ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー (通りすがる傭兵)
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本放送&関連小話
第1回 M1911


思い立ったがなんとやら


 

 

 

「ガンスミスと」

「M1895ナガンの」

「「銃器紹介!」

「このコーナーは、ラジオ番組のていで銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、という理由で銃を紹介、解説していくコーナーです」

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ナガン「まず誰を紹介するのじゃ? ワシか?」

 

スミス「ナガンはなぁ......ちと特殊なので後回し。

メジャーな銃から紹介していくよ」

 

ナガン「なぜなのじゃー!」

 

スミス「.....というわけで1回目の記念すべきゲストはこちら」

 

ガバメント「M1911です! よろしくお願いします!」

 

「というわけで。

コルト・ガバメントでお馴染み、M1911を紹介していきます」

 

性能

 

ハンドガン M1911 星2

 

装弾数 7+1 発

使用弾薬 .45ACP弾

 

採用 アメリカ軍 他

 

ナ「大雑把にいうとこんな感じかのう?」

ガバ「作動方式はシングルアクションです!」

 

シングルアクション......簡潔にいうと撃鉄を1発につき一回起こす必要がある。要するに連発が難しい。比較になるダブルアクションは引き金を引けば弾が出る、と覚えておこう。

現在の銃ではシングル/ダブルの両方を使える銃が多いのでそんなに気にしなくていい。

ただの豆知識。

 

ス「画像を調べればわかるけど、見たことのない人は少ないんじゃないかな?」

ナ「有名な銃じゃからのう」

ガバ「そうです、すごいんですよ私は、ふふん」

ス「まー、経歴が凄いからなカノジョ。

銃は性能と歴史が密接に関係している。そこら辺合わせながら解説していこうか」

 

 

開発経歴〜正式採用、そして現在。

 

 

ス「彼女の開発経歴は19世紀まで遡る」

 

ナ「19世紀というと、ワシやコルトSAAが現役でおるな。というより同世代はワシらくらいしか実装されておらん気がするのじゃが」

 

ガバ「実際、私が正式採用される前は、SAAちゃんや他の子たちがアメリカ軍の拳銃だったんだよね」

 

ス「さて、19世紀当時のアメリカ軍は38口径のリボルバーを採用していたのだが、先住民族との戦闘では威力不足が指摘されるようになっていた」

 

ガバ「威力不足が、というより撃たれてもめげない先住民が凄すぎるんだけど。鉄血の人形より強いじゃん」

 

ス「というわけで、前線からは『一撃で相手を倒せるような拳銃が欲しいのじゃ!』という意見が出始めるように」

 

ナ「それと同時期、ジョン・ブローニングという男が自動式拳銃を設計したのじゃ。

というかおんし、真似下手すぎじゃろう」

 

ジョン・ブローニング......銃器設計者の天才。現代に通じる銃の設計に多く携わっている。彼の名を冠する銃も少なくない。

 

自動式......要するにリボルバー以外。

 

ス「当時は本当に画期的だったんだよね。なにせ連発できるんだから。しかもリロードも簡単、早い」

 

ナ「イマイチピンと来ぬ読者も多いじゃろうから、ひとつ解説じゃ。

 

ブローニングが自動式拳銃を設計、商品化したのが1900年じゃ。

1900年代の主な出来事といえば」

 

ス「日本海海戦でお馴染み(?)日露戦争」

 

ガバ「そしてライト兄弟の初飛行、だよね」

 

ナ「うむ。たった100年と少し前の出来事じゃが、とても古く感じるじゃろう?」

 

ス「あれ、今は2060年の筈じゃ」

 

ナ「何言っとるんじゃお主は」

 

ガバ「今は2018年ですよ?」

 

100年と少し前......年号は現在基準。イイネ?

