安森奏は試作型防人である (ゆゆゆい)
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第1話 始まりの勇者部と終わった包帯の少女

初めての作品です、なので色々と至らぬ点とかあると思いますがよろしくお願いします!



「昔昔ある所に勇者がいました、勇者は人々に嫌がらせをする魔王を説得する為に旅をしています。そしてやっと魔王の城にたどり着いたのです!」

 

なんて言う何処にでもありそうな物語を保育園児達に指人形の劇として発表しているのは讃州中学勇者部の面々、とても出来のいい劇とは言えないが中学生にしては十分すぎるとは思う。

 

(寝みぃ....)

 

俺こと安森奏は眠気を我慢しながらお粗末な劇を保育園児達にまざって鑑賞していた。のだが...

 

「君を1人になんかしない!」

 

バァン!

 

と、いきなり指人形の台座が音を立てて倒れ込んできた、おおかた友奈辺りが劇に熱が入りすぎて台座でも殴ってしまったのだろう、放送事故もいい所だ。

 

「あ、っと、えっとぉ...」

 

「あ、当たんなくて良かったぁ、でもどうしようこれ?」

 

いやホントにその通りだ、当たったら洒落にもならない。

 

台座の後ろで人形を動かしていた結城友奈と犬吠埼風がいかにも慌てている、園児達や先生たちもどうすればいいか分からないでいるようだ。そりゃそうだろう俺だってどうすればいいか分からない。

 

「ゆ、勇者キーック!」

 

『えぇ!?』

 

その場にいた勇者役の友奈以外の人達の声が揃った。

 

さっきまで話し合おう!とか君の事を1人になんかしない!なんてカッコいいこと言ってたのにいきなり武力行使に出たよ!?あの勇者!しかも明らかにキックじゃない攻撃してたし。しかも風も開き直って邪王炎殺黒龍波!なんて言いながら反撃している。それ三ツ目の魔人の技では無くて?

 

「樹!ミュージック!」

 

「えぇ!?えっと、これ!」

 

そして流れてきたのは俺がネットのフリー音源サイトからダウンロードしてきた魔王のテーマ、なんでさ...

 

とは言えそれではっはっは!ここが貴様の墓場だ!なんて言ったりする辺り流石は勇者部部長と言ったところか、実際ただの馬鹿なだけだろうけど。

 

「みんな!一緒に勇者に応援を送ろう!せーの頑張れ!頑張れ!」

 

おお、いいぞ東郷いかにもヒーロー物のミュージカルにありそうなノリで園児達に呼び掛けている。

 

「ぐぉぉぉ、皆の声援が私を弱らせるぅ...」

 

「今だ!勇者ぁパーンチ!」

 

「痛ってぇぇぇ!」

 

武道を習っている友奈だからこそのナイスなフォームから繰り出される勇者パンチが風の一応人形をはめているとは言えほぼ素手に襲いかかる、そんな全力パンチを食らえば痛ってぇぇぇ!ってなるのも仕方ないだろう。

 

しかも、これで魔王も分かってくれたよね?もう友達だよ?だと?なんて横暴な...

 

それでも保育園児達がテンション上がってワイワイ言っている辺り純粋な心は素晴らしいな...

 

とは言えこんなシナリオを園児達に見せてもいいものか?あ…保育園の先生達の目線が痛い!そりゃそうですよね、教育に良くないですもんね。

 

「東郷しめろ、しめろ!」

 

園児達達には聞こえない位の距離にまで近ずいて東郷に指示をだす。

 

「そうね。と、言うわけで皆のおかげで魔王は改心し祖国は守られました、めでたしめでたし」

 

てな感じに園児達への人形劇は友奈いわく大成功らしかったのでまぁ良いのだろう結果的に園児達も喜んでたし、後は我が家に帰る前にスーパーで今晩のおかずを買ってから帰宅する。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ただいま〜」

 

「お帰りなさいませ奏様」

 

と、俺を様付けで出迎えて来てくれる仮面を付けた女性、名前を聞いても教えてくれないけどよく俺の世話とかをしてくれるのはこの人だ、因みに専属メイドとかそういうのではない。

 

「帰るの遅くなってすいません、劇の片付けとかしてたら思ったよりも遅くなって」

 

「いえ、ですが言って下さればお迎えに上がりますのでこれからは...」

 

「いやさ、1回それやったら変に目立っちゃったからさ」

 

まぁ目立つのは仕方ないだろうな、なんて言ったってあの大赦(・・)印の黒塗りの車が来たら普通驚くだろう。

 

「それじゃあんまり待たせると、機嫌悪くなるから俺行きますね」

 

「はい、ではあとの事はよろしくお願いします」

 

「はいはい、任されました」

 

そう言って物凄く装飾された扉を開けてそこで待っている人物にはなしかける。

 

「悪ぃ遅くなった今から飯作るから」

 

部屋にはベッドがひとつポツンとあり、そこには身体中を包帯でくるんだ1人の少女が横たわっている。

 

必要ないとはいえここまで何も無いと俺だったら頭がおかしくなる自信がある。

 

「わぁおかえりアモりん!私お腹ペコペコだよ〜」

 

「悪かったって、今日はお前の好きな物作るからさ、何が食べたい園子(・・)?」




まさかの我が家が大赦本部で帰りを待っている少女は園子様、因みに出てきたか大赦仮面のひとは多分ピーマンとか嫌いなんじゃないかな?


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第2話 勇者部のなんて事無い日常

取り敢えずは1日1話更新を目指していきます




目が覚める、そこはいつもの通りの自分の部屋だ。しかし自分の頬に涙が滴っている事に気付き涙を拭う。

 

「また泣いてる、乙女じゃあるまいし....何の夢見てんのかね?」

 

1週間に2度はこうして涙を流しながら起きる、何か夢を見ていたことは覚えているのだが何を見ていたかを思い出すことは出来ない。

 

(まあいいか、取り敢えず着替えて飯作んないとな)

 

恐らく自分よりも早く目が覚めている園子と自分の為に、今日の献立を考えながら制服に着替え始める。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「じゃ行ってくるから」

「いってらっしゃ〜い、気をつけてね〜」

 

園子と朝ご飯を食べなが少しの間しょうもない会話をしたあと学校に行くため、大赦を出る途中にいつもの仮面の女性が出迎えてくれた。

 

「おはようございます奏様」

「おはようございます、いつもご苦労様です」

「いえ、これが私の仕事ですので」

 

出迎えはいいといつも言っているのにこの人は仕事だからと言って毎回出迎えてくれる、しかも30分位の時間がズレても出迎えてくるあたり朝からずっと待っているのだろう。

 

ここまでが俺のいつも通りの朝だ。

正直なんで俺がここまでVIP対応をされる覚えは無いのだけど、と言うか俺は2年前からの記憶が無い。何でも2年前に大橋で大事故が起きてそれに俺と俺の家族は巻き込まれたらしい。その事故が原因で記憶を失った俺を大赦が保護してくれたんだとな、因みに園子も俺と同じ理由だ。

俺の親と園子の親は大赦でも力のある家系だったらしく、そのお陰で引き取ってもらえた。

 

(正直親の七光りみたいであんまり好きじゃ無いんだけどな...)

 

とは言え大赦が助けてくれないと俺は生きていくことも出来ないので少なくとも高校位を卒業するまではその七光りに甘えて行く事しか出来ない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ピーンポーンパーンポーン

 

と授業終了のチャイムの音で目が覚める。

 

「起立、礼、神樹様に拝」

「はい、さようなら」

 

と日直と先生の挨拶が終わりしきりに皆が放課後のテンションになっていく。

 

「奏くん部活行こ!」

 

いつもと同じく友奈が東郷の車椅子椅子を押しながら俺の席まで来る。

 

「おう、んーっと」

 

と1度ノビをして居眠りで縮こまった体を伸ばす。

 

「あ、また授業居眠りしてたでしょ?ダメなんだよ授業ちゃんと受けないと」

「友奈ちゃんの言う通りよ、奏くんはそこまで成績が悪い訳じゃ無いんだからしっかり勉強すればもっとテストの順位もあがるのよ?」

「別にテストも赤点取ってる訳じゃ無いんだしいいだろ」

「奏くんはもっと向上心を持つべきだと思うわ!」

 

はいはい、と東郷からの小言を適当に流しつつ部室に向かう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「こんにちわ!友奈、東郷、奏入りま〜す」

「こんにちわ」

「ういーっす」

「お疲れ様です」

「お、来たわね」

 

てな感じで、簡単な挨拶をしていく。

 

「昨日の人形劇成功して良かったですね!」

「おっと友奈?お前は昨日の人形劇は成功したと言えるのか?」

「友奈ちゃんのアドリブは流石だったね」

「園児達の先生からの視線を浴びてた俺から言わせると成功とは思えないんですがそれは?」

「ま、まぁ子供達も喜んでましたし」

 

なんて事だ樹すらもあれを成功したと思っているのか...

 

「そうだよ!勇者はクヨクヨしても仕方が無い!」

「ポジティブね〜まぁいいわミーティング始めるわよ!」

『はーい』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後は未解決の事件を解決するための解決法や、ホームページの強化などをした後にかめやに、うどんを食いに来ている。

 

「はーいお待ち!」

「3杯目..,」

「おい風いくら何でも食いすぎだ、太るぞ?」

「女の子に太るとは失礼ね!いいのよ〜食べた分のうどんは私の女子力に回されるんだから!」

「なんと言う体の神秘!流石は風先輩です!」

 

なわけ無いだろ東郷さんや、どうせ風のでまかせだ。とは言えいつもこれぐらい食べてるのに太らない辺り女子力とは言わなくても何か別の何かに変換されている可能が?

 

「けどホームページの強化凄かったです!」

「あの短時間であのクオリティ...もうプロ並だよな」

「でも奏くんも最近覚えてきたじゃない、時間をかければあれぐらい奏くんでも出来るでしょ?もう少し練習すれば同じ位に出るようになるわよ」

「まぁ出来ないことは無いだろうけど、今ぐらいの事が出来ればもう充分だろ」

 

そう言って蕎麦をすする、ここかめやでは実は蕎麦も出してたりする、俺も基本的にはうどん好きだがなんかたま〜に蕎麦も食べたくなるんだよな。

 

「またそうやってすぐ諦める、アンタその癖やめた方がいいわよ?」

「その諦めた人より出来なくて10分で投げ出したダメ先輩には言われたくねぇよ」

「ぐぬぬ、痛いところを付いてくるわねアンタ..,」

 

ふふん、言い負かしてやったわ、てかもう食い終わってんじゃん、もうそろそろ大食いとかに出場出来るんじゃないかコイツ?

 

「あ、そう言えば言うの忘れてたわ、文化祭の出し物の相談しないといけないわね」

「でも、まだ4月だよ?ちょっと早くない?」

「いいか樹、それと同じ事を言って去年の文化祭に準備までに間に合わなかった大食い女がおってだな?」

「でも今年は樹ちゃんも居るし何とかなりそうだね!」

「えぇ!?わ、私ですか?」

「まぁ確かに風の妹とは思えない位有能だからな」

 

樹の頭をグリグリと撫でが、ビクン!とした後に俯いてしまった、いつもの園子にやっていたくせでたまに他の人にもやってしまう。けど皆は気づいてない様だけど樹は怯えてるみたいだし、前から思ってたけど樹は俺の事怖がっているように見えるんだよな。

 

「せっかくだから一生の思い出になる事がいいよね〜」

「それでいて娯楽性が高く大衆がなびくものでないと!」

「お前は演説でもする気か!?」

「ほほぅそれもいいわね流石は奏くん」

 

なんでさ、本気で東郷の感性が理解できないことがたまにある。

 

「流石に演説はしないけど確かに大勢の人達が楽しめるものじゃないとね」

「でも何がいいんだろう?」

「それをみんなで考えるんだろ?まぁ宿題だな皆で考えて来ないとな」

「そうね、まぁそれはそれとしてすみませ〜んおかわりぃ!」

『4杯目!?』

 

犬吠埼風の胃袋は無限大である。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「んでな、東郷の感性が理解できない事がたまにあるんだよ」

「いつも聞くけどちょっと変わった子なのかもね〜」

 

こうして晩ご飯を作って園子に食べさせた後に今日の出来事を園子に話すのは俺の日課になっている。

 

「園子に変わった子って言われるぐらいだか相当変わってんだろうな東郷って」

「あ〜アモりん私の事馬鹿にしてるでじょ!ぷんぷん!!」

「怒った擬音を自分で言う奴がいるかよ」

 

軽口を叩きながら園子との会話を楽しむ、俺も特に夜にやりたい事がある訳でも無いし、普段動けない園子の楽しみは俺とのこのお喋りだけらしい。大赦の人達は仕事があるから殆ど話し相手とかにはなってくれないそうだ。

 

「奏様、園子様をお休みになる時間です」

 

いつもの仮面の女性では無く、自分とそれなりに近い年であろう男性が部屋に入ってくる。因みにこの人もそれなりによくあう人だったりする。

 

「あ、すいませんもうそんな時間ですか」

「え〜もう行っちゃうの?もう少しお話しようよ」

「また明日飯作って来るからさ、今日はおやすみな」

 

ぐねる園子を宥めて自分の部屋に帰り就寝した。




普通は何文字位書くのが普通なんですかね?


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第3話 讃州中学勇者部は勇者になる

未だにヒロインを誰にするか決めてない投稿者とかおるのww
....はい、私です


日常が壊れるのは簡単だ、そんなセリフをよくアニメとかで聞くが日常なんてそう簡単に壊れるなんて思っていなかった、それがもしかしたらフラグだったのかもな。

 

「なんじゃこりゃぁ!」

 

目の前に広がるのは見たことも無い綺麗な世界が広がっていた。

 

「でっかい木の根っこ、か?いやほんと何処だよ夢の中か?」

 

ベタかもしれないが取り敢えず頬を抓ってみる、うん普通に痛い。

 

「なんかサイレン見たいな音がしたから起きたのに。お、そうだ携帯携帯」

 

ポケットに入っている携帯のスリープを解除して電波を確認する。

 

「やっぱり電波は入って無いか、てか画面が変わってるし...あの壁紙気に入ってたんだけどな〜」

 

携帯には何故か勇者部に入った時に入れるように言われたSNSアプリのNARKOと電話、後はマップだけが画面に残っていた。

 

「連絡とか取れねぇかな...」

 

ダメ元でNARKOを開いてみる。

 

「お、開いた...ってなんだこれもいつもと違う?」

 

文字を打つためのキーボード等は全て無くなっており代わりにど真ん中に丸い種から芽の生えたアイコンがある。興味本位で押してみたのが悪かった、アイコンを押した瞬間に視界が光に包まれた。光が収まり自分の体を確認する。

 

「なんじゃこりゃぁ!!!!」

 

さっきよりも大きな叫びが樹海に響いたのは言うまでもない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「この辺に奏がいるはずだけど...」

 

もう既に合流していた奏以外の勇者部はマップを開いて奏を探していたが、奏のいる方向から光が見えた、しかも奏の叫び声のおまけ付き。

 

「あの光は!皆奏はあそこよ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

自分の姿に驚いていると、ガサガサと草むらから見知った人達が出てきた。

 

「奏くん見つけた!って、えぇ!?どうしたのその服!?」

「い、いやなんか適当に携帯弄ってたらこうなった」

「っつ!どう言う事ですか風先輩!説明してください!」

「落ち着けって東郷、なんでそんなにイライラしてんだよ」

「....えぇそうねこんな状況だから少し冷静さを失っていたわ」

 

イライラしている東郷を落ち着けた後に風に向き直る。

 

「とは言え説明して欲しいのは俺も同じだ、なんか知ってんのか風?」

「...ええ大丈夫今から説明するわ」

 

それから風から説明を受けた、残っているアプリについて、この空間について、讃州中学勇者部の存在理由、勇者としてのお役目、そして風は大赦から派遣された人間だと言うこと。

 

「そんなの今まで一緒に住んでたのに初めての知ったよ...」

「ごめんね、私達の班がなる確率の方が低かったから下手に言う事が出来なかったの」

「そう言えばさっきからマップに写っているこれって...」

 

友奈の言う通りマップには乙女座と書かれた自分たち以外の点があるのに気づいた。しかもその方向にな見たことも無い巨大な化け物が浮遊してこちらに向かってきているのが見えた。

 

「あれね、遅いヤツで助かった、あれはバーテックス人類の敵、世界を殺すもの...」

「世界を殺すって...」

「バーテックスの目的はこの世界の恵みである神樹様にたどり着くこと…そうなった時世界は、死ぬ...」

 

全員が息を呑むどうして自分たちが?あれと戦うのか?と。

 

「大赦の調査で私達が最も適性が高い事が分かったの」

「そんな...あんなのと戦える訳が...」

「方法があるのいま奏がなっている様に勇者となってアイツらと戦うの、厳密に言うと奏は勇者ではないんだけどね?」

「俺は勇者じゃない?」

「そう、基本的にやる事は勇者と同じ、バーテックスと戦う事、名前が違うだけよ」

「....なんか、よく分かんねぇよ、なぁ風つまり勇者部はさ...」

「皆あれ!」

 

東郷がバーテックスを指す、何だよ今風と話をしてるだろ?と思いつつバーテックスを見るとピカン!とバーテックスが光った。

 

「っつ!皆危ない!」

 

瞬時に風は樹を友奈は東郷を庇う姿勢に移る、俺は反射的に皆の前に出て腕を交差させて防御の姿勢をとることが出来た。幸運にもバーテックスの攻撃は直撃する事は無く、爆風しか来る事は無くその爆風も俺が壁になったことで皆に届く事は無かった。

 

「な、なに!?」

「私達のことを、狙ってる?」

「こっちに気が付いてる....!」

「ダメよ...こんなの....勝てる訳がない!」

「...友奈、東郷を連れて逃げて!」

「で、でも....」

「行きなさい!」

「は、はい!」

 

いつもの風のおちゃらけた感じとは違い怒気のこもった声で言われた友奈は渋りつつも東郷の車椅子を押して行く。

 

「奏もついて行って、樹も一緒に行きなさい!」

「...分かった、樹行くぞ!」

 

樹も連れて友奈達の後をついて行こうとする。が

 

「嫌です!お姉ちゃんを残して行けません!!!」

「樹...」

「ついて行くよ、何があっても」

 

涙を溜めながらもしっかりと意志のこもった目で答えた。

 

(樹や風が頑張ろうとしてるのに俺だけ逃げ出す訳には行かないよな)

「東郷には友奈が付いてるし、俺もこっちを手伝うさ、樹と風に世界の存亡を任せるなんて危なすぎるだろ?」

「....っは!言ってくれるわね!いいわ樹私に続いて!!」

 

樹と風もアイコンを押すと光に包まれる、その後光から出てきた姿は風は巨大な大剣を携え、樹は黄緑色の衣装を纏っていた。

 

「さあ行くわよ!」




次回から戦闘シーン書かなきゃいけない、俺にかけるかね?


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第4話 結城友奈の覚悟

タイトルに悩む今日この頃、ネタにも走れないし難しい...


バーテックスからの攻撃をジャンプして避ける。が...

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!凄く飛んでる〜!?」

 

生身では考えられない程のジャンプで樹は軽いパニックになっている。

 

(さっきバーテックスの攻撃に反応出来た反射神経といい、このジャンプ力と言い、これが勇者の力か…すげぇな)

 

「樹、奏!着地!」

「へぁ!?あぶし!」

「よっとと」

 

俺は何とか無事に着地出来たが樹は顔面から突っ込んでいた。大丈夫かあれ?女の子が出していい様な声じゃないけど?

 

「お、おい大丈夫か樹?」

「は、はい何とか〜」

「大丈夫よ、精霊が守ってくれるわ!」

「わ!何これ可愛い!」

 

樹の精霊はマリモに芽が生えた様な、風の精霊は2頭身の犬の精霊が出ている。

 

「神樹様の導きで私達をサポートしてくれるわ!っつ!来るわよ避けて!」

 

風の警報で敵の攻撃を危なげなく回避する。

 

「ジェットコースターだよ〜〜〜!?」

「手をかざして戦う意志を示して!」

 

風は先程も出していた大剣でバーテックスから飛ばされてきた、なんだ?ファンネルミサイル?的なのを打ち落としていく。

 

「えぇ!?こ、こう?」

 

樹も右手に装着されていたツルが巻きついた輪っか状の飾りからワイヤーを出して打ち落としていく。

 

(よっしゃ!俺も武器出して迎撃だ)

 

と思い戦う意志を示してみるが...

 

「およ?出ねぇけど〜!?」

 

武器で迎撃する事が出来なかった為に間一髪で回避に成功する。後からの爆風は精霊が防いでくれた。俺の精霊はどうやら3本足の生えた鴉の様だ。

 

「あ、言い忘れてたわ、アンタのは音声認識だから呼ばないと武器出ないわよ」

「それは早く言っとけよ!?」

「名前は端末見れば書いてあるから確認して!」

「こんの、大食いダメ先輩が!」

 

今度は樹も目を回して居るようだがちゃんと着地を出来たようだ。

 

「足を止めないで!動き回るのよ!!」

 

風の指示通り動き回りながら端末を弄り武器の名前を確認する

 

「えぇっと生太刀(いくたち)?っておわ!」

 

1番上に書いてあった武器の名を読んだら手元に太刀が出現した。

 

「と、取り敢えずこれでいいか」

 

またもバーテックスから飛んできたファンネルミサイルを居合で切り落とす。

 

「おぉ!初めてなだったけど体が思い通りに動く、これも防人の力か?」

「ほらほら関心してないで樹みたいに動き回りなさい!」

「多過ぎるよォ!?」

 

とか何とか言いつつ攻撃を全て回避している樹。いいぞ樹そのまま止まるんじゃねぇぞ。

風は端末を取り出して何か連絡している様だが、危なげなく回避しているので樹の援護に向かう。

 

「大丈夫か樹?」

「大丈夫じゃ無いですよォ!」

 

並走して樹の顔を見てみるが本気で余裕が無いようだ。

 

「だとしてもあれ全部打ち落とす訳にもいかねぇからな、樹の逃げる先に俺はいるからよ、止まるんじゃねぇぞ!」

「それ奏さんが見てる昔のアニメのネタ台詞じゃないですか!」

 

とか何とかふざけててもしっかり逃げんのね...

「お姉ちゃん危ない!」

 

樹の声で風の方を確認すると会話に夢中になってた風が至近距離でバーテックスの攻撃を受けるところだった。

 

「風!くっそあのバカ!」

 

風が攻撃されて注意がそれてしまった俺にバーテックスの攻撃が襲いかかる。

 

「奏さん!危ない!」

 

直前で樹がワイヤーで俺に迫っていた攻撃を打ち落としていくくれたようだ。

樹にお礼をする為に樹の方に振り向くが樹の後にファンネルミサイルが迫っていた。

 

「っつ!お前も人の事言えねぇよ!」

 

樹を抱き寄せつつ攻撃を自分に当たるように位置をすり替える。

 

ドドドォーン!

 

吹き飛ばされる。精霊がバリアをはって攻撃を防いでくれただけあってダメージはないが、まるで体が引きちぎられそうな衝撃が全身を襲った。

 

「痛、くはねぇけど....ダメージは無くても衝撃は来んのかよ」

 

樹の方を確認する、どうやら外見に怪我はなく、自分と同じ様に衝撃で倒れているだけ様だ。

バーテックスはそんな自分達には見向きもせずに悠々と友奈達の方向に向かって行き、攻撃した。友奈がファンネルミサイルに向かい走っていく。

 

「っつ!友奈ァァァァァァ!」

 

ドカァーン!

 

爆発

瞬間身体中に絶望が走り抜ける、友奈は自分達とは違い変身していない、変身していない人間があの攻撃を食らえばひとたまりもないだろう。

 

しかし爆煙から出てきたのは左手の拳を掲げた無傷の友奈だった、その左手には桜色の篭手がついている。

 

「...嫌なんだ、誰かが傷つくこと」

更にバーテックスからの攻撃

 

「辛い思いを、する事!」

それを右足の後回し蹴りで打ち砕く。

その右足には桜色のシューズ。

 

もう一度バーテックスが攻撃を仕掛ける。

「皆がそんな思いを、するくらいなら!」

それは左の後ろ回し蹴りで打ち破る。

左足にも右足と同じものが。

 

友奈が飛び立ちバーテックスに向かい、飛翔する。

バーテックスも友奈を迎撃する。

「私が!」

バーテックスの迎撃を

「頑張る!!!!」

右腕、身体そして髪も桜色に変わり、全身の変身が完了した友奈が気合と共にバーテックスの攻撃を粉砕する。

 

「友奈!」

ボロボロになりながらも部員を気遣う風。

「友奈さん!」

まだ立つことすら出来ないのに友奈の心配をする樹

「友奈ちゃん!」

泣きながら友の名を呼ぶ東郷

「友奈ァ!」

友奈を激励する奏

「ウォォォォォォ!勇者パーーーンチ!!!」

 

友奈の攻撃はバーテックスの一部を吹き飛ばした。

 

「凄い...」

「これが..,」

「友奈ちゃんの...」

「力...!」

 

「勇者部の活動は皆の為になる事を勇んでやる、私は讃州中学勇者部、結城友奈!」

 

一部を破壊したバーテックスを睨みつけ毅然と吠える。

「私は勇者になる!!!!」




あくまで友奈の話にするか、奏の話にするか...迷いどころですね
あっタイトル変えました、初期より少し設定変えちゃったので...


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第5話 ヴァルゴ死す

ごめんなさい、センスのない私では城之内さんをパク...リスペクトするしか出来ませんでした


「そんな、治ってる...」

 

友奈の勇者パンチでダメージを与え、その隙に全員で1度距離をとりバーテックスを再度確認すると、バーテックスは完全に粉砕されていた身体の一部をもう既に再生させていた。

 

「部長さんや、あちらさん完全修復してますけど勝ち目あるんですかね?」

「バーテックスはダメージを与えても回復するの!封印の儀式って言う特別な手順を踏まないと」

「特別な手順って?」

「攻撃を避けながら説明するから!ほら、来るわよ!」

 

完全に回復したバーテックスからまたもファンネルミサイルが飛ばされる。奴さんあれしか攻撃方法無いんですかね?

 

「とは言ってもずっと避け続けるって意外と辛いんだよな!」

 

逃げ続ければいずれ先程のようにボロが出るだろう。

 

(樹は風と行動するだろうし、俺は友奈と一緒の方がカバーも出来ていいか)

 

プルル、と端末にメールが送られる。

 

『封印の儀式をする為の手順その1、相手を囲む事』

『手順その2、敵を抑え込むための祝詞を唱える』

『その後はやりながら説明するから!』

 

「友奈説明見たよな、行くぞ!」

「うん!りょーかい!」

 

なるべくバラけて攻撃を集中させない様にバーテックスとの距離を詰めて行く。

だが、バーテックスもただ距離を詰めさせてくれることもなく、体に巻き付いていた半透明の布のようなもので攻撃をしてくる。

エヴァのゼルエルさんですか?

 

「うわっと!あっぶねぇ...」

「奏くん大丈夫!?」

「おう、カスリもしてねぇよ」

 

近距離攻撃があると言っても布は1枚しかない距離を詰めるのは容易かった。

 

「位置につきました!」

「こっちも配置完了!」

 

樹と風も少し遅れて配置につく。

 

「よし、封印の儀行くわよ!教えた通りにね!」

「はい、っと祝詞って、うへ!これ全部唱えるのぉ!?」

「えっとなになに?幽界大神、憐給(かくりよのおおかみ、あわれみたまい)?」

恵給、幸魂(めぐみたまい、さきみたま)...」

「大人しくしろぉい!」

 

風が叫びつつ大剣を地面に叩き付ける。

 

『えぇ!?それでいいの(かよ)!?』

「様は魂込めれば言葉は問わないのよ」

 

えぇ(困惑)じゃあ何のために祝詞あんねん...

 

「そんなァ、早く言ってよぉ!?」

 

いいぞ樹俺が思っていた事を言ってくれたな、いや俺だけじゃなく友奈も思っていたに違いない。

 

「な、なんか、デェロンと出たァ!」

「封印すれば御霊がむき出しになる、あれを破壊すれば私達の勝ち!」

「言わば心臓か...あれ破壊すればいいんだよな、わかり易くてイイねぇ!」

「それなら私が行きます!くらえぇぇぇ!」

 

友奈は跳躍し、先程と同じ様に拳を振りかぶり御霊にぶつける、が

 

ガチン!

 

と、いかにも攻撃が通ってませんよ?的な音が響く。

 

「硬ったぁい!これ固すぎるよ!!」

 

殴った拳を擦りながら涙目になっている。

 

「あ、因みに下にある数字は私たちのパワー残量でそれ無くなったら御霊を破壊する事が出来なくなるから!」

「ほぇぇ!?と、という事は?」

「コイツが神樹様にたどり着いて、全てが終わる!」

 

言うやいなや風も御霊に向かい跳躍する。

 

「友奈変わって!」

「は、はい!」

 

未だに御霊の上で拳をさすっている友奈に指示を出し、代わりに風が御霊に飛び乗り大剣で攻撃をするが、それすらも弾かれてしまう。

 

「いきなり不味いかもね...ならば!」

 

バーテックスの身体に宙返りで飛び乗り勢いを付ける。

 

「私の女子力を込めた渾身の、一撃ィィィィ!」

 

風の全体重と落下の勢いも合わさり御霊に亀裂がはいる。

 

しかし気づく、地面に伸びている植物の根のようなものがドンドン枯れ始めている。

 

「くっ!始まった、長い間封印してると樹海が枯れ始めて、現実世界に悪い影響がでるの!」

 

(うっわ...風の体重重いんだな、流石いつもうどんたらふく食ってるだけあるわ)

「ちょっとォ!奏!今真面目な話してるのにアンタなんか失礼な事考えてるでしょ!」

「イエイエ、ソンナコトアリマセンヨー」

「隠すの下手すぎか!」

「だって隠すつもりないもん、そんな事より友奈」

 

未だに風が御霊の上で何か喚いているが、友奈に向き直る。

 

「時間もそろそろ無いし、俺の靴底殴ってあそこまで飛ばしてくんないか?多分俺だけの勢いじゃ無理そう」

「成程!オッケー、バッチコーイ!!」

 

殴る構えになった友奈に向かい走り、風と同じ様に宙返りをして足を友奈に向ける。

 

「行って〜、こーい!」

 

友奈のスイングと丁度いいタイミングで奏も跳躍し、御霊に接近する。

そこにはまだ喚いている風の姿。

 

「オラ、どかねぇと一緒にたたっ斬るぞ!」

「ゲェ!ちょっと待ちなさい!今どくから!!」

 

友奈達を怖がらせ、風達を傷つけ、日常もコイツに壊された。

 

「だからさ!」

 

抜刀の構えをしている生太刀に力を込める、すると3本の足を持った、奏の精霊が出現し生太刀が輝く。

 

「償ってもらう!」

 

すれ違いざまに斬撃、瞬間御霊が斜めにズレたかと思うと、様々な光が天に登って行った。

 

「奏〜!やったわね!ナイスよ奏!」

「砂になってる?」

 

バーテックスは身体が崩れるように砂になっていく。

 

あ、言い忘れてた。

「やったか!?」

「フラグになるからやめなさい!」

「フラグなるからやめてください!」

 

合流した樹と風にツッコまれる。

なんでさ、1度やってみたかったんやいいじゃないか。

 

なんて、くだらない事を考えていると視界が葉でうめつくされた。




戦闘シーンやっと終わった〜難しすぎですわ...
そう言えば東郷とわっしーの誕生日ですな、ゆゆゆいのイベントもやらないとだけど、今のわたしはfgoをやる事を、強いられているんだ!!!


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第6話 三好夏凜はチョロインである。

どうもどうも、fgoでどうせ星4以上は当たらないから単発何回かで先生当たんないかなぁって引いたら1発で引いた者です。
だからなんだと、言いたいでしょ?
私もそう思います


「ここは、学校の屋上か?」

「神樹様が戻して下さったのよ」

「あ、東郷さん!無事だったんだね!!」

 

少し離れた所に転送された東郷の元へ友奈がかけてゆく。

 

「友奈ちゃん....友奈ちゃんこそ大丈夫?」

「うん!もう安全、ですよね?」

「そうね、ほら見て」

 

風が指を指した先ににはいつも通りの街並みがあった。

 

「みんな、今回の出来事に気づいてないんだね...」

「そうね、他の人からすると今日は普通の木曜日」

「俺達が守ったんだな、皆の日常を」

「あ、因みに世界の時間は止まったままだったから、今はモロ授業中よ?」

『えぇ!?』

「ま、後で大赦にフォロー入れてもらうわ」

 

皆からすると俺達がいきなり消えてた事になるんだろ?....どうやって誤魔化すんですかねぇ...

 

樹が風の元え走っていき、抱きつく。

 

「怖かったよぉ〜お姉ちゃん、もう訳わかんないよぉ...」

「よしよし良くやったわね、冷蔵庫のプリン半分食べていいからね...」

「あれ元々私のだよぉ〜」

 

チラッとさっきから黙っている東郷に視線を向けたが、何か思い悩んでいるようだ。

 

「どうした?なんかあったか?」

「....ううん、何でもないわごめんね気をつかせちゃって」

 

いや、どう見ても私落ち込んでますよ的な空気出してますし、気を使わせたくないならもうちょっと努力しません?

 

「いやいやいや、どう見ても落ち込んどるやん、さてはあれだな、皆は変身して戦ったのに自分だけ変身できなかったこと悔やんでんだろ?だったら...」

「ほらほら樹ももう離れなさい、今日はこれで解散ね公欠扱いで早退になるから皆各自で家に帰って休んでちょうだい」

「は〜い、東郷さん帰ろっか、ってあれ?何か話してた?」

 

友奈さんや、いま大事な話をしているんですよ、東郷は1度ネガティブになるととことん落ち込む人だからフォローしてやんないといけないのに。

 

「私は大丈夫よ友奈ちゃん帰りましょっか」

 

行ってしまわれた...まぁ友奈がついてれば変な気も起こさないだろうし、大丈夫だろ、俺も1人で色々考えたい事とかあるし。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(これからは剣術とか、色々習った方が良いのかね、でもなぁ金かかるし)

 

色々と考えたい事をしながら歩いて帰っていると、浜辺で少女が木刀で素振りをしているのが見えた。

 

(俺が言えたことじゃないけど、今って普通授業して時間帯だよな?しかもあの子、どこか見覚えが....ワカンネまぁいいや直接聞けばいいし)

 

近くにある自販機でスポーツドリンクを2本買ってから少女の元へ歩いていく。

 

「よぉ、こんな時間に何やってんだ、サボり?良くないなぁサボり癖は社会人になってからじゃ治すのは遅いんだぞ?」

「...なによ、どうしようが私の勝手でしょ?て言うかあんたもサボってんじゃない」

 

少々警戒をしながらもこちらの問に答えてくれた、フムコミュ障って訳では無いんだな。

 

「俺は公欠だからいいんです〜てかホントに何してんの?こんな所で木刀振り回して、しかも二刀流....中二病?」

「違うわよ!私は特訓してるの!」

 

うわぁ....授業サボってまで特訓とか言いながら浜辺で木刀振ってんのかよ、末期だなこいつは。

 

「...アンタ今失礼な事考えてたでしょ?」

「ほほぅ、よく分かったな。なぁ俺達どっかで会ったことある?」

「はぁ?何言ってんのよ初対面よ」

 

どうやら初対面のようだ、まぁ確かにこんなに印象の強い子を忘れるわけないか。

 

「あ、そうだコレやるよ」

 

そう言って買ってきたスポーツドリンクを少女に投げ渡す。

 

「怪しいヤツからの飲み物を飲めると思ってるの?」

「怪しいとは失礼な」

「じゃあアンタはいきなり話し掛けられて、中二病って言われて、挙句の果てに初対面の相手にあった事ある?って聞いてくるヤツが怪しいとは思わないの?」

「....ソンナコトナイデスヨォー?」

「カタコトで言われても説得力ないわよ...」

 

ジト目でそんな事を言われる、確かに字ずらだけ見るなら俺ってすげぇ不審者じゃん。

 

「じゃぁあれだ、拳をぶつけて相手を知ろう」

「武闘派過ぎない!?」

「木刀で軽く模擬戦しましょうって言いたいんだよ、言わせんな恥ずかしい」

「自分で言ってんじゃないの...てか何でアンタ何かと模擬戦なんてしなくちゃいけないのよ」

「いやぁこれから部活で剣術とか使う機会があってな、そしたら明らか初心者の動きじゃない子がいたから教えて貰おうかと」

 

うむ、我ながら完璧な理由だ、嘘もついてないし上手く行けば出品も抑えられるし、不登校の女の子も救えるかもしれん。

 

「...ふぅん、まぁいいわでも私強いわよ」

「そりゃ良かった、そうでなくちゃこっちも上手くなんないんで、ところでアンタの名前は?」

「名乗る時は自分から名乗りなさいよ」

 

...やはり中二病でないか、今どきそんな事言ってくるヤツはそうほういねぇよ、いやイイけどさ

 

「ジョンマックレーン、ジョンって呼んでくれ」

「私は三好夏...ってそんな名前なわけ無いでしょ!?」

 

いいノリ突っ込みだ、将来はお笑い芸人とかいいんじゃないかな。

 

「....ヤッパリ変な名前だよな、皆そう言うんだよ俺だってこんな名前になりたくてなったんじゃないのに...」

 

しくしく、と泣き真似をしてみる、さぁ次はどんなツッコミをしてくれるのか。

 

「ちょ、ちょっと泣かないでよ、私はいい名前だと思うわよ?変わった名前だからびっくりしただけ」

 

えぇ(困惑)めっちゃええ子やん、どうしようなんか今更言い直すのも言いづらいし...ジョンでいいっか。てかコイツチョロいな。

 

「ぐすん、いや大丈夫だ慣れてるから」

「そ、そうじゃあ改めて自己紹介するわね私は三好夏凜よろしく」

「よろしくカリンリン」

「変なあだ名付けるなぁ!!!」




カリンリンは私がリアルで友達と付けた夏凛のあだ名です。
ゆゆゆの中で1番か2番ぐらいに夏凛の事が好きです


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第7話 三好夏凜は不器用である

この間友人に、結局お前園子と夏凛どっちが好きなの?って言われました。
決められないからメインヒロイン決まらないんだよなぁ


奏の喉元に夏凛の木刀が突きつけられる。

 

「お見事」

 

息を切らせながら夏凛の実力に素直に感心する。

 

「あんたこそ習う必要とかあんの?部活でやる分には充分過ぎると思うんだけど...まぁ私の方が強いけどね!」

「とか言いながら随分息が上がっているようですけど?」

「ふ、ふんそれでも100回やったら100回勝つ自信はあるわね」

 

確かに夏凛の言う通りだろう。善戦はしたが今のままじゃ絶対に勝てないだろう。

ていうか防人になってなくても剣術とか使えるんだな。

 

「でも、アンタの場合は技量は充分あるのよ、けど純粋に実戦不足何でしょうね、相手の気を読んで次の手を考えなさい」

「相手の気を読むって...そんなアニメじゃあるまいしさ」

「鍛えれば出来るわよ、見せて上げましょうか?」

「あ〜はいはい、スゴイデスネ〜」

「アンタ信じてないでしょ!?」

 

喚いてる夏凛を無視してスポーツドリンクを口に含み、端末で時間を確認する。

 

「で、俺はそろそろ帰るけど夏凛はどうする?」

「人の話聞きなさいよ...まぁ私も今日は帰るわ流石に疲れたし」

「そっかんじゃ取り敢えず途中までは一緒に帰ろうぜ」

「な、なんでアンタなんかと一緒に帰らないと行けないのよ!」

「え、やだったか?悪かったなもう少し話してた見たかったんだが...」

「ま、まぁ帰るまででいいなら少しくらい話してもいいけど...」

 

あぁ、やっぱコイツチョロな、友奈とに任せたら楽しそうだな、アイツ素でこんな感じだし。

 

「ツンデレめもう少し素直になれよ」

「誰がツンデレよ!全く...さっきのも演技だったのね、アンタのことなんか分かってきたわ」

「話したかったって言うのはホントにだから演技はしてるけど嘘はついてないぜ?」

「はいはい、ソウデスネー」

「...お前俺の話し信じてないだろ?」

「お返しよ」

 

ニヤニヤしながらそんな事を言われた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから夏凛がらなんでこんな時間に特訓してたのか、とか学校サボってんのか、とか聞きながら歩いていた。夏凛曰く、別に私の勝手でしょ。で片付けれた。

 

「あ、少し買い物あるから俺スーパー行くわ」

「私も弁当買うようだからスーパー行くわ」

「へぇ、てか夏凛の好きな食い物ってなに?」

「煮干よ、あれは完全食よそれとサプリ」

 

女の子にあるまじき好物、てかサプリは好物に入んないだろ...

 

「それで親御さんになんか言われたりしねぇのかよ」

「...,言われないわ、私一人暮らしだし」

 

...なんか家族のこと聞いた瞬間にちょっと雰囲気変わったな、聞かない方が良かったか?って言うか

 

「え?じゃ何、普段から煮干と弁当とサプリ食ってんじゃねぇだろうな?」

「?普段からずっと食べてるわよ、栄養に偏りがある訳じゃ無いし別にいいでしょ」

「.....」

「ジョン?どうしたの黙りこくって」

 

おいジョンって呼ぶのやめろ笑いそうになる、まぁ俺が名乗ったんだけどさ、いやそれは今はどうでもいい。

 

「...やる」

「え?なんて言ったの?聞こえなかったんだけど?」

「俺が飯作ってやるから食え、答えは聞いてない」

「強制!?てかなんでアンタにご飯作ってもらわなきゃ行けないのよ!?」

「いいか夏凛、人の作った飯は食べた人の心を豊かにするんだ、弁当が悪いとは言わない、確かに時間が無い時とかはそれでもいいだろう、けど学生しかも女の子が....」

「わ、分かった分かったから!なによ今まで見たことないぐらいマジじゃないのよ」

「そんな事はどうでもいい、ほら、早く行くぞお前に手作りの飯の偉大さを教えてやる」




奏くんの作ったご飯を夏凛ちゃんに食べてもらいたかったから無理やりの展開にしました
後悔も反省もしていない、だって1ヶ月間1人で弁当って可哀想でしょ?


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第8話 安森奏は手料理を食わせたい

取り敢えず夏凛に弁当じゃなくて、手作りのご飯を食べて貰いたかった話し
後悔も反省もしていない


晩ご飯の材料を買うためにスーパーに来たはいいけど、何作るかね。夏凛はサプリとか見に行ったし、好きな料理とかも無さそうだしなぁ...

 

悩んでいると丁度夏凛が買い物を終えて戻ってきた。その買い物かごにはサプリと煮干。

 

「そう言えば夏凛は食べたいものとかあるか?」

「別に、何でもいいわよ」

「んじゃ苦手なものは?」

「苦手なもの?特に無いわね」

 

じゃあうどんにするか...いや、ここはハンバーグだな。

 

材料を買って夏凛の住むアパートへ行く。

 

「へぇ、外見から見て何となく思ってたけど結構いい所だな、そして思ったよりも乱れたりしてない」

「思ったよりって何よ!」

「いや〜脱ぎっぱなしの服とかをそのままにしてるんじゃないかと思ってたもんで」

 

いや、これは部屋が片付いてるって言うよりも何も無いって言った方が正しいのか?

 

自分と同じ年代の女の子の部屋など園子以外には知らないが、園子の部屋に何も無いのは理解出来る。けど流石にここまで部屋に何も無いのは異常なのでは無いだろうか。ある物と言えばテレビとランニングマシン、あとはテーブル位だ。

 

「殺風景な部屋ですこと、お前普段家で何してんの?」

「殺風景で悪かったわね、家なんてご飯食って寝て、トレーニングさえ出来れば正直どこでといいわ」

「贅沢だね〜っと、調理器具とかはちゃんと揃ってんな、しかも結構良い奴揃ってんじゃん」

 

キッチンにはまったく使われてないであろう調理器具や食器が収納されていた。

 

「じゃ、私はランニングしてるから終わったら呼んで」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

side 夏凛

 

変わったヤツ、いきなり話し掛けて来たと思ったら模擬戦してくれとか、料理作ってやるとか言い出して、普通に不審者じゃん。

 

ランニングをしながら今日会ったばっかりのジョンマックレーン(安森奏)のことを分析していた。

 

と言っても邪な考えがある様にも感じないし、冗談は言ってる見たいだけど嘘を付いている様にも見えないしね、ていうか今日だけでジョンマックレーンって言う男が大分分かったような気がするわ...

 

現在進行形でジョンマックレーンと言う嘘をつかれている事に気付かない哀れな少女三好夏凜。

 

今も鼻歌歌いながら呑気に料理作ってるし、ご飯なんて適当に食べてサプリで栄養の調整すれば何だって同じなのに...

 

奏の気迫に押し込まれて料理を作って貰うことになったが、夏凛は正直あまり期待してはいなかった。

 

そう言えば、部活でやるって言ってだけどアイツ何部なのかしら?普通に考えれば剣道部だろうけどあれだけの実力があればレギュラーになるのも簡単だろうし、口ぶりからすると剣道を始めるみたいな感じだし。

私も刀1本とは言え私といい勝負が出来るのなんて楠芽吹ぐらいだと思ってたけど、普通の一般人にもいるのもね。

 

流石に芽吹には勝てないだろうが、奏の技量には素直に感心させられる。

 

でも、剣道で使うような技って言うよりも、私の技に近いものがあるわよね。まるでただ相手を倒す為だけの剣術(バーテックスを倒すための剣術)みたいだった...

 

「かりんりん飯できたぞ〜」

「誰がかりんりんよ!」

 

奏の呼び掛けで我に帰り、奏の茶化しにツッコミを入れる。

 

まぁ特に気にすることでも無いわよね...

 

夏凛 sideout

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お、来たなどうよ?」

「へぇ、思ったよりもちゃんとしてんのね、アンタの事だから料理って言ってもギャグ路線で来るんじゃないかと少し警戒していてたわ」

「最初はそれも良いかなって思ったけど、今回は普通にハンバーグにしてみました〜」

 

o(`・ω´・+o) ドヤァ…!っと効果音までつきそうな、見事なドヤ顔を披露する奏。

 

「そのドヤ顔をブン殴ってやりたいわね...因みにギャグ路線で作ってたら何を作る予定だったの?」

「ぼた餅スープとぼた餅ライス、後はぼた餅サラダetc」

「まともな料理で心底ホッとしてるわ...ぼた餅ライスって何よ、それもう形が変わったぼた餅じゃないの」

 

その心底ホッとする料理を奏は食べて、後に夏凛も食べる事になるのはまた別のお話。

 

「ま、いいからいいから食べろ食べろ!俺が数少ない胸を張って言える特技が料理だからな、不満にはさせないぜ?」

「見た目は普通のハンバーグって感じがするけどね」

 

席に座りまず1口食べてみる。

 

「....ま、まあまあね」

 

コイツめわかり易く誤魔化しやがって。

 

「あ、もしかして口に合わなかったか?悪いな」

 

わざといかにもしょぼんとしている雰囲気をだす。夏凛ならこれでも引っかかってくれるだろう。

 

「ま、まぁ普通に食べる分なら美味しいじゃないかしら」

「ごめんな、気を使わせちゃって...」

「ちょ、そんなに落ち込む!?まってまって、美味しいわよ!店で出ても不思議じゃ無いくらい!」

「あ、ヤッパリ?いやぁ〜今回のは自信あったんだよね〜そっか美味しいか〜」

 

ニヤニヤと、してやったぜ!みたいな顔で夏凛を見下ろす。

 

「...アンタさっきのも演技だったんでしょ?」

「ナンノコトダカワカリマセン」

「はぁ、まぁ実際美味しかったわよ、気を使うとかじゃなくね」

「そりゃ良かった、まぁ料理だけは自信ありますから!」

 

チラリと壁に掛かっていた時計で時間を確認する。

 

思ったよりも時間かかったな、そろそろ帰らないとな、あんまり園子を待たせる訳にも行かないし。

 

「じゃ俺そろそろ帰るわ」

「ん?アンタは食べていかないの?」

「なんだよ一緒に食べたかったらそう言えよ」

「はぁ!?べ、別に一緒に食べたかったとか、そう言うんじゃなくてマナーとしてね...」

「はいはい、ツンデレ夏凛さんご馳走様です」

「誰がツンデレよ!」

 

そんなことを言いながら玄関に向かう。

 

「じゃまた今度な、見掛けたらまた声掛けるから指導宜しく!」

「ふん!次やる時は今回以上にボコボコにしてやるからね!」

「お手柔にな〜」

 

そう言って夏凛の家を出た。

 

園子は怪我してから味覚が弱くなった影響か、夏凛ほどのリアクションはしてくれないからな、また作ってやろう。




夏凛少し素直過ぎましたかね?ま、ツンツンするのは勇者部に入ってからでも遅くないよね


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第9話 園子様は寂しがり屋

本家とは違い家の園子様は奏くんがいるので多少は退屈しないのではないですかね?


「お帰りなさいませ、奏様」

 

今日の出迎えはいつもの女性では無く、たまに出てくる男性の方だ。

 

「ただいま、園子は?」

「まだ眠って居られます」

「そっか、今から飯作るけどアンタも食べていきます?」

「いえ、私は御役目がありますので」

「知ってた、言ってみただけですよ」

 

そう言って園子の部屋に入っていく。

 

園子はいつも通りにベットで眠っていた、鼻ちょうちんを大きく膨らませていた。

 

「鼻ちょうちんて...おぉい園子起きろ〜」

 

肩を掴み軽く譲って起こすと、パァン!と鼻ちょうちんが割れて園子も目を覚ます。

 

「ん、うぅんおはようアモりん、あれ?この場合はこんばんわ?」

「迷うくらいならわざわざ挨拶しなくていいだろ」

「えへへ、それで今日のご飯は何?」

「今日はハンバーグだ、今から作るから起きてな」

 

そう言って料理を作るために1度園子の部屋を出た。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「出来たぞ園子、ちゃんと起きてるか?」

「起きてるよ〜?いい匂いして来るから私もうお腹ペコペコだよ〜」

 

園子は左手は残っているが、動かす事が出来ないのでいつも奏が食事を手伝っている。

 

「そう言えば、今日の御役目は大変だったでしょ?ゴメンね疲れてるのに...」

「いや、これは俺の義務だからさ」

 

ん?ちょっと待てよ?

 

「園子、俺が大赦の御役目やってたの知ってんの!?」

「知ってるよ、実は私も大赦では結構すごい人なんだから」

 

ムフー、とドヤ顔を決めてそんな事を言ってくる。

 

「へぇ、どの位までのこと知ってんの?」

「アモりんが防人で他の勇者と一緒にバーテックスを倒して東郷美森ちゃんは変身出来なかった位かな」

「全部知っとるやん...」

 

思ったよりも知っていて驚いたけど、確かに乃木家って大赦の力強いらしいし、聞けば教えてくれたりすんのかね。

 

「あ、そう言えばアモりんちゃんと端末に入ってる説明読んだ方が良いよ?防人は勇者ほど簡単なシステムじゃないし、アモりんのシステムは試作型なんだから」

「え?そうなの?じゃあ俺だけ皆より弱いとかある?」

「確かに性能は少し下だけど気にするほどでも無いと思うよ?それに防人システムは勇者システムよりも汎用性がきくしね」

 

これからも戦って行かなきゃいけないし、確かに自分の使えるものは知り尽くしてた方がいいよな。

 

「じゃ園子も一緒に見てくれないか?多分俺だけじゃ理解しきれないから」

「良いよ〜でもそのかわり条件があります!」

 

ビシィ!っともしも腕が動かすことが出来たなら指を突き付けて来そうな勢いだ。

 

「条件?俺に出来る範囲でならいいけど」

「じゃあアレやってアレ!」

「アレって...えぇぇアレハズいんだけど」

「良いよ別に、アモりん1人で全部理解出来るならね」

 

くそうコイツ、ニヤニヤしやがって俺が嫌がるもの楽しんでやがるな...

 

「...はぁ、分かったやるから教えて下さい」

「やったぜ!」

 

喜んでいる園子を1度持ち上げる、俗に言うお姫様抱っこという奴だ。

そのままの状態で奏が先にベットに座り園子を膝の上に座らせる。

 

「えへへ〜特等席だ〜」

「へいへいそりゃようござんした」

 

園子の髪の毛から女性特有の香りが鼻をくすぐり、赤面してしまう。

 

「アモりん顔真っ赤だよ?あ、もしかして照れてる〜?」

「うっせ、早く説明してくれよ」

「うふふ、否定はしないあたりがアモりんらしいね〜」

 

くそ、園子の手のひらでいい様に転がされてる、何とかやり返したいな...

 

そう考えたが自分の膝の上でウキウキとしている園子を見て。

 

....まぁ、仕返しするのは後でもいいか。




と言うことで園子様には弱い奏くんでした!
園子の口調とか上手く書けたが不安ですケドね...


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第10話 安森奏のシステムは試作型

ようやっと10話まで来ました!
アレ?ゼンゼンススンデナイヨ?
完結まで何話になるのかな....


「照れてるアモりんを見てるのもいいけどシステムについて説明しないとね」

「....宜しくお願いします」

「じゃあまずは勇者システムと防人システムの違いについて説明するから端末見せて」

 

言われた通りに園子にも端末が見えるようにする。

そしてやってから気づいた。

 

これ、後から抱き着いている感じになるじゃん...

 

「ふふふ、後から抱き着いているみたいだね〜」

「ソウデスネ、ソンナコトヨリハヤクオシエテモラエマスカ?」

「この園子様に任せない!勇者システムと防人システムの違いについてだったね」

 

なんでシステムの違い教えてもらうだけでこんなに精神がすり減るんですかね?

 

「防人システムは勇者システムの量産型なの」

「はい?量産型?」

「そう量産型、アモりんのはその試作型つまりはプロトタイプだね」

 

量産型ね〜、確かに俺と同じぐらいの強さの防人が沢山いたらバーテックスも相手では無いだろうな。

 

「とは言っても完成型の防人はバーテックス相手には勝てない性能らしいけどね」

「え?完成型なのに性能低くなるの?」

「うん、完成型は精霊も無いらしいよ」

「素の性能も勇者よりも低いのに精霊のバリアも無いって無理じゃね?」

 

実際にバリアが無かったら俺や風達も死んでいただろう。

 

「だから防人は大人数でカバーし合って、戦うのは星屑って言うヤツしか相手にしないらしいからね」

「へぇ、じゃあ俺の試作型は?」

「アモりんの試作型は多くの武器を使って臨機応変に勇者と共にバーテックスを倒して、その実戦データを完成型の防人の為に集める役割があるんだって」

 

臨機応変にって....初心者に何を求めるんですかね...

 

「武道とかに心得が無いアモりんでもちゃんと戦えるように、初めて変身した時に使える武器の使い方は分かるようになってるよ、実際初めて戦った時もちゃんと武器が使えてたでしょ?」

「あぁ確かに、じゃぁ他の武器もちゃんと使えるのか」

「そうだね、武器の一覧開いて見て」

 

園子にそう言われて武器の一覧を開く。

 

「使える武器は、生太刀(いくたち)と、六花片(ろっかへん)大翼穹(おおよくきゅう)だね」

「太刀と盾と大弓か、近距離から遠距離まで何でもござれだな」

「しかもこの生太刀って初代勇者様が使ってた太刀らしいよ?」

 

そんな大切な物を俺なんかが使ってもいいもんかね...

 

「後は....満開、だね、まぁ防人には満開は無い代わりに精霊との融合があるね」

「へ?融合?なんかあんまり穏やかな単語じゃないんだけど...」

「融合って言っても、実際は精霊の力を一定時間使えるって言うだけだから大丈夫だよ」

「ふぅんコイツとね〜」

 

そう言いながらデフォルメ三本足の鴉を出現させる。

 

「へぇ、八咫烏か〜可愛いねぇ」

 

出現させた八咫烏は園子の体の上に乗っているどうやら気が合うようだ。

 

「よし、君の名前ははちだ!」

「人の精霊に勝手に名前付けるのやめて貰っていいですか?」

「えぇぇ、いいじゃんはち」

 

(๑´• ₃ •̀๑)みたいな顔で言ってくる。ダメなものはダメです。

 

「せめて名前付けるのは俺にさせてくれないか?」

「む〜まぁアモりんの精霊だからね」

 

とは言えなんて付けるかね。てか別に付ける必要も無いと思うけど、そんな事言ったら「絶対名前付けた方が可愛いよ!」なんて言われるのがオチなのは目に見えている。

 

「う〜ん、手羽先?」

 

∑( °口° )えぇぇ!?みたいな顔で八咫烏がこちらを見ている、どうやら気に入らないようで、俺の頭を翼でぺちぺち叩いてくる。

 

お前鴉の癖に顔芸するんだな。

 

「手羽先は可哀想じゃない?せめてLチキとかにしようよ〜」

「いや、大して変わらんだろ...」

 

「もう普通に八咫烏でいいだろ、素でも充分かっこいいし」

「う〜ん、まぁアモりんがいいならいいけどね...」

 

未だにグダっている園子をなだめつつ、園子をベットの上に戻す。

 

「えぇぇもう終わり?」

「説明して貰うような事はもう終わったろ、そろそろいい時間だしそろそろ寝ようぜ」

「うぅぅ...わかったよ、確かにそろそろ仮面の人が来そうだしね」

「じゃおやすみ、また明日」

「うん、おやすみ〜」




と言うことで今回は説明回でした、上手く説明出来てないと思うけど....
満開の事を奏くんに説明する園子様、あえて散華を言わないのか、大赦から言われているのか...


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第11話 東郷美森は怒っている

やっとアニメの2話の後編まできた!
さぁ頑張るぞ!


夢を見た、いつもなら覚えていない、涙を流しながら起きる夢。

その夢は報われる事の無い少女達の夢だった、今はもう、それしか覚えていない。

 

「はぁ....もう少し覚えていて欲しいもんだけど...」

 

夢を記憶出来ない自分に涙を拭き取り、悪態をつきながら起床する。

 

それからはいつも通りに朝ごはんを作り、学校に行き、部活に来ている。

 

東郷が元気無かったのは気になるけど、まぁ自分だけ昨日変身出来なかった事に責任を感じているんだろうな、てかホントにクラスの人から昨日の事について何も聞かれなかった。大赦の情報管理って恐ろしいな...

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「その子奏さんに懐いてるんですね!」

「名前は牛鬼って言うんだ、ビーフジャーキーが大好きなんだよね〜」

「共食いじゃねぇか....」

 

部室に来てから友奈の端末から牛鬼が飛びだし、奏の頭の上に乗って、まったりしている。

 

「そう言えば樹の精霊って何食うんだ?」

「木霊は水とか光合成とかする、らしいです」

 

うぅん、昨日色々あったから懐いてくれるかな?って思ったけど少しどもってるし、まだ怖いのかね...

 

「そう言えば奏くんの精霊はなんて言うの?」

「ん?あぁ八咫烏っていう名前だ」

 

と八咫烏を出現させると、俺の頭の上に乗っている牛鬼の上に乗ってきた。

 

なんでさ、別に俺の頭の上にわざわざ乗らなくてもええんちゃいますかね?

 

「この子はなに食べるの?」

「朝はうどん食ってたよ、どうやって持ってんのかは知らないけど羽根で箸を器用に持ってな」

「ドラ〇もん的な感じかな?」

「認識的にはそれであってるんじゃないか?」

「よし、出来た!」

 

先程から黒板に何か書いていた風が声をあげた。

 

「皆ちゅ〜も〜く、昨日のことについて説明するわね、戦い方は説明テキストがあるからいいとして、今はなんで戦うのかを説明するわね」

 

ビシィ!っと黒板に書いてある得体の知れない化け物に指を指す。

 

「コイツバーテックス、人類の敵で私達が戦う相手ね」

「それ昨日のヤツだったんだ」

「き、奇抜なデザインをよく表した絵だね!」

「....まぁ得体の知れないって言う事はよく再現出来てるな」

 

「コイツらの目的は神樹様の破壊、以前にも襲ってきた事があったらしいんだけど、その時は追い返すのが精一杯だったらしいわ」

「じゃぁそれに対抗する為に作られたのが勇者システムって事か...」

「そうよ、人智を超えた力にはこちらも人智を超えた力をってね」

 

そう言ってコンパスの様なものに丸を付けている。

 

「で、防人は量産型の試作型と」

「へぇ、ちゃんとテキスト読んでたのね」

「ま、まぁな流石に読みますよ?」

 

流石に勇者システムとかに詳しい人が近くに居てその人に教えて貰った、なんて言えねぇしな。

 

「というかその絵私達の絵だったんだ...」

「げ、現代アートって奴だよ〜」

「注意事項として、樹海に何かしらダメージがあると現実世界にも影響が現れるってこと」

 

確かにクラスメイトが交通事故があったとか言ってたな、あれが樹海のダメージのフィードバックってやつか...

 

「樹海をボコボコにされて大惨事、なんて事にならない様に私達勇者部が頑張らないと」

「その勇者部は先輩が意図的に集めた面子だったと言うことですよね...」

 

おっと東郷さんや、いきなり喋ったと思ったら随分ネガティブな事言いますね、いいぞもっと言え!俺も同じ事思ってたからな!

 

「....うん、そうだよ私は大赦からの御役目を受けてる、この地域の担当としてね」

「知らなかった...」

「次に敵が来るのって分かってんのか?」

「明日かもしれないし、1週間後かもしれないわ、どちらにせよそう遠くないわ」

 

「なんでもっと早く言ってくれなかったんですか、友奈ちゃんも樹ちゃんも、奏くんも死ぬかも知れなかったんですよ?」

「ごめん、適性が高くてもどのチームが選ばれるか分からなかったから...」

「つまりは色んなとこで勇者部みたいな集まりがあるって事か」

「そう、人類存亡の一大事だからね」

「そんな大事な事、なんで言ってくれなかったんですか...」

 

そう言いながら部室を出ていく東郷だった。




進展が無さすぎて、書いていてつまらねぇ!
早くイチャラブか、ブラックな展開を書かせて!


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第12話 「お前それ俺の前でも同じ事言えんの?」

サブタイトルって何書けばいいんですか!?
教えて下さい!ゼロは何も教えてくれない、教えて下さい!


東郷が怒りながら部室を出て行き、友奈は東郷の後を追って同じく部室を出ていってしまった。

 

「あぁ....なんだ、あんまり落ち込むなよ?」

「無理、どうしよう東郷怒っちゃったよね...」

「まぁ東郷が怒る理由もわかんだろ、それに東郷だって馬鹿じゃないんだし、時間置いてからもう一度話し合え」

 

こんなに落ち込んでる風も久しぶりだな、去年ぶりぐらいかね。ほっとけばそのうち仲直りするとは思うんだが....

 

「もうダメだおしまいだぁ〜」

 

....実は結構余裕あったりするんじゃないだろうな?

 

「樹、あの馬鹿な姉を慰めてやれよ、多分ほっとくとずっとあのままだぞ?」

「ヴェイ!?あ、え....」

 

えぇぇ....流石にそこまでの反応されると流石にきづつくんだけど?

 

「あ、す、すみません!ちょっと行ってきます!!」

 

小走りに風の元へ駆け寄って行く。

 

....風は樹に任せればいいし、俺は東郷の方に行くかね

 

しょんぼりしながら、東郷と友奈を探しに部室をでた安森奏であった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

さて、東郷と友奈は何処にいるかね〜っといたいた。

 

「おっす、大丈夫か東郷って、こっちも大丈夫じゃ無さそうだな」

「あぁ奏くん!助けて、私じゃ無理だよ〜」

 

確かになんか物凄く持ち込んでいる、何がどうしてこうなった?

 

「私が東郷さんを励まそうと思って色々やっても逆に気を使わせちゃったり、逆効果だったり、とにかく大変なんだよ!」

「なぁ東郷、お前だって風が自分からやりたくてやった訳じゃ無いことぐらい分かってんだろ?」

「えぇ分かってるわ....私はただ風先輩に八つ当たりをしてしまっただけ...」

 

あぁ成程、それでさらに自己嫌悪して落ち込んでんのね。

うわぁ...めっちゃめんどくさいやん。

 

「風だってさ、理由があったにせよ俺達に隠し事をしてたのはホントなんだしあんまり落ち込み過ぎんなよ」

「でも私は奏くん達が命を懸けて国を守っているのに....私は敵、前、逃、亡....」

「はぁ....お前めんどくせぇな」

 

友奈は∑( °口° )!?みたいな顔してるし、東郷も(ᇂ_ᇂ|||)みたいな顔してる。

 

「いいか東郷美森、お前がバーテックスから敵前逃亡したとかしてないとかそんな事はどうでもいいんだよ、あんな化け物が怖いのは誰だって同じだ」

「でも、皆は怖くても変身して戦ったのに....」

「それは俺達が馬鹿なだけだよ、自分よりも強いヤツから逃げて何が悪いんだ?本能的にヤバいと感じたから戦えなかった、それは俺たちみたいなバカには出来ない、お前みたいな冷静なヤツにしか出来ない事だ」

 

実際死にかけたしな、ある意味では寧ろ戦わなくて正解だろう。

それでも東郷は納得していない様子だ。

 

「俺は何か間違った事を言ってるか?」

「いいえ、奏くんは間違った事は言っていないわ、でも、それでも友奈ちゃんは勇気を出して戦ったのに私は...皆に嫌われても仕方ないわ...」

 

.....ほほぅ?よくぞ俺の前でそんな事を言えたな。

 

「か、奏くん?」

 

友奈は俺の不穏な雰囲気に気づいた様だな、だがもう遅い。

 

「なぁ東郷?そんな事でお前を嫌うヤツなんて勇者部にはいねぇよ、実際風もお前を怒らせたって落ち込んでたしな、でもな東郷....」

 

東郷もどうやら気づいた様だ。

 

「俺は身に覚えが無いのに樹が俺の事恐れてるんだけど、そこんとこどう思ってるの?」

「え?いや、それはその...」

「分からねぇよな?そう分からねぇんだよ、樹に直接聞こうと思った事もある」

「直接聞こうと思った事あるんだ...」

「そうするとどうだ?まだ何もして無いのに樹は俺から避けてくんだ」

「そ、それは奏くんの意気込みが凄すぎたんじゃないかしら?」

 

じゃかぁしい、おれは必死なだけだ。

 

「教えてくれ東郷、俺はあと何回樹に怖がれればいい?樹は俺に何も言ってくれない、教えてくれ東郷!」

 

瞬間時間が止まった。




東郷さんが、奏くんの地雷を踏み抜いた様です。
取り敢えず奏くんは樹ちゃんから怖がられている事を実は凄く気にしてるようです。


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第13話 空気の読めないバーテックス

コレからは少し忙しくなるのでもしかしたら、毎日更新難しいかもです....
え?だめ?ですよね〜


視界が開けるとそこは昨日の樹海だった。

 

「.....空気の読めないバーテックスですこと」

 

東郷と友奈は心の中で助かった...と思っていたのは奏は知る由もない。

 

「でもさ東郷、さっき言ったのはホントの事だからな、お前はお前に出来ることをしてくれよ」

「でも...」

「奏くんの言う通りだよ!怖いなら無理して戦わなくても大丈夫!私達がやっつけてくるから!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

東郷と別れ友奈と一緒に風達と合流した時に、丁度バーテックスの姿が見えた。

 

「3体同時なんてね...いきなり難易度上がりすぎじゃないかしら?」

「でもこっちは4人ですし、何とかなりますよ!」

「そうだよお姉ちゃん、前回だって何とか....」

「ダメだ今回はそんなに簡単に行かない」

 

奏には分かる、今回来た3体は油断してはならない敵だと、それは恐らく本能なのだろう。

 

今なら東郷の気持ちが分かるね〜....アレはヤベぇわ、特にあのしっぽの長いヤツとかな。

 

「何よ奏〜びびっちゃってるの?」

「アホかテメェはリーダーなら油断してんじゃねぇよ、お前の指示が皆の命を抱えてんだぞ」

「わ、分かってるわよ!」

「どうしたの奏くん?ちょっと様子が変だよ?」

「.....悪い、ちょっと東郷の話し聞いてたら影響されたみたいだ」

 

あぁ...何やってだか、風に当たっても仕方ないのに。

 

「悪かったな風、雰囲気を悪くして」

「いえ、あんたの言うことが正しいわ、こっちこそゴメン」

「まぁ切り替えようぜ、なんか嫌な予感がする、特にあの長い尻尾のヤツとかな」

「あのエビのこと?」

「いやサソリだろ...まぁそうだけどさ」

 

と話していると、後ろにいたバーテックスが光の槍を飛ばして攻撃してきた、それだけでなく口のような部位を開きそこから沢山の光の槍が飛んできた

 

遠距離攻撃持ちか....前衛2体との相性が最悪だな。

 

「あのサソリは友奈と俺で相手するから、残りの2体は頼んだぞ!」

「ちょ、ちょっと勝手に」

「あ、待ってよ奏くん!」

「....友奈さんも行っちゃったけどどうするの?」

「はぁ...あの2体はどうにか私達でやるしか無いわね、行くわよ樹!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

サソリのバーテックスに近づくと、長い尻尾で攻撃してきた。

 

っと、普通に早いな不意打ちじゃ避けれないなコレ...

 

「行くぞ友奈、さっさと片付けて風達を手伝う!」

「オッケー!行っくよォ!!」

 

近くにまで来て分かったけど、嫌な予感がするのはコイツのせいか?

