ツナっていこう (朝昼晩御飯)
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気づいたら乳飲んでて、渡辺綱になった。

豆腐メンタル
駄文
不定期投稿

三拍子揃った駄目作者です。


 

 

 

あぁ、神様俺が何をしたというのです。

 

 

苦節10年、必死に生きてきた俺に対してこの仕打ちはあんまりだ。

 

いや、そりゃお世辞にも誰これ助ける聖人君子みたく凄く立派に生きてきたかって言われるとそうじゃないって答えるしかない。

 

それでも、悪いことはせずに親のいうこともよく聞き、先生からの評判は「皆のリーダーに相応しいぐらいの優しい子」とまで言われたし、そこそこ立派に生きてきたっていう自負がある。

 

父親が早くも事故死したこともあって、母子家庭の家の家計をなんとか助けようと高校生ながら必死こいて掛け持ちしてまでアルバイトもしたし、勉学のほうもトップとまではいかないけど忙しい合間を縫って勉強して上位に入るぐらいまでに頑張った。

 

友達との関係も大事だってわかってたからいっぱい作って、助けて、助けられて、とにかく仲のいい関係を築いた。

 

つまり、とにかく頑張って生きた。

それも必死に生きた。

 

別にアルバイトが辛いだとか、友達関係がしんどいだとかなかった。

 

アルバイトは人生経験にもなったし、友達と過ごす時間は俺にとって息抜きにもなってすごく楽しかった。

 

 

なのに。

 

 

なのに。

 

 

 

こんなのってあんまりだ!!!!

 

 

 

 

「んー?なかなか泣き止まないわね。お乳そんなに美味しくなかったのかな?」

 

 

ちゃうねん。ほんまちゃうねん。

 

 

俺が今泣いてるのは、お腹が減ってるでもない、トイレに行けないのでもない、ましてや貴方様のお乳が決して不味いという訳では無いのです。

理由は別にあるのです。

 

 

 

「あぁよしよし、泣かないで泣かないで。あなたが泣くと私までないてしまいそう。」

 

 

すみません。ほんとすみません。

 

泣きやもうと努力はしているのです。一応は。

だけど、その努力を上回るほどの悲しさなどで泣きに泣いているのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう1度言おう。

 

神様俺が何をしたというのです。

 

 

あの日、あの時、あの場所の出来事ですら、俺が何をしたというのか。

 

神様あなたは不公平だ。

 

会ったことのない神様、俺は一生今起こっていることを恨むでしょう。

 

 

何故、何故なのですか。

 

何故俺がこのような仕打ちに打ちひしがれなければいけないのでしょう。

 

 

 

「あら、もうお腹いっぱいなっちゃったのかな?それともよっぽど不味かったのかな?ごめんね、不味いお乳で」

 

 

あぁ、そのような悲しそうな顔をしないで下さい。

あなたは何も悪くは無いのです。

悪いのは全て理不尽な神様なのです。

 

 

 

 

 

 

 

・・・もうこの際はっきり言おう。

 

なんで俺がこんな恥ずかしい真似をされなければいかんのじゃ。

 

まじ、どつきまわすぞ神様ワレェ。

 

 

 

「ほーら、よしよし。よいこだねんねしな。」

 

 

もうあかん。叫びたい。

 

思いっきり叫びたい。

 

 

この理不尽を思いっきりぶちまけたい。

 

 

 

 

だけどそれは出来ない。

したくてもできないのだ。

 

 

 

だって何故なら。

 

 

 

 

「あれ、泣き止んだ?・・・ずっと泣き続けたり、急に泣き止んだり不思議な赤ちゃんね」

 

 

 

 

そう、何故なら。

 

 

 

俺は赤ちゃんになっちゃったのだから!!!!!

 

 

 

 

 

 

おうおう、ちょい待てちょい待て。

 

何言ってんだ糞虫とか思ってるかもしれないがマジなのだ。

 

このゴミクズふざけるのもいい加減にしろって思ってるかもしれないが大マジなのだ。

 

 

 

気づいたら、赤ちゃんになって乳丸出しにしてる女の人に乳飲まされとったんや。

 

そう赤ちゃんプレイだ。

 

いや、俺自体赤ちゃんになっているからプレイという訳では無い。

 

これは赤ちゃん羞恥プレイだ。

 

あ、だめだ。自分でいっていて頭おかしくなっちゃった。

 

 

 

 

 

 

とりあえず、状況を整理したいと思う。

 

 

最初に俺は死んだ。

 

 

それも盛大に死んだ。ごめん嘘。

 

 

アルバイトの帰り道に轢かれそうになっていた老婆を助けようとして、トラックに轢かれて死んだ。

 

引かれて死んだこと自体に悔いはない。

老婆を守れてよかったっていう気持ちが強い。

 

何より、一瞬だけ痛みが走って、死んだと気づくまもなく死んだのだ。

 

まぁ、死んだって気づいたのは今この状況のせいでわかったんだけどな。

 

 

まぁとりあえず、俺は死んだことで話を進めていく。

 

 

死んだ俺が次に気づいたのは乳を飲まされていたさっきまでの状況だ。

 

 

 

終わり。

 

状況整理終了だ。

 

 

こんなのおかしいよ!!

 

 

なんだよ、気づいたら乳飲まされてる状況って!

 

俺にそんな性癖ないから超絶恥ずかしいわ!

 

 

嬉しかったけど恥ずかしいわ!どっちだよ!

 

 

 

 

 

 

ふぅ、落ち着こう。

 

 

 

 

俺の考えが知識が正しければ、これは転生だ。

所謂神様転生ってやつなのかもしれない。

 

まぁ、神様とか会ったことないのでどうかは分かりませんが。

 

とりあえず転生はしたのだろう。

 

この転生っていうのは、マンガやアニメとかではどこかに転生ってことになる。

例えば、2次元の世界や過去だったりな。

 

 

じゃあ俺はいったいどこに転生したかって言うと。

 

ぜんぜん分からない。

 

まったく分からない。

 

辛うじて、昔の日本なのかなぁ?っていうぐらい。

 

だってさっき俺に乳飲ませていた女の人の服装が着物だったり、俺がいる場所がテレビの時代劇でみた城の中に似てたり、さっきちらっと見えた外の景色が京都にある枯山水みたいな感じの庭だったりするからだ。

 

 

あぁあともう一つ理由。

 

 

今、知っている名前が耳に聞こえたからだ。

 

 

 

「あなたはあの「源宛」のご子息なのですよ。泣いてばかりではなく強く生きてくださいね」

 

 

源宛。みなもとのあつる。

 

 

皆は聞き覚えなんて無いかもしれない。

だってそこまで有名な人物じゃないからだ。

 

俺もなんとなしに読んだ今昔物語で覚えた人物の名だ。

 

実はこの源宛はある人物の父親なのだ。

 

その人物は結構有名だ。

 

だってあの音に聞きし頼光四天王の一角なのだから。

 

 

「あなたは渡辺綱。これから必ず武勇に名を残すであろうお方なのですからね。」

 

 

渡辺綱。

 

頼光四天王の筆頭にして武勇を現代にまで轟かせたあの渡辺綱。

 

大江山の酒呑童子、京の土蜘蛛などを源頼光と四天王とともに倒したあの渡辺綱。

 

有名なのは、一条戻橋で鬼の腕を切ったことだろうか。

 

アニメやマンガ、そして歴史に造形が深い者達は名前を聞いたことがあるだろう。

 

 

 

 

 

どうやら俺はその「渡辺綱」に転生した模様。

 

 





めちゃくちゃ投稿遅いと思います。

よければなんて言いません。

駄文不可避なんで、作者の自己満足で書いていきたいと思います。


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主君に会いに行こう!

一応は歴史とか調べてみたんですけど、間違ってるかもしれないです。

間違ってたら、この世界は平行世界だって思ってください。

・・・ほんとにお願いします(震え声)




 

 

 

 

 

 

渡辺綱は平安時代中期に生まれた。

 

 

 

 

 

 

中期の平安時代は富豪層と貧困層との経済格差が広がり、富豪層の人間が貧困層を支配するようになった時代だ。支配というのは具体的に課税のこと。

 

そして、この頃から貧困層が富豪層の支配から逃れようとして、偽籍や逃亡、浮浪などを繰り返すようになった。

 

それを受けた朝廷が人的支配を放擲し、そして天皇は軍団制などを廃止することを決定。その結果として朝廷の治安維持の機能が無くなったため、治安が荒れに荒れた。この頃の日本は無政府状態へと陥ったのだ。

 

無政府状態のため強奪などの犯罪が横行して、日本はてんやわんや。

強奪などの群盗活動が活発になったのを期に、富豪層の人間は自衛のために自ら武装をした。

 

 

 

これが武士の始まりだ。

 

 

 

渡辺綱はそんな武士の家系である源の子供として生を受けた。

 

 

 

 

 

「綱様、お食事の時間です。そろそろお稽古を終了なさってはどうですか?」

 

 

俺が渡辺綱に転生してから月日が経ってもう9年になる。そして渡辺綱として俺は今年で9歳になった。

 

 

「うん、そうだね。今、行くよ。」

 

俺は、朝の稽古である木刀での素振りを終え、従者から手拭いを受け取り身体中の汗を拭き取る。

 

ふぅ、すっきりした。

 

その後に水も受け取り、水分補給もする。

運動のあとのお水は格別だな。

 

 

 

 

 

 

俺が渡辺綱になったと気づいたあの赤ちゃんの頃から色々とあった。

 

まず、渡辺綱の史実通り父であるはずの源宛はやはり俺が生まれた(転生したので生まれたかどうかの記憶なんてないが)頃若くして亡くなっているようだった。

 

なので、俺は養子に出されることとなり。その引取り先が源敦という源満仲の娘婿に出されることになった。

ついでに言うと源満仲とはあの源頼光のお父さんのことだ。

 

そしてあれよあれよと引っ越すこととなり、西成郡渡辺(現代で言うと確か大阪市中央区だったかな?)に行くことに。

 

まだ赤ん坊だった俺は自ら何かを発信することなど出来るはずもなく流されるままとなった。これまでの情報も全て聞き耳をたてて聞いていた。

 

それから九年もの間。義理の父である源敦の下清く正しく美しく生きてきた。

 

 

 

 

「どうかなさいましたか綱様?ぼーっとしておいででいるようですが」

 

「ううん、ちょっと疲れてるだけだよ。ありがとう。」

 

おっと、考え事をしているのが従者に心配を掛けてしまった。気をつけないとな。

 

「そうですか、充分に休息をとってくださいね。ささ、お食事処へと案内します」

 

俺は手拭いや水などを従者に預け、食事のもとへと向かう従者の後ろへと着いて行った。

 

歩く道すがら考える。

 

この9年間特に何も起きなかった。

 

音に聞きし平安京は経済などの問題を聞くがまだ子供である俺にとってあまり関係の無いこと。

ましてや武士の家系に生まれたとはいえそういった経済事は有力貴族などがすること。

 

俺は今の今まで、自らを鍛える稽古と学問に勤しむ9年間を送ってきた。

 

転生してはや9年。時の流れとは早いもので、今日まで平和な毎日を送ってきた。

 

最初こそ乳飲んでた状況に恥ずかしさや戸惑いを覚えたが、義父である源敦(次からは義父上)や優しさ溢れた従者たちに(さっき手拭いや水をくれた人はトメさん)囲まれる日々を過ごしたお陰で、現代で過ごした時とのズレをあまり感じないでいる。

 

いやまぁ、流石に現代との様式美のずれとかは感じるがそういうのも慣れた。

ほら現代音楽とかが俳句になったりとか。

 

一番の心配であった食事も家が武士の家系なので質素なものを食べてはいない。家様様である。

 

 

 

「どうぞこちらです。先に淳様がお食事を頂いております。では綱様ごゆっくりどうぞ。」

 

ありがとう、と伝えて案内された座敷の前に立つと。

 

「失礼します」

 

そう言って座敷の中へと入る。

中に入ると先に食事を頂いている義父上がいた。

 

俺は義父上に一礼をして用意されている食事の前に座った。

 

「食べなさい」

 

俺が座ると義父上がそう言ったので目の前の食事に手をつける。

 

今日の朝ご飯は白ご飯、鮎の焼き魚に那須のおひたし、お味噌汁だ。

 

これだけなのだが、この時代質素でもなんでもない。

まず白ご飯などは上流階級の人たちでの間でしか食べられていなかった。

 

庶民の人々は白ご飯ではなく雑穀などを食べており、しかも腹持ちなどをよくするためにかゆなどにしてかさ増しにして食べているようだ。

 

なのでしっかりと白ご飯がでてきて、なおかつオカズもある食事は結構贅沢なのだ。

 

現代では考えられないよな。

 

 

 

 

 

「どうだ綱、稽古の方は。しっかりとやれているか?」

 

鮎の焼き魚に手を出している時、義父上が話を掛けてきた。

 

「はい、しっかりとやれてます。」

 

「では、学問の方はどうだ?」

 

「はい、そちらの方もしっかりとやれてます」

 

 

そうか、と呟くと義父上は口を閉じた。

 

・・・ちゃうよ。・・・全然ちゃうよ。

別に仲が悪いってわけじゃない。

 

義父上は口数が少なく厳格な人だからこんな会話になっちゃうだけ。

 

あと俺の口調とかも敬語になってるだけど、これは仕方ない。だって平安時代なんだもの。

 

今の時代タメ語とか使ったら注意されるのは目に見えてる。だから敬語をしっかりと使ってるだけ。

 

もう1度言うけど、義父上との仲は悪くない。

 

 

ほんまちゃうで?

 

 

 

 

「・・・ところで義父上、満仲様のほうはどうでしょうか。ご壮健であられますか?」

仲のいいところみせようと俺から義父上に話をすることにした。見とけよちゃんと仲良いから。

 

そして義父上の主君である源満仲様のことを聞いて今がどういった時系列なのかも聞いてみよう。まぁ、聞いたところで平安時代の細々な歴史なんておぼえてるってわけじゃないけどね。

 

それに義父上なら「ご壮健でいる。お前も早く立派になって仕えなさい」とかなんとか言うと思うし。

 

だが予想に反して義父上は俺が考えていた言葉とは違うことを言った。

 

「そのことなんなんだが。綱お前に言っておきたいことがある」

 

「ん?は、はい。なんでしょうか」

 

なんだか義父上の様子がおかしい。

なんかそわそわしているし。

さっきまで手にしていた箸を置いて俺の方を真っ直ぐ見る。

 

 

「実はだな、満仲様は武士団の棟梁を引退することになった。」

 

「・・・は、はぁ。はぁ!?」

 

ど、どゆこと!?

 

って、引退ってことはあれか病気とか?

