コードギアスR2 after story (アンサラ)
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主要登場人物設定:ネタバレ注意(徐々に更新予定)
・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア
ブリタニア帝国第99代皇帝であり、世間から悪逆皇帝、魔王と呼ばれ、皇帝になる前は''初代ゼロ''でもあった。
自身に世界の悪を全て集め、それを集めた自分が"救世主ゼロ"に討たれる事で世界が明日を迎える為の計画''ゼロレクイエム''によって死亡する……予定であったが胸を貫かれた際、知らないうちにコードを継承してしまい不老不死となった。
その後はランペルージやブリタニアの名を捨て、幸せ…明日を求めC.C.と旅に出て、その途中、C.C.と想いを伝え合って恋仲になり、後日C.C.にプロポーズをし夫婦になる。
現在、C.C.との子供リーシャが生まれ、1児の父になった。
コード継承前は「絶体遵守のギアス」を持っていた。
現在の名は、ルルーシュ・チャールズ。偽名はアラン・チャールズと名乗っている。
・C.C.
数百年前に信じていたシスターに裏切られてコードを無理矢理継承させられた少女。
コード継承後は人々の酷い裏切りにあったりして、生きる事を諦め、死にたいと願うようになってしまった。
自身の事を、人を不幸にする魔女と呼び、各地を転々としている中でルルーシュに出会い、自身の願いを叶えてもらう代わりにギアスを与える。
最初は唯の共犯者としていたが、常に前へ進もうとするルルーシュを見ていくうちに好意を抱くようになり、''誰かに愛されたい''という本当の願いを知ったルルーシュから言われた「笑顔にしてやる」という言葉が決定的となった。
ゼロレクイエム後は同じ不老不死になったルルーシュと旅に出て、その途中、ルルーシュと想いを伝え合って恋仲になり、後日ルルーシュからプロポーズされ、それを了承し夫婦となった。
ゼロの頃から皇帝の頃まで、ルルーシュの味方であり続けた唯一の人物でもある。
現在、ルルーシュとの子供リーシャが生まれ、1児の母になった。
当時ゼロだったルルーシュを裏切った黒の騎士団を憎んでいる。
コード継承前は「誰からにも愛されるギアス」を持っていた。
本名はセラ・チャールズで、それを知っているのはルルーシュのみである。
・リーシャ
ルルーシュとC.C.との間に生まれた女の子。
名前の由来は、シャーリーのように明るく元気に育って、誰かを救える子になってほしいという願いから、シャーリーの名前を反対から読み、リーシャとルルーシュが名付けた。
・枢木スザク
元ナイトオブラウンズで、現在は''2代目ゼロ''であり、ルルーシュが計画したゼロレクイエムで悪逆皇帝ルルーシュを討った本人。
世間では、枢木スザクは死んでいる事になっており、ルルーシュを討つ際に本人から''枢木スザクという存在を世界に捧げてもらう"というギアス(願い)をかけられ、それを受け取った。
その後コードを継承し、旅に出ようとするルルーシュに明日を求め、幸せになれと伝え、ルルーシュからは枢木スザクとして生きる事はなくても世界に生きる1人の命として幸せになれというギアス(願い)をかけられ、受け取った。
現在はルルーシュとC.C.が傷ついたり、悲しまないようにと頑張っており、もしその2人に何かあれば、その者に地獄すら生温い出来事が起きるであろう。
・紅月カレン
黒の騎士団エースパイロットで、今はルルーシュとC.C.の騎士をやっており、黒の騎士団には席を置いてあるだけの状態になっている。
ルルーシュがスザクに討たれる直前にゼロレクイエムの真実を知り、その原因の一部を作ったのは自分たちだと自覚して後悔する。ゼロレクイエム後、母親を看病しつつミレイの計らいでアッシュフォード学園に復学した。その後、大学には進学せずに、黒の騎士団として行動する。
C.C.と再会したとき、自分たちの罪を謝罪したが、「今のところ許すつもりはないが、後悔して、今でもルルーシュの事を想っているのであればこの世界を守り抜き、笑顔で逝けるよう幸せになるのがお前が出来る償いだ」と言われ、その後に「私が''また''お前の事を"大切な友達''と思えるように頑張れ」という言葉を聞いて、ルルーシュの為にこの世界を守り抜き、笑顔で逝けるよう幸せになり、そしてC.C.に''また大切な友達''と思ってもらうよう頑張る事を決意する。
神根島での戦いの後、スザクからルルーシュとC.C.の騎士になってほしいと頼まれ、断ろうとしたがC.C.から''友達''を助けると思って頼むと言われ涙を流しながら了承した。
現在、オレンジ農園でルルーシュとC.C.の騎士をしながら医学の勉強をしている。
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プロローグ
とある国の道を進んでいる、藁の荷車の上で寝転んでいる少女…C.C.が呟いた。
「ギアスという名の王の力は人を孤独にする…フフッ、少し違っていたか?…なぁ、ルルーシュ?」
その呟きを聞いた荷車を操る御者…ルルーシュがフッ、と笑い「そうだな…少し違っていたな」と呟いた。
-ゼロレクイエム当日-
「あぁ…、俺は…世界を壊し…、世界を……創る……」
この日、世界の悪の全てを自分に集めたブリタニア帝国第99代皇帝で世間から悪逆皇帝と呼ばれた魔王ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは自身が計画した通りにゼロの姿をしたスザクに討たれた。
世界が明日を迎える為に。
ルルーシュが討たれた夜、ルルーシュの遺体はゼロの計らいでアッシュフォード学園のクラブハウスの一室に安置されていて、傍には緑髪の少女C.C.が寄り添っており、部屋の警備には扉の外側にジェレミアが付き、周辺にはギアスがかけられた兵士が付いていた。
「ルルーシュ…」
そう呟くC.C.の目には涙が浮かんでいた。
「ルルーシュ、お前は私を笑顔にしてくれるんじゃなかったのか…?そんなお前がいない世界では、私は笑顔になれないよ…」
C.C.の目に浮かんでいた涙は、止まることなく流れていた。
そして、ルルーシュの唇に自分の唇を重ねて、同時に、C.C.の目から流れていた涙も、ルルーシュの顔に落ちた。
その時、ルルーシュの瞳がピクリと動き、そして「…C.C.?」という呟きが聞こえた。
その呟きが聞こえた瞬間、C.C.が顔をガバッと上げると、瞳を開いてこちらを見ているルルーシュの顔が目に映った。
「…ルルーシュ!!」
C.C.は、ルルーシュの名を叫びながら抱き着き、抱き着かれたルルーシュは、一瞬驚いた姿をしたが、C.C.の身体が震えてる事に気がついた。
「すまなかったな、C.C.…」
ルルーシュはそう呟きながら、そっと抱き返した。
それから少し時間が経ち、C.C.とルルーシュは、今の状況を確認していた。
「俺は、やはりコードを継承していたか…」
「私も確証がなかったから解らなかったが、あの時に、お前がシャルルからコードを継承していたのか」
「…シャルルは、V.V.からコードを奪っていたのに、俺のギアスが効いて自殺をした。ならばコードを奪っても1度、死ぬ必要があり、死ななかった場合でも、時間経過で継承してしまう可能性があるのかもしれんな。…まぁ、継承してしまったものはしょうがない。これでお前との約束を果たすことが出来るし、良しとしよう」
「約束?」
「あぁ。…お前に約束したろ?笑顔にしてやると」
ルルーシュがそう言うと、C.C.が驚いていた顔をした。
「覚えていたのか…」
そしてC.C.は、少し嬉しそうな顔をした。
そのあと、扉の外で警備していたジェレミアが中に入ってきて、ルルーシュの姿を見た瞬間、涙を滝のように流した。
「ルルーシュ様!!よくご無事で!!!」
「…お前にも心配かけたな、ジェレミア」
その姿を見たルルーシュは、少々困った顔になりながらもジェレミアに、そう声をかけた。
「それで、これからどうする?」
そうC.C.が聞いてきたので、今は3人で今後の話し合いをしていた。
「とりあえず、俺は今日ゼロに討たれた事になっているから、もう表舞台に出ることはできないし、出る気もない。…C.C.、2人で旅にでも出て世界を見て回らないか?」
「…そうだな。私は、お前となら何処へでも行くよ」
「ありがとう。…ジェレミアはこれからどうするんだ?」
「私は軍を辞め、オレンジ農園でもやろうかと思っております」
「オレンジ農園?」
「はい。オレンジは、我が忠義の証なので」
「いかにもジェレミアらしいじゃないか。なぁ?ルルーシュ?」
「そうだな。…ジェレミア、すぐには無理だが、ある程度時が経ったら旅の途中にでもオレンジ農園に立ち寄るよ」
「はい!いつでも心よりお待ちしております、ルルーシュ様!!」
今後について話しが纏まったのでアッシュフォード学園から出ようと(ルルーシュの服はよく着ていた私服になっていた)クラブハウスから出た瞬間、扉の少し先に、仮面を被り、マントを羽織った人物、ゼロ…スザクが立っていた。
「ルルーシュ…」
「スザク…」
「やっぱり君は、コードを継承していたんだね…」
「…ああ、あの男が俺に強制的に継承させたらしい」
「そうか…」
「…すまない、スザク。死んで…殺されてやれなくって」
「いや、いい。あの時、ユフィの仇だった、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは死んだ。だから、今ここにいるのは、ただのルルーシュだ」
「スザク…」
「だからルルーシュ、幸せになれ。今度は世界の明日を願うんじゃなくて、自分の明日を願え」
「…ありがとう、スザク。なら俺も、お前にもう一つギアスをかける。…お前も自分自身の幸せをつかめ。もう枢木スザクとして生きることは無くても、この世界に生きる1人の命として幸せになれ」
「そのギアス…確かに受け取った。…ありがとう、ルルーシュ」
「…俺はこれから、C.C.と旅に出る。時が経ったらお前に手紙でも送るよ」
「…わかった。僕は、これからゼロとして生きつつ、自分自身の幸せを見つけるよ」
「それでいい。…それじゃ俺たちはそろそろ行く」
「…気をつけてね」
そうしてルルーシュたちは、スザクとジェレミアと別れた。
初めましてアンサラです。
コードギアス熱、そしてルルC熱が凄いことになってましたのでこのような小説を書かせていただきました。
未熟なところもありますが頑張りますのでよろしくお願いします!
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第1話
ゼロレクイエムから3ヶ月が経ったある日、ルルーシュとC.C.はE.Uのとある国のある町にいた。
「ルルーシュ、今日はこの町で泊まるのか?」
「ああ。ここ最近、ずっと野宿だったしな。たまにはちゃんとした宿で休むのもいいだろう」
「久しぶりにベッドで寝れるのかぁ」
そうルルーシュが答えると、C.C.は少し喜びながら歩いていた。
ルルーシュがこの町に寄った理由は、C.C.をベッドで休ませてやりたかったからで、ベッドで休めることに喜んでいるC.C.を見て、自然と笑顔になりながら歩いていた。
「ピザが食べたい…」
「……は?」
それから宿に着いて少し休んでいたら、C.C.がいきなりそんな事を言ってきたので、ルルーシュは、いきなり何を言いだすんだ…と思いつつも、最近C.C.はピザを食べていないことを思い出した。
「残念だが、この町にピザはないぞ?」
「わかってるさ。でも久しぶりにピザが食べたくなったんだ」
「はぁ…。もう少し我慢しろ。次は少しでかい街にでも行って、ピザでも探してみるから」
「絶対だぞ!?」
そう言うとC.C.が少し興奮してたので、ルルーシュは少し引きながら頷いた。
次の日、ルルーシュとC.C.は少し遅めの時間に宿を出た。理由は2人とも寝過ぎたからである。
久しぶりのベッドだったからか熟睡しすぎて、起きて時間をみたら11時を回っており、それから急いで準備をして、宿から出て町中を歩いていた。
「そういえば、ルルーシュ」
「なんだ?」
ふと、C.C.がある事をルルーシュに尋ねていた。
「ナナリーに生きてる事を伝えなくていいのか?」
「…急にどうした?」
「私たちが旅に出てもう3ヶ月が過ぎた。最初、ナナリーに生きてる事を伝えに行くものだと思っていたら、そのまま日本を出たじゃないか」
「…俺はナナリーに、生きてる事を伝えるつもりはないし、会いに行くつもりもない」
「しかし…」
「ナナリーはもう、俺の手が無くても自分の力で生きていく事ができる。なのに俺が生きてる事を伝えたら、ナナリーの邪魔になる」
「元気なナナリーに会えるのは、今のうちだけなんだぞ?」
「それでもだ。…行くぞ、次の街でピザを探すんだろ?」
そう言ってルルーシュは、C.C.の前を歩いていった。
それから2人は町を出て、ある程度歩いたあとに、日陰で少し休憩していたら、ルルーシュがC.C.に話しかけた。
「それにしても、C.C.」
「ん?」
「なんで急に、ナナリーに伝えなくていいのかと聞いてきたんだ?」
「…ナナリーはお前の大切な家族で妹だろ?なら家族には伝えておいてもいいんじゃないかと思ったんだ。それに、ナナリーはゼロレクイエムの真実に気づいた、数少ない人間だ」
「そうか…。だとしても、ナナリーに伝えるつもりはないがな」
「…わかった」
「それに、今はお前と2人きりで旅をしていたいんだ」
その言葉に、C.C.は少し驚いた表情をしたが、すぐに微笑んだ。
「それは、口説いていると思っていいのか?」
「なっ…!?そ、そんなわけないだろっ!?」
「…ふふっ、そうか」
「休憩は終わりだっ。行くぞっ」
ルルーシュが、顔を赤く染めながら歩き出したのを見て、C.C.は、少し嬉しくなりながらその後を追った。
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第2話
前回から数日経ったある日の昼、ルルーシュとC.C.は少し大きめの街で食事を取っていた。
「あぁ…、このピザも美味しいな…」
幸せそうにピザを頬張るC.C.の姿を、先程までコーヒーを飲みながら新聞を読んでいたルルーシュは、顔を痙攣らせて見ていた。
「お前…、どれだけピザを食べるんだ…」
そう言うルルーシュの前にあるテーブルの上には、ピザが乗っていた空の皿が何枚も重なっていた。
「久しぶりのピザなんだ。満足するまで食べるぞ?」
「満足するまでって…。お前それ、4枚目のピザだろ…?」
「そうだが…、それがどうした?」
「いや、なんでもない…」
不思議そうに首を傾げるC.C.を見たルルーシュは、そう言って深い溜息をついた。
その頃、かつてエリア11と呼ばれ、今では合集国日本と呼ばれる国にある学園、アッシュフォード学園の生徒会室で、赤毛の髪をした少女が座っていた。
「あれからもう3ヶ月以上経つのかぁ…」
そう呟く赤毛の少女…紅月カレンは、戦いがなくなり、明日へ向かい始めた世界の空を見上げていた。
「ルルーシュ…」
カレンは、ゼロレクイエムの真実を知る数少ない人間の1人で、ルルーシュが討たれた日、ゼロの姿をしたスザクを見て、ルルーシュとスザクが何をやろうとしたのかを気づいた。
ゼロレクイエムの後、元生徒会長ミレイ・アッシュフォードの計らいで、カレンはアッシュフォード学園に復学しており、黒の騎士団を抜けたわけじゃないが、まだ18という事もあり、緊急時以外は呼び出しがないので、ここ最近は学業に専念していた。
「世界は、貴方のおかげで明日へ向かっているわ…。でも、皆はそれが誰のおかげなのか気づいていない。全ての悪事は悪逆皇帝ルルーシュのせいにされて…。貴方はこれも計算通りだと言って笑うのかしら?……ねぇ、ルルーシュ?…私は忘れない。今ある世界が、誰のおかげで迎える事が出来たのか。絶対に…」
そう呟くカレンの目には、涙が浮かんでいた。
そのルルーシュはというと、テーブルの向かい側で満足そうに座るC.C.と、テーブルの上にある空の皿を見て震えていた。
「ピザ8枚と、デザート数種類を完食だと…!?」
「久しぶりのピザと、美味しいデザートだったからな。たくさん食べてしまった。おかげで満足だ」
そう言うC.C.を見て、コードがあるから身体を壊すことはないだろうが、その細い身体でどうやって、あの量のピザとデザートを食べれるんだ…?と、本気で思うルルーシュだった。
そのあと会計を済まし(会計時の金額を見てまた震え上がった)ある程度、街を探索したルルーシュとC.C.は、本日泊まる宿に来ていた。
外はすっかり暗くなおり、2人は夕食と風呂は既に済ませ、あとはベッドで寝るだけという時に、C.C.がルルーシュに声をかけた。
「ルルーシュ、今まで何も目的もなく旅をしてきたが、これからも目的なしで旅を続けるのか?」
「確かに、今まで目的を決めずに、その時の気分次第で行き先を決めてたからな…。そろそろ目的でも決めるか」
「それなら、ちょうどいい目的があるぞ?」
「ちょうどいい目的?」
「今、E.Uに来ているんだ。ならギアス教会を目指すのがいいんじゃないか?」
「ギアス教会というと確か…」
「ああ。私がシスターからコードを継承した場所だ。予想になるが、教会の下に地下が存在するはずだ。そこに、もしかしたらコードやギアスに関する資料が残ってるかもしれん」
「それはいいんだが…」
「ん?どうした?何か問題でもあるのか?」
「いや、問題というか…大丈夫なのかお前?」
「なにがだ?」
「…辛くないのか?その場所に行くのが。シスターに裏切られて無理矢理コードを継承させられた場所だろ?」
そう言うルルーシュは、心配そうにC.C.の顔を見つめており、C.C.はそれに、なるほど…と納得し、すぐに微笑んだ。
「1人だと辛いかもしれないが…、今はお前が一緒にいるからな」
「……そうか。なら目的も決まった事だし、さっさと寝るぞ」
「ふふっ、そうだな」
C.C.の言葉に、顔を赤くし、目を瞑りながらベッドに向かっていくルルーシュを見て、小さく微笑み、ある事を心の中で思いつつ、ベッドに向かった。
そうだ…。今はもう、1人じゃ…孤独じゃない。私の隣には、同じ時間を生きる愛しい共犯者…魔王が…ルルーシュがいる。だから、もう辛くないんだ。…ありがとうルルーシュ、心配してくれて…。
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第3話
今、ルルーシュとC.C.は、ギアス教会がある近くの小さな町に来ており、あれから2ヶ月ちょっとが…ゼロレクイエムから半年が経ち、季節は春が訪れていた。
「この町の近くに、ギアス教会があるんだろ?」
「ああ。徒歩で1日はかかるとは思うが、ここから見える山の奥にあるはずだ」
「なら今日はこの町で泊まって、明日からギアス教会を目指そう」
「わかった。…教会に来るのも、数百年振りになるのか…」
宿を探し始めたルルーシュを横目で見ながら、C.C.は、そう呟いた。
「私を探してる人がいる?」
「ああ。ここ数ヶ月、お前を探してる男がいるらしい」
あれからすぐに宿を見つけて、C.C.が宿で休んでる間に、ルルーシュは情報収集をしに町へ出て行き、その最中に、緑髪の少女を探してる男がいるという話を聞いたらしい。
「変装しているしバレる事はないと思うが…、一応警戒しておこう」
そう言うルルーシュは、旅を始める時、この姿じゃあの時、死んだ筈の自分が生きている事がバレると思い、髪を茶色に染め、青色のカラーコンタクトをつけている。C.C.は、旅の途中までは変装せずにしていたが、ギアス教会を目指すと決めた時に、周辺の町に自分の記録が残ってる可能性があるため、髪を黒色に染め、髪型をポニーテールにし、黒色のカラーコンタクトをつけているため、ルルーシュ達を知っている者が見ても、かなり親しかった者を除き、解らない姿をしていた。
「私を探してるとなると、間違いなくギアスの事を知っているな」
「確実にな。男の正体だが、ギアス嚮団の生き残りの可能性が高い」
「それでほぼ正解だろ。嚮団の関係者以外が私を探す理由がない筈だ。問題は、その嚮団関係者と思われる者が私を探す理由だが…」
「俺が一番可能性が高いと思っているのは、その男が嚮団を復活させて、コードとギアスの研究をしたいと考えている事だな。あと考えられる事は、どこからかギアスの情報が漏れ、男がギアスを欲してるか、男がそもそもギアス保有者でコードを狙っているかだな」
「考えられる事はそれぐらいだな…」
「C.C.。コードという物は、ギアス保有者が必ず継承できる訳ではないんだろ?」
「そうだ。コードを継承するには、お前みたいな例外はあるが、基本はギアス保有者が達成人になる事が条件の1つだ。」
「例外?」
「ああ。ギアスには経験値があり、ある程度の経験値が貯まると、お前も経験したが、達成人になる前の段階であるギアスの暴走状態になる。お前は、その暴走状態でもコードを継承できた例外だ。通常はそこから自分を見失わず、心を強く持てる者だけが達成人になれ、心が壊れた者は、どれだけギアスの力が高まろうが、経験値を貯めようが達成人にはなれずに、コードも継承できない。かつてのマオのように…」
「そうか…。後悔しているのか?マオにギアスを与えた事に…」
「……そうだな、今でも後悔しているよ。マオにギアスを与えずに、母親としてあの子を育てていれば、心が壊れる事はなかったし死ぬ事もなかった…」
C.C.は悲しい顔でそう言い俯いた。
ルルーシュはそんなC.C.の姿を見て、ある事を決意し、傍に行きC.C.を抱きしめた。
「……C.C.、お前は今まで俺が辛い時、悲しい時、絶望した時は必ず傍に居てくれた。俺が記憶を改竄された時は、ずっと俺を探してくれて、そして見つけてくれた。大切な者達が俺の傍から離れていく中で、お前だけはずっと傍に居てくれた。だから今度は俺の番だ。お前が辛い時、悲しい時、絶望した時は必ず俺が傍に居る。もし、お前が記憶を無くしたとしても、俺はお前の傍に居るし、記憶も取り戻してみせる。今までお前が大切だと思った人達が、お前を残して離れていったとしても、俺だけはずっと傍に居てやる。だから…………」
「………今まで俺を支えてくれてありがとう。これからは俺が……俺もお前を支える。愛してる、セラ………」
その言葉を聞いたC.C.は目を見開き、涙が浮かび流れていく。
C.C.は、ルルーシュを抱き返しながら言葉を返そうとしたが、うまく声が出ず、何回も頷くだけになってしまい、ルルーシュが「これからもずっと一緒にいよう」と告げると、大きな声を上げながら泣いた。
C.C.は数百年間生きてきた中で初めて心からの幸せを感じて、今まで生きてて良かったと思った。
「ありがとう、ルルーシュ。……私も、お前を愛してる………」
そしてC.C.は、笑顔でそう言った
その笑顔は、ルルーシュが今まで見てきた笑顔よりも…C.C.が今まで生きてきた中でも、1番の笑顔で……心の底からの幸せそうに笑う、初めての笑顔だった。
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第4話
あれから少し時間が経ち、落ち着いた2人は話し合いを再開させた。
「それで…私を探してる男はどう対処するつもりだ?」
「できるのであれば、無視するのが一番良いんだが、男がギアス教会を拠点として動いてる可能性もあるしな」
「ならどうする?」
「始末するしかないだろ」
「いいのか?それで」
「ああ。今回ばかりは、それ以外どうすることもできない。俺たちの目的がギアス教会じゃなければ無視したかもしれないがな。…それにお前に危険があるかもしれないんだ。無視できるはずがないだろ」
「…ありがとう、ルルーシュ」
その言葉を聞いたC.C.は、頬を赤らめながら、そう呟いた。
次の日、ルルーシュとC.C.は宿を出て、ギアス教会へ向かう前に食事を取ることにし、町中にある小さな喫茶店へ足を運んでおり、ルルーシュはコーヒーとサンドウィッチを、C.C.はピザに炭酸飲料を頼んでいた。
「そういえばルルーシュ、男の特徴とか何か聞いてないのか?」
C.C.はピザを食べながら男の特徴を聞いていた。
「聞いてはいるんだが…」
「ん?どうした?」
「全員、40代の男としか覚えてないらしい」
「は?それしか覚えてないのか?」
「みたいだ。しかも皆、それさえも覚えているか怪しい状態だ。この情報を聞き出すだけでも相当時間がかかった」
「…もしかしてギアスか?」
「町の皆がこの状態だ。それしかないだろうな。もう情報が手に入りそうにないし、危険だが教会に行ってみるしかないだろ。…そろそろ行くぞ」
そう言って、ルルーシュが席から立ち上がり、C.C.も食べていたピザを口の中に放り込んで、ルルーシュの後を追った。
それから2日後、今、ルルーシュとC.C.は、ギアス教会の前に立っていて、ぼろぼろになっていると思われた教会は、ある程度の修理がされており、如何にも、誰かがこの場所を使っていると思わせていた。
「これは……。間違いなく誰かがこの場所で生活しているな。おそらくお前を探してる男だろうが」
「ああ。ということは、予想通り教会の下には地下がある」
「とりあえず地下に行くか。…注意しろよC.C.」
「わかっているさ」
そう言ってルルーシュとC.C.は教会の中に入って地下に向かい、その2人の手にはコイルガンが握られていた。
教会の地下には複数の部屋があり、ルルーシュとC.C.は、1部屋ずつ探索し、その中には如何にも誰かが生活しているような部屋があったが、特にこれといった情報は手に入らないでいた。
そして、最後と思われる部屋に入るとルルーシュとC.C.は驚愕した。
そこには大人が余裕で入れるようなカプセルがあり、その中には歳が10にも満たない少女が複数のコードに繋がれていた。
「なんだ、これは……。この少女の意識はないのか…?それにこの複数のコードはいったい…」
「…C.C.、どうやらその少女はギアスを持っているらしい」
「……私はこの少女と契約した覚えはないぞ?もしかしてV.V.が昔に契約したのか?」
「いや、この少女は誰とも契約していない。ここで人工的にギアスを持たされたらしい。…そして、この少女でギアスの研究をしているみたいだな」
と、ルルーシュがカプセルの近くにあったパソコンを操作しながら言った。
すると部屋の扉が開く音がして、ルルーシュとC.C.は扉の方を向くと、そこには金髪の40代ぐらいの眼鏡をかけた男が立っていた。
「おや?どちら様かな?このような場所に何が用でも?」
ルルーシュとC.C.は、手に持っていたコイルガンを向けた。
「お前…、ここで何をやっている?」
「何をって……見ての通り研究をしていますが?とある力の研究を」
「別に誤魔化さなくても、俺たちは力の事を知っている。…ギアスの研究をしているんだろ?」
C.C.が男に質問をして、誤魔化しながら答えた男にルルーシュは、誤魔化しはいらないと答えた。
「ほぅ…。ギアスの事をご存知でしたか。では私がどういった者かもご存知なのかな?」
「ああ。…俺の予想が正しければお前はギアス嚮団の生き残りだろ?」
「その通り。私は黒の騎士団に壊滅されたギアス嚮団の生き残りです。私はここで、ギアスの研究をしながら教祖C.C.様を探しています」
そう男が言うとC.C.が少しだけピクリと反応した。
「…何故V.V.ではなく、C.C.を探している?」
ルルーシュは、少し反応したC.C.の事を心配しつつも、C.C.を探してる理由を聞いた。
「V.V.様ではなく、C.C.様を探している理由ですか?それは私がV.V.様が亡くなったのを知っているのと、嚮団を復活させてほしいからですよ」
「何故嚮団を復活させたい?」
「そんなのギアスの研究が捗るからに決まっているじゃありませんか。私はこの地でコード保有者から授けられるギアスと人工的に与えられたギアスの両立を研究しているんです。人工ギアスを2つ与える事は不可能でも別々の方法で与えられるギアスなら両立することが可能かもしれませんから。…そこの少女は被検体ですよ。壊れて植物人間と化してしまいましたが」
「…どうして俺たちに、ここまで詳しく話した?」
ルルーシュは、その言葉に怒りを感じながらも、ここまで詳しく話した理由を聞いた。
「私も人工ではありますがギアスを持っていますからね。私のギアスは物事を忘れさせるギアスです。なので、詳しく話しても貴方達は結局忘れてしまうので問題ないんですよ」
そう言いながら、男は笑っていた。
「…残念だが、私達にギアスは効かないし、嚮団も復活しない。そして、ギアスを悪用するお前を生かしてやるつもりもない」
C.C.がそう告げると、男は笑いを止めた。
「ギアスが効かない?それに嚮団も復活しない?貴女は何故そう言い切れるんですか?」
「ギアスが効かない理由なんて1つしかないだろ?それに嚮団が復活しない理由だが簡単だ。……私が復活させる気がないからだ」
「……まさか、貴女は!!」
「そうだ…。私がC.C.だ。今は変装しているがな」
と、C.C.は自分の正体を明かす。
「ということは、貴方もコードを持っているのですか!?」
すると、男は驚きながらルルーシュの方を向いた。
「ああ。…それとギアス嚮団の壊滅を指示したのは俺だ」
「何!?では貴方がゼロなのですか!!?」
「"元"だがな。…C.C.手を出すなよ?こいつは俺が殺す」
ルルーシュはC.C.の手を汚させない為に、そう告げる。
その言葉を聞いたC.C.は、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに表情を戻してコイルガンを下ろした。
「わかった…。すまない、ルルーシュ」
「こういう汚れる事は、全て俺がやるから謝らなくていい」
ルルーシュは、そう言いながら、コイルガンの引き金にかかった指に力を入れ、目の前で慌ててコイルガンを構える男に告げた。
「…お前知っているか?撃っていいのは、撃たれる覚悟がある奴だけだ。…サヨナラだ、嚮団の亡霊」
その言葉と同時に、ルルーシュはコイルガンの引き金を引いた。
地下の出来事から少し時間が経った後、ルルーシュとC.C.は教会の外に出ており、そして、目の前にある教会は、2人の手によって燃やされていた。
二度と、この教会からギアスが外に出ないように…。
そこから少し離れた場所には、木で出来た十字架が地面に刺さっており、その下にギアスの被害にあった少女が眠っている。
男を射殺した後、ルルーシュはカプセルから少女を外に出して容体を確認していた。そしてわかった事は、この少女はもう長くは持たないことだった。それを知ったルルーシュは、少女の額にコイルガンを当て「すまない…」と、呟きながら引き金を引いた。
それからパソコンのデータを全て消去して、C.C.にこの教会を燃やす事を提案し、C.C.もそれに了承したため教会を燃やした。
燃え尽きていく教会を見ながら、C.C.が悲しい表情をしていたので、ルルーシュはC.C.を抱きしめた。
「ルルーシュ、これからどうするんだ?」
「…日本に行こうと思っている」
C.C.の問いにルルーシュは、そう答えた。
「何故日本に?」
「ジェレミアに、会いに行こうと思う。ここから日本に向かって、着く頃にはゼロレクイエムから1年は経っているはずだし、旅の途中で立ち寄ると約束したしな。そこでスザクにも手紙を送ろう」
「そうか…わかった」
そして教会が完全に燃え尽きたのを確認してルルーシュとC.C.は日本に行くため手を繋ぎながらその場を離れた。
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第5話
ギアス教会での出来事から約4ヶ月が経ち、今、ルルーシュとC.C.の姿は中華連邦にあった。
2人が日本に行くと決めたあと、どうせなら様々な国を観光しながら向かおうと、たくさんの国を観光して、そして日本に渡るため、1週間前に中華連邦に来たのである。ちなみに中華連邦に来る前はロシアを観光していた。
「中華連邦に来て1週間経つが、いつ日本に渡るんだ?」
「明日か明後日には渡ろうと思っている」
C.C.がラーメンを啜りながら質問をして、ルルーシュもラーメンを啜りながら、その質問に答える。
2人は、中華の街を観光していたら、美味そうなラーメン屋を見つけた為、そこで昼食を取っていた。ちなみにルルーシュの姿はE.Uの頃と変わらないが、C.C.は、ギアス教会から離れた時に変装をやめ、緑髪に琥珀色の目に戻っていた。
「そういえば…」
「なんだ?」
ラーメンを食べ終えたルルーシュが呟き、同じくラーメンを食べ終え、満足そうに座るC.C.が、その呟きに反応をした。
「今から約2ヶ月後の、ゼロによって俺が討たれた日に、記念パレードをやるらしいぞ」
「お前から世界が解放された記念にか?」
「あぁ。それと、二度とあんな事にならないように忘れない為でもあるだろうな」
と、お茶を飲みながらルルーシュが答えると、C.C.は複雑な表情を浮かべた。その日は世界にとっては祝うべき日なんだろうがC.C.にとってその日はルルーシュが討たれた日でもあるので喜べないでいた。
「別にお前が気に病むこともないだろ?俺はこうなる事を覚悟してやったし、今はちゃんとこの通り生きてるだろ?」
「それでもな…」
そんな姿を見たルルーシュは、苦笑いを浮かべながらそう言ったが、C.C.は、それでも複雑そうな表情をしていた。
「でも、まぁ……ありがとう、心配してくれて」
ルルーシュがそう言うと、C.C.は照れながら横を向き、ラーメン屋の外を見て、…そして固まった。
そんなC.C.を見て、少し疑問に思いながらもルルーシュは、C.C.と同じ方向を見て……同じく固まった。
外には黒の騎士団の制服を着た20人ぐらいの集団が歩いており、それを見た2人は、何で黒の騎士団が、しかもあんな大勢でこの街を歩いているんだ?と疑問に思った。
「何で黒の騎士団がこの街を歩いているんだ…?」
「俺にもさっぱり分からん…。いや、別にこの国にいる事に関しては何かあったんだなと想像することは出来るんだが、この街を、しかもあんな人数で行動してる理由は、余程な事がないとありえないぞ?」
「この街で何か重大な事が起きたのか?」
「さぁな、俺たちには関係ないことだ。…さて昼食も食べたし、観光の続きでもするか」
「…そうだな」
それを聞いたC.C.は頷いたので、ルルーシュは会計を済ませ、観光の続きをしに、C.C.の手を繋ぎ街中に消えて行った。
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第6話
その日の夜、ルルーシュとC.C.は泊まっているホテルの部屋にあるテレビでニュースを観ていた。
ニュースの内容は、日本政府の高官の家族が誘拐され、中華連邦の街に監禁されていたのを、黒の騎士団が救出し、事件を解決したというもので、その誘拐され監禁されていた場所が、ルルーシュとC.C.がいる街だった。
「ルルーシュ、このニュースは…」
「間違いなくデマだろうな。監禁されてる奴を助けるために、街中を堂々と歩くわけがない。別の目的があってそれを隠す為に、このデマを流したんだろうな。たぶん中華連邦の政府にも真実を話していない」
「ということは評議会も通していないな」
「ああ。考えられるのは、日本が評議会を通さずに黒の騎士団に依頼したか、黒の騎士団が独自に動いたかのどちらかだ。…中華連邦の政府には、誘拐されて中華の街に監禁されているという情報を黒の騎士団が掴み、独自に動いたと話しているだろうな」
「確か今、日本の首相は扇だったな」
「そして黒の騎士団のCEOはゼロだが、総司令は星刻が療養に専念するために黒の騎士団を辞め、今の総司令は藤堂だ。扇が藤堂に依頼すれば藤堂は黒の騎士団を動かすだろうな。…まぁ、昼間に言ったように俺たちには関係ないことだ」
ルルーシュは、そう言いながら寝る為にベッドに向かい、それにC.C.はついて行き、ルルーシュと同じベッドで横になった。
「おやすみ、C.C.」
「おやすみ、ルルーシュ」
ルルーシュはC.C.を軽く抱きしめ、髪を撫でながら目を閉じ、C.C.もルルーシュを抱きしめ返して、目を閉じた。
「何を企んでいる?藤堂、扇…」
ルルーシュとC.C.が抱き合って寝ている頃、ブリタニア本国にあるアリエス宮の1室でそう呟く、ゼロことスザクの姿があった。