 

右手に持っている生太刀がバーテックスに呼応するように、刀身が鈍く輝いている。

 

薙ぎ払い、突き刺し、叩き付けしかしてこのまま行けば。

 

瞬間奏は横から強烈な衝撃に襲われて吹き飛ばされる。

 

「奏くん!きゃぁ!!」

 

奏が攻撃されてバーテックスから視界を外した隙に友奈が薙ぎ払いで吹き飛ばされていく。

 

「友奈!くっそ、なんなんだお前?お前もバーテックスって事でいいのか?」

 

奏を吹き飛ばし、今は見下ろすように奏の前に立っているのは金色の人間サイズで人型、けれどその手にはまるでカニのようなハサミがある人間では無い何か、その名はドミニオン巨蟹宮(ムリエル)、黄金十二宮の一体である。




オリジナルの敵が出てきました、このまま行くと奏くんの出番無くなりそうだったので....
それと、やっぱスコーピオン先輩だけ戦績がおかしいと思いませんか?


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第14話 勇者覚醒東郷美森

やっぱり私にはネームセンスとサブタイのセンスないですわ....


くっそ、何だよコイツ金色の蟹?あのバーテックスより生太刀がザワザワしてる....

 

「どっちにしてもお前に構ってる暇はねぇよ!」

 

速攻でぶっ倒して早く友奈の援護に行かねぇと、1人でアイツの相手は危険すぎる...

しかも俺が吹き飛ばされたのって....

 

チラリと周りを確認すると東郷の姿があった。

 

まずいな....東郷を守りながらとか戦える気しないんですけど、こりゃぁアイツを上手いこと誘導してここから離れていくか?

 

そう思い行動を起こそうとするが、ムリエルは東郷に向かい駆けていく。

 

「チョットまてぇい!なに戦えない方を先に潰そうとしてるわけ!?」

 

東郷とムリエルのあいだに割り込み、抜刀術でムリエルに攻撃する。たが

 

ガキン!っと弾かれてしまう、体制を崩した奏にハサミが振り下ろされる。

 

「っぶねぇ!?」

 

ハサミを紙一重で避ける事に成功する、そのまま東郷の横まで大翼穹を打ちながら後退する。

 

「まぁ、生太刀も弾かれるんだからコレも弾かれてしまうちまうよなぁ....」

 

遠くでドスン!ドスン!と地響きが鳴っている、恐らく友奈があのサソリに攻撃されているのだろう、無事かどうかは遠すぎて確認出来ない。

 

「奏くん!大丈夫!?友奈ちゃんは!?」

「あのサソリがまだ攻撃してるって事はまだ大丈夫だろうけど...」

 

とは言ってもどうするか...アイツ硬いしなスグには助けに行けないし。

 

「なぁ東郷、お前1人で何処まで逃げられる?」

「ごめんなさい...この地面じゃ....」

「いや、大丈夫気にするな、アイツ倒せば何も問題はない」

 

そう考えているとムリエルが動き出した。

 

「っ!くそ、東郷!そこから絶対動くなよ!」

 

突撃してくるムリエルを生太刀で受け止める、少し押し込まれるが止め切る事が出来た。だがムリエルが連撃をしてくる、しかも所々ハサミで首を狙ってくる。

 

「くっそ、ちょくちょく致命傷狙うのやめて貰えませんかね?」

 

連撃のスピードはそこまで早くはないけど、一発一発が重い上にコッチの反撃は全然効かないし....

 

少しずつ押し込まれていく奏、そんな事が長く続くはずもなくハサミで生太刀を掴まれてしまいマウントを取られ、避ける事の出来ない状態で連撃をくらう。

 

「奏くん!」

「バッカお前!さっさと逃げろ!!」

 

六花片を展開する、六花片は6枚の障壁によって攻撃を防ぐ盾だが、ムリエルの連撃で少しづつ砕けていくにヒビが入っていく。

 

「でも!」

「いいから!」

 

また1枚障壁が砕け散った、残り1枚。

 

くそ!精霊のバリアがあっても、衝撃で気絶したら東郷が....

 

最後の1枚が砕けハサミが首に伸びる。

 

「ぐあ...この離せよ!」

 

抵抗するが硬い装甲に阻まれる。

 

ヤバ....意識が....

 

酸欠で意識が遠のいていく。

 

「め....て...」

 

東郷?何やってんだよさっさと逃げろよ....

 

「やめて!もう私から何も奪わないで!!」

 

その言葉に呼応するように東郷の身体が光に包まれる、勇者に変身する時の光に

 

 




東郷さん覚醒は友奈ではなく、奏くんのピンチによって覚醒しました!


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第15話 ゼロ距離射撃は男のロマン

そう言えば、奏くんの武器は全体的に赤い弓兵さんをモチーフにしました。


変身した東郷は奏の上に場乗りしていたムリエルを双銃の拡散弾で吹き飛ばした。

 

「ゲッホゲッホ、悪ぃ助かった東郷、てか怖いとか言っておきながらちゃんと変身出来たじゃん」

「敵と戦う恐怖よりも、奏くんが死んでしまう恐怖の方が大きかった、それだけよ。どちらにしてもやっぱり私は臆病者のようね...」

「また始まった、そう言う臆病者が居るからこそ俺達が失敗しないんだぞ?」

「そんな事...」

 

東郷が未だに納得出来ていないようだがムリエルは既に体制を整えている。

 

「納得するのは後にして前線は俺がやるから東郷は俺と友奈の援護してくれ、結構距離あるけど...」

「問題無いわ、あの距離なら充分友奈ちゃんを援護できる」

「いいねぇ、頼りにしてるぜ!」

 

そう言いながらムリエルに抜刀術の構えをいつつ駆けていく。後からも東郷の援護が飛んでくる。

ダメージはあまり無いようだが、よろけさせる事には成功した。

 

「その隙もらったァ!」

 

抜刀術で装甲と装甲の隙間、右手の関節を狙う、その刀身は光輝いていた。

だがムリエルは僅かに身体をずらし狙いがズレる、生太刀が弾かれてしまい今度は奏の体制が崩れてしまう。そこをムリエルのハサミが狙う。

 

「東郷!」

「任せて」

 

と東郷の援護射撃のおかげでハサミがスレスレを通過していく。

 

「この瞬間を待っていたんだァ!大翼穹!!!」

 

大翼穹を出現させる、ゼロ距離で装甲と装甲の隙間、右腕の関節を狙う。そのままムリエルは後方えジャンプ

 

「ゼロ距離、なおかつその体制じゃ避けれないだろ?」

 

関節を狙って限界まで引き絞って大翼穹を放つ。その弓は簡単に腕を吹き飛ばした。

 

「ナイス東郷よく分かったな」

「奏くんなら正面から突っ込みそうだと思ったけどホントにやるとは...,私が分かってなかったらどうする気だったの?」

「結果成功してんだからいいだろ?」

 

そのままムリエルは撤退していく。

 

「アイツ!逃がすか!」

「待って奏くん!今は友奈ちゃんや風先輩達の援護をした方がいいわ!」

「....そお言うところだよ、俺達には出来なくてお前なら出来ること」

「そんなとこ...」

「ま、いいや。俺は友奈の援護に行くから東郷は風達を、あと風にちゃんと謝っておけよ?」

 

未だに納得していない東郷の言葉を遮りつつ、友奈の援護に向かう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「とぉうりやぁ!」

 

と友奈と戦っていたサソリのバーテックスを飛び蹴りで体制を崩す。

 

「奏くん!大丈夫だった!?」

「東郷が変身して助けてくれたよ」

「東郷さんが!?変身出来たんだねよかった、あ良かったって言うものなんか変だね...」

「今は風達の方に援護しに行ってるよ、コイツもアッチに持って行っていこうぜ」

「りょーかい!」




取り敢えず言っておきます、ドンピシャドンピシャ!コノシュンカンヲマッテイタンダー!


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第16話 東郷美森はいい所を見せたい

書くのが遅れてしまった...申し訳ねぇ申し訳ねぇ...


「あぁもう!しつこい男は嫌いなのよ!!」

「モテる人っぽいこと言ってないで、何とかしてよォ」

 

風と樹はキャンサーとサジタリアスの攻撃によってその場を動けないでいた。

すると後方からの攻撃でサジタリアスの攻撃がやんだ。

 

「風先輩、援護します!」

「東郷!?戦ってくれるの?」

「はい、遠くの敵は私に任せてください!もう少ししたら奏くん達がもう一体を連れてきます!」

「連れてくる?ってどうやって...」

 

樹の疑問は途中で遮られる、なぜなら頭上を通り越してキャンサーバーテックスにスコーピオンバーテックスが降ってきたからだ。

 

「な、なんですとぉ!?」

「あ、風先輩、樹ちゃん!」

「お、丁度いいな、まとめて封印の義やっちまえよ」

「そうね、手前の2体まとめてやるわよ!」

「オッケー!」

「うん!」

「はい来た!」

 

風の指示に3人が返事をする、が...

 

「援護はするけど遠方からの不意な攻撃に気をつけて!」

『了解!』

「あれ?私のより返事がいい?」

 

哀れ犬吠埼風、リーダーの気質はあろうとも指揮官の気質が無いのは仕方が無い。

 

遠方からサジタリアスが極大な光の槍を放つ、が東郷の狙撃によって撃ち落とされる。

 

「ナイスです東郷先輩!」

「言ったでしょ?援護は任せて」

「よっし、コッチも御霊が出てきたわね!」

「私が行きます!」

 

友奈がキャンサーの御霊を破壊するために駆け出し、拳を振るうが軽やかに躱されてしまう。

 

「この御霊絶妙に避けてくるよォ!?」

「友奈変わって!」

 

風が後方から助走をつけて切りつけるがそれも躱されてしまう。だか風の攻撃はそれだけではない。

 

「これを躱すのは予想通りよ!」

 

風は大剣を更に巨大化して叩きつける様に御霊を横殴りにし、御霊の体制を崩す。

 

「これで終わりぃ!!」

 

巨大化した大剣でまるで虫を叩き潰すかのように御霊を破壊する。

 

「よっし、撃破完了!さ、次行くわよ!」

 

スコーピオンの御霊はどうやら分身をするようだ。

 

「オイオイオイ....これどれが本体だ?」

「数が多いなら、纏めて!」

 

樹がワイヤーを使い分身した御霊ごと全ての御霊を包む。

 

「えぇい!」

 

そのまま全ての御霊を一気に破壊する。

 

「ナイスだ樹!今度撫でくりまわしてるやる!」

「えぇぇ!?え、遠慮しておきます!」

 

なんてこった...どうにか距離を詰めようと思ったのに...

 

そんな事してるから樹に距離を置かれるのでは?と思う勇者一行。

 

「よ、よし!あと1つね、さっさと終わらせるわよ!」

 

と風の言葉を合図にサジタリアスに駆け出す。

 

「ん?東郷から連絡?」

 

サジタリアスに向かって走って行くと風の端末に東郷から連絡が入る。

 

『風先輩、部室では言いすぎました、ごめんなさい』

「東郷...」

「精一杯援護します!」

「えぇ!期待してるわ!私の方こそゴメ...」

 

ビュン!と奏の頬ギリギリを掠め何発かサジタリアスに飛んでゆく、東郷の援護だ。しかもそれは全て命中する。

 

「....東郷さん?ギリギリだったんですけど?」

「大丈夫よ、絶対に誤射はしないわ!奏くんの背中は任せて!!」

「....ソウデスカ、エンゴアリガトウ」

 

何で俺の近く通過していくんですかね?気合を入れて援護してくれてるし注意しずらい...

 

「あんた東郷に何言ったのよ?」

「何も言ってねぇよ、励ましただけ...」

「あんたデリカシー無いからね、何か失礼な事言ったんじゃないの?」

「でも悪気は無いみたいですよ?」

 

むぅ、確かにわざと狙ってきたのでは無いのは何となく分かる...

 

「純粋に奏くんにいいところ見せたいだけだったりして!」

 

まさか、東郷に限ってそんな感情に流される事をする訳ないじゃないか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「よっし、封印開始!」

 

東郷の援護射撃を貰いつつサジタリアスの元までたどり着く。

どうやらサジタリアスの御霊は高速でガワを回転して狙いを付けずらくするようだ。

 

「こ、この御霊早い!」

 

だが高速回転している御霊を東郷よ狙撃が撃ち抜く。

 

その一撃で御霊は破壊される。それと同時に奏の端末に連絡が入る。

 

『どう奏くん!見ていた!?』

「お、おうもちろん!さすが東郷だ!」

『ありがとう奏くん、単純に褒めてくれると嬉しいわ』

 

そう言って連絡が切れてしまう。

 

「な、何だったんだ?」

「さっきの友奈の言葉、ありえるかもね」

「え、どゆこと?」

「そのうち分かるわよ」

 

その風の言葉を最後に樹海が元の世界に戻っていった。




次回以降から東郷さんと奏くんのイチャラブが始まって行きますよ!!
もちろん適度にですが...


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第17話 照れる東郷さんは可愛い、ハッキリ分かんだね

東郷さんとフラグを立てた奏くん、罪深い男やでぇ


視界が開けるとそこは学校の屋上で、勇者部全員が揃っていた。

 

「東郷さん!すごくカッコよかったよ!!」

 

少し離れていた東郷に友奈が初めに駆け寄っていき、ほかのメンバーも近寄っていく。

 

「でも本当に助かったわ東郷」

「ですが私だけでは多分、変身出来ませんでした。変身出来たのは奏くんのおかげです」

「へぇ、奏もたまには役に立つのね」

「たまには余計だ」

「それで奏くん、私どうだったかしら?」

 

軽口を交わす奏と風に、東郷が顔を少し赤らめつつ話し掛けてきた。

 

「え?カッコよかったと思うぞ?もし性別が逆だったら惚れてたかもな!」

「え、ほ、惚れ!?そんないきなり過ぎるわ...」

 

おっとぉ~ちょっとした冗談のつもりだったのに、なんか東郷の様子が変だぞ~

 

「と、とにかくだ!コレからは一緒に国防に励もう!」

「...国防、素敵な響きね」

「これから東郷先輩が一緒に戦ってくれるなんて、頼もしいです!」

「任せて樹ちゃん、樹ちゃんの背中も私が守って見せるわ!」

 

東郷達が話していると、風が近づいてきて耳打ちしてきた。

 

「ねぇあんた、東郷のあんたへの視線が乙女のそれなんだけど、どう言うこと?」

「....一応心当たりは、ある」

「何したのよ?」

「なんて言うか、励ましたと言うか、体を張って守ったと言うか?」

「んなアニメじゃ無いんだから...」

 

そう言われましても、それしか覚えないんですが...

 

「まぁあんたが決めなさいな」

「他人事だと思いやがって...」

「だって他人事だも~ん」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後は前回の様に早退して、帰路につく。

 

この時間帯でも、お、いたいた。

 

「お~い、かりんりん!」

「かりんりんゆーな!」

 

今日も今日とて修行をしていた夏凜を見つけて声をかける。

 

「てか今日も来たのね....」

「なんだ?嫌だったか?」

「....別に勝手にしなさいよ、稽古は付けるって言ったのは私だしね」

「素直じゃ無いね~、正直に1人で寂しかったから来てくれて嬉しいってさ」

「バカ言ってんじゃ無いわよ」

 

夏凛の木刀が1本投げ渡される。

 

「おろ?もっと取り乱すかとおもったのに」

「アンタの事が何となく分かってきたのよ」

「さすが夏凛ちゃんだぜ!会って間もないのにもう俺の事分かってくれるなんて!」

「ハイハイソウデスネー」

 

むむむ、弄りに反応してくれ無いのは寂しいな...

 

「ま、いいわよろしくお願いしますよっと!」

 

まだ言い終わらないうちに夏凛に切りかかり、模擬戦が始まった。




短くてすみません....
丁度いい所で切りたかったんや、そう言えばもっかい夏凛にご飯シーン書いた方がいいですかね?別に書かなくてもストーリーにはあんまり関係無さそう...


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第18話 東郷美森とデートはいかが?

東郷さんは可愛いですよね!ちょっと思い込みが凄いだけでね?


その後は夏凛との訓練をして、ご飯を作ってやり、園子と話をして寝る。そして学校では高確率で東郷からぼた餅を貰っていた。そんな生活をして数日たったころ、部室で東郷に話しかけられる。

 

「ねぇ奏くん、明日の休日予定あるかしら?」

「明日?まぁ暇だけど?」

「じゃあ一緒にお出かけしない?」

「お?デートですかね?いやぁ奏も隅に置けませんな~」

 

茶化してくる風。

こちとら最近東郷からのアタックが多すぎて大変なんだぞ?....まぁ悪い気はしないけどさ。

 

「デ、デートってそんなんじゃありませんよ」

「ぬふふ、東郷がそう思うならそうなんでしょうね....東郷の中では!」

「馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ」

 

東郷をからかっている風に軽くチョップをいれる。

 

「じゃ明日迎えに行くから」

「えぇ、お願いね奏くん」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

いやぁまいったまいった....昨日はあれから風にからかわられるし、園子には「ヒュー!プレイボーイだね!」なんて言われるし....

 

「どうしたの?何か考え事?」

「ん?あぁ悪い、ちょっと今度風にどうやって仕返ししてやろうかとね?」

「お手柔らかにね?」

「善処します」

 

因みに、デートコースを昨日しっかり考えてきたのにもう既に東郷が決めてしまった、そこは男にやらせるべきなのでは?と言ったが。

 

「確かにそうね、こう言う事は殿方の仕事だものね、次に来る時は奏くんに任せるわ」

 

ちゃっかり次も来るって決めつけてるのか.....いや、いいんだよ?

 

「じゃぁ取り敢えずどこ行きたい?」

「まずは映画館よ、見てみたい映画があるの!」

「りょーかい、じゃ行きますか」

 

東郷が見たいと言っていた映画をみている、因みに今は泣けるシーンだ。

 

へぇ、結構面白いな感動シーンも上手く出来てる。

 

そんな場違いな感想を考えつつ東郷の方を見る。東郷は涙を流していた。

 

そんな姿にキュンとしてしまう奏、しかし仕方が無い、美少女の涙に心が揺れない男は居ないのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

映画を見終わり昼食を取ることにした2人。

 

「お弁当を作ってきてるの!あそこにある公園で食べましょう?」

「へぇ、東郷の手作りってぼた餅以外食べた事無かったから楽しみだ」

「期待してて、腕によりを掛けて作ってきたから!」

 

少し歩くと東郷の言っていた公園が見えてきた。

 

「おっあそこか、へぇ結構綺麗な所だな」

「ネットでも評判がいいらしいわよ」

「お、看板あった」

「ま、まぁ早く行きましょう?ほらあそこの木の下なんて影になっていていいんじゃないかしら?」

 

東郷の指を指す方には大きな木が生えており、確かにいい感じに木陰になっていた。

 

でも何でさっきあんなに慌ててたんだ?

 

木の下まで行くと周りにはカップルが多いようだった。

 

あぁ、成程ね....

 

どうやらここはカップル達が集まるデートスポットらしい。

 

「この辺でいいかしら?」

「ん、そうだな」

 

どうやら東郷は奏が気づいた事には気づいて無いらしく、ご機嫌に弁当の包を開けていく。

 

「どうかしら?私としてはなかなか上手く出来た方だと思うのだけど?」

 

東郷が自信がある、と言っていただけあり随分と気合が入った弁当の様だ。

 

「俺も結構料理には自信があるけど、美味しそうだな、これならいいお嫁さんになるぜ!」

「そ、そうかしら?良かったわ」

 

褒められたことに嬉しかったのか、頬を赤らめながら答える東郷。

 

.....オイオイ可愛いな

 

いつものキリッとしたいつもの東郷とは違い、照れているギャップにまたも心が揺れ動く安森奏であったのは言うまでもない。




オイオイ、イチャラブ書けねぇぞ.....
しかもネタにも走れねぇ、難しいね。
取り敢えずこれだけは言わせてください、美少女の涙にキュンとしない男はいねぇ!
あ、デート編はまだ続くのであしからず


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第19話 安森奏は○○が出来ない

最近短いので後で合体させようかな....


東郷と昼食を食べた後は水族館に向かった。

 

「綺麗ね」

「.....そうだな」

 

大きな水槽の前で魚を見ている、そんな東郷の横顔を見て答える奏。

 

「どうかした?」

「ん?東郷に見惚れてた」

「み、見惚れるって奏くん....」

 

言った本人である奏だけでなく、東郷も顔を赤らめる。ただ別に嘘は言ってない、実際に見惚れていた。

 

薄暗い所だとロマンチックになっちゃうからね、仕方ないね。

 

「ねぇ、奏く....」

「次行ってみようぜ」

 

東郷が何か言おうとしてたみたいだけどそんな事知るか!このままでいたらこっちが恥ずかしい!!!

 

東郷の車椅子を押しながら次のコーナーに2人で向かう。2人の間には微妙な空気が流れている。

 

あぁもう、どうしようかねこの空気、俺のバカ....

 

失言してしまった自分に心の中で悪態をつきつつ歩いていき、次のコーナーにたどり着く。

 

「あぁごめんちょっとトイレ」

「あ、奏くん?」

 

そう言って東郷を水槽の近くに押していき、トイレに向かう。

 

さてどうしようか....あの空気をどうにかしないとなぁ

....よっし!次に戻ったらいつも通りに接するぞ!

まぁ朝からいつも通りかって言うと微妙な感じだけどな。

 

東郷の元へ戻って行くと階段の上に東郷の姿が見えていた、恐らくいきなり消えた自分を探しに来たのだろう。

 

オイオイ、危ないぞ?その位置だったら少しバランス崩したら落ちるぞ?

 

「そんな所だと危ないぞ~」

 

階段を登りながらそんなことを言う。

 

「ごめんなさい、奏くんの様子が変だったから....私怒らせて....」

 

その時東郷がコチラに車椅子と共に落ちてくる。恐らく後から運悪く誰がぶつかってしまったのだろう。

 

反射的に身体を動かし、東郷を抱きかかえるように包み込む。

そのまま下の階まで奏の背中から落ちる、その腕の中には東郷。

 

「っ痛~」

「奏くん!?ごめんなさい!大丈夫!?」

「あぁ、うん多分、だけど...」

 

上から「すみませ~ん」と言いながら家族連れの女性がおりてきた。

その後は家族からの謝罪を受け取るが、コチラも怪我は無かったので事なき終えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ごめんなさい、本当に何ともないの?」

「あぁ大丈夫大丈夫特に怪我も無いよ」

「本当に?奏くんいつもこう言う時嘘を言うから少し見せて?」

「いやいや、大丈夫だってホントに何とも無いから」

「なら別にいいじゃない、見せて?」

「いや、だから....」

 

そこまで言って東郷を確認すると、プク~っと頬を可愛らしく膨らませてコチラを見ていた。

 

「.....はぁ、分かった、どうぞお好きに確認してくださいな....」

「はい、じゃぁお好きにさせてもらうね?家に行きましょ」

「仰せのままに」

 

そう言いながら東郷の家に向かい車椅子を押していった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「もう、ヤッパリ怪我あったじゃない!」

 

東郷の家に着くと上の服を脱がされて、背中に出来ていた擦り傷に薬を塗られている。

 

「女の子を守って出来た傷は名誉の傷です」

「何言ってるのよ、怪我をさせてしまった女の子の気持ちを考えて?」

「....仰る通りです」

 

完全に論破される奏。けれど東郷は浮かない様子。

 

「....ごめんなさい、元はと言えば私のせいなのに」

「いや東郷せいではないだろ?」

「私が大人しく待っていれば奏くんは怪我をしなかったのに」

 

あぁ....そう言う感じに考えちゃってるのね

 

「それを言えば元々俺がいきなり消えたのが悪いだろ?」

「それだって私が奏くんを怒らせてしまったからであって....」

 

怒ってた?俺が?

 

「俺怒って無いけど?」

「え?私が怒らせてしまったから消えたんじゃ?」

「違う違う、ちょっと変な空気になってたから切り替える為に、さ」

「よかった、あ!奏くんが怪我をしたのによかったは不謹慎よねごめんなさい」

 

苦笑しながら、そんな事を言う東郷をぽんぽんと撫でなる。

 

「奏くん?」

「そんな所まで考えなくてもいいんだよ、東郷は自分に厳し過ぎる、もう少し力抜きな?」

 

顔を赤くしながら俯いてしまう東郷に、奏自身も照れてしまう。

 

「ねぇ奏くん?私奏く....」

 

東郷の言葉の途中で夕暮れを知らせるチャイムが鳴り響く。

 

「そろそろ遅くなってきたし、俺は帰るよ」

「....そうね、そこまで送るわ」

 

最低だ、俺は東郷が何を言おうとしてるのか分かった上で、聞かずに帰ろうとしてる....ホント自分が嫌いになる。




一応言っておきますが、奏くんは別に東郷さんが嫌いとかそう言うのではありません!
照れているとかでもありません!ちゃんと理由があるんですよ!?


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第20話 安森奏は恋愛が出来ない

奏くんはモテモテですが物凄く苦労人なのですよ....


東郷と別れて帰路を歩んでいる奏。

 

あぁもう嫌だ嫌だ、自分の体質が嫌になるよ....勿体無い、は流石に失礼か。

 

口には出さないが内心自分の身体に文句を言っている。

 

にしても今日は楽しかったな.....また今度か、確かに東郷となら何とか....

 

そこまで考えて思考が止まる、猛烈な頭痛に襲われて膝から崩れ落ちて、それだけでなく強烈な吐き気に襲われる。

 

「っ痛!くっそ何だよさっきまで調子良かったじゃねぇか.....」

 

吐瀉物が上がってくる。

 

ダメだ!吐くなよ、東郷の頑張りを無駄にはするな。

 

上がってきた吐瀉物を飲み込む。

 

「はぁはぁはぁ、くっそ、あんまり頼りたく無いけど.....」

 

事情を知っている人物に助けを求める為に端末を開く。

 

「ジョン?」

 

ナイスタイミングだよクソ野郎、呼びたかったのはお前じゃねぇ!

でもこうなったら夏凛でもいいか。

 

「ちょっと!大丈夫!?ものすごく顔色悪いけど?」

「あんまり大丈夫じゃない....」

「その顔で大丈夫って言われたらどうしようかと思ったわよ、ほら取り敢えずそこのベンチまでいきましょう」

 

と言って肩を貸してくれる夏凛、それに甘えて肩をかりる。

 

「ほら、ちょっとここで待ってなさい、なんか飲み物買ってくるから。お茶でいい?」

「何でもいい....,」

「了解、待ってなさい」

 

そう言って自販機に走っていく夏凛。

 

でもホントに夏凛で良かったな、勇者部の面子だったらなんて説明すれば....てか今回は大丈夫だと思ったんだけどな、この調子じゃ無理っぽいな~

 

そんなことを考えていると、夏凛が手にお茶を持って走ってきた。

 

「ほら、ゆっくり飲みなさいよ?」

「おう、サンキュ」

 

と言って蓋を開けようとするが....

 

「開かねぇ...」

「ちょっとホントに大丈夫?ペットボトルの蓋も開けられないとか...ほら開けて上げるから貸しなさい」

「.....ん」

 

夏凛にお茶の蓋を開けてもらう。

 

「ほら、空いたわよで?どうしたのよ?」

「ちょっと持病が...」

「何よそれ、アホくさい。言いたく無いなら言いたく無いって言いなさいよ」

「.....わり、言いたくない」

「あっそ、なら無理には聞かないわよ」

 

夏凛ちゃん、なんて物分りのいい子何でしょう。

 

「それでアンタコレからどうすんの?病院?」

「いや、家に帰るよ」

「迎えとか読んだ方がいいんじゃない?流石に危ないわよ」

「無理、来てくれる人いない」

 

多分大赦の人達に頼めば来てくれるんだろうけど、呼びたくないしな。

 

「来てくれる人が居ない?仕事とか?」

「いや、そう言うのじゃなくて、普通に居ない」

「あ、えっと、ごめん....」

「あ、大丈夫大丈夫、特に気にならないし」

 

実際覚えてないからね、気にならないのだよ。

 

「じゃぁ家に来なさい」

「.....病人に何をしでかすつもりですか?」

「何もしないわよ!?ったく、ほら肩かすから」

「ありがと、助かる」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

side夏凛

 

苦労しながらジョンに肩を貸しつつ、なんとか自宅まで帰ってくることが出来た。

 

「ほら、着いた。取り敢えずソファーに横になってなさい」

「悪いな、助かったわ」

「.....今日のアンタは随分素直ね」

「そうか?」

「そうよ」

「そっか....そうかもな」

 

弱ってるせいか、いつもより返しにキレがないジョン。

 

「取り敢えず良くなるまで休んどきなさい、少なくとも歩いて帰れるくらいにはね」

 

はい、と濡らしたタオルを渡す。

 

「何から何まで悪いな」

 

そう言ってタオルを額に掛けてソファーに横になり目を閉じるジョン。

 

「さて、どうしようかしら?」

 

何とか少しでも元気になってもらいたい。

 

「料理とかいいかもね....」

 

いつも作って貰っているし、サプリを入れれば元気もでるでしょ。

 

~少女料理中~

 

「ほらジョン、いったん起きなさい」

「ん?何?」

 

ジョンの顔色を確認すると先程よりは大分良くなったようだか、それでもまだまだ顔色が悪い。

 

「ほら、サプリ入のうどんよ食べなさい」

「.....食欲ない」

「無理でも食べなさい」

「病人に無茶言いますな....せっかく作ってくれたから食べるけどさ」

 

そう言ってうどんを食べるジョン。

 

「.....まどぅい」

「ちょっとぉ!?」

「まどぅ過ぎ.....何をどうやったらこうなるのさ」

「そんな理由無いでしょ!ちょっと貸しなさい!」

 

ジョンの持っていた箸を奪い取り1口食べる。

 

.....まどぅい

 

「しっかり味見するべきだったわね....」

「病人になんてもの食わせんだお前は.....ほら箸返せ」

「え?」

「残り食うから箸を返せって言ってんの」

「これを食べるの?下手するともっと体調悪くなるわよ?」

 

自分で言うのもなんだけどね。

 

「自分で言うのか....いやそれでもわざわざ俺の為に作ってくれたんだし、最後まで食べきらないと、ほら箸返せ」

 

そう言って私から箸を奪ってうどんを食べていくジョン。

 

て言うか、これって間接キス...

 

考えてしまった途端に顔が暑くなるのが分かる。

 

「ん?顔赤いぞ?」

「べ、別に!何でもないわよ!」

「ハイハイ、さいですか」

 

そう言いながらクソ不味いうどんを食す奏くんでした。




夏凛ちゃんて確か料理出来なかったですね?
取り敢えず奏くんに夏凛ちゃんの手料理を食べてもらいたかった&看病して貰いたかった!
同じ日に女の子2人から手料理とか、奏くんプレイボーイッスね!!


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第21話 安森奏は甘えたい

奏くんだって甘えたい時ぐらいあります!


夏凛の作った化学兵器(うどん)を完食して、夏凛の家を出る。

 

「ホントに大丈夫?」

「あぁ、歩いて帰る分には何とか大丈夫」

「....そんなに無理して帰る様なの?」

「まぁ、やらなきゃいけない事があるからさ」

 

園子が待っているからな、あんまり待たせるわけには行かないからな。

 

「んじゃありがとな、ホントに助かったわ」

「ホントに正直ね、弱ってるからかしら?」

「それは、あるかもな」

「こんなに正直ならずっと弱ってた方がいいんじゃない?」

「そんな事言ってくれるな....」

 

ニヤニヤしながらしてやってやったぜ、みたいな顔しやがって....

 

「ま、気をつけて帰んなさいよ?」

「了解了解、当分合わなかったら察してくれ」

「縁起悪い事言ってんじゃないわよ!」

 

軽口を言い合いながら夏凛と別れて、大赦に帰る途中で弁当を買って帰る。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

side園子

 

特に何も考えずにボーッとしている。身体を動かす事ができなくなってからボーッとする事が増えた。元々ボーッとする事は得意な方だったが、流石に2年間も奏がいなかったらどうなっていたか分からない。

 

ガラガラと、扉が開くと奏がはいってくる。

 

「あ、お帰り~どうだった....ってその顔色を見れば分かるね...」

「あ、やっぱ分かる?」

「まぁ、流石に....」

 

コレで自分大丈夫だよ~って言われて信じる人は流石にいないだろう。

 

「ゴメンな、今日弁当でいいか?」

「私は大丈夫だよ、寧ろ無理させてゴメンね」

「いいんだよ、俺がやりたくてやってるんだから」

 

そう言ってお弁当を私に食べさせてくれるアモりん。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

食事が終わり、いつもなら今日の出来事を話すが....

 

「今日のは話さなくてもいいよ、辛いでしょ?」

「....ゴメン」

「ん、大丈夫その代わりお願いがあるんだけど」

「何だ?俺に出来ることな何でもいいぞ?」

「いつものアレ(・・)やって?」

「そんなんで良いのか?」

「うん、それでいいよ」

 

ただ今回のは私の為じゃ無いけどね。

 

「じゃ持ち上げるぞ?」

「どうぞ~」

 

いつもより辛そうに持ち上げるアモりん、どうやら私を持ち上げるのも辛いらしい。そのまま私をアモりんの足の上にのっける。

 

「よっと」

「ゴメンね重かった?」

「....ちょっとだけ」

「素直だね」

「....ゴメン」

 

前回も同じような事があった時よりも辛そうに見える。

 

「いいよ、気にしてないし」

「....ありがとうな園子」

「許した事?」

「....さぁな」

 

はぐらかすアモりん、そのまま後から抱き着き、私の肩に顔を埋める。こんなことをしてくれるのは去年、彼女さんと別れた時と今ぐらい。アモりんは基本的に私に弱い所は見せてくれない。

 

あぁあ、せめて片腕だけでも動けば頭をナデナデしてあげるぐらいは出来るのになぁ....

 

そんな事を考えていると、寝息が聞こえてくる。

 

誰かを好きになれば頭痛と嘔吐感に襲われる、アモりんはそう言ってた、アモりんは誰かを好きになる事が出来ない。私は多少平気らしいけど.....それはそれで恋愛対象として見られて無いだけなのかもって思うと少し落ち込んじゃうな。

 

とは言え、自分がこの体でアモりんを好きだと言っても、迷惑になってしまうだろうが。

 

けど、アモりんはこんな気持ちにすらなれない、まるで何かの代償か、呪いの様だ。




奏くんだって彼女ぐらい作ります!
にしても、自分の体の事で誰かを好きになるのを遠慮する女の子と、誰かを好きになる事すら許されない男の子、複雑ですね~


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第22話 犬吠埼樹は安森奏が苦手

待ちに待った樹ちゃんの回です!やったぜ!!!


朝起きると腕の中に園子が眠っていた。時計を見るとお昼頃。

 

.....もしかしてそのまま寝てた?

 

「ん、アモりんおはよぉ~」

「悪い、昨日そのまま寝たみたいだな」

「別にいいよォ、寧ろアモりんの方が寝ずらくて大変じゃ無かった?」

 

それがそんな事もない、寧ろいつよりも調子がいい。体調は完全に治ったようだ。

 

「全然、寧ろいつもよりも体調がいいっぽい」

「むむむ、確かに顔色も普通だね。昨日見たいなアモりんだと甘えてくれるから少し嬉しいんだけどね」

「こっちはめちゃくちゃダルいっての...」

 

って言ってもホントに身体が軽い、前回同じ様な事があった時は、1週間ぐらいは調子悪かったのに。

 

「もしかして、園子と寝るとリジェネ効果があるとか?」

「ほほぅ....」

 

あ、やっべぇ墓穴掘った....

 

「じゃぁ今日から一緒に寝よう!アモりんの体調良くなるなら私は大歓迎だよ!!」

「だが拒否します!」

「なぜぇ!?」

「何でもない時に抱き着いたままマトモに寝られると思うか?」

「私は大丈夫!」

「俺が大丈夫じゃ無いんだよなぁ....」

 

ドキドキして寝れるかボケィ。

 

「何だよ何だよ、根性無しめ~」

「なんとでも言ってくれ、俺は絶対に寝ない!」

「む~」

「む~、じゃないほらどけ、メシ作るんだから」

「ご飯要らないからこのままがいい~」

「ダメです、ほら退いたどいた」

 

駄々をこねている園子を退かし、飯を作る為に調理場へ向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ちょっと出掛けてくる」

「いきなりだね」

「さっきメシ作ってる時に気づいたんだけど、全く材料がない」

 

少なくとも今日の夕飯の分はない。

 

「それは一大事だね」

「せっかく俺も今日何も無いのに悪いな」

「大丈夫だよ~」

「じゃ一旦風呂入ってから出掛けてくる、そんなに時間はかからないと思う」

「はいは~い、行ってらっしゃい」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「晩飯何にすっかな~」

 

と歩きながら献立を考えていると、見知った姿がみえたので声をかけてみた。

 

side樹

 

「樹?」

 

後から普段よく聞き、そして私の苦手な人の声が聞こえた。

 

「な、な、何でしょう奏先輩」

 

ギギギギっと壊れかけのロボットの様な動きで振り返る。

 

「よぉ、1人か?何してんの?」

「ちょっと買い物に...,」

「そっか」

「そうです...」

「....」

「.....」

 

会話が進まない、普段避けているせいで何を話せばいいんだろう....と言うか、話さなくても良いのでは?

 

「じゃ、じゃ私はコレで...」

「ちょ、ちょい待ち!」

「な、何ですか?」

 

せっかく違和感なく帰れると思ったのに....

 

「え、えぇと、樹昼飯食ったか?」

「まだ、ですけど....」

「奢るからさ、良かったら一緒にどうだ?」

「遠慮します」

 

即答してしまった、奏先輩も落ち込んでいるようだ。

 

「そっか、何か予定とかあるとか?」

「まぁ、そんな所です...」

「じゃぁしょうが無いな、またな」

「はい、さようなら」

 

挨拶をして先輩と別れ帰路につく。

 

それにしても驚いた、まさか奏先輩に会うなんて。実際奏先輩が嫌いと言うわけでは無いけれど、苦手だ。と言うか男性全般が苦手だ。

 

いつからだったかな、確か.....お姉ちゃんが彼氏さんと別れて落ちこんでからかな?

 

「あいた」

 

考え事をしながら歩いていたせいで歩行者とぶつかってしまう。

 

「あ、何だ嬢ちゃんしっかり前見て歩けよ!」

「ご、ごめんなさい!」

「ごめんなさいで済むなら警察は要らねぇんだよなぁ」

 

ぶつかってしまったのはガラの悪い3人組で絡まれてしまう。

 

「病院行くから慰謝料はらえや」

「いやいやお前、こんな女の子に慰謝料払えは可哀想だろ」

「あ、何言ってんだお前?」

「慰謝料払えないんだから、身体で払って貰おうぜ?」

「そいつはいい、おいちょっとコッチきな」

 

と、手を引っ張られ路地裏に連れていかれてしまう。周りの人は我関せずど、無視をして通り過ぎていく。

 

「この辺でいいか?」

「ま、充分だろ」

「や、止めて、ください....」

「あぁ?嬢ちゃんからぶつかって来たんだろ?それを慰謝料無しで済ましてやろうってんだからさ~」

「寧ろ有難いと思ってくれないと」

 

と言いながらガラの悪い3人組が私に手を伸ばす、背後には袋小路。

 

どうしよう、どうしよう!逃げないと、でも何処に!?

 

腕を掴まれる。

 

お姉ちゃん!

 

「あぁ、ちょっといいですかお兄さんがた?」

 

先程も聞いた、聞き覚えのある、私の苦手な声が聞こえた。




遅れました!ゴメンなさい!夜にもう1話出すのでなにとぞ!!!


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第23話 安森奏を怒らせるな

昨日の内に書き切れれば良かったんですが...


「か、奏、先輩?」

「おう、さっきぶりだな樹」

 

さっき別れたばかりの樹が、ガラの悪い3人組に路地裏で絡まれていた。

 

「あ?なんだよアンタ、この子の彼氏?」

「まぁ、そんな所かな?」

 

と言って3人組の間をわって入り樹の手を引いて出口に向う。

 

「おいちょっと待てよ、俺達はその子からぶつかって来たのを、慰謝料の代わりに身体で払って貰おうって言ってやってるんだぜ?」

「いやいや、コイツの身体よく見ろよこのペちゃパイに何を払って貰おうって?」

 

いや、樹ちゃん自分の胸を確認しないで?言ったの俺だけどさ?

 

「じゃ、そう言う事だから」

「おいおい、待てよ誰が行っていいなんて言ったんだよ」

 

何とか流れで帰ろうとしたが流石に返してくれないらしい。樹腕を掴もうとしてくる。

 

「おい、何触ろうとしてんだよ」

 

と、ガラの悪い人を突飛ばす、突飛ばした奴は尻餅をついてしまった。

 

「ほら、行くぞ樹」

 

強く突き飛ばし過ぎた様な気がしないでもないが、コレはアッチが悪い。

そのまま樹の手を引いて出口向う。

瞬間嫌な予感がして樹をグイッと、自分の背後に引っ張りる。すると目の前にガラス瓶が迫ってきた。どうやらガラの悪いヤツが投げてきたらしい。

 

「ってぇな....」

 

流石に塞ぐ事ができずに、頭に食らってしまう。

 

「なぁ、コレが樹に当たったらどうすんだよ?怪我すんだろ、せっかくこっちが穏便に帰ろうとしてんのにさぁ?」

 

ホントは見かけた瞬間に不意打ちで殴り倒そうとするのを我慢して話し合いをしてやったってのに...

 

「ゴメンな樹、ちょっと待っててなあの人達とお話して来るから」

 

コクリと頷く樹、どうやら部活では出さない怒気を含めた声色に怯えているようだ。

 

あぁ....また嫌われたかな?

 

「で?さっきのビン投げたのアンタだよな?樹に当たったらどうすんの?」

 

ガラの悪い3人組に歩み寄っていき、問いかける。

 

「あ?知らねぇよてめぇが....」

 

1人が応えようとするが知ったこっちゃねぇ。

 

言葉の途中で顔面にハイキックを叩き込む。

 

「答えは聞いてないんだよなぁ」

「な、てめぇ!」

 

ガラの悪い人が俺に掴みかかるが、クロスカウンターの応用で顔面に拳をぶち込む。

 

「な、なんだよオマエ!」

「通りすがりの先輩だよ、たった今機嫌が悪くなったけどな」

 

と言って右ストレートを残った1人の顔面に叩き込み、ガラの悪い3人組は全員気絶した様だ。

 

はぁ、終わった終わった。

 

油断した。全員無力化出来たと思い周りの警戒を怠っていたせいで新しく来たもう1人に気付かなかった。その結果樹は後から来たもう1人に捕まっている。

 

「何してんだテメェ!?」

 

樹を捕まえているヤツが聞いてくる。

 

「何?アンタコイツらの仲間?」

「あぁそうだよ、何してくれてんだお前は!?」

「何って、殴り倒しただけだけど?」

「ッチ、そこ動くんじゃねぇぞ!?」

 

と言ってポケットからカッターを取り出し、樹の頬に突き付ける。

 

「痛!」

 

突き付けるだけかと思ったら刃先が少し刺さっているようだ。樹の頬から一筋血が流れる。

 

「か、奏先輩....」

「おい、当たってんぞ!」

「知るかよ!お前は大人しくしてろ、さっき仲間を呼んだからな、仲間が来るまでは動くんじゃねぇぞ!」

「ゲスが....喧嘩で女の子に怪我させてんじゃねぇぞ」

「は!知るかよこんなペちゃパイ!」

 

おいコラやめろよ!樹だって気にしてるかも知れないんだぞ!?ったく、しょうがない。

 

「樹?」

「は、はい.....」

「絶対に動くなよ?」

 

ひゅん!と俺の言葉が言い終わると同時に上から何か落下してくる。それはカッターをガラの悪いヤツの手から叩き落とした。それと同時に樹に向かって走っていき樹の頬ギリギリに蹴りをぶち込む。背後のガラの悪いヤツの顔面に蹴りが突き刺さる。

 

一応保険用意しといて正解だったな。

 

先程落下してきたのは、樹を助かる前に念の為上空に待機させていた八咫烏だ。八咫烏は仕事を終えると俺の頭の上に止まる。

 

「ナイスだ八咫烏、今度うどんを奢ってやろう」

 

嬉しそうにバサバサと羽を広がる八咫烏。

 

「ゴメンな樹、大丈夫だったか?」

「......」

「い、樹?」

「か....」

「か?」

「奏先輩~!!!」

 

泣きながらタックルする様に抱き着いてくる樹、不意打ちだったために鳩尾にモロに食らってしまう。

 

「ぐほぉあ!い、樹ちゃん?」

「あ、ご、ゴメンなさい!大丈夫ですか!?」

「あぁ、わざとじゃないのね....うん、大丈夫大丈夫」

 

助けたはずの女の子に唯一のダメージを食らう奏であった。




奏は喧嘩めっちゃ強いんやで?なんて言っても戦闘データ諸々頭の中にインプットされてるのだから!
樹ちゃんの回はもう少し続きます。


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第24話 犬吠埼樹との邂逅

樹ちゃんを堕と....ゲフンゲフン、仲良くなるのが1番大変だった....


「ま、まぁ取り敢えず帰ろうか?」

 

樹にタックルされた腹を擦りながら促す。

 

さっきのヤツらの仲間が集まるとめんどくさいしな。

 

「え、えっとそれが.....」

「ん?どうした?」

「足をさっきので捻っちゃったみたいで.....」

 

アイツ.....顔に傷を付けるだけじゃなく足まで怪我させやがって、もう2、3発殴っとこうか?

 

「でもさっきのヤツらの仲間が来るかもしれないし.....そうだ、ちょいと失礼」

「え?きゃぁ!」

 

樹の事を背負う、背中から軽く悲鳴が聞こえるが気にしないでその場を離れた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

樹を背負い走っていると公園がみえた。

 

「ちょっとあそこで休憩するか」

「は、はい~お願いします....」

 

目を回している樹をベンチに座らせる。

 

少し激しすぎたか?ま、大丈夫だろ仮にも風の妹なんだし。

 

酷い話である。

 

「ちょっと怪我見せて貰っていいか?」

「はい、大丈夫です」

 

樹の了承を貰ってから靴などを脱がし、足首を確認する。

 

「う~ん、少し腫れてるな筋とかはいっては無さそうだな」

 

続いて頬の傷も確認するが、もんの少し刃先が刺さっただけの様だ。

 

「こっちも大丈....どうした?」

「あ、いえ、その」

 

顔を赤くして俯いている樹。

 

....よく考えるとめっちゃ近いな!

 

一瞬恋愛的な感情を考えてしまうが、何とか思考を逸らす。

 

「と、取り敢えずそこのコンビニで色々買ってくるから!」

 

危ない危ない、2日連続でアレはキツい!

 

「あ」

 

とコンビニに走って行こうとするが、樹服の裾を引っ張られる。

振り返ると上目遣いでこちらを不安げに見つめる樹。

 

大丈夫、大丈夫、てのかかる妹だと思え安森奏。

 

「だ、大丈夫だからすぐそこのコンビニに行ってくるだけ」

「でも.....」

「また変なヤツが来ても絶対に助けるからさ」

 

何とか説得し、樹に手を離してもらう。

 

「じゃちょっと行ってくるから」

 

仕切り直しコンビニに掛けていく。

 

止めて欲しいねぇ!無自覚何だろうけどさぁ!

 

心の中で叫びつつコンビニへ全力疾走する奏であった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

コンビニで医療品を買ってきて、樹の足を治療し、樹をおぶりながら犬吠埼家への帰路を辿っているとふと樹が口を開いた。

 

「奏先輩」

「ん?何?」

「私実は奏先輩の事が苦手でした」

「うん、知ってる」

「え?分かってたんですか?」

 

えぇ?逆にあの態度でわからない思ってたの?

 

「まぁ、流石に、ね?」

「そう、だったんですかごめんなさい....」

「謝んなくてもいいよ、俺がなんか嫌われるような事したんだろ?」

「いえ!違います!ただ.....」

「ただ?」

「私、その男の人が苦手で.....」

 

あぁ、そう言う事ね。

 

「じゃぁアレか、元々男嫌いなのにズカズカ近寄ってくる俺はめんどくさい奴だったって事か?」

「まぁ、そうなりますね.....」

 

そりゃ嫌われますわ、嫌いな人種が馴れ馴れしくしてくるんだもんな。

 

「因みに何で嫌いになったとか気いても?」

「....実は一年前にお姉ちゃんが彼氏さんと分かれたんです、その時のお姉ちゃんすごい落ち込んでて....」

「......成程ねぇ~」

 

結局自分のせいじゃないか、一年前に風と付き合ってたのは他の誰でも無い。

 

俺自身だ。

 

「でも!今は違います!!」

「え?」

「私、男の人って今日の人達見たいな人とか、女性に酷い人だと思ってました、でも奏先輩は....」

「俺だって似たようなもんだよ」

 

樹の言葉を遮る、俺はそんなに優しい人間じゃない。

 

「違います!」

「違わないよ」

「だって!」

「だってもこうもない、俺がそう思ってるんだ、そうに違いないだろ」

 

俺なんかがいい人?笑わせる。自分のせいで嫌われてんのに頑張って仲良くなろうとしてたとか、笑い話にもならねぇ。

 

「.....なんで、自分の事をそんなに酷く評価するんですか?」

「.....それは」

「待ってください!」

「あ?」

「先輩が自分の事をなんでそんなに酷く言うのかは分かりませんけど、その以上に私が」

 

「先輩を、好きになります!」

 

.....いきなり告白ですか?

 

「.....え、なに?告白?」

「あ、ち、違います!」

 

慌てふためく樹。

 

コラバタバタするな、落ちるぞ。

 

「と、ともかくそんなに自分の事を悪く言わないでください!」

「なんだそれ?理屈通して物言えよ」

「あうぅぅ、だって....」

 

恐らくは感情的になって後先考えないで言ってしまったんだろう。

 

「ふふふ」

「な、ちょっと!なんで笑うんですか!?」

「悪ぃ悪ぃ、樹ってもっと冷静に物事考えるもんだと思ってた」

「冷静に物事考えなくて悪かったですね!」

 

ぷんぷんと顔を膨らませて怒る樹。

 

「悪かったって、怒んなよほら着いたぞここだろ?」

「む~」

 

未だに不機嫌な樹を宥めつつ、犬吠埼の名札の付いた扉をノックする。

 

「は~い」

 

と中から風の声が聞こえてくる。

 

「お待たせしました~って奏!.....なんで樹おぶってんの?」

 

ドアを開けた風はエプロンを付けていた、恐らく夕飯の準備をしていたのだろう。

 

「奏さんがどうしてもって言うから」

「な!?お前何言って....」

「ちょっと奏?話し合いしましょうか?」

 

その後風と話し合いをして、何とか誤解を解いて命拾いした奏だった。

 

「で?怪我をした樹をわざわざ家までお持ち帰りしてきた、と?」

「言い方ぁ!?」

 

未だにちょっと怒ってませんかねぇ!?

 

「冗談よ、全く樹も変な嘘つかないの」

「だって先輩が~」

「ハイハイ、で怪我の方は?」

 

未だにブーブー言っている樹を軽くいなす風、流石は姉だな。

 

「大丈夫だと思うけど、一応今度病院行っといた方がいいと思う」

「そっか、じゃ明日の放課後辺りにでも行きましょうか、一応見せて?」

「じゃ、俺は飯作っとくから」

「あ、じゃぁお願い。あたしアンタの手作り食べて見たかったのよね~」

 

そっか、結局食わせた事無かったな....

 

「任せな、めっちゃ上手いもん食わせてやるよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「よっし出来た」

「お、意外とやるわね、まぁあたし程じゃないけど」

「言ってろ、食ったら驚くぞ?じゃ俺はこの辺で」

「え?食べて行かないんですか?」

「家で待ってる人がいるからさ、悪いな」

 

何かちょっと前に同じこと言った事あるような気がする.....

 

「しょうが無いわね、また今度ご飯付き合いなさいよ?」

「.....了解、約束する」

 

玄関まで歩いて行くと樹もケンケンでコチラに向かってくる。

 

「奏先輩!」

「ん?何?」

「さっき言ったこと本気ですからね!」

「.....期待しないで待ってるよ」

「え?何よ、何の話してるの?」

 

言葉の意味が分からず混乱している風。

 

「秘密!」

「らしいです」

「えぇ!?いいじゃん教えてよ~」

「だーめ!」

「あの帰ってもいいですか?」

 

いつまでもここにいたらコントを見ているハメになりそうだ。

 

「あ、ごめんごめん、じゃまた明日ね~」

 

手を振る風、一年前にはよく見た光景に心が痛む。

 

「....風」

「ん?どしたの?」

 

自分と別れた後自分やみんなの前ではいつもの変わらなかった風だが、樹の話を聞く限り無理をしていたのだろう。

 

「.....ゴメンな」

「....なんで謝んのよ」

 

反射的な謝罪であったが風は自分の謝罪が何に対してか分かった様だ。

 

「?」

 

自分と風の会話の意図がわからず困惑している樹。

 

「じゃまたな」

「えぇまた」




服の裾を引っ張られて上目遣いで樹ちゃんに見られたら平常心を保てますか?
私は無理です


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第25話 三好夏凜襲来

やっほーい!かりんりん勇者部に襲来!やっとここまで来たぁ!


「アレが5体目か...」

「1ヶ月ぶりだから大丈夫かな?」

 

1ヶ月ぶりに勇者部はバーテックスと戦うために神樹様に樹海に呼びたされていた。

 

「初めてやった時もぶっつけで何とかなったし、油断しなけりゃ何とかなるだろ」

「そうね、なせば大抵なんとかなる!四の五の言わず、正面からぶちのめすわよ!」

 

この脳筋め、まぁ俺もそう考えてたけどさ?

 

端末を確認すると、5体目のバーテックスはカプリコーン。

 

「ま、いっちょやってやりますか、東郷そっちの準備は?」

 

援護の為に別行動している東郷に準備の確認を取るために端末を操作する。

 

『こちら東郷、配置完了いつでも行けるわ』

「了解、東郷準備できたってさ」

「よっし、じゃぁ行くわよ!」

 

気合を入れてバーサスに向き直り、皆互いに武器を構えた、その瞬間。

 

ドゴォン!とカプリコーンが爆発する。

 

『えぇぇ!?』

「東郷か?早い、早いよ!?」

「いいえ、私じゃ無いわ」

 

もう一度カプリコーンを確認するとカプリコーンの頭上から1人、落下してくる。

 

「ちょろい!」

 

お前が言うな!

 

と、咄嗟に心の中でツッコミを入れてしまったこの声には聞き覚えがある、ここ1ヶ月稽古を付けてもらっていた少女の声。

 

とか考えていると夏凛がカプリコーンに刀を投げ付け、1人で封印を開始する。

 

「あの子1人で封印する気!?」

 

カプリコーンから御霊が出現すが、御霊から大量の煙が立ち込める。

 

「な、何これ!?」

「見えない~」

 

煙で視界が塞がれる。

 

「こんな煙幕....気配で見えてんのよ!」

 

夏凛が跳躍し、そこには御霊の姿があり一撃で真っ二つにする。

 

「殲.....滅」

 

カッコイイなオイ、今度気配の見方を教えてもらおう。

 

「えっと....結局だれ?」

「はぁ....こんな連中が神樹様に選ばれた勇者で.....」

 

あ、目があった。

 

取り敢えず手を振っておく。

 

「な、な、な、なんでアンタがここにいるのよ!?」

「アレ?知ってる子?」

「あぁ....まぁなんと言うか....師匠?」

「なんで疑問形なのよ...」

 

だって仕方ないだろ?そもそも俺と夏凛の関係ってどんなだよ、剣術教えて貰って、たまに飯作ったりしてやって.....あれ?ホントになんだろうな?

 

「ちょっと無視しないでよ!」

 

あ、嫌な予感がする。

 

「ねぇったら!ジョン聞いてる!?」

「じ、ジョン!?」

「誰それ?」

「え?」

「ブハハハハハ!そうだった、そう言えばそうだった!!!」

 

そう言えば名前ジョンマックレーンで名乗ってたな、あんまり名前読んでくれないから忘れてた!

 

「ちょ、どう言う事!?説明しなさいよ!」

 

樹海化が解けていくさなか、夏凛の叫びと、奏の笑い声が響いた。




自分でも書いてて、「そう言えばいつ奏に本名名乗らせよう?」とか思ってましたよ....
ネタで変な事するもんじゃありませんね。
え?反省?そんなのする訳ないじゃないですか~


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第26話 ジョンマックレーンは安森奏である

今アニメで言うと3話位なんですよね、これで26話って終わるまでに何話位になるんですかね〜?


「で、説明して貰いましょうか?」

「ナンノコトデスカ?」

「あくまでも知らっばくれるって事ね?」

 

くそぅ....何だってこの学校に転校して来るんだよ!お前ついこないだまで学校サボって修行してたじゃん!あ、大赦からの命令か、なるほどね。なんてこったい.....

 

転校してきた夏凛を勇者部の部室に友奈達が呼んできたのはいいが、ここは絶賛修羅場である。

 

「ちょっと貴方!」

「な、なによ」

 

お、東郷が助けてくれたイイぞー

 

「奏くんとはどう言う関係なの!?」

「はぁ!?」

 

違う、そうじゃない。東郷さんや、今聞くのはそれじゃないだろ?

 

「別にどんな関係だっていいでしょ!」

「奏くん!どう言う関係なの!?」

 

くそぅ、俺にターゲットが代わりやがった...

 

「えぇっと....師匠とか?」

「なんで疑問形なのよ!」

「え?じゃあなんだよ」

「えっと....何かしら?」

「疑問に疑問で返さねいでくれますか?」

「く!樹ちゃんだけでなく新たなライバルが....」

 

東郷さん、コメントがおかしく無いですかね?

つっても実際俺と夏凛の関係ってなによ?一緒に砂浜で汗流して、ご飯作って、たまに一緒に食べて....うん、これって。いや、何も言うまいこれ以上は俺がもたん、主に頭痛と吐き気に襲われる。

 

「ともかく、なんで私に偽名で名乗ったのよ!」

「なんで偽名だって気が付かなかったんだよ!」

「ぐぬぬぬ」

「そんなお前に言うことがある」

「.....なによ?」

「その気になっていたお前は滑稽だったぞ!」

 

夏凛が立てかけてあった箒で殴りかかってくる。

 

「ふはは、馬鹿め!その程度の剣筋今更当たるものか!」

 

箒を白刃取りし、ドヤ顔を夏凛に見せつける。が、蹴りが顔面に炸裂する。

 

「馬鹿はあんたよ座ってるんだから回避は出来ないでしょ?」

 

くっそ、ドヤ顔返しされた.....

 

「.....白か」

「な!こんの変態!」

「うるせぇ!てめぇなんぞの下着見たって何の足しにもならんわ!!」

「ハイハイ、コントはいいから説明してくれないかしら?」

「コントなんてして無いわよ!!」

 

全く、と仕切り直す夏凛。

 

「それでどうしてこのタイミングで援軍?」

「あんた達の戦闘データを組み込んで最強の勇者に仕上げる為に、ここまで時間がかかったのよ、でもそれだけじゃないわ!」

 

そう言って手に持っている箒を振り回す。

 

「私自身もあんた達トーシロとは違います長年訓練を受けているのよ!」

「壁に箒ぶつかっておりますがな」

「躾がいのありそうな後輩ね~」

「なんですって!」

「あわわわ!喧嘩しないでください!」

「.....まぁいいわ、とにかくアンタ達は大船に乗ったつもりでいなさい」

 

ここで邪魔だけはしないでねとか言わない辺り流石は夏凛ちゃんですわ~

 

無論口には出さないが心の中でそう思う奏。

 

「そっか、じゃ宜しくね夏凛ちゃん!」

「い、いきなり下の名前?」

「え?だって奏くんだって下の名前でよんでるよ?」

「....ふん!どうでもいいわ」

「照れおってからに」

「照れてない!」

 

ま、取り敢えずは夏凛の第1位印象は悪くは無かった様だし良かった良かった。

 

「勇者部へようこそ!」

「は?誰が?」

「夏凛ちゃん」

「部員になるなんて話し1回もして無いわよ!」

「え?入らないの?」

「入らないわよ!いい、私はアンタ達を監視する為にココにきたの」

「じゃぁ入った方がいいじゃん、その方が監視しやすいだろ?」

「ぐぬぬぬ」

 

勝ったな。

 

「じゃぁ入部届持ってくるね~」

 

こう言う時の友奈の行動は早いな~




夏凛ちゃん相手だと書きやすいですな!!
大体のストーリーは決まったけど友奈ちゃんとの仲良くなるきっかけが未だに出来ない.....鉄壁過ぎませんかね?


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第27話 三好夏凜は素直じゃない

家の夏凛ちゃんは本編よりも奏くんがいるのでマイルドです!
それでもツンデレですがね


「で、なんやかんや言っても書いてくれる辺り夏凛ちゃんですわな」

「うっさいわね、その方が都合が良かっただけよ」

「ま、そういう事にしときますか」

「そういう事ってどう言うことよ!!!」

 

友奈が持ってきた入部届けにサインをしている夏凛を茶化す。

 

「都合って監視のこと?やめてよね、まるで私たちが見張ってないとサボる見たいな言い方」

「偶然神樹様に選ばれたトーシロ集団が偉そうな顔するんじゃ無いわよ」

「む」

 

夏凛の挑発的な言動に少しムッとする風。

 

「いい?勇者のお役目はおままごとじゃ無い.....ってギャァァァァァ!!!」

 

叫び声を上げる夏凛その視線の先には牛鬼に捕食される夏凛の精霊。

 

ホントに牛鬼は何でも喰うな.....実際食わなかったのなんて八咫烏ぐらいだしな。

 

「ちょちょちょ!何してんのよこの腐れ畜生!!」

「外道メ!」

 

涙目になりながら何とか牛鬼から精霊を引き剥がす夏凛。

 

「外道じゃ無いよ!牛鬼だよ!ちょっと食いしん坊なんだよね?」

 

ふよふよふよと、俺の頭の上に着地する牛鬼、そのまま髪の毛をむしゃむしゃ.....不思議とヨダレとかはつかないのだから不思議なものだが。

 

「じ、自分の精霊の躾も出来ないようじゃヤッパリトーシロね!!!」

「奏くん以外の言うことは聞いてくれないんだよね」

「なんで主の言うことを聞かないのにコイツの言うことは聞くのよ....」

 

俺に聞かれても知るわけ無いだろぉ?

 

「まぁいいわ、取り敢えず私の義輝を喰わないようにコイツに言ってやんなさいよ!」

「だが断る!」

「なんでぇ!?」

「その方が面白そうだから」

「外道メ!!!」

 

なんとでも言うがいい!俺は面白ければ何でもいい!

 

「そう言えばその子喋れるんだね!」

「えぇ!私の能力に相応しい強力な精霊よ」

 

オイ義輝が喰われた件はもういいのか?

 

「でも、東郷には3体の精霊がいるよな?」

「な!わ、私の精霊は1体で最強なのよ!言ってんやんなさい!」

「諸行無常」

「達観してますね」

「そ、そこがいいのよ!」

「うあ....どうしよう、夏凛さん!」

「今度はなによ!」

 

際程から会話に参加していなかった犬吠埼姉妹、どうやら樹が占いをしている様だ。

 

「夏凛さん死神のカード....」

「勝手に占って不吉な結果出さないでくれる!?」

「言っとくけど樹の占いは結構当たるぞ?」

「もっとダメじゃ無いのよ!!!」

「不吉だ....」

「不吉ね....」

「不吉ですね....」

「不吉じゃない!」

 

いいツッコミだ夏凛!この部活では重宝されるぞ?

 

「ともかく!これからのバーテックス退治は私の監視の元行うのよ!」

「お前の?」

「私の!」

「不安だ....」

「なんですって!?少なくともアンタ見たいな勇者でも無いヤツよりは大丈夫よ!!」

 

ほぅ?そんな口を聞くとは.....

 

「牛鬼、GO!!!」

「あぁぁ!ちょっと待って!ストップ、ストップ!!!」

 

(✧-✧`)見たいな顔をする牛鬼に怯えて義輝を隠す夏凛。

 

これはいいモノを見つけたな....

 

「く!アンタのその顔をしてる時は大抵ろくな事が無いんだけど!?」

「ナンノコトデスカ?」

「随分奏先輩に詳しいですね?」

「俺の事をそんなに見てくれているなんて.....俺は嬉しいよ!」

「寝惚けたこと言ってんじゃ無いわよ!!」

 

ゼェゼェと息を切らしている夏凛。

 

オイオイこの程度のツッコミで息が切れるとは修行が足りないんじゃないか?

 

「ま、事情は分かったわ」

「今ので何を分かったのよ....」

「取り敢えず学校にいる間は上級生の言葉には従いなさい、正体を隠すことも任務に含まれてるでしょ?」

「ふん!まぁいいわ、残りのバーテックスを倒すまでの我慢ね!」

「ねぇ夏凛ちゃん、一緒にうどん食べに行かない?」

「行かない」

 

と言って1人で帰っていく夏凛。

 

「お?もう帰るのか?」

「別にいいでしょ?やるべき事はやったわ」

「そっか、じゃまた明日」

 

う~ん、いつもなら返してくれるのになぁ。

 

「ま、夏凛は悪いヤツじゃないんだ、仲良くしてやってくれ」

「それは今日の事で分かったわ、何やかんや言ってツッコミも入れてくれるしね」

 

この調子ならすぐに勇者部に馴染めるだろう。

 

「じゃうどん食いに行きますか!」

 

と、そんな事を言う風、流石は勇者部部長、食欲は化け物ですな。




精霊の中だと牛鬼か、義輝が大好きです!
......実は2期放送当時に義輝が銀とか言うオチを期待してた私です


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第28話 三好夏凜は物申したい

夏凛ちゃんの誕生日回は次回....申し訳ねぇ申し訳ねぇ


「いい!仕方ないから情報交換と共有よ」

 

夏凛が来てから数日が経過して、未だに勇者部に馴染めない夏凛から珍しく提案があったと思ったら....

 

「結局御役目の話かよ....」

「当たり前でしょ!私達は神樹様に選ばれた勇者なんだから!」

「お堅いね~」

「アンタはもう少し防人としての意識をね.....」

「と言うかなんで煮干?」

 

先程から煮干を食いながら話をしている夏凛に疑問を問いかける東郷。

 

あ、始まるな。

 

「なによ!いい!煮干しはね....」

「ビタミン、ミネラル、カルシウム、タウリンその他諸々が入ってるから完全食なんだよな」

「詳しいわね」

「嫌という程教わった」

「言っとくけどあげないわよ!」

「要らないわよ....」

 

煮干を常時持ち歩いている女子とはどうなんだろうな....

 

「それなら私のぼた餅と交換しましょう?」

「何それ?」

「さっき家庭科の授業で作ってきたの」

「お前と違って東郷の料理は絶品だからな」

「や、やだわ絶品だなんて照れてしまうわ....」

 

顔を手で覆って俯く東郷だったが....

 

「アレ?なんで奏くんは夏凛ちゃんの料理の腕前しってるの?」

 

.....しまった、墓穴掘ったか。

 

「ま、まぁアレだ!俺がよく手作り作ってるから、そのお返し的な?」

「奏先輩が手作りをよく作るような関係なんですか?」

 

おおっとぉ?樹まで入ってきたぞ?

 

「料理の話はどうでもいいの!いいから私の話を聞きなさいよ!」

「そうね、ごめんなさい話が逸れてしまったわね」

 

いいぞぉ夏凛!おかげで助かった!今度うどんを作ってやろう!!!

 

「....じゃあ奏くん、この話はまた後で」

「私も聞きたいことが出来ました」

 

....救いは無いんですかね?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「いい、バーテックスや黄金十二宮の出現は周期的と言われていたけど、相当に乱れているこれは異常事態よ」

 

夏凛の説明を東郷のぼた餅を食べながら聞いている。

 

「私ならどんな事態にも対応出来るけどあんた達は気をつけなさい、命を落とす事になるわよ!」

 

なんやかんや言っても心配してくれる辺り夏凛ちゃんですわ~

 

と口に出して言えば絶対に否定されるだろうから心の中で呟く。

 

「他にも一定経験値を溜めることでレベルが上がり、より強くなれるそれを満開と言うわ、最も防人には満開は無いけどね」

「でもその代わり精霊との融合があるんだろ?」

「へぇ、よく知ってるわねその通りよ」

 

まぁ、前に園子にレクチャーして貰ったしね....

 

「そうだったんだぁ、私全然知らなかった」

「アプリの説明に書いてあったよ?」

「因みに夏凛は満開した事あるの?」

「わ、私はまだ無いけど....」

「お前もレベル1なら俺らと変わんないじゃん」

「う、うるさいわね!基礎戦闘力が桁違いなのよ!」

 

そんな序盤に出てくる敵キャラ見たいな事言うんじゃないよ....

 

「ま、実際夏凛が強いのはホントだしな」

「わ、分かってるじゃない!」

「ま、最近は俺に何本か取られるようになってきたけどな」

「て、手を抜いて上げてるのよ!本気でやってボコボコにしたら可哀想だからね」

 

息を切らしながら手を抜けるものなんですかね~

 

「なによ!何か言いたげね?」

「べっつに~ナンデモナイデスヨー?」

「アンタがそんな言い方をする時は嘘ついてる時なのよ!!」

 

そんなに分かりやすいかね?そんな事無いと思うんだけどな。

 

「じゃぁ私達も強くなる為に朝練しましょう!」

「お前は起きられんだろ?てか友奈は充分強いですやん」

「そうね、この間も奏くん練習試合やったら気絶させられてたもんね」

「それは言わないでくれませんかね東郷さん....」

 

嫌な、事件だった....主に男としての尊厳が色々落ちた....え?夏凛にも負けてるじゃんって?夏凛は不登校で修行してるからまだいいんだよ!

