黄金のフェンリル (スマートブレイン)
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序章 フェンリルの目覚め



初めて描く作品なので変な所があるかもしれませんが大目に見ていただけると嬉しいです。


「俺は力が欲しかった・・・何者にも屈する事は無い究極の力を・・・」

 

この男、マクギリス・ファリドは物心ついた時には親も何もわからず、この暗く腐った世界で生きる為にただひたすら力を求めた。

 

何故なら力こそがこの歪んだ世界で唯一価値があるものだからだ。

 

それはあの男、イズナリオ ・ファリドに引き取られた後も変わることは無かった・・・

 

マクギリスはさらなる力を求め、ギャラルホルンの力の象徴であり自らの目標であった英雄アグニカ、カイエルの愛機ガンダム・バエルを駆り、革命を起し自らの野望の障害であるラスタル・エリオン率いるアリアンロッド艦隊に戦いを挑んだ

 

しかしその結果は惨敗。

 

最後は自らの唯一の親友であり、自分を殺した男、ガエリオ・ボードウィンに本当の心の内を打ち明けマクギリスは死んだ。

 

(あぁ・・・アグニカに・・・俺は・・・なりたかった・・・)

 

親友の手により死んだ孤独な男は死ぬ間際、そう思い散った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは・・・」

 

マクギリスの意識が静かに覚醒し、辺りを見回し、そして少なからず困惑した。

 

何故なら

 

「どう言う事だ?俺は確か戦艦スキップ・ジャックの艦内でガエリオに殺されはず・・・なのに何故モビルスーツ、しかもバエルの中に・・・」

 

しかも不思議な事はそれだけでは無い。自分が載っているバエルはキマリスヴィダールとの戦闘で大破し、コックピットもめちゃくちゃになっている筈なのに。

 

「見た所異常はない・・・まるであの戦闘自体が無かったかのように・・・さらにコレは・・・一体コレはどう言う事だ・・・」

 

マクギリスの目の前、コックピットのスクリーンに映るのは青く輝く星、地球である。

 

「バカな・・・俺は火星付近の宙域で戦っていた筈だ。なのに何故・・・」

 

ハイスクール、士官学校を首席で卒業し、若くしてギャラルホルンの中でも一部のエリートしかなれない監査局の特務三佐を務め、最終的には地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官になった天才のマクギリスの頭脳を持ってしても、この状況は理解出来ずにいた。

 

その時

 

「エイハブウェーブの反応?コレは!地球外縁軌道統制統合艦隊所属のハーフビーク級1隻とグレイズリッターと・・・ヘルムヴィーゲ・リンカーだと!?」

 

エイハブウェーブの反応はグレイズリッターと、自らを命をかけて守った忠臣、石動・カミーチェの機体、ヘルムヴィーゲ・リンカーであった。

 

しかし石動は地球軌道での戦いで死んだ筈である。

 

更に状況がややこしくなり、困惑して居るマクギリスに通信が来た

 

『准将!まさかこの機体に乗って居るのは!』

 

「その声、やはり石動か!」

 

その声は間違いなく、自らの忠臣であり懐刀である石動・カミーチェその人であった。

 

「一体どうなって・・・」

 

『詳しい事は、と言っても私達も何が何だかさっぱりですが、分かる事は艦内で話します。ついて来てください」

 

そう言われてマクギリスはバエルを操縦し、石動に案内され自らを迎えに来たハーフビーク級に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

ハーフビーク級艦内

 

其処でマクギリスは再会した石動からどう言う事かを聞いた。その内容は驚くべきものであった。

 

何とこの世界は自分達が居た世界とは違う事、更に自分や石動だけではなく地球軌道の戦いで散った革命軍の艦隊、ファリド家とその傘下に居る貴族が所有して居たコロニーや、経済圏が所有して居たいくつかの産業コロニー、更にマクギリスが自ら司令官を務めていた地球外縁軌道統制統合艦隊とその本拠地であるグラズヘイムもこの世界に来て居ると言う。

 

「しかし信じられんな、この世界が違う世界などとは・・・」

 

「私も同感です、ですがいくつか証拠があります」

 

そう言い石動は説明を始めた。

 

「まずは月です。コレをご覧ください」

 

そう言われて月の映像を見た。するとその光景は驚くべきものであった。

 

「月が無傷だと・・・」

 

その月の姿はマクギリスも記録でしか見た事が無い、三百年前以前の厄災戦が始まる前の月の姿であった。

 

「成る程確かに・・・」

 

ここでようやくマクギリスは、この世界が別の世界だと言う事に納得した。

 

「更に先程言いましたファリド家とその傘下の貴族、経済圏の所有して居た一部コロニーを除く全ての施設、ギャラルホルンの本拠地であるヴィーンゴールヴや地上のギャラルホルン基地と通信が取れなくなっております。更にこれをご覧ください」

 

そう言われてマクギリスは石動が差し出したタブレットを見た。其処には驚くべき報告が書かれて居た。

 

曰くこの世界の年号はP.Dではなく旧暦の西暦1979年であり、地球には旧時代に存在した国家であるアメリカ、ソ連、日本帝国、そしてアフリカ、ヨーロッパ各国などと言う国家が存在し、それぞれが固有の軍事力を持って居る事、そしてその国々は現在外宇宙からの侵略者BETAの圧倒的な戦力により、人類は絶滅寸前という事であった。

 

「成る程・・・話は分かった」

 

そう言いマクギリスは石動にタブレットを返した。

 

「それにしても、よくコレだけの情報を集められたな・・・」

 

タブレットの中身を見たが、其処にはBETAの種類や国連軍の作戦や情報、更に各国の裏情報までもがあった。

 

「この世界のセキュリティシステムは我々からすれば玩具同然です。破るのに時間はかかりませんでした」

 

「成る程な」

 

マクギリスはそう呟いた。

 

「それで准将どうなさいますか?」

 

「と言うと?」

 

「革命軍は勿論として地球外縁軌道統制統合艦隊は我々に味方する姿勢を示し、現在私が臨時に指揮をとり、この世界に飛ばされた各コロニーの平定を行わせておりますが」

 

「つまり我々ギャラルホルンがBETAとの戦闘に介入するかどうかと?」

 

マクギリスの問いに石動は静かに首を縦に振った。

 

「その事はすぐに答えを出すべき事では無い、少し考えさせてくれ。それにまずやる事はグラズヘイムへ向かい、この世界に飛ばされたコロニーと我々以外の部隊の統制を図るのが先だ」

 

「了解しました」

 

「そう言う事だ。石動君も色々あって疲れていると思う。今後の為にも少し休んだ方が良い」

 

「了解しました。では」

 

 

そう言い石動は自分の部屋へと戻って行った。

 

そして一人残されたマクギリスは、静かに一人笑いだした。

 

「フッ、人ならざる者に人類が滅びかけて居るか・・・まるで厄災戦のようだな・・・」

 

そう、この世界の状況は、まさに自らの目標であった英雄アグニカ・カイエルが戦った世界と状況が似ているのだ。

 

そう思うとマクギリスの胸の中には高揚感にも似た感情が湧き上がって来た。

 

「石動には少し考えさせてくれと言ったが、私はこの世界の戦いに介入すべきだと思うな・・・この世界なら俺が真に求めて居た世界が手に入るかもしれない・・・それに人類を救う為に戦う、それこそが我々ギャラルホルンの本来あるべき姿だ・・・そうだろ・・・アグニカ・・・」

 

誰も居ないこの部屋で、孤高の帝王はまるで自らが憧れた英雄アグニカ・カイエルと話をしているかのようにそう呟いた。




取り敢えずはまずはグラズヘイムで戦力の統制と各コロニーの平定を行う事になりました。

因みにマクギリスの現在の戦力は

革命軍と地球外縁軌道統制統合艦隊を含めて

ハーフビーク級×25隻

MS×250機

ビスコー級クルーザー多数

です



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会議

現在マクギリスは地球外縁軌道統制統合艦隊本部グラズヘイムに居る。死ぬ前にした事がした事の為、革命軍は兎も角地球外縁軌道統制統合艦隊からは歓迎されないだろうとマクギリスは覚悟していた。

 

しかしその覚悟は無駄になった。ライザ・エンザを始めとした革命将校は言うまでもなく、地球外縁軌道統制統合艦隊の将校にまでもマクギリスは歓迎され、寧ろ地球軌道での戦いでは自分達が不甲斐ないばかりにと謝られたらぐらいである。

 

この歓迎ぶりは現在の状況が成せる事と言えるだろう、石動達はマクギリスより一週間前にこの世界に来ている。その間革命軍はライザ、地球外縁軌道統制統合艦隊は石動が臨時に統制していたが、やはり指揮系統が纏まっていないのと石動の階級が一尉である事、更にこのような状況では石動の様なタイプにはやれる事が限界であり、艦隊の統制が思うように上手く行かず艦隊内には少なからず問題が山積みである。

 

しかしマクギリスがこの世界に現れた事で、革命軍と地球外縁軌道統制統合艦隊は司令官とセブンスターズファリド家当主と言う強力な旗頭を得て指揮系統を完全に統一する事となった。

 

取り敢えず革命軍と地球外縁軌道統制統合艦隊はマクギリスに従う姿勢を見せてはいるが、マクギリスに安心している暇はなく、寧ろ此処からが本当に大変な所である。

 

各コロニーに駐留する部隊の統制、ファリド家とその傘下の貴族が所有するコロニーの平定、そしてこの世界に来ている一部の元経済圏が所有していたコロニーの統制などやる事が沢山残っていた。

 

その為マクギリスは数週間の間、碌に睡眠を取らず食事もサプリメントで済ますなど、まさに不眠不休で仕事に取り組んだ。

 

その結果

 

ファリド家やその傘下の所有していたコロニーと、その駐留部隊は完全に自分に従う姿勢を示す事になった。

 

一方元経済圏が保有していたコロニーは、経済圏が存在しないとは言えギャラルホルンの完全な支配はやはり抵抗がある為、マクギリスは各コロニーの代表と話し合い、その結果、それぞれのコロニーに政治的自治権を与える代わりに資金提供やモビルスーツの生産など自分達を積極的に支援する形となった。

 

「何とかひと段落したと言うところか・・・」

 

マクギリスは明らかに疲労が溜まっている様子で石動にそう言った。

 

「おつかれ様です准将」

 

「何、この程度の疲れどうと言う事ではない・・・しかしまさかな・・・」

 

マクギリスは仕事をしている間に一つだけ気になる事があった。地球軌道の戦いで敗れた後、ラスタル・エリオンはマクギリスにファリド家の血が流れていない事を世間に発表した筈である。

 

だが、この様な状況になっているとは言えファリド家が所有していたコロニーや各経済圏のコロニーは、どの様な形であれ自分に従う意思を見せている事が少し気になっていた。

 

実はその理由は生前の世界で一年前、鉄華団の名が世界に知れ渡るきっかけになったドルトコロニーでの虐殺が原因であった。

 

一年前、鉄華団と行動を共にしていたクーデリア・藍那・バーンスタインによりアリアンロッドが行なったマッチポンプとそれを理由とした虐殺を世界に暴露されてまった。そのお陰でアリアンロッドが報道したマクギリスがファリドの血を引いていないと言う報道も、アリアンロッドが敗者を更に貶めるために偽造した情報だと皆心の中で思っている所があった。

 

そのおかげで、容易に情報操作であの報道はラスタルが言った嘘だったと言う事に出来たのだ。

 

しかしマクギリスはその情報を聞いた時、少し因果と言うものを感じた。

 

(まさか・・・死んでなお鉄華団に助けられるとはな・・・)

 

革命前と革命後も協力し合っていた鉄華団にまさか死んだ後も助けてもらうとは、不思議な運命について感傷に浸っていた時

 

「准将、お疲れのところ申し訳ありませんが、2時間後に今後についての戦略会議を行います。短いですが准将は少しお休みになって会議に備えてください」

 

「そうだな、1時間だけ仮眠をとる事としよう。石動、君はもう下がって良いぞ」

 

「ハッ!」

 

 

 

そして2時間後

 

会議室

 

マクギリスは予定通り革命軍、地球外縁軌道統制統合艦隊、そして統合した各コロニー駐留部隊の指揮官クラスを会議室に集め、此れからの事を話した。

 

「さて今回の会議の内容はこの世界で起こっている人類とBETAとやらの戦いに介入するかどうかだが、私の考えを言おう。私はこの戦いに介入するべきだと思う」

 

「私も賛成です!」

 

マクギリスの発言の後に続くように言ったのは、現在マクギリスの左腕で旧革命軍を統括しているライザ・エンザ一尉である。

 

「そもそも我々ギャラルホルンの存在意義は人類の平和と命を守る事です!BETAと言う謎の生命体が人類を滅ぼそうとしているのならギャラルホルンの軍人として戦うのは寧ろ望むところ!」

 

「そうだ!」

 

「断固打って出るべし!」

 

ライザの言葉に革命軍の将校達が続くようにそう言った。

 

「ライザ、少し落ち着け。准将、私は准将が戦うと言うなら止めるつもりは有りませんが、問題は誰に味方するかです」

 

マクギリスの右腕の石動が興奮するライザを諌めそう発言した。

 

「と言うと?」

 

「此処は我々が居た世界ではありません、その為戦うとしても地上で戦う橋頭堡がありません。一応力尽くで地上での橋頭堡を得る事も可能ですが、そうなれば我々は、この世界の人類にBETAと並ぶ脅威と認識されます。ですので此処は、我々の技術や戦力を餌に地球上の国家と手を結ぶべきだと思います」

 

「石動の言う通りだ。それで我々が握手を求めるべきは何処の国だと思う?」

 

石動の発言にマクギリスはそう聞いた。

 

「ハッ!四つ候補が有ります。一つはアメリカ、この国は工業力経済力共にトップで、世界でも発言力が強い国です。しかし情報ではこの国はその力を利用して世界中に圧力をかけたり、更に裏では良からぬ事をやっているという情報があります。その為手を組んだとしても最悪我々は言い様に使われ、最終的に捨てられる可能性があります。

 

二つ目はソ連。この国は東欧諸国に絶大な力を持ち、アメリカと同様中々発言力がある国ですが、政府は矛盾と腐敗だらけ。手を結んだとしても百害あって一利無しです。絶対にやめておいた方がいいでしょう。

 

三つ目は日本帝国。この国なら比較的手を結んでも友好的な関係を結べるかもしれませんが、この国も止めておいた方がよろしいかと。」

 

「と言うと?」

 

「日本帝国は技術力などは有りますが、国際的発言力は高くは有りません。更に国力も高いとは言い難いですので、味方とするのならまだしも、この国に頼るのはやめた方が良いでしょう」

外交は仲良しこよしでは無い。手を繋ぐならそれなりのメリットと力がある相手でなければ意味がない。

 

「そこで私が考えますのは、四番目の候補EUが宜しいかと思います」

 

石動が最終的におススメしたのは、イギリスとフランスを中心としたヨーロッパ諸国であった。

 

「何故EUだと思う?資料を見たがEUはアメリカの味方らしいが・・・」

 

マクギリスはあえて試すような口ぶりで石動にそう聞いた。

 

「確かにEUはアメリカを盟主とした北大西洋条約機構の一員です。しかし味方だからと言って一枚岩という訳では有りません。情報によりますと、EU諸国は経済力と戦術機、この世界でのモビルスーツを多数アメリカの企業から賄っている為、表立って反抗はして居ませんが、軍事力と経済力で圧力をかけ、更に自分達より歴史が無いくせに大きい顔をするアメリカをよく思って居らず、アメリカの支配からの脱却を狙っているとの事です。ですので我々の技術と軍事力を引き換えに協力を申し込み、更にEU内部にいる難民も我々が引き取るなどの処置を行えば、比較的良い関係が結べるかと」

 

現在この世界に飛ばされたギャラルホルンが保有するコロニーや経済圏のコロニーの中には、工業コロニー、農業コロニーのみならず、建設中のコロニーや直せばまた使える廃棄コロニーなども多数見つかっている。その為難民受け入れについては何の問題もない。

 

「成る程な。つまりEUならば、我々の技術や情報と引き換えに友好的に協力関係を結べるという事か?」

 

「その通りです。更に情報によると、EUは実質アフリカやオーストラリアなどの一部太平洋の島国もいくつか支配下にしている様です。そう考えると国力も中々の物です。手を結ぶのにこれ以上の条件はないでしょう」

 

「フッ、決まりだな・・・我々ギャラルホルンはEUと手を結ぶ事としよう。しかし、無論いきなりEUの領土に降下し対話を望むのは論外だ」

 

「そこも考えております。情報によりますと、今年の三月に地球にあるミンクスハイヴからBETAの大群が西進を開始しポーランドに侵入、自国民を逃がす為ポーランド軍を中心としたワルシャワ条約機構軍が対処8月まで粘りましたが、これ以上対処できなくなり、11月現在欧州軍に援軍の要請を頼み交戦を続けている模様です。ですので其処で防衛に参加している欧州軍を我々が助け、EUに対して貸しを作り、それをキッカケにEU首脳との会談の繋ぎを得るのが良いと思います」

 

「・・・良いだろう、石動の案で行こう。では作戦開始は二日後に行う。各員作戦準備を整えろ」

 

「「「ハッ!」」」

 

会議に参加した者はマクギリスに敬礼して其々の持ち場に戻り、会議は終了した。

 

 

 

 




という事でギャラルホルンはEUと接触する事になりました


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作戦開始

二日後

 

二日前の会議の決定通り、EUと手を結ぶための第一歩としてポーランドでのBETAとの戦いに介入する事になった。

 

「情報によりますと、欧州軍はポーランド難民の国外脱出計画のため、グダニスク郊外で防衛戦を任されている模様です」

 

「ワルシャワ条約機構軍は居るのか?」

 

「いいえ、グダニスク防衛は欧州軍に一任されているらしく、同戦場にはワルシャワ条約機構軍やアメリカ軍の姿は無いようです」

 

「そうか、好都合だな」

 

石動はこの二日集めた情報をマクギリスに報告した。

 

今の状況でアメリカやワルシャワ条約機構軍と接触するのは好ましい事ではないため、万が一グダニスクにワルシャワ条約機構軍やアメリカ軍が居たら作戦を練り直す事も考えていたが、どうやらグダニスク防衛は欧州軍のみで行われているらしく、ギャラルホルンにとってはこの上なく好都合であった。

 

今回の降下作戦に参加する戦力は

 

革命軍グレイズ×15

 

グレイズリッター×15

 

クルーザー×20

 

そして

 

「それにしても、准将自ら出撃しなくてもよろしいのでは?」

 

ガンダム・バエルも今回の戦いに出撃する事となっていた。

 

「協力を申し込みに行くんだ、相手に対してそれなりの礼儀を持って接する必要が有るだろう。それにバエルがBETAに対しての戦闘に、どれ程有効なのか試しておく必要があるしな」

 

「しかし万が一交渉に失敗した時はどうなさるつもりですか?」

 

「その時はLCSでグラズヘイムに連絡する。そして連絡が取れ次第、補給物資を大気圏から降下させ、全部隊補給が完了し次第ヨーロッパに存在する宇宙港を制圧してグラズヘイムへ帰還すれば良い。戦術機のデータを技術主任に見せたがアレは宇宙で戦える代物では無いからな。宇宙に上がってしまえば連中は我々に手出し出来ないだろう」

 

因みにこの前戦術機のデータをグラズヘイムに居る艦隊所属の技術主任に見せたが、話によると酷いの一言であった。杜撰で大雑把なOS、防御力が低い(自分達からすれば)装甲など、自分達が運用して居るグレイズどころか、此れならばロディフレームやゲイレールにすら及ばないらしい。

 

「まぁ、私もむざむざやられる訳には行かないからな、必ず戻って来る。だから石動、しばらくの間艦隊の統制は頼むぞ」

 

「了解しました、ですがどうかご無事で。今のギャラルホルンには貴方が必要なのです」

 

「わかって居るさ」

 

マクギリスはそう言い格納庫に向かって行った。

 

 

 

衛星軌道

 

現在降下作戦に参加する部隊には、大気圏突入用のシールドを装備させ、更に弾薬などの大量の補給物資を大気圏への突入が可能なクルーザーのモビルスーツ格納庫に詰め込み、モビルスーツ格納庫を潰してスペース全てを医療施設に改良した病院船の役割を果たすクルーザーなどをグダニスク上空へ集結させ、地球降下作戦の準備は完了した。

 

そして作戦開始前、マクギリスによる演説がバエルから全軍に向け発せられた。

 

『親愛なる我がギャラルホルンの同志達よ!これから我々が向かう所は、かつて我々が愛した地球ではない。そしてこれから戦う相手は我々が今まで戦ってきた敵よりも遥かに恐ろしく!そして手強い相手となるだろう!しかし、それでも我々は戦わなくてはならない!何故か!?それは我々がギャラルホルンだからだ!我々ギャラルホルンの本来の存在理由・・・それは人類の命と尊厳を命を張って守る事にある!それが例え世界が違えど、敵が想像を絶する恐ろしい敵であっても恐れず立ち向かい、人類を守る最後の盾となる、其れこそがギャラルホルンの本来の使命であり正義である!・・・私はずっと考えていた。何故我々がこの世界に連れてこられたのか?・・・何故我々なのかと?・・・最初の内は答えは出なかった、しかし!私は今、その理由を理解した!それは我々が真の意味でギャラルホルンの魂を持った戦士だからだ!だから諸君!共に戦おう!たとえ世界は違くとも人類を守る為に!そして・・・』

 

そこまで言った時バエルソードを高く上げこう宣言した。

 

『命を捨てて人類を守ったアグニカ・カイエルが残したギャラルホルンの真理を世界に示す為に!皆!バエルと共にアグニカの意思と共に戦おう!!」

 

「「「「うおおおおおおお!!!!」」」

 

「そうだ!命を賭して人類を守る!其れこそがギャラルホルンだ!!!!」

 

「かつてアグニカとセブンスターズが世界を救った様に!!今度は俺たちがこの世界を救うんだ!!!」

 

「「「バエル!バエル!バエル!バエル!」」」

 

 

兵士達は興奮した様子で歓声を上げ気づけば歓声はバエルコールへと変わっていた。

 

(そうだ・・・かつてアグニカが世界を救った様に今度は俺が・・・我々が・・・世界を救う!)

 

心の中マクギリスはそう決意しそして叫んだ!

 

「全軍降下開始!!目標ポーランド!グダニスク!」

 

マクギリスの号令と共にMSとクルーザーは次々と地球へと降下を開始した。

 

この先に有るのは勝利か?それとも破滅か?

 

この世界でギャラルホルンは何処へ向かうのか・・・

 

現時点では誰にも分からなかった。

 






因みにギャラルホルンが所有して居るビスコー級クルーザーですがどうやら大気圏突入と離脱が可能の様です。

それとこれはオリジナル設定なのですが大気圏内での飛行も可能という設定にもします。


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介入

お知らせです、実はマブラブ、特にEU側のキャラクターがあまり居ないため別のガンダムキャラから見繕う事になりました。

なのでガンダムファンの皆様には聞き覚えがあるキャラがチラホラ出てくるでしょう

特に作者の趣味でダブルオーから結構お世話になります。


グダニスク東部

 

 

ワルシャワ条約機構軍に救援を求められて派遣された欧州軍は、現在ポーランド難民を海路から逃す時間を稼ぐ為、現在ビスワ川沿岸に防衛戦を張り、BETAに対する足止めを行なっていた。

 

しかし戦況は最悪の一言であった。

 

敵の数は

 

要塞級×3

 

突撃級×300

 

要撃級×1000

 

光線級×100

 

戦車級は一々数え切れるものでは無い。

 

その圧倒的物量には最早絶望せずにはいられなかった。

 

『うわぁぁぁ!た、助け!!』

 

 

『戦車級に取りつかれた!!し、死にたく!!』

 

衛士達の悲痛な叫び声と共に、向こう岸の第一次防衛線に配備されて居る戦術機ファントムは次々とやられて行った。

 

『も!もうダメだ!隊長!撤退しましょう!』

 

「まだだ!ここで我々が引いたら後方にいる難民達の命は無い!気合いを入れろ!奴らを此方に渡らせるな!!」

 

ビスワ川で防衛戦を張って居る欧州軍部隊の指揮官で有るバラック・ジニン少佐は、BETAの圧倒的物量に絶望し弱音を吐く衛士達を叱咤し突撃砲を撃ち続けてた。

 

しかしどれほど倒そうが次々とやって来る為BETAへの抵抗もついに限界が訪れ、一部のBETAによりビスワ川が渡られてしまった。

 

「もうダメだ・・・」

 

BETAに川を渡られ突撃銃も弾切れ寸前。ジニン少佐は覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時・・・

 

 

迫り来るBETAの頭上に弾丸が降り注ぎ、先程まで目と鼻の先にいたBETA達が一瞬にして物言わぬ肉片に変わった。

 

「何だ?援軍か!?」

 

そう言いジニン少佐が辺りを見渡した。

 

すると

 

「な!何だあれは!?」

 

何と自分達の頭上の上、つまり空から多数の巨大な盾が、光線級の攻撃をまるでサーフィンの様に回避しながら此方に降りてきた。

 

そしてある程度地上に近づいた瞬間、まるで中世の騎士の様なデザインの戦術機と、全身が青色で塗装され銃身が長い大砲の様な武器を搭載した、見たこともない戦術機がBETAに攻撃しながら次々と盾から飛び降りて来た。

 

「何だあいつらは?いや!それよりも何を考えて居るんだ!?あんな高さに居るなんて光線級のいい的だぞ!」

 

ジニン少佐はすぐさま回線を開き、低高度を取る様注意しようとした。

 

しかし

 

「何!?どう言うことだ、通信システムが使えないだと!?」

 

何と彼ら謎の戦術機部隊が降りて来た瞬間、通信システムが使えなくなっていたのだ。

 

その時

 

正体不明の戦術機部隊に向かって光線級が放ったレーザーが、正体不明の戦術機に直撃した。

 

しかし

 

その時ジニン少佐は有り得ない光景を目にした。

 

「何だと!?レーザーを弾いただと!?」

 

何と今まで多数の衛士達を葬って来た光線級のレーザー攻撃を、この戦術機は弾いたのだ。

 

 

 

 

ギャラルホルンside

 

大気圏降下用の盾から降りたギャラルホルンの部隊は、まず驚異の命中度を誇る多数の光線級によるレーザー攻撃の洗礼を受けた。

 

しかし光学兵器を完全に無効化するナノラミネートアーマーを纏うモビルスーツに通用するはずもなく、光線級のレーザーは一つの例外もなく全てナノラミネートアーマーにより弾かれていった。

 

『グレイズリッター隊は光線級の駆逐を行え。それ以外の部隊はBETAの前面に展開し、川を渡ろうとする敵を殲滅しろ』

 

「「「ハッ!」」」

 

マクギリスからLCS通信で送られた命令通りに、地球外縁軌道統制統合艦隊に所属するグレイズリッター隊はそのまま光線級が展開して居るエリアへ直行し、電磁砲を装備した革命軍は川の前面に展開し、川を渡ろうとするBETAへの攻撃を行うこととなった。

 

 

 

 

EU軍side

 

ジニン少佐を含めた欧州軍はまるで夢でも見て居る気分であった。

 

すると騎士の様なデザインの戦術機はそのまま光線級の元に飛んで行き、青色の戦術機は自分達の目の前に降り立った。

 

「彼らは・・・味方なのか?」

 

ジニン少佐がそう呟いた時、青色の戦術機こと、革命軍グレイズからスピーカーによる呼び掛けが来た。

 

『確認したい。諸君達は欧州軍の指揮下にある部隊か?』

 

「・・・あぁ、私は欧州軍所属の戦術機部隊隊長バラック・ジニン少佐だ。出来れば貴官らの所属と部隊名を教えてほしい」

 

『よし、EU軍の様だな。我々の事は後でゆっくり話す。今はこの状況を切り抜く事が先だ。我々は君達に全面的に協力するつもりだ。だから此方も手を貸してほしい』

 

そう言って電磁砲を装備した革命軍グレイズ達は、背負って居たグレイズ用のライフルを欧州軍の戦術機に渡した。

 

『弾切れ寸前だろ、使ってくれ』

 

「感謝する、で我々は何をするればいい」

 

『取り敢えず、取り逃がして此方に渡られた敵を掃討するのを手伝ってくれ』

 

「敵を掃討!?しかしこの数では!・・・」

 

ジニン少佐がそう言った時

 

また空から大気圏降下用の盾が降下して来た。

 

そしてそこから先ほどの様に戦術機が降りて来たが、そのデザインは先に降りて来た戦術機とは全く別のデザインであった。

 

 

 

ギャラルホルンside

 

「アレが・・・BETAか・・・」

 

マクギリスはコックピットの中でそう呟いた。

 

データで見たが、その姿はグロテスクで気持ち悪さを覚えた。しかしそんな事は関係ない。自分がやるべき事はただ一つだ

 

「奴らを殲滅する・・・力を貸してもらうぞ・・・アグニカ!」

 

マクギリスがそう叫んだ瞬間、ピンク色に輝くガンダム・バエルのツインアイは真っ赤に変わり、その瞬間バエルはスラスターを全開にし、バエルソードを突き出しBETAの大軍のど真ん中に突撃した。

 

そしてBETAの大軍の真ん中で土煙が舞ったと同時に、ツインアイが真っ赤に染まったバエルが土煙から飛び出しバエルソードとスラスターウィングに搭載されて居る電磁砲でBETAを攻撃・・・

 

 

 

いやこれはもう攻撃ではなく蹂躙であった。

 

 

 

阿頼耶識システムにより常識を遥かに超えたスピードと、まるで人が乗り移ったかの様な運動性を駆使し、バエルは次々とBETAを肉片へと変えて行った。

 

数えきれない数で襲いかかる戦車級

 

硬い装甲で突撃してくる突撃級

 

頑強な二対の前腕で攻撃する要撃級

 

全て関係なくバエルソードにより切り裂かれ肉片へと変えられて行った。

 

 

EU side

 

「スゲェ・・・」

 

「何だ・・・アレは」

 

欧州軍の衛士達は、皆狐につままれた様な顔をしながらバエルの戦いを眺めて居た。

 

まだ研究途中の筈の電磁砲を彼らが武器として使い、次々とBETAを葬って行っている事。自分達が使っている突撃砲では傷一つ付かない突撃級の装甲であっても、彼等が貸してくれたライフルの銃弾はたった3発で装甲を粉砕し、弾丸が貫通するなどの驚くべき光景を目にしたが、今目の前で行われている事に比べれば全て霞む様な事であった。

 

今まで数多の国に属する多数の戦術機乗り達をその物量で殺して来た悪魔であるBETA。

 

しかし自分達の目の前で戦っている白い戦術機は、そんな悪魔達をあざ笑うかのように次々と肉片に変え、先程まで圧倒的な数で攻めて来た化け物達はあっという間に肉片に変えられていった。

 

「まるで神だ・・・」

 

衛士の一人が思わずそう呟いた、実際には神というより名前的には悪魔なのだがそんな事は知る由も無いだろう

 

そして肉片に変えた化け物共の血で真っ赤に塗装された悪魔は、次はお前だと言うかの様に要塞級とその周りを囲む残ったBETA達に視線を向け、スラスターを全開にして奴らに向かっていった。

 

 

ギャラルホルンside

 

「さて残りはアイツだけだな・・・」

 

マクギリスはモニター映る要塞級を見てそう呟いた。

 

そしてスラスターを全開にして地表を滑る様に移動し、要塞級に突撃して行った。

 

途中で要塞級を守るかの様に他のBETA達が攻撃を仕掛けて来たが、圧倒的多数のBETAをたった一機で葬り去ったバエルにとって今更たいして脅威になるはずもなく、次々とバエルソードで斬り伏せて行った。

 

そして三体の要塞級にある程度近づくと、要塞級が尾節についている触手でバエルを攻撃したが、それをいとも容易く避け避けた瞬間、バエルは逆に触手を切り裂き要塞級の下に潜り込んだ。

 

「戦闘データで見た時は何となくMAを彷彿させたが・・・大した事ないな!」

 

マクギリスはそう言い、バエルを操作して要塞級を支えている10本の足を全て切り落とし、要塞級の態勢を崩したと同時に一気に上昇し。

 

「これで・・・終わりだ!」

 

回転しながら要塞級の一体を斬りつけ肉片へと変え、そしてすかさず残った二体の要塞級の足も同じように纏めて切り落とし、態勢を崩したと同時に残った二体の要塞級もバラバラに解体し絶命させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

EU軍side

 

「アレだけ居たBETAをたった一機で・・・」

 

BETAの返り血により塗装された白い戦術機。ソロモンの72柱の悪魔の第1席、悪魔の王の名前を冠するモビルスーツ、バエルを眺めながらジニン少佐はそう呟いた。



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出会い

ビスワ川沿岸

 

ギャラルホルンside

 

先程まで圧倒的数で迫って来たBETA達は、今では全て物言わぬ屍と化し、先程の絶望的状況が嘘の様であった。

 

「さて、BETAは片付けた事だし、次は・・・」

 

マクギリスはそう呟きEU軍の戦術機を見た。

 

戦士としてのマクギリスの役目は一旦終わった、次はこの世界に存在する唯一のセブンスターズであり、この世界にいるギャラルホルンの最高司令官としての戦いを始めようとした。

 

 

その時

 

『准将、新たな情報が入りました』

 

グラズヘイムからのLCS通信が来たのだ。

 

「どうした石動?」

 

『はっ、実はマルボルクで防衛を担当して居たワルシャワ条約機構軍の一部部隊が援軍としてグダニスクへ回されていたらしいのですが、ラドゥニツァで准将が倒したBETAとは別のBETAと接触し現在消息が途絶えている様です。またそのBETAの進路を割り出したところ、グダニスク南部オルニャに向かっているとのことです』

 

「成る程、敵の数は?」

 

『戦車級多数、要撃級30、レーザー級20です。要塞級と突撃級の姿は有りません』

 

「分かった。グダニスクに向かっているのならば放って置くわけには行かない。対処しよう」

 

マクギリスはそう言い通信を切った。

 

「これより敵別働隊への攻撃を開始する。グレイズリッター隊は私に続け!残る部隊は負傷者の救出作業を行え」

 

『『『ハッ!』』』

 

マクギリスからの新たな命令が下り、ギャラルホルン各部隊は命令に従い行動し始めた。

 

 

 

東ドイツside

 

 

グダニスク南部 オルニャ

 

「や、やだ!!来ないで!!!」

 

MiG−21に乗る東ドイツ国家人民軍に所属する衛士アリサ少尉は、泣きながら迫り来るBETAに向かって突撃砲を乱射していた。

 

数時間前

 

マルボルクで戦って居たアリサが所属する部隊は、不甲斐なくも苦戦しているEU軍に貸しを作るため援軍としてグダニスクに派遣された。

 

しかし途中で不幸にもBETAに遭遇。隊長機を含め部隊の六割は飛行中に光線級に撃ち落とされ、残りは要撃級に破壊されたり、戦車級に食われたりなど悲惨な末路を迎え、遂には彼女一人だけが生き残り、BETAと戦っていた。

 

そして乱射して居た突撃砲も遂には弾切れになり。

 

「死んで、死んでたまるか!!!」

 

アリサは叫びながら長刀を手に持ちヤケクソになりながら要撃級に突進して行った。

 

しかし

 

 

 

呆気なく要撃級の前腕による攻撃で、機体は腰から真っ二つに割れ大破した。

 

大破した機体にはまるで昆虫の死体に群がるアリの如く、次々と戦車級が群がって来た。

 

 

「や・・・やだ・・・隊長・・・アネット・・・死にたくない・・・」

 

身体中に破片が突き刺さり腹には金属の棒が突き刺さり大量出血しながらアリサはそう呟いた。

 

そして迫り来る戦車級に絶望しながら

 

「たす・・・け・・・て・・・」

 

誰に向けてか分からないが、そう呟いた。

 

 

その時

 

群がって来て居た戦車級の頭上から多数の弾丸が降り注ぎ、それと同時に空から白い戦術機が降りて来た。

 

「天・・・使・・・?」

 

アリサは白い戦術機、ガンダム・バエルを見てそう呟き、そして気を失った。

 

 

ギャラルホルンside

 

「さて、グレイズリッター隊の内三機は光線級の始末を行え。残りは私と共にBETAの殲滅を手伝ってもらう」

 

『『『ハッ!』』』

 

光線級を潰しにグレイズリッターが飛び立ったと同時に、マクギリスはバエルを操りBETAを次々と肉片に変えていった。

 

因みにマクギリスは先ほどの様にリミッターを外した状態では戦っていない。マクギリスが使っている阿頼耶識はオリジナルの為、リミッターを外した状態で戦ってもバルバトスのパイロット三日月・オーガスの様に身体が動かなくなるという事は無い。

 

その為、先ほどはBETAに対してどれほど戦えるか試す為に敢えてリミッターを解除して戦ったが、ガンダムの性能を全て引き出して戦うのは疲労と身体への負担が相当の物だ。この戦いが終わった後の事もある為、今日一日に何回も使うと言う訳には行かないのだ。

 

しかしマクギリスはリミッターを外さずとも、エースパイロットと言える技量を持っている。

 

その為、バエルソードとレールガンによりBETAを次々と肉片へと変えて行くのに時間はかからなかった。

 

護衛で連れて来たグレイズリッターも戦車級をライフルとソードを使って次々と始末していき、30分後にはこの場に居たBETAは全て肉片に変わっていた。

 

「BETAは殲滅し終えた様だな」

 

『はい、しかしアレはどうしますか?』

 

グレイズリッターが破壊されたMiG -21を見てそう言った。

 

「連れて帰る。もっとも生きているかどうかは分からないがな」

 

そう言いマクギリスはMiG -21の残っている手と首をバエルソードで切断し、持ちやすい大きさにして味方がいるグダニスク東部に連れて行った。

 

 

 

 

グダニスク東部

 

マクギリスが連れて帰った女性衛士、アリサの状態を見たEU兵士はもう助からないかもしれないと言った。

 

しかしそれは彼らからすればである。この時代より遥かに医療技術が進んでいるギャラルホルンからすれば、これくらいの傷なら助かるレベルであり、コックピットから引きずり出されたアリサは担架に乗せられ、すかさず病院船に改造されたクルーザーに設置されている再生治療ポッドに放り込まれて現在治療中である。

 

他にも今回の戦いで重傷を負ったEU軍の兵士達も、これからEUと長く良い関係を築くためにも治療を受け持つ事とした。

 

そして今回ポーランドに攻めて来たBETAの7割以上を一人で殲滅したマクギリスは、バエルのコックピットから降り、始めてこの世界の地球の土を踏む事となった。

 

因みにマクギリスを見たEUの男性衛士達はあまりの若さに動揺し、対して女性衛士達も動揺はしたが、同時に高い身長に純金を溶かし込んだ様な髪とサファイアの様な碧眼、神が作ったと行っても過言では無い理想の男性像を実現した様な姿のマクギリスを前に、顔を赤くして見つめていた。

 

(彼が・・・あの戦術機の衛士なのか・・・)

 

ジニン少佐は、見た目的に20代前半と取れるこの衛士があの白い戦術機を操り、BETAの大群をほぼたった一人で殲滅したとは今だに信じられなかった。

 

「私は欧州軍、ポーランド派遣軍第181大隊に所属するバラック・ジニン少佐だ。まずは我々を助けてくれただけでは無く、生き残った兵士達の救助と治療まで行ってくれた事に感謝する。しかし失礼ではあるが、貴方方の素性を知りたい。所属と階級を言っていただきたい」

 

「いいでしょう。私はギャラルホルン臨時最高総司令官、マクギリス・ファリド。階級は准将だ」

 

「准将!?これは失礼しました」

 

ジニン少佐はマクギリスの階級に動揺し改めて敬礼をした。

 

また背後にいる少佐の部下達も、この自分達と同じ年齢に見えるマクギリスが准将という事と、将官階級の軍人が前線で戦っていた事に驚いた。

 

「准将殿、失礼を承知で言わせいただきますが、我々はギャラルホルンと言う組織については聞いた事が有りません。一体どういう組織か教えて頂けませんか」

 

「勿論だ、と言いたいところだが、その事を話すには君達では少し不適格(役者不足は造語)だ・・・少佐、我々は君達を助けた。そのお礼ということでは無いが、少しお願いしたいことがある」

 

「小官にできることでありましたら・・・」

 

「君達の司令官、ポーランド派遣軍総司令官である東部方面軍司令官のグリーン・ワイアット中将と話がしたい。先程の戦闘の記録と、我々ギャラルホルンがEU軍との話し合いを望んでいる事を伝えてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

ジニン少佐が司令部に連絡を取り事情説明とギャラルホルンという組織が話し合いを望んでいる事、そしてついでにアメリカとソ連に我々の存在を知られたく無い事を話した結果。

 

「ワイアット中将からの返答ですが、話し合いに応じるとの事です。つきましては、話し合いの場所はキール軍港にある欧州軍司令部で承るとの事です」

 

「感謝する少佐」

 

マクギリスはジニン少佐にそう感謝した。

 

「気にする事は有りません、命を救ってくれたのです。これでもまだ礼がし足りないぐらいです」

 

マクギリスからの感謝の言葉にジニン少佐はそう返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

EU軍side

 

キール軍港司令部

 

「BETAをたった一機で殲滅する戦術機とそれを操る衛士、そして我々の技術を遥かに超えた技術を持つギャラルホルンという組織か・・・なかなか面白い事になって来たでは無いか」

 

欧州軍東部方面軍司令官、グリーン・ワイアット中将は紅茶を飲みながらそう呟いた。

 

「しかしよろしかったのですか?あの様な素性の分からない相手と交渉など・・・」

 

するとお茶の相手をして居た参謀がワイアット中将にそう聞いた。

 

「例え素性が分からぬ相手とはいえ、我が軍を救ってくれたのだ。英国紳士としては礼の一つもしなくては。それに君も見ただろう?あの映像を。あの様な物を保有する組織と協力関係を結べれば、我が軍は今以上の戦力を持つ事が出来るかもしれん。そうすればあの偉そうな植民地政府(アメリカ)の連中や、アカ共の鼻っ面をへし折る事が出来るかもしれん。いや寧ろBETA共をこの世から駆逐するも可能かもしれん。その利益の大きさを考えれば素性が知れぬなど些細な事だ」

 

そう言いワイアット中将はまた一口紅茶を喉に流し込んだ。

 

 




グリーン・ワイアット

階級:イギリス中将

肩書き:欧州軍東部方面軍総司令官

西ヨーロッパ最高の知将と呼ばれる軍司令官で有りイギリスの名門貴族出身。その為、英国紳士らしく振舞う事を信条としている。

伝統を持たないくせにヨーロッパに対して尊大な態度をとるアメリカと社会主義のソ連を嫌っており、イギリス、フランス内に存在するアメリカの支配からの脱却を画策する反アメリカ派の主要メンバーの一人である。

また伝統ある貴族家出身の為、王室と政界にも太いパイプを持つ人物でもある。

元ネタは勿論、機動戦士ガンダム0083スターダストメモリーに登場する地球連邦軍グリーン・ワイアット大将である。


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取引

バルト海上空

 

マクギリス率いるギャラルホルン地球降下部隊は、現在大気圏内での航行が可能であるクルーザーにMSを搭載し、ワイアット中将との会談が行われる欧州軍司令部が有るキールに向かって居た。

 

「間も無くキール軍港に到着致します」

「そうか、いよいよだな・・・それにしてもジニン少佐、君まで来て良かったのか?」

 

ジニン少佐の部隊の基地はフィンランドにある。そのため任務が完了した今、本来ならばフィンランドに帰るはずなのだが。

 

「お気になさらず。ワイアット中将からの命令で、連絡要員としてファリド准将と共に行動せよと命令されていますので」

 

「連絡要員か、それは監視の言い間違いでは?」

 

「そうとも言えますな」

 

冗談ぽくそう言ったマクギリスに、ジニン少佐は少し笑いそう返した。

 

確かにジニン少佐はマクギリスが不穏な動きをしない様に監視する役目を負っている。しかしマクギリスは別に気にはしていない。正体不明の相手が会いたいと言って来ている以上、監視を置いておくのは軍人として当然の選択であるからだ。

 

そして基地が目視で確認出来たと同時に出迎えのファントムが四機現れ、キール基地へ誘導を始めた。

 

 

 

EU軍side

 

「レーダーシステム使用不能、人工衛星とのデータリンクも途絶しました」

 

オペレータの一人が電子機器が使えなくなった事をワイアット中将に報告した。

 

だがワイアット中将は慌てる事もなく

 

「来たか・・・情報通りレーダーや通信システムを完全に妨害する能力を持っている様だな・・・そう言えば、この事はアメリカ軍には漏れていないか?」

 

「はい、MI6からの情報ではアメリカには感づかれてはいない様です」

「そうかそれは何より。さて、ではそろそろ時間だ。紳士たるもの時間は守らねばならないからな。来客の迎えに行くとするか」

 

 

 

 

ギャラルホルンside

 

「そう言えば私が助けたあの女性パイロットはどうなっている?」

 

「いまだに目は覚ましていないですが、順調に回復へ向かっています」

 

ふと自分が助けたあの女性パイロットが気になり、マクギリスは部下の一人にそう聞いた。

 

「そうか・・・まぁ命が助かったというのならそれで良い。今はこれから始まる会談に専念するとしよう」

 

そう言いマクギリスはギャラルホルンの軍服に着替え、クルーザーから降りキール基地に足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

キール基地 応接室

 

「初めましてファリド准将、私が欧州軍東部方面軍司令官のグリーン・ワイアットだ」

 

「ギャラルホルン、臨時総司令官マクギリス・ファリドです。今回は話し合いに応じて頂いて感謝します」

 

お互いに軽い挨拶を交わし椅子に座った。

 

因みにジニン少佐はマクギリスが座る席の後ろ立って居る。

 

「さてファリド准将、話し合いを始める前に今回の戦いではポーランドに派遣されていた我が軍を救ってくれた事に感謝したい。ありがとう」

 

「礼には及びません、人類の命と尊厳を命を張って守る、それこそが我々ギャラルホルンの役目ですから」

 

「そうか・・・ところで早速本題に入るがファリド准将が先程言ったギャラルホルンとは一体何か教えてくれないかね?」

 

「構いません、がこれから話すのは少し突飛な話ですが、それでも信じて頂きたい」

 

そう言いマクギリスは自分が革命を起こした事は伏せたがそれ以外の全てをワイアット中将に話した。

 

 

 

 

数十分後

 

「PDと言う年号、戦術機とは別の機動兵器のモビルスーツ、ギャラルホルン、地球外縁軌道統制統合艦隊と言う名の宇宙艦隊、ガンダムフレーム、そして別の世界か・・・まるでSF映画の様だな。そう思わないか少佐?」

 

「ハッ!しかし私はこの目でファリド准将が白い戦術機、バエルと言いましたか?それに乗り迫り来るBETAを殲滅していくのをこの目ではっきりと見ました・・・それに」

 

「分かっているさ、良く考えてみればBETAと言う地球外生命体と戦っている今の状況だ。今更異世界からの訪問者如き驚く事では無いさ。さてマクギリス准将、本題はこれからだが、何故君は私に話し合いを求めて来たのか?その理由を聞きたい」

 

「はっきり言わせて頂くと取引に来ました」

 

「取引?」

 

ワイアット中将はマクギリスの言葉に首を傾げた。

 

「はい、先ずは私達がBETAとの戦いに介入した時に乗っていた機動兵器モビルスーツですが、私の乗っているバエルは無理ですが、私と共に降りて来た他のモビルスーツ、名はグレイズと言うのですが今回の作戦に使ったグレイズとその武器を含めて我々は貴軍ら欧州軍に差し上げようと思っています」

 

「何だと!?あの兵器を我々にくれると言うのか?」

 

「そう取って頂いて構いません」

 

ワイアット中将は驚いた。それもそのはず、光線級の攻撃を無効化し、性能も戦術機より遥かに上を行くあの兵器をくれると言うのだから。

 

光線級の攻撃を無効化する装甲

 

まだアメリカでも開発出来ていない武器であるレールガン

 

突撃級の装甲をたった3発で貫く銃と弾丸

 

そしてそのモビルスーツに使われている高性能なOS

 

兵器としても研究材料としても魅力的なものであるグレイズをこうも簡単に提供してくれると言うのだから。

「有難い事だが取引と言うのだから当然、何か私に見返りを求めているのだろう。何が目的かね?これ程の兵器を我が軍に提供してくれるのだ。私に出来る事だったら何でもやるが?」

 

「では一つ、ワイアット中将は政界と太いパイプを持っていると聞いています、そこで欧州政府の首脳と我々ギャラルホルンの仲介役となってもらいたい。それと我が軍の拠点は宇宙にあります、なので我々とバエルを宇宙に返す為に宇宙港を貸して頂きたい」

 

「成る程、まぁそれくらいの事であれば是非協力しよう」

 

「感謝します」

 

「いや、我が軍を救ってくれた上にモビルスーツとやらを贈り物にくれるのだ。それに比べたら大した事では無い」

 

そう言いワイアット中将とマクギリスはお互いに握手を交わし応接室から退室した。

 

 

 

 

 

ギャラルホルンside

 

『そうですか、無事EU首脳と話し合える事になりましたか』

 

「まだ完全に決まった訳では無いが、ほぼ確実に話し合いはできるだろう。少なくとも宇宙港を借りる事は出来る様になったから帰れないと言う事はない。」

 

『それを聞いて安心しました、所でそれはそうとバエル以外のグレイズ三十機全てをEUに渡して良かったのですか?』

 

「貸を作るのなら最大限にだ、それにもうすぐ産業コロニーで作られていたレギンレイズが八十機、此方に納入される予定だ。問題にはならないだろう」

 

『そうでしたな』

 

グレイズをEUに大量に提供すると言う大盤振る舞いとも言える行動だが、実はこの世界に飛ばされた産業コロニーに、前の世界でアリアンロッドやギャラルホルンが発注していた大量のレギンレイズが有り、完成している機体が80機、まだ完成していない機体でも150機がこの世界の工業コロニーに存在していた。

 

その為、これを機に地球外縁軌道統制統合艦隊と革命軍の保有する機体を全てグレイズより高性能なレギンレイズにする為、今更グレイズを大量にあげてもそこまで問題にならず、寧ろ要らなくなったグレイズを処分出来、尚且つEUに恩を売れる為一石二鳥だった。

 

 

因みに余談だが、レギンレイズの支払いはコロニーが前の世界に存在していた時に既に済んでいた為、マクギリスは新品のレギンレイズを殆どタダで大量に手に入れる事となった。

 

「そう言えば宇宙では何か問題はないか?」

 

『特にこれといった問題は有りません』

 

「そうか、なら良い。ではEU政府との会談が決まったらまた連絡する」

 

『了解しました』

 

マクギリスはそう言い石動からのLCS通信を切った。

 

すると

 

「准将」

 

「どうした?」

 

兵士の一人がクルーザー内の執務室に入ってきてこう言った。

 

「実は、准将が助けた女性パイロットが目を覚ましました」

 

「そうか、それは何より」

 

「それと、もう一つ。実はそのパイロットが准将に面会したいと申しているのですがどうなさいますか?」

 

幸いマクギリスは仕事もある程度済んでいる、その為。

 

「分かった、会おう」

 

その女性パイロットと会う事にした。

 

 

 



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「やぁ、気分はどうかな?」

 

マクギリスはそう言って再生治療室に入り、再生治療用のカプセルの中で横になって居るアリサにそう言葉をかけた。

 

この世界では助からないレベルの酷い傷も殆ど完治し、意識もしっかりしているようで、瞳は真っ直ぐ天井を眺めている。

 

「貴方は?」

 

「マクギリス・ファリド。ギャラルホルン准将で君が戦場で見たモビルスーツ、この世界では戦術機と言った方がわかりやすいか、そのパイロットをしている」

 

「貴方が・・・助けて頂いてありがとうございます、私はドイツ民主共和国国家人民軍所属の衛士、アリサです」

 

「それが君の名前か、それにしても苗字がない様だが?」

 

アリサの名前に苗字がない事に気がつき、マクギリスは不思議に思いそう聞いた。

 

「苗字は有りません、私は孤児ですので・・・」

 

「すまない、辛い事を聞いてしまったな」

 

「いいえ、別に大丈夫です」

 

軽率な事を聞いてしまい謝罪したマクギリスに対しアリサはそう言った。

 

「所でお聞きしたい事があるのですが、先程准将殿が言ったギャラルホルンとは何ですか?」

 

「ギャラルホルンとは軍事組織だ。国境や政治体制、人種や民族、その全てを超え人類を守る為に行動する組織だ」

 

「・・・そんな組織があるなんて聞いた事がありませんが?」

 

「まぁ、そうだろうね、それはそうと私に話があるらしいが・・・」

 

マクギリスはアリサにそう聞いた。

 

「はい、実は私が完治した後のことなんですが・・・」

 

「欧州軍を通じて東ドイツに君を返す予定だ。それか君が望むなら、西に亡命する事も可能だが・・・」

 

「どちらもお断りします。ファリド准将、いえマクギリス様、私をそのギャラルホルンと言う組織に入れていただけませんか?」

 

「何?」

 

その斜め上を行く発言にマクギリスは困惑し、アリサにそう聞いた。

 

「私はあの時死ぬ筈でした・・・しかしマクギリス様に助けて頂き、今こうして生きて居られるのです。なので、このご恩を今度は命をかけてお返ししたいのです。」

 

「なるほど・・・しかし君の国は如何するのかね?」

 

「未練が無いと言えば嘘になります。しかし例え国に帰ってもスパイだと疑われて殺されるのがオチでしょう、あの国はそう言う国です。それに私は今まで自分の意思で戦った事は有りませんでした。しかし今は心から貴方の為、マクギリス様の為に戦いたいと思ってます。なのでどうか・・・」

 

マクギリスはアリサの目をじっと見た、その目は決意を固めた目をしていた。

 

ならばマクギリスに止める理由はない。

 

「分かった、君の入隊を認めよう」

 

「ありがとうございます」

 

「これから頼むぞアリサ・・・やはり苗字が無いと色々面倒だろう、私が苗字をつけよう・・・」

 

 

そう言いマクギリスは少し考えそして静かにこう言った。

 

「ボードウィン・・・アリサ・ボードウィンで如何かな?」

 

ボードウィン、それはかつてマクギリスが唯一の友とした男ガエリオ、そしてその妹であり自分が生涯で唯一愛情を抱いた女性アルミリア、その二人の苗字であった。

 

「ありがとうございます・・・マクギリス様から頂いたこの名前大事にします」

 

「そう言ってもらえて此方も嬉しいよ。ではアリサ・ボードウィン三尉、取り敢えず君は引き続き療養を継続し、傷が治り次第新たな命令を与える」

 

「ハッ!」

 

 

 

マクギリスは新たにギャラルホルンのメンバーになったアリサにそう言い、治療室を出て言った。

 

 

 

執務室

 

「俺も未だ甘いな・・・」

 

アリサに自分の親友の苗字であるボードウィン性を与えたのは、愛情や友情を全て切り捨てた筈のマクギリスの中に残る僅かな情かもしれない。

 

「アルミリア・・・君は一体如何しているか・・・」

 

もう会う事もない最愛の女性を思い浮かべマクギリスはそう呟いた。

 

 

 

 

 

次の日

 

EU首脳との会談が四日後に行われる事が決まり、マクギリスからの提案とEU側の希望により、会談の舞台はマクギリスの城である地球外縁軌道統制統合艦隊司令部グラズヘイムとなった。

 

 

 




アリサ・ボードウィン

年齢:13

階級:国家人民軍少尉→ギャラルホルン三尉

搭乗機体MiG21→シュヴァルべグレイズ

本作オリジナルキャラクター

元東ドイツ軍の軍人であったがマクギリスに命を救われた事により、マクギリスに忠誠を抱きギャラルホルンに移籍する事となった。物心つく前にすでに親は無く孤児院で育てられ、13歳で軍に入隊し戦術機操縦適性が高い事により東ドイツ軍の衛士へと抜擢された。

操縦の速さと反応速度がよくスピードを生かした戦いが得意だが余りにも操縦が早い為、国家人民軍に居た時は操縦の早さに戦術機が付いてこられず実力を出し切れなかったが、モビルスーツを配備するギャラルホルンではシュヴァルべグレイズを与えられた為遂にフルで実力を発揮できる様になった。

因みにシュヴァルツェスマーケンに出てくるアネット・ホーゼンフェルトとは親友のなかだった。

ルックス銀髪のショートヘアーで、目の色は黄色、身長は166cm


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会談の始まり

三日後

EU首脳との会談が明日に控える今日、地球軌道上にあるグラズヘイムの近くでは、ヘルムヴィーゲ・リンカーと納入されたレギンレイズの内四機が出撃していた。

 

「これよりレギンレイズを使った演習を開始する」

 

『『『ハッ!』』』

 

石動の号令と共に、青色に塗られているレギンレイズはスラスターを吹かしながらライフルを発砲し始めた。

 

今回出撃したのはレギンレイズに慣れる為の演習、そして。

 

「クソ、速い!さっきから弾が全く当たらない!」

 

「本当に未だギャラルホルンに入って四日なのか?」

 

 

 

レギンレイズが攻撃している先には素早いスピードで銃弾を回避しているシュヴァルべグレイズが居た。

 

「私の操縦スピードについて来れてる・・・これがモビルスーツ・・・」

 

シュヴァルベのパイロット、アリサ・ボードウィンはモビルスーツの性能に驚きそう呟いた。

 

今から三日前会談の舞台がグラズヘイムで行われる事となった為、地球に降下したグレイズと、新設されるEUのモビルスーツ隊の教官役として地球において行く兵士達を除き、マクギリスを含めたギャラルホルンの兵士達は宇宙に上がった。

 

当然ギャラルホルンに移籍したアリサもマクギリスに同行して宇宙に上がった。

 

そしてこの三日間、シミュレーターなどで訓練をしてモビルスーツの操縦の仕方をある程度叩き込んだ所で、マクギリスの提案でレギンレイズのテストも兼ねて宇宙での演習を行う事が決まった。

 

またシミュレーターでのデータで、アリサは操縦スピードが速くて反応速度が良く、スピードを生かした戦い方をする為、アリサはかつてマクギリスが石動にあげて石動がヘルムヴィーゲ・リンカーに乗り換えた事で不要になり、お蔵入りになっていたシュヴァルベを任される事となった。

 

 

「アリサ・ボードウィン三尉、小手調べはこれまでだ。これより我々と君による模擬戦を行う。準備は良いか?」

 

『了解です石動一尉』

 

(レギンレイズのパイロット達の腕は無論悪くない。なのに彼らの射撃攻撃は全て避けられた・・・天性の才と言う奴か・・・准将が認めただけはあるな)

 

 

「よし!行くぞ!」

 

石動はそう言い訓練用のブレードを装備したヘルムヴィーゲ・リンカーを操縦しシュヴァルベに向かって行き。

 

「貰った!」

 

ブレードでシュヴァルベを斬り付けようとした。しかし切られる直前、アリサはシュヴァルベのスラスターを全開にして後方に退避し、攻撃をかわした。

 

「チッ!」

 

攻撃を回避された石動は訓練用の銃を発砲しシュヴァルベを牽制しようとしたが。

 

「当たらない・・・か・・・」

 

石動の銃撃は全て避けられてしまった。

 

石動はマクギリスの配下の中でも腕が立つ一流のパイロットである。その攻撃を避ける事はもの凄い事である。

 

「もらった!」

 

するとレギンレイズの一機がシュヴァルベの背後から訓練用のブレードを振り下ろそうとした。しかしその瞬間、シュヴァルベは左に回転しながら攻撃を回避して、そのままレギンレイズの頭に回し蹴りを食らわせた。

 

そしてワイヤークローでヘルムヴィーゲ・リンカーの持つ銃を弾き飛ばし。

 

「貰った!!!」

 

ブレードを引き抜き、他のレギンレイズによる援護射撃の雨を全て避け、ヘルムヴィーゲ・リンカーに接近し斬り付けようとした。

 

「まだだ!」

 

石動はそう叫び、振り下ろされるシュヴァルベのブレードを片手で押さえ、そして持っている訓練用のブレードをシュヴァルベのコックピットに突き付け演習は終わった。

 

 

格納庫

 

「未だモビルスーツに完全に慣れていないところもあるが、射撃に格闘、全体的に悪くない。此れからも精進しろ」

 

「ハッ!」

 

石動がアリサに自分の評価と此れからの改善点などを話している時。

 

「石動、アリサの腕は如何かな?」

 

「准将!」

 

「マクギリス様!」

 

マクギリスが様子を見にやって来て、石動にそう聞いた

 

「いい腕をしています。攻撃の回避率、射撃の精度、更に操縦が難しいシュヴァルベをこれだけ扱えています。これならばいつ実戦に出しても問題ないかと」

 

「そうか・・・アリサ、シュヴァルベに乗った感想は如何かね?」

 

「少し操縦が難しい所もありますが、慣れれば結構使いやすい機体です」

 

「フッ・・・そうか。この機体は元々は私が乗った機体だ。大切に使ってくれ」

 

「ハッ!」

 

 

 

 

 

司令官執務室

 

「会談の準備は如何か?」

 

「ほぼ完了しています。詳しい事に関しましてはこちらに」

 

そう言い石動は、マクギリスに報告書が書かれたタブレットを渡した。

 

「いよいよ明日ですな・・・」

 

「あぁ、EUとの交渉次第で我々が取るべき行動も変わって来ると言うものだ」

 

「上手くいくのでしょうか・・・」

 

「勝算はある・・・」

 

 

マクギリスはフッと笑い石動にそう言った。

 

 

 

 

 

次の日

 

EU side

 

会談の場所が宇宙に決まり、EUの名だたる政治家や軍上層部の人間が、スペースシャトルに搭乗し宇宙に上がった。

 

そしてシャトルが地球の重力から離れ宇宙についた時。

 

「なんだアレは!?」

 

イギリスの首相が窓の外を覗きそう叫んだ、其処には巨大な五隻の宇宙戦艦が此方に向かって来た。

 

「あれがマクギリス准将が言っていた地球外縁軌道統制統合艦隊・・・」

 

EUの政治家達のお供として付いて来たジニン少佐はそう呟いた。

 

すると

 

「前方の艦隊より入電です」

 

「繋げ」

 

「了解!」

艦長に命令されオペレーターが通信を繋げた。

 

『我々はギャラルホルン所属地球外縁軌道統制統合艦隊です。皆様の出迎えをするように、ファリド准将より仰せつかっています』

 

「出迎えご苦労、案内を頼むぞ」

 

「ハッ!」

 

 

 

 

 

グラズヘイム

 

艦隊の誘導により、EUの交渉団を乗せたシャトルは無事グラズヘイムへ入港した。

 

「あのアメリカですら実用化していない宇宙戦艦にこの様な宇宙施設、そしてモビルスーツと言う機動兵器・・・私はまるで夢でも見ているようだよ」

 

イギリスの首相が横にいるフランス大統領にそう言った。

 

「其れは私も同じです。しかし夢だとしても悪い夢ではない。・・・彼らと手を組めば我々人類は助かるかも知れん。そして上手くいけばヨーロッパがかつての栄光を取り戻す事も・・・」

 

フランス大統領はそう呟いた。

 

そして一行は会談が行わる会議室に到着した。そこには金髪の若い将校と、左右には10人ずつ同じ様に若い将校が控えていた。

 

「会談に応じていただき感謝いたします。私が現在ギャラルホルンの総司令官を務めておりますマクギリス・ファリド、階級は准将です」

「な!貴方が!?」

 

これ程の軍事力を持つ組織のトップにしてはマクギリスは余りにも若すぎる為、政治家と同行していた軍人達は驚愕し、その姿を彼らに同行していたジニン少佐は少し笑って見ていた。

 

「さてそれでは会談を始めましょう」

 

マクギリスの言葉と同時に、のちに歴史に名を残すギャラルホルンとEUの会談、"グラズヘイム会談"は始まった。

 



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会談

グラズヘイム会議室

 

「改めまして、私はマクギリス・ファリド。現在ギャラルホルンの最高指導者を務めています」

 

「はじめましてファリド准将、私はフランス政府大統領シャルル・ペタンだ」

 

「私はイギリス政府首相、ウィンストン・マーセナスだ。お会いできて光栄ですMr.マクギリス」

 

ギャラルホルンの指導者であるマクギリスとEUの盟主国であるイギリスとフランスの二国の代表は改めて自己紹介をした。

 

「本日は我々との交渉のために宇宙までご足労願いありがとうございます」

 

「何、我が軍をBETAから救ってくれたんだ。このくらいはどうと言う事では有りません。報告で聞きましたが、Mr.マクギリスは迫り来るBETAをたった一人で倒して退けた勇者だと」

 

「勇者だなんて、私はただギャラルホルンが掲げる全ての人類を命をかけて守ると言う使命に従ったまでです」

 

「人類を命をかけて守るか・・・ギャラルホルンと言う組織の理念は素晴らしいですな・・・我々の世界にもせめて貴方がたの様な組織があればBETAも今頃・・・」

 

イギリス首相はそう呟きそして少し黙り込んだ。

 

「あぁ、すまない交渉の途中に」

 

「いいえ、構いません」

 

イギリス首相の言葉にマクギリスはそう言った。

 

「さて、前置きは其処までにして本題に入りましょう。実は我々ギャラルホルンは貴方がたEUに全面的に協力しようと考えています。我々が貴方達との関係を大事にしたいと思っている事は、我が軍の主力兵器であるMSグレイズを提供した事から分かると思いますが」

 

「あぁ、十分わかって居ます。あのグレイズという戦術機、あぁ失礼モビルスーツでしたね。アレは素晴らしい兵器です。我が軍で運用している戦術機はもちろん、世界各国の戦術機の性能を凌駕しています」

 

「実はそのモビルスーツなのですが、我が軍が今保有するグレイズの内30機、こちらは販売という形になってしまいますが、其方に提供する準備が有ります」

 

「ありがたい事です、あの機体があればBETAに負ける事は無いでしょう」

 

マクギリスの言葉にフランス大統領はそう言った。

 

モビルスーツが30機地上にあるものも含めてれば、合計60機。これで欧州でのBETAとの戦いも遥かに優勢になれるだろう。

 

「ですが、これを差し上げるには条件があります」

 

「分かっている。何かをされれば相手にも何かをする、それは当たり前のことだ。我々に出来る事だったなんでもしよう」

 

「では、実は我々はこの戦いを見て思った事があります。」

 

「と言うと?」

 

「この戦いで人類が苦戦しているのは、国家や宗教、社会体制や思想、国境に阻まれている事が一番だと」

 

「確かに中国新疆ウイグル自治区喀什市にBETA共が地球に来ていた時、人類が大同団結して戦っていればここまで被害は広がらなかっただろう、しかし・・・」

 

確かにここまで被害が広がったのは、人類が一つにまとまらず国益を最優先に戦って来たのが最大の原因だろう。しかしBETAが攻めて来ていると言うのに人類は今だに一つになれていない。

 

「えぇ、現状では無理でしょう。しかし、いずれ人類は団結してBETAと戦わなければ滅びてしまいます。其処でここからが本題なのですが、人類が一つになるためのキッカケを作るために、国連、そしてこの世界に存在するあらゆる国の軍隊から完全に独立した軍事組織を設立する必要があります。」

 

「と言うと?」

 

「国境、宗教、民族、社会体制その全ての壁を無視し、世界の如何なる戦場であろうとも介入してBETAを倒し人類を救う、そんな組織です。そしてその軍事組織の設立に貴方がたEUにも協力して頂きたい」

 

「何ですと!?」

 

あまりにもスケールの大きい話にフランス大統領とイギリス首相は困惑した。

 

「我々は別に構いませんが、その様な組織、アメリカやソ連が許すとも思いませんが・・・」

 

「その事についてはご心配なく。実は我々はアメリカやソ連が表沙汰に出来ない情報を手に入れています。半ば脅しに近いですが、この情報を元に政治工作をしていただきたいのです」

 

「成る程、確かに弱みを握って交渉すれば突破口は有りますな」

 

「無論、この事は我々がグレイズを提供したお礼にやってくれと言うには大きすぎる事なので、タダでやってくれと言うわけではありません。モビルスーツの詳細な設計図とアメリカ、ソ連の裏情報の提供、そして」

 

次にマクギリスはとんでもないことを言った。

 

「貴方がたEUを世界の王にします」

 

「世界の王だと?」

 

あまりの事にイギリスの首相はマクギリスの言葉を言い返してしまった。

 

「えぇ、この戦いの後全人類は地球規模の統一政府を望むはずです。そしてその統一政府樹立の際には、人類を救った組織となる我々がEUの後ろ盾となり、EUを統一政府の指導国になる様にします。その際には軍事的権限は全て我々が貰い受け人類を守る中立的な監視組織となりますが、一方で政治的権限は全て貴方がたEU、もっと言えばその盟主国であるイギリスとフランスの二ヶ国に任せると約束します」

 

その言葉を聞き二国の代表はしばらく悩んだ。

 

 

人類の王、統一政府の指導国、魅力的な話である。なんて言ったって地球が全てEUの物になると言う事なのだから。

 

しかしそう上手く行くのか・・・

 

BETAは山ほどいる今の状況、統一政府の前に人類が滅びるのではないか。

 

フランスとイギリスの代表はそう思った。

 

しかし、ギャラルホルンの技術力は凄まじいの一言である。上手く行けばBETAを殲滅し、更に統一政府の指導国となり、ヨーロッパはかつての栄光を取り戻し、いやそれ以上の物を手に入れられるかも知れない。その魅力が彼らの欲望を刺激した。

 

そしてイギリスとフランスの代表はお互いに顔を見合わせそして無言で頷き。

 

「いいでしょう。ファリド准将、我々は貴方の提案に賛同します。世界人類の平和のために」

 

「感謝いたします大統領閣下、そして首相閣下」

 

そう言いマクギリスとフランス大統領、イギリス首相は互いに握手をした。

 

コレが後の世に言う"グラズヘイムの盟約”と呼ばれる歴史的瞬間である。

 

「しかし一つ腑に落ちませんな・・・なぜ貴方は我々EUと手を結んだのですか?アメリカと手を組んだ方が遥かに有益だと思いますが?」

 

「確かにアメリカで有れば国力や生産力、そして世界的に発言力が強く、味方にすれば頼もしい存在です。しかし」

 

そう言いマクギリスはタブレットを操作しEU首脳達に見せた

 

「この様な事をする国です。我々も使われるだけ使われて、捨てられるだけです」

 

EU首脳はタブレットを見て驚愕した。其処にはアメリカから極秘入手した五次元効果爆弾、通称G弾の研究資料が載っていた。

未だ開発に取り掛かったばかりの為、どの様な物になるかは分からないが、完成したら核を超える兵器ではある。その代わり、重力異常や自然に多大なダメージを与えるかもしれないなど、核兵器の方が環境に良いくらいのダメージを地球に残すかもしれない兵器であり、さらに完成次第それを自分達の国があるユーラシア大陸で運用する計画などもあった。

 

「成る程な・・・ファリド准将一つお願いがあります」

 

「何ですかな?」

 

「今とは言いませんが、我々はこの様な事をする国が盟主となっている北大西洋条約機構を抜け、新たな勢力を作ろうと思います。つきましてはアメリカと袂を別った時は不足する食料の提供など、図々しいとは思うがアメリカが今まで行ってきた支援を、貴方がたギャラルホルンにお願いしたい」

 

「勿論です、我々と共に来た農業コロニーだけでもEUに居る市民たちの腹を膨れさせる事ぐらいは出来ます」

 

「ありがたい」

 

「いいえ、今や我々と貴国は同盟国と言っても過言ではありません。それくらいは・・・」

 

 

その後は難民の受け入れとギャルホルンが行う具体的な技術支援、そして後日行う予定のスペースコロニーとモビルスーツ工場の視察の明確な日にちなどを決め、会談は終了した。

 




ちなみにイギリスとフランスの大統領はオリジナルですが多分殆ど出ないと思いますので覚えなくても結構です。



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EUモビルスーツ部隊1

ギャラルホルンの現トップであるマクギリス・ファリドと、EUの盟主国のイギリス、フランスの代表との交渉は成功に終わった。

 

そして互いに協力を誓い合った後はスペースコロニーへの難民受け入れと、具体的な技術提供について話し合われた。

 

難民については修理された元廃棄コロニーと建設中のコロニーが受け入れ先となる事で決まり、数週間後にはEU首脳によるコロニーの視察も決まった。

 

又それに伴い宇宙に難民や物資を送るため、イギリスとギャラルホルンの共同計画でマスドライバー建設計画が開始される事となり、イギリスのスコットランド北部のネス湖に一つ、オーストラリアのカーペンタリアに一つ、アフリカのヴィクトリア湖に一つ、合計三つのマスドライバー施設が建設される事となり、その中でもイギリスとアフリカの二つのマスドライバーは、2年後の完成を目指す方向で急速に工事が開始された。

 

そしてギャラルホルンによる技術提供についてはグレイズ30機を売却する他にも、アメリカなどの第三国への輸出用にヘキサ・フレーム系やロディ・フレームの設計図、アフリカやオーストリアなどの事実上EUの影響下にある国へ輸出する為のゲイレールの設計図、更に絶対にEU以外の国には売らないと言う約束でグレイズの設計図も渡した。

 

またモビルスーツ関連の他に再生医療技術、OS、そして今後の戦いの為にLCS通信システムはすぐにでも使えるよう真っ先に技術が提供された。

 

しかし一方でエイハブリアクターだけは技術を提供する訳には行かず、交渉の結果、ギャラルホルンが管理する事でも良いから地上にもエイハブリアクターの生産施設を作る事と、EUが望んだ数のエイハブリアクターを必ず提供する事で妥協してもらった。

 

 

その後会談の後、EUでは独立軍創設までの間はギャラルホルンの事は国家機密として扱われる事となり、更にマクギリスからもたらされたソ連とアメリカの機密情報の一つである、EUに潜んでいるスパイの一斉検挙作戦が開始された。

 

同時期、販売されたグレイズ30機、そして先に無償提供されたグレイズ30機、合計60機のグレイズによるEU初のモビルスーツ部隊が設立された。その部隊の人員はEUの中でも選りすぐりの精鋭だけで構成され、更にマクギリスと最初に接触した軍人である、バラク・ジニン少佐もモビルスーツ部隊の副司令官に任じられた。

 

またEU内で行われていた戦術機の開発計画は全て凍結、更にアメリカから買う予定であったファントム30機も全てキャンセルし、国内にある戦術機工場はモビルスーツ工場へと変えられ、EU領内では着々とモビルスーツの量産体制が整えられて行き、更にモビルスーツの生産体制を整えるまでの時間稼ぎにグレイズのOSを戦術機にフィードバックするなどの処置がされた。

 

 

 

一方マクギリスはEUとの関係を結べたとはいえ、この数ヶ月間やる事は山の様にあった。他のEU首脳との面会、EU首脳のスペースコロニーやグラズヘイムへの視察の案内、EUや世界中の有力者とのパイプ作りの為に多数の晩餐会に出席、更にアメリカ領内にいるマクギリスの考えに賛同する民主党の有力者との秘密会談、そしてギャラルホルンの兵力の拡大、そして今後の地球上での戦略を考えるなどである。

 

更にモビルスーツの生産には火星ハーフメタルなど地球では取れない資源が必要である。一応備蓄資源は大量にあり、ギャラルホルンだけでなくEUに分け与えても一年と半年はもつくらいの資源はあるが、資源はいつか無くなる為、早急にこれらの資源を手に入れなくてはならない。

 

しかし最悪な事に、火星は既にBETAの完全な支配下にあるため火星での資源採取は不可能。その為、一か八か前の世界で火星以外でもそれらの資源が取れる場所であるアステロイドベルトへの資源調査と採掘を行う"地球外資源開発公社”、そしてその航行ルートにアリアドネを配置する"地球外通信公社”の設立準備など、やる事は多忙を極め、1日3時間どころか2日に2〜3時間しか寝られないという過酷な生活が続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方マクギリスが多忙を極めている頃

 

ドイツ領内キール基地

 

西ヨーロッパにおける前線基地である此処ではEU初、そしてこの世界初のモビルスーツ部隊が設立され、その人員として欧州軍の中でも選りすぐりのエース達合計60人が集められた。

 

因みにEUで新設されたモビルスーツ部隊の隊員達は後に二つの道を進む事になっている。一つは単純にEUにおける新たな戦力としてモビルスーツパイロットとしてEUに残る者。

 

二つ目は後に結成されるマクギリスをトップとした独立軍内部でEUがある程度の影響力を持つ為、独立軍に送りこむ人員の育成。すなわち独立軍が創設されたらそこに真っ先に移籍し、そのまま独立軍の軍人になる者の二つである。

 

 

「良いか、諸君は欧州軍の中でも選ばれた人材としてここに集められ、そして諸君らが今から所属する部隊はEUの中でも精鋭中の精鋭となる部隊である!その名誉に恥じぬよう、他の将兵の手本となるような働きに期待する!」

 

「「「ハッ!」」」

 

モビルスーツ部隊の副司令官となったジニン少佐の訓令が終わり、パイロットと整備兵達は皆一斉に敬礼した。

 

すると

 

「全員集まったようだな少佐」

 

「司令官!全員敬礼!」

 

今回のモビルスーツ隊の司令官である大佐の階級章を付けた女性軍人がその場に現れ、パイロット達と整備兵達はジニン少佐の号令と共に一斉に敬礼した。

 

「直れ。ジニン少佐、一つ聞きたいのだが、新設されるモビルスーツ隊のパイロットの数は60人の筈だ。しかし私の目がおかしくなっていなければ、今目の前にいるパイロットの数は59人だ。もう一人はどうした?」

 

「はっ!どうやら無断遅刻だと思われます、その一人は確か」

 

ジニン少佐はそう言い、隊員のリストをめくり、そして一人の隊員の名前が記されているページで手を止めた。

 

「ありました、コイツです。フランス軍所属の衛士、名前はパトリック・コーラサワー。階級は中尉です」

 

 

 

 

 

 

 

その頃基地の外

 

民間人女性と欧州軍の軍人を乗せた車が基地の前に停車した。

 

「ねぇ、良いの?お仕事の始まる時間もうとっくに過ぎているみたいだけど・・・」

 

「大丈夫、大丈夫。俺はEU最強のエース、パトリック・コーラサワー様だ、そんくらい大目に見てくれるさ。さてじゃそろそろ行ってくるぜ」

 

そう言いその男性軍人こと、自称EUのエース、パトリック・コーラサワーは隣に乗っていた女性を下ろし、基地の中に入って行った。

 

 

 

そして車を止めたパトリックは余裕な顔をして集合場所に来た。

 

「EUのエース、パトリック・コーラサワーただいま・・・」

 

パトリックがそこまで言った時。

 

「グハッ!!」

 

「遅刻だぞ中尉」

 

モビルスーツ隊の指揮官である女性軍人に、鉄拳制裁パンチを入れられた。

 

「何しやがるんだこのアマ!男の顔をよくも、グハッ!二度もぶった・・・」

 

口答えをした為パトリックはもう1発パンチを食らった。

 

「カティ・マネキン大佐、新設されたモビルスーツ隊の指揮官を務める事となった」

 

(よく見たら良い女じゃねえか・・・)

 

「ハッ!自分はパトリック・コーラサワー中尉であります!遅刻し申し訳ありません!これからよろしくお願いします大佐殿!」

 

(惚れたぜ!)