 

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

ス「というわけで自動式拳銃に目をつけたアメリカ軍は、コルト社に開発を依頼。

1911年、ガバメントことM1911は晴れてアメリカ軍に正式採用されました」

 

ナ「軍部の要求である敵を一撃で倒せるパワー、それをを叶えるために開発されたのが、45口径のM1911であり、使用弾薬の45ACP弾なのじゃ」

 

ガバ「9ミリより一回り大きいんだよ、おっきいの!」

 

一回り大きい......45口径=11.4ミリ。でかい。

 

 

ス「M1911は改良を重ねながら、第一次大戦を駆け抜けて、第二次大戦も戦い抜き、ベトナム戦争すら潜り抜け。

 

 

 

 

 

 

 

そしてて2018年現在、未だに現役です」

 

ナ「......(白目)」

 

ガバ「私って凄いですねぇ」

 

ス「どういうわけか100年前の拳銃が未だに現役なんですよ」

 

ナ「いやいやいやいや、おかしいじゃろう?! なんでそんな昔の銃が現役なのじゃ!」

 

ス「俺にもわからん」

 

ガバ「私にもわかりません!」

 

ナ「許されん、こんなこと許されん......」

 

ス「個人的な意見をいうと、やっぱり壊れにくいからじゃないかな。

45ACPというエネルギーの強い弾を使うんだし、それなりの強度が必要だったんだ。それがそっくりそのまま壊れにくさに繋がったんだと思う」

 

ガバ「正式採用拳銃はM9ちゃんに交代したけどね。一部の特殊部隊や個人で使う人もいるみたい」

 

ナ「それでも交代は1985年じゃから、結局のところ100年近くいた事になるのう」

 

ガバ「他の子が貧弱すぎるんですよ」

 

ス「それ言い返せるのAK-47くらいだろ」

 

AK-47......通称カラシニコフ小銃。

パーツが少ないので生産も簡単、さらにパーツ間に余裕を持たせることで不具合を少なくした。その耐久性の高さは半年地面に埋めてから掘り出しても使えるという話を聞けばわかるだろう。

調べれば調べるほどインチキな実話が出てくる。怖い。

 

 

ス「......ともかく。M1911はシリーズが現在でも生産が続けられていて、アメリカではポピュラーな銃の1つだとか」

 

ナ「100年前から愛され続ける国民銃、といっても過言ではないかも知れぬな」

 

ガバ「そんな、照れちゃいますよぉ」

 

ナ「ほれ、まとめじゃ。しっかりせい」

 

 

まとめ

 

 

ス「新しいようで、実は古い歴史を持つこの銃。銃にも歴史あり、ということです。

簡単な説明でしたが、知らないことも多かったのではないでしょうか。

 

ドルフロをキャラ目当てで始めた人も多いかもしれませんが、その子が持つ銃の歴史を知るのも、また一興。

よりそのキャラを愛するキッカケになると思います」

 

ナ「この話がその一端にでもなれば、幸いなのじゃ」

 

ガバ「指揮官さん、私のことをこれからもよろしくね?」

 

 

ス「というわけで、記念すべき第一回銃器紹介コーナー。これにて終了です」

 

ナ「ゲストはM1911でお送りしたのじゃ」

 

ガバ「それでは指揮官さま、良きドルフロライフを!」

 

 

 

 

 

ス「突貫作業で作ったから、説明ややこしいなこれ。伝わってる?」

 

ナ「しーっ、まだマイク繋がっとるんじゃ、騒ぐでない!」

 

 

 

 

 




ガンスミス......若いにーちゃん。銃器整備を担当。

M1895ナガン......ちっこいおばーちゃん。かわいい。


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第2回 モシン・ナガン


続いた


 

 

ガ「ガンスミスと」

ナ「M1895ナガンの」

「「銃器紹介!」

ガ「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

ナ「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

ガ「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガ「今日のゲストはどなたです?」

 

ナ「ワシの同僚じゃ、入っていいぞ」

 

モシン・ナガン

「 同士、ハラショー!」

 

ガ「おおう、テンション高いね」

 

ナ「それが取り柄だからのう」

 

モシン・ナガン

「お腹すいたわ。あ、ここにレーションが......もぐ」

 

ガ「それ俺のおやつー! 返せよー!」

 

ナ「......というわけで、第2回のゲストはвинтовка Мосина 、ことモシン・ナガンじゃ。

 

それでは、性能諸元にうつるかのう」

 

 

モシン・ナガン スナイパーライフル 星4

 

性能諸元

 

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 7.62mm×54R(ラシアン)

7.62mm×53R(フィンランド)

装弾数

5発(箱型弾倉・クリップ)

 

採用 ロシア帝国、フィンランド軍他

 

 

ナ「ワシと同時期に働いておったのじゃ、もちろん歴史上の話じゃがな。ま、そこらへんの説明はおいおい、じゃのう。

 