 

「はぁ、なんでアンタ達見たいな奴らが神樹様に選ばれたんだか....」

「なせば大抵なんとかなる!」

「なによそれ?」

「勇者部五箇条!大丈夫、みんなでやればなんとかなるよ!」

「なるべくとか、のんとかとかアンタ達らしい曖昧なスローガンね....まぁいいわ、私の中で諦めが付いた」

「私らはアレだ!現場主義なのよ!!!」

 

アレとか言ってる時点で今考えたのがバレバレだと思うんですよね~

 

「じゃそろそろ本題に入りますか」

「そうね、元々その為に集まったんだし」

「ちょっと!私の説明はついでだったって言いたいの!?」

「その通りですが何か?」

 

その後はプンスカプンスカしてる夏凛を適当に流しつつ週末にある子供会のレクリエーションについて話あった。

 

因みに夏凛は最後まで行かない行かないと行っていたが。

 

なんやかんや言っても来るんだろうなぁ....




ううむ夏凛ちゃんと奏くんがイチャつくともれなく樹ちゃんと東郷さんが付いてくる.....
ま、いいか


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第29話 三好夏凜の誕生日である(前日談)

今回は誕生日回だと言ったな、アレは嘘だ


部活終わりにいつも夏凛が修行している浜辺に向かうと、いつも通り夏凛が素振りをしていた。

 

「よ、今日も今日とて修行か?」

「そうよ、あんた達とは違って私は最強の勇者なんだから、日々の鍛錬を怠ったりしないわ」

「最強勇者様は言うことが違うねぇ」

「で?今日はやっていくの?」

「おう、よろしく頼むな」

 

夏凛から木刀を1本借りて構える。

 

「なぁ、夏凛って元々二刀流使いだよな?」

「ん?ええそうだけど?」

「そろそろ夏凛の二刀流と戦って見たいんだけど」

「私の一刀流に完全に勝てるようになってから言いなさい、じゃぁ、行くわよ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁはぁはぁ......私の一刀流に勝てるように、なんだって?」

「ぜぇぜぇぜぇ......うるさいわね、今回は少し油断しただけよ!」

 

最近になってやって勝てるようになって来たな、てか二刀流の夏凛って実際どんぐらい強いんだよ....

 

「やっぱり完成型勇者は違うな」

「当たり前でしょ」

「よっし、そろそろ帰るか今日も飯作ってやるよ、今日何食べたい?」

「.....うどん」

 

そんなにうどん食べたいなら友奈達と一緒に食べに行けばいいのに、素直じゃ無いねぇ....

 

「なによ?何か言いたげね?」

「別に~ほら早く帰ろうぜ」

「.....ったく、待ちなさいよ私が鍵持ってるのにどうやって入るのよ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そう言えば久しぶりか?夏凛に飯作るのって」

「そうね、私が讃州中学に入学してからは今日が初じゃないかしら?」

 

そう言ってアパートに入っていき、ほぼ奏専用になった台所へ向かう。

 

「ん?これって」

「あ、ちょっと!」

 

テーブルに珍しく何かあったので手に取ってみると、それは折り紙だった。

 

「何勝手に見てるのよ!」

「へぇ....あんなにぶつくさ言ってた割には子供会用の折り紙の練習してんだ」

「別に!ただ子供たちに舐められるのが嫌だっただけよ!!」

「素直じゃ無いねぇ~」

「うっさいわね!私はランニングしてるから早くご飯作りなさいよ!あと、誰にも言うんじゃ無いわよ!」

「えぇ~どうしようかな~」

 

無言で木刀を構える夏凛。

 

「分かった、わかりました誰にも言いません」

「分かれば良いのよ、ったく初めからそうしなさいよね」

 

クソゥ武力行使とは卑怯な、しかもこっちは丸腰だって言うのに。

って言ってもなんやかんや言っても少し楽しみだったりするんだろうな、こんな事初めて何だろうし。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「オイ夏凛出来たぞ~」

 

とランニングマシンでランニングしている夏凛に声をかけるとすぐにリビングに戻ってくる。

 

「じゃ俺は帰るから」

「今日は食べていかないのね」

「ちょっと時間が遅くなっちゃったからな」

「そう、じゃまた明日」

「じゃぁな~」

 

そう言ってアパートを出る。

 

今日は食材もちゃんとあるし、このまま帰るか、ちょっと荷物多いけど....

 

そんな事を考えながら道を歩いていると見覚えのある車が隣に止まった。

 

「奏様、お迎えに上がりました」

 

大赦印の高級カーだった。運転手はいつもの男性の人

 

「...俺電話とかしてませんよね?」

「奏様が大荷物を持っていたのをたまたま見かけたもので」

 

たまたま、ねぇ~?

 

「ま、今日はお言葉に甘えさせて貰いますよ、実際荷物も多いですしね」

 

ホントにたまたまで見かけるもんか?監視でもされてんじゃないだろうな?......流石に考え過ぎか

 

などと考えながら車に乗り込む、何度乗ってもなかなかなれない。

 

「そう言えば何か仕事でもしてたんですか?」

「申し訳ありません、口外を禁止されていますので」

「あ、そうですよねすいません」

「奏様はこのような時間まで何を?」

「え?えっと、ちょっと友達と交友?」

 

ビックリした、まさかあっちから話を振ってくるなんて、初めてだな。

 

「三好夏凜ですか?」

「え?知ってるんですか?」

「私が彼女に大赦からの連絡をしているので、奏様のことはよく報告がきます」

「へぇ、因みにどんな報告なんですか?」

「主に修行の経過報告です」

 

まあ、変に期待なんてしてませんでしたけどね、ホントですよ?

 

「彼女は学校で上手くやれていますか?」

「大丈夫だと思いますよ?友達も出来た見たいですし、まぁ本人が認めなさそうですけど」

「彼女の事をよろしくお願いします、彼女は少々不器用な所がありますので」

「大丈夫ですよ、無理そうだったら手を貸しますけど夏凛1人で何とかできそうですしね」

 

あれで結構面倒見がいいからな夏凛は、と言うか大赦の人たちもこんなに喋る事あるんだな。




すいません!本当に今回は誕生日回の予定だったんです!
でもこの話もいつかは入れる予定だったので入れるなら今かな?と....


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第30話 三好夏凜の誕生日である(前編)

やりました!やっと夏凛ちゃんの誕生日回です!
終わるとは言ってませんけどね!


今日は子供会のレクリエーションで勇者部で集合する筈なのだが。

 

「遅いわねアイツら、時間すら守れないのかしら」

 

端末で時間の確認をする、集合時間はとっくに過ぎている。

 

「でも流石に遅すぎない?」

 

前日に渡された資料を取り出し確認する、時間は間違っていなかったが集合場所は....

 

「現地集合?しまった私のミスか....えっと、こう言う場合連絡した方が良いわよね」

 

連絡をする為に端末を取り出した瞬間に着信音が鳴る。

 

「こ、この番号って結城友奈?え、えっと....」

 

焦って着信を拒否してしまう。

 

「切っちゃった....かけ直した方が良いわよね?」

 

でもなんて言ってかけ直そう?言葉が出てこず諦める。

 

「.....別に、部活なんて私が行きたかった訳じゃないし、そうよ、私が行く必要なんてないじゃない」

 

私はあんな連中とは違うのよ、神樹様に選ばれた心の勇者なんだから!

 

これ以上連絡が来ないように端末よ電源を切り、部室を出る。

 

私はアイツ見たいな試験部隊とは違う。私は世界の未来を背負わされている、大赦から期待されているのよ、だから....

 

「え?夏凛?」

 

考え事をしながら歩いていると奏の声が聞こえてきた。

 

「お前なんでこんな所にいんの?今日は子供会のレクリエーションあるだろ?」

「私がどこに行こうと関係無いでしょ、元々私は部活なんて入りたくて入った訳じゃ無いんだし」

「ふ~ん.....」

「何よ?」

 

疑る様な目で私を見てくる奏。

 

「お前さては集合場所間違ったとかだろ?」

「な!?」

「お、当たってたか」

「.....なんで分かったのよ」

「いやいや、わざわざ折り紙も練習しといて?学校の方向からドボドボ歩いてきて?服装もよそ行きの服装で?こんなに条件揃えば小学生でも分かるだろ」

「ぐぬぬ」

 

「今からでもいいから行けって、アイツらなら少し馬鹿にするぐらいで許してくれるから」

「.....じゃあなんでアンタはこんな所にいるのよ」

 

よく考えればこんな所に奏がいる事がおかしい。

 

「え?俺は......アレだよ別任務があってだな?」

「とか何とか言ってただのサボりでしょ?」

「いやいや違うって!ホントに別なやる事があるの!」

「じゃあ何してるか言いなさいよそんなに買い物袋ぶら下げて」

「それは......ご、極秘任務なんだよ!」

 

わかりやすい嘘を.....

 

「説得力のない言い訳ね?」

「ぐぬぬ」

「アンタだってサボってるんだから、私に言ってくるんじゃ無いわよ、じゃ私は帰ってトレーニングするから」

「ちょ、ちょっと待て!」

「はぁ、今度は何?」

「今日お前の家で飯作るから!」

「なんでそうなるのよ!」

「別に何しようが俺の勝手だろ!?」

 

く、先程言った言葉を返された、それを言われると自分も言った手前言い返せない。

 

「....別にいいけどだからってレクリエーションには行かないからね」

「そう言う目的で言ったんじゃねぇし!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

~side奏~

 

うぅむ、無理やりだったけど取り敢えず口実は作れたし、後は風達に連絡しないと。

 

『サボってる夏凛を発見、これよりBプランに移行する』

『夏凛見つけたの?って言うかプランBってなに!?』

『プランB?そんなものあるわけないだろ!』

『なんで言ったのよ!?』

『取り敢えず、そっちには行けないから計画は夏凛の家で』

『無視しないでよ....まぁ了解』

 

よし、レクリエーションは風達だけでも何とかなるだろ。

 

「私はトレーニングして来るから」

「え?俺は?」

「ご飯作ってるんでしょ?」

「いや、そうだけどさ...」

「別に取られる様な物もないし、そもそも何か取られたら取ったのアンタって分かるしいいでしょ?」

 

そう言う事じゃ無いと思うんだよなぁ.....

 

「じゃ、行ってくるから」

「あ、はい、行ってらっしゃい」

 

.....これじゃぁ夫婦みたいじゃん、俺が奥さん?三好奏?

アホくさ

 

吐き気どころか、頭痛すらしなかった。




思ったよりも長くなってしまって今回で終わりませんできたごめんなさい....


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第31話 三好夏凜の誕生日である

やっとです!やっと誕生日回ですよ!?


「ただいま」

「おう、おかえりもうちょいで出来るからな~」

「随分と時間が掛かってるのね」

「今日は少し手を込んで見ようかと」

「何作ってるのよ?」

「あ~!ダメダメ!出来るまで内緒だから」

 

何を作っているのかと、台所を望み込むと奏に止められた。

 

内緒って.....何を作ってるのかしら?

 

「ま、いいわ私はもう少しランニングしてるから」

 

ピンポンと玄関からチャイムが鳴る。

 

「誰か来たのかしら?珍しいわね」

 

扉を開けるために玄関に向かうと、

 

ピンポンピンポンピンポンピンポンと連続でチャイムが鳴る。

 

「なによ!迷惑なヤツね!今出るから少し待ちなさい!!」

 

向かうまでもずっとなり続けるチャイム。

 

「あぁもう!誰よ!!!」

『うわぁぁぁ!』

 

壁に立てかけてあった木刀を扉を開けた瞬間に突きつける。

 

「な、何よあんた達!」

「あ、あんたね、いくら電話しても繋がらないんだもん、ビックリしたでしょ!?」

「あ、電源切りっぱなしだった....ってそんな事より何の用!?」

「それはね、あ後ろ後ろ」

「後ろ?」

 

言われて振り向くと目の前に白い物が迫っていた。

 

べチャリと白い物が顔にぶつかる。

 

「な、何これ!?って甘!これってパイ?」

「ハッピーバースデイ夏凛」

 

ニヤリと笑う奏。

 

「何すんのよ!」

「うるせぇ!せっかくこっちが誕生日会しようとしてんのにサボりやがって!」

「は?誕生日?だれの?」

「お前の、何もしかして忘れてた?」

 

そう言えばそうだった、今日は自分の誕生日だ、そうかだから奏は手の込んだ料理を....

 

「あ、反省とかいいんで風呂はいって来てくれません?廊下汚れちゃうでしょうよ」

 

....前言撤回後でこいつしめる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

風呂から上がるとテーブルの上には様々な料理が並んでいた。

 

「これ全部アンタが?」

「おうよ!どうだスゲーだろ?」

 

テーブルの中心には恐らく手作りであろうケーキがある、プレートには夏凛誕生日おめでとうの文字が。

 

「って言うかなんで私の誕生日分かったのよ!?」

「アンタの書いた入部届けに書いてあったのよ」

「奏くんと友奈ちゃんが見つけたのよね」

「歓迎会と一緒に誕生日会やらないと!ってな」

 

確かによく考えれば入部届けに生年月日とか書いたわね。

 

「元々レクリエーションの時にサプライズでやろうと思ってたのにアンタが来ないんだもん、焦っちゃったわよ」

「......」

「ん?どうしたの?」

「今まで誕生日なんて祝われた事無いからどんな反応すれば分かんないわよ!」

 

顔を見合わせてニヤリとする勇者部の面々。

 

「しかも~奏の言う話では実は子供会の練習してたらしいじゃないの?」

「アンタバラしたわね!」

「ナンノコトデスカ?ワタシナニモワカラナイヨ?」

「アンタね~!!!」

「まぁまぁ、そんな事より始めようよ!」

「そうね、じゃ乾杯!」

『かんぱ~い!』

「か、乾杯....」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

~side奏~

 

「で、どうよ?美味しいか?」

「美味しいわ奏くん!奏くんは料理も上手なのね」

「だろぉう?」

 

ぬふふん、良かった良かった手を込んで作ったかいがあったってもんよ。

 

「えっと、勇者部の予定はここと、ここと、ここ!」

「ちょっと何勝手にカレンダーに書き込んでんのよ!」

「え?勇者部の予定だけど?」

「そう言う事を言ってるんじゃないのよ!」

「これから忙しくなるぞ~」

「勝手に忙しくするなぁ!」

 

うむ、いいツッコミだ流石は夏凛。

 

「そうだよ忙しいよ~、文化祭でやふ演劇の練習とか!」

「演劇?」

「なにそれ?」

「あれ?もしかして私の頭の中の案を勝手に言っちゃったかも?」

 

ビックリしましたよ友奈さん、俺だけが聞いていないと思ったじゃんよ。

 

「馬鹿なの.....」

「いいねぇ~演劇それで行きましょうか」

「ていうか、私を巻き込まないでよ!?」

「イイじゃない、暇だったんでしょ?」

「忙しいわよ、トレーニングとか!」

「奏と?お熱いわね~」

「夏凛ちゃん?私と少しお話しましょう?」

「ま、待ちなさいよ!ちょ、いやぁ~!!!!!」

 

あぁ、カオスな空間になってしまう....まぁ嫌いじゃないけどさ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~side夏凛~

 

「じゃ、俺達帰るわ!」

「帰れ帰れ!!!」

「またね~」

 

全くアイツら、ゴミを増やしていきやがって....

 

ゴミをゴミ捨て場に捨てに行く。

 

「風のヤツなんてどれだけ食べるのよ....」

 

部屋に戻ると端末に連絡が来ていた。

 

内容を確認してみると、NARKOのパーティへの招待メールだった。

 

取り敢えず電気を消し布団に入ってからNARKOに参加する、参加するとすぐに勇者部から連絡が来る。

 

『アンタも登録しといてね、これで連絡とか取り合うから』

『仲良くしてくださいね、よろしくお願いします!』

『次はぼた餅を食べて貰いますよ?有無は言わせない』

『何かひとつ脅迫があるような気がするんだけど気のせいかね?』

『学校の事とか分からないことがあったら何でも聞いてね!』

「ったく....了解っと」

『あ!返信きました!』

『ふふふ、レスポンスいいじゃない』

『わーい!』

『ぼた餅』

『え?何この子怖い』

「え?ちょ、うっさい!」

『ぶははは』

『ぼた餅』

『せめて言葉を言ってくれませんか東郷さんや?』

『これからは全部が楽しくなるよ!』

『お、無視かそうですか』

写真が送られて来ました

 

送られてきた写真を開くと今日の誕生日会の写真だった。

 

全部が楽しくなる、か。世界を救う勇者だって言ってんのに...馬鹿ね

でも、悪くないわね




やったぜ!久しぶりに長く書いた~


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第32話 犬吠埼樹の悩み事

樹ちゃんの音痴は恥ずかしさによるものだったのに、料理の腕はどうにもならないのです....


「う~ん、台本が全く思いつかない.....てか夏凛は何食べてんのよ」

「ん?煮干」

「学校で好き好んで煮干を食う女子中学生か、へ」

 

女子力.....たったの5か、ゴミめ

 

「ちょっと!今アンタ笑ったでしょ!」

「ナンノコトデスカ?ワタシナニモワカラナイヨ?」

「ハイハイお約束ね~そんなに煮干が好きならこれから夏凛の事を二ボッシーって呼ぶわね!」

 

二ボッシーとか園子当たりが付けそうなあだ名だな、つまり風のネームセンスは園子と同レベル.....

 

「ゆるキャラにいそうなあだ名付けるなぁ!」

「あ、そう言えば二ボッシーちゃん」

「待ちなさい?そのあだ名定着させる気?」

「それより飼い主探しのポスターは?」

 

友奈と東郷がこちらに近ずいて来ると牛鬼が俺の頭の上に乗りいつも通り髪をムシャムシャと食べ始める、八咫烏も勝手に端末から出て牛鬼の上に乗る。

 

「ポスター?そんなの完成してるに決まってるでしょ!」

 

テーブルにバシン!とポスターを叩きつける、だがポスターに書いてあった絵はとても猫には見えない得体の知れない物が書いてあった。

 

「ええっとぉ....」

「オイ夏凛、探してるのは妖怪じゃないんだぞ?子猫の絵を書いてきてくれよ」

「ネコの絵よ!」

 

これが子猫だと!?夏凛には猫がどう見えているんだ?

 

「はぁ....」

「お?どうした樹随分大きなため息だな?」

「あ、ごめんなさい」

「いや、別にいいんだけどさ?どした、何かあったか?」

「えっと、もう少しで歌のテストがあるんですけど....」

 

テーブルを指さす樹、指先には樹がいつもやっているタロット占いがある。

 

「死神の正位置、意味は破滅、終局.....」

「おぉう、それは....お先真っ暗と言うかなんと言うか....」

「当たらぬも八卦当たるも八卦って言うし気にしなくてもいいんじゃない?」

「そうだよ!こう言うのってもう一度占ったら違う結果が出たりするもんだし!」

「そうですね、もう1回やってみます!」

 

占い結果 一回目と同じ

 

「ま、まぁ所詮確率だしもう1回やりましょう?」

「....2度ある事は3度あるって言うけどな」

「コラ変な事言わないの」

 

再度占い 一回目と同じ

 

「だ、大丈夫よ樹ちゃん、もう1回、もう1回やってみましょう?」

 

さらに占う 結果全て一回目と同じ

 

勇者部に不穏な空気が流れる

 

「だ、大丈夫だよ!フォーカードだからこれはいい役だよ!」

「死神のフォーカードねぇ.....」

「あぅぅぅ.....」

「い、いやぁ悪い意味じゃなくて」

 

「よっし!全員会議よ会議!」

「会議って、なんの?」

「ふふん、いい夏凛私達勇者部は困っている人達を助ける部活なの!それは同じ部活のメンバーだって変わらないわ!」

 

カカカと黒板に『今日の勇者部の目標 樹を歌のテストで合格させる!』と書く風。

 

「歌が上手くなる方法かぁ」

「歌声でアルファ波を出せるようになれば勝ったも同然ね!」

「あ、アルファ波?」

「いい音楽や歌と言うのは大抵アルファ波で説明がつくの」

「そうだぞ樹、俺の料理も実はアルファ波を流し込む事により更に旨味を増しているのだ」

「そうなんですか!?」

「なわけないでしょ!?」

 

東郷と共に両の手のひらを突き出し変わった動きをする、なんだこれ何か楽しい。

 

「樹って1人で歌うと上手いんだけどね~」

「って事は単に緊張してるだけとかじゃね?」

「そっか、なら習うより慣れろ、だね!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「で、カラオケと」

「カラオケで歌う練習をすれば本番でも上手く歌えると思って!」

「じゃぁ1番犬吠埼風行きます!」

 

そう言って皆の前に立ち歌い始める風

 

風って見かけによらず結果歌上手いんだよなぁ、見かけによらず

 

「ねぇねぇ夏凛ちゃんこの歌知ってる?」

「ん?まぁ知ってるけど」

「じゃァ、一緒に歌お!」

「はぁ!?なんで私が....」

「そうよねぇ私の後じゃ負けるのが怖いわよねぇ~ご、め、ん、ねぇ~」

 

と言って風が指を指すモニターには92点の高得点が

 

「......友奈マイクを寄越しなさい」

「へ?」

「早く!」

「は、はぃぃ!」

 

いざ歌い始めると意外と上手い二人、へぇ友奈はともかく夏凛も歌結構うまいじゃん

 

「にしても夏凛の扱い上手くなってきたな部長さんよ?」

「でしょ?ま、アンタには負けるけどね~」

 

くくく、と悪代官と手下の様な悪い笑みを浮かべる

 

「はぁはぁ、夏凛ちゃん歌上手だね」

「これぐらい当然よ!」

「で、結果は?」

「92点か~風先輩と同じだ」

「ま、こんなもんでしょ」

「次は樹ちゃんだね」

「は、はい頑張ります!」

 

さてさて苦手ってどれぐらい苦手なのか確認させて貰おうか




なんやかんや言って風先輩って普段の行動以外女子力高いですよね~


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第33話 犬吠埼樹は音痴である

うーむ、何とか風先輩の誕生日回でも書きたいんですが時間が取れませんね.....
え?fgoのイベントとかで忙しいんですよ


先に樹の歌を聞いた感想を述べよう.....思ったよりも酷かったよ、なんでさ、どうしてこうなるのかって言うほど酷かった、言った樹本人が落ち込むのも理解出来る.....

 

「まぁなんだ?練習あるのみだな」

「やっぱり硬いわね」

「誰かに見られてると思ったらそれだけで....」

「重症ね」

「ま、今はただのカラオケなんだし上手いとか下手とか気にしないで好きな歌を好きに歌えばいいのよ!」

 

流石は部長いや、姉だな言うことがそれっぽい

 

「あ、次は私の歌ね」

『ハ!』

 

と夏凛以外の勇者部が立ち上がり敬礼をする

 

「え?なに!?」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぅ」

 

東郷が歌い終わったと同時に敬礼を崩し椅子に座り直す

 

「さ、さっきのって一体.....」

「東郷が歌う時はいっつもこうなんだよね~」

「東郷が歌う歌って基本さっきのと同じ様な歌だからな」

「あと歌ってないのは奏先輩ですね」

「あぁ、バレた?」

 

あわよくば聞くだけで終わろうと思ってたのに....

 

「あんまり乗り気じゃ無いのね」

「だってさ~」

「コイツあんまり上手くないのよ」

「俺がうまくない訳じゃなくてお前らが上手すぎんの!」

 

なんだよ92点って、常人じゃ普通だせねぇよ、こちとら頑張っても80点ぐらいだし!

 

「で、勝てないから歌わないってこと?」

「歌います!歌いますよ!」

 

ったく嫌だね~

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「80点......ね」

「なんだよ!別に低いわけじゃ無いだろ!?」

「まぁね」

 

クソゥ!だから嫌だったんだ!

って言うか風はどこに行った?見当たんないな

 

「次は私が歌うね~樹ちゃんも、一緒に歌う?」

「が、頑張ります!」

 

「なぁ夏凛」

「ん?何よ」

「風の様子見てきてくれないか?」

「なんで私が」

「多分大赦絡みの事だろうしさ、そう言うのだったら夏凛の方が詳しいだろ?」

「そう言う事ならまぁいいわよ」

 

よっし、風は夏凛に任せて....

 

「なぁ友奈や、この歌を知ってるか?」

「ん?まぁ少しだけだけど」

「じゃあこれで勝負しようぜ?」

「いいよ!よーし負けないぞ~」

 

くくく、悪いな友奈これは俺の持ち曲だ、余り知らない前に勝ち目は無いのだ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

はい、負けましたともそうだよね92点なんて出す化け物に凡人が勝てるわけなかったですはい

 

「楽しかったけどあんまり樹ちゃんの役には立たなかったかな?」

「でも楽しかったですよみんなが歌ってるの聞けて」

「風はどうだったよ?」

「......」

「おぉい風さーん?」

「え?な、なに?」

「樹の歌の話よ」

「風先輩何かあったんですか?」

「うぅん!何んも無いわよ?」

 

何にも無かった様な顔してませんよ?ったく夏凛に任せたのは失敗だったか、って言っても俺が行ったところで変わらないか

 

「樹はもう少し練習と対策が必要かな?」

「アルファ波を出せるように」

「アルファ波から離れなさよ....」




ゴールデンウィークはいろんなアプリのイベントくるんで大変ですね~


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第34話 犬吠埼樹は音痴を治したい

最近取り敢えずタイトルを適当に付けてるんですけど.....
何か前より酷くなってる?なってない?


「ほぇ~」

「なんかいっぱいあるね」

 

部室に来てみるとテーブルの上に沢山のサプリが並んでいた。

 

「これは全て喉にいいサプリや食べ物なのよ!」

「マグネシウムやりんご酢は肺にいいから声が出やすくなるし、ビタミンは血行を良くして喉の腫れを防ぐ」

「詳しい....」

「夏凛ちゃんは健康食品の女王だね!」

「夏凛なら健康の為なら死んでもいい!って言いそうね」

 

そんな事無いだろ!って言えない当たり夏凛の健康への意識の高さが知られるね~

 

「言わないわよそんな事!さ樹コレを全部飲んでみて!」

「えぇ!?全部ですか!」

「それは流石に無理だろ....てか夏凛が出来んの?」

「なぁ!?無理ですってぇ!見てなさいこの私にサプリに関して無理なんて言葉は無いのよ!」

 

と言ってテーブルに置いてあった無数のサプリ等を次々と飲んでいく夏凛たが

 

「はぁ、はぁどうよ?」

「おお~すげぇけど、大丈夫か?」

「だ、大丈夫よこれくら.....うっぷ」

 

徐々に顔色が悪くなり、部室から飛び出していく

 

「か、夏凛ちゃん!?」

 

ま、薬剤は使用料及び使用法を間違えずにお使い下さいってヤツだな

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「ま、樹はまだビギナーだしサプリはひとつかふたつで十分よ」

 

ビギナーじゃなくてもひとつかふたつで十分なように作られてるものだと思うんですがね....

 

「は、はいじゃぁこれで」

「ふむいいチョイスね、じゃ早速歌ってみましょう」

「そんなにすぐに効果って出るもんなのか?」

「信じれば出るわよ」

 

駄目だこいつ・・・早くなんとかしないと・・・

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

結局ダメでしたそりゃねもしも効果があったとしてもこんなに早く効果は出ないでしょうよ

 

「う~んそもそも緊張して上手く歌えないんだから喉の調子とか関係無いんじゃない?」

「それもそうね、次は緊張を和らげるサプリを持ってくるわ!」

「ヤッパリサプリなんだな.....」

 

そんなにサプリを信用してるなら胸を大きくするサプリでも飲んどけってんだい

 

「アンタ失礼な事考えているでしょ!」

「そんなにサプリを信用してるなら胸を大きくするサプリでも飲んどけってんだい!」

「堂々と言いやがったわねコノヤロー!もう飲んでるっての!」

「え?それで?無様よの.....」

「屋上に行きましょう奏、久しぶりに切れちまったわ」

「元からよく切れてるじゃ無いですかヤダー、胸だけじゃなくて頭までペラペラなんですか~?」

「生きて帰れると思うなよ貴様.....」

 

ハッハッハ!貴様如きに何が出来る?貴様では俺を追い詰めることなど不可の.....

 

ま、この後は言わずもがなボコボコにされましたよ、え?反省?してる分けないんだよなぁ?




短くて申し訳!全部ゴールデンウィークが悪いんだ俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇぞ!


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第35話 犬吠埼樹の夢は歌手である

今回は結構バッサリ本編をカットします、しかたねぇんだ、話すことが無いんだもの


部活のが終わった後に東郷、友奈、夏凛、俺で帰り道を歩きながら樹の歌をどうやって治すかについて話し合っていた

 

「明日の樹の歌の授業大丈夫かしらね」

「特にこれと言って対策とか取れなかったしね」

「このまま行ったらアレを皆に披露するのか.....」

「何とか阻止したいわね.....」

 

とは言ってもな~緊張するなって言われて出来るものじゃないし....

 

「ヤッパリ他の人をカボチャに見えるように催眠術を.....」

「止めなさいよ」

「......寄せ書き」

「え?」

「いや寄せ書きとかどうかなってさ」

「なんで寄せ書きなのよ?」

「要は自分に自信を持てるようにすれば解決するんだろ?ならさ、みんなで応援の寄せ書き書いてこっそり風辺りにでも仕込んでもらえれば」

「確かにいい案かも知れないわね」

 

そうであろうそうであろう、我ながらいい案だと思うもの

 

「よっし!じゃぁ明日樹ちゃんに内緒でみんなで寄せ書きしようね」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

次の日の昼休みに樹にバレないように勇者部で集まり寄せ書きを書くために部室に集まっていた

 

「寄せ書きって言っても何書けばいいのよ」

「そっか~夏凛さんはお友達居なかったから寄せ書きなんて書いたこと無いんだもんな~」

「って言うか夏凛はそんな事をしてる暇があるなら勉学に励みなさいって言いそうね」

「な!舐めるんじゃ無いわよ!寄せ書き位余裕だっていうの!!!」

「あ、そう?じゃこれに書いて」

「貸しなさい!」

 

俺からひったくって書こうとするがやはりなかなか筆が進まないようだ

 

「で、みんな書くこと決まってんの?」

「勿論!昨日頑張って考えてきたよ!」

「そう言う奏こそちゃんと考えて来てるんでしょうね?」

「任せな俺を誰だと思っていやがる!」

「逆にここまで自信満々だと不安しか無いんだけど.....」

 

なにぉう!失礼なヤツめ、しっかり考えてきましたとも

 

「因みになんて書くの?」

「いつから自分が歌が下手だと錯覚していた?」

「なん....だと!?ってネタに走るんじゃ無いわよ!真面目に励ましてあげなさい」

 

ムゥ...1人ぐらいネタ枠がいてもいいと思ったのに

 

「じゃぁ俺が信じるお前を信じろ!」

「オリジナリティにかけてるので却下」

「えぇじゃあ.....」

「止まるんじゃねぇぞも却下ね」

 

先に釘を刺された.....

 

「仕方ない真面目に考えますか」

「初めからそうしてくれる?」

 

って言ってもな~いざ真面目に応援するって何か恥ずかしいって言うか

 

「よし出来た、ほらアンタ達も書きなさい」

「へぇどれどれ~って短!夏凛ちゃん短すぎるよ!?」

 

俺も気になり確認してみるとそこには、気合いよの一言

 

「部長、これはいいんですか?」

「夏凛にこう言うのは求めたって仕方ないでしょ?諦めなさい」

「何か引っ掛かる言い方だけどまぁいいわ」

「じゃ次は私ね~」

「その次は私が書くわ」

「最後はアンタに書かせてあげるからちゃんと考えときなさいよ?」

 

ってもな~樹を励ますって.....

 

「ま、真面目に書くのは恥ずかしいからね仕方ないネ」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

~side樹~

 

「はぁ緊張する.....」

 

結局緊張をしない方法を思いつけなかったし、どうしよう

 

と悩んでいると先生に名前を呼ばれた、どうやら私の番が来たらしい

 

だ、大丈夫昨日だって練習したんだし!

 

と思っていたがみんなの前に立つと緊張してしまう、解決法を考えるよりも先に先生のピアノがなり始める

 

と、取り敢えず歌う準備しなくちゃ!

 

と教科書を開くと教科書から紙が落ちてしまった

 

「あ、す、すいません!」

 

なんだろうコレ?こんなの教科書に挟んだかな?

 

と中身を確認すると勇者部もみんなの寄せ書きだった

 

「テストが終わったらみんなでケーキ食べにいこう!」友奈

「周りの人はみんなカボチャ」東郷

「気合いよ」夏凛

「周りの人は気にしない!お姉ちゃんは樹が上手に歌えることしってるから」風

「樹が歌が下手だって?俺はそうは思わん、見せて見ろよお前の可能性を.....あ、廊下に注目」奏

 

.....所長?ていうか廊下って

 

視線を廊下に向けると奏先輩がガッツポーズをこちらに向けてしていた

 

「えぇ!?」

「い、犬吠埼さん大丈夫ですか?」

「あ、はい大丈夫です!」

 

サボってまで見に来てくれたんだ.....

 

ひとつ深呼吸をする

 

大丈夫、私は1人じゃない、勇者としてだってこの歌だって!




一体いつから今回で終わると錯覚していた?
ごめんなさい!怒らないで!


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第36話 犬吠埼樹の夢は歌手である(後編)

ホントすいません!前回で樹ちゃんの回は終わる予定だったのですが今回まで長引きました!


「おいっす~安森奏直任しました~」

「随分遅かったわね何したの?」

「奏ったら授業中にトイレって出て行ったきり戻ってこないんですよ!」

「ほんとに何してたの!?」

「ん?樹の応援」

『えぇ!?』

 

なんだよそんなに驚くことか?

 

「で?樹の歌の結果は?」

「それは本人に聞けよ、そろそろ.....」

 

ガラガラと部室の扉を開けて樹が入ってきた

 

「ナイスタイミングね樹、それで歌の結果は?」

「バッチリでした!」

『おぉ!?』

「やったね樹ちゃん!」

「はい!」

 

と友奈とハイタッチをする樹

 

「きっとみんなをカボチャと思ったのがうまく行ったのね!」

「え、えへへへありがとうございます」

 

否定も肯定もしない辺り流石は犬吠埼風の妹だな

 

「夏凛さんもありがとうございます!」

 

と、夏凛も樹と笑顔でハイタッチを使用とするが途中で自分が浮かれている事に気づいたのか、ひとつ咳払いをしてからハイタッチをする

 

恥ずかしがっちゃってさっきまであんなに喜んでたのに

 

「奏先輩も応援ありがとうございます!」

「ナンノコトデスカ?」

「流石に目が合ってガッツポーズ向けられてるのに、気付か無かったは、無理ですよ」

「デスよねー知ってますとも、まおめでとさん」

「そんな素っ気なく言ってるけど、奏ったら真面目に応援するのとか少し恥ずかしいとか言って癖に1人で応援行くなんてねぇ?」

 

やめろよ、今それを暴露するのは1番恥ずかしいだろぉ!?

 

「だから1人だけ寄せ書きでネタに走ってたんですね」

「ネタには走ってないぞ?ただ自分が言われて嬉しかった事をな....」

「あのセリフ嬉しくなる様なセリフじゃないですよね、知ってますよ私」

 

なん.....だと?馬鹿な

 

「アレだけずっと同じネタ言ってたらね~」

「でも嬉しかったのは本当ですよ!」

「.......そりゃどうも」

「何よアンタ照れてんの?」

「うっせ、お前だってそうだっただろ」

「ハイハイそこまで、今は樹の歌のテストが上手くいったことを喜びましょ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

~side樹~

 

勇者部のみんなとケーキバイキングをした後お姉ちゃんと一緒に帰路を辿っている

 

「お姉ちゃん、私やりたい事を見つけたよ?」

「やりたい事?なになに~将来の夢でも出来たってこと?」

 

実は昼休みに、クラスメイト達と話をしていた時に

 

 

「樹ちゃんって歌上手だったんだね!」

「歌手とか慣れるんじゃない!?」

「わ、私歌手だなんて.....」

見せてみろよお前の可能性を

「でも、私歌を歌うのは嫌いじゃない......かも」

 

 

「ねぇねぇ樹、やりたい事って何~お姉ちゃんに教えてよ」

「えへへへ、内緒!」

「ちぇ、ケチ~」

「でも、いつかちゃんと教えるね?」

「じゃ、そのいつかが来るまで気長に待つわよ」

「うん、楽しみにしててね!」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

それから数日たった後に私は1人でカラオケに来ていた、理由は歌のオーディションに投稿する為

 

これはまだ夢なんて言えるものじゃない、ただやってみたい事が出来たただそれだけ、でもどんな理由でもいいんだ、頑張る理由さえあれば私はお姉ちゃんの隣を胸を張って歩ける、多分とても低い可能性だろうけど、見せつけるんだ私の可能性を皆に!




はい分かってます、内容が薄い事ぐらい......申し訳ないです!
今後はこのような事が無いように頑張ります


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第37話 決戦讃州中学勇者部

ここから黒い話が始まりますね、私にかけるかな......


「あれって何体いる?」

「バーテックスが7体で、黄金十二宮は4体......コレ全部来てるわね」

 

いきなり呼び出されたと思ったら全部来てんのかよ.....

 

「総攻撃、最悪の襲撃パターンね、ったくやり甲斐あり過ぎてサプリもマシマシよ樹もキメとく?」

「その表現はちょっと.....」

 

そもそもサプリってそんなに食べていいもんなのか?

 

「アレ、なんですぐに攻めてこないんだろう?」

「さぁ?どの道神樹様の加護の届かない壁の外まで行けないし、私達からは攻め込めないわね」

「連中ビビってやがるぜ!今が攻め時だ!」

「話聞いてた!?」

「うるせぇ!俺はやるぞ!!」

「落ち着きなさいよ!?」

「ふふふ、大丈夫よ夏凛ちゃん奏くんはこう言ってるけど、ただ皆の緊張を無くそうとしてるだけだから」

 

ネタバレ早すぎだよ東郷さんや、もう少し伸ばそうぜぇ?

 

「敵さん壁ギリギリの位置から仕掛けてくる見たい」

 

先程から敵の偵察に行っていた風が戻ってきた

 

「決戦ね.....みんなもそろそろ準備して」

「っ!」

「緊張し過ぎんなよ」

「あ痛!」

 

ビシッと樹の額に軽くチョップを入れる

 

「ここには讃州中学勇者部が全員揃ってるんだぞ?これで勝てない要素があるか?」

「無いです!」

「よっし、その意気だ」

 

グリグリと樹の頭を撫でてやると、あうあう....と言いつつも払ってきたりはしなかった。

 

「よし!勇者部一同変身!」

『はい!』

 

風の言葉を仕切りに全員が変身する

 

「それにしても敵ながら圧巻ですね.....」

 

バーテックス達を確認すると先程まで横に1列に待機していたバーテックスが縦になり進行してきたようだ

 

「逆に言えばコイツら全部倒せばお役目終了なんだろ?」

「ねぇみんなここはアレやっとかない?」

「アレ?どれ?」

 

夏凛に説明はせずにみんなで肩を組み円になる

 

「え、円陣!?それって必要なこと?」

「決戦には気合が必要なんでしょ?」

「ほらほら夏凛ちゃんも!」

「ったく、仕方ないわね!」

 

とか言いつつも満更でも無さそうに円陣にはまる夏凛に、笑顔を浮かべながら全員で円陣を組む

 

「いいアンタ達!買ったら好きな物食わせてやるから絶対に死ぬんじゃ無いわよ!」

「おい聞いたか野郎共!」

「ええ、聞いたわ奏くん、今風先輩は何でもって言ったわね」

「やったやった!今夜はケーキバイキングだ!」

「え、ちょ、ちょっとは加減してね?」

『だが断る!』

「え?」

 

勇者部全員でハモった?なんで?

 

「ふふふ、絶対に言う思ったわよ」

「えへへ、流石に分かりますよ?」

「そんなに言ってないだろ?」

「本当にそう思ってるならアンタは相当の阿呆よ」

 

なんてこったい、って言うかいつの間にか俺が狙い撃ちされてるだと!?

 

「じゃ、勇者部ファイトー!」

『オー!』

 

解せぬ......




次回から戦闘開始です!
本編よりも黄金十二宮いるんで大変ですね、その分の奏くんがいるんですが.....まぁ釣り合ってないですがね、そこは主人公補正で何とかしてもらいましょう


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第38話 決戦讃州中学勇者部(中編)

ヤッパリ戦闘シーンは難しいですな....


「さて、取り敢えず前線のヤツから仕留めるわよ!」

 

前線に居るのは蛇のようなアリエスバーテックスと金色のケンタウロスのような黄金十二宮アドナキエルだ

 

「1番槍ぃぃぃ!」

 

夏凛の渾身の一撃がアリエスのバランスを崩し、そこに東郷の狙撃が直撃し、倒れ込んでしまう

 

「まず1匹目!封印開始!」

「俺はあのケンタウロスもどきを相手する!東郷援護してくれ!」

「了解、任せて」

「私達は他のヤツが来る前にコイツを倒し切るわよ!」

 

風達に向っていたアドキナエルの前方に立ち塞がる

 

「悪いな、お前は俺に付き合ってくれよ!」

 

大翼弓を構えアドナキエルに牽制をかけるが軽やかに回避されてしまう

 

「コイツ思ったよりもチョロチョロと!」

 

回避してくるだけでなく手に持った弓でコチラに攻撃を仕掛けてくるアドキナエル、回避出来ない攻撃ではないが

 

このままじゃジリ貧だな.....

 

「だったら、距離を詰め切ればそんなに弓使えないだろ!」

 

生太刀に武器を切り替え切りかかる、が

 

アドキナエルは弓を分割し、まるで二刀流の剣のように使い生太刀を防いだが、奏スレスレを東郷の援護射撃が通り過ぎアドキナエルに直撃し体制が崩れた所に切りかかり、腕一本を切り落とした

 

「もう一撃ぃ!」

 

切り返しの刃で再度攻撃をするがそれは避けられてしまい、距離を取られる

 

「奏くん、大丈夫!?」

「だ、大丈夫ナイス援護だ東郷」

 

危なかったのはお前の援護だけどな!

 

なんて事は口には出さないようにする

 

「でもこれで弓は使えないだろ」

「えぇ、畳み掛けましょう!」

 

気合を入れ直し生太刀を構える

 

スタタタと、背中を見せて逃げていくアドキナエル

 

「な、逃げた!?」

「くっそ、追い掛ける!」

 

~side東郷~

 

なぜ逃げたの?しかも1匹目だけで攻撃してくるなんて、4体で攻撃すればいいのに、まるで誘われているよう.....

 

と考え事をしていると風たが戦っている方向から鐘のような音が聞こえてくる、どうやらタウラスバーテックスが鐘で音を鳴らし風達の行動を妨げているようだ

 

「アイツ!あのベルを狙い打てれば....!」

 

スコープで敵を狙いトリガーに指をかけ、援護使用とするが近くの地面からピスケスバーテックスが出現した、地面が揺れてしまい狙撃が出来ない

 

「これじゃ友奈ちゃん達や奏を援護出来ない!」

 

~side奏~

 

「ぜぇぇぇい!」

 

逃げていたアドキナエルに追いつき背中から切りつけると、光の粒子になり消滅した

 

「東郷の方にもバーテックスが出たのかやばいな、結構離れちまった.....」

 

けどこんなに簡単に黄金十二宮の一体を倒せたのは運が良かった、取り敢えずは急いで援護に向かわないと

 

駆け出して行こうと構えると、背後から攻撃され吹き飛ばされる

 

「ってぇ.....ありがとな八咫烏」

 

攻撃してきた敵を確認する

 

「コイツ、前に戦ったヤツか?ってオイオイ.....」

 

敵はムリエルだけでなく、牛のような頭で筋肉が盛り上がっているアスモデル、まるで金魚のような見た目で空を泳ぐバキエルの姿だった

 

「三体で俺を潰しに来たってか?モテモテだねぇ.....」




短いですが今日はここまで話自体は進んでるんですがね.....


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第39話 決戦讃州中学勇者部(後編)

後編とは言ったが終わるとは言っていない


「にしても3対1か.....これは一旦逃げてみんなと合流した方がいいよな.....」

 

よし、そうと決まれば逃げたいんだけど......

 

風達の方へ逃げていこうとするが、回り込まれてしまう

 

「まぁ、誘い込むためにここまで連れてきたんだろうし、逃がしてくれないよな......」

 

生太刀を構え直し気合を入れる

 

っても、この間はあの蟹一体にボコボコにされたんだよな、で今回はそれと同じ位の強さのヤツが3対......厳しいけど、援護は期待出来ない。何とかしないとな......

 

~side東郷~

 

ピスケスバーテックスを狙撃銃で攻撃し、一同撤退させる事に成功した

 

「よし、これでみんなの援護が......」

 

みんなを確認すると先程まで戦闘していたバーテックス達はおらず代わりに先程のバーテックス達が合体したような見た目のバーテックス、レオスターバーテックスが確認できた

 

「アレは、合体している!?」

 

レオクラスターバーテックスは火の玉を輪のように出現させ勇者部の皆を攻撃した、火の玉はひとつひとつの玉にホーミング性能があるようで、皆攻撃を食らってしまう

 

「おのれ.....!」

 

狙撃銃でレオクラスターを攻撃するが弾かれる

 

「な、弾かれた!?そんな」

 

ピカ!とレオクラスターが光ったと同時に巨大な火の玉で攻撃される、弾速も早く回避は出来なかった

 

~side風~

 

「く、冗談じゃ無いわよ......」

 

先程のレオクラスターの攻撃のダメージでまともに立つことすら出来ない体に鞭を打って大剣を杖に立ち上がる

 

「ぐぁ!」

 

背後にいたレオクラスターから巨大な水の玉に呑み込まれる

 

大剣を振り水の玉を切ろうとするが水を切れるはずも無く効果が無い

 

ダメ!ダメだ!!樹を置いて、みんなを置いて先にくたばる?そんなこと......出来るわけない!!!!

 

すると光に包まれ、水の玉を吹き飛ばす

 

「これは?」

 

自分の格好を見るといつもの衣装とは違く、体の奥から力が湧いてくる

 

「......溜め込んだ力を解放する勇者の切り札、これが......満開!」

 

再度レオクラスターが攻撃をしてくるが満開をした私にはその攻撃が見える、大剣は出現させずレオクラスターにタックルをするとレオクラスターを吹き飛ばした

 

「これなら、行ける......!」

 

遠方で先程の光と同じ光が見えた

 

「アレは、東郷?」

 

東郷の満開は巨大な砲を何門も備えた巨大な戦艦のような台座を装着した姿だった

 

「もう、許さない」

 

東郷の地面付近からピスケスが出現する

 

「我、敵軍に総攻撃を実施す!!!!」

 

全砲門の集中砲火を浴び一瞬で御霊が出現する

 

「この程度の敵なら封印する必要すら無いみたいね.....」

 

御霊に手をかざし、砲門全てのエネルギーを1箇所に集中させて一撃で御霊を破壊する

 

「いつ見ても妙な散り方ね.....」

 

光の粒子になっていく御霊を確認していると目の前にマップが出現する

 

「これは!神樹様に近い位置に敵が、なぜ気づかなかった!?」

 

マップで敵の情報を確認する

 

「コイツ、小さくて早い!?」

 

急ぎ砲門をジェミニに向けて砲撃するが、全てかわされてしまう

 

「く、私の攻撃じゃ.....!」

 

近くでまたも満開の光が出現する

 

「私達の日常は、壊させない」

「樹ちゃん!」

 

樹の満開時の格好は風の様に全体的衣装の丈が伸び、背中には巨大な植物の輪がある

 

「そっちに、行くなぁァァ!」

 

背後の輪から光のワイヤーを大量に出現させて攻撃をジェミニに回避する事が出来ないように全体を囲んでから締め付け、引き寄せる

 

「お仕置き!」

 

手をかざし、握りしめると同時にワイヤーを引き絞る、するとジェミニはバラバラになり、小さな御霊が出現する。それを1本のワイヤーで貫き破壊した

 

「凄いわ樹ちゃん!」

「東郷さんは奏先輩の援護に向かってください!さっきから黄金十二宮の姿も見えませんし、嫌な予感がします.....」

「了解、ここは任せるわ」

 

マップで奏の位置を確認し、その方向へ飛翔する

 

「これは!3体全ての黄金十二宮が奏と同じ位置に集合している!?」

 

お願い、無事でいて奏くん!




恐らくアニメ6話の戦闘は次回で最後ですかね、なかなかうまく書けませんねぇ.....


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第40話 決戦讃州中学勇者部(終編)

取り敢えず今回で戦闘シーンは終わりです!長かった.....


「これは......まずいな」

 

前回戦った時は1体1ですら勝てなかった相手だ、勝てるとは思わなかったけど、ここまで一方的にやられるのか.....

 

もうダメージで動くことすら出来ない奏に少しづつ近づいてくるムリエル

 

このままだと、死ぬ?ダメだまだ死ねない、このままコイツらをほっといたらみんなも......

 

違みんなが危ないと言いたいのか?違うな、それは二の次だ、そうだろ?

 

頭の中に声が反響する

 

お前はただ敵を倒したい、蹂躙したいだけだ

 

な、違う!俺は本気でみんなを!

 

違わないさ、お前が本当にやりたい事はなんだ?

 

何を言って....

 

全て敵は殺したいのだろ?約束したのだろ?

 

やく、そく?何の事だ?

約束?分からない何も......あぁ、頭が痛い気分が悪い気持ちが悪い

 

何も考えるな、自分の感情を偽るなその感情のままに戦え

 

あぁそうか、それでこの気持ちが悪いのが解消されるのか.....だったら、殺さないと

 

そうだ、それでいいなら力が必要だ

 

「八咫烏、こい.......」

 

八咫烏を呼び出す

 

「......融合」

 

勇者達の満開のような光が奏を包み込む

 

「これが精霊との融合、か」

 

衣装は皆と同じく丈が伸びている、背中には巨大な黒翼

 

良い感じだ、これなら

 

「殺せる!」

 

感情のままにムリエル達に飛翔する、バキエルが水流で射撃をしてくる

 

「当たらんよ」

 

最小限の動きで回避するし、追撃を仕掛けてきたアスモデルに一撃を浴びせる

 

視野が広い、この戦闘州域全ての情報が分かる

 

蹂躙せよ、駆逐せよ、殺戮せよと頭の中で響く声に従って身体を動かす

 

「殺す、全て殺す貴様(・・)ら全員皆殺しだ」

 

ガキエルに向って大翼弓を放つ、単調な攻撃で回避される

 

「だがその行動は知っている」

 

回避をした先に回り込み生太刀で一撃を浴びせると光の粒子になって消えて行く

 

「次はどちらだ?」

 

残った二体に剣先を向けて問い掛けると、アスモデルがコチラに突貫してくるが精霊と融合した奏でに掠りすらしない

 

「二体目.....」

 

瞬時にアスモデルの背後に周り脳天に生太刀を突き刺すアスモデルも粒子になって消えて行く

 

「あと一体か」

 

残ったムリエルを一瞥する

 

「貴様には随分世話になったな」

 

生太刀を構えるとムリエルは背を向けて逃げて行く

 

「.......がっかりさせるな、最後まで付き合って貰うぞ?」

 

ムリエルの後を追うために黒翼に力を込める

 

「奏くん!」

「......東郷?」

 

背後から東郷に呼びかけられ、振り返り我にかえる

 

「良かった無事だったのね!敵も1人で倒してしまうし流石ね!!!!」

 

そうか俺がやった、のか?

 

先程までの記憶があやふやだ、どうやって戦っのか

 

「でも一体は逃げてった」

「あの方向は友奈ちゃん達が戦っているわ、邪魔をされる訳には.....」

「ならすぐに追いかけよう、アイツ思ったよりも足が早い」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ムリエルを追い掛けて行くと巨大な御霊が姿を現した所だった

 

「なんだ、あれ!?」

「あれが御霊なの、あんなモノどうやって.....」

 

アイツ!友奈達の邪魔をする気か!?

 

「友奈!そっちに言ったぞ気をつけろ!」

「え!きゃぁ!ってあれ?」

 

ムリエルは友奈達には目もくれずに御霊の上に飛び乗り、そのまま御霊と共に上昇して行く

 

「アイツ!はなからこれが目的か!?」

「なんて上昇スピード!あれじゃ追いつけない!」

 

上空を見上げる巨大な御霊は宇宙に達しているようだ

 

「どこまで規格外なバーテックスね......」

「あんなものどうやって....」

「最後の最後でこんな.....ちくしょう!」

「このままじゃ時間が!」

 

「大丈夫!御霊なんだから今までと同じ様にすればいいんだよ、まだ終わってない諦めちゃダメだ!」

「じゃぁ俺と東郷であそこまで飛んでいく、今の状態なら行けるはずだ、後は友奈、お前が決めろ1番この中で余力があって火力があるのはお前だ」

「うん、行こう!」

「頼んだわよ!」

「お願いします!」

 

2人の激励を受け取りつつ東郷の台座に捕まり上昇を始める

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「よし!だいぶ大きくなって来た!これなら.....」

「見てアレは!御霊が金色に」

「バーテックスと黄金十二宮も合体出来るの?そんな....」

「まだだ!合体したって所詮は御霊大した攻撃、なん、て.....」

 

言い終わる前に御霊から大量の破片が落下してくる

 

「あんなのが地上に落ちたら夏凛ちゃん達が!」

「任せて迎撃するわ、ひとつも地上には落とさない!」

「なら進むのは俺に任せろ!」

「えぇお願い!」

 

次々と破片を撃ち落としていく東郷、背後に通り過ぎた破片も全て破壊していくと、御霊の至近距離まで近づく事が出来ると攻撃がやんだ

 

「凄いここまで来たよ!」

「ホントに1個も落とさなかったな!」

 

ふらりとバランスを崩す東郷を慌てて支える

 

「お、おい大丈夫か東郷」

「えぇありがとう奏くん、ごめんねちょっと疲れちゃた見たい....」

「後は任せて!私がやっつけてくるから!」

「頼んだぞ友奈」

「うん!じゃ行ってくるね!」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

~side友奈~

 

「満開!」

 

満開時の光が友奈を包み込む、友奈の満開は背後から巨大な腕が2本生えている

 

「みんなを助けて私は!勇者になる!」

 

背後から東郷の砲撃が御霊に飛んでいき、少し欠けた

 

「そこかァァァァァ!」

 

後はひたすらに殴る殴る殴る殴る殴る、御霊を破壊するまで殴り続け、砕いていく

 

ガァン!と先程までは砕く事の出来た御霊がいきなり固くなる

 

「硬い!?く、うぁぁぁ!」

 

御霊が再生していき体が埋まってしまった、光が届かず視界も無く身動きひとつ出来ない

 

このままじゃ.....

 

すると背後の御霊の1部が砕けた

 

「これは、奏の矢?」

 

そうだ、まだ、私は!

 

「勇者部5箇条!ひとぉつ!成る可く諦めなぁァァァい!」

 

砕く砕く砕く砕く、ひたすらに砕いていく

 

「さらに5箇条!もうひとぉつ!」

 

大きく振りかぶり渾身の力を込める

 

「成せばぁ!大抵!何とかなるぅぅぅ!」

 

友奈の一撃は御霊を完全に砕いた。御霊は光の粒子になって消えて行き、友奈も引力に引かれて落ちていく、が

 

「え?この大きな破片壊れない?」

 

ひとつの大きな破片が光の粒子にならずに引力に引かれて地球へ落ちていく

 

「そんな!もう......」

「後は、任せな」

 

背後から奏が友奈を追い抜き御霊の破片に飛んで行く

 

「ごめんね.....後はお願い.....」

 

そこで友奈の意識は途切れた

 

ーーーーーーーーーーーー

 

~side奏~

 

友奈をキャッチする為に六花片を展開し、作り待機していると、御霊にヒビが入り光の粒子になって消えて行く

 

「やった!友奈のヤツやったぞ東郷!」

「えぇこれで終わった.....待って、あの破片そのまま落ちてくるわ!?」

 

東郷の指さす方を見るとたしかにひときわ大きな破片が粒子ならずに落下してくる

 

「な!最後の最後まで粘るなよ!」

「どうしたら.....」

「俺がいって砕いてくる」

「待って、そしたら奏くんは帰って来られるの?アレを砕くなんて力を全て使ってしまうんじゃ.....」

「確かにそうかもしれないけど」

 

この六花片は大気圏も耐え切るために東郷達に使わせないといけない

 

「ここまで来て諦められるか、皆の頑張りを無駄には出来ない」

「......分かったでも絶対に帰って来て、それとコレを」

 

と言って東郷に2丁のライフルを渡される

 

「大翼弓よりは火力が出ると思うわ」

「ありがとな、使わせてもらうよ、じゃ友奈は頼んだぞ」

 

そう言って黒翼を羽ばたかせ御霊に飛んで行き、友奈とすれ違いざまに

 

「後は、任せな」

 

と一言のこしていく

 

「さぁて、最後の仕事頑張りますか!」

 

東郷から貰ったライフルの横同士を合体させて構える

 

「俺の今出来る全部を叩き込む、帰りの分なんて考えていられない」

 

エネルギーの収束を始めるが思ったよりも破片の落下速度が早い

 

「これじゃ間に合わないな......」

 

引力に逆らう為に使っていた推力を全て収束に使うと、引力に引かれて落下して行く

 

破片を壊すよりも先に大気圏で燃え尽きないよな?

 

落下し始めて少し立つと熱を背中で感じ始め、八咫烏がバリアをはる

 

「バリアよりも収束の方に力をよこせ八咫烏!」

 

すると先程よりも熱を感じる代わりにエネルギーの収束の速度が上がる

 

まだだまだ、溜めろ

 

衣装の裾が燃え始めるが、それでもエネルギーの収束をやめない

 

後少し、後少しなんだ.....!

 

勇者部のみんなや園子の顔が脳裏によぎる

 

「は、走馬灯ってヤツか?さっき死にかけた時は見えなかったのに見えるってことは.....」

 

相当ヤバいんだろうな.....

 

「けど、これだけはしっかり砕く!」

 

収束が終わった

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

全力の砲撃が破片に直撃すると今度は確実に光の粒子になっていく

 

「ははは.....任務完了っか?」

 

でも暑っついな、これは流石に死ぬか?

 

そんな事を考えているといきなり暑さが和らいぎ、確認すると

 

「奏くん!」

 

真下に六花片で東郷が来ていた

 

「ごめん、助かった......」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

~side樹~

 

「見て樹!アイツらやったのよ!」

 

地上で封印をしていた夏凛と樹は上空にある御霊の破片が砕けるのを確認した

 

「ん?アレって.....」

 

よく見ると奏の六花片が落下してくる減速する様子も無い

 

「まさかアイツら減速する余力すら無いの!?」

 

どうしよう.....何とかしないと、何とかしないと3人が死んじゃう、そんなのは絶対ダメ!

 

「どうしようあんなものを止めるなんて.....」

「私が、やります!私がワイヤーをネットみたいに張り巡らせて減速させれば!」

「....そうね、お願い樹、仮に私が満開してもアレは止められないわ、あんたにしか出来ないことよ」

「任せて下さい、絶対に3人を助けます!」

 

ワイヤーを自分が出来る限り出現させ、ネットの様に編んでいき、それを何重にもして行く

 

「来るわ!頼んだわよ樹!」

「はい!」

 

構えて、落下してくる六花片をネットで包むが簡単に破られてしまう

 

「凄い衝撃.....」

「絶対に、絶対に助けて見せます!」

 

即急で再度ネットを編んで包むそれも破られる、だが確実に速度は落ちている

 

「まだまだぁ!」

 

もう編んでいる時間はない、何度も何度もワイヤーで減速を試みる

 

「止まれぇぇぇぇ!」

 

後数メートルに迫る六花片をワイヤーで包み込み、止めた

 

「凄いわ樹!ナイス根性見てアンタが止めたのよ!アンタが3人を助けたのよ!!!!」

 

ふらりとバランスが崩れその場に座り込んでしまう

 

「行って....上げてください....」

「うん、樹は少し休んでて」

 

3人に駆けていく夏凛の背中を見送る

 

「お姉ちゃん、私頑張ったよ?」

 

満開が解かれてる

 

「サプリ、キメとけば良かったか、な.....」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

~side夏凛~

 

「友奈!東郷!奏!」

 

呼びかけるが返事がない

 

「おい!3人とも返事しろよォ!」

 

身体を揺すってみるが反応がない

 

「そんな......」

「あぁ.....生きてる、生きてまぁす.....」

「奏!?」

「ケホッケホッ私も」

「お、同じく.....」

「私も、何とか生きてます」

 

勇者部全員がどうやら無事なようだ

 

「なんだよみんなァ....ぐす、早く返事しろよォ.....」

 

樹海が解ける時の花吹雪で目を閉じ、最後開けて見るといつもの学校の屋上だった

 

「いやぁ.....私美人薄命だから危なかったけど、セーフだったわねぇ」

「自分で言うな自ぶ.....ぐほぉぁ!あの.....牛鬼?生きてて喜んでくれてるのかな?ならどいてくれる?あ、待って八咫烏まで.....」

 

そんな奏達のコントに微笑んでいると携帯に大赦から着信が来てるのに気づく

 

「はい、三好夏凜です、バーテックスと黄金十二宮と交戦負傷者5名、至急霊的医療班の手配をお願いします、なお今回の戦闘で12体のバーテックス、及び黄金十二宮は全て殲滅しました!私達讃州中学勇者部一同が!!!」




おわったぁあぁ!書いてて難しかったけど楽しかったです!
え?まだ話は続くだろって?戦闘シーンも沢山ある?君の様な勘のいいガキは嫌いだよ


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第41話 讃州中学勇者部の休息

取り敢えずは当分は大きなイベント無いですな.....


讃州中学勇者部はバーテックス達との決戦が終わった後、病院に運ばれ検査を付けていた

 

「お、友奈も検査終わったのね」

「はい、キッチリしっかり血を抜かれて来ました!って、風先輩その眼帯は?」

 

風の左目には眼帯がしてあった

 

「んふふ.....これが気になるか?これは先の暗黒戦争において魔王と戦ったさいに.....」

「左目の視力が落ちてるんですって」

「ちょっとちょっとぉ!ネタバレ早くない!?」

 

夏凛が暴露してしまったことに文句を言っている風、夏凛自体はにししと笑っているが....

 

「視力がおちてる?」

「ん?そうね」

「もしかして敵からなにか!」

「違う違う、戦いによるものだろってさ、勇者になると凄く体力を消耗するみたいだからさ、この目も療養すれば治るってさ」

「そうなんですか、良かった.....」

「なんて言ったって私達は7体のバーテックスと4体の黄金十二宮を一度に倒したんだからね!」

「あ、みんなはもう集まっていたのね」

「あ、東郷さん、樹ちゃん!」

 

廊下から東郷と車椅子を押す樹が部屋に入ってきた

 

「私達も検査終わりました」

「樹~注射刺されて泣かなかった?」

 

樹は返事はせずに首を横に振った

 

「樹ちゃん声が出ない見たいです、何でも勇者システムの長時間利用によるもので、療養すれば治るとの事ですが」

「へぇ、私の目と同じね」

「お、みんなもう終わったのか?」

「奏くんも終わったのね!......それは何?」

 

検査が終わりです皆がいる部屋に入ってきた奏は似合わないサングラスを得意げにかけていた

 

「へへへ、そこの購買で買ってきたんだ似合うだろ?」

「ハイハイ、そう言うの良いから話なさいよ」

「なんだよノリ悪いな、まいいけど」

 

特に思い入れも無いのだろう何の躊躇もなくサングラスを外す

 

「え?」

「その目どうしたの?」

 

サングラスを外した奏の目は綺麗な青色にかわっていた

 

「なんか精霊との融合のせいだろって」

「疲労とかによるもの?」

「さぁ?お前らの勇者システムと違って俺のは試作型のシステムだから分からない事が多いんだってさ、たがら治るとは言い切れないっだって」

 

奏本人は気にしていない様子だが他の勇者部にはどんよりとした空気が流れる

 

「まぁ治らないって決まった訳じゃないし、それに俺はこの瞳の色気に入ってるんだよな」

「そ、そうだよ少し経てば風先輩達みたいに治るかもしれないし!」

「え、えぇそうね!」

「そうだ私達敵を全部倒したんだよ?お祝いしないと!」

「じゃそうと決まれば購買でお菓子でも買ってくるか」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「ジャジャーン!購買で買ってきました!」

「ず、随分沢山買ってきたのね」

「半分位は牛鬼に食われるだろうからな、多めに買ってきた」

「あ.......前に使ってたのは回収されたからもう精霊は呼び出せないの」

「あぁなるほどな....じゃ俺の腹にのしかかってきたのは牛鬼達なりの挨拶だったのかもな.....」

 

最後ぐらい撫でてやれば良かったな.....

 

「で、でもそれって私達がもう戦わなくても良くなったって事だよね!」

「....そうだな、じゃ今は楽しもうか」

「そうだよ、じゃみんなジュースを持って、かんぱーい!」

『かんぱーい!』

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「そう言えば退院は明日だって、早く学校に戻りたいなぁ~」

「あ、俺1回家に電話かけてくる」

 

と言って1度部屋からでて声の聞こえない距離まで離れてから教えられている大赦の電話番号を入力して電話をかけると、すぐに電話が繋がった

 

『ドウモ、ノギソノソデス!』

「アイヤー、ソノコ?ソノコナンデ!?」

『ふふふ、そろそろ電話がかかってくるだろう思っていたからね~お願いして私が出てるの!』

「素晴らしい予想ですね.....あ、俺少し入院する事になったから....」

『あ、聞いてるから大丈夫、怪我もないんでしょ?』

「あぁ、怪我は無いでも料理は作れないから大赦の人に頼んで貰えるか?」

『おっけー、しっかり休んでね~!』

「じゃ、俺は用事あるからそろそろ切るぞ?」

『は~い、またね~』

 

と電話が終了した

 

「.....随分簡単に引き下がったな、てっきりもっとお話しようよ!とか言われるとか思ったけど.....俺の事を考えてくれたのか?」

 

ま、後で美味しいうどん作ってやるか




余り書くことが無いですな.....まぁ平和な証拠なのですが


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第42話 讃州中学勇者部の休息(後編)

リア友に「お前は普通の日常回位マトモに出来んのか!?」って言われました
別に変なフラグなんて立ててませんよ?ホントだよ?


園子への電話を終えて部屋に戻るとまだお菓子の山がだいぶ低くなっていた

 

「あ、きたきた」

「おっそーい!」

「えぇ.....食いすぎじゃないですか?」

「殆ど風が食べたのよ.....」

「そう言えば家の大食いは牛鬼だけじゃ無かったな.....」

 

それを差し引いてもこの量は食べ過ぎじゃないですかねぇ?

 

「なによ!お菓子をよく食べる女子はモテるのよ!?」

「それどこ情報だよ.....」

「細かい事は気にしないの!アンタも早く食べないと私が全部食べちゃうわよ!」

「あ、おいコラまて!1人で全部食おうとするな!」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

それから数日入院をしてから晴れて無事に退院し、前と同じ様に学校へ登校していた、風達の満開の影響はまだ治っていない

 

「ァァァァァァァァァー」

「結城友奈、安森奏来ましたぁ~」

「女の子が扇風機の陣取って声出して遊んでんじゃねぇよ....って何その眼帯?」

「ふふ~ん、どうよこれ!」

「ふぉぉぉ!超カッコイイです!」

「へへへ!私もイケてると思ってたんだ!」

「なぁ樹、お前のお姉ちゃんがカッコイイって言われて喜んでるんだけど妹としてどうよ?」

『(๑-﹏-๑)まぁ本人は喜んでる見たいですし.....』

 

現在樹は喋る事が出来ないので今はスケッチブックに文字や顔文字を書いて意思疎通をしている

 

「ところで夏凛は?」

「え?来てないか?俺達よりも先に教室出ていったからてっきりもう来てるもんかと思ってたんだけど....」

「むむむ!サボりか、後で罰として腕立て伏せ千回とかやらせよう!」

「夏凛なら多分平気でやるぞ?」

「否定出来ない....サプリを決めならがら、朝飯前よ!とか言いながらね」

『( ˘•~•˘ )夏凛さん何か用事があったんでしょうか』

 

夏凛に用事?ないない、あったとしても修行位だな

 

「そうかもねぇ、さて今日の活動だけど4人しかいないのよね.....衣装のこと話したかったんだけど」

「衣装って文化祭の?」

「うゎ!そう言えばそうだった!」

「勇者の活動が忙しかったから忘れてたでしょ?でもまぁ3人じゃ話し合っても意味無いしね~」

『(;´・ω・)うーん、他の部の手伝いとかは?』

 

さっきから思ってたけどどうして顔文字付けたがるの?

 

「あ、そうそう剣道部から練習に付き合って欲しいって言う依頼が来ていたのよねあ、ホームページの更新は?」

「私達が入院しているあいだそのままでしたもんね」

『...........』

 

みんな無言でコチラを見てくる

 

「.....なんだよ」

「奏って夏凛と同じ位剣道強いのよね?」

「夏凛の方が強いです」

「奏くんってホームページ更新できるよね?」

「東郷の方が早いです」

『どっちも奏先輩出来ますよね?』

「仕事が多いです」

「部長命令よ!やってもらうわ!!!!」

 

ちくしょう.....泣けるぜ




普通に万能な奏くんなのでした


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第43話 安森奏は多忙である

奏くんは多忙なんです、偉い人には分からんのですよ


「うぉぉぉぁぁ.....」

「あ、お疲れ様奏くん」

「なんでこのクソ暑い中こんなに.....クソ」

「ちょっと最後まで言い切りなさいよー」

「うっせ、自分は扇風機の前で涼んでた癖に....」

「何かやる気出ないのよ」

「何かが足りないような気がしますよね~」

 

まぁ、言いたいことは分からんでもないけどさぁ.....