 

あっ。置いてけぼりにしちゃったね。今説明すると。武士団ってのは武士の軍隊みたいなものだ。

この武士団のトップが棟梁となる。

つまり源氏の棟梁ってわけだ。

 

そして満仲様はその武士団を最初に作った人で今の今までそれを率いていた。(満仲様が源氏の棟梁)

でも満仲様はまだ若くて40歳にも満たしていない。いや、今の時代だと結構高齢なんだけどな。

 

引退ってなるとそれ相応の理由がいるとは思うんだが。

 

「えーと。どういうことでしょうか義父上。満仲様は、まだ現役で活動できるかと思いますが?」

 

「あぁ、満仲様自体はまだ現役では活動できる。だがなこれからずっと満仲様が武士団を率いていくという訳にはいかない。」

 

「と、言いますと?」

 

「満仲様のご子息が武士団を継承して、早くから実戦経験を積んでおこうという考え方だ。」

 

あぁ、なるほどね。

ご子息ってことは源頼光のことになるよな。

だから引退ね。

へぇ、早い時期に源氏の棟梁になるんだな。

 

「無論、継承はある程度の経験を積んでからとなる。今はまだ満仲様が棟梁のまま、ご子息がその補佐となり経験を積むというお考えのようだ。」

 

納得行きました。

義父上の様子がおかしかったのは、これをはなそうとしてたからなのね。

 

ん?でも。その話を俺にしてどうしたいんだろう。

俺ってまだ元服すらしていない若造なわけなんですが。今からそんな組織の話とかされても何も分からないんですけど。

 

「あの、義父上。私にその話をされたのは何故なのでしょうか?まだ元服すらしていないので組織の話をされてもどうにも。」

 

その旨を義父上に伝える。

 

「うむ、そうなのだがな。ご子息が棟梁になるということは部下が出来るということだ。」

 

「はい、そうですね。」

 

「そして、棟梁としての経験を積ませたいと満仲様は考えている」

 

「はい、そうですね。」

 

「ということは実際部下ができたほうが経験にもなる」

 

「ん?まぁそうですね。」

 

「じゃあ部下作っちゃおうぜ。」

 

「はい?」

 

あれ?義父上こんな性格だったけ?

なんか違うんですけど。

 

「えっとつまり?」

 

「綱、部下になってきちゃいなよ」

 

そんなジ〇ニーさんみたいに言わないでください。

 

「とどのつまり?」

 

「ご子息に今から会って来なさい」

 

急すぎません?

俺まだご飯くってる最中なんですが。

 

 

え、うそ。ホントに今から行くの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さぁ頼光ママに会いに行こう!

このとき主人公はまだこの世界が「fate」とは知りません。


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歴史は当てになりまへん

頼光ママの口調が分からんぜよ。
変になってるのでその変はご了承ください。

あと展開が、展開がはやい〜。


 

 

 

源頼光についてちょっと話してみたいと思う。

 

 

 

 

源頼光は渡辺綱同様、平安時代中期に生まれた。

彼の出生地などは不明なのだが、父である源満仲が平安京に居をかまえていたのもあってそこで生まれたのではないかとされる。

源頼光は中流貴族たちと同じくして出仕し、父と同じくその時代摂関政治を行っていた藤原氏に臣従。

 

平安時代最大の荘園を誇り、「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」の歌で有名な藤原道長に仕えていたこともある人物だ。(ついでに言うとこの歌は、この世界は自分のためにあるようなもん、満月見たく何も欠けてないみたいにな。っていう超傲慢な歌だ)

 

そして、源頼光の何が有名かと言うと。

彼は今昔物語集や宇治拾遺物語、はては室町時代に成立した御伽草子での数多の説話で有名なのだ。

 

たとえば、大江山の酒呑童子、土蜘蛛討伐、浅草寺の牛鬼など、皆も聞いたことがあるような伝説の英雄でもある。

 

その他にも類まれなる武勇だったり、髭切や鬼切など有名な武器の持ち主だったり、彼の弟の子孫があの源義経や頼朝だったりと聞いて驚くような人物なのだ。

 

そんな超がつくほど有名な人物なのだが、目の前の人物を見て信じられない。

 

 

信じられないじゃなく、有り得ない。

 

 

いやまさか。

 

 

ほんとに?

 

 

こんなことってあるのだろうか。

 

 

今、目の前にいる源頼光が。

 

 

あの有名な源頼光が。

 

 

まさかまさか。

 

 

 

 

 

 

・・・女だったなんて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ことの始まりは義父上からの急すぎる申し出からだ。

 

 

あの後、ご飯を早くに掻っ攫いドタバタと従者が俺の前に出現。

あれよあれよと着替えを急かされ、その他もろもろの準備を促され。

気づいた時には、馬に乗せられていた。

 

この間、僅か十分である。戦慄もんである。

・・・準備良すぎでしょう。

 

一応、お付き人として従者のトメさんが同行。

えっちらほっちらと源頼光のもとへと向かった。

 

そして、長いこと馬に乗って目的地に到着したのは3時頃。朝方に出発したので本当に長いこと馬を走らせた。

 

現在は源頼光のいる屋敷の中だ。

 

従者に座敷へ通され、源頼光と謁見は果たしている。

 

まず、源頼光の顔を拝見した時驚きより困惑が先に来た。この人が源頼光?的な。

源頼光さんが自ら自己紹介をしてくれたので信じれたが、他に源頼光がいると言われた方がしっくりくる。

 

 

「どうかなさいましたか?」

 

考え事をしていた俺を不思議そうに見る頼光さん。

おふっ、首をかしげながら見ないでください。可愛いすぎます。

 

頼光さんの容姿は一級品だ。

真っ白い肌に艶やかな紫がかった黒髪。スタイル抜群の身体に出るところが出過ぎている。ボンッキュッボンである。リアルボンキュッボンである。

 

あと声。声がとろとろしておる。

 

「いえ、なんでもありません。お初にお目にかかります頼光殿。渡辺綱と申します。以後お見知りおきを」

 

邪なことを考えていると悟られないようにしながら、自己紹介。大きく頭を下げながら言う。一応さん付けじゃなく平安時代らしく殿づけで。

 

「いえいえ、頭をお上げ下さい。若いながら丁寧な対応痛み入ります。」

 

若いっていうか、若すぎるっていうか。

義父上にも言ったが自分元服すら済ませてない若造なんですが。

 

まぁ、そんなの頼光さんに言っても仕方ないか。

 

とりあえず隣にいるトメさんから贈与用の品を出してもらう。

 

「これ粗品ですが。」

 

受けたまわりました。そう言って頼光さんは品を受け取ってもらう。

 

 

・・・なんというか。未だに信じられない。

ここまでの対応を見るといい所のお嬢さまって感じがする。まぁ武士の家系だからいい所の娘なのは確かなのだが。決して武士のトップに君臨するような人物には見えないんだが。

年齢の方も見た限り、15、6ぐらいかな?

若いながら源氏の棟梁になることが決まってる。

 

そしてこの人が俺の、渡辺綱の主君になる人。

 

 

「ときに綱殿は御義父上からなんと聞かされてこちらまで来られましたか?」

 

なんてって配下になるから会いに行ってこいって言われて来ましたんやけど。

 

「頼光殿の部下、つまり配下になると聞きまして会いに来た次第です。あと主君になられるお方ですので自分のことは呼び捨てでお願いします。」

 

主君になる人から敬称つきで呼ばれるとむず痒いので呼び捨てでお願いします。

 

「わかりました。ではこれからは綱と。・・・ではこれからの事は聞き及んではいないと?」

 

ん?これからのこと?

 

それってあれか。配下になるってことだよな。

 

「頼光殿の配下になるということですよね?」

 

「いえ、違います。私の配下になるのは決まっているのですが今日これからのことです。」

 

よく分からんぜよ。

 

今日これからの事って、この会合が終わったらそのまま帰るつもりなんすけど。

 

「あなたは今日から私と一緒に暮らすのですよ?」

 

は?

 

「そ、それってどういう・・・」

 

「そのままの意味ですよ。あなたは今日から私と衣食住を共にするのです。」

 

衣食住って・・・。こんな美人さんと一緒に暮らせるってことですか?

いや、嬉しいんですけど。普通に急すぎません?あれこれ、義父上に行ってこいって言われた時も似たようなこと言ったと思うんですけど。

 

「い、いや。今日は顔合わせでそのまま帰ろうかと・・・」

 

「まさか。今から帰ったら夕刻はおろか逢魔が時すら超えますよ」

おおう、ほんまやん。

もしかして義父上これ見越して、急がせて出発させた?

 

「ええ、ですから。今日からよろしくお願いしますね、綱。」

 

まじですか。

 

え、ほんまにまじですか。

 

 

 

 

不肖、渡辺綱。今日から主君である源頼光との同棲生活始めます。

 

 

 

 

 

 

 

 




この頃の頼光ママは今みたいにママしてません。
言うなれば頼光姉みたいな感じです。

あとほんま展開が早い


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脱げと言われたら脱ぎましょう



久しぶりの投稿・・・


 

 

 

 

 

頼光さんまさかの女だった事件から一夜明けた。

 

同棲生活やらなんやら言ったが、つまるところ住み込みで働けってことだ。

 

あんな美人からこれから一緒に住むのですよ?なんて言われたから錯乱してしまった。失敗失敗。

 

まぁ期待とかする以前にあんまり頼光さんとの絡みが無かったんだけどさ。

 

あのあと、頼光さんと分かれて屋敷の中を従者さんが案内してくれた。食事処や、今後俺の部屋になる場所や、俺の従者のトメさんの部屋や、鍛錬する場所、その他もろもろ。

大きい屋敷の中を精一杯案内してもらい、その後寝落ちした。

 

まじで絡みなかったから。

 

なんか残念だ。俺も男な訳だし、あんな美人すぎる頼光さんとはもっとお近づきになりたい。まぁもっともこれからは家臣として接するのだから、お近づきになったとしてもあんまり意味なんてないんだけどね。頼光さんにとったら俺なんてガキだろうし

 

なんか言っててなんか悲しくなってきた。

 

 

 

 

とりあえず、今現在は頼光さんと向かい合って外に立っている。

 

頼光さんと一緒に朝食をとったあと、親睦を深めようと一緒に鍛錬をすることになったんだ。

 

もちろん断る理由もないから二つ返事でOK。

 

 

なのだが。

 

 

「裸になって下さい」

 

 

これはいったいどういうことなんだってばさね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しの間放心すること数分。俺再起動。

 

 

いやいや、頼光さんのことだから他意はないんだろう。純粋に何かほかの理由があって俺を裸にさせたいんだ。そうだそうに決まってる。

 

・・・・・・いや、いやいや待てよ。裸にさせたい理由ってなんだよ。俺じゃ裸を見たいからとしか思いつかないんだけど。というかそれ以外にあるの?

 

例えば、ここで頼光さんに裸になれと立場が逆で言ったとして、明らかにそれセクハラじゃん。

 

あっれー、それ以外にあるというかそれしかないんじゃね?

 

いや、いやいや。頼光さんのことだ。前話(メタい)の一緒に住むのですよ?みたいに天然全開での言葉かもしれない。

 

 

「それってどういう意味でしょうか?」

 

「?裸を見るためですが?」

 

はいアウットー。

そういう意味でした。

 

 

「よく分かりませんが、とりあえず裸になってください。筋肉の質を見てどれぐらいの鍛錬にするか決めるので」

 

・・・・・・他意はありませんでした。

 

 

 

 

 

 

「ふむふむ、よく鍛えられてます。とても9歳とは思えない身体です。」

 

とりあえず、さっと上半身を見せた。

頼光さんは俺の身体をまじまじと見てそう呟くのだった。

 

「そう言ってもらえると、武士の端くれとして嬉しい限りです。」

 

まぁ、9歳の筋肉量なんて限られてるけどね。

鍛錬はしているけど、なるべく筋肉は必要最低限だけにして、技術面を磨いているつもりだ。つけすぎると身長伸びないって聞くし。ちなみにソースはない。

 

 

「はい。ありがとうございます。もう上を着ても大丈夫ですよ」

 

はい終わり。さっと着替える。

 

「だいたいどのような鍛錬にするか決まりました。最初は軽く私と打ち合いをしましょう」

 

そう言って頼光さんは木刀を二本用意して、片方を自分、もう片方を俺に渡した。

 

「それでは始めましょうか。」

 

「はい、わかりました。」

 

食後の運動としてやらせてもらいましょうか。

ここで頼光さんにいい所を見せれるところでもあるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side源頼光

 

 

 

 

 

 

どうも皆さん初めまして、源頼光と申します。

急な切り替え申し訳ありません。もしかしたらこれからもちょくちょく場面切り替えがあるかもしれませんが、どうかよろしくお願いします。

 

さて、今はツナと打ち合いを終えた所なのですが、私驚愕してます。

 

これでも私はお寺でかなりの修練を積んできたつもりです。厳しい修練を幼い頃から課せられ、必死に遣ったかいもあり実力の方は若いながらもかなりのものと自負しています。

 

そんな私が驚愕してます。

 

何を驚愕しているかというと今目の前で水分補給しているツナのことなのです。

 

親睦を深めようとすると同時にツナの今の実力を調べようと軽い打ち合いをしたのですが、私はツナの戦闘力に驚きを禁じえません。

 

先程も言いましたが私自身の実力は高いのです。それこそ、そこいらの武士より圧倒的に強いと言えるほどに。

 

そんな私がツナの戦闘力に驚愕した。これがどういうことなのか皆さんは分かるでしょうか?

 

齢9歳であるツナは私との打ち合いで引けを取らない剣術を見せました。

齢9歳の子がですよ?

 

剣の扱いは恐らく大人顔負け。剣筋は鋭く、動きは最適化、才能の塊です。

 

もちろんまだまだ荒削りではあるのですが、その才能に嫉妬と羨望を覚えます。そして期待も。

 

 

預けられていたお寺から父上に連れ戻されて早1ヶ月。そんな私に初めて出来た臣下。

正直な話、最初はどうのように接しようかと考えていました。

 

まだまだツナのことは分からないですが、剣の才能があると今日分かっただけよかったです。

 

できれば、私のこともよく知ってもらいたいものですが、どうなんでしょうか。彼は私の秘密を知っても嫌わずにいてくれるでしょうか。受け入れてくれるでしょうか。

 

・・・・・・救ってくれるでしょうか。

 

 

 

・・・いや、今は考えるのはやめましょう。

 

ツナ、これからもよろしくお願いしますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





やっぱ短い上に、駄文すぎます。ほんとにすみません。


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鬼の居ぬまになんとやら


テスト期間終わったー

でも次は受験なんすよねぇ〜


 

 

ココ最近になって(範囲は9年間)驚いたトップ3に入る出来事がある。

 

まず一つ目は言わずもがな、俺が転生したこと。

これは驚いたそれは驚いた。

なんせ気づいたら乳飲んでたから。

 

なんにも出来ないということに打ちひしがれて、泣きに泣いた。

何故自分がこんな目に遭わなければいけないのか。何故父飲まないかんのかと。誤字った。乳飲まないかんのかと。父飲んだら誰でも泣くわ。

 

まぁそのことは仕方ない。満足して死んだなんて言わないけど、そこそこ充実していて、人として当然のことをして死んだからまぁいい。その結果が乳のみなだけであって。

 

そして次に驚いたことが、史実では男の源頼光さんが実は女だったこと。

 

これもまた驚いたよね。

主君に会いに行って、どんなイケメンなんだと思って、会いに行ってたら、超絶美人なボンキュッボンなお姉さんが出てきたんだから。

 

デレデレしてたのを顔に出さずにしてたけど、バレてないか心配です。

打ち合いをしたときに胸が揺れてたの最高でした。良かったらその父揺れ、誤字った、乳揺れまた楽しみにしてます。

 

そして最後に驚いたこと。正直な話、これが1番驚いたかもしれない。

いやまぁ、最初の転生云々で大分驚いたけど、向こう9年何にもなかったがゆえの驚きというか。現代に生きたことがある俺だからこそというか。とにかく驚いた。

 

いやだってなんせ。

 

 

「ぐぎゃがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

まさか平安時代に「鬼」がいたなんて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話は数時間前に遡る。

 

 

「ツナお仕事の時間です」

 

自分の部屋で書物を読んでいた時に頼光さんが来てそう言った。

 

頼光さんは甲冑に身を包んでおり準備万端。かくいう俺は完璧にリラックスしていて普段着のまま。

 

え、急すぎません?