......そろそろ戻って来んかーい!」

 

 

 

 

 

来歴あれこれ

 

 

ガ「彼女の生まれは1891年......ってガバメントとほぼ同期じゃん。君も古いねぇ」

 

モシン・ナガン

「ベテランだったってことですよ」

 

ナ「おんし、前回色々と言っておらんかったか? 確かガバメントより古い銃はSAAぐらいとかなんとか......」

 

ガ「アーアーキコエナーイ」

 

前回......記念すべき第一回、M1911紹介のこと。感想が三件も来てビックリした(本音)。

 

 

ナ「日露戦争や第一次大戦で活躍、第二次大戦では改良型がロシア軍の主力武装となっておったのう」

 

ガ「結構な数量産されていたんだけど、当時のロシアの工業力も不足により、アメリカに外注してたりするんだよね」

 

ロシアの工業力......人間寒さには勝てないのである。土地があっても住めなさすぎる国ロシアまじおそロシア。

ソビエトになってからは改善したんですかねぇ(小声)

 

 

特徴

 

 

ガ「モシン・ナガンは典型的なボルトアクションライフルで、まあ時代にあったライフルだったと思うよ。特に悪評も聞かないし、いい銃だったんじゃないかな」

 

ボルトアクション......銃の作動システムのひとつ。

ボルトと呼ばれるパーツを引き、薬莢を外に出し、次弾を装填する。

これを勝手にやるのが自動式。理論自体は同じだが手動か自動かの違いがある。

メリットは構造が単純なので精度が高く、壊れにくく、価格が安い。

また精密射撃に優れているので、狙撃銃に使われていることが多い機構。

とてもかっこいい(重要)。

 

 

モシン・ナガン

「えと、三大ボルトアクションライフル、っていうのがあるんだよね。確か......」

 

ガ「モシン・ナガン、リー・エンフィールド。Gew98(未実装、ドイツ出身)だな」

 

ナ「他にも特徴はある。目につくのはその長い全長じゃな。なんじゃ130センチとは、デカすぎじゃろ」

 

モシン・ナガン

「そうですか? 特に気にしたことないんですけど」

 

ガ「同世代のライフルとかと比較すればよくわかるぞ」

 

モシン・ナガン 130センチ

リー・エンフィールド 113センチ

Kar98k 110センチ

 

モシン・ナガン

「うわ、私ってデカすぎ......?」

 

ナ「......まあ、そうじゃな」

 

ガ「悪いわけじゃないんだけどな。銃身は長ければ長いほど射程が伸びるし、弾丸も真っ直ぐ飛ぶようになる。

とはいえ、長くしすぎると重くなるし、取り回しも悪くなるから」

 

銃身は〜......銃は弾丸を火薬の力で銃身から押し出すメカニズム。

銃身が長いほど火薬のガスは力をかけられるし、銃身に沿う時間が増えるから真っ直ぐ飛ぶようになる。

 

ガ「他にも銃剣を取り付けるのがデフォルトだったとか」

 

銃剣......某ヘルシングな神父様が振り回してる刃物。銃にナイフを取り付けて、近接戦闘もできるようにしたもの。

現在は銃の精密機械化、近接戦闘の減少などにより廃れている。

ところでイギリスが最近銃剣突撃を敢行したと聞いたんですがマジですか?

 

 

 

モシン・ナガンが有名なワケ

 

 

ガ「そこそこに優秀な武器ではあるんだけども、特に眼を見張るほど、ではないんだよね。でも、結構有名」

 

ナ「その謎は、この銃を使っていたとある軍人にあるのじゃ」

 

モシン・ナガン

「ヘイヘさんのことだよね」

 

ヘイヘさん......本名シモ・ヘイヘ。

第二次大戦時のフィンランド軍の狙撃兵、軍人。

通称白い死神、ムーミン、リアルチート。

おそらく個人での公式キルスコアが世界ぶっちぎりトップの御仁。コッラー川の奇跡を始め逸話には困らない。

現在、フィンランドの博物館に彼が使用していたモシン・ナガンのひとつが展示されている、レッツ聖地巡礼。

 

ガ「でもさ、戦術人形な訳だし、人間よりも色々と器用なワケでしょ? シモ・ヘイヘさんも人間なんだし、真似くらいは」

 