帝都ペンドラゴンが、フレイヤによって消滅してしまったため、アリエス宮で作業をしており、今スザクがいる部屋はゼロの私室で、ゼロ以外に入る事が出来ないようになっていて、この部屋では、スザクは仮面を取っていた。
スザクは、黒の騎士団のCEOである自分に、何も言わず、黒の騎士団を動かしている事に疑問を感じて、動かしている理由を調べ、そうして判った事は、日本の首相である扇が藤堂に、嚮団跡地の調査とC.C.の捜索を依頼した事だった。
「何故扇がこのような依頼を…。それに藤堂も、何故評議会を通してもいない依頼を受けた?黒の騎士団は日本個人の軍隊ではなく、合衆国に"契約"している軍隊なんだぞ?仮に、依頼ではなく藤堂個人が指示したものとしても、何故自分に相談や報告がないんだ…。そして扇が欲しているのは、おそらくギアスの情報だろうが、何故、今更ギアスの情報なんかを…」
「それとC.C.は、中華連邦で目撃情報があるのか。…となると、中華連邦にいる目的は日本に渡る為か。それにC.C.は、ルルーシュと一緒に旅をしているから、目的地はジェレミア卿がいるオレンジ農園だな…」
「2ヶ月後には日本で記念パレードがあり、ナナリーもそうだが自分もその時に日本に行く。…その時にルルーシュと接触してみるか」と呟いた。
そして、ルルーシュの過去とC.C.のある程度の過去を知っているスザクは、やっと2人は''他人''や''世界''の為ではなく''自分''の明日を…幸せを求めて生き始めたんだ。…それの邪魔はさせない。と決意し、2人が二度と悲しまない為に作業を進めていった。
それと同じく、日本のトウキョウにある政庁の1室で、2人の男が話し合っていた。
日本の首相、扇 要と黒の騎士団総司令、藤堂 鏡志朗だ。
「それで藤堂さん、状況はどうなっています?」
「あまり成果は無いな。一応部隊を2つに分け、1つはルルーシュが壊滅させたというギアス嚮団跡地を調べさせ、もう1つにはC.C.を探させている」
今、日本の合集国としての立場は、扇の手腕が悪いのもあり、先の戦争の復興が遅れていて、そのせいであまり良くなく、それを扇はC.C.を捕まえ、日本の復興が遅いのはルルーシュと、ギアスを与えたC.C.のせいにしようと考えていた。
その為には、ギアスの詳しい情報が必要であり、ギアス嚮団を調べ、情報が手に入らなければ、C.C.を使い情報を引き出すと同時に、もう一つの目的を達成しようと考えており、藤堂は日本のためになるならばと協力し、黒の騎士団を動かしていた。
「しかし、嚮団跡地の調査はまだ大丈夫だが、C.C.の捜索は出来るにしても、中華連邦の政府に伝えている部隊が街中で捜索している理由が理由のため、もう、これ以上あの国で、大掛かりな捜索はできないぞ?」
「分かっています。とりあえず嚮団跡地の調査を最優先でC.C.の捜索は地道にやりましょう」
それに藤堂が「承知した」と答え、扇が「では、また後日」と言い、話し合いは終了した。
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第7話
2日後、ルルーシュとC.C.は無事日本に渡り、今はトウキョウから少し離れた街にいた。
「それで、ジェレミアのオレンジ農園の場所は判っているのか?」
「判らないからこうやって、いろんな人に聞いているんだろうが…」
日本に渡ったのはいいが、肝心のジェレミアが営んでいるオレンジ農園の場合が判らず、ルルーシュが街の人に聞き込みをしていた。
「せめて、オレンジ農園の名前さえ判ればいいんだが…」
「いや、それが判れば場所も判るだろう…」
「………」
「……ルルーシュ、お前…」
「…俺ってこんなにバカだったか?」
「まぁ、いいんじゃないか?それだけ平和だっていう証拠だろ?」
落ち込むルルーシュに、C.C.は苦笑いを浮かべながらフォローする。
C.C.は嫌いとは言わないが、ゼロや皇帝だった頃の、いつも気を張っていたルルーシュは好きではなく、今のどこか抜けてるルルーシュのほうが好きだったりする。
「ねぇ…」
「「ん?」」
後ろから声をかけられ、ルルーシュとC.C.が振り向くと、声をかけてきた人物を見て固まった。
そこに立っていたのは、元ナイトオブラウンズのアーニャ・アールストレイムだった。
「2人とも、ジェレミアのオレンジ農園に行きたいの?」
「あ、あぁ…。お前、場所が判るのか?」
「うん。私はそこで働いているから。2人はジェレミアの知り合い?」
「ジェレミアが、オレンジ農園を始める前からの知り合いだ。ジェレミアに会いに日本に来たんだが、連絡もせずに来たもんだから場所が判らなくてな…。できたらその場所を教えてくれないか?」
「私、今からオレンジ農園に向かうから、よかったら着いてくる?」
「いいのか?じゃあ、よろしく頼むよ」
と、アーニャが連れて行ってくれるそうなので、ルルーシュはそれに着いていくことにしてお願いをした。
「そういえば、2人の名前まだ聞いてない。…名前教えて?」
「あー…。俺たちの名前を教えるのは、オレンジ農園に着いてからでいいか?ちょっと訳ありで、ここでは言えないんだ」
アーニャが名前を聞いてきたが、街中ではフルネームを言えないため、オレンジ農園に着いたら教えると、ルルーシュは答えた。
「…わかった。じゃあ、2人ともついて来て。ここからオレンジ農園まで、3時間近くかかるから」
そうして3人は、オレンジ農園へと向かった。
それから3時間ほど、電車に乗ったり歩いたりして、街から随分と離れた所にある、立派な大量のオレンジが成る農園に着いた。
「これは、すごいな…」
「かなり立派なオレンジじゃないか」
立派なオレンジの木を見たルルーシュは驚き、C.C.は感心した。
「ありがとう。…ジェレミアはこっちの建物にいる」
その言葉を聞いたアーニャは、少し嬉しくなったので、2人に礼を言って、先に見える大きな屋敷へと案内した。
アーニャが建物の中に入るとそこにはジェレミアが立っていて、それに気づいたジェレミアが声をかけた。
「おぉ、帰ったかアーニャ」
「ただいま、ジェレミア。頼まれたもの買ってきた」
「うむ、ご苦労であった」
「それとジェレミア、貴方にお客様が来てる」
「私に来客?」
その言葉に、ジェレミアが疑問に思っていると、建物の扉が開き、そこから入ったきた2人を見て、ジェレミアは驚愕した。
「…久しぶりだな、ジェレミア」
「……ぉぉぉおおおおおおおお!!そちらの女性と、その隣に立っておられる方はもしや!?」
「ああ、俺だ。今は髪を染め、カラーコンタクトをつけて変装しているがな」
「ルルーシュ様!!それにC.C.!!よくぞここにお越しくださいました!!!このジェレミア感激でございます!!!」
と、ジェレミアが滝のような涙を流しながら言ってくるものだから、ルルーシュとC.C.は、苦笑いを浮かべるしかなかった。
アーニャの喋り方がおかしかったらごめんなさい…。
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第8話
ジェレミアと再会したルルーシュは、近くで固まってるアーニャの方を向いた。
「すまなかったな。…俺の名は、世間では死んだことになっている、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ。クローンでもなんでもない本物だ」
と告げ、それをC.C.は心配そうにルルーシュを見て、何かあったら自分が守ろうと、いつでも間に入れるよう準備した。
「…大丈夫、少しビックリしただけだから。安心して?誰にも言わないから」
ルルーシュの正体を聞いたアーニャは、そう答えた。
「申し訳ございませんルルーシュ様。勝手ながら、アーニャにはゼロレクイエムの真実を話させていただきました。流石に生きていらっしゃる事は伝えておりませんでしたが…」
「ジェレミアから全て教えてもらった。ゼロレクイエムの事や、シャルル元皇帝がやろうとした事も、そしてギアスの事も…。ルルーシュ君やジェレミアのおかげで、私は自分の記憶を取り戻すことができ、ルルーシュ君…ルル様の事も思い出した」
「…そうか、俺の父が申し訳ない事をした…。しかし記憶を取り戻す事が出来たのはジェレミアのおかげであって、俺は何もしていない」
「それでも、ルル様が行動を起こさなかったら、私は記憶を取り戻す事もなく、偽りの記憶と記録頼りで生きていくしかなかったし、シュナイゼル殿下を止めてくれなかったら、今の世界はフレイヤによって管理された、悲しい世界になっていた。だから…」
「!?、いったい何を…」
いきなり、目の前で跪いたアーニャを見て、ルルーシュは驚き、慌てて声をかけた。
「貴方が行動を起こしてくれたおかげで、自分は記憶を取り戻す事が出来ました。貴方のおかげで、世界に明日が訪れるようになり、そして、自分は明日を求めて生きていく事ができます。…ルル様、記憶を取り戻させていただき…、世界に明日をくださり、本当にありがとうこざいます。今度は自分が…自分も貴方をお守りいたします。我が主ルルーシュ様…」
「…そうか。…ありがとう、明日を求めて生きてくれて」
アーニャの言葉に、ルルーシュは目を見開き、その後、目を瞑りながら、そう呟いた。
「…よかったな、ルルーシュ」
その様子を見守っていたC.C.は、そう言いながら微笑んだ。
それから少し時間が経った後、ルルーシュとC.C.は、屋敷の中にある1室に案内され、4人は部屋にあった椅子に座った。
そしてルルーシュたちは、ジェレミアが育てたオレンジを食べながら、今までの旅での出来事をジェレミアとアーニャに話してたが、途中、ジェレミアが呟いた。
「そういえば…」
「どうした?ジェレミア」
「いえ、あくまで噂程度なんですが、日本の首相である扇が、黒の騎士団の総司令である藤堂に、ある依頼をしたという話がありまして」
「依頼?…あぁ、中華連邦の事か?」
「ご存知でしたか」
「いや、日本の高官の家族が誘拐され、中華連邦の街に監禁されたのを、騎士団が救出して解決したというニュースを観てな。…まぁ、その報道はデマで、扇と藤堂は何か隠してると思っているが、何か知っているのか?」
「はい。噂ではありますが、扇は中華連邦のある場所の調査と、緑髪の少女の捜索を、藤堂に依頼したという話があります」
「緑髪の少女ということは、C.C.のことか?」
「おそらくは」
と、答えるジェレミアに、ルルーシュとC.C.は驚愕した。自分たちには無関係だと思っていたのが、思いっきり関係していたのだ。
「扇本人は、その噂を否定していますが、間違いなく事実でしょう」
「何故、扇が私を探しているんだ?」
「…もしかしてギアス関連か?」
「扇がC.C.を探す理由は、それしかないでしょうな。それにC.C.の捜索と同時に、中華連邦のある場所の調査というのも想像ができます」
「まぁ、私を探すのと同時に調査なんて、ギアス嚮団しかないだろうな」
「それで?扇が嚮団の調査と、C.C.の捜索を依頼した理由は判っているのか?」
「噂程度なので、そこまでは…。ただ、ある程度の予想はできます。…先の戦争後、扇の手腕が悪い事で、日本の復興が他国に比べてかなり遅れていて、そのせいもあって、合集国としての立場が悪いと言われています。なので扇は、日本の復興が遅いのは悪逆皇帝ルルーシュのせいにしようと、思っているのかもしれません」
「それが通ると思っているのか?ルルーシュが皇帝として生きていた場合なら、ルルーシュの責任にできたかもしれないが、世間ではもう、ルルーシュは死んでいるんだ。その後の事なんて自分達の責任だろ」
「たぶん、俺のせいにするのと同時に、ギアスの事も公開し、俺が生きてる時にギアスを使って復興がうまくいかないようにしたんだ、とでも言うつもりかもしれん。C.C.に関しては、俺にギアスを与えた者として、処刑なりしようと考えているのかもな。…無論、そんな事させるつもりはないが」
ルルーシュは、C.C.の頭を撫でながらそう呟き、そんなルルーシュに、C.C.は頬を染めて照れ隠しに横を向いた。
「大丈夫。ルル様とC.C.は絶対に守るから」
そこにアーニャがそう告げた。
「そうだ、ジェレミア手紙はないか?スザクに手紙を送りたいんだが…」
「それでしたら、枢木に通信が出来るようにしておりますので、通信をしてみますか?」
「ならそうしよう。ジェレミアよろしく頼む。」
「承知しました」
そう言ってジェレミアはスザクに通信する為、準備を始めた。
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第9話
ジェレミアは専用のパソコンでスザクに通信をおこない、そしてモニターにゼロの仮面をつけたスザクの姿が映った。
『…ジェレミア卿?』
「ああ、久しぶりだなゼロ」
『珍しいな。電話ではなく通信をかけてくるなんて。…どうした?何かあったのか?』
「いや、お前と話をしたいという人がいてな。…仕事中だったり今周りに人はいるか?」
『大丈夫だ。今日は1日休暇を取ってあるから緊急時以外に人が来ることはないが…』
「なら良かった。少し待っておれ」
ジェレミアがそう言うと、モニターから姿が消えた。
スザクは、自分と話をしたいとなると自分が知ってる人か?と、疑問に思っていると、モニターに、茶髪に青色の目をした男が映った。
「誰だ…?」
『…久しぶりだな、スザク』
「………自分の正体を知っているとなると、もしかして、ルルーシュかい?」
『そうだ。…今は変装して、こんな姿だがな』
モニターに映った男がルルーシュと判ると、スザクは仮面を取って素顔を晒し、苦笑いを浮かべた。
「久しぶりだね、ルルーシュ」
『ああ。…元気にしてるか?』
「色々と忙しいけど元気だよ。…君は元気だったかい?」
『俺も色々とあったが、元気に旅をしているよ』
「最初、誰だか本当に判らなかったよ」
『元の姿で旅をするのは、流石に危険だからな。判らないよう変装して、旅をしているんだ』
『私もいるぞ?』
「あ、C.C.。君も久しぶりだね、…君は元気そうだね」
『当たり前だ。私はC.C.だからな』
スザクがルルーシュと話していると、モニターに映ってるルルーシュの横から、C.C.がヒョイっと顔を覗かせた。
「…C.C.、君、何か変わったかい?雰囲気が優しくなったような、柔らかくなったような…」
『ん?そうか?自分では変わった気はしてないんだが…。まぁ、今、私は幸せだからな。そのせいかもな』
「…そうか。ルルーシュ、君は今、幸せかい?」
『俺も幸せだよ』
「なら、よかった」
そう言うと、ルルーシュとC.C.は幸せそうに微笑み、それを見たスザクは、笑顔を浮かべた。
「でも、どうしたんだい?急に通信なんて」
『旅の途中でジェレミアの所に寄ってな。そこで、お前宛に手紙を書こうと思ったんだが、通信が出来るからどうだ?と言われて、通信をしたんだ』
「なるほど」
それからルルーシュとC.C.は、旅の出来事を話し、途中でスザクが、ある事を聞いてきた。
「そういえば、君達、告白はしたのかい?お互いの事、想い合ってたでしょ?」
と、聞いてきたので、その出来事を思い出し、2人が頬を染めた。
『…あれが告白なら、一応俺からした事になるのか?でもあれは、告白というより、プロポーズの様な気が…』
「そうなのか。という事は君達は恋仲になったんだね。…2人ともおめでとう」
『『あ、ありがとう…』』
スザクが祝福の言葉を言ってきたので、ルルーシュとC.C.は、揃って顔を真っ赤にし、礼を言った。
その呟きを聞いたスザクは、心の中で、あぁ…、本当に良かった…。と、笑顔でそう思った。
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第10話
ルルーシュとC.C.がスザクに、ある程度の旅の事を話し終えた頃、ふと、ルルーシュが真面目な顔になった。
「少し聞きたいことがあるんだが…」
『どうしたの?』
「黒の騎士団についてだ」
ルルーシュがそう言うと、スザクも真面目な顔になった。
『ルルーシュ、君は今の黒の騎士団について、どこまで知っている?』
「詳しくは知らないが、扇が藤堂に依頼し、黒の騎士団を使って嚮団跡地の調査とC.C.を捜索している事は知っている」
『じゃあ、C.C.を捜索してる理由は?』
「そこまでは知らないが、ある程度の予想はしている」
そしてルルーシュは、自身が予想している事をスザクに話した。
『君が予想している事で正解だよ。扇は日本の復興が遅いのを、君とC.C.のせいにしようとしてる。君は僕に討たれた事になってるからあれだけど、C.C.は何処かで旅をしているという情報を掴んだみたいだ。だからギアスの情報を評議会で提示して、ルルーシュにギアスを与えたC.C.を処分し、合集国での立場を回復させようとしている』
「やはりか…」
『黒の騎士団のほうは僕とカレンが牽制して、C.C.捜索の妨害はしているけど、嚮団跡地の調査は手を出すことができないんだ』
「…ん?カレン?」
『ああ。今、カレンの立場は、ゼロの直接な部下として藤堂と同じ権限を持っていて、それと兼任して武装隊の総隊長もしているんだ。彼女、ルルーシュが作ったこの世界を守っていくんだって言っていたよ』
「そうか…。それで?なんで嚮団跡地の調査は手を出せないんだ?」
『評議会決議が可決されてるからなんだよ。中華連邦にあるブリタニア帝国のものと思われる施設の調査を、という感じでね。日本に関しては、いくら僕が黒の騎士団のCEOだといっても流石に関与ができない』
「なるほどな」
そうやってルルーシュとスザクが話し合いをしていると、ルルーシュから離れて見ていたジェレミアとアーニャがモニターに近づき、ジェレミアがスザクにある事を聞いた。
「それと枢木、例の件はどうなっている?」
『例の件ですか?…それなら、ロイドさん達がもう終わったから日本に行く時に持っていくと言ってましたよ』
「ジェレミア、スザク。例の件とはなんだ?」
『サザーランド・ジークと、モルドレッドの修理だよ。ジェレミア卿からお願いされてね』
「ジェレミア、何故…」
「ルルーシュ様、今、世界は平和ではありますが、この先、ずっと争いがないとは限りません。なのでもし、争いが起きた場合は、ルルーシュ様が命を賭けて創ったこの世界を守る為にと思い、ロイド達にお願いをしたのです。アーニャもそれに手を貸してくれるというので、モルドレッドもついでにと」
「うん。ルル様が創った世界が壊されるの嫌だったし」
『一応、僕のランスロット・アルビオンも修理してもらったよ。…修理といっても、機体は大破したから一から作ってもらったんだけど。外見はランスロットのままじゃダメだから、蜃気楼に似せてるんだけどね。それとカレンの紅蓮も修理したし。勿論、機体に乗ることがなければ、それが一番良いんだけど念の為にね』
と、スザク達が言うと、ルルーシュは少し考えたが納得した。
「1つ聞きたい事がある」
機体を修理されている事を知ったC.C.は、スザクに質問した。
『なに?C.C.?』
「ランスロット・フロンティアは修理されているのか?」
『……君が考えてる事は予想がついたよ。だけど残念ながらフロンティアは修理してないし、仮に修理されていても君を乗せるつもりはない。…君達の事は僕たちが守るから、ルルーシュの隣にいて支えてあげてくれ』
「……わかった」
そうして、扇の件が片付くまではジェレミアに匿ってもらうことになり、話し合いは終了した。
ルルーシュとC.C.は、ジェレミア達が住む屋敷には地下があり、2人の存在がバレないように地下の1室を自室にして、そこで寝泊りする事になった。
その日の夜、ルルーシュとC.C.は、自分達が寝泊りする部屋のベッドの上に座っていた。
「…C.C.、なんでお前は、フロンティアに乗ろうと考えた?」
「…いざという時は、私も出ようと考えたからだな。扇たちは私を狙ってるみたいだし、私が出ればお前の存在がバレることもなく、お前を守る事も出来ると思ったが、それはお前の傍を離れるということになるから、その考えは間違っていたと反省しているよ」
「そうか…。俺の傍から離れるつもりがないのならいい。…それに、俺はお前の傍から離れるつもりはないからな、出るときは俺も一緒だ」
そう言ってルルーシュはC.C.を抱きしめた。
「…ありがとう、ルルーシュ」
C.C.は抱きしめ返しながら、そのままルルーシュに、ある事を聞いた。
「ところでルルーシュ。いつになったら、私を抱いてくれるんだ?」
「……………は?」
C.C.の言葉に、ルルーシュは固まった。
「だから、いつになったら私を抱いてくれるんだと聞いているんだが?」
「…今、お前を抱きしめているじゃないか」
「そういう意味じゃない。…もっと深い意味だ」
頬を染めながら言うC.C.に、ルルーシュはまた固まった。
「私達が想いを伝えあってから数ヶ月経ったが、お前は私を抱こうとは、1回もしなかったじゃないか。…なんでだ?」
「………いや、……なんだ…。抱こうとは何回か思った事はあるんだが、その…俺は経験がないじゃないか?…だから、怖かったというか、なんというか…」
「……ヘタレめ…」
「何も言い返せない…」
「だが安心しろ。…そういった関係で、散々お前をバカにしてしたが、実は私も経験がない。初めては、心から愛した人としたいと思っていたからな。…だからルルーシュ、私を抱け」
「……いいのか?」
そう告げるC.C.に、顔を赤くしながらルルーシュは聞く。
「ダメだったら、こんな事は言わん」
C.C.も、顔を赤くしながら答えた。
そうしてルルーシュはC.C.にキスをしながらベッドに押し倒し、2人の長い夜が始まった。
R18は書く予定はないのでご了承を…
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第11話
次の日の朝、ルルーシュとC.C.は朝食を取るため、上のジェレミア達がいる部屋に向かった。
その際は、ジェレミアに来客が来てるかどうか、確認して行くよう、決めていた。
「腰が痛い…」
「…すまん」
C.C.は腰を押さえながら歩き、そんな姿を見たルルーシュは申し訳なさそうにしていた。
……理由は単純に昨晩、ヤリ過ぎたのと、激しすぎたのである。
「いや、嬉しいかったから良いんだが、もう少し手加減してくれ…。私がもたない…」
「善処する…」
そう、ルルーシュとC.C.が言いながら歩いて、ジェレミア達がいる部屋に着くと、そこには朝食の準備をしているジェレミアがいた。
「おはようございました。ルルーシュ様、C.C.」
「おはようジェレミア。…その言葉、まだ治ってなかったんだな」
「みたいだな…」
ルルーシュとC.C.は、ジェレミアの朝の挨拶は、もう治らないんだろうなぁ…と、心の中で思いつつアーニャがいない事に気づいた。
「ジェレミア、アーニャはまだ寝ているのか?」
「いえ、少し前に起きて顔を洗いに行っております」
そう話しているとアーニャが部屋に入ってきた。
「おはよう。ルル様、C.C.」
「「おはようアーニャ」」
挨拶をしたアーニャだが、C.C.が腰を押さえている事に疑問を感じ、そして、その理由に思い至ってルルーシュとC.C.に声をかけた。
「ルル様、C.C.が腰を痛そうに押さえてるけどもしかして、昨夜はオタノシミだった?」
「「ブフッ」」
「ア、アーニャ…」
「?」
そうアーニャから言われて、ルルーシュとC.C.は吹き出し、ジェレミアは、触れないようにしておったのに…。と、心の中で思い、アーニャはそんな3人を見て、どうしたのだろうか?と、疑問を感じていた。
それから4人は朝食を食べ終え、この後の事を話してる途中に、C.C.は、ある事をアーニャにお願いをしていた。
「髪染めを買ってきてほしい?」
「あぁ。この姿では外を歩けないから、髪を染めて変装したいんだ。色は黒でよろしく頼む」
「わかった」
「なら俺も髪色を変えるか…」
「ん?どうしてだ?」
「お前と日本に来る時に、俺はこのままで入国しただろ?なら俺も捜索の対象になってる可能性があるから、念の為に髪色を変えようと思ったんだ」
「ふむ。で?色は決めてあるんだろ?」
「…C.C.、何色がいいと思う?」
「決めてなかったのかお前…。そうだな…、虹みたいにカラフルにしたらどうだ?」
「……想像してみろ。仮に、俺がお前の言う通り、カラフルに染めたとしよう。そのカラフルヘアーの俺がお前の隣を歩くんだぞ?」
「………私が悪かった。冗談抜きで言うなら亜麻色なんてどうだ?」
「亜麻色か。理由は?」
「…ナナリーやロロの事を思い出してな。お前は2人の兄なんだし、髪の色をお揃いにしてもいいんじゃないかと思っただけだ」
「そうだな…。よしアーニャ、C.C.の髪染めを買いに行くついでに、亜麻色の髪染めも買ってきてくれ」
「ん、わかった」
「それなら私が車を出そう。今日はオレンジ農園の作業は終わっておるし、車を使えば昼頃には帰って来れるだろう」
「じゃあ、お願いジェレミア」
そう言って、アーニャとジェレミアは街へと出かけて行った。
「さて、私達はどうしようか?」
「どうすると言っても、今日は外へ出かけられないんだ。部屋でゆっくりと過ごそうじゃないか」
「それもそうだな」
そう言って、ルルーシュとC.C.の2人は、地下の部屋へ向かった。
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第12話
ルルーシュとC.C.が、地下にある自室でゆっくりしている頃、東京にある政庁の1室で、首相である扇と政府の高官が話をしていた。
ちなみに、高官のほとんどが黒の騎士団出身である。
「首相、昨日、C.C.がこの国の空港にて、目撃されているみたいです」
「本当か?…それで、今、どこにいるかわかるか?」
「いえ、そこまでは…」
「そうか。なら、C.C.をこの国から出さないよう、空港の警備を強化するように伝えてくれ」
「わかりました」
そう高官が答え部屋から出て行くと、入れ替わるように、黒の騎士団総司令である藤堂が入ってきた。
「扇、どうだ?何か進展はあったか?」
「藤堂さん。どうやらC.C.はこの国に来ているみたいです」
「そうなのか。…居場所は判っているのか?」
「そこまでは判ってないみたいですね。藤堂さんはどうです?嚮団跡地から何か情報とかありました?」
「こっちは何も進展がないな。ルルーシュが念入りに、データを削除したみたいだ」
「そうですか…。なら、C.C.を確保しないとダメみたいですね。黒の騎士団から部隊は出せそうですか?」
「今はゼロと紅月君が目を光らせてるから厳しいだろうな。…騎士団の末端を数人程度なら、大丈夫だろうからそいつらに探させてみよう」
「よろしくお願いします」
そうして藤堂は、末端にC.C.の捜索を指示する為、政庁をあとにした。
扇と藤堂が話し合いをしていた頃、ゼロであるスザクは、部下であるカレンと通信をしていた。
「ゼロ、どうやら藤堂さんは、扇さんに会いに、政庁へ向かったみたいです」
「そうか。おそらく、C.C.の件で話し合いをしに行ったな」
「それと、ある不穏な情報があるんですが…」
「不穏な情報だと?」
「はい。…日本がナイトメアを不正に所持していて、それを手引きしているのが、藤堂さんの可能性があるという情報を入手したんですが…」
「あのバカどもはっ…!!!」
それを聞いたスザクは、思わずそう呟いた。
合集国は黒の騎士団と契約することで、武力を持たないということになっていたが、黒の騎士団が暴走した場合、それを止める手段がないのと、ゼロが黒の騎士団ばかりに武力が集中してもそれはマズイから、各合集国も上限を決めて、ナイトメアを所持できるようにすればいいのではないか?という提案もあり、各合集国は20機までならナイトメアを所持しても良いという事になって、もし上限を超えて所持していた場合は、かなり重い処分が科せられるようになっていた。
「ただでさえ日本は立場が悪いのに、これ以上何か問題があれば、日本という国は消滅するぞ…!!」
「…どう対処するのですか?」
「……神楽耶と会談を行い、それによって今後の対応を決める。だが、藤堂に関しては、少なくとも情報が集まり次第、総司令の職を解任させて牢屋にぶち込む。……神楽耶との会談の結果次第では、黒の騎士団を解散させる可能性もある。カレン、覚悟しておいてくれ…」
「…ゼロ、今、周りに人はいますか?」
すると、カレンが、周りに人がいるかどうかを聞いてきた。
「ん?周りに人はいないが…」
スザクは、疑問に思いながらも、そう答えた。
「…スザク、本当に黒の騎士団を解散させるの?」
「……だから周りに人がいるのか聞いたのか。あくまで可能性の話だよ。僕は解散させずに人事を総入れ替えして、どうにかしようと思っているけど、それで各合集国のトップが納得しなければ解散させるしかない。…合集国との契約を解消すれば黒の騎士団は存在させることはできるけど、そうすると、ただの武装集団になるから、下手したら世界の敵となって戦うことになってしまう。…それは避けたい」
「そうだけど…」
「それに今の騎士団では、ルルーシュが創ったこの世界を守ることができない。なら、あってもなくても一緒だろ?」
「……そうね、わかったわ。その時は、私も受け入れる」
「すまない、カレン…」
そう言って、2人の話し合いは終了した。
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第13話
ルルーシュとC.C.が、日本に来てから2週間が経った。
その間、ルルーシュは亜麻色に髪を染め直して、念の為、髪型をすこし弄り、C.C.は、E.Uにいた時みたいに黒髪に染めて、黒のカラコンをし、髪型をポニーテールにしていたので、黒の騎士団の団員や、C.C.を探してる者と鉢合わせしても、気づかれる事なく過ごしていた。
「…あれから、もうすぐ1年が経とうとしているのに、此処もあんまり復興が進んでいないな」
「ほんと、あのもじゃもじゃ頭は、何をしているんだろうな」
2人は今、出会った場所でもあり、約1年前まではシンジュクゲットーと呼ばれ、現在は新宿と呼ばれている場所に来ていた。
ルルーシュとC.C.は、観光ついでに復興が遅れていると言われているが、実際はどんなものなのかと、見て回っているが、ここまで進んでいないとは思っていなかったらしく、唖然としていた。
「他国は、ある程度は進んでいるというのに、ここまで進んでないと合集国での立場は、悪くなるに決まっている」
「あの男がちゃんと指揮できるとは思ってないが、ここまで酷いとは私も思わなかったな。まぁ、お前を裏切った黒の騎士団なんて、こんなもんだろ」
ちなみに、C.C.は黒の騎士団(特に幹部)を憎んでいる。
理由は当時、敵国の宰相であったシュナイゼルの言葉を信じて、簡単にルルーシュを裏切ったからであり、カレンに対しては、2度ルルーシュを裏切っているが、その裏切られた本人が「カレンに関しては俺が悪い」と、言っているおり、今はルルーシュが創ったこの世界を守るために頑張っている事を知っている為、他の騎士団幹部よりは憎んでいないが、それでも嫌っていたりする。(カレンは当時の事を心の底から後悔しており、C.C.に会えたら土下座なり、何でもして、謝りたいと思っている)
「そもそも、なんであの無能が首相になれたんだ?」
「…お前、ほんと、あいつらに対して辛辣だな。たぶん扇が''悪逆皇帝ルルーシュ''に立ち向かった、黒の騎士団の副司令だったからだろ。それで、扇も天狗になって首相をやってるんだろうな」
そう言って、ルルーシュとC.C.は先へと進んでいった。
「ここは…」
しばらく歩いていたルルーシュは、ある場所に着いてそう呟く。
今いる場所に覚えがあり、ここは全ての始まりで、C.C.からギアスを受け取った場所である。
「懐かしいな…。ここから全てが始まったんだったな」
「そうだな…。ここで私はお前にギアスを与えた」
「ああ。そこから俺はナナリーの為に戦い、それが気づけば世界の…人の明日の為に戦っていた。…何が起こるかわからないものだな」
「それが生きるという事だろう。まぁ、私もそれを最近知ったがな」
「…C.C.。改めて礼を言う。ありがとう、俺にギアスをくれて。お前のおかげで、俺は明日へ歩む事ができた」
そうルルーシュが言うと、C.C.は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに微笑んだ。
「……お前は本当に、いろんなものを私にくれるな。ふふっ、どういたしまして」
「…帰ろう、ジェレミア達が待っている」
その言葉を聞いたルルーシュは、照れながらそう言って、C.C.に手を差し伸べ、C.C.が手を握ったのを確認したら、2人は並んでオレンジ農園へ帰る為に歩いていった。
「そうだ。C.C.」
「ん?どうした?」
手を繋ぎながら帰っている途中、C.C.はルルーシュから名前を呼ばれた。
「あの場所に行って気づいたことなんだが、俺はどうやら、お前に一目惚れしてたみたいだ」
「…………は?」
いきなりそんな事を言うルルーシュに対して、C.C.は固まった。
「お前、急に何を言いだすんだ…」
「よく考えたら、ブリタニアの拘束衣を着て、額を撃たれて死んだはずの怪し過ぎる女を、いきなり匿うわけないだろ?それであの時、なんで色々と文句を言いながら匿ったのかと考えたら、お前が捕らえられてたカプセルから出てきた瞬間に、その美貌に目を奪われてたことに気づいたんだ。…まぁ、今だから言えることなんだがな」
と、ルルーシュは苦笑いを浮かべながら言った。
「そうか…」
C.C.は少し照れながら、そう呟き、心の中で、確かに、出会った当時にそんな事を言われたら、契約を破棄してルルーシュの元から去っていただろうな…。と思った。
そして2人は、思い出話をしながら、オレンジ農園へと帰って行った。
ちなみに余談だが、ルルーシュとC.C.の甘ったらしい雰囲気を見た通行人達は、無糖コーヒーを求めて彷徨ったとかなんとか…
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第14話
記念パレードまで、後1ヶ月となった頃、ブリタニア本国では、ゼロの姿をしたスザクと第100代皇帝ナナリー・ヴィ・ブリタニアがペンドラゴン跡地の端に来ていた。
「お久しぶりですね、お兄様…」
そこには、ルルーシュの小さな墓が建てられていた。
世間から悪逆皇帝や魔王と呼ばれ、人々から憎まれているルルーシュは、皇族としての墓を建てても荒らされるのが判っていた為、ゼロレクイエムの真実を知る者達だけで、こっそりと小さな墓を建てたのだ。
「お兄様が亡くなられてから、もうすぐ1年が経とうとしてます。世間はお兄様が亡くなられた日は[ゼロがお兄様から世界を取り戻した日]なんて呼ばれてますけど、ゼロレクイエムの真実を知っている者は[お兄様のおかげで世界が救われ、明日へと向かう事が出来た日]と、呼んでいます。…世界はまだ、たくさんの問題が残っていますが、それでも明日に向かって進んでいて、私は少しでも多くの問題を解決出来るよう頑張っていきます。ですからお兄様、空の向こうから私達の事を見守っててくださいね。……今までも、そしてこれからも愛しています、お兄様…」
その独白を聞いていたスザクは、ルルーシュが本当は生きていて、それを黙ってる事に心の中で、ごめん、ナナリー…。と、謝りつつも、彼はルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとして生きる事はもうないので、これで良いと思っていた。
「ナナリー、そろそろ戻ろう」
「…わかりました」
そうして2人は、アリエス宮へと戻っていった。
「そういえば、C.C.さんは今、何をしていらっしゃるでしょうね?」
アリエス宮に戻ってきたあと、2人は1日休暇だったのもあり、スザクの私室で過ごしており、スザクは、ナナリーがゼロの正体を知っている為、仮面を外して2人で紅茶を飲んでいた。
「C.C.かい?…さぁ?でも、元気にしてて今頃ピザでも食べてるんじゃないかな?彼女、ピザ大好きだし」
スザクは紅茶を飲みながら答え、本当は知っているが、C.C.が追われている状況の為、居場所を知らない風に誤魔化した。
「ふふっ、それなら良いですけど。…私、C.C.さんに1年以上会ってませんし、久しぶりに会ってみたいですね。顔も見たことないので、見てみたいですし」
「そのうち会えるさ」
そうしてスザクとナナリーは、ゆっくりと過ごした。
