしのせいで……」

 

「気にしないでください。アムールを守れたのですから……気にしないのです」

 

キュアマシェリはそう言うけど、やっぱり落ち込んでる気がする……するとキュアマシェリは俺とキュアエールの方に手を伸ばし、

 

「私達にメロディソードがあれば、またピンチのときにアムールを守れます。だからメロディソード、ください。もしくは帝具をください」

 

「えぇ~これは私達のだし……」

 

「帝具なんてそうそう手に入らないぞ。しかもこっちの世界じゃ……マイン、パンプキン、貸してやれよ」

 

「あのね……おいそれ貸せるわけないじゃない。というかこっちの世界の人間が扱えるわけ……」

 

「あの私、扱えます」

 

ルールーはアドラメレクをマインに見せた。

 

「それに帝具との相性があるのよ」

 

「相性はなんとかします」

 

マインとマシェリが言い争う中、レオーネ姐さんとタツミは……

 

「にしても色々と変わった世界だっていうのは聞いてたけど、どうにもマインとあのキュアアムールだっけ?似た声だな」

 

「そうか?まぁ確かにたまに俺も間違えそうになるけど……」

 

「姐さん、何かアカメから聞いてないか?他に転移した人間について……」

 

「あぁ、それは……」

 

「はぎゅ~」

 

話を聞こうとした瞬間、はぐたんの声とともに空にまばゆい光の門が開くとそこから二人の女の子が降ってきた。だけどその二人の衣装はまるで……

 

 



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第51話 二人のプリキュアと龍と巫女

空に突然現れた門から二人の少女が現れた。二人の格好を見る限りどう考えてもプリキュアだった。

 

「あなたたちは………誰?」

 

「もしやメロディソードを授けに来てくれた天の使いですね。ください」

 

マシェリは現れた二人にメロディソードをねだるが、明らかに授けに来た感じじゃない気がするのだけど……

 

「っていうかここはどこなの~」

 

「まぁまぁ、落ち着いて」

 

黒い衣装の子が戸惑い、白い衣装の子が落ち着かせようとするが、流石にいきなりだと落ち着いていられないよな。

 

「「「これが落ち着いていられますか!」」」

 

エール、マシェリ、黒い衣装の子が同時にそう叫んだ瞬間、まだ閉じていない門からまた何かが現れた。

真っ赤な鱗に、鋭い爪と牙、巨大な翼と尻尾……巨大なドラゴンと一人の女の子が落ちてきた。

 

「こいつは!?」

 

「明らかに危険種ね」

 

「とんでもないもんが現れたわね」

 

「くそ、ミナト!!やるぞ」

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

俺たちが攻撃態勢に入ると、ドラゴンは咆哮を上げた。明らかに超級クラスのやつじゃないか?

 

「お前ら……この俺がレガオン・ドラゴンと言うのを知っていて戦いに挑むか!!良いだろう!!食い殺して……」

 

このドラゴンがレガオンドラゴン!?しかも人語を話すって……本気でやばくないか?レガオンドラゴンが俺たちに襲いかかろうとした時、女の子が蹴りを入れた。

 

「やめなさい。レガオン。貴方のその姿を見たら誰だって驚きます」

 

「くっ」

 

女の子の言葉に従ったのか、レガオンドラゴンは動きを止めた。

 

「どうやらここは異世界みたいですね。お話聞かせてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちは二人のプリキュア……なぎさとほのか、レガオンドラゴンと現れた女の子、シアをハリーハウスに連れ、何故かたこ焼きを振る舞っていた。

 

「これがたこ焼き……それにしても不思議ですね。ミナトさんたちは私達より未来より来ているのですね。だからこそ、その武器からレガオンの力を感じるんですね」

 

「まさかあんたがレガオンを止めたっていう竜の巫女だったなんてな……」

 

「竜の巫女ですか。周りの人がただそう呼んでいるだけです」

 

「なぁ、ミナト。俺はもうついていけないんだが……大昔の人が来るし、プリキュアもくるし……」

 

タツミが困惑する中、さあやはなぎさとほのかの二人にあることを聞いた。

 

「ねぇ、プリキュアって他にもいるの?」

 

「えぇと……」

 

「そうみたいね……」

 

「いちか達とみらい達の他にもいるのか……」

 

タツミ達と合流した頃に起こった一件で出会ったプリキュアたちのことを思い出した。あの時はプリキュア12人いて、今は更に16人……多くないか?

 

「いちかちゃんたちか……元気にしてるかな?」

 

「あの時は色々と大変だったね」

 

「本当、大変だった……」

 

はな、さあや、ほまれの三人が懐かしむ中、えみるとルールーが俺にあることを聞いてきた。

 

「あの何の話ですか?」

 

「ミナトは知っているのですか?」

 

「ん~機会があったら話すよ」

 

話せば長くなるしな。かなり厄介な戦いだったしな

 

「ふぅ、にしてもタイラントやらたくさんの気配を感じるが、お前たちの武器……帝具からだったんだな」

 

突然、真っ赤な長髪の男が部屋に入ってきた。まさかと思うけどこいつは……

 

「レガオン、みんなが驚いてますよ」

 

「ふん、今更驚くことじゃないだろう。龍から人の姿になることなんてな」

 

いや、もう十分驚いてるし、ついていけないです

 

ふっと気がつくとルールーは壊れたギターを見て、悲しそうにしていた。

 

「わたしのせいで……すみません」

 

「全然平気なのです。もう終わったことなのですから」

 

「壊れたから終わりなのですか?ギターを諦めなくってよかったと喜んでいたのは、えみるではなかったのですか?理解不能です。私にわかるように説明を……」

 

「ルールーには言いたくないのです」

 

えみるとルールーからなんとも言えない空気が流れ、はぐたんが泣きそうになっていると、シアがはぐたんを抱きかかえた。

 

「こんなところで喧嘩は良くないですよ。この子が心配してます」

 

「「あっ……」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人のことが気になる中、マインが俺にある事を聞いてきた。

 

「ねぇ、あんた、三人の女の子に告白されたんだって?」

 

「……誰から聞いた?」

 

「タツミからよ。悩んでるみたいね」

 

「あぁ……」

 

「私はタツミと同じ意見よ。あんたが一緒にいてドキドキする子を選ぶことね。それとも全員と付き合うつもり?」

 

「ラバと同じことを言うなよ……」

 

なんでハーレムにしようとしてるんだよ。結構落ち込むんだが……

 

「冗談よ。ちゃんと答えを出しておきなさい。いつまでも引きずらないようにね」

 

「…………そうだな」

 

「恋愛の悩みですか?」

 

突然声をかけられ、振り向くとシアとレガオンの二人が立っていた。全く気配を感じなかったぞ

 

「人間というものは色恋沙汰が好きだな。まぁ俺も昔は嫌気を感じていたがな」

 

「ふふ、懐かしいですね。それが芽生えたときに貴方は彼と同じように悩んでましたから……」

 

この二人……レガオンドラゴンのお伽噺をタツミたちから聞いたけど、本当だったんだな

 

「ミナトと言ったか?愛はどんなものにも負けない力を持っている。お前も愛を受け取り……愛を育むのだな」

 

「愛を受け取り……愛を育む……」

 

「ミナトさん、少し頭の中で思い浮かべてください………一番誰が好きなのかを……そうすれば悩む必要はありません」

 

シアの言葉に従うように俺は一番好きな人を思い浮かべようとした。その人物は……

 

「…………つぅ」

 

「ミナト、顔真っ赤ね」

 

「ほら、もう答えは出たんじゃないんですか?これは告白するべきです」

 

「ふぅ、シア、人の恋愛やらが大好きだな」

 

マイン、シア、レガオンがそういう中、俺の一枚の紙を取り出し、ある文章を書いた。

 

「マイン、悪いんだけど後でこれを……あいつに渡しておいてくれないか?」

 

「あいつって誰よ?」

 

「………………あいつは………」

 

 




一応、映画のプリキュアスーパースターズを経験済みになっています。機会があれば書きたいと思います。

そして次回あたりミナトとあのキャラが………


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第52話 愛の力と結ばれる二人

はな、さあや、ほまれ、なぎさ、ほのか、ハリーとはぐたん。俺、タツミ、マインで茂みに隠れながら、ルールーとえみるの様子を見ていた。

 

「ルールーに言いたくないのです。あれはどういう意味ですか?」

 

「それは言いにくいということです。分かってもらえないんだって、嫌な気持ちになるのです!」

 

「えみるが説明しないからです」

 

「全部私のせいなのですか?」

 

えみるはルールーの頬を引っ張りながら、更に話を続けた。

 

「少しは考えるのです」

 

ルールーもえみるの頬を引っ張り、

 

「嘘をつかれるのだって、嫌な気持ちになります。ギターが壊れて全然平気じゃないくせに……」

 

「本当に後悔はしてません。だって……ギターの代わりはあっても、ルールーの代わりはいないでしょう?私は何度だって貴方を助けます。大切な親友なのですから」

 

「私もえみるが大切だからです。えみるの悲しいことも辛いことも教えてほしい。きちんと知って、えみるの力になりたいです」

 

本当に二人はお互いに思いやっているんだな。だからこそ喧嘩もするし……仲直りだって出来る。

 

二人はお揃いのブレスレットとギターを贈りあい、これで一件落着かと思った瞬間、のびのびタワーのほうから巨大なオシマイダーが現れた。あの姿、まさかと思うけどパップルなのか?

 

はなたちは変身し、俺とタツミ、マインを帝具を取り出した。すると俺達の前にドロテアが現れた。

 

「パップルの覚悟……手伝ってやらないわけにはいかんのう……いでよ!!改造危険種!!デスタグール!!」

 

黒い穴から現れたのは全身が骨で構成された恐竜のような容姿を持った超級危険種デスタグール。以前クロメが躯人形として使っていたけど……まさかまたこいつと戦うことになるとは……

 

キュアエール達はパップル・オシマイダーに攻撃を繰り出していくが、全く通じず、俺とタツミもデスタグールに蹴りを食らわせるが全く傷つかなかった。

 

「くそ、こうなったら……狂龍騎!!」

 

狂龍騎になり、拳の連撃を喰らわしていく。だが、デスタグールは攻撃を繰り出していく俺を思いっきり地面に叩きつけた。

 

「かはっ!?」

 

「ミナト!?」

 

「まずいわね。改造されてるから攻撃が通じない……それにプリキュアたちもピンチみたいね」

 

「それでも……負けるつもりは……」

 

パップル・オシマイダーとデスタグールは同時に光線を放とうとしていた。このままだとやられる……

 

「「デュアル!オーロラウェーブ!!」」

 

声が響き、パップル・オシマイダーを吹き飛ばしていった。そしてキュアエール達の前に白いプリキュアと黒いプリキュアの二人が並び立った。 

 

「光の使者!キュアブラック!」

 

「光の使者!キュアホワイト!」

 

「闇の力のしもべたちよ!」

 

「とっととおウチに帰りなさい!」

 

「来た~!」

 

キュアエールが喜ぶ中、更にデスタグールの頭を地面に叩きつける一つの影が現れた。それはレガオンだった。

 

「その姿……どうやら怒りを制御しているみたいだな」

 

「レガオン……」

 

「ならばいい機会だ。いいものを見せてやる!!この姿でやるのは初めてだが……シア!!」

 

「わかりました。レガオン……愛の力を見せましょう」

 

シアがレガオンにそっとキスをした瞬間、レガオンの体に白いオーラが現れた。あれは……

 

「愛を受け取り……」

 

「愛を育む……」

 

キュアブラックとキュアホワイトがコンビネーションでオシマイダーを圧倒し、レガオンもどんなに俺たちが攻撃を繰り出しても通じていなかったデスタグールにダメージを与えていく。

 

「プリキュアの力と……愛の力……」

 

本当にすごいものだな……

 

「これでとどめだ!!」

 

レガオンがデスタグールを持ち上げ、上に大きく放り投げ、口を開いて白い炎を放ち、デスタグールを倒すのであった。

 

「やはり人間の姿ではいまいち力が出ないな……」

 

「仕方ないですよ。本気を出したら危ないですからね」

 

あれで本気じゃなかったのか?それにこれって……

 

「お前も愛を知れば使えるはずだ」

 

「貴方ならきっと出来るはずです。だってもう好きな人がいるんですから」

 

「あぁ」

 

デスタグールを倒し、オシマイダーの方へと向かうとキュアマシェリとキュアアムールの二人がオシマイダーの中に入っていった。キュアアムールもオシマイダーの正体に気が付き、説得をするつもりだった。

しばらくしてから二人がオシマイダーの中から戻ってくると、新たなミライクリスタルとギター型のアイテムを手にし、

 

「「ツインラブギター!ミライクリスタル!」」

 

「Are you ready?」

 

「行くのです!」

 

二人がツインラブギターを構え

 

「心のトゲトゲ」

 

「ズッキュン打ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!!」」

 

赤と紫のハート型のエネルギーをオシマイダーに向かって放ち、オシマイダーは浄化されていった。

 

「愛してる」

 

「サンキュー!」

 

こうして戦いも無事に終わるのであった。

 

 

 

 

戦いが終わり、はぐたんがなぎさとほのかを連れてきたときと同じように門を開け、レガオンとシアの二人も帰っていくのであった。

俺は四人を見送り、マインがあいつに手紙を渡したところを見て、そっとその場から離れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は大きな木の下で待っているとあいつがやってきた。

 

「あの……手紙読みました。これは……」

 

「読んだんなら分かってるだろ。俺はお前の気持ちを知りたい……聞かせてくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えみる」

 

俺は自分の想い人の名前を告げた。えみるは顔を真赤にさせていた。しばらくいいづらそうにしていると

 

「わ、私は……ミナトお兄さんのことが……いいえ、ミナトさんの事が大好きです。貴方の隣に立てるようなヒーローに、ふさわしい女性になりたいって思っています」

 

「えみる、俺はお前のその優しい心……誰かを愛していくっていう気持ち……そういうところに惹かれたんだ。だから俺もお前のことが…………好きだ」

 

俺も自分の気持を告げた瞬間、えみるが俺に抱きついてきた。

 

「嬉しいのです……嬉しくって……嬉しくって……貴方のことが見れません」

 

「えみる……」

 

俺はえみるの顔あげさせ、そっとキスをするのであった。

 

「ミナトさん、大好きです」

 

満面の笑顔でそう告げるのであった。それにしても……

 

「ところでえみる、ここに来ることを誰かに言ったのか?」

 

「はい、ミナトさんが急にいなくなったので……みんな心配して……」

 

「そうか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タツミSIDE

 

 

「えみる、よかったです」

 

「うん、本当に……」

 

ルールー、はなの二人が笑顔でそういう中、ほまれ、さあやは……

 

「何というか……まぁ何も言わない方がいいよね」

 

「そうね。二人が愛し合ってるから余計なことは言わない方がいいよね」

 

俺、マイン、ハリー、はぐたんはというと……

 

「何というかようやくあいつも好きなやつができたんだな」

 

「あの二人、まだまだ初心者みたいなものよ。ちゃんと教えてあげましょう。タツミ」

 

「まぁよかったんやな。なぁはぐたん」

 

「えみりゅー、みにゃとー」

 

みんなが祝福するのであった。だけど何だかミナトがレガオンを構えていた。

 

「まずい!?みんな、逃げるぞ!!」

 

「覗いてたのバレたみたいね」

 

その後、追ってくるミナトから全員が逃げ出すのであった。

 




かなり誰とくっつかせるか悩みました。本来はハーレムもいいかと思いましたが、やはりミナトの性格上、ハーレムは無理ですね。

えみるを選んだ理由としては、まずはなはプリキュア本編で暗い過去を持っているということが判明したため、くっつかせるよりかは今後の本編で闇落ちした時に物語上の展開の都合でくっつきませんでした。

ルールーは最後までどっちにするか悩みました。ですがやはり作者個人としてはえみるが好きなので……
またえみるとミナトは割と一緒にいることが多いですからね



さて次回はついにクライアス社の社長が………をやるつもりでしたが、次回はオリストをやり、しばらくは映画の話をやっていくつもりです。

魔法使い組、アラモード組に、まさかアカメが斬る!零のあのキャラたちが……



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第53話 ミナトの過去

えみると付き合うことになり、数日がたった。本来はそれに伴って野乃家を出ていくつもりだったのだが、どうにもえみる曰く同棲はまだ早いということで、未だに野乃家に、ルールーと同室だった。

 

「それにしてもミナトくんがえみるのこと好きなんてね~」

 

「えみる、すごく嬉しそうにしてましたよ」

 

はなとルールーの二人が俺の部屋でそんな事を話していた。祝福してくれるのは嬉しいけど……

 

「ただちょっと不安なことがあるんだ」

 

「不安?」

 

「何が不安なんですか?」

 

「俺は前の世界で恋愛とか本当に分からなくって……えみるのことを幸せにできるのかどうか……」

 

本当に誰かと付き合うってことは考えたことすらなかった。いざ付き合うっていうことになって、かなり不安だったりする。

 

「う~ん、それは誰も同じじゃないかな?誰だって最初は初心者だし」

 

「不安になることは無いと思います。きっとえみるがミナトを支えてくれると思います」

 

「そうかな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなSIDE

 

「ミナトさんが不安がっているのですか?」

 

「うん、お付き合いってしたこと無いからって」

 

ハリーハウスでえみるにミナトくんが不安になっていることを話した。あんまりこういうのは話してはいけないことだろうけど、隠しておくのも……

 

「ミナトさんは前の世界でそう言った経験がないって言うのは聞いてますが……私、ミナトさんの昔のこと、全然知りません」

 

「それだったらいい機会だし、教えてあげようか?」

 

私達の話に、セリューさんとレオーネさんが混ざってきた。教えるって……もしかして……

 

「あいつの昔のこと……」

 

「ミナトさんの昔……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

不安でしょうがないか……こんなことを悩むのはあっちじゃ考えられなかったな。

 

俺は木のそばで眠ることにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある屋敷の噂を聞きつけた俺は、みんなに内緒で夜中にこっそり潜入した。

 

「噂だとここの住人は悪趣味なことをしてるはずだけど……」

 

特に目立ったものは見当たらない。噂は所詮噂だったか……

 

敷地内から出ようとした時、倉庫らしき場所から女の子が出ていくのを目撃した俺は、人がいなくなったことを確認し、倉庫に入るとそこには……

 

「ひどいものだな……」

 

むごたらしい死体。おまけに檻に閉じ込められた人々……胸糞悪いな

 

「な……あん……た……」

 

檻の中から声が聞こえ、振り向くとそこには一人の少年が囚われていた。

 

「大丈夫……じゃなさそうだな」

 

「あんた……この屋敷の人間か?」

 

「いや、俺は警備隊のもので……ここの噂を聞きつけたものだ。今すぐ助けて……」

 

「いや、いいんだ。俺はもうだめだ」

 

「何言ってるんだ?まだ助かる可能性は……」

 

俺は檻を破壊しようとするが、少年はそれを止めた。

 

「俺のことはいい……サヨを……そこに吊らされてる子を助けてくれないか?あいつならまだ助かるはずだから……」

 

少年が指さした女の子を見ると足が片方切り落とされている。だけど微かに息はある

 

「……お前の知り合いか?」

 

「あぁ、幼馴染で……村を救うために帝都に来たんだけど……」

 

騙されてこんな目にあったか……

俺はサヨと呼ばれる少女を縛る鎖をレガオンで切り落とし、彼女を背負った。

 

「悪いな。見ず知らずの奴にこんなことを頼んで……」

 

「お前、名前は?」

 

「イエヤス……あんたは?」

 

「ミナト・ユウだ。あんたのことは忘れない。それにこの子は必ず助ける……約束する」

 

「あぁ……頼んだ。あと出来ればタツミって奴を見つけたら……そいつも頼む」

 

かっこいいやつだよ。お前は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は屋敷からサヨを背負いながら抜け出すとそこにはオーガ隊長とセリューの二人が待っていた。

 

「勝手なことをしやがって……」

 

「ごめん、ミナトが宿舎を抜け出すのを見つけて……」

 

「説教は後にして欲しい。この子をお願いします」

 

俺はサヨを隊長とセリューに預け、レガオンを抜こうとした。

 

「何をしようとしている?」

 

「止めないでください。隊長……俺はこんなこと見過ごすことは……」

 

レガオンを起動させようとした瞬間、隊長に思いっきり殴られ、意識を失うのであった。

 

 

気がつくと自分のベッドで眠っていた。そして側には隊長がいた。

 

「目が覚めたか」

 

「……あの子は?」

 

「俺の知り合いに預けてる。腕は確かだから大丈夫だろう」

 

「そっか……因みに俺の処分は?」

 

「一応俺のツテでお前がやったことをもみ消しておいたが……お前はどうするんだ?昨日のことを忘れて、警備隊を続けるか?」

 

「………」

 

隊長はめんどくさそうにしながら、頭をかいていた。

 

「ゆっくり考えろ。俺はお前が決めたことに関しては口をだすつもりはない」

 

隊長は部屋を出ていった。これからどうするか……か……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は街を当てもなく歩いていると何枚かの手配書が目に入った。

 

「……ナイトレイド……」

 

暗殺者集団だって聞いたことがあるけど……こいつらは……

 

「そこの少年、何してるんだ?」

 

突然後ろから誰かに抱きつかれた。振り向くと金髪の女性だった。

 

「何だよ……」

 

「昨日のこと、私は知っているっていったらどうする?」

 

女性が殺気を込めた声でそう告げた。こいつ、まさか見ていたのか?

 

「あんたは?まさかと思うけど、革命軍とかナイトレイドじゃないよな」

 

「……勘が鋭いね……私はレオーネ。ナイトレイドさ。あんた、帝国の闇を知って、これからどうするんだ?」

 

「俺は……」

 

「ここに来な。まぁ報告してもあんたの仲間は全員殺すけどね」

 

気配が消えた。振り向くとレオーネって言う人は姿はなかった。俺はこれから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜、俺は軽い荷物とレガオンを握りしめた。これから先、帝国の闇を知りながら見過ごすことはできない。それだったら……

 

「腹決めたみたいだな」

 

宿舎から出た瞬間、オーガ隊長が立ちはだかっていた。

 

「……裏切る俺を殺しに来ましたか?」

 

「あぁ、そうしたいところだが……帝具を持ったお前を殺すことは無理そうだな」

 

「見逃すのか?」

 

「見逃す?朝気がついたら、隊員の一人が逃げ出した。多分だが警備隊の仕事についてこれなくって、逃げ出したんだろうって報告しておく」

 

「……隊長」

 

「さっさと行け」

 

「はい!!」

 

俺は走り出すと街の入口にセリューがいた。

 

「セリュー」

 

「ミナト……」

 

「悪いけど、俺は帝国の敵になる」

 

「それは………私の両親を殺した奴と同じ悪になるっていうこと……」

 

「セリュー、これだけは言わせてもらう。お前が悪を憎むのはダメだとは言わない。だけど憎しみでお前の正義を歪めるな。悪は悪なりに理由がある」

 

「……ミナトみたいに帝国を変えるために悪に染まるっていうこと?」

 

「あぁ、あと約束してくれ。戦場で出会ったら殺し合おう。だけどもし休暇とかで出会ったら………また前みたいに話そう」

 

「………わかった。約束だよ……ミナト」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからは俺はレオーネの姐さんの紹介でナイトレイドに入り、みんなと出会い、訓練を積み、初任務の時、サヨを助けた屋敷でタツミと出会った。

 

タツミの初任務で俺は見守りをすることになった。タツミは標的であるオーガ隊長を倒した。

 

「隊長……」

 

「なんだ……お前か……文句なら聞いてやるぞ……」

 

死にかけの隊長……タツミはじっと俺のことを見つめていた。俺は笑顔で……

 

「うちの新入り……どうだ?強かっただろう」

 

「あぁ、強かったよ。だが出来れば……お前に殺されたかったな……」

 

隊長はそう言い残して死んだのだった。

 

「ミナト……」

 

「タツミ、帰るぞ。アカメたちが心配してるからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シェーレがなくなったあと、俺はセリューに隊長が行ったことを話した。きっとセリューは怒るだろうなと思っていたけど……

 

「ミナト……私も貴方の仲間を……」

 

「お互いそういう関係になったんだ。気にしなくていい」

 

「でも……」

 

「セリュー、一つだけ約束してくれないか?」

 

「約束?」

 

「俺とお前が戦場で出会ったら………俺がお前を殺す。お前も俺を殺せ」

 

「………わかった。元同僚としてではなく、互いに敵として……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えみるSIDE

 

ミナトお兄さんの過去……思った以上のものだった。

 

「まぁ今じゃ考えられなかったけどね。ナイトレイドと手を組むなんて」

 

「こっちもだよ。というかタツミたちがすぐに意気投合してるから、私は悩まなくっていいけど」

 

「あの、私……ミナトさんのところに行ってきます」

 

私はハリーハウスを出ていき、ミナトさんがいそうな場所へと向かうと告白してくれたあの木のところで眠っているのを見つけた。

 

「ミナトさん!!」

 

「ん?えみる?どうしたんだ?」

 

私はミナトさんに抱きつき、あることを約束した。

 

「ミナトさん、約束します。ミナトさんが辛い昔を思いださないくらい、幸せな明日を……思い出を作っていくって……」

 

「えみる……」

 

ミナトさんはため息をつき、そっと私の頭をなでた。

 

「期待しておくよ。えみる」

 

「はい、期待していてくださいなのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

研究室にて

 

「さて完成したぞ。フォルシュよ。お前の皇具だ」

 

「これが僕の……」

 

「次の戦いで見せよう。新たな戦力を……」

 

 

 

 

 




次回からはスーパースターズの話をやります。

とはいえ、話の流れ的にははなたちがいちかとみらいたちと再会をする感じになります


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第54話 パティシエと魔法使いとの再会

今回からスーパースターズ編に入ります


「奇妙なお店を見つけたのです」

 

ハリーハウスでえみるが突然そんなこと言ってきた。奇妙なお店ってどんなのだよ

 

「奇妙って?」

 

「先ほどルールーと一緒にはぐたんの散歩をしていたら、昨日まで空き地だった場所にお店ができていたのです」

 

「短時間で建物を作ることは不可能に近いはずなのですが……もしかしたらクライアス社が関わっているかもしれません」

 

確かにルールーの言うとおりかもしれないけど……要するにみんなで確かめに行かないかって言うことか?

 

「因みになんてお店なの?」

 

「えっと……キラキラパティスリーという名前の……」

 

えみるがお店の名前を言った瞬間、俺、はな、さあや、ほまれ、ハリーは言うと苦笑いを浮かべたのだった。

 

「はな、なにか聞いてないか?」

 

「えっと……ちょっと前に遊びに来るって聞いてたけど……」

 

「それじゃ今日がそうなのかな?」

 

「にしてもえみるが疑うのは無理も無いよね」

 

「まぁせっかくや、行ってみるのもいいかもしれへんな」

 

「あの?何か知っているのですか?」

 

「ミナト達の口ぶりだと知り合いがいるのですか?」

 

「まぁ行ってから……」

 

俺がある事を言いかけた瞬間、ハリーハウスにアカメとクロメの二人が入ってきた。

 

「今戻った」

 

「ある程度探してたけど、見つからなかった」

 

そういえばこの二人、スタイリッシュが作った装置の影響で送られた仲間を探しに行ってたんだな。

何というかいいタイミングだし、この二人も連れて行くか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えみるに連れられ、キラキラパティスリーに入ると

 

「いらっしゃいませ、キラキラパティスリーへようこそ!」

 

栗毛の女の子が出迎えてくれた。女の子は俺たちを見ると驚いていた。

 

「はなちゃん、さあやちゃん、ほまれちゃん。それにミナトくんも久しぶり」

 

「いちかちゃん、久しぶり。それにはぐたんも」

 

いちかははぐたんと握手をするのであった。

 

「ワイもおるんやけど……まぁええか」

 

「ひまりちゃんたちは?」

 

「まだみんな、チラシ配りに出かけてるの」

 

はな、さあや、ほまれ、いちかが楽しげに話す中、えみるが俺の袖を引っ張ってきた。

 

「えっと……ミナトさん、この人は?」

 

「こいつは宇佐美いちかって言って、ちょっとした縁でな。因みにプリキュアでもある」

 

「プリキュアですか!?」

 

「以前、他のプリキュアに会ったと話していましたが、彼女のことだったんですね」

 

「はなちゃん、この子達は?」

 

「ルールーにえみるちゃんだよ。二人もプリキュアで……」

 

はながえみるとルールーのことを紹介し始めようとした時、店の奥から一人の男が出ていた。

 

「いちか。どうかしたのかい?」

 

その男を見て、アカメとクロメは驚いた顔をしていた。そしてもちろん、彼も同じように驚いていた。

 

「アカメ……クロメ……」

 

「「ナタラ!?」」

 

三人が再会を喜ぶ中、えみるとルールーはナタラについて聞いてきた。

 

「あのこの人は?」

 

「明らかにミナト達の世界の住人かと思われますが」

 

「ナタラはアカメとクロメの昔の仲間でな。俺がこの世界に来る前にやってきていたみたいで……」

 

「ミナト、何故、早く言ってくれなかったんだ?」

 

「そうだよ。言ってくれれば……」

 

「まぁいつでも会えるからいいかなって思ってたし……あと1人ほどお前たちの昔の仲間もいたんだけど…………」

 

あいつがいる場所をどう説明しようかと思った瞬間、誰かがお店に入ってきた。一人は金髪のショートヘアの女の子と紫色のロングヘアの女の子とピンクのロングヘアの女子

とポニーテイルの女の子だった。何というかタイミング良すぎないか?

 

「いちかちゃん、遊びに来たよ~」

 

「あら?はなちゃんたちも……」

 

「はー、ミナトだぁ~」

 

「ってアカメにクロメも何でここに!?」

 

「みらいちゃん、リコちゃん、ことはちゃん、ポニィちゃん、久しぶり」

 

「なになに?みらいちゃんたちも遊びに来たの?」

 

まさかまさかの再会で戸惑うはなたち、というかことは、お願いだから抱きつくのはヤメてくれないかな?

 

「………ミナトお兄さん。この人は?」

 

えみるはものすごく冷たい目で俺のことを見てるし……

 

「ミナト、どういう関係なんですか?」

 

ルールーも帝具を発動し、昔みたいな感じに変わってるし……

 

「あの子、怒ってるみたいだけど、どうかしたの?」

 

「えっと、ミナトくんとえみるちゃん、付き合ってて……」

 

「えっ?犯罪じゃないの?」

 

リコが冷たい目で俺のことを見てきた。頼むからこの状況をどうにかして欲しい。

 

「えみる、ことはちゃんがミナトくんに懐いてるのはね、ちょっとした事情があってね」

 

「どんな事情ですか!?」

 

「さあや、説明を」

 

二人に詰め寄られるさあや。こうしてみんなと再会できたのもいい機会だから話すのもいいかもしれないな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれはタツミたちと合流した頃、はぐたんの花畑デビューをするためにみんなでお出かけをすることになった。

とはいえ、ナイトイェーガーズのメンバーはみんな忙しく、暇だったのは俺だけだった。

 

はな、ハリー、はぐたんと一緒に先に花畑の駅に着き、さあやとほまれのことを待っていたが、中々二人は来ない

 

「二人とも遅いな……」

 

「うん、来ないね……」

 

普通だったら先に行くか怒って帰るかするけど、はなはその場から動こうとしなかった。

 

すると雨が降ってきた。どこか雨宿りしないといけないのだけど……はなは一向に動こうとしない……というか俺にもたれかかって眠ってる?

 

「ハリー、傘頼む」

 

「はいはい」

 

ハリーは人間体になり、ご自由に使っていいと書かれた傘立てから傘を借り、俺達にさした。

 

しばらくしてさあやとほまれの二人がようやくやってきた。

 

「ほんとうにごめん」

 

「えっ?」

 

「電車は遅れるし、雨が降ってきちゃうし……」

 

「ダラダラ文句言うやつもいるし……」

 

「誰のことや?」

 

「ハリー、お前のことだよ」

 

「てっきり帰っちゃったかと思った……」

 

「あはは、だって約束したもん。私ね、どんな事があっても絶対、ぜっーーーたい、約束は守るって決めたんだ」

 

「「はな……」」

 

「なぁ、はな、どうしてそんなに約束を守ろうと思ったんだ?」

 

何というかはならしいと言えば、はならしいけど……

 

「昔ね。とても大切な約束をした子がいたんだけど、その約束守れなくって……きっとその子はすごく傷ついたと思うの。だからこれからは絶対に守ろうと思ったの」

 

「約束か………」

 

俺もセリューとの約束守れなかったな。とはいえ今はもうそんな約束は無効だろうけど……

 

しばらく歩いていくと目的地である花畑にたどり着いた。雨が降ったおかげか花畑はキラキラ輝いていた。

 

「はぎゅ?」

 

はぐたんは白い花の中から緑色の光に触れた瞬間、一本のライト変わった。

 

「ライトに変わった!?」

 

「ええもんひろったな」

 

「いや、おかしいから」

 

「ん?これは……」

 

俺も花畑の中からあるものを見つけ、拾い上げた。それは一本の刀だった。

 

「ちょっとそれはまずいものじゃないの?」

 

「不自然なところに不自然なもの……犯罪の匂いがするわね」

 

「ほまれ、さあや……あのな……多分だけどこの刀は俺のいた世界にあったやつかもしれないんだぞ」

 

「「「そうなの?」」」

 

昔文献で見たことがある。確か臣具『桐一文字』だったっけ?何でこんなところに落ちているのかは不思議だけど……

 

「ん?何だ?」

 

急に空が暗くなった。気がつくと空の上に緑色の扉が現れ、扉が開くとそこから巨大な怪物が現れた。

 

『ウソバーッカ!!』

 

せっかくのお出かけだって言うのに、厄介事が起こりやがったよ

 

 

 




因みに個人的にはアラモードではひまり好きで、魔法使い組は三人共好きです


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第55話 花畑での戦い

突如現れた怪物はビームを発射し、花畑を石化していった。

 

「花畑が!?」

 

「あれもクライアス社の?」

 

「だとしても襲ってくる以上、戦うしか無いな!!レガオン!」

 

はなたちがプリキュアに変身し、俺はレガオンを大剣に変えた。

 

「フレフレ・ハートシュート!!」

 

キュアエールがハートシュートを放つと、怪物は拳を構え、

 

『イツ割!!』

 

ハートシュートを手刀で弾き、更にキュアエールに向かって平手を喰らわせようとしてきたが、キュアエトワールがすかざす受け止めた。

 

「キュアエトワール!!ナイス!」

 

俺は怪物に向かって、大剣を叩きつけた。攻撃を喰らい体勢を崩しそうになった怪物の腕をキュアアンジュが掴み、投げ飛ばした。

 

「意外と弱いな……」

 

「ミナトさん、油断しちゃ駄目」

 

「キュアアンジュ、そうは言うけど……起き上がってこないぞ」

 

投げ飛ばされた怪物は一向に起き上がってこない。すると怪物はある事を言ってきた。

 

『ごめんなさい……もうしないから許してウソ』

 

明らかにウソみたいなんだけど……

 

「本当に?」

 

「語尾が嘘だし……」

 

「本当にもう襲ってこない?」

 

『本当ウソ、約束するウソ』

 

キュアエール達は怪物の言葉を信じそうになるが、俺は気にせず怪物に向かって大剣を叩きつけた。

 

「「「ミナトくん(さん)!!」」」

 

「いや、明らかに怪しいだろう」

 

『お前、何故俺のウソを……』

 

怪物はレガオンの一撃を喰らったのに、普通に起き上がってきた。というか何でわかったか?決まってるだろ

 

「戦いにおいて相手を騙すっていうのは良い戦略だ。とはいえ、分かるような嘘じゃ駄目だけどな」

 

『グヌヌヌヌ、オレの嘘が通じないなんて……』

 

「お前、何者だ?クライアス社の手のものか?」

 

俺はレガオンを向けながら、怪物に質問を投げかけていく。キュアエールたちも戸惑っているけど、特に気にしなかった。

 

『オレの名前はウソバーッカ。この世界を嘘で塗り固まった世界にするためにやってきた』

 

「嘘で塗り固まった世界?よく分からないけど……倒させてもらうぜ」

 

俺がレガオンを構えた瞬間、後ろから攻撃を受け、レガオンを手放してしまった。

 

「ミナトくん!?」

 

「見て」

 

「あいつの手……伸びてる……まさか話してる時に……」

 

『ウソ突き!!』

 

ウソバーッカは指を伸ばしていき、キュアエールたちに攻撃を喰らわし、変身が解けたのと同時にプリハートとミライクリスタルが石に変わってしまった。

 

「あかん、ここは一旦」

 

『逃がすかウソ!!』

 

ウソバーッカがビームを発射し、ハリーとはぐたんが直撃を食らってしまった。だけどはぐたんは特に変化はなく、ハリーだけが元のネズミの姿に戻っていた。

 

「なんや?アスパワワが……」

 

『ウソブク!!』

 

ウソバーッカが大量の泡を吐き出すとさあやとほまれ、更に落としてしまったレガオンが泡に囚われてしまい、奴の体に吸い込まれていった。

 

「さあや、ほまれ!?」

 

「くそ、レガオンが……」

 

『ウソバカカカカカ!!偽りの世界にはプリキュアは必要ない。他のプリキュアも消してやるウソ』

 

ウソバーッカはそう言い残して、緑の扉に入っていくのであった。

 

「そんな……二人が……変身も……」

 

落ち込むはな。さてどうしたものか……奴を追うにしても他のプリキュアなんてどこにいるんだ?

それに戦うにしても……

 

「これでどこまで戦えるか……」

 

俺は桐一文字を見つめていた。レガオンでの戦い方になれている俺に、刀が使いこなせるかどうか……

 

「とりあえずみんなを取り戻すためにどうにかせんと……」

 

「他のプリキュアなんて…………いた!!」

 

はなは突然、何かを思い出しハリーとはぐたんを抱えて、走っていった。俺も一緒に走っていく。

 

「他のプリキュアなんてどこにいるんだよ?」

 

「ミナトくんとハリーには言ってなかったんだけど、私とはぐたんは一度だけ会ったことがあるの」

 

はなが言うには、とあるお店に行った帰り道、突然現れた怪物と戦う6人のプリキュアと出会い、一緒に戦ったらしい。

もしかしたら彼女たちなら力を貸してくれるかもしれない。

 

「って言っても、そのプリキュアが誰なのかわからないだろう」

 

「でも、あの時のお店を見つけて、店員さんに聞いてみればなにか知ってるかもしれないから……」

 

はなは坂道を必死に登りながらそう言うのであった。まぁ、少しでも手がかりを見つけないとな。

 

上まで登りきり、はなは休憩をしようとはぐたんを下ろした。流石にあの坂道は俺でも結構きつかったな。

 

「とりあえずプリキュアさんの居場所と、はぐたんのミルクと……あとお湯が貰える場所を……」

 

「この街に本当にいるのか?」

 

「きっといるはずだよ。ねぇ、はぐたん」

 

はながはぐたんの方を見ると、はぐたんが台車に乗り、坂道を下っていった。うん、何でこう厄介事が……

 

「「はぐたん!?」」

 

俺とはなは急いではぐたんを追いかけるのであった。

 



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第56話 キラパティでの再会

台車に乗ったまま坂道を下っていくはぐたん。俺とはなは急いで追いかけていくが、さっきの戦いと坂道を登ったせいなのか、体力的に限界が近い……

 

「このままじゃ……誰か……助けて……」

 

はなが助けを求めた瞬間、一人の女の子が飛び出してきた。

 

「私が台車を止めるから、あなた達はあの子を」

 

少女は急いで台車まで行き、何とか止めた。その止めた勢いではぐたんが宙を舞うがはながなんとかキャッチをした。

 

「よか……」

 

安心した瞬間、はなは勢いのままはぐたんを抱いたまま坂を下っていく。一難去ってまた一難かよ……

しかもこのまま行けば車に轢かれる……

 

「くそ!!」

 

「待って!!」

 

俺と少女は急いではなを追っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

坂を下り終えた先にある海岸には少女と似たような格好をした5人の女の子がはなとはぐたんを助けてくれたみたいだった。

 

「ひまりん、あおちゃん、シエル、ゆかりさん、あきらさん、助かりました」

 

「悪い、連れが迷惑をかけた」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「いきなり来たからびっくりしたよ」

 

「それにしても色々と災難ね」

 

「まぁ怪我もなくって良かったよ」

 

「そうね」

 

茶髪の少女、青い髪の少女、金髪の少女、赤髪のしょう………じょ?紫色の髪の少女のおかげで助かったみたいだな。

 

「大丈夫か?はな」

 

「な、何とか……」

 

これ以上災難は起きないよな。そう思っていると海岸の奥の方にある店から誰かが出てきた。

 

「騒がしいけど、何かあったのかい?」

 

出てきたのは調理服を着た一人の男だった。何だかどこかで見覚えがあるんだけど……

男はこっちにやってくると俺を見て驚いていた。

 

「き、君は……」

 

「誰だ。お前?どっかで会ったか?」

 

「あれ?ナタラさんの知り合い?」

 

ナタラ?どこかで聞き覚えがあるような……

必死に思い出してみるとクロメを必死に守る一人の男を思い出した。

 

「おまっ、クロメの躯人形の!?」

 

「「「「「躯人形?」」」」」

 

「あら、何だか聞き慣れない言葉ね。ナタラ、何かまだ隠しているでしょう」

 

紫色の髪の少女に問い詰められるナタラ。何だか余計なことを言ったな。いや、待てよ。ナタラはアカメが帝国にいた時の知り合いのはずだよな。何で俺のことを知ってるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラキラパティスリーに案内された俺たちはお互いに自己紹介を始めた。

 

「野乃はなっていいます。助けてくれありがとうございます」

 

「俺はミナト・ユウだ」

 

「宇佐美いちかです」

 

「有栖川ひまりっていいます」

 

「立神あおい。よろしく」

 

「琴爪ゆかりよ」

 

「剣城あきらです」

 

「キラ星シエルよ」

 

「はなちゃんとは前にあったことあるよね」

 

「はい」

 

「あれから赤ちゃん用のスイーツを調べてて……じゃなかった。ミナトくん、ナタラさんのこと知ってるんですか?」

 

「ん……えっと……詳しいことは知らないと言うか……」

 

俺とナタラの関係を話すにしても、この子達はどこまで知ってるんだ?俺はナタラの方を見た。

 

「いちかちゃん、みんなには話したよね。俺がどんな世界にいて、どんなことをしてきたのか……そして最後どんな風になったか」

 

ナタラがそう告げた瞬間、いちか達は少しうつむいていた。

 

「うん、死んでても戦わされたんだよね。でも、操っていた人は……」

 

「いちかちゃん、分かってるよ。彼とは死んだ状態……躯人形の状態で一度戦ったことがあるんだ」

 

「ナタラ、その時の記憶があるのか?」

 

「あぁ、この世界に来たせいなのか……」

 

ナタラの話を聞く限りじゃ、俺が来るずっと前にこの世界に来ていて、いちかたちと一緒に戦ったらしい。つまりハイトはずっと前から動いていたって言うことか……

 

「最初は色々戸惑ったけど……いちかちゃんたちに色んなことを教えてもらったおかげで救われた気がする」

 

「そんな~」

 

「おまけにいちかちゃんとナタラさん、お付き合いしてるんですよね」

 

「いちかの一世一代の告白はすごかったな~」

 

「確かに、私達がいるのにも関わらずに告白してたもんね」

 

「そうそう、今でも二人っきりでお菓子作りしちゃってるし。私達は邪魔にならないようにしてるしね」

 

「まぁナタラさんのことを考えたら、いいことだからね」

 

「でも未だにキスはしてないみたいね」

 

「「っ………」」

 

いちかとナタラの二人はひまり達に誂われて、顔を真っ赤にさせていた。何というか幸せならアカメとクロメに話したら喜ぶだろうな……

 

とはいえ、こうまで誂われるとちょっとな……もし俺にそういう事があったら気をつけないとな。

 

「それにしてもその子、あなた達二人で面倒を見てるの?」

 

ゆかりがそういった瞬間、俺はここに来た目的を思い出した。そうだ。俺たちは……

 

「いいえ、私の友達のさあやとほまれって言う子、あとはミナトくんの仲間の人たちも……そうだった!?」

 

はなもようやく目的を思い出してくれたか。

 

「私達、その友達を助けるためにプリキュアを探しに来たんです」

 

「この街にいるらしいけど、何か知って………るわけないよな」

 

プリキュアを探しに来たことを伝えると何故かいちかたちが苦笑いを浮かべていた。どうしたんだ?まさかと思うけど……いやいやプリキュア同士惹かれ合うとかそういうことじゃないよな。

 

まさかと思い、いちか達がプリキュアじゃないかって聞こうとした瞬間、店の外が騒がしくなり、全員で外に出るとそこには緑の扉が現れ、ウソバーッカが現れた

 

『ウソバーッカ!!』

 

「あいつは!?」

 

「何あれ?」

 

「いちかちゃん、アレが私の友達を……」

 

「おまけに俺の帝具も盗られてるんだよ」

 

ウソバーッカはオレたちの方を向くとビームを放ってきた。俺は咄嗟に駆け出そうとした瞬間、いちかたちがまばゆい光に包まれ、動物の耳をつけた姿に変わった。

 

「いちかちゃんたちがプリキュアだったの!?」

 

「あぁ、彼女たちは伝説のパティシエと呼ばれた存在」

 

「プリキュアだペコ」

 

どこからともなく現れたぬいぐるみ。こいつ、ハリーみたいなやつか?

 

「プリキュアのことを知っているということは、はなちゃん、君もだね」

 

「は、はい。でも……」

 

「今はアスパワワ……変身できるエネルギーみたいなもんが奪われてるんや!」

 

ハリーの説明を聞き、ナタラは薙刀を構えた。

 

「それじゃ俺も行くとするか」

 

「だったら俺も……」

 

「ミナト、君は帝具を奪われたんじゃ……いや君の持っている刀は……」

 

ナタラは桐一文字を見て、驚いた顔をしていた。何だ?知ってるのか?

 

「アカメが使っていた臣具を君が持っているとはね」

 

「これ、アカメが……」

 

あいつは昔、桐一文字を……何というか刀に縁があるというか……

 

「行くよ。ミナト」

 

「あぁ、ナタラ」

 

俺とナタラもウソバーッカに闘いを挑むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第57話 再戦!ウソバーッカ

いちかたちがプリキュアに変身し、ウソバーッカか戦っていた。俺とナタラも一緒に戦うのだが……

 

「くそ!?」

 

ウソバーッカの腕を切りつけようとするが、硬すぎて弾かれてしまう。いや、硬いというのは言い訳になってしまう

 

「ミナト、無理はするな!!刀は扱いなれていないだろう」

 

「そうだけど……それでも……」

 

俺は桐一文字を構えながら、思い出した。アカメがどんな風に戦っていたのか……

 

今まではレガオンで力押しをしてきた。だけど今は違う。アカメは一撃一撃に渾身の力を込めていた。

 

『ウソ突き!!』

 

何本もの指が迫り来る中、俺はすべて避けながらウソバーッカに近づいた。

 

「葬る!!」

 

渾身の斬撃をウソバーッカに喰らわせるが、ギリギリのところで防がれてしまい、両腕に小さな傷しかつけられなかった。

 

「よし!」

 

「ナタラ、どこが良しなんだ?」

 

「桐一文字の特性は……」

 

ナタラが説明しようとした瞬間、ウソバーッカが再度攻撃を仕掛けてきた。だが、ウソバーッカの体がクリーム状のものが縛り上げた。

 

「ナタラさん、無理しないでください」

 

「キュアホイップ……すまない」

 

更にウソバーッカの体をクリーム状のものが縛り上げ、キュアホイップたち6人が思いっきり投げ飛ばした。

 

「キラクル・レインボー!」

 

「「「「「スイー、ツー、ワンダフルアラモード!!」」」」」」

 

キュアホイップ達が浄化技を放ち、ウソバーッカは防ぐすべもなく喰らい、煙に包まれた。

煙が消えるとウソバーッカはまだ倒されずに、うずくまっていた。

 

『もうしないから許してウソ……』

 

「な、泣いてる?」

 

「キュアホイップ!気をつけろ。こいつは……」

 

俺が嘘をついていると言おうとした瞬間、ウソバーッカは直ぐ様立ち上がり、

 

『ウソ泣き!!』

 

大量の水が俺たちを襲ってきた。俺とナタラは地面に武器を差し込み、水に流されないなかったが、キュアホイップ達を助けられず、変身が解かれてしまった。

 

「スイーツパクトが……」

 

「キラキラルが奪われたペコ!?」

 

プリハートみたいにいちかたちの変身するための道具が石化されてしまった。

 

『うそブク!!』

 

さあやとほまれを捕らえた泡が、ひまり、あおい、ゆかり、あきら、シエルの五人を閉じ込め、ウソバーッカの中に吸い込まれていった。俺はある事を思いつき、中に入ろうとするが、ナタラといちかの二人に止められた。

 

「待て、わざわざ捕まりに行くのか」

 

「駄目だよ!?」

 

「いや、あいつの中に入って、中から攻撃すればいいかなって思ったんだが……」

 

「「えっ?」」

 

「中がどうなってるかわからないけど、奴の体内ならダメージを与えられるし……」

 

『お前、怖いことを言うな!!絶対にお前は閉じ込めないウソ!!』

 

駄目か……そっちのほうが割と手っ取り早く倒せると思ったんだけどな……

 

『偽りの世界にプリキュアは必要ないウソ。約束も破られて当然のウソに!!』

 

「約束……?」

 

はながウソバーッカの言葉を聞き、何かに気がついた。

 

「あなた、もしかして……」

 

『仲間を返してほしければマホウ界に来るウソ!!」

 

「本当に返してくれるの?」

 

『ウソだウソ!!』

 

ウソバーッカはそのまま緑の扉に入り、逃げていった。今度はマホウ界ってどこにあるんだよ?

 

「緑の扉……それに約束……」

 

「はな、どうしたんだ?」

 

「あ、ううん、ただちょっと思い出していただけ……」

 

ウソバーッカについて何か思い出すことがあるのか?とはいえ、はなはまだ確信に至ってないし……無理に聞く必要はないな。

 

「マホウ界って……みらいちゃんたちが危ない!?」

 

「あぁ、それにそこには彼女もいる……ミナト、はな、君たちも来るだろう」

 

「当たり前だ。ここで降りるわけ無いだろ」

 

「私も……行きます」

 

俺たちは早速マホウ界へと向かおうとするが……ちょっと待て……

 

「マホウ界ってどこにあるんだ?」

 

「ふふふ、こんな時のためにみらいちゃんたちからもらったあるものがあるんだよ」

 

いちかはポケットから桜色の鍵を取り出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあやSIDE

 

ウソバーッカの中に放り込まれた私達。そこに新たなに来た5人とちょっとした交流が済んだ後のこと………

 

「あら、あの剣……何かしら?」

 

ゆかりさんが結界の中にあるレガオンに気がついた。

 

「あれはミナトの武器、レガオンだよ。一緒に放り込まれたみたいだけど……」

 

「何だか禍々しいですね」

 

「もしかしてナタラが前に言ってた帝具って奴じゃないの?」

 

「だったらアレを使って、こっから出れば……」

 

ほまれとほまれを追いかけていたひまりさん、シエルさん、あおいさんの三人がそう言うけど、わたしの近くにいたあきらさんは真面目な顔をしてあることを言った。

 

「多分だけど私達じゃ使えないんじゃないかな?」

 

「あら、試してないのによく分かるわね。あきら」

 

「前にナタラさんから聞かされたけど、帝具は臣具と違って扱うにはかなり難しいらしくって、どうにも使用者の第一印象が大切らしいよ」

 

「第一印象?」

 

ミナトさん、何も言ってなかったけど……どういうことだろう?

 

「みんな、あの剣を見てどう思った?」

 

「「「「禍々しい!!」」」」

 

ゆかりさん、シエルさん、あおいさん、ひまりさんの四人が口を揃えてそう告げた。私も同じように禍々しい形だと思っている。多分ほまれも同じだ。

 

「私も禍々しいと思ってる。だからこそ扱うことはできない」

 

何とかなりそうだと思っていたけど、やっぱり駄目だった。誰かレガオンをかっこいいと思ってくれるような人がいれば……



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第58話 訪れたマホウ界と正体

いちかとナタラ案内された場所は人気がない場所だった。

 

「ここからマホウ界って言う所に行けるのか?」

 

「う~ん、ここからじゃなくっても行けるんだけど……ひと目があるからね」

 

いちかは鍵を俺たちに見せた。何の変哲もない鍵だけど、これが一体?

 

「この鍵は今から会いに行くみらいちゃんたちからもらったもの。この鍵をどこでもいいから扉にさすとマホウ界に行けるんだって」

 

「それじゃそのみらいさんたちに会えるんですね」

 

「なんや、便利なものがあるんやな……」

 

「とはいえ……いや変なことは言わない方がいいな」

 

ナタラが何かを言いかけたけど、何だろう?すごく嫌な予感がする。いや、考えすぎだよな

 

「それじゃ行くよ~」

 

いちかが鍵を使って扉を開いた瞬間、まばゆい光が俺たちを包み込むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が消えるとあたり一面青空が広がっていた。ここがマホウ界か……まるで空の上にいるみたいで……立っていられるなんてな。これも魔法の力か

 

「み、ミナトくん?」

 

「はな、言わないでくれ。受け入れたくない」

 

「あ、あはは、変な所に出ちゃったね」

 

「扉から出る場所はランダムだからね……運が悪かったとしか……」

 

扉が消えた瞬間、俺達は地面めがけて落ちていくのであった。

 

「「きゃああああああああああああああああーーーーー!!?」」

 

「これはやばいな。死んだかも……」

 

「こんな状況でよく落ち着いていられるね」

 

「はぐたんを見てみろ。喜んでるぞ。あいつは将来すごい奴になる」

 

「アホみたいなことをいってなぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「ペコ~~~~~!?」

 

このままだとまずいと思った瞬間、3つの影が通り過ぎた。最初は鳥かと思っていたが、よく見ると箒に乗った女の子三人だった。

 

黒髪の少女はいちかとナタラを、金髪の女の子はギリギリだったけどはなを助け、ピンクの髪の女の子はハリー、ぺこりんを助けたけど……俺だけまだ落ちてるんだけど……

 

「ってはーちゃん!?あの人も!?」

 

「はー!?待ってて!!」

 

ピンクの髪の女の子がギリギリ助けてくれた。

 

「はー、良かった。無事で」

 

「一瞬死ぬかと思ったぞ」

 

「えへへ、ごめんね~」

 

何というか無邪気な子だな。こいつ……

 

俺たちは地面におろしてもらうといちかが事情を説明し始めようとしていた。

 

「みらいちゃん、リコちゃん、ことはちゃん。ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

「久しぶりね。今日はどうしたの?」

 

「そっちの子ははじめましてだよね」

 

「は、はい、あの私、野乃はなって言って……この子ははぐたんで……」

 

「「わぁ~かわいい~」」

 

みらいとリコの二人がはぐたんを見て、何故か思い出話を始めていた。とりあえずウソバーッカは現れていないみたいだし、今のところは大丈夫みたいだけど……

 

「とりあえず話を……」

 

話を進めようとした瞬間、殺気を感じた。俺はすかさず桐一文字を抜き、身構えるとこっちに向かって猛スピードで突っ込んでくる少女がいた。

 

「何をしてるんだァァァァァァァ!!」

 

一気に距離を詰められ、鋭い蹴りを放ってきた。俺はギリギリのところで避けた。

 

「そこのナンパ野郎!!みらいとリコとはーちゃんには手出しはさせないよ!!」

 

「ナンパ?誤解してるみたいだけど俺は別に……」

 

「問答無用!!」

 

「話を聞け!?」

 

少女の蹴りを防御するが、威力が強すぎるせいか俺はそのままふっ飛ばされ、誰かとぶつかった。

 

「つぅぅ!?何なんだよ」

 

「はー……」

 

「ん?」

 

気がつくと何故か俺はことはを押し倒している体勢になっていた。というかことは、顔を真赤にさせるな

 

「はーちゃんに手を出して……もう許さない!!」

 

というかあっちは馬鹿なのか?俺はすぐに立ち上がるとナタラが俺たちの間に割って入った。

 

「ポニィ、落ち着いて」

 

「どいて……ってナタラ?どうしているの?それにそっちの奴が持ってるの……アカメの……」

 

「アカメ……あいつの昔の仲間か?」

 

「ポニィ、事情を話すよ」

 

ナタラがこれまで起きたことを話した。ポニィは話を聞き終えると……

 

「なるほどね……つまりあんたは私よりちょっと未来から来たんだね」

 

「まぁそうなるな」

 

ポニィからも事情を聞き、どうやら俺より何年も前より転移してきたみたいだな。今更だけど驚くことはないな。

 

「あのそれで私達……」

 

はながみらいたちに助けを求めようとした瞬間、緑の扉が現れ、そこからウソバーッカが現れた

 

「来たみたいだな」

 

「今度こそ……」

 

「仕方ない。行くよ!みらい、リコ、はーちゃん!」

 

「「「うん!!」」」

 

三人がまばゆい光に包まれ、プリキュアに変身した。みらいとリコは青いドレス姿、ことはは緑色に花を彩った衣装だった。

 

「「「はあああああああああ!!」」」

 

三人が攻撃を繰り出していくが、何だ?この違和感は?

 

「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「プリキュア・エメラルド・リンカネーション!!」

 

猛スピードで駆け出し、蹴りを放つポニィと緑色の光線を放つことは……キュアフェリーチェ。だけどウソバーッカは手を変形させ、小槌に変えた。

 

『ウソでの小槌!!』

 

二人の攻撃を弾き返してきた。やっぱりこいつ、さっきまでと違って強くなっている。

 

「ハアアアアアアアア!!」

 

ウソバーッカの攻撃を避けながら、俺とナタラはウソバーッカの額に傷をつけた。だけどウソバーッカは俺たちを掴み、思いっきり投げ飛ばした。

 

「くそ!?」

 

「強くなっている!?いや……まさか……」

 

「自分の強さも偽ったのか?」

 

『そのとおりだウソ!!お前たちは厄介だから本気で叩き潰すウソ!!』

 

「「プリキュア・サファイア・スマーティッシュ!!」」

 

キュアミラクルとキュアマジカルが浄化技を放つ、ウソバーッカは巨大な光線を放ち、二人の浄化技を飲み込む、キュアミラクルたちを吹き飛ばした。

 

三人は攻撃を喰らい、変身が解けてしまった

 

「リンクルストーンが……」

 

「ただの石になっちゃったモフ」

 

『これで終わりだウソ!!』

 

「緑の扉……緑の瞳……」

 

ウソバーッカが高笑いする中、はながなにかに気が付き、ウソバーッカにあることを聞いた。

 

「ねぇ、あなた、クローバーのこと知ってるの?貴方と同じ緑の瞳に、緑の扉……」

 

『…………クローバーは約束を破られ、深く傷ついた。お前のせいでね』

 

「それって……」

 

『気づかないのか?教えてやる。俺がクローバーだよ。はな』

 

「あなたが………」

 

『お前のせいで俺はこうなった。この嘘つき!!』

 

「そ……そんな……」

 

嘘つきと呼ばれ、泣きそうになるはな。一体こいつとどういう関係なんだ?

 

『ウソブク!!』

 

またみんなを捕らえた泡を出してきた。このままだとはなが危ない。そう思った瞬間、リコとことはの二人が前に出て、杖を構えた。

 

「ここは」

 

「私達に任せて」

 

「リコ、はーちゃん!?」

 

みらいが心配そうにするが、リコとことはの目を見て、みらいは何かを感じ取った。

二人がウソバーッカに取り込まれると同時に、みらいははなたちに向かって叫んだ

 

「いちかちゃん、はなちゃん、ほうきに乗って!!」

 

いちかとはなの二人が箒に乗るが、俺は桐一文字を構え続けていた。四人とハリー、はぐたん、ペコリン、モフルンが乗ってるんじゃ重量オーバーだからな

 

「みんなはここで……」

 

「ミナト、君は彼女たちと一緒に行くんだ」

 

「ナタラ!?お前……」

 

「ここは私達に任せて」

 

任せろって……大丈夫なのか?

 

「お前ら二人が残るんだったら……」

 

「ミナト、今のままじゃこいつを倒すのは難しい。君の帝具レガオンが必要だ。だからこそ……」

 

「まぁ使い慣れてない武器で戦ってるんじゃ、邪魔になるだけだから……早いところ行きなさい」

 

ナタラ、ポニィ……

 

「二人とも、任せた!!」

 

「「任された!!」」

 

二人が戦ってるうちに俺ははなたちのあとを追うのであった。

 



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第59話 はなとクローバー

さあやSIDE

 

ウソバーッカの中に連れてこられてきたリコさん、ことはさん、ナタラさん、ポニィさん。

リコさんとことはさんの二人は小さな杖を取り出し、

 

「「キュアップ・ラパパ」」

 

「私達を外に出しなさい」

 

魔法を使って、外に出ようとするが何も起きなかった。

 

「はー」

 

「困ったわね。魔法なら脱出できそうかと思ったのに……」

 

「無理そうかな?」

 

リコさんはお手上げだというポーズをするのであった。一体どうすれば脱出できるのか?

 

「じゃあどうするのさ?」

 

「もうここにいるのも飽きた~」

 

「閉じ込められてから結構経ちましたね」

 

「そういえば……そろそろお茶の時間じゃないかしら?」

 

ゆかりさんの一言にみんなが呆れていた。何というか落ち着きすぎじゃないかな?

 

「そういえばお腹も空いたね~キュアップ・ラパパ・いちごメロンパン出ろ」

 

ことはさんが魔法でイチゴメロンパンを出してきた。魔法って本当にすごい……

 

「何というか……みんな落ち着きすぎじゃない?」

 

「まぁね。私とはーちゃんはみらいの事信じてるから」

 

「それでしたら私達も」

 

「いちかのこと信じてるからね」

 

「みなさん……」

 

「信じるか……私達だってはなとミナトさんのことを信じてます」

 

「そうだね……」

 

みなさんが落ち着いているのは、仲間のことを信頼しているからこそだった。だったら私達も見習わないと……

 

「リコ、あの帝具も取り出せない?」

 

「無理ね。結界の中なら物を生み出すことが出来るけど……」

 

「それじゃ帝具を使って結界を破ることも無理か……俺達も臣具でも無理だったし……」

 

「はー、あのかっこいい剣、持ってみたかったな~」

 

「はーちゃん、何言ってるのよ。禍々しいわよあの剣」

 

「え~かっこいいよ~」

 

ことはさんとリコさんの二人が他愛のない話をしている中、私は有ることに気がついた。

 

「これって……」

 

足元からだんだんと石化していってる。このままだと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

カタツムリニアに乗り、追ってきたウソバーッカをはぐたんが持っていたライトの力で退けた俺たち。

そんな中、はなはウソバーッカが言った言葉を聞いて俯いていた

 

「はな、どうかしたのか?」

 

「元気ないよ?」

 

いちかもみらいも心配そうにする中、はなはこんな事になった原因が自分にあると告げた。

何でそう思ったのか理由を聞くとはなは話してくれた。

 

 

 

 

はなは幼い頃、家族旅行をしていた頃、迷子になった。そんな時目の前に六角形の館が現れ、緑色の扉を開けるとそこは色のない世界だった。はなは泣きそうになるけど、自分を励ましていた。

するとそこに緑色の髪に色白の肌、葉っぱのような緑色の衣装の少年、クローバーと黒い炎の塊が現れた。

 

クローバー曰くその世界はクローバーの花が咲き乱れる緑豊かな場所だったが、いつの間にか雪に覆われた暗い世界になった。

悲しそうにするクローバーにはなはある約束をした。それは自分がいろんな世界を見せるというものだった。

 

はなはクローバーと約束し、クローバーも約束を破ったら嘘つきになるよというのであった。

クローバーに教えられ、元の世界に戻るはな。だけど次の日、同じ場所へと行こうとするが行けなかった。

 

「私が約束を守れなかったから……」

 

「…………」

 

いつの間にか俺たちはカタツムリニアを降り、さあやたちと一緒に来ていた花畑に着いた。あたり一面石化して、暗い世界に変わっている。

 

「はなちゃん……」

 

「ねぇはなちゃんはどうしたいの?」

 

「どうしたいって?」

 

「はな………」

 

俺は落ち込むはなにデコピンを喰らわした。突然のことで驚くはなだった。

 

「ミナトくん……痛い……」

 

「お前、約束は絶対に守るんだろう」

 

「えっ?」

 

「昔、約束を破ったからこそこれからは約束を絶対に守るんだって……だったらまずは謝って、今度こそクローバーに見せたい世界を見せてやる。俺が知ってる野乃はなだったらそうするはずだろ」

 

「ミナトくん……そうだった……私のなりたい野乃はなは……」

 

落ち込んでいたはなはいつもみたいに元気な姿に戻った。にしても一体どうすればクローバーに謝れるんだ?

今の状態だと話を聞いてもらえなそうだしな……

 

「あれ?六角形の館……どこかで……」

 

みらいが六角形の館について何か思い当たる部分があった。みらいが必死に思い出すと六角形の館について教えてくれた。

 

「その館は古い路地ならどこにでも現れて、色んな扉が有るの。その扉の一つに時間を飛び越えられる扉があってね」

 

「それだったら……!?」

 

「クローバーに会える!?」

 

「早速行ってみるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みらいの箒に乗ったいちかとはなとハリー、はぐたん、ペコリン、モフルン。俺は走って追いかけていくが、どうにも六角形の館にたどり着かなかった。

 

だけどはなが必死に願い続けていくとようやく六角形の館にたどり着いた。

 

「きっとはなちゃんの思いが通じたんだよ」

 

いちかがそういう中、はなは石化してしまった緑の扉を見つめていた。

 

「クローバーの世界が……」

 

「はなちゃん、ここだよ」

 

みらいが見つけた時を超える扉。これならクロ―バーに会えるっていうのか……だけど街の方に緑の扉が現れ、ウソバーッカが現れた。

 

「こんな時に……はなたちは行け!!ここは俺が……」

 

俺が戦おうとした瞬間、いちかとみらいの二人が前に出た。

 

「ミナトくん、はなちゃんのことお願いね」

 

「ミナトくんははなちゃんのこと支えてあげて」

 

「お前ら……」

 

「はぐたんのことはペコリン達に任せるペコ」

 

「みらいたちだったら大丈夫モフ」

 

「ミナト、気張ってけ」

 

「はぎゅ~」

 

みんなに任され、俺ははなと一緒に時の扉の前に立った。

 

「任せたぞ。みんな」

 

「行こう。ミナトくん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺とはなは時の扉を通り抜けるとそこは灰色の世界……ここにクローバーが……

 

「クローバー!?」

 

はなが突然走り出し、追いかけると大きな木にもたれかかった少年と黒い炎の塊がいた。あれがクローバー……

 

「はな……ずっと待ってたのに……」

 

「ごめんなさい。どんなに探しても扉が見つけられなくって……ずっと謝りたくって……もう遅いかもしれないけど……」

 

はなはそっとクローバーに手を差し伸べた。

 

「一緒に行こう……」

 

「はな……」

 

『騙されるな!!お前はこいつに約束を破られた!!こいつは嘘つきだ。今更謝ったところで許されるはずはない!!クローバーの花言葉を思い出せ!!』

 

「約束と……復讐……」

 

『そうだ。お前はこの嘘つきに復讐をするんだ!!』

 

「そんな!?」

 

『お前は約束を破られた。それだったらもう誰も悲しまないお前の世界に変えてしまえばいい。そう……約束も破られまくりの世界にな!!』

 

クローバーが黒い炎に包まれ、はなは必死に謝り続ける。黒い炎の塊は高笑いしていた。

何というか……いい加減にしてほしいものだな。

俺は黒い炎の顔を目掛け、桐一文字を叩きつけ、黒い炎の顔に小さな傷がついた。

 

『な、何をする!?』

 

「黙って聞いてれば……グダグダうるさいんだよ!!」

 

『なっ!?』

 

俺は黒い炎に包まれているクローバーの胸ぐらをつかんだ。炎が熱いけどそんなの関係ない

 

「お前も何で待ってるだけなんだよ!!」

 

「ぼ、僕は……この炎から離れることは……」

 

「できなかったら死ぬのか?本当かどうか分かってないくせに信じてるんじゃない!!約束を守れなくって泣いてるはなのことを責める前に……自分で動こうとしなかったお前に嘘つきって言ったことをはなに謝れ!!」

 

『えぇい!!誰だか知らないが、黙れ!!』

 

「おまえが黙ってろ!!」

 

黒い炎を思いっきり切り裂いた。炎だから切ることはできないけど黙らせられた。

 

「俺だって約束を守れなかったことがある!!」

 

セリューとの約束……ナイトレイドのみんなと約束した『最後まで戦って、平和な世界で暮らす』って約束……守ることができなかったけど……

 

「だけどはなは絶対に守るって誓ったんだ。それが昔の頃だろうがなんだろうが守りに来たんだ!!クローバー!!お前が一歩踏み出さないと始まらないだろ!!」

 

「僕が一歩踏み出す……」

 

クローバーを包んでいた黒い炎が消えた。クローバーははなにそっと近寄り……

 

「はな、ごめん。待ってるだけじゃ駄目だったね」

 

「クローバーごめんね……」

 

 

 

 



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第60話 闇の鬼火

クローバーと和解したはな。俺は桐一文字を鞘に収めた。

 

「行こう。ミナトくん」

 

「あぁ」

 

「ミナト……君は何者なんだい?僕とはなを救うだけじゃなく、あの炎を黙らせるなんて……」

 

「俺か……俺はただのミナトだよ」

 

「そっか……」

 

俺たちはゆっくりと扉の中に入るのであった。

 

『やめろ!ここから離れればお前は死ぬんだぞ!!』

 

「僕はもうお前の言うとおりにしない。僕は僕が決めたことに従う」

 

扉を潜り抜けるとボロボロになったいちかとみらいの二人が出迎えてくれた。

 

「はなちゃん、ミナトくん」

 

「やったんだね」

 

「うん」

 

「ウソバーッカは?」

 

「消えたよ」

 

いちかたちの話では、奴は心の闇を喰らい、巨大になったが俺たちが扉を抜けた瞬間、光りに包まれて消えたらしい。

 

『よくもやったな!!』

 

遠くの方であの炎の塊が怒り狂っていた。あいつがすべての元凶って言うことでいいんだな。

 

「君は……何者なんだい?」

 

『俺は闇の鬼火!!もうお前ら許さないぞ!!』

 

闇の鬼火は周辺の大地をかき集め、巨大な姿に変わった。流石にあのサイズだと戦うのは無理があるな

 

「一旦引くぞ!!」

 

「「「うん」」」

 

みんなで逃げていく中、ハリーははなにミライクリスタルのことを聞いた。クローバーを助けても、一度奪われたアスパワワは戻らないのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあやSIDE

 

結界の中なら魔法で何でも生み出せる。それならと思い、私はことはさんに頼んで結界の中をイチゴメロンパンに満たすようにしてもらい、結界を打ち破った。

 

「ことは先輩、こっちも!!」

 

「はー、先輩……かっこいい~」

 

ほまれも同じように抜け出し、私達が連れてこられた時と同じクローバーの扉を必死に開けようとしていた。

そしてひまりさん達も、リコさん達も、ナタラさんたちも一緒に手伝ってくれていた。

 

「開かない……」

 

「ひまり、諦めんな!!」

 

「ここで諦めたらいちかに笑われちゃうわ!」

 

「みらいにだって怒られる!!」

 

みんなが必死に開けようとする中、ことはさんは有るものを持ってきた。

 

「ねぇ、これ使えないの?」

 

「ちょっとはーちゃん、その禍々しいもの持ったりしたら……」

 

「ことはちゃん、君はその剣をどう思ってる?」

 

「はー、かっこいいと思ってるよ。何で?」

 

「それなら……さあやちゃん、ほまれちゃん、彼はどんな風に使っていたんだ?」

 

もしかしてナタラさんは……それだったら……

 

「レガオンの名前を叫んで、装着したい場所を……」

 

「よぉーし、レガオン!!両腕!!」

 

レガオンが変形し、ことはさんの両腕に鉄甲が装着された。

 

「レガオン・パンチ!!」

 

ことはさんはクローバーの扉を思いっきり殴るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

広い場所に出るが、闇の鬼火が追いついてきた。闇の鬼火は右手を緑色の炎に纏い、こっちに向かって殴ってきた。避けるのが間に合わずもうだめかと思った瞬間、クローバーが魔法陣みたいなもので防いだ。

 

「思い出した。クローバーのもう一つの花言葉は幸福……僕の全ての力を明日への希望へと変える!」

 

「そうしたら……クローバーはどうなるの?」

 

はなの言葉にクローバーは優しく微笑んだ。まさかこいつ……消えるのか?

 

「そんなのだめだよ!?私、まだ約束守れてないよ!?」

 

「ううん、守ってくれたよ」

 

クローバーが魔法陣を展開させ、あたり一面を緑色の光に包み込んだ。

 

「はなの応援があれば、僕はどこにだって行ける」

 

「クローバー!?」

 

クローバーは緑の光に包まれ、消えていった。それと同時にはなが持つミライクリスタルが元の姿に戻った。

 

『ううん?何だ?』

 

そして闇の鬼火の腹にあるクローバーの紋章から何かを叩く音が鳴り響いた。そして何回か繰り返すうちにさあやたちが出てきた。

 

「はー、レガオンすごい」

 

「ことはさん、レガオンを!!」

 

「それだったら私の魔法でお届け!キュアップ・ラパパ!レガオンよ!主のもとに戻りなさい」

 

リコの言葉が響いた瞬間、ことはに装着されたレガオンが俺の方に戻ってきた。

 

「レガオン、ナタラ、ポニィ」

 

「さあや、ほまれ」

 

「リコ、はーちゃん」

 

「ひまりん、あおちゃん、シエル、ゆかりさん、あきらさん」

 

連れさらわれたみんなが戻ってきた。そしてはなは決意を秘めた顔でみんなにあることを頼んだ。

 

「みんな、力を貸して!!クローバーに見せたい景色があるの」

 

みんなの顔を見れば分かる。わざわざ頼む必要がないくらい分かっている。

 

「「「私達はこの世界の」」」

 

「「「夢を!!」」」

 

「「「「「「希望を!!」」」」」」

 

「「「明るい未来を!!」」」

 

『取り戻してみせる!!』

 

全員の思いと同時に全員がプリキュアに変身するのであった。

 

「「「ミライクリスタル!ハート、キラっと!」」」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

いちかたちはスイーツパクトに思いの結晶、アニマルスイーツをはめ、

 

「キュアラモード・デコレーション!ショートケーキ!元気と笑顔を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアホイップ! できあがり!」

 

「キュアカスタード! できあがり!」

 

「キュアジェラート! できあがり!」

 

「キュアマカロン! できあがり!」

 

「キュアショコラ! できあがり!」

 

「キュアパルフェ! できあがり!」

 

キュアホイップはショートケーキとうさぎをモチーフにした姿、キュアカスタードはリスとプリンを、キュアジェラートはアイスとライオンを、キュアマカロンはマカロンと猫を、キュアショコラはチョコと犬を、キュアパルフェはパフェとペガサスを、それぞれモチーフにした姿に変わった。

 

「「「「「「キラキラ☆プリキュアアラモード!」」」」」」

 

みらいたちはモフルンの手を握り、

 

「「キュアップ・ラパパ!ダイヤ!!ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!!」」

 

二人はそれぞれまばゆい光とともに大人っぽい姿に変わった。

 

「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」

 

「ふたりの魔法!キュアマジカル!」

 

ことはも魔法のペンを持ち

 

「フェリーチェ・ファンファン・フラワーレ!」

 

そう叫ぶとともにまばゆい光に包まれ、緑と白のドレス姿に変わった。

 

「あまねく生命に祝福を!キュアフェリーチェ!」

 

「「「魔法つかいプリキュア!」」」

 

全員がプリキュアに変身し、闇の鬼火の前に並び立った。

 

「ねぇねぇ、ミナト、私達もやろうよ」

 

「なんでだよ」

 

「かっこいいじゃん」

 

ポニィがやりたがっている。俺はナタラの方を見ると諦めたほうが良いって感じのポーズを取った。

 

「仕方ない!!」

 

「やった!!最後にチーム名ね!ナイトイェーガーズだったね!!よぉし、私から!!瞬速の力を持ったヨクトボトムズの使い手!!ポニィ」

 

「伸縮自在の薙刀トリシュラの使い手!ナタラ!!」

 

「帝具!呉越龍騎レガオンの使い手!!ミナト!!」

 

「「「我ら!!プリキュアを守りし騎士!!ナイトイェーガーズ!!」」」

 

うん、何というか恥ずかしいな

 

 

 

 

 

 



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第61話 レガオン・クローバー

今回でスーパースターズ編は終了になります


闇の鬼火と対峙した俺たち。闇の鬼火は地面を思いっきり殴った瞬間、地面は割れ、炎が吹き出していった。

俺たちは避けるとキュアエールがまっすぐ向かっていく。

 

「ナタラ!!ポニィ!!」

 

「あぁ、任せろ!!」

 

「行くよ!!」

 

ナタラはトリシュラを伸ばし、闇の鬼火に突き刺し、トリシュラを足場代わりに俺とポニィが走っていく

 

「エール!ポニィ!合わせろ!!」

 

「「うん」」

 

レガオンを足に装着させ、三人で蹴りを喰らわせた。闇の鬼火は一瞬体勢を崩した隙にキュアホイップ達は

 

「「「「「「スイーツキャッスル!!」」」」」」」

 

キュアホイップ達の衣装が変わり、クリスタルアニマルと呼ばれるものに乗りながら、闇の鬼火の周りをキラキラルで囲んでいった。

 

「「「「「「プリキュア・ファンタスティックアニマーレ!!」」」」」」

 

浄化技を喰らい、爆発する闇の鬼火。さらにキュアミラクル達が追撃として

 

「「「アレキサンドライ!!魔法つかいプリキュアオーバーザレインボー!!」」」

 

キュアミラクル達も更に魔法使いみたいな姿に変わった。

 

「「「フル・フル・フルフルリンクル!プリキュア・エクストリーム・レインボー!」」」

 

虹色の光線を闇の鬼火に放ち、爆発した

 

「やったか?」

 

「いや、まだだ!?」

 

キュアホイップ達とキュアミラクル達の攻撃を喰らった闇の鬼火。だが煙が晴れると無傷の姿で立っていた。

 

『人間どもの心の闇を喰らった俺に、お前らの攻撃が効くと思ってるのか!!』

 

全員が攻撃を仕掛けていくが、闇の鬼火には効かず、黒い光線を放ち、吹き飛ばしていく。

俺は一気に接近していき、

 

「一瞬だけなら……奥の手!!」

 

奥の手を発動し、闇の鬼火の顔を殴るがやっぱり通用……

 

『ぐうう!?貴様!!』

 

一瞬痛がる様子を見せた闇の鬼火。俺は防御するがそのまま地面に叩きつけられた。

 

「くそ……今攻撃が通じたと思ったのに……」

 

「ミナト!!今、奴のどこを攻撃した?」

 

「あいつの顔だよ」

 

「顔って、あそこにある小さな傷のところ?」

 

ポニィが指さしたところを見ると、確かに小さな傷が有った。よく見ると他にも小さな傷がある。あれって……

 

「ミナト、桐一文字で傷つけた場所だったりするのか?」

 

「あぁ、そういえばあいつ、何で傷を再生しなかったんだ?そういった能力とか有ってもおかしくないだろ」

 

「いや、桐一文字の特性は、傷をつけた箇所は直すことができなくなるものだ」

 

村雨の劣化版か……とはいえ強すぎるな。でもあそこを攻撃すれば……

 

「もう一度……やってみたいけど……流石に制御できるか……」

 

まだ奥の手を制御できていない。どうすれば……

 

悩んでいるとキュアフェリーチェが俺の所に来た。

 

「ミナト。貴方の力は制御できないんですか?」

 

「あぁ、正直に言うと暴走する」

 

「それだったら……」

 

キュアフェリーチェが魔法のペンを取り出すとある魔法をかけてくれた

 

「帝具の力を押さえ込みなさい!!」

 

レガオンに魔法がかかると同時に俺のは鎧に包まれた。

 

「全開ではありませんが、一時的に制御してあります」

 

「これなら……ありがとうキュアフェリーチェ。かっこいいぞ」

 

「いえ……ミナトの方が……その」

 

何だか顔が赤いけど大丈夫か?でも今は気にすることじゃない。俺は更に接近し、闇の鬼火に攻撃を喰らわしていく。

 

『ぐおっ、何故だ!?何故傷が……』

 

「お前にはわからないだろうな。臣具の力も帝具の力も!!」

 

傷ついた場所に攻撃を食らわしていく。だけど制御しているとは言え力が落ちている。決定打にならない。

 

『君の力に僕の力を重ねる』

 

クローバーの声が聞こえた瞬間、ハリーたちの応援が聞こえ、キュアエール達が手をつなぎ空に上っていた。

 

「ねぇ、今からみんなで絶対に破らない約束をしない?私達はすべての世界の笑顔を守る」

 

「色んなスイーツを作って、キラキラルでみんなをいっぱいの笑顔にする」

 

「みんなを応援して、未来の笑顔を守る!!」

 

『それが私達の約束!!』

 

キュアエール達がクローバーの光りに包まれると同時に、奥の手の鎧も赤から緑色に変わり、胸にはクローバーの紋章が刻まれていた。

 

「レガオン・クローバー!!これで終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

闇の鬼火が黒い光線を放つ前に俺は奴の顔面を思いっきり殴った。それと同時に奴の仮面はひび割れた。

 

『プリキュア・クローバーフォーメーション!!』

 

まばゆい光とともに闇の鬼火は浄化されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石化した世界はクローバーの光とともに元に戻っていった。そんな中、クローバーの声が聞こえてきた。

 

『君の力は今は無理だけど、きっといつかは制御できるはずだから……』

 

「お前……どうするんだ?これから……」

 

『僕はこれからどこにでも咲く花。野々花になるよ』

 

「そうか……今度は自分で一歩踏み出せよ」

 

『頑張ってみるよ。そして君に希望の力を授けるために………』

 

桐一文字に緑の光が宿ると同時にどこかへ消えていった。

 

「………頑張れよ。クローバー」

 

「ミナトく~ん!!」

 

向こうの方ではなたちが呼んでいた。俺ははなたちのところへと行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな事が……」

 

「大変な戦いだったんですね」

 

話を終え、えみるとルールーがそんな事を言っていた。

 

「桐一文字か……ミナトは扱えたんだな」

 

「って言っても、全然使いこなせなかったけどな」

 

「それでもちゃんと使ってくれたのは嬉しいよね。お姉ちゃん」

 

アカメとクロメは俺が桐一文字を使っていたことについて嬉しそうにしていた。それにしても桐一文字はあれからどうなったんだろう?