モシン・ ナガン

「無理。記録見たけどなんであんなことできるのかわからない」

 

ガ「えっ」

 

 

まとめ

 

ナ「世界最高のスナイパーの愛銃。彼の大記録の達成の裏には、モシン・ナガンの存在があってこそなのかもしれん。

偉人の裏にも銃の歴史あり、なのじゃ」

 

ガ「というわけで、第2回のゲストはモシン・ナガンちゃんでした」

 

モシン・ナガン

「それでは、これからも良きドルフロライフを楽しんでくださいね!」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

 

ガ「ちなみに話題に出たシモ・ヘイヘさんのスコアなんですけども。

 

公式確認戦果が542人です、世界最高です。

が、これはあくまで狙撃銃のみ。

 

シモ・ヘイヘはサブマシンガンの名手でもあり、記録によれば200以上を殺害しているそうです。さらに非公式戦果も上乗せすると......

 

 

 

 

 

ちなみにこれがたった100日くらいでの戦果、と言われるとホラーですよね」

 



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第3回 M4A1


毎日投稿とか頭おかしいよお前()

なるべく頑張ります


 

 

 

 

ガ「ガンスミスと」

ナ「M1895ナガンの」

「「銃器紹介!」

ガ「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

ナ「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

ガ「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

ナ「これテンプレート化するのかのう?」

ガ「そういうことです」

 

 

 

 

 

ナ「第3回のゲストは誰なのじゃ?」

ガ「しばらくはメジャーで、かつ人気のある銃を紹介していこうかと。

あとマイナーだと資料が出てこないので......」

ナ「あー」

 

資料......8割がうぃき。

 

ガ「というわけでゲストはこちら」

 

M4「宜しくお願いします」

 

ナ「主人公の登場じゃな!」

 

M4「主人公?」

 

ガ「いや、こっちの話」

 

主人公......メインストーリーで主役を張る人物。

ドールズフロントラインの場合、M4A1、AR-15、SOPMODⅡ、M16A1のAR小隊のこと。

 

ガ「というわけで、第3回のゲストはM4A1ちゃん。彼女を紹介していこうと思います」

 

 

M4A1 アサルトライフル 星4

 

性能諸元

 

口径 5.56ミリ

 

使用弾薬 5.56×45mmNATO弾

 

装弾数 20/30発

 

採用 アメリカ軍 他

 

 

NATO......北大西洋条約機構の略。

冷戦時代、社会主義国に対抗し作られた軍事同盟の事。多国籍軍として活動することも多いので、弾薬を統一している。他の銃でもよく見かける名前なので覚えておくといい。

 

 

 

ガ「アサルトライフルといえばM4、というほど有名な銃でもあるね」

 

ナ「ゲームでも世話になる人も多いのではないかのう。配布キャラじゃし、強いし」

 

 

 

M4A1とは?

 

 

ガ「M4A1、といっても実はそういう銃の名前じゃなくてバリエーションのひとつなんだよね」

 

M4「はい。M4カービンのバリエーションのひとつです。同じ隊のSOPMODⅡも同じM4A1を使用してます。だから同じマガジンを使用できるんです」

 

ガ「あんなクリスマスツリーよろしく飾られちゃなぁ。見分けもつかんでしょう」

 

クリスマスツリー......クリスマスの日に飾り付ける木のこと。

ミリオタ的にはオプション装備をいっぱいつけたものをこう表現するとか。

 

ナ「といっても、M4シリーズはバリエーションがややこしくてのう......」

 

ガ「名銃ゆえの悩み。家族が多すぎる......」

 

M4「家族......?」

 

家族......ドルフロだと姉妹銃とかバリエーションとかうんぬん。

UMP9「お前も家族だ!」

 

 

M4の歴史

 

 

M4「私の元になった銃、ですか?」

 

ガ「そう、具体的にいうと姉妹とかご先祖様かな」

 

ナ「指揮官にもわかりやすいよう、基地にいるものを例に挙げるとこうなるのう」

 

M1ガーランド

M14

AR-15

M16A1

M4A1 イマココ

 

 

ナ「といった感じじゃな」

 

M4「多いですね。でもM1やM14とは随分と形が違うような?」

 

ガ「設計が違っても、コンセプトは同じだからね」

 

ナ「技術力の進化によるものじゃ。古いものは新しいものに入れ替わってゆく。諸行無常 、とでもいうのかのう?」

 

ガ「そして銃の歴史は戦争と共にあり......