 

パトリックはまさかの自分を殴ったマネキン大佐に、この時惚れた。

 

「さて改めて私はカティ・マネキン大佐。新設されたモビルスーツ隊の司令官に任命された。宜しく頼むぞ」

 

「「「ハッ!」」」

 

パイロットたちは改めてマネキン大佐に敬礼をした。

 

すると

 

「あの!すみません!」

 

「何だ?コーラサワー中尉?」

 

「モビルスーツとは何ですか?」

 

「なっ!前もって配った資料に記載されていただろう!」

 

「すみません、資料を読むのは苦手で・・・」

 

何とパトリックは資料を読んでいなかった為モビルスーツの事を何も知らなかった。

 

「は〜、全く仕方がない。モビルスーツとは我が軍で新たに運用される巨大人型兵器だ」

「人型?と言うと新型の戦術機ですか?」

 

「戦術機とは違う。モビルスーツの特徴は、高性能なOSや突撃級の装甲を貫通させる威力があるライフル、更に光学兵器を全て跳ね返す鉄壁の装甲など、その性能は戦術機を遥かに超えている」

 

「光学兵器を無効!?と言うことは光線級の攻撃も・・・」

 

「無論、モビルスーツには傷一つつかん」

 

「凄い代物ですね大佐!そんな物本当にあるんですか?」

 

パトリックはモビルスーツの圧倒的に驚愕してマネキン大佐にそう聞いた。

 

「ある。まぁ論より証拠だ、諸君ら付いて来い、モビルスーツを見せてやる」

 

 

 

 

 

格納庫

 

「コレが我が軍の次期主力兵器となるモビルスーツ、その名もグレイズだ」

 

「コレが・・・」

 

其処には水色のナノラミネートアーマーで塗装された、EU仕様のグレイズが60機。ずらりと並んでいた。

 

「さてそれでは諸君、一度機体に乗ってみろ」

 

「「「ハッ!」」」

 

マネキン大佐の指示によりパイロット達は次々に機体に乗り込み、モビルスーツを起動させた。

 

すると

 

「何ですかこの機体!?」

 

「予想より遥かに高性能です!」

 

「すげぇ、この機体さえあればBETAなんて恐るに足りませんよ!早く実戦で使って見たいぜ」

 

モビルスーツの性能をみて興奮したパトリックはそう言った。

 

すると

 

「安心しろパトリック、直ぐに使わせてやる」

 

「え?どう言うことですか?」

 

「実は今から二週間後に、ヴェリスクハイヴから一個師団相当のBETAがフィンランドに侵攻してくる。其処で貴様らにはモビルスーツの実戦テストを兼ねて、BETAの大軍を迎え撃ってもらう。そしてその間、貴様らにはモビルスーツの操縦に慣れてもらう為、彼等から操縦訓練を受けてもらう」

 

そう言ってマネキン大佐は地球に残ったギャラルホルン兵士達を紹介した。

 

「二週間後か・・・そりゃあ楽しみだぜ・・・」

 

自称、EU最強のエース、パトリック・コーラサワーは直ぐにやってくる初陣に心を踊らされていた。

 




パトリック・コーラサワー

階級:中尉

所属:フランス軍

自称EU最強のエースであり、自称するだけの実力は持っているが喧嘩っ早くマイペースな性格のため、軍上層部も手を焼く問題児である。

元ネタは勿論ガンダム00のAEUのエース、パトリック・コーラサワー


カティ・マネキン

階級:大佐

所属:EU軍参謀本部→モビルスーツ隊司令

EUの時期総司令官と目される戦術の天才で、ワイアット司令官の秘蔵子である。その頭脳とギャラルホルンと始めて接触したワイアット司令の派閥に入っている為、ギャラルホルンの事を知らされ新設されたモビルスーツ隊の指揮官に抜擢された。

元ネタはガンダム00のカティ・マネキンその人





お知らせ

火星ハーフメタルや地球では取れない資源がアステロイドベルトで取れるかもしれないと言うのは自己設定ですのでご了承ください。




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EUモビルスーツ部隊2

 

この10日間、EUのモビスルーツ部隊は来るべき初陣に向けて訓練に励む日々が続いた。

 

 

 

そして時は流れ12日後

 

フィンランド・ラッペーンランタ基地

 

このフィンラドの地を長い間守ってきた最前線基地に、EUの切り札であるモビルスーツ部隊が派遣された。

 

 

 

 

フィンランド軍side

 

司令部

 

「エイハブリアクターの反応確認!数60!」

 

「ついに来たか。EUの新たなる希望となる部隊が・・・」

 

「コレがモビルスーツか!」

 

モニターに映されたモビルスーツ隊に、オペレーター達は興奮した様子でそう言った。

 

「司令官!LCS通信でモビルスーツ隊より入電。着陸許可を願うと」

 

「許可する」

 

「ハッ!着陸を許可します。それでは此方の誘導に従って・・・」

 

オペレーターがそう言ったその時、一機のモビルスーツがスラスターを全開にしてこちらに向かって来た。

 

そして司令部上空をスレスレで飛行し、次にその機体はアクロバット飛行をお披露目してようやく着陸した。

 

「何を考えているだあの機体は・・・」

 

あまりの事にオペレーターはそう呟いた。

 

 

 

 

EUモビルスーツ隊side

 

『着陸を許可します』

 

「了解、各員これより着陸態勢に入る」

 

『『『了解!』』』

 

フィンランド、ラッペーンランタ基地に到着したモビルスーツ隊は、ジニン少佐の命令に従い基地への着陸体制を取ろうとしていた。その時。

 

「イヤッホウウウウウウウ!!!」

 

パトリックが叫びながらスラスターを全開にし、司令部の真上スレスレを飛行するという事をした。

 

「コラ!パトリック中尉、何をしているか!」

 

「基地の連中に見せてやるんですよ。モビルスーツ、グレイズとEUのエースであるこの俺の腕を!」

 

そう言いパトリックが乗るグレイズ。次にアクロバティックな動きで空を飛び、そして基地に降り立った。

 

「なんなんだアイツは・・・」

 

余りにも無茶苦茶な行動に、フィンランド軍の兵士達は呆れながらパトリックのグレイズを見つめた。

 

「よう!諸君、BETA共が来ると連絡が聞いたから助けに来てやったぜ!このEUのエース、パトリック・コーラサワー様がな!だから諸君達は大船に乗ったつもりで・・・」

 

「中尉!」

 

「お!大佐!」

 

すると、後からヘリでやって来たマネキン大佐が、パトリックを呼び出した。

 

「如何でしたか!俺の華麗な操縦、イデッ!」

 

其処まで言った時、パトリックは頭にマネキンの拳骨を食らった。

 

「馬鹿か貴様は!あんな無茶苦茶な操縦をして!良いかパトリック!モビルスーツはまだ世界に60機しか存在しない貴重な兵器だ!それをあの様に操縦するなど!壊したら降格では済まされんぞ!」

 

「ハッ!申し訳ありません!大佐!」

 

「以後気をつけろ!」

 

 

マネキンは一言そう言い、現地の司令官と面会する為にその場を離れた。

 

(この風・・・矢張り故郷の風はいい・・・)

 

マネキン大佐はフィンランド出身である。しかしBETAがロシアの殆どを占領した時に家族共々イギリスに避難し、以来故郷には帰っていない。

 

その為、今回の作戦は皮肉にも久し振りの故郷への帰省であった。

 

 

 

 

その夜

 

基地では援軍に来たモビルスーツ隊への歓迎と親睦を深める会が行われていた。

 

他のパイロット、そしてジニン少佐もウォッカを飲み完全に酔っていた。

 

一方コーラサワーは、其処まで酒が強いわけではないのでこっそり会場を抜け出した。

 

すると

 

「あれは・・・」

 

雪が軽く降る中ベンチに一人座るマネキン大佐が居た。

 

「大佐!」

 

「中尉か、どうした?」

 

「大佐こそどうしたんですか?こんな所で黄昏て」

 

そう言いパトリックは途中、自販機で買った缶コーヒーをマネキン大佐に渡した。

 

「明後日の作戦の事を考えて少しな・・・」

 

「やっぱり大佐も緊張しているんですか?まぁ我々モビルスーツ隊の初陣ですからな」

 

パトリックは明るい口調でそう言った。

 

「まぁ其れもあるが・・・フィンランドは私の故郷なんだ・・・」

 

「大佐・・・」

 

「中尉、君はBETAに占領された地がどの様になるか知っているか?」

 

「さ、さぁ?」

 

パトリックはBETAについては種類やある程度の対処法しか知らないため、そう言った。

 

「草木一本生えぬ不毛の土地になるんだ・・・もし今回の戦いで我々が敗北する様なことがあれば、このフィンランドも・・・」

 

「勝ちますよ大佐・・・大佐が指揮して俺が戦う、力を合わせればBETAなんかに負けはしません!」

 

「本当にお前は・・・まぁ良い、私も負けるつもりは毛頭無い。勝つぞこの戦い」

 

「ハッ、ハイ!」

 

マネキン大佐の言葉に、パトリックは敬礼をしてそう返した。

 

 

 

二日後、いよいよモビルスーツ隊の初戦闘が始まった。

 

 



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EUモビルスーツ部隊3

そう言えば前回、なんでグレイズが飛んでいるんだと不思議思った方がいるかもしれませんが、その理由は作者が今後の戦闘を考えてオリジナル設定ですが飛べるようにしました。

と言っても、出力を調整した宇宙用スラスターと地上用スラスターをグレイズに装備し無理矢理飛ばして居ます。かなり強引な方法ですがシュヴァルツェスマーケンやトータル・イクリプスなどのアニメで見たところ戦術機は腰に付いている二つのスラスターだけで、飛べているのでこれでも問題ないと思います。

まぁ詳しい人からすれば色々意見があるかもしれませんが其処はまぁ眼をつぶって貰えれば嬉しいです。

いっそシュヴァルツェスマーケンが始まる四年後になったらサブフライトシステムをギャラルホルンに作らせてようかな・・・


二日後

 

フィンランド・ラッペーンランタ基地

 

この日はフィンランド全体に吹雪が降り数メートル先は見えない状態であった。

 

しかし吹雪だからと言ってBETAが来るのが遅くなる筈もない。その為作戦は予定通り行われる事となった。

 

「これより!フィンランドに向かって来る師団規模のBETAに対する迎撃作戦を開始する。敵は一万を超え、更に天候が悪い為厳しい戦いが予想されるが、我々にはフィンランドとスカンジナビア半島に住む大勢の人々の命がかかっている、必ずBETAを倒しこの地に勝利を刻め」

 

「「「ハッ!」」」

 

マネキン大佐の訓示を聞いたモビルスーツ隊パイロット達はギャラルホルンから提供されたパイロットスーツを着用し皆一斉にグレイズに乗り込み発進準備に取り掛かった。

 

『これより我が軍は新戦術"MSレーザーヤークト"を実施する諸君らの奮闘に期待する』

 

「よっしゃ!見て居てください大佐!EUのエース!パトリック・コーラサワー!行っくぜぇーっ!」

 

「バラック・ジニン!グレイズ、出るぞ!」

 

モビルスーツ隊は皆、背中のスラスターを吹かし大空に飛び立って行った。

 

此処で新戦術"MSレーザーヤークト"について説明する。

 

MSレーザーヤークトはカティ・マネキン大佐がモビルスーツの存在を知らされた時に立案した、新戦術であり、MSと戦術機が同じ作戦に投入される状況を想定して作った新戦術である。

 

その内容は極めて単純。

 

第1段階、光学兵器が通用しないモビルスーツ隊をBETAの大群へ先行させる。

 

第2段階、光線級、場合によっては要塞級への攻撃をモビルスーツで行い、制空権を確保する。

 

第3段階、最後にモビルスーツ、戦術機、航空戦力、迫撃砲、多連装ロケットなどを投入しBETAを徹底的に叩く。

 

これがMSレーザーヤークトの内容である。

 

成功すれば敵に最大の被害を与え味方の被害は最小限にもしくは全く被害が出ない作戦である。

 

今回は光線級だけでは無く要塞級も3体確認されている為、グレイズ四十機はロケットランチャーやレールガンなど、対要塞級兵器で武装して居た。

 

「要塞級殲滅部隊の指揮は俺が取る、光線級殲滅部隊はパトリック、お前がやれ!」

 

「了解!行くぞ野郎ども!大佐の故郷を守る為に光線級共をぶっ潰すぞ!」

 

「「「お、おおーー!!」」」

 

こうして、要塞級殲滅はジニン少佐率いる本隊が、光線級殲滅はパトリック・コーラサワー率いる別働隊合計20機が引き受ける事となった。

 

そして別働隊が他のBETA上空を飛行し光線級の元に向かっていると。

 

コックピットに警告音が鳴り響きモビルスーツの一機が光線級の攻撃を受けた。

 

『おい大丈夫か?』

 

「大丈夫です、しかし光学兵器が効かないて分かって居てもヒヤヒヤしましたよ」

 

MSのナノラミネートアーマには光学兵器は通用しない。その為光線級からの攻撃は傷一つ付いて居ないが、いざ攻撃が当たると一瞬肝は冷えるものである。

 

『まぁ良いさ、それよりさっきの攻撃で奴さんの位置が分かったぜ、行くぜお前ら!!!』

 

そう言いパトリックのグレイズは、スラスターを全開にし光線級の元に向かって行った。

 

向かった先には光線級だけでは無く要撃級も少なく無い数が居たが、パトリックにはそんなものは関係ない。

 

「ミンチにしてやるぜ!化け物共!!!!」

 

パトリックはそう叫びながら、グレイズのバトルアックスを引き抜き、ライフルとバトルアックス、二つを使い分けながら次々と要撃級、光線級を肉片に変えて行った。

 

『中尉!俺たちにも残しておいてくださいよ!』

 

『そうですよ!』

 

後から続くグレイズ達もライフルを発砲し次々と光線級、要撃級を肉片へと変えて行った。

 

 

そして数分後

 

数多く居た光線級は全て肉片へと変えられ地面は全て血まみれになって居た。

 

『中尉、我々の任務は終わりました一時撤退しましょう』

 

「そうだな、良し一旦基地に帰るぞ」

 

そう言いパトリック率いるモビルスーツ部隊がラッペーンランタ基地に帰ろうとした時。

 

『中尉、聞こえるか?』

 

「あ!大佐、グッドタイミングです大佐!任務完了しました」

 

『そうか、それはそうと緊急事態だ!実は先程ジニン少佐からLCS通信で連絡が入った。事前情報では3体だった筈の要塞級が、途中で増えたのか6体に増えているらしい!』

 

「なっ!本当ですか!?」

 

『通信によると1体は倒したらしいが、だいぶ苦戦しているらしい。其処で、弾薬や推進剤が残っているグレイズはこのままジニン少佐の援護に向かえ!』

 

「了解しました大佐!お前ら聴いたか!?推進剤と弾薬が残っているグレイズはこのまま俺に続け!それ以外は一旦補給に戻れ!」

 

『『『了解!』』』

 

すると20機中11機は一旦補給に戻りジニン少佐率いる本隊の救援には合計9機、一個中隊規模のグレイズが向かう事となった。

 

 

 

 

 

 

MS部隊本隊side

 

『チクショウ!情報部の奴らいい加減な仕事しやがって!!』

 

「文句を言う暇があるなら要塞級の攻撃を避ける事に専念しろ!!」

 

そう言いジニン少佐はグレイズを操縦し5体の要塞級からの無規則な触手攻撃を避けながら攻撃のチャンスを探していた。

本隊がここにたどり着いた時、猛吹雪に視界を遮られ後方に居た、もう3体の要塞級は確認出来なかった。その為、要塞級の1体を倒した時直後、 吹雪の中から飛んできた触手攻撃によってグレイズ1機が撃墜、2機が大破してしまった。

 

 

「クソ!モビルスーツに乗った事で浮かれてしまって居たのか・・・油断も極まれりだな!レールガンを装備している奴は距離を取り態勢を立て直し次第レールガンを発射しろ!」

 

『『了解!』』

 

命令に従いレールガンを装備したグレイズは距離を取り、要塞級に攻撃をした。そのおかげで何とか三体は倒したが、予想以上に態勢を立て直し攻撃するのに手間取い時間がかかってしまった。

 

 

『少佐!このままでは、BETAは最終防衛ラインに到達してしまいます!彼処には20万人の兵士達が居ます!最早やマネキン大佐に連絡して、第3段階に移行させ我々は防衛ラインに迫りつつあるBETAに対処すべきです・・・!』

 

「しかし・・・」

 

ジニン少佐は迷った。確かにこのまま撤退し第3段階方が良いかも知れ無い、しかし要塞級は小型種BETAを搭載で出来る。つまり今生きている二体の要塞級の体内に光線級が居るかもしれ無いのだ。

 

そう考えると、万が一このまま第3段階に移行し要塞級が体内から光線級を出したら第3段階で残ったBETAを掃討する役目の爆撃機部隊に多大な被害が出るかもしれ無いのだ。

 

しかし、此処で要塞級の撃破にこだわり時間をかけてでも要塞級撃破に専念した場合、最終防衛ラインに陣取っている歩兵と、戦車部隊、更に予備戦力として待機している戦術機部隊に被害が出るかもしれ無い。

 

(どうする・・・このまま後の事は爆撃機や砲撃部隊に任せて我々は最終防衛ラインの救援に行くべきなのか・・・しかし要塞級体内に光線級が居たら、爆撃機部隊や前線に出てくる戦術機部隊に被害が出る可能性が・・・いや、此処はマネキン大佐に事情を説明し、後から来る戦術機部隊と爆撃機部隊に気をつけるよう警告してもらえば・・・)

 

そして

 

「やむを得ん・・・全機・・・」

 

撤退と言おうとした時

 

『待たせたなジニン少佐!!EU無敵のスペシャルエース!パトリック・コーラサワー様、ただ今参上!』

 

「パトリック中尉!来てくれたのか!」

 

『ヒーローは遅れてくるもんだからな!要塞級は俺たちに任せな!』

 

「だがお前の部隊はグレイズが9機しか無いだろ!どうやって戦うつもりだ!?」

 

『おいおい、俺様はEUのエース様だぜ!要塞級二体如き俺が全部叩き潰してやるぜ!!』

 

そう言いパトリックのグレイズはロケットランチャーを装備しているグレイズからロケットランチャーを奪い要塞級に突撃した。

 

要塞級から放たれる触手攻撃は全て避けそして。

 

「終わりだ!大佐の故郷に手を出す奴は!俺がぶっ潰す!!!」

 

そう叫びパトリックのグレイズはロケットランチャーの引き金を引き近距離で要塞級にロケットランチャーを食らわせた。

 

「よっしゃ!!見たかこの野郎!!」

 

パトリックがそこまで言った時

 

『中尉!後ろ!』

 

「へ?」

 

すると残って居たもう一体の要塞級の触手がパトリックのグレイズを腰から真っ二つにした。

 

『パトリック中尉!!!』

 

部下の一人が目の前で真っ二つにされ地面に落ちて行くグレイズを見てそう叫んだ。

 

しかし最後の一体がパトリックを攻撃した為要塞級に隙が出来た。

 

すると

 

「今だ!!全部隊攻撃!!撃って撃って撃ちまくれ!!!!!」

 

ジニン少佐の命令により残ったグレイズは皆一斉に持てる全ての火力を集中し要塞級を撃破した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

それから作戦通り爆撃機、長距離砲、戦術機、多連装ロケットを使用しBETAは殆ど一掃し補給を終えたグレイズも掃討作戦に参加し、作戦は成功した。

 

 

「報告します、今回の被害はまずMSは、グレイズ3機が大破、1機が撃墜、パイロットは二人が重症、一人が戦死、そしてパイロットの一人、パトリック・コーラサワーは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病室

 

「あ、大佐!」

 

「中尉、怪我の様子はどうだ?」

 

「大丈夫です大佐!医者も奇跡的に軽傷だと言っていましたし」

 

「そうか・・・」

 

グレイズを腰から真っ二つにされコックピットは数十メートル下に落下した筈なのに、パトリックは軽傷、いや、ほぼ無傷であった。一応、念の為に今日は病室で過ごす事となったが健康そのものであった。

 

「かなり無茶をしたそうだな」

 

「フッ、昨日大佐と約束しましたからね、必ず勝つと約束しましたからね、だから・・・その・・・少し張り切ってしまい・・・」

 

「フッ・・・」

 

マネキンは少し笑い。

 

「バカだな、お前は」

 

「そんな〜」

「まぁ良い、取り敢えず任務は完了した、明日には帰るが今日はゆっくり休め」

 

「了解」

 

「ありがとう・・・中尉」

 

最後にマネキンはそっとそう呟いた。

 

 

こうしてEUモビルスーツ部隊の初陣は勝利に終わった。

 

 

 




これでEUのモビルスーツ部隊の話は終わりです。

次の次くらいから又マクギリス中心の話に戻る予定です。


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アメリカの反応

マネキン大佐率いるEUモビルスーツ部隊の初戦闘から数週間後

 

アメリカ首都、ワシントンD.C

 

アメリカの頭脳であるホワイトハウスでは現在大統領を始めとする閣僚と軍高官が集まっていた。

 

 

「諸君、今回集まってもらったのは他でもない。実は、EUに侵入させておいた、CIAのエージェントグループの一つから新情報が入った、早速だが此れを見てくれ。」

 

アメリカ大統領がそう言うと、スクリーンに映し出されたのは数週間前のフィンランド戦の映像であった。

 

それを見た軍高官や閣僚達はグレイズの戦闘を見て騒ぎ出した。

 

「何だ!あの機動性は!要塞級の攻撃を避けるとは!」

 

「何という装甲の硬さだ!要塞級の一撃を受けても大破で済むなど!しかも、この装甲は光線級の攻撃を跳ね返しているだと!?あり得ん!」

 

「な!レールガンだと!?我が軍でもまだ開発出来ていない兵器を!いつのまにEUはあんな物を!?」

 

そして映像が終わり大統領が口を開いた。

 

「諸君、此れは紛れも無い事実だ。この戦術機、EUではグレイズと呼ばれているらしいが、我が軍の統合作戦本部の分析では、我が軍で開発中の、F-14とグレイズの戦力比はグレイズの衛士がエース級ならば60対1、新米衛士でも30対1と言う分析結果が出た。しかも情報によると、この高性能な戦術機をEUは何と合計59機保有していると言う。」

その瞬間それを聞いた閣僚達と軍高官達はまた騒ぎ出す。

 

グレイズ一機とまともに戦うには、最新鋭の戦術機であるF-14を、60機〜30機投入しなければ全く相手にならず、しかもそんな兵器をEUは59機も保有して居ると言う、此れは見過ごせる事の出来ない状況である。

 

「如何するのです!大統領!こんな物をEUに販売されたら、アメリカ戦術機産業は衰退してしまいます!」

 

「それどころか!世界のBETA戦における主導権がEUに奪われる可能性があります!!」

 

閣僚達は次々とそう言った。

 

「落ち着きたまえ、手はある、実はこのグレイズなのだが、情報によると元々EUが保有していた数は60機で、先のフィンランド戦で撃墜された機体があるらしい。現在、その残骸を密かに回収して分析に回す計画、更にEU担当のCIAのエージェントを増員し、グレイズの詳細な設計図を得る計画を立てて居る」

 

「という事は」

 

「そうだ、EUの新型戦術機の強さの秘密を奪い取る!そしてその技術は我々アメリカが頂き、我々の力でグレイズ以上の機体を作れば良い!」

 

「確かに!」

 

「あの戦術機はEUが持つには身分不相応です!」

 

「その通りだ、出来るな?CIA長官?」

 

「お任せください、大統領閣下」

 

大統領の言葉にCIA長官はそう答えた。

 

すると

 

「そう言えば大統領閣下、此れはあくまで、噂程度なのですがもう一つ情報が」

 

「何かね、長官?」

 

「実は、このグレイズと呼ばれる戦術機の他にEUがもう一つ高性能な戦術機を保有して居ると情報が」

 

「高性能とは?」

 

「話によりますと、梯団規模のBETAを単独で殲滅できるぐらいの性能を持った戦術機だとか・・・」

 

CIA長官が持ち出した話は、無論バエルの事である。

 

「おいおい、流石それはあり得ないだろう」

「全くだ、梯団規模のBETAをたった一機で潰すなど、不可能に決まって居るだろうハッハハハハ」

 

「確かに、言い出しっぺの私が言うのも何だが、流石にこれはあり得ないですよ」

 

梯団規模のBETAを潰す戦術機の話など信じるはずもなく皆笑っていた。

 

すると大統領に電話がかかって来た。

 

「何だ?今会議中なのだが・・・何?分かった、諸君、今外務省から電話があった。イギリスのウィンストン・マーセナス首相が私と話がしたいと」

 

「マーセナス首相が?一体何事でしょうか?」

「私も分からんが兎に角話してみよう」

 

そう言い大統領はイギリスへのホットラインを使った。

 

『御機嫌よう大統領、済まないね突然、電話をかけてしまって』

 

「構わんよMr.マーセナス。して、今回は、私に何の用かね?」

 

『実はね、我が国で新たに採用になる機動兵器を貴国に売ろうと思ってね』

 

「ホゥ、貴国の最新兵器を我々に?それは有難いが一体何故?」

 

『共にBETAと戦う者同士、協力し合うのは当たり前と言うやつではないか?』

 

「そうか、まぁそう言う事なら有り難く受け取っておこう」

 

大統領はイギリス首相に対してそう言った。

 

『それともう一つ。実は、貴国に頼みたい事があるのだが良いか?』

 

「私に出来る事であれば」

 

『実は、激化するBETAとの戦いに効率よく対応する為に、国連や各国の軍から独立して、更に宗教、社会体制、国境、その全てを無視してBETAを倒す為に行動する独立軍を組織したいと思っていてな。どうか君達アメリカにも協力してもらいたい』

 

「成る程面白い考えだが、その事は我々に言う前にソ連に言った方が良いのでは?」

 

『ソ連は既に承諾して居る、だから貴国に頼んだのだよ』

 

「しかしな・・・」

 

アメリカ大統領がイギリス首相の提案に渋って居ると。

 

ディスクに置いてあるパソコンに多数のデータが送られて来た。

 

それをアメリカ大統領が見ると。

 

「こっこれは!!」

 

瞬時にアメリカ大統領の顔は青ざめた。そのデータにはアメリカ政府の汚職とスキャンダル、そして軍が行った、民間人に対する蛮行などの決定的証拠が記されていた。

 

『如何するかね?大統領』

 

こんな物を世に出されたらアメリカの権威は失墜する。

 

そう思った大統領は震えながらこう言った。

 

「議会や閣僚の意見も取り入れたい、返事は一週間後で良いか?」

 

『勿論だ、それでは良い返事を待っている』

 

そう言い、イギリス首相は電話を切った。

 

 

 

その後、閣僚会議や議会の決定で、いくつかの条件はつけるが独立軍の設立を認める方針になった。

 

今世界は着実に変わろうとしていた。



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迫る運命の日

イギリス首相とアメリカ大統領の電話会談から一週間後

 

フランス首都 パリ

 

芸術の都と称され、世界中でBETAとの戦闘が行われているこの時であっても、この都の美しさは変わらない。

 

そしてパリにあるミシュランの三ツ星レストラン、VIPルーム。

 

其処には現在フランス大統領、そしてアメリカ大使館の大使が共に談笑していた。

 

すると

 

「お待たせしました、少し遅れてしまったかな?」

 

「いいえ、時間ピッタリですよ、ファリド准将」

 

セブンスターズの正装姿のマクギリスが遅れてこの場にやって来た。

 

「如何でしたか?アメリカ政府の様子は?独立軍の設立を認めましたか?」

 

「えぇ、色々迷った様ですがMSをアメリカ軍に提供すると言う事が決め手となりいくつかの条件は付けるものの独立軍の設立は認める方針です。」

 

「そうか、今回の事は君達と君の部下のお陰だ礼を言わせてくれ」

 

「お気になさらず、人類の未来がかかっていますからな」

 

実は今回、グレイズの情報をアメリカに流したのはマクギリスの策略の一つである。マクギリスは晩餐会や秘密会談などでアメリカの民主党派と接触し自分に協力してもらえる様、説得した。

 

そしてこの前の、EUに於けるソ連、アメリカの諜報員の一斉検挙作戦の時には民主党派CIA職員は、あえて捕まえないようEU上層部に働きかけた。

 

そして今回、独立軍結成の布石の為、民主党派のCIAがフィンランド戦での情報を意図的に流す様働きかけ、アメリカの共和党政府がMSに興味を持つ様にし、そしてイギリス経由でモビルスーツを提供する代わりに独立軍の設立を認めさせると言う作戦であった。

 

因みにアメリカに渡すMSはジルダである。

無論アメリカはMSを手に入れ次第MSの技術を手に入れるためMSの研究を行うだろうが其処は問題がない。

 

MSはエイハブリアクターが無ければ役に立たない鉄屑同然であるし、肝心のエイハブリアクターも解析して複製出来るほど甘いものではない。

 

そういう訳で研究をしてもOSとライフルの技術を手に入れるのがせいぜいであるため、マクギリスはモビスルーツをアメリカに渡した。

 

「しかし独立軍の設立条件を見ましだが・・・この様な条件で本当に良いのですか?」

 

フランス大統領がアメリカが寄越して来た独立軍、設立の条件を見てそう言った。

 

1、独立軍で初期に使用する兵器や人員は最高指導者が自前で用意する。

 

2、人員については各国に所属する兵士や士官はその国の政府が許可しなければ引き抜いてはならない。

 

3、独立軍の運営資金については初期はEU、および独立軍の最高指導者の資産で賄う

 

 

などである。

 

正直こんな内容ではまともに軍隊など作る事が出来ないだろう。

 

しかし

 

「その点についてはご心配なく、資金はEUや私の個人資産だけではなくスペースコロニーやこの世界で我々に協力してくれる企業も資金を出してくれる、人員についてもとくに問題はないです」

 

「そうですか・・・」

 

アメリカ大使はワインを一口飲み、そして言った。

 

「ファリド准将、我々民主党は今回の独立軍の創設のため、ロビー活動や議会への根回しなど、貴方の期待に応えられる事は応えました。なので・・・」

 

「無論です、今度は我々が期待に応える番です。」

 

「お願いします。ご覧の通り、我々アメリカ政府は独立軍に協力的では有りませんが、四年、この四年で独立軍が国連や他国の軍隊を上回る華々しい戦果を出せれば世論は、独立軍に傾きます。そうすれば・・・」

 

「これから独立軍を支持する民主党は選挙に勝てると?」

 

「ハイ、我々民主党が政権を握ったあかつきには、アメリカは独立軍に全面的に協力します」

 

「そう言ってくれるとありがたいです。所で正式な結成日はいつか分かりますか?ペタン大統領」

 

「確か、12月末に対、BETA戦における取り決めを交わす会議がバンクーバーで行なわれる予定です、其処で正式に結成が許され、そして一週間後にニューヨークの国連本部で行なわれる国連総会で独立軍発足を発表という段取りです」

 

「そうですか・・・いよいよですね・・・」

 

「あぁ、我々はやれる事をやった、後はファリド准将、貴方次第です」

 

「フッ、ご期待には答えます。必ずやBETAを殲滅します、そして・・・」

 

「あぁ、頼むよ」

 

マクギリスの言葉にフランス大統領はそう言った。

 

こうして独立軍結成は正式にきまり、マクギリスがこの世界の表舞台に立つ日は着々と近づいていた。



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宇宙の初陣

今回は趣向を変えて、宇宙での戦闘を書きました。


 

マクギリスとフランス大統領、そしてアメリカ大使との極秘会談が行われる五日前。

 

 

グラズヘイム

地球外縁軌道統制統合艦隊本部であり、現在ギャラルホルンの臨時最高司令部となって居るこの基地から、石動・カミーチェ率いる艦隊が出航した。

 

その理由は、二日前、旧オセアニア連邦が保有して居たコロニー群の一つである"旅順コロニー群"で過激な共産主義者による反乱が起こったのだ。

 

当初は現地に駐留して居たギャラルホルンが戦って居たが、歓楽コロニーである旅順6を本拠地とする、凶悪な宇宙中国マフィアの艦隊が共産主義の軍勢に雇われ駐留して居たギャラルホルンでは対処しきれなくなり、ついに七つある旅順コロニーの内、旅順7〜5が陥落し共産主義者は、コロニー社会主義人民統一連邦の建国を宣言、ギャラルホルンに宣戦布告した。

 

その様な事件が起こった為マクギリスの命令により石動・カミーチェを司令官とする地球外縁軌道統制統合艦隊と旧革命軍から編成された討伐艦隊が組織された。

 

その戦力は

 

ハーフビーク級×10

 

レギンレイズ×50

 

グレイズ×50

 

の大戦力である。

 

そしてその討伐軍の中にはマクギリスに拾われた、期待の新人である、アリサ・ボードウィンの姿もあった。

 

 

ギャラルホルンside

 

 

討伐艦隊旗艦

 

「敵の戦力は強襲揚陸艦15隻、武装ランチ多数、モビルスーツは反乱軍のユーゴーと千竜保有のガルム・ロディ、マン・ロディを中心に合計65機です。戦力的には我が軍より少なく、モビルスーツの性能面でも我々の有利は動きませんが、敵の、特にマン・ロディを使用する宇宙中国マフィアの千竜のパイロットはヒューマンデブリ、つまり阿頼耶識使いです。」

 

「阿頼耶識使いとは・・・なんと厄介な・・・」

 

部下の報告に石動はそう呟いた。

 

すると

 

「石動一尉、勉強不足で申し訳ありません、阿頼耶識は分かるのですが、ヒューマンデブリとは一体?」

「そう言えば教えて居なかったな。誘拐や捕虜にした子供達をゴミ同然の値段で売りさばき、売られた子供達に阿頼耶識システムを施術し、無理矢理兵士にした子供の兵士の事だ」

 

「そんな・・・そんな非道な事が許されるんですか!?」

 

余りにも酷すぎる事にアリサは驚愕した。

 

「無論許されるはずが無い、だからこの世界に我が軍と多数のコロニーが飛ばされた時、准将は各コロニーの平定と同時に各コロニーに巣食う犯罪組織を一掃したのだが・・・まさかまだ生き残りが居たとはな・・・」

 

「しかも敵の千竜は、殺人、麻薬密売、人身売買、臓器の違法取引、武器の違法取引などの罪に問われて居る危険な犯罪組織です、噂によると今回のコロニーの独立騒ぎも千竜が裏では糸を引いて居るとか・・・」

 

実はマクギリスはこの世界に飛ばされたコロニーに対しコロニー住人の人権を地球出身者と同じにしたり、地球出身者以外はギャラルホルンに入れないという法を撤廃しコロニー出身者もギャラルホルンに入れる様にしたり、更に各コロニーの労働環境の改善なども行なったりと、コロニーの住民に手厚い支援を行って居る為、本来ならこの様な事が起こるはずもないのだ。

 

「千竜ならやりそうだな・・・まぁ良い、兎に角我々がやるべき事は速やかに反乱軍を殲滅する事だ、分かったか?」

 

「「「ハッ!」」」

 

「それからアリサ三尉、一つ警告しておくヒューマンデブリは確かに哀れだ、しかし彼等には自分が売られた組織以外帰る場所はない。その為死に物狂いでこちらに挑んでくる、お前も色々思う所はあると思うが、躊躇はするな、死にたく無ければ相手が誰であろうと撃墜しろ」

 

「了解しました・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反乱軍side

 

反乱軍本部

 

 

「ギャラルホルンの艦隊です数!10、10隻です!!」

 

悲鳴の様な声で反乱軍のオペレータはそう言った。

 

「10隻だと!!そんな大艦隊どうやって相手にすれば良いんだ!」

 

反乱軍の士官の一人が悲痛な声出そう騒いでいると。

 

「ガタガタうるせぇぞ!少しは落ち着いて居ろ!」

 

身体中にタトゥーを入れた男、千竜のボスである李・近平がそう叫んだ。

 

「これが落ち着いて居られるか!!一体どうすんだ!?今のギャラルホルンなら叩き潰す事は容易だと言ったのは貴様では無いか!責任を取りたまえ!責任を!」

 

「うるせぇな!安心しろ!策はある!」

 

「策!?策とはなんだね!?」

 

反乱軍の士官がそう聞くと李はこう言った。

 

「簡単だ、攻められる前に攻め落とす、それだけの事だ。」

 

それを聞いて反乱軍の士官は黙った。

 

「それだけか?」

 

もっと凄い奇策でも有るのかと思ったが、李の口から出たのは全くの期待外れな発言だった。

 

「まぁ、安心しろ俺が何とかしてやる、その代わり」

 

「分かっている、もしギャラルホルンを倒したら貴様をコロニー連邦の国軍総司令官にする」

 

「約束は守れよ」

 

そう言い李はその場を離れ軍港に止めている自分の船に向かった。

 

(くそ!別世界に飛ばされてギャラルホルンはその対応に手間取っているからコロニーの事は後回しにすると思って居たが・・・)

 

 

 

 

 

ギャラルホルンside

 

1時間後

 

「石動一尉、旅順7、旅順6、旅順5の各宇宙港よりモビルスーツならびに武装したランチ、強襲揚陸艦の出撃を確認しました」

 

「全部隊出撃、反乱分子を殲滅せよ!」

 

石動の命令により10隻のハーフビーク級からは大量のモビルスーツ部隊が出撃した。

 

そしてアリサが乗るシュヴァルベも出撃態勢に入った。

 

『アリサ三尉』

 

すると出撃する直前、ブリッジにいる石動から通信が来た。

 

『地上では実戦も経験し、宇宙での模擬戦は我々とやっただろうが、宇宙の実戦は模擬戦とは段違いだ、一瞬の気の緩みでも死につながる、機械だけでは無く相手の気配や殺気、敵が放った銃弾などにも注意して真剣に戦え』

 

「了解です一尉、アリサ・ボードウィン!マクギリス様の為!出撃する!」

 

そう言ったと同時にシュヴァルベは暗く果てしなく広い宇宙へと出て行った。

 

(子どもを殺すなんて・・・そんな事・・・)

 

そう思っていると反乱軍に所属する3機のユーゴーが早速アリサに銃を発砲しながら向かって来た。

 

(ヒューマンデブリの乗る機体はマンロディ・・・ならば!)

 

咄嗟にアリサはシュヴァルベを操作し、敵が放って来る弾丸を全て避けユーゴーの一機をワイヤークローで拘束し。

 

「それ以外は全て!」

 

拘束したユーゴーを振り回し、編隊を組んで居た残りの二機に衝突させた。

 

そしてユーゴーが体勢を崩した瞬間シュヴァルベにマウントされて居たブレードを引き抜き

 

「叩き潰してやる!!」

 

三機のユーゴーをまとめて串刺しにした。

 

それを見た他の反乱軍のモビルスーツは一気に三機のモビルスーツを始末したシュヴァルベに恐怖した。

 

『や!ヤダ!死にたく無い!!』

 

『敵うはず無い!!』

 

そう言って次々と反乱軍のMSは逃げようとした、その時

 

彼らの後方にいた所々に赤いラインの塗装が施された三機のユーゴーが逃げようとするユーゴーの一機を撃墜した。

 

「督戦隊・・・共産主義者の考える事は変わらないという事か・・・」

 

アリサはその光景を見てそう呟いた。

 

『逃げるな同志諸君!革命の為ここで命を貼れ!命を張れぬものは裏切りものとして断罪する!コレは正義の戦いなのだ!正義の為に戦えぬというなら・・・』

 

「ならば!お前が戦ってみろ!!この腰抜けめ!!」

 

そう言いアリサはそのユーゴーに蹴りを入れ、体勢を崩したところで持っているライフルで先程の蹴りでナノラミネートアーマーを破壊されたコックピットに攻撃し督戦隊のユーゴーの一機を破壊した。

 

「貴様ら督戦隊は何処もそうだ!口では正義の為に戦いや死を強要しながら自分は戦わない!そんな事が許されるはず無いだろ!!!!」

 

そう言い残った二機の督戦隊のユーゴーのコックピットを、シュヴァルベのブレードで全て破壊した。

 

「こんな事は辞めさせなくては!」

 

そう言いシュヴァルベのスラスターを全開にし、物凄いスピードで敵艦隊に突っ込んで行った。

 

「あれが、敵艦隊か!」

 

其処には4隻の強襲揚陸艦と30隻の武装ランチで構成された前衛艦隊が、ギャラルホルンに向かって行くモビルスーツ部隊の援護射撃をしていた。

 

「沈め!!」

 

そう言いアリサは一隻の強襲揚陸艦のブリッジに銃弾を撃ち込み、撃沈させた。

 

「何をやっている!!艦橋を戦闘モードに移行しろ!モビルスーツ隊を突撃させろ!あの青い機体を叩き落とせ!」

 

 

前衛艦隊の指揮官が三機のユーゴーをシュヴァルベに攻撃するよう命令し、更に艦砲射撃と武装ランチによる対空攻撃で兎に角アリサのシュヴァルベを落とそうとした。

 

しかしその全ての攻撃をシュヴァルベは回避した。

 

「もらった!!」

 

すると一機のユーゴーがシュヴァルベの後ろに回り、バトルアックスを振り下げようとした。

 

しかし完全に死角からの攻撃をシュヴァルベは避けた。

 

「バカな!完全に死角・・・」

 

反乱軍のパイロットが其処まで言った時、シュヴァルベにより逆に背後に回られ、コックピットはブレードに貫かれ、そのパイロットは絶命した。

 

「チクショウ!!うぁ!」

 

「ば!化け物ゔあああ!!」

 

残りの二機も次々と撃墜した。そして自分に向かって来たMS部隊を全て落としたシュヴァルベは残った前衛艦隊に向かって行った。

 

「対空戦闘!!!」

 

司令官の悲鳴なような声と共に強襲揚陸艦とランチからミサイルと弾丸が次々と発射されて行ったその全てがことごとく避けられて行き、武装ランチは次々と射撃により次々と落とされて行った。

 

「何なんだ、何なんだ!!!あれは!!!!!」

 

弾丸とミサイルの嵐を掻い潜り、モビルスーツを多数落とし、ランチもほぼ全滅させた。そんなアリサが乗るシュヴァルベに司令官は恐怖しこう呟いた。

 

「青色の・・・流星・・・」

 

司令官がそう呟いた時艦橋の上をサーベルが貫き前衛艦隊の旗艦は撃沈した。

 

 

 

 

 

討伐艦隊旗艦

 

『こちらアリサ・ボードウィン!前衛艦隊の旗艦を落としました。」

 

「良くやったアリサ三尉、コレより我が艦隊は敵の本拠地、旅順7に陣取る敵主力艦隊を殲滅する、全艦隊進め!」

 

石動の命令により討伐艦隊は前衛艦隊の残存艦隊を砲撃で撃沈させ、旅順7に向かって行った。

 

 

 

反乱軍side

 

 

その頃

 

旅順7〜5ではとんでも無い事が起こっていた。

 

コロニーに住む民衆の暴動である。

 

 

元々コロニーに住む民衆は今回の反乱は好意的に見てはおらず今までは駐留軍を上回る戦力を持つ反乱軍に仕方なく従っていただけである。その為、反乱軍の旗色が悪くなった今、ついに民衆が決起したのだ。

 

反乱軍本部、千竜のアジト、全てが民衆による義勇軍と生き残っていたギャラルホルンの部隊に占拠され反乱軍と千竜は孤立した。

 

「クソッ!革命軍め!不甲斐ない!このままでは俺の野望が!千竜帝国の野望が叶えられなくなる」

 

実は今回の反乱に李率いる千竜が加担したのはギャラルホルンの支配からの脱却や、革命の為ではなく、ただ単に自分の国が欲しかっただけである。

 

「どうするのですか!?ボス」

 

「逃げるぞ!命あっての物種だ!殿にヒューマンデブリどもを全部出せ!!」

 

李は千竜が保有しているヒューマンデブリを囮として使い自分達は逃げるよう決意した。

 

 

 

 

ギャラルホルンside

 

残った反乱軍の残存戦力を殲滅していると。

 

「エイハブウェーブの新たな反応、機種はマン・ロディ25機です」

 

「マン・ロディか、遂にヒューマンデブリを出して来たか・・・」

 

石動はオペレーターの報告を聞きそう呟いた。

 

「全機に連絡、ヒューマンデブリが前線に出てきた、注意して当たれ!」

 

「了解」

 

石動は、そう命令したが少し気になることがあった。

 

(なぜ敵はマン・ロディしか出していないんだ・・・情報によるとガルム・ロディも居たはずだが・・・)

 

ガルム・ロディが前線に出て居ない事に、石動は何か引っかかるような感じがした。

 

 

 

ヒューマンデブリが出てきた、その情報は前線で誰よりも奮闘しているアリサのシュヴァルベにも届いた。

 

「ヒューマンデブリが・・・」

 

すると目の前にマンロディが1機ライフルを発砲しながら迫って来た。

 

すぐさまその攻撃を避け、シュヴァルベのライフルを発砲し、マン・ロディに攻撃したが、まるで人間が乗り移ったような動きで、その攻撃は全て避けられて行った。

 

「コレが阿頼耶識使い・・・でも!!」

 

そう言いスラスターを全開にしマンロディに追いつき、まずアンカークローでマン・ロディの攻撃を封じ込め、次にブレードでマンロディの両腕をすべて切り落とした。

 

『投降しなさい!我々ギャラルホルンは貴方ヒューマンデブリは被害者として扱いますだから・・・』

 

其処まで言った時

 

「うああああああああああ!!!」

 

何とヒューマンデブリの乗る機体は全ての武装を破壊されたにも関わらずブースターを全開にし特攻を仕掛けて来た。

 

しかしシュヴァルベに当る直前、その機体は、地球外縁軌道統制統合艦隊に所属するレギンレイズのソードに貫かれ爆散した。

 

『シュヴァルベ!敵を倒す事を躊躇うな!死にたいのか!』

 

「でもしかし!」

 

アリサは、東ドイツ軍の戦術機部隊に所属していた為、戦いに慣れて居ないや、死ぬ覚悟が無いわけでは無い。しかし今までアリサが戦って来たのはBETAのみ、人を殺すなんて、まして子供を殺すなんて経験は今まで一度もない。

 

一応、反乱軍のモビルスーツは容赦なく打ち取ったが、それは相手が市民の平和を脅かすテロリストであり、アリサが嫌いな共産主義者の兵の為、躊躇いもなく撃破したが、ヒューマンデブリは無理やり戦わされているだけで罪はない。そのためヒューマンデブリに同情しアリサは直前で殺す事を躊躇ってしまった。

 

『石動司令も言っていた筈だ!躊躇うなと!例え相手が誰であろうと、奴らは我々の敵だ!敵を倒さねば我々が死ぬ!』

 

「でも子どもを殺すなんて・・・」

 

『戦うべき時に戦わねば何も守れないぞ!』

 

その時、アリサの脳裏には自分を助けてくれた恩人であり、自分が守りたいと思う人物であるマクギリスの顔が横切った。

 

「でも・・・しかし」

 

そう呟いた時自分を助けてくれたレギンレイズの頭上に銃弾の雨が降り注いだ。

 

『しまった!』

 

レギンレイズはバランスを崩し、其処に。

 

「貰った!!!」

 

レギンレイズのコックピットにマンロディのハンマーチョッパーが振り下ろされそうになった。

 

 

しかし

 

「されるかああああ!!!!」

 

アリサは叫びながらシュヴァルベのアンカークローでマン・ロディが持つハンマーチョッパーを弾き飛ばし、そしてすぐさまマン・ロディに蹴りを入れ。

 

「や、やだあ!助けて死にたく!!!」

 

体勢が崩れた所をブレードでコックピットを串刺しにした。

 

『助かった、礼を言うぞ」

 

「お気にならず、私はもう・・・迷わない!」

 

(そうだ・・・戦場で見て来たはずだ!戦場で戦いを放棄する者は死ぬだけだと、戦わなければ生き残れない!戦わなければなにも守れる事は出来ない!ならば!)

 

「ならば私は全ての敵を倒す!例えそれが BETAであろうと!ヒューマンデブリであろうと全て!!」

 

この瞬間アリサの心の中にあった甘さや敵に対する慈悲と言うものが完全に崩壊し、その瞬間アリサは真の意味で戦士となった。

 

それから、アリサはスラスターを全開にし物凄いスピードで次々と敵を薙ぎ倒して行った。

 

反乱軍の生き残りだろうが、ヒューマンデブリだろうが関係なく撃破して行った。

 

 

 

 

 

討伐艦隊旗艦

 

「アリサ機、モビルスーツ撃墜数25機を突破しました!」

 

オペレーターが興奮したような口調で石動にそう報告した。

 

「遂に覚醒したか・・・」

 

石動はそう呟いた。

 

アリサは確かに優秀、いや最早天才であった。しかし彼女にはまだ心の中に甘さが残っていた。

 

心の甘さは平時ならば優しさとして美徳となりうるが、戦場では甘さと言うのは、死に直結する。その為、心の中に甘さが残っている軍人はまだ兵士として半人前で有る。その意味で甘さを捨てた今まのアリサは遮る者なき戦士と化し、兵士として完成した。

 

「それにしても・・・千竜はなにを考えているんでしょうね、ヒューマンデブリばっかり戦場に出して・・・」

 

(確かに変だ・・・戦っているのはヒューマンデブリや反乱軍ばかり、ガルム・ロディを中核とした千竜の本隊は一体・・・まさか!)

 

「モビルスーツ隊の後方にいる敵の艦隊の数を識別できるか?」

 

「可能です!」

 

「すぐに調べろ」

 

石動はオペレーターにそう命令した。

 

すると

 

「確認とれました!コレは!敵艦隊の数は強襲揚陸艦が6隻です!」

 

「やはり、5隻足りない!まさか敵は逃げたのか!?」

 

石動がそう思った時。

 

『石動一尉!コロニーから離れて行く5隻の艦影を確認しました!』

 

「アリサ三尉!それは敵の本隊だ!何としても止めろ」

 

『!・・・了解!」

 

 

 

 

 

 

 

反乱軍side

 

「それにしてもボス?本当に逃げて良かったんですか?」

 

「心配するな、他のコロニーにも我々の仲間はいる、そいつらと協力し今度こそ俺の国を・・・」

 

李が其処まで行った時。

 

「ボス!緊急事態です!モビルスーツが一機こちらに向かって来ます!」

 

「何!?護衛につけてるガルム・ロディ隊はどうした!?」

 

「現在交戦中!?あ!!次々とやられ行きます!!」

 

「何だと!!」

 

李が外を覗くと其処には護衛に出撃させていた10機のガルム・ロディが一機のモビルスーツにより次々と落とされて行くのが見えた。

 

ガルム・ロディ隊は必死になって攻撃をするが、銃撃すれば全て避けられ、接近戦に持ち込めば全て返り討ちにされ、その結果15分も経たずにガルム・ロディ隊は全滅した。

 

「ガルム・ロディ隊・・・全滅です!」

 

「全滅!?10機の・・・ガルム・ロディが全滅・・・だと・・・そんなバカな!まだ15分も経って居ないんだぞ!」

 

「事実です!」

「クソ!こうなったら!残りのモビルスーツも全部出せ!それと全艦艦砲射撃!あの忌々しい青いMSを撃墜しろ!!!!」

 

李の命令により5隻の強襲揚陸艦はアリサのシュヴァルベに攻撃をしたが、無論全て避けられ、シュヴァルベは強襲揚陸艦の砲塔を次々と破壊して行った。

 

 

「アレが!千竜のボスが乗る旗艦!諸悪の根源め!!!」

 

千竜の旗艦を見つけたアリサは李が乗る船のブースターに銃弾を撃ち込み行動不能にした。

 

「ボス!ブースターが全て大破!航行不能!」

 

「脱出準備!!!」

 

そう言った時、旗艦の両翼に居た2隻の船が轟沈した。

 

 

 

「ボス!!アレを!!!」

 

目の前には10隻のハーフビーク級がこちらに砲塔を向け、更にレギンレイズ 、グレイズなど多数のMSも周りを囲って居た。

 

 

「・・・終わった・・・」

 

敗北を悟った李はすぐさま降伏、李・近平は逮捕された。

 

そしてギャラルホルンの艦隊は旅順7の民衆に歓呼の嵐で迎えられ、反乱の首謀者を現地部隊と義勇軍から引き渡してもらい、グラズヘイムへと戻った。

 

 

 

 

 

グラズヘイム

 

「流石だな石動・・・」

 

マクギリスは今回の戦闘報告を見てそう呟いた。

 

実は今回戦艦10隻の大艦隊の指揮を石動に任せたのは、彼を近いうちにコロニー駐留艦隊と革命軍を吸収してハーフビーク級35隻もの大艦隊に成長した地球外縁軌道統制統合艦隊の総司令官にしようと考えて居た為である。

 

マクギリスは近いうちに独立軍、組織名は勿論ギャラルホルンとなる組織の最高指導者となる予定である。

 

その為とてもではないが艦隊司令官を兼任しては身が持たないため独立軍が創設されたら石動を准将に昇格させ自分の後継者とし艦隊を任せようと考え、今回の戦いで石動の実力を見極める為、彼を討伐軍の司令官に任命したのだ。

 

結果はマクギリスの期待通り、コレならば彼を問題なく司令官にする事が出来る。

 

「期待通りの活躍をしたのは、石動だけじゃないがな・・・」

 

そう言って見たのはアリサ・ボードウィンの戦果であった。

 

アリサの今回の活躍は

 

モビルスーツ×30機

 

強襲揚陸艦×2隻

 

武装ランチ多数

 

という初陣にしては華々し過ぎる戦果である。

 

「期待通り、イヤ、期待以上だな・・・」

 

マクギリスはそう呟いた。

 

 

 

 

そして討伐艦隊がグラズヘイムに帰ってきた。

 

討伐艦隊は此処でも歓呼の嵐で迎えられた。

 

「よくやってくれた石動、見事私の期待に応えてくれた。」

 

「ありがとうございます准将」

 

「君もだアリサ初陣でありながら多数の敵を倒すと言う華々しい戦果だ」

 

「有難うございます」

 

「聞くところによると、今回ヒューマンデブリと戦ったらしいな。すまないな、君に子供を殺させるという事をやらせてしまって」

 

マクギリスはアリサにそう言った。

 

 

「気にしないでください、ギャラルホルンの軍人として為すべき事をやったまでです」

 

「そうか、強くなったな」

 

「いいえ、まだまだ自分は未熟です」

 

「いいや、十分強いさ君は。だから今回この様な戦果を出してくれたさ君は、其処で君の苦労に報いる為、本日をもって君を二尉に昇格させよう」

 

「私が?ですか?」

 

「当然だ君は武勲を上げたんだからな、コレくらいは当たり前の事だ。」

 

「ありがとうございます」

 

二尉への昇格を告げたマクギリスにアリサは感謝の意を示した。

 

「君も疲れたろ、自室に戻ってゆっくりするといい」

 

「ハイ、では」

 

アリサは敬礼し、司令官執務室を出た。

 

「ついに覚醒したようだね」

 

「えぇ、戦場での甘さを捨てた彼女はコレからもっと強くなって行くでしょう。」

 

「地球外縁軌道統制統合艦隊の新たなるエースか・・・」

 

マクギリスはそう呟きフッと笑った。

 

 

 

 

 



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運命の日

 

1979年、12月末

 

この日、カナダのバンクーバーでは、対BETA戦に於ける取り決めを決める会議が行われ、例外を除き、対BETA戦争を国連主導にて行い、加盟各国の対BETA交戦権は自衛権及び集団的自衛権に限定され、鹵獲品も国連管理下とする事協定である、"バンクーバー協定"が制定された。

 

そしてその中にある例外と言うのは無論、マクギリスが指導者となる独立軍こと、ギャラルホルンの事である。

 

その独立軍の役目や権限は以下の通りである。

 

 

1.独立軍の役目は人類の生命を侵害する敵である者を排除する。

 

2.独立軍は何処の国にも属さず、更に何処の国にも干渉されない。

 

3.人類を守る為に、国境、宗教、社会体制、如何なる物も無視し戦う事が出来る。

 

4.例えどの様な経緯が有ろうと独立軍の兵士を不当に連れ去る行為は固く禁じ、もしそれを実行した国は独立軍の敵と認識し、攻撃を開始する。

 

5.独立軍は何処の国にも属さず、更に何処の国にも干渉されない中立的な軍事組織である。その為人類の敵を倒す事以外は、特別な理由がない限り、独立軍も各国に対し過度な内政干渉は禁止するものとする。

 

 

これらの権限が独立軍には与えられる事となった。

 

特権部隊とも呼べなくない、内容だが、アメリカとソ連はMSをもらえる事と、独立軍はそれ程の数を揃えられないだろうと見越しこれ程の権限を独立軍に与える事を合意した。

 

 

そしてその一週間後、あと数日で一年も終わりを迎えるこの日、独立軍の結成宣言をニューヨークにある国連本部で行われる事となった。

 

国連本部には各国の大使と、マスコミも押し寄せ独立軍結成宣言の時を待ちわびていた。

 

 

 

国連本部応接室

 

現在、其処にはイギリス首相、ウィンストン・マーセナス、アメリカ駐在のフランス大使、そして、マクギリスに協力する、アメリカ民主党の有力者である、ニューヨーク市長、ハリー・S・アレジ市長、そしてこれから結成宣言が行われる"国連独立行動軍ギャラルホルン"の最高指導者となる、マクギリス・ファリドと、そのお供に、本日付で地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官になる、石動・カミーチェ准将の5人がこの部屋に集まり話し合いをして居た。

 

「と言う事は、ファリド准将、いや、今はファリド総統とお呼びすべきですかな?」

 

「そうですね、私はもうすぐ准将で無くなります。呼び方はそちら方でお願いします」

マクギリスはアレジ市長の言葉に対しそう言った。

 

因みに総統とはこれから結成されるギャラルホルンの最高指導者の名称であり、統制幕僚長、監査局局長、最高幕僚会議議長の三つの職を、総て統べる者という意味で、マクギリスにより新たに作られた地位である。

 

「では、改めてファリド総統、今回の結成宣言の時に貴方が異世界から来た者だと言う事を世界に発表するのですか?」

 

「ハイ、流石に宇宙にいる地球外縁軌道統制統合艦隊とコロニーの事は隠せる物では有りませんから」

 

「確かに・・・下手に隠しても色々誤解を招くだけですからね、そうなるくらいらなら、いっそ全て話してしまった方が良いかと」

 

「そうですな、それにしてもファリド総統の事を総て話した時のアメリカとソ連代表の驚く顔が目に浮かびますな」

 

「そうですね・・・しかし、少し不安な事があります、我々の事を総て話したらアメリカやソ連は独立軍の事を無かった事にして、我々を完全な国連の管理下に置くと言い出しそうな気がしまして・・・」

 

「ご心配なくファリド総統、例えギャラルホルンを国連管理下にする決議を安保理で行おうとも我々フランスとイギリスは常任理事国、拒否権を使用してでもその事は阻止してみせます」

 

「ありがとうございます」

 

イギリス首相とフランス大使の頼もしい言葉にマクギリスは礼を言った。

 

すると

 

「首相、大使、時間です」

 

「あぁ、分かった。それではファリド総統、また後で。」

 

そう言いフランス大使とイギリス首相は結成宣言が行われる、国連総会、会場に向かった。

 

ギャラルホルンの最高指導者となるマクギリスは後から来る為、もう暫くこの応接室で待機という事となる。

 

「では、ファリド総統、私は次の予定がありますので」

 

「今回はお忙しい中ありがとうございますアレジ市長」

 

「健闘を祈ります、ファリド総統」

 

そう言いアレジは部屋を出て本部を後にした。

 

 

「准将、いや総統・・・」

 

「あぁ、いよいよだ・・・」

 

(ギャラルホルンは結成した。後はBETAを殲滅するだけ・・・この世界で、今度こそ俺はアグニカになってみせる・・・)

 

 

 

 

そして10分後

 

「時間ですファリド総統」

 

「よし、じゃあ行こうか、石動」

 

「ハッ!」

 

そう言い、マクギリスと石動の二人は国連総会の会場に向かった。

 

今この時マクギリスはこの世界の表舞台へと立つ事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国連総会 会場

 

10分続いてた国連総会議長の挨拶も終わり、いよいよ独立軍の結成宣言が行われようとした。

 

「では、これよりイギリス、フランス政府の提案により結成される事となった、国連独立行動軍、資料によりますと通称ギャラルホルンと呼ばれる組織の結成宣言を行います。それではイギリス首相、ウィンストン・マーセナス首相、前へ」

 

「はい」

 

議長がイギリス首相を呼ぶと、首相は壇上に上がる。

 

「各国代表の皆様、今回は我々EUが提唱した独立軍構想に賛同して居ただきありがとうございますEU代表の一人として礼を言わせていただきます」

 

「イギリス首相、独立軍の戦力はどれほどの物となりますか?」

 

するとインド代表が手を挙げそう聞いた。

 

「戦力や軍の形態については、ギャラルホルンの最高指導者に直接聞いた方がよろしいと思います。それではご紹介いたします!ギャラルホルン初代指導者マクギリス・ファリド総統です!」

 

その言葉と同時にマクギリスは各国代表からの拍手に迎えられ、国連総会、会場に入った。

 

しかしマクギリスを直接見た各国代表の反応は驚きと困惑に変わった。

 

それは国連総会の様子をテレビで見ている世界中の人々も同じであった。

 

何故ならイギリス首相により紹介された国連独立行動軍ギャラルホルンの初代指導者であるマクギリスの容姿が金髪碧眼の長身で、どう見ても20代前半の、正に理想の男性像の生きた見本のような、若く美しい青年であるからである。

 

「ご紹介に預かりましたギャラルホルン初代最高指導者、マクギリス・ファリドです、どうぞお見知り置きを」

 

マクギリスがそう言うとイギリス、フランスを除いた、各国代表に衝撃が走り会場はざわめいた。

 

「それで、インド代表、たしか我が軍の事を詳しく知りたいんでしたね」

 

「あ、あぁそうですファリド総統、ギャラルホルンの戦力と組織構造を教えていただきたい」

 

「了解しました。国境や宗教などを超え人類の敵を倒す為に創設された、我々ギャラルホルンは、私を含め7人の最高幹部で構成される、最高幕僚会議を頂点に、監査局、地球軍、そして宇宙軍の三つがギャラルホルン内の主な組織です。」

 

「成る程、ではその三つの組織について教えてください。」

 

「まず監査局、これは軍の腐敗を防ぐ為に創設する組織で、軍内部の不正や汚職を取り締まる組織です。戦力こそ少ないですが、軍内部をを監査するため強力な権限を与える予定です。

 

次に地球軍、地球軍は陸海空軍を統合し、主に地球上での任務に従事する組織で、その任務は、BETAの殲滅と、過激なテロ組織の殲滅の為に動きます。その為、それなりの戦力を有し、今の所モビルスーツと言う機動兵器を120機有しますが、これから拡大する戦線に対応する為、数と規模はこれからも大きくなって行く予定です。そしてその司令官にはEU軍に所属する士官であるカティ・マネキン大佐を准将待遇で司令官に迎える予定です。」

 

「質問よろしいですか?先程マクギリス司令官が口に出したモビルスーツとは何ですか?」

 

今度は日本帝国代表が手を上げそう聞いた。

 

「モビルスーツとは戦術機とは違う理念で作られた機動兵器です。特徴としては、高性能なOSに、突撃級の装甲を砕く程の破壊力を持ったライフル、更にナノラミネートアーマーという光線級の攻撃を無力化する装甲を持っています」

 

そう言いマクギリスは先のフィンランド戦線での映像をモニターに写した。

 

それを見た各国の代表はざわめいた。

 

「更に、ソ連とアメリカ代表は既にご存知かと思われますが、映像に映っているモビルスーツとは違いますが、ギャラルホルンと現在モビルスーツを生産する唯一の勢力である我らEUはBETAと戦う前線国にモビルスーツを販売する準備があり、またモビルスーツに使われる、高性能なOSも同様に販売する予定です」

 

イギリス首相のその言葉に各国の代表はまた騒めき、その顔には喜びの顔があった。

 

光線級の攻撃を無力化する兵器を有せば、もうBETAなど恐れる事は無いと皆思っているだろう。

 

「話に戻りますが最後に宇宙軍ですが・・・」

 

「失礼、ソ連代表ですが何故宇宙軍を創設なさるのですか?ミサイルなどBETAには殆ど無力のはず・・・」

 

ソ連は宇宙軍の事をロケットやミサイルを保有する軍隊と勘違いしそう聞いた。

 

「残念ですがソ連代表、我々ギャラルホルン宇宙軍が主力にするのはミサイルでは有りません」

 

「では何ですかな?」

 

「我々、ギャラルホルン宇宙軍の主力はモビルスーツ・・・そして宇宙艦隊です!」

 

そう言ってパソコンを操作すると其処には宇宙を飛ぶレギンレイズ と35隻のハーフビーク級が映し出された。

 

その瞬間会場は一気に響めいた。

 

「宇宙軍、正式名称は地球外縁軌道統制統合艦隊と言いますが、戦力はモビルスーツ350機、ハーフビーク級と呼ばれる宇宙戦艦35隻を保有し、その役目は主に宇宙から地上にモビルスーツを降下させる強襲攻撃、そしてスペースコロニーの治安維持が主な役割で、司令官は私の隣にいる、石動・カミーチェ准将が務めます。因みにこのスペースコロニーですが、無人のコロニーが少なくない数ある為、BETAとの戦いで発生した難民の皆様に無償で提供する準備が・・・」

 

「ま!待ってくれ!ファリド総統!!う、宇宙艦隊だと!!?ファリド総統冗談はよして・・・」

 

「冗談では有りませんよソ連代表」

 

混乱するソ連代表にイギリス首相はそう言った。

 

「今写っている映像は本物だ、信じられないのは分かるがイギリス首相である私は宇宙戦艦、そしてスペースコロニーを直接この目で見た、ファリド総統が言っている事は本当だ。」

「しかし信じられん!これ程の物を密かに作るなんて不可能だ!!ファリド総統!説明を願いたい」

 

ソ連代表はそう言った。

 

「分かりました、今から言う事は信じられる物では有りませんがどうか信じてもらいたい。私は、いや、正確には宇宙にいる宇宙軍と多数のスペースコロニーも含めて、この世界の物では無い。我々はこの時代より遥か未来のP.D.と呼ばれる年号の、世界から来た、いわゆる別世界の存在である。」

 

「何だと!!?」

 

その瞬間会場は今まで以上に響めいた。

 

「マクギリス氏、貴方に聞きたい。もし貴方の言う事が事実なら君達は何故我々に味方するのですか?この世界のことは君達にとっては関係・・・」

 

「そんな事はどうでも良い!!!」

 

日本帝国代表が其処まで言った時アメリカ代表がそう叫んだ。

 

「重要なのは独立軍がこの様な強大な戦力を保有していると言う事だ!!この様な戦力!一つの軍事組織が保有すべきものでは無い!!各国家の安全の為にも独立軍の話は無かった事にし!国連で管理すべきだ!!」

 

「そうだ!!」

 

「その通りだ!!」

 

アメリカ、中国、ソ連及び共産圏の代表がそう叫んだ。

 

「反対だ!例え君達がそれをしようとしても我々EUは独立軍構想を今になって廃止する事に全面的に反対する!」

 

「何を言っているんだ!そもそも国家や民族、社会体制を無視する軍など元々反対だったんだ!!しかし!少数の兵力だろうと考え!特別に独立軍構想を認めた!しかし独立軍がこの様な戦力を保有するなら!話は別だ!国家や社会を守る為にも!国連の管理下に!!!」

 

アメリカ代表が其処まで言った時

 

「君達に聞きたい・・・君達この世界の人類は・・・国家や宗教、社会体制、人種と・・・いつまでその様なくだらない事で揉めるつもりか!!!!!!」

 

マクギリスはそう怒鳴り騒ぐ会場を黙らせた。

 

「こ、国家や社会体制が下らないだと?い、いまのは失言だ撤回・・・」

 

「黙れ!!!!貴様らは何故わからない!国家や社会体制、その様なくだらない事にこだわった結果が、今の様な状況を作り出したと言う事を!!!!!」

 

ソ連代表の言葉を黙らし、マクギリスはパソコンを操作し、ある映像を見せた。

 

それは迫り来るBETAに次々と戦術機がやられて行く映像、そして多数の衛士や兵士が戦車級に喰われて行く映像。

 

余りにもグロテスクな映像に会場に居た者達は青ざめた。

 

「見えるか諸君!これが最前線の状況だ!!今この時も、勇敢な兵士達が迫り来るBETAに食われ死んで行っている!何故この様な状況になったのか!?それは国家や社会体制、その様なくだらない事に阻まれ人類が一致団結しBETAに抵抗して来なかったそのツケである!6年前、中国にBETAが初めて攻めてきた時、人類が一丸となって抵抗していれば、今頃この様な事になって居なかった。しかし!人類が手を取り合い抵抗しなかった為!最早状況は悪化して行き、広大なユーラシアは陥落寸前である!この様な状況になっているにもかかわらず何故貴様らは理解しない!!何故貴様らは、この様な状況になっても己の国家の利権、国境や社会体制など、その様なくだらない事にこだわり!手を取り合おうとしない!!今手を取り合わ無ければ!!人類はこの世から滅亡する事に何故気づかない!!!・・・話はそれるがこれから私の世界のことを話そう」

 

マクギリスは息を吐きそう呟やいた。

 

今この状況でマクギリスの言葉を阻むものは居らず、マスコミ、各国大使、そしてテレビの前に居る民衆も皆黙り、マクギリスの言葉を聞いて居た。

 

「私の世界もかつて"厄災戦"と呼ばれる君達の世界と同様滅亡の危機に瀕した戦いがあった。もう300年前の事になるが・・・その時代の人類はBETAよりも遥かに恐ろしく、そして遥かに強いモビルアーマーと言う強大な敵により世界人口の4分の1を失う事となった。因み当時の人口は200億人とこの世界より遥かに多い、その4分の1、つまり50億人もの人間がM Aにより殺された!」

 

各国の代表は驚愕した。この世界の人口と同等の数、いやそれより遥かに多い数の人間がマクギリスの世界では死んだと言う事になるのだから。

 

「この原因は、MAの戦闘能力が高かったと言う事も有るが、最大の理由は全人類が、迫り来るMAの脅威に一致団結せず、己の利権の為、MAの技術を独り占めしようなどと考え各国が自国の事しか考えず行動した為、被害は拡大し!この様な結果になってしまった。しかし私の世界では人類は生き延びた!何故か?それは滅びに瀕した時一人の男が71人の同志達と共に、国境や社会、人種に囚われない軍事組織である、ギャラルホルンを結成し、MAに対抗したからだ。その男の名は、アグニカ・カイエル!彼とその仲間達はガンダムという高性能な機動兵器を操り次々とMAを倒して行き、そして最終的に全ての人類は彼らギャラルホルンの旗の元に結集し、MAと戦い・・・最後には英雄で有るアグニカを失ったが、人類は勝利した。しかし、長く人類が団結しなかった結果、世界は荒れ、文明は衰退し、人類社会の再建には100年の単位を費やす事となってしまった。」

 

それを聞いた各国の代表は息を飲んだ。

 

マクギリスの世界では文明を再建するのに100年もの歳月をかける程の被害を被った事に皆驚愕した。

 

「先程日本帝国政府の人間が何故?我々がこの世界の人類を救おうとするのかと聞いた、その答えを教える。それは我々がギャラルホルンだからだ!我々はかつて我々の世界で人類を救い、守った組織だからで有る!確かに世界が手を取り合うのは簡単の事ではないのは分かる・・・しかし!だからこそ我々ギャラルホルンがその火種とならなくてはならないのだ!利権や国家、宗教や人種、その全てを超え、人類を救う。我々の存在がやがて世界を一つにするきっかけとするために!我々は戦わなければならない!我々は存在しなければならない!!人類を一つにする為!!人類を救うために!!!我々ギャラルホルンは立たなければならない!!その為に我々は作られたのだ!!!」

 

その瞬間会場からは拍手から鳴り響き、更にテレビを見る世界の人々も皆例外なくマクギリスの演説に拍手を送った。

 

「最後に、我々は宣言したい!必ず人類を守ると!世界が違えど!肌の色が違えど!民族が違えど!君達は人類で有る!そして人類を守るために命を張るのが我々ギャラルホルンの存在意義だからだ!」

 

 

後にこの演説は"角笛宣言"の名称で後世まで語り継がれる事となった。

 




マクギリス、ノリノリです。

因みに厄災戦の話はオリジナル設定です。


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世界の反応

お知らせします、これからこの小説のメインとなる地球軍なのですが正直ギャルホルンには戦艦や陸戦艇などが殆ど見当たらないので、これもほかのガンダム作品から見繕う事とします。

因みにギャルホルン地球軍の兵器として出てくる物は以下のとうりになります。

海上兵器

ベーリング級海上空母 元ネタガンダム00

スペングラー級MS搭載型強襲揚陸艦 元ネタ、ガンダムSEED

イージス艦

ミサイル駆逐艦


陸戦兵器

レセップス級陸戦艇

などです。

因みにこれらの他のガンダム作品から引っ張り出してきた兵器は全てエイハブリアクターを動力とし、大砲などは全て実体弾という事以外は元ネタと同じです。

別作品からキャラだけではなく兵器も出てきて少しカオスな感じもしますが、これからも応援よろしくお願いします。







EU side

 

EU軍士官宿舎

 

『最後に、我々は宣言したい!必ず人類を守ると!世界が違えど!肌の色が違えど!民族が違えど!君達は人類で有る!そして人類を守るために命を張るのが我々ギャラルホルンの存在意義だからだ!』

 

「ついにこの時が来たか・・・」

 

家のテレビでマクギリスの演説を見て居た、元々EU軍大佐であり、近いうちにギャラルホルン内に置いての最高位の階級である准将位を与えられ、地球軍司令官として、ギャラルホルン最高幹部の一人となるカティ・マネキン次期准将は、テレビを見てそう呟いた。

 

「地球軍の初期戦力は、モビルスーツ120機、戦艦や空母など、海洋戦力は一、二年の内に準備する。更に陸戦艇?そんな物も配備されるのか・・・パイロットはEUモビルスーツ隊の半数を編入し戦術機部隊からも志願兵を募り戦力とするか・・・さてあの男はどうするか・・・」

 

マネキンがそう呟いた時玄関のチャイムがなった。

 

マネキンが外に出てみると。

 

「大佐!私です!パトリック・コーラサワーです」

 

外には薔薇の花束を持った、EU軍のエース(自称)のパトリック・コーラサワー中尉が居た。

 

「何の用だ、中尉?」

 

「大佐を、お食事に誘いたいと思い」

 

こんな、世界が新たな変革を迎えようとしているこの日に、呑気に自分を食事に誘うパトリックに対しマネキンは呆れ、こう聞いた。

 

「ハァ、中尉、今世界は変革期を迎えようとしている。その事について考える事は無いのか?」

「ハイ!無いです!」

 

マネキンの質問にパトリックは何の恥じらいもなく即答した。

 

「全く、放って置けん男だ・・・」

 

「何です?」

 

「待ってろ、用意をしてくる」

 

そう言いマネキンは出掛ける準備をする為、一旦家の中に戻った。

 

「やった!」

 

 

 

 

 

 

その頃

 

キール基地

 

『最後に、我々は宣言したい!必ず人類を守ると!世界が違えど!肌の色が違えど!民族が違えど!君達は人類で有る!そして人類を守るために命を張るのが我々ギャラルホルンの存在意義だからだ!』

 

 

「ついにマクギリス准将が立ったか・・・」

 

食堂のテレビでマクギリスの演説を見て居たジニン少佐はそう呟いた。

 

すると部下達ががジニン少佐の周りに集まり

 

「ジニン少佐、少佐もギャラルホルンに?」

 

そう聞いた。

 

「当然だ、既にワイアット中将には話を付けている、グダニスクの戦いでファリド総統が我々を助けてくれなければ、俺たちは死んで居た。だから俺はその恩に報いる!」

 

「少佐!我々ジニン大隊も!ギャラルホルンへの転属願いを出し先程受理されました!」

 

「お前たち・・・良いのかギャラルホルンでの戦いは厳しい物となるぞ」

 

「覚悟はしております!我々もファリド総統に命を救われた身です!それに我々の上官はジニン少佐だけです!何処の戦場であろうともお供します。」

 

「そうか・・・貴官らに感謝の意を示す!此れからも宜しく頼むぞ!」

 

「「「ハッ!」」」

 

部下たちは皆一斉にジニン少佐に敬礼をした。

 

 

 

 

 

ソ連side

 

 

ソ連臨時首都ハバロフスク

 

「クソ!まさか独立軍がこれ程の戦力を持って居たとは!」

 

「落ち着きたまえ、諸君」

 

「しかし、同志書記長!独立軍は宇宙に多数の戦力を持って居ます!つまり、奴らが本気になれば、我々の頭上に直接攻撃してくる可能性が・・・」

 

「心配は要らない、ギャラルホルンの役目はあくまでも人類の敵、即ち、BETAの殲滅であり、バンクーバー条約にも、国家に対する過度な内政不干渉は禁じると明記されている、心配は無い。それよりも、確かあの結成宣言で、スペースコロニーに難民を受け入れると言って居たな。」

 

「ハイ、間違いありません」

 

共産党幹部の一人がそう言った。

 

「スペースコロニー・・・話によりますと宇宙に浮かぶ人口都市でBETAが存在しない場所だと」

 

「まるで、天国だな・・・KGB長官」

 

「ハイ!」

 

「君の所の職員を何人か難民に紛れ込ませ、コロニーで革命を起こさせるのだ。そして近いうちに全てのコロニーを社会主義国とし、コロニーに我がソビエトの政府を移転させる」

 

「了解しました。」

 

ソ連書記長はKGB長官にそう命令しKGB長官は早速行動に出た。

 

「所でモビルスーツの解析はどうなっている?」

 

「それが・・・ライフルやOSの解析は完了しましたが、肝心の動力機関を何百人もの科学者が、解析を試みて居ますが未だに・・・」

 

「そうか・・・」

 

書記長はそう呟いた。

 

ソ連に提供されたモビルスーツ、ランドマン・ロディは丸くずんぐりとした見かけに反して、高性能なモビルスーツである。その技術を解析すればソ連の技術が大幅に進歩するが、特に、動力機関の解析が全く進んで居ないのだ。

 

「確か今、我が軍には60機のモビルスーツが有るのだったな?」

 

「はい」

 

「そうか、悔しいがEUからあのランドマン・ロディをもう30機購入しよう。購入したら我が軍の衛士に優先的に配れ、それと引き続き解析は続けろ」

 

「了解しました。」

 

 

 

 

 

 

 

アメリカside

 

ホワイトハウス

「クソ!EUと!あの金髪の青二才め!調子に乗りおって!」

 

「まさか、独立軍の戦力があれ程とはしかも宇宙艦隊も保有しているとは・・・」

 

閣僚達は皆悔しがらながらそう言った。

 

「このままでは本当に我々アメリカの権威が失墜する・・・なんとかしなければ・・・所であの、EUから提供された80機のモビスルーツ、ジルダとか言うモビスルーツの解析状況はどうか?」

 

「それが・・・OSや武装については問題なく終わりましたが、肝心の動力機関については全く分かりません」

 

「クソ!このまま、あのモビルスーツを我が軍の主力とするなら我が軍の兵器開発や生産はEUに依存する事となる・・・そうなれば・・・」

 

「大統領・・・」

 

「こうなったら仕方あるまい!西ドイツの政府にフランスとイギリスと距離を取るよう、圧力をかけろ!せめて西ドイツだけはモビスルーツではなく戦術機を主力にしてもらわなければ、我が国の産業が崩壊する!それと!解析したOSと武装を開発中のF-14にフィードバックし少しでも性能を上げるのだ!」

 

「了解しました!」

 

「クソ!EUにギャラルホルン!それにマクギリス・ファリド!金髪の青二才め!忌々しい!」

 

大統領は机を殴りそう言った。

 

 

 

 

 

 

その頃

 

ニューヨークの高級ホテル

 

その最上階のパーティールームでは今日の主役であるマクギリスと石動・カミーチェ、イギリスのマーセナス首相と、フランス大使、ニューヨーク市長のアレジ市長、そしてマクギリス率いる、ギャラルホルンを支援する企業と政治家達が一堂に集まって居た。

 

「いや〜マクギリス総統、今回の結成式での貴方の演説感動しました」

 

「ありがとうございます。アレジ市長」

 

「これでいよいよギャラルホルンが動き出すと言う事ですね」

 

フランス系軍事企業の若い社長がマクギリスにそう言った。

 

「えぇ、しかし我がギャラルホルン、特に地球軍の戦力はこれからも増大して行き、最終的に地球軍は多数の戦艦と陸戦艇を保有しモビスルーツの保有数も500機を超えるギャラルホルン最大の軍となる予定です。ですので今後も兵器の生産などの支援をよろしくお願いします」

 

「お任せ下さい、それにしても、これから忙しくなりそうですね」

 

「全くです」

 

マクギリスは少し笑いそう言った。

 

「そう言えばアレジ市長、アメリカ政府の動きはどうですか?」

 

「情報によりますと、矢張りギャラルホルンとEUの足を引っ張って行く方針のようで、何をしてくるのやら、全くファリド総統が仰るように全人類が団結せねばならぬこの時に・・・」

 

「全くです、しかしそれも1983年の11月までの我慢ですね」

 

「そうです、この前も言いましたが、その間に貴方方ギャラルホルンが国連軍を上回る活躍をすれば世論は貴方方を支持するでしょう。そうすれば貴方方ギャラルホルンを支持すると決めた我々民主党が政権を取る事も夢ではありません。そうなればアメリカ政府はギャラルホルンに全面的に協力します」

 

「期待して居ます、その為にも直ぐにでも我々の力を示さなければならないがBETAはいつ攻めて来るのでしょうか・・・」

 

「さあ、BETAの事は流石に誰も分からないでしょう」

 

「フッ、そうですね」

 

 

 

マクギリスはふと笑いそう言った。

 

 

しかしギャラルホルンの初陣はマクギリスの予想を上回る早い時期で行われる事となった。

 

 

 

それは年が明けた1980年1月14日にギャラルホルンは結成されて初めての戦闘を行う事となる。

 

 

 

 

 

 




因みにこの世界のギャラルホルンの制服の色はこの様なかんじになって居ます。

最高幕僚会議の構成士官の制服

白をメインに青色のラインが入った制服


地球軍の制服

水色をメインに白いラインが入った制服。


監査局

地球軍と同じだが左腕にギャラルホルンのマークが描かれている青い腕章を付けている。


地球外縁軌道統制統合艦隊(宇宙軍)

変わらず青色に白のラインが入った制服。


取り敢えずこんな感じです。


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角笛の初陣

1980年1月4日

 

グラズヘイム

 

ギャラルホルンの臨時総司令部となったこの基地の司令官執務室でマクギリスは地球軍司令のマネキン准将とLCS通信で連絡を取っていた。

 

「成る程・・・では、予定通りモビスルーツパイロット90人の訓練は完了したと」

 

『ハイ、EUモビスルーツ隊から移籍した30人を教官につけ一週間前から訓練を受けさせました。』

 

「ご苦労、所で地球軍で使用するMS事だが、四日前、各工業コロニーで生産していた、レギンレイズ180機が納入された。そこでその内の90機を地球軍に渡す事とする。」

 

『貴重な最新鋭機を90機もですか?』

 

「まぁ、BETAは宇宙空間には居ないからな、今は宇宙より地上軍の戦力増強が最優先だ。石動やライザとも話し合って最新兵器は地球軍に優先的に回す事とした。」

 

『ありがとうございます、総統』

 

「構わんさ、人類の未来の為だ」

 

そう言いマクギリスはLCS通信を切った。

 

(地球上でのモビルスーツ生産体制の状況は、取り敢えずフレームの生産はいつでも出来るようになった、後はリアクター製造工場だけだな。人類の勝たせる為にも地球軍の増強は必須だ、その為にも再来年までにはモビルスーツ400機に海上空母や陸戦艇などを多数保有する所まで行きたいな。それとパイロットもそうだが士官も欲しいな・・・特に地球外縁軌道統制統合艦隊に所属する、地球降下部隊は近いうちに兵団に昇格させ艦隊から独立した精鋭部隊としたいが・・・)

 

マクギリスが報告書を読みこれからのことを考えていると。

 

「LCS通信?相手は・・・マーセナス首相?一体何のようだ?」

 

そう思いマクギリスは通信回線を開いた。

 

「お久しぶりです首相、どうかなさいましたか?」

 

『マクギリス総統!緊急事態だ!実は!』

 

マーセナス首相が其処まで言った時、石動が司令官執務室に飛び込んで来た。

 

「総統!緊急事態です!ヴェリスクハイヴからBETAの大軍がフィンランドに向かって動き出しました!」

 

「何?本当か?」

 

「ハイ、数は30万軍団規模のBETAです」

 

『どうやら此方にも情報が届いたようだね。聞いての通り梯団規模のBETAが接近して来ている。其処で、EU軍の他にも、インド軍、アフリカ軍を増援を呼んだが、作戦を完全な物にする為にも』

 

「我々の力も借りたいと?」

 

『それもそうだが、もう一つこの連合軍総司令官に君を指名したい』

 

「私をですか?」

 

『君しか居ない、戦いに参加する各国の軍司令官には話を付けている』

 

「了解しました、我々ギャラルホルンは人類の盾であり矛です、全力を尽くします」

 

『頼むぞ』

 

そう言いイギリス首相は通信を切った。

 

「石動、敵との予想接敵時間と会敵場所は?」

 

「敵は大軍で動きは鈍いです、その事を計算しますと、1月14日、午後6時になり、さらに進行方向を計算すると、敵との会敵場所はフィンランド、ラッペーンランタになります」

 

「了解した、マネキン准将に命令し直ちに地球軍全軍を召集する、石動、地球外縁軌道統制統合艦隊に所属するMS隊を地上に降ろす、そして少しでも戦力を埋める為、君にも地球に来てもらう」

 

「了解しました!」

 

そう言い石動は、準備をする為部屋を出て行った。

 

そして次にマクギリスはアリサを司令官執務室に呼び出した。

 

「お呼びでしょうか、マクギリス様」

 

「アリサ、本当はもう少し戦力が揃ってから君を任命したかったのだが、アリサ・ボードウィン二尉君を特務ニ尉に任命し、本日付で私直轄の第0部隊の初期メンバーに任命する、最初の任務はラッペーンランタに迫るBETAの殲滅だ、これから、私と共に戦ってくれ」

 

「マクギリス様・・・ハッ!その様な事を言って頂き、有難き幸せ!例えこの命に代えても貴方をお守りします!」

 

「期待しているぞ」

 

マクギリスはギャラルホルンの敬礼をするアリサにそう言った。

 

 

 

 

そして時は進み

 

1980年1月9日

 

フィンランド・ラッペーンランタ基地

 

其処には現在ヴェリスクハイヴから迫っている30万ものBETAの大軍を迎撃する為、EU、インド、アフリカ、そしてギャラルホルンの連合軍が集結している。

 

 

 

その戦力

 

モビルスーツ×320

 

戦術機×300

 

モビルワーカー×200

 

戦車×300

 

爆撃機×100

 

更に長距離砲やミサイルなど集められるだけ集めた大部隊である。

 

因みにモビルスーツはギャラルホルンやEUだけではなく、アフリカでライセンス生産されロールアウトしたゲイレール50機もこの戦いに参戦している。

 

 

 

そしてその連合軍総司令官にギャラルホルン総統、マクギリス・ファリド、副司令官に地球軍総司令官、カティ・マネキン准将が任命された。

 

「これ程戦力、すごい数・・・コレを全部マクギリス様が・・・」

 

「まぁな、しかしコレだけの戦力を集めて負ければ北欧戦線だけではなく欧州戦線も瓦解する程の大損害を受ける、私の任務は重大だよ」

「しかし、考え方を変えればそれ程の戦力をマクギリス様に任せたという事は、EUはギャラルホルン、ひいてはマクギリス様に期待しているという事になります」

 

「フッそうだな、さて私はコレから連合軍の作戦会議に行ってくる、会議の間は時間を好きに使っていて構わん」

 

「ハッ!」

 

そう言いマクギリスは作戦会議に参加する為、会議室に向かった。

 

 

 

 

 

連合軍会議室

 

「さて、私は今回の作戦の司令官に任命された、ギャラルホルン最高指導者、マクギリス・ファリドだ」

 

「同じく、副司令官に任命された、カティ・マネキン准将だ。さて、早速だが作戦会議を始めるが、その前に、話によると三日前、東ドイツも今回の作戦に兵力を出すと報告が入っているのだが・・・東ドイツの代表はどうした?」

 

今回の作戦に唯一参加する東側の国である東ドイツ軍の代表がこの場に居らず、幕僚達は困惑していた。

 

「まぁいい、来ていないやつが悪い、こうしている間にもBETAは迫って来ている。東ドイツ代表は居ないが会議を始める、まず状況説明だ、前のスクリーンに注目してくれ。」

 

そう言ってマネキン准将はリモコンを操作しスクリーンに映像を写した。

 

「まずBETAの数だが梯団規模なだけあって数は見ての通り、膨大だ。」

 

スクリーンに映し出されたBETAの数は

 

光線級×3000

 

重光線級×3000

 

要塞級×3000

 

突撃級×20000

 

要撃級×45000

 

戦車級×135000

である、その絶望的数に連合軍の幕僚達は青ざめた。

 

「これ程の数を相手にするのか・・・」

 

「何故コレ程の敵が来ているのに政府はアメリカ軍に救援を頼まないのか・・・」

 

イタリア軍に所属する将校がそう言った。

 

するとその言葉にイギリス軍代表はこう言った。

 

「アメリカは来ない、政府が協力を要請した所、君達には独立軍が居るだろ、と言われ断られたらしい。」

 

「何だと!クソ、アメリカ軍め!」

 

イタリア軍代表はそう文句を言った。

 

「諸君確かに敵の数は絶望的だが、策はある」

 

青ざめる幕僚達に対しマクギリスはそう言った。

 

「まずBETAの布陣だが敵は左翼、右翼、中央の三つに分かれている。両翼のBETAの数は大体1万5千、そして中央の本隊は27万だ。其処で連合軍の戦術機部隊を二つに分け両翼にそれぞれ半分ずつ配置する。そしてその二つの部隊にはそれぞれ、ギャラルホルンの部隊を配置する。右翼の迎撃部隊は地球外縁軌道統制統合艦隊所属の部隊、左翼の迎撃部隊は地球軍の部隊を配置する。そしてまずそれぞれのMS部隊はBETAに対しMSレーザーヤークトを実施、そして光線級と重光線級が全滅したらすぐさま、BETAの両翼に爆撃機、MS、戦術機による総攻撃を実施し、残った両翼のBETAを殲滅する。」

 

「待ってください!」

 

するとインド軍代表が手を挙げた。

 

「インド軍代表、どうかなさいましたか?」

 

「両翼の布陣は問題ないですが、中央はどうするつもりですか?」

 

「中央は、私と私の下に凄腕のパイロットが居る、その二人だけで十分だ」

 

「何ですと!総司令官自ら前線に!?いや、それよりもたった二機で27万ものBETAを足止めすると!?無茶にも程があるぞ!」

 

インド軍代表がそう叫んだ時。

 

「フフフ、確かに無茶だ、しかしなインド軍代表、ファリド総統にはその無茶を可能にする切り札がある」

 

この会議に参加して居たバラック・ジニン三佐がそう言った。

 

「切り札?切り札とは一体・・・」

 

「まぁ、それは見てからのお楽しみというやつです、そうですよね?ファリド総統」

 

「あぁ、そうだな、諸君!先程イギリス代表が言ったようにアメリカ軍は来ない、だからここに居る我々だけでBETAを食い止めるぞ!敵は圧倒的物量を持って、攻めてくるが!恐れることは無い!我々人類が力を合わせ戦えば!どのような敵であろうとも!粉砕する事が出来る!だからこそ言わせてもらう!勝つぞ!勝ってこの地で!勝利の祝杯をあげようでは無いか!」

 

「「「おおおお!!!」」」

 

会議に参加して居た幕僚達は皆拳を上げそう叫んだ。

 

 

そして会議が終わり、幕僚達が皆戻って行く中。

 

「お久しぶりですな、ファリド総統」

 

「久しぶりだなジニン少佐、いや、今は三佐だったねギャラルホルンに移籍してくれたそうだね、礼を言わせてくれ」

 

「お気になさらず、ファリド総統貴方には恩義が有りますから」

 

「そうか、先のフィンランド戦では迫り来るBETAを退けた君と君の部隊の能力に期待する。

 

「ハッ!では!」

 

そう言い、ジニン三佐は部屋を出て行った。

 

「准将」

 

「ハッ!」

 

「今回の作戦、私が総司令官だが実際の指揮は君に任せる」

 

「宜しいのですか?」

 

「今回の作戦、私は敵の主力を相手にしなければならないからな。それに君は優秀だと聞いている、なにも心配はして居ない」

 

そう言い、マクギリスは一本のUSBメモリーをマネキンに渡した。

 

「作戦計画だ、コレを基本とし作戦を指揮せよ、もし何か予想外のことが起こったら君の判断に任せる。」

 

「了解しました」

 

マネキン准将はUSBメモリーを手に取った。

 

「さて、外に待たせて居る部下が居るからな、そろそろ行かなくては」

 

「ホゥ、奇遇ですね、総統もですか?」

 

「その口ぶりだと君も頼りになる部下が居るという事か?」

 

そう言い、マクギリスは席を立ちマネキンと共に、建物の外に向かって行った。

 

「まぁ、私の場合は頼りになると言うより放って置けない部下で、バカで喧嘩っ早いが悪い奴では無いんですよ」

 

「フッ、そうか・・・」

 

そして二人が外に出た時。

 

「アレは、アリサ?」

 

「パトリック!?」

 

二人が見た先には何やらアリサとパトリック、更に他にも36人の衛士がおり何やら揉めているようであった。

 

 

 

 

 

 

アリサside

 

「マクギリス様、早く帰って来ないかな・・・」

 

アリサは格納庫で自分の愛機である、シュヴァルベを見上げそう呟いた。

 

その時

 

「よう、この機体アンタのか?」

 

ギャラルホルン地球軍の軍服を着た一人のパイロットが話しかけて来た。

 

「・・・誰ですか?」

 

話しかけて来たパイロットにアリサはそう言った。

 

「この俺を知らないとは!モグリだな?元EUのエースで現在はギャラルホルンのエース、パトリック・コーラサワー様だ、そう言うお前は誰だよ?」

 

「私は、ギャラルホルン第0部隊所属のパイロット、アリサ・ボードウィン、階級は特務二尉」

 

「は?お前がこの俺様と同じ階級!?子供なのにか!?」

 

「正確には特務階級は通常の階級より一階級上扱いです。つまり私は貴方の上官と言う事になりますね」

 

「マジかよ・・・」

 

パトリックがそう呟いた時、外から戦術機が飛行する音が聞こえた。

 

「何だ?」

 

「演習の話は聞いて居ないはず・・・」

 

そう呟やきアリサが外に出てみると同時に、滑走路に20機のMiG−23と16機のMiG−21が着陸した。

 

「何だあれ・・・」

 

「 MiG−21バラライカと、確かギャラルホルンが手に入れたデータにあった、ソ連の新型機MiG−23、チボラシュカですね」

 

「詳しいな」

 

「私は元は東ドイツ軍の衛士ですから。と言うかチェボラシュカは兎も角、バラライカを知らないなんて、元衛士としてどうなんですか?」

 

「そんなもん知らなくても敵は倒せる」

 

「脳筋男」

 

「何だと!?」

 

文句を言うパトリックを無視し、アリサはバラライカとチェボラシュカをじっと見つめた。

 

(確か、ソ連はこの戦いには不参加と聞いて居る、と言うことは距離的に援軍を出して来そうな東側の国の軍は東ドイツ・・・所属は何処・・・!!)