 

『( ゚д゚)ハッ!糖分!?』

「それだぁ!東郷のお菓子が食べたい!」

「そう言えば奏くんのお菓子も美味しいですよね?」

「嫌だァァ!」

『Σ(´Д`;)まだ何も言ってないのに!?』

「何が言いたいか位分かるわ!俺につくれってんだろ!?」

「なんだ、言わなくても分かるならいいじゃない」

 

分かるから嫌なんだよクソッタレ!

 

「美少女4人が手料理食べたいって言ってんのよ!?嬉しくない!」

「嬉しくないね!そんな事言うならこの美少年を休ませてくれませんかね!?」

「うわぁ....自分で美少年とか、無いわァ....」

 

そろそろ俺はキレてもイイと思うんだ

 

「......これも全部夏凛のヤツがサボるかこうなるんだよな......」

「え?まぁそうね?」

「......上手い菓子が食べたいって言ったな?」

「え?うん、言ったよ?」

「.....別に、手作りじゃなくてもいいのだろう?」

『(´・ω`・ )エッ?まぁ、そうですけど?』

 

よし、ならやる事は決まった

 

「なぁ部長殿」

「な、なに?」

「俺は明日部活に来るのが遅れるが、よろしいか?」

「り、理由を聞かせて貰える?」

「夏凛を連れてくる、生死は問わないな?」

「殺しちゃダメでしょ!?」

「大丈夫だ、あの煮干しはそう簡単にはくたばらないだろ」

 

多少の怪我は多めに見てもらおう

 

「じゃそう言う事で俺はもう帰るんで!サラバダー!」

「ちょ、なるべく無傷で連れて来なさいよ!?」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

次の日、いつもの浜辺に行くと案の定夏凛が素振りをしていた

 

呑気に素振りなんてしおってからに.....風にはなるべく無傷で連れてこいって言われたけど....あくまでなるべくだからな

 

夏凛の背後からバレないように近付き、一定の距離で飛び蹴りを放つがギリギリでかわされてしまった

 

「ッチ、躱したか」

「ちょ、いきなり何よ!危ないでしょ!?」

「うるせぇ!昨日はお前のせいでこちとら仕事多くて大変だったんだぞ!?いいから黙って付いてこい!」

「い、行かないわよ、元々私は部活メンバーじゃないし....」

「あぁ!?」

「それにもう行く理由が無いのよ!私は勇者として戦う為にこの学校に来たの、学校にいたのは他の勇者と連携を取りやすいからよ」

「......」

「それ以上の理由なんて無い、大体風だって何考えてんのよ!?勇者部はバーテックスを倒すための部活なんでしょ!?バーテックスをみんな倒しちゃったらそんな部活もう意味ない!」

「.....で?言いたい事はそれだけか?」

「え?」

 

なんでサボってんのかと思ってたけど、そんな理由でサボってたとはね......

 

何も言わずに木刀で夏凛に斬り掛かる、もちろん回避される

 

「ちょ、なによいきなり!」

「刀を構えろ三好夏凜、2本ともだ」

「はぁ!?」

「訳わかんねぇ事抜かしやがって、ふざけて怪我させてでも連れ帰るとは風に言ったけど.....」

 

剣先を夏凛に向ける

 

「本気で戦えよ?三好夏凜、ホントに怪我をしても責任は取らねぇからな」

「だからなんでそうなるのよ!?」

「剣士なら刀で語れよ、行くぞ!」




次回は夏凛ちゃんとの激戦です!
ま、流石の奏くんでも女の子に怪我はさせないでしょ
.....させないよね?


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第44話 安森奏は刀で語る

個人的に夏凛ちゃんと奏を戦闘させたかったんです!


未だに状況を理解しきれていない夏凛に向かって木刀で切り掛るが、不意打ちでも無い攻撃では防がれてしまう

 

「ちょ、ホントになんなの!?訳わかんないわよ!」

「しっかり防げよ、さっきも言ったけど怪我しても知らねぇぞ」

 

防がれた木刀を力任せに夏凛ごと吹き飛ばす

 

「おいおい本気でやれよ、それともアレか?始めたばかりの初心者に負けちゃうのが怖いんですかねぇ?」

「.......は?」

「お、怒ってらっしゃるって事は図星かな?そんなんだから1人だけ満開出来ずにバーテックス達と戦えないんじゃないですかね、肝心な所で約立たずの自称完成型さん?」

「へぇ.....言ってくれるじゃない」

 

立ち上がり木刀を構える夏凛

 

「そこまで言うなら本気で相手してやろうじゃないのよ、言っとくけど怪我しても知らないわよ?」

「は!寝言は寝て言え自称完成型勇者」

「そ、じゃ行くわよ!」

 

2本の木刀で絶え間なく切りかかる夏凛、何とかそれを防ぐ

夏凛の攻撃速度は早く防御するだけで精一杯になってしまう

 

「ちょっと、私に偉そうな事言ってこの程度?今謝るなら許してやるけど?」

「言ってろ三下」

「あっそ、じゃこれで一発」

 

ピュッ!と目の前で木刀が寸止めされる

 

「これで分かった?アンタよりも私の方が強いってね」

「......寸止めとか随分余裕だな?」

「口が減らないわね、て言うかあんたこそ人のこと言えんの?」

「あ?」

「聞いたわよ?何をやっても出来るくせに、何も本気で取り組まないって、なんでか当ててあげましょうか?」

 

ニヤリと木刀を突き付けて話す夏凛

 

「本気でやって他の人に勝てないのが怖いんでしょ?だから最初から本気でやろうとしないし努力もしない、そんな奴にとやかく言われる筋合いとか無いんだけど?」

「へぇ.....言ってくれるじゃん煮干し」

「お互い様よヘタレ」

 

好き放題言ってくれる、けどそんな事言われなくても分かってる、俺が夏凛の事をとやかく言えるような奴じゃ無いことぐらいは.....

 

「そんな風にぺちゃくちゃ喋らないとマトモに戦えないのかよ三下」

「あっそ、じゃせいぜい怪我しないように頑張るのね、もう謝っても許さないから」

 

夏凛が木刀を構え、コチラに駆けてくる

 

確かに全て夏凛の言う通りだ、何でも出来るけど本気でやっても勝てないから、本気でやって負けた時が怖いから

 

切り掛る夏凛

 

そんな俺が勝つ為には

 

切りかかって来た夏凛の木刀を受け止める

 

他のことも全て使って勝てばいい

 

「なっ!?」

 

驚く夏凛それもそうだろう、奏は木刀では無く空いている左手で夏凛の胸倉を掴みかかってきた、それを夏凛はギリギリで避けるが、無理やり回避をした事で隙ができた。隙だらけの夏凛の脇腹に蹴りを放ち、そのまま夏凛を蹴り飛ばす

 

「ゲホッゲホッ!あんたその蹴り....」

「そうだよこの間友奈や友奈のお父さんに稽古付けてもらった、純粋な剣術じゃお前に勝てないからな」

「それで体術と剣術の融合ってわけ?」

「やれば何でも出来るのに定評のある奏くんなんでな、動きを覚えるのは簡単だった」

「ふん、そんな事をやったって勝つのは私よ」

「やれるもんならやってみな、こっからは....」

「えぇこっからは....」

『全力全開手加減無しで、お前(アンタ)を完膚無きまでに叩き潰す!』




ちゃんとした夏凛ちゃんとの戦闘は次回から!
と言いえ少々無理やり過ぎた感じはしますけど、夏凛ちゃんて沸点低そうですし多少はね?


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第45話 安森奏は刀で語る(中編)

バーテックスとの戦闘より難しいかもですな....


同時に駆け出し距離を詰める夏凛と奏

 

「っ!」

 

同時に切り結び、夏凛は2本の木刀で、奏は木刀と蹴りや殴りで連撃をしていく

 

やっぱりこの距離だったら夏凛の方に分があるか....

 

何とか回避、または防御をしていた奏だが遂に捌ききれずに夏凛の攻撃が側頭部に当たる

 

「っ!」

 

痛みに耐えつつ、攻撃の衝撃でよろけた勢いを殺さずに身体を捻りお返しに夏凛の側頭部に裏拳を放ち、よろけた所に掴みかかるが

 

「それは、さっき見た!」

 

掴みを一旦後に回下がり避し、即座に距離を詰めつつ突きを放つ夏凛

 

ガツン!と頭部に衝撃が走り後方へ突き飛ばされる、そのまま受け身をして立ち上がると生暖かいモノが額を伝割るのが感じたソレは砂浜に落ちる、確認してみると血のようだ

 

「っ痛ぇ....」

「さっきの蹴りのお返し」

「ははは、いぃねぇ!」

 

再度距離を詰めつつ、手に持った木刀を夏凛に投げつける

 

夏凛が木刀を弾いている間に距離を詰めて1本の木刀を掴む

 

「この!離しなさいよ!」

「って言われて離すかよ!」

 

夏凛が空いている木刀で殴り掛かるがそちらも掴み抑え、頭突きを食らわせ、ふらついた夏凛の腹に蹴りを放つ

 

「ぐ!」

 

距離を取ろうとする夏凛の顔面を掴み浜辺に叩き付け、拳を振りかぶる

 

「っの!調子に、乗るな!」

 

夏凛もやられているだけでは無く木刀の柄で殴りかかり、掴みが弱くなったと同時に巴投の容量で投げ飛ばされる

 

くそ、マジかあのままマウントを取って押し切りたかったけど....

 

と夏凛を確認すると夏凛は眼の前に迫っていた

 

「な!?」

 

反射的に拳を振るうが簡単に回避され、反撃を食らう

そのまま夏凛は2本の木刀で絶え間なく攻撃を仕掛ける

 

無手で夏凛とこの距離で戦うのは流石に無理があるな....

 

夏凛との距離を話す為に大振りで回し蹴りを放つが完璧なタイミングで回避され、カウンターを食らう

 

くそ、完全に読まれてる....

 

夏凛の連撃を何とか防ぎつつ打開策を探る

 

「ほら!どうしたの!?このままだと勝てないわよ!」

「く!」

 

砂を蹴り上げて夏凛の目を潰す

 

「な!?」

「らぁ!」

 

夏凛の足に蹴りを放つ、堪らず膝を付いた夏凛の顎に膝を叩き込むが、夏凛は後に倒れ込まずにバク転で距離を取る、だが敢えて距離は離さずに距離を詰め、顔面を目掛けて蹴りを放つ

 

「あっぶな!」

 

流石にこれは避けられるか、けど

 

奏はそのまま走り抜けて木刀の元まで走り、木刀を掴む

 

「目潰しなんて味な真似してくれるわね」

「そりゃどうも」

「褒めてないわよ」

 

と木刀を構える夏凛に駆けていく

 

夏凛は上段から奏は下段からの攻撃がかち合う、そのままお互いに回攻撃を仕掛ける、どちらも回避などせずに互いに攻撃を続ける、相手を自分よりも先に倒す為に攻撃に全力を注ぐ

 

ヤバいなそろそろ意識無くなってきたぞ....

 

ガキン!三本の木刀が鍔迫り合う

 

夏凛の顔を見るが夏凛もあまり余裕はなさそうだ

 

「はぁはぁ、ねぇそろそろ決めたいんだけど?」

「奇遇だな俺もそう思ってた」

 

1度距離を離し、奏は抜刀の構えをする

 

「抜刀ね、いいわ来なさい」

 

夏凛に向かい抜刀をしたまま駆けていき攻撃を仕掛ける

 

「ぐ!」

「な!?」

 

夏凛は攻撃をしてくる訳でもなく、防ぐ訳でもなくモロに奏の攻撃を食らう

 

「っ痛たいけど、これで逃がさない!」

 

追撃を加えようと木刀を引き戻そうとするが夏凛に木刀を叩き落とされ、2本の木刀で挟まれるように殴られ、意識が遠のいて行くのが分かる

 

ニヤリと勝ちを確信した笑を浮かべる夏凛が目に入った

 

まだ、まだ終わってない!

 

最後の力を振り絞り落下していく木刀を蹴り上げて夏凛に叩き付けた所で意識が途切れた




もう少し戦闘シーンを上手く書きたいですな....


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第46話 安森奏は刀で語る(後編)

取り敢えずはこれでHANASIAIは終了です


目を覚ます、どうやら本当に気絶していた様だ首を起こし周りを確認してみると夏凛も砂浜に横になっていた

 

「夏凛~?」

 

返事が無い

 

「お~い、夏凛~起きてるか~?」

「たった今起きたわよ.....あぁ身体痛い.....」

「なぁ因みにどっち勝った?」

「さぁ?先に起きたアンタじゃない?」

「イヤでも先に気絶したのは俺だし、夏凛じゃね?」

「いやいやいや」

「いやいやいやいや」

『.......』

 

沈黙が流れる2人の間に流れる

 

「ま、今回は」

「どっちも負けたっていう事で」

 

立ち上がり夏凛の元まで歩いていき手を差し伸べる

 

「ほら、そろそろ......ぷぷぷ」

「......何よ、人の顔見て笑うなんて」

「いやぁ思ったよりもヤバい顔だったから」

「言っとくけどアンタも人のこと笑えるぐらいマトモな顔して無いわよ?」

「え?マジですか?」

「マジよ、大マジ」

 

えぇそんなにヤバいのか.....こりゃ風に本気でどやされるな....

 

「ま、取り敢えず手貸してやるから立てよ」

「ん、ありがと」

「で、気分転換は出来たか?」

「お陰様でね、って言うか身体痛過ぎて考えてる暇も無いわよ」

「そいつはよかった、狙い通りだ」

「嘘つくんじゃないわよ!どうせ最初は身体動かせば嫌な事なんて忘れるだろ!みたいな事を考えてる模擬戦でもしよう思ってた来たんでしょ!?」

 

わぁお、バレてら

 

「まぁ最初はそうするつもりだったんだけど、お前が勇者部なんて敵を全て倒したらもう意味の無い部活なんて言うから」

「.......ソレは」

「どうせ1人だけ満開出来無かったから皆に合わせる顔が無い、とか考えてたらどんどん悪い方向に考えてたんだろ?」

「そこまで分かってるならどうしてここまでの殴り合いになったのよ.....」

「.....ちょいと最近忙しくてストレスが溜まってたもんで、それが夏凛のセリフでプッツリと....」

 

つまり悪いのは風達なわけだな

 

「まぁ、私もネガティブになってたせいであんな事言っちゃったし.....」

「あ、悪いとは思ってるのね」

「まぁ.....そりゃね」

「じゃ行こうか?」

「.......部活?」

「Exactly」

 

その為にわざわざ痛い思いしたんだから......いや半部ぐらいは悪いの俺なんだけどね?

 

「でも......私」

「大丈夫だって、みんな普通に出迎えてくれるさ」

「そうかな.....」

「そうだよ」

「あ、でも」

「ん?」

「お菓子でも買っていくか」

「そうね、それぐらいあった方が.....」

「そうすれば俺はお菓子買わなくていいし、作らなくてもいい!完璧だね!」

「アンタ自身の為なの!?」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「安森奏、三好夏凜帰還しましたよ~」

「あ、おかえり奏くん夏凛ちゃ...ってどうしたのその顔!?」

「少々砂浜で殴り合ってまして、あ!ケーキ買ってきたぞ?」

「その顔で!?」

「定員さんにめっちゃ見られた!」

「だろうね!?」

 

夏凛と俺を5回ぐらい見返してたからね

 

「え?なになにどうしたって随分ひどい顔ね!」

 

部室の奥から風と樹が顔を出して驚いている

 

「そんなに酷いか?」

『(-ω-;)確認してないんですか?』

「痛過ぎてどうなってるか怖くて見てない」

「えぇ.....」

 

そんなに酷いのか......本気で怖くなってきた

 

「言葉にするとどのぐらいヤバい?」

「樹の手料理位ヤバい」

『((( ;゚Д゚))エッ!?』

「え?逆に樹の手料理めっちゃ気になるんだけど」

「ソレは後で教えて上げるから取り敢えず治療しましょうよ.....」




取り敢えず定員さんに驚かれる位男前になった奏くんなのでした
あ、因みに夏凛よりも攻撃食らってる回数が多いので見た目だけだったら奏くんの方がひどい顔です


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第47話 三好夏凜は自信が無い

イマイチ三好家の家系って分からないのが辛い.....
私の情報不足なだけ?


「にしても、随分激しく殴りあったみたいね~」

「これ跡ついたりしないかな?」

 

夏凛と俺の治療をしながら夏凛の怪我を見ながらそんなことを言う風と友奈

 

「もし跡残ったりしたら俺が責任もって夏凛貰うから大丈夫」

「な!?」

『((( ;゚Д゚))エッ!?』

「ふぅ!この場に東郷がいたら修羅場だけどお熱いわねぇ!」

「いや、冗談だからね?最悪跡残ったら、跡位なら大赦に治して貰えるだろ」

 

樹がポコポコ殴ってくる

 

あのね樹ちゃん?怪我してる部分をピンポイントで殴るのはやめてくれないかな?

 

「ま、取り敢えずはこんなもんかしら?」

「じゃ私が医療箱を保健室に返してきますか?」

「部長としてお礼も言うようだし私も行くわ、ほら樹もポコポコ殴ってないで着いてきなさい」

 

ズルズルと樹を引きずって行く風達

 

「な、みんな気にしてなかっただろ?」

「そうね......ねぇ奏、私ってこれからはどうすればいいのかな?」

「は?どしたお前?またネガティブになってんの?」

「そう言うわけじゃ無いけど.....でも敵を全部倒した後の、勇者としての役目が無くなった私ってこれからどうすればいいのかなって」

 

う~ん、あんだけ暴れたから吹っ切れたと思ったけど思ったりも重賞だな

 

「夏凛はなんでそこまで勇者としての役目にこだわるんだ?」

「.......」

「だんまりですかそうですか、ま言いたく無いなら言わなくてもいいけどさ」

 

俺だって大赦に住んでるって事隠してるしな

 

「......私ね、兄貴がいるの?」

「お兄さん?」

「うん、春信って言うんだけどね、兄貴は私と違って人付き合いも上手くて、勉強もできて、スポーツもできてたわ昔から神童って言われてるぐらいにはね。両親もそんな兄貴の事が誇りだってよく言って、私も兄貴みたいに褒められたくて頑張った、でも周りは誰も私を見てくれなかったの、私がクラスで1番の点数をとっても、私がクラスで1番のタイムを出しても、ね。その位じゃ兄貴には到底勝てなかった」

「.......」

 

「でもね、当の兄貴だけがしっかり私を見てくれて、褒めてくれたの。クラスで1番だなんてすごいじゃないか!でも僕の方が凄いけどねってね、褒めてくれる嬉しさと悔しさで私はもっと頑張ったわ、今思うとアレは兄貴なりの激励だったのかもね」

「いいお兄さんじゃん」

「そんな時ね兄貴が大赦に入る事になったの、家族は喜んだわ勿論私も、でも大赦に入ってからは殆ど家に帰って来れなくなってね、正直辛かったわ.....唯一私を見てくれる兄貴が居なくなったからね、そんな時に大赦から連絡がきたの、私に勇者としての適性があるってね、その時に初めて家族が私を見てくれたの、それが凄く嬉しかった」

「それから勇者としてのお役目の為に努力した?」

「そ、勇者として頑張ればみんなが私を見てくれる、だから頑張ってきた、それこそ他の事なんて考えずに勇者になる為だけに.....ねぇ奏、私はこれからはどうすればいいと思う?どうすればみんなに見てもらえる?」

「さぁ?」

「さぁ?って.......」

「そう言うのは自分で考えなきゃ意味無いだろ、取り敢えずいい案が出るまでは勇者部の為に頑張るとかいいんじゃね?」

「勇者部?」

「もうちょっとで劇やったり、その後も色々やる事が多いだろ?取り敢えず、お前が何か目的を見つけるまでは」

「でも、お役目が終わったから、私がずっとここにいられるかなんて分からないじゃない」

「それこそ大赦にお願いしろよ、私は讃州中学で勇者部のみんなと勉学に励みたいってさ」

「.....思ったよりも適当ね」

「そりゃ悪かった」

「でも、いいかもね部活の為に頑張って行くって言うのも、学生らしい」

 

にしても、大赦にねぇ......まさかねぇ?




夏凛ちゃんも勇者である前に1人の学生ですからね
てか、家の夏凛ちゃんは少しメンタル弱いかも?ま、これからこれから!逆に奏くんとの信頼が深まったってら思えばね?


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第48話 結城友奈は無理をする

色々調べて見ましたけど夏凛の家系が分かりませんでした.....
予想だと四人兄弟とかだと思うんだけどなぁ、夏凛の下に2人いそうだよね?名前的に


「たっだいまー!さぁケーキケーキ!!」

「帰ってきて早々それか.....」

 

ガラガラと部室の扉が開いたかと思うと風が夏凛の買ってきたケーキの袋に飛びついた

 

「なによ!最近は東郷のお菓子食べれなくて女子力が低下してたんだから仕方ないでしょ!?あれ?コッチの袋は?」

「あ、そっちは俺が買ってきたジュースとシュークリーム」

「おぉ!気が利くわね、じゃこっちから食べましょうか」

 

くくく.....馬鹿め!俺が普通にお菓子を買ってくると思ったら大間違いだ!そのシュークリームのひとつには激辛シュークリームが混ざっている、ちゃんと激辛シュークリームの位置は把握済み、さて激辛シュークリームを手に取ったのは....友奈か、理想は風だったけどたまには友奈の反応を見るのもいいか

 

「ふぉぉ!美味い!美味すぎる!」

「本当に美味しいですね!」

 

.....あれ?おかしいな、普通に美味しそうに食べてる?

 

他の部員も確認してみるが全員が美味そうに食べている

 

まさか!?俺のが激辛シュークリーム!?

 

恐る恐るシュークリームを食べてみるが普通に美味しい

 

なん…だと…!?どう言う事だ!?

 

「ちょ、ちょっと友奈のシュークリーム1口貰うぞ!」

「え!?ちょ、あ!」

 

友奈の持っていたシュークリームを1口食べる

 

「ぐほぉ!がほ!げほ!」

「えぇ!?どうしたの奏!?」

「み、水!」

『((((;゚Д゚)))))))こ、これどうぞ!』

 

樹が差し出してきたミネラルウォーターで激辛シュークリームを流し込む

 

「.....大丈夫か友奈?病院いくか?」

「いやいや、大丈夫か?はアンタに返すわよ、てかどうしたの?」

「実はひとつ激辛シュークリームを混ぜて置いたんだけど、それを取ったのが友奈の筈なのに何の反応も無いから.....」

「そ、そんなに辛く無かったよ?奏くんがオーバーリアクションなんだよ」

「へぇ.....?」

 

夏凛の口の中に残っていた激辛シュークリームを全て詰め込む

 

「ぐほぉ!がほ!げほ!」

「夏凛もこうなっている様だけど?」

「そ、そんな事より水!」

 

買ってきたジュースを探す夏凛、だが見当たらない、それもその筈なぜなら俺が全て確保しているからだ

 

「ちょ、それ寄越しなさいよ!」

「だが断る!」

「なんで!?」

「で、友奈流石にこれが分かんないのはヤバいと思うんだけど?」

「あ、あははは.....」

「笑ってても何も分かんないんだけど?」

「......ごめんなさい」

 

いや、謝って欲しいわけじゃないんだよなぁ

 

「はぁ....お前、病院で祝勝会やったときから味覚が無くなかっただろ?」

「....うん」

「え?なんでそんな事分かるの?」

「実は昨日東郷からメールあってな、どうも左の耳が聞こえなくなったらしい、因みに夏凛は何も無いみたいだ」

「.....つまり何が言いたいの?」

「聞いたって事はもう分かってるだろ?」

「......」

 

ま、口に出すのは怖いよな

 

「多分これは満開の後遺症かなんかじゃないかな、俺も多分似たようなもんだろ」

「満開の、後遺症?」

「ま、医者の話では休めば治るみたいにだし、そこまで気にする事はないと思うけどさ?俺はなんでみんなに黙ってたのか聞きたいんだよ」

「......ごめんなさい」

「はぁ.....なぁ友奈?俺は理由聞いてるんだけど?」

「......」

「なぁ友奈」

「ちょ、ちょっと落ち着きなさい!また殴り合いになるわよ!?」

「.....わるい」

 

まだ頭に血が登ってるのかね

 

「でも、奏のいう事は間違ってないわよ、今回は過ぎた事だからこれ以上は何も言わないけど、これからは何かあったら絶対に皆にいう事!これは部長命令よ!」

「風先輩.....」

「ほら、奏も謝んなさい」

「あぁ....そのゴメンな?ちょっと熱くなってた」

「ううん!私が悪いんだよ!本当にごめんね!」

「いやいや、俺だから」

「ううん、私だよ!」

「なんで謝罪からダイレクトにコントに入るかなぁ!?」




アニメ2期の友奈ちゃんは見てて辛かったです、え?私の作品では救われるんでしょって?
......あ、当たり前じゃないか!


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第49話 三好春信は兄である

ウチの話では大赦全員が悪い人って言うわけでは無いのです
それで"あの人"がいい人かどうかは分かりませんがね


帰路を辿っていると、奏のすぐ横に黒塗りの大赦印の車が止まった

 

「奏様今お帰りですか、良ければお送り致しますが?」

「あ、ちょうどいい所に俺も少し話したかったんですよね」

 

車に乗っていたのはいつも見かける男の人の方の大赦の人だった

 

車に乗り込む

 

「奏様、三好夏凜の事はありがとうございました」

「あれ?もう知ってるんで?」

「ですが、他の方法があったのでは?いくら敵を全て倒したと言っても油断は良くないのでは?」

「あぁ....それはすみません.....正直反省してます」

「そもそも、彼女も勇者である前に女性です、これで痣など残った場合には将来に問題があるのでは?」

 

いやぁ、それを言われると辛いものがあるんですがねぇ.....

 

「返す言葉も御座いません.....それでですね」

「確かに彼女は不器用な所もありますし、口下手ですが今回は話し合うだけで良かったのでは?それに」

「あの~春信さん?ちょっといいですか?」

「なんですか、今は私が」

「あ、やっぱり春信さんで合ってるんですね?」

「......」

 

車内に沈黙が流れる

 

「.....人違いでは無いでしょうか?」

「いやいや隠すの下手すぎで無いですか?」

「.....もはや隠すのも無理ですね」

 

と仮面を外す春信

 

へぇ、仮面外したの初めて見たけど、やっぱり兄妹なんだな結構にてる

 

「少々寄り道しても?」

「えぇ、いいですよ」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「この辺ならいいでしょう」

 

車のドアを開けて外に出ていく春信

 

周りを確認してみると都心部から離れた所にある公園のようだ

 

「よく私が夏凛の兄だと分かりましたね?」

「え?逆にちゃんと隠せてる気があったんですか?」

「え?」

「いやいや、前もですけど夏凛の事になるといきなり長舌になるし、さっきの夏凛が怪我したっていう事話の時のヒートアップ具合凄かったですよ?あとそもそも若い大赦の人なんて春信さん位しか見た事ありませんし」

「.....そう、ですか、隠し通す自信があったんですが」

 

あ、やっぱり兄妹だな、全体的に甘いし多分チョロい

 

「ですがそれとこれとは話が違いますよ、正体がバレてしまった以上正直に言いますが、兄として男として女性を殴るのはいただけませんね」

「言葉もございません....」

「まぁ、結果的に上手く行ったのでこれ以上は言いませんが....確かに夏凛は不器用な所があるのであの位でもしないと難しかったかも知れませんし」

「あ、そこは兄目線でもそう思うんですね」

「不器用は子ですから.....」

 

今ので不器用って何回言われた?相当不器用だと思われてんな夏凛のヤツ、その通りだけどもね

 

「何はともあれ勇者部に戻る事が出来たのは本当によかった」

「随分夏凛の事を思ってるんですね」

「.....私はその、学生だったころはなんと言うか、周りから浮いていまして.....クラスメイトだけでなく、教師や両親からも壊れ物を扱うように接して来られてまして、ですが夏凛だけは普通に家族として私と接してくれたんです、それが私の心の支えでしたので大切にも思います」

「神童も大変ですね」

「おや?知っていましたか」

 

お恥ずかしい、と苦笑いをする春信

 

「にしても大赦の人ってもっと機械的な人達ばかりだと思ってましたよ」

「私の様な下っ端は仮面を取れば皆普通の人間ですよ、上層部は違いますがね、あの人達はそもそも仮面を取った所すら見た事ありませんし」

 

肩を竦めながらそんな事をいう事春信は一般人のそれと何ら変わりはなかった

 

「え、何それ怖い」

「私もそう思います、彼らは目的の為なら何でもするでしょうそれこそ勇者を斬り捨てることになろうとも、ね」

「斬り捨てられる前に敵を倒せて良かったですよ.....」

「......そうとも言えません」

「え?」

 

先程よりも声量を下げて近くによって話す春信、どうやら余程周りには聞かれたくない内容らしい

 

「実は未だに上層部は何かをしようとしています」

「でも全部敵は倒しましたよね?」

「はい、ソレは確認しています、ですが何かをしようとしているのも事実お気をつけください、いざ何か起これば私ではどうしようもありません、その時はどうか、夏凛を守ってやって下さい」

「言われ無くても、全身全霊で守りますよ」

「それは頼もしい、どうです?ウチの夏凛を嫁にいりませんか?」

「ははは、ナイスジョーク」

 

春信さんったら夏凛とはちがって冗談が上手いんだから

 

「冗談ではないですよ?奏様ほどの男性であれば安心できますし、何より夏凛の扱いもよく分かっているようですし?夏凛も満更でも無いようですしね」

「あ、あのですね、いやホントもう少し考えてから....」

「ふふふ、冗談ですよ」

「は、はははですよね、まっくびっくり.....」

「ですが夏凛に痣など残った場合には責任をとって頂きますのであしからず」

「も、勿論です!それはちゃんと!!」

「これも冗談です、皆さんは今でも神樹様の加護があるようなので、その位の怪我でしたらあと4日もしない内に完治しますよ、勿論夏凛に痣などが残ることもなくね」

 

くくく、と愉快そうに笑う春信

 

前言撤回、この人本当に夏凛のお兄さんか?全然チョロそうじゃないんだけど!?

 

「では、そろそろ帰りましょうあまり遅くなり過ぎると園子様が心配なさりますし、その怪我の言い訳の時間も必要でしょう?」

「......お気遣い感謝です」

「にしても奏様とは1度兄として話して見たかったので今回はいい機会でした、それで私の事はこれから義兄さんとでも」

「丁重にお断りします」

「そうですか?それは残念」

 

ホントに食えない人だな.....もしかしてこれも全部計算してわざと分かるように演技したとかないよな?

 

「私からは立場上話すことがなかなか出来ないので、夏凛には悪いですがきっかけが出来てよかったです」

 

.....まさかねぇ?




春信さんは完璧に奏くん側の人間ですのでご安心を!
因みに、私の所の春信さんはメインキャラだったら園子様ばりに頼れるキャラになれるほど凄いお人なんですよ


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第50話 安森奏は心配されている?

久しぶりの園子様だ!


「ただいまー」

「あ、お帰って!どうしたのその顔!?」

 

ま、そう言う反応しますよね~

 

春信さんと会話をした後、何とか園子への言い訳を考えていたが、結局いい言い訳が思いつかず、正直に答えることにした

 

「あぁ、これ?これは.....」

「もうちょっとよく見せて!....これ転んだとかじゃないよね、誰にやられたの!?柄の悪い人たちにでも怪我させられたの!?どんな人だった!?顔は?せめて服装ぐらい覚えてない!?」

「ちょ、ちょっと落ち着いて下さいません?」

「落ち着いていられないよ!アモりんをそんなにしたのはどこの誰!?なんとしても....」

「大丈夫!大丈夫だから!ちょっと友達と砂浜で友情を確認し合っただけだから!」

「え?」

 

まぁ確かに心配してくれるのは嬉しいけどさ、流石に取り乱しすぎじゃないですかね?

 

「あ、あははは、ごめんね?ちょっと取り乱しちゃった.....」

「いや、心配してくれたんだし謝ることは無いけどさ」

「因みにね?そのお友達って勇者部の子?」

「ん?そうだよ、夏凛な前に話ただろ?」

「そっかぁ~そっかぁ.....」

「園子?」

 

名前を読んでも反応がない

先程とは違った雰囲気の園子に疑問をもつ

 

「おぉ~い園子さん?」

「ん?どうしたの?」

「いや、話しかけても反応無いからさ」

「あ、ごめんね~ちょっと考え事してたんよ~」

「.....大丈夫か?最近少し様子がおかしいみたいにだけど?」

「そうかな?ん~そんな事無いと思うけどなぁ」

 

いやいや、俺と会話してて今まで話してるのにぼーっとしてる事なんて無かっただろうがよ.....

 

「なぁ園子?ホントに何ともないのか?この間も電話した時も随分と聞き分けが良かったし.....」

「むぅ!?そんな私がいつも聞き分けのない子見たいな言い方だね!」

 

ぷんぷんと頬を膨らませて怒った表情をする園子を見ると確かに今までと変わらない様に見える

 

......気の所為、か?

 

「聞いてるのアモりん!」

「ごめんごめん、そうだなぁ~園子はいつも聞き分けのいい子だよなぁ」

「あぁ!そんな事思ってないでしょ!」

「イエイエソンナコトアリマセンヨー?」

「その言い方をする時は大抵嘘ついているときだよ!」

「そうだよ?」

「隠す気も無くなった!?」

「ソンコトナイヨー?」

 

やっぱりいつも通りだな、考え過ぎだったか?

.....いや、おかしいな

 

いつもなら弄られるのは自分のはずだったという事に気づく奏

 

やっぱり、なんか変なのか?いやでもなぁ、今回は仕掛けたのが俺だからってのもあるだろうし.....園子の事だから普通に体調悪いけど、俺に隠してる可能性とかもあるしなぁ

もう少し様子見てみるか




せっかく園子様出てきたのに短い!?でもこの後園子様の出番はあんまり無いかもですな....


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第51話 安森奏のよく知る味付け

今回の話も短いですが今後に必要な話ですね


料理を作っている奏は腕を組みながら唸っていた

 

「あぁっと、どうすっかな~」

 

園子をある程度弄った後に夕飯をある程度作ったところで材料の足りない事に気づき、どうしようかと悩んでいるのだ

 

ここでやめて買い物に行くのもなぁ......だからって無しで作るのも.....う~ん

 

悩んでいると見知った人が廊下を歩いていのが見えた、と言っても顔は見た事が無いのだが

 

お、よく見かけて春信さんじゃなくて、女の子ひとの大赦の人だ.......うん長いな、これからは春信さんじゃない大赦の人にしよう

 

「あの!すいません!」

 

そう言えばこの人も春信さんほどじゃないけど結構若そうだよな、この人も結構優秀な人なのかな?

 

「私に何か御用でしょうか?」

「突然で悪いんですけど今都合つきますか?」

「はい、問題ありません。料理の手伝いをすれば良いのですか?」

「まぁそんな所なんですけど、因みに料理って出来ます?」

「料理、ですか?まぁ人並み程度には」

 

ん?なんかあんまりキレのある返事じゃ無いな、もしかしてあんまり得意じゃ無いとか?でもなぁ、この人も以外知ってる人って言ったら春信さん位しか知らないけどわざわざ読んで来てもらうのも.....ま、そんなに難しい料理じゃ無いし大丈夫だろ、うん

 

「じゃぁちょっと今作ってる料理の続きを作って貰ってもいいですか?材料が足りない事に今更気づきまして......」

「でしたら私が買って来ますが?」

「あ、大丈夫ですよ流石にそこまでして貰わなくても」

「ですが、そのような雑用はやはり私が......」

「大丈夫ですって、じゃお願いします!」

 

ちょっと無理やり過ぎだったか?でもあの位しないとあの人ならどこまで食い下がって来そうだしな、にしてもあの人ってホントに何考えてるか分からないよなぁ、機械的って言うか.....いや大赦の人全員に言える事なんだけど、それにあの人以外女の人って大赦の人で見た事無いし.....ま、おれがそんな事考えても仕方ないか

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「すいません、ありがとうございました!」

「いえ、ですがこれからは買い物などの雑用は私達にお任せ下さい」

「.....もしかして怒ってます?」

「怒ってません」

 

即答ですやん、ホントに怒って無いですかね?何考えてるか分かんないから逆に怖いよ!

 

「あ、あははは善処します」

「本当ですか?」

「......ほ、本当です」

「先程の間は何でしょう?」

「.....ベツニナンデモナイデスヨ?」

「......」

「はい、ごめんなさいもうしません」

「そうですか、では私はこれで」

 

怒ってのかな?それとも注意しただけ?分かりづらいなぁ.....

 

離れていく背中を見ながらそんな事を思う奏であった




楠芽吹は勇者であるのドラマCDでも、機械的とか言われてたけど、「妹ですか?」って聞かれて「違います」って即答してたり意外と感情的?なシーンもあったりしましたねぇ


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第52話 安森奏のよく知る味付け(後編)

もう少しでダークソウルリマスター発売ですねぇ.....アーマード・コアは?
あ、ウチではアイドルになったりはしませんので


「あ、そう言えば一応味見ぐらいはしないとな」

 

見た目は自信が無さげだった割には普通に美味しそうだけど

 

1口味見をして見る

 

「うん、普通に美味しいなって言うか俺の味付けとにてる?.....まぁ特に変わった味付けしてる訳じゃ無いし、そう言うのもあるか」

 

でもなんか......凄く懐かしい味?

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「お待たせ」

「あぁ!やっと来た!全くもう弄るだけ弄って料理作りに行くなんてズルいよ!!」

「悪かったって、ほら飯食べないのか?」

「食べる!」

「そりゃ良かった」

 

上手く園子を誘導して夕飯を食べさせていく

 

「今日の飯の味はどうだ?」

「うん、今日も美味しいよ!」

 

園子でも分からないのか、っていう事はやっぱり味付け結構似てるのか?

 

「?ぼーっとしてるけどどうしたのアモりん?」

「あ、ごめんなちょっと考え事してた」

「アモりんがぼーっとするなんて珍しいね?もしかしてまだ体調悪い?」

「いや、そんな事は.....」

 

ザザザ....と頭の中に何かの映像が流れ込んでくる、1人の少女がベットに背中を預けている

 

「アモりん?」

「......」

「アモりん!」

「へあ!?な、なんだ?」

「ホントに大丈夫?無理しなくてもいいんだよ?」

「あ、いや大丈夫大丈夫」

「.....ホントにる」

「ホントホント」

「なら、いいんだけど.....」

「じゃ、皿洗ってくるから」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

さっきのってなんだろう?俺が記憶を失うよりも前の記憶だとは思うけど.....

 

皿を洗いながら先程の事を思い出す

 

ザザザ.....と先程と同じ様に頭の中に映像が流れ込んでくる、顔は靄がかかった様に見えないが、先程の園子と同じ様にベットに背中を預けて、コチラを心配そうに見つめる園子と同じ金髪の少女と、その近くには2人の少女

 

これ.....誰だ?思い出せ、思い出せこの子は誰だ?園子?それと近くにいるのは.....

 

意識を集中させて映像を鮮明にしていく

 

近くにいる2人の少女のウチの1人は黒い髪の女の子、もうもう1人は....

 

バチン!と頭の中で何かが弾けたような頭痛に襲われ、膝が崩れてしまう

 

「っ痛ぁ.....なんださっきの?黒い髪の女の子?」

 

あんな光景見た事無い、よな。一体何だったんだ?

 

「......園子本人に、聞いてみるか?」

 

膝が崩れた時に割ってしまった皿を軽く片付けてから、園子の部屋にむかう

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「園子」

「あれ?もうお皿洗い終わったの?随分早いね」

「なぁ、俺と園子って2年前、俺が記憶を失くす以前に会ったこと無いか?近くにはあと2人人がいたんだけど、1人は黒髪の女の子」

「......ごめん、ちょっと分からないかな?私がアモりんと会ったのは身体がこうなってからだと思うけど?」

 

....それはそうか、もし記憶を失う前の俺と知り合いのはず無いもんな

 

「そっか、ゴメンな変な事聞いて」

「うぅん大丈夫だけど、アモりんこそ大丈夫?顔色悪いみたいだけど....」

 

園子に言われて改めて自分が先程の頭痛から、身体に怠さがあるのが分かった

 

「ごめん、まだ本調子じゃ無いみたいだ.....今日は皿洗ったらもう寝るよ、今日は話出来なさそうだ」

「そっか、うんしょうが無いねお大事に」

「あぁ、おやすみ園子」

「おやすみ、アモりん」




因みに奏くんのご飯を食べている園子様ですが、実は味覚が無かったり....


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第53話 安森奏は無心になりたい

あの症状がある奏君には水着回は厳しいものがあるのです


はい、夏休みになりました。俺達勇者部一同がバーテックス及び黄金十二宮を全て倒したご褒美として、大赦はなんと合宿先を用意してくれたのです......

はい、そんな訳で俺達は今太陽燦々の海に来ていまーす、ヤッター......

 

「奏く~ん!何してるの?奏くんも早くおいでよ~!!!」

 

友奈が東郷の車椅子を押しながらコチラに手を振りながらコチラに近ずいて来る

 

いやね?別に海が嫌いとかでは無いんだよ?むしろ好きな部類ではあるのだけどもさ?

 

勇者部一同の水着に目を向ける、皆の健康的な身体に目を奪われる、それがごく普通の男子中学生なのだろうが.......

 

やめて!意識すると吐き気と頭痛に襲われるの!特に東郷のその弾けんばかりのビックバン!!!必然的に目がそちらにィ!!!

 

「奏くん?どうかした?」

「なんでもありません.....」

 

いかんいかん....よし平常心平常心、皆はただの部活の友達だ、決して異性として見ている訳では、無い!

 

「どうしたの?何かあった?」

「あ、風先輩なんか奏くんがフリーズしてます」

 

遠くにいた風達もコチラに来る、どうしても彼女達の健康的な身体を意識してしまう

 

「......」

「奏くん?」

「どうしたの黙って?あ、もしかして私達の水着に見惚れてたとか?うりうりどうなのよ?」

 

コチラに近ずき挑発をする風、前かがみになって挑発してくる、つまりどうなるのか?簡単だ、胸元がどうしても強調される

 

「もう俺泳いでくるぅ!!!!!!!」

「え!?ちょっと奏くん!?」

 

泣きながらその場を走り去ったのは言うまでもない

 

ーーーーーーーーーーーー

 

全く....ココに来るのもなかなか大変だったのに

 

園子が駄々を捏ねた、という訳ではなく、逆に奏自信が行くのを渋っていた

 

最近病院で園子の相手出来ない事が多かったのに......まぁ園子本人に言われたら行くしか無いんだけど

 

「あ、奏くん見つけた!」

「っく、殺せ!」

「そんな女騎士見たいな.....」

「気にするな、そんな事より泳ぐぞ」

「えぇ!?いきなりだね!さっきは逃げたのに」

 

うむ、走った事で色々と吹っ切れたもう気にしない

 

「気にするな、俺は気にしない」

「えぇ......」

 

そう、我が心は歪むことの無く、ぶれることの無い鋼なり

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「さ、競泳するわよ!」

「どうしてそうなった?」

「そこに海があるからよ!」

「意味が分からない.....樹もそう思うだろ?思うよな?.....思わないのか?」

『レイ.....ブン?』

「ちょっとぉ、ウチの妹に変な知識植え付けないでくれる?」

 

別に俺が植え付けてる訳じゃ無いんだよなぁ?




最近の悩みは友人にアーマード・コアを語れる友人が居ないと言うことです.....


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第54話 安森奏は無心になりたい(後編)

最近微熱空間ってマンガにハマりまして、アレ見てると恋愛シーン書きたくなるんですよ(注意、書けるとは言ってない)


「さぁ風!奏!コッチの身体は出来上がってるわ、さ競泳よ競泳!」

 

パラソルの下で樹、風、奏はのんびりとかき氷を食べていた所に、先程までストレッチや、ランニングをしていた夏凛が走り寄ってきた

 

「しゃー無いわね、付き合ってあげますか、瀬戸の人魚と呼ばれたこの私が格の違いを見せて上げるわ!」

「樹さんや、お前のお姉ちゃんはこう言ってますが?」

『(๑•́ω•̀๑)自称です』

「ふふふ、でも水泳は得意よ?幼稚園の時5年ぐらい習ってたから!」

「幼稚園は5年を居ないだろ.....」

「そう言う奏はどうなのよ?」

「くくく、俺か?俺は瀬戸のゼーゴックと呼ばれていた男だぞ?」

「それ空中強襲機だけど?」

「大丈夫だ、問題ない」

「お、遂に3人で勝負するの?」

 

東郷が乗った車椅子を押しながらコチラに近寄ってきたのは友奈だった

 

「優れた選手は水の中も行けるってとこ見せてあげるわ!」

「......」

「ん?どした風?」

 

先程から胸の前で腕をクロスさせて周りをキョロキョロと見渡していた

 

「いや、あんまり女子力高過ぎると周りの男共にナンパされないか心配で」

「は、何言って....」

「スキあり!」

「あ、コラまて!」

「ちょ、まだ体操終わって無いんですけどぉ!?」

 

先に海に飛び込んでしまった夏凛と風を追っていく奏

 

「おぉ!2人とも早いなぁって、奏くん浮かんで来ないね?」

「水中を泳いでいるのかしら?」

 

などと話しているとスグそこの水面から奏が顔を出した

 

「く、メインブースターがイカれただと!?馬鹿な、こんなものが私の最後だとごぼぼぼ.....」

「水没王子ごっこやってないで追い掛けないと勝てないよ~」

「いや、助け、助けて!俺泳げ.....」

 

ごぼぼぼと沈んでいく奏

 

「あ、あれ?もしかして奏くん本当に泳げないんじゃ....」

「ま、まさか泳げないのに足もつかないほど沖に行くわけ無いわ.....無いわよね?」

 

だが、様子を見るがいつまでたっても奏は顔を出さない

 

「か、奏くん!?」

「大変!樹ちゃん友奈ちゃんと一緒に奏くんを引き上げて!」

 

その後は戻ってきた風や夏凛のても借りて何とか奏は一命を取り留めた

 

「うごご.....やはり泳げないか」

「ったく泳げないなら先に言いなさいよ」

「......いや、そんな事言ったら馬鹿にされそうだったから」

「よく分かってるじゃない、このカナヅチ」

「うるせぇ!足させ付けば溺れねぇ!もしくは浮き輪持ってこい、浮き輪!」

「いいからあんたは陸にいなさい!」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「樹ちゃん!2時の方向目標物!」

「右の方にあるからな~」

 

その後なんやかんやあって今はスイカ割りをしている、目隠しをしているのは声を出して教える事が出来ないため樹がやる事になった

 

「海と言えばこれやっとかないとねぇ」

「ふん、スイカ割りなんて初めてやったけど、やって見ると思ったよりも単調ねって樹!そこよ、振り下ろしなさい!!!」

「ノリノリじゃん.....」

 

そんなコントをしている間に樹はスイカの目の前までたどり着き、木刀を大げさに振りかぶる

 

「ははは!何樹その大袈裟な構え!」

「いやいや、お前の真似だぞ、アレ?」

「え?私あんなん?」

「うん、あんなん」

 

スパン!と1発で樹はスイカを割ることに成功した

 

「樹ちゃんは磨けば磨くだけ立派な大和撫子になるね、磨かなくっちゃ!」

「それだけはやめろ!」

「なぜ!?」

「そう言うのは夏凛だけにしような!」

「なんで私なのよ!?」

「お前!樹が東郷のスパルタ教育の犠牲になってもいいのか!?」

「ぐ!」

「あら、私は夏凛ちゃんでも全然いいわよ?夏凛ちゃんのその口調を前から矯正したいと思っていたの」

 

ふふふふふ.....と黒い笑を浮かべている東郷に一同は恐怖を覚えていた




次回は宿編ですね、ラッキースケベ展開とか.....いや、無いな


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第55話 安森奏は落ち着きたい

ダークソウル発売やったー!さぁ、人間性を捧げよ


案内された旅館の部屋に案内されると、それはそれは豪華な料理が並んでいた

 

「なんじゃこりゃ!?」

「おぉ!凄いご飯だ!!」

『(๑°ㅁ°๑)‼✧カニです!カニがいますよ!!』

「しかもカニカマじゃ無いよ!本物のカニだよ!?どうもぉ、結城友奈と申します!」

 

カニと握手をしながら自己紹介をしている友奈

 

「あのぉ....部屋間違えてませんか?ちょっと私達には豪華過ぎると様な.....」

 

案内してくれた旅館の人達に一応聞いてみる

 

「とんでもございません、どうぞごゆっくり」

 

と言って襖をしめて出ていってしまった

 

「私達、高待遇みたいね」

「お役目を果たしたご褒美って事じゃない?」

「つ、つまり食べちゃってもいいと?ゴクリ....」

『(;´Д`)でも友奈さんが』

「このお刺身の歯ごたえサイコー!」

「ってもう食ってんのか!?」

「もう、友奈ちゃんったら、いただきますが先でしょ?」

「は!ごめんごめんつい」

「あらゆる手段で食事を楽しもうとするとは.....」

「色々と友奈にはかなわないわねぇ~」

 

もちろんこの場にいる全員が、友奈が気を利かせて食べ始めたのは分かっている、だがそれを指摘するほど空気の読めないメンバーでは無い

 

「それじゃあ改めて」

『いただきま~す』

「あ、写真撮ろっと!家族に自慢するんだ!」

「あ、私も後で思い出せるように!」

 

おもむろに端末を取り出し料理の写真を撮っていく女性陣

 

「ねぇねぇ奏!私と夏凛がカニ持ってるから写真撮ってよ!」

「はぁ!?なんで私が写真撮られないと.....」

「まぁまぁ、別に減るもんじゃないんだしさ思い出作りに」

「ったく、仕方ないわね.....」

 

おうおう、恥ずかしおってからに

 

「な、なにニヤニヤしてんのよ!」

「ベッツに~」

「こんの、あんたま....」

「はいチーズ」

 

何やかんや言っても、その後カメラを向ければ恥ずかしがりながらもしっかりピースなどをしてくれる夏凛であった

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「時々言ってるけどさ、いつかはこう言う料理を毎日食べられる身分になりたいわね。自分で稼ぐなり、いい男見つけるなりで!」

『(´<_` )後者は圧倒的に女子力が足りませぬ』

「そうかなぁ?この浴衣姿から匂い立ってこない?」

「女子力語るなら東郷の所作を見習えよ」

 

東郷の動きは何から何まで繊細で素人目からみても、とても上品に見えた

 

「おぉ!ただ食べているだけなのに!」

『(-´∀`-)びゅーてぃふぉー』

「流石お嬢様、やるわね!」

「そ、そんなに見られたら恥ずかしです....」

「ま、私もマナーには厳しいものけど、ね!」

「もう既にアウトですがな」

「えぇ!?」

 

いやいや、料理を箸で刺しちゃいかんだろ.....

 

「ま、まぁあんまり細かい所まで気にしなくても....」

「そう!食事は楽しむのが1番よ!」

「そうだそうだ~!って言うことでこの刺身は私が貰うわね!」

「あ、コラ風!その刺身は私が狙ってたのよ!」

「ふふふ、遅い、スローリーね夏凛!」

 

この後刺身強奪戦争になって東郷に叱られたのは言うまでもない




勇者であるシリーズの悩み、キャラの髪の色が難しくて文が書きずらい.....夏凛は赤だよね?友奈は?銀は?若葉は作品で色変わるし、樹とか杏とか何色か分かんねぇよぉ.....
あ、私若干の色弱です


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第56話 勇者の入浴は覗いてはいけない

昨日は投稿出来ずに申し訳ございませんでした!ちょいと急用で....
今日中にもう1話出すのでなにとぞ


「はぁ....疲れが吹っ飛ぶわ~」

「確かに、生き返るわね.....」

「てかなんでそんな端の方にいるの?」

「うぐぅ!ぐ、偶然よ、偶然!」

 

勇者部の女子陣は今は入浴中である、夏凛は皆とは少し離れた位置でくつろいでいた

 

「ははぁ~ん?なに女同士で照れてんのよ?」

「はァ!?べ、別に照れてないし!」

「どうだか?私のこの魅惑のボディに見とれてるんじゃないの~?」

「それ以上言うと口を縫い付けるぞ?」

「あ、はいごめんなさい......」

「分かればいい、だが次は無いぞ?」

 

皆には知られていないが、実は風や東郷の胸を見て自分の胸を気にしているのは本人だけの秘密である

 

「これだけ大きいと泳ぎたくなるよね~」

「こら、ダメよ友奈ちゃん」

「あう!ごめんなさ~ごぼぼ」

 

ピシャっと手で水鉄砲を作った東郷にヘッドショットをくらい、轟沈する友奈

 

「そう言えば奏くん大丈夫かしら?」

「まさか、ご飯の食べすぎで動けなくなるなんてね~」

「デュへ、デュへへへへ、へへへ」

「な、なんですか風先輩?」

「いやぁ、普段何を食べればそこまでメガロポリスな感じになるのか、ちょっとだけでもコツとか教えて頂けると~」

「ふ、普通に生活してるだけですよ?」

「いやいや、そんなご謙遜を~」

 

コソコソ.....と皆に気付かれないようにシャワーに移動している夏凛

 

「絡まれたらめんどくさいからね、今のうちに....」

「お背中流しますよ夏凛ちゃん!」

「うひやぁ!な、何するのよ!」

「背中流すの上手いってお母さんにも褒められた事あるんだよ!」

「人の話をきけぇ!あ、ちょ、待ってくすぐったい!アッー!」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「ぬふふ、堪能した堪能した、んじゃまそろそろ上がりますか」

「もう.....疲れた」

「えへへ、でも楽しかったね~」

 

一同出入口に向かいながらワイワイと騒いでいたが

 

ガラガラと扉が開いた

 

「おお~結構広いなこれが貸切と.....」

「え、か、奏、くん?」

「.......」

「.......」

 

奏と勇者部(女子)の間に沈黙が流れる

 

「な、な、な、な!」

「アンタなに.....」

 

女子陣が反射的に悲鳴もしくは怒声を浴びせようとした瞬間

 

バタンと奏が倒れた、なんの前触れも無くだついでに、倒れたと同時にガコン!と頭部をぶつけた音

 

「か、奏!?」

「ちょ!大丈夫?ヤバい音したわよ!?」

「奏くん?奏くん!?」

 

このあとに旅館の人達に手伝って貰い、何とか奏を部屋まで連れて行ったのは言うまでもない




短いですね....ごめんなさい
ただこれ以上書くとなると、多分凄く長くなるんで致し方無しです


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第57話 勇者の入浴は覗いてはいけない (後編)

いつかはやらないといけないイベントですので今回やる事になりました


温泉でいきなり倒れた奏を何とか部屋まで旅館の人達のても借りながら連れてきて、介抱していた

 

「起きないわね.....」

「いきなり倒れたけど、本当に大丈夫かしら?顔色も悪い見たいだし.

....」

『(;´・ω・)何か病気でもあるのでしょうか?』

「......そう言えば、結構前に道路で蹲ってるのを見た事があるわ」

「そんな、やっぱり何か病気なんじゃ!?じゃ早く病院に!」

「大丈夫病気とかでは無いから、そのうち目を覚ますわ」

 

旅館の人達にお礼をしていた風が部屋の扉を開けて入ってきた

 

「もしかして風先輩は何か知ってるんですか!?」

「ちょっと前にその場に居合わせてね、その時に事情を聞いたの」

「それで、なんで奏くんはいきなり倒れたんですか!?」

「1回落ち着きなさい東郷、流石にそのテンションじゃ話しずらいわよ....」

 

奏が倒れた事で気が動転していた東郷をなだめ、話を始める

 

「最初に言っておくんだけど隠してた奏を責めないであげて、倒れる原因は分かっていたし、その原因もちょっと現実離れしてるから言い出せなかったのよ.....」

「それで、その原因って言うのは?」

「.....女の子を意識しちゃうこと」

「は?」

「女の子を意識しちゃう.....」

「いやいや、聞こえてない訳じゃ無いわよ!」

『(´д`)お姉ちゃん、今は冗談を言って場合じゃ....』

「ホントだもん!ほら誰も信じないじゃない!」

 

先程までの空気はどこえやら、部屋にはやれやらといった空気が流れていた

 

「うるせぇな....」

「あ、奏くん目が覚めた!?」

「お陰座でな.....あぁ頭痛てぇ。あぁ因みにさっき風が言ってた事はホントだよ」

『(・д・。)それってさっきお姉ちゃんが言ってた、女の子がどうのこうのって言う?』

「そうそれ」

「そんな、非現実的な.....」

「勇者やってた癖に今更過ぎん?」

「.....そう言われればそうね」

 

よく考えれば非現実的な生活を送っていた事を今更ながらに思い出す

 

「まぁ、実際俺もよく分かって無いから信じられないのも無理は無いと思うけど.....」

「ほらね!言ったでしょ!!誰も信じないって!それなのに私が変な冗談言ってる見ないな空気だして!!」

「日頃の行いでしょ」

「ぐぬぬぬ.....」

「言い返さないあたり前自覚はしてるんだな」

「それより、奏くんの身体はもう大丈夫なの?」

「それよりって....」

 

落ち込んでいる風を無視して話を続ける

 

「ちょっと頭痛いけど。まぁ特には何とも無いかな」

「そっか良かった~」

「一応病院とか行った方がいいんじゃない?」

「いんや、病院言っても何も無いって言われるのが関の山だよ、だからもう寝る!」

 

アノ事を指摘される前に誤魔化さねぇと!

 

『|ω・`)あのぉ.....結局見たんですか?』

「何が?」

『( ̄▽ ̄;)いや、だから見た....』

「何を?」

 

やめろよ樹ィ!何となく流れ的にスルーできそうだったじゃん!

 

「そう言えば.....」

「隠しすらして無かったよね?」

「何も見てないよ?ほら早く寝ようね」

「奏?」

「ごめんなさい、ガッツリ見えました。だって仕方ないじゃん!暖簾男湯って書いてあったぞ!?」

「それで?何か言うことは?」

「ありがとうございました!」

 

この後女子全員にタコ殴りにあったのは言うまでもない




いつもなら吐いたりする奏くんですが、思考する前に反応が出たので頭が痛い程度で済みました


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第58話 勇者部女子の恋話

最近書き方を変えてみたんですがなんかしっくり来なかったので直します


~side風~

 

「んじゃ俺は風呂行って来るから」

「今度は倒れないでね?」

「お前らが入って来なかったら倒れないよ」

 

ガラガラと扉を開けて部屋を出て行く奏を見送った

 

本当に大丈夫そうね、酷い時は立ってることも出来ないのに....まぁ邪魔者は消えた事だし.....

 

「さて.....野郎が居なくなって、女だけの空間になった訳だけど?今から何をするから分かってるかしら?」

『(▭-▭)✧ズバリ恋バナ!』

「YES!流石は我が妹私の言いたい事が分かってるわね~」

 

愛いやつめ!どれ褒めてやろう!

 

樹の頭をグリグリと撫でてやりながら話を続ける

 

「恋バナって.....そんなの話せる様な相手とか私いないわよ?」

「.....それはひょっとしてギャグで言っているのか?」

「いやいや、どうしてギャグだと思ったのよ?」

「とか申して降りますが、どう思いますが東郷殿どう思いますか?」

「これは極刑ですね」

「なんで!?」

「こう言う時ぐらい素直に言いなさいよ~」

「素直も何もそんな相手いないって言ってるでしょ!」

『(ㆆ_ㆆ)これは本気で気づいていないのでは?』

 

えぇ....少女漫画じゃ無いんだからさ、自分の気持ち位把握して起きなさいよ

 

「ま、夏凛は別にどうでもいいのよ、結果は分かりきってるしね」

「どうでも良いってなによ!?」

「そんなことより....聞きたいのは友奈!アンタよ!」

「えぇ!?私!?」

「そうよ!友奈から好きな人が出来たとか、そんな素振りも見た事が無いわ!」

 

びしぃ!と友奈を指さす

 

実際気になる、友奈が好きな人が出来た!って言うような性格でも無いし、こう言う機会でも無いと聞き出せないからね

 

『(*´д`*)実際気になる人とか居るんですか?』

「う~ん、そもそもあんまり男の人と接する事が少ないから....奏くんはただの友達だし、そう言う樹ちゃんは好きな人いるの?」

「......友奈もしかして気づいて無いの?」

「え?夏凛ちゃん知ってるの!?」

「いや、普通気付くでしょ.....」

 

はぁ....とため息をつく勇者部メンバーをキョトンとしている友奈

 

「じゃあ仮に奏を異性と思った場合は友奈的にはどうなの?」

「いつも美味しいお菓子とかご飯とか食べられます!」

「えぇ.....他には?」

「他に?一緒にいたら楽しそう?」

「なんで疑問形なのよ.....てか私的にはもっとキャッキャウフフな展開を期待してたんだけど.....」

『(´⌒`)そもそも大半が好きな人分かってるしね』

 

.....言われて見ればそんな状況でキャッキャウフフな展開になる筈も無いわね.....

 

「そもそもそんな事言ってる風こそ誰か好きな人いるの?」

「ん?私?えぇ?聞きたいの~?」

「あ、ウザイからいいです」

「まって!ごめんなさい聞いてください!」

『(●´ω`●)実はお姉ちゃんって二年前位まで付き合ってたんですよ?』

「ちょっと樹!勝手にネタバレはやめてよ!」

「でもその話凄く気になります!」

 

て言っても奏と付き合ってたなん言えないしなぁ、さてどうするか

 

「因みにどっちから告ったの?」

「告ったのはアッチね、まぁ私も知ってるやつだったし嫌いって訳でも無かったから」

「物好きもいたものね」

「ちょっと!それどう言う意味!」

「そのまんまよ」

「むき~!」




よく考えればあんまり恋バナ深くすると風先輩の昔の事を語らないといけないですが、あんまり語り過ぎるほどの設定は無かったり


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第59話 結城友奈は無意識である

最近ダンジョンメーカーって有料アプリにハマってます、めっちゃ時間取られるんですよね....


「ふぃ~いい湯だった.....」

「お、おかえり~」

 

部屋戻ると6枚の布団が敷かれていた、そう同じ部屋にだ

 

「.....え?寝る時も同じ部屋なん?」

「みたいね、寝てる間に変な事しないでよ?」

「はい、大丈夫です問題無いです」

 

する訳無いだろ.....俺だってまだ死にたく無いし、ていうか何かおかしくね?風呂の件と言い.....いや流石に考え過ぎか?

 

「あ、因みに奏はドア側の1番端ね、その隣に私で頭の方には夏凛が寝るから変な事は出来ないわよ~?」

「だからしねぇって!」

 

全く人の事をケダモノか何かと勘違いしてないか?

 

「あれ?奏くんもう寝るの?」

「今日はもう疲れた寝る」

「じゃぁ私達もそろそろ寝ましょうか?」

『(o ̄∀ ̄)ノ賛成』

「えぇ、もう寝るの?せっかくの合宿なんだからもう少し駄弁りましょうよ!」

「駄弁るだけなら布団の中でもいいだろ?」

「何よ~連れない男ね」

「連れない男で結構、明日も倒れても良いなら起きてるけど?」

「ぐぬぬぬ.....」

 

実際まだだるいし、明日には治しときたいから早く寝ないとな

 

『(´˘` )それじゃぁ電気消しますね』

「おやすみ」

「ふぅーいおやすみ~」

「おやすぅ」

「お休みなさい」

「お休み」

 

みんなで挨拶をした後就寝に着いた

 

「あの日もこんな風にジメジメとした暑い夜だった.....」

「と、東郷!?」

「男はその夜急いでいました、そして近道をしてしまったのが間違いだったのです」

「な、なにを....」

「お墓を過ぎたあたりから自分を付けてくる足音に気づいたのです」

「な、なんでこのタイミングで怪談!?」

「わ、私ホラーとか苦手なのよ!」

「こ、こんな子供騙しの話なんて、私は平気だけど.....ぎゃぁぁ!」

「ど、どうしたの夏凛ちゃん!?」

 

怪談を話していた東郷ですら驚いてしまう悲鳴をあげた夏凛

 

「い、今足元の方に何か....」

「い、樹電気電気!」

 

ててててて、と電気のスイッチの元まで掛けていき電気を付けて確認すると

 

「ガクガクブルブル.....」

「か、奏!?」

 

夏凛の足元には布団にくるまった奏が震えていた

 

「か、怪談は、苦手だ.....」

「流石にビビり過ぎじゃない!?」

 

いやぁそんな事言われても.....怖いものは怖いし

 

「ごめんなさい奏くん、まさかそこまで怪談が苦手だったなんて」

「だ、大丈夫だ問題無い、さ、さっさと寝ようか」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

寝れねぇ!怖いよ!皆寝るの早いし!気づいたら起きてるの俺だけやんけ!

 

再度電気を消してからものの5分位で皆は夢の中、先程の怪談のせいでなかなか寝付けていないのは奏のみだ

 

「うがァ....」

 

ビクッと隣から聞こえてきた声に驚くと同時に胸元に衝撃がはいる、確認してみるとどうやら風が寝ぼけてこちらに来てしまった様だ

 

「寝相悪過ぎかよ....ほら離れろよ」

 

風を布団に戻しもう一度寝ようと試みるが

 

ドスンとまた衝撃、また風がこちらに来たようだ

 

「またか.....いい加減に」

 

もう一度どかそうとするが、そこで気づいてしまった、先程とは違い風は奏の腰あたりに抱き着いて来た

 

おいおいマジかよ....

 

風の髪から女性特有の香りが漂ってくる、どうしても意識していまう

 

「お、おい風、流石に....」

「うぅん、女子力ってコンビニで290円で売ってるの?」

 

......いや、無いな

 

女子力の欠片も無い寝言に我に帰った奏は冷静に風を剥がそうと試みる

 

「えへへへぇ、奏ぇ今日はどこ行く?」

「......」

「また水族館?飽きないわねぇ.....」

 

風がどんな夢を見ているかは大体予想がつく

 

付き合ってた頃の夢かなぁ....幸せそうな寝顔しやがって、心が痛いよ

 

「ぅん?奏?どこ行ったの?奏ぇ?」

「大丈夫、ここにいるよ」

 

不安そうにしている風を軽く抱き締めると、安心したのかすやすやと寝てしまった

 

ゴメンな.....夢でも迷惑かけて




今回は前編ですが、正直前々から書きたかったシーンだったり
次回は友奈メインの話です


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第60話 結城友奈は無意識である(後編)

そろそろね、友奈とのイチャイチャも欲しいと思ってたんですよ


ふと、ドアが閉じる音で目が覚めた。位置的にどうやら誰かがトイレに入った様だ

 

んぁ?誰かトイレか?

 

時計を見てみるがまだ深夜

 

てかコイツはまだ抱き着いてたのか....

 

スヤスヤと気持ち良さそうに自分の腕の中で眠る風の頭を撫でてやる

 

.....ちょっと待てよ?これって一緒の布団で互いに抱き着きながら寝てたのか?

 

自分がした事を途端に意識してしまい、まだ軽いが頭痛に襲われる

 

ぐぬぬ、名残惜し....ゲフンゲフン頭が痛いからな、仕方ない

 

「ほら、風離れろ~」

 

風を引き剥がし、自分の布団に戻す

 

さてさて、もう一眠りするか、流石に起きるには早すぎる

 

自分の布団に入り直し、目を瞑る

 

ガチャとトイレの扉が開く音がした、そしてトスンと何故か目の前に何かが落ちた音がした

 

ん?なんだ?

 

目を開ける、そこには何故だか友奈の姿があった

 

ゆ、友奈!?なんで!あ、寝ぼけて1番近い布団に入ったのか、HAHAHA!ザケンナ!くそう、このままではまずい、早く友奈を起こさなくては!

 

「おい、友奈ここ俺の布団だから」

「ぅん?奏くん?一緒に寝たいの?」

「いや誰もそんな事....」

「いいよぉ」

 

と、抱き締めてくる友奈。顔が東郷ほどではないにしても、それなりにある友奈の胸に埋もれる

 

これはまずい!落ち着け!落ち着くんだ俺!平常心平常心....

 

「ゆ、友奈起きてくれませんか?」

「スヤスヤ」

 

起きる気配無しかい!もういい!気合で無視して寝てやる!

 

むにゅん、とまた胸を押し付けられる

 

無理です!こんな状態で寝れません!

 

せめて何とか引き剥がすし、距離を離すが

 

おぉう!?浴衣が!

 

引き剥がす際に浴衣がズレてしまい、友奈の胸元が露になる

 

せ、せめて友奈に背中を向けて寝よう!

 

風の方に寝返りを取ろうとするが、友奈に手を握られ出来なかった

 

なんでさ!友奈さん起きてません!?

 

ザザザと脳裏に映像が流れ込んでくる、赤い髪の少女が今の友奈と同じくらいの距離で眠っている。そんなイメージだ

 

またか、前にもあったけど、赤い髪の女の子は初めてか?

 

意識を集中させ、映像を見ようとするが、そこで急激な眠気に襲われた

 

ちょっと待てよ、もう少しだけ.....

 

ーーーーーーーーーーーー

 

目を覚ます、時計を見ると朝方だ

 

まだ身体がダルいな....ていうかなんかモヤモヤする、何か忘れてるか?