 

「え、今からですか?」

 

「はい、そうです。初めての武士団としてのお仕事。私とツナとで出発します。」

 

ということで急な出発が決まりました。

 

俺は急いで、ある程度自身の体に合った甲冑を着て頼光さんに付いて言った。

 

付いていったさきは馬がいるところ。馬に乗るってことは行き先は遠いのかな。

 

その後は、馬に乗って出発した。。

 

トコトコトコトコ。

 

頼光さんの後に付いていく。

 

 

「あの頼光さん、お仕事って言っても何をするんですか?」

 

 

とりあえず気になったことを聞いてみた。

 

 

 

少し今更の話なんだが。頼光さんの臣下になったからといって仕事はどんなことをするのだろうか。

 

頼光さんが率いる武士団というものは、主に治安維持活動を目的としている。武士団を結成した理由として農民らのストライキを抑えることが主だからだ。

 

となると、今回の仕事というのはストライキを抑えることなのだろうか?

だけどそれにしても、頼光さんと俺だけなのは気になるところなんだけど。

 

 

「お仕事は鬼退治です」

 

なんか予想外なやつ来た。

 

 

 

 

 

 

 

こうして、最初の方に戻る。

 

到着したのは一つの山。

 

今、俺の目の前にいる「鬼」。見た目はゴブリンに角生やしたみたいな感じ。身長も俺より低くて、手には棍棒を持っていてこっちを必死に威嚇している。

 

 

正直、「鬼」なんていうからもっと厳ついの想像していたんだけど、これはねぇ。なんか子供の俺でも倒せる気がする。

 

 

「ぐぎゃぎゃぎゃぁぁ!!!」

 

「鬼」の悲鳴が響き渡る。

声のした方を見ると頼光さんが「鬼」をバッタバッタと切り倒していた。つんよぉい。

 

俺も頼光さんに負けじと「鬼」を斬っていく。

最初は生物を殺すっていう罪悪感を感じていたが、聞くところによるとこの「鬼」たちは道行く人を襲っては殺して食べているらしい。

 

はいギルティ。人殺しに慈悲はなし。

 

バッサバッサと斬っていく。

 

あはははは!圧倒的ではないか、我が軍は。

 

 

 

 

・・・とはいえ、慈悲とか関係なく自分の心だけを考えると、命を奪うことに胸が締め付けられる。

 

昔の人だとか、平安だからとか関係なく俺の心の在り方は現代のそれだ。

 

だから、なんというか。

 

食べるわけでもなく、なんの生産性もないこの殺しは耐えられないかもしれない。

 

毒されたって言い方は変かもしれないけど、平安に馴染んできたと思っていたけど思わぬところで倫理的価値観が違うんだなぁ。

 

頼光さんなんて無表情で「鬼」を殺してるし。

 

もしかしたら、頼光さんも胸を痛めてるのかな?

 

そんなことを考えながら、俺は「鬼」を躊躇いながら殺していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頼光side

 

 

 

 

 

「鬼」を斬る。

 

ただ斬る。

 

切り口から血が出て、辺りを汚す。

 

私は撫で斬る。ひたすらに斬る。

 

今回のお仕事は山を根城にする「鬼」の集団の討伐。

 

「鬼」と言っても下級の集まり、私とツナの2人だけで対処が可能な仕事です。けれど山の周辺を集落とする住民達にとっては、脅威でしかない。

 

だから斬る。守るために斬る。

 

人を殺し、いたぶり、食す「鬼」を斬る。

 

邪悪を斬る。

 

それが私の求められたことだからだ。

 

 

 

 

 

 

あらかたの鬼を斬り終わると、私はツナの方を見た。

 

ツナの実力は知っている。

 

だから、この程度の「鬼」に遅れをとることはないだろう。

 

それでも心配になるのは仕方がないので、確認だけはする。

 

案の定、なんの問題もなくツナの周りには血の池に肉の塊があった。

 

・・・よかった。無事なようですね。

 

私は安堵した。

 

ツナにとっては初めての仕事なので、主としても、人間としても気を配っていたのですが、杞憂のようで何よりです。

 

私は最後になった「鬼」を斬るツナを見た。

 

 

 

 

 

・・・そこでツナの少し悲痛に歪んだ顔を見ました。

 

 

 

 

 

あっ。

 

 

私はそこで胸を何かによって締め付けられました。

 

見るところによるとツナはどこも怪我などしていません。

けれどどこか痛そうにするツナを見て私は理解しました。

 

「鬼」のようなものに罪悪感を感じながら斬るツナはなんて優しい存在なのだろうかと。

 

普通、「鬼」のようなものにたいして人は嫌悪感を抱く。憎しみを抱く。

 

何故なら、悪だからです。邪悪だからです。

 

 

なのにそんな「鬼」にさえツナは躊躇いを覚えながら、罪悪感を抱きながら、苦しみながら斬っていた。

 

 

・・・ツナは優しいのですね。

 

 

ツナは斬り終えた「鬼」を後にして私の方に歩み寄ってきました。

 

まだ、苦しそうな顔をしていましたが私がいる手前顔に出さずにしているようで、それを踏まえて私は優しいなと思いました。

 

 

ツナは終わりましたと一言言って、私はそれに対してでは、帰りますかと言った。

 

その後は辺りの死んだ「鬼」の片付けを近隣の住人と一緒に手伝いながら、終わったら馬に乗って山を後にしました。

 

私は馬に乗って少し後ろを走らせる少し眠そうなツナを見て思いました。

 

 

私は自分の中に流れる血の半分が恥ずかしい、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






やっぱ展開早いです。
ごめんなさい。


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あれもしかして避けられてる?

 

 

 

 

 

前回の鬼退治から数ヶ月が明けた。

 

 

あの日から、ちょくちょく鬼退治に行くようになり結構な頻度で桃太郎になっている。

もちろん桃太郎は頼光さんで、俺は犬かなんかだろう。ワンワン。

他に鬼退治以外にも悪霊やら物の怪の類と戦うようになり、頼光さんと2人だけでの退治なのでなかなかにハードなスケジュールを送るようになった。

 

 

平安時代物騒すぎるんですが。

 

 

とかなんとか最初は思ったが、今ではすっかり慣れてしまった。

いやでもやっぱ、悪霊とか見た時はまじびびって、チビりかけた。あの能面ヅラは怖いし鳴き声まで怖い。とにかく怖い。

 

 

 

 

 

とりあえず、鬼退治やらの仕事には慣れてきた。

 

そんな俺に、最近一つ気になることが出来た。

 

それは頼光さんの様子がおかしいのだ。

 

 

何がおかしいって、俺のことを避けてるような気がする。

 

気がするってのも、こっちからちゃんと話しかければ返事を返してくれるし、必要なことがあれば頼光さんからも話しかけてくれるのだが。

 

なんというか、心の距離と言いますか、物理的なものではなく。

 

こう、説明しがたい何かといいますか。

 

いい感じの例えが思いつかない。

 

とにかく避けられてる気がする。

 

 

 

頼光さんに聞こうにも確証もないので、変な人扱いされてしまう。

 

「頼光さん、最近俺のこと避けてますよね」

 

なんて、これで間違ってたら完全に自意識過剰のナルシスト野郎やん。

 

なので直接聞くのはなし。

 

 

ということは。

 

 

残りの手である観察をすることにした。

 

そこからの俺は早かった。

 

襖の隙間から窺ったり、半径20mぐらい離れたところから見たり、天井から覗いたり。

 

あれ?これ直接聞くよりやばくね?

 

とか気づいた時には遅かった。もう行動を起こしちゃってるもんね。仕方ないね。

 

 

とりあえず、戦況として。ストーカー行為の末、最近頼光さんのことで何か気づいたことがある。

 

それは屋敷の従者達が頼光さんのことを微妙に避けているのだ。

 

いや、なんで?

 

あれか、従者として1歩後ろを歩くってか。それにしてもなんかよそよそしいっていうか。あまり関わらないようにしているというか。

 

まぁ頼光さんが俺のことを避けている理由には関係ないと思うけど。

 

とりあえず、まだ理由はわからないからそこそこに観察して気づかれないようにしたいと思う。

 

・・・・・・これやっぱストーカーだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数日が経った。

 

依然として頼光さんは俺のことを避けている(かも)。

理由はなんなんだろうか。本気でわからない。

 

避けられているのが勘違いならよかったのだが、ここ最近で確証も得られたと思う。多分、きっと、メイビー。

 

いや、あやふやなんには意味があんねん(謎の関西弁)。

 

俺が得た確証ってのも顔を合わせたら逸らされる程度のもんだ。

 

じっと見つめると頼光さんは居心地悪そうに、申し訳なさそうに逸らすのだ。

 

避けられてるから顔を逸らしたのか。

 

それとも、俺の顔面がキモすぎて逸らしたのかは定かではないが、確証って言えるには充分何ではないだろうか。

 

 

とにかく、このまま観察を続けていきたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日俺は鍛錬を終えて、自分の部屋に戻ろうとしていた時だ。

 

喉が乾いたので部屋に戻るついでにお水を貰おうと、屋敷の台所に向かっている途中、何かひそひそ音が聞こえた。

 

おっとおっと。これはまさかのgokiburiですかな?

 

いやその場合はカサカサ音か。

 

 

ヒソヒソがちょっと気になったので音のする方に足を向けてみた。

 

まぁ、平安時代物騒だからな。もしかしたら泥棒とかかもしれないし確認だけしとこう。こんなでっかい屋敷に入る泥棒なんているとは思えないけど。それとも物の怪類かももしれないし。そんときはこの木刀でとっちめてやりやすよ!

 

 

抜き足差足忍び足、と。

 

 

 

ゆっくりゆっくり気取られないように歩を進めると音源の場所に到着。

 

ん?ここは、従者の人たちの休憩場所だ。

 

なぁんだ、泥棒とか物の怪とかじゃなくて従者の人たちか。

 

じゃあ、このヒソヒソも従者のおしゃべりだな。

休憩場所でぐらい好きなように喋りたいもんね。

 

この時代って完全な縦社会だからお仕事の時っておしゃべり出来ないもんね。俺がコンビニでバイトしてた時はよくおしゃべりしたもんだけど、厳しい時代だ。

 

 

謎も分かったことだしさっさとお水貰って、部屋に戻ろう。

 

 

そう思って、踵を返した時だった。

 

ヒソヒソ音でそれほど聞こえなかったものがそのときだけはやけに耳に聞こえてきたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ知ってる?頼光様って人間じゃないんだって!」

 

 

 

「えぇ!?それって本当なの?」

 

 

 

「そうらしいよ、なんでもつい一年ほど前まで、鬼子として満仲様から嫌われてたらしくて寺に預けられてたんだって」

 

 

「鬼子って、じゃあ鬼の血を引いてるとか?」

 

 

「いやいや、そうじゃなくて神様の血を引いてるんだって。私そのことを知って以来なんだか頼光様のことが怖くってちょっと1歩引くようになったんだよね」

 

 

「えぇ・・・そんなの聞いたら私もこの先どうやって頼光様と顔合わせればいいのよ」

 

 

「ははっ、でも頼光様って女からしてもとっても美人だけど、それが神様の血を引いてるって言われたら納得しちゃうよね」

 

 

「確かに、ちょっとどこか世間ズレしてるなぁとか感じてたけどそういう事なのかもねぇ」

 

 

────

 

 

 

 

 

 

キャハハと女子高生みたいなノリでその後も従者の人たちは他愛のない会話を繰り広げていたが、俺はそんなの聞いたこっちゃなかった。

 

 

 

 

 

え、え?どゆこと?

 

 

頼光さんが人間じゃない?

 

 

神様の血を引いてる?

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・訳わかんねぇ。

 

 

 

・・・・・・そんな話聞いちゃって、俺の方こそどうやって頼光さんと顔合わせればいいんだよ。

 

 

というか満仲様に嫌われてるって・・・・・・。

 

 

一年前なんてつい最近じゃん。

 

 

 

 

色々とツッコミどころが多くてついて行けねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・さっさと部屋に戻るか。

 

 

 

 

話の肴にされてる本人じゃないのにどこか居心地が悪くなったので俺は早々に部屋に戻ることにした。

もうお水なんてどうでもいいや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







何回でも言おう。



展開が早いと。






まぁ自己満小説だからなぁ。




あと頼光さんのことで何か間違ってたら報告オナシャス


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頼光とツナ



ほんのちょっぴりシリアス。


 

 

 

 

 

その日の晩俺はなかなか寝付けなかった。

 

 

 

 

 

 

頭の中がなんかずっと考え事をしてるのだ。

 

考えてる事は頼光さんのこと。

 

夕方の鍛錬から気になって寄り道したときに聞いてしまったあのことで俺はいっぱいいっぱいになっていた。

 

従者の人たちが話してた内容。あれって本当のことなのかな?頼光さんが人じゃなくって神様の血を引いてるっていう話。

 

てか、神様っているの?ツナ気になります。

 

真面目にやります。

 

いやまぁ、悪霊とか鬼とかの物の怪の類がいるぐらいだからなぁ。神様ぐらいいるかも、ワンチャン。

 

夕飯の時も頼光さんとはそのことでどこかよそよそしくなったりして、なんか初めて会ったお見合いの二人みたいな感じになった。・・・あ、あのご趣味は?