 

「はー、ミナト、渡すものがあるの」

 

ことはがそう言って、俺にあるものを渡してきた。これは緑と白の桐一文字?

 

「ちょっと前にマホウ界に届いたんだよ」

 

「もしかしたらクローバーの力が宿ってると思うの」

 

「使ってあげて」

 

俺は桐一文字を抜くと刀身が緑色だった。お前の力が宿ってるんだな。クローバー……

 

「それじゃせっかくだからみんなでスイーツパーティーするよ!!」

 

それからみんなでキラパティでパーティーをするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、ことはと俺は外に出ていた。

 

「お腹いっぱいだね~」

 

「お前、食べ過ぎだよ」

 

「えへへ、ねぇ、ミナト。あの子の事好きなんだね」

 

あの子って、えみるのことだよな。何でいきなりそんなことを聞いてくるんだ?

 

「あぁ、好きだよ」

 

「そっか……私ね、ミナトに押し倒された時……」

 

「ちょっと待て、押し倒した覚えがない。あれはポニィの……」

 

「そうだったね。でもその時、一瞬だけどミナトの心の光を見ちゃったの」

 

「心の光?」

 

そういえばことははかなり特殊な存在なんだっけ?あの後の花畑デビューでそんな話を聞いた覚えが……

 

「暖かくって、優しい光……それで惹かれちゃったのかな?それに私達を助けるために、はなちゃんを前に向かせるために頑張ってたよね。私はそんなミナトのことが好きだよ」

 

「ことは……悪いけど……俺には……」

 

「はー、気持ちだけ伝えたかっただけだよ。あの子のことを幸せにしてね」

 

ことはがそっと俺の頬にキスをして、キラパティに戻っていった。何というか無邪気そうに見えて意外と……

 

「えみる、何を覗いてるんだ?」

 

物陰にこっちを見つめているえみるを呼ぶと、えみるはおどおどして出てきた。

 

「そ、その……ミナトさん……」

 

「えみる、俺はお前のことを幸せにする」

 

「ミナトさん、はい、私も貴方を幸せにします。がんばりましょう」

 

こうして俺たちはパーティーに戻るのであった

 

 

 

 

 

 




最後が何だか急ぎ足ですみません。

次回から本編に戻ります。

ナタラとポニィに関しては二人のみですが、時々登場する予定です


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第62話 はなの過去と現れしもの

キラパティでの一時から数日が経った。ナタラとポニィもなるべく俺たちの手伝いをすると言っていて、そのうちに会いに来るらしい。

 

そんな事を考えながら、俺は仕事の都合上遅い時間に帰ってきていた。

 

「流石にみんな寝てるよな……」

 

そう思いながら、玄関を開けるとリビングからすみれさんが出迎えてくれた。

 

「ミナトくん、おかえりなさい」

 

「すみれさん、待っててくれたんですか?」

 

「えぇ、はなとルール―も待ってたんだけど、いつ帰ってくるかわからないから先に寝かしたわ」

 

何だか迷惑かけたな。こういう時、連絡とかしておけば良いんだけど……未だにこの世界にある通信器の扱いにはなれない

 

「ご飯は?」

 

「あぁ、大丈夫です」

 

「そう……」

 

とりあえずお風呂に入って眠ったほうが良いと思い、自分の部屋に戻ろうとした時だった。

 

「ミナトくん、はなは学校ではどんな感じ?」

 

「ん?元気ですよ。あいつ、学校であったこととか話したりしてないんですか?」

 

「ううん、違うの……ミナトくんには話してもいいかな?」

 

すみれさんから語られたはなの過去……俺は今のはなから考えられないくらいのものだったからか驚きを隠せないでいた。

 

「そんなことが……」

 

「ミナトくんにはお付き合いしてる子がいるけど、はなのこと支えてあげてね」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

リストルは広い場所にてある報告を終えていた。

 

「どうやら動き出すみたいだな。リストル」

 

「ハイト……お前の方はどうなんだ?お前の精鋭とやらは残り二人。お前の傑作も動こうとしてないぞ」

 

「精鋭?奴らはただの駒に過ぎない。いや、ドロテアとコスミナの二人は違うか。それにお前が動き出すのに合わせてやっていることに気がついていないのか?」

 

ハイトは笑みを浮かべ、リストルも笑みを浮かべていた。

 

「気がついていたさ。ならばもうすでに……」

 

「あぁ、出来ている。フォルシュの皇具、リアンの皇具、そして……」

 

二人の後ろからゆっくりと誰かが歩いてきた。筋肉隆々に白髪の男。その両腕には篭手が装備されていた。

 

「気が早いな。まだお前の出番じゃないだろ。ブリッツ」

 

「ハイト様。だが顔見せくらいはするだろう」

 

「そうだな。いい機会だ。メラルドにも声をかけておけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、警備室ですみれさんに聞かされた話を思い出していた。今のはなから本当に考えられないな

 

「どうかしたの?ミナトさん」

 

「えみると喧嘩でもしたの~ミナト」

 

心配そうにするサヨと誂うチェルシー、普通だったらチェルシーの言葉に反論するのだろうけど……

 

「いや、ちょっとな……」

 

「珍しいね。ミナトが考え事なんて……」

 

部屋の奥からカップを持ったセリューも心配そうにしていた。俺が考え事をするのがそんなに珍しいことなのか?

 

「ちょっと昔の話をきいてな。まぁ、昔のことをいちいち聞くようなことはするつもりもないし……」

 

今のはなは気にしてないみたいだし、もう考えるのもやめようとした時、どこからか煙が上がったのが見えた。

 

「オシマイダーか!?」

 

「タツミ達に連絡済んでるわよ」

 

俺、セリュー、サヨ、チェルシーで煙の発生地点へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煙が上がった場所にはキュアエール達とタツミとウェイブも来ていた。そして俺達の前に体格がよく、眼鏡を掛け、口ひげを生やした男と骸骨のオシマイダーが現れた

 

「来たな!プリキュア!それにナイトイェーガーズ!!」

 

「誰?」

 

「あの人は……」

 

「わたしの名前はダイガン!今までの雑魚社員とは一味違うぞ!わたしが登場したからには5分で…」

 

何だか隙だらけだし、殴っておこうとした瞬間、ダイガンが突然紫色の光線を喰らい、地面に倒れた。

 

「な……何が起きたのです!?」

 

「本当に五分で終わったねぇ……いや五秒だったかな」

 

突然現れた緑色のロングコートに紫色の服、ネジが施された黒色のシルクハットを被った初老の男。黒焦げになったダイガンはその男を見て

 

「ドクタートラウム……何故……」

 

キュアアンジュは黒焦げになったダイガンの元に駆け寄り、癒そうとしていた。

 

「しっかりして」

 

「ありがとう……とても楽になった」

 

ダイガンは満足そうにしながら、消えていった。にしてもこのおっさんは……

 

「まさか宿敵であるプリキュアに癒やされて退場とは……実にうらやましい……じゃなかった。けしからん奴だ」

 

「仲間じゃなかったの!!」

 

「お嬢さん、30過ぎた大人にはそんなもの存在しないんだよ。彼は我が社のお荷物だったんだ」

 

「お荷物?人をモノ扱いするな!!」

 

「今週のビックリドンドンメカ!!」

 

トラウムは巨大な機械を出現させ、ダイガンが生み出したオシマイダーを機械の中に取り込んだ。

 

「ピコっとね!!発注!!猛オシマイダー!!」

 

今までのオシマイダーより更に凶悪そうな姿をしたオシマイダーが現れた。俺、タツミ、ウェイブ、セリューで猛オシマイダーに向かっていこうとした瞬間、何かが空から降りてきた。

 

「お前は……フォルシュ!!」

 

「……トラウム。コイツラの相手は僕がします」

 

「えぇ、任せましたよ」

 

フォルシュは蒼く禍々しい剣を取り出した。あの形……まるで……

 

「レギオン!!右腕装着!!」

 

フォルシュの右腕に大剣が装着された。あれじゃまるで……

 

「レガオンと同じ……」

 

「ハアアアアアアアアアアアア!!!」

 

「ミナト!?」

 

「させるか!?」

 

タツミとウェイブの二人がフォルシュを止めようとした瞬間、どこからともなくコート姿の二人が現れ、二人を吹き飛ばした。

 

「タツミ!?ウェイブ!?」

 

「誰なのよ!?あんたら」

 

サヨとセリューの二人が助けに入ろうとするが、二人の周りに無数の虫が現れ、囲んでいた。

 

「あの虫……まさか……!?」

 

「ふふ、久しぶりね。チェルシー」

 

トラウムの隣にはメラルド・オールベルグの姿もあった。

 

俺は大剣を装着し、フォルシュの攻撃を防いでいた。

 

「どうした!!狂龍騎にならないのか!!」

 

「なったらどうするんだ?レガオンと似てるなら、それにもあるっていうことだよな」

 

「そのとおりだ!!この力で全てを破壊する!!お前も!この街に住む人間も!!お前たちの心もな!!」

 

「そんなこと………させるか!!桐一文字!!」

 

桐一文字を抜き、フォルシュの頬をかすめた。フォルシュは血を拭い、笑みを浮かべた。

 

「桐一文字……傷の治療は不可能にさせるつもりだが……レギオン!!」

 

フォルシュが叫んだ瞬間、頬の傷が再生していった。これは……

 

「レギオンには時を巻き戻す力を授けている。時を巻き戻せば、治療不可能でも即死の力でも……レギオンがある限り死ぬことはない」

 

聞き覚えのある声が聞こえ、振り向くと白いシャッツを着た男とハイトの姿があった。

 

「遅いぞ。社長」

 

「社長?」

 

はなはその男と面識があったのか、驚きを隠せないでいた。男の手には本が握られていた。

 

「離れろエール!そいつはクライアス社の社長、ジョージ・クライや!」

 

「えっ!?」

 

キュアエールが黒い雷撃に吹き飛ばされると同時にフォルシュもハイトの近くに戻り、ハイトの周りには、フォルシュ、リアン、白髪の男、メラルド、ドロテア、コスミナ、コート姿の二人が集まっていた。

 

「ハイト、どうやら君の戦力は整ったみたいだね」

 

「あぁ、そうだ。ジョージ・クライ。こうしてお前と会うのは、お前が未来から私の所に来た時以来だな」

 

「過去の……ましてや異世界に訪れた時に、お前に興味が惹かれたからな」

 

ジョージは宙に浮かび手を掲げると、キュアエール達のミライクリスタルがジョージの周りに集まり、変身が解けた。

 

「この時を待っていた」

 

 

 



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第63話 止まる現実 幸せな明日

突如現れたクライアス社の社長ジョージ・クライ。そしてハイトは新たな精鋭を引き連れてきた。

 

「君たちがミライクリスタルを生み出し、アスパワワを集めてくれると信じていたよ」

 

ジョージはトラウムからなにかの装置を受け取り、ミライクリスタルにぶつけた瞬間、ミライクリスタルが全て石化してしまった。

 

「想定通りだ。大きな希望ほど敗れた時に発する負の力は凄まじい」

 

「させるか!!」

 

俺はジョージに向かって行こうとした瞬間、黒い稲妻が俺目掛け落ち、そのまま地面に倒れた。

 

「ぐう……今のは……」

 

「これはいい。ハイト様。感謝します」

 

「皇具『天帝フェザードライ』の力は満足したか?ブリッツ」

 

「くそ……」

 

さっきの稲妻で動けない。はなは膝を付きながらジョージに向かって言った。

 

「みんなが笑顔の国を作るって話して……」

 

「新たな苦しみがなければ、みんな、笑顔でいられるだろう。だから時を止めよう。皆が笑顔のまま暮らせるように……ともに終わらぬ永遠を!!」

 

ジョージが本を開いた瞬間、世界の時が止まった。

 

「もう何も生まれない。永遠の幸せのはじまりだ」

 

「何が……永遠だ!!」

 

他の皆が止まっているのに、俺とはぐたんの二人だけ動けていた。俺はなんとか立ち上がり、ジョージに立ち向かっていく。

 

「お前も止まってろ!!」

 

「天よ!!鋭き風を吹かせろ!!」

 

フォルシュに殴られ、ブリッツの呼び出した風に切り裂かれていく。だけど俺はまだ立ち上がった。

 

「まだ立つのね?ならば『皇具!機戎銃神レグルト!!』」

 

リアンの右腕に巨大な銃が装着され、放たれた鉄の塊に俺は吹き飛ばされた。体中に痛みが走るが、俺はそれでも立ち上がった。

 

「……なるほど。ハイト、奴を抑えておけ」

 

「わかった。メラルド」

 

「任されたわ。押さえつけなさい」

 

コート姿の二人組に腕を捕まれ、俺は地面に倒された。

 

「君が時が止まった世界で動ける理由は分かっているが……」

 

ジョージは泣きじゃくるはぐたんを黒いオーラに包み込み、引き寄せようとしていた。俺は何とか拘束を抜け出そうとするが無理だった。

 

「離し……やがれ!!」

 

「おいで」

 

「ほまえ~、しゃあや~、えみゆ~、るー、ママ~」

 

はぐたんのママという叫びを聞き、石化していたミライクリスタルがはなのところに戻り、再変身した。

 

「はぐたんを泣かせるなーーーー!!」

 

はぐたんを取り戻し、唖然とするジョージ。他のみんなのミライクリスタルも戻り、再変身し、時が動き出した。

 

「………君は本当に……だが今は彼だ」

 

ジョージは拘束された俺を解放するように指示し、俺の前に立った。

 

「ミナトと言ったね。君が時が止まった世界で動けた理由……ハイト達は皇具の力に宿ったトゲパワワを使っているから動けている。そして君は……心の中では時が止まった世界……苦しみもなにもない世界を望んでいるからだ」

 

「俺が……望んでるわけ……」

 

「君がいた世界では、辛いことしかなかった。世の中を良くするために親しいものと殺し合い、仲間を失い続けた。君はそれに耐えきれなくなった。だがこの世界に来て君は今という現実が好きだと思っている。だからこそ……」

 

「時が止まってしまえばいいって……いつあの世界みたいにつらい日々が待っているかもしれないなら……」

 

俺はそんなことを思い続けていたのか?だから時が止まった世界で……

 

ジョージはゆっくりと俺に手を差し伸べた。

 

「さぁ、君の望んだ世界を手にしないか?」

 

「……………」

 

「ミナトくん?」

 

「おい、ミナト!?お前……まさか……」

 

キュアエール、タツミの声が聞こえてきたが、俺はゆっくり立ち上がり、笑みを浮かべた。

 

「確かに俺はこの世界に来て、もうあんな辛い思いをしたくないって思い続けた。だからこそ………クライアス社の目的………苦しい明日が来ないなら……」

 

俺はゆっくりと手を伸ばし、ジョージの手を握ろうとした。

 

「ミナトさん………」

 

「!?」

 

手をつかもうとした瞬間、フォルシュが俺を蹴り飛ばしてきた。やっぱり気づかれたか

 

「社長。気をつけてください。奴は刀を抜こうとしていました」

 

「………クライアス社に協力しないということかな?」

 

「当たり前だ。マシェリが約束してくれたからな。辛い昔を思い出さないくらいの幸せな明日を作ってくれるって……それに明日が苦しいって何でわかる?」

 

左手に桐一文字を、右手にレガオンを構え、俺はジョージに向けた。

 

「明日っていうのは楽しいも苦しいもどっちになるかわからないからいいんだ!!」

 

「………ジョージ・クライ。勧誘は失敗だな」

 

「ふふ、後は任せたよ。ドクター、フォルシュ」

 

ジョージはそう言ってトラウムとフォルシュを残し、ハイト共に姿を消すのであった。

 

「やれやれ、人使いの荒い社長だ。行け!猛オシマイダー!!」

 

猛オシマイダーが襲いかかる中、キュアエール達が応戦していく。俺はフォルシュと激しく斬撃をぶつけ合った

 

「お前がどんな明日を望もうが!!僕には勝てない!!」

 

「………それでも俺は……」

 

突然マシェリのミライクリスタルから赤い光が放たれた。

 

「あれは……」

 

「なんや?ミライクリスタルの光が……レガオンに……」

 

赤い光がレガオンに宿ると共に両手に篭手が装着された。

 

「心が……溢れてくる?うおおおおおおおおおおおお!!」

 

迫りくるフォルシュに向かって俺は思いっきり胸を殴った瞬間、この光が何なのか理解した。そうか、これが……

 

「ぐうううう、がはっ!?レギオン!!」

 

フォルシュは時を戻し、傷を治す。そして俺のことを睨みつけた。

 

「どういうことだ……今のは……」

 

「お前にはわからないことだ」

 

「くっ!?」

 

フォルシュは撤退すると同時に猛オシマイダーも撃退されていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリーハウスでこれからのことを考える中、俺たちナイトイェーガーズは……

 

「あのコートの二人……何なんだ?」

 

「強すぎる……チェルシーはオールベルグにいたんだろう?知り合いだったりしないか?」

 

「残念だけど、タツミとウェイブを圧倒する輩はいなかったわ」

 

チェルシーもあの二人については知らなかったみたいだ。するとセリューとサヨは

 

「ミナトのあの力は何なの?」

 

「急に力が上がったみたいだけど……」

 

「あ~もしかしたらだけど……」

 

俺はえみるの方を見ると全員が何かを察した。

 

「愛か」

 

「愛だね」

 

「愛だな」

 

「愛ね~」

 

「愛の力ね」

 

うん、全員察するのは止めて欲しい。あの力がレガオンが言っていた愛の力だとしたら……

 

「愛を受け取り……愛を育む………か」

 

俺がそうつぶやく中、はなが俺のことをみて、悲しそうな顔をしていたのに気が付かなかった。

 

 




次回ナイトプール回!!

ということでナイトイェーガーズ全員登場できるようにがんばります


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第64話 みんなでナイトプール準備

今回のナイトプール回は全員集合させます。

そしてメラルドの部下はオリキャラですが、モデルとしてある漫画のキャラです


「ふふふ、流石は我が町内会。よく分かってらっしゃる。夏休み初日、つかみのイベントにナイトプールを持ってくるとは!」

 

ハリーハウスでみんなと集まっていると壁にはられたポスターを見て、はながテンション高くなっていた。

 

「なんや?ナイトプールって?」

 

「ポスター貼ってあるのに知らないの!?」

 

「貼っておいてくれって頼まれたんや」

 

「ナイトプール、それは夜、日が落ちてから始まる大人のイベント。それがナイトプール」

 

「楽しみだね」

 

はなは楽しみにしている中、俺、ほまれ、ルール―はポスターに書かれていた文字を読むと……

 

「ハグっ町内トプール……」

 

「これって……」

 

「はなが言ってたような感じじゃなさそうだな」

 

何というか嫌な予感がしてならないんだが……

 

「まぁ折角や。ハリーショップの店員全員にも参加させるか」

 

タツミたちにもちょっとした休みができたのはいいかもしれないな。俺はさあやとほまれにセリューたちも誘うように伝えておくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナイトプール会場に行くが、はなは思いっきりがっかりしていた。はなが言っていたような感じではなく、大漁と書かれた大きな看板、鯉のぼり、何人か集まって酒盛りしている。というか酒盛りしてる中にレオーネ姐さんの姿があった。

 

「お~い、ミナト~」

 

「姐さん、何してるんだよ」

 

「酒盛りに誘われてな。ミナト達も酒盛りか?」

 

「いや違うから……」

 

「おぉ~ビューチーハリーのご主人」

 

すると俺達の所に町内課長がやってきた。話を聞くとナイトプールにはセンスが必要ということで、はなたちにも協力を頼むということだった。確かにそれだったらいい感じになるかもしれないな

 

「そうだ。その子達のセンスが必要になるな。このままじゃ男しか来なくなる!!」

 

何だか聞き覚えのある声が聞こえ、俺、タツミ、チェルシー、姐さんが振り向くとラバとマインの二人がいた。

 

「ラバ、あんた、欲望丸出しよ」

 

「マインちゃん、欲望を抑え込んでいたら体に毒だよ。それだったら解放しないと……」

 

「ラバ、要するに女性の水着目的か?」

 

「水着目的だな」

 

「水着目的ね」

 

「水着目的か」

 

「最低ね」

 

俺、タツミ、チェルシー、姐さん、マインでツッコミを入れるのであった。

 

「ラバックさんも手伝ってくれるんですか?」

 

「勿論、同じ町内の仲間として協力しないとな」

 

はなたちに笑顔でそう答えるけど、まぁ手伝う人が多ければ多いほどいいかもしれないな

 

「それだったらエアさんも呼ぶのです」

 

えみるもエアに手伝ってもらえるか頼むのであった。まぁみんなでやるんだからいいものにしないとな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社 研究室

 

「メラルドはいるかしら?」

 

研究室にやってきたジェロス。ハイトはある部屋の方を指さした。

 

「今は忙しいみたいだぞ」

 

「あら、お楽しみみたいね」

 

「いいえ、丁度終えたわ」

 

部屋から満足そうな顔をしたメラルドが出てきた。ジェロスは呆れたりもせずにただ笑顔を向けた。

 

「今から出動するけど、一緒にどうかしら?」

 

「そうね。皇具で作られたあの子達の力も見たいしね。いいわよね。ハイト」

 

「あぁ、好きにするが良い。お前に渡した皇具の性能をしっかり確かめてこい」

 

「ふふ、それじゃ行くわよ。甲虫、巨針蟻」

 

コート姿の二人組はメラルドの問いかけにただ頷くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プールの準備を進めていく中、ほまれは頑張るはなを見て、あることを告げた。

 

「はなだよね」

 

「うん?」

 

「この間色んな事があったのに……」

 

「うん、何があっても明るくて、真っ直ぐなはなを見てると……」

 

「私達も元気でいなきゃって……」

 

「なのです」

 

「そやな」

 

何があっても、明るくか……

 

俺はほまれたちの話を聞いて、はなを見つめた。するとエアとサヨが声をかけてきた。

 

「どうしたんですか?」

 

「はなちゃん見つめて……」

 

「だ、駄目ですよ。ミナトさん。えみるお嬢様が泣いちゃいますよ」

 

「お前ら、誤解するなよ。ただ単に……はながいつもどおり過ぎてな」

 

「いつもどおりの何が気になるんですか?」

 

「ミナトさん……」

 

「あいつは今までは戦いなんて無縁の女の子だった。だけどプリキュアになってから今日まで色々とあって……あんなふうにいつもどおりでいられるのは……」

 

普通だったら怯えたり、戦うのが嫌になったりするんじゃないかと思った。だけどはなはいつもどおりすぎる……

 

「ミナトさんの気にしすぎじゃないんですか?」

 

「そうだといいんだけどな……」

 

そんなこんなで会場準備を終え、ナイトプールが始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナイトプールをみんなが楽しむ中、俺は一人それを眺めていた。

 

「泳がないのか?」

 

声をかけられ、振り向くとそこにはブラートの兄貴とシェーレの二人がいた。なんで二人がここに……誰かに誘われたのか?

 

「俺はちょっとな……」

 

「私と同じように泳げないんですか?」

 

「安心しろ。溺れた時は熱く介抱してやる」

 

いや、それは遠慮しておくよ。兄貴……

 

「というかシェーレ、泳げるからな。訓練の時に鎧を着て遠泳してたし……」

 

「それじゃどうして?」

 

「ん……まぁここだと色々とあってな」

 

流石にこう人が多いと傷だらけの体を見せるのは気が引けるし……タツミ達はよく気にせずにいられるな……

 

するとえみるとルールーの二人がこっちにやってきた。

 

「ミナト、泳がないんですか?」

 

「ミナトさんも一緒に遊びましょう」

 

「俺は……」

 

断ろうとすると兄貴が思いっきり背中を叩いた。

 

「気にしすぎだ。それにその二人はお前の傷を見ても変だと思ったりしない」

 

「……兄貴」

 

「ミナトさん?」

 

「えみる、ルール―、行くか」

 

俺は羽織っていた上着を脱ぎ、二人と一緒に行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回からはナイトプールで、さあや、ほまれ、ルール―、えみるの四人がアカメが斬る!キャラたちと関わる話です。
そしてはなはあるキャラと出会います。それが誰なのかはお楽しみに


因みにメラルドの部下の二人のモデルは、アカメが斬る!と同じガンガンジョーカーで連載していた蟲漫画のキャラたちです


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第65話 ナイトプールでのそれぞれの関わり

えみるとルールーの二人でプールを楽しんでいるとちらほらと見覚えのある人達がいるんだが……

 

「誰かしら誘ったのか?」

 

「確かさあやとほまれが誘っていました。それにタツミたちも」

 

「ミナトさんのお友達の方々も楽しんでくれてよかったのです。きっとはな先輩も大喜びですね」

 

「まぁ確かにみんなからしてみればいいことかもな。ちょっと気になるし様子見てくる」

 

「行ってらっしゃいなのです」

 

そう思いながら、俺は気になって様子を見に行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあやの場合

 

さあやのところに行くと何故かスタイリッシュと一緒にいた。そういえばこの二人連絡先交換してるんだっけ?

 

「あら、彼女とデートは良いのかしら?」

 

「いや、皆のことが気になってな。えみるにはちゃんと言ってある」

 

「ミナトさんとえみるちゃん、本当に仲いいね」

 

「お前とスタイリッシュも仲良さそうだけど……」

 

「彼女から色々とこの世界の色んな事を聞いていたのよ。同じものがないけど似たようなものが多いわね。この世界は……」

 

「似て非なるものがあるのは異世界ならではって感じですね」

 

まぁそこら辺は世界の違いっていうのもあるしな。技術的にはこっちの世界の方が進んでるけど……

 

「にしてもあなた、ナイトイェーガーズのリーダーなのに、未だに機械類が使いこなせないのね」

 

「うぅ……」

 

「タツミさん達でも使いこなしてますよ」

 

「何というか……相性が悪くてな」

 

ましてや野生児のアカメですら使いこなしてるのに……何というかショックが大きいな

 

「ミナトさん、落ち込まないでください。これからですよ。これから」

 

さあやに励まされて、ちょっと元気になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルール―の場合

 

さあや達と別れるとルール―がエスデス、セリュー、サヨと一緒にいるところを見つけた。

 

「エスデスまで来てたのかよ」

 

「なんだ。私が来ていたら悪いのか?」

 

いや、こういった場所に来るのが意外すぎるだけなんだけど……

 

「セリューとサヨは泳がないのか?」

 

「私達は泳ぎたくっても泳げないのよ」

 

「体の問題でね」

 

二人は義手と義足を見せた。何だか言っちゃ駄目なことを言った気がする。

 

「それでしたら、なるべく軽いものを見に付けたらどうですか?」

 

「「軽いもの?」」

 

「はい、ある程度素材があれば作れます。もしよろしければ」

 

そういえば馴染みすぎて忘れていたけど、ルールーも未来の人間だよな。そういった技術とか知識とかもあるんだな

 

「ところでミナト。聞いたぞ、メラルドのことを」

 

「知ってるのか?いや、まぁ有名な人なんだっけ」

 

かなり有名な暗殺集団だからエスデスの耳にも入ってるよな。もしかして一度戦ったことがあるのか?

 

「あぁ、子供の頃に少しな。奴に一度襲われたくらいだ」

 

エスデスの話を聞いて、俺、セリュー、サヨの三人は驚きを隠せないでいた。襲われたって……いくら子供の頃でもかなり戦闘力が高いって言う話のエスデスに対して襲いかかるなんて……

 

「やばい奴なんだな……」

 

「ミナト、頑張りましょう。ミナトなら勝てます」

 

「そうだな……」

 

「ふむ、いい機会だ。ルール―、お前には帝具の扱いを改めて学ぶべきだ。セリュー、サヨ、時間があるときにでも付き合ってもらうぞ」

 

「「はい」」

 

「帝具の扱いを……」

 

「ルール―、頑張れ」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えみるの場合

 

えみるのところへ行くと何故か三獣士、アカメ、クロメと一緒にいるところを見つけた。

 

「珍しい組み合わせだな」

 

「ミナトさん、はい、ニャウさんとは以前から知り合いなのです」

 

「まぁ一緒に演奏した中だからね」

 

仲いいな。えみるとニャウは……

 

「何だ。嫉妬か?」

 

「嫉妬するのは悪いことではないぞ。少年」

 

ダイダラとリヴァの二人が耳元でそう呟いてきた。いや、別に嫉妬してはいないけど……

 

「そういえばアカメ、クロメ、見つかったのか?転移した人たち」

 

「いや、見つからないな」

 

「ドクターが言うにはまだいるらしいけど……」

 

ここまで見つからないとなるとこの街周辺にはいないっていうことなのか?だとしたら他の街にいるかも知れない。今度ナタラとポニィにでも聞いてみるか

 

「ところでミナト」

 

「何だよ。アカメ」

 

「嫉妬してえみると喧嘩はするなよ」

 

「だから嫉妬はしてないからな」

 

「えみる、ミナトが嫉妬してますよ」

 

「そうなのですか?ミナトさん、大丈夫ですよ。私が好きなのはミナトさんなのですから」

 

えみるは満面の笑顔でそう言い、俺は思わず頭をなでた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほまれ、ハリーの場合

 

何かを見つめるほまれ、視線の先を見るとそこにはハリーが出した屋台が有った。あいつ、人間体だとイケメンだから女の子に人気だな。

 

「悪いな。手伝ってもらって」

 

「いえ、普段あまり手伝うことが出来ないので大丈夫ですよ」

 

よく見るとランも手伝ってる。ほまれは誰を見つめてるんだ?もしかして……

 

「ハリーの事を見つめてどうしたんだ?」

 

「なっ!?ミナト、いつの間に!?」

 

「ついさっきだよ。というかその反応……」

 

ハリーのことが好きなのか……結構意外だな。でもほまれとハリーって結構一緒にいる姿見てるし……自然に好意を寄せるのもおかしくないよな

 

「何?その顔……」

 

「いや別に……」

 

「ほまれはハリーのことが大好きだからね~」

 

いつの間にかいたチェルシーがにやにやしていた。お前もこういうの好きだな……

 

「べ、別に私は……」

 

「はいはい、ごまかさなくてもいいよ」

 

「ぱない人気」

 

「「「えっ!?」」」

 

急に声をかけられ、振り向くとそこにはチャラリートがいた。こいつ生きてたのか!?

 

「よっ」

 

「チャラリート!?」

 

さあや、ルール―、えみるもチャラリートを見て驚きを隠せないでいた。

 

「俺ちゃん、長話する暇ないんだよね。なんてたって俺ちゃん、ネット動画イケメンニューカマーだから!!」

 

携帯を見せながらそんなことを言うチャラリート。何というか敵だった頃よりかはいきいきしてる気がするんだが

 

「昨日なんて自己記録更新!再生回数283回っす」

 

「おげんこ」

 

チャラリートと話していると更にパップルまでやってきた。何というかプリキュアの技は悪い心を浄化してるから、生きていても不思議じゃないんだな。

 

「あんたたちには用はないの」

 

「そうそう、アイツラに言っとけよ。イケメン人気ナンバーワンは俺だってな」

 

「それとミナトだったけ?あとで時間もらうわよ」

 

二人はそう言い残して去っていた。何というか元気そうならそれでいいかもな。

 

そういえばさあやたちと会えたけど、はなの奴どこにいるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなSIDE

 

みんながナイトプールを楽しんでいた。笑顔に満ち溢れている。ミナトくんも、ミナトくんの仲間の人達も……

 

「よかった……」

 

私はそうつぶやき、移動しようとした時、あの人の声が私の頭の中に響いた。

 

『時間を止めよう。皆が苦しまぬように……』

 

止まった世界、動かなくなるみんな……

 

あの時の光景を思い出すだけでも、私は体が震えてきた。それにあの時、ミナトくんがスカウトされて、私はミナトくんのあの言葉が本当だと思ってしまった。

 

『俺はこの世界に来て、もうあんな辛い思いをしたくないって思い続けた。だからこそ………クライアス社の目的………苦しい明日が来ないなら……』

 

あれは演技だったって分かっていても……私は大切な人のことを信じられなかった。

 

駄目だ。気にし続けていたら駄目になっちゃう。皆の前では笑顔でいなきゃきっと心配してしまう

 

「君大丈夫かい?」

 

突然声をかけられ、振り向くとそこには体格がよくかっこいい男の人が心配そうに私に声をかけてきてくれた。

 

「えっと……」

 

「何だか震えているみたいだけど、体が冷えているならプールから出たほうが良いよ」

 

「い、いえ、大丈夫です」

 

「そう、それならいいけど……」

 

その人はホッとし表情をしていた。何だか優しい人だな……この人に相談してもいいかな

 

「あの……私……」

 

「……プールから上がろうか。何か話したいことがあるんだね」

 

「はい」

 

私とその人はプールから上がり、近くのベンチに座った。

 

「ちょっと最近、色々とあって……急に怖くなったんです」

 

「何に対して?」

 

「それは……」

 

プリキュアのこととか話すのはまずいよね。何とか考えないと……

 

「えっと……友達を……家族の笑顔がなくなりそうになったんです。何とか今は大丈夫ですけど……もしもどうにも出来なかったらって思ったら急に怖くなって……それに友達のことも一瞬だけど信じられなかったんです」

 

「みんなの笑顔……君が何をしているか僕にはわからないけど、怖くなるのは仕方ないことだと思うよ」

 

「仕方ないこと……ですか?」

 

「うん、だって君はまだ子供だよね。それぐらいの年の子が怖いって思うのは仕方ないことだし、あたり前のことだから」

 

怖いって思うのは当たり前のこと……そうかもしれないけど……

 

「友達のこと信じられなかったのは……」

 

「………信じられなかったのなら、これから信じていけば良いんだよ」

 

これから信じていく……そうだよね。私のなりたい私だったらそうするべきだったんだよね

 

「ありがとうございます。優しい人なんですね」

 

「僕は優しくないよ。仕事の都合で上の命令に従って、沢山の人を傷つけてきたんだから……」

 

「そんな……でもそれは命令で……」

 

「命令でもきっとたくさんの人に恨まれているはず……報いも受けてきた」

 

優しそうにみえて、この人も苦労してるんだ。それだったら……

 

「あのもしよかったら、相談くらいにはのります」

 

「………君は僕の知り合いと同じことを言うんだね。でも大丈夫」

 

「あなた~」

 

「パパ~」

 

遠くの方からキレイな女性とその子供がこっちにやってくる。もしかしてこの人の家族の人?

 

「妻も娘も僕がやってきたことを知っていて、それでも応援してくれているんだ。それに……って君には信じられない話だよね。それじゃまたどこかで……」

 

「はい、あっ、私野乃はなっていいます」

 

私の名前を告げるけど、聞こえたかな?

 

「こんな所にいた。何してるんだ?はな」

 

「ミナトくん……」

 

もしかしてミナトくん、探しに来てくれたのかな?それだったら謝らないと

 

「ミナトくん、あのね……」

 

「どうした?」

 

「この間、ミナトくんがクライアス社にスカウトされた時、一瞬だけど裏切っちゃうんじゃないかって思ったの……」

 

「……はな」

 

「信じられなくって、私、ずっと悩んでたの。だから……これからはちゃんと信じていくから……何があってもミナトくんは私達と一緒にいてくれるって、えみるを泣かすようなことをしないって」

 

「……そっか、ありがとうな」

 

ミナトくんは笑顔でお礼を言ってくれた。そうだ。これからは信じていくんだ。

 

「はな、お前もあんまり無理はするなよ」

 

「えっ?」

 

もしかしてミナトくん、気づいてるのかな?

 

「うん、わかったよ」

 

 

 

 



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第66話 ナイトプールでの再会

「ふふ、素敵なトゲパワワ発見」

 

ナイトプールの建物上にジェロスとスーツ姿の二人組、そしてコート姿の二人組が立っていた。

 

「さぁ、素敵なナイトパーティーの始まりね。よろしく後輩くん達」

 

「始末書上等!」

 

「残業歓迎!」

 

「「かしこまり!!」」

 

「で、メラルドはどこに行ったのかしら?」

 

「メラルド様はナンパしに行きました」

 

「可愛い女性を見かけたらしく………」

 

コート姿の二人の話を聞き、ジェロスは溜息をつくのであった。

 

「本当に自由ね。そのうち戻ってくるだろうし、その間遊んであげなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんながプールを楽しむ中、俺はえみるとルールーの二人と一緒に舞台の裏に来ていた。

 

「さぁ始めるのです」

 

「えぇ」

 

「本当にやるのか?」

 

「当たり前なのです。こういった機会じゃないと出来ないのです」

 

「町内会長さんにはすでにOKをもらっているので大丈夫です」

 

「そっか、それだったら楽しめよ」

 

「「はい」」

 

二人がミライパットでアイドルの姿に変身し、ライブを始めるのであった。俺は二人のライブを見つめていると、突然殺気を感じ、レガオンを抜くと……

 

「この間ぶりですね。ミナト・ユウさん」

 

コート姿の奴が一人、オレの前に現れた。こいつは前に戦った……

 

「メラルドの部下か……悪いけどライブの邪魔をするなら容赦しないぞ」

 

「邪魔ですか?私はそんなつもりは………」

 

そいつが言い終わる前にレガオンを左腕に装着し、斧で斬りかかろうとするが、そいつはレガオンの上に乗って回避していた。

 

「早いですね。でも私には効かないですよ」

 

鋭い蹴りが襲いかかり、ギリギリのところで防御する。そいつはコートを脱ぎ、姿を見せた。

白髪に、褐色の肌、両腕に篭手に鋭い針がついていた。

 

「私は巨針蟻。メラルド様の部下の一人です」

 

「巨針蟻?」

 

「この世界に存在する最凶の蟻の名前です」

 

巨針蟻は笑顔でパンチの連打を繰り出していった。俺は防いでいくが威力が強くそのまま吹き飛ばされた。

 

吹き飛ばされた先にはスイカの猛オシマイダーが現れていて、奴から発せられるトゲパワワがプール内に満ち溢れ、ナイトプールに来ていた人々が倒れていた。

 

「ミナトくん!?」

 

「何があったの!?」

 

「敵の襲撃だ。しかもかなり厄介な……」

 

「敵ってあれ?」

 

ほまれが指を指した方向を見るとそこには巨針蟻とは別のコート姿の奴がいた。奴はコートを脱ぐとウェーブかかった短いの少女。その手には二又の槍が握られていた。

 

「巨針蟻に手痛くやられてるみたいね。それじゃ今度は私、兜虫が相手よ」

 

兜虫がこっちに迫り来る中、タツミとウェイブの二人が前に飛び出て、兜虫の突進を止めた。

 

「大丈夫か?ミナト」

 

「何だこいつ……見かけによらずすごい力だ……」

 

「見かけで判断しちゃ駄目だよ。君たち」

 

タツミとウェイブの首を掴み、片手で持ち上げる兜虫。どんだけすごい力なんだよ

 

「ぐっ……こいつ……」

 

「ヤバすぎだろ!?」

 

「あんた達を押さえつけておけば、世界はトゲパワワに満ち溢れる」

 

このままじゃまずいと思った瞬間、えみるとルールーの歌声が響いてきた。二人の歌声から溢れてくるアスパワワ。

この場所に溢れていたトゲパワワを全て吹き飛ばしていく。そしてさっきまでトゲパワワに苦しんでいた人々からアスパワワと笑顔が溢れてきた。

 

「みんなから笑顔が……アスパワワが……」

 

はなはこの光景を見て、嬉しそうにしていた。

 

「笑顔は守るだけじゃない。笑顔が力をくれる……」

 

「何よ。この歌!?巨針蟻!!」

 

「邪魔させてもらうよ!!」

 

巨針蟻が二人を目掛けて、上から襲ってくる。俺は咄嗟に駆け出そうとした。

 

「………スサノオ!!無粋なことをするやつを吹きとばせ」

 

「わかった!!」

 

襲いかかる巨針蟻を誰かが殴り飛ばした。今のって……まさか……

 

「どうやら間に合ったみたいだな」

 

この声、あんたたちまで来てたんだな

 

「ボス!?スーさん!?」

 

眼帯に義手の女性、俺達ナイトレイドのボス、ナジェンダとその帝具スサノオことスーさん。もしかしてドクターの装置で来たのか?

 

「積もる話があるだろうが、今はこいつらを何とかするぞ。ミナト、タツミ、ウェイブ」

 

「了解、ボス」

 

「ウェイブ、まだ戦えるな」

 

「当たり前だ」

 

俺たちは立ち上がると、兜虫とさっき殴り飛ばされた巨針蟻が無傷で立ちはだかった。

 

「今のは効いたよ。でも戦いはこれから」

 

「あんたらを潰させてもらうよ」

 

「ミナトくん……」

 

「オシマイダーは任せたぞ」

 

「うん」

 

はなたちがプリキュアに変身し、猛オシマイダーに立ち向かっていく。俺、タツミ、ウェイブ、スーさんで兜虫と巨針蟻と戦おうとした瞬間、俺達の周りに無数の虫が現れ、囲んできた。

 

「下手に動かないほうが良いわよ。この子達は猛毒を持ってるからね」

 

「この声は……メラルドか!!」

 

どこからともなく聞こえてくるメラルドの声。俺たちの動きを止めるために……どうすれば……

 

「この無数の虫を全て倒すのは無理よ。兜虫、巨針蟻、その間にプリキュアを捕まえなさい。たっぷり可愛がって…………!?」

 

メラルドの言葉を遮るように俺たちの周りにいた無数の虫が全て燃えていった。この炎は……

 

「遅くなってごめん。ウェイブくん、ミナトくん」

 

虫たちが全て燃やし尽くされ、俺達の前には見覚えのある人物が立っていた。あんたまでここに来てたのか……

 

「あの人……さっきの……」

 

「君は……そっかさっきの子なんだね」

 

「「ボルスさん!!」」

 

ボルスさんまでこの世界に来てるなんて……というかキュアエールと面識あったのか

 

「虫は僕がどうにかするから、ミナトくん、君は彼女たちと一緒に」

 

「わかった!!」

 

俺はプリキュアたちの所に向かおうとすると、メラルドが立ちはだかる

 

「邪魔はさせない!!」

 

「それはこっちのセリフだ!!メラルド・オールベルグ!!」

 

メラルドの眼の前に氷塊が落ちてきた。この氷はエスデスの……

 

「エスデス……あの時以来ね」

 

「お前に襲われた以来だな。今度は逃さないぞ」

 

「それはこっちのセリフ!!皇具『蠱毒針・ベスティヨル』」

 

メラルドは鋭く尖った針を取り出し、エスデスの剣を防いでいた。メラルドは任せても大丈夫だな。

 

俺は猛オシマイダーに向かって、レガオンを叩きつけるがやっぱりダメージが与えられない

 

「ミナトさん!?」

 

「くそ、倒す力がなくっても……」

 

それでも何かしら出来ると思った瞬間、突然桐一文字が光りだした。この緑色の光はクローバーの……そうか、力を貸してくれるんだな

 

「桐一文字!!」

 

桐一文字で猛オシマイダーを切りつけた瞬間、猛オシマイダーが苦しみだした。やっぱり思った通り、クローバーのおかげで浄化の力が宿ってる。

猛オシマイダーが俺に向かって、攻撃を仕掛けてきそうになった瞬間、

 

「マシェリポップン!」

 

「アムールロックンロール!」

 

マシェリとアムールの二人の攻撃で、猛オシマイダーの動きを止め、俺は追撃の斬撃を与えた。

 

「マシェリ!!アムール!!」

 

「心のトゲトゲ」

 

「ズッキュン打ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!!」」

 

 

二人が浄化技を放ち、オシマイダーが浄化されていった。そして戦いが終わるとメラルド達の姿もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

改めてボスとスーさん、ボルスさんの三人に話を聞くことになった俺、タツミ、ウェイブ。

 

「それじゃボスたちはつい最近来たばっかりなんだ……」

 

「あぁ、突然この世界に来て困っていたところをあいつらに助けられてな」

 

ボスの視線の先にはチャラリート、パップル、それとあのおっさんは……誰だっけ?どうにも見覚えがあるけど……

 

「あいつらから大体の話は聞いてる。ミナト、ナイトイェーガーズはお前に任せたぞ」

 

「俺で良いのか?俺よりボスのほうが……」

 

「お前をきっかけに集まったんだろ。ナイトイェーガーズはお前がリーダーだ。何かあったらすぐに駆けつける」

 

「ボス……スーさん……」

 

「ミナトくん、妻から聞いたよ。危ないところを助けてくれたんだね。僕もこの世界に呼び出され、妻たちと再会できたよ」

 

「そっか……でもせっかく再会できたんですから戦わなくっても……」

 

俺としてはボルスさんには戦いに巻き込まれず、家族と一緒に平和に過ごしてほしいけど……

 

「確かにそういう道もあったけど、みんなが戦ってる中、僕だけ平和に過ごすことは出来ない。みんな一緒に平和に過ごすために戦うよ」

 

「ボルスさん……」

 

ウェイブもボルスさんの言葉を聞いて、感動していた。それにしてもこれで全員集合か……これから先の戦い、頑張らないとな

 

「ミナトく~ん、一緒に写真撮ろう」

 

「あぁ、みんな行くか」

 

 

 



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第67話 みんなで夏祭り

今日ははなたちは夏祭りに行くという話だった。いつもだったら一緒に行くはずだったのだが……

 

「なんで警備の日とかぶるんだよ。しかも祭りの警備って……」

 

「まぁタイミング悪かったということで……」

 

一緒に警備することになったサヨがそんな事を言うけど、この町で危ないことをしたりするようなやつはいないと思うけどな……

 

「ほら、ミナトさん、はなちゃんたちいますよ」

 

サヨが指さしたほうを見ると浴衣姿のはなたちがこっちに向かって歩いてきていた。はなたちの中にはマインとブラートの兄貴とタツミも混じっていた。

 

「ミナトさん、お仕事お疲れ様です」

 

「おう、えみる。浴衣にあってるぞ」

 

「そ、そんな……えへへ~」

 

「本当に仲いいわね。ミナト」

 

「悪いな。お前たちだけ仕事なのに楽しんで」

 

「まぁ仕方ないって思ってるよ」

 

「まぁ何かあったときには任せろ。ミナト」

 

「兄貴、ありがとう」

 

一応もしものことを考えて、みんなの警護を兼ねて兄貴を呼んできておいて正解だったな。

するとはなたちはくじ引きの出店をしているパップルに呼び止められた。というかこいつらもいるのかよ

 

「狙うは一等のくまさん人形!」

 

はなが何回かくじを引くが、全部ハズレだった。何というかくじ運がないな。はなは……

 

「ねぇ、ミナト。警備だよね。本当に当たりが入ってるか調べてもらっていい?」

 

ほまれはハズレしか入ってないと思い、そんな事を頼んできた。パップルはと言うと特に焦ったりしていない。

 

「あら、悪いけどそれはないわ。ちゃんと調べてもらってから出店を出してるからね。ねぇ、警備員さん」

 

「あぁ、始まる前にチェックはしてある。ちゃんと当たりは入ってるぞ」

 

「ということよ。わかったかしら。というか彼の前で不正したらどうなるか溜まったものじゃないわよ」

 

「それどういうことだよ……」

 

「あなた、ちょくちょくオシマイダーより私達の方を狙ってたじゃない」

 

あぁ言われてみればそうだな。いや、指揮官を先に倒すのは戦いにおいて重要なことだし……

 

「えみるとルールーがうちの事務所に所属してくれれば、いくらでもあげちゃうんだけどな~」

 

というかパップルはまだ二人のデビューを諦めてなかったのか。二人とも困ってるいると……

 

「あの僕にもやらせてください」

 

「お前!?全財産!?」

 

はなたちの同級生の……ひなせだっけ?500円玉を払い、くじに挑戦した。すると見事当たりを引き当てた。

パップルからくまの人形を受け取ると、ひなせははなに渡そうとしていた。

 

「どうぞ」

 

「でもこれ……ひなせくんが……」

 

「僕の気持ち……だから……」

 

「ありがとう。ほら、お兄ちゃんがはぐたんが欲しかった人形取ってくれたよ~」

 

うん、何というか……

 

「落ち込むな。これあげるから祭りを楽しめ」

 

なんとも可哀想なひなせに俺はお金を渡すのであった。何というか自分の気持には正直なのに、自分に向けられた気持ちについては鈍感だな。はなは……

 

 

 

 

 

 

次に向かった場所は射的屋だった。ここの責任者はダイガンだ。因みにここもチェックは済んでる

 

「当てられるものなら当ててみろ」

 

いや、当てるだけなら簡単じゃないか?というかそれだとすぐに終わるし……

 

「弾の威力と空気抵抗をふまえて、最適な発射角度を算出」

 

「あとは三人同時に打ち込む」

 

「はい」

 

ルールー、マイン、さあやの三人が同時に弾を打ち出し、景品に見事に当て倒すのであった。マインがいる時点で景品が取られるの確実だったな。

 

「ミナト、そろそろ戻ろう」

 

「そうだな。みんな、楽しめよ」

 

俺とサヨは仕事に戻ろうとするとえみるが俺の手を掴んだ。

 

「ミナトさん、花火一緒に見ないのですか?」

 

「あぁ……どうだろう?」

 

「花火の時間だったら一緒に見に行ってもいいよ」

 

サヨからOKをもらえたな。

 

「OKだって」

 

「それじゃ待ってます」

 

えみると一緒に花火を見ると約束をし、俺とサヨの二人は警備を続ける続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警備をしていき、特に大きな問題は起きなかった。

 

「そろそろ行ってもいいよ。ミナトさん」

 

「あぁ後は頼んだぞ」

 

約束の時間のため、俺ははなたちの所に行こうとした瞬間、桐一文字が光りだした。

 

「何だ?まさか……」

 

桐一文字に宿ったクローバーの力がトゲパワワに反応してるのか?だとしたら……

 

「サヨ!!」

 

「うん、屋台周辺の人達は任せて」

 

俺はすぐさま駆け出し、桐一文字の反応が強い場所へと向かうと異変に気がついたはなたちも来ていた。そしてその場所ではハリーが真っ白な髪の少年に捕まっていた。

 

「せっかく僕を彼女たちから引き離そうとしたのに無駄だったね。ハリー。大体なんでプリキュアなんかと一緒にいるのさ。こんな奴ら、さっさと倒しちゃえばいいのに……そしたらクライアス社も裏切ったハリーを許してくれるでしょ」

 

「裏切ったって……」

 

「何だ?聞いてないのかい?僕とハリーは未来で一緒に暮らしていた仲間なんだ。そして僕らはプレジデント・クライにスカウトされた」

 

ハリーがあの社長にスカウトされていたっていうと……まさかクライアス社の社員って言うことだよな。とはいえ関係ないな。

俺はレガオンと桐一文字を構えた瞬間、白髪の少年の前にリアンが現れた。

 

「ふふ、お守り役としては黙ってみてるだけのつもりだったけど、貴方がいるって言うなら、相手してあげる」

 

「リアン!?お前も来ていたのか!」

 

「ビシン、邪魔者は私が相手するから、プリキュアたちを処分しなさい」

 

「そうだね。わかったよ。だけど手を出すのは僕じゃない。ハリー、未来ではその首輪してなかったね」

 

ビシンがハリーのつけていた首輪を引き剥がした瞬間、ハリーからトゲパワワが溢れ出し、巨大な怪物に変わるのであった。

 



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第68話 ハリーの真実と突然の再会

ハリーが巨大な怪物に姿を変えた。ハリーがクライアス社の元社員だったのは驚きだったけど、その姿も十分驚きだな。

 

「ハリーに何をしたの?」

 

「元の姿に戻しただけさ。クライアス社はすごいんだぁ。一回手術を受けただけで食べ物も寝る場所もすごい力も全部くれたんだ」

 

「すごい力って、改造されたんですか?」

 

「そうだよ」

 

はなたちはプリキュアに変身し、ハリーを止めようとする。俺たちも参加するべきだけど……リアンが邪魔をしている。

 

「悪いけど、あんたらの相手は私だよ。皇具!機戎銃神レグルト!!」

 

巨大な銃を右腕に装着し、森のなかに入っていく。タツミは慌てて追いかけようとするが兄貴がそれを止めた。

 

「待て、うかつに飛び込むな。奴のフィールドで戦うことになるぞ」

 

「だけど……」

 

「今の奴……銃を装備してたわね。それだったら……」

 

マインはパンプキンを取り出し、構えた。そっか奴が狙撃をしてくるならこっちも狙撃で対抗するっていうことだな

 

「護衛は任せろ!マイン!お前には傷一つつけさせない!」

 

「タツミ……任せて」

 

マインが集中する中、狙撃音が鳴り響き、タツミが銃弾を防いだ。

 

「そこ!」

 

マインが発射してきた位置へと狙撃をする。当たったかと思ったが……さっきとは別の方向から撃ってきた

 

「移動しながら撃ってるのか?」

 

「……違うわ。あの森の中を自由に移動して狙撃するなんて難しいわ。考えられる手としては……」

 

マインがリアンの攻撃手段を考え始めるが、その間にキュアエール達がハリーを攻撃できずに吹き飛ばされていった。

 

「その調子だよ。ハリー、そんな奴ら倒してしまえ。僕と一緒にいたほうがいいに決まってるもの」

 

ビシンも攻撃できずにただ受けるしかないみんなに対してそんな事を言っている。どうしたものか……

 

「仕方ない!!俺が囮になる!!」

 

「ミナト!?何を……」

 

俺は思いっきり跳び上がり、森の中を見つめた。すると森の中に無数に光りだしているものを見つけた。

 

「あれは……ぐあっ!?」

 

跳び上がれば攻撃されるのは当たり前だけど、リアンの攻撃の手段がわかった。

 

「マイン!!奴は鏡みたいなものを無数に展開させてる!多分だけどそれを利用して、狙撃位置を掴まれないようにしている!!」

 

「なるほどね。だったら最大火力で周りを破壊して……」

 

いや、マイン、それはやめておけ。下手すれば祭りを楽しんでる人たちに迷惑がかかる

 

「それだったら俺の出番だ!!奥の手発動」

 

タツミが叫んだ瞬間、みるみるうちに龍の姿に変え、大きさも今のハリーと同じくらいのものになった。

 

『この世界に来て、俺のインクルシオの奥の手は竜化に変わった!!木に囲まれて見渡せないなら……葉っぱを全部吹き飛ばす!!』

 

タツミは空気の塊を吐き出した瞬間、森の木々から全ての葉っぱが吹き飛ばされた。

 

「なっ!?」

 

タツミのおかげでリアンの姿を確認できた。リアンはすぐさま逃げ出そうとするが、その前に兄貴が立っていた。

 

「逃がすかよ!!」

 

兄貴の一撃を喰らい、リアンは吹き飛ばされていった。

 

『よし!』

 

「いや、タツミ、まだだ」

 

喜ぶタツミだが、兄貴はまだ警戒していた。するとリアンは笑みを浮かべながら立ち上がった。

 

「今のは殺す気で殴ったつもりだったが……」

 

「悪いけど、あんたらと違って、丈夫に出来てるのよ。それにしてもまさか銃神が破られるなんてね……でも残念。レグルトの武器を一つ攻略しただけよ」

 

兄貴はもう一撃喰らわせようとするが、リアンは寸前のところで姿を消すのであった。

 

「逃げられたか」

 

「今は追うべきじゃないな。今はみんなの所に……」

 

みんなの援護に向かおうとすると、キュアエトワールがハリーの攻撃を受け止めていた。

 

「これが あんたの隠していた事なの!! クライアス社だから?改造されてたから?その程度で私達が離れると思ったの?そんなわけ無いでしょ!!」

 

ハリーの爪を弾くキュアエトワール。ビシンはその言葉を聞いて、怒りだした。

 

「黙れよ!お前!」

 

ビシンが放ったエネルギー弾をキュアエトワールはまばゆい光で弾いた。

 

「何が俺の問題よ。私達の問題でしょ!約束したじゃん。一緒にやっていこうって……」

 

キュアエトワールがハリーにそっと触れた瞬間、ハリーからトゲパワワとアスパワワがぶつかり合い、動きを止めていた。

 

「今だ!三人共!!」

 

「任せて、エールタクト!」

 

「アンジュハープ!」

 

「エトワールフルート!」

 

「「「心のトゲトゲ飛んでいけ〜!プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

トリニティコンサートを放ち、ハリーの中のトゲパワワを浄化し、ハリーは元の姿に戻るのであった。

 

「ハリーから離れろよ!!」

 

ビシンが攻撃を仕掛けていくが、俺は咄嗟に狂龍騎を発動させ、防いだ。

 

「ぎゃあぎゃあ騒がしい獣だな。これ以上、オレの仲間を傷つけるなら、殺すぞ」

 

「ミナト……ビシン、わいはプリキュアと一緒に戦うって決めたんや。クライアス社には戻らへん」

 

「ハリー、僕は諦めないよ」

 

ビシンはそう言い残して、姿を消すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリーは今までのことを話そうとするが、はなたちは無理に話さなくていいと言うのであった。

 

「だって、ハリーはもう私達の仲間だから……」

 

「はな……ミナト、ええのか?」

 

「言ったろ。お前はもう俺達の仲間だ。いちいち責めるつもりはない」

 

「……ミナト、ありがとうな」

 

ハリーがお礼を言うと、花火が上がった。そういえばそろそろそんな時間だったな。

みんなで花火を見ていると、そっとえみるが俺の手を握ってきた。えみるは恥ずかしそうにするけど、俺は気にせず握り返したのだった。

 

「キレイだな……」

 

そうつぶやく中、花火に何かの影が浮かんでいた。何だと思い、目を凝らすとこっちに向かって落ちてくるのであった。

 

「いたた、花火が上がるなんて」

 

「もうビックリだよね」

 

「というか祭りがあるならあるって言ってほしかったけど……」

 

「はー、驚いた~陽斗、大丈夫?」

 

「何とか……何かがクッションになってくれたから良かったけど……」

 

聞き覚えのある声だけど、とりあえずお前ら、どいてくれないか?

 

「みらいちゃん!リコちゃん!ことはちゃん!ポニィさん!それと……誰?」

 

突然現れた魔法使い組。それに見知らぬ男……誰だ?こいつ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はちょっとした外伝の話に触れますが、ネタバレ的なことはありません。


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第69話 宝石と腕輪の少年

みんなで花火を見ている中、突然空から落ちてきたみらい、リコ、ことは、ポニィ、そして見知らぬ少年。俺は何故かその下敷きにされてしまい………

 

今はハリーハウスに戻り、何で来たのか話を聞くことになったのだが……

 

「えっと要するに空から花火を見ようとしたしたけど、リコちゃんが音に驚いて箒の操作に失敗して……」

 

「べ、別に落ちてないし」

 

いや明らかに落ちていたからな。リコ。

 

「ところで気になってることがあるんだけどさ。そっちの奴は誰?」

 

ほまれがみらい達と一緒にいる少年を見て、そんな事を言っていた。そういえば前に再会した時とか、闇の鬼火との戦いの時いなかったな……

 

「僕は浅賀陽斗。みらい達の友達だよ。みらいから話は聞いてるよ。僕もあの時一緒に戦いたかったけど、色々とあってな」

 

色々とあって一緒に戦えなかったか……さっきから気になっていたけど、やっぱりその腕輪は……

 

「陽斗さんのつけている腕輪は帝具なんですか?」

 

さあやが陽斗の腕輪を見て、やっぱり帝具なのか思ったみたいだ。だけど……

 

「あ、あぁ、そうだよ。ところでミナトって奴は……」

 

「俺だよ」

 

陽斗は俺を見て、椅子から立ち上がった。

 

「ミナト……悪いんだけどちょっと付き合ってもらっていいか?」

 

「……あぁ」

 

「ミナトさん……」

 

「えみる、大丈夫だから心配するな」

 

えみるの心配もよく分かる。何せ陽斗が俺の事を見た瞬間感じた殺気。ただ者じゃないってことだよな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出て、人気のない場所まで来た俺たち。俺はレガオンを、陽斗は腕輪を見せた。

 

「こうしてあんたと会うのは初めてだけど、ある人から話は聞いてる」

 

「ある人?誰だよ」

 

「それはまぁいつか会えるかもしれないな。それでみらい達からあんたの話を聞いて、聞きたいことがあったけど、その前にまずは一度手合わせしたいけどいいか?」

 

「あぁ、いいぜ。俺もお前の持っているその腕輪のことが気になってるからな」

 

俺は両腕にレガオンを装着させ、陽斗は腕輪に白い石をはめ込み、真っ白な騎士の姿に変わった。

 

「姿をより戦いやすい姿に変えたのか。面白い力だな」

 

「見た目だけで判断するんじゃねぇ!!」

 

陽斗は鋭い蹴りを放ってきた。俺は咄嗟に防ぐがこいつの蹴り、ポニィと同じくらいか?

 

「蹴り技はポニィから教えてもらってるから割と自信があったんだけど……」

 

「中々のものだよ。だけど!!」

 

俺は拳の連打を放ち、陽斗は白い剣で防いでいく。そして連打を繰り出していく中の一瞬を狙い、もう一撃蹴りを放ってきた。俺は咄嗟に後ろに下がった。

 

「お前、一応聞くけど俺たちがいた世界の住人じゃないよな?」

 

「違う。僕はこの世界の住人だよ。ただ大切な人を守るために強くなってきただけだ」

 

「大切な人か……」

 

そのために強くなるっていうのも悪いことじゃないよな。今なら俺も分かる

 

「やっぱりあんたの強さは聞いていたとおりだよ」

 

「誰に聞いたか知らないけど、一応手加減してるんだぞ。そこら辺分かってるのか?」

 

「分かってるよ。だからこそ経験の差を感じた。それに………覚悟が違う気がする」

 

「覚悟?」

 

「ミナト、お前は人を殺したことがあるか?」

 

「………そういうお前は?」

 

「無いよ。殺したいくらい憎いやつがいたけど……」

 

それが普通だよな。陽斗は一体どんな戦いをしてきたのかわからないけど、この世界の住人が人を殺すっていうのはかなりの覚悟がいるからな

 

「俺ははなたちが敵であるやつを殺したりせず、救っていこうという気持ちはあいつらなりの覚悟みたいなものだと思ってるし、これからも誰かの命を奪ってまで世界を平和にしてほしいって思ってない。ただそういうのは俺達の役目だからな」

 

「……ミナト……」

 

「お前はそこらへん悩んだりしてたんだろ。悩みに悩んで……」

 

「あぁ、ボコボコにするくらいにとどめておいた」

 

「…………」

 

うん、いい話にまとめようと思ってたけど、陽斗、それもどうかと思うぞ。いや、命を奪わないからってボコボコにって……

 

「陽斗くん、大丈夫?」

 

するとみらい、リコ、ことは、はなの四人が俺達のことを心配してきたのか、こっちにやってきた。

 

「何だかボロボロだけど、何してたの?」

 

「ちょっとな」

 

「もう怪我とかしないでね」

 

みらい、リコが陽斗を心配する中、ことはは笑顔で三人を見ていた。

 

「どうしたんだ?ことは」

 

「はー、仲が良いなって思ってね」

 

「うん、みらいちゃんたち仲いいよね」

 

「三人……ううん、あの二人はちょっとしたことがあって離れ離れになって、何年も会えなかったことがあったから……」

 

「そうなんだ………」

 

「「んん?」」

 

何だかことはが気になることを言ってたのは気のせいか?

 

「ねぇ、ことはちゃん。みらいちゃんたちっていくつなの?」

 

「はー、えっと19歳くらいな?」

 

「いや、明らかにそうは……」

 

「私の魔法で三人共、あの頃に戻してるの」

 

何だかものすごい話を聞いてしまったよ。つまりみらいたちははなたちより年上だったのか……

いやいやもう気にしたら負けだな。

 

「そうだ。ミナト、陽斗の師匠さんが会いたがってたよ」

 

「陽斗の師匠?誰だよ?」

 

「はー、それはお楽しみかな」

 

陽斗の師匠が何で俺のことを知ってるんだ?なんだかんだ気になることが増えたまま、みらいたちは家へと帰っていくのであった。

 

 

 

 

 

 




次回はプリキュア本編に戻ります。

陽斗の不殺についてや腕輪のこと、そして師匠のことは外伝の方で明かしていきます


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第70話 さあやのお母さん

ある日のこと、みんなでHAGMANに来ていたのだが何故かみんなでアイスを食べていた。

 

「何でこの世界の夏ってこんなに暑いんだよ~」

 

「ミナトさん、しっかり水分を取らないと倒れてしまいます」

 

俺はえみるから天使のシュワシュワウォーターを受け取った。

 

「それにしてもさあやは人気だな」

 

「そうだね~」

 

はなたちがアイスを食べながら、色んな人達に囲まれているさあやの方を見るのであった。

 

 

 

 

 

 

ハリーハウスに戻るとはなは何故か難しい顔をしていた。

 

「すでに女優として大きな一歩を踏み出したさあや。ほまれはスケート、えみるはギター、ルールーはアンドロイド、ミナトくんたちは警備員だったり暗殺者だったり……私だけ何にも決まってない」

 

「いや、俺達のはあんまり参考にならないぞ」

 

「いろいろとやりたいことがあるけど、私まだまだただの野乃はな」

 

「早口言葉か!」

 

「めちょっく!」

 

「というか俺達は別に将来の夢だからって暗殺者になったって言うわけじゃないぞ……」

 

「そういえばミナトくんはそうだったね。なりたかったのは正義のヒーローだったっけ?」

 

はながそう言うとえみるがキラキラした目でこっちを見ていた。

 

「やはりミナトさんはヒーローに憧れていたんですね」

 

「まぁ今はヒーローって言うわけじゃないけどな」

 

前にえみるが言っていたダークヒーローらしいからな。ってよくよく思ったらこの世界にいる人間で将来の夢がどうとか考えたことある奴いないよな。

タツミとサヨは村を救うためだったりとか、目的はあったけど別に将来の夢ってわけじゃないしな……

 

「あのね。みんな、私まだ女優になるって決めたわけじゃないの」

 

「えぇ!?なんで!?」

 

「なにか悩む理由とかあるの?」

 

「うん、お母さん、どう思うかなって……子供が自分と同じ道を進むのってどうなんだろう?でももし……困らせてたら……嫌だなって……」

 

「お母さんと話したりしてないの?」

 

「お母さん、いつもいないからそんな話したことなかったから……」

 

何というかさあやも色々と大変なんだな。でも一回もそういう話をしたことがないか……

 

「では直接聞きに行きましょう」

 

ルールーはそんなことを提案してきた。まさかと思うけど、会いに行くっていうのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけではな、さあや、ほまれ、えみる、ルールー、ハリー、はぐたん、俺、そしてたまたま遊びに来たラバを連れてドラマの撮影所に来ていた俺達。

 

「あの、何でドラマの撮影所なんですか?」

 

「あぁ知らなかったっけ?あの人がさあやのお母さんだよ」

 

「えぇ!?あの人って!?」

 

えみるが撮影所のポスターに写っている女性を見て驚いていた。するとルールーは

 

「連続ドラマ『女王のキッチン』の主人公、大鍋料子を演じている方ですね。料理のドラマということで見始めたのですが、物語や人物の描写も非常に興味深く毎週書かさず見ています。」

 

ルールーの口元からよだれが垂れていた。確かにルールーはいつも食い入るように見てたな……

 

「にしても直接話を聞きに行くって、行動力ありすぎだろ。最近の子は……」

 

「まぁ若いからっていうのもあるからな」

 

「あんたら、まだ若いほうだよね」

 

「「色々とありすぎて精神的に年老いてるんだよ」」

 

ラバと二人でそう言うとほまれは呆れた顔をしていた。

 

「やぁお待たせ。さあやの父です」

 

するとさあやの父親がやってきた。どうにもさあやのお母さんにお弁当を渡すためとあと何かしら手伝うことがあると良い、今回さあやのお母さんに会うために協力してくれるらしい。

俺達は案内され、撮影現場にたどり着いた。

 

「おぉ~本物だぁ~」

 

「はな先輩、落ち着いてください」

 

えみるに注意されるはな。するとはなはどこから取り出したのか色紙を手にしていた。

 

「撮影所ならたくさん有名人がいるよね。サイン、サインと……」

 

何だかはな、目的が変わってないか?すると見覚えのある少女がこっちにやってきた。

 

「えっと……誰だっけ?」

 

「一条蘭世でございます!」

 

「ミナトさん、この人は?」

 

「えっとさあやの自称ライバルだっけ?」

 

「自称じゃないです!!薬師寺さあや!CMが評判のようですわね」

 

「蘭世ちゃんこそこのドラマに出るんでしょ」

 

「ゲストだけど存在感がある役ですわ。主役より目立ってみせます」

 

蘭世が高笑いをするとはぐたんはびっくりして泣き出した。はなやハリーたちがあやしても泣き止まず困り果てていると、そこに料理人の衣装を着た女性がこっちにやってきて、はぐたんを泣きやました。この人がさあやのお母さんか……

 

「完全に見惚れています」

 

「泣く子も黙る女王のオーラなのです」

 

「「ご、ごめんなさい」」

 

さあやと蘭世が謝るとさあやのお母さんは笑顔でこう答えた。

 

「子供が泣くのが当たり前よ」

 

うん、あんまりテレビとか興味がない俺ですら、貫禄があるって思える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撮影所の外にはジェロスと部下二人がいた。

 

「ふ~ん、ドラマの撮影ね……アスパワワがいっぱいありそう」

 

「久しぶりにたくさん遊べそうだよ~」

 

そしてジェロスの後ろにコスミナが楽しみにしていた。

 

「お嬢ちゃん、実験の続きで強化されたんでしょ。気分はどうなの?」

 

「もう最高に気分がいいよ~メラルドとドロテアにおかげでこれまで以上に強くなったんだよ~」

 

「ふふ、それは楽しみね」

 

 

 

 

 

 

 



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第71話 さあやの選ぶ道

ドラマの休憩中、さあやは母親であるれいらに声をかけた。

 

「あのお母さん」

 

「何?」

 

「私、まだ女優になりたいか迷ってるの。それに迷惑かかってない?」

 

「迷惑って?」

 

「その……お母さんの仕事の邪魔になってたりしてないかなって」

 

そう問うさあや。するとれいらはため息をつき、さあやにこう答えた。

 

「あなたはどうなの?」

 

「えっ?」

 

「例え実力でつかんだ仕事でも『薬師寺れいらの娘だから』『親の七光りだから』、そう言う人は必ずいるわ。その覚悟はあるの?」

 

「………わからない」

 

「決して女優だけがあなたの道じゃないわ」

 

れいらはそういって立ち去っていくのであった。さあやは一人悩んでいた。こういうときはやっぱり声をかけるべきだろうか……

 

そんな事を悩んでいるとドラマの監督がさあやに抱きついていた。さあやは悲鳴をあげるとスタッフの女性に叩かれるのであった。

 

「大丈夫か?さあや」

 

「ミナトさん……」

 

「あら?さあやちゃんの彼氏?」

 

「ち、違います。彼はその……」

 

「友達ですよ。それにしてもここにいるスタッフさんはさあやの事を知ってるんですか?」

 

「えぇ、知ってるわよ」

 

「もしかしてオレのこと覚えてない?」

 

叩かれた監督が起き上がるとある話を語りだした。

 

れいらは赤ん坊のさあやの面倒を見ながらドラマの撮影にのぞんでいたらしい。最初は監督に反対されていたけど、れいらは『育児も撮影も手を抜きたくない』と言うのであった。監督もそれを聞いて、力を合わせたいと気持ちになった。

 

「それからあいつはすごく頑張ったよ。女優の仕事もお母さんも……もちろん修司も、そして俺達も……だからあいつは最大限輝けたし、君もこんなに大きくなった」

 

「子供はそうやって大きくなっていく」

 

「俺達は君たち親子を応援したいだけ……」

 

「そっか……」

 

それかられいらが一人で包丁でネギを切っている姿を外から覗いていた。

 

「役作りのために休憩中はいつもああやって練習しているんだ」

 

「キッチンの女王が……」

 

「意外です。そんな一面があったなんて……」

 

「そうだった……お母さんは昔からちょっと不器用で、でもすっごく頑張り屋で、一緒にいられる時間は少なかったかもしれないけど……その分いっぱい遊んで、わらって、抱きしめてくれた。だからわたし……いつもテレビに出ているお母さんを見ながら、応援してたんだ。すごい!頑張れって、お母さんがすごく素敵だったから……」

 

さあやは自分の原点を思い出した。自分が向かうべき道に迷ったら原点に戻るのが一番いいみたいだな

 

「そっか、私、お母さんのいる向こう側に行ってみたくて……それで……」

 

さあやも答えを出たみたいだな。そう思った瞬間、突然桐一文字が反応した。

 

「それが前に言ってたトゲパワワを感知する桐一文字か……」

 

ラバが興味深そうに見ていた。

 

「クローバーの力があってこそだけどな」

 

俺達は反応が強いところへと行くとそこにはカメラ型猛オシマイダーが暴れていた。はなたちはプリキュアに変身し、俺とラバも一緒に戦おうとした瞬間、俺達の前にコスミナが現れた。

 

「久しぶりだね~ナイトイェーガーズ!!」

 

「ずいぶんと久しぶりじゃないか。修理に時間がかかったのか?」

 

「修理と改修かな?早速見せてあげるよ!私の新しい力を!!」

 

コスミナが一瞬で巨大なカマキリみたいな姿に変わった。この姿は……

 

「何だか前にタツミに聞いた姿と同じだな」

 

「新しい力っていうよりかは……いや、ほら、案外あの姿のときの記憶がないからじゃないのか?だから……」

 

「あぁそうか……」

 

『君たち、失礼だね。この姿が新しい力だとは言ってないよ!!』

 

コスミナが口から液体を吐き出し、俺とラバは避けると地面が溶けていた。そういえばかなり隠し武器とか持ってるんだっけか?

 

「ラバ!!」

 

「分かってる!!千変万化クローステール!!」

 

ラバがコスミナの体を糸で縛り上げ、動きを止めた。動きを止めればどんなに隠し武器を持っていようとも関係ない

 

「奥の手!第一段階!龍騎!」

 

真っ赤な鎧を身にまとい、縛り上げられたコスミナを思いっきりぶん殴ったが、何故か手応えを感じられなかった。

 

「これは……」

 

「ミナト!?上だ!」

 

ラバの声を聞き、上を見上げるとそこにはさっきまでのカマキリみたいな姿ではなく、鉢のような姿に変わったコスミナがいた。

 

『脱皮したんだよ。喰らえ!!』

 

コスミナは口から無数の針を飛ばしてきた。蜂の姿をしている以上、猛毒が塗られているに違いない。

俺達は避け続けた。

 

「どうする?ミナト!」

 

「糸で全部受け止められるか?」

 

「多すぎてきついな………」

 

「そっか。なら何重にも束ねたら?」

 

「奴の針がどこまで貫くかわからないけど、やって見る価値はあるな」

 

ラバは糸を何十にも束ねて、防護壁を作り出した。コスミナは防護壁に向かって針を打ち続ける。

 

『あはははは、そんなもの貫いちゃうよ!!』

 

「やれるものならやってみろ!その前に!」

 

コスミナの腹部に突然槍が突き刺さった。それはラバが糸を重ね合わせた槍だった。ラバは針で空けられた穴から槍を放っていた。

 

「今だ!!」

 

「あぁ、任せろ!」

 

俺は防護壁から抜け出し、狂龍騎に姿を変え、コスミナに一撃を食らわした。

 

『ぎゃああ!?』

 

「まだ倒れないか……だったら」

 

俺は拳を構え、とどめを刺そうとするがコスミナの前にドロテアが現れた。

 

「悪いが、まだコスミナを死なせる訳にはいかないな」

 

ドロテアは黒い穴を出現させ、コスミナと共に撤退するのであった。俺達はキュアエールたちの方を見るとすでに戦いが終わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからドラマも無事に終わり、作られたネギ料理をみんなで食べていた。そんな中、さあやはれいらにある事を告げるのであった。

 

「いつかお母さんと共演したい。それが今の私の夢。どうかな?」

 

「私のいるこの高みまで登ってこられるかしら?」

 

「登って見せるよ!絶対に」

 

 

 

 

 

 

 




次回はオリストになります


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第72話 もう一歩先へ

えみるSIDE

 

「はぁ~」

 

ハリーハウスにて私はため息を付いていた。するとはな先輩たちが心配そうにしていた。

 

「どうしたの?えみる。ため息なんてついて……」

 

「珍しいじゃん。何か悩みごと?」

 

「いえ、ただ……その……」

 

「えみるちゃん。悩みがあるなら相談して」

 

「そうですよ。えみる。一人で悩んでいたらいつまでも解決しません」

 

「みなさん……あの実は……ミナトさんとのことなのですが……」

 

「なんや?あいつ浮気でもしたのか?あいたっ!?」

 

ハリーがほまれさんに叩かれた。

 

「あんた、ちょっとは気を使うってことを考えないの?」

 

「叩くこと無いやら!?」

 

「それでミナトさんがどうかしたの?」

 

「実は……キス以上のことをしてくれなくって……」

 

私がそう言った瞬間、何故かはな先輩たちが凍りついた。

 

「えっと……キス以上って……」

 

「何というか……そういうことだよね」

 

「えみるちゃん………」

 

「最近のことは考えることが大人やな」

 

「えみる。キス以上というのは?」

 

「恋人同士になったらその……自分で調べてみてください」

 

ルールーになんて説明をすれば良いのかわからない。というよりどうしてそういう知識がないのでしょうか?

 

「もしかしてミナトさんからしたら魅力がないのでしょうか?」

 

「そ、そんな事無いって、それだったら好きになったりしないよ」

 

「そ、そうだよ」

 

「そ、それにミナトって奥手そうだから……」

 

「まぁミナトも年頃だからな……えみるみたいな子には欲情しないんじゃないのか?」

 

「「「ハリー!!!」」」

 

やっぱり魅力がないのでしょうか?マシェリになれば今よりお姉さんになりますけど……

 

「検索完了しました。えみる、それでしたら調べてみれば良いのでは?」

 

「調べるですか?」

 

「ミナトの好みを知るのです。手始めに……」

 

ルールーは仕事中のタツミさんとマインさんに近寄り、

 

「ミナトが好きそうなものを教えてください」

 

「「はい?」」

 

何というか直球的すぎるのです

 

はな先輩たちが説明をし終えると……

 

「何というかその年でそういう事を考えるのは……」

 

「まぁこっちの人間は覚えるのが早いのよ。というかあっちでもそういった性癖な奴がいたでしょ」

 

「そりゃそうだけど……それにしてもあいつのそういったもんか……」

 

「たまにそういった本をラバから借りてたりしてるけど……というか本人に直接聞いてみたら?」

 

「そ、それは……何というか恥ずかしいのです」

 

(そういう事を俺達に聞くことの方が恥ずかしくないのか?)