 

戦術機の左肩に付いている部隊エンブレムを見たアリサはパトリックの制服の袖を掴んだ。

 

「どうした?」

 

パトリックがアリサの顔を見ると、その顔は青ざめたそして震えて居た。

 

アリサの目線の先にはその部隊の部隊エンブレムがあり、そのエンブレムは"胴体にプロビデンスの目が描かれた鷹が両足で剣と斧を鷲掴みしている"エンブレムであった。

 

「国家保安省・・・武装警察軍・・・何でこんな所に!?」

 

「は!?国家保安省!?何でそんな奴らがここに来て居るんだよ!」

 

パトリックはそう叫んだ。

 

パトリックは自他共に認めるバカだが、東ドイツの国家保安省の名前は知って居る、テロや西に逃げて来た亡命者の誘拐、更に亡命者や反体制派の不当な拷問と虐殺などで悪名を轟かせて居る組織である。

 

「知るわけ無いじゃないですか!アイツらが来るなんてこっちは聞いて居ないんです!」

 

アリサはギャラルホルンの軍人だが元は東ドイツの軍人である。そのため奴ら国家保安省からすれば祖国を裏切った亡命者である。

 

更にアリサは東ドイツ軍に居た為奴らの恐ろしさは身に染みて分かっている。その為急いでこの場を離れようと後ずさりした時。

 

「そこの貴様ら、お前達がギャラルホルンの兵士か?」

 

バラライカから出て来た女性衛士に声をかけられてしまった。

 

(落ち着け、考えてみれば私はギャラルホルンの兵士、バンクーバー条約、第4条に例えどの様な経緯が有ろうと独立軍の兵士を不当に連れ去る行為は固く禁じ、もしそれを実行した国は独立軍の敵と認識し、攻撃を開始する。と明記されている・・・心配はない・・・堂々としていれば・・・)

 

「そうですが、国家保安省の精鋭部隊の皆様が揃って何の用ですか?連合軍の督戦でもしに来たんですか?」

 

「気に入らん物言いだな、まぁいい、詳しいことは隊長に聞け」

 

「隊長?」

 

すると隊長機と思われるチェボラシュカから黒髪の女性衛士が出て来た。

 

「紹介する、此方が我が部隊の隊長・・・」

 

「ベアトリクス・ブレーメ・・・成る程・・・貴様ら・・・ヴェアヴォルフ大隊か・・・」

 

「何故、隊長の名前を!?」

 

まだ名前を教えて居ないはずなのに自分達の隊長と部位名をアリサは先に言った為ヴェアヴォルフ大隊の衛士は驚いた。

 

「ほう、新設されたばかりの我が大隊の名を言い当て更に私の名前も知っているとは・・・ギャラルホルンは良い諜報組織を持っているわね」

 

「諜報部については、私は知りません」

 

「成る程・・・」

 

するとベアトリクスはアリサの目の前にたちアリサの目をじっと見つめた。

 

「何ですか?」

 

「フッ・・・貴様我が国からの亡命者ね・・・」

 

「!!」

 

「な!それは本当ですか!?同志ブレーメ!」

 

ベアトリクスの部下の一人がそう言いアリサを睨んだ。

 

「な、何を根拠にそんな事・・・」

 

「とぼけても無駄よ、強がっている様だけど目を見れば分かる。貴様のその目は我々に対し憎しみと恐怖を抱いている目よ」

 

そう言われアリサは

 

「・・・成る程、人の心理を見破るのはお手の者という事ですか?流石、国民を暴力と権力で支配する腐った党の犬ですね」

 

「貴様!我が祖国を愚弄するとは!貴様も我がドイツの国民であったはずだ!それなのに国への忠誠を忘れるとは恥を知れ!」

 

アリサの言葉を聞いたヴェアヴォルフ大隊の衛士の一人はそう言った。

 

「国家に対する忠誠?親が子、子が親を互いに監視し合う、そんな腐りきった体制を引く!あんな国家に忠誠を誓う価値がどこにある!!それに私はかつて東ドイツの軍に居たが!断言してやる今まで東ドイツなどと言う世界に必要とされて居ない!ゴミの様な国家に忠誠心を持って戦った事は一度もない!!!こんな国に今更忠誠心なんか持てるか!」

 

アリサはシュタージの前で堂々と東ドイツの批判を叫んだ、命知らずな行動ではあるが、最早この状況で強がらなければ心が崩壊しそうであった。

 

「貴様!」

 

「まぁ待ちなさい。」

 

「しかし!同志ベアトリクス少佐!」

 

「中々肝が座っているじゃない。初めてよ、シュタージのメンバーを目の前に堂々と政治批判をした国民は・・・しかし、分かっているかしら?シュタージの目の前で祖国の批判を語った者の末路を!」

 

ベアトリクスがそこまで言った時、ベアトリクスとアリサは互いに銃を抜きお互いに銃口を突きつけた。

 

「フッ、反応が良いわね・・・それに貴様を見て分かる、お前は"あの女"と同じく凄腕の衛士だと・・・どうかしら?さっきの言葉を撤回し、再び我が祖国に忠誠を誓うなら、我が大隊に入れてやっても良いわよ」

 

「断る!私が忠誠を誓うのはこの世でただ一人!マクギリス・ファリド総統だけだ!」

 

「マクギリス・ファリドね・・・顔は見た事は無いが、どう言うやつかは聞いて居るわ、人類が手を取り合うなどと夢物語を語る、理想論者らしいわね・・・」

 

「黙れ!貴様ごときがマクギリス様を!」

 

そう言いアリサがトリガーを引きそうになった時。

 

「やめろアリサ!」

 

「マクギリス様?」

 

(マクギリス・・・と言うと今の声の主がギャラルホルンの・・・な!)

 

「部下がすまない事をした・・・私はマクギリス・ファリド、ギャラルホルンの最高指導者で今回の作戦の指揮を任される事となった。」

 

「貴方が・・・まぁいい、部下の躾ぐらいはちゃんとしておいて貰いたい、そうですよね同志ブレーメン少佐・・・同志」

 

衛士の一人がベアトリクスの方を向きそう言った。

 

しかしベアトリクスは部下の言葉に言葉を返さず、どこか悲しむ様な目でマクギリスをじっと見つめて居た。

 

「同志!」

 

「あ、あぁ、そうね・・・」

 

「大丈夫ですか?同志少佐」

 

心配した部下はベアトリクスにそう聞いた。

 

「貴様が、東ドイツからの援軍か?随分とのんびりとした到着だな」

 

するとマクギリスの隣に居たマネキン准将がベアトリクスにそう言った。

 

「東ドイツは前線国ですので、外国に軍隊を送る時には色々準備や手続などが有るんです」

 

「そのわりには1個大隊だけか・・・」

 

「我々の祖国は前線国ですので、しかし我々は祖国の中でも最精鋭の部隊です期待以上の働きはする予定です」

 

「そうか、まぁいい作戦は既に決まっている、今日中に目を通して置くように」

 

「了解しました。」

 

「行くぞパトリック!」

 

「は、はい大佐!」

 

「准将だ!」

 

作戦書を渡したマネキンはパトリックを連れこの場を離れた。

 

「我々も失礼する」

 

ベアトリクスとヴェアヴォルフ大隊もマクギリスに敬礼しこの場を離れた。

 

 

「マクギリス様・・・」

 

「大丈夫か?アリサ・・・」

 

「はい・・・それよりなぜ!?よりにもよってシュタージが!」

 

「どうやら、東ドイツが我々とEUに恩を売るために今回の作戦に兵力を送ったそうだ・・・表向きは」

 

「と言うと?」

 

「情報部によると、どうやら我が軍のモビルスーツのデータを取る事と作戦で破壊されたギャラルホルンのMSの残骸の回収が真の目的らしい」

 

「そうですか・・・」

 

「それにしても、先ほどの黒髪の女性パイロット、君は知っているのか?」

 

「軍では有名です、ベアトリクス・ブレーメ、ヴェアヴォルフと呼ばれる国家保安省、武装警察軍最強の戦術機部隊の隊長だと・・・それがどうしました?」

 

「いや、彼女に少し興味が湧いてね・・・」

 

「あの女にですか?」

 

「あぁ・・・」

 

(彼女の目、アレは私と似て居る、怒りに生き、そして大義を自らの理想を実現するため力を求め、戦う者の目・・・)

 

マクギリスはベアトリクスの目を見てそう感じた。

 

「彼女を、我が軍に引き抜く事は出来ないかな・・・」

 

「マクギリス様!それは危険すぎます」

 

「フッ、冗談だよ」

 

「冗談で済む話ではありません!国家保安省は危険な組織なんです!暗殺や虐殺、拷問など、その様な事を平気で行う悪魔の集団なんです!くれぐれも注意してください。」

 

「肝に命じておくよ」

 

マクギリスはアリサに対しそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

「ユルゲン・・・」

 

ベアトリクスはあの時、マクギリスに何故か、自分が唯一愛した男性であるユルゲン・ベルンハルトの面影を見てしまった。

 

「奴の容姿のせいかしら・・・・でも金髪碧眼の男性など他にも見てきたはず・・・なのに何故・・・私はあの男に・・・ユルゲンの面影を・・・」

 

そう呟いたベアトリクスの目には一筋の涙が流れて居た。

 

 

 

 

 





特務士官

原作では監査局に所属する者だけが特務階級を持っていたが、この世界のギャラルホルンでは佐官でありながら軍や大部隊を指揮する者や、所属などを超え行動する事が許されるエースパイロットにつけらる。

一言で言うとアロウズのワンマンアーミー免許みたいなもの


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人類の希望

1月14日

 

「総統、午後5時00分になりました。」

 

「よし!各部隊に連絡、予定の配置につけ!」

 

「了解、各部隊配置につけ、繰り返す、各部隊配置につけ」

 

マクギリスの命令と共にオペレーターは各部隊に作戦開始の支持を与え、MS部隊ならびに戦術機は作戦計画に基づき行動を開始した。

 

「各部隊に連絡、指揮系統は司令部に集中するが、前線での細かい戦闘指揮は、左翼部隊はバラック・ジニン少佐、右翼部隊は石動・カミーチェ准将に委ねる。」

 

「閣下!前線に展開するMS部隊より連絡!BETA確認!繰り返すBETA確認です!」

 

「了解した、マネキン准将、私も前線に行く、後の指揮は頼むぞ」

 

「了解です総統、指揮を引き継ぐ!MSレーザーヤークトを実施する!モビルスーツ隊攻撃開始!」

 

「モビルスーツ部隊、MSレーザーヤークトを実施せよ!」

 

マネキン准将の命令により両翼のモビルスーツ隊は次々BETAの大軍に向かって行った。

 

『大佐』

 

「准将と言っただろう」

 

するとその時、パトリックから通信が来た。

 

『あの時の約束……大佐の故郷を守るという約束は果たして見せます。』

 

「フッ、死ぬなよ中尉いや、パトリック」

 

『ハイ!』

 

 

 

 

左翼部隊

 

「よっしゃ!行くぜテメェら!レギンレイズの初陣に、大佐の故郷を守るぞ!!!」

 

「「「おおおお!!!」」」

 

パトリックの呼びかけに、レギンレイズに乗り換えたコーラサワー隊のパイロット達は雄叫びを上げ光線級、重光線級の群へ突っ込んで行った。

 

「全く、あのバカどもめ・・・行くぞお前ら!あのバカ達に負けるな!男の意地を見せるぞ!!!」

 

「おおおおーーー!!!」

 

ジニン三佐が率いるMS部隊もパトリック隊に負けず劣らずの雄叫びを上げ、光線級の群へ突っ込んで行った。

 

 

 

 

 

 

右翼部隊

 

右翼部隊は左翼部隊とは違く、落ち着いて、確実に作戦を遂行していた。

 

「各員、要塞級は後回しにし、先に光線級、重光線を倒す!」

 

「「「了解」」」

 

それは右翼部隊を指揮して居る男、石動カミーチェの性質でもあるかも知れない。

 

石動は、アリサやマクギリスの様に派手な能力は持っては居ないが、全体的に隙がなく、物事や状況を分析し冷静に対処する性格である。

 

その為、唯一モビルスーツの脅威となる要塞級の撃破は時間がかかる為、後回しとし、先にレーザー属種の殲滅を優先とし、石動と、彼に率いられたレギンレイズ隊は多数のBETAを無視し、後方に居るであろうレーザー属種に向かって行った。

 

『石動准将!光線級、ならびに重光線を発見!あ!攻撃状態に入りました!』

 

「重光線殲滅はレールガン装備のレギンレイズ隊と私が引き受ける。それ以外の部隊は光線級の殲滅に専念しろ!」

 

「「「ハッ!」」」

 

石動の命令に従い、ライフルを持つレギンレイズ隊は光線級に直行し、レールガン装備のレギンレイズ は石動が操るヘルムヴィーゲリンカーに続いた。

 

「重光線の攻撃が始まる前に倒す!レールガン部隊は援護射撃を頼む」

 

そうい、ヘルムヴィーゲリンカーのヴァルキュリアバスターソードを構え、光線の発射体制に入っている重光線に突撃した。

 

そして一体目を斬り殺した後も、次々とバスターソードを振るい重光線をメインにBETAを肉片に変えて行った。

 

『撃て撃て!』

 

『石動准将だけにBETAをやらせるな!!』

 

レギンレイズ隊もホバリングをしながら上空でレールガンを発砲し次々と重光線級を始末して行った。

 

「此方は順調・・・後はファリド総統の方だが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

中央部隊

 

計画ではマクギリスが操るバエルとアリサが操るシュヴァルベが中央のBETAを迎撃する部隊だが・・・

 

『余計な奴等まで付いて来ましたね、マクギリス様』

 

「そう言うな・・・」

 

何とよりにもよって、シュタージのヴェアヴォルフ大隊が新たに中央迎撃部隊のメンバーとなりマクギリスと行動する事となった。

 

『奴等は何をしてくるか分かりません。気を付けてくださいマクギリス様』

 

「フッ、分かっているさ」

 

その言葉を聞き、アリサはマクギリスとの回線を切り、次にスピーカーでヴェアヴォルフ大隊に向かってこう言った。

 

「私は貴方達を全く信用して居ないので、少しでも変な動きをしたら落としますのでそのつもりで」

 

『我々にそんなつもりはないわ』

 

「どうだか、シュタージは嘘つきの集まりですからね、心の中では何を考えているのだか・・・」

 

ベアトリクスの言葉にアリサはそう言った。

「マクギリス・ファリド・・・」

 

ベアトリクスは東ドイツを出る前にシュミット長官に言われた事を思い出した。

 

 

 

それは6日前の事

 

「角笛主義?」

 

「そうだ、あの国連総会で行われたギャラルホルンの結成演説で、マクギリス・ファリドが語った主義だ。思想や宗教、それら全てを超え全ての力をギャラルホルンの元に結集する。簡潔にまとめるとギャラルホルンの元に人類は一つになるべきという思想だ。」

 

「人類を・・・一つに・・・」

 

「馬鹿馬鹿しい話だが、調査によると、その角笛主義が軍内部に浸透しているらしい」

 

 

 

 

 

 

「人類を一つになんて・・・そんな事は、出来るはずが無い・・・そんな綺麗事など・・・」

 

ベアトリクスはコックピットの中でそう呟いた。

 

すると

『ヴェアヴォルフ大隊に告げるBETAの大軍を確認、これより攻撃に移るが、BETAの攻撃任務はファリド総統が行う、貴方達は私と共に撃ち漏らしたBETAの殲滅任務を手伝いなさい』

「何を言っているの!?27万もの大軍を一人で相手にするなど出来るはずが!」

 

たった一機で27万ものBETAを相手にするなど、正気の沙汰ではないとベアトリクスはそう思った。

 

しかしアリサは余裕な顔をして言った。

 

「確かに貴方達には出来ないでしょう、でもファリド総統にはアレが・・・バエルがある」

 

「バエル?」

 

ベアトリクスがそう聞き返した時、マクギリスが乗るモビルスーツが急加速し、BETAの大軍に目の前に降り立った。

 

「あいつは!何をするつもりだ!」

 

『フッ、貴方達案外ラッキーですよ、英雄が誕生する瞬間を観れるのですから・・・』

 

「英雄?」

 

 

 

 

 

 

 

マクギリスside

 

 

バエルはまるで下界に降り立った天使のごとく振る舞いでBETAの前に降り立った。

 

 

そして迫り来るBETAをコックピットのモニターで見ながらマクギリスは静かにこのMSに眠る力を目覚めさせようとした。

 

「さて、行くぞアグニカ・・・俺に力を!」

するとピンク色に輝くバエルのツインアイは真っ赤に変わり、その瞬間バエルはスラスターを全開にし、バエルソードを突き出しBETAの大軍のど真ん中に突撃した。

 

そしてBETAの大軍の真ん中で土煙が舞ったと同時に、ツインアイが真っ赤に染まったバエルが土煙から飛び出しバエルソードでBETAを切り刻み肉片へと変えて行った。

 

その戦いぶりは。グダニスクの時と同じように、光線級、戦車級、重光線級、突撃級、要撃級、要塞級、全て関係無く踏み潰されて行く、圧倒強さによる蹂躙である。

 

 

そして次々とBETAを蹂躙して行くバエルにヴェアヴォルフの衛士達は畏怖の念を抱いた。

 

「何だこれは!」

 

「これは一体!?たった一機の戦術機がBETAを倒して・・・」

 

「いや、此れは最早蹂躙ね・・・」

 

この光景を目たベアトリクスはそう呟いた。

 

今まで多くの命を奪ってきた化け物であるBETA、その強さに人類は勝てないのではないかと思う者も居るが、この光景を見他後にはそんな事を言えなくなる程に、ガンダム・バエルは一方的にBETAの大軍を殲滅している。

 

『ガンダム・バエル、我々ギャラルホルンの力の象徴であり、人類の反撃の旗となる機体です』

 

「バエル・・・」

 

ヴェアヴォルフ大隊の衛士達は皆余りの光景にただ黙って見ているだけだがベアトリクスはこの光景を見てある希望を見出した。

 

(この人なら・・・マクギリス・ファリドならば・・・ユルゲンの理想を叶えられるかもしれない・・・人類を一つにまとめる英雄に・・・人類を救う救世主に)

 

圧倒的強さでBETAを殲滅するその光景を見たベアトリクスは涙を流しながらそう思った。

 

彼女の目にはバエルという悪魔の名がつくあの機体は神の使徒に見えた。

 

 

そして数時間後

 

27万居たBETAは全て肉片と化し全滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司令部

 

「マネキン准将!中央のBETAは全滅しました。更に左翼、右翼、両部隊に居た要塞級、光線級、重光線はほぼ全滅!MSレーザーヤークトはもうすぐ第3段階に移れます」

 

「いいだろう、直ちに準備しろ」

 

マネキンがそう言った時司令室に一本の連絡が入った。

 

『すいません、大佐どじりました』

 

「何事だ、パトリック」

 

『えぇ、実は要塞級との戦いでまたモビルスーツを腰から真っ二つにされてしまい』

 

「今すぐ脱出しろ!」

 

 

 

 

 

 

「それが無理なんです・・・」

 

パトリックのレギンレイズには戦車級が群がってしまって居た。

 

更に最悪な事に周りに味方は居らず、最早絶体絶命であった。

 

「でも無駄死にはしませんコイツらを道連れにして!!!」

 

そう言ってパトリックはレギンレイズに付いている自爆スイッチを押そうとした時。

 

 

 

 

 

 

突然弾丸の雨が降り注ぎ周りにいたBETAを屍に変えた。

 

「な、何だ?アレは・・・グレイズリッター?」

 

其処には主に地球外縁軌道統制統合艦隊で運用されているグレイズの一種であるグレイズリッターが9機現れた。

 

『其処のモビルスーツ!パイロットが生きているなら所属と名前を言いなさい!』

 

するとスピーカーで指揮官機と思われるグレイズリッターが、そう呼びかけて来た。

 

「俺はギャラルホルンのエースパトリックコーラサワー様だ!」

 

『パトリック?そんな名前は聞いた事無いわ!』

 

「はぁ?俺の名前を知らないとは!さては田舎もんだな?そういうお前こそ何処のどいつよ?」

 

『い、田舎もん!!?何という侮辱!!しかもギャラルホルンでありながら私の事を知らないとは不敬罪に値するわ!けど良いわ!私の名を特別に教えてあげるから耳をかっぽじってよく聞きなさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の名は!カルタ・イシュー!ギャラルホルンを支配するセブンスターズ第1席!イシュー家の一人娘であり、地球外縁軌道統制統合艦隊司令官!そして我等は!地球外縁軌道統制統合艦隊!」

 

 

「「「「面壁九年!堅牢堅固!」」」」

 

 

 




ベアトリクスさんが堕ちました。そして参戦するカルタ様、BETAの前に女の戦いが始まりそう・・・


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誇り高き心

「は!?セブンスターズ?そんなもの聞いた事無いぞ!」

 

『貴様!ギャラルホルンを支配する、セブンスターズを知らぬとは!それでも貴様はギャラルホルンの兵士か!』

 

「ギャラルホルンを支配?何言ってるんだ!ギャラルホルンを支配しているのは、セブンスターズだがよく分からないものではなく、創設者のマクギリス・ファリドだろ」

 

『な!マクギリスですって!!!』

 

パトリックの言葉を聞いたカルタはそう叫んだ。

 

『貴様!答えなさい!そのマクギリスと言う奴はもしや!金髪の高慢ちきで、いっつも前髪イジイジしてる奴じゃ無いわよね!!』

 

「え?あ〜そう言えばそうだったな、あぁついでに別世界から来たとか何とか・・・」

 

『今すぐ!その男と合わせなさい!!』

 

「会わせろって言われても・・・今作戦の最中だし、第一この通り基地に帰還出来ないのにどうすれば・・・」

 

カルタの無茶苦茶な要望にパトリックは困惑しながらそう言った。

 

『確かに、一理あるわね・・・良し!特別に我々が基地に送り届けるわ。基地への地図、それと移動している間、あの化け物の事を教えなさい』

 

「ヘイヘイ、分かった・・・」

 

『敬語を使いなさい!』

 

「了解、しましたよ・・・いちいち細かいな・・・」

 

パトリックはそう呟いカルタの機体へ、司令部がある基地までの道のりが載った地図のデータを転送した

 

『確認したわ、右から二番目の貴方!コイツを担いであげなさい』

 

『了解しました!』

 

カルタの命令によりカルタが乗るグレイズリッターの右から二番目に居たグレイズリッターはパトリックのレギンレイズを担ぎ作戦司令部があるラッペーンランタ基地に運ばれて行った。

 

 

 

 

その頃

 

中央部隊

 

「マクギリス様目的は果たしました、マクギリス様は基地に戻って作戦指揮を引き継いでください」

 

『了解した、君は如何する?』

 

「私もマクギリス様と同行したいですが、如何やら左翼部隊が少し不利みたいなので援軍に向かいたいと思います」

 

『分かった、無理はするなよアリサ』

 

「ハイ」

 

アリサの提案により、マクギリスが乗るバエルは司令部があるラッペーンランタ基地に帰って行った。

 

「さて、私は左翼部隊の救援に向かいますが、貴方達は如何しますか?」

 

『無論、援軍に向かうわ。このまま何もせずに基地に帰っては我が祖国の面子に泥を塗る事となるもの』

 

「そうですか、なら行くなら行くでサッサとして下さい」

 

そう言いアリサはシュヴァルベのスラスターを全開にし空中を飛行しながら左翼部隊の援護に向かった。

 

「我々も行くぞ!」

 

「「「「了解!」」」」

 

そしてヴェアヴォルフ大隊もアリサの後に続くように左翼部隊の援護に向かった。

 

 

 

左翼部隊

 

「クソ!光線級や重光線級を倒したが!やはり要塞級は手強い!」

 

「焦るな!要塞級は後4体だ!距離をとって遠距離から攻撃を加えろ!」

 

「しかしもう弾が・・・」

 

モビルスーツ隊のメンバーの一人がそう言った。

 

敵主力である中央部隊をマクギリスが倒したとはいえ両翼にいるBETAでも一万を越す、光線級や重光線級は難なく倒せだが問題は要塞級である。接近戦は危険と判断し遠距離からの攻撃に専念し、何とか殆ど倒したが、その間にMS部隊は弾丸を大量に使ってしまった為、弾の数がギリギリであった。

 

「クソ!、一旦補給に戻りたいが・・・」

 

ジニン三佐はそう呟いた。

 

その時

 

「隊長!センサーに反応!MS1戦術機36!第0部隊のシュヴァルベと・・・ヴェアヴォルフ大隊です」

 

「何!?」

 

ジニン三佐がそう言った時、シュヴァルベから通信が来た。

 

『此方はギャラルホルン第0部隊所属のアリサ・ボードウィン特務二尉です、残りの要塞級殲滅は私とヴェアヴォルフ大隊が引き受けます、ジニン三佐率いる部隊は一旦後方に戻り補給を済ませて下さい!』

 

「了解した!お前ら聞いたか!一旦補給に戻るぞ!」

 

「「「了解!!」」」

 

ジニン三佐の素早い命令によりギャラルホルンとEUのMS部隊は一旦後方に下がった。

 

「さて、シュタージの皆さん、くれぐれも足だけは引っ張らないように」

 

そう言いシュヴァルベは単独で要塞級に突撃して行った。

 

当然、要塞級は触手でシュヴァルベを攻撃して来たが、要塞級の不規則な触手攻撃をシュヴァルベは全て避け逆に要塞級の触手をブレードで切り落とした。

 

『我々も行くぞ!・・・ヴェアヴォルフ大隊各機へ、狩りの時間よ。総員我に続け!』

 

 

「「「了解!!」」」

そしてヴェアヴォルフ大隊もアリサが操縦するシュヴァルベが戦って居る要塞級とは別の要塞級だが、攻撃を開始した。

 

「遠距離から攻撃を加え、隙を見て直接攻撃しなさい!」

 

『了解しました、同志少佐!』

 

ヴェアヴォルフ大隊の主力はモビルスーツでは無いが見事な連携で要塞級を翻弄していた。

 

 

 

「成る程・・・国家保安省、最強の部隊・・・戦っている姿は初めて見ましたが、結構やりますね・・・」

 

そう言いアリサは先ほどの要塞級をブレードで引き裂き、トドメを刺した。

 

「要塞級をたった1機で・・・しかも戦い方が早く美しい・・・まるで青色の流星だ・・・て、何を、亡命者の戦いにシュタージが感心するなど」

 

ヴェアヴォルフ大隊の衛士の一人は、アリサが操るシュヴァルベの早く美しい戦いについ関心してしまった。

 

その時

 

『危ない!避けろ!』

 

「へ?」

 

するとその衛士の戦術機に要塞級の触手攻撃が迫っていた。

 

(あぁ、終わった・・・)

 

そう思った時。

 

 

「え?」

 

いつまでたっても攻撃が来ない為、目を開けてみると。

 

其処には9機のグレイズリッターの持つナイトサーベルに串刺しにされ絶命した要塞級が目に移った。

 

 

「アレは?グレイズリッター?地球外縁軌道統制統合艦隊が援軍に・・・」

 

その光景にアリサはそう呟いた。

 

すると

 

『其処のシュヴァルベ!それに乗っているのはマクギリスかしら?』

 

「マクギリス様では無いですよ、と言うか誰ですか貴方?」

 

『私は、カルタ・イシュー!地球外縁軌道統制統合艦隊司令官だ!』

 

「地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官は石動准将です。それより貴方達は何しに来たんですか?」

 

『フン、見れば分かるはず!人の命を理解しない愚かなる下等生物BETAとやらに正義の鉄槌を下しに来た!』

 

「つまり援護に来たという事ですか?分かりました、そう言う事なら任せますよ」

 

『言われなくても!行くぞ諸君!我等!地球外縁軌道統制統合艦隊!』

「「「面壁九年!堅牢堅固!」」」

 

そう名乗りを上げカルタとカルタ親衛隊は要塞級に攻撃を開始した。

 

 

 

 

何故カルタが前線に居るのか?

 

その理由は数時間前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前

 

カルタside

 

「つまりこの世界の人類は、BETAと呼ばれる化け物に滅亡させられそうになっている、そう言う解釈で良いかしら?コーラサワー二尉?」

 

『あぁ、そう言う解釈で間違い無いですよ。そんな時、去年の1979年の11月末にギャラルホルンの創設者、マクギリス・ファリドがこの世界に来て、そして12月末にギャラルホルンを結成して今に至る、纏めるとこんな感じです・・・』

 

「成る程、説明感謝するわ」

 

(フッ、まさかマクギリスがこの世界でギャラルホルンを設立するなんて・・・)

 

カルタはそう思うと何だか幼馴染として、そして自分が惚れて居る相手としてマクギリスが誇らしく思えた。

 

『あ、そろそろ着きますよ、こちらパトリック!大佐!聞こえますか?大佐!』

 

『パトリック!無事だったか、ところでそのグレイズリッターの軍団は何だ?』

 

『何か、ファリド総統と同じ存在らしいです・・・』

 

『ファリド総統と?と言う事は別世界の人間という事か・・・パトリックそのグレイズリッターに回線を繋げるか?』

 

『了解しました。そういう事ですから、良いですか?カルタ司令殿』

 

「言われるまでも無い。」

 

そう言いカルタはラッペーンランタ基地司令部との回線を開いた。

 

『部下を助けてもらって感謝する、私はギャラルホルン地球軍司令、カティ・マネキン准将だ』

 

「私は地球外縁軌道統制統合艦隊司令、カルタ・イシュー階級は一佐だ。」

 

『では、カルタ一佐早速だが君達の身柄を保護したい、色々思う事はあると思うが此方の指示に・・・』

「断る!」

 

『何だと?」

カルタはマネキンに対してそう言い、そして続けてこう言った。

 

「道中コーラサワー二尉から聞いたが、この世界の人類はBETAと言う化け物と人類存亡を賭けた戦いをしており、更に今も戦いの真っ最中と聞いた。ならば!ギャラルホルンの頂点たるセブンスターズの第1席!イシュー家の血を引く者として!戦場で数多の兵士達が戦い、散っている中!我等だけ安全な所でぬくぬくとする事など出来る筈はない!」

 

『では、如何する?』

 

「イシュー家の誇りに掛けて!人類の為に!私も戦おう!」

 

『カルタ様!我々もお供いたします!』

 

『我々もギャラルホルンの一員として!カルタ様と共に戦います!』

 

カルタだけではなくカルタの親衛隊達も皆戦う覚悟をしていた。

 

其処でマネキンは少し考え。

 

『良いだろう、戦力は少しでもあった方がいい、作戦内容のデータを送る!』

 

「届いたわ。」

 

『よし、それでは君達には左翼に展開する部隊の援護を頼みたい』

 

「言われるまでも無いわ!イシュー家の誇りにかけて!諸君戦いに行くぞ!」

 

そう言いカルタは戦場の方を向きグレイズリッターのナイトブレードを地面に突き刺し。

 

「我ら地球外縁軌道統制統合艦隊!」

 

「「「「面壁九年!堅牢堅固!」」」」

 

 

親衛隊のグレイズリッターはカルタのグレイズリッターの背後に一列に並びそう名乗りを上げた。

 

「行くぞ誇り高き我が親衛隊よ!人類の命を軽んじる野蛮なる下等生物共に裁きの鉄槌を下す!」

 

「「「「鉄拳制裁!」」」」

 

そう叫びカルタと親衛隊達は、戦場に向かって行った。

 

 

そして今に至る

 

「要塞級とやらの触手攻撃に気をつけながら接近!私を含めて!9機全てが連携し、確実に仕留めるわよ」

 

「「「「了解!」」」」

 

元々カルタとその親衛隊達はMSの操縦センスは悪くなく、更にカルタも相手が化け物である事と、鉄華団との戦いで一度死んだ事により陣形などにこだわらない少しは現実的な采配を出来るようになっていた。

 

その為9機のグレイズリッターによる息の合った攻撃により要塞級を二体続けて撃破した。

 

「私も負けては要られない!マクギリス様の為に!!」

 

アリサはそう言いもう一度スラスターを全開にし最後に残った要塞級の攻撃を避けながら接近し最後の要塞級を始末した。

 

 

「司令部!こちらアリサ・ボードウィン特務二尉!左翼の要塞級の殲滅を確認!」

 

『了解だ、第3段階に移行する。総員この場から離れろ』

 

「了解!ヴェアヴォルフ、及びグレイズリッター隊はこの場を離れなさい、これより MSレーザーヤークトは最終段階に移行します」

 

アリサの指示によりヴェアヴォルフとカルタ率いるグレイズリッター隊はこの場を離れた。

 

するとミサイル、爆撃機、戦術機、 MS、全ての戦力を投入した掃討作戦が開始された。

 

そして数時間後

 

 

 

「報告!全てBETAの殲滅を確認しました!!」

 

 

「「「「やったあああ!!!!」」」」

 

オペレーターのその報告を聞いた瞬間司令部にいた全ての士官やオペレーターはそう雄叫びを上げた。

 

「諸君、良くやってくれた、この勝利は君達のお陰である、今回の作戦の司令官として私は君達を誇りに思う」

 

司令部に戻って来たマクギリスは皆にそう言った。

 

『何を言って居るんですか、今回の戦い、一番の英雄はマクギリス様ですよ。』

 

するとアリサが通信を開きマクギリスにそう言った。

 

「そんな事は無い、連合軍や兵士達は私を信じ、中央の部隊の迎撃を私に任せてくれた、お礼を言わせてくれ」

 

『マクギリス様・・・あ、そう言えばマクギリス様にお会いしたいと言う人が居ます』

「私に?一体誰だ?」

 

『自称、地球外縁軌道統制統合艦隊司令官のカルタ・イシュー1佐です』

 

「何!?カルタだと?」

 

マクギリスが驚きのあまりそう叫んだ時。

 

『久し振りねマクギリス。まさか貴方とこうして再会出来るなんて思わなかったわ』

 

「それはコッチの台詞だよカルタ・・・本当に君なのか・・・?」

 

『当たり前じゃない、お互い積もる話もある事でしょうし帰投したら、貴方と話をしたいのだけど良いかしら?』

 

「・・・無論だ」

 

『じゃあ、また後で会いましょう』

 

そう言いカルタは通信を切った。

 

『マクギリス様、そのカルタとか言う人とはどう言う関係なんですか?』

 

「カルタは・・・私の友の一人だよ・・・」

 

アリサの言葉にマクギリスはそう言った。



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偽り

ラッペーンランタ基地

 

基地に戻って来た時、基地の兵士たちはお祭り騒ぎで、モビルスーツや戦術機のパイロットと衛士達を迎えた。

 

「ハァ、終わった・・・」

 

シュヴァルベから降りたアリサは息を吐き出しそう言った。

 

 

すると

 

「アリサ特務二尉、今日は助かった礼を言わせてくれ」

 

「ジニン三佐、いえ私はギャラルホルンの兵士としての役目を果たしたまでです、それより賞賛されるべきはマクギリス様です。私よりマクギリス様の方が戦果をあげましたし」

 

「そうだな、しかし、私のような凡人からすれば、君も十分過ぎるエースだ自信を持ちたまえ」

 

「エース、ですか・・・」

 

アリサがそう呟いた時

 

「こ!これは!バエル!?何故これが此処に!?」

 

叫び声がした方を見てみると、困惑した顔でバエルを見上げるカルタが居た。

 

「これが私の今の愛機だよ・・・久しぶりだなカルタ・・・」

 

「マクギリス・・・どうして貴方がバエルに!?」

 

「その事も含めて話をしよう・・・」

 

「良いわ・・・」

 

そう言いカルタはマクギリスと共に基地の応接室に向かって行った。

 

 

 

 

応接室

 

「さて、私の事を話す前に君に聞きたい、君はいつこの世界に来たんだ?」

 

「今さっきよ、鉄華団とか言う奴らとの戦いで私は死んだはずだった・・・しかし目が覚めたら、死んだはずの私の親衛隊と共にあの戦場に居たわ・・・」

 

「君も同じか・・・私も同じだ、一度あの世界で死んだはず、しかし気づいたらバエルと、そして私が指揮をして居た地球外縁軌道統制統合艦隊、そしていくつかのコロニーと共にこの世界に飛ばされた・・・」

 

「成る程・・・それにしてもマクギリス何故貴方はバエルに乗って居るのかしら?そして・・・何故死んだの?」

 

「・・・」

 

マクギリスは黙った、前の世界ではカルタを謀殺した。しかしこれはギャラルホルンを変革するには必要な事であり恨みから来るものではない。その為、マクギリスはカルタとガエリオには今でも友情を抱いて居た。

 

その為カルタに全てを話すか迷ってしまって居た。

 

そして悩んだ結果・・・

 

「私は、ギャラルホルンを変革する為バエルを奪い革命を起こした」

 

「革命!?何故そんな事を!?」

 

「・・・君が鉄華団との戦いで死んだ後・・・ガエリオも同じように鉄華団との戦いで重傷を負ってしまったんだ・・・幸い命こそは助かったが・・・ガエリオは意識不明の昏睡状態に陥ってしまった・・・君達が私の側から居なくなり、私はギャラルホルンの変革を焦ってしまってな・・・それで革命を起こしてしまったのだ。まぁ結果は惨敗、まんまとラスタルの策にはまり私は戦死した。そして気づいた時には此処に・・・」

 

「ガエリオが・・・そう、それで革命を・・・全く焦り過ぎにも程があるわ・・・」

 

「言い訳のしようが無い・・・」

 

マクギリスはそう言った。

 

「それで、貴方はこれからどうするのかしら?この世界でギャラルホルンを結成したらしいけど?」

 

「人類の為に戦うのが我々ギャラルホルンの使命だ、ならば私は使命を果たすまでまだ。」

 

「そう・・・」

 

カルタはマクギリスの言葉にそう呟いた。

 

「カルタ、君に頼みがある・・・私と・・・」

 

「戦ってくれ・・・とでも言いたいのかしら?」

 

「フッ、分かって居たのか・・・」

 

「貴方とは長い付き合いだもの・・・良いわ、私もセブンスターズの第1席、イシュー家の娘よ、貴方がギャラルホルンの使命を果たすと言うなら、私もイシュー家の血を引く者としての使命を果たすわ」

 

「ありがとう、カルタ・・・」

 

「で?私は何をすれば良いのかしら?」

 

「君には准将に昇格してもらい、ギャラルホルン最高幕僚会議のメンバーの一人、そして新設される地球降下兵団の指揮を任せたい」

 

そう言って、マクギリスは地球降下兵団の全容が記されているタブレットをカルタに渡した。

 

「大気圏降下による強襲攻撃を目的とした部隊ね・・・」

 

「やってくれるか?」

 

「良いわ、引き受けてあげる・・・」

 

「そうか、では宜しく頼む」

「フッ、見てなさい、必ずギャラルホルン最強の兵団に育てあげて見せるわ!」

 

そう言いカルタは応接室室を後にしようとした。

 

その時

 

「カルタ!・・・その・・・済まなかった・・・私が君に鉄華団追撃任務をさせるよう父上に言わなければ・・・」

マクギリスはカルタにそう詫びた。

 

その言葉には偽りはない、カルタを鉄華団追撃任務に当てるようイズナリオに言ったのはカルタを謀殺する為だったが、心の中ではマクギリスは幼馴染である、カルタを殺してしまった事に引け目を感じていた。

 

「別に、もう済んだ事よ、それに死んだ我が親衛隊と、貴方に再会出来たもの。案外、死んでみるのも悪い事ばかりでは無いわね。」

 

そう言いカルタは応接室を出て行った。

 

 

「俺は・・・いつからこんなに弱くなった・・・」

 

何故自分がこの世界に居るのかを話した時、マクギリスはカルタに嘘をついた、革命に走ったのはカルタとガエリオを失ったのが原因だと。

 

それは正直に全てを話した結果、カルタと自分の関係が壊れるのを恐れた事によりついた嘘である。

 

「愛、悲しみ、友情、全てを捨て去り、怒りに生きる事を誓った俺が・・・何故今更」

 

マクギリスは冷えた紅茶を眺めそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

カルタside

 

「マクギリス・・・貴方は一体何を隠して居るの・・・」

 

カルタはそう呟いた。

 

確固たる証拠はなく、勘に近いが、あの話の時カルタはマクギリスが何かを隠して居るように感じ、その事が少し引っかかって居た。

 

「マクギリス・・・今は話したくなければそれで良いわ・・・でもいつかは話して頂戴・・・」

 

誰に聞かせるでも無く、カルタはそう呟いた。

 





現時点で全てを赤裸々に話してしまうと言うのもつまらないので、取り敢えずこういう形にしました。


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戦う理由

その夜

 

ラッペーンランタ基地

 

現在そこでは、30万のBETAを殲滅した事の祝勝会が行われて居た。

 

「それにしてもよろしかったのですか?私もコッチの祝勝会に参加してしまって?」

 

アリサはマクギリスにそう聞いた。

 

何故ならアリサがいま参加している祝勝会は指揮官向け、つまり佐官以上の士官達が出席する祝勝会、一パイロットの自分が同行して良いのかと思っている。

 

「気にする事は無い。それに君にもちゃんと紹介したいしな」

 

「紹介?」

 

そう聞き返すと。

 

「マクギリス、その子供は確かシュヴァルベに乗って居た」

 

「あぁ、彼女はアリサ・ボードウィン特務二尉、我が軍のエースの一人だ。アリサ、彼女はカルタ・イシュー私と同じ世界から来た、私の友人の一人だ。先程准将になった。」

 

「なる程、初めましてカルタ准将、私はアリサ・ボードウィン特務二尉、マクギリス様が率いる第0部隊所属の MSパイロットです。」

 

「カルタ・イシューよ、それにしてもボードウィンね・・・」

 

「私は元々は孤児で苗字が無いのでマクギリス様に付けてもらった苗字ですが、何か?」

 

「マクギリスに・・・フッ成る程・・・」

 

カルタはそう呟きマクギリスを見た。

 

「あの坊やの、苗字を彼女につけるなんて・・・全く、案外寂しがりやなのかしら・・・」

 

カルタはマクギリスにそう呟やいた。

 

「総統」

 

「石動か、今回お前が指揮をとった右翼部隊は大活躍だったと聞いたぞ」

 

「いいえ、私だけの力では有りません、実はインド軍の部隊が良い仕事をしてくれました」

 

「インド軍?確か右翼に居たインド軍はインドのマハラジャが作った義勇軍だったそうだな」

 

「はい、機体は旧式ばかりですが強く、そして息の合った連携などなかなか強い部隊でした。」

 

実は今回の作戦に参加したインド軍は国軍とインド、東南アジアで強大な財力と権力を持つ、あるマハラジャの一族の作った私兵組織である義勇軍の二つの軍が参加して居た。

 

「成る程、正規軍を上回る活躍をした義勇軍か・・・興味深いな、後でその義勇軍の司令官と話をしたい、話を付けておいてくれるか?」

 

「了解しました」

 

石動はマクギリスにそう言った。

 

 

すると

 

「アレは・・・」

 

マクギリスが目撃したのは今回の作戦に参加した東ドイツから派遣されたヴェアヴォルフ大隊隊長のベアトリクスが誰にも気付かれずにパーティー会場を抜け出して居る所であった。

 

すると、マクギリスは僅かにグラスの中に残って居るシャンパンを飲み干し。

 

「カルタ、紹介しよう。私の後任で地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官になった石動・カミーチェ准将だ」

 

「初めましてイシュー卿、現在地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官を務めて居ります、石動・カミーチェです」

 

「カルタ・イシューよ、成る程、貴方がマクギリスの後任で地球外縁軌道統制統合艦隊の指揮官になったと言う・・・」

 

カルタと石動が話しているすきにマクギリスもベアトリクスを追いかけパーティー会場から抜け出した。

 

 

 

 

 

 

「パーティに参加せず外で散歩かね?ベアトリクス少佐」

 

「ファリド総統・・・フッ、連合軍の殆どが西側の人間ですので私のような東側の人間には彼処は居心地が悪いので」

「成る程な・・・」

 

その気持ちはよく分かる、セブンスターズや貴族内では表向き妾の子とされていたマクギリス自身、幼少の頃はパーティーなどに出席した時はベアトリクスと同じ肩身の狭い思いをした。

 

ただ一つ違うところは、マクギリスが肩身の狭い思いをしていても、いつも気づいたらカルタとガエリオが側に居てくれた事である。

 

 

「ベアトリクス少佐一つ聞いても良いかね?」

 

「何ですか?」

 

「君は何故戦うのかね?」

 

「・・・国の為、そして偉大なる党に奉仕する為です・・・」

 

「フッ、嘘だな・・・」

 

「え?・・・」

 

「君の目を見れば分かる、君は、国や政権などその様な小さな事の為に戦って居る目をして居ない、もっと大きな使命を・・・いや、誰かの思いを果たそうとしている者の目をしている」

 

「何故・・・」

 

「私も、君と同じ様な目をした者を見た事がある・・・自らが求める物を手に入れる為に、そして受け継いだ誰かの思いを果たす為・・・例えその先に絶望的な物、自分を阻む者が居ても全てを排除しても突き進む・・・君はかつての私や、あの男・・・オルガ・イツカに似た様な目をしている・・・」

 

「オルガ・イツカ?誰ですかそのオルガ・イツカとは・・・」

 

「自分の信じた物は曲げず、本来居るべき場所とやらに、仲間達とたどり着くため、命をかけて戦った男の名だ・・・」

 

オルガ・イツカ、かつて自分と協力関係にあった民間軍事会社、鉄華団の団長であり、死んで行った仲間達の思いを受け継ぐため、そして今を生きる仲間達を本当の居場所に連れて行く為、例えどんな障害があろうとも潰して突き進む事を決意し自分に協力してくれた男。

 

マクギリスはベアトリクスの目にオルガ・イツカと同じ鉄の信念というべき物を見た。

 

「そうですか、そう言うファリド総統は何故戦って居るのですか?」

 

「世界を変える力を手に入れる為だ。」

 

「世界を変える?」

 

「そうだ、ギャラルホルンの信念は人類を救う事、それに偽りは無い。だが使命や理想だけで世界は変わらない・・・現に、人類はこの様な状況になっても完全に手を取る事はできて居ない。」

 

「確かに・・・」

 

世界を一つに、それはベアトリクスが愛した男である、ユルゲンの理想でもある。

 

しかし現実はそう簡単には行かない、社会、宗教、国益、様々な物に阻まれ、人類は一つになれて居ない。

 

「だから世界を変えるには理想だけではダメだ。理想を実現する為の、世界を変える為の、世界をまとめ上げる圧倒的力を持った旗頭が必要だ」

 

「つまり英雄・・・ですか?」

 

「そうだ、この世界を救う為には英雄が必要だ、だがその英雄が誕生するのはいつになる?5年後か10年後・・・それは誰にも分からない・・・ならば英雄が誕生するのを待つのでは無く、自らがその英雄となるべきだと思う。誰かが世界を変えるのを待つのでは無く自らが世界を変える、その為に力が必要だ・・・だから私は戦う、人類を守ると言うギャラルホルンの理念を実現させる為の・・・そして私が望む世界を作る為の力を得る為に・・・フッ、済まない私の持論を長々と聞かせてしまって。」

 

「いいえ、これで決心が付きました。マクギリス総統、貴方は人類の未来を切り開ける存在と見越して、お願いがあります。」

 

「何かね?」

 

「世界を救おうとした一人の男、ユルゲン・ベルンハルトの意思を背負って頂けませんか?」



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変わる世界




最初に言っておきます鉄血ファンの皆様ごめんなさい。


次の日

 

 

ラッペーンランタ基地に集結して居た連合軍は其々の国へ帰って行った。

 

その中には無論東ドイツから派遣されたヴェアヴォルフ大隊の姿も確認できた。

 

「・・・」

 

ベアトリクスが無言で見つめる先には此方を見上げて居るマクギリスの姿があった。

 

 

 

 

昨日

 

「成る程、事情は分かった。しかし何故私に頼む?君がそのユルゲンという青年の思いを受け継ぐべきでは?」

「確かについこの前までは彼の理想を実現させるのは私の役目だと思っていました。例え世界の全てを我が祖国の様に互いが互いを監視し合う、その様な世界にしてでも人類を纏めると。しかし、貴方の戦いを見て感じました、貴方ならばその様な事をしなくても世界を導ける指導者になれると。だから私は貴方に賭けたい、ユルゲンの理想を実現できると見込んだ貴方に。」

 

「フッ、成る程・・・・良いだろう、そこまで言うなら、ユルゲンと言う青年の理想、そして君の思い、私が背負おう。」

 

「感謝します」

 

そう言いベアトリクスはマクギリスに敬礼をした。

 

そして時は進み

 

 

 

今日の出発前

 

「矢張り、自分の国に戻るのか?」

 

「まだ東ドイツでやる事があるので」

 

「そうか・・・そうだ、コレを君に渡して置こう」

 

マクギリスはポッケの中から小型端末とギャラルホルンのバッジを出し、ベアトリクスに渡した。

 

「コレは・・・」

 

「私に協力してくれると言うなら、君もギャラルホルンの一員だ、我が軍は、いつでも君を歓迎する。」

 

そう言ってマクギリスはベアトリクスに手を差し出した。

 

「いずれ、また会おう。その時はお互い完全な味方として戦場で肩を並べよう。」

 

「・・・ハイ」

 

そう言いベアトリクスはマクギリスの手を握った。

 

 

 

 

 

「ファリド総統、信じて居ますよ・・・」

 

そう呟きベアトリクスとヴェアヴォルフ大隊は東ドイツへと戻って行った。

 

 

「終わったな・・・」

 

「ええ・・・」

 

マクギリスの言葉にアリサはそう言った。

 

「さて、我々も宇宙に帰るとしよう」

 

「ハッ!」

 

そう言い地球軍を除くギャラルホルンも自分達の仮本部があるグラズヘイムへと戻る為、準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

そして時系列は進み四日後。

 

現在、イギリス、フランスが主催の国連総会の中継が世界に流れて居た。

 

「5日前に起こったフィンランドに攻めて来たBETAとの戦いは我々の勝利に終わりました。それがこの映像です」

 

そう言いフランス大統領はパソコンを操作し、先の第二次フィンランド戦の映像をスクリーンに映した。

 

その映像に会場にはどよめきが起こった。

 

それはたった一機で27万のBETAをなぎ倒す白いMSの姿があったからだ。

 

「フランス大統領!何なんですか?この白い戦術機、いや、モビスルーツか?兎に角コレは一体」

 

日本帝国代表がフランス大統領にそう聞いた。

 

「コレは、ギャラルホルンの最高指導者マクギリス・ファリド総統の愛機であり、ギャラルホルンの象徴であるモビスルーツ。名前はガンダム・バエル。この機体は戦術機や他のMSを凌駕する性能を持ち、更にファリド総統が自ら乗り込み、操る事によって、この様な、たった一機で梯団規模のBETAを殲滅する、戦略兵器に匹敵する力を発揮する事が出来るのです。」

 

その言葉に会場には衝撃が走った。

 

「梯団規模のBETAだと!?それに最高指導者が自ら戦場に!?」

 

たった一機で27万のBETAを殲滅した事にも驚いたが、それ以上に最高指導者が自ら戦場に出るというその行動に驚いた。

 

佐官階級ならまだ分かるが、マクギリスの様な巨大な軍事組織のトップ、望めば安全な後方に居られる様な地位にいる者が前線に出るなど珍しいにも程があった。

 

「我等がギャラルホルンのトップであるマクギリス総統はギャラルホルンの人類を守るという大義を自らの行動により示す方ですから」

 

そう国連総会に出席して居るギャラルホルンの代表は日本帝国代表にそう言った。

 

「兎も角、今回の30万のBETAはギャラルホルンと連合軍により殲滅出来た、しかし私は、訴えたい!何故アメリカ軍は来なかったのかと!?NATOに所属している我々西ヨーロッパ諸国の援軍要請を断ったのかと!?」

 

フランス大統領のその問いにアメリカ代表は。

 

「そ、それは!我々アメリカも別の戦場で・・・」

 

「ホゥ、ではコレはどう言う事か!?」

 

そう言ってフランス大統領がパソコンを操作してある音声を流した。

 

『何故!我々EUの出撃要請に応じないのですか!?大統領』

 

『我々も、別の戦場でBETAとの戦いで手一杯なのですよ、それに君達には独立軍が有るではないか?彼等に頼めば良い・・・それか、貴方EUが"独立軍を解体"すると言うならば派兵に付いて考えますが・・・』

 

「な!!」

 

その音声を聞いたアメリカ代表は顔色が悪くなった。

 

「聞いたか!各国の代表の皆様!助けて欲しければギャラルホルンを解体せよと!この卑劣極まりない!正に下衆の所業の様な脅しを!私はフランスの大統領として!EUの代表としアメリカにいや!アメリカ共和党政権に失望した!」

 

「わ、わわわ私は知らん!!!私は何も聞いていない!」

 

アメリカ代表は戸惑いながらそう叫んだ。

 

しかしフランス大統領はそれを無視し話を続けた。

 

「そして我々EUはある決断をした!本日を境にアメリカと結んで居る軍事同盟や条約を全て解消!そして我々EUは、NATOを脱退し!EU、そしてアフリカによる、アメリカに頼らない新たな第三勢力の結成をここに宣言します!その名前は!

 

Africa European Union!

 

通称AEU!そして我々は角笛主義を旗頭とし!ヨーロッパと全人類の命を守るため、この戦争に勝つ為に!ギャラルホルンに全面的に協力する事をここに宣言します!」

 

その瞬間今回の戦いに参加したインドやイギリスの影響下にあるオーストリア、カナダの代表は拍手をし、後日、角笛主義を掲げる新勢力、AEUの結成を容認した。

 

そしてアメリカは当然この新勢力は認めないと発表したが、アメリカとAEUが争い共倒れになる事を狙うソ連はこの新勢力を認めた。

 

そしてもう一つヨーロッパの国でありながら西ドイツはアメリカからの圧力に屈しAEUには参加せず西ヨーロッパで唯一のNATO所属国となった。

 

そのせいで西ドイツはヨーロッパ各国や自国民の非難の的となり、ヨーロッパの恥さらしや裏切り者、アメリカの犬と罵倒される事となってしまった。

 

ともあれ共産主義のソ連、資本主義のアメリカという、二極構造は崩壊し、新たにギャラルホルンの元に人類は団結すべきだとする、角笛主義を掲げるAEUの台頭により世界の構図は三極構造へと変化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャラルホルンside

 

グラズヘイム

 

 

「ついに、アメリカとソ連の二極構造が崩壊したか・・・」

 

マクギリスは国連総会の様子をモニターを見てそう呟いた

 

「アフリカとEUに駐留するアメリカ軍の反応はどうだ?石動。」

 

「アメリカはこれ以上世界の信用を失う事を恐れたのか、各地の基地から撤退する為、準備に取り掛かって居る模様です。またEU各地に駐留して居た、アメリカ軍部隊は取り敢えず、キール基地に集結し、更にアメリカ政府は西ドイツに今まで以上の援助をして行く様です。」

 

「そうか。まぁ、EUがアメリカと手を切った今、アメリカとの協力路線を維持して行く西ドイツが大切な西ヨーロッパ唯一の拠点になるからな。アメリカとしては当然の選択だな。」

 

そうマクギリスは石動に言った。

 

 

「しかし、大変なのはこれからだ・・・アメリカ軍がEUやアフリカから撤退した為、これからは我々ギャラルホルンがアメリカの代わりになる必要がある」

 

「えぇ、その為にもギャラルホルン、特に地球軍の戦力増強は今まで以上に必要性を増します。特に、海上戦力の設立や陸戦艇の量産配備などは早急にやる必要があります。そして兵器だけでは無くパイロットや兵を指揮する士官も大量に必要ですね。」

 

「そうだ、しかしその点については心配ない。士官やパイロットについては、AEU加盟国は内輪揉め防止を名目に、加盟国は全て戦力を均等にする事となった。それによりAEU内で特に戦力を持って居る、イギリス、フランスなどのヨーロッパの国々は大規模な軍備削減が行われる事となり、そしてそれにより浮いた大量の士官や衛士を、全て我々ギャラルホルンに転属させる事が既に決まっている。そして兵器の方は、どうやらEU系の軍需産業だけでは無く、アメリカ系企業も多数我々に協力する姿勢を示して居る。その為、海上艦艇は一年や半年足らずで9個艦隊は用意出来る事となった。それとMSは地上にある工場だけでは無く、工業コロニーで生産されて居るモビスルーツも優先的に地上に配備したいのだが・・・」

 

「構いません、現在の宇宙軍の戦力だけでもコロニーの治安は十分守れます。その為自分も、未だ十分な戦力が整っていない地球軍への優先的な配備を行った方が良いと考えますが。」

 

「そう言ってもらえて嬉しいよ・・・」

 

自分の考えに賛同してくれた石動にマクギリスは礼を言いった。

 

(それにしても、これから地球での戦いはもっと厳しい物となって行くだろう・・・その為にも地球に大規模な基地を・・・いや、むしろ地球にギャラルホルンの本部を移すべきか・・・)

 

マクギリスが一人そう考えていると。

 

「そう言えば総統この前のインド義勇軍の事なのですが・・・」

 

「あぁ、そうだったな・・・さてどうするか・・・」

 

それは、フィンランドでの祝勝会が行われたあと、マクギリスはフィンランドに派遣されたインド義勇軍の指揮官と話し、我が軍に入ってくれないかと誘った。

 

その結果、その指揮官はある条件を飲んでくれればギャラルホルンに入ると言った。

 

その条件とは、2年前、インド義勇軍を作ったマハラジャの先代の当主が病気で死亡し、今の当主は若い青年の為、ギャラルホルンの総統である自分が、その当主の後ろ盾になる事。

 

そしてインド義勇軍は義勇軍と言って居るが、実際はそのマハラジャの私兵である。その為自分達をギャラルホルンに入れるなら、その当主には然るべき地位を与えて、彼もギャラルホルンに入れて欲しい。

 

 

などである

 

これらの条件を飲んでくれるなら自分達は全面的に協力すると約束してくれた。

 

彼ら義勇軍の主家であるマハラジャはインドや東南アジアでも屈指の権力と財力を持っている。

 

更に義勇軍についても100以上の衛士と戦術機を抱えており、更に旧世代機ばかりでありながら、アメリカ海兵隊と同等の戦果を上げるなど、義勇軍とは思えない高い練度を誇って居るなど、味方にすれば心強い事この上ない。

 

更に現在の当主はマクギリスに好意的を通り越して崇拝に近い憧れを持っている為、色々と使いやすいだろう。

 

 

しかし、マクギリスは迷っていた。

 

味方にすれば明らかに自らの利益になりそうなのに、未だに迷っているその理由は、そのはマハラジャの家名と今の当主の名前であった。

 

 

「経歴や私を尊敬して居る態度から、別人だとは思うが・・・なんの因果か・・・」

 

その資料にはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インド義勇軍現最高指導者

 

名前:イオク・クジャン

インド、東南アジアで強大な権力と財力を有するマハラジャの一角クジャン家の現当主。

 

 

と・・・

 

 

その資料を石動とカルタにも見せたらカルタと石動の顔はその瞬間青ざめ、二人は頭を抱えた。

 

前の世界で、セブンスターズの恥部や、ギャラルホルン腐敗の生きた見本、又はアリアンロッドのたわけ、と陰で言われていた、セブンスターズ、クジャン家当主イオク・クジャンと同姓同名、姿形も同じである。

 

マクギリスはその資料を見た時、物凄く嫌な予感がした為、返答を先延ばしにし今でもクジャン家を取り込むべきか考えていた。

 

 

その時

 

『ファリド総統!!緊急事態です!』

 

「どうした?又BETAか?」

 

『いえ!それが!北海のど真ん中に!正体不明のエネルギー反応が!!』

 

「なんだと?まさか・・・アメリカが何か・・・すぐ其方に向かう!」

 

そう言いマクギリスはグラズヘイムのオペレータールームに石動と共に向かって行った。

 

 

 

オペレータールーム

 

「謎のエネルギー反応は?」

 

「今は消えました!」

 

「そうか、取り敢えず状況を知る必要がある北海を映像につせるか?」

 

「了解しました!」

 

そう言いオペレーターは北海上空をモニターに移した。

 

すると・・・

 

「こ!コレは!!!」

 

「どう言う事だ!!何故コレがここに!!!」

 

北海のど真ん中には明らかに人工物と思われる物が出現していた。

 

 

「ふふふふふふ・・・ハハハハハハハハハハ!!なんという事だ・・・こういう状況を天は我に味方せずならぬ、天は我に味方せり、とでも言うのか?だとしたら私は相当神に愛されて居るのだろうな・・・」

 

マクギリスは映像を見てそう言った。

 

すると

 

「謎のエネルギー反応を感知したと聞いたのだけれども・・・コレは!!」

 

後から来たカルタはモニターに映って居る映像を見て驚愕した。何故ならそこに映って居るのは。

 

「ヴィーンゴールヴ!?何故コレがこの世界に!?」

 

それは前の世界でギャラルホルンの総司令部が置かれていた、超巨大メガフロートである、ヴィーンゴールヴであった。

 




ヴィーンゴールヴ登場です、ここまで来ると最早ご都合主義も極まれりと自分でも言いたくなります。

が最早コロニーや地球外縁軌道統制統合艦隊もこの世界に飛ばされたり別作品の平行世界の同位体まで出したのでもう好き勝手やってやろうと思い、ヴィーンゴールヴもこの世界に飛ばしました(笑)


そして平行世界の同位体でまだ名前だけではあるが日曜日のたわけも登場。マクギリス率いるギャラルホルンはここまで上手く行って居ましたが、奴一人出すだけで一気に雲行きが怪しくなった・・・


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安らぐ場所

第二次フィンランド戦から一ヶ月後

 

 

 

東ドイツ

 

国家保安省政治犯収容所

 

「コイツを解放しろと?どう言う風の吹きまわしですか?同志ベアトリクス少佐?」

 

収容所の所長がベアトリクスにそう聞いた。

 

「我が大隊の補充要員よ、上の許可も取ってある」

 

「しかし・・・」

 

「ほう、貴様は我が党の決定に背くと?そう言いたいのかしら?」

 

「い!いいえ、同志少佐!すぐ解放します。」

 

「理解してもらい感謝するわ」

 

ベアトリクスの言葉に震えながら収容所の所長はその人物の居る独房へベアトリクスを案内した。

 

(リィズ・ホーエンシュタイン・・・・一ヶ月前に家族総出で西ドイツに亡命しようとした罪で逮捕・・・何故ファリド総統は彼女を助けろと・・・)

 

 

 

 

 

それは一週間前に遡る

 

「コイツを助けろと?・・・」

 

ベアトリクスは一ヶ月前の第二次フィンランド戦が終わり、東ドイツへ帰還する前にマクギリスに密かに貰った小型端末を介してマクギリスと話していた。

 

『あぁ、君に送ってもらったシュタージの情報の中にあった彼女のプロファイルを見たが、複数の語学を操れ、更に演劇サークルに入っていた為、演技力もある・・・中々いい人材だとは思わないかね?』

 

「私もそう思わなくは無いです・・・しかし逃すのは無理でしょう、私の担当ならそれも可能ですが、彼女の担当はハインツ・アクスマン中佐、私とは対立して居る男が担当なので」

 

『それは知っている、確かにギャラルホルンが匿うのは無理だろう、バレたら君の身が危ないからな、しかし・・・君の大隊で面倒を見ると言うなら出来るのでは?」

 

 

 

 

 

今に至る

 

(来るべき時に備えて、拘束された政治家や軍人をギャラルホルンに逃すなら分かるが・・・どう言うお考えなのだ、ファリド総統は?)