 

 

いや、ごめん真面目にやる。

 

 

 

これじゃあ頼光さんの事言えないなぁ。

 

避けられてる、が避けてるに変わるかも。

 

 

嫌だなぁ、なんかそれは。

 

ただでさえ頼光さんに避けられてる状況が何ヶ月も続いて参ってるのに、その上俺から避けるのは二重苦だ。

 

しかも確証かどうかも分からんことでそうなるのはごめん被る。

 

 

あ、でも満仲様との不仲みたいな話は詳しく知りたい。

 

一年前まで寺に預けられてたとか、今になってかなりぶっ込んだキーワードだって気づいた。

 

 

 

正直、頼光さんが人間かどうかなんて関係ないんだ。

だって頼光さんは頼光さんなんだから。

 

月並みの言葉で悪いけど、それ以外に言えない。

 

頼光さんと関わって半年が経ったけど、俺の印象は初めから今になっても、タレ目巨乳のサラサラロング美人お姉さんだ。

 

・・・うっわ最低だな俺。

 

 

 

と、とにかく自分のことでダメージ受けててもしゃぁない。

 

 

頼光さんとのことをどうするか考えよう。このままじゃ絶対にダメだ。ダメダメだ。

 

 

 

 

 

・・・とりあえず、鍛錬のあと水飲むの諦めたからといって夕飯のときにがぶ飲みした水が今になって効いてきたのでトイレ行ってきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月が綺麗ですね。

 

 

夏目漱石のエピソードで有名な愛の告白の言葉。

 

これって返し方に困るよねぇ。

意味とか分かんなかったら、あっそっすね。みたいなことになりかねない。

 

だから皆はしっかりと愛してるよってストレートに告白しようね。家族になろうよ!でも可。

 

 

なんて、トイレから帰るときにみた満月でそんなこと考える俺まじきもティ。あ、これキモイのほうだから。キモチいいの方じゃないから。自分に酔ってなんかいませんから。

 

てか告白とかしたことないんですけどね。

 

 

 

・・・はぁ、こんなくだらないこと考えるよりさっさと部屋に戻って寝よ。

 

あぁ、でも今戻ってもまた考え事しそうだからちょっと散歩してからにしよう。程よく疲れて寝付けが良くなるかもだし。

 

 

そうと決まるや否や、グルッと屋敷を回ってみよう。

 

なんだかんだ言って、半年ここに住んでるけど未だにこの屋敷の全容が分からないんだよね。広すぎて。

 

良い機会だし、ここのことに詳しくなろう。

 

前に案内とかされたけど、全部回りきれなかったしな。

 

 

そう思って、廊下の角を曲がった先で出会ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・頼光さんに。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかも泣いてる頼光さんに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オフッ、どないしましょう。

 

 

今、頼光さんと出会ってもまた夕飯のときみたいに気まずい感じになっちゃう。

 

あぁでも頼光さん泣いてるし、ほっとけない・・・。

 

 

うーん・・・。ん?、てか頼光さんこっちに気づいてない?

 

・・・・・・よし、撤退だ。戦略的撤退だ。

ば、ばか。逃げじゃないし。戦略的撤退だから!

 

よし右向けー右。ピッピっ。

 

ガッ。

 

あっ、足ぶつけちゃった。

 

 

 

 

 

「だ、誰ですか!?」

 

 

 

 

 

や、やっちまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後俺は頼光さんの隣に拳2個分ほど空けて座った。

 

 

気づかれたのに逃げようとするほど人間腐ってはいないつもりだ。さっきまで逃げようとしていたやつの言うことじゃねぇけどな。あっ、違う撤退だった。

 

 

というか気まずい!気まずいよ!

 

 

さっきからお互いに黙りあっちゃってるし。

かれこれ10分は経ってるし。

 

 

んー、俺から話しかけた方がいいのか?

 

なんで泣いてたんですか?とか。それともここで聞くか、なんで俺のこと避けてたんですかって。

 

 

でもなぁ、そんなん聞ける雰囲気じゃないんやけど。

 

 

 

・・・ヘタレって言ったやつツナくん怒らないから出てきなさい。

 

 

 

 

 

 

「・・・ツナは何も聞かないのですか?」

 

 

「・・・へっ?」

 

 

 

あっ、やべ。急に話しかけられたから変な声出ちゃった。修正しないと。

 

「聞いてもいいのでしょうか?頼光さんにとっては聞かれたくないことなのでは・・・」

 

 

「・・・ここまで来たのです、理由くらいなら話します。いえ、話さなければならないのです。」

 

 

話さなければならない、か。これは茶化していい雰囲気じゃないな。

 

だったら。

 

「・・・何故こんな所で泣いてたんですか?」

 

 

 

俺がそう聞くと頼光さんはポツポツと話し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

内容はこうだった。

 

頼光さんは実の父親である源満仲様に疎まれていて、それが原因で生まれた時から寺で過ごしていた。

 

だがある日父から遣いが送られてきて、初の顔合わせをしたそう。

 

だが、初めて顔を合わせたときに満仲様からは視界に嫌なものでもいれたかのように見られたらしい。

 

そこで頼光さんは気づいてしまった。

 

 

自分は実の父親から愛されていない、と。

 

 

だから自分は寺に隔離されて、今も顔を合わせているにも関わらず、自分のことを見てくれていないのだと。

 

そういったことがあったため、それを忘れようと夜深くに、ときたまこの縁側に座って月を見るらしい。

 

そして無性に泣きたくなり、泣くのだそうだ。

 

・・・1人で。

 

 

 

 

そんな場面に俺が出くわしたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・満仲様から疎まれてる理由とはなんなのでしょうか。」

 

 

俺は頼光さんから話を聞いてどうしても気になったことを尋ねた。・・・尋ねてしまった。

 

 

「・・・っ。そ、それは。」

 

 

「もしかして、頼光さんが人間じゃないことに関係しているのですか?」

 

 

「!?ど、どこでそれを!?」

 

 

 

ここまで聞いてなんとなく分かった。

 

従者の人たちの言ってたことは本当だったんだ。

それで、それが原因で満仲様から疎まれてるのも分かった。

 

・・・頼光さんは実の父親から愛されていないと考えてる。俺にはそれが本当かどうか分からない。

 

だったら言わなきゃ。

 

俺が思ってることを頼光さんに言わなきゃ。

 

 

「たまたま従者の人たちがそういった会話してるのを聞いてしまって。頼光さんが神様の血を引いてると。」

 

「そ、そうですか・・・」

 

頼光さんはまた泣きそうな顔をした。

まるで知られたくなかったことを知られたみたいに。

 

 

 

 

 

 

「でも、僕には関係なんてありません」

 

 

 

 

 

伝えるんだ。

 

 

 

 

「・・・え?」

 

頼光さんはどこか驚いた顔をした。驚いた顔でも可愛い。

 

でも今は無視。

 

 

「それより頼光さんに聞きたいことあります。」

 

「え、あ、はい。」

 

気の抜けた返事が返ってくる。

 

「頼光さん、ここ数ヶ月僕のことを避けてましたよね。その理由を聞かせてください」

 

「さ、避けてたって・・・、別に私にはそんなつもりは・・・」

 

「いえ、避けてました。その理由もなんとなくですが分かりました。神様の血を引いてるのが関係してるんですよね?」

 

「・・・・・・」

 

そっと、頼光さんは顔を逸らした。

 

ビンゴか。

 

「話してくれませんか?頼光さんから僕に聞かせてください」

 

「・・・ですが」

 

「それとも話したくないですか?・・・僕のことは信用できませんか?信頼できませんか?」

 

 

俺は頼光さんの臣下だ。

 

渡辺綱なんだ。

 

 

「僕は頼光さんの臣下です。頼光さんのことを絶対に裏切らないし、嫌いになんてならない。だから頼光さんが神様の血を引いていようが関係なんてないんです。」

 

 

 

「頼光さんは頼光さんなんですから」

 

 

 

 

「っ!わ、私は・・・・・・私は。」

 

・・・またまた泣きそうにしている頼光さん。

 

 

ちゃんと伝わっただろうか。

俺の思ってること。

 

 

 

頼光さんが父親から疎まれているというのなら、実の家族から愛されてないというのなら。

 

 

「頼光さん」

 

 

俺がなればいいんだ。

 

 

 

 

「僕と家族になりましょう」

 

 

 

 

父と娘の関係は無理だけど。

 

せめて姉と弟のような感じになろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・あれ?なんか告白みたいになった?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





無理やり取ってつけたような文章。

でも書いてて結構楽しいんだよな。


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え、なんだって?(難聴)

UAもちょっとしたら1万いきそうです。本当にありがとうございます!

着々とお気に入りも増えているようで嬉しすぎて泣きます。






 

 

人にはやらかしてしまう時がある。

 

 

 

 

 

小学校で先生のことをお母さんと呼んでしまうとき。

中学校で暗黒世界の病気にかかってしまうとき。

高校で病気を治してデビューして失敗してしまうとき。

 

 

これはそういった次元の話なんだ。

 

いつかお父さんみたいに大きな背中で

いつかお母さんみたいに静かな優しさで

どんなことも(やらかしたことも)超えてゆける

 

 

 

 

 

 

家族になろうよ(決め顔で

 

 

 

 

 

 

 

これはまじでやらかしましたよ!!!

 

 

 

気持ちが先走って、違う意味にとらわれる言い方をしてしまった!

これ告白じゃん!求婚じゃん!雅治もビックリじゃん!

 

ちょっとシリアスなところから一変、俺の心は急激に恥ずかしさを覚えてきた。

 

 

落ち着け。落ち着くんだ俺。

 

 

これは告白ではない。

ましてや求婚でも無い。

 

だったらそのことを頼光さんに言えばいいんだ。

 

間違ったニュアンスで言ってしまった、と。これは結婚してくださいって意味ではないと。

 

 

そうと決まれば今すぐにでも言おう。

 

 

 

伝えるんだァ!この気持ちをヲ!

プロポーズではなく、ただ姉と弟のような関係になろうと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの頼光さん!?」

 

やばいテンパってるぞ俺。

お、落ち着け。深呼吸だ。ひっひっふー。

 

ラマーズ法やん!

 

・・・ツッコミしたら落ち着いたわ。

 

 

「ふぅ、あの頼光さん今のは・・・」

 

「えぇ、分かってます。」

 

改めて、訂正しようと頼光さんと向かい合った。

 

すると、頼光さんはまるで、分かってる皆まで言うなと言わんばかりの顔、そう菩薩のような顔で俺を見つめていた。

 

おぉ、さすが頼光さん。ちゃんと姉と弟のような関係のことだと分かっていらっしゃる。

 

いや、そりゃそうか。頼光さんは俺より年上。かくや俺は小学6年の年齢にすら達していない。現代でいう高校生と小学生の関係だ。勘違いするはずもなかった。

 

 

 

・・・その割には、熱っぽい瞳で見つめきてるんですがぁ。

 

 

 

 

 

「家族になりましょうツナ。」

 

「それって姉と弟ってことですよね!?」

 

「えっ、求婚ではないのですか!?」

 

「違いますよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜頼光さんに説明中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうですか・・・、求婚ではないのですか・・・」

 

なんでちょっとガッカリしてるんですか・・・。

頼光さんもしかしてショタコン?

 

「と、とりあえずそういうことなので姉と弟のような関係になりましょう頼光さん。」

 

頼光さんのことを気にしながらやってるッと深い意味に捉えちゃうので基本は知らんぷり、聞こえないふりでやっていこう。

 

 

「べ、別に私は求婚の意味でも構わないのですが・・・(ボソッ)」

 

 

 

 

え、なんだって?(難聴)

 

 

よく聞こえなかった。いやまじだから。こんな至近距離だけどまじで聞こえなかったから!

 

 

「何か言いましたか頼光さん?」

 

とりあえず聞き返してみる。聞こえなかったからね。ツナウソイワナイ

 

「・・・いえなんでもありません。」

 

なんか残念そうにしている頼光さんがいたが。

 

まあこういってる事だし、たぶん大したことじゃなかったんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時間を空けて、俺と頼光さんは落ち着きを取り戻す。その間お互いは月を見上げ、心の整理を付けていた。

 

これからのこと。そして今。

 

自分たちがどうあるのか。

 

俺の心はもうずっと前から決まっている。あとは頼光さん次第。

 

またお互い向き合う。

それは儀式のように神聖な感じがした。

 

これは確認だ。

 

 

「では、ツナは私の家族になってくれるのですね。」

 

頼光さんはどこか重苦しい雰囲気を漂わせながら言う。

 

「はい、家臣として弟としてこれからもずっと頼光さんを支えます。」

 

俺はそれに答える。言い方はあれだが、頼光さんのために尽くすのは当然だ。なんせ俺は渡辺綱だから。

 

 

 

 

 

「・・・ッ。そ、そうですか。私を支えてくれるのですね。」

 

それはちゃんと確かめるように。

 

「はい」

 

だったら俺は真剣に応える。

 

「頼ってもいいのですね」

 

「はい」

 

「嫌いにならないですか?」

 

「どんな頼光さんでも。」

 

「・・・・・・わ、私と一緒に居てくれますか?」

 

「当たり前です。僕はずっと頼光さんの味方です。」

 

 

 

そう答えると、頼光さんは俯き出す。

そして、静かに。それでいて綺麗に泣き出すのだった。俺が来る前に泣いていた涙とは違う。ずっと溜まっていた何かを吐き出すように。

 

 

しばらくして、頼光さんは顔を上げて俺を見た。

その眼はここ数ヶ月しっかりと見れていなかったものだから俺は思わず顔を逸らしかけたが、ぐっと堪えて見つめ返す。

 

そして頼光さんは覚悟を決めたかのように言った。

 

 

 

 

「これからよろしくお願いしますねツナ。」

 

「はい頼光さん。」

 

こうして俺と頼光さんは姉と弟。家族になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、それで結局ここ数ヶ月避けてた理由ってなんなんですか?」

 

「ふふ、もう大丈夫ですよ。なんせたった今その理由が解決したところですから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

##############

 

 

 

 

 

 

 

頼光side

 

 

 

 

私がツナを避けていた理由は簡単です。嫌だった。ツナが私を嫌うのが。

 

 

私の出生は特殊です。生まれた時から牙が生え、髪は長く、両目はまるで朝日のように輝いていたそうだ。我が父満仲はそんな私を見て鬼子として忌み嫌い私を殺そうとした。これはあとになって知ったことですが。

 

それを止めたのが母で、私は隔離されるが如く寺に入れられた。

 

そしてあとはツナに語ったとおり、十五になった私を父が京に連れ戻し今に至る。

 

ツナには言いませんでしたが、そのときに私は源頼光という名前が与えられました。

 

父は期待していたように見えます。私を見てくれませんでしたが、京を守る武士として。

 

ですが所詮は鬼子。父の期待に応えようと人間だろうが物の怪だろうが斬ってきましたが、その様はまるで人間ではなく魔性の様だ。

 

そのことに気づいていましたが、考えないようにしてきた。

 

ツナが来るまでは。

 

あの時、ツナと一緒に鬼退治に行った数ヶ月前。

何も考えずにいました。その時まで忘れていたのだから。

 

ですがツナが心を痛めながら、鬼を斬るさまを見た時に思った。

 

私とは違う。魔性の私とは違うと。

ツナはまさしく人だった。

 

そこから私はツナのことを避けるようにした。

無意識の行動だったのです。

 

人とは、自分が理解できないものにたいして排他的になります。鬼がその最もたるものでしょう。人を襲い、人を食べる。そんな存在だからこそ人々は忌み嫌い、そして私たち武士に誅伐を依頼する。

 

だったらならば。

 

人ならざる私をツナが気づいてしまった時。ツナは私を嫌うからもしれない。忌み嫌われるかもしれない。

 

私はそれが嫌だった。嫌われたくなかった。

 

付き合いは短いけれども、私にとってツナは大きな存在だったのだ。だからこそ避けた。無意識のうちに。

 

 

けれど。けれども。

 

ツナは言ってくれた。言ってくれたのだ。

 

 

どんな存在であろうと関係ない。私は私なのだと。

 

 

そして、家族になろうと。

 

 

嬉しかった。とても嬉しかった。

 

求婚の意味でなかったのは残念、そう非常に残念でしたがそれでも嬉しかった。

 

私を肯定してくれて。

こんな私を認めてくれて。

 

 

魔性であると知ってなおツナは私と共に居てくれると。

 

 

そんな。こんなのって。

 

好きになってしまうじゃないですか。

 

 

 

ツナは姉と弟と言いましたが、私はそれ以上の関係になりたい。

 

それこそ家族に、本当の家族に。

 

 

 

 

 

ふふ、逃しませんよツナ。

 

 

 

 

 

これからもずっと末永くよろしくお願いしますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおう、なんか寒気が」

 

 

 

 

 

 

 

 




そっれ、だっぶん〜。へいっ、だっぶん〜。

脈絡もない文章です、本当にスミマセン。


それとこの場を借りて、高評価してくださった方々本当にありがとうございますm(_ _)m


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役得だけど!

