バンドリの世界に転生したって? (0やK)
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原作前 転生したって?

キラキラドキドキしたいです!っていう娘の兄がいないので・・・。


 あれ?これはだれのきおく?頭に誰かの記憶が入ってくる。

 

「ウァァァァァァァッ!?」

「大丈夫か!?光夜!?」

 

 頭上から声が聞こえる。その声を最後に視界が暗くなった。

 

 ハッとなって起き上がり、目を開ける。

 

「ここは……ベッド?」

「よかった、目が覚めて!」

 

 誰かが強く抱きしめて来た。いい匂い。

 

「そうだぞ、光夜。いきなり、叫び出して倒れたんだから凄く心配したぞ」

 

 ベットの横にいるのはママとパパか。ん?なんでこの人たちをパパとママって・・・ いや、いいんだ。

 記憶が戻ったばっかで頭がこんがらかっているだけだ。とりあえず、整理しよう。

 

 俺はトラックに轢かれ、転生したらしい。そんで、今しがた記憶もとい前世を思い出したというわけだ。

 俺の今の名前は戸山光夜。うん、大丈夫だ。思った以上にこんがらからなかった。

 しかし転生するとは思わなかったな・・・神には会わなかったし、ただの転生。

 

「光夜、大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ」

 

 

 とりあえず、ニコッと笑っておいた。精神的にキツいけど。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 前世を思い出してから1年。最初こそ戸惑ったものの、今ではこの現実を受け入れている。子どもとして振る舞うのがすごく大変だけどな。

 

 前世を思い出したのが4歳だというのはいろいろと嬉しい。

 本音を言えばチートは欲しかったけど過ぎた力は身を滅ぼすと言うから転生して前世の記憶があるってだけで儲け物だろう。

 

 何よりいろいろやり直しきくから。

 

 

 でも、幼稚園はマジ卍とだけ言っておく。なぜかみんな俺によってくる。

 

 

 来るなァァァァァァァァ!!!

 

 

 やる事が幼稚園行く、幼児番組・アニメをみる、ママンと話す出掛ける、絵を描くしか選択肢がない。転生チートとかないし、無理ゲー。ラノベのようには上手く行かないのが現実らしい。

 

 あのさパパン、ママン。

 

 俺が眠ったと思った瞬間にヤり出すのやめてくれない?

眠れないんだけど夜じゃなくてもっと深夜にヤッてくれませんかねぇ・・・・・。

 明日にでも「どうしてパパとママ昨日、ベッドで喧嘩してたの?」って聞いてみよ。

 

 

 

 

 

 数ヶ月後

 

 

 

 

「光夜、お前に妹ができるぞ!名前はもう母さんが決めてある。香澄だ!戸山香澄。」

 

 

 

 

 

 香澄か・・・・・・・・・ん?

 

 

 

 

 

 戸山香澄?・・・ファッ!?

 

 

 

 

 

 ってことは俺、戸山香澄の兄?え?あのへんt……じゃなかった「キラキラドキドキしたいです」って言う()の兄?

 

 

 

 

 どうやら俺は

『BanG Dream! ガールズバンドパーティ!』の世界に転生したらしい。

 

 



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戸山香澄の兄

設定としては
主人公が夏、ミクコラボ後に転生という形です。
前世がアレコレだとかどしたとかはナシでお願いします。


 BanG Dream!、通称バンドリ。

 それがこの世界だ。

 しかし、『Roselia』『Pastel*Palettes』『Afterglow』『ハロー、ハッピーワールド』のバンドグループがあると考えると

 

 『BanG Dream! ガールズバンドパーティ!』通称ガルパの世界であろう。

 

 ガルパアプリのリリース、アニメ化がされたことで世間から認知されたものの爆発的な人気にはならなかった。

 人気が爆発したのはリリースされた年の7、8月の夏休みと記憶している。

 まあ、個人的にはそう思ってるがな。

 知っている曲で遊べるカバー曲が人気になった1つの理由として挙げられる。

 特に2年目に追加された『シャルル』だろう。

 それは違うとか他にあるだろと言われても切りが無いので割愛させていただく。

 

 

 話は戻るが戸山香澄についてだ。

 

 

 戸山香澄。

 猫耳のような髪型をしており、明るくポジティブな性格をしている。

 思い立ったが吉日と言わんばかりに行動し、周りを巻き込む。

 何よりおたえに「変態だ」と言われるのだ。

 そう、HENTAIと言われるのだ!

 

 

 H・E・N・T・A・I

 

 

 俺もいつか、香澄に言ってやりたい。フヘヘ。

 奇想天外で後に「花咲川の異空間」と呼ばれるお嬢様と意気投合した時点で察してしまう。

 

 しかし、ここで忘れてはいけない人がもう一人。

 

 

 

 戸山明日香だ。

 

 

 

 香澄の1つ下の妹で香澄からは「あっちゃん」と呼ばれている。姉が反面教師となったせいかしっかり者で落ち着いている。

 実は姉離れできないシスコンでもある??

 

 

 そんなこんなで過ごしている内に香澄が産まれた。

 退院した母さんから香澄を抱っこしてあげてと言われ、恐る恐る抱く。

 

 (か、かわぇぇぇもう、シスコンになってしまうわ。うん、もうシスコンでいいや)

 

 ちなみに俺は現在5歳である。

 だから、香澄と5歳差 明日香とは6歳差となる。

 しかし、この子が将来残念系美少女になるのか.・・・。

 残念系か?むしろ、放っては置けないような気も・・・。

 

 

 気づかぬうちに俺は慈愛に満ちているような目をしていたらしく、両親を驚かせたというのを数年後に聞いた。

 妹のために全力で頑張ろうと決意を固めていた戸山光夜であった(シスコン)

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

Side 戸山香織

 

 私、戸山香織は驚いていた。

 

「ねぇ、あなた」

「ああ」

 

 これだけで私の言いたいことをわかってくれる。

 

「5歳児があんな目をするものなのか?」

 

 5歳児は言葉を3.4歳より上手く話せるようになり、己の主張を言わんばかりに純粋な年頃だ。

 それがまるで愛おしそうに慈愛に満ちた目で妹を見るだろか?

 いや、見ない。

 5歳児なら「これが僕の妹!キャキャキャ」と騒ぐかと思っていた。

 

「うーん、光夜のやつ。将来、大物になるかもな」

 

 あなたがそんなこと言うなんて・・・

 彼は冗談や皮肉を嫌う。

 そんな彼がそう言ったのだ。大物になると.。

 彼が言ったのであれば間違いなくこの子は大成する。

 この子の母親として心配な反面、嬉しいような・・・。

 

「まあ、光夜と香澄の成長を二人で見守っていこう」

「ええ」

 

 子どもの成長は親の宝物。

 彼と一緒に見守っていけるなら幸せというものだ。

 

「ところで、悠夜」

「ん?どした久しぶりに名前で呼んで」

「もう一人、家族欲しくないかしら?」

「…………え」

 

 

 そんな最中、香澄にメロメロな光夜であった。




オリキャラ:戸山悠夜


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戸山明日香 誕生

あっちゃんはkawaii


 香澄が産まれてから1年が過ぎ、我が家に新しい家族が増えた。

 

 

 戸山明日香。

 

 

 明日香の誕生に香澄は大はしゃぎだ。1歳児に妹が出来たとわかるのだろうか?

 とりあえず、香澄よ。離れようか?

 そう、今現在俺は香澄に引っつかれている。

 

 頭に・・・というか顔に。

 

 しかも、真正面からで目の前が香澄で見えない。真正面と言っても俺が横になっている時だ。

 あ、でも、乗っかってくるのではないからな。

 真上からと言いたいところだが、起き上がっても引っついてるし、離れない。

 

 もう真正面でいいだろ?

 

 引き剥がそうにも強くて離せないし、力を強くして引き剝がしたいところだが相手は1歳児。

 泣かせてはいかん。

 しかし、その力はどこから……。

 

 

 

 結局、俺は香澄が満足するまで頭に引っつかれたままだった。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 さらに1年後、俺は小学生になった。

 香澄は2歳で舌足らずなしゃべり方で「にぃにぃ」と俺の後を付いてくるのだ。

 

 

 香澄カワユス

 

 

 明日香も負けじと付いてこようとするのだがハイハイは遅い。少し俺が離れると泣きそうになる。

 その前に抱っこしてあげるというのが最近のお決まりだ。

 

 

 明日香もカワユス

 

 

 「パーパ」「マーマ」とは言えるのに「にぃにぃ」はまだ言えないらしい。

 なぜか俺のことを「にぃーい」と呼ぶ。にぃーいって何や?にーにーと呼ぼうとしてるのだろうか?

 まあ、可愛いからいいや(シスコン)

 半年後には「にぃにぃ」と話せるようになった時は軽く死ねたわ。

 そんな香澄と明日香が互いに「キャッキャッ」としているのを眺めるだけで満足や。

 

 

 

 

 

 

 

   尊い

 

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 未だに香澄が俺の頭というか顔に引っつこうとしてくる。肩に乗るとかならわかるんだけど、なぜか顔にだ。

 母さんがその光景を見て、爆笑していた。

 

 (そんな笑える光景なの…)

 

 母さんは香澄を引き剝がそうと近寄って来たが、俺は香澄が引っ付いたまま起きあがって拳を握り、母さんに向けてサムズアップした。

 

「母さん、大丈夫だ。問題ない」と意を込めてね。

 

 香澄を見て、明日香まで俺の顔に引っついた時は「ブルータス、お前もか」って思ったね。

 姉妹揃って俺が横になる度にしてくる。

 

 もしかして、これが噂のだいしゅきホールド!?

 ああ、アレはもっと下の方だったな。

 2人には相通じるものがあるな。

 まあ、何にせよ似た者姉妹で何よりだ。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 Side 戸山香織

 

 その日の夜

 

「あなた、また光夜が慈愛に満ちたような目をしていたの」

「誰にだい?」

「香澄と明日香よ。二人が遊んでるところを」

「ほぅ、ますます大物に近づいているな」

 

 なんの大物よ。

 

「香澄はもちろん、明日香も兄ちゃんにベトベトよ」

「うん、良いことだ。光夜はちゃんとお兄ちゃんやれているのかい?僕が休みの時以外は見れないからね」

「ええ、お兄ちゃんしてるわ。香澄は光夜の頭がお気に入りなのよ」

「え?頭かい?肩とか肩車じゃないのかい?」

「えぇ、頭よ。真正面からのね」

「え?真正面!?」

 

 驚くのも無理はない。私も最初、光夜が香澄に頭に引っつかれているのを見て腰を抜かしてしまったもの。

 光夜から引き剝がそうとしたら、光夜が体を起き上がらせて、香澄をくっつけたままサムズアップしてきたから。

 それを悠夜に言うと・・・

 

「サムズアップしたのかい!?」

「ええ、思わずその光景を写真に撮ってしまったわ」

「ナイスだ。で?見してくれるかい?」

「うん、これよ」

 

 携帯で撮った写真を見せたら悠夜は急に笑い出した。

 

「ハハハハハッ、これはいい。傑作だ」

「それだけじゃないの、明日香のもあるのよ」

「え?」

 

 素っ頓狂な声を出す悠夜。

 

「これよ」

「ウワハッハハハハハハっ、もうだめお腹痛い」

「静かに笑ってよ、3人とも起きちゃうでしょ」

「ごめん、ごめん。これで笑うなって方が無理でしょ」

 

 それには激しく同意だ。私も見た時は爆笑してしまったもの。

 

「香澄がしていたことを真似して明日香もやったのよ」

「似た者姉妹でなりよりだ」

「それに光夜、学校でも人気者だって先生言ってたわ」

「やはり、只者じゃないな光夜」

 

 そんな会話を就寝するまで続けるのであった。



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戸山光夜という存在

主人公が知ってるストーリーは『新しい季節その前に』まで知ってる(ミクコラボ後)

花音に弟がいると発覚したが主人公は知らない設定で


 

 今更ながら自己紹介をしようと思う。

 

 戸山光夜<トヤマコウヤ>

 

 それが俺の今の名前だ。前世は菜畑洸夜。 これが憑依ではなく、転生なのは確かだ。

 あまり覚えていないが記憶が1歳半からうっすらとあるし、4歳に前世である菜畑洸夜の記憶が蘇った・・・否、思い出した。

 まあ、前世の話はしなくていいだろう。特にあれやこれやと言って語ることはない。

 強いて言うなら、アニメや漫画、ラノベの主人公のように普通だった。

 ああ、でもあいつらは普通だ普通だと言ってるが全然普通じゃなかったな。

 最近のモノだと絶対にラブコメしてるよな。

 

 

 話がズレたな。

 

 

 俺こと戸山光夜の名前の由来は、月なんだと。名前の漢字のとおり、光る夜。つまりは月だ。

 暗い夜の中でも月の如く爛々と輝く人になって欲しいからこの名前にした。と俺の7歳の誕生日に父さんは意気揚々に語っていた。

 私的には前世と名前が変わらなくて助かった。名前が変わると慣れるまで大変だからな。

 

 

 さて、ここからが本題だ。

 

 

 それは俺、戸山光夜の存在だ。

 『BanG Dream! ガールズバンドパーティ!』に戸山光夜という人物は存在しない。

 そもそも、戸山香澄・戸山明日香に兄はいない。戸山家の家族構成は母・父・香澄・明日香だ。

 アプリのプロフィールには4人家族と書かれていたから間違いない。

 

 記憶が確かであればPoppin' Party、Afterglow、Pastel*Palettes、Roselia、ハロー、ハッピーワールドの5バンドの中で兄がいる人は1人だ。

 

(以降ポピパ、アフロ、パスパレ、ロゼリア、ハロハピとする)

 

 北沢はぐみに兄がいるということだけだ。

 上原ひまりも上に姉か兄がいるそうだが明確にされていないため、今のところは北沢はぐみの1人と考えていいだろう。

 

 しかし、甘えんぼと言っていたから兄だろうか?

 

 弟がいるのはポピパの山吹沙綾、ハロハピの奥沢美咲の2人だけだ。重要なのは俺、戸山光夜(イレギュラー)という存在。

 

 俺という存在が彼女たちにどう影響するのか?

 

 彼女たちと関わらず、何もしなければいいとは思うがそれは無理な話だ。こうして戸山香澄、明日香の兄として産まれてしまった以上関わらないというのは不可能。

 

 今はいくら悩んでも途方に暮れるだけ。八方塞りってやつだ。

 ま、香澄がやらかす前に俺が先に関わる可能性が高いのだけどね。

 

 仮定というか不躾な話になるんだが、元々、俺・・・じゃなかった戸山光夜という存在はいたのかもしれない。

 ただ、不幸な出来事があって戸山光夜は産まれなかった。

 言い方が悪くなるから詳しく言わないでおく。

 

 だとしたら、ここは戸山香澄、明日香の兄、戸山光夜が存在する並行世界(パラレルワールド)なのかもしれない。

 パラレルワールドについて言われても知識としてしか知らないからわからないがな。

 とりあえず、他に異常(イレギュラー)がいなければ特に問題はないし、深く考えすぎるのはやめておこう。

 

 架空の人物であった彼女たちは生きているのだから。

 

 

 

 俺はこの世界(バンドリ)を生きていこう。

 

 

 

 戸山家長男、戸山光夜として・・・。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 あっ、ちょ!?香澄、顔にくっつくのやめて!

 ん?明日香どした?明日香はお姉ちゃんみたいにくっつかないよね?え?抱っこしろ?やっぱりおんぶしろって?よしよし香澄で前が見えないけど可愛いぞ。

 

 

 

 

現在

戸山光夜 9歳

戸山香澄 4歳

戸山明日香 3歳



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かすみちゃんとはーちゃん

はぐみって絶対ロングヘアにしたらめちゃかわいいよな


 明日香が幼稚園に入園して、1ヶ月経った。

 月は春の麗らかなる4月から初夏を感じさせる5月へ

 

 毎週、日曜日になると母さんは香澄を連れて出かける。香澄が幼稚園に入園してから、家族全員で出掛ける時を除くと毎週である。香澄が毎週出掛ける理由は、容易に想像できよう。

 

 それは香澄がはっちゃけるのだ。

 

 俺の頭に引っついたり、足に引っついたり、抱っこしてもらおうと突進してきたり・・・・・っておい!俺ばっかじゃねぇか!?

 「おにいちゃん!おにいちゃん!」と何回も呼んでくる妹を拒めるか?俺は拒めないね。

 

 でもさ、腑に落ちないことが1つあるんだ。

 

 何回か近くの公園や少し離れた公園に一緒に行ったんだが、香澄が毎回木登りしているんだぜ?

 最初、木に登ってるのを見て驚いたわ。流石に俺でも登らないわ。

母さんに止めなくていいのか?と聞いた時は

 

「なんで止める必要があるの?大丈夫よ」

 

 と、まるで俺がおかしな質問をしたかのような顔をされた。

 

 え?俺がおかしいの?

 

 そう思わずにはいられなかった。

 

 転生前である前世の現代2010年代後半においては木登りなど言語道断!学校だったら怒られる又は注意されるのが一般的、木には登るものでないという事が現代社会で常識となった。

 昭和の時代なら登っても怒られないし男なら登るもんだと前世の父親から聞いた。こうやって時代は変わって行くんですね、分かります。

 

 最初こそ驚いたが2回目からは当たり前の光景になっていた。慣れって怖いね。最近になって思うんだ。香澄が木登りしてるのは俺に引っ付くためなんじゃないのかって。うん、嘘と思いたいよ。

 

 だけどさ、帰って風呂と夜ご飯を済ますと突っ込んでくるんだ。俺の足からよじ登って、「おにいちゃん!」と言いながらね。あ、もちろん、最後は頭だよ?当たり前だよなぁ。昔より頻度は減ったけど嬉しいような悲しいような・・・。

 

 香澄も7月で5歳になるし、女の子とはいえ体重が増える。このまま頭に引っ付かれたら俺の首が死ぬ。

 だから、誘導して肩車してる。幸い、肩車が気に入ったのか肩車をせがまれることが多い。頭の引っ付きとグッバイする日もそう遠くないだろう。

 

 ここ数週間の日曜日は、家で明日香の面倒を見ている。香澄とは違い、大人しい。賢妹のオーラを感じるぜ。

 明日香はたまに頭に引っ付くけど、1カ月に何回かあるぐらいだ。頭に引っ付くより、明日香は抱っことナデナデの方が好きらしい。可愛すぎて鼻血が出たのはここだけの話な。

 俺たちの見守り役である父さんは、書類とにらめっこしてた。ファイト!

 

 今週は俺も付いて来いとのことだ。おねむな明日香は父さんに任せて、付いて行くことにした。

 昼下がりには家より少し離れた公園に着いた。公園に入ると、だいだい色の髪をした活発そうな子がこちらに駆け寄って来た。

 

「あっ!かすみちゃん」

「はーちゃん!」

 

え?はぐみ?

 

 今現在、目の前にいる幼いはぐみに驚きを隠せないでいた。確かに原作というかアプリのストーリーで会うのは知ってたけど今かよ!?

 

「あれ?かすみちゃん、そっちのにいちゃんだれ?」

「うん、わたしのおにいちゃん!」

「へぇ、はぐみもね、にいちゃんがいるよ」

 

 

 北沢はぐみ。

 ハロハピのベース担当だ。

 実家は精肉屋を営んでおり、自分の店のコロッケが大好物ないつも明るい子だと記憶している。

 

「ねぇ、かすみちゃんのにいちゃんもあそんでくれる?」

 

 そんな潤んだ目で見つめないで!

 

「うん、いいよ」

 

 即答した。

 

 だって、断れないだろ?断ってはぐみを泣かせてみろ、後ろにいるはぐみのマッマに睨まれること間違いなしだ。そもそも断る理由ないよね?呼び方ははぐみちゃんで大丈夫かな。

 

「やったぁ、ありがとうかすみちゃんのにいちゃん!」

 

 と抱きついてくるはぐみちゃん。

 

「わたしもだきつくぅ」

 

 と香澄。お前は毎日やってるでしょ。まあ、可愛いから許す。

 

 その後、日が暮れるまで一緒に遊ぶのだった。

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 本音を言えば、おままごとはマジできつかった。

 

 夫役は俺なんだが、お嫁さん役はわたしがやると香澄、はぐみがやるんだとはぐみちゃん。二人が俺を取り合ってると、はぐみちゃんが「なんか、これテレビでみたことある!」と言いだした。

 俺が「テレビで?」と聞くと「うん、ひるドラ!」と得意げに言うはぐみちゃん。

 はぐみちゃんの母の方を向くと、その会話を聞いてたらしいはぐみちゃんの母は目を逸らした。おい、目を逸らすな!こっち見ろや。

 

 子どもになんちゅうもんを見せてんだよ。それよりはぐみちゃん、意味わかってるんだろうか?そんな中、我が妹である香澄が「ひるどら?」とキョトンとしていた。

 

 

 カワユス

 

 

 香澄はそのままでいてくれ、お兄ちゃんからのお願いだ。

 



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お別れ、そしていつか・・・

桜の木のネタ
分かる人には分かる...はず


 

 6月が過ぎて7月に入った。昼夜を問わずセミが鳴いてる。

 夜、セミ鳴くくなよ。求愛だと思うと・・・うん。マジ卍、マジ卍ってマジ便利!

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

 

 毎週ではないが2週間に1回は母さんと香澄について行く。そして今、毎週ついて行かなかったことを激しく後悔した。

 

 香澄が自転車に乗れるようになっていた。

 

 

 補助輪なしで。

 

 嘘でしょ!?

 

 俺とあんなに練習しても乗れなかったのに・・・。

 はぐみちゃんと一緒だと乗れたのか!?許すまじ!だって、香澄が自転車に乗れる歴史的瞬間だぞ?

 可愛い可愛い妹が自転車に乗って、「ばびゅーん」する瞬間に立ち会えなかったなんて・・・。

 

 

 

 香澄の兄失格だ。

 

 

 

 え?それは親の役目だって?知らんがなそんなこと。明日香の時は絶対に立ち会うんだ。フラグではないと思いたい。

 

 

 

 

 ※もちろん、立ち会えませんでした。

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 6月の第4週の日曜日に、はぐみちゃんと香澄はベンチで七夕の短冊に願い事を書いていた。

 

 短冊を持っていたはぐみちゃんが

 

「たなばたのねがいごとをかくかみなんだー!ここにねがいごとをかくと、かなっちゃうんだって!」

 

 と言ったからだ。それを聞いて香澄は俺に

 

「ほんとにかなうの?」

 

 と不安げな顔で聞いてきたから、俺が今できるとびっきりの笑顔で

 

「そうだね、香澄が願えばね」

 

 と答えておいた。断じてマジキチスマイルではない。

 

 子どもの夢を壊してはならん。それが大人ってもんだろ?あ、自分も子どもやったわ笑

 残酷なことを言ってしまえば、

 

『願えば叶う、祈れば通じる』

 

 そんな夢物語など、どこにもありはしない。

 どこぞの桜の木だよって話だ。それが許されるのは物語だけだ。

 

 しかし、ここは現実。

 

 転生前となんら変わりのない世界だ。

 いつかきっと事実を知る日が来るのだ。そう遠くない未来に。世界はそんな綺麗事だけでは済まされないということを。

 それでもさ、夢が叶わなくても夢を見続けることは素敵だと思わんかね?そんでもって、夢があるやつは強い。

 

 タイトルがDream!ってあるからね

 

 ま、現実を知るまでは、そっと見守って行こう。そっとね。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 ついに来てしまった。

 

 

 はぐみちゃんと香澄が一緒に遊べる時間に終わりを告げる時が。端的に言うと公園が工事の為、閉鎖したのだ。

 俺は数週間前から公園の入り口付近に、看板が立っているのを知っていたから驚きはしない。それはこの公園をなくして、新しく建物を建てるという旨の看板だった。

 

 母さんとはぐみの母もこの事を知ってはいたのだが、はぐみちゃんと香澄が仲良く遊んでいるのを見て、言うにも言えなかったのだろう。

 母親たちがどうにかしようとあたふたしていると、とうとうはぐみちゃんと香澄が泣き出した。ヤダヤダと駄々をこね、泣き止まない。

 

どうにかしなくていいのか?と意を込めて母親たちを見る。

 

 え、何その目?俺にどうにかしろと?ハイハイ、お兄ちゃんがどうにかしますよ。

 

「なぁ、はぐみちゃん、香澄。」

 

 彼女たちの目線に合わせるようにしゃがみ込む。

 

「う''う''、グズン、おにいちゃん」

「ゔ''ん''、かすみちゃんのにいぢゃん」

 

 二人からダラダラと垂れ流している鼻水をかませ、ゆっくりと語りかける。ポケットティッシュとハンカチは常に持ち歩くもの。常識だよ?

 

「二人は、お別れだから泣いてるの?」

「「うん」」

 

 なるほど、じゃあ・・・

 

「もう一生、もうこれから会えないってわけじゃないんだよ?」

「え?そうなの?」

「ふぇえ?」

 

 これで納得してもらうしかないよなぁ。てか、ふぇぇって既視感を覚えるぞ。

 

「ああ、しばらく会えないし、遊べない。でもね、はぐみちゃんと香澄が大きくなったらまた遊べるんだよ?」

 

 会える保証なんてどこにもないのに、口から出まかせを言う。

 まあ、高校で再会するはずだ。香澄が違う高校行ったら詰みだけどな。

 

「だから、泣くことはないんだよ。また、会えるのだから」

 

 もう何言ってんだコイツレベルである。

 

「うん、わかった!おにいちゃんがそういうんだもん!」

「はぐみもわかったよ!」

 

 ウッ、ま、眩しすぎる。

 

 ごめんよ、香澄。こんなお兄ちゃんで。ごめんよ、はぐみちゃん。こんなのが香澄の兄ちゃんで。

 俺は 改めて、子どもの純粋さを思い知るのであった。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 余談だがその後、はぐみちゃんと香澄はゆびきりげんまんをした。

なぜか、俺もゆびきりげんまんをさせられた。

 

 ゆびきりした後、はぐみちゃんが

 

「やくそくやぶったら、はりせんぼんね」

 

 と言ってきたときは何故か背筋が寒くなったね。

 

 はぐみちゃんの言う約束とは香澄とだけ再会するのではなく、俺とも再会するという事だ。

 ところで、はぐみちゃんとゆびきりしている間、香澄の目が据わっていたのはき、気のせいだよな?うん、きっと気のせいだ。

 

 

 最後、「またね」と言い合ってバイバイした。

 

 

 俺、本当に再会しなかったらどうなるんやろ・・・。

 



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始まりのキラキラドキドキ

キラキラドキドキしたいです(ヤベェやつ)


 時が経つのは早いもので、俺は最高学年である小学6年生になっていた。そんな最高学年も後2、3学期の半年で終わりである。

 

 小学5年生あたりから女子が男子を意識し始めたのか、男子とあまり話さなくなった。

 視線がよく俺に向けられていたのは、気のせいではないと思いたい。香澄の兄だからか眉目秀麗だ。

 小学生最高学年とはいえ、まだまだ男子はお子ちゃまな年頃だ。中学生あたりで落ち着くだろう。 俺もそうだったしな。

 

 女子は精神面が男子より成熟が早いというだけあって、男子より落ち着いている。俺の体は子どもだが、精神年齢はもう30歳だから1年生から3年生までは本当に辛かった。無邪気な子どものふりをしないといけないのだから。

 

 流石に純粋な子どものふりは精神的に無理があったため、他人より少し大人びた子どもとして振る舞った。 5年生になれば、心身共に急成長したから少し助かった。小学の勉強は授業を聞いてるだけで十分だったので絵心をつけたり、ピアノを弾いたりして小学校5年間を過ごした。

 

 やはりピアノは弾けた方が後々ためになると思い、両親に習えるように頼み込んだ。コンクールには出ない方向性で週1でピアノ教室に通っている。体が違うせいか頭では理解していても手がついていかなかった。前世ではそこそこ弾けるレベルだったが、これでは本当に基礎の基礎からやり直しだ。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 俺の学校生活なんてどうでもいいだろ。

 

 それより、香澄だ。今年、小学校に入学し、ピッカピッカの1年生だ。ランドセルを背負って、登校班の班長である俺の後ろをついてくるのが超絶可愛い。

 明日香は来年で入学だ。そう、来年!俺は卒業してしまう。一緒に通えないのは非常に残念。こればかりは仕方ない。

 

 香澄が入学してあれやこれやとしてたら、気づけば夏休み。現在、家族でキャンプに来ている。山中にあるため、夜になると辺りは真っ暗になる。既に日は落ち、辺りは真っ暗闇に包まれていた。

 

 夜ご飯を食べ、ウトウトしていつの間にか寝ていたらしい俺は香澄と明日香を探すが見つからない。

 

 え?外行ったのか?あっ、でも懐中電灯がない。

 

 懐中電灯は2つ持ってきており、1つは夜ご飯を済ませた後、散歩に出掛けた両親が持って行った。

 だとすると、香澄たちも懐中電灯を持って外へ行ったのが妥当と考えるべきだ。

 

 

 

 くっそ、やらかした。気持ちよくて寝ちまった。

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・ん?キャンプ?