 

ベアトリクスがそう考えて居ると。

 

「この独房です同志少佐」

 

「ご苦労だった、後は私一人で良い」

 

「いいえ、しかし規則が・・・」

 

「私はここに来る前、君の働きを聞いたわ。中々真面目な働きをして居ると聞いた、其処で同志シュミット長官に君を中央本部に移動させるよう推薦したいのだけど・・・」

 

「ありがとうございます!」

 

そう言いその所長はベアトリクスに独房の鍵を渡し去って行った。

 

「フッ、俗物め・・・」

 

ベアトリクスはそう呟きリィズ・ホーエンシュタインなる少女が監禁されて居る独房の鍵を開けた。

 

 

 

 

リィズside

 

「うぅ・・・もうやだよ・・・助けて・・・お父さん・・・お母さん・・・お兄ちゃん・・・」

 

この少女リィズ・ホーエンシュタインは一ヶ月前一家総出で西ドイツに亡命しようとした所をシュタージに捕縛された。

 

それから彼女の地獄は始まった。

 

尋問と称し、自分を捕まえたシュタージの将校達に散々弄ばれ、もうリィズの精神は限界に来ていた。

 

 

 

その時

 

「この独房です同志少佐」

 

「ご苦労だった、後は私一人で良い」

 

「いいえ、しかし規則が・・・」

 

「私はここに来る前、君の働きを聞いたわ。中々真面目な働きをして居ると聞いた、其処で同志シュミット長官に君を中央本部に移動させるよう推薦したいのだけど・・・」

 

「ありがとうございます!」

 

「フッ、俗物め・・・」

 

外から話し声がし、そして間も無く独房の扉が開き一人の女性将校が入って来た。

 

 

 

「リィズ・ホーエンシュタインかしら?」

 

「はい・・・貴方は・・・」

 

「私は、国家保安省所属のベアトリクス・ブレーメン少佐。お前に朗報を伝えに来たわ。お前は私の部下になるのが条件だが本日をもって貴様を解放する事となった。」

 

「解放・・・じゃあ・・・」

 

リィズが其処まで言った時、女性将校ことベアトリクスはリィズを抱きしめ。

 

「辛かったでしょ・・・もう大丈夫・・・何も心配する事は無いわ・・・」

 

ベアトリクスはリィズを撫でながらそう言った。

 

するとリィズは感情を抑えられなくなり、しばらくベアトリクスの胸の中で泣いた。

 

 

 

 

数分後

 

「気は、収まったかしら?」

 

「ハイ・・・」

 

まだ少し目から溢れ出る涙をリィズはベアトリクスから借りたハンカチで拭きそう言った。

 

「それではさっきも言ったけど、今回の解放の条件は、貴方がシュタージになる事が絶対条件。まぁ、貴方に選択の余地は無いけど念の為に聞いておくわ・・・我々の・・・いや、我がヴェアヴォルフに入るかしら?」

 

「あの・・・お兄ちゃんは?」

 

リィズはベアトリクスにそう聞いた。

 

「お前の兄、テオドール・エーベルバッハの事ね。安心して、彼も悪いようにはしない」

 

「そう・・・なら、分かりました・・・」

 

「フッ、話が早くて助かるわ。歓迎しよう同志ホーエンシュタイン」

 

「ハイ!」

 

 

そして、リィズを連れたベアトリクスは収容所を出ようとした時。

 

「おやおや、コレは同志少佐殿、今日は何用でここに?」

 

「アクスマン中佐・・・」

 

「ヒッ・・・」

 

このアクスマンと言うシュタージの男性将校こそリィズを尋問していた張本人のためリィズはとっさにベアトリクスの後ろに隠れた。

 

「随分と懐かれて居るようだね・・・少佐殿」

 

「フッ、熟練の保安将校たるもの相手と信頼関係を築きこちら側に取り込む事も有効な手よ・・・恐怖だけで人を支配するなど、保安将校としては素人のやり方よ同志中佐・・・」

 

「成る程・・・」

 

「では、私はこれで、我々は党と国家の矛であり盾。・・・貴官の様に拷問だけをして居るほど暇では無い。」

 

「グッ、・・・そうですか・・・ではまた・・・」

 

そう言いアクスマンは収容所の中に入って行った。

 

「私達も行くわよ」

 

「ハイ」

 

そしてベアトリクスとリィズも車に乗りヴェアヴォルフ大隊の基地に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

ギャラルホルンside

 

 

 

 

ヴィーンゴールヴ

 

「やはりここに居ましたか・・・」

 

ベアトリクスからの連絡を伝える役目を負ったアリサは、マクギリスの愛機であるバエルを保管するMS倉庫、通称バエル宮殿に足を踏み入れた。

 

バエル宮殿はバエルと、バエルを中心にその周りをセブンスターズの保有するガンダムフレームが入った倉庫が囲う様に設計されて居る、ヴィーンゴールヴ、いや、ギャラルホルン内部でも特に重要な施設である。

 

しかし、今バエル宮殿には、バエルとイシュー家、ファリド家を除く全てのガンダムフレームが無くなっており、現在2家と、元クジャン家とエリオン家の倉庫を除く全ての保管庫か開いており、その中身は空っぽであった。

 

ちなみにクジャン家とエリオン家の倉庫に描かれている家紋はマクギリスの命で消されて居た。

 

そしてその宮殿の真ん中に置かれているギャラルホルンの象徴で現在は人類反撃の象徴にもなっているMSバエルをギャラルホルンの王であり、この城の主人であるマクギリス・ファリドは飽きもせずバエルをじっと見上げて居た。

 

「マクギリス様」

 

「アリサか・・・」

 

マクギリスはアリサの呼びかけによりやっとバエルから目をそらした。

 

「マクギリス様、あのシュタージの女から連絡が来ました、連絡の内容は口頭でお伝えします。人狼は姫君を塔から助けたです」

 

「フッ、そうか・・・」

 

「ヴィーンゴールヴへの本部移転の仕事が終わり、今日一日は休暇を取ったのに、家でゆっくりせずバエルをみ見上げる・・・よく飽きませんね」

 

「バエルは私の憧れであり希望の存在だからな、見ていて飽きるものでは無い」

 

「そうですか・・・まぁマクギリス様にはマクギリス様のお考えがあると思いますが、そろそろ例の時間ですので家に帰った方がよろしいかと思います。」

 

「もうそんな時間か・・・分かった帰るとしよう」

 

そう言い、マクギリスはバエル宮殿を後にした。

 

 

 

 

 

「それにしても、何故今回あのリィズと言う女の子を助ける様シュタージの女に言ったのですか?」

 

車内でアリサはマクギリスにそう聞いた。

 

すると

 

「さて、どうしてかな・・・」

 

マクギリスはアリサにそう言った。

 

リィズをマクギリスが助けたのは強いて言うなら、彼女の容姿と収容所でひどい扱いを受けていると言う情報を見て、何となく昔の自分を重ねてしまい放って置けなくなったと言うのが理由である。

 

 

 

そして暫くすると、車はマクギリスの邸宅に着いた。

 

しかし、其処はファリド邸ではなく旧ボードウィン邸であった。

 

実はマクギリスは、ヴィーンゴールヴに本部を移した時、自分の住まいをファリド邸では無くボードウィン邸にする事にしたのだ。

 

何故ならファリド邸はマクギリスにとって忌むべき存在であり、自分が無力だった頃の象徴でもあり心が休まる場所では無かったからだ。

 

前の世界ならアルミリアと言う、自らが唯一愛した女性がこの家で自分の帰りを待っていたが、この世界にはアルミリアは居ない。それどころか、他のセブンスターズや貴族、ヴィーンゴールヴに駐留して居た人員も全てこの世界には来ておらず、ヴィーンゴールヴと言う施設のみがこの世界に来ていた。ならば、マクギリスがファリド邸に居座る必要は無いと思いマクギリスはファリド邸よりも遥かに安らげる、旧ボードウィン邸に自らの住居を置く事に決めた。

 

もしこの世界にガエリオが居たら確実に殴られる事をして居るが、ボードウィン邸どころか、今や、このヴィーンゴールヴ自体がマクギリスの城である為、問題は無い。その為ヴィーンゴールヴの城主であるマクギリスは、ギャラルホルンの最高幹部である最高幕僚会議のメンバーやヴィーンゴールヴに駐留する将兵達にも元セブンスターズや貴族が保有して居た邸宅を分け与えた。

 

カルタは無論イシュー家の屋敷

 

石動は、バグザラン家の屋敷

 

ライザは、ファルク家の屋敷

 

など最高幕僚会議のメンバーはそれぞれ旧セブンスターズの屋敷に住居を置いている。

 

しかし、地球軍の司令官である、マネキン准将には旧エリオン家の屋敷を用意したのだが、余りの広さに何故か同棲する事となったパトリックと二人で使っても、落ち着かないと言われ別の家に住居を移す事となり、マネキン准将だけは最高幕僚会議のメンバーでありながら旧セブンスターズの邸宅には住んで居ない。

 

ともあれ、今やマクギリス邸となった旧ボードウィン邸に着いたマクギリスにこの屋敷の警備隊隊長に近づき敬礼をした。

 

「お帰りなさ居ませ!ファリド総統、アリサ特務二尉」

 

「ご苦労、何か変わった事は無いか?」

 

「特に有りません」

 

「そうかなら結構」

 

そう言い、マクギリスとアリサはマクギリス邸へと足を踏み入れた。

 

「いつ見ても広い屋敷ですね、それにしても本当に良かったのですか?私もこの屋敷に住んでしまって?」

 

今やマクギリスの副官的立場となっているアリサにマクギリスはこの屋敷に住む事を許した為、アリサもこの屋敷に住む事となっている。

 

「構わんさ、何せお前は、私を守ってくれるのだろ?ならばここに住んだ方が何かと都合が良いと思うが?」

「それはそうですけど・・・」

 

生まれた時から親の名前も知らない孤児だったアリサにとってこの様な豪華な屋敷、恐らく東ドイツの党幹部ですら持って居るとは思えないくらいの豪華な屋敷に住むと言うのは、初めての経験で少し落ち着かない。

「そう言えばそろそろですね・・・」

 

「あぁ・・・さてどうなる事やら・・・」

 

 

 

その頃

 

ヴィーンゴールヴの飛行場に一機のプライベートジェットが着陸し一人の青年が勢いよく階段をおりヴィーンゴールヴに足を踏み入れた。

 

「オォ!ここがヴィーンゴールヴ・・・ギャラルホルンの総司令部、いや!マクギリス様の城か!」

 

「イオク様!余りはしゃぎ過ぎますと、ケガをしてしまいますぞ」

 

「何!心配は要らん、それよりこれからマクギリス様と会うのだ!俺の身嗜みは大丈夫か?」

 

「ハッ!問題は有りません!完璧です!イオク様!」

 

「そうか、では行くぞ!」

 

インド、東南アジアのマハラジャの一族の中でも最も強い力を持つ一族の一つであるクジャン家、その現当主であるイオク・クジャンはマクギリスとの会談のため、ヴィーンゴールヴに足を踏み入れた。

 

 

 

 




イオク様登場です。

因みにエリオン家とクジャン家の家紋が消された格納庫が閉まっていた理由は後に分かります。

そして原作よりベアトリクス少佐が優しくなった気がします。


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不安要素

ヴィーンゴールヴ

 

それは前と今の世界でのギャラルホルン総司令部が置かれている超巨大メガフロートで有り、ギャラルホルン最大の戦略拠点の一つである。

 

その為ヴィーンゴールヴにはエイハブリアクター工場、MS生産工場、戦艦や陸戦艇などの造船施設、人工農場など戦略拠点としての能力が全て揃って居る。

 

 

また、ギャラルホルンを支配するセブンスターズや数万もの貴族が住居を置く大都市である為、学校、レストラン、デパート、映画館を含めた娯楽施設など大都市にある物は全て揃って居る。

 

最も、施設だけがこの世界に来た為、今稼働して居るのはMS工場や造船工場など、軍事的機能だけで、商店飲食店や娯楽施設など、は全く稼働して居ない。

 

しかし、この前マクギリスがAEUの有力者達との晩餐会の時、イギリス首相とフランス大統領に何気なくその事を話した時、何処から嗅ぎつけたのか、イギリスの有名デパートや有名ブランド、そしてフランスやイタリア、スペインなどの有名レストランや有名ファッションブランドなどの代表が店舗をヴィーンゴールヴに進出したいとマクギリスに嘆願し、マクギリスはそれを認めた為、数週間後には娯楽や商店飲食店なども前みたいに開かれるであろう。

 

そして現在この城の主人であり、ギャラルホルンと言う巨大軍事組織のトップである、マクギリス・ファリドと面会する為、インド、東南アジアで強大な権力を持つクジャン家の当主、イオク・クジャンはヴィーンゴールヴの空港に降り立ち、イオクを待っていた車に乗り、マクギリスの住居である旧ボードウィン邸に向かっていた。

 

 

 

 

 

その頃

 

当のマクギリスは、イオクが来るまでの間、"アグニカ・カイエルと7星の英雄達"と言うタイトルの本を読み、イオクの到着を待っていた。

 

「人類を救った英雄、アグニカ・カイエル・・・俺は果たして彼の様になれるのだろうか・・・」

 

マクギリスは本を読みながらそう呟いた。

 

すると

 

「マクギリス様、そろそろクジャン氏が来るそうなので支度をお願いします」

 

「あぁ、分かった・・・」

 

アリサに言われ、マクギリスは本棚に本を戻し、ギャラルホルンの軍服を着て準備をした。

 

「では、私は外でお迎えをして来ます」

 

「あぁ、頼む」

 

アリサはそう言い、外に出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして2分後、旧ボードウィン邸こと、ギャラルホルン総統官邸に一台の車が止まり、そこから今回の会談の相手であるイオク・クジャンが車から降りた。

 

「お待ちしておりましたイオク・クジャン様、私はマクギリス様の副官代理を務めさせていただいて居る、アリサ・ボードウィン特務二尉です」

 

「フッ、出迎えご苦労!マクギリス様はもうお待ちか?」

 

「えぇ、既に準備をされて中で待っておられます、どうぞこちらへ」

 

「うむっ!」

 

そう言い、イオクはアリサに案内されギャラルホルン総統官邸に入って行った。

 

 

 

そしてイオクが応接室に入ると。

 

「やぁ、君がイオク・クジャン殿か?初めまして、私はマクギリス・ファリドだ。」

 

「は、はい!イオク・クジャンです!お会いできて光栄です!ファリド総統、否!マクギリス様!」

 

「インド、東南アジアの有力者である君にそこまで言ってもらえて光栄だ、クジャン殿」

 

「とんでもありません!私はずっと!あの角笛宣言の時からマクギリス様を尊敬していました!なのでどうかイオクと呼び捨てして下さい!」

 

「そ、そうか。そこまで言うのであればそうしよう。まぁ、立ち話もなんだ、とりあえず座ってくれ、イオク」

 

「はい!」

 

イオクのテンションに若干引きながら言ったマクギリスの言葉に従い、イオクは席に座った。

 

するとマクギリスとイオクの前に紅茶が置かれて、二人は取り敢えず紅茶を飲み一息ついた。

 

「しかし、分からない事がある、君はインド、東南アジアで絶大な力を持つ伝統あるマハラジャの当主だろ?何故、別世界から来た私を尊敬する?」

 

「マクギリス様の高潔な心に私は惹かれたのです!」

 

「高潔な心?」

 

「はい!この人類の存亡をかけて戦わなければならぬ時に、己の利権や社会体制しか考えぬ愚かなる国家群やそれを率いる腐った俗物供とは比べ物にならないほどの素晴らしく!そして例え別世界であろうとも人類の命を守ると宣言し、現にそれを実行なさっているマクギリス様の高潔な心と強さに私は憧れ、そんなマクギリス様を人として私は尊敬しているのです!ですのでどうか!私をギャラルホルンに入れて頂けませんか!?勿論地位や階級などは問いません!例えどの様な地位であろうとも尊敬するマクギリス様の為に私は戦いたいのです!」

 

「そうか・・・」

 

マクギリスはそう一言呟いた。

 

そしてイオクの話を聞き、直感した。

 

 

 

(此奴は、私が知っているイオク・クジャンと同じだ、唯一違う所は忠誠の対象が、私かラスタルかの違いだな・・・さてどうするか・・・)

 

 

マクギリスは悩んでいた。目の前にいるイオク・クジャンはマクギリスが知っているイオクと全く同じだと直感した、としたらギャラルホルンに入れても問題行動を起こされる可能性がある為、入れたくは無いが・・・

 

(しかし、こいつ自身は兎も角、こいつが持っている戦力、財力、コネクションは、今の私に、いや、このギャラルホルンにとって魅力的だ・・・)

 

そう、イオクは兎も角、マクギリスが欲しいのはイオクが持っている物である。

 

アメリカ海兵隊と同等の実力がある130人の衛士達。

 

東南アジア、インドでの権力とコネクションなどイオクが持っている物はどれも魅力的であった。

 

 

そして悩んだ結果・・・

 

 

「良いだろう。イオク、君をギャラルホルンに入れよう」

 

「ありがとうございます!」

 

「君の立場と階級だが、君には特務一佐の地位と最高幕僚会議のメンバー、そして本部直轄、第2連合艦隊司令として、ギャラルホルンに入る君の部下達を統率してもらう」

 

「い、良いのですか?」

 

「あぁ、せっかく私に味方してくれるのだ、それに君の部下達も我がギャラルホルンに入る事になっている。ならば主人と離れ離れと言うの可哀想だ」

 

「は、はい!有難う御座います!私はマクギリス様に絶対の忠誠を誓います!」

 

「そうか、まぁこれから宜しく頼むぞ」

 

そう言いマクギリスとイオクの会談は終わった。

 

 

 

 

 

そしてイオクが帰った後。

 

「な!マクギリス様!今、タブレットで第2連合艦隊の資料を見ましたが。地球軍総司令部から独立した海上艦隊で戦力は

 

ベーリング級海上空母×3

 

スペングラー級MS搭載型強襲揚陸艦 ×12

 

MS×130

 

イージス艦×18

 

ミサイル駆逐艦×60

 

と12艦隊編成される海上艦隊の1/4で編成される大勢力じゃ無いですか!そんな戦力をあのような見るからに勢いだけの明らかなバカに与えると言うのですか?」

 

ギャラルホルンの保有する予定の海上戦力は12個艦隊、そしてギャラルホルンに置いての基本的な一個艦隊の編成は

 

ベーリング級海上空母×1

 

スペングラー級MS搭載型強襲揚陸艦 ×4

 

MS×42

 

イージス艦×6

 

ミサイル駆逐艦×20

 

である。

 

基本的にギャラルホルンの地球艦隊は全てマネキン准将の指揮下にあるが、この第2連合艦隊は全海上艦隊の1/4、即ち三個艦隊で編成され、本部直轄という事で地球軍の指揮系統から外れる特別な戦力。

 

そしてギャラルホルンの最高意思決定機関である最高幕僚会議のメンバーに加えるなど、そんな戦力と権限を見るからにバカなあの男に与える意味がアリサには分からなかった。

 

「私もイオクは、はっきり言って無能だと思う」

 

「ならば!」

 

「しかし、奴の配下のインド義勇軍はイオクの為に戦っている。彼らがギャラルホルンに入った後、別々の戦場に配置しても彼等は納得せず更になんとか説得して戦わせても戦意が高いはずは無い。ならば主人と一緒の部隊に入れた方が彼等もやる気を出して戦うだろう。そしてイオクが彼等100を超える元インド義勇軍を指揮するにはそれなりの高い階級と権限が必要だ。」

 

「しかし!だからと言って!別に本部で無くてもアフリカとかに配置しても・・・」

 

「彼を本部直轄、そして最高幕僚会議のメンバーにしたのは私の目が届くと場所に置きたいからと言うのが理由だ。奴を本部から遠い、即ち私の目の届かない所に配置し、其処で何かとんでもない事をやらかされては困る。だからこの様な人事にしたのだ。それに奴は馬鹿だ。しかしちゃんと彼奴の手綱を私が握り・・・いや、もっと言えば私の傀儡にすれば、奴が持つコネクションと戦力、は我々の利益になる。」

 

つまりマクギリスが言いたい事を纏めると、どうせイオクはどの様な地位と権限を与え様が、彼の配下共々自分の傀儡になる。ならば優秀なイオクの部下の戦意を上げる為、彼等を統率できるくらいの権限をイオクに与え、更に自分の目が届く所に置き、高い地位と権限を与える事によりらイオクの自分に対する忠誠心を絶対的にする為、あえて今回イオクにはこの様な地位を与える事にした。

 

「大丈夫なんでしょうか・・・」

 

「不安かな?」

 

「当たり前です」

 

あんな不安要素の塊のような奴に高い権限と多数の戦力を与えて不安にならない奴などいない。

 

「其処でだ、アリサ君には少しお願いがある」

 

「何なりと・・・」

 

するとマクギリスは監査局所属の軍人の証であるギャラルホルンのエンブレムが描かれた青い腕章をアリサに渡した。

 

「アリサ・ボードウィン特務二尉、今日から君を私の副官代理と、第0部隊のメンバーという地位をそのままに新たに監査局所属の軍人として、イオクが率いる部隊の監視を頼みたい」

 

「つまり、私に政治将校をやれと?」

 

「そう言う事になるな」

 

「了解しました、マクギリス様の命令ならば、それに私もあのイオクと言う人には不安しか抱いていないので・・・」

 

「くれぐれも彼奴が勝手なことをしないように宜しく頼むぞ」

 

「ハッ!」

 

こうしてマクギリスは優秀な多数の人材と、強大なコネクションと引き換えに、イオク・クジャンという不安要素を抱える事となった。

 

しかし例え不安要素の塊の様な人物であってもギャラルホルンの権力、戦力を拡大させ人類を勝利させる為にも、マクギリスはイオクを使いこなして見せると心の中で決意を固めた。

 

 

 

 




イオク様ギャラルホルンに高い地位と戦力を貰って入隊、マッキーは彼を傀儡にすれば大丈夫だと考えている様ですがどうなる事やら・・・

取り敢えずマッキーには大量の胃薬を用意しする事を勧めます。

そしてとりあえずアリサがうまくイオクの手綱を握り締めるかが重要になって行きます。


しかしそれでも不安しかないです。

果たしてギャラルホルンはこのままBETAに勝てるのか・・・



因みに遅れ馳せながら最高幕僚会議のメンバーはこんな感じです

名前 役職 地位

マクギリス・ファリド ギャラルホルン最高総司令官 総統

カルタ・イシュー 地球強襲突撃降下兵団 准将

カティ・マネキン 地球軍総司令官 准将

石動・カミーチェ 地球外縁軌道統制統合艦隊司令 准将

ライザ・エンザ 本部防御部隊司令 特務一佐

イオク・クジャン 第2連合艦隊司令 特務一佐


一応こう言う感じです。


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閑話 地球強襲突撃降下兵団

今日はカルタ様メインの話です。

そして新たなオリキャラも出てきます。


地球強襲突撃降下兵団

 

 

1980年 11月 フィンランド

 

「撃て撃て!!何としてもBETAを殲滅するんだ!!」

 

「弾をケチるな!撃ち続けろ!!」

 

現在ミンクスハイヴから師団規模のBETAがフィンランドに侵攻して来た。

 

その為マネキン准将を総司令官にギャラルホルン現地駐留部隊と、フィンランド軍、そして五ヶ月前にやっと設立された地球艦隊の第1艦隊、第2艦隊、第3艦隊の三個艦隊を統合した、第1連合艦隊が共同でBETAの迎撃を行なっていた。

戦力数は

 

ギャラルホルン現地駐留部隊

 

レセップス級×5

 

グレイズ地上戦仕様×40

 

レギンレイズ×60

 

 

フィンランド軍

 

グレイズ地上戦仕様×40

 

グレイズ航空戦仕様×40

 

 

ギャラルホルン地球軍本隊

 

ベーリング級海上空母×3

 

スペングラー級MS搭載型強襲揚陸艦 ×12

 

グレイズ地上戦仕様×84

 

レギンレイズ×60

 

イージス艦×18

 

ミサイル駆逐艦×60

 

 

が今回の戦いで投入された戦力である。

 

しかし・・・

 

「パトリック!未だレーザー級は仕留められないのか!?」

 

司令部が置かれて居るベーリング級の艦橋でマネキンはパトリックにそう言った。

 

『大佐!それが!光線級の付近には大量の要塞級がいて、俺も何とか8体までは倒したのですが・・・!』

 

「何だと!?クソッ!」

 

マネキンはそう言い、少し考えた。

 

(どうする・・・このまま要塞級の撃破にこだわっていては、BETAに絶対防衛線を抜かれる・・・どうすれば・・・いや策はある・・・)

 

「パトリック!作戦変更だお前達は要塞級の殲滅に集中しろ!光線級は別の奴らに任せる!」

 

『別の奴ら!?一体?』

 

「私を信じろ、今は目の前の敵を倒す事に集中しろ!」

 

マネキンがパトリックにそう言った時

 

「上空からエイハブウェーブの反応!数54!その全てがグレイズリッター !地球強襲突撃降下兵団です!」

 

「来たか、いいタイミングだ!」

 

 

すると上空からは大気圏突入シールドを装備した54機のグレイズリッターが大気圏を突き破りBETAの光線級に向かって真っ直ぐ降下して行った。

 

それはギャラルホルン最高幹部の一人カルタ・イシュー准将率いる大気圏からの強襲攻撃を目的とし、新設された地球強襲突撃降下兵団の群勢であった。

 

「諸君、今回の我々の任務は敵の只中で陣取って居る光線級の殲滅である!いつも通り一定の高度まで降りたら大気圏突入シールドから飛び降り、光線級に突撃!そして光線級の殲滅が完了次第、上空を飛行しながら速やかに撤退する。今回も気を引きしめ、そして誇り高く戦うわよ諸君!」

 

そう言いカルタが乗るグレイズは空に剣を掲げ。

 

「我等!地球強襲突撃降下兵団!」

 

「「「「勇猛果敢!疾風怒濤!」」」」

 

カルタと共に降りて来たグレイズリッターからはお馴染みの親衛隊の他にも新規で入った若い男女の声も聞こえた。

 

「よし!行くぞ!!」

 

そう言いカルタのグレイズリッターが真っ先に飛び降り先陣を切った。

 

「全部隊!人類の敵を狩る矛となり!人の命を軽んじる野蛮な獣達に裁きの鉄槌を下す!」

 

「「「「鉄拳制裁!」」」」

 

そう言いほかのグレイズリッターもカルタに続き大気圏突入シールドから飛び降りた。

 

すると無論、光線級は降下してくるグレイズリッター隊を、攻撃するがその全ての攻撃をグレイズリッター隊は避け、そして光線級に対し一斉に銃撃を開始、光線級を肉片へと変えて行った。

 

「光線級は倒した!撤退する!」

 

「「「了解!」」」

 

そう言いグレイズリッター隊は空を飛び、味方の陣地まで撤退しようとしたその時。

 

『カルタ様!前方に要塞級4!』

 

「問題無い!捻り潰してあげるわよ!」

 

「「「了解!」」」

 

そう言い、先行するカルタに続くようにグレイズリッター隊は要塞級に突撃。

 

要塞級が攻撃しようと触手を伸ばしたがその攻撃を左右に分かれ、あっさり避け、そして瞬間左右に分かれたグレイズリッターのうち二機はその瞬間ナイトブレードで要塞級の触手を切断、そしてそれと同時にグレイズリッターのうち8機が要塞級に接近しナイトブレードで要塞級を串刺しにした。

 

その戦闘光景はまるで54機全てのグレイズリッターが一つの生き物の様に連携した、とても息の合った戦闘で、残りの要塞級五体も同じような連携攻撃で葬り去った。

 

「我々を遮る敵は倒した!帰るぞ諸君!」

 

「「「了解!」」」

 

そう言い地球強襲突撃降下兵団は味方陣地に撤退し、その瞬間残ったBETAの頭上には大量のミサイルが降り注いだ。

 

 

 

前線基地

 

全てが終わり地球強襲突撃降下兵団のグレイズリッター隊が基地に降り立った時。

 

「来たぞ・・・」

 

「あぁ!」

 

すると機体からはカルタとその親衛隊の他にもその姿からは何処から気品が溢れ出す45人の未だ少女や青年と呼ぶに相応しい若者達が機体から降りて来た。

 

「行くぞ!!カルタ様!!サイン下さい!!!」

 

「押すな!!俺にもお願いします!」

 

「キャー!!カルタ様握手して下さい!!」

 

基地にいた兵士達は一斉にカルタと彼女が率いる部隊に一斉に駆け寄りサインや握手を求めた。

 

実はたった一機でBETAの大軍を殲滅する圧倒的強さを持つマクギリスと、人類を守る為には未知の化け物でも恐れず立ち向かう誇り高き心を持ったカルタに、世界中の人々は希望をもらい、そのおかげで世界中には二人ファンが多く存在し、今ではカルタとマクギリスが外交の用事などでで外国に行くとまるでハリウッドスターの様に空港や軍事基地の周りには人だかりが出来る状態であった。

 

そんな、カルタが率いる地球強襲突撃降下兵団はカルタが意図した訳ではないが、殆どの隊員が、カルタの誇り高い心に惚れた、フランスやイギリス、そしてドイツなどのヨーロッパ各国の名だたる貴族や名家の令嬢や子息によって構成されて居る為、今ではカルタ騎士団などと渾名されヨーロッパ各国では、この高貴で誇り高い軍団は一種のアイドルグループの様な存在になっていた。

 

 

 

この話はその地球強襲突撃降下兵団の創設と初陣までを描いた物語である。

 

 

1980年3月

 

 

地球強襲突撃降下兵団の初期の人員は19人であったが、戦いの時はいつも前線に立ち、決まって先陣を切り、戦果を挙げるカルタの高潔な行動により、地球強襲突撃降下兵団の名声は上がり、最高幕僚会議は地球強襲突撃降下兵団の増員を決意し、補充人員を集めた。

 

 

 

 

宇宙港

 

 

「うぁ〜人がたくさん・・・」

 

そう言ったのは金髪碧眼の見るからに大人しそうな少女、元イギリス軍衛士のアレクシア・サフォーク少尉、英国の貴族、サフォーク伯爵の次女である。

 

「確かに・・・ざっと150人というところか・・・」

 

アレクシアの幼馴染であり、英国の名門貴族、エセックス伯爵家の次女で元イギリス軍衛士のセレスト・エセックス少尉はそう呟いた。

 

「みんな宇宙に上がりたいのよ、情報によると、ここは未だ少ない方で、コロニー駐留部隊や地球外縁軌道統制統合艦隊の応募人数はもっと凄かったらしいわ」

 

そう言ったのは二人の姉貴分であるウィンチェスター侯爵家の長女である、元イギリス軍衛士、セシリー・ウィンチェスター中尉である。

 

 

ギャラルホルンが権威を増してからギャラルホルンへの入隊希望者が続出しだが、その中でも特に宇宙軍への入隊希望者は一番多かった。

 

その理由は極めて単純で、BETAが居ない、安全なコロニー駐留部隊や地球外縁軌道統制統合艦隊に入りたいがためである。

 

そして、この地球強襲突撃降下兵団にも、安全な宇宙に配属される事を目的に、多数の入隊希望者が殺到した。

 

「沢山応募者が居るけど絶対にカルタ司令が居る地球強襲突撃降下兵団に入る!」

 

「フッ、全くアレクシアは余程カルタ准将が好きなのね」

 

「うん、私が前にポーランド戦線で戦って居た時、カルタ司令に助けてもらって、その時のカルタ司令がかっこよくて・・・」

 

「ハイハイ、分かってるって」

 

「フフフッ、そう言うセレストだって、カルタ司令の、人類の為ならどんな敵でも恐れない所がカッコいいって言っていたじゃない。」

 

「そりゃそうだよ、カルタ准将の戦いの時にはからなず前線に出るスタイル、まさしくノブレス・オブリージュを体現した行動だよ・・・私も憧れるよ・・・」

 

セシリーの言葉にセレストはそう言った。

 

 

すると

 

「あ!カルタ司令だ!」

 

地球強襲突撃降下兵団司令のカルタ・イシュー准将が、入隊希望者の前に立ち話し始めた。

「諸君!今日はよく我が地球強襲突撃降下兵団に入隊を志願した!しかし最初に言っておく!宇宙での安全な暮らしを求めて我が部隊に入ったのなら、今すぐ帰る事ね!我が部隊は、数こそ少ないが!少数精鋭のギャラルホルン最強の部隊!舐めた心意気で入る事は許さないわ!」

 

その瞬間周りはざわついた。

 

すると

 

「まぁ、私がここに居ては決断しずらいだろう、30分!考える時間を考慮し、一旦我々はこの場を離れ30分待つ。」

 

そう言い、カルタとカルタ親衛隊はこの場を一旦離れた。

 

 

「どうする?」

 

セシリーはアレクシアとセレストにそう聞いた。

 

しかし

 

「私は残ります!だってカルタ司令と共に戦いたくてここに来たのだもの」

 

「私も残るわ、そもそもそんな甘い考えで入隊を希望した訳じゃないし」

 

「そう言う、セシリー姉様は?」

 

アレクシアのその問いにセシリーは。

 

「可愛い妹分二人を置いて私だけ帰っては、お母様や、お父様、そしてご先祖様に顔向け出来ませんわ」

 

「決まり、じゃあ私たち3人は残るという事で」

 

 

 

 

 

そして30分後

 

 

「残ったのは45人ですか・・・」

 

カルタ親衛隊の一人がそう呟いた。

 

すると

 

「そこの貴方!」

 

「は、ハイ!」

 

「貴方は何故ここに来た!?」

 

カルタはアレクシアを指名しそう聞いた。

 

「誇り高く生きたいからです!」

 

「ほう?誇り高く?」

 

「はい!例えどの様な敵が相手でも人類を守る為に恐れず戦う、私はそんな誇り高く生きたいんです!」

「その結果、死んでしまっても良いのかしら?」

 

「・・・死にたくは無いです・・・でもそれでも!死にたくは無いけど!例え死んでも、私は最後まで誇り高く生きたい!そしてその時が来ても最後まで・・・」

 

「成る程、言いたい事は分かったわ・・・ここに居る者達も皆同じかしら?」

 

カルタはそう聞いて残ったメンバーの目を見た。

 

その目は皆、アレクシアと同じような目をした者ばかりであった。

 

 

「・・・其処の貴方、アレを」

 

 

「ハッ!」

 

すると親衛隊の一人が残ったメンバーにある物を渡した。

 

 

「コレは・・・」

 

それは北欧神話に出てくるラタトスクをあしらったワッペンであった。

 

「これが我が隊章、ワッペンに描かれているマークは元は我がイシュー家の家紋、例え世界が違えど、私はイシュー家の血の使命と誇りを忘れない。このマークはその決意の証拠よ、諸君!我が隊は甘くは無い!しかし最後まで、その命が尽きる瞬間まで誇り高く生き、そして戦いなさい!」

 

「「「ハッ!」」」

 

「コレより我が部隊の号令を教える!我ら、地球強襲突撃降下兵団!」

 

 

「「「勇猛果敢!疾風怒濤!」」」

 

「諸君、今から君達は我が部隊の一員!そして我が部隊は仲間を見捨てない!皆、人類勝利のその日まで私について来なさい!」

 

「「「「「ハッ!」」」」

 

 

 

 

 

こうして地球強襲突撃降下兵団は45人の若者を向かい入れ新たな隊員達を連れたカルタと親衛隊達は宇宙にある兵団本部、グラズヘイム4に上がった。。

 

 

 

そして地球強襲突撃降下兵団の訓練は苛烈を極めた。

 

「我ら!地球強襲突撃降下兵団!」

 

「「「勇猛果敢!疾風怒濤」」」

 

「右から二列目の前から二番目!遅れてる!」

 

「申し訳ありません!」

 

「もう一度!」

 

 

皆が揃うまで行われる号令

 

 

 

 

「長蛇の陣!」

 

「「「「疾風怒濤!!」」」」

 

「クッ!意外と難しい!」

 

『セレスト三尉!前だけではなく部隊全体を見て行動しなさい!』

 

「申し訳ありません!カルタ司令!」

 

『良い事!我が部隊の強みは皆が完璧一致団結した集団戦法にある!自分や目の前の動きだけでは無く部隊全体を見なさい!』

 

「了解です!」

 

54機全ての動きを合わせる編隊飛行。

 

 

他にも数時間に渡るシミュレータによる戦闘、大気圏突入訓練など、訓練は苛烈を極めた。

 

 

 

 

 

そして一ヶ月後

 

「諸君!今回は待ちに待った大気圏突入の実戦訓練だ!最初に言っておくが、本物の大気圏突入訓練は一歩間違えれば地球に殺されるわ!気を引き締めなさい!」

 

「「「ハッ!」」」

 

 

「大気圏突入か・・・」

 

「セレスト・・・ちょっと私緊張して来ました・・・」

 

「大丈夫、セレストもアレクシアも誰よりも努力してきたんだから、落ち着いてやれば出来る筈よ」

 

そう言い3人はグレイズリッターに乗り込み大気圏突入シールドを装備し地球強襲突撃降下兵団の保有するハーフビーク級から発進した。

 

『よし、これより実戦訓練を開始する!我等!地球強襲突撃降下兵団!』

 

「「「「勇猛果敢!疾風怒濤!」」」」

 

『完璧!では行くぞ!』

 

そう言いカルタが乗るグレイズリッターは先陣を切り大気圏に突入し、他のグレイズリッターも次々と大気圏に突入して行った。

 

「これが大気圏突入・・・」

 

「地球の重力を感じるよ」

 

アレクシアとセレストはそう呟いた。

 

 

「今のところ異常は無いか?」

 

『ハイ!順調ですカルタ様!』

 

「それは何より、各部隊そのままの体制を維持しなさい!」

 

「「「「ハッ!」」」」

 

隊員達がそう言った時。

 

『きゃ!!』

 

「どうした!?」

 

『大変ですカルタ様!セシリー機が謎の物体と接触し、それによりバランスを崩し盾から落ちました!』

 

「なんですって!セシリー機!スラスターを全開にし、盾に戻りなさい!」

 

『そ、それが!先程の謎の物体と接触した時スラスターが破損しました!』

 

「クッ!なんて事!」

 

 

カルタがそう言った時。

 

『アレクシア機なにを!カルタ様!アレクシア機が盾から飛び降りました!』

 

「なんですって!?」

 

 

 

 

 

アレクシアside

 

『アレクシア!何を!?』

 

「セシリー姉様!私に捕まって!」

 

そう言いアレクシアのグレイズリッターはセシリーの機体を抱き込み大気圏の熱から守ろうとした。

 

するとアレクシアの機体の装甲は次々と剥がされ、大気圏で燃え尽きていた。

 

『アレクシアもう良いわ!このままでは貴方が!』

 

「私は、セシリー姉様を見捨てたく無い!それに地球強襲突撃降下兵団は決して仲間を見捨てない!!」

 

アレクシアがそう叫んだ時

 

 

『良く言ったわアレクシア三尉』

 

 

するとカルタのグレイズリッターが大気圏突入シールドをサーフボードの様に操り、セシリーとアレクシアの機体の真下につけ、その瞬間スラスターを全開にし、セシリーとアレクシアの機体を掴み、大気圏突入シールドに戻ってた。

 

「アレクシア機は左腕!セシリー機は右腕をパージしなさい!」

 

「「了解!」」

 

カルタの命令で、二人は大気圏突入シールドからはみ出す腕のパーツを切り離した。

 

そして何とか、全部隊は大気圏に突入し終えた。

 

 

 

 

 

 

フランス領内ギャラルホルン基地

 

「全く無茶な事をするわね」

 

「申し訳ありません!」

 

アレクシアはカルタに謝った。

 

「まぁ、でも仲間を助けるという貴方の行為、中々誇り高かったわよ。」

 

そう言い、カルタはその場を去って行った。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「やったわねアレクシア、憧れのカルタ司令に認められて」

 

セレストはアレクシアにそう言った。

 

すると

 

「アレクシア、今日はありがとう。私を助けてくれて」

 

「別に大した事はしていないよ、だってセシリー姉様は私達の仲間ですし」

 

「そうだよ」

 

「二人とも・・・」

 

 

 

こうして波乱の大気圏突入訓練は終わった。

 

しかし、セシリーのグレイズリッターと接触した謎の物体、あれはのちに、喀什ハイヴから打ち出された物だと分かり、それを聞いたカルタは何を打ち出したのか少し疑問に思った。

 

 

 

 

 

そして時は流れ数週間後

 

 

「諸君!今日は初陣だ!今までの訓練の成果を正義の鉄拳と共に!下等生物共に見せつけてやるのだ!」

 

「「「「ハイ!」」」」

 

「それでは行くぞ!我等!地球強襲突撃降下兵団!」

 

「「「「勇猛果敢!疾風怒濤!」」」」

 

 

 

こうして、訓練を終えた地球強襲突撃降下兵団はギャラルホルン内部でも最強の兵団へと育って行った。

 

 

そして誇り高き戦士達は今日も何処かで戦っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アレクシア・サフォーク

年齢:15歳

階級:三尉

イギリス名門貴族、サフォーク伯爵家の次女であり、心優しく大人しい性格だが、名門貴族としての誇りを胸に抱く、高潔な性格でもある。数週間前まではイギリス軍にいたが、ポーランドでの戦いでカルタ率いる地球強襲突撃降下兵団に助けられ、そして指揮官でありながら前線で戦うカルタを人として尊敬し、地球強襲突撃降下兵団へ志願した。

容姿は金髪碧眼で髪型はサイドテールにしている。

趣味はヴァイオリン



セレスト・エセックス

年齢:15歳

階級:三尉

アレクシアの幼馴染で同じく英国の名門貴族、エセックス伯爵家の次女。男勝りでフレンドリーな性格で、地球強襲突撃降下兵団のなかでは結構好戦的な気質がある。カルタの前線で戦うというスタイルに憧れ、アレクシアとセシリーと共に地球強襲突撃降下兵団に志願した。

容姿は青色の髪のショートカットで、目の色は薄紫。

趣味はフェンシングや格闘技



セシリー・ウィンチェスター

年齢:16歳

階級:二尉

アレクシアとセレストの姉貴分であり、イギリスの名門貴族、ウィンチェスター侯爵家の長女。性格は優しく面倒見がいい、お姉さん肌な性格。カルタ司令も尊敬しているが、地球強襲突撃降下兵団に入った理由は昔から仲が良く自分の妹同然に接して来た、アレクシアとセレストが心配で兵団に入った。

容姿は銀髪の長髪で、目の色は黄色。、

趣味は料理とピアノ


地球強襲突撃降下兵団

マクギリスの命により作られた新しい軍。大気圏突入による敵への強襲攻撃を目的として作られた。MSパイロットは54人しか居ないが、息のあった集団戦術によりその戦闘力は150機のMS部隊に匹敵する強さを持っていると言われている。


戦力

グレイズリッター×54

ハーフビーク級×5




読者の皆様へあと数話閑話をやったらこの小説はシュヴァルツェスマーケンの原作へと突入するのでお楽しみに。


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BETA教団殲滅作戦

 

マクギリスがこの世界に現れてから2年が経った。

 

その間、何度もBETAの大軍が、フィンランド、ポーランドなどの前線国に攻め込んで来たが、ギャラルホルンは全ての攻撃を跳ね返した。

 

しかしギャラルホルンもBETAに対する反抗の決めてを欠き、現在人類とBETAの戦いは膠着状態に陥っていた。

 

そんな日の

 

1981年5月

 

ギャラルホルン本部 ヴィーンゴールヴ

 

現在、ギャラルホルンの本拠地であるヴィーンゴールヴのギャラルホルン最高幕僚会議の会場となっている旧セブンスターズ合議会会場には、ギャラルホルンの頭脳である6人が集まっていた。

 

席順はマクギリスが議長席、そしてマクギリスから見て。右から順にカルタ、空席、イオク。そして左側は順に、石動、マネキン、ライザという席順になっている。

 

まず最初に地球軍総司令官のマネキン准将がタブレットに記載されている報告書をよみあげた。

 

「以上のように、この二年間、BETAは幾度もフィンランドおよび、ポーランドなどの前線国に侵攻して来ましたが、我々地球軍はその全てを返り討ちにして来ました。」

 

「報告は聞いている、今までBETAに攻め込まれた国は滅びるのが定めだったからな、そのおかげで、世論は完全に我々の味方だ。」

 

マクギリスはマネキンにそう言った。

 

ギャラルホルンが結成されてから2年、この間にBETAは何度も前線国に攻め込んで来たが、ギャラルホルンはMSの性能もあって少ない犠牲でその全ての攻撃を撃退。

 

一方中東方面ではアメリカを中核とした国連軍は同じ戦線を維持するのでも、多大な犠牲を出してしまっていた。

 

そのおかげで、今や国連軍は税金泥棒や人材のゴミ捨て場などと呼ばれ権威が失墜、逆に少ない犠牲で2年も戦線を維持するギャラルホルンの権威は高まり現在中東などの国は親ギャラルホルン国家となりつつある。

 

 

「しかしマクギリス、我々ギャラルホルンは未だにBETAに対し防戦一方、BETAに対しての抜本的反攻の目処はついては無いのも事実、分かっていると思うけど、いつまでも現状維持と言うわけには行かないわ。」

 

 

「軍内部ではこの機にハイヴへの攻略作戦の提案をする者も居ますが・・・」

 

「賛成です!今こそハイヴへ攻め込み!怨敵BETAに一矢報いるべき時だと思います!」

 

カルタの言葉に続き、最高幕僚会議内でも特に好戦的な提案をするライザ・エンザとイオク・クジャンは、共にハイヴ攻略を主張した。

 

それに対しマクギリスは

 

「ハイヴ攻略はまだ早い、士気が高いからと言って反攻作戦を焦るのは作戦失敗へと繋がる一番の要因だ。BETAへの反攻作戦は人類が我々の元に結集してからでも遅くは無い。」

 

「しかし!」

「我々地球軍も総統のお考えに賛成だ」

 

「お言葉ですがマネキン准将!今こそBETA供を殲滅しなければ!いつ殲滅すると・・・」

 

「そうやって焦って攻略作戦を行えば、パレオロゴス作戦の二の舞いになるぞ!」

 

「パ、パレオロゴス?」

 

マネキンの言葉の意味が分からずイオクはそう言った。

 

「1978年に行われたミンクスハイヴ攻略作戦だ!貴様、パレオロゴス作戦を知らないのか!?」

 

「も、勿論、知っています。」

 

イオクはそう言ったが、本当は作戦の内容や参加兵力は勿論パレオロゴス作戦そのものを知らなかった。

 

「まぁいい、取り敢えずマネキン准将、我々ギャラルホルンの方針は人類が我々の元で一つになるまでは現状維持で行く」

 

「ホッ、了解しました。」

 

マクギリスの言葉にマネキンは安心してそう言った。

 

「さて、BETAもそうだが我々の敵は他にもいる。」

 

そう言いマクギリスは最高幕僚会議のメンバーの持ち物であるタブレットにある情報を送った。

 

「BETA教団?たしか中東やアフリカで勢力を伸ばしているカルト教団でしたね」

 

「ほう、知っているのか石動?」

 

「確かBETAは愚かな人間に鉄槌を下す為に神が送り込んだ使いで、人類は神の意志に従いBETAにより天に召されるべきだとか考える連中の事です。」

 

「なんなんだ!その滅茶苦茶な集団は!?」

 

「狂っている!」

 

石動の言葉にイオクとライザはそう言った。

 

「それにしてもよく詳しく知っているな」

 

「マスドライバーが完成してから今までより多くの難民を宇宙のコロニーに送る事となりました。しかし中には難民になりすましたBETA教団や反ギャラルホルンのテロリストも混じっており、その度に我々地球外縁軌道統制統合艦隊が、鎮圧作戦を行なっているので、その経緯で私も多少の事は」

 

「宇宙も大変なのだな」

 

マネキンは石動にそう言った。

 

「地球程ではありませんマネキン准将。それで、そのBETA教団がどうかなさいましたか?」

 

「実は人狼からもたらされた情報なのだが、そのBETA教団の本拠地がサウジアラビア沿岸の砂漠地帯に居ると情報が入った。」

 

すると

 

「マクギリス様!私に行かせてください!私が人類に破滅をもたらそうとする者共に正義の鉄槌を加えて来ます!」

 

イオクが席から立ち上がりそう言った。

 

「良いだろう、イオクお前に任せる。しかしお前もテロリストの鎮圧戦は初めてのはずだ。そこで、今回の戦いではその道の専門家をお前の参謀につける。何か分からない事が有れば彼に聞け。」

 

「ハッ!」

 

「よし、今日は解散とする」

 

マクギリスの言葉により今回の会議は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議が終わり外の通路を歩いていると。

 

「マクギリス様」

 

声がした方向を向いて見ると、そこにはマクギリスより少し高い場所に座っているアリサが居た。

 

「アリサか、丁度いい。近いうちに出撃だ」

 

「出撃?今度は誰が相手ですか?」

 

そう言いアリサ空中で一回転しマクギリスの目の前に飛び降りた。

 

「カルト教団だ。四日後イオクが率いる第2連合艦隊に同行し、サウジアラビア沿岸の砂漠地帯に潜むカルト教団の殲滅が今回の任務だ。」

 

「第2連合艦隊・・・ハァ、またイオク特務一佐に同行ですか・・・」

 

「アリサはイオクの事が嫌いなのか?」

 

「嫌いというよりウザいです。無能な癖に出しゃばりで、変にプライドが高くて、知って居ますか?あの人、第2連合艦隊の初陣の時に私に自分も様付けで呼ぶ様に要求して来たんですよ。面倒なので様をつけてあげて居ますが・・・本当に大丈夫なんですか、あの人?何度かあの人、前線に出てMSで戦って居ますが、操縦技術は全て素人同然で作戦指揮も三流も良いところで・・・。」

 

「まぁ、今回は参謀を付けたから、その参謀と君の二人でイオクがやらかさない様サポートしてくれ。」

 

 

「了解しました。」

 

「それともう一つ、実は二日後。宇宙から中隊規模の部隊がこちらに降りてくる。その中隊と、規模が拡大した我が第0部隊から何人か、補充戦力としてイオクに貸す予定だ、その指揮を君に頼みたい。」

 

「私は、ただのパイロットですよ」

 

「君になら出来る、私はそう信じている。」

 

「・・・分かりました。マクギリス様がそこまで仰るのなら」

 

「ありがとう、彼らの事頼むぞ」

 

「ハッ!」

 

アリサはそう言い敬礼をした。

 

 

 

 

 

 

そして時は進み。

 

4日後

 

「出撃準備は出来たか?」

 

「いつでも出航出来ます」

 

部下の一人がそう言った時。

 

「イオク様!参謀のリント二佐が来ました。」

 

「入れろ」

 

イオクがそう言ったと同時に銀髪てオカッパ頭の男性士官が艦橋に入って来た。

 

「お初にお目にかかります、今回の作戦でイオク特務一佐の参謀役を務めさせていただくアーバ・リントです。」

 

「イオク・クジャンだよろしく頼むぞリント二佐!」

「微力を尽くします。」

 

 

 

その頃

 

MS格納庫

 

アリサは自分の愛機であるシュヴァルベの状況を整備主任に聞いて居た。

 

すると

 

「失礼、アリサ・ボードウィン特務二尉の居場所を知らないか?」

 

ロシア系と思われる軍人が同じくロシア系と中国系の軍人を12人引き連れそう聞いて来た。

 

「アリサ・ボードウィンは私ですが」

 

「貴方が!?」

 

(この人が青い流星と渾名されるギャラルホルンのエースパイロットだと?・・・まだ乙女だ・・・)

 

 

その軍人は心でそう思った。

 

「所で貴方は?」

 

「あぁ、申し遅れました!私はロシア系および中国系の志願兵で構成された新・頂武中隊の隊長を務めております、アンドレイ・スミルノフ二尉です!今回、ボードウィン特務二尉の指揮下に入るよう上から言われております!」

 

アンドレイは敬礼をしながらそう言った。

 

「成る程貴方が話にあった補充人員の・・・それにしても、頂武とスミルノフ・・・」

 

アリサは何か引っかかり暫く考えた。

 

そして

 

「もしかして・・・ワルシャワ条約機構軍最強の衛士と言われたロシアの荒熊、セルゲイ・スミルノフ中将の」

 

「セルゲイ将軍は私の父です」

 

「嘘でしょ・・・」

 

アリサはそれを聞き少し驚いた。

 

セルゲイ・スミルノフとはかつて、ソ連最強と呼ばれた戦術機師団、"頂武"を率いた英雄であった。

 

過去形で語ったのは、セルゲイ・スミルノフはマクギリスが来る1年前くらいにらBETAの大軍と戦い戦死して居るからだ。

 

「まぁ良い、歓迎するスミルノフ二尉今回の戦いは頼むぞ」

 

「ハッ!」

 

アンドレイが敬礼した時。

 

『全艦に告げる!艦隊司令のイオク・クジャンだ!これより我が軍はBETA教団と名乗る愚かなる者共に裁きの鉄槌を下しに行く!全艦発進!』

 

イオクの言葉と共にヴィーンゴールヴの軍港のゲートが開き、イオク率いる第2連合艦隊は出撃した。

 

 

 

 




アーバ・リント

年齢:30歳

階級:二佐

元アメリカ軍の軍人でBETAとの戦いより、デモや反政府勢力の殲滅及び鎮圧で出世した殲滅戦のプロフェッショナル。大のアンチ共産主義であり、共産主義者は人間ではなくゴキブリだと思っている。冷酷非情な性格で殲滅対象は子供や女であろうと皆殺しにする為、皆殺しのリントと呼ばれている。

元ネタはガンダム00のアーバ・リント少佐



アンドレイ・スミルノフ

年齢:18歳

階級:二尉

ソ連や中国系難民で構成されたギャラルホルの部隊である、新・頂武中隊の隊長。父親は東側最強の衛士であるセルゲイ・スミルノフであり、父の様な軍人になるためギャラルホルンに志願した。

元ネタはガンダム00のロシアの子熊こと、アンドレイ・スミルノフ

実は彼はこの物語に結構深く関わるので彼の過去などは後に書きます。



ついにイオク様出撃、不安しかありません。

そしてまたもや別作品キャラが登場です。




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戦闘狂

色々やってしまった・・・

多分疲れていると思います。


ヴィーンゴールヴ商業区

 

地球軍総司令官のマネキンは昼食を食べながらアーバ・リントのプロフィールを見て居た。

 

「ファリド総統は何を考えて居るのだ・・・アーバ・リントなどをギャラルホルンに引き入れるなど・・・」

 

「アーバ・リント?誰ですかそいつは?」

 

一緒に食事をして居たパトリックがマネキンにそう聞いた。

 

「元アメリカ軍に所属して居た軍人でBETAではなくイラクや中東などの治安維持活動などで少佐の地位まで上り詰めたが・・・良い噂を聞かない男だ。」

 

「と言うと?」

 

「奴は、デモ隊や反政府主義者の鎮圧には手段を選ばない。例としては数年前にイラクで起こった反アメリカ主義者に対する鎮圧作戦の時、デモ隊の監視をして居たリント率いるアメリカ軍の戦車が反政府主義者により攻撃を受けたと言う理由で発砲した。しかし、それはリントが仕掛けたマッチポンプだったと言う噂があり、更に残った反アメリカ主義者と市街地で戦闘になった時には化学兵器を使い敵を掃討したと言う情報もある」

 

「化学兵器!?そんなの!問題にならなかったんですか?」

 

「一応問い正されたが、毒ガスの件は敵が使おうとした毒ガスに銃弾などが当たり、市街地に漏れたと主張しアメリカ軍もその主張に賛同した。」

 

「そんな・・・大丈夫なんですかね?・・・」

 

「分からん・・・」

 

マネキンは不安に思いながらもパトリックにそう言った。

 

 

 

 

 

 

二週間後

 

第2連合艦隊はスエズ運河を抜け、紅海に入った。

 

「リント二佐、そろそろ目的地に到着する攻撃態勢を整えるべきでは?」

 

「いいえ、我々はこのまま目的地を素通りし、紅海を出ます。そしてアデン湾で攻撃態勢を整え反転、そして改めて攻撃にはいります」

 

「なんだと!それでは敵が目の前に居るのにわざわざ離れた所で部隊を展開すると?そう言うのか参謀は?」

 

「表向きには今回の我々の行動はインド洋での演習と言う事になって居ます。なので我々が目の前を通り過ぎ、敵が警戒態勢を解き油断した隙に反転、一気に叩き潰します。そうすれば予想外の事に敵は落ち着いた行動が出来なくなり、成すすべもなく我々により殲滅されるでしょう。」

 

「なるほど・・・」

 

イオクはリントの言葉に納得しそう言った。

 

そして第2連合艦隊は目的地であるサウジアラビア沿岸の砂漠地帯を通り過ぎ、アデン湾に向かっていった。

 

 

 

一方、ギャラルホルンの殲滅対象であるBETA教団はギャラルホルンの動向を探るため、偵察隊を派遣して居た。

 

 

「ギャラルホルンの悪魔どもは、本当に演習に来たようだな」

 

「取り敢えず、一安心という所か・・・教祖様に伝えとけ、悪魔供は過ぎ去ったと。」

 

「了解です」

 

「さて帰るか・・・」

 

ギャラルホルンが無事に通り過ぎた事を確認したBETA教団の一人はそう言い本部に戻って行った。

 

 

 

 

そして

 

アデン湾

 

「そろそろですね、特務一佐」

 

「うむ!これよりBETA教団殲滅作戦を開始する!全艦反転!」

 

イオクの命令により第2連合艦隊に所属する全ての艦は反転、戦闘態勢を整えてもう一度紅海に入って行った。

 

「特務一佐、敵BETA教団の本部は地下にあります、まずは脱出路を全てミサイルとMSの攻撃で破壊しそれから本格的な攻撃を始めましょう。それと敵はMiG21やF4を主力とした戦術機部隊が60程居ると情報が有ります、全部隊には実弾の他にEライフルも装備させて出撃させましょう。」

 

「Eライフル?あぁ、対BETA及び対戦術機用の新兵器か。良いだろう、すぐに準備しろ」

 

「ハッ!」

 

 

格納庫

 

「Eライフル、確か新兵器と聞いて居ましたが・・・」

 

アリサはそう呟きEライフルやらを見た。

 

新兵器と聞いては居たが、形はグレイズのライフル其の物であり、レギンレイズ用のEライフルもレギンレイズのライフルと形は全く同じである。

 

「まぁ良いでしょう。使って見れば分かります」

 

そう言いアリサはシュヴァルベに乗り込みカタパルトデッキにシュヴァルベを出した。

 

「アリサ・ボードウィン!シュヴァルベ出ます!」

 

そう言いアリサの乗るシュヴァルベは大空へと飛び立った。

 

 

 

「我々も行くぞ、新・頂武レギンレイズ中隊!アンドレイ・スミルノフ出るぞ!」

 

それに続きアンドレイ率いる新・頂武中隊も出撃して行った。

 

 

「全モビルスーツ部隊出撃完了しました!」

「全艦敵基地に対しミサイル攻撃を開始しなさい」

 

「了解しました。」

 

リント二佐の命令で全ての艦から対地ミサイルが一斉発射された。

 

 

 

 

 

 

 

BETA教団本部

 

「緊急事態です!!我が本部にミサイル攻撃が!」

 

「何!?どこの軍か!?」

 

「確認します!これは!この攻撃は!ギャラルホルン第2連合艦隊からです!」

 

「悪魔共の軍だと!?馬鹿な!奴らはインド洋に向かった筈では!?」

 

「そんな事はいい、とにかく今は教祖様にこの事を!」

 

そこまで行った時オペレータールームの天井が崩壊しこの部屋は土砂で埋まった。

 

 

 

第2連合艦隊によるミサイル攻撃で脱出路やオペレータールームなど重要な所は全て破壊された。

 

 

 

「BETA教団本部にミサイル全て着弾!」

 

「よし、この後はどうするか?二佐」

 

「我々と敵の戦力差は天と地です此処は物量に任せた力押しで行きます。」

 

「力押し!?しかしそれでは敵に付け入られるのでは?」

 

「逆です、こうも戦力差がある場合、下手に策を講じるより力押しで行った方が効率的です。」

 

「ふむ、そういう物か?」

 

イオクがそう呟いた時。

 

『司令部!我が軍部隊は、敵戦術機部隊と接触しました。』

 

「了解しました、MS部隊は攻撃を開始して下さい。」

 

リントはMS部隊にそう命令しそしてイオクにこう提案した。

 

「どうですか?此処は私が指揮をしますのでイオク特務一佐も出撃して見れば?」

 

「うむ、そこまで言うなら此処は任せる!」

 

「あ!お待ちください!イオク様!!」

 

イオクが艦橋から出て行くと同時に、イオクと共にいた親衛隊達も後を追って行った。

 

「フッ、これで無能な指揮官は居なくなりましたね。特殊装備隊に連絡!例の作戦を実行せよ!」

 

「了解!」

 

(さて、此処からは私のやり方でやらせてもらいますよ、私の大好きな殲滅戦をね)

 

リントはそう心の中で思った。

 

 

 

 

その頃

 

前線

 

「アンドレイ二尉!敵が来た、気を引き締めてください!」

 

「了解しました!」

 

そう言いアンドレイと彼が率いる新・頂武中隊は臨戦態勢に入った。

 

敵はMiG21が50機、F4が10機であった。

 

(取り敢えずこの新兵器使って見ますか・・・)

 

そう言いアリサはEライフルを戦術機に向け、トリガーを引いた。

 

すると

 

「え?」

 

銃口からは実弾ではなく、オレンジ色の閃光が飛び出し、MiG21の持っている盾を貫通し、機体に着弾。一瞬で機体を破壊した。

 

「光学兵器・・・フッ、これならば!!」

 

そう言いアリサとMS部隊は敵に突撃して行った。

 

 

 

 

 

一方BETA教団は大混乱であった。

 

「悪魔どもめ!よもや光学兵器を保有していようとは!」

 

「どうすれば!」

 

教団に所属する衛士達は慌てふためいて居た。

 

すると

 

『恐れてはならない!』

 

「教祖様!」

 

するとBETA教団の教祖と名乗る者からの通信が全ての戦術機に流れた。

 

『この戦いは神の使者たるBETAを葬る、ギャラルホルンと名乗る悪魔の軍団との聖戦である!例え兵器の性能差があろうと!我々には神の力が付いている!』

 

「おお!」

 

「そうだ!我々には神が付いておられる!」

 

「悪魔の軍団を倒せ!!!!」

 

皆口々にそう言いギャラルホルンの部隊に突っ込んで行った。

 

 

 

 

 

その光景を見たアリサは

 

「哀れですね・・・でも容赦はしません!」

 

そう言い次々と粒子ビームでコックピットを貫き、近づいて来た敵は全てバトルブレードでコックピットを串刺しにして行った。

 

「死ね!悪魔の使徒め!」

 

そう言い敵の衛士がナイフを突き刺して来たが、アリサは咄嗟にその戦術機に蹴りを入れた。

 

「我々も行くぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

そう言い新・頂武中隊も敵の戦術機に攻撃を仕掛けようとした時。

 

「隊長!危ない!」

 

「な!」

 

間一髪避けだが、なんと安全な筈の後ろからレールガンの弾丸が飛んで来たのだ。

 

「何処から!?」

 

そう思い周りを見てみると、後ろにレールガンを装備した黒いレギンレイズが居た。

 

 

その機体に乗っているのは

 

「愚かなる狂信者ども!このイオク・クジャンの制裁を受けろ!」

 

今回の討伐軍司令のイオクが前線に出てきて、敵に突っ込みながらレールガンを乱射した。

 

「何を考えているんだ!味方も居るんだぞ!」

 

そう思いアンドレイはその黒いレギンレイイズを見てそう文句を行った。

 

しかし、威勢良く攻撃はしているがイオクのレギンレイズの攻撃はことごとく当たらず戦術機の背後の砂に着弾するだけであった。

 

しかしそれを見たイオクは

 

「クッ!避けたか・・・戦術機でありながら!中々やるな!!」

 

イオクは自分の攻撃を避けたと思い込みそう言った。その時、戦術機の一機が背中に装備されて居る長刀を掴みイオクのレギンレイズに斬りかかった。イオクは咄嗟に盾で防御をしたが明らかにイオクが押されて居た。

 

「この俺と互角とは!手練れだな!!」

 

イオクはそう言ったがはっきり言ってパイロットが手練れではなくイオクが弱すぎるだけであった。

 

するとイオクに斬りかかって居た戦術機にシュヴァルベのアンカークローが当たり、戦術機が怯んだ隙に、シュヴァルベは戦術機に蹴りを入れた。

 

「邪魔をするなアリサ!」

 

「邪魔なのはイオク様です。役に立たないのであれば、せめて後方で大人しくして下さい。」

 

そう言いアリサはシュヴァルベを操り次々と戦術機を葬って行った。

 

「それは俺の獲物だ!!」

 

イオクがそう言った時、一機の戦術機がミサイルをイオクの機体に向かって発射した。しかし間一髪のところでイオクの親衛隊の一人が放った粒子ビームに当たり爆発、イオクの機体には着弾せずに済んだ。

 

「イオク様!お下がりください!」

「何をする離せ!」

「ここは我々にお任せになって後方で控えていて下さい!」

「しかし」

「イオク様の出るほどの相手ではありません!」

「将には将としての責務というものが!」

「この俺がやらねば誰がやると言うのだ!」

 

イオクのお世話がかりこと、イオク親衛隊が尚も前線に出ようとするイオクを必死に説得し引き止めようとしていた。

 

「やれやれ、無能ならせめて身の程をわきまえて欲しい物です」

 

アリサはその様子を見てそう言った。

 

 

 

 

その頃

 

「この辺りです!」

 

特殊装備隊と呼ばれる何やら巨大なガスボンベを持ったグレイズが8機、教団本部があると思われる場所の真上に到着した。

 

「リント二佐、予定の位置に着きました。」

 

『よろしい、始めなさい。』

 

リントの指示に従い、グレイズ8機はガスボンベを地面に起き。

 

「システム作動!」

 

そう言いガスボンベに付いているスイッチを押した。するとドリルの音がしたと思うと、次に何やらガスが漏れる音がしたて来た。

 

「任務完了だ、引き上げるぞ!」

 

 

 

 

 

 

その頃

 

教団本部

 

「グアアアアアア!!!!」

 

「い、息が!!!!」

 

教団の地下本部に流れ出ているの先程特殊装備隊が持っていたガスボンベから放出された毒ガスである。

 

その毒ガスにより教団本部にいた信者たちは全員が悶え苦しみ死んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

第2連合艦隊旗艦

 

「リント二佐!特殊装備隊から連絡!作戦は成功です!」

 

「了解しました、これより掃討戦に移行します。」

 

(作戦は順調・・・やはりギャラルホルンはいい、私の大好きな掃討作戦がやり放題ですからね・・・)

 

リントは心の中でそう思っていた。

 

すると・・・

 

「緊急事態です!イオク様の機体が謎のヘキサフレーム系モビルスーツと戦闘状態に入りました。」

 

「何?」

 

 

 

 

 

その頃

 

前線

 

そこでは教団の本部が壊滅したと言うのに、未だに戦いが続いていた。

 

一方イオクは親衛隊達のレギンレイズに守られながそのど真ん中にいた。

 

「離せ!やはり私は前線で戦わねばならぬ!部下達が必死で戦っていると言うのに!このまま、おめおめと!」

 

イオクがそこまで言った時。

 

コックピットに警告音が鳴り響いた。

 

「警告?何処から!?」

 

イオクがそう呟いた時。

 

 

 

 

 

『チョイサー!』

 

真っ赤に塗装された一機のユーゴーがイオクのレギンレイズの真上から一気に降下し、レギンレイズの右腕をバスターソードで真っ二つにした。

 

「な!俺が反応できなかっただと!?」

 

『あぁ?何だ!?ギャラルホルンの兵隊さんは強いと聞いていたがめちゃくちゃ弱えじゃねぇかよ!』

 

「貴様!私を誰だと思っている!」

 

そう言いイオクのレギンレイズはブレードを抜き赤いユーゴーに斬りかかった。

 

「私はイオク・クジャン!ギャラルホルンの最高幹部の1人だぞ!!」

 

そう言いブレードを振り下ろしたが、そのユーゴーはイオクの攻撃を避け、膝蹴りを入れ、怯んだ隙にバスターソードで残った左腕と両足を切り落とし、最後にもう一発蹴りを入れ、イオクの機体を地面に叩き落とした。

 

『最高幹部様だか何か知らねぇが戦場では関係ねぇな!死ぬか生きるか!それだけだ!』

 

そう言い、その赤いユーゴーはレギンレイズの機体にバスターソードを振り下ろそうとした。

 

「「「イオク様!!」」」

 

周りにいた親衛隊達は目の前の戦いを放棄し、イオクを助けようとした。

 

その時

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、アリサ・・・」

 

『あぁ?なんだお前は?』

 

イオクのレギンレイズと謎の赤いユーゴーの間にアリサのシュヴァルベが割って入り、赤いユーゴーの攻撃を止めた。

 

「アリサ・・・お前私を助けて・・・」

 

『勘違いしないでください、私は貴方を助けたつもりは、有りません!』

 

そう言い、アリサは赤いユーゴーに蹴りを入れた。

 

『こいつは、作戦の邪魔になる存在なので攻撃しただけです。』

 

そう言いアリサはEライフルを捨て、腰に装備している普通のライフルを手に取った。

 

「貴方の相手は、この私アリサ・ボードウィンがお相手します」

 

アリサが赤いユーゴーにそう言った時。

 

『ククククククク、ハハハハハ!!!そうかよ!テメェが噂の青い流星様かよ!こりゃあ楽しくなりそうだぜ!』

 

ギャラルホルンの中でも指折りの実力者に入るアリサの名前を聞いたその男は歓喜し笑い出した。

 

「あなたは・・・一体・・・」

 

こんな状況で笑っているその男の心理が理解出来ずそう言った。

 

『俺か?俺は只の戦争屋だ、そうだなどうしても名前で呼びたければこう呼んでくれ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アリー・アル・サーシェスと呼んでくれ!ギャラルホルンのエース様よ!!!!!」

 

そう言いその男、サーシェスはバスターソードでアリサのシュヴァルベに斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




アリー・アル・サーシェス

年齢:不明

本名や出身地、全てが謎の傭兵家、自身のことを、戦争が好きで好きでたまらない、人間のプリミティブな衝動に準じて生きる最低最悪の人間と自称し、その言葉通り戦いを人生の最高の喜びとしている正真正銘の戦闘狂。

元ネタは言わずと知れた、焼け野原ひろしこと、ガンダム00のアリー・アル・サーシェス




Eライフル

正式名称はエイバブリアクターライフル。これからのBETAや戦術機の戦いに備えて2年前から研究がスタートしやっと完成に至ったギャラルホルン初の実戦的なビームライフル。形やデザインは従来のグレイズやレギンレイズのライフルと全く同じである。





やってしまった・・・サーシェスは出すつもり無かったのに、味方にばかり強いガンダムキャラがいるのはどうかと思ったのと、単純な掃討作戦ではつまらないと思って、ほぼ思いつきで出してしまった・・・もう、この小説が鉄オルなのか00なのか、作者ですら分からなくなってしまいました。(笑)


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新たなる戦いの始まり

『オラッ!逝っちまいな!!』

 

サーシェスはそう叫びシュヴァルベにバスターソードを振り下ろした。

 

しかし、アリサはその一撃を避け、ライフルでサーシェスのユーゴーを牽制したが、ユーゴーは弾が当たる瞬間、持って居たバスターソードを楯の代わりにし、攻撃をすかさず防いだ。

 

『少しは楽しめそうじゃねぇかよ!!!』

 

すると言いお返しだと言わんばかりにユーゴーのライフルでシュヴァルベを銃撃した。

 

そしてシュヴァルベらその攻撃を全て避けた。

 

「よし、避けた!」

 

『ところがぎっちょん!!!』

 

「何!!」

 

避けた瞬間ユーゴーはアンカークローを射出し、シュヴァルベを拘束した。

 

『これで御陀仏!!!!』

 

そう言い、ユーゴーはバスターソードをコックピットに振り下ろそうとした。

 

「や、やられる・・・」

 

アリサがそう思った時。

 

『特務二尉!!!』

 

第0部隊所属のレギンレイズがサーシェスのユーゴーに体当たりし攻撃を阻止した。

 

『邪魔だ!!!!』

 

そう言いサーシェスのユーゴーは脚部クローでレギンレイズのコックピットを鷲掴みにし、コックピットごとパイロットを潰した。

 

 

 

「貴様!!!」

 

シュヴァルベはアンカークローを射出し、ユーゴーのライフルを破壊し、バトルブレードを抜き接近戦に持ち込み、ユーゴーのバスターソードとシュヴァルベのバトルブレードがぶつかり合い、火花が散った。

 

『ハッハー最高だなモビルスーツてのは!コイツはとんでもねぇ兵器だ!戦争のしがいがあるぜ!礼を言わせてくれ!ギャラルホルンさんよ!こんな面白い兵器をこの世界に生み出してくれてよ!!!!』

 

「クッ!これ程の力がありながら!貴様は何故カルト教団に!」

 

『別に俺は教団のメンバーじゃねぇ!さっきも言ったが俺は戦争屋だ!今回の依頼主が教団だから戦っているだけだ!』

 

「そんな理由で!貴方は今!世界がどうなっているのか!!理解しているのですか!!何故この力を人類の為に使おうとしない!」

 

『世界?あぁ、BETAの事か?悪りぃが俺はBETAとの戦いは好きじゃねぇ!考え無しに突っ込んでくる馬鹿な生物をただひたすら撃つなんて、つまんねぇんだよ!やっぱ戦争は人間同士でやるからこそおもしれぇんだよ!!!!」

 

そう言いサーシェスはユーゴーを操作し、アリサのシュヴァルベに蹴りを入れた。

 

「グッ!楽しむ為だけに・・・自分の為だけに戦うなんて!そんな事!!!許されるはずがない!!!!」

 

「ほざけ!理由なんていらねぇんだよ!そもそも!どんな理由があろうか知らねぇが!テメェだって人を殺してるじゃねぇか!!そう言う所ではテメェも俺も同じ穴の狢だろうが!!!」

 

「黙れ!!!!」

 

そう言いアリサは銃をユーゴーに乱射した。

 

「手元が狂ってんぜ!!エース様よ!!!」

 

「ふざけるな!!!私は貴方とは違う!!貴方の様に!負けてたまるか!!!」

 

 

そう言い弾切れになったライフルを捨てもう一度サバトルブレードを抜きサーシェスのユーゴーに斬りかかった。

 

その時。

 

『サーシェス殿私は脱出した、もう戻ってきてくれ』

 

「チッ!良いところなのによ!」

 

そう言いサーシェスはアリサの攻撃を避けアンカークローでアリサのシュヴァルベを牽制し。

 

『わりぃ!俺のスポンサー様からのお呼び出しだ!また会おうぜ!エースのお嬢ちゃん!』

 

「待て!逃がすか!!」

 

『逃がさせてもらうぜ!』

 

そう言いユーゴーは腰に搭載して居た手榴弾の様なもを投げ付けた。

 

すると

 

「LCS通信途絶、センサーも使用不能、ナノミラーチャフか!」

 

 

 

ナノミラーチャフを撒かれアリサはサーシェスのユーゴーを見失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

第2連合艦隊旗艦

 

「イオク様!」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「肩に、肩につかまってください」

 

「お、おぉ、お前たちすまんな・・・」

 

イオク親衛隊の皆は破壊されたイオクのレギンレイズからイオクを引っ張り出し医務室へ運んだ。

 

幸い、怪我はかすり傷程度だが精神的ショックが大きく、アリサが後で整備兵に聞いた話ではイオクはサーシェスに襲撃された時、コックピットで漏らしてしまったらしい。

 

 

一方アリサの方も精神的ショックは大きかった。

 

「勝てなかった・・・私が・・・あんな奴に・・・」

 

あんな戦いを生き甲斐にしている様なふざけた奴に勝てなかった事にショックを受けてしまって居た。

 

「しかし、奴は手練れでした。そんな奴と対等に戦えただけでも特務二尉は凄いと私などは思いましたが」

 

アンドレイは本心からアリサに対しそう言った。

 

「ありがとう二尉、でも今の私にはその事を素直に受け止める事は・・・」

 

「失礼しました特務二尉」

 

「いや、別に貴方は悪くないです・・・」

 

アリサがそう言った時。

 

「LCS通信?誰から・・・もしもし」

 

アリサが電話に出て見ると

 

「・・・了解しました!すぐ向かいます!」

 

そう言いアリサは咄嗟にシュヴァルベに乗り込み出撃してしまった。

 

 

 

 

 

その頃

 

 

旧教団本部から少し離れた街。

 

「仕事は終わったぜ、報酬はちゃんとあるんだろうな」

 

「勿論だ、ほれ」

 

そう言い、サーシェスの雇い主である教団教祖は大量の札束が入ったジェラルミンケースを渡した。

 

「確認したぜ、それじゃあ俺は次の戦場に行かせてもらうぜ。」

 

「分かった、しかしくれぐれも我々の事は・・・」

 

「安心しろ、依頼人の秘密や名前などは死んでも話さねぇからよ。」

 

「感謝するぞ」

 

「そんじゃあ」

 

そう言いサーシェスはユーゴーを操りその場を離れた。

 

「しかし教祖様、我々は何処に行けば・・・」

 

教団幹部がそう聞くと。

 

「アメリカへ向かう。悪魔どもは愚かにも毒ガスを使ったのだ、この事をアメリカに教えれば、ギャラルホルンの権威を失墜される事が出来るからな。」

 

「しかし、アメリカは素直に我々を受け入れるのでしょうか・・・」

 

「心配するな、アメリカとは既に話しが付いている」

 

教祖は心配する教団幹部にそう言った時

 

「へぇ・・・ならこのまま行かせる訳には行かないね・・・」

 

「そうですね、先輩」

 

そう声がしたと思うと

 

 

「な!!」

 

その瞬間教祖を除く全ての教団幹部が四方八方から銃撃を受け死んだ。

 

そして教祖の周りにはAK-47を持った10人の人々に包囲された。

 

「なんだお前たちは・・・」

 

教祖がそう言った時。

 

「動かないでください」

 

「動くと脳天を撃ち抜きますよ」

 

教団で支給されるローブを羽織った金髪碧眼とオレンジ色の髪の女の子が教祖に銃を向けそう言った。

 

「な、なんだお前たちは!ギャラルホルンのスパイか!」

 

「ギャラルホルン?いいえ、私達は・・・」

 

オレンジ色の女の子が其処まで言った時。

 

『人生、何が起こるかわかりませんね。まさかシュタージに助けられるとは・・・』

 

アリサはスピーカーでそう言い、シュヴァルベを着陸させた。

 

「シュタージだと!?何故、東ドイツの秘密警察が!」

 

「黙ってください」

 

そう言いオレンジ色の女の子は教祖を蹴飛ばした。

 

「貴方が、アリサ・ボードウィン特務二尉ですか?」

 

「そうですが、そういう貴方は?」

 

「私は、国家保安省ヴェアヴォルフ大隊所属のリィズ・ホーエンシュタイン中尉です」

 

「同じくファルカ・ミューレンカンプ少尉です。中尉、失礼特務二尉殿の事はブレーメン少佐から話は聞いています。」

 

「それは何より、所で君達が捕まえた獲物を横取りする様で悪いのですが、その教祖を我々に引き渡してもらいたい。」

 

アリサは金髪碧眼の女の子こと、リィズにそう言った。

 

「無論です、ブレーメン少佐からは引き渡す際にはファリド総統にくれぐれも宜しくと伝える様に伝言を貰っています。」

 

「分かった、マクギリス様にそうお伝えしておきます」

 

「お願いします」

 

そして、シュタージから教祖を引き渡してもらったアリサはシュヴァルベに乗り、第2連合艦隊旗艦に戻って行った。

 

「終わりましたね、先輩」

 

「うん、少佐褒めてくれるかな・・・」

 

「本当に先輩は少佐の事がお好きなんですね」

 

 

 

 

 

その頃

 

東ドイツ某所のトンネル

 

 

その中では東ドイツに居た全てのBETA教団のメンバーが一列に並べてられて居た。

 

そしてその後ろではベアトリクス少佐と国家保安省に所属する多数の兵が教団のメンバー達に銃を向けて居た。

 

「き、貴様ら!こんな事をしてタダで済むと思うな!神が与えた神罰に刃向かう者は全て!」

 

教団メンバーの一人が其処まで行った時、その者をベアトリクスは蹴り飛ばしこう言った。

 

「ほう、神?人類を滅ぼそうとしているのがその神とやらの意思なのか?」

 

「そうだ!だからこそ我々教団はBETAによる滅びを人類に受け入れされ、この恐怖から解放せねばならぬ!」

 

「フッ、確かにBETAの恐怖から人類を解放せねばならないな。その所は私も賛成だ。」

 

「ならば!」

 

「しかし、それを成すのは君達ではない。我々、ギャラルホルンの役目だ。」

 

「何!?」

 

「我々は人類を救済する、人類の滅びによってではなく、BETAの滅びによって真に人類を救済する。そして戦う事を諦めた腰抜けのお前達は生きる価値は無い。」

 

「ふ、ふざけるな!!!」

 

「あの様な、悪魔共に味方するなど!!!」

 

教団のメンバーは次々とベアトリクスに非難を浴びせたがそれを無視しベアトリクスは教団メンバーの頭に銃口を付けつけ。

 

「Strafe」

 

そう言い、銃の引き金を引きその教団メンバーを始末した。

 

するとそれに続きAK-47の銃声が鳴り響き、東ドイツに居たBETA教団のメンバーは皆殺しにされた。

 

「これで全てか?ミヒャルケ」

 

ベアトリクスは自分の部下のニコラ・ミヒャルケ大尉にそう聞いた。

 

「はい、これで東ドイツに居たBETA教団は壊滅しました。」

 

「そうか・・・では後はリィズ中尉とファルカ少尉が上手くやれているかだが・・・」

 

ベアトリクスは不安そうに二人の名前を呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

 

 

ヴィーンゴールヴ総統執務室

 

「ご苦労だったね、イオク、アリサ、そしてリント二佐」

 

「は!有難うございます!マクギリス様!」

 

「いいえ、私はサーシェスとか言う、傭兵に勝てませんでした。ですので・・・」

 

アリサはマクギリスにそう言ったが。

 

「しかし逃げた教祖を捕まえるという手柄を立てたじゃないか。」

 

「いいえ、でもそれはシュ・・・」

 

アリサが其処まで言った時。

 

「君達も疲れただろう、今日は自室でゆっくりしてくれ、しかしリント二佐君は少し残って貰いたい。」

 

マクギリスはアリサとイオクに下がる様に言い、唯一リントだけは残る様に言った。

 

「ハッ!了解しました!マクギリス様!」

 

「了解です・・・」

 

そう言い二人は執務室を出て行った。

 

 

そしてリントとマクギリスが二人っきりになった所で。

 

「さてリント二佐、実はさっき聞いたと思うが、幸い捕まえる事は出来たが、教団幹部と教祖に逃げられて居た件だが・・・」

 

「申し訳ございません、作戦を完遂出来ず・・・」

 

「フッ、確かに作戦通りに行かなかったな・・・君の作戦では、脱出路をあえて全て潰さず、教祖と教団幹部を逃し、我々ギャラルホルンが掃討作戦に毒ガスを使ったと言う情報を世界に流し、我々の権威を失墜させる筈だったんだろ?」

 

「は?え、総統何を冗談を・・・」

 

「その後、権威の失墜したギャラルホルンをアメリカを中心とした国連が管理し君は新ギャラルホルン最高幕僚会議のメンバーになる・・・フッ、成功していれば君は大出世だったのに、残念だな。」

 

「そ、総統何を、私はギャラルホルンの・・・」

 

「君が留守の間、監査局を動かし君の家を家宅捜査させてもらった。アメリカCIAから送られてきた極秘命令書、アメリカと内通している我がギャラルホルン将校のリストなどが沢山出て来た」

 

「あ、いう、いえ、そそそそそのいえ、違う・・・」

 

リントがそう言ったと同時に、執務室に監査局所属の軍人が入室し、リントを拘束した。

 

「それに、国際法で禁止されている化学兵器を無断で調達し、しかも作戦に用いるなど、監査局局長を兼任する私の立場的に認めるわけには行かない。アーバ・リント元二佐、君を名誉剥奪及び銃殺刑に処す。」

 

「おおおおお、お待ちください!!!これは陰謀です陰謀なんです!!!待ってください!!!いやぁぁぁーーーー!」

 

 

リントはそう叫び声をあげ、執務室から連れ出された。

 

 

 

 

 

 

ホワイトハウス

 

 

『そういう事です、この事を世間にばらされたくなければ、例の件宜しく頼みますよ』

 

「了解した、ファリド総統・・・」

 

『では・・・』

 

そう言いマクギリスはアメリカ大統領とのホットラインを切った。

 

 

「クソ!!」

 

「大統領閣下・・・」

 

「CIA長官!君の部下は揃いも揃って無能ばかりだ!!!クソ!クソ!クソ!!!!」

 

 

 

大統領は癇癪を起こし、室内で暴れまわった。

 

 

 

 

 

そして数月後に行われた国連安保理である法案が可決された。

 

それはギャラルホルン特別階級制と言う、ギャラルホルンの階級を国連軍より二階級上扱い、そして特務階級と准将は三階級上扱いとすると言う国際法が可決さた。

 

ギャラルホルンの権威を失墜させようとしたアメリカの謀略は返って、ギャラルホルンの権威と権限を上げる事となってしまった。

 

 

 

 

そしてその後も何度か戦いは続き、物語はついに運命の1983年に突入する。

 

 

 

 

 




リント二佐ごめんなさい(合掌)


そして次回からついにシュヴァルツェスマーケン本編に突入します。




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黒の宣告 再会

ついに原作スタートです。


1967年、人類は月面で異星起源種BETAと接触、戦争が勃発した。そして、6年後BETAは中国、喀什に落着。冷戦の只中、人類はBETAとの生き残りを賭けた戦いに突入する事となった。

 

しかしそんな中、人類に一つの希望が生まれた。

 

別世界から来たと名乗る男、マクギリス・ファリドによって創設された、思想、宗教、社会体制、全て関係なく人類を守る為戦う軍事組織ギャラルホルン

 

ギャラルホルンは創設から四年、迫り来るBETAの大軍を全て食い止め、それにより急速に勢力と権力を増大させた。そして現在、ギャラルホルンはアメリカと同等、それ以上の強大な軍事力を持ち、人類を守る最強の軍事組織として世界に君臨する事となった。

 

そして時は進み、時代は後に運命の1983年と呼ばれる時代に突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャラルホルン本部 ヴィーンゴールヴ

 

最高幕僚会議会場

 

「さて、諸君。今回の議題だが、現在、フィンランドにBETAの大軍が押し寄せている中、東ドイツにもBETAが押し寄せて来た。西ドイツも参戦し戦っているみたいだが、戦術機が主力の西ドイツ軍だけでは心許ない。その為BETA軍迎撃の為の軍を我が方から派遣したいのだが」

 

『残念ですが我々地球軍本隊及び近隣のギャラルホルン部隊はほぼ全て招集し現在はフィンランドのBETAに対応するのに、手一杯で地球軍からの派遣は無理です。』

 

「我々、地球外縁軌道統制統合艦隊もコロニーの治安維持やアステロイドベルトから帰還した輸送船団を襲う宇宙海賊の討伐などで忙しく無理です。」

 

地球軍総司令官であるマネキン准将はLCS通信で地球外縁軌道統制統合艦隊司令の石動はその場でマクギリスにそう言った。

 

「となると・・・」

 

「私にやらせてください!」

 

するとイオクが立ち上がり、そう言った。

 

しかしマクギリスは不安であった。

 

イオクをギャラルホルンに引き入れてから3年近く。イオク率いる第2連合艦隊はフィンランドや中東で何回かBETAとの激戦に参加した。

 

イオクは部下の奮闘もあり、何とか生き残ってはいるが、MSの操縦は素人以下である。しかし、どう勘違いしたのか、部下の実力も認めているが、それ以上に自分自身の事を最も高く評価し、実力で激戦を生き抜いたと思い込み、今では第2連合艦隊をギャラルホルン最強の軍と自称するほど調子に乗ってしまっている。

 

だが、地球軍本隊は手一杯、石動率いる地球外縁軌道統制統合艦隊は、コロニーの治安維持で意外と忙しく、カルタ率いる地球強襲突撃降下兵団は少数精鋭だが、敵に強襲攻撃を仕掛けてこそ、真価を発揮するタイプの軍の為、今回の様に多数の敵を迎え撃つ戦いには向いていない。

 

一応最近、グダニスクに要塞を建設し、此処には少なくない数のMSや陸戦艇が配備されている為、彼等にやらせようかと思ったが、話に聞いた所、別働隊のBETAへの対応に手一杯である為援軍を送る余裕は無い。

 

そうなるとイオクの率いる第2連合艦隊以外に出撃出来る纏まった軍が存在しない。

 

その為

 

「そうだな、イオクお前に任せる。くれぐれも無茶だけはしないように」

 

「ハッ!承知しました!」

 

マクギリスは渋々ながら、イオクに任せる事とした。

 

しかしそんなマクギリスの気持ちを知らないイオクは、元気よくマクギリスに敬礼をしそう言った。

 

 

 

 

 

総統執務室

 

「そういう事だ、東ドイツに迫るBETAの殲滅任務を頼むぞアリサ特務一尉」

 

「ハッ!」

 

この二年間、素晴らしい働きをしたアリサは特務一尉に昇格し、第0部隊内でも最強とされるMS部隊、"青のフェンリル隊"の隊長に就任して居た。

 

 

 

 

 

飲食店

 

「東ドイツ・・・四年ぶりの祖国か・・・」

 

アリサは一人昼食を食べながらそう言った。

 

実はアリサはこの四年間、旅行などはもちろん任務でも東ドイツには行って居なかった。

 