というわけで、先の表に主な戦争を当てはめると」

 

M1ガーランド 第二次大戦

M14 第二次大戦〜ベトナム戦争

AR-15

M16A1 ベトナム戦争〜

M4A1 イマココ 1994年〜

 

 

ガ「自動小銃の先駆けになったM1ガーランド。そして実用化に成功したM14。

それらを改良したのがM16。さらに改良したのはM4カービン、てわけ」

 

M4「難しいです......」

 

ガ「くわしく説明できればわかりやすいんだけれども、他にも語り出したら終わらないし......続きはこれから出るだろうM1ガーランドやM14がゲストの日に!」

 

ナ「ステマ乙、じゃな」

 

 

実際性能とかどうなの?

 

 

ガ「アサルトライフルのひとつの指標としても用いられるな。新しい銃が開発されたとき比較対象になる事も多い。それだけ優秀な銃ということだね」

 

ナ「ピカティニー・レールを装備し、多数のオプションパーツにも対応しておる。つまり拡張性が高く、色々な使い方に対応できるのじゃ」

 

M4「SOPMODⅡが良い例ですね」

 

ピカティニー・レール......銃身についてるギザギザした飾りみたいなの。スコープやライトをを取り付けるのに使う基部の名前。

いろいろ統一してると便利なのだ。

 

ガ「そして前身のM16より銃身を切り詰めているから、市街戦やジャングルなどの入り組んだ戦場に対応できる」

 

ナ「逆に遠距離は苦手になってしまっておるが、そこはライフルでカバーすれば良いのじゃな」

 

M4「私はM16A1やAR-15に任せていますね」

 

ガ「使用する5.56mm弾も反動はそれほど大きくなく、連射もしやすい。まさに取り回しやすいライフルの鏡だね」

 

 

ついでにひとつ豆知識

 

 

ガ「416ちゃんているだろ?」

 

M4「404小隊のですか?」

 

404小隊......404 Not Found

 

ガ「正式にはHK416なんだけど。ドイツのH&K社がM4カービンのライセンス生産、改良したもので、実質同型品なんだよね。ここテストに出ます」

 

ナ「どんなテストじゃ、どんな」

 

M4「......採用テスト?」

 

H&K社......ヘッケラー&コッホ社。ドイツの銃器製造メーカー。

いっぱい銃を作ってる。

ドイツの工業力は世界一ィ!

404小隊の銃は全てここ出身、色々とこだわりがあるのかもしれない。

 

 

まとめ

 

 

ガ「現在多くの軍人が手にしているであろうこの銃。

その実戦経験から裏打ちされる確かな信頼性と機能性に疑いを挟む余地はないでしょう。

 

ドールズフロントライン主人公、M4A1。

彼女も十分に可愛いですが、その手にあるもうひとりのM4A1にも目を向けてみてはいかがでしょうか?」

 

ナ「というわけで、第3回銃器紹介コーナー、ゲストはM4A1だったのじゃ」

 

M4「助けてくれた指揮官の皆様、ありがとうございました。そしてこれからのストーリーもよろしくお願いします。

それでは指揮官、良きドルフロライフを!」

 

 

 

あとがたり

 

 

 

ガ「画面の前のサバゲーを始めようと思っている諸君。

銃に迷っているなら、とりあえずM4を買え。

って作者のリアルフレンドが言ってた。

実際コンパクトだし、取り回しやすいし、マガジンなんかの部品も充実してるからね。

初心者向けですが、ベテランでも使ってる方は多いですよ?」

 

ナ「だが、大切なのは楽しみかたじゃ。

好きな銃があるならそれを買うもよし。

発売されておらんのなら......諦めも肝心じゃ」

 

ガ「そのうちドルフロのコスプレしてサバゲーする姿も見られるのかな? 公式レイヤーさんのコスプレ凄くクオリティ高かったし。そのうちレイヤーさんが戦場に」

 

ナ「むさい男が女装する姿しか浮かばんのじゃが」

 

 

 



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第4回 Five-seveN

今回は難産でした......資料が少ない......