その頃、日本では・・・
「さすが、ここのピザは美味しいなぁ…」
「…C.C.凄い」
C.C.が日本にあるピザ○ットで、スザクの言葉通り、ピザのLサイズを食べていた。(すでに3枚完食済みで現在4枚目である)
ちなみにC.C.は、今、アーニャと一緒に東京に来ており、ルルーシュはオレンジ農園を手伝っていた。(その際、ジェレミアが感動の涙を滝のように流して、それを見たルルーシュは軽く引いていた)
そのアーニャは、C.C.からピザを少し分けてもらい、それを食べていた。
「しかし、東京に来るのに2時間近くかかるのは、さすがに不便だな」
C.C.が愚痴る通り、オレンジ農園から東京までは、車だと1時間近くで行けるが、電車だと遠回りをして行くため、2時間近くかかり、そのうえ、乗り換えを2、3回しないといけなかった。
「不便だとは思うけど、しょうがない」
「単なる愚痴さ。それより、これからどうする?ショッピングでもするか?」
「うん」
2人が東京に来た理由は、C.C.が「女同士で遊びに行かないか?」と誘い、アーニャが了承して遊びに来ただけである。
「女同士で、こうやって遊びに来るのもいいもんだろ?」
「うん。C.C.、私にいろいろとかまってくれて、なんだかお姉様みたい」
「私がか?」
アーニャがそう言い、C.C.は少し驚いたが、そのあと苦笑いを浮かべた。
「私はいいぞ?お前の姉でも。…これからお前は私の妹だな」
「C.C.お姉様?」
「なんだ?アーニャ」
そうC.C.が答えると、アーニャは少し嬉しそうな顔をし、そして、爆弾を投下した。
「なら、C.C.お姉様にプロポーズしたルル様は、私のお義兄様になる?」
「ぶふっ」
「どうしたの?」
そんな事を言われたC.C.は吹き出してしまい、アーニャは??と、疑問を浮かべていた。
「ど、どうだろうな?そ、それより服でも見て回ろうか」
「??、わかった」
C.C.が、答えを誤魔化しながらそれを提案し、アーニャが了承して店から出だ瞬間、声をかけられた。
「あ、アーニャじゃない!久しぶり!」
2人が声をした方を向くと、カレンが私服で立っていて、それを見たC.C.は険しい顔をした。
「カレン、久しぶり」
「うん、元気にしてた?」
「元気にしてた」
「そっか」
「………」
「……あのぉ〜すみません、さっきから私を、険しい顔で見てますけど、貴女に何かしたんでしょうか?」
「っ!?いや、すまない。なんでもないんだ」
その言葉にC.C.は、我に返って声をかけた。アーニャは、C.C.が黒の騎士団を憎んでおり、カレンの事も許せてないのを知っているが、カレンが今、ルルーシュの為に行動している事も知っている為、C.C.に声をかけた。
「お姉様、カレンなら大丈夫」
「……しかしだなぁ…」
「カレンはあの時の事を、後悔してるから」
「………。はぁ、わかった」
2人の会話を聞いていたカレンは、…お姉様?それに、私なら大丈夫とか、あの時の事を後悔してるって…?と、心の中で疑問に思っていると、黒髪の女性がこちらを向いてきた。
「……はぁ、久しぶりだな、カレン」
「…え?」
「こんな姿をしてるから判らないとは思うが、私はC.C.だ」
「………へ?…うそ、まじ?」
こうしてC.C.とカレンは再会した。
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第15話
カレンとC.C.とアーニャは今、東京内にあるカレンの自宅へと来ており、移動する間、カレンとC.C.は一言も喋らず、アーニャはそんな2人を心配そうに見ていた。
そして、自宅内にあるカレンの自室に、C.C.とアーニャの2人が入ったのを確認して、部屋の扉を閉めたあと、カレンはいきなり、C.C.に土下座をし、それを見たC.C.は、かなり驚いた顔をした。
「お前、いったい何を…」
「本当にごめんなさいっ!!!」
C.C.が、その行動の理由を聞こうとしたら、カレンから、謝罪の言葉が聞こえた。
「私はあの時、ルルーシュにゲームの駒だと言われて、裏切られたと思っていた。でもそれは、私を銃を向けられてる自分から離す為の嘘で、ルルーシュは助ける為には嘘をつく人だと知っていながら、私はそれを信じて離れてしまった。騎士団の皆は「ルルーシュは自分達を裏切ったんだ」って言ってるけど、それは違って、本当は自分達がルルーシュを裏切ってしまったんだ。その結果、ルルーシュは、ゼロレクイエムを決行させて逝ってしまい、でも、自分達がルルーシュを裏切らなければ、ルルーシュはゼロレクイエムをしなかったと思う。それと貴女にも酷い事を言った。ダモクレスの戦いの時、私は貴女に人間らしい事を言うのねって、まるで貴女が人間じゃないような事を言った。貴女はどんな存在であれ、ちゃんとこの世界で生きてる1人の人間だというのに。……それも謝りたくて」
カレンの言葉を聞いていたC.C.は、最初こそ驚いた顔をしていたが、次第に険しい顔へと変わっていった。
「……私の事はいい。だが、あいつの事は謝って許されると思っているのか?お前は2度も、ルルーシュを裏切ったんだぞ?」
「私は…私達はとんでもない事をしてしまった。許されるとは思ってない。…だから私は罪を償う為なら、なんだってする」
「…あの時、お前たちに裏切られ、当時はフレイヤによってナナリーは死んでしまった思い、大切な物を殆ど失ってしまったと思い込んでいたルルーシュは悲しみ、そして絶望して…。だからゼロレクイエムを決行したんだぞ?」
「…わかってる。でも私の頭じゃ、こうやって頭を下げる事しか考えつかなかった」
「……それはルルーシュに謝るべきであって、私に謝っても意味が無いだろ」
「…ルルーシュを裏切ったの同じように、貴女の事も裏切ってしまった。もし、ルルーシュに会えるのであれば、会ってちゃんと謝りたい…。でも、私達のせいで、もうルルーシュには会えない。だけど、貴女は生きている事を知っていたから、直接会って、ちゃんと謝りたかった。……それで許させる事では無いとわかってる」
「……ふぅ」
そう2人は言い合い、C.C.がそっと、息を吐いた。
「…カレン。私は今のところ、この件について、許すつもりはない」
「…うん」
「だが、お前が後悔し、ルルーシュの事を想っているのであれば、この世界を守り抜け。そして、いつか笑って逝けるよう幸せに生きろ。…それが、お前があいつに出来る償いだ。…そうすれば、私はお前を許せるかもしれない」
「っ!!。ごめんなさいっ…!本当に、ごめんなさいっ…!!」
その言葉を聞いたカレンは、泣きながら、そう叫んだ。
それをアーニャは優しい顔で見守り、C.C.は、これで良かったよな、ルルーシュ…。と、心の中で呟いた。
あれから少し落ち着いたカレンが、アーニャに会ったときから、疑問に思ってた事を聞いた。
「そういえば、アーニャ」
「どうしたの?」
「なんでC.C.の事を、お姉様って呼んでるの?」
「??それはC.C.が、私のお姉様だからだけど?」
「アーニャが、私の妹だからに決まっているからだろ?」
「…いや、意味わかんないから」
答えになってない答えを聞いたカレンは、まぁ、2人がいいならいっか。と思った。
「それと、C.C.」
「なんだ?」
「今、貴女、髪色や髪型を変えてるけど、もしかして、黒の騎士団から追われてる事を知っているの?」
「知っているぞ?スザクから詳しく話を聞いてな」
「………へ?スザク?」
「あぁ。1ヶ月程前だったか?その時に通信してな。なんだお前、聞いてなかったのか?」
「何も聞いてない…。あのバカ…。」
そう愚痴るカレンに、C.C.とアーニャは苦笑いを浮かべた。
「それじゃ、貴女の事とは関係なしに、今、日本と黒の騎士団が相当やらかしてる事は?」
「ん?なんかやらかしてるのか?」
「それは知らなかったのね。…やらかしてるのよ。それも、とびっきり最悪の事を」
「何をやらかしているんだ?」
「…今、合集国は20機までのナイトメアを持つことができるのは知ってるよね?」
「知ってはいるが…。それが?」
「日本は、その上限を超えてナイトメアを不正所持してるのよ…。しかも、それに藤堂さんが関わってる」
「……それは本当か?」
「残念ながら本当よ…」
と、頭を押さえながら頷くカレンから聞かされた話に、C.C.とアーニャは驚愕した
「無能だとは思っていたが、ここまでだったとは…」
「…どうするの?カレン?」
「藤堂さんは、私とスザクで対処する事になってる。…日本に関しては、スザクが、評議会議長である、神楽耶様と協議してる。神楽耶様、頭を抱えてるみたいだけど…」
「だろうな…」
「記念パレードの後日に、神楽耶様と扇さんが会談予定があるから、そこで不正所持の事を聞くと思う」
「ここで扇が対応を間違えれば、間違いなく合集国から除名をくらうな」
「神楽耶様は扇さんを、国家転覆を狙った国際犯罪者として、捕まえようとしてるみたい」
「まぁ、日本を生存させる為には、それが妥当だろ。…そろそろいい時間だし、帰るか」
と、言うC.C.に、アーニャは了承して、カレンは、それを途中まで送って行くため、カレンの自宅を後にした。
「今、C.C.は、オレンジ農園に住んでいるの?」
C.C.とアーニャを、東京の駅へと送ってく途中、カレンはC.C.が今、住んでいる場所を聞いていた。
「あぁ。この件が終わるまでは、ジェレミアとアーニャに匿ってもらってるんだ」
「うん。C.C.お姉様は私が守るから」
「そうか。ありがとうな、アーニャ」
C.C.は、アーニャの頭を撫でながら礼を言って、アーニャは、それにルル様も…。と、心の中で呟いた。
それを見たカレンは、本当に姉妹みたい…。と、心の中で思った。
「さてと…。何かあったら、アーニャの携帯に連絡するわ」
「ん、わかった」
それから駅に着いたあと、カレンが2人にそう告げ、アーニャがそれを了承し、そしてカレンは、C.C.の方を向いた。
「C.C.」
「ん?どうした?カレン?」
「…今日は、本当にありがとう」
そう言ってカレンは、C.C.に頭を下げた。
「……。私は、今のところ、お前を許していない。だが、今後次第では、許す日が来るかもしれない。…全てはお前の努力次第だ」
「わかってる。私は頑張る、ルルーシュが創ったこの世界を守り抜く為に、そして笑顔で生きて、幸せに笑って逝けるように。……もう、道を間違えないように」
「……頑張れよ、カレン。そうすれば今は無理でも、いつか、きっと、私はまたお前の事を''大切な友達"と思える」
「っ!!。ありがとうっ、C.C.っ…!!」
そう言いながらC.C.はカレンを抱きしめて、それを聞いたカレンは涙を流しながら、礼を言った。
「私、頑張るからっ!また貴女に"大切な友達"って思われるよう頑張るからっ!!」
「あぁ……。それでいい……。また会おう、カレン」
「またね、カレン」
「うんっ!またね、C.C.、アーニャ!!」
そうしてC.C.とアーニャはカレンと別れ、オレンジ農園へと帰っていった。
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第16話
あれからC.C.とアーニャが、東京からオレンジ農園に帰ってきて、それをジェレミアが迎えた。
「おぉ、帰ってきたか2人とも」
「うん、ただいま、ジェレミア」
「あぁ、ただいま、ジェレミア。…ルルーシュは?」
「ルルーシュ様なら「たまには俺が、食事を作るよ」と仰って、今、食事を作っていらっしゃる」
「今日はルルーシュの手作りか」
そう言いながら3人は、食事を取る部屋に入ると、様々な料理がテーブルに並んでいた。
「ほぅ、さすがルルーシュだな」
「いつ見ても、ホント凄い」
「私も、ここまでは作れないからな。さすがルルーシュ様だ」
3人がテーブルに並んでいる料理に感心していると、奥からルルーシュが出てきた。
「良いタイミングで帰ってきたな。お帰り、C.C.、アーニャ」
「「ただいま、ルルーシュ(ルル様)」」
「さて、2人が帰ってきた事だし、食事にしよう」
ルルーシュがそう言って席に着くと、3人も席に着いて、ご飯を食べ始めた。
4人は、ご飯を食べ終わった後、食器を片付けて、飲み物を飲んでいた。
「2人は東京で、何をしていたんだ?」
ルルーシュは、コーヒーを飲みながら、東京へと遊びに行ったC.C.とアーニャに、何をしていたのかを聞いた。
「ショッピングでもしようかと思ってな。色々あってできなかったが、まぁ、楽しかったぞ」
「うん、C.C.お姉様と、姉妹になれたし」
「……ん?C.C.お姉様?姉妹?」
「アーニャにお姉様みたいと言われて、私が姉でもいいぞっと答えたからな。だから私は、アーニャの姉だ」
「私は、C.C.お姉様の妹」
「なるほど」
「良かったではないか、アーニャ」
「うん」
そう4人で話していたら、アーニャが爆弾発言をした。
「C.C.お姉様だから、ルル様は、ルルお義兄様になる」
「…は?なんでだ?」
「アーニャ、何故なのだ?」
「あっ…。まさか…」
「ルル様が、C.C.お姉様にプロポーズしたから」
「ぶふっ」
「やっぱり…」
「アーニャ…」
「??」
アーニャの発言にルルーシュは吹き出し、C.C.は、まぁ、そうなるよなぁ…。と、心の中で思い、アーニャはどうしたんだろ?と、疑問を感じ、ジェレミアは、いつから、こんな天然になったのだろうか…。と、考えた。
そのあと、風呂を済ませ、ルルーシュとC.C.は、地下の自室へと戻ってきて、2人はベッドの上に座り、C.C.はルルーシュに、今日の出来事を詳しく話していた。
「そうか、カレンが…」
「あぁ。第4格納庫での事を後悔していたよ」
「あの時の事は、俺が悪いと思ってるんだがな…。それで?お前はカレンの事、許せそうなのか?」
「さぁ?それはカレン次第だ」
そう苦笑いを浮かべながら言うC.C.に、ルルーシュは、C.C.の頭を撫でながら、いつか、コイツがカレンの事を、許せる日が来るといいな…。と思った。
「それとカレンが教えてくれたが、日本がナイトメアを不正所持してるらしいぞ。しかも、それに藤堂が関わってる」
「…藤堂と扇は、他の国に対して戦争を仕掛けるつもりか?」
「さぁな。藤堂はスザクとカレンが対処して、日本に関しては、神楽耶と協議して対応を決めるとか言ってたな。神楽耶は、扇を国家転覆を狙った国際犯罪者として捕まえて日本を生存させようとしてるらしいと、カレンが言ってた」
「それと、責任を取って評議会議長の職を辞任するつもりだろうな。そうじゃなきゃ、各合集国からの非難が収まらない」
それからもルルーシュとC.C.は話し合い、そろそろ寝ようした時、不意にルルーシュがC.C.に声をかけた。
「C.C.」
「なんだ?」
「その……、今日、いいか…?」
「……ふふっ。あぁ、いいぞ。…お前をたくさん感じさせてくれ」
その言葉を聞いたルルーシュは、キスをしながらC.C.を押し倒し、2人は熱い夜を過ごした。
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第17話
記念パレードまで、あと2週間となった頃、ルルーシュとC.C.は東京で買い物をしていた。
そして、その東京の街の人たちは少し浮かれていた。
「明後日、ナナリーとスザクが来日するんだったな」
「あぁ。ナナリーとスザクの人気は凄まじいからな。平和の象徴である、ブリタニア帝国第100代皇帝ナナリー・ヴィ・ブリタニアと、悪逆皇帝ルルーシュを討った、救世主ゼロが来日するんだ。そりゃ、街の人たちも浮かれるさ。…私としては面白くないがな」
そう言うC.C.に、ルルーシュは苦笑いを浮かべながら頭を撫でた。
「むっ、子供扱いするな!」
「子供扱いしてるつもりはないんだがな」
そうC.C.は怒って、でも頭を撫でてる手を振り払おうとはせずに、ルルーシュの隣を歩いていく。
そのC.C.の左手の薬指には、純白の指輪が嵌められていた。
−1週間前−
「おいC.C.、少し出かけるぞ」
今、アーニャはカレンの所に行っており、ジェレミアは外でオレンジ収穫をしている為、やる事のなかったC.C.は、ジェレミアから今日の朝に獲れたオレンジを貰って食べていた。そのC.C.の所にやってきたルルーシュが、急にそう告げた。
「なんだ?急に?なにかあったのか?」
「ちょっと欲しい物があるから、街に行くぞ」
「まぁ、別にいいが…。少し待ってろ。準備してくる」
そう言ってC.C.は、出かける準備をしに地下の自室へ行った。
「待たせたな」
「それじゃあ、行くか」
その後、準備を終えたC.C.がやってきて、外で作業をしていたジェレミアに出かけてくる事を伝えて、ルルーシュとC.C.は街へ出て行った。
「それで?こんな所まで来て、欲しい物とはなんなんだ?」
「店に着けばわかる」
今、C.C.とルルーシュは東京に来ており、すぐ近くの街にでも出かけるものだと思っていたC.C.は、ここまで来てコイツが欲しい物とはなんだ…?と、少し疑問に思っていた。
しばらく歩いていると、ルルーシュは目的地に着いたらしく、足を止めて、C.C.は、その店を見て驚いた。
「ここは…」
「ほら、C.C.入るぞ」
そう言ってルルーシュは、その店…宝石店へと入って、C.C.は驚きながらもそれについていった。
「すいません、予約したチャールズですけど…」
「いらっしゃいませ、お待ちしておりましたチャールズ様。どうぞ、こちらへおかけになってお待ちください」
「……おい、何を予約したんだ?それにチャールズって…」
「少し前に、指輪を予約したんだ」
「指輪?」
「あぁ。理由は帰ったら、チャールズの名を使った事も含めて話す」
「お待たせしました」
そうルルーシュが言うと、店員が声をかけてきた。
「予約されてた指輪は、こちらのデザインでよろしかったでしょうか?」
そう言って店員が見せてきたのは、純白のシンプルな指輪だった。
「はい、これで大丈夫です。ありがとうございます」
そしてルルーシュは会計を済まし、C.C.と店の外へ出た。
「これで目的は済んだし、C.C.、お前が何もなければ帰るがどうする?」
「私は特にないが…」
「よし、じゃあ帰るぞ」
そうして2人は、オレンジ農園へ帰っていったが、C.C.はその間、ルルーシュが指輪を買った理由と、チャールズを使った理由を考えていた。
オレンジ農園へと着いたら、ルルーシュはC.C.を連れて敷地内にある、オレンジの木々を見渡せる丘の上にやってきた。
「ルルーシュ?」
「C.C.、今から指輪を買った理由や、チャールズの名を使った理由を話す」
「ここでか?まぁ、わかった」
「指輪を買った理由は、お前に渡す為だ。指のサイズとかは知っていたからな。次に、チャールズの名を使った事についてだが、俺はもう、ランペルージの名や、ブリタニアの名を使う事が出来ないから、俺がチャールズの名をつける事にした」
そうルルーシュが言うと、C.C.は驚いた顔をしていた。
そして、ルルーシュは、買ってきた指輪が入った小さな箱を、C.C.の前に差し出しながら言った。
「E.Uにいた時にも言ったが、改めて、もう1度言わせてもらう」
「俺は、お前の傍に一生いる。だから、お前は俺の傍に一生いてくれ、セラ」
その言葉を聞いたC.C.は、少し固まりながら、ルルーシュの顔と、指輪が入った小さな箱を交互に見た。
そして、指輪の意味を理解したC.C.は、涙を流しながら笑顔で答えた。
「……はい。よろこんで」
ルルーシュはC.C.の左手の薬指に指輪を嵌めて、そして2人は、今の幸せを、噛みしめるように抱き合い、キスをした。
そのあと屋敷に戻って、ジェレミア達に丘の上での事を報告したら、
「おめでとうございます!ルルーシュ様!!C.C.…いや、C.C.様!!」
と、ジェレミアが、滝のような涙を流しながら祝福した。
「ありがとう、ジェレミア」
「…別に、今まで通り、C.C.でいいぞ?」
「何をおっしゃるのですか!ルルーシュ様の奥様になられる方に、そのような言い方など出来ません!!」
「…まぁ、いいか」
C.C.は苦笑いを浮かべながら、まぁ、ジェレミアだしな…。と、思い、諦めた。
「おめでとう、ルル様、C.C.お姉様」
「「ありがとう、アーニャ」」
「これで、ルル様は、C.C.お姉様の旦那様になったから、ルルお義兄様と呼べる」
アーニャは、2人を祝福しつつ、ルルーシュの事を、ルル義お兄様と呼べる事に喜んだ。
((ルルーシュ(俺)のこと、まだ続いてたんだ…))
そう思う、ルルーシュとC.C.であった。
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第18話
記念パレードまで、あと1週間となった頃、オレンジ農園にとある男が訪ねてきた。
「久しぶり。こうして直接会うのは1年ぶりだね、ルルーシュ、C.C.」
訪ねてきた男……スザクが、ルルーシュとC.C.に挨拶をした。
「あぁ、久しぶりだな、スザク。ナナリーはいいのか?」
「ナナリーはカレンに任せてきたから大丈夫だよ。それにしても、君たち本当に変わらないね」
「私たちはコードを持っているんだ、変わるわけないだろ」
「そりゃそうだ。君も相変わらず元気だね」
「当然だ。私はC.C.だからな」
「…便利だね、その言葉。それより聞いたよ。君たち夫婦になったんだってね?おめでとう2人とも」
「「ありがとう…」」
スザクから祝福の言葉をもらい、ルルーシュとC.C.は、少し照れながらお礼の言葉を返した。
「それで?それを言いに、俺たちに会いに来たわけじゃないだろ?」
「まぁ、目的の1つではあったけど、これだけを言いに来たわけじゃないのは確かだね。ジェレミア卿とアーニャに、機体を届けに来たのも目的の1つだし」
「…どこに置いておくつもりだ?」
「なんか、地下に専用のスペースがあるから、そこに置くとか言ってたよ」
「……C.C.、聞いていたか?」
「…いや、何も聞いてないし、地下にそんな専用スペースがある事も知らない」
まぁ、あとでジェレミア達に聞けばいいか。と、ルルーシュとC.C.は思った。そのジェレミアとアーニャは、機体を地下へ運んでいる最中である。
「それで、君たちには大事な話があるんだ」
真剣な表情で言うスザクに、何かあったのか?と、疑問に思うルルーシュとC.C.だが、とりあえず話を聞こうと考えた。
「大事な話ってなんだ?」
「…前、君たちに扇がギアスを調べて、C.C.を探してる目的を話したね?」
「あぁ。日本の復興が遅いのを、俺たちのせいにするつもりなんだろ?」
「僕もそうだと思ってたんだけど、あれからよく考えてみたら、そもそも、扇がその理由でギアスを調べる必要がないんだ」
「…なんだと?」
「思い出してみてくれ。当時、ゼロだった君を、なんで黒の騎士団が裏切ったのか」
「それは、ルルーシュがブリタニアの元皇子だった事を知ったのと、起こしてきた奇跡がギアスを使っていたという情報を手に入れたからd………ん?」
「……おい、スザク」
「そう。……扇は、君が使っていたギアスとC.C.に関しては''既に情報を持っている''んだ。だから、扇はC.C.を探すだけで良くて、嚮団跡地を調べる必要はないんだ」
「じゃあ、なんで嚮団跡地を調べていたんだ?」
「…これは僕の予想になるが、嚮団はコードと人工ギアスを研究してきたんだろ?なら、扇はその研究データを求めているんだと思う」
「は?何故?」
「…おそらく、扇はギアスを欲している。C.C.を探していたのは、契約するためじゃないかな?」
そう言うスザクに、ルルーシュとC.C.は驚愕する。
「扇はギアスを憎んでいる筈だろう?それに、C.C.が契約すると思っt……そうか、だから嚮団跡地を調べていたのか」
「どういう事だ?ルルーシュ?」
「扇は、C.C.を確保しても契約してくれる可能性は低いと思っている。だから人工ギアスを求めているんだ」
「なるほど。でも、あり得るのか?ギアスの事を憎んでいるんだろ?」
「……C.C.、もし、初めから扇がギアスを憎んでいないとすると、どうだ?」
「…は?」
「扇が憎んでいたのは、俺が使っていた''ギアス''じゃなくて、ギアスを使っていた''俺''だったら、どうだ?」
「……憎んでいたのはギアスじゃなく、お前だというのか」
「あぁ。こうすると話が噛み合うんだ。…もしかして」
「なんだ?」
「そもそも、C.C.を探しているのは、契約するためじゃないのかもしれない」
「どういうこと?ルルーシュ?」
「スザク、まず、扇が日本の復興が進まないのを、俺とC.C.のせいにするのも、目的の1つだと思う。たが、そこで終わりじゃない。本当の目的は、C.C.のコードを奪う事じゃないかと思う」
そう言うルルーシュに対して、スザクとC.C.は言葉を失う。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。何故、私のコードを奪おうとするんだ?今は思っていないが、孤独という、永遠の地獄を味わう事になるんだぞ?」
「それを扇は知らないんだろうな。実際、俺にはお前が隣に居てくれているから、孤独という、永遠の地獄を知らないんだ。お前のコードを狙う理由は、日本を永遠と自分の支配下に置くためじゃないか?」
「…そして、扇はたぶん、自分の事を神の使いだから死ぬ事は無いとでも言うつもりじゃないかな?…アホらしいけど」
「日本の復興が進まない原因を私に押し付け、処刑することによって、コードを継承するつもりか」
「C.C.、仮にだが、扇はお前と契約する事は出来るのか?」
「出来ないと思う。あいつは素質がないからな。人工ギアスはしらないが」
「なるほど。では、人工ギアスでもコードを継承することは出来るのか?」
「…それはわからない。私はコードとギアスの研究には被検体としてでしか関わっていなかったからな。情報を知っている人物は、V.V.かシャルルぐらいしか、いなかっただろう」
「そうか…」
「……すまない、何も知らなくて」
「別に謝る事でもないだろ。俺だって何も知らないんだ。……ふむ。可能性はあるが…。なら、覚悟を決めるか…」
そう独り言を言うルルーシュに、C.C.とスザクは首を傾げる。
「どうした?ルルーシュ?」
「いや、覚悟を決めただけだ」
「なんの覚悟を決めたの?」
「…シャルルに会う覚悟だ」
「……いや、待て。シャルルはもう死んだんだぞ?どうやって会うつもりだ?」
「黄昏の間に行って、集合無意識体に語りかける。あと、俺の予想ではあの男は死んでいない」
その言葉に驚愕するC.C.とスザクだったが、すぐにC.C.が否定する。
「それは有り得ない。シャルルとマリアンヌが、Cの世界に飲み込まれるところをお前も見ただろ?それに、お前にコードが継承されている。それは、前コード所有者が死なないと継承されないんだ」
「あの男と母さんが飲み込まれるところは俺も見た。だが''死んだところ''は見ていないんだ。そして、俺にコードが継承されたのは、あの男がCの世界に飲み込まれた事によって、死んだと誤認したからだろう」
「…仮に、会いに行くとしても、何処から行くつもりだ?」
「神根島だ。コードがあれば中に入れるだろ?」
「確かに入れるが…」
「心配するな。お前を置いてCの世界に逝く事はない。2人で一緒に生きると誓っただろ?」
そう言ってルルーシュは、不安そうに見つめるC.C.の頭を撫でた。
「スザク、頼めるか?」
「…流石に、すぐには無理だ。最低でも半年は待ってほしい。僕にもやる事があるから」
「…黒の騎士団の再編か?」
「うん。記念パレードが終わって落ち着いたら、藤堂を黒の騎士団から除名して捕まえる。そして、新たな総司令にカレンを任命する予定だ」
「カレンを?」
「他に適任者がいないからね。本人に伝えたら、渋々だけど了承してくれたよ」
「わかった。なら、半年後に頼む」
「了解」
そうして、3人の話し合いが終わり、スザクは、ジェレミアとアーニャに帰りの挨拶をして帰っていった。
扇…お前はいい奴だったよ…。
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第19話
スザクが帰った後、ルルーシュとC.C.は、ジェレミアとアーニャに、スザクとの話し合いの内容を伝えていた。
「なるほど、ならば私も準備をしておきましょう」
「私も。任せて、ナイトメアの操作技術と身体能力には自信あるから」
「ありがとう、2人とも」
「このジェレミア・ゴットバルト、ルルーシュ様…そしてC.C.様に忠義を誓った身。この命が続く限り、一生お守り致します!」
「ルルお義兄様とC.C.お姉様は絶対守る」
「私はC.C.様確定なのな…」
「そして俺はお義兄様確定だ」
その後、ナイトメアを置いてある地下のスペースへと行き、サザーランド・ジークとモルドレッドの説明を聞いていた。
「このサザーランド・ジークはまず、エナジーフィラーを2つにして稼働時間を2倍長くし、モルドレッドと同じように全面に展開出来るブレイズルミナスを追加して、ミサイルが誘導エネルギー弾に変更したらしいです」
ジェレミアはサザーランド・ジークの説明をして、次に、アーニャがモルドレッドの説明をした。
「モルドレッドも、エナジーフィラーが2つになって稼働時間を1.5倍長くしたみたい。武装の変更部分は、小型ミサイルを廃止して、弾数切れが起きない誘導エネルギー弾になって、ブレイズルミナスが二重展開されるようになった。それと、シュタルクハドロンの出力が上がった」
「二機とも、凄まじいな…」
サザーランド・ジークとモルドレッドの説明を聞いたルルーシュは、戦慄した。
ルルーシュとC.C.が、機体の説明を聞いていた頃、東京政庁の首相専用の部屋で、扇は考え事をしていた。
(あれから、全くC.C.は見つからない。という事は、変装でもしているんだろうが…。そうなると、誰かが、俺がC.C.を探しているという情報を流してる事になる。藤堂さんは有り得ないから、流してるのはゼロと、カレンか?なら2人は、C.C.の居場所を知っている。だが、2人が教えてくれるはずがない。…気長に探すしかないな。問題はナイトメアか…)
C.C.の捜索は、気長にやると決め、不正所持をしているナイトメアをどうするか考える事にした。
その時、扇に通信がきて、その相手は藤堂だった。
「藤堂さん?どうしたんですか?」
「少し頼みたい事があってな」
「頼みたい事?」
「あぁ。今、日本が不正所持してるナイトメアを貸して欲しい」
「え?急にどうしたんですか?」
「ギアスの研究施設と思われる場所が見つかった」
「本当ですか!?…場所は何処なんです?」
「カンボジアだ」
「そうですか…。でも、何故こっちのナイトメアを?」
「どうやら、ゼロと紅月君が俺を捕まえる気でいるみたいだ。その前に行方を眩まして、日本が不正所持してるナイトメアと一緒に、カンボジアへ向かおうと思う。その際、俺を慕ってくれてる者も連れて行くつもりだ」
「なるほど。わかりました」
「では、記念パレード前にナイトメアを取りに行かせる。あと、千葉と数名は日本に残らせて、C.C.の捜索に当たらせる」
「了解です。そっちは任せました」
「承知」
そう言って通信が終わり、扇は、これでナイトメアの件もどうにかなるな。と、思った。
機体の説明を聞き終えたルルーシュとC.C.は、地下の自室へと戻ってきていた。
「ルルーシュ、1週間後の記念パレードはどうするんだ?」
「どうするとは?」
「見に行くのか?」
「当事者だしな。一応、見に行くつもりでいる」
「……大丈夫なのか?…その、お前が死んだ事を祝う行事だし」
「大丈夫だ。ずっと見てるつもりではないし、少し見たら帰るよ。だから心配するな」
ルルーシュは、心配そうにこちらを見るC.C.を抱き寄せ、キスをする。
「そんなに不安なら、俺が取り除いてやる」
そう言ってルルーシュは、C.C.を連れてベッドに行き、2人は熱い夜を過ごして、眠りについた。
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第20話
記念パレード当日、ルルーシュとC.C.は東京におり、ゼロとナナリーの姿を見ようと、街の道に並んでいる大勢の人を見ながら、手を繋いで歩いていた。
「見ろ、ルルーシュ。人がゴミのようだ」
「お前はいつから、天空の城を目指す大佐になったんだ?」
「安心しろ。私は目を押さえながら絶叫して、宇宙に消えるつもりはない」
「なんの安心だ、まったく…」
「それにしても、人が多いな」
「平和の象徴であるナナリーと、世界を救った救世主ゼロ、そして、英雄部隊と呼ばれるようになった黒の騎士団。それを一目見ようと、世界中の人間がここに集まって来てるんだ。来れなかった人は、テレビで見てるだろうな」
そう言いながらルルーシュとC.C.が歩いていると、道に並んでいる大勢の人から歓声が上がった。
「来たみたいだな」
「らしいな」
歓声が上がった理由は、ナナリーとゼロ、そして、悪逆皇帝に立ち向かった当時の黒の騎士団メンバーが現れたからである。
「ナナリーを実際に見るのも1年ぶりか」
「元気そうだな。……黒の騎士団の奴らは笑顔で手を振ってるな。敵国の宰相であったシュナイゼルに唆されてルルーシュを裏切り、そして英雄気取りか。…ほんと、あの無能どもには恐れ入る」
「…む?カレンの姿が見当たらないな。いないって事はないと思うんだが…。まさか、護衛してるナイトメアの中にいるのか?」
「ほんとだな。まぁ、カレンは、ルルーシュを裏切った事を後悔しているからな。そんな自分を、英雄扱いされたくなくて顔を出したくないんだろ」
「…なるほど。…ん?他にも誰かいない気がするんだが?」
「…確かに1人少ない気がするな。…まぁ、気にする必要はないだろ。それで、どうする?少しついて行ってみるか?」
「帰っても暇だし、そうだな、ついて行こう」
そうしてルルーシュとC.C.は、道を進むゼロ達を追いかけた。
「しかし、こうして見ていると、ほんと、気にくわないな。ルルーシュが命を賭けて、今の世界を創ったというのに、称賛されてるのは裏切り者の集団である黒の騎士団とは…」
「俺は称賛されたくて、やった訳ではないからな。それに、悪く言えば黒の騎士団を最後まで利用させてもらった」
「しかし、スザクの奴、周囲を見渡すだけで全く手を振らないな」
「当たり前だ。そんなのゼロのキャラじゃない」
「なんだ、つまらん」
「つまらんって、お前…。まぁ、いい。そろそろ帰るぞ」
「いいのか?まだ見ていてもいいんだぞ?」
「もう充分だ。ナナリーの顔も見れた事だしな。帰ったらピザでも作ってやる」
「よし、今すぐ急いで帰るぞ!」
「変わり身が早いな、お前…」
そうして、ルルーシュとC.C.は、オレンジ農園へと帰って行ったが、その姿を、とある2人が見ていた。
ゼロであるスザクは、記念パレードの最中、目の前で手を振る黒の騎士団を、冷めた目で見ていた。
(よく、民衆に向かって笑顔で手を振っていられるな。何も知らない民衆ならともかく、事情を知っている者達からすると、英雄部隊ではなく、裏切りの集団としか目に映らないのに。まぁ、世界の殆どの人が事情を知らないわけだが…。あのロイドさんが、黒の騎士団を見るときは目が怒りに染まるし。その裏切りの集団のトップを僕がやってるというのもお笑い者だが…)
そう考えていると、ルルーシュとC.C.の姿を見つけた。
(あの2人、来ていたのか。まぁ、一応、当事者だから少し見に来た感じかな?もう帰るみたいだけど…。もう、あの2人が傷付かないように頑張らないと…。そのためには…)
そう考えながら、スザクは2人を見送った。
カレンは、パレードを護衛しているナイトメアのコクピットから、黒の騎士団を悲しい顔で見ていた。
(皆、なんでそんなに笑顔でいられるの…?私達のせいで、ルルーシュが死んだのに、なんでそうやって手を振れるの…?ルルーシュを裏切ったのに、何でそうやって、英雄気取りが出来るの?私には、そんな事できないよ…)
そう考えていると、カレンはモニター越しで、C.C.を見つけた。
(C.C.?…そっか、今日はルルーシュが、ここで死んだ日だもんね。貴方が来ない訳ないか……ん?)
そう思っていたが、よく見ると、手を繋いでいる男の姿が見えた。
(誰?…恋人?……いや、そんな訳ない。C.C.は、今でもルルーシュの事を想っているのを知っている。…じゃあ、新しい契約者?…これも違うな。それじゃ、手を繋ぐ意味がわからないし…。…まさか、ルルーシュ?……いや、でもルルーシュは1年前のこの日に、ゼロであるスザクに刺されて死んだのを私は見た。………本当に誰?)