今までは東ドイツに向うBETAの殲滅は、ほぼマネキン准将率いる地球軍本隊や現地駐留部隊で対処し、そして万一BETAが地球軍の防衛網を迂回するなどして東ドイツに入られても、自分達、第2連合艦隊が援軍に向かう前に現地の東ドイツ軍が始末してしまうので、今までアリサの所属する第2艦連合艦隊は東ドイツに足を踏み入れた事が無かった。

 

しかし今回、BETAがフィンランドと東ドイツ、両方に攻め込むと言う二正面作戦を展開して来た為地球軍が動けず、東ドイツに向かうBETAの殲滅は第2連合艦隊が行う事となり、四年ぶりにアリサは祖国の土を踏む事となった。

 

「アネット・・・」

 

故郷に置いて来てしまった唯一無二の親友を思い出しそう呟いた。

 

 

 

 

そして作戦開始当日

 

第2連合艦隊全艦はヴィーンゴールヴの軍港を出て、東ドイツに向かって出航した。

 

「それにしても、自ら行くとマクギリス様に言ったが、正直私は共産主義者共を助けるのに抵抗がある。自らの国民から吸い上げた税金で国民を弾圧し、権力者の味方しかしない。そんな不純な軍隊を人類を守る為に戦う、清く美しい、志を持った我々ギャラルホルンが助けるなどと・・・」

 

「しかし、東ドイツが滅んだら西ドイツ、そして我々の同胞国であるAEU加盟国も連鎖的に滅びる事となりますよ」

 

「しかし、やはり共産主義者共のために命をはるなど・・・」

 

「その点はご安心を。イオク様は私が守ります」

 

「アリサお前・・・」

 

「別にイオク様には全く思入れもなく戦死しようが、どうしようが知った事ではありませんが、私はマクギリス様にイオク様を守る用に言われているので、仕方なくですが助けてあげます」

 

「ヌググ・・・」

 

イオクはアリサの物言いにムッとしてしまった。

 

 

 

 

 

 

その頃東ドイツ

 

雪が降りしきる中、BETAの大軍が東ドイツに向かって進撃していた。

 

そしてそのBETAを多数の西ドイツ軍の戦術機が迎え撃ってはいるが、手も足も出ず次々とやられて行った。

 

そんな中

 

 

 

666の数字が左肩に描かれているバラライカで構成された中隊規模の戦術機部隊がBETAの群れに向かって居た。

 

この中隊は国家人民軍第666戦術機中隊通称シュヴァルツェスマーケン。東ドイツ最強の名を冠する戦術機中隊である。

 

『ベルンハルト大尉。救援要請です』

 

「要請は却下。我々には課せられた任務がある」

 

中隊長であるアイリスディーナ・ベルンハルト大尉は部下のヴァルター・クリューガー中尉に言った。

 

そして暫くすると

 

「見つけた、レーザー級だ。タンク級に守られている。総員傾注。お待ちかねの狩りの時間だ。これより国家人民軍第666戦術機中隊はレーザーヤークトを開始する。前衛が突撃路を開き、後衛は背後を守りつつ支援攻撃。BETAのクズ共に容赦なくシュヴァルツェスマーケン(黒の宣告)を下してやれ!」

 

「「「「了解!」」」」

 

ベルンハルト大尉の命令と共に、第666戦術機中隊は光線級に突撃して行った。

 

"レーザーヤークト"それは、光線級が絶対にフレンドリーファイヤーをしないと言う特性を生かし、戦術機で他のBETAを盾にしながら光線級に近づき殲滅すると言う戦術である。

 

光学兵器が全く通用しないナノラミネートアーマーで守られたモビルスーツを主力兵器に使っているギャラルホルンやAEUのパイロットからすれば、こんな馬鹿げた事をせずともモビルスーツで上空から接近し、直接殲滅すれば良いのにと言われるかもしれないが、態々この様な危ない事をして居るのには、訳がある。

 

 

 

一言で言えば政治的理由というやつである。

 

 

 

モビルスーツを生産し販売する権利を得ている勢力はギャラルホルンと、ギャラルホルンから技術提供を受けているAEUの盟主国であるフランスとイギリスだけであり、そしてそもそもMS自体、エイハブリアクター工場を国内やコロニーに抱えている、この三つの勢力しか生産して居ない。

 

そして、今はアメリカと袂を分かち、ギャラルホルンの元に人類は結集すべきだと考える角笛主義を掲げる勢力だが、社会体制そのものは資本主義であり、更に党内部では角笛主義を危険思想とする意見が大多数。

 

その為、東ドイツが一方的とは言え対立している勢力の主力兵器を自軍の主力にすると政府の内外的面子という奴が立たない為、東ドイツはモビルスーツを導入していない。

 

だったらAEUからMSを唯一購入しているソ連経由で手に入れれば良いのでは?という話になるが、ソ連も政治的理由で大量にMSを購入しては居らず、更に購入したMSも全てソ連軍に優先配備される為、MSが登場してから四年、未だに東ドイツや東欧社会主義国にはMSは全く回って来てはいなかった。

 

そう言う理由で未だにバラライカなどの戦術機を対BETA戦の主力兵器としている東ドイツ軍は、BETAと少しでも優位に戦う為、この様な危険な戦術が使われているのだ。

 

 

 

「全部隊一斉射!撃て!」

 

何はともあれ、ベルンハルト大尉の命令により第666戦術機中隊は一斉にBETAの軍団に攻撃を開始した。

 

 

「シュヴァルツ04状況を報告せよ」

 

『戦車級に足止めされている!光線級を確認出来ない!』

 

シュヴァルツ04こと、政治将校のグレーテル・イェッケルン中尉はそう言った。

 

「了解した、他の機はどうか?状況と残弾を報告せよ」

 

『シュヴァルツ02此方も確認出来ません!残弾6割!』

 

副隊長であるシュヴァルツ02こと、ファム・ティ・ラン中尉はベルンハルト大尉にそう言った。

 

『シュヴァルツ05残弾4割!』

 

『シュヴァルツ08此方も残弾4割』

 

シュヴァルツ04ことシルヴィア・クシャシンスカ少尉

 

そしてシュヴァルツ08、テオドール・エーベルヴァッハ少尉は隊長のベルンハルト大尉にそう言った。

 

未だに光線級は見えないが皆落ち着いて、確実に敵を倒して居た。

 

 

 

ただ一機を除いて

 

「うああああああ!!!この化け物共め!!!」

 

『アネット!落ち着いて!』

 

シュヴァルツ06のコードネームを持つアネット・ホーゼンフェルト少尉は完全に暴走している様子で、戦友であるシュヴァルツ07こと、イングヒルト・ブロニコフスキー少尉の言葉を無視しがむしゃらにBETAに対し攻撃を加えて居た。

 

 

『シュヴァルツ06!撃ち過ぎだ!まだレーザーヤークトの途中だぞ!』

 

「進路上の敵を無力化してるだけです!」

 

そう言い、ベルンハルト大尉の言葉も聞かずアネットは、もう死んだBETAであるにもかかわらず銃弾を撃ち続けた。

 

『此方シュヴァルツ07、06は私に任せてください!』

 

そう言い、イングヒルトはアネット機の側に移動しアネットを説得した。

 

『アネット!落ち着いて!このままじゃみんなの仇も討てなくなりますよ。』

 

アネットはイングヒルトにそう言われてやっと我に返った。

 

「私・・・BETAを殺すぐらいしか・・・皆んなに・・・毎晩死んだ皆んなの夢を・・・」

 

『大丈夫。私が守ってあげる。だから落ち着いて』

 

イングヒルトはアネットにそう言い落ち着かせた。

 

「チッ、頭のイカれた衛士が前線に出てくるなよ・・・」

 

テオドールは一人コックピットでそう愚痴った。

 

 

実はアネットは戦いで、戦友を立て続けに失った影響で戦争神経症にかかってしまっていた。その為、戦場では理性のタガが外れ、勝手な行動を取ってしまう事が多々あり、イングヒルトがその宥め役となって居た。

 

 

それを見たベルンハルト大尉は。

 

『シュヴァルツ08、06と07の二人に気を配ってやれ』

 

「なんで俺が!」

 

『命令だ、異論は認めん!』

 

「チッ、了解」

 

テオドールに二人に気を配る様命令した。

 

 

そして中隊は他のBETAを始末しながら進み、暫くすると光線級が陣取っている丘の向こう側に着いた。

 

『レーザー級確認。切り込むぞ』

 

光線級を目視で確認したベルンハルト大尉は全機に突撃する様命令した。

 

「一匹漏らさず撃ち殺せ」

 

「「「「了解!」」」」

 

全部隊はベルンハルト大尉の命令と共に光線級に攻撃を開始。

 

光線級と、他にも光線級の側に群がっている戦車級なども次々と葬って行った。

 

 

 

その頃

 

前線司令部

 

「報告!光線級殲滅!レーザーヤークトは成功です」

 

「さすが第666中隊」

 

「ビーストナンバーとはよく言ったものだ」

 

「少佐。レーザーヤークト成功です」

 

「180秒後に面制圧攻撃開始。戦術機の撤退急がせろ」

 

副官のマライ・ハイゼンベルク中尉の言葉に、作戦司令官である、ホルツァー・ハンニバル少佐はそう言った。

 

 

 

 

 

前線

 

「総員傾注。レーザー級掃討完了。これより離脱を図る」

 

ベルンハルト大尉が全機に撤退を命令した時。

 

「新手よ同志大尉。連中は砲兵に任せて急ぎましょう」

 

新たなBETAの軍団が迫って来ている事をグレーテル中尉は報告し、急いで離脱する事を提案した。

 

 

しかし

 

「まだ来るのか!」

 

『アネット!もうやめて!』

 

アネットは長刀を持ち、未だに戦おうとして居た。

 

「チッ、病人に付き合ってられるか」

 

テオドールはその光景を見て、舌打ちをしそう言った。

 

その時

 

「え・・・」

 

「アネット!!」

 

一匹の突撃級が飛び出してアネットの機体に体当たりしようとし、イングヒルトはアネットの機体を突き飛ばし、庇った。

 

そして突撃級がイングヒルトの機体に衝突しそうになったその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレンジ色の閃光が突撃級を貫きたちまち肉片に変えた。

 

 

「何!?」

 

「ビームだと!?」

 

ベルンハルト大尉とテオドールがそう言った時。

 

「大尉!センサーに反応!左方向より飛行物体が迫って来ます!数およそ50」

 

「何ですって?まさか西ドイツの部隊?」

 

ファム中尉の言葉にグレーテル中尉はそう言った。

 

しかし

 

「いや、50機全てからエイハブリアクターの反応・・・と言う事は・・・」

 

「ハッ、奴らか!」

 

ベルンハルト大尉の言葉を聞きグレーテル中尉がそう言った時。

 

自分達の頭上をシュヴァルベを先頭にギャラルホルン主力モビルスーツ、レギンレイズで編成された合計50機のモビルスーツの編隊が頭上を通り過ぎた。

 

そして、それらのMSの肩には全て、角笛をモチーフとしたエンブレムが施されていた。

 

「ギャラルホルン・・・」

 

ベルンハルト大尉はそのエンブレムを見てそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

ギャラルホルン第2連合艦隊旗艦

 

 

「アリサ特務一尉率いるモビルスーツ部隊が、戦闘エリアに突入。現地で8機のバラライカと接触した模様です」

 

「バラライカ?前線のアリサ特務一尉に通信を」

 

「了解しました。」

 

イオクはオペレーターにアリサのシュヴァルベに繋ぐよう命令した。

 

『何の用ですか?イオク様』

 

「前線に出ているバラライカだが何処の所属か分かるか?」

 

『こんな所で戦闘を行なっているバラライカなど、東ドイツ軍以外あり得ませんよバカですか貴方は?』

 

「ウッ、も、勿論しっているさ。ただ教養の無いお前をテストしただけだ。」

 

『そんなくだらない事で通信を送らないで下さい、戦闘の邪魔です』

 

そう言いアリサは通信をブチ切りした。

 

「クッ、なんて無礼な奴だ・・・これだから教養の無いやつは・・・」

 

イオクはアリサの塩対応にそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィーンゴールヴ総統執務室

 

現在連絡員が東ドイツでの状況報告をマクギリスに伝えて居た。

 

「イオク様率いる第2連合艦隊が戦闘状態に突入しました。」

 

「そうか」

 

「それとMS部隊が、戦闘エリアで8機の戦術機部隊と接触したとの報告が。部隊名は第666戦術機中隊、通称シュヴァルツェスマーケンです。」

 

「シュヴァルツェスマーケン?確か東ドイツ最強の戦術機部隊だったな・・・」

 

「はい、レーザーヤークトというMSではなく、戦術機で光線級を潰す戦術を得意とし、パイロット全ても相当の練度を誇った一騎当千の強者ばかりだとか・・・」

 

「成る程な・・・」

 

マクギリスはそう呟き席から立ち、背後の巨大な窓ガラスから北海を見つめこう呟いた。

 

「興味深い・・・」

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

 

東ドイツ軍前線司令部

 

「ギャラルホルンだと?何処の部隊か?」

 

「今確認します」

 

ハンニバル少佐のその疑問にオペレータがそう言いギャラルホルン部隊の機体照合を始めた。

 

「出ました!所属確認、ギャラルホルン最高幕僚会議構成士官の一人、イオク・クジャン特務一佐率いる第2連合艦隊です」

 

「ギャラルホルンの最高幹部が率いる艦隊か・・・」

 

ハンニバル少佐がそう呟いた時。

 

「ハンニバル少佐!ギャラルホルンのMS部隊隊長と名乗る衛士がLCSで通信を送って来ました。」

 

「モニターに映せ」

 

すると其処には見るからに10代くらいの少女がモニターに映った。

 

「ハンニバル少佐ですね、私はギャラルホルン第2連合艦隊所属のMS部隊の指揮を取っている、アリサ・ボードウィン特務一尉です。」

 

その瞬間司令部はざわついた。

 

「特務一尉だと・・・つまり我々の階級に直すと・・・」

 

「大佐・・・こんな少女が・・・」

 

こんなまだ20歳にもなって居ない女の子が、国連や、他の国の階級では大佐に匹敵する階級を持っている事に、ハンニバル少佐とマライ中尉は驚いた。

 

すると

 

「我々はこれより、ギャラルホルンの作戦指揮権に基づき行動を開始します。しかし見たところ、光線級は掃討され砲撃によるBETA殲滅を行うと予想しますが、どうですか?」

 

「その通りです、特務一尉殿」

 

「なら、我々はこれより戦場に残されている部隊の撤退を援護します。それが終わり次第此方の砲撃と、我々の艦隊によるミサイル攻撃で残るBETAの殲滅を行いたいのですが」

 

「ありがたい申し出だ、こちらは180秒後に攻撃を開始する、撤収援護はその間にお願いしたい」

 

「了解しました」

 

そう言いアリサからの通信は途切れた。

 

「よろしいのですか、少佐」

 

「何、せっかく助けてくれるというのだ、お言葉に甘えようではないか。」

 

 

 

 

前線

 

「よろしかったのですか隊長?我々だけで残りのBETAを殲滅する事も出来たのでは?」

 

青のフェンリル隊に所属するパイロットがアリサにそう聞いた。

 

「いや、そんな事をすれば東ドイツ側の作戦を潰し、手柄を横取りされたと恨まれる可能性があります。それに、Eライフルはエイハブリアクターからのエネルギー供給で永久に弾切れにはならないですが、推進剤やオイルには限界があります。なので今回は各部隊の撤退を援護する形で良いです。まぁ、まだ戦う機会はいくらでもありますので、そう焦らなくても」

 

「そうですな」

 

そのパイロットはアリサの言葉を理解しそう言った。

 

「ギャラルホルン各モビルスーツ部隊は戦闘エリアに展開する東ドイツの戦術機部隊の撤収を援護、我々青のフェンリル隊は先程接触した第666中隊の撤収を援護をします」

 

「「「了解!」」」

 

そう言い、各モビルスーツ部隊はそれぞれ戦術機部隊の撤収を援護する為部隊ごとに散開し、アリサ率いる24機のレギンレイズで編成されている青のフェンリル隊も第666中隊の撤収を援護しに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ、私・・・もう少しで・・・イングヒルトが・・・」

 

アネットは自分が暴走したお陰でイングヒルトを殺しかけた事にショックを受け呆然としてしまった。

 

そして目の前ではギャラルホルンの部隊が、ミサイルやビーム兵器でBETAを次々と肉片へ変えている光景を見たベルンハルト大尉は。

 

 

「総員ギャラルホルンの部隊がBETAを引き付けている、この間に全機撤収する」

 

ベルンハルト大尉がそう言った時

 

『待ってください、同志大尉!このまま帰るなど、ギャラルホルンに借りを作る事になります!我々も残りのBETAの殲滅を行うべきです。』

 

政治将校であるグレーテル中尉はこの場をギャラルホルンに任せるのは政治的にまずいと判断しベルンハルト大尉にそう進言した。

 

「我々の任務は終わった。これ以上の戦闘は無用極まる」

 

『しかし!』

 

グレーテルがそう言った時。

 

「ハッ!シュヴァルツ06余所見をするな!」

 

『え!?』

 

ベルンハルトがアネットにそう言ったと同時に今度は要撃級がアネットのバラライカに襲いかかり、二つの前腕でアネットの機体を破壊しようとした。

 

「アネット!!!」

 

もう一度イングヒルトがつき飛ばそうとしたがもう遅く、アネットの運命は決まったかに見えた。

 

 

しかし

 

「グアッ!」

 

そんな運命の女神を蹴り飛ばすかのようにシュヴァルベがアネットのバラライカに蹴りを入れ、左手でバトルブレードを引き抜き、要撃級の腕を切り裂き、そしてEライフルを至近距離で発射し要撃級を肉片へと変えた。

 

 

『アネット!大丈夫!?』

 

「う、うん何とか」

 

アネットがイングヒルトにそう言った時。

 

『其処のバラライカ!貴方!死にたいのですか!?』

 

シュヴァルベから音声通信でそう言われた。

 

しかしその時

 

『え・・・その声・・・アリサ!?』

 

「ア、アネット!?な、何故君がここに!?」

 

四年前に死んだと思っていた親友が生きてギャラルホルンの機体に乗っている事に、アネットは何が何だか分からず困惑した様子でそう言い。

 

そしてアリサも四年前に別れた唯一無二の親友が、まさかこんな前線にいるとは思わずそう叫んでしまった。

 

 

 

ここに運命に遮られていた二人はは四年ぶりに戦場で再会する事が出来た。




因みに今のギャラルホルンの戦力は

宇宙軍

地球外縁軌道統制統合艦隊

ハーフビーク級×50

MS×1000

コロニー駐留部隊

MS×500


地球軍

12個艦隊編成

レセップス級×50

MS×3500



ざっとこんな感じです






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出会い

 

アリサたちMS部隊が前線で東ドイツ軍の撤退を援護している時、第2連合艦隊旗艦ではとんでも無いことが起こっていた。

 

それは・・・

 

「お待ち下さい!イオク様!」

 

「ここは、我々にお任せになってイオク様は後方で控えててください!」

 

「イオク様が出るほどの敵ではありますまい!」

 

何とイオクが前線に出ようとしていたのだ。

 

部下たちは何とかやめさせようとしたが。

 

「たとえ化け物でも全力で叩き潰すのが我がクジャン家の教えだ」

 

イオクは聞く耳持たず、格納庫へと向かって行った。

 

「しかし!イオク様に何かあれば・・・」

 

「何も無いさ、俺にはこれが・・・レギンレイズがある!」

「いえ、しかし・・・」

 

「それに、俺にはお前達が居る!お前達が俺の側にいる限り、俺に敗北の二文字は無い!だからお前達は俺を信じて付いてきてくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

前線

 

「アリサ・・・え?ど、どうして・・・」

 

「アネット・・・まさかこんな所で再会する事になるとは・・・」

 

親友とこうも早く、しかも戦場で再会した事に少し複雑な気持ちになっていた。

 

その時

 

第2連合艦隊旗艦から緊急通信が入った。

 

「何ですか・・・なに?イオク様が出撃した!?なぜ出撃させたのですか・・・謝るのは良いので何処に行ったか教えてください・・・ポーランド領内?了解した!」

 

そう言いアリサは通信を切った。

 

「フェンリル隊、緊急事態だ!イオク様が出撃した、これより私とほかに二機、合計三機でイオク様の回収を行います付いて来てください!」

 

「「了解!」」

 

そしてアリサはアネットが乗るバラライカの方を向き

 

『また会おう、アネット』

 

「ま、待って!行かないでアリサ!!」

 

そう言い、アリサのシュヴァルベはアネットの言葉を無視し、イオクを探しにポーランド領内へ向かって行った。

 

『我々も行くぞ!』

 

ベルンハルトも撤退するよう全員に命令した。

 

 

 

 

東ドイツ軍とギャラルホルンによる砲撃、ミサイル攻撃が始まり、先程まで居た所は火の海となって居た。

 

そして光線級を潰した第666中隊は戦闘エリアを抜けた為、スラスターの出力を落としながら基地へと撤収していた。

 

『アネット、そう言えばさっきの青いモビルスーツ、アリサて言っていたけど一体?』

先程の事が気になりイングヒルトはアネットにそう聞いた。

 

「私の大事な友達・・・昔からの仲でよく一緒に遊んだりして・・・優しい子なんだ・・・でも確か四年前のポーランド領内での戦いで死んだはずなのにどうして・・・」

 

『そう・・・大切な人なんだね・・・』

 

イングヒルトがそう言った時。

 

『シュヴァルツ06、どんな経緯があるか知らないがあの機体はギャラルホルンの物で、あのパイロットもギャラルホルンの兵士だ、そんな奴と仲が良いと知られればシュタージに消されるぞ』

 

グレーテルはアネットにそう警告した。

 

『それと司令部から緊急命令だ。現在国連軍の戦術機部隊がポーランド領内で救援を要請している。2機派遣する。国連へ貸しを作って来い』

 

その言葉に

 

「私が行こう、もう1機はエーベルバッハ少尉を指名する」

 

ベルンハルトはテオドールを指名し、ポーランド領内へ向かって行った。

 

 

 

 

 

 

ポーランド領内

 

「反応ありません。救援要請誤報じゃないですか?」

 

辺り見回しても国連軍など見当たらない為、テオドールはベルンハルトにそう言った。

 

 

すると

 

『なぜアネットを見捨てようとした?戦争神経症の衛士は邪魔ということか?』

 

ベルンハルトはテオドールにそう言った。

 

『どれだけ戦術機をうまく扱えても自分しか守れない貴様には衛士の資格はない』

 

「あんたがそんなこと言えるのかよ!」

 

テオドールはベルンハルトにそう怒鳴った。

 

「知ってるんだぞあんたがやったこと!あんたがシュタージを!」

 

しかしそこまで言った時、テオドールの頭は冷え、自分が何を言っているのか理解し黙った。

 

『続けないのか?私がシュタージの密告者だと言いたいのだろう?』

 

しかしベルンハルトは気にせずテオドールにそう言った。

 

 

すると

 

目的の国連軍をレーダーで捕捉した。

 

『話は後だな、私以下の人間になりたくなければ衛士としての誇りを胸に自分の義を果たせエーベルバッハ少尉!』

 

「チッ、了解」

 

そしてテオドールとベルンハルトはそのまま、戦闘エリアへと突入して行った。

 

しかしそこは正に地獄絵図、次々と国連軍のファントムが破壊されて行き、無事に残っているのはたった一機だけであった。

 

『エーベルバッハ少尉。BETAは私が引き受ける。あの機体の衛士を救え!貴様が衛士だという証拠を見せてみろ!』

 

「了解」

 

テオドールはベルンハルトの援護射撃の中、国連軍の衛士を救う為戦術機を着陸させ戦術機から降りた時。

 

「ウァ!」

 

爆風と共にテオドールは吹き飛ばされてしまった。

 

「何だ!」

 

そう言いベルンハルトが周りを見回すと。

 

『下等な化け物どもめ!イオク・クジャンの正義の制裁を受けよ!!』

 

10機のレギンレイズを率いている、隊長機と思われる黒いレギンレイズがレールガンをBETAの群れに乱射していた。

 

先程、テオドールが吹き飛ばされたのはあの黒いレギンレイズの弾丸が不幸にも流れ弾になり、近くに着弾してしまったからだろう。

 

「何だあの黒い機体は・・・射撃やモビルスーツの操縦センス何もかもが素人以下だ!何故あんな奴がギャラルホルンに居るんだ。」

 

ベルンハルトはイオクのレギンレイズを見てそう言った。

 

イオクの機体は射撃、動き、パイロット技術の全てが酷すぎた。

 

そんな奴がこのまま攻撃を続けるとテオドールが危険だと感じたベルンハルトはイオクの機体に回線をつなぎ、攻撃をやめるよう伝えようとした。

 

『そこのモビルスーツ!今すぐ攻撃をやめろ現在・・・』

 

「貴様の階級は何だ?」

 

しかし、イオクはベルンハルトの話を最後まで聞かず、何を思ったのか階級を聞いてきた。

 

『ハッ?大尉だが、それがどうした?』

 

「私の階級は特務一佐だ!つまり!お前達からすれば中将に値する階級だ!赤の大尉ごときが私に命令するな!」

 

そう言いイオクは一方的に通信を切った。

 

「馬鹿なのかアイツは・・・」

 

ベルンハルトはイオクに対しそう呟いた。

 

 

 

 

一方

 

「チクショウ!ギャラルホルンの馬鹿野郎め!」

 

テオドールは頭に着いた雪を払い改めてファントムに向かって行った。

 

 

そしてファントムのコックピットを開けてみると。

 

そこには自分より年下であろう少女がきを失っていた。

 

「リィズ・・・」

 

何故ならテオドールはその少女に今は亡き自分の妹との面影を重ねてしまったからだ。

 

『何をしている!エーベルバッハ少尉!国連の衛士を連れて、戻って来い」

 

「了解」

 

テオドールはベルンハルトの通信で我に帰り、この少女を背負い、自分の戦術機に戻ろうとした時

 

 

 

 

 

何と目の前で、爆風と共に自分が乗っていた戦術機が爆発した。

 

衝撃的な光景にテオドールが放心状態になっていると。

 

『イ、イオク様・・・あの〜』

 

『わ、私のせいではない!!私の射線上に機体を止めた衛士が悪い!!!』

 

何と、イオクのレギンレイズが放っていたレールガンが流れ弾となり、テオドールの戦術機に着弾。

 

テオドールの戦術機は木っ端微塵に破壊されてしまったのだ。

 

「テメェ、何しやがるんだこのボンクラ!!!」

 

『わ、私のせいではない!!貴様が、私の射線上に機体を置いた貴様が悪いんだ!!』

 

イオクに対し文句をテオドールにイオクは言い訳がましくそう言い返した。

 

その時

 

『いいえ、どう考えても貴方のせいです』

 

『なに?グアッ!』

 

するとイオクの機体は後から来たシュヴァルベに蹴り飛ばされ、そのまま首根っこを掴まれ、第2連合艦隊旗艦に連れ帰された。

 

「クソッ!ギャラルホルンのクソ野郎め」

 

テオドールがそう文句を言った時。

 

『エーベルバッハ少尉、取り敢えず私の機体に乗って帰還するぞ』

 

「チッ、了解!」

 

テオドールは舌打ちをしてそう言ったが、今回はベルンハルトに対してではなく、自分の機体を破壊したイオクに対して舌打ちをした。

 

 

 

 





イオク様原作に入って最初のやらかしです。

やっぱりBETAより恐ろしいのはイオク様です。


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東への亡命者

 

 

東ドイツ

 

ベーバーゼー基地

 

戦いが終わり、第666中隊とテオドールが拾って来た西ドイツの衛士と共に前線基地であるここに戻って来た。

 

 

 

「カティア・ヴァルトハイム少尉。国連軍大西洋方面第1軍。ドイツ連邦軍第101戦術機大隊第2中隊第3小隊所属。歳は15歳。ハンブルグ出身。両親の死をきっかけに軍に志願。数度の戦闘参加経験あり。まったく面倒なものを拾ってきたな貴様は」

 

政治将校であるグレーテルはテオドールが拾ってきた西ドイツの衛士、カティア・ヴァルドハイムの経歴を読み上げそう言った。

 

 

そしてテオドールとグレーテルはその女性衛士、カティアの居る病室に入った。

 

 

そこには、カティアの他にも中隊長のベルンハルトも居た。

 

 

テオドールは改めてカティアの姿を見て、亡き自分の妹のリィズに重なり、何とも言えない複雑な気持ちになって居た。

 

 

「貴方がテオドール・エーベルバッハ少尉でありますね?私はカティア・ヴァルドハイムと言います、助けていただきありがとうございます。」

 

「フン、お前戦場で自分を助けた奴等全員にそうやって礼を言うつもりか?」

テオドールはカティアの言葉にそう言い返した。

 

「はい!自分の命を救ってもらえたんですからお礼を言うのが当たり前です!」

 

「そうかよ」

 

テオドールはカティアにそう言った。

 

「それより、何か新しい話が聞けたか同志大尉」

 

グレーテルがカティアと一緒に居た、ベルンハルトにそう聞いた。

 

「今中隊について話していた所だ」

 

「西側の人間よ!」

 

「報道されている程度の話だけだ」

 

西ドイツの人間にベルンハルトは自分たちの事を教えたと言い、グレーテルは焦った様子でベルンハルトを咎めた。

 

「はい!666。ビーストナンバーを背負った東ドイツ最強の戦術機中隊、通称シュヴァルツェスマーケン。西ドイツでも有名です」

 

「フッ、そうか・・・」

 

ベルンハルトはカティアにそう言った。

 

しかし次にカティアはとんでもない事を言い出した。

 

「あの・・・お願いがあります!私をみなさんの中隊に加えてください!」

 

「な、何を言って居るんだ貴様は!同志大尉!何を吹き込んだ!」

 

「私は何も」

 

あまりの事にグレーテルは困惑し、ベルンハルトにそう聞いた。

 

「理由を聞かせてくれないか?カティア・ヴァルトハイム少尉、今の言葉はとても重い意味を持つことは分かっているな?」

 

「昔から憧れてたんです。もう一つのドイツはどんな所だろう。どんな人たちが住んでいるんだろうって。いつか訪ねてみたいと思っていました。東ドイツの人達とお友達になれればって」

 

「そうか、どう考える?同志中尉?」

 

「政治将校の私が認めるとでも?」

 

「しかし、万年人手不足の我が隊の戦力にするには十分だ。彼女が単騎で生き残っていたのは事実だ。だろう?エーベルバッハ少尉」

 

「は、はい」

 

ベルンハルトの言葉にテオドールはそう答えた。

 

「政治将校の権限を使えと言うのね・・・」

 

ベルンハルトが何を言いたいのか理解したグレーテルは腹をくくり。

 

 

「良いだろう、確認するぞヴァルトハイム少尉、貴官は我が国に亡命を望んでいるということだな?そして新たな祖国と党と軍に忠誠を誓うということか?」

 

「は、はい。私カティア・ヴァルトハイムは亡命を申請します!」

 

「よろしい。では手続きの用意をしよう。だがこれは特例である、そして一度我が国の人民になった以上、裏切りは許さん」

 

こうして、カティア・ヴァルトハイム少尉は、第666中隊に入る事となった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

今回の戦いに参加したギャラルホルン第2連合艦隊は次の戦いに備えるため、東ドイツザスニッツ近海に布陣し、近くのギャラルホルン地球軍やAEU加盟国のスウェーデンから派遣された補給船から補給を受けていた。

 

 

 

ギャラルホルン第2艦隊旗艦

 

『失態だなイオク、まさか東ドイツの衛士の命を危険にさらし、あまつさえ戦術機を流れ弾で破壊するなど・・・』

 

「マクギリス様!これは私のせいでは有りません!東ドイツ!あの恥知らずな赤の無能国家の軍人がレールガンの射線上に・・・」

 

『どのような理由があろうが、お前が東ドイツの衛士の命を危険にさらし、東ドイツの戦術機を破壊した事には変わりない。政治の世界では、うっかりや、わざとじゃないは通用しない。幸いにも東ドイツ政府関係者に頼み今回の事は有耶無耶にしたが、この様な失態をしたお前をこのままと言うわけには行かない。そこで次の作戦、お前にはモビルスーツに乗り前線に出る事を禁ずる。』

 

「クッ、了解しました・・・」

 

『次の作戦の指令書は後ほどメールで送るそれまで待機だ。』

そう言い、マクギリスは通信を切った。

 

 

第2連合艦隊士官室

 

イオクとの通信を終えたマクギリスは次に第2連合艦隊の政治将校的役割のアリサに通信を繋げた。

 

「と言うことは、今回のイオク様の失態はベアトリクス少佐に頼んで有耶無耶にしたと言う事ですか?」

 

『あぁ、この四年間、ベアトリクス少佐が集めた角笛派のシュタージや人民軍高官、そして党政府高官などの力で何とかな・・・』

 

「確か、それらの人々はモスクワ派を隠れ蓑にして居る人々でしたね。」

 

『よく知って居るな、その通りだ。モスクワ派は東ドイツ国内で力を持って居るからな、彼等のお陰で今回のギャラルホルンが犯した失態は無かった事にしてもらった。しかし、政治的には一安心だが、私個人として第666中隊には悪い事をしてしまったと思っている。そこで、次の作戦、グダニスク要塞から2個中隊規模の兵力を増援として送ってもらう事となったが、その時に彼等に、第666中隊への謝罪の品も一緒に持ってきて貰うつもりだ。』

 

「謝罪の品?モビルスーツですか?」

 

アリサはマクギリスにそう聞いた。

 

『いや、戦術機だ。東ドイツ政府や人民軍も第666中隊に我々が戦術機を渡す事を容認して居る。』

何故モビルスーツではなく戦術機を贈り物に選んだのか?それは前にも説明したが、東ドイツが政治的理由でMSを持っていない事が理由である。MSを持って居ない東ドイツ軍は当然MSを整備する施設や、MSのパーツのストックなどは持っていない。

 

パーツならギャラルホルンが用意したりなどで何とかなるが、施設に関してはそうは行かない。何故なら東ドイツは明日国が滅びるかもしれない前線国。国力や資源がギリギリなこの国に今からMSの修理施設などを用意する時間は無い。

 

その為、マクギリスはMSでは無くあえて戦術機を贈り物に選んだ。

 

「そうですか。所で、マネキン准将が指揮するフィンランド戦線はどうなって居ますか?」

 

『順調だ、一週間以内にはフィンランドに入ったBETAの軍勢は全て屍に変わるとの事だ。そこで先程言ったグダニスクから派遣される兵力だが、片方の中隊は地球軍本隊直轄の中隊となったアンドレイ・スミルノフ一尉率いる新・頂武中隊が派遣される事となった。今回の作戦、彼の中隊にはノイエ・ハーゲン要塞陣地の防衛を任せる事となる。』

 

「それは良いですね。ノイエ・ハーゲン要塞陣地はベルリンを守る拠点。その様な重要拠点の防衛には彼の様な優秀な指揮官が率いる部隊が適任です。」

 

『そうだな。所でアリサ最後に、お前の事だが・・・』

 

「私ですか?」

 

『あぁ、君の親友。アネットだったか?会えたか?』

 

「はい、戦場で・・・少しですが」

 

『そうか・・・』

そう言い、マクギリスはもう二度と会う事は無いであろう、自分の親友である、ガエリオの事を思い出し少し黙ってしまった。

 

「マクギリス様・・・」

 

『あぁ、何でもない。とにかく次の戦いも頼むぞ我が軍のエースよ』

 

「ハッ!」

 

アリサはマクギリスに対し敬礼をし、通信を切った。

 

 

 



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英雄の子

数日後

 

辺り一面雪景色の中、9機のバラライカが編隊を組み進んで居た。

 

『総員傾注。これより我が隊はレーザーヤークトの模擬訓練に入る』

 

ベルンハルトが言った様に今回、第666中隊は新人のカティアを引き入れた為、その調整も兼ねて模擬訓練を行う事となった。

 

『アネット、本当に大丈夫なの?』

 

イングヒルトはアネットを心配そう聞いた。

 

「私より未熟な子が戦おうとしてるんでだ。休んでいられない。それに・・・」

 

『それに?』

 

「アリサが生きて居たんだ!もう一度再会する為にも休んで居られない!」

 

そう言った、アネットのその顔は何か憑き物がとれた様な清々しい顔つきをして居た。

 

アリサは昔からの親友で、よく一緒に遊んだり、自分の家に泊まりに来たりなどし、また昔のアリサは優しかったが泣き虫で争い事が苦手な所があり、いつもアネットがアリサを守って居た。その為、アネットはアリサの事を自分の妹の様に思っていた。

 

その為、四年前のポーランドの戦いで死んだと聞かされた時にはアネットは実の妹を失った様な気がし、精神的に強いダメージを受けた。

 

しかしギャラルホルンの軍人になって居たとは言え、アリサは生きて居た。その事実はアネットを戦争神経症の鎖から解放し、アネットは完全に立ち直る事ができた。

 

『そう・・・』

 

しかし、その言葉を聞いたイングヒルトはアネットが立ち直り嬉しいはずなのに、自分はもうアネットを守る必要ないと思うと、何故か複雑な気持ちになった。

 

『さてヴァルトハイム少尉。貴官は本日付で666中隊の補充要員となった。覚悟はいいか?』

 

「ハイ!」

 

ベルンハルトの言葉にカティアはそう言った。

 

『聞いたぞ。西での初陣の際は小便を漏らしたそうだな。我が隊の任務は苛烈を極める。粗相するなよ』

 

「え、えええ!どうしてそれを!!!」

 

自分の恥ずかしい過去を突然皆の聞いて居る中暴露され、カティアは動揺した。

 

その光景をテオドールは気に入らない様で、不機嫌になっていた。

 

すると

 

『エーベルバッハ少尉。ヴァルトハイム少尉のサポートは以降も貴様に任せる』

「何で俺が!?」

 

『貴様がヴァルトハイム少尉を守るんだ。いいな』

 

「チッ、了解」

 

ベルンハルトに命令され、渋々テオドールはカティアを守る事となってしまった。

 

『それでは総員、匍匐飛行に移れ!』

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

訓練が終わり第666中隊は基地に帰還した。

 

「あう~へろへろです〜」

 

きつい訓練にカティアは戦術機から降りると床に倒れてしまった。

 

そんな光景だがテオドールは先ほどの訓練の事を思い出していた。

 

「こいつ・・・初めてのバラライカであの低空を・・・」

 

今まで西側の戦術機しか動かした事がない筈のカティアは東側の機体であるバラライカに初めて乗ったにもかかわらず、ちゃんと機体を扱えていた事にテオドールは驚いていた。

 

 

すると

 

「お疲れさま二人とも」

 

この中隊の副隊長であるファム中尉が二人の元に来た。

 

「また格闘戦して。ナイフに自信があるのはわかるけどテオドール君の悪い癖よ」

 

「いい加減君付けで呼ぶのやめてくれ」

 

「そんなこと言われるとお姉さん寂しいなぁ」

 

ファムは温厚で面倒見がよく中隊内で姉の様な存在で周りから慕われて居るが、馴れ合いを嫌うテオドールは快く思っていない為。ファムに対し塩対応であった。

 

「で、カティアちゃんでいいかしら?」

 

「は、はいファム中尉」

 

「お姉さんでいいわよ」

 

ファムは階級で呼ぶカティアにそう言った。

 

「どうだった?バラライカは』

 

「驚きました。ファントムとあんなに違うんですね、機動力が上がってる分防御力が犠牲になってたり」

 

「最初の訓練でそこまで気づくなんて筋がいいわね」

 

「ありがとうございます。」

 

自分を褒めてくれたファムにカティアはそう言った。

 

「期待してるわよ。カティアちゃん、おもらしもちゃんと直してね」

 

「ふぇえええ〜!」

 

ファムが自分の恥ずかしい過去を改めていじって来た為カティアは顔を赤らめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで話は数時間前に戻る

 

 

 

国家保安省武装警察軍基地

 

 

「お兄ちゃん大丈夫かな・・・」

 

テオドールの妹である、リィズは前線で戦う兄を心配し、手に持って居る紅茶のカップを眺めていた。

 

「先輩、やっぱりお兄さんの事が・・・」

 

「だってファルカちゃん、お兄ちゃんが所属している第666中隊て、危ない任務ばっかりやっている事で有名なんだよ、そんな所にお兄ちゃんが居るなんて・・・もしかしたら怪我とかしていたら・・・」

 

リィズはテオドールが心配になりそう呟いた。

 

すると

 

「問題は無いと思うわよリィズ。情報によると貴方のお兄さんのテオドール・エーベルバッハ少尉は中隊内でも筋がいいと聞いて居るわ。それにあの中隊はアイリスディーナが率いて居る、私は彼女自身は兎も角、彼女の能力は高く評価して信頼して居るわ・・・」

 

ベアトリクスがリィズを安心させようとそう言った。

 

「でも・・・」

 

しかし、それでもリィズはテオドールの事が心配でしょうがなかった。

 

 

すると

 

「え?」

 

エンジン音がする為、ファルカが窓の外をのぞいて見ると自分達とは違う部隊のチェボラシュカが7機、ヘリと共に飛び立って行く所が見えた。

 

「演習ですかね・・・」

 

ファルカがそう呟いた時。

 

「失礼します。」

 

部下のミヒャルケ大尉が部屋に入って来た。

 

「ちょうど良かったわミヒャルケ、さっきのあのチェボシュカは何事かしら?」

 

「あぁ、実は作戦参謀のアクスマン中佐がベーバーゼー基地に居る第666中隊に所属する、カティア・ヴァルトハイム少尉に任意同行を願うために、ベーバーゼー基地までの護衛として連れて行くらしいです。」

 

「カティア・ヴァルトハイム・・・確か西側からの亡命者だったわよね。」

 

ベアトリクスはミヒャルケにそう聞いた。

 

「ハイ、情報によりますと歳は15歳。ハンブルグ出身で両親の死をきっかけに軍に志願。数度の戦闘参加経験があり、そのおかげで戦術機の操縦もかなり光る物があるとか・・・これがその写真です。」

 

「成る程・・・」

 

カティアの写真を見たベアトリクス少佐はそのままポケットから四年前にマクギリスから貰った小型端末を取り出し、カティアについて調べ始めた。

 

この小型端末はギャラルホルン本部、ヴィーンゴールヴのデータベースに直結しており、其処にはありとあらゆる情報が集められて居る。

 

「成る程・・・面白いわね・・・」

 

「少佐?」

 

端末に載っている情報を見てベアトリクスは少し笑った。

 

「この情報が本物なら、彼女はアクスマンごときに渡すには勿体ない人材ね・・・ミヒャルケ、13機ほど連れて我々もベーバーゼー基地に向かうわ。」

 

「ハッ!」

 

ベアトリクスはミヒャルケに命令した後、リィズの方を向き

 

「ついでに、お兄さんの様子も見て来てあげるから、リィズとファルカはここで待機してなさい」

 

「はい!お願いします少佐!」

 

「了解しました!」

そしてベアトリクスもそのまま格納庫へと向かって行った。

 

 

 

 

 

コックピット内

 

「カティア・ヴァルトハイム・・・本名、ウルスラ・シュトラハヴィッツ・・・今は消された東ドイツの英雄シュトラハヴィッツ中将の実の娘・・・こちらの手札にする事が出来れば来たるべき時に役に立ちそうね。まぁ最も・・・あの女が引き渡すとは思えないけど・・・物は試しに・・・」

 

ベアトリクスはそう呟き、13機の戦術機を連れて、ベーゼーバー基地に向かって行った。

 

 

 






やっぱりベアトリクス少佐、改めて性格が優しくなった気がします。

これもマッキーのおかげという奴です。


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優しさ

そして時系列は戻り

 

ベーバーゼ基地

 

「あら?何かしら・・・」

 

突然、戦術機のエンジン音がし、不思議に思ったファムはそう呟いた。

 

すると

 

「この音は・・・MiG-23 チボラシュカ!」

 

そう言い、テオドールが外を見ると、其処には緑と灰色の迷彩カラーのチェボシュカが7機着陸した。

 

「あのカラーリングは・・・シュタージ!」

 

 

 

そして着陸したシュタージの戦術機は基地を囲うように配置し武器を格納庫に向けた。

 

 

「なんでシュタージが来たんだ!」

 

「私が奴らの動向を把握しているわけないだろ!」

 

 

グレーテルはテオドールにそう言った。

 

すると

 

「久しぶりだねアイリス」

 

「こんな前線に何の御用ですか?シュタージ武装警察、ハインツ・アクスマン中佐」

 

ベルンハルトはヘリからら出て来た赤毛の男性士官、ハインツ・アクスマンにそう言った。

 

「決まっている、カティア・ヴァルトハイム少尉に任意動向を願うためだ。」

 

「少尉は正式な手続きで編入された衛士だ。尋問の必要は認められない。」

 

ベルンハルトはアクスマンにそう言った。

 

しかし、アクスマンは引き下がらず話を続けた。

 

「おや、そうかい?少尉の亡命はあまりに突発的。にもかかわらず受け入れは不自然な程素早く行われた。さらに少尉を保護したのが過去に我々に世話になった衛士だという。疑うには余りあるとは思わないかね?」

 

そう言い、アクスマンはテオドールの方を見た。

 

「私の顔を忘れたか?テオドール・エーベルバッハ」

 

その時、テオドールの脳裏には三年前、亡命に失敗しシュタージに捕まった事を思い出した。

 

そして、目の前にいるアクスマンこそ、自分を尋問した張本人であった。

 

「何の罪も犯していない部下を尋問させるわけにはいきません。そうだな?同志中尉」

 

ベルンハルトはグレーテルにそう聞いた。

 

「シュタージが権利を行使するには対象が法を犯した国家の敵でなければならない。ヴァルトハイム少尉は何の違法行為も・・・」

 

「随分立派な事を言うではないか、グレーテル・イェッケルン中尉」

 

アクスマンはグレーテルを馬鹿にする様にそう言った。その時

 

「私を疑うのは分かります!けど!こんなやり方はおかしいです!私達の敵はBETAのはず。全ての人間がお互いを信じ力を合わせないとBETAには勝て・・・」

 

カティアが其処まで言った時。

 

『なかなかいい事言うじゃない、カティア・ヴァルトハイム少尉』

 

すると、その声と共にアクスマンが連れてきた7機の戦術機を包囲するように13機の戦術機が着陸した。

 

「チッ!君まで来たのか・・・」

 

「あら、来ちゃいけなかったのかしら?」

 

アクスマンにそう言い、ベアトリクス少佐は自分の機体から降りた。

 

「貴方まで・・・何の用ですか?ヴェアヴォルフ大隊指揮官、ベアトリクス・ブレーメ少佐」

 

ベルンハルトはベアトリクスにそう言った。

 

「久しぶりの再会だと言うのにつれないわねアイリス、私もそのカティア・ヴァルトハイム少尉に用があって来たのよ」

 

「その事は、さっきもアクスマン中佐に言った所だが何の罪も犯していない我が隊の衛士を渡すわけには・・・」

 

「何か勘違いしているようね、私は、別にヴァルトハイム少尉を尋問する為に来たわけではないわ」

 

「では、なんの為に?」

 

ベルンハルトはベアトリクスにそう聞いた。

 

するとベアトリクスはカティアの目の前に立ちこう言った。

 

「ヘッドハンティングよ、カティア・ヴァルトハイム少尉、君を我がヴェアヴォルフ大隊の衛士として迎えたい」

 

「え?」

 

「なっ!」

 

「本気で言っているんですか少佐?」

 

予想を斜め上に行く発言にベルンハルトやカティアを含めた第666中隊のメンバーだけではなく、アクスマンすらも驚いた。

 

「何を考えている少佐!此奴は元西の衛士だ!そんな奴をシュタージに入れるなど・・・」

 

「あらアクスマン中佐、だからこそよ。彼女は衛士としても優秀、しかも西側からの亡命者、宣伝に使えば我々東側の素晴らしさをアピールできるなど使い道はいくらでもあるわ」

 

「しかし!」

 

やはりシュタージに西側の人間を入れる事に抵抗があるアクスマンはベアトリクスに抗議した。

 

「多少怪しい奴でも優秀ならそれに目をつぶり使って行く。そうしなければいつまでたってもBETAには勝てないわよ」

 

「しかし!」

 

「ハァ、もういいわ。カティア・ヴァルトハイムについては私がなんとかするから、中佐は先に帰っていて結構ですよ」

 

ベアトリクスがそう言うと、ヴェアヴォルフ大隊に所属する戦術機は突撃砲の銃口をアクスマンに向けた。

 

「チッ、仕方がない。ここは少佐のご好意に甘えよう」

 

そう言い、アクスマンはヘリに乗り、7機の戦術機と共に基地に戻って行った。

 

「これで邪魔者はいなくなった・・・」

 

「わ、私は・・・」

 

カティアがそこまで言った時。ベアトリクスはカティアの耳元でこう囁いた。

 

「貴方がどんな理由で我が国に来たのか知らないが、何か目的があるなら・・・例えばそう、離れ離れになった親を探しているとかだったら、私が協力してあげるわ。そう言う事なら人民軍より我々が役にたつしね。」

 

「え・・・」

 

その時、カティアの心の中に迷いが生じた。

 

「少佐、あまり私の部下に何か吹き込むのはやめて貰おう。」

 

「失礼ね、ただ私達の良いところをアピールして彼女に決断材料の一つを提供しているだけよ。」

 

 

ベルンハルトの言葉にベアトリクスはそう言った。

 

「さて、どうする?カティア・ヴァルトハイム少尉」

 

「私は・・・」

 

カティアは少し黙り、そして言った。

 

「少佐殿のお誘いには感謝しますが、私はこの中隊に、そしてテオドールさんに救って貰いました。だから恩を仇で返すような事は出来ません。だから・・・だから私はシュタージには入りません」

 

(このバカ、シュタージの士官の誘いを断るなんて)

 

テオドールはカティアのその言葉を聞き心の中でそう呟いた。

 

すると

 

「フフフフフ・・・ハハハハハ!!!!」

 

ベアトリクスはその言葉を聞き笑い出し皆は何が何だか分からず呆然とその光景を見つめていた。

 

「いや、すまない。まさか国家保安省の将校の誘いを拒否するなんて、中々肝が据わっているじゃない。良い部下を拾ったわね、アイリス」

 

「えぇ、中々将来が楽しみな部下です」

 

ベルンハルトはベアトリクスの言葉にそう言った。

 

「断られたなら仕方ない、諦めるとしよう。しかし、気が変わるという事もありえるわ、その時はいつでも私に言いなさい、私達はいつでも歓迎するわ」

 

そう言い、ベアトリクスは自分の電話番号を紙に書き、カティアに渡した。

 

「それと、一つ教えておくわ。さっき貴方は皆が協力すればBETAを倒せると言ったわね」

 

「は、はい西も東も関係なく力を合わせれば・・・」

 

「その考えは正しいわ」

 

「え?」

 

「はっ?」

 

ベアトリクスの予想外の言葉に第666中隊のメンバーは唖然とした。

 

「確かにBETAを倒すには人類が協力しあう事が重要よ。しかし、残念な事に人類は基本的に他人を信じ、手を取り合う事は基本的に不可能。だから、人類を一つにし、守り導く絶対的な指導者、つまり人類をまとめるには理想や綺麗事ではなく人類の旗頭たる圧倒的力を持った英雄が必要なのよ」

 

「英雄、ですか・・・?」

 

「それはつまり、国家保安省こそが人類を導く英雄だとでも?」

 

ベアトリクスの言葉にベルンハルトはそう言った。

 

「さぁ、どうかしらね」

 

ベアトリクスはベルンハルトの問いをはぐらかした。

 

「まぁ、今の事は心に留める程度でいいわ。」

 

「は、はい・・・」

 

カティアはベアトリクスの言葉を聞き、そう呟いた。

 

そしてベアトリクスは次にテオドールの目の前に立った。

 

「貴様がテオドール・エーベルバッハか?」

 

「はい、それがなんですか?」

 

テオドールはベアトリクスにそう聞いた。

 

すると

 

「元気か?」

 

「ハッ?おっしゃる意味が分からないのですが・・・」

 

「そのままの意味よ、何か怪我をしたり体調が悪いとか。それか、隊の中で嫌な事は無いかとか、そう言う事よ。」

 

「は?いや、特に何も・・・」

 

「そう・・・それは、何より」

 

それだけ言い、ベアトリクスは自分の機体に戻って行き、そして途中で立ち止まりこう言った。

 

「テオドール・エーベルバッハ少尉、その子を殺したく無ければ目を離さず、守ってあげなさい」

 

そう言い、ベアトリクスは機体に乗り連れてきた12機の戦術機と共に基地へ戻って行った。

 

「な、なんなんだ彼奴は・・・」

 

国家保安省の将校が言う言葉とは思えない言葉の連発にテオドールは完全に困惑した。

 

「ベアトリクス・ブレーメ、士官学校では主席の座を争った女だ。危険な女だと思っていたが、最近・・・気のせいか、この三年間、人が変わったような気がする。」

 

「人が変わった?」

 

「あぁ、なんと言うか・・・」

 

「なんか、悪い人じゃ無いような気がします」

 

ベルンハルトがそこまで言った時、カティアがそう言った。

 

「あの人の目を見ましたが、さっきの男の士官とは違う印象でした」

 

「ほう、どんな印象か聞かせてくれないか?」

 

ベルンハルトはカティアにそう言った。

 

「はい、見た目は厳しそうな感じですが、真っ直ぐで、そして人を思いやり、そして何があっても絶対になにかを守る。そんな強い優しさが感じられました。」

 

「ほう・・・」

 

(確かに、ここ最近のベアトリクスは変わった・・・いや、戻ったと言えば良いのか・・・)

 

ベルンハルトとベアトリクスは元々は友人の中である。昔のベアトリクスは結構優しく今より可愛げがあった。しかし五年前の月光の夜事件の時、ベルンハルトが兄を殺した時に完全に袂を分かった後、ベアトリクスは人が変わった様に、シュタージ内部でも危険な存在だと聞いていたが。

 

 

(あれは、私が知っているベアトリクス・ブレーメに限りなく近かった。いったい彼女になにが・・・)

 

ベルンハルトがそう考えている時。

 

「馬鹿かお前は!!」

 

テオドールはカティアの胸ぐらを掴み怒鳴った。

 

「悪い人には見えなかっただと?ふざけるのもいい加減にしろ!!シュタージの奴らはみんな悪魔だ!優しい奴なんか一人も居るか!」

 

「で、でも!」

 

「俺は信じないからな!!」

 

そう言いテオドールはこの場を去り自室に戻った。

 

 

 

 

その頃国家保安省武装警察軍基地

 

 

「戻ったわよ」

 

「お帰りなさい少佐それで・・・」

 

ベアトリクスの帰りを待っていたリィズはそう呟いた。

 

するとベアトリクスは微笑み。

 

「安心しなさい、お前の兄は元気だったわ」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

リィズはベアトリクスの言葉聞き、喜び安心した。

 

 

 

 

 

その頃

 

アクスマン自室

 

「クソ、ベアトリクスめ忌々しい・・・」

 

アクスマンはベアトリクスの事を思い出しそう言った。

 

 

すると

 

「中佐、例のギャラルホルン第2連合艦隊の司令官、イオク・クジャンについて情報を集めました。」

 

アクスマンの副官が、部屋に入りそう言った。

 

「報告を聞かせろ」

 

「はい、イオク・クジャン。ギャラルホルンの最高意思決定機関、最高幕僚会議の構成士官の一人で、ギャラルホルン地球軍より指揮系統が独立した第2連合艦隊の総司令官。階級は特務一佐、ギャラルホルンの最高指導者マクギリス・ファリド総統を心から尊敬し、真面目で血気盛ん、インドの名家クジャン家当主としての誇りを持ち、部下を想い彼らの上に立つ者としての責任と挟持を意識しており、その人柄の良さに加え、部下達からの信望は篤いです。しかし」

 

「しかし?」

 

「非常に思い込みが激しく頭に血が上りやすいという欠点があり、一度思い込むと若さも手伝って自分の正義を疑わず暴走し、他者の忠告も都合よく解釈したり全く聞き入れないとの事ですつまり・・・」

 

その事を聞いたアクスマンはふと笑い

 

「なるほど、つまり志と育ちだけは立派なバカ殿様と言うわけか。好都合だ、こう言う馬鹿なタイプは使いやすい」

 

アクスマンはそう言った。

 

アクスマンはイデオロギー的な信条は特になく、自分が多数派に所属し勝者の立場でいる事に価値を見出し、自分のためだけに行動する最悪の機会主義者である。その為アクスマンはギャラルホルンの権威と権力が上がった2年前から、この今にも滅びそうな東ドイツと言う国を捨て、何とかギャラルホルンの士官として取り入る事が出来ないか探っていた。

 

 

そして一年前に目をつけたのがイオクであった。

 

「彼と接触し、なんとかパイプを作るぞ、ギャラルホルンの最高幹部が味方につけばモスクワ派であろうがベアトリクスであろうが恐るるに値しない!」

 

「了解しました」

 

そう言い副官は部屋を出て行った。

 

(ベアトリクス、アイリス、見ていたまえ。私は必ずギャラルホルンに取り入る。世界がギャラルホルンに屈服した暁にはギャラルホルンの高官になった私が貴様を顎でこき使ってやる)

 

アクスマンはそう考えていたが、彼は知らなかった。

 

ベアトリクスの後ろにはギャラルホルンの最高幹部、イオク・クジャンが霞む、ギャラルホルンの創設者、マクギリス・ファリドがいる事に、アクスマンは今はまだ気づいて居なかった。

 

 



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シュタージ

 

数日後

 

東ドイツ ツェーデニック司令部

 

現在此処では数日後に攻め込んでくる師団規模のBETAに対する作戦会議が開かれていた。

 

「BETAはポーランド領内で師団を形成。絶対防衛線の到着は明後日だと思われます。しかし先日の交戦でギャラルホルンの武力介入で被害が押さえられたとは言え、要塞陣地の地上兵力は6割以下に落ち込んでいます。通常の防御の場合絶対防衛線を突破される恐れがあり・・・そうなると・・・」

 

「都市部が戦場に?」

 

「首都ベルリンも危うい・・・か」

 

報告を聞き、皆口々に不安を漏らした。

 

「しかし光線級の数は少なく砲兵で殲滅可能です。要撃級と戦車級の中央集団の足止めさえできれば・・・」

 

「戦力不足だ。稼働できる戦術機は定数の6割にも満たない。5万を超える敵の中に突っ込めというのか?」

 

「それは・・・」

 

ハンニバル少佐の言葉に状況を説明していた士官は黙り。

 

「ハンニバル少佐、一つ方法がありますそれは・・・」

 

その士官が言おうとした事は、ザスニッツ近海に布陣して居るギャラルホルン第2連合艦隊に援軍を要請し、人民軍とギャラルホルン、二つの軍による共同作戦を展開する。光学兵器を使用する戦術機より遥かに高性能な機動兵器であるモビルスーツを100以上保有するギャラルホルン第2連合艦隊と共同作戦を取れば勝てると言おうとした。

 

その時

 

「私から説明しよう」

 

しかしシュタージの指揮官であるアクスマンがいる事に気づき黙った。

 

「シュタージ武装警察軍作戦参謀、ハインツ・アクスマン中佐だ、ハンニバル少佐が必要性を説かれた増援は我が武装警察軍の二個戦術機大隊が担当する。何も心配いらない。君達には存分に戦ってもらいたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

執務室

 

「存分に戦ってもらいたいか。シュタージに言われると悪い冗談にしか聞こえんな。だがこれで戦力の目途はついた」

 

「ありがとうございます少佐」

 

会議の決定を聞きに来た、ベルンハルトにハンニバルはそう言い、ベルンハルトは戦力を用意してくれたハンニバルに礼を述べた。

 

「構わんさ、君の様な指揮官が存分に戦える様に戦力を用意するのが私の役目だ。もっとも・・・」

 

「なんですか?」

 

「いや、本当の所シュタージよりもザスニッツに居るギャラルホルンに援護を要請し、共同作戦をする事が出来れば良いのだが・・・会議にシュタージが居る手前、そんな事も言えんしな・・・」

 

「確かに、ザスニッツ近海に駐留して居るギャラルホルンのMS部隊総数は130は超えて居るとか・・・」

 

「正確には戦況が落ち着いた北欧戦線の予備兵力として、スェーデンに駐留して居た部隊やギャラルホルンの海上本部からも部隊を呼び寄せ、MSの数は264機だ、その戦力が我々の味方になってくれれば、今回の戦いは余裕で勝てるのだが・・・」

 

「政治的理由と言う奴ですか・・・」

 

「あぁ、全く。BETAによって国土が破壊されれば政治や面子など全てが無意味になると言うのに・・・」

 

「偉い人には前線は分からないと言う事ですね・・・」

 

「全くだ。」

 

ベルンハルトの言葉にハンニバルは同意した。

 

「まぁ、BETAが来る以上、最善の事をやるまでだ。しかし警戒だけはしておけ」

「ハッ!」

 

ベルンハルトは敬礼をし部屋を出て行った。

 

「何か言いたそうだな」

 

ハンニバルは同じく執務室に居た副官のマライにそう言った、

 

「国家のためとはいえシュタージに家族を売るなど…そんな人間の風上にも置けない者を少佐はなぜ・・・」

 

「本当にそうだと思って居るのかね?」

 

「と言いますと?」

 

「本当に家族を売ったのであればさらに下劣な行動に出てもおかしくない。だがあの日からあの娘は毅然と、淡々と戦場を駆けまわっている」

 

「少佐・・・まさか」

 

マライは何かを察し、そう言った。

 

するとハンニバルはマライの手を握り。

 

「マライ、頼みがある私の身に何かあった時には・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

国家保安省武装警察軍司令部

 

「では、実際には援軍を出さないと?そう言う事かしら、アクスマン中佐」

 

ベアトリクスがアクスマンにそう言った。

 

「あぁ、ハンニバルは危険な男だ、この際戦場で始末するべきだと思ってな。」

 

「しかし、ハンニバル大隊を犠牲にした事で万が一BETAに防衛戦を突破されたらどうするのかしら?」

 

「その時は君の大隊がBETAを始末すれば良いだろう。我々の敵はBETAではなく国家を蝕む寄生虫だ。寄生虫の排除はBETAに勝つ為にも重要な事だ。」

 

「しかし・・・」

 

「シュミット長官もこの作戦には賛成している。これ以上のことは言わなくても分かるな?」

 

「仕方ないですね。分かりました」

 

そう言いベアトリクスは敬礼し、部屋を出て行った。

 

「フッ、いつまでもこんな国にしがみ付くとは・・・ベアトリクス君は視野が狭いな・・・」

 

アクスマンは一人そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

休憩室

 

「少佐、どうでしたか?」

 

休憩室に居たリィズはベアトリクスにそう聞いた。

 

「人間は何処まで愚かなのかと思いたくなるわ・・・こんな国家や世界が明日にも滅びそうな状態にあるのに、権力闘争をする暇があると思って居るなんて・・・」

 

「じゃあ・・・」

 

「シュタージは人民軍を見殺しにするつもりらしいわ・・・こんな組織だと分かって居て入ったつもりだったけど・・・」

 

「そんな・・・それじゃあ!お兄ちゃんはどうなるんですか!?」

 

リィズはテオドールが所属している第666中隊を含め、人民軍を見殺しにすると聞き、ベアトリクスにそう問い詰めた。

「落ち着きなさいリィズ。前にも言ったけど、テオドール・エーベルバッハ少尉が所属しているのはアイリスが率いる部隊。簡単にやられる筈ないわ、それに我々は動けなくても援軍は出せるわ」

 

「それって・・・」

 

リィズがそこまで言った時、ベアトリクスは小型端末を取り出しある所に連絡を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャラルホルン本部ヴィーンゴールヴ

 

 

総統執務室

 

『分かった。君の頼みだし、我々も元よりそのつもりだ。君達が出れない分、我々ギャラルホルンが役目を果たそう。ザスニッツ近海に居る第2連合艦隊のMS部隊264機を派遣しよう』

 

「感謝しますファリド総統これで我々は勝てます。」

 

ベアトリクスが連絡を取った相手はマクギリスだった。

 

マクギリスに作戦の詳細な情報と、シュタージが兵力を出さない事、そして東ドイツの為、今回の作戦にギャラルホルンが武力介入して欲しい事などを伝えた。

 

その結果第2連合艦隊のMS部隊総数264機、約7個大隊が派遣される事となった。

 

「別に感謝される事はして居ない。人類の為に命を張って戦う、これは我々ギャラルホルンの義務であり使命だからな。」

 

「それでもです・・・」

 

「そうか・・・まぁ兎に角だ。後の事は我々に任せてくれ。それでは」

 

そう言い、マクギリスは通信を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東ドイツ

 

 

武装警察軍基地

 

「安心しなさいリィズ。ギャラルホルンが出てくる以上、兄は必ず助かるわよ」

 

「本当ですか!?」

 

「えぇ、だから安心しなさい。」

 

ベアトリクスはそう言い、リィズに微笑んだ。

 

 

 

 

一方

 

 

アクスマンの執務室

 

 

 

「しかし、ハンニバルは無事に死ぬでしょうか。」

 

アクスマンの副官はそう聞いた。

 

「と言うと?」

 

「ギャラルホルンの事です。奴らは国境や社会体制などを無視してBETAを倒す為に武力介入をする権利があります。なので退避勧告や入国拒否をしても無視して武力介入を行うでしょう。それに近くにいるギャラルホルンの部隊指揮官は・・・」

 

「私達がパイプを築こうとしているイオク・クジャンが率いる艦隊だな・・・」

 

「はい・・・」

 

「心配はするな手はある。今回の作戦を成功させる事と、クジャン特務一佐とのパイプを作るキッカケを手に入れる、その二つが同時に出来る作戦がある。」

 

「と言いますと?」

 

「フッ」

 

アクスマンは何か企むようにニヤリと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

 

ベーバーゼー基地

 

「くそ、めんどくせぇ・・・」

 

テオドールはそう言いながら資料室に向かって居た。

 

 

 

 

その理由は数十分前

 

カティアにある事をお願いされたのだ。

 

「シュトラハヴィッツ中将?」

 

「東ヨーロッパ戦線で東ドイツ第一戦車軍団の指揮を・・・でもそれ以上の事は・・・」

 

「調べてやるよ。俺が」

 

 

 

 

 

 

 

そう言うことで、テオドールはカティアの為に、アルフレート・シュトラハヴィッツ中将と言う人物を調べる事となってしまったのだ。

 

「全く、なんでこんな事を」

 

そう言い資料室のドアノブに手を掛けようとした時。

 

 

「何をしている?」

 

「ゲッ、同志中尉いや、ちょっとトイレに・・・」

 

資料室の中から政治将校のグレーテルが出てきた。

 

「トイレなら此処じゃ無いはずだぞ」

 

「すいません、所で同志中尉は何を?」

 

「同志大尉からの命令でな」

 

「ベルンハルト大尉からの?」

 

「あぁ、実はアネットが、あのアリサとか言うギャラルホルンのパイロットの事をもっと詳しく調べて欲しいと同志大尉に嘆願してな。それで私がその調査をする事となったのだ。」

 

「そ、そうですか・・・」

 

「しかし、この資料室ではろくな資料が出てこなかったから、アリサについては別の場所で調べる」

 

「頑張ってください」

 

テオドールはグレーテルに敬礼しそう言った。

 

「ハァ、さて俺も」

 

グレーテルが去ったのを確認し、テオドールは資料室に入った。

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

そしてテオドールはパソコンでシュトラハヴィッツ中将について調べていると。

 

(これか・・・1976年2月18日。ワルシャワ条約機構がウクライナでBETA軍の侵攻を押しとどめる・・・勝利の立役者は東ドイツ第一戦車軍団指揮官・・・なんだこれ・・・名前が潰されている)

 

なんとシュトラハヴィッツ中将の名前が載っている部分がすべて塗り潰されて居た。

 

(これも、これも・・・全部シュトラハヴィッツ中将のことだよな。どうして・・・!まさか!)

 

そう思いテオドールはある記事を探した。

 

(あった・・・)

 

その記事は劇作家だった自分の父を絶賛する記事であったがその記事も全て塗り潰されていた。

 

(同じだ・・・消されたんだ・・・シュタージに・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてテオドールはすぐさま資料室を出てカティアに問い詰めた。

 

「お前!何のためにシュトラハヴィッツ中将を探している!」

 

「何かわかったんですか?」

 

「何もないんだ・・・消されてるんだよ記録が全て!おそらく本人も・・・ 」

 

「そんな・・・」

 

「これ以上関わるな・・・下手したら俺達もシュタージに消される」

 

もう関わるなとテオドールはカティアにそう警告した。

 

しかし

 

「できません!」

 

「なぜ!?」

 

「・・・お父さんなんです」

 

そう言い、カティアは首につけているペンダントから一枚の写真を出した。

 

「5年前私は父の手で西ドイツに送られました。二つのドイツが手を携えれば絶対BETAなんかに負けない。父はいつもそう言ってました」

 

その写真は小さい頃のカティアとシュトラハヴィッツ中将と思われる年期が入った男性軍人。

 

そしてその隣には同じく年期が入ったソ連軍の軍人とその横には15歳くらいの青年が写っている写真であった。

 

 

「じゃあカティア・ヴァルトハイムって名前は、消されたってことは消されるような何かをしたってことだ!そんな人間の娘が偽名を使って父親を捜しに来たことがシュタージにバレたらどうなると思ってるんだ!」

 

「シュタージになんて負けません!私は真実を知りたいんです!」

 

「夢見るのもいい加減にしろ!あいつらは国家の敵を排除するためなら何だってするんだ!俺の家族も奴らに・・・死にたくなければこれ以上無駄なことはするな!」

 

「そんなの逃げてるだけです。諦めたらどんな願いもそこで終わってしまうんです・・・テオドールさんは本当にそれでいいんですか?シュタージに怯え誰も信じられないままで。それじゃいつまでたっても私達はBETAに勝てません!」

 

「お前・・・そんな綺麗事通じると思っているか!」

 

そう言いテオドールはカティアの胸ぐらを掴みそう言った。

 

すると

 

「て、テオドール!お前何やっているんだ!」

 

たまたま通りかかったアネットがテオドールを止めた。

 

「アネット!テメェには関係ない!」

 

「ふざけるな!関係無い訳無いだろ!」

 

互いにそう言い言い争っていると。

 

「何をやっているホーゼンフェルト少尉、エーベルバッハ少尉」

 

「同志中尉、いえ何でもありません!」

 

「そうか、それとアネット。お前が知りたがって居たアリサの事だが・・・」

 

「何か分かったんですか?」

 

アネットは嬉しそうにグレーテルにそう聞いた。

 

すると

 

「アイツとは二度と関わるな」

 

「え?どう言う事ですか?」

 

「アリサ、孤児院出身で苗字は無い。四年前のポーランド戦で戦死・・・東ドイツの公式記録ではそうなっている。」

 

「でもアリサは生きて・・・」

 

「重要なのは此処からだ。私の伝手で彼女の事を調べたが、ギャラルホルンに入隊しその時に名前をアリサ・ボードウィンに変えた。まだ此処はいい、しかし此奴はそのあと何度も激戦に参加し、特務一尉の階級と"青い流星"と言う渾名を持つギャラルホルンの中でも最強のエースパイロットになり、さらに奴は監査局所属の軍人として第2連合艦隊司令官、イオク・クジャンの政治将校となり、更にギャラルホルンの創設者マクギリス・ファリドの副官を兼任している。言わばギャラルホルンの幹部クラスの軍人だ。そんな奴と仲が良いなど知られてみろ!お前はシュタージに消されるぞ!」

 

「そんな・・・アリサが・・・」

 

 

「もう彼奴は死んだと思った方がいい、その方が・・・」

 

「でも・・・でもアリサは生きているんですよね・・・だったら」

 

アネットが其処まで言った時。

 

 

『BETAの侵攻を確認。戦術機部隊は出撃準備にかかれ』

 

「クッ!まぁいい!とにかく行くぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

警報が鳴り響き、第666中隊の衛士達は次々と戦術機に乗り込み、出撃して行った。

 

「我々はこれよりハンニバル大隊と共に敵陣に突入。中央集団を叩く!初陣だな。しっかりやれ」

 

「は、はい!」

 

ベルンハルトの言葉にカティアはそう言った。

 

 

 

 

 

その頃

 

ポーランド領内

 

現在ハンニバル大隊は現在中央集団に突撃し、敵を叩いている。

 

しかし

 

「援軍はどうなっているんだ!このまま見捨てるつもりか!」

 

何と出すと言っていたシュタージからの援軍が来ていなかった。

 

「少佐!北東より新たな敵影確認!要塞級です!」

 

何と要塞級までもが現れてしまった。

 

「クソ・・・これがシュタージのやり方か・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

国家保安省武装警察軍基地

 

「さようならハンニバル少佐・・・」

 

 

アクスマンは暗く曇った空を見上げそう言った。

 

 

 

 

 

 

一方

 

「馬鹿な!援軍が来ていないですって!?どう言う事、ミヒャルケ!」

 

「私には何も・・・」

 

何と来ると約束して居たギャラルホルンの軍が来て居なかったのだ。

 

「どうなっている・・・ファリド総統が約束を破るとは思えない・・・」

 

「少佐!どうなっちゃうんですかお兄ちゃんは!」

 

リィズが不安な顔でベアトリクスに聞いた。

 

その時

 

「ファリド総統から!?もしもし!私です!ファリド総統!援軍はどうなって・・・えっ・・・」

 

ベアトリクスは手に持って居た端末を床に落とした。

 

「どうしたんですか、少佐?」

 

ミヒャルケがそう聞くと。

 

「第2連合艦隊が襲撃された・・・」



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破滅のガンダム

それは数時間前

 

『では、我々フェンリル隊は周辺の偵察に出て来ますので、イオク様はくれぐれも!何があっても!MSで出撃しないでください』

 

「言われなくても!」

 

『だと良いんですが・・・』

 

アリサはそう言い第二艦隊旗艦であるベーリング級海上空母から15機の偵察部隊を率いて出撃した。

 

 

 

 

現在、第2連合艦隊はスェーデンやノルウェー、そして本部から送られてきたギャラルホルンのMS部隊と合流し、MSの数は元々艦隊に居たMS部隊200機を合わせてMSの数はグレイズ、レギンレイズ を合わせ、264機にまで達した。

 

そして格納庫に入りきらなかったMSはベーリング級空母やスペングラー級揚陸艦の甲板に並べられており、その光景は壮観の一言だった。

 

 

 

そしてこの大部隊の名目上の最高司令官であるイオクはうるさい奴が居なくなり艦橋の司令官椅子に座り、上機嫌でシナモンティーを飲んで居た。

 

すると

 

「イオク様、上空よりエイハブウェーブ、数およそ20」

 

「どこの味方か?問い合わせてみろ」

 

「了解しました」

 

「よろしいのですか?イオク様、万が一敵だった場合・・・」

 

「敵とは誰の事だ?宇宙なら兎も角、地球ではMSを持っている勢力などギャラルホルンやAEUなどの国家以外ありえん。戦術機なら兎も角、MSなら味方に決まっている」

 

「そうですか・・・」

 

親衛隊の一人がそう呟いた時

 

「此方はギャラルホルン第2連合艦隊旗艦である、こちらの所属と名前を答えよ」

 

オペレーターが謎のMS部隊にそう聞いた時。

 

『答えは・・・これだ!!!」

 

すると頭上から弾丸の雨が降り注ぎ、目の前のスペングラー級揚陸艦の甲板に並べられているグレイズに着弾、3機のグレイズが海に落ちた。

 

「な!何だ!!熱!!」

 

あまりの事にイオクは驚き、飲んで居たシナモンティーをひっくり返し、頭からかぶってしまった。

 

 

「て!敵です!敵の攻撃です!」

 

「警報をならせ!第1戦闘配備!」

 

 

 

『緊急事態!緊急事態!正体不明のMS部隊接近!総員第1戦闘配備!総員第1戦闘配備!』

 

第2連合艦隊、全艦に警報と戦闘準備をするようアナウンスが流れた。

 

「い、一体敵は何者だ!!」

 

「モニターに映します!」

 

モニターには19機の赤いユーゴーそして。

 

「ガンダムだと!?」

 

イオクは驚愕しそう叫んだ。そのMS部隊の中には色こそ赤色だが、見間違えるはずもない。人類とギャラルホルンの力の象徴であるはずのガンダムフレームがいた。

 

「エイハブリアクターの固有周波数確認!機体名はガンダム・アンドラス!正真正銘のガンダムフレームです!」

 

 

 

 

 

一方

 

「へっ!流石お坊ちゃんが率いる艦隊だ!隙だらけじゃねぇか!」

 

赤色のガンダムことガンダム・アンドラスを操るアリー・アル・サーシェスは、杜撰すぎる警戒体制を引くイオクに対しそう言った。

 

「第1、第2部隊は艦隊に対し攻撃を開始!俺はこいつを一発かましたらすぐ加わる!俺たちの任務は、お坊ちゃまに恨まれる事だ!せいぜい派手にやってやれ!」

 

「「「「了解!」」」」

 

そう言い、MSに乗った傭兵達は次々と艦隊に攻撃を開始した。

 

「さて、それじゃこいつをぶっ放してやるか!」

 

そう言いサーシェスが乗るアンドラスは左肩に搭載されている長距離レールガンを展開し、部下が乗るユーゴーはその砲口に"金属で出来た棒"を差し込んだ。

 

「エネルギー充電完了・・・」

 

サーシェスはイオクが乗る旗艦のベーリング級の左船体に狙いを定めた。

 

「させるか!!」

 

一機のレギンレイズが艦を守ろうと盾になったが。

 

「逝っちまいな!」

 

そう言いサーシェスは引き金を引いた。

 

 

すると金属の棒は勢いよく発射され、レギンレイズの装甲を貫通し、旗艦のベーリング級の左船体に刺さり、爆発した。

 

 

 

 

第2連合艦隊旗艦

 

「うああ!!!」

 

「左舷ブロック被弾!浸水を確認!」

 

そして、艦の左ブロックに浸水し船は左側に傾き、甲板に並んで居たMSは次々に倒れ海に落ちて行った。

 

「全隔壁閉鎖!浸水を食い止めろ!」

 

「味方の兵が居ます!」

 

「何!やめろ!兵の救出が終わるまで隔壁は閉めるな!」

 

「イオク様!それでは船が沈みます!」

 

「しかし!」

 

「兵達も覚悟の上です!此処で旗艦が沈む訳には行かないのです!!」

 

その言葉を聞きイオクは涙を流し。

 

「分かった・・・隔壁を閉鎖せよ!そして直ちにMS部隊を発進させろ!!」

 

「ハッ!」

 

 

 

そしてMS部隊を発進させるためベーリング級の格納庫が開きMS部隊が出撃しようとした時。

 

「な!うああああああ!!!!」

 

傭兵の一人が格納庫に爆弾を投げ入れ破壊、格納庫は火の海になった。

 

 

 

「貴様!よくも旗艦を!!!」

 

 

そう言い、一人の勇敢なパイロットが操るグレイズがバトルアックスを抜きアンドラスに攻撃したが。

 

「甘いんだよ!」

 

サーシェスが操るアンドラスはその攻撃を避け右肩に装備されているバスターソードを手に取り。

 

「チョイサー!」

 

バスターソードでグレイズを真っ二つに破壊した。

 

「エネルギー充電完了、もう一発行くぞ!」

 

そう言いサーシェスは又レールガンを展開し、今度はスペングラー級の甲板に向けて金属の棒を発射、その結果スペングラー級は大爆発、搭載して居たMSと共に海に沈んでいった。

 

 

「さっきから何だあの武器は!何故ナノラミネートアーマーで守られた戦艦やモビルスーツの装甲を撃ち抜ける!」

 

イオクはオペレーターにそう言った。

 

 

すると

 

「イオク様大変です!情報ではアンドラスにはダインスレイヴと呼ばれる長距離レールガンを装備して居るようです!」

 

「ダインスレイヴだと!?何だそれは!」

 

「戦略兵器級のレールガンです!高硬度レアアロイで製錬された特殊弾頭を使えば、ナノラミネートアーマーの装甲を撃ち抜く事が可能だとか!」

 

「何だと!クッ!良くは分からんが!とにかく何としてもあの機体を撃ち落とせ!MS部隊はどうなっている!」

 

「残っている部隊は全て出して居ます!しかし!」

 

 

 

 

 

 

「もらった!!!」

 

一機のグレイズがバトルアックスをアンドラスに振り下ろそうとした時。

 

「甘いんだよ!」

 

そう言いサーシェスは攻撃を避けた瞬間、蹴りを入れ、後ろからグレイズのコックピットをバスターソードで串刺しにした。

 

 

 

「近寄るな!遠距離から攻撃をして、隙ができ次第一気に畳み掛ける!」

 

指揮官機と思われるレギンレイズ が、そう命令した。

 

しかし

 

「そう思っているなら甘いな!行けよファング!」

 

するとアンドラスの左右両脇に付いているスカートアーマーから4つの小型ワイヤーブレードが飛び出し次々とMSを襲い撃墜されて行った。

 

「コンチクショ!!!!」

 

5機のレギンレイズがスラスターを全開にし特攻同然でアンドラスに攻撃を仕掛けだが全てファングでコックピットを串刺しにされやられて行った。

 

「ハハハハハハ!最高の機体だぜこのガンダムは!」

 

サーシェスは歓喜の声でそう言い、同じ容量で次々とMSを襲い撃墜して行った。

 

そして数分後

 

「レーダーに反応?来やがったか!青の流星様よ!」

 

 

 

 

反応があった先にはシュヴァルベを先頭に15機のMSが、こちらに向かって来た。

 

『隊長!艦隊が!』

 

「見れば分かります!一体誰が・・・ハッ!」

 

アリサの視線の先にはガンダム・アンドラスが写った。

 

「ガンダム・・・イヤ、それ以前にあの色・・・お前か!!!!」

 

誰が襲撃の犯人か悟った、アリサはスラスターを全開にしアンドラスに突撃した。

 

「行けよファング!」

 