皆さん。本当に!本当に!ありがとうございます!!!

UAは20000を超え、お気に入りは800以上。それに加え日刊ランキングにまで載りました。

評価の方も嬉しいことに色がつき、しかも赤色。これはきっと今年の良いことベスト3に入ります!

誤字報告の方も非常に助かってます!


もう1度、本当に!本当に!ありがとうございます!

感想、評価としてくださった方には頭が上がりません。


ありがとうございまぁぁぁぁぁぁぁぁす!!!!!







そのままの勢いでお話どうぞ!!!!!!






 

拝啓

 

紅葉が綺麗に咲く今日この頃。

叔父上に置かれましては、お健やかに過ごされていると思われます。

 

さて、このように久方ぶりの便りをしたためているのにはわけがあります。

あの日、半年前からこちらのほうにやって来た私ではございますが鍛錬、勉学、鬼退治とそちらにいた頃には考えもしないような忙しい毎日を送っています。

 

ですが一つ悩み事が出来てしまいました。そう。それが便りをしたためている理由でございます。

 

・・・叔父上は女性のことをどう思われているでしょうか?

 

あぁいえ、もちろん叔父上がご結婚されていることは存じております。馬鹿になんてしていません。その上でお聞きしたい。

 

普段、姉のように接していた人が突如同衾するようになってしまった場合どうすれば良いのでしょうか?その他にお風呂に一緒に入る。厠に一緒についてくるなど。

 

いやいや深い意味はございません。

ただ後学のために知りたいと思っただけです。

えっ?悩みって言っただろ?・・・そんなこと知りません。

 

とにかくこれを読んだらお返事下さると有難いです。

それではまたお会い出来る日を楽しみに待っています。

 

 

 

追伸

 

最近、自分の何か(性欲)と戦うことがあります。おっぱいってすごいです。

 

 

 

 

敬具

 

渡辺綱。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうもこんにゃにゃちはー、ツナだよー。

 

・・・きもいな。皆さんこんにちは、先日頼光さんと家族(姉弟)になった渡辺綱です。

 

あれから特に変わったことはなく、穏やかな毎日を過ごしています。

変わったことと言えば頼光さんとはより親密な関係になり、当初少し夢見たお近づきが叶ったことぐらいでしょうか。

 

一緒に寝たり、風呂に入ったり、トイレ付いてこられたりととても親密な関係になりました。やったね!まるで姉と弟のようだ!

 

 

 

 

・・・どうしてこないなことになったのでしょうか。

 

 

 

最初は何の違和感も抱かなかったのです。

一緒に寝ると言っても、布団は2つ並べられて川の字のように寝たり(あとあと一つの布団で一緒に寝るようになった)、お風呂では背中を流すだけだったり(あとあと湯船に一緒に浸かるようになった)、トイレに関しては扉の前についてくるだけだった(・・・あとあと中にまで一緒に入るようになりそうだったけどそれは全力で止めた)。

 

だがあとあとになって、あれ?これは姉弟の域を超えているのでは?と思うようになった。

 

いや、9歳である俺が言っても説得力がないのは分かる。頼光さんは本当に姉弟として接しているだけかもしれないし、俺が思ってることは妄想なのかもしれない。

 

 

だが、頼光さんはそういった貞操観念とかは厳しいイメージだっただけに俺は戸惑いを隠せないのだ。

 

例えば、ある時俺と頼光さんは治安維持のために町に出たのだが。物陰でいちゃいちゃしていた男と女を「禁制禁制ご禁制ですよ〜」と言って諌めたことがあるのだ。

 

 

それに照らし合わせると、俺のこの状況は「禁制禁制ご禁制ですよ〜」ではないのだろうか。

 

 

分からない。分からないよ僕は。

 

乙女心と秋の空とかなんとか言うけど(多分今言ってる事の意味的には違うと思う)、乙女心は本当に分からない。

 

平安時代の姉と弟ってこんな感じなの?こんなの絶対おかしいよ。

 

なんで弟が性欲に耐えるような生活してるのさ。

 

頼光さんはぱいおつが凄いのだ。やばたんべいびーだ。むしろ俺がべいびーになる。

 

それはまさしく万乳引力。引き寄せられる。耐える。そんな毎日。

 

寝る時もお風呂の時も。とにかくぱいおつ。

 

耐えるのには至難の技だ。

だが俺は耐えている、その強靭なる精神力で万乳引力に抗っている。

 

 

 

・・・ヘタレって言ったやつツナくん怒らないから出てきなさい。

 

 

 

 

 

とにかく俺のためにもこの現状は打破するべきものだと考える。役得だけど!役得だけど!!(大事な事なので二回言いました)

 

ならばすることは一つ。

 

 

 

頼光さんに言うしかないだろぉ。

 

 

 

 

とりあえず、俺の部屋の襖から見てる頼光さんとお話をしようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで頼光さん僕と一緒に寝たり、風呂に入ったり厠に付いてくるのはやめてほしいです」

 

 

「嫌です」

 

 

 

 

な に ゆ え

 

 

 

 

先にキッパリ言っておこうと思い頼光さんに思いの丈を伝えたのだが、逆にキッパリ否定されました。

 

 

 

もう1度言う。

 

 

 

な に ゆ え

 

 

 

 

 

「ど、どうしてですか?」

 

「?逆にどうして一緒に寝たり、風呂に入ったり、厠に付いていっては駄目なのですか?」

 

「むしろ、なぜ駄目ではないと思ったのでしょうか。特に最後。」

 

 

流石にトイレは駄目でしょう。だってトイレだよ?

見られていいのは赤ちゃんのときまでって相場が決まっている。・・・あっやばい。赤ちゃんのとき思い出しちゃった。つらい過去にはお蓋をピタッ!

 

 

 

「私たちは家族なのでしょう?姉と弟なのでしょう?ならばなんの問題もないではないですか」

 

「もちろん僕たちは家族です。ですが家族だからこそこういったことに線引きしなければなりません。男女七歳にして席を同じゅうせずと言いますよね?」

 

「・・・知りません」

 

ぷいっと顔を背ける頼光さん。可愛い。

 

じゃなくて。なんでこんな頑ななのさ。

 

 

「・・・禁制はどうしたのですか?」

 

「・・・知りません」

 

またぷいっと顔を背ける。可愛い。

 

じゃなくて。どうすればいいの。取り付く島もないよ。

 

 

 

 

「・・・ツナは、嫌なのですか?」

 

「えっ?」

 

頼光さんは少し悲しそうな顔をしてそう言った。その顔はあのときのような涙を浮かべそうな顔をしていた。

 

やばい。やってしまったか俺。

 

 

「あ、いや、その・・・」

 

「私と一緒に寝たり、風呂に入ったり、厠に付いて行ったり。やはり嫌なのですね?」

 

いやだから最後のトイレは絶対に違う。

 

 

「私なんかと一緒にいたくなんてありませんよね。あのとき言ったことはやはり嘘なのですね」

 

 

いや、今はトイレなんてどうでもいい。

頼光さんの方が先決だ。

 

 

「そんなはずないじゃないですか。あのとき言ったことに何一つ嘘なんてありません。」

 

「ですが、ツナは嫌がってます。つまり私なんかといたくないってことですよね?」

 

「違いますよ。一緒に寝たり、風呂に入ったり、厠に付いてくるのを辞めてくださいと言ったのは、その・・・僕も男ですし、それに頼光さんは魅力的なので間違いが起きたら駄目だと思ったからで。」

 

 

 

「・・・別に間違いが起きてもいいのですが(ボソッ)」

 

 

 

え、なんだって?(難聴)

 

 

「ん?なにか言いましたか?」

 

「いえ、なんでもありません続けてください。」

 

「つ、続けてください?いえ、なんでもありません。」

 

あれ、元に戻ってる?さっきの泣き顔は?あれあれ?

 

 

 

「と、とにかくそういうことなので、頼光さんが嫌って訳じゃないです。これは僕の勝手です。」

 

まぁ理由が性欲に負けそうだからな。これはひどい。

 

 

「・・・・・・」

 

 

頼光さんは俺の言葉を聞いて黙ってしまった。

 

ど、どうだ?機嫌、というより気持ちは持ち直して貰えただろうか。

 

俺の言葉に嘘偽りはない。思ったことをあの時言って、今もそれは変わらないし、これからもずっと変わらない。

 

俺の気持ちが届くといいのだけれど。

 

 

 

「・・・敬語。」

 

 

「え?」

 

 

「ですから敬語」

 

 

「け、けいご?」

 

 

警護?いや違うか。じゃあ敬語?

 

 

「ツナがそこまで言うのならば一緒に寝たり、お風呂に入ったり、厠に付いて行くのはたまにだけにします。」

 

いやだからトイ(ry

 

てかたまにだけって。

 

 

「そのかわり、敬語を辞めてください。」

 

「やめるって言いましても・・・」

 

流石に目上の人に敬語を無くすのは、今の時代的にどうだろうか?打首にされない?

 

 

「私たち家族なんですよね。姉弟なんですよね。」

 

・・・

 

「でしたら家族に敬語なんておかしいじゃないですか」

 

た、確かに。おかしいかも。

 

あれ?でも俺って叔父上とかには敬語だな。なんでだろう。・・・まぁ、それはいいか。

 

 

「もちろん、ツナが躊躇ってる理由も分かります。なので、二人きりの時は敬語なしで話してほしいのです。」

 

駄目ですか?と上目遣いで俺を見つめてくる頼光さん。

 

うぐっ。そんな風に言われたり見つめられたりしたら俺はもう何も言えない。

 

この際、いい機会だから敬語はなしでいこう。

 

でも頼光さんって呼び方に敬語を抜いた場合どう呼べばいいのだろうか。

頼光さんって呼び方のまま敬語じゃないのはおかしいよな?

 

・・・

 

・・・

 

 

考えた末決めた。

 

 

「姉さん」

 

 

「!?」

 

 

「うん、姉さん。」

 

これがしっくりくるな。よし姉さんでいこう。

 

 

「じゃあこれからは敬語なしでいくね姉さん。────姉さん?」

 

あ、あれ?頼光さん、じゃなくて姉さんはどこか上の空だった。どしたの?

 

「いい。姉さん呼びいい。」

 

「へ?」

 

「いえ、なんでもありません。はい!これからもよろしくお願いしますねツナ。」

 

「姉さんは敬語なんですか?」

 

「姉はいいのです」

 

「ははっ、なんですかそれ」

 

まぁ、確かに姉さんはそれがしっくりくるからいいかも。・・・ちょっと期待したけど。

 

 

 

こうしてまた1歩姉弟になった俺たちでした。

 

 

ちゃんちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一応、冒頭の叔父上に対する手紙の返事が届いた。

内容はこれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渡辺綱へ

 

 

お手紙拝見させて頂きました。

ツナが元気そうにしているようでなによりです。

 

さて、ツナの悩みの件なのですが。

正直なところ大丈夫ではないでしょうか。

 

いや、もちろんツナが悩んでることにたいして適当に答えている訳ではありません。

これには叔父の根拠というものがあります。

 

ツナの書いてくれた手紙を見るにツナはその方に対して悪い感情を抱いていない、むしろいい感情を抱いているように感じました。

 

でしたらツナのことです。叔父はそれだけで大丈夫だと確信ができます。

 

この手紙が届く頃にはもう解決しているのではないでしょうか。

 

ははっ、あまり役にたたない叔父で申し訳ない。

 

ですが叔父の一つの助言です。

 

 

 

 

 

 

 

これから悩みができるかもしれないときはまず自分の思ったことを伝えたらよろしい。真っ直ぐな思いはそれだけで万事上手く行く可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

これまた曖昧で申し訳ない。

 

 

・・・またツナと会う日が楽しみになりました。

 

それではこれにて筆を置かせてもらいます。

それではまた会う日まで。

 

 

源敦

 

 

 

 

 

 

追伸

 

 

追伸に対する返事は、性欲を持ってるなら男になった証です。嬉しく思います。

 

それと叔父はおっぱいより尻のほうが好きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叔父とは初めて対立する切っ掛けとなりました。

 

 

おっぱいが一番です。

 

 

 

 

 

 





yes!次は四天王登場を予定してます!
その次は金時と考えております。

ただし、予定です・・・

都合により、お話変更するかも。




それでは、また改めまして皆さんありがとうございます!!!