 

窓に目を向けるともう既に明るくなっている、そして窓辺の椅子に東郷が座っていた

 

.....絵になるね~

 

だるい身体を起こし東郷に近付いていく

 

「おはよう東郷、流石に早いな」

「おはよう奏君、起こしちゃった?」

「いいや、普通に起きただけ、にしてもそのリボン肌身離さず持ってるな」

 

東郷の膝の上に乗っているリボンはいつも東郷が身に付けているものだ

 

「これはね、私が事故にあった時に握り締めていたものなんだって。誰のものかは解らないけどとても大切な物、そんな気がするの」

「そっか」

 

東郷のリボンが俺の言うところの園子みたいなものなのだろう

 

「.....ねぇ、奏くん」

「ん?どうした?」

「黄金十二宮はその通りとして、バーテックスって十二星座がモチーフなんだよね?」

「らしいな」

 

なんか皆カッコイイ名前ばっかりだよな

 

「本当に戦いは終わったのかしら?.....いえ、ごめんなさい、せっかく全部終わって合宿をしているのに、私ったらネガティヴな事ばかり....」

「いや、そう言うのを気にするのは大事な事だと思うぞ、前にも言っただろ、そういう風に慎重に物事を考えられる東郷がいるからいつも助かってるってさ」

「そう、かしら?」

「そうだよ、ちょっとそのリボン貸してくれるか?」

「え?言いけれどどうするの?」

「髪結ってやるよ、あんまり上手く出来ないかもだけどな」

 

パァっと顔を明るくする東郷

 

そんなに嬉しいもんかね?

 

「そういう事ならぜひお願いするわ!」

「はいよ、お任せあれってね」

「.....ねぇ奏くん、夏凛ちゃんが言ってたのだけど、もしかして前に倒れたって私とお買い物に出掛けた時?」

「......違うよ」

「本当は?」

「......その通りですハイ」

「....ごめんなさい、私何も知らないで奏君を......迷惑だったよねこれからは気を付けるから、これからも友達で居てくれる?」

 

.....なんで東郷が謝るんだよ、悪いのは俺なのに....それなのになんでそんな今にも泣きそうな顔で謝るんだよ

 

風と別れた時もこんな顔をされたのをよく覚えている

 

「何言ってんだよ、当たり前だろほら出来たぞ!」

「わぁ!凄く上手なのね、どこで習ったの?」

「はて、それが俺にも解らない」

 

園子の髪を結った事もあるけど、その時も普通に出来たしな、記憶を失う前はよく女の子の髪を結ってたとか?....うむ、我ながらけしからん

 

「そう言えば前に言われた時も思っただけど、私慎重に物事を進めて、奏君を助けた事なんてあったかしら?」

「あっただろ、例えば.....」

 

いざ思い返してみるとパッと出てこなかった

 

「パッと出ないけど、そう思うって事は日々意識しないで助けられてるって事だろ?」

「確かにそうね」

 

若干の違和感があるが、単に体調が悪いだけという事にした奏だった




はい、またも過去の記憶の断片です。まぁお泊まりがあって赤い髪の女の子なんてあの子しかいませんよねぇ?


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第61話 三好春信は権力者である

ウチの春信さんは結構ギャグ路線の人になっております


 勇者部の合宿から帰ってきて、その帰り道に端末に電話が掛かってきた

 

「ん?知らない番号だな.....」

 

一瞬知らない番号という事で迷ったが、一応電話に出てみた

 

「はい、安森です」

『合宿お疲れ様です奏様』

「その声、春信さんですか?」

『はい、その通りです。三好春信として会うのは久しぶりですね』

「それで何か用ですか?て言うかどうやって俺の番号を?」

『所で合宿は楽しめましたか?』

 

あ、話逸らしやがったな

 

「楽しかったですよ、凄く疲れましたけどね」

『それは良かった、実はあの旅館は私が手配したものなんですよ』

「それはどうも、温泉も料理も美味しかったです」

『それで......イベントの方は楽しんで下さいましたか?』

「え?イベント?そんなものありませんでしたよ?」

『またまた~、誤魔化してもしっかり報告は受け取っておりますよ、それでどうでした?』

「だから何の事ですか?覚えが.....」

『彼女達の裸体の感想は?』

ぶふぅ!?

 

 い、いきなり何言ってたんだこの人!?てか、もしかしてそれがイベント!?暖簾が反対になってたのも、部屋が1つしか無かったのも!?

 

『ふふふ、その反応を見る限り楽しめた様ですね?』

「......お陰様でぶっ倒れましたよ」

 

 てか大赦ならどこからが俺の体質知っててもおかしく無いんだけどな.....まさかそれを知った上でやったのか?だとしたら....

 

『まぁ実は部屋を1つにするだけが私の仕込んだイベントだったのですが、本当に手違いであの様な事がなったようです』

「あ、さいですか、良かったです安心しましたよ」

『因みにウチの夏凛の裸体を見たご感想は?』

ぶふぅ!?

 

 あのさぁ!普通さぁ!自分の妹の身体をみた感想聞いたりしますかね!?アモりんびっくりだよ!!

 

『それでどうでした?』

「......いや、普通聞きますか?自分の妹の裸の感想とか?」

『奏様以外だったら神樹様の養分にしていた所ですが、奏様ですから』

 

その異様な信頼はなんなんですかね?

 

『それでご感想を』

「.......どうしても言わないと行けませんか?」

『どうしてもですね、事故とはいえいくら奏様でも夏凛の裸体を見た事は相応の対価が必要ですので』

「その、なんだ....まぁ、いち男性としてはいい者を拝ませて頂きました」

『それは良かった、では私はこれで』

 

そう言って春信は電話を切ってしまった

 

.....それだけかい!なんやねん!!ホントに何のために電話掛けてきたんだろう?

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「ただいま」

「あ、おかえりアモりん!合宿はどうだった?」

「めっちゃ疲れた....」

「女湯でも覗いちゃった?」

「......当たらずも遠からず」

「え?」

「あ、いや何でもないです」

 

いやいや、言える訳ないだろ?間違って女湯に堂々と入って行って、覗いたどころかガッツリ見てきたとかさ?

......間違って堂々と入って行ったとかすげぇ矛盾してるけど

 

「あ、そう言えば園子、黒髪の女の子と、赤い髪の女の子に覚えない?」

「.......無いよ?」

「そうか.....ゴメンな何度も同じ様なこと聞いて」

「うぅん、大丈夫でもどうして最近そんな事聞くの?」

「.....いや特には無いよ」

 

記憶を思い出してるって言う証拠も無いし、別に記憶が戻ってきたって言うのを伝えるのはもう少し整理してからでも遅くないか

 

「昨日はご飯作れなくてゴメンな」

「うぅん大丈夫だよ、それでその代わりって言っては何だけどね、今日こと後は一緒にいて欲しいな」

「お安い御用」

 

ベットの近くに置いてあったイス座る

 

「あ、違うよ~」

「え?」

「アレやって!」

 

アレで分かる、きっと園子を膝の上に乗せてやる奴の事だろう

 

「まぁ、迷惑掛けたしな」

「イヤッタ~!」

 

園子を抱き上げてから自分がベットに座り、膝の上に園子を乗せる

 

「じゃぁ合宿の話が聞きたいな!」

「さて、どこから話したもんか....」

 

まず先に思い浮かぶのは.....風呂場の出来事だな.....いやいや、流石にあれを話す訳にも行かないし

て言うか園子も東郷程じゃ無いけどなかなかにいいモノをって違う!違う!園子はそういうのじゃ無い!

 

「アモりんどうしたの!?」

「へぁ!?な、何でもない何でもない!」

 

心配そうにこちらを見上げる園子、しかしその胸元は.....何故かいつもより開いていた

 

「そ、園子さん」

「ん?なぁに?」

「その、胸元が.....」

「あ、ホントだ、でも1人だと直せないよ?」

 

こ、コイツ!わざとやってるんじゃ無いだろうな?

 

「私なら頭痛くなったりしないんでしょ?」

「いや、まぁそうだけどさ.....」

「じゃお願い!」

「.......はぁ分かった分かりましたよ.....」

 

頭痛や吐き気は無くても、男として大変なんだよなぁ......




遠分はこんな感じののほほんとした話が続く予定です
......あぁドロドロした話が書きたくなってくなぁ


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第62話 犬吠埼樹は料理が苦手である

そろそろね、奏くんにも痛い目にあっていただからないと.....くくく


「うい~っす、安森奏到着って何そのトランクケース?」

 

いつも通りに部室に入ると部室には風、そしてテーブルの上には見慣れないトランクケースが置いてあった

 

「......みんなが来てから話すわ、それまで待っててくれる?」

「ん?まぁ別にいいけどうわっぷ!!!」

 

皆が来るまで椅子に座って待っていようかと腰を下ろした瞬間に何がトランクケースの中から飛び出して顔に飛び付いてきた

 

「な、なんだこれ!って牛鬼!?」

 

慌てて顔から引き剥がすと端末を大赦に回収されたっきり会っていなかった牛鬼だった

 

「な、なんで牛鬼がトランクケースの中から......」

 

牛鬼が飛び出してきたトランクケースの中を見てみるとそこには6台の端末が並んでいた、またその内の1台から八咫烏が飛び出して来て、頭の上に止まった

 

「風これはどゆことですか?」

「まぁ皆が来てからしっかりと話すけど、大赦から勇者システムの入った端末が渡された........察しのいいあんたなら分かるでしょ?つまりはそう言う事よ」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「よし、皆集まったわね。じゃぁ説明を始める.....って言っても牛鬼や八咫烏が出てる時点で皆も気づいてると思うんだけどね」

 

因みに牛鬼と八咫烏は俺の頭の上で寛いでいる、しかも牛鬼は髪の毛を前の様にムシャムシャと......そんなに俺の髪美味しいかね?

 

「敵に生き残りが居て、私達の戦いは延長に突入した.....簡単に言うとそう言う事よ、ゴメンねいつもいきなりで.......」

「風先輩だってさっき知ったんですよね?それじゃぁ仕方が無いですよ」

「それに所詮生き残りだろ?油断は禁物だけど俺達は敵の一斉進行を勝ち切ったんだぞ?今更生き残りぐらいチャチャッと倒す事ぐらい訳ないって」

『\( •̀ω•́ )/勇者部5箇条!なせば大抵なんとかなる!』

 

お、いいねぇ樹だけじゃなく皆の士気も高いみたいだ

 

「ありがとうみんな!よっし、かかって来なさいバーテックス共!私達讃州中学勇者部がお相手よ!!!!」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

どうしてこうなった?

 

あれから数日待てども敵は攻めて来ない、そんな生活を送っていた時に、部室でふとこんな会話をした

 

「そう言えば樹って料理苦手って言ってたけどどんぐらい苦手なんだ?」

『(;´・ω・)言葉にしろと言われても.....』

「そりゃそうだ、ごめんごめん」

 

つっても仮にも風の妹なんだからそこまで下手では無いんじゃないか?純粋に風がいつも料理作ってるから作る機会がなくて慣れてないだけとか

 

『(*´∀`*)もし良かったら今度私の手料理食べてみてくれませんか?』

「え?いいの?樹さえ良ければ食べてみないな」

「ちょ、ちょっと奏!こっちに来なさい!!!」

 

アイタタあのぅ風さん?首根っこ掴んで引き摺るのやめてもらえますか?苦しいです

 

「どう言うつもりなのアンタは!」

「お前こそどう言うつもりだよ、わざわざ廊下まで引き摺って来て」

「質問に質問で返さない!」

「そもそも、何のことだか分からないんだけど?」

「なんで樹にご飯作らせいようとしてんのよ!!!」

 

え?駄目だった?いや普通に食べてみたかっただけなんだけど.....

 

「いや、普通に好奇心で」

「はぁ......もうあんなにウキウキしてる樹を止めるのも可哀想だし.....いぃ奏アンタが責任持って樹の料理食べるのよ?私はその日用事があるって言って家空けるから話合わせといてね!!!」

 

なんて言われたけど、実際そこまでじゃ無いだろ、とか思って楽しみに予定の日になったけど......なんか傍から見るだけでもヤバそう......

 

手つきが危なっかしいとかでは無い、言葉で説明するのは難しいが強いて言うなら生物の本能的な恐怖だろう

 

よく考えればあの樹大好きの風が樹の手料理食べない為にありもしない嘘まで付いて逃げれんだから、もっと警戒しておくべきだった.....怖いから手伝おうか?って言っても『(๑و•̀Δ•́)و奏先輩はお客様なんですから座っててください!』って言われちゃったからには手は出せないし.....

 

そんな事を考えているとプルルルと電話がなった

 

「樹~電話来たぞ」

 

とてててと電話の前まで走って行った樹だったが電話の目の前で受話器を取らずに止まってしまった

 

なんで電話出ないんだ?ってそうか声出せないから電話でれないのか

 

「良かったら俺が出ようか?」

 

こくりと頷いた樹を確認して受話器をとる

 

「はい犬吠埼です」

『あ、犬吠埼樹さんのお兄さんですか?』

「え?まぁはい」

『ヴォーカリストオーディションで1次審査を通過しましたのでご連絡致しました』

「わざわざありがとうございます、本人に伝えておきます」

『お願い致します、では失礼します』

 

受話器をおき電話を切る

 

へぇ?ヴォーカリストオーディション、ねぇ?

 

「樹電話の内容だけどな」

 

料理をしていた樹の近くまで歩いていき

 

「ヴォーカリストオーディション1次通過したってさ」

 

一瞬キョトンとした顔をしていた樹が一瞬喜び、徐々に顔が赤くなっていく

 

ふむふむ、やっぱり隠してたか、この調子だと風も知らなそうだな

 

「なんだよ、別にいいと思うぞ?ヴォーカリストの夢とかな、まぁ皆には隠しておいて合格したら発表する気みたいだったらしいけど?残念でしたもう知っちゃいました」

 

ぷぅ!と顔を膨らませてぽかぽかと俺の胸を叩き始める

 

「風にはまだ内緒か?」

 

こくんと頷く樹

 

「そっか、なら早く喉治さないとな」

 

こくりと満面の笑みで頷いた樹に自然と笑が零れる

 

さて、料理はそろそろ出来そうだ.......俺生きて帰れるかね?




よく考えれば一瞬とはいえ樹ちゃんの妹になるなんて......


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第63話 安森奏は夢を見る

そろそろね、伏線を回収していかないと行けませんよね


気が付くと、目の前には何故か顔は見えないが金髪で長髪の少女が立っていた。右手にはよく見えないが長物を構えている、本能的に見えるソレは自分を殺すモノだと言うことが

 

イヤだ.....死にたくない、逃、ないと!

 

必死に少女から離れようとするがどんなに頑張ろうと、身体を動かす事は出来ない、それどころか身体中が痛い。そんな自分に右手の長物を構える少女

 

なんで.....なんで俺を殺そうとするんだ!

 

声は出ない。

 

少女は右手に持った長物で奏の胸を一撃で貫いた、だか死ねない。寧ろ死んだ方が楽なのにも関わらずに生かされる。

 

痛い、苦しい、痛い、苦しい、痛い、苦しい、痛い、苦しい!

 

少女の顔が自分の顔の目の前にくる、やはり顔はよく見えない、が

 

わ、らってる?

 

その少女の口角はつり上がっていた、まるで自分を殺した事がとても嬉しいように.....

 

「.....で.....ん!......なで.......くん!」

 

遠くで声が聞こえる

 

誰だ?誰かいるのか?いるなら、助けて.....

 

遠くに聞こえる声に助けを求める、声は出ないがそれでも諦めずに助けを求め続ける

 

「奏くん!」

「っ!!!!」

 

友奈の声で目を覚ます、周りを見渡すが金髪の少女は見当たらない、それどころか自分の教室だ、どうやら授業中に眠っていたらしい

 

いつもの夢か......何度見てもなれないな

 

身体は汗をびっしょり書いていた

 

「友奈?ここは.....教室.....だよな?」

「そうだよ、奏くんが部室に何のなかなか来ないから見に来たら魘されてるんだも、びっくりしたよ?」

「あぁ悪い、ちょっと嫌な夢を見てた」

 

そう言えば、今回位ハッキリと見えたのは初めてだな......あの笑顔何だったんだ?

 

少女が自分を刺し殺した時の顔を思い出し身震いする

 

「全く奏くんったら居眠りはしちゃ駄目なんだよ?」

「いやいや、友奈には呼ばれたく.....」

 

顔を上げるとコチラを見ている友奈と目があった、瞬間に何故かとても懐かしく、愛おしく、悲しくなった

 

「ん?奏くきゃ!」

「友奈......友奈......友奈!」

「か、奏くん!?」

 

気づいたら友奈を抱き締めていた、何故自分がこんな感情を抱いているのか自分自身でも分からない

 

「ちょ、奏くんどうしたの!?」

「ごめん.....もう少し、もう少しだけだから......」

 

ギュッと友奈を抱きしめる、友奈も驚いているようだが抵抗はしない

 

「ごめん......いきなりこんな事して」

「うぅん、私は大丈夫だよどうしたの何かあった?」

「分かんない、全然何も分からないんだ......」

「そっか大丈夫、大丈夫だよ私はここにいるよ?」

 

自分を慰めるように、抱きしめくれる友奈。何故だか涙が溢れてくる

 

「ど、どうしたの奏くん!?ゴメンね、何か変な事言っちゃったかな!?」

「違う、違うよ友奈、ゴメンホントに、ゴメン......」

 

涙が床に落ちてゆく、がそこで世界の時間が止まった




遅くなって申し訳!とりあえず今後はドロドロした話が書けそうだ(ゲス顔)


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第63話 安森奏は夢を見る(後編)

申し訳ありません、最近体調があまり良くなくて昨日書くことが出来ませんでした


「これは、敵が攻めてきたのかな?」

「らしいな」

 

気が付くと周りは神樹様の作り出す空間、樹海に変わっていた

 

「友奈......その、さっきは変なことしていたゴメンな」

「うぅん、全然大丈夫だよ!寧ろ私は普段見れない奏くんが見れて、逆に役得なのかも?」

「ははは、どこまでもポジティブだな」

「えへへ、よく言われるよ、取り敢えず風先輩達と合流しよっか」

 

端末を開き、風達の居場所を確認すると自分達よりも神樹様の近くに居るようだ、敵は2体、バーテックスジェミニと黄金十二宮ムリエル。敵の場所は自分達よりも神樹様に遠いのが確認できた

 

この程度の敵なら俺と友奈で何とか出来そうだけど、念には念を入れて一応全員で相手した方がいいかな

 

「風達と合流して敵を全員で待ち待ち受けようか」

「了解!じゃ早速行こっか!」

 

風達の方に向かって駆けていく友奈、念の為に友奈を追う前に敵を確認すると遠くだが敵を視認する事ができた

 

アレが......敵?あぁ敵か.....そうか敵だ

 

ふつふつと胸を何か感情が込み上げてくる

 

あぁそうだ敵は.....敵は全て......

 

初めて八咫烏と融合した時と同じ様な感情.....今回はハッキリと分かる、この感情に従うべきだと、身を任せるべきだと

 

敵は全て、殺してやる

 

敵に向かって全力で駆けていく、後から声が聞こえるが無視をする

 

そうだ()は敵を全て殺す、どんな手を使っても.....

 

暫く駆けていると敵を完璧に視認できる位置まで近づいてきた、敵は片腕が無く満身創痍のムリエルと無傷だが一体では脅威にはなり得ないジェミニのみ、ムリエルはジェミニにしがみついて移動しているようだ

 

相手になりえんな.....

 

大翼芎を放ち牽制をする、流石に距離も開いていた事もあり簡単に避けられてしまう

 

流石にさけるか.....だが

 

避けた所に先回りをして回し蹴りで2体を吹き飛ばす。敵は衝撃で離れ離れになった

 

先にバーテックスの方から仕留める....

 

ゆっくりと歩み寄ってき生太刀を構える、ジェミニも攻撃を仕掛けるが簡単に回避出来る、そのまま身体を捻り生太刀を一閃、ジェミニの両足を切り落とし、そのまま封印の儀を開始し、御霊が出現した瞬間に御霊を破壊する

 

「何かしようとしていた様だが、行動が遅すぎる。それでは案山子と変わらんぞ」

 

次は黄金十二宮か......

 

元々のダメージも合わさりムリエルは起き上がることすら辛い様だ

 

「お前には随分と世話になったな、では殺すとしよう」

 

生太刀を無造作に振り下ろすが、残っていた片腕で防がれた

 

「そうか、そうまでして生きたいか!」

 

すぐさまムリエルの片足を切り落とし、バランスを崩した所を狙い腕を切り落とす、そのまま上半身を蹴り仰向けに倒れた所に場乗りになる

 

「ではこちらも最大限殺さぬようにしてやる、精々くたばらない様にしておくんだな」

 

生太刀を逆手持ちにしてムリエルに敢えて急所を外すように突き刺す、何度も何度も突き刺す、突き刺す、突き刺す、突き刺す、突き刺す

 

「は、ははは!」

 

自然と笑いが込み上げてるく

 

コイツの命は今私の手の中に、それも少しづつすり減っていくのが分かる。

 

「はははははははははははは!!!」

 

あぁ、痛快だ!爽快だ!愉快だ!こんなにも楽しい事があるか!?

 

何度も突き刺して行く、すると後から抱き締められ、生太刀を止められる

 

誰だ?邪魔をするな今私は楽しんでいる

 

後ろを振り向くと1人の少女が涙目になりながら訴えていた

 

「もういいよ奏くん!もう終わってるんだよ、もう止めていいんだよ!?」

 

そう言われ、改めてムリエルを見てみるともう光の粒子になって消えていく所だった

 

なんだもう果ててしまったか.....つまらん。所でこの少女は何という名前だったか?

 

「奏くん?あなたは本当に奏くんだよね?」

 

......あぁそうだ友奈、結城友奈だ。

......そうだよ結城友奈だ、今どうして俺は友奈の事を忘れていた!?俺は今まで何を......

 

恐怖を覚える、今までの自分の行動に、言動に、感情にそして何より友奈を忘れていた事に

 

「ゆ、友奈、俺は俺は......本当に俺は安森奏なのか?」

 

生太刀を落としてしまう、手が震えていた、いや手だけではない身体が震えていた

 

怖い、怖い自分が自分と証明出来ないことが怖い

 

「だ、大丈夫、大丈夫だよ、奏くんは奏くんだよ」

 

友奈が抱き締めてくれた、優しく慰めるように




うぅむ、上手く書けている気がしない.....もう少しだけ具代的に書きたいのに


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第65話 東郷美森は真実を知る

いえーいどんどんドロドロとした話になってきたよォー
あ、因みにまだまだ落ちてゆくつもりですのであしからず


~side友奈~

 

樹海化が解けると、いつも通り、学校の屋上にいた私の腕の中には未だに震えている奏くん、近くには風先輩達の姿もあった

 

「奏!」

「あ、風先輩!」

「アンタねェ!何ひとりで先走ってんのよ!これで何かあったら.....」

「ちょっと待ちなさい風、なんか様子変だわ」

 

奏を咎めようとする風を静止した夏凜、どうやら風と樹も奏の尋常ではない様子に気がついたようだ

 

「大丈夫、大丈夫だよ奏くんもう大丈夫だから」

「あぁぁぁぁぁぁ........」

 

未だに震えている奏を安心させる為に抱きしめ、言葉をかけるが効果は無いようだ

 

『友奈さん、奏先輩に何があったんですか?』

「分かんない、分かんないけど敵を見るなり敵に突っ込んで行って.....そう言えば東郷さんは?」

「え?」

 

周りを見渡す、屋上の何処にも東郷は居なかった

 

「そんな!樹海にいた時は確かに近くにいたのに!」

「どう言う事?奏もなんか様子が変だし、一体何があったの友奈」

「それが私にも....」

 

バタンと扉を開けて大人数の大赦の人間が屋上に入り込んできた、それも勇者部を囲むように

 

「ちょ、なんなんですか!?」

「奏様をお迎えに上がりました」

「いやいや、意味わからないんですけど!ちゃんと説明してくれないと.....」

「その必要はありません」

 

風先輩の言葉を遮り私の腕の中で未だに震えている奏くんに手を伸ばす大赦の人達、反射的に奏くんと大赦の人達の間に身体を割り込ませる

 

「待ってください!奏くん今凄く震えていて.....もう少しだけ一緒にいるだけでも」

「その必要もありません、奏様には相応しい人物がおられます」

「そんな.....」

「さぁ奏様行きましょう」

 

奏くんも抵抗せずに大赦の人達のなされるがままに連れられて行く

 

「ちょ!待ってください!」

 

奏くんの後を追って行こうとする風先輩の前に、大赦の人達は立ちはだかるかのように立ち並ぶ

 

「奏様と美森様はこちらで保護致します」

「納得出来ません!せめて付き添う位は!」

「申し訳まりませんが、それは出来ません」

 

それだけ言うと大赦の人達はゾロゾロと出ていってしまった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

~side東郷~

 

「......ここは?」

 

おかしいわね、いつもなら樹海化が解ければいつもは学校の屋上に転送されるはずなのに......なにかの手違いかしら?あそこに見えるのは大橋よね?

 

「貴方が東郷美森さんだね?」

 

声がした方に振り返るとベットに横たわった、長髪で隻眼隻腕、恐らく片足もない包帯の少女がそこにはいた

 

「あ、貴方は?」

「名乗る程の者じゃ無いよ、ゴメンねいきなり呼び出して」

「い、いえソレは大丈夫だけど.....」

 

この子どこか懐かしい感じが......

 

「あの、私貴方と前に会ったこと無いかしら?」

「うぅん無いよ、私と貴方は今ここで初めて会った」

「そう、そうよねごめんなさい。それで貴方が私を呼んだ理由は?」

「ふむ、どこから話そうか......そうだね、私は勇者としての貴方の先輩ってとこから話そうか」

 

え?勇者としてのせん、ぱい?どう言うこと?

 

「じ、じゃぁその傷はもしかして敵に?」

「あぁコレ?コレは違うよ、コレはね満開の影響なんだよ」

「満開の影響?」

「花は咲き誇った後、どうなると思う?」

「それは.....散ってしまう?」

「そう、その通りだよ満開にもそれと同じ様に散華って言うシステムがあってね、散華は満開をする供物として神樹様に捧げる事なんだよ」




はい、ていう事で園子様に呼ばれたのは東郷さんただ一人.....しかも園子様もいつもと違ってのほほんとした喋り方では無い....はてさてこれからどうなることやら
あ、因みに奏くんはちゃんと保護されてるのでご心配なく


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第66話 乃木園子は真実を語る

淡々と語る園子様ってなんか新鮮ですよね


「貴方が満開した時、身体のどこかに異常は無かった?」

「っ!!!」

 

息をのむ、反射的に聴力の無くなった左の耳に手をかざす

 

......確かに私達は満開した後身体のどこかに異常がある、いやでも.....まさかそんな

 

「それが散華、私達人間が神の力を行使した代償、いやどちらかと言うと供物かな?そして勇者は絶対に死なない、うぅん死ぬ事は許されないんだよ」

「そんな.....どうして私達が.....」

「いつの時代も神様に捧げられるのは無垢な少女のみ、勿論中には例外もあったけどね」

「で、でも私達の身体は元に戻るのよね?」

「治りたいよね?うん私も治りたい、歩いて好きな人を抱き締めて、一緒にご飯を食べて、遊びに行きたいよでもね、私は2年間このまま」

「そん....な、そんなのって.....」

「私が話したいのはこれだけ、もういいよ」

 

包帯の少女が合図をするとどこからか出てきた大赦の人達が私を囲んでいた

 

「彼女はちゃんと送り届けてね、コレは命令だから」

「ちょ、ちょっと待って!」

「連れていって」

「やっぱり貴方の名前を.....!」

「貴方に名乗る名前は無いよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

~side奏~

 

「奏様、奏様お気を確かに」

「あぁぁぁぁぁぁ.....」

 

名前を呼ばれている?いやソレは本当に俺の名前か?

 

「奏様私の顔をしっかり見てください」

「.......」

 

目の前にいる大赦の人は仮面を外して俺の顔を両手で掴み、無理やり向けられ、大赦の人と目が合った

 

よく声聞けばいつも世話してくれる大赦の人の声か.....それすら分かんなかったって結構ヤバイよな

 

「大丈夫です、貴方は正真正銘安森奏様でございます」

「その声.....いつもの人だったんですね今わかりましたよ、てか眼鏡掛けてたんですね」

「どうやら落ち着いて来た様子ですね」

「お陰様で」

 

ザザザと脳内に映像が流れてくる

 

またこれか......今度はなんだよ

 

目の前にいる眼鏡をかけた女性と、顔は見えないが3人の少女が一緒にいる、眼鏡の女性は今の無表情からは想像出来ないような笑顔で少女達と共にいる

 

「奏様?」

「あ、いやなんでもない、です」

 

いやいや、この人があんな笑顔をするのは無いだろ、どうせこの映像も俺の思い込みかなんか何だろうし、わざわざ聞く必要も無いよな

 

ザザザとまた映像が流れてくる

 

目の前にいる眼鏡をかけた女性に手料理をご馳走している映像だ

 

あぁ.....そう言えばこんな事もあった.....いや、俺はこんな記憶ないある筈ないだろ、この人の顔を見たのは今日が初めての筈なのに.....ったく、なんなんだよ!最近こんな事が多過ぎだろ!!!折角落ち着いて来たと思ったらまた取り乱すじゃん!




次回は奏くんの暴走した原因についての話ですね、次回辺りからは少しネタぶち込みたいな~


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第67話 安森奏は毒される

ごめんなさい、なんか前回の話、凄く下手くそでした.....やばたにえん


「奏様、やはりまだ何か問題が?」

「あぁいえ、大丈夫です」

 

聞くべきか?貴方は俺の手料理を食べた事がありますかって?今日初めて顔を合わせた人に?.....馬鹿らしい、そんな事聞いた所である訳ないって言うのは目に見えてる

 

「そうですか、それで奏様に何があったのかを詳しく聞かせて頂け無いでしょうか、あまり思い出したくは無いでしょうが......」

「いや、まぁ説明するのはいいんですけど......」

 

先程の戦闘中にあった事を思い出すが、覚えているのは敵を全て殺すと言う感情とソレに呑み込まれてしまい、自分が自分で居られることに自信が無くなってしまったこと

 

アレを言葉にするってなるとなぁ.....

 

「なんて言うか、破壊衝動的なものが押し寄せてくると言いますか.....」

「なるほど、やはり.......」

「やはり、なんですか?」

「原因は精霊との融合だと思われます」

「精霊との融合が原因?八咫烏がですか?」

 

名前を呼ばれて反応したのか、端末から八咫烏が飛び出し奏の膝の上に乗り何とも無害そうな顔つきでコチラを見上げてきた

 

「......コイツが原因とはとても思わないんですけど?」

「正確には八咫烏自体が原因と言う理由ではありません、ですがこの様な愛らしい見た目でも精霊は神樹様の使いです、そんな精霊と融合となると、やはり普通の人間では荷が重いのです」

「じゃぁそれが原因で破壊衝動的なものに呑み込まれる、と?」

「はい」

「なんでまたそんなモノを.....」

「実は元々精霊との融合は大昔に勇者システムに切り札として搭載されていた機能なのです、ですがその力を行使するには使用者の精神に重大な負荷がかかってしまいました、そのため新たに作られたシステムが」

「満開システム?」

「その通りです、ですが満開システムは使用者の肉体に重大な負荷がかかってしまいます、なので今の技術なら精霊との融合をデメリット無しで行使出来る、我々はそう思い試作型として奏様の勇者システムに組み込みました......それが慢心でした結果精神負荷を消す事は出来ずに奏様にご迷惑を掛けてしまいました、申し訳ありません」

「ちょ、ちょっと待って下さい!」

 

深々と頭を下げる眼鏡の女性、それを慌てて制止し頭を上げて貰う

 

「それって彼女達の満開システムを無くすためにやった事なんですよね?なら謝る事なんてありませんよ」

「ですが結果的は奏様を......」

「まぁ確かに自分が自分じゃ無くなるみたいで怖かったのはホントですけど、彼女達の為を思ってやった事を責める事は出来ません」

「.......ありがとうございます奏様」

 

実際怒ってない訳じゃないけど流石に友奈達の負担を軽くする為にやった事だし、それにここまで深々と頭を下げられたらな.....

 

「1度端末の中にあるデータを確認したいのですが端末をお借りしてもいいでしょうか?」

「大丈夫ですよ、ほらお前も端末に戻りな」

 

未だに膝の上に乗っている八咫烏を端末に戻す様に促すが、プイとそっぽ向いてしまった

 

こ、コイツ....

 

「駄々こねて無いで端末に戻れよ!大赦の人が困るだろ!」

「八咫烏がいなくで問題ありませんよ、データを見るだけですし」

 

眼鏡の女性の言葉にほら見ろ!の様な顔でコチラを睨みつける八咫烏

 

「では失礼します」

 

眼鏡の女性が部屋を出ていき、部屋には八咫烏と奏だけになる

 

「ったく」

 

膝の上に乗っている八咫烏につんつんとちょっかいをかけるがいつもなら翼で払ったり、クチバシでやり返したりするのになされるがままにされている?

 

「もしかして反省してる?」

 

つーんとそっぽ向く八咫烏

 

「ははは、なんだよ拗ねるなって今度うどん作ってやるから」

 

バサ!羽を大きく広げて喜ぶ八咫烏に自然と笑が零れた




つまり何が言いたいのかと言うと八咫烏は可愛い、それは忘れちゃいかんぞ?


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第68話 夢の少女と乃木園子

早いですが今日の分はコレです
元々下手くそだったのに、最近は尚更上手くssがかけなくなってきた....


あれからなんやかんやした後に、無事に大赦まで帰ってきて今は園子の部屋の前に立っている

 

よし、落ち着け~落ち着け安森奏COOLになるんだ、園子に変な気を使わせないようにいつも通りの安森奏を演じるんだ!.....いや、演じてる時点でダメじゃね?

 

取り敢えず一呼吸してから園子の部屋の扉を開けた

 

「ただいま~」

「あ、おかえりアモりん」

「......」

「アモりん?」

 

園子が夢で自分を一刺しで無残に殺した金髪の少女に重なった、重なってしまった。目の前にいる身体を動かす事も出来ない少女に途端に恐怖が込み上げてくる

 

「アモりん?どうしたの?」

「っ!!!!」

 

気がつけば俺は園子から逃げ出していた

 

「はぁはぁはぁ......」

 

場所は洗面所、鏡で自分の顔を確認した

 

「.....ひでぇ顔だな」

 

こんな顔を園子に俺は向けたのか.....

 

ザザザと脳内に映像が流れてくる

 

いつも通りに顔は見えないが長髪で金髪の少女が2人の少女と共に笑い合いながら過ごしている映像、恐らく3人は身長的に小学生位だろうか?勿論自分は見た事が無い、だが

 

おかしいな、この金髪の子が一緒に居るのって5人の女のじゃ無かったか?

 

何故かそんな気がする、そんな風景を見た事が無いのは明らかなのに、何故かそれが当然の様に感じる

 

いや、違う.....あの子は3人の女の子と一緒に居て....

 

見た事も無いのに、初めに見た映像も確かに本当の事だという事が言い張れる

 

そもそも初めに見た映像なら2年前の記憶と言ってもまだ分かる.....けど5人の女の子は明らかに俺と同じ位の歳の筈だ、そんな子達に俺は会ったこと無いぞ......

 

自分の脳内の考えの矛盾に頭が揺さぶられて居るようなほど、視界がブレている

 

「いやぁお前はこの後きっといい嫁さんになるな!」

「あら?貴方も昔の歴史に興味があるの!?」

 

コレは......

 

声も聞こえない、映像の無いただ言葉のみが頭の中に浮かび上がってくる

 

「あの.....もし良かったら部屋でその....ゲームでも一緒にしないかしら?」

「なんだなんだ?手伝って欲しい?全く仕方無いな任せタマえ!」

「ダメですダメです!やるからにはちゃんと演技して下さい!え?練習したい?ちょ、なんでこっちに来るんですか!?」

「いいなぁ私もこんな風に美味しいご飯作れるようになりたいよ~え?教えてくれるの?」

「ダメですよ?どんな理由があろうと男の子は女の子を泣かせちゃダメなんです!分かったら追いかけてください!」

 

なんだよコレは.....分からない、コレは誰の記憶?

 

「なんだ....その、私みたいな未熟者でもいいのか?....そうか、あぁ私もお前を」

 

コレは俺の記憶なのか?

 

「愛している」

 

その言葉を聞いた瞬間に胃の中にあった元を全て洗面台に吐き出した

 

「はぁ、はぁ、はぁ......さっきのは?」

 

頭の中がゴチャゴチャだ、矛盾だらけの記憶そもそも自分のものかどうかすら怪しい記憶.....結果感じたのは悲しみ、喜び、怒り、そして愛おしさだけだった.....




奏くんの記憶についてやっと近づいて来ましたね、もう少しでアニメで言う1期も終わりますし、テンション上がるわ~


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第69話 犬吠埼風は部長であり、姉である

最近ドラゴンボールレジェンズって言うスマホアプリにハマってるのですが、最近のアプリはクオリティ高いですよね~バッテリーの消費がマッハです


「......もう朝か」

 

ここまで気だるげな朝を迎えたのは生まれて初めてだな.....いや2年しか生きてない様なもんだけどね?

 

だるい身体でベットに寝そべったまま時計を確認すると、いつも起きる時間よりも30分程寝坊していた。と言ってもいつもは料理を作るために早起きをしているが今日のご飯は大赦の人に頼んであるので問題ない

 

「何やってんだろうな俺は.....」

 

あの時園子から逃げ出した後、結局園子と顔を合わせていない、逃げた事も謝る理由でもなければ説明もせずに今もまだ園子を避けてしまっている、それなのに園子に合わせる顔が無い

 

「はぁ.....気が重いな、もう今日学校サボろうかな?」

 

そんな事をぼやくと枕元で充電していた端末から八咫烏が飛び出し、奏の顔に着地した

 

「.....なぁ八咫烏やい、そこ俺の顔なんだけど退いてくれない?」

 

反応無し.....か、まぁ言いたいことは分かるけどさ

 

「分かった、分かった学校ちゃんと行くから退いてくれ」

 

ダルい身体にムチを打ち、顔面に乗っている八咫烏をどかし、身体をベットから起こし立ち上がる、流石にそろそろ起きなければ学校にすら遅刻してしまう

 

「取り敢えず学校行ったら皆に説明しないとな」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「勇者は決して死ねない?身体を供物として捧げる?」

 

学校に着いた早々東郷に風と一緒に学校の屋上に呼び出されたかと思えば......

 

どうやら東郷は最後の戦いが終わった後に大赦に呼び出された様だ、そして大赦で先代の勇者に会いそこで勇者システムの仕組みについて説明されたらしいが

 

「満開の後私達の身体はおかしくなりました、身体機能の1部が欠損したような状態です、それが身体を供物として捧げる事だと.....私のあった先代勇者が言っていました」

「そんな.....じゃぁ私達の身体はもう、治らないって言うこと?」

「.....その話、友奈たちにはしたのか?」

「いいえ、まだよ取り敢えず風先輩と奏君に話してから考えようかと思って」

 

......本当は説明した方がいいんだろうけど、まだ本当かどうかしっかりと分からない以上下手に心配して欲しくないし......何よりこんな事を樹に話す訳にはいかないな

 

「.....他のみんなにはまだ黙っておきましょう、下手に心配をかけさせたく無いわ」

「俺も同感だ」

「それで今度は奏君の番だけど.....」

 

東郷の言葉を遮るかのようにピーンポーンパーンポーンと予鈴が、鳴り響いた

 

「俺の件は今日の夜にでも部活のグループにでもメールしとくよ、特にヤバイ事があった訳じゃないしな」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

にしても大赦に先代勇者が居たのか見たことないな....いや東郷が来るからわざわざ大赦に来た可能性もあるし、俺が見れる様な所にいない可能性もある.....名前は聞けなかったみたいだし手がかりは少ないな

 

授業中、雨が降っている校庭を見ながらそんな事を考えていた




実は最近友奈の扱いに困るんですよね......他の勇者部のメンバーに比べるとやっぱり掴み所が無いと言うかなんと言うか....高嶋ちゃんみたいな性格なのかな?


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第70話 犬吠埼風は部長であり、姉である(中編)

アニメで言う1期が終わったらわすゆ書くか、勇者の章を書くか迷いますね


結局あの日屋上で東郷に本当の勇者システムの仕組みに説明されてから何の進展も無いまま数日が過ぎた、園子とは逃げた日から顔すら合わせていない。そして今も時間を潰すために誰も居ない勇者部の部室で考え事をしていた

 

大赦もそこはかとなく見て回ったけど先代勇者なんていなかったし.....やっぱり臨時で来てたって事なのか?東郷はともかく風はあの話を聞いた時から様子が変だし.....せめてなにか新しい情報でもあれば

 

そんな事を考えていると、ガラガラと部室のドアが開いた。何者かと振り向いて確認すると風だった

 

「ん?奏?なんで部室にいんの?」

「なんて言うか....ただの時間潰しかな?」

「ふーん、ま別に良いけどしっかりと戸締りはしてよね~」

「おいコラちょっと待て」

 

普通に部室を出ていこうとしている風の腕を掴み引き止める

 

「.....離して」

「最近は様子が変だったけど.....流石に今の状態は見過ごせないな、何かあったんだろ?」

「離してって言ってるでしょ!」

 

無理やり手を振り払われる、その時に、風の顔を見た。その頬には涙が伝っていた

 

「......ほっといてよ、明日には元通りにしてるから」

「なんでそんな顔をしてるのか教えてくれたらほっといてやるよ」

「........」

 

......まぁそんなに簡単に教える訳ないか、それが風だもんな

 

「じゃ、樹に聞いてくればいいか?」

「っ!ダメに決まってるでしょ!?」

「だろうな、なら教えろ」

「......随分と強引なのね」

「そうでもしないとお前は話さないだろ?」

 

風には悪いと思っているが、樹を使わないと恐らく風は絶対に話したりはしないだろう、犬吠埼風とらそう言う奴だという事が分かっている

 

「.......さっきね先生に呼び出されたの、樹の事でね」

「?なんか樹がやらかしたのか?」

「ううん、違うの、樹は何もして無いんだよ.....けど声が出ないから授業に影響が出てるんだってさ......ねぇ樹が何かした?どうして樹がこんな目に合わないといけないの?私達世界を救ったんだよ?なのにどうしてこんな、こんな目に合わないといけないの?」

「風.....」

「ゴメン.....私部長なのにね、明日には普通通りにするから」

 

そう言って部室を出ていこうとする風に手を伸ばし、引き止め無かった、いや引き止められなかった、あの日風と別れた日の顔と重ねてしまった.......きっと追わなければ行けなかったのだろう、だが俺には追えなかった、今の風を1人にしてはいけないと分かっていたのに.....




本編とは全く関係ありませんが、園子様のドレス最高すぎひん?


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第71話 犬吠埼風は部長であり、姉である(後編)

もう少しでアニメ1期までは終わりますね.....100話には終わればいいなぁ


「で、どうした東郷、急に呼び出したりして」

 

ある日突然東郷に風と共に東郷の家に来るようにメールが来た

 

「風先輩と奏君に見てもらいものがあってね」

「ん?なんか情報でも仕入れたか?」

「まぁ.....情報と言えば情報、かしら?」

 

そう言って東郷は机の中から何か取り出した、それは小太刀の様だった。その小太刀を引き抜いた

 

「と、東郷?その小太刀って何に......」

 

次の瞬間に東郷は小太刀で自分の首を切り裂いた.....がその刃は首には届いていなかった、なぜなら東郷の精霊である青坊主がバリアを張り東郷を守っていた

 

「っ!なにやってんのよ!アンタ今精霊が止めなかったら!」

「止めますよ、精霊は確実に.....私はこの数週間で私は10回以上自害を試みました、切腹、首吊り、飛び降り、一酸化炭素中毒、服毒、焼死......全て精霊に止められました」

 

止められた小太刀は刑部狸が取り上げ、奏達の近くにあった机に置いた

 

「今私は勇者システムを起動していませんでした、それでも.......」

 

東郷の言葉は最後まで続かなかった、そこには東郷の目の前に立ち右腕を振り抜いた奏の姿と、何が起こったか理解できていない東郷。そう奏が東郷の頬を平手で叩いたからだ

 

「奏、君?」

「.......さっき言ったことぜんぶ試したのか?」

「え?」

「全部試したのかって聞いてんだよ!!!!」

 

返事は無い、それが答えだろう

 

「馬鹿かお前は!確かに精霊は俺達を守るのかも知れないけどな!もし、何かの不具合でバリアが張られなかったり、その中に精霊でも守れないものがあったらどうする気だったんだよ!!!!」

 

車椅子に座って呆然としている東郷を抱き締める

 

「そんな無理をしないでくれ.....!頼むから......」

「....ごめんなさい、そうね軽率だったわ」

「いや、俺の方こそごめん.....ひっぱたいたり、怒鳴ったりして」

「アンタ夏凜の顔面ボコボコにしといてよう言うわよ.....」

「むむむ、確かにそれを言われると痛いな......」

「ふふふ、奏君この間聞いた話だと友奈ちゃんもぶつ勢いだったって聞いたわよ?」

 

どうやら東郷はいつもの調子を取り戻した様だ

 

「ま、まぁ取り敢えず話の続きをお願いしますよ東郷」

「ええっと.....どこまで話したかしら?」

「東郷が勇者システムを起動していなかったって所辺りまで」

「あぁ、そうでしたね......それで奏君は勇者システムを起動していなくても私達を守ってくれる精霊、コレをどう考える?」

「普通に考えればよっぽど上手く出来た防護システムだけど......」

 

ただ今までの情報を整理すれば、恐らくそれだけのシステムでは無い事ぐらいは容易に想像がつく

 

「勇者を無理やり生かしてお役目に縛り付けるため.....とか?」

「さ、流石に考えすぎじゃない?」

「いえ、私も奏君も同じ意見に辿り着きました.....そしてこの考えがあっているなら私が大赦であった先代勇者の言っていた事が本当になります」

「勇者は決して死ねない......」

 

いや、死ねないだけならいいけど、問題はそこじゃない.....

 

「そして、皆の後遺症はもう.....治らないって事か」

「えぇ、しかも先代勇者の例があったのだから大赦は満開に後遺症があったのは分かっていたはず.....私達は何も知らされずに騙されていた」

「そん、な......」

 

その場に崩れ落ちる風を慌てて支える

 

「お、おい風」

「知らなかった....知らなかったの、人を救う為身体を捧げて戦う、それが勇者?私が樹を勇者部に入れたせいでこんな、こんな......」




いやほんと、友奈の扱いどうしよ?あんまり友奈の事を考えないで話進めてたから今になって困るって言うね


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第72話 東郷美森は勇者部部員である

東郷さんがあんな事をしでかした理由は誰にも頼る事が出来なかったせいだと思うんですよ


「これからどうしようか奏君」

「う~ん.....そうさなぁ」

 

あの後風は今日は色々と整理したいから、という事で自宅に帰って行った。流石にあの状態の風を1人で返すわけには行かないと思い送って行こうとしたが結局1人で考えたいという事で見送った

 

「取り敢えず皆に伝えよう」

「え?でも風先輩は......」

 

確かに俺や風はまだ皆には黙っておいた方がいいとは言ったが、風はあの調子ではしばらくまともに物事を考えられないだろうし、皆にいつまでも隠して置くわけにはいかない

 

「殆ど確信に近い事だし、いつかは言わないといけない事だ、ならむしろ変に治るって言う期待を持たせない方がいい.....って供物を捧げてない俺が言った所でな....悪い」

「ううん、奏君だって精神を精霊に侵食されたんでしょ?」

 

確かに東郷の言う通り自分も八咫烏に精神を侵食され、敵に大しての異常な破壊衝動はある、がそれは戦闘時のみだ他の皆に比べれば軽い方だろう

 

「それに、逆に考えれば1番奏君が今冷静に物事を考えられる人材だと私は思うわ、その奏君がそう決めたならそうしましょう」

「.....そっか、東郷がそう言うならそうしよう、てか逆に東郷の方が冷静に物事を考えられてるんじゃね?」

「自殺を10回もしようとした人が冷静だと思う?」

「......確かにそう言われればそうだな」

「ふふふ、そうでしょ?私が冷静でいられるのは今奏君が側に居てくれて、私が間違っても注意してくれるからよ。もしも私だけだったら何をしでかしていたかわからないわ、最悪大赦に殴り込みに行ってたかも?」

 

......うん、東郷だったらホントにしそうだなって思ったのは胸の奥に秘めておこう

 

「今奏君、東郷だったら冗談じゃなくてホントにやりかねない、みたいな事を考えているでしょ?」

「なぜバレたし!?」

「あら?ホントに考えていたのね、私悲しいわ.....」

 

およよよ、と両手で顔を埋めて泣き出してしまう東郷

 

「ちょ、ゴメン!ゴメンって!だ、大丈夫だからそんな事にならないように俺も頑張るから!」

「ホントに?ふふふ、それなら安心ね」

「.....ホントにいつもの調子に戻った様で何よりです」

「お陰様で♪」

 

.....この様子を見る限り東郷は平気....では無いだろうけど何とかなりそうだな、問題は風だけど....俺が踏み込む訳には行かないし、それとなく樹辺りにでも任せるか

 

「それで、どうするの?皆に一斉に知らせる?」

「いや、1人ずつ説明してこう、最近いきなり3人混乱した場合大変だしな。最初は友奈辺りからでも話してみよう」

「了解したわ、じゃ明日の放課後にでも呼んで見ましょうか」

「ん、頼んだ」

 

するとふよふよと、青坊主が東郷の端末をどこからとも無く持ってきた

 

「にしてもこんな精霊が勇者をお役目に縛り付ける、ねぇ.....」

「これは本当に私の希望的な予想なのだけど、精霊自体は本気で主を守っているだけなのでは無いかしら、それを上手く利用もしくはそう言う風に作られるだけ....とか?」

 

確かに牛鬼や、青坊主、義輝に犬神、木霊と八咫烏からは邪気の様な物は感じない、寧ろ人懐っこく愛らしい

 

「確かに....それだったらいいな。いいか青坊主お前がどう言うつもりで東郷を守ってるかは知らないけど、東郷はたまにあんな風に無茶したりするし、これからも東郷の事を全力で守ってくれよ?」

 

するとビシィ!と敬礼をしてくる青坊主、すぐさま隣に刑部狸、不知火、川蛍が並び敬礼した(手の無いモノもいたが)

 

「ははは!頼もしいなってうぉ!?」

 

八咫烏も端末から勝手に飛び出し奏の目の前に出現する、少し機嫌が悪そうだ

 

「なんだ?もしかして他の精霊が俺に頼られてるから妬いてるのか?」

 

図星だったらしく、機嫌が悪そうに頭をゴリゴリと押し付けてくる八咫烏

 

「イタタタ!痛いってそんなにヤキモチ妬かなくてもお前の事は信頼してるよ、相棒」

 

ピタリと止まりこちらを見上げる八咫烏の頭を撫でてやる

 

....ホントに東郷の言う通りだったらいいなぁ




精霊たちはきっと全力で主を守ってるだけなんですよ!つまり精霊に罪はない!だが神樹様テメェはダメだ


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第73話 三好夏凜は責任感が強い

夏凜ちゃんの誕生日があるのにも関わらず、ウチではちょいと夏凜ちゃんに頑張って貰いましょう


「それって.....本当のことなの?」

「100%とは言えないけど、ほぼ本当の事だと思ってくれて構わない」

「.....そっかぁ~」

 

東郷からの情報提供の次の日、放課後友奈を東郷と共に学校の屋上に呼び出して先日分かった事を全て話した

 

「これじゃぁもう奏くんのご飯食べれないね、実は奏くんのご飯食べてみたかったんだけどね」

「......待ってな、そのうち味を感じなくてもめっちゃ上手い料理作ってやるから」

「ホント!?ヤッター!!」

 

見ているだけでも辛くなってくる、誰にだって分かる....友奈は無理をしている事位は、だがここで無理するな、なんて言えるはずもない。友奈の事だ皆に迷惑をかけないように無理をしているのだろう、これから夏凜や樹に説明しなくてはならないのだ、ここは友奈に多少無理をして貰う他ない

 

.....甘えてんなぁ俺

 

「この事って他のみんなは知ってるの?」

「あと樹と夏凜だけ知らない、1人ずつ説明してこうと思ってな」

 

夏凜は言葉は悪いが何も供物として捧げて居ない分他の皆よりも心配は少ない

 

問題は樹だよなぁ.....歌手目指してるのに声が出なくなる、か.......あぁ出来れば伝えたく無いけど、それこそ風に任せる訳にはいかないしな。うし、俺が頑張らないと!......あと、そろそろ園子にも謝んないと

 

「奏君、次は誰に話すの?やっぱり夏凜ちゃんかしら?」

「そうだな、明日になったら夏凜に話そう」

「今からじゃダメなの?」

「明日は悪いんだけど友奈にも参加して欲しいんだ、だから明日までに心の整理しておいてくれ、大変だとは思うけど」

「うん、分かった任せといて!」

「.....うどんでも食いに行くか、二人分奢るぞ?」

「ホントに!?ヤッター!!」

「ふふふ、全く友奈ちゃんたら」

 

そんな事をしていると奏の端末に電話がかかってきた、名前を確認すると三好春信

 

春信さんから?今の時間にかかってくるなんて珍しいな

 

「ちょっとゴメン電話来た」

 

一言謝罪をいれ電話に出ると

 

『良かった!!繋がらなかったらどうしようかと思ってました!!!』

「どうしました?随分慌ててるみたいですけど」

『嵌められました!まさかこんなに強引な手を使ってくるとは.....!!』

「あの、説明してもらわないとコチラも理解が.....」

『このままだと犬吠埼風さんと夏凜が消されてしまいます!!!』

「....は?」

 

一瞬いつもの冗談かと思ったが春信が夏凜を使ってこんな冗談を着くとは思えない、それに春信の様子が普段からは考えられない位動揺している、これだけで恐らく今の言葉が本当の事だという事が分かった

 

「風と夏凜が消される?どう言う事ですか!?説明を.....」

『説明してる暇はありません!!ついに上層部が動き始めました!!!お願いします奏様、夏凜を....夏凜を助け』

 

そこで電話は切れてしまった、急いでかけ直して見たが繋がらない

 

「か、奏君?どう言う電話だったの?風先輩と夏凜ちゃんが消される?」

「.....分からない、けどこんな冗談を言う人じゃ無いし、すごく焦ってたし嘘じゃ無いと思う.....」

 

だとしても、風と夏凜が消される?どうして?誰に?

 

考えても答えは一向に出てこない

 

そう言えば春信さんが前に言ってたな、大赦も1枚岩じゃ無いって.....

 

「取り敢えず風達の所に行こう!なんかすごく嫌な予感がする!!」




ここからは本編以上に大変な事が起きますよ、奏君には頑張って貰いましょう


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第74話 三好夏凜は責任を感じてる

fgoイベント始まりましたね、頑張って沖田オルタ当てたいですけど、配布で龍馬さんが貰えるので当たらなくてもモチベ保てますね


~side夏凜~

 

三好夏凜は時間を持て余していた、いつもなら部活で時間を潰しているのだが今日は急遽休みになってしまって、他の部員達は授業が終わるなりどこかえ行ってしまった

 

暇ね、何しようかしら......ってこう言う時こそ修行でしょ!最近部活動であんまり出来てなかったんだし!!!

 

そうと決まれば善は急げと家にトレーニング用の道具を取りに行こうとしたところで端末に連絡が入った

 

ん?大赦からの連絡?

 

『犬吠埼風が何かしらの理由で精神的に不安定な状態なのが確認出来ました、三好夏凜は急ぎ状況の確認をせよ』

 

.......随分と威圧的と言うか、命令口調と言うか......

 

いつもとは雰囲気の違う大赦からの連絡に一瞬疑問を覚える夏凜だったが

 

大赦も忙しいんだろうし、普段とは違う文脈なのも別に変な事じゃない、か

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あの後、風に連絡を取ると家に向かってるとの連絡が返ってきたため犬吠埼家のアパートに来ているのだが.....

 

「返事が無いわね....」

 

ドアの前に立ちインターホンを何度か鳴らすが中からの反応は無い、再度連絡を取ろうと自分の端末を取り出した時に、中からすすり泣く様な声が聞こえてきた?

 

「風?どうしたの、大丈夫!?」

 

返事は無く、すすり泣く声だけが聞こえてくる。流石に危険と思いドアノブに手を掛けて回してみるとドアが開いた、どうやら鍵は掛かっていない様なのでそのまま部屋に入っていくとリビングでテーブルの足の近くでへたりこんで泣いている風の姿があった

 

「ちょ!大丈夫!?ホントに何があったのよ!?」

 

急いで風に駆け寄る、そして風の足元に端末が転がっているのが見え、反射的に拾い上げた。その時に端末に写っていたメッセージに目を見開いた

 

『満開の後遺症についてですが、犬吠埼様の言う通り我々は満開に後遺症がある事は知っておりました。犬吠埼様が仰る通り満開の後遺症が治る事はありません。人類が世界を救う為には些細な犠牲は必要な事だったのです、寧ろこの程度の後遺症で済んだことは喜ばしい事だと思います』

 

「ねぇ夏凜.....私達がやって来た事ってなんなのかな?私達は皆の為に、世界の為に戦って来たのよね?それが些細な犠牲?この程度の後遺症?......ふざけるな」

「風?」

「ふざけるな!!!樹の声が無くなったのが些細な犠牲な筈ないでしょ!!!こんな.....こんな!」

 

ダン!と床を殴る風

 

「ちょっとどう言う事なの!?ちゃんと説明してよ!!」

「.....いいわよ教えて上げる、アンタにも知る権利があるものね」




風先輩が暴走するかどうかは夏凜ちゃんに託されました!......頑張って貰いましょう!!!


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第75話 乃木園子は〇〇である

前回書き忘れていましたけど、風先輩が夏凜ちゃんに話した時間と奏君達が友奈に話した時間は大体同じ位です、つまりは風先輩が説明し終わったあとに奏君に春信さんから連絡が来た感じですね


~side風~

 

私はいつも通りの顔を出来ているのだろうか?今日の放課後に奏達は友奈に勇者システムの事について説明するらしい、私も同行しようとしたが奏に止められてしまった。そんな顔で説明されても友奈が怖がるから今日はしっかり休んで明日頼む、と

 

「......確かに酷い顔ね」

 

学校の鏡で自分の顔を確認すると確かに、ひどい顔をしているこれでは友奈に無用な心配をかけさせてしまうだろう。奏の言う通り今日は帰り明日夏凜に話す時は私が話そう

 

取り敢えず樹探して今日は帰ろうかしら?......もしかしたら樹には私が様子が変な事ぐらい分かっているかもしれないけど

 

そんな事を考えながら樹のいる教室に着いた、教室の中を覗い見るが樹の姿は見えなかった

 

もしかしてもう帰ったのかしら?なんだ帰るなら帰るって言ってくれれば良いのに

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ん?夏凜から連絡ね、何かしら?」

 

家に帰る途中、夏凜から連絡が届いた、あまり夏凜から連絡を寄越すなんて事が無いので珍しい。メールの内容は少し話したい事があるから今から話せない?との事だった

 

話したいって言われてももう学校にいないし.....取り敢えず家に来てもらおうかしら、ついでにご飯も奢ってやりましょうその方が樹も喜ぶだろうし

 

夏凜にもう家に向かってるから話すなら家ではなしましょうの連絡を送りった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そう言えば大赦に連絡して無かったわね、聞いても無駄だとは思うけど.....一応聞いておかないとね

 

前回、東郷から説明をされてから大赦に連絡をしてどう言う事か聞いて見たが、その時は現在調査中とはぐらかされてしまった。恐らくは今回もはぐらかせる、もしくは何の問題も無いと返ってくるのは目に見えているがそれでも確認を取らずには居られなかった

 

「私達の身体の調査状態についての状況を教えて下さいっと、多分現在調査中とかって来るんでしょうね......」

 

大赦に連絡を送り、夏凜が来るまで料理の下準備をしていようとした瞬間に固定電話に電話が掛かってきた

 

「はい犬吠埼です」

「突然のお電話失礼します、伊予農ミュージックの藤原と申します」

「伊予農?」

「犬吠埼樹さんの保護者さんですか?」

「はい、そうですが.......」

「ヴォーカリストコンテストで二次審査を通過しましたのでご連絡を差し上げました」

「え?な、何の事ですか?」

 

ヴォーカリストコンテスト?そんなものは聞いていない、そもそも樹は声が出せないと言うのに

 

「あ、ご存知無いですか?前回の連絡の時にはお兄さんに連絡したのですが」

「お、お兄さん?」

「1、2ヵ月ほど前の事ですね」

「っ!!!」

 

咄嗟に電話を切ってしまった、思い出してしまったのだ、ずっと前に樹が言っていた私やりたい事が出来たよ、ときっと歌手がやりたい事だったのだろう.....

 

「樹!!居るの!?」

 

樹の部屋に呼び掛けるが反応が無い、扉を開けて中を確認するが樹の姿は無かった、恐らくまだ帰って来ていなかったのだろう、中に入ると樹の机の上にあるノートに目がいった

 

体長を良くする方法!

よく寝る

たっぷり寝る(だから朝起きられないのは仕方ない)

栄養のあるものを食べる(また奏先輩の料理食べたいな)

奏先輩の考え方を変える!!!←ここが1番重要

 

そんな事がノートに書いてあった、本棚には喉の調子を治す本などの健康に気をつける本が並んでいた、そしてテーブルの上には樹のノートパソコンが置いてあった、デスクトップにはオーディションと言う名前のファイルがあり開いてみた




この辺りの風先輩が1番見ていて辛かったのは私だけでは無いはず.....


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第76話 乃木園子は〇〇である(中編)

奏君の普通過ぎるキャラに悩んでいる今日この頃、もう少し尖らせたキャラでも良かったかな~


樹のノートパソコンにあったオーディションと言う名前のファイルには、名前通りオーディション用の音声データが入っていた。もう二度と本人から聞くことは出来ない、その声で......

 

「あぁぁ....うぁ.....!」

 

自然と嗚咽が漏れる、樹は自分の夢を叶えることで自分を変えたいと言っていた、そして姉である私の後ろでは無く横に並んで進んで行きたいと、だがそれを他ならぬ私が樹の夢を奪ってしまった.....そう私が樹を勇者部に誘わなければこんな事にはならなかったはずなのに

 

「私が.....私が樹を勇者部に誘ったばっかりに......!」

 

悲しみと共に自分自身への怒りが込み上げてくる、それと同時に端末に連絡が入った先程大赦に送った連絡の返事だった

 

『満開の後遺症についてですが、犬吠埼様の言う通り我々は満開に後遺症がある事は知っておりました。犬吠埼様が仰る通り満開の後遺症が治る事はありません。人類が世界を救う為には些細な犠牲は必要な事だったのです、寧ろこの程度の後遺症で済んだことは喜ばしい事だと思います』

 

「些細な犠牲?喜ばしい?」

 

色々な感情が渦巻いている、自分への怒り、樹の夢を奪ってしまった悲しみ、もう二度と満開の後遺症は治らないと言う哀しみ、満開の後遺症を黙っており些細な犠牲と言った大赦への怒り。そんな様々な感情を抑えきれずに嗚咽を漏らしながらフラフラとリビングまで歩いていき、テーブルの足にしがみつきながら崩れ落ちた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「これが私の知っている事全てよ」

「そん、な......それじゃぁ皆の身体は.....」

 

呆然としている夏凜、無理も無い私も東郷から聞いた時同じようになったのだ、だが今はそんな夏凜の世話を見ている暇はない。端末を拾い上げ勇者システムを起動する

 

「風?アンタどうして勇者に......」

「そんなの決まってるでしょ.....大赦を、潰すためよ」

「大赦を潰す!?アンタ本気で言ってんの!?」

「私は本気よ、こんなシステムを作り出しておいて私達には何も言わない大赦を潰す」

 

それをやってしまえば取り返しのつかない事ぐらい今の私にだって分かる、だが知ったことかどんな事があろうとも私は大赦を潰す徹底的に全てを.....その為だったら何だってやる

 

「冷静になりなさいよ!そんな事したら.......」

「私はいたって冷静よ、それでアンタはどうするの?私を止める?止めるなら容赦はしないわよ、私は何があろうと大赦を潰す。邪魔する奴も容赦しない、たとえそれがアンタであってもよ夏凜」

「私は.....」

 

返事は無い、それならそれで別にいい私だって好きで夏凜を攻撃したくは無い。夏凜に背を向けて窓に向かって歩いていく

 

「っ!!待ちなさい!私も!私もアンタと一緒に行くわ!!!」

「.....そう勝手にしなさい」

 

恐らく夏凜は責任を感じているのだろう、自分だけが満開の後遺症が無く無傷で居ることに、その事で悩んでいた私の力になれなかった事に、恐らくその罪滅ぼしという形で私の手伝いをするつもりだろう。それならそれでいい、私の敵にならないなら万々歳だし寧ろ協力してくれるなら利用できるだけ利用しよう

 

「じゃ、行くわよ」

 

そう言って大赦を潰すために勇者の力を行使し飛翔した




本編よりも冷静?な風先輩でした、理由は奏君の存在と夏凜ちゃんに1度説明した事で頭も多少冷えているからです......よく考えれば本編よりも酷い状態なんじゃ?


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第77話 乃木園子は〇〇である(後編)

昨日のうちに投稿したと思ったら出来ていなかったと言う凡ミス....

ラッキーセブンが2つなのにこんなにドロドロとした話で申し訳ねぇ.....
あとひとつ、一体いつから奏君が暴走すると錯覚していた?


春信さんから連絡を貰ってすぐに勇者システムのマップを使って風と夏凜の位置を確認すると、すごいスピードで一方向に進んでいた、風達の進む先にあるのは.....大赦。奏達も勇者システムを起動し風達の元へ向う、位置的に一直線で向えばギリギリ追いつく事ができるはずだ

 

「奏くんどう言う事?風と夏凜ちゃんに何があったの?」

 

すぐあとから追いかけてきた友奈がそんな事を聞いてきた

 

「分からない、俺にも何が何だか....」

 

春信さんの言葉を思い出す、以前春信さんは大赦は1枚岩では無いと言っていた、それにさっきは嵌められたと.....もしかしたら風が追われている相手は大赦の人達なのかもしれない。だがだとしたらなぜ大赦は風達を消そうとしている?有り得るとしたら何かを知ってしまったとか?......ダメだ答えは出てこない、取り敢えず風達と合流しないと何も始まらない

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

しばらく移動していると風達の姿が見えた

 

「あ!奏くん風先輩達いたよ!おーい2人ともー!!!」

 

友奈の声に気が付いた様でその場に止まった風と夏凜、近くには特に怪しい人影はいない

 

「あら?どうしたの皆してそんなに焦って」

「先輩達こそ何とも無いんですか!?どうしてこんなところに!?」

「どうしてってそんなの大赦をぶっ潰す為に決まってるでしょ?」

「え?」

 

俺たち3人は風が平然と言っているその言葉に唖然とした

 

「た、大赦を潰す?冗談にしては面白くないぞ風?夏凜もこんな変な冗談につい合う必要なんて.....」

「私は本気よ、本気で大赦をぶっ潰してやるわ」

「な、なんでそんな事......」

「コレを見て」

 

そう言って風は自分の端末をこちらに見せてきた、そこには大赦からのメッセージ、だが内容を見て俺たちは驚愕した

 

「ね?おかしいと思わない?満開の代償として身体機能のひとつを神樹様に供物として捧げる事わだまっていたかと思ったら、それが些細な犠牲だってよ?樹の夢を奪って置いてそれが些細な犠牲って言ってんのよ?」

「お前、まさか樹がヴォーカリストを目指してるのを.....」

「え?奏は知ってたの?な~んだ樹も人が悪いわね姉である私には話さないなんてね。ま、いいわよ丁度いいしアンタも大赦ぶっ潰すの手伝いなさいよ」

 

笑っている風のいつもとは様子がおかしい風に俺た3人は戦慄した、きっとこのままでは風は本気で大赦を潰しに行ってしまうだろう

 

「そうだ奏、アンタも手伝ってよアンタもおかしいと思わない?樹の声を、夢を捨てでも救われる世界なんておかしいと思うでしょ?こんな世界消えてしまえばいいのよ」

 

そうだ.....そうだよなそもそも大赦が黙っていた事に問題がある、しっかり話してくれればなんとでもやりようはあったのだ

 

「ふ、風先輩ちょっと落ち着きましょうよ、そんな事をしても何も変わりませんよ?」

 

友奈が風の前に立って何とか風を宥めようとする友奈

 

「.......そ、友奈は私の邪魔をするのね」

「え?」

「じゃアンタから先にぶっ潰す」

「っ!!!!」

 

風が持っていた大剣を振りかぶった、標的は友奈以外に居ない、反射的に友奈と風の間に身体を滑り込ませて防御姿勢を取った瞬間に強烈な衝撃が頭上から襲ってきた、一応は八咫烏がバリアを張って守ってくれた様だが、バーテックスにも劣らない強烈な衝撃だった

 

「どうして止めるのよ奏?」

「お前こそ何やってんだよ!いくら精霊のバリアがあるからってやっていい事と悪い事が!」

「私の邪魔をするなら誰だって敵よ、それは誰であろうと変わらないわ」

 

風の大剣を弾いて近くいた友奈をだき抱えて風との距離を開ける

 

「それに何も知らない一般人もいるんだぞ!?神樹様の加護が無くなったら皆死んじゃうんだぞ!?」

「じゃぁ何!世界の為に樹の声は仕方が無かったって!必要な犠牲だったって言いたいの、アンタは!?」

「ちが、そうは言ってな.....いや、そうだ単純な計算だよ風、6人の人間と四国全ての人間、価値が大きいのは明らかだ......」

「アンタは......アンタはいつだってそうだ!私はいつもアンタを信じてきたのにアンタはいつだって私を裏切る!!!」

 

今自分が酷い事を言っている事ぐらい分かっている、けど、それでも風や夏凜に世界を消させる訳にはいかない、2人の為にも皆の為にも.....その為ならいくらでも憎まれ役になってやる、感情に身を任せるのは他の人にやらせればいい、俺は感情に呑まれるな、感情を理性で乗りこなせ

 

殺せ、殺せ、惨殺せよ、殺戮せよ、破壊せよ、抹殺せよ......脳内に自分のものでは無い別の感情が入り込んでくる、身体は風達を敵だと認識した様だ、都合がいいこれなら何も考えずに風達を止める事ができる

 

「俺は世界の、神樹様の味方だ」

「.......そう、じゃぁアンタは私の敵ね」

「友奈と東郷は下がってろ、俺だけで十分だ」

 

こんな事を友奈と東郷にやらせるわけにはいかない、こんな事をするのは俺一人で十分だ




今まで感情で動いて来た奏君が理性で感情を押さえつけました、アレですよ興奮してる人を見ると冷静になりますよね?そう言う感じです


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第78話 乃木園子は〇〇である(終編)

風先輩ほど敵キャラとして書きやすいゆゆゆキャラも他にいないんじゃないですかね?