するとファングが四方八方からシュヴァルベを襲ったが、アリサはその攻撃の全てを避け、バトルブレードを抜きアンドラスに肉薄しシュヴァルベのバトルブレードとアンドラスのバスターソードが互いにぶつかり火花を散らした。

 

『よう!久しぶりだな、流星の嬢ちゃん!』

 

「その声!やっぱり貴様か!アリー・アル・サーシェス!」

 

『おうよ!名前を覚えててくれて嬉しいぜ!!!』

 

そう言い、サーシェスが操縦するアンドラスはバスターソードでシュヴァルベを振り払い、腕部200mm砲でシュヴァルベを攻撃した。正確な射撃で、普通のパイロットならば避けられないが。ギャラルホルンのエースであるアリサが操るシュヴァルベは、その正確な射撃を何とか全て避けてた。

 

 

「何故!何故貴様がガンダムに!ガンダムに乗っている!」

 

ガンダムは人類を導く希望の象徴、それをサーシェスのように己の為にしか戦わない最低な人間が乗っている事がアリサは許せず、シュヴァルベを操り、アンドラスの攻撃を避け、隙を見ながらライフルで攻撃をしながらそう言った。

 

『テメェの許可が必要だって言うのかよ!』

 

「何処でその機体を手に入れた!答えなさい!」

 

そう言いシュヴァルベのワイヤークローを発射し、アンドラスを牽制し、隙が出来た瞬間もう一度バトルブレードを持ち接近戦に持ち込み、バトルブレードとバスターソードがぶつかり合い、火花を散らした。

 

『何処でだって?拾ったんだよ!』

 

「嘘をつくな!」

 

『嘘なんかついてねぇよ!お前らがマスドライバーなんて物を作ってくれたおかげで事業を宇宙まで拡大する事が出来てよ!その時、海賊からの護衛任務の時、コイツの価値も分からねゴミみたいな腕の海賊のパイロットが乗って居たから、パイロットだけぶっ殺して機体は頂いてやったんだよ!』

 

そう言いサーシェスはアンドラスを操作し、シュヴァルベをはじき。

 

『チョイサー』

 

蹴りを入れ距離を取り。

 

『行けよファング!』

 

ファングを操作し、四方八方からシュヴァルベを襲った。

 

「舐めるな!!」

 

しかしシュヴァルベはその攻撃を次々と回避し、隙を見てアンドラスのバスターソードを持つ腕をアンカークローで拘束し。

 

「終わりだ!」

 

バトルブレードを構えてアンドラスのコックピットを貫こうとした。

 

しかし

 

『まだ二本残ってるんだよ!』

 

スカートコンテナに残っていた二本のファングがシュヴァルベを襲った。

 

しかしその瞬間らアリサは反射的にスラスターを最大に噴射し一気に上昇。

 

攻撃を避けた。

 

『ハハハハハ!!やっぱ面白えな!!人間同士の戦争はよ!』

 

 

「ふざけるな!!!!」

 

そう言い、アリサが操るシュヴァルベはライフルでサーシェスに集中攻撃。弾は全てアンドラスへと向かって行ったが、サーシェスはアンドラスのバスターソードを盾代わりとし、攻撃を防いだ。

 

『面白れぇ!面白れぇぞ!!!流星の嬢ちゃん!!!!』

 

そう言い、サーシェスはバスターソードでシュヴァルベを斬りつけようとしたが。

 

『隊長!!推進剤がもう限界です!それに・・・』

 

サーシェスが周りを見てみると、生き残って居た、MS部隊が全て発進し終わり、サーシェス達を包囲しようとして居た。

 

「潮時か・・・テメェら退くぞ!!」

 

「「「「了解!」」」」

 

するとサーシェスと部下達はナノミラーチャフが詰まった手榴弾やミサイルを発射し、目を絡ませ、その隙に逃げた。

 

 

 

「クソ!!!また・・・また逃げられてしまった!!」

 

『た、隊長・・・』

 

 

 

 

 

 

この襲撃の被害は酷いものだった。

 

MS264機の内60機が飛び立つ前に甲板から落ち海の藻屑。

 

50機が戦闘で撃墜。

 

90機以上が戦闘や格納庫を破壊され大破もしくは中破。

 

そして

 

スペングラー級強襲揚陸艦1隻

 

イージス艦2隻

 

ミサイル艦5隻

 

このすべてが海の藻屑と消えた。

 

更に沈んで居ない戦艦や空母も被害は甚大。

 

 

その為

 

 

「作戦を中止しスウェーデンの軍港に撤退!?」

 

アリサは部下の一人にそう言った。

 

「はい、この被害ではとてもではないが作戦行動は不可能だと・・・」

 

「確かにそれはそうですが・・・では東ドイツは?BETAはどうするのです?」

 

「我々の代わりに二日前にフィンランド戦線でのBETA殲滅を終えた、マネキン准将率いる第一連合艦隊が任務を引き継ぎ東ドイツのBETAを殲滅するようです。」

 

「マネキン准将の艦隊はいつ来るの?」

 

「明日の10時には・・・」

 

「それでは・・・今戦っている東ドイツ軍は・・・アネット・・・」

 

アリサはどうするか必死に考えた。

 

 

そして・・・

 

「・・・我が隊で今から出撃できるのは?」

 

アリサは部下の一人にそう聞いた。

 

「9機が限界かと・・・」

 

「十分です、それだけ居れば戦闘中の部隊の撤退を援護する事は出来ます。直ぐに出撃準備を!」

 

「しかし!」

 

「我々は人類の盾、どんな事があっても人類を守る為に戦うのがギャラルホルンの軍人です!責任は全て私が取る!だからついて来きてください!」

 

「・・・隊長が其処まで言うのであれば!了解しました!」

 

そう言い部下達は敬礼をした。

 

 

「私のシュヴァルベの整備はいつ終わりますか?」

 

アリサは整備兵にそう聞いた。

 

「10分で終わらせることが出来ます、しかし・・・」

 

「しかし何ですか?」

 

「先程の襲撃のおかげで格納庫内にある資材もほとんどダメになり、修理は・・・」

 

「そんな・・・」

 

自分の愛機の修理が出来ないと聞かされアリサは愕然とした。

 

そんな時、アリサの目になぜか無傷のイオクのレギンレイズが目に入った。

 

 

 

 

10分後

 

 

「お待ちくださいイオク様!」

 

「離せ!このままでは終われぬ!」

 

「しかし!ファリド総統は絶対にMSで出撃するなと・・・」

 

「此処で俺が出撃せねば誰がBETAを倒すと言うのだ!」

 

「しかし!」

 

イオクと親衛隊達が揉めていると、修理が終わったアリサのシュヴァルベと生き残って居た9機のレギンレイズに乗った青のフェンリル隊が出撃して行った。

 

「見たまえ!アリサの部隊はまだ戦うつもりだ!指揮官である俺が出なくては!死んで行った兵達に申し訳ない!」

 

「しかし!それではファリド総統の命に・・・」

 

しかしイオクは周りの反対を聞かずMSで出撃しようと格納庫に向かった。

 

しかし

 

「なっ!」

 

イオクが格納庫で見たのは、見るも無残に解体された自分の機体であった。

 

「一体!?これはどう言う・・・」

 

「あっ、イオク司令!それが、アリサ特務一尉の命で、どうせ今日は使わないMSなので解体してその部品を修理に当てるようにと・・・」

 

整備兵の言葉を聞いたイオクはあまりの事に

 

「イオク様!!!!!!」

 

失神してしまった。

 

 

 

 




ガンダムアンドラス

ASW-G-63

300年前の「厄祭戦」と呼ばれる大戦で運用された72機のガンダム・フレーム採用機の内の一機。

前の持ち主は海賊船団の幹部であったが、その海賊船団からの輸送船団護衛に雇われたアリー・アル・サーシェスによって強奪され、今ではサーシェスの乗るモビルスーツとなっている。

デザインはスローネツヴァイをガンダムフレームにし、左肩にスローネアインのGNメガランチャーを搭載し、アルケーのように真っ赤に塗装したようなイメージ。

武器


超硬ワイヤーブレードファング×8

有線式誘導兵器であり、普通なら阿頼耶識を使わなければ扱いきれない武器だが、サーシェスの非凡な操縦センスで、阿頼耶識が無くとも変幻自在な攻撃が可能な強力な武器となっている。デザインはガンダムルプスレクスのテイルブレードを小さくしたようなデザインで、それが左右両脇のスカートアーマーに4つずつ、合計8つ存在している。


腕部200mm砲×2

腕部にハードポイントを介して装着可能な小型砲。使用時には砲身が展開し、射撃形態を採る。


バスターソード

特殊な金属で精錬されたバスターソードで、盾としても使える程の強度を誇っている。


長距離レールガン(ダインスレイヴ)

アンドラスの主要武器の一つで、その正体は、レアアロイ製の特殊弾丸をレールガンで撃ち出し、ナノラミネートアーマーを貫通されることが出来る戦略兵器ダインスレイヴ。

デザインはガンダムスローネアインのGNメガランチャー。





一応オリジナルガンダムフレームを出しました。


それにしても、別世界のイオク様はダインスレイヴで民間人を虐殺したのに、こっちの世界のイオク様はダインスレイヴを搭載したMSに自分の艦隊を襲撃されました。









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地獄のど真ん中

アリサ率いるフェンリル隊が東ドイツ軍への援軍として出撃したその頃。

 

 

ギャラルホルン ノイエンハーゲン要塞防衛部隊。

 

グダニスクから派遣されたアンドレイ・スミルノフ一尉率いる新・頂武中隊を含め、二個中隊がノイエンハーゲン要塞陣地救援と、補給物資、そしてマクギリスから託された第666中隊への手土産を輸送する、ビスコー級クルーザー48隻が、東ドイツ領内へと入った。

 

 

その時

 

「第2連合艦隊が襲撃された!?」

 

第2連合艦隊襲撃の報にアンドレイは驚きそう言った。

 

「はい、第2連合艦隊はスウェーデンに撤退、アリサ特務一尉率いるフェンリル隊の精鋭9機は現在、前線で戦っている、東ドイツ軍の援護に向かっています。」

 

「艦隊が撤退したと言うのに・・・補給はどうするつもりだ?」

 

「いいえ、其処までは・・・あ!待ってください!総司令部より緊急入電!現在、東ドイツ軍への援軍に出撃した青のフェンリル隊の護衛と補給の為、一個小隊と補給艦として2隻のクルーザーを派遣せよ・・・です!命令はマクギリス・ファリド総統直々の物です!」

 

「成る程な・・・良いだろう!派遣せよ」

 

「ハッ!」

 

「それと、状況が状況だ、吹雪も吹いているし、我々もいつ襲撃されるか分からん!本当なら護衛部隊とともにベーバーゼー基地に戦術機を運んでもらう予定だったが、予定変更だ戦術機輸送のクルーザーも含め、このままノイエンハーゲン要塞陣地に直行する!」

 

「了解しました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

「わがままを聞いて頂きありがとうございます。マクギリス様」

 

『構わんさ、しかしアリサ、君も結構無茶な事をするな、たった9機で出撃するとは。やっぱり君の友達が心配という事かな?』

 

「否定は出来ません。しかしそれ以上に私はギャラルホルンの理念であるどんな人種、どんな社会体制であっても関係なく人類を皆平等に守るという、その理念に従いたいだけです。」

 

『成る程な・・・まぁ、後のことは私が何とかしておく、それに先程通信でマネキン准将に聞いたが、第一連合艦隊は明日の7時くらいには何とか来れるかもしれないとの事だ。だからそれまで・・・』

 

「分かっています、死ぬなと言いたいんですよね。大丈夫です、私は死にません」

 

『フッ、そうか』

 

そう言いマクギリスは、通信を切った。

 

「よし、マクギリス様からの勅命は頂きました!我々の任務は全力で戦い、東ドイツ軍を一人でも多く守る事です!総員!我に続け!」

 

「「「了解!!」」」

 

アリサのシュヴァルベを先頭に青のフェンリル隊に所属する9機のMS部隊は戦場に急行した。

 

 

 

 

 

 

 

ポーランド領

 

第666中隊は迫り来る戦車級や要撃級を次々と葬っていた。

 

しかしその時

 

『総員聞け!要塞級が出現した。援軍のないままこれ以上の戦闘は不可能と判断する!』

 

「援軍が来ない・・・」

 

ハンニバルの言葉にベルンハルトはシュタージが援軍を出して来なかった事に愕然とした。

 

「これより我が隊が陽動を試みる。動ける機体は全て撤退せよ!」

 

そう言い、ハンニバルと彼が指揮する大隊は要塞級に攻撃を開始したが、要塞級の触手攻撃に次々と落とされて行った。

 

「少佐・・・総員傾注!これより我が中隊はハンニバル大隊の援護に向かう」

 

ハンニバルを見捨てる事は出来ないと思ったベルンハルトはハンニバル大隊の援護に向かうと部隊全員に言った。

 

その時

 

「待って!軍本部から新たな命令が、地上部隊がノイエンハーゲン要塞陣地に撤退中。貴官らはこれを支援せよ、なお作戦規模は戦術機一分隊相当。ファム中尉、ヴァルトハイム少尉に当たらせるよう」

 

グレーテルが新たな作戦命令の内容を読み上げたが、どう見ても怪しさ満載というしかない命令であった。

 

「なにそれ、そんな命令聞いたことない!」

 

「黙れ、06」

 

アネットの言葉にヴァルターはそう言った。

 

そしてその命令を聞いたベルンハルトは。

 

「そうか・・・シュヴァルツ02は07と分隊を編成。ノイエンハーゲン要塞陣地へ向かえ」

 

軍本部の命令なら逆らえる筈もなく、ベルンハルトは二人にノイエン・ハーゲン要塞に向かうよう命令した。

 

「いいのこんなんで・・・下手したら二人とも・・・」

 

「やめとけアネット。政治的忠誠心を疑われるぞ」

 

アネットは二人を止めようとしてそう言ったが、テオドールにそう言われて黙るしか無かった。

 

 

 

 

 

 

その頃

 

ハンニバル大隊は必死の覚悟で戦ったが、やはり戦術機では要塞級の相手は難しく、大隊の殆どはやられてしまい、ハンニバルの機体も左腕がもげてしまっていた。

 

そして要塞の触手の先に付いている衝角がハンニバルの機体狙っていた。

 

 

「すまないマライ・・・」

 

ハンニバルがそう言った時、触手が勢いよく発射され、ハンニバルの機体は要塞級の衝角で串刺しにされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思ったその時。

 

飛んできた触手はコックピットに届く前に、オレンジ色の閃光により、破壊された。

 

「な、なんだ!」

 

そう言いハンニバルが閃光が飛んできた方向を見ると。

 

其処にはシュヴァルベを先頭に2機のレギンレイズがEライフルで要塞級を攻撃しながら、こちらに向かって来た。

 

「ギャラルホルン・・・」

 

ハンニバルは三機のモビルスーツを見てそう呟いた。

 

その時。

 

『此方はギャラルホルン、第0部隊所属、青のフェンリル隊です、我々が殿を務めます、この場は我々に任せ、東ドイツ軍は撤退を開始してください!』

 

「援軍感謝する!ハンニバル大隊各機!生き残っている奴は直ちに撤退せよ!」

 

「「「了解!」」」

 

アリサの勧告に従い、ハンニバルとその配下の戦術機は皆、撤収を開始した。

 

「全部隊攻撃開始!要塞級は片方の足を全て破壊し動きを封じてから、Eライフルで集中攻撃を加えます!」

 

そう言い、アリサのシュヴァルベはバトルブレードを抜き要塞級の真下に潜り込み、要塞級の右足全てをブレードで切断した。

 

そして、バランスが取れなくなった要塞級は倒れ、動けなくなった所を二機のレギンレイズが、Eライフルの集中攻撃で、要塞級を仕留めた。

 

そして要塞級の一体を倒した時。

 

遅ればせながら第666中隊が、ハンニバル大隊の救援の為、戦場に到着した。

 

「ギャラルホルン・・・それにあの機体は、アリサ!」

 

アネットがシュヴァルベを見てそう言った時。

 

『総員傾注!これより我々はギャラルホルンのMS小隊を援護する!ギャラルホルンにだけ、美味しい所を持っていかれるなよ』

 

「「「了解!」」」

 

ベルンハルトの命令と共に、第666中隊は要塞級と遠距離を取りながら要塞級を攻撃し、ギャラルホルンのMS部隊から注意をそらした。

 

「全機撤退しろと言った筈なのに・・・まぁ、助かりますけど!」

 

そう言い、アリサは要塞級の注意が第666中隊に向いている隙に、要塞級の真下に潜り込み、Eライフルで要塞級の右足を全て打ち抜き転倒させた。

 

『トドメは任せます第666中隊』

 

そう言いシュヴァルベはスラスターを吹かし、最後の要塞級に単身で向かって行った。

 

要塞級はアリサのシュヴァルベに容赦なく触手による攻撃を加えて来たが、その予測不可能なはずの攻撃を全てアリサは避け、そして隙をみて、バトルブレードで要塞級の触手を真っ二つに切断し、攻撃を封じ。今度は一気に上昇し、要塞級の頭の真上からEライフルによる集中攻撃を食らわせ、要塞級を始末した。

 

「アリサ・・・こんなに強くなったのか・・・」

 

たった一機で要塞級を仕留めるアリサの戦いぶりをみたアネットはそう呟いた。

 

「よし!要塞級は倒した、我々も撤退するぞ」

 

「「「了解!」」」

 

ベルンハルトは別任務で居ないファムとカティアを除く全機体にそう命令した。

 

(撤退か・・・今回はアリサと喋っている暇は無かったな・・・)

 

撤退に異論はないが、親友であるアリサと喋る機会が今回は無かった事にアネットは少し残念に思った。

 

その時

 

「同志大尉、軍司令部より新たな命令です。」

 

「今度はなんだ!」

 

また無茶な命令でも押し付けて来たのかと思い、ベルンハルトは声を荒げそう聞いた。

 

 

すると

 

「こ、これは!司令部は何を考えている!」

 

グレーテルはその内容に驚愕した。

 

「どうした、同志中尉?」

 

「司令部からの命令を伝えます!現在吹雪、そして第2連合艦隊がスウェーデンに撤退した為、ギャラルホルンのMS部隊の撤退は絶望的と判断。その為、人道上の理由でギャラルホルン部隊のベーバーゼー基地での休息を特例で許可、第666中隊はギャラルホルンのMS部隊を基地まで誘導せよ。以上です!」

 

「本当ですか!同志中尉」

 

そう言ったのはアネットであった。

 

『当たり前だ、私が嘘をつくはずはないだろう』

 

その言葉を聞いたアネットは。

 

(やった!アリサに会える!)

 

内心とても喜んでいた。

 

「まぁ、我々は今回ギャラルホルンの部隊に助けて貰ったからな、借りを作りっぱなしと言う訳には行かないな。」

 

そう言うと、ベルンハルトはシュヴァルベと回線を開いた。

 

『ギャラルホルン部隊の指揮官に告げる、司令部からの伝言を伝える。今回の礼を兼ねて、諸君らギャラルホルンの部隊を客人としてベーバーゼー基地に向かい入れたい。我々について来てくれ。』

 

「了解しました。受け入れ、感謝します」

 

アリサはベルンハルトに礼を述べた。

 

「どうやら、ベアトリクス少佐が何とかしてくれたみたいですね。」

 

コックピットの中で一人、アリサはそう呟やいた。

 

 

 

 

 

 

 

武装警察軍基地

 

『同志少佐、君の提案通り軍本部はギャラルホルンの受け入れを許可した』

 

「ありがとうございますシュミット長官」

 

ベアトリクス少佐は電話の向こうの相手である、シュタージ長官のシュミットにそう言った。

 

『構わん、我々もギャラルホルンに貸しを作っておくのも悪くはないと思っているからな。しかし、監視の目だけはちゃんと光らせておくように、頼むぞ。』

 

「承知しております。」

 

そう言い、ベアトリクスはシュミットからの通信を切った。

 

『君に礼を言っておくよ、ベアトリクス少佐、我が部隊を受け入れるよう上に嘆願してもらって。』

 

今度は小型端末の向こうの相手であるマクギリスがベアトリクスに対しそう言った。

 

「艦隊が襲撃されたにも関わらず少数であって援軍を送ってくれたのです。礼を言いたいのはこっちです。」

 

『その事については、私よりアリサに言ってくれ、それでは』

 

そう言い、マクギリスは通信を切った。

 

「よかった・・・お兄ちゃん助かったんだ・・・」

 

「先輩、泣かないでください。」

 

近くにいた、リィズは泣きながらそう言い、そして泣いているリィズの涙をファルカがハンカチで拭いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一方

 

 

ノイエンハーゲン要塞陣地付近

 

現在、ここに派遣されていたファムとカティアは迫り来るBETA相手に戦術機二機で応戦をしていた。

 

「二機では食い止めようがないわ。要撃級だけを叩いて」

 

「はい!ファム中尉!」

 

「お姉さん。言ったでしょ。お姉さんでいいって」

 

「は、はい!ファムお姉さん!」

 

カティアはファムにそう言った。

 

(絶対に負けない、必ずファム中尉と共に皆んなの所に帰る)

 

何が何でも生きて帰る、そう決心しカティアは迫り来るBETAの大軍をひたすら攻撃し続けて居た。

 

 

 

その時

 

『カティアちゃん後ろ!』

 

何と、要撃級の一匹が、カティアの機体に飛びつき、その攻撃をファムが庇った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ここは・・・」

 

さっきまで戦術機に乗って戦っていたが、気づけばカティアの目に移ったのは灰色の天井であった。

 

「お姉さん・・・」

 

すると同じように、隣には気を失っている状態のファムが居た。

 

何が何だか、分からず混乱していると。

 

「目が覚めたか?」

 

女性軍人を一人連れた男性の軍人が部屋に入って来て、そう聞いた。

 

「あの此処は・・・」

 

カティアが男性軍人にそう聞くと。

 

「ノイエンハーゲン要塞陣地。地獄のド真ん中さ」




ハンニバル少佐、なんとか救済完了。

これでマライさんと結婚式が挙げられますね少佐。


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国家保安省武装警察軍基地

 

「では、アクスマン中佐。私はベーバーゼー基地に居るギャラルホルン部隊に釘を刺してまいります。」

 

「あぁ、宜しく頼むよ少佐」

 

ベアトリクスはアクスマンにそう言い部屋を出て行った。

 

 

ベアトリクスが部屋から出て行った事を確認したアクスマンは何処かに電話をかけた。

 

「もしもし?サーシェスかね?」

 

『よう、大将何の用だ?』

 

電話をした相手は今回の第2連合艦隊襲撃の犯人であるアリー・アル・サーシェスであった。

 

実は今回の艦隊襲撃の真犯人はアクスマンであった。

 

「今回はよくやってくれた。報酬は弾ませてもらうよ」

『そりゃどうも、でも良いのかい?ハンニバルだか、何だかの始末は失敗しちまったんだろ?』

 

「なに、ハンニバル如き始末する方法など幾らでもある、それより今回の襲撃の真の目的であるイオク・クジャンが君達に恨みを持つという事は達成された。成功報酬は予定通り、スイス銀行の君の口座に振り込んどく、これからも宜しく頼むよ」

 

『任せな、俺は傭兵だから依頼主が報酬を払い続ける限り、絶対に裏切らねぇ、それじゃあな。』

 

そう言い、サーシェスは電話を切った。

 

 

そして同時刻

 

ベーバーゼー基地

 

ファムとカティアが撃墜。

 

生きてはいるが、ノイエンハーゲン要塞陣地にいる。

 

その報告は、アリサに会えると最初は喜んで居たアネットに冷水をぶっかけるには十分であった。

 

「シュヴァルツ02拡散。突出したヴァルトハイム少尉を守ろうとして要撃級に撃墜されたようだ」

 

グレーテルが淡々と状況を説明した。

 

「今すぐ救出しに行くべきです!」

 

アネットはベルンハルトに二人を助けに行くように嘆願した。

 

だが

 

「今は補給と修理が最優先だ。それに、まだ光線級も生き残っている」

 

「テオドール・・・あんたはいいの?何とも思わないの?」

 

「俺には関係ない」

 

テオドールはアネットにそう言った。

 

「ふざけないで!あんたあの子の指導役でしょ!」

「アネット、落ち着いて」

 

そう言って今にもテオドールに殴りかかろうとして居たアネットをイングヒルトがなだめようとした。

 

「やめてくれない。あなたは今まで戦友を救えなかった、罪滅ぼしをしたいだけでしょ、つまらない馴れ合いに巻き込まないで。」

 

シルヴィアはアネットにそう冷徹に言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方

 

ベーバーゼー基地

 

ギャラルホルン使用施設

 

ベーバーゼー基地に居るギャラルホルンは人民軍と隔離されて居る状態であった。

 

それは人民軍から情報を聞き出したり、人民軍の兵士がギャラルホルン側に亡命させない為の対策である。

 

 

数時間後、東ドイツ軍を救う為、各戦場に展開して居たギャラルホルン青のフェンリル隊のMS部隊とノイエンハーゲン要塞陣地防衛部隊から割かれたMS小隊と補給艦のクルーザーがベーバーゼー基地に合流しその数MS13機と一個中隊規模の部隊になった。

 

 

そして現在この中で、最高位の階級の持ち主であるアリサは、派遣部隊から割かれた小隊の指揮官と状況確認の為話をして居た。

 

「では、アンドレイ一尉率いるノイエンハーゲン要塞陣地防衛部隊の本隊は真っ直ぐ要塞陣地に向かったという事ですか?」

 

「はい、アリサ特務一尉、アンドレイ一尉率いる部隊は今頃は要塞に到着している頃だと思います」

 

「そうですか。まぁ、ノイエンハーゲン要塞陣地の防衛はこれで一安心という事ですね・・・後はマネキン准将率いる第1連合艦隊が早く来てくれれば良いのですが。」

 

「そうですな・・・」

 

小隊長がそう言った時。

 

「アレは・・・」

 

エンジンの音がする為、アリサが周りを見渡してみると、シュタージの保有する9機のチェボラシュカが滑走路に着陸した。

 

「来たか・・・」

 

しかしアリサは別に怖がる事はなく一言そう言った。

 

「貴方がギャラルホルンの部隊長かしら?」

 

すると隊長機からベアトリクス少佐が降りてき、此方に向かって来て、そう言った。

 

「はい、アリサ・ボードウィン特務一尉です。はじめましてベアトリクス少佐」

 

「そう、少し話がしたいのだけれども良いかしら?」

 

「分かりました」

アリサはベアトリクスにそう言い、建物内の応接室に向かった。

 

 

 

 

 

 

応接室

 

「中々演技が上手いですね少佐」

 

アリサはベアトリクスにそう言った。

 

「フッ、そっちこそ、中々の演技だったわよ」

 

「そうですか、まぁ今は演技の評価うんぬんの前に、我々を受け入れるよう取り計らってもらい、感謝します少佐」

 

「構わないわ、寧ろ感謝したいのはこっちの方、貴方達が出撃してくれたおかげで、此方の犠牲も結構減ったわ。礼を言わせてちょうだい」

 

「私はギャラルホルンの理念に従い行動したまでです」

 

そう言い、アリサは出された紅茶を一口飲んだ。

 

「所で今回の襲撃、誰が犯人か少佐には心当たりは?」

 

「無いと言うわけでは無いけど、候補が多いわね。その所も含めて今、私の派閥に属して居る捜査員を使って色々調査しているところよ」

 

「そうですか・・・」

 

アリサはベアトリクスに何か聞けば分かるとだったが、やはり何も分からなかった。

 

「まぁ、その事は全て終わってから何とかするとして、今は目の前のBETAについて考えるべきかと」

 

そう言いアリサは小型端末を取り出しベアトリクスに見せた。

 

 

「BETA軍はこのまま真っ直ぐ此方に近づいて来て居ます。そしてベルリンを守るノイエンハーゲン要塞陣地に旅団規模のBETAが近づいて居ますが、現在此処には二個中隊規模の部隊で防御を固める予定です。そして、現在フィンランドでのBETA殲滅を終えたマネキン准将率いる第1連合艦隊が此方に向かって来ており、准将の指揮下にあるMSの数は約250。これだけの戦力があればBETA軍を殲滅できます。しかし第1連合艦隊は明日に到着する予定なので我々のこれからの戦術は、明日の朝になるまでひたすら防御に徹するのが良いと思います。」

 

「私もその策には賛成・・・と言いたいところだけど、また艦隊が襲撃される可能性はどうするのかしら?」

 

「スポンサー特権のみで幹部に選ばれたイオク様と違い、マネキン准将はギャラルホルンの中でも指折りの名将です。こんな事はあまり言うべきでは無いですが、マネキン准将なら不覚を取られる事は無いかと・・・」

 

「そう・・・まぁ選択の余地は無いわね、我々は第1連合艦隊に全てをかけるしか無いという事ね・・・」

 

「ハイ」

 

アリサはベアトリクスにそう言った。

 

「今度は私も出撃出来るよう、シュミット長官に掛け合ってみるわ、それとこの基地には何人かシュタージの情報提供者が居るけど全て私の管轄、何か出来る事があれば協力するわ。」

 

「ありがとうございます少佐。では一つお願いがあります」

 

 

 

 

 

 

 

そして数分後

 

 

「それではベアトリクス少佐殿」

 

「くれぐれも勝手な事はしないように」

 

そう言い、ベアトリクス少佐は基地に帰って行った。

 

「何を言われましたか?」

 

部下の一人はアリサにそう聞いた。

 

「勝手な事はするなと、釘を刺されました」

 

「そうですか・・・」

 

アリサは部下にそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

「ファム姉・・・」

 

アネットは灰色の空を見上げながらそう呟いた。

 

すると

 

「仲間思いなのは相変わらずという事ですか・・・」

 

「え?」

 

アネットが声のする方を向いて見ると。

 

「久しぶり、アネット・・・」

 

「あ、アリサ・・・?」

 

アネットは目をこすって、幻じゃ無いことを確認した。

 

「生きて・・・生きて居るんだよね・・・」

 

「何を今更・・・生きて居るに決まって・・・」

 

アリサがそこまで言った時、アネットはアリサに抱きつき。

 

「良かった・・・生きていたんだ・・・良かった・・・」

 

アネットは泣きながらアリサにそう言った。

 

「生きて居る・・・に決まって・・・」

 

するとアリサも自分の目からも涙が溢れ落ち。

 

「アネット・・・会いたかった・・・」

 

 

 

しばらく二人は互いを抱き締めながら泣いた。

 

 

 

「見苦しいところを見せましたねアネット」

 

「見苦しいって、昔はアリサ結構泣き虫だったから私からすれば懐かしい光景だったよ」

 

「昔の事を掘り返すのはやめてください、今の私は変わったんです。ギャラルホルンで鍛え直して強くなったんです」

 

アリサ顔を赤らめ、アネットにそう言った。

 

「まぁ確かに強くなったよ、要塞級をたった一人で倒すなんて、それに雰囲気も変わったような・・・」

 

アネットはそう指摘した。

 

昔のアネットが知って居るアリサはカティアやイングヒルトの様な雰囲気や目をして居たが、今のアリサの雰囲気は二人からはかけ離れており、どちらかと言うとベルンハルトに近い雰囲気だと感じた。

 

「色々ありましたから・・・BETA以外にカルト教団を叩いたり、反ギャラルホルン勢力と宇宙で戦ったりなど・・・」

 

「え!アリサ、宇宙に行ったの?どうだった宇宙は?」

 

「別に聞いても面白くは無いと思いますよ・・・」

 

そう言いアリサはこの四年間のことをアネットに話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数時間後

 

「そう言えば、なんでアリサは此処に?確かギャラルホルン部隊が駐留して居る場所はシュタージが監視して居るって聞いたけど・・・」

 

「抜け出して来ました」

 

実の事を言うと、ベアトリクス少佐に頼んでどうしても会いたい人が居るから外に出して欲しいと頼んだが、要らぬ不安や疑いをアネットに持ってほしく無いため、そこは黙った。

 

「何でそんな事を?」

 

「アネット、貴方に謝りたい事があって・・・」

 

「え?」

 

「四年前、私は貴方を置いて一人ギャラルホルンに入ってしまった。その所為で君を戦争神経症にするキッカケにしてしまった・・・私は貴方になんと謝れば、イタッ!」

 

そこまで言った時アネットはアリサにデコピンをし、されたアリサは頭を抱えた。

 

「そんな事アリサは悪くない!話に聞いたけど、ギャラルホルンの指導者のマクギリス・ファリドに命を救われて、ギャラルホルンに入ったんでしょ!だったらアリサは悪くない!戦争神経症になったのは私が・・・私が弱かったから・・・」

 

「アネット・・・」

 

そう言ってくれたアネットにアリサは呟く様にそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

「アネット・・・」

 

その光景をイングヒルトは盗み見る様に見ていた。

 

そしてその光景を見て居るとイングヒルトは何故か複雑な気持ちになった。

 

「なんで・・・アネットが立ち直ってくれて嬉しい筈なのに・・・何でこんなにも胸が締め付けられるの・・・」

 

イングヒルトは誰に聞かせるでもなく一人そう呟いた。




やっぱりサーシェスの背後にはアクスマンが居ました。


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ノイエンハーゲン要塞陣地



少しスランプに陥り、投稿が遅れてしまいました。


 

深夜

 

フィンランド

 

第一連合艦隊旗艦

 

第2連合艦隊が襲撃され撤退した為、東ドイツに迫り来るBETAの殲滅任務を引き継ぐ事となったマネキン准将率いる地球軍本隊こと、第一連合艦隊は東ドイツ、ザスニッツに向かおうと準備の真っ最中であった。

 

「一刻も早く、東ドイツへと向かわねば・・・」

 

マネキンは落ち着きがない様子でそう呟いた。

 

その時

 

「大佐」

 

「なんだパトリック?」

 

今や相思相愛の仲となって居るパトリックがマネキンに話しかけた。

 

「実は、東ドイツへの救援を快く思っていない兵士達が多くて・・・」

 

「なるほどな・・・パトリック、お前はどうか?」

 

「俺ですか?俺はあまりそう言う考えはわからないです!」

 

パトリックは自信満々でそう答えた。

 

「全く・・・お前は四年前から変わっていないな・・・」

 

マネキンは少し呆れながらそう言った。

 

 

 

そして数時間後

 

準備が整い第一連合艦隊は東ドイツに向けて出航しようとしていた。

 

しかしその前にマネキンは全艦に向けて通信を開いた。

 

「総員に告ぐ、地球軍総司令官カティ・マネキンである。これより我が軍は東ドイツへの救援の為出発する。がその前に貴官等に言っておきたい事がある。話に聞くと、諸君等の中には東ドイツ、つまり社会主義国を守る為に命を張る事に疑問を持っていると聞いた・・・あえて言おう、私も社会主義は嫌いだ、社会主義は世界最悪の思想であり、滅ぶべき思想だと思い、そして私自身社会主義の為に命を張るのも御免被る。だが私が嫌いなのは社会主義思想や政府であって、東ドイツ国民や社会主義国国民ではない!」

 

マネキンは此処で一旦息を吐きそして続けた。

 

「確かに東ドイツは国民を武力と秘密警察の恐怖で無理矢理支配し悪逆極まりない、正に腐った社会主義国家そのもの。罪深き国家であり、人類の為に戦う軍隊である我々ギャラルホルンとは天と地だ。だがそれは!東ドイツ政府が悪いのであって、東ドイツ国民に一切の罪は無い!だから我々は戦いに行く!東ドイツ政府では無く!東ドイツ国民。いや!我々と同じ人間達を守る為に我々は行く!だから諸君!全力で戦ってほしい!社会主義国では無く!そこに住む人々をを守る為に!その為に戦おう!そしてついでに、人類を守る為に戦う我々ギャラルホルンの誇り高き理念を!精神を!腐った東ドイツ政府にも見せてやろうでは無いか!」

 

「「「うおおおおおお!!!」」」

 

「そうだ!考えてみればそうだ!」

 

「東ドイツ国民を守りに行くぞ!!!」

 

「我々ギャラルホルンの誇り高き理念を!腐った社会主義政府に見せてやるぞ!」

 

マネキンの演説を聞いた兵士達は戦意をにじませ、皆口々にそう言った。

 

「全艦発進!目標東ドイツ!」

 

そしてマネキンの命令と共に三個艦隊で編成された、地球軍の精鋭艦隊の第一連合艦隊艦隊は出撃して行った。

 

 

 

その頃

 

 

ノイエンハーゲン要塞陣地

 

戦術機が撃墜された二人は、助けに来たはずの要塞陣地の兵士達に助けれられ、現在医務室に居た。

 

 

「第500野戦猟兵中隊クルト・グリーベル曹長だ。こっちはヴィヴィエン・シュヴァインシュタイガー軍曹」

 

「カティア・ヴァルトハイムです、ありがとうございます。助けていただいて」

 

カティアは自分を助けてくれた男性兵士であるクルトにお礼を言った。

 

「任務をこなしただけだ。戦術機を操る衛士は一兵卒と違って替えが利かん」

 

「一個小隊がBETAの餌になったけどね」

 

「そ、それは・・・」

 

女性兵士のヴィヴィエンの言葉にカティアは罪の意識苛まれ、そう呟いた。

 

「別に恨んじゃいない。脱出経路を案内しておく」

 

 

 

兵器庫

 

「すごい・・・本当に要塞なんですね」

 

頑丈なコンクリートに囲まれて、多数の戦車がある倉庫を見てカティアは、そう言った。

 

「ここは他の要塞陣地から孤立している。包囲されるのが当たり前だから頑強にできているんだ。ここを突破されるわけにはいかないからな」

 

「どう言う事ですか?」

 

「見せてやる」

 

そう言い、クルトはカティアを外の監視所に案内した。

 

 

監視所

 

 

 

 

「あれってまさか・・・」

 

カティアの目線の先にあるのは光がやく町であった。

 

「そう。我らが首都ベルリンだ。今頃暖房の効いた家で夕食を食べてるんだろう」

 

「戦場とこんなに近いなんて…」

 

「政府の連中が疎開を禁止してるからな。そんなことをすれば負けを認めるようなもんだしシュタージのせいで誰も文句は言わない。幻想にすがって平和な日常を続けようとしてるんだ。俺達がやられたらあそこが戦場になる、だから俺達は命がけで死に物狂いで戦うしかないんだ」

 

「私達はこの要塞を一分一秒でも長く持たせるための捨て駒。消耗品ってわけ」

 

「だがそれでいい。あの灯を守れるならな」

 

そう言い、クルトはヴィヴィエンを撫でながらそう言った。

 

その時

 

「曹長!」

 

1人の兵士が監視所にやって来た。

 

「何だ?ついにBETAが来たのか?」

 

「いいえ、それが・・・ギャラルホルンからの援軍です!」

 

「何!?」

 

兵士の嬉しそうな声にクルトはそう言った。

 

 

 

 

 

前線

 

「全軍!攻撃開始!」

 

「「「了解!」」」

 

アンドレイの命令と共に新・頂武中隊を中核とした二個中隊が保有するレギンレイズはBETAに対し攻撃を開始。

 

BETAの大軍は次々とビームで貫かれ、肉片へと変えられて行った。

 

「よし!このまま攻撃を続行!敵を殲滅しろ!」

 

 

 

 

 

そして数時間後

 

ノイエンハーゲン要塞陣地に向かって居た旅団規模のBETAは全て肉片へと変えられ、ギャラルホルン部隊はノイエンハーゲン要塞陣地に到着した。

 

ギャラルホルンは、すぐさま要塞内の負傷者を、クルーザーに搭載されている再生治療ポッドに放り込こみ、ファムも同じように再生治療を受けた。幸い骨折だけだった為、数時間経てば治る状態であり、アンドレイはファムの意識が戻ったことを先程部下から聞いた。

 

 

 

クルーザー級艦橋

 

 

 

「何とか要塞までたどり着いたな・・・」

 

アンドレイは部下の1人にそう言った。

 

すると

 

「アンドレイ一尉!要塞施設の責任者を連れて来ました!」

「そうか」

 

すると

 

「あんたがギャラルホルンの指揮官か?俺はクルト・グリーベル曹長、この要塞の代理指揮官だ。まずは部下達の治療を引き受けてくれて感謝する。」

 

クルトはそう言い、アンドレイに敬礼をし礼を言った。

 

「ギャラルホルンとして当然の事をしているまでです。それより我々との共同戦線を認めてくれて感謝する私は・・・」

 

アンドレイがそこまで言った時。

 

「ファムお姉さんの意識が覚めたって聞いて来たんですけど・・・」

 

ファムの意識が戻ったと聞かされたカティアはクルーザー級内部の治療室に入れるよう許可を取ろうと此処にやって来た。

 

すると

 

 

「ウルスラ・・・ウルスラ!!な、何故君が!」

 

「え、もしかしてアンドレイお兄さん!?」

 

「ウルスラ、久し振りにだな、しかし何故、君は西ドイツにいると聞いたが何故!?」

 

「アンドレイお兄さんこそ、ギャラルホルンに入隊して居たなんて!」

 

カティアがアンドレイは違いに驚きそこまで言った時。

 

「なんだ2人とも知り合いだったのか?」

 

「はい、クルト曹長。アンドレイ・スミルノフ、小さい頃からお世話になって居て私のお兄さんみたいな人です。」

 

「スミルノフ・・・まさかお前さん!あのロシアの荒熊と呼ばれたソ連軍戦術機師団司令のスミルノフ中将の・・・!!」

 

「息子です」

 

「マジかよ・・・」

 

クルトはその言葉に驚いた。

 

東欧圏の英雄であるセルゲイ・スミルノフの息子であるアンドレイがギャラルホルンの兵士になって居たのだから。

 

 

「所で何でここに」

 

「あ、そうだった実はアンドレイお兄さん、ファム中尉の意識が戻ったと聞いて此処に・・・」

 

「ファム・・・あぁ、あの女性士官か。良いだろう、メディカルルームに案内する付いて来てくれウルスラ。」

 

「はい、でもその前にアンドレイお兄さんにお願いが有るんだけど・・・」

 

カティアはアンドレイにファムや他の人の居る所ではウルスラでは無く、カティアと呼んで欲しいと、頼みアンドレイはそれを受け入れた。

 

 

 

 

メディカルルーム

 

「あら、カティアちゃん来てくれたのね」

 

「ファムお姉さん大丈夫ですか?」

 

カティアは心配してそう聞いた。

 

「大丈夫、ギャラルホルンの科学力は凄いと噂では聞いて居たけど、本当に凄いわね。さっきまでの怪我が嘘見たい・・・」

 

普通なら全治何週間もかかる骨折もギャラルホルンの再生医療ならば、数時間で治す事が出来る。

 

そんな、この世界より数世紀も先の技術を持つ技術力にファムは素直に感心しそう言った。

 

 

「所で隣の方は?」

 

「小さい時からの仲良しで、私のお兄さんみたいな人なんです」

 

「初めましてファム中尉、ギャラルホルン一尉のアンドレイ・スミルノフです。カティアとは血の繋がりはありませんが、私もカティアの事は昔から妹だと思って接して来ました。ですのでいつもカティアがお世話になっている事、そして先程聞きましたが戦場でカティアを助けてくれた事に礼を言いたい」

 

「別に大した事ではありませんアンドレイ一尉、カティアちゃんは私、いえ第666中隊の大切な仲間ですから」

 

「第666中隊・・・と言うと、あのシュヴァルツェスマーケンと呼ばれている・・・」

 

「はい」

 

ファムの言葉にアンドレイは自分達が一緒に持って来た積荷の事を思い出した。

 

(いや、此処からは我々がこの要塞を守る、あれは全てが終わったら渡せばいい)

 

アンドレイは心の中でそう思った。

 

「そうですか、まぁとりあえずファム中尉の体が完全に治るまでにはもう数時間かかるので、しばらくは安静にして居てください。」

 

「はい」

 

アンドレイはファムにそう言い、要塞の責任者であるクルス曹長とこれからの事を話す為にメディカルルームを後にした。

 

 

 




オリジナル設定ですが、カティアとアンドレイは知り合いという事にしました。


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最後の灯火

「つまり明日、いや既に今日か。兎も角朝の7時になれば俺たちは助かると言う事かアンドレイ一尉」

 

「はい、現在マネキン准将率いる第一連合艦隊が此方に向かっておりその到着が7時との事です。ですので我々の戦略は朝になるまでこのノイエンハーゲン要塞を死守する事です」

 

「成る程な、つまり俺たちは、そのマネキン准将率いる援軍が来るまで、BETA共に鉛玉をお見舞いすれば良いて事か、簡単な事だな」

 

「言うのは簡単です、でも実際は簡単には行かない事は貴方だって分かっている筈です」

 

その言葉にクルトはフッと笑った。

 

「このノイエンハーゲン要塞は我々が命をかけて守りますが、当然我々だけでは出来る事は限られて来ますなので人民軍にもどうかご協力願いたい。」

 

 

「アンドレイ一尉殿、一つ聞きたい。何故お前達は俺たちを助けるんだ?」

 

同じ国家人民軍ですらこの要塞を本気で守ろうとする考えが無い。

 

なのに何故、何の関係もないギャラルホルンがそこまでしてこの要塞と自分達を守るのか、クルトは不思議に思いそう聞いた。

 

「我々は軍人です。軍人は力無い人、そして友軍の為に命をかけて戦うのは当然の事です。」

 

「友軍?俺たちはギャラルホルンじゃないぜ?なのに何故俺たちが友軍なんだ?」

 

クルトのその言葉にアンドレイはこう言った。

 

「我々にとって国家や社会体制など些細な事です、貴方は人類である。それだけで我々が戦う理由としては十分です。」

 

その言葉を聞いたクルトは。

 

「ふっ、ハハハハハ!!こりゃ面白い!うちの国のお偉いさん方は国家や党など自分達のためにしか戦えとは言わないのに、お前達は本気で全人類を救う為に戦うつもりか、こりゃ傑作だ」

 

「夢物語とでも言いたいのか?クルト曹長」

 

「いや、面白いぜあんたら。良いだろう!スミルノフ将軍の息子という理由だけではなくあんたらのバカのような理念と本気でそれを実行しようとしているあんたが気に入った!協力は惜しまないぜアンドレイ一尉」

 

そう言いクルトはアンドレイに敬礼した。

 

「協力を感謝します」

 

 

 

 

 

 

そして数時間後、アンドレイがギャラルホルン部隊の指揮をとり、防衛体制を整える準備をある程度終えた時。

 

「アンドレイお兄さん・・・」

 

「ウルスラ・・・丁度良かった少し話さないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

ベーバーゼー基地

 

執務室

 

現在此処では、第666中隊の政治将校のグレーテルとハンニバル少佐が話していた。

 

「あの命令はシュタージが、本当ですか?」

 

「あぁ、奴等は支援と引き換えに指揮権の移譲を要求してきた。だが、結局武装警察軍は動かなかった。チボラシュカの整備不良が原因だと、全く見え透いた嘘を、シュタージめ!」

 

ハンニバルはシュタージに対しそう悪態をついた。

 

「そんな・・・ハンニバル少佐は奴らに殺かけたようなものではないか、奴ら国家人民軍と事を構えるつもりか!」

 

「私達国家人民軍の戦力を削いでおきたいのかもね。とにかく中隊と引き離された今ヴァルトハイム少尉はどうとでもできる、気を付けてグレーテル。これは友人としての忠告よ」

 

ハンニバルと一緒にいた副官のマライはグレーテルに警戒するよう警告した。

 

 

 

 

(シュタージの下衆め・・・なぜそこまでヴァルトハイム少尉を)

 

たかが西側から来ただけの少尉に対し其処までの謀略を張り巡らせるシュタージの行動がどうにも腑に落ちない。

 

(そう言えば、あのベアトリクス・ブレーメは何故態々自らが出向きヴァルトハイム少尉を引き抜こうとした・・・まさか?)

 

グレーテルは何か感づいた様子でテオドールの部屋へ向かって行った。

 

 

格納庫

 

テオドールは昔の自分達が亡命を試みた時の夢を見て飛び起き、寝られなくなった為、何を思ってから格納庫で自分の機体を見上げていた。

 

すると

 

「ここにいたか。話がある」

 

グレーテルがそう言い、格納庫の入り口まで来るようにテオドールに言った。

 

「先の作戦は我々から同志少尉を引き離すためにシュタージが立てた可能性が高い」

 

「そうなんですか・・・」

 

「言え!ベルンハルト大尉と謀って何を隠している!?」

 

 

「何も・・・俺はただ同志大尉の命令で・・・」

 

「もし同志大尉が反国家的な思惑であのガキを匿ってた場合最悪の結果となるぞ!」

 

「なんで同志大尉の話が・・・あいつはシュタージの犬なんでしょ?教えてください。何がどうなってるんですか?」

 

「知ってもどうせ何もできない・・・」

 

 

 

 

 

 

 

ノイエハーゲン要塞陣地監視所

 

「改めてだけどほんと、久しぶりですねアンドレイお兄さん」

 

「あぁ、最後に会ったのが6年前だったな。」

 

「そして、私とアンドレイお兄さんとが初めて会った時は今から8年前でしたね」

 

 

 

 

 

8年前

 

2人の出会いはドイツ内に有るソ連の軍事基地であった。

 

この日はこの地球に降り立った謎の生物、BETAに対しての防衛計画の立案の為にソ連と東ドイツ軍の合同会議が行われる事となった。

 

 

 

戦術機格納庫前

 

「よう、セルゲイ」

 

「アルフレートか、そのお嬢さんは?」

 

そしてアンドレイの父のセルゲイ少将と当時少将だったカティアの父のシュトラハヴィッツはソ連軍と東ドイツ軍の将校でありながら友人の中であり、よく仕事終わりに飲みに行ったりする仲であった。

 

「俺の愛娘のウルスラだ。可愛いだろう」

 

「初めましてウルスラ・シュトラハヴィッツです」

 

当時はウルスラと名乗っていたカティアはセルゲイにそう挨拶をした。

 

「初めましてウルスラ、それにしてもアルフレート、お前は相変わらず家族自慢が好きだな、お前が結婚した数日後に一緒に飲みに行った時は、妻の自慢話しばっかり聞かされたのを覚えているよ」

 

「そりゃ、美人妻と可愛い娘が居るんだ、自慢もしたくなるさ」

 

「フッ、そうかい」

 

セルゲイが少し笑いそう言うと。

 

「父さん」

 

同じ基地に居たアンドレイがセルゲイに話しかけて来た。

 

「あぁ、アンドレイ丁度良かった此奴はアルフレート・シュトラハヴィッツだ」

 

「初めまして、アルフレート少将」

 

アンドレイはそう言い、シュトラハヴィッツに敬礼した。

 

「初めましてアンドレイ君、そうだ君にも紹介しよう、私の愛娘のウルスラだ」

 

「初めまして、ウルスラ・シュトラハヴィッツです」

 

「は、初めまして」

 

(乙女だ・・・)

 

アンドレイはウルスラを見てそう思った。

 

そしてそれから何回もアンドレイとウルスラは会い、2人はすっかり仲良しになりその姿ははたから見ると兄妹であった。

 

 

 

 

 

 

 

「その事は今でも覚えています」

 

カティアはペンダントから出した写真を見ながらそう言った。

 

テオドールにも見せたその写真は、カティアとシュトラハヴィッツ、そしてセルゲイとアンドレイの4人がブランデンブルク門前で撮った写真だった。

 

「だがその事も長くは続かなかった・・・戦況は厳しくなり、それに伴いシュタージやKGBなどの秘密警察の権限が上がって行った。そして今から5年前・・・」

 

 

 

 

 

 

 

ベーバーゼー基地

 

 

「月光の夜事件。5年前に起きた国家人民軍の高級将校を中心とした反体制派によるクーデター。未遂に終わったがドイツ社会主義統一党の打倒とシュタージ壊滅を目論んでいた」

 

「そんなこと誰が・・・」

 

「かつて東ドイツを守った英雄、元第1戦車軍団指揮官アルフレート・シュトラハヴィッツ中将、そして東ヨーロッパの英雄、ソ連軍中将、セルゲイ・スミルノフ中将」

 

「シュトラハヴィッツ・・・」

 

テオドールはそう呟いた。

 

「知っているのか?」

 

「い・・・いえ・・・」

 

「だろうな。その名も事件もシュタージによって完全に隠蔽されている。唯一セルゲイ将軍はその後、疑いが晴れた後に激戦区で戦死し、更に隠蔽仕切れる名前ではない位の英雄だから彼だけは名前の隠蔽はされなかったらしいが。」

 

 

 

 

 

ノイエンハーゲン要塞陣地

 

「名誉の戦死?違う、父は奴ら利権にしがみつく共産主義者どもに殺された!奴らは自分達の権力を守る為に・・・父さんを勝ち目もない戦いに・・・」

 

「アンドレイお兄さん・・・」

 

「すまない、勝手に話を進めてしまって」

 

「大丈夫だよ・・・でも信じられない・・・スミルノフ将軍は東欧一の英雄なんでしょ。そんな人を確たる証拠も無しに無謀な戦場に送り込むなんて・・・」

 

「私も前まではそう思っていたしかし三年前・・・私がギャラルホルンに入ったばかりの時にマクギリス総統から・・・」

 

 

三年前

 

ギャラルホルン本部 ヴィーンゴールヴ

 

総統執務室

 

「アンドレイ・スミルノフ三尉、出頭いたしました!マクギリス総統」

 

「ご苦労、アンドレイ三尉。今日君を呼んだのは他でも無い。」

 

「何でしょうか?」

 

アンドレイがそう聞くとマクギリスは少し息を置きこう言った。

 

「真実を・・・知りたくは無いか?」

 

 

 

 

「こ、これは!!」

 

アンドレイはマクギリスから貸して貰った端末を握りつぶしそうなほど握りしめた。

 

端末に載っていたのはKGBの極秘資料の一つ、セルゲイ・スミルノフの始末計画の計画書であった。

 

「な、何故・・・何故父さんが!!!父さんが・・・殺されなければ・・・」

 

そう言いアンドレイは床に端末を叩きつけた。

 

「君のお父上は何時もこう言っていたようだね、最早社会主義だ資本主義だ関係なく全ての国の軍人達が団結し人類を守る為に戦わなければならないと・・・その事が・・・」

 

「そうです・・・でも、それの間違って居るのですか!」

 

その言葉にマクギリスは

 

「間違ってはいない、私は会った事は無いが話を聞く限り君のお父上は立派な人だ、私も合って見たくなる程のな・・・だがなアンドレイ三尉、ソ連や社会主義政府の俗物どもは人類の未来より、自分達の権力を守る事こそが大事なのだ。恐らくソ連政府がセルゲイ将軍を殺した真の目的はセルゲイ将軍の人気を妬んでだろう・・・」

 

「そんな・・・そんな事が・・・」

 

「許される事では無い、だからアンドレイ三尉・・・私に力を貸してくれないか?」

 

「どう言う事ですか?」

 

「君はお父さんの意思を受け継ぎ人類を守る為に我が軍に入ったらしいね、私は人類を心から救いたいと考えて居る。だから君にも私に協力してほしい、君のお父上の意思を受け継ぐため、そして人類を守る為に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「酷い・・・」

 

「あぁ、酷いさそしてこの東ドイツも・・・いや、共産主義其の物が!」

 

 

 

 

 

アンドレイはカティアにそう言った。

 

そしてアンドレイは次にこう言った。

 

「なぁ、ウルスラ・・・ギャラルホルンに来ないか?」

 

「え?」

 

「君の事が心配なんだ・・・こんな腐った国では君のお父上、そして君の理想も実現出来ないだろう・・・それに私は父を失った・・・母も四年前に無くした・・・だから最後に残った君だけは守りたい」

 

「アンドレイお兄さん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

ベーバーゼー基地

 

「その事が同志大尉に一体何の関係が・・・」

 

テオドールはグレーテルにそう聞いた。

「お前はあの女がシュタージの犬だと思うか?」

 

「家族を密告したんじゃ・・・」

 

「真実とは思えない。あの女はまともすぎる・・・部下を思い、己を厳しく律する・・・その証拠に彼女は兄以外誰も密告していない。おそらく、生かされたのだ。兄の意思によって・・・反体制派の意思を受け継ぐ人間として。そんな女が東ドイツ最強の戦術機部隊を掌握している。貴様はそれをただの偶然だと思うか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノイエンハーゲン要塞陣地

 

「アンドレイお兄さん・・・私は・・・」

 

カティアがそこまで言った時。

 

 

『アンドレイ一尉!緊急事態です!』

 

「どうした!?」

 

『BETA軍がこちらに接近してきます!数およそ・・・3、3万です!!』

 

「三万だと!?了解したすぐに迎撃体制に移る!」

 

そう言いアンドレイは端末の電源を切った。

 

「すまないウルスラ!私は行かねばならない。返事は後で・・・」

 

「うん、気をつけてねアンドレイお兄さん」

 

「分かった、ウルスラは安全な所に避難していてくれ」

 

 

そう言いアンドレイはMSが収納してあるクルーザーに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

「総員戦闘準備!モタモタするな!奴さんが来やがるぞ!」

 

周りはギャラルホルン、人民軍など関係無しに皆戦闘準備を整えていた。

 

 

「敵は三万以上・・・我々のMSはレギンレイズ21機・・・状況は最悪・・・だがそれでも!私には守りたいものがある!」

 

 

そう言い、アンドレイはレギンレイズを起動させた。

 

 

「アンドレイ・スミルノフ!レギンレイズ出るぞ!」

 

そう言い、アンドレイのレギンレイズ、そして彼が指揮するギャラルホルンのMS部隊はノイエンハーゲン要塞から離れた。

 

「行くぞ!新・頂武中隊!我々は人類を守るギャラルホルンの軍人だ!人類の盾となり矛となり!BETA共を薙ぎ払うぞ!!!」

 

「「「ウラーーーーー!!!!」」」

 

ギャラルホルンのMS部隊はそう叫びながらBETAの大軍に突っ込んで行った。

 

 

 

ノイエンハーゲン要塞内

 

「軍曹!何かあったらその衛士達を守れよ!」

 

クルトはカティア、そしてファムを守るようヴィヴィエンに言った。

 

「了解しました曹長!」

 

要塞内では人民軍だけでは無く武装したギャラルホルンの歩兵達も銃を構え敵を迎え撃つ用意をした。

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

何処かの廃教会

 

グレーテルと別れた後、テオドールはベルンハルトを近くの廃教会に呼び出した。

 

「こんな所に呼び出して何の用だ?同志少尉?」

 

「あんたのこと色々知った・・・」

 

「私はシュタージの犬だぞ?」

 

「本当にそうならシュトラハヴィッツの娘を守ろうとしない!あいつは父親に会いたい・・・そんな当たり前のことをするために帰って来た!危険を顧みずこんなクソみたいな国に!あいつは俺と違う、俺はシュタージに拷問され・・・その恐怖で奴らに言われるがまま全部吐いた・・・俺は両親を売ったんだ。自分が助かりたい一心で」

 

「少尉・・・」

 

「もう嫌なんだ・・・正しいことをする奴が潰されるのも大切な誰かを奪われるのも、俺はもう・・・諦めたくないんだ」

 

テオドールが涙を流しながらそこまで言った時。

 

ベルンハルトはテオドールを抱きしめ。

「待っていたぞテオドール・エーベルバッハ。私は・・・お前の味方だ」

 

ベルンハルトはテオドールにそう言った。

 

 

 

 

 

 

「ベルンハルト大尉・・・聞かせて欲しい、なぜ貴方は戦っている・・・」

 

「私を生かしてくれた人々との誓いを果たす為だ」

 

「誓い?」

 

「国家の為の国ではなく国民の為の国に。シュタージの監視も密告も粛清もない自由で正しい国に戻す、それがシュトラハヴィッツ中将、そして私の兄との誓いだ。そして、この命は私だけのものではない。中将や兄、粛清された仲間達、私に命を託してくれた皆の物だ、だから私は・・・例えこの身が滅びようとも、東ドイツを救う義務がある・・・」

 

「でもどうして俺みたいなクズにあいつを・・・」

 

テオドールはベルンハルトになぜ自分にカティアを任せたのか聞いた。

 

「お前なら決してカティアを見捨てない。そう思ったからだ。シュタージに妹を奪われたお前ならな」

 

「何でもお見通しってことかよ・・・」

 

「全てを話した以上同志として扱わせてもらうがいいのだな?」

 

その言葉を聞いたテオドールは何か悩んで居る顔をした。

 

「どうした?」

 

「怖いんだ・・・またシュタージの拷問に屈して誰かを売ってしまうんじゃないか・・・そう思うと」

 

 

「人は弱さ故に過ちを繰り返す・・・だがそれで心の灯火が汚れるわけではない、この国は闇の中にある。その中でただ一つの光がある、誰かを救い、守りたいという心だ。それを私は最後の灯火と呼んでいる」

 

「最後の灯火・・・」

 

テオドールはそう呟いた。

 

「お前の望みは何だ?

 

「カティアを・・・守りたい!」

 

その言葉聞いたベルンハルトは少し笑い。

 

「ならば私が力になろう。だから貴様は彼女を絶望から救い出せ!衛士テオドール・エーベルバッハ」

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

ノイエンハーゲン要塞

 

『クソ!叩いても叩いてもキリがない!!』

「諦めるな!我々ギャラルホルンに人々を見捨てると言う選択肢は無い!」

 

『しかし!』

 

「出来る限りの事をするんだ!何とか!何とか持ちこたえろ!今の時間は4時だ!後3時間!後3時間持ちこたえれば!マネキン准将率いる艦隊が到着する!!それまでもう少しだけ耐えるんだ!!!」

 

そう言いアンドレイの操るレギンレイズはひたすらEライフルでBETAを次々と肉片へと変えて行った。

 

 

しかし

 

 

『隊長!戦車級が防衛線を突破!』

 

「穴が空いた防衛線に手の空いているモビルワーカーを向かわせろ!防衛戦を修復するんだ!」

 

『了解!』

 

「クッ!やはりこの数ではキツイ!」

 

ギャラルホルンのMS部隊は戦場を飛び回り次々とBETAを殲滅して居るが次々と湧いて出てくるBETAをたった21機で相手し、しかも支援砲撃なども無いこの状況では、やはりきつかった。

 

 

要塞内

 

 

「来るぞ!」

 

クルトがそう言った瞬間要塞の大きな扉が破壊され、戦車級が内部に入って来た。

 

「撃て撃て!!!」

 

「足を狙うんだ!!!」

 

 

そう言ってギャラルホルン、人民軍の歩兵達はアサルトライフルやロケットランチャーで戦車級と応戦していた。

 

しかしその時

 

ギャラルホルンの兵士の1人が戦車級に潰されてその肉片が兵士達の頭上に降り注いだ。

 

 

「あっ・・・あぁ・・・」

 

あまりのショッキングな光景にカティアは放心状態になってしまった。

 

「カティアちゃん・・・カティアちゃん!!!」

 

するとカティアはファムにビンタをくらい正気に戻った。

 

「お、お姉さん・・・」

 

「ライフルを持って!自分の身は自分で守るしか無いわ!」

 

「は、はい!!」

 

そう言いカティアもアサルトライフルを持ち泣きながらBETAに応戦した。

 

「私何もわかってなかった・・・本物の戦場を・・・西と東・・・二つのドイツが力を合わせればBETAに勝てるなんて・・・」

 

「そうだ!これが現実だ!だがあんたは衛士だ」

 

「衛士なら私達より多くの人間を救えるはずなんだ!」

 

「衛士・・・ハッ!そうだ!」

 

クルトとヴィヴィエンの言葉にある事を思い出したカティアはギャラルホルンの兵士が持っていた通信機を使いアンドレイと連絡を取った。

 

 

 

 

 

前線

 

 

「これ以上BETAを近づけさせるな!!!なんとしても持ちこたえろ!!!!」

 

アンドレイが周りに檄を飛ばして居る時。

 

『アンドレイお兄さん!』

 

「何だウルスラ!今は忙しい!」

 

『私も前線で戦わせてください!」

 

「な、何を言っているだ!MSは全て出払っている!君は安全な所に!」

 

アンドレイがそこまで言った時

 

『私、ギャラルホルンの兵隊さん達の話を聞いたんです、アンドレイお兄さんが東ドイツに来たのはもう一つ理由があるって、第666中隊に戦術機を届ける為に東ドイツに来たって。だからそれに乗せてください!!」

 

「しかし・・・」

 

アンドレイは悩んだ、前線に出ると言う事は無論死ぬ確率がある。そんな中にカティアを放り込んで良いのかと。

 

すると

 

『アンドレイお兄さん!私は東ドイツの軍人であり衛士です!だから!私も要塞の人々を守りたいんです!』

 

「・・・死ぬかもしれないんだぞ・・・ウルスラ・・・」

 

『死にたくは無いです!でも!もう私の周りで死ぬ人を見たく無いんです!だから・・・私は出来る事をやりたいんです!』

 

「・・・分かった・・・戦術機を格納しているクルーザーの座標を送る、出るならすぐ出てくれ!防衛線が完全に突破されたら戦術機に乗る暇すら無い!」

 

『分かりました!』

 

 

そう言いカティアはアンドレイとの通信を切った。

 

「フッ、強くなったなウルスラ・・・」

 

 

 

 

 

要塞内

 

「ファムお姉さん!私はこの座標にある戦術機でBETAと戦います。お姉さんは・・・」

 

「勿論行くわ」

 

「分かりました、クルト曹長!私はこれから戦術機で出撃します!」

 

「戦術機!?戦術機が有るのか!?」

 

「ギャラルホルンが持って来た戦術機が有るそうなのでそれで!」

 

「分かった!軍曹!2人を援護しながらその座標に連れて行け!」

 

「了解しました!!曹長!死なないで下さい!」

 

「当たり前だ!!こんな墓穴の様な場所で死んでたまるか!!」

 

そう言いクルトはアサルトライフルを戦車級に乱射した。

 

「付いて来て!」

 

「は、はい!」

 

そして、カティアとファムの2人はヴィヴィエンの案内でその座標に向かって行った。



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受け継ぐ意思

6:00

 

ベーバーゼー基地

 

 

「総員傾注。再出撃の命令が下った。我々はヴァルトハイム少尉、ファム中尉の救出の為、ギャラルホルン、青のフェンリル隊との合同作戦を開始、ノィエンハーゲン要塞陣地への支援を敢行する」

 

『同志大尉!レーザーヤークトは如何するつもりだ!』

 

グレーテルがベルンハルトにそう言うと。

 

『レーザーヤークトは我々に任せろ、君達とギャラルホルンの部隊には恩があるからな』

 

そう言ったのはハンニバル少佐であった。

 

「クッ、了解しました!」

 

そう言いグレーテルは通信を切った。

 

 

 

「カティア、ファム姉・・・」

 

アネットが不安そうな声で2人の名前を呟いた。

 

すると

 

『安心して、2人は必ず助けますアネット』

「アリサ・・・」

 

シュヴァルベに乗るアリサが通信でアネットにそう言った。

 

『それに後一時間でマネキン准将の艦隊が到着します。そうなればBETAなど直ぐに殲滅出来ます。それまでは私が貴方を・・・アネットは私が守ります。なのでまぁ、大船にでも乗ったつもりで居てください。』

 

「アリサ・・・うん、分かった期待するよ。でもアリサ、死なないでね」

 

『誰に言っているんです貴方は・・・』

 

ギャラルホルンのエースに死ぬなと言うアネットに呆れながらそう言った。

 

「アネット・・・」

 

その光景を見たイングヒルトは操縦桿を力強く握りしめて居た。

 

すると

 

『ホーゼンフェルト少尉、無駄話はそこまでだ行くぞ!第666中隊、シュヴァルツェスマーケン出撃!』

 

『アリサ・ボードウィン!シュヴァルベおよび、青のフェンリル隊!行くぞ!』

 

「「「「「了解!」」」」」

 

そう言い、第666中隊と青のフェンリル隊は出撃して行った。

 

 

 

更に同時刻

 

 

国家保安省武装警察軍基地

 

「アクスマン中佐!!」

 

「どうした!?」

 

「そ、それが!ヴェアヴォルフが出撃する様です!」

 

「なに!?」

 

そう言い、アクスマンが外を見てみると、そこには発進準備を整えいつでも出撃する体制にある36機のチェボラシュカが居た。

 

 

 

 

 

「今回の任務はレーザーヤークトによる光線級殲滅と対BETA戦を行なっている人民軍への援護・・・いや、貸しを作る事よ、諸君、我々は国家の盾であり矛!神聖なる我が祖国に土足で踏み込む下等生物共に裁きの鉄槌を下しなさい!」

 

「「「「了解!」」」」

 

ベアトリクスの訓示にヴェアヴォルフの隊員達は皆そう言い、戦場に向かって行った。

 

すると

 

『ベアトリクス少佐どう言うつもりだ、人民軍を助けに行くなど』

 

「彼等は貴重な戦力、いずれ我々が全ての軍事的権限を掌握しても指揮する兵士達が武装警察軍だけではこの国を守りきれないわ。」

 

『だがこんな事、シュミット長官が許すとは・・・』

「長官の許可は取ってあるわ。人民軍にたっぷりと貸しを作って来いって。」

 

『なっ!』

 

「そう言う事、これ以上は言わなくても分かるわよね」

 

そう言い、ベアトリクスはアクスマンからの通信を切り戦場に直行した。

 

 

 

 

 

 

前線

 

ハンニバル少佐率いる大隊は、光線級殲滅の為に、BETAの大軍の上空を飛行し光線級に迫ろうとして居た。

 

しかし

 

『クソ!うぁああああ!!!』

 

『ハンニバル少佐!またやられました!』

 

「慌てるな落ち着け!とにかく!低空だ!地を這う様に飛行すれば光線級の攻撃は来ない!」

 

『了解しました!』

 

「やはり、第666中隊の様に簡単には行かんか・・・」

 

光線級殲滅などの任務は殆どが第666中隊に任せている為、ハンニバル少佐率いる大隊は慣れない任務に苦戦して居た。

 

更に戦車級や要撃級が邪魔し、思うように前に進めない。

 

すると

 

『少佐!後方より戦術機の反応!此れは!MiG−23チェボラシュカ!武装警察軍です!!』

 

「武装警察軍だと!?一体何の用だ!」

 

ハンニバルがそう言った時。

 

『此方は国家保安省武装警察軍所属ヴェアヴォルフ戦術機大隊、これより我々は貴方達の援護に回らせてもらうわ』

 

(どう言う風の吹き回しだ・・・だがまぁ良い・・・)

 

「協力に感謝する、ベアトリクス少佐」

 

そう言い、ハンニバルは通信を切った。

 

『少佐・・・』

 

「背に腹には帰られん、我々はこれより武装警察軍と共に合同作戦を展開する!だがしかし、警戒だけは怠るなよ!」

 

 

 

 

 

 

 

「一応、我々と協力する姿勢は示してくれたようね、ならば心配はない。ヴェアヴォルフ大隊各機へ!狩の時間よ!BETA共を一匹残らず食い尽くしなさい!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

そう言いヴェアヴォルフ大隊はBETAの大軍に突入し行く手を阻む戦車級や要撃級を次々と肉片へと変えて行った。

 

(お兄ちゃん、死なないで・・・)

 

その中で、ヴェアヴォルフ大隊のメンバーであるリィズはテオドールを心配し心の中でそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

ノイェンハーゲン要塞陣地

 

「何とか着いたわね・・・」

 

目的の場所である、ギャラルホルンのクルーザーの元に着いたファムは、そう呟いた。

 

「早く乗りましょう」

 

そう言いカティアはクルーザーの中に入り戦術機に乗ろうとした時。

 

「此れ・・・バラライカじゃないです!」

 

なんとクルーザーに積載されて居た戦術機はバラライカではなくどちらかと言うと

 

「チェボラシュカ?でもちょっと違う・・・」

戦術機を見たファムはそう呟いた。

 

「兎に角出撃しましょう、お姉さん」

 

「そうね」

 

そう言い2人はその戦術機に乗り込んだ。

 

「2人とも、BETA共をやっつけて下さい!」

 

ヴィヴィエンはカティアとファムにそう言い、敬礼をして2人を送り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方

 

「クソ!このままでは!」

 

アンドレイは苦い顔をしそう言った時。

 

『よく持ちこたえましたね、アンドレイ一尉!此処からは私も手を貸します』

 

「その声は!」

 

アンドレイがそう言ったと同時に、シュヴァルベのエイハブウェーブをキャッチした。

 

「アリサ特務一尉!」

 

『お待たせしましたね、青のフェンリル隊!攻撃開始!』

 

そう言い、アリサはBETAの大軍に突撃し、Eライフル、ブレードなどを駆使し、次々とBETAを肉片へ変えて行った。

 

更に

 

『此方第666中隊、我々も微力ながら協力させてもらう!』

 

「第666中隊まで!これで流れは変わった!総員!援軍が来た!これで7時まで持ちこたえる事が出来る!!あと少し!あと少し耐えるんだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノイエンハーゲン要塞陣地到着!狩の時間だ!攻撃開始!」

 

「「「「了解!」」」」

 

ベルンハルトの命令により、BETAにより攻撃を開始した。

 

「シュヴァルツ08!シュヴァルツ06!お前達2人は要塞に接近しヴァルトハイム少尉とファム中尉を救出しろ!」

 

『了解!』

 

『了解しました!』

 

2人はそう言い、ノイエンハーゲン要塞に向かおうとした時。

 

「嘘だろ!シュヴァルツ01緊急事態だ!前方に要塞級です!」

 

『何だと!』

 

何と目の前には要塞級が2体立ち塞がった。

 

「くっ!ギャラルホルン部隊!我々の進路上に要塞級を確認、援護を頼めるか?」

 

ベルンハルトはギャラルホルンの部隊に援護を頼んだが。

 

『こちらにも要塞級が!数は5体!』

 

 

「なんて事だ・・・」

 

ベルンハルトがそう呟いた時。

 

『シュヴァルツ01!此方シュヴァルツ04!前方要塞方面より戦術機!数およそ2!何だこれは!スピードが現存の戦術機を超えている!』

 

「何!?」

 

ベルンハルトがそう言った時。

 

「赤いチェボラシュカだと!?」

 

前方より真っ赤に塗装されたチェボラシュカに類似した二機の戦術機は、要塞級の触手攻撃を避けながら連携した攻撃で要塞級を翻弄して居た。

 

「要塞級の攻撃をさけ翻弄している・・・一体何処の?そこの戦術機!所属を明らかにしろ!」

 

グレーテルがその戦術機にそう呼びかけた時。

 

『此方シュヴァルツ09、カティア・ヴァルトハイムと』

 

『シュヴァルツ02、ファム・ティ・ラン中尉です!』

 

「何!?2人とも無事だったか!」

 

「ファム姉!良かった、生きて居たんだ・・・」

 

ベルンハルトとアネットは2人にそう言った。

 

「でも何故戦術機に!?それにその機体は!」

 

グレーテルはその見た事ない赤い戦術機について2人に聞いた。

 

『ギャラルホルンから貰いました、名前はMiG−27GH、アリゲートルカスタムです!ソ連の新型戦術機、アリゲートルをギャラルホルンの技術で改修した機体だそうです!』

 

「ソ連の新型機だと!何故そんな物を!」

 

グレーテルは何が何だか分からず戸惑いながらそう聞いた時。

 

『同志中尉、そんな事はどうでも良い、シュヴァルツ02、09、戦術機に乗っている以上共に戦ってもらうぞ、良いか?』

 

『ハイ!』

 

『勿論です!』

 

「良いだろう、では行くぞ!第666中隊!要塞級共にシュヴァルツェスマーケンを下してやれ!」

 

「「「「了解!」」」」

 

ファムとカティアが戻り隊員が全員が揃った第666中隊は要塞級に攻撃を開始、まずMiG−27GHに乗る、ファムとカティアが要塞級に攻撃を開始、要塞級の触手攻撃を避けながら銃撃を食らわせ、要塞級が、ファムやカティアに集中している隙に。

 

「未だ!!!」

アネットが長刀で要塞の触手を切り取り攻撃を封じた隙に。

 

「よし!いまだ!」

 

第666中隊は要塞級の下に潜り込み右足を全て破壊し要塞級を転倒させ。

 

「行け!テオドール!!」

 

「了解!うおおおお!!!」

 

テオドールはナイフを取り出し、要塞級を引き裂き、そして、その傷穴に銃を突き刺し、ゼロ距離で射撃を食らしトドメをさした。

 

「や、やった」

 

『よくやったテオドール!だが・・・』

 

「ハイ、あと一体・・・」

 

テオドールが要塞級を見上げそう呟いた。

 

その時

 

要塞級に多数の砲弾が直撃した。

 

 

「何だ!?」

 

「一体何なの!?」

 

テオドールとアネットがそう言い周りを見回すと、辺りにいたBETAの大軍から爆発が上がった。

 

『どうやら来たようですアネット』

 

「来たって・・・まさか・・・」

 

『ハイ、援軍です!』

 

するとシュヴァルベは200機を超えるレギンレイズや地上戦用グレイズの編隊を確認した。

 

マネキン准将率いる部隊が到着したのだ。

 

「ついに・・・ついに来たか!」

 

アンドレイが喜びでそう叫んだ時。

 

 

『アンドレイ一尉、待たせたな!俺たちが来たからにはもう大丈夫だ!さぁ、行くぜお前ら!BETA共を全てミンチにしてやれ!!!!』

 

「「「「おおおおおおお!!!!」」」」

 

「パトリック一尉!」

 

パトリック率いるフェニックス中隊は雄叫びをあげながらBETAに攻撃を開始した。

 

『全く!パトリックめ、調子に乗りおって・・・まぁいい!今回は派手に行くぞ!』

 

「「「了解!!」」」

 

パトリックだけではなくジニン二佐率いる部隊も攻撃を開始、ロケットランチャーやEライフルで次々とBETAを肉片へと変えて行った。

 

 

 

そしてパトリック率いるフェニックス中隊は真っ先に要塞級に突撃、要塞級はパトリックに触手攻撃を仕掛けだが、パトリックはその全てを避け。

 

「大佐のキッスは俺のものだああああ!!!!」

 

そう言いブレードで触手を切断ゼロ距離でビームを食らわせ要塞級を始末した。

 

 

 

 

「要塞級をたった一機で始末するなんて・・・ギャラルホルンの衛士は化け物揃いなのか・・・」

 

その光景を見たグレーテルはそう呟いた。

 

 

すると

 

『各機に通達!要塞級の全滅を確認、これよりミサイルによるノイエンハーゲン要塞に群がるBETAの掃討作戦を行う!総員一時要塞に撤退!』

 

第1連合艦隊司令のマネキンからそう通達が入った。

 

「よし、我々も勧告に従い一旦要塞に撤退する!」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

第一連合艦隊旗艦

 

「モビルスーツ、ならびに東ドイツ軍、ノイエンハーゲン要塞に一時撤退ました。

 

「よし!BETAを掃討する!全ミサイル一斉発射!撃て!」

 

すると全ての艦からミサイルが一斉に発射され、先程まで部隊が展開していた場所は火の海になった。

 

 

 

 

 

ノイエンハーゲン要塞

 

「テオドールさん!」

 

「カティア無事だったんだな。」

 

「はい」

 

カティアはテオドールにそう言った。

 

「そうだ、カティアお前に伝える事がある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう・・・お父さんはそんな事を・・・」

 

「あぁ。」

 

テオドールはそう呟いた。

 

 

すると

 

「ウル、いやカティア」

 

アンドレイがモビルスーツから降り、カティアに話しかけて来た。

 

「アンドレイお兄さん。」

 

「カティア、先程マネキン准将から旗艦への帰投命令が下った。」

 

「そう、アンドレイお兄さん、私東ドイツに残ります、お父さんが守ろうとした国だし、それに此処には・・・」

 

「大切な仲間が居るか?」

 

「はい」

 

カティアは頷いた。

 

「そうか、じゃあお別れだな、また何処かの戦場で」

 

そう言いアンドレイはカティアに敬礼しモビルスーツに乗ろうとした時。

 

「待って」

 

「何だ?」

 

するとカティアは自分のペンダントに閉まってあった写真を取り出しアンドレイに渡した。

 

「お守りの代わりです、」

 

「良いのか?」

 

「ハイ」

 

「・・・そうか、ありがとう」

 

アンドレイは写真を受け取り、モビルスーツに乗り込み要塞を離れて行った。

 

「今のは?」

 

テオドールがカティアにそう聞いた。

 

「私の大切なお兄さんです」

 

「そうか。」

 

テオドールは少し笑いそう言った。

 

すると

 

「まだ任務は終わっていない、情報によるとハンニバル少佐の部隊がまだ苦戦しているらしい。よってこれより、ギャラルホルンの部隊と共にBETA軍本隊への攻撃を開始する」

 

「了解しました! 同志大尉」

 

テオドールが敬礼しそう言った時。

 

「アイリスディーナで構わん」

 

テオドールにそう言い、ベルンハルトは自分の機体に戻ろうとした時。

 

「待ってください隊長!」

 

「何だ、ヴァルトハイム少尉?いや、カティア」

 

「私が乗っていたアリゲートルカスタムですが第666中隊全員分があります、戦場に行く前にアリゲートルに乗り換えることを具申します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルーザー格納庫

 

「何という高性能な戦術機だ。」

 

「これがソ連の新型・・・」

 

ベルンハルトとグレーテルはアリゲートルカスタムの性能にそう呟いた。

 

「正確にはギャラルホルンの技術で改修されている機体なので、凄いのはギャラルホルンかと」

 

カティアは2人にそう言った。

 

 

 

「成る程な、まぁいい!全員アリゲートルに乗ったか?」

 

「「「ハイ!」」」

 

「よし、それではこれより我々はギャラルホルンの部隊と共にハンニバル大隊の援護に向かう!新型機だからと言って調子に乗るなよ」

 

 

「「「了解!」」」

 

「よし!行くぞ!」

 

 

ベルンハルトの命令と共に赤い戦術機MiG−27GHに乗り変えた第666中隊はハンニバル大隊救援の為、戦場に向かって飛び立った。

 

 

 

 




MiG−27GH

ソ連の新型機MiG−27をベースにギャラルホルンの科学力により改修された機体。OSはギャラルホルンの主力モビルスーツ、レギンレイズのOSを使用し、さらにスラスターの出力も元となったMiG−27の数倍にもパワーアップし、運動性能もモビルスーツ並みに動ける様になった。更に15秒間だけなら光線級の直撃すらも耐える対ビームコーティングの改造を施され、ナノラミネートアーマーを除けばその性能はグレイズと同等、そしてゲイレールより上の性能を持つ、第2世代どころか、第3世代戦術機を遥かに凌ぐ、現存する戦術機の中では最強の性能を持つ、まさに化け物と言ってもいい戦術機。

ちなみにGHはギャラルホルンと言う意味である。



フェニックス中隊

パトリック・コーラサワーが率いる中隊。どんなに落とされても生きて生還する事で"不死身のコーラサワー"と渾名されたパトリックが率いる中隊で、最初は不死身のコーラサワー中隊とパトリックは名付けようとしたが、部下からカッコ悪いや戦意が湧かないという理由で没、その為、マネキンにより不死身の象徴であるフェニッスクの名を冠する事となった。


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戦いの終わり

 

「あとは頼むぞ・・・」

 

クルトは頭上を通り過ぎたアリゲートルを見てそう呟いた。

 

すると

 

「曹長!」

 

「お、軍曹無事だったか」

 

「ハイ、行っちゃいましたね・・・」

 

「あぁ、でも」

 

「はい、私たち助かりましたね」

 

ヴィヴィエンはクルトにそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

オーデル川東岸

 

現在東ドイツとポーランド国境付近ではハンニバル大隊と援軍に来たヴェアヴォルフ大隊が共にBETAに攻撃を仕掛けていた。

 

「あいつら・・・忌々しいが中々やるな・・・」

 

ハンニバルは次々とBETAを殲滅して行くヴェアヴォルフ大隊を見てそう言った。

 

『それにしても、この調子ならば光線級も時期に殲滅する事も』

 

「そうだな」

 

 

ハンニバルがそう呟いた時。

 

『少佐!大変です要塞級がまた!』

 

「何!?要塞級だと!」

 

すると目の前には2体の要塞級がこちらに向かって来た。

 

 

しかしその時

 

『少佐!後方より戦術機が!数およそ9機種は・・・機種は不明!!』

 

「何だと!?」

 

するとハンニバルの乗る戦術機の頭上を赤く塗装された9機の戦術機が通り過ぎた。

 

「何だ!?チェボラシュカ?だが何処の?」

 

ハンニバルがそう言った時。

 

『此方第666中隊隊長、アイリスディーナ・ベルンハルト大尉。ハンニバル、少佐遅くなりました。』

 

「ベルンハルト大尉!?その機体は一体!?」

 

『説明は後で、兎に角今は要塞級の始末が先です。』

 

そう言いベルンハルトは通信を切った。

 

 

 

「総員傾注!これより我々は要塞級及びBETAに対し攻撃を開始する!お待ちかねの狩の時間だ!BETAのクズ共にシュヴァルツェスマーケンを下してやれ!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

第666中隊は要塞級に突撃。すると要塞級は触手攻撃で第666中隊を攻撃するがその瞬間散開し攻撃を避けた。

 

「すごい機動性と運動性だ!要塞級の攻撃を余裕で避ける事が出来るとは・・・」

 

テオドールは改めてギャラルホルンの技術力の高さに驚かされた。

 

『感心するのは良いが、新型機に乗っているからと言って油断してやられるなよ』

 

「分かっています、俺は此処で死ぬ訳には行きません!」

 

「よく言った!エーベルバッハ少尉!」

 

そう言いベルンハルトは襲いかかって来た要撃級を始末しつつ要塞級に攻撃を加えた。

 

「よし、このまま要塞級の注意を私にそらす。そして、アネット!エーベルバッハ!やれ!」

 

「よっしゃ!喰らえ!!」

 

そう言いアネットは要塞級の触手を長刀で切断、そして要塞級の攻撃能力を無力化し、エーベルバッハは先程のように一気に要塞級に接近しナイフで要塞級の体を引き裂き、傷口に突撃砲を突っ込み発射、トドメをさした。

 

「や、やった・・・すごいこの機体」

 

アネットがそう呟いた時。

 

『気は抜かない方がいいですよ!』

 

アリサが通信でそう言い、もう一体の要塞級に攻撃を開始した。

 

「要塞級は私が、光線級は其方に任せます」

 

『ご好意に感謝する。よし、行くぞ』

 

「「「了解!」」」

 

第666中隊は、光線級全滅の為にこの場を離れた。

 

すると要塞級は丁度アネットの機体に攻撃を加えようとした時。

 

「アネットは、やらせない!」

 

シュヴァルベが間に入り、要塞級の触手をブレードではじき、すかさずスラスターを全開にし要塞級の攻撃を避けながら接近し触手を根本から破壊、そして真下に潜り込み要塞級をEライフルで撃ち抜いた。

 

「よし。では残りのBETAに攻撃をしかけます!」

 

「「「「了解!」」」」

 

 

そして、アリサの命令と共に青のフェンリル隊は周りにいるBETAに攻撃を開始、Eライフルやロケットランチャーで次々とBETAを肉片に変えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

ハンニバル大隊の援軍として来たヴェアヴォルフ大隊は行く手を阻む戦車級を次々と突撃砲で肉片へと変えて行った。

 

すると

 

『少佐!後方より正体不明の戦術機が!』

 

リィズがベアトリクスに通信を送りそう言った。

 

すると頭上を666のエンブレムを付けた9機のアリゲートルが通り過ぎた。

 

 

「アレは、MiG−27アリゲートル・・・成る程ファリド総統が第666中隊に渡すと言っていた戦術機とはアレの事か・・・」

 

『第666中隊と言う事は・・・』

 

「無事だったようね。」

 

 

ベアトリクはそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『アイリスディーナ大尉、先ほどの戦術機部隊ですが・・・』

 

「武装警察軍の奴等だな、何を考えて前線に出て来たかは知らないが無視するぞ、我々は光線級の殲滅を優先する」

 

ベルンハルトがそう言った時

 

『しまった!』

 

何とヴァルターの機体に光線級の攻撃が直撃してしまった。

 

 

瞬間アリゲートルは攻撃を耐えた。

 

「大丈夫かヴァルター?」

 

『大丈夫です、耐ビームコーティングがされているとは聞いたが、これ程とはな。』

 

「しかし、耐ビームコーティングもナノラミネートアーマーの様に万能ではない、あまり当たらない様にしろ」

 

『了解です』

 

 

 

ヴァルターがそう言った時。

 

『此方シュヴァルツ02光線級を発見、戦車級に守られています。』

 

「蹴散らすぞ!攻撃開始!」

 

その瞬間アリゲートルは突撃砲を撃ちなが接近、戦車級を次々と肉片へと変え、光線級への道を開き。

 

 

そして

 

「光線級の攻撃態勢が整う前に全て殲滅しろ!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

光線級の頭上に弾丸の雨を降らせ文字道理根こそぎ殲滅した。

 

「よし我々の任務は終わった!撤収するぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

「終わりだ!!!」

 

後から来たパトリック率いるフェニックス中隊は遅れを取り戻すかの様に大暴れし、要撃級や戦車級を多数。要塞級は4体撃破した。

 

すると

 

『此方ギャラルホルン地球軍総司令官カティ・マネキン。第666中隊により光線級は殲滅され、これより本作戦は最終段階に移行する。全機後退!ミサイル攻撃による掃討作戦を開始する!』

 

「なんだよ、もう終わりかよ。」

 

『いや、要塞級を一人で2体、中隊で3体倒したんですから十分だと思いますよ一尉』

 

「それもそうだな、よし撤退するぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

そして人民軍、ギャラルホルンのミサイル、砲撃による掃討作戦が開始され戦場は火の海になった。

 

 

 

 

 

「終りましたね・・・」

 

『あぁ、ようやく・・・長い戦いだった気がする・・・』

 

カティアの言葉にテオドールはそう言った。

 

テオドール自身たった二日の戦いだったが色んな事があり、実際は2年同じ戦いをした気分になっていた。

 

 

 

 

 

「では、私達もこれより撤退します。」

 

『アリサ・・・やっぱり行っちゃうの・・・?』

 

アネットは親友のアリサとまた別々になってしまう事を思うと、悲しくなり涙を流しながらそう言った。

 

「私はギャラルホルンの兵士ですから・・・」

 

『でも・・・』

 

「まぁ、今生の別れと言うわけでは有りません。また大掛かりな作戦があれば会う機会もあると思いますし、いずれ世界はギャラルホルンにより統一されると思います。なので・・・」

 

『・・・分かった、じゃそれまで・・・』

 

「うん、また・・・また会いましょう、アネット・・・」

 

アリサはそう言い、通信越しでアネットに敬礼し、青のフェンリル隊を引き連れて撤退して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

国家保安省武装警察軍基地

 

 

 

「これは、アリゲートル・・・我々ですら持っていない兵器をなぜ・・・」

 

アクスマンは第666中隊が乗るアリゲートルカスタムを見てそう呟いた。

 

「どうやら話にあったギャラルホルンが第666中隊に送った戦術機だと思われます。」

 

「成る程・・・」

 

「如何なさいますか、何か対処を?」

 

「いや、いい」

 

副官の言葉にアクスマンはそう返した。

 

「新型機の高性能戦術機ごときイオク・クジャンとパイプを持つことが出来れば大したことではない。ハンニバルは生きているが、あんな奴を始末する方法などいくらでもあるし、今回の目的であるイオク・クジャンに恨みを抱かせると言う作戦は成功。今回は大成功と言っても良いだろう。これで私の将来は安泰だな。」

 

 

 

 

 

 

 

スウェーデン軍港

 

「申し訳ありません!マクギリス様!敵の奇襲があったとはいえこんな無様な・・・」

 

『もう良い、まさかガンダムフレームを持つ敵が現れるとはな・・・お前の艦隊を攻撃した奴の対処はこっちで何とかしておく、兎に角今は部隊の再編と艦艇の修理を行い次第ヴィーンゴールヴに帰還、報告書を私に提出するように』

 

「ハッ!」

 

イオクはマクギリスに敬礼し、通信を切った。

 

 

(おのれ・・・何者かは知らんが!私の部下達を大勢殺したこの報い!必ず受けされるぞ!赤いガンダム!)