 

 

「ガンスミスと」

 

 

「M1895ナガンの」

 

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ガンスミス

「なんか違和感あるんだけど」

 

ナガン

「書き方変えたからのう」

 

書き方......前のやり方だと3文字以下だと銃の名前対応は難しいので

 

 

 

 

 

ガンスミス

「さて、今日のゲストは?」

 

ナガン

「もう後ろに立っとるぞ。というわけで今回のゲストは」

 

Five-seveN

「はぁい、私に会いたかった?」

 

ガンスミス

「違うって......今日のゲストはFive-seveN、彼女を紹介していこうと思います」

 

Five-seveN

「よろしく頼むわね、ふふ」

 

ナガン

「くっ」

 

くっ......別に72の事を指しているわけではない

 

 

性能諸元

 

Five-seveN ハンドガン 星5

 

口径 5.7mm

 

使用弾薬 5.7×28mm

 

装弾数 10/20/30発

 

採用 ーーー

 

 

 

ナガン

「採用の欄が空白なのじゃが?」

 

ガンスミス

「そこは後で説明するよ」

 

 

Five-seneNとは......の前に。

 

 

ガンスミス

「まず、この銃を語るにあたり外せない銃の存在がある。そこから話していこう」

 

Five-seveN

「P90のことね」

 

ナガン

「なんじゃそれは?」

 

 

P90とは?

 

ガンスミス

「P90とは、ベルギーの銃器製造メーカー、FNハースタル社の開発したSMGで、新しい銃のジャンルを作ろうとした銃でもある」

 

FNハースタル社......ベルギーの銃器製造メーカー。ドイツのお隣さんゆえ技術力は高い?

代表作にFALやFNCなど。

 

Five-seveN

「その規格の名前をPersonal-Defense-Weapon、略称PDW。

訳すと個人防衛火器、かしら」

 

ガンスミス

「コンセプトとしては、

アサルトライフルより携帯性に優れ、

SMGのように片手でのとっさの取り扱いが可能で、

短距離でなくともボディアーマーに対して効力を持つ。

 

サブマシンガンに十分な威力を持たせたもの、と解釈してもいい」

 

Five-seveN

「そのコンセプトを元に開発されたのが、P90と、専用弾薬の5.7×28mm弾薬なの」

 

ナガン

「お主に使用されておる弾薬じゃな」

 

ガンスミス

「普通の拳銃弾とは違って、ライフル弾のように先端を尖らせたこの弾。

小口径と速い弾速により、軽い銃弾でありながらも高い貫通力を持っているんだ。

その威力は150メートル先から防弾アーマーを貫通するほどで、アサルトライフルには劣れど、拳銃弾を使うサブマシンガンとは比較にならないくらい」

 

Five-seveN

「さらに、弾丸の火薬量自体は拳銃弾と変わらない上弾丸自体も軽いから、一般的に使われる9×19mmパラベラム弾の60%程度の反動しか無いの」

 

9×19mmパラベラム......世界中で使われる拳銃弾のひとつ。9ミリ弾といえばほぼこれで間違いない。日本のおまわりさんの拳銃もこの弾を使っているハズ

 

2018/09/30 追記

日本では公安みたいな特殊なところじゃない限り基本マグナム(.38スペシャル、.38レギュラー、.45ACP)一部自動拳銃(.45ACP、.32ACP、.25ACP)だそうです。

 

匠さん、ご指摘ありがとうございます!

 

 

 

 

ナガン

「なんと、いいことづくめでは無いか!」

 

ガンスミス

「......そこが欠点なんだけどね」

 

5.7×28mm弾の悲しみ

 

ガンスミス

「性能も高く、需要もある。

鳴り物入りで世に放たれたP90なんだけど、当初は残念なことに採用する国は多くなかった」

 

ナガン

「なんじゃと? 採用しない理由が見つからないのじゃが」

 

Five-seveN

「使用弾薬が専用なの。だから、既存の弾薬を使いまわしできないから買わざるを得ず、出費が、ね?」

 

ガンスミス

「例えば同じSMGのUMP9やMP5は、拳銃弾として広く使われてる9×19mmパラベラム弾を使うから、拳銃弾の在庫がそのまま使えるわけで、安上がりで済むわけ」

 

Five-seveN

「いざという時拳銃から弾をSMGに詰め直して......なんて事は普通しないけど、万が一も考えると、なるべく弾丸は共通していた方がいいの」

 