 

「それではラバックに聞きに行きましょう。彼なら好みがわかるはずです」

 

私はルールーに引きずられながら本屋へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ?あいつの好きなエロ本?」

 

本屋に着き、ルールーが店主であるラバックさんにそんな事を聞いていた。

 

「はい、ミナトの好んで読んでいるものです」

 

「そうは言ってもな……あいつ、読み物がその日によって違ってな……」

 

「あ、あのルールー、もうやめましょう。きっと魅力がない私のせいです。これから先ミナトさんを魅了できるような大人になれば……」

 

「駄目です。今逃げたら駄目です。えみる」

 

「ルールー………」

 

ルールーは優しいのです。こんなことに付き合ってもらって……それも一生懸命に……

 

「たくっ、あいつは………そうだな。参考になるかわからないけど、最近があいつが読んだものは……」

 

ラバックさんが見せてくれたものを見て、私は顔を真赤になった。

 

「こ、これは……」

 

「なるほど……えみる、早速試してみましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

何故か気がつくとベッドに横になっていた。いや、少し違和感を感じた。何で腕を縛られてるんだ?

 

「ミナトさん………」

 

眼の前には顔を真赤にさせながら、俺に乗っかかるえみる。これ、どういう状況だ?

それに俺に何があった?仕事が終わって、ハリーハウスに入った瞬間、何か痺れる感覚があって………

 

「ルールーの仕業か?」

 

「ミナトさん…………」

 

えみるが俺にキスをしてきた。引き剥がすこともできずにいる俺。何があったっていうんだ?

 

「ミナトさんは……襲うよりも襲われる方が好きですよね……だからその……」

 

…………最近読んだエロ本だよな。これ……

 

「あの……えみる……」

 

えみるが服を脱ごうとしてきた。俺は必死にやめさせようとするが腕が縛られて無理そうだった。

 

えみるは脱ごうとしているけど、中々できずにいた。ましてや泣き出してしまった。

 

「こ、こんな事無理です……」

 

「えみる……無理するなよ」

 

「ミナトさんが悪いんです。ミナトさんがキス以上のことをしてくれないのが……」

 

「えみる……」

 

「私、魅力ないですか?」

 

涙を流しながらそう聞いてきた。全く……そんなことを悩んでいたのか……

 

「えみる、お前は魅力的だよ。というかそういった行為をするためにお前と付き合ってるんじゃないからな」

 

「ミナトさん……」

 

「キス以上のことをしないのは……ちゃんとお互いに責任取れるようになれるまで……というよりクライアス社を倒して、世界が平和になるまではそれ以上のことをしたくないだけだ」

 

「……ミナト……さん」

 

「とりあえず外してもらっていいか?」

 

えみるに縄を外してもらい、そっと抱き寄せた。

 

「悪かったな。不安にさせて……」

 

「いいえ、私が悪いんです。勝手に焦って……しまい……」

 

「ゆっくりでいいからな。お前が俺を幸せにしてくれるのは……」

 

「はい」

 

えみるは笑顔で返事をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何というかミナトくんらしいね」

 

「そうだね」

 

「まぁちゃんと大事にしてるってことだよね」

 

「えみるも悩みが解決してよかったです」

 

「いや、よくねぇよ。お前ら……」

 

部屋の外に出て、のぞき見ていたはなたち。興味があるのは仕方ないとはいえ……

 

「ルールー、お前か?気絶させたのは?」

 

「はい、そうです」

 

「あのな……」

 

「ミナトが悪いんですよ。えみるを不安にさせて……」

 

ルールーは真剣な表情でそう告げるのであった。不安にさせるのが悪いか……

 

「とりあえずこういう事は実行に移さないで、ちゃんと話合いたい。えみるもわかったか?」

 

「は、はい」

 

 

 




うん、書いて後悔はないです。



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第73話 パパ修行?

ある日のこと、はな、ルール―と一緒にHAG-MANに行くとはなのお父さんとあれは……

 

「あれ?先生」

 

「こんにちわ」

 

「こんな所で奇遇ですね」

 

「野乃さん……それに警備員の……」

 

「ミナトです」

 

「いつも娘がお世話になっております」

 

「いえ、こちらこそ」

 

軽い挨拶を交わすとはなのお父さんは内富士先生が何を買いに来たのか聞くとどうやら紙おむつを買いに来たみたいだけど、躓いて肥料袋をあやしたり、赤ん坊の泣き声に反応したり何だか様子がおかしかった。

 

俺達は話を聞くと今度生まれてくる赤ちゃんに対して、自分は良い父親になれるかどうか悩んでいたみたいだった。

 

「妻はしっかりと母親になる心構えが感じられるんです。しかし私は……父親として何をしたらいいのか……どうしたらあなたのような父親になれるのでしょうか?」

 

「いえ、別に……」

 

「立派に野乃さんの父親をされてるんじゃないですか!」

 

「いや~てれますな~」

 

「はなを立派と言ってるわけではないです」

 

「めちょっく」

 

「立派な父親ね……」

 

そんなふうに悩むものなのか……

 

「父親になる覚悟を教えてください。修行させてください!なんでもしますから」

 

「わかりました。明日開店前にここに来てください。ミナトくん、きみの友だちも確か同じように父親になる子がいるんだよね」

 

「あぁ、タツミのことか?」

 

「彼も誘ってもらっていいかな?」

 

「わかった」

 

こうして内富士先生と本人が知らない間にタツミもパパ修行が始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、ハリーハウスで昨日のことを話していた。

 

「というかタツミも急な話でびっくりしたでしょうね」

 

「まぁいい機会なんじゃないのか?」

 

マインが呆れながらそう言うけど、そういえばこいつ、普通に戦ってるけどお腹の中の赤ん坊に影響ないのか?

 

「マイン、大丈夫なのか?無理に戦うことは……」

 

「そこは安心しなさい。スタイリッシュに見てもらったら、転移の影響でどうにも体に大きな負担がかからないようになってるみたいなの。まぁ私が死なない限りこの子も死ぬことはないわね」

 

マインはお腹をさすりながらそういうのであった。何というか色々と影響を与えてるな……

 

はなたちは先生がいない間、奥さんが大変だということで、手伝いに行くことになった。俺、えみる、ルール―、マイン、ハリーでビューティーハリーを手伝うことになった。

 

「タツミのやつ大丈夫かな?」

 

「まぁ様子は見に行かせたから大丈夫よ」

 

見に行かせたって誰にだよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タツミSIDE

 

ミナトに言われるままにHAG-MANにてパパ修行をすることになったのだけど、何で荷物運びなんだよ

 

「では、荷物運びからいきましょうか!」

 

「えっ!?」

 

「いや、荷物運びって……」

 

「生まれてくる赤ちゃんのために、ね!」

 

これがどうつながっていくんだ?でもこう言う荷物運びだったら、良い修行になるな。

 

「内富士先生、頑張りましょう」

 

「は、はい」

 

「ちっ~す」

 

早速荷物運びを始めようとすると以前クライアス社の社員だった男がやってきた。

 

「今日入荷のチャラリンクスのキャップがほしんだけDO」

 

「申し訳ありません、開店前なのでまだ……」

 

「え~?困るYO!急ぐYO!午前中にチャラリンクス被って準備OK!」

 

何だかラップを始めるけど、何というか陽気なやつだな……

 

「ではその商品、これから運びますのでご一緒に」

 

「えっ?トゥギャザー?」

 

何故かチャラリートまで手伝うことになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人で荷物運びを始める中、いちいち余計な動きをしてるけど、サボったりしていないチャラリートがある意味すごいな……

 

「タツミ、修行の方はどうだ?」

 

「頑張ってる?」

 

するとウェイブとクロメの二人が声をかけてきた。何で二人がここにいるんだ?

 

「お前の嫁さんに様子を見に行ってこいって言われてな」

 

「荷物運びがパパ修行?」

 

「これがどうつながっていくかわからないけど……」

 

内富士先生は接客をしたり、赤ん坊の泣き声に苦戦をしたりしていた。

 

「………うるせえなあ。これだから赤ん坊ってキライだ」

 

チャラリートがそうこぼす。

 

「まぁ文句言っても仕方ないだろ」

 

「へいへい」

 

「大変そうだな……俺も手伝うぞ。クロメ、お前は……」

 

「私も手伝うよ。ウェイブが頑張ってるのに私だけのんびりできないから」

 

「クロメ……」

 

「ウェイブ」

 

何だか二人だけの空間ができているんだけど……

 

「ちょっち空気読んでほしいよな~」

 

「まぁな……」

 

チャラリートと二人で溜息をつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

ハリーと一緒にHAG-MANにお弁当を買いに行くと何でウェイブ、クロメ、チャラリートまで仕事してるんだよ。

 

「もうかりまっか~」

 

「まっか~」

 

「何だか修行している人増えてないか?」

 

「はははは、何だか流れでね」

 

「パパさん、今日のおすすめ弁当何でっか?」

 

ハリーがはなのお父さんと話していると近くにいた女性客がハリーのことをイケメンとかどうとか言っていた。するとチャラリートがハリーをジロジロ見て……

 

「プッ、お前より俺のほうがモテるんだからな」

 

「なっ!フッ、あらへん、あらへん、俺の圧勝や」

 

二人が火花を散らす中、俺ははぐたんを抱きかかえ、

 

「はぐたん、こういうのが不毛な争いっていうんだぞ。覚えておけ」

 

「ふもう、ふもう」

 

そして何故かハリーまでHAG-MANで働くことになるのであった。早くえみる達にお弁当を届けたいのだけど、遅れるって連絡は………無理だな。携帯持ってないし……

 



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第74話 命の重さ

とりあえずえみる達にお弁当だけ買っておこうと思い、俺は先生にはぐたんを預けて買いに行くと、ボルスさんと行きあった。

 

「ボルスさん、買い物ですか?」

 

「あぁ、ミナトくん、君も買い物に?」

 

「はい、それとちょっと知り合いの様子を見に来て……」

 

「様子?」

 

俺は事の経緯をボルスさんに話した。ボルスさんは話を聞き終えると何かを思い出していた。

 

「懐かしいな~僕にもそういった時期があったよ」

 

「そうなんですか?」

 

「うん、父親として何が出来るのか……それに僕がやってきたことを子供に話せるか………とかね」

 

「ボルスさん……」

 

「でもそう悩んだことが力になってくることがあるんだよね」

 

ボルスさんもまたいろいろと悩んでいたんだな。それにしても子供か……

 

 

 

 

 

 

 

 

ボルスさんと一緒に戻ってくると何故か商品棚からいくつもの品物が落ちていて、先生は尻餅をついていた。だけどはぐたんだけは嬉しそうにしていた。

 

「笑った…笑ってくれた……」

 

「抱きしめてまっすぐ向き合ってあげる。何をすればいいのか全部赤ちゃんが教えてくれます。先生、今日は何でもやったでしょ。力仕事も、掃除も、接客も、生まれてくる赤ちゃんのためにと」

 

「それを教えるために私にいろいろな仕事を……」

 

「不安があっても良い。それは赤ちゃんもお母さんも一緒です。みんなで始めていくんです」

 

「はい……」

 

二人の話を聞いているとボルスさんは笑顔だった。

 

「みんなで一緒に……子育てっていうのは本当にその通りなんだよ。だからウェイブくん、クロメちゃん、それにタツミくん、頑張ってね」

 

「「「はい」」」

 

これで先生も父親として成長していくんだろうな。そう思った瞬間、先生の携帯から電話がかかってきた。相手はどうやらはなたちらしい。

話を聞くとどうにも赤ちゃんが生まれてきそうだとの話だった。僕らは急いで外に出てタクシーを探すが見当たらない

 

「あぁもう、こんな時にパップル社長がいてくれれば……」

 

そういえばパップルってタクシーでこっちに来たり帰ったりしてたな……

 

「ハリー、ミナトさん。お昼ご飯買いに行くのに時間を掛けるんですか」

 

「何かあったのですか?」

 

えみるとルールーの二人が来た。ハリーは二人にタクシーを探すように頼むと、俺達の所に誰かが声をかけてきた。

 

「チャラリート、ボルス。社長がいつに帰ってくるんだって怒ってたぞ」

 

「何かあったみたいだな」

 

「「ボス!?」」

 

ボスにスーさんは帰りが遅いチャラリートとボルスさんのことを迎えに来たみたいだった。そうだ……

 

「スーさん、頼みがあるんだ。急いでこの人を病院まで連れて行かないと……」

 

「ミナト、何があったんだ?」

 

「ボス、実は……」

 

タツミが事情を説明をすると……

 

「なるほど……それならばスサノオ!!」

 

「わかった」

 

スーさんは先生を背負い、ものすごい速さで駆け出すのであった。

 

「これなら車よりも早くたどり着くだろ。私達も行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院につくとはなたちと合流し、先に来ていたさあやに声をかけた。

 

「二人は?」

 

「今……中に……」

 

さあやは手を抑えていた。どうかしたのかと尋ねると……

 

「ゆかさん……すごい力だった」

 

「相当つらいのですね」

 

「ううん、感じたのは辛さじゃなくってお母さんの強さ……」

 

生まれてくる赤ちゃんのために母親もがんばってるんだな。

 

しばらくして赤ちゃんが無事に生まれて、皆泣いていた。

 

「命が生まれるって大変なんだな……」

 

「ミナト?」

 

「俺たちは命を奪っていく悪党たちを殺してきた。命を奪うのは簡単だったけど、命を生むっていうのはこんなにも大変なんだなって思ってな……」

 

「………そうだよな」

 

俺とタツミは二人して落ち込むとボスとボルスさんが背中を叩いた。

 

「確かにそうかもしれないが……」

 

「君たちはもう二度と人の命を利用する奴らを生まないために頑張ってきたじゃないか」

 

「そうだよな……」

 

「だよな……これからも頑張らないとな」

 

二人して新たに決意を固めると桐一文字がトゲパワワを感知し、俺達は外に出ると猛オシマイダーとドクタートラウムとドロテアがいた。

 

「来たねプリキュア!あぁ年甲斐もなく気持ちが高揚してるよ!」

 

「静かにして!」

 

「猛?オシマイダー?」

 

「赤ちゃんたちの人生は始まったばっかりなの」

 

「だからあんたたちに!」

 

「「邪魔させません!!」」

 

「みんなも静かに!!」

 

「「「「はい……」」」」

 

キュアアンジュが赤ちゃんたちを起こさないためにと怒っていた。何というかこういう場合は……

 

「ドロテア、ドロテア」

 

「なんじゃ?」

 

「今回は戦うのやめないか?俺達が戦うとなると結構騒がしくなるし……」

 

「そうじゃな。あのプリキュアはお怒りみたいじゃしな」

 

俺、タツミ、ボルスさん、ウェイブ、クロメ、スーさん、ボスはドロテアと一緒に地面に座ってみんなの戦いを眺めるのであった。

 

「いや!!あんたら眺めてないで!!」

 

「静かに!」

 

「は、はい」

 

ツッコミを入れようとするキュアエトワールだったけど、キュアアンジュに怒られるのであった。

 

「にしても妙じゃな」

 

「何がだ?」

 

「トラウムのやつ、妾みたいに怒らせたくないかと言う理由で奴らに付き合うのがな……」

 

「確かに……」

 

何というかわざわざ付き合わなくてもいいのに、ドリルを回転させずに攻撃してるし……

 

「まぁ何かしらあるのじゃろうな。妾は先に帰らせてもらうが……ミナト・ユウ。リュウトという男を知っているか?」

 

「リュウト?ハイト達の仲間か?」

 

「そんな所じゃ。どうにもリュウトが持っていた皇具が必要でな……知らないなら忘れろ」

 

ドロテアはそう言い残して、その場から消えるのであった。リュウト……一体誰なんだ?

 

そんなこんなで戦いも無事に終わるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

ドロテアが戻ってきたトラウムにある事を聞いた。

 

「どうにも今回は優しすぎじゃったな。トラウム」

 

「やぁドロテア。君も彼らに情報を流していたね」

 

「ふっ、もしかすると奴らが見つけ出すかもしれないからの。それを奪うためにだ。それでその写真は?」

 

「あぁ、君の疑問の答えが写っているよ」

 

トラウムは写真を見せるとそこにはトラウムとルールーが写し出されていた。

 

「こう見えて父親としての気持ちが分かるんだよ」

 

「なるほどな……」

 



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第75話 もぐもぐの初恋

ある日のハリーハウスにて、ほまれが飼い犬のもぐもぐの様子がおかしいと言う話になったのだが……

 

「それは恋ね」

 

「「「恋?」」」

 

はな、ほまれ、えみるの三人が驚く中、ルールーがもぐもぐの状態を見ると……

 

「心拍数の上昇、尻尾のふり具合、視線の動き方。どうやらこのパッケージの猫に恋をしているみたいですね」

 

「猫のりりーちゃんに一目惚れね」

 

「もぐもぐが猫に?」

 

と言うか犬が猫に恋するってあるのか?ルールーもそこら辺、どうにも気になっているみたいだった。

とはいえ、はなは恋のキューピットになってあげると張り切ってるし……

 

「それにしてもペットか……」

 

「何だかコロのこと思い出すな……」

 

セリューがもぐもぐのことを撫でながらコロの事を思い出していた。あいつ、僕が敵になっても普通に懐いていたっけ……

 

「コロって?」

 

「そっか、はなたちは知らないんだっけ?コロって言うのはセリューの帝具魔獣変化ヘカトンケイル。愛称がコロって言って、生物型の帝具だったんだけど……」

 

「へぇ~どんな感じだったの?」

 

はなにどんな感じか聞かれるけど、何というかコロは……

 

「犬っぽくないと言うか……」

 

「犬みたいな感じだったかな?今はこっちに来たことで私の中に混ざり合ってるから会えないけどね……」

 

懐かしむセリュー。今は一心同体だけどやっぱり会いたいよな。

 

そしてどうやらリリーちゃんと共演が出来るCMオーディションがあるらしく、はなたちはオーディションに合格できるようにもぐもぐと特訓をすることになった。

 

 

 

 

 

 

最初は体力の審査ということで色々な障害物を乗り越えていくというコースを走っていくというものだったが、

 

「タイムは42.58秒。中型犬の平均タイムは40秒です」

 

「これだと優勝は難しいかも」

 

「まぁ普通の暮らしをしていて、急に優勝を目指すのは難しいだろ」

 

「それじゃミナト、何かいい方法でもあるの?」

 

「悪いけど俺はペットとかいたわけじゃないしな……それにこういうのは努力あるのみだな。まぁ詳しい人がいれば良いんだけど……」

 

「ペット……それじゃエス……あの人のはペットじゃないか……」

 

セリュー、今、エスデスの名前を出そうとしなかったか?あの人のペットと言う名の奴隷と言うべきか……

 

「さあや、他に何かないのか?」

 

「えっと……かっこいい犬の条件として、勇敢さの審査があるみたい」

 

「勇敢さ。それでしたら……」

 

えみるは何かを思いつき、俺達はえみるの家に行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

えみるは自分の部屋に入るなり、着ぐるみに着替えた。

 

「がおーなのです」

 

「何で突然……」

 

「こんな風に恐ろしい怪獣に立ち向かえるようになれば、優勝間違いなしなのです」

 

「いや、えみる、恐ろしいと言うよりかは……」

 

「ただ可愛らしいだけです」

 

俺とルールーがツッコミを入れ、ルールーは何故か俺の袖を引っ張った。

 

「ミナト、お手本を見せてあげてください」

 

「お手本って……仕方ない。レガオン!奥の手『狂龍騎!!』」

 

俺は奥の手を発動させようとするが、もぐもぐはその前に隅の方に身を屈ませていた。

 

「ミナト……あんたのはもぐもぐに対してトラウマを植え付けるくらい怖いんだと思うよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

それからファッションの審査などがあるからハリーがもぐもぐに衣装を着替えさせるが、どうにもダサかったりした。

とはいえみんながもぐもぐのために頑張っている中、ルールーの様子がおかしいことが気になった。

 

 

 

その日の夕方、えみるとルールーのギターの練習に付き添っていると

 

「もぐもぐの恋は叶うのでしょうか?」

 

「えっ?」

 

「私のデータによると犬と猫の恋は叶うというケースありません。何故なら種族が違うからです」

 

種族が違うからか……この世界だとそれが大きな理由になっていたりするからな。

俺達の世界じゃそういうことが稀にあったりするし、レガオンだってシアさんと付き合っていたりしてるし……

 

「そう考えたら、私はアンドロイドです。人間のはな、さあや、ほまれ、えみる、ミナトたちとは種族が違うから……」

 

「ルールー……」

 

俺はなにか声をかけようとした瞬間、歌い出すのであった。そして歌い終えると……

 

「わたしはルールーのことが好きなのです」

 

「えっ?」

 

「好きだと思う気持ちや楽しいと思う気持ち、犬も猫も鳥も魚も人間とアンドロイドも同じなのです。種族が違うからって伝わらないということはありません」

 

「えみる……」

 

「それにルールーはミナトさんのことが好きだったじゃないですか……あっ!?」

 

えみるは俺の方を見て、やってしまったという顔をしていた。そういえばルールーが俺に対して告白したり、キスしたりは知らないことになっていたんだっけ?

 

「そ、その、ルールー……」

 

「ミナト、さっきのえみるの話は……」

 

「えっと、皆には黙っていたんだけど……俺が暴走した時にはな、えみる、ルールーが俺にしたことなんだけど……実は言うと覚えていたりするんだよ」

 

「「えっ!?」」

 

いい加減隠さなくてもいいかと思い、俺は覚えているということと自分の気持ちについて思い悩んでいたことを二人に話した。

 

「そうだったのですか……確かに告白する際に呼び出した時に私の気持ちを知っていたと言ってましたね」

 

「ミナト、別に隠さなくても……」

 

「俺にだって色々とあるんだよ。あと一応だけどはなには内緒な。あいつはきっと気絶しそうだしな」

 

「そうですね」

 

「………ミナト。もしも私と付き合うということになった時、種族が違うという問題はどうしたつもりですか?」

 

「どうもしないよ。種族が違うからって好きっていう気持ちには関係ないことだからな」

 

「そうですか……ミナト、改めて貴方のことが好きです」

 

「ありがとう。だけど俺にはえみるがいるからな」

 

「分かっています。私の大切な……大好きな親友をお願いしますね」

 

「ミナトさん……ルールー……」

 

えみるは俺ら二人に抱きついてくるのであった。えみるは抱きつきながら笑顔で

 

「私も二人が大好きなのです」

 

それからオーディションの日にえみるとルールーがライブをすることになり、俺はその手伝いをすることになったのだったが、俺はレガオンが何かに反応していることに気が付かないでいた。

 



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第76話 セリューの決意、愛を受け取りしもの

オーディション当日

 

えみるとルールーのライブを俺は舞台袖で見ていた。今回は二人のマネージャーをしているが、何というよくライブすることを許してもらったな……

 

「さあやのコネか何かか?」

 

「何の話?」

 

隣で一緒に見ているセリューが声をかけてきた。まぁいちいち気にしていたら駄目な気がしてきたな。

 

二人のライブも無事に終わり、俺達ははなたちと合流した。

 

「二人とも超イケてたよ」

 

「ぶっとびでうちの事務所に所属しちゃいなさい」

 

はなが二人に激励を送るとパップル、チャラリート、ダイガンの三人がやってきた。というかこの三人も来ていたのかよ

 

「パップルさん!?」

 

「とそのしもべたち」

 

「いや、ルールー、一応元上司だよな……」

 

「すみません。つい……」

 

「まぁ上司と思われていたのかどうか……」

 

「お前ら失礼だな」

 

「何?また二人と勧誘しに来たの?」

 

「「お断りします(なのです)」」

 

パップル達は今回、えみるとルールーの勧誘ではなく、パップルの飼い犬であるハルもまたCMオーディションに参加するみたいだった。それにしても……

 

「ボスたちはパップル達の会社でよく働けるな……」

 

「ちゃんと給料は払ってるのか心配ね。ボルスさん、大丈夫かな?」

 

「あんたら二人……いや、確かに心配だけど……」

 

「ちゃんと払ってるわよ!あんたたちの仲間はちゃんときっちり仕事してるから、ちゃんと給料渡してるわよ!!」

 

あぁ、ちゃんと給料払ってるんだ。それはそれで安心だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だかんだでオーディションが始まる中、俺とセリューは何故か観客の中にエスデスがいるのに気がつき声をかけた。

 

「あんた、何をしてるんだ?」

 

「お前たちか。何、少し待ち合わせをな」

 

「待ち合わせ?ランか三獣士の方たちですか?隊長」

 

「そうだな……お前たちがよく知る人物だ。後々会わせてやる」

 

エスデスはそう言うが、一体誰のことだろうか?

 

そうこうしている内にオーディションも最終審査の勇敢さに移るとほまれともぐもぐが壇上に上がり、巨大なロボットの前まで来ていた。

 

「ん?」

 

「どうかしたの?」

 

「桐一文字が反応したけど……まさか!?」

 

俺が声を掛ける寸前、ロボットが猛オシマイダーに姿を変えるのであった。俺達は帝具を構え、はなたちもプリキュアに変身した。

 

『猛オシマイダー!!』

 

猛オシマイダーが金棒で攻撃を仕掛けてきた。全員で攻撃を避けると俺達の前にビシンが現れた。

 

「やぁ、プリキュア。そしてハリー」

 

「ビシン!!」

 

「君を迎えに来たよ。プリキュアなんてつまらない人たちといないで戻っておいで」

 

「なんだと!?」

 

キュアエールがつまらない人たちと言われて怒る中、空から黒い稲妻が降り注いできた。俺とセリューの二人でみんなの前に出て、黒い稲妻を防いでいく。

 

「この攻撃は……」

 

「今回は俺がお目付け役だ。ビシン」

 

「やぁブリッツ。ナイトイェーガーズは君に任せるよ。猛オシマイダー!!プリキュアを倒してしまえ!」

 

猛オシマイダーの攻撃でキュアエール達と分断された俺達。ブリッツは拳を構えて俺達と対峙していた。

 

「俺はハイト様の最高傑作の一人……貴様らに勝ち目はない!!」

 

黒い稲妻を両手にかき集めていくブリッツ。俺は狂龍騎に変わり、セリューは正義閻魔槍でブリッツに向かっていく。

 

「甘く見るなよ!!」

 

一瞬の内に俺を吹き飛ばし、セリューの正義閻魔槍が破壊された。そしていつの間にか俺達の後ろに回り込んでいたブリッツは黒い稲妻が体中に纏っていた。

 

「天帝フェザードライ……ありとあらゆる天候を操る皇具だが、完成したのはつい最近でな……」

 

「つい最近って……」

 

「あらゆる天候を操る中で必要な帝具があってな。それがアドラメレク。ハイト様の助手である方が手に入れてようやく完成させた」

 

「なるほどな……だからルールーが持っていたのか……」

 

「ということは使用者であるブドー将軍もこっちに来てるってことだよね」

 

だとしたらまさかと思うけど、エスデスが待ち合わせしていた人って……

 

「そしてドクタースタイリッシュがもたらしたデータにより デモンズエキスやあらゆる属性を宿した帝具ダイリーガーもまたフェザードライに宿っている」

 

黒い稲妻の他に、無数の氷の弾丸と竜巻が襲ってきた。狂龍騎の状態である俺はまだ受けきれるけど、セリューはモロに攻撃を食らっている

 

「セリュー!?下がってろ!!」

 

「下がるわけ……ないでしょ……私も戦う……この体に宿ったコロの分まで……」

 

ボロボロになりながらもセリューは立ち上がった。そんなセリューも見てブリッツは笑みを浮かべていた。

 

「限界寸前のくせに頑張るとは……楽にしてやる!!」

 

黒い稲妻の塊がセリューに迫りきていた。俺は咄嗟に盾になろうとするが間に合わない。このままじゃセリューが……

 

『きゅ~!!』

 

突然なにかの声が聞こえ、気がつくと黒い稲妻の塊を受け止める巨大な犬型の怪物がいた

 

「そんな……どうして……」

 

「おいおい、どういうことだよ……」

 

セリューの危機を救ったのは戦闘モードに入った状態のコロだった。コロはブリッツに連続で攻撃を仕掛けていき、すぐにセリューの体に戻った。

 

「ぐうううう!!今のは……」

 

「どういう事?」

 

「よく分からないけど、お前の中にまだ生きてるんだろうな。コロのやつは……」

 

「そっか……」

 

セリューは涙を流していた。今も生きていて主であるセリューも守ったコロを思いながら……

 

「コロには負けてられないな!!」

 

俺もブリッツを睨みつけた瞬間、猛オシマイダーと戦っているキュアアムールのミライクリスタルから紫の光の玉が現れ、両足に宿り、紫色の光を放っていた。

 

「これは……」

 

「ミナト!?」

 

「あれってあの時と同じ……そうです!アムールの愛がレガオンに宿ったのです」

 

キュアアムールの愛を受け取ったっていうことだよな。だとしたら……

 

「愛を受け取る!!」

 

俺は構えるとブリッツが黒い稲妻を纏い、接近してきた。俺はブリッツが攻撃を仕掛ける瞬間、回し蹴りを放ち、ブリッツは吹き飛ばされた。

 

「があああああああああ!!」

 

「レガオンのもう一つの力……」

 

あの時、キュアマシェリから受け取った力もそうだとしたら……完全な姿になるには……

 

蹴りを食らったブリッツは血を流しながら立ち上がっていた。

 

「すごい力だが……貴様は仲間の力を借りなければフォルシュには勝てないみたいだな」

 

ブリッツはそう言い残して姿を消すのであった。それと同時にキュアエール達も敵を浄化することが出来たみたいだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーディションが中止になったのだが、戦っている最中にもぐもぐが逃げ遅れた女の子を勇気を出して吠え、助けたみたいだった。しかもその女の子の飼い猫がもぐもぐの恋の相手であるリリーちゃんだったらしく、リリーちゃんにキスをされてもぐもぐは嬉しそうだった。

 

「種族が違っても愛は伝わる……えみる、ミナト、大好きです」

 

「そ、そんな突然言われると恥ずかしいのです」

 

「まぁ今回はルールーのおかげだったけど……」

 

俺はブリッツに言われた仲間の力がないとフォルシュには勝つことが出来ないと言われたことが気になった。

 

「ミナトさん?」

 

「いや、なんでもない……」

 

俺は一人じゃ勝てないことが気になってしまうのであった。どうすれば良いんだ?

 

「………」

 

俺はそんな事を考える中、えみるがつらそうな顔をしていることに気が付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ?昔の奴と比べて強くなっただろう」

 

「あぁ、だが、奴はどうやらぶつかっているみたいだな」

 

「壁にか?」

 

「それも限界という壁ではなく、自分で作り出した幻影の壁にな……仕方ない。久しぶりに教えてやる」

 

「そうか。任せたぞ、ブドー」

 




次回はオリストになります


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第77話 一人ということ

ある日、俺はある事を悩んでいた。前の戦いでみんなと一緒に戦うことでフォルシュに勝つことが出来ないと言われたこと。だけどそれってつまり、俺達の戦いにみんなを巻き込んでしまうということだ。そんなこと……

 

「……ミナトさん」

 

不意に声をかけられ、振り向くとそこにはえみるが心配そうな顔をしていた。

 

「どうしたんだ?えみる」

 

「あ、あの、何か……悩んでいませんか?」

 

「……」

 

えみるは俺が悩んでいることに気がついていた。こういう時、えみるに話すべきだけど……

 

「私じゃ力になれませんか?」

 

「悪い。これはえみるには……」

 

「ミナトさん………どうして一人で抱え込むんですか!!私じゃ……私達じゃ頼りないですか!」

 

「そういう訳じゃ……」

 

「ミナトさんの馬鹿っ!!」

 

えみるが泣きながら走り去ろうとしていた。だけどえみるは誰かにぶつかり、尻餅をついた。

 

「ご、ごめんなさい……ひっ!?」

 

「大丈夫か?えみ……あんたは!?」

 

俺とえみるの前に現れたのは筋肉隆々の男……俺はこの人のことを知っている。

 

「久しぶりだな。ミナト」

 

「将軍……」

 

「ミナトさんのお知り合いですか?」

 

「あぁ、俺がいた世界でエスデスに並ぶ強さを持った人で、狂龍騎の暴走を止めたこともあって……俺に戦い方を教えてくれた人だ……」

 

「ナイトレイドに入り、いずれお前と戦う日を楽しみにしていたが、その前にシュラの小僧と共にお前は行方をくらましたらしいな」

 

「あんただって、マインに負けたじゃないか……」

 

「ふん、あの小娘に負けたか」

 

将軍は笑みを浮かべ、どこからともなく篭手を取り出した。あれって!?

 

「あれはルールーの帝具……」

 

「ミナト、鍛え直してやる!!帝具アドラメレク!!」

 

「……えみる、下がってろ!!レガオン!!龍騎!!」

 

俺は龍騎になり、将軍へと攻撃を仕掛けていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えみるSIDE

 

ミナトさんとミナトさんの師匠が戦いを始めた。私はただただ見ていることしか出来ないの?

 

そう思っているとルールーとエスデスさんがやってきた。

 

「どうやら始まったみたいだな」

 

「えみる、大丈夫ですか?」

 

「ルールー、エスデスさん……」

 

「この世界に来て更に力をつけたミナトだが、やはりその前より戦い続けてきたブドーの方が上手だな」

 

ミナトさんは雷を避けていくが、動きが読まれているのか直撃を喰らい続けていた。

 

「あれで加減はしているのですか?」

 

「加減してはいるが、奴自身久しぶりにアドラメレクを使っているからな。加減しているかどうかは難しいな」

 

「どうして……どうしてこんな事になったんですか!?」

 

私は見ていられなく、エスデスさんにそう聞くとエスデスさんは険しい顔をした。

 

「ミナト自身、自分で作り出した幻影の壁にぶつかっているからだ。その壁を打ち壊すためにブドーがああして出てきたが……止めたいのか?」

 

止める……私がやるべきことはこの戦いを止めることなの?でもそれはなんだか違う……

 

「……ルールー」

 

「えみる?」

 

私がやるべきことは止めることじゃない。やるべきことは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

「その程度か……」

 

雷撃を喰らい続け、俺はその場に倒れ込んでいた。やっぱり強い……マインのやつはどうやって勝ったんだよ……

 

「まだ気がついていないみたいだな」

 

「何がだ……」

 

俺は立ち上がり、右腕を斧に、左腕を大剣に変えた。将軍はそれを見て呆れながら両拳を合わせ、篭手の先についた鉄杭をぶつけた

 

「雷撃の中に沈め!!雷帝招来!!」

 

無数の雷が俺を襲ってきた。俺はなんとか防ごうとするが防ぎきれず、龍騎が解除された。

 

「今のお前は昔より弱いな」

 

「まだ……だ。まだ……終わって……」

 

気を失いそうになりながら、俺はレガオンを構えていた。将軍は雷をため始め、

 

「理解できないのなら……そのまま沈んでいろ!!」

 

将軍がソリッドシューターを放とうとした瞬間、誰かが将軍に蹴りを喰らわした。

 

「お前……」

 

「ミナトさん、お待たせしましたのです」

 

「マシェリ……下がってろ……」

 

「下がりません」

 

「危険すぎる……俺はお前を……」

 

「ミナトさん、一人で戦わないでください!」

 

マシェリが大声で叫んだ。マシェリは気がついていたのか……

 

「ミナトさんたちの戦いに私達を巻き込みたくないって思っていたんですよね。クライアス社との戦いと違い、命のやり取りだからって……」

 

「……そうだ……俺はお前を……お前たちを巻き込みたくない。大切な人を失いたくないから……」

 

「それでしたら一人で戦わないで、一緒に戦って守ってください!!」

 

「マシェリ……」

 

「私も同じ意見ですよ。ミナト」

 

アムールも駆け寄り、俺に優しく微笑んだ。

 

「あなたは私と戦ったときも一人で背負い込んでいました。それははなたちを悲しませないようにしていたからですよね。でも、それじゃ駄目です。貴方が一人で戦って死んだら……私達が悲しいです」

 

「だから一緒に戦います。ミナトさん」

 

全く気がつくのが遅かったな。俺は馬鹿だったよ

 

「二人とも、一緒に戦ってくれ……将軍を倒すために……」

 

「「はい」」

 

「ふっ、ようやく気がついたか」

 

将軍が雷撃を消し、篭手を外しアムールに渡した。

 

「将軍……」

 

「私はあの娘一人に殺られたわけじゃない。ナイトレイドが力を合わせて殺られたのだ。一人で戦おうとするな。お前にはあの世界以上に仲間がいるのだから協力していけ!」

 

「はい!」

 

将軍はその事を教えるためにここに来たのか?やっぱりあの頃と変わってないな。

 

「ありがとうございます。師匠!」

 

「ルールー嬢!アドラメレクはお前に譲る。もう私には必要はない」

 

将軍はそう言って去っていくのであった。俺はというと流石に攻撃を喰らいすぎて……そのまま気を失うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「師匠、終わったんですか?」

 

「あぁ、陽斗。待たせたな。ことは嬢も済まなかった」

 

「は~ブドーが本気で戦うとなると大変なことになるから結界はるの疲れたよ~」

 

「あとでイチゴメロンパンでもご馳走してやる」

 

「はー!!やった~」

 

「ミナトの奴、どうだったですか?」

 

「お前の兄弟子と言うべきだな。帝具が書かれた古文書にも書かれていなかった力を扱えつつある。お前と同じだな」

 

「リゼルファの……リンクルストーンの欠片をあわせたあれと一緒ですか……」

 

「ミナトならきっと大丈夫だよ。だってブドーが鍛えたんだから」

 

「ふっ」

 



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第78話 はなのおばあちゃんの家へ

はなの案内でたどり着いた場所は『たんぽぽ堂』と看板に書かれたお店だった。

 

「はなが連れてきたいところってここ?」

 

「うん!」

 

俺達は中に入ると和菓子のお店みたいだった。それにしても何だかいい雰囲気の場所だな。

 

「はな、本当に食べたりしても良いんだな?」

 

「うん、でもちゃんと手伝ってからだよ。クロメさんも」

 

いつものメンバーにアカメとクロメも一緒に来ていた。どうにも二人は和菓子につられてきたみたいだけど……

そんな中、えみるが何かを発見した。

 

「ぬああああああ……」

 

えみるが指を指したほうを見ると何かふわふわしたものがうごめいていた。

 

「何!?あのふわふわした物体?」

 

「地球を侵略しに来た宇宙人なのです!地球が侵略されてしまうのです!?」

 

「「宇宙人?」」

 

「アカメとクロメにはわからないか。要するに……危険種みたいなもんだよ」

 

「いや、その説明はどうかと思うけど……」

 

ほまれにツッコまれた。いや、だって宇宙人とかちゃんと説明しても二人はピンッと来ないだろうし……

 

「あっ、はな~」

 

「おばあちゃん!」

 

どうやらふわふわ物体ははなのおばあちゃんみたいだった。それにしても変わった髪型だな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなのおばあちゃん、たんぽぽさんに和菓子を作っているところを見せてもらうことになった俺達。

 

「はなのおばあちゃんは和菓子職人だったのですね」

 

「うん、そうだよ」

 

「それにしてもすごい髪型……」

 

「はなが友達を連れてくるって言うから、頑張っておしゃれしてみたんだけど、どうかね?」

 

まぁ、オシャレなんだろうな。というかやっぱりはなのおばあちゃんって感じがするな……

 

「おや、あんたは……はなから聞いてるよ。色々と大変みたいなんだね」

 

「……はな、なんて説明した?」

 

「えっと、ほら、お母さんたちに説明したときの……」

 

あぁ、物凄く苦労して一人旅していて、はなを助けたとかどうとかか……何というか適当な理由だけど、よく信じてもらえたな……

 

せっかくなのでお店の手伝いをする中、俺はたんぽぽさんの様子がおかしいのに気がついた。何だか無理をしている?

 

 

 

 

 

 

はなと一緒にお店の前で声掛けをしていると見覚えのある人物が声をかけてきた。

 

「こんな所で奇遇だな。野乃はな、ミナト」

 

「エスデス!?」

 

「エスデスさん、いらっしゃい。どうしてここに?」

 

「どうしても何も私はここの常連だ。お前たちは?」

 

「ここ、私のおばあちゃんの家なので、今日はそのお手伝いで」

 

「そうか……店主は本当に美味しいものを作ってくれるよ。どらやきをいくつか。あとひとつはここで食べていく」

 

「はい」

 

はなは笑顔でエスデスの注文を伝えに行くのであった。それとすれ違いにさあやが出てきた。

 

「エスデスさん、こんにちわ。アカメさんとクロメさんもいますよ」

 

「そうか、何をやってるんだ?」

 

「えっと……」

 

「アカメとクロメは食べているだけですね。まぁ今日の目的はそれでしたし……」

 

「ふふ、平和でいいな………」

 

「えぇ」

 

まぁ確かにこういうのんびりした時間は珍しいな。つい最近はいろいろとあったし、こういうのはいいかもな

 

はながエスデスに頼まれたものを持ってきた瞬間、隣の椅子に座っていた常連らしきおばあちゃんが何かを呟いていた。

 

「うん?美味しくないね……」

 

「「「えっ?」」」

 

「御婦人、今なんと?」

 

エスデスが険しい表情をしながら常連らしきおばあちゃんの方を見た。

 

「どうしたんだい?はな」

 

「たんぽぽさん、味が落ちたんじゃないのかい?」

 

「えっ?」

 

「あんこがかたすぎるよ。こんなの店に出すのかい?たんぽぽ堂のあんこはこんなんじゃなかっただろ」

 

「文句があるなら帰ってくれ!」

 

何だか揉め始めたな。エスデスも黙って話を聞く感じだし

 

「こんな和菓子じゃたんぽぽ堂もお終いだね」

 

そう言って帰っていく常連さん。怒ってる割にはどらやきを捨てたりしないんだな

 

すると店の中からみんなも出てきた。

 

「おばあちゃん、今のは……」

 

「家の常連さんのヨネさんだよ」

 

たんぽぽさんはそう言って店の中に入っていった。はなは試食用のどらやきをひとくち食べ……

 

「こんなに美味しいのに……」

 

「昔から知っている人からしてみれば味が変わったのかもしれないな」

 

エスデスもまたそんな事を呟き、一緒に店の中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

それから目玉商品を作るということで巨大どら焼きを作ろうとするたんぽぽさんだったが、どうにも腰を痛めてしまったらしく、病院に運ばれるのであった。

 

はなたちは心配するが、たんぽぽさんは情けないところを見せたくないと良い、俺達を病室から追い出すのであった。

 

俺達はその帰り道、

 

「あんな元気のないおばあちゃん見るの初めて……」

 

「どうにかしてやりたいけどな……」

 

「さっきは悪かったわね」

 

どうすればいいのか考えているとさっきの常連さんのヨネさんが俺達に手を振っていた。

 

ヨネさんは昔のたんぽぽ堂のことを話し始めた。話を聞く限り本当にたんぽぽ堂のお菓子は好きらしいが、老いていくにつれて味が落ちていくのが許せなく、ついきついことを言ってしまったらしい。

そんな中、希望饅頭というものがあるらしく、はなはそれを作って元気づけようと言い出すのだが……

 

「レシピは?」

 

「えっと……わからない」

 

「それに素人の集まりだぞ……この中でお菓子作りが得意なのは……」

 

俺は全員を見るが誰も首を振っていた。俺もアカメも料理はできるがお菓子作りは……こういう時マインあたりがいたらいいんだけど……

 

フッと俺は見覚えのある二人組を見つけた。

 

「アカメ、クロメ、あの二人を捕獲してくれ」

 

「任せろ」

 

「行くよ。お姉ちゃん」

 

二人がすぐさま駆け出し、すぐにその二人を連れてきた。

 

「えっ?えっ?」

 

「アカメ、クロメ、どうしたんだい?それにミナト達も……」

 

俺が見かけたのはナタラといちかの二人だった。この二人だったら……



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第79話 愛を込めれば……

「というわけで力を貸してくれないか?いちか、ナタラ」

 

俺は希望饅頭を作り上げるために捕獲してきたいちかとナタラに事情を説明した。

 

「それなら任せて」

 

「というより普通に連れてこれないのかな?」

 

「いや、つい……」

 

何というか歩いてる二人がイチャイチャしていて声をかけづらいから……

 

「それじゃいちかちゃん。よろしくね」

 

「うん、はなちゃん、みんな……ところで希望饅頭のレシピは?」

 

いちかの問いにはなたちは目を背けた。そういえばまだレシピが見つかってなかったな……

 

「こういうときは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はなは仏壇に飾られたおじいちゃんの写真に何かを頼み込んでいた。

 

「おじいちゃん、可愛い孫のお願いです。どうか希望饅頭の作り方を教えてください」

 

「このような方法で見つかるものなのでしょうか?」

 

「さぁ?」

 

と言うかそんな簡単に見つかったらある意味すごいけど……

するとはなは仏壇の上に何かのメモ帳を発見し、見てみるとそこには希望饅頭のレシピが書かれていた。

 

「これなら……いちかちゃん」

 

「うん、作れるね。それじゃ早速やってみようか」

 

はなたちはいちかの指導の元希望饅頭を作り始めた。俺、アカメ、クロメ、エスデスはというと邪魔にならないように外で待っていた。

 

「それにしてもいちかは教えるだけなんだ……」

 

「それは当たり前だよ」

 

店から出てきたナタラ。当たり前って?

 

「はなちゃんはおばあさんに元気になってもらいたいから希望饅頭を作ってるんだろう。お菓子作りに大切なものは誰かにあげるという気持ち……いうなれば愛情が必要だからね」

 

「愛情ね……」

 

「ナタラ、いちかと会ってから少し変わったな」

 

「うん、いちかと付き合ってるからかな?」

 

「そ、それは……」

 

アカメとクロメの二人がナタラをからかい始める。そんな中エスデスはある事をナタラに聞いてきた。

 

「ナタラ。皇具というものを知っているか?」

 

「皇具……はい、知ってます」

 

ナタラが皇具を知っているということは……ハイトたちの一派と戦ったことがあるのか?

 

「やはりか……以前ブドーと会った時に皇具を使う奴らと戦ったという話を聞いた。その時のリーダーの名前はリュウトという名前だった。お前の所には?」

 

「はい、女性が一人……それとある四人組と戦いましたが……」

 

四人……思い当たるとしたら羅刹四鬼あたりか?ナタラやいちかはよく戦い抜いたな……

 

「そうか……奴らはどうにも私達がこの世界に来る前からちょっかいを出していたみたいだな。そして今回、本格的に動き出したというわけか……」

 

「それじゃ陽斗の奴も……」

 

あいつはこの世界の住人だから大変だったかもしれないな……

 

「ナタラ、すまない。お前一人でいちかたちを守るのも大変だったな」

 

「いや、アカメ……オレ一人だけじゃないんだよ……」

 

ナタラが俺の方を見た。何だ?俺に関係する人でも手伝ってくれたのか?

するとはなたちが希望饅頭を完成したみたいで、俺達は早速病院に行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たんぽぽさんの病室に行くとヨネさんがお見舞いに来ていた。はなはたんぽぽさんに早速希望饅頭を見せた。形は歪だけどたんぽぽさんは昔のことを思い出していた。

 

「希望饅頭を作るとおじいちゃんとの思い出が溢れてきて……このお饅頭だけは味を落としたくなくて作れなかった」

 

「おばあちゃん……」

 

「でもやっぱり美味しい……甘くてほかほかのこのお饅頭を食べると、心が暖かくなる」

 

たんぽぽさんも喜んでいるみたいだな。というよりはなの愛情が希望饅頭を美味しくしてくれたんだな。

俺がそう思った瞬間、何故かレガオンが反応を示した。

 

「あ、あの私、宇佐美いちかって言います」

 

「はなのお友達かい?」

 

「はい、それでさっき味を落としたくないって言ってましたけど、きっと大丈夫です。誰かを思いながら作ったお菓子は味が落ちたりしません」

 

「あんた、若いのによく分かってるじゃない」

 

たんぽぽさんに褒められ、嬉しそうにするいちか。これで一件落着か。たんぽぽさんも腰痛が落ち着いたので、退院するのであった。

 

いちかとナタラの二人を見送ろうとする俺達。そこに突然猛オシマイダーが現れた。

 

「みんな、行くよ!」

 

「それじゃ私も……」

 

「いちか、君はハリーとはぐたんを頼む。ここは俺がやるよ」

 

「ナタラさん……うん」

 

はなたちはプリキュアに変身し、俺、ナタラ、アカメ、クロメ、エスデスは並び立った。

 

「手伝ってくれるのか?エスデス」

 

「ふっ、ここまで来たんだ。付き合ってやる!」

 

猛オシマイダーの近くにはジェロスとその部下二人、そしてメラルドと兜虫、巨針蟻がいた。

 

「プリキュア?」

 

「デリートしてやる!」

 

「それじゃナイトイェーガーズの相手は私達ね」

 

キュアエールたちは猛オシマイダーと対峙し、俺達はメラルドとその部下の兜虫、巨針蟻と対峙していた。

 

「メラルドとは私がやらせてもらうぞ。お前たちはそっちの二人だ」

 

エスデスは剣を構えると、メラルドも皇具を構え激しいぶつかり合いが始まった。

 

「あっちは楽しそうね。こっちも楽しませてもらうわよ」

 

兜虫は二又の槍を構え、アカメとクロメの二人の斬撃を受け止めていた。

 

「あははははは!!こっちは一気に決めるよ!!」

 

俺はレガオンの大剣で巨針蟻の拳の連撃を受け止めていたが、一撃一撃が重すぎる。

巨針蟻が思いっきり拳を振りかぶった瞬間、ナタラが伸ばしたトリシュラで巨針蟻を吹き飛ばす。

 

「大丈夫か?」

 

「あぁ、何とか…でもこいつは面倒だぞ」

 

「分かってる」

 

不意に猛オシマイダーがたんぽぽ堂に向って巨大なあめ玉を投げ飛ばしていた。俺とキュアエールは止めようとした瞬間、たんぽぽさんが巨大なヘラで飴玉を打ち返していた。

 

「嘘だろ……」

 

「たんぽぽ堂は私の大切な宝物なんだ!壊させないよ!」

 

「凄いな……」

 

猛オシマイダーが今度は突撃しようとするが、キュアエールが寸前の所で止めるのであった。

 

「大好きなおばあちゃんを傷つけたら許さないんだからーーー!!」

 

猛オシマイダーを殴り飛ばしたその瞬間、キュアエールのミライクリスタルからピンクの光が現れ、レガオンに宿った。

 

「キュアエールの愛が……それだったら!!」

 

レガオンは俺の背中に装着し、ピンク色の光を纏った翼を広げた。

 

「そんな力!!」

 

巨針蟻が俺に向かって突撃してくるが、俺は思いっきり空を飛び、翼で巨針蟻を切り裂いた。

 

「そ、そんな……」

 

真っ二つにされても生きてるのか……だったら、とどめを刺すか

 

「狂龍騎!!」

 

狂龍騎に変わり、炎の塊を放ち、巨針蟻に喰らわし、巨針蟻を撃破するのであった。

更に後ろから猛オシマイダーが襲いかかってくるが、それは思いっきり殴り飛ばし、

 

「決めろ!!キュアエール!」

 

「うん!任せて、エールタクト!」

 

「アンジュハープ!」

 

「エトワールフルート!」

 

「「「心のトゲトゲ飛んでいけ〜!プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

虹色のエネルギー弾に包まれた猛オシマイダーが浄化された。

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

「やられたわね。メラルド、帰るわよ」

 

「彼の力が上がってるみたいだけど……ふふ、エスデス、次も楽しみましょう」

 

「メラルド、お前は何を知っている?」

 

「さぁね。ただハイトたちは究極の皇具を完成させるために闇の力を集めている。それだけは伝えておくわ」

 

「メラルド様、巨針蟻が……」

 

「負けたものには興味が無いわね。また会いましょう」

 

ジェロスとその部下二人、メラルドと兜虫はそのまま姿を消すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わり、はなたちが楽しそうにたんぽぽさんと話している中、俺はナタラといちかを見送っていた。

 

「それじゃまた何かあったら……」

 

「あぁ、ナタラもいちかを大切にするんだぞ」

 

「ミナトくん」

 

いちかは顔を真赤にさせる中、ナタラはあることを言い出した。

 

「そういえばミナトくん、クロトという奴を知っているか?」

 

俺はナタラから出た名前を聞いた瞬間、物凄く嫌そうな顔をした。

 

「ナタラ、何でクロを……まさか!?」

 

「そのまさかだよ。今度君に会いに来るらしいよ」

 

クロ……クロトが会いに来るって……かなり嫌なんだが……




最後に出てきたクロト。今度また外伝としてプリキュアアラモードの話の主人公となります。

次回はそのクロトとミナトの過去と再会になります


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第80話 ミナトとクロト

『お前、またやらかしたのか……』

 

『やらかす?何を言ってるんだ?俺は俺らしくやっているだけだ』

 

『だからって、そこまでする必要があるのか?』

 

『分からない奴だな。非情にならなければいつかお前は悪党に殺されるぞ』

 

これはあの時の夢……警備隊の任務で悪党を捕まえに行った時、あいつは先行して悪党を全て虫の息まで追い詰めた。

 

 

 

 

 

『聞いたぜ。裏切ったんだってな』

 

『あぁ、俺はこの道を選んだんだ。もう誰も傷つかない平和な世界のために……邪魔をするなら……』

 

『いいぜ。お前の帝具と俺の帝具……どちらが上か確かめようぜ!!』

 

俺はレガオンを……あいつはオウガデーモンを起動させた

 

『さぁぶっ潰す!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと物凄い疲労を感じていた。ナタラにクロトの事を聞いたからか夢に出てくるようになったし、おまけにあいつの夢って言うだけで物凄く疲れる

 

ハリーハウスに行き、はなたちが何かしらの話をしている中、俺はセリューにクロトの話をした。

話を聞き終えたセリューは物凄く嫌そうな顔をしていた。

 

「クロトが……何でまた……」

 

「多分だけどユートピアの力で転移してきたみたいなんだけど……」

 

「そっか……にしてもクロトが……」

 

「「はぁ~」」

 

俺とセリューの二人がため息をつくとはなたちが話しかけてきた。

 

「どうしたの?二人とも」

 

「何だか元気が無いみたいだけど……」

 

「何かあったの?」

 

「というよりミナト、セリューから疲労を感じられますが……」

 

「ミナトさんとセリューさんお疲れなんですか?」

 

いや、疲れていると言うよりかは……嫌な夢を見たと言うか……

 

「実は言うと俺とセリューの同僚がこっちの世界に来てるらしく」

 

「ただ面倒なやつなのよね」

 

「面倒?どんな感じなの?」

 

はなたちも興味があるみたいだし、話してもいいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

クロト。帝国警備隊の一人で俺とセリューの同期である。同期ではあるけど、かなり色々と滅茶苦茶なやつで、戦いのときは徹底的に打ちのめしたり、女の子が戦うということが気に入らないと言うより、女の子に守られるのが嫌いだったりする。あいつが女の子に守られるのを嫌う理由はあの人のことがあるから仕方ないことだろうけど……

 

「任務中に私がクロトを庇おうとしたときなんて、思いっきり蹴り飛ばされたっけ」

 

「まぁ優しいやつなんだけど、なんか違うと言うか……」

 

おまけに俺がナイトレイドに入った時なんか、しつこいくらい戦いを挑んできたんだっけ……

 

「要するに面倒くさい奴ってこと?」

 

ほまれの問に俺達は頷くのであった。それにしてもいつ会いに来るのやら……

そう思った瞬間、突然ハリーハウスの扉が勢いよく開けられた。

 

「よぉ、久しぶりだな。ミナト、それにセリュー」

 

黒い髪、腰にはベルトを巻き付けた男。噂すればなんとやらだな

 

「クロト、久しぶりだな」

 

「本当に会いに来るなんてね」

 

「俺もここで会えるなんて思ってなかったぜ。悪いが二人とも面を貸してもらおうか」

 

ここは断らないほうが良いな。はなたちにはここで待っているように言い、俺とセリューの二人はクロトの後をついていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たどり着いた場所は前に陽斗と戦った場所だった。ここは人気のない場所。だとしたら……

 

「久々に会ったんだ。それなりに話すことがあるけど……必要ないな。かかってこい」

 

やっぱり拳で語り合うか……俺とセリューは互いに頷きあい、俺はレガオンを、セリューは地面から正義宋帝刀を取り出した。

 

「行くぜ!!オウガデーモン!!」

 

クロトは黒い鎧を身にまとい、地面に突き刺さった金棒を引き抜いた。

 

「さぁ楽しもうぜ!!」

 

クロトは大きく金棒を振り落としてくる。セリューが宋帝刀で防ぐがすぐさま砕かれてしまった。

 

「俺の攻撃を防ぐなんて無駄なことをするんじゃねぇぞ!!」

 

「本当に面倒ね。それに昔よりも強くなってる!」

 

「だったら……レガオン!!奥の手!龍騎!」

 

真っ赤な鎧を身にまとい、クロトの金棒を受け止める。

 

「時間制限付きの強化なんて通じると思ってるのか!!」

 

「時間制限?そんなもの無くなったに決まってるだろ!!」

 

クロトの腹に蹴りを一撃食らわせ、クロトは吹き飛ぶが倒れることもなく立っていた。

 

「いいぜ!!こんな戦い!!久々だ!!」

 

クロトは金棒を二つに折った瞬間、二本の刀へと形を変えた。

 

「正義秦広球!!」

 

セリューの正義秦広球がクロトに迫ってくる。クロトは二本の刀で切り裂くのかと思った瞬間、クロトは刀を地面に突き刺し、正義秦広球を受け止めていた。

 

「良い一撃だ!!だけどな!」

 

クロトが正義秦広球を掴んだ状態で思いっきり回し始めた。セリューは咄嗟に手放すが、クロトは正義秦広球をセリューに向けて投げつけた

 

「まずい!!」

 

俺は急いで狂龍騎を発動させ、正義秦広球を打ち砕いた。

 

「それが噂に聞く暴走形態か」

 

「暴走形態だったけど、制御は出来てる!!」

 

俺はクロトに接近し、クロトも二本の刀を引き抜き拳と斬撃のぶつかり合いが始まった。

 

「ハアアアアアアアアア!!」

 

「オオオオオオオオオオ!!」

 

互いの全力の一撃がぶつかり合い、互いに吹き飛ばされた。

 

「強くなったな。クロト……プリキュアと一緒に戦ってきたからか?」

 

「お前もな。ミナト……それにセリュー……俺の帝具……いや皇具といい勝負だが、まだ俺の本気を引き出せてないみたいだな」

 

クロトはそう言って、去っていく。というか今、皇具って言わなかったか?

 

「あいつの持ってる帝具って……」

 

「うん、私達の世界で普通に使っていたものだよね」

 

いや、あっちに皇具が残っていてもおかしくはないけど……まだ本気ではないって……

 

「クロトの奴、もしかして私達に皇具には奥の手があるって言いたかったのかな?」

 

「どうだろうな?ただ単に戦いたかっただけかもしれないな」

 

まぁどっちだろうけど、久々に会えてよかったかもな。ただ物凄く疲れるけど……




クロトの物語はキラプリの方で語られます。

次回は旅行回です


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第81話 みんなで旅行

今、俺たちは飛行機の中にいた。夏休み最後ということでみんなで世界旅行に行くことになり、ことりも一緒に行くことになった。

俺も折角なのでナイトイェーガーズの面々を誘ったところ……

 

「にしても今回は俺とレオーネさんとタツミくらいだな」

 

「まぁみんな忙しいみたいだしな……」

 

「マインも来れればよかったんだけど、ボスの仕事の手伝いしてるし……」

 

「いいじゃんか。折角の機会なんだからさ」

 

ラバ、姐さん、タツミの三人がそんな事を言う中、俺はもう二組の方を見た。

 

「誘っておいてなんだけど、よく来る気になったな」

 

「んだよ!悪いのかよ!」

 

「クロト、落ち着いて……」

 

「まぁ折角の機会だし……」

 

「それにこういう旅行とか楽しそうだからね」

 

「うん、誘ってくれてありがとうね」

 

クロト、ナタラ、陽斗、ポニィ、そして陽斗たちに協力してくれていたアカメたちの知り合いのツクシの五人も一緒に旅行に行くことになった。

 

俺達が出発する前にハリーハウスを訪ねてきた五人。ちょうどいいので試しに誘ったけど良かったかもしれないな。

 

「ビーフオアチキン?」

 

するとキャビンアテンダント姿のえみるがそんな事を聞いてきた。せっかくの飛行機での旅行だからか?

 

「それじゃチキンで」

 

「えみるお嬢様、そういうのは私が……」

 

「もうエアさん、貴方も今回は休暇なのですからゆっくりしてください」

 

「で、でも……」

 

えみるの付添のエアも来ているし、何だかんだで賑やかな旅行になりそうだな……

 

 

 

 

 

 

最初の目的地であるハワイに着いた俺達だけど、すぐに出発することになった。さあや曰く世界を満喫するためにはすぐに出ないといけないみたいだ。

 

「また飛行機か。おい、陽斗、お前飛べたよな」

 

「いや、長い距離は無理だからな」

 

「ちっ」

 

どうにもクロトは飛行機の中が退屈でしょうがないみたいだった。

 

 

 

次の目的地であるアメリカ

 

ルールーは無心にホットドックを食べている。姐さんはというと酒を買っていた。

 

「さて次の目的地ではどんなのが待ってるかな?」

 

「姐さん……酒を買いに来たんですか?」

 

「世界中を回るからな」

 

にこやかな笑顔でそう言うけど、一応ボスたちのお土産だよな。

 

 

それからアフリカ、フランス、イタリア、中国へと向かい、旅行を楽しむのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

「さぁて今回は誰がついてくるんだい?」

 

「やぁ、トラウム。今回は君が出るんだね」

 

「あぁ、せっかくの出張だからね……それで彼らは何をしているんだい?」

 

トラウムは研究室で言い争う一同を見つめ、ハイトはため息を付いた。

 

「今回、プリキュア、ナイトイェーガーズが世界を回っていると言うだろ。その所為かリアン、ドロテア、コスミナ、メラルドが言い争っていてね」

 

「フォルシュとブリッツは?」

 

「彼らは調整中だよ。特にフォルシュは例のものを発動できるようにね」

 

「そうか。さて誰が一緒に行くことになるのかね?」

 

「ふふ、私たちよ。ドクター」

 

「メラルドとリアンか」

 

「さぁ楽しみましょう。りょこ………プリキュアとナイトイェーガーズを倒すのを!!」

 

「明らかに旅行って言おうとしたよね。まぁいいけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の目的地としてたどり着いた場所は熱海の温泉だった。

 

「まさか最後が熱海なんて……」

 

「ルール―たっての希望なのです」

 

「どうして熱海?」

 

「温泉の硫黄成分がアンドロイドにはよくないと止められていたのですが……」

 

「温泉に入れないの?」

 

「いいえ、あとで判明したのですが、私の代わりに温泉出張に行きたい社員がでっち上げた嘘だったと……」

 

何というかあいつら、悪の組織だよな。いや、会社だから良いのか?

 

「ミナト、突っ込んだら負けだと思うぞ」

 

「まぁ私達の方もね……」

 

「何というか変に楽しんでたりしてたよね」

 

陽斗、ポニィ、ツクシの三人が溜息をつくのであった。何だ?何があったんだ?

 

「俺達のところは……」

 

「ちゃんとしてた気がするよ……」

 

クロト、ナタラのところは悪事らしいことをしていたみたいだな。いやまず悪事とかするなって話だよな。

 

それからみんなで足湯に入ることになったのだが、一羽の烏が不気味な鳴き声を出しながら飛んでいき、それにビビるえみる。

 

「な、何だか気味悪いのです」

 

「言われてみれば妖怪でも出てきそうな…」

 

「妖怪!?」

 

はなの一言にほまれも狼狽えだした。妖怪って……

 

「なぁ、陽斗。妖怪って?」

 

「ん?まぁ簡単に言えば……色んな力を持った怪物みたいなものか?」

 

「危険種と一緒か」

 

「それだったら倒しちゃえば良いね」

 

「倒して良いのかな?」

 

「それ以前に本当に実在するものかどうか……」

 

「な、何というか……お前らもミナトと同じ反応するよな」

 

クロトたちの言葉を聞き、苦笑いを浮かべるタツミ。すると俺達のところに赤い傘もった何かが現れた。一瞬その妖怪だと思い、俺はレガオンを抜くが、えみる、はなに思いっきり抱きつかれ身動きが取れなかった。

 

「というかさあや、何で嬉しそうにしてるんだよ」

 

「だって妖怪って何だか会ってみたくって……」

 

というさあやだけど、俺達の所に現れたのはどうや温泉宿の従業員だった。

 

 

 

 

 

 

 

部屋に案内してもらい、ようやく落ち着けると思うとどうにもこの温泉宿には天狗の言い伝えがあるらしい。

 

「天狗ね……まぁペガサスや人魚がいるから……」

 

「折角だから捕まえに行く?」

 

ツクシ、ポニィは捕獲しに行こうとするし、

 

「妖怪か。危険種とどっちが強いだろうな……おい、ナタラ、倒しに行くぞ」

 

「いや、そういう目的で来たんじゃないんだから……」

 

ナタラは妖怪を倒しに行こうとするクロトを止めていた。

 

「ねぇ、ミナトお兄ちゃん」

 

「何だ?ことり」

 

「お兄ちゃんの友達って変だね」

 

「頼むから言わないでくれ……」

 

「ミナト、大丈夫。ミナトの気持ち、よく分かるから……」

 

陽斗も疲れた顔をしているのであった。



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第82話 温泉と夏の思い出

温泉宿でそれぞれ楽しむ中。温泉に入ると何故か知らないが……

 

「何でお前がここにいるんだよ!トラウム!」

 

「やぁナイトイェーガーズ。こんな所で会うとはね」

 

「ミナト、敵か?」

 

「だとしたら容赦は……」

 

「まずいぞ。武器を部屋に置きっぱなしだ」

 

武器もなくここで猛オシマイダーを呼び出されたら、まずいことになる。どうすればいいんだ?

 

「ふふ、ここで戦うつもりみたいだけど、今は戦うつもりはないよ」

 

トラウムは温泉に浸かりながらそんな事を言う。信用してもいいのか?

 

「何せ君たちと戦うトゲパワワがないからね。それに彼女たちも自由に動いてるから、できれば合流してからが良いからね」

 

トラウム……まさかと思うけどただ単に温泉を楽しみたいとかそういう訳じゃ……

 

「どうする?ミナト」

 

「とりあえず今のところは戦う気はないってことでいいみたいだな」

 

「いいのか?敵だぞ」

 

「まぁ、争う気がないし……」

 

「とりあえず僕もミナトの決定に従うよ」

 

「そうしよう」

 

とりあえず今は放っておくことにしようとなったけど、ちょっと気になるのはラバが話に入ってこない。あたりを見渡すと男湯と女湯を仕切ってる柵に何かをしていた。

 

「おい、何してるんだ?」

 

「決まってるだろ。ミナト……温泉といえば……覗きだろ」

 

サムズ・アップしながら笑顔でそういうラバ。いや温泉といえばって……

 

「覗きって」

 

「やめといたほうが……」

 

「姐さんに殴られて終わりだろ……」

 

陽斗、ナタラ、タツミの三人がそう言うが、ラバはため息を付いた。

 

「姐さんは今、酔っ払って眠ってる。ならば今がチャンスとしか言いようがない」

 

「ほう、面白いなお前、付き合うぜ」

 

クロトまで覗きに参加しようとするし……さてどうしたものか……

 

「あはははは、若いって良いね~」

 

トラウムも楽しんでるし……とりあえずほうっておく……

 

「ラバ、クロト、覗きをするということはえみるの裸を見るということだよな。悪いけどやらせると思ってるのか?」

 

「ふっ、止める気か?」

 

「おもしれぇ。帝具なしでどこまでできるか試してやろうじゃねぇか!!」

 

「ぶっ倒す!!」

 

「と、止めなくて良いのか?」

 

「放っておこう」

 

「まぁ宿を壊そうとしなければいいよ」

 

それから俺はクロトとラバの二人を相手に殴り合うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい湯だったのです。ミナトさんたちの方は……どうしてんですか!?その怪我!?」

 

「ちょっと転んだ」

 

とりあえずギリギリだけど勝利を掴み取ったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

温泉も堪能?したことでみんなで食事をとるがどうにも広い場所に連れてこられたな。従業員の話だと近くに大型のホテルができて、そこに客が取られてるらしい。

落ち込む従業員だけど、はなは写真を取り、いい写真が取れると言ってくれていた。

 

みんなが楽しんでいく中、えみるはある事を言うのであった。

 

「こんな楽しい夏休み、初めてなのです。いつも一人だったから……」

 

「えみる、いつも一人って言うけど、今回は違うだろ」

 

「はい、ミナトさん、今まで楽しい夏休みでした。ただ夏休みが終わるの、さみしいのです」

 

楽しい時間はあっという間だからな。ずっと続いてほしいと思えてしまうけど……

 

「えみる、夏休みは終わるけど、これからもっと楽しい思い出を作っていくんだろ」

 

「そうなのでした。ミナトさんと一緒に……ですね」

 

さっきまで寂しそうにしていたのに元気になってよかった。それからえみるとルールーの二人でライブを始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

歌が終わると聞き覚えのある声が聞こえてきた

 

「アンコール、アンコール」

 

「アンコール……って!?」

 

『あぁ~~~!』

 

いつの間にか混ざっていたトラウムにはなたちが驚く。とはいえ、ことりは……

 

「えっ?誰?」

 

「忘れてたよ……」

 

「忘れるなんてひどいな~まぁいいか。今週のビックリドンドンメカ!!ピコっとね!!発注!!猛オシマイダー!!」

 

天狗の姿をした猛オシマイダーが現れ、俺達は咄嗟に帝具を発動させようとするが、陽斗とナタラの二人が迷っていた。

 

「待って、ことりちゃんが!?」

 

「どうするんだ?」

 

「仕方ないだろ。ここは俺達が時間を稼ぐ!!」

 

「そうはさせないよ!!少しだけど分断させてもらうよ」

 

トラウムがそういった瞬間、ナタラ、クロト、陽斗、ツクシ、ポニィが何かに連れさらわれていくのだった。今のって……

 

「追うか?」

 

「いや、あいつらなら大丈夫だろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロトSIDE

 

「たくっ、分断か。誰が相手でも構わないがな」

 

「そうだね。ここで倒してしまえば、ミナトたちの助けにもなる」

 

「倒す?さぁてそんな事できるかな」

 

俺達の前に現れたのは少女を見て、俺はどうにも見覚えがあった。

 

「お前、どこかで見たな……」

 

「貴方と会うのは初めてだけど、どこかで会ったかな?」

 

「クロト、この人……彼女だ!?」

 

「誰だよ?あぁ思い出した、カノンの奴にそっくりだな」

 

「カノン?あぁ、なるほどね。私のオリジナルを知ってるのね。私はリアン。オリジナルとと戦ったのはあなた達ね」

 

「そうだと言ったら?」

 

「オリジナルがどう倒されたのか確かめてあげる。皇具!機戎剣神レグルト!!」

 

両腕に巨大な剣が装着され、刃の部分はのこぎりみたいな回転していた。

 

「かかってこいよ!!オウガデーモン!!」

 

俺は黒い鎧を身にまとい、金棒で殴りかかる。リアンはそれを受け止める

 

「悪いけどその武器を破壊する!!」

 

「ギュインギュインうるさいんだよ!!」

 

リアンの剣を弾くが、金棒に傷がついていた。

 

「悪いけど、私の皇具と貴方の持つ皇具は相性が悪いみたいね。鎧ごとその身を切り刻んであげる」

 

「クロト……」

 

「おもしれぇ!!やれるもんならやってみろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽斗SIDE

 

無数の虫に囲まれた僕たちの前には一人の女性が立っていた

 

「どうにも見覚えがあると思ったら、アカメと同じ部隊にいた子ね」

 

「メラルド・オールベルグ」

 

「アカメちゃんがやっとの思いで倒した暗殺者の……」

 

「ようするにポニィとツクシにとって因縁の相手ってことか?」

 

「ふふ、あなた達、二人はあとでかわいがってあげる。そっちの彼は……殺すわ」

 

無数の虫が迫り来る中、僕は赤い石を腕輪にはめ込み、襲いかかる虫を焼き払った。

 

「虫は焼いたほうがいいな」

 

「それだったらこれならどう?」

 

メラルドが何体かの虫を僕たちの近くに設置した。

 

「まずい!?ふたりとも避けて!?」

 

ポニィの言葉を聞いた瞬間、僕は咄嗟に石を変えた瞬間、物凄い爆発が起きた。

 

「爆発する虫……これでやられるなら……」

 

「やられるわけないだろ!」

 

僕は煙の中を突っ切り、メラルドの頬を槍でかすめた。

 

「衣装と武器が変わった。腕輪にはめ込む石によって戦闘スタイルを変えるのね」

 

「悪いけどこっちは物凄い人たちに教え込まれてるんだ。負けたりしたら怒られる!!」

 

「ふっ、楽しませてもらうわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

天狗の猛オシマイダーと立ち向かう俺達。だけど攻撃を食らわせようとしても吹き飛ばされてしまい、苦戦していた。

 

「タツミ、まだ行けるか?」

 

「当たり前だ」

 

「でもどうするのさ?糸で縛る前に吹き飛ばされちまうし……」

 

「どうにも隙があればいいんだけどね……ミナト、合わせられる?」

 

「姐さん……任せてくれ」

 

「君たちはまだ諦めてないけど、彼女たちはどうかな?もう諦めてるよ。諦めるなら、折角だから永遠の夏休みを楽しんだらどうだい?時間が止まれば永遠に楽しい時間は続くよ」

 

トラウムはキュアエール達に向かってそう告げる。確かに永遠に続くのもいいけど……

 

「悪いけどそんなのは楽しくないな。時が過ぎればまた新しい楽しさが続く。そうだろ、マシェリ」

 

「そうなのです。続くのです。ずっと……キュアスタにはたくさんの想い出があるのです!」

 

「想い出こそが永遠。写真は楽しい時間を一瞬一瞬切り取ったもの!」

 

「そうなのです! 写真を見るたびにみんなとの楽しい夏休みを思いだすことでしょう。どんなに時が過ぎても、想い出は心のなかにあるのです。永遠に!」

 

「それはおまえさんらがいるからでしょ。おまえさんらがいなくなれば、思い出も何も消えちゃうでしょ。温泉宿ごと吹き飛んじゃね!!」

 

猛オシマイダーがうちわを振りかぶった瞬間、マシェリが守ろうと駆け出そうとした。俺はマシェリを守ろうとした瞬間、何かの気配を感じとった。

 

「何だ?この気配?」

 

立ち止まった瞬間、どこからともなく猛烈な風が起こり、猛オシマイダーを吹き飛ばした。

 

「これなら!!姐さん!」

 

「任せろ!」

 

姐さんは吹き飛んできた猛オシマイダーの着地地点に行き、地面に落ちる瞬間に思いっきり殴り飛ばした。そして殴り飛ばした先に待っていた俺は

 

「葬る!!」

 

桐一文字で猛オシマイダーの羽を切り落とした。

 

「今だ!マシェリ!アムール!」

 

「心のトゲトゲ」

 

「ズッキュン打ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!!」」

 

二人の浄化技で猛オシマイダーを撃退することができた。それにしてもさっきの気配は……まさかな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いも終わり、後は帰るだけだったのだが、俺はクロトからある話を聞かされた。

 

「リアンがクロトとナタラが戦った相手に似てる?」

 

「あぁ、あの顔、間違いねぇ」

 

「君が言っていたフォルシュという男もハイトと同じ顔だったんだろ」

 

「クローンとからしいけど……」

 

「だとしたら……もうひとりの奴は……」

 

陽斗も何か思い当たることがあるみたいだった。フォルシュはハイトのクローン、リアンはカノンと言うやつのクローンということは、前にドロテアが言っていたリュウトのクローンは……ブリッツということになる。

 

「どうにも厄介だな」

 

「ミナト、何かあったら僕らも手を貸すからいつでも頼ってくれ」

 

「あぁ」

 

 



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第83話 はなの過去と思い

夏休みも終わり、はなたちも学校が始まった。そんなある日のこと、はなたちと帰る途中……

 

「見て、見て、ここ私も写ってる~」

 

はなはキュアスタに写されたある記事の写真を俺達に見せた。これってこの間の温泉での……

 

「もしかして誰かがはなちゃんの魅力に気づいて、スカウトが来ちゃうかも~」

 

はなは嬉しそうに話していると、そこに一人の女の子が声をかけてきた。

 

「野乃……のの……」

 

「えっ?」

 

はなはその子を見て驚きを隠せないでいた。その子は直ぐ様どこかへ逃げ出してしまい、はなも暗い顔をしていた。

 

「知り合い?」

 

「あ、うん、前の学校のね……」

 

前の学校……ということはあの事に関係している子なのか?はなは誤魔化すが、ハリーハウスに行く道を間違えたり、様子がおかしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてハリーハウスでも料理を焦がしたりしていた。さあやもほまれもルールーもえみるも気にしていた。

 

「はなの様子がおかしいです……」

 

「えりちゃん……あの人は……」

 

みんながはなの事を気にする中、俺はチェルシーにはなの事を話した。

 

「なるほどね……ミナトはずっと前から知ってたんだ」

 

「まぁ聞かされていたからな」

 

「それでどうしたいの?」

 

「それがわからないんだ……今回の件ははなが乗り越えるべきことだしな……」

 

「力を貸さないっていうことかな?」

 

今回ばかりはどう力を貸せば良いのかわからない。というかこういうのは本当に慣れてない

 

「はぁ、仕方ないよね。人の心を傷つけるような奴らがいたら、私達は暗殺してきたしね」

 

「だよな……」

 

「とりあえず様子を見るしかないんじゃない?」

 

「そうだな」

 

俺ができることは……あるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

ジェロスが失敗続きの部下、タクミとジンジンをジョージにクビにしてほしいと頼み込む中、研究室では……

 

「改修完了だ。フォルシュ」

 

「ありがとうございます。ハイト様」

 

「今のお前なら暴龍騎を完全に使いこなせるはずだ」

 

「はい、そしてミナトを抹殺すれば良いのですね」

 

「頼むぞ。フォルシュ」

 

「分かりました」

 

フォルシュが姿を消すと同時にドロテアが研究室に入ってきた。

 

「ついに完成したのだな。ヤツの皇具が」

 

「あぁ…」

 

「そして残すところはお前の皇具だけじゃな。ハイト」

 

「リュウト、カノンが残したものは?」

 

「既に発見しておる。闇の力を2つ」

 

「ならば作り始めようか。デウスマストの力とノワールの力……そして」

 

ハイトは試験管を一つ取り出し、ドロテアに見せた。

 

「トゲパワワか……」

 

「3つの闇を合わせ、至高の帝具を超えうる究極の皇具がついに……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

散歩がてら歩いているとさあやとほまれの二人とばったり会った。そういえば二人共、ダンススクールに行くとか言ってたな

 

「ミナトさん、どうしたんですか?」

 

「珍しいじゃん。あんたがこんな所にいるなんて」

 

「ちょっとした散歩だよ」

 

「……あのミナトさん、お聞きしたいことがあるんです」

 

「何だ?さあや」

 

「はなのこと、なにか聞いてますか?」

 

やっぱりその話か。二人なら話してもいいかもしれないな

 

「俺もすみれさんに聞いた話だけど、実は……」

 

「ん?あれって……」

 

俺が話しだそうとした時、ほまれがなにかに気がついた。僕とさあやが振り向くとそこには、はなの昔の……

 

その子は俺達を見て、直ぐ様逃げ出そうとするがさあやが手を掴んだ。

 

「待って、話聞かせてほしいの」

 

「話聞いてくれるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くのカフェで俺達ははなの友達……えりと話をすることになった。

 

「私……ひどいことしちゃったから……」

 

えりは語った。チアダンス部でセンターで踊ることになったえりを、他の人たちは認めず、いじめていた。

だけどそんな時、はなが止めに入った。

 

『やめて、こんなのかっこ悪いよ』

 

「ののたんは私を助けてくれた。でも……そうしたら……」

 

止めに入ったはなをいじめ始めたって言うことか。何というか改めて話を聞くと胸糞悪いな。

 

「そのままののたんは転校して……いつも助けてくれたのに……私は、自分のことが大切でののたんを守れなかった」

 

えりは涙を流していた。さあやもほまれもどうしたら良いのか分からないでいる中、俺は……

 

「お前は何しに来たんだ?」

 

「えっ?えっと……謝りに……」

 

「そっか……それだったらしっかり謝ってやるんだ」

 

「で、でも許してもらえるか……」

 

「許すも何もあいつは……いや俺が言うべきじゃないな。でもえり、お前ははながいじめられた時やるべきことがあったはずだ」

 

「ちょと、ミナトさん」

 

「あのさ、あんたはそういう経験がないけど……」

 

「二人共、悪いけど黙ってろ。いじめられたはなを助けることは他にだってあるはずだった」

 

「他に……」

 

「誰かに相談してやるんだよ。はなを助けてって……」

 

「……相談する……」

 

「断られても、断られても……きっと誰かが手を差し伸べてくれたはずだ。まず俺がそうしていた」

 

「……はい」

 

えりは泣きながら頷いた。にしても程度は低いけど人を平気で傷つけるやつはどんな世界にもいるんだな

 

「俺がいたらぶん殴ってたのに……」

 

「ミナトさん、それは……」

 

「殴るのは駄目だと思うよ」

 

「いやいや、俺だけじゃないぞ。セリューだって殴ってたかもしれないし……」

 

それからえりは今度チアダンス部でやるステージを見に来てほしいとはなに頼んでほしいと頼んできた。

これがきっかけにはなも一歩進めれば良いのだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリーハウスに戻り、俺達ははなにえりとの話をし、ステージを見に来てほしいの話もした。

 

「えりちゃんが……」

 

「はなに謝りたいんだって……でも無理して会わなくてもいいと思う」

 

「その前にちょっとまってもらっていいかな?」

 

「えっ?」

 

「昨日誤魔化してごめん。やっぱかっこ悪いなって思ってたから…」

 

はなは過去のことを明かさなかったことに対して、引け目を感じていた。

 

「かっこ悪くなんてない!はながやった事、絶対間違ってない。すごくイケてる事だよ!」

 

「かっこ悪いのは誰かの心を傷つける人達!」

 

「……ありがとう。わたし、ずっとエリちゃんに嫌われちゃったんじゃないかと思ってたんだ。わたしがした事、お節介だったんじゃないかって…だから顔合わせると言葉が出なくなっちゃって…」

 

「そんな事ないと思うぞ。それだったら謝りたいって気持ちは出てこないだろ」

 

「ミナトくん……」

 

「勇気を出してもう一度エリちゃんの心に触れたとしても、うまくいくかどうかはわからない。けど、はなにはわたし達がいる!」

 

「だってわたし達、はなの事大好きだからさ」

 

そしてえみるとルールーも駆けつけて、はなを応援するために歌を送り始めた。

はなは涙を流しながらも、笑顔で……

 

「ありがとう、みんな……わたし、みんなに会えてよかった!」



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第84話 動き出す時、メモリアルキュアクロック

チアダンスの発表会の日、はなは緊張していた。

 

「よしまずチアの舞台を見て、終わったら挨拶に行く心の準備をして…えりちゃん久しぶり……よし、よし」

 

やっぱり会うのは緊張するよな。でも俺達がいるからか、はなは落ち着いているみたいだな。

 

「それじゃ……」

 

はなが会場に入ろうとした時、シャインヒル学園のメーク担当が来れなくなったという会話が聞こえてきた。

 

「トラブル?」

 

「……ルール、ミライクリスタル貸して!」

 

「は、はい、いいですけど」

 

はなはミライパットにミライクリスタルをはめ込み、お仕事スイッチでメークの格好に変わった。

 

「なるほどな。はな、しっかり頑張ってこい」

 

「うん」

 

「それじゃ私も手伝うかな?」

 

一緒についてきたチェルシーもはなたちを手伝うために、一緒に行くのであった。

 

「あっちはチェルシーに任せるとして……」

 

俺はレガオンを抜き、林の方に向かって叫んだ。

 

「出てこいよ!!」

 

「殺気を感じたみたいだが……分かっているな」

 

「あぁ、わざとらしく殺気を出しやがって……どういうつもりだ?フォルシュ」

 

姿を表したフォルシュはレギオンを抜き、構えた。

 

「決まっている。お前を殺す!!」

 

「悪いけど殺されるのはお前の方だ!!レガオン!!」

 

「全てを破壊しつくせ!!レギオン!!」

 

互いに大剣に形を変え、ぶつかりあった。フォルシュが大剣から斧に形を変えると俺も合わせるように斧にかえ、お互い武器の形状を変更し続けながら、ぶつかり合っていくとステージの方にたどり着き、そこには2つの顔に四本腕の怪物とキュアエールたちがいた。

 

「よぉ、何してるんだ?」

 

「ミナトくん!?実はえりちゃんに会えたんだけど……」

 

どうやら助けることができたけど、突然時が止まってしまったみたいで、その原因がジェロスの部下二人が使っていた装置だったらしいが、装置の暴走で二人はあんな化物に変わったみたいだった。

 

「苦しい、助けて…ジェロスさん、俺達仲間じゃ…」

 

怪物はジェロスに助けを求めるが、ジェロスは冷たい声で……

 

「失敗続きのあなた達なんだから、最後くらい役に立ってみなさい」

 

「どうして仲間じゃないの!?」

 

「えぇ、仲間。私達は仲間よ。だからこそ言ったじゃない。最後くらいわたしの役に立ちなさい!」

 

帝国の悪人たちにも負けないくらいのクズっぷりだな。

 

「余所見をするな!!」

 

殴りかかってくるフォルシュ。俺は防御し、フォルシュの脇腹を思いっきり蹴り飛ばした。

 

「キュアエール!そっちは任せたぞ!」

 

「うん」

 

キュアエールたちが苦しむ怪物を必死に抑え込んでいった。

 

「仲間ってそういうものじゃないでしょ!」

 

「友達ってそうじゃない!」

 

「みんなと一緒だから!」

 

「強くなれる!」

 

「私は今日前に進めたんだから!これが私達の今!」

 

キュアエールがそう叫んだ瞬間、空からまばゆい光を放つミライクリスタルが降ってきた。

 

「新しいミライクリスタル!!」

 

「ちあふる」

 

「ミライクリスタル・チアフル!私達のメモリー!」

 

ミライクリスタル・チアフルがミライパットにはめ込まれ、形を変えていく。

 

「本当の仲間とは何かと教えてくれたこと」

 

「限界なんてないってことを教えてくれたこと」

 

「ありのままの私を見てくれること」

 

「自分でも気づかなかった自分を教えてくれたこと」

 

みんなの思い出……ここまで進んできた時間で成長してきたことを告げていった。

そしてミライパットから時計型のアイテム・メモリアルキュアクロックからまばゆい光が放たれ、それぞれが神秘的な衣装を身にまとった。そしてはぐたんも似たような衣装に変わっていた。

 

「「「「「プリキュア・チアフルスタイル!!」」」」」

 

「な、なによコレ!!」

 

驚きを隠せないでいるジェロス。そしてフォルシュもまたあの輝きにひるんでいた。

 

「なんだこれは……」

 

「プリキュアの……想いの力だよ!!狂龍騎!!」

 

狂龍騎に変わり、俺はフォルシュを思いっきり吹き飛ばした。そして……

 

「「「「「メモリアルパワー!フルチャージ!」」」」」

 

5人のパワーをメモリアルキュアクロックに集まっていき、

 

「「「「「プリキュア!チアフル・アタック!」」」」」

 

6色の5つ葉のクローバーの光が怪物を包み込み、浄化していった。

 

「あっちは終わったみたいだな」

 

「何を安心してやがる!」

 

吹き飛ばされたフォルシュ。傷はみるみるうちに治っていっていた。

 

「時間操作で傷を治すか……だけどレギオンを破壊すれば……」

 

「レギオンを破壊か……やれるものならやってみろ!!起動!暴龍騎!!」

 

フォルシュがそう叫ぶと同時に、レギオンの形が変わり禍々しい龍を思わせるように鎧を身にまとっていた。

 

「お前の全てを破壊してやる!!」

 

「行くぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 



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第85話 愛を受け取り、愛を育む。愛龍騎誕生!