C.C.の隣にいる謎の男のことを考えながら、カレンは2人をいなくなるまで見ていた。
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第21話
記念パレードから2週間が経った日、ゼロの姿をしたスザクとカレンは、斑鳩内にある、ゼロの私室で話し合いをしていた。
「どういう事だ?日本が不正所持していたナイトメアが見当たらないとは…」
「わからないわよ…。情報は間違いなく確かだったんだから…」
「神楽耶が今、扇を追求してはいるが、間違いなく振り切られるだろう」
スザク達は、日本が不正所持しているナイトメアを扇に問い詰めようとしたが、その肝心のナイトメアが見当たらないでいた。
「日本には間違いなく、ある程度のナイトメアが運び込まれてるんだ。隠されているとされる、全ての場所に無いなんて…」
「普通は有り得ないわよ。こっちだって念入りに調査したんだから」
「そうなると、情報が流れていて、それを知った扇が、国外に出したのか」
「それしか考えられないわね…」
「それと同時に、問題になっているのが、藤堂の行方がわからない事か…」
「あと、団員の行方も複数名わからない事も…」
「…わかった」
「え?何が?」
「ナイトメアの行方だ。日本が不正所持していたナイトメアは、確実に藤堂が運び出している。行方がわからない団員も、それについて行っているんだ。だから、いくら日本を探そうと意味はない」
「じゃあ、藤堂さんは、ナイトメアを持って何処に行ったの?」
「たぶん、ギアスの研究施設を見つけて、そこに向かったんだと思うけど、何処にあるのか…」
そして考えるスザクだったが、とりあえず扇の事は神楽耶に任せ、自分達はまず、黒の騎士団の再編をする事にした。
「とりあえず、先に騎士団の再編をしよう」
「そうね。…私が総司令になるんだっけ?」
「あ、その事なんだけど、違う人になってもらう事にしたんだ」
「はぁ!?誰よ!?大丈夫なの!?てか、何で先に、それを私に伝えないの!?」
「ご、ごめん。でも、カレンも知ってる人だから大丈夫だよ。待ってて。今、呼ぶから。…私だ。彼を、私の私室に連れてきてくれ」
そう言ってスザクが、部下に連絡し、それを待ってる間、カレンは、彼?誰だろう…?と、疑問に思った。
「ゼロ、彼をお連れしました」
「ありがとう。…ロックを外した。入ってくれ」
少し待っていると、扉の向こう側から声が聞こえ、スザクが扉のロックを外して、声をかけた。
すると、1人の男が入ってきて、その人物を見たカレンは驚愕した。
「久しぶりだな、カレン」
「星刻!!」
部屋に入ってきた男…黎星刻がカレンに挨拶をした。
「彼が、黒の騎士団の、新しい総司令だ。まぁ、単なる復帰だけど」
「あなた、ブリタニアで療養してたんじゃないの?」
「1年間療養してたからな、ほぼ完治した。1日数回、薬を飲まないといけないが、大丈夫だ。……ゼロ…いや、スザク、礼を言う。お前のおかげで、私は生きる事が出来た」
「礼ならナナリーに言ってくれ」
「…ん?星刻、貴方、ゼロの正体を知っているの?」
「あぁ。…あと、ゼロレクイエムの真実もな」
「そう…」
「だから、私は戻ってきた。私は、ルルーシュと''枢木スザク''に返しきれない恩がある。この命、天子様の為に使ってきたが、世界の為にも使っていこうと思っている。それが、たった2人に世界を背負わせてしまった私達の罰であり、世界の為に逝ってしまった、ルルーシュと''枢木スザクとして生きる事が出来なくなった者''に対してへの、少しもの恩返しに繋がると信じて…」
「…わかった。またよろしく」
「こちらこそ、よろしく頼む」
「(ごめん、2人とも…。でも、ルルーシュが生きている事を知ったら、どうなるんだろ?)」
カレンと星刻が話してる間、スザクは罪悪感に襲われていた。
「これで、総司令は決まったな。あとは、行方がわからない者を除名する。あと、今の幹部を全員調べて、白は継続して幹部をしてもらい、黒は除名して新しい者を幹部にしよう」
「わかった」
「了解した」
そうして、黒の騎士団の再編が終わり、藤堂と複数名が黒の騎士団から除名され、総司令に星刻が復帰したことを発表した。
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第22話
黒の騎士団の再編から1週間経った頃、ルルーシュとC.C.、そしてアーニャは、オレンジ農園の屋敷にいた。
「C.C.お姉様、体調大丈夫?」
「今のところ大丈夫だ。ありがとう、アーニャ」
「無理はするなよ?何かあったらすぐに言え」
「本当に大丈夫だ。だから、そう心配そうな顔をするな、ルルーシュ」
今、C.C.は、ルルーシュに膝枕をされており、ルルーシュはC.C.の頭を撫でて、アーニャはそんなC.C.を、心配そうに見ていた。
「確かに、この症状は辛いものがあるが、それ以上に、幸せを感じるんだ」
そういうC.C.は、幸せそうに笑っていた。
C.C.は今、妊娠をしていた。
−2日前−
その日、普通に過ごしていたC.C.が、違和感を感じたのは、昼食を食べようとしたときだった。
「…む」
「ん?どうした?」
自分が作ったピザを食べようとした時、急に不機嫌そうな声を出したC.C.に、ルルーシュは、作ったピザに何かあったのだろうか?と、思い、声をかけた。
「いや、何故だかわからないんだが、身体がピザを受け付けないんだ」
「…体調が悪いのか?」
「そんなはずはないと思うんだが…。コードを継承してから私は、体調を崩したことはないんだ……っ!?」
「お、おいっ!?C.C.!?」
急に立ち上がってトイレへと駆け込むC.C.に、ルルーシュは驚き、そして、慌ててC.C.が駆け込んだトイレの前に行った。
「C.C.!!大丈夫か!?」
「………すまないっ、少し待ってくれっ」
トイレの扉の向こうから、苦しそうな声で言うC.C.に、ルルーシュは、途轍もなく不安になったが、C.C.の言う通り、待つ事にした。
しばらくすると、顔色が悪いC.C.が出てきた。
「……もう、大丈夫だ。少し落ち着いた」
「顔色が悪いのに大丈夫なわけがないだろう!何があった!?」
「落ち着け、ルルーシュ」
「落ち着けるわけないだろ!お前、本当に…」
「いいから…、少し落ち着け。私は大丈夫だから」
「………、すまなかった」
少し落ち着かせる為に、C.C.はルルーシュを抱きしめて、そのおかげで、ルルーシュは落ち着く事ができた。
「しかし、本当に何があった?」
「私にもわからない…。ピザを受け付けなくなったと思ったら、急に吐き気がきて、それで、トイレに駆け込んで吐いたんだが…」
こんな事、今まで生きてきた中で一度もなかったのに…。と、考え込むC.C.を心配そうに見つめるルルーシュに、ちょうど帰ってきたアーニャが声をかけた。
「ルルお義兄様、C.C.お姉様、こんな所でどうしたn……C.C.お姉様、顔色が悪いけど、本当にどうしたの?」
C.C.の顔色を見たアーニャは、心配そうに聞いてきて、ルルーシュがそれに答えた。
「C.C.が、急にピザを受け付けなくなったと思ったら、トイレで吐いてしまったんだ。体調が悪いという事ではないらしいが…」
「…2人とも、今すぐ病院にいく。ジェレミアに、車を用意させるから待ってて」
それを聞いたアーニャは、C.C.の症状に思い当たりがあるのか、そう言って、外でオレンジの収穫をしている、ジェレミアの元へ向かった。
その後、アーニャから話を聞いたジェレミアが、慌てて屋敷に戻ってきて、急いで車の準備をし、4人は、その車に乗り込んで、街の病院へと出て行った。
ジェレミアが、世界を縮めてしまいそうなスピードで、車を走らせ(ルルーシュとC.C.は、生きた心地がしなかったと語っていて、ジェレミアは、鬼の形相のアーニャに説教された)街の病気へと着き、医者からの診断を聞いていた。
「これは''つわり"ですね」
「「つわり?」」
医者の言葉に、ルルーシュとC.C.は聞き返し、アーニャは、やっぱり…。と、思い、ジェレミアは…感動で震えていた。
「えぇ。おめでた、という事です」
「「おめでた?」」
「はい、妊娠されてますよ。おめでとうございます」
「「……は?」」
その言葉に、ルルーシュとC.C.は放心した。
その後、医者からの説明を受け(ルルーシュとC.C.が帰ってこなかったため、ジェレミアとアーニャが説明を聞いた)4人はオレンジ農園へと帰ってきた。
「…ルルーシュ」
「…なんだ?C.C.?」
「……コード所有者も、妊娠することが出来たんだな」
「……みたいだな」
「ルルーシュ様、C.C.様、おめでとうございます!このジェレミア、感激でございます!」
「ルルお義兄様、C.C.お姉様、おめでとう」
2人からの祝福を受けて、やっとルルーシュとC.C.は、自覚することができ、ルルーシュはC.C.のお腹を優しく撫で、C.C.は自分のお腹の上に手を置いた。
「……私たちの子供が、ここに…」
「……ここに、俺たちの子供がいるのか」
「…ルルーシュ」
「どうした?」
「……ありがとう」
「…それは、俺の台詞だ」
「だが、この子には、悲しい思いをさせてしまうことになるな…。私達は不老不死だから、早いうちにこの子と別れる時がくる…」
「……その分まで、幸せを与えればいい。この子が少しでも、悲しくならないように」
「……そうだな」
その後の話し合いで、アーニャは、ルルーシュとC.C.の私室で過ごすことになり、日常でも、ジェレミアとアーニャのどちらかが、ルルーシュとC.C.の傍に、できる限りいるようにすると決めた。
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第23話
C.C.の妊娠発覚から数日が経ち、記念パレードからちょうど1ヶ月が過ぎた頃、ルルーシュとC.C.は、とある場所へ向かって歩いていた。
「C.C.大丈夫か?」
「安心しろ、今のところ大丈夫だ」
「わかった。あと少しだから頑張れ。…だが、ついてこなくても良かったんだぞ?今は屋敷で安静にしていたほうが…」
「私も来たかったからな。それに、ジェレミアとアーニャがついてきているんだ。何かあったらすぐに言うさ」
「それならいいが…」
そう言いつつ歩いて行くと、目的の場所へと着いた。
ちなみに、ルルーシュとC.C.から少し離れたところで、アーニャとジェレミアが待機しており、何かあればすぐに駆けつけれるよう、準備をしていた。
ルルーシュとC.C.が着いた場所は、海一面が見渡せて、目の前には一本の木が立っており、そこにストラップがかけられていた。
「久しぶりだな、…ロロ」
ここはルルーシュの弟であるロロ・ランペルージが眠る墓である。
「しばらく会いに来れなくてすまなかった。お前が死んでから、俺はお前の事を弟として見ていた事に気づいた。もっと早く気づいていたら、お前は生きていたのかも知れないな。…お前が俺の弟になってくれた事、俺を救ってくれた事、本当に感謝している、ロロ」
最初はルルーシュの後ろで見守っていたが、途中から隣にやってきて、C.C.もロロの墓に語りかけた。
「ロロ、お前が命を賭けてルルーシュを救ってくれたおかげで、こうして生きる事が出来て、今、幸せに過ごせている。…ありがとう」
「死なない俺たちは、Cの世界に行く事が出来ないから、2度とロロに会うこともない。だから、Cの世界がお前に優しく、幸せに過ごせる場所であると願っている。……そろそろ行こう、C.C.」
「…わかった」
「また来るよ、ロロ…」
そう言ってルルーシュとC.C.は、ジェレミア達と合流してオレンジ農園へと帰っていった。
その日の夜、オレンジ農園へと戻ってきたルルーシュとC.C.は、スザクと通信をしていた。
『ルルーシュ、C.C.が妊娠したんだってね?おめでとう、2人とも』
「ありがとう。すまないな、報告が遅れて」
『大丈夫だよ。しかし、C.C.がお母さんになるのかぁ。昔だったら想像出来なかっただろうね』
「私も驚いたよ。コードを持つ私が子供を授かる事ができるなんて、思っていなかったからな」
『もしかして、同じ時間を過ごせるルルーシュだったから子供が出来たのかもね』
「そうかもしれないな」
『だけども、どうするんだい?ルルーシュ?』
「何がだ?」
『神根島に行く事だよ。C.C.は妊娠しているんだから、安静にしとかなきゃいけないだろ?』
「…流石に妊娠してるC.C.を連れて行けないからな。俺だけで行くさ」
「何言っているんだ?私も着いて行くに決まっているだろ?」
「…は!?お前、妊娠しているんだから安静にしていないとダメに決まっているだろ!?」
「神根島にはジェレミアとアーニャ、そしてスザクがついて来るんだろ?それにスザクが何か対策してくれるだろうし」
「しかし…」
『まぁ、C.C.がその状態でついて来るのなら対策はするけど…。大丈夫なの?』
「大丈夫だ。あと少しで安定期に入るしな。それに、適度な運動もしないといけないって言われてたじゃないか」
「…適度な運動ではないと思うんだがな。はぁ…わかった。ただし、無茶だけはするなよ?」
「わかっているさ」
結局、神根島にC.C.もついて来ることになった。
『それで時期なんだけど、思ったより早く行けそうでね』
「そうなのか?俺は、まだかかると思っていたんだが」
『星刻が総司令に復帰したのは知っているだろ?おかげで再編がスムーズに進んだんだ』
「なるほど」
『行方がわからない藤堂の捜索は、その星刻に任せてあるし、ブリタニアの方もシュナイゼルに命令して、ロイドさんとセシルさんにもお願いしてある。だから今、僕は余裕があるんだ。なので、C.C.が安定期に入ったらでどうだい?』
「なら、そうしよう。…ところで、C.C.の対策って具体的にどうするんだ?」
ルルーシュは妊婦であるC.C.の対策を、どうするのかをスザクに聞いた。
『まず、ラクシャータにお願いしようと思っている』
「…いや、まずいだろ。俺は死んだ事になってるんだぞ?」
『大丈夫、ラクシャータはゼロレクイエムの真実に気づいているから』
「なに?」
『ラクシャータも後悔していたよ。君に全てを押し付けてしまったってね』
「…そうか。…で、他には?」
『神根島にはナイトメアで行こうと思ってたけど、C.C.に負担が大きすぎるから、内密に航空艦を1隻用意するよ。ブリタニアでステルス機能がついた航空艦を一隻作ったから。装備は、ステルス機能とブレイズルミナスだけだけど』
「そんなもの、いつの間に作ったんだ?」
『犯人はロイドさん』
「……把握した」
「あいつも変わらないな…」
ブリタニアでステルス機能が付いた航空艦が作られた事に驚いたが、犯人がロイドであると言われ、あぁ、作るとしても、ロイドしかいないだろうなぁ…。と、納得したルルーシュとC.C.であった。
『あと、カレンを君たちの護衛として、オレンジ農園に送ろうと思っている』
「…とりあえず却下と言いたいが、理由を聞こう」
『今、C.C.は妊娠していて、安静にしていないといけないんだ。いくらジェレミア卿とアーニャが強くても限度がある。それに、安定期に入ったからと言って動き回っていいわけじゃない。だから念の為に、カレンを君達の護衛に回すんだ』
「む……C.C.はいいのか?」
「ん?なにがだ?」
「…カレンに会う事にだ」
「私は問題ないぞ?まぁ、まだ許してはいないが、頑張っているのは知っているしな。だからお前次第だ」
「…それでお前の安全が確保できるのであればしかたないか…。わかった、お願いする」
『了解。航空艦はすぐに手配し、準備しておく。ラクシャータも僕から説明しておくよ。ただ、カレンに関しては引き継ぎ等があるから少し待ってほしい。終わり次第向かわせる』
「わかった」
そうしてルルーシュとC.C.は、スザクとの通信を終えて、自室に戻り、待っていたアーニャと一緒に3人で眠りについた。
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第24話
東京政庁の首相専用部屋では、扇が部下からある報告を受けていた。
「本当か?C.C.と思われる人物の居場所が見つかったというのは」
「はい。確定ではありませんが、おそらく…」
「そのC.C.がいると思われる居場所は?」
「ある者が経営している、オレンジ農園です」
前回のスザクとの通信から2週間が経った頃、ルルーシュとC.C.は、特にやる事もなく、屋敷の中にある一室で、ゆったりと過ごしていた。
「今週中に、カレンがここに来るんだっけ?」
「そのはずだ。もうすぐ引き継ぎが終わると、スザクが言っていたからな」
そう聞いてくるC.C.にルルーシュは、そう答えた。
「カレン、驚くだろうな。ここに来たら、ルルーシュが生きていて、私が妊娠してる事に」
「間違いなくな。そしてカレンが、俺たちを問い詰めてくるんだろうな」
そうなる未来を簡単に想像できたルルーシュとC.C.は、顔を見合わせて笑みを浮かべた。
「さて、そろそろ昼食にするか。ジェレミアとアーニャを呼びに行くが、お前もついてくるか?」
「そうだな。少し歩く程度なら大丈夫だから、私もついて行こう」
そう言ってルルーシュとC.C.は、外でオレンジの収穫をしているジェレミアとアーニャを呼びに行った。
その日の夜、スザクとカレンは、ブリタニアから手配した航空艦の中で話し合いをしていた。
「この船凄いわね。全てオートで動いてるんでしょ?」
「うん。ロイドさんが「無人で動く航空艦って面白いと思うよね〜」とか言って、暴走して作ったのがこの航空艦だよ。ただ、趣味で作ったから武装は何も装備してない」
「あの人らしいわね…。ラクシャータさんは?」
「今、医務室のチェックをしてるよ。その後は、格納庫をチェックするって」
今、この航空艦に乗っているのはカレンとスザク、そしてラクシャータだけである。
「星刻は、斑鳩でカンボジアに向かう準備をしているんだっけ?」
「藤堂がカンボジアにいるという情報があったからね。それを星刻に確かめてもらいに行くんだ。明後日には出発するらしい」
「で、私は星刻がカンボジアに向かうのと同時に、オレンジ農園に向かえばいいんでしょ?」
「一応、その予定でいる。僕は、この航空艦で待機してる感じかな」
「わかったわ」
カレンとスザクが話し合いを進めていると、血相を変えた星刻が、通信をかけてきた。
『ゼロ、カレン!!!』
「どうした星刻?そんなに慌てて」
『日本国内でナイトメア戦闘が起きてるらしい!!』
「なに…?」
『そして戦闘を行ってるナイトメアのうち、1機はサザーランド・ジークという話だ!!』
「なんだと!?(なんですって!?)」
「カレン!!今すぐ紅蓮でオレンジ農園へ向かえ!!私はラクシャータに医務室の準備をするように伝えたあと、この航空艦をオレンジ農園へ運ぶ!!」
「わかった!!」
カレンはスザクが言ったことを了承すると、全速力で格納庫へと走っていった。
「星刻!!サザーランド・ジーク以外のナイトメアの所属はわかるか!?」
『わからん!!だが、ガレスや暁の姿があるみたいだ!!』
「…ということは、日本が不正所持していたナイトメアか!!今すぐに団員を東京政庁へと向かわせて、扇を確保しろ!!星刻は神楽耶に連絡を取って状況の説明を!!」
『了解した!!』
そう星刻に指示をして通信を切り、スザクはラクシャータに説明と、航空艦をオレンジ農園に向かわせる為に、目的地を入力しに向かった。
(紅蓮でも、ここから全速力で向かったとしても、オレンジ農園まで20分はかかる…。ルルーシュ、C.C.、無事でいてくれ…!!)
スザクは、ルルーシュとC.C.の場所を祈るしかなかった。
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第25話
それは突然だった。
ルルーシュとC.C.は、ジェレミア達と晩食を取っていたら、いきなり外にナイトメアが現れ、こちらへ走ってくる人影を見つけた。
「あのナイトメアと走ってくる兵は……。まさか、バレたのか!?」
「ルルーシュ様!!C.C.様!!地下へお逃げください!!」
「わかった!C.C.!少し辛いかも知れないが行くぞ!!」
「少しなら大丈夫だ!!」
「アーニャ!私はサザーランド・ジークで外のナイトメアを相手する!!おぬしはルルーシュ様とC.C.様を守りながら、こちらに向かってきてる兵を頼む!!」
「わかった」
アーニャは、ルルーシュとC.C.を連れて地下へ避難し、ジェレミアはナイトメアの相手をする為、サザーランド・ジークがある場所へと向かった。
地下にある避難用の部屋に向かってると、最初は大丈夫だったC.C.が、今は少し辛そうにしていた。
「大丈夫か!?C.C.!?」
「C.C.お姉様、大丈夫?」
「少し、辛いな…。こうも、体力が無くなっているとは…」
「見つけたぞ!!」
「もう追いついてきたか!C.C.、あと少しだけ頑張r……ぐぅっ!?」
「ルルーシュ!?」
「ルルお義兄様!?」
敵の声が聞こえたと思ったら、銃声と共に弾がルルーシュの肩に命中し、ルルーシュは呻き声を上げた。
「ルルーシュ!?大丈夫か!?」
「あぁっ、大丈夫だっ…!肩に当たっただけだから心配するなっ」
致命傷じゃない事に、C.C.は一先ず安心して、心配そうな顔をした。
「俺にはコードがあるんだっ。だから、心配するなっ」
「バカな事言うんじゃない!!コードがあるからって傷つかない訳じゃないんだぞ!!」
「とりあえず、ルルお義兄様とC.C.お姉様はここに隠れて。私が敵を蹴散らしてくるから。……妊婦であるC.C.お姉様に頼るのは間違ってると思うけど、少しだけルルお義兄様をお願い」
「大丈夫だ、任せろ」
「お願い。……あいつら、絶対に許さないっ…!!」
ルルーシュとC.C.を壁の柱に隠したアーニャは、鬼の形相をして、追ってきた敵に向かっていき、全力で蹴散らしていく。
「それにしても、凄まじいな…」
「大丈夫か?ルルーシュ?」
「あぁ、少し楽になった…。あっ、また1人吹っ飛んだ」
「小さな女の子に吹っ飛ばされてる大人って、シュールだな…」
そして、一方的な戦闘が終わり、アーニャが戻ってきた。
「ただいま。敵は全て片付けてきた。ルルお義兄様、大丈夫…?」
「あぁ、大丈夫だ。心配かけたな」
「ごめんなさい…。ルルお義兄様を傷つけた…」
「これぐらい気にするな。アーニャはちゃんと俺を守ってくれてるよ」
「…ありがとう。部屋まであと少しだから頑張ろう」
「あぁ、C.C.行けるか?」
「ある程度、体力は戻ったから頑張るさ」
そうして3人は、目的の部屋へ向かった。
地上では、ジェレミアが操るサザーランド・ジークが無双していた。
「我が忠義の機体に勝てるとでも思っているのか!」
ガレスのハドロン砲や、暁が装備しているミサイルランチャーは、ブレイズルミナスに阻まれ、逆にサザーランド・ジークから放たれる誘導エネルギー弾と大型スラッシュハーケンは、的確に命中して撃墜させていく。
「これで10機目か…。しかし、敵にならんとはいえ、あと何機おるのだ。…これは、日本が不正所持していたナイトメアだけではないな」
そう言いながら機体を操り、ミサイルランチャーを放った敵ナイトメアの攻撃を、ブレイズルミナスで防ぎつつ、誘導エネルギー弾を放つと、相手はそれを避けきれずに直撃し、撃墜された。
「ふむ…。さて、ルルーシュ様とC.C.様はご無事だろうか…。アーニャがついておるから心配はいらぬが…」
『その機体、オレンジか!!』
ジェレミアが、ルルーシュとC.C.の事を考えていたら、女性の声が聞こえた。
「む?誰だ?」
『貴様!私を忘れたのか!!』
モニターで確認すると、そこには暁 直参仕様と複数のナイトメアがいた。
「その機体で女の声となると……確か、千葉という女だったか?」
『そうだ!何故貴様がナイトメアを持っている!?』
暁 直参仕様のパイロット、千葉 凪沙が、ジェレミアに問いただした。
「この機体は忠義の機体。私が持っていても、おかしくはなかろう?」
『ふざけるな!一個人がナイトメアを持っているなど、あってはならないことだ!』
「別にふざけてなどおらぬが…。それよりもおぬし、ここに何の用だ?」
『ここに、あの魔女がいるという情報があった!さっさとこちらに引き渡してもらおう!』
「…魔女?はて?うちに魔女など来てはおらぬが?」
『惚ける気か!?』
「惚けてなどおらぬ。まぁ、我が仕えし者はおるが…」
『引き渡す気がないのなら、実力行使をするまで!!』
「何を今更…。既に行使しておるではないか。……それより、良いのか?」
「…は?」
「紅い鬼神様がやって来たぞ?」
そうジェレミアが告げると、紅い閃光が駆けて、千葉が乗る暁の近くにいたナイトメアが、全て撃墜された。
『何!?』
「ジェレミアさん!!無事ですか!?」
『久しぶりだな、カレン君。なに、ご覧の通り無事さ』
「C.C.は!?」
『今アーニャがついておるから心配はいらぬ』
「よかった…」
紅い閃光の正体…紅蓮のパイロット、カレンは、C.C.が無事である事を確認し、そして千葉が乗る暁を見た。
「千葉さん、投降してください。さもなくば、その機体を撃墜させます」
『紅月!何故お前がジェレミアを助ける!?』
「貴女がここで、テロ行為をしてるからです」
『テロなどしていない!ここにいる魔女を捕まえに来ただけだ!』
「これのどこがテロをしてないんですか…。どう見たってテロ行為ですし、貴女はもう黒の騎士団じゃないんですよ?あと、その魔女を捕まえてどうするんです?」
『決まっている!日本の復興が進まない責任を取らせる!魔女がルルーシュにギアスを与えなければ、復興が進まないって事は起きなかったんだ!』
「…日本の復興が進まないのは、首相である扇さんのせいでしょ?なんでそれを、もう死んでるルルーシュのせいになるのか理解出来ないんですけど?」
『そのルルーシュがギアスを使って日本を陥れたからだ!なら、そのギアスを与えた魔女にも責任を取らせる!』
「扇さんは、貴女が言う、日本を陥れたギアスを求めているんですけど?ていうか貴女、仮に、今も黒の騎士団だったとしても、一国にそんな肩入れしたらダメでしょ」
『扇は、日本の復興を進めようとしてるだけだ!それに私は、黒の騎士団の前に日本人だ!』
そういう千葉に、カレンは心の底から呆れて、ジェレミアは、この女、ここまでバカだったのか…。と、失望してた。
「言ってる事、無茶苦茶過ぎでしょあんた…。もういい、あんたには失望した。投降する気がないのなら撃墜させる」
『くっ、流石にこの戦力では紅蓮には勝てない…。全機、撤退するぞ!!』
千葉がそう言うと、辛うじて残っていたナイトメアは撤退していった。
こうして地上での戦闘も終わり、全ての戦闘が終了した。
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第26話
戦闘が終わり、周囲の安全が確認出来たので、ジェレミアはサザーランド・ジークから降りてアーニャに連絡を入れた。
「アーニャ、そちらは無事か?」
『うん。今、避難部屋で待機してる』
「外の安全を確保出来た。出てきても大丈夫だ」
『わかった』
ジェレミアがアーニャとの連絡を終えると、カレンが紅蓮から降りてきた。
「カレン君、すまなかった。おかげで助かった」
「いえ、私は何もしてませんよ。殆どジェレミアさんやアーニャがやったんですから。…それよりも、すみませんでした。こうなる前に抑えることができなくて」
「それは仕方ないだろう。今は、こうして守れた事を喜ぼう」
「…そうですね」
そうしてジェレミアとカレンが話し合いをして、しばらく時間が経つと、ルルーシュとC.C.を連れたアーニャの姿が見えてきた。
「確か、あの男の人はパレードで…」
カレンは3人の方を見たが、ルルーシュの事を知らないので、そう呟いた。
「カレン、久しぶりだな」
「久しぶりね、C.C.。……どうしたの?少し息切れしてるけど…」
「いや、少しな…。負傷したとかじゃないから安心しろ」
「なら、いいけど…」
「C.C.お姉様、あんまり無茶しないで?少し休もう?」
「そうだな…。悪いな、少し座らせてもらうぞ」
そう言ってC.C.は地面に座り、それを見たカレンは、辛そうだけど…大丈夫なのかな…?と、C.C.の事を心配しつつ、その隣に心配そうに寄り添う男の方を向いた。
「ところで、その男の人は…?」
「忘れていたな。こいつは…」
「大丈夫だC.C.。自分で説明するからお前は休んでいろ」
C.C.にそう言ってルルーシュは立ち上がり、カレンの方を向いた。
「久しぶり、カレン…」
「久しぶり?私、貴方に会ったことあったっけ?」
「俺だよ。………ルルーシュだ」
「………え?」
「世間では死んだ事になっている、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ」
「えっ、うそでしょ…?だって、貴方はゼロに刺されて…」
「あぁ。俺は確かに、スザクに刺されて死んだはずだった。…だが、今はC.C.と同じ不老不死として生きている」
「本当にルルーシュなの……?」
「本物だよ…。今はこうして変装はしているが」
ルルーシュがそう言うと、カレンが泣き崩れた。
「生きてて、本当に良かったっ…!!」
「すまなかったな。黙っていて」
「…ううん、謝るのは私っ!。私はあの時、貴方を裏切ってしまったっ!親衛隊隊長だった私は、何があっても貴方についていかないといけなかったっ!」
「俺は気にしてないんだけどな。あれは俺が悪いと思っているし」
「それでもっ!私だけはっ!貴方を裏切ってはいけなかったっ!!」
「…今、それを後悔して、俺の為に頑張ってくれているんだろ?…なら、それでいいじゃないか」
その言葉を聞いたカレンは、また泣き崩れた。
「っ!!……ありがとうっ!もう、絶対に貴方を裏切らないからっ!道を間違えたりしないからっ…!!」
「ありがとう、カレン。俺の為に頑張ってくれて」
泣き崩れたカレンを見て、ルルーシュは少し困った顔したが、苦笑いを浮かべて、そう呟いた。
それから少し時間が経ち、カレンが落ち着いてからルルーシュは今までの事を話していた。
「なるほどねぇ。ゼロレクイエム後は、ルルーシュとC.C.は旅をしていたんだ」
「あぁ。C.C.はともかく、俺は1箇所に長く居られないからな。それに今、C.C.は扇と藤堂から追われているから、この問題が終わるまでジェレミア達に匿ってもらっているんだ。まぁ、その後も、ちょっとした事情でしばらくいるつもりだが」
「そうね、今、C.C.が追われてるんだから、何処かに身を隠すのが安全だしね。……ところで、そのちょっとした事情って、C.C.が少し辛そうにしてた事に関係あるの?」
「……」
急に口を閉ざすルルーシュに、カレンが、どうしたんだろ?と、疑問に思っていると、C.C.が口を開いた。
「ルルーシュ、別に言っていいじゃないか。隠す事でもないし。あと私から伝えさせてくれ」
「まぁ、そうだな…。わかった」
「どうしたの?」
「いや、ちょっとした事情っていうのは、私の事で間違いない」
「…何処か悪いの?」
「悪いわけじゃないさ。私は今、妊娠しているんだ」
「………へ?鰊?」
「定番のボケをありがとう。鰊じゃなくて妊娠だ。私は、お腹の中に、ルルーシュの子がいる妊婦さんだ」
「ええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
それを聞いたカレンの、驚きの絶叫が辺り一面に響いた。
「え!?いつ!?今何ヶ月!?それを、どうしてもっと早く言わなかったの!?」
「少し落ち着け、カレン」
「落ち着けるわけないでしょ!?今、大丈夫なの!?安静にしていないとダメじゃない!!今すぐラクシャータさんの所に連れて行かなきゃ!!でもナイトメアじゃ負担がかかっちゃう!!どうしよう!?」
「……この驚き方は、俺たちの予想の斜め上だな」
「……いい具合にテンパってるな。…どうする?」
「……落ち着くのを待つしかないだろ」
「……そうだな」
ルルーシュとC.C.は、暴走したカレンが落ち着くのを待つ事にした。
ちなみに、ジェレミアはサザーランド・ジークをチェックをしており、アーニャはモルドレッドを取りに行っていたりする。
「へぇ〜、今は3ヶ月なんだ〜」
落ち着きを取り戻したカレンは、C.C.の妊娠の状況を聞いていた。
「あぁ。だから、C.C.が出産してからも子供が大きくなるまでは、ここにいる事にしたんだ」
「私達は不老不死だから、ずっと傍にいられないのが残念だが、この子が少しでも悲しまないように、幸せにするつもりだ」
「…そっか。おめでとう、2人とも」
「「ありがとう」」
そう微笑むルルーシュとC.C.を見て、カレンは、幸せそうでよかった…。と、思うと同時に、絶対に守り抜いてみせると、決意した。
そうしていると、上空にスザクが乗る航空艦が到着した。
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第27話
ルルーシュ達は上空に現れた航空艦に乗り、ルルーシュとC.C.は医務室に向かい、他の3人は格納庫で機体のチェックをすることにした。
そして、その医務室にはルルーシュとC.C.、スザクとラクシャータがいた。
「お腹の子は大丈夫みたいねぇ。だけど、あんま無茶したらだめよぉ?」
今、C.C.は医務室のベッドで横になり、ラクシャータに、お腹の中にいる子を見てもらっていて、問題ないことに安堵した。
「よかった…。…すまないな」
「別にいいわよぉ、ゼロから説明は受けてたしぃ」
そう言ってラクシャータは、心配そうにC.C.の手を握っているルルーシュの方を見た。
「あなた…変わったわねぇ。ゼロの頃とは大違い」
「そうか?」
「えぇ。…ごめんなさいね、あなたに全てを押し付けてしまって」
「俺は気にしてないから別にいい」
「…ありがとう」
そう言うルルーシュに、ラクシャータは、周りには聞こえない程の小さな声で、そう呟いた。
「ところでスザク、状況はどうなっているんだ?」
今までのやり取りを、医務室の扉の横から見守っていたスザクに、今の状況を聞いた。
「オレンジ農園に襲撃をした者たちは、神楽耶に言って国際手配をすると同時に、今、団員に追わせてるよ。それと、襲撃を指示したと思われる扇を確保しに、東京政庁に向かわせたんだけど、そこに扇はいなかったんだ」
「…逃走先の目星はついてるのか?」
「あぁ。おそらくカンボジアだ」
「カンボジア?どうしてそんな所に?」
「その国で、ギアスの研究施設が見つかったんだ」
「…なんだと?」
「僕達は、カンボジアにギアスの研究施設があるのと、藤堂がいるという情報を掴んだから、そこに団員を派遣しようとしてたんだけど…」
「…その時に、オレンジ農園が襲撃されたのか」
「うん。…C.C.のお腹の中にいる子もそうだけど、本当に君達が無事で良かったよ」
「ジェレミアとアーニャ、そしてカレンのおかげだよ」
そう言ってスザクとルルーシュは、苦笑いを浮かべた。
「そうなると、扇はギアスを手に入れた可能性があるのか」
「いや、その可能性はないよ」
「…何故断言できる?」
扇がギアスを手に入れた可能性がないと断言するスザクに、ルルーシュは、首を傾げながら聞いた。
「カンボジアにはトロモ機関があっただろ?そこには前、シュナイゼルがいたからね。シュナイゼルに聞いたら「そこでは、人工ギアスの研究はしておりません。してたのはコードについての研究で、難病の治療に活かせるかどうかを調べることでした」って言ってたよ」
「なるほどな。なら、扇は藤堂と合流しに行っただけか」
「たぶんね。扇と藤堂は今、戦力を集めてるんじゃないかな?一応、ルルーシュのギアスと、C.C.の資料は持ってるから、それを使って僕達に仕掛けてくると睨んでる」
「それで?どうするんだ?」
「当初の予定では、斑鳩をカンボジアに派遣して、星刻に指揮してもらうつもりだったけど、黒の騎士団の幹部全員と団員の半数をカンボジアに派遣することにした。残りは合集国からの依頼があった場合に動けるよう待機かな。星刻は待機組に回ってもらうことにする」
「そうか。あと、これから俺達は、この航空艦で過ごせばいいんだろ?」
「そうだね。流石に、C.C.の事がバレた今は危険だから、退屈かもしれないけど、しばらくは、ここで過ごしてね」
「わかってる。…すまないな、迷惑かけて」
「これぐらい大丈夫だよ」
ルルーシュからの謝罪を、スザクは苦笑いで受け止めて、夜も遅いというのもあり解散する事となった。
C.C.は今日一日は医務室で過ごす事になって、ルルーシュはそれに付き添うことにした。
「ルルーシュ、起きているか?」
4人が解散してからしばらく時間が経ち、ルルーシュとC.C.は眠りにつく為に、同じベッドで横になっていた。
「起きてるぞ。どうした?」
「…肩はまだ痛むか?」
「もう痛みはない。だから大丈夫だ」
「そうか…、すまなかった。私がもっと動けていれば、撃たれずに済んだのに」
「気にするな。お前は今、妊娠しているんだから、俺の身体より自分の身体の心配しろ。それに、お前を守る為なら、この身を盾にしてでも守るさ」
「やめてくれ!そんな事!……私はお前に何かあったら嫌なんだ…。今の私は…もう、孤独に耐えれない。お前がいなくなったら、私はもう生きていけないんだ…」
「C.C.…」
「だから、本当にやめてくれ…、そんなこと…」
そう言いながら身体を震わすC.C.を、ルルーシュは優しく抱きしめた。
「…すまない、今のは失言だった。…安心しろ。俺はお前を置いて消えたりしない。生きる時は2人一緒に生きていくし、死ぬ時は2人一緒だ。…だから怯えるな。俺は、何があってもお前の傍にいるから」
「……あぁ、絶対だぞ?…ずっと、私の傍にいるんだぞ?生きる時も、死ぬ時も…。私を置いていくなよ…?」
「あぁ。指輪を渡した時も約束したが、今も約束する。絶対にお前を置いていかない。…生きる時も、死ぬ時も一緒だ」
そうしてルルーシュとC.C.は、互いにの温もりを感じるように抱き合いながら眠りについた。
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第28話
ルルーシュ達が航空艦に来てから1週間が経ち、その間にC.C.は、扇達にバレてしまったのだから変装する必要はないと思い、髪を元に戻し、カラコンを外していて、ルルーシュもある事をする為に、髪色と髪型を元に戻し、カラコンを外していた。
「暇だなぁ…」
「仕方ないだろ。お前の姿がバレて、外に出かけられないんだから。あと、お前は妊娠しているんだから安定期に入るまで、おとなしくしていろ」
ルルーシュとC.C.は、航空艦内にある2人の部屋におり、ルルーシュは読書をしているが、C.C.は何もしていないので、暇をしていた。
「おいルルーシュ、読書をしていないで、私をかまえ」
「読書しながらでも、お前をかまっているだろ…。ゲームでもするか?」
「なんのゲームだ?」
「チェスとか?」
「却下だ。私が負けるからつまらん」
「えぇ…。じゃあ、何か提案でもあるのか?」
「トランプで、ババ抜きなんてどうだ?」
「えっ?ババ抜き?」
C.C.がババ抜きを提案したら、ルルーシュがC.C.をガン見し、考えてる事がわかったC.C.はキレた。
「…おい。お前、何考えてる。この航空艦からノーロープバンジージャンプでもしたいのか?手伝ってやるぞ?」
「……俺が悪かった。冗談だから、その顔をやめてくれ。…かなり怖い」
「まったく…」
ルルーシュとC.C.のやり取りを、遊びに来ていたカレンは呆れ半分、驚き半分で見ていた。
「あなた達、変わったわね…」
「ん?そうか?」
「黒の騎士団にいた時、そんなやり取りしてなかったじゃない」
「まぁ、こいつの事を童貞坊やって言ったりして、からかったりはしていたが、こうやって、冗談を言い合ってはいなかったな」
「もう2度と言われたくないあだ名だ」
そう言うルルーシュに、C.C.とカレンは苦笑いを浮かべた。
「安心しろ、もう言うつもりはない。…ところで、スザクは星刻を呼びに行っているんだったな?」
「ああ。星刻にも俺の事を伝えておこうと思ってな」
「たぶん、星刻驚くわよ?」
ルルーシュは、こうやって黒の騎士団に匿ってもらっているから、星刻にも自分が生きている事を教えておこうと思い、変装をやめて、元の髪型や髪色、カラコンを外したのである。
「なんなら、ナナリーにも生きてる事を伝えてやればいいのに」
「星刻には必要があると思ったから教えるだけで、必要がないのなら無闇に教えるつもりはない」
「ほんと、あなたって頑固よね…」
「なんとでも言え。…しかし、妙な気分だな。C.C.が追われていたから黒の騎士団から逃げていたのに、こうして黒の騎士団に匿われるというのは」
「それは確かにな」
「その件は、うちの元バカどもがとんだご迷惑を…」
ルルーシュの言葉に、カレンは頭を下げて謝罪し、C.C.とルルーシュは苦笑いを浮かべた。
「別に責めてるわけじゃないさ。カレンも苦労してたんじゃないか?」
「それは、苦労してたけどね…」
カレンは苦笑いを浮かべた。
「それとカレン、聞きたいことがあるんだが」
「なに?」
「ゼロレクイエムの真実を知っている人間は、他に誰がいるんだ?」
「天子様と神楽耶様は知ってるわよ。あとは玉城も知ってるわね」