 

今回の主役、Five-seveN

 

ガンスミス

「専用弾に二の足を踏むなら、装備を統一できるように拳銃も作ってしまえ、というわけでFive-seveNが開発されましたとさ」

 

ナガン

「なんかお主雑くないかのう」

 

ガンスミス

「資料が少ないから見つからなかったの! だからこうじゃないかなって予想も多分に含まれるんですー!」

 

資料が少ない......ウィキに乗ってない。

間違いやご指摘あればいつでも受け付けます。

 

Five-seveN

「余談だけれども、M16のフレームで5.7×28mm弾を使用できるような改造キットもあるらしいの、確かAR-57だったかしら?」

 

 

性能はどうなの?

 

ガンスミス

「やっとこさ解説に入れる。

さて、Five-seveNの性能ですが......ズバリ非常に高いです」

 

Five-seveN

「と言っても銃の機構自体に真新しいものはないわ。優秀なのは弾丸の方ね」

 

ガンスミス

「20発もの装弾数、拳銃弾にあるまじき威力、その上反動も小さい。

さらに最近の流行りに乗じてフレームはほぼ樹脂製で軽量!」

 

樹脂製......最近開発されている銃はフレームがプラスチック製のものがほとんど。ガバメントのような全金属製の銃は少なくなりつつある。

噂によると金属パーツを一切使わない拳銃の開発が進められているとかいないとか。

 

ガンスミス

「欠点として、高速弾を拳銃のような短い銃で使うと発砲炎が非常に大きくなる。

狙いにくくなるので、連続射撃にはあまり向かないかな?」

 

 

そして現在

 

ナガン

「採用が空白欄な理由をきいておらんかったのう」

 

Five-seveN

「簡単よ。私を使う際にメイン武装として使われるであろうP90は、性質上特殊部隊に配備されることが多いの」

 

ガンスミス

「言えることとしては、各国の特殊部隊に採用されている、としか。

詳しく知ることは厳しいね」

 

Five-seveN

「代表的なのはペルー軍かしら。

在ペルー日本大使公邸占拠事件で、突入部隊のひとつに使用されていたの。そこから知名度が上がったわね......P90の」

 

在ペルー日本大使公邸占拠事件......1996〜97年に起きた事件。説明すると長くなるので省略。

犯人14名、特殊部隊員2名が死亡。

 

Five-seveN

「でも、民間にも広まりつつあるわ。

スポーツ用に威力を下げた弾が開発されて、民間用に改造されたP90も開発された。

知名度も上がってきているし、専用弾という欠点も克服されつつあるのよ?」

 

ナガン

「なるほどのう」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「うーん、半分以上P90と専用弾の話になってしまった、ゴメンね」

 

Five-seveN

「いいのよ、別に気にしてないわ」

 

ナガン

「うーむ、聞いておる限り弾薬の性能に依存するところが多いのう。じゃが、新しい時代を築こうとする礎になりうる......かもしれんの」

 

Five-seveN

「ロマンチストね、嫌いじゃないわ」

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「ふう、今回も無事に終わったな」

 

ナガン

「なんだか、親しそうではあったが?」

 

ガンスミス

「知り合いだったからな。よく行く基地のバーで働いてるんだよ。そこで時々話すんだよ」

 

ナガン

「......」

 

ガンスミス

「いった! なんで蹴るのさ!」

 



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第5回 M2HB


力量不足が辛い(全然まとめきれなかった)


 

 

「ガンスミスと」

 

 

「M1895ナガンの」

 

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

ナガン

「昨日早速ご指摘を貰ったのじゃが」

 

ガンスミス

「本当に申し訳ない」

 

ご指摘......日本では9mmパラはあまり使われていないそうです。詳しくは第4回を見ろ。

 

 

 

 

ナガン

「さて、今回のゲストは」

 

ガンスミス

「皆さんご存知のあの人です」

 

M2HB

「はぁい、元気してた?」

 

ガンスミス

「というわけで、第5回のゲストはM2HBさん。彼女を紹介していきます」

 

性能諸元

 

M2Heavy Barrel マシンガン 星3

 

口径 12.7mm

 

使用弾薬 12.7×99mm NATO弾

 

装弾数 ベルト給弾 1帯110発

 

発射速度 分間485〜635発

 