フォルシュの持つ皇具レギオンの奥の手だと思われる暴龍騎。フォルシュは一瞬の内に俺のそばに近寄り、連続でパンチを繰り出していった。

俺は防いでいくが鎧にヒビが入っていく。

 

「ぐうう」

 

「暴龍騎の前では全てが破壊されるんだ!!」

 

「負けるか!!」

 

俺は蹴りを放つが、フォルシュも蹴りを放つ、俺の蹴りが弾かれた。

 

「くそ!?」

 

「まずはお前の帝具から破壊してやる!!」

 

フォルシュは右腕を鋭い棘に形を変え、俺の体を貫いた。

 

「がはっ!?」

 

鎧のヒビが広がっていく。更にフォルシュは俺の首を掴み、口を大きく広げた。

 

「次はお前の肉体を!!カアアアアアアアアアアアア!!」

 

フォルシュから放たれた熱線を喰らい、狂龍騎が解除され、俺は地面に倒れた。

 

「全てを破壊し、全てを無に返す!!もうお前に勝ち目はない!!」

 

フォルシュは更に熱線を放とうとした瞬間、横からキュアエールたちが蹴りを放ち、吹き飛ばしてきた。

 

「大丈夫?ミナトくん!」

 

「あぁ、何とか……」

 

「今度は私達も一緒に…」

 

キュアマシェリがそう言うと、フォルシュは立ち上がり笑い声を上げていた。

 

「はははははははは、仲間と一緒じゃないと戦えないのか!!無様だな!!」

 

「無様か……そうかもしれないな……だけどお前にはわからない」

 

俺は立ち上がり、そばにいるキュアマシェリを抱き寄せた。

 

「仲間が……大好きなやつがいるからこそ力が溢れてくるんだよ!!それにみんなとならどんな強敵にも負けない!!」

 

「そうです!みんなと一緒だからこそ私達は戦えるんです!!」

 

マシェリがそう叫んだ瞬間、キュアマシェリ、キュアアムール、キュアエール、三人のミライクリスタルからまばゆい光が現れ、光が一つに合わさると白い光の球が現れ、レガオンに宿り始めた。

 

「これは……そうか……愛を受け取り…愛を育むことか。マシェリ」

 

「えっ?」

 

「あの二人みたいに……」

 

「こんなときにですか!?」

 

「あの二人、そうやって来たみたいだし……」

 

「で、でも……あーもう、分かりましたのです!!」

 

マシェリは顔を赤らめながら、俺にキスをした。その瞬間、レガオンがまばゆい光を放ち、俺の体に真っ白な龍の鎧が身にまとった。

 

「愛を受け取り、愛を育む!!」

 

「姿が変わろうとも!!」

 

フォルシュがパンチを繰り出していくが、俺は受け止めた。

 

「愛を受け取ることで愛を知り!!」

 

フォルシュのお腹に思いっきりパンチを喰らわせ、更に追撃に踵落としを喰らわしていく。

 

「愛を知り、愛するものと愛を育む!!」

 

更に回し蹴り、顎にアッパーを喰らわせ、しっぽでフォルシュを思いっきり叩きつけた。

 

「愛を知るからこそ、大きな愛に育んでいく!!これがレガオンが残してくれた真の奥の手!!言うなれば!!愛龍騎だ!!」

 

「何が愛だ!!そんなもの破壊して……」

 

「どんなに壊されても愛はまた育んでいくことで、何度でも蘇っていく!!」

 

フォルシュの腕を掴み、思いっきり投げ飛ばし、俺は口を大きく開けた。

 

「全てを浄化する!!ハアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

白い熱線がフォルシュを包み込んでいく。これが愛龍騎の力か……

 

熱線を食らったフォルシュはボロボロになりながらも、傷を治していく。

 

「かはっ、がはっ……レギオンの力が……」

 

レギオンも攻撃に耐えきれず、ヒビが入っていく。更に追撃をすればと思った瞬間、突然黒い穴が開きそこにはハイトが姿を表した。

 

「お前の負けだな。フォルシュ」

 

「まだ……まだです」

 

「いいや、今回はここで退け。そうすればお前はもっと強くなれる。ミナト・ユウ………次にフォルシュと戦うときが決着のときだ」

 

フォルシュを連れて、ハイトは姿を消すのであった。俺も愛龍騎を解除すると倒れそうになったが、マシェリが支えてくれた。

 

「お疲れ様なのです。ミナトさん」

 

「ありがとう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社 研究室

 

「フォルシュは手ひどくやられたみたいじゃな」

 

「愛龍騎の力は凄まじいものだったが……コレをきっかけにレギオンの真の力が目覚めるだろう」

 

「奥の手?どういうことじゃ?暴龍騎が奥の手じゃなかったのか?」

 

「いいや、違う。真の力は憎悪……憎悪が増せば増すほどに全てが解放されていく。フォルシュが完全に回復した頃には……」

 

「恐ろしい力じゃな」

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いも終わり、はなとえりも無事に和解できたみたいだった。そして今回、手にしたミライクリスタル・チアフル。あれは絆のミライクリスタルらしい。これまでみんなが築いてきたものの結晶だな

 

「それにしても~ミナトもパワーアップできたみたいだね。愛の力で」

 

「あぁ……ただ」

 

俺はえみるの方を見ると、えみるは未だに顔を赤らめていた。そりゃ戦いの最中にキスしたりしたからな。

 

「ミナト、これから愛龍騎の起動はえみるとキスをしないといけないのですか?」

 

「まぁ一番愛を育んでいってるのがえみるとだから……」

 

「なんかこう別な方法とかないの?ミナトくん」

 

って言っても、愛龍騎自体知られていないものだしな……レガオンたちに聞こうにも会うのは無理だし……

 

「えみる、嫌だったら俺は別に……」

 

「い、いえ、私が嫌がってるせいでミナトさんがひどい目にあうのは嫌です。それでしたら私、がんばります」

 

えみるはそうは言ってくれるけど、本当に大丈夫か?



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第86話 おとぎ話の一同

今回の話は、プリキュア本編の話的に中組と外組に別れます。今回は外組メインとなります。

そのためか声優ネタとか色々と多かったり……


ほまれがスケートの大会で優勝したので、みんなでお祝いのパーティーをしていた。

 

『優勝おめでとー!』

 

はなたちがクラッカーを鳴らし、ほまれは嬉しそうにしていた。

 

「みんな、ありがとう」

 

「ほまれさんの演技、感動したのです。情熱的で切なくって……」

 

「輝木選手、ずばり好調のきっかけは?」

 

はながリポーターみたいにほまれに聞き、ほまれは目線をある方に向けた。

ほまれの目線の先は……あぁなるほどな。

 

「ほまれもよくとまぁ好きになったわね」

 

「言ってやるなよ。ネズミだからとか……」

 

マインの呟きに俺はツッコミを入れるのであった。

 

「ハリハム・ハリー特製。お祝いと頑張れシャーベットや」

 

「あ、ありがとう。すっぱい、でもおいしい」

 

「せやろ~体動かしたときは酸っぱいもんに限る」

 

ほまれとハリーのやり取りを見て、はなはなにか違和感に気がついたような顔をしていた。というか、はな以外気づいてるんだな。

 

「本当にあの二人はいい加減くっつかないものかしらね~」

 

ほまれとハリーの二人を見て、チェルシーは呆れ、サヨも苦笑いをしていた。

 

「まぁいざっていうときは無理なものだから……そうですよね。マインさん」

 

「ん、まぁ、そうだけど……」

 

「マインはタツミにどんな告白をしたのかしらね~」

 

チェルシーはマインを誂い、何というか本当に平穏だなと俺は思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな次の日、学校で警備の仕事をしていると桐一文字がトゲパワワを感知し、はなたち、俺、サヨ、チェルシー、セリュー、マインで街の方へと向かうとそこには猛オシマイダーとビシン、そしてドロテアの姿があった。

 

「待ってたよ。ハリー」

 

「ビシン!?」

 

「みんな、行くよ!」

 

はなたちはプリキュアに変身し、チェルシーはハリーとはぐたんを守るようにし、俺達は帝具を取り出した。

 

「ハイトから聞いているぞ。愛龍騎……その力を見せてもらおうか!!」

 

「速攻で終わらせてやるよ!マシェリ!」

 

俺がマシェリに声を掛けるが、マシェリは言うと顔を真っ赤にさせていた。

 

「……あのマシェリさん?」

 

「あの、できれば……最初からは……その」

 

やっぱり恥ずかしくって出来そうにないか……無理にやらせるのも悪いしな……

 

「なんじゃ、見せてはくれんのか……ならば!!この皇具の力を見せてやろう」

 

ドロテアが黒いマントを取り出し、それを羽織った瞬間、幼い姿だったドロテアが長身の女性に変わり、黒いマントがコウモリのような翼に変わった。

 

「皇具『血鬼羽衣ヴァンデ』お前たちを絞りカスにしてやる」

 

「できるものならやってみろ!」

 

「そっちは勝手にやってよ。僕の狙いはハリー、君一人だ」

 

ビシンはゴーグルみたいなものを取り出し、トゲパワワを注ぎ込んだ瞬間、猛オシマイダーが形を変え、ハリー、キュアエトワール、チェルシーの三人を取り込んだ。

 

「ちっ、余計なものが入ったか」

 

ビシンは猛オシマイダーの中に入り込み、残った俺達は……

 

「ビシンめ。勝手なことを……」

 

「どうするんだ?お前も入ったらどうだ?」

 

「そうしたいのは山々だけど、お守りも面倒じゃな。あぁそれとうかつにオシマイダーを刺激しないほうが良いぞ。今の状態は中に入った人間の心に大きく影響しているからな。下手をすれば心が壊れるかもしれん」

 

「じっと待ってろか……まぁそんなことできるわけないよな」

 

俺はキュアエールたちの方を見た。キュアエールたちは猛オシマイダーの体を叩き続けていた。

 

すると叩かれた猛オシマイダーがビームを発射してきた。俺とドロテアは避けるが、全員が命中すると何だかお伽話みたいな格好をしていた。

 

「これは赤ずきん?」

 

「ふしぎの国のアリス?」

 

「シンデレラ?」

 

「ゴホッ、ゴホッ、めちょっくなのじゃ~」

 

何でキュアエールだけおじいさんなんだよ………さてマインたちは……

 

「な、何この衣装……」

 

セリューは黒い衣装に頭には小さなバラのカチューシャをつけた姿に変わり、

 

「な、何なのこの格好?」

 

サヨは緑と白の衣装、帝具であるアッキヌフォートが飛行機の模型みたいなものに変わっていた。

 

「何で私達だけお伽話の格好じゃないのよ!!」

 

マインはというと白い魔法少女みたいな衣装に、パンプキンが金色の杖に変わった。

 

「とりあえず服装だけが変わっただけだから大丈夫そうだな。ドロテア、仕切り直しだ」

 

「ちょっと待ちなさい」

 

仕切り直そうと思ったらマインに肩を掴まれた。何で邪魔するんだ?

 

「あんただけ変わってないのはおかしくない?」

 

「いや、ぎりぎり避けたし……」

 

「ちょっとオシマイダー!!さっきのビームをこいつに浴びせなさい!」

 

いや、何でだよ!?猛オシマイダーも思いっきり困ってるし……

 

「早くしないと……撃ち抜くわよ」

 

パンプキン……もとい杖を構えながらそう言うマイン。猛オシマイダー困り果てた結果、俺に向かってビームを放つのであった。

俺は避けようと思ったが、マインから避けたら殺すという殺気を感じ、避けずにビームを喰らった。

そして俺は何故かしましまの猫のきぐるみを着ていた。

 

「何だこれ?」

 

「チシャ猫なのです」

 

「何でミナトさんだけきぐるみなの?」

 

「まぁ面白いからOKね。ほら、仕切り直していいわよ」

 

マインは笑いをこらえてるけど、この格好で戦えと?

 

「ふむ、呆れて戦う気が失せるところじゃが……まぁ殺りやすくなってよかったかもしれんのう」

 

ドロテアが両手の爪を鋭く伸ばし、俺達に襲いかかるのであった。




うん、ミナト以外全員声優ネタです。







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第87話 人魚姫の結末

ほまれSIDE

 

「姫!姫!人魚姫!」

 

誰かの声が聞こえ、目が覚めると見知らぬ二人の女の子がいた。私、確かハリーとチェルシーを助けようとして……

 

「人魚姫って?」

 

「あなたのことよ」

 

私のこと?私は自分の体に起きている異変に気がついた。私、人魚になってる!?

 

「何?これ、どういうこと?」

 

「やっと目が覚めた?」

 

ふいに聞き覚えのある声が聞こえ、振り向くとそこには同じように人魚の姿をしたチェルシーがいた。

 

「どうにも面倒なことに巻き込まれたみたいね」

 

「どういうこと……もう色々とわけが……」

 

「ほら、人魚姫、みんなが待ってるわよ」

 

「陸に近づいたら駄目よ。人間に捕まっちゃうから」

 

人魚二人はそう言ってどこかへ行くのであった。私とチェルシーの二人も行こうとした時、海に何かが落ちてきた。

 

「あれって……人?」

 

私は急いで落ちてきた人を助けに行くとそれは王子の格好をしたハリーだった。

 

私とチェルシーの二人で近くの丘までハリーをあげた。

 

「ちょっとハリー、しっかりして」

 

「うっ……君は……誰?」

 

「えっ……」

 

「記憶喪失というよりもこの世界に適応してる感じかしらね?」

 

「適応って……」

 

「ほら、このハリーを助けに来た兵士が来たみたいよ。私達は一旦戻りましょう」

 

私はチェルシーに言われるまま、海へと戻るのであった。それにしてもこの展開……もしかして私達は絵本の世界に来てしまったの?

 

 

 

 

「どうにもこの世界は取り込んだ相手の心をこんな風にしているみたいね」

 

「だとしたらこれは私の……」

 

「あら、ほまれは悲恋物が好きなの?」

 

「そういうわけじゃなくって、スケートでなにか良いアイディアがないかと思って………それじゃ今日読んだ本がたまたま人魚姫で……」

 

「なるほどね……まぁほまれの心が大きすぎるせいか、私にはあんまり影響はないみたいね」

 

チェルシーの心……というより深層心理というものか……一体どんな物があるのか気になるけど、今はこの世界から抜け出すことを考えないと……そのためには……

 

「ハリーともう一度会わないと」

 

私とチェルシーはさっきの人魚たちにお城に行く方法を聞いた。人間になれる薬があると渡されたけど、王子の一番の存在にならないと泡になってしまうらしい

 

「チェルシーはどうするの?」

 

「私はこれがあるから大丈夫」

 

チェルシーはガイアファンデーションを使い、人の姿に戻った。何というか変身能力とか便利すぎないかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと私は浜辺に打ち上げられ、ハリーの顔が目の前にあった

 

「おい、おい、よかった。目覚めたんやな」

 

「ハリー?」

 

ハリーは私をお姫様抱っこし、お城へと連れて行くのであった。というかチェルシーはどこに行ったの?

 

お城のある部屋に連れてこられ、ハリーと色々と話してわかったけど、やっぱり記憶がない。どうにかして記憶を取り戻さないと……

 

ただ何故か黄色いドレスに着替えさせられ、ハリーと踊ることになってしまった。

 

「うまいじゃん。ダンス」

 

「王子やからな」

 

「それだったら私も……」

 

何だか急いで戻らないといけないのだけど、こういう時間もいいかもしれない。

もしかしたらどこかで見ているチェルシーに後で誂われるかもしれないけど……この時間だけは……

 

そう思った瞬間、突然扉が開かれるとブーケで顔が見えないけど一人の女の子が現れ、ハリーは彼女に近寄った。

 

「また逢えてよかった」

 

「誰?」

 

「王子の一番大切な人だよ」

 

「えっ?ビシン!?」

 

ビシンはフードかぶった魔女の姿をしていた。これって一体……

 

「人魚姫の物語の結末は知ってるでしょ。王子様には別の想い人がいました。恋に破れた人魚姫は海の泡となって消えるのでした。僕も驚いたよ。ハリーにもいたって言うこと……一番の相手がさ」

 

それがあの子だっていうの……

 

「ここはお前とハリーの心の世界……もう一人いたけど、何故か影響はないみたいだけどね……二人の気持ちが登場人物と重ならなきゃこの世界にはならない。ハリーは重なったからこそこの世界に適応しているということさ。ねぇどんな気持ち?ハリーの想い人がお前じゃないってこと……ハリーがお前なんか好きになるわけない!!さっさと泡になって消えちゃいなよ」

 

「私は……」

 

このまま泡になったほうがいいの?ハリーには想い人がいて、私じゃ……

 

「諦めちゃうんだ!!」

 

突然チェルシーの声が聞こえた瞬間、ハリーの想い人がビシンに向かって何かを投げつけた。

 

「つぅ!?これは針?」

 

ハリーの想い人の姿がみるみるうちにチェルシーに変わった。

 

「このネズミの想い人は私の心の世界に閉じ込めておいたよ。そんでもって何かあるかと思って変身してたけどやっぱりだったね」

 

「チェルシー……」

 

「それでほまれ、ここで諦めるの?」

 

「私は……」

 

「物語と同じようにならなくてもいい。全力で頑張って頑張って……結末なんて変えればいいのよ。好きって気持ちには諦めるっていうことはない。私はそう思ってる」

 

「……諦めるって気持ちはない……」

 

「まぁエスデスみたいになれとは言わないけどね」

 

「お前……邪魔を!!」

 

ビシンがチェルシーに襲いかかってきたが、私はプリキュアに変身し、ビシンが持っている道具を破壊した。

 

「私は諦めない。ただ今は……今だけはこの気持は内緒にしておくね。ハリー」

 

世界が崩れ始め、気がつくと私とチェルシーとハリーは猛オシマイダーの世界から抜け出すのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

「帰ってきたのか!おまけに元に戻ったな」

 

キュアエトワールたちが戻ってきたおかげか変身させられた俺達の姿が元に戻った。

 

「ちっ、サービスタイムは終わりということか!!」

 

ドロテアが自分の手首を切り、流れ出した血で二本の剣を作り出し、向かってくる。俺は狂龍騎になりドロテアの血の剣を折った。

 

「くっ!?」

 

「うおおおりゃ!!」

 

ドロテアの腹を思いっきりぶん殴り、ドロテアの腹に風穴が空いた。

 

「ぐううう!?」

 

「あんた容赦ないわね」

 

「いや、今のは……」

 

マインはそう言うけど、今のは手応えがなかった気が……

 

「油断してしまったな。だがこの状態の私を倒すのは難しいと思ったほうがいいぞ」

 

ドロテアの体が崩れ始め、無数のコウモリとなってどこかへ飛んでいった。

 

「完全に化物になってるわね」

 

「あれも皇具の力なの?」

 

セリューとサヨの二人がそう呟く中、戻ってきたチェルシーは……

 

「ふぅ、どうにも嫌な思い出が蘇ったみたいね」

 

「何かあったのか?」

 

「昔……私がいたチームの夢を見ていたのよ」

 

チェルシーは少し悲しそうに言うのであった。そっか、確かみんな……

 

「あっちも終わったみたいだし、帰りましょう」

 

キュアエールたちの方も終わったみたいだった。それにしてもほまれ、チェルシーは猛オシマイダーの中で何を見たんだ?聞くべきだけど聞かないほうがいいよな……

 

 

 



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第88話 スカウト

ハリーハウスにて、みんなでテレビを見ているとツインラブのことが取り上げられていた。

 

「テレビで紹介なんてすごぉ~い!」

 

「いえ、これだけで満足していたら駄目なのです。もっと頑張って色々なな人に曲を……」

 

『ツインラブ、そんなにいいですか?彼女たちの曲はアイドルなのかロックなのか。なんか中途半端ですよね』

 

「うっ……」

 

コメンテイターの言葉を聞いて落ち込むえみる。俺は立ち上がり……

 

「ちょっとこいつぶっ飛ばしてきていいか?」

 

「いや、やめたほうがいいですよ」

 

「というか何であんたが切れてるのよ?」

 

ぶっ飛ばしに行こうとするとさあやとほまれに止められた。何も感じないのか?このコメンテイターは……一回本気でぶっ飛ばしたほうがいい気がするし……

 

「気にしないでください。ミナトさん。私達の曲は……中途半端なのは……」

 

「えみる……」

 

落ち込むえみる。どうすればいいのか俺とルールーは考え込んでいると突然扉を開けてパップルが入ってきた。

 

「ツインラブに若宮アンリ密着取材のお仕事よ~ん」

 

何というかタイミングがいいのか悪いのか……えみるとルールーの二人は引受け、ミライパットでアナウンサーに姿を変えるが……

 

「めちょっく!このテンションでアナウンサーできるの?」

 

「わらって~スマイルよ~」

 

えみるは落ち込んでいた。本当にどうしたらいいものか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

「ふむ、ドロテア。調子はどうかな?」

 

「コスミナの方は大分成果が出てきておるぞ。現状飛行能力と蜂などの毒物を扱うことができるが……さらなる力を得るとすれば……賢者の石が必要じゃな」

 

「賢者の石……伝説級のものだな。それでは……」

 

ハイトは懐から一つの石を取り出した。それを見てドロテアは驚きを隠せないでいた。

 

「ほう、まさか持っているとはな」

 

「必要なものだったからな。これはもう余っていたものの一つだ」

 

「ふむ、これならばいいかもしれぬのう」

 

ドロテアは賢者の石を受け取り、実験室へと向かうのであった。ハイトは……

 

「さて完成したものの試してみないといけないな。それに愛龍騎とやらの力を直に確かめてみたいしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スケートリンク場で、はなとさあやがほまれの練習風景を実況していた。本来ならえみるとルールー、ツインラブの仕事だったのだがえみるの不調もあり、代わりに二人が代役として出たのだが……

 

「わりとしっかり仕事こなしてるんだな」

 

「ミナト、いいのか?えみるのこと元気づけなくって」

 

付き添いできていたタツミがえみるの方を見ながらそう言うけど、でも俺にできることは……

 

「俺には何も出来ない。というよりかは俺の彼女ならきっと立ち上がれると思ってる」

 

俺はえみるのことを信じているからこそ、何もしないだけ……ただ本当にそれでいいのかどうかは迷っているけど……

 

「まぁお前がそう言うならそれでいいんだろうけど……少しは力になってやれよな」

 

「分かってる」

 

俺は落ち込んでいるであろうえみるの所へ行くと、パップルがえみるに何かを言っていた。

 

「人気ものになるってこういうことがあるのよ」

 

「私はツインラブとしてもっと歌い続けたい……」

 

「………」

 

パップルが何を言っていたのかわからないけど、えみるは強くならないといけないと思うのであった。

それにルールーもまた何かに思い悩んでいた。

 

それからはなとさあやと代わりツインラブの二人がアナウンサーをするのであったが、えみるはまだ無理をしている感じがした。

 

そんな中アンリとルールーの話が聞こえてきた。

 

「人は強くならなければならないのですか?多くの人に歌を届けたい。そのためにやわらかい心にアーマーを着けて隠す。それは必要なことでしょうか?」

 

「……結局人はわかりあえないのさ」

 

「確かにそうかもしれないな」

 

「ミナト……」

 

「やぁ、君も来ていたんだね」

 

「あぁ……」

 

「ミナトは人と人と同士が分かりあえないものだと思いますか?」

 

「分かりあえたら争いなんて起こらない……俺達は言葉をかわしても分かり合うことが出来なかった」

 

あの世界での戦い……俺達ナイトレイドとイェーガーズはそれぞれの正義を持っていた。それは分かり会えるものかと思っていたけど、どこか違う感じがしていたりしていた。

 

「根っこの部分は同じなんだけどな……」

 

「……痛っ!髪が引っかかって……」

 

「じっとしてて……」

 

アンリがルールーの髪をとってあげようとした時、今回の密着取材のディレクターとカメラマンがこっちを見てなにか言っていた。

 

「スクープ!こういう刺激的なのを待ってたんだ!熱愛!若宮アンリと人気アイドル。ルールー!」

 

「なにをやっているのですか?」

 

それを聞いてえみるとえみるの兄、正人がディレクター達に詰め寄ってきた。

 

「二人はただの友人です!でっち上げはやめてください!」

 

「キミ、アンリくんのお友だち?詳しく話を聞きたいな」

 

「なっ!?」

 

「ほら彼、色々噂あるから」

 

くだらないことをしてるな……俺は注意しようとした瞬間、ディレクターとカメラマンの二人が突然水をかけられていた。水をかけた人物は……シェーレだった。

 

「す、すみません。躓いてしまって……」

 

「はははは、シェーレは相変わらずだな」

 

ブラートの兄貴はそう言いながら俺達の所に近寄ってきた。

 

「ちょっとあんたたち誰よ!!機材にかかったら……」

 

「あぁその時はちゃんと言ってやるんだな。人のプライバシーを侵害していた結果、機材が壊されたって……」

 

ブラートの兄貴は二人を睨みつけながらそう告げるのであった。

 

「な、ななな……」

 

「僕の出番はないみたいだね」

 

「二人はちゃんとマネージャーしてるのか?」

 

「というよりボディーガードかな?」

 

アンリは外の空気を吸ってくるといい、外へと出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

アンリの様子が少し気になり、俺は外へと出るとアンリの前にオールバックの男が立っていた。

 

「アンリ、誰だ?こいつ」

 

「クライアス社の者だってさ」

 

「クライアス社!?」

 

俺は直ぐ様レガオンと桐一文字を抜いた。

 

「ミナト・ユウだな。今回君たち二人をスカウトしに来ました」

 



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第89話 未来を信じる

アンリの前に現れたクライアス社のリストル。というかまだ俺のことを諦めてなかったのかよ。あの社長は……

 

「クライアス社?」

 

「明日を消し去り、時を止め、皆を安らぎに導く会社です」

 

「俺は前にも断ったはずだぞ」

 

「社長は貴方のことを諦めていない。ミナト・ユウ。君はこちら側にいるべき人間だ」

 

リストルはそう言うが、俺はえみるが作ってくれる明日を信じている。

 

「それに何で僕を?」

 

「君の心の奥に隠している気持ち、時間を止めたい思いがあるからですよ」

 

「アンリ、くだらない話を真面目に聞く必要はないぞ」

 

「………」

 

リストルはアンリの心の奥に隠している気持ちを知っているのか?人の心を利用するだけはあるな……

 

「いつでもご連絡を」

 

リストルはそう言い残して姿を消すのであった。残された俺達は……

 

「誘われるならプリキュアだと思ってたな」

 

「まだ諦めてなかったのかよ」

 

「アンリさんがプリキュアに!?」

 

気がつくとえみるが木の陰に隠れながら俺達の様子を見ていた。いつから……いや多分だけど最初からだろうな……

 

「アンリさん!ミナトさん!クライアス社の言葉に耳を傾けては駄目なのです!悩みがあるのであればこの愛崎えみるに相談するのです!」

 

「じゃあ相談。僕って何者?」

 

「えっ?」

 

アンリは俺達に語り始めた。自分が抱えるものを……

 

「いつまでも美しくありたいと思っていた。だけど時が経つにつれて、背は伸び、声だって低くなる。いろいろな噂、カテコライズ……そこに真実があればいいのに……生きづらい時代だね。みんな他人のことを気にしている。一人になれば何も気にしないですむのかな?」

 

アンリは変わっていくことを恐れていっているから、真実の自分がなんなのか分からないでいるのか……

 

「ミナト、君はどうなんだい?」

 

「俺はアンリとは違うよ。ただ……」

 

えみるは俺に幸せな明日を作ってくれるって約束してくれた。だけど俺はもう一つ気にしていることがある。

それは平和になったあっちの世界のことだ。今は平和だけどいつかまた大臣みたいな奴が現れて、平和から絶望しかない世界に変わってしまったら……

 

「俺は俺だけのことを心配してるんじゃなく、その先のことを気にしてるみたいだな」

 

「……わたしはお兄様を抱きしめてくれたアンリさんに感謝しています。みんなに期待されると心がギューとなる時があります。けど私は……誰かと一緒にいたいんです。誰かのために歌を……」

 

えみるもえみるなりに答えを見つけているみたいだな。

 

「アンリさんにも教わったことがあるのです。それは自分を愛することです。そして……」

 

えみるは俺に近寄り、ぎゅっと抱きついてきた。

 

「ミナトさん、未来を信じてください。きっと信じれば……」

 

「えみる……」

 

えみるは俺が抱えているものを聞かないでいてくれる。そうだよな未来を信じていけば……変わったとしてもきっと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日になり、アンリの演目が始まった。アンリは昨日のことを特に気にしないで続けていったが、一瞬だけど動きが変だった。

 

「今のは?」

 

「ミナト、気がついたか」

 

ブラートの兄貴も動きが変だっていうことに気がついている。だけどアンリは特に問題なく滑り続けている。

すると突然音楽が止まった。

 

「何だ?トラブルか?」

 

「機械とかのトラブルだっていうのか?」

 

「どうするの?このままじゃ……」

 

「………」

 

タツミたちが動揺する中、俺はえみるの方を見た。えみるも自分が何をするべきか分かっているみたいで、頷き、演奏を始めた。

 

「すごい!アンリ選手とツインラブのコラボ!」

 

アナウンサーのはなたちもそういい、ショーは無事に終わりを告げ……そうになかった。

 

突然会場に猛オシマイダーが現れ、アンリを捕まえてどこかへ向かっていく。

 

「はな!みんな!」

 

「うん!みんな行くよ!」

 

はなたちはプリキュアに変わり、俺達も帝具を取り出し、猛オシマイダーを追いかけていく。

 

キュアエトワールが追いつき、猛オシマイダーを吹き飛ばし、アンリを救出するが、猛オシマイダーの猛攻にキュアエールたちが吹き飛ばされていってしまった。

 

「みんな!?」

 

「よそ見をしてていいのか?」

 

突然背後から声が聞こえた瞬間、俺は何かの衝撃を受け、近くの木まで吹き飛ばされた。

そしてさっき攻撃をしてきた人物をみると巨大な大剣を手にしたハイトだった。

 

「お前が出てくるとはな……」

 

「試運転のためにな」

 

「油断してんじゃねぇぞ!!」

 

タツミがそう叫び、ブラートの兄貴と挟む形で攻撃を繰り出すが、大剣から発生したバリアに防がれた。

 

「こいつ!?」

 

「それも皇具なのか!?」

 

「ふむ、インクルシオに対しては有効だな」

 

「……ごめんなさい」

 

いつの間にか接近していたシェーレがバリアを切り裂き、俺は狂龍騎になり、ハイトに殴りかかる。だがハイトは大剣を手にし、俺とシェーレを吹き飛ばしていく

 

「バリアを破ることは予想済みだ。威力もまた絶大!!」

 

「くそ……」

 

俺が吹き飛ばされた場所にはアンリがいた。そして俺達二人の所にリストルが現れた。

 

「あいつは!?」

 

ハリーはリストルを見て驚きを隠せないでいた。

 

「スカウトの件、考えていただきましたか?我々には時間がない。君たちと同じように……答えは?」

 

「僕は……断る!確かに生きることがつらいときがある。僕は捻くれてるし誰かのために頑張るなんてできない。でも…フレフレプリキュア! 輝く未来を僕たちに!」

 

アンリの叫びを聞き、俺は笑みを浮かべ、タツミ達に問いかけた

 

「タツミ、兄貴、シェーレ……俺達がいた世界は今は平和だけど……もしもまたその平和を壊そうとするような奴らがいたらどうする?」

 

「……お前、何を当たり前のことを……」

 

「決まってるだろう!俺達がまた戦って取り戻すだけだ」

 

「アカメたちだってきっとそうする」

 

「そうだよな!!マシェリ!」

 

「ミナトさん……はい!」

 

マシェリは俺の所に近寄り、俺にキスをした。その瞬間、まばゆい光とともに愛龍騎に姿を変えた。

 

「愛を知り、愛を育む!愛龍騎!!」

 

俺は拳の連打をハイトに向かって繰り出していく。ハイトは大剣で防いでいく。

 

「残念だが、この皇具の前ではお前の攻撃が私に届くことはない」

 

「それはどうかな?桐一文字!!」

 

桐一文字を抜き、連打を与え続けた箇所に突き刺した瞬間、皇具にヒビが入った。

 

「いくらお前に届かなくっても、殴り続ければ耐久力もなくなるはずだ!そこに一点集中の一撃を与えれば壊せる!!」

 

「ほう……なるほど……愛龍騎になったことでその臣具の威力を上げたか……」

 

ハイトは笑みを浮かべ、姿を消す。そしてキュアエールたちもまた猛オシマイダーを浄化し、戦いが終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いも終わり、アンリのショーも無事に終わった。その帰り道、えみるは俺にあることを告げた。

 

「ミナトさん、まだキスするのはなれないですけど……」

 

「あぁ」

 

「私は私の未来を信じ、愛するものになります。そしてミナトさんの未来を手伝うためなら……もう恥ずかしいとか言ってないで頑張りたいと思います」

 

「……そっか。一緒に頑張ろうな」

 

「はい」

 

えみるは前に進めることが出来たみたいだな。ただ気になるのはアンリのことだな。あいつ、まだなにか隠してるのか?

 

 

 

 



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第90話 ことりと一緒

ある日の夜、お風呂から出るとリビングでことりが何かをしていた。

 

「何してるんだ?」

 

「あっ、ミナトお兄ちゃん……」

 

ことりは何だか物凄く狼狽えていた。一体どうしたんだ?

 

「お兄ちゃんって……プリキュアと知り合いなんだよね」

 

「いや、何で知り合いだって……」

 

「だってお兄ちゃん、プリキュアと一緒に何かと戦ってるところ見た時あるもん」

 

そういえば特に正体を隠すとかせずにこれまで戦ってきたな……それにしてはことりは何も聞かないんだな

 

「お兄ちゃんは何者なのか話したくないと思うから聞かないでおいたんだけどね。ちょっと気になることがあって」

 

「気になること?」

 

「実は……お姉ちゃんは……」

 

もしかしてはながキュアエールだって言うことがバレたか?というか別にバレてもいい気がするんだけどな……

 

「プリキュアに迷惑をおかけしてるんじゃ!?」

 

「………はい?」

 

ことりはとんでもない考えに行き着いたよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、学校の警備室で仕事の手伝いをしに来たランとアカメの二人にその話をしていた。

 

「まぁ確かに特に変装とかしないで戦ってきたけど…」

 

「何かしらの理由があってそうしてきたのだと思っていたのだが、ミナト、違うのか?」

 

「いや、特に気にせずに戦ってきただけだし……」

 

今更正体を隠すっていうのも遅いし……

 

「それにしてもはなさんの妹さんはどうしてそういう考えに?」

 

「はなのおっちょこちょいが原因で怪物が生まれて、プリキュアが戦ってるんじゃないかって思ってるらしい」

 

「「………」」

 

アカメとランの二人はものすごく返答に困っていた。まぁ考えすぎな気がするしな……

 

ふっと外からなにか声が聞こえ、見てみると千瀬ふみとがことりをどこかへ連れ去っていくのが見えた。その後を追うひなせ……

 

「何事だ?」

 

俺は窓から飛び降り、ことりと一緒にいたえみるに声をかけた。

 

「えみる、何かあったのか?」

 

「あ、ミナトさん……って今どこから現れたんですか!?」

 

「窓から飛び降りて……」

 

「あ、危ないですよ!?」

 

「あれくらいの高さなら平気だよ。それで何かあったのか?」

 

「なんでしょう?ミナトさんのやることに関しては突っ込まないほうがいいのでしょうか?」

 

とりあえずえみるから事情を聞く、どうにもふみとはキュアエールファンクラブのリーダーで、キュアエールに会いたいらしい。そのせいかプリキュアを調査していることりを連れて、プリキュアの匂いをたどって走り去ったらしい

 

「なんというかわけがわからないのです」

 

「まぁ仕方ない……」

 

とりあえずことりたちを追いかけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

「さてと久しぶりに遊んであげましょうかしらね?」

 

「メラルド様。新たな下僕のテストですか?」

 

「えぇ、そうよ。兜虫……あなたも行くわよ」

 

「はい……」

 

「それじゃ出撃と行きましょうかしらね。兜虫、それに……」

 

メラルドの前には一人の少女が立っていた。真っ黒な髪に両手にはクワガタの鋏のような武器を携えていた。

 

「それがあなたの新たな下僕かしら?」

 

「あらジェロス。イメチェン?」

 

メラルドたちの前に現れたのは、パンクファッションのジェロスだった。ジェロスは笑みを浮かべ、

 

「私にはもう後がない。それだったら本気でやるために……」

 

「ふふふ、前も可愛かったけど、今も可愛いわよ」

 

「メラルド……あんたの趣味に付き合う暇はないわ」

 

「あら残念ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

ことりたちの後を追っていくとたこ焼き屋の所にことりたちと、はな、ウェイブ、クロメが話しているのを見つけた。

ふみとは何かウェイブとクロメの二人に頼み込んでいた。

 

「何してるんだ?」

 

「おい、ミナト、こいつどうにかしてくれよ」

 

「キュアエールに会わせてほしいんだって」

 

「ミナトさん!?あんたもプリキュアと一緒になにかしてるんだろ!!

連絡先とか知らないのか?」

 

「いや……」

 

俺、ウェイブ、クロメははなの方を見た。キュアエールははなだと教えたいけど、やめといたほうがいいよな。

 

「緊急時以外は連絡しないでほしいって頼まれてるから無理だ」

 

「ほら、ふみと。諦めよう」

 

「そっか……悪かったな。ミナトさん」

 

ふみとは諦め、俺達にたこ焼きをおごってくれ、近くのベンチで座って食べていると……ひなせがことりにあることを聞いた。

 

「ことりちゃんはどうしてキュアエールに会いたいの?」

 

「えっと、おわびがしたくって……」

 

「おわび?」

 

「うちのお姉ちゃん、昔からおっちょこちょいだから、バナナの皮があれば滑って転ぶし、池があれば必ず落ちるし……最近お姉ちゃんの周りでプリキュアが現れるのって、ご迷惑をかけてるんじゃないかって思って……」

 

「なぁことり、お前って姉思いだな」

 

「ミナトお兄ちゃん、そういう訳じゃ……」

 

「でも僕は君のお姉さんってすごく素敵だと思う。いつも笑顔で、いつも元気で、それにいつも誰かのために頑張ってる。それが野乃さん、凄いことだと思う」

 

「………」

 

なんだろうか?ひなせははなの事が好きだって言うことだよな。俺はウェイブとクロメの方を見た。二人は俺の心を読んだのか頷いていた。

 

「要するにひなせは……」

 

「なんというか……」

 

「まぁ頑張れとしか言いようがないな」

 

はっきり答えることが出来ず、俺たち三人はそういうのであった。

 

すると突然風が吹き、ことりがかぶっていたキュアエールファンクラブの帽子が飛ばされ、ことりは急いで追いかけていく。

帽子は池に落ち、追いかけていったことりも池に落ちそうになったが、俺はギリギリの所でことりを助けたが……

 

「ことり~!」

 

物凄い速さでやってきたはながバナナの皮に滑り、池に落ちた。

 

「何してるの?お姉ちゃん、びしょ濡れだよ」

 

「あ、あはは……でも良かった」

 

「えっ?」

 

「ことりが無事だから」

 

はながそう言うとことりは顔を赤らめていた。なんというかこの姉妹は……

 

「本当に仲良いな……」

 

 

 



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第91話 姉と妹

池に落ちたはながびしょ濡れになってしまい、ことりたちはタオルを買いに行き、俺達は待っていると桐一文字がトゲパワワを感知した。

 

「みんな、行くぞ」

 

はな達はプリキュアに変身し、アカメ、ラン、ウェイブ、クロメと一緒にオシマイダーの所へと向かうのであった。

 

 

オシマイダーの所に行くとことりとひなせの二人が猛オシマイダーに襲われそうになっていた。俺とキュアエールはすかさず蹴りを放ち、猛オシマイダーを蹴り倒した。

 

「キュアエール!?」

 

「それにミナトお兄ちゃん!?」

 

「お待たせ」

 

「大丈夫だよ。どこにいても助けるから」

 

「えっ?」

 

キュアエールの言葉を聞き、ことりは何かに気がつき、呟いていた。

 

「お姉ちゃん?」

 

キュアエールやひなせには聞こえてなかったけど、俺には聞こえていた。もしかして気がついてる?

とりあえず今は猛オシマイダーをどうにかしないとな。

 

キュアエールは猛オシマイダーの下に潜り込み、思いっきりパンチを食らわし、吹き飛ばした。

俺は追撃を与えようとした瞬間、何かを察知し、後ろに下がった。

 

「あら流石というべきね」

 

「お前は……」

 

「メラルド・オールベルグ!!」

 

俺達の前に現れたのはメラルドと兜虫、そして一人の女の子がいた。

 

「さぁ見せてあげなさい。鍬形虫!!」

 

鍬形虫と呼ばれる少女が両手に装着した鋏のような武器を構えて襲いかかってきた。ウェイブは咄嗟に俺の前に出てグランシャリオを身にまとって防いでいた。

 

「ウェイブくん!?」

 

「あんたの相手は私よ!!」

 

兜虫はランに向かって槍を振り落とすが、ランは空を飛び攻撃を避けた。

 

「ウェイブ!ラン!」

 

「こいつらの相手は俺たちに任せろ!!」

 

「君は……」

 

兜虫と鍬形虫はウェイブとランの二人がどうにかするって言ってるから、任せても大丈夫か?

 

「それだったら……」

 

「ミナト、メラルドは私達に任せてもらっていいか?」

 

「ミナトはキュアエールたちの所に行ってあげて」

 

「……わかった」

 

アカメとクロメの二人はメラルドと因縁があるって聞いてる。ここで決着をつけるっていうのか?

 

「みんな、任せたぞ」

 

俺はそう言い、キュアエールたちの所に向かった。

 

 

 

 

 

ウェイブSIDE

 

「ハアアアアアアアアア!!」

 

俺はパンチを何度も繰り出していくが、クワガタの持つ武器に防がれ、防がれた瞬間、クワガタは俺の首を狙ってきた。

俺は咄嗟に両腕で防ぐが……

 

「ぐうう、なんだこの力は……」

 

「私はクワガタ。知ってるよね。クワガタは挟んで地面に思いっきり叩きつけるっていうことを……こんな風にね!!」

 

クワガタが俺を掴んだまま、体をブリッジさせる勢いで俺を地面に叩きつけた。

 

「くっ!?」

 

「鎧着てるからダメージはないみたいだね。だけど」

 

起き上がった俺を再度掴み、また地面にたたきつけた。

 

「何度もやればダメージが入る」

 

「くそ!!」

 

 

ランSIDE

 

ウェイブくんが敵の攻撃を喰らい続けていた。このままじゃまずいと思い助けに行こうとするが、兜虫が攻撃を繰り出してきた。

 

「邪魔をしないでほしいですね」

 

「……貴方とは相性が悪いみたいね。空を飛ばれたら攻撃を当てられそうにないしね」

 

兜虫はそう言いながら、槍を地面に突き刺し、拳を構えた。

 

「だけど戦うとなったら容赦しない!!」

 

兜虫がパンチを放ち、避けようとすると頬に血が流れた。確実に避けたはずなのに……

よく見ると彼女の両腕から棘みたいなものが生えていた。

 

「素手での戦いなら、この両腕の出番ね」

 

「力も速さも上ですか……」

 

どうにかして退けないと……

 

 

 

 

 

アカメSIDE

 

メラルドの剣と村雨が激しくぶつかり合い、クロメが隙をついて攻撃を繰り出すが、メラルドは左腕で八房を弾いた。

 

「今の音!?」

 

「金属の腕?」

 

「違うわよ。アカメ、クロメ。虫の中には硬さがうりの奴がいるのよ。そして私の皇具蠱毒針・ベスティヨルはありとあらゆる虫の力を使えるのよ!!」

 

「お姉ちゃん……どうする?」

 

「クロメ、やることは変わらない。硬くても何度も攻撃を食らわせていけばヒビが入る!」

 

「それだったら……」

 

「あなた達の帝具が壊れるか私の防御が砕かれるか……耐久戦ね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

キュアエールたちのところ向かうと、今までと違う格好のジェロスが放ったトゲパワワにキュアエールたちが吹き飛ばされていた。

 

「みんな!?」

 

「ゲット!アウト!消え去れ!明日への希望!!」

 

「させるか!」

 

俺はジェロスに斬りかかるが、猛オシマイダーが邪魔をしてきた。俺は桐一文字で何度か切りつけていくと

 

「あんたたちいい加減にしてよ!もうプリキュアをいじめないで」

 

「ホワット?」

 

「明日がなくなったら駄目なの!私は……私は……お姉ちゃんみたいな人になりたいんだから!」

 

ことりが叫んだ瞬間、ことりからアスパワワが溢れてきた。それはひなせにも、ふみとからもだ。

 

三人のアスパワワが辺りを包み込んでいたトゲパワワを浄化していった。俺は桐一文字で猛オシマイダーを切りつけていった

 

「今だ!」

 

「「「「「プリキュア・チアフルスタイル!!メモリアルパワー!フルチャージ!プリキュア!チアフル・アタック!」」」」」

 

チアフルアタックで猛オシマイダーは浄化され、ジェロスも去っていった。そしていつの間にかメラルドたちも姿を消していたけど……

 

「ウェイブ、大丈夫か?」

 

「くそ、何度も投げやがって……」

 

段々だけど相手も強くなってきてるな……どうしたものか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、リビングでまだことりが起きていた。

 

「まだ寝ないのか?」

 

「あ、お兄ちゃん……今日はお疲れ」

 

「お前は特に突っ込まないんだな」

 

「お兄ちゃんが話したいときになったらでいいよ」

 

「そっか……」

 

本当にことりには話すべきだよな……

 

「ねぇ、お兄ちゃん。キュアエールって……」

 

「ん?」

 

「ううん、なんでもない」

 

ことりは気がついてるよな。でもあえて言わないっていうことはことりの優しさってことだよな。

 

「今日はお姉ちゃんと寝よっかな……お兄ちゃんも一緒に寝る?」

 

「俺まで来たらルールーが来て、寝る場所がなくなるだろ」

 

「そうだね。それにえみるちゃんに怒られそうだもんね」

 

ことりはそう言いながら、はなの部屋に行くのであった。

 

 



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第92話 命というものを学ぶさあや

ある日のこと、みんなでさあやのドラマを見ていた。

 

「うぅ~感動したよぉ~!」

 

「巨大タワーから生まれた女の子って、凄い設定だよね」

 

「現代のかぐや姫を狙ったドラマですから、大ヒット中なのです。もうすぐ新しいドラマ『ドクターはいすくーる』の撮影なんですよね?」

 

「うん」

 

「昼間はごく普通の女子高生。放課後は天才医師のお話なんですよね」

 

何というかさあやは本当に頑張ってるな……まぁ一生懸命頑張るということは悪いことじゃないよな。

 

「うん、実はその役作りのために、すみれさんにお願いしたいことがあって」

 

「お母さんに?」

 

さあやは役作りのために以前訪れた病院の先生にいろいろな話を聞くことになった。

はなたちはもちろん、俺もついていくことになった。

 

 

 

 

病院につき、俺達は病院のマキ先生に話を聞くことになった。

 

「すみれさんから伺ってるよ。話を聞きたいって、命を生まれる現場に遊び半分で来たわけじゃないよね」

 

「そんなこと……」

 

「それだったら産婦人科以外の診療科も研修できるように話を通してあげるから、さっさと支度しておいで」

 

ということではな、えみるは小児科、ほまれは整形外科、さあや、ルールーは産婦人科に研修を行うことになった。そして俺はと言うと……

 

「あと君はある人の診察を受けてもらっていいかな?」

 

「俺ですか?というかある人って……」

 

「ちょっと前に会った人でね。まぁ変わった人だけど腕は確かで、どうにもあなた達の事を知ってるみたいでね」

 

変わった人で、医者って……まさかと思うけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は案内された場所に行くとそこにはドクタースタイリッシュが待っていた。

 

「ひさしぶりね。ミナト」

 

「あんたかよ……何でまたここにいるんだよ」

 

「ちょっと前に重体患者を見たことがあってね。それ以来たまに手伝ってあげてるのよ」

 

まぁスタイリッシュの腕前なら特に問題とかないから大丈夫か。にしても俺の診察ってなんなんだ?

 

「あなた、少し前に愛龍騎っていうのを発動させたわよね」

 

「あぁ、狂龍騎よりもかなり力が上がっていて……」

 

「ふむ、体に不調とかあるかしら?痛みがひどかったりとか……」

 

「特には……」

 

「そう、悪いけどちょっと血を取らせてもらうわよ」

 

一体なんなんだ?何か問題でもあるっていうのか?

 

「なぁ何かあるのか?」

 

「……これはあくまで私の予想だけど、愛龍騎を発動したことによって貴方は帝具と混ざり合ってしまう危険性がないかと思ってね」

 

「帝具と混ざり合う……というとタツミと同じような……」

 

「えぇ彼はインクルシオの素材に使われているタイラントと混ざり合ってしまい、最終的には龍へと変貌した。まぁこちらに来た際には元の姿に戻ったみたいだけどね」

 

「そして今の俺は……そうなるかもしれないって言うことなのか?」

 

「だから調べているのよ。愛龍騎は本当に危険なものだったら、使用を控えるべきかどうかね」

 

危険かどうかか……確かに調べてもらうのは悪いことじゃないな。ただ気になることがある。

 

「スタイリッシュ、あんた変わったな」

 

「何がよ」

 

「俺はてっきりマッドなやつかと思ってたんだけど……ちゃんと医者らしいというか科学者らしいと言うか……」

 

「ふふ、この世界に来て色々と触れ合ったおかげかしらね。貴方もそうでしょう?」

 

こっちに来て変わったか……そうかもしれないな。それにナイトイェーガーズのみんなもそうだよな……

 

「とりあえず結果が分かり次第連絡するわ。それじゃあの子達の所に行ってあげなさい」

 

俺は診察室から出ていくのであった。ただ気になったのは……

 

「連絡って誰に連絡するんだ?」

 

一人でそう呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

診察室から出るとさあやとルールーが玄関でなにか話しているのを見かけた。

 

「どうしたんだ?こんな所で」

 

「あっ、ミナトさん」

 

さあやの近くには小さな女の子がいた。何だか元気が無い感じがするけど……

すると女の子はマキ先生に近寄り

 

「マキ先生、今日はお母さん、よろしくおねがいします」

 

「えぇあやちゃん」

 

「ママの部屋に行くね」

 

あやちゃんはすぐさまに病院の中に入っていった。母親思いって言うことなのか?

 

「彼女のお母さん、今日なにかあるのですか?」

 

ルールーもあやちゃんの言葉が気になり、あやちゃんの父親に話しかけていた。

 

「帝王切開であかちゃんを産むんです。あやちゃんの弟を」

 

「帝王切開……手術するんですね」

 

何だか聞いたことのない言葉だな。だけど手術って言うとやっぱり難しいものなのか?

 

 

 

 

 

 

 

それからさあやはネットで帝王切開について調べ始め、赤ちゃんや母体にも安全な方法だと書かれていたのだが、だがそれはあくまでネットでの情報でしかない。

その母親にも赤ちゃんの情報があるわけじゃないとマキ先生に言われたらしい。

 

「まぁ確かに人それぞれ違うからな……」

 

「ミナトさんは、どうしていたんですか?」

 

「どうしてたって?」

 

「その……こんな所で言うことじゃないですけど……」

 

あぁもしかして俺があっちでやってきたことか。

 

「ミナトさんは悪人に対して罰を与えてきましたけど、でもそれはその人が今までやってきた悪事したからですけど、それはあくまでそういう話を聞いたからですよね。もしもその人が良いことをしてきたことがあっても……」

 

「……さあや、どんなに悪いことをしてきても一つだけ良いことをしてきた奴がいたかもしれないけど、それでも一度犯した罪を許して良いものじゃないんだ」

 

俺たちはずっとそうしてきた。それに良いことをしているなら、どうして人を傷つけることができるんだ。それこそおかしいことだろ

 

「俺たちは全てを知っていても悪人を切り続ける。そしていつか罰を受けるって知ってもだ」

 

「ミナトさん……」

 

「さあや、お前はどうしたいんだ?」

 

「私ですか?」

 

「お前はあの母親の苦悩を何とかしたいのか?でもそれはお前がやるべきことじゃない。お前がするべきことは……」

 

俺は向こうの方で本を抱えたあやちゃんを見つめた。さあやがするべきことは……

 

「そっか……お母さんだけが不安じゃないんだよね。ありがとうございます。ミナトさん」

 

さあやはそう言いながら、あやちゃんの所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

それからさあやはあやちゃんの不安を取り除いてあげるように話しかけた。

 

あやちゃんも母親が自分だけの母親にならなくなってしまうことを不安でしょうがなく、泣きじゃくった。さあやはそんなあやちゃんをそっと抱きしめた。

 

「今は赤ちゃんに会うためにママは頑張ってる。あやちゃんも頑張っててすごいよ。もうすっかりお姉ちゃんだと思う。でも悲しくなるまで我慢することないんだよ」

 

さあやはあやちゃんの気持ちを理解して、不安を取り除いてあげた。何というか本当に先生みたいだな。

 

『ミナト、貴方はなにか悩んでるの?それだったら私に……ううん、私達に話して……一人で背負い込むよりかはずっと良いと思うよ』

 

何でかあの人のことを思い出してしまった。クロトもセリューもあの人のことを未だに思い出すんだろうな……

 

「あの人はどうしてここに来てくれないんだろうな……それに隊長も……イエヤスも……」

 

俺は誰にも聞かれないようにそう呟くのであった。

 

 

 

 

 

そしてあやちゃんのお母さんの手術が始まると同時に桐一文字がトゲパワワを感じ取った。

 

俺たちは感知した場所に向かうとそこにはトラウムと猛オシマイダーが待ち構えていた。

 

「またここに現れて!」

 

「プリキュアにナイトイェーガーズは一人だけか。何でこう早く来るかな……っていうか今回は私も考えてる。こういうこともあろうかと……」

 

トラウムはボタンを押すと猛オシマイダーから音が消えた。もしかして病院での騒音を気にして……

 

「あんた、優しんだな」

 

「こう見えて気遣いはできるのさ!行け!猛オシマイダー!」

 

猛オシマイダーがドリルで攻撃を仕掛けてきたが、キュアアンジュがその攻撃を弾き、弾かれて落ちてきたところを俺は桐一文字で切りつけた。

 

「さっさと終わらせる!!」

 

俺は桐一文字で猛オシマイダーの武器を全ては切り裂き、その隙にキュアエールたちのチアフルアタックで猛オシマイダーを浄化するのであった。

 

「いっそ君らが赤ん坊だったらわたしだって……あっひらめいちゃった」

 

トラウムはそう言い残して姿を消すのであった。

 

「帰るんか――――い!!」

 

思わずツッコミを入れるキュアエール。何というか今回は特に問題もなく終わったけど、嫌な予感がするな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから手術も無事に終わり、あやちゃんはさあやのことを先生と呼んだ。さあやも医者という職業に素敵だと感じるのであった。

 

「こんな所にいたのね。ミナト」

 

「あれ?スタイリッシュさん、どうしてここに?」

 

「野乃はな、あなた達も久しぶりね。それはそうとミナト、貴方の検査結果なんだけど……」

 

「検査って、ミナトさん、どこか悪いんですか?」

 

「い、いや、何というか……」

 

俺はえみるたちに自分の体について話した。もしかしたら俺は危険種になるかもしれないということを……

 

「そんな……」

 

「ドクター、ミナトは大丈夫なんですか?」

 

「そうね……実は言うと……危険種になるっていうことは無いみたいなの」

 

「そうなのか?」

 

「えぇ、愛龍騎は特に悪い影響はないみたいね。というよりかは悪い影響を取り除いていってる感じよ」

 

つまり……悪い影響が出ていたけど、愛龍騎のおかげで影響がなくなったって言うことなのか?

 

「まぁあとは……言わない方がいいわね」

 

「スタイリッシュさん!そんな不安になるようなことは……」

 

えみるがスタイリッシュに詰め寄ると、スタイリッシュは笑顔で……

 

「大丈夫、悪いことじゃない。でも言ったら気にしなくなるから言わないだけよ。それじゃ」

 

スタイリッシュはそう言い残して帰っていった。一体俺に何かあるっていうのか?でも悪いことじゃないって……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社研究室

 

「ふふふ、ついに完成したぞ。さぁてコスミナ。これでお前は最凶の存在になったぞ!!そしてお前は最高の女王となるのだ!!」

 

ドロテアは異形の姿をしたコスミナにそう言い、笑い声を上げるのであった。するとトラウムが現れ……

 

「やぁドロテア。調子はどうだい?」

 

「最高じゃ!!」

 

「それは良かった。それじゃ今度一緒に出ないかい?プリキュアとナイトイェーガーズを潰すために……」

 

「それはいいな……」




最後が急ぎ足ですみません。次回はプリキュア本編がオールスターなので、アカメが斬る!組もオールスターになります。もちろんあの二人も登場します


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第93話 トラウムの新兵器と究極体コスミナ

今回オールスター回のためか、外伝の方で登場させる予定のあるキャラと主人公たちの因縁のネタバレがあります


ある日のこと、ハリーハウスではなたちはアクセサリーの修理を行い、俺はと言うと……

 

「何というか珍しいな。ナイトレイドとイェーガーズが全員集合してるなんて……」

 

今日は珍しく全員集合……とはいえ三獣士やボスとスーさんの姿は見えないけど……

 

「三獣士は遠いところまで出かけてもらっているからな」

 

「ボスとスサノオも何かしら用事があるみたいだったな」

 

エスデスとブラートの兄貴がそう答えた。何というか全員が集まっているのは良いことなんだろうけど……こういうときって嫌な予感がしてならない

 

すると突然はぐたんが光だし、空にまばゆい光が現れた。俺たちは全員で外に出た。

 

「なんやあれ!?」

 

「複数の生体反応を感知」

 

まばゆい光から降ってきたのはいちか達とクロトとナタラ、そして見覚えのない奴らだった。いちかははなと激突し、ひまりはルールーがキャッチ。あおいたちとクロトたちは何とか着地した

 

「いたた……いちかちゃん!?」

 

「はなちゃん、久しぶり」

 

「クロト、ナタラ……それにそいつら誰だ?」

 

何だか前に会ったことのない奴らがいる。するとアカメがそいつらを見て驚きを隠せないでいた。

 

「チーフ!?コル姉!?」

 

「雑魚……こっちに来ていたのか」

 

「お姉ちゃんの……私が合流する前の選抜組の人?」

 

「あぁ、俺と同じようにいちかちゃんたちに協力してくれているんだ」

 

「くそ、面倒なことになったな」

 

「クロトは相変わらずだね」

 

「というか急に空からやってくるなんて……何かあったのか?」

 

事情を聞こうとした瞬間、空から巨大な戦闘スーツに乗ったトラウムが降ってきた。はなといちかの二人が吹き飛ばされそうになった瞬間、突然二人は空に浮かび、俺達の近くに降り立った。

 

「みらいちゃん、リコちゃん」

 

「みんな、久しぶり」

 

箒にまたがったみらいとリコ。それに絨毯に乗った陽斗、ポニィ、ツクシ、見知らぬ男二人がいた。

 

「魔法使いのプリキュアか!」

 

「観念なさい!」

 

「得意の魔法も科学の前では無力だよ!リバース・ザ・タイム!」

 

みらいとリコの二人がトラウムが発射したビームを喰らってしまった。だがどこからともなくやってきたことはがトラウムの邪魔をし、二人は無事……

 

「小さくなった?ことはの魔法か?」

 

「はー、違うよ」

 

「これは私の発明だ!赤ちゃんにして力を奪ってやろうとしたのだが……」

 

「面倒な攻撃をするやつだな……」

 

「本当に、アカメ、再会を喜ぶのは後だよ」

 

「今は戦いに集中だよ」

 

「分かってる」

 

「久々に選抜組が集まったんだから邪魔するんじゃねぇぞ」

 

「あぁ、今はこいつを倒してしまおう」

 

アカメたちもやる気満々だな。すると俺の所にクロト、陽斗が集まり

 

「滅茶苦茶に叩き潰す!」

 

「行こう!二人共!」

 

「というかトラウム!この数相手に勝てると思ってるのか?」

 

「ふふふ、ナイトイェーガーズ+その他の相手は私ではない!!ドロテア!!」

 

トラウムが叫んだ瞬間、黒い穴から皇具を発動させたドロテアとカマキリのような姿をしたコスミナが現れた。

 

「お前らの相手は妾たちじゃ」

 

「ドロテアか!?たった二人で俺たちを倒せると思ってるのか?」

 

「ふん、待っててやるからさっさと変身でも何でもするのじゃな」

 

優しいな。俺ははな達に変身するように言うと、

 

「ちょっとまって、久しぶりの変身なのに、この格好じゃ気分が乗らないわ」

 

「雑魚が……」

 

何というかゆかりは自由だな。ことはは魔法でみんなを着替えさせると、全員がプリキュアに変身した。

 

「キュアラモード・デコレーション!ショートケーキ!元気と笑顔を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアホイップ! できあがり!」

 

「キュアカスタード! できあがり!」

 

「キュアジェラート! できあがり!」

 

「キュアマカロン! できあがり!」

 

「キュアショコラ! できあがり!」

 

「キュアパルフェ! できあがり!」

 

「「「「「「キラキラ☆プリキュアアラモード!」」」」」」

 

「「キュアップ・ラパパ!ダイヤ!!ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!!」」

 

「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」

 

「ふたりの魔法!キュアマジカル!」

 

「フェリーチェ・ファンファン・フラワーレ!あまねく生命に祝福を!キュアフェリーチェ!」

 

「「「魔法つかいプリキュア!」」」

 

「「「「「ミライクリスタル!ハート、キラっと!」」」」」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

「「輝く未来を抱きしめて!!みんな大好き!愛のプリキュア!」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

はなたち、全員がプリキュアに変身し、俺達も武器を構えた。

 

「さぁて、お前ら相手じゃ二人では難しいのう……だからコスミナ!!」

 

『ギイイイイアアアアアアアアアア!!』

 

コスミナが雄叫びを上げ、下半身を無数の触手を生やしたものに変化させ、四本の触手から何かを生み出した。

 

「あいつらは!?」

 

「アレだけ苦労したのに!?」

 

タツミとウェイブが生み出されたものにいち早く反応した。生み出されたもの……それは……

 

「ワイルドハント復活じゃな。それにミナト、お前の因縁の相手も復活だ」

 

色黒の男が俺、陽斗、クロトを見て、怒りの表情を浮かべていた。

 

「よぉ、俺を殺した奴らに、俺をボコボコにしたやつ……久しぶりじゃねぇか」

 

「あいつは!?」

 

陽斗は険しい表情でそいつを睨みつけていた。

 

「本当に厄介な奴らが復活か……」

 

「おまけに強化とかされてそうだな」

 

レオーネの姐さんとラバもまた面倒くさそうにいう中、俺とクロトは……

 

「「誰だ?あいつ?」」

 




次回、暴言の嵐が始まります


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第94話 復活のワイルドハント

俺とクロトの言葉を聞き、セリュー、サヨの2人は額に手を当て、『またか……』とつぶやき、チェルシーとスタイリッシュはキュアエール達にはぐたん、キュアマシェリ、ペコリンの耳をふさぐように指示を出していた。

 

「てめぇら!!忘れたとは言わせねぇぞ」

 

「いや、まじで誰だっけ?クロト、知ってる?」

 

「知るわけねぇだろ!こんな糞みたいな奴を!」

 

「そうだよな……俺も知り合いにはこいつみたいなクソ野郎はいないんだけど……陽斗は?」

 

「え、いや……こいつはシュラって言って、僕の大切な人を……」

 

「シュラ?あぁ思い出した」

 

「クソ野郎だっけな。何だ糞の中から復活したのか?」

 

クロトの言葉を聞き、シュラは今にもブチ切れそうになっていた。いやだって仕方ないだろ。本当のことなんだから

 

「おいおい、クロト、可哀想だろ。糞の中からなんて本当のことを言うなんて……こいつは大臣と肥溜めとの間の子供なんだから」

 

「はっ、本当のことを言って何が悪いんだ?こいつアレだろ。親の七光り上等とか言ってるんだろ。肥溜めの七光ってなんだよ?」

 

「まぁ肥溜めが一番偉いって思ってるからじゃないのか?」

 

「てめぇら!!」

 

シュラが俺たちに向かって拳を放ってきた。俺とクロトはそれを避けると

 

「気をつけろ!糞を投げてくるぞ!」

 

「クソ野郎だから平気でそんな事できるのな」

 

 

 

 

陽斗SIDE

 

ミナトとクロトの暴言を聞き、僕はミナトの仲間であるタツミたちに話しかけた。

 

「なぁ、あいつら止めろよ」

 

「いや、止めたほうが良いのか?」

 

「相変わらず暴言だけは上手いわよね」

 

タツミとマインの二人は呆れ、

 

「いや~相変わらず人の神経を逆なでするのが上手いな。ミナトは」

 

「というかあのクロトって奴も上手いけどな」

 

レオーネとラバックの二人は笑いをこらえ、

 

「まぁ相手を怒らせるっていうのは良い作戦かもな」

 

「そうですね。とはいえ、言い過ぎな気がしますけど」

 

ブラートとシェーレはそう言うのであった。そんな中、フェリーチェが僕の袖を引っ張ってきた。

 

「あの、ミナト達はさっきから何を言ってるんですか?」

 

「あぁ何というか……というかミラクル!?マジカル!?フェリーチェの耳をふさいでおけよ!」

 

「「わ、忘れてた……」」

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

「とりあえずお前みたいなクソ野郎は大臣のピーに戻って」

 

「ピーからやり直せ!」

 

「「この肥溜め野郎が!!」」

 

俺とクロトの二人が中指を立てながら言い終えると、シュラはゆっくりと構え……

 

「ぶち殺す!!」

 

「挑発は終わったみたいじゃの。では始めようとするか!!」

 

ワイルドハント全員が戦闘体勢に入ると、アカメが俺のそばに近寄り

 

「ミナト、お前が指示を出せ!今回は全員で協力しないと倒せないぞ」

 

「分かってる!とりあえず全員、相性が良いやつと戦ってくれ!エスデス、あんたは……」

 

「ふっ、ドロテアを相手にしろというのか。リーダーであるお前の言うとおりにする」

 

「それじゃナイトイェーガーズ!戦闘開始だ!」

 

俺の号令のもと、全員が動き出し、キュアエールたちもトラウムと戦いを始めた。

 

 

 

アカメSIDE

 

私、クロメ、タツミ、ウェイブ、ブラートはイゾウと対峙していた。

 

「貴様らが相手なら不足はない!皇具鬼陣ヘイトレッド!」

 

イゾウの持つ刀が真っ赤になり、禍々しい形になり、イゾウもまた異形の姿に変わった。

私とクロメの二人でイゾウの斬撃を弾いていく。

 

「いいぞ!もっと本気で来い!」

 

「こいつ!?」

 

「アカメ!?こいつ、前より強くなってる気が……」

 

タツミも気がついていたか。あの時は意識はなくただの怪物になっていたが、今は意識がしっかりしている。だとしたら……

 

「厄介だな。だが……」

 

「ウェイブ!!」

 

「グランフォール!!」

 

ウェイブがグランシャリオの必殺技をイゾウに喰らわせ、イゾウの体勢が崩れた所にタツミとブラートの二人が更に追撃としてパンチを繰り出した。

 

「クロメ!」

 

「うん、お姉ちゃん!」

 

私とクロメは体勢を崩したイゾウを二人で切り裂いた。だがある違和感を覚えた。

 

「……今のは……」

 

「お姉ちゃん、お姉ちゃんも感じた?」

 

「あぁ、今回ばかりは厄介すぎる気がする」

 

切ったイゾウは土の塊に変わっていく。切った瞬間の手応えのなさは……

 

 

 

 

 

 

 

マインSIDE

 

私、レオーネ、シェーレ、ツクシ、ポニィ、サヨはエンシンと対峙していた。

 

「へっ、全員女性だって言うなら、いたぶった後、俺のおもちゃにしてやるよ」

 

「悪いけど、あんたみたいな男は御免こうむるわ」

 

私はパンプキンを発射するが、エンシンに当たらなかった。

 

「どうした?鈍いぞ」

 

「どういう事?」

 

「う~ん、ミナトから聞いた限りだとあいつの皇具は刺した相手の時を早くするってものだって聞いたけど……」

 

「それじゃ自分に刺して、自身のスピードを上げているってこと?」

 

ツクシがどうすればいいか考え込んでいた。下手すれば自滅技なのに……何かしらの方法で自滅しないようにしてるとしたら……

 

「まぁ動きが早くてもね」

 

「こっちには!」

 

ポニィが駆け出し、エンシンに向かって蹴りを放つ。エンシンには当たらなかったけど……

 

「だから鈍いんだよ!!馬鹿が!」

 

「馬鹿なのはあんたじゃないの?」

 

ポニィが笑みを浮かべた瞬間、エンシンの背中に何本もの矢が突き刺さった。

 

「ぐっ、どういうことだ!」

 

「私の帝具は相手の名前を告げれば、その相手がどんなに早く動こうともかならず当たる」

 

「ちっ、だとしても!!」

 

エンシンがスピードを上げ、サヨに近づくが、サヨの前にシェーレが立ち、

 

「すみません」

 

シェーレがエクスタスを掲げた瞬間、まばゆい光でエンシンの目をくらました。

 

「ぐああ!?」

 

「それじゃさっさとぶっ殺されな!!」

 

目をくらまされたエンシンをレオーネが思いっきりぶん殴るのであった。するとエンシンの体は土の塊に変わり、崩れ去った

 

 

 

 

 

 

 

 

ラバックSIDE

 

俺、ラン、ボルス、ガイ、グリーン、ナハシュでチャンプと戦うことになったが……

 

「なんでこう男で固まるかな」

 

「ラバックつったか?わかるぞ!こっちにも女性を回してほしいぜ」

 

「いや、そういう事を言ってる場合じゃ……」

 

「ほら、目の前のことに集中して」

 

「雑魚が……おい、そこの雑魚」

 

ナハシュがランの事を呼ぶと、ランは今まで以上に険しい表情をしていた。

 

「どういう因縁があるかわからないが、集中しないとやられるぞ」

 

「……分かっています」

 

まぁ、ランとチャンプの因縁は知ってるからな。とはいえ……

 

「もう終わったけどな」

 

俺の糸とグリーンの鞭で縛り上げられたチャンプを見た。

 

「ぐううう、お前ら……」

 

「動きさえ封じれば、こっちのもんなんだよ!ほら、トドメ」

 

「ふっ!」

 

「ハァ!」

 

ナハシュが首を切り落とし、ランが羽で全身を刺していく。そして最後はボルスの炎で焼却と

 

「……今の手応えは……」

 

ナハシュはなにかにすぐに気がつくのであった。一体どうしたんだ?

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

俺、クロト、陽斗、コルネリア、セリュー、ナタラでシュラと戦っていた。

 

「ほらどうした!!口だけか!」

 

シュラの連撃を俺とセリューは受け続けていくと、コルネリアとナタラが背後に回り込み、攻撃を仕掛けるが、シュラが突然姿を消し、コルネリアたち二人の後ろに回り込み、二人を吹き飛ばす。

 

「こっちには皇具があるんだよ!!」

 

「へぇそうかよ!!」

 

クロトが金棒をシュラに向かって思いっきり振り落とし、シュラは直ぐ様後ろへ下がった。

ヤツの皇具は連続で使えないっていうことか?