「…天子様と神楽耶はまだわかるが、玉城だと?」
「あの考えなしが真実に気づくなんてありえるのか?」
「…まぁ、あなた達の気持ちはわかるけど。玉城は最初、扇さんに閣僚に誘われてたのよ。でも、玉城はそれを断って、理由を聞いてみたら「ゼロに…ルルーシュにあんな事させた俺達に、そんな資格はないんだ」って言ってね。後悔してるのなら黒の騎士団でルルーシュが創ってくれたこの世界を守らないか?って聞いたら「俺に黒の騎士団は荷が重い」と、それも断られて。今は日本でバーを経営してるわよ」
「だから、記念パレードに玉城の姿が見えなかったのか」
「ふーん、私をゼロの愛人と言っていたアイツがなぁ」
「……それ、初耳なんだが?」
「今、初めて言ったからな。当然だ」
記念パレードの時、姿が見えなかったのは玉城で、本人は、記念パレードの参加を断っていた。
「それと玉城のヤツ、私以外の、当時の黒の騎士団メンバーと連絡を取らなかったのよ。「ゼロの事を悪く言う奴らとは話したくない。…そんな事を言う資格、俺達にはないっていうのに…」とか言って」
「…玉城が真実に気づく事は予想外だったな」
「ほぅ、アイツ自覚あったのか。だが、許してやるつもりはないがな」
「お前な…」
「あはは…」
そんな事を言うC.C.にルルーシュは呆れて、カレンは空笑いをするしかなかった。
そして3人はスザクが星刻を連れてくるまで、他愛もない話を続けた。
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第29話
ルルーシュとC.C.、カレンが他愛もない話をしばらくしていると、スザクから通信が入った。
『皆、星刻を連れてきたよ』
スザクはまだ、ルルーシュが生きている事を伝えてないので、音声だけに設定して、通信を入れていた。
『今、ブリッジにいるけど、そっちに行こうか?』
「どうする、C.C.?」
「私は大丈夫だ。運動がてら、ブリッジに向かうよ」
『わかった。じゃあブリッジで待ってるよ』
C.C.が妊娠しているため、スザクがルルーシュ達の部屋に向かおうか聞いたが、運動がてら、ブリッジに向かうと返事をした。
「無理はするなよ?」
「安心しろ。今は大丈夫だから」
「辛くなったら言ってね?私が運んであげるから」
「そうなった場合は頼むよ」
そうして、3人はブリッジに向かった。
「ゼロよ、私に紹介したい人物とはいったい?」
星刻はスザクから「紹介したい人がいるからちょっと来て」と、言われて、この航空艦へ連れられてきた。
「ここではスザクでいいよ。僕の正体を知ってる人しか乗ってないから。…で、紹介したい人っていうのは、来てからのお楽しみって事で」
「はぁ…?まぁ、いいが…」
そうするとブリッジの扉が開いたので、スザクと星刻は扉の方を向いて、星刻は固まった。
「C.C.大丈夫かい?」
「あぁ、大丈夫だ。…まったく、全員心配しすぎだ」
「当たり前だよ。皆、君とルルーシュの事を大切だと思ってるし、なにより、君は妊娠してるんだから。それに、君に何かあったら、君の夫が滅茶苦茶落ち込んで、何を仕出かすかわからないからね」
「……まぁ、否定はしないが」
「…頼むから、ここでは否定してくれ。……流石に恥ずかしい」
「ねぇ、星刻が固まったままなんだけど…」
そうカレンに言われて、全員が星刻の方を向くと、口をパクパクと動かす星刻の姿が見えた。
「ル、」
「「「「ル?」」」」
「ルルーシュの亡霊!?!?」
「ふんっ!!」
「ごふっ!?」
ルルーシュの事を思わず亡霊と呼んだ星刻は、その言葉を聞いたC.C.による全力の右ストレートを腹に受けて沈んだ。それを見ていた他の者は「「「うわぁ…」」」と、声をあげた。
「おい、このロン毛。私の愛しい夫に対して亡霊発言とはいい度胸してるじゃないか?えぇ?喧嘩売っているのか?買うぞ?」
亡霊発言に完全にブチ切れていらっしゃるC.C.が、星刻に詰め寄っていた。
「す、すまない。…いや、しかし!!ルルーシュは胸を刺されて死んだんだぞ!?なら、亡霊と思うしk…」
「ふんっ!!!」
「ぐはっ!?!?」
「学習能力が無いのか?だからシュナイゼルにいいように使われるんだ。おい、聞いているのか?2度も私の愛しい夫に亡霊発言とは面白い根性してるな?えぇ?何か言ったらどうだ?」
「シ、C.C.そこまでにしましょ?ほら、あなた妊婦さんなんだし。それに、それ以上は星刻が空の向こうに旅立ってしまうから…」
また亡霊発言に、C.C.は全力のハイキックを星刻の顔面に直撃させ、再度沈ませてた。それを見たカレンが、ビビりながらもC.C.を落ち着かせようとしてた。
ちなみに、ルルーシュとスザクは完全にビビっており、ルルーシュはC.C.をブチ切れさせるような事は絶対にしないと心に誓った。
その後、立ち直った星刻はC.C.に土下座し(星刻はC.C.に対して完全にビビっていた)、ルルーシュにも謝罪して、今までの事を教えてもらっていた。
「なるほど、スザクに刺された時に、そのコードとやらを継承して、不老不死になってしまったと」
「あぁ、その通りだ。ゼロレクイエム後は、C.C.と世界を旅してたんだ」
「そうだったのか。……すまなかった。お前を裏切り、世界を背負わせてしまって…」
「別に俺は気にしてないから、なんとも思ってないんだがな」
「そうか…。私は、お前やスザクに返しきれない恩がある。だからこの命、天子様だけではなく、お前達や、世界の為に使っていく事を誓おう」
そう言う星刻に、ルルーシュは苦笑いを浮かべた。そして、オレンジ農園の状況を見に行っていたジェレミアとアーニャが帰ってきて、ブリッジにやってきた。
「ルルーシュ様、C.C.様、ただ今戻りました」
「ルルお義兄様、C.C.お姉様、ただいま」
「「おかえりジェレミア、アーニャ」」
「ジェレミア卿、オレンジ農園はどうでした?」
「屋敷は、地下がちょっとボロボロだが基本は無事だ。だが、オレンジの木が半分近くダメになっていた」
「うん。ちょっと悲しかった」
「我が忠義の証がダメになっていたのは残念だが、ルルーシュ様とC.C.様を守れたのだ。今はそれで満足しよう」
「全てが終わったら俺とC.C.は、しばらくオレンジ農園に世話になるから、その時は手伝おう」
「私も手伝うさ」
「有難いお言葉です!ルルーシュ様!C.C.様!」
そう言って涙を滝のように流すジェレミアに、皆が苦笑いを浮かべた。
「そういえば、スザク」
「なんだい、ルルーシュ?」
「C.C.がバレた原因って、なんだったのかわかるか?」
「あー…。一応わかるんだけど、ちょっと言いにくいかなぁ」
スザクの言葉に、皆が首を傾げた。
「えーっと…。君達、4人で車に乗ったことあるでしょ?」
「何回かあるが…。それがどうかしたか?」
「最近、かなりのスピードを出した事なかったかい?」
「…あるな。C.C.を病院に連れて行ったときだな。あれは生きた心地がしなかった」
「私もしなかったよ。まぁ、私の為にスピードを出したわけだから、文句は言わないが」
「その時、C.C.の髪型を変えていなかっただろ?」
「そう言えば、それどころじゃなくて、C.C.の髪型をポニーテールにしていなかったな」
「でね?その時のスピードがオービスに引っかかって、写真を撮られてたんだ。それに、あまりにも凄いスピードで病院に入っていったから、目撃情報が多数あってね…」
「「「「…は?」」」」
C.C.の居場所が見つかった理由が、しょうもない理由だった事に固まってしまったルルーシュとC.C.、それにカレンと星刻。アーニャはジェレミアを凄い顔で見ており、ジェレミアは大量の冷や汗を流していた。
「…え?そんな、しょうもない理由で見つかったの?」
思わずカレンがそう呟いた。
「…ジェレミア」
「な、なんだ、アーニャ?」
凄い顔で呼ぶアーニャを、ジェレミアは震えながら見た。
「何か、言い残すことは、ある?」
「………我が忠義に一片の悔いなし」
「ふんっ」
「ごふっ!?」
「それじゃ、逝こうか?」
そう言って腹に拳が突き刺さり、沈めたジェレミアを引き摺りながら、何処かへ行くアーニャ。
そして…
「のわあああああああああぁぁぁぁぁ!?!?!?」
航空艦にジェレミアの絶叫が響いて、ブリッジに残った者達の、深いため息が漏れた。
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第30話
前回のC.C.マジ切れ事件から数日が経ち、ルルーシュとC.C.は、自分達の護衛として一緒にいる事が多くなったカレンと、ルルーシュ達の私室でテレビを見ながら話をしていた。
「神楽耶が今回の責任を取って、評議会議長を辞職したな」
「まぁ、仕方ないさ。元々は、あのモジャモジャ頭を捕まえて辞職するつもりだったんだろうし」
「神楽耶様は次期首相が決まるまでは、首相代理として活動してくみたいよ?とりあえずは復興を優先的に進めるって言ってたけど」
「当然だろ。日本の復興の遅さは酷過ぎるからな」
神楽耶は日本での出来事や、不正所持していたナイトメアの事を全て公開し、その責任を取って評議会議長を辞職したのだ。そして必要ならば、日本の合集国からの脱退もすると発言していたのだが、各合集国のトップからの信頼が厚いことから、神楽耶が日本のトップになるのなら、合集国から脱退はしなくていいという話になり、神楽耶は次期首相が決まるまでなら、と言って、首相代理を務める事となった。
「で、その扇は犯罪者として国際手配されたわけだ」
「いつ仕掛けてくるんだろうな?私やルルーシュのギアスについての情報を持っているんだから、思えば今仕掛けることも出来るはずだろ?」
「いや、殆ど俺とC.C.の情報は意味をなさないはずだ」
「どうして?」
「…犯罪者が用意した情報を、信じる国のトップがいると思うか?」
「「あー…」」
「やるにしても、神楽耶が日本の復興を順調に進めたら、その時点で詰みだから、復興の妨害をして、上手く進んでいないのを確認してからの公開だろうな。…成功する可能性は低いが」
「その前に公開したら?」
「唯のバカだ。扇は、さっさと俺とC.C.の情報を公開するべきだったんだ。そしたらC.C.を国際手配して、黒の騎士団に正式な依頼として出せて、もっと簡単に事を進めれたはずだ」
「……やはり無能は無能のままだったのか…」
「正直、今の扇は脅威にならん。問題は、扇が人工ギアスを手に入れてしまった場合だ」
ルルーシュは、今の扇なら脅威いならず、黒の騎士団に見つかったら即消えて、問題は人工ギアスを手に入れた場合だと考えていた。
「事前にギアスの情報を入手できたら、その対策を考える事は出来るが、それが無理ならギアスを効かない俺たt…俺が対処するしかないだろ」
「おい、何故言い直した?私も含めろ」
「今のお前は流石に危険だろ。人工ギアスがコードを継承出来る可能性が残されているんだから。…安心しろ。お前を独りにするつもりはないから」
「……それならいい」
自分を置いていくつもりなのかと、不安になったC.C.だったが、ルルーシュから、独りにするつもりはないと言われ、安心した姿を見せた。
「とりあえず、今は戦力の確保と、人工ギアスを探す事しか出来ないはずで、時が経って仕掛けてきたときは、扇が人工ギアスを手に入れた時だ。…バカだったら、今、仕掛けてくる可能性はあるが」
「なるほどね。…いい時間だし、食堂に行ってお昼ご飯でも食べましょ」
そうしてルルーシュとC.C.とカレンは、食堂へご飯を食べに向かった。
一方カンボジアでは、日本から逃げてきた扇が藤堂と合流して話し合いをしていた。
「藤堂さん、戦力はどんな感じですか?」
「いろんなテロリストグループを取り込んではいるが、流石に黒の騎士団と互角に戦える戦力はまだ無いぞ?それに、向こうには紅蓮があるんだ。このまま戦えば確実に負ける」
「そうですか…。どうしましょうかね?」
「こちらにはギアスの情報があるんだ。それを使ってどうにかするしかないんじゃないか?」
「そうですね。とりあえず今は戦力の確保をしつつ、人工ギアスの調査をしましょうか」
「承知した」
扇と話し合いを終え、別れた藤堂は、自分達が置かれた状況は、ほぼ詰み状態という事を理解していた。
(自分たちの置かれた状況は、ほぼ詰みと言っていいだろう。…最初は、日本の為になるのなら、どんな泥でも被るつもりだったが、気づけば引き返せないところまで来てしまった。…俺はいったい、どこで選択を間違えてしまったのだろうな…)
そう考えながら藤堂は、仲間に指示をしに向かった。
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第31話
この航空艦に来てから随分と時が経ち、C.C.のお腹が少し大きくなっていた。
「少しお腹が大きくなってきたわね。今、何ヶ月だっけ?」
「今、5ヶ月だよ。やっとつわりも治ってきた」
カレンが少し大きくなったC.C.のお腹を見て、妊娠何ヶ月なのかを聞いていた。
そのカレンは、いつも通りにルルーシュとC.C.の部屋に来て、部屋にある椅子に座り、C.C.はベッドの上でルルーシュに頭を撫でられながら膝枕をされていたりする。
今、オレンジ農園の襲撃から2ヶ月が経っており、その間に扇達の居場所が判明していたので、ルルーシュがカレンに扇達の隠れ場所を聞いた
「カレン、扇達の居場所が判ったんだろ?一体どこに居たんだ?」
「中華連邦よ。ギアス嚮団があった場所に隠れてたみたいなのよ」
「お前も中華連邦に向かうんだろ?いつ行くんだ?」
「あなた達の神根島での用事が終わった後よ。明後日に神根島に行くんでしょ?」
「あぁ。私が安定期に入ったからな。ラクシャータから許可が出た」
最近、C.C.が安定期に入った事でラクシャータから許可が出て、2日後に神根島に行く事になっていた。
「神根島の中には、あなた達だけで行くんでしょ?大丈夫なの?」
「中には俺達だけで行くが、外でスザクとアーニャ、それにカレンが待機して、ジェレミアがサザーランド・ジークに乗って周辺の警戒をするんだから大丈夫だろ」
「そしてラクシャータが私の体調や、お腹の中にいる子に何かあった場合の為に、用具を持って待機しているんだ。安心できるだろ?」
「まぁ、そうだけど、心配なものは心配なのよ。あなた達、揃って無茶するじゃない」
「俺は父親になるんだ。流石に無茶はしないし、C.C.にも無茶させないさ」
「そういう事だ。私も母親になるんだ、無茶はしないよ。…それより、星刻はもう中華連邦にいるんだっけ?」
「えぇ。準備をする為にね」
星刻は中華連邦で戦いの準備をしており、勝手に戦闘をするわけにはいかないので中華連邦のトップである天子には事前に報告をしてあった。アーニャとジェレミアは神根島に行く為の準備をしており、スザクとラクシャータは話し合いをしていたりする。
「まぁ、中華連邦の事は私達に任せて、あなた達はここでゆっくりしてなさい!」
そうカレンはルルーシュとC.C.に言って、今回で決着をつけて、この2人が安心して過ごせるようにしてみせると決意した。
「ラクシャータ!!これは一体どういうことだ!?」
ラクシャータと話し合いをしていたスザクは、格納庫である物を見せられ、そしてラクシャータに詰め寄っていた。
「なんで、これがここにある!?」
「なんでって…、保険よ保険」
「何の保険だ!?あの2人を、また戦わせるつもりか!?」
スザクが見つけた物、それは、蜃気楼の姿をしたランスロット・アルビオンではなく、少し大きくなってはいるが本物の蜃気楼であった。
「安心なさい。私はそんな事は思っていないし、使われないのであればそれが一番良いと思っている。だから今までこうやって隠してたんじゃない」
「じゃあ、何故この機体がここにある!?」
「最後の手段よ。…貴方、この艦が無敵でも思っているの?今はステルス機能でバレてないけど絶対じゃないし、それに武装はブレイズルミナスのみ。もし、この艦が沈みそうになった時、貴方はどうするの?あの2人に、沈む艦と一緒に沈めとでも言うの?」
「そうならない為に自分とジェレミア卿、そしてアーニャがいる!カレンだっている!!」
「でも、絶対じゃない。しかもカレンは後日、中華連邦に行くじゃない。戦闘になったら一応、私もナイトメアで出るつもりよ?その為に機体を持ってきたわけだし。だけど、それで守りきれるとは限らない。…あの2人を守りたいなら、ちゃんと策を考えなさい。貴方は今、"ゼロ''なのよ?」
「……わかった。自分が悪かった。…で、この蜃気楼は、ルルーシュが乗っていた蜃気楼と同じなのか?少し大きい感じがするが…」
「ふぅ…、同じじゃないわよぉ。この機体は元々ルルーシュとC.C.が黒の騎士団にいた時に、2人の専用機として作られた機体で、あの戦いが終わった後に、次世代機として改修してあったのを、この2ヶ月であの2人用に急ピッチで設定し直したのよぉ」
「どうな風に改修していたんだ?」
「まず、この機体はエネルギーフィラーが2つあって、紅蓮と同じタイプのエナジーウイングがついてるわぁ。まぁ、ある程度の速度は出るけど紅蓮並みには出ないよう設定して、第8世代よりは速い程度にしてあるけど、エナジーウイングで全身を覆う防御姿勢のまま高速移動が出来るようにはなってるわよぉ。で、武装面での変更はないけど、機体出力を底上げして、ブレイズルミナスを両腕とモルドレッドと同じように周囲に展開出来るようにしてあるわぁ。絶対守護領域も健在で、ドルイドシステムはルルーシュ用に設定し直したわよぉ。あと、機体操作をオートで出来るようにもしてあるわねぇ」
「さらに防御寄りにさせたのか」
「まぁ、そんな感じねぇ」
この蜃気楼のスペックを聞いたスザクは、もしもの時はこの機体があの2人の盾になるのかと考えた。
その頃、ブリタニア国内ではある者が準備をしていた。
「ルルーシュにギアスを与えた魔女が、ゼロに匿われているのか…」
その者…コーネリア・リ・ブリタニアは、匿名で送られてきた情報で、ギアスを与える事が出来る魔女、C.C.がゼロに匿われていると知らされていた。
「ギアスの源を匿うとは、やはりゼロは信用ならんな…。…ギルフォード!今すぐ私の部隊を全て集め、ゼロの居場所を特定させろ!」
「イエス!ユア、ハイネス!」
そう返事をして、ギルフォードはコーネリアの部隊に連絡をしに行った。
「ギアスの源…、必ず排除してやる…!」
ギアスに囚われた者、コーネリア・リ・ブリタニアが今、動き出そうとしていた。
機体部分のところを書き直しました。
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第32話
前回から2日経ち、ルルーシュ達は、神根島にある遺跡の前に来ていた。
「ルルーシュ、C.C.、気をつけてね?」
「わかっている」
「ルルお義兄様、C.C.お姉様、無茶しないでね?」
「安心しろアーニャ。私はC.C.だからな」
「…いや、その返しは意味わからないから。まぁ、周囲は私達が守ってあげるから安心しなさい!」
「任せたぞ?…行くぞ、C.C.」
「あぁ」
ルルーシュとC.C.は、手を繋ぎながら壊れた遺跡に触れた。
すると、遺跡が光って震え出し、2人の身体が少しずつ消えていった。
「ここは何も変わってないな」
黄昏の間に着いたルルーシュとC.C.は、上にある集合無意識体を見ていたが、何かを感じたC.C.はルルーシュに声をかけた。
「…ルルーシュ」
「あぁ。…隠れてないで出てきたらどうだ?シャルル・ジ・ブリタニア」
ルルーシュがそう言うと、シャルル・ジ・ブリタニアとマリアンヌ・ヴィ・ブリタニアが姿を現した。
「…気づいておったのか」
「あぁ。お前がCの世界に飲み込まれただけで、死んではいない事はな。…元々死んでいた母さんが、ここにいる事は想定外だが」
「その通り。儂等はCの世界に飲み込まれた後に、死んでおらぬ事に気づいた。そして、しばらくの間はCの世界から出てこれなかったが、少し前に、ここに来れるようになったのだ」
「久しぶりね、ルルーシュ、C.C.。理屈はわからないけど、私もこうやって自分の肉体を持って出てこれたのよ」
「だが、来れるのはここまでよ。黄昏の間から外には出ては行けぬ」
「なるほど。Cの世界に飲み込まれた事には変わりないから、現実世界には出て行けないわけか。…俺がここに来た理由は、世間話をしに来たわけではない。色々と聞きたい事があるからだ。答えてもらうぞ」
「…よかろう。何から聞きたい?」
「まず、何で俺にコードを継承させた?」
「…救う為だ」
「……は?」
シャルルから救う為だと言われ、理解が出来なかったルルーシュ。
「…お前はふざけているのか?永遠の命を押し付けることの、どこに救いがあるんだ!それに俺を…俺達を捨てておいて、今更救うだと!?」
「…お前、死ぬ気でおっただろ?」
「………は?」
「明日が欲しいと言っときながら、お前は死ぬ気でおっただろ?」
シャルルにそう言われて、確かに、当時は死ぬ気でいたためにルルーシュは固まる。
「……何故そう思う?」
「ここに来た時、自分を儂と一緒に閉じ込める気でおったではないか。それに儂はお前の父なのだ。息子の考える事なんて判る」
「…今更、父親面するつもりか?」
「確かに今更だ。…だが、Cの世界に飲み込まれた事によって理解した。儂等がやってきた事が、どれほど愚かな事だったのか。どれほどお前達を傷つけてきたのかを。今なら、ナナリーの笑顔の意味も理解出来る。…お前の言う通り、強制された素顔に意味はなかったのだ」
そう言うシャルルに、C.C.が声をかけた。
「…シャルル、私はお前達と同士だったから、こんな事を言う権利はないとは思う。だけど、あえて言う。……ふざけるなよ?今更そんなこと言ったって、お前たちがやってきた事が許されるとでも思っているのか?散々ルルーシュを否定してきて、そして望んでもいなかった永遠の命を押し付けて、今更許されると思っているのか!?答えろ!シャルル・ジ・ブリタニア!!」
「…許される事ではないと、理解しておるわ。救う為と言いながら、永遠の命という地獄を押し付けた事も許される事ではない。だが、それでも儂等は、ルルーシュとナナリーを愛しておるのだ」
「愛しているだと!?ルルーシュを捨てておいて、よくそんな言葉を言えたな!?」
シャルルに向かって怒鳴るC.C.を、ルルーシュが止めに入った。
「もういい、C.C.」
「よくない!!」
「もう、いいんだ。…ありがとう、俺の為に怒ってくれて」
「ルルーシュ…」
ルルーシュは落ち着かせる為にC.C.を抱きしめて、シャルル達の方を向いた。
「それに、今ならわかるんだ。…お前達は計画を優先した。だがそれでも、俺が望んだ形では無かったが、確かに俺達の事を愛していたんだ。それに、Cの世界から出てこれた理由も何となくわかった。お前達は明日を望んだから、Cの世界から出てこれたんだ。…それを俺が否定するわけにはいかない。…それでも、今までやってきた事を許す気はないが」
「…そうか」
ルルーシュの言葉に、シャルルはそう呟いた。するとマリアンヌがある事に気づいた。
「C.C.、少しいいかしら?」
「なんだ?私は、お前の事も許すつもりはないぞ?」
「それは許してもらえるとは思っていないけれど…って、そうじゃなくて!…あなた、少しお腹大きくないかしら?」
「当たり前だ。このお腹の中に、ルルーシュの子がいるんだから」
「……はい?」
C.C.がそう言うと、マリアンヌが目を見開いて驚き、シャルルも同様に驚いた。
「と言う事は、あなた、母親になったの?」
「あぁ、そうだ。だからルルーシュを傷つける事は絶対に許さない」
その言葉を聞いたマリアンヌは俯き、その姿を見たC.C.は少し警戒した。
「……C.C.?」
「…なんだ?」
「これから私の事を、お義母様と呼んでね!!」
「…は?」
「まさかルルーシュが結婚して、その相手がC.C.で、しかも、もう子供までいるなんて!ねぇ、今、何ヶ月なの!?名前は決めたの!?あぁ、孫から何て呼ばれるのかしらぁ〜!」
「えぇ…」
顔を輝かせながら暴走しだしたマリアンヌに、C.C.は引き、ルルーシュとシャルルは固まった。
「ほらC.C.!私の事をお義母様と呼んで!!お義母さんでもいいから!!!」
「……ルルーシュ!!助けてくれ!?」
「…おい、母さんを止めてやれ」
「…あの状態になったマリアンヌは、儂には止めれん」
暴走するマリアンヌと、助けを求めるC.C.を見たルルーシュとシャルルは、深いため息を吐いた。
それはまるで家族としての関係を取り戻したかのような姿だった。
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第33話
前回のマリアンヌの暴走からしばらく経って、マリアンヌが落ち着いたのを確認してからルルーシュはシャルルに本題を聞いた。
「次と言うか、本題だ。俺はお前に、コードと人工ギアスについて聞きに来た」
「何を聞きたい?」
「まず始めに、コードを消す方法だ。手段はあるのか?」
「それについては儂もわからん。あるのかも知れぬが、儂は知る事が出来なかった。…すまぬな」
「まぁ、この件に関しては期待してはいなかったからいい。…次だ。人工ギアス保有者はコードを奪えるのか?」
「それは不可能だ。出来るのは、コード所有者から与えられるオリジナルのギアスと、同じコード所有者のみだ。所謂コピーである人工ギアスでは、コードを奪う事はなどできぬ。これは兄さん…V.V.が実験して既に確認済みだ。…何故このような事を聞く?」
「…人工ギアスを手に入れ、C.C.のコードを奪おうとしてる者がいるから確認しただけだ」
「ルルーシュ、C.C.を狙ってる者をここに連れていらっしゃい。生きてる事を後悔させてあげるから。義娘を狙うなんて、いい度胸してるじゃない」
「……母さんは黙ってて下さい。話が進みませんから…」
「マリアンヌ…、お前、そんな奴だったか…?」
ルルーシュとC.C.は、凄い顔になってるマリアンヌを冷や汗を流しながら見て、この人、なんか性格が変わってないか…?と、思いつつ、話を進めた。
ちなみに、シャルルも冷や汗を流しながら、マリアンヌを見ていたりする。
「つ、次だ。人工ギアスというものは、誰でも手に入れる事が出来るのか?」
「誰でもというわけではない。コード保有者から与えられるギアスよりは可能性はあるが、結局、王の資格が無ければ手に入れる事はできぬ。仮に手に入れたとしても、強制的にギアスを発現させるわけだから、廃人になって植物人間になる可能性がある」
「人工ギアスは、能力を選ぶ事が出来るのか?」
「選ぶ事はできぬ。そもそもギアスというものは、自身の願いを具現化する力だ。そして人はいくつかの願いを持っておる。その複数ある願いの1つを、ランダムに具現化されるのが人工ギアスだ」
「なるほどな…。では、次だ。何故、コード保有者であるC.C.が妊娠する事が出来た?俺の予想では、コードというものは、力の1つに継承した時の姿に戻す力があるはずだ。なら、C.C.が妊娠するのはおかしくなる」
「…ルルーシュよ、C.C.が妊娠した事に不満があるのか?」
「違う!気になっただけだ!」
「ルルーシュ………ぐすっ」
「C.C.!?本当に不満なんて思っていないからな!?俺の子を妊娠してくれて嬉しいからな!?だから泣かないでくれ!!…シャルル!お前、絶対に許さないからな!?」
「す、すまん」
「…あなた、少し、お話があります」
「マ、マリアンヌ!?ま、待ってくれ!?儂が悪かった!だからその顔でこっちに来ないでくれ!!」
シャルルが言った言葉にC.C.が涙目になり、それを見たルルーシュが慌ててC.C.を抱きしめながら慰めて、マリアンヌが凄い顔になって、C.C.が涙目になった原因のシャルルに詰め寄り、説教を始めた。
…カオスである。
それから4人は落ち着きを取り戻し、話し合いを再開させた。
「と、とりあえず、C.C.が妊娠した理由だったな。…理由は、お前がコード保有者であるのと相性が良かったからだ。もし、お前がコードを持っておらんかった場合なら、C.C.が妊娠する事は確実に無い。それにお前が言った通り、コードには保有者を継承時の姿に戻す力がある。その力が働いて、お前の遺伝子を継承時に無かったものと認識して受け付けようとはしない。だが、お前との相性が良かったから、C.C.の身体がお前の遺伝子を受け入れたのだ。それでも妊娠する確率はかなり低いがな。…簡単に言えば、お前がC.C.と同じ時間を過ごせ、お前との相性が良かったから、奇跡的に妊娠出来たのだ。どちらかが無ければ妊娠する事はできぬ」
「なるほど…、まさに''奇跡''というやつか。産まれてくる子供に、コードが継承される可能性は?」
「あるわけないだろう。ギアスを持っておらぬのだぞ?」
「それもそうか。それを聞けて安心した」
産まれてくる子にコードが継承される可能性がない事を知ると、ルルーシュとC.C.は安堵した。
「では最後の質問だ。…お前達は、この空間では不老不死の存在か?」
「その通りだ。儂等はCの世界に飲み込まれたのだ。だからCの世界がある限り、歳を重ねぬし、死ぬ事もできぬ存在だ」
「理解した。…聞きたかった事も聞いたし、帰るぞ、C.C.。スザク達が待っている」
「わかった」
そう言って帰ろうとするルルーシュとC.C.に、マリアンヌが声をかけた。
「ルルーシュ、C.C.。…ごめんなさい、あなた達を辛い目に合わせて」
「そんな事は今更だ。私はお前達を許す事はない」
「そうね…」
C.C.の言葉にマリアンヌは、許されなくて当然だ、と、思った。そしてシャルルはルルーシュに声をかけた。
「…ルルーシュよ」
「なんだ」
「儂からお前にアドバイスだ。…産まれてくる子に、儂等がお前達にやれなかった愛をやれ」
「……そんな事は、言われなくてもわかっている」
「…そうか」
「…行くぞ、C.C.。……''また来る"。じゃあな、母さん、……''クソ親父''」
ルルーシュがそう言って、2人は手を繋ぎながら黄昏の間から消えた。
それの言葉を聞いたシャルルとマリアンヌは驚愕の顔をしていた。
「あなた…」
「あぁ。…あやつめ。…願おうマリアンヌ。あの2人が、幸せに生きる事を」
「えぇ…」
そう言うシャルルの顔は、優しい父親の顔をしていた。
…そうして2人は、Cの世界へと戻っていった。
黄昏の間から帰ってきたルルーシュとC.C.に、待っていたスザクが声をかけた。
「お帰り、ルルーシュ、C.C.」
「ただいま、スザク。…アーニャとカレンは?」
「あの2人は今、外を見に行っているよ。もうそろそろ帰ってくると思うけど」
スザクがそう言うと、外を見に行っていたアーニャとカレンが戻ってきた。
「ルルーシュ!C.C.!お帰り、いつ帰ってきたの?」
「今さっきな。ただいま、カレン」
「ルルお義兄様、C.C.お姉様、お帰り。…C.C.お姉様、体調大丈夫?」
「ただいま、アーニャ。私の体調は大丈夫だよ」
そう言ってC.C.は、アーニャの頭を撫でた。
「一応、航空艦に戻ったら、貴女のお腹の中にいる子の様子を確認するわよぉ」
「わかった」
ラクシャータの言葉に、C.C.は頷いた。
「スザク、航空艦に戻ろう。黄昏の間での事は、その後に話す」
「そうだね。用が済んだらここにいる意味もないし」
そうして5人は、航空艦が待機してる場所に向かっていった。
航空艦に向かってる途中、ルルーシュはC.C.に声をかけた。
「C.C.」
「なんだ?」
「…また、あの2人に会う為にここに来よう。あれでも結局は、俺の''親''に変わりないんだ」
「…そうだな。今度は産まれた子供と一緒に」
「…あぁ、俺とお前と子供の3人で」
そう言うと、ルルーシュとC.C.は空を見上げた。
((俺達(私達)の子供に会わせてやるんだ。…感謝しろよ?母さん(マリアンヌ)、クソ親父(シャルル)…))
残念ながら扇の今までの行動は無意味でした
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第34話
神根島でシャルル達との話し合いから2日が経った。ルルーシュとC.C.は、自室でゆったりしており、ルルーシュは読書、C.C.はチーズ君を弄って遊んでいた。
「今頃、カレンは中華連邦で作戦会議でもしてるんだろうなぁ」
そう呟くC.C.の言う通り、神根島から戻った翌日に、カレンは紅蓮で中華連邦へと向かっていった。
「おいルルーシュ、暇だぞ」
「知らん。……冗談だから、そう拗ねるな。ほら、こっちに来い」
「フン…」
自分が言った冗談に拗ねてしまったC.C.を呼び寄せ、膝枕をして頭を撫でた。
「俺が悪かったから、機嫌を直せ」
「…またこうやって、私を子供扱いする」
「子供扱いしてるつもりはないんだがな。…まぁ、確かに暇だな。やる事もないし、昼寝でもするか?」
「…そうだな」
ルルーシュは、たまにはこうやって昼寝をして過ごすのも悪くないな。と思いながらC.C.に腕枕をして、一緒に昼寝をする為に目を閉じた。
ルルーシュとC.C.が昼寝をしている頃、中華連邦ではカレンと星刻が作戦について話し合いをしていた。
「作戦決行は明日で、地上のナイトメアについては私と星刻、そして中華連邦の軍で抑える事でいいのよね」
「あぁ。天子様が軍を出してくれてな。おかげで作戦を立てやすくなった」
「ほんと、天子様には感謝しないとねぇ〜」
「地下については、私とカレンを除く黒の騎士団の全勢力で抑えるつもりだ。…でも、扇達も報われないな。アイツ等の行動が全て無意味なのだから」
「人工ギアスではコードを継承出来ないと知ったら、扇さん、発狂しちゃうかもねぇ〜」
カレンは星刻に、ルルーシュとC.C.から聞いたコードと人工ギアスについて話してあった。
「まぁ、だからと言って容赦はしないけどね。…ルルーシュは今まで、世界の為に自分自身の幸せを捨ててまで戦ってきた。そしてC.C.は、そんなルルーシュをずっと隣で支えていた。そんな2人は今、幸せな時間を過ごそうとしていて、その中で2人の間に子供も出来た。それなのに今、C.C.が狙われている。…絶対に守る。そして、ここで終わらせるんだ。」
「そうだな。…ここで終わらせよう」
そうカレンが言い、星刻はそれに同意した。
スザクが航空艦内にある自室で作業をしていたら、ブリタニアから通信がきたので、何だろうか?と思いつつ通信を繋げた。
「…私だ」
『あ、スザク君?お久しぶり〜』
通信を繋げると、モニターにはロイド・アスプルンドが映り、それを確認したスザクはゼロの仮面を外し、口調を元に戻した。
「ロイドさん?どうかしたんですか?」
『ちょっと気になる事があってねぇ〜』
「気になる事?」
『……陛下、生きてるでしょ?』
そう言うロイドに、スザクは驚いてしまった。
「…どうして、そう思うんですか?」
『少し前に、C.C.と一緒にいる男の目撃情報があってねぇ〜。あのC.C.が陛下以外の男と一緒にいるはずないしぃ〜?』
「……ロイドさん。その目撃情報ってまさか…」
『ジェレミア卿の爆走事件でぇ〜す!』
「やっぱり…」
ロイドか言う目撃情報とは、少し前のジェレミアによる爆走事件の事であった為、スザクは自分の頭を抱えるしかなかった。
「と、言う事はセシルさんも…?」
『気づいてまぁ〜す!あとニーナ君も!』
「ですよね…。はぁー…」
思わず深いため息をついてしまうスザク。
「そうすると、神楽耶も、知ってる可能性があるのか…。でも、知らない可能性もあるから確認出来ないし…」
『まぁ、いいんじゃない?君に確認しないと言う事は、ゆっくり生きてほしいと思ってるからなんじゃないの?ゼロレクイエムの真実を知ってるわけだしぃ〜?』
「…そうかもしれませんね」
『でさぁ、スザク君。…もし、陛下に何かあったら僕たちにも言いなよ?僕たちも陛下には幸せに暮らしてほしいと思ってるんだから、なんだってするよ?』
「…わかりました。その時はお願いします」
『まぁ、それだけだから、じゃあねぇ〜』
そう言って通信を切るロイドに、相変わらずだなぁ、と思うスザクであった。
−ブリタニア本国−
「ギルフォードよ、ゼロの居場所が判ったと言うのは本当か?」
「はい。間違いありません」
「そうか」
ブリタニアではコーネリアが遂に、ゼロの居場所を突き止めていた。
「それで、居場所は?」
「日本の神根島上空です」
「神根島か…。よし、私の全部隊に伝えよ。これより神根島へ向かうと」
「イエス!ユア、ハイネス!」
「…その存在を消し飛ばしてやるぞ、不老不死の魔女よ。その為に私は秘密裏に''アレ''を手に入れたのだ」
そう言ってコーネリアは、歪んだ笑みを浮かべた。
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第35話
翌日、航空艦にてルルーシュはC.C.に、ある重要な話をしようとしていた。
「なぁ、C.C.」
「ん?なんだ?そんな真面目な顔をして」
「…お前、ウェディングドレスを着てみたいと思った事はあるか?」
「………は?」
急にそんな事を言うルルーシュに、C.C.は意味がわからないという表情をした。
「どうした?急に?」
「いや、俺が存在を知られてはいけないせいで、お前にウェディングドレスを着せてやれてないじゃないか。でも、もし、お前が着たいのなら、それを叶えてやりたいなと思ったんだ」
「……確かにウェディングドレスを着てみたいという気持ちはある。まぁ、私も女だ。憧れというものがあるな。でも、お前に負担をかけてまで着たいとは思わないぞ?」
「着てみたいという気持ちが、あるにはあるんだな?」
「あるにはあるが…。でも、さっき言った通り、お前に負担がかかるわけだから…」
「大丈夫だ。何とかしてみせるさ。…だから待ってろ、俺が必ず、お前にウェディングドレスを着せてやる」
「……そうか。…なぁ、ルルーシュ」
「なんだ?」
「……ありがとう」
そう言ってC.C.は、ルルーシュに笑顔を見せた。
それからしばらく時間が経ち、中華連邦では、扇達を捕まえる作戦が決行されていた。その中、地上の戦場を駆ける紅蓮のコクピットの中で、カレンは敵ナイトメアを撃墜させながら違和感を感じていた。
(おかしい…。幾ら何でも、敵ナイトメアの数が少な過ぎる。扇さん達は確かテロリストグループを吸収して、かなりの戦力は確保していたはずなのに、この少なさは…)
カレンがそう考えていると、神虎に乗っている星刻から通信が入った。
『カレン、お前も気づいているか?』
「えぇ。幾ら何でも、ナイトメアの数が少な過ぎる。何かの罠が仕掛けてあるかもね」
『あぁ。私が撃墜させたナイトメアの数はまだ4だ。そちらは?』
「私は6よ。予想では60機近くのナイトメアが、敵にいるはずだったわよね?」
『50〜60程だと予想はしていたが、実際には20機程度しか確認されていない。それに地下に関しては、行方がわからなかった騎士団メンバーはいるが、ナイトメアは1機もいない』
「扇さんたちは、まだ見つかっていないのよね?」
『まだ報告はないな』
カレンと星刻が話し合っていると、地下にいる騎士団の幹部から通信が入ってきた。
『星刻総司令、カレンさん、地下を粗方調べましたが、扇達の姿が見当たりません』
『なに?』
『それと、捕まえたメンバーから話を聞き出したんですが、最初はここに居たみたいですが、最近になって戦力の殆どを連れて、何処かへ向かったみたいです』
「何処に向かったかはわかるの?」
『そこまでは…。ですが、この話が嘘の可能性もありますので、引き続き調査してみます』
『よろしく頼む』
そう言って、幹部との通信を終えた。
「星刻、どう思う?」
『戦力の大半を連れて行くという事は、何かを見つけたという事になる』
「ギアスの研究施設とか?」
『その可能性が高いだろうな。何かデータが残っていればいいが…』
カレンと星刻がそう考えていると、斑鳩から緊急通信が入った。
『総司令、カレンさん!大変です!ゼロからの救援要請で、カレン総隊長を至急、自分の所へ向かわせてほしいと!!』
『何かあったのか?』
『確認したところ、ブリタニアのコーネリア軍がゼロの元へ進軍してるみたいです!!』
「なんだと!?」
コーネリア軍が、ゼロがいる航空艦に進軍してるいるという事に、星刻は驚愕して、カレンは言葉を失った。
「そんな…どうして…」
『わかりません!それと、ゼロがいる地域に、謎の集団が向かっているという情報もあります!』
『しまった!?扇達が見つけたのは研究施設ではなくて、C.C.の居場所だったか!?……カレン!紅蓮のエナジーは!?』
「余裕があるからもう向かっている!!」
星刻はカレンに紅蓮のエナジー残量を確認しようとしたが、カレンは紅蓮のエナジーにかなり余裕があったので、謎の集団が向かっていると聞いた瞬間に、ゼロ…そしてルルーシュとC.C.がいる神根島へ向かっていた。
「コーネリア軍がゼロに接触するまでの時間は!?」
『予想ではあと40分です!』
「間に合わない!?紅蓮でも1時間はかかっちゃう…!」
『私達も向かうぞ!全団員に伝えろ!半数はここで、中華連邦の軍と連携して調査を続けろ!残りの半数は私と共にゼロの元へ向かう!急げ!!』
『了解しました!』
星刻が黒の騎士団にそう指示をしてる中、カレンは全速力で神根島へ向かいながら、無事を祈るしかなかった。
(ルルーシュ!C.C.!お願いだから無事でいてよね…!)