 

 

 

 

 

 そうだ!キラキラドキドキだ!

 

 

 

 

 香澄と明日香が小さい頃にキャンプに行って、両親に内緒で外へ行く。そこで満点の星空もとい星の鼓動を聞いたことが、後に香澄がキラキラドキドキしたいと言い始めた原点である。

 

 そうか、今日この日が香澄の原点だったのか!?なら、周りに木々がなくて草原が広がってる場所を探せば・・・。

 

 俺は走った。あるはずの草原に向かってひた走る。周りに木々がなくなっていき、ついに草原に出た。

 走るのを止めて、辺りを見回すと・・・数メートル先に懐中電灯を持った香澄と怯えている明日香を見つけた。

 駆け寄ろうとしたがふと、足を止めて頭上を見上げた。

 

 

 絶景とは、まさにこの事をいうのだろうか。

 

 

 夜空を見上げると、そこは数千数万の星たちで埋め尽くされていた。天の川の星たちだけではない。一つ一つの星がざわめいているのだ。どのくらい見とれていたのだろう?我を忘れていた俺はハッとなり、慌てて香澄たちに駆け寄る。

 

「香澄!明日香!」

「おにいちゃん!?」

 

 明日香は涙目になって抱きついてくる。カワイイ。

 

「ダメじゃないか、黙って行くなんて。夜は危険でいっぱいなんだぞ?」

「ごめんなさい」

「うん、ごめんなさいできて偉いね」

 

 落ち着かせるように頭を撫でる。

 

「香澄?香澄?」

「············」

 

 香澄から返事がない。星空を見上げたままだ。

 

「香澄っ!?」

「あ、お兄ちゃん。」

 

 怒鳴ってようやく俺に気づいた香澄。

 

「どうして、黙って行ったんだ?」

「ごめんなさい。探検したかったの」

「なら、お兄ちゃんに一言かけてから……」

「だって、お兄ちゃん気持ちよさそうに寝てたから」

 

 ぐっ、そう言われては・・・。

 

「でもね、夜は危険でいっぱいなんだぞ?」

「ごめんなさい」

「分かってくれたならいいよ、だけど本当に夜は危ないってことは忘れちゃダメだぞ?」

「うん」

 

 左手に香澄、右手に明日香。二人の手を繋ぎ、キャンプ場まで戻った。キャンプ場に着いたら、先に戻ってきていた両親にこっ酷く叱られた、主に俺が。

 俺が香澄たちを連れ出したと思われているらしい。

 

 

 

 解せぬ。

 

 

 

 その後の数日間、香澄は心ここにあらずという有り様だった。香澄は星の鼓動を聞いた!と言っていたが、香澄の言う星の鼓動とは?それを聞いて何を感じ何を思ったのだろうか?

 

 

 きっと、それは香澄にしか分からない。

 

 

 いつか香澄がキラキラドキドキに出会うまでは、陰ながら見守って行こう。



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戸山家の海水浴 前編

水着ガチャはいつも爆死よ


 

 夏と言えば?

 

 

 海だ!!

 

 

 ということで今、俺は砂浜に立っている。え?意味がわからない?

 

 

 キャンプ行ったから次は海に行くぞと父さんの提案により、戸山家は海水浴に来ている。

 人があまり多くない海へ行くため、朝早く出なければならない。その為、朝5時起きで6時には家から出発した。

 

 用意は前日に終わらせていたから着替えだけ済ませて、車に乗り込んだ。

 朝5時起きは香澄と明日香にはキツかったらしく、起こそうとしてもなかなか起きてはくれなかった。そのうち「お兄ちゃん抱っこ!」と香澄にせがまれた。

 

 そろそろ駄々を捏ねそうだったので「顔洗って、着替えたらな」と告げると香澄はパッと大きく眼を見開き、ベッドから飛び起き満面の笑みで洗面所へと走り去っていった。

 

 ええ・・・どうしてさ。

 

 その後、着替え終えた香澄が俺に突撃してきた。香澄を難なく受け止め、抱き上げてそのまま車へ移動する。

 

 

 おい、俺の胸板にスリスリすんな。マーキングかよ!?

 

 

 香澄はこの頃、抱っこがお気に入りだ。やっと顔に引っつかなくなったと思ったら、肩車と抱っこのダブルコンボである。

 

 明日香はどうしたと思うだろう?

 

 明日香はおんぶだ。抱っこもせがまれるがおんぶが圧倒的に多い。明日香も明日香で俺の背中でスーハーと匂いを嗅いでくる。スーハーと終わったと思ったらクンカクンカである。

 嗅いだ後はムフゥというなぞの満足感を得ている。

 

 ヤダァ、この姉妹コワイ。

 

 しかし、俺の匂いはそんなにいい匂いなのか?

 

 最近、頭に引っつかなくなった香澄と明日香がよく俺の匂いを嗅ぐ。この前、母さんに聞いてみたら「あんたの匂いはフルーティーよ」と言われた。

 

 

 フ、フルーティー!?そこまでか!?俺、いいボディーソープなんて使ってないぞ。

 

 

 自分では匂いなんて分らないからこの件に関しては諦めた。

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 車の後部座席に乗り込むと母さんが明日香を連れてきた。

 

「じゃ、よろしくね」と一言告げて助手席へ座り、さっさと眠りにつく。気づけばもう寝息をたてている。

 あなたはの○太くんですか?

 

 おい、寝るなよ!父さんがかわいそうだろ!?

 

 家に鍵をかけて出発の準備を終えた父さんが車に乗り込んできた。爆睡してる母さんを一目すると苦笑いしてた。カワイソウニ。

 香澄と明日香は俺の肩に寄りかかって寝ている。香澄は右、明日香は左だ。これが10年すれば両手に花になるのかぁ・・・。

 

 

 海辺に着くまでこの状態が続いたのであった。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 現在、砂浜にいる俺は逆ナンされていた。

 

 

 どうしてこうなった!?

 

 

 時は数分巻き戻る。

 

 海に着いた戸山家は家族全員水着に着替えて、海へ向かっていたところ、女性陣がお手洗いに行きたいというので海の家の前の砂浜に集合することになったのだ。

 父さんが俺もちょっとお花摘みに行くと言い、トイレに一目散に走っていった。

 

 我慢してたのか・・・。

 てか、いい歳した男がお花摘みって言うなよ!気持ち悪い。

 

 

 ポツンと一人残された俺は海を前にして待つことが出来ず、海の家近くの砂浜に移動することにした。

 現在、時刻は11時半。お昼時のせいか海の家付近は人でごった返している。

 

「ねぇ、きみ?ねぇ、きみったら!」

 

 俺を呼んでたらしく、後ろを振り返るとそこにはギャルかと思いきや清楚系お姉さんがいた。

 

「はい?俺ですか?」

「そう!きみよ」

 

 よく見るとその清楚系お姉さんの後ろには同じ清楚系と言えるお姉さんが5人いた。

 

「ねぇ、きみ。見るからに暇でしょ?お姉さんたちといい事して遊ばない?」

「いい事ですか?」

 

 いい事とはなんだろうか?実は分かってはいるもののとぼけてみる。

 

「うん、いい事よ。きみ、お姉さんの好みなのよね」

 

 え?この人、ショタコンなの?あかんやろ。とりあえず、助けてと叫べばいいのか?

 

 どうするべきかと思いめぐらせていると

 

「お兄ちゃん!」

 

 香澄が後ろから抱きついてきた。そんな香澄を見て、お姉さんたちはオドオドしている。

 スク水だと!?学校の水着を着るなんて.....ナイスだ!

 

「ねぇ、お兄ちゃん。うしろのおばちゃんたちはダレなの?」

「ブッ!?」

 

 危ない、危なかった。脳内がスク水で埋め尽くされていたから香澄の不意打ちの発言に笑ってしまうところだった。

 

「お、おばちゃ········」

「誰がおばちゃんよっ!?」

「これでも26よ」

「そっかぁ、私もうおばちゃんかぁ」

「この子、将来やらかすわぁ(ブツブツ」

「····················え?」

 

 後半の3人大丈夫か?なんか納得してる人が1人。なぜか香澄の将来を予言してるが1人。最後の人はありえないって顔してる。特に納得してる人。認めちゃいけないだろ!諦めんなよ!

 

「ねぇ、お兄ちゃん?」

 

 ヒッ!?声、ひっく!この()怖いよぉ〜

 

 その時

「お兄ちゃん!」

 

 もう一人の我が妹、明日香が香澄と同様に抱きついてきた。水着カワイイ、ピンク色の子ども用の水着だ。

 

「アレ?うしろのおばちゃんたちはダレ?」

 

 ブルータス、お前もか。やはりこの姉妹、相通ずるものがある。

 

「ッ!?もう、いい。もう私かえるぅぅぅうう!」

 

 おばちゃん・・・じゃなかった、俺に話しかけてきたお姉さんが走り去るとそれを追うように他のお姉さんたちも走り去って行く。

 

「ハァ」

 

 俺が安心してため息を吐くと

 

「ねぇ、お兄ちゃん?さっきのおばちゃんたちはダレなの?」

 

 香澄が再び問いかけてくる。

 

 な、7歳児だよな?なのに、なんでこんなに目が据わっているの?ふぇえ、怖いよぉ。ちなみに明日香はこの光景をホェ?と首をかしげて俺と香澄を見ている。

 

 

 あぁ、明日香カワイイよ。

 

 

「お兄ちゃん?」

 

 

 ・・・・・・・ヤベェ。

 



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戸山家の海水浴 後編

 

「お兄ちゃん?」

 

 ヤバいぞ、ヤバい。ってアレ?俺、なんで正座しているんだ?

 

 どうやら香澄の剣幕に気圧されて、俺は無意識のうちに砂浜の上に正座していたようだ。香澄の目から光が消えてるぅ!お願いだからハイライトさん仕事して!

 ここは海の家の近く。当然、他の人から注目を浴びないはずがない。

 

「ねぇ、ママ。あのお兄ちゃんなんでせいざしてるの?ぼくと同じくらいの女の子のまえに?」

「見ちゃいけません!」

 

「パパ!あれ、わたし知ってるよ!あれってOHANASHIってやつでしょ?」

「おお、よく知ってるな。偉いぞ」

 

「ねぇ、あなた。あの子たち何してるのかしら?」

「さあ?何してるかわからないがあの光景を見て言えるのは将来、絶対に光夜は尻に敷かれる。」

「あなたみたいに?」

「そうそう。……って何言わせんだ!?」

 

 特に親子から注目を浴びている俺たち。

 

 OHANASHIって言った子、よく知ってるな。最近だと肉体言語の方での意味だとか?うん、意味はよく分からんけどその子のお父さん?偉い偉いじゃないよ。

 最後のうちの両親だよな?声がそうだし。どこにいるんだとキョロキョロ辺りを見回すと・・・いた。

 視線が合うと両親はこちらに近づいて来た。

 

「香澄と光夜は何してたんだ?」

「お兄ちゃんがおばちゃんたちを引っ掛けていたの」

 

 父の質問に対してそう答える香澄。

 引っ掛けていたとは人聞きが悪い。しかも、おばちゃん。これでは俺が熟女好きに聞こえるじゃないか。

 

「え?おばちゃん?光夜が正座する少し前からみてたけどお姉さんたちだろ?」

「ううん、おばちゃん。匂いがくさいの」

 

 ああ、なるほど。香澄と明日香がおばちゃんと言ったのは彼女たちの匂いもとい香水の匂いがキツかったからか。

 そこに悪気はなく、ただ単純にキツイにおいだったから。香澄と明日香の中でお姉さん・お兄さん、おばさん・おじさんの基準は何なんだろうか?匂い?外見?

 

「え、でも、おばちゃんっていうのは香織みたいな……」

「あ・な・た?」

「ヒッ!?ち、違うんだ!べ、別に母さんのことじゃ……」

「今、私の名前を言ったわよね?確かにそう言っていたの聞いたわよ」

「はい…………言いました」

 

 あ、父さん死んだ。諦めて認めてるし。

 

「じゃ、光夜、香澄、明日香。私はこれからOHANASHIしてくるから海の家付近にいてね。泳いでもいいけど、香澄と明日香は光夜から離れないでね」

 

 顔は笑っているのに目が笑っていない母さんは、父さんの頭を掴むとそのままどこかへ行ってしまった。どこ行くのさ・・・。

 きっと父さんの心の中はドナドナだろう。

 

「じゃあ、香澄!明日香!海に入ろうか?」

「・・・うん」

 

 どうやら香澄は見逃してくれるらしい。はぁ、助かった。でもさ俺、何もやましいことしてないのになんで安心してんだろ?

 

 え?明日香はどうしたって?明日香ならずっと俺たちの様子を不思議そうに見てたぞ。何回も首を左右に傾げてな!明日香カワイイ!君はそのまま育っておくれ。

 

 

 連行された父さんがいつ戻ってくるか分からないから海に入ることにした。このままじゃ待ちぼうけだしな。

 海に入る前に準備運動をする。準備運動が終わった瞬間、香澄は海へ一直線に走って行った。

 

 おいおいおいおい、マジか。見失ったら大変じゃねぇか。

 

 視線を香澄から離さず、はぐれないように明日香と手を繋ぐ。

 

 明日香確保!

 

 いきなり手を握っても驚いた様子を見せない明日香は俺を上目遣いで見てくる。カワエエ〜。最近、明日香が可愛いすぎる件について。あ、もちろん、香澄も可愛いよ?でもね、最近の香澄はなんか怖いんだ。目とか目とか目とか?・・・・・・・あれ?

 明日香と手を繋いだまま香澄の方へ行く。香澄は膝くらいまでの浅瀬にいて、波とたわむれている。

 

 絵になるなぁ。何よりカワイイ(語彙力)

 クッ、これが俗に言う筆舌に尽くし難いか・・・。

 

 香澄に近寄ろうとしたその刹那、俺の顔に海水がかかった。

 

 

 

 ア''ア''ッ〜〜!?イイッ↑タイッ↓メガァァァァァァア↑

 

 

 

 思わず明日香と繋いでいた手を離して、両手で目を押さえる。

 

 

 

 イッタイ!?メガァァァメガァァァ↑

 

 

 

 そんな俺の様子を見て、明日香は「だいじょーぶ?」と心配してくれた。ああ、お前だけだよ明日香。俺を労ってくれるのは。

 香澄はもうご覧の通りだろ?両親は・・・まあ、うん。

 とりあえず、大丈夫と言っておいた。全然これぽっちも大丈夫じゃないけど。

 

 そんな最中、香澄は

 

「お兄ちゃん?どう?きもちいいでしょ?」

 

 と満面の笑みで言うのだ。

 

 

 お前は鬼か!?

 

 

 しかし、本人に悪気は一切なく、ニカッと笑いかけてくる。ずるいわぁ、その笑顔。お兄ちゃん何でも許せちゃう!

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 浅瀬で十数分、波とたわむれていたら香澄が深いところにいくと言い出した。お兄ちゃん、まだ目が痛いよ。

 まあ、ここは浅瀬だし、人が周りにたくさんいるから大丈夫だろうと高を括って水深の深いところへ移動する。

 

 香澄大丈夫か?と思っていたら案の定、香澄は溺れた。

 

 騒ぎになる前に助けにいかないと。俺が近寄ると香澄は右腕にガシッとしがみついた。俺と香澄がいる水深は目測で1.3mだ。158cmである俺は問題ないが香澄は112cm。体全部が沈んでしまう。海水を飲み込んでしまったのか香澄がケホッゲホッと咳をする。その咳が俺の顔へと向けられる。

 

 ・・・・・ハッ!ありがとうございます!我々の業界ではご褒美です!

 

 ハッ!イカンイカン、新たな世界を開くところだった。って、明日香は!?

 

 

 香澄にばかり気を取られて、明日香を忘れていた俺は浅瀬の方に目をやると・・・・なんと!こちらに向かって明日香が泳いでくるではないか!?

 

 

 

 犬かきして。

 

 

 

 やるわね(キリッ

 

 

 疲れてしまったのか溺れそうになる明日香。今のところから少し深水が浅いところで明日香を小脇に抱き抱える。明日香回収。

 抱き抱えた明日香がさっきから右腕にくっついてる香澄を見て、同じように俺の左腕にガシッとくっつく。

 なんだこれ?これが本当の両手に花?ん〜まだ花って年ごろじゃないから両手に妹と言っておこう。

 

 少し疲れたから海から出ようとすると、姉妹揃って「イヤッ」と駄々を捏ねるように腕の力を強くする。

 仕方ないので海から出るのを諦め、両腕にくっついたまま歩く。これでは腕が振れないから歩きづらいったらありゃしない。それでも動けと言わんばかりに腕の力を込めるウチのワガママなお姫様が二人。

 

 

 結局、30分間、両腕にくっついた状態で歩かされるのだった。

 

 

 二人ともご満悦そうで何よりだ。

 

 

 その後、戻ってきた両親と昼を取ってから一緒に海に入った。

帰るまでの間に父さんの目が死んでいたり、香澄が明日香を泣かせたり、それで明日香が俺にずっとくっついていたりしたのだが、これはまた別の機会に語るとしよう。



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迷子の迷子のちーちゃん

 

季節はもうすっかり秋となり、そのうち冬服の出番になりそうな10月上旬。

 

 

 俺は来週にある修学旅行で必要なものを買いに来ている。とはいえ、ただ持って行くおやつを買うだけだ。おやつなんて近場の店で買えば済む話ではあるが、地理を把握したい俺は隣町へ電車に乗って行った。

 

 一人で?そう、一人でだ。母さんに隣町へ行きたいと言うと財布から千円札を2枚渡され

 

「んじゃ、これで。修学旅行のおやつもそこで買うんでしょ?残りはあげるから行ってらっしゃい」

 

 と送り出された。

 

 え?そこは一緒について行ってくれるんじゃないの?

 12歳とはいえ、いいのか?と思ったが違うらしい。母さんはただ単純に出かけたくないそうだ。

 車ならまだしも、態々歩いて駅まで行って電車に乗り、そこからショピングモールまで行くのがだるいんだとか。

 

 

 おい!母親!

 

 

 その後、「まあ、あんたなら大丈夫でしょ」と謎の信頼を寄せられた。

 

 その信頼はどこから・・・。

 

 朝ご飯を食べた後、香澄と明日香が寝てしまったのでその間に家を出た。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 そんでもって俺は『ショッピングモールなう』である。

 ショッピングモールに入り、2階へと移動する。1階は飲食店とスーパーなので帰りに行く。

 2階へ上がるとプラチナブロンドの少女が目に入った。その少女は辺りをキョロキョロと何回も見回している。

 

 ふと、足を止めて見覚えあるなぁと思っていると・・・。

 

 あっ!はぐれ剣客人情伝の!?ってそうじゃないそうじゃない。2年前にそれを見たからそっちのイメージが強いんだよ。

 

 白鷺千聖だ!?え''ぇ''、チサトサン!?なんで!

 

 はぐみちゃんの次はあなたですか・・・。

 

 そのうち、沙綾やこころとかにも会いそうだな。沙綾はやまぶきベーカリー行けば会うな、うん。フラグ立てるのはやめとこ。回収しちゃうから。

 

 

 白鷺千聖。

 幼い頃から子役として活躍していた若手女優。

 また、Pastel*Palettesのベース担当でもある。

 芸能界に昔からいたせいか合理主義なリアリストで初期の彼女の態度は冷たかったと俺は記憶している。

 ストーリーが進んで行き、他のパスパレメンバーと打ち解けていくところはホッコリしたものだ。

 特に彼女の名言

 「お説教が必要かしら?」はゾクゾク来きたよ。いつか言われてみたいものだ。ドMじゃないよ。

 

 しかし、今俺の目の前にいる白鷺千聖は汚い世界を知らない、純真無垢な少女だろう。そんな彼女はこれから芸能界で生きていかねばならない。時には謂れもないことを言われ、時には陰口の対象され、時には理不尽な扱いを受ける。いや、もしかしたら既にされているのかもしれない。

 

 これから自分の才能の限界と個性に卑下しなければいいんだが・・・。

 未来において彼女はそれを乗り越えた。乗り越えたと言うよりは吹っ切れた?

 そこまで行くのがどんなに辛いことか、俺には想像できない。それは芸能界に生きて行く以上仕方がないのかもしれない。

 

 

(これから頑張れよ)

 

 

 そう心の中で思い彼女の横を通り過ぎようとしたが俺は足を止めてしまった。周りを見渡すと千聖の近くを通りかかった人たちはみな、気にせずに通り過ぎて行く。

 

 

 チッ

 

 

 俺自身、このまま放っておくのも後味が悪いので千聖に話しかける。

 

 

「ねぇ、キミ。どうしたの?」

「ぅん?お兄さんはだれ?」

 

 さすが、未来の若手女優。めちゃくちゃカワイイ。ハッ!?俺には香澄と明日香がいるんだからだめだめ。

 

「俺のことかい?」

「うん、お兄さん」

 

 お兄さん。うん、いい響きだ。

 

「俺は戸山光夜だ」

「うん、わかったお兄さん」

 

 わかってないじゃん。お兄さん、自己紹介した意味あった?

 

「キミは?」

「お母さんからなまえ言っちゃダメっていわれてるの」

 

 子役だから顔知られてる時点でアウトだと思う。今、一瞬「知らない人、あやしい人について行っちゃダメよ」的な事を言われるかと思ったわ(汗)

 

「じゃ、キミのことは何て呼べばいい?」

「ちーちゃん!」

 

 ちいちゃんのかげおk・・・.おっと、これ以上はいかんな。小さい頃は自分でちーちゃんって言ってたのか?気になる。

 

「じゃあ、ちーちゃん。ちーちゃんはここで何をしてたんだい?」

「お母さんとみーちゃんがいないの」

 

 みーちゃん?誰だろう?千聖は妹がいるって言ってたから妹か?

 

「はぐれちゃったの」

「じゃあ、お兄さんと一緒に探そうか?」

「うん!」

 

 香澄の1つ上だから小2か。香澄より少し小さいな。ナニがとは決して言わない。うん、俺知らない。

 

「迷子センターや店員さんのところには行かなかったのかい?」

「うん、お母さんが騒ぎになるから行かないでねって」

 

 確かにな。

 迷子センターに行って、白鷺千聖ちゃんのお母さんはいませんか?なんて放送されたら騒ぎになるよな。店員さんに言っても迷子センター直行コースだろうし。

 

 お母さんナイスです!

 

 今こうして、迷子になってるわけだが、ちーちゃんが迷子になったらどうするつもりだったんだろう?

 

「んじゃ、行こっか?」

「うん」

 

 はぐれないように手を差し出すとちーちゃんは手を握ってくれた。

 

 癒されるぅう

 

 おまわりさんオレですって自分で言いそうになる。

 

「それでちーちゃん。どこではぐれたのかな?」

「した!」

 

 え???

 

「下ってスーパーだよね?」

「そうだよ。気づいたらお母さんとみーちゃんがいなくなっちゃった。」

 

 

 あ、それ、ただ単にちーちゃんがフラフラしていなくなったパターンじゃん。ちーちゃんがいなくなった事に気づいたちーちゃんのお母さんは探そうとスーパーの中を必死に探すがちーちゃんも当然、動いてるから行き違いになる。

 んで、お母さんがスーパーから出たんだなと思ったちーちゃんは2階へと上がってきたわけだ。うん、これ絶対にちーちゃんのお母さんが下のスーパーで必死こいて探してるわ。

 

 

 俺も経験したことあるわ。もちろん、香澄がいなくなったよ。

 ここではないショピングモールで買い物に来た母さんと俺、香澄と明日香の4人。

 母さんから主婦の在り方の話を延々とされていたら、香澄がいなくなった。明日香は俺の後ろをトコトコついて来ていたから大丈夫だった、カワイイ。

 

 それより母さん、あなたは息子に何を語ってるんですか・・・。

 

 

 自由奔放な香澄は我慢できずにどこかへ行った。香澄の性格からして、ここの店にいないと分かっていた俺は母さんにこの売り場にいてと言い残し、探しに行った。

 それはもう探した探した。全階探した。

 

 灯台下暗しとはよく言ったもので、香澄は1階のお店にいた。星がたくさんガラスについてるお店のね。ずっと眺めていたらしい。

 見つけた香澄を連れ帰ったら、時間は30分も経っていたらしく母さんに酷く心配をされたものだ。

 帰り、香澄は怒られてもニヘヘと笑ったままで全然反省してなかった。

 

 俺の苦労はいったい・・・。

 

 

 

 というわけでちーちゃんを下のスーパーへ連れて行く。

 

 やはりと言うべきか、スーパーの近くでちーちゃんのお母さんと思わしきプラチナブロンドの髪の女性がワタワタと辺りを見回していた。その側には同じくプラチナブロンドの髪のちーちゃんより幼い女の子がいた。

 この子がみーちゃんでちーちゃんの妹か。

 ちーちゃんと似ているがこの子の方がおっとりとした目をしている。歳は明日香と同じくらいか?

 

「あっ!千聖!どこ行ってたの!?お母さん、探したんだよ」

 

 ちーちゃんのお母さんがこちらに気づき、みーちゃんを連れてやってくる。

 

「ごめんなさい」

「あら?そちらの人は?」

 

 俺に気づいたらしいちーちゃんのお母さん。

 

「うん、お兄さん!」

「お兄さん?あっ!ありがとうございます。ウチの千聖がご迷惑をおかけしました」

「いえいえ」

「ほら、千聖もお礼を言いなさい」

「ありがとう!お兄さん!」

「どういたしまして」

 

 と、そろそろお別れかなと思っていたら・・・

 

「お兄さん?」

 

 ちーちゃんの妹であるみーちゃんが俺をキラキラした目で見つめてくる。

 

「お、おう!お兄さんだぞ?」

「お兄さん!」

 

 全く意味がわからないがみーちゃんは満足そうだ。

 

 

 誰カ説明求ム。

 

 

「こら、みさと。お兄さんに挨拶しなさい」

「しらさぎみさとろくさい」

 

 6歳?もう誕生日を迎えているなら明日香と同年代だな。

 

「俺は戸山光夜12歳だ」

「うん、お兄さん!」

 

 ダメだこりゃ、ウチの姉妹同様に相通ずるものがあるらしい。

 

「では、そろそろ」

「ええ」

「ほら、お兄さんにバイバイしなさい」

「お兄さん、バイバイ」

「バイバイ」

 

 母、姉、妹の順で言う。俺は手を振り返して白鷺親子とバイバイするのだった。

 しかし、ちーちゃんの妹みさとちゃんの「お兄さん」の意味はなんだったんだ?不思議な子やなぁ・・・。

 

 

 一言だけ言わせてくれ。

 

 

 ワケワカメ。



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気になるパン屋さんのあの娘

たまに沙綾のお父さんとかお母さん
名前違うの出している人いるよね
特に沙綾のお父さんの名前知られてないから笑
ということで後書きに乗せとくよぉ〜


 白鷺親子と別れて、おやつを800円分買った。飴、ガムは駄目らしいからチョコ、クッキーとかだ。

 でも、持ってくるの禁止と言うと誰かしら持って来るんだよな。飴。ダメって言われるとやりたくなるよね。

 他の階へ行こうとしたら、お腹がギュルル〜と鳴った。

 

 もう、昼か。

 

 ここのレストランで食事してもいいけど一人はなんか寂しいし、待つのも嫌だな。他の階を見るのはまた別の機会にしよう。それに今の俺の口の中はパンの味だ。焼きたて食いてぇ。

 

 せっかくここまで来たんだ、パン屋に行こう。

 

 でも、場所を知らない。スマホがあれば、GPSで一発なのに・・・。父さんにスマホ欲しいと言ったら、ウチはスマホは中2からと言われた。なんで中2?厨二病になっちゃうよ?