 

「リゼルファ!サファイアフォーム!!」

 

陽斗が青い衣装に着替え、槍でシュラを攻撃していく。

 

「てめぇの攻撃はもう読めてるんだよ!!その程度の攻撃は……」

 

「だったらこれならどうだ?」

 

俺は狂龍騎に変化し、シュラの頭を思いっきり地面に叩きつけた。

 

「セリュー!!」

 

「十王の裁き!正義泰山砲!」

 

セリューの砲撃をシュラは喰らい、木っ端微塵になるのであった。

 

「俺達が揃えば敵なしだな」

 

「当たり前だろ。ミナト、お前と違って俺たちは大きな存在と戦ってきたからな」

 

そこら辺は経験の差ということか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスデスSIDE

 

ドロテアが放ち続けてくる血で作った刃を全て凍らせていく。ドロテアはというと自分たち以外のワイルドハントがやられたのを見て

 

「やれやれ、再生した奴らはどうにも弱すぎるのう」

 

「どうする?お前たちふたりだけだぞ」

 

「ふふ、そんな事分かっている。だが……ん?」

 

ドロテアはトラウムの方を見た。トラウムはプリキュアたちにスーツを破壊されるが、時を戻し再生していくが、時を戻しすぎて元の部品に戻しすぎてしまった。

 

「やれやれ、トラウムは撤退するみたいじゃな。そうじゃ気が付いているものがいるみたいだが、コスミナがいる限りワイルドハントは再生し続ける。それに次は大量の危険種も出してな。さぁどうする?ナイトイェーガーズ!」

 

ドロテアとコスミナはそのまま姿を消すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

戦いが無事に終わったが、トラウムの力は強大すぎる。止まった世界を元に戻すために、俺達は他の場所にいるプリキュアに応援を頼むことにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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第95話 プリキュアを求めて

トラウムによって時が止められた世界を元に戻すために、俺達は二手に分かれて他のプリキュアを探すことになった。

 

「そうなると自然にナイトイェーガーズも二手に分かれることになるな……どうするか……」

 

「ここは普通にナイトレイドとイェーガーズに分かれて良いんじゃないのか?」

 

まぁタツミの言うとおり、そうするべきだけど……選抜組はどうするか……

 

「俺達はもうすでに分かれているから特に分ける必要はないだろ」

 

ナハシュの言うとおりにするべきだな。

 

「ふむ、居場所を聞く限りあいつらと合流できそうだな」

 

「こっちも師匠たちに連絡しておいたから向こうで合流できるかもしれない。あとルールーだっけ?」

 

「はい、何でしょうか?陽斗」

 

「師匠の帝具を受け継いでるんだっけ。それを一時的でいいんだけど……」

 

「分かりました。ではブドーが待っている場所に行くウェイブ達に渡しておきます」

 

「ありがとう」

 

とりあえずメンバー分けも済んだことだし、俺達は早速出発することにするのであった。

 

 

 

 

 

 

みらい、リコ、ことは、モフルン、はぐたん、ペコリン、ハリー、ほまれ、ルールー、えみる、陽斗、ポニィ、ツクシ、ガイ、グリーン、ナイトレイド、俺で空を飛びながらプリキュアの所へ向かっていた。流石に人数が多いけど、陽斗とポニィが魔法の絨毯で移動は特に問題はなかった。

 

しばらく進んでいくと一人の少女がこっちに向かって手を降っていた。

 

「みらいちゃーーーん!リコちゃーーーーん!」

 

「ラブちゃんだ!おーーい!」

 

2つ縛りの女の子……ラブの隣りにいる動物って……あれも妖精みたいなものか?

 

「二人共、久しぶり!それにえっと……あなたがミナトくん?」

 

「あぁ、何で俺のこと知ってるんだ?」

 

「みらいちゃんたちと待ち合わせしてたら、声をかけてきた人がいて、ほらこの人たち」

 

ラブがそう言いながら、指を指したほうを見るとボスとスーさん、それにあの長髪の男は誰だ?

 

「「お父さん!?」」

 

「師匠!」

 

「あれって?」

 

「ミナト、奴はゴズキ。元羅刹四鬼の一人だ」

 

この人が陽斗の師匠の一人で、元羅刹四鬼……ボスが知っていても不思議じゃないけど、今、ポニィとツクシの二人がお父さんって呼んだけど……

 

「選抜組では父親としてそう呼ぶように言われていたんだ」

 

アカメはゴズキに近寄り、ゴズキもアカメを見つめた。

 

「父さん……」

 

「久しぶりだな。不良娘」

 

「……私は間違っていたとは思っていない。それがどんなに父さんの期待を裏切ったこととしても……」

 

「ふっ、ナジェンダ。悪いな、うちの不良娘を面倒見てくれて」

 

「面倒を見た覚えはないさ。だが今は争うのではなく……」

 

「分かってるさ。不良娘でも娘には変わりない。ただそれだけだ」

 

「父さん……」

 

何というかアカメも色々と大変だな……とりあえずこっちは無事合流できたけど、あっちは大丈夫かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロトSIDE

 

「私達も箒に乗りたかった~」

 

「つべこべ言わずに歩け」

 

俺ははなにそう言う。何でこのメンバーになったんだか……

 

「あ、あの、少し言い方があるんじゃ……」

 

「さあやちゃんだっけ?無理無理、クロトの口の悪さは生まれつきみたいなものだからさ」

 

「うるせぇぞ。コルネリア」

 

「でもさ、意外と優しいやつだから」

 

「お前らな……」

 

「雑魚が誤解を招くことをしているからだろ」

 

「てめぇも口が悪いだろ!!ナハシュ!!」

 

俺とナハシュの二人が互いに胸ぐらをつかみ合うと、セリューがため息を付いた。

 

「何でクロトの事を私一人に押し付けたのかな。ミナトは……」

 

「あら、あなたはクロトの同僚だったわね」

 

「ゆかりさん、そうなんですよ。クロトは問題児で、よく私達と喧嘩していて……」

 

「何だか苦労してるんだね」

 

「おまけにイェーガーズに移っても、警備隊の人たちからよくどうにかしてくれって言われて……」

 

「セリュー、大丈夫か?戦う前から疲れてるぞ」

 

「警備隊って問題児が多いんだね」

 

「はぁ~」

 

セリューは再び溜息をつくのであったが、セリュー、お前も中々問題児だったからな。最初の頃は特に

 

「そういえばさ、クロト」

 

「何だよ。あおい」

 

「みんなに言わなくってもいいの?面倒になる前にさ」

 

「あぁそうだったな。おい、はな、さあや、それとセリュー以外のイェーガーズ、よく聞け!戦いで俺のことを守ろうとしたらぶち殺すからな」

 

『何で?』

 

エスデス以外の全員が聞き返してきた。いちいち説明する必要はないだろ

 

「俺は女に守られるのは嫌いなんだよ!ただそれだけだ」

 

「とりあえず負けそうになっても放っておいてもいいってこと?」

 

「あぁそうだ」

 

「何かしらの理由があるみたいだが、深くは聞かないほうがいいな。期待しているぞ。クロト」

 

「ふん、それで他にプリキュアなんているのか?」

 

「いるよ。キュアブラックとキュアホワイト!だから他にもきっといるはず」

 

はなの話を聞く以上、本当に他にいるみたいだな。だとしたらどんな人数になることやら……

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

合流したものの、ラブとルールーは一緒にダンスを始めたり、育児トークに花を咲かせたり、あっちはあっちでボスとゴズキがアカメのことで話してるし……

 

「ところでミナト、ちょっと聞きたいんだけど」

 

「何だよ?チェルシー」

 

「あっちをイェーガーズにした理由は?」

 

「……まぁクロトを何とかできそうだからかな?」

 

「問題児の面倒はイェーガーズにって……あんた……」

 

マインは呆れながらそう言うけど、俺だってあいつの面倒を見たくないんだよ。警備隊抜けて会うことはないって思っていたら、任務中に喧嘩を売ってくるし……

 

「おい、ミナトって言ったか?」

 

ゴズキが急に俺に声をかけてきた。なんだろう?

 

「お前、桐一文字持ってるよな」

 

「あぁ、あるけど……」

 

「本当なら村雨の方がいいんだが、あっちはアカメが使ってるからな。お前の桐一文字を借りていいか?」

 

村雨の方が良いって、もしかしてゴズキは村雨の先代使用者なのか?

 

「返してくれるなら……」

 

「分かってる」

 

 

 

 



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第96話 止まっていく世界と融合せしもの

クロトSIDE

 

プリキュア探しをしていると、ブンビーという金髪の男が空腹で倒れそうになったため、キラパティでパフェを作ってあげるが未だにおかわりを要求してくるため、いちか、ひまり、シエルに任せて俺たちはプリキュア探しを続けていた。

 

「プリキュアファイブ、プリキュアファイブ……どこ?」

 

はながつぶやきながら探しているが、そんなもので見つかるわけ無いだろ。

 

「あれ?もしかして……」

 

そんな時一人の女の子が俺たちに声をかけてきた。

 

「あなた、CMの子でしょ!」

 

「はい」

 

さあやを見て声をかけてきた女。まさかと思うが……

 

「んなわけないよな」

 

「何がそんなわけないんだ?」

 

「ナタラ、気にするな」

 

しばらくその女と話しているうちに仲良くなっていくはな達。なんつうかいちかもそうだがよくすぐに仲良くなれるな……

 

「ふむ……そろそろ合流する頃だな」

 

エスデスがそう呟くが、誰と合流する気なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

街周辺に突然現れたオシマイダーの群れ。俺はそのオシマイダーに見覚えがあった。

 

「あれって前に倒したやつだな」

 

「倒したやつって……」

 

タツミは知らないが、前に合流する前に戦った相手が何でもまた復活するんだ

 

「とりあえず考えている暇はないな。さっさと片付けるぞ」

 

「みらい、リコ、行くぞ」

 

「うん、リコ、行くよ」

 

「えぇ」

 

みらいとリコの二人が変身しようとするが何故か変身できなかった。というより二人が手を握ってるのはモフルンじゃなくってはぐたんだし

 

「モフルンはこっちモフ」

 

「「あっ……」」

 

「ほら、はぐたん、避難してろ。チェルシー」

 

「はいはい」

 

はぐたんをチェルシーに任せ、戦闘態勢に入ると俺達の前に無数の危険種が現れた。

そしてどこからともなくドロテアの声が聞こえてきた。

 

『コスミナの力により、危険種を大量に生産しておいた!!さぁ決着をつけようではないか!!』

 

「はぁ……危険種がどんなに集まってもな……」

 

俺はナイトレイドのみんなと陽斗たちの事を見て、笑みを浮かべた。

 

「負ける気がしないんだよ!!龍騎!発動!」

 

俺は龍騎を発動させ、無数の危険種の中に飛び込んでいく。同時にボスが号令をかけた。

 

「全員!ミナトに続け!!」

 

みんなが危険種に向かっていく中、オシマイダーの前にラブが飛び出し……

 

「チェインジ・プリキュア・ビートアップ!ピンクのハートは愛あるしるし! もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」

 

ラブがレモン色のツインテールに代わり、ピンクを基調とした衣装に変わった。

 

「キュアピーチ!?」

 

「あれが……」

 

「ハッーーーーー!!」

 

キュアピーチがオシマイダーを撃退していく。本当に頼もしいな。それに……

 

「ハッ!!桐一文字……使いやすいが……アカメ!!」

 

「……わかった!」

 

アカメはゴズキに村雨を渡し、代わりに桐一文字を受け取り危険種を切り裂いていく。

 

「久しぶりだな。村雨!!」

 

「懐かしいな……」

 

「師匠とアカメって奴……すごいな」

 

「ちょっと陽斗!?感心してないで戦いなさいよ!!」

 

「わかったって!トパーズ!」

 

陽斗は黄色い衣装に二丁の銃を手にした姿に変わり、右の銃を空に掲げ

 

「降り注げ!!」

 

空に向かって放たれた無数の弾が危険種に向かって降り注いでいった。何というかあいつも中々の強さを持ってるな

 

「陽斗、それがお前の本気か?」

 

「いや、エメラルドの力とアレキサンドライトの力があるからまだ本気じゃない」

 

「まぁでも危険種相手に本気を出す必要はない。温存しておけ」

 

「分かってるけど……」

 

ただ心配なのは……あっちにいるクロトは本気でやってそうだな……

 

するとオシマイダーが急に膨らみだし、はぐたんはフェリーチェに向かって

 

「めっ!あぶな~い」

 

「えっ?」

 

突然オシマイダーが爆発し、トゲパワワが街中を包み込んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロトSIDE

 

「ちっ!面倒だな」

 

危険種の群れを撃退していくが、数が多い

 

「一気に終わらせるか!」

 

「待て雑魚!」

 

「何だよ!止めるんじゃねぇ!ナハシュ」

 

「まだ本気を出すな!」

 

「こういうのは一気に殲滅したほうがいいんだよ!」

 

「はぁ、クロト……少しは……」

 

何だか疲れ切ったセリューが近寄ろうとした瞬間、無数の危険種が一気に襲いかかってきた。

だがその時水の龍が危険種を倒していく。

 

「やっと来たか」

 

「おまたせしました。エスデス様」

 

「三獣士、ただいま合流しました」

 

「ご命令は?」

 

「ドロテア、コスミナ、それにともなって蘇った亡者共を地獄に送り返せ!!」

 

「「「了解!!」」」

 

突然現れた三人。あれがエスデスの直属の部下か……挑んだことなかったけど中々だな

 

「ウェイブ!空に向かってアドラメレクを放り投げろ!」

 

「えっ?いいんですか?」

 

「大丈夫よ。ちょっと改造しておいたから。使用者二人の所にすぐに向かうようにしてあるの」

 

「使用者って……まさか!!それだったら!」

 

ウェイブがアドラメレクを放り投げた瞬間、上空から何かが降ってきた。それはアドラメレクを一瞬のうちに装着し、無数の雷を放ち、危険種を潰していった。

 

「久しぶりだな。ブドー」

 

「エスデス……それにイェーガーズに選抜組か」

 

あれがブドー将軍か。やっぱり強いな……

 

するとオシマイダーと戦っている所にさっき会ったのぞみが駆け寄り、

 

「プリキュア・メタモルフォーゼ!」

 

のぞみが鮮やかなマゼンダの髪に変わり、ピンクを基調にした衣装に変わった。

 

「大いなる希望の力!キュアドリーム!」

 

「のぞみちゃんもプリキュアだったの!?」

 

「はなちゃんたちが変身したからびっくりしたよ。それじゃ一緒に行くよ!」

 

エールとドリームの二人がオシマイダーを撃退していく中、オシマイダーの体が膨らんでいくことに気が付いた。

 

「まずいな!!全員!一箇所に集まれ!」

 

俺がそう叫び、全員が一箇所に集まるとホイップたちのキラキラルで防護壁を作り出すと、オシマイダーが爆発し黒い何かが街中を包み込んでいった。

 

『このオシマイダーたちを使って世界中の!プリキュア共の時間も止めた!!のこりのプリキュアはお前たちだけだな!!』

 

「違う!まだいる!」

 

キュアエールがそう言うが、本当にいるものなのか。するとトラウムが姿を現した。

 

「すべての力をトゲパワワに変換して時を止める!あとは残ったお前たちを倒すだけ!!」

 

「タァッーーーー!!」

 

「あっ?」

 

「あなたを倒して!絶対に街を元に戻すんだから!」

 

ドリームがトラウムに挑んでいく。まだ諦めてないか……

 

「そうだよな!プリキュアはそうじゃねぇとな!!」

 

「それだったら私達も!」

 

セリューは俺の隣に並び、一緒にトラウムに攻撃を仕掛けていく。

 

「お前たちに私を倒すことなんて!!」

 

トラウムが反撃を仕掛けようとするが、ボルスが炎でトラウムの視界を奪い、ホイップたちがトラウムを縛り上げていった。

 

「コルネリアだっけ?」

 

「ウェイブだっけ?」

 

「「一緒に行くぞ!!」」

 

ウェイブとコルネリアが同時に縛り上げられたトラウムを殴り、落下地点にクロメ、ナハシュ、ナタラ、ランが追撃を与えていき、俺とセリューは立ち上がったトラウムの懐に飛び込み

 

「合わせろ!!」

 

「そっちこそ!!」

 

同時に蹴り上げ、上空に上がったトラウムに向かってドリームが必殺技を放った。

 

「プリキュアシューティングスター!!」

 

流星の如くトラウムに突撃をし、爆発するトラウム。これで決着か?

 

「ドクター、どうにかする方法は?」

 

「あるとしたら発生源を倒せばどうにかできるはずよ。ただ戻らないということは……」

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

キュアフェリーチェのとっさの機転で俺たちは何とか時が止まらないでいた。

 

「どうにかしないとな……」

 

「ミナト、桐一文字でどうにかできないのか?」

 

「どうにかって言われても……」

 

俺はアカメから桐一文字を受け取り、地面を切るが変化はなかった。

 

「現況をどうにかしないとな……」

 

「とりあえずみんなと合流しないと」

 

タツミの意見は賛成だけど、ここまで距離があるな……

 

「ミナト、いい方法があるわ。タツミがドラゴンになって……」

 

「あぁ背中に乗って移動か……いいなそれ」

 

「いや、待てよ、俺が一番疲れるだろ!」

 

俺、タツミ、マインで言い争うとタルトがあることをいい出した。

 

「いい方法がある。シフォン」

 

「プリプー」

 

シフォンがまばゆい光を放った瞬間、俺達は光りに包まれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくとトラウムの真上に出てきた俺たち。キュアエトワール、キュアミラクル、キュアピーチの三人で蹴りを放った。

 

「クロト、セリュー、待たせた」

 

「おせぇぞ!」

 

「というか問題児を押し付けないでよ!」

 

「いや、セリューならなんとかなると思って……」

 

「ならないからね」

 

「いや、喧嘩してる場合じゃ……」

 

陽斗に止められると、トラウムが攻撃を仕掛けていく。確かこいつはどんなに攻撃しても復活するんだよな

 

「ん?アムール、トラウムが時を戻すときは」

 

「ミナトも気が付きましたか。それでしたら……」

 

「それだったら私とタツミにまかせてもらおうか」

 

エスデスがトラウムにゆっくりと歩いていく。任せるって……そうか……でも何でタツミも?

 

「エスデス……そうか!だったら」

 

「何をするつもりか知らないが、時を止めてしまえばお前たちなぞ!!」

 

「時を止めるのはお前だけの特権じゃないぞ!摩訶鉢特摩!」

 

エスデスが何かを発動させた瞬間、一瞬のうちにトラウムの右手が破壊されていた。

 

「な、なんだ!?何が起きた!?」

 

「時を凍らせた。負担が大きい技だが強力だ。そして時が凍った中で動けるのはインクルシオによって耐性がついたタツミのみだ」

 

「これでお前は復活することはできないな」

 

な、何というか……時を凍らせるってつまり時を止めるってことだろ。どんだけ強いんだよ

 

「これで時間を操ることができなくなりましたね」

 

「ルールー、時間を操ることだけが私の力だけではないぞ!ここには大量のトゲパワワがある!」

 

トラウムがトゲパワワを吸収していき、段々と大きくなっていく。そして更にはドロテアとコスミナが姿を表した。

 

「ふむ、トラウムよ。そのままだと……いや言う必要はないか……では妾たちも本気を出すとするか……コスミナ!!妾を食え!」

 

そう告げた瞬間、ドロテアがコスミナに食われた。一体何をするつもりだと思った瞬間、コスミナの姿がみるみるうちに変わっていき、コウモリの羽をはやし、両手は鋭い鎌を生やし、真っ黒な衣装に身を包んだドロテアへと変わった。

 

「これが本気の妾たちだ!!」

 

「融合しやがった……」

 

「なりふり構ってないっていうことか……」

 

融合したドロテアとトゲパワワを吸収したトラウム……決着をつけないとな

 

 

 

 

 



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第97話 プリキュア大集合

トゲパワワを吸収しキューブ状に無数の手を生やしたトラウム。キュアエールたちを捕まえようとしていた。

 

「お前たちのアスパワワもトゲパワワにかえてやる!!」

 

「みんな!?」

 

「よそ見をしていていいのか!!」

 

ドロテアが猛スピードで俺たちを切りつけていく。このままじゃやられてしまう。

 

「はぐたん!?きゃああ!!」

 

逃げ遅れたはぐたんを抱きかかえるキュアエールだったが、その隙を付かれトラウムに捕まってしまう。

 

「手始めにお前のアスパワワを吸い尽くして……」

 

トラウムがキュアエールのアスパワワを吸い尽くそうとした瞬間、上から強い衝撃を受けていた。

 

「あの二人は!?」

 

「何だ?あいつらは?」

 

「もしかして……」

 

俺と陽斗はその二人に見覚えがあった。あれってキュアブラックとキュアホワイトの二人……

 

「だからよそ見をするなと言ってるだろ!!」

 

キュアブラック達に気を取られ、ドロテアが鋭い鎌で俺を貫こうとした瞬間、突然現れた何かが鎌を受け止めていた。

 

「あんたは!?」

 

「手こずっているみたいだな……ミナト」

 

「お久しぶりです」

 

俺を助けてくれたのはレガオンとシアの二人だった。なんでこの二人まで……

 

「あんたらは帰ったんじゃ……」

 

「実は言うと帰らずになぎささんたちの所にご厄介になってるんです」

 

「異世界に来たんだ。しばらくゆっくりしていても問題はないだろ!!」

 

レガオンがドロテアの鎌を掴んだまま、思いっきり振り回し、空へと投げ捨てた。

 

「こいつら!?あの時現れた奴か!!だが妾たちが負けるわけ……」

 

「ミナト、お前らの見せ場だ。やってやれ」

 

「……あぁ、ナイトレイドのみんな……やるぞ!!」

 

「任せろ!!兄貴!」

 

「あぁ!!」

 

タツミとブラートの兄貴は拳の連打を繰り出していき、ドロテアも負けじと斬撃を繰り出してきたが、タツミたちのほうが押していくる

 

「ぬぐううう!!ならば全体に届くように……」

 

体中から無数の棘を生やし、銃弾のように放ってきた。その銃弾がマインの方に向かってくるが……

 

「すみません」

 

「させないよっと」

 

シェーレとラバの二人が銃弾を防ぎ、マインとツクシの二人は銃口をドロテアに向け

 

「ナイスピンチ!!」

 

「行きます!!」

 

マインの砲撃とツクシの銃弾がドロテアに命中し、ドロテアの腹に風穴が空いたが、一瞬のうちにコウモリへと姿を変え、すぐに元の体に戻った。

 

「体を一度ばらしてしまえば……ぬぐぅ!?」

 

「油断大敵……戦いに向かない人間だと思っていたら痛い目見ちゃったね」

 

一匹のコウモリに変身したチェルシーがドロテアの首に針を刺していた。チェルシーはそのまま地面に落ちそうになるが、

 

「レイアースーツ!!乗っていけ!」

 

ガイが土を操り、上へと伸ばしていく。その上にスサノオが乗っていて、落ちてくるチェルシーを抱えた。

 

「さすがは同じ時期に入っただけあるわね」

 

「うむ」

 

スサノオは更に追撃を与え、地面に降りた。

 

「ぐあああ……まだ……」

 

「相変わらずしぶといやつだな……だったら」

 

「任せてくれ」

 

グリーンが空に浮かぶドロテアを鞭で縛り上げ、地面に叩きつけ、その上から

 

「ハアアアアアアアアア!!」

 

ポニィがキックをぶちかまし、更には大岩を持ったレオーネがドロテアを押しつぶした。

 

「叩き潰さないとな駄目みたいだぞ。こいつ」

 

「があああああああああ!!」

 

岩に潰されたドロテアが脱出し、真っ黒な悪魔みたいな姿に変わった。だけど俺と陽斗は懐に潜り込み、

 

「狂龍騎!!」

 

「リゼルファ!エメラルド!」

 

俺は狂龍騎になり、陽斗は緑色の騎士甲冑に緑色の刀を手にし、二人で攻撃を繰り出す。

 

「がはっ、がほっ……」

 

「追撃だ!」

 

更にブドー将軍が雷撃の嵐をドロテアに放ち、

 

「最後はこれだな」

 

「あぁ……父さん」

 

アカメはゴズキから村雨を受け取り、アカメもゴズキに桐一文字を渡し、二人同時にドロテアを斬りつける。

 

「「葬る!!」」

 

「がっ……がああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ドロテアは悲鳴を上げながら倒れるのであった。これで決着か……あっちもキュアブラックとキュアホワイト……あの金髪の子は?

 

「あの子はシャイニールミナスだよ。キュアブラックたちの仲間なんだ」

 

「あんな子がいるなんてな……とりあえず決着がついたって言うことか?」

 

「いえ、待って下さい!」

 

『プリキュア………』

 

突然倒れていたトラウムが起き上がった。更には村雨の一撃を喰らったドロテアも起き上がった。

 

「くくく、トラウム……トゲパワワを吸収しすぎて暴走したか」

 

「本当にしぶとい奴だな……」

 

レオーネが面倒くさそうにドロテアに向かったそう言うと、ドロテアは笑みを浮かべていた。

 

「今、お前たちが切ったのはコスミナだ」

 

「つってもお前にはもう戦う力はないだろ」

 

「あぁだから……」

 

「いいものをあげるよ」

 

突然黒い穴が開き、そこからリアンが姿を現した。まさか助けに来たっていうのか?

 

「おぉ、助けに来てくれたのか」

 

「いいえ……違うわ」

 

リアンは笑みを浮かべ、ドロテアの胸に何かを突き刺した。

 

「こ、これは……!?」

 

「ハイト様から伝言『最後のチャンスだ。これを使ってナイトイェーガーズを全滅させろ』だってさ。それじゃ頑張ってね」

 

「ぐ……ぐおおおおおおおおおおおおおお」

 

リアンがすぐに帰ると同時にドロテアは叫びながら何かへと姿を変えていく。それはみるみる内に大きくなっていく。タツミ、ウェイブ、エスデス、アカメ、ボス、クロトはそれに見覚えがあった。

 

「おいおい、あれって……」

 

「なんでこいつが……」

 

「いやあれというわけではないな」

 

「まさかと思うが皇具にも……」

 

「だとすれば……」

 

「全員!逃げろ!!」

 

ドロテアが姿を変えたと同時に黒い塊の姿となったトラウムがキュアエールたちを黒い空間に閉じ込め、巨大な存在が口からビームを発射し、俺たちを吹き飛ばしていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくとナイトイェーガーズのみんなが倒れ込み、起き上がっていたのは俺、クロト、陽斗だけだった。

 

「なんなんだよ。あのロボットは……」

 

「あれは……まさか至高の帝具……」

 

「いや、違う。あんな見た目をしていない」

 

禍々しい悪魔みたいな姿をした巨大な物体……あれはタツミ達から聞いたシコウテイザーじゃないのか?

 

『ふふふ、ふははははは、これはいい!!至高の帝具を超えたこの皇具!!これが究極の皇具!!シコウカイザーの力だ!!』

 

ドロテアの笑い声が響いてくる。それにプリキュアのみんなもあの黒い空間に閉じ込められて……

 

「……もう駄目なのか?」

 

「諦めてんじゃねぇよ!!」

 

「そうだよ!僕らがまだ立っている!!」

 

諦めかけた瞬間、クロト、陽斗がそう叫んだ。この二人は……そうだよな。俺以上に負けられない戦いを繰り広げてきたんだよな

 

「悪い。諦めかけてた。まだ俺たちは立っている!!」

 

『貴様らごときが立ち上がろうともこのシコウカイザーには勝てるわけ……』

 

「フレフレ!プリキュア!」

 

「フレフレ!プリキュア!」

 

「フレフレ!ナイトイェーガーズ!プリキュア!」

 

はぐたんたちの声が聞こえてきた。応援を聞き続けていると段々と力が湧いてくる

 

「俺たちを応援してくれるやつらがいるからこそ……」

 

「僕らは諦めないし……」

 

「負けられねぇな!!」

 

「「「お前をぶっ潰す!!!」」」

 

俺たちの叫びと同時にプリキュアたちを閉じ込めていた黒い空間が消滅し、みんな脱出していた。

 

『ぐおおおおおおおおおお!!』

 

トラウムは脱出したプリキュアたちに向かって大量のオシマイダーを生み出していく。

 

「すごい数……」

 

「大丈夫。私達は負けない!!」

 

キュアエールの言葉に答えるかのように黒い雲を突き破り、四人のプリキュアが駆けつけてきた。

 

「冷たい時に閉ざされた夢!返していただきますわ!お覚悟はよろしくって」

 

「キュアフローラ!?」

 

「ラブリービーム!!」

 

更にはビームで大軍勢を薙ぎ払っていくプリキュア。さらに多くのプリキュアが駆けつけてきた

 

「「集合!!」」

 

『プリキュアオールスターズ!!』

 

もしかしてプリキュア全員集合なのか?というか全部で55人って……

 

「負けられないっていうか……負ける気がしないな」

 

「ここまでの人数になるとな」

 

「あはは……」

 

 



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第98話 奇跡の力、奇跡の三人

今回でオールスター回は終わりです。そして陽斗とクロトの最終形態のネタバレもあります


『プリキュアが復活したところで……シコウカイザー!!』

 

シコウカイザーから黒い何かが降り注ぎ、地面に落ちると何人ものワイルドハントに、何百体もの危険種が生み出された。

 

『意思をなくしたワイルドハントたちに危険種だ!!お前たち三人でなんとかなると思っておるのか!!この究極の皇具に勝てるとでも……』

 

「三人?違うな……」

 

「プリキュアが集まったことでなのか……みんな回復してるな」

 

「まぁ、奇跡ってやつだな」

 

後ろを振り向くとアカメたちが立ち上がっていた。おまけに傷も治っている。これはプリキュアの奇跡なのか?

 

『違うよ』

 

「この声……そっかお前のおかげなんだな」

 

『はなたちが……君たちが頑張ってるんだから手助けをしないとね』

 

ありがとうな。クローバー………

 

「ミナト、あっちの軍勢は私達に任せろ!そっちは……」

 

「あぁ、任せろ!みんなを……プリキュアたちを頼んだぞ」

 

「あぁ!」

 

「みんな!行くぞ!」

 

『オォ!!』

 

全員が駆け出し、俺、陽斗、クロトはシコウカイザーに立ち向かっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

プリキュアSIDE

 

 

キュアブラックとキュアホワイトの二人が大群を薙ぎ払っていく中、タツミ、レガオンもまた同じように薙ぎ払っていく。

 

「同じような人間を増やしたところで強さが変わるわけ無いだろ!」

 

「そうだな……全てを蹴散らせるぞ!!」

 

二人は力を解放し、巨大な龍へと姿を変え、大量のワイルドハントやオシマイダーや闇のしもべたちを吹き飛ばしていく。

 

「あっちは強大な力で薙ぎ払うか。ならば!!」

 

エスデスは向かってくる軍勢の前に大量の氷の兵を生み出し、闇の下僕とワイルドハントと危険種を倒していった。

 

「すごいな……というか氷系だったらさ。一緒にやらない?」

 

「ふむ、キュアジェラートと言ったか。面白い!!」

 

ジェラート、マーメイド、ダイヤモンド、マリン、アクアと共にエスデスは氷の嵐を敵に向かって放っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「スサノオ、やれ」

 

「分かっていると思うが、マスターの命を蝕むことがなくなった代わりに、前よりは威力は落ちるぞ」

 

「こっちにきた影響で後遺症はなくなったんだ。それ以上のことを望むことはできない!奥の手だ!禍魂顕現!!」

 

「あぁ!天叢雲剣!!」

 

スサノオはキュアベリー、キュアソード、キュアビューティーと共に軍勢を切り裂いていく。

 

キュアメロディ、キュアピーチ、キュアハートの三人が巨大な敵にパンチを繰り出していく中、マイン、ツクシ、サヨの三人は遠距離から支援を行っていく。

 

 

プリキュア、ナイトイェーガーズが協力し、軍勢を蹴散らしていき、アカメ、クロメ、ウェイブはキュアエール、キュアブラック、キュアブルーム、キュアミラクル、キュアピーチ、キュアフローラ、キュアラブリー、キュアブロッサム、キュアハート、キュアハッピー、キュアホイップ、キュアメロディ、キュアドリームたちと一緒にトラウムに立ち向かっていた。

 

「クロメ、行くぞ!!」

 

「うん!!」

 

プリキュアピンクチームと共に攻撃を繰り出していく二人。そしてウェイブとキュアエールの二人が飛び出し

 

「使わせてもらうぜ!!グランフォール・フリューゲル!!」

 

黒い翼を生やし、上空から凄まじい蹴りを食らわし、更にキュアエールのボンボン攻撃でトラウムは倒れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前らなんぞ!!喰らえ!カイザーナックル!!』

 

「オウガデーモン!!鬼神モード!!」

 

クロトが禍々しい鎧に身を包み、巨大な拳を片手で受け止めた。

 

「リゼルファ!アレキサンドライト!!」

 

陽斗は赤、白、緑、黄色、青が混ざりあった衣装に変わり、五色の剣でシコウカイザーの腕を切り裂いた。

 

『ぬおおおおおおおおおお!!?まだまだ!!』

 

大量のビームを放ってくるが、俺達の前にドラゴンの姿のタツミとレガオンが現れ、攻撃を防いでくれた。

 

「おい、愛の力はどうした?」

 

「それは……マシェリ!」

 

「わかり……ってこんな大勢の前でできません!!」

 

愛龍騎になりたいけど、えみるが恥ずかしがっていて無理だった。

 

「仕方ねぇな……シア!!」

 

「分かりました。アムールさん」

 

「はい?」

 

シアがアムールに触れるとアムールが白いオーラーに包まれていた。

 

「愛の力を一度だけ分け与えました。なので……」

 

「……分かりました。マシェリ、その、ごめんなさい」

 

アムールが俺にキスをすると同時に愛龍騎に姿を変わり、シコウカイザーの顔を思いっきりぶん殴った。

 

「……何だか物凄く申し訳ないんだけど」

 

「というかキスで変身って……」

 

「こんな状況で平然とやってのけるやつがすげぇよ」

 

陽斗、クロトに突っ込まれてしまった。だって仕方ないだろ

 

『まだだ。まだ負けるつもりはない!!』

 

シコウカイザーが切り落とされた腕を再生させ、連続でパンチを繰り出していく。圧倒的な威力だけど……

 

「諦めるわけ」

 

「ねぇよ!!」

 

「俺達は絶対に!!」

 

「「「負けない!!」」」

 

クロトがシコウカイザーのパンチをパンチで返し、右腕を大きくし、鋭い爪でシコウカイザーの体を切りつけていった。

 

『ぐうう!!これならどうだ!!』

 

口を開いてビームを放ってくるが、陽斗が五色の剣でビームを防ぎ

 

「返しておくぜ!!」

 

ビームを吸収し、そのままビームをシコウカイザーに当てた。

 

『この程度で……まだ妾は!!』

 

三人同時にシコウカイザーに突撃していく。シコウカイザーは胸の装甲を開き、砲撃の準備に入っていた。

 

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

 

俺たちは発射される前にシコウカイザーの胸に突っ込み、風穴を空けるのであった。

 

『ば、馬鹿な……シコウカイザーが……負けるなんて……究極の皇具じゃ……ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!』

 

ドロテアの叫び声が響きながらシコウカイザーは爆発するのであった。

 

「「「俺達の勝ちだ!!」」」

 

シコウカイザーが倒されたことで出現させられていたワイルドハントや危険種は消えるのであった。

 

そしてトラウムもプリキュアたちの攻撃を喰らい、倒されそうになるが更に大きく変わり、地球よりも大きくなっていた。

 

「どうすれば……」

 

「大丈夫。自分を信じて、仲間を信じて」

 

「そうだよ。私達はプリキュアだもん」

 

怯えていたキュアエールに声を掛けるキュアブラック。そうだ、お前たちはプリキュアだからこそ……

 

「こんな時だって私達は……」

 

『絶対に諦めない!!』

 

すると他のプリキュアたちがキュアエール達に力を与えていく。そんな中、マシェリは……

 

「ミナトさん」

 

「なんだ?」

 

マシェリは俺にキスをした瞬間、金色に輝く愛龍騎に姿を変えた。というかみんな、物凄く見てるけど……大丈夫なのか?

 

「なんだこれ?」

 

「愛が奇跡を起こしたって言うことなんじゃないのか?」

 

「それに僕らも」

 

クロト、陽斗も金色に輝いていた。最後まで頑張れって言うことだよな。

 

「プリキュアの美しき魂が!」

 

「邪悪な心を打ち砕く!」

 

「そして、輝く未来を切り開く!」

 

キュアエールたち五人にプリキュアミライブレスが装備された。

 

「「「「「プリキュア!オール・フォー・ユー!」」」」」

 

まばゆい光線とともに俺たち三人も空へと上がっていき、巨大トラウムに突っ込み、浄化していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと見たことのない場所にルールーと来ていた。

 

「ここは……」

 

「トラウムの記憶の中ですね」

 

そこにはトラウムがルールーの完成に喜ぶ姿があった。まさかトラウムはルールーの……

 

「これは過ぎ去った時……」

 

そしてトラウム自身もそれを見ていた。ルールーはトラウムに向かって……

 

「いつかまたお会いしましょう」

 

「あぁ……」

 

「ルールー……知ってたのか?」

 

「えぇ……ミナト……また会えますよね」

 

「あぁ会えるさ」

 

俺は笑顔で言うとルールーも笑顔で返すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽斗SIDE

 

「ふぅ、何だか大変だったな」

 

「本当ね。でも久しぶりにみんなに会えたし」

 

「うん、みんなと集まるの楽しかったね」

 

「はー、それにしてもミナトのパワーアップってキスしないと駄目なんだね」

 

「あれは……」

 

「私達じゃ無理だよね」

 

 

 

 

 

 

 

クロトSIDE

 

「何だか大変な一日だったね……」

 

「にしてもミナトの奴は面白いことになってるな」

 

「あのあんまりいじったりしたら駄目ですよ」

 

「ひまり、別にいいだろ。こういう時くらいはな」

 

「ふふ、クロトは久しぶりに友人に会えたから嬉しいみたいね」

 

「口でなんだかんだ言って仲間思いなんだね」

 

「意外とね~」

 

「うるせぇぞ、ゆかり、あきら、あおい」

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

 

みんなでハリーショップに帰る中、えみるは顔をずっと真赤にさせていた。

 

「大丈夫か?えみる」

 

「は、はい」

 

「あれだけ恥ずかしがってたからね~」

 

「えみる、ごめんなさい」

 

「い、いいのです。でも大勢の前でキスはもうしたくはないのです」

 

「あ、あははは」

 

「また会えるかな?」

 

「会えるさ……今度は平和なときにでもな」

 

「うん」

 

はなは笑顔で頷くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

「あ~あ、負けちゃったか~ハイト様、ドロテア負けましたよ」

 

「分かっている。だが彼女が残してくれた研究は十分に役立っている」

 

「にしてもシコウカイザーが究極の皇具だなんて……ばかみたいな勘違いしちゃって」

 

「あれは究極どころではないな。ただシコウテイザーに似せて作った代物だ」

 

「楽しみですね。ハイト様のその大剣が本来の姿に戻るのが……」

 



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第99話 ハッピーハロウィン

ある日のこと、ハリーショップではなが何かを描いているのを見ていた。するとハリーとはぐたんが買い物から戻ってきた。

 

「ただーいま?」

 

はなの奇声と奇行に驚くハリー。はぐたんはお絵かきをしているものと思い、はなに近づき

 

「おえかき?みゆ~」

 

はぐたんがはなの描いているものをみた瞬間、悲鳴を上げた。俺も気になって見てみるとおばけとかの絵が書かれていた。

 

「何はぐたん泣かせてるんや?ってなんじゃこりゃ~」

 

「こりゃ~」

 

はなから話を聞くとハロウィンのイベントをやるため、何か手伝えないかということで、ポスターを書いていたのだが

 

「これでは恐怖で盛り下がり間違いないのです」

 

「えぇ~で、でもほら、みんなに協力して貰えれば……」

 

ハロウィンイベントで仮装ダンスをするということで、みんなにも協力してほしいということになった。ただ気になることが一つ

 

「なぁはな」

 

「何?ミナトくん」

 

「「「結局ハロウィーンってこういうこと?」」」

 

俺、ルールー、ハリーの三人が思い浮かべたのは怪獣と巨大メカとおばけが暴れまくるというものだった。

 

はなたちがハロウィンを知らない俺たちに説明するために衣装の生地などを買いに行くことになった。

 

 

 

 

 

話を聞くとハロウィンはもともと先祖の霊が家族のもとに戻ってくるものらしい。そこからどうにも変化して今みたいなものになったらしい

 

「にしても衣装って……」

 

「あ、あのミナトさん。折角ですので……」

 

えみるがもじもじしながら何かをいいたそうにしていた。何だ?どうしたんだ?

 

「私が衣装を作っていいですか?」

 

「俺の衣装を?」

 

「はい」

 

まぁ断る気にもなれないし、いいかもしれないな。

 

「それじゃ楽しみにしてるよ」

 

「はい」

 

「そうだ。折角だからセリューさんたちのも作ります?」

 

さあやがそう言うと、何で俺に聞くのかと思ったけど僕はいいと言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイガンがチンアナゴのチェロス作りをしているが、苦戦していた。

 

「こんなつまらないことにも明日夢見て、希望を抱く。愚かだと思いませんか?ダイガン」

 

「お前はリストル!?」

 

「私もいるよ。ダイガン」

 

「リアン!?なぜおまえたちが……」

 

「フッ、豪腕で鳴らしたダイガンがなさけないことです」

 

「情けないのはそっちじゃないのか?昔の仲間に何の用だ」

 

リストルがダイガンの前に立ち、睨みつけながらあることを囁いた

 

「あなたもクライアス社に戻ることを考えてみませんか?」

 

「最近、幹部たちにいろいろとあってね。人員不足なんだって……まぁ研究部門も同じ感じだけどね」

 

「特別室長のポジションを与えましょう」

 

「特別……」

 

「今の待遇に満足できなくなったら……こちら」

 

リストルはダイガンに名刺を渡すのであった。リアンはというと

 

「さぁてと……どれだけ力をつけたか。試してあげようかな」

 

笑みを浮かべながらどこかへと行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

ハロウィン当日になり、俺はえみるが用意した海賊みたいな衣装に身を包んでいた。

 

「何で海賊?」

 

「というか俺からしてみれば嫌な感じがするんだけど」

 

そういえばウェイブはイェーガーズの前は海で海賊とかと戦ってたんだっけ。嫌な感じをしてるけど用意したのはえみるなんだからしょうがないだろ

 

「そういうお前の格好は……何だ?」

 

ウェイブはというと何故か緑色の服を着ていた。

 

「ピーターパンという絵本の主人公らしい……」

 

「まぁ似合ってるぞ」

 

「そういうお前も海賊姿が似合ってるぞ」

 

男に褒められても嬉しくないな。するとえみるとルールーが海賊の格好をしてこっちにやってきた。

 

「ミナトさん、どうですか?」

 

「あぁえみる。似合ってるぞ」

 

「えへへ」

 

「えみる、この間の一件から頑張っていますね」

 

「この間……あぁルールーが変わりにキスをしたやつか」

 

「はい、自分が恥ずかしがって迷惑をかけたと思っているみたいで……なるべく恥ずかしさを克服するために頑張っているみたいです」

 

「何というか、ミナトとえみるも大変な関係だな……そういえばクロメ、アカメ、セリューは?」

 

「三人でしたら着替えるべきかどうか悩んでいましたよ」

 

ルールーとウェイブの話を聞いていると、あの三人は何の衣装で出てくるんだと気になってきたのであった。

 



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第100話 楽しいハロウィン

みんな着替え終わり(アカメ、クロメ、セリューの三人はいまだに出てこないけど……)今度ははぐたんの番ということでみんなできせかえをやっているが、段々とはぐたんの機嫌が悪くなっていった。

 

「あぁ、はぐたんごめんね」

 

「まぁはぐたんが何になりたいのかが一番じゃないのか?」

 

「そうだね。はぐたん、何になりたい?」

 

はながはぐたんに聞くと、はぐたんはしばらく考え、ある答えが出た。

 

「ぷいきゅあ!」

 

はぐたんはプリキュアになりたいか……いいかもしれないな。早速みんなではぐたんの衣装作りを始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はチラシの配布と客の呼び込み。チャラリートはうちの事務所に合いそうな子を見つけ次第スカウト。ダイガンは店で調理アンド接客。おのおの頑張るわよ」

 

パップルがそう言って早速分かれて仕事を始めるが、ダイガンだけは未だに納得していなかった。

 

「なんで私が……」

 

チンアナゴのチェロス作りに苦戦をしていき、ダイガンの怒りはだんだんと溜まっていった。

 

「やってられるかこんな仕事!!」

 

そう叫んだ瞬間、通りがかりの少女が靴ずれをして膝をついていた。

 

「クライアス社……明日への希望よ消えろ!ネガティブウェーブ!!」

 

ダイガンは猛オシマイダーを生み出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぐたんの着替えが終わるのを待っていると猛オシマイダーが突然現れた。

 

「誰だ?今回は?」

 

「姿が見えないけど……」

 

俺たちはあたりを見渡すが幹部の姿が見えない……まぁいいか。

 

「行くぞ」

 

俺とウェイブが戦おうとするがはなたちが止めに入った。

 

「待って!こんな人が多い場所じゃ」

 

「変身することが……」

 

確かにこんな場所で変身したら正体がバレちまうな……そんな時はなはあることを思いついた。

 

「せっかくのハロウィンなんだから楽しんじゃおうよ」

 

ハロウィンだから?よく分からないけどやってやるか

 

 

 

 

 

 

 

はなたちはプリキュアに変身し、高い所に登った

 

「ねぇあれって」

 

「うそ」

 

「レディースアンドジェントルメン!」

 

「ハロウィーン特別イベント!プリキュアショーへようこそ!」

 

「今日は名一杯楽しんじゃうよ!!」

 

なるほどこれはよく考えたな。俺とウェイブも帝具を発動させて並び立つと猛オシマイダーの近くにリアンが降り立った

だけどリアンの姿はハロウィンだからか魔女の格好をしていた。

 

「なんだか楽しそうだから付き合ってあげる!さぁ来なさい!プリキュア共!この機械魔女リアンが相手してあげる」

 

付き合いが良いのか何なのか……

 

「エール、猛オシマイダーは頼んだぞ」

 

「うん」

 

俺とウェイブはリアンと戦い始めるが、これって戦いというべきか……

 

「機戎銃神レグルト!!」

 

リアンはいくつもの砲台を作り出し、俺達に向けた。いつもだったら砲弾を飛ばしてくるが今回はかぼちゃを大量に放ってきた。

 

「ハロウィンだからね」

 

「お前、何というかどこまでノリがいいんだよ!!」

 

「だけど手を抜くつもりはないぞ」

 

俺とウェイブの二人が同時にパンチを繰り出していくが、リアンは砲台で防ぎ、大量のかぼちゃをふらしていく。

 

「あらら、ヒーローが負けそうよ」

 

いつもと違うからかどうにも戦いづらいな……どうしたものか

 

「「「待った!!」」」

 

突然声が聞こえ、振り向くとそこにはアカメたちの姿があったが……

 

「「何だ?あの格好?」」

 

三人の格好は前に会ったキュアブラック達と同じ格好をしていた。というかあれは誰が用意したんだ?

 

「やっぱり3人共似合ってるよ~」

 

エールが手を振りながらそう言っていた。犯人はお前だったのか……エール……

 

「あらら、更に増えちゃったみたいね」

 

「一気に決めるぞ」

 

「うん、お姉ちゃん」

 

「はぁ、何で私がシャイニールミナスなのよ……」

 

なんだか呟きながらセリューはリアンに攻撃を繰り出していく。アカメとクロメもコンビネーションで攻撃を繰り出していき、リアンを追い詰めていく

 

「そろそろ終わりね」

 

リアンがそういった瞬間、エールたちのチアフルアタックが猛オシマイダーを浄化するのであったが、

 

『「モウヤメサセテモライマース」』

 

なんだか聞き覚えのある声が聞こえたのは気のせいだろうか……

 

「くぅ、プリキュアめよくも……次は覚えてなさい」

 

リアンはそう言い残して姿を消すのであった。本当に付き合いが良いな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イベントも無事に中止にならずに済んだな。そんな中はなとハリーの話が聞こえてきた。

 

「クライアス社は時を止めて未来を奪う。そしたら夢とか希望をいだいても無駄になる。それにな明日がけぇへんかったら、思い出がいつまで経っても思い出にならへん。なくしたもんはなくしたまま、取り戻すこともできへん」

 

「大丈夫だよ。ハリーには私達がいるよ。絶対に未来を奪わせたりしない。新しい明日をみんなで迎えよう。ねっ?」

 

「はははは、そうだな」

 

 

新しい明日か……ハリーは新しい明日を迎えることができなかったということを経験してるんだよな。

 

「本当にはなたちは明日に向かって頑張ってるんだな」

 

「どうかしたのですか?ミナトさん」

 

気がつくとみんながはぐたんの着替えを終え、出てきた所にえみるが声をかけてきた。

 

「いや、ただ色々とな」

 

「そうですか……あのミナトさん……」

 

「ん?」

 

「大好きです」

 

「俺もだ」

 

返事をするとえみるが顔を真赤にさせて走っていくのであった。どうにもここ最近積極的になってきたけど、頑張ってることだよな……



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第101話 突然のハリハリ地区

ある日、みんながはぐたんの踊りを見ていた。こうしてみるとはぐたんも前に比べて成長してきた気がする

 

「これもみんなのおかげや。ただな……」

 

ただハリーだけは浮かない顔をしていた。そういえばハリーとはぐたんの関係ってあんまり聞いたことなかったけど……

 

「おやつの時間なのです」

 

「ホットケーキです」

 

そんな中、えみるとルールの二人が巨大なホットケーキを持ってきた。

 

「わたしの知ってるホットケーキとは違う……」

 

「まぁ食べてみよう……めがめちょっく!?」

 

はなはそう言いながら食べてみるとあまりの不味さに驚いていた。

 

「そうか?結構美味しいけどな」

 

俺は普通に食べていたが、タツミとマインの二人は……

 

「なぁあれ……」

 

「明らかに我慢してるわよね……」

 

いや、これは物凄く美味しいからな……我慢してるわけじゃないからな……

 

「異常発生!」

 

ルールーがそう叫んだ瞬間、空間がゆがみ始めた。これは一体……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと俺たちは見知らぬ場所に来ていた。おまけにビューティーハリーに来ていなかったナイトレイドのみんなもいつの間にか来てるし……

 

「ここはどうなんだろう?」

 

「皇具の力というわけではなさそうだな」

 

ボスがこの現象について考え始める中、ハリーがあることに気が付いた。

 

「どういうことや?」

 

「どうしました?ハリー」

 

「ここは俺のふるさと……ハリハリ地区や」

 

ハリーの故郷って……俺達は未来に来たって言うことなのか?でも何でいきなり……

すると小さな建物からたくさんのネズミが出てきた

 

『ハリー兄ちゃん!』

 

「お前たち!?」

 

『きゃわいい~』

 

みんながそういう中、俺たちナイトイェーガーズは辺りを警戒していたが、ある違和感に気が付いた。

 

「アカメ」

 

「ミナト、気が付いたか」

 

「あぁ……どうにも人の気配を感じない……」

 

「それに……ハリーの仲間たちからは……」

 

ブラートもまた同じことを思っていた。あのハリーの仲間たちからは何というか……

 

パチン!

 

突然指を鳴らす音が響くと同時に辺りが竜巻に包み込まれていった。はなたちは急いでプリキュアに変身し、俺達も帝具を構えた。

そして竜巻が消えるとそこには

 

「エール達が……いない?」

 

さっきまで一緒にいたはずのエール達の姿がなかった。そして残されたのは俺達とハリー、はぐたんだけだった。

 

「邪魔者には消えてもらった」

 

「お前は!?リストル!!」

 

俺達の前にはリストルがいた。そして更には空から黒い雷が降り注ぎ、俺達の動きを封じ込めた

 

「この技は!?」

 

「ナイトイェーガーズ……いやナイトレイドのみだな」

 

「ブリッツ!!エールたちをどこにやった!」

 

「彼女たちならドクタートラウム特製の無限迷宮にいる。ハリー、これ以上はクライアス社に歯向かうのはやめなさい」

 

リストルは突然姿をハリーと同じネズミの姿に変わった。まさか同じ種族なのか?

 

「強大な力にあらがっても無意味。お前もよく知ってるだろ」

 

リストルがハリーに襲いかかり、ハリーも負けじと戦っていた。これは俺たちも……

 

「悪いがお前たちはそこでじっとしているんだな」

 

ブリッツがそう言いながら、黒い雷でみんなを縛り上げたが、俺、タツミ、ブラート、スーさんだけ何とか脱出した。

 

「インクルシオの力を舐めるなよ!」

 

「予想通りだな」

 

ブリッツは黒い雷を剣に変え、俺たちに切りかかってきた。ブラートとタツミの二人で攻撃を受け止め、俺とスーさんの二人で攻撃を仕掛けるが、ブリッツの前にある何か弾かれてしまった。

 

「今のは!?」

 

「風のようだな……ミナト、風の隙間を狙え」

 

「隙間って言われても……」

 

ブリッツに苦戦をしているとはぐたんがタンバリンを鳴らしながらプリキュアの名前を呼んだ瞬間、キュアエール達は無限迷宮から抜け出してきた。

 

「はぐたんを泣かせるな!」

 

「迷宮を抜け出してきたか……」

 

リストルは指を鳴らした瞬間、辺りが灰色の世界に変わっていった。そしてその世界は……

 

「ここは……はぐくみ市?」

 

「これがあなた達が守ろうとしている未来ですよ」

 

「これが……私達の未来……」

 

キュアエール達は崩壊した未来を見て、ただただ驚きを隠せないでいるのであった。

 



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第102話 ちっぽけな力でも……

俺達の前に広がった世界……それは時が止まり崩壊した未来だった。

世界中にトゲパワワが溢れ、はぐたんが付けているアクセサリーが点滅していた。

 

「はぐたん……トゲパワワが……」

 

「あなたが思う未来はありません。発注!猛オシマイダー!!」

 

リストルが黒い棒を取り出し、何かの術式を描くとそこから猛オシマイダーが現れた。

エール達が猛オシマイダーに挑むが今まで戦ったときよりも遥かに強く、苦戦をしていた。

俺たちも援護をしようとするが、ブリッツが前に出てきて黒い竜巻で前を塞いだ

 

「お前たちの相手は俺だ!!」

 

ブリッツが両手から黒いエネルギー弾を作り出し、俺達に向かって放ち、俺達はそのまま吹き飛ばされていった。

 

「強力の力の前では我々は無力なのだ!!」

 

「くっ!?」

 

「お前も知っているはずだ!苦しむ俺たちはクライアス社に助けを求めた!子どもたちが安全に暮らせる場所を用意してくれるという約束までしてくれた!だがそれでも……強大な力は故郷を燃やし……すべてを奪っていったことを!」

 

「ぐう!?」

 

ハリーはリストルの言葉を聞き、うつむいていた。強大な力の前ではすべてが無力か……

 

「小さな力を合わせても、強大な力に勝つことはできない!そんな夢が叶うなら……俺達の故郷は滅びることなかった!」

 

「う……うああああああああああああああ」

 

ハリーの悲痛な叫び……俺は立ち上がり、ハリーの側に近寄り……思いっきり背中を蹴った

 

「あたっ!?なにすんねん!?」

 

「さっきから聞いてれば……強大な力の前で無力だとか……ちっぽけな力じゃ勝つことができないとか……それはただ単に諦めたからだろ」

 

「あのな……」

 

「ナイトイェーガーズのミナト・ユウ。お前は強大な力に立ち向かうということがどんな事か知ってるのか!」

 

「あぁ知ってるよ……」

 

俺はこれまでの事を思い出していった。ただただ人々は絶望しかしていなかったことを……

 

「ある村は重税に苦しみ、またある村は何の罪もない人がいるっていうのに焼かれ……」

 

後ろからナイトレイドのみんながゆっくりと立ち上がり、帝具を構え始める

 

「力がない人たちは力あるもの達にただ玩具にされるだけだった……だからこそ俺たちは外から世界を変えようとした!」

 

「それならば分かるはずだ!強大な力の前で、仲間たちが死んでいくということを!」

 

「そうだな……辛く苦しいことだ。俺も仲間や友達……世話になった恩人を失ってきた。だけど俺たちはお前とは違う!」

 

俺は狂龍騎に変わり、拳を構えた。

 

「お前は諦めたんだ!抗うことを……絶望から這い上がることを!!」

 

「黙って聞いていれば……お前はここで死ね!!」

 

ブリッツは黒い雷を落としてきたが、タツミとブラートの二人が盾になって防いでくれた。

 

「スサノオ!」

 

「あぁ」

 

ボスがスサノオの奥の手を使い、ブリッツを守る風の防壁を思いっきり殴った。風の防壁が少しだけ歪んだ瞬間、シェーレが防壁を切り裂き、レオーネが力の限り防壁をこじ開け……

 

「ラバ!あんたわかってるわよね」

 

「わかってるって!」

 

マインの砲撃で防壁を完全に打ち破り、その隙にラバがブリッツの体を拘束した。

 

「この程度……」

 

「俺達は諦めず……絶望から逃げなかった!!」

 

拘束されたブリッツを俺は思いっきりぶん殴り、ブリッツはそのまま吹き飛んでいった。

そしてリストルに向かって更に叫んだ

 

「俺達だけじゃない!エールたちだって諦めていない!」

 

「うん、ミナトくん……私達はあきらめない。私達の未来をつかもう!だから……」

 

エール達は立ち上がり、猛オシマイダーに向かっていく。

 

「ハリー、例えクライアス社に力を貸した過去があっても未来は変わる!」

 

エール達の諦めていない姿を見て、ハリーは顔をあげ、白いミライクリスタルを取り出した。

 

「そうや、俺は未来を信じるって決めたんや……どんな強大な力にだって、仲間を信じて手を取り合えば奇跡は起こる!それをお前らが教えてくれた!フレフレ!プリキュア!」

 

ハリーの応援を聞き、エールは力強く頷いた。

 

「その思い!受け取った!フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

エールの浄化技を喰らい、猛オシマイダーは浄化されていった。そうだよな。誰も諦めていないんだ。

 

だがその時リストルがハリーの背後に周り、ハリーとはぐたんの二人を連れ去り、タワーの上まで転移した。

 

エールはみんなの力を借り、タワーの上まで登っていく中、俺は

 

「マシェリ」

 

「はい!」

 

マシェリは俺にキスをすると俺は愛龍騎に変わり、翼を生やしてタワーの上に降り立った。それにしてもマシェリは少しずつ変わってきたな……

 

「お前たちが望む未来はかなわない!」

 

「子供とか大人とか関係ない!あなたにも明日がある!」

 

「明日などいらない!」

 

「いい加減目を覚ましやがれ!お前は明日への希望を諦めずに戦えるはずだ!」

 

「黙れ!」

 

リストルの棒術を受け、エールと二人で壁にぶつかった。

 

「ただ絶望するしかない未来など必要ない」

 

「そうだね。だから未来は素敵なものにしなくっちゃね。はぐたんがダンスをできるようになったり、大きくなっておしゃべりすることが増えたり、それが未来。だから未来は愛おしいものなんだ!」

 

「未来がこうなってしまうとしても……俺は信じ続けている。未来は変えられるってな」

 

俺たちの声に反応するかのようにはぐたんの前にミライクリスタル・ホワイトが輝き出し、形を変えた瞬間、巨大な光の化身が現れた。

 

「あれは!?マザー!?」

 

「みんな!行くよ!」

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

メモリアルキュアクロックにマザーハートをセットし、プリキュアたちが白い衣装に変わり、手にはミライブレスが装着された。

 

「「「「「HUGっとプリキュア今ここに!」」」」」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

巨大な光の光線がリストルを包み込んでいく。

 

「明日……俺の願う明日……」

 

リストルは浄化される寸前で姿を消していった。その瞬間、周りの景色がゆがみ始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社 研究室

 

「手ひどくやられたみたいだな」

 

ハイトの前にブリッツが横たわっていた。ハイトはブリッツに触れ

 

「お前が受けた痛みのデータはフォルシュに与えておく。さぁ今は休め……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

元の世界に戻った俺たち、ナイトレイドのみんなも元いた場所に戻ったため、タツミとマインの二人しかビューティーハリーに戻ってきていた。

 

「俺はお前らに話さんといかんことがある。実は……」

 

ハリーがすべてを話そうとした瞬間、店の扉が開かれた。

 

「いらっしゃ……」

 

「呼ばれてないけどジャジャジャジャーン!みんなお待たせ!噂の天才科学者ドクタートラウムだよ」

 

トラウムが突然やってきたけど、何だかルールーが物凄く嫌そうな顔をしている

 

「ルールーちゃん~お父さんだよ!」

 

トラウムが抱きつこうとするが、ルールーは思いっきりトラウムを殴った。

 

「ドクタートラウムがルールーのお父さん?」

 

「確かにルールーを作ったのがトラウムなら……」

 

「……理解不能です。なぜ……」

 

何だか今度は親子の問題になってきてないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




映画は見てきましたが、映画の話を書くとしたらやはりDVDが出てからになると思いますね。


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第103話 突然の駆け落ち

俺は何故かルールーと一緒にたこ焼きを食べていた。普通だったら一緒にでかけてそういう事になったのだろうかと思うが……事情がちょっと違う。俺とルールーは今、駆け落ち中だった。

 

 

 

遡ること数十分前

 

未来から戻ってきた俺たち、そこにやってきたトラウム。話を聞くとどうにも……

 

「つまり私達を未来に連れて行ったのは……」

 

「そう私なんだよ。それに彼らもね」

 

「何でまた……」

 

「君たちなら未来へ行ってもどうにか戻ってくると思ってね。そして戻ってきたら話そうと思っていた。未来で起きた悲劇について……」

 

トラウムは小さな機械を取り出した。するとさあやが目をきらめかせていた。

 

「わぁ~何?それかわいい~」

 

「マジで!?」

 

「さあやって……」

 

「では始めよう!3分で分かる未来劇場~」

 

機械から映し出された映像を見ながら俺たちは未来について話を聞くことになった。

 

「クライアス社の目的は未来をなくすこと!そのため世界にトゲパワワを蔓延させた。……がそこに現れたのは4人のプリキュアだ」

 

「未来にもプリキュアが……」

 

「それに未来には帝具を引き継いだものたちもいた」

 

帝具を引き継いだって……未来にまで引き継がれるものなんだな……

 

「プリキュアと帝具使いたちの妨害によって、時を止めることが叶わなくなった。そこでプレジデント・クライは未来を育む女神マザー。その力を宿す少女キュアトゥモロー、彼女を消し去ることで時を止めることにした」

 

「そこからは俺が説明する」

 

ハリーはそう言い、説明を交代した。

 

「あれはハリハリ地区が滅びてすぐのことやった」

 

ハリーはクライアス社の実験で凶暴な獣の姿に変わり、クライアス社の目的に尽力していたが、そのうち暴走し、クライアス社に拘束されてしまった。

そんなハリーの前にキュアトゥモローが現れ、ハリーを救った。

 

そして激しい戦いの中、キュアトゥモローはクライアス社に囚われてしまったが、ハリーは助けてもらった恩や彼女の思いを知っていたから、ハリーは彼女を檻から出し、一緒に逃げ出した。

 

『ハリー、逃さないよ』

 

ハリーとトゥモローの前にビシンとトラウムが立ちはだかり、更にはハイトによく似た男がいた。

 

『逃げた所でどうにもならない。お前の仲間も帝具使いも処分しておいた』

 

『くっ!?』

 

ハリーが戦おうとするがトゥモローが止め、ミライクリスタルホワイトの力を使い、過去へと逃げた。だが力を使い果たした影響で、過去に……つまりこの現代に来たときにはトゥモローは赤ん坊に……はぐたんになっていた。

 

 

 

 

 

「は、はぐたんが……キュアトゥモロー!?」

 

はな達五人が驚く中、俺はあることが気になった。未来でハイトに似た男がいたっていうのは……

 

「トラウム、そいつは一体……」

 

「ハイトに似た男は言うなればハイトだよ。ただし彼の記憶や知識をすべて受け継いだクローンだけどね」

 

クローン……奴のクローンが存在するって言うなら俺たちナイトイェーガーズは……

 

「ミナト、はなたちが言ってただろ」

 

「そうね。未来は変えられるって」

 

「そうだよな」

 

もしかしたら俺たちは敗北してしまったのかもしれないって思っていたけど、未来は変えられるからな……

 

「ハイトの目的は時を止めることで未来で起こる悲劇をなかったことにしたいということだ。彼自身君たちがいた世界の事を思ってのことなんだろうね」

 

「……だとしても俺はあいつのやり方は気に入らないけどな……抗わないっていうことがな」

 

「だな。俺とマインは知ってるから……戦い抜いて俺達の世界は明るい未来に変わったって言うことを」

 

「そうね。私達は抗ったからこそね」

 

俺、タツミ、マインはそう言って笑いあった。そしてはな達もこれから先はぐたんが狙われることを知り、守り抜くと決めるのであった。

 

そんな中、ルールーはトラウムを睨んでいた。

 

「何故私達に今の話を伝えに来たのですか?」

 

「マザーの力を目覚めさせた君たちなら、クライを止められると思ったんだ」

 

「わからない。貴方も時を止めたいと思っていたのでしょう」

 

「あぁ」

 

「なのに……」

 

「それは……」

 

「何故です!?」

 

ルールーとトラウムの間に変な空気が流れ出した。何というか親子なんだからもうちょっと仲良くできないものか……

 

「ルールー、私はお前のことを思って……」

 

「あなたは私を不要物とみなし、捨てたと分析します。なのに理解不能です……貴方が親だと言うなら……」

 

ルールーは突然俺の腕を掴んできた。そしてえみるに申し訳なさそうにしながら……

 

「えみる、ごめんなさい」

 

「はい?」

 

「私は彼と駆け落ちします!」

 

駆け落ちか………っておいっ!?

 

ルールーは俺の腕を掴んだままビューティーハリーを飛び出していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今に至る……

 

「なぁルールー、食べ過ぎじゃないのか?」

 

「ミナトは……親というものは何なのか分かりますか?」

 

「あー、悪いけどあんまり覚えてないんだよな。聞いた話だと俺が生まれた時に死んだって聞いてるし……まぁ村の人達が親みたいなものだしな………」

 

親ではないけど、家族と言うなら警備隊のみんなだったり、ナイトレイドのみんなだったりするからな……

 

「ミナト……」

 

「というか駆け落ちっていうのは逃げ出す理由として使っただろ」

 

「はい……それにミナトなら何かしらの答えを教えてくれると思って……」

 

何というかルールーに信頼されてるんだな。俺って……きっとえみるも信じてくれているんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社 研究室

 

「それじゃハイト、出撃してきますわ」

 

「ならば彼女を連れて行ってくれないか?」

 

「彼女?リアン?それとも私の皇具の奥の手を使用するにあたって改造されている彼女たち?」

 

「いいや、未来で私のすべてを受け継いだ者から送られてきた彼女だ。奴自身最後の力を振り絞って彼女を操り、この世界に送った」

 

「役に立つなら……」

 

「役に立つさ。なぁ未来の龍騎よ」

 

「………」

 

ハイトとメラルドの前には長い黒髪に目が虚ろな少女が一人、そしてその手には……

 

「その帝具……本当に面白いことになるわね」

 

 

 

 



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第104話 親子の絆 未来の龍騎

ルールーはたこ焼きを食べ続けていた。アンドロイドだからお腹を壊したりしないだろうけど……

 

「やけ食いは良くないぞ。ルールー」

 

「ミナト……私は……」

 

「あっ、ルールー、見っけ。ミナトくんも」

 

やっとと言うべきかはなとはぐたんが俺たちを見つけてきた。

 

「もう探したよ~」

 

「はな、すみません……」

 

「ミナトくん、お疲れ様」

 

「ん、というか分かってたのか?」

 

てっきりはなの事だから本当にルールーが駆け落ちするのかと思っていたのだけど……

 

「うん、だってルールーはえみるのことを裏切ったりしないって分かってたから。ミナトくんもえみるのことを裏切らないっていうのもね」

 

まだ半年くらいの付き合いだけど本当に理解してくれてるんだな。はなの奴は……

 

「はな……」

 

「ルールーは悩んでるんだよね」

 

「はい、あのままトラウムと向き合っているとシステムエラーを起こしそうで……」

 

「システムじゃなくって心でしょ」

 

はなは僕らと一緒にたこ焼きを食べ始めながら、ルールーの悩みを聞くことにした。何というか今回の場合ははなが一番いいかもしれないな

 

「私はずっと分からなかった。はぐたんを……みんなを愛おしいと思う気持ち、アンドロイドとして自分には不要なものではないかと……」

 

「不要じゃないよ」

 

「ルールー、愛というのは不要だって思わないほうが良いと思うぞ。人にとって本当に大切なものだ」

 

「私は……」

 

「お前は人だろ。俺はそう思ってる」

 

「ミナト……」

 

「ねぇルールー、アムールのの意味って知ってる?」

 

「アムールの意味?」

 

「アムールは愛って意味なんだよね。きっとトラウムさんはルールーを初めて見たとき、愛おしいと思ったんじゃないのかな?」

 

「私が愛おしい……」

 

ルールーが思い悩んでいるとどこから変な音が聞こえ、音の方を見るとトラウムが変な乗り物に乗っていた。

 

「ルールーちゃ~ん、どこ~」

 

「何なんですか……あれ?」

 

「ルールー、娘のことを心配しない親はいないんだぞ」

 

「……そうですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

ルールーとトラウムの二人っきりにして話をさせたいとはなが言うため、俺は離れようとするがルールーはできれば見届けてほしいと言うため、俺は見届けることにした。

 

だけどトラウムとルールーの二人の間には沈黙が続いていた。

 

「……いつまで沈黙を続けるんですか?」

 

「ご、ごめんなさい。いざこうやって話をするというとなかなか言葉が出ないものだね」

 

「……」

 

何というか本当に俺はここにいて良いものなのか……

 

「君はなかなかやんちゃなアンドロイドでね」

 

昔のルールーは掃除をやらせても研究室をめちゃくちゃにしたり、気遣いのつもりでトラウムを吹きとばしたりと、本当にやんちゃだな……

 

「そんなことが……」

 

「体は今のままだ。中身はまるで子供だった。何も知らない……」

 

何を教えても理解することができなかった。そしてトラウムはあることを思い始めてしまった。

 

「私は君のデータをすべて消し、離れた……」

 

「私は失敗作だからですね」

 

「違う。君が失敗作なのではない。まっすぐ君と向き合えなかった私の失敗……最初プリキュアには嫉妬したよ。何故天才の私にできなかったことを彼女たちにできなかったのか……あまつさえ」

 

トラウムは俺のほうを見た。何だ?俺は何かやったか?

 

「恋というものを教えてくれたみたいだからね」

 

「わ、私はミナトには……」

 

「ルールー、わざわざ否定しなくていいからな」

 

「今ならわかるよ。彼らにとって君は一人のルールーアムールなんだって」

 

「……」

 

これで解決したっていうことでいいのかな?するとえみるがギターを抱えてこっちにやってきた。

 

「ルールー!」

 

「えみる……その、えみる……彼の件は……」

 

「わかっています。ルールーはミナトさんを頼りたかったからですよね。それにもしもルールーと駆け落ちしても……私は三人で幸せになれる未来を探します」

 

「えみる……」

 

何というか本当に頼もしくなってきたな。ただえみる、わかっていて言ってるのか……それかなりドロドロしたものになるぞ……

 

「それに言葉でわかりあえないのでしたら、ギターがあれば……」

 

「ふふ、もう大丈夫です」

 

「そうなのですか?」

 

「えみる、心配してくれたのですね」

 

「当り前なのです。親友なんですから」

 

「親友か……」

 

ルールーとえみるの二人は演奏を始め、トラウムは黙って演奏を聴いていた。

 

「いい曲だ。思い出す。君と初めて出会ったときのことを、何故アムールと名付けたのかを……ルールー・アムール。君は君だ。他の誰でもない。君だけの心を……」

 

「はい、愛します」

 

「それでいいんだ」

 

これで解決したっていうことでいいのかな?親子問題っていうのは本当に厄介だけど、いいものだな

 

そう思った瞬間、突然大きな音が鳴り響いた。

 

「こんなときに来るなよ……えみる、ルールー」

 

「「はい」」

 

 

 

 

 

 

 

 

三人で音が聞こえたところへ向かい、はなたちとタツミ、マインの二人と合流した。

 

はなたちはプリキュアに変身するとそこにはジェロス、猛オシマイダー、メラルドと見知らぬ少女がいた。

 

「何だ?お前の新しい部下か?」

 

「部下?違うけど、貴方の相手よ!」

 

メラルドがそう告げた瞬間、見知らぬ少女が俺に向かって襲いかかってきた。

 

「彼女の名前はミア。見せてあげなさい。貴方の力を!」

 

ミアがメラルドの指示に従い、一瞬の内に鎧を身にまとった。あの鎧は……

 

「それは!?」

 

「貴方の持っているの……レガオン?」

 

ミアの姿が龍騎そのものだった。まさかこいつは!?

 

「未来の龍騎か……それだったら!龍騎!」

 

俺も龍騎に変わり、思いっきりぶつかりあった。

 

 

 

 

タツミSIDE

 

「ミナト!?」

 

「私達も行くわよ!」

 

「あら、あなた達の相手は私よ!」

 

ミナトのところに駆け寄ろうとするが、俺達の前にメラルドが立ちはだかった。

 

「元同盟のくせに未だにクライアス社にいるなんてね」

 

「あなた達の味方になっても面白くないのよね。それに私としては教えを説くためにはこっちにいたほうが好都合なのよね」

 

メラルドが笑みを浮かべた瞬間、マインが物凄く震えていた。何だ?全然殺気を感じなかったぞ?

 

「聞いてたとおり厄介な奴ね………タツミ、あんたなら相性が良いでしょ」

 

「あぁ任せろ!!」

 

俺は拳の連打を繰り出していき、メラルドはすべて防いでいく。アカメから聞いていたとおり虫の力を使えるからか全身を固くしているからダメージを与えられていなかった。

 

「インクルシオ……毒の鱗粉とかは通じそうにないわね。それにその鎧だと虫を潜り込ませることできそうにないわね………だったら耐久力はどれくらいかしら?」

 

メラルドが指を鳴らした瞬間、何十匹ものアリが俺に張り付いてきた。

 

「こんなアリ……」

 

「爆発するアリって……知ってるかしら?」

 

メラルドが再度指を鳴らした瞬間、物凄い爆発が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

「はあああああああああ!!」

 

「ああああああああああ!!」

 

互いの左腕を大剣に変えながら激しいぶつかり合いを続けていくが、このミアって奴は……俺と同じくらいの強さだ

 

「一気に決めるか……狂龍騎!」

 

「狂龍騎!」

 

俺が狂龍騎になると同時にミアも狂龍騎になり、再びぶつかりあった。互いの実力が同じだとしたら、一瞬でも気を抜けばやられる可能性がある。愛龍騎に変われば良いんだけど……

 

「マシェリ達は……」

 

猛オシマイダーに苦戦をしていた。アムールが敵の攻撃を食らいそうになっていたが、トラウムが助けに入っていた。

 

「ドクタートラウム!何をとち狂ったことを!」

 

「娘を守って何が悪い!」

 

娘を守るか……やっぱあんたはいい父親だよ!!

 

「トラウム……アドラメレク発動!」

 

アムールが帝具を発動し、猛オシマイダーに電撃を喰らわし、猛オシマイダーが怯み、追撃に

 

「アムール・ライトニングロックンロール!!」

 

雷撃をまとわせた一撃を猛オシマイダーに喰らわし、倒れた所で五人の浄化技を喰らわして、猛オシマイダーを浄化するのであった。

 

「マシェリ!頼む!」

 

「分かりました!」

 

愛龍騎になろうとした瞬間、ミアが動きを止めた。

 

「愛……愛が感じる……私が手にしなかったもの……」

 

ミアはそう呟きながら姿を消した。一体今のは……そういえばタツミたちの方は……

 

タツミたちの方を見ると辺りを黒い煙に包まれていた。まさか爆発したけど……

 

「ふふ、やはり私の相手は貴方が一番ふさわしいみたいね。エスデス」

 

「どうやらお前の相手は私みたいだな。メラルド」

 

タツミを抱えたエスデスとメラルドが相対していた。メラルドはため息をつき、その場から去ろうとした。

 

「今の状態じゃ貴方が一方的になるからね……今度は本気でぶつかりあいましょう……」

 

「楽しみにしているぞ。メラルド」

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わり、トラウムからある話を聞かされた。

 

「彼女が未来のレガオン使い……どうやらハイトの後継者に操作されているみたいだな」

 

「あいつは俺を狙ってるんだよな」

 

「あぁだが君たちなら負けないだろうね」

 

「ドクタートラウム。行く場所がないなら私のところに来ない?」

 

エスデスと一緒に来ていたスタイリッシュがトラウムに手伝ってほしいことがあるとのことだった。

 

「貴方なら元の世界に帰れる機械を作れると思うのよ」

 

「ふむ、だが完成してもハイトがいる限り発動することはできないが、手伝えることがあるのなら良いかもしれないな。それに伝えたいことは伝えられたしね」

 

「トラウム……今度一緒にごはんを食べましょう……そうすればきっと……」

 

「ルールー……」

 

「またいつか」

 

「やっぱりお父さんと……」

 

「嫌です」

 

「お父さんと……」

 

何だか見たことのある光景だな……にしても戦いが終わればはぐたんたちは未来に帰るし、俺達も元の世界に戻ることになるんだよな……

 

「帰るということは……ルールーとミナトさんは……」

 

えみるは重大なことに気が付き、大声を上げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 



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第105話 ミナトとえみるの悩み

今回は三話構成となっています。そして28日の0時に106話更新します


いつか未来に帰らないといけないことに気が付いたはな達。それにハイトを倒せば俺たちも元の世界に戻ることができることもわかったけど……

 

「いつかは未来に帰っちゃう……」

 

「はぐたんも、ハリーも、ルールーも……それにミナト君達も……」

 

「クライアス社もハイト達もどうにかした後じゃないと駄目だけどな……」

 

「で、でも……時々こっちに遊びに来れば良いのです」

 

「こっちに来るにはごっつい量のアスパワワが必要や。何度もできることやあらへん」

 

「スタイリッシュの話じゃ、戻ることはできてもまたここに戻る確率は低いらしいからな……」

 

ハイトの持つ皇具ユートピアによって、俺達がいた世界とはなたちの世界が無理やりつながっている状態らしいが、ユートピアがある状態での帰還は不可能らしい。どうにもユートピアがある所為で次元の通路が塞がれている状態みたいだ。でもスタイリッシュやトラウムが調べた結果、ハイトを倒せばすべての皇具は機能を失い、元の世界に戻れるとのことだった。

 

「じゃ、じゃあ、未来や元の世界に帰らないというのはどうですか?」

 

「えみる、私は未来に帰ります」

 

「ルールー……仕方ありませんね。プリキュアとして未来の人々を救い時間を動かす。それはやらねばならないことなのです。私達はヒーローなのですから……」

 

「えみる……」

 

「ミナトさんたちも元の世界に帰れるんですから……良かったのです」

 

「俺は……」

 

えみるは明らかに強がっている。こういうとき何かしら言葉をかけるべきなのだろうけど、俺は何も言えないでいた。

 

 

 

 

 

 

その日の夜、俺は眠れずにベランダに出て星を見ていた。

 

「………」

 

「眠れないのですか?」

 

「ルールー、悪い起こしたか?」

 

「いえ、ミナト、眠れないのですか?」

 

「あぁ……ルールーは未来に帰るってよくはっきり言えたな……」

 

「……ミナト、未来では歌が……音楽がないんです。だから未来に戻ったら未来の人々に音楽というものを……私達の愛を届けたい……」

 

「そっか……」

 

「ミナトは?」

 

「俺は……」

 

俺はシャンバラの暴走でこっちの世界に来た。他のみんなはユートピアの影響やらスタイリッシュの次元転移装置の事故でこっちに来たりしている。きっと帰りたいって思ってる人だっているはずだけど……俺は帰りたいのか?