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ミツとタケ

実は今回年齢問題があります。

源頼光 948年生まれ
渡辺綱 953年生まれ
碓井貞光 954年生まれ
卜部季武 950年生まれ

年功序列に並べると。頼光→季武→綱→貞光になるんですけど、ここではツナくんが年下になります。でもあんまり影響ないんで大丈夫だとは思います。

ちょっとした報告でした。

それとまた展開早い上にろくに碓井貞光と卜部季武を紹介しないという。あとマッマがブレブレです。




姉さんに仕える有名どころの人物は俺の他にあと三人いる。

 

金太郎で有名な坂田金時、温泉見つける碓井貞光、赤子を持ち帰る卜部季武。

 

この3人と俺を合わせたのが俗に言う頼光四天王だ。

 

さてこの頼光四天王の碓井貞光、卜部季武に関することなのだが。この2人は平氏の人間でありそれぞれに平貞光、平季武という名がある。俺が源氏の人間で源綱という名前があるようにだ。

 

だが、これはあやふやでもあり碓井貞光は平氏の他に橘氏という説もあり、卜部季武は本来の名は坂上季猛という名前がある。

 

まぁ俺が何を言いたいかと言うと、一応武士(平安では武士という言葉はない)ということもあり高貴な人物ということだ。

 

その高貴な人物だというのにだ。

 

 

 

「おりゃぁあ!!死ねぇぇぇぇぇえ!!」

 

 

「射抜いて殺す。」

 

 

 

死ねやら殺すってなんなんですかね・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡って一時間ほど前。

 

 

 

「ツナ。新しい家臣が来ます。」

 

「前にもこんなことなかった?」

 

 

姉さんが俺の部屋にやって来て唐突に言い放ったことから始まる。

 

 

「そうですか?まぁとりあえず新しい家臣が来るので今すぐ会う準備をして下さい。」

 

「えぇ・・・今すぐってまた急な・・・」

 

鬼退治のときみたいに急なことを言う姉さんは俺の返事を聞かずにその場を去っていった。

 

最近姉さんは俺に対して、最初の頃みたいに少し余所余所しいのが無くなって遠慮というか距離が無くなった。もちろん俺にとっては嬉しいことだ。嬉しいことなのだが、前話したみたいにトイレついてきたり、お風呂入ってきたりと思春期男子にとってはとっても悪い。

 

まぁ仲良い姉弟みたいだから良いっちゃ良いんだけどな。美味しい思いもさせて貰っていますし。パイオツカイデー。

 

とりあえず姉さんのあとを追うためにパッパっとよそ行きの服に着替える。そして刀を腰に差す。

 

それじゃあ、行きますか。

 

テッテっと廊下を小走り。

向かう先は。

 

 

・・・どこだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度走り回って玄関で姉さんを発見した。

行き先知らせずに先に行くもんだから走り回ったぜ。

 

 

ん?誰かと喋っている。

あれが新しい家臣かな。

 

玄関の前で2人の男性がいて。1人は長髪のイケメンともう1人は渋谷にいそうな髪型をしたイケメンだ。

 

・・・イケメン。

 

おっと負のオーラが出てしまった。

前世でイケメンには良い思い出がないからついつい出てしまった。そういうことってあるよね。テヘッ。

 

「やっと来ましたかツナ。」

 

そんなことを考えていると姉さんが俺を発見した。

いや、やっと来ましたかって俺のこと置いていくからやで。

 

でも一応謝る。2人でいる時みたいにタメ口じゃなく前みたいに敬語を使って。

 

「申し訳ありません、待たせるようなことをしてしまって。準備に手間取ってしまい。」

 

目の前にいるイケメン達に不敬な人と思わせないように、下手に出て。

 

そのイケメン達は俺のことを見るとにこやかに微笑んで自己紹介をしてくれた。

 

 

 

「どうも初めまして、某は卜部季武と申します。これから頼光殿に仕えさせていただきますのでどうぞこれからよろしくお願いします。」

 

「うっす、碓井貞光です。どうかよろしくっす。」

 

 

 

長髪のイケメンは古風な一人称を使い、渋谷イケメンは現代の若者にある敬語を間違って使ってるみたいな感じで自己紹介をした。

 

一言言う。キャラ濃いなぁ〜。

髪の毛とかも色鮮やかやし。来てる和服も高級そうで、いい所の坊ちゃんといった感じだ。いや、まぁ俺もいい所の坊ちゃんではあるんですけどね。

 

 

「自己紹介ありがとうございます。僕の名前は渡辺綱と言います。これからもどうかよろしくお願いします。」

 

俺はそんなキャラ濃い訳じゃないから、普通の挨拶しか出来なかった。

 

くっ、キャラ濃いうえにイケメンって。なんて映える人達なんだ。

 

というか、碓井貞光と卜部季武って頼光四天王の一員じゃないか。いつ仲間になるかなって思ってたけど結構早い段階で家臣になるのな。

 

年的にもまだ若い。卜部季武のほうは明らか俺より年上で14ぐらいかな?姉さんに近い年だと思う。碓井貞光に関しては、俺と同じくらいかちょい上らへん。

 

 

「自己紹介も終わったことですし、茶の間に行きましょうか。」

 

姉さんがそう言うと俺達はゾロゾロ移動を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

その後は互いに交流を深め合った。

どこから来たのか、年齢の話や、獲物は何かなど身の丈の話を交わしあい、お茶などを嗜む。

 

あれだな姉さんと初めて会ったときはこんな感じじゃなかったから新鮮だ。完全に上下関係が決まっていたから余所余所しい感じだったのだ。

 

それに反して、姉さんを交えながらではあるが同じ家臣という立場の人ということもあり話が進む進む。同年代の同性とか俺の周りにはいなかったから嬉しいです。

 

 

だが俺は2人より年齢も下。なので季武殿、貞光殿と敬語で話していたのだが(地の文ではさん付けです)。2人はどうやらそれが気に食わないらしく、俺が姉さんの筆頭家臣だからっと言って俺には敬語を使うのに敬語を使わないで欲しいと言ってきたのだ。

 

えぇぇ、それはどうなんでしょうか・・・。

 

と、渋っていると。

姉さんが急に、

 

 

「それなら決闘などをしてどちらが上かを決めてはいかがでしょう」

 

と言ったのだ。

どぅえぇぇぇ・・・それは・・・俺普通に負けると思うのですが!ほら年齢も相手が上ですし、そこそこ腕に覚えがあるからって勝てる相手ではないと思うのですが!

 

と、そんな感じの意思を姉さんに目で伝えると。姉さんは微笑んで。

 

「大丈夫!ツナなら勝てます!」

 

みたいな目で伝え返してきた。

 

お、おかしい。何故そんなに信頼があるのでしょうか。前に姉さんと打ち合いをしたけど結構手も足も出なかったと思うんだけど?もし決闘をして負けたら、俺立つ瀬ないんだけど?

 

だが姉さんはそれをひっくるめて「できるできる、ツナならできる!」と目で言う。

 

ツナくん期待でお腹痛いんですが・・・。帰っちゃ駄目?あ、ここが帰る場所だ。

 

一応期待を込めて相手になる2人を見る。まさかやらないよね?お茶菓子とか食べたからお腹いっぱいでうごけないよね?

 

その期待に反して、

 

「いいですね、某は別に構いません。」

 

「やるっす。食後の運動にもなるっすからね。」

 

やる気満々やん(泣)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ということで冒頭に戻るのだが。

 

 

 

 

「どりゃぁぁぁあ!!」

 

貞光さんが大ぶりで攻撃を仕掛けてくる。貞光さんの得物は薙刀だ。薙刀故に大ぶりなのが特徴なので避けることは容易い。

 

そのまま少し横にズレて交わすのだが、

 

「射殺す」

 

避けたところで季武さんが得物である弓矢で攻撃するという二段構えで非常にやりづらい。

 

 

というか、なんで2対1なんですかね!

 

 

あれ?1対1なのかって思ったら知らず知らずのうちにふたり同時に戦うことになっていた。

こんなんポルナレフ状態になるで。

 

ありのまま今起こったことを説明するぜ!1対1と思っていたら2対1の状態で戦いを強いられていた!何を言っているか分からねぇと思うが、俺もどういうことか意味が分かんねぇ!姉さんの天然だとか相手のボケだとかそんなチャチなもんじゃねぇ!もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ!ってあぶねぇ!

 

シュン、と俺の頬をスレスレで矢が通っていく。

それ鏃ないからってあぶないねんからな!

 

と、続けざまに薙刀が襲い来る。今度は大振りではなく小技で小手やら足を狙っている。

 

「死ねぇぇぇ!!」

 

「射殺す」

 

というか色々物騒なんすけど!

 

2人ともどうやら戦いで熱くなるタイプらしく、決闘が始まってから言葉がどんどん悪くなっていく。貞光さんは熱血に、季武さんはクールに熱く。

 

射殺せ神鎗とかそのうち言いそうですね。

 

 

「頑張ってくださーいツナー!」

 

 

いやいや姉さん、これはちょっと厳しいんですけど。

対応するので精一杯で、攻撃に出れないです。

 

今もほら。薙刀を避けたり、矢を刀で打ち払ったりでいっぱいいっぱいなんです。

 

 

けど、狙う隙はあるにはある。

 

 

俺が攻勢に出れない理由は季武さんの矢が常時俺の隙を狙ってくるからだ。なら季武さんの矢が無くなって番えなくなったそのときに、攻勢に出れるはずなのだ。

 

でもなぁ、貞光さんの薙刀も脅威でそれが出来るかどうか。大振りに小技と使い分けてくるから厄介だ。

 

「よっと!」

 

その状況が来るまで避けたり払ったりして待つ。

 

決して貞光さんの薙刀を刀で受けてはダメ。それをするとすかさず季武さんが俺を狙う。

 

なので薙刀は避け矢は打ち払う。薙刀とは並べく距離を置くのではなく間合いを近くして薙刀の刃の部分が当たりにくい状況を作る。そしてひたすら待つ。

 

狙うのはただ一つ。

 

季武さんの矢が無くなり、貞光さんが大振りをかますとき。

 

 

 

そしてそのときが来る。

 

 

 

季武さんの方を確認すると矢筒の中は空っぽ。手にも矢を持っていない。そこで貞光さんは都合よく大振りで攻撃してきた。

 

 

今だ!

 

 

俺は貞光さんの攻撃を避けると、避ける勢いのまま季武さんの方へと走り出す。

先に季武さんを倒し、その後に貞光さん。これでやっと五分五分の戦いに持っていけて勝つ確率が高くなる。

 

そう思い、季武さんへと刀を上段で構え攻撃をしようとする。

 

 

 

そこで季武さんの目の前に矢が「降ってきた」。

 

 

 

は!?どゆこと!?

 

 

 

降ってきた矢はそのまま季武さんの目の前の地面に刺さる。それを季武さんはすかさず拾い矢を番える。

 

そこで季武さんは笑う。

 

 

あ、やべ嵌められた。

 

 

前には矢を放つ瞬間の季武さん。後ろには薙刀を構え直した貞光さん。まさしく前門の虎後門の狼。

 

しかも俺は上段で刀を構えている。

絶体絶命のピンチ!

 

季武さんはそのまま矢を放ち、俺へと向かってくる。

あぁ終わった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、思うじゃん。そうはいかないんだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は上段で構えていた刀を振り下ろす勢いで季武さんに「投げる」。

 

そしてそのまま斜め前へと身体能力を頼りに転がりぎりぎりで矢を避けることに成功。

 

そうするとどうなるか。

 

俺が投げた刀は矢を放って無防備になった季武さんへと直撃し、俺が死角になって見えなくて避けられた矢は後ろにいた貞光さんへと当たる。

 

 

「ま、まさか刀を投げるとは!・・・ぐはっ!」

 

「え、ちょいちょい危ないんすけどぉぉおっはぁぁ!!」

 

 

刀と矢が当たった季武さんと貞光さんはそのままばたりと倒れ動かなくなる。

 

はい、計画通り(ニヤリ)

 

 

こうしてぎりぎりで2対1の決闘を勝利することができた。やったねツナくん大勝利!

 

 

 

 

 

そして少し時間を経て起き上がった季武さんと貞光さんと俺はお互いを讃えあった。そこで季武さんのことをタケ。貞光さんのことをミツと呼ぶことにした。

 

戦いが終われば友になるのだ。そんな感じ。

 

 

・・・あと後ろで姉さんが何故かこちらを睨んでる気がするんですけどなんで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頼光side

 

 

 

少し時間が経って、私は決闘を終えて仲良くしている3人を見ていた。

 

3人は戦いの感想会みたいなことをしていて、お互いを讃えあっている。

 

季武殿の流麗な弓矢、貞光殿の豪快で緻密な薙刀は見ていた私ですら勝てるかどうか分からなかったものだ。

 

だがツナは苦戦しながらも最後は勝っていた。

 

刀を投げる行為や矢で同士討ちを狙うなど奇想天外な戦いでだ。もちろん剣技も2人に劣るものではなかったし、その証拠として2対1ながらも同等の戦いをしていた。

 

正直勝てるかどうか分からないものだったが、私はツナが勝つと信じていた。いや、違う。必ず勝つと分かっていた。

 

何故だろうか。信頼や信用はもちろんあるがその他に何か別なものがあったと思う。だがそれが分からない。とにかくツナは勝つと分かっていた。

 

多分あれだと思う。前に打ち合ったときに感じた才能なのかもしれない。

 

とにかくツナは勝ったのだ。私の期待に応えて勝ってくれた。自分勝手な期待だったけど応えてくれた。

 

それがたまらなく嬉しい。やはり私はツナのことが好きなのだと改めて思う。

 

 

 

・・・それにしても貞光殿と季武殿と仲良くしすぎではないだろうか。名前も殿付けから一変。ミツ、タケと愛称で呼んでいる。私の時は半年近く経ってから姉さんと呼ばれたのにだ。

 

いやいや別にこれは嫉妬などではありません。ありませんとも。

 

 

これから貞光殿と季武殿と仲良くできるでしょうか?

 

 

 

 

 

 

「「あれ寒気が」」

 

 

 

 

 

 




解説
季武ことタケの目の前に矢が降ってきた訳は上空に矢を放って矢が無くなったと思わせていたってことになります。

表現が甘いんですけど、そこらへんよろしくお願いします。


それと水着イベで茨木童子が当たらないんです。これは事案問題ですよ。前回の水着イベではマッマが当たらず。どういうことやねん!!!

皆さんはどうでしたか?茨木当たりましたか?


あと何か間違ってる点があったら報告して下さると助かります!




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マサカり担いだ金髪碧眼



前回のあらすじ。

卜部季武ことタケと碓井貞光ことミツが仲間になる!
だけど今回の話は数年後の話!

その数年間の話はまた幕間として別に出すよ!

タケとミツはまた今度に!




 

 

突然だが源頼光や渡辺綱などの頼光四天王はあまり有名ではない。知名度的に言うとオタクの人がゲームとかで名前よく見るよねぇ、ぐらい。

 

 

日本史を覗いてみると、平安時代活躍してるのは父である源満仲だったり、弟の頼信だったりする。

 

 

実際問題、政治問題に関わってるかと言うとそうでもないし(関わってるちゃ関わってるけど武勇の方が有名)、弟の頼信にスポットライトが当たる理由も分かる。なんせ弟の子孫が源義経やら頼朝と時代的に有名どごろであるからだ。

 

 

源頼光が活躍するのは御伽噺のなかであり、話的に登場する御伽草紙やら今昔物語集や宇治拾遺物語なんか一般的な人たちは見たことなんてないはずだ。もちろん古典とかでちらっと見かけることはあるかもだけど。

 

 

とにかく言いたいことは俺らマイナーじゃね?ということ。

 

 

卜部季武ことタケや碓井貞光ことミツを名前だけ知ってる人はいるけれど、何した人なの?と問われると黙ってしまう。(温泉見つけたり、大蛇倒したり、坂上田村麻呂の子孫だったり本当はすごい人たちです。)

 

 

源頼光こと姉さんは、あぁあれでしょ鬼倒した人でしょ、ぐらいの知名度はあるけどね。

 

 

だがしかーし。なんと、そんなマイナーな俺らの中には知名度ナンバーワン(諸説あります)の桃太郎さんとタメ張れる有名な人がおります。

 

ひとたび力を振るえば熊をも倒し、マサカリ担げば童謡が続く。そんな彼の名は。

 

 

 

金太郎こと坂田金時!!!ででん!!