 

 それにしてもあと2年か。

 

 駅に着いてから駅員さんに近くに商店街ありませんか?って尋ねたところ、ここから1駅先に地蔵通り商店街ってとこあるよと親切に教えてくれた。あの商店街って地蔵通り商店街って言うのか・・・。初めて知ったわ。

 

 その後、電車に乗って1駅先、商店街のある駅に着いた。改札口を出て、駅の入り口付近にある地図の看板を見る。

 

 結構遠いな・・・まあ、徒歩10分ってとこか?

 

 10分ぐらい歩くと商店街が見えてきた。思っていたのより大きいな。まあ、ガルパのマップでは一部分だけだったからな。ここに『羽沢珈琲店』『北沢精肉店』『やまぶきベーカリー』があるのか・・・。

 

 気づけば羽沢珈琲店の前だ。

 

 ほぉ、ここが羽沢珈琲店ですか。いつか入ってみよう。今、入らないのかって?入ってもバイトの人と彼女の父親しかいないのに入ってどうする。まだ幼い彼女を見に来たのだとしたら、俺はロリコンだぞ?え?もうロリコン?違う、シスコンだ!

 

 でも、珈琲の味がすごく気になる。ゴクリ。やっぱやめとこう。近くにやまぶきベーカリーがあるはずなんだが・・・。

 

 ん?あった!

 

 向い側にあると思いきや、少し離れた数メートル先にやまぶきベーカリーはあった。ガルパのマップだと3人の家は近いはずなんだが、ここではそれぞれ少し離れているらしい。

 ゲームで沙綾とはぐみとつぐみは近所であるはずなのに絡みが全くない。沙綾とはぐみはあるのに、沙綾とつぐみ、はぐみとつぐみのエリア会話がないのだ。

 

 

 正直言って、闇を感じる。

 

 

 今後のイベントストーリーで何かあるのかもな。俺にはもう関係・・・・・はあるな。

 

 とりあえず、『羽沢珈琲店』『北沢精肉店』『やまぶきベーカリー』の場所は把握した。うん、問題なし。

 北沢精肉店には原作が始まるまでは行くことはないだろう。行ったらはぐみの母ちゃんに絶対、はぐみ呼ばれるわ。香澄より先に再会しても意味ないしな。

 

 ではでは、やまぶきベーカリーへレッツゴー!

 

 扉を開くとパンの甘い甘〜い香りが俺の鼻孔をくすぐる。

 やべぇぇ、いい匂い。唾が止まらへん。おお、これが伝説のチョココロネか!?何にしようか。

 パンをじっと眺めて悩んでいると、後ろから視線を感じた。

 レジの方からか?

 

 視線が気になった俺はバッと素早く後ろを振り返る。

 しかし、レジの方には誰もいない。気のせいか?と思い、またパン選びに戻る。

 

 

 ジーーー

 

 

 やはり気のせいではないようだ。

 

 

 もう一度、バッと素早く後ろに振り返るが誰もいない。そして、また視線をパンに戻す。

 

 

 

 ジーーー

 

 

 

 三度目の正直。今度こそと思い、素早く後ろを振り返る。だが、いない。

 

 

 もうなんやねん!?

 

 

 視線が気になる俺はトングとトレイを持ったままレジに近づく。

 

 

 すると・・・

 

 

「あっ!?」

 

 

 ひょこりとレジの下から少女が出てきた。シャンパンピンクもとい薄柿色のポニーテールをした娘だ。

 うん。まあ、来れば会うとは思ってたよ。自らフラグ回収しに行ったようなもんだし。彼女はもうこの歳からお手伝いしてたのか?

 

 

 

 山吹沙綾。

 

 Poppin'Partyのドラム担当だ。

 ポピパのまとめ役でもある。

 面倒見が良く、皆から頼りにされている。オカンレベルで。

 後に香澄のよき相談相手となる。

 ある事情によりバンドを止めてしまったが、香澄により自ら蓋をしていた『バンドの情熱』、本当に自分がやりたいことを思い出す。

 

 

 ところで、なんでこの娘。俺をこんなキラキラした目で見つめてくるんだ?

 

 ええ??俺なんかした?いや、待て。落ち着くんだ!よし!

 

 

 

 ジーーー

 

 

 

 俺は負けじと彼女、山吹沙綾をジーーと見つめ返す。

 

 

 

 ジーーー

 

 

 ジーーー

 

 

 

 

 山吹沙綾VS戸山光夜

 

 

 

 

 

 ここに開幕!

 

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 見つめ合うこと数分。ついに彼女は視線を逸らした。

 

 俺の勝ちや!ん?なんで顔赤くなってんの?その時、奥から焼きたてのパンを持った男の人が来た。

 

「ん?どうした?沙綾?さっきからそこにいて何を・・・ほぉ」

 

 彼女の父親と言えば山吹亘史だ。

 

 やまぶきベーカリーの店主であり、沙綾の母、山吹千紘の夫だ。そんな彼、亘史さんは焼きたてのパンをさっさと陳列させて、レジに戻ってきた。

 

「べ、別になんでもないよ」

「隠さなくてもいいっていいって、さっきからレジの方で何をじっと見つめているのかと思ったが········」

 

 亘史さんは俺を一瞥すると、納得したかのようにウンウンと頷いている。

 

「このイケメンのお兄さんを見てたんだな。お父さん、納得納得。沙綾はおませさんだなぁ」

「お、おませさん?」

「あ、わからないよな。気にしないでくれ」

「う〜、お父さんのバカ!?」

 

 彼女は俺を最後にチラッと見て、店の奥へと走り去って行った。

 

 

 

 俺、完全に空気じゃん・・・

 

「あー、すまんな。あそこまで沙綾が男の人を見るなんて初めてでな。凄い事なんだぞ?ところで君は?あ、でも君がもし嫌なら言わなくても········」

「え?その、大丈夫です。戸山光夜です」

「おお、ありがとう。戸山光夜くんね。君はうちの店に来たの初めてかい?」

「ええ、そうです」

「そうかそうか、うちのパンは美味しいから是非これからも買いに来てくれ」

 

 話が終わり、俺はパン6つを買ってやまぶきベーカリーを出た。

 メロンパンとあの伝説のチョココロネを5つ。メロンパンとチョココロネ1つは美味しくいただいた。残りは家族の分だ。

 

 

 なんであんなに好感を持たれてんだ?初対面なのにな。

 特に沙綾のお父さんはホント分からん。




山吹家

山吹亘史:父
山吹千紘:母
山吹沙綾:長女
山吹純:長男
山吹紗南:次女


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猫な戸山姉妹

 そろそろ帰ろうと思い、最寄りの駅へと向かう。

 

 時刻は午後3時。

 朝9時に家を出たとはいえ、流石に6時間近く歩くのは疲れた。12歳の体力的にも限界だ。

 用も済んだことだし。それに香澄と明日香が母さんを困らせてないか心配だ。

 

 家に着き、空を見ると夕焼けが暗闇に包まれるところだった。

 行く前、母さんが鍵持って行かなくていいわよと言っていたからそのままガチャッと玄関を開けると・・・・

 

 

 

 ガチャン

 

 

 

 即行で玄関を閉めた。

 

 

 

 え?見間違いかな?玄関で香澄と明日香が正座していたんだけど・・・。見間違いだろうと信じて、もう一度玄関を開ける。

 

 

 開けたら……

 

 

「あっ!お兄ちゃん!お帰り!」

「お帰り」

 

 正座している香澄、明日香がお帰りと飼い主を待っていたかのように擦り寄ってくる。

 

「あ、ああ。ただいま」

 

 忠犬かよ!?あっ、でも香澄は猫だよな。自由奔放だし、いずれ猫耳つけるし。

 明日香は、うーん・・・明日香も猫だな。猫耳カチューシャ絶対似合う(確信)

 きっと、尻尾があったらブンブンと左右に揺らしていただろう。

 

 

 そんな事を考えていると……

 

「お兄ちゃん早く!早く!」

 

 香澄が俺の腕をリビングへと引っ張って行く。リビングに入ると床で母さんが倒れていた。

 

「キャハハ、お母さん死んでる」

「お母さん、大丈夫?」

 

 

 へんじがない、ただのしかばねのようだ。

 

 

「勝手に殺すんじゃないわよ。誰のせいで……」

 

 あ、動いた。

 

 言いかけた言葉から察するにこの二人がやらかしたのだろう。

 

 香澄は言わずもがな。

 

 

 しかし、明日香この()。普段は賢妹オーラがすごい出てるのに偶に香澄と一緒にやらかすのだ。当の本人は自覚がない様子でホェ?としているが、カワイイ。

 

 今回は明日香もやらかしたんだろ。

 

「とりあえず、光夜お帰り」

「ただいま母さん。なんか二人がやらかした?」

「カレーを一緒に作っただけよ。詳しくは聞かないでちょうだい」

 

 本当に何があったんだ・・・。

 

「それはいいとして、あと1時間くらいしたらお夕飯にするわよ」

「わかった」

 

 俺はやまぶきベーカリーと書かれた紙袋を母さんに渡すと俺以外の家族分と言う。

 紙袋を渡した瞬間に母さんは中身が気になるのか確認するとチョココロネを1つ取り出し、パクッと食べた。

 そして、「おいひぃ」とどこぞのチョココロネ大好き少女を彷彿させるような事を言う。

 

 おいおい、もう食うんかい!?

 

 俺が自分の部屋に行こうとすると当然の如く、その後を香澄と明日香がついてくる。

 戸山家に鍵付きのドアはトイレしかないため、俺のプライベートなんてお構いなしに香澄と明日香が部屋に毎日やってくるのだ。

 

 本当に猫みたいだなぁ・・・。

 

 今はまだ俺が朝、起こしているが近いうちに彼女たちが俺を起こしてくれるのだろうか?

 

 妹といえば、理想のシチュエーション一つに妹が「お兄ちゃん、朝だよ?起きて」というものがある。

その中で特にしてもらいたいのは、妹が上に跨ってユサユサと揺らして起こしてもらうというものだ。

 ん?でも、これって最初はエ○ゲのテンプレシチュエーションじゃなかったっけ?それがいつのまにかアニメや漫画、ラノベのテンプレになってたけど。ま、こんなことどうでもいいわ。

 

 夕飯のカレーはとても美味しかったです。香澄と明日香は何手伝ったの?と聞けば、「皮、切った!」というではないか。

 え''と吃りそうになった。よくよく考えてみれば小学1年生と幼稚園年長の少女に包丁なんて持たせられない。せいぜいピーラーを使わせられるぐらいではないか?ピーラーも十分危ないけどね。

 

 

 まあ、何にせよ怪我がなくてよかったわ。

 



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バレンタインと病み

みんな、ヤンデレ好きなの?そうでしょ?


 月日が経つのは早いもので(ry

 

 俺は中学へと進学した。何より去年、明日香が小学校に入学したのだ。ランドセルを背負った明日香を見て、狂喜乱舞していたら……

 

「お兄ちゃん大丈夫?」

 

 と明日香に頭の心配をされてしまった。

 

「お兄ちゃん()大丈夫?」と言われなかっただけマシかもしれない。

 くっ、なぜスマホがないんだ!?あったらメモリ全部を香澄と明日香で埋めてやるというのに・・・。

 あと、1年だ。それまで耐えろ俺!

 

 そんな俺と明日香を見た香澄は……

 

「ねぇ!わたしは?わたしは?」

 

 とグイグイ聞いてくるから、ナデナデしといた。

 

 

「ふにゃあぁ〜」

 

 

 やはり香澄、お前は猫だ!

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 季節は冬。

 まだまだ寒い2月、マフラーと手袋が必需品です。

 

 

 

 2月14日

 

 

 この日付を見ただけでお分かりいただけただろうか?

 

 

 そう、バレンタインデーだ。

 

 

 貰えない人に取っては残酷デーだ。

 最近では、女性が女性にあげる友チョコ、男性が男性にあげるホモチョコ。

 

 

 

 

 

 ホモチョコ。

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、こう言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、なんて儚いんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな2月14日。

 

 

 教室に入るとクラスメイトの女子が俺に近づいて来て開口一番……

 

「と、戸山くん!これ、受け取って下さい!」

 

 ほえ?俺にチョコだと!?

 

 家族以外貰った事がない俺にとって、女性から貰うのは初めてだ。小学校では貰えなかったでござる。

 

「ありがとう、お返しはちゃんとするね」

 

 と受け取ったのを頻りに、他のクラスメイト女子が続々とチョコを渡して来る。

 なんとか箱や袋に名前を書いてもらってお返しはできるようにした。お返し大事。チョコはエナメルバッグに教科書など全部どかして入れた。

 

 男子からは嫉妬の視線を感じる。ひと昔前の俺じゃん。

 

 放課後、部活に出るとそこでもチョコをもらった。

 ちなみに部活は美術部だ。運動部にすると帰りが遅くなってウチの姉妹が荒ぶるから中学校では文化部の美術部にした。土日、全くと言っていいほどにないからね。美術部の男子部員は俺を含め2人しかいない。絵を描くよりお話をしてる女子が多い。

 おしゃべりしたいのは分かるけど手を動かせ、手を!そして、何で俺にばかり話しかける?集中できんやろ!

 

 

 その後、気分がいいまま帰宅した。

 

 

 数十分後

 現在、俺はリビングにて正座中である。

 

 

「あの〜、カスミサン?アスカサン?正座くずしていいですか?」

「「ダメ!」」

「あっ、ハイ」

 

 

 ここまでの経緯を簡潔にまとめると

 

 

 帰宅する

  ↓

 リビングに入ったらニコニコ顔の香澄と真顔の明日香がいた

  ↓

 そのエナメルバッグパンパンだね?見して?

  ↓

 反抗する前に、香澄にバッグを奪われて開けられる

  ↓

 あ、オワタ\(^o^)/

 

 

 

 というわけだ。

 

 

 

 その間に父さんが帰ってきて・・・

 

「ハハハ、大人の嫉妬は見苦しいが、子どもの嫉妬はカワイイな。にしても光夜モテモテだな。父さんもたくさんもらったがロッカーに置いてきたぞ」

 

 

 あ、あんた最低だ!?

 

 

 多くて持ち帰れないならわかるが、バレンタインチョコをもらったその日に置いてくるとは最低な野郎である。

 

「へぇ、その話詳しく聞きたいわね」

「へ?」

 

 気づけば父さんの後ろには母さんがいた。どうやらこちらも詰んだようだ。ヘッ、ザマァ。ガシッと襟元を掴むと隣の部屋に連れて行こうとする。

 

「ま、待て!香織!最後に一言、言わせてくれ」

「遺言かしら?」

「違うわ!それより光夜、明日香を見てみろ」

 

 言い終えると母さんに連れて行かれた。

 そんな捨てられた子猫みたいな目すんな、同情しちゃうだろ。父さんに言われたとおり明日香に目を向ける。

 あっーれ〜?なんでこの娘も目に光がないんだ?ハイライトさん、どこですか?仕事忘れてますよ?

 しかし、完全にではなく多少、目に光はある。ちょっと濁ってるレベルだ。

 

「あ、明日香ちゃん?ど、どしたの?」

「知らない」

 

 目に光が戻るとプイッとそっぽを向かれてしまった。

 

「お兄ちゃん!」

「は、はい!」

 

 もうすぐ小学校3年生になる妹に気圧される俺こと戸山光夜13歳、実に情けない。

 

「わたしとあっちゃんがいるのにどうしてこんなにもらうの?」

 

 何気に香澄が嫉妬したのこれが初めてじゃね?やべ、超嬉しい!後はこれで「私とあっちゃんというものがありながら(ry」なんて言ったら最高だね!

 でも、貰わないとかそれなんて無理ゲー?告白なんてされてないし、されたことないから全部義理チョコでいいよね?

 

「みんな、友達から貰ったやつからだから」

「ふぅ〜ん」

 

 え?ウチの妹、本当に8歳の小2ですか?こ、怖いんですけど.……。

 許しを得たらしく、香澄と明日香がチョコを持ってきた。ハイライトさんもちゃんと仕事してる。助かった〜。

 

「はいっ!お兄ちゃんにチョコあげる」

「あ、あすかも〜!」

「ありがとな、二人とも」

 

 頭をわしゃわしゃと撫でると、二人は気持ちよさそうに目を細める。

 

 というかウチの妹たち、ブラコンすぎない?

 まだ幼いから普通なのか違うのか分からない。中学のダチに聞いたところ、そんなに仲良くないと聞いた。

 

 え?マ?

 

 小学5、6年になれば臭い、キモい、死ねって言われる?じゃあ、ウチは反抗期になるまで全力で可愛がるわ(シスコン)

 

 母さんに聞いたら、「アンタも十分にシスコンよ」って言われた。

 

 

 

 

 知ってたけど言わせて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんでやっ!?




ヤンデレ!ヤンデレ!


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泣くのはおよし、こころ

 バレンタイン以来、特に何もないまま時は過ぎること3ヶ月。

 え?ホワイトデーはどうしたって?お返しはちょっと高そうな飴にしたよ。家族にはホワイトチョコで作ったケーキにした。香澄が舞い踊るように食べてたわ。

 

 

 カワユス。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 進級して中2の休みの日の事だった。

 中2になっても、スマホを買って貰えない俺は休みになると外へ出掛ける。2週間に1回、やまぶきベーカリーのパンを買いに行くのが俺の密かなブームだ。俺が店内と入るとよく亘史さんが笑顔で歓迎してくれる。

 その後、沙綾ちゃんを呼ぶのがお決まりである。最初こそ恥ずかしがっていたものの今では「お兄さん」と呼んでくれるようにはなった。呼ばれたその日の帰りに嬉しすぎて転びそうになったのは内緒な?「お兄さん」って呼ばれるのいいよね。「お兄ちゃん」とはまた違った良さがある。

 

 そして、スマホは母さん達が2年契約らしくて、あと1年待って欲しいとの事だ。最近流行りの家族割にしたいらしい。ザケンナ。

 その間に香澄と明日香に何かあったらどうしてくれる?脳内フォルダにも限界があるんだぞ!

 そんなくだらなそうで大事な事を考えながら駅に向かう。その途中にある公園近くを歩いていると泣き声が聞こえてきた。

 

「えぐっ、ひぐっ、ぐずっ」

 

 女の子の泣き声だ。

 

 俺は公園に入り、泣いている女の子を探す。その女の子はブランコにいた。ん?金髪にあの顔。・・・こころじゃん!もう、そんな驚かないわ。いつ、出会ってもおかしくはないし。

 

 

 弦巻こころ。

 

 超が何個もつくほどの金持ちの家の一人娘。

 天真爛漫で香澄以上にポジティブな少女だ。

 花咲川女子学園『異空間』と名高い。

 笑顔が何より大好きで好奇心旺盛な性格。

 ゲームのプロフィールに裕福な家庭の一人娘とあるがどこが裕福な家庭だよ。そんなレベルぶっ飛んでんじゃねーかと思う程である。

 はぐみの誕生日プレゼントにソフトボール専用バッティングセンターをあげているのだ。これでぶっ飛んでいないなんて言えまい。

 ゲームのストーリーを読めば分かると思うが、彼女はハロハピの苦労人奥沢美咲にバカと称される程、超超超ポジティブ(バカ)だ。

世界を笑顔にするため、こころは強引に周りを巻き込む。それでいて、周りを本当に笑顔にしてしまうのだからある意味恐ろしい。

 

 そんな彼女がどうして泣いているのか?理由が気になるところだが、今は目の前の彼女を放ってはおけない。俺は彼女のいるブランコに行き、彼女の目の前で屈む。

 

「えぐっ、ひぐっ、あなた……は?」

「どうして君は泣いているんだい?」

「わたしは……」

 

 わたし?こころの一人称はあたしだったはずだ。この時の彼女はまだわたしが一人称だったらしい。

 香澄と同じ小学3年生の彼女がここまで泣くか?こころが泣く姿なんて想像できないが、今こうして俺の前にいる彼女が泣いている。

 小学3年のこの歳だと、こころが泣いているのはいじめられたからではないか?まあ、家に両親がいなくて泣いているって可能性もある。

 仮にこころをいじめていたとして、いじめられたことを弦巻家が知ったら、ただ済むはずがない。

 

 しかし、悪口ならどうだ?録音でもしない限り口では幾らでも嘘を言える。こころが泣く理由はそれしか思い当たらない。

 

「誰かに殴られたり、物を隠されたりした?」

 

 首を横に振るこころ。

 

「誰かに何か言われたのか?」

 

 先程から辺りを確認しているがいるはずの黒服が・・・・・いた!?俺から見て正面、こころから見ると後ろの草むらに1人潜んでいた。1人?ゲームのストーリーでは複数人いたはずだが?

 

 まあ、今は黒服を気にしても仕方ない。

 

「………うん」

「…………」

「わたしね、自分がしたい事してるだけなのにみんな、うざいとかちょうし乗ってるって言うの」

「…………」

 

 俺は黙って聞くことにした。

 

 家に帰っても使用人、周りには黒服、両親は仕事で会えない。彼女からしたら知らない人がたくさん家にいる。よく彼女は狂わなかったと思うよ。え?未来で狂ってる?気にしたら負けだ。

 未来での彼女は自由奔放。先生ですら手が出せない始末だ。ゲームではちょっとヤバイやつ扱いだが裏ではこころへの陰口のオンパレードだろう。

 

 しかし、未来でのこころはそんな集団を気にしない程超超超ポジティブ(バカ)で真夏の太陽が照り付けるみたいに眩しい。

 

 だからこそ、彼女には明るくなってもらわないと。

 

 彼女はもうこの時からいろいろやっていたらしい・・・と先ほどの「調子乗ってる」と言われたという事から推測できる。

 たぶん、金持ちへの嫉妬や憎悪だろう。けれど、他人にどうこう言われたぐらいで自分の在り方を変える必要がどこにある?ないだろ?

 

「だからどうした?」

「えっ」

 

 こころはキョトンとした顔をして俺を見つめる。

 

「君がやりたい事をしているのに他人に言われる筋合いはない。」

「こころ!」

「え?」

 

 気づけば彼女は泣き止んでおり、目元が赤くなっていた。

 

「こころって呼んで!わたっ……あたしのこと!」

「分かった、こころ。他人から悪口を言われるのなら、こころ。それを笑顔に変えてしまうくらい、巻き込んでしまえ」

 

 こう言っちゃったけど未来の彼女は何もかも巻き込んでたし、大丈夫だよな?大丈夫だ・・・よね?

 

 うん、大丈夫だ・・・たぶん。

 

「巻き…………込む?」

「そうだ、こころがやりたい事の中にそいつらを何もかも巻き込んでしまえ」

「素敵ね、それ!」

「…………」

 

 ナワケナイダロ!巻き込まれる側からしたらたまったもんじゃない。でも、こう言わないとなんか終わる気がする。

 

「ありがとう!悩みがさっぱりなくなったわ」

 

 ポジティブなるの早すぎます。本当にあなた、悩んでたの?

 

「ねぇ、あなたの名前はなんて言うの?」

「光夜だ」

 

 苗字は言わない。バレて家から拉致られたくないしな。偽名言うと後々バレた時、黒服にOHANASHIされちゃう...

 

「光夜ね、ありがとう。また(・・)会いましょう」

 

 と言って公園を去って行き、その後を黒服が追って行った。

 

 

 ええ(困惑)

 

 

 えっ、マジか。未来の皆さんごめんなさい。

 

 俺はとんでもない事をしてしまったようです。まぁ、でも俺が焚きつけなくても遅かれ早かれそうなってたよな?美咲がストッパー役になる前からいろいろやらかしてたみたいだし。

 

 

 先に言っておく、美咲すまん!!!

 

 

 

 

 HAHAHA、俺は知らんぞ。

 




超超超ポジティブ(バカ)



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反抗妹 かすみちゃん

(サブ)タイトルって偉大....
そう思った。


 こころとの邂逅から早1年。

 

 これ(・・)といった出来事はなく、気づけば最高学年である中学3年生の秋。中学卒業まで半年もないといったところだ。

 いや、出来事がないと言ったが本当はある。

 

 それはスマホだ。

 

 やっと両親の携帯電話『2年縛り』が終わったのだ。

 

 最初はこの世界(バンドリ )にも『2年縛り』があったと知ったときは驚いたがまあ、記憶を掘り返してみるとアニメで駅名が現実世界(リアル)と同じだったから納得。他にも聖地とされた場所がアニメで所々あったはずだ。

 

 話を戻すが俺はついにスマホを手に入れたわけだ。

 スマホを手に入れた俺が何をするのか?言わずもがな、妹たちを撮りまくるに決まってる。

 

 しかし、そう簡単にはいかなかった。

 

 『反抗期』の存在である。

 

 香澄は小4、明日香は小3だ。女子は男子よりも精神的成熟もとい精神年齢の成長が早いと言われている。反抗期の定義はあるが全員が全員、同じ年齢・時期に反抗期になるわけがなく、一人一人違うのである。

 

 まあ、何が言いたいのかというと・・・・

 

 

 嫌がられた。

 

 

 スマホを手にした日、俺は香澄と明日香を撮りまくろうとしたが・・・

 

「イヤッ!」

 

 顔をプイッと横に向ける香澄。明日香はお姉ちゃんの真似をするかのように同じく顔をプイッと横に向ける。

 

 

 Kawaii

 

 

 それでもスマホを香澄に向けると・・・

 

 

 

「イヤッッッ!!!」

 

 

 

 ・・・・・・・・・ん?

 

 

 

 ここで初めて俺は気づく。

 

 

 

「は、反抗期キタアァァァァァ!!」

 

 

 

 叫んでいる間に香澄と明日香はどこかへ行ってしまったらしく、リビングには最初からこちらの様子を伺っていた父さんと拒否られた俺の男二人だけだ。ふと、父さんの方に顔を向けてみると口元をニタァといやらしく歪めていた。その顔は絶対に『ザマァ』っ顔だろ!

 

 パシャ!

 

 イラッとした俺は、父さんのいやらしい笑顔を携帯のカメラに収めるとL○NEの母さん宛に画像を送信した。

 香澄と明日香に「パパ、臭い」って言われれるよりは数百倍マシだよ。そのうち、思春期の女子によくある「お父さんと一緒に洗濯しないで!」とでも言われるだろうよ。

 

 それにしても、俺の匂いは大丈夫だろうか?香澄と明日香に臭いと言われたら・・・うん、考えたくないわ。

 

 においのことでまた母さんに聞いたら・・・

 

「うん、いい匂い」

 

 ちょっ、ママン。止め……

 

 

 満足するまでめちゃくちゃ抱きつかれた。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 さっき、母さんから日記ノート?を渡された。理由は分からないけどせっかくなので書いてみる。あとで見返したら面白いかもしれない。

 三日坊主にはならないようにする。今日から書くぞ。

 

 

Diary

 

 

○月?日

 

香澄の反抗期がよく分からない。

写真を撮られるの嫌がるのはまあ、分かる。俺が撫でようとしたり、構おうとすると嫌がるのに香澄からこちらに構ってと言わんばかりに来るのだ。

 

気まぐれ・・・・・猫かな?

 

風呂に突撃してきたり、一緒に寝よってベッドに入ってくる。勿論、明日香も一緒だ。最近の明日香は香澄にべったりとしており、着々とシスコンになってる。いいぞ、もっとやれ!