 

イオクの心は怒りに燃えてそう思った。

 

 

 

 

 

ギャラルホルン本部 ヴィーンゴールヴ

 

マクギリスはアリサから今回の戦いの報告を通信で聞いていた。

 

『以上が今回の戦いの記録ですマクギリス様』

 

「ご苦労アリサ、帰ったらしばらく休暇を与える」

 

『ありがとうございます』

 

アリサはマクギリスにそう言った。

 

『しかし、ファリド総統。報告によれば東ドイツのノイエン・ハーゲン要塞の防衛力の低さ、ギャラルホルン地球軍司令としては見過ごす事は出来ないです』

 

マネキンはマクギリスにそう言った。

 

すると

 

「その事だが、実は東ドイツ政府と交渉してノイエンハーゲン要塞を5年契約で我々ギャラルホルン が租借地として借り、グダニスク要塞の戦力を一部を此処に駐留させる事となった、つまり・・・」

 

『ノイエンハーゲン要塞の防衛力は強化されるという事ですか・・・』

 

「そうだ、詳しい事については帰ったら説明する、兎に角今は無事に艦隊をつれヴィーンゴールヴに帰還する事を考えてくれ。それでは」

 

そう言いマクギリスは通信を切った。

 

 

「しかし、第666中隊、面白い連中だ。彼等を見ているとまるで鉄華団を見ているようだ。・・・それに指揮官のアイリスディーナ・ベルンハルト大尉も面白いが、情報にあったテオドール・エーベルバッハ・・・誰かを守る強さか・・・悪くはない・・・時が来たらいずれ彼に"アレ"を託してみるのも悪くないかもしれないな」

 

 

マクギリスは窓の外から見える北海の海を見渡しながらそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後

 

ベーバーゼー基地

 

「あ・・・あの・・・」

 

「?何ですか?」

 

格納庫で声をかけられたカティアはそう言い声がする方を振り向いた。

 

「第666中隊の隊長さんはいらっしゃいますか?補充要員として今日からこちらに・・・」

 

「どうぞどうぞ。補充要員が来るなんて全然知りませんでした。私カティア・ヴァルトハイムといいます」

 

「リィズ・ホーエンシュタインです。よろしくね。カティアちゃん」

 

 

ヴェアヴォルフ大隊所属のはずのリィズが第666中隊の補充要員として来た事で物語は新たな展開を迎える事となる。

 

 

 



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反攻の予兆

ベーバーゼー基地

 

現在、第666中隊はブリーフィングルームに集められていた。

 

その理由は

 

「中隊に編入される新たな衛士を紹介する。入って来い」

 

 

「嘘・・・だろ・・・」

 

ベルンハルトが紹介した補充要員を見てテオドールは驚愕した。

 

なぜなら

 

「リィズ・ホーエンシュタイン少尉です。よろしくお願いします」

 

三年前にシュタージに処分されたと思っていた自分の大切な妹である、リィズ・ホーエンシュタインだったからだ。

 

「リ、リィズ・・・なのか」

 

「お兄ちゃん!会いたかった!ずっと・・・」

 

リィズはテオドールに抱きつきそう言った。

 

 

 

しかしリィズはヴェアヴォルフ大隊のメンバーのはず、それが何故この第666中隊に配属されたのか。

 

 

その理由は二日前に溯る

 

 

 

国家保安省武装警察軍基地

 

「潜入任務ですか?ベアトリクス少佐。」

 

「えぇ、貴方に今回潜入してもらうのは第666中隊。君のお兄さん、テオドール・エーベルバッハが所属している部隊よ・・・」

 

「と言う事は・・・」

 

「えぇ、そう言う事」

 

つまり、リィズは大好きな兄であるテオドールと再会する事をベアトリクスから許可されたのだ。

 

「で、でも何をすれば良いのですか?」

 

「任務は簡単、第666中隊が国家に敵対する行為をしないか見張る事、もし国家に敵対する姿勢を示したら・・・」

 

「第666中隊を始末する・・・」

 

自分の兄を粛清しなくては、ならないかもしれないため、リィズは不安そうな顔をしてそう言った。

 

 

しかし

 

「別に始末はしないわ、国家に敵対する姿勢を示したら、我らの"計画"を前倒しにするだけ、殺しはしないわ。なんせ第666中隊は人類を守る為に必要な貴重な戦力、処断するなんてそんな馬鹿な事はしないわ」

 

「よかった」

 

リィズが安心してそう言った時。

 

「まぁ、そう深く考えないで良いわ、せっかく四年振りに兄と再会するのだから。」

 

ベアトリクスはリィズを撫でながらそう言った。

 

「は、はい!リィズ・ホーエンシュタイン中尉!任務を引き受けます!」

 

そう言い、リィズは部屋を出て行った。

 

「最後の任務ですね・・・」

 

「フッ、そうね」

 

ミヒャルケの言葉にベアトリクスはそう言った。

 

 

 

 

 

時は戻り

 

「どう言う事だ、3年前に貴様の妹はシュタージに処分されたのではなかったのか?」

 

ベルンハルトはテオドールにそう聞いた。

 

「解放された後血眼になって探した。けど見つからなくて」

 

「別人という可能性は?」

 

「あれはリィズだ間違いない!」

 

テオドールには分かる、あれは正真正銘、自分が心から大好きなただ一人の家族であるリィズだと。

 

「なるほど・・・だとしたら・・・」

 

「ちょっと待て!同志中尉まさか、あいつがシュタージの情報提供者だとでも言うのか?」

 

自分の妹がシュタージのスパイかも知れないなどと言うグレーテルにテオドールはそう言った。

 

「連中が国家人民軍に送り込んだスパイかもしれん。拷問に屈したり洗脳された可能性も否定できん。そして工作のターゲットは貴様の可能性も高いエーベルバッハ少尉」

 

「俺?」

 

「貴様を懐柔し情報提供者に仕立て上げる。シュタージのやりそうな事だ」

 

 

「尋問するべきね。絶対吐かせてやるわ」

 

「彼女は現状中隊に必要な戦力だ」

 

「同志大尉の甘さには反吐が出るわね」

 

「シュタージの真似事はしたくないだけだ」

 

ベルンハルトはグレーテルにそう言った。

 

 

 

「テオドール・エーベルバッハ。リィズ・ホーエンシュタイン少尉の真意を見極めろ。これは貴様にしかできないことだ」

 

 

数分後

 

食堂

 

「義理の妹?道理で似てないわけだ」

 

「義理だけど正真正銘の兄妹です。でも驚きました。こんな美人ばっかりで。お兄ちゃんって昔から金髪でスタイルのいい好きだったよね、ベルンハルト大尉みたいな」

 

それを聞いたテオドールは飲んで居た水を吹き出してしまった。

 

「バババ、バカ・・・お前何を・・・」

 

「だって昔ベッドの下に金髪のヌード写真が・・・」

 

「ああああああああ!!!!!!何でもない!言うな!それを!!」

 

とんでもない事を暴露されそうになりテオドールはそう叫び声をあげそれ以上言わせないようにした。

 

しかし

 

「へぇ~案外普通の男子だったんだねあんた」

 

「誰か俺を殺してくれ・・・」

 

アネットにバッチリ聞かれてしまい、テオドールはうなだれながらそう言った。

 

するとリィズはカティアの方を見つめ。

 

「何でしょうか?」

 

「かわいい~。私カティアちゃんみたいな妹が欲しかったんだ。私ずっと妹だったから、お兄ちゃん共々よろしくね」

 

カティアに抱きつきそう言った。

 

 

「仲良いなあの3人・・・」

 

「でもアネットだってあのギャラルホルンの士官が居るでしょ」

 

イングヒルトはアネットにそう言った。

 

「あ、あぁ、確かに・・・」

 

アネットは頬をかきながらそう言った、するとイングヒルトは。

 

「へぇ〜やっぱり好きなんだ、アネットあの子の事」

 

「へ?あっ、いや、確かに好きだけどアリサはやっぱり妹みたいな感じで・・・」

 

「そう・・・少し妬けちゃうな・・・」

 

「なんか言った?」

 

「あ、いや、何でもないよ」

 

イングヒルトはアネットにそう言った。

 

 

 

第666中隊が新たなメンバーを向かい入れた。

 

 

 

 

 

 

その頃

 

 

 

ギャラルホルン本部 ヴィーンゴールヴ

 

最高幕僚会議室

 

現在ギャラルホルンは次なる戦いの戦略を協議するため、ギャラルホルンの最高幹部達による最高幕僚会議が開催されていた。

 

「情報にある通り、現在、ミンスクハイヴからBETAの大軍がポーランドに向かって進撃、ポーランドに残っているBETAと合流した場合、その数約40万の軍団を形成用すると思います。そして我が地球軍参謀部の分析によると、その軍団の進路はグダニスクに存在する我が軍の要塞基地に迫って来る可能性が極めて高いとの事です。」

 

マネキンは報告書を読み上げた。

 

「40万規模のBETAか・・・我々ギャラルホルンが相手にして来たBETAの最高は3年前の第二次フィンランド戦の30万が最高だったが・・・今回はそれを超える数だな。」

 

マネキンがまとめた報告書の内容を聞きいた石動はそう言った。

 

「はい、しかも参謀本部の予測では2週間後にはBETA軍の前衛部隊8万がグダニスク要塞に到達すると言う事です。」

 

「成る程、一刻も早く動かねばならないと言う事か・・・」

 

石動がそう呟いた時。

 

「石動准将案ずる事はありません!例えBETA共が50万来ようが一億来ようが我々ギャラルホルンの気高き心の前では無力!!我々ギャラルホルンの力で一気に蹴散らしてやるべきです!」

 

「クジャン特務一佐の言う通り!我々気高き心を持った軍の前ではBETAなど恐れるに足りず!」

 

「うむ!ライザ特務一佐の言う通り!ファリド総統!!どうかBETA軍殲滅は我が第2連合艦隊に!この前の雪辱を晴らして見せます!」

 

ギャラルホルン内の強硬派筆頭格であるイオクとライザはそう主張した。

 

すると

「フッ、そうだな。しかしイオク今回はお前だけ出撃と言うわけではない。」

 

「と、言いますと?」

 

「諸君!ギャラルホルン最高総司令官、マクギリス・ファリドの名において此処に!我々ギャラルホルンは前々から準備をしていた一大反攻作戦、作戦名"海王星"を2週間後に発動する!」

 

その瞬間最高幹部に衝撃が走った。

 

「遂に動くと言う事?マクギリス」

 

「あぁ、我々はこの四年間耐えて来た。その為そろそろ動いてみるのも悪くはないだろう、カルタ」

 

「遂に・・・遂に下等生物どもに裁きの鉄槌を下す!反撃の角笛を鳴らす時と言う事ですか!」

 

イオクは興奮した様子でそう言った。

 

 

海王星作戦

 

それはギャラルホルンが考えた一大反攻作戦、ギャラルホルン、AEU軍、国連の連合軍による、BETAからのポーランド奪還作戦の事である。

 

「今しかない、ポーランドにいるBETAがミンスクハイヴのBETAと共に、一斉にグダニスクに押しかけようとしている今こそ、時は来た!この戦いに勝てばミンスクハイヴの戦力は一気に低下し、さらにポーランドにいるBETAを全て掃討する事が出来る、そうなれば我々はベラルーシにあるミンスクハイヴへの攻撃拠点を得る事が出来、圧倒的に有利になる」

 

マクギリスが最高幹部の面々にそう言った時。

 

「私も、ファリド総統が決定した事であれば文句はありませんしかし・・・」

 

地球軍総司令官になる前もEU軍の士官としてBETAと戦って居た、マネキンとしては、やはりBETAへの大反攻作戦には慎重に物事を進めたいと思う所もあった。

 

「マネキン准将!慎重論もよろしいですが!そろそろ攻勢に出なければいつ・・・」

 

「やめろイオク、やはり心配と言う事か?マネキン准将」

 

「はい・・・

 

「フッ、だが心配は無い、四年前よりは我々は膨大な戦力を整え、国連軍を半ばギャラルホルンの傀儡に出来るくらい権限も拡大した。そして何より我々にはバエルがある。そして・・・バエル以外にも奴らを殲滅する方法がある」

 

「それは・・・ハッもしやアレが・・・」

 

「そう言う事だ、と言う事で石動、今回はカルタの地球強襲突撃降下兵団だけでは無く、地球外縁軌道統制統合艦隊を含めた宇宙軍にも参加してもらうぞ」

 

「承知致しました」

 

「よし、では各員それぞれ準備を進めろ。解散」

 

するとギャラルホルンの幹部達は次々と席を離れそれぞれやるべき事をする為、部屋を出て行った。

 

 

ただ一人、マネキンを除いて。

 

「やはり、反攻作戦には反対か?」

 

「いえ、そう言う事ではありません」

 

「では、何かな?」

 

マクギリスがそう聞くと、マネキンはある情報をマクギリスが持つ端末に送信した。

 

「報告します、私が2年前に提唱した"Freedom Blue Sky計画"が完了したとアメリカの軍需産業、"アイリス・コーポレーション"より報告が入りました。」

 

「そうか、遂に完了したか。」

 

Freedom Blue Sky計画、略して、FBS計画、それはマネキンが2年前に提唱した、グレイズやレギンレイズのバリエーション機ではない、新しいフレーム。航空戦特化型の新型局地型戦闘MSの開発プランであった。

 

MSのナノラミネートアーマーで光学兵器を無力化する事が出来、人類は再び空を取り戻す事が出来た。

 

そのためマネキンはこの状況をもっと活かすため、今までのようにスラスターで無理矢理空を飛ぶのでは無く航空力学に基づいた、大気圏内の空で自由自在に動ける新型機の開発をマクギリスに提案し、それを採用した。

 

そしてその計画を引き受けたアメリカ系の親ギャラルホルン軍需産業の筆頭格の企業の一つアイリス・コーポレーションからその計画が完了したとつい二日前にマネキンの友人であり、アイリス・コーポレーションの技術者の一人であるミラ・ブリッジスより報告が入った。

 

「すでに何十機か機体もロールアウトし、パイロットも優秀な人材が揃っているとの事です。なので・・・」

 

「今回の作戦に参加させ、実戦テストを行わせてほしいという事か、准将?」

 

「その通りです、戦争に勝つ為には新しい兵器なども必要ですので。」

 

「成る程・・・良いだろう、アレジ市長を通じてその部隊を派遣するよう工作する、場合によっては、我が軍に引き抜く事も・・・」

 

「ありがとうございます!」

 

マネキンはそう言い、マクギリスに敬礼した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ

 

アメリカの軍需産業は今まで対BETA戦の主要兵器である、戦術機の開発で莫大な利益を上げていた。

 

しかしこの数年間、ギャラルホルンによりもたらされた、モビルスーツと言う戦術機を遥かにしのぐ性能を持った機動兵器のお陰で戦術機は、時代遅れの旧型兵器と化し戦術機産業は次々と衰退、現在軍需産業のトップを走っているのはギャラルホルンの主力兵器レギンレイズを除くMSのライセンス生産や武器の生産を認められているEU系、特にグレイズの生産を許可されているユーロファイタスやダッスオーが、ボーニング社やグラナン社、ロックウィード・マーディン社などを中心としたアメリカの戦術機産業で荒稼ぎしていた企業をあっという間に追い抜き、空母や戦艦、陸戦艇や輸送機の生産を行っていた企業を除き、兵器産業の主役はアメリカから欧州に変わろうとしていた。

 

しかし例外がある。EU系企業により完全に占拠された軍需産業界に追い抜きをかけている会社があった。、アメリカ系の軍需会社である、アイリス・コーポレーションである。

 

アイリス・コーポレーションは今まで戦術機産業に乗り遅れライフルや他の会社が作った戦術機のライセンス生産で儲けていたが、この企業の社長は民主党の党員であり、角笛宣言の時に真っ先に、親ギャラルホルン系企業になった為、マクギリスよりヘキサフレーム系のライセンス生産を認められ、一気に急成長した会社である。

 

 

 

 

 

 

 

アイオワにあるアイリス・コーポレーション本社

 

 

 

その格納庫で、今回のアイリス・コーポレーションの社運を背負った新型MSの設計者の一人であるミラ・ブリッジスは自分達の子供とも言える新型MSを見上げていた。

 

「遂に、これが戦場に・・・」

 

ミラは2年前まではグラナン社でF −14の設計に携わり、後にロックウィード・マーディン社に移籍し第三世代戦術機、ラプターの設計に携わるほどの技術者であった。

 

しかし、既に前線国ではモビルスーツが主力となり、戦術機の時代は終わりを迎えようとしていた。だが、グラナン社やロックウィード・マーディン社などはいずれ戦術機がモビルスーツを超えると過去の栄光にしがみつき現実を見ず、夢物語を考えていた。

 

その為、もうこの仕事も限界かと思っていた時、学生時代の友人であるマネキンと同じく学生時代の友人である、技術者に今急成長を遂げているアイリス・コーポレーションに入らないかと誘いを受け、2年前にミラはアイリス・コーポレーションにヘッドハンティングされた。

 

そしてその数週間後、ギャラルホルンの注文でアイリス・コーポレーションの社運をかけた一大プロジェクトFBS計画に携わり、そして2年後遂に計画は完了した。

 

 

長かった新型機開発を思い出し、感傷に浸っている時。

 

「何黄昏ているのかい?」

 

メガネをかけた男性技術者がミラにそう聞いて来た。

 

「カティから連絡が来て、この機体を近いうち作戦に投入するらしいわ。」

 

「マネキンから?成る程ね、それで・・・」

 

その男性技術者はそう呟いた。

 

「貴方には感謝しても仕切れないわね、貴方がアイリス・コーポレーションに誘ってくれてなければ今頃、時代に置いて行かれ自堕落に生きていたかも知れないわ。」

 

そう、このメガネをかけた男性技術者こそミラをアイリス・コーポレーションに来るよ誘った人物だった。

 

「礼には及ばないさ、僕は君の才能を無駄にしたくなかっただけさ。兎に角、僕達はやれる事をやった、あとは機体とパイロット次第で、此奴は歴史に名を残すか影に隠れるかが決まる。最もパイロットについては全く心配してはいないがね。」

 

「そうね、絶対に成功するわ、私達が作ったMSだものビリー・・・」

 





原作とは内容は異なりますが、遂に海王星作戦が始まります。


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海王星作戦

前にもうガンダムキャラは出さないと言いましたが、やっぱ無かった事にしてください。


リィズが来てから1週間後

 

第666中隊は現在飛行訓練を行っていた。

 

『上手いじゃないかリィズ』

 

『上手ですよ』

 

「うぅ・・・前にいた部隊じゃこんな低空飛んだことないよ」

 

リィズはカティアとテオドールにそう言った。

 

『済まないな、ホーエンシュタイン少尉。お前だけバラライカで。』

 

「大丈夫ですベルンハルト大尉、でも最新機か・・・少し羨ましいな・・・」

 

東ドイツが保有するアリゲートルカスタムは合計9機、第666中隊にしか配備されて居ない、リィズは今までチェボラシュカにしか乗ったことが無いため当然アリゲートルには乗ったことが無い。

 

因みに三日前、シュタージの連中がアリゲートルカスタムのデータを引き渡すよう要請して来た。

 

一応シュタージの言い分だと、アリゲートルカスタムを生産し、もっと別の部隊にも配備するとは言っていたが、恐らく生産が開始されても武装警察軍に優先配備されるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練が何事もなく進行しているその時

 

「エイハブウェーブに反応、これはレギンレイズ30それに・・・シュヴァルベグレイズ1」

 

「シュヴァルベ!?と言うことは・・・」

 

アネットがシルヴィアにそう言った時。

 

「あの機体は、アリサ!」

 

アネットがそう言ったと同時にシュヴァルベからの通信回線が開かれた。

 

『久しぶりアネット』

 

「アリサ、どうしたのこんな所に!?」

 

『任務です。ギャラルホルン最高幕僚会議の決定でポーランド奪還作戦を開始する事になりました。』

 

「な!ポーランド奪還作戦だと!」

 

テオドールが驚きの余りそう叫んだ時。

 

自分達の頭上を数機の戦術機が通りすぎた。

 

「あれは!トーネード。西ドイツ51戦術機大隊、フッケバイン!それにトムキャット!アメリカ海軍第103戦術歩行戦闘隊ジョリー・ロジャースです!」

 

さらに

 

「水色のグレイズ!?AEU軍まで!ギャラルホルンだけでなく、何故ここに西の軍が・・・アレは!」

 

テオドールがそう言い、さらに最大望遠で沿岸部を見てみると、そこには

 

「ギャラルホルン第1連合艦隊と第二連合艦隊、それにアメリカ海軍のアイオワ級、とモンタナ級、AEU軍のライオン級まで」

 

カティアが驚きながらそう言った。目の前にははギャラルホルンの艦隊だけではなくアメリカ軍とAEU軍の艦隊など多数の国の艦隊やモビルスーツ、戦術機が居た。

 

「一体何が・・・」

 

アネットがそう呟いた時。

 

「反攻作戦ですアネット。BETAに対する一大反攻作戦、海王星作戦。」

 

アリサがアネットにそう言った時。

 

「総員傾注!飛行訓練はここまでだ。我々はこれより東ドイツを代表して国連、AEU、そしてギャラルホルンの対BETA反攻作戦に参加する!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦術機揚陸艦 ベーネミュンデ

 

海王星作戦、ポーランド、およびミンスクハイヴから迫るBETAを殲滅し、ポーランドを奪還する大反攻作戦、まずギャラルホルンにより要塞基地と化したグダニスクに迫るBETAを殲滅し、内陸奥深くに侵攻し残ったBETAを殲滅し、ポーランドを奪還すると言う作戦だ。

 

「この作戦が成功すれば、我々東ドイツは前線国ではなくなり、BETAの脅威から解放される。ギャラルホルンが主導の作戦とは言え、我々東ドイツの命運を左右する作戦である事には変わりない。各員の奮闘に期待する!」

 

 

 

 

 

その頃

 

ベーネミュンデの甲板でカティアとテオドール、アネットそしてリィズは潮風にあたりながら多数の戦艦がひしめき合う海を見つめて居た。

 

 

「こんな作戦が動いてたとはな。」

 

「西側、いやギャラルホルンの思いが詰まった作戦だね・・・」

 

「艦艇216隻、戦術機とモビルスーツは1100機、車両数千、参加人員60万人以上、すごい数ですね・・・」

 

「あぁ、だけどもっと凄いのは・・・」

 

「ギャラルホルンだね・・・この戦力の半分以上はギャラルホルン所属の戦力らしいよ」

 

 

リィズはテオドールにそう言った。今回のこの作戦、投入される戦力の半分以上がなんと全てギャラルホルンの戦力であった。その為四人はギャラルホルンと言う軍事組織の強大さに何も言えない気分になっていた。

 

しかも今回の作戦、ギャラルホルンや事実上ギャラルホルンの傀儡となっているAEU軍だけでなく国連軍の指揮権までもがギャラルホルンの最高意思決定機関である、ギャラルホルン最高幕僚会議が完全に掌握しており、ギャラルホルン司令部からの命令が無ければ各国の軍は自由に動けない。軍事的にも政治力的にもギャラルホルンが今回参加する国々の軍隊を超えていた。

 

「そう言えば、さっき同志中尉がイラついていたが、一体何だったんだ?」

 

アネットがそう言った時。

 

『多分今回の作戦は、ギャラルホルン最高幕僚会議が全ての権限を握っている事かと思います。』

 

すると、ベーネミュンデの側にスペングラー級が接近し、同時に8機のレギンレイズを引き連れたシュヴァルベがベーネミュンデの甲板に着陸した。

 

「あの機体は・・・」

 

「久しぶりですね第666中隊の皆様」

 

「アリサ〜!久しぶり!」

 

「そんな久しぶりでは無いですよ」

 

アリサは抱きついて来たアネットにそう言った。

 

「そう言えばアリサ特務一尉、今回の作戦、ギャラルホルンが完全に指揮系統を握っているとはどう言う?」

 

カティアは気になり、アリサにそう聞いた。

 

「今回の作戦、ギャラルホルンの最高総司令官であるマクギリス様が直々に指揮を取る事となって居ます。その為完璧な結果を残す為に、各軍には勝手に動く事を厳禁とし、マクギリス様とギャラルホルン最高幕僚会議こそが唯一絶対の指揮権を持つ事が決定しています。なのでおそらく敵対している組織であるギャラルホルンが国連、ワルシャワ条約機構の各軍の司令部よりも上位の権限を持つ事になった為、ギャラルホルンの命令に従わなくてはならない事があの頭の固い政治将校はイラつかせているのでしょう。」

 

「成る程、よく分からないけど。ところで何でアリサはこの艦に?」

 

「あぁ、それは・・・」

 

アリサが理由をアネットに言おうとした時。

 

「それは、所謂各軍が勝手な行動をしないように、今回の作戦にはAEU所属の部隊を除く各部隊に小隊規模のギャラルホルン部隊を配置する事を命令された為です。」

 

「あ、アンドレイお兄さん!」

 

「久しぶりだなカティア」

 

すると今度はレギンレイズの一機から降りたアンドレイがカティアにそう言った。

 

「成る程、つまり政治将校、いや督戦隊と言うわけか。」

 

「悪く言えばそうなります、しかし我々青のフェンリル隊が第666中隊と共に行動する事になったのはマクギリス様から第666中隊にこの前、私達に協力してくれたお礼をするようにと。」

 

「成る程。」

 

アリサの説明にテオドールは納得したような口ぶりでそう言った。

 

「そういえば、アンドレイお兄さん。何で青のフェンリル隊に?確か前の戦いでアンドレイお兄さんは新・頂武中隊の隊長だと・・・」

 

「前の戦いで、青のフェンリル隊が何人か殉職したらしく、その補充人員として私と私が指揮する新・頂武中隊が此処に配属されたんだ。」

 

「成る程」

 

カティアはアンドレイにそう言った。

 

 

6人がそれぞれ話をしている、その時

 

『レーダーに反応、後方より猛スピードでモビルスーツ接近!数1』

 

「なんだ?」

 

「何事?」

 

艦内放送を聞きら艦内から出て来たベルンハルトとグレーテルがそう言った。

 

すると

 

「「「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」

 

AEU、ギャラルホルンの艦から次々と歓声が上がった。

 

「なんだ!?なんの騒ぎだこれは!?」

 

グレーテルが戸惑いながらそう聞いた時。

 

「貴方達も見ておいた方が良いですよ。」

 

「なに?」

 

グレーテルがアリサに、そう言ったと同時に後方から猛スピードで接近して来たのは。

 

「ガンダム・バエル、人類反撃を象徴する最強の機体です。」

 

「なに!?するとアレに乗っているのが」

 

「マクギリス・ファリド・・・人類の英雄・・・」

 

テオドールはベルンハルトに続くようにそう言った。

 

 

 

するとバエルはそのままベーネミュンデの真横を通りすぎ、先頭にいるギャラルホルン地球軍の旗艦であるベーリング級の甲板にまるで現世に降臨した神の如く着陸した。

 

「「「「ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!」」」」

 

するとAEU、ギャラルホルンの艦からバエルとマクギリスを讃えるコールが次々と聞こえて来た。

 

「聞こえますか?アレが英雄の力です」

 

「英雄・・・」

 

テオドールがそう呟いた時、バエルのコックピットが開き、金髪碧眼の青年、人類の英雄であり、世界の指導者になりつつある、ギャラルホルンの最高指導者、マクギリス・ファリドは堂々たる姿でモビルスーツから降りた。

 

 

 

 

第1連合艦隊旗艦

 

今回の作戦の総司令部が置かれる事となったこの艦にマクギリスが操るバエルが着陸した。

 

「「「「ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!うおおおおおおおおおお!!!!!」」」」

 

マクギリスの姿を見た瞬間コールは雄叫びに変わり、マクギリスを迎えた。

 

 

「総統、お待ちしておりました。」

 

「今回も宜しく頼むぞマネキン准将」

 

「ハッ」

 

マネキンはマクギリスに敬礼し、そう言った。

 

普通ならこのまま艦内に入るのだが。

 

「そう言えば、君が言っていた例の部隊は未だ来ていないのか?」

 

「もう間も無く来るかと・・・」

 

マネキンがそう言った時。

 

「大佐!艦橋より上空にエイハブウェーブの反応を確認しらしいです!」

 

パトリックがマネキンにそう告げた。

 

すると

 

「来たか。」

 

マネキンはそう一言呟いた。

 

 

 

ベーネミュンデ

 

「アレがマクギリス・ファリド総統・・・」

 

「テレビで見た事はあるけど、やっぱりイケメンだねお兄ちゃん」

 

そう呟いたテオドールにリィズはそう言った。

 

すると

 

「ホーエンシュタイン少尉、そう言った発言は慎め。敵の指導者を賛美する発言は政治的信用性を疑われるぞ」

 

「ご、ごめんなさい・・・」

 

リィズはグレーテルにそう言った時。

 

 

 

『上空にエイハブウェーブ!数20』

 

「なに?今度はなんだ?」

 

艦内放送を聞き、テオドールがそう言いながら空を見上げると。

 

「なんだあれ、戦闘機?」

 

雲を突き破り、黒色の見た事も無い、戦闘機らしき機体が20機、降下して来た。

 

「何で戦闘機が、いやそれより!」

 

「なにを考えている!このままでは水面に衝突するぞ!」

 

テオドールに続くように、ベルンハルトが急降下して来る戦闘機を見てそう言った時

 

 

「な!!!」

 

「へ、変形した!?アレは戦闘機ではない!アレはモビルスーツ!?」

 

グレーテルが驚いた様子でそう言った。

 

なんと黒色の戦闘機だと思っていた20機のモビルスーツは水面ギリギリで人型に変形、空気抵抗で機体を浮かせ体制を直した所でもう一度変形し、水面ギリギリを飛行しながらギャラルホルン第1連合艦隊の旗艦に向かって行った。

 

「なんだあのモビルスーツは・・・」

 

 

 

 

 

 

第1連合艦隊旗艦

 

「ほぅ、アレか・・・」

 

「えぇ、」

 

マネキンがマクギリスにそう言った時。

 

「なんだあのモビルスーツは!?変形しただと?あんな機体見た事が・・・」

 

一緒にいたパトリックが戸惑いながらそう言った。

 

「新型機だパトリック、アレがFBS計画で生み出されたアメリカのアイリス・コーポレーションが作り上げた大気圏内での航空戦を第1に考えた、新型モビルスーツ。航空戦特化型局地戦闘可変モビルスーツ、"フラッグ "、そしてあの部隊はフラッグで構成された精鋭モビルスーツ部隊。部隊名は"オーバーフラッグス"」

 

 

 

 

 

 

その頃

 

この20機のフラッグの部隊、オーバーフラッグスの隊長と思われる人物は最大望遠で第1連合艦隊の旗艦に着陸しているバエルをモニターで視認した。

 

「会いたかったぞ…我が愛しき存在、私に希望を持たせてくれた君と共に肩を並べ戦えるとは…やはり乙女座の私には、センチメンタリズムな運命を感じずにはいられないようだな・・・」

 

『全く、本当にガンダムの事しか考えて居ないんですね隊長は。』

 

「当然だダリル、ガンダムは私に希望を与えてくれた、正に憧れの存在なのだから」

 

『そうですか。まぁ、その気持ち空を飛ぶ漢である私も分からなくはないですよ隊長。』

 

「フッ、そうかハワード。さて、オーバーフラッグス隊はこれよりギャラルホルン第1連合艦隊旗艦のMS部隊と合流する、ハワード、ダリル、そして他のフラッグファイター達も私について来い」

 

「「「了解!」」」

 

(さて、今回の戦いで見せてくれガンダム、フラッグ、君達の力をこの私、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラハム・エーカーに見せてくれ!)

 

 

 

 





フラッグ

アメリカ系軍需企業、アイリス・コーポレーションが開発した新型の可変型モビルスーツ。グレイズやレギンレイズのように宇宙と地球、両方で高い性能を発揮出来る機体ではないが、大気圏内での空中戦ならばバエルやガンダムフレームを除き最強と言っても良い性能を持っている。先行量産機が配備されているオーバーフラッグス隊の機体は一番防御力が高い、黒色のナノラミネートアーマを採用しており、隊長であるグラハムの機体には本人の要望ではリミッターを外し、限界までスピードを引き上げた機体を使っている。

元ネタは勿論00で一番かっこいい否擬似太陽炉搭載型モビルスーツのフラッグ。


対BETA専用の武器

ビームサーベル×2

トライデントストライカーE×1

原作のトライデントストライカーはリニアライフルだが、Eタイプはビーム兵器になっており、威力が高い単発モードとビームマシンガンモードの二つを選べる



グラハム・エーカー

アメリカ軍所属の大尉であり、自称この世界で一番空を愛する男達によって作られた部隊であるオーバーフラッグスの隊長。かつて、空を自由に飛び回り、BETAを次々と駆逐して行った、ガンダム・バエルに憧れて、少しでも近づくために、FBS計画に参加した。そしてアメリカ軍の中でも戦術機で高高度で飛行し、光線級の攻撃を避けながら戦場を駆け回った伝説の男でもある。部下のハワード・メイスン中尉とダリル・ダッチ中尉とは部隊結成前からの仲。

元ネタは勿論00の変態、グラハム・エーカー。




ついにグラハムさん出してしまいました。

この前、スローネアインとカスタムフラッグの動画を見たらつい出したくなって出してしまいました。それにやっぱりBETAを殲滅するには優秀な人材は多い方が良いですね。



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憧れ

 

オーバーフラッグス隊が第1連合艦隊旗艦のベーリング級空母に着陸したと同時に、アメリカ軍のヘリコプターが同空母に着陸した。

 

 

そして、そのヘリから白衣を着た研究者と思われる二人の男女が現れた。

 

「フラッグのデータ収集及び、整備アドバイスの為、アイリス・コーポレーション技術部から派遣されて来ました、フラッグの設計主任、ビリー・カタギリですマネキン准将、ファリド総統そしてこちらが。」

 

「同じくアイリス・コーポレーションから派遣されましたフラッグの設計者の一人、ミラ・ブリッジスです、今回はよろしくお願いします准将、総統」

 

「マクギリス・ファリドだ、今回は前線までよく来てくれた。」

 

「カティ・マネキンだ、今回はよろしく頼む、そして彼が・・・」

 

「えぇ、我が軍のエース、グラハム・エーカー大尉です。」

 

カタギリがそう言ったと同時に、グラハムとハワード、ダリルを先頭にフラッグファイター達がマクギリスに向かって来た。

 

そして

 

「グラハム・エーカー大尉および独立航空戦術飛行隊オーバーフラッグス隊所属の20名、着任いたしました。」

 

マクギリスとマネキンにグラハムはそう言い敬礼し、そに続くようにほかの隊員達も一斉に敬礼した。

 

「よく来てくれた今回はよろしく頼むぞ。」

 

「ハッ!」

 

「所で、パイロットの君に聞きたい、フラッグはどうかな?」

 

「素晴らしい機体です。特に航空戦を主体とした機体コンセプト、そして無敵と言ってもいい航空性能が気に入りました。」

 

「フッ、そうか・・・」

 

マクギリスはグラハムにそう言った。

 

すると

 

「ファリド総統、私から一つお願いがあります。」

 

「何かな?」

 

今度はカタギリがマクギリスに話しかけて来た。

 

「グラハムにバエルを見せてあげてください」

 

「おい、カタギリ」

 

「良いじゃないか、ガンダムは君の憧れだったんだろ、こんな機会は滅多いないよ」

 

「まぁ、そうだが」

 

グラハムがカタギリにそう言った時。

 

「別に構わない」

 

「な、本当に良いのですか?」

 

「バエルに憧れる気持ちは私にも理解できる、好きなだけ見てくれ」

 

「・・・感謝する」

 

そう言ってグラハムはフラッグを着陸させるため、格納庫に収納されているバエルを見るため、マクギリスと共に格納庫に入って行った。

 

「さて堅苦しい物言いはここまでにして、久し振りだなカタギリ、ブリッジス」

 

「久し振りだね、マネキン」

 

「三年前にカティのギャラルホルン最高幹部就任のお祝いをした時ぶりくらいかしらね。」

 

「フッ、お互い忙しくてろくに会う暇が無かったからな、この作戦が終わったら久し振りに飲みに行かないか?」

 

「悪くないな、君はどうだいミラ?」

 

「そうね、久し振りに3人揃ったのだらそれも悪くないわね」

 

ミラ、カタギリ、マネキンの3人はかつてアメリカの大学で共に勉学を学んでいた仲であった。

 

ミラとカタギリは兵器工学、マネキンは戦術や組織運営と、それぞれ学ぶ分野は違ってはいたが、3人は仲が良かった。

 

しかしここ最近、カタギリとミラは兎も角、マネキンは世界最強の軍事組織、ギャラルホルンの最高幹部に抜擢され忙しくて会うのは久し振りだった。

 

「それにしてもフラッグか・・・良い機体だな、これ程の機体よく完成させてくれた。」

 

「色々大変だったよ、特に量産型の機体は変形を簡単に行えるようにするのが大変でね、初期のフラッグは空中での変形が難しかったんだ。そっちがグレイズアインやフラウロスとか言うモビルスーツのデータを送ってくれたおかげで量産型は空中変形を簡単に出来るよう、何とかなったけど・・・」

 

「そうか」

 

「まぁ、僕だけじゃなくフラッグはミラも居たから完成に至ったと言っても良い。彼女の才能はやはり素晴らしいよ」

 

「そんな、ビリー買い被りすぎよ」

 

「フッ、そうか」

 

マネキンはカタギリとミラにそう言った。

 

「所でブリッジス、一つ聞きたいのだがあの坊やは元気か?」

 

「ユウヤの事?元気よ、飛行機や戦術機のおもちゃが好きで将来は立派な衛士かモビルスーツパイロットになると言っているわ」

 

「フッ、そうかそれは何より。」

 

マネキンがミラに聞いたユウヤとは今年4歳になったミラと今は別れた日本人との間に出来た子供であるユウヤ・ブリッジスの事である。

 

ユウヤが2歳の頃、父親がミラの元を離れてから残されたミラとユウヤをカタギリとマネキンの二人が出来る限り支えて来た。その為、親友の息子であるユウヤの事が気になりマネキンはそう聞いたのだ。

 

「だがまぁ、私の勘だが案外この戦争は近いうちに、方が付く。きっとお前の息子が大きくなっている時には戦争は終わっているさ」

 

「そうだと良いのだけど・・・」

 

ミラはそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫

 

 

「おぉ、これが・・・」

 

「あぁ、私の愛機、ガンダム・バエルだ。」

 

グラハムの目の前には純白で神々しいオーラを醸し出すガンダム・バエルを見てグラハムは感動した気分でそう呟いた。

 

「素晴らしいモビルスーツだ。この昂ぶる気持ちは、まさしく愛だ!」

 

「フッ、そんなにこのバエルを思っているのか。しかし気になるな、何故君はこのモビルスーツにそこまで憧れる? 希望だと聞いて居たが」

 

マクギリスはグラハムの物言いが気になりそう聞いた。

 

「私は誰よりも空を愛し、将来は戦闘機のパイロットになりたいと思っていました。しかし1973年にBETA共が地球に来たせいで我々人類はこの美しい空を奪われてしまった! その後私は戦術機のパイロットになったが、人類は空を恐れ地を這うように飛ぶ事しか考えなくなった、しかし私を含め空を愛する同胞達は光線級が攻撃をする恐るべき空を飛び必死に抗い、戦って来ました」

 

「成る程な・・・」

 

グラハムが言った同胞達とは恐らくデータにあったアメリカ軍最強と言われた部隊のフラッグ大隊の事だろうとマクギリスは思った。

 

グラハムはかつて、光線級の攻撃を避け、BETAに支配された空を飛びBETAに抗う、アメリカ軍一クレイジーな衛士と部隊と呼ばれた今は亡き、スレッグ・フレッチャー大佐を指揮官とする戦術機特殊飛行部隊、フラッグ特別大隊の衛士の一人だった。

 

アメリカ軍最強と言われたが、この様な無茶な事をするのだ、仲間達は次々と死に、最後にはフレッチャーすらも死に、フラッグ大隊の生き残りは自分の直属の部下であったハワードとダリルの3人だけになった。

 

「BETAには勝てないのではないかと心の中で思い始めていた時、映像ではあるがこのバエルの戦いぶりを見ました、光線級の攻撃を全て避け次々とBETAを殲滅して行く美しい機体、私はこの時、希望と憧れ、そしてバエルに恋心を抱いた・・・」

 

グラハムはそう言った。

 

グラハムが率いるオーバーフラッグスの主力機であるフラッグの名前はグラハムが所属していた部隊の名を冠し、仲間達の意思を受け継ぐ意思、そしてフラッグの性能はグラハムの憧れであるバエルに近づきたいと言う思いが込められ、その思いを受け取ったカタギリとミラによって作られた、ある意味バエルがコンセプトになった機体と言っても良い。

 

「は、申し訳ない、私の話を一方的に聞かせてしまい・・・」

 

「いや、気にしないでくれ。それに君の話は、私も共感が持てる。私もかつてこの機体が自分の全てであり希望だった、だから君の話は分かるつもりだ」

 

「閣下・・・」

 

「フッ、グラハム大尉。君の空とガンダムを愛する心から生まれる君の力、私は期待している。今回の戦いは頼むぞ」

 

「ハッ!」

 

グラハムはそう言いマクギリスに敬礼をした。

 

 

 

そして数時間後

 

連合軍の最高司令部が置かれている第1連合艦隊の旗艦の艦橋でマクギリスはグダニスク要塞基地からの報告をマネキンから聞いていた。

 

「現在BETAの前衛部隊8万は、南部、中部、北部の三つの部隊に分かれ、各方面から一斉にグダニスク要塞基地に向かっております。」

 

 

「そうか、それぞれのBETA軍の移動速度と距離がそれぞれ違えば戦力をまとめ各個撃破戦法を取れるが今回はそうも行かない。戦力を三つに分け、左翼はワルシャワ条約機構軍、中央はグダニスク要塞基地の部隊とAEU軍、我が軍の本隊が連携し、右翼はアメリカを中心とした国連軍にそれぞれ攻撃に当たらせ、状況によっては宇宙にいるカルタの部隊も投入して戦うがベストだな」

 

「しかし軍を三つに分けては司令部の意思が伝えにくい所が有ります。AEU軍なら兎も角ワルシャワ条約機構軍と国連軍、と言うよりアメリカ軍は我々の指揮下で動く事に不満を持っている所があります。なので、最悪命令が届いていないふりをして勝手な事をされる場合があります。」

 

「心配するな、我がギャラルホルン軍は各国の軍の数を圧倒的に超えている。そこで各国の艦隊旗艦に我がギャラルホルン監査局の部隊を司令官のそばに置き、前線では我が軍の一部をワルシャワ条約機構軍、国連軍の一個戦術機大隊につきギャラルホルンの一個MS小隊を配置する。更に我々の命令が届きやすく勝手な事をしそうになったら力尽くでも止める様にする、そうすれば、我々ギャラルホルンの意向を無視し勝手に動く事を防げる。」

 

「なるほど確かに此れならば統制がしやすくなりますね。」

 

「あとは戦い方だ、まずは全艦で艦砲射撃やミサイルで一斉に攻撃、BETA軍にある程度ダメージを与えたら先行上陸部隊を突撃させグダニスク周辺のBETAを掃討し上陸地を確保しそこからMS部隊を突っ込ませ光線級を殲滅する。そして残ったBETAをMS、戦術機、艦砲射撃にミサイルなど、全ての力を結集し全力で叩く!」

 

マクギリスはマネキンにそう言った。

 

「成る程、所でバエルは如何なさいます?」

 

マネキンの質問にマクギリスは

 

「バエルは最後の手段だ、予想外の事が起こった場合に前線に導入する、その時は全軍の指揮は任せるぞ准将」

 

「ハッ!」

 

マネキンはマクギリスに敬礼した。

 

 

「さて、そろそろ戦闘開始時間だな、全軍に回線を繋いでくれ」

 

「了解しました、全軍に回線をつなげ」

 

「ハッ!」

 

オペレーターはマクギリスの命令により、全艦に回線を繋いだ。

 

 

 

「兵士、イヤ、戦士諸君!同胞諸君!我々はこれよりポーランド奪還作戦、作戦名海王星を開始する!BETAがこの世界に来てから10年、我々人類は後退に後退を重ねて来た。その過程で沢山の命が失われ、数多の絶望をBETAは人類に与えて来た。しかし!その歴史は今幕を閉じる!我々がこれから取り戻すポーランドの地は今まで人類が失って来た領土を考えると、小さな一歩である、しかし我々人類にとっては偉大な、大きな一歩だ!我々は人種も社会体制も、何もかもが違う、しかし私は敢えて言おう、そんな事は些細な事!下らない事だ!社会体制、人種、宗教そんな物は関係ない!我々は人類であり、人類である以上同胞である!だから同胞諸君!我々と共に戦おう!そして、数多の同胞達を殺して来たBETA共に思い知らせてやろう!この地は誰の物かと言う事を!この星は誰のものかを、BETAに思い知らせてやろう!我々人類の怒りを!団結を!強固な意志を!剣や銃弾に乗せ奴等に思い知らせてやるのだ!!!」

 

「「「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!ジーク・バエル!ハイル・マクギリス!」」」」

 

演説を聞いたAEU、ギャラルホルンの間からはそうコールが響き、またコールをしない兵士達もマクギリスの演説に少なからず感動し、演説は兵士たちの士気を大きく挙げた。

 

「全軍攻撃準備!人類の命を理解しない下等生物共に裁きを下せ!」

 

マクギリスの命令と共に此処に海王星作戦は開始された。



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羽ばたく漆黒の翼

海王作戦が開始されてから最初に行われたのは攻撃ではなく艦隊陣形の編成だった。

 

光線級対策にナノラミネートアーマーで守られているギャラルホルンの艦隊が全面に展開、ギャラルホルンの艦隊が盾となり、防御陣を形成した。

 

そして艦隊陣形の編成が完了したと同時に戦場にサイレンが鳴り響き、艦砲射撃と多数のミサイルによる攻撃が開始。

 

またグダニスク要塞基地に配備されている陸戦艇も出撃し艦砲とミサイルによる徹底した攻撃をBETAに食らわせた。

 

「BETA軍着実に戦力を消耗しています」

 

「よし、そろそろだな、海中内の部隊をグディニャとクリニツァモルスカに上陸、橋頭堡を確保する国連軍のA-6、そしてギャラルホルン、AEU保有のアクアグレイズ部隊を上陸させ、周辺のBETAを掃討せよ」

 

「了解しました!」

 

マクギリスの命令に従い、オペレーターは直ちに海中にいる部隊に攻撃開始命令を下した。

 

 

 

 

 

海中

 

(やれやれ、国連軍がギャラルホルンの小間使いに成り下がるとはな・・・)

 

アメリカ軍の潜水艦部隊の司令官が一人そう思った。

 

本当なら口に出して文句を言いたいが見張り役のギャラルホルン監査局の士官が同艦に搭乗して居る為文句は言えない。

 

「A-6作戦行動に移れ」

 

 

すると潜水艦の先に搭載されている水陸両用戦術機、A-6×64機ととギャラルホルンとAEUが運用している水陸両用MSのアクアグレイズ×150が陸を目指して浮上。

 

するとアクアグレイズは水面から顔を出した瞬間、背中に搭載されているマイクロミサイルを残ったBETA軍に向けて発射し上陸した。

 

すると攻撃から生き残った合計100体の要撃級と戦車級がA-6とアクアグレイズに襲いかかって来た。

 

しかしA-6は接近された瞬間やられてしまうが、アクアグレイズは両腕に搭載されている鉤爪で次々と迫り来るBETAを肉片へと変え、そしてある程度BETAを殲滅した事を確認した時、アクアグレイズの丸みを帯びた装甲が吹き飛びその姿は一般的な地上戦使用グレイズに変化し、アクアグレイズは背中のミサイルコンテナ、そして両肩に搭載していた武器コンテナをパージそこからEライフルとロケットランチャーを取り出し、ホバーで地上を滑り、残った周辺のBETAを次々と殲滅して行った。

 

 

 

 

 

 

 

ギャラルホルン総旗艦

 

「上陸地点の確保に成功」

 

「よし、ファリド総統、そろそろ前線に部隊を展開させましょう」

 

「准将の言う通りだな、モビルスーツ部隊と戦術機部隊に出撃命令、グダニスク周辺のBETAを一気に叩き潰す」

 

マネキンの言葉を聞き、マクギリスがそう命令した時。

 

『マクギリス様!一番槍はどうか、我等第二連合艦隊MS部隊にお任せ下さい!』

 

イオクが通信を送り、マクギリスにそう進言した。

 

「良いだろう、しかしイオクお前は少し待て」

 

『何故です、部下達を戦場に送りながら指揮官が安全な所に居るわけには・・・』

 

「指揮官だからこそ、今はこの椅子を離れるべきでは無い。安心しろ、お前の役割は次の戦いにある。今はその闘志を秘め機会を待て」

 

『は、はい!』

 

イオクはそう言い、通信を切った。

 

「何とかクジャン特務一佐の出撃は防げましたね」

 

「あぁ、今奴を前線に出してしまったら要らぬ犠牲を出す可能性があるからな、取り敢えずイオクにはしばらく大人しくしてもらおう。」

 

マクギリスはマネキンにそう言った。

 

 

 

そして全軍攻撃命令が下されAEU、ギャラルホルンが保有する多数の地上戦使用グレイズがスペングラー級や輸送船から発進しホバーで水面を滑る様に進み、次々と上陸地点に向かって行った。

 

 

そしてそれに続き、ギャラルホルンの主力モビルスーツレギンレイズも次々と戦場へ向かって発進して行った。

 

『大佐、行ってきます!』

 

「気を付けろよパトリック」

 

マネキンはまるで出勤する夫を送る様な口調でパトリックにそう行った。

 

すると同時に、パトリック率いるフェニックス中隊は戦場へ飛び立って行った。

 

「総統、これである程度のMSや戦術機部隊は前線に送り込みました」

 

「よし、所でマネキン准将、各部隊の位置は把握して居るか?」

 

「無論です、AEUやギャラルホルン部隊は全てモビルスーツで編成されて居ますのでエイハブウェーブの反応で各部隊がどこに居るかは全て把握しています。また、戦術機部隊についても、一個MS小隊規模のギャラルホルン部隊を各国の戦術機大隊に必ず随伴させているので、戦術機部隊の動向も手に取るように分かります」

 

「ふむ、良いだろう。情報は全て各艦隊旗艦に伝達させろ、情報伝達ミスは大惨事を引き起こすからな」

 

「分かって居ます、所でモビルスーツで思い出しましたが、あのフラッグ部隊はいつ戦場に出すのですか?」

 

「光線級の総数と正確な位置を把握した瞬間前線に出すさ、彼等の迅速な部隊行動とやらを見たいからな。」

 

「そうですか」

 

マクギリスの言葉にマネキンはそう一言、言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ベーネミュンデ

 

司令部より作戦開始命令が下され、第666中隊および青のフェンリル隊は出撃準備を大急ぎでして居た。

 

「総員傾注!これより我が隊は司令部の作戦命令により攻撃行動を開始する」

 

「「「了解!」」」

 

ベルンハルトの言葉に皆はそう言った。

 

すると

 

 

『リィズ大丈夫か?』

 

テオドールは緊張しているリィズにそう言った。

 

「だ、大丈夫それに私もアリゲートルを貰ったのだもの、情け無い姿は・・・」

 

作戦開始数時間前、マクギリスは事前にベアトリクスからリィズが任務で第666中隊に配属される事を聞き、作戦開始前にアリゲートルカスタムをもう一機用意し、先程受け渡しが完了した。

 

しかし初めての大作戦に加え、初めてのアリゲートルの為リィズは少し緊張して居た。

 

更に緊張して居たのはリィズだけで無い。

 

『アネット、大丈夫?』

 

「だ、大丈夫、大丈夫だよイングヒルト・・・」

 

アネットも初めての大作戦に少なからず緊張し、更にアネットを心配してそう聞いたイングヒルトも内情少し緊張して居た。

 

正直、何度も大作戦や激戦区に切り札として投入されて居るギャラルホルンの最精鋭部隊の一つである青のフェンリル隊やベルンハルトやファムとヴァルター、そしてポーランドで地獄を見て来たシルヴィアは兎も角、他の隊員達には初めての大作戦に少なからず緊張が顔に現れて居た。

 

その中で精神的に一番緊張して居るのはテオドールと言っても良いだろう、今回テオドールは上層部の政治的思惑で第二小隊の隊長を務める事となってしまったグレーテルの補佐とリィズが裏切り者なのか見極めると言う役目を任されて居る為、冷静を装っては居るが実は一番緊張して居るかもしれない。

 

そんな時

 

『そういえば、各員こんな話を知っているか?ラジオ局にこんな質問が来たらしい。BETAの死骸は食べられるのですかと。そこで局員はこう答えたそうだ、とてもまずくて食べられません。あなたがイギリス人でもない限り』

 

「プッ、ハハハハハ」

 

「フッ、確かに言えて居るな」

 

緊張をほぐす為にベルンハルトが言ったジョークにリィズとテオドールが先に笑い、気づけば中隊全員そして

 

「ハハハハハ、まぁ確かにイギリス人ならBETAの死骸を食べられるかもしれませんね」

 

『あ、アリサが笑った』

 

一緒にいた青のフェンリル隊の隊長のアリサと、青のフェンリル隊員も同じく笑っていた。

 

「以外だなアリサ特務一尉、貴官がこの様なジョークが分かるとは」

 

「いや、ごもっともと思いまして、一年前に英国に駐留するAEU軍と合同軍事演習をしたことがあるのですが、その時イギリスで食べた料理のまずい事、あそこの国ほんとフィッシュ&チップスしか美味しい物は無いかと思いますよ」

 

『フッ、そうか。まぁ、これで緊張はほぐれただろう諸君、これから我々が行う作戦は中隊創設以来最大の作戦だ、しかし我々のやる事は変わらない、いつもの様にBETAのクズ共にシュヴァルツェスマーケンを下してやれ!』

 

「「「了解!」」」

 

するとまずは甲板に着陸して居た青のフェンリル隊員所属のレギンレイズ 15機と側にいたスペングラー級か同部隊に所属するレギンレイズ15機がシュヴァルベを先頭にに戦場へ直行、そして遅れて第666中隊も出撃して行った。

 

 

 

 

 

 

東ドイツ海軍旗艦カール・マルクス

 

「666中隊戦域到達。戦闘に入りました」

 

オペレーターが艦隊司令官にそう言った。

 

「心配ですかなハンニバル少佐?」

 

東ドイツ艦隊司令官と思われる海軍士官が今回、戦術機参謀として連れて来たハンニバル少佐にそう聞いた。

 

「いえ。第666中隊は東ドイツ最強です。必ずや任務を達成してくれると信じています」

 

「私もそう願ってる」

 

「当然だ。そのためにお前達を連れてきたんだからな」

 

「もちろんです、ツヴァイクレ同志少佐」

 

ハンニバルは艦隊司令官付きの政治将校のツヴァイクレにそう言った。

 

すると

 

「政治闘争や党の意向もよろしいですが、今は戦いに集中して頂きたい政治将校殿、そしてくれぐれもお忘れなく、今この戦場の最高指導者は党ではなく我等が人類の指導者、マクギリス・ファリド総統とギャラルホルン最高幕僚会議である事を」

 

「分かっている、特務二尉どの君達の期待には答えるつもり・・・です・・・」

 

「お願いします」

 

ツヴァイクレに命令がましくそう言ったのは仮面の様な口から上を完全に隠す白いヘルメットをかぶり丈の短い青色のマントを装着したギャラルホルン監査局所属の特務二尉であった。

 

「司令官殿、総旗艦より各部隊の位置を記したデータが届きました、これを参考にして戦いの指揮をお願いします」

 

「了解した」

 

東ドイツ海軍司令官はその監査局士官から端末を受け取った。

 

(クソッ、独裁者の手先め忌々しい)

 

ツヴァイクレはその特務二尉が左腕につけて居る監査局所属の軍人を表すギャラルホルンの紋章が刻まれた腕章を見てそう思った。

 

 

 

 

その頃

 

戦場に到着した第666中隊と青のフェンリル隊はBETAの大軍に突っ込みBETAに攻撃を開始した。

 

幸い襲い掛かってくるのは突撃級や戦車級、要撃級だけであった為、第666中隊はいつもの様に突撃砲を駆使し戦い、一方青のフェンリル隊は空を飛び、何処かにいるであろう光線級の攻撃を避けながら頭上ら一方的にBETAの大軍を殲滅して行った。

 

「カティア、リィズ、俺から離れるなよ」

 

『は、はい』

 

『分かったお兄ちゃん』

 

テオドールは正直グレーテルがあまり使えない為、実質第二小隊を指揮し、3人は力を合わせてBETAを倒して行った。

 

 

そして周辺のBETAが粗方片付いた時。

 

『隊長、ここら辺のBETAはある程度片付けました、次の戦場に移動しますか?』

 

「アンドレイ一尉、気持ちは分かりますが少し隊員達を休憩させた方が良いです。長くなります、休める時に休んだ方が良いかと。」

 

『そうですな、もう3時間くらいは此処でBETAと戦い部下達も少し疲れ始めて居ると思いますし、了解しました』

 

「よし、青のフェンリル隊各員、これより10〜20分くらい休憩を取る軽く食事と水分補給を行ってください」

 

「「「了解」」」

 

そして次にアリサは近くにいる第666中隊に通信を繋げ

 

『我々は少し休憩を取る、貴方達も休める時に休んだ方が良いと思います』

 

「了解した、総員傾注、ここで小休止を取る。各員マガジンの残弾をチェックしておけ、長期戦になる。休める時に休むぞ」

 

『何を考えてる同志大尉!却下だ却下!遅れをとるなど東ドイツの威信に関わる!』

 

グレーテルがベルンハルトにそう言った時。

 

『グレーテル"政治将校中尉"部隊の小休止を許可してください、これは"ギャラルホルン特務一尉"としての命令です』

 

「クッ・・・了解・・・」

 

アリサは自分の地位を利用しグレーテルを黙らせた。

 

『済まないな、特務一尉殿』

 

「アリサで良いですよ、テオドール少尉。しかし貴方達の政治将校殿は頭が固いですね」

 

アリサは紅茶とチョコレート味の栄養バーを食べながらテオドールにそう言った。

 

『フッ、正直俺もそう思っているアリサ特務一尉』

 

『ほんと、顔は良いけどアレだと将来、売れ残るよきっと』

テオドールとアネットはそう言った。

 

「まぁ、うちのイオク様に比べればグレーテル中尉はまだ良い方ですよ」

 

『イオク?そのイオクという人もグレーテル中尉の様に頭が固いの?アリサ』

 

「イオク様は頭が固い云々より頭が空っぽ、スポンサー特権だけで最高幕僚会議のメンバーに選ばれたけど、指揮官としてもパイロットとしても無能もいいところ、一応私が政治将校を勤め、イオク様の監視と抑えになっていますが、手が掛かって大変で、いっそうちのイオク様とそちらのグレーテル中尉、取り替えてくれと言われたら取り替えて欲しいです」

 

『アリサも大変なんだね・・・』

 

アネットは同情した口ぶりでそう言った。

 

 

 

すると

 

『隊長、各方面に新たな増援を確認、総数4万以上光線級も多数確認』

 

「増援?全く休ませてもくれないのか!」

 

アリサは飲んでいた紅茶を一気飲みし操縦桿を握った。

 

「我々はこれより南部の敵増援部隊一万を叩きに行きます、貴方方はどうなさいますか?」

 

『勿論我々も行く。総員傾注これより我々は南部方面に現れた敵増援部隊を叩く全機進め!』

 

 

 

 

 

 

ギャラルホルン総旗艦

 

「新たなBETA軍増援を各方面に確認。数は北部方面は一万、中央方面は2万、南部方面は一万です」

 

「増援の様ですね」

 

「そうだな、それに光線級の所在も大体知れた事だし、そろそろだな。よし、グラハム大尉に連絡、君達の出番だオーバーフラッグス隊の出撃を許可すると」

 

「了解しました」

 

 

マネキンはマクギリスにそう言い、オーバーフラッグス隊へ出撃命令を下した。

 

 

 

 

「いよいよ出撃か」

 

グラハムはそう言い、グラハムがフラッグに乗ろうとした時。

 

「グラハム、気をつけてくれよ」

 

「フッ、大丈夫だカタギリ、むざむざやられはしないさ。」

 

グラハムはカタギリにそう言いフラッグに乗り込んだ。

 

そして格納庫から出たフラッグはカタパルトに移動。

 

エンジン音と共にスラスターの噴射準備を完了し、いつでも発信可能になった。

 

『オーバーフラッグ隊出撃を許可する』

 

「了解!グラハム・エーカー!カスタムフラッグ出るぞ!」

 

するとグラハムの乗るカスタムフラッグはスラスターを全開にし大空に飛んで行った。

 

 

「続けて、ハワード・メイスン中尉、フラッグ!出るぞ!」

 

「ダリル・ダッチ中尉!フラッグ出る!」

 

続いてダリルとハワードのフラッグ、そして最終的にはオーバーフラッグス隊全員が大空に羽ばたいた。

 

「よし、我々の任務は敵BETA軍の只中に居る光線級の掃討だ!我々とフラッグの力を全世界に見せつけてやるぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

今、漆黒の翼を持った20機の新型モビルスーツ、フラッグを操る空の男達は戦場に向かって出撃して行った。

 

目指すは自分達から空を奪った憎き敵、光線級の殲滅であった。

 

 

 

 




アクアグレイズ

ユーロファイタス社が開発した水中での活動を考え開発したグレイズのバリエーション機、丸みを帯びた装甲で全身を覆われており、陸に上がったら装甲をパージすれば、地上戦用グレイズに変わることが出来、また両腕には接近戦用のクローと、地上での戦いの為のライフルやロケットランチャーを左右両肩のコンテナに収納し地上に上がったコンテナから武器を取り出して戦う。

元ネタはガンダムUCのゼーズール

武器は

ライフル×1

ロケットランチャー×1

クロー×2

状況によってはミサイルコンテナを搭載する事も出来る


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駆け巡る自由の翼

「オーバーフラッグス隊各機!これより我々は南部、中央に居るBETA光線級の殲滅を開始する!我々から空を奪ったBETA共に報いをくれてやれ!」

 

「「「「了解」」」」

 

そう言いオーバーフラッグス隊は戦場に突入した。

 

 

 

 

 

ギャラルホルン総旗艦

 

「オーバーフラッグス隊戦闘エリアに突入、真っ直ぐ光線級に向かって行っています。」

 

「よし、オーバーフラッグス隊が南部と中部の光線級を殲滅し終わるまで、此方に向かって来るBETA軍の増援部隊を足止めする、中部に居るAEU、ギャラルホルン部隊を前面に展開、更に北部、南部で戦術機部隊に付いているモビルスーツ隊は各部隊に一機だけ残し後はBETA軍の足止めに向かえ、そして戦術機部隊は一旦後退さるよう命令しろ」

 

「了解」

 

マクギリスの命令を聞いたオペレーターはそう言い、直ちに全部隊に命令を伝達した。

 

しかしその時。

 

「いや待て、アリサの部隊と行動を共にして居る第666中隊はやはりほかの戦術機部隊の様に撤退させるのではなく、アリサの青のフェンリル隊と共にBETA軍への攻撃に当たらせろ」

 

「よろしいのですか?」

 

「構わんさ、そう伝えてくれ」

 

「了解です」

 

 

(さて、見せてくれ第666中隊。君達のその力を・・・)

 

マクギリスは心の中でそう思った。

 

 

 

 

 

前線

 

『撤退?どう言う事だ!』

 

グレーテルは司令部からの撤退命令を言ったアリサにそう言った。

 

「聞いての通りです、光線級が殲滅し終わるまで戦術機部隊は一時撤退せよとの事です」

 

『我々がお荷物だと言いたいのか・・・我々は東ドイツ軍から西側に遅れを取るなと言われている、撤退など・・・』

 

グレーテルがアリサにそう言った時

 

「通信?・・・残念ですね」

 

『残念?何が残念なんだ?」

 

今度はベルンハルトがそう聞いた。

 

「戦術機部隊は一時撤退せよ、ただし第666中隊は青のフェンリル隊と共に攻撃に参加せよです」

『なに、どう言う事だ?』

 

「分かりません、ただマクギリス様は貴方方第666中隊を高く評価しています。恐らく貴方方への期待の表れかと」

 

『成る程な・・・そう言う事だ同志中尉、文句は無いか?』

 

『当然だ、この機に第666中隊の力を西側に見せつける良い機会だからな。』

 

『そうか、総員傾注!我々はこれより我々は新たに出現したBETA軍に対しての迎撃を開始する、行くぞ!』

「「「了解」」」

 

 

 

そして戦場に到着した瞬間、第666中隊、青のフェンリル隊は先頭の突撃級に攻撃を開始、アリゲートル、シュヴァルベ、レギンレイズから放たれる弾丸は次とBETAを殲滅して行くが。

 

「やはり数が多い」

 

ベルンハルトがそう言った様にやはり数が多すぎる。

 

『ベルンハルト大尉、光線級を始末し終われば全火力を結集した総攻撃でBETAを殲滅出来ます、なのでもう少しだけ堪えてください。』

 

「分かっている」

 

ベルンハルトはアリサにそう言った。

 

すると

 

自分達の頭上を多数のレーザーが通り過ぎた。

 

そしてその先には

 

「アレは・・・あの時の戦闘機もどきの・・・」

 

グレーテルがそう言い見た先には飛行形態に変形して居る20機のフラッグの編隊が真っ直ぐあり得ないスピードで光線級の攻撃を全て避けながら、こっちに突っ込んできた。

 

『こちらアメリカ軍所属、オーバーフラッグス隊だ。光線級の殲滅は我々が行う。貴官らは引き続き突撃級で編成されたBETA軍前衛部隊の足止めを頼む』

 

「了解した」

 

そう言い、ベルンハルトは通信を切った。

 

 

グラハムの乗るカスタムフラッグはレーザーが飛び交う弾幕の中を全て避け光線級に向かって進んで行った。

 

しかしその時

 

「あ、危ない!」

 

何と四方八方からグラハムに向かってレーザーが飛んで来た。

 

モビルスーツは戦術機とは違い、光線級の攻撃を無効にするナノラミネートアーマーの装甲で覆われて居るが、モビルスーツと言えども当たりどころが悪ければ爆散してしまう。

 

そのため四方八方からレーザーが飛んで来る光景を見たカティアは咄嗟にそう叫んだ。

 

しかしその時。

 

フラッグが瞬時に変形、変形による減速と空気抵抗によりフラッグは上昇し、レーザーはフラッグの真下を通り過ぎて終わった。

 

「出た!」

 

「隊長がフラッグで生み出した空中変形!その名も!」

 

ハワードとダリルがコックピット内でそう言った。

 

 

「人呼んで!グラハムスペシャル!」

 

グラハムは誰に聞かせるでも無くそう叫び、トライデントストライカーEを構え、光線級やBETA他のBETAに攻撃をし、次々と肉片に変えた。

 

 

「なんて無茶苦茶な回避方法なんだ!パイロットは誰なんだ!」

 

グレーテルがグラハムの回避の仕方を見てそう言った。

 

 

その時、グラハムのカスタムフラッグはビームサーベルを展開し、目の前に居る要塞級に接近しながらこう言った。

 

「あえて言わせてもらおう!」

 

そして要塞級の触手攻撃を避け、ビームサーベルで要塞級の触手を斬り捨てたながら

 

 

「グラハム・エーカーであると!!」

 

コックピットそう叫びグラハムのフラッグは要塞級を一刀両断した。

 

「要塞級をたった一機でぶっ倒すとは・・・」

 

「恐れ入ったぜ隊長」

 

「任務は大終わっていない、残った光線級と我々の前に立ち塞がるBETA共を殲滅するぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

 

「な、何だったんだアイツら・・・」

 

「い、色々凄かったねお兄ちゃん」

 

彼らの声は無論第666中隊や青のフェンリル隊には聞こえない、しかし要塞級や他のBETAに対し一騎当千の戦いを繰り広げていたグラハムのカスタムフラッグからオーラ的な物をここに居る全員は感じていた。

 

 

 

 

 

ギャラルホルン艦隊旗艦

 

「中央方面、南部方面の光線級はオーバーフラッグス隊によりほぼ全滅、後は北部方面の光線級なのですが・・・」

 

「余り上手く殲滅が進んでいない様だな」

 

「はい、光線級の周りを多数の要塞級が守る様に囲んでおり、そのせいでMS部隊が思う様に光線級に攻撃を仕掛けられなくなって居ます。一応、北部だけではなく中央方面のAEU軍と我が軍の部隊を回せば、難なく殲滅する事はできますが・・・」

 

「時間が無いと言う事か・・・」

 

「えぇ、今から部隊を回してもBETA軍前衛部隊がグダニスク基地に先に到達してしまいますそうなれば・・・」

 

「多大な被害が出ると言うことか・・・」

 

「はい・・・」

 

マクギリスの言葉にマネキンはそう言った。

 

「そうか、だが考えはある。LCS通信で地球強襲突撃降下兵団のカルタに連絡!君達の出番だ!光線級共の頭上に突撃し奴等を駆逐せよ!」

 

「ハッ!」

 

 

 

そして1時間後

 

戦場に居るパイロットと衛士達は大気圏を突き破って降りて来る54機のモビルスーツ部隊を目撃した。

 

 

 

「諸君!今回の任務はいつも通り、敵の只中で陣取って居る光線級の殲滅である!だがしかし今回は人類の存亡をかけた大反攻作戦!失敗は許されない、しかし私は諸君達を信じている!諸君達の力を団結を!今回の戦いも気を引き締め!そして誇り高く戦うぞ!」

 

そう言いカルタが操るグレイズリッターは剣を高く掲げ。

 

「我等!地球強襲突撃降下兵団!」

 

「「「「勇猛果敢!疾風怒濤!」」」」

 

 

「よし、では行くぞ!野蛮な生物共に裁きの鉄槌を!」

 

「「「「鉄拳制裁!」」」」

 

カルタと他のパイロット達がそう言ったと同時に、カルタのグレイズリッターが先に大気圏突入用の盾から飛び降り先陣を切っり、それに続く様に他のグレイズリッターも戦場に降りて行った。

 

 

 

そして光線級の攻撃が飛び交う中カルタが率いる地球強襲突撃降下兵団のグレイズリッター隊は光線級の只中に降り立ち、ブレードやライフルで次々と肉片に変えて行った。

 

「各機!一匹残らず殲滅しろ!一匹も残すな!」

 

「「「「了解!」」」」

 

そして数分後

 

「カルタ様、光線級の殲滅完了しました!」

 

「良くやった、では我々はこれより要塞級による包囲網を突破し、一時後方に撤退する」

 

「「「「了解!」」」」

 

そう言いグレイズリッター部隊は包囲網を突破する為、要塞級に向かって突撃した。

 

「要塞級への陽動は私と元親衛隊達でやる!サーフォーク二尉、エセックス二尉、ウィンチェスター一尉、諸君達は要塞級の関心が私に向いた隙をつき、要塞の足を破壊し、動きを封じなさい!」

 

「了解しました、アレクシア、セレスト私達でやるわよ」

 

「了解」

 

「カルタ様に任された任務絶対に果たして見せる」

 

そう言いアレクシアとセレストが操るグレイズリッターは要塞級の攻撃がカルタ率いる本隊に集中している隙に要塞の真下に潜り込み、三機のグレイズリッターの巧みな連携攻撃で瞬く間に要塞級の足を切断、動きを封じた。

 

その様な戦法でカルタ率いる地球強襲突撃降下兵団は行く手を阻む要塞級を倒して行き、その結果10体の要塞級が全て肉片へと変えられた。

 

 

 

 

 

ギャラルホルン総旗艦

 

「北部方面の光線級殲滅、地球強襲突撃降下兵団はBETA軍の包囲を抜け、砲撃予定地点から撤退を開始しています」

 

「よし、前面に展開していたAEU、我々ギャラルホルンのモビルスーツ部隊はどうだ?」

 

「光線級の全滅で、各部隊は後方への退避を行なっています。」

 

「よし、一気に方を付ける!全艦!ミサイル、砲撃による攻撃を開始せよ!」

 

マクギリスの命令と共に全艦隊からミサイルと砲撃による攻撃がBETA軍に飛んで行き辺り一面は火の海になった。

 