そうして紅い閃光となった紅蓮が、神根島へと駆けて行った。
−神根島周辺上空−
「これはどいう事だ?コーネリア?」
ゼロの姿をしたスザクは、部隊を展開しながらこちらへ向かって来ているコーネリアに対して、通信で問いかけた。
『なに、お前が不老不死の魔女を匿っているという情報を、匿名から提供されてな。その魔女を引き渡してもらいにきた』
「(匿名からの情報…。まさか扇か!?)…何の事だ?確かに今、保護している女性はいるが、お前が言う、魔女を保護などはしていない」
『その女が魔女だと言うのだ。引き渡さない場合は、貴様等を武力を持って排除するが?』
スザクとコーネリアが話してる間に、ジェレミアとアーニャは自分の機体に乗って出撃する準備をしており、ラクシャータはルルーシュとC.C.に、蜃気楼の機体説明をしていた。
「…仮にそちらに渡した場合、どうなる?」
『簡単な事だ。ギアスの源を生かしておくつもりはないからな。存在を消滅させるだけだ』
「(存在を消滅させるだと?一体どうやって…。)それを聞いて渡すと思うか?それに、ナナリー皇帝陛下が許すとでも?」
『許すさ。あの子は優しいし、ギアスが悪という事を理解している。何も問題ない。ユフィの仇を取るんだから』
(コイツ、狂っているのか?ナナリーが許すわけないだろ。それに、僕が言えた事ではないけど、ユフィだってこんな事は望んではいないはずなんだ。それがわからないのか?)
コーネリアの歪んだ笑みを見たスザクが、そう思っているとジェレミアから通信が入った。
『ゼロよ、私とアーニャの出撃準備が完了した。よろしいな?』
「構わん」
『了解した。では、出撃する!』
そう言ってジェレミアが出撃し、アーニャもそれに続いていった。
『サザーランド・ジーク、それにモルドレッドか。それが答えでいいな?』
「元々、お前に引き渡す気はない」
『そうか、ならば魔女共々ここで滅びよ』
そう言って、コーネリアは通信を切った。
(相手はコーネリア全軍だ。黒の騎士団に、カレンをこちらへ向かわせるように伝えてはあるが、間違いなく間に合わない。…最悪、僕たちが囮になって、ルルーシュとC.C.を遠くへ逃がし、ロイドさんたちに後をお願いしよう)
スザクはそう考えながら、自身も出撃する為に格納庫へと向かった。
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第36話
もっと上手く書けるようになりたい…。
格納庫に着いたスザクは、本物の蜃気楼の前で、ラクシャータから説明を聞いていたルルーシュとC.C.に近寄った。
「ルルーシュ、C.C.」
「どうした?スザク?」
「…すまない、君たちをまた機体に乗せる事になって」
「そんな事、気にするな」
「そうだぞ?私もルルーシュも気にしていないからな」
謝罪をするスザクに、ルルーシュとC.C.は苦笑いを浮かべた。
「それでスザク、どうするんだ?」
「…僕たちが敵ナイトメアを出来る限り減らす。そしたら君たちは蜃気楼に乗って出来るだけ遠くに逃げるんだ」
「お前たちは大丈夫なのか?」
「それはわからない。けど、ここで死ぬつもりはないよ」
「……わかった。気をつけろよ?」
「了解。…ラクシャータ、後は任せた」
「わかったわよぉ」
そうしてスザクは、蜃気楼の姿をしたランスロット・アルビオンに乗って出撃していった。
それから、スザクが出撃してから少し経った後に、戦闘は始まった。
「これは少し数が多いな」
スザクが、敵ナイトメアをスーパーヴァリスで撃ち抜きながら、そう呟く。
「明らかにコーネリアの部隊が所持していたナイトメアの数を超えている」
現在、コーネリア軍が展開しているナイトメアの数は80を超えていた。
『我が忠義の嵐、受けてみよ!』
『皆、纏めて記録にしてあげる』
サザーランド・ジークが誘導エネルギー弾を、モルドレッドがシュタルクハドロンを放って、複数の敵ナイトメアを撃墜させる。
『この数、少し面倒ではあるな。……っ、アーニャ!』
『わかってる』
ルルーシュとC.C.が乗る航空艦に向かおうとしたナイトメアに対して、アーニャがモルドレッドの誘導エネルギー弾を放ち、向かおうとしていた敵を撃墜する。
『ゼロ、このままでは押し切られる可能性があるぞ?』
『このままじゃあ、少しキツイ』
3人が敵ナイトメアの多さに少し苦戦していると、ラクシャータから通信が入った。
『ゼロ、今、カレンが日本上空を通過したって。あと少しで、ここに着くそうよ』
「そうか!…これで乗り越えられるな」
そう安堵した瞬間、ハドロン砲がコーネリア軍とは反対方向から放たれ、航空艦に直撃した。
「なに!?ラクシャータ!大丈夫か!?」
『大丈夫よ!ブレイズルミナスは抜いてない!』
スザクが攻撃してきた方をモニターで確認すると、そこには40機程ナイトメアを展開しながら、こちらに向かってくる航空艦がいた。
『見つけたぞ!!』
そう叫ぶのは暁 直参仕様に乗る千葉 凪沙だ。
「扇たちか!?…チッ、こんな時に…!ジェレミア、アーニャ、少しコーネリア軍の相手を任せる!」
『了解した』
『わかった。任せて』
新手の敵の正体を知ったスザクは、思わず舌打ちをして、ジェレミア達にコーネリア軍を任せて、扇達の相手をし始めた。
扇達の相手をし始めて、少し時間が経った後、敵艦から通信がかかってきた。
スザクが通信を繋げると、モニターには扇が映し出された。
『久しぶりだな、ゼロ!』
「…扇か。貴様もコーネリアと同じ目的か?」
『そうだ!C.C.を引き渡してもらいに来た!』
「はぁ…。今や、国際手配されてる犯罪者に、引き渡すとでも思うか?」
『なんだと!?』
「少しは考えろよ、無能。仮に犯罪者じゃなくても、ギアスを手に入れて、C.C.のコードを奪おうと企んでる貴様に、引き渡すわけないだろ」
『な、何故それを…!?』
「知らないとでも思ったか?私はゼロだぞ?それに、もう1つ目的があるみたいだが、もう無意味だしな」
そう言うスザクに、扇は悔しいそうな顔をする。
『なら、力ずくで…!』
「出来るのか?貴様等如きに?」
『バカにするな!これだけの戦力差があって、しかもコーネリア軍もいるんだ!』
「お前は本当に無能だな。お前達は昔、''ランスロット''のせいで痛い思いをしてきただろ?それに私はゼロだと言ったはずだ。その私には、今までこの場にいなかった、直接的な部下が1人いるんだぞ?」
『…は?』
『…そう言う事よ、扇さん』
その言葉が聞こえた瞬間、ナイトメアが複数爆発し、爆煙の中から紅蓮聖天八極式の姿が現れた
『お待たせしました!紅月カレン、只今より、この空域の戦闘に参戦します!!』
「よく来てくれた、カレン」
『なに!?カレンだと!?』
『ちなみに私も出て来たわよぉ』
『え!?ラクシャータさん!?』
航空艦から暁 直参仕様に乗って出てきたラクシャータに、カレンは驚愕した。
『流石に人手が足りないからねぇ。まぁ、あなた達よりは弱いけど、そこら辺の兵よりは動けるから安心しなさいな』
『無理はしないでくださいね?』
『大丈夫よぉ。基本サポートしかしないからぁ』
『それとゼロ、私以外にも、黒の騎士団の半数がこちらに向かって来てます』
「そうか。…カレン、エナジーは?」
『こんな事もあろうかと、私が今、紅蓮のエナジーを交換して、もうすぐ終わるわよぉ』
「わかった。…なら私は、コーネリア軍の相手をしてくる。こちらはカレンとラクシャータに任せてもいいか?」
『大丈夫です』
『大丈夫よぉ。…はい、交換作業終わりぃ』
『ありがとうございます、ラクシャータさん』
「では、任せた。危なくなったら伝えろ。こちらのフォローに入る。…死ぬなよ?」
『了解しました。…大丈夫、私はこんな所で''死ねない理由''があるから』
『私も、ここで死ぬ気はないからねぇ』
そう言ってスザクは、コーネリア軍の相手をする為にジェレミア達と合流しに向かった。
カレンも、扇達の相手をしようとした瞬間、こちらに向かってくる機体を確認した。
『紅月君!!』
「…藤堂さんか」
カレンは向かってくる機体…斬月を、攻撃を躱しながら冷たい目で見ていた。
「藤堂さん。あなた、何やってるんですか?」
『俺は日本の為に…!』
「あなたがやってきた事は、何一つ日本の為になってませんよ」
『それでも俺は…!』
「もういいです。もう容赦はしないと決めたので。…さよなら」
カレンは斬月の攻撃を躱した瞬間に、頭部を紅蓮の右手で掴み、躊躇なく輻射波動のスイッチを押した。
そして斬月は膨れ上がって爆発したが、パイロットの藤堂は、掴まれた瞬間に脱出していた。
『藤堂さん!?紅月、貴様!!』
それを見た千葉が、カレンに向かって叫ぶ。
「なんですか?」
『よくも藤堂さんを!!』
「私、言いましたよね?もう容赦はしない、と。それに、ちゃんと脱出してますし」
『許さんぞ!!』
そう言うと、千葉が乗る暁 直参仕様が廻転刃刀で斬りかかって来たので、それを避けながら呂号乙型特斬刀で左腕を破壊する。
「許さない?それは、こっちの台詞ですよ」
『紅月…!!』
「これで終わりです、千葉さん」
左腕を破壊した勢いのまま暁 直参仕様に飛燕爪牙を放ち、頭部と右腕を破壊する。
頭部と両腕を破壊された暁 直参仕様は緊急脱出装置が作動し、千葉が脱出したのを確認したカレンは小さく息を吐き、残った敵に対して宣言をした。
「ふぅ…。さぁ、かかってきな!私の''大切な友達''を狙うテロリスト共!この紅月カレンが、纏めて相手してあげる!!」
それは黒の騎士団エースパイロットで、世界最強ナイトメア、紅蓮聖天八極式を、完璧に操る最強パイロット、紅月カレンから敵に対する死の宣告だった。
藤堂、千葉、即退場。
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第37話
ジェレミアとアーニャは、たった2機でコーネリア軍と互角に戦っていたが、徐々に押され始めていた。
「流石に少しキツイな…!」
「数が多くて鬱陶しい…」
そう呟きながらジェレミアとアーニャは誘導エネルギー弾で、敵ナイトメアを撃墜させていき、敵機からの攻撃はブレイズルミナスを展開して防いでいた。
そこに、スザクのランスロット・アルビオンが合流する。
「すまない、大丈夫か?」
『少しキツかったけど、大丈夫』
『ゼロ、あちらは良いのか?』
「あぁ。カレンが来てくれたし、ラクシャータも出てきた」
スザクがそう告げながら、機体を敵の上空へと飛翔させ、エナジーウイングを広げると、そこから砲撃を行い、敵機を複数撃破する。
「あとは出来る限り数を減らすぞ。私が前に出る。ジェレミアとアーニャは援護を頼む」
『了解した』
『わかった』
そう言ってアルビオンが前に出て、サザーランド・ジークとモルドレッドはそれの援護を始めた。
「流石は、と言ったところか」
航空艦のブリッジで、スザク達がたった3機で自分の部隊と、数に押されていたとはいえ、互角に戦っている事に、コーネリアは素直に感心した。
「姫様、あれは本当に蜃気楼なのですか?スーパーヴァリスといい、エナジーウイングによる砲撃といい、攻撃手段が、あのランスロット・アルビオンに酷似しておりますが…」
コーネリアの傍に立つギルフォードが疑問を口にする。
「確かに、あの機体はランスロット・アルビオンなのかもしれんが、パイロットが枢木スザクという事はない。奴はダモクレスの戦いで戦死しているからな。恐らく、第9世代ナイトメアフレームという事で修復し、使ってるのかもしれん」
「なるほど。これから如何されます?」
「我等も出るぞ。扇の目的はコードを所持する事らしいが、それを許すわけにはいかない。魔女が乗っている航空艦に''アレ''を撃ち込み、全てを終わらせる。いいな?」
「イエス!ユア、ハイネス!」
そして、2人は格納庫へ向かった。
スザクは、敵ナイトメアの数が減ってきたのを確認して、ルルーシュに通信を入れた。
「ルルーシュ、敵の数がある程度減ったから、僕の合図と共に出撃して、遠くに避難するんだ」
『わかった。…死ぬなよ?』
「大丈夫」
通信を切り、敵の注意をこちらに引き寄せようとした時、ヴィンセントの指揮官機がこちらに突っ込んできた。
『ゼロ!姫様の為に、ここで落ちてもらうぞ!!』
「ギルフォードか!」
ギルフォードが乗るヴィンセント指揮官機が、ニードルブレイザーで攻撃して来たのを避け、メーザーバイブレーションソードで反撃しようとするが、ガレスのバドロン砲がこちらに向かって放たれたので、攻撃を中断してそれを回避する。
「ちっ…!、鬱陶しい…!」
その後、複数のヴィンセントがスザクに向かって、アサルトライフルで射撃し、それをアルビオンを巧みに操り避けていく。
「ジェレミア!ギルフォードの相手を頼む!」
『承知した!』
スザクは、ギルフォードをジェレミアに任せ、自分を狙ってくる敵機を相手しようとした時、航空艦に向かっていく複数の機体を確認した。
「アーニャ!ナイトメアが航空艦に向かった!追ってくれ!」
『わかった…!』
アーニャが追いに行こうとした時、航空艦に向かっているナイトメアから通信が入った。
『これで、チェックメイトだ、ゼロ』
「コーネリアか…!」
『そこで見ているがいい。全てが終わる瞬間を…!』
「なに?……っ貴様!何故それを持っている!?」
コーネリアが乗るヴィンセント指揮官機が構えた武器に、見に覚えがあるスザクは、急いでルルーシュに通信を入れた。
「ルルーシュ!今すぐ出撃するんだ!!コーネリアが''フレイヤ''を所持している!!!」
『なんだと!?わかった!!行くぞC.C.!!』
『わかっている!!』
だが、それよりも早く、コーネリアは引き金を引いて、フレイヤが発射された。
『これで終わりだ!滅せよ、ギアスの源!!』
そして、航空艦がフレイヤの光に飲み込まれた。
扇達の相手をしていたカレンとラクシャータは、後方で爆発したフレイヤの光を見て驚愕した。
「あれは、フレイヤ!?」
「そんな…!?どうして、フレイヤがこんなところに!?…ルルーシュとC.C.は!?2人とも無事なの!?」
扇も航空艦のブリッジで、フレイヤの光を確認した。
「何故この場所にフレイヤが…」
その後、フレイヤの光が収まると、突風が発生して、カレンは機体を安定させながら、スザクへと通信を繋げた。
「ゼロ!!あの2人は!?」
『…フレイヤの光に飲み込まれた。2人はコードを持っているから生き返るかもしれないけど、C.C.のお腹にいる子は…』
「そんな…!?」
すると、コーネリアが乗るヴィンセント指揮官機から、高笑いが聞こえた。
『ふはははは!!やったぞ!これで全てが終わった!!フレイヤは全てを消滅させる兵器!!例え、不老不死といえど、全てを消滅させられたら蘇ることなど出来るはずがない!!』
『コーネリア!!!キサマァァァァ!!!』
その言葉にジェレミアがキレて、コーネリアに向かって行くが、それをギルフォードが邪魔をする。
『姫様をやらせはせん!!』
『邪魔をするなぁ!!』
メーザーバイブレーションソードで攻撃してくるギルフォードに、ジェレミアは避けながら、ロングレンジリニアキャノンを放つ。
『お前達の負けだ!ゼロ!!……ちっ!』
『お前だけは、絶対に許さないっ…!!』
アーニャが、コーネリアに向かってシュタルクハドロン砲を放つが避けられ、そのコーネリアを守ろうと敵ナイトメアがやってくるが、アーニャは誘導エネルギー弾を放ち撃墜させていく。
『邪魔っ…!!』
カレンも怒りに任せて、コーネリアに向かおうとしたが、ゼロが一言も喋らないので、不安になって声をかけた。
「よくもっ!!……ゼロ?」
『…残念だったな、コーネリア。お前の企みは無駄だったようだぞ?』
そんな事を言うスザクに、コーネリアは不満を露わにし、カレンは首を傾げ、もしかしたら心が壊れてしまったのかと、不安になった。
『無駄だと!?魔女は確実にフレイヤの光に飲み込まれた!!寝言も大概にしろ!!』
『ならば、上空を見るがいい』
そう言われ、コーネリア、カレン、そしてジェレミアとアーニャがモニター越しで上空を見て、そして驚愕し、全員に通信が入った。
『…残念だったな?私はこうして健在だぞ?』
そこには、エナジーウイングで全身を覆い、周囲にブレイズルミナスと絶対守護領域を展開させ、ピンク、オレンジ、亜麻色の光に包まれた蜃気楼の姿があった。
何故、蜃気楼が光に包まれ、フレイヤから助かったのかは次回説明します
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第38話
ルルーシュとC.C.は、フレイヤの光に飲み込まれた瞬間に意識を失い、気がつけば真っ白な空間に立っていた。
「ここは…?俺たちは死んだのか…?」
「わからない…。でも、恐らく死んでしまったのだろうな。フレイヤは全てを消滅させる兵器だ。コードも関係なかったのだろうな」
そう言いながらC.C.はしゃがみ込み、そして、涙を流し始めた。
「出来ればっ、この子をっ…産んでやりたかった……!!」
「C.C.…」
ひたすら、ごめんなぁ…!と、お腹を撫でながら呟くC.C.にルルーシュも悲痛な思いを抱くが、ふと、今のC.C.の姿に、疑問が生まれた。
「なぁ、C.C.。…どうして、まだお腹に子供がいるんだ?俺たちは死んだんだろ?」
「ぐすっ………確かに」
今のC.C.の姿は、お腹が膨らんでおり、その中に子供がいるのがわかった。
「それは、あなた達が死んでいないからです」
女性の声がしたので、ルルーシュとC.C.は声がした方を向き、そして驚愕した。
「お久しぶりですね、ルルーシュ」
何故なら、そこには、ユーフェミア・リ・ブリタニアが立っていたからだ。
「ユフィ!?何故ここに!?」
「それは、こちらの台詞です!どうして、ルルーシュが''こちら側''に来ようとしてるのですか!!」
「…ん?''こちら側''?」
「そうです!あなた達、もう少しでCの世界に来るところだったのですよ!?死んじゃいそうになってたんですよ!?」
「いや、俺たちだって、死にたくて死のうとしてるわけじゃ…」
「お黙りなさい!!」
「えぇ…」
相変わらずの姿に、ルルーシュは呆れると同時に、懐かし思いをしていた。
「そうそう、ルルはこっちに来るべきじゃないかな〜」
「……シャーリー、君まで」
そこに、シャーリー・フェネットがやってきた。
「ルルはもっと幸せにならなきゃ!」
「……許されるとは思っていないが、俺は、君とユフィに謝らなければいけない。俺のせいで、君達は…」
「私は気にしてませんよ?あの時、ルルーシュは私の手を取ったではありませんか。運が悪かっただけですよ」
「…運が悪かったという言葉で、済ませてはいけないんだ」
「いいんですよ。それに、ルルーシュは私を止めてくれました」
「…その結果、君は死んだ」
「もう!!とにかく!私は、あなたを許します!!そもそも、気にしていないんですから!!」
その言葉に続くように、シャーリーもルルーシュに話しかけた。
「私も気にしてないよ。ルルは私の為に、ギアスをかけてくれたんだから。それに、ロロの事だって、私は許したよ?」
「シャーリー…」
「あの時も言ったけど、私はルルが好き。お父さんを巻き込んだとわかっても、嫌いになれなかった。全てを忘れさせてくれたのに、また好きになった。生まれ変わっても、また、好きになる。私は、ルルの''本当''になってあげたいって思ってたんだから。まぁ、今、ルルには奥さんが居るから、あれなんだけどね?」
そう言ってシャーリーは苦笑いを浮かべ、C.C.の方を向いた。
「C.C.さん」
「…なんだ?」
「私は、ルルの事が大好きです。生まれ変わっても、ルルの事を好きになります。でも、私じゃ、ルルの奥さんになれない。どんな辛い時だって、ルルの傍にいた貴女には勝てない。…だからルルの事、お願いします」
シャーリーの言葉に、C.C.は真剣な表情をして答えを返した。
「……あぁ。私は、これから先、何があってもルルーシュを裏切らない。どんな辛い時だって傍にいる。絶対に守ってみせる。だから安心してくれ。そして、生まれ変わっても、また、ルルーシュの事を好きになってくれ。…ありがとう、シャーリー。私はお前に会えて、誇りに思う」
「…ありがとう、C.C.さん」
C.C.の言葉を聞き、シャーリーは満足そうな顔をした。
そこに、1人の男がやって来た。
「兄さん」
「ロロ…」
やって来たのは、ルルーシュの弟である、ロロ・ランペルージであった。
「兄さん、僕は、お礼を言いに来たんだ」
「…お礼?」
「うん。…ありがとう、僕を兄さんの弟にしてくれて。僕は、兄さんのおかげで救われて、幸せになれたんだ」
「俺は、お前に何もしてやれてない。酷い事も言ったんだ。お礼なんて…」
「あれぐらい、なんでもないよ?それに、兄弟なんだから喧嘩ぐらいするさ」
「……そうか。…ロロ、礼を言うのは俺の方だ。お前のおかげで、俺は生きる事が出来たんだ。…ありがとう、俺を助けてくれて。…俺の弟になってくれて」
「…兄さんは、今、幸せ?」
「…あぁ。幸せだ」
「そっか。…C.C.」
「ん?」
「兄さんの事、頼んだよ?」
「…あぁ、任せろ」
ロロも満足そうな顔をした。
「だから、あなた達は、ここにいるべきではありません。それに、親になるんでしょ?」
「そうだよルル。早く戻らなきゃ」
「大丈夫だよ兄さん。2人…いや、3人は、僕たちが守ってあげるから」
笑顔で3人がそう言うと、ルルーシュとC.C.の身体が消え始めた。
ルルーシュは、それに驚きながら、一度目を伏せ、そして頭を下げた。
「ユフィ、シャーリー、ロロ、本当にありがとう…!」
涙声で言うルルーシュに、C.C.はそっとルルーシュの手を握り、3人に話しかけた。
「私は、ルルーシュの隣で支える。だから、お前達はCの世界から、ルルーシュを支えてくれ」
その言葉に3人は頷き、それを見たルルーシュとC.C.は、笑顔で言った。
「「行ってきます!」」
「「「行ってらっしゃい!」」」
そして、ルルーシュとC.C.の姿が、完全に消えていった。
ルルーシュとC.C.が、蜃気楼のコクピットの中で意識を取り戻すと、ピンク色、オレンジ色、亜麻色の光に包まれてる事に気づいた。
「この光は…」
「…あぁ。あの3人の光だ」
今、蜃気楼はフレイヤの光の中におり、その蜃気楼は、エナジーウイングで全身を覆い、周囲にブレイズルミナスと絶対守護領域を展開していた。
「…ありがとう、蜃気楼。俺たちを守ってくれて」
そう言って、ルルーシュは、フレイヤから出る為にドルイドシステムを弄り、C.C.は、操縦桿を握った。
「行くぞ!''セラ''!!」
「あぁ、行こう!ルルーシュ!!」
そして、蜃気楼はフレイヤの中から上空に向かって、全速力で飛び出して行った。
しばらくの間、更新が遅くなったり、できなかったりします。申し訳ありません。
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第39話
無傷の蜃気楼を見て、コーネリアは、驚愕しながら叫んだ。
『フレイヤに飲み込まれて、何故、生きているんだ!?』
「''ある人たち''が助けてくれたんだよ」
C.C.は、ユーフェミア、シャーリー、ロロの事を思い浮かべた。
『ある人たちだと!?』
「そうだ。まぁ、お前に教える気はないがな」
そう言ってC.C.は、機体をスザク達の方に向けた。
「すまなかったな。心配かけた」
『C.C.、大丈夫なのか?それに、その光はいったい…』
「それは後で説明するさ」
C.C.が大丈夫という事は、名前を出せないが、ルルーシュも大丈夫なはずなので、スザクは安堵した。
「ジェレミアとアーニャ、それにカレンも、心配かけたな」
『C.C.様、よくご無事で…!!』
『C.C.お姉様…!!』
『本当に、無事でよかったっ…!』
「ありがとう、心配してくれて。…とりあえず、この戦いに決着をつけるぞ」
そう言うC.C.に、カレンは驚きの声をあげた。
『あなた、まさか戦うつもり!?』
「あぁ。もう、逃げ続けるのも嫌になってきたからな」
『身体は大丈夫なの!?』
「大丈夫だから安心しろ。…それに、ギアスの力を悪用しようとしている輩を、許すわけにはいかないからな」
『…わかったわ』
C.C.の言葉を聞いたカレンは、納得するしかなかった。
「ゼロ。ここはお前とジェレミア、アーニャに任せ、私とカレン、ラクシャータは扇の相手をする。いいな?」
『了解した』
『承知しました、C.C.様!』
『ここは任せて、C.C.お姉様』
「頼んだぞ」
『行かせると思っているのか!?……くっ!?』
扇の相手をしに行こうとすると、コーネリアがこちらに向かって来たが、スザクがスーパーヴァリスで邪魔をする。
『邪魔をするな!ゼロ!!』
『するに決まってるだろ。それに、フレイヤを使われて、私がキレないとでも思ったか?』
そう言うスザクの目は、少し赤く光っていた。
「コーネリア、お前に言っておく。ギアスは悪なんかじゃない。''ギアスを悪用する奴''が悪なんだ。ちゃんと正しくギアスを使えば、人を救う事だって出来る。私は、それを知ることができた」
『お前がそれを言うか!?ギアスを与えて、人を不幸にしてきた魔女が!!ギアスは呪われた力だ!!その力は、人を不幸にする事しか出来ないんだ!!』
「…そうだな、否定はしないよ。私は、自分の目的の為に、たくさんの人を不幸にしてきた。だが、ルルーシュに出会えたことで、人を不幸にする魔女から変われたんだ。今の私は、ルルーシュ(魔王)を愛するだけの、ただのC.C.(魔女)だよ」
『それで、お前の罪が消えると思っているのか!?』
「思ってはいないさ。だから、私は出来ることをする。もう、誰かにギアスを与えるつもりはないし、ギアスを悪用させるつもりもない。だが、お前と違って、悪用さえしなければ、ギアスを持ってる者を殺そうとは思わずに、ただ見守るだけだ。…それと、お前は私の事を魔女と呼ぶが、ユーフェミアの願いを、想いを考えようとせず、ひたすらギアスは悪だと言って、ギアスを持つ者を殺そうとし、さらにはフレイヤを躊躇なく撃てる。…私より、お前の方が本当の魔女らしいよ」
『なんだと!?』
「さよなら、ブリタニアの魔女。…もう、お前と会うことはないだろう」
コーネリアにそう告げ、C.C.は、カレンとラクシャータを連れて、扇がいる所へと向かった。
C.C.達が、扇がいる場所へ向かった後、スザク達はコーネリア軍を圧倒していた。
『バカな…。こんなことが…』
「言ったはずだ。お前の負けだと」
『認められるものか!私は、まだ負けてなどいない!!』
コーネリアが乗るヴィンセント指揮官機が、アルビオンに様々な武器を使って攻撃をしかけるが、自身にかけられたギアスを利用しているスザクの、超越的な操作で避けられていく。
「C.C.は今まで、人々の悪意のせいで地獄を経験してきた。だけど皇帝ルルーシュに会った事で、その地獄から解放され、生きる喜びを知り、今はこの世界を、幸せに、ひっそりと見て回っていたんだ。なのに何故、それの邪魔をする?」
『今更そんな事、許されると思っているのか!?そしてユフィのためにも、ここで、あの魔女を殺さなければいけないんだ!!』
「今更なんかじゃない。今のC.C.は、お前と違って人を信じているんだ。あと、それはユーフェミアの為ではなく、お前の為だ。ユーフェミアの名前を、利用しているだけなんだよ、お前は」
『ふざけるな!!私はユフィの名を、利用していない!!』
「しているんだよ。こんなこと、ユーフェミアが望むはずがないと、姉であるお前が、何故気づかない?…ブリタニアの魔女よ、せめてもの情けだ。狂ったお前は、ここで終わらしてやる」
そう言ってスザクは、アルビオンを操って、ヴィンセント指揮官機に超高速で近づき、メーザーバイブレーションソードを、コクピットに突き刺し、スザクは、コーネリアのみに聞こえる個別通信に切り替えた。
『がはぁっ…!?』
「…お前は先にCの世界に行って、''ユフィ''に怒られてこい。そして伝えてくれ。''僕は、君の騎士になれて本当に良かった''、と…」
『な…に…!?おま…え…は、まさ…か…!?』
「私はユーフェミアの騎士であり、ルルーシュの騎士でもある者だ。…さよなら、コーネリア」
そして、コーネリアが乗るヴィンセント指揮官機が爆発した。
『姫様!?』
撃墜されたコーネリアを見たギルフォードは、ヴィンセント指揮官機をアルビオンに向けた。
『ゼロォォォォ!!』
こちらに向かってくるギルフォードを、対処する為に機体を動かそうとした時、横からシュタルクハドロンが放たれ、ギルフォードが乗るヴィンセント指揮官機に直撃した。
『記録、終了』
『ひ、ひめさま…。申し訳ございません…』
そう呟くと、ギルフォードが乗るヴィンセント指揮官機が爆発した。
「アーニャ」
『余計だった?』
「いや、ありがとう。…ブリタニア、コーネリア軍全員に告げる!たった今、コーネリアは私が討ち取った!全員、直ちに戦闘行為をやめ、降伏しろ!!しない場合は、コーネリア同様の処置を、取らせてもらう!!」
すると、コーネリア軍のナイトメアが戦闘行為を止めていき、それを見たスザクは、そっと息を吐いた。
ブリタニアのコーネリア軍と、スザク達の戦闘は終了した。
一方、C.C.達は扇と対峙していた。
「久しぶりだな、もじゃもじゃ頭」
『C.C.!?生きていたのか!?』
「あぁ。私には、死ねない理由があるんでな」
そう言ってC.C.は、後ろに乗っているルルーシュを見た。
「で、お前は私のコードを狙ってるらしいが、残念ながらお前はコードを持つことができないぞ?」
『な、なぜ!?』
「まず、人工ギアスではコードを継承出来ない。だから、コード所有者と契約しなければならない。そもそも、資格がなければギアスも、人工ギアスも発現はしない。お前には資格がないからな、ギアスを手に入れる事は出来ないだろう。残念だったな」
『そんな…』
「仮に契約出来たとしても、ギアスを悪用しようとしているお前とは、契約する気はない。それに、私はルルーシュで最後にするって決めてるんだよ」
C.C.の言葉を聞いた扇は、今までの行動が全部無駄だった事に、絶望を感じた。
「人は、ギアスの力に頼らなくても、努力をすれば''願い''を叶える事ができて、使い方次第では、人を救える事を私は知った。だから、ギアスを悪用されない為にも、ここで終わらしてやる」
C.C.がそう言うと、ルルーシュはドルイドシステムを操り、拡散構造相転移砲を放とうとした。
『邪魔はさせないよ!』
『あなた達は、ここで、おとなしく見ていなさいな』
それを見た敵ナイトメアが、蜃気楼へ攻撃しようとするが、カレンが操る紅蓮が、即座に輻射波動で撃墜させていき、ラクシャータは紅蓮の援護をしていく。
「これで終わりだ。…恨むのなら、ギアスじゃなくて、自分自身の愚かさを恨めよ」
そして、蜃気楼から拡散構造相転移砲が放たれ、扇が乗る航空艦を貫き、扇は爆散していく航空艦と運命を共にした。
『これで、終わったのね。…C.C.大丈夫?身体の事とか、お腹の中の赤ちゃんの事とか』
「あぁ。この光が守ってくれたからな」
蜃気楼を包む3色の光は、徐々に消えていく。
「ユフィ、シャーリー、ロロ、俺たちを守ってくれてありがとう…」
「私たちは、これからも生きていくよ。だから、Cの世界から見守って、そして支えてくれ」
(((私達(僕達)は、いつでも見守っているよ)))
ルルーシュとC.C.は、言葉のあとに、3人がそう言って微笑んでる姿が見えた気がして、その後に、蜃気楼を包んでいた3色の光は、完全に消えていった。
こうして、ギアスとC.C.のコードを巡る戦いは終結した。
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第40話
少し時間が経った後、黒の騎士団が到着したので、その場を星刻に任せ、神根島に機体を着陸させてルルーシュとC.C.は、フレイヤに飲み込まれた後に何があったのかを、話していた。
「ユフィ達が…」
「3人のおかげで、俺とC.C.、そしてC.C.のお腹の中にいる子供が助かったんだ」
「今は、Cの世界から私達を見守ってくれているよ」
ルルーシュとC.C.の話を聞いたスザクは、ありがとう、ユフィ…。それに、シャーリー、ロロも…。と心の中で感謝した。
「それで、ルルーシュ達はこれからどうするの?」
「俺は斑鳩に乗れないからな。オレンジ農園に帰るさ」
「今はあそこが、私とルルーシュの帰る場所だからな」
カレンの質問に、ルルーシュとC.C.はそう答えた。
「そういえば、神楽耶から連絡があったよ。「''ゼロ''から連絡があれば、オレンジ農園に向かう機体は見逃します。…本当に、申し訳ございません。日本があなた方2人に、とんでもない迷惑をかけてしまって…」だって。神楽耶は気づいてたみたいだね」
「そうか…。スザク、神楽耶にお礼を言っておいてくれ」
「わかったよ。カレン、君はルルーシュ達と一緒に、オレンジ農園へついて行ってくれ」
「それはいいけど、私もここに残って、後処理をしなくていいの?」
「いいんだ。それよりもお願いがあるからね」
「お願い?」
スザクのお願いがあるという言葉に、カレンは首を傾げる。
「君には、ルルーシュとC.C.の騎士になってほしい」
「……え?」
その言葉に、カレン、ルルーシュ、C.C.が驚く。
「…なんで?ルルーシュの騎士は、貴方じゃないの?あと私は、黒の騎士団に所属してるのよ?」
「黒の騎士団に関しては任せるよ。辞めるのもよし、そのまま所属するのもよし、君次第だ。それに僕は''ブリタニア帝国第99代皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア''の騎士であって、''ルルーシュ''の騎士じゃないし、そもそも、C.C.の騎士じゃないからね。それと僕は今、ゼロで、''枢木スザク''はもうこの世にいない。だから君に頼みたいんだ」
「ジェレミアさんとアーニャがいるじゃない」
「彼らもルルーシュとC.C.の騎士だけど、この先、何があるかわからないからね」
「……私には無理よ。私は、ルルーシュとC.C.を2回も裏切ってしまってるんだから。もう裏切る気はないし、2人の為に何でもしていくつもりだけど、前科があるから…」
「俺は別に大丈夫だが、C.C.はどうだ?」
「私も問題ないぞ?」
そう言ってカレンは断ろうとするが、ルルーシュとC.C.が了承した。
「2人とも…」
「前にも言ったが、俺は何とも思ってないし、カレンは俺たちの為に頑張っているじゃないか」
「そうだな。…お腹の子が大きくなったら、また旅に出る事になるが、それまではよろしく頼むよ。私達を…''友達''を助けると思って、な?」
「!!」
苦笑いを浮かべながら言うルルーシュとC.C.を、カレンは驚いた表情で見て、次第に涙を流していく。
「ありがとうっ…!!如何なる時も、あなた達を守り抜くと誓いますっ!我が主、そして、私の大切な友達、ルルーシュ、C.C.っ…!!」
カレンは泣きながら跪き、そう宣言した。
それからルルーシュ達はオレンジ農園へ、スザクは黒の騎士団に合流する為に移動しようとしていた。
「僕はこれから黒の騎士団に合流して、後処理をする。その後、神楽耶と会談をして、ブリタニアに戻るよ」
「そうか。…世話になったな」
「…ルルーシュ、C.C.、この先、何があっても、無茶はしないでよ?君たちは、すぐ無茶をするから」
「安心しろ。俺はもう無茶をするつもりはない。当分の間は、オレンジ農園で、皆とのんびり過ごしてるさ」
「私も無茶をする気はない。幸せに過ごせれば、それでいいからな」
「そっか。…それじゃ、またね」
「あぁ。元気でな、スザク」
そうして、スザクは黒の騎士団と合流する為、ルルーシュ達はオレンジ農園へと帰る為に機体に乗り、それぞれの目的地へと向かっていった。
オレンジ農園へと帰ってる途中、ルルーシュはC.C.に話しかけた。
「C.C.」
「なんだ?」
「ギアスを巡る争いが、これが最後だといいな」
「…あぁ。人は、ギアスに頼らなくても、全員がそうとは言わないが、努力すれば自身の願いを叶える事が出来るし、使い方次第では人を助ける事も出来る。…散々人を不幸にしてきた私や、ギアスを使って、世界を手に入れたお前が言えた事では無いがな」
そう言ってルルーシュとC.C.は、苦笑いを浮かべた。