 

でも、香澄ちゃん?そろそろお兄ちゃんとお風呂はマズいよ・・・。

今日も説得しようとしたら

 

「イヤッッッ!」

 

ハハ、ワロエナイ

 

前世でも妹いたけど小学校高学年から「○ね、クソ○郎」の罵詈雑言だったわ。優しくしてあげたり、構ってあげなかったせいだと思いたいです。

とりあえず、今はもうちょっとだけこのまま様子見かな?

これ以上酷くなったらアカン。小5になる前に、一緒にお風呂はなんとしてでもやめさせないと。

普通ならやめさせろっていうのが当たり前だろ?

でもさ、断ると目が虚ろになるんだぜ?

虚ろな瞳で

 

「お兄ちゃん?なんで?」

 

って言うんだ。

バレンタインの時も思ったけどアレはヤバイ、とにかくヤバイ(語彙力)

こんなふうになるなんて俺、知らなかったぞ!

明日香はまだ言うことを聞いてくれるからいいがこれから反抗期来ると思うとなぁ。

俺が中学校に上がるまで妹たちに構いすぎたせいで逆に今構ってと甘えに来てるらしい。少しずつ距離を置こうと思っていたのにこれでは意味がない。

少しずつ説得というか兄離れさせないと。あわよくば、ちょっとブラコンぐらいにしたいなあなんて。

 

あれ?

これ反抗期っていうより超ブラコンなだけじゃね?




日記の話はいつかやるよ(すっとぼけ)


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幼き魔王少女と・・・

 高校どこ行こう・・・

 

 ここ1週間そればかり考えている。月は10月、受験に向けて勉強しなくてマズイ時期だ。まあ、勉強面は問題ない。

 中学レベルなら復習程度に勉強すれば、難関校レベルでなければ余裕で合格できる。

 

 問題は志望校である。

 

 行きたい高校がないのだ。難関校は論外!そこそこの進学校がいい。

 

 本音を言えば……

 

 第1志望 花咲川女子学園

 第2志望 羽丘女子学園

 

 にしたいところだ。

 

 しかし、バンドリの創作みたいに共学化ではないらしい。まあ、そんな簡単に共学化したら廃校を阻止した某スクールアイドルも真っ青だわな。共学化しなかったのは理事会やOG総会とかでで歴史を重んじるOGが猛反対したからですね、分かります。OGつおい。

 

 

 最終的に俺は近くの進学校を志望校にした。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 ある休日

 

 

 

 電車に乗り、行きつけのパン屋である山吹ベーカリーへ行く。

 商店街に入ったところで涙目で辺りをキョロキョロとしている少女が視界に入る。 ツインテールで髪色は紫色。

 

 ん?紫色?

 

 この世界で初めて紫色の髪を見たな。顔を見るとどこからどう見てもあこちゃんですね、はい。魔王エンカウント?

 ちーちゃんといい、こころといい何かと遭遇率が高い。そのうち、こころが俺に会いたいって言い出したら・・・って考えるだけでヒヤヒヤするわ。

 

 宇田川あこ。

 

 Afterglow、宇田川巴の妹で、

 原作において5バンド25人の中で最年少である中学3年生だ。

 本格派バンドRoseliaのドラム担当。

 元気で明るくフレンドリーな性格で、姉の巴が大好き。自分も姉のようにカッコよくなりたいと思い、ドラムを始める。

 それ故にカッコよさを日々、研究しており中二病染みた発言が多いが上手く表現できるほどに語彙力がないため「バーン!」といった擬音で誤魔化すことが多く、よく燐子に助けを求める。

 

「えーと、どうしたの?」

 

 話しかけないという選択肢はありえないので話しかける。

 

「えっと…その……」

 

 ビクビクとした様子でこちらを伺っている。その様子は怯えている猫みたいだ。知らない人に話しかけられたらこれが普通の反応だ。又は逃げるのが当たり前。ちーちゃんとこころが特殊なだけである。

 ちーちゃんは芸能界で仕事上、知らない人と話すことが多いから話しかけても大丈夫。

 こころは・・・うん、言うまでもないだろう。

 

 とりあえず、警戒心を解かせないと。

 

「闇に飲まれよ!」

 

 あ、間違えた。これ違うやつや。意味がなんかあった気がするけど覚えてないなぁ。

 

「カ、カッコいいっ!」

「お、おう」

「ねぇ、ねえっ!他には!?」

 

 今ので警戒心が解けた・・・だと!?

 

「そ、それより、さっきから何をキョロキョロしてたんだ?」

「うーんとね、お姉ちゃんたちがいないの」

「お姉ちゃん……たち?」

「うん」

 

 中二病染みた言葉はよく分からないから話を逸らす。姉の巴と一緒にとなると・・・Afterglowの幼馴染たちか。

 

「じゃあ、探しに行こうか?」

「いいの!ありがとう、闇のお兄ちゃん」

 

 

 闇のお兄ちゃん!?

 

 

探し回っている間に「闇の」を取ってもらおうと奮闘したが無理やった。これじゃ痛いヤツだよ。

 

 

 探すこと約30分

 

 

「あ、お姉ちゃん!」

 

 あこの視線を辿ると公園内に4人の少女がおり、そのうちの1人、赤髪のボーイッシュな女の子がこちらに気づく。

 

「あこ!?」

「みんな、行くよ」

 

 黒髪の無愛想な顔をした()の合図とともにこちらへ駆け寄って来た。

 

 

 

 え、ちょっ、まッ!?



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アフロな幼馴染ーズ

アニメ2nd Season始まる前に原作に入れなかったぜorz

ひまりがピンクだと後に出てくるまん丸い人が困るから桃色で。


 黒髪のムスッとした()を含む女子小学生(JS)4人に囲まれるもうすぐ男子高校生の俺。

 

 うん、ヤベェ。

 

「ま、待ってよぉ〜」

「遅いぞ、ひまり!」

 どうすべきかと考えていると桃色の髪の少女がこちらへ駆け寄ってくる。

 

 まあ、誰かなんて一目でわかるんだけどね

 

 上原ひまり。

 

 幼馴染で結成された幼馴染バンドAfterglowのリーダー、担当はベース。

 明るく気立てが良い性格であり、Afterglowの調整役。

 よく蘭がリーダーだと勘違いされがちだが、彼女がリーダーである。

 リーダーらしくないもののここぞという大事なところではしっかりとした発言をする。空気が読めなくて空回ってしまうこともしばしば。

 彼女のライブ前などに言う掛け声「えい、えい、おー!」はメンバーから不評である。

 

 先程、ひまりを叱った赤髪の少女はあこちゃんの姉だ。

 

 

 宇田川巴。

 

 宇田川あこの姉でAfterglowのドラマ担当。

 他人を悪くいったり恨んだりしないさっぱりした性格でAfterglowのまとめ役。端的に言うと姉御肌である。

 

 特に彼女について語るとするならコレであろう。

 

 

 『ソイヤ』

 

 

 

 そう、『ソイヤ』である。

 

 

 巴はバンドリにて数少ないまともなキャラ()だったのにその『ソイヤ』のイベントにてまともではなくなってしまった。

 

 

 巴の

「ソイソイソイソイソイ!ソイヤっ!」

 

 

 や

 

 

 我が妹、香澄とこころの

「ハッピー!ラッキー!ポピパパ!ソイヤー!」

 

 

 うん、まともじゃないわ(白目)

 

 

 当時、このストーリーを見て爆笑した人も多いのではないか?もちろん、ボイスつきで。少なくとも自分は爆笑した。

 終いにはペル○ナコラボのペル○ナ巴エピソードでは

 

「こうなったら、いつか絶対2人に、『ソイヤ』を認めさせてやるからな!」

 

 である。

 

 巴は小さい頃から商店街の大人達と仲が良く、地元のお祭りがあると和太鼓を叩きに出るのだという。

 きっと、彼女は既に『ソイヤ』への道へと歩んでいるのだ。

 誰にも彼女の『ソイヤ』は止められない。

 香澄を通じていつか来るであろう『ソイヤ』待ってるぞ。

 

 ……って違う違う!ひまりの次に巴を見てたら『ソイヤ』が……イカンイカン、『ソイヤ』に毒されてしまうとこやったわ。

 

 

 意識を目の前の少女たちに戻す。

 

 

「ち、違うのっ!!おねーちゃん!」

「あこっ!?大丈夫か!?」

「うん、闇のお兄ちゃんは、あこと一緒におねーちゃんたちを探してくれたの」

「や、闇の?」

 

 ほら、出たよ。このままだと完全に痛いやつやんけ。

 うしっ、ここから方向転換させるか。

 

「そっちの方は特に気にしないでくれ」

「う、うん。わかったよ。えっと、ごめんなさい!」

 

 赤髪の少女、巴が頭を下げる。

 俺自身、どう接すべきかと試行錯誤を重ねていると……

 

「ほら、お前らも謝れよ」

「う、うん、そ、その!ご、ごめんなさい!」

 

 すごい勢いで何回も頭を下げる少女、羽沢つぐみ。

 

 

 羽沢つぐみ。

 

 Afterglowのキーボード担当。

 Afterglowの中で自分が最も普通と思っており、コンプレックスを抱いている。

 努力家で前向き、少しのことではめげない性格。

 メンバーの支えもとい癒しである。

 

 

 癒しである

 

 

 

 大事なことなので2回言いました。

 

 そして『羽沢珈琲店』の看板娘だ。

 そう遠くないうちに羽沢珈琲店で珈琲を飲んでみたいものだ。

 

 頭を下げるの止めさせないと……

 

「わ、分かったから。落ち着いて?」

「は、はいっ!」

 

 あー、俺が年上で知らない男の人だから余計に緊張というか怖がっている?うん、ショック。

 

「次はモカもだぞ?」

「え〜〜、ごめんなさ〜い」

 

 独特なのんびり口調で謝る・・・否、軽くお辞儀する少女は青葉モカ。

 謝る気などさらさらないのかもしれない。

 

 青葉モカ。

 

 Afterglowのギター担当。

 のんびりとした口調でマイペースな性格。

 興味のあることはとことんやる、興味の無いことにはとことん興味がない。

 よく蘭やひまりをからかっているものの仲間思いである。

 何よりパンが大好き。カロリーはひまりに送っているらしい。

 

「後は蘭だけだぞ」

 

 にしてもこの()、マジオカン!小学生だし、さすがに姉御かな。

 なのに、将来『ソイヤ』だもんなぁ・・・人生何があるかわからんな。

「え·······と、その·······」

「大丈夫だから、ゆっくり落ち着いね?」

「·······っ!?」

 

 やっべ、つい癖で香澄と明日香みたいに頭撫でちゃった。

 

「あ·······その、ごめんなさい」

「よく言えました」

「··············ッ!?!?」

 うん、もうね。ナデナデは癖だわ。なんかこの()の前だとお兄ちゃんスキルが反射的に発動しちゃうわ。

 

 頭を撫でられたのが恥ずかしいのか顔を真っ赤にして俯いてる。

 

 

 美竹蘭。

 

 Afterglowのボカール&ギター。

 100年以上の歴史がある華道の家元の一人娘。クールでぶっきら棒な話し方をする。

 気が強く負けず嫌いなところがあるものの寂しがりや。また素直ではない。

 幼馴染や身内を何よりも大切にしている。

 口癖は「いつも通りだね」

 

 ツンデレやな、素直ではないけど寂しがりやって……

 

「闇のお兄ちゃん、ありがとう!」

 

 

 

 グハッ

 

 

 

「お、おう」

 

 闇のお兄ちゃんやめて?ってお願いできる?この純真無垢な笑顔に?

 できませんよ。ハハハ、オワタ。

 

「あんたは、いや、あなたは·······」

 

 敬語を使おうとしたのだろう。途中で言葉が止まる。無理もないだろう。

 小学3〜4年生で敬語を使っているのを俺はあまり見たことがない。先生を敬うのはもちろんだがそれ以上に小学校は他学年の生徒との距離が近い。タメ口で話す人もいるし、敬語で話す人もいる。

 それは先生に対しても含まれる。小学3年生が4年生に敬語を使って話すとか聞いたこともないし見たこともない。別にそれは学年を限定しなくても同じだ。

 まあ、外になるとまた別ではあるがな。

 中学校に入り、1学年、2学年上の人に対して初めて敬語を使う。先生は言わずもがな。

 少なくとも自分はそうだった。

 

「敬語じゃなくて大丈夫だぞ」

「ああ、あんたは?」

「そういや、名前言ってなかったな」

 

 これで闇のお兄ちゃんじゃなくなるぞぉ!

 

「戸山光夜だ」

「えっと、戸山さん?」

「下の名前で呼んでもらいたい所なんだが...」

「えっと·······その」

 

 まぁ、現実はこんなもんだろ。

こころやあこちゃんが特殊なだけで・・・・ウチの香澄も特殊なうちに入りそうだな。さて、なんか気まずくなってきたし引き上げますか。

 

「ところでそろそろ16時になるが時間は大丈夫か?」

 

「「「「「「あっ!?」」」」」」

 

 俺以外6人全員の声がハモる。

 

「ヤバイよ、母さん16時半に帰って来なさいって...」

「おねーちゃん、大変だよ」

「わ、私も帰ってお手伝いしなきゃ」

 

 他のみんなも同じような約束をしていたらしい。

 

「その、戸山さん。あこの事、本当にありがとうございました」

 

「「「「「ありがとうございました」」」」」

 

 巴が頭を下げると他のみんなも頭を下げる。

 幼馴染の連携すげーな。

 

「ああ、気をつけてな」

 

 そう言って商店街へ歩き出す彼女たち。

 

 

 俺も帰ろうとすると・・・

 

 

「じゃあねー!闇のお兄ちゃん!」

 

 

 

 グハッ

 

 

 

 不意打ちがお上手ですねあこちゃん。




イベントストーリー
「Beatin' in the Rain」
ソイヤーだけどそれらをまとめて『ソイヤ』で
みんな大好きソイヤー!

蘭は既に反抗期?




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小話 1

ちょっとした話


『戸山光夜という存在』より

 

 

「なぁ、香澄」

「ぅん?」

 

 頭上から香澄の声がする。

 それもそのはず、香澄は俺の頭にくっついているのだから。後ろには明日香をおんぶしている。

 

「頭から離れないか?」

「やっ」

 

 即答だった。デスヨネ。

 

「今、明日香をおんぶしてて両手が埋まっててな。明日香、寝ちゃったから下ろしたいだけど·······」

「やっ」

「お兄ちゃん、困るんだけど·······」

「やっ」

「後で抱っこしてあげるから」

「やっ」

「じゃあ、おんぶは?」

「やっ」

「ねぇ「やっ」」

 

 母さんが帰って来るまでこんなやり取りが延々と続いた。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

『始まりのキラキラドキドキ』より

 

 

 それは突然のことだった。キャンプに行ってから、心ここにあらずという状態だった香澄がついにあの言葉を口にしたのだ。

 

 

「キラキラドキドキしたい!」と

 

 

 何も知らない人が聞けば、ヤベェやつだが理由(原作)を知る俺からすれば微笑ましい。これで後はランダムスターがあればHENTAIの完成だ!

 

 

 香澄が変態と呼ばれる日はそう遠くない。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

『戸山家の海水浴 後編』より

 

 

 

「ほら、あっちゃん!あっちゃん!カニさんだよカニさん!」

「い、いやっ!やめてよ、おねぇちゃん!」

 

 香澄が取っ捕まえて来た小さなカニを明日香に近づける。スナガニかよ!?よく捕まえられたな香澄。スナガニってすぐ逃げるから捕まえるの難しいんだぜ?それに対し明日香は虫とか触るのダメだもんな・・・。

 

「お兄ちゃん、カニさん」

「ああ、カニさんだな。カニさんも必死で生きているんだから離してあげて」

「うん!」

 

 

 

 数分後

 

 

「あっちゃん!」

 

 香澄がどこからか海藻を持ってきた。

 ンンッ!?それワカメじゃねーか、やっぱり砂浜に漂流してるのね。ワカメを明日香の背中にピチャリとつくっつけた。

 

「い、イヤァァァァァァッ!?」

 

 ものすごい勢いで俺の胸に飛び込んで来る明日香。って俺かよ!?てっきり海の方かどこかへ走り去るのかと思っていたわ。よっぽど生ワカメのヌメッとした感触が恐ろしくて嫌だったのだろう。泣いてはいないが涙目である。

 

 ヨシヨシ、大丈夫だぞ。

 

「こら!香澄!」

「ご、ごめんなさい」

「俺じゃなくて明日香にだよ」

 

 このやり取りも何回目ぐらいだろうか?これが初めてというわけではない。香澄が明日香にちょっかいかけたり、ちょっとしたイタズラをしたりするのだ。本人に悪気はなく、ただ構って欲しかっただけなのだ。まあ、香澄は明日香のことが大好きだし、明日香も香澄が大好きだ。

 だからすぐには姉妹喧嘩にならない。

 

「あっちゃん、ごめんなさい」

「おねーちゃんなんて大っきらいっ!!」

 

 香澄と明日香に大っ嫌いなんて言われたら、想像するだけで・・・。

 

「ところで明日香、そろそろ離れないか?」

「やっ」

 

 なんか似たようなやり取りを昔に香澄としたような気が・・・。

 

「もう海はいいのか?」

「うん」

「じゃあ、まず俺から離れようか?」

「やっ」

「」

 

 ちなみに先ほどまで俺の胸の中にいた。今はって?右腕にひしっとくっついているよ。しかし、このままでは動けない。

 

「そろそろ、父さんたちのとこ戻るから腕から離れてくれ」

「じゃあ、おんぶ」

 

 腕を離し、両手を広げておんぶをねだる明日香。今日は珍しく明日香が甘えん坊だ。素直に甘えてくれるのは兄として嬉しい。

 

「はいよっと」

 

 明日香をおんぶすると・・・

 

「あっー!あっちゃん、ずるい!お兄ちゃん、かすみも!」

「香澄は我慢。あっちゃんのお姉ちゃんだろ?」

「うん、かすみ。あっちゃんのお姉ちゃんだもん」

 

 最近、聞き分けがよくて助かる。今までだと駄々をこねていたはずだから。まあ、駄々をこねてもかわいいんだけどね。

 結局、明日香は帰っても俺にべっとりとくっついたままで香澄は通常運転だった。でも、どこか不満そうだった。

 

 

 父さん、目が死んでたけど大丈夫か?



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小話 2

感想と評価ありがとうございます!
面白い、更新待ってますと言ってくれるだけでモチベがあがります。


『迷子の迷子のちーちゃん』より

 

 

「またお兄さんと会いたいな·······」

 

 ぼそりと白鷺千聖は呟く。

 

「あら?千聖がそんなこと言うなんて珍しいわね?」

 

 その呟きを聞いていたらしい彼女の母、白鷺美優。

 

 芸能界で子役として活躍する千聖は仕事上、様々な人と関わる。人気俳優や女優はもちろん、同年代の子もだ。

 そんな中、千聖は「また会いたい」と一度たりとも言ったことがなかった。

 

 しかし、だ。

 

 

 そんな千聖がまた会いたい(・・・・・・)と言ったのだ。初めて口にした「また会いたい」に親として気にならないはずがなかろう。

 

「確か·············戸山こうや君だったかしら?」

「うん、お兄さん!」

「ふふっ、いつかまたお兄さんと会えるといいわね」

「うんっ!」

「そのためにはお仕事、頑張らなくっちゃね?お兄さんにカッコいいところ·······千聖の場合はカワイイところかしら?」

「うん!がんばる!」

 

 

 そんな最中、千聖の妹、白鷺美聖(みさと)はグースカ寝ていた。きっと彼女が起きていたら「お兄さん!お兄さん!お兄さん!」と連呼すること間違いなしである。

 

 

 何処と無く香澄と同類の匂いがするのは気のせいだろうか?

 

 

 

 

 光夜が出掛けた戸山家では……

 

 

 

「お兄ちゃんは?」

「出掛けたわよ、お昼すぎには帰ってくるでしょ」

 

 

 まだ(・・)平穏であった。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

『気になるパン屋さんのあの娘』より

 

 

 その日の夜

 

 

「そういや今日、沙綾が男の子をじーと見つめていてなぁ...」

 

 山吹ベーカリーの店主、山吹亘史が口を開く。

 

「お、お父さん〜!?」

 

 それに顔を真っ赤にして声を上げる少女、山吹沙綾。

 

「あらあら、沙綾が?」

 

 頰に手を当て、おっとりした口調で話す沙綾の母、山吹千紘。

 

「ああ、最初はレジの方で何やってんだろうと思ったら...」

「思ったら?」

「男の子を見ていてなぁ...」

 

 恥ずかしいのか沙綾の真っ赤な顔から湯気が出ている。

 

「それでどんな男の子だったの?」

「ああ、カッコいい男の子でな、軽く言葉を交わしたが礼儀正しい子だったぞ」

「まあ、沙綾ったらおませさんなのね」

「また会えるといいな沙綾」

「う、うん」

 

 恥ずかしながらも返事をする沙綾。

 

「中学1年生ぐらいか?んー、今度来たときに聞いてみるわ」

「えっ!また来るの!いつ?ねえ、お父さん!いつ来るの!」

「おー、すごい食いつきようだな」

「なら、沙綾。お手伝いしてみたら?」

「お手伝い?」

「ええ、お父さんのお手伝いも出来て、沙綾の会いたい人.....年上のカッコイイ男の子だからお兄さん?に会える。一石二鳥よ」

「いっせきにちょう?」

「1つで2回お得できるってことよ」

「じゃあ、沙綾。いっせきにちょうするー!」

「おう、頼むぞ沙綾」

 

 その後、また来た光夜とまともに話せず。

 恥ずかしくて逃げたり隠れたりしたせいで話せるまで時間がかかったそうな。

 

 

 光夜が帰宅前の戸山家では・・・

 

 

 昼を過ぎても帰ってこない光夜。昼を食べた後、香澄と明日香がお兄ちゃん、お兄ちゃんと暴れ出しそうだったのでカレーを一緒に作ることで時間を稼ごうとする・・・が、それでも帰って来ず。

 香澄と明日香と一緒に初めて料理したが、香澄たちと料理するだけでこんなに疲れるとは思わなかった香織は改めて光夜の存在の大きさを知った。

 

「お兄ちゃんまだー?」

「おにいちゃん·······」

「もうすぐ帰ってくると思うから玄関にいたら?」

 

 

 そこで香織は倒れた。精神的ダウンである。




オリキャラ2:白鷺美優
オリキャラ3:白鷺美聖


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進学、そしてSPACEへ

新事実発覚!
〝花音に弟がいた〟

物語の都合上、これからオリキャラがたくさん?出ます。
こ、今回の話はひ、必要なんだ(白目)
次話は真面目な回です


 高校に進学した。

 

 入学時って不安にならないか?中学校はまだ小学生の友達がいたからいい。公立だし、中学受験して私立に行くなんて事がなければ同級生の半数以上は同じ公立中学校へ行くから。

 中学校では小学校と変わらず友達関係が続き、違う小学校からの新しく友達が加わる。

 

 しかし、それが高校となると話は別である。

 

 1からスタートすると言っても過言ではないだろう。中学校で友達関係や環境が途中から始まっていたものが高校ではリセットされるのだ。

 同じ高校へ進学する人もいるだろうが一学年30〜40人みたいな少人数の学校でない限り、同じ中学校だとしても全員が全員が知り合い・友達というのはありえない。

 

 つまり・・・

 

 

 第一印象 大事!

 

 

 第一印象を悪くすると終わる・・・・・というのは冗談で第一印象が良ければ馴染みやすいし、人受けが良くなる。

 

 まあ、不安だったけど友達できた。

 フッ、コミュ力には自信があるんでな。

 自分から話しかけることが大事だ。とても大事。

 出席番号順で自分は戸山の「と」だから少し後ろの方だ。前の塚山と後ろの西岡とすぐに打ち解けた。くんはどうしたって?くん付けなどいらん。同級生だし。

 

 そんな感じで入学と友達作りは無事に終了した。

 

 高校入学から3週間、4月があと数日で終わろうとしていた。俺は順風満帆と言える高校生活を送っている。

 

「なあ、光夜。ライブ行こうぜ」

 

 俺の名前を呼ぶ、前の席の塚山勇次。彼とは互いに名前で呼び合う仲になった。勇次だけでなく、他の友達とも名前で呼び合っている。

 高校入学して一月でここまで行けば上出来だと思う。

 

「ライブ?その前にチケット当選しないと無理だろ?」

「あ、わりぃ。言い方が悪かった」

「言い方?」

「ああ。アイドルとかのライブじゃなくて、ガールズバンドのライブだ」

 

 そっちか!

 

 この世界(バンドリ)、本当にガールズバンドが多い。テレビや雑誌で取り上げられてるのをよく目にする。

 特にプロ、解散の理由が不仲や音楽性の不一致よりも結婚や子育てが主な理由って・・・おかc

 『結婚は女の究極の幸せ』って言うしな。それに反して男は『結婚は人生の墓場』だと言う。

 

 うん、なんだこれ笑

 

 俺も10年後には人生の墓場行きかな?(白目)

 

「光夜?ちゃんと話、聞いてる?」

 

 おっと、いけね。思考が『人生の墓場』で埋めつくされるとこやったわ。

 

「ああ、ガールズバンドがどうしたって?」

「ガールズバンドのライブに行こうぜ」

「それは別に構わないけど············なぜ?」

「俺が行きたいからだ!」

「············」

「ちょっ!?だんまりはやめてくれよ!」

 

 ドヤ顔で言われたら誰でもそうなるわ。もうすぐ勇次との付き合いも一月になる。そのため、勇次の性格はだいたい分かってきた。

 

 ちょっとからかってやろう。

 

「一人で行けって言ったら……どうする?」

「お願いしますお願いします!どうか俺と一緒に来て下さい!俺、一人じゃ女の人だらけの場所なんて無理なんです!」

 

 彼はなんというか・・・・・ヘタレだ。

 女子に対する興味は人一倍あるのにいざ女子と話すとなるとヘタレと化す。

 先週、クラスメイトの女子と話した時なんて酷かった。

 

 

 折角、女子からのお誘いがあったのに・・・

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

〜先週〜

 

 

「私たちこれからカラオケ行くんだけどさ。塚山君と戸山君も一緒にどう?」

「えっと……その、お、俺は……」

「お、おい。勇次」

 顔をトマトみたいに真っ赤にして俺の背中に隠れた。

 まだ顔を赤くするのは分かる。誘ってくれた赤羽さん、クラスで一番可愛いと噂されてるからね。

 でも、なぜ俺の背中に隠れる?そして、袖を引っ張るのはヤメロオォォォォォ!!!それをしていいのは香澄か明日香だけだ!男がやっても誰得だよ。腐女子しか湧かねぇぞ、おい。

 何より俺と同じくらいの身長でそれはないぞ。

 

「悪い、勇次と約束があるからまた今度、誘ってくれ」

「う、うん。」

 

 気づけば、赤羽さんは顔を真っ赤にしていた。

 おい、まさかキミ、あちら側の住人(腐女子)じゃないよな?

さっきからオイしか出ないぞ、おい。

 周りの女子?俺と勇次を見てキャーキャー言うの止めてくれませんかねぇ。俺も勇次も性格はどうあれ、容姿はいいからそれがさらに女子たちの妄想を助長させているらしい。

 

 てか、勇次はさっさと俺から離れろ!

 

 お前、そんなんで小・中学校どうやって過ごしてたんだよ。小中学校って女子と席が隣同士になるから関わり不可避だよな?今度、聞いてみよ。

 

 その日、帰りのHRが終わるまで視線が痛かったのは言うまでない。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

「な?頼むよ」

「まず、勇次は女子と目を見て話せるようにした方がいいぞ」

 

 思わずジト目で勇次を見る。

 

「ウッ、難易度が高い……」

 

 高くねぇよ。

 

「とりあえず、話は分かった。ガールズバンドのライブに行こうじゃないか」

「シャァァァーーー!光夜、愛してるぜ!」

 

「「「「「キャーーー!」」」」」

 

 うん、そういうのは女子に言ってやれ。いや、マジで。それとそこの女子共、湧くんじゃないよ!