生太刀を抜刀し目の前にいる風に斬り掛かる、だが横から先程まで黙っていた夏凜に割り込まれ防がれてしまう

 

「はん、さっきまで黙ってたから何もしないと思ってたよ」

「お生憎様、私達の邪魔をするなら容赦しないから」

 

夏凜の刃を弾いて距離を取る、その瞬間に先程までいた場所を風の大剣が大地を抉った

 

「2体1で卑怯なんて言わないでね」

「ちょうどいいハンデだよ、寧ろもう少し人数増やした方がいいんじゃないか?」

 

痩せ我慢の挑発では無い、勝つ自信がある

 

「奏君、やっぱり私達も....!」

「要らないよ、東郷達はそこで見ててな、こう言う事は俺がやる」

「でも!」

「じゃぁ2人は夏凜や風を攻撃出来るのか?」

「それは......」

「アッチは普通に攻撃してくるぞ、一切の躊躇なくな」

「.......」

 

黙ってしまう東郷と友奈、そうだそれでいい2人に友達と命掛けで戦わせる事なんて出来ない

 

「もういいかしら?こっちも早くアンタ倒して大赦ぶっ潰さないと行けないんだけど?」

「あぁ悪いな、もう終わったよ。さて再開しようか」

 

生太刀を構える、先程から脳内には殺せ殺せと、鳴り響いている。暴走寸前の理性を必死で引き留める、だが精霊からの精神干渉も捨てたものでは無い、何も考えずに風達を倒す事が出来る。......何も考えなさ過ぎると呑み込まれてしまうのだが

 

ま、取り敢えずは1人を落として1体1に持ち込む

 

生太刀で斬り掛かる、狙いは夏凜

 

「2対1で私に勝てると思ってるの?」

「さぁ?どうだろうな」

 

脇目で風を確認しつつ、夏凜を攻め立てる

 

「お前さ、なんで今風と一緒に戦ってんだ?なんで大赦をぶっ潰すとか言ってんだよ」

「は?そんなの大赦が私達に黙ってたから」

「違うな、お前は責任を感じてるだけだ、自分だけ満開出来なかった、自分だけ満開の後遺症が無い、それでも誰も責めてくれない、だから風を手伝う事で罪滅ぼしをしようとしてるだけだろ?」

「ちが、私は!」

「嘘つけ、だったらなんだこの鈍みたいな剣筋は?」

「っ!?」

 

図星か、まぁ最初に切り結んだ時にはもう分かってたけどな。

 

「おまえも友奈達と同じだよ、覚悟ができてないなら仲間の前に立つな!!!」

 

夏凜の刀を弾き、首筋に生太刀に押し付けた

 

「一旦そこで頭冷やしてもっかい考え直せ」

 

崩れ落ちた夏凜を横目に見て風に向き直る

 

さっきのセリフで少しぐらいブレてくれれば良かったんだが......こりゃ変わんなそうだな

 

正直に言うと自分も偉そうな事を言っておいて風を攻撃する覚悟が出来てはいない、いくら精霊がバリアを張ってくれると言っても、友人に刃を向けるのはしたくない、恐らく本気で戦えば風に勝つ事は容易だろう、だが恐らく本気で戦えば精神干渉に飲み込まれてしまうだろう

 

て言っても長く戦ってたら多分飲み込まれてだろうしなぁ.....やるとしたら防戦一方になりながらの説得か....最悪融合もひとつの手ではあるけど、精神干渉に飲み込まれて風を傷付けたら元も子もないし、それに次に出る障害が日常生活に支障のある事が起きれば風を止めたところで、その後風への負担が大きくなるし

 

「で、夏凜は考えてくれるみたいだけど?」

「別に関係無いわよ、私1人でも大赦はぶっ潰す」

 

ほらコレだ、ヤル気満々ですよ.......ったく干渉抑えるのも疲れるんだけどな~っと

 

少しテンションが上がっている、こんな状況なのにも関わらずなのに....恐らく少しずつだけが干渉が始まって来ている、あまり時間は無い様だ

 

「で、ホントにお前はそんな事をして樹が喜ぶと思ってんのか?」

「.......樹は関係無い」

「いやいや、さっきまで樹樹って言ってたのに樹は関係無いとか流石に無理だろ?で?こんな事をして樹は喜ぶと思ってんのかって聞いてんだよ」

「........うるさい」

「自分の為に友達を傷付けて、世界を滅ぼして、そんな事をされて本気で樹が喜ぶと思ってるのか?」

「うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさい!!!」

 

駄々をこねるように大剣を地面に叩きつける風

 

「.......はぁ、そうやって思考を止めれば楽だろうけどさ、それじゃぁ前には進めないぞ?」

「っ!!なんでアンタはいつもいつも!私と別れる時だって簡単に割り切って!私はいつも通りに過ごすのが凄く大変だったのに、アンタはいつもと変わらないように生活して!しかも私は別れたのに、他の子達と仲良くして!!」

「な、今はそんな事関係無いだろ!?」

「そんな事!?アンタにとってはそんな事なの!?」

 

詰め寄る風に後ずさってしまう

 

「アンタにとっては昔のことで、そんな事なのかもしれないけど私は今でも......!」

「違う!俺は.....!」

「違わないよ!私にはアンタしか居なかったのに、アンタにとってはその程度の事だったんでしょ!!!」

 

泣きじゃくる風、まさかここまで思ってる事だとは思わなかった.......俺は風に甘えていたのだろう、風なら大丈夫と平気だと、その結果がコレだもしも俺が風のそばに居られればこんな事にはならなかったのかもしれない.....

 

「.......」

「何とか言いなさいよ!」

「........ごめん」

「っ!!!なんで謝るのよ......ここで謝られたら私は!.....あぁぁぁぁぁ!!!」

 

大剣を構えつつこちらに突撃してくる風、ソレは大振り過ぎて避けるのは簡単だろう、だが避けるわけにはいかない、防ぐ訳にもいけない、ソレは受けなければならない、生太刀を投げ捨て、向かってくる風を抱き締める

 

「な!離して!離してよ!」

 

きっとここで風を離せば前と変わらない、風に甘えるだけだ、いつまでもそうしている訳にはいかない

 

「ごめん、風がそんなに思い込んでるなんて思って無かった.....俺だってあの時俺には風しか居なかったよ、けど風が勇者部を作ってくれたお陰で皆と会えた、みんなに支えて貰えた......俺はそんな勇者部が大好きだ、だからもうこんな事やめよう」

「でも.....もう私は......」

「今なら間に合う、まだ何もしてないんだ引き返せる」

「でも、私皆に.....」

「だったら謝ろう?皆に、勇者部の皆はそれで許してくれない様な奴らじゃ無いよ、後はまぁ後任に任せようか」

「後任?」

 

風の後ろを指さす、そこには樹の姿があった一体いつからいたのだろうか?彼女やら付き合ってたらやらの話辺りからだったら恥ずかしいものだが.....と言うか友奈達は確実に聞いていただろうからなんだかなぁ

 

抱き締めていた風を離して、樹に向かわせる。どうやら上手く言っている様だ、恐らく自分では出来ない家族ならではの信頼と言うヤツだろうか?風はもう大丈夫だろう、自分は未だに座り込んでいる夏凜に向う

 

「よう、頭は冷えたか?」

「.....お陰様で、しかもあんなもん見せられたらヤル気もなるなるわ」

「そりゃ良かった」

「......悪かったわね、アンタの言う通りしっかり考えれば風を止めるべきだったのにね」

「いんや、仮にお前が風と敵対してもあんまり役に立たなかったんじゃ無いかな?結局覚悟決まってるかどうかは大きい所だと思うぞ?」

「言ってくれるわね......ま、確かにそうね、あの風に気圧されてたかもね」

 

ここまで考えられれば大丈夫だろう、取り敢えずは1件落着かな?そう言えば結局夏凜達が消させるって何の事だったんだ?そもそもなんで大赦はあんな風に煽る様なメッセージを送って来たんだ?反乱が起きるとは思わなかったのか?送るにしても勇者システムを取り上げてからとかやりようはあった筈なのに.....

 

考える、が出てくるのは疑問ばかり

 

春信さんは嵌められたと言っていた、恐らく春信さん達と対立している大赦の人間だろう、そこまでは分かる、だが何をそいつらは何を狙っていた?風達を元々消す為にあんなメールを送ったのか?なら何の為に?消す理由なんてあるのか?

 

だが関係無い、今回は何も起こらなかった。いや、何か起こる前に何とかなった。ヤツらの野望は止められた、まぁホントに何も無く今回の事件が終わって良かった。

 

.......いや、待てよ、そもそもコレが、この場所に問題を起こして勇者部が集まって居ることに意味があるのだとしたら?

 

「奏?どうしたの?顔色悪いわよ?」

 

ぞく、と背後から嫌な予感がしたその場にいた夏凜を突き飛ばす、瞬間に先程まで夏凜がいた場所に1本の槍が突き刺さった

 

「これ、は?」

「いや~、流石アモりんだね今のを避けるとは思わなかったよ~」

 

驚愕する、その人はここに居る筈がない、だが自分がよく知っている声、そして自分をアモりんと呼ぶ人は1人しか思い付かない

 

「その、こ?」

 

ソレは自分達の勇者の服装に似た、しかし禍々しい姿の乃木園子の姿があった




今回が大分長くなってしまった.....まぁやっとタイトル回収出来たので頑張ったかいがありました


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第79話 乃木園子は切札である

園子様のヤンデレって.....いいよね?


「え~と?ヒーフーミー.....うん全員揃ってるね~」

 

何故だ?何故園子がここにいる彼女は大赦で身体を動かす事すら出来ない筈だ.....なのにどうしてここに居る?どうして勇者の姿になっている?どうして夏凜を攻撃した?

 

足が動かない代わりに多数の槍を使いまるで蜘蛛の様に歩いている園子、背中には大きな輪の様なものにそのにも多数の大小様々な槍が装備されていた。そして園子の近くには槍が数本浮かんでいる、すべての槍を含めると30本近くあるのではないか?

 

「園子!!何するんだ!いくら精霊のバリアがあるからってやっていいことと悪い事があるだろ!それにどうしてここにいるんだよ!?どうして勇者になってるんだよ!?」

「うぅ.....せっかく久しぶりにあったのに、そんなに一度に聞いて来ないでよアモりん、混乱しちゃうよ~」

 

いつも通りの園子の様におっとりとした話し方をしている、だが今はそれに付き合っては居られない

 

「じゃぁなんで勇者になってるんだよ!だってお前は2年前の事故で.....!」

「あ、それはそこにいる東郷美森さんなら分かるよ?いや、わっしー?」

「わっしーって私の事?」

「そうだよ~?」

「東郷さんはあの人の事を知ってるの?」

「え、えぇあの人が私があった先代勇者よ」

 

先代、勇者?園子がまさかそんな.....だって園子は2年前の怪我で寝たきりの.......

 

「わっしーの言っている事は本当だよ、私が先代勇者、私の身体は神樹様への供物として捧げてこうなったんだよ」

「園子が.....先代勇者?」

「ごめんねアモりん、でも黙っていてって大赦の人達に言われてたから仕方無かったんよ~。あとは......私がここにいる理由だったっけ?それは簡単な事だよ」

 

さも当然の様に園子は言った、だが俺はその言葉をすぐには信じられなかった

 

「私はここにいる皆を消す為にここにいるんだよ?」

「な!?」

「どうしてそんな事を!?って顔してるね、いいよ教えてあげる、勇者システムの本当の事を知った貴方達はね危険分子なんだよ、貴方達はいつ暴走するか分からない。大赦はそんな貴方達を放置出来なかったんだよ、その為にわざと煽る様にして反乱を起こした、消す為の理由としてね」

「そ、それでなんで園子がここにいるんだよ!それだけの理由なら園子がここにいる理由なんて.....!」

「もう、アモりんならもうわかってる癖に~」

 

あぁ、わかってる......もう想像はついているそれ以外は園子がここにいる必要なんて無い.....

 

「私が対勇者殲滅用の勇者だからだよ、つまりは貴方達を消すのは私」

「そん....な」

「それにしても待ってるのが大変だったよ、中々茶番が終わらないんだもん」

「茶番?」

「うん、茶番だよ。だってそうでしょ?嵌められていると言う事も知らずに、まんまと乗せられてどうでもいい事で喧嘩してるんだもん、茶番以外の何者でも無いでしょ?」

「っ!!!もっかい言って見なさいよ!茶番!?アンタ達が元々私たちにしっかり話していないから.....!」

「あぁ、もううるさいなぁ~」

 

園子の言葉に怒りを顕にした風を鬱陶しがるかのように、普段は動くはずの無い左腕を無造作に、空を凪いだ。それと同じ様な動きをするかのように園子の近くを漂っていた槍が風を襲った、風はギリギリでそれを避けた、だがその頬には一筋の血が流れていた

 

「そんな!精霊のバリアを.....」

「言ったでしょ?私は対勇者殲滅用の勇者なんだよ?精霊のバリア位無効化する方法ぐらい搭載されてるよ~」

 

いつも通り無邪気な笑顔を浮かべながら、多数の槍を空中に装備した




もっと禍々しい園子様を書きたかったけど......まぁ異常な感じには書けたかな?


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第80話 乃木園子は切札である(後編)

そろそろ園子様の心の声の話とか作りたいですね~


風を攻撃した槍を生太刀で弾き飛ばし、風を抱えて距離を取る

 

「あ、もうアモりん邪魔し無いでよ~」

「やめてくれ園子!こんな事間違ってる!!幾ら大赦に言われた事だからってこんな事.....!」

「う~ん、正直大赦は関係無いかな、さっき言ったのはあくまで大赦がやりたい事なだけであって私自身に勇者部を消す理由があるからね~」

「勇者部を消す理由?なんでそんな事を.....」

「だってアモりんったら勇者部に入ってから私の事を放っておくんだもん」

 

俺が、園子を放っておいた?そんな事は

 

「そんな事はしてない、なんて言わせないよ?アモりんは勇者部に入るまでずっと私の為に色々してくれて、ずっと一緒に居てくれたのに、勇者部に入ってからは帰りが遅くなったり、お泊まりに行ったり、デートしに行ったり.....私はずっと我慢してたんだよ?なのにアモりんは私を怖がって逃げたよね?それも勇者部のせいなんでしょ?」

「違う!俺は......!」

「でも、大丈夫だよ?悪いのはアモりんじゃないのは私はしっかり知ってるからね、ね?そうだよねわっしー?」

「え?」

「約束も破って、私からアモりんを奪うんだもん。流石に私も怒っちゃうよ~?」

 

身に覚えの無い東郷は困惑していた、それもその筈だそもそも東郷が乃木園子にあったのは前回が初めての筈だから

 

「私が貴方にあったのは前回が初めての筈だけど.....」

「あ、そうか記憶無くなってるんだっけ?ごめんごめん、それじゃぁ分かんないよね、今返すから。あ、ついでにアモりんも思い出させて上げるね?」

 

園子がコチラに手をかざした瞬間に脳内に映像が流れ込んでくる、だがいつものモノとは違い、鮮明に無理なく映像が流れ込んでくる、自分には分かる....コレはきっと自分の2年前の記憶だ

 

「その、っち?」

「そうだよ~乃木さん家の園子さんだよ~」

 

あぁ.....そうだ自分も思い出した、自分は2年前に乃木園子、鷲尾須美、三ノ輪銀と共に世界を守っていた

 

「約束覚えてるよね?絶対に抜け駆けはしないって、それなのにわっしーはミノさんが死んで、わっしーも最後の戦いで戦えなくなった時に私が守らないとって、私は沢山、沢山満開したんだよ?その結果がコレ....」

 

一体何度満開したのだろうか?恐らく10数回ではくだらないかもしれない、そんな量の満開を一度にした園子の苦しみは計り知れなかった

 

「正直世界なんてどうでも良かった、私はわっしーを守る為に沢山満開したんだよ?好きな人と一緒に学校にも行けない、好きな人が落ち込んでいる時に頭を撫でて上げることも出来ない、好きな人と一緒にデートに行く事も出来ない、好きな人と一緒に海に泳ぎに行く事も出来ない.....けど私は我慢してたんだよ?アモりんが一緒に居てくれたから、なのにわっしー達は私からアモりんまで奪った、私にはアモりんしか居ないのに、アモりんだけが私の支えだったのに!!!」

「そんな.....そのっち、私は!」

「うるさいよ、言い訳なんて聞きたくない......わっしーは最後に殺してあげるから、少し寝てて」

 

その言葉を聞いた瞬間に東郷がその場に倒れ込んだ

 

「東郷!?っ!園子、東郷に何をしした!?

「えっとね~......うん!口で説明するよりも体験した方が早いよ!!」

「体験って.....そんな事させる訳!」

「ねぇ、アモりんさっき記憶は戻って来たよね?その記憶におかしな所は無い?」

 

園子に自覚していた事を突かれた、確かに戻って来た記憶にはおかしな点がいくつかある、自分は確かに2年前に園子達と共に勇者になっていた、しかし最後の記憶がおかしい......なぜなら自分は最後の時に

 

「そうだよ、2年前の戦いの時アモりんは、死んだ記憶で最後だよね?今ここに居るのは奇跡的に一命を取り留めた、とかでは無いんよ」

「な、ならなんで俺は今ここに.....」

 

確かに自分は生きている、それは確かだ。だが園子の言う通り2年前の記憶の最後は俺は敵に殺された......

 

「それはね、アモりんが普通の人間じゃなくて神樹様に作られた、いわば神造人間なんだよ」




という事で奏君の正体?が分かりました、でも少し話の進ま方が早足過ぎたかな?


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第81話 安森奏は神造人間である

園子様と勇者部の修羅場が印象強過ぎて、若干空気な奏君......


「俺が人間じゃ......無い?」

「そうだよ、今のアモりんはアモりんの記憶を元に神樹様が作った神造人間なんだよ」

 

神樹様に作られた?俺が?

 

「あぁ、アモりんは可哀想だね......死ぬ時凄く痛かったでしょ?苦しかったでしょ?寂しかったでしょ?辛かったでしょ?アモりんはこれから何度も死んでも造られて、死んでも造られて、そうやって神樹様の駒として戦い続けるんだよ?何度もあの苦しみを味わうんだよ?」

 

園子の言葉を聞いた瞬間に全身に悪寒が走った、またアレを味わう?冗談じゃない!嫌だ、もうあんな思いはしたくない!!!!

 

「どうしてアモりんだけがこんな目に合うんだろうね?理不尽だよね?そんな事を強いられるこの世界を守る価値はあると思う?うぅん無いよね、だから......アモりんはもう楽になればいいよ」

 

園子がコチラに向かって手を翳した、その瞬間に膝から崩れ落ち、地面に倒れ込んだ。力を入れようとしても動かない、精々首を動かし周りを確認するぐらいしか出来ない

 

「これ、は.......」

「おぉ!凄いしどろもどろとは言え喋れるんだ!流石アモりんだね、それとも神樹様に造られたその身体のお陰かな?とは言えこれで私の精霊の力が分かったよね?私の精霊の餓者髑髏は人の心の弱い所や、黒い所を増幅させて精神に干渉して相手の自由を奪うんだよ、まぁバーテックスや黄金十二宮には通じないけどね」

 

説明しながら今だに地面に倒れ込んでいるコチラに数本の槍を使いながら、コチラに歩み寄ってくる園子

 

「大丈夫だよ、痛く殺したりしないから。アモりんを1度殺してもう一度神樹様にアモりんを造って貰うんだ!そうしたら記憶も無くなってるから、また私のそばにずっと居てくれるよね?」

 

さも嬉しそうに語る園子、その顔には一切の悪意は無く、ただ純粋に本気でそう思っているのだという事が分かった

 

「じゃ、ばいばいアモりん」

 

そう言って空に浮いていた槍の1本をコチラに向けて放った。がその槍は奏に届く事は無かった、夏凜が間に入り槍を二本の刀で受け止めていた、そうして風は足を止めていた園子の頭上から大剣を振りかぶり強襲を仕掛ける

 

「こんのぉ!奏から離れろ!!」

「もう邪魔しないでよね~」

 

たが渾身の風の一撃は簡単に槍に阻まれてしまった

 

「友奈ァ!」

「はい!!」

 

だが夏凜の背後から友奈が拳を振りかぶり園子に殴り掛かる、園子はそれをバックステップで距離を取った、その隙に樹がこちらに近寄って来て心配そうにこちらを覗き込む

 

「大丈夫奏!?」

「あ、あぁ身体は何とも、無い」

「はぁ......仕方無い、アモりんは少し待っててね先に他の勇者部の人達を殺してから殺して上げるから!」

「ふん、やれるもんならやって見なさいよ!対勇者殲滅様だかなんだか知らないけど完成型勇者の私の敵じゃ.......」

「ふふ、あはははは!」

 

夏凜の言葉を遮り、大きく笑っている園子

 

「何が可笑しいのよ!!」

「はは!だって完成型勇者?貴方が?はは!!前線に投入されるのも遅い癖に、大きな戦果は挙げられず、皆が満開をして命懸けで世界を守ってるのに1人だけ対価無しにのうのうと生活してるのが完成型勇者なの!?あはは!」

「な!?」

「とんだ役たたずな勇者が完成型だなんて笑わせるね!?もうそこで倒れてなよ!」

 

園子は餓者髑髏の力を発動させた、夏凜も膝から崩れ落ち、その場に倒れ込んでしまう

 

「夏凜ちゃん!?もうやめてよ!こんなことをしても奏くんは喜ばないよ!?ちゃんと話合おうよ!そうしたら......!」

「話し合い?他の人に隠し事をし続けて来た貴方がよく言えるね?」「え?」

「満開の後遺症の時も皆に黙っていて、皆を騙してる。でもそれだけじゃ無いよね?貴方はずっと勇者部に隠し事をしてる、そんな人が話し合おうよ!分かり合えるよ!そんな事を言われて信じられると思う?」

「そんな!私は.....!」

「違うって言うの?何ならこの場で皆に言って上げようか?結城友奈はずっと.......」

「やめて!!!!」

「........そう、結局話せないんだね。なら貴方はそこで見てなよ、ちゃんと全員殺して上げるから」

 

今度は標的を友奈にして餓者髑髏の力を発動させた、結果友奈も膝から崩れ落ち、倒れ込んだ

 

「次はね~犬吠埼風、貴方にしようかな?ねぇ貴方はどうして今こんな状況になっているか知ってる?」

「は?そんなの大赦が.......」

「そうだね大元は大赦のせいだよ、でもねこうなったのは貴方のせいなんだよ?貴方が冷静になって自分のすべき事、現状の整理をして暴走しなければこんな事にはならなかったよ?大赦からの連絡だって冷静に考えれば、何か可笑しいって分かった筈。なのに貴方が感情的に動いたせいで大赦の思惑通り......可哀想だね、貴方のせいで勇者部の皆は死んじゃうんだよ?貴方が部長なのにしっかりしていないからね、でも安心して、責任を持って貴方には1番先に死んでも貰うから」

 

そう言ってまた餓者髑髏の力を風に向かって発動した、風もその場に倒れ込んだ

 

「残ってるのは貴方だけ犬吠埼樹、ここまで色々言ってきたけれど、貴方が1番の役たたずだよ、戦闘でも足を引っ張る事が多くて、いつも姉の背中に隠れて過ごしている。貴方には勇者は向いていないよ、だから私が終わらせて上げる」

 

園子は樹に手を翳し、餓者髑髏の力を発動させる。最後に残った樹も膝から崩れ落ち、倒れ込んだ

 

「!!!」

 

たが、倒れきる前に腕を突き出し、そのまま立ち上がる

 

「アレ?失敗しちゃった?じゃもう1回」

 

もう一度餓者髑髏の力を発動させる園子、だが樹は今度は後に数歩後ずさっただけで、今度は倒れ込む事さえなかった。毅然と園子を見据えている

 

「......へぇ、まさか一瞬で餓者髑髏の力を破るとは思わなかったよ、いいね貴方面白いよ。うん、貴方は見逃してあげるよ、どこにでも逃げれば?追い掛けたりはしないし、大赦にも放っておくように言って上げる」

 

だが樹は園子の言葉には耳を傾けずに、依然として園子の前に立ちはだかる、倒れている皆を守るように

 

「......そっかそんなに死にたいなら貴方は1番先に殺して上げるよ、私は歴代最強の勇者でしかも満開を沢山してるし、貴方には精霊のバリアが無くて私にはある.......戦力は差歴然だね~」

 

その言葉と同時に腕を払うと、それと同調して大型の槍が空を薙ぎ払う、それを樹はギリギリでさけワイヤーで反撃をするが、樹の攻撃は精霊のバリアによって園子に届く事は無い

 

「無駄、無駄だよ、さてどこまで耐えられるかな?」

 

今度は小型の槍を複数樹に向かって放つ、樹はソレをすべてワイヤーで叩き落として見せた、その後もかすり傷などを受け少しづつ怪我が増えていく樹だが、何度も園子の攻撃を捌いていく、園子の言う通り戦力は差は歴然、その上あまり戦闘の得意では無い筈の樹だが防戦一方とは言え園子と戦えている

 

「へぇ、思ったよりもやるね、でもコレも捌ききれるかな?」

 

園子は再度槍を放つ、だが標的は樹では無く奏だ、樹はギリギリで奏と槍の間に入り攻撃を捌く、だが攻撃は続く樹は回避出来ない、回避をすれば後にいる奏に攻撃が当たってしまう。少しづつ攻撃を捌く速度が遅くなって来た

 

「そろそろ限界かな?ならこれでおしまいだね」

 

園子は大型の槍を横に薙ぎ払った、樹その攻撃をワイヤーで掴み軌道を逸らすが、大きな隙が出来てしまう、その子にもう1本大型の槍が樹に遅い掛かる、今の樹にその攻撃を防ぐ術は無かった......

 

ガキン!視界の端から飛び出してきた何かが園子の槍が弾き飛ばし、樹へ直撃する筈だった攻撃が逸れた

 

安森奏は視界の端から飛び出してきたものを確認して驚愕した、それは赤い衣装に身を包み、隻腕で片手には大きな戦斧を携えた少女が立っていた、奏は、いや奏と園子と東郷はその少女の事を知っている、だがその少女が今この場にいる筈が無いのだ

 

「そん、な、ミノ.....さん?」

「おう、三ノ輪さん家の銀さんだぜ?2年ぶりだな!」

 

その少女の名は三ノ輪銀、2年前奏達と共に戦い命を落とした筈の少女が樹を守った




はい、実は生きてた銀さんでした!一応言って置くと正真正銘の三ノ輪銀です


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第82話 安森奏は〇〇である

実は初期の案ではミノさんは普通に死んでるって言うことで話を進めて行こうかと思ったのてますが、やっぱりSS書くならミノさんの生存ルート書きたいと思って急遽変えた次第であります



「よ、2年ぶりだな園子」

「そんな......だってミノさんは2年前に敵.....」

「ところがぎっちょん生きてました!ごめんな?本当は無事だっていう事を伝えたかったけどちょっと色々あってさ~」

 

流石の園子も驚いている、銀がいきなり乱入してくるのは園子にとっても想定外の事態だった様だ

 

「.......でも私の邪魔をしたのはなんで?」

「そりゃ奏や須美.....じゃなかった、えぇっと美森を見捨てる訳には行けないだろ?って言うかそもそもアタシは園子に人殺しになって欲しく無いんだ」

「それでも私の邪魔をするならいくらミノさんでも、私は躊躇無くミノさんを殺すよ?」

 

そう言って銀に向かって手をかざし、餓者髑髏の力を発動させる、だが銀には全く効果が無いようだ

 

「な!?」

「こっちは元々お前と戦う事が前提でここに来てるんだ、ちゃんと対策位してくるさ」

「成程ね、でも私の力は餓者髑髏だけじゃ無いよ?餓者髑髏の力がなくったって私はミノさんを殺せるし、殺す」

「だろうな、そう言うと思ってたよ......それでもアタシは奏達につくよ。でも始める前に少し奏と話をさせてくれないか?」

「......いいよ、最後位は話してもでも少しだけだよ」

「分かってるよ、ありがとな!」

「.......」

 

2年前、4人でよく遊んでいた時と同じ笑顔で奏の元へ掛けていく銀

 

「奏も久しぶりだな」

「ぎ、銀....よか、た.....」

 

あぁ、上手く声が出せない自分に腹が立つ、言いたい事が沢山あるのに、それを声を出して伝える事が出来ない

 

生きていてくれて嬉しいという事、今までどこに居たのかという事、そして園子と戦って勝率はあるのか?様々な事を聞きたいが、餓者髑髏の影響で上手く声を出せない

 

「おいおい、無茶すんなって.....ごめんな?私ももっと色々話したいんだけどさ、時間が無いからコレだけ伝えておく。カッコよく登場したは良いけどアタシには園子は止められない、けど奏なら.....いや奏しか園子を止められないんだ、アタシに出来るのは精々時間稼ぎ位だ......だからその間に何とか餓者髑髏の力を破ってくれ、1度破ればもう効かない。だからその後は奏に頼んだ!!」

「っ!!!!」

 

銀のその表情は見た事があった、彼女が死んだと思った戦いの時に、自分にまたね、とお別れを言った時の顔に余りにも似ていて、思わず息をのんだ

 

奏に背を向けて園子の方へ戻っていく銀

 

「もういいの?」

「おう!言いたい事は言ってきたからな!」

「......ミノさんじゃ私には勝てないよ?それでもやるの?」

「あぁ、それでもやる」

「.......そっかぁ、私昔からそう言うミノさんの優しい所とか諦めない所、大好きだったよ.....」

 

その言葉を境に空に浮かんでいる多数の槍を構え、戦闘態勢に移行する園子

 

「えっと、犬吠埼樹ちゃん、であってるよな?樹って呼んでもいい?」

 

こくんと頷く樹

 

「凄く疲れてるとは思うけど、もう少し戦える?」

 

今度は力強く頷いた樹をみて満足そうに頷き返す銀

 

「そっか、じゃぁごめん少しつきあってくれ、最後は奏が何とかしてくれるから」

 

そう言ってもう一本戦斧を出現させ、元々持っていた戦斧と柄の部分同士を連結させひとつの武器にした

 

「さ、やれるだけやってみますか!!」




ただでさえドロドロしてる話で、更に絶望させるのはどうかと思いますが、いくらミノさんでも園子様には絶対に勝てません......相手は対勇者殲滅用の勇者ですよ?


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第83話 安森奏は〇〇である(後編)

それにしても園子様強くし過ぎましたかね?個人的には圧倒的な絶望の象徴としてのキャラにしたかったのですが......ま、いっか


あの後、銀は樹と協力しながら園子と戦闘を繰り広げていた、樹だけの時も善戦していただけあって銀が参加した後は大分安定して園子の攻撃を捌いている様だが.....

 

きっと園子はまだ本気出して無いな.....それに銀や樹も疲れが溜まって来たみたいだし

 

いくら攻撃を上手く捌くことが出来たとしても園子には精霊のバリアがある、銀達も疲労で少しづつ被弾する事が多くなってきた、このままではジリ貧になるのは目に見えている

 

いつまで寝転がってんだ......くっそ!動けよ!!

 

餓者髑髏の能力で動けない身体を起こそうとするが、腕1本すら動かす事が出来ない......このままではきっと園子に全員殺されてしまうだろう、自分が死んだ時の事を思い出す。凄く寒かった、怖かった、痛かった、辛かった.....あんな思いを皆がする。そう考えるだけで身体が強張る

 

ダメだ、ダメだダメだダメだ!!あんな思いを皆にはさせられない!

 

自分が死んだ時の事を思い出す、そうだ確か自分は.....そう、ムリエルに殺された......だが自分が死んだ記憶はそれだけだったか?いや違う、自分は何度もあの夢で金髪の少女に殺されている

 

あの子は何なんだ?ただの夢にしては......

 

夢で何度も自分を刺殺した金髪の少女、ただの夢.....にしては現実味があった、そして何よりあの夢は毎回何故か懐かしく感じていた。だが自分が殺されたのはムリエルだ、そう断言できる、だがあの夢をただ夢にして置けるものでは無い

 

どう言う事だ?もしかしてまだ戻ってない記憶があるのか?

 

よく見る少女に殺される夢を細部まで思い出そうとする、すると今までに無いほどのに頭痛に襲われ、あまりの痛みに一瞬で意識が飛かけ、脳内にはノイズだらけの映像が大量に流れ込んできた。その記憶はモヤが掛かったように見えないが、記憶の殆どは哀しい記憶で、その哀しみに押し潰されそうになる

 

何だ、コレ.....なんでこんな.....もう嫌だ、園子の言う通りだ、何でこんな目に合わないと行けない?なんでこんな辛い思いをしてまで戦わないと行けないんだ?

 

頭痛は収まらない、それどころかどんどん痛みを増して行き、意識が少しづつ薄れていく

 

........このまま気を失ったら楽になれるんじゃないか?そしたら全部終わってるだろう、きっと園子だって皆を苦しめて殺したりはしないだろし、それで園子の気が収まるなら.......

 

『何馬鹿なこと言ってるんだ!!!!!!』

 

突然脳内に声が鳴り響いた、2年前の記憶を合わせても聞いたことのない少女の声だった

 

『お前が諦めてどうするんだ!?ここで諦めたら勇者部の皆どころかあの子も救えないぞ!!』

 

誰だ?アンタは俺とあった事が.....

 

『そんな事はどうでもいい!お前はそれでもいいのか!?満足なのか!?』

 

だって......仕方無いじゃないか、園子にとっても皆にとってもコレが1番......

 

『それは奏さんが逃げてるだけです!!』

 

また聞いたことの無い声が脳内にきこえてきた

 

『もっとあの子を見て上げてください!!本当にそれがあの子にとって1番いい事だと、奏さんは本当にそう思ってるんですか!?』

 

.......けど、そもそも身体が動かないんじゃ.....

 

『あら、情けないわね?大切な子の為に立ち上がる事すら出来ないの?』

 

また新たな声が聞こえてくる

 

っ!!アンタに何が分かる!!知ったような口をきくな!!

 

『その言葉あの時の貴方にそのまま返すわ、あの時私にあんな事を言ってたのに、いざ自分の立場になればこの程度?貴方それでも勇者?』

 

何の事だ?そのものアンタ達はだれだ?って言うか俺は勇者じゃ.....

 

『うぅん、奏くんは勇者だよ、私達と一緒に戦い続けて世界を守った勇者』

 

またも新たな声が聞こえてくる

 

俺が勇者?なんでアンタはそう思うんだ?俺は防人の試作型なだけで....

 

『違うよ、奏くんは勇者。思い出して、奏くんはあの時どうして戦うって決めたの?』

 

どうしてってそんな、理由なんて無い、いきなり戦えてって言われたから戦ってただけで.....

 

『本当にそうですか?奏君はただ言われたから戦ってんですか?』

 

また新たに声が聞こえてくる

 

.....いや、違う。俺は皆を助けたかったから、皆を手伝いたかったから戦ったんだ

 

『なら大丈夫です.....奏君はあの時と何も変わっていません』

 

あの時?何の事だ?俺はアンタとあった事なんて......

 

『すまない、いつもお前には無理をさせてしまって.......だがお前にしかあの子は救えない、いや.....お前なら救える筈だ』

 

そんな....俺には出来ない

 

『大丈夫さ、なんて言ったって.......私が愛した男なのだからな』

 

その言葉を聞いた瞬間にモヤのかかっていた記憶が晴れていき、頭痛も引いていった

 

そっか.....うん全部思い出した。あぁくそ、全く情けないな、いつも助けて貰ってる

 

銀達の様子を見ると、今まさに園子が銀にトドメを刺そうとしている所だった

 

「園子!!!」

「え?アモりん?」

 

園子が突き刺そうとしていた槍を止めて、驚いてこちらを見ている

 

「まさかアモりんまで餓者髑髏の力を破るとは思わなかったよ、流石アモりんだね、少し待ってて?いまトドメを刺したら.....」

「なぁ園子、さっきさ、そんな大変な事をしても戦う必要があるの?って聞いたよな?」

「え?」

 

端末を取り出して、八咫烏を出現させる

 

そんな事決まってた事だった、だからここは自分の事を好きだと言ってくれたあの子の言葉を借りよう

 

「そんなの、俺が勇者だからだよ、理由なんてそれで充分だ」

 

端末を操作して、隠されていたシステムを起動させた、その瞬間に奏の身体は光に包まれ、新たな衣装と武器が装備されていく

 

まず両腕に金弓箭が装備された

 

そのボウガンは大好きな友を守る為に最後まで強大な敵に立ち向かい、命をかけて守り抜こうとした勇者の背中を最後まで守っていた勇者のもの

 

その金弓箭を守るかのように旋刃盤が装着された

 

その旋刃盤は大好きな友を身体がボロボロになっても、強大な敵に立ち向かい、力の限り戦い続け命を落とした勇者のもの

 

次に両手と両足に篭手とシューズが装備される

 

その篭手とシューズは世界を守る為に、大好きな友を守る為にたった1人で多くの敵と戦い、世界を、友を救った勇者のもの

 

シューズに寄り添うかよ様に両足のふくらはぎに大葉刈の刃が装備さらる

 

その刃は精霊に精神を蝕まれ、1度は友を殺そうとし、力を失った.....それでも妬み、憎み、憧れ、愛したその友を身を挺して守った勇者の刃

 

右手には生太刀が装備された

 

その太刀は最後の1人となっても世界の為に戦い続け、その意思は今も尚受け継がれており世界を守り続けている勇者の太刀

 

額には真紅のリボンがハチマキのように装備された

 

そのリボンは直接戦う事が出来ずとも、勇者達を支え自分の信念を曲げてまで戦い続け、1人の愛する人の最後を見届けた巫女のもの

 

そして最後に左手に打鉄が装備された

 

その太刀は、身体が戦い続けると共にボロボロになっていき、精神すらも崩れていっても世界のため愛する人達の為に戦い続け、そして300年経った現在も世界の為に愛する人達の為に勇者として戦い続けている勇者の太刀

 

そして今までは黒い羽毛に包まれていた八咫烏が鮮やかな蒼に染まっていく

 

そして全ての変身が終わった、そこに立っているのは試作型防人では無く、正真正銘の讃州中学勇者部所属勇者安森奏であった




投稿が遅くなって申し訳ございません、大事な所なのでしっかりと書きたかったんです......


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第84話 安森奏は勇者である

昨日は投稿出来ずに申し訳ありませんでした.....少々体調が悪かったもので


「なに?その力は......まさか勇者システム!?」

「ご明察、正真正銘の勇者システムだよ」

「なんで!?アモりんの端末には試作型の防人システムしか.....」

「さぁ、どうしてだろうな?まぁどこかの先生が気を利かして俺の端末に入れといてくれたんじゃないか?それこそデータ採取を口実にな」

 

全く.....あの人には昔から頭が上がらない、今度改めてお礼をしに行かないと、まぁあの人なら何の事だかわかりません、とか言って誤魔化すんだろうけど

 

「......それでもアモりん1人が勇者になったからと言ってこの状況がどうにかなると、思ってるの?」

「どうだろうな?やって見ないと何とも言えないけど......因みに園子の歴代勇者最強ってどうしてそう思うんだ?」

「大赦の人が言ってたんだよ、私は歴代勇者の中でも1番に勇者の適性が高いって」

「成程、それで歴代勇者最強ねぇ.......」

 

大赦の人達も意外と単純と言うか、なんと言うか........

 

「何か言いたそうだねアモりん?」

「ん?いやさなんか今までの勇者に無い特別な力を使える、とかだったら勝てるかどうか分からなかったけど勇者の適性が1番高い程度だったら何とかなりそうだなって思ってさ」

「.......へぇ、それは少しカチンと来ちゃうかな?つまりはアモりんは私程度なら勝てるって言いたいんだよね?」

「流石園子、話が早くて助かる」

 

少々煽るように言葉を返す、それは効果的面のようで余り園子が見せない怒りの表情を浮かべていた

 

勇者の適性が1番高いって言っても、ぶっちゃけた話戦力に大差は無いだろう、それでも自分達が園子に勝てないのはひとえに満開の繰り返しにより能力の強化と精霊のバリアがあるから、と言う理由だけだ

 

「因みにアモりんどうして私に勝てると思ってるの?」

「それこそ単純な話だよ、確かに園子は歴代勇者最強なのかもしれない、満開を繰り返して能力が高いのかも知れない、けど、それだけだ。それだけで初代勇者6人と巫女の相手じゃ無い」

「初代勇者?何を言ってるの?そんなことが......」

「ありえる分けないって?ま、そりゃあそうなるわな、まぁ戦って見れば分かるさ、俺の言葉がただの戯れ言なのか、本当の事なのか」

「.......そっかぁ、やっと分かったよ。やっぱり今のアモりんは私の知ってるアモりんじゃないんだね、きっと勇者部の人達に毒されちゃってるんだ、なら早く殺して私の知ってるアモりんに戻さないと」

 

臨戦態勢を取る園子、その隙に銀と樹がこちらへ後退してくる

 

「悪ぃ、遅くなった」

「ホントだよ、全く危なく死ぬ所だったぞ!?」

「死ぬ気だった癖によく言うよ」

「あら?バレてたか」

 

そりゃ、バレるだろ。構図があの時とまんま同じだったんだもんな

 

「ま、後は任せろ、必ず園子は止めてみせる」

「おう、頼んだぞ勇者様」

 

銀のその言葉を合図に、園子に全力で突撃を仕掛けるとは言っても考えなしに突撃している訳では無い、コレが1番やりやすい、それだけの事だ

 

「正面から行かせて貰うぞ、それしか能がないからな!」

 

迎撃の為に園子は槍でこちらを穿とうとしてくる、その攻撃を全て両手に装備されている旋刃盤で弾き飛ばしていく、この程度では突撃のスピードすら落ちない

 

「ぜぇい!」

 

ある程度距離を詰めた所で打鉄と生太刀を園子に振り下ろす、だが空に浮いていた槍に攻撃を防がれてしまう

 

けど、それは予想通りだ!

 

槍を弾き飛ばし、間髪入れず体を捻り回し蹴りを叩き込むが園子はそれを見越していたようで最小限のバックステップで回避をした。だがそれも予想通りだ、足に装備されていた大葉刈の刃を展開し、攻撃のリーチを伸ばして攻撃する、しかしそれは園子の精霊のバリアによって防がれてしまった、やはり精霊のバリアがある限り園子にはダメージは与えられない

 

ま、あくまで精霊のバリアがあるなら、だけどな!

 

次の瞬間、際ほどまでどんな攻撃すらも防いでいた精霊のバリアが簡単に砕け散り、大葉刈が園子の頬のスレスレを通り過ぎて行った

 

「っ!?」

 

一瞬驚いていた園子だったが瞬時に足として使っていた槍を使い奏を迎撃するが、奏は旋刃盤で防ぎ距離を取った

 

「今のはなに!?なんで精霊のバリアが......」

「精霊のバリアの初期開発だって初代勇者がやってたんだぜ?弱点位分かるさ」

 

とは言っても俺の力じゃ無いんだけどな......

 

初代勇者を捧げ続けた巫女のひなたから最後にもらったリボン、彼女はその生涯を勇者システムの開発に費やしたと言う、ならばこの力は彼女から受け取った力なのだろう

 

「......成程ね、初代勇者の力か、あながち嘘でも無いのかもね、でも危ないなぁ〜、今の当たってたら怪我残っちゃうよ〜?」

「むむむ、今更感はするけど確かにそれは俺も困るな.......まぁその時は俺が責任持って園子を貰うからさ」

「まるでアモりんが勝つ見たいな言い方だね?」

「まるでじゃなくて、そう言ってるんだが?」

 

挑発された事で更に怒りを顕にする園子をみて予想していた事が半ば確信に変わった

 

やっぱりな、流石に可笑しいとは思ったけどそう言う事か......なら俺のやるべき事は決まったな




園子様ブチ切れ気味、という事で、若干煽り口調の奏君でした、もちろんしっかりと意味はありますよ、それはまた次回に


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第85話 安森奏は勇者である(後編)

最近上手く書けないなぁ......


「なぁ園子」

「ん?なぁにアモりん、素直に殺される気になった?」

「いんや、そう言うんじゃ無いんだけどさ......今の園子はホントの園子か?」

「どう言うこと?」

「俺の知ってる園子はこんな事しないんだよな......お前は誰だ?」

 

さっきの園子の言葉を全て聞いてもどうしても納得出来ない、俺の知っている園子はこんな事を出来る少女では無かった筈だ

 

「なに、言ってるの?私は、私の意思で......あれ?」

「お前はホントに、本気でこんな事をしたかったのか?」

「わた、しは.....私は!!!」

「園子!?」

 

いきなり園子は頭を抱えて後ずさりしていった、その様子に心配して駆け寄ろうとしたが

 

「っ!!近寄らないでぇ!!!」

「っぶな!」

 

園子は槍を使い近寄らせまいと迎撃をするが、何とか回避をした、しかし園子の横には餓者髑髏が何かを園子に囁くかのように漂っていた

 

......やっぱりか

 

予想通り、やはり園子は自分自身でこの事件を起こした訳では無い様だ、餓者髑髏の能力が園子にかけられている。自分でやった、と言う事は無いだろう、という事は誰かにかけられたと言う事だろう.......そんな事をする奴らはひとつしか思いつかない

 

大赦、しかも春信さん達と敵対してる側の大赦が俺達を殺すために園子を利用したって所か?っつてもあくまでも餓者髑髏は相手の精神の黒い部分を増加させて相手の行動を縛る、園子に掛けられているのはソレの応用したんだろうな。って言う事は園子に誰かしらがそんな思いをさせたヤツがいるって事だよなぁ、まぁ俺か......

 

という事は原因は分かったが、やはり結局は自分の責任、という事だろう、ならばやはり自分が何とかしなければならない

 

取り敢えずは園子から餓者髑髏を引き剥がさないといけない訳だけど.......下手に引き剥がしても意味が無いし、もっと餓者髑髏と園子のリンクが強い時に引き剥がさないと意味が無いよなぁ......そうなると勇者が精霊とリンクが強くなるタイミングって言ったら、満開.....しかない訳だよなぁ......

 

コレは自分でまいた種だ、なのにも関わらず部活の皆にも迷惑を掛けて、園子にも寂しい思いをさせて、挙句の果てに自分の尻拭いのために園子にまたひとつ身体のどこかを犠牲にさせないといけないのか?

 

.......本当にそうするしかないのか?いや、コレが最善の選択だここでグダグダ考えていても、この状況は改善されないし、寧ろ悪くなっていくだけだろ......なら腹をくくれ安森奏!!

 

こちらは園子よりも対人戦は多くこなしている、風達の戦闘の事ではなく300年前に命をかけて本気で何度も、何度も戦った.......その経験を生かす時だ




ちなみに奏君が戦ったのは、ぐんちゃん等ではなく普通の人間も含まれています。え?戦った理由?.......英雄が誰からも好かれると本気で思っていますか?


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第86話 鴉は空を駆ける

やっとfgoイベント終わったと思ったら刀使ノ巫女とゆゆゆがコラボだと?........水着引いたばっかひなんだよなぁ


さて、園子を満開させるって言う目的が出来たのはいいけど.......そう上手く行くかねぇ?

 

相手は園子だ、しかも精霊バリアが無いとはいえ純粋な戦闘力だけならこちらより上の筈だ、しかしそれはいつもの園子の場合だ。今の園子は餓者髑髏に精神を汚染されている園子なら何とかなる筈だ

 

「取り敢えず、相手に思考をさせないように、か」

 

園子に向かって生太刀と打鉄を構え突撃していく、300年前に学んだ事だ対人戦はずっとこちらのペースを保つ、相手にペースを握らせてはならない、そう学んだ

 

まさかこんな所で役に立つなんてな........人生何があるか分かんないもんだな。あ、死んでるんだったな

 

そんな事を考えながら園子に2本の太刀で攻撃を仕掛け、槍で防いだ園子と至近距離で話を始める

 

「で、なかなか俺を殺せて無いみたいだけど?諦めるなら今のうちだぞ?」

「さっきも言ったでしょ?まだ私は本気じゃないよ?」

「は!どうだかな、強くなるって言っても能力的な面の話だろ?だったらあんまり意味無いんじゃないか?」

「私が弱いって事かな?」

「お?言わんと分からんか?」

 

ギリ、と歯を食いしばり怒りを顕にする園子、やはり思った通りだいつもの園子ならばこの程度の挑発意味も無い筈なのにここまで乗ってくる、やはり餓者髑髏の影響だろう

 

これなら大分やりやすい......訳では無いか、あんまり園子を煽るのもな。いや、そんな事も言ってられないか!

 

蹴りを放ち園子を蹴り飛ばし、両腕の金弓箭を連射しながら距離を離すが、園子もすぐさま体制を戻し槍を高速で回転させ金弓箭の矢を防いでいく

 

「ッチ、流石にこれじゃぁ威力が足りないか......」

 

もっと威力を上げることも可能だがそれでは万が一園子に当たった場合大怪我をさせてしまうかも知れない

 

「そんなものじゃ私は倒せないよ!!」

 

槍を回転させつつ別の槍を振り下ろしてくる、その攻撃を回避すると槍は地面を抉り周りに煙幕を撒き散らした

 

「?アモりんは......後だね!!」

 

奏は瞬間に園子の後に回り込み旋刃盤を投げつけるが簡単に防がれてしまう、どうやら背後から攻撃する事はバレていた様だ

 

「けど、こっちもソレを防ぐのは計算通りだ!!」

 

両腕の金弓箭で矢を連射する、しかし片腕の矢は園子が狙いではない、際ほど攻撃した旋刃盤に向けて矢を放ち矢を反射させて1人で園子を十字砲火する

 

「だからさぁ.......それじゃぁ私は殺せないよ?」

 

矢が飛んでくる方向に槍を展開し攻撃を防いでいく

 

「あ、因みにそこにいると危ないぞ?」

 

指を園子の足ものに向けて指している、そちらに目を向けるとそこには地面に突き刺さった打鉄

 

「爆破」

 

奏が手を握る、その瞬間に地面に突き刺さっていた打鉄が爆発し、園子がたっていた場所にまたも爆煙が広がっていく

 

「因みに何本でも生成可能」

 

 

握った手を開くとそこに新たな打鉄が生成される、それが安森奏200年前の戦い方だ

 

コレで多少ダメージが入っていれば......

 

次の瞬間、爆煙から巨大な槍が奏に向かって飛んでいった、ソレをギリギリで旋刃盤で防いぐ

 

「っつ!流石にそんなに甘く無い、かぁ.......」

 

爆煙が晴れるとそこには無傷の園子が立っていた、驚いている様子すら無い

 

割かし会心の一撃だったんだがねぇ......流石は歴代勇者最強って事かな?

 

「こんな物私には効かないよ?私には全て視えてるからね♪」

「全部視えてる?どう言う事ですかいな?」

「う〜ん、ま教えても変わんないか.......いいよ、教えてあげる、私はね未来が視えるんだよ、これも満開で得た精霊の力」

 

未来視だぁ!?おいおい流石に予想外だぞ......

 

「ふふふ、驚いている見たいで嬉しいよ〜、でも安心して?まだまだ奥の手はあるから」

 

........ぺ、ペース握れてるかな?




園子様がこのまま一方的にやられる理由がないジャマイカ!
頑張れ奏君!空間置換とかしてこないといいね!ゲス顔


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第87話 鴉は空を駆ける(中編)

一体いつから園子様が弱いと錯覚していた?え?逆に強すぎるって?
......ソンナコトナイデスヨー?


それにしても未来視、かぁ.......それにまだあるって言ったよな?オイオイマジで勘弁してくよ、ただでさえ今も攻めきれてないってのにさ.....

 

先程はこちらもまだ本気を出ていない、と言ったは言いものの実は今が全力だ、正直これ以上強くなるという事は敗北を意味するだろう、しかし......

 

そもそと本当にまだ能力があるのか?今の園子なら出し惜しみなんてしないで本気で殺しにかかってきそうなもんだけどな、いやその前に未来視すら本当に出来るか怪しいもんだけど.......んぁぁぁ!!くそ、前提としていくら園子が餓者髑髏に精神汚染されてるとは言っても相手は園子だ、そもそもこんな心理戦的なものを強いられる時点で相手の思うつぼだ、やっぱり慣れないことはするもんじゃないな

 

〜side園子〜

 

う〜ん、今の攻撃も避けられるんだ、やっぱりアモりんは凄いなぁ〜それにしてもさっきの発言がブラフってバレてないかな?正直未来視なんて出来ないし、これ以上の能力なんて無いんだよね。純粋に満開を繰り返ししたから反射神経が凄い上がってるだけ.......まぁそれでもアモりんに負けるとは思えないんだよね、アモりんもあんな事言ってたけど本気で倒しに来てはいないみたいだし、このまま行けば勝つのは私

 

恐らく奏はこちらを傷つけまいとして、手加減をしているのだろう.....それは素直に嬉しいがそれでも関係は無い、こちらは奏も含めて全員殺すだけだ、ならば寧ろ都合がいい。こちらは全力で殺す、それだけの事だ......

 

〜side奏〜

 

さて、結局は園子に満開をさせないといけない訳だけど......

 

「で、園子さんやもしかしてさっきの攻撃が本気、とか言うんじゃないだろうな?」

「まさか、アモりんこそそろそろ本気出さないと死んじゃうよ?」

「おいおい、あんまり強い言葉を使うなよ.....弱く見えるぞ?」

「へぇ、そっかァ......」

 

フラァ、と園子が身体を揺らした瞬間にこちらに突撃してきた

 

やっぱり、餓者髑髏の精神汚染は効いてるっぽいな、普段の園子ならこんな簡単な挑発に乗ってくる分けないしな

 

園子の戦闘スタイル上本当は迎撃に徹した方が効率が良く、相手よりも優位に立てる筈だそれを分からない位冷静に考えられない、という事だろう

 

このままこっちは回避に専念させて貰うぞ、もちろん当たりそうで当たらないギリギリの回避でな!そうすりゃ今の園子なら激おこぷんぷん丸待った無しだろ.....う〜ん、我ながら卑怯な戦法ではあるけど......今は卑怯とか言ってられる状態じゃ無い、か

 

大量の槍を扱いながらひたすらに距離を詰めてくる園子の攻撃を全てギリギリで避けるか、旋刃盤を使って防いでいき、たまに反撃をしていく、幸いこちらの防御力は園子の攻撃も防ぎきれる

 

「もう!ちょろちょろと避けないでよ!!」

「避けないと死んじゃうでしょうよ!?」

「殺そうとしてるんだから当たり前でしょ!!」

「そんな無茶苦茶な!!」

 

とは言え、このままじゃあんまり意味なさそうだな......まぁ園子を満開させる方法があるにはあるけど、あんまりやりたくはなかったな......

 

至近距離で攻撃を回避していた奏は不意に打鉄を手放し、園子の自分の間に放った、次の瞬間に打鉄が爆発し両者を互いに吹き飛ばした

 

「なぁ、園子はさなんでこんな事したんだ?」

「ん?アモりんったらさっきも言ったでしょ?わっしーや勇者部の皆が私のアモりんを奪って行ったからだよ、私はこんなになってまで世界を救ったのに、ね」

「はぁ.....まぁ正直園子の事は可哀想だと思うし、俺も1人にさせて寂しい思いをさせたと思うけどさ?.......それは普通の事じゃないか?」

 

園子は唖然としている、それはそうだろうまさか普通の事と言われるとは思って居なかったはずだ、だがこちらはこれ以上にもっと彼女を傷つける事になる

 

「え?」

「仕方ない事だったんだよ、世界を救う為の必要な犠牲。だってさ、勇者ってのは自分を犠牲にしてでも世界を守る、それが勇者だろ?それを園子は身体の自由を失って、方や親友はのうのうと普通に過ごしてるが気に食わない訳だろ?は!笑わせんな、自分が悲劇のヒロインとでも思ってんのか?それに、悪いな俺は園子の面倒を見ていく気は更々無いよ」

「そん....なんで?なんでそんな事を言うの?わた、しは.....私は私は!!」

 

顔を手で多い泣きじゃくる園子、その姿をみて左手を血が滲むほど握りしめる

 

くそ!くそ!くそ!なんで園子にまだこんな思いをさせないといけないんだよ!!なんで園子を泣かせないといけないんだよ!!ざけんな!!!!くそ、全て終わったらこんなことをしでかしたヤツを殺してやる、絶対にだ!!

 

「......もういいよ、終わりにしよう。やっぱり今ここにいるアモりんは私の知ってるアモりんじゃないんだね、私の知ってる私の大好きなアモりんはこんな事言わないもん、なら早く殺さないとね?いくよ.....満開」




園子様ごめんなさい!!待ってて!もう少ししたら奏君が全部終わらせてくれるから!!


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第88話 鴉は空を駆ける(後編)

そろそろ園子様との決戦も終わりそうですね、意外と長かった.....


「オイオイ......流石にこりゃぁ予想外過ぎんぞ?デンドロビウムかっての......いや、どっちかって言うとミーティアか?」

 

2年前までの園子の満開時に展開される船は確かに巨大なきなものだった、しかし現在の園子船は2年前の4倍近くはあるように見える

 

いやいや、もう園子の姿すら見えねぇし.......もう1人の勇者の力じゃないだろ!とは言え、コレに勝たないと行けない訳か〜しかもこっちは園子を殺す訳には行かないけど園子はこっちを本気で殺しにかかってくるし、満開した園子の攻撃がどの程度のものか想像つかないけど、友奈達に流れ弾が言ってもこっちの負け......はは、こりゃ部の悪い勝負になりそうだな

 

「けど、まぁ分の悪い賭けは嫌いじゃない。っし!」

 

園子の満開に怖気付いていた自分の頬を強めに両手で叩き、気合を入れ直す

 

「満、開!!」

 

その言葉を発した瞬間、奏の身体は光につつまれていく

 

両足、両腕に装備されていた篭手とシューズは一回り大型化し、深紅に塗り変わっていき、両腕に装備された旋刃盤は大型化して分離し奏を守るかのように空に浮いており、金弓箭は銃口が二門に増えた。

肩にはフード付きの羽衣を羽織っており、背中からは大きな黒翼が生えており、更にその後に多数の打鉄が円を描くように空に浮いていた

 

「最初から全力全開手加減無し、絶対に勝つ!!!」

 

意気込む、それを聞いてか聞かずか園子の船から巨大な槍が奏でに向かって突き進む

 

「タマ!頼む!!」

 

その言葉と共に光に包まれた1人の少々が出現した、郡千景の精霊の力である分身を生み出す能力だが、今回のものはそれの応用だ、オリジナルの様に分身し計7人で攻撃を仕掛けるのではなく、300年前の勇者達の力を人型として顕現させる能力に変わっている。とは言え、あくまでも力の顕現だ、呼び出した彼女自身に人格はない

 

それでもタマならきっといいぞ!タマに任せタマえ!!って自信満々に言うんだろうな

 

戦闘中だと言うのに、300年前の戦友の口癖を思い出し自然と口が緩んでしまう

 

呼び出した球子と共に二人分の計3枚の旋刃盤を構えて園子の攻撃を受け止めた

 

「ぐぅぅあぁぁ!!!!」

 

園子の攻撃を受けた瞬間に身体が引き裂かれる様な衝撃に襲われる、それでもしっかりと地面に足を食い込ませてその場に留まり続ける、しかし少しまた少しと身体ごと後に押されていく

 

くそ!なんだこの力、本当に勇者が1人で出せる力なのかよ!?このままじゃ......

 

余りの圧力に心が折れかけた奏の背中を支えるように、誰かの手が添えられた

 

「タマ?」

 

それは奏が呼び出した土居球子の力だった、自分は何も指示をしていない

 

そっか.....ありがとうなタマお前にはいつも守られっぱなしだよ、そうだよな、こんな攻撃あの時の攻撃に比べればなんて事無い!!!

 

「うおぉぉぉぉぉ!!!」

 

渾身の力で園子の槍を弾き飛ばす、槍は遥か後方え吹き飛んでいく

 

「はぁ、はぁ、はぁ........っし、今度はこっちの番だ、覚悟しろよ園子?」




結構迷った挙句、グンちゃんの力で西暦勇者を呼び出す、という事にしました。これはコレでアリかな?


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第89話 鴉は空を駆ける(終編)

遅くなって申し訳ありません!!今日中にもう1話出すので何卒!!


「さて......今度はこっちからも仕掛けるか!!」

 

球子の旋刃盤の上に飛び乗り、そのまま上空にいる園子に向かって投げ飛ばしてもらい距離を詰める

 

少しでも力を温存しないと、あそこまで飛んでいくだけでの力でも温存しておいて損は無い筈だ

 

投げ飛ばしてもらった勢いを無くさない程度の推力だけを生み出して園子との距離を詰めていくが、園子から小型の槍が大量にこちらに向かって飛んできた

 

前方からだけじゃなくて横や後にも?なるほど全方位から一気に仕留める気か.....殺意高いねぇ。ま、俺一人だったら辛いけどさ

 

「頼んだ杏!」

 

杏の力を呼び出し、2人で背を合わせ小型の槍群に向けて2人で銃口を向け、撃ち落としていく、元々杏の金弓箭は一撃の威力よりも連射性能に優れた武器である

 

多数の標的を攻撃するのであれば杏の力が1番向いてるな、それに槍とは言っても小型だ、金弓箭でも十分に破壊できる。っと、小型の槍だけじゃなくて普通サイズのやつも混ぜてきたか

 

両腕を広げて、杏が狙っていた方の槍も奏が撃ち落とし、その間に杏が金弓箭から大型の矢を生み出して小型以外の槍を撃ち落としていく、園子の攻撃は2人に近づく事さえままならないまま、全ての槍が撃ち落とされた

 

コレで、全部か?よし!

 

更に園子との距離を詰めるために、杏に大型の矢を射出してもらい、その矢に元々旋刃盤を繋げていたワイヤーを繋げて矢に引っ張ってもらい距離を詰めていく

 

コレで迎撃してこなかったら楽なんだけど.....まぁしてくるよな

 

次は大型の槍がこちらに向かって降り注ぐ、今度は全方位から囲むと言う回りくどいことはせずに真正面から物量で押しつぶすつもりだろう

 

「園子もえげつない事するな.....,」

 

避ける事は容易いだろう、しかしアレ全てを避ければ地上にいる友奈達に攻撃が当たってしまう可能性がある

 

そうなると、アレ全部撃ち落とすようなのか......だったら!!

 

「千景!行くぞ!!」

 

千景の力を呼び出し、奏も両足にに折りたたまれ装着していた大葉刈を展開して、槍を2人で迎え撃つ。奏が撃ち落としてき、隙ができれば千景が前に出て隙を無くし、千景に隙が出来れば奏が前にでる、その繰り返しで完全に隙を無くす2人。

 

流石千景、なんやかんや言っても昔からこっちに合わせてくれたもんな、そのお陰で何度助かった事か分からないな。若葉じゃこんな風には行かないしな......

 

300年前から世話になっていた千景に感謝しながら、目の前から襲い掛かる大量の槍を全て切り伏せて見せた、そのまま千景の大葉刈の柄を掴み、遠心力を使い園子に向かって投げ飛ばしてもらう

 

「コレで全部槍は撃ち落としたけど、まだアレがあるのか」

 

確かに槍は全て破壊した、だが園子の船の底にはオールの様に装備された刃が備わっている、2年前の者よりも巨大で数も多い、それでも諦める訳には行かない

 

「友奈ぁ!!行くぞぉ!!」

 

生太刀と打鉄を納刀し、篭手を巨大化させ友奈の力を呼び出し、友奈と2人で同時に迫り来る巨大な刃に拳をぶつけ、刃を弾き飛ばすがすぐに別の刃が迫ってくる、ソレを全て1寸の狂いものく友奈と奏は同時に拳をぶつけ、弾き飛ばしていく。だが

 

ピシッと篭手から何かが割るような音がし、次の瞬間友奈の右手、奏の左手の篭手が砕け散ってしまった

 

っつ!?くそ!まだだ、まだ行けるだろ友奈!!!

 

今が好機と捉えたのか園子は全ての刃を同時にこちらに向けて攻撃を仕掛ける、奏は高嶋友奈と言う少女の力を信じ、構える。高嶋友奈は世界を救って見せた、そんな少女かわ自分が好きだと、信じているといってくれた

 

「だったら、負ける理由が無いよなぁ!!!勇者ぁぁ....パーンチィィィィ!!」

 

残った篭手を同時に突き出し、巨大な刃とぶつかる。

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

勝ったのは、6人の勇者だった、園子は刃を打ち砕かれた事によりバランスを崩している、距離を詰めるならこれ以上のタイミングは無い。友奈の篭手の上にのり、そのまま殴り飛ばしてもらい、園子の船と同じ高さまで飛翔してきた、園子は今もまだ泣きじゃくっている

 

「なんで?なんで、アモりんはどうして私に酷いことするの?」

「......ごめん、だけどコレで全部終わるから、終わったらちゃんと償うよ」

「そんなの......そんなの信じられないよ!!!!」

 

園子は炎を鳥の様に纏い、力を溜めている

 

「アレは見た事ない技だな......とすると俺が死んだ後に使った技か......まぁ見る感じあのまま突撃してくるんだろうなぁ、スイカバーアタックか?いや、アカシックバスターの方かな?」

 

どちらにせよ、こちらにも同じ様な技はある、若葉の力を呼び出し、若葉と手を繋ぎこちらを炎を鳥の様に纏う、どちらも力を溜めていき、互いに向かって突撃する。それはまるで2羽の不死鳥の如く

 

「うぉぉぉぉぉ!!!」

 

2羽の不死鳥は互いの力がぶつかり合いせめぎ合う、相手を倒す為に互いに死力を尽くす、互いの力は互角で互いの力を相殺する

 

「まだまだ!まだ終わってない!!」

 

若葉の生太刀の背の部分に足を乗せてそのまま若葉に抜刀の応用で園子に向けて飛ばしてもらい、園子の船に乗り込み園子に向かって走っていく

 

「来ないで!来ないでよぉ!!!」

 

いざと言う時の迎撃手段として残しておいたのであろう、まだ残っていた槍で奏を突き殺そうと放ってくる、その槍を背中に展開していた打鉄と、両手にもった打鉄と生太刀で捌いていくが如何せん数が多い、捌くことは出来るがこれ以上前に進む事が出来ない、このままでは体力が続かない

 

くそ!園子に触れないと餓者髑髏を引き剥がせないってのに、そもそも近寄れないんじゃ.....

 

「このまま押し潰して上げるよ!!!!」

「く!」

 

近づく所か少しづつ押されていく

 

「なんで抵抗するの!?私を虐めるアモりんなんて早く死んでよぉ!!」

「なろぉ!数だけが俺の長所だと思うなよ!!とっておきだ持ってきな!!!」

 

手を振り翳す、すると空から雲を切り裂き、園子の船よりも倍は大きな巨大な刀が空から落ちてくる

 

「コレが俺の取っておきの......村正だぁぁぁ!!!」

 

村正を船に叩きつけて、船を両断する

 

「な!?」

 

船を切られたことでバランスを崩した園子は飛行機能が大幅に下がり落下していく、その園子の腕にワイヤーを巻き付け引き寄せる

 

「やめてよ!近づかないで!!」

「そんな訳にいくかよ!!」

 

園子を引き寄せ、あと少しで触れる事が出来ると言った距離で死角から槍が奏に襲い掛かって来た、その槍を自動的に旋刃盤が防いでくれたが先程の攻撃でガタが来ていた旋刃盤は砕かれてしまった

 

「タマ.....!こんのぉ!」

 

残った旋刃盤を園子に向かって投げつける、旋刃盤は槍に防がれてしまうが関係無い、ワイヤーで園子を引き寄せ手を伸ばす、がまた槍に邪魔をされる

 

くそ!時間を掛けすぎたか、槍が集まってきた.....!

 

周りには迎撃ようの槍が群がり始めた、だがここまで園子に近寄れば全方位からの攻撃はされないだろう。園子に向かって篭手を振り翳すが槍に邪魔されてしまい園子には届かない

 

こっちは片手が使えないけど園子には関係無いし、一旦ワイヤーを切り離して....

 

「ワイヤーを離してくれるのを待ってたよ」

「うお!る」

 

油断していた、4本の槍が奏を挟み込みそのまま園子との距離を離される

 

「くっそ!邪魔だこの槍!!」

「終わりだよアモりん....バイバイ」

 

1本の槍がこちらに向かって飛んでくる、奏は槍に自由を奪われ動く事が出来ない

 

あ.....終わった、コレは防げないな......くそ、ここまでかよ

 

目の前にまで槍が迫って来る防ぐ手段が無い奏は諦め、瞳を閉じたしかし.....