 

「わからない……」

 

「わからない?」

 

「俺は本当に帰りたいのか……それとも帰りたくないのか……自分の気持が揺れ動いてる感じなんだ……」

 

「ミナト……」

 

こういう選択は本当に嫌になるな……自分でどうするべきなのか考えがまとまらないんだから……

 

「ねぇミナトくん」

 

不意に声が聞こえ、振り向くとそこにははながいた。

 

「ミナトくん、そういうときは自分ひとりで悩まないで……ミナトくんは一人じゃないんだから……」

 

一人じゃないか……そうだよな……

 

「はな、お前、確か他のプリキュアたちと連絡先交換してたよな」

 

「うん、ミデンのときとかに……」

 

「悪いんだけど連絡を取って欲しい……聞いてみたいからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

えみるSIDE

 

私はベッドに入りながら、ミライクリスタルを見つめていた。

 

「ルールーやミナトさんが帰ってしまう……いなくなってしまう……わたしは……」

 

私はどうすればいいのだろうか?ヒーローとしてわがままは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

俺ははなに頼んである二人に連絡をとってもらい、待ち合わせをしていた。しばらくしてから二人がやってきた。

 

「いきなり呼び出しやがって……つうかお前はいい加減携帯を持て」

 

「まぁまぁそれで僕らに用事って?ミナト」

 

「悪いな。呼び出して……クロト、陽斗」

 

俺は二人にハイトを倒せば元の世界に帰れることを話した。陽斗に関してはポニィたちに伝えてもらうために来てもらった。

 

「元の世界か……今更だな」

 

「多分だけどポニィ達も同じことを言うかもしれないな……」

 

「そうなのか?」

 

「俺はお前がこっちに来る前より来てるんだ。こっちにいるべき理由があるし……いまさら元の世界に戻ってもつまらないだけだからな」

 

「お前ぐらいだよ。そういう風に言えるのは……」

 

「ミナトはそれだけを伝えるためだけに僕らを呼び出したわけじゃないよね」

 

陽斗は分かってる感じだな。だったらはっきり言うべきだな

 

「あぁ……俺は帰るべきかどうかわからない……帰って新しい帝国を脅かす悪と戦うか……こっちに残って未来を歩むか……」

 

「お前は本当にくだらないことで悩んでるな」

 

「クロト……」

 

「うじうじ悩むなら、まず心のままに従ってみろ」

 

心のままに従う……そういえばアヤ副隊長にも言われたっけ……

 

「俺は……」

 

俺が今一番に思い浮かべたことは……

 

「そっか……そうだったな」

 

「その顔……決心がついたみたいだな」

 

「そうだね。別れることは辛いことだけど、きっと永遠のお別れにならない……信じていればきっとまた会えるから……」

 

「ありがとうな。ふたりとも……早速帰って……」

 

帰ろうとしたとき、陽斗のところに電話がかかってきた。陽斗が電話に出ると相手ははなだった。俺は陽斗から受け取ると……

 

「どうしたんだ?」

 

『ミナトくん!?大変なの!?えみるが……』

 

「えみる?わかった、すぐに行くから……えみるの家だな。できれば電話は切らずに……ってこれ……」

 

「僕も行くよ。ミナトの決心を聞きたいから」

 

「俺も仕方ねぇから付き合ってやるよ」

 

「悪い」

 

俺たち三人はすぐにえみるの家に向かうのであった。

 

 



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第106話 しばりつけるもの

セリューSIDE

 

はなとさあやからある程度の事情を聞き、更にミナトが今日出かけていることを聞かされた私……

 

「元の世界に戻るか……」

 

「セリューさんはどうするんですか?」

 

「やっぱり……」

 

「私は帰るつもりはないかな?あっちの世界のことは戻る人たちに任せて……私は恩返ししたいしね」

 

「恩返し?」

 

私はさあやの方を見た。見知らぬ私のことをさあやは助けてくれた。それはとても大きい恩だから……

 

「いつか教える。それにしてもミナトがそういう事を悩んでるなんてね。まぁ仕方ないんだけど……」

 

ミナトははなたちと出会って少しずつ変わった。一番影響が大きかったのはえみるだったりするけど……

するとはなの妹のことりがこっちにやってきた。

 

「お姉ちゃん、さあやさん、セリューさん、えみるちゃんが……」

 

「えみるがどうしたの?」

 

「変なの?」

 

「「「変?」」」

 

ことりから事情を聞くと口癖の『なのです』を言わなくなったり、顔つきも変だったり、おまけに買い物袋が飛んできただけで危険を感じるはずが、なんとも思わなかったりしていて……

 

「お姉ちゃんたちもあとで見てみて」

 

「う、うん……」

 

「これってやっぱり……」

 

「今回のことが原因だよね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になり、ビューティーハリーに集まった私達。話に聞いていたとおりえみるの様子がおかしいし……

 

「ごきげんよう。はぐたんさん」

 

「えみゆ、へん」

 

はぐたんまで感じ取ってるし、というか顔つきが伝染ってる……

 

「何や?あれ?」

 

「いつもと違うね」

 

「おまっ、いつの間に……」

 

「えみる~」

 

「えみる兄までおるんかい!?」

 

アンリとえみるのお兄さんも集まってるけど、やっぱり原因は……

するとはながかっぱの格好をしたり、さあやとほまれが二人羽織をして笑わせようとするが、今のえみるには全く効果がなかった。

 

「みなさんどうしたんですか?おかしな……」

 

「おかしいのは君の方だよ。どうして心を閉ざしているの?」

 

「私は……」

 

「えみる」

 

「ルールー」

 

ルールーはミライクリスタルをえみるに見せた。

 

「えみるの心を見せて下さい」

 

「心……私の……」

 

「私達は親友。隠し事はなしと約束したじゃないですか」

 

えみるが何かを言おうとするが、何故か何も聞こえてこなかった。もしかして……

 

「えみる?」

 

「まさか!?」

 

突然えみるとルールーのミライクリスタルが消え、えみるは倒れた。ルールーは抱きかかえるが、えみるは何かを伝えようとするが何も聞こえなかった。やっぱり声が……

 

「全くこういう時に何でいないのよ。あの馬鹿は……」

 

私はこの場にいないミナトのことを呟くのであった。それからえみるを家に連れて行くことになり、はなはパップルに連絡をして事情を説明し、しばらくツインラブの活動を中止してほしいといい、そしてミナトと一緒にいるである陽斗にも連絡をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えみるを家で休ませる中、えみるはルールーに何かを伝えようとしていた。

 

「えみる?……ご め ん な さ い……どうして謝るんですか?謝るのは私です。私が……」

 

本当にどうすればいいのかわからない。すると突然部屋の扉が開かれ、中にはいってきたのはえみるのお祖父さんと抑え込もうとするえみるのお兄さんだった。

 

「なんや?」

 

「お祖父様、待って下さい!」

 

「わしに指図するな!」

 

お祖父さんはお兄さんを突き飛ばし、えみるにそっと近づいた。更にはえみるの両親も入ってきて

 

「あぁ声が出なくなるなんて可哀想なえみる……お前らのせいだぞ」

 

「えっ?」

 

「なんだこれは?」

 

お祖父さんが見せてきたのはツインラブのポスター……前に聞いたけどこのお祖父さんはえみるにギターをやらせることが否定的だって……にしても……

 

「ギターはやめろと言っただろ!!お前らがえみるをそそのかしたのか!!」

 

本気でこいつは何を言ってるんだ?悪人でもないけど思いっきりぶん殴りたい……

 

「えみる、よくわかったね。お前はずっと愛崎家の中で暮らしていけば良いんだ。そうすればこんな目にあわないんですむんだよ」

 

「そんなのおかしいです!」

 

はなが反論してきた。はながこのタイミングで反論しなければ私……ぶん殴っていたかもしれないな。

 

「これは愛崎家の問題だ!わしはえみるのためを思っていってるんだ」

 

「えみるのため……」

 

「えみる、わしを困らせないでおくれ」

 

「これは……」

 

「早く素直で可愛いえみるに戻っておくれ」

 

「えみるのためじゃなくってあなたの……」

 

はなが言いかけようとした瞬間、アンリが止めに入った。するとお兄さんがはなの代わりに怒った。

 

「家族だからって人の心を縛らないで下さい!」

 

「正人!お前!」

 

「自分ではない心に触れて新しい扉が開くこと……それは家族にも誰にも止められない!だって僕たちの未来は僕たちのものだから!」

 

お兄さんはお祖父さんを押さえつけ、えみるに語りかけた

 

「えみる、声を出して良いんだ。自分で思ったことを叫んで良いんだ!行け!えみる!扉を開け!」

 

「えぇい!邪魔を……」

 

『全く変わったな……これもはなたちのおかげか?』

 

突然ミナトの声が聞こえてきた。はなの方を見ると、はなは電話を掲げていた。

それと同時に窓を突き破ってミナトが入ってきた

 

「な、なんだ!?おまえは!?」

 

「どうも、えみるの彼氏であり……」

 

ミナトはえみるをお姫様抱っこし、お祖父さんを睨みつけた。

 

「お前みたいな人を縛り付ける奴からえみるを救いに来た王子様でもある」

 

「貴様……聞いてるぞ!!お前みたいな素性の知らな……」

 

「黙れ!これ以上喋るな!糞爺!!」

 

「うぐっ!?」

 

ミナトの殺気に怯えるお祖父さん……本当にタイミングが良いんだから……

 

「ルールー!」

 

「はい!」

 

ルールーがミナトの背中にのり、えみるとルールーを連れた状態で窓から飛び降りた。

 

「ま、まっ……」

 

「みんな、行こう」

 

はなたちもミナトたちを追いかけていくのであった。まぁ流石に窓からじゃないけど……

 

 

 




ミナトを活躍させるため、改変しました


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第107話 愛の結晶

ミナトSIDE

 

えみるを救出するちょっと前……俺、陽斗、クロトの三人でえみるの家の前まで来ていたが……

 

『えみる、よくわかったね。お前はずっと愛崎家の中で暮らしていけば良いんだ。そうすればこんな目にあわないんですむんだよ』

 

こいつ……えみるの爺さんだけど……苛立つな……

 

「えっとミナト、殺気が……」

 

「お前、本当に面白くなったな……で?どうするんだ?」

 

「この爺をぶん殴りに……」

 

一回ぶん殴らないと気がすまないな……えみるに怒られそうだけど……

 

「まぁまぁ落ち着いて……そうだ、折角行くんだから、格好良く行かない?」

 

「陽斗、そりゃいいな……オウガデーモン起動」

 

クロトがオウガデーモンを起動させた。何だ?突然?

 

「金棒に乗れ」

 

「わ、わかった」

 

「えみるちゃんの部屋はどこらへん?」

 

「えっと、あそこだけど」

 

えみるの部屋を指差すと、クロトが思いっきり金棒を振りかざし

 

「ぶっ飛んでいけ」

 

「頑張れ」

 

「はぁ、こういうことか……付き合わせて悪いなふたりとも」

 

「「いいってことよ」」

 

俺は電話で一言告げた瞬間、クロトが思いっきり俺をえみるの部屋に向かって吹き飛ばしていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでえみるを助け出し、ルールーと一緒にえみるにとって思い出深い樹の下まで来ていた。

 

「えみる……」

 

「るー、るー」

 

「ゆっくりでいいですから……」

 

「み、なとさん……」

 

「えみる、あのさ、俺決めたんだ……俺は……」

 

大事なことを告げようとした瞬間、どこからともなく猛オシマイダーが現れた。邪魔しやがって……

 

「ふたりとも戦えるか?」

 

「すみません……今、ミライクリスタルが……」

 

「詳しくは聞かないけど、避難してろ!!狂龍騎!!」

 

狂龍騎に代わり、猛オシマイダーを思いっきり殴った。この猛オシマイダー……まさかと思うけど……

 

「ミナトくん!」

 

「エール、みんな遅いぞ」

 

「ごめんなさい」

 

「いや、あんたが来るのが遅かったんだからね」

 

「本当よ。それにしてもあの猛オシマイダー……」

 

セリューも気が付いたみたいだな。あれはえみるの爺さんだと言うことを……

 

「あははは、現れたね。プリキュア、ナイトイェーガーズ、だけど変身できないやつが二人いるみたいだけど……まずはそいつらから……」

 

木の上から見ているビシンは猛オシマイダーに指示を出し、えみるとルールーに襲いかかった。ルールーはえみるを庇いながら吹き飛ばされた。

 

「ルールー!?」

 

「大丈夫です。私はアンドロイドですから……」

 

「やれ、あいつらにトドメを……ごふっ!?」

 

邪魔をしたビシンの頭を思いっきり踵落としを喰らわした。正直イラつきが半端ない

 

「ミナトくん、えみるたちのところに行ってあげて」

 

「エール、わかった」

 

俺は二人のところに駆け寄った。

 

「ルールー、私ヒーロー失格です」

 

「どうしてですか?」

 

「だって……困らせてもいいですか?」

 

「はい」

 

「ルールーと一緒にいたいのです。ずっと一緒にいたいのです。未来に帰ってほしくないのです。ずっと、ずっと、ずっと……」

 

「えみる……」

 

泣きじゃくるえみる。ルールーはそっと抱きしめた。

 

「えみる、私はえみると出会ったから未来を信じようと思いました。これはミナトにもいいましたが、未来では歌が……音楽がないんです。だから未来に戻ったら未来の人々に音楽というものを……私達の愛を届けたい。これがあなたと出会えた奇跡がくれた私の夢です」

 

「ルールー……」

 

「未来で待っています。私達はずっと親友です」

 

「ルールー、はい」

 

その瞬間、二人のもとにミライクリスタルが現れた。二人はそれを受け取り

 

「「あなたを愛し、わたしを愛する」」

 

二人がプリキュアに変身し、俺の隣に並び立った

 

「「輝く未来を抱きしめて!!みんな大好き!愛のプリキュア!」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

「二人共……行くぞ!!」

 

俺たち三人で猛オシマイダーに立ち向かっていく。アムールとマシェリの二人で猛オシマイダーの触手を押さえつけ、俺は下から思いっきり猛オシマイダーの顎に一撃を入れた。

 

「ミナトさん!」

 

マシェリは俺にキスをした瞬間、愛龍騎に代わり桐一文字で猛オシマイダーの触手を切り裂いていく。

 

「あとは任せたぞ!!」

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!HUGっとプリキュア今ここに!」」」」」

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

マザーハートの力で猛オシマイダーを浄化し、ビシンも姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ツインラブのライブを聞きながら俺はあの樹の下でえみるのことを待っていた。邪魔されてしまい伝えたいことを伝えられなかったから、今日はしっかり伝えないとな。

 

「おまたせしましたのです」

 

「悪いな。疲れてるのに……泣いてたのか?」

 

「は、はい……みんなで泣いていました」

 

笑顔を見せるえみる……そうだよな。みんなも別れるのは辛いもんな……

 

「えみる、聞いてほしいことがあるんだ」

 

「大丈夫なのです。涙はさっき流しましたから……ミナトさんをお別れになっても……」

 

「俺はこっちに残るよ」

 

「えっ?」

 

俺の言葉を聞き、涙を流すえみる。俺はそっとえみるを抱き寄せた。

 

「考えたんだ。考えて……考えて……でも答えが見つからなかった。だから相談したら……自分の心に従えって言われたんだ。そしたら答えが見つかった」

 

「で、でも……元の世界に帰ったほうが……」

 

「忘れたのか?お前は俺に辛い昔を思いださないくらい、幸せな明日を……思い出を作っていくって……」

 

「それは……」

 

これだけじゃ足りないか……それだったら……

 

「えみる……俺はお前とずっと一緒にいたい……だから結婚しよう」

 

俺はえみるにキスをするとえみるは顔を真赤にさせながら固まっていた。

 

「えみる?おーい……」

 

「はっ?ミナトさんに求婚されたのです……夢ですか?」

 

「いや、人のプロポーズを夢オチにしないでくれないか?」

 

「それじゃ……結婚って……まだ私は子供……」

 

「待ってるから……結婚できるまで……」

 

「ミナトさん……嬉しいのです……幸せにして下さい」

 

えみるは物凄く嬉しそうにしながら抱きついてくるのであった。ちゃんと幸せにしないとな……

 

にしても……

 

「お前らはのぞき見が好きだな」

 

俺がそう告げた瞬間、木の陰からはなたちが出てきた。

 

「えっと……結婚おめでとうなのかな?」

 

「良かったね。えみる」

 

「にしてもミナト、よくとまぁ恥ずかしいことを言えるよね」

 

「王子様とかね」

 

はな、さあやが祝福し、ほまれ、セリューがからかう中、ルールーはと言うと

 

「未来でミナトとえみるの子供……または子孫のお世話は任せて下さい!!」

 

気が早い気が早い

 

「えへへ~」

 

えみるは嬉しそうにしてるし、まぁいいか……



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第108話 変えられなかった運命

ある日、俺はアカメ、ブラートの兄貴、シェーレに呼び出されていた。どうにもアンリのことで話があるらしく、話を聞くと……

 

「アンリの足が……」

 

「あぁ何度か手術したらしくってな」

 

「それでも治らないみたいなんだ」

 

「今度の大会でスケートを終わりにするらしいですが」

 

その話はほまれは……アンリの性格を考えると言ってなさそうだな。

 

「それで俺に話して……どうにかしろって言うのか?だとしら無理だぞ」

 

「いや、前にアンリとお前がクライアス社に勧誘を受けたことを覚えているか?」

 

そういえば……もしかしてアンリの足のことを知っていたからクライアス社は……だとしたら……

 

「俺達も気をつけておくが、お前の方も気をつけろ」

 

「分かってる」

 

アンリの足か……大丈夫なのか心配だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、学校の警備中にはなとアンリが話しているのが聞こえてきた。

 

「めちょっく!何故このデザインが駄目なのでありますか!?」

 

「滑りにくそうだから」

 

「一言で切り捨てられた!?」

 

「まぁ、悪くはないけどね」

 

「なら、何で最初はノーから入るのでありますか?」

 

「君も僕のことが詳しくなってきたね。これが若宮アンリなんだ」

 

「何だか仲良さそうだな……」

 

「あっ、ミナトくん」

 

「やぁ、結婚おめでとう」

 

「まだ結婚してないからな……それで何の話?」

 

「アンリくんの衣装のデザインを書いてみたの」

 

はなはスケッチブックに描かれたデザインを見せてきた。まぁスケートのことはよく分からないけど、確かに滑りにくそうだな……

 

「ワールドジュニアカップも頑張らないとね」

 

「うん、私応援するよ」

 

はなが笑顔でそう言うけど、アンリは……

俺はアンリの方を見ると、口元に指を当てていた。内緒にしておけか……

 

「アンリ、頑張れよ」

 

「あぁ、頑張るよ」

 

俺はそれだけを伝えて、二人のところから離れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

警備室で待機していると、アンリが花束を抱えて訪ねてきた。

 

「やぁ、さっきぶり」

 

「人気者だな……」

 

「あぁ、人気者だからね」

 

自信家なのは最初にあったときから変わらないな……

 

「それで何か用か?」

 

「昨日、アカメたちから君に僕のことを話したって聞いたんだよ。誰にも言ってないだろうね」

 

「一応な。隠しておくことなのか?」

 

「いつかはバレることだけどね……今だけは全力で頑張りたいんだ。最後まで若宮アンリとしてね」

 

若宮アンリとしてか……全く……

 

「さっきも言ったけど、頑張れよ。最後まで……」

 

「あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

「リストルに使命を与えたのか?」

 

ハイトはジョージ・クライに声をかけていた。

 

「あぁ、ある少年の運命が決まるからね……」

 

「運命か……その本に書かれていることは本当に起こるのか?」

 

「これには未来が描かれている。覆すことはできない……はずだったが」

 

ジョージ・クライはいくつもの未来が覆されたことを知っていた。ハイトは笑みを浮かべながら……

 

「プリキュアか……」

 

「あぁ、だがこの少年、若宮アンリの未来を覆すことは無理だろう。そしてミナト・ユウもだ」

 

「奴の未来とは?」

 

「……全てを超越し、究極の力を手にしたものによって、ミナト・ユウはその生命を失う」

 

「そうか……お前はそんな奴を救いたいのだな」

 

「あぁ……」

 

「出来ればいいな。それで今回は誰がいくのだい?」

 

「リストルに任せたよ」

 

「ならば彼女にも出てもらおう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンリSIDE

 

「彼女たちも話さなくて良いことを……」

 

車に乗りながら、居候のアカメたちが僕の足についてミナトに話したことを思い出していた。彼女たちも僕のことを心配してのことだろうだけど……

 

「彼女たちなりの優しさだろうけど……」

 

僕は最後まで僕として……

 

「最後にもう一度だけ、氷上の王子、若宮アンリとして……勝つ!」

 

そう決意した瞬間、クラクションの音が鳴り響き、目の前にはこっちに突っ込んでくるトラックが見えた。



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第109話 奇跡の変身!

アカメSIDE

 

アンリが事故にあったという連絡を聞き、私、ほまれ、正人は病室へ行くとそこには包帯を巻かれ、ベッドに横たわるアンリとドクタースタイリッシュがいた。

 

「アンリ……」

 

「ほまれ……他にけが人は……」

 

「いないみたいだけど…」

 

「アンリ、大丈夫なのか?」

 

「はは、足の感覚がないんだ……」

 

「スタイリッシュ、お前ではどうにか出来ないのか?」

 

「難しいわね。足の感覚を戻すことは出来ても前みたいに動かすことは出来ないわ。それほどまでに彼は酷使しすぎたのよ」

 

スタイリッシュの持つパーフェクターでも完全に治すことは出来ないのか……アンリはというと

 

「やだなぁ、最後はリンクの上でって思っていたのに……これが……僕の最後なのか……」

 

「最後なんか……」

 

ほまれは言いかけるが何も言えないでいた。私と彼の付き合いはそれほどまで長いわけじゃないが……彼のスケートにかける思いは人一倍すごいものだって分かっている。なのにそんな彼の生きがいを奪われたということは……

 

「僕の足をあげたい……僕が代わってあげられたら……」

 

「同情の言葉なんていらない。そういうのが一番キライなんだよね。出ていってもらえる」

 

「ほまれ、正人、今は一人にしてあげよう」

 

「うん」

 

「わかった……」

 

一番悔しいのアンリのはずだ。だから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

会場中、悲しみに暮れていた。みんなアンリの事故を聞いたからだろうな

 

「アンリくん……」

 

「こんなの……」

 

もしかしたらクライアス社はこの事を知っていたのか?だから時を止めれば……だとすれば……

 

「まずいかもしれないな」

 

俺はそう呟いた瞬間、突然猛オシマイダーが出現した。更にはリストル、この間の未来のレガオン使い、そして水晶に閉じ込められたアンリの姿があった。

 

「アンリ……」

 

「ミナト、あのレガオン使いは俺たちに任せろ」

 

ブラートの兄貴がサムズアップをしながらそう言い、インクルシオを身にまとい、シェーレ、アカメも帝具を構えた。

 

「兄貴……あぁ!任せておけ」

 

プリキュアに変身したはなたちと一緒に水晶に閉じ込められているアンリを助けようとするが猛オシマイダーが邪魔だし、水晶も硬すぎる

 

「リストル!お前、まだ……」

 

「誰だ?お前?」

 

ハリーがリストルに呼びかけるがリストルはハリーのことを忘れている?これもクライアス社の仕業か……

 

「エール!」

 

「うん!」

 

俺は龍騎になり、エールと一緒に水晶を殴るがやっぱりヒビ一つはいらないか……

 

「私、なんて言えば良いのかわからないよ!けど……私は……悲しい顔のアンリくんを放っておけない!」

 

「悲しい顔なんて……」

 

「水晶の中じゃ鏡がないからわからないか?だったら……」

 

俺は桐一文字を取り出し、水晶の同じ箇所を突いていく。何度か繰り返していけばきっと砕けるはずだ

 

「とっとと出てこいよ」

 

「僕は違う。悲しい思いなんて……」

 

「私、知ってるよ。アンリくんは最初否定から入るよね。でもきちんと向き合えばアンリくんは色んな思いを抱きしめてくれる」

 

「抱き……しめる……」

 

後一押しだな……こういうときは……

 

「エール、応援してやれ」

 

「えっ?」

 

「お前の応援は夢や力を与えてくれるから……アンリにも」

 

「わかった!フレフレ!アンリくん!アンリくんは……なりたいアンリくんになればいいんだよ!」

 

「僕がなりたい……僕……そうだどんどんできることが増えるのが嬉しかったんだ。けど……それ以上に……みんなが僕のスケートで笑顔になるのが嬉しかったんだ。もう一度……もう一度だけ!」

 

水晶にヒビが入り始めるとリストルが茨で縛り始めた。

 

「一度そまった絶望から簡単に抜け出せない!」

 

「確かにそうかもな……だけど簡単に抜け出せることはあるんだよ!」

 

俺は狂龍騎に代わり、桐一文字をリストルに向けて投げつけた。

 

「それは友が……仲間が……愛する人が……応援してくれる人がいれば絶望なんて薙ぎ払える!!」

 

俺がそういった瞬間、何かの力を感じ取ると、未来のレガオン使いがアカメ達のところから離れて、俺に攻撃を仕掛けてきた。

 

「言葉では……何だって言える……」

 

「それが何が悪い……それに絶望の未来よりかは奇跡に満ちた未来のほうが良いだろ!!」

 

エール達がミライブレスをかざしながらアンリを応援していく。その瞬間、アンリがまばゆい光に包まれ、前にはなが描いた衣装を身にまとった姿にアンリが変わった。

 

「みらいへ輝く……プリキュアだ!名前はキュアアンフィニ!」

 

「それがあの姿だよ!」

 

レガオンを弾くと同時にエールのミライクリスタルが光り輝き、俺の方にやってきた。

 

「これは……」

 

「もしかして……エール!ミナトさんにキスをして下さい!」

 

「なんで!?」

 

「いいから早く!私は大丈夫ですから!後でいっぱいしますから!」

 

「え、えっと……」

 

「何というかマシェリもプロポーズされてからはっきり言うようになったね……」

 

「戦ってる最中にノロケは良いんだけど」

 

恥ずかしそうにするアンジュと呆れるエトワール……エールはもじもじしながら俺にキスをした瞬間、愛龍騎の姿に……いやこれは……色がエールのミライクリスタルと同じ……

 

「みんなの応援の力が……宿ってる?言うなれば愛龍騎・エールか!」

 

「うぅ、マシェリはよく頑張ってるね……」

 

「アンフィニ!行くぞ」

 

「あぁ」

 

アンフィニが演目を始めていくと会場中に溢れたトゲパワワが消えていく。猛オシマイダーもまたアンフィニに魅了されて動きが鈍くなり始めていく。

俺はレガオン使い……ミアと攻防を繰り返していた。

 

「愛の力……どうして私には……」

 

「お前には守りたいものや応援してくれるものはいてくれたのか?」

 

「そんな人は……」

 

「未来で戦い続けてきたんだろ!仲間たちと一緒に!」

 

「私にそんな……」

 

「いい加減気がつけよ!お前の周りにいた人がお前を応援していたことに!」

 

蹴りを放ち、ミアを吹き飛ばした瞬間、桐一文字にピンクのオーラがまとい始めた。

 

「目を覚ませ!!」

 

ミアに一太刀入れた瞬間、ミアの周りから何かが爆ぜ、ミアはそのまま倒れ込んだ。今のは……

 

「とりあえず無事みたいだな。エール達は」

 

エール達の方を見ると、猛オシマイダーを浄化し、アンリも変身が解けるが正人が支えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから戦いも終わり、はな、さあや、ほまれ、俺はアンリの病室を訪れていた。

 

「アンフィニはフランス語で無限という意味なんだ。僕はもう一度なりたい自分を探すよ。例え若宮アンリの体でも若宮アンリの心を縛ることは出来ないんだ」

 

アンリも立ち直ったみたいだな。

 

「それにしても面白いね。君たち3人は翼のプリキュアなんだね。空を舞うキュアエトワール。天使のキュアアンジュ」

 

「いや、私だけは違うっていうか……」

 

「エールって、フランス語で翼って意味だよ。これからもみんなを応援していくんだ」

 

「そっか……うん、私、心から応援するよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

「ジョージ・クライ、お前は未来が変わったことを嬉しく思っているようだが……その未来だけは変えることは出来ない……この私の皇具『絶望の楽園 ディスピア』がある限りな……全てを超越し、究極の力を持つものこそが私だということに気が付かない限りな」




次回はオリストになります

ハグプリ本編での最終決戦がどんな感じになるのかわかりませんが、一応ミナトvsハイトの最終決戦は思いついているので、そのための伏線回と言うべき話になります


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第110話 ミナトとアカメ

今回はオリストとなります


ビューティーハリーの庭先で俺とアカメの二人は木刀で何度もぶつかり合っていた

 

「ハアッ!!」

 

「ハッ!」

 

互いの攻撃を防ぐと二人して笑みを浮かべていた

 

「互角か……」

 

「昔に比べて本当に成長したな。ミナト」

 

「それでもアカメの通常時までたどり着いた感じだよ。本気のアカメに勝つのはまだまだな感じだし……」

 

お互い付き合いが長いからこういった鍛錬は良くしていた。ただ……

 

「なぁお前ら……頼むから店の前でやるな。営業妨害だぞ」

 

ハリーが呆れた顔をしながらツッコミを入れていた。いや営業妨害って言われても……

 

「今日は休業日だろ」

 

「私もそう聞いてる」

 

「だからってな……まぁいいか。ミナト、あんまり無茶すんなよ。えみるが心配してるからな」

 

ハリーがそう言って店の中に戻っていった。確かに窓からえみるが心配そうにこっちを見ていた。

 

「やめておくか?」

 

「そうだな、一旦休憩だな」

 

「ふふ」

 

アカメは突然笑いだした。一体どうしたんだ?

 

「何笑ってるんだよ」

 

「いや、昔のことを思い出してな。私がやめるかって聞いてもやめようとしなかった時のことを」

 

「あ~懐かしいな」

 

あれって確か俺がナイトレイドに入ったときのことだっけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの頃は入団試験ということでアカメと一騎打ちをして、狂龍騎が暴走し、アカメが暴走を止めてからしばらく経ってからのことだったな。

 

「やめておくか?」

 

「いや、まだ続ける……」

 

「そこまでして続ける理由はあるのか?お前にはまだ奥の手の制御は難しい。時間をかければ……」

 

「確かに時間をかければ何とかできるけど……俺はそんなのんびりしてる暇はないんだ」

 

警備隊副隊長が死んだ時に、あの貴族の屋敷で帝国の闇を知った時から、俺は帝国を変えるために、頑張り続けようと思っていた。

 

「できる限り頑張って……頑張り続けて……帝国を変えたいんだ。それに……」

 

「それに?」

 

アカメに言うべきかどうか……まぁ元同僚のセリューに会いに行くためにアカメに信用してもらったりしたからな。言っても問題はないか……

 

「笑うなよ」

 

「笑わない」

 

「夢物語かもしれないけど、全てが終わった後、これまでのことを全部なくして、みんなが幸せになれるような……手を取り合えるような未来を作りたいって思ってる」

 

「それは……命のやり取りをした仲でもか」

 

「あぁ……」

 

「………」

 

アカメは急に黙り込んだ。なんだろう?変なことを言ったか?

 

「みんなが幸せになれるような……手を取り合えるような……か。それはいいかもしれないな」

 

「な、何だよ。馬鹿にしてるのか?」

 

「馬鹿にしてない。ただそうなってほしいと私もどこかで思っている」

 

アカメは誰かのことを思い出していた。アカメにもそういう人がいるのか?アカメ自身もその人と手を取り合えるような未来が出来るといいな……

 

「そういえばアカメの帝具を見せてくれないか?」

 

「村雨をか?見せびらかすものじゃないんだが……」

 

アカメは村雨を抜いて見せてくれた。一斬必殺村雨……どんなに小さな傷でも切られれば傷口から呪毒が入り、即座に死亡する。話には聞いてたけど能力的に恐ろしいものだけど……

 

「やっぱり格好いいな……」

 

「……今なんて言った?」

 

「えっ?いや、格好いいって……」

 

初めて見せてくれたときからずっと思っていたけど、村雨はこう何というか格好良さを感じる。普通の人だったら悍ましいだの何だの思うだろうけど……俺からしてみれば格好いいと思う

 

「そうか……格好いいか」

 

「何だよ?格好いいって思ったら悪いか?」

 

「いや、もしかしたら………これはまだ言うべきではないな」

 

アカメは何だか嬉しそうな顔をしていたけど、一体どうしたんだろうか?

 

「それはそうと、今夜、お前の初陣だ。場所は……」

 

アカメから俺の初陣の場所は例の貴族の屋敷だった。これが俺にとってナイトレイドのメンバーになってからの物語の始まりなのかもしれないな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に懐かしいな……」

 

昔話に盛り上がってしまったけど、本当に懐かしかった。

 

「ミナト……お前はあの世界で戦い続けてきたな」

 

「あぁ、ザンクとの戦い、イェーガーズとの戦い、安寧道でのクロトの戦い、ワイルドハントとの戦い、そして……」

 

その後俺はシュラを殺して、シャンバラの暴走に巻き込まれたんだっけ……そこからはな達と出会い、嫌な再会や嬉しい再会とかあったな……

 

「それに……」

 

「愛する人が出来たな。ミナト」

 

アカメ、わざわざ言うなよ……

 

「ミナト……これから先の戦い激しいものになる。気を引き締めていこう」

 

「あぁ、分かってるって……」

 

俺はアカメと拳を合わせるのであった。するとアカメは思い出したかのようにあることを聞いてきた。

 

「ミナト、村雨のことをどう思っている?」

 

アカメは村雨を抜き、俺に見せた。全く当たり前のことを……

 

「すっごく格好いいと思ってるよ」

 

「そうか…」

 

アカメは満足そうな顔をしていた。一体どうしたんだろうか?

 

 

 

 

 



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第111話 恋というもの

ビューティーハリーではな達がほまれの応援グッズを作っていた。

 

「ほまれ、頑張ってね」

 

「フレフレなのです」

 

「応援は嬉しいけど、何でトラ?」

 

大きな旗に描かれていたのはトラの絵だった。こういうのはよく分からないけど、明らかにトラなのは違う気がする。するとハリー(ネズミ)があることを言った。

 

「ええやん、ええやん、よお吠えてるお前に合うてる」

 

「ネズミのくせに生意気……」

 

ほまれがハリーの頬を引っ張り、みんなが笑っていた。

 

「まぁ頑張れよ。ほまれ」

 

「あんた、もう少し何かしらの言葉はないの?」

 

「いや、ほまれなら大丈夫かなって思ってな。それぐらいの言葉のほうが良いと思って……」

 

「ミナト、まぁありがとう」

 

ほまれがお礼を言うとハリー(人間形態)がほまれの頬引っ張った。するとほまれは顔を真赤にさせて慌てていた。

 

「お返しや。頑張れよ。客席で応援するからな」

 

「ネズミのくせに生意気」

 

「誰がネズミや」

 

なんというかほまれとハリーって……付き合ってないんだよな……

 

「あの二人一向にくっつかないのよね~」

 

「ハリーはほまれの思いに気が付いてないし、ほまれはやろうとしないしね」

 

チェルシー、サヨの二人が呆れながらそんな事を言っていた。ほまれとハリーか。まぁお似合いなんだろうけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺、はな、はぐたん、ルールー、えみる、マイン、タツミでパップル達が売っている焼き芋を食べながら、はなはパップルにほまれの様子について話していた。

 

「それは恋ね」

 

「ほまれが恋?」

 

「こい?」

 

「ねずみさんに恋?」

 

「理解不能です」

 

「恋はするものじゃない。落ちるものよ。あなた達だってそうじゃないの?」

 

パップルははなたちと俺を見てニヤニヤ笑っていた。

 

「そ、それは……」

 

「まぁ……確かにあの感情を思い出すと落ちているものですね」

 

「ミナトさんに恋しました!」

 

「あのさ、俺がいる所でこんな話をするのはやめてくれないか?思いっきり気まずいんだけど……」

 

「ってミナトくん!?聞いたよ!ミナトくんが暴走してたときのこと覚えていたって」

 

ルールー、えみる、話すなって言ったのに……まぁいいけど……

 

「あれはその……」

 

「全く恥ずかしがって色々と相談してたもんね。ミナトは……」

 

マインが笑いながらそう言うけど、ちょっと誂ってやるか

 

「そういうマインはタツミに恋していたもんな。どんな感じだったんだ」

 

「な、なな、何ていうことを聞いてるのよ!」

 

「そういえばマインから告白してきたもんな……」

 

「そ、それは……」

 

「マインさん!そこら辺詳しく聞きたいです」

 

「私も参考までに……」

 

「いつから意識をしていたんですか?」

 

はなたちに詰め寄られてマインが困った顔をしていた。うん、ちょっと仕返しできて満足だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チェルシーSIDE

 

海岸沿いでほまれがボッーと海を眺めていた。私とさあやはそんなほまれに声をかけた。

 

「どうしたの?」

 

「ほまれ、なにか悩んでる?」

 

「……何というかさ、いつも普通にしようと思うのに、ハリーにはいつもきつくなっちゃう」

 

「好きな人のことを考えて、いつも心配してるほまれは可愛いよ」

 

「というか好きなんだよね。ハリーのこと」

 

「いや好きとか……バレバレ?」

 

あの態度で気づかれてないと思っていたんだ。本当に恋してる人って周りの人に対して疎くなったりするんだから……

 

「告白しないの?」

 

「あいつ……未来に帰っちゃうじゃん」

 

「告白しないままだと後悔するよ」

 

「でも……」

 

「何話しとんのや?」

 

突然ハリーが私達に声をかけてきた。ほあれとさあやの二人は思いっきり驚いていた。まぁ呼び出したのは私なんだけどね

 

「チェルシー、用ってなんや?」

 

「あぁ、頼み事しようと思ったんだけど、解決したから……ごめんね」

 

「あ、うん、私、用事を思い出したからごゆっくり~」

 

私とさあやの二人は急いでその場から離れるのであった。頑張ってねほまれ

 

「なんや?あの二人」

 

「えっと……私も……」

 

「ちょっとまって、最近顔暗いな。緊張してんのか?まぁ確かに俺が経験したことのない緊張なんやろうな。大会前って、けどリラックスも大切だからな、アイスでも」

 

「優しくしないで……」

 

「ほまれ……」

 

「大会が終わるまでハリーに会いたくない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

夕方になり、家に帰る途中歩道橋の上ではなが誰かと話しているのを見かけた。

 

「あれは……まさか!」

 

俺は咄嗟にレガオンを抜き、はなの前に出て、ジョージ・クライにレガオンの切っ先を向けた。

 

「ミナトくん!?」

 

「よぉ、親玉が直接来るなんてな」

 

「戦いに来たわけじゃないさ。彼女と少し話をね。そして君とも話をしたかった」

 

「お前と話すことはないけどな」

 

「君はいずれ訪れる最悪の未来をどう乗り越える」

 

「最悪の未来?そんなの知ったことか。俺はどんな未来でも変えてみせる」

 

「それは楽しみにしておくよ」

 

ジョージ・クライはそのまま姿を消すのであった。一体何しに来たんだ?



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第112話 ほまれの恋の行方

チェルシーSIDE

 

私とアンリはほまれの練習を見ていたが、どうにもほまれの動きが悪い気がする

 

「やっぱり悩んでるね」

 

「アンリ……それにチェルシー……」

 

「全然集中できてない」

 

「もしかしてあのことを悩んでるの?」

 

「あのことって……」

 

「恋について……」

 

「恋をしているほまれ、僕は好きだけどね」

 

「私も……ただその思いを伝えずにいるのは良くないことだよ」

 

「今はスケートに集中したいの。お母さんを安心させたいし……」

 

何というかほまれは本当に頑固だ。何で自分の心のままに動こうとしないんだか……

 

「誰のためでもなく、ほまれのために滑ればいい。100%の輝木ほまれを見せてくれ。それが僕たちの笑顔になる」

 

「私は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、ほまれが縁側で母親と何かを話していた。話し終えた後に私が声をかけた。

 

「チェルシーはさ、恋ってしたことある?」

 

「恋ね~さぁどうだったかな?私の場合は色々とあったからね」

 

ガイアファンデーションを手に入れてからずっと暗殺者として生き続けてきた。そういった幸せなことを経験したことは……

 

「あ~まぁあったっちゃあったかな……ただそれが恋なのかどうかはわからないけど」

 

「どういうこと?」

 

「私のある仲間に対して特別な感情を抱いたことがある。ただそれだけよ」

 

「そうなんだ……」

 

「ほまれはさ、本当の気持ちを伝えたほうが良いよ。伝えられないままだと本当に後悔する」

 

「後悔……」

 

「それにね。私としては……ううん、多分だけどミナトはこう思ってるはず。ほまれたちは幸せな未来を歩んでほしいって……」

 

きっとあいつならそう言うだろうな……それに私もこっちの世界に来てからそう思うようになってきた。

 

「頑張ってね。ほまれ」

 

「チェルシー、うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日になり、はな達と話しているとほまれはあることを言い出した。

 

「はな、フレフレして!さあやもはぐたんも、今から私のハート100%マジアゲするから」

 

「ほまれ……」

 

「私はしなくていいの?」

 

「チェルシーは昨日応援してくれたから……」

 

「そっか」

 

「「フレフレほまれ!」」

 

「ふえふえほまえ!」

 

はな達が応援し、ほまれは駆け出していった。私は応援席にいるえみるとルールーにハリーを連れてきてもらうように連絡するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリーとほまれが向き合い、はなたちは邪魔しないようにその場を離れるが、私とサヨの二人だけは物陰に隠れて様子を見ていた。

 

「どないんしたんや?もうすぐ本番やろ」

 

「あっ、あのさ……」

 

「というか俺、お前に謝らんといかんよな」

 

「えっ?」

 

「真剣に頑張っとる時に茶化すようなこと言って、悪かったな。ごめん」

 

何というかこういう時に謝るのって、というかハリーはほまれの気持ちに……気が付いてなさそう……

 

「ほんとに鈍感」

 

「はぁ?」

 

「ギャグつまんないし、すぐふざけるし、大事なこと隠すし、ネズミだし、でもなんでだろ。あんたといると全然うまくしゃべれないし、喧嘩しちゃったり、そんなのばっか……なのに……あんたが好き」

 

ついに言ったか……サヨも何故かガッツポーズしてるし……

 

「輝木ほまれはハリーのことが大好きです」

 

ほまれはハリーに自分の気持を伝えた。だけどハリーは……

 

「すまん。俺はお前の気持ちに答えられへん。俺も気持ちを伝えたいと思ってるやつがおる。それをうやむやにしたままお前の気持ちには答えられへん」

 

ほまれはハリーの答えを聞き、ハリーの胸を軽く叩き……涙を流しながら笑顔で……

 

「ありがとう。すっきりした。最高のスケートすべるから見ててね」

 

ほまれはそのまま走っていった。私とサヨは残されたハリーのところへ行こうとするとそこにミナトがやってきた。

 

「なんや、のぞき見か?」

 

「ちょくちょくやられてるからその仕返し……なんてな」

 

「何か言いたげだな」

 

「とりあえずちゃんと思いを伝えるのか?」

 

「……誰にや?」

 

「お前が伝えたいやつに……」

 

「ちゃんと伝える」

 

「そっか……」

 

ミナトは黙ったままハリーの背中を思いっきり叩いた。

 

「ほら、見てやれよ。ほまれの演技を」

 

「当たり前や」

 

観客席に戻るハリーを見送るミナトは、こっちにやってきた

 

「お前らは行かなくて良いのか?」

 

「私達はね」

 

「ここにいるべきだと思ってるから……それに」

 

私は外を見るとビシンの姿を確認できた。こういう時に邪魔をするのはやめてほしいものだね

 

「ミナト、行くわよ」

 

「当たり前だ。後ろは任せたぞ。サヨ、チェルシー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

外に出るとビシンと猛オシマイダーが姿を現した

 

「何だ。お前たちだけか。プリキュアはどこだ!」

 

ビシンがそう言う中、俺は猛オシマイダーを思いっきりぶん殴った。

 

「邪魔してやるなよ」

 

「猛オシマイダーに向かって放て!!」

 

サヨが矢で猛オシマイダーを射っていく。更にチェルシーは背後に回り込みビシンの肩に針を刺した

 

「ちっ、なんなんだよ!お前らは!」

 

「悪いけど、本当に邪魔はしてほしくないの」

 

「あっちには思いを告げて最高に輝いている女の子がいるの!!」

 

「だから邪魔すんじゃねぇ!!狂龍騎!!更に桐一文字!!」

 

狂龍騎になり、桐一文字で猛オシマイダーを切り刻んでいき、猛オシマイダーはそのまま浄化されるのであった。

 

「な、なんなんだよ!お前らは!」

 

ビシンはそのまま去っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

会場に戻るとほまれたちが慌ててこっちにやってきた。

 

「あれ?クライアス社は?」

 

「「「気のせいじゃない?」」」

 

「あの気の所為って……」

 

「たまには猛オシマイダーやらクライアス社が出てこないことだってあるからな」

 

俺はそう言うと、何故かはなたちは嬉しそうにしていた。

 

「ミナトさん、お疲れ様なのです」

 

えみるがそう言うが、全く何のことだか……



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第113話 さあやの迷い

今日はさあやとさあやの母親のれいらさんとの親子共演の映画、その撮影現場の見学に来ていた。というかまさかのはぐたんも出演って……

 

「映画の撮影ってこんな感じなんだ」

 

「どんな映画なんだっけ?」

 

「中世の女騎士団長と姫の物語です」

 

「さあやさんのお姫様、とっても楽しみなんです」

 

「にしてもはぐたんは分かるけど……」

 

「何で私達も出ることなんて……」

 

「あははは、確かにね」

 

俺、セリュー、レオーネの姐さんの三人もまた何故か撮影に参加することになっていた。

 

「ミナトさん、すみません。何だか監督が三人がイメージにぴったりということで……」

 

お姫様の格好のさあやが申し訳なさそうにしながら言ってきた。いや、まぁ別に協力するのはいいけど……

 

「姐さんは……」

 

「森に住む獣の女性だね」

 

「セリューは」

 

「騎士団長の側近の騎士ですね」

 

「それで俺は……」

 

「ミナトさんは姫の命を狙う黒い騎士ですね」

 

『ミナトさん(くん)にぴったりだね』

 

その場にいた全員がハモった。そんなにぴったりなのか?

するとさあやのお母さん、れいらさんがスタジオに入ってきた。れいらさんはさあやに近寄り

 

「よろしくさあや。緊張してる?」

 

「うん、けど私、全力で……」

 

さあやが何かを言いかけた瞬間、突然世界がゆがみ始めた。これは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと俺たちは何故か異世界に来ていた。しかも格好が……

 

「この世界……まるでこの台本の」

 

「それじゃ私達、映画の世界に来ちゃったの?」

 

「だとしてもこれは……」

 

俺は黒い鎧を身に纏った姿に変わっていた。何かしらの影響を受けているってことなんだよな。はなは勇者みたいな格好だし、さあやはお姫様の格好だし

 

「見てみて、勇者・はなちゃんだよ~」

 

「私はお姫様で……」

 

「私は武闘家なのかな?」

 

ほまれは武闘家、ハリーとはぐたんは時代劇風の格好だし

 

「私は魔法使いなのです。キュアップ・ラパパ」

 

「私は黒猫のルル。ワクワクもんだにゃ~」

 

なんかえみるとルールーの二人……確かに魔法使いと猫だけど……いいのか?

するとルールーは分析を始めると

 

「ほまれの時と同じVR空間のようだにゃ」

 

というかルールー、ノリノリすぎなんだけど……そういえばセリューと姐さんは……

 

「何だみんなみたいな格好じゃなくって、いつもの格好だ」

 

「警備隊時代の制服だし……」

 

なんでか二人だけはそこまで変わってないみたいだな。何だか羨ましい

 

「とりあえずこの世界から抜け出すためにどうするか……」

 

「それじゃラスボスを倒せば、それだったらこの勇者はなちゃんにって、あれ?これって」

 

はなの手には撮影の時に使われるカチンコを持っていた。するとれいらさんがはなに向かってあることを言い出した。

 

「あなたが監督?それだったら撮影を始めましょう」

 

「えっ?いや、あの……」

 

「私は本気である。最高の映画をとろうぞ!」

 

「お母さん、役に入りきってる」

 

「ぶっとんでるけど、あんたのお母さん、女優なんだね」

 

今回はぐたんのもしものことがあった場合の事を考えて、マキ先生も来ていたけど巻き込まれていたのか

 

とりあえず撮影を始めることとなったのだった。

 

「用意!アクション!」

 

撮影が始まり、特に何の問題も起こらないと思っていると突然蘭世が乱入してきた。

 

「あなたは姫。私は名もなき平民とはこれいかに!チェスト~」

 

突然木の棒と鍋の蓋を持っての戦いが始まったけど、何だかさあやの動きが悪い気がするな

 

「なぁ、セリュー、さあやの動きが悪い気がするんだけど」

 

「いや、私達と同じような動きは出来ないからね」

 

「そういうわけじゃないんだけど、こう何というか……」

 

「集中できてないって感じか?」

 

姐さんも感じ取っていたみたいだった。するとはながカットをかけた。

 

「蘭世ちゃん……」

 

「なんですの今の演技は?他のことに気にかけていて、芝居の世界に入り込めていない」

 

蘭世は呆れてしまい、どこかへ行き、れいらさんも

 

「さあや、芝居に心が感じられない。これではただの親子共演として芸能ニュースになるだけよ」

 

「ごめんなさい……」

 

 

 

 

 



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第114話 さあやの夢

一旦休憩ということでご飯を食べることになった俺たち。さあやはというと未だに落ち込んでいた。

 

「私は上手にお芝居ができてると思うけど、きびしいね」

 

「ううん、お母さんの言うとおり。役に入りきってなかったから」

 

「俺はお芝居についてはよく分からないけど……何となく集中できてないっていうのは感じたな」

 

「ミナトさん……」

 

「まぁ何かしら悩みがあるって言うなら、まずそれをどうにかして方が良いんじゃないのか?」

 

姐さんがそう言うと、さあやは考え込んだ。すると何かの物音が聞こえてきた。見てみると何故かえみるとルールーの二人が怪獣に追われていた

 

「ヤブを突っついたら巨大怪獣出現だにゃ。計算通りだし」

 

「何なの~」

 

「ミナト、どうにかして!」

 

「いや、怪獣って言っても何というか……」

 

「見た目が可愛らしいからちょっとね……」

 

「まぁ無害そうだし大丈夫じゃないのか?」

 

俺とセリューと姐さんがそう言いながら、逃げていくと何故かダイガンがこっちにやってきていた。

 

「姫、お守りしますぞ!」

 

「ダイガンさん!?」

 

何でダイガンまでこっちに来てるんだよ……ダイガンが怪獣を止めようとすると、思いっきり踏み潰されていた。

 

「3秒。新記録だにゃ」

 

「部長~」

 

「この人、何しに来たんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

さあやとマキ先生でダイガンの治療を行っている間、俺達は外で話をしていた。さっきの怪獣はと言うとおとなしくなったため、えみるとルールーの二人が遊んでいた。

 

「さあや、お母さんと共演するの迷ってるのかな?」

 

「それはないんじゃん?お母さんと共演するのが夢っていうのは、さあやの本当の気持だと思うんだ」

 

「ほまれさん、ワールドジュニアで優勝するって夢を叶えて、どんな気分ですか?」

 

「夢がかなってよかったかもしれないけど、それでももっともっと新しい世界が見たい。そんな感じ」

 

ほまれはまた新しい夢を見つけるってことか。それもいいかもしれないな。

 

「ミナトくんは?」

 

「俺?」

 

「そういえばミナトの夢って、平和な世界で私達と手を取り合っていくってことだったよね」

 

「もうその夢はかなってるな」

 

「いや、そうだけど……」

 

俺の今の夢は……

 

「えみると幸せな未来を生きていくってことかな?」

 

「あぁ、うん、ミナトくんはそうだよね」

 

「本当にごちそうさま」

 

「とりあえずえみるを傷つけたら私達がどうにかしてあげるからね」

 

「それは楽しみだな」

 

あれ?なんだろう?傷つける気はないけど、これまで以上に頑張らないといけなくなったぞ……

 

するとダイガンの治療を終えて、さあやはまた撮影を始めてほしいと言い出した。

 

 

 

 

 

 

 

撮影が始まり、さっきまでとは違い、さあやは物凄く集中できていた。悩みは解決したんだな。

はながカットをかけ、撮影が終わるとさあやはれいらさんにあることを告げた。

 

「私、お母さんに話さないといけないことがあるの。私、この撮影が終わったら女優やめる」

 

さあやの言葉を聞き、蘭世がさあやに掴みかかってきた。

 

「何故女優をやめるって言いますの!?女優をやめて何を目指しますの」

 

「お医者さん」

 

女優をやめて医者になるか……確かにさあやはこれまでのことを思い返してみるとそこら辺を思うようになってきた気がするな。

 

「両立は出来ませんの?」

 

「きっと両方中途半端になっちゃうから。そんな気持ちで蘭世ちゃんの前に立てないよ」

 

「嫌になりますわ。本当に……貴方が自分の夢を叶え、お医者さんになった頃には、私は世界を代表する女優になっていると思いますけど」

 

「確かに悔しいと思うけど、だからこそ未来で、蘭世ちゃんの前にたった時になりたい自分になったって言えるように頑張る」

 

さあやの思いに答えるかのようにドレス姿から僧侶っぽい姿に変わった。ちゃんと決断できたって言うことか。

 

気がつくとれいらさんの姿はなかった。あの人も親だからこそ考えることがあるんだな

そう思った瞬間、突然猛オシマイダーが出現した。はなたちはプリキュアに変身した

 

「レガオン!龍騎!」

 

「正義宋帝刀!」

 

「さて私らの相手は誰かな?」

 

「私だよ」

 

俺たちの前に現れたのリアンだった。リアンの両腕には銃とチェンソーが装備されていた。

 

「悪いけど邪魔はさせないよ」

 

「二人共、行くぞ」

 

「「あぁ」」

 

姐さんとセリューの二人が同時に攻撃を仕掛けるが、姐さんは銃から放たれた何かに吹き飛ばされ、セリューの宋帝刀はチェンソーに折られてしまった。

俺は背後に回り込んで蹴りを放つが、しっぽみたいなものに足を捕まれ、地面に叩きつけられた。

 

「お次はこれよ!」

 

リアンが背中から機械の翼を生やし、無数の羽を飛ばしてきた。俺たちはなんとか防ぐが、これまで以上にこいつ……強くなっている

 

「さぁこのまま終わらせるわよ!!」

 

「それはどうかな?」

 

俺が笑みを浮かべた瞬間、セリューの体が真っ赤に染まり、リアンを殴り続けていった。

 

「体を狂化してもまだまだよ!」

 

「はああああああああああああ!!」

 

セリューがリアンを抑え込んでいる内に姐さんが上から踵落としを喰らわした。

 

「これぐらいのダメージ……」

 

「狂龍騎!!」

 

セリューがリアンを上に吹き飛ばした瞬間、俺が鋭い蹴りを喰らわした

 

「ぐううううう……油断したわ……でも計画どおりね。あっちも終わったみたいだし……またね」

 

リアンはそう言い残して姿を消した。計画って……とりあえず戦いが終わり、この異世界から元の世界へと俺たちは戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プリキュアたちの戦いの中で、さあやはれいらさんの救ったみたいだな。撮影も無事に終わり、帰る途中……はなたちはクリスマスの話になった。

 

「なぁクリスマスって?」

 

「それにサンタとはなんですかにゃ?」

 

未だに抜けきれていないルールーと俺達。クリスマスってなんなんだ?

すると突然はぐたんがまばゆい光を出し、空から赤い服のじいさんが降ってきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 



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第115話 サンタさんのお手伝い

メリークリスマス!

とりあえずクリスマスに間に合ったのかな?


突然空から降ってきたのは赤い服を来たおじいさんだった。

 

「サンタさん!?」

 

「サンタ?」

 

「なにそれ?」

 

「ただの赤い服を来たおじさんじゃないの?」

 

僕らはサンタという存在が何なのか分からないでいた。はなたちからしてみれば馴染み深いみたいだけど……

 

「私、今年はいい子にしていたのでプレゼントを……」

 

はながそんな事を言うと、突然サンタはくしゃみをした。

 

「このままではクリスマスは中止に……」

 

「中止!?」

 

「めちょっく~」

 

中止になるって聞いて驚くはなたち。中止になったらなにか悪いことでもあるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビューティーハリーに戻り、ルールーと一緒にクリスマスと言うものが何なのか教えてもらっていた。

 

「なるほど、サンタは子どもたちにプレゼントを配るという……」

 

「しかも家に侵入してって……気配もなくできるなんて……」

 

「ミナト、暗殺者みたいだなと言わないでよね」

 

俺が言おうとしたことを先に言われた!ちょっとショックなんだけど……

 

「でも中止って……」

 

「うむ、トナカイが風邪を引いてな。トナカイの看病をしている内にわしもトナカイ風邪に……あぁこのままでは……」

 

プレゼントを配ることが出来ないってことか……何というかサンタも大変なんだな

 

「私達にもできること手伝わせてください」

 

「しかし、トナカイも寝込んでるし、わしも……」

 

「どうしよう。ねぇハリー、空とか飛べない?」

 

「飛べるか!俺はネズミやぞ!」

 

遂に認めたよ。ネズミだって……するとえみるは俺の方を見た

 

「ミナトさんは空を飛べるのです。それでしたら……」

 

「確かに飛べるけど……でもそれでも難しいぞ……長時間飛ぶっていうのは……あぁそういえば」

 

俺はクリスマスツリーの飾りつけをしているタツミとマインの方を見た。

 

「おい、俺がそのトナカイとやらの代わりをやれってか?」

 

「当たり前じゃん。空飛べるし」

 

「あのな……ドラゴンがそりを引くって……」

 

う~ん、どうすることも出来ないか……

 

すると突然トラウムが現れた。一体いつの間に……

 

「呼ばれてないけどジャジャジャーン!」

 

「呼んでないので帰ってください」

 

ルールー、未だに苦手なのか?

 

「これはドクタートラウムの出番じゃないのかね?」

 

トラウムはそう言って俺たちを外へと連れ出した。外には機械で出来たトナカイがいた。

 

「メカトナカイ!4人乗り!」

 

『メリクリ~』

 

「かわいい」

 

「どこが……」

 

さあや、かわいいって……にしても突っ込まないでおいたけど……

 

「なぁえみる」

 

「なんですか?ミナトさん?」

 

「こっちのトナカイって空を飛べるんだな」

 

「はい、そうなのです」

 

「いや、えみる、嘘をつかなくていいから……というか突っ込み入れるの遅くない?」

 

「気のせいじゃないか?」

 

ほまれにそう言われる俺であった。

それから俺たちはサンタの手伝いをするために色々と準備を始めることになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

にしても……

 

「ルールーちゃん、クリスマスに欲しいプレゼントはないのかな?」

 

「ありません。あったとしても貴方にはいいません」

 

落ち込むトラウム。本当にルールーは辛辣だな……

 

「なぁルールー、もう少し……」

 

「ミナト……」

 

その顔はわかっているって顔だな。分かっているのだけどついそういう顔をしてしまうってことか……

 

「とりあえず何かトラウムに送ってあげたらいいんじゃないのか?」

 

「………」

 

黙り込むルールー、ルールーもどうにかしたいってことだよな。すると店にある人物が入ってきた。

 

「よっ、何だか大変そうだな」

 

「ラバ、どうしたんだ?」

 

「なんか色々と大変みたいだから手伝いに来たんだよ」

 

「そっか、助かるよ」

 

ラバも手伝いに来てくれたし、俺達は準備を進めていくのだが、ルールーはあることをいい出した。

 

「そういえばミナト」

 

「ん?」

 

「えみるに何か送らないんですか?」

 

送るってプレゼントを?でもプレゼントはサンタがくれるからいいんじゃないのか?

 

「調べた結果、恋人はサンタクロースと言う言葉があるので、プレゼントを送ってもいいのでは?」

 

恋人はサンタクロースって本当にそんな言葉があるのか?でも送るにしても……

 

「何を送ればいいんだ?」

 

「えみる嬢ちゃんの好きなものでも送ればいいんじゃないのか?」

 

「好きなものって……」

 

好きなもの……さくらんぼ、俺、ルールー、ギター……

 

「ルールー、ちょっと……」

 

「ミナト、私をプレゼント扱いしないでください」

 

バレたか……本当にどうしたものか……

 

「仕方ありません。付き合いますよ。ミナト」

 

「だな。こいつに任せたら変なの買いそうだしな」

 

「それに私も買うものがありますしね」

 

そんなこんなで俺、ルールー、ラバの三人でえみるのプレゼントを選びに行くのであった。

 

 



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第116話 クリスマスの日に

「本当にこれでいいのか?」

 

「いいって、きっと喜ぶぞ」

 

「えぇ喜びます」

 

とあるお店から出てきた俺たち。ラバとルールーの二人に手伝ってもらって、えみるのクリスマスプレゼントを買うことが出来た。

あとは……

 

「ルールー、その食材は?」

 

俺はルールーが持っている袋の中身を見た。中身からしてみるとカレーでも作るのか?

 

「これは……その……」

 

「……まぁお互い頑張ろうか。ルールー」

 

「はい……」

 

顔を赤くするルールー、トラウムは幸せだろうな。俺たちは一旦その場で別れるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、サンタ、トラウム、はな、えみるの四人がプレゼントを配りに行っている間、俺は帰りを待っていた。

 

「中に入らなくってええのか?」

 

ハリーが毛布を持ってお店の中から出てきた。俺は毛布を受け取り

 

「何となく外で待っていたいんだ」

 

「そっか……ん?ほら帰ってきたみたいやぞ」

 

ハリーが指を指したほうを見ると丁度帰ってきたところだった。はなたちがソリから降りるとえみるはすぐに俺に気がついた

 

「ミナトさん、外で待っていたんですか」

 

「あぁ」

 

「こんなに冷たく……」

 

心配そうにしているえみるに僕はそっとマフラーを巻いてあげた

 

「あ、あの……これ……」

 

「クリスマスプレゼント。今日のうちに買ってきたんだ」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

えみるは嬉しそうにしていると、今度はポケットからあるものを取り出した

 

「これは?」

 

「ネックレスです。出来ればそのお守りとして……」

 

「そっか」

 

俺はネックレスを受け取り、すぐにつけた。

 

「ありがとうな」

 

「はい」

 

「いや~お熱いね~」

 

はなはニヤニヤしながら僕らのことを見ていた。えみるは恥ずかしそうにするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

次の日のこと、パップルたちに呼び出されて俺たちはパーティーに参加することとなった。

会場の準備も終わり、早速ツインラブのライブが始まろうとしたときのことだった。会場の扉が開かれそこにはジェロスの姿があった。ジェロスの手には見覚えのあるものがあった。

 

「あれは私の発明品!?」

 

ジェロスが発明品から何かを発射すると、トラウムは咄嗟に飛び出してルールーを守ったが、その場で止まった状態だった。

 

「あれは前にジェロスの部下が使っていた……」

 

「私には時間がないの!時よ止まれ!チアーズ!」

 

ジェロスが発明品を飲み込むと人型の猛オシマイダーに姿を変えた。

 

「みんな、行くぞ!」

 

俺は狂龍騎になり、はなたちはプリキュアに変身し、ジェロスへと立ち向かっていく。

ジェロスは俺たちに攻撃を喰らわせながら、街中の時を止めていく

 

「これ以上させるか!」

 

俺は右腕を大剣に変え、ジェロスを思いっきり叩きつけ、追撃にエールのフラワーシュートを喰らわせた。

ジェロスは立ち上がると、近くにいたはぐたんをみた。

 

「ぷりきゅあ~」

 

「泣くな!猛オシマイダー!」

 

「どうしてはぐたんを……未来を否定するのですか!」

 

「小娘が説教するな!」

 

ジェロスがビームを放つが、エールがミライブレスで攻撃を受け止めていた。

 

「どうして時間が進むのが怖いの?未来はきっと……」

 

「あんたたちは知らないのよ!どれだけ頑張っても可愛がられるのは若いうちだけ!年をとるたび、色あせていく……そんな未来!!」

 

ジェロスがビームを強くしていくが、アンジュとエトワールの二人もエールと一緒に防いでいく。するとジェロスの前に見覚えのある二人が現れた。

 

「「やめてください!ジェロスさん!」」

 

「タクミ、ジンジン……いまさら何しに来た。私に未来がないと見限ったくせに……」

 

「違います。俺たちは」

 

「ジェロスさんの足を引っ張るといけないと思って、でも」

 

「そんなの関係ない。俺たちはジェロスさんの笑顔が大好きなんだ」

 

「!?」

 

「全く何を焦っているのかしらね。ジェロス」

 

気がつくとメラルドが現れ、呆れた顔をしていた

 

「何だ?邪魔をしに来たのか?」

 

「そのつもりだったけど……ちょっと教えたいことがあってね。ジェロス、貴方は年をとっていくことが嫌だって言ったわね。だけど違うわ」

 

「メラルド……」

 

「女性はどんなに歳を取ろうが……魅力が溢れていくものよ。そこの部下二人もそう思うでしょ」

 

メラルド……いいこと言ってるんだけど……なんだろう?なんか突っ込みたくなるようなことを言ってる気が……

 

「さぁプリキュア、彼女を救ってあげなさい」

 

メラルドはそう言い残して姿を消すのであった。

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!HUGっとプリキュア今ここに!」」」」」

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

『私ももう一度……』

 

浄化されたジェロスは涙を流すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いも終わり、みんなでクリスマスパーティーを楽しむ中、俺は一人外に出た。

 

「ジェロスも救われて、クライアス社との戦いも……それにハイトたちの戦いも決着が近づいてるな……」

 

俺はえみるからもらったネックレスを見つめた。

 

「今度は誰も死なせないようにしないとな」



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第117話 ミアとの再会

新たな年が明け、俺達ははなたちと一緒にお正月を楽しんでいた

 

「きなこ、あんこ、磯辺餅……お正月は素晴らしいです」

 

「超激辛DEAD OR ALIVEソースもあるからね」

 

「いや、それさあやだけだから」

 

「そんな……」

 

みんなが楽しんでいるのを俺はじっと見つめていた。するとタツミとウェイブが声をかけてきた。

 

「ミナト、お前は混ざらなくって良いのか?」

 

「折角新しい年を迎えたのに、そんな難しい顔をしてるなよ」

 

「俺、そんな難しい顔をしてるか?」

 

「「あぁ」」

 

二人同時に言われてしまった。普段だったら楽しむんだけど……

 

「クライアス社との戦いも近い……それにハイトたちとの戦いも……その所為かな……」

 

これから先のことを考え始めたせいなのか、楽しむという気持ちになれないな

 

「ハイトたちとの戦い……」

 

「聞いた話だと結構前から動き出してたんだっけ?」

 

「あぁ、陽斗、クロトの二人からそこら辺の話を聞いてる……」

 

あいつらの話だと、どうにも闇の力を集めているらしい……そんなもの集めて何をするつもりなんだ?

それに一番気になってるのはフォルシュが前に戦ったきり現れていないことだ。

次に戦うときはきっとこれまで以上の戦いになるかもしれないな

 

「なぁタツミ、ウェイブ……」

 

「何だ?」

 

「改まって……」

 

「次の戦いはきっと大きな戦いになる……俺は誰も死なせたくない……」

 

「ミナト……」

 

「……それは俺たちもだ。折角この世界で出会えたんだから……また失いたくないな……」

 

二人も同じ気持ちを持っているということか……だとしたら安心だな

 

「頑張ろうな。タツミ、ウェイブ」

 

「「あぁ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなと別れて、俺はある場所に来ていた。そこはスタイリッシュが暮らしているアジトだった。

 

「呼び出してどうしたんだ?」

 

「悪いわね。にしてもいい加減あなたも携帯を持ったらどうかしら?もうすぐこっちに来て一年になるのよ」

 

「そうだけど……未だに慣れなくってな。今回もさあやから呼び出されてるって聞かされたしな」

 

もう一年になるのか……長いようで短かったな。にしても一体何の用事なんだ?

 

「まぁいいわ。彼女が目覚めたわ」

 

「彼女って……未来の」

 

「えぇ、未来のレガオンの使い手……あなたに話したいことがあるんだって」

 

俺はスタイリッシュに案内された部屋に入るとそこにはミアが待っていた。

 

「はじめましてでいいのかな?」

 

「まぁそうなるかもな」

 

「……こうして会うことができるなんて思っても見ませんでした。ミナト・ユウさん……」

 

ミアは何故か涙を流していた。一体どうしたんだ?

 

「何で泣くんだよ……」

 

「それは……未来のことですからあんまりお話できませんけど……私と貴方はあるつながりがあるんです」

 

「レガオンが使えるからか?」

 

「それもありますけど……それよりも貴方にお伝えしたいことがあるんです」

 

「伝えたいこと?」

 

「はい……ハイトの持つ究極の皇具の力です」

 

究極の皇具……何でこいつがそのことを知っているんだ?

 

「未来のハイト……クローン・ハイトが言っていたことです。すべての闇を取り込み、全てを超越することができる皇具『ゼロ』と呼ばれるものと全ての力を扱え、究極の皇具『ディスピア』それが一つになって貴方達は敗北したって言うことを……」

 

「超越の皇具と究極の皇具……」

 

「発動してしまえば……未来を変えることも……何もかも終わりになってしまうって……」

 

「だとしたら発動前にぶっ倒すだけだ」

 

俺がそう言った瞬間、ミアが何故かキョトンとした顔をしていた。

 

「どうしたんだ?わざわざ一つになるのを待つよりもその前に潰せばいい話だろ」

 

「あ、あははは、聞いていた話通りですね。そうですよね。レガオンの愛の力を扱えて、これまでプリキュアたちと一緒に未来を変えてきた貴方なら……きっと何とかできるはずです」

 

何故か嬉しそうにするミア。何というか操られていたからかずいぶんとキャラが違う気がするけどな……

 

「私の知っている歴史では貴方は愛の力を手にしていなかった。だけどきっと大丈夫です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミアと別れ、出かけているはなたちと合流しようとした時、何故かタワーの方から嫌な気配を感じた。

 

「何だ?まさか……」

 

俺は狂龍騎になり、タワーのエレベーターの方に飛び込むとそこにははなとジョージ・クライがいた。

 

「はな!」

 

「ミナトくん!?」

 

「やぁ、君も来たんだね」

 

「はなに何をするつもりだ?」

 

「何も……ただ話をしていただけだよ。そして君ともね」

 

「俺は話をするつもりはないけどな」

 

「……君は親しい人々を愛する人を悲しませることになる。それが未来が時が止まった原因の一つでもある」

 

「悲しませる?」

 

「僕は取り除きたいんだよ。悲しみも苦しみも全て……破滅につながるものを」

 

「違う!人の心にはいっぱい希望がある!アスパワワは無限に生まれるの!」

 

はなの言うとおりだ。希望に溢れていれば破滅の未来でも変えられるはずだ

 

「君たちは知っているはずだ。人間には悪い心を持っていることを」

 

ジョージ・クライの言葉を聞いて、はなは昔のことを思い出したのか、ショックを受けていた。確かに悪い心を持っているやつだっている。

 

「俺は知っている。悪い心を持っている奴らを、人のことを人だと思わない奴らを……俺たちはみんなを救うためにそいつらを殺し続けてきた。未来を信じて」

 

「ミナトくん……私は未来を信じる!」

 

はながそう告げた瞬間、エレベーターのドアが開きさあやとほまれの二人が駆けつけてきた。

ジョージ・クライは笑みを浮かべて姿を消すのであった。

 



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第118話 時が止まり、始まる

ビューティーハリーにて、集まった俺たち。ジョージ・クライがはなに接触してきたことが理由だった。

 

「はな先輩、怖かったでしょう」

 

「何か攻撃されたのでしょうか?」

 

「ううん、特には……ミナトくんも途中から来てくれたから……ただ……」

 

「ただ?」

 

「あんな悲しい目をする人がいるんだなって思って……」

 

はなの言うとおりかもしれないな。確かに俺もそれを感じた。哀れとかそういうわけじゃなくって本当に悲しそうだった。

 

「なぁ、はな……悲しい目をしていたからって戦うのはやめるとか言わないよな」

 

「ミナトくん……ううん、やめないよ。私は友達と一緒にいるときの幸せ……私はそういうのを守りたいから……だから」

 

「そっか……」

 

戦うことを揺らいだりはしてないみたいだな。だとしたら俺たちがするべきことは……

 

俺はそっと抜け出し、外にいるタツミに声をかけた

 

「敵の気配は?」

 

「特には感じないな……」

 

「そっか……タツミ、みんなに連絡しておいてくれ。多分だけどこれまで以上の戦いが始まるから」

 

「ナイトイェーガーズ全員集合だな」

 

タツミにみんなに集まってもらうように頼むと、俺は空を見上げた。

 

「この世界を守らないとな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社

 

「僕と君、どちらが描く未来にたどり着くか……審判が今!稟議承認!」

 

クライが本のページを開き、そこから巨大な黒い怪物が現れた。それを見ていたハイトは……

 

「ついに始まるのだな。だとすれば……ブリッツ、リアン、メラルド、準備はできているな」

 

「あぁ」

 

「この日のために……」

 

「楽しいことになりそうね」

 

三人がそれぞれ笑みを浮かべていると、ハイトはフォルシュの方を見た。

 

「フォルシュ、ブリッツとリアンが受けた痛み……憎しみを取り込み、お前は暴龍騎以上の力を手に入れた。これがお前にとって最後の戦いだ……分かっているな」

 

「はい……愛なんてくだらないものには負けません。憎悪の力をみせます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜がそろそろ明ける前にビューティーハリーにお泊まり会をしていたはなたちが起き出してきた。

 

「もしかして二人共」

 

「ずっと起きてたんですか?」

 

「何だかごめんね」

 

ほまれ、さあや、はなが申し訳なさそうに俺とタツミに謝ってきた。まぁ何が起きるかわからないしな

 

「これぐらい慣れてるから大丈夫だ」

 

「それに楽しい時間を過ごしてほしかったからな」

 

「そっか、ありがとうね。ねぇ二人も一緒に行こう。新春コンサートに」

 

はなたちに誘われて、俺たち二人はコンサートを聞きに行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンサートの会場であるタワーの展望台に来ていた俺たち。夜が明け、日が昇り始めた。

だがそれと同時に空がゆがみ、そこから巨大なビルが降りてきた。そしてビルから紫色のビームが放たれ世界の時が止まった。

俺たちは急いで外に出てビルに近い海岸に来るとそこにはジョージ・クライが待ち構えていた。

 

「もう時は止まった。君たちがどうあがこうと未来は来ない」

 

「そんなのまだわからないでしょ」

 

「ならばこれでどうだ?」

 

ジョージ・クライが本を開くと海の中から大量の猛オシマイダーが現れた。一気に終わらせるつもりか……

 

「みんな、行くぞ」

 

「「「「「ミライクリスタル!ハート、キラっと!」」」」」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

「「輝く未来を抱きしめて!!みんな大好き!愛のプリキュア!」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

はなたちがプリキュアに変身し、猛オシマイダーに立ち向かっていった。俺は龍騎になり、タツミもインクルシオを装着し戦うが、数が多いな

 

「少女が目指すは花咲き乱れる理想の王国。夢は叶い、人々に笑顔が満ちた。だが人々の望みはつきなかった。1つの夢が叶えばそのまた次へと、明日への希望は欲望に変わり、王国を狂わせた。だから決めたんだ。時を止めようと」

 

「ぐだぐだうるせぇな!さっきから!」

 

「望みがつきないことは悪いことじゃないだろ!」

 

俺とタツミがジョージ・クライに向かって叫んだ。

 

「君たちなら分かるだろう。欲望に満ちた世界から来たのだから」

 

確かにそうかもしれない……俺達がいた世界は欲望に満ちていたかもしれない。

だけど……

 

「そんな中で明日への希望を取り戻すために俺たちは帝国と戦った……時を止めただけで満足しているお前には負けるつもりはない」

 

「あぁそれに……俺たちだけじゃない!」

 

タツミがそういった瞬間、どこからともなくウェイブが現れ、猛オシマイダーの集団を蹴散らしていった。

 

「待たせたな。他のみんなもこっちに向かってる」

 

「俺達には仲間がいる……仲間とともに俺たちは戦い続ける!明日を信じてるから!」

 

「ミナトくん……そうだよ。トゲパワワがどんなに増えても、アスパワワは消えない。私達は負けない!未来を取り戻すために」

 

エールからアスパワワが溢れ出し、ミライパットが輝き出した。

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア今ここに!」」」」」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

大量の猛オシマイダーを浄化するエールたち。だがジョージ・クライは本を開き

 

「君には現実を見せないといけないな」

 

本をかかげた瞬間、ビルが巨大な怪物に変わり、ハリーとはぐたんを襲い始めた。ハリーは必死に逃げるが追いつかれ、はぐたんが怪物に飲み込まれた。

エールはすぐに助けようとするが怪物に吹き飛ばされてしまった。

 

「また会おう」

 

ジョージ・クライは姿を消すと、それと同時にリストル、ビシンの二人が立ちふさがった。

 

「ここは決して通さない」

 

「たったふたりだけで何とかなると思っているのか?」

 

「お前たちの相手は別にいる」

 

リストルがそう告げた瞬間、俺、タツミ、ウェイブのそれぞれにある人物たちが立ちふさがってきた。

 

「貴方の相手は私よ」

 

「お前はリアン!?」

 

「終わらせようか」

 

「ブリッツ!?」

 

ウェイブの前にはリアンが、タツミの前にはブリッツが立ち塞がり、俺の前には

 

「久しぶりだな。フォルシュ」

 

「決着をつけようか」

 



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第119話 最終決戦ー集まる仲間たちー

はぐたんが攫われ、俺達の前にはリストル、ビシン、そしてハイトの部下であるフォルシュたちが立ちはだかっていた。

 

「タツミ、ウェイブ……気をつけろよ」

 

「分かってる」

 

「ここは俺たちが頑張る番だ!」

 

「あはは、無駄だよ。君たちがどんなに頑張ろうが時は止まったままなんだからね」

 

「ここで終わらせようと」

 

リストルが大量の猛オシマイダーを召喚し、俺達に向かって襲いかかわらせた

 

「くっ!?」

 

フォルシュ達と戦う前に俺たちの体力を奪うつもりか?

 

「あらら、折角やる気だったのに」

 

「だがこいつら程度に負けるようでは俺達と戦う資格はない」

 

「……」

 

猛オシマイダーの数が多い、はなたちの方を見るがはなたちも苦戦している

 

アンジュが障壁を張って猛オシマイダーの進行を止めるが数が多いためかヒビが入っていた。

 

「このままじゃ……」

 

「お前たちはここで終わりだ」

 

障壁がはられ、猛オシマイダーがアンジュに向かって襲いかかってきた。俺たちはすぐに駆けつけようとするが、このままじゃ間に合わないと思った瞬間

 

「おしまいなんかじゃない」

 

声が聞こえた瞬間、アンジュに襲いかかろうとした猛オシマイダーが吹き飛ばされた。

アンジュの前にはパップル、ダイガン、チャラリートの三人が立っていた。

 

「パップルさん!?どうして」

 

「助太刀致すってやつです」

 

「君たちプリキュアが再び私達に夢をくれた。安心しろ。私が出たからに五分で終わらせる」

 

「さぁ二人共、お仕事の時間よ」

 

パップルたちが加わり、猛オシマイダーをなぎ倒していく。

 

「大人だって何でもできる!」

 

「何にだってなれるんだから!」

 

「だっさ!いい年した大人が何夢見てんだよ!」

 

「大人も夢を見るんだよ」

 

突然巨大なロボットが現れ、声が聞こえてきた。あの声ってトラウム?

 

「ジャジャジャジャーン!呼ばれてないけど、みんなのドクタートラウムだよー」

 

「本当に呼んでもないのに……」

 

ルールーは嫌そうな声を出しながら言うけど、顔はちょっと嬉しそうだな

 

「あら、私もいるわよ」

 

さらに聞き覚えのある声が聞こえた。この声は……スタイリッシュ!?

 

「最後の戦いだもの。折角だから全員連れてきたわよ」

 

巨大ロボットの腹部が開くとそこからみんなが現れ、猛オシマイダーを蹴散らしていった。

 

「ミナト、タツミ、ウェイブ。待たせた」

 

「アカメ……いや間に合ってるよ」

 

「そうか……」

 

ナイトイェーガーズ全員が揃い、それぞれが戦っている。だけどそこに見覚えのある人物がいた。あれは……

 

「ミア……お前も戦うのか」

 

「はい!でも私が使っていたレガオンはもう使いものにならないですけど……」

 

「そうなのか?」

 

「スタイリッシュさんが調べてくれたのですが、私のはどうにもレプリカみたいなものだったみたいで……性能は同じくらいのものですが……」

 

「それだったらこれを使え」

 

俺はミアに桐一文字を渡した。ミアは驚いた顔をしていたけど

 

「お前なら扱えるだろ」

 

「ミナトさん……はい!」

 

ミアは笑顔で返事をし、猛オシマイダーを蹴散らしていく。するとフォルシュたちが動き出した。

 

「それじゃそろそろふさわしい舞台へ導こうかしら」

 

「我々と戦う舞台」

 

「そこで終わらせる」

 

フォルシュたち三人が指を鳴らした瞬間、俺とミア以外は吸い込まれていった。残ったフォルシュは俺に向かって……

 

「愛龍騎になれ。そうすれば決着の舞台へ行く」

 

「……わかった。マシェリ」

 

「は、はい」

 

俺はマシェリとキスをし、マシェリを抱きしめた。

 

「え、えっと、ミナトさん?」

 

「かなり厳しい戦いになるかもしれないからいっぱい愛の力を貰ったほうがいいかなって……」

 

「は、はい……私の愛はミナトさんに、ミナトさんの愛は私に力をくれますから……必ず生きて帰ってください」

 

「あぁ、マシェリも……そしてエールたちも……頑張れよ」

 

俺は愛龍騎に変わり、フォルシュとともにふさわしい舞台へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タツミSIDE

 

「ここは……ナイトレイドのアジト?」

 

「どうやら私達は移動させられたみたいだな」

 

「にしてもここは……前に行ったバーチャル空間みたいなもんかね」

 

「何だっていいわ。負けるつもりはないから」

 

「みんなやる気満々だね。まぁ俺も頑張るけどね」

 

「今までよりも緊張しますね」

 

「はははは、だが緊張してもシェーレはドジは踏まないだろ」

 

「だがこの場に送られたのはナイトレイドのみ……」

 

「チェルシーの姿はないのが気になるな」

 

みんながいるけど、チェルシーだけがいない。まさか戦いに向かないからってことなのか?だとしたら敵は優しいな

 

すると俺達の前には雷を纏ったブリッツの姿があった。

 

「さぁ始めよう。ナイトレイド!!」

 

「みんな、気合を入れてくぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウェイブSIDE

 

気がつくと俺たちは遺跡みたいなところに来ていた。確かここはクロメとアカメの二人が戦った。

 

「ウェイブ……」

 

「安心しろ。お前を死なせたりしない」

 

「ドクターの姿はないけど……」

 

「多分だけど戦力外だからということでしょうか?」

 

「それに隊長もいないみたいですけど……」

 

「あと三獣士のみなさんも……」

 

サヨも三獣士がいないことに気がついていた。まさかどこかの空間に飛ばされたのか?