 

 ダメだけどもういいや(諦め)

 

 いろいろと諦めの境地に達した俺は気にないことにした。

 

「んで、いつどこへ行くよ?」

「今日、SPACEにだ!」

 

 今日は土曜日、土曜授業で学校に来ている。土曜授業は午前中で終わりだからこの後行こうってことか。

 

 まさかのSPACEか。

 

 SPACEと言えば・・・

 

「ガールズバンドの聖地にか?」

「お、知ってんのか」

「まあな、行ったことはないが」

「なら、話は早い!午後に行こうって事だ」

「いいぞ、昼持ってきてないから、どっかで食べてから行くか」

「会場まで時間あるからカラオケかゲーセンで時間潰すか」

 

 おk把握

 

 L○NEで母さんにダチと遊んでくるって送った。

 一日中家にいないけど我が妹たちは大丈夫だろうか?香澄ももう小学校高学年の5年生だし、明日香は小4だ。

 

 

 さすがにそこまで・・・

 

 

 

 ブーブー ブーブー

 

 

 

 …………ん?

 

 

 

 携帯のバイブレーションが鳴っていたから確認すると・・・

 げっ、これって家電やん!絶対に香澄ですわ。母さん、携帯貸さなかったな。まあ、貸したら俺が帰ってくるまで延々と電話とメッセージが来そうだな。

 

 とりあえず、気になるし一度出てみるか・・・

 

 

 ポチっとな

 

 

 

「もしm『お兄ちゃんッ!?今どこッ!?いつ帰ってk』」ブチッ

 

 

 

「························ふぅ」

 

 

 

 またすぐに電話がかかってきたが着信拒否ボタンを押して、俺はそっと携帯の電源を落としたのだった。




オリキャラ4:塚山勇次
当初、光夜と違うイケメン?にしようとしたものの気づいたら極度のヘタレなイケメンとなってしまったorz
これからの物語に関わる?

オリキャラ5:西岡
光夜の後ろ席の人
既にお互い、名前で呼び合う仲
出番はあるのかは不明

オリキャラ6:赤羽さん
光夜たちのクラスメイトの女の子
クラスで一番可愛いと噂されてる、クラス女子の中心人物?
腐女子疑惑がかかっている

オリキャラ同士の臭い展開は(きっと)ないです。


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SPACEとオーナー

 俺と勇次はファミレスで昼を取った後、カラオケに行こうとしたのだが土曜日の午後だし、歌うなら6時間以上がいいよなということでカラオケは諦めた。

 俺も勇次もカラオケはフリータイム派だ。というのも既に勇次と2回カラオケに行っている。

 

 勿論、フリータイム!

 

 2人以上なら絶対にフリータイム。これは譲れない。

 複数人で2〜3時間だと歌っているうちにテンションが上がり始めたところで時間が終了し、歌い足りなくなるのが目に見えている。全然歌えない+無駄に金がなくなるのダブルコンボである。

 みんなで楽しむのが大事とか言われても俺には理解し難い。

 

 だから、2人でフリータイムが一番だ。

 

 要はカラオケに来たのなら少しでも多く歌いたいのだ。普段は満足するまで歌えない。

 ところ構わずに声を大にして歌うのは常識を疑われてしまうからな。

 

 まあ、フリータイムじゃなくても朝から歌うヒトカラならぬ朝カラで3〜5時間を毎週日曜or祝日に歌っているんですけどね。朝カラだと料金が安くなって約1000円で済む。カラオケは午後が混むからね。午前中は10時過ぎまでホントすっからかんだから入って欲しくて安いんでしょう。

 毎週午前中、カラオケに行こうとするとウチのシスターズが暴れだすので2週間に1回連れて行く。

 そうすると全く歌えないのだがウチのカワイイ妹たちのためなら・・・

 

 

 私は一向に構わん!

 

 

 香澄。お前には来るべき(きたるべき)未来(原作)のために歌唱力を上げてもらうぞ。

 ねぇ、お願いだから『きらきら星』を日本語で歌うのはやめよ?うん、キラキラドキドキしたいのは分かるよ?

 でもさ、世界的には『Twinkle,Twinkle,Little Star』が有名だしというか・・・それを日本語に翻訳したのが『きらきら星』だぞ?

 今はいいよ、小学生だから。さすがにさ、高校生で『きらきら星』はないよ。

 それを公衆の面前で歌うのを未来で見てしまったらお兄ちゃん、恥ずかしくて両手で顔を覆いそうだよ。

 

 俺さ、『Twinkle,Twinkle,Little Star』歌ってみせたよね?明日香と一緒に目を爛々と輝かせてカッコいいって言ってくれたやん。

 なのに、なぜ『きらきら星』なんだっ!?え?「キラキラ」が入ってないからイヤダァ?

 

 

 くっ、俺は諦めんぞォ!

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

 現在時刻は16時。そろそろSPACEに行こうと勇次は言う。勇次の説明によると17時に開始で19時に終了らしい。

 

 ライブハウス『SPACE』

「ガールズバンドの聖地」と呼ばれるガールズバンド専用ライブハウス。

 

 SPACEと言えばオーナーだ。

 特に「やりきったかい?」という台詞は有名だ。

 

 オーナー、オーナーと言うが一体どれくらいの人が本名からを言えるだろうか?アニメを見てない人はほぼ答えられないだろう。アプリでさえ、名前はオーナーになっているのだから。

 

 都筑詩船(つづきしふね)

 それがオーナーの本名だ。

 

 まあ、本名を知ったところでオーナーはオーナーに変わりあるまい。むしろ、本名で呼ぶ機会あるの?

 

 ライブハウス『SPACE』オーナー、都筑詩船。

 

 彼女は元々、全国ライブツアーを行うバンドのメンバーだったが男だらけで「ライブハウスの怖くて危なそう」というイメージを払拭するためにガールズバンド専用のライブハウスを立ち上げたという。

 ライブハウスを立ち上げて、最初は誰でもライブができるようにしていたのだが、ある日、やり切ったと言えない演奏を見て、ライブのステージに立つにふさわしいかどうかを見極めるオーディションを始めた。

 基準は演奏の技術や完成度よりもバンドの熱意「やり切ったかどうか」にしている。

 それが後に「ガールズバンドの聖地」と呼ばれる所以となった。

 

 うん、そりゃあガールズバンド時代来ますわ。一昔前は男のバンドが主流だったのが今ではその逆だ。

 

 

 うん、オーナーSUGEEEE〜〜〜〜!!!

 

 

 調べてみるとSPACEからメジャーデビューしたガールズバンドもあるそうだ。

 正にSPACEは調べない限りは知る人ぞ知る「ガールズバンドの聖地」ってわけだ。

 

 ってとこで俺と勇次はライブハウス『SPACE』前にいる。

 

「時間そろそろだから早く入ろうぜ」

「ひっ」

「中には女性だらけっと············」

「光夜いなかったら死んでたわ」

 

 と俺に笑いかけてくる。

 

 

 殴りたいその笑顔。

 

 

「話さなきゃ問題ないんだろ?なら、さっさと行くぞ」

「お、おう」

 

 

 大丈夫か、コイツ。




短いけどここで切らへんと次回のタイトル回収できへん


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ジブンフューチャー

ホピパ0章とアニメ
オーナー「やりきったかい?」
香澄「はい!」
オーナー「何も見えていない。あんたが一番出来てなかった」

2nd Season
香澄「いつか頑張ってRoseliaみたいにライブします!」
友希那「その努力に意味は?覚悟が足りてない」
香澄「」

香澄ェ...

やっと曲出せる 歌詞がダメだから
歌詞の内容勝手に解釈!


 俺たちはSPACEに入り、どうしたらいいか分からず入口付近でワタワタしていた。

 

 

「そこのあんたたち、ライブハウスは初めてかい?」

 

 親切な人が教えに来てくれたのかと思ったら・・・

 

 白髪の主張が強い白黒混じったグレイヘアの女性。

 

 

 うん、オーナーだわ。

 

 

 まさかのいきなりご本人登場である。

 言い方が失礼だけど原作より少し若いな。ちょいと黒髪混ざっている。

 

「初めてです」

 

 そう答えるとオーナーはフッと軽く微笑む。

 

 思っていたより優しそうだ。原作で香澄たちとのやり取りを見ていると厳しいように感じられた。

 しかし、その厳しさは音楽(バンド)に対してだ。音楽を愛するが故に厳しく、女性にも活躍の場を広げて欲しい思い故に厳しい。

 

 

 それほどまでに厳しいのだ。

 

 

 生半可な覚悟で彼女(オーディション)に臨むようものなら「ステージから降りな」と言わんばかりに失格にされるだろう。彼女の目を誤魔化すことはできない。

 

 後々、そのことで香澄たちPoppin' Partyが関わるのだがそれはまたの機会に語るとしよう。

 

 

「高校生かい?」

「はい」

 

 まあ、俺も勇次も制服着てて明らかに中学生には見えない顔つきだもんな。

 

「そっちのあんたはさっきから落ち着かないね」

 

 入ってからオドオドしたり、キョロキョロして完全に挙動不審な勇次。ホント、お願いだから落ち着いて。俺まで注目されるでしょ。ただでさえ男がいなくて俺たち、注目されてんだから。

 周りを軽く見たところ男が数人しかおらず、女性だらけだ。

 

「ねぇ、オーナーと話してる男の2人。めっちゃカッコよくない?」

「ん〜、どれどれ············ってめっさイケメンじゃん」

「そこでめっさ使うな!」

「私は爽やか系のイケメンくんの方かな?」

「私はなんかオドオドしてるけど大きいのに守ってあげたくなる方のイケメンくんかな?」

「あの2人、デキてるのかな?」

 

 デキてねぇよ。最後の人だけおかしいだろ!

 

 中学生になってからこういった男を品定めするようにジロジロと見て、ヒソヒソとされることが多くなった。女性が男から舐め回すように見られたり、胸に視線が行くのを嫌がる気持ちがよーく分かった。

 俺たちを見て、オープン的に会話するのある意味スゴイわ。声のボリューム落とそうね。

 

「彼、女性と会話するのが苦手ですから」

 

 若い女性限定ではあるが・・・。

 

「そうかい、高校生は600円だよ」

 

 受付で代金を払い、チケットを受け取る。

 

「なあ、光夜もバンド組んだらどうだ?歌上手いし、ピアノ············じゃなかった、キーボードできるんだろ?軽音楽部にも誘われてたじゃないか」

 

 ちょっ!?オーナーの前で音楽(バンド)の話はあかんって。

 

「へぇ、あんたピアノ弾くのかい?手を見せてみな」

 

 ほら、目つけられたじゃん。今一瞬、オーナーの目がギラッとしたぞ!?

 

「別に取って食いはしないよ。だから、そうビビるんじゃないよ」

「は、はい」

 

 恐る恐る両手をオーナーの前に出すと・・・

 

「······いい手だ」

「へ?」

 

 触ることはなかったが俺の手を見てオーナーはそう呟いた。

 

「オーナー!そろそろ······」

「ああ、じゃあ」

 

 スタッフに声を掛けられ、詳しいことは何も言わずに去って行く。

 

「おい、光夜?行くぞ」

「············ああ」

 

 どういう意味で「いい手」と言ったんだろ?

 

 ライブ前に勇次からペンライトを渡された。ライブには必須だもんな。ちゃっかり持ってきてて俺の分まであるとは・・・

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 初めて見るSPACEのライブは何というか・・・凄かった。

ステージに立つガールズバンドの皆、一人一人が生き生きとしていた。バンドの演奏の技術、完成度は違えど思いは同じ。その思いがひしひしと伝わってきた。

 

 

 一番感じたのは演奏(バンド)を・・・楽しんでいた(やり切っていた)

 

 

 ことだ。

 

 

 演奏を聞いて、俺はふと思ったんだ。

 

 

 

 俺もステージに立ちたい(やり切りたい)・・・・と。

 

 

 

 その後、俺は改めて考えされることになった。

 

 

 

 自分の将来(未来)について・・・

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 SPACEでライブを見てからここ数日のことはあまり覚えていない。ずっと自分の将来について考えていた。ただ、母さんに異常なほど何回も「大丈夫?」と言われた事と家で香澄と明日香が常に近くにいたのは覚えている。

 

 

 思えば、前世では夢や目標などなく、平々凡々と生きていた。

 それが今世ではどうだろう?過去に香澄と明日香、妹たちのために頑張ろうと決めたのはいい。では、自分は?自分のこれから(将来)はどうしたい?分からない。考えれば考えるほど未来という不安が俺の中で渦巻く。

 

 俺はそんな不安を抱えながら、気づけばSPACEに足繁く通っていた。そんなある日、オーナーは俺に話し掛けて来た。

 

「あんた、最近一人でよく来るね?」

「ええ、まあ」

「ライブ後、時間はあるかい?」

「はい」

「ちょっと話がある」

 

 話?なんだろうか?来すぎとか?

 

 数時間後、ライブハウスSPACEには俺とオーナーだけが残っていた。

 時刻は20時を過ぎている。うち()の門限は22時だから問題はない。先程、用事で帰るのが遅くなると連絡しといたから。

 

「待たせたね」

「それで俺に話とは?」

「気づいてないのかい?」

「え?」

「酷い顔してる」

「············」

「はぁ、その顔は気づいてないって顔だね」

「俺は············」

「············ついてきな」

 

 言われるがままにオーナーの後ろをついていく。

 

 

 

 そこは・・・

 

 

「上がんな」

 

 

 

 ステージだった。

 

 

「え?」

「あんた、ピアノ弾くんだろ?そこのキーボードで弾いてみな」

「···········えっと、弾き語りでもいいですか?」

 

 

 そっちの方が俺はやりやすいし、ピアノもといキーボードより歌の方が自信がある。

 オーナーの意図は依然として分からないままだが、演奏しろというならやり切る覚悟で演奏する。

 ステージによじ登り、マイクとマイクスタンドを弾きながら歌える場所において、キーボード前に立つ。

 それをオーナーはどこからか持ってきた椅子に座り、何も言わずこちらを見ていた。

 

 

「あー、あー、マイクテストマイクテスト」

 

 

 マイクの確認をした後、キーボードの音を確認する。

 

 

 

 うん、よし!

 

 

 

 

 そして、準備が完了する。

 

 

 

 

 前世からたくさん弾いて、たくさん歌った曲。

 

 

 

 

 歌う曲は・・・

 

 

 

 

 

 

 

「letter song」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これから先、俺はどうなのだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何と出会って、何を見るのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分の隣には誰がいるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 愛する人は見つけられただろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今の自分より素敵になってるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何より幸せだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でも、未来なんて誰にも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 未来を考えるのもいいけど今を大切にしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 傷ついたこと悲しいことも思い出に変えて歩いて行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「〜〜〜〜♪」

 

 

 

 

 

 

 

 俺は未来に語りかけるようにして歌う。キーボードも歌の歌詞と共に思いを込めて弾いた。

 

 

 

 演奏が終わる。

 

 

 

 オーナーは俺を数秒間見つめた後、口を開いた。

 

「············やり切ったかい?」

「························はい」

 

 俺の今の心はやり切り、今までにない高揚感に酔っていた。ステージに立って歌うって演奏するってこんなにもいいものなのか・・・。 俺の中にあったはずの不安(迷い)はなくなっていた。心が晴れやかになって、気持ちがいい。

 ただ、歌って気を紛らわすならカラオケに行けばいい。ステージに立って歌うのとカラオケで歌うのでは比べるまでもなくワケが違う。

 

「いい演奏だった」

「ありがとうございます」

「ふっ、いい顔つきになったじゃないか」

「でも、オーナーはなぜ···········」

「別にお節介を焼こうとしたわけじゃない。ライブハウスは演奏を聞きに来るところだ。悩みや迷いを紛らわすための場所じゃないよ。ただ、何回も酷い顔で来られちゃたまったもんじゃないからね」

 

 うっ、否定できない。

 

「それでも、ありがとうございました」

「そう思うんだったら次からはもっといい顔して来な」

「はい!」

 

 最後にお礼と挨拶をして帰宅した。

 

 

 

 次の日、俺はとある番号に電話を掛けた。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 光夜がSPACEのステージで演奏する前日

 

「ん?あんたは前に············」

「はい、前に来たことあります」

 

 塚本勇次。光夜の高校での友達1号である。勇次の友達は軽くオーナーに会釈する。

 

「今日は別のヤツと一緒かい」

「ええ、まあ」

 

 彼が一人で女だらけのSPACEに行けるわけもなく、他の友達を誘って来ていた。彼もライブの魅力にハマってしまったのだろうか?いや、彼の場合は女の子目当てかもしれない。

 面と向かって話せないヘタレなのに・・・。ヘタレなのに・・・。

 

 大事なことなので2回言いました。

 

 

 それはさておき・・・。

 

 

「ところであんたの友達。最近、一人でよく来るよ。土日や祝日以外、男は少ないから目立って噂になってる」

「マジっすか。あー、やっぱ原因はあれか」

「なんだい?知ってるのかい?」

「············ステージに立ちたい。アイツはそう言ってました」

「ステージ?ライブのかい?」

 

 光夜、実は勇次に「ステージに立てたらなぁ」的なことを言っていたり・・・否、聞かれたりしている。

 光夜としてはぼそりと独り言のように言ったつもりだが、独り言にしては大きい声だったため、近くにいた勇次に聞かれている。

 

 

「ええ、部活見学の時、軽音楽部の演奏中に確かにそう言ってましたから」

「へぇ、入ればいいじゃないか?」

「初めてSPACEでライブ見てからアイツ、なんか悩んでるようで········」

 

 光夜とひと月、共に行動しているだけあって、勇次も光夜のことを理解しているようだ。

 

「なるほど、ねぇ。だからステージを··········」

 

 オーナーは思い当たる節があるのか、納得したような顔をしていた。

 

「ええ、では、そろそろ········」

「ああ」

 

 

 勇次とのこの会話が理由でオーナーは光夜をステージに上がらせるのだった。ある意味、勇次のお陰である。




オーナー
→友達がピアノを弾くと聞いて手を見る
→経験上いろんな手を見てきたから一目で「いい手だ」とわかる
→その後、主人公が何回も来るが顔つき(表情)が酷すぎた
→そんな顔で何回も来るのはあかんで
→そんな時、友達から主人公のことを聞く←New!!
→弾かせてみた

「letter song」は神曲!異論は認めない!

1/24 22時〜1/25 午前5時前まで
一時的にでしたが日間ランキング2位ありがとうございました。

タグに独自解釈、ご都合主義を追加しました。

ガールズバンドみんなカワイイ
→香澄、明日香は美少女!
→なら、その兄である主人公はイケメンでなくちゃおかしい!
→ガールズバンドみんな美少女だし問題ないでしょ!
→これからいろいろと絡ませるためには・・・


うん、見事にご都合主義ですわ。
止むを得ないよね(白目)
私はやりたいように書いていく!

本当に拙い文章ですが最後までお付き合い頂けると幸いです。

m(_ _)m


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行こうよ芸能界

※前話『ジブンフューチャー』オーナーが光夜にステージに立たせたワケを追記しました。

さて、だらだらとくさい展開やると(無駄な)オリキャラが増えるだけだし、いらない展開だと思うからさっさと進めさせてもらいますよ。
もう展開はある程度分かってるとは思うけど..

私「う〜ん、原作前はどこまでやろうか」
読者「原作はよ!ヤンデレはよ!絡みはよ!」
私「」

次話はついに・・・


 

 

「父さん、母さん。俺、決めたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「··················」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、芸能界に行きたい」

 

 

 

 

 

 

 

 香澄と明日香が寝静まった頃。俺は折を見て、話を切り出した。

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 時は12時間程巻き戻る・・・。

 

 

 

 

 今日は日曜日。予定はもう決まっている。先程、とある番号に電話を掛けた。

 

『はい、もしもし。こちら○△○芸能事務所です』

「もしもし、先月○○でスカウトをしていただいた戸山光夜と申します。芸能界のお仕事に興味があったのでお電話させていただきました」

『はい、スカウトなされた担当の方は分かりますか?』

「はい、○○さんという方です」

『少々お待ちください』

 

 貰った名刺の名前を告げる。まあ、これがないと嘘になるもんな。というのも実は高校入学してから1週間が経とうとしてた時、帰宅中にスカウトされた。自販機で珈琲でも買おうとしたら、スーツを着ている身なりがいい人に声を掛けられたのだ。

 

 

 

 

「君、芸能界に興味ない?」と。

 

 

 

 

 スカウトは詐欺が多いと思って始めは警戒していたのだが、名刺を貰い、○△○芸能事務所と書かれた名刺を見てから警戒は杞憂に終わった。

 ○△○芸能事務所といえば大手芸能事務所であり、人気子役、白鷺千聖の所属している事務所である。名刺を貰って○△○芸能事務所と書かれたのを見て、よく叫ばずにいられたと思うよ。

 そして、名刺を貰ってから俺は迷っていた。自分はどうすればいいのか。芸能界に行くべきか行くべきでないか。入れたとしても芸能界は狭き門、売れなきゃ生き残れない世界だ。所属はしていてもデビューできない人はたくさんいる。

 胸にモヤモヤした気持ちを抱えたまま、そんなこんなと過ごしているうちにひと月が過ぎ、昨日のSPACEの出来事に至る。今、思うとそんなに迷う必要はなかった。自分自身に問いかけるだけでよかったのだ。だからこそオーナーにきっかけをもらうまで気づかなかった。

 

 

 

 

 大切なのは

 

 

 

 

 『自分はどうすべきか』ではなく、

 

 

 

 

 『自分がどうしたいのか(・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 ということに・・・・・。

 

 

 

 

 自分の気持ちに気付いたとはいえ、俺はまだスタート地点にすら立っていない。今はスタート地点に移動中と言ったところだろう。

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜♪

 

 

 

 

 保留音が流れる。2分後、保留音が切れ、相手と電話が繋がった。

 

『もしもし、○○です』

「先月、○○でスカウトをしていただいた戸山光夜と申します。芸能界のお仕事に興味があったのでお電話させていただきました。」

『○○?あ〜、君か!制服着てて、君が自販機で飲み物を買おうとしてた時に声を掛けた子であってる?』

「はい、そうです」

『いやぁ〜。嬉しいね。君の他にも数人、声を掛けたんだけど、断られてしまってね。おまけに名刺すら受け取ってくれないときた。』

「は、はあ」

 

 なんか軽いな・・・。まあ、反対に堅い人の方はイヤだけどね。

 

『おっと、そういうのは直接会ってから話そうか。芸能界についてとウチの事務所の話を。今日の午後は空いてる?』

「はい、大丈夫です」

『では、羽沢珈琲店ってところで午後2時に』

 

 ・・・・・・・・・えっ?羽沢珈琲店ッ!?

 

『おっと、名前だけじゃ分からないよな。「いえ、分かります」え?』

「早○田駅から降りて、地蔵通り商店街にある羽沢珈琲店ですよね?」

『あ、ああ。詳しいね。なら、話は早い。そこに今から5時間後の午後2時にそこで待ち合わせしよう』

「はい」

『じゃ、また午後に』プツッツーツー 

 

 

「··············ふう」

 

 

 羽沢珈琲店と聞いて、少し興奮してしまった。知ってるとこでよかった。

 

 

 さて、羽沢珈琲店、初入店と行こうか。

 

 

 

 

 

 午後2時前

 

 

 

 少し待つとスカウトされた時と同じく、スーツで綺麗な身なりをしてやって来た。年齢は40代後半といったところか?何というかダンディだ。

 

「やあ、君だってすぐに分かったよ。話をする前に入ろうか?」

 

 

 入店〜♪

 

 

 ああ、珈琲のいい匂いだ。

 

「いらっしゃいませ。空いてるお席へどうぞ」

 

 バイトと(おぼ)しきウェイトレスさんが言う。これがあと5年もすれば、イヴとつぐみがウェイトレスをするのか・・・。

 イヴの「へいラッシェーイ!!なに握りやしょーか!」を見てみたいわ。

 ウェイトレスか・・・。香澄と明日香が着ているとこ見てみたいな。メイド服でも可。ん?メイド服?あっ、メイド服なら明日香着るやん。絶対、文化祭行こ(使命)

 

「ご注文はお決まりですか?」

「私はカプチーノで」

「カフェラテを……」

 

 メニューを決めて話を始める。

 

「さて、話を始めようか……」

 

 

 ・・・・・・ん?

 

 桃色、赤色、黒色、灰色、茶色・・・。

 

 

 

 視線は目の前にいる○○さんだが、視界の隅にぼんやりと5人の少女たちが入る。

 

 

 

 

 ・・・・え。ひまり、巴、蘭、モカ、つぐみやん。なんかこっち見てない?

 君たち、なんで我が物顔で店に居座ってるんですかねぇ。それとこっち見んな。気になっちゃうだろ。あこちゃんいなくてある意味助かった。いたら、「闇のお兄ちゃん」待ったなしですわ。

 

 

「…………という事なんだ」

 

 

 やべ、話、全然聞いてねぇ。

 

 

「はい」

「スカウトといっても名ばかりだから、オーディションを受けてもらうことになる」

 

 

 

 1時間後

 

 

「…………他に質問とかある?」

「大丈夫です」

 

 

 最初は彼女たちの視線が気になったが、途中から話を真剣に聞いた。

 話によるとオーディションは一次審査の書類審査、二次審査の会場面接。所属オーディションという事で一番重要なの会場面接なのだと言う。スカウトされた人も一般の人も同じオーディションらしい。スカウト組は書類審査がほぼパスされるようなものだが、二次審査の面接で落とされてもおかしくはないんだと。

 

 

「君が芸能界に興味持ってもらえて嬉しいよ。これからどうするかは君次第だ」

「まずは両親と話し合って決めたいと思います」

「……そうか。オーディションで待ってる」

 

 

 

 店を出た後、彼はそう言って去って行った。

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 時は戻り戸山家。

 

 

「父さん、母さん。俺、決めたよ」

 

 父さんと母さんにスカウトされたこと、オーディションのこと・・・そして、今日、話を聞いて来たことを打ち明けた。

 

 

「俺、芸能界に行きたい」

「「··················」」

 

 

 こちらを静かにじっと見つめて来る二人。

 

「···········本気なんだな?」

 

 まず口を開いたのは父さんだった。

 

「·········ああ」

「···········そうか、なら俺からは何も言わない。ちゃんとした話は受かって所属するとなってからだ」

「分かった」

 

 母さんは・・・

 

「光夜が決めたことなら何も言わないわ。ただ、光夜が決めた道を親として·············母親としてその背中を押すだけよ。応援してるわ」

 

 

 

「父さん、母さん············ありがとう」

 

 

 

 香澄と明日香には言わないつもりだ。所属できるかどうか分からないから。それに反対しそうだ。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 羽沢珈琲店

 

 

「なあ、あの人って前に·······」

 

 入店して来た男2人組を見て、巴が指をさして言う。それにつられるかのように蘭、モカ、ひまり、つぐみが見る。

 

「あっ、あの人って·······」

「うん、あこちゃんが迷子になった時の·······」

 

 光夜にひたすら頭を上下させて謝っていた少女、つぐみが気づく。少し遅れてひまりが言う。

 

「·······ッ!?」

「あ〜、これはアレを思い出してますなぁ〜」

 

 何かを思い出したかのように顔を真っ赤にする蘭。その理由が分かったモカ。全員、光夜のことは覚えているようだ。

 

「蘭ちゃん?大丈夫?」

「·······ゥウ」

「これはダメですなぁ〜♪」

 

 つぐみが声をかけるも蘭は依然として顔を真っ赤にしたままだ。モカはモカでこんな状態の蘭を見て、楽しんでいる。

 

「おい、今の聞こえたか?」

「え、なになに!何だって?」

 

 聞き耳を立てていた巴が他のみんなに聞く。ひまりは勿体ぶるなよと言わんばかりに巴に近寄る。

 

「ひ、ひまり、近い」

「ご、ごめん。それで?早く!」

「あ、ああ。あの人·······戸山さん、なんか芸能界に誘われてるっぽいぞ」

 

 

「「「「··············えっ!?」」」」

 

 

 そんな感じで巴たちの会話は続いていった。その中で蘭だけは、光夜が羽沢珈琲店から出た後も顔が真っ赤だったそうな。




遅くなりましたが評価ありがとうございます!
m(_ _)m

☆10
主任頭痛持ちさん
ヒッカさん
リョウユーキさん
みひろ。さん
峰風さん
愉悦部員No.13さん
SASAIさん
夜の帳さん
紗井斗さん
YASPさん
影政さん
生ナマコさん
和泉ムラマサさん
ネ@さん
名無しの音さん
ちびベビルさん

☆9
ブロッコリーさん
石見人さん
ゴンゴン398さん
ねむネコさん
シャチ大好きさん
空街ホープさん
零落氏さん
鰻重特盛さん
プロスペシャルさん
愉悦部 候補生さん
キャンディーさん
かきたまさん
osakesukiさん
nemirさん
とまぼーさん
つきしらさん
ジェームズさん
@hiragiさん

☆8
taniさん
Y.K,さん
詩緒さん


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芸能事務所と・・・

芸能界の内容については私の独自設定で行きます。

ついにあの娘と・・・
さっさと時間進めよっか?