「私はもう、誰かと契約する気はないし、お前も、誰かと契約する気はなく、私達はコードを押し付けるつもりもない。…これから先、私達以外にコード保有者がいなければ、新たな契約者が生まれる事はないはずだ。…これでいいのかもな」
「ギアスという力の存在を否定する気はないが、人には不要な力であることには変わりない。新たに契約者が現れない限り、ギアスはこのまま時代に残され、そして消えていく。これでいいんだ」
「ルルーシュ。まだ先の話になるが、世界をもう一度旅をした後、人目のつかない所で、しばらくの間、2人でひっそりと暮らそう。ギアスが、皆の記憶から消えるまで…」
「…そうだな。まぁ、当分の間は、皆とオレンジ農園で、賑やかに過ごそうか」
そうして、ルルーシュ達はオレンジ農園へと帰っていった。
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第41話
ルルーシュ達が、オレンジ農園に帰ってきてから1週間が経った。
「今、スザクと神楽耶が会談しているんだったな」
「神根島での戦闘について詳しく話して、日本の今後の方針を確認するとか言ってたわね」
と、C.C.とカレンはオレンジ農園の屋敷の1室で、椅子に座りながらお菓子を食べながら話していた。
先日、黒の騎士団が日本の元首相、扇 要と、ブリタニア皇女、コーネリア・リ・ブリタニア、そのコーネリアの騎士、ギルバート・G・P・ギルフォードの死亡を発表して、黒の騎士団元総司令、藤堂 鏡志朗と、それについて行った元団員の身柄確保も発表したので、その件についてスザクと神楽耶は会談をしていた。
「まぁ、私には関係ないだろうがな」
「そりゃ、政治の話しだからね〜。一応、私には関係してくるかもしれないけど」
「…その件に関してだが、本当によかったのか?」
「ん〜?何が〜?」
「私とルルーシュが旅に出た後、黒の騎士団に戻るんだろ?」
結局、カレンはルルーシュとC.C.が旅に出た後に、黒の騎士団に戻れるように籍を残していた。
「そのまま、戦いの世界から身を引いても良かったんじゃないか?」
「あなた達に約束したからね。この世界を守り抜くって」
「…そうか。でも、それを言い訳にして自身の幸せを捨てるなよ?」
「わかってるわよ。幸せになって、笑って逝くというのも約束したしね。それに、ここにいる間は、私のやってみたい事であった医学の勉強をするつもりだし」
「それならいいさ。…さて、外で作業をしてるルルーシュ達の様子でも見に行こうか」
「りょ〜かい」
そう言ってC.C.とカレンは、外で作業をしているルルーシュ達の所へ向かって行った。
一方、トウキョウの政庁では、神楽耶とゼロが会談をおこなっており、その会談も終わりを迎えようとしていた。
「本当にこの度は、我が日本が大変なご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」
「いえ、今回の件は、藤堂やその他の元団員を抑えられなかった、こちらにも非がありますので。…それで、先程仰ってた事は本当なのですか?」
「本当です。…日本は独自に、合集国が定めたナイトメアの所持上限数より、さらに少ない、所持上限を10機に定めさせていただきます」
神楽耶は、ゼロに日本がナイトメアを所持出来る機数を10機までと、独自に定める事を告げた。
「本当は、''あの方''が創ってくださったこの世界に、ナイトメアは必要ないと思っていますが、この先、何があるかわからないものですから…。それと、あなたにお願いがあります。私が首相を勤めてる間は大丈夫だと思いますが、もし、日本がまたナイトメアを不正所持してしまった時は、容赦なく罰してください。その時は、この命も貴方に差し上げます」
「…わかりました」
神楽耶の覚悟を聞いたスザクは、その願いを受け取った。
「ところで''スザク''。''ゼロ様''とC.C.さんはお元気ですか?…この部屋には、カメラや盗聴器などありませんから、仮面を取っても大丈夫ですよ?」
そう言われてスザクば、ゼロの仮面を取って苦笑いを浮かべた。
「急に僕の名前を呼んだから驚いたよ。…2人は元気に過ごしてると思うよ?ルルーシュとC.C.は夫婦になったし、C.C.のお腹の中には子供もいるしね」
「まぁ!それはおめでたい事ですわ!!」
「2人は、その子供が大きくなるまでは、オレンジ農園で平和に過ごすって言ってたから、たぶん10年ちょっとはオレンジ農園にいるんじゃないかな?」
「そうですか。…本当に、幸せそうでよかったですわ」
ルルーシュとC.C.が幸せに過ごしていることに、神楽耶は安堵した。
「あっ、そういえば、ルルーシュが神楽耶にお礼を言っといてくれだって」
「そんな…。私はお礼を言われるような事はしておりませんのに…」
「ルルーシュとC.C.は、ほんと性格が丸くなったからね。…いや、全てから解放されて、本来の優しい性格が表に出てきてるんだろうね」
そう言ってスザクは仮面をつけ直して席を立ち、それを見た神楽耶も席を立った。
「私はこれからブリタニアに戻り、今は予定が空いてませんが、予定が空き次第、ナナリー陛下とも会談をおこないます。…フレイヤという、最悪の兵器が使われてしまった以上、それを所持していたブリタニア側にも、非がないわけではありませんので」
「…わかりました。ナナリー陛下によろしくお伝えください。…そして、''ゼロ様''とC.C.さんにも、あなた方がこの先、幸せに過ごせる事を願っています、と…」
「ナナリー陛下に、そう伝えておきます。…ルルーシュとC.C.にも、必ず伝えるよ」
そうしてスザクは、トウキョウ政庁をあとにし、ブリタニアへと戻って行った。
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第42話
神楽耶とゼロの会談から3ヶ月が経ち、オレンジ農園もある程度の復興が終わっていた。
「かなりお腹が大きくなったな」
「あぁ。…すまんな。お前にかなり負担をかけて」
「別に気にする事ではないだろ?この時期、お前は大変なんだから」
「しかし、お前に八つ当たりとかしてしまってるし…」
自室のベッドに座っていたC.C.は、そう言って俯き、ルルーシュは苦笑いを浮かべた。
この時期、妊娠後期に入った為か、C.C.はちょっとした事でもイラついてしまい、ルルーシュやカレン達に八つ当たりをしてしまっていた。
「それはしょうがないさ。…それよりも体調は大丈夫か?」
「今は安定しているよ」
「そうか」
ルルーシュがC.C.の横に座ったら、C.C.が自分の肩に頭を預けてきたので、ルルーシュはその頭をそっと撫でた。
今、ジェレミアは外で作業をしていて、カレンとアーニャ、そしてC.C.が2、3ヶ月後に出産という事もあり、斑鳩からオレンジ農園にやってきて滞在しているラクシャータが、別室で用意を進めていた。
「皆がお前を支えている事を、忘れさえしなければ、いくらでも俺に八つ当たりをしても構わないさ」
「私を支えてくれてる事はわかっているよ。…ありがとう」
そうルルーシュとC.C.は、自室で穏やかに過ごしていた。
その頃、ブリタニアのアリエス宮の一室では、ゼロとナナリーが、黒の騎士団CEOと、ブリタニア帝国第100代皇帝という立場として会談をしていたが、少し前に終わった為、今は雑談をしていた。
「スザクさん」
「なんだい?」
「…まだ何処かに、フレイヤは残っているんでしょうか?」
「…それはないと思うよ。1年前にシュナイゼルが全て回収してダモクレスに搭載し、そのダモクレスも宇宙に消えていった。今回使われたのは、エネルギーの研究用としてリミッターをかけて所持していた、最後のフレイヤだ。だからもう、この世界にはフレイヤは1発も残ってないはずだし、製造することも出来ないよ」
フレイヤが製造出来ない理由は、ルルーシュがフレイヤの製造に関する情報を全て消去したことと、ニーナ以外の製造に関わった人物全員にギアスをかけて、忘れさせたからだ。
「…よかった。まだ何処かにフレイヤが残っているとなったら、お兄様になんとお詫びをすればいいか…」
スザクからそう告げられ、ナナリーは安堵した。
それから2人が、ゆったりと紅茶を飲みながら過ごしていると、
「あっ、そういえばスザクさん。お兄様とC.C.さんはお元気ですか?」
「…………へ?」
ナナリーがそう言ってきたので、スザクは驚きのあまり固まった。
「…どうして、そんな事を聞くんだい?ルルーシュはあの時…」
「大丈夫ですよ?お兄様が生きていらっしゃって、C.C.さんと一緒にいる事は知ってますので」
「…いつ、わかったんだい?」
「少し前に、凄い勢いで病院に入っていく車の目撃情報g「ズゴっ!!」…だ、大丈夫ですか?スザクさん?」
「だ、大丈夫だよ…。はぁ…、またジェレミア卿が原因か…」
ナナリーが気づいた原因が、またジェレミアの爆走事件だった事に、スザクは思わず転けてしまい、そして溜め息を吐いた。
「…ルルーシュとC.C.は元気で、幸せに過ごしてるよ。…ごめん、ナナリー。ルルーシュが生きている事を黙っていて」
「仕方ありませんよ。お兄様が生きている事が世間にバレたらダメなんですから。…そうですか。お二人は元気で、幸せに過ごされているのですね」
「うん。ルルーシュに会いたい?」
「…会いたいかと聞かれたら会いたいです。でも、私が…''ナナリー・ヴィ・ブリタニア''が会うわけにはいきませんし、''ナナリー・ランペルージ''としても会うことが出来ません。私の兄、''ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア''、そして''ルルーシュ・ランペルージ''は、この世にはもういないのですから。…幸せに過ごされているのなら、それでいいのですよスザクさん」
そう言って、ナナリーは微笑んだ。
「そっか。強いね、ナナリーは」
それを見たスザクは、そう呟きながら、ナナリーはこんなにも強くなったよ、ルルーシュ…。と心の中で呟いた。
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第43話
ルルーシュは今、オレンジ農園にある屋敷の1室の前に置かれた椅子に、祈るように座っており、その横にはジェレミアが立っていて、部屋の中からはC.C.の苦しそうな声と、カレンとアーニャ、そしてラクシャータの励ましの声が聞こえてきていた。
今、この屋敷で、新しい生命が生まれようとしていた。
朝、いつも通りに皆と一緒に朝食を取り、その後ルルーシュが食器を片付けてる間、ソファーで横になっていたC.C.がいきなり苦しみだした。
「〜〜〜〜〜〜っ!?!?」
「っ!?おい!?どうした!?」
C.C.の尋常じゃない苦しみ方に、ルルーシュは慌てて近寄り、他ごとをしていたカレン達も慌てて近寄ってきた。
「どうしたの!?C.C.!?」
「…カレン!今すぐC.C.をあの部屋に運んで!!これは陣痛よ!!」
「!?。わかりました!!アーニャも手伝って!!」
「わかった…!」
ラクシャータがそう指示をして、カレンとアーニャがC.C.を出産の準備がされてある部屋に運び、そこにルルーシュも一緒に入ろうとしたが、C.C.が待ったをかけた。
「ルルーシュは部屋の外で待っていてくれっ…!」
「は!?何言っているんだ!!俺も何か出来るかもしれn…」
「いいからっ。お前に私が苦しんでる姿を見せたくないんだっ…」
「しかし!」
「お願いだっ」
「……わかった」
その言葉を聞いたルルーシュは、C.C.が運び込まれてからずっと部屋の前で待っており、途中、ジェレミアが椅子を持ってきてくれたので、そこに祈るように座った。
C.C.が運ばれてからどれだけの時間が経ったかわからないが、ルルーシュが部屋の前で座っていると、中から赤ちゃんの泣き声が聞こえ、少し疲れた様子のアーニャが扉から顔を出した。
「ルルお義兄様、もう入ってきて大丈夫」
「……」
アーニャの言葉に、ルルーシュは返事をする事なく部屋の中に入った。
「…C.C.」
そこには、ベッドの上から、かなり疲れた表情を浮かべながらこちらを見ているC.C.がおり、そして、カレンの腕の中には赤ちゃんが元気に泣いていた。
「ルルーシュ、C.C.の側に行ってあげて?」
そしてルルーシュは、ゆっくりと、C.C.が休んでいるベッドの隣に来た。
「…ルルーシュ。その子を抱いてやってくれ。私達の子供だ」
C.C.がそう言ったので、カレンはルルーシュに赤ちゃんを渡す。
「はい、元気な女の子よ」
「…命が重たいのは知っていたが、赤ちゃんの命ってこんなにも重たかったんだな」
カレンから赤ちゃんを受け取ったルルーシュは、赤ちゃんの命の重たさを感じていると、C.C.が声をかけた。
「ルルーシュ、その子に名前をつけてやってくれ」
「いいのか?俺が名前をつけても?」
「あぁ。お前にお願いしたいんだ。私に、いろんな幸せをくれたお前に…」
「…わかった」
そう言ってルルーシュは目を閉じ、少し時間が経った後に目を開いて赤ちゃんの名前を口にした。
「…今日から、この子の名前は''リーシャ''だ」
「もしかしてルルーシュ、その名前って…」
ルルーシュが呼んだ名前の意味に気づいたカレン。
「あぁ。この子はシャーリーみたいに明るく、元気に育って、そして誰かを救える子になってほしい。だから''リーシャ''と名付けた。…ダメか?」
「いや、いい名前だよ。…これからよろしくな?リーシャ?」
C.C.はそう言って手を伸ばし、ルルーシュの腕の中にいる赤ちゃん…リーシャの頬に触れた。
「C.C.」
「なんだ?」
「…ありがとう」
「…礼を言うのは私の方だ。お前のおかげで私は数百年願い続け、そして途中で忘れてしまった''愛されたいという願い''を叶える事が出来た。そして、お前のおかげで私は幸せになれて、こうやって子供を産む事も出来た。……本当にありがとう」
そう言ってC.C.は微笑んで、ルルーシュは、そんなC.C.を抱き寄せて涙を流した。
「っ!!」
「…泣くんじゃないっ…!。私まで泣いてしまうではないかっ…!」
涙を流して、幸せを噛み締めながら抱き合うルルーシュとC.C.、そして2人の間にいるリーシャの姿を、カレン達も涙を流しながら見ていた。
そうして、この屋敷で新しい生命…リーシャが誕生した。
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第44話
オレンジ農園でリーシャが生まれてから約2週間が経った、ある日の夜、
「もっとだ!もっとピザを持ってこい!!もっと私にピザを食べさせろ!!!」
「いいだろう!その願い、この俺が叶えてやる!!…ジェレミア!!!」
「承知いたしました!!」
「「……」」
現在、C.C.はピザを凄い勢いで食べていて、ルルーシュもC.C.に負けない勢いでピザを作っており、それを見ているカレンとアーニャは言葉を失っていた。
ちなみに、ジェレミアは出来上がったピザを運ぶ作業をしている。
出産後、一般的には身体が元の調子に戻るのに1ヶ月はかかると言われているが、C.C.はコードを保有している影響からか、約2週間で元の調子に戻ったので、C.C.はピザを要求し、ルルーシュがそれに答えたのが今の現状だったりする。
「…ねぇ?そろそろ止めとかない?貴女、そのピザ12枚目よ?」
「何を言っている?私はまだ食べれるぞ?それより、お前たちはもう食べないのか?」
「私はいいかなぁ」
「私も…」
「なら、遠慮なく食べていくぞ?」
そう言ってC.C.は、食べるスピードを上げようとした瞬間、リーシャが泣き出した。
「「っ!?」」
「「えぇ…」」
リーシャの泣き声が聞こえた瞬間に、ルルーシュとC.C.はリーシャが寝ているベッドにもの凄い勢いで近づき、あまりの速さにカレンとアーニャは困惑した声を出した。
「どうしたんだ?リーシャ?私達はここにいるぞ?」
「お腹が空いたのか?それとも不安になったのか?」
優しい口調でリーシャに語りかけるルルーシュとC.C.を見たカレンは平和だなぁ〜、と思いつつ、苦笑いを浮かべながら残ったピザにサランラップをして冷蔵庫に入れたり、空いてる食器を洗い場に持って行ったりと片付けを始めていたアーニャを手伝いに向かった。
−2ヶ月後−
「はぁ…」
「どうした?ため息なんてついて。…ほらリーシャ、ゆっくり飲むんだぞ?」
今、C.C.は自分の膝の上でリーシャにミルクを飲ませていて、その横ではルルーシュが読書をしており、カレンは2人の近くで医学の勉強をしていた。
ちなみにジェレミアとアーニャは、外で作業をしていたりする。
「…これを見てよ」
「ん?なになに?……どうしたんだ?それ?」
「……何だ?その、紙が大量に入った袋は?」
カレンは手紙が大量に入った袋をルルーシュとC.C.に見せて、それを見た2人は顔を引攣らせた。
「黒の騎士団宛の手紙が大量に東京政庁に届いてて、その殆どが私宛だったから私の元に来たのよ。しかも手紙の8割はラブレターだし…」
「…それはそれで凄いな。…はい、もうお終いだ、リーシャ」
「それにしても、すっかり母親になってるわね、貴女」
「そうか?」
ミルクを飲み終わったリーシャの口周りをキレイに拭くC.C.に、カレンは思わず感心した。
「いつかのピザ爆食いを見てた身としては不安があったけど」
「あれでもリーシャに気を配っているからノーカンだ。…それより、その大量の手紙はどうするんだ?」
「ほんと、この手紙どうしよう…」
「捨てればいいんじゃないのか?興味ないんだろ?」
カレンが手紙の扱いに困っているところに、ルルーシュがそう提案した。
「そうしようかなぁ。それと、これからの対策もしないと…」
「ラブレターのか?それなら、さっさと相手を見つければいいじゃないか?」
「…貴女、そう簡単に言うけど、中々見つからないと思うわよ?」
「そんな事は知っているさ。私だってルルーシュと出会うのに、数百年はかかったんだぞ?」
「それ、私からすれば絶望的じゃない…」
C.C.の言葉に、カレンは肩を落とした。
「そういえば、お前と仲が良かった奴がいなかったか?…確か金髪で元ラウンズの…」
「もしかして、ジノの事か?」
「そう、そいつだ。そのジノという奴はどうなんだ?お前に好意を持っていたんじゃなかったか?」
「ジノの事は友達と思っているけど、そういう相手としては見れないのよねぇ。…てか、何でそんな事、C.C.が知ってんの?」
「そりゃ私はC.C.だからな」
「…何だか魔法の言葉になってきてるわね、それ…」
ちなみに、話題にあがったジノ・ヴァインベルグは、面白そうな場所を探して世界を旅していたりする。
「じゃあ、お前が好意を持った奴はいないのか?」
「…いるにはいるわよ?''叶わない好意''だけど…」
「なるほど。……やらんぞ?」
「…わかってるから、''叶わない好意''って言ったんじゃない」
そう言ってカレンとC.C.は、ルルーシュの方を向いた。
「…ん?2人ともどうした?」
「お前、カレンの事をどう思っている?」
「友達だと思っているが?」
「じゃあ、カレンがお前の事を、どう思っているか知ってるのか?」
「友達だろ?どうしたんだ?急に?」
「「はぁ…」」
「…人の顔を見て、ため息をつくとは失礼だなお前ら」
ルルーシュの鈍さに思わず、ため息をついたカレンとC.C.。
「とにかく、手紙を送るのを止めさせるよう、スザクに黒の騎士団として声明を出してもらうしかないだろう」
「そうね…。そうしてもらうわ」
そうして、カレンはスザクと通信をする為に2人から離れ、C.C.はミルク瓶を洗いに行って、ルルーシュはリーシャを抱いて、C.C.の後について行った。
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第45話
リーシャが生まれてから3ヶ月近くが過ぎ、あと1週間でゼロレクイエムから2年が経とうとしていた頃、ルルーシュとカレンは屋敷のリビングで話していた。
「カレン、数日後に俺が死んだ事を祝う日が来るが、今年もパレードをやるのか?」
「その自虐が入ってる質問、めっちゃ答えづらいんだけど?しかもそれ、私にも効くから。…一応やるみたいよ?ただ、当時の騎士団メンバーが捕まったりしちゃってるから、前回みたいなパレードはしなくて、ゼロとナナリーちゃん、そして黒の騎士団総司令の星刻と、ナイトオブゼロだった枢木スザクを倒した私がパレードをする手筈になっていた''らしい''けど」
「''らしい''?」
「私、参加を断っちゃったから今は知らないの。まぁ、パレード自体はやると思うわよ?ゼロとナナリーちゃんは日本に来るんだし、星刻は立場上、パレードを断れないしね」
そう言ってカレンは苦笑いを浮かべた。
ちなみに、C.C.とリーシャ、そしてアーニャは、ルルーシュとC.C.の部屋でお昼寝中だったりする。
「何で参加を断ったんだ?」
「あのねぇ…、貴方を討ったのは''ゼロ''だけど、私は世間から貴方を討つ為に立ち向かった英雄部隊、黒の騎士団のメンバー、そして''悪逆皇帝ルルーシュ''の唯一の騎士、ナイトオブゼロの''枢木スザク''を倒した英雄として見られていて、それを称えるのと貴方が死んだ事を祝う為にパレードをやってるのよ?」
「まぁ、そうだな」
「私はそれが嫌なの。私達の裏切りが原因でゼロレクイエムを決行する事になって、そのせいで貴方が死んだ事になっているのに、それを祝う事なんて私には出来ないし、貴方と戦った事を私は称えてほしくない。…本当は、英雄として称えられるのではなく、裏切り者として罵られるべきなのよ、私達は。だから、今回は護衛としても参加してないの。前回だって護衛としても参加したくなかったのに、強引に参加させられたんだから」
「…そんな事、まだ気にしていたのか」
「当たり前じゃない。私はこの罪を背負いながらも、笑って幸せに生きていくって決めてるんだから。…あれ?アーニャ、起きたの?」
カレンは、C.C.とリーシャと一緒に寝ていたはずのアーニャが、リビングに入ってきたので声をかけた。
「C.C.とリーシャは、まだお昼寝中か?」
「うん、ぐっすりと寝てる。…今からちょっと買い物に行ってくる」
「なら、ついでに髪染めを買ってきてくれ。色は亜麻色で」
「わかった。…行ってきます」
「「行ってらっしゃい」」
そしてアーニャは買い物に出かけて行った。
アーニャが買い物に出かけて少し時間が経った後も、2人が雑談をしていると、ふと、カレンがルルーシュにある事を聞いた。
「そういえば、貴方はどうするの?今年も見に行くの?」
「何をだ?」
「ナナリーちゃんをよ」
カレンが聞いた事は、ナナリーを見にパレードへ行くのかどうかだった。
「まだ決めてないな。別に行ってもいいんだが、リーシャを連れて行くのは流石に危険だから、今年はどうしようかと」
「あー。確かに、かなり混雑するでしょうから危険かもね」
そうルルーシュとカレンが話していると、リーシャを抱いたC.C.がやってきた。
「ふぁ〜…」
「起きたかC.C.」
「あぁ。かなり熟睡してしまった。ジェレミアとアーニャは?」
「ジェレミアさんは、神楽耶様から注文されてたオレンジを東京政庁へ届けに行って、アーニャなら買い物をしに、少し前に出かけたわよ。…はい、お茶」
「ありがとう。…ところで、2人とも何の話をしていたんだ?」
C.C.は椅子に座って、お茶を飲みながら話の内容を聞いてきた。
「1週間後の、俺の死を祝うパレードを見に行くかどうかの話さ」
「…ふーん。で、行くのか?」
「…何で機嫌を悪くするんだ」
「世界の人々が、お前が死んだ事を祝っているのが面白くないからだが?」
C.C.のその言葉に、ルルーシュは苦笑いを浮かべた。
「仕方ないだろ?俺がこうなるように仕向けたんだから。…リーシャを連れて行くのも危険だし、今年は見に行かずにゆったりと屋敷で過ごしてもいいかもしれないな」
「別に行ってもいいんじゃないか?年に1度しか、生のナナリーを見れないんだから。それにリーシャは私達がしっかりと見てればいいし、カレンもついてくるだろうしな」
「それもそうだな。よし、じゃあ今年も見に行くか」
「…ねぇC.C.?私がついて行くと逆に危険だと思うわよ?一応メディアに出ないようにしてるとはいえ、顔は知られてるんだから」
ゼロレクイエムの後、黒の騎士団はメディアに取り上げられてインタビューを受けていたが、カレンやゼロレクイエムの真実に気づいた者はインタビューやテレビ出演を断り続けていた。
「なら、ルルーシュみたいに変装したらいいじゃないか」
「変装?」
「パレードに行くとなれば、ルルーシュは髪を染めたりするだろうし、お前も同じようにすればいいだろ」
「…そうね、わかったわ。アーニャに私の髪染めも買ってきてもらう為に連絡してくるわ」
そう言ってカレンはアーニャに連絡する為に、携帯が置いてある自室へ向かった
「それにしても、よく寝てるなリーシャは」
ルルーシュは、C.C.に抱かれているリーシャの頭を撫でながらそう言った。
「あぁ。こうやってよく寝て、元気に育ってほしいな」
「そして、この子が生きてる間は平和であってほしいものだ。…俺は国同士の争いをなくし、明日を迎える為にゼロレクイエムを決行したが、この先ずっと争いが起きないとは思っていない。次に争いが起きた場合、俺は…俺達はもう表舞台に立つ気は無い」
「…そうだな。お前は表舞台に立つ人々に世界を託した。今の平和がどこまで維持されていくかはわからないが、せめてこの子が生きてる間は、争いが起こらないことを願おう」
ルルーシュとC.C.は、スヤスヤと眠るリーシャを優しい顔で見ながらそう願った。
最後らへんを書き直すかもしれません…
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第46話
ゼロレクイエムからちょうど2年が経った今日、ルルーシュとリーシャが乗っているベビーカーを押すC.C.、そしてカレンは東京へとやって来てた。
「見ろルルーシュ。今年も人がゴミのようだ」
「……そのネタ、今回もやるのか?」
「人混みを見たら、言うのがお約束だろ?」
「はぁ…」
「てか、前回もそのネタやっていたのね…」
そう言いながら、道に並ぶ人々を見ながら歩くルルーシュ達。
「あれから2年経つというのに、相変わらずゼロとナナリーの人気は凄まじいな」
「平和の象徴で救世主だからな、あの2人は。そこにカレンがいたら、もっと凄い事になってるんじゃないか?」
「…勘弁して。それを考えただけで、ぞっとするわ…」
そう言うカレンの姿は、髪色を黒色に染めて髪を下ろしており、ルルーシュは髪を亜麻色に染めていた。
すると、少し遠くの方でアナウンサーが街の人達にインタビューしてるのを見かけ、その見覚えのある人物にルルーシュ達は顔を引攣らせて固まった。
「なぁ…。俺の見間違いじゃなければ、インタビューしてる人って会長だよな?」
「間違いなくそうだな…」
「しかもカメラを持ってるのってリヴァルじゃない…?」
インタビューをしているアナウンサーはミレイ・アッシュフォードで、その近くにいるカメラマンはリヴァル・カルデモンドであった。
「リヴァルのやつ、会長を追いかけてテレビ局のカメラマンになったのか…」
「凄いわね、リヴァルのあの執念。…報われてるのかしら?」
「どうせリヴァルの事だ、空回りだろう」
「…なんか可哀想な奴だな、あの男…」
リヴァルは、ミレイを追いかけてカメラマンになったのはいいが、全く振り向いてもらえてなかったりしていた。
「…C.C.、カレン、インタビューされたら答えられる自信はあるか?聞かれる事は間違いなく俺の事だろうが」
「私は無理だな。自分の夫を悪く言う事など出来ないし、言いたくも無い」
「私も無理。貴方の事を悪く言えるわけないじゃない」
「…ならインタビューされない事を祈ろう。俺とカレンの姿の問題もあるしな」
ルルーシュは髪色を変えているだけで、カレンは髪型も変えてはいるが、ぶっちゃけ病弱設定で、アッシュフォード学園に通っていた時の姿なのでバレる可能性があり、ミレイにインタビューをされない事を祈った。
それから少し時間が経ち、ルルーシュ達はインタビューをされない事を祈りながら街を歩いていたら、
「あのー、すみませーん!!」
「「「(どうしてこうなるんだ(のよ)…」」」
ミレイに声をかけられてしまい、内心で頭を抱えた。
「ん?もしかして貴女…っ!!。…いえ、何でもないです!少しお聞きしてもよろしいでしょうか?」
ミレイはカレンの姿に気づいたが、カレンが黙っていてほしいというジェスチャーをした為、気づいてないフリをした。
「(会長、カレンの姿に気づいたな。それに、ここで断ったら変か…)まぁ、少しだけなら…」
「「(ルルーシュ!?さっき無理だと言っただろ(でしょ)!?」」
ここで断るのも変だと思い、ルルーシュは了承し、その言葉を聞いたC.C.とカレンは焦った。
「ありがとうございます!…2年前にゼロによって討たれた悪逆皇帝ルルーシュをどう思っていますか?」
「(ここは無難に…)すみませんが、その質問はあまり答えたくないです。…あぁ、どうしたんだリーシャ?急に泣き出して」
「(だからルルーシュの事、悪く言えるわけないでしょ!)私も…。ほら、泣かないのリーシャ」
C.C.とカレンは、ルルーシュの事を悪く言いたくなかったのでそう答えているとリーシャが泣き出したので、C.C.はベビーカーに乗っていたリーシャを抱き寄せて、カレンが優しい口調で慰めていた。
「そうですか…」
ミレイとカメラを構えているリヴァルは、2人は口に出したくないぐらいに憎んでいるのかと誤解し、悲しい表情をした。
ちなみに、ミレイとリヴァルにかけられたシャルルのギアスは、ジェレミアのギアスキャンセラーによって解かれている為、記憶を取り戻している。
「では、そちらの男性は?」
「…最低な人間だと思ってますよ。あの皇帝のせいで人々が苦しめられてましたから。もし、今も生きていたら世界は今みたいに平和じゃなかったでしょうね。だからゼロには感謝しています。ゼロのおかげで世界は平和になりましたし、こうして幸せを手に入れる事が出来ましたから」
そう言ってルルーシュは、C.C.の腕の中で泣いているリーシャの頭を撫でた。
「(あと、まさかとは思うけど…)もう1つ聞きたいんですけど、悪逆皇帝ルルーシュにかなり似ていますが、周りから似てると言われた事はありませんか?」
「…かなり言われますね。だから困っているんですよ」
「「(似てるも何も本人だし…)」」
ルルーシュが苦笑いで答えてる横で、内心そう思うC.C.とカレン。
「(本人のわけないか…)そうですか。…お時間ありがとうございました!これからも幸せな家庭を築いてください!」
そうしてインタビューが終了して、ミレイ達テレビ関係者は違う場所へと向かっていった。
この小説のミレイとリヴァルはゼロレクイエムの真実に気づいてませんが、ある程度は察しています。
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第47話
ミレイによるインタビューのあと、パレードまであと少し時間があったのでルルーシュ達は近くの公園のベンチに座っていた。
「私達が答えられないと言っていたのに、よくインタビューを受けたな」
「本当は断るつもりだったが、カレンの姿に気づかれたからな。変に断っていたら俺の正体がバレると思ったんだ」
「…そうね。でも会長とリヴァルには感謝だわ。気づかないフリをしてくれたおかげで、騒ぎにならなかったし」
ゼロとナナリー程ではないが、カレンも世間からの人気がかなりあるので、ミレイとリヴァルが気づかないフリをしてくれた事に感謝をしていた。
ちなみに、リーシャは泣き疲れたのか、ぐっすりとベビーカーの中で眠っている。
「まぁ、会長もリヴァルも元気そうで良かった」
「本当にね。それにしても、リヴァルの想いが報われる日は来るのかしら…」
「諦めなければそのうち来るだろ。…さて、そろそろ行くか」
そう言ってルルーシュが立ち上がったので、C.C.とカレンも立ち上がろうとした時、とある男にカレンが声をかけられた。
「お、もしかしてカレンか!?」
「ん?…げっ、ヤバッ…!」
「「(これは流石にまずいぞ…!)」」
声がした方を向いて、カレンはやばいと声を出し、ルルーシュとC.C.は、これは本気でまずいと心の中で思った。
カレンに声をかけた人物は、面白そうな場所を探して世界を旅しているジノ・ヴァインベルグだったので、ルルーシュの髪を染めてるだけの変装がいつバレてもおかしくなかった。
「久しぶりだなカレン!」
「(とりあえず様子を見るしかないか…)はぁ…。久しぶり、ジノ。よく私ってわかったわね」
カレンはジノに挨拶をして、様子を見る事にした。
「この私がカレンの事を見間違えるわけないからな!…で、何で髪を染めているんだ?」
「髪を染めてる理由は変装のためよ。それと、お願いだから私の名前を大声で呼ばないで。ここに来てる事がバレるから」
「変装?それに、どうしてバレたらダメなんだ?」
「私が今日おこなわれるパレードの参加を断ったからよ。だから、お忍びで来てるの」
「なるほど?…っお前は!!」
カレンはバレたくない理由を教えたが、ジノは何で断ったんだ?と疑問に思いながらも一応納得して、カレンの横にいたルルーシュとC.C.を見つけて驚きの声をあげた。
「カレ…っと、名前はまずいんだったな。何故"魔女"がここにいるんだ!」
"魔女"という言葉に思わず顔を顰めるC.C.。そして、それを見たカレンは、ジノに対しての心が冷めていくのを感じていた。
「それにその横にいる男はもしかして…!」
「(これは本当にまずいぞ…!ここにはリーシャもいるんだ!…考えてる時間はないっ!俺の存在がバレてしまったのなら、自分が囮になってC.C.とリーシャを逃し、カレンを2人の護衛にっ!……C.C.?)」
ルルーシュが自分を囮にしてC.C.とリーシャを逃がそうと考えていたら、C.C.がルルーシュの前に立った。
「…初めましてだな、元ナイトオブスリー。別に私がここに居てもおかしくないだろ?それと、この男は確かに似ているが、お前が考えてる者ではないぞ?名前も''アラン''というしな」
「その言い分が通じるわけがないだろ!髪色は違うが、この男は間違いなくルルー「…ジノ」…なんだ、カr……くっ!?」
名前を呼ばれてカレンの方を向こうと瞬間、そのカレンからの回し蹴りが飛んできたので、ジノは持ち前の身体能力で何とか防ぐ事には成功したが、少し後方へ飛ばされてしまった。
「な、何をするんだカレン!!……!?」
ジノはカレンに不満の声をあげるが、そこには回し蹴りをした片脚を上げた状態で表情を無くし、完全にキレてるカレンがいた為、思わず後ずさりをした。
「私、貴方に言ったわよね?お忍びで来てるって。なのに何で騒ぎを起こそうとするのかしら?」
「…すまない…」
自分を蹴り飛ばした脚をゆっくりと下ろしながら、そう聞いてくるカレンに、ジノは謝るしかなかった。
「だが、そこにルルーシュが…!」
「似てるけど彼は''ルルーシュ''じゃない。2年前にゼロに討たれて死んだところを貴方も見たでしょ?それに、この場にC.C.が居てもおかしくない。今日は''ルルーシュの命日''なんだから。…それと私は今、C.C.(それとルルーシュもだけど)の騎士をやっているの」
「!!」
カレンがC.C.の騎士をしている事に驚くジノ。
「なら黒の騎士団は辞めたのか?」
「辞めてないわよ?籍は残してあるし。まぁ、ほとんど休業状態だけど」
「そうなのか…」
「…2年前、貴方がコーネリアからなんて聞かされていたのかわからないけど、今のC.C.は''ある人''を心から愛してるただの女性で、この子のお母さんよ。貴方やコーネリアが言う''魔女''なんかじゃない。だから、C.C.の事を''魔女''呼ばわりした事は絶対に許さない。…ジノ、私は貴方の事を友達だと思っているわ。だけど、私の主を…大切な友達を傷つけるというのなら容赦はしない」
「カレン…」
「…あと、友達として忠告しておくわ。貴方、その考えを改めないとコーネリアと同じ道を辿るわよ。私はそうなってほしくないし、仮にそうなってしまった場合、貴方を殺す事になる。それを覚えておきなさい。…そろそろ行きましょ?C.C.、''アラン''」
そうしてカレン達は去っていったが、ジノはそれを追いかけようとはしなかった。
ジノはコーネリア化はしないはず…!