 

 

 

ちなみに某ゴリラが書く国民的マンガの登場人物ではありません。

 

CMで出演中の濱〇岳さんが演じられているあの金太郎が我々の期待の星なのです。

 

そんな金太郎は雷神の子であり、名前は必ずと言っていいほど耳にするほど有名。

 

さてさてその金太郎なのだが、我々頼光四天王の一員である。

 

頼光四天王に加入するのが、歳で言うと金太郎が20のときぐらい。源頼光と足柄で出会いその熊をも倒す力が認められて家来となる。

 

これもいろいろと諸説があるが概ねこういった感じで仲間になる。

 

ここで重要なのが成人の年齢で姉さんと出会って家来になるというところ。

 

 

・・・実は俺が今生きて生活しているこの平安時代は、どうやらそのところが曖昧な模様。史実の年代めちゃくちゃだし、姉さん女だし、タケとミツとの年齢関係とか違ったり。どうやらこの世界は少しおかしい様子。

 

もちろん金太郎に関しても例に漏れなかった。

 

 

 

 

 

 

「ってなわけで拾ってきた訳っす」

 

「・・・どういった意味で拾ってきたんだよミツ」

 

今俺の目の前にはミツこと碓井貞光が金髪で青い眼をした美少年を連れて俺へと説明をしてきた。

 

説明はこう。ミツはココ最近武者修行にハマっており、休暇を貰ってはあっちへ行ったりこっちへ来たりとちょくちょく旅に出ていた。その旅のさなか立ち寄った足柄山で人喰い山姥に遭遇。が、なんのこれしきと「死ねぇぇぇ!!」っとサクッとやっつけてしまう。

 

しばらく足柄山で過ごすと熊と相撲をとる子供を発見。これはすごいぞとその子供をスカウトする。

 

だが子供はお母さんがいると言い、そのスカウトを断ってしまう。

 

ミツは思った。こんな自然の山奥で母親などいるのかと。そこでよくよく考えてみると、ミツがサクッと倒してしまった山姥が唯一の山の住人だと思い当たり、もしや山姥がお母さんなのかと考える。

 

その旨を子供に伝えると、考えが当たりそうだと答えた。

 

これはいかんとミツは考え、素直にお母さんを倒してしまったと伝え、そのお詫びにうちで家来にならないかと再度スカウトをした。

 

子供はそれなら仕方ないと、ミツのスカウトを了承し山を降りる。

 

そして今に至るというわけだ。

 

 

・・・・・・どないなわけやねん。

 

 

「なぁミツ。それ自分で言っててかなりむちゃくちゃだなって考えなかった?」

 

「ん?むちゃくちゃっすか?自分は人喰いの山姥を倒して、その子供を保護したって感じなんすけど」

 

「確かにそう聞くといいことした感じになるけど、その子の母親倒しちゃったわけだよね」

 

「例え母親だろうと悪なら倒す。それが普通じゃないっすか?」

 

 

・・・出た、平安クオリティ。

 

今まで生きてきて、幾度となくぶつかってきた現代で生きてきた俺と平安の人たちとの価値観の相違。

 

はぁ、こればっかりは仕方がない。

 

 

「・・・そうだな。お前が正しいよ」

 

「そっすよね!自分間違ってないっすよね!」

 

 

ほら、自分が正しいっす!とわちゃわちゃ言ってるミツは放っておいて、俺はミツが連れてきた子供に近づく。

 

というかミツ本当に俺より歳上なの?タケと比べるとどうしても歳上って感じしないんすけど。いやタケもタケなんだけどね。

 

まぁそれはおいておいて。

 

ミツの話を聞く限り、この子はどう考えても金太郎こと坂田金時だ。足柄山や母親が山姥、熊と相撲をとったりと思い当たる節がありすぎるからな。

 

でもまぁ自己紹介ぐらいはしてもらおうと思う。

 

 

「こんにちは、僕の名前は渡辺綱。そこで騒いでるお兄ちゃんと一緒で姉さ────じゃなくて源頼光って人の家来をやってる。よかったら君の名前を聞かせてくれないか」

 

なるべく不審がられたり怖がられたりしないように子供の目線でしゃがみ笑顔で言って返事を待つ。

 

そうすると子供から返事が返ってくる。

 

 

「おう!俺の名前は坂田金時!熊と友達なゴールデンな奴さ!よろしくな、ツナの兄ちゃん!」

 

ニカーッと眩しいほどの笑顔でピースしながら自己紹介をする金太郎こと坂田金時。

 

・・・ミツやタケのときも思ったが、他の頼光四天王はなんでこんなにキャラが濃いんだ。

 

あとゴールデンって、この時代南蛮と交流なんてなかったと思うんですけど。

 

それと兄ちゃんって言い方すごいグッときた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミツとタケたちと出会ってから数年が経ったある日俺は元服を済ませた。元服の際はかなり大々的に式を挙げ、平安の凄さを思い知ったものだ。

 

数年の間ではかなり色んな出来事があり、姉さんやミツやタケなどとかなり交流を深め命を預けられるほど仲間として成長した。

 

姉さんとは姉と弟として本当の家族のようになり(ときどき俺を見る目がギラギラしてる事があるけど)、ミツとタケは最初年上ということもありさん付けなどで呼んでいたが、あの時の決闘を境に徐々に敬語を無くしていき今ではタメ口で話せるようになった(これには理由があり、ミツとタケが思いのほかダメな年上で、ミツは好戦的な性格のまま成長、タケは天然朴念仁ということに気づいてしまい敬うのも馬鹿馬鹿しいなと思ったからだ)。

 

 

他にも、腹黒暗黒イケモンから妖術の類を教えてもらったり、文学とは名ばかりのBLに走る妹分が出来たりととてもリアルが充実したものとなった(腹黒暗黒イケモンや妹分に関しては話したくはないがいつか必ず話します)。

 

 

ここらで俺の近況報告を終えて話を戻すが、坂田金時(これからは金時と呼ぶ)のことだ。

家来になるのはほぼ確定のことだが、如何せん姉さんみたいに急なことであり、母親を突然失ってここに来たのでとりあえずは姉さんにいろいろ相談をしたいと思う。

 

 

 

 

「どう思いますか姉さん。」

 

金時にはちょっと上の人と話してくるからと、庭の方で、金時とミツが連れてきた熊と戯れながら待っていてと言い姉さんの部屋へとやって来た。

 

というか熊連れてくるのおかしくない?ミツはなんの疑問も抱いてなかったっぽいけど。これがやっぱり平安クオリティなのか。

 

 

「・・・そうですね。ミツも責任をとろうとその坂田金時という子供を連れてきたわけですし、この際そのまま家来にしてしまうのが1番いいのかもしれません」

 

姉さんは俺から話を聞くと吟味を始め、答えを出した。

 

まぁ、そりゃそのまま家来にするよな。金時を山に返すわけにもいかないし。

 

「それじゃ、そういうことで金時の受け入れを始めるね」

 

「はい、よろしくお願いしますねツナ。」

 

「別にこれぐらいならミツとタケの問題に比べると楽なものだよ」

 

「ふふ、そう言ってくれと心強いですね。」

 

いやまじで、ミツとタケに比べると楽すぎるから。

ミツの無鉄砲さでどれだけ町の被害を俺が直したか、タケに関してはあの色恋の朴念仁の恋の被害を俺がどれだけ取り持ったか。

 

あ、考えたら腹たってきたな。

 

だがここは抑えて抑えて。俺は頼光四天王筆頭なんだからな。

 

「あ、そうだ私も今すぐその子供に会いに行きましょう。」

 

「え、いやまぁ構まわないけど仕事はどうするの?」

 

「そんなのもうとっくに終わってます。」

 

おぉ流石姉さん。ときどきポンコツになるけど普段は尊敬するすごい人なだけある。まぁ俺を見る目をちょっとだけ変えて欲しいけど。

 

 

「それでは、行きましょう!」

 

「はいはい了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

てな訳で、金時がいる庭に到着。

 

庭を見てみると熊と相撲をとっている金時がいて、ミツは行司をしていた。

 

熊は小熊と言えるほど小さく全長は140cmほど。だが小熊でも熊。その力は並の子供をも遥かに上回るもののはずなのだが、金時はその小熊より小さいはずなのに力で圧倒していた。

 

まさしく金太郎の名に恥じぬもの。庭に到着して間もないがその相撲の試合に魅入ってしまう。

 

ほどなくして決着がつき。勝者は金時。熊は残念な顔をして金時を讃えていた。

 

て、おい。ちょっとまて。その熊おかしいぞ。

なにミツと金時は仲良く熊と肩組んでるんだ。もっと思うことあるだろ、なんでそんな表情豊かなんだとか。あれかくまみこか、あ?

 

現代だと熊見ただけで捜索されて射殺されるんだからな?

 

まぁ平安クオリティと言ってしまえばそれまでだけど。

 

 

「あれが金時ですよ姉さん」

 

あの熊に関しては今後じっくり調べていきたいと思うが、今は姉さんが金時に会いに来たんだ一旦熊は置いておく。

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

が、姉さんはなんの反応もしなかった。

 

「ん?姉さん?」

 

もう一度姉さんを呼ぶがそれでも反応なし。

 

「おーい姉さん。ねぇーさーん。姉さんってば」

 

続けざまに呼びかけるが姉さんいっこうに反応なし。もしやたまに起きるポンコツモードが作動してしまったのか。

 

いや多分あれだ。金時は傍から見たら金時碧眼の美少年だから、見とれていたんだろう。俺も男だけでかなり綺麗な顔立ちをしていると感じたからな。

 

・・・頼光四天王はイケメンしかおらんのか。

 

おっといけないいけない。黒いオーラは抑えて抑えて。

 

「ツナ。」

 

と、そこで姉さん起動。俺の名を呼ぶ。

 

「どうしたの姉さん、ぼーっとしてたみたいだけど。もしかしてあれ。金時にみとれてたとか────」

 

「────あの子の腕。あれは。」

 

姉さんは俺の言葉を遮って言葉を紡いだ。

ん?金時の腕?

 

俺は姉さんが言った言葉を理解するために金時の腕を見てみる。すると、よーく見てみると金時の腕は赤かった。

 

あれれ?金時が自己紹介をしたときには腕は普通に肌色で赤くなんてなかった。どういうこと?

 

はーん?と首を傾げる俺。

 

そんな俺は姉さんがボソッと呟いた声を耳に捉えたのだ。

 

 

「────まさかあの子も────」

 

 

 

その時の姉さんの顔は数年前俺と姉さんが姉弟になったあの日のような真剣な顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさかのまたシリアス突入?

 

 

 

 

 

 

 

 






これを機に投稿するのがグンッと遅くなると思います。なんやかんやで書き溜めみたいなことはすると思うんですけどね。やっぱ受験に集中しないとなぁ・・・。


それと暗黒イケモンや妹分に関してはいつか絶対書きます!

それとまたおかしな所があったら報告してくださると助かります。


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閑話

久しぶりの投稿。

受験のちょっとした息抜きに書いてみました。

文字数とか多いのは話が二個あるからです。
しかもハイペースに話が進みます。

一応金時に会う前の話になります。

とりあえず良かったら見ていってください!


 

 

1.「ミツとタケの問題」

 

 

 

てれれっれっれっれー、ミツとタケが仲間になった!

 

 

 

皆さんこんにちは、渡辺綱です。

ミツとタケが仲間になり早数日となりました。決闘をした甲斐あってか、険悪になること無く良好の関係が続き、人見知りの僕は一安心をしているところです。

 

さてさて、ミツとタケが仲間になったのはいいのですが、ここらで一つ早速苦情があります。

 

 

 

 

 

「どうでござるか、今晩拙者のところにでも」

 

「あんまし歯応えとかはなかったすねぇ。あ、やばお店壊しちゃった」

 

 

 

 

 

今、2人は俺の目の前にいるんですけど、やばいこいつら超問題児なんですけどぉ。

 

 

「あ、あのツナさん非常に言い難いのですが・・・・・・」

 

あぁはいはい。わかってます。

 

お茶をしていたお店の人は困ったような表情で俺の顔を伺っている。

 

「・・・商品修繕費迷惑料全て払わせて頂きます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事の発端はちょっとした事だった。

 

改めてミツとタケとの親睦を深めようと、一緒に町に繰り出しお茶をしようとした。

 

いつも、贔屓にさせていただいている茶屋があるので2人をそこに案内したのだ。

 

最初の方は、世間話なんかで話が弾み、お茶は美味しく、ホッコリとした雰囲気を過ごしていたら。

 

 

 

「あぁ!?ちょっとぐらいいいじゃねぇか!」

 

 

 

奥から怒号が響いてきた。

 

なんだなんだと確認をしたら、そこには顔を赤くして女性店員の腕を掴んでいる大男がいるではないか。

 

どうやら、大男は茶屋にも関わらず酔っ払っているようで、その勢いで女性店員を口説いていた。

 

「お、おやめください!」

 

「こんぐらいいいだろうが!?」

 

ペタペタとお尻をサワサワ。・・・なるほどあいつは尻派か。

 

とか、なんとか思いもしたが、そんなこと思ってる場合ではないとその行いを止めようと動こうとしたその時。

 

・・・隣にいた2人が俺より速く動いた。

 

 

「やいやい!そこの大男その子を離すッス!」

 

 

ミツがどこから取り出したのか薙刀を手に持ち、手を前に出し行いを止める。・・・えぇ、今日は休み貰ったからなるべく得物は持ってこないようにって言ったのに。

 

「あぁ!?何だテメェは!!」

 

「碓井貞光ッス!」

 

いや何自己紹介してんの!真面目か!

 

「碓井貞光だァ?聞いたこともねぇな、まぁ大した奴じゃねえんだろうよ」

 

おおっと、一応武家出身なんで大したやつなんですが。しかも、姉さんの家臣になるからもっと大したやつなんですが。

 

「確かに、俺はまだまだ未熟で大したことがないヤツッス。でも無理やり人が嫌がるようなことをするやつを止めないほど未熟じゃないッス!」

 

か、かっこいい!!

いや、そうじゃなくて、揉め事とか起こすのはやめてよ。

 

「よく吠えたな小僧!この俺がお前の相手になってやる!!」

 

しかもなんか相手も乗り気なんですけどぉ!?あれか酔った勢いなのか?悪酔いなのか?

 

酔った大人めんどくせぇ!!

 

てかミツのほかにタケも動いてたよな。どこ行った?

 

 

「大丈夫でござるか?」

 

「は、はいありがとうございます」

 

 

居たー!ちゃっかり口説かれてた女性店員を救って、慰めていた。

 

なんて抜け目ないやつなんだ。

 

「いやいや当然のことをしたまででござる。すぐに助けられずすまなかった」

 

タケはそう言うと、女性店員の頭をなでなでしニッコリと人受けしそうな笑みを浮かべた。

 

そして女性店員は「ぽっ」と頬を赤らめる。

 

あ、あれはぁ!イケメン主人公だけがやることを許された伝説の口説き技!!しかも頭をなでなでだけでは飽き足らずニッコリと微笑んだ!これはニコぽ撫でぽの合わせ技だァ!!

 

「やだかっこいい」

 

「頭なでなでされたい」

 

「抱かれたい」

 

周りの女性もタケの行いに目を奪われているぅ!

 

・・・くそっ、イケメンまじ許すまじ。

あれ絶対狙ってやってるだろ。あんなん出来ひんやん普通。タケまじ半端ないって。

 

 

どごぉん!!!

 

 

うおっ、今度は何!

 

「あんまし歯応えとかはなかったすねぇ。あ、やばお店壊しちゃった」

 

ミツー!?何やっちゃってんの!?

戦うにしてもなんで店の中でやっちゃうかな!?普通店出るでしょ!?ほら不良とかも周りに気を利かせて表出ろよとか校舎裏集合なとか言うでしょ!

 

てか大男あんだけ大層な事言っといて弱っ!?

 

 

「どうでござるか?今晩拙者のところにでも」

 

口説かれてた女性店員を口説くのやめろぉタケ!