 5月に芸能界へ行くと決めてから2カ月後の7月。

 

 オーディションに合格して、○△○芸能事務所に所属が決まった。

 

 

 

 所属オーディションの開催日は思っていたより早くて、自己紹介なるモノの自己ピアールを書くのに悩んだ。

 

 とはいえ、所属オーディションまでにこれといった事は何もしていない。一次審査は本当に難なく通過した。これはある意味、他にも通過した人が多いという事だろう。

 二次審査は面接で、一次審査の時に書いた自己紹介アピールなるモノを5人面接官たちが見て、質問をする。最初はグループ4〜5人で面接するのかな?と思っていたら十数人ぐらいしかいなくて驚いた。どうやら一次審査の書類選考で多くの人が落とされているらしい。

 

 そして、まさかの1人ずつの面接である。

 ふぇぇ、5対1なんて圧迫面接だよぉ。

 

 「君は芸能界で何がしたいのかね?」と聞かれた時、「キラキラドキドキしたいです!」って頭に思い浮かんだのはなんでだろ?言ったらヤベェやつだよ。

 

 当然言うはずもなく「ステージに立って歌いたい(やり切りたい)です!」って答えたよ。

 それはつまり歌手になりたいと目の前の面接官たちに言っているようなもので、その後は圧迫面接というに相応しい嫌みな質問をされた。

 

 最後に「自己PRを3分間して下さい」と言われた時は本気で焦ったわ。えっ、自己PR!?聞いてないんですけど!一次審査で書いた自己PRの内容だと1分どころか10秒も待たない。

 焦っていろいろと頭がこんがらがった結果、俺は歌うことにことにした。席から立ち、アカペラで歌い始める。歌い終わると拍手を送られた。間奏なしでも3分は軽くすぎてしまったが、特に問題はなかったようでそこで面接は終了した。

 

 帰宅してから、俺はふと気になりスマホで

「オーディション面接 自己PR」と検索してみたら。

 

 

 ファ!?

 

 

 自己PR話す内容は自分の短所を入れつつ、長所をたくさん語れ?書類の方にも自己PRめちゃ書く?

 いやいや、そんな書くことないから!ということは俺の他に面接した人は有る事無い事を話していたのか?

 

 嘘乙!

 

「私の長所は○○です」の受け答えしろと?そんな模範的回答で受かるほど芸能界甘くないと思うんだけど・・・。

 

 次に「自己PR 歌う」で検索する。自己PRで歌ったり、演技するのは定番なのだそうだ。

 

 あ、定番なんだ。

 

 

 それもそうか、何が悲しくて自分の長所と短所を淡々と語らねばならんのだ。なんか納得。他の人も歌うか演技してたのね。

 

 二次審査の面接から1週間後、俺の携帯に合格という知らせが舞い込んで来るのだった。その日の夜に父さんと母さんに合格したと告げたら、二人は物凄く喜んでくれた。

 それから両親と共に事務所に行き、事務所登録を済ます。それと同時に契約の話をされ、高校卒業までにどうなるか分からないということで3年の契約を結んだ。

 

「やっとスタート地点ね」

「ここからが本当の勝負だぞ」

 

 

 本当にここからが勝負だと思う。

 

 

 なぜなら、この大手芸能事務所と言われる○△○芸能事務所は少し特殊なのだ。

 

 

 事務所登録の時に聞いた話だと・・・

 

 

 

 一般的な芸能事務所の所属するまでは

 

 

 一次審査(書類選考)

   ↓

 二次審査(面接)

   ↓

 三次審査(演技など)

   ↓

   所属

 

 

 

 一次審査は多くの者が通過するものの二次審査の面接で落ちる。あまりにもオーディションを受ける人が多いため、三次審査までやってふるい落とすのが普通だ。モデルならモデルのオーディション、歌手なら歌手のオーディション。各分野のオーディションが別々なのだ。

 

 

 

 それが○△○事務所では・・・

 

 

 一次審査(書類選考)

   ↓

 二次審査(面接)

   ↓

   所属

 

 

 であるのだ。

 

 

 

 ○△○事務所では一次審査で多くの人を落とす。それはもう容赦なく。スカウト組は軽くパスだが、一般組は本当に厳しい。モデルや歌手、俳優のオーディションとかの分野に分けず、ただの所属をかけたオーディション。このことから少しでも芸能人の卵を確保したいことが分かる。

 

 しかし、あくまでこれは所属オーディションであり、芸能人の仲間入りとなるわけではない。芸能人となるチャンスが与えられるだけであり、それを掴み取るのは己の運と実力だ。

 ○△○所属では、所属してから本人の希望するところに割り振りされる。モデルならモデルの勉強とレッスン、歌手なら歌とダンスのレッスン。

 所属後、すぐに仕事が舞い込んで来ることはないので、チャンスが来るまでは養成所などで自分のスキルを磨くという。

 

 

 こうして無事に所属し、俺の芸能界デビューに向けた日々が始まるのだった。

 

 

 

 

 香澄と明日香には絶対黙っていよう。そうしないとレッスンに行けなくなるわ。

 そろそろ香澄と明日香に「お兄ちゃん、ウザい」とか「近寄らないで」とか言われてもいい年頃なのに・・・。むしろ、俺に構って構ってとついて来たり、抱きついて来たり。

 

 

 

 反抗期は中学生かな?(現実逃避)

 

 

 

 

 ちょおぉ〜と、たまに「お兄ちゃん」って頼られる感じでよかったのに。

 

 

 

 「お兄ちゃん、一緒に寝よ?」

 

 「お兄ちゃん。今度、お姉ちゃん抜きでどこか行こ?あと……一緒に寝てもいい?」

 

 

 

 一緒に寝ようが寝まいが、朝には両隣に香澄と明日香がいるんだぜ?帰りが遅い日とかは、なぜか俺のベッドで先に寝ているんや。香澄か明日香の部屋に行って寝ればいいのだが、一緒に寝ないと虚ろな目で「なんで?」とか言うんだよ?

 

 

 ハイライトさん、お願いだから仕事して!

 

 

 

 それに・・・

 

 

 

 

 こんなにブラコンになるなんて思わなかったんです!!!

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 所属してから1ヶ月、歌とダンスのレッスンをしている。歌はビブラートを自然な感じで出すことを目標にして頑張っているところだ。特にダンスは悪戦苦闘中、難しいよぉ〜。

 レッスンがある日は、香澄と明日香に部活や習い事があると嘘を言っている。所属してるのバレたら大変やでぇ。

 

 夏休み最後の週の日曜日。

 事務所の方から話があるということで、俺は事務所に来ていた。エントランスで担当の人を待っていると、プラチナブロンドの髪をした少女がこちらに近寄って来る。

 

 

 

 

 

 ああ、彼女だ。

 

 

 

 

 

 

「お、お兄さん!?」

 

 

 

 

 

 実に4年ぶりの再会かな?

 

 

 

 

 

 

 

 再会を喜ぶ前にまずは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶり、ちーちゃん」

 




たくさんの評価ありがとうございます!
こんなに……圧倒的感謝です。
m(_ _)m
感想もたくさん欲しいなぁ……なんて思っていたり。


☆10
むっくるさん
満月さん さん
咲野 皐月さん
レイドラさん
長瀬楓さん
Redmagic398さん
那由多0823さん
BTR-90さん
ハイパー愉悦さん
468(ヨルハ)さん
ユグドラ汁さん

☆9
ユニバースファントムさん
horou02さん
ダブルエーさん
団欒花壇さん
Kiriya@Roselia箱推しさん
妹マジ天使さん
カリュクスさん
N.N.さん
ot3さん
かぐらすすさん

☆8
うるみーさん
s41d015jさん
けりぃさん


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設定 戸山家

連続投稿は厳しいので書いておいた設定で許して(泣)


よく転生モノで精神年齢がヤバいうんぬんを聞きます。
転生して身体が小さくなったことで身体に引っ張られるように精神年齢がある程度低くなったと思って下さい。当たり前ですが、三大欲求が当てはまります。特にエッチな方の欲笑

えっと、私が言いたいのは、前世や精神年齢などは他の転生モノ同様、深く考えずに見ていただけたらと・・・。
話に出てくることはあっても深くは語りません。語られていない裏で主人公は既に割り切っていると思って下さい。平々凡々、夢や希望なしと言えど人間は後悔する生き物ですから。


この『バンドリの世界に転生したって?』は
前世でいう架空世界(二次元)に転生した主人公がこの世界(バンドリ)であれやこれやと過ごして行く話だと思って頂ければ幸いです。



 

 戸山光夜(こうや) 前世:菜畑洸夜(なばたけこうや)

 

 

 初登場:転生したって?(5歳)

 

 

 戸山家長男。香澄、明日香の兄。

 誕生日:6月13日

 髪色:ひわだ色

 

 

 香澄と5歳差、明日香と6歳差。

 

 香澄と明日香が生まれシスコンと化す。

 妹たちを溺愛しすぎた結果、見事に妹たちはブラコンになった。

 光夜が中学2年生のバレンタイン時に香澄と明日香の目からハイライトが消えかかっているのを見て、香澄たちと少し距離を置こうとする。

 しかし、今まで光夜が香澄と明日香をいじめず、邪険に扱うことが一度もなかったせいか意味がなかった。

 

 

 その時、香澄が小学3年生、明日香が小学2年生で「あと数年もすれば、反抗期になって距離を取るでしょ」と高を括っていた。

 2年後の光夜が高校生になっても変わらず。むしろ、前より甘えてくるのが酷くなった気が・・・。

 

 光夜は「お兄ちゃん」とたまに甘えてくるような妹でよかったのだが・・・こんなにブラコンになるとは思わなかったそうだ。

 

 

 ブラコンに関してはもう半ばあきらめている模様。

 

 

 今後どうなるかは不明。

 

 

 

 主人公(光夜)が知っているストーリーは

 『新しい季節、その前に』(ガールズコード)前まで。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 戸山香澄

 

 

 初登場: 戸山香澄の兄(Baby)

 

 

 戸山家長女。光夜の妹、明日香の姉。

 誕生日:7月14日

 髪色:ひわだ色

 

 

 

 光夜がいても本来(原作)の明るく、元気でポジティブな性格は損なわれずに育つ。

 キャンプで「星の鼓動」を聞いてからは「キラキラドキドキ」を探している。いつか「キラキラドキドキ」するものを見つけたらお兄ちゃんを密かに巻き込もうと思っており、これが後々いろんな事に関わる(巻き込まれる)原因となる。

 

 

 何よりお兄ちゃんが大好き。

 

 

 

 ブラコン(末期)

 

 

 

 家にいる時は明日香と共にいつも光夜にくっついている。本人はブラコンの自覚なし。きっと誰かに指摘されるまで気づかないだろう。お兄ちゃんが他の女の人に何かされたりするのが嫌。

 

 ずっと一緒にいれないのは分かってはいるものの「今はまだ、お兄ちゃんに甘えていたい」という気持ちが強く、そこからお兄ちゃんを独占したい欲求が来ている。

 

 そのことで明日香と何度か争った事があるようだが……。

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 戸山明日香

 

 

 初登場:戸山明日香 誕生(Baby)

 

 

 戸山家次女。戸山家3兄妹の末っ子。

 誕生日:8月15日

 髪色:榛摺(はりずり)

 

 

 

 姉の香澄とは違ってしっかり者で何事にも落ち着いているが偶にやらかす。

 

 

 姉同様にお兄ちゃんが何より大好き。

 

 

 ブラコン(末期に進行中)

 

 

 香澄みたいに積極的には行けないため、姉の性格が羨ましく思うことも・・・。光夜の匂いが好きでよくニオイを嗅ぐ癖がある。一度嗅いだらやめられないらしい。

 密かに自分だけ光夜、香澄と髪色が違うのを気にしており、光夜と髪色が同じな香澄を羨んでいる。

 

 いつも光夜の側に香澄がいて、お姉ちゃんばかりずるいと何度か争った事があるようだが・・・。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 戸山香織

 

 

 初登場:転生したって?

 

 

 戸山3兄妹の母。

 よく夫の悠夜にOHANASHIする姿が見受けられる。そのOHANASHIは愛故に・・・。

 戸山姉妹のブラコンっぷりには寛容。むしろ、被害が自分にまでこなきゃ全然構わないと思っている。それは荒ぶる戸山姉妹を知っているからだ。

 

 恐るべし、戸山姉妹(荒ぶるver.)

 

 戸山3兄妹の誕生日が1月と1日ずつズレているのは偶然にしては出来すぎるため、狙ってヤったんじゃないかと夫の悠夜に疑われている。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 戸山悠夜

 

 

 初登場:転生したって?

 

 

 戸山家3兄妹の父。戸山家の大黒柱。

 よく妻の香織にOHANASHIされているがその裏ではラブラブなのだとか・・・。

 戸山姉妹がブラコンなのを知っているが、光夜なら大丈夫だろうという信頼、何より娘たちに嫌われたくない為、彼女たちにはブラコンについては何も言わないことにしてる。

 

 最近、「お父さん臭い」や「一緒に洗濯しないで」をいつ言われるかビクビクしているそうだ。

 

 

 

 当初、このキャラを出すことはなかった。

 しかし、私は見てしまったのだ!

 アニメ1期1話「出会っちゃった!」で香澄の部活なに入るの?という会話でテーブルに一人分だけ料理にラップがかかっているのを!

 

 とりあえず、泣いた。

 

 ・・・ということで出しました。

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 年齢

 

 

 

 1話:転生したって?

 

 

  光夜→4歳から5歳

 

 

  妊娠しているのは分かっていたが名前を言われるまでバンドリの世界だと気づかなかった。

 

 2話:戸山香澄の兄

 

  光夜→5歳

  香澄→0歳

 

 3話:戸山明日香 誕生

 

  光夜→6歳から7歳(小学1年生)

  香澄→1歳から2歳

  明日香→0歳から1歳

 

 4話:戸山光夜という存在

 

  光夜→9歳(小3)

  香澄→4歳

  明日香→3歳

 

 7話:始まりのキラキラドキドキ

 

キャンプは7月

 

  光夜→12歳(小6)

  香澄→7歳(小1)

  明日香→5歳

 

 8話:迷子の迷子のちーちゃん

 

  光夜→12歳(小6)

  香澄→7歳(小1)

  明日香→6歳

  千聖→8歳(小2)

 

 13話:バレンタインと病み

 

  光夜→13歳(中1)

  香澄→8歳(小2)

  明日香→7歳(小1)

 

 14話:泣くのはおよし、こころ

 

 4月

 

  光夜→13歳(中2)

  香澄→8歳(小3)

  明日香→7歳(小2)

  こころ→8歳(小3)

 

 15話:反抗妹 かすみちゃん

 

  光夜→15歳(中3)

  香澄→10歳(小4)

  明日香→9歳(小3)

 

 20話:進学、そしてSPACEへ

 

  光夜→15歳(高1)

  香澄→10歳(小5)

  明日香→9歳(小4)

 

 24話:芸能事務所と・・・

 

  光夜→16歳(高1)

  香澄→11歳(小5)

  明日香→10歳(小4)

  千聖→12歳(小6)

 




明日香の誕生日はオリジナルだよ。
はりずりは深く渋いだいだい色ってことです。

いつか微ヤンデレの「微」取れるだろこれ笑


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再会のちーちゃん

2nd Season突っ込みどころ多すぎ笑
黒い黒いぞちーちゃん。

ということで
ヒロイン1人目は『白鷺千聖』ことちーちゃんでございます。


 

 

「久しぶり、ちーちゃん」

「お、お兄さん!?」

 

 

 最初で最後に会ったのは4年前。とはいえ、お互い成長している。ちーちゃんは子役でテレビや雑誌などで見かけるから俺は分かるが、ちーちゃんはよく俺だと分かったな。

 この4年間で身長も伸び、顔つきも多少は変わっていると思うんだが・・・。

 

 4年前と比べてちーちゃんはさらに可愛くなった。その成長はテレビなどで見ていたから言うまでもない。

 こうして面と向かってみると彼女の凄さが分かる。可愛いのはもちろん、彼女から漂う雰囲気が凄い。

 雰囲気・・・否、オーラというべきだろう。

 未来(原作)での彼女は芸能人オーラがだだ漏れのため、変装してもすぐ身バレしていた。

 

 

 このオーラが5年後にはもっと凄くなるというのか!?

 

 

 ………恐るべしちーちゃん。

 

 

 4年前はショートボブ、それが今では肩口にまで伸びたプラチナブロンドの髪、ミディアムを通り越しセミロングとなっていた。身長は140cm前半といったところか?俺が174cmだから、ちーちゃんの身長は俺の胸元あたりだ。

 身長が大きいとどうしても目線が顔より下、胸に行ってしまうことが多い。

 

 

 仕方ないよね?だって、男の子だもん。

 

 

 先ほどチラッと見たが、ぺた〜んとしていた。

 ふっ、未来(原作)で待ってるぞ。

 

 

 だから、今は健やかに……

 

 

 

 

 …………………強く生きて(育っておくれ)

 

 

 

「ど、ど、ど、ど、どうしてお兄さんがここに?」

「うん、まずは落ち着いて?」

 

 「ど」が前に4つ付くくらい、ちーちゃんの心の中では動揺しているらしい。

 

「すぅ、はぁ。そ、そ、それでお兄さんはどうしてここに?」

 

 うん、まだ落ち着かないね。

 

「スカウトされてね」

「え?お兄さん、スカウトされたんですかっ!?」

「うん、それでオーディション合格して、ここに所属したのは1カ月前だよ」

「え、え?…………え?」

 

 どうやら思考が追いついていないようだ。

 

「というわけで事務所の先輩として、芸能界の先輩としてよろしくね。ちーちゃんセンパイ(・・・・)?」

「………………はっ!?か、からかわないでください!」

 

 お、思考が追いついてきたか?でも、実際に先輩となるわけだから間違ってはいない。デビューしてないけど笑

 

「っと、その前に改めて………久しぶり、ちーちゃん」

「はい、お久しぶりです。お兄さん。」

 

 うん、こういうのは大事だよな。特に再会した時には。

 

「それでさっきの話なんですけど、事務所に所属って本当ですか?」

「本当だよ、事務所登録も済んでる。今日は話があるって言われてここに来てるんだ」

「す、凄いです!」

「…………へ?」

「ウチの事務所って所属オーディションが厳しいことで有名なんです。それをお兄さんは合格したんですよね?凄いです!」

「ありがとう、ちーちゃん。けど、まだ所属しただけでデビューしてないから………」

「それでもです!」

 

 オーディションの厳しさに関しては、子役の配役オーディションなどで勝ちをもぎ取って来た彼女がよく知っているだろう。それと同時に芸能界で生きていくという厳しさも……。

 

 所属することでスタートラインに立てる。

 

 しかし、所属しているだけではデビューしない限り、ずっとスタートラインに立ったままだと思っている。いくらレッスンで歌やダンス等の実力をつけようとも、それを活かす場所がなければ無意味に等しい。全部が全部、無意味とは言えないが芸能界においては無意味だということを言いたい。

 

 

 だからこそ、俺は所属しているからといってうかうかしていられない。スタートラインに立ったまま他の(芸能人)の後ろ姿をいつまでも見ているのは………ごめんだ。チャンスはいずれ掴み取って見せる!

 

 

「ごめん、ちーちゃん。話したい事はたくさんあるんだけど、そろそろ約束の時間で行かなくちゃ行けないんだ」

 

 ちーちゃんと再会したというのに、すぐにさよならをしないといけないんだなんて………。

 

「あ、あの、その、連絡先を教えて下さい!」

 

 勇気を振り絞って言ったであろうその言葉にちーちゃんは顔を真っ赤にしていた。手にはいつのまにか取り出した携帯を持っており、その手は少し震えている。

 

「うん、いいよ」

 

 ちーちゃんとL○NEの連絡先を交換する。ちーちゃんの名前はChisatoとなっていた。それにしても、ちーちゃんはもう携帯持ってるんだね。芸能人だし、何かあった時に困るから持っているのは当たり前か。でも、羨ましい。俺は去年に携帯買ってもらってからまだ1年も経っていないのに……。

 

 とりあえず、後でChisatoはちーちゃんに変えとくか。

 

「ありがとうございます。そ、その、たくさん連絡してもいいですか?」

「ああ、もちろんだよ」

 

 同じ事務所にいても会う確率なんて低いからな。また面と向かって会うのはいつになるか分からないが、連絡先を交換したなら特に問題もないだろう。

 

 

「じゃあ、ちーちゃん。またね」

「はい、後で(・・)連絡しますね」

 

 

 

 

 さて、俺は用件を済ましに行きますか。

 

 

 

 

 

 

 …………………ん?後で?

 




たくさんのお気に入りと評価ありがとうございます!
m(_ _)m


☆10

ユダキさん
リュウティス王子さん
孤独なヨームさん
啓也さん
ごちうさ/ひなこのーと難民さん
まろん0141さん
魔理沙好きさん
ハクアхорошоさん
ヒッキー@梨子さん
あいうえお1235
Crazy Pumpkinさん
殺戮天使の僕さん
高坂睦月さん
段ボールニシキさん
とまぼーさん
幾望さん
やりおるマトンさん
eveneruさん
Koranさん
なまごはんさん
RINAさん

☆9

エリサさん
ガン鉄さん
白真さん
ゆゆにゃ〜さん
サトカ推し隊長さん
天草シノさん
Mig-21@0さん
ティアナ000782さん
ううむさん
俺達総帥さん
nanegiさん
libra0629さん
かしやろーさん
煉獄騎士さん
カサヒロさん
灯籠蜘蛛さん

☆8

カカシさん
水蒼さん
きときとさん


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カラオケバトルとデビュー

戸山姉妹をさらっと流してるのは
原作開始直前あたりに戸山姉妹の話を予定しているからです。
ほんとは原作後に話を飛ばしたいんだけど脈絡は大事だし、後々それが話のネタにできるからね。


 

 高校を卒業してから1週間後、事務所に呼び出された俺は戸田さんからこう告げられた。

 戸田さんとは俺が高校1年生、事務所に所属してからの付き合いになる。

 

 

「おめでとう、戸山くん。君のデビューが決まった」

 

 

 

 

 …………………はい?

 

 

 

 

「はははっ、嬉しすぎて言葉も出ないか」

 

 

 違います。

 急にデビューだなんて言われて、思考が少し止まっただけです。

 

 

 

 それに………

 

 

 

「ということは………つまり……」

「ああ、歌手として(・・・・・)のデビューが決まった」

「はぁ、よかったです」

「ふっ、それは何よりだ。君は歌手としては無名だが、タレント(・・・・)としてなら売れているからな。芸歴が2年半とまだまだ浅いが、もうすでに立派な芸能人だよ」

「……うっ」

 

 

 

 

 そう、何を隠そう。俺はもうすでにデビューしている。

 

 

 

 

 

 タレント(・・・・)として。

 

 

 

 

 

 

 いや、別に歌手になるのを諦めたわけじゃない。

 これには理由(ワケ)があってだな……。

 それに現にこうして、歌手としてデビューが決まったと言っているのが答えだ。

 そもそもの話、俺がタレントデビューして2年半も活動しているのはこの戸田さんが原因である。

 

 

 

 

 

 それは3年前……ちーちゃんと再会した後の事だ。

 

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 

 3年前 8月

 

 

 ちーちゃんと連絡先を交換して別れた俺は応接間へと向かう。

 

 

 

 コンコンコン

 

 

 

 ドアを3回ノックする。

 2回じゃないのって?それはトイレだよ?

 

 

 昔、調べた国際標準マナーによると

 

 2回のノックは、トイレ。

 3回のノックは、家族・友人・恋人などの親しい相手。

 4回以上のノックは、初めて訪れた場所や礼儀が必要な相手。

 

 

 うん、4回以上とかどんだけノックするんだよ。しつこいわ。だから、日本では面接とか3回が適切になったんだろうよ。

 

「入ってくれ」

 

 中に入り、お互い軽く挨拶を交わす。

 今日、俺に話があるという人、戸田さんは話を切り出した。

 

「戸山くん。君、カラオケバトルに出てみないかい?」

「………はい?」

「おお、そうかそうか。出るのだな。とは言っても番組に出るためには応募する必要があるが、君なら大丈夫だろ」

 

 どうして俺の周りには「君なら大丈夫だよ」と言う人ばかりなのだろうか?何を根拠に言ってるんですかねぇ。

 それと俺が言ったのは疑問形の「はい」であって、肯定する「はい」じゃないよ!?

 

 

 

 それにしても………カラオケバトルか。

 

 

 

 カラオケバトル。

 

 毎週カラオケ大会を開催して、歌のプロ、アマチュアを問わず、カラオケマシンが採点した得点によって、出場者の中から優勝者を決める人気の歌番組。

 LIVE DEMの精密くんDXを使って採点し、点数を競い合う事で有名。

 応募条件はLIVE DEMの精密くんDXで歌い85点以上であること。それを送り、その中から選ばれるというわけだ。

 

 このカラオケバトルの番組、俺は毎週観ている。いや、俺一人で見ているわけではないから家族全員と言っておこうか。家族全員、この番組が大好きだ。

 

「どうしてこの番組に出ろと?」

 

 意図がわからないので聞いてみると

 

「今はまだ話せない。だから、カラオケバトルに出るか出ないかは君に任せる」

 

 …………おい!

 

 今はって言ったから、とりあえず出てね?結果が出たら話すよってことか?

 

「………出ます」

「おお、そうか。すまんな、まだ詳しい事は話せないんだ」

 

 

 やってやんよ!でるからには優勝だ!

 

 

 こうして俺はカラオケバトル出場にするべく応募するのを決めるのだった。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 結果、本戦出場つまり番組に出ることになった。応募は100点の画像と動画を送りましたよ?当たり前だよなぁ。

 

 ちなみに曲は『TOMORROW』

 泣くのはかっこ悪いことではない、涙が明日の糧になるという前向きな歌詞で元気をもらえる曲だ。

 

 本戦の予選でこの曲を歌う。あとは決勝で歌う曲だな。

 

 決勝曲をどうするか迷っているとちーちゃんから連絡が来た。ちーちゃんとは、ほぼ毎日L○NEしている。ちーちゃんと連絡先を交換した日の夜からL○NEがたくさん来るのだ。本当に「後で」だったよ。そして、趣味や好きな食べ物など根掘り葉掘り聞かれた。

 途中、「ご、ごめんなさい。こんなにしつこく聞いて迷惑でしたよね?」と本当に申し訳なさそうにしてたけどさ、俺は知ってるんだよ?その純情さが5年後には黒く染まってしまうのを。表は白、裏は黒で密接だから表裏一体かな?

 

 なるほど、「白鷺」が「黒鷺」になるのか……。

 

 ふぇぇ、そんなちーちゃん見たくないよぉ〜。

 そのうち、ちーちゃんって呼ばないで下さいって言われるかもな。

 

 香澄と明日香にカラオケバトルと芸能界のことは言えないから、ちーちゃんに相談しようかな?