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第48話
「…ルルーシュ」
「なんだC.C.?」
公園から出たルルーシュ達は、少し街中を歩いて人気がない場所に来ていた。
「…お前あの時、私が前に立たなければ自分を囮にして私達を逃がそうと考えていたな?」
「…あぁ。俺の正体がバレてしまったら一緒に居るのは危険だと思ったんだ。だから、お前とリーシャを逃し、カレンに2人の護衛をさせようと考えてた」
「そんな事をしたらお前は…」
「碌な目に合わないだろうな。それに俺が死んだ事で訪れている、今の平和が終わる可能性まであった」
「なら何故そんな事を考えた!?そんなお前が傷つくような選択、私が認められると思うのか!?」
「じゃあ、他に何か確実な選択肢はあったのか!?今回は運が良かっただけで、俺たちの事を知っている奴には通らない言い分だったんだぞ!?ジノがあのまま押し切っていたら、あの言い分は通っていなかったし、他の策を考える時間もなかった!だからあの時、お前とリーシャを守るためには俺が囮になるしかないって考えたんだ!!」
「そんな風に守られて私が喜ぶと思うか!?残された私達はどうすればいい!?この先、どうやって生きていけばいい!?」
ルルーシュとC.C.の言い合いを、カレンは少し離れた場所からリーシャを抱きながら見ており、2人のことを心配していた。
「お前に何かあったら嫌だと、前にも言っただろ!?もう孤独には耐えられないと、私はそう言ったはずだ!それに約束してくれたじゃないか!生きる時は2人一緒で、死ぬ時も一緒だと!ずっと私の傍に居ると…私を置いていかないって言ったじゃないか!あれは全部嘘だったのか!?」
「嘘ではない!!今でもそう思っている!!」
「ならそんな事を考えないでくれよ!例えどんな状況でも、私を置いていこうとしないでくれよっ!向かう先がこの世の地獄でもいい!!絶望しかない所でもいい!!だから私を連れて行ってくれよっ!!あの日の言葉を…約束を嘘にしないでくれよぉっ!!!」
泣きながらそう叫ぶC.C.を見たルルーシュは、言葉を発する事が出来なかった。
「……」
「何とか言え!ルルーシュ!!」
「…そうか…。俺は、絶対に置いていかないと…生きる時も死ぬ時も一緒だと言っておきながら、お前とリーシャを守る為と言い訳して、それを嘘にしようとしていたんだな…」
そう言ってルルーシュは、涙を流しているC.C.を抱き寄せた。
「…すまない、C.C.。もう少しで、俺は取り返しのつかない事をするところだった。…ありがとう、俺を止めてくれて」
「うぅっ…っ」
「泣くのを我慢しなくていい。…本当にすまなかった」
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
その言葉にC.C.は我慢できなくなり、ルルーシュの胸の中で、声をあげる事はなかったが身体を震わせて泣いていると、カレンがリーシャを抱きながらやって来た。
「ルルーシュ」
「カレン、君にも迷惑をかけたな」
胸の中で泣いているC.C.の頭を撫でながら、ルルーシュはそう言った。
「大丈夫よ。どちらかと言うと私がジノにバレたのが原因だから、私が迷惑をかけたみたいなもんだし。…まぁ、私から貴方に言わせてもらうとすれば、私は貴方とC.C.の騎士なのよ?あなた達を守り抜くと誓ったし、例え世界が敵になろうとも私はあなた達を守る。だから、その自分を犠牲にする考えはもうしないで」
「…あぁ。もう2度とこんな考えはしない。こんな考えをしていたら、Cの世界で見守ってくれてる''3人''にも怒られてしまうからな。…そろそろ泣き止んでくれC.C.。絶対に、あの日の約束を嘘にしないから」
「うぅっ…ぐすっ…本当に…?」
「本当だ。そんなに不安なら今日の夜、行動で示してやる」
「……うん…」
「ほら、もうすぐパレードが始まるから行きましょ?」
ルルーシュとC.C.のやり取りを聞いて、夜の事を想像したのか少し顔を赤くしたカレンが、リーシャをベビーカーに乗せながらそう告げ、ルルーシュ達はパレードを見る為に移動していった。
「むぅ…」
「…なぁ、いい加減機嫌を直せよ。俺が悪かったって」
「別に機嫌が悪いわけじゃない」
パレードを見るために街中を歩いているルルーシュ達だが、C.C.が不貞腐れており、ルルーシュは理由をわかっていないが、カレンは不貞腐れている理由がわかっている為、苦笑いを浮かべていた。
「じゃあ、なんだ?」
「…私があんな姿を晒すなんて…」
「…そういうことか」
「別にいいじゃない。気にしなくても」
その時のC.C.を見て、可愛い…と思っていたのはカレンだけの秘密である。
「あんなの、私のキャラじゃないのに…。…よし、スザクに民衆に向かって手を振ったり、踊ったりしろと脅して…」
「「それはやめてやれ(あげて)」」
冗談?を言っていたら道に並んでいる人々から歓声が上がった為、ルルーシュ達は足を止めた。
「あ、ナナリーとゼロが来たみたいよ」
「ほらリーシャ、あの亜麻色の女性がルルーシュの妹だぞー」
C.C.はベビーカーに乗っていたリーシャを抱き、その小さな腕を持って、ナナリーに向かって手を振った。
「いや、流石にまだわからないだろ」
「わかるかもしれないぞ?…それにしてもナナリーの奴、今年は笑顔で手を振っているな」
「そうなの?私、昨年はナイトメアに乗ってて騎士団は見えてたけどナナリーちゃんは見えなかったのよね」
「あぁ。昨年は一応笑顔で手を振っていたが、作り笑顔だったからな。…そして相変わらずスザクは手を振らんな」
「だから、それはゼロのキャラじゃないだろ」
「…やっぱり、来年もパレードをする事になったら手を振ったり、踊ったりしろとスザクを脅しておくか」
「「(…スザク、俺達(私達)じゃC.C.を止められないから、自分で頑張ってくれ(ちょうだい)…)」」
「!?」
「?ゼロ、どうしたんですか?」
「…いえ、何かこの先、自分に良くない事が起ころうとしてる気がして…」
「それでどうする?ついて行くか?」
「そうだな。帰っても暇だし行くか。C.C.、俺にもリーシャを抱かせてくれ」
「ダメだ。私との約束を嘘にしようとした罰として、今日一日はリーシャを抱くのは禁止だ」
「なん…だと…!?お前、まだ怒ってるじゃないか…!」
「当たり前だ。私は''機嫌は悪くない''とは言ったが、''怒ってない''とは言ってないぞ?そうやって反省してるんだな」
「クソッ…全面的に俺が悪いから何も言えない…!」
「あはは…」
そう言ってルルーシュ達は、ナナリー達の後をついていった。
一方、ナナリーは人々に向かって笑顔で手を振っていると、ある人たちを見つけた。
「あら?スザ…ゼロ、私達について来てる人ってカレンさんではありませんか?」
「スザクでいいよ。ここからだと皆に聞こえないし、盗聴もされてないから。…あぁ、髪色を変えて変装してるみたいだけど、あれはカレンだね」
「そしたら、赤ちゃんを抱いてる女性と、ベビーカーを押してる男性はもしかして…?」
「(まぁ、生きてる事はバレてるし、隠しても意味ないか)…うん、ナナリーが考えてる人達で間違いないよ」
「なら、緑髪の女性がC.C.さんなのですね。初めてC.C.さんを見ましたけど美しい方ですのね…。それにお兄様もお元気そうで良かったです」
ナナリーは、元気そうなルルーシュを見て安心したが、ある事を疑問に思ったのでスザクに質問をした。
「…スザクさん、お兄様が髪色を変えている理由は察する事が出来ますけど、どうして私と同じ色にしたんでしょうか?」
「その理由なら前にC.C.が、ルルーシュはもう、ナナリーの兄として生きる事が出来ないけど、兄であることには変わりないから、それを忘れさせない為にも亜麻色にさせたって教えてくれたよ」
「そうなのですか…。優しい方なのですねC.C.さんは。ところで、そのC.C.さんが抱いていらっしゃる赤ちゃんは?」
「あの子はルルーシュとC.C.との間に生まれた赤ちゃんで、名前はリーシャって言うんだ」
「という事は、お兄様とC.C.さんはご結婚されてるのですか?」
「うん。事情があれだから式は挙げてないけど結婚してるよ」
「まぁ…!!」
ルルーシュとC.C.が結婚している事に、嬉しそうに驚くナナリー。
するとC.C.がナナリー達に向かって、リーシャの腕を持ちながら手を振ってる姿が見えたので、ナナリーはルルーシュ達に向かって満面の笑みを浮かべながら手を大きく振った。
「(あー、これはルルーシュ達に、ナナリーが生きてる事を知ってるって気づかれたかなぁ)…ナナリー。そろそろ政庁に着くよ」
「はい。お兄様やC.C.さん、それにリーシャちゃんを見る事が出来たので、これからもっと頑張る事が出来ます。…これからもよろしくお願いしますね?''ゼロ''」
「ルルーシュが創ってくれたこの世界を守っていきましょう、''ナナリー皇帝陛下''」
2人はそう決意しながら、政庁の敷地の中へ消えていった。
「ナナリー、私達に大きく手を振っていたな」
「…はぁ…、そうだな」
「そうね」
C.C.がリーシャをベビーカーに乗せながらそう言い、ルルーシュはため息をつきながら、カレンは苦笑いを浮かべながら同意した。
「よかったな、ルルーシュ。生きてる事がバレてて。…リーシャもよかったな。ナナリーに手を振ってもらえたぞ?」
「どうしてバレているんだ…」
ナナリーに生きている事がバレていて、思わず頭を抱えるルルーシュ。
「バレてるからと言って会うわけでもないんだろ?なら問題ないじゃないか」
「…それもそうか。さて、ナナリーも居なくなった事だし帰るぞ」
「そうだな。…なぁ、ルルーシュ」
「なんだ?」
「…''夜、楽しみにしてるぞ''?」
「…フッ、あぁ。任せろ」
その後、C.C.がカレンの方を見ると、顔が赤くなってる事に気づいた。
「なんだカレン?もしかして''混ざりたいのか''?」
「っ!?そ、そんなわけないじゃない!!」
「私は別にいいぞ?混ざりたいのなら混ざっても」
「…あーもう!さっさと帰るわよ!!」
そう言って歩くカレンを見て、C.C.は悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべ、そしてルルーシュはため息をつきながら屋敷へと帰っていった。
予定はありませんが、カレンも追加してほしいという声か多ければ一応考えてみます。
そうなった場合、無理矢理設定や、ルルーシュとC.C.に共通してる事をカレンにも共通させるかどうか、考えないといけなくなるんですけど…。
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第49話
「…ルルーシュ」
「…なんだ、C.C.」
「…これ、どうするんだ?」
「…まぁ、使っていくしかないだろ」
「「はぁ…」」
2回目の記念パレードから1ヶ月が経った頃、ルルーシュとC.C.の目の前には、大量の赤ちゃん用品が置いてあり、それの整理に2人は頭を悩ませていた。
ルルーシュとC.C.の目の前に置かれた赤ちゃん用品は、全て贈り物であり、その送り主はなんとジノであった。
記念パレードのあと、ジノは自分の行動を反省して、カレンに謝罪の電話をし、C.C.とルルーシュ(ジノはルルーシュの事をアランだと思っている)に対しては謝罪の手紙と一緒に、お詫びとして赤ちゃん用品を送ってきたのだが、送られてきた量がおかしかった。
「ルルーシュ、いったいどれぐらいの量なんだ、これ?」
「…ミルクとか消費期限があるもの以外は、最低2年は買い物に行かなくてもいいな」
「…お詫びとして送られてきたんだよな?」
「手紙にはそう書いてあったな」
「……嫌がらせじゃないんだよな?」
「……それは流石に違うだろ」
2人に対する罪悪感からの、100%善意である。
「「…とりあえず、仕分けしてから片付けよう」」
ルルーシュとC.C.は、赤ちゃんベッドで眠っているリーシャに気を配りながら、送られてきた大量の赤ちゃん用品を仕分けし始めた。
ちなみにカレンは、ルルーシュとC.C.の''あるお願い''の為、東京へ出かけており、ジェレミアとアーニャは外で作業中である
「ふぅ…。こんなものか」
「やっと終わったな。お疲れ様ルルーシュ」
ルルーシュとC.C.が片付けをし始めて少し時間がかかったが、やっと終わったので2人は一息をついた。
「まさか部屋の1つが、赤ちゃん用品で埋まるとは思わなかったぞ」
「ジェレミアにお願いしてよかったよ」
ルルーシュはあまりの量に、屋敷の余ってる1部屋を、赤ちゃん用品を置く為の部屋にしてほしいとジェレミアにお願いをして、ジェレミアはそれを了承したのである。(その際、ジェレミアから屋敷の部屋はご自由にお使いくださいと、言われたのだが…)
「さて、今からどうするか」
「リビングでカレンが帰ってくるのを待ちながら、お茶でもしていようか」
「そうだな。…よいしょっと」
ルルーシュは、C.C.が寝てるリーシャを抱いたのを確認して、一緒にリビングへと向かった。
「ただいまー」
ルルーシュとC.C.が、リビングでゆっくりとお茶をしていたら、カレンが帰ってきた。
「お帰り、カレン。どうだった?」
「許可取れたわよ。2週間後に使えるように手配してくれるって」
「そうか。すまなかったな、東京まで行ってもらって」
「別にいいわよ、これぐらい。それにしても、また神根島に行く事になるとわねぇ」
「ルルーシュ、リーシャを見ていてくれ。起きたみたいだし、ミルクを作ってくる」
「わかった」
ルルーシュとC.C.がカレンにお願いした事とは、神根島に行きたいのでどうにか出来ないか?という事だったので、カレンは東京に行き、神楽耶に船を貸して欲しいと、お願いしてきたのである。
神楽耶はそれを快く承諾して、船(ナイトメアも乗せることが出来る大きな船)を一隻、手配したのだった。
「理由聞いてなかったけど、どうして神根島に行くの?」
「ん?…あぁ。シャルルと母さんに会いに行くんだ」
「…へ?なんで?」
「リーシャに会わせてやるためにな。…あれでも俺の親には変わりないんだ。ならリーシャを見せてやろうと思ったんだ」
「なるほどねぇ。あ、お帰りC.C.」
「あぁ。…リーシャ、まだ熱いから少し待ってろよ?」
ルルーシュとカレンが話していると、ミルクを作りに行っていたC.C.が戻ってきた。
「ところでカレン」
「なに、C.C.?」
「ジノに伝えておいてくれ。送ってくるのはいいが、量を考えろと。幾ら何でもあれは多過ぎだ」
「あはは…。ジノも悪気があったわけじゃないから許してあげてね?取り敢えずジノには伝えておくわ。…さて、外で作業しているジェレミアさんと、アーニャの手伝いでもしてこようかしら」
「ならジェレミアとアーニャに、今日の夕飯は俺が作ると伝えといてくれ」
「りょーかい。それじゃ、行ってくるわね〜」
「「行ってらっしゃい」」
カレンはジェレミアとアーニャを手伝いに、外へ出て行った。
「私達はどうする?…待たせたなリーシャ、ミルクだぞー」
「やる事も無いし、夕方まで、ゆっくりとしてればいいだろ。C.C.、今日の夕飯で何か希望はあるか?」
「ピザ」
「…1枚だけな?」
そうしてルルーシュとC.C.は、リーシャと共に、ゆったりとした時間を過ごしていった。
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第50話
2週間後、ルルーシュ達は神楽耶が手配した船に乗っており、船の操縦はジェレミアとアーニャがおこなっていた。
ジェレミアとアーニャが船を操縦してる理由は、ルルーシュが変装をしてないからで、事情を知らない者を乗せるわけにはいかなかったのだ。
とは言っても、基本はオートなので問題なかったりする。
「どうだリーシャ。初めて見る海だぞー?」
「あんまり危ない事はするなよ?」
「わかっているさ」
ルルーシュとC.C.、それにリーシャは船のデッキから、海を眺めていた。
「しかし、こうやって海を眺めながら船に乗るなんて、随分と久しぶりだな」
「そうなのか?」
「基本追われていたからな」
「なるほど。…それにしても、カレンはよく動くな」
「まぁ、カレンだしな。ほらリーシャ、あのロボットの中に、カレンがいるだぞ?」
C.C.はリーシャの小さな腕を持って、船の周囲を飛ぶ、カレンが乗る紅蓮に向かって手を振った。
すると紅蓮が、右手を振り返してきた。
カレンが何故、紅蓮に乗って船の周りを飛んでいるかというと、周囲に不審な機体や船、航空艦が現れた場合、すぐに対応する為である。
「なんだっけ?ニーナとロイド、そしてセシルがアルビオン、紅蓮、そして蜃気楼用に開発して、神根島の争いの後、実装された新しいエナジーフィラー」
「あぁ…。''フレイヤ''のエネルギーを応用した、半永久的に動かせる事が出来るエナジーフィラーの事か?」
「そう、それだ。念の為聞いておくが、大丈夫なのか?そこから新しいフレイヤ弾頭が開発されたりしたら…」
「そこは大丈夫だ。本当にエネルギーを応用してるだけだから、そこからフレイヤ弾頭も作れないし、データを削除してあるらしいならな。もう同じエナジーフィラーを作る事も出来ない」
「なるほどな」
ロイドとニーナ、そしてセシルが開発した新しいエナジーフィラーは、様々な問題の為、第9世代であるアルビオン等の3機体にしか実装されておらず、しかも機体から取り出せないようにされていた。
「新しいエナジーフィラーの名前はあるのか?」
「今後に残る事はない技術だから、名前は付けなかったみたいだな」
そう話をしていたら、紅蓮からカレンの声が聞こえた。
『ルルーシュ、C.C.。神根島が見えてきたから、そろそろ準備した方がいいわよー』
「そうらしいし、準備するか」
「そうだな。…リーシャ、そろそろ船から降りて、面白い所に行くぞー」
ルルーシュとリーシャを抱いたC.C.は、カレンが乗る紅蓮に向かってお礼のジェスチャーをして、船の中に入っていった。
それから少し時間が経ち、神根島に上陸したルルーシュ達は、遺跡の前にやって来た。
「それじゃあ、行ってくる」
「私達が向こうに行ってる間、カレンはどうしてるんだ?」
「私は少し仮眠を取るわ。その為にテントと寝袋を持って来たし」
「…用意周到だな」
「というより、大きな袋を持っていると思ったら、それ等が入っていたのか…」
カレンが持っている大きな袋の中身を知ったルルーシュとC.C.は、苦笑いを浮かべた
ちなみに、ジェレミアは船の中から、アーニャは船に積んであったモルドレッドに乗って、空から周囲を警戒していた。
「それじゃ、行くぞC.C.」
「わかった」
「行ってらっしゃ〜い」
ルルーシュとリーシャを抱いたC.C.が遺跡に手を置くと、遺跡が光って震え出し、3人の姿が徐々に消えていった。
「出てこい、シャルル、母さん」
黄昏の間に着いたルルーシュは、さっそくシャルルとマリアンヌを呼んだ。
そしてすぐに、シャルルとマリアンヌは姿を現した。
「ルルーシュよ、何の用だ?」
「あら、いらっしゃい。ルルーシュ、それにC.C.。…そのC.C.が抱いてる赤ちゃんって、もしかして?」
「あぁ。私とルルーシュの間に生まれた赤ちゃんだ」
C.C.がそう告げると、マリアンヌが満面の笑みを浮かべながら、もの凄い勢いで近づいて来た。
「あら!可愛いじゃない!!名前はなんて言うの?」
「…いきなり近づいてくるな。名前はリーシャだ」
C.C.に近づいたマリアンヌはリーシャを構い始めたが、ルルーシュはどうしても、シャルルに聞きたい事があった。
「…シャルル、1つ聞きたい事がある」
「何だ」
「…何でお前、アロハシャツなんだ…?」
「…マリアンヌのせいだ」
それはシャルルが着ている服が、何故かアロハシャツである事だった。
「仮にも元皇帝だろ。何負けてるんだ」
「マリアンヌだけは無理だ。本気で怒ったマリアンヌに逆らう事など出来ぬ」
「…ちなみに、母さんが怒った原因は?」
「前回、お主等がここに来た時、C.C.を泣かした事が原因だ。次にお主等が来たら、アロハシャツを着ろと」
「…まだ続いてたのか。というより、キャラ崩壊し過ぎだろお前ら」
「それは理解しておるから言うな。…それで?何故、お主らはここに来たのだ?」
「リーシャに会わせる為だ。…一応、お前達は俺の親だろ」
「…そうか」
ルルーシュとシャルルが話して、少し時間が経った後、マリアンヌとC.C.が話しかけてきた。
「ルルーシュ、さっきは嬉しい事を言ってくれたわね」
「聞こえてたんですか。…俺はお前達の事を許してはいない。だが、それとリーシャは関係ない。…ただ、それだけだ」
「そう…。ありがとうね」
ルルーシュとマリアンヌがそう言ってると、C.C.がシャルルに話しかけた。
「シャルル、お前もリーシャに触ってみるか?」
「…儂は見てるだけでいい」
「そうか。…ならルルーシュ、そろそろ戻ろう。リーシャも疲れてるだろうし」
「そうだな」
そう言ってルルーシュとC.C.が現実へ戻ろうと時、マリアンヌが声をかけた。
「ルルーシュ、C.C.、少し待ちなさい」
「なんですか?」
「あなた達は今、幸せなの?」
「あぁ。私達は幸せだ」
「…それならいいわ」
そこにシャルルも声をかけた。
「ルルーシュ、それにC.C.よ。…これからも幸せに生きるのだぞ?」
「分かっている。俺達はこれからも幸せに生き続ける」
「だからお前達は、ここから私達の幸せを祈っておけ。…帰ろう、ルルーシュ」
「そうだな。…じゃあな、母さん、シャルル。…リーシャが大きなったら、また来る」
そうして、ルルーシュとC.C.、そしてリーシャは現実世界へと戻っていった。
それからある程度の時間が経ち、ルルーシュとC.C.、そしてリーシャは船の中にある、3人に割り当てられた部屋にいた。
「C.C.」
「なんだ?」
「ありがとう」
「…急にどうした?」
急にそう言い出すルルーシュに、C.C.は困惑した。
「いや、俺がこうやって幸せになれたのも、お前のおかげだからな。礼を言いたくなったんだ」
「……礼を言うのは私の方だ。リーシャを生んだ時にも言ったが、お前に出会って私は幸せになれたし、お前のおかげで、灰色の魔女から変われた。本当にありがとう」
そう言うC.C.をルルーシュは抱きしめ、C.C.も抱きしめ返した。
「これからも一緒に幸せになろう」
「あぁ。2人…いや、3人で一緒に…」
「…愛してる、セラ」
「私も愛してるよ、ルルーシュ」
こうして、ルルーシュ達は日本に着いて、オレンジ農園へと帰っていった。
そして、数年の月日が流れていった。
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最終話
−オレンジ農園にある屋敷の1室−
「ねぇ、おとうさん?おかあさんはまだ?」
「あともう少しだと思うから、待ってような?」
「はーい」
今ルルーシュと喋っているのは、少し大きくなったリーシャである。
あれから…ゼロレクイエムから7年が過ぎて、リーシャは5歳になっていた。
「おとうさんはおかあさんに、なんでふくをわたしたの?」
「あれはな?お前が生まれる前に、俺がC.C.に''約束''したやつなんだ」
「やくそく?」
「あぁ。俺がC.C.にした、''大切な約束''だ」
ルルーシュとリーシャがそう話していると、ジェレミアがやってきた。
「ルルーシュ様、リーシャ様。C.C.様のご準備が終わったようです」
「分かった。じゃあ外でC.C.を待つために行くぞ、リーシャ」
「はーい!」
C.C.の準備が出来たと聞いたルルーシュとリーシャは、屋敷の外へ歩いて行き、ジェレミアはその後をついて行った。
屋敷の外に出たルルーシュとリーシャが少し待っていると、屋敷の中から''とある物''を着たC.C.が出てきた。
「おかあさん!!」
「待たせたな、リーシャ」
「そのふくきてるおかあさん、おひめさまみたい!!」
「ふふっ、ありがとう」
C.C.が着てるのは、ルルーシュがかなり昔に約束した純白のウェディングドレスである。
「C.C.」
「ルルーシュ、どうだ?」
「あぁ。かなり似合っているよ。…すまなかったな。約束、こんなに遅くなってしまって」
「謝る必要はないだろ?私がこうやってウェディングドレスを着れる事が奇跡なんだ。感謝しかない。…ありがとう、ルルーシュ。私にウェディングドレスを着せてくれて」
「…どういたしまして」
ルルーシュとC.C.が微笑み合ってあると、カレンとアーニャがやってきた。
「似合ってるわね、C.C.」
「お姉様、かなり綺麗」
「ありがとう、カレン、アーニャ」
そう言ってくるカレンとアーニャの姿は、7年の間に変わっていた。
アーニャはC.C.より少し小柄だが、スタイルはちゃんと女性として成長しており、カレンは髪が背中まで伸びていた。
「それにしても、このウェディングドレスはどこで仕入れてきたんだ?サイズもピッタリだし。私はウェディングドレスの為に、サイズを測った覚えは無いんだが…?」
「そりゃそうよ。このウェディングドレスはルルーシュの手作りなんだから」
「おいカレン!!C.C.には内緒にしていろと言っただろ!?」
「もういいじゃない。ちゃんと完成してC.C.に着せたんだから」
「…手作り?」
「そうよ?ルルーシュが貴女の為に1から作った、世界に1つだけのルルーシュ製ウェディングドレス。しかも何回も作り直してたから、結構時間がかかったみたいだし」
「本当か?」
C.C.の問いかけに、ルルーシュは観念したかのようにため息をついた。
「はぁ…。本当はもっと早く作ってもよかったんだが、子育てで忙しいかったからな。だから、リーシャが少し大きくなった今にしたんだ。……C.C.?」
ルルーシュの言葉にC.C.は固まっていたが、次第に目に涙が浮かんで、そして流れていく。
「ど、どうした!?もしかして、手作りなのが嫌だったのか!?」
「違うっ。……嬉しいんだっ。ルルーシュがこのウェディングドレスを私の為に作ってくれた事が本当に嬉しいんだ…っ!」
そしてC.C.はルルーシュに抱き着いた。
「ありがとう!ルルーシュっ!!」
その姿を見たルルーシュは、ウェディングドレスを着せる事が出来て本当に良かった…。と思いながら抱き着いてきたC.C.の頭を撫でて、カレンとアーニャはそんな2人の姿を微笑みながら見守った。
少し時間が経ってC.C.が落ち着いた頃、外に出てから姿が見えなかったジェレミアが、ルルーシュ達に近づいてきた。
「C.C.様!なんという素敵なお姿なんでしょう!このジェレミア、感激で涙が止まりません!!」
「ありがとう、ジェレミア。…しかし、お前はブレないなぁ」
滝のような涙を流しながら話しかけてくるジェレミアに、C.C.は苦笑いを浮かべた。
「おっと、あまりの感激で忘れるところでした。ルルーシュ様、お客様が来ております」
「…前から気になっていたんだが、どうして滝のように流れている涙が一瞬で止まるんだ…?」
「それは忠義がなせる技です」
「???…まぁ、ジェレミアだからで納得するか。で、客が来てるって事だが、この場に俺がいたらマズイな。直ぐに屋敷の地下に行くから少し待ってくれ」
「いえ、ルルーシュ様とC.C.様のお客様なので大丈夫です」
「俺とC.C.の…?という事は、今の俺と事を知ってる人物か?」
「はい。あちらをご覧下さい」
「ん?……っ、なんで…」
ジェレミアが指した方向を向くと、そこには車椅子を押しながら向かってくる、7年前とあんまり変わらない姿で帽子を目深に被ったスザクと、その車椅子に座っている立派な大人の女性に成長した私服姿のナナリー・ヴィ・ブリタニアがいた。
「久しぶり、ルルーシュ、C.C.」
「スザク…」
「驚いた?実はジェレミア卿から今日の事を聞いていてね。ナナリーと一緒にお忍びでここに来たんだ」
「申し訳ございませんルルーシュ様。ですが、今日という日だけはナナリー様もいた方がいいと思いましたので…」
ジェレミアがそう告げると、車椅子に乗ったままナナリーがルルーシュの前にやって来た。
「お兄様…」
「ナナリー…」
「…ごめんなさいお兄様。私が…''ナナリー・ヴィ・ブリタニア''がお兄様に会ってはいけないと分かっているんです。でも、ジェレミアさんから話を聞いてどうしても会いたくなってしまい、今日だけでも''妹のナナリー''として会いに行こうと…」
「(そうか…。強く…なったな)…ナナリー、俺はお前の兄として生きる事はもう出来ないけど、それでもお前の兄である事には変わらないんだ。そして兄として生きてきた時間は俺の大切な宝物だし絶対に忘れる事はない。だから…今までありがとう。ずっと愛してるよ、ナナリー…」
「っ、今まで本当にありがとうございました…!私もずっと愛しています、お兄様…!!」
ルルーシュはナナリーを抱き締めて、ナナリーはルルーシュの胸の中で涙を流し、その後にC.C.の方を向いた。
「C.C.さん。そのお姿、とても綺麗ですね」
「ふふっ、ありがとう」
「…今更かもしれませんが、お兄様の事をよろしくお願いします」
「任せろ。…出会った頃より強くなったな、ナナリー」
C.C.の言葉に、ナナリーは苦笑いを浮かべる。
「いえ、私は全然強くなっていませんよ」
「そんな事ないさ。本当に強くなったよお前は」
「そうですか?ありがとうございます」
「…リーシャ、こっちにおいで」
C.C.は、少し離れた所にいたリーシャを呼んだ。
「おかあさんなぁに?」
「リーシャ。この人が、ルルーシュの妹でナナリーだ」
「初めましてリーシャちゃん。私が貴女のお父さんの妹でナナリーと言います」
「はじめまして!わたし、りーしゃといいます!」
「今日の事は誰にも言ってはいけないぞ?約束できるか?」
「わかった!!」
「良い子だ」
そこへ、カメラを持ったスザクやカレン達が近づいてきた。
「記念に皆で写真撮ろうよ」
「いいわねそれ」
スザクとカレンがそう言うと、ルルーシュとC.C.は呆れてしまう。
「あのなぁ…。今変装をしていない俺が写ったらダメだろ」
「私もだな。私とルルーシュは不老不死なんだから、この姿で写真に写るわけにはいかないな」
「それにスザク、お前も写れないだろ?死んだ事になってるんだし」
「大丈夫。いざとなったらゼロの衣装を着て写るから」
「「それだけはやめてくれ」」
「あはは…。まぁ、せっかくなんだし思い出として1枚ぐらい撮りましょうよ。この先二度と、ここのメンバーが全員集まる事はないんだから」
「…それもそうだな」
「まぁ、このメンバーなら写真が外に漏れる心配はないか」
「決まりね。それじゃあ皆並びましょ!勿論、真ん中はルルーシュとC.C.、それにリーシャね!」
「なぁ、ルルーシュ」
「なんだC.C.?」
「…皆、笑っているな」
「…あぁ。皆笑っている」
今、写真を撮る為に皆が並んでおり、ルルーシュとC.C.は皆の顔を見渡していた。
「これが、お前が全てを捨ててまで創りたかった世界なんだな」
「…そうだ。俺はこんな世界を望んで、そして創った。皆が幸せに笑って暮らせる世界を…」
「それじゃあ、行くよー!!」
少し離れた所でスザクがカメラのタイマーをセットしてから置き、こちらに向かってくる。
「今までありがとう。これからもよろしく」
「私も今までありがとう。こちらこそよろしく頼むぞ」
「愛してる、セラ」
「私も愛してるよ、ルルーシュ」
そしてタイマーがセットされてたカメラのシャッターが切られて、撮られた写真に写ってる皆の顔は笑顔だった。
ルルーシュの顔にも…
ウェディングドレスを着たC.C.の顔にも…
そんな2人の前に立っているリーシャの顔にも…
スザク、カレン、ナナリー、ジェレミア、アーニャの顔にも…
皆が幸せに、そして心の底から浮かべる笑顔が写っていた。
(この先、世界がどう変わっていくのか俺には分からない。だが人が幸せを求める限り、世界は良くなっていく。例え、どれだけ時間がかかろうとも…。だから今を生きる世界の人々よ、幸せを求め続けろ。それが人々の''ギアス''にかかった俺が、世界に命ずる最後の''ギアス''だ)
ルルーシュはC.C.の手を握り、小さく微笑みながら空を見上げて、世界に対してそう願った。
これにて、この小説は終了となります。
次はリメイク版を投稿していく予定ですが、そちらでもルルCのみでいかせてもらおうと思っております。様々な意見、本当にありがとうございました。
ただ、ある程度の展開や設定が変更になる予定ですので、そこはご了承ください。
リメイク版では話が変になっている所とかを修正できればなぁと思っていますが、自分の実力がかなり低いので変になってる所が修正されてなかったり、さらに変になったりする可能性もありますので、その時は笑って見逃してください…。
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