あ、まわりの女性の人もタケの方に寄っていってる。このイケメンが!

 

あぁお店の人が仲間になりたそうにこっちを見ている。

 

嘘です。違いますね。早く何とかしろって目をしてます。

 

あれれぇ?おかしいぞ?確かに今日は親睦を深めようと2人とお茶しに来たはずが、何故こんなことに?

 

 

店に残ったのは、ミツに伸された大男とタケに魅入った女性たちだけ。

 

残りのお客さんは騒ぎを煩わしく思ったり、巻き込まれないようにそそくさと店を後にしていた。

 

こうして冒頭の方に戻る。

 

申し訳なさそうにする店員さんに俺はお金払うので勘弁してくださいと言うのだった。

 

ぐすん、財布が軽くなったぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからもミツとタケはちょくちょく問題を起こした。

 

ある時は盗賊を倒そうとミツが追いかけると、まわりの屋敷を破壊しながら追いかけたり。

 

ある時は、休暇をもらって散歩をしていると、前の方から何人もの女性を侍らせたタケを目撃したり。

 

ある時は、修行と称して浮浪癖を発揮したり。

 

ある時は、女性との修羅場を形成したり。

 

ある時は────ある時は────ある時は────

 

たいてい、ミツが戦闘で何かを破壊し、タケは女性と問題を起こした。

 

その度に俺はミツとタケの問題の尻拭いに頭を悩ました。

 

ミツの何かを破壊するのはまだお金で何とかなる。いや良くはないけどな。あのまた破壊したんですかと言わんばかりの周りの目はとても痛い。お金払うから許してぇ!(屑)

 

タケに関しては、どないすればいいかわからん・・・。女性との問題なんてどうやって解決すんのよ。今カノと元カノにそしてまた新しいカノジョ。二股三股なんてもんじゃない。十股とかのレベルですよ?とりあえず女性の愚痴を聞いたりはした。・・・でもその度に姉さんの視線が痛かった。

 

 

最初は年上だから、2人に遠慮とかしてたけど、

 

 

 

 

「ごめんっす!また壊しちゃいました!」

 

「女の子をまた泣かしてしまった」

 

 

 

 

もう絶対遠慮なんてしねぇぇぇ!

 

 

 

 

##############

 

 

2.「暗黒イケモン」

 

 

暗黒イケモンとは、それはそれは口にするのもはばかられるような人物である。

 

お腹はブラックホールが真っ白に思えるぐらい真っ黒で、どSで、鬼畜で、冷酷な存在。

 

イケメンとモンスターが合体してイケモン。

 

あの御仁はまさしく暗黒イケモンであった。

 

出来ればかかわり合いたくない、あの御仁について語りたくない。そうあの御仁はハリポタの例のあの人に匹敵すると個人的に思えるほど。名前を呼ぶことすら恐ろしい。

 

あの御仁のことを考えると頭が爆発するのではと思うぐらい痛くなり、お腹は絶対胃潰瘍になってると思うぐらい考えたくない。

 

 

 

・・・つまり何が言いたいかというと、御仁まじ暗黒イケモン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「御仁に会いに行ってきてください」

 

 

姉さんから話があると呼び出され、部屋に入ると開口一番そう告げられた。

 

姉さんが御仁と呼ぶ人はただ1人、そう暗黒イケモンである。

 

つまり、暗黒イケモンに会いにいけと。

 

 

 

(嫌だァァァ!!!!)

 

 

 

めちゃくちゃ嫌だ。超嫌だ。

 

昔、姉さんが妖術の類を披露しているのを見て、俺もそれやりたい!、と思ったのが運の尽き。

 

姉さんからじゃあ、いい人紹介しますね、と言われて紹介されたのが暗黒イケモンである。

 

最初は、あ、この人超有名な人だ。うわすげぇ!、なんて思ったが。とんでもない。超腹黒ドSだった。

 

修行と称した、極悪非道なイジメを俺は1度たりとも忘れたことは無い。

 

「なななななんででしょうか!?」

 

や、やばい思い出したら冷や汗とかその他諸々のなんかが俺を襲う!

 

 

「御仁に鑑定を依頼したいので、ツナにはそのお使いに行ってきてほしいのです。」

 

おっと、その言い方だと姉さんは付いてきてくれないですねぇ!

 

1人だなんて絶対嫌だ!ますますもって会いに行きたくない!

 

 

「ぼぼぼ僕じゃなくてもミツとタケとかいるじゃないでふか!」

 

噛み噛みやん俺。

 

 

「その言い難いのですが、ミツとタケはまた・・・。」

 

 

・・・またか。またなのか。

 

 

「・・・またですか」

 

「・・・またです」

 

なんとも言えない空気が流れた。

 

 

 

 

 

 

さて気を取り直して。

 

 

「・・・行かなければなりませんか」

 

「行かなければなりません」

 

・・・行かなきゃ行けないかぁ。

 

そりゃそうだよね。ミツとタケ除いたら残りは俺だけだもんね。そして俺は特に用事とかもなく暇な存在。そりゃお鉢が回ってくるよね。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかりました。」

 

 

「物凄い悩みましたね」

 

 

そりゃね!会いに行きたくないもの!でも姉さんのお使いは行かなきゃならないし。その板挟みで悩みもしますわ。

 

 

「それじゃ後は頼みましたよツナ」

 

「分かったよ姉さん」

 

 

俺も男だ。潔く諦めて、御仁に会いに行こう!

 

 

「・・・はぁ、やっぱ行きたくねぇ」

 

「早く行ってきてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉さんから託された暗黒イケモンに鑑定してもらう品物はどうやら結構重要なものらしい。

 

まぁだからこそ暗黒イケモンに鑑定してもらうんだけどな。あの人腕だけは超一流、いや日本一だから。

 

でもそれとこれとはべつ。会わなければ行けない理由にはなるが、会いたくないという気持ちを抑えなければいけない理由にはならないと思います。

 

 

つまり会いたくない。

 

 

目的地に向かう足はのろのろ。けれど着実と進む。のろのろ。

 

足を止めることは無い。止めたら最後、絶対に目的地に辿り着けないと思うから。のろのろ。

 

・・・会いたくねぇ。まじ会いたくねぇよ。のろのろ。

 

 

長いこと足をのろのろ進めると、目的地に到着した。・・・到着してしまった。

 

もう半歩ほどゆっくり行けばよかった。

でも到着してしまったのならしょうがない。腹くくりますか。

 

それにあの暗黒イケモンもいつもいるって訳じゃないしね。適当な人にこれ渡しといて下さい、とかなんとかいってさっさと帰ろう。

 

 

 

 

 

 

「よく来たなクズの鈍間。随分遅かったじゃないか」

 

 

 

 

 

・・・まぁそりゃいますよねぇ。

 

 

 

 

 

目的地である暗黒イケモンの屋敷に入り、従者の人に案内された部屋に入るといきなり罵倒された。

 

確かに会いたくないからのろのろと来たけど、絶対早く来てもこの人罵倒してるよ。

 

 

「す、すみません。重要なものと聞いていたので慎重に運んできて遅れてしまいました。」

 

 

とりあえず言い訳。それっぽいこと並べてみた。

 

まぁ────

 

 

「黙れカス」

 

 

この人には関係ないですよねぇ・・・。

 

 

畏まって下げていた頭を上げ、暗黒イケモンの顔を見る。

 

齢五十を超えるというのに、未だハリがあり青年にも見えるイケメン。高級そうな服装で取っ付き難いオーラを放って俺を全力で見下していた。

 

・・・や、やべぇ。やべぇよ。冷や汗が止まんねぇ。

 

まるでゴミを見るかのような視線が痛い。痛すぎる!俺はMな人じゃないからただただ痛い。

 

 

と、そこで。ボーンと何が破裂する音が聞こえると、俺は吹き飛んでいた。

 

 

「誰が顔を上げていいと言った。もしかして人の言葉が理解出来ないのか?そうかそうだったなクズでカスでゴミだもんな。」

 

どうやら目の前にいる人が術で俺を吹き飛ばしたらしい。

 

・・・もう無理ぽよ。早くお家帰りたい(泣)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安倍晴明と言うと、日本人なら誰しも聞いたことがあるだろう。

 

個人的に源義経、織田信長と肩を並べるほどの日本のビックネームだと思う。

 

その安倍晴明の経歴と言うと、蘆屋道満こと道摩法師とライバル関係だったり、死んですぐ神格化されて数々の伝説を残したり、陰陽道や天文道など当時の先端技術に関して卓越した知識を持っていたり、貴族達から並々ならむ信頼を得ていたり、と平安きっての超有名な存在だ。

 

現代でもその逸話伝説が伝えられ、サブカルチャーにも安倍晴明をモチーフにしたキャラがいるなどその存在の凄さが分かるだろう。

 

そんなとんでも人物がこの目の前にいるこの暗黒イケモンなのだが。

 

 

「まともにお使いもできん出来損ないが」

 

 

中身クソの腹黒イケメンなんだぜ?

 

 

「何か失礼なこと考えたな。ん?死ぬか?」

 

「いやいやいやいや考えてません考えてません!!」

 

アンタの死ぬか?はマジモンの死だから。こんなところで一つの死体を増やさないで!

 

「ふんまぁいい。この部屋が汚れても堪らんからな。」

 

た、助かったァ。

 

結構な年のはずなのに、それを感じさせないほど若々しいのは絶対なんかやばいことしてるぜ。若者にはもっと優しく接して!

 

 

ボーン!という音とともに吹き飛ぶ俺。

 

 

「次変なこと考えたら分かってるな?」

 

サーイエッサー!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが鑑定してもらう品物です。」

 

ボロボロになりながらも、姉さんから託された品物を差し出す。

 

とりあえず吹き飛ばされた時には、全力で守るようにしていたので品物には傷一つついていない。もし付いてたら絶対目の前の人に殺されてる。

 

実際、この人に妖術の師事してた際も何回か殺されかけたしな。

 

「ふん出来損ないの分際で手間取らせやがって」

 

うぅぅ、なんでこの人こんなに口悪いの!俺の豆腐メンタルが既にポロポロと崩れそう。

 

暗黒イケモンは品物を受け取ると、俺には見向きもせず鑑定を始める。

 

鑑定する品物は束に纏められた何かの毛だった。黄金に輝いており、ただただ綺麗だなと思った。

 

気になって聞いてみた。

 

「それなんですか?」

 

「黙れ」

 

・・・はい黙ります。

 

 

 

少しすると、暗黒イケモンは鑑定の品物を入れものの中に入れて蓋をした。

 

「もういいんですか?」

 

「誰が喋っていいと言った。」

 

 

・・・しゅみません。

 

 

「ふんまぁいい。これは俺が預かっておくと頼光にはそう伝えておけ。」

 

「?分かりました」

 

暗黒イケモンの言われたとおりにしよう。下手に逆らうとあとが怖いから。

 

暗黒イケモンはそう答えた俺に興味を無くすと、紙を用意し筆を取り始めた。

 

えっ、俺もういない子扱い?やだまじ暗黒イケモン。

 

 

まぁ、さっさと帰れって事なんだろうな。そうと分かれば帰りますか。

 

 

よっこらせと、腰を上げると

 

「おい出来損ない、その後の修練はどうしてる」

 

暗黒イケモン────もうめんどくさいな。晴明さんが声をかけてきた。

 

めずらしく思い、振り返ると晴明さんは未だ紙に目を落としている。

 

聞いたことだけ答えて消えろってことですか。

 

「そ、その非常に言い難いのですが晴明さんから師事したあの日からも修練はしているのですが結果はその芳しくなく・・・」

 

でも聞かれたこと超言い難いんですよねぇ。でも嘘ついたらバレて殺されるので正直に答える。

 

晴明さんの言う修練とは妖術の練習のことだ。

 

晴明さんに妖術の師事をお願いしていた頃、必死に取り組んで見たのはいいものの。どうやら俺には妖術の才能が無かったらしい。

 

それで晴明さんは「貴様に才能はない」と言うな否や、宿題と称した修練を言い渡しそそくさと俺への修行を取りやめた。

 

晴明さんは俺を文字通り殺しかけるほどの修行を施したのだが俺にはどうしても妖術を扱うことが出来ず、出来たとしても俗に言う魔力放出しか出来なかったため晴明さんからは出来損ないと言われている。

 

あれから妖術の練習をして見るものの結果は芳しくなく、それを今晴明さんが聞いてきたのだ。

 

 

 

「・・・そうか。ならさっさと失せろ」

 

 

 

俺の返答を聞くと、今度は本当に俺に対して興味を無くし書き物に集中しだした。

 

・・・まぁ晴明さんからしたら俺は目の上のタンコブみたいなものだからな。

 

自分が修行を施したにも関わらず、まともに妖術を扱うことが出来ないんだ。プライドが高い晴明さんからしたら耐え難いことだろう。

 

だから俺に対してきつく当たるんだろう。

 

・・・誰に対してもだけど。

 

厄介者はさっさと退散するのが一番。

 

それじゃ晴明さんサヨウナラ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツナが退出したあと、清明はツナが出て行った通路に目を向ける。

 

無論、ツナはもうその場所には居らず、シーンとした空間だけがそこにはあった。

 

書き物はあらかた書き終えており後は自身の名を刻むのみ。

 

興味はツナに関して移っていた。

 

「ふん、出来損ないのくせして申し訳なそうな顔を俺にしやがって」

 

清明は自身の質問に対して答えたツナの顔を思い出す。

 

ツナの顔は清明にとってひどく不愉快だった。

 

自身が修行を施してやったにも関わらず、いまいち結果を出せずに終わったクズな出来損ない。

 

例え出来たとしても、自身の属性に合った魔力を出すので精一杯。まさしく出来損ないであった。

 

だが、それはツナの才能の無さが原因。決して自身の教えが悪かったわけでなはい。むしろあの教えで出来ない方が悪かった。

 

だが清明はプライドが高かった。故に自分が悪いわけではないと思いつつも、どこか自分が悪いとすら思っている。

 

プライドが高いのは自分に自信があるからだ。

 

陰陽師として最高峰の人間だと自負しており、そういった類のことだけではなく、頭脳身体能力地位、全てにおいて自分は優れている。

 

そんな優れた自分でもツナの妖術の下手さを改善することが出来なかった。

 

プライドが傷つけられた気がした。

 

改善することが出来なかったことではない、その事についてツナが申し訳ない顔をしていることがだ。

 

故に。

 

 

「あの阿呆め。次来たときは、あの時の倍以上の修行を施してやる。」

 

 

 

あのクソ憎たらしい申し訳ない顔を叩き割ってやるために、今度会う時には凄まじい罵倒とともに恐ろしい修行をしてやろう、そう清明は考えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ぜってぇ安倍晴明こんなキャラじゃねぇ。玉藻から暗黒イケモンいわれるぐらいだよ?こんなん清明ちゃうやん。

誤字脱字などがありましたら報告などして下さると嬉しいです!

ところで多機能フォームってどう使えばいいんでしょうか?てかどんなこと出来るのん?

まえにメッセージでこうしたら良くなりますよって来たんですが、いざやってみようと思うとどうすればいいのか分からくなっちゃいました!




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