 センパイだからね、カラオケバトルは全く関係ないけど笑

 

 

 数日後、俺とちーちゃんはカラオケに来ていた。

 

 

 ※ちーちゃんのご両親から許可をいただいてます。

 




感想たくさん来て………嬉しい!
たくさんの評価ありがとうございます!

☆10

KGrxさん
ぽぽろ@明天さん
蓮零さん
ホソミチさん
よーたさん
ムルムル41601さん
暁の青い光さん
リヴァイアサンさん
緑のくじらさん
白き焔さん
ダウルダブラさん
のぞみさん
スティッチ乙さん
Moritaさん
リュウ@ハチナイ絶賛プレイ中さん
YKCRNさん
るんるんβさん
リーチャードさん
イロハス♪さん
神無明夜さん
有限少女さん
もりしー卍さん

☆9

むらさき君さん
戦刃 rimさん
あつあつさん
ハイパー扇風機さん
散歩人さん
雨季同家さん
ヤタガラスさん
ゆっくり龍神さん
グエンさん
orutorosu2さん
世界を売った男さん
炉利杯さん
シーライトさん
カナデ1041さん
あっきゃんさん
津上さん
ウルポックルさん


☆8

マッシュマンさん
黒服の一般人さん
竜凛胆堂さん
夜桜の草の人さん
ゼオンさん
スミス12さん
OZU☆さん
アミなミナさん


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バレンタインと病み 再び (14.5話)

バレンタインという事で
設定 戸山家にあった中2のバレンタインというのはこの事です笑

『泣くのはおよし、こころ』と『反抗妹 かすみちゃん』の間の話です。

Happy Valentine's Day!


 

 

 2月13日

 

 

 

 嗚呼、今年もやって来てしまった。

 

 

 

 

 そう、バレンタインデーだ。

 

 

 

 

 自惚れているわけではないが、今年もチョコをたくさん貰うだろう。去年はヤバかったからな……香澄と明日香が。

 

 アレはヤヴァイ、とにかくヤヴァイ(語彙力)

 あの目からスッと消えていくのは本当にヤヴァイ。

 

 だから、俺は決めた。

 

 

 バレンタインデーは学校に行かない……と。

 

 

 そもそも学校に行かなければチョコを貰うことなどないのだ!よって、欠席する。次の日も渡される可能性があるから、2日欠席する。

 

 

 

 HAHAHA、行ける!行けるぞ!今年はこれで勝つる!

 

 

 何に勝つのかって?HAHAHA、なんだろ?

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 2月14日

 

 

 あっれー?おっかしいな〜?なんで俺、登校しているんだろ?俺の計画は完璧だったはずだ。

 

 

 学校を2日欠席する

   ↓

 バレンタイン(今日)が木曜なので明日も欠席すれば土日になるからさすがにチョコは渡されないだろう

   ↓

  これで勝つる!

 

 

 なのに………

 

「光夜?いつまで寝てるの?アンタが香澄たちより遅いなんて珍しいわね」

「母さん、俺、体調が少し……」

「はいはい、そういう年頃だもんね。サボりたくもなるけど、特に今日はバレンタインだから行ってらっしゃい。今年もチョコたくさん貰うんでしょ?告白とかされたりしてね……ちゃんと女の子からの気持ちを貰って来なさい」

 

 そういう年頃ってなんですか?あと、女の子からの気持ち貰うってなんです?告白?知りませんねぇ。気持ちっていうのはチョコだよ………ね?

 

「行かなきゃ……ダメ?」

「うん、行ってらっしゃい」

 

 母さんはちゃんと行ってらっしゃいって言っているのに俺の脳内では「逝ってらっしゃい」に変換されるのは何故だろう?

 

「はい、紙袋」

「……ゑ?」

「絶対にエナメルだけじゃ入りきらないと思うから」

 

 大きめの紙袋を2つ受け取り、朝食を済ませた後、登校することになった。

 

 

 

 学校

 

 

「と、戸山くん!受け取ってください」

「戸山くん、義理だけどあげるわ」

「ふ、ふん、どうしてもって言うのならあげる」

「センパイ、どうぞ」

「戸山先輩!チョ、チョコ、受け取ってくれますか?」

 

 

 わーい、たくさん貰えて嬉しいなぁ〜。

 

 今年は後輩も加わった為、去年よりチョコの量が増えてる。 話したことない知らない子までくれるのは何故に!?去年と同じく、名前を書いていく。みんな、手渡しでくれたから下駄箱や机の中に名無しで入っているということはなかった。どうやら去年、全員にお返しした事が伝わっているらしい。

 ただでさえ、エナメルと紙袋1つがパンパンなのに、追加で美術部の女子からトドメよと言わんばかりにたくさん貰う。

 

 うん、みんなありがとうね。お返しはちゃんとするから(白目)

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 パンパンのエナメルを肩から下げ、両手には溢れんばかりの小包に包まれたチョコの箱が入った紙袋を持ち、俺は帰宅していた。

 

 はぁ、マジでどうしよう。

 

 思い出されるのは去年の香澄と明日香。お兄ちゃん大好きって言って慕ってくれるのは嬉しいんだけどね……。構いすぎたせいか?うーん、分からん笑

 

 さて、まだ諦める時ではない。香澄と明日香にバレずにこのチョコの山を隠せば俺の勝利や。

 

 

 よく言うではないか

 

 

「諦めたらそこで試合終了だよ?」

「Never give up!」

 

 

 …………と。

 

 

 ふふふ、大丈夫だ。諦めない限り、希望はある!あれこれ考えているうちに家に着いた。

 

 

 さあ、ここからが勝負だ!

 

 

 

 

 

 

   ガチャ

 

 

 

 

 

 

「あっ!お帰り!お兄ちゃ……?」

「お兄ちゃん、お……かえり...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オワタ\(^o^)/

 

 

 

 

 

 

 

 希望なんてものはなかったんや。最初から詰んでいたというわけか。

 

 

 

 香澄と明日香の視線の先はパンパンのエナメルバックと紙袋だ。

 

 

「ねぇ、お兄ちゃん?」

 

 ひっく。香澄の声、ひっく。小学3年生の9歳が出すような声じゃない。それに………はい!ありがとうございます!ハイライトが見事に消えてますね。ふぇぇ。

 

「は、はい」

 

 一度あることは二度ある。うん、だろうね。俺の現状が物語っているもんね。去年と同じ状況ですわ。

 香澄から視線をずらし、明日香を見ると………はい!この()もハイライトがありません。ふぇぇ、無言で見つめてくるから余計に怖いよ。

 

「どうして?香澄とあっちゃんのだけじゃダメなの?」

 

 いや、そうしたいのは山々なんですが世間(みんな)が許してくれなさそうで……。

 

「………お兄ちゃん」

 

 香澄よりも明日香が怖い。なんで香澄より目が濁ってるの?それよりこの状況をどうにかしないと。これはあまりしたくはなかったんだが仕方あるまい。

 

 エナメルバックを下ろし、紙袋を置いて……

 

「香澄、明日香」

 

 香澄と明日香に近づき、2人の頭を俺の胸元あたりに抱き寄せてから軽く声に張りをつけ、落ち着いた声、所謂イケボで香澄と明日香に語りかける。

 

「これはみんな義理だから。それに義理より香澄と明日香から貰ったチョコの方がお兄ちゃんは嬉しいぞ」

 

 嘘は言っていない。実際、告白はされてないし、ラブレターなるものや手紙もなかった。貰えるのはうれしいが、やはり一番嬉しいのは香澄と明日香からのチョコだ。

 

「じゃ、じゃあ、明日香、チョコ持ってくるねお兄ちゃん」

「か、香澄も!」

 

 香澄と明日香を離し、軽く頭を撫でてやる。

 ふぅ〜、なんとかなったな。無事、ハイライトさんも仕事している事だし、結果オーライかな。心なしか香澄と明日香の頰が赤かった。

 

 

 

香澄と明日香のチョコは美味しかったです。香澄はやはりと言うべきか星型のチョコ。明日香はハート型。

 

 

 

 バレンタインから2週間、香澄と明日香は俺にべったりだった。このままじゃ数年後どうなることやら。少し距離を置くべきだな。仕方ない。これも愛する妹たちのためだ。明日から少しずつ距離を置くか、具体的には俺が香澄と明日香に構わないこと。

 

 

 

 バレンタイン。来年は受験だし、私立受験の人もいるから学校はお休みだっていうから大丈夫だな。うん、安心。

 

 

 『二度あることは三度ある』ってあるけど大丈夫だよね?ね?




評価ありがとうございます!

☆10
幻想比叡さん
こうにぃさん
薫楓さん
セプティートさん
戦刃 rimさん

☆9
帝具はメガネさん
ブラックティガさん
夜桜の草の人さん
sibabaさん
竹田 いのりさん
ロジョウさん
MASAKI-さん
黑杵 四鐘さん

☆8
クラフターさん


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ちーちゃんとカラオケ

前話の28話
「バレンタインと病み 再び(14.5話)」見てない方は是非。
15話として挿入していたのですが、閲覧数があまりにも少なかったので28話にしました。

他のアニメタイトルは伏せ字にしとく。
クロスオーバー(タイトル、曲のみ)ですから、タグにクロスオーバー、カバー曲追加しました。カバー曲などを出す以上必須ですね。

ちょっとサブタイトル変えます。

ちーちゃんばかり多いけど、他の子もいるのでご安心を。


 ちーちゃんは曲を選ぶタッチパネルの機械、目次本とリモコン機能を一体化させた電子目次本『デ○モク』を操作……いじっている。

 

 カラオケは初めてだと言っていたから、それが珍しいのだろう。

 

 

「カラオケってこんな感じになっているんですね」

 

 

 現在、ちーちゃんと二人っきり(・・・・・)でカラオケに来ている。俺としてはちーちゃんに動画送って意見や感想をもらい、それから決勝曲を決めようと思っていた。

 

 

 それが・・・

 

 

 デビューはまだだけど、カラオケバトルに出ることになったんだ。歌う曲が決まらなくて……。歌った動画送るから意見、感想くれると助かるよ。

   ↓

 え、お兄さんカラオケバトルに出場するんですか!?私、実はカラオケに行ったことなくて、一度行ってみたいなとは思っているんですけど……。それにお兄さんの歌、動画じゃなくて直接聞いてみたいです!

 

 ………と遠回しにお兄さんとカラオケ行きたいですと言われているように感じた。いや、全然遠回しに言われてなかったわ。

 

 なぜなら、最後の最後に

 

「お兄さんの歌声を画面越しじゃなくて、直接聞きたいです!カラオケに一緒に行きませんか?」

 

 

 と言われてしまったもの。

 

 

 それにちーちゃんの歌声聞いてみたい。ちーちゃん(小6)がちーちゃん(高2)へどう成長、繋がって行くのか個人的にはすごく気になるところだ。

 

 だから、行くっきゃねぇ!という事でちーちゃんとカラオケに来ている。

 

 先程、二人っきりというか男で高校生の4歳年上の人とカラオケ来て大丈夫?と聞いたら

 

「お兄さんはお母さんと美聖(・・)と顔見知りですから、大丈夫でしたよ?お父さんはお母さんが説得すると言っていたので問題ありません。特に美聖がお兄さん!お兄さん!と大変でしたよ。でも、ちょお〜っとお話したら静かになりましたから」

 

 と、腹黒そうな笑みを浮かべて言った。

 

 

  Wow!

 

 

 突っ込みどころが多すぎて、どこから突っ込めばいいのか……。

 

 まず、お父さん。どこの家庭も父っていうのは母に尻を敷かれてしまう運命なのね。

 次、みーちゃん。美聖?4年前はちーちゃん、みーちゃんって呼んでいたよね?でも、4年もあれば呼び方が変わるよな。

 一番気になるのがお話ってなに!?「ちょお〜とお話したら静かになりましたから」のとこだけ、やけに声のトーンが高い。笑いながらそれを口にするちーちゃん。黒い、黒いよ、ちーちゃん!

 

 

 こうしてカラオケに来ている俺とちーちゃんだけど、ちーちゃんの歌というとやっぱりあの曲だな。

 

 

 『ゆら・ゆらRing-Dong-Dance』

 

 

 通称ゆらゆら。

 

 丸山彩と白鷺千聖のツインボーカル曲で白鷺千聖、ちーちゃんにフィーチャーした楽曲だ。

 ゆらゆらの曲とストーリーを知っている俺としては人事とは思えない。

 ちーちゃんと4年前に初めて出会ってそのまま再会することがなかったら、ちーちゃんの芸能界(リアリスト)について人事のように思っていただろう。再会して、連絡先を交換し、言葉を交わして、彼女の人となりを初めて知った。

 

 キャラクターとしての白鷺千聖ではなく、子役としての白鷺千聖でもなく、年相応の少女、白鷺千聖を。

 

 原作開始まで5年、リアリストとなってしまったのはこの5年間かもしれない。

 

 ま、こればかりは彼女の問題だ。

 

 俺が今からどうこう言っても意味がない。

 俺にできるのは、せいぜい話を聞いて相談に乗るぐらいだろう。

 

 

「お兄さん?お兄さんはどんな曲を歌うのですか?」

 

 ちーちゃんの問題はさておき、歌いますか。

 

「そう言うちーちゃんは何歌うの?プリ○ュア?」

「…なっ!?こ、子ども扱いしないで下さい!」

 

 おっと、そんなつもりはなかったんだが……

 

「そう?ウチの妹、熱唱してたよ?」

 

 踊りながら歌ってたしな。俺が小・中学校の時は一緒に見てたから俺も歌って踊れたりする。

 今、香澄たちが見ているのはア○カツかな。無印は全話見た……否、香澄たちが俺にくっついて離れないから見させられた。CDなど買っているため俺も歌えるんだ笑

 

「え、お兄さん。妹さんがいるのですか?」

「うん、2人いるよ。ちーちゃんの一つ下と二つ下かな?俺と5歳、6歳離れているからね」

「私と近いですね。てっきり私より年上かと……」

「まあ、そうだね」

 

 年が近かったら、一緒に通えたり、他にもいろいろできたのにと未だに思ってます。

 

 

「それでお兄さんは何を歌うのですか?今日はカラオケバトルの曲を決めるのですよね?」

「そうだよ、予選曲は決まっているから決勝曲をね」

「予選曲は何を……」

 

 

 

 ということで歌いますか。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 ちーちゃんが歌い終わる度に「次はなんですか?」と言うので連続して10曲ほど歌ってしまった。

 1曲目は予選で歌う『TOMORROW』。2曲目からは決勝曲の候補である『God knows...』『secret base〜君がくれたもの〜』など歌い上げていった。

 

「ちーちゃんはどの曲がよかった?」

 

 決勝の曲候補は、全て歌い終わったからちーちゃんに聞いてみる。

 

「ちーちゃん?」

 

 名前を呼びかけるも、反応はない。

 ちーちゃんは俺を見つめたままぼーっとしており、頰は少し赤く染まっていた。

 

「おーい、ちーちゃん。ちーちゃんやーい」

「………がいいです

「ん?」

「この曲がいいです!」

 

 

 10曲目、最後に歌ったのは『奏(かなで)』だ。

 

 なるほど、ちーちゃんは『奏(かなで)』がいいのか。俺は『secret base〜君がくれたもの』かと思っていたけど。

 

 『奏(かなで)』は演奏の“奏でる”からきているタイトル。

 男女が別れ、新しい道を踏み出すそれぞれの道筋が、ハーモニーのように奏でられる曲で、アニメのエンディング主題歌にも起用された。

 

「奏(かなで)か……」

 

 ちーちゃんがそう言うなら決勝曲は『奏(かなで)』に決まりだな。この曲、俺もカラオケで毎回歌うし大好きだ。香澄と明日香にもよく「歌って!」とリクエストされるしな。ちゃんと歌詞の意味、理解しているのかしら?

 

 その後、ちーちゃんは『大きな古時計』や『きらきら星』といった民謡・ 童謡しか歌わなかった。あまり流行曲やアニソンなどは知らないらしい。

 

 あまりにも可愛らしくてクスッと笑ってしまい、ちーちゃんは顔を赤面させていた。

 

 ごめんよ、ちーちゃん。

 

 

 そして、カラオケの料金は全て俺が払った。ちーちゃんがそんなに歌ってないのもあるけど、小学生に払わせるなんて、男がすたるわ!

 

 




評価ありがとうございます!

☆10

博雨零さん
リカルドさん
びだるさすーんさん
yuuya007さん
幸島相馬さん
流儀さん
黒乃 雪さん
どっへーいさん

☆9
紙折さん
竜騎士レオンさん
希龍00000009さん
sakusesuさん

☆8
赤青黄緑紫さん


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カラオケバトルでバレる

今まであったイベントストーリー、全部は無理だから一部は香澄たち2年に上がったら入れようと思ってたのに……シーズン2だと!?
シーズン1を今後どう組み込むか…
これは長くなるゾ
2nd Seasonに話が行くのはいつになることやら(白目)

後書きの下でアンケートを取ってます、よろしくお願いします。


 

 

 

 ──カラオケバトルで優勝した。

 

 

 

 正直、拍子抜けだった。もっとこう、熱いバトルが繰り広げられるのかと思っていたのに。香澄風に言うなれば「キラキラドキドキ」するのかと思った。緊張という意味であれば、ドキドキはしたが。

 

 今回のテーマ、タイトルが「新人王決定戦」、参加資格は18歳以下でカラオケバトルに初出場となる人である。

 大物芸能人、番組のゲスト、観客が大勢いる中で歌うのだから緊張するはずだ。俺があまり緊張せず歌えたのは始め、一番手だったのが大きい。

 

 だから、何も気負わずにいつも通り歌えたやりきれた。得点は予選、決勝ともに100.000点だ。予選で俺の後に歌った人たちが気負っていたのは俺のせいではないと思いたかったが、無理な話だろう。俺だって自分の前の人がいきなり100点出されたら気負ってしまう。

 決勝は自分ともう一人の2人で点数が最後に出るから問題なく、やりきって歌えた。

 

 まあ、運も実力のうちと言うし、結果オーライというやつだ。このカラオケバトルのためにヒトカラで同じ曲をエンドレスして歌っているのだから100点は当然の結果と言える。

 あと、あまり緊張しなかったのは一番手だったというのもあるが、それとは別にもうひとつある。それは、文化祭の後夜祭ライブだ。

 

 ウチの文化祭の後夜祭は体育館のステージで芸やダンス、バンドなど最後は生徒同士、盛り上げて文化祭の〆を飾る。後夜祭は自由参加だが、後夜祭に参加せずに帰る人は少ない。ウチがマンモス校で人が多く、盛り上がりが激しいから、その熱が冷めずに後夜祭に行く為、帰る人が少ないのだろう。

 そこで俺は生徒、先生含む、1000を超える人の前で歌った。

 正直、この後夜祭ステージに出て歌っていなかったら、カラオケバトルで緊張してしまい、

いつも通りだね(やりきる)どころではなかったと思う。

 

 そもそもの話、どうして俺が後夜祭ライブに出たのか?それは友達に「ボーカルをやってくれ」と頼まれたからだ。その友達はクラスメイトなのだが、軽音部は人気で入部する人も多い。そうなると自然と文化祭や予餞会でステージに立つ機会がなくなる。2、3年生が優先となるからその機会は回ってこない。

 それなら、後夜祭ステージに出ようということでバンドを組んだのはいいが、ボーカルがいないじゃねぇかとなり、ギター、ベースのどちらかがボーカルやれよ、嫌だよと。

 そこで俺に白羽の矢が立ったのだそうだ。その軽音部の友達とカラオケに行ったことあるから、それで俺に頼んだのだろう。

 

 こうしてバンドを組んだ俺たちはステージに立った。ステージに立った俺はもう、それはそれは緊張した。手がワナワナと震え、心臓がバクバクと速くなる。共にステージに立った友達に「肩の力、抜けよ」と言われ、俺は気づいた。

 

 

 そうだ、ステージにいるのは俺だけじゃ……一人じゃないんだ。

 

 

 そう分かると、不思議と緊張が和らいでいった。

 その後、無事に演奏することができた(やりきった)

 

 そして、この後夜祭ライブが俺に、より歌の自信を与えてくれるのだった。

 

 

 カラオケバトルで優勝後、事務所を通していろんな所から仕事のオファーが来た。何故か音楽関係ではなく、バラエティ番組や雑誌モデルとかだ。

 

 正直、ワケが分からなかった。

 

 そう思い、戸田さんに聞いてみたら……

 

「戸山くん。キミ、タレントやらない?」

 

 と言われた。話をよくよく聞いてみると、カラオケバトル前から戸田さんがあれこれ裏で手を回していたらしい。

 

 ……あなたが原因か。

 

「戸山くんが今、歌手デビューしても他の歌手やアーティストの中に埋もれてしまうのが目に見えているからね。それに高校生だと、時間的にも精神的にもキツイだろう?」

 

 ……なるほど、それならタレントとして活動して名を先に売ろうって事か。タレントであるならば、あまり問題はない。

 

「分かりました。俺、タレントになります」

 

 今まで歌手にしか眼中になかったが、そうじゃないのも面白そうだ。特にモデルに興味がある。

 

 

 それからトントン拍子でタレントとしてデビューした。最初は雑誌のモデル、俺の事がカラオケバトルから話題を呼び、テレビへ。トーク番組などのテレビで何回かお呼ばれして出演していると、俺は高校生タレントとして顔と名がそこそこ知られるようになった。

 トントン拍子と言ったが、その前に一つの問題というか事件が起きた。

 

 

 香澄と明日香にバレた。

 

 

 何がバレたって?全部だよ!カラオケバトルのこと、芸能事務所に所属していること、タレントとして活動して行くこと。カラオケバトルで優勝した日が収録であり、俺はその2週間後に放送されるのを失念していた。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 

 カラオケバトルが放送される日曜日。

 

 

 風呂に入って夕飯を済ます。そして19時からのカラオケバトルを見るために家族全員、テレビ前のソファに腰掛ける。もちろん俺の隣には明日香と香澄がいる。右に香澄、左に明日香。さりげなく俺の腕をホールドするのやめてくれませんかねぇ。

 その後、カラオケバトルが始まり、タイトル「新人王決定戦」と最初にある「今夜のカラオケバトルは(ry」で軽く内容を紹介する時に俺がチラッと映った。その瞬間、香澄と明日香がギョッとした顔で俺を見てくる。

 

 

 

 ……HAHAHA、オワタ\(^o^)/

 

 

 

 これでオワタは3回目だったような……。

 香澄と明日香を見てみると、その顔にはどういう事か説明して?と言いそうな顔をしている。

 

 

「ねぇ、お兄ちゃん?」

「ひゃ、ひゃい!?」

 

 ひっく、声低いよ!香澄ちゃん!思わず、ビビって変な声出しちゃったよ。とりあえず、逃げようかなぁ。意味ないけど。

 

 

    ガシッ ガシッ

 

 

 ……あっ。

 

 

 両サイド、香澄と明日香により俺の両腕ががっちりとホールドされた。

 

 

 戸山姉妹からは逃げられない。

 

 

「お兄ちゃん、後で説明してね?」

「アッ、ハイ」

 

 左にいる明日香も説明してね?と言いたそうにコクコクと首を縦に振っている。

 後でってカラオケバトルの番組が終わるまで?え?1時間もこの状態でいるの?

 

 

 

 ………マジで?

 




評価ありがとうございます

☆10

つきしらさん
tonyふぁんさん
檮原さん
“十六夜”さん
ltwnさん
八坂未来さん
夜桜桜華さん
明太子( ゚∀゚)o彡°さん

☆9

kiki000さん
プレデリアンさん
ひげねこ海賊団 殺神鬼 命さん
ccwさん
暁桜さん
ギリギリチャンバラさん
DEGさん
トキオさん
AJPTGさん
SADOさん
えふげにーさん

☆8

愛河さん
香車さん


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バレテハナシテ……

感想たくさん来た、嬉しい。


 

 放送中、香澄と明日香に腕をホールドされたままカラオケバトルを見た。自分が歌っているのを見るのは変な気分だ。俺以外は皆、嬉々として予選曲『TOMORROW』を聞き入っており、特に香澄と明日香は目をキラキラとさせていた。点数発表で100.000点が出た瞬間に、二人揃って同時にガッツポーズしたのは少し笑ってしまった。決勝曲の『奏(かなで)』の時は二人ともぼーっとしてて、優勝が決まると俺に「おめでとう」と言い、俺のカラオケバトル優勝を祝福してくれた。

 

 後で説明してねとは言われたものの、普通だったら先にどうしてテレビ、カラオケバトルに出てるの?と聞くものだろ。カラオケバトルは毎週、録画しているんだし。そんなにリアルタイムで見たいのかねぇ。

 

 

 

 

 ──カラオケバトルの放送終了後

 

 

 

 

「「お兄ちゃん、説明して?」」

「………」

 

 放送中に何回か逃げようと両腕を動かしてみたが「「お兄ちゃん、動かないで!」と一蹴されてしまった。仮に逃げ出したところで、結局は香澄と明日香にカラオケバトルのことだけではなく、芸能界のことも話さないといけない。

 

 さて、どう説明したらいいものか。

 

「光夜、もうカラオケバトルだけじゃなくて芸能事務所のことも話し………あっ」

「……あなた、それは言っちゃダメよ」

 

 おいおいおいおい!父さん、言うなよ!

 

「お兄ちゃん、どういうこと?芸能事務所って?」

「ちゃ〜んと私とお姉ちゃんにも説明してくれるよね?」

 

 

 はい、オワタ。

 

 父さんがうっかり口を滑らせたせいで、香澄と明日香にどう説明……説得するかある程度は考えてあったものが台無しになった。

 

「どうして教えてくれなかったのお兄ちゃん?」

 

 だって、教えたら絶対に反対するじゃない君たち。香澄と明日香のハイライトがすーっと消えていく。もうこの香澄と明日香に慣れてきた俺がいる。

 

「夢が……夢があるんだ」

「「……夢?」」

 

 あれ?香澄と明日香のハイライトが戻ってる。まあ、いいや。

 

「ああ、夢があるんだ」

「へぇ、初耳だz「あなたは黙っていなさい!」…むぐっ!?」

 

 口を挟もうとした父さんが母さんの手により強制的に黙らせられる。

 

「………どんな夢なの?」

 

 香澄がまっすぐな瞳で俺をしばし見つめた後、聞いてくる。

 

「ステージで歌いたいんだ(やりきりたいんだ)

 

 香澄のまっすぐな瞳に俺は見つめ返した。数秒間、見つめた後に明日香に視線を移す。

 

「だから、俺は夢を叶えるために芸能界に行く」

 

 さらにデビューもしているからねと付け加える。

 

 

「「……え?」」

 

 

 そんなこんなと香澄と明日香に説明すること1時間。ウチの妹たちは俺の芸能界入りに納得してくれた。俺が歌手になるまでは、タレントとして活動して行く事と最初の仕事はモデル関係だと言うと香澄と明日香は「何冊か買わないと」とボソボソ言っていた。香澄と明日香、それぞれ1冊ずつなら分かるんだが、それ以上は買わないよね?気が早くない?それに雑誌の表紙にでかでかと載るわけじゃないよ?

 

 母さんに黙らせられた父さんは黙ってから終始ニコニコ笑顔だった。とりあえず、後で殴る。俺はいろいろ順序立てて香澄と明日香に説明しようと思っていたのに。

 

 とにかく、香澄と明日香から納得という形で許しをもらえたのは嬉しい。応援してくれるって言うしな。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 香澄と明日香にバレてから2ヶ月、高校生タレントとして認知され始めた頃だった。

 

 

 

 玄関を開けると……

 

 

 

「戸山様、お迎えにあがりました」

 

 

 

 1人のサングラスをかけた黒服の女性の後ろには、同じくサングラスをかけた4人の黒服の女性と黒塗りのリムジン。

 

 

 

 俺はそこで全てを察した。

 

 

 

 

 ………あっ、こころ。

 




評価ありがとうございます。

☆10

DCMXXXさん
kajyuu0%さん
Luna Balladさん
ずんだもっちーさん
ガルシェさん
紅葉椛さん
くーまーまさん
youukkariさん

☆9

ユマサアさん
キャロさん
月杜さん
pys5gさん


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おいでよ弦巻家

ヒロイン2人目は弦巻こころでございます。
原作までの話が1話1話短いのは許しておくれ。


 

「戸山様、お迎えにあがりました」

 

 

 どうしてこう、忘れた頃にやって来るのかね?それにしてもおかしいな。俺、こころに名前だけしか言ってないはずなんだが……あっ。

 

 ……テレビか!?