 

すると俺達の前に巨大な大砲を身に着けたリアンが現れた。

 

「全員指定したつもりだったけど……こういうことに干渉できるのは彼女だけね。まぁいいわ。戦力的にかなり強敵が集まったみたいだし……さぁ楽しみましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

エスデスSIDE

 

私が送られた場所はどこかの闘技場だった。この闘技場は見覚えがある

 

「ふさわしい舞台じゃない。私達が出会った場所よ」

 

「私の相手はお前か……メラルド」

 

メラルドの他に二人の部下がいた。一人で戦うつもりはないのか

 

「さぁ今こそ教えてあげる。本当の愛というものをね」

 

「お前の語る愛……私が知った恋で打ち砕いてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミアSIDE

 

ナイトイェーガーズの面々が送られていく中、何故かチェルシーさん、スタイリッシュさん、三獣士のみなさんだけが取り残された。

 

「戦力外だからですか?」

 

「あなた、意外とひどいことを言うわね……」

 

「まぁ私達は戦いに向かないけどね」

 

「だとしても僕たちはどうして?」

 

「何かの策略か?」

 

「いや、まさかと思うが……」

 

「あぁそのまさかじゃ!!」

 

突然私達の前に現れたのは幼い子供だった。この人は……

 

「久しぶりじゃのう。ナイトイェーガーズ!」

 

「ドロテアだっけ?生きてるなんてね」

 

「まさかと思うけど皇具の力かしら?」

 

「スタイリッシュ。そのとおりだ。皇具を犠牲にして生き返ることが出来た」

 

「だとしたらお前が俺たちの相手か?」

 

私達にふさわしい敵だということか。頑張らないといけないよね。

 

「何を勘違いしておるのじゃ。妾の相手はお前たちではない。協力しに来たのじゃ」

 

「貴方が協力ね……どういうつもりかしら?」

 

「スタイリッシュ。お前はミナト・ユウの異変に気がついておるのだろ。だとしたら……」

 

「そう……知っていたのね。にしても貴方、あの戦いの影響なのかしら?ちょっと性格変わった?」

 

「プリキュアの浄化の力はいいものじゃ……」

 

何だか協力してくれる感じなのかな?それだったら残った私達はプリキュアを支えないと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

俺が連れてこられた場所はどこかの荒野だった。

 

「ここは……」

 

「さぁ全力で戦おうか」

 

フォルシュはレギオンを構え、俺はレガオンを構えた。




次回からそれぞれの戦いが始まる感じです。プリキュアSIDEの話はミアSIDEでやる感じです


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第120話 最終決戦ーイェーガーズの決戦ー

ミアSIDE

 

猛オシマイダーを蹴散らしながら、私はドロテアさんから話を聞いていた。

 

「お前たちがここに残ってもらったのはある実験体を倒してもらうためじゃ」

 

「あらもしかして危険種を改造しまくっていたやつかしら?」

 

スタイリッシュさんはその実験体というものを知っているみたいだった。プリキュアたちの方はトラウムさんのロボットが猛オシマイダーと相打ちになっていた。その瞬間、海の中から巨大なドラゴンが現れた

 

「あれって……」

 

「あれはいろんな危険種を混ぜ合わせて作った超級危険種、実験体Dじゃ。ハイトのやつは妾が残したものを完成させたみたいだな」

 

「厄介なものを残してくれたわね」

 

「にしても何で貴方がこうして私達と一緒に戦っているのかしら?」

 

チェルシーさんがそう言うと、ドロテアさんが笑みを浮かべた

 

「言ったであろう。プリキュアの浄化……というより愛の力に触れた結果だ。愛の力なんてもの錬金術や科学じゃ証明できない力に触れ、その結果、お前たちに興味を持ったって言うわけだ」

 

愛の力……私には理解できなかったものだけど……彼のはプリキュアの浄化と帝具の力を一つにしたものみたいだ。だとしたら……

 

「それでミナトの異変って?」

 

「そこら辺はまだ秘密ね。彼自身知らないみたいだけど……」

 

「ねぇ、ぶつくさ言ってないであの危険種倒しちゃおうよ」

 

「かなりの経験値を得ることができそうだな。全力で行くぞ」

 

「ふむ、ミアと言ったか」

 

「は、はい、リヴァさん」

 

「お前は彼女たちのところへ行ってやれ。ここは我々でなんとかする」

 

リヴァさんたちだけで何とかできるものなのかな?でも信じることはできる……だって彼の仲間なんだもん

 

「はい」

 

「それじゃ私も戦闘力ないし、ついていくわね」

 

私とチェルシーさんは一緒にプリキュアたちの方へと向かうのであった。

 

「手強い相手じゃが……まぁ十分な勝てる相手じゃな」

 

「ふふふ、ドロテアの実験体はどれほどのものかしらね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウェイブSIDE

 

リアンの放つ砲撃の嵐を俺たちは避け続けていた。あいつの皇具……機械的なものだけど……

 

「全身から重火器を出すのはずるいだろ!!」

 

「あら重火器だけじゃないけど……例えばこんなのとか」

 

砲台から今度は大剣に形を変え、こっちに向かって切りかかってきた。俺は両腕で防ぐが、両腕の部分に亀裂が入った。

 

「バカ力……とかじゃないよな」

 

「悪いけどこれは触れたものを必ず破壊するようにできるのよ……まぁ今のは軽めにやったけど……次はどうかしらね?」

 

「それでしたら!!」

 

ランが空へと上がり、上空からの攻撃に移った。だがリアンは笑みを浮かべ、

 

「空ぐらい飛べちゃんだよね」

 

リアンの背中から炎が吹き出すと、リアンは空へと上がり、猛スピードでランの背後に回り込み、蹴りを喰らわした

 

「くっ!?」

 

「それだったら!ルビカンテ!」

 

ボルスさんが炎でリアンを包み込むが、リアンは平然と炎の中で動いていた。

 

「消えない炎みたいだね。結構厄介だけど……アプソルプシオン!」

 

リアンを包み込んでいた炎がみるみるうちに消えていった。まさかと思うが……吸収したということなのか

 

「良い炎だね。使ってみたいけど……そういう能力じゃないんだよね」

 

リアンは両腕を巨大な機械の腕に変え、俺を思いっきり殴った。この痛み……パワーが上がってる!?

 

「ふふ、どう?吸収して強くなる。厄介な力でしょ」

 

「くそ……」

 

「ウェイブ……ここは私が!」

 

クロメが前に立ち、八房を構える。

 

「八房だっけ?死者を操ることができるみたいだけど……こっちに来てから使ってないみたいだよね」

 

「……使おうと思っていたけど……何故か死体を操ることができなかった。ドクターが言うには八房は全く別な力に変わってるみたい」

 

「へぇどんな?」

 

「これまで切ってきた数に合わせて、切れ味が増していくようになった。私はそれを聞いてから……みんなに黙っていたんだ。こういうときのための秘策として」

 

「それだったら私を殺せるんだね。だけど……奥の手発動!!」

 

リアンを見る見るうちに機械が取り込んでいき、巨大な球体に変わった。

 

「機戎皇神レグルト!!絶対攻防モード!!砲撃と斬撃の嵐の中をくぐり抜け、コアである私に届くかしら?」

 

レグルトの砲撃が俺たちに襲いかかる。何とかしてクロメをあそこまで送り届けないと……

 

「それだったら俺が突破口を……」

 

「悪いけど、ここは私にやらせて」

 

突然セリューがそう言って前に出た。まさか突破口を開くっていうのか?

 

「ランとボルスさんとサヨは援護をお願い。全力で道を切り開くから!奥の手狂化!」

 

セリューの体が真っ赤に……いや、前に見たときよりも真っ赤になってる。まさかあとのことを考えないで……

 

「セリュー……死んだら駄目だから」

 

「サヨ……うん!」

 

セリューが突っ込んでいき、ランとボルスさんとサヨの三人がセリューに向かってくる砲弾を落としていく。

 

「砲撃の嵐をくぐり抜けても……斬撃はどうかしら」

 

「はあああああああああ!!」

 

球体から飛び出してくる刃をセリューは打ち砕いていく。

 

「武器を全部破壊すれば……あんたはただの置物になる!!」

 

刃も砲台も全て破壊していくセリュー。これなら……

 

「武器を破壊するなんて……考えたみたいだけど!!修復機能があるのよ!」

 

セリューが最後の一本を破壊しようとした時、腹部目掛けて刃が一本伸びてきていた。

 

「セリュー!?」

 

「くっ……ごめん……」

 

セリューのお腹を刃が貫こうとした瞬間、セリューが何かに吹き飛ばされた。

 

「セリュー!?大丈夫か」

 

「う、うん……でも……今のは……」

 

俺たちはレグルトの方を見るとそこには見覚えのある犬がセリューの代わりに貫かれていた。あれは……

 

「コロ……?」

 

「きゅ~」

 

セリューの本来の帝具……セリューと一体化したはずなのにどうして……いや前にも出てきたってミナトが言っていたな

 

「こんな犬如き……」

 

「キュー―――!!」

 

コロが唸り声を上げながら、大きくなっていき、レグルトの武装を破壊していく。だがコロの体が砲撃や斬撃でボロボロになっていく

 

「コロ……ウェイブ……お願い」

 

「あぁ……コロ。お前もイェーガーズの仲間だよ。ありがとうな!!グランフォール・フリューゲル!!」

 

俺はコロごとレグルトを蹴りで貫くとレグルトの中から鎧に身を包んだリアンが出てきた。

 

「まだだ!まだレグルトは……」

 

「……終わりだよ!」

 

脱出してきたリアンの背後に回り込んだクロメがリアンを横に切り裂いた。

 

「かはっ!?」

 

リアンは血を流し、レグルトもコロも消滅していく。本当に助かったよ。コロ

 

「まさか……負けるなんて……だけど……貴方達はきっとハイト様に勝てない……全てを超越し究極の皇具を持ったハイト様に……そして貴方達は……存在すら消されるでしょうね……あははははははは……」

 

リアンはそう言って死んでいた。存在すら消されるって……

 

「悪いが俺たちは負けない……特にミナトの奴はな」

 

「コロ……ありがとうね……」

 

俺たちは戦いに勝利したのか、元の場所へ戻されるのであった。



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第121話 最終決戦ーナイトレイドの戦いー

ミアSIDE

 

私とチェルシーさんがプリキュアの元へと駆けつけるとリストルとビシンの一撃をハリーさんが受け止めていた。

 

「きかんで、こんな気合の入ってない拳きかんで!」

 

ハリーさんはそう言って、首の鎖を外すと巨大な怪物に変わった。

 

「ビシン、リストル。もうやめようや。俺の体はもう戻らへん。俺は自分を受け入れて未来へ行く!」

 

自分を受け入れて……この人達と出会ってからそんな月日が経ってないけど、強い人達だって言うことはすごく分かる

 

「リストル。もう自分を責めるのはやめよう」

 

ハリーさんの言葉を聞いて、リストルは胸を抑えながら苦しんでいた。

 

「俺は……俺は……もう心など……」

 

「あんたは俺らの兄貴やろ!」

 

ハリーさんの言葉を聞いて、リストルから何かが抜け落ちたのか、そっとハリーさんに抱きついた。

 

「仲間が、家族が心なくして苦しんでる時に何もしてやれんことはあかんことや。だから一緒ならやり直せる。俺達は未来を作ろう」

 

リストルは思いっきり泣いていた。ハリーさんも力尽きたのか元のネズミの姿に戻った。

 

「全くハリーまでここまで強くなるなんてね。これもエールたちのおかげかしら」

 

「チェルシーさんたちも強くなったんじゃないんですか?」

 

「さぁ?」

 

「納得出来ないんだよーーーーーー!」

 

ビシンが叫び声を上げ、トゲパワワを取り込むと巨大な猛オシマイダーに姿を変えた。

 

「リストルの嘘つき!ずっと一緒にいてくれるって約束してくれたじゃないか!」

 

ビシンはリストルを捕まえ、握りつぶそうとするがリストルは諭すような目をしていた。

 

「何だよその目は!裏切り者!命乞いでもしてみろ!」

 

「そんなことしない!」

 

「なんでだよ!」

 

「俺はお前たちを愛しているからだ。不甲斐ない兄貴ですまなかった」

 

ビシンもまたリストルの言葉を聞いて、心が浄化されていっている。リストルはビシンを救うためにプリキュアたちにお願いし、無事にビシンは救うことが出来た。

 

これでクライアス社の幹部たちは救われたのだけど……

 

『よく覚えておいたほうが良い。全てが終わったあと……プリキュアと共に戦った龍騎は……』

 

何でだろう。何で昔聞かされた話が今になって思い出してしまったのだろうか……

 

「大丈夫だよね……」

 

私は一人そうつぶやくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タツミSIDE

 

「「うおおおおおおおお!!」」

 

「天よりの雷槌を受けよ!」

 

ブリッツの放つ雷撃を俺と兄貴の二人で受けきっていた。インクルシオならある程度の耐性があるとしても……

 

「ぐううう、威力がおかしいだろ!ブドーの攻撃よりも……」

 

「タツミ!諦めかけてんじゃねぇぞ!熱い魂で立ち上がるぞ!」

 

「分かってる!」

 

「動きを封じれば!」

 

ラバが糸でブリッツを縛り上げようとするが……

 

「暴風よ!弾け!」

 

ブリッツの周囲に風の障壁が現れ、糸が弾かれてしまった。攻撃も防御も完璧で、ダメージを与えることが出来ない

 

「フェザードライの前では何人たりとも打ち勝つことは出来ない!!」

 

「ほう、ならば最初に打ち勝つのは私達ナイトレイドというわけだな!スサノオ!禍魂顕現!!」

 

「わかった!!」

 

スーさんが奥の手を発動し、ブリッツに向かっていく。スーさんの攻撃のラッシュにブリッツは押されていっているけど……

 

「突破口を開くにはまだみたいだな。どうにかして奴を押さえつけられれば……」

 

「私の出番ね」

 

マインがパンプキンを構え始めた。そうか。奴の皇具を破壊すれば……だとしてもスーさんだけじゃブリッツの動きを止めるのは無理だ。アカメはトドメ役として役割がある

 

こういう時にミナトがいれば……

 

「なんて考えてる場合じゃないよな!!姐さん!シェーレ!奴の注意をスーさんと一緒に引いてくれ!!」

 

「タツミが何をするつもりかは知らないけど」

 

「任せて」

 

姐さんとシェーレの二人でスーさんと一緒にブリッツの注意を引いていき、

 

「奥の手!!」

 

俺は龍の姿へとなり、ブリッツを抑え込んだ。だがブリッツは両腕の篭手から黒い雷と風の刃で俺を痛めつけていく

 

「ぐうううううううううう!?」

 

「タツミ!?」

 

「マイン、何してるんだよ!昔言ったじゃんか」

 

「えっ?」

 

「射撃の天才なんだろ。それだったら……」

 

「ふふ、よく覚えてるわね!!パンプキン!!」

 

マインがパンプキンを発射し、ブリッツの篭手を破壊し、俺は手を離した

 

「皇具が!!」

 

「これで終わりだ!ほう……」

 

アカメが切り裂こうとした瞬間、何かに気が付き後ろへと下がった。

 

「どうした?アカメ?」

 

「この男……村雨では倒せそうにない」

 

アカメの言葉を聞いた瞬間、ブリッツは不敵な笑みを浮かべていた。

 

「よく気がついたな。俺はお前の帝具では殺せない。そこの人形と同じ……皇具人間であり、皇具を扱う事ができる!!」

 

ブリッツが指を鳴らした瞬間、スーさん、シェーレ、姐さんが地面に押さえつけられているかのように倒れてしまった。

 

「これは!?」

 

「体が……重い……」

 

「重量か!?」

 

「そのとおりだ。俺は重量を操れる。そして俺に攻撃を加えた奴は絶対に動けなくなる」

 

「ぐう!?俺もか……」

 

俺まで動けなくなってしまった。このままじゃ……だけど倒れてもマインだけは笑みを浮かべていた。

 

「なるほどね。でも遅いかったみたいね」

 

「何がだ?」

 

「私は貴方の篭手を破壊するために放ったのは一発。その一発は篭手を破壊し、貴方の体に小さな傷をつけた」

 

確かに小さなキズがブリッツにつけられている。でもそれが……

 

「それがどうかしたのか?」

 

「ほんの小さなキズでも、動きを止めることはできるって話よ」

 

マインがそう言った瞬間、ブリッツの動きが止まった。

 

「体が……」

 

「狙い通りってことだな。糸をこいつの体に侵入させ中からお前を止めてるのさ。おまけに……皇具人間なら核はあるはずだと思ったら……そのとおりだったな」

 

ラバがゆっくりと糸を引こうとしていた。ブリッツは慌てて引き抜こうとするが……

 

「お前は強いけど……チームワークの勝利ってことだな」

 

「や、やめ……」

 

ラバが糸を引いた瞬間、ブリッツの体は崩壊し始めた。

 

「あっけないように倒したけど、俺達はこの世界で戦い続けてきたんだ。ミナトと一緒にな」

 

ブリッツは塵に変わり、俺達は何とか勝利することが出来たのであった。

 



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第122話 最終決戦ーエスデスの決戦ー

ミアSIDE

 

はぐたんを助けるためにクライアス社に乗り込もうとする私達。海の彼方にあるクライアス社までは遅れて駆けつけてきたジェロスさんたちにのおかげで乗り込むことができた。

 

クライアス社の中に入るとそこには空に浮かぶ椅子に座るジョージ・クライとはぐたんの姿があった。

 

「はぐたんを返して」

 

「それはできない。この子はマザーの力を秘めている」

 

ジョージ・クライは指を鳴らし、エールさんを檻の中に閉じ込めた。

 

「僕は君を救いたい」

 

ジョージ・クライは本を開き、私達を吹き飛ばしていく。すると私を見て悲しそうな目をしていた。

 

「君は未来から来たのなら分かるはずだ」

 

「何がですか……」

 

「希望を持つことは残酷。望まぬ未来を前に人は歩みを止めることを」

 

「それは……」

 

「ハイトと同じ世界から来た君もそうだろう。君たちの世界はまさにそういう世界だった」

 

ジョージ・クライはチェルシーさんに向かってそう言うが、チェルシーさんは笑みを浮かべていた。

 

「そうかもしれないね。私なんて任務から帰ってきたら仲間がみんな死んでたからね……」

 

「チェルシー……」

 

「でもさ……希望を持つことは残酷じゃない!私達はそれを信じているから戦い続けられた!!」

 

「そのとおりだよ!」

 

アンジュさん、エトワールさんがジョージ・クライに向かっていく。私も桐一文字を使い、向かっていくが、ジョージ・クライのバリアに防がれ吹き飛ばされてしまった。

 

更に吹き飛ばされた私達は黒い枝に縛られてしまい、更に雷撃を食らった。

 

「やめてー、お願い……やめて……」

 

「君が未来を諦めるまでやめないよ。これは君にとって大切なことなのだから……」

 

こんな時……こんな時あの人だったらどうするんだろう……

 

「僕は全ての苦しみからみんなを救おうとしているんだよ」

 

「時を止めれば……」

 

「そうだ。君の悲しみは止まる」

 

「これ以上みんなを苦しめたくない。だから時を……」

 

エールさんが時を止めることを認めようとしていた。そうだよね。きっとあの人だったら……

 

「駄目だよ……こんな所で諦めたら……あの人に……ミナトさんに怒られちゃうよ」

 

「ミア……ちゃん」

 

「そのとおりだよ。いつだってミナトさんは私達が諦めないようにしてくれた」

 

「アンジュ……」

 

私達は触手から抜け出した。

 

「私達は一人じゃない」

 

「周囲の雑草が大輪の花を枯らす」

 

「雑草と言う名の植物はない!」

 

アムールさん、マシェリさんの二人はジョージ・クライのバリアを打ち破ろうとしていた。

 

アンジュさん、エトワールさん、チェルシーさん、私はエールさんの檻を破ろうとしていた。

 

「私にできないことは貴方にはできます。貴方にできないことは私にはできます。力を合わせれば素晴らしいことがきっと……」

 

「はなの目指してきた野乃はなから逃げちゃ駄目!」

 

「あいつの代わりに言ってあげる!最後まで諦めない!」

 

「私は……諦めてきたけど……だけどここに来てわかったんだ!見せてよ!未来を明るく照らすことを!」

 

「「「「プリキュアは諦めない!」」」」

 

「ナイトイェーガーズは……」

 

「諦めたりしない!」

 

アムールさんとマシェリさんはバリアを打ち破り、ジョージ・クライの椅子を破壊し、私達はエールさんの檻を破った。

 

「これで同じ舞台に……諦めないではな……」

 

プリキュアのみんなは穴に落ちていき、私も落ちそうになったけど、チェルシーさんが突き飛ばし、今この場には私、エールさん、ジョージ・クライ、はぐたんがいた。

 

「最後の戦いを始めよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスデスSIDE

 

何度も氷を生み出していくが、メラルドは打ち砕いていく

 

「皇具の力で打ち破るか……」

 

「とはいえ貴方の帝具と互角みたいね」

 

互いに笑みを浮かべた。互角の戦いでは長期戦になる。だが……

 

「一瞬で終わらせよう!摩訶鉢特摩!」

 

時を凍らせ、止まったメラルドを私はレイピアで胸を突き刺した。

 

「一瞬はお前にとってのものだがな」

 

時を動き始め、メラルドの胸から血が吹き出し、その場に倒れ込んだ。

 

「さて他のみんなのところに戻るとするか」

 

「あら、逃げるのかしら?」

 

突然声が聞こえ、振り向くと倒れ込んだメラルドの元に部下の二人が駆け寄っていた。

 

「皇具『蠱毒針・ベスティヨル』奥の手発動!!」

 

二人の部下がメラルドの皇具に取り込まれていくと、メラルドの体に無数の虫が集まり、その中から蝶の翅を生やし、昆虫人間のような姿に変わった。

 

「それがお前の奥の手か」

 

「元々似たような事はできたのよ。アカメあたりに見せたことあるしね」

 

「だが……復活した所でお前が私に勝つことはできない」

 

「さぁそれは貴方のほうじゃないの?」

 

互いに駆け出し、すれ違いざまにメラルドは私の頬を、私はメラルドの首を切りさく

 

「これで終わりか?」

 

「まさか……」

 

倒れた死体を突き破り、メラルドは復活した。なるほど……

 

「醜い虫が孵化するように……自分の醜い姿から再び蘇るか」

 

「えぇ、とはいえ結構な体力を使うことになるけど……私が取り込んだ部下たちのおかげで……そこら辺はカバーしてい……うぐっ!」

 

再度胸を突き刺すが、メラルドは再度孵化する

 

「ひどいわね。人が喋っている途中なのに……」

 

「隙があれば殺すさ」

 

「まぁいいわ。私が孵化できるのはあと……何百回くらいですもの……さぁ貴方が尽きるか私が尽きるか……楽しみましょう」

 

「殺し続ける……もしくは」

 

互いの全力で攻撃を繰り出していく。メラルドは孵化と爆発する虫など多彩の攻撃を繰り出していく。氷漬けにしてもバラバラにしても何度も復活する……

 

「メラルド……」

 

「エスデス……」

 

「こういう事はあまり言いたくないものだな」

 

「私も言いたくないことがあるわ」

 

「「ここまで楽しいものなんだな!!この戦いは!!」」

 

楽しいと思え始めてきた。ここまでの戦いはアカメとの戦い以来だ。ならば……

 

「メラルド、お前も限界に近いんじゃないのか?」

 

「貴方の言うとおりよ。だけど貴方も時を凍らせることも……もうできそうにないじゃない。だったら……」

 

「「次で一撃で決着をつけようか!!」」

 

二人同時に動き出し、互いの武器が互いの胸に突き刺さろうとした瞬間、戦いの舞台が崩れ始めた。

 

「……どうやら決着はつけられないみたいだな」

 

「そうね。この空間を作ったあの三人が倒されたみたい……もう少し粘ってほしいわね」

 

「どうする?元の場所に戻って仕切り直すか?」

 

「いいえ、出来れば……また今度ってところね。貴方との決着はそうそうつけたくないもの」

 

「そうか……ならばまだ戦いが続いていれば……お前も手を貸してもらうぞ。それがお前と次に決着を付けるための条件だ」

 

「あら、貴方からそんな事を言うなんてね。まぁいいわ。貸してあげるわ」

 

互いに笑みを浮かべ、元の世界に戻っていくのであった。

 



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第123話 最終決戦ー愛龍騎vs憎龍騎ー

ミアSIDE

 

「仲間は失い。それでも君たちはまだ明日を信じるというのか?」

 

「私達はあきらめない」

 

「ここで終わりにするために……」

 

ジョージ・クライと対峙した私達は同時に駆け出した。ジョージ・クライは本を使い、黒い波動を放ってきた。私とエールさんは黒い波動を弾きながら前へと進んでいく。

 

「人の欲望は尽きない!」

 

「そうかもね!」

 

「それでも!」

 

二人同時に攻撃を仕掛けるが、ジョージ・クライを私を吹き飛ばし、エールさんを後ろから押さえつけた。

 

「共に生きよう。傷つけるもののいない世界で永遠に」

 

「永遠なんていらない!」

 

「貴方の言う世界は絶対にね!」

 

桐一文字を大きく降るが、ジョージ・クライは避け、本を拾い上げた。

 

「なぜわからない!叶わない夢だと言うのに!」

 

「それでも私は……」

 

「叶わない夢はきれいごとだ!!どれだけ願っても!」

 

本から放たれた雷が私達を襲い、私は膝を付き、エールさんは変身が解けてしまった。

 

「世界は変わらない。ただ異端として排除されるだけだ!」

 

ジョージ・クライはゆっくりと私達に近寄ってきた。この人は世界そのものに絶望してる…………

 

「やはり僕が描いた世界の結末が正しかったと……君はもうプリキュアではない」

 

ジョージ・クライがそう告げた瞬間、はなさんはゆっくりと立ち上がった。

 

「私は……諦めない……私のなりたい私……それは誰でもない……自分で決めることだったんだなって……」

 

はなさんは力強い言葉でジョージ・クライに向かって語りかけた。

 

「はぐたんが来てくれて……大勢の人たちと出会えた。けど、そんな人も迷いながら生きている」

 

「そうだ。生きている限り苦しみは続く」

 

「そうだね。生きるって苦しい。めちょっくな事がいっぱいあるし……ミナトくんたちだって沢山つらい思いをしてきたけど……でもだから私は応援したい。フレフレ!その気持ちが一人じゃないって抱きしめたい」

 

「綺麗事だ!」

 

ジョージ・クライの本から大量のエネルギー弾が降ってきた。私ははなさんの前に出て桐一文字で弾いていく。

 

「真っ直ぐ理想を語る君のことを人々は冷笑する!嘲笑う!馬鹿にする!」

 

「例えバカにされたって!私は何度でも立ち上がる!立ち上がってみんなを応援する!フレフレ私!これが……これが……私のなりたい!!野乃はなだぁーーーー!!」

 

はなさんがまばゆい光に包まれ、キュアエールに変身した。

 

「輝く未来を抱きしめて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!!」

 

変身し、ジョージ・クライの本を打ち砕いた瞬間、捕まっていたはぐたんが救出されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

俺とフォルシュの戦いの舞台……そこは俺にとっては嫌な思い出しかなかった。

 

「こんな場所で戦わせるなよ……」

 

「お前にとって死に場所にふさわしい場所だろ!」

 

「そうかもしれないな……何せ!!」

 

俺は殴りかかるが、フォルシュはレギオンで防いだ。

 

「この場所は……アヤ副隊長が死んだ場所だからな!」

 

嫌な思い出しかない。何もできなかった自分を責め続ける俺、ただ呆然と立ち尽くすセリュー、死を受け入れきれなかったクロト……何ていう場所で戦わせるんだよ!

 

「僕が憎いか?だがな僕のほうが憎いんだよ!」

 

フォルシュは俺の拳の連打を弾いていき、距離を取り、レギオンを構えた。

 

「お前に負けた時……リアンとブリッツが受けた痛み……今憎悪に変わり……お前を殺す!!憎龍騎!!」

 

フォルシュとレギオンが一つになり、禍々しく、青黒い龍の鎧の姿に変わった

 

「憎い!憎い!お前が憎い!」

 

フォルシュの拳を喰らい続け、鎧にヒビが入ってきた。このままだと愛龍騎が……

 

「憎悪の前に愛なんて無駄なんだよ!!」

 

フォルシュは右腕を剣に変え、俺を切りつけた。

 

「があああ!?」

 

鎧を貫通し、血が流れてきた。俺は傷口を抑えようとした瞬間、フォルシュのしっぽが俺に巻き付かれ、地面に叩きつけられた。

 

「がはっ!?」

 

「レギオンの無限の再生を無くなったが……お前を殺すことができる!!」

 

左腕を斧へと変え、俺に振り落とそうとしていた。再生能力がなくなったか……それは……

 

「好都合だ!!」

 

振り落とされる斧に向かって思いっきりぶん殴った瞬間、フォルシュの斧は砕け散った

 

「何!?」

 

「悪いな……この愛龍騎はレガオンを限界を超えた力を扱えるようになっている!!」

 

戦う前に沢山の愛をマシェリからもらっている。だからこそこんな所で負けるつもりはない!

 

「愛の力で限界を超えることは……」

 

「できるんだよ!!憎悪に支配されたお前にはわからない!!愛龍騎!一点集中!!」

 

右拳に全ての力を込め、構えた

 

「憎龍騎!!」

 

フォルシュが胸から巨大な砲台を展開させ、砲撃してきた。それと同時に俺は突っ込んでいった。

 

「うおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「オオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

二人の攻撃がぶつかりあう中、俺は砲撃の中へと突っ込んでいき、フォルシュの胸を思いっきりぶん殴った。その瞬間、憎龍騎は解除され、フォルシュは倒れるのであった。

 

「育んできた愛……憎悪になんか負けるかよ」

 

「負け……た……のか……僕の憎悪では勝てなかった……」

 

フォルシュはそのまま塵になるのであった。俺は愛龍騎を解除し、膝をついていた。

 

「はぁ、はぁ、流石に全力だと……疲れるな……レガオンも……」

 

亀裂が入ったレガオンを見つめる俺……流石に無茶をしすぎたけど……まだ戦いは終わってない。他の幹部はみんなが倒してくれているはずだ。あとは……

 

「ハイトを倒さないとな」

 

なんとか立ち上がり、戦いの舞台が崩壊していくのを見ていた。きっと他のみんなが勝ったんだな。

 

「レガオン……もう少しだけ持ってくれ……」

 

「いや、ここで終わりだ!!」

 

ハイトの声が聞こえた瞬間、後ろから大剣がレガオンごと俺を貫いた。大剣が抜かれ、レガオンはそのまま砕け散り、俺は振り向いた。

 

「ハ……イ……」

 

ハイトの姿が見えた瞬間、俺は胸を貫かれるのであった。

 

「私の計画の脅威であったが……これで私の計画は成就する!あとは……トゲパワワの回収ですべてを超越した究極の皇具は完成する」

 

 



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第124話 みんなの心に

タツミSIDE

 

戦いが終わり、元の海岸に戻ってきた俺達。すると海の向こうの化物からまばゆい光が溢れていた。

 

「あれは……」

 

「タツミ!?そっちも終わったのか?」

 

「ウェイブ!お互いボロボロだけど……戻ってこれたんだな」

 

互いに無事を確認しあっているとエスデスと三獣士、スタイリッシュたちがこっちにやってきた。やってきたのは良いけど、何でメラルドとドロテアも一緒なんだ?

 

「どうやら全員無事みたいだな」

 

「いや、隊長……メラルドが……」

 

「奴との決着は付かないままでな。いずれつけるつもりだ」

 

「だから今はね」

 

「にしても妾の実験体……かなり強化されていたはずなのにこの二人が戻ってきたら一瞬で倒されるとはな」

 

「いや、何でお前まで」

 

「妾はまぁ倒されたあとに色々とな。それに見届けたいのじゃよ」

 

「見届ける……」

 

あの場所でプリキュアたちが戦っているのか……それにこの光を受け、時が止まった人々が動き始めている。

 

「ねぇミナトは?」

 

「あの馬鹿……まだ戻ってこれないのかしら」

 

セリューは心配そうに、マインは怒りながらそう言っていた。あいつ……一体何をやってるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミアSIDE

 

エールさんがまばゆい光を放ち、更に床から他のみんなも戻ってきた

 

「「「「輝く未来を抱きしめて!!」」」」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」 

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

これが未来を切り開くプリキュアたちの姿……

 

「私……知らなかったな……ううん、知ろうとしなかった。ただ世界を守るためだけに戦っていただけで……」

 

プリキュアたちの眩しさに私は涙を流していた。するとチェルシーさんが思いっきり私の頭を撫でた。

 

「でも今はわかってるんでしょ。戦い続け、色んな人達と触れ合って生まれた心の輝きっていうものをね」

 

「はい!」

 

「なぜそんなに未来が怖いの?」

 

「どうしても僕と君たちは分かり合えない運命のようだ」

 

「笑っていても……いつも貴方は泣いているみたい」

 

「……ハハハ……僕の時間は……もう動くことはない!」

 

ジョージ・クライの体から巨大なトゲパワワが溢れ出し、それを取り込んだ瞬間、悪魔のような姿へと変わっていった。

 

 

 

 

 

 

 

私達は外へ脱出するとジョージ・クライは巨大な姿に変わっていた。あれを倒すのは……

 

「何というパワー」

 

「でも何だか……」

 

マシェリさんはジョージ・クライのあることに気がついていた。あの恐ろしい姿なのに悲しそう……

 

ジョージ・クライは街を攻撃しようとしていた。エールさん達は直ぐ様ジョージ・クライの攻撃を止めるべく向かっていく

 

「タツミ……動けるよな」

 

「あぁ結構きついけど……ここで動かないでいられるか!!インクルシオ!!奥の手!!」

 

「タツミ!?あんた二回目よ!」

 

「マイン!お前たちはここで待ってろ!ウェイブ!」

 

「あぁ!」

 

タツミさんとウェイブさんはエールさんたちの所へと向かおうとしていた。私もここで待っているわけにはいかない!

 

「私も行きます!」

 

私はタツミさんの背に乗り、エールさんたちの元へと向かった。空を飛んでいく途中街中の人たちが動いていた。これもエールさんたちの力なんだ……

 

「なぜ守る?自分の身を傷つけてまで!!」

 

「赤ちゃんはみんなで育てるの!」

 

ジョージ・クライの攻撃を必死に防ぐエールさんたち。私達も一緒に防いでいく

 

「一人でできることはあるけど……それでも辛い時は……」

 

「私達が」

 

「そばにいます」

 

「「「「「アスパワワは輝いてる!みんなの心!みんなの未来に!」」」」」

 

「「俺達も負けられるかァァァァァァァァ!!」」

 

そっかこれが仲間というもの……私は見ていなかったんだ。

 

「みんなが応援してくれたことようやく気がついたよ。ミナトさん……ううん、お祖父ちゃん」

 

まばゆい光が街中を照らし出し、街中の人たちから応援が聞こえてきた。そしてアスパワワが溢れ出したその瞬間、タツミさん、ウェイブさんの傷は治っていき、私の持つレガオン・レプリカの欠片が輝き出した。

 

「みんなありがとう。みんなの心にプリキュアがいる!みんなみんな!プリキュアなんだ!フレフレ!みんな!」

 

エールさんの応援でアスパワワが街中に広がり、街中の人たちがプリキュアに!?それに……

 

「欠片が……そっか……」

 

レプリカの欠片が小さな光の玉に変わり、私はそれを受け取ると真っ白な衣装を身にまとったプリキュアに変身した。

 

「輝く未来を抱きしめて!!道を切り開く!光のプリキュア!キュアフュテュール!!」

 

街中の……ううん、もしかしたら世界中の人達がプリキュアになって、私達を応援していてくれる。ジョージ・クライもこの溢れ出すアスパワワにひるんでいた。

 

「いっくよーーー!」

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!HUGっとプリキュア今ここに!」」」」」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!」」」」」

 

『みんなでトゥモローーーー!!』

 

全員のアスパワワを乗せた一撃がジョージ・クライを浄化していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大なジョージ・クライを浄化し、クライアス社のビルは崩壊していく。だけどエールさんは何故かビルの中に入っていく。そっか助けるんだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エールSIDE

 

ビルの中を走っていくと開けた部屋に入った。そこには……

 

「やぁまた会ったね」

 

「……」

 

「僕の負けだ。夢を見ていたのは僕のほうかもしれない。いや僕らのほうかもしれない」

 

まだ悲しそうにしている彼のそばに私はそっと寄りかかるように座り込み、前に借りたハンカチを渡した。

 

「一緒に行こう」

 

「どこへ?」

 

「未来へ」

 

「無理だよ」

 

「どうして?」

 

「僕は未来を信じない」

 

立ち上がる彼はまだ悲しそうにしている。

 

「嘘、本当に未来を信じていないなら、どうしていつも私にまたねって言うの?」

 

私はそっと彼を抱きしめた。この人は心の底では未来を信じている。だからまたねって言ってくれるんだ

 

「はは……ハハハハ……君は……いや君たちは僕に未来を信じさせてくれた。ならばきっと彼を……ハイトの事を止められる」

 

「ハイト……」

 

「僕のトゲパワワが浄化される寸前、彼はトゲパワワを吸収していた」

 

「それじゃ……」

 

彼はゆっくりと窓のそばに近寄り、

 

「またね。僕ももう一度……そして君たちを……彼のことを信じているよ。彼のことを応援してあげて」

 

彼はそのまま消えていった。私は彼が残してくれた花を受け取り、外へと脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミアSIDE

 

エールさんが戻ってきた。ちゃんと終わらせてきたみたいだね。

 

「あ、あのミアさん、お聞きしたいことが」

 

マシェリさんが何故か恥ずかしそうにしていた。一体どうしたんだろう?

 

「ミナトさんのことお祖父ちゃんって言っていましたが……」

 

「あぁ色々と説明するのはあれなんですが……本来の未来では今決着がつかずにもう少しした未来……私のお母さんが生まれた頃ぐらいには……」

 

「それってつまり!?」

 

「ミナトと孫というわけですね」

 

「はい」

 

未来のことを喋って良いのかわからないけど……別に大丈夫だよね。

 

「そういえばミナトは?」

 

「タツミさんたちは知らないんですか?」

 

「それが俺達もあいつの姿を見てないんだよ」

 

「お祖父ちゃん……どこに……」

 

「……もしかして……」

 

エールさんがなにかに気がついた瞬間、朝日に照らされたお祖父ちゃんの姿を見つけた。

 

「ミナトさん、無事だったんです……」

 

お婆ちゃんが駆け寄ろうとした時、お祖父ちゃんはそのまま地面に倒れ込み、お祖父ちゃんの後ろには……

 

「クライアス社は滅びたか。流石はと言うべきだが……礼を言わせてもらうぞ!!お前たちのおかげで私の計画は終わる!!」

 

ハイトは大剣を地面に突き刺しながら笑みを浮かべていた。倒れるお祖父ちゃんはピクリとも動かない……まさか……

 

「ミナト……さん?」

 

「てめぇ!?」

 

タツミさんたちナイトイェーガーズが帝具を構えだすと、ハイトは倒れたお祖父ちゃんの胸を貫き、心臓を取り出した。

 

「一番の脅威である愛龍騎……もう蘇らないように心臓を潰しておこう」

 

ハイトが取り出した心臓を握りつぶした。その瞬間、マシェリお婆ちゃんは膝をついて涙を流していた。

 

「さぁ超越の皇具『ゼロ』よ!闇を取り込み!我が体内から現われよ!」

 

ハイトの体から3つの鉄の板が現れ、一つに交わると一つの鞘に変わった。

 

「究極の皇具『ディスピア』よ!ゼロと一つになれ!」

 

大剣が鞘に収まった瞬間、真っ黒な光がハイトを包み込み、ハイトの姿は黒いコートを羽織、手には真っ黒な2つの剣が握られ、顔は悪魔のような姿に変わっていた。

 

「これが!!全てを超越し!究極の力!!皇具『無限の理想郷!!インフィニティ』だ!!」

 

ここからが私達の最後の戦いが始まりつつあった。お祖父ちゃん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ黒な闇の中、俺は赤い光を目指して歩いていた。

 

 

 



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第125話 背中を押してくれたもの……

始まりは一つの皇具が完成した日から……

 

その皇具は未来を見通すことができる事ができるもの。私はその皇具を使用し、1000年後の未来を見た。人々は今よりもずっと苦しむ未来……

 

「こんな未来が待ち受けるというのか……誰かが国を変えることができても……失ったものは戻ってこない。ならば……その未来を無くしてしまえばいい」

 

私は皇具を作り出し続け、自分と助手たちのクローンを作り……自分のクローンにある世界に皇具を封印させた。いつか来るべき時まで皇具は眠っていてもらいたかった。

 

また未来をなくすために必要なものは、闇の力を集めること。そのためにどうすればいいのか考えている時、私のもとに一人の男が現れた

 

「ハイトだな」

 

「お前は?」

 

「僕は君と同じ未来を信じられなくなったものだよ」

 

「ほう……とすればお前は」

 

「あぁ君の力になろう。君の助手たちも連れてね」

 

「喜んで協力しよう……それでお前の名は?」

 

「ジョージ・クライ」

 

これが私の計画の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミアSIDE

 

「ハアアアアアアアアアア!!」

 

私、タツミさん、ウェイブさんの三人でハイトに向かっていくが、ハイトは両手を広げて黒い波動で攻撃を防ぎ、吹き飛ばしていく

 

「向かってくるなら相手をするが……お前たちを潰す気はない」

 

「何を……するつもりですか」

 

「未来の龍騎……私はただ千年前に戻るだけだ。千年前に戻り……帝国を滅ぼす。そうすればその先起こる悲劇はなくなる」

 

ハイトは2つの剣で空を切り裂くと真っ黒な穴が開いた。あれはまさか……次元の門だっていうの?

 

「悲劇がなくなるって……俺達ナイトレイドは……みんなを救ったんだ!」

 

タツミさんが向かってくると同時にブラートさん、レオーネさん、スサノオさんが一緒に攻撃を仕掛けてくる。だがハイトは2つの剣を振っただけで全員を吹き飛ばす

 

「確かに救えたが……失ったものは戻ってこないんだぞ……それは本当に救いなのか?」

 

「くぅ……」

 

「グランフォール・フリューゲル!!」

 

ウェイブさん、クロメさん、セリューさんの三人が攻撃を仕掛けるが、ハイトはウェイブさん、クロメさんを手でつかみ、セリューさんをいつの間にかはやしていた尻尾で縛り上げ、地面に叩きつけていく

 

「今この場にいるお前らは存在ごと消えるが……安心しろ。新たな未来でもお前らは生きている。絶望も何も知らないでな」

 

「そんな……未来は……いらない。お前は俺達がやってきたことを否定している。タツミたちナイトレイドの行いが無駄だって言ってるものだ!!」

 

「みんな伏せて!」

 

ボルスさんが炎でハイトの視界を奪っていく。更に上空ではランさんがマインさんを掴み

 

「こういう協力も悪くないわね!!パンプキン!!」

 

上空からの砲撃をハイトに喰らわせる。ハイトは2つの剣で全てを弾いていくが、突然胸に剣が突き刺さっていた。

 

「一瞬、動きを止めてもらうぞ!」

 

「エスデスか。時間凍結まで防ぐすべはないが」

 

「凍結だけではないがな」

 

「生まれなさい。虫たち」

 

メラルドさんが指を鳴らした瞬間、ハイトの体中から大量の虫が食い破って出てきた。これなら倒したものだと思ったけど……ハイトはまだ生きている

 

「闇の力を吸収しているなら、プリキュアたちの攻撃が効くはずよ」

 

スタイリッシュさんの言葉を聞き、エールさんたちが浄化の技を放っていた。

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア今ここに!」」」」」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

浄化技がハイトに迫ってくる。だがハイトは2つの剣で防ぎ、浄化技は吸収していった。

 

「そんな……!?」

 

「キュアエール。ジョージ・クライを救えたのは良かったかもしれないが……奴と同じように私を救えると思うなよ!!」

 

2つの剣から真っ黒な波動が放たれ、私達全員を吹き飛ばすのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤い光……目を凝らすとそれは炎……

 

「地獄の炎か……」

 

俺はゆっくりと歩いていく。俺は死んだ。もうみんなのところに戻ることはできない

 

「みんな……悪い。お前たちならジョージも、ハイトも何とかできるはずだ。信じてる」

 

歩みを進めていく。もう俺には戻るすべはない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マシェリSIDE

 

ハイトの攻撃を受け、私達は倒れていた

 

「ここまで邪魔をするとはな。仕方ない……手始めにこの世界を滅ぼそう」

 

ハイトが空へと上がり、黒く大きな玉を作り出していた。私は倒れたまま、ミナトさんに近寄ろうとしていた。

 

「きっと……触れさえすれば……ミナトさんは立ち上がってくれるはず……いつだって……」

 

いつだってミナトさんは諦めずにボロボロになっても立ち上がってくれた。だから今度こそ……

 

「小娘……何をするつもりかしらないが……」

 

ミナトさんに触れようとした手がハイトに踏みつけられた

 

「うぐっ」

 

「マシェリ!?」

 

ハイトは私の首を掴み、持ち上げていく

 

「まさか愛の力で復活させようというのか?無駄なことを……」

 

「ムダなんかじゃ……」

 

「奴は戻らない。奇跡が起きない限りな」

 

「マシェリを……」

 

「離して……」

 

エールとアムールが向かってくるが、ハイトは黒い柱を出し吹き飛ばしていく

 

「まずはお前を殺そう。残念だがお前と奴の行く場所は違う。もう二度と会うことはない」

 

「違う……のです……ミナトさん……お願いです……助けて……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『助けて……』

 

マシェリの声が聞こえてきた。死んでも幻聴っていうのは聞こえるものなのか?

 

「マシェリ……」

 

俺は戻りたい……だけど……もう……

 

「おいおいどこに向かってるんだ?」

 

突然懐かしい声が聞こえてきた。俺は振り向くとそこにはオーガ隊長が立っていた。

 

「隊長……」

 

「強くなったなって言いたいが……情けないな。何だその顔は?」

 

「俺は……」

 

隊長は俺に近寄り胸ぐらをつかんだ。

 

「お前は戻りたいんだろ!決着つけて!大好きなやつと一緒に過ごしたいんだろ!」

 

「それは……でももう戻ることは……」

 

「できるよ」

 

また違う声……何でこの人が……

 

「アヤ副隊長……」

 

「戻ることはできるよ。ただミナトはそうしないだけ……」

 

「しないだけ……」

 

アヤ副隊長は優しく微笑みながら、赤い炎の方を指さした。

 

「あっちは地獄じゃないよ。ミナトにはそう見えてるだけ」

 

「で、でも……」

 

「貴方にはもう見えてるはずだよ……」

 

目を凝らしてよく見てみた。赤い炎が真っ白な門に変わっていた。

 

「戻れるのか……」

 

「えぇ」

 

「早いところ戻ってやれよ」

 

だけど戻ってもレガオンは……

 

「安心しろ。お前はもう俺なんか必要はない」

 

「貴方が育んできたものが……力を貸してくれる」

 

更にレガオンとシアさんが声をかけてくれた。力を貸してくれるって……

 

「育んできたものを信じて」

 

シアさんは俺の手を握り、微笑んだ

 

「お前は俺達を超えているんだ。いや、お前じゃないな。お前たちはだ」

 

「そっか……」

 

俺は全てを理解し、門の開けると今度は誰かが思いっきり背中を叩いた。

 

「あいつらのことを頼むな。何せお前は格好いい男なんだからよ」

 

「何言ってるんだよ。お前のほうが格好いいよ。イエヤス」

 

イエヤスと拳を合わせ、俺は門の中に入っていった。ありがとう。俺をもう一度立ち上がらせてくれて、ありがとう。俺に進む道を教えてくれて、ありがとう。俺が育んできたものを教えてくれて、ありがとう。背中を押してくれて

 

「行ってくる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マシェリSIDE

 

ハイトが剣で私を貫こうとしていた。アムールたちがすぐに駆け寄ろうとしたけどもう間に合わない……

 

「ミナトさん……」

 

もうだめかと思った瞬間、突然ハイトが誰かに顔を殴られ、吹き飛んでいく。私は地面に落ちそうになったけど誰かが抱きかかえてくれた。

 

「……悪かったな。つらい目に合わせて……」

 

その人の声は優しい声だった。私は涙を流していた。

 

「ひどいのです……心配かけて……約束も破って……」

 

「ごめん……だけどもうお前を悲しませないから」

 

その人は私に優しいキスをしてくれた。タツミさん達はみんな驚いた顔をしている

 

「お前……」

 

「たくっ……戻ってくるなら早くしろよな」

 

「みんな……あとは任せろ!!」

 

大好きな人は吹き飛んだハイトを睨みつけた。そして私は大好きな人の名前を呼んだ

 

「ミナトさん!!」

 

 



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第126話 愛の奇跡

ミナトSIDE

 

「貴様……心臓を潰したはずだが……」

 

「俺にもよく分からないけど……戻ってこれることを教えてくれた人がいるんだ」

 

ハイトは2つの剣で切りかかってくるが、俺は拳で2つの剣を打ち砕いた。その時自分に白いオーラが纏っていることに気がついた

 

「その力は!?どういうことだ!?帝具もないのに!?」

 

「これが愛龍騎の後遺症よ」

 

突然スタイリッシュがハイトに向かって言った。後遺症って前に聞いたことがあるけど……

 

「普通だったら彼は竜化するところだったけど、愛龍騎のおかげでその後遺症はなくなっていた。だけどその代わりに愛龍騎の後遺症があった」

 

「妾も個人的にこやつの血を調べてみて驚いた。そいつの治癒能力が備わっていることを」

 

俺に治癒能力が……って何でドロテアがいるんだ?

 

「そしてもしも死んだ場合でも……彼の思いの強さで生き返ることができる。たった一度だけね。一応この事は隊長とナジェンダの二人のみ伝えておいたけどね」

 

「信じられなかったが、まさか本当に蘇るとはな」

 

「だがまぁお前なら戻ってこれると思っていた」

 

エスデスやボスが信じてくれていたんだな。それはそれで結構嬉しい

 

「だがお前のその力は……」

 

「これは俺が育んできたもの……えみるとの愛……みんなと過ごしてきた思い出……俺が今まで育んできたものが力になっている!!お前を倒すために」

 

ハイトに一瞬で近寄り、何十発ものパンチを喰らわした。

 

「まぁ愛龍騎の後遺症って言うのはアレね。もうちょっと別な言い方はないものかしら?」

 

メラルドがなんか文句を言ってきた。というか何でいるんだよ。戻ってきて気になることがあるんだけど……

 

「メラルド、そう言うなら何かいい呼び方があるのか?」

 

「そうね……全部まとめて愛の奇跡ってところね」

 

愛の奇跡……そうかもしれないな。するとハイトは立ち上がり、黒いオーラをまとい始めた。

 

「愛の奇跡……くだらないもので私の前に立ちはだかるな!!」

 

「みんな、ここは俺がやる」

 

「ミナト……だけど……」

 

「信じよう。ミナトなら勝てるって」

 

セリューは微笑みながら言ってくれた。みんなも信じてくれる。

 

「エール!」

 

「何?ミナトくん」

 

「頼みたいことがあるんだ。出来ればみんなにも……」

 

「わかってるよ!!応援だよね」

 

エールはウィンクして答えてくれた。一年近い付き合いだけど……わかってるじゃんか

 

「フレフレ!ミナトくん!」

 

エールの応援と共にみんなが応援をし始めた。みんなが信じてくれて、みんなが応援してくれる。

 

「負ける気がしないな」

 

「一度っきりの奇跡……すぐに終わらせる!!」

 

俺とハイトは互いに殴り合いを始めた。俺が殴ればハイトも殴り返す。それがものすごい速さで繰り返す。愛の奇跡で力が上がっているけど、このまま殴り合っていてもハイトに勝つことができない

 

 

 

 

 

 

 

 

ミアSIDE

 

「ミナト……互角じゃないのか?」

 

「あぁ俺達があれだけ苦戦していたのに……」

 

「だが互角ではミナトの敗北だ」

 

タツミさん、ウェイブさんが勝てると思っている中、エスデスさんがそんなことを言ってきた。

 

「愛の奇跡はずっとと言うわけではない。時間制限付きでいずれ奴の強化はなくなる」

 

「それだったらどうすればいいんだよ!」

 

「ハイトを超えられる力が必要だ」

 

「武器でも渡せば……桐一文字を……」

 

「それだったらインクルシオを」

 

「俺のグランシャリオは?」

 

「桐一文字ではハイトを倒すには火力が足りない。それに帝具は相性が必要だ。ミナトは帝具がない状態とは言え……扱えるものは……」

 

他のみんなも自分たちの帝具を渡そうか迷っている。相性も必要だし、火力が足りなかったら……

 

「………」

 

そんな時、アカメさんが微笑んだ。

 

「ミナト!!受け取れ!!」

 

アカメさんが投げ渡したもの……あれは……

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

「これは……」

 

時間との戦い。ハイトを打ち破るには一瞬の隙が必要だと思っていた時、アカメからあるものを受け取った。俺はアカメの方を見ると、アカメは力強く頷いていた。

 

「村雨……ありがとうな!!最高に格好いい帝具だ!!」

 

俺は村雨を抜いた瞬間、自分の体に赤い紋様が浮かび上がった。これが前に聞いた村雨の奥の手……身体能力を上げるけど体中に激痛が走るらしいけど……愛の奇跡のおかげで痛みがない

 

「奥の手!役小角+愛の奇跡!!」

 

迫ってくるハイトを殴り、蹴り飛ばしていく

 

「ぐううううう!?こんなことが!?こんなことがあっていいものか!!」

 

ハイトが巨大な剣を作り出し、大きく構えた。俺は村雨を鞘に収め居合の構えをとった

 

「フレフレ!ミナトくん」

 

「フレフレ!ミナトさん」

 

「フレフレ!ミナト」

 

「フレフレ!ミナト」

 

『フレフレ!ミナト』

 

エールたちの応援、ハリーたちの応援、ナイトイェーガーズの……仲間たちの応援……そして

 

「フレフレ!ミナトさん!」

 

マシェリの応援……全部が俺に力をくれる!!

 

「終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ハイトが巨大な大剣を振り落としてきた瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「葬る!!」

 

俺に当たる寸前、村雨の斬撃がハイトを切り裂いた。ハイトは膝を付き、元の姿に戻った

 

「失ったものを取り戻したくなかったのか?絶望の未来を最初から変えたくはなかったのか?」

 

「確かに誰も失わない未来。絶望もない未来は理想的だと思う」

 

だけど俺はこれまでの戦いで失い、そして気がついたもの……背負ってきたものがある。

 

「失ったからこそ見えてくるものがあるんだよ……」

 

「ふふ、ふははははははははははははは!!」

 

ハイトの体に呪毒が回り、倒れ消滅していくのであった。それと同時に愛の奇跡も役小角も消え、俺はそのまま倒れそうになったけど……

 

「ミナトさん!?」

 

マシェリが支えてくれた。

 

「なんか……ものすごく疲れた……」

 

「ミナトさん……お疲れ様なのです」

 

マシェリは涙を流しながら、微笑んだ。するとアカメが近寄り俺の体を見た。

 

「奥の手をすぐ発動できるなんてな」

 

「後遺症もないみたいだけど……」

 

「ミナト、これから先必要はないと思うが……お前に村雨を授けておく。私は」

 

アカメはミアから桐一文字を受け取り、微笑んだ

 

「これでいい」

 

「そっか……」

 

何というか長い戦いだったな。でも今から始まるんだ。今日という未来への道は……




愛の奇跡は愛龍騎登場あたりから考え、ミナトが村雨を使うのはずっと前から考えていて、ずっと書きたかったです。



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第127話 また会おう

クライアス社との戦い……ハイトとの戦いから一週間が過ぎた。俺、セリュー、チェルシー、ラバ、シェーレ、ボルスさん、スタイリッシュ、エア、ドロテア、サヨは元の世界に戻る仲間たちを見送っていた。

 

「にしてもこっちに残るのって俺だけじゃなかったんだ」

 

「私は帰っても良かったんだけど、まぁほまれの事を見届けたいからね~」

 

「私もこっちで色々とね」

 

「スタイリッシュの研究を手伝わないとな。それにお前に頼まれた例のアレの修復をしないといけないからな」

 

「えみるお嬢様を支えないといけないんで」

 

チェルシーはほまれのマネージャーとして、スタイリッシュは医者として、またトラウムにあることの協力を頼まれているみたいで残るらしい。

ドロテアはその手伝い、エアはえみるのためにか

 

「俺達はまぁミナトに誘われたからな。それに本屋の方も人気があるからな」

 

「はい……でも本当にできるんですか?」

 

「色々と大変だけど……まぁ面白そうだっていうのがあるからな」

 

この二人は俺のあることに協力してもらいたいということもあり、誘ってみたら残ってくれるみたいだった

 

「ボルスさんは……本当にいいのか?」

 

「うん、家族と話し合って……こっちで暮らしたほうがいいって」

 

「そっか……」

 

ボルスさん一家からしてみればそうだよな。にしても……

 

「セリュー、お前は本当に……」

 

「いいの。というか問題児のクロトやミナトがこっちにいる時点で不安でしょうがないからね」

 

問題児って……

 

「それにさ、私としてはミナトとまだ一緒に仕事したいからね」

 

セリューは嬉しそうに言うのであった。

 

「私もミナトさんに恩返しをしたいので……まだ返しきれていないので」

 

サヨは俺が助けた時の恩をしっかり返したいから、俺の手伝いをしてくれる

 

「ミナト……」

 

「アカメ……お前から受け取った村雨は大切に使わせて……いや使うことがないだろうけど……大切にするよ」

 

「出来れば村雨の必要ない未来を歩んでくれ」

 

「あぁ……お前は元の世界に戻ってどうするんだ?」

 

「旅の途中だったからな……旅を続けるよ」

 

「でもあっちに戻っても体の方は完治してるから……」

 

「それでも途中で投げ出すことはできない。それにもしかしたらまだあちらに皇具が残っているかもしれないからな」

 

「そっか……」

 

アカメはまだ旅を続けるか……旅が終わったら姉妹仲よく過ごすんだろうな

 

「ボス、ブラートの兄貴、ラン、スーさんは帝国の再建だっけ?」

 

「あぁまだ立ち直している最中だからな」

 

「俺達はこれから国を良くしていくからな」

 

「そのために頑張らないといけませんからね」

 

「主の警護は任されているからな」

 

帝国の再建……きっといい国にしてくれることを祈ってるよ

 

「エスデスと三獣士、メラルドは?」

 

「国が新しくなるんだ。私達みたいなものはいらないだろう。とりあえず故郷に三獣士と共に戻るが……ナジェンダ」

 

「何だ?」

 

「掴み取った平和をお前自身が崩すようだったら、その時は私がお前の前に出る」

 

「あらそれだったら私は貴方と決着をつけようかしらね」

 

メラルドとエスデスの二人は互いに笑みを浮かべた。この二人はそのうち決着を付けるのだろうな

 

「エスデス。もしも国を乱す大きな存在が現れたら……その時は」

 

「ふっ、昔みたいに一緒に戦ってやろう」

 

まぁこの人達がいれば大丈夫だろうな

 

「ウェイブとクロメは?」

 

「俺達は……一旦国に戻ってランの手伝いをするよ」

 

「ちゃんとウェイブの親にあって結婚したこと報告しないとね」

 

「まぁ幸せにな。姐さんは?」

 

「私?私は自由にぶらぶら生きるよ。もしかしたらアカメと合流するかもしれないね」

 

いいコンビだったから、姐さんらしいな

 

「タツミとマインは?」

 

「俺の故郷に戻るよ。一度ドラゴンの姿で戻ったけど……こうして戻れたからな」

 

「それにいい加減この子を産まないといけないからね」

 

マインはお腹を擦りながらそういった。本当に幸せにな。

 

「それじゃそろそろ転移の時間よ」

 

スタイリッシュがトラウムと作り上げた次元転移装置のスイッチを押し、白い穴が開いた。

 

「ミナト、何かあったらすぐにでも駆けつけるからな」

 

「タツミ、あんた……できない約束を……まぁでもそれもいいわね」

 

「ミナト、ちゃんと幸せになるんだぞ!」

 

「泣かしたら駄目だからね」

 

みんなが手を振りながら元の世界に戻っていった。俺達はそれを見送りながら……

 

「また会おう……みんな」

 

俺はそう呟くのであった。さて……

 

「あとは……」

 

二日後に今度はハリーたち未来組が帰ることになっている。はなたちはちゃんと見送ることができるのやら……

 

「とりあえずいつもどおりの日常に戻りますか」



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第128話 きっとまたいつか

タツミたちと別れた次の日、ビューティーハリーを訪れた俺とセリューの二人。その前ではトラウムが何かを作っていた。

 

「おや、そっちは別れは済ませたのかい?」

 

「あぁ……」

 

「ちゃんとね。にしても……そのへんてこな機械は?」

 

俺達の前にはカエル型の列車が置かれていた。一体何に使うんだよ?

 

「へんてことは失敬な!ドクター・トラウム特製ビックリドンドンメカ『未来へ帰るくん』という名前なんだぞ」

 

名前もへんてこだったよ……まぁこれでちゃんと帰れるんならいいけどさ……

 

「あっ、お祖父ちゃん」

 

すると列車の中からミアが姿を見せた。というかお祖父ちゃんって呼び方……

 

「そのお祖父ちゃんって呼び方はやめろ」

 

「だってスタイリッシュおじさんがこっちでそう呼べって」

 

そう呼べって……ん?

 

「今のはどういう……」

 

「えっ?何のこと?」

 

ミアは顔を背けていた。こいつ、何か隠しているのか?

 

「もしかして未来に影響しちゃうから呼び方を変えてるとか?」

 

「あ、あははは……さぁて何のことかな~」

 

ミアは笑ってごまかしてるけど、ここは問い詰めたほうがいいな

 

「まさかと思うけど……俺達の孫とかじゃなくって……子供とかじゃないよな?」

 

「!?」

 

思いっきり体をビクつかせてるし……

 

「えっと……秘密の方向で……」

 

いやもう……分かってきたんだけど……まぁこれ以上はやめておくべきだな

 

「はなたちは?」

 

「彼女たちならあの中だ」

 

「あの子達も帰るまでの間は一緒にいたいからね」

 

リストルとビシンがビューティーハリーを見てそう言っていた。そうだよな。それに俺達がここに呼ばれたのは……

 

「全くはなのやつは……」

 

「ミナトと私が一番最初から関わっていたもんね。そこからサヨにチェルシー」

 

「俺達が始まりみたいなものだからな」

 

お互い笑い合いながら中へと入っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中に入るとはなたちがなにかの準備を始めていた。

 

「あれ?ミナトくんたち遅いよ~」

 

「遅いって……特に遅れたわけじゃないんだけどな」

 

「どこか行くの」

 

「うん、みんなでデートしようかなって」

 

あぁ何だか懐かしいな。それ……

 

「ミナト、楽しみましょう」

 

「だな」

 

俺達は一緒に出かけるのであった。最高の思い出づくりのために……

 

 

 

それからみんなで買い物をしたり、映画を見たり、色んな所を見て回っていた。そこはどこも思い出深いところだった。俺は少し休憩をしながらみんなが楽しんでいるのを見ていた。

 

「本当に色々とあったな」

 

「色々って?」

 

一人で呟いているとはなが声をかけてきた。そういえば最初にこの世界で会ったのってはなだったっけ

 

「死んだかもしれないって思ったら、気がついたらこの世界に来ていて……」

 

「懐かしいね。あれから一年になるんだ……最初はミナトくん、オシマイダーに挑んでいくんだもん。ビックリだよね」

 

「そしたらはながプリキュアになるしな」

 

「そこからだよね」

 

沢山の事があった。沢山の人と出会えた。嬉しい再会がたくさんあった。辛いことがあった。辛いことがあった分、良かったことがたくさんあった

 

「俺ははなと出会えてよかったかもしれないな」

 

「私もミナトくんと出会えてよかったよ」

 

お互い笑い合うとえみるが何故か頬を膨らませているのに気がついた。

 

「はな先輩とミナトさん……仲良さそうですね」

 

「いや、えみるこれは……」

 

「えみる……俺はお前に感謝してるんだぞ。お前と出会えて愛を知ることができたんだ」

 

俺はえみるの頭を撫でながら言った。えみると付き合うことができ、愛を育み続けて……愛の力で何度も戦うことができ、愛の奇跡で立ち上がれたんだ

 

「ミナトさん……」

 

「二人共、幸せになってよね」

 

「当たり前だ」

 

「当たり前なのです」

 

ふっと気がつくと何故かはぐたんが不思議なペンを持っていることに気がついた

 

「はな、それは?」

 

「あぁ誰かの落とし物みたいなの。はぐたん、気にいちゃって」

 

そんな事を話していると向こうの方から何かが迫ってきていた。よく見るとそれはカエル型のオシマイダーだった。

 

「オシマイダー!?」

 

「誰が発注したのでしょうか」

 

「私の『未来へ帰るくん』がーーー」

 

オシマイダーを追って、トラウムたちがやってきた。原因はお前か……

 

「仕方ない。さっさと倒しちゃうか」

 

「うん」

 

「「「「「ミライクリスタル!ハート、キラっと!」」」」」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

「「輝く未来を抱きしめて!!みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

はなたちはプリキュアに変身し、セリューは宋帝刀を取り出し、俺は村雨を抜き、迫ってくるオシマイダーに蹴りを喰らわした

 

「あれ?」

 

蹴りを食らったオシマイダーは吹き飛ぶ。俺はある違和感を感じた。何だか身体能力が上がってる?

 

「どうしたのミナト?」

 

「いや、なんか龍騎になった状態みたいに身体能力が上がってるんだ」

 

「もしかして……愛の奇跡が残ってるんじゃないの?」

 

愛の奇跡がまだ残ってるって……そんなこと……有り得そうだな。

エール達もオシマイダーに攻撃を食らわし続けるが、オシマイダーが大技を出し、エールたちを吹き飛ばしていく中、はぐたんがペンを落とし、拾いに行こうとするがオシマイダーがはぐたんを狙ってきた。エールははぐたんをかばおうとした瞬間、

 

「えぇい!」

 

どこからともなく不思議な格好をした女の子が現れ、星型の障壁でオシマイダーの攻撃を防ぎ、吹き飛ばした。

 

「貴方は……」

 

「私の名前は……宇宙に輝くキラキラ星!キュアスター!」

 

キュアスターって……まさかプリキュアなのか?他にもプリキュアがいるなんて……

 

「キュアスター……ありがとう。それじゃこっちも!」

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!HUGっとプリキュア今ここに!」」」」」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモローーーー!!」」」」」

 

オシマイダーを無事浄化するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうぞ」

 

戦いも無事に終わり、助けてくれた女の子にはぐたんがペンを渡した。どうやら落とし主はこの子みたいだな

 

「ありがとう。探してたんだ~」

 

女の子がペンを受け取った瞬間、輝きだし、ペンの先にはぐたんの絵が描かれた。

 

「はぐたんになった!?」

 

「キラヤバ!はぐたんペン!あの子に見せてみよ~」

 

女の子はペンを受け取ると今度は川を泳ぐかっぱを見つけ、追いかけていくのであった。

 

「何だか変わったやつだな……」

 

「でもまたどこかで会えそうな気がする」

 

「だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ時間になってきた。俺達は近くの土手に来ていた。そこにはパップルたちが帰る準備をしていた

 

「あら、来たみたいね」

 

「みなさん、未来に帰ってもお元気で」

 

「サンキュでっーす」

 

「えみる、絶対ビッグなスターになりなさいよ」

 

「……はい」

 

「行くわよ。ルールー」

 

「はい……」

 

パップルたちが列車に乗ると、えみるは涙をこらえながら……

 

「私、もっともっとギターも歌もうまくなりますから……」

 

「はい、私も……」

 

「ツインラブは……これからも……ずっと……いつまでも……」

 

泣きそうになるえみるをルールーはそっと抱きしめた。

 

「えみる、ずっと大好きです。未来で待ってます」

 

えみるとルールーは抱きしめ合う中、ルールーは俺の方を見た。

 

「ミナト、えみるのことをお願いしますね」

 

「あぁ、お前も元気でな。それと帝具なんだけど……持っていってもいいってブドー将軍が言ってた」

 

「そうですか……」

 

ルールーは俯いていた。全くこういう時は……

 

「ミナト……最後に一つだけ……」

 

ルールーは俺に近寄り、そっとキスをしてきた。キスを終えたルールーは申し訳なさそうにしながらも顔を真赤にさせていた。

 

「えみる、ごめんなさい。そしてミナト……私は貴方のことが大好きです」

 

「……そっか」

 

「えみると幸せに……」

 

俺とルールーは別れを済ませ、ハリーははぐたんを抱きかかえ

 

「行こう。はぐたん」

 

「いく?」

 

「未来や、未来に帰るんや」

 

「みらい?みんなといっしょに?」

 

ハリーは泣きそうになるのをこらえていた。

 

「ほら、笑顔でしょ、ハリー。はぐたんと約束したじゃん」

 

「うん、笑顔で……ね」

 

「そやったな。さぁ行くぞ」

 

ハリーとルールー、はぐたんが列車に乗り込み、列車はアスパワワを出しながら走り出した。はなたちはそれを追いかけるように走っていく

 

「ミナトはいいの?」

 

「あぁ……」

 

「きっとまた未来でみんなと会えるよね」

 

「そうだな。俺達は守ってきたんだから……」

 

「うん……それでミナト……やりたいことがあるから手伝って言ってたけど、何やるの?」

 

「ん?まぁ……折角だからな……ヒーロー的なことでもやってみようかなって……誰かが困っていたら助けられるような」

 

「ナイトレイドみたいに暗殺?それともイェーガーズみたいに?」

 

「暗殺とかなしで……それに俺達はどっちでもないだろ」

 

「そうだったね。じゃあ事務所名は決まってるね」

 

「あぁナイトイェーガーズだ」

 

明るい未来のために頑張らないとな。俺は列車を見送りながらそう思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れ……




次回で最終回!ただプリキュア本編の最終回ではなくオリストになります。


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最終話 これから先のこと

今回でこの作品も最終回!最終回をお楽しみください


2030年

 

あの別れから11年が過ぎた。世界は科学が発展し昔に比べて技術は進んでいる。

 

アカルイアス社 相談室

 

「とりあえずこの間の案件は無事に解決できたな」

 

「そうね。というかそこまできつい依頼じゃなかったわね」

 

「まぁいつもどおりだったからね」

 

「いつもどおりって……」

 

「サヨちゃん、気にしないほうがいいって……こいつらの場合、常識がちょっと外れてるから」

 

サヨとラバの二人は呆れながらそんな事を言っていた。全く何だよ……

 

この相談室。簡単に言えば困った人がいればすぐに助けるといった万事屋みたいなものだ。現在はいろいろとあり、アカルイアス社の相談課として活動している。

俺はその相談課の室長+副社長。セリューは副室長、チェルシーとサヨは室長補佐、ラバックは諜報隊長。他には外部の支社でボルスさん一家やスタイリッシュ、ドロテアがそれなりに協力してくれている

 

「今回の騒動……ある王国の王女様を誘拐したグループって確か……」

 

「世界的に有名な組織だったんだけどな……まぁ……」

 

サヨとラバはため息を付いていた。いや、全力で戦ったら直ぐ様壊滅することができたんだからいいじゃんか

 

それに久しぶりの戦闘だったし……

 

「はりきっちゃったもんね」

 

「組織の一人に化けての情報収集もよかったしね」

 

みんなノリノリだったためかすぐに終わったから良かったな。すると急に電話がかかってきた。俺は電話に出ると

 

『副社長!』

 

「何だ、ふみとじゃんか。どうしたんだ?」

 

『どうしたも何も……いいから社長室に来てくれ』

 

電話が切られた。まさかと思うが……

 

「ちょっと社長室に行ってくる」

 

「社長室って……あれ?」

 

セリューが疑問を感じるのは確かだ。なぜなら社長は現在いないはずなのに……

 

 

 

 

 

 

 

社長室を訪れると、そこには赤ん坊を抱いたはながいた。

 

「あれ?どうしたの?ミナトくん」

 

「はな……育児休暇中だよな」

 

「うん、そうだったんだけど……」

 

アカルイアス社の社長のはなだ。昔起業した会社がここまで大きくなったのは、はなの力がかなり大きい。それに相談課という部署を作ったのもはなのおかげだったりもするけど……

 

「つい仕事したくなってね。でもほら、はぐみも連れてきたからいいでしょ」

 

はなの娘、はぐみ。愛称ははぐたん。初めて聞いた時はかなり驚いた。まさかはぐたんがはなの娘だったとは……

因みに生まれたのは一週間前だった。

 

「だからってな……」

 

「副社長、あんたからも何か言ってくれよ……社長に休んでくれって」

 

「そうしたいところだけど、こいつのこういうところは昔から変わらないからな。とりあえず無理とかしたら絶対に帰らせるからな」

 

「は~い」

 

本当にわかってるのか?こいつ……

 

「あと今日は定時に帰るからな」

 

「ん?あぁそうだもんね~」

 

はなはニヤニヤしていた。今日は本当に早めに帰りたいんだから……

 

 

 

 

 

 

 

 

家に帰ると出迎えてくれたのは幼い少女だった。

 

「パパ。おかえりなさい」

 

「ルールー、そのパパはやめてくれ。あとただいま」

 

出迎えてくれたのはルールー、一週間前にトラウムが完成させた体と心が成長するアンドロイドだ。まぁトラウムだけじゃなくってスタイリッシュやドロテアも関わってるからかなり心配だったけど……

 

現在は俺の家で預かることになっている。いや、俺達のか……

 

「おかえりなさい。ミナトさん」

 

奥の方からえみるが顔をのぞかせてきた。今俺とえみるは同棲中だ。とはいえお互い仕事で忙しく顔を見せたりするのは少なかったけど……

 

「丁度ご飯できた所です。ルールー、手伝って」

 

「はい」

 

えみる曰くルールーを一人にしたら可哀想ということでどちらかが家にいられるようにしている。まぁ仕事でいない間は家政婦のエアか。それでも無理そうな時は俺の所で面倒を見ているけど……

 

三人で夕食を食べ、他愛のない話をしている中……

 

「そういえばはな先輩、また職場にいってたんですか?」

 

「あぁ行ってたっていうか、仕事してた」

 

「あの人……本当に……子供が生まれたら落ち着くと思ったんですが……」

 

「まぁはならしいけど……」

 

さて、このタイミングで出すべきか……いや出すべきだ。いつまでも後に後にしていたらいつまでも言えないままだからな

 

「なぁ、えみる」

 

「はい?」

 

「あの……そろそろ……結婚しないか?」

 

俺はポケットから指輪を取り出し、えみるに見せた。えみるはというと……顔を真っ赤にさせていた。

 

「えっと……えみる?」

 

「その……えっと……」

 

えみるは戸惑いながら、家から出ていった。あれ?これ……失敗?

 

「パパ」

 

ルールーは俺の服の裾を引っ張り、

 

「どんまい」

 

ルールー、どこでそんな言葉を覚えてきたんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えみるSIDE

 

次の日、私はさあやさん、ほまれさんにあることを相談しに来ていた。

 

「すみません。忙しいのに呼び出して……」

 

「大丈夫だよ。今日は休みだったから」

 

「それに帰国したばっかりだから、みんなの顔を見たかったんだ」

 

「それで相談って?」

 

「実は昨日なんですが……ミナトさんにプロポーズされたんです」

 

昨日のプロポーズの件を話すと、二人は驚いた顔をしていた。確かに誰だって驚く。だけど二人が驚いた理由は……

 

「「まだ結婚してなかったの!?」」

 

「えぇ!?」

 

「もうてっきり結婚してるかと思ってたんだけど…‥‥‥」

 

「うん、昔結婚しようって言ってたから……」

 

「いえ、あれはその……お互い責任が取れるまでということで……」

 

結婚しているように思われているなんて、でも付き合ってもう長いですし……

 

「それでミナトさんにプロポーズされたんだよね」

 

「えみるはなんて答えたの?」

 

「それが……恥ずかしくなってその……逃げ出しちゃいました」

 

「「あ~」」

 

二人してため息を付いていた。

 

「何というかミナトのやつ……」

 

「落ち込んでいなければいいね」

 

「で、でも……その嬉しかったんです。結婚しようって改めて言ってもらって……」

 

「それでも逃げ出したりしたらきっとミナトさんは落ち込んでると思うよ」

 

「ちゃんとさ、答えてあげないと」

 

「答える……」

 

私はしばらく考え込み、そして立ち上がった。

 

「今からミナトさんの所に行ってきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

社長室でまた仕事をしに来たはなに昨日の一件について相談していた。

 

「う~ん、えみるが逃げ出しちゃったんだ~」

 

「焦りすぎたのかな?それとも待たせすぎたのか……」

 

「どっちも違うと思うよ」

 

はなははぐみをあやしながら笑顔であることを言ってきた。

 

「きっとえみるは、嬉しくって恥ずかしかったんだよ」

 

「そうなのか……」

 

「うん、きっとそうだよ」

 

そうだといいんだけど……

 

「でもミナトくんがそういう風に弱るなんて始めてみたよ」

 

「昔はあんまり弱いところを見せたりしなかったからな……何せヒーローになりたてのお前の前では情けないところは見せたくなかったからな」

 

「あははは、何だか懐かしいね。あの頃のこと……」

 

「はなの家で居候していた期間が長かったからか、野乃家は俺の実家みたいに思えてきてるからな」

 

「いつでも実家に帰ってきていいんだよ。お父さんもお母さんも来たら大喜びだし、ことりも会いたがってるよ」

 

「機会があったらな」

 

「でもえみると結婚か……困難とか……ミナトくんはなさそうだよね」

 

「そうか?」

 

「そうだよ~だって同棲するときもえみるのお祖父ちゃんに反対されていたけど……」

 

あぁ懐かしい。えみると同棲する条件として、愛崎家で雇った刺客を100人倒せとか……

まぁ村雨抜いて圧倒したけど……

 

「とりあえずさ、もう一回えみると話し合ってみたら?」

 

「そうしてみるよ」

 

とりあえず相談課に戻ろうとしたとき、社長室の扉が勢いよく開けられ、そこにはえみるがいた。

 

「えみる?どうしたんだ?」

 

「ミナトさん……」

 

えみるは俺に近寄り、キスをしてきた。そして顔を赤らめながら……

 

「こ、これが私の答えです。私を幸せにしてください。そして私は貴方を幸せにしますから……」

 

「えみる……」

 

俺を幸せにしてくれるか……昔の約束を覚えていてくれたんだな。

 

俺はえみるの左手を掴み、薬指に指輪をはめ込んだ

 

「幸せにするから、幸せにしてくれよな」

 

「はい」

 

お互い笑顔になり、はなは拍手してくれた。

 

「おめでとう。二人共、幸せにね」

 

「あぁ」

 

「はい」

 

こうしてこれから始まるのであった。俺達の本当の幸せな日々が……

 




というわけで最終回はミナトとえみるの未来の物語でした。

そして一年間ありがとうございました。まさかの全129話……かなり長かったです。

ハグプリで何かを書こうと思い、何かとクロスオーバーさせようと考えた結果、アカメが斬る!とやってみようと思いましたが……何とか書ききりました。結構書いていて楽しかったですね

余談的なものですが、最終決戦についてですが、最終決戦は5つの決戦(プリキュア、ナイトレイド、イェーガーズ、エスデス、ミナト)でしたが、ナイトレイドとイェーガーズの決戦に陽斗とクロトも参戦させようと最後まで考えていましたが、それだとなにか違うなと思い、やめました。

とりあえず外伝の物語はまだ完結していないので、ゆっくりと更新していくつもりですので、お楽しみに

スタートゥインクルプリキュアは……書くかどうかわかりませんね。

もしかしたらですが、ハグプリ劇場版の話は書けたら書きたいと思います。

では一年間ありがとうございました


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第130話 掃除と思い出す出来事

デリシャスパーティーの小説を少しずつ書いていこうと思っていたら……不正アクセスめ……許さん

デリシャスパーティーが延期になってしまったのが凄く残念ですが……まさかの地上波でオールスターメモリーズが放送すると言うとことで、これを気にオールスターメモリーズ回を書きます!今回はプロローグ!