「BETA軍損耗率75%を超えました」

 

「よし!全モビルスーツ部隊、全戦術機部隊を突撃!全ての力を結集し敵を殲滅しろ!」

 

 

 

 

そして、全ての戦術機、モビルスーツ部隊は空から一方的に残ったBETA軍に攻撃を開始次々と残ったBETAを殲滅して行った。

 

『ロジャーリーダーより各機。目標まで4000。一斉射撃準備。化物共にフェニックスを喰らわせてやれ!』

 

「「「イェッサー!!!」」」

 

 

アメリカ軍のF-14部隊もフェニッスクミサイルを発射し残っているBETAに攻撃をした。

 

「すごい・・・あれが米軍のフェニックスミサイル・・・最新鋭の長距離誘導ミサイルです」

 

カティアはフェニッスクミサイルを発射したF−14部隊を見てそう呟いた。

 

 

その時

 

「な、何?」

 

「警報音!?これは!!」

 

 

 

 

 

 

ギャラルホルン総旗艦

 

「新たなBETA軍だと!?」

 

「は、はい!」

 

マネキンの言葉にオペレーターはそう言った。

 

「敵の位置は何処だ・・・」

 

『大佐・・・夢なら夢と言って欲しいです』

 

「どうしたパトリック!?」

 

パトリックは通信でマネキンにそう言った。

 

 

『敵さん・・・穴を掘って進撃して来やがった…俺たちの撤退進路を阻む様に5万近いBETA軍が展開している!』

 

「何だと!」

 

 

 

 

 

 

その頃

 

「い、嫌だ!死にたく!ああああああああ!!!!」

 

光線級が居ないと安心して空を飛んで居た戦術機部隊は次々と新たに現れたBETA軍の光線級の光に焼かれてやられて行った。

 

 

『隊長!新たなBETA軍が!!』

 

「見れば分かる!地中を掘って進撃して来るなど!聞いて居ないぞ!BETA!!」

 

グラハムは地中から次々と湧いて来るBETA軍を見てそう言った。

 

 

 

 

「何ということだ!」

 

『どうする!同志大尉!』

 

グレーテルがベルンハルトにそう聞いた。

 

「何とか脱出するしか無い!しかし・・・」

 

アリゲートル持つ突撃砲の残弾は残り少ない、こんな状況で5万ものBETA軍の、包囲網を突破出来るのか・・・

 

『我々が道を切り開きます!Eライフルなら残弾は関係ないですので』

 

「でもアリサの場合は推進剤が・・・」

 

アネットはそう指摘した。アリサ率いる青のフェンリル隊は先程まで空を飛び回りBETA軍を殲滅して居たのだ、その為推進剤は限界を迎えつつ有る。

 

万事休すと思ったその時

 

『そこの戦術機部隊とモビルスーツ部隊!我々は未だ余力がある!脱出を支援する!』

 

西ドイツのトルネードで編成された戦術機部隊が援軍に来てくれた。

 

「ありがたい。こちらは第666中隊アイリスディーナ・ベルンハルト大尉だ」

 

『こちらは西ドイツ軍第51戦術機甲大隊、ヨアヒム・バルク少佐!前面のBETA軍への対処は我々も手を貸す!諦めずに脱出するぞ』

 

こうして、西ドイツ軍、第666中隊、そして青のフェンリル隊は共同で前面のBETA軍へ攻撃を開始した。

 

「増援は有り難い、しかし・・・戦術機に出来る事など・・・」

 

アリサは西ドイツ軍の戦術機を見てそう思った。

 

すると

 

「これはコード・フェンリル!!第666中隊および西ドイツ軍の戦術機部隊!直ちに攻撃を中止せよ!」

 

『何!?どう言う事だ!?』

 

『前面のBETA軍を殲滅しなければ我々は死ぬだけだ!一体何を!』

 

「良いから、私の言う事を聞いてください!これ以上の戦いはマクギリス様の戦場を汚すだけです!」

 

 

『マクギリス?何故ファリド総統の事が・・・』

 

バルクがそう呟いた時。

 

「アレは・・・」

 

グレーテルの目の先には神々しい雰囲気を帯びた白いモビルスーツがまるで下界に降臨した神の様に降り立った。

 

「ガンダム・バエル・・・」

 

アリサは少し笑いそう呟いた。

 

 

『隊長!アレは!』

 

『ガンダム・バエル!』

 

 

ハワードとダリルがバエルを見てそう言った。

 

すると

 

「ハワード、ダリル、こんな機会は滅多に無い、今から起こる事を目に焼き付けておけ」

 

「「は、はい!」」

 

(待って居たぞガンダム、さぁ愛しき者よ、君の力を私に見せてくれ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、アグニカ久し振りに暴れられるぞ」

 

バエルのコックピット内でマクギリスはそう呟き、操縦桿を強く握りしめ。

 

「行くぞ、アグニカ!!」

 

その瞬間バエルの目は血の様に赤く染まり、バエルソードを抜き、BETA軍に単騎で突撃した。

 

 






次回は久しぶりのバエル無双です。


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蹂躙

数時間前

 

「味方部隊の撤退進路を阻む様にBETA軍が出現!数5万!」

 

その報告を聞いたマクギリスは。

 

「マネキン准将、どうやら君の仮説が当たった様だね」

 

「えぇ、当たって欲しくは無かったのですが・・・」

 

マネキンはマクギリスにそう言った。

 

マクギリスが言って居た仮説と言うのは、マネキンが一年前に提唱した仮説で、今までのBETA戦の結果やBETAの行動などを分析した結果、BETAが下等生物などでは無く、人間と同じ、それかそれ以上の知能を持った知的生命体の可能性があるとの仮説である。

 

「何にせよ急速に対処する必要があるな」

 

そう言いマクギリスは席を立ち。

 

「マネキン准将、後の指揮は頼む」

 

「ハッ!」

 

格納庫へ向かって行った。

 

 

 

 

 

格納庫

 

マクギリスはバエルに乗り込み、阿頼耶識を接続し、バエルを起動させた。

 

すると

 

『マクギリス様!我々もマクギリス様にお供いたします!』

 

イオクがバエルに回線を繋ぎそう言った。

 

「良いだろう、ただし私の命令には従ってもらうぞイオク」

 

『ハッ!勿論です!』

「なら良い、マクギリス・ファリド、ガンダム・バエル出る!」

 

バエルは翼の様なスラスターを吹かしながら大空に飛び立ち、その後ろをイオク率いるレギンレイズ隊30機がバエルと共に戦場へ向かった。

 

 

 

 

そして現在

 

「一体何が始まるんだ・・・」

 

BETAの軍勢の前にたった一機で立ちはだかるバエルを見てグレーテルはそう呟いた。

 

『何が始まるって・・・この光景を見れば分かる筈ですよ』

 

「この光景・・・まさか・・・イヤでもアレはギャラルホルンがプロパガンダ用に作った合成映像だって・・・」

 

グレーテルはアリサにそう言った。

 

実は第二次フィンランド戦でバエルがたった一機でBETAの軍勢を殲滅した事は、ソ連や東ドイツなどの東側諸国は国内の角笛主義者によって自国の体制が破壊される可能性があるためバエルがたった一機で27万のBETA軍を殲滅したのは、ギャラルホルンによるプロパガンダだと発表しており、グレーテルだけでは無く、ベルンハルトを含めた第666中隊もバエルの力を知らないため、世間で言われている所謂バエル伝説を信じてはいない。

 

その為、真にバエルの力を知っているのは東側諸国ではベアトリクスと彼女が率いるヴェアヴォルフ大隊の隊員だけである。

 

『プロパガンダですか・・・まぁ、嘘か真か見れば分かります。』

 

 

するとバエルの目が真っ赤に染まった。

 

「始まる・・・」

 

アリサはバエルを眺めながらグレーテルにそう言った。

 

 

 

その頃

 

 

バエルのコックピットではマクギリスが迫り来るBETAを前に少し目を閉じ。

 

 

「行くぞ、アグニカ!」

 

マクギリスがそう言ったと同時にバエルの阿頼耶識システムのリミッターが外され、バエルの目は赤く染まった。

 

 

そしてバエルソードを両手に持ち、BETA軍の只中に突撃した。

 

すると不幸にも一匹の要撃級がバエルに取り掛かって来たが、バエルはそれを避け背後から一刀両断。

 

それが合図となり一方的な、まさにBETAが今まで人類にして来た様な一方的な力による蹂躙が始まった。

 

突撃級も要撃級も戦車級だろうが関係なくバエルの行く道を阻むBETAはまるで人間に踏み潰される虫けらのごとく圧倒的力で踏み潰され、肉片へと変わって行った。そして予測不可能な触手ご攻撃をしてくる多数の要塞級もバエルソードで次々と切り刻まれ、全て肉片へと変えられて行った。

 

そう種類や大きさ、攻撃能力関係なく5万ものBETAは次々とバエルという圧倒的な力によって踏みにじられて行った。

 

 

 

 

「す、すごい・・・」

 

「何なんだ・・・一体目の前で起こっている事は何なんだ!!」

 

 

カティアはそう呟き、グレーテルは目の前で起こっている事が信じられず困惑して居た。

 

何故なら今まで多数の人間をその圧倒的物量と力で蹂躙して来たBETAがたった一機のモビルスーツに手も足も出ず、ただ完膚なきまでに殲滅されて行っている。

 

「すげぇ、こんな力が俺にもあれば・・・」

 

テオドールはまるで人が乗り移ったかの様な動きで攻撃をかわし、一方的にBETAを殲滅して行くバエルを見てそう思った。

 

「戦略も全て関係ない、ただ単純に全てを破壊する力か・・・何という・・・」

 

ベルンハルトはその光景を見ながらそう呟き、操縦桿を強く握りしめた。

 

 

その頃

 

一方的にBETAを蹂躙するバエルをオーバーフラッグス隊は上空からただ眺めて居た。

 

 

「何という力だ・・・そうだ、これが見たかった!これこそ私が愛する君の真の力!心が滾るぞ!!しかも此処は!この場所は!!」

 

グラハムは興奮した様子でそう言った。

 

そう、この場所こそ、このグダニスク周辺こそ、バエルが最初に降り立ちBETA軍を殲滅した、言わばバエル伝説の始まりの地である。

 

実は世界ではBETAは神が使わされた神の使者で、人類は神の意志によって天に召されるべきと考える殉教派とは別の宗派である"救世派"と呼ばれる新たな宗派が出現し中東地域で勢力を拡大している。

 

その教えはBETAは神の使いなどでは無く悪魔の使いで、マクギリスとバエルこそ神が使わした真の使い、この滅びに瀕した世界を救うべく降臨したキリスト教のイエス・キリストやイスラム教のムハンマドの様な神の使い、即ち救世主であり神の代理人である救世主マクギリス・ファリドの元で人類は悪魔の使いであるBETAに鉄槌を下すべきだと言う考えであると言う考えの元マクギリスとバエルは神格化されて居る。

 

そしてこの場所はそのマクギリスが初めてこの世界の地球に降り立った場所、即ち救世派にとっては聖地の様な場所である。

 

グラハムは別に宗教など興味は無いが、マクギリスが始めて降り立ちバエルで迫り来るBETAを殲滅したその場所で再びマクギリスがバエルに乗り戦って居ると言うのは、バエルに恋心を抱いているグラハムにとってはたまらないシチュエーションであった。

 

「君の圧倒的その力!それを見た時の私の心の中から湧き上がる高揚感間違いない!この気持ちはまさしく愛だ!!!」

 

グラハムはコックピットの中からそう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

バエルが圧倒的力で全てのBETAを肉片に変えて居る中、第666中隊や他の戦術機部隊やモビルスーツ部隊はバエルの攻撃から運良く脱出したBETAの殲滅を行なって居た。

 

しかし運良く逃れるBETAなど皆無で、仮に逃げ出したBETAでも手や足が破壊され死にそうな動きで此方に向かって来るBETAだけであった。

 

そのため、第666中隊はただひたすら淡々とBETAを撃ち殺して行く、言わば戦闘というより作業であった。

 

 

すると

 

「アレは!」

 

テオドールが見た先には長距離レールガンを装備し向かってくるBETAの生き残りに向かってひたすらレールガンを乱射して居る黒色に塗装されたイオクのレギンレイズ が居た。

 

その姿を見たテオドールは操縦桿を強く握りしめ睨んだ。

 

何故ならあの機体こそ前に自分をレールガンで殺しかけ、さらに自分のバラライカを流れ弾で破壊した黒のレギンレイズであったからだ。

 

「あの野郎・・・」

 

テオドールはイオクのレギンレイズを睨みながらそう呟いた。

 

『シュヴァルツ08、今は戦闘中だよそ見をするな』

 

「了解」

 

テオドールはベルンハルトにそう言い、再びBETAを撃ち殺す作業に戻った。

 

 

そして2時間後

 

辺り一面は肉片になったBETAの死骸で覆い尽くされ、その上をBETAの血で赤く塗装されたバエルが下界を見下ろす神の様に飛行して居た。

 

 

こうして海王星作戦の初戦は予想外の事が起こったとは言え成功の内に終わった。

 

 

しかしBETAが予想外の作戦を仕掛けて来た事により指揮官、兵士達には少なからず動揺を与えた。

 

 

 

 



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西の衛士

海王星作戦の初戦が終わり、作戦に参加した全部隊はギャラルホルンの前線基地であるグダニスク要塞基地に一時撤収した。

 

グダニスク要塞は2年前ギャラルホルンがBETAから奪還したポーランドの都市グダニスク地域全てをナノラミネートアーマーの壁で囲い要塞と化した軍事要塞都市である。

 

その為、防御力は高く、さらに基地内は広く1100機以上のモビルスーツや戦術機などの兵力を駐留させるだけの施設とスペースが存在する基地であり、その広さはギャラルホルン本部でありギャラルホルン最大の軍事拠点のヴィーンゴールヴには劣るがフィンランドの最前線基地であるラッペーンランタ要塞基地に並ぶギャラルホルンの保有する軍事拠点の中でも最大の軍事拠点の一つである。

 

 

そんな軍事拠点の中を暇つぶしに探索して居たテオドール、リィズ、カティア、アネットの四人はギャラルホルンの科学力の高さに驚きと畏怖の念を抱いて居た。

 

「すごい・・・これがギャラルホルンの科学技術・・・」

 

「まるで別世界を見て居るみたいだな・・・」

 

テオドールとリィズの二人は施設内のハイテクな機械やシステムに驚きそう呟いた。

 

 

「ギャラルホルンの科学力はこの世界の技術を遥かに超えて居るとは聞いて居ましたが・・・まさかここまで・・・」

 

「世界中の軍隊が束になっても恐らくギャラルホルンには勝てないだろうな・・・こんな強大な組織を党上層部は一方的に敵視して居るらしいけど、勝てると思ってるのかな・・・」

 

アネットは時勢も読めずひたすら自分達が正しく、いつかは自分達が信じている社会主義が勝つと思っているドイツ社会主義統一党や共産主義国に呆れながらそう言った。

 

 

 

 

一方テオドールはリィズの方を向きベルンハルトから言われた事を思い出した。

 

 

(リィズの真意を見極めろか・・・)

 

隣でカティアと楽しそうに話しをして居るリィズを見てテオドールは、何を思ったのか少しホッとし。

 

「・・・今日はよく頑張ったなリィズ」

 

「ううん・・・そんな・・・」

 

「だがBETAとの近接戦闘はなるべく避けろよ。リスクが高すぎる」

 

「最初に切り込む奴が偉そうに」

 

「う、うるさい余計な事は言うな」

 

テオドールがアネットにそう言った時。

 

「あぁいたいた。こんな所に集まってたのね、役立たずのテロ国家のみなさん」

 

如何にも喧嘩腰な物言いをする黒髪の西ドイツ軍の軍人がそう言いやって来た。

 

「あんたたちは?」

 

「ドイツ連邦軍第51戦術機甲大隊・フッケバイン、キルケ・シュタインホフ少尉」

 

「ドイツ民主共和国、第666中隊所属、テオドール・エーベルバッハ少尉だ」

 

「知っているわ、東ドイツ最強なんだっけ?まぁどうせプロパガンダなんだろうけど」

 

キルケはテオドールにそう言った。

 

「あんた、さっきから喧嘩売ってるの?」

 

すると中隊内でも血の気が多い、アネットがキルケに突っかかって来た。

 

「謝罪をしてもらえるかしら。貴方達を救出するために必要ない損害を被ったの」

 

「そっちが勝手に助けただけでしょ!」

 

「うるさい!兎に角、謝りなさい。無能な自分達のせいで迷惑をかけましたって!」

 

「ふざけんな!あたしらが盾になってるからあんたら西の連中は生きてられんのよ!何を偉そうに!」

 

アネットがそこまで言った時、キルケはアネットを殴り飛ばした。

 

「犯罪国家の分際で・・・」

 

「キャンキャンと吠えてんじゃねぇよアメリカの犬の分際で!」

 

そう言い今度はアネットがキルケを殴り飛ばした。

 

そして一気に乱闘に発展しようとした時。

 

「やめてください!私達の敵はBETAのはずです!」

 

アネットとキルケの間にカティアが入り、二人を止めようとした。

 

「とっととお家に帰りなさいよ犬っころ!」

 

「あんたらが全滅したらそうするわアカの手先!」

 

「どうして・・・どうして同じドイツ人同士で争わなきゃならないんですか」

 

互いを罵倒し合うキルケとアネットを見てカティアはそう言った。

 

 

すると

 

「見たまえ諸君!アメリカの恐怖に屈し、アメリカの犬に成り下がったドイツと人民から巻き上げた税金で人民を抑圧する腐りきった赤の犬に成り下がったドイツ、誇りやプライドを持たぬ民族と国家に成り下がった恥知らずなドイツ同士のあの見苦しき争いが見えるか」

 

「はっ!見苦しすぎて見て要られません!イオク様!」

 

「全くですイオク特務一佐殿、かつてはフランスや我がイギリスと並ぶヨーロッパの大国が地に落ちたものです」

 

「うむ、だが諸君!あえてこの光景を目に焼き付けておけ!アレこそが、人類の存亡より金を愛する共和党の愚か者どもに率いられたアメリカの圧力の前に屈し、魂と誇りを売った臆病者な軍と、共産主義という世界一危険で野蛮な思想に取り憑かれたソ連の愚か者どもに誇りを売り払った売国奴共が率いる腐りきった恥知らずな軍の象徴!人類を守りたいと心から願う清らかで素晴らしい理想を掲げる正き軍隊である我々ギャラルホルンやいずれ我々と一つになり、共に歩むであろう諸君達AEU軍が目指す方向とは逆の存在!諸君はあの見苦しい光景を脳に焼き付け、誓うのだ!我々はあのような恥知らずな国家の軍に成り下がった二つのドイツ軍を反面教師とし、誇りや大義を決して忘れてはならんぞ!」

 

「「「ハッ!」」」

 

ギャラルホルン地球軍の制服を来た兵士と水色の開襟型の軍服を着たAEUの兵士達はギャラルホルンの最高幹部のみに着用が許されている白地に青のラインが入ったギャラルホルンの軍服を着たイオクに敬礼しそう言った。

 

「何だと!」

 

「貴方達!私達の国を侮辱するなんて!ギャラルホルンだからいい気になって一体何処の所属よ!」

 

自分達の国をバカにされ、怒ったアネットとキルケはイオクにそう言った。

 

「フッ、この軍服と階級章を見れば分かるはずだが、まぁいい。お前たち無能な資本主義と卑劣で腐りきった赤の手先に成り下がった貴様らドイツ人にも分かるように口で言ってやろう、私はイオク・クジャン!階級は特務一佐ギャラルホルン最高幕僚会議構成士官の一人だ。」

 

「最高幕僚会議!?」

 

「ギャラルホルンの最高幹部様と言うこと・・・」

 

イオクの言葉にアネットとキルケはそう言った。

 

すると

 

「フッ、こんなKYで人の事を平気で馬鹿にする無神経な奴が最高幹部とは・・・ギャラルホルンも地に落ちたものですね」

 

「何・・・だと・・・」

 

キルケの皮肉が前面に押し出された言い草にイオクは怒りに震え今にも爆発寸前であった。

 

すると

 

「貴様!!!イオク様に何と言う無礼な口を!」

 

 

「ドイツ国軍の分際で我々ギャラルホルンの士官に口答えをするとは!!!身の程を弁えろ!!」

 

 

「そうだ!ドイツは黙ってろ!!この恥知らず国家め!!」

 

「そうだ!このヨーロッパ恥め!裏切り者め!!」

 

「ヨーロッパ諸国の面汚がイオク殿に口答えをするなど!役立たずは黙っていろ!」

 

「消えろ!!この恥知らず!」

 

「アメリカの手先め!!」

 

イオクの家臣やAEU軍の士官たちはイオクに暴言を言ったキルケを一斉に罵倒し始めた。

 

「クッ!うるさい・・・」

 

キルケは拳を握りしめそう呟いた時。

 

「やめてください!他者を必要以上に罵倒するなんて、こんなの間違っています!!それに西ドイツも東ドイツの軍も臆病者や恥知らずなどではありません!」

 

 

「黙れ!イオク様を馬鹿にしたのだ!こんな事では怒りが収まらん!制裁だ!制裁を下せ!」

 

「「「おおおお!!!!」」」

 

カティアの言葉を聞かず、イオクの家臣達が今にもアネットとキルケに襲い掛かろうとした時。

 

「まぁ、待ちたまえ諸君。考えてみればこの様な奴等に構ってやる必要はない、戦術機などと言う既に役立たずな旧式兵器に乗らされている可哀想な奴らだ、きっと心が絶望で濁りきっているのだろう。ここはそっとしておいて・・・ん?」

 

「ふざけるな・・・いい気になる!・・・え?」

 

イオクに対し怒りを露わにし、キルケはイオクに殴りかかろうとした時。

 

「何だお前は?」

 

「確かイオク・クジャン特務一佐殿でしたよね」

 

テオドールがイオクの目の前に立ちそう言った。

 

「そうだ、何だサインでも欲しいのか?良いだろう、貴様は恥じ知らず共の中ではだいぶマシの様だ・・・」

 

「黒色のモビルスーツに乗っていたのは貴方ですか?」

 

「は?黒色・・・あぁ、私のレギンレイズか、あぁ私の美しき愛機だ、そうだ良かったら見せてやろう・・・」

 

イオクがそこまで言った時。

 

「グアッ!!!!」

 

「テメェ、この前はよくもやってくれたな!!!この無能なボンクラ野郎!!」

 

何とテオドールはイオクの顔面にパンチを食らわせた。

 

「イオク様!!!貴様!イオク様になんて事を!!!」

 

「うるさい!テメェの下手な操縦のおかげで、俺のバラライカを壊して、さらに俺を殺しかけやがって!この無能なおぼっちゃまよ!!!俺たちが役立たずだと?役立たずはテメェの方だろ!このたわけ野郎!!」

 

「き、貴様!!もう我慢の限界だ!!制裁を受けろ!!」

 

そう言いイオクはテオドールに殴りかかった。

 

しかしパンチや蹴りなどの格闘技も素人同然の実力しか持たないイオクはパンチや蹴りなどはすべて避けられ逆にテオドールから膝蹴りをくらってしまった。

 

その時

 

「イオク様!今です!」

 

「我々が押さえているうちにお早く!」

 

何と部下がテオドールを押さえつけ、今のうちに攻撃するように言った。

 

「おお、お前達の忠義、見事だ!喰らえ!正義の一撃を!!」

 

そう言い、イオクがテオドールを殴ろうとした時。

 

「「くらえ!!!」」

 

「グハァ!!」

 

何とアネットとキルケの二人によるパンチがイオクの顔面にくらった。

 

「き、貴様!二人がかりで殴りかかって来るとは!卑怯者め!」

 

 

「卑怯者?卑怯者はそっちでしょ!!!」

 

「二人がかりでテオドールを押さえて、身動き出来ない内に攻撃するなんて!卑怯にもほどがある!恥じ知らずはおまえのほうだろ!!」

 

キルケとアネットはイオクにそういった。

 

「貴様!!そうか!そっちがその気なら!!誇り高き戦士達よ!!奴等に鉄槌を下せ!!」

 

 

「「「おおおおおお!!!!」」」

 

「ま、待ってください!こんな事!いくらなんでも間違って居ます!」

 

カティアは必死に止めようとしたが、イオクの家臣と一緒にいたAEUの兵士達はそれを無視し、テオドール、アネット、キルケに一斉に襲いかかろうとした時。

 

 

 

 

銃声が三発鳴り響き、皆動きを止め銃声がした方向を見た。

 

「イオク様!貴方は何をやっているんです!」

 

「アリサ!見て分からないか!我がギャラルホルンに刃向かう愚かな者達に鉄槌を!」

 

「鉄槌?どう見てもリンチにしか見えないのですが?全く貴方は最高幹部の一人でありながら他国の兵士をリンチしようとするなど、ギャラルホルンの顔に泥を塗るつもりですか貴方は!」

 

「しかし!アリサ!」

 

イオクがアリサにそこまで言った時。

 

「いや、アリサの言う通りだイオク、どの様な事があれ大人数で少数の人をリンチにするなど、ギャラルホルンの士官としてあるまじき行為だ」

 

「はっ、ま、マクギリス様!!イシュー准将」

 

突然現れたマクギリスとカルタにイオクとその家臣、さらにAEUの兵士達もみな慌てて敬礼をした。

 

「クジャン特務一佐、先ほどの貴方の行為。私からすれば誇り高いとは思えないわ」

 

「しかし!イシュー准将!奴等は我々ギャラルホルンを・・・」

 

「イオク・クジャン」

 

「は、ハイ!」

 

マクギリスはイオクにそう一言言った。

 

声は荒げて居ないが、その声と雰囲気、さらにイオクを睨む鋭い目からは明らかに怒りが感じられ、イオクはまるで蛇に睨まれた蛙の様な気持ちであった。

 

「我々ギャラルホルンは君が言った様に高潔な軍だ。だからこそ他国の見本となる行動をせねばならない、自らの地位を悪戯に自慢し他者を貶める言動は我がギャラルホルンの品位を貶める。そして覚えておけ、ギャラルホルンの名前に傷をつける者は幾ら君のような最高幹部の地位にあるものでも然るべき裁きを下させてもらう。」

 

「あ、そそそそその・・・す、すみませんでした!!」

 

イオクは即座に頭を下げ、マクギリスに謝罪した。

 

「もういい、以後気をつける様に、下がれ」

 

「は、はい!」

 

そう言い、イオクは逃げる様にこの場を離れ、家臣達も後を続く様にこの場を離れた。

 

 

するとマクギリスはアネットとキルケ、そしてカティアに近づき。

 

「部下が無礼を働いて済まなかった。今手元にはコレしか無いがお詫びの印に受け取ってくれ」

 

そう言い、マクギリスはアネットとキルケ、そしてカティアとテオドール、リィズにチョコレートが入った袋を手渡した。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ど、どうも。えっ、本当に貰ってもいいんですか?」

 

マクギリスが二人にあげたチョコは無論天然の食材を使っており、今の世の中、農業コロニーを多数抱え、あるいは買収する事により、BETAの脅威を無視した安全な食料生産体制を構築する事に成功したギャラルホルンやAEUを除けば、天然の食材やお菓子は貴重品である。その為内心はしゃぎそうになりながら、キルケとアネットはマクギリスにそう言った。

 

 

「構わない、ホーゼンフェルト少尉、私の部下が無礼な事を言ったお詫びだ、これくらいは構わない」

 

 

「え?なんで私の名前を知っているんですか?」

 

するとアネットは自分は一兵士であるのに、マクギリスが自分の名前を知っている事に少し驚きそう聞いた。

 

「君だけでは無く、第666中隊の隊員の名前は全員知っている。まぁ、ホーゼンフェルト少尉、君の事はアリサからよく聞いているから特に印象に残っている」

 

「アリサに、ですか?」

 

「あぁ、アリサから自分の大好きな親友だって聞いている、これからもアリサと仲良くしてくれ」

 

「ちょ、ちょっとマクギリス様!」

 

アリサは顔を赤くしマクギリスにそう言った。

 

「フッ、すまんアリサ」

 

そう言うとマクギリスは次にカティアの方を向き。

 

「君は確か、カティア・ヴァルトハイム少尉だったね。」

 

「は、はい!」

 

「大人数を目の前に、少しも怯む事なく争いをやめる様に言うその覚悟、素晴らしかったぞ。君ならいずれ歴史を動かせるかも知れないな」

 

「そ、そんな幾ら何でも言い過ぎです」

 

カティアはマクギリスにそう言った。

 

「フッ、真実を言ったまでだヴァルトハイム少尉。そして君が・・・テオドール・エーベルバッハ少尉」

 

「は、はい」

 

「まさか相手が上官でも殴りかかるとはな・・・」

 

「す、すみません。頭に血が上っていたとは言え、ギャラルホルンの最高幹部に手を出すなんて・・・」

 

「いや、気にしては居ない。むしろ私は例え上官であっても自分の意思を曲げず、必要ならば殴りかかる君の勇敢な心に敬意を評したい。その勇気、これからの戦いにも是非活かしてくれ。」

 

「は、はぁ・・・」

 

マクギリスはそう言うと、カルタと共にこの場を去って行き、テオドールは去っていくマクギリスの背中を見てそう呟いた。

 

 

「あれが・・・マクギリス・ファリドか…たしかにルックスは男の俺でもカッコいいとは思うが・・・」

 

「なんか不思議な人・・・底が見えないというか、何というか・・・」

 

テオドールとカティアはマクギリスを見てそう評価した。

 

 

「少なくとも、人を率いる器と言うのか・・・オーラと言う奴は感じられた・・・本当にあの人は20代なの?そうとは思えない圧倒的カリスマと力を感じられたわ・・・」

 

「少なくとも凡人では無いみたいね、あれが天才というやつか・・・」

 

すると今度はキルケとアネットがマクギリスに対しての感想を口に出した。

 

 

 

すると

 

「何だ、乱闘になって居ると聞いて来たが、落ち着いている様だな」

 

すると一人のガタイの良い男性軍人がアネットとキルケの尻を触りそう言った。

 

「ひゃっ!て!しょ、少佐!」

 

「な、何このおっさん!」

 

キルケとアネットは少佐と呼ばれたこの男、ヨアヒム・バルクにそう言った。

 

「俺はヨアヒム・バルク、フッケバインの隊長だ。聞いた話だがうちのキルケが失礼した、喧嘩したのも何かの縁だ。これからも仲良くしてやってくれ。同じドイツ人としてな」

 

「は、はぁ・・・」

 

アネットがそう言った時、バルクは次にアリサの方を向き。

 

「よう、君がアリサ・ボードウィン特務一尉だな」

 

「そうですが、何か?」

 

 

「アリサ・ボードウィン!?と言うと!貴方があの青色の流星と言われている青のフェンリル隊の隊長!?」

 

「まぁ、そうですが」

 

「い、一体、聞きたいのですが歳は?」

 

「18ですキルケ少尉」

 

「私と同じじゃない!?なのに!?え!!」

 

キルケは目の前にいる自分と同じ歳の女の子があのギャラルホルン最強の部隊を率いるエースだと言う事に驚き困惑した。

 

「まぁ、俺も始めて知った時は驚いたが、事実だキルケ。アリサ特務一尉、君もキルケと仲良くしてくれ」

 

そこまで言いバルクはアリサの尻も触ろうとした時

 

「ハッ!!」

 

「おわあああああ!!!」

 

アリサはすかさずバルクの腕を掴み背負い投げを食らわせ、頭に銃を突きつけた。

 

「あまり、調子に乗らないでください"少佐"殿」

 

「す、すまん。しかしいきなり投げ飛ばすとは・・・」

 

「いいえ、慈悲深いと思いますよ。監査局所属の特務士官権限で貴方を逮捕しないだけ・・・少佐殿、貴方はドイツ軍所属の軍人とはいえ佐官です、少しは自重した方がよろしいと思いますよ。行こうアネット」

 

「う、うん」

 

 

そう言いアリサは銃をしまいアネットと共にこの場を去って行った。

 

「おお、怖い怖い・・・」

 

「た、確かに彼女は只者では無いですね少佐・・・」

 

キルケはバルクにそう言った。

 

 

 

 

 

 

物陰

 

 

「マクギリス・・・ファリド・・・」

 

シルヴィアは何を思ったか、先ほどの光景を物陰から見て居た時、マクギリスに対し何やら恨みを持ったような目で睨み、今もまたマクギリスを恨みがあるような声でそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 




ちなみにグダニスク要塞基地の広さですがイメージとしてはトータルイクリプスのアラスカのユーコン基地と同じくらいの広さです。


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関係

ついにこの小説も50話ですここまで頑張れたのも読者の皆様の応援があっての事です。

本当にありがとうございます。


乱闘騒ぎから数時間後

 

食堂

 

「はむ、う〜ん美味い!」

 

「うん、確かに美味いな、東ドイツの合成チョコとは大違いだ」

 

アネットとテオドールはマクギリスからもらったチョコを食べてそう言った。

 

あの乱闘騒ぎの後、アネットとテオドール、リィズやカティアは、夕食後、他の隊員達と一緒にマクギリスから貰ったチョコを食べていた。

 

因みにその時、アネットのはしゃぎ様にはファムやベルンハルトまで「まだ子供だな」と呟き少し笑ってしまったと言う。

 

「全くチョコ一つで喜ぶとは、子供ですかアネットは。まぁ・・・分からなくは無いですが」

 

「そうですね、このご時世ギャラルホルンやAEUは兎も角、他の勢力圏では天然食材は贅沢品と言ってもいい代物ですからね」

 

アリサはアネットの喜ぶ姿を見てそう言い、一緒にいたアンドレイもそう言った。

 

この世界ではユーラシアなどがBETAの進行により食料事情が良いとは言えず、一般家庭や軍ではまずい合成食が食卓を支えているのが現状であった。

 

しかしそんな中ギャラルホルンはファリド家や旧経済圏が保有していた農業コロニーを多数抱えているため、ギャラルホルンやその同盟国であるAEUでは天然食材が普通に出回っており、一般家庭は勿論ギャラルホルンやAEU軍では普通に天然食材の料理が提供されている。

 

その為アリサ自身も、ギャラルホルンに入隊したての時、ギャラルホルンで提供される食事を食べてその余りの美味さに驚いた事があり、先程夕食の時に出た天然食材だけで作られた料理とチョコを食べたアネットの反応もアリサは分かるような気がした。

 

 

 

「全く、今は協力体制とは言え我が党と共産主義の敵であるギャラルホルンの首領から貰った物を喜ぶとは・・・」

 

「うぁ、私が言える事ではないですが、ここまで頭が固いとは・・・」

 

「まぁ、政治将校はソ連だろうがどこであろうがこんな物だと思います特務一尉」

 

アリサとアンドレイはこんな時にでも党や敵やなんだと頭の固い発言をするグレーテルに少し引いてしまった。

 

「アンドレイ一尉、ギャラルホルンに染まりきって、貴方はそれで良いのですか!東欧の英雄であるセルゲイ将軍の息子としての」

 

グレーテルがそこまで言った時。

 

「同志中尉」

 

「何だ?ウッ!」

 

リィズに呼ばれグレーテルがリィズの方向を振り向くと、すかさずリィズはグレーテルの口にチョコを投げ入れた。

 

「う、美味い・・・ゲホッ!ゲホッ!いや何でもない!」

 

「全く素直じゃないですね同志中尉」

 

「そうそう、素直になれば良いのに」

 

「ヴァルトハイム少尉!ファム中尉!私をからかうのはやめろ!それにこんなユルユルな雰囲気政治将校として認めるわけには!」

 

「別に良いでは無いか同志中尉、今は戦闘中じゃ無いんだ、気は緩める時に緩めておかねば疲れるだけだぞ」

 

「そうそう、ベルンハルト大尉の言う通りですよ同志中尉。ねぇ、アリサもそう思うでしょ」

 

アネットはアリサにそう聞いた。

 

「まぁ、ユル過ぎると言うの問題ですが、幾ら軍人とは言え機械では無いんです。ある程度のモラルを守るなら規律を緩めるのも良いと思います」

 

「しかし・・・はぁ、もういい」

 

グレーテルはそれ以上何も言わなかった。

 

「そう言えば、シルヴィアはどうしたのかしら」

 

「シルヴィア?いやそう言えば見かけなかったけど・・・どうしたのかな?作戦が終わってからずっと不機嫌だったけど・・・」

 

アネットはファムにそう言った。

 

すると

 

「さて、私は少し外を散歩してきます」

 

「散歩?なら私も一緒に行っていいアリサ」

 

「アネットは散歩より機体の状況確認を先にやっておいた方が良いですよ」

 

そう言いアリサはアネットを置いて食堂を出て行った。

 

 

 

出て行く瞬間リィズにアイコンタクトを送って。

 

 

「お兄ちゃん私もちょっとトイレに行ってくるね」

 

「あぁ、この基地広いから迷うなよ」

 

「うん」

 

そう言いリィズも食堂を出て行った。

 

 

「アネット・・・最近アリサて子と一緒に居るね」

 

「そうかなイングヒルト?」

 

「・・・私も少し外に出て来るね」

 

更にイングヒルトも二人の後を追うように部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

アリサは基地の中で比較的人目につかない倉庫に入って。

 

「ここなら人目につきません、2年ぶりですねホーエンシュタイン中尉」

 

「はい、2年前のBETA教団殲滅作戦以来ですねアリサ特務一尉殿」

 

アリサはリィズの立場を考え先ほど自分について来るようアイコンタクトをリィズに送り、誰も居ないであろう倉庫裏に来た。

 

「それにしてもまさか貴方が第666中隊に派遣されるとは・・・やはり任務ですか?」

 

「うん、ベアトリクス少佐から第666中隊が早まった事をしないように監視して来いて」

 

「成る程・・・」

 

アリサはリィズの言葉にそう言った。

 

「所で貴方は第666中隊の事をどう思って居ますか?」

 

「・・・結構好きです」

 

「と言うと?」

 

「お兄ちゃんに会えただけじゃなくてファム中尉やアネットちゃんやカティアちゃん、それにベルンハルト大尉、みんな優しくしてくれるから・・・」

 

「そうですか・・・それは良かったですね・・・ならこれからも仲良くしてください。ですがくれぐれも仲間を売らないように。特に個人的にアネットをシュタージに密告なんかしたら一生怨むのでそのつもりで」

 

「そ、そんな事・・・」

 

「冗談ですよ」

 

アリサはそう言い倉庫を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてリィズと話した倉庫から少し離れた場所に着くとアリサは制服の胸ポケットから電源がついた端末を取り出した。

 

「全く、心配なのは分かりますがこんな事まで私にさせて・・・少し過保護では無いですか?ベアトリクス少佐殿」

 

『そんな事は分かって居るわ・・・でもやっぱ、リィズが第666中隊内で兄のエーベルバッハ少尉以外の隊員達とも上手くやって居るか心配で・・・』

 

「母親ですか貴方は・・・」

 

アリサは通信先のベアトリクス少佐にそう言った。

 

しかしある意味、アリサがベアトリクスに言った事は的を射て居る。

 

実はベアトリクス自身実はマクギリスと会う前から意外にも部下思いであり、そして三年前マクギリスとあってからは性格も前よりはマイルドになり部下に対しての愛情が今までより増し、ベアトリクスの部下に対する思いは母親のような心情であった。

 

その為、彼女の部下、特にリィズなどは自分を救ってくれたベアトリクスの事を母親のように慕っており、ベアトリクスもリィズや他のヴェアヴォルフの隊員達を娘や自分の家族同然に接しておりリィズだけに限らず、部下達もそんなベアトリクスを慕っている。

 

 

しかし無論そんな事は知らないアリサは少し呆れながベアトリクスにそう言った。

 

『でも、上手くやって居るみたいで少しホッとしたわ・・・』

 

「そうですか・・・所で東ドイツの方は如何ですか?」

 

『特に変わりはないわ、でも最近アクスマンが何やら不審な動きをして居るとの噂があるわね・・・』

 

「アクスマン?あぁ、あの亡命者狩りで中佐まで上り詰めた人間のクズですか・・・」

 

『そうね、奴は狡猾な男だから幾ら私でも何をやって居るかまでは分からないけど、其方も警戒する事を勧めるわ』

 

「そうですか、肝に命じておきます。それでは」

 

そう言い、アリサは通信を切った。

 

「さて、そろそろマクギリス様も会議が終わる頃ですね・・・ん?」

 

アリサがそう呟き歩いているとアリサの目にベンチに一人ポツンと座るイングヒルトが目に映った。

 

 

 

 

 

 

「アネット・・・私はもう・・・アネットにとって必要じゃ無いのかな・・・」

 

イングヒルトはこの前の作戦の時、ベーバーゼー基地でアネットとアリサが仲良く話したり、している所を見てからある夢を見るようになった。

 

それはアネットが自分を置いてアリサと共にギャラルホルンに入ってしまうと言う夢である。

 

ただの夢だが、アネットがアリサと会ってから、今までの事が嘘だったように戦争神経症から完全に立ち直ったり、アネットとアリサの二人が仲良くしている所を見ると最近、自分はもうアネットにとって必要ない存在なのではとイングヒルトは思い始めて居た。

 

「アネットが立ち直って嬉しいはずなのに・・・嫌だよ・・・アネット・・・私を置いて行かないで・・・」

 

イングヒルトは目に涙を浮かべそう呟いて居た。

 

 

すると

 

「何しているんですか?」

 

「え?あ、アリサ特務一尉・・・」

 

目の前には今自分が考えていた人物の一人である、アリサ・ボードウィンが目の前に立っていた。

 

「い、いいえ何でもありません」

 

「そう・・・あの、イングヒルト少尉、君に少しお願いがあるのですが」

 

「何ですか?」

 

イングヒルトがそう聞くと。

 

「私はずっと君と話がしたかったんです、少し話をしませんか?」

 

アリサはそう言いイングヒルトの隣に座った。

 

 

 



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想い

その頃

 

グダニスク基地の中枢である司令部ビル内の会議室ではマクギリスにより臨時の最高幕僚会議が開かれていた。

 

 

「さて諸君、今回臨時で最高幕僚会議を招集したのは他でもない、先の初戦でBETAが今までにない行動をしてきた事が議題だ」

 

『マネキン准将の報告書で読みましたが此れは事実なのですか!?』

 

「報告書に間違いや誇張は一切無い、ここに書いてあるのは全て本当の事だ」

 

報告書を見てそう発言した通信先のライザにマネキンはそう言った。

 

『BETAが作戦行動らしい作戦行動をして来たと言う事か・・・此れは厄介ですね・・・』

 

続いて地球外縁軌道統制統合艦隊司令の石動がそう言った。

 

すると

 

「しかし!幾ら我等の予測を超える行動をして来たとはいえ所詮は下等生物!我々ギャラルホルンの敵ではありません」

 

「確かに、イオクの言う通り今のところ我々の敵では無い」

 

マクギリスはイオクの言葉を肯定するかのようにそう言った。

 

だが続けてマクギリスはこう言った。

 

「しかし、"今はだ"このまま状況が進めば何幾ら我々であってもBETAに勝てなくなる可能性がある」

 

「し、しかし・・・」

 

「残念だけどマクギリスの言う通りよクジャン特務一佐。このままの状態では幾ら我々でもジリ貧になるのは明らか。その前にBETAを倒す必要があるわ。しかし・・・」

 

「カルタの言いたい事は分かる、BETAに勝つ為には人類全ての団結が必須だ。しかし現在世界は三つに分かれ団結して居るとは言い難い。だが・・・BETAに学習能力が有ると分かった以上、我々には残された時間は少ない、だから諸君!ここで覚悟を決めて欲しい」

 

「覚悟?」

 

『どういう事ですか?』

 

マクギリスの言葉にカルタと石動はそう聞いた。

 

「罪を背負ってでも進む覚悟だ、これ以上奴等BETAに時間を与える訳には行かない。だから此処から我々は最短の道を行く!何としても一年以内に全人類を我々ギャラルホルンが一つにまとめる。だから諸君此処からは覚悟を決めて私に付いて来て欲しい。一年以内に人類を一つにまとめる事は容易では無い、それこそ数え切れない罪や屍を背負って行く必要がある。その覚悟を決めて欲しい。」

 

 

マクギリスはそう皆に行った。

 

 

すると

 

「私は覚悟を決めます」

 

「マネキン准将・・・」

 

「私は元々人類を守る為にギャラルホルンに入りました。罪を背負うだけで人類を救えると言うなら」

 

『私も罪など前世で既に背負う覚悟は出来ていますファリド総統』

 

『私もです』

 

マネキンに続き石動とライザもそう言った。

 

「自分はマクギリス様に忠誠を誓って居ます!なのでマクギリス様が罪を背負うというなら私も喜んで背負います!」

 

イオクもマクギリスにそう言った。

そして最後に

 

「カルタ・・・」

 

「フッ、私が罪の一つも背負えないと思っているのかしらマクギリス?」

 

「いや、それは・・・」

 

「私はイシュー家の長女、ギャラルホルンの為、人類の為なら罪の一つや二つ背負って進む覚悟くらいはあるわマクギリス」

 

「そうか・・・」

 

そう呟きマクギリスが一人一人の目を見ると、皆例外なく覚悟を決めた目をして居た。

 

「君達の強さに敬意を表する、これからもよろしく頼む」

 

「「「「ハッ!」」」」

 

そう言い、皆一斉に敬礼をした。

 

「さて、諸君此れからの事を考えるのも良いが此処からは今について考えよう、明後日にグダニスク近郊に到着するBETA軍への対策だが・・・」

 

 

 

 

 

その頃

 

アリサとイングヒルトはベンチに座り話をして居た。

 

「私と話がしたいって・・・私なんかと何を?」

 

「聞きたいんです、私はこの四年間ギャラルホルンにおりその間のアネットを知りません。なので私が居ない四年間アネットを支えてくれた貴方にアネットの事を聞きたいのです」

 

「・・・私なんかで良ければ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「立て続けに戦友を・・・情報で分かっては居たが・・・」

 

「うん、アネットも辛かったと思います、ですから私も出来る限りの事を思って・・・」

 

「そう・・・」

 

アリサは自分の親友がこの四年間自分以上に辛く悲惨な思いをして戦って居た事を改めて知り心を痛めた。

 

「でも、もう私は要らないですよね・・・」

 

「は?」

 

「だってアネットにはアリサ特務一尉が居るから・・・」

 

「私が?」

 

「はい、アネット・・・貴方と会ってからすかっり立ち直って何時も楽しそうにアリサ特務一尉の昔話をしてるんです、やっぱりいくらこの四年一緒に戦った戦友と言っても私なんかアネットとはまだ四年の付きあいだから・・・」

 

「もう自分はアネットにとって必要ない存在だと思っているのですか・・・?」

 

「・・・」

 

その言葉にイングヒルトは何も言わ無かった。

 

「はぁ〜そんな事は無いと思いますよ」

 

「え?」

 

「アネットは今でも貴方を必要として居ます、確かに私と貴方とではアネットと過ごした時間は天と地の差がありますが、それでもアネットが辛く残酷な戦場で心がボロボロになって居た時、アネットを支えて居たのは貴方だった筈です。」

 

「それは・・・」

 

「それに私はギャラルホルンの軍人・・・何時もアネットを守ると言う訳には行かない、そんな時私以外にも彼女を支えてくれる人が必要なんです」

 

「でも・・・私なんか」

 

イングヒルトがそう言った時アリサはイングヒルトの肩を掴み

 

「イングヒルト少尉自分なんかと言わないでもっと自信を持ってください。私なんかでは無い、貴方しか居ないんです、私がアネットの側に居ない時、アネットを支えられるのは四年間彼女を支えてくれた、貴方以外に誰も居ない!」

 

アリサはそう断言した

 

「・・・私はまだアネットに必要な存在なの?」

 

「ええ、貴方しか居ないんです、イングヒルト少尉、此れはギャラルホルンの特務一尉としてでは無くアネット・ホーゼンフェルトの親友としての頼みです」

 

アリサはイングヒルトの前に立ちこう言った。

 

「これからもアネットをお願いします、彼女は昔から危なっかしい所があるので、誰かが守ってあげなければならないんです。」

 

「・・・分かりましたアネットは私が守ります」

 

「・・・ありがとう」

 

アリサはイングヒルトにそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

1時間30分後

 

「へ〜アネットて昔らか無鉄砲な所があったんだ」

 

「フッ、私がまだ弱かった頃なんか私がいじめられたら直ぐにいじめた相手を殴り飛ばして喧嘩になって何時も人を心配になって居たんです」

 

「そう言えば2年前、私がほかの兵隊に絡まれた時アネットが・・・」

 

二人はしばらくの間、お互いにアネットの事を話していた。

 

アリサは昔の事、イングヒルトはこの四年間の事、お互いがお互いの知らない事を話しすっかり意気投合していた。

 

するとアリサの腕時計のアラームが鳴った。

 

「もう時間か・・・話の途中ですがそろそろ会議が終わる頃なのでマクギリス様の所に戻ります」

 

「分かりました、では今日はここで」

 

「・・・アネットの事、改めてよろしくお願いします」

 

アリサはイングヒルトに敬礼をし、去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリサがマクギリスの元に向かっていた時。

 

「あ、アリサ」

 

「アネット、こんな所何をしているんですか?」

 

「私も少し気晴らしで散歩、アリサは?」

 

「今からマクギリス様と合流しフラッグの視察と開発者との話し合いに付き添う予定です」

 

「やっぱり大変なんだねファリド総統の副官て」

 

「まぁ大変と言えば大変です」

 

「そうか・・・一人で散歩と言うのも味気ないからアリサが暇なら一緒に散歩したかったんだけどな・・・」

 

「成る程、アネット一つ貴方に言いたいのですが、貴方の今の気持ちは分かりますが、今の貴方には私以外にも友人がいる筈です、其方らにも気を配ってあげてください」

 

「あっ・・・」

 

「フッ、そう言う事です・・・」

 

アリサはアネットの肩に少し手を置いてそう言い去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリサがベンチを離れてからイングヒルトはまだベンチを離れず空を見上げていた。

 

「私しか居ない・・・か・・・」

 

イングヒルトがそう呟いた時

 

「イングヒルト!」

 

自分の名を呼ばれるイングヒルトがその方向を向いて見ると

 

「アネット・・・」

 

「ごめんねイングヒルト・・・」

 

「え?」

 

「私アリサと会えた嬉しさでイングヒルトの事を見て居なかった・・・今までイングヒルトに支えてもらったのに・・・私・・・」

 

「あ、アネット・・・」

 

イングヒルトがそこまで言った時アネットはイングヒルトを抱きしめてこう言った。

 

「イングヒルト、私イングヒルトにずっと支えてもらいっぱなしだった・・・だから今度は・・・今度はイングヒルトを私が守る・・・」

 

「アネット・・・」

 

そう言われてイングヒルトは涙を流した。

 

アネットとアリサが再会してから開いてしまったアネットとの溝が今まこの時埋まったような気がイングヒルトはした。

 

 



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怒り

 

オーバーフラッグス隊格納庫

 

「カタギリ、整備状況はどうか?」

 

「あぁ、グラハム。完璧だよ君のカスタムブラッグと他のフラッグ全て整備は万全、例え今敵が攻めて来ても戦える状況だよ」

 

「フッ、そうか」

 

グラハムはカタギリの言葉を聞きそう言った。

 

すると

 

「よう、あんたがこのモビルスーツのパイロットか?」

 

するとギャラルホルンの軍服を着たパトリックがグラハムにそう言い近づいて来た。

 

すると

 

「誰だ君は?」

 

「おい!」

 

グラハムにそう言われた瞬間パトリックはズッ転けた。

 

「この俺を知らないとはモグリだな!元EUのエースで現在はギャラルホルンのエース兼最強の部隊であるフェニックス中隊の隊長!パトリック・コーラサワーだ」

 

「パトリック・・・コーラサワー・・・まさかあの・・・」

 

「お、思い出したか?」

 

「あぁ、敵に何度も落とされながら生還した奇跡のパイロット、"不死身のコーラサワー"だったな」

 

「やっと思い出したか、そう!俺こそがあのギャラルホルンの生きた伝説!不死身のコーラサワー様だ!」

 

不死身のコーラサワー、このあだ名は本当はモビルスーツに乗りながら何度も落とされているため皮肉としてつけらてたあだ名だがパトリックはそうとは知らず胸を張り自分のあだ名を自慢した。

 

「君があのパトリック・コーラサワーか」

 

「お、アンタは俺の事知って居る様だな」

 

「あぁ、3年前マネキンから放って置けない部下が出来たって言われてね、そうか君があの・・・」

 

「放って置けないって・・・え〜大佐が俺の事を!?いや〜照れるな」

 

マネキンがカタギリに言った放って置けないの意味は危なっかしくて放って置けないと言う意味だが、パトリックは他の女に取られるかも知れなくて放って置けないと言う意味と勘違いして照れながらそう言った。

 

「おっと、そう言えばアンタは確か大佐と一緒に話して居た・・・」

 

「ビリー・カタギリ、アイリス・コーポレーションから派遣されて来た技術者でこのフラッグの設計主任を任せられている、マネキンとは大学時代からの親友なんだ」

 

「大佐の親友か・・・そう言えばこの機体、アンタが作ったのか?」

 

「まぁ、僕だけじゃなくミラも・・・僕と一緒にやってきた女性技術者のミラ・ブリッジスの事なんだけど、彼女もこのフラッグの開発には関わって居るから僕一人と言うわけでは無いけど」

 

「そうか、それにしても変形するモビルスーツか・・・少し良いな、アメリカのモビルスーツらしいけどギャラルホルンでも採用しないかな?」

 

「いや、ギャラルホルンにも採用される予定だよ」

 

「そうなのか?」

 

「上手く行けばだけどね、この戦いでフラッグの有用性が証明されればグレイズやレギンレイズ同様ギャラルホルンの主力モビルスーツとして採用してもらえる予定なんだ」

 

「ヘぇ〜」

 

パトリックはフラッグを見上げそう言った。

 

すると

 

「た、隊長〜!」

 

「ハ、ハワードどうした!?」

 

グラハムがハワードの方を向くと顔色を悪くしふらついた様子で今にも倒れそうになって居た。

 

「じ、実はジョリーロジャーズの連中に絡まれて・・・」

 

「何だと!まさか暴力を振るわれたのか!」

 

「ち、違います〜理由を話しますので、み、水を少し・・・」

ハワードはそう言いミネラルウォーターを一気に飲み干しグラハムになにがあったかを話した。

 

「実は絡まれたと言っても、別に乱闘になった訳ではなく我々がアメリカ軍初の国産モビルスーツを運用する部隊に所属して、先の戦いでは活躍をした為、ダリル共々、ジョリーロジャーズの連中から酒を奢らせて欲しいと言われ、先程まで飲んで居たんです。でも私は酒にそこまで強い訳でないので、さっきは気分を悪くして居たんです」

 

「何だ、そんな事か・・・所でダリルは?」

 

「まだ飲んで居ます、最後に見たときにはジョリーロジャーズ隊の一人とテキーラの飲み比べ対決をして盛り上がって居ました」

 

「そうか、ダリルは酒は強いから大丈夫だと思うが・・・そうだハワード、気分が悪いなら今日は部屋に戻って休むと良い」

 

「はい、そうさせていただきます」

 

グラハムにそう言われ、ハワードは敬礼をし部屋に戻って行った。

 

 

そしてハワードが格納庫から出て行って10分後

 

 

「ビリー」

 

「おっ、何だいミラ?」

 

格納庫に入って来たミラにカタギリはそう聞いた。

 

「お客様よ、カティとファリド総統がフラッグの事を聞きたいって」

 

「マネキンとファリド総統が?分かった入れてくれ」

 

 

 

「すまんなミラ、カタギリ忙しい所。そしてパトリックお前はここでなにをして居るんだ?」

 

「あっ!大佐。自分はちょっとフラッグを見て居ました。」

 

「あぁ、成る程そ言う事か」

 

マネキンがそう言った時

 

「忙しい所すまないなカタギリ主任にブリッジス女史、それにグラハム大尉」

 

「いえ、ちょうどひと段落したところですファリド総統」

 

カタギリはマクギリスにそう言った。

 

すると

 

「ファリド総統、先の戦いでの貴方とガンダムの勇猛な戦いぶり感動しました!」

 

「ふっ、そう言ってくれると此方も悪い気はしないが、それを言うなら君と君が乗るフラッグもなかなか素晴らしいと私は思うよ」

 

「フッ、ガンダムに比べれば私などまだまだです」

 

「フッ、謙遜は要らないよ。私も君の腕とそしてこのフラッグの性能に満足して居る、そこで私は今回、このフラッグを我がギャラルホルンの主力モビルスーツの一つとして採用する事を決めた」

 

「本当ですか!?それは素晴らしい社長も喜びます」

 

「そうか、では早速なんだがこのフラッグの説明を改めて頼めるか」

 

「了解しましたこのブラックなんですが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

マクギリスがビリーと話して居る時

 

「ミラ、あの事なんだが・・・考えてくれたか?」

 

「ビリーと私がギャラルホルンの技術士官として入隊する話の事?」

 

「そうだ、ファリド総統は君達二人の技術者としての腕を買って居る。それに・・・あの坊やをあんな人種差別が激しい場所で育って欲しくない、ギャラルホルンに入ってくれるならヴィーンゴールヴに住む場所を用意する。」

 

嘆かわしい事だが、自由の国であるはずのアメリカでは有色人種に対する人種差別が酷い、だがギャラルホルンでは多国籍な人々を軍人として採用して居る事と、マクギリス自身そう言う差別が大っ嫌いな為、ギャラルホルン兵士達には人種差別を禁止している為、ギャラルホルン内部では人種差別が全く無い。

 

その為マネキンはギャラルホルンに入ってからミラにギャラルホルンに入るよう呼びかけて居た。

 

「今ならばフラッグの設計者として入隊する口実がある、ユウヤの為にも来てくれないか?」

 

「・・・この作戦が終わるまで考えさせてもらえるかしらカティ」

 

ミラはマネキンにそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方

 

(アネット・・・ちゃんとイングヒルト少尉と話し合って居るかな・・・)

 

アリサは一人そう考えて居た。

 

すると

 

「少し良いか?」

 

「何の用ですか?」

 

グラハムがアリサに話しかけて来た為、アリサはそう言った。

 

「君が青の流星、アリサ・ボードウィン特務一尉か?」

 

「そうですが、一体何の用ですか?」

 

「先の君の戦い、バエルほどではなかったが素晴らしかった、それが言いたかったのだ。」

 

「何故ですか?」

 

「私は空が好きだ・・・だから君やファリド総統のような空の戦士が私は好きなんだ、ガンダムと同じくらいな。だから同じ空で戦う戦士として君と話しがして見たかったのだ」

 

「成る程・・・グラハム大尉マクギリス様の事や私のシュヴァルべの話をするので貴方もフラッグについて教えて頂けますか?」

 

「いいとも!共に語り合おうではないか!同じ空の戦士として」

 

 

そしてししばらくの間、カタギリはマクギリスと、ミラはマネキンとパトリック、そしてグラハムはアリサと、お互いしばらく話し合った。

 

話の内容はモビルスーツ、仕事、個人的な事と色々話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

「何で・・・あの事は四年前にとっくに納得したはずなのに・・・何故今になってまた・・・」

 

基地内を歩きながらシルヴィアはそう呟いた。

 

「カーヤ、イレナ・・・私はどうすれば・・・」

 

そう呟いた時

 

「今日はすまなかったないそがしいところを押し掛けてしまって」

 

 

 

聞き覚えのある声がしシルヴィアが振り向いて見ると。

 

「マクギリス・・・ファリ・・・貴様ああああ!!!!」

 

シルヴィアはそう叫び目の前にいるマクギリスの元に走って行った。

 

 

 

 

 

「今日はすまなかったないそがしいところを押し掛けてしまって」

 

「いいえ、フラッグのギャラルホルンへの生産配備を正式に決めていただき有難うございます」

 

「フラッグは優秀な機体だからな感謝するのは私の方だ、よくぞあの様な優秀な機体を作ってくれた」

 

「いいえ、先程も言いましたが私一人では・・・」

「マクギリス・ファリド!!!貴様ああああああ!!!!」

 

「?なっ!」

 

叫び声がしマクギリスを含め此処に居た人達が声がする方を向くと。

 

「うぁああああああああ!!!」

 

何とシルヴィアが涙を流しながらマクギリスを殴ろうと此方に向かって来て居た。

 

そしてその拳がマクギリスの頬に触れ様とした時。

 

「ハッ!!!」

 

咄嗟にアリサはマクギリスを突き飛ばし、シルヴィアの腕を掴みそのまま背負い投げを食らわせシルヴィアの頭部に銃を突きつけた

 

「今何を・・・何をしようとした!!!」

 

「離せっ!!!!」

 

「黙れ!シルヴィア・クシャンスカ少尉!!幾ら君が第666中隊のメンバーだとしても!これは許す訳には行かない!!」

 

そう言いアリサは通信機を取り出し。

 

「私だ!オーバーフラッグス隊の倉庫付近にMPを向かわせろ!」

 

そして数分後

 

「コイツです、直ちに連行してください!」

 

「ハッ!」

 

監査局の士官に率いられた兵士達はシルヴィアを拘束し独房へ連行しようとした時。

 

「離せ!マクギリス・ファリド!!何故!何故だ!!」

 

「黙れ!痴れ者!」

 

MPは猿轡でシルヴィアを黙らせようとした時。

 

「待て、彼女は何か言いたい事があるらしい話を最後までさせろ」

 

「ハッ!」

 

 

マクギリスの命令でシルヴィアはマクギリスの目の前に連れてこられた。

 

「マクギリス・ファリド、貴方に聞きたい!四年前、何故私達東側の兵士たちを見捨てた!何故BETAを全て殲滅してくれなかった!!何故・・・何で・・・・何でアレほどの力があったのに!ヴロツワフを救ってくれなかった!!何故・・・何故・・・ウゥゥゥ・・・」

 

そこまで言った時シルヴィアは涙を流しながら崩れ去った。

 

 

「・・・連行しなさい」

 

「ハッ!!」

 

アリサの命令と共にシルヴィアはギャラルホルンのMPにより独房へ連れて行かれた。

 

 



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哀悼

独房

 

何時間経ったか、独房に入れられてからシルヴィアはずっと床を見て呆然としていた。

 

すると独房の扉が開き

 

「シルヴィア、迎えに来たぞ」

 

「ベルンハルト大尉・・・」

 

 

 

 

 

 

そして数分後

 

シルヴィアはベルンハルトと共に第666中隊の元に戻り、戻って最初に待ち受けていたのはグレーテルの説教だった。

 

「シルヴィア・クシャンスカ!貴様なんて事をしてくれた!あのギャラルホルンの最高権力者のマクギリス・ファリドを殴ろうとするなど!!分かっているのか!貴様がやった行動のお陰で我が東ドイツ軍はギャラルホルンに弱みを握られた!これがどれほどの事か!!!」

 

グレーテルがそうこまで言った時。

 

「その辺で良いですよ、グレーテル中尉」

 

「アリサ・・・」

 

自分を捕まえたアリサ・ボードウィン特務一尉が部屋に入って来た。

 

「ボードウィン特務一尉、今回の事は心から謝罪しますですのでどうかシルヴィアに寛大な処置を・・・」

 

ファムが隊を代表してそう言った。

 

しかし

 

「安心してください、マクギリス様も私も今回の事を公にするつもりはありません。そのかわり聞かせてください何故貴方はマクギリス様を殴ろうとしかを」

 

 

「・・・四年前・・・私がまだポーランド軍に入っていた時の事だ・・・」

 

シルヴィアは語り出した四年前の事を、ポーランドのヴロツワフで友達を失い地獄の様な体験をした事を

 

それを聞き第666中隊は息を呑み、カティアは涙を流しながらその話を聞いた。

 

「以上が私の過去だ・・・」

 

「そんな事が・・・」

 

ベルンハルトはそう呟いた。

 

今までシルヴィアはポーランドでの過去を隊長のベルンハルトにすら話していなかった。その為余りにも悲惨すぎる過去にベルンハルトですらなんて言っていいか分からなかった。

 

「でも、それがファリド総統を憎む理由になるの?何で早く助けてくれなかったとか、そう言う理由なら逆恨みも良いところだよ・・・」

 

リィズはシルヴィアにそう聞いた。

 

「早く助けてくれなかったやまだこの世界にいなかった・・・本当にこれが理由なら私だって怒りは抑えられただろうさ・・・しかし・・・」

 

シルヴィアがそこまで言った時

 

「待てよ・・・シルヴィア少尉、君のその過去は何月の事か分かりますか?」

 

「12月前半の事だよ・・・」

 

「成る程・・・そう言う事か・・・」

 

「アリサ、どう言う事?」

 

「アネット・・・私がギャラルホルンに助けられたのは11月末、つまりマクギリス様を中心としたギャラルホルンは、この悲劇より前に、既にこの世界に来て、この世界の戦いに既に介入していたと言う事です。」

 

「え・・・」

 

そう、マクギリス率いるギャラルホルンがグダニスクで戦ったのは11月末の事。

 

つまりシルヴィアが地獄を見る前にこの世界の戦場に降り立っていた。

 

そしてBETAとの戦いに介入した時マクギリスはバエルでポーランドに侵入していたBETAの七割を殲滅する事に成功した。

 

 

 

 

 

そう七割・・・つまり逆に言えば残りの三割は殲滅しなかったと言う事だ。

 

実はマクギリス率いるギャラルホルン部隊はバエルで七割のBETAを殲滅し終えた時、残った三割のBETAを掃討せず、欧州軍と共にキール基地に撤退してしまったのだ。

 

 

当時ギャラルホルンは地球上に拠点は無く、更に国際的発言力や政治的力は何も持っていなかった。そして残った三割のBETAのいる場所がグダニスクより離れたヴロツワフであり、そこを守っていたのは石動が絶対に手を組むべきではないと進言したソ連が率いるワルシャワ条約機構軍であった。

その為マクギリスは補給の問題とこれからの事を考え、さらに残り三割程度のBETAならワルシャワ条約機構軍だけで対処できるだろうと考えキール基地に撤退、結果的にヴロツワフを守っていた部隊を見捨ててしまったのだ。

 

そして掃討しなかった三割のBETAによりヴロツワフは包囲され、更にミンクスハイヴからの援軍で12月半ばにはポーランドは陥落してしまった。

 

「つまりマクギリス様を恨んでいたのは、自分達を助けず見捨てたから・・・そう言う事ですか・・・?」

 

「あぁ、あの時ギャラルホルンが全てのBETAを殲滅してくれれば・・・」

 

「気持ちはわかります。私もあの戦いで上官と同僚を全て失っています。しかし当時のギャラルホルンには物理的にも政治的にもヴロツワフを救う力は持っていなかった!それにこれは戦争です。残酷ですが、自分達の任務や都合の為、友軍を見捨てる選択をするのは珍しい事ではありません。そう考えると・・・」

 

「そんな事は分かっている!私だって軍人だ!そのくらいの事は分かっている!・・・でも・・・バエルのあの圧倒的力を見たら・・・何で・・・それほどの力があるのにと思って・・・そう思うと・・・」

 

シルヴィアは涙を流しながらそう言った。

 

「シルヴィア・・・こんなに涙を・・・」

 

アネットはそう呟いた。

 

普段、全く涙など流さないシルヴィアの目からは次々と悲しみの涙が頬を伝って流れて行った。

 

 

「私は・・・私は・・・」

 

「戦え・・・」

 

「えっ?」

 

そう言ったのはベルンハルトだった。

 

「シルヴィア・クシャンスカ少尉、君の気持ちは分かった。しかしどんな事をしようが過去は変えられない、そうだろ?」

 

「あぁ・・・」

 

「ならば、お前がそのカーヤやイレナとやらに出来る事はただ一つ、戦う事だ!戦ってお前と彼女達との友情を破壊した、諸悪の根源であるBETAのクズを一匹でも多く肉片に変える事だ。それこそがこの二人に対する魂の慰めになる、違うか?」

 

「・・・」

 

「それに、今のお前はもう一人ではないそうではないか?」

 

「隊長・・・」

 

シルヴィアは全てを話しベルンハルトから眺めて貰い、自らの心と体が軽くなって行くのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グダニスク基地司令部

 

臨時総統執務室

 

「そうか・・・四年前の戦いの時、我々がEU軍と共にグダニスクから撤退した後、残ったBETAによりポーランド軍やワルシャワ条約機構軍に多大な被害が出たとは聞いていたが・・・」

 

「マクギリス様が思い悩む必要はありません。四年前、まだギャラルホルンにろくな力が無い状態でマクギリス様は最善を尽くしたんです、あの事は仕方がなかったんです」

 

「しかしな・・・」

 

 

それでもマクギリスは思い悩むようにそう言った。

 

 

「マクギリス様、貴方は神のような人物です、しかし神の様であって貴方はあくまでも人間です。いくらマクギリス様でも神のように全てを救える訳では無いんです、全てを拾いないないなら何を捨てるか決める・・・それが戦いと言う物です」

 

「何を捨てるか・・・か・・・」

 

「残酷な様ですがこれが戦いです、指揮官は時には多数を救う為に小数を犠牲にしなくてはならない。」

 

 

アリサはマクギリスにそう言った。

 

「まさか君に戦いを諭されるとはな・・・その台詞はこの四年間で得られた君の人生経験から来る言葉か?」

 

「いいえ、受け売りです私が東ドイツ軍の少尉だった頃一回だけソ連軍の戦術機部隊と合同作戦を行った事が有るんです。その時、私の同僚が戦死し仲間を救えなかった事にショックを受けていた時、ソ連軍の大尉に言われた言葉です」

 

「成る程な、中々面白い事を言うそのソ連軍の大尉は。ぜひ名前を知りたいな」

 

「名前ですか?そう言えば名前は聞いた筈なんですが・・・確かフィカーツ・・・申し訳ありませんマクギリス様、ど忘れしてしまいました」

 

「ふっ、そうか・・・」

 

マクギリスはアリサの言葉にそう呟いた。

 

するとアリサはマクギリスに有る提案をして来た。

 

「マクギリス様、これはあくまで提案なのですが、どうしても戦死者に何かしてあげたいのであれば、名前を覚えてあげたらどうですか?」

 

「名前を覚える?」

 

「はい、生者が死者に出来る事は哀悼の意を示す事だけです、マクギリス様がどうしてもと考えるなら、せめて死んで行った者の名を全て覚えてあげるというのはどうですか?」

 

「名前を覚えるか・・・そうだな、私や今生きている人々が死者に出来る事は散って行った戦士達を決して忘れない事だけだからな・・・」

 

「えぇ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

数々の出会いがあったこの日から二日後

 

 

再びBETAとの戦いが始まる

 

 



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決断

二日後

 

「ついにBETA軍の本隊が・・・」

 

テオドールは迫り来る30万近いBETAの大軍を見てそう言った。

 

「お兄ちゃん・・・」

 

「大丈夫だリィズ、作戦道理やれば上手く行く筈だ」

 

テオドールは不安そうに呟いたリィズにそう言った。

 

 

時間は昨日に遡る

 

「諸君、ついに明日BETAの屑どもの大軍が押し寄せて来る、そこで司令部から送られてきた作戦を説明する」

 

ベルンハルトがそう言ったと同時に正面のモニターに作戦計画が映った。

 

「作戦は我が軍とギャラルホルン別働隊が中央、AEU軍とギャラルホルン本隊が右翼に、アメリカ、西ドイツ軍を中核とした国連軍が左翼に軍を展開、我々とギャラルホルンがBETAを遅滞させてるうちに面制圧で一気に包囲し殲滅する。これが対BETA包囲戦ドクトリン、アクティブディフェンスだ」

 

 

「アリサ特務一尉、風の噂で聞きましたが今回のこの作戦、西ドイツが強く提案したと・・・」

 

「事実ですアンドレイ一尉、西ドイツはヨーロッパ諸国の一つなのにアメリカに恐れをなしAEUへの加盟を断り裏切り者や恥知らずと罵られ、国際的信用を失っていますからね。この作戦で少しでも自分達の有用性を示し汚名を挽回したいのでしょう。まぁ、理には叶っている作戦なので昨日の最高幕僚会議では採用してみる事になったらしいです。」

 

「成る程、しかし成功するのでしょうか・・・この作戦両翼に配置されている部隊の背後から敵の増援が来て攻撃を仕掛けられたら作戦は・・・」

 

アンドレイが作戦を見てそう呟いた時

 

「アンドレイ一尉、君も軍人なら分かる筈です、失敗は許されない、この作戦は祖国と党の威信がかかっています!」

 

グレーテルはアンドレイにそう言った。

 

「上手く行くと良いわね・・・」

 

「クッ!そう言うお前はどうなんだクシャンスカ少尉、どさくさに紛れてファリド総統を撃つとか物騒な真似はしないだろうな?」

 

「もうマクギリス・ファリドの事はどうでも良い、今の私が考えている事はBETAを殲滅する事よ」

 

グレーテルの言葉にシルヴィアはそう言った。

 

 

 

 

 

会議が終わり

 

「そう言えば同志中尉不機嫌そうだねお兄ちゃん」

 

「恐らく上層部の方から結果を出せと催促されているんだろ」

 

「なんか、少し同情しちゃうな」

 

グレーテルが上からの圧力で精神的に疲れ始めている事にリィズは同情しながらそう言った。

 

 

 

 

そして時系列は元に戻り

 

ミサイルと砲撃によるBETAに対する徹底的な攻撃が始まり辺り一面火の海になった。

 

「何なのこれ・・・これ程の包囲殲滅作戦を実行出来るなんて・・・」

 

「これが西側やギャラルホルンと俺たちの差か・・・物量が違いすぎる・・・本当に俺たちは必要なのか・・・」

 

アネットとテオドールは目の前で肉片になり焼かれて行くBETA軍を見てそう言った。

 

すると

 

『フッ!度肝を抜かされたか赤の軍!これぞ我がギャラルホルンの力、物量!兵の質!そして大義!我が軍は全て素晴らしい!!』

 

そう言ったのは中央のギャラルホル別働隊を指揮するイオクであった。

 

今回ギャラルホルンはイオク率いる中央の別働隊とカルタ率いるギャラルホルン本隊に分かれそれぞれ作戦を行っている。

 

そしてイオクは目の前で次々と火達磨にされて行くBETA軍を見て胸を張りながらそう言った。

 

「チッ、何でこいつが指揮官なんだ・・・」

 

テオドールはイオクの言葉を聞きそう言った。

 

 

その頃

 

グダニスク基地司令部

 

「BETA軍損耗率70%を超えました」

 

「ここまでの作戦は順調・・・しかしこのまま上手く行くのか・・・」

 

マネキンはオペレーターからの報告を聞きそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃左翼に展開している西ドイツとアメリカを中核とした国連軍は砲撃を逃れたBETAの掃討を行っていた。

 

『BETA軍、損耗率70%を超えました』

 

「これでいい・・・たった10機でBETAの大軍に突っ込むなんて正気じゃないわ」

 

キルケは運良く砲撃で死ななかったBETAの掃討を行いながらそう呟いた。

 

その時

 

『緊急事態発生!!新たなBETA軍団出現!数およそ5万!!あと30分で国連軍と接触します」

 

「そんな!アクティブディフェンスの外側から!?」

 

何と新たなBETAの大軍が出現し国連軍に向かって来ていた。

 

 

 

 

 

新たなるBETAの出現

 

それは作戦総司令部が置かれているグダニスク基地にも伝えられ司令部は大騒ぎになっていた。

 

「支援砲撃、ミサイル攻撃共に効果なし!光線級に迎撃されました!」

 

すると

 

「狼狽えるな、新たな増援が来ようが我々がやるべき事はBETAの殲滅だ、右翼に展開するAEUとギャラルホルンのMS部隊を左翼部隊への増援に向かわせMSレーザーヤークトを実施し、光線級を掃討せよ!」

 

「了解!」

 

マクギリスにそう言われたオペレーターは、直ちに右翼部隊へLCSでマクギリスからの命令を送った。

 

しかしその時

 

「緊急事態です!!右翼にも新たなBETA軍団が地中から出現!数はおよそ10万!!さらに要塞級を多数確認!」

 

「何!?」

 

「奇襲のお陰で我が軍とAEU軍は混乱しています!如何なさいますか総統!?」

 

「右翼部隊の司令官はカルタだったな、ならばカルタに任せる」

 

マクギリスはオペレーターにそう言った。

 

カルタはMSの操縦、さらにこの世界でいくつもの戦いを経験しているため指揮官としての能力も一流である。

 

しかしその中でも今も昔も混乱した戦況を立て直す能力はずば抜けている、その為BETAの奇襲により一時は混乱した右翼部隊の混乱はカルタの迅速な指揮で収集されたと情報が入った。

 

しかしこれですぐさま増援は送れなくなってしまった。

 

さらに

 

『こちらカルタ・イシューよ。マクギリス、迅速に光線級の殲滅を行う為、オーバーフラッグス隊を右翼部隊に送り込んで頂戴』

 

「了解した、オーバーフラッグス隊にフェニックスミサイルを装備させ右翼部隊の救援へ向かわせろ」

 

「了解しました」

 

虎の子の部隊であるオーバーフラッグス隊も右翼部隊に送り込んでしまった。

 

すると

 

「総統、こうなればアレを使ってみては?」

マネキンがマクギリスにそう進言した。

 

「いや、アレはまだ使う時ではない」

 

「そうですか・・・となると我々が頼るべきは・・・」

 

マネキンとマクギリスはモニターに映る第666中隊と青のフェンリル隊をジッと見た。

 

 

 

 

 

 

その頃

 

「同志中尉、われわれが何をすべきか最早言うまでもないな」

 

『まさか、レーザーヤークトを!?しかし我々への司令は予備兵力として待機する事よ!他の命令は出ていない!』

 

命令違反など無論許される事ではない為、グレーテルは反発した。

 

「我々は常により多くの命を選択して来た、今選択するべきは国連軍、いやアメリカ軍と西ドイツ軍の命だ!」

 

『しかし、重金属雲の低いままでは・・・』

 

グレーテルがそう言った時。

 

「このカスタム化されたアリゲートルの速さと運動性ならば光線級の攻撃でも避ける事が出来ます、更に我々青のフェンリル隊が戦場に到着するまで第666中隊の盾となります。モビルスーツの装甲であるナノラミネートアーマーは光学兵器は通用しませんからね」

 

「そうだ、更にフェニックスミサイルを装備したジョリーロジャーズ、彼らが居れば成功率はより上がる」

 

「確かに」

 

「西側の力を借りろと!?そう言いたいのですか同志大尉!アリサ特務一尉!」

 

「逆だ同志中尉、我々が西に手を貸してやるのだ」

 

「しかし・・・」

 

グレーテルが反論しようとした時

 

「グレーテル中尉、先程情報が入りました。右翼にもBETAの増援が出現、AEU軍は勿論ギャラルホルンの本隊もその対応に追われて援軍を出す事は今の所不可能、更にオーバーフラッグス隊も右翼隊への援軍に派遣されてしまいました。最早我々が行かなければ国連軍は全滅します。決断してください、何もせず彼らを見殺しにするか助けに行くか。」

 

『其処まで言うなら貴方達、青のフェンリル隊だけで援軍に向かわれては?アリサ特務一尉』

 

「無理です、我々はマクギリス様より絶対に第666中隊のそばを離れるなと言われています」

 

『しかし!』

 

グレーテルがそう言った時

 

『こちら国連軍司令部からワルシャワ条約機構軍へ東ドイツ軍第666中隊へ援軍の要請をしたい!』

 

「こちら第666中隊隊長アイリスディーナ・ベルンハルト大尉」

 

ベルンハルトがそこまで言った時。

 

『応答する必要はない!第666中隊はその場で待機!分かったな!イェッケル中尉!』

 

東ドイツ軍司令官付き政治将校のツヴァイレクは通信に介入しそう言った。

 

『本作戦の失敗はアメリカと西ドイツにある!奴等にその対価を支払わせろ!』

 

「しかし・・・」

 

グレーテルがそう言った時

 

「第666中隊から国連軍へ我々に損傷機無し、準備が出来次第・・・」

 

『貴様!』

 

「この状況を覆せるのは我々のようなレーザーヤークトに長けた部隊のみ、そしてギャラルホルンで唯一、我々の部隊に行動を合わせられる青のフェンリル隊だけです」

 

『黙れ!私の命令は党の命令だ!もういい!同志中尉!その女から指揮権を剥奪しろ!』

 

「いけません!第666中隊が最強の名を冠するのはベルンハルト大尉の指揮下にあってこそ!それが失われれば隊の崩壊に繋がります!」

 

『構わん!中隊の存亡より党の政治的威信の方が遥かに重要だ!』

 

「しかし!」

 

グレーテルは完全に部隊と上層部の間で板挟みになっていた。

 

一方

 

 

「西ドイツ軍を助けるな!?どう言う事ですかイオク様!」

 

『馬鹿者!お前達はギャラルホルン最強の部隊なのだぞ!オーバーフラッグス隊や主だった精鋭部隊は右翼部隊に配置されているこの状況でお前達を援軍んに出したら中央の防衛力は著しく低下する!中央部隊の指揮官として許せる事では無い!援軍なら適当に二個中隊を出せば良いだろ!』

 

グレーテルが頭の固いツヴァイレクから出撃をやめるよう命令されている時、アリサはイオクと言い争いをしていた。

 

「馬鹿はどっちですか!たとえモビルスーツでも五万ものBETA相手に適当に選んだモビルスーツ部隊を送り込んでも対して役には立ちません!」

 

『ならば私が64機のモビルスーツ隊を増援として率いる!』

 

「馬鹿ですか貴方は!貴方が出るだけでも厄介なのに!2個大隊規模の部隊を連れて行くなど!何を考えているんですか!!それこそ中央部隊の戦力は著しく低下しますよ!」

 

『う、うるさい!兎に角、お前は私の命令を聞いていろ!』

 

「イオク様!何か勘違いしているようですが私はイオク様の家臣ではなくマクギリス様の部下で第2連合艦隊の監査官!つまりマクギリス様の代理人です!貴方に命令される筋合いはありません!」

 

『き、貴様!』

 

グレーテルは板挟みされる党か命か迷い、アリサは馬鹿と口喧嘩、その間にも多くの人命が消えて行っている。<