 

 そうだよ、そりゃあバレますわ。最近は、とある雑誌で表紙を飾ったし、テレビに出演することも増えた。カラオケバトル放送から2ヶ月後に来たということは、俺がテレビに出演しているのを最近、こころが見たということだろう。

 こころのことだ。きっと俺が出演した番組を見て……

 

「あら?光夜じゃない!どうしてテレビに出ているのかしら?久しぶりに会いたいわ!」

 

 とこんな感じに言って、それを近くにいた黒服が聞いていた……と。うん、絶対そうだ。

 

 

「戸山様、車にお乗りください」

 

 

 黒服の一人がリムジンのドアを開けてそう言う。

 

 行かなきゃだめですか?視線を他の黒服たちに移すと皆、コクリと頷いている。え、こわ。拒否したらどうなるんだ?この状況で拒否権があるとは到底思えない。拒否って拉致られましたなんて笑えないからな。

 

 

 よし、行くか弦巻家に。

 

 

 黒服に俺は頷き返すとリムジンに乗り込んだ。リムジンはとても快適でした。冷蔵庫はあるわ、4Kテレビがあるわ、どれも高そうだった。いや、高いんだろうけど。とりあえず、金持ちヤベー。

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 〜弦巻家〜

 

 

 

 リムジンから降りて、弦巻家の門前。外構がすごい。屋敷って言うか宮殿?城と言ってもいい。中に入り、少し歩くと近くに噴水、遠くにはテニスコートが見える。黒服の人が先導して俺の前を歩く。前に1人、後ろに4人だ。

 本邸を目指しているとは思うのだが、広すぎじゃない?

 歩き始めること10分、やっと本邸らしき屋敷……宮殿に到着した。敷地内も車で移動した方がよかったんじゃないですかね?

 

 

 本邸の扉が開く。

 

 

 

「「「「「いらっしゃいませ、戸山光夜様」」」」」

 

 

 

 ……お、おう。すげーな。大広間にいるメイド・執事たちが全員、一斉にお辞儀する。一体何人いるんだよ。この人たち全員、メイド・執事が本職?あとで黒服の人に聞いてみよう。

 

 

「あら?騒がしいと思ったら光夜じゃない!」

 

 

 上、大広間の2階からこころの声がする。声がする方に視線を移した瞬間だった。

 

「……えいっ」

 

 

 こころが2階から飛び降りた。

 

 

 ……え、ちょっ!?嘘やろ!?5〜6mはありそうな高さから飛び降りるって大丈夫なのか!?いや、そんなこと考えてる場合じゃねぇ!

 

「久しぶりね、光夜!会いたかったわ!」

 

 無事に着地するとこちらに駆け寄って来た。マジかよ、どんな運動神経してるんだよ。

 

 会いたかった……ね。やはりというか予想通りだな。

 

「久しぶりだな、こころ」

「では、こころさま。我々は……」

「ありがとう、黒い服の人たち!」

 

 うん?ありがとう?少し気になるな。こころに聞いてみるか。

 

「なあ、こころはどうして俺を呼んだんだ?」

「会いたかったからよ!昨日、光夜がテレビに出てから黒い服の人たちに頼んで連れてきてもらったの!」

 

 き、昨日!?は、早くないですか?仕事早すぎだろ、黒服の人たち。俺のプライバシーどうなってんだ。芸能人になると無いに等しいのか、それとも弦巻家の黒服がヤベーのか……。

 

「そ、そうか」

 

 恐るべし、黒服(こころ専属?)

 

「それじゃあ、行きましょ」

「どこに行くんだ?」

「あたしの部屋よ!そこでお話しましょ!」

 

 ほう、こころの部屋とな。

 

「光夜、行くわよ!」

 

 こころはニカッと俺に笑いかけると俺の右手を掴む。こころの手、温かいなぁ。

 

 俺はこころに手を繋がれたまま、こころの部屋に移動するのだった。




評価ありがとうございます。

☆10

ナギNAGIさん
山ノ翁さん
革命家族さん


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トークこころ

「あの、こころ?こころの部屋にはいつ着くのかな?」

「まだよ?」

 

 ……デスヨネ。分かってはいたけどさ、広すぎじゃない?もう10分以上歩いているのに、一向に着く気配がない。

 

 

 さらに歩くこと10分後。

 

 

 

「ここがあたしの部屋よ!」

 

 こころは3mぐらいあるアーチ状の扉を開け、両手を広げて言う。

 

「あたしの部屋に入るのはお父様、お母様と黒い服の人たち以外ではあなたが初めてよ!」

 

 初めて……なるほどなるほど。

 

 ……フヘヘ。おっと、いけね。

 

「それじゃあ、失礼します」

 

 中に入るとそこは……

 

 上を見上げると広い部屋を照らすシャンデリア。

 お姫様ベッドと言える天蓋付きベッド、そのベッドには可愛いらしいぬいぐるみがある。他にも80インチは超えているテレビに座り心地が良さそうなソファ、カーペットなどあげればきりがないが、どれもこれも高級なものに違いはあるまい。

 

「どうかしら?」

「・・・すごいな」

 

 こころの部屋、教室4つ分はくだらない広さだぞ。こんなに広くてこころは寂しくなったり怖くなったりしないのかな?

 それにしてもぬいぐるみはくまさんが多いな・・・ミッシェルはどこですか?原作開始後にはこころの部屋の至る所にミッシェルのグッズがありそうだ。

 

「よかったわ!それじゃあ、お話しましょ!」

 

 ソファは2つあり、真ん中の長机を挟むような形で配置されている。

 こころはソファに座ると空いている隣を手でポンポンと叩いた。

 

 あ、隣に座れってことね。さて、何を話すことやら……。

 

「こころさま、お菓子とお飲み物をお持ちしました」

「うおぉ!?」

 

 いきなり背後から声が聞こえて、驚きとともに俺は立ち上がった。

 

「光夜?どうかしたのかしら?」

 

 どうかしたって、いきなり背後から黒服の声がしたんだぞ?誰でも驚くわ。黒服さん?ナチュラルに気配を消すのやめよ?

 

「い、いや、何でもないよ」

「戸山様」

「はい?」

「常に平常心でございます。それともう少し余裕を持っているとよろしいかと……」

 

 そう言って黒服はお菓子と飲み物を置き、こころの部屋から出て行った。

 へ、平常心か。余裕って黒服にバレてらぁ。黒服の人には何もかもお見通しなのだろう。俺はリムジンに乗った時からそわそわして落ち着かなかった。だって、弦巻家だぞ!?誰でも弦巻家に入ったらこうなると思う。

 

「光夜?」

「ああ、大丈夫だよ。じゃあ、話そうか?」

 

 

 だいじょばないけど大丈夫だよ、たぶん。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 こころはぽつぽつと話し始めた。あの日、公園で俺と会ってから再会するまでの事を。

 

「それでね、光夜の言った通りに何もかも巻き込んだの!」

 

 ………そっか(白目)

 

 こころの話を会話にして要約するとこうだ。

 

「こ、こころだぁ!?逃げろぉ!」

「あら?鬼ごっこかしら?いいわよ!待て〜」

 

「何を描いているのかしら?」

「つ、弦巻さん。えっと、その……」

 

「げっ、弦巻こころ」

「あら?どうかしたの?」

 

「や、やべぇ、弦巻こころだ」

「また鬼ごっこかしら?いいわよ!」

 

「つ、弦巻さん!?門の上に登ってはいけません!」

「あら?あそこで何やっているのかしら?えいっ」

「あ、こら!弦巻さん!待ちなさい!」

 

「こころ!今日こそ、お前を倒す!」

「ドッジボールかしら?やりましょ!」

「や、ヤメロォォ!」

「あはは、楽しいわね!」

 

「こっちにいいところがあるそうよ、一緒に行きましょ!」

「え、ちょまっ」

 

 ……うん、いろいろやってるね。特にドッジボール、こころ無双していそう。自分(こころ)の世界に巻き込まれた人たち、ごめん。元凶は俺です。でも、まあ、こころが楽しそうにしていて安心した。巻き込まれた人たちのことは知らないけど笑

 

「それでね、毎日がハッピー、スマイルなの!」

 

お、『ハッピー!ラッキー!スマイル!イエーイ!』かな?

 

「光夜のおかげよ」

 

 超超超ポジティブなこころのことだ。俺が巻き込んでしまえと言わなくても遅かれ早かれ巻き込んでいただろう。巻き込んだ先にあるのは笑顔。不思議だよなぁ。

 

「それはよかった」

 

 自分でも頰が緩むのが分かる。

 

「それで光夜はどうしてテレビに出ていたのかしら?」

 

 あー、やっぱりそれが気になるか。

 

「カラオケバトルのこと?」

「そうよ!光夜の歌、とっても上手だったわ!TOMORROWと奏(かなで)だったかしら?いい曲ね!」

「ありがとう、テレビに出ていたのは応募したからだよ。歌は自信があってね。それもあるけど、デビューするためかな」

「……デビュー?」

「まだひよっこだけどさ、芸能人なんだ」

「すごいわ!光夜はテレビに出るような有名人になるってことでしょ!」

 

 概ねそれで合ってるかな。

 

「うん、まあ、本当にひよっこだけどね」

 

 

 その後、昼をこころと一緒に食べた。時間というのは本当にあっという間で、こころからのマシンガントークが止まらず16時がすぎた。そろそろ帰ると言うと、リムジンにこころも乗り込み家まで見送ってくれたがこころに家の場所がバレてしまった。いつかウチに突然来そうで今からヒヤヒヤしちゃいそうだ。

 

 

 最後にこころは

 

「光夜!また今度(・・・・)お話ししましょ!」

 

 と、また今度という不安しか残らない言葉を残して行った。こころと香澄が原作開始するまでは会いませんように……。

 俺は去って行くリムジンを見て、そう願うのだった。

 




評価ありがとうございます。

☆10

たかちゅーさん
ジャングル追い詰め太郎さん
神崎 龍歌さん
kakitoさん
夜鈴提督さん
残酷な天使のたじさん
ルートさん
虎月さん
Missinglatterさん
友斗さん
クレナイ・改さん
室町さん
名無しの音さん
香久耶さん
こっささん
まりゅさん

☆9

あんず丸さん
ムリエル・オルタさん
剛玉さん
苺だいふくんさん
夜桜の草の人さん
フックさん
空落 幻夜さん
かるて&カルトさん
@棗さん

☆8

幻博さん
椅子タンブールさん
まーくtanakaさん


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小話 3

原作開始までは1話1話が短いです。
開始あとは3000〜5000字にします。


『バレンタインと病み』より

 

 

「……香澄よ」

「んー、なに?お兄ちゃん?」

「そろそろお兄ちゃんから離れない?」

「やっ」

「」

 

 今の俺の状況を説明すると、香澄がひしっと俺の右腕に腕を絡ませている。右腕に腕を絡ませてひっついてくるのはいつもの事なのだが、バレンタイン以来、香澄と明日香の甘え度が激しい。甘え度は香澄と明日香が「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」と構って欲しい度合いの事だ。甘えてくれるのはすごく嬉しいけど、おはようからおやすみまで1日はちょっと疲れるかな。いや、ちょっとじゃないよ!?すごく疲れるよ!嬉しいんだけど嬉しいんだけど………さすがに1日中ひっつくのやめない?二人ともよく疲れないな。

 最近、学校のない日は俺を逃すまいとずっとひっついてるし、これじゃひっつき虫ならぬひっつき妹だよ。

 

 

 香澄の事は後回しにするかと自分の膝元に視線を移す。

 

 

 

「明日香は………って寝てるし」

「……すぅ…すぅ」

 

 明日香は俺の膝の上で可愛らしい小さな寝息を立てていた。30分前まで香澄と明日香、2人に両腕にひっつき、途中、明日香は俺の左膝に頭を乗せた。道理で先ほどから静かなわけだ。

 

「ふっ、しょうがないなぁ」

 

 明日香の頭に手を乗せ、軽く優しく撫でる。

 

「あー!あっちゃん、ずるい!」

「シッー、静かに。香澄にもしてあげるから」

 

 香澄は俺の右腕を解放すると頭を撫でろとばかりに頭を出してくる。

 

「よしよし」

「ふにぁ〜」

 

 まったく……姉妹揃って自由気ままな猫だ。

 

 ま、こんな日常も悪くはない。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

『泣くのはおよし、こころ』より

 

 

 

 ここは弦巻家の執務室。その一室に一人の男と黒服の女性がいる。

 

「ふむ、それで最近のこころについてだが……」

「はい、こちらでございます」

「……仕事が早いな。さすがだ」

「恐縮です」

 

 この男、弦巻晴翔(はると)。弦巻こころの父にして、日本で一番有名なグループ、弦巻グループの総帥である。

 

 

 晴翔は黒服の女性から渡された書類に目を通す。

 

「ほぉ、これは……」

 

 そこには戸山光夜について、身長・体重から趣味、好きな食べ物、学力など、顔写真付きで余すことなく記されている。

 

「なかなか見所がある少年じゃないか」

「……っ!?」

「どうかしたかね?」

「い、いえ」

 

 晴翔が下した評価は意外にも高かった。それ故に黒服の女性は驚いたのだろう。晴翔は仕事柄、日本だけでなく世界中の人と関わる。いろんな人と接してきたせいか顔を見ただけで人を見極めることができるようになっていた。

 その弦巻グループ、総帥になかなか見所があると言われたのだ。黒服の女性が驚くのも無理はない。

 

「最近、こころが暗くて心配していたんだが……どうやらこの少年が解決してくれたようだね。この少年の経歴を全てまとめてきたということはそういうことだろう?」

「はい、戸山光夜様……戸山様はこころさまが公園で泣いておられるところを声を掛けられ、お話されました。それからでした、こころさまが常に笑うようになったのは……」

「つまり、この少年……戸山くんがこころに何か笑顔になるような話をした……と。ふっ、彼が弦巻家(ウチ)に来たら全力で歓迎しなさい。それとこころが会いたいと言うまで彼と黒服たちの接触を禁ずる」

「承知いたしました」

 

 こうして光夜の知らないうちに弦巻家から歓迎されることが決まった。それと同時にこころが再会を望むまで光夜の安全が保証されたのであった。

 




評価ありがとうございます。

☆10

のぞみさん
オレンジのハムスターさん
那智海斗さん
スイーツキングさん
リーチャードさん
きむたいさん
Black RXさん
あんず丸さん
つきたいようさん
RyuZU-01さん

☆9

幻想卿さん
Asuhaさん
才石さん
末岳産さん

☆8

カモメ99さん


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Re:かすみちゃんとはーちゃん

5/1をもちまして
「バンドリの世界に転生したって?」は
未完とさせていただきます。

タイトルを変え
「戸山家長男に転生したって?」にてリメイクします。
https://syosetu.org/novel/190137/

3話「香澄と入学」からは
香澄と明日香の小学校生活が始まります。

詳細、理由は活動報告の「お知らせ」にて。

よろしくお願いしますm(_ _)m


 2年後

 

 

 明日香が幼稚園に入園して、1ヶ月経った。俺は現在小学3年生だ。

 月は春の麗らかなる4月から初夏を感じさせる5月へ。

 

 毎週、日曜日になると母さんは香澄を連れて出かける。1年前に香澄が幼稚園に入園してから、家族全員で出掛ける時を除くと毎週である。香澄が毎週出掛ける理由は、容易に想像できよう。

 

 それは香澄がはっちゃけるのだ。

 

 俺の頭に引っついたり、足に引っついたり、抱っこしてもらおうと突進してきたり……っておい!俺ばっかじゃねぇか!?

 「おにいちゃん!おにいちゃん!」と何回も呼んでくる可愛い妹を拒めるか?俺は拒めないね。

 

 でもさ、腑に落ちないことが1つあるんだ。

 

 何回か近くの公園や少し離れた公園に一緒に行ったんだが、香澄が毎回木登りしているんだぜ?

 最初、木に登ってるのを見て驚いたわ。流石に俺でも登らない。

 

 母さんに止めなくていいのか?と聞いた時は

 

「なんで止める必要があるの?大丈夫よ」

 

 と、まるで俺がおかしな質問をしたかのような顔をされた。

 

 え?俺がおかしいの?

 

 そう思わずにはいられなかった。

 

 転生前である前世の現代2010年代後半においては木登りなど言語道断!学校だったら怒られる又は注意されるのが一般的、木には登るものでないという事が現代社会で常識となった。

 昭和の時代なら登っても怒られないし男なら登るもんだと前世の父親から聞いた。

 こうやって時代は変わって行くんですね、分かります。

 

 最初こそ驚いたが、次からは当たり前の光景になっていた。慣れって怖いね。最近になって思うんだ。香澄が木登りしてるのは俺に引っ付くためなんじゃないのかって。うん、嘘と思いたいよ。

 

 だけどさ、帰って風呂と夜ご飯を済ますと突っ込んでくるんだ。俺の足からよじ登って、「おにいちゃん!」と言いながらね。あ、もちろん、最後は頭だよ?当たり前だよなぁ。昔より頻度は減ったけど嬉しいような悲しいような・・・。

 

 香澄も7月で5歳になるし、女の子とはいえ体重が増える。このまま頭に引っ付かれたら俺の首が死ぬ。

 だから、誘導して肩車してる。幸い、肩車が気に入ったのか肩車をせがまれることが多い。頭の引っ付きとグッバイする日もそう遠くないだろう。

 

 ここ数週間の日曜日は、家で明日香の面倒を見ている。香澄とは違い、大人しい。賢妹のオーラを感じるぜ。

 明日香はたまに頭に引っ付くけど、1カ月に何回かあるぐらいだ。頭に引っ付くより、明日香は抱っこと頭を撫でられる方が好きらしい。

 俺たちの見守り役である父さんは、いつも書類とにらめっこしてた。

 

 ファイト!

 

 

 今週は俺も付いて来いとのことだ。おねむな明日香は父さんに任せて、付いて行くことにした。

 昼下がりには家より少し離れた公園に着いた。公園に入ると、だいだい色の髪をした活発そうな子がこちらに駆け寄って来た。

 

「あっ!かすみちゃん」

「はーちゃん!」

 

 え?はぐみ?

 

 今現在、目の前にいる幼いはぐみに驚きを隠せないでいた。確かに原作というかアプリのストーリーで会うのは知ってたけど今かよ!?

 

「あれ?かすみちゃん、そっちのにいちゃんだれ?」

「うん、わたしのおにいちゃん!」

「へぇ、はぐみもね、にいちゃんがいるよ」

 

 

 北沢はぐみ。

 ハロハピのベース担当だ。

 実家は精肉屋を営んでおり、自分の店のコロッケが大好物ないつも明るい子だと記憶している。

 

「ねぇ、かすみちゃんのにいちゃんもあそんでくれる?」

 

 そんな潤んだ目で見つめないで!

 

「うん、いいよ」

 

 即答した。

 

 だって、断れないだろ?断ってはぐみを泣かせてみろ、後ろにいるはぐみママに睨まれること間違いなしだ。そもそも断る理由ないよね?呼び方ははぐみちゃんで大丈夫かな。

 

「やったぁ、ありがとうかすみちゃんのにいちゃん!」

 

 と抱きついてくるはぐみちゃん。

 

「わたしもだきつくぅ」

 

 と香澄。お前は毎日やってるでしょ。まあ、可愛いから許す。

 

 その後、日が暮れるまで一緒に遊ぶのだった。

 

 

 本音を言えば、おままごとはマジできつかった。

 

 夫役は俺なんだが、お嫁さん役はわたしがやると香澄、はぐみがやるんだとはぐみちゃん。二人が俺を取り合ってると、はぐみちゃんが「なんか、これテレビでみたことある!」と言いだした。

 

 俺が「テレビで?」と聞くと「うん、ひるドラ!」と得意げに言うはぐみちゃん。

 はぐみちゃんの母の方を向くと、その会話を聞いてたらしいはぐみちゃんの母は目を逸らした。

 

 おい、目を逸らすな!こっち見ろや。

 

 子どもになんちゅうもんを見せてんだよ。それよりはぐみちゃん、意味わかってるんだろうか?そんな中、我が妹である香澄が「ひるどら?」とキョトンとしていた。

 

 

 カワユス

 

 

 香澄はそのままでいてくれ、お兄ちゃんからのお願いだ。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 6月が過ぎて7月に入った。

 

 

 毎週ではないが2週間に1回は母さんと香澄について行く。そして今、毎週ついて行かなかったことを激しく後悔した。

 

 香澄が自転車に乗れるようになっていた。

 

 

 補助輪なしで。

 

 嘘でしょ!?

 

 俺とあんなに練習しても乗れなかったのに・・・。

 はぐみちゃんと一緒だと乗れたのか!?許すまじ!だって、香澄が自転車に乗れる歴史的瞬間だぞ?

 可愛い可愛い妹が自転車に乗って、「ばびゅーん」する瞬間に立ち会えなかったなんて……。

 

 

 

 香澄の兄失格だ。

 

 

 

 え?それは親の役目だって?知らんがなそんなこと。明日香の時は絶対に立ち会うんだ。フラグではないと思いたい。

 

 

 

 

 ※もちろん、立ち会えませんでした。

 

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 6月の第4週の日曜日に、はぐみちゃんと香澄はベンチで七夕の短冊に願い事を書いていた。

 

 短冊を持っていたはぐみちゃんが

 

「たなばたのねがいごとをかくかみなんだー!ここにねがいごとをかくと、かなっちゃうんだって!」

 

 と言ったからだ。それを聞いて香澄は俺に

 

「ほんとにかなうの?」

 

 と不安げな顔で聞いてきたから、俺が今できるとびっきりの笑顔で

 

「そうだね、香澄が願えばね」

 

 と答えておいた。

 

 子どもの夢を壊してはならん。それが大人ってもんだろ?

 

 あ、自分も子どもやったわ笑

 

 残酷なことを言ってしまえば

 

『願えば叶う、祈れば通じる』

 

 そんな夢物語など、どこにもありはしない。

 

 どこぞの桜の木だよって話だ。それが許されるのは物語だけだ。

 

 しかし、ここは現実。

 

 転生前となんら変わりのない世界だ。

 いつかきっと事実を知る日が来るのだ。そう遠くない未来に。世界はそんな綺麗事だけでは済まされないということを。

 それでもさ、夢が叶わなくても夢を見続けることは素敵だと思わんかね?そんでもって、夢があるやつは強い。

 

 タイトルがDream!ってあるからね

 

 ま、現実を知るまでは、そっと見守って行こう。そっとね。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 ついに来てしまった。

 

 

 はぐみちゃんと香澄が一緒に遊べる時間に終わりを告げる時が。端的に言うと公園が工事の為、閉鎖したのだ。

 

 俺は数週間前から公園の入り口付近に、看板が立っているのを知っていたから驚きはしない。それはこの公園をなくして、新しく建物を建てるという旨の看板だった。

 

 母さんとはぐみの母もこの事を知ってはいたのだが、はぐみちゃんと香澄が仲良く遊んでいるのを見て、言うにも言えなかったのだろう。

 母親たちがどうにかしようとあたふたしていると、とうとうはぐみちゃんと香澄が泣き出した。ヤダヤダと駄々をこね、泣き止まない。

 

 どうにかしなくていいのか?と意を込めて母親たちを見る。

 

 え、何その目?俺にどうにかしろと?ハイハイ、お兄ちゃんがどうにかしますよ。

 

「なぁ、はぐみちゃん、香澄。」

 

 彼女たちの目線に合わせるようにしゃがみ込む。

 

「う''う''、グズン、おにいちゃん」

「ゔ''ん''、かすみちゃんのにいぢゃん」

 

 二人からダラダラと垂れ流している鼻水をかませ、ゆっくりと語りかける。ポケットティッシュとハンカチは常に持ち歩くもの。常識だよ?

 

「二人は、お別れだから泣いてるの?」

「「うん」」

 

 なるほど、じゃあ……

 

「もう一生、もうこれから会えないってわけじゃないんだよ?」

「え?そうなの?」

「ふぇえ?」

 

 これで納得してもらうしかないよなぁ。てか、ふぇぇって既視感を覚えるぞ。

 

「ああ、しばらく会えないし、遊べない。でもね、はぐみちゃんと香澄が大きくなったらまた遊べるんだよ?」

 

 会える保証なんてどこにもないのに、口から出まかせを言う。

 まあ、高校で再会するはずだ。香澄が違う高校行ったら詰みだけどな。

 

「だから、泣くことはないんだよ。また、会えるんだから」

「うん、わかった!おにいちゃんがそういうんだもん!」

「はぐみもわかったよ!」

 

 ウッ、ま、眩しすぎる。

 

 ごめんよ、香澄。こんなお兄ちゃんで。ごめんよ、はぐみちゃん。こんなのが香澄の兄ちゃんで。

 

 俺は 改めて、子どもの純粋さを思い知るのであった。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 余談だがその後、はぐみちゃんと香澄はゆびきりげんまんをした。

なぜか、俺もゆびきりげんまんをさせられた。強制である。

 

 ゆびきりした後、はぐみちゃんが

 

「やくそくやぶったら、はりせんぼんね」

 

 と言ってきたときは何故か背筋が寒くなったね。

 

 はぐみちゃんの言う約束とは香澄とだけ再会するのではなく、俺とも再会するという事だ。

 

 最後、「またね」と言い合ってバイバイした。

 香澄とはぐみちゃんは原作でどんな感じで再会したんだろうな?少し気になる。

 

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 香織、香澄、光夜がいないとある日曜日。戸山家には父、悠夜と明日香がいた。

 朝食を食べてから再び眠ってしまった明日香は、光夜たちと共に公園に出掛けずに今週は父とお留守番というわけだ。

 お昼頃、明日香はお腹が空いたのかパチリと目を開けて起き上がる。キョロキョロと辺りを見回して確認した。

 

 近くに悠夜がいるのを確認すると

 

「パパ、おなかすいた」

 

 とお腹を触って言う。

 

「おお、明日香。おそよう?もう眠くないのか?」

「うん、おなかすいた」

「そうか、もう12時過ぎだからお昼にしようか」

 

 香織が作り置きしてくれた明日香と悠夜の昼食をレンジで温めて、食べる。

 昼食後、お腹が膨れて満足した明日香は母、兄、姉がいないことに気づく。

 

「パパ、おにいちゃんとおねぇちゃんは?」

「ママたちはお出掛けしたぞ?もうすぐ帰ってくるよ」

「うん、あすか。まってる!」

「よしよし、偉いぞ」

 

 明日香の頭をわしゃわしゃと撫でる。悠夜は安心した。明日香はいつも光夜たちがいないと分かると大泣きする。

 しかし、最近はいないと分かっても泣くことはなくなった。4歳となり、成長している証であろう。3歳頃はこれが酷く、泣いている明日香を宥めるのに手を焼いた悠夜。だから、安心しているのだ。

 

 

ガチャッ

 

「お、帰ってきたみたいだぞ」

「おにいちゃん!?」

 

 悠夜を置き去りにして、玄関に向かって行く明日香。

 

「……なんでや」

 

 悠夜はボソッと呟いた。父親なのに香澄と明日香はあまり甘えてくれない。甘えてくれないよりかはいいのだが、父親としてはもっと甘えて欲しいと思う。娘たち(光夜含む)より妻である香織の方が甘えてくるのはなぜ?

 

 

 これ如何に?

 

 

「はぁ。ま、いっか」

 

 

 悠夜も玄関に迎えに行くのであった。




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