 

ガキン、と何かが槍を防いだ、驚き目を開くと槍を防いだのは半分に割れた旋刃盤だった

 

っ!悪い、いつもボロボロになって守って貰ってるな......あぁそうだ、まだ行ける、まだ戦える!!

 

自分を拘束していた槍に向かって金弓箭をゼロ距離で弓を放ち槍を引き剥がす、足に装備されている大葉刈を園子に向かって蹴り放ち園子の行動を遅くするその隙に黒翼で園子に向かって飛翔する、園子もただ近寄らせてくれる訳ではなく槍で迎撃してくるが生太刀と篭手で弾き飛ばしていく

 

「く!まだスピードが足りない、これじゃぁ届かない.....!」

 

このままじゃ園子に届く前にまた槍に邪魔される.....!けど、こっちにもまだ加速する手段ぐらい残ってるんだよ!!

 

背中に装備されていた打鉄を全て爆発し、その勢いで園子との距離を詰める

 

「届けぇぇぇぇぇぇ!!!」

「っ!?!?」

 

園子に向けて手を伸ばし、その手が園子の胸に触れた

 

「園子から出ていけぇぇ!!」

 

ひなたの力を使い園子から餓者髑髏の力を抜き取り、そのまま餓者髑髏の力を封印した




長くなってしまいましたね、まぁまだ奏君には頑張って貰いますがへ


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第90話 貴方と共に

明日から刀使ノ巫女とゆゆゆコラボだぁ!!(当てられるとは言ってない)


「おっと、危ない危ない」

 

餓者髑髏を切り離した事で気絶してしまい、変身も解けてしまった園子が落下しそうになるのを慌てて抱き抱え、静かに降下していく

 

......今回の満開で園子は何を失ったんだろう?声か?聴力か?味覚か?それとも残っている目の視力か?ごめん、ごめんな園子、俺がもう少しお前の事をしっかり見ていて居られれば......コレが全て終われば俺は園子の園子だけのモノになろう、勇者部の皆には悪いが園子には俺の人生全てを捧げても償えきれない

 

降下していくと地上には銀がこちらに向かって手を振っていた、周りには勇者部の面々も一緒にいる。餓者髑髏の能力を封じた事で自由に動く事が出来るようになった様だ

 

「よう、お疲れ様奏」

「あぁ、何とか終わったよ」

「ええっとなに?....その子はもう大丈夫なの?」

「元々悪い奴じゃ無いんだ、園子も大赦に利用された被害者だよ、だから......その、難しいとは思うんだが園子を責めないで上げてくれないか?」

「それは.....まぁ」

 

煮え切らない返事だ、ここまでの事をされたんだ皆が園子を許す、という事は難しいだろう、しかしせめて園子の事は恨まないで欲しい。いや、むしろ恨まれるのならばそれは自分の方だ

 

「ま、まぁ何はともあれ一件落着!大惨事にならなくて良かった!!!」

「と言うかアンタ誰よ?」

「あぁ、アタシは三ノ輪銀、勇者としては先輩ッスけど、年はひとつ下です、よろしくお願いしますね風さん」

「な、なんであたしの名前を?」

「ん〜、まぁちょっと匿ってもらってた人に話聞いてたんですよね」

「そ、そうよ!銀貴方今までどこにいたの!?私達はてっきり.....」

「いやぁ〜ごめんごめん、ちょっと色々あったんだよ、その辺は一旦帰ってから.....」

 

銀が言葉を言い切る前に、全員の端末が警報を鳴らした、その音には聞き覚えがある

 

「な!まさか敵が!?」

「おかしいよ.....アラームが鳴り止まないよ!?」

 

友奈の言葉と共に世界が樹海に塗り変わって行った

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「なによ、あれ.....,」

 

世界が樹海に包まれ、周りを見回すといつもは敵が出てくる壁に大きな穴が空いていた、しかもそこからは大量の星屑と倒した筈のバーテックスや黄金十二宮全てが入ってきている

 

「そんな!全部倒した筈じゃ......」

「倒す事なんて出来ませんよ.....ヤツらは無限に出てきます」

「な、どう言う事!?」

「ヤツらは壁の外に無数に居るんです、倒しても倒してもそこからはこちらに攻めてきます、だから勇者は戦い続けなければならないんです神樹様に無理やり生かされ続けて、ね?」

「なるほど、ねぇ.....でも仕方ない、か。よし!皆行くわよ!!いくら敵が多くても勇者部全員が力を合わせれば敵無しよ!!もちろん銀も手伝ってくれるんでしょ?」

「えぇ、もちろん!微力ながらお手伝いしますよ!!」

「いや、そんな事しなくていい」

 

その奏の言葉に勇者達は驚き、振り返る。すると奏は勇者達に生太刀を構えてこう言った

 

「俺が今から楽にしてやる、こんな辛い事をしなくてもいい様に.....」




ついにマジもんの最終決戦!!さてアモりんは何をする気ですかね?


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第91話 貴方と共に(中編)

最近は特に上手くかけなくなってきた事に、焦りを感じ始めている私です。前も下手くそだったけど最近はもっとヤバい感じしますねぇ....


「奏君?貴方どうしてこっちに刀なんて......」

「餓者髑髏、ヤツらを縛れ」

 

園子から抜き取り、封印した餓者髑髏の力を自分自身が行使する。餓者髑髏の力は上手く発動出来たようで樹以外の皆は全員地面に倒れ込んでいる

 

「やっぱ樹には効かない、か......ま、それでも問題は無いかな」

「な、あた、しにも?」

「餓者髑髏の力を使う前にちょっとばかしいじくって使ったんだ、園子用に作った防衛システムだから上手く行くとは思ってさ、結果は予想通り」

「なん、で......こんな......」

「さっきも言ったろ?楽にしてやるってさ......」

 

銀に向かって生太刀を構える、その瞬間に銀の顔が驚愕に染まった

 

「くくく、悪い悪い。ちょっとお巫山戯が過ぎたな」

「な、に?」

「別にこれ以上の事はしねぇよ、ちょっとだけそこで横になっててくれれば俺が全部倒して来てやるって言ってんのさ」

「な!?」

「今の俺ってさ、結構強いんだぜ?あの位の敵ならちょちょいのちょいって感じで一捻りさ」

 

なんて、流石に全部相手にするのはキツいけどな、今は勝てるとしてもヤツらは進化し続けるそうなればいつかは俺も勝てなくなる......ま、そうなれば大赦に新型の勇者システムを作って貰えばいいし、俺だけで敵を殲滅出来るって事になれば皆はあくまで予備として扱われる。そんな風に言えばいい、今の俺にはそれだけの権力が有る

 

そんな事を考えていると後から、クイクイと袖を引っ張られた。振り返ると樹が端末をこちらに突き出している。画面には

「また、そうやって1人で無理をするんですか?私も一緒に行きますからね!」と書いてあった

 

「駄目だ、樹はここに残ってろ」

 

ブンブンと首を横に振る樹

 

「樹が俺と一緒に戦ってたら誰が無防備な皆を守るんだ?確かに皆には精霊のバリアがある、でもいくら何でも反撃も出来ない、逃げる事も出来ない状態で嬲られ続けてもずっと守ってくれると思うか?」

 

はっ、とした表情になり一緒には俯いてしまう。賢い子だ、風辺りでアレばそれでも引き下がらずにグダグダ言って居ただろう。そんな樹に罪悪感を覚える、がさっき言ったことはほんとだし、ここで樹を戦わせれば大赦は樹も戦わせ続けるかもしれない

 

そんな事させられるかよ、身体を犠牲にして戦い続けるのは俺だけで十分だ、どうせ死んだ身。ならこの身体は皆を守る為に使い続けよう

 

未だに俯いている樹の頭に手を置き、そのままグリングリンと撫で回す。もしも樹に声があれば、あうあうあーと言っていそうなものだ

 

「ごめんな意地悪な事言って、でもコレは譲れないんだ。戦うのは俺だけでいい、皆はいつも通りの日常に戻れるんだ」

 

次の瞬間に樹に脛を踵で蹴られた、精霊バリアが発動しない位の威力、なおかつ普通に痛い強さで

 

「痛ってぇ!?何すんだよ樹!?」

 

樹は痛がっている奏をぐい、と両手で引きせた、奏はバランスを崩し、樹に倒れ込んでしまったが樹はしっかりと奏を抱き抱えた、と思えばワイヤーで奏の身体をグルグル巻にして、自由を奪う

 

「い、樹?」

 

しばし端末を操作したかと思うと端末の画面をこちらに向けて見せてくる画面には

「奏先輩がいなかったら普通の日常にならないじゃ無いですか!!そんなの私は許しませんから!!絶対許しませんから!!」

と書いてあった。樹の表情は今にも泣き出しそうな顔をしている

 

「ごめん.......そうだな悪い、全部俺1人で決めてた、そうだよな1回みんなで話し合わないとな」

 

パァ、と笑顔をこちらに向ける、そしてワイヤーを緩めてくれた、そのまま樹を抱き締めると樹は慌てている、可愛い奴め。だが

 

「ごめん」

 

ワイヤーが全て解けた所で謝りつつ樹の腹に拳を撃ち込む、精霊のバリアは無効化して数分は動けない位の強さで

 

痛みで倒れ込み、咳き込んでいる樹を見ながら罪悪感に押し潰されそうになるのを必死に堪える

 

「痛よなごめん.......でもやっぱり戦うのは俺だけでいい、苦しむのは俺だけでいい、だから皆はそこにいてくれ。大丈夫、絶対帰ってくるから、そしたらちゃんと話そう、いっぱい説明したい事もあるし、な」

 

そう言って敵に向かって走っていく

 

.....俺は嘘を付いてばっかりだな.......もう皆に会うことなんて無い、コレからはずっと大赦でお役目を全うし続け、園子に詫び続けるんだ.....そうなるとさっきのが勇者部の皆とは最後の会話になったのか......ははは、最後の最後まで嘘つき、か

 

思えば自分は300年前から嘘をつき続けてきた、きっとコレも天罰なのだろう




本編よりも樹ちゃんが強いのは、主に奏くんの影響だったり、そして奏君はあくまでも1人で戦い続ける事を選びました、それは200年前からそのつもりだったり?


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第92話 貴方と共に(後編)

やっとヴァルヴレイヴのフルインパクトのプラモを手に入れられてテンションの高い私です、でも作る時間無いんだよなぁ......


「さて.......とは言ってもあれ全部相手にするのは大変そうだな」

 

ある程度の距離で出来を視認する、数は全部で26体。しかもバーテックスは金色に、黄金十二宮は各バーテックスの色に変わっている。という事は......

 

あれ全部バーテックスと黄金十二宮同士が合体してんのか......ていう事は全部で52体分の敵が居るのと同じって、事かぁ......いやはやいきなり本気出しすぎじゃないですかね?いや、今が1番の攻め時だもんな、そりゃそうか

 

「満開の後遺症も戦闘には特に支障無いものだし」

 

先程から右腕に感覚が無くなっている、しかし動かす事には支障が無い、ならば戦闘には大して問題にはならないだろう

 

「コレも神樹様が気を利かしてくれたのかな?.....まさかな〜。うし!じゃ、そろそろ行きますかね.....満開!!」

 

満開する事で園子との戦いで損傷してしまった武装は全て、修復され、安森奏は敵に向かい飛翔した

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜side夏凛〜

 

くそ!いつまでも横になってんのよ、私は!!それになんなのあの馬鹿!!せっかくみんなで頑張ろうって言ってたのに、俺一人で全部倒し切るからお前らはそこで横になってろ?ざけんじゃないわよ!!

 

何とか身体を起こそうとするがやはり、身体には力が入らず立ち上がる事すら出来ない

 

ちくしょう.......私は、また見てる事しか出来ないの?前回もそうだったじゃない、皆が満開して頑張っているのに私だけただ見ているだった......乃木園子の言う通りじゃない、役に立たない完成型勇者......

 

「くっそぉぉぉぉぉ.......こんなものが、なんぼのもんじゃあぁい!!」

 

声のした方に顔を向ける、すると自分と同じ様に餓者髑髏の能力で身体の自由を奪われたはずの三ノ輪銀が立ち上がった所だった

 

「あんのバカ!何ひとりでカッコつけてんだよ!!絶対1発ぶん殴る!!って事で樹ちゃん、ここは任せたぞ!!アタシはあの馬鹿をぶん殴って来るから!!」

 

なんでアイツは立ててなんで私には立てないの?アイツと私は何が違うって言うのよ.......

 

「待って、銀。私にもそれ、手伝わせてくれないかしら?」

 

そう言って立ち上がったのは東郷だった

 

「須美!!じゃなかった、えぇと美森も立てたのか!!」

「須美でも良いわよ?.....私もね、いつもいつも見送るって言うわけには行かないのよ、今度は一緒に行くからね?もうあんな『またね』は聞きたくないもの。それにそのっちには謝らないといけないわ、その為にはそこに奏君もいないといけない」

「.....そっか、じゃ一緒に....」

「ちょっと......待ちなさいよ、この部長たる私を忘れてるんじゃないかしら?」

 

ふらつきながらも大剣を杖替わりに立ち上がる風、ふらついてる風を支えるために樹が駆け寄って行く

 

「良かった、風先輩がいるなら百人力です」

「私の可愛い後輩が頑張ってるのに、私がいつまでも失敗した事を引っ張って寝転がってる訳にも行かないでしょ?ったく、私にはホントにそれが樹の為になるのかってカッコつけてて癖に.....こんなことが私たちの為になると思ってるのかしらね?それにしても大丈夫だった樹?女の子のお腹を殴るなんて男の風上にも置けないやつね!!私も1発ぶん殴らないと気が済まないわよ!!」

「私も、一緒に行きます!!」

 

友奈も立ち上がる

 

「私、このまま奏くん1人に任せたらもう奏くんは帰ってこない、そんな感じがするんです......そんなの、そんなのダメです!!讃州中学勇者部は奏くんもいないと讃州中学勇者部には戻れないと思うんです!!」

「よく言ったわ友奈!!その通りよ、だからアイツを連れ戻しに行くわよ!!」

 

結局自分以外の勇者部は全員立ち上がった、なぜ自分だけは立てない?皆と何が違うのだと言うのだろうか?

 

いや、そもそも私は何のために戦ってるの?完成型勇者になる為?じゃぁなんで完成型勇者になりたいの?世界の為?誰かに認められたいため?.......違う、最初はそうだったかも知れない、けど今私は何のために戦おうとしているの?決まってる、私は安森奏を助けたい、手伝いたいんだ、世界なんてどうだっていい、神樹様なんてどうだっていい、私は奏の為に勇者部の為にこの刀を振るう、それが私の『完成型勇者』よ!!




ほぼメインはにぼっしー目線で書きましたが他の勇者部の皆もこの位頑張って立ち上がっています、え?みのさん?いやぁあの子は気合いですかね?


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第93話 貴方と共に未来を歩む

もう少しでアニメ第一期は完結ですね、長かった......


「ぐ!!くそ、離れろこの野郎が!!!」

 

バーテックスと黄金十二宮のと、双児宮アムブリエルと双子座のバーテックスのジェミニの4体を相手にしているが代わる代わるに攻撃を繰り返し、反撃する事は出来ずに防戦一方になっていた、4体を引き剥がす為に大葉刈を展開し薙ぎ払うように攻撃する

 

「うぉ!?っぶな!!」

 

4体を引き剥がす為に攻撃したものの、その攻撃の隙を付いて遠方から攻撃が飛んでくるのをギリギリで避ける

 

「くそ......さっきからあと1歩の所で引いていくなぁ、無駄に連携してくるとはコレがアイツらの進化って事か?厄介だねぇ......つってもこっちもまだマトモにダメージは食らってないし........皆の力を呼び出して多少無理矢理にでも攻撃を仕掛けるか?」

 

とは言ってもアレは結構消費が激しいし、もう少し温存しておきたかったんだけど......まぁ、温存してる場合じゃない、か.......

 

「うし!いっちょ頑張って行きますか!!!」

 

気合を入れ直して、構えを取る

 

「チェストォォォォ!!!」

「うぼぉぁ!?」

 

突如死角から攻撃をされ、樹海の根に叩きつけられる

 

「あら、いい格好ねこの馬鹿」

「か、夏凛!?なんでココに!?」

 

殴って来たのは他でもない、先程餓者髑髏の力を使い自由を奪った筈の夏凛の姿だった

 

「な、なんでバリアが出ないんだ?」

「あ、言っとくけど私だけじゃないから」

「へ?」

 

チョイチョイと、夏凛が指を指していた、その方向へ首を向けると、目の前には巨大な壁が迫っていた

 

「え?壁?」

「じゃなくて大剣よ!!!」

「ぐほぉぅあ!?」

 

気が付けば風の大剣の腹の部分で殴り飛ばされた、このまま行けば敵のど真ん中に突入してしまうだろう、だが吹き飛ばされていく奏の足に何かが巻き付き、引き止めた

 

「い、樹ぃ!!ありがとう助かった!!」

 

ニコリ、と微笑んだ樹、しかしその微笑みはいつもの微笑みとは違い、どこか小悪魔的なものを含んだ微笑みだった。ソレを見て恐る恐る樹に聞いてみる

 

「い、樹さん?もしかしてさっき殴った事を怒ってらっしゃいます?」

 

ニコリと笑ったまま返事は無い、喋る事が出来ないので当然と言えば当然なのかも知れないが、今はソレに恐怖を感じた、その瞬間

 

「ふごぉ!?」

 

足を掴まれたまま地面に叩き付けられた

 

おおぅ.....今までで1番痛いんだけど......

 

地面に叩き付けられた痛みに耐えつつ立ち上がると、突如端末がなった

 

こ、コレ、出ても大丈夫なのか?出たらもっとひどい事されるんじゃ......

 

「ほら、早く出たら?」

「い、いやでも」

「出ろ」

「はい!」

 

夏凛に刀を突き付けられ、慌てて端末を取り出して電話に出る

 

『あら奏君、お元気かしら?』

「お、お陰様で」

『そう、ソレは良かったわ、因みに私達にあんな事をした訳だけど、何か言いたい事はあるかしら?』

「も、申し訳ございませんでした......」

『あら?一応悪い事をした、と言う自覚はあるのね?』

「そ、それはもちろん!!」

『なら、尚のことタチが悪いわね。いいわ、銀やっちゃって』

「おう!任せな!!」

「え?」

 

何故だろう、銀の声が後から聞こえてきたぞ?

 

がし、と肩を後から掴まれた。ギギギと壊れたロボットの如く後を振り向くとそこには銀の姿があった

 

「よう」

「よ、よう元気ですか銀さん?」

「もちのろん!だからこの有り余った元気を受け取ってくれないか?」

 

それでなぜ拳を握りしめて振り上げているんですか銀さん?銀さんの元気の発散の仕方は暴力なんですか?

 

「え、遠慮させて.....」

「ま、拒否権は無いから!!!」

「おぼぅ!?」

 

言葉と同時に、いや何なら言い切る前に銀の拳が奏の顔にめり込み、数メートル殴り飛ばされるが、何とか立ち上がると端末から東郷の声が聞こえてくる

 

『あらあら、痛そうね奏君可哀想に』

「ほ、本当にそう思ってますかね?」

『勿論よ?当たり前じゃない!』

「そ、そっかぁ良かったなぁ〜ははは!」

『可哀想だと思うけど、同情はしないけれどね?』

 

スパァン!と頭にナイスショットを決められた、恐らく威力を最低限にまで下げているのだろう、身体へのダメージは無いが.....物凄く痛い、それによってふらついてるしまったのを後から誰かに支えられる

 

「大丈夫奏くん?ボロボロだね」

「ゆ、友奈......」

「皆も手加減無いよね〜よしよし」

 

東郷に撃ち抜かれた所をさする友奈

 

良かった〜、友奈は怒って無いみたい.......

 

「でもね、奏くんがそれだけの事をやったんだから当然だよね?」

「え?」

 

次の瞬間視界がブレて、気が付けば奏は空に浮いていた、顎には痛みがある、恐らく友奈にアッパーをくらったのだろう。受け身も取ることも出来ずに地面に落下した、そこでやっとバリアが発動した

 

.......遅くない?普通にダメージ食らってんだけど?

 

仰向けになると、端末から八咫烏が飛び出して奏の胸の上に乗りヤレヤレと言いたい様な顔でこちらを見ている

 

んの馬鹿鳥がぁ!!お前の招待は大体わかってんだかんな!!全部終わったら焼き鳥にしてやる......!

 

そんな奏に東郷以外の勇者部が歩み寄ってくる

 

「.......なんでここにいんだよ、全部俺がやるって言ったろ」

「そんなのも分かんないの?馬鹿ねそんなの、私達全員があんたの事を大好きで助けたいって思っただけよ、ただそれだけ他に理由なんて必要かしら?」

「.......余計なお世話なんですけど?」

「アンタの事なんて知ったこっちゃないわね、大体アンタだって私達に無理をさせないようにこんな事してさ.......そんなに私達じゃ頼りないの?」

「違ぇよ、俺はただ皆がこれ以上辛い思いを.....」

「しないと思う?自分のために全部背負ってボロボロになったあんたを見てさ」

「........」

 

そんなのわかってる、けど......それでも皆には俺が居なる、コレが最後の辛い事になると思ってた

 

「一緒に背負わせて奏くん、そしてみんなで部室にかえろう?」

「けど、この先は地獄だぞ?」

「地獄で結構、お前のいない日常なんて言う以上の地獄があるとは思えないんでな」

「.......はぁ、完敗だよクソッタレ。いや、そもそも餓者髑髏を破られた時点で俺の負け、か。いいぜ、そこまで言うなら地獄まで付き合って貰おうじゃん」

「望む所よ」

 

そう言ってこちらに手を差し伸べる夏凛、だがその手を掴むのを躊躇ってしまう

 

「何よ、まだなんかあんの?」

「いや、なんて言うか.......もう無い?」

「流石に無いわよ!?」




という事で、勇者部として戦う事になった奏君、必要以上にボコられて無いかって?いえ、寧ろ足りない位じゃないですかね?


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第94話 貴方と共に未来を歩む(中編)

前回の話で「まだ園子様に殴られて無いから、まだ覚悟が必要だよ奏君」と言う感想があって笑ってしまった私です。流石にそろそろ許して上げましょうよw


「さて、随分と敵さんは空気が読めるわね、助かるわ」

「そりゃいきなり仲間同士で攻撃してたら呆然とするだろうよ」

 

風の言う通り、先程まで隙すら無いほどに攻撃してきた敵が遠方でコチラを観察するかのように待機している

 

「けどま、コレで仕切り直せるわね」

「そう言えば園子の守りは?」

「須美が園子がいる所から援護するってさ」

「そっか、なら安心して前線で暴れられるな」

 

結局皆に頼る事になったけど......まぁ若葉たちの力を借りて戦ってるし、今更感はあるか?

 

「それにしても、あれだけ数がいると敵ながら圧巻ねぇ......流石に犠牲なしって訳には、行かないわよね」

「今回ばかりは仕方ないわね、力を温存してて勝てる量とは思えないし........奏の満開はあとどれぐらい持ちそう?」

「ん、まだまだ行ける。力の呼び出しもまだ使ってないしな」

「なら全員で満開して一気に攻め切るわよ、えっとぉ?1人3体以上は倒さないとね」

「あ、それなら問題無いぞ、俺が黄金十二宮全部相手にするから」

 

ギロ、とその場に居た全員から睨まれ、身がすくんでしまう

 

「こ、怖いから余り睨まないで欲しいなぁ......」

「だってアンタねぇ......さっきみんなで頑張るって言ったでしょ?」

「いや、ちゃんと考えてるって!黄金十二宮はバーテックスほど場を荒らす能力は無いけど、連携能力がバーテックスより高いんだ、なら事実6人でノータイムで連携が取れる俺がやった方がいいだろ?」

「それでも、数だったら相手の方が上じゃない」

「あんまり俺を、いんや俺達を甘く見るなよ?こちとら300年前に世界を救った勇者なんだぞ?」

「.......無事に帰ってこなかったら承知しないからね!」

「ほいほい、任せろって」

 

なんか、こんな事前にもあったな、相手は若葉だったけど。ははは、俺っていっつも皆に心配かけてるな

 

300年前の記憶を懐かしく思いながら端末を取り出して、東郷に連絡をする

 

「そっちの準備はどうだ東郷?」

『いつでも行けるわ、背中は任せて』

「おう、いつも信頼してるよ」

『ふふふ、ありがとうその信頼に答えてみせるわ!』

 

まぁ、あの距離から俺の頭を1発で打ち抜けるんだ、信頼する他無いんだよなぁ.......

 

「よし、いいみんな絶対に、何があっても生きて帰ること!そして勇者部の部室にみんなで帰るのよ、勿論銀もいっしょにね?」

「うす!三ノ輪銀、臨時として讃州中学勇者部に入部します!!」

「いい返事ね!よっし、讃州中学勇者部行くわよ!!」

『はい!!』




今回は短かったです申し訳ありません!!次回は......戦闘シーン書いた方がいいかな?


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第95話 貴方と共に未来を歩む(後編)

最近マキブでDXの強さに気がついた私です、何ですかあのガンダムハンマー、格闘機と同じぐらい火力出るじゃ無いですか


「さぁてと、待たせたな」

 

おうおう、殺意満々だねぇ.....こりゃぁやっぱり全力で行かないとこっちがやばそうだな

 

「って事で、今一度頼んだぜ皆」

 

一度に若葉、友奈、タマ、杏子、千景の力を同時に召喚し、武器をそれぞれ構える

 

っつ!やっぱり負荷が大きいな、さっきの戦いで使わなくて正解だったな

 

「杏子はここから俺達の援護、タマは杏子の護衛、他は遊撃で、俺は前線で出来るぐらい場を荒らす」

 

返事はある訳は無い、しかし彼女達ならやってくれると言う事が直感でわかる

 

「さて、じゃ行きますか!!!」

 

次の瞬間、その場には奏の姿はなく、ガキエルの目の前にまで迫っていた、他の黄金十二宮は奏の動きに反応する事すら出来ない、ガキエルも水流で反撃を試みるが....

 

「間に合うかよ」

 

ガキエルを飛び越え、一閃ガキエルを一太刀で両断するとガキエルは光の粒子となり空に飛んでいった

 

「1つ目.....さて、次はどいつだ?」

 

奇襲成功っと、さてあとは若葉達の方に行くヤツと俺の方にくるヤツで半分ぐらいに分かれてくれればいいけど......なんで全部コッチに向かってくるの!?

 

周りにいた黄金十二宮全てから集中攻撃を食らうが紙一重で避ける

 

おいおいおいおい、流石に俺もてすぎじゃね?持てるなら女の子の方がいいんだけどねぇ、まぁ女の子にここまで詰め寄られたらぶっ倒れるけど.....

 

「お前らさ、俺ばっかり見てるけど、お前らの脅威になり得るのは俺だけじゃないぞ?」

 

ドかぁん!と俺を取り囲んでいた黄金十二宮の壁の1部が吹き飛ばされそこから友奈が突入して来た、その後には杏子やタマも含めた全員が付いてきている

 

あっれ〜?俺ってばちゃんと待機って指示出したよね?おっかしいなぁ......いや、まぁ助かったっちゃぁ助かったんだよ?けどなんか釈然としないよね......

 

「でも、まぁ逆に周りから責められるって事は後は必然的に全員で守れるって事だからコレはコレで結果オーライかな」

 

無理やり思考をポジティブな方向に持っていき、コチラを取り囲んでいる敵を睨み付ける、あちらはまだ動かない

 

なんか様子が変だよなぁ、いつもなら敵さんすぐ殺しにかかって来るのに、まるで時間稼ぎしてるみたいな立ち回り......ちょっと嫌な予感がするな、友奈達の事も心配だし、ここはコッチから仕掛けるしかない、か!

 

一息置き、全員で目の前にいる敵に攻撃を仕掛ける。自分は打鉄と生太刀を構えて前方に見えている頭が2つあり、腕が4本生えているアムブリエムと女性的なフォルムのバルビエルに攻撃を仕掛ける、がしかし正面からの攻撃ではやはり簡単に止められてしまう

 

「けどこっちはそれも分かった上で攻撃してんだよ!!」

 

いつもなら連撃を加えて相手の防御を崩すところだが、今回ばかりは力で押し込み、相手の行動を制限する

 

「千景今だ!!」

 

ヤツらの死角、俺の背中から千景が大葉刈を構えて切り掛る、だがヤツらも千景の攻撃をすんでで回避するが

 

それを見逃すほどコッチは甘くないぜ?

 

黒翼を羽ばたかせバルビエルに打鉄を突き刺し、そのまま樹海の根に突き刺す

 

「コイツもおまけだ!全部持ってきな!!」

 

新たに打鉄を5本生成し、全てバルビエルに突き刺し、距離を取ったところで突き刺した全ての打鉄を爆破する、爆煙が晴れるとそこには光の粒子が空に登っていくところだった

 

「きたねぇ花火だ.....なんつって」

 

まぁ至近距離、と言うかゼロ距離で大爆発をくらったら流石に耐えられないだろ、って言うかアレを普通に耐えられたらなす術が無くなる....さて、千景は....うん、しっかり若葉がカバーしてるな、タマと杏子コンビも問題無さそうだし、次は友奈の援護に向かうか




今現在の奏君が強すぎて合体した程度じゃ相手にならない敵さん、可哀想ですな


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第96話 力の代償

このまま奏君無双でもいいかな?と思ってた居ましたが、やっぱり多少手こずった方が面白くないですか?


「友奈は.......あそこか!?」

 

周りを見渡す、友奈の姿はすぐに見つかったが.....

あんの馬鹿!なんでわざわざパワータイプのやつに力比べに付き合ってるんだよ!?

 

友奈はアスモデルと取っ組み合いをしていた

すぐに黒翼を羽ばたかせ友奈の援護に向かう

 

「オラァ!!!」

 

取っ組み合いをしていたアスモデルに飛び蹴りを食らわせ、そのまま押さえ込み、打鉄を突き立てた、だが....

バキン!と半ばから打鉄は折れてしまった

 

な!?いくら何でもこんなので折れたりするはずは......まさかもう時間切れか!?

 

突如こみ上げてきたものを吐き出す、それは赤黒い血だ

いくら神樹様に戦闘用に作られた身体とはいえ、6人の勇者の力を同時に行使する事は身体への負担が大きかった

 

「くそ、こんなに早く......!がぁ!?」

 

押さえ込んでいたアスモデルに殴り飛ばされ、受け身も取れずに吹き飛ばされるが、若葉に受け止められた周りには他の皆の姿も

 

「いっつ〜......悪い、助かった若葉」

 

とは言っても、どうする?流石にこの状態じゃまともに戦えないぞ?つっても相手さんはお構い無しに攻めてくるよなぁ.....皆に援護して貰うか?回復能力だって強化されてるんだし、少し休めれば多少は動けるか?いや、援護してもらうにも皆の力も低下してるし、どうする?

 

皆が本来の力を発揮出来ない、しかも奏と言う荷物がある状態では勝つ事は不可能だろう、しかし敵にはそんな事は関係無い、一歩一歩近づいてくる

 

「不味いな.....頼む、もう少し動いてくれ」

 

鉛の様に重たい身体を無理矢理動かそうとする

だが、目の前を若葉の手が遮った

自分達でやるって事か?いや、皆にだって今の状態じゃ勝てない事ぐらい.....いや、そうか

 

「若葉達で俺が回復する時間稼ぎをするって事か、けど.....」

 

彼女達はあくまで力の顕現だ、そんな事は分かってる、分かってはいるんだけど......彼女達に死ねと命令する様なもんだ、そんな事俺には.....

 

「いや、ゴメン.....そうだな今は1番勝つ可能性が高いものを選ぶべき、か.....うし、頼んだみんな、俺が回復するまで時間を稼いでくれ」

 

そう言えば、あの時とは全く逆の構図か.....見てる方はこんなに辛いもんなのか

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

本来の力を発揮してようやく渡り合える相手に、今の状態では勝てるはずも無く、貫かれ、切り裂かれ、破壊される少女達

 

彼女達が本人じゃなくて、俺が召喚した力とは分かってるけど......それでももう一度皆が死ぬのを見るのは、なかなか辛いものがあるな......けど

 

「でもそのお陰で、コレで戦える!!」

 

立ち上がり、身体の確認する

殆ど力は回復したか?けど、次にいつさっきみたいになるか分からないし、最速で全部ぶっ潰す!!

 

黒翼を羽ばたかせ、1番近くにいたアスモデルの頭を掴み、樹海の根に叩きつけ頭部を破壊する、そして消えかけていたアスモデルの身体をコチラを攻撃する為に近づいていたウェルキエルに投げつけバランスを崩し、その隙を突き一瞬で距離を詰めてウェルキエルをアスモデルごと右手ストレートで貫く

 

「コレで4体目ぇ!!」

 

残りは9体、5分....いや、2分以内に全部倒す!!

 

ワイヤーを射出し、マリエルを引き寄せるのと同時に足に装備されている大葉刈を展開し切り裂くが、そう何度も一撃で倒す事は出来ず、腕を1本切り落とすのみで仕留め切る事は出来なかった

 

これ以上の深追いは危険か.....一旦距離を離して別の相手を狙った方がいいか

 

マリエルを蹴り飛ばし、距離を離すと同時にマルキダエルと、アドナキエルが同時に攻撃を仕掛けてくる

 

「2体同時に来てくれるなんて、手間が省ける!!」

 

展開していた旋刃盤で2体の攻撃を防ぎ、弾き飛ばす

アドナキエルには金弓箭で足止めしながら、マルキダエルに向かって打鉄を5本射出して突き刺し、爆破し倒す

足止めしていたアドナキエルには黒翼で距離を詰め、生太刀の抜刀で両断する

 

残り7!

 

「次は!?ぐ!」

 

次のターゲットを探し、振り向いた瞬間にバルビエルに押し倒され、マウントを取られ水流の剣を突き刺すが八咫烏の展開したバリアにやって防ぐ

 

「離せ、この!!!」

 

展開していた旋刃盤の2つで同時に挟み込み、そのまますり潰す

 

残り6!コレで大体半分か!

 

消滅しかけているバルビエルを巴投の要領で投げ飛ばし、その隙をついて攻撃してきたハナエルを打鉄を左手に生成し、生太刀との2つでハナエルの拳を受け止め、身体を捻る様にして攻撃を受け流し両腕を切断してハナエルの身体を持ち上げそのまま金弓箭をゼロ距離で打ち込む

 

残り5!

 

経過時間は.....1分ぐらいか?身体はまだまだ動くな、ただ2分以内は少し厳しいか?

 

次の狙いは手負いのハナイエル、金弓箭を使い行動を制限しそこに打鉄を投擲するが横から2体でひと組のアムブリエルが打鉄を弾き飛ばした

 

「ちっ!邪魔すんならお前らごとだ!!」

 

アムブリエルを金弓箭で牽制しつつ距離を詰め、打鉄も3本づつ生成し射出する、しかしお互いに1箇所だけ回避できるルールを残しておく、狙い通りアムブリエルはその場所に逃げ込んでいった所をワイヤーで2体とも掴み、その地面に叩きつけそこに打鉄を刺しトドメをさし、消えかけのアムブリエルを振り回し、逃走するハナエルを左右から押し潰す

 

後は....あの2体か、結局アイツは残ってんのか、何かと因縁があるねぇ.....

 

残っているのはムリエルとズリエル、ズリエルはともかくムリエルは今回も300年前も何かと因縁がある

 

「ま、毎回買ってるのは俺だけどな?来いよ、お前が勝てるならだけどな?」

 

ちょいちょいと指をこちらに向けて挑発する、それが聞いたのかは分からないがムリエルが先にこちらに突撃をしてくる、遅れてズリエルも後を追ってくる

 

「あ、ちなみにそこ危ないぞ?」

 

突如ズリエルの足元が爆発した、先程半ばから折れてしまった打鉄の剣先を爆破した、流石に予想外だったのか完璧に爆破に巻き込まれるズリエルだが、爆煙から飛び出すズリエルダメージはあるようだが戦闘にはそれほど支障が無いように見える

 

「逃がすかよ!」

 

旋刃盤を使って爆煙から飛び出すズリエルを叩き落とす、地面に落下するタイミングを見計らい左足の大葉刈を蹴り放ちズリエルの首を撥ねた、しかしそれでも構わずにムリエルはこちらに突撃を継続している。

その突撃を避けるのでもなく、迎撃するのでもなく純粋に力で受け止める、流石に4、5メートル押されるが、そこでしっかりと止め切る

 

「おいおい、こんなもんか?じゃ次はコッチから行くぞ!」

 

旋刃盤で横から殴り飛ばし、体制を整える前に大葉刈を使い攻撃を仕掛ける、ムリエルも自慢の装甲で防ごうも試みるもその装甲ごと腕を切り落とす、しかしそれで終わりではない。

そのまま頭部を掴み、逃げる事が出来ないようにひ、ムリエルの腹部にボディブローを叩き込み装甲を破壊する

 

「コレで、終わりだ!!」

 

砕けた装備に10数本の打鉄を突き刺し上空に放り投げ、爆破する

 

「タイムは.....お、八咫烏端末のタイマー起動させてたのか、気が利くね〜」

 

八咫烏から渡された端末を確認する

 

「1分58秒宣言通り2分以内に殲滅完了」




土曜日にどうしてもやらなければならない事があり、恐らく更新出来ません、申し訳ありません


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第97話 最悪の切り札

日曜はは出せずに申し訳ありませんでした!!
それどころか月曜日の分も遅くなってしまいましたし......


「おぉ〜い、奏ぇ!」

「ん、銀かそっちは終わったか?」

「おう!須美からの援護のお陰でな!!この感じ見るとお前もホントに1人で倒しきった見たいだな」

「言ったろ?任せろって」

 

まぁ結構ギリギリだったりするんだけど、ま言わなきゃバレないし黙っとこ、言ったらまた皆にボコられそうだし......アレはもう勘弁だ

 

そんな事を考えていると電話が掛かってきた

東郷から?

 

「もしもし?銀から聞いたよ、ナイスショッ......」

『奏君!壁を、穴を見て!!』

「穴?」

 

東郷に言われた通り穴を見る

おいおい....なんだありゃ?

自分が園子の攻撃を弾き飛ばした事で出来てしまった大穴、そこには前回の戦いの際に手こずったレオクラスターの巨大な火の玉の攻撃に似た球体が見えた。しかし大きさが前回の比では無い

 

「何よ....アレ?」

「なるほど、なんかアイツらの行動が消極的だと思ったけど、アレをせっせと作ってたって訳か......」

「なんか見るからにヤバそうだな.....元気玉と言うか、ストナーサンシャインと言うか........」

『今マップを使って確認したけれど、アレはどうやらあれ自体が敵みたいよ、合体しているようだけどね』

 

は?あれ自体が敵なの?じゃぁ何か、あのミニマムサン見たいなヤツの中に御霊があんの?てか何体と合体したらあんなんになるんだよ.....

 

「.....因みにさ東郷、アレって何体位合体してんの?」

『余り言いたくは無いのだけど......』

「OK覚悟は出来てる」

『.......多分アレはバーテックスと黄金十二宮全てが合体しているわ』

「え?全部って24種類全部?」

『名前が重なり過ぎてよく読めないけれど、恐らくね』

「あの場所で止まってるけど、あんなものが神樹様に当たったら......」

 

風の予感は的中、先程まで止まっていた集合体は一直線に動き出した、進行方向には神樹様

 

「っつ!東郷急いでコッチに合流しろ、全員でもあんなもの止められるか解んないぞ!!」

『りょ、了解!今行くわ!!』

「私達は先に行って、少しでも勢いを弱くするわよ!!」

『了解!』

 

くそ、ダダでさえこっちは結構限界が近いってのにあんなもの止められるのか?.......くそ、何を弱気になってるんだ俺は!皆だって不安な筈だ、それなのに最大戦力の俺が怖気づいてどうするんだ!!

 

集合体の前に友奈達と立ちはだかり前面にバリアを展開する、すぐに後から東郷も合流するし、集合体を迎え撃つ

 

「行くわよ勇者部、ファイトー!!」

『ファイトー!』

 

「何よこれ!重すぎるでしょ!?こんなの止められる訳......」

「諦めちゃ、ダメよ!!ここで私達が押し負けたら神樹様は.....!」

 

コチラは死力を尽くしている。しかし、集合体の勢いは全く弱まる気はしない、それどころか全力で張っていたバリアも簡単に破られてしまい、吹き飛ばされ受け身も出来ずに地面に叩き付けられる

 

「ぐぁ!!やっば、神樹様が!!!」

 

あのスピードじゃ誰も追い付けない!いや、追い付いたとしても止めることなんて......世界は滅びるのか?

 

全てを諦めかけたその時

 

「満開!!!!」

 

1人の少女の声が聞こえた、その声の主は知っている、俺が大切にしたいと思っている少女の、助けたいと、救いたいと思っている少女の声だ

 

「園子!?」

 

大赦所属対勇者殲滅型勇者乃木園子、先程まで自分達と殺し合っていた少女が巨大な船を出現させ集合体の眼前に立ち塞がった




園子様の肩書を書いたらなんかめっちゃ漢字が並んで凄いことになっちゃったけど.......間違った事書いてないし、別にいいかな?


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第98話 乃木園子の追憶

前々から書きたいと思っていた園子様の今まで考えていた話です


目が覚めるとそこは見た事のない天井が広がっていた、身体を起こそうとするけど、ピクリとも動かない

そうだ、私満開したら身体の何処かがおかしくなって.......

 

「お目覚めになりましたか園子様」

「貴方は、もしかして安芸先生?」

 

大赦の人達が付けているお面を付けているから顔は見えないけれど、その声には聞き覚えがある、私達の担任でピーマンの嫌いな安芸先生だ

 

「いえ、私はその様な人物ではありません」

「でも......」

「違います」

「........」

 

声は私の知っている安芸先生だけれど、その声には全くと言っていいほど抑揚が無かった、まるでロボットの様に

 

「私アレからどうなったの?」

「園子様は全てを敵を撃退する事に成功しました、他に何か聞きたいことはございますか?」

「そうだ!わっしーは!?わっしーは無事なの!?」

「須美様は無事でございます、今は他の部屋で眠っております」

「そっか.....良かった、ねぇアモりんは?」

「.....申し訳ございません」

 

アモりんは死んだ、それは分かっていた、だって私が看取ったんだから、でも認めたく無かった、信じたく無かった、夢であって欲しかった.......

 

「アモりん......アモりん.....うぁぁぁぁん!!」

 

私は泣いた、一生分泣いたのでは無いかというぐらい泣いた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

目が覚めると窓から眩しい光が差し込んでいた、1晩寝てしまっていた様だ、どうやら泣き疲れて眠っていたらしい

 

やっぱり身体は動かないな.....満開をしたら身体の何処かがおかしくなるのは戦ってる最中に気がついたけど......コレって治るのかな?もしも治らなかったら私、一生寝たきり?

 

「そんな......そんなのって......」

 

ドアが開くと私のいる部屋に何人もの人が入ってきた、でも全員がお面を付けている、その人達は私のベットの前に並ぶとそのまま膝を折り曲げ、その場に姿勢よく座り込み頭を垂れた。まるで何かを祀るように、ひれ伏すかのように

 

「おはようございます園子様」

「な、なに?どうしたの?」

 

確かに私の家系は大赦ではかなり力の強い家系らしい、けどここまでされるような程凄い家系では無いはずだ

 

「ねぇ、色々聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから私は色々な事を聞いた、今わっしーはどうしているのかとか、私のこの身体は元に戻るのかとか、大赦は私達が満開したらこうなるって分かっていて新たな勇者システムを私達に渡したのかとか

 

その全ての問にいい答えは帰って来なかった、だがその中でも1番に悪い答えは.....

 

「神樹様への供物?私達が、満開をすることで.....?」

「はい」

「っ!!!ふざけないで!!!!供物?なにそれ、その口振りからすると貴方達は知っていて私達に新しい勇者システムを渡して満開させたの!?」

「その通りでございます」

「そんな....なんで、なんで何も言わなかったの!?私達だって満開にそんな影響が出るって分かってれば......!」

「満開せずに勝つ事が出来た、と?」

「それは.........」

 

正直、満開を使わないで前回の戦闘に勝つ事は出来なかったかもしれない......アレだけ満開してギリギリ勝てたんだし......でも

 

「それでも、私達だって満開の事を聞いてればもっと.....!」

「我々も勇者達に満開の事について話すべきか意見が別れました、ですがいくら勇者と言えど皆様はまだ幼い、そんな貴方方に話すのはあまりに酷かと思いまして、ご両親への説明はしておりますが」

「え?」

 

家族は知っていた?知っていて止めずに、私達に戦わせたの?

 

「なに.....それ、そんなのっておかしいよ.....だって、私達は世界を救う為に戦ったんだよ?それなのに......その対価がこれ?は、ははは....ははははは!!」

「そ、園子様?」

「ははははは!!ははは.......もう、何でもいい、何だっていい.....わっしーは私の事忘れちゃったし、ミノさんもアモりんも死んじゃった.....私にはもう何も無いんだ」

「しかし園子様......」

「うるさい、もう何も聞きたくない。出ていって」

「しかし.....」

「出てってよ!!!!」

「.....失礼します」

 

そう言って大赦の人達はぞろぞろと部屋を出て行った

私は......私達は普通に遊んで、普通に生活をして、普通に恋をする事すら許されないの?




なんだなんだ?話を面白くしようとすればするほど園子様が壊れていく......


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第99話 乃木園子の追憶(中編)

今後のストーリーを考えれば考える程堕ちていく園子様.....


私が大赦で目覚めてから1週間が経った、最近はまるきり身体を動かさないのにも少し慣れてきた、最初の数日こそ辛い事や悲しい事を思い出して泣いたりもしたけど、もう涙も出ない......

今わっしーは東郷美森という名前になっているらしい、そのお陰で今後は大赦や勇者とは関係無い生活を出来るらしい

 

でも良かった、もうわっしーは苦しんだりする事は無くなるんだ、正直な話を言えばもうわっしーとは会えないって思うと少し.......寂しいなぁ。

 

けれどわっしーじゃなくてこんな目に合うのが私で良かった、私は昔からボーッとするのが得意だったし、好きだった、多分普通の人じゃこんな生活耐えられない......

 

そんな事を考えているとふと部屋の扉が開いた

 

誰だろう?ノックもしないで入ってくるなんて.......

 

「あれ?ここも違うな......やっべぇ迷った」

 

入ってきたのは私と同じ位の男の子、でもその男の子には見覚えがある、その人は私が大好きで、愛おしくて、けど私の手の中で看取った人

 

「アモ、りん?」

「君は、俺の事知ってるのか?」

「え?」

「俺ちょっと記憶喪失みたいでさ、君は俺の事を知ってるのか?」

「奏様!!」

 

慌てた様子で部屋の中に3人の大赦の人達が入り込んできた

 

「困ります奏様、まだ検査は終わって居ないというのに.....」

「すいません.....すぐ戻ります」

「ちょ、ちょっと待って!」

「ごめん、今は検査の最中なんだ.....また来るからさ」

 

そう言ってアモりんは大赦の人達に連れられて部屋を出ていってしまった、部屋に残っているのは私が目覚めたあの日私に説明してくれた彼女だった

 

「ねぇ、さっきのはアモりんだよね!?どうして?アモりんは確かに死んだはず.....!」

「園子様の言う通り、奏様はお亡くなりになりました」

「じゃぁ今の人は誰!?まさか顔が似てる赤の他人なんて言わないよね!?」

「彼は、神樹様に作られた人間、言わば神造人間と言うことです」

 

神造......人間?なに、それ?さっきの人はアモりんだよね?

 

「どういう事?だって、だってさっきのはアモりんでしょ?神造人間?何それ.....意味わかんないよ?」

「......信じられないのも無理はありません、ですが本当の事です彼は紛れもなく、安森奏様です」

「彼を......アモりんをどうするつもり!?」

「彼には、世界を救う為に戦っていただきます」

「貴方は.......貴方達はまだアモりんを戦わせようとしてるの!?」

「我々には彼の力が必要なのです」

 

ふざけるな......!ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!!!

 

「アモりんはもう戦ったんだよ!戦い抜いて死んだのに、貴方達はまだアモりんを辛い目に合わせようとするの!?」

「......申し訳ありません、私には仕事がありますので」

「っ!待って!!話はまだ終わってないよ!!!」

 

部屋を出て行こうとする彼女を引き止める、しかし彼女は私の問には答えず部屋を出て行ってしまった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それからアモりんは毎日私の部屋に来るようになった、そして少しでも園子の役に立ちたいと言って私に毎日ご飯を作ってくれた

 

本当は満開の影響でご飯なんて必要無いし、味も感じないんだけどね.......

 

彼は記憶が無かったけれど、彼と過ごす事でやはり彼が私の知っているアモりんだと確信が持てた。けれど大赦からはアモりんには昔の話はするなと言われている

 

正直従う必要も無いんだけど......仮にアモりんが記憶を思い出したらきっと苦しんじゃう、守れなかったと自分を責めちゃう、そんな事はさせられない。昔の話をアモりんと出来ないのは寂しいけど、でもアモりんの為だもんね

 

「明日から学校か〜ゴメンな?これからはずっとは一緒に居られない.....」

「ううん、大丈夫だよ〜アモりんは学生なんだから学校に行って勉強して、友達を作らないと!」

「でもさ、正直な話さいくら俺の両親が大赦の偉い人だったからって、俺ばっかり良くしてもらって.......なんか悪いなぁって」

「いいんだよ、アモりんのご両親は大赦の為に凄い功績を残したんだから、それに甘えちゃっても」

「そんなもんかね〜」

「そんなもんだよ〜」

 

と言うか、大赦はアモりんを利用するためにここで住まわせて居るんだから、寧ろこき使っても良いのに

......本当はアモりんとずっと一緒に居たいけど、アモりんは私が引き留めていて言い訳がない、アモりんには普通に生きて普通に恋をして欲しいんだ




餓者髑髏さえ無ければ園子様はただの優しい女の子なんです.....優し過ぎるかも知れないぐらい


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第100話 乃木園子の追憶(後編)

最近中々時間が取れずに投稿する時間が遅くなってしまい申し訳ありません!


私が記憶を失ったアモりんと大赦で出会ってから数週間、今日からアモりんは学校に行くようだ

 

結局最後まで「やっぱり俺は園子の側に居る!」だって、全くアモりんは優しいんだから.....

 

でも正直アモりんのいない昼間は物凄く寂しかった、私は思ったよりもアモりんに依存しているらしい、けどこれ以上アモりんに迷惑をかける訳には行かない。だから寂しさを埋めるために私も私なりに色々と調べてみた、とは言っても身体は動かないから大赦の人達に聞くしかなかったのだけど、しかし私はどうやら大赦では中々偉い人らしい

 

「ただいま〜」

「アモりん!おかえり!!」

「おう、ちょっと待っててな、今からご飯作るから」

「え?いいよアモりんも疲れてるでしょ?」

「コレが俺の仕事って言うか使命?みたいなもんだしな〜」

 

それから私はアモりんの作ってくれたご飯を食べながら学校の話を聞いた、けどおかしい所がある。何でもアモりんが入った部活は勇者部と言う名前の部活らしい、しかも部員にはわっしー、東郷美森も一緒だと言う

 

勇者部?それにわっしーも一緒だなんて、何かおかしいよね.....それに犬吠埼風さん、犬吠埼って確か夫婦揃って大赦の偉い人だったよね、でもこの間2人ともお亡くなりになったって聞いたけど、その娘さんだよね、っていう事は彼女も大赦の息が掛かった人間なのかも知れない....

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

アモりんと一緒にご飯を食べた後大赦の人を呼び出して、アモりんの話を聞いておかしいと思った事を聞いてみた、結果は思った通りやっぱりアモりん達を勇者に仕立てる為の部活らしいもちろん犬吠埼風さんは大赦の人間だった。

 

「なんで?わっしーはもう勇者として戦わなくても良くなったんじゃないの!?」

「申し訳ありません、奏様同様三森様の力は強力なのです、ですがまだ勇者なると決まった訳ではありません、他の学校にも勇者部と似た部活が存在しております、次の勇者はその中から神樹様に選ばれるのです」

 

他の学校に同じ様な部活がある?よくもまぁぬけぬけと......わっしーとアモりんが同じ所にいる時点で1つの学校に戦力が集まり過ぎてる、それに今のわっしーのお友達の結城友奈さんも歴代勇者の中でもトップクラスの勇者適性をもった人らしいし

 

大赦は神樹様に選ばせる気なんて無い、という事だろう他の学校に勇者候補が居るのはあくまでも言い訳の為だろう

 

「......貴方達は、大赦はアモりんだけじゃなくてわっしーにまで辛い思いをさせようとしてるんだね」

「申し訳ありません、ですが世界を救う為には大きな力が必要なのです」

「だったら、だったら私が戦う!勇者は満開をすればするほど強くなるんでしょ?だったら何度も満開をした私はかなり強いんじゃないの!?」

「確かに園子様はお強い、過去の勇者の中でも最強の勇者でしょう、しかし今園子様の勇者システムは今の園子様用に調整の最中です」

「それは後どれぐらいかかるの?」

「未だ目処は立っておりません、しかし勇者様達からの戦闘データさえ入手出来ればもっと早く完成させることも出来るでしょう」

 

それまでは黙って寝てろって事、か.....大赦からしたらきっと私は邪魔な存在何だろうね、きっと本当にギリギリにならないと私を戦わせないつもりだろう

 

「なら、私はアモりん達に全部話す、いいよね?」

「それはいけません、奏様達の為にも」

「......どういう事?」

「奏様が下手に知ってしまえば、今一度作り直される、という事です」

「な!?」

「神樹様としてはにも知らずに戦い続ける兵士が必要なのです、そうなれば満開の事について知ってしまった奏様は一体どうなるのでしょうね?」

「っ!?貴方達はどこまで......!」

「園子様の賢明な判断を期待しております」

 

そう言って大赦の人は部屋を出て行った

 

.....完璧に抑えられた、これじゃぁアモりんに満開の本当の事を話す事は出来ない

 

「アモりん、ごめん.....ごめんね、私が戦えればアモりん達には無理をさせないで済んだのに.....」




園子様も落ちていきますけど、同時に大赦もクズになって行く.....今一度言っておきますが、あくまで大赦には2つに割れていて、半分は春信さん達の様な人達ですので.....


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第101話 乃木園子の追憶(終編)

申し訳ありません!最近上手く時間が取れず投稿が遅れてしまいました......代わりと言っては何ですがいつもより長くなっております


アモりんが学校に行き始めてから数週間、何故か物凄くウキウキしながら帰ってきた、それはもうこれまで見た事も無いぐらいで

 

「随分嬉しそうだね〜、何かいい事でもあった?」

「そうか?いつも通りだと思うけどな」

「それでいつも通りって言われてもね〜どうしたの?告白でもされた?」

「......園子さん感がいいですね、もしかしてエスパーですか?」

 

どうやら当たっていたらしい、まさか本当に告白されているとは思わなかった

 

私と会ってから見た事の無い顔だ、きっと私にはこんな顔をさせるのは出来ないんだろうな.....まぁこの身体じゃ仕方ないか〜、でもほんの少し勇者部の皆が羨ましいかな......

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

でもそれから数日経った日、今日は犬吠埼風さんとのデートって聞いてたけど、アモりんは予定の時間よりも早く帰宅してきた、しかもとても体調が悪そうだ、話を聞けばデート中に倒れてしまったらしい

 

デートしてるだけで立って居られない程の頭痛や吐き気に襲われた?なんでそんな事が......まさか満開の影響?でもアモりんは神樹様に造られたのに、わざわざそんな散華の影響を残したまましないよね?だとしたらこれも大赦のしわざ?

 

けど大赦の人達も予想だにしていなかった自体の様で、大分焦っていた調べても理由が分からないんだとか、正直信じられないけど今更私に隠したりしないだろう

 

「アモりん何か覚えは無いの?」

「いや、ごめん分かんない.....」

「ううん、私こそゴメンね今日はもう寝た方がいいよ」

「いや、でもご飯作らないと」

「こんな時に何言ってるの、私は大丈夫だから今日は寝た方がいいよ」

「.....ごめん、じゃぁ今日はお言葉に甘えさせて貰うよ」

 

それからアモりんは何度か犬吠埼風さんとデート等をしたけど結局1度も成功しなかった、その都度検査等をして身体に異常が無いか確認したけどどこにも異常は見当たらないらしい。けど恐らくアモりんは誰かを愛する事が出来ないのだと思う、非現実的ではあるけどアモりん自体が神樹様に造られた人間なんだ、何があっても不思議じゃない

 

「園子は大丈夫なのになんでだろうな?」

「なんでだろう、身近に居すぎるからかな?」

 

何故か私相手には体調が悪くならないらしい、わっしーが相手でも意識すれば体調が悪くなるらしい、という事は2年前の戦いとは関係無いと思う

 

でもアモりんが私相手に体調悪くならないからこうしてずっと話していられるし、体調が悪い時は私に甘えてくれるのは嬉しいんだけど、もしかしたら私の事を異性として認識してないのかな?.....ううん、こんな身体なら仕方ないかな、身体が動かなくてそもそも片腕しか残ってない女の子なんて興味無いよね......

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私と今のアモりんが初めて会ってから大体2年が過ぎた、勇者部には犬吠埼風さんの妹の犬吠埼樹ちゃんが入部したらしい、彼女も姉と同様で高い勇者の適正があるらしい

 

遂に今日か....勇者が4人と試作型の防人が1人、後からもう1人勇者が派遣されるらしいし、全部で6人か.......私達の頃だったら十分過ぎる戦力だけど、ヤツらも進化する。最初は良くても後々満開無しじゃ無理だろうな

 

「やっぱりアモりんには満開と散華の事を言うべきかな?大赦も今から戦いが始まるって前にアモりんを消したりしないとは思うけど.....ううん、大赦なら本当にやりかねない、いざと言う時は私の言う切り札が残ってるんだし......」

 

やっぱり下手に動く訳にはいかない.....もしかしたら敵だってそうそう進化もしないかもしれないし.....

 

結果的に初陣は上手く行ったようで、特に怪我もせずにアモりんは帰ってきた、聞いていた通り、試作型の防人システムも勇者システムと能力的な差は殆ど無いようだ

 

防人、量産型の勇者か.......今は実地テストと戦闘訓練をしてるらしいけど、星屑相手でも苦戦する様なものが戦力になるとは思えないし、下手に犠牲者を増やすだけじゃない?大体アモりんの試作型だってデータの採取にしては性能が高過ぎる、大赦が何を考えてるか分からないなんて今に始まった事じゃ無いけど、最近は大赦も2つの勢力に別れてる見たいだし......

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今日はアモりんはお出かけしている、お出かけの内容を聞いて私は今まで生きてきた中でも1番驚いた、必死でいつも通りの表情を装ったけどアモりんには気づかれて無いかな?

 

わっしーとデートかぁ、わっしーはあくまで買い物って言い張ってるらしいし、アモりんもそう思う事にするらしいけど多分今回もダメなんだろうな。わっしーずるいなぁ......ううん、確かに昔抜け駆けはしないって約束はしたけど今のわっしーはあくまで東郷美森さんなんだから関係無いよね.....私もいつまでも東郷美森さんをわっしーと思うのは止めよう

 

今回のデートは成功したらしいけど、結局アモりんは倒れちゃったらしい、ちょうど通りかかった三好夏凜さんに助けて貰ったらしいけど、アモりんは物凄く落ち込んでいる

私はそんなアモりんを慰めて上げることも満足に出来ない、攻めて頭を撫でてあげられれば少しぐらい慰められるのに、私に出来るのは精々寄り添って貰う事だけ、それだって半分は私の為だ

 

誰かを好きになれない、か......まるで呪いみたい、でもそのお陰でアモりんは......

 

途中まで考えていた思考を振り払う、最低だ......いくら私には何も無いからって『アモりんが誰かを好きになれないお陰でずっと私を見ていてくれる』なんて考えるなんて......

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

アモりんは敵の進行してきても勝利を重ねて行ったけど、4度目の襲撃で遂に満開を使ってしまった、皆はまだ身体の異変については特に怪しんだりはして無いみたいだけど.....

 

でもそのうちにアモりん達だって気がつく、そうすれば大赦だって黙っては居られない筈.....

 

「ただいま、悪い遅くなった」

「おかえり〜、大丈夫だよってどうしたのその顔!何があったの!?」

 

アモりんの顔はボコボコに腫れたり、所々切れていたりしていた

 

「あぁ、えぇっとコレはだな」

「もうちょっとよく見せて!....これ転んだとかじゃないよね、誰にやられたの!?柄の悪い人たちにでも怪我させられたの!?どんな人だった!?顔は?せめて服装ぐらい覚えてない!?」

「ちょ、ちょっと落ち着いて下さいませんさ園子さん?」

「落ち着いていられないよ!アモりんをそんなにしたのはどこの誰!?なんとしても.....」

「大丈夫!大丈夫だから!ちょっと友達と砂浜で友情を確認し合っただけだから!」

「え?」

 

話を聞けば何でも、最近勇者部をサボり気味になっていた三好夏凜さんを連れ戻すために、グダグダ悩んでいたから剣で語ってきた、らしい......

 

いくらアモりんから仕掛けたとは言ってもここまでしなくてもいいんじゃないかな?三好.....確か大赦のあの若いお兄さんが三好って苗字だったよね、ていう事は兄妹?アモりんを怪我させたの罪は重いよ?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今日から2日間アモりんは勇者部の人達と一緒に旅館に行っている、何でも大赦が敵を退けたご褒美として勇者部を招待したらしい

 

たまには大赦もいいことをするね〜、ってそんな訳ないよね

多分これも捧げ物って事なんだろうね、勇者部の皆はわかってないんだろうけど......それにしてもアモりん大丈夫かな、最近なんか体調が悪そうだし、それにしても海かいいなぁ〜私も大赦に頼めば連れて行って貰えるかな?

 

.....いや、やめておこう多分言えば連れて行って貰えるけどそれじゃアモりんに迷惑をかけるだけで終わっちゃう、それなら最初から行かない方がいい

 

考え事をしていると部屋に大赦の人が入ってきた

 

「園子様、ご夕食の準備が出来ました」

「.....いらない」

「ですが.....」

「元々私はご飯なんて要らない身体なんだよ、アモりんだからご飯を食べてたけど、貴方達のご飯なんて要らない。それ下げて」

「.....かしこまりました」

 

あぁアモりん早く帰ってこないかな、1人は退屈だよ

 

それから私は新しい勇者システムの適合テストを開始した、なんでも勇者部の戦闘データを元に私の勇者システムを強化するらしい、新しい精霊を追加するらしい、その為に精霊の精神をリンクさせる

 

戦う事が出来ないのに戦力だけ増やすなんて、大赦はどこまで慎重なんだろう、それに何か精霊との精神のリンクって気持ち悪い......

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

やっとアモりんが帰ってきたけど、真っ先にアモりんは黒髪の女の子と、赤い髪の女の子に覚えないか?と聞いてきた

 

多分、わっしーとみのさんの事だよね?この間も似たような事を聞いていたし......もしかしてアモりん記憶が戻ってきた?

いや、神樹様の力がそんなに軽い筈ない、か......それに仮に思い出したとしても、アモりんはきっと苦しむだけだし、だったら忘れたままの方がいいよね......

 

それはそうと、アモりんは中々いい思いをしてきた様だ

 

私も少しぐらいアモりんに異性として見られたいなぁ.......ピッカーン!閃いた閃いた!閃いちゃった!!取り敢えず、いつものアレをやってもらおう、それから後はこっそり胸元開けたりして......

 

効果はてきめん、アモりんは顔を真っ赤にしながら私のはだけた着物を直してくれた。私がこんな身体になってしまってからはアモりんのこんな顔を見たの初めてだった

 

ふふふ、いいもの見〜れた、よかったこんな身体でもアモりんは私を女の子だと思ってくれるだ.......

でも勇者部の皆は普通に過ごしていればこんな事簡単に出来るんだよね?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あぁ......最近気分が悪い、モヤモヤすると言うかイライラすると言うか、新しい勇者システムのテストをしてからだと思う

 

大赦の人達は関係無いとは言ってたけど.......他に身に覚えなんてあるかな?強いていえばアモりんと最近会う時間が減ってきた、とか?でも流石にそれは関係無いしなぁ〜

 

しかも大赦から勇者部に満開の事について説明しろって言ってきた、ついこの間まで喋るな、と言っていたのに随分な変わりようである、正直今更喋るなんて面倒だ、大体なぜ私がそんな事をしなければならないのか.......

 

別に言ったって変わらないんだし、説明する必要も無いと思うけどな〜まぁやれって言うならやるんだけど、テキトー誰か読んでその人だけに説明でいいよね?みんな呼ぶと面倒くさくなるかもだし

 

説明するのは敵側の残党を倒した後らしいから、終わったら学校の屋上じゃなくて大橋の所に呼べばいいかな

 

取り敢えず残党との戦闘が終わったと同時にテキトーに1人大橋の社に呼び出した、たまたまわっしーだったのは驚いたが、私は何でもいいから早く終わらせる為に必要最低限の事だけを伝えて、わっしーを追い返した

 

貴方の名前は?か......もう完全に忘れちゃってるんだわっしーは、まぁ別にいいか、私にはアモりんがいる、アモりんなら大赦とは私を見てくれる、優しくしてくれる......だったら私にはもうアモりん以外必要無い

 

でもアモりんは帰ってくるなり、私をまるで化け物でも見たかのような目で私を見て、逃げ出して行った

 

なんで?どうして私から逃げるの?どうして私から離れるの?

そっか、私が悪いんだよね?今度あったらちゃんと謝らないと、そして治さないと、アモりんに嫌われちゃう.......そんなのダメだよ、私にはアモりんしか居ないんだから

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

アレから数日アモりんは私の部屋に来てくれない、なんで?どうして?アモりんは私に会いに来てくれないの?

......そんなの決まってる、勇者部だ勇者部の皆が私からアモりんを引き剥がしてるんだ

 

私にはアモりんしか居ないのに......大体アモりんのアモりんだよ、私の事は放ったらかしにして勇者部の皆と一緒にいるなんてさ、あぁそっか!勇者部の皆とずっと一緒に居るからアモりんは変わっちゃったんだ!!なら簡単な事だよね、アモりんから勇者部を切り離せばいいんだ!!

 

そんな時、ふと大赦の人達が話しているのを耳にした、何でも最近勇者部の皆が大赦の事を不審に思っていて邪魔になって来たんだとか

 

「ははは!ナイスタイミング!」

 

私は大赦の人達に提案をした、「何なら私が勇者部を始末して上げようか?」と、大赦は二つ返事でOKを出してくれた、だが始末するにも何かしらの理由が必要らしい

 

面倒臭いな......そんなの大赦の権力を使ってねじ伏せればいいのに、でもまぁ、理由を作るだけなら簡単だよね1番不安定な犬吠埼風を煽れば簡単に暴走する筈だ、他の勇者部の人達だってソレを黙って見過ごしたりは出来ないはずだし、全員集まった所で私はそれを始末すればいい。細かい所は大赦にいい感じに変えてもらえばいい

 

あぁそうだ!どうせならアモりんもここで殺しちゃおう!どうせまた神樹様に造り直されるんだし、ならまた最初からやり直せば良いよね、私しか知らないアモりんに.......!

 

それからは思い通りに事が進んだ、流石にミノさんが生きているのは予想外だったけど、そんなの関係無い私の邪魔をするなら誰だって敵だ

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

目が覚めると、どうやらアモりんに餓者髑髏を引き剥がされた影響で気絶してしまっていたらしい、勇者部の皆が太陽の様な球体に吹き飛ばされる瞬間だった、遠くには壁に大穴が開いているのが分かる、アレは恐らく私の攻撃のせいだろう、うろ覚えだが私は皆を本気で殺そうとしていた、餓者髑髏に精神汚染されていたとは言え、紛れもなくアレは私の感情だった......

 

私のせいで皆が.........それだけじゃない、このままじゃ世界そのものが.......!私のせいだ、私が、私が何とかしないと!!!




思ったよりも長くなってしまいました.....


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第102話 明日への剣

いや〜もう少しでこの話も終わりですね......次書くとしたら、乃木若葉編か、鷲尾須美編のどちらがいいですかね?


〜side園子〜

 

まるで太陽の様な球体を満開して受け止める、しかし止めるどころかスピードを落とす事で精一杯だ

 

こんなのどうすれば......!人1人が止められるようなものじゃない!!

 

「そのっち!!」

「わっしー!?」

 

声のした方に振り返ると、わっしーや他の勇者部の人達が前方にバリアを集中させ、私と共に球体を受け止める

れでもまだ止まらないし、そこにアモりんは居ない、もしかしたら先程吹き飛ばされた時に怪我でもしてしまったのだろうか?

 

「ごめんなさい、そのっち私全部忘れてたとは言え約束、破ってしまったわ」

「そんな!わっしーは悪くないよ!!だって悪いのは全部私なんだよ!?」

「何言ってんのよ、悪いのは全部大赦でしょ?アンタは利用されてただけなんだから、私達も見てたのよ?アンタが餓者髑髏って言う精霊に精神を汚染されてたのをね」

 

犬吠埼風さんはそう言ってくれるけど、それでは私自身が納得出来ない、だってアレは増幅されていてもアレは私の感情だ、それにあんなに酷いことをしたんだ、私は許されていい筈が無いんだ

 

「でも、私は.......」

「あぁ、もう頑固ね!ならコレが終わったら勇者部に謝りに来なさい!!そうすれば綺麗さっぱりアンタがした事も、言ったことも全部許してあげるわよ!!」

「え?でも私は皆を本気で.......」

「結果的に死んだ人なんて居ないんだ、ここは風さんに甘えようぜ園子」

「銀もいい事言うじゃない!で?アンタはどうするのよ園子?ここで負けて世界を終わらせる?」

 

ダメだよ......こんな所で終わらせられない!世界を滅ぼす訳には行かないし、皆にも謝らないといけないんだ!!!