ミナトside

 

今日は休日、本来ならラバのお店で聖典でも読みふけるか気になる本でも見つけて読みふけるか決めていたのだが……

 

「なぁ、はな」

 

「何?ミナトくん」

 

「この世界の中学生ならこう天気がいい日は誰かと遊んだりするものだろ?」

 

「そうだね。ミナトくんもこの世界になれてきたね~」

 

うん、こちらに来てから半年は過ぎてるからな。いい加減なれるさ。だけど今俺が言いたいことは……

 

「何で俺はお前の部屋の掃除を手伝わないといけないのか……答えてくれないか?」

 

見事に散らかったはなの部屋を俺とルールーの二人は片付けをすることになった。

何故そうなったのかと言うと、朝食の時に妹のことりに部屋を片付けるようにと注意され、手伝ってほしいとはなに目線を送られたからだ。

 

「ミナトも断ればいいものを……」

 

「あんな目で見られたら断れるか!」

 

と言うか断ったらほまれとかが怖い……

まぁ三人でやるからすぐに終わるはずだな

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていたが、現在の状況を確認すると……全然片付いていなかった。

何故ならそれは……

 

「見てみて、これ懐かしい~」

 

「子供の頃のはなですね」

 

アルバムを発見して、二人は見行っていた。いや、ちゃんと掃除してるの俺だけか?

 

「はな……出かけてもいいか?」

 

「え?あ……」

 

掃除のことを忘れてただろ……全く……

 

「それにしても写真か」

 

この世界に来て、そういうのがあるのは少し驚いたけど……俺からしてみればカメラとかそう言うのに触れることは……ん?カメラ……

 

「はな、あれどうしてるんだ?」

 

「あれ?」

 

「カメラ。あの時の……」

 

「ちゃんとあるよ。忘れたりしてないよ~」

 

はなは棚から一台のカメラを取り出した。このカメラ……本当に色々とあったな。

 

「あと少しで掃除も終わりそうだから……少し撮りに行くか?」

 

俺はそう提案すると、はなは嬉しそうにしていた。

 

「いいね~ミナトくんとえみるのツーショット撮らないと!」

 

いや、そう言うことではなく、折角だから色々と撮ってもいいものを……仕方ないか。はながそう決めたのだから止める必要もないしな

 

「そうだ、さあや達にも連絡して……」

 

「折角ですからみんなの日常的な姿も撮ってもいいかと」

 

「ルールー……いいね!それで行こう!」

 

はなは早速みんなに連絡をし、ビューティーハリーへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

はなが持つカメラ……ミデンF-MkIIについては二ヶ月前に起きたある事件がきっかけだったりする。その事件においてかなり激しい戦いに……いや、ナイトイェーガーズにとっては乗り越えるべき戦いに発展した。何せミデンの他にあの葬られた帝具が関わることになったのだから…………

 

「ミナトくん?」

 

「ん?」

 

心配そうに顔を覗かせるはな。あー多分無理矢理付き合わせてごめんとか言いそうだな。

 

「あの……」

 

「気にするな。ミデンF-MkIIで色々と思い出してな」

 

「あー、うん……あの時はみんなが大変だったからね」

 

「私も……迷惑を……」

 

「ルールー、気にするなよ。正直あの時はどうしようもなかったからな」

 

「ミナトくんも……と言うよりミナトくん、セリューさん、陽斗くん、クロトさんが大変だったよね」

 

「そうだったな……」

 

あの時の事を思い出すか…………

 




久しぶりにミナト!
次回の更新は来週の日曜日以降になります!


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第131話 蠢く悪意と記憶を奪う存在

久しぶりにミナトたちを書くから合ってるかな?


どことも言えない空間、一体の生物があるものを見つめていた。それはキュアブラック、キュアホワイト、シャイニールミナスの三人の姿を見詰めていた。

 

「欲しい。欲しい欲しい欲しい欲しい」

 

その生物の問い掛けに答えたのは一人の男だった。

 

「欲しいなら手に入れてみたらどうです?貴方にはその力があるのですから」

 

「行ってきまーす」

 

「ふふふふ、貴方も行ってきなさい。私の目的のために」

 

「了解」

 

男の後ろにいたフード姿の人物は謎の生物を追うように消えていく

 

「まさかこのような世界に来るとは……まぁいいでしょう。彼女が目的を果たせば……私の目的も果たせます」

 

男は不気味な笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社研究室

 

「……この感じは……まさか……いや、そのようなことはあり得ない」

 

研究部門の所長……ハイトはある気配を感じ取っていた。それは明らかにこの世界にいるはずのないもの……

 

「ユートピアも奴に対しては決して……誤作動か?何にしても……向かわせるべきだな」

 

ハイトは何処かに電話を入れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

今日はみんなでピクニックに来ていた。本来はナイトイェーガーズのみんなも誘ったけど、都合がついたのは俺とセリュー、タツミ、ウェイブ、チェルシー、サヨだけだった。まぁ予定があるなら仕方ないか……

 

レジャーシートを広げて、はなたちはのんびり過ごす中、俺とタツミとウェイブは……

 

「へいへい!パース!」

 

「オラッ!」

 

タツミが蹴ったボールを受け止めず、そのままウェイブに向かって蹴り返した。

 

「お、おい!?」

 

ウェイブは蹴り返さずに、そのまま避けると……

 

「あんなの避けるわ!」

 

「いや、普通に受け止めても良かったのに」

 

「と言うかお前……レガオン発動してなかったか?」

 

「はて?」

 

「というか普通に遊ぼうぜ……」

 

普通にと言われても……難しくないか。男同士だと段々熱くなってきて、本気でやり始めるんだし……

 

とりあえず休憩がてらはなたちの所に戻るか

 

「男というより子供ね」

 

戻ってきて早々ほまれにそう言われたけど、いや、男は歳をとっても子供になるときがあるし……

 

「ミナトさんの小さい頃……想像できないのです」

 

「そうか?普通に故郷に住んでたから一般人みたいな感じだぞ」

 

「私とタツミも似たようなものね。普通に子供だったわね」

 

「あー確かに……多少飢えとかあったけど……」

 

「ま、まぁミナトさんたちの場合は世界が違うから……セリューさんは……」

 

あ……さあや……それはこの場で聞くことではないと……

 

「私は……幸せだったかな……賊に親が殺されるまでは……」

 

「あ……」

 

何か一気に空気が重くなったな。どうしたものか……

 

「そ、そうだ!折角だからみんなで写真撮ろう!こんかのんびりできるなんて久しぶりなんだし」

 

「そやな!そうした方がえぇ」

 

「ほら、こんなに写真も撮ってあるから一杯増やしても……」

 

「ふぇ……」

 

はなが端末で写真を見せようとするとはぐたんが何かを感じとり、泣きそうになった瞬間、端末から周りにステンドグラスがいくつも舞った白いてるてる坊主が現れた。

 

「ごきげんよう。あなたたちの記憶……ゲットだよ!」

 

てるてる坊主がはなたちに襲いかかろうとした瞬間、俺は持っていたボールを蹴り、てるてる坊主に当てた

 

「痛った~」

 

「はな!変身しろ!」

 

「明らかに敵だろうな」

 

「というか味方なら襲ってこないだろ!」

 

「チェルシーは他の人たちを避難させてくれ」

 

「了解~」

 

「平穏な時間を壊した貴方に正義の鉄槌を喰らわせます!」

 

「行きましょう」

 

チェルシーに避難誘導を任せ、俺、タツミ、ウェイブ、セリュー、サヨの五人は構え、はなたちはプリキュアに変身をする

 

「「「「「ミライクリスタル!ハート、キラっと!」」」」」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

「「輝く未来を抱きしめて!!みんな大好き!愛のプリキュア!」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

プリキュアに変身したはなたちと俺たちの持つ帝具を見て、てるてる坊主は意味もなく動き始める

 

「欲しいのはプリキュアの記憶だけ!お前たちには私の友達が相手だよ!」

 

そう告げた瞬間、空からコートを羽織った人が降ってきた。

 

「帝具使い、発見。即役目を果たす」

 

「みんな!散れ!」

 

謎の人物が俺に襲いかかる。俺は咄嗟にレガオンを両足に装備して、蹴りで謎の人物の攻撃を弾いていく。

 

「ちっ!強いな」

 

「先ずはレガオンを……?」

 

突然立ち止まるが、何故か不思議そうにしていた。その隙に顔面に蹴りを喰らわす

 

「手応えが……」

 

「ミナト!大丈夫か?」

 

「タツミ……あいつ……人間じゃないぞ」

 

謎の人物がコートを脱ぎ去ると目も口も鼻もない仮面を着けた女性だった。

今の手応え……人体の感触を感じなかった

 

「私はヌル。レガオンはあと回し……インクルシオを先に!」

 

今度はタツミに襲いかかる。タツミも応戦するが、ヌルはまた動きを止めた

 

「インクルシオ……?」

 

「オオオオオオ!グランフォール!」

 

動きが止まった瞬間、ウェイブのグランフォールが命中するが、ヌルはウェイブの足を掴んでいた

 

「グランシャリオ……?」

 

また動きが止まるが……なんだ?何をしたいんだ?

 

「なにしてんだよ~ヌルー」

 

「ミデン……私にも分かりません。効果を広げます……機動『アブダクション』」

 

まばゆい光が俺たちどころかエールたちを包み込み、光が収まると……

 

「アキヌフォート、アドラメレク、ガイアファンデーション完了。またイレウスストーン発動」

 

なんだ?何をした?するとサヨがあることに気がついた。

 

「どう言うこと?帝具が使えなくなった?」

 

「なんだって!?」

 

帝具が使えない?だとしたら……

 

「アムール!アドラメレクは使えるか?」

 

「ダメです……起動できません」

 

まさかと思うけど……今のは帝具を無効化するためのものか?

だけど俺とタツミとウェイブとセリューは何で使えるんだ?

 

「残りはあなた方を倒してから……奪い取ります。ミデン、協力を」

 

「仕方ないな~ルミナス・ハーティエル・アンクション 」

 

てるてる坊主の色が変わると俺たちやエールたちを光で包み込むと動きを止められた

 

「ホイップデコレーション」

 

更に攻撃を重ねて俺たちを吹き飛ばした。というか今の技は……プリキュアの

 

「今のプリキュアの技だよね?」

 

「何でこいつが……」

 

「言ったでしょう。記憶を貰うって」

 

つまり……記憶を奪われたら……プリキュアの技をアイツが使えるってことかよ……

てるてる坊主はピンクと紫色に変わり、両手を合わせた

 

「プリキュア・ダイヤモンド・エターナル!」

 

今度はミラクルとマジカルの技かよ!俺は咄嗟に龍騎を発動させ、てるてる坊主の攻撃を受け止めようとする

 

「隙ありです」

 

受け止めようとした瞬間、ヌルが俺を蹴り飛ばした

 

「くっ!?エール!みんな!」

 

エールたちは吹き飛ばされたがまだ無事だけど……てるてる坊主は攻撃の手を緩めず……

 

「プリキュア!パッションダイナマイト!オッレ!」

 

炎の竜巻が起こり、はぐたんとハリーが吹き飛ばされた。エールは咄嗟に助けにはいるが、降ってきた瓦礫が襲いかかり……てるてる坊主は水色の光線を発射しようとするが……

 

『エール!』

 

アンジュたちが咄嗟に盾になり……光が消えると……

 

「みんな、ありが……えぇ!?」

 

みんなは小さな姿に変えられていた。

 

「記憶を奪うって……こう言うことなのか?」

 

「よそ見をしている場合ですか?」

 

ヌルが追撃を喰らわせようとした瞬間、何かがヌルを蹴り飛ばした。今のは……

 

「見つけたぞ!お化け野郎!」

 

「それに僕らを襲ってきた奴!」

 

助けてくれたのは陽斗とクロトの二人だった。二人も襲撃にあっていたのか

 

「回収済みと皇具には用はありません」

 

「ふざけんな!いちかたちを返せ!」

 

「みらいたちをどこにやった!」

 

「お前たちも……ってその傷は……」

 

二人とも傷だらけだけど……まさか治療せずに追ってきたのかよ

 

「傷はどうでもいい!今はこいつを倒すのが先決だ!」

 

「この人数ならなんとかなる……それに帝具も使えるようになった」

 

機能が戻ったのか?いや、今は考えるのは後だ!三人でヌルとてるてる坊主に攻撃しようとした瞬間、タツミ、ウェイブ、セリューの三人が同時に攻撃を仕掛けていた

 

「俺たちが隙を作る!」

 

「その間!」

 

「三人で続いて!」

 

それなら……だけどヌルは避けようとせずに、両手を構えた

 

「発動!スペクテッド」

 

「「「!?」」」

 

タツミたちが一瞬動きを止め、ヌルは更に両手を広げて……

 

「発動!パンプキン」

 

三人に向かって光線を放ち、吹き飛ばした。今のは……まさか……

 

「このまま続く!」

 

「ハアアアア!」

 

「くそ!龍騎!」

 

俺たちも続くが……

 

「発動!スペクテッド」

 

陽斗とクロトの動きが止まるが……俺はそのままヌルを殴る。何をしたんだ?こいつは……

 

「あなたはおかしい。理解不能……ならば同じく回収できなかったが擬似的なものを使わせてもらいます。疑似解放!八房」

 

今度はヌルの周りの地面から土が盛り上がり、人の形へと変わると……

 

「愉快愉快。まさか地獄から出てこれるなんて」

 

「よぉ、また会ったな」

 

体格の良く両腕には短剣を装着した男……こいつは覚えがある。首切りザンク……それに……もう一人の褐色の男は……

 

 

 

 

 

 

陽斗side

 

ザンクにまさかまた復活したのか……

 

「ザンクにまさかまた……」

 

「ヤバイな……こいつまで出てくるとは……」

 

「あぁ……その褐色の肌……タツミから聞いたことがある」

 

「俺はエスデス主催の大会を見学したときに見たことがある」

 

明らかにミナトたちは知っているはずなのに、別人の……あ……

 

そう言えば前も似たようなことが……あの時は……

僕はエールたちと一緒にいる小さくなったプリキュアを見つめた。大丈夫かな?ハリーさんも察したのかはぐたんの耳を塞いでるけど……

 

「「肉屋カルビ!!」」

 

いや、そいつはシュラだからね




次回!吹き荒れる暴言の嵐!
因みに肉屋カルビはアカメが斬る四巻を読めばわかります


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第132話 吹き荒れる暴言の嵐

今回はそこまで話は進みません


ミナトside

 

「てめぇら……ふざけなよ!」

 

カルビ(仮)が怒りに震えてるけど……なんだ?問題があるのか?

 

「み、ミナト……そいつはシュラだよ……と言うかこの間戦ったよね?」

 

「ん?そう言えばその全身に塗りたくった汚物は……確かにそうだな」

 

「通りで糞みたいな臭いがするわけだな!」

 

「はぁ……」

 

そんなため息をつくなよ。俺たちは本当の事を言ってるんだから

 

「こいつの帝具なんだっけ?糞を飛ばしてくるんだっけな?」

 

「いや、糞に変わるんじゃなかったか?」

 

「と言うかいつまでも復活するとか……いい加減畑の肥やしにした方が良いんじゃないのか?」

 

「確かにそうだな……肥溜めから生まれてきたんだから、ちゃんと自分の使命を全うしろよ」

 

「肥溜めと肥溜めの息子なんだからな」

 

「てめぇら……ぶちころ……ぐへっ!?」

 

さていつまでも放置しておくのもあれだから、クロトにシュラの顔面に金棒をぶちこませた。

 

「ミナト!てめぇはプリキュアの方に行ってやれ」

 

「こっちは任せて」

 

「わかった!」

 

肥溜め(シュラ)とザンクは二人に任せて、エールの所に向かう俺だが……なんだ?ヌルは動かない?

 

「現状観察。レガオンとその使い手は要観察」

 

 

 

 

 

 

エールの所に行くと、キュアブラックとキュアホワイトの二人が駆けつけ、一旦避難するみたいだけど……何故かエールは落としたボルトを拾おうとしてるが……何でボルト?

 

「ん?」

 

すると小さくなったアムールがボルトを拾い上げた。

 

「あ、ありがとう……ってアムール!?」

 

おい、まさかボルトとアムールを間違えたのか?

するとてるてる坊主がエールに光線を放とうとしたが、ブラックが咄嗟に庇おうとしたところをホワイトが庇い……

 

「なぎさ……この子をお願い……」

 

「ほのか!?」

 

小さくなってしまった。くそ!

俺は大きく跳び、てるてる坊主に蹴りをかました

 

「いった~!?ヌルは何をしてるんだよ!まぁいいや、これだけ記憶が集まったし、これで……」

 

てるてる坊主は特に追撃とかせずに消えるのであった。

 

「撤退した?何でだ?」

 

「ミナト、そっちは……」

 

「あのお化けは?」

 

陽斗とクロトの二人はタツミたちを背負いながら、こっちと合流してきたけど……

 

「逃げられた。そっちは?」

 

「ごめん……ザンクには逃げられた」

 

「こっちはきっちり倒しといたぞ」

 

「そうか……とりあえずエールたちと合流しよう」

 

 

 

 

 

 

 

ちょっとした休憩スペースにはなたちが避難していたけど……小さくなった面々(アムール以外)は泣きじゃくっていた。

 

「帰りたいよ~」

 

「記憶まで奪うなんてな……厄介すぎだろ」

 

「ミナトくんたちは大丈夫?」

 

「俺は大丈夫だけど……タツミたちのダメージが……」

 

「ミナト……お前もダメージが大きいだろ」

 

タツミが俺の上着を捲る。俺の身体は痣だらけだった。

 

「ミナトくん……その傷……」

 

「これぐらい……」

 

「よく言うよ……分かってるだろ。あいつは強すぎる。帝具の力を全て扱い、無効化もしてくる」

 

「でも……何で無効化出来ない帝具があるんだ?」

 

陽斗の言う通り……俺を含めたメンバーは無効化された。

 

「私のはようやく使えるようになったけど……何?あのイレイスストーンって?」

 

「それに……ミナトにだけスペクテッドが通じなかったのも……」

 

「…………」

 

考えることが多いな……とりあえず治療のためにスタイリッシュを呼ぶべきだし……

 

「はな、スタイリッシュに連絡を……って大変そうだな」

 

はなとなぎさの二人は泣きじゃくる面々を宥めている。仕方ない……マシェリだけをと思い、マシェリを抱き抱える

 

「ふえええええええん!?」

 

が思いきり蹴られた……マシェリに蹴られた……蹴られ……

 

「あぁ!?ミナトくんが!?」

 

「ミナト……どんだけ落ち込んでるんだよ」

 

「いや、クロト……僕らも同じことがあったらダメージが大きいよ」

 

「と言うか記憶がないとマシェリにとってはミナトは恐怖の対象になるのね」

 

セリュー……頼むから言わないでくれ。本気でキツいから…………

 

「えっと……スタイリッシュさんに連絡を入れて…………」

 

「その必要はないわ」

 

突然声をかけられ、身構えるとそこにはメラルドが笑みを浮かべていた。

 

「こんなときに!?」

 

「ふふ、安心しなさい。今回はハイトから協力するように言われてのよ」

 

「ハイトから?何が目的だ?」

 

「どうにもハイトの計画の障害になるやつが現れたみたいよ」

 

「はっ、自業自得だろ!勝手に潰されちまえ」

 

「いいの?下手をすればこの世界も私たちの世界と同じようになるわよ」

 

俺たちの世界と……同じように?

 

「それがあのヌルって奴なのか?」

 

「違うわ。彼女は……」

 

「葬られた帝具だ」

 

「まさか残ってるなんてね」

 

話に混ざってきたのはエスデスとスタイリッシュの二人。何か知っているのか?

 

「あのてるてる坊主みたいなものはミデン。プリキュアの記憶を奪っている。そしてあのヌルは私たちの帝具の力を集めている」

 

「そしてヌルは古い文献に残っていた試作型の帝具よ」

 

試作型?そんなのがあったのか……

スタイリッシュは語る。始皇帝時代、最初に作られたのはヌルと呼ばれる珠型の帝具。だけどヌルには何の力もなく失敗作と呼ばれて捨てられた。

だけど何かの要因が重なり、今のあの人型へと変貌したらしい

 

「奴の目的である帝具の能力を全て模倣する事だが……いまいちその後が読めない……」

 

その後か……確かに全て模倣したらどうするつもりなんだ?後気になることは……

 

「奴の使うイレウスストーンの能力……帝具の機能を停止させるみたいだけど……何で俺やタツミとかは効かなかったんだ?」

 

「イレイスストーン?」

 

エスデスも知らないみたいだな……

 

「多分だけど……この場で効かなかったメンバーにはある共通点があるわ。それは……この世界に来たことでって事ね」

 

この世界に来たことで?本当にいまいち分からない。

 

「あの……僕らにはスペクテッドの能力……大切な人を見せると言う幻視が効いたのにミナトに効かなかったのは……」

 

「大切な人ね……」

 

「ふっ、ミナト。お前には大切な人はいないみたいだからではないのか?」

 

大切な人がいない……俺はえみると一緒にいるようになって……大切な存在だと思っていたけど……正直ショックだな……

 

「あ、あの……エスデスさん、ミナトくんには……」

 

「ねぇ、はなちゃん、あの子達どこ行ったの?」

 

「へ?あー!ミナトくん!アンジュとエトワールが!」

 

「逃げ出したのか……とりあえずみんなは治療をしてもらっておけよ。俺は後でいいから」

 

俺とはなは一緒に二人を探しに行くのであった

 

 

 

 

 

エスデスside

 

ミナトと野乃はなを見送ると、ウェイブが睨み付けていた。やれやれ

 

「隊長……ミナトに大切な人がいないって……それは」

 

「ウェイブ、気が付かなかったか?」

 

「へ?」

 

「確かにミナトにはスペクテッドの幻視は通じない。それは奴の中での意味が違うからだ」

 

「意味が?」

 

「それよりもイレイスストーンか……」

 

こちら側に来てイレイスストーンなんてものは見ていない。そしてメラルドの言うハイトの最も警戒する存在。そしてヌル……奴の背後にいるのは……



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第133話 二人はプリキュア!

どことも言えない世界のある場所。そこには積み重なったステンドグラス。その山を崩すミデンは荒れていた。

 

「つまんない!つまんない!つまんない!つまんなーーーーーーい!こんなにキラキラした世界なのにつまんない!満たされない!」

 

「ふふふ、それはまだ目的を果たしてないからでは?」

 

「やっぱり~そう思う?それじゃ……残りのプリキュアの記憶を奪ってくるよ!」

 

ミデンは消えると、男の背後にヌルの姿があった。

 

「聞きましたよ。イレイスストーンの力もアブダクションも通じない奴等がいたと」

 

「はい……」

 

「まぁ仕方ないですね。それにしてもこの世界にまでいるとは……ふぅシュラがそもそもやらかしたことが原因ですが……仕方ありません。レガオンの使い手には幻視の力が通じなかった。その理由は……彼の心の中には誰も大切な存在がいないことを使い手に話してあげてください」

 

「それだけでいいのですか?」

 

「道具である貴方には分からないでしょうね。人の心は脆いと言うことを……レガオンの使い手を倒せば、貴方は最強の帝具へと変わりますよ」

 

「最強の……」

 

「えぇ、誰もあなたの力に気が付かず、ただの失敗作と呼ばれて捨てられた貴方に付けられた『葬られた帝具』から変わりたいでしょ?」

 

「はい……」

 

「では任せましたよ。あぁそうそう。小さくなったプリキュアを二人ほど連れていった方がいいですよ」

 

「分かりました。効果的な人物を二人ほど連れていきます」

 

「ふふ、攻撃を受けそうになったら見せてあげなさい」

 

「分かりました」

 

ヌルは消え、男は一人笑っていた。

 

「ふふ、道具を扱うのは本当に簡単ですね。それに……主人に噛みつかないときた。本当にいい拾い物をしました」

 

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

何とかアンジュとエトワールを保護出来たけど……記憶がないし、子供になってるから本当に大変だった。

 

「はな、大丈夫か?」

 

「う、うん」

 

はなも二人の保護とマシェリのくつ飛ばしでかなり参っている。

 

「ミナトくんも大丈夫?」

 

「俺か?まぁ怪我はまだ耐えきれる方だけど……」

 

「そっちもだけど……その大切な人がいないって言われたこと」

 

そっちか……結構キツいなって思ってる。でも今のはなに愚痴るのも……

 

「あのね……ミナトくん。私のことは大切な存在だと思ってる?」

 

「……気を遣ってのか?」

 

「ううん、ただの質問。それでどう?」

 

はなの事をか……はなはこの世界に来て初めて会った人で……

 

「はなは……この世界は俺がいた世界と違って平和な世界だって言うことを教えてくれたし……色々と助けられたり、助けたりしてるから大切な存在だと思うな」

 

「さあやは?」

 

「さあやは……まぁセリューの事を救ってくれたし、色々と……」

 

あぁなるほどな。はなが俺に伝えたいことは……

 

「みんな大切な存在だな」

 

「うん、ミナトくんにはちゃんと大切な人が……ううん、大切な人たちがいるんだよ」

 

だから幻視が効かなかったのか?まぁいまいちそこら辺は分からないけど……だけどえみるは……

 

「えみるは一番じゃないのかって思うんだが……」

 

「えみるは……大切な人じゃなくって、大好きな存在だから……なんと言うかミナトくんは別々に考えてるのかな?」

 

別々に……そうなのかもしれないな……

 

「だから……心配しなくても大丈夫だよ。ほら、早くハリーたちと合流して……」

 

「そうだな……」

 

幻視の事は解決したのか?後はイレイスストーンの力が通じなかったのは……もしかして……

 

 

 

 

 

 

 

ハリーたちの所に戻ってきたけど……ここまで戻るのに、マシェリが何度も靴を飛ばすわ。アンジュとエトワールが逃げ出そうとするわ……何故か俺だけ警察官に連れていかれそうになるわ(まぁ記憶が飛ぶ感じに手刀をかましたけど……)そんなこんなではなもかなり疲れている

 

「えらい疲れてるな……」

 

「色々とな……」

 

「それより……ミルクをお願い……」

 

「お、おう……」

 

「ハリー、タツミたちは?」

 

「今は治療中や……」

 

治療中か……俺も治療してもらいたいけど……流石にはなたちを放っておけないよな

 

 

 

 

 

 

それからはなはお腹が空いて機嫌が悪いのかもしれないとマシェリにミルクをあげようとするが、マシェリが拒み、哺乳瓶を弾き飛ばした

 

「ママー!ママー!」

 

「その子も帰りたいんだよ」

 

「だって怖いんだもん。お化けもお姉ちゃんも」

 

子供ながらにストレートなことを言うな……この二人は……

 

「あーはなちゃん、見ーっけ」

 

「なぎささん……」

 

するとなぎさがほのかを抱えながら合流してきたそれに……

 

「お前、こんなところにいたのか」

 

「傷の手当てしなくても大丈夫?」

 

「まだ耐えれるけど、流石にしておきたいけどな」

 

「だと思った。ほらよ」

 

クロトは俺に向かって何かを投げ、俺は受けとると……薬?

 

「痛み止めだ。痛みで動きが鈍くなるよりはマシになるはずだ」

 

「助かるよ」

 

痛み止めを飲み終えると同時に、エトワールが逃げ出そうとするが転び泣き出しそうになる。それに合わせるようにマシェリもくずりだした。

 

「さあや、マシェリを……あ……」

 

はなは咄嗟に頼ろうとするが……今は……

 

「これ、落した」

 

立ち上がった拍子に落としたカメラをアムールがはなに渡すが、はなはカメラに写されたみんなとの集合写真を見て……これまで貯まっていたものを溢れだしたのか泣き出した。

 

「なんで……なんでこんなことになっちゃったの……なんでみんな、私の事を忘れちゃったの?さあや、ほまれ、えみる、ルールー。いっぱいいっぱい一緒にいたのに必死でたくさん頑張って……一緒にたくさん笑っていたのに……私はみんなのこと……大好きなのに……」

 

「はな……」

 

「はなさん……」

 

はなはずっと耐えていた。そうだよな……まだ14歳の女の子だもんな……

 

「な、なんや、プリキュアあろうもんがへこたれてる場合ちゃうやろ!」

 

ハリーが叱るがハリー、それは違う。それを注意しようとするとなぎさが遮った。

 

「そんな言い方やめて!プリキュアって言ったって、ただの中学生だよ!自分でどうにか出来ないときは誰だってそうなるに決まってるじゃない!私だって……私だって……」

 

みんなが泣きそうになる中、俺ははなの頭を撫でた。

 

「ミナトくん……」

 

「今は泣け。そうした方がいい」

 

「うん……」

 

そう声をかけるしか出来なかった。するとはぐたんが何かを感じとると、はなのカメラからミデンが現れた

 

「ミデン!?」

 

「まだまだ記憶が足りないの!あなたたちの記憶もゲットだよ!」

 

襲いかかるミデン。俺と陽斗とクロトは避け、なぎさはほのかを安全な場所に逃がした

 

「丁度いい……色々とイラついてたんだ……ぶん殴らせてもらう!」

 

「あなた方の相手は私です」

 

不意に声が聞こえた瞬間、俺たち三人は蹴り飛ばされた。

 

「ちっ!ヌル!」

 

「レガオンの使い手……貴方には大切な存在がいません。貴方はどんなに誰かと関わろうと……一人です」

 

「違うな……俺に大切な存在が一人もいないが……俺にはみんなが大切な存在なんだよ!」

 

「ただの屁理屈……」

 

「屁理屈でもいい!言葉にするからこそ!そう思えるんだよ!」

 

俺はレガオンを構え……叫んだ!

 

「狂龍騎!」

 

狂龍騎を発動させ、ヌルを殴る。

 

「能力大幅に上がっている……それがレガオンの奥の手。ならば……」

 

「俺たちを!」

 

「忘れるな!」

 

クロトと陽斗がヌルに向かっていくが、ヌルは両手にあるものを掴み、掲げた、それは……子供になったキュアミラクルとキュアカスタードの二人だった。

 

「っ!?」

 

「盾、効果的面。発動!アドラメレク」

 

雷撃が俺たち三人に目掛けて落ちる。俺は何とか耐えるが……クロトたち二人は……

 

「これであなた一人…」

 

「くそ…はなたちは…」

 

はなたちはミデンに立ち向かうが、ミデンは容赦なく攻撃をはなに向かって放つが、なぎさが盾になった。

 

「何やってるメポ!?」

 

「なぎさはほのかと一緒じゃないと変身できないミポ!」

 

「そうだよ…だから取り返すの…私…ほのかがいないとダメだから…ほのかの事が大好きだから!」

 

なぎさは傷だらけになりながらも立ち上り、叫ぶ。

 

「私…覚えてるから!たまたま同じクラスになって、たまたま二人でプリキュアに変身することになって!喧嘩したこと、たこ焼き食べたこと、コイバナしたこと、ほのかが忘れても…私が全部覚えてるから!」

 

なぎさは…折れてない……そうだよな!

 

「よそ見を……」

 

「ハアアアア!」

 

殴りかかってくるヌルをカウンターで殴り返す。するとミデンは色を変えると……

 

「あーら、なぎさ。私も覚えてるわ。先生の結婚式に行ったこと、文化祭でロミオとジュリエットをやったこと、合唱コンクールのこと、なぎさの靴下がもしかしたらちょっと臭いってこと、ぜーんぶ覚えてるわ」

 

「だけどあんたはほのかじゃない!雪城ほのかは記憶を奪われて、戸惑ってるあの子が雪城ほのかなの!返して!私の一番大事な人を返して!」

 

「あーもう!うるさい!」

 

ミデンが指をならした瞬間、はなとなぎさの二人が吹き飛ばされる。いい加減にしろよ……俺はヌルを無視してミデンを殴る。

 

「いったー!?何するんだよ!」

 

「奪った記憶で遊んで……面白いか?」

 

「はぁ?この記憶は……」

 

「お前のじゃない!お前のはただの見せかけだけだ」

 

「あーもう!ヌル!早くこいつを倒しちゃいなよ!」

 

「盾を向けても効果なし。盾を捨て、近接戦を行います。インクルシオ、グランシャリオ。同時発動!」

 

「かかってこい!二体ともぶっ飛ばす!」

 

ミデンとヌルに向かって来て、俺は戦おうとした瞬間、まばゆい光辺りを照らした。あれは……ライト?

ほのかの手にはライトがあった。その光がほのかを包み込むと…………ほのかは元の姿に戻り、なぎさとほのかの二人は…………

 

「行きましょう。なぎさ」

 

「うん!」

 

プリキュアに変身を果たした。

 

「光の使者!キュアブラック!」

 

「光の使者!キュアホワイト!」

 

「「二人はプリキュア!」」

 

「プリキュアたちから奪った記憶!」

 

「とっととみんなに返しない!」




やはりオールスターメモリーズは面白い


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第134話 ヌルの真実、現れる黒幕

復活したキュアブラックとキュアホワイトの二人。それを見てミデンが動揺していた。

 

「あ、あり得ない!記憶が戻るなんて!」

 

ミデンはフローラの技を放つが、二人は一振りしただけでその技をかき消し、ミデンに蹴りを入れた

 

「凄いな……」

 

「注意散漫!」

 

ヌルが攻撃を仕掛けてくるが、俺は後ろに下がり……顔に蹴りを入れ、倒れているはなの近くに立ち……

 

「はな!お前はそんなんで良いのか!」

 

「ミナトくん……」

 

「辛い気持ちを……全部吐き出したなら後は分かるはずだ!お前は野乃はなだろ!」

 

 

 

 

 

はなside

 

ミナトくんの言葉を聞き、そしてなぎささんやほのかさんの姿を見て、ようやく気がついた。

 

(バカだ……私……忘れちゃってたのは私の方だよ!)

 

私は何とか力を振り絞り、立ち上がろうとする。

 

(みんなと出会って、ちょっとずつ仲良くなって、どんどん増えた思い出は……ずっとここにあるのに!)

 

立ち上り、私は力の限り叫んだ。

 

「私は一人なんかじゃないのに……これしきの事で心折れるとか……私のなりたい!野乃はなじゃない!!」

 

そうだよ……私は私のなりたい私になるんだ!ミナトくんはそれを知っていた!だからこそ信じていてくれたんだ!私が立ち上がることを!心が折れることなんてないことを!

 

「フレー!フレー!わ!た!しぃぃーーー!」

 

涙を拭い、私はアンジュたちに向かって言った。

 

「ごめんね。アンジュ、エトワール、マシェリ、アムール。本当に辛いのはみんなの方なのに……待っててね!みんなのこと……私が絶対元に戻すから!」

 

プリキュアに変身するとミナトくんは嬉しそうにしていた。そうだよ……ミナトくんは私の事を信じていた。私は私を信じていてくれているミナトくんが大好きなんだ!

 

「はな……いや、エール!合わせろ!」

 

ミナトくんは襲い来るヌルの腕を掴み、ミデンの方に投げつけると、私は飛んでくるヌルをミデンに向かって蹴り飛ばす!

 

「なっ!?」

 

「理解不能……力が上がって……」

 

「ハアアアア!!」

 

更に蹴りを2発、ミデンに喰らわせ、ブラックとホワイトの二人の協力で更に飛び上がり、今度はかかと落としをミデンに喰らわせる

 

「私……もう負けない!貴方にも自分にも!キラキラ大切な思い出が……みんなが私を支えてくれている!だから何があっても踏ん張れる!踏ん張ってみせる!」

 

その時、私のミライクリスタルが光だした。これって……

 

 

 

ミナトside

 

ミライクリスタルの光が俺の鎧に宿る。これは……まさか……

 

「ミナトくん!」

 

俺は狂龍騎を解除するとエールはそっとキスをした。

 

「私の愛で……発動できるか分からないけど……」

 

「いや、大丈夫だ。お前が育んできた愛を受け取り……そして……俺も何があっても負けないお前の事が好きだって……分かってるから!」

 

「マシェリに怒られるよ」

 

「ちゃんと謝るさ……愛龍騎!」

 

愛龍騎を発動させると、これまでとは違う……エールのミライクリスタルの色へと変わった。これがエールと俺との愛龍騎か……

 

「理解不能!理解不能!その姿は!」

 

「ヌル……お前には分からないだろうな……愛の力がどんなものかってことを!」

 

エールが立ち上がったんだ……後はお前らも立ち上がれ!陽斗!クロト!

 

 

 

 

 

 

陽斗side

 

アドラメレクの雷撃を受け、身体が痺れて……いや、それだけじゃない……僕の中で……戦うべき理由を見失ってる気がする……

 

「僕は……」

 

立ち上がろうとすると、僕の頬に何かが触れた。それは小さくなったミラクルだった

 

「だいじょうぶ?」

 

記憶を失っても……こんな風に心配してくれるのか……いや、そうだった……そうだったんだ……今になって思い出した……僕が戦う理由は……

 

「みらい……いつもありがとうな…………助けてくれて」

 

「えっ?」

 

「僕が戦う理由は……大好きな人を……みらいを守りたいからだったんだ……だから……」

 

僕は立ち上り、リゼルファを構えた。

 

「みらいが忘れても、僕は覚えてる! みらいとの思い出を!」

 

「はる…とくん?」

 

ミラクルが僕の名前を呼んだ瞬間、ミラクルライトがミラクルの前に現れ、ミラクルはライトを振っていくと……

 

「陽斗くん?」

 

「ミラクル……」

 

元の姿に戻ったミラクル。これなら……

 

「行こう!」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

クロトside

 

あぁくそ……何でこんなに動けないんだ……いつもならどんな無茶をしてでも動けたはずなのに……こんな事は……ミナトがあの世界から消えたとき以来だ

 

「くそ……いやな事を思い出した……」

 

あの時の喪失感……俺は八つ当たりのようにあの戦いで至高の帝具を……ミナトが守ろうとしたものを…………

 

「む……」

 

気がつくと小さくなったカスタードが倒れた俺の前に立ち……まるで守ろうとして…………

 

「ふざけんな……」

 

何度も言ったはずだ。俺は女に守られるのが……嫌だってことを…………こんなことも忘れてんなよ!ひまり!

 

「俺は……お前に守られるほど弱くない!」

 

立ち上がった瞬間、カスタードの手にはライトが現れ、カスタードはライトを振ると……元の姿に戻った

 

「クロトさん……」

 

「記憶を失っても……何があっても忘れるな!俺は女に守られるのが嫌いだってことを!」

 

「はい!」

 

嬉しそうに笑うなよ……まぁいい!

 

「行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

「ならば!パンプキン!デモンズエキス!アドラメレク!」

 

雷撃と氷撃と閃光が放たれようとしていたが、俺の横を何かが通りすぎ、ヌルを吹き飛ばした。

 

「お待たせ」

 

「悪いな……ちょっと腑抜けてた」

 

陽斗……クロト……二人も立ち上がったか。それに……

 

「「ハアアアア!!」」

 

ミラクルとカスタードの二人がミデンに一撃を喰らわす。ミデンも立て続けに記憶を取り戻したプリキュアを見てあわてふためいていた。

 

「何でだ!何でお前らまで!?」

 

「記憶をとられても……覚えてたみたいだからね」

 

「はい、大好きな人が!」

 

「意味わかんねぇぞ!!!」

 

暴れまくるミデン。エールたちが必死にミデンを押さえつけていると、プリキュアを応援する声が聞こえてきた。それは……マシェリたちだった。

 

「頑張ってーーー!」

 

「頑張れ!エーーール!!」

 

マシェリたちの応援が響くとみんなのところにライトが……

 

「今や!ミラクルライトで応援するんや!」

 

『フレフレ!エール!フレフレ!エール!フレフレエール!』

 

ライトからまばゆい光が照らされ、マシェリたちが元の姿に戻った。エールはみんなの所に駆け寄り……

 

「みんな……行くよ!」

 

「「「「「プリキュア!チアフル・アタック!」」」」」

 

チアフル・アタックが放たれ、ミデンは吹き飛ばされる。それを見て驚くヌル。

 

「バカな!?」

 

「これが……プリキュアなんだよ!」

 

俺は思いきりヌルを殴り飛ばす。陽斗とクロトが更に追撃を与えるのであった。

 

「倒したのか?」

 

「いや、帝具人間ならコアを破壊しないと……」

 

「いや、こいつは帝具人間じゃないから……帝具そのものを……」

 

土煙が晴れるとヌルは呆然と立ち尽くしていた。

 

「何故?なぜ?なぜ……」

 

「人の心を弄ぼうとしても無駄だったな」

 

「違う!なぜ……貴方の……レガオンの力を奪えない……いや、他のも……」

 

「それは簡単よ」

 

するとスタイリッシュとエスデス、メラルドの三人がやって来たと言うか検討がついてるみたいだな

 

「奪えなかった帝具に共通するのは……この世界に来て変化したからよ」

 

「やっぱりか……」

 

タツミ、ウェイブ、セリューの帝具はこの世界に来てから奥の手が変わった。ヌルの奪う能力は多分……本来の帝具の能力しか奪えない……変わってしまっているとそんな奪う力も意味をなさない……

 

「ミナトは?」

 

「こいつの場合は愛龍騎が奥の手になったことで、本来のレガオンとは違ったからな」

 

そうだよな……元々は狂龍騎が奥の手だったのが、今は愛龍騎が奥の手になったからな

 

「とりあえずミナトはその愛龍騎を解除しておきなさい」

 

「何で?」

 

「本来の愛龍騎と違って、安定してないみたいよ」

 

そう言えば何となく力が溢れてる……きっとエールとだと……いや、この場合はエールとアムールとだと愛龍騎出来ても安定しない。マシェリとなら本来の愛龍騎になれるのか。

俺は解除して、ヌルとの話を続けた

 

「ヌル……お前はミデンと同じように記憶を奪いたかったのか?」

 

ただ帝具の力を集めるのにも理由があると思った。だからミデンを……

 

「私は……ただ……必要な存在になりたかった」

 

「必要な?」

 

「私は生まれてから……何の力も持たない……帝具。始皇帝はそんな私を使えないと言い、なかったことにした。葬られるはずだった。だけど……」

 

ヌルは語った。自分が自我を持ったときのことを……

 

その世界にはキラキラした世界に漂うミデンの姿があった。ミデンはヌルに共感を持ち、共に過ごすことになったのだが…………

 

「そんなある時……あの方が……主が現れた……主は私には全ての帝具を模倣する力があるのではと言い……主の持つ帝具を模倣した。そして……私には帝具の力を奪うことと改修することが出来るようになった」

 

改修?もしかして帝具の能力を変えたり、追加したり出来るのか?

 

「そうすれば私は使える道具と……」

 

「それは違うよ……ヌルさん」

 

エールが話に混ざってきた。エールも何か思うことがあるのか?

 

「ヌルさんは道具じゃない……ちゃんと生きてるから……だから……道具なんて言わないで」

 

「プリキュア……」

 

「それにね。ミナトくんたちの話を聞いて思ったの。ヌルさんは人から力を奪うんじゃなく、借りて力を授ける……きっと優しい帝具になれるはずだから」

 

「優しい帝具……」

 

エールの言葉が響いたのかヌルは手を差し伸べた。

 

「本当になれますか?」

 

「なれる!私が……ううん、みんなが応援するから……」

 

エールは凄いな……帝具の心も救おうとしてるのか……

とりあえず聞くことはあとひとつ……

 

「お前の主は誰だ?」

 

「私の主は……」

 

「私ですよ……」

 

突然ヌルの胸が貫かれた。俺は咄嗟にエールを後ろへと下がらせると……ヌルの後ろには……

 

「やはりお前か」

 

「ふふふ、お久しぶりですね。エスデス将軍。貴方が賊の手助けをしているとは……まぁいいでしょう。私にはまずやるべきことがある」

 

「ぅ……ぁ……力が……」

 

「ヌル、貴方のお陰でイレイスストーンは一定時間帝具を無効化する力になりましたが、もう一つの力はかなりいいものですよ。何せ帝具の力を永久的に奪う。貴方が集めた力は存分に使わせてもらいますよ」

 

ヌルの身体が崩れていき、残ったのは小さなガラス玉だった。そして奪った男は邪悪な笑みを浮かべていると

 

「ミナト!そいつは!?」

 

アカメたちナイトイェーガーズがこの場に集まった。みんな、その男を見て驚きを隠せないでいた。それもそうだ。こいつは……

 

「さて、邪魔な存在が増えましたね。ミデン、貴方がやられたせいでヌルが死にましたよ」

 

いつの間にか戻ってきたミデンは何処か悲しそうだった

 

「そ、そんな……記憶を取り返されたばかりに……」

 

「仕方ないですよ。それなら……世界中の人間の記憶を奪えばいいのです」

 

「そうだ……私の記憶は……ウアアアアアア!!」

 

ミデンが高く飛びあがり、ビームを放ち続けると、地響きがなった。

 

「プリキュアの処理は任せましたよ。私は……この賊を片付けましょう」

 

「わかったよ……オネスト」

 

こいつが……ミデンを利用し、ヌルに間違ったことを教えた存在……俺たちの世界で最も邪悪で、最も消さなければならない人間……オネスト大臣!!




補足と言うより、追加設定

ミナトの使う愛龍騎はマシェリとの愛の絆によって安定して扱える。
エール、アムールとでも可能ではあるが力は安定しない。長時間使うには特別な方法のみ(オールスター回にてアムールと出来たのはほんの少し愛龍騎を安定させたから)



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第135話 ミデンの謎と始まる戦い

ようやくデパプリが再開する!


「あなた方を始末する前に、人々の記憶から作った大地へ連れていきましょうかね」

 

オネストがそう言い残して、姿を消した瞬間、地響きが更に激しくなり、ミデンも姿を消そうとしたが、エールが落としたカメラを破壊して消えた。

 

「何で?」

 

地響きが続き、治まると俺たちは水晶で出来た大地にいた。まさか……世界中の人々から記憶を奪ってこの大地を?

 

「ミナト、ミデンはプリキュアに任せて、我々は……」

 

「ボス……」

 

ボスの言う通り、先ずはオネストを始末しないと……

 

「あの、ミナトさん。あのオネストと言う人は……」

 

マシェリが……と言うよりみんな知りたがってるな……

 

「簡単に言えば……俺たちの世界の……元凶みたいなものだ」

 

「元凶……」

 

「大臣がいたからこそ、帝国は腐りに腐ってたからな」

 

「メラルド、お前が来たのは奴なのだな」

 

「えぇ、面倒な事だけど……ハイト自身、奴をかなり危険視してるわ」

 

「だとしたら、ミナトよ。どうするんだ?全員で討つか?」

 

エスデス……わざわざ聞くなよ……決まってる……

俺はこの大地の中心にそびえる城を見て……答えた

 

「大臣は俺が討つ……」

 

「待て、何故お前一人で……」

 

「奴はヌルの力を奪っている。だとしたら迂闊に全員で戦えば……全滅するかもしれない。それならヌルの力が通じないレガオンを持つ俺が……」

 

「アホか!なら俺も行く!」

 

するとクロトも名乗り出た。確かにクロトの持っている皇具なら……

 

「僕も行くよ……ミラクルはフェリーチェやマジカルを助けに……」

 

「陽斗くん……そっか、エメラルドの力なら……」

 

確か……陽斗はリゼルファにエメラルドの力を使えるようになれば……オネストの操る力は……無効化できるはずだったよな

 

「分かった。頼むぞ」

 

「うん」

 

すると無数の危険種とその中心にザンクの姿があった。なるほど、足止めか……

 

「タツミ、チェルシー、お前ら二人はミナト達と行け」

 

「ウェイブ、セリュー、お前らもだ。ヌルの力が通じないのと、プリキュアの力になれ」

 

「「私たちはこの集団を相手する」」

 

ボスにエスデスの二人は本気みたいだな……するとメラルドは……

 

「私も付いていくわ。何かしら手を貸してあげる」

 

これでみんなの役割が決まったな。ボスたちは襲いかかる危険種とザンクを向かい撃ち、俺たちはミデンとオネストがいる城へと向かうのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

陽斗side

 

僕、ミラクル、ブラック、ホワイト、マシェリ、アムールで同じ通路を走っていた。まさかみんなとはぐれるとは思ってなかったけど……

 

「ミラクル……早くどうにかしてくれ!」

 

「無理だよ!モフルンだけどモフルンみたいな感じだし」

 

「あれはどうやらキュアミラクルたちの記憶から作られたものですね」

 

「それじゃ……声が届くのでは?」

 

「それなら……って止まってくれそうにないんだけど!?」

 

ずっと追いかけて来てるから、立ち止まって制止をかけていたら、捕まりそうだし……記憶で作られたものとはいえ、攻撃することも出来ない。

とりあえず物陰に隠れてやり過ごすことにした。

 

「何処か行った?」

 

「みたいだな」

 

それにしても……みんな、どこに行ったんだ?城に入った瞬間にはぐれるなんて……これもミデンの力なのか?

 

 

 

 

 

 

 

クロトside

 

俺、エール、アンジュ、エトワール、カスタード、セリュー、チェルシーはお菓子で出来た不思議な空間にいた。

 

「ここって、もしかして私たちの?」

 

「かもな。にしても……ミナト達は何処に行った?」

 

まさかはぐれるとはな……

 

「てか、ミデンの奴、何考えてるんだろう?」

 

「えっ?」

 

「あの大臣って奴に利用されてるから、てっきりプリキュアの力を集めて悪いことをしようとしてると思ったけど、こんなお城に引きこもっちゃうし……」

 

「確かに……何のために記憶を集めてるのかな?」

 

いちいち考える必要はないだろう。あのテルテル坊主は敵なんだから、目的なんて知ったことはない。

普通ならそう思っているはずだが、どうにも妙だ。あの大臣が利用しているんだ。何かしらあるはずだが……

 

「あのね、実は気になってる事があって……ミデンがこれを壊したときに……」

 

エールは壊れたカメラを見せた。そう言えばここに来る前に壊してきたな。

 

「私も気になることが……ミデンに記憶を奪われていたときに、何だか寂しくって……真っ暗な感じだったの」

 

今一、ミデンの目的が分からないな。

大臣が何かしら利用しているとしても、何をどうたぶらかしたんだ?

そんなことを考えていると、はぐたんが何かに気をとられて、穴に落ちた。

 

「はぐたん!?」

 

「俺が行く!」

 

「私も行くわ」

 

ハリーと猫に変身したチェルシーがはぐたんを追っていく。とりあえず何処か合流できる場所を探しに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

城に入り、みんなとはぐれてしまったが……俺は気にせず先へと進んでいた。

 

「ミナト、そんなに急いでどうしたんだ?」

 

「他のみんなを探した方が……」

 

「いや、みんななら……」

 

「ふふ、焦っているのね。理由は…………大臣ね」

 

メラルドはクスクス笑いながら、人の核心を突いて来るなよ

 

「俺は……最後までいられなかった。でも信じていたんだ。タツミたちが何とかしてくれるって……でも」

 

今回、あの大臣が関わっている。アイツがいることでこの世界を……あんな世界にしたくない。だから……

 

「あのくそ野郎をぶっ殺す!」

 

俺の覚悟を聞いて、タツミ達は黙り込む……納得してくれたのか?

だけどこの時、タツミはあることを思っていた

 

(大臣を殺すのは分かるけど、だけどミナト、お前……愛龍騎にならなくてもいいのか?もしかして………焦っているからか?)

 

先へと進んでいくと、変わった部屋にたどり着いた。殺風景な部屋だけど……これは……

 

「なるほど、なるほど、ヌルの奪う力に対抗できる人間を当ててきましたか。だが……知らなすぎるのでは?」

 

大臣は不敵な笑みを浮かべながら、両手を広げ……

 

「先ずは……帝国最強の二人の帝具の能力を固定。更に鎧型の帝具二つを混ぜ合わせる」

 

大臣は真っ黒な鎧を身に纏う。本気でやるしかない!



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第136話 全ての記憶を

チェルシーside

 

穴に落ちたはぐたんを追って、ハリーと一緒にある場所に来ていた。はぐたんは無事だけど……

 

「これ……厄介な状況ね」

 

予想はしていたけど、まさかこんな部屋に記憶を奪ったプリキュアを集めていたなんてね。

 

「はぁ、どうしたものか……」

 

出られそうにないし……本当にどうするか……救助待つかな?

 

 

 

 

 

 

 

エールside

 

城の奥へと進んでいくと、さっきまでとは何処か雰囲気が違う部屋にたどり着いた。

なんと言うか……キラキラしているのに寂しい場所……

 

「何だか寂しいと言うか夜のお墓にいるみたいな……」

 

アンジュ……お願いだから変なこと言わないでよ……

すると上からブラックたちが降ってきて、私はブラックと額をぶつけた。

 

「いたた……」

 

「何をしてるんだよ?まぁいい、陽斗、ミナトはどうした?」

 

「ミナトは……いないけど、そっちにいたんじゃ……」

 

「やっぱりか……まぁいい」

 

「ミナトさん……」

 

マシェリも心配してるけど……ミナトくんたちは大丈夫だよね?

フッと何か落ちているのに気が付いた。これって……古いカメラ?

 

「それって幻のミデンF-MkII!?」

 

ミデン!?ミデンってもしかして……

 

「あのテルテル坊主と同じ名前って言うことは……」

 

「見たな……」

 

何処からともなく声が聞こえるとカメラからミデンが現れた。

 

「ミデン!」

 

「一体このカメラってなんなの?」

 

「それにこの寂しい場所は……」

 

「黙れ!黙れ黙れ黙れ黙れ!」

 

ミデンは私たちに襲いかかる。クロトくんたちは応戦するけど、攻撃を防がれてしまう。

 

「僕はこんなところにいた訳じゃない!暗い箱に閉じ込められたまま、何十年!誰にも使われず、たった一人でただただ朽ち果てていく!そんな孤独がお前たちに分かるか!」

 

アンジュは落ちたカメラを開くと、フィルムが入ってなかった。

 

「じゃあミデンはカメラのお化けってこと?」

 

「空っぽのまま終わった僕の絶望……お前たちに分かるわけない!分かってくれたヌルはお前たちに壊された!」

 

「違う!ヌルは……」

 

私が真実を話そうとすると、壁が破壊され、タツミさん、ウェイブさん、メラルドさんが吹き飛んできた。

 

「そうそう、そいつらがヌルを壊したんですよ」

 

あの声……黒い鎧はもしかして大臣?それに大臣が頭を掴んでいるのは……ミナトくん!?

 

「ちっ!」

 

「ルビー!」

 

「ハアアア!」

 

クロトくん、陽斗くん、セリューさんの三人が同時に大臣に襲いかかるが……

 

「インクルシオ+エクスタス」

 

両腕を鋭く尖らせた瞬間、まばゆい光が三人の目を眩ました。更に拳を構え……

 

「皇拳寺百烈拳!」

 

三人同時にいくつものパンチを喰らわせ、三人は吹き飛ばされた。

 

「くっそ……」

 

「うくっ……」

 

「あっ……」

 

「知らなかったのですか?素の私も強いのですよ。そんな私にこのヌルの力が合わされば……勝てない相手はいません」

 

みんな……それに……私は知らなかったからとはいえ、ミデンに酷いことを……

 

「さぁミデン!邪魔な奴等は私が消します。貴方はプリキュアの記憶を奪いなさい」

 

「そうだ!そうだ!」

 

ミデンが暴れまわってる。アンジュ達はミデンを押さえ込もうとする中、私は……

 

(思い出がない……それって楽しいこと、嬉しいことが一つもないってこと?生まれてから今まで寂しいとか苦しいとかそんな気持ちでいっぱいだったってこと?あんな辛い気持ちがずっと続いてるってこと?ううん、私には……ハリーやはぐたん、なぎささんがいた。家に帰ったらパパやママ、ことりがいる。それに……ミナトくんもいた。ミデンにはヌルがいたけど……ヌルは……)

 

気がつくとブラックとホワイトが必殺技を放とうとしたが、私は咄嗟に止めた。その瞬間、二人はビームを喰らい、子供にされてしまった。

 

「エール?」

 

「ミデン!聞いて!ヌルは……貴方の友達は……」

 

「ミデン、もう取り込んでしまいなさい」

 

「アアアアアア!!」

 

ミデンが大きく体を広げ、私たちは取り込まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

チェルシーside

 

突然部屋の窓ガラスにヒビが入り、そこから覗き込むと…………あれって……エールたち?と言うか取り込まれてるし、ミナト達は……大臣に敗北?

 

「どないするや!ミナトたちはボロボロだし、プリキュアも全滅……」

 

「ぷりきゅあ、いる」

 

はぐたんが指を指した方を見ると……小さくなったプリキュアたち……そうね、元に戻せば……って

 

「無理ね。私やハリーたちじゃ彼女たちの思い出がない」

 

「あーどないしたらえぇんや!」

 

「はぐっ……」

 

このままじゃ……どうしようも…………ない

諦めかけた瞬間……

 

「何とか出来るぞ」

 

声が聞こえ、振り向くとそこには……

 

「ハイト!?」

 

「大ボス登場って!?終わった……」

 

まさかこんなときに……ハイトは手をかざすと、地面からある装置を出現させた。あれって…………

 

「このまま大臣の思惑通りにはやらせないからな……この皇具『全知記憶メモリアル』は世界の全ての記憶を具現化させる」

 

「記憶の具現化?」

 

「アホか!?人間の記憶はミデンが粗方……」

 

「知らないみたいだな。記憶は……人間だけにあるのではない。言ったろ。この世界全ての記憶を具現化させると……誰かが覚えてなくても、花や空、大地や水、木や草、この世界に生きる動物。物にも記憶はある!だとすれば……見ていたはずだ!プリキュアの戦いを!プリキュアたちの日常を!プリキュアたちとの思い出が!」

 

そうか……それなら……後は……いつまで寝てるのよ!ミナト!

 

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

俺は……生きてるのか?体から力が……こんな……所で俺は……

 

『ダメです……』

 

声が聞こえた。この声は……

 

「ヌル?」

 

『貴方はここで死んではだめ……』

 

「お前……あの時……大臣に……」

 

『貴方は壊された私を持っています……』

 

そう言えば……拾ったな……

 

『私の最後の力を貴方に……この力は貴方の全ての記憶が……力となります』

 

全ての記憶が……

うっすらだけど、顔がなかったヌルに顔が……寂しそうにするなよ

 

『お願い……あのオネストを……そしてミデンを救って』

 

「ミデンは救えないな」

 

『えっ?』

 

「ミデンを救うのは……キュアエールだ。あいつは敵だからと言って救おうとしているお人好しの……プリキュアだ。だから……エールと俺を信じてろ!!!!」

 

 

 

 

 

 

「虫の息みたいですね。さっさと……ぐへっ!?」

 

俺は大臣を蹴り抜く。そして……ミデンを見詰めた

 

「お前は俺では救えないけど……オネスト……お前は……俺が始末する!ナイトレイドとして!」

 

「どこまでも邪魔を!」

 

「ヌル……力を貸してくれ!そして!マシェリ!アムール!エール!お前たちの愛を!ヌルと共に!力と変える!!レガオン!真龍騎!発動!」

 

レガオンが形を変え、虹色の鎧へと変えた。これは三人の愛の力とヌルの最後の力……俺の記憶を力に変えた新しい力!

 

「新しい姿になろうとも!グランシャリオ!インクルシオ!」

 

オネストが迫り来るが、俺はオネストの腹部を殴り、更に蹴り飛ばす

 

「がはぅ!?」

 

「お前はただ殺すだけじゃない!その魂すら残さない!」




映画本編では、プリキュアたちを復活させるのには劇場にいる人たちの記憶でというメタ的な要素で復活でしたが、こちらではむずくね?と思い、こんな感じになりました



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第137話 真龍騎

今回はミナトVSオネスト戦です


チェルシーside

 

ハイトが起動させた皇具にキラキラしたものが集まっていく。これが……プリキュアたちと過ごした世界中の記憶……

 

「これなら……」

 

「さぁプリキュアたちよ!思い出すんだ!」

 

部屋中が記憶の欠片が満たされた瞬間、ミナトたちがいる部屋の中央に積まれたステンドガラスが光輝いた。

 

「後は……」

 

「あっちは大丈夫よ。ミナトが立ち上がっている」

 

「そやな!わいとはぐたんはここで見届けるから、チェルシーは……」

 

「そうね。みんなと合流しないと」

 

「ならば、私は残ろう。あの男の最後を見届けねば」

 

ハイトは何処まであの大臣を恨んでるのか気になるけど、とりあえず外に出て、みんなと合流しないと

 

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

「みんな、ここは俺に任せろ」

 

俺は陽斗たちにそう言いながら、ある帝具を発動させる

 

「これは!?シャンバラ?」

 

「お前!?」

 

「悪いな」

 

シャンバラで強制的にみんなを外へと転送させ、大臣を睨んだ

 

「ふふふ、新たな力に覚醒したところで……私とミデンに敵うと……」

 

「いや、お前一人だ」

 

「うっ!?苦しい?何だ?何でお前が残って……」

 

「どうしたのですか?ミデン?」

 

「キュアエールが中に!?ああああああああ」

 

ミデンはもがき苦しみ、壁を突き破って外へと出た。エールも頑張ってるなら……なおさらだな。俺は両腕を黒く染めると

 

「まぁいい!あんな壊れた玩具なぞ!後でも調教できる!」

 

「お前には後なんてない!『インクルシオ!ブラート!』」

 

大臣の顔面を殴り、更に踵落としを食らわせ、手をかざすとインクルシオの副武装であるノインテーターで大臣の右肩を突き刺す

 

「ぐぎゃ!?何だ?私のヌルの力が……この体を傷つけた?ふざけるな!」

 

「まだ行くぞ!『エクスタス!』と『クローステール!』」

 

攻撃を仕掛けてくる大臣に向かって、眩い光を出し、目をくらませた後、今度はクローステールの糸で縛り上げ、思いきり上へと上げ、地面に叩き落とした

 

「がっ!?がはっ!?何だ?こいつの力は…………だが傷なんて……ライオネルの超回復でいくらでも!」

 

傷を治してまた立ち上がるか……

大臣は距離を取り始めた。

 

「アドラメレク!デモンズエキス!ブラックマリン!ルビカンテ!」

 

雷の竜と氷の竜、水の竜と炎の竜を作り出してきた。にしてもブラックマリンは水がないとあまり能力が発動できないけど、書き換えたのか

 

「この四体の竜から逃げられるもの……」

 

「逃げる必要はない……パンプキン!スサノオ!」

 

パンプキンのビームで炎の竜を貫き、その先にスーさんの奥の手の一つ八咫鏡で水の竜に向かって反射。更にその先にまた八咫鏡を出現させ……何度も反射を繰り返し、全ての竜を消し去った。

 

「なっ……」

 

「天叢雲剣!」

 

戸惑っている大臣に向かって、天叢雲剣の一撃を喰らわせる。

 

「これで終わりか?」

 

「ふふ、まだ……終わりではないですよ……どうやらあなたの使うヌルは……ナイトレイドの持つものみたいですね。まぁシャンバラを使ったのは意外でしたが……耐えきれば……」

 

「あぁ、ナイトレイドのミナトとしてはこれで終わりだよ。次は…………イェーガーズのミナトとして……戦う」

 

今度は両腕を白に染めた。

 

「何をバカな……」

 

「『ルビカンテ!』『マスティマ』」

 

白い翼を広げ、羽を飛ばす。羽は大臣に向かっていくにつれて火が灯り、大臣の体を貫いていく

 

「がああああ!?熱い……ブラックマリン!改修炎をすべて消し去る!」

 

炎を消し去り、俺に反撃を使用とするが……

 

「『八房』」

 

地面を殴った瞬間、大臣の体に何十人もの死体がまとわりついた。

 

「は、離せ!?」

 

「大臣を恨んで死んでいったみんな、悪いな……このまま一緒に打ち砕く!」

 

マスティマの翼を広げ、上へと飛びあがり、構えた

 

「『マスティマ!』『デモンズエキス!』」

 

氷の刃を部屋中に満たしていき、最後に氷の珠を俺の前に出現させた。

 

「喰らえ!」

 

俺が叫んだ瞬間、氷の刃が大臣の体を貫き、だめ押しの氷の珠をマスティマを利用して、勢いよく発射し、大臣と死体たちは吹き飛ぶ。

俺は地面に降り、胸を押さえた。真龍騎……負担が大きいな……

 

「ふふ、ふはははは!耐えた!耐えたぞ!」

 

ボロボロになりながらもまだ立ち上がるか……しぶといな

 

「どうやらお前の方が限界が近いようだな!当たり前だ!私はヌルの力の反動をイレイスストーンで無効化している!だがお前はそれをしない!それで差がついたな!更に!もうお前には帝具の記憶がない!残っているとしてもたかが知れたもの!」

 

大臣は嬉しそうに語る。確かにそうかもしれないな。たかが知れてるかもしれないな。知らないんだから!

 

「ナイトイェーガーズ」

 

「はっ?」

 

「この世界に来て、ナイトレイドとイェーガーズは一つに纏まった。その名だよ」

 

「それがどうし……」

 

「ナイトイェーガーズとしてお前との決着を着ける!『インクルシオ!タツミ!』『グランシャリオ!ウェイブ!』『ヘカトンケイル!セリュー!』」

 

「あ…あぁ…」

 

気を抜くと身体が爆発しそうだけど……まだだ!

 

「『アキヌフォート!サヨ!』『リゼルファ!陽斗!』『オウガデーモン!クロト!』」

 

ナイトイェーガーズの帝具を……みんなの帝具を……同時に発動させていく。これは……この最後の一撃は!俺たちの!力だ!

 

「『レガオン!真龍騎!愛龍騎!狂龍騎!龍騎!』」

 

溢れ出すオーラがみるみる内に形を作っていく。

 

「ど、ドラゴン……」

 

「終わりだ!オネストォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!」

 

一気に駆け出す。大臣は避けようとするが間に合わないと悟り……笑みを浮かべた。

 

「馬鹿め!イレイスストーンはつ……」

 

最後の最後でイレイスストーンか……だが……遅いんだよ!

発動させる前に大臣の腹に拳が当たり、大臣は壁に埋め込まれた。

 

「ナイトイェーガーズの帝具を……記憶を……舐めるなよ!『ヌル!』」

 

真龍騎が解除され、俺は倒れる。流石に無茶しすぎた……

 

「真龍騎……なるほど……お前の記憶を元に帝具の力を……いや、全ての能力を使えるか」

 

何で……ハイトがいるんだよ……いや、メラルドがいるんだから様子を見に来たのか

 

「とはいえ、本当に……知っているのしか使えないけどな……後は……村雨も使えたけど……大臣にそこまですることはないしな」

 

「ほう、だがまだ息はあるぞ」

 

身体の向きを変え、大臣を見ると確かにまだ生きてるのか……とは言えヌルで大臣の力を全部破壊したけど……

 

「ま……だだ……まだ……終わりでは……ない……」

 

「悪いが止めは私が刺そう」

 

ハイトが大臣に近寄るが、大臣が倒れている場所にシャンバラのゲートが開いた。

 

「殺す必要はない……と言うか殺してもこいつは復活しそうだから……こいつには永遠に苦しんでもらう事にしたよ」

 

「シャンバラ……何処へ繋げた?」

 

ハイトの問いに俺は笑みを浮かべた。

 

「シャンバラの行き先の設定は無限にある世界の中でもっとも苦しみ、痛みが襲う世界へと連れていくようにしたよ……永遠にな」

 

「やめ……やめてくれ……私は……」

 

「永遠に苦しんでろ。それがお前がしてきた事への罰だ」

 

「やめ……ああああああああ!?」

 

大臣はゲートに吸い込まれ、消えていく。

 

「奴にはお似合いの終わりだな」

 

「……ハイト……悪いけどまだ終わってない」

 

「ほう?」

 

見届けないとな……ミデンとエールを……

 

「とりあえず……ヌル……最後まで付き合ってくれ……ライオネル……」

 

傷を治して、何とか立てるくらいまでには回復した俺だった。

 




真龍騎の能力としては、ミナトの記憶を元に帝具の他クロトの皇具を扱えるようになっています。
メモリーズも残り二話!次回もお楽しみに!


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第138話 ミデン

マシェリside

 

気がつくと私達は城の外に出ていた。確か……ミデンに取り込まれて……

 

「突然まばゆい光が降り立ったと思ったら……プリキュアたちが戻ってきたのか」

 

すると私たちの所にナジェンタさんたちが集まってきた。そっか私達は……あれ?

 

「あれ?エールがいない!?」

 

「えぇ!?何で!?」

 

「まさか……下に落ちたとか……」

 

エールならあり得そう……するとアンジュがあることに気がついた。

 

「まさか!?」

 

 

 

 

 

 

 

エールside

 

みんなが外へと出ていく中、私はミデンの中にしがみついていた。

 

「うくっ……まだ……出てくもんか……」

 

『お前、私の中で何をしている!』

 

「今、私が出ていったら、またあなたがひとりぼっちになってしまう!」

 

『ぐぅ!?』

 

 

 

 

 

 

 

マシェリside

 

城から伸びるガラスからエール姿が……そっか……エール……いえ、はな先輩らしいですね。

すると私たちの所に何かの魔方陣が現れ、クロトさんたちがそこから出てきた。

 

「くそミナト!?」

 

「なんで……一人で……」

 

「ミナトさんがどうかしたんですか!?」

 

クロトさんは語った。ミナトさんがヌルの欠片とレガオンを一つにして、新しい姿で大臣と一人で戦おうとしていると

 

「そうですか……では安心ですね」

 

「はぁ!?何いってるんだ!」

 

「心配じゃ……」

 

「陽斗さん、ミナトさんはこう言うときは一番強いのです。それに一人で戦おうとするのはみなさんが足手まといとかではなく、外で私達プリキュアの力になってくれって意味だと思います」

 

何となくミナトさんならそうすると思っているから私は分かる。

 

「アホか……ミナトは」

 

「だけど大臣はかなり強いぞ……新しい姿でも……」

 

「タツミよ。お前はミナトと言う男を知らないみたいだな」

 

エスデスさんが笑みを浮かべていた。そしてあることを話してくれた

 

「以前、ナジェンタと飲んだときに、ある話をしてな。今のミナトがもしもあの世界での最後の戦いに参加していたらどうなっていたかを」

 

「はぁ?」

 

「奴がもしも最後までいた場合……革命軍の生存率が上がり、私たちは負けただろうと」

 

「逆にミナトがイェーガーズにいたら……革命軍は負けていた。ミナトの実力は今やそこまで上り詰めている」

 

「タツミ、ミナトの強さは底がない。それにあいつは必ず勝利してくる。それがミナトだ」

 

「アカメ……分かった!」

 

私は……ううん、私達プリキュアとナイトイェーガーズは駆け出した。エールを……ミデンを助け出すために!

 

 

 

 

 

エールside

 

ミデンは暴れまわっている。だけど私は離さない!

 

『やめろ!お前と話すことはない!出ていけー!』

 

「いや!絶対に離さない!私は貴方と話したいの!」

 

『お前たちは記憶さえ寄越せばいい!私の中を勝手に掻き乱すな!』

 

 

 

 

 

 

 

 

マシェリside

 

「待ってて、エール!」

 

城へと向かっていくと、城から大量の虫みたいなものが出てきた。

 

「小型のミデン!?」

 

迫り来る小型のミデンだけど、私たちの前に何かが現れ、小型のミデンを蹴散らしていく。

 

「こいつらは俺たちに任せろ!」

 

「プリキュアたちは急げ!」

 

タツミさん、マインさん……それにナイトレイドの皆さん……

 

「行きましょう!」

 

今私達は……プリキュアはミデンの思いを救おうとしています。だからエール、待っていてください

そしてミナトさん……待っていますからね

 

 

 

 

 

 

エールside

 

『もっと!もっと!たくさんの眩しい記憶を!心を満たせばお前なぞ!』

 

「やめてミデン!どんなに奪っても心は満たされないよ」

 

『うるさい!うるさい!』

 

ミデンの苦しみながら、私は必死に耐えていた。

気がつくと、ミデンの心の中にヒビが入った場所を見つけた。私はそこへ入ると……雨が降り、その中心には小さなミデンがいた

 

「悲しい雨……あなたの涙なのね」

 

「僕はこれしか知らない」

 

「そっか、ミデンは偉いね。ずっとこんなじゃ冷たくて……凍えて動けなくなちゃうのに、自分で変えようとした……でしょ」

 

「……君が言ったじゃない……結局僕は満たされないって」

 

私はミデンを抱き締めた。

 

「それは違うよ。誰かから奪った思い出じゃ満たされないって、そう言ったんだよ」

 

「同じだよ……」

 

「違うよ……全然違う。ミデンが自分で経験したことを積みあげていこう。それが本当の思い出になるから」

 

「本当の思い出……」

 

「私達と一緒に……買い物いったり、はぐたんのお世話したり、ピクニック行ったり、笑ったり、怒ったり、泣いたり、驚いたり、キラキラな眩しい思い出、今から作っていこう」

 

「今から……」

 

いつの間にか……雨が止んでいた。ミデンの心が晴れたんだ

 

「僕は憎しみの塊だ……それに……ヌルは……あいつらに……」

 

「それは違いますよ……ミデン」

 

声が聞こえ、振り向くとそこには女の子とミナトくんがいた

 

「君は……」

 

「ミデン……私はヌル。貴方に教えなければいけないことがあります。私は……大臣に……いいえ、私たちは大臣に利用されていました。そして私は……大臣に力を奪われ……壊されましたが……彼のお陰でこうして貴方に会えました」

 

「ヌル……ヌル……」

 

「ミデン、ヌルと過ごしてたんだよね?それだってキラキラな思い出だよ」

 

「う、うぅ……」

 

「憎しみの塊って言ったけど、今から変えられるよ。なんでもできる。なんでもなれる。フレフレ、ミデン」

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと私はプリキュアとナイトイェーガーズのみんなに囲まれながら、元の世界に戻っていた

 

「エール」

 

「みんな……」

 

ミデンは……あと一押しだ……

 

「みんな、力を貸して……」

 

その瞬間、みんなの手にミラクルライトが渡り、ミナトの鎧から小さな光がミデンに宿った

 

「ヌル……そっか……」

 

「みんな……」

 

『プリキュアレニーズシャイニングメモリー』

 

みんなの思い出が……世界に照らされていく

 

(私たちの思い出、失敗ばっかり、大好きって気持ちを忘れかけたり)

 

(大切になればなるほど、離れることが怖くなったり)

 

(絶望しそうになったことも、何度もあって)

 

(びっくりしちゃうことの連続だったけど……)

 

(キュンキュンしたこともいっぱいで)

 

(毎日、みんなとウルトラハッピーで)

 

(楽しかった思い出が今でも心に響いてる)

 

(それでも泣きたいことはありました)

 

(雨がとっても冷たくて、心は痛かった)

 

(みんなの心がバラバラされて苦しかった)

 

(でも一人じゃないから頑張れた)

 

(大好きな人たちがいれば、怖くたって、何度だって立ち上がれた)

 

(だからミデン、今日貴方と出会ったことも辛かったこときっと思い出になる。未来で私達に勇気をくれる)

 

「そう教えてくれたの貴方だよ。ありがとう。ミデン」

 

「ありがとう……」

 

ミデンは消えていく。だけど忘れないからね。だってこれからも貴方と思い出を作っていくから……

 




次回でメモリーズ完結!オリストになります


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第139話 思い出と愛と未来へと

今回でメモリーズ完結!


ミナトside

 

ミデンの騒動が終わり、俺たちはピクニックを再開した。しかもプリキュア全員でだ。

あの後の事を語るとしたら、いつの間にか消えていたハイトとメラルド。チェルシーの話ではハイトがプリキュアを助けたらしいけど……

 

「それにしても……あの時のヌルの言葉って一体……」

 

ミデンが消えいくなか、ミデンの心の中に残ったヌルの言葉が聞こえた。

 

『ミナト……愛を忘れないでね。そうすれば奇跡が起きるから』

 

あの言葉の意味は分からなかった。と言うか愛を忘れるなって……そんなこと……

 

「ミナトさん?」

 

「ん?どうした、えみる」

 

えみるが心配そうに俺を見ていた。考えていたのが顔に出たか?

 

「いえ、ミナトさん、まだ傷が痛むんですか?」

 

「いや、何か調子がいいくらいだけど……」

 

「そうですか。でも不思議ですね。ミナトさん、一番重傷だと聞いていたのに、傷が治ってるなんて」

 

「うーん、多分ヌルの力を使った影響かもしれないな」

 

ライオネルの超回復で傷がふさがった可能性がある。まぁ知らずに使っていたから俺にも分からなかったけど……

 

 

 

 

 

 

 

エスデスside

 

「ミナトの傷は、ヌルの影響か?」

 

離れたところでミナトとえみるを見つめている私とスタイリッシュ。スタイリッシュは私の問いに首を横に振った

 

「違うわね。ライオネルの超回復でもあそこまで完治するなんて思えないわ。ましてや特殊な帝具だとしても同時使用は身体の負担が大きいわ」

 

「では以前話していた……」

 

「えぇ愛龍騎の後遺症ね。とはいえ今回はヌルが引き出したからだと思うわ」

 

「ふむ……愛龍騎か」

 

「彼は本当に面白いわ。ただ」

 

「ただ?」

 

「ハイトが使った皇具。あれは何のために作られたのかしらね」

 

戦いが終わっても謎が深まるか

 

 

 

 

 

 

 

メラルドside

 

研究室に訪れ、私はフラスコの前に立つハイトにあることを聞いた

 

「皇具を一つ犠牲にしてまで力を貸したのは……大臣が邪魔だったかしら?」

 

「あぁ、奴は私の計画の邪魔であり、切っ掛けでもある」

 

「切っ掛け?」

 

「いずれ話すさ。それに今回は奴等には気がつかれていない。あの皇具の本来の役割に関して……」

 

フラスコに浮かぶものを見て笑みを浮かべていた。本来の役割か……

 

「星の記憶から憎しみ、怒りをレギオンに集め終わったのね」

 

「そう、これで完成する。楽しみにしていろフォルシュ」

 

フラスコに浮かぶフォルシュは笑みを浮かべていた。本当に……自分の計画のために今回の件を利用したのね。

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

ミデンの戦いから数ヵ月後、俺たちは最後の戦いを勝ち抜いた。ヌルが残した最後の言葉の意味……その時に俺は気がついた。愛を忘れないでか……確かにそうだったな。

 

「どうしたの?ミナトくん」

 

「ん?いや、ちょっとな」

 

「何か考え事?もしそうなら相談に……」

 

「ただ単にミデンの騒動の事を思い出してたんだよ」

 

「あの時は……大変だったね」

 

「あぁ、だけどこれから先もミデンに思い出を沢山与えるんだろ」

 

「うん!」

 

ルールーやハリーたち未来の皆が帰る前に集合写真を撮ろうか……全く部屋の掃除をしていたら、そんな話になるとはな

 

「はな」

 

「何?」

 

「ありがとうな」

 

「へ?何が?」

 

この世界に来て、最初にはなたちと出会えたこと、夢物語だった願いを叶えられたこと……心だって救えることを教えてくれたこと……色んなこと全部含めて改めてお礼を言ったけど……まぁわざわざ言うことではないか

 

「さぁてな。ほら、みんな待たせてるから急ぐぞ」

 

「え?あ!?ミナトくん!ありがとうって何がなの?教えてよ~」

 

俺はこの世界で未来へと向かっていく。この平穏な世界で積み上げてきた思い出と共に!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予告

 

一人の少年が導かれた世界……少年はプリキュアたちと共に戦う。

勇者の力に似た大罪の力を使って……そして記憶に映り込む桜の勇者は誰なのか……

 

『デリシャスパーティープリキュア 大罪の勇者』

 

近日更新予定




これにてメモリーズ編完結!
映画の話は本当にいつか書こうと思ってましたが、ようやく書けました。何気にこの龍騎の暗殺者は自分の中でもおも入れがあるので短い間ですが復活できて良かったです

そしてデパプリの話も書く予定ですので、一応予告も
その際はまたよろしくお願いします



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