 

「は!いい顔出来るじゃない!だったら、ここは死ぬ気で耐えるわよ!勇者部ファイトー!!!!」

『ファイトー!!!!』

 

6人の勇者の力を一点に集中させ、6片の花の様なバリアを作り出し集合体を完全に受け止める

 

「奏ぇぇ!上手いところは全部持ってきなさい!!!」

「っしゃぁ!任せなぁ!!村正ァ!!!!」

 

集合体の奥から巨大な剣が突き刺さる、アレは私の船を叩き切ったアモりんの剣だ、どうやらあの剣を作るために今まで待機していた様だ

 

村正が球体に突き刺さっていく、このまま行けば中心まですぐに貫く事が出来そうだ、しかし突如村正が止まった

 

「奏!?ちょ、どうしたのよ!もう少しで届くのに!?」

「ゴフっ!?」

「アモりん!?」

 

突如アモりんは吐血し、変身が溶け落下していく

 

「そんな.....!」

「くっ!まだよ、まだ奏は必ずやってくれる!それまで耐えるのよ!!」




今回のは話が進みませんでしたね....申し訳ありません


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第103話 明日への剣(中編)

今のところ乃木若葉編が1番多い様なので、次に書くとしたら乃木若葉編ですね、ご希望があったら感想などにお願いします!


「く、っそ......動けよ、なんだってこんなタイミングで.......!」

 

最悪だ、あと少しだって言うのにまさかこんな時に動けなくなるなんて......!

 

集合体に村正を突き刺し、あと少しという所で身体の限界で変身がとけ地面に落下したら奏

 

先程戦闘中に動けなくなったのとは違い、今度は完全に動けず地面に無様に倒れていることしかできない、身体は引きちぎられそうなほど痛みがあり、まるで自分の周りの重力だけだ数十倍にまでなったかの様に身体が重い

 

こんな所で終われるかよ!!せっかく園子も助けたんだ!皆を命懸けで助けたんだ!なのに......こんな所で終われねぇだろ!?身体の限界?ざけんな!そんなもんで、皆が身体はってるのに1人だけ寝てるなんて理由になるかよ!!

 

立ち上がる為、腕を突っ張るが全く腕に力が入らない。

それでも踏ん張るが口から赤黒い血が吐き出される、身体の限界など先程の戦いでとうに超えていた.....それでも無理やり戦い挙句の果てに村正なんて言う身体に負担のかかる技を使えばこうもなるって事だろう

 

くっそ.....なんで俺はいつもいつも、大事な所で動けないんだよ.....友奈の時だってそうだ、あの時も俺は見てる事しか出来なかった.....

それが悔しくて、自分を許せないから自分の身体を精一杯使う為に神樹様の駒として闘い続ける事を選んだってのに.....俺はまた皆死ぬのを黙って見てる事しか出来ないのかよ!

 

ひらり、と目の前に八咫烏が舞い降りコチラを見据えている。

まるでまだ闘い続けるのか?と問いかけているような目で、返事は決まってる

 

「八咫烏、頼む俺の身体はどうなってもいい!だから.....俺を、俺に皆を守らせてくれ!!」

 

八咫烏はしばしば考えた後、ヤレヤレと言いたげに首をふり、生太刀を出現させ、生太刀を倒れている奏の心臓に突き刺した。普段なら出現する精霊のバリアも今回は出現しない

 

「ぐ!あぁぁぁぁぁぁ!!」

 

生太刀が奏の身体に入っていき激しい痛みが身体中に走り抜ける、それはまるで生太刀によって身体が一秒ごとに作り替えられているかのように

 

「はぁはぁはぁ......思ったよりも辛いなぁ?けど、これでまだ動ける戦える!」

 

身体は相変わらず引き裂かれそうなほど痛いが、先程とは違い動かす事は出来る、幸い村正も崩れ始めているがまだ残っている、崩れ始めて居るとは言えアレを使う事が出来れば勝機はある、それにコレならば最後の一撃をヤツにかます位なら分けない

 

それにしても、生太刀が今俺の中に、一体化してるのか.....ったく昔も今のくっ付けたり、取り込んだり、同化したりそんなのばっかりだなぁ

 

「ま、それで皆を助けられるんだ安いもんだよ......うし、じゃ行くか!!」

 

再度満開をし、集合体へ奏は飛翔した




次回で戦闘は最後になりそうですね〜、終わったら後日談と設定開示とかしたいですねぇ


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第104話 明日への剣(後編)

最近週末になると、毎日更新が出来ない......これだったら週に2話か3話にして内容を濃くした方が良いのかな.....


〜side園子〜

 

「どうするのよ風!?押しとどめてるだけじゃコイツには勝てないじゃないのよ!!」

「少し待ちなさい!今いい方法を考えてるのよ!!!」

「と言っても、こんなの長くは持たないっすよ!?」

「でもどうすれば.....奏君しか動ける人は居ないのに.....」

 

ミノさんの言う通り、こんな球体長くは抑えていられない、アモりんが突き刺した村正ももう既に半ばまで崩壊し始めている、このままでは私達のバリアももう長くは持ちそうもない

 

「大丈夫ですよ風先輩、奏くんは必ず来ます......来てくれます、だって奏くんはいつだって私達の勇者ですから!!」

 

友奈さんの言葉と共に地上から何かが飛び上がってくる

 

「アレは.....アモりん!?」

「やっと来たのね!?」

「ったく遅いのよ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜side奏〜

 

生太刀を身体に取り込んで一時的に動くことが出来てるとは言っても、長くは持たないこの一撃で決めるしかない!

満開して皆の武器に使っていた力を全て右腕に装備されている篭手に全て込める、狙いは村正だ既に崩壊は始まって居るが使う他ない

 

「おっらぁぁぁ!!!!」

 

村正の柄の部分を狙って拳を振りかぶり、そのまま黒翼から全力で推進力を生み出し中心に向かって突き進む。村正も奏の攻撃に耐えられずに剣先から集合体からの圧力で崩壊が加速していく、それでも確かに中心へ突き進んでいくが中心に行けば行くほど集合体からの圧力は大きくなって行く

 

見えた!アレがこいつの御霊!!!

 

確かに御霊は見えた、手を伸ばせば届きそうな位置に御霊はある、だがそれ以上先に進む事が出来ない、身を守る為のバリアも最低限にしか展開しておらず、殆どを推進力にしているのにも関わらず後一押しが足りない。

しかしこれだけの熱量を発しているのだ御霊自体の防御力は欠片ほどだろう、だが村正はもう既に完全に崩壊していおり、右腕の篭手のみで突き進んでいくがその篭手すらも熱と圧力によりひびが入り始める

 

「まだ......まだぁ!こんなもんで終われるかよぉ!!」

 

身体に纏っていたバリアを更に薄くし全て推進力に回す、もう既にバリアは身体が燃えないギリギリの耐久性しか残されていない、しかしそれでも届かない、あと数センチの所で御霊に触れる事が出来ない

 

くそ!これでも届かないのかよ.....!身体も重くなって来たし、意識が.....

 

そんな時、先程八咫烏に生太刀を刺された場所に激痛が走り、意識が強制的に呼び覚まされ、脳内に声が聞こえた気がした

あともう少しだ.....踏ん張れ、と

その瞬間に黒翼から一瞬だけだが、これまでとは比べ物にならない程の推進力が生まれた

 

「ッ!!届けぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

腕を全力で伸ばし御霊に触れた、その瞬間に御霊が大爆発し、奏達は光に包まれた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「......ここ、は?」

 

気が付くと奏は仰向けに倒れていた、周りはどうやらまだ樹海の中らしい、だが見る限り樹海はもうすぐ元の世界に戻るだろう

 

って事は何とかなった.....って事か?それよか皆は?

 

首を動かして周りを見渡すと、勇者達は全員円になる様にして仰向けに倒れていた、見かけ上は怪我はしていないようだし息もあるようだ

 

良かった.....これで若葉達との約束は守れた、かな?いや、でもこれじゃぁ勇者部の皆には怒られそうだな.....

 

そんな呑気な事を考えながら奏は沈んでいく意識を手放した




次回からは後日談的な話を書こうと思ってますが....それはそれで結構長くなりそう


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第105話 ○○の未来への布石

すまねぇ....すまねぇ.....
遅れたのには色々と事情があったんだ、fgoやったりTRPGにハマったり、ガンプラでゆゆゆのキャラを再現しようとしてたり....はい、すいません遊んでました!!これからは週一ペースで投稿して行くので何卒!何卒!!


「なんだここ?」

 

気が付くと真っ白で、何もない空間に1人ポツンと立っていた、可笑しい俺はさっきまで皆と共に戦っていた筈.....

 

「もしかして.....ここがあの世って奴なのか?マジかぁ.....俺ってば何回死ねば気が済むんだろうね?てか園子たち悲しむんだろうなぁ.....」

 

そんな事を考えていると、突如何も無いはずの空間に映像が映し出される

 

「これは....300年前の俺の記憶?なんだなんだ、走馬灯か何か?でも普通走馬灯って死ぬ前に見えるもんじゃね?」

 

ていうか懐かしいな〜、今思えば昔から無茶してよく怒られたりしたけど、若葉も大概だよないや、そもそも先に若葉が無茶するからそれに付き合わされたりする事が多かった様な、それで結局若葉を止められない俺がひなた達に怒られるって言うね......

 

「まぁ、そんな生活も楽しかったんだよなぁ、でもこの辺からはあんまり見たく無いんだけど.....」

 

願い虚しく、映し出されている映像は今まさに、杏とタマがスコーピオンバーテックスに刺し貫かれる所だった。

.....正直な話、ここから先の記憶ってあんまりいい思い出が無いよな、千景が暴走するは、若葉は杏とタマが死んだ事に責任を感じてもっと無茶な事し始めるは、ひなたは若葉のそんな姿見て精神崩壊しかけるは、友奈も心ここにあらずって感じになるし、俺もこの辺から結構限界で皆のカバーにも限界があったし......

 

「.......今思い返せば返す程、この頃って大変だったな、まず俺一人だけだったらこの頃で死んでたな絶対」

 

しかしそんな辛い記憶も、終わりを迎えようとしていた

 

「これは1番最後の記憶、かぁ.....」

 

そう、自分が命を落とすその間際の記憶だった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

若葉の奴、遅いな......いや無理もないか、ほんと昔から若葉には迷惑かけっぱなし......いや、そんな事も無いか?寧ろ迷惑かけられまくられた様な気が....それでも、今回の件でお釣りが来るレベルか

 

「済まない、遅くなってしまった」

 

と、そんな事を考えていると部屋に若葉が入ってきた

 

「いんや、まぁ俺が無理言って若葉を付き合わせてるんだ、この位気にしないさ」

 

「そうか、それでなんだ先程ひなたとすれ違ったのだが、その......ひなたとは仲直り出来たのか?」

 

「.....残念ながら」

 

大袈裟に肩を竦めて見せる

 

若葉の言う通り、今俺とひなたはかなり仲が悪い、とは言え悪いのは俺なのだが......

 

奏が神樹様に自分の身体を捧げる事は他の誰にも相談せずに1人で決断した事だった、それで若葉とひなたの2人には物凄く怒られ、反対された。何とか若葉を説得する事には成功したがひなたとはその日以顔を合わせれば口喧嘩、とてもじゃないが謝れる雰囲気ではなかった

 

「いいのか?このまま仲が悪いまま別れると言うのも......」

 

「良いんだよ、どうせ顔を合わせたところで言い争いになるのは目に見えてるしな」

 

「.....やはりもう少しなにか方法が無いか探して見るべきじゃ無いのか!?こんなもの間違っている、もう少し探せばもっといい方法が.....」

 

「まぁ確かにもう少し探せば見つかるかもな」

 

「だったら!?」

 

「けどもう時間が無いんだ」

 

「え?」

 

「数日前位からもう身体の感覚が無くなってきたんだよ、視力も落ちてきたし、夜も全く眠らなくなった.....もう時間が無いんだ、だからこれ以上可能性を探してる場合じゃないんだよ、今の俺に出来るのは未来に為にこの力を託すこと位だ」

 

その為に若葉に手伝ってもらうと言うのは正直心が痛むが、生太刀と共に未来に託すには若葉に生太刀で俺を貫いてそのまま神樹様に取り込んでもらうしかない、俺一人では未来で身体を作る際に色々と足りないらしい、まぁここまで人間から掛け離れれば仕方ないのかも知れないが.....

 

「.....何故黙っていたんだ?そんなになるまで何故私達には何も.....」

 

「黙ってて悪かった.....最後ぐらい心配掛けさせないように、と思ったんだけど、伝えるべきだったな」

 

「ッ!!!」

 

先程まで俯いていた若葉だったが、俺の言葉を聞いた瞬間に俺の胸ぐらを掴み、背後にあった神樹様の幹に押し付ける

 

「お前はいつもそうだ!他人が無茶をすれば1番に怒る癖に、自分自身が1番無茶をする!!」

 

「......悪い」

 

「それももう聞き飽きた!!」

 

涙目、しかもすごい剣幕で俺に迫る若葉、怒るのも無理は無い寧ろ俺が逆の立場なら相手を殴っているだろう、いや、実際殴ったりしたのだが.....

 

「もっと迷惑をかけてくれ、少しぐらい私にも恩返しをさせてくれ.....」

 

「.....もう充分恩返しされてるよ、俺は若葉が居なかったら多分あの日、あそこで生きるのを諦めてた、今俺がここに居るのはお前のお陰だよ」

 

徐々に勢いが無くなり、遂には俺の胸に顔を埋めて泣き始めた若葉を、辛うじて動く右手で抱き締める、その肩は震えていていた

 

「だからさ、余り俺を揺さぶらないでくれよ、せっかく覚悟決めたのに......死にたく無くなるじゃんか」

 

「あぁそうだな、済まない.....そうだな私も覚悟を決めよう」

 

そう言って俺から離れ、腰に携えていた生太刀を構える若葉

 

「......悪いな、そうだひなたには若葉から謝っといてくれ、勝手に決めて悪かったて、今までありがとうってな」

 

「......わかった、任せておけひなたには私が責任を持って伝える、では、行くぞ?」

 

「おう、じゃ頼んだ.....」

 

ぞ、と言い終わる前に部屋の扉が開きとある人物が入り込んできた

 

「奏君!!!」

 

「ひ、ひなた!?なんで!?」

 

そのまま走りながらこちらに抱き着いてきたひなたを何とか受け止める

 

「どぅわぁふ!?」

 

おぉう......さっきも同じ様なの食らったぞ?俺はラグビー部じゃねぇってんだよ、てか若葉のタックルよりも重いんだが.....

 

そう思いつつ、ひなたの顔を覗き込んで見るとひなたは顔を涙でぐしゃぐしゃにしながらこちらを見上げていた

 

「ごめんなさい....ごめんなさい奏君!奏君だって辛いのに、私の身勝手で奏君にひどい事言っちゃって......」

 

「あぁ.....もしかしてさっきの俺と若葉との会話聞いてたりする?」

 

こくんと頷くひなた

 

「マっジかぁ、はぁ恥ずかしいったらありゃしない......俺の方こそゴメンな?色々勝手に決めて、ひなた達に心配かけて」

 

「なんだ、簡単に仲直り出来るじゃないか、全く私があれだけ苦労して仲直りをさせようとしたのはなんだったんだ.....」

 

「ははは、悪いな。でも最後にひなたとも仲直りが出来てよかった。コレで思い残す事はなんも無いよ」

 

しがみついていたひなたの肩を掴み、身体から引き離す。だが、再度ひなたは俺の身体にくっついて来た

 

「ひ、ひなたさん?離れてくませんかね?」

 

「......奏君、私いけないこと考えてます」

 

そう言って今にも泣き出しそうで、叱られることを分かっている子供の様な泣き顔でコチラを見上げるひなた

 

「私、奏君がこうする事が正しいって、世界の為なら、未来の為なら仕方ないって頭では理解しているのに、ごめんなさい....ごめんなさい私はそれでも......私は世界なんてどうでも良いから奏君とずっと、ずっと一緒に居たいって.....離れたく無いって.....」

 

「ひなた.....」

 

「今なら、まだ逃げられます....一緒に逃げましょう?いいじゃないですか、奏君はもう十分頑張ったじゃないですか、もう十分辛い思いをしたじゃないですか、こんな世界放ってほいて一緒に逃げましょう?奏君が逃げたって、誰にも文句なんて言わせません」

 

「.......」

 

「その行為が間違っている事であっても、世界の誰もが許さなくても、私だけは貴方を許します。もう奏君は頑張りました、そろそろご褒美を受け取る時なんです。だから、お願いです.....一緒に逃げてくださいお願いです.....」

 

あぁ......ひなたの言う通りこの場を逃げてしまえばどれだけ楽なのだろうか、もしもひなたと逃げる選択をすれば若葉も手を貸してくれるだろう。そうすれば本当に逃げる事は可能だろう、大赦等に仮にバレた所で若葉に返り討ちにさせる筈だ。そうして若葉やひなたとこの短い命が続く間でも共に過ごせればどれだけいい事だろうか.....

 

けど、そんな我儘が赦される筈がない、そんな我儘を通すには俺は沢山の人達の明日を夢を希望を毟り取り、踏みにじり、奪った

俺が今ここにいる事が出来るのはそんな人達の犠牲があったからだ、それなのに今更最後ぐらいは大切な人と過ごしたい?他の人たちだってそう思った筈だ、けどそれすらも叶えられなかった俺がそんな事を赦されるはずがない

だからただ一言

 

「ごめん」

 

そう言ってひなたの身体を引き剥がす、その一言でひなたはしがみついていた両手の力を抜いて俺を解放した、その表情はきっと俺の答えが分かった居た、そんな表情だった

 

「....若葉、頼む」

 

「.....分かった、任せてくれ」

 

そう言って若葉は生太刀の剣先をこちらに構え、口を開く

 

「奏、最後に一つだけ言わせてくれ」

 

「ん?」

 

若葉は俺が今までに見たことの無い、綺麗な笑顔で

 

「大好きだ、愛してる」

 

その言葉を聞いた時には、生太刀は俺の心臓を貫いていた、痛みはもう感じないが、全て感覚が遠のいて行くのが分かる。

その場に立っていることも出来なくなり、そのまま後ろへ倒れ込むと暖かい何かに包まれていくのが分かる

 

(これが神樹様に取り込まれるって事か....皆もこんな感じだったのか....)

 

そんなことを考えていると、薄れていく視界の先で若葉がその場にへたり込み、ひなたが慌てて駆け寄る姿が見えた。しかし、若葉の瞳は大粒の涙を零しながらも、俺の最後を看取る為にコチラを真っ直ぐに見据えていた

 

もう痛みを感じる事は無いと思っていたが、その表情をみて胸の奥が痛んだと同時に身体全てが暖かい何かに包まれ意識が途絶えた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

映像はそこで終わった

 

「結局好きな女の子1人幸せにする事も出来なかったな.....てか若葉もあんなタイミングで告白は無いだろうよ.....」

 

「ソレは仕方ないだろう?私だって言えるものならもっと早くに言いたかったが.....恥ずかしいだろう?」

 

「まぁ、そりゃそうだけどさ?それでもあんなタイミングで......へ?」

 

そこでやっと疑問に覚える、ここは自分一人しか居なかった筈だが?何故会話が成立している?しかもこの声は聞き覚えがある.....

 

そうして、声のする方に首を向ける

 

「久しぶり、になるのか?お前にとっては」

 

そこに居たのは正真正銘、先程映像の中で自分に告白をした乃木若葉その人であった




なんだろうね....自分の中の若葉が天然委員長キャラになっている....もっと真面目なキャラでは無かったか?
まぁそんな事はどうでもいい(よくない)、皆もTRPGやるんだよあくしろよ!!


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第106話 ○○は未来への布石である(後編)

最近ガンプラでゆゆゆキャラを再現しようとしてるんですがね?
風先輩と樹ちゃんだけベースになるガンプラが思い浮かばねぇんです....何かいい案とかありませんかね?


「わ、わか....ば、なのか?」

 

「あぁ、久しぶりだなと言っても、っと?」

 

若葉の言葉は途中で遮る様にして若葉を抱き締める

 

「か、奏!?」

 

「若葉、ごめん....ごめんな」

 

若葉を抱きしめ、その肩に顔を埋めるようにしてひたすら謝り続ける、まるで300年前とは逆のように

 

「....何故会っていきなり抱き着いて謝るんだ?お前は」

 

若葉は苦笑しながら、泣いている子供をあやす様に抱き締める

 

「会いたかった....せめてもう一度だけ、会いたかった」

 

「私もだよ、会えて嬉しい」

 

「なんで...若葉が?やっぱりここはあの世なのか?もしかして他の皆も居るのか!?」

 

は、っとして周りを見渡すがやはり周りはただの真っ白な風景だけが広がっているだけだった

 

「....残念ながらここはあの世では無い、悪かったな私ひとりで」

 

少しムスッとした風に言う若葉

 

(可愛い)

「可愛い」

 

「んなぁ!?何を言っているんだお前はぁ!?」

 

おっと、どうやら声に出ていた様だ、だがしかし、別に今更若葉が好きだと言うことを隠すこともあるまいて

 

「何、ってそりゃ思った事を言っただけだけど?」

 

「ヌゥ.....そうやってお前はいつも話の主導権を....もう、話を進めるぞ時間も無いんだ」

 

「時間がない?どう言う事だ?」

 

「そうやっていきなり真面目になる....まぁいいそれも今から説明する、取り敢えず先にこの空間について説明すると.....そうだな、ここは簡単な話お前の精神空間だ」

 

「せ、精神空間?この真っ白で何も無い空間がねぇ.....何かパッとしないと言うか、なんとも悲しい空間だこと」

 

なんと言うか我ながらここまで何も無いとさすがに傷つくんな、俺の中身ってここまでまっさらなのかね.....

 

「安心しろ、お前の精神空間と言ってもこの何も無い空間がお前の感情や心な訳では無い」

 

「そいつは良かった、ホッとしてるよ....で?そもそもな話だけどそもそもなんで俺が精神空間に居るだ?それに俺の精神空間なのにどうして若葉が居るんだ?」

 

「いい質問だ、お前ここに来る前に何をしたか覚えているか?」

 

「ここに来る前って....そりゃあバーテックス共と戦ってたな」

 

「では、どうやって戦った?お前の身体は既にボロボロだった筈だが?」

 

若葉の言葉に記憶を手繰り寄せていく

確か....身体がもう動かなくなって、身体を無理やり動かすために.....

 

「生太刀を取り込んで力を無理やり上げた?」

 

「その通りだ、元々ボロボロだった身体を生太刀を使って無理やり動かしたんだ、さらに身体には相当の負荷がかかった。戦闘が終わったあとすぐにお前は治療の為に神樹様に直接取り込まれたんだが身体に精神が残っていると不都合があったんだ」

 

「因みにその不都合ってのは?」

 

「奏の身体を神樹様が1度取り込んで治しているわけだからな、最悪の場合は精神が神樹様に飲み込まれ、身体は治っても廃人になっていただろう。それを防ぐ為のこの精神空間って言う訳だ」

 

そんな若葉の説明に心底ホッとする、神樹様の心遣いに感謝!と言いたい所だけど、神樹様からしたらせっかくの強いコマをみすみす捨てない為なんだろうけどさ

 

「そして、どうして私がお前の精神空間に居るのかと言う事だが、色々あるが1番の原因はお前が生太刀と同化した事と八咫烏が原因だろうな」

 

「八咫烏?いや、生太刀はお前の力が込められてるからまだ分かるんだけどさ、八咫烏はただの精霊だろ?どうして理由になるんだ?」

 

「八咫烏はな、なんて説明したのもか.....まぁアレも実は私と言えば私なんだ」

 

.....何言ってんだコイツ?こんな電波な子だったか?

 

「おい!私が頭のおかしい事を言ってると思ってるだろ!!!」

 

「.....いや、だってイキナリ[あの精霊実は私なんだよ!驚いたぁ?]なんて言われたらちょっと.....ね?」

 

「そこまで言ってないだろ!?」

 

「で?実際どう言う事なんだ?時間ないんだろ?早く説明してくれ」

 

「ぐ.....!またお前はぁ!!まったく、まぁその通りだから話を進めるが、八咫烏は元々私を精霊として作ろうとしたが情報が足りなくてな、なんせ300年前の人間だ仕方ないだろう。後はバレないようにカモフラージュだな」

 

「カモフラージュ?なんの為に?バーテックス共にバレたって何かしら問題がある訳でも無いんじゃないのか?あ、いや、そうか.....今は大赦の内部で分裂してるからか」

 

「ほう?知ってたのか、その通りだ。お前に余り強い力を持たせると色々都合の悪い連中に、あくまで普通の精霊を付けていると思わせる為のカモフラージュだ、お前の勇者システムが最初は試作型の防人にしていたもの同じ理由だな」

 

上手いこと考えるもんだ、お相手さんも園子を使って勇者部全員を殺す予定だったんだろうし、相手に俺の戦闘力を騙す事が出来たから園子を止められた訳だし、考えたのは春信さんかな?

 

「そして八咫烏と生太刀、私の力を込められている2つのモノと同化したんだ、お前の精神と都合が良いから神樹様にお前の説明係に任命された訳だ、あと説明が必要なことと言えば.....そうだ、どうして時間が無いのかも説明する必要があるな。お前を治療する為に精神空間に隔離している訳だが、余り長い間精神が身体と離れていると身体と精神と縁が切れてもう身体には戻れなくなる、時間がない理由はそんな所か」

 

「成程ね.....因みにその時間はあとどれぐらいあるんだ?」

 

「そうだな、あと十数分と言った所だろうな」

 

「あと十数分....それだけの時間しか無いのか」

 

「....一応言っておくが帰らない、なんて事を思うんじゃないぞ?」

 

「分かってるさ、アイツらも待ってるだろうしな。けど、俺は今でもお前が.....」

 

そのまま言葉を続けようとするが、若葉が顔を両手で包み込んだせいで言葉がとぎれた

 

「馬鹿者.....生者が死者に囚われてどうするんだ、お前は今この時代を生きているんだぞ?なら、過去の人間の私ではなくあの子達にその言葉を言ってやれ」

 

「ははは、そもそも言えないんだよな。まぁ言えたとしても言わないけど」

 

過去の人間、か.....俺だけが取り残された見たいな気持ちだな。

...いや、取り残してきたのは俺の方、か.....未来へのバトンを受け渡したと言えば聞こえは良いけど、結局は受け渡したと言うよりも押し付けた、が正解なんだろうな.....

 

「奏?どうした、何か....」

 

「ん?いや、なんでもない。そう言えばさ俺が他の子を意識したりするとすげぇ体調悪くなるんだけど何か知らね?」

 

「......イヤ、ナニモシラナイナ」

 

「お〜い、目が泳いでるぞ〜?」

 

.....上手くごまかせたか?何考えてるんだ俺は、誰も押し付けたくて押し付けた訳じゃない、その為に命を捧げた人達だって居るってのに....

 

「....実は、その原因は私にあるんだ。あるんだが......その、説明しないとダメか?」

 

「まぁ原因知ってるんだったら教えて欲しいな」

 

「ムゥ.....分かった、説明しよう....あの時お前に生太刀を突き刺す瞬間に考えてしまったんだ、『どうしてこんな悲しい思いをしなければならない?どうしてこんな事しなければならない?どうして奏をこの手で殺さなくてはならない?どうして、奏に全てを押し付けなければならないんだ?どうしてずっと一緒に居ることも出来ないんだ.....!』とな。それが呪いとなってお前を蝕み続けていた、すまない.....」

 

「......」

 

「か、奏?」

 

「ふ、ふふふふ.....あっはっはっは!まさか若葉がそんなヤンデレ気質だとは思わなかった!!ははは!そうかそうかずっと一緒に居たかったか!あはははは!!」

 

「な!なんでそんなに笑うんだ!?喋るこっちは本気でだなぁ!!」

 

「あはは!!いやぁ、悪い悪い!成程ね、そう言う理由があった訳か〜ふふふ、そんなに俺の事を思ってくれてたなんてな?そんなに思ってたならもっと早く言って欲しかったもんだよ」

 

「ヌゥ....仕方ないだろう、私だって恥ずかしかったんだ!!」

 

「まぁ、俺も告白するまで長く掛かったしな〜、人のことは責められないか。まさかこの手の会話で若葉の赤面する姿が見れるとは思わなかった、俺がもっと早く告白していれば、お互いに生きている内にこんな会話を出来たのかも、知れないな....」

 

「.....不器用だったな、お互いに。いい経験になったじゃないか、今度は余り勿体ぶるなよ?」

 

「善処はするよ、ただお前の知る通りそう言うのに関しては不器用なんでな。経験が生きるかどうかは分かんないけどな」

 

お互いにははは、と笑い合う

 

「.....そろそろお別れの時間だな、最後に色々と喋る事が出来て良かった」

 

「そうだな、ホント神樹様には足を向けて眠れないな.....そう言えば帰るのってどうやって帰るんだ?俺なんも知らないんだけど?」

 

「問題ない、お前が帰りたいと思えば自動的に身体に引っ張られる.....本当に大丈夫か?こちらに残りたい等と考えていないな?」

 

「大丈夫だって、アイツらに謝んない事もあるし、しっかり帰るさ」

 

「そうか.....む?どうやら時間が来たようだ」

 

若葉がそう言った瞬間に背後から何かに身体が引っ張られる様な感覚がある

 

後はコレに従って行けば、若葉とはお別れ、か....未練が無いと言えば嘘になるけど、もう迷ったりはしない

 

「あ、待ってくれ最後に一つだけ、奏に伝えたい事があるんだ」

 

「ん?どうした、まだ何かあるのか?」

 

若葉は一瞬、気恥しそうに、そして申し訳なさそうにしてか俺の目を真っ直ぐに見つめてこう言った

 

「ずっと....ずっと愛している。大好き"だった"よ奏」

 

「っ......あぁ、俺もだよ若葉」

 

そう言って背後から引っ張る力に従うように後ろに振り向き、そのまま歩いていく、これ以上若葉の顔を見ていられなかった。最後の挨拶とかをするべきなのだろうがそんな事を出来るほど俺の心は強くない

 

結局こんな結末か.....コレも俺への罰なのかね?ははは、だったら納得か

....くそ、最後の最後でこれかよ畜生なんで.....

 

「奏!!!」

 

若葉に呼ばれ、思わず振り返る。目の前には若葉の顔が迫っていた、驚く暇もなくすぐに唇に柔らかいモノが当たるのをが当たった、それが若葉の唇と分かるまで時間はかからなかったが、驚きで思考が停止してしまう

 

「な、何を!?」

 

「ふふふ、餞別だ。あの子達を幸せにしろよ?」

 

その瞬間一気に身体が引っ張られていき若葉が遠ざかっていく、遠ざかる若葉の頬には、一筋の涙が伝っていた

 

あぁ、結局泣かせちまった.....けど、今回は辛そうな笑顔じゃないな

 

俺の意識はそこで途絶えた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

side若葉

 

行ってしまったか....やはり少し寂しいな、だが

 

自分の唇に触れる

 

私もあんな事が出来たのだな、自分でも以外だった

 

「全く見みてるこっちがモヤモヤしましたよ、最後に大好きだったよって言葉でお別れするのかと思っちゃいました」

 

声の聞こえた方に向き直ると、そこには見知った5人の少女が並んでいた

 

「私も本当はそれだけで終わるつもりだったんだが.....気がついたら身体が動いていた」

 

「でもあんなに素直な乃木さんは初めて見たわ、300年前もあれぐらい素直になってくれれば奏君も苦労しなかったでしょうね」

 

「ぐ....」

 

「それに最後の行動はぶっタマげたぞ!まさか若葉があんな大胆な行動をするとは思わなかった!!300年前もあれぐらい大胆に奏にアタックすればなぁ?」

 

「ぐぅ....」

 

「ま、まぁまぁ二人とも2人には2人のやり方があるんだよ!!」

 

「そ、そうですよ!人には向き不向きがあるんですから!!」

 

「でも奏君は告白したのに、その返事を最後の最後で返しましたからね〜、まぁ若葉ちゃんらしいと言えば若葉ちゃんらしいですけど」

 

「ぐぬぅ.....!わ、私の話はもう良いじゃないか!それよりもお前達は本当に会わなくても良かったのか?」

 

「良いんですよ、若葉ちゃん1人ですら迷ってたのに、私達が出て行ったらこっちに残るって言いかねませんしね。その結果若葉ちゃんや奏君の可愛い姿も見れましたし私は大満足ですけど!!!」

 

「この場にカメラが無くて心底良かったと思うよ.....さぁそろそろ私達の役目も終わりだな、300年前は言えなかったが最後までありがとう皆」

 

その言葉を聞いきて5人の少女達は笑顔を浮かべながら、光の粒子となり消えて行く

 

最後に奏が消えていった方向を見つめ

 

「さようなら、私の初恋の人」

 

それだけを言いうと、真っ白な空間は少女達と共に消えていった




今思うと若葉と奏君はもう少し幸せになっても良かったんじゃないかな?と思う私であります....


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第107話 2年前の小さな約束

遅くなった上に短くて申し訳ありません、ここで切っておかないと、次が長くなり過ぎてしまうんです。
申し訳ねぇ...申し訳ねぇ...


〜side東郷〜

 

あの戦いの後病院に私達は運ばれた、直ぐに皆に会うことは出来たけど、奏君や銀、そのっちには面会をさせて貰えなかった。それから直ぐに自宅に帰ることは出来た、未だに奏君達とは会うことは出来ていない。そのまま数日過ぎていった

 

「ん.....朝ね」

 

いつも通りの朝、せっかくそのっちや銀、奏君の事を思い出したのに会えないなんて.....今日こそは会えれば良いけれど、多分今日もダメなんでしょうね、こうなったらもう直接大赦に乗り込んだ方が....

 

ベットから上半身を起こして車椅子に移ろうとすると、足の異常に気がついた、今まで感覚の無かった足に確かに熱を感じる

 

「もしかして......」

 

身体を動かして床に足を付ける、確かに感覚がある。そのまま立ち上がる、しかし直ぐにベットに倒れ込んでしまう。だが確かに立つことが出来た

 

「.....ッ!?なんで、足が....もしかして満開の後遺症が治った?もしかしたら皆も!」

 

直ぐに大赦から渡された新しい端末を使って皆に連絡を取ると、私の予想通り私以外の勇者部の満開の後遺症も治り始めていた、けれど奏君達の情報は何も分からない、大赦からは一方的にメールが送られてくるだけで返信は出来なかったし、直接大赦に話を聞きに行っても追い返されるだけだった。

 

「結局今日もなんの情報も得られませんでしたね....」

 

「奏先輩....最後大赦の人達に連れていかれる時意識が無かった見たいでしたし、心配です.....」

 

「銀ちゃんと園子ちゃん、だっけ?あの二人の事も全く教えてくれないしね」

 

「大赦からはいつも通りの生活をしろの一点張り、満開の後遺症が治ったって奏が居ないんじゃいつも通りの生活なんて出来ないじゃない!」

 

「落ち着きなさいよ風アンタがそんなんでどうすんの、大体アンタ達は心配し過ぎ無のよ、あの馬鹿の事なんだからそのうち元気に帰ってくるわよ、そうよそうに決まってる」

 

「ふ〜ん.....そんな言い方してるけど、1番最初に勝手に大赦に乗り込もうとしたのは誰だったかしら?まったくもう、素直じゃ無いんだから」

 

「う、うっさいわね!!ほら、もう暗くなってきたしそろそろ帰るわよ!!!」

 

「あ、待ってよ夏凜ちゃん!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そんな事を続ける私達の後遺症は時間が経てば経つほど回復した、今では殆ど満開の後遺症は無くなったけど私だけまだ少し足に違和感があるけど歩く分には問題無い位回復した。

それぐらい日が経つとようやく大赦から私達の望む連絡が来た

 

「にしても、いきなり先日事件についての説明、ね.....今までなんにも喋ってくれなかったのにいきなり過ぎないかしら?」

 

「まぁ、少し怪しい感じはするけど....奏の事を聞き出すには行くしかないわね」

 

「うぅぅ....いざ大赦に行くってなるとちょっと怖いです...」

 

「無理しなくても良いのよ樹、あんな事があった後だしね、今回は話を聞くだけらしいし、別に私1人でも....」

 

「何言ってのよ、アンタ1人に任せたらまた怒り狂って暴れ出さないとも限らないし、お目付け役が必要でしょ?」

 

「確かに、お姉ちゃん1人で行かせるにはちょっと、不安かも....?」

 

「樹まで!?うぅぅ、部長と姉としたの威厳がぁ.....」

 

「だ、大丈夫ですよ風先輩!!威厳が無くても風先輩には女子力があるじゃないですか!!」

 

「どっちも元々あって無いようなもんだし気にする事無いでしょ、ほら早く行きましょ」

 

落ち込んでいる風先輩を励ましつつ、夏凜ちゃんに続いて大赦本部に入っていく、夏凜ちゃんは迷うことも無くズカズカと進んでいく

 

「夏凜ちゃんはここに来たことがあるの?」

 

「まぁね、何度かしかないけど、兄貴を探しに来たり、ね

 

「ん?何か言った夏凜ちゃん?」

 

「なんでもないわ、ほらここが指示された部屋よ」

 

夏凜ちゃんに案内されて指示された部屋に入ると中には私の見知った少女が2人待っていた

 

「よう!須美も後遺症が治った見たい....っておわ!?」

「わっしー....良かった後遺症は治って....ってきゃ!?」

 

「銀!そのっち!!」

 

気が付けば2人向かって走り出していた、でも私の足は治ったと言ってもまだリハビリの途中で走れる程回復していなかった、その結果2人に辿り着く時には倒れ込んでしまい、2人を押し倒す形になってしまったが気にせず2人抱きしめる

 

「良かった...!2人とも、本当に良かった!!」

 

「ったく、相変わらず甘えん坊だな須美は」

 

「うぅぅ....痛いよわっし〜」

 

「ご、ごめんねそのっち!2人に会えたのが嬉しくて」

 

謝りつつ、銀の手を借りて立ち上がる

 

「ありだとね銀、それでね私達奏君の事について知りたいんだけれど2人は何か知らないかしら?」

 

「あ....いや、まぁ知ってると言えば知ってるんだけどな.....」

 

「知ってるの!?奏君はどこに居るの!無事なの!?」

 

「お、落ち着けって須美、大丈夫奏の事についても説明する為に呼んだんだ、と言ってもアタシは殆ど付き添いだけどな。説明するのは園子の方だ」

 

「うん、じゃぁ取り敢えず着いてきて」

 

そう言って松葉杖を着きながら部屋を出ていくそのっちと銀、私達も慌てて後をついて行く

 

「で、園子って言ったっけ?アンタ何者なの?東郷や奏とは知り合いみたいだけど....操られてたとは言え、自分を殺そうとして来たアンタが怪しくて仕方ないんだけど?」

 

「ふ、風先輩!」

 

「いいんだよわっしー悪いのは私何だから、風さん話はあもりんから聞いてるよ、話の通り皆の安全を考えてる優しい人なんだね。怪しむのは仕方ないけど今の私は見ての通り身体を満足に動かす事も出来ない非力な人間だよ、端末も持っていない。貴方が私をこの場で殺そうと思えば、簡単に殺せるよ」

 

「.....ふん、言っとくけど皆が危ない目にあったら絶対に許さないから」

 

「うん、分かった....着いたよここにあもりんが居るの」

 

そう言ってある部屋の扉を開ける、その部屋には一つのベットしかないとても殺風景な部屋だった、そのベットには奏君が横たわっていた。私達はそのベットに駆け寄り、声を掛けるけど横たわっている奏君はなんの反応もない、その姿は眠っていると言うよりもまるで精巧な人形が横になっている様に見えた




安芸先生の下の名前って設定ありましたっけ?資料とか色々見ても見当たらないんですよね....


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第108話 2年前の小さな約束 (中編)

最近忙しくて書く事専門になってしまって他の方の作品をなかなか読む事が出来ない私ですカナシミ....
え、今回の遅れた理由ですか?べ、別にスマブラとかやって無いし!!!


「ねぇそのっち、奏君は今どうなっているの?見た限り怪我は無いようだけれど....」

 

「分からない....あもりんは怪我を治す為に神樹様に治してもらったんだ、けど怪我が治っても全然起きないんだ....もう起きてもおかしくないはずなのに」

 

「ちょ、ちょっと待って......じゃぁなに?アンタ達が私達に教えられる情報は奏の治療は出来たけどなぜ起きないのか分からない事が分かったって事?」

 

風先輩は見るからにイラついていた、でも私達も風先輩程じゃないしにせよイラついているのは確かだ、やっと教えてくれた事がそんな事では私達も納得出来るものじゃない

 

「....ごめん、なさい」

 

「ざけるんじゃないわよ!!!」

 

声を荒らげて風先輩がそのっちの胸ぐらを掴む

 

「これだけ待たせといてそれだけ!?大体アンタが操られていたとか利用されていたとか知らないけどね!アンタがあんな事しなかったらそもそも奏がこんな事になる事も無かったのよ!!」

 

「風先輩!そのっちだって....」

 

「何よ!大体東郷!!アンタはどっちの.....」

 

「お、お姉ちゃんちょっと落ち着いて!」

 

樹ちゃんに言われて、我に帰る風先輩。しんとなった部屋にはそのっちの声だけが聞こえている

 

「ごめんなさい....ごめんなさい....ごめんなさい.....ごめんなさい....」

 

チッと舌打ちをしつつもそのっちから手を離しそのっちから離れる風先輩を見て、止めに入っていた私達も離れて行と、銀が口を開いた

 

「.....アンタ達が怒るのも分かる、奏が心配なのも大切に思ってるのも....けど、それは園子だって同じなんだ。園子を責めるのは園子だけで充分だ、だからこれ以上園子を責めないでくれ、頼む....」

 

「それじゃぁもしかしたら奏先輩はもう、起きないかも知れないんですか?」

 

コクリと小さく頷くそのっち

 

「バカなで....結局1人で背負って、少しは自分を大切にしなさいよ.....」

 

夏凜ちゃんの悲痛な言葉に誰もが下を向き、静寂が部屋を支配する

 

「こんなの、ダメだよ....こんな結末、私は認めないから!」

 

「ゆ、友奈ちゃん?」

 

誰もが黙っていたとき、ふと友奈ちゃんが声を荒らげて横になっている奏君に歩み寄って行く

 

「奏君はいつもそうだよ!周りの人には無理をさせないくせに、自分は無理ばっかり!!」

 

ベットに寝ている奏君の胸ぐらを掴みあげる友奈ちゃん、普段とは掛け離れた行動に皆呆然としてしまっていた

 

「こんなの、絶対に認めない.....!起きて、起きてよ!!じゃないと許さない、許さないから.....だから起きてよぉ」

 

「......許して貰えないのは困るな、どうしたら許してくれる?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜side奏〜

 

どうしよう....起きるタイミングを見失った.....

 

なんか若葉と別れて、目が覚めたら勇者部の皆と園子達がヤバい感じの雰囲気になっていた。正直起きるならもう少し早くか遅く起きたかった

 

いや、ホントにどうすればいいんだ?なんか風がめっちゃ声荒らげてるし、園子はずっとごめんなさい連呼してるし....え、なに?ここが地獄ですか?可笑しいなさっきあの世みたいな所から帰ってきたばかりなんですけど?てか狸寝入りしてんのバレてないよな?

いや、ほんとなら今起きて皆を止めるのが正解なんだろうけど....今起きたら俺に矛先が向く、てか最悪殺されるんじゃね?

 

「バカなで....結局1人で背負って、少しは自分を大切にしなさいよ.....」

 

あ、はいごめんなさい....今なら起きても感動的になるんじゃね?狸寝入りもそろそろ友奈とかその辺の勘のいいやつにはバレそうだし....良し!起きよう、今なら起きれる!!

 

「こんなの、ダメだよ....こんな結末、私は認めないから!」

 

起きよう、と思った瞬間に普段の友奈からは想像の出来ない声を聞いてしまい、驚いてまたも起きるタイミングを無くしてしまった

 

なんかめっちゃ友奈怒っとるやんけ!?もしかして狸寝入りバレた?.....いや、バレてないみたいだな。焦った〜ってひぃ!なんか胸ぐら掴まれた!?よ、よし!もう起きよう!これ以上はバレた時が怖い!!

 

「......許して貰えないのは困るな、どうしたら許してくれる?」

 

「か、奏くん!?」

 

よっしゃ!めっちゃ凛々しく言えた!これで狸寝入りの事はバレない筈だ!!.....声震えなくて良かった

 

「....奏くんの馬鹿!」

 

「ぐぬぅぉ!?」

 

友奈になんの突拍子も無く腹パンされた

 

「ゲホッゲホッ、ふ、普通寝起きの人間に腹パンする?感動の再会だぞ?泣けよ!!」

 

「もう泣いてるもん!!」

 

「ご、ごめんなさい.....」

 

「どうしていっつも心配させるの!?私、奏くんが私達を置いて言っちゃうんじゃないなって、心配で....」

 

「ごめん.....」

 

泣きじゃくる友奈を宥めつつ周りを見ると、皆も涙を流していた

 

....いっつも俺女の子泣かしてるような気がするな、一応気おつけてるつもりなんどけどな。

 

「で、これって今どう言う状況なんだ?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それからみんなから俺が寝ていた時の事を話して貰った

 

「成程ね....風心配してくれるのは嬉しいけどさ、あんまり園子の事を責めないでくれよ、元はと言えば俺が記憶無くなったのに原因がある訳なんだしさ」

 

「違うよ!!あもりんは悪くない!あの時だって私を守る為に!!それに利用されていたと言っても、感情を悪い方に増幅させられてただけで、元々私の....」

 

「ハイハイ分かった分かった、だからそんなに自分ばっかり責めるなって....」

 

自分を責めるのは血筋なのかねぇ....若葉もよく自分で自分を追い詰めてたしな

 

「なぁ風、今回は結局誰も死んだりして無いし、大きな怪我も無かったわけだしさ、もういいんじゃないか?」

 

「な、何よまるで私が悪者みたいじゃない....」

 

「い、いや、そう言うつもりじゃ無いんだけどさ」

 

腕を組みながらツンとそっぽ向く風、今回は誰が悪いって訳でも無いから、どちらも責めれない、と言うよりもどちらの味方にもなれないし、なかなか難しい問題無いだ

 

銀と夏凜にちらりと視線で援軍を求めるが目を逸らされた、くそ!薄情な奴らだ!!

 

「別に私だってさっきはちょっと感情的になっちゃっただけだし、今はそんなに怒って無いし.....」

 

「ごめんて、そんなに拗ねないでくれよ」

 

「別に拗ねてないしぃ〜」

 

拗ねてるじゃん、と言いかけたが寸前で思いとどまった。

今ここで言ったらもっと面倒な事になりそうだしな

 

「えっと....園子、だったわよね?」

 

「え?は、はい」

 

「その....さっきはごめんね、掴みかかったりして」

 

「だから全部私が....」

 

「....わかった今回の事件は全部アンタのせい、それでいいわ。なら勇者部に来なさい」

 

「え?」

 

「勇者部でテキパキ働いてもらうわ!私達の勇者部に迷惑かけたんですもの、勇者部の言うことを聞いてもらわないとね?それで今回の件は全部許して上げる、これならどうかしら?」

 

こちらをちらりと見る園子、きっと園子は誰かに罰せられたいんだろう、その気持ちは分かるかつて自分もそうだった。だが、園子に罰は要らない、そう思ってるのは本人だけだ。

 

「いいな、園子のいる勇者部。楽しみだもちろん銀も一緒にな?」

 

「アタシも!?なんで!?」

 

「なんでって....おまけ?」

 

「アタシの扱い雑すぎやしないか!?」

 

「銀はやなのか?そっか....俺は園子や東郷と一緒にまた学生生活したかったのにな....まぁ銀がやなら無理強いはしないよ、な二人とも?」

 

「そうね....私も銀と一緒に部下をやったりしたかったかけれど、銀がやなら仕方ないわね....」

 

「そうだよね....私なんかが居るからだよね、ごめんねミノさん.....」

 

わざとらしく落ち込む俺達、だが気が付かれたとしても問題無い、なぜならそれがわざとだと気が付かれる事は無い、なぜなら....

 

「そ、そんなに落ち込むなよ!!大丈夫!アタシも勇者部入るから!!」

 

なぜなら、三ノ輪銀と言う少女はどうしようもなくお人好しで馬鹿だからだ、俺達の行動が嘘だなんて思いもしない

 

「って、お前らアタシを勇者部に入れる為にわざと落ち込んでるふりを知れるだけだろ!?」

 

お、どうやら会ってなかったこの2年間で銀も成長していたようだ。

 

「おい奏、お前また失礼な事を考えてるだろ!」

 

....どうして俺の考えは何時も読まれるんだろうか?そんなに読みやすいもんなのか?

 

「にしてもあんた達仲良いわね」

 

「まぁ、昔はずっと一緒に居たしな」

 

「え?」

 

一気にこの場の空気が冷えた様な気がした

 

「ち、違うぞ?一緒に居たって言っても学校とかお役目があって一緒に居たってことだからな?」

 

「.....ふ〜ん、まぁこういう事にしといて上げる」

 

「良ければなんだけど、4人の昔話とな聞きたいな」

 

「そしたら、園子達には勇者部の話とか話そうか」

 

それから2年前の事とか、勇者部の事とかを話し合ったりした。

さっきの空気は何処へやら、皆は直ぐに意気投合して行った

.....何故か途中から俺がどうとかこうとかの話になったけど、どうしてそうなった?




スマブラ楽しすぎてなかなかss呼んだり書いたり出来ない今日この頃、上手いこと時間を作りたいです....


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第109話 2年前の小さな約束(後編)

ドロドロした話は終わった.....終わったんだ、たまにはほのぼのしたお話だって
ヾ(。-∀-)ノィィジャナ-ィ
そう言えば無事にジャンヌオルタ当たりました、しかも2枚抜き
( f ‘∀‘ )fヤッタゼ!
・・・最近顔文字多いな


俺が起きてから数週間、皆の満開の後遺症はなんの問題もなく治って行った、唯一銀の右腕だけは満開の後遺症とは関係ない為か、治る事は無かったが当の本人は

 

「2年間腕のない生活をしてたんだ、今更戻らなくたって問題無いさ」

 

との事らしい。銀自身は本気で気にしてない様子だが、銀の生活を見てるこっちの方が居た堪れない気持ちになってくる。

 

園子は他の皆よりも満開の後遺症が多かった事もあってまだ完全には治り切ってないがあと1週間もあれば完治するだろう、との事。そして園子の後遺症が完治し次第銀と園子の2人はうちの学校に転入してくる予定らしい

 

そして俺は以前と同じくまだ大赦に部屋を借りて住まわせて貰っている、正直夏凜の様にアパートの部屋でも借りたい所だけど、園子の後遺症が治りきるまでは大赦を離れる訳にはいかない

 

と、そんな事を考えつつ大赦に頼んで用意してもらったノートパソコンを自室のベットの上で作業をしていた。

 

あの事件の後から大赦に色々頼み事をしたりしているが大抵やってもらえる、どうやら俺の思っていた以上に俺の大赦での地位は思っていたよりも高いらしい、なんでも世界を救った英雄だからだとか

 

世界を救った英雄、ねぇ.....別|に世界を救いたくて戦ってた訳じゃないんだけ《半分はただの復讐だっただけなんだけ》ど......ま、聞けば大抵の事は教えてくれるし利用出来る立場なら利用するけどさ

 

「あ〜も〜りん!」

 

バタン!と勢いよく部屋のドアが開かれる、園子が明日の勇者部の劇のパンフレットが握られていた。

 

「おう、どうした園子?」

 

「遂に明日が本番だね!」

 

「そうだな〜」

 

「私すっごく楽しみだよ!」

 

「良かったな〜」

 

「成功すればいいよね!」

 

「すればいいね〜」

 

「もう!もうちょっとちゃんと私の話を聞いてよ!!」

 

園子に適当に返事をしながらパソコンで作業をしていると、モニターを閉じられ取り上げられてしまった

 

「あ、こら返せって!」

 

「だ〜め!全くもう、最近パソコン使って何かしてる見たいだけど、何してるの?」

 

そう言ってパソコンのモニターを開こうとする園子からパソコンを慌てて取り返す

 

「こ、こら!勝手に人のパソコン見ようとするんじゃない!」

 

「へぇ〜随分と必死に止めるんだねあもりん?もしかして何か私に見られたくないものとかあるのかな?」

 

くそ....今コレの中身を見られるのは不味い、てかニヤついてる癖に目は笑ってないのめっさ怖いんですけど、絶対怪しんでますやん....うぅん、どうやって誤魔化したもんか....

 

「.....園子の2年分の資料だよ、て言うか勇者部みんなの」

 

「私達の資料?どうして資料なんか見てたの?」

 

「いや、純粋に200年前の勇者の能力の差が気になったんだよ、どの程度進歩してるもんかなと」

 

「じゃぁどうして隠したりなんかしたの?別にそれなら見られても....」

 

「いや....その、なんだ?その資料に能力値だけじゃなくて皆の体の状態も書いててさ....えと、スリーサイズとか体重とか。そう言えば園子の体力2年前よりも大分増えた見たいだけど.....少し食べる量を減らした方が良いんじゃないか?」

 

「な、なぁ!?ち、違うもん!体重が増えたのお腹周りじゃ無いよ!胸!胸のせいで重くなってるだけだから!!私もわっしー程じゃ無いけどそれなりにあるんだよ!?ほら!なんなら直接触って確認してみてよ!!!」

 

耳まで真っ赤にしながら、取り乱して訳の分からんことを喋り始めた園子を宥める

 

「わ、分かった分かった。ちょっと落ち着けやばい事口走り始めてるぞ!」

 

「だ、だってあもりんがデリカシー無いこと言うから〜」

 

顔を真っ赤にしながら、む〜と頬を膨らませる園子

 

....何とか誤魔化せたか?スマンな園子まさかそんなに反応して来るとは思わなかったんだ

 

しかしなんだ.....可愛いなコイツ

....とは言えやっぱり胸は成長してるのか、確かに東郷程じゃないけどなかなかの物をお持ちで....

 

気が付けば園子の胸を凝視していたらしく、園子は自分の腕でサッと胸を隠した

 

「あもりんのえっち....」

 

「ち、違うぞ!?そう意味で見てたんじゃ無くて、純粋に満開の影響があっても身体は問題なく成長するんだなって思ってだな!?」

 

「ふぅん.....」

 

「な、なんだよ、なんか不満げじゃないか」

 

「う〜んとね、もしもだよ?この事を勇者部の皆に言ったらどうなるんだろうなって、あもりんが皆の体重からスリーサイズまで隠しながら見てた、なんて知ったら皆どう言う反応するかなぁ?」

 

ニヤァと先程までの可愛らしい表情は何処へやら、良いおもちゃを見つけたと声が聞こえてきそうな表情で俺を見下ろしていた

 

「なぁ!?ちょっと待て!それはダメだろ!?殺される、俺は間違いなく殺されるぞ!!絶対だ!!!大体俺はそう言う目的で見てたわけじゃ....!!」

 

「うん、確かにその通りかも知れないね、でも知ってるあもりん?事実って言うのはね簡単にネジ曲がるものなんだよ、それが例え嘘だとしてもね?」

 

マジだ....コイツのこの目、マジで勇者部の皆に言うつもりだ

くそ...下手な嘘をつくんじゃなかった

 

「でもね、私も鬼じゃないんだよ?私に何か【口封じ】とかしてくれれば喋ったりはしないよ?」

 

「.....皆に殺されない範囲でお願いします」

 

「それは大丈夫だよ〜、私も抜け駆けはしたくないからね。あもりんの呪いが治ったらそう言うのはお願いするよ〜」

 

....まだバレてないみたいだな

 

俺はあの日起きた時から呪いの事は治った事は誰にも話してない、本当は話してしまうのが良いのだろう。だが、今皆には話す訳にはいかない、確証がある訳では無いが、きっと俺は.....

 

と言うか、え?呪いが治ってたらそう言う事をお願いされてたって事?

何それ怖い、死んでしまいます

 

「あもりん?」

 

「ん?あぁ、悪い最悪の事態に向けて皆に言い訳を考えてた」

 

「大丈夫だってば、皆に恨まれる様な事はしないよ。そうだなぁ....うん、良し決まった!」

 

少しの間顎に手を当てて悩むと直ぐに満面の笑みで、俺にお願い(死刑宣告)をして来た

 

「今日は一緒に寝よっか!!」

 

「....いや、それ俺殺されるんじゃね?」

 

「大丈夫だよ、皆はお泊まり会であもりんと一緒に寝てるんだし、私が一緒に寝たって問題無い!」

 

「いや....でもあの時は勇者部の皆が....」

 

「え?なに?よく聞こえない、何か隠し事してるって皆にバラしても良いの?」

 

「喜んでさせて頂きます」

 

「いっやったぁ〜!」

 

.....ホントに元の園子に戻ってるんだろうな?なんか前と少し雰囲気が似てるような...いや、きっと気のせいだよな。うん、気の所為だそうに決まってる

 

「えへへ〜、じゃあ早速お邪魔しま〜す!!」

 

とぅ!と布団、と言うよりも俺自身にダイブしてくる園子を危うく受け止める、つもりだったが思ったよりも園子が重かった

園子の体重を俺の両腕は支えきれず、結局園子に押しつぶされる様な形になった

 

痛てぇ...流石に女の子一人位なら支えられると思ったんだが、てかホントに重いんだけど

 

「ぐふぉ!....い、いきなり人にダイブするのは如何なものかと思いますよ園子さん?」

 

「ご、ごめんねあもりん!あもりんなら受け止めてくれると思って....」

 

園子は慌てて上半身を起こして申し訳なさそうにしている

 

どうやらホントに俺が受け止められると思っていたようだ、いや実際俺も受け止められると思ってわけだし仕方が無い

 

「でもあもりん、さっき私の事重いって思ったでしょ?」

 

何故バレたし

 

「い、いや?そんな事はないゾ?と言うかもう寝るのか?流石に寝るにしては少し早くないか?」

 

簡単に誤魔化して俺も上半身を起こしつつ、枕元にある時計に視線を向けるとまだ21時になったばかりだった

 

「まだ寝ないけど、寝るまであもりんと一緒にいたいの〜さぁあもりん!私を構ってくれだぜい!」

 

「ホントに暇だったんだな....まぁ、今は園子に従いますよ〜。と言うか早く退いてくれ、この状態を他の人に見られたら誤解されそうだ....」

 

傍から見れば俺をなかば押し倒して、馬乗りしているようにしか見えない状況だ、誤解されても文句は言えない

 

「えぇ〜別にいいでしょ?せっかくだしこのままいつものやってよ!」

 

そう言って俺を座椅子代わりにする様に背中を預ける

 

「いや、まぁどうせ人なんて来ないし良いんだけどさ....」

 

視界に入った園子の髪の先を手に取り注意深く見てみる

 

....髪の色も大体元々の園子の髪の色に戻ってきたな

 

園子の髪の毛をよく見ると、毛先ほうがグラデーションになっていた、大半が元々の園子の髪色に戻っている、それを見て改めて後遺症が治っている事を理解しホッとする

 

しかしなぁ、園子の髪質って若葉の髪の毛にそっくりだよな...やっぱり子孫だから当然と言えば当然なんだろうけど....

て言うか園子が若葉の子孫って事は誰かと結婚したって事だよなぁ.....

 

「どうしたの?いきなり落ち込んで、もしかして嫌だった?」

 

「....いや、なんでもない。と言うか体の方は本当にもう大丈夫なのか?実はまだ何か問題があったりとかは?」

 

「大丈夫だよ、あもりんは心配性なんだから」

 

「そう言ってもだな....」

 

「またそんな顔して....よいしょ!」

 

「うぉ!?」

 

といきなり振り返り園子の両腕が俺の首に巻き付き、そのままベットに園子諸共倒されてしまった。必然的に目の前には園子が横になっており、ドキリとしてしまう

 

「そんな顔しないで?私があんな風になってたのはあもりんのせいじゃ無いよ、あんまり自分を思いつめないで?」

 

「いや、でも俺があの時に園子を1人にさせなければ....」

 

「あもりん」

 

首に回されていた両腕を引き寄せられて園子に抱き締められる

 

「ダメ、1人で背負い過ぎないで?」

 

「....ごめん」

 

「ううん、私の方こそゴメンね....もうこの話はやめよう?誰もいい思いはしないよ」

 

「そうだな....少し早いけどもう寝よう、寝坊したら大変だからな」

 

「うん、私こう言うの初めてだから凄く楽しみなんだ!」

 

先程の空気は何処へやら、何時もの変わらない感じの園子の様に見える

 

そう言えば、空気を切り替えるのは昔から若葉にも凄く助けられてたな...

 

「絶対成功させような」

 

「うん!えへへぇ〜あもりんとちゃんと寝れるのは初めてだね!!」

 

「そんなテンションでホントに寝れるのか?取り敢えず電気消すぞ」

 

枕元に置いてあったリモコンで証明を消す

 

「なぁ園子、明日の事なんだけどさ」

 

「す〜ぴ〜」

 

....そうだった園子はいつも寝るの爆速だったな。ったく可愛い寝顔しちゃってまぁ

 

爆睡している園子の頬をつついて見るが嫌がるどころか少し嬉しそうに寝ている

 

俺も寝るか....明日は色々しないといけないしな

 

部屋の電気を消しす、そう明日は色々とやらなければならない事が多すぎる

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日、俺達は勇者部の部室に集まっていた

 

「今日は待ちに待った本番だよ!頑張ろうねそのちゃん!!」

 

「えへへ〜今日が楽しみすぎて昨日はなかなか寝られなかったよ〜」

 

「嘘つけ昨日は爆速で寝てただろうが、しかも寝相半端なく悪かったし」

 

びし、と園子に軽くチョップをすると後ろから誰かに肩を掴まれた、振り返ると貼り付けたような笑顔をした東郷がいた

 

「と、東郷?一体なにか....」

 

「奏君?ひとつ、ひとつだけ聞きたい事があるのだけれどいいかしら?」

 

食い気味で俺の言葉を遮る東郷、何故かブチ切れてるように見えるんだけど....

 

「なんでそのっちの寝相が悪い事を知っているのかしら?」

 

やっちまったよぉ!!自分で地雷ぶち抜いてたよ!馬鹿か俺は昨日自分で言ったばっかりじゃねぇか!

 

「え、え〜とだな....」

 

「実はね昨日あもりんになかなか寝付けなかったから寝かし付けて貰ったんだよね」

 

なんであっさりバラしてんの園子さん!?そんな事バラしたら....

 

「寝かし....付けて貰った?奏に?」

 

声をした方に振り返ると先程まで笑顔で準備をしていた風が無表情でこちらを見ていた、貞子も真っ青になるレベルの恐怖だ

 

ほらぁ!他の人も反応しちゃったじゃんかぁ!!どうすんのこれ...オレ殺されるんじゃ.....

 

「なるほどね....そう言う事なら仕方ないわね。まったくもう、そのっちは昔から甘えん坊何だから」

 

そう言ってあっさり俺の肩から手を離し、園子の頭を撫でる東郷、表情もやれやれ...と言ったふうに怒っていると言うよりも呆れていると言うか感じだ

 

よ、良かった...みんなも許してくれた、と言うよりも園子にあんな事があったから許してくれたのかな?正直ほっとした....

 

「でも見逃すのは今回だけ、次は無いから」

 

「ふふふ、随分余裕が無いみたいだね。でも安心して私も抜け駆けはしたくないからね」

 

と言って2人は見つめ合う(睨み合う)その状態が続いて数十秒だろうか、ふと2人が離れるといつも通りに準備を始めた

 

「女の子は....怖いなぁ」




遅れてしまってスマそ!!
いや、はい...ごめんなさい、これからはもう少し頑張って投稿していこうと思います、来週中には別のゆゆゆのssを投稿するのでそちらも良ければお願いいます!!


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第110話 隻腕の貴方は想いを寄せて

久しぶりの更新...私はここに居ます(ファフナー感)

一区切りついてしまったのでどうやって話を続けて行こうか....まぁ今回は甘々なお話を書ければいいなぁ(遠い目)

あ、最近別のSSも書いているのでよろしければそちらもお願いします!


大赦で診察を終え、病室を出ると見知った短髪赤髪の少女が廊下に設置されているベンチに丸くなりすやすやと眠っている、どうやら俺を待っている間に眠ってしまったようだ

 

「おーいぎーん、診察終わったぞー」

 

寝ている銀の頬を指でつつくと、嫌そうに身をよじらせながらも起き上がる

 

「んぁ?おはよう奏、なんだよ結構長かったじゃんか。もしかして体の調子良くないのか?」

 

「まさか、バリバリ元気だよ。て言うか診察とは言ってるけど大赦のことだ、本当は俺の身体の解析がしたいだけなんだろ、1部とは言え初代勇者のデータがあるこの身体。研究者としては喉から手が出るほどなんだろうさ」

 

ま、どうせ分かるわけ無いんですけどね!

むしろもっと訳の分からないモノだらけで研究もクソも無いだろう、は!ざまぁないぜw

 

「それで、話って言うのは?わざわざ診察が終わるまで待つって事はよっぽど大事な事なんだろ?」

 

「んー....ここじゃちょっとな、どっか2人で話せる所がいい」

 

「じゃあ俺の部屋にするか、と言ってももう少しで引っ越すからもてなしも出来ないけど」

 

「話すだけだし気にしなくていいよ、じゃ早速行こう」

 

そう言ってスタスタと歩いていく銀の後を追う

 

少し話したいって言うから時間を作ったが、少し銀の様子がおかしい、いつもの太陽のような元気はない様に見える。ただ寝起きだからそうなのか、今から話す内容のせいなのか....まぁどちらにしてもすぐわかる事だ

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

部屋に着くと銀は近くにあった椅子に座る、俺は銀と対面する様に座る

 

「それで、話っていうのは?わざわざ診察が終わるまで待ってた位なんだし、重要な事なんだろ?」

 

「いや、まぁ....」

 

煮え切らない返事で返す銀だったが明らかに話を逸らす

 

「そう言えば最近勇者部の皆に随分付きまとわれてるみたいじゃないか、あんな美人達にに付きまとわれて奏は幸せ者だな」

 

「まぁ、最近は特に、な?園子と東郷は特だ、と言うか最近....少し、少しだけ身に危険を感じてるよ....まぁあの二人は昔の反動もあるだろうから少しすれば落ち着くとは思うけど」

 

取り敢えず話を合わせたがまさかコレが話したかった事では無いだろう、それだけ言い難い事なのだろうか?ココは銀に合わせて少しの間雑談をしていくのがいいだろう

 

「ま、園子は今まで色々と大変だったろうし、東郷も昔の事を思い出して嬉しいんだろ、アタシとしては昔馴染みの皆が仲良くて安心だよ」

 

「仲は....良いのかなぁ?」

 

あの二人が悪い感じにかち合うとこっちが生きた心地がしないんだよなぁ...まぁ普段はめっちゃ仲いいからどこまでが本気かわからないんだけども

 

「ははは!奏が苦労人なのは昔から変わらないな!覚えてるか?昔みんなで合宿に行ったとき誰が奏での隣で寝るかってもめてたよな」

 

あぁ....忘れるはずもない、あれがこの時代に生まれてから初めて女性関連のいざこざで恐怖を覚えた時だ、正直あの時も生きた心地がしなかった...

 

「あの時は大変だった...いつもは助けてくれる銀もあっち側に回るもんだから...」

 

「ははは...いや面目ない、あたしもあの時はちょっと浮かれてたから...あの頃は大変だったけど四人でやれば何でもできるって思ってたからな....懐かしいよ」

 

そう言って無くなってしまった己の腕の付け根に触れる銀、その姿と昔の姿を重ねてしまう、その姿は自分の知る三ノ輪銀とはあまりにもかけ離れていた

しかし『生きているだけ幸せなもんだ』なんて冷酷な思考をしている事に自分でも驚いた、それが自分はやはり()()()()の安森奏ではないのだ、と言う事を嫌でも実感させられてしまった

 

時々考えることがある、俺は本当にみんなと一緒にいていいのか?と

たくさんの人間を利用して、たくさんの人間を見捨て、たくさんの人間を手にかけて...(世界)を救うために過去(若葉)を捨ててここに来た俺がみんなと一緒に生きていいのだろうか?

若葉には楽に生きろと言われたが、そう言われて楽に生きられるなら元々神樹様に身体を捧げたりはしない

 

そう考えている突如銀に肩をつかまれ押される、座っている状態しかも不意打ちでそれに耐えられるはずもなく簡単に押し倒される

 

「ぎ、銀?どうしたいきなり?」

 

「....奏がどこかに行きそうな顔してたから」

 

「どんな顔だよそりゃ....いきなり倒されるとびっくりするだろ、ほらどいてくれ」

 

と銀をどけようとすると彼女の色の瞳と視線が重なり体が止まってしまった、その目には悲しみと焦り、ほんの少しの怒りが読み取れた

 

「奏が何で悩んでるかはわからないし、相談してくれとは言わない...けど、どこにも行かないでくれ今の奏を放っておくのは心配なんだ、園子の時は近くにいてやる事すら出来なかった、だから今回は」

 

そう言う銀の表情は今にも壊れてしまいそうに思えた



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