採用 アメリカ軍他

 

 

M2HB

「キャリバー50、キャリバー、オールド・フィフティとも呼ばれてるわ」

 

ナガン

「渾名が多いことはそれだけ愛されてる証拠でもあるのう」

 

渾名が多いことは〜......あんまりそうでもない。

 

 

開発経緯

 

 

ガンスミス

「M2の開発が始まったのは第一次世界大戦末期。戦場に現れた戦車に対抗する為、強力な弾丸を発射できる兵器が必要だった。

そこで、ウィンチェスター社が.50ブローニング弾を開発。さらにそれを使用する機関銃としてジョン・ブローニングによって開発された」

 

ウィンチェスター社......アメリカの有名な銃器製造会社。

代表的な銃としては、西部劇でおなじみM1873や第二次世界大戦で活躍したM1カービンなど。

 

ジョン・ブローニング......アメリカ変態技術者。第1話のM1911などを設計、またお前か。

 

ナガン

「じゃが、試作型は欠点も多く、それを改善して正式採用となったのが1933年。

第一次大戦は終わっておった」

 

M2HB

「その間も改良は続けられたわ。

1938年、分厚く重い、耐久に優れたヘビーバレル搭載のM2HBが開発されたの」

 

ガンスミス

「そして1940年に始まった第二次世界対戦。そこでM2はその名を轟かせることになる」

 

 

 

性能評価

 

ガンスミス

「最初に結論を言うと......現在、約100ヶ国が採用している。それほどまでに信頼度と完成度は高かったわけだ」

 

M2HB

「どう、すごいでしょ?」

 

ナガン

「12.7×99mmという強力な弾丸を平均して毎分500発......1秒につき8発のレートでばらまくことのできるこの銃、制圧力はかなり高いものであった」

 

強力な......100m先から25センチのコンクリートを貫通し、その上で十分な威力を保持。人間に撃つとミンチ。

 

M2HB

「ジープに取り付けたり、戦車の機銃としても使用されたり、戦闘機の機銃としても使われたり、対空機銃としても使われたり。

まさしく、戦場を選ばない傑作中の傑作だったわけ!」

 

戦闘機の機銃しても......ナニをトチ狂ったか、このM2を14門取り付けた変態戦闘機がある。

 

 

 

機関銃......?

 

 

ガンスミス

「そしてM2だが、その性質上。

どういうわけか狙撃銃として使われることもあった」

 

M2HB

「12.7ミリ弾の速度は音速の3倍、さらに弾丸重量は重いから狙撃にはうってつけ!

さらにクローズボルト方式だから、命中精度も高かったってワケ!」

 

クローズボルト方式......解説読んだけどこれもうわかんねえな?

要約すると、安定した射撃ができる機構みたいですね。ただ、暴発の危険性もあるのでマシンガンではあまり採用されていないとか。

誰かわかりやすく解説して?

 

ナガン

「記録によれば、1967年にアメリカ海兵隊のカルロス・ハスコックの手により約2300mの狙撃に成功したそうじゃ」

 

ガンスミス

「機関銃とは?」

 

カルロス・ハスコック......通称「ホワイトフェザー」前述のシモ・ヘイヘにも劣らないやばい逸話持ちの狙撃兵。ベトナム戦争で活躍。公式スコア93人。

 

北ベトナム軍将校狙撃任務の際、標的に接近するために単身、ジャングルの中を1km以上もほふく前進で三日かけて接近し、狙撃を成功させる。

北ベトナム軍が送り込んだ12人のスナイパーの一人と、一対一の狙撃戦を展開。彼を捉えていた敵スナイパーを、スコープごと撃ち抜いてカウンタースナイプを成功させる。

 

使用銃はウィンチェスターモデル70(未実装)

 

M2HB

「他にも、1982年のフォークランド戦争では1km離れた陣地からイギリス軍に大ダメージを与えたわ!」

 

 

いいところもあれば悪いところも

 

ガンスミス

「だが、欠点もないワケじゃない。事実、何度となくアメリカでは新しい銃に更新されようともしているんだよね。

でも、どの銃もM2の完成度とコストパフォーマンスに敗北してるんだよね......」

 

M2HB

「整備が難しい、重い、古臭い。......言われるとちょっと傷つく」

 

ナガン

「......まあ、開発は1930年代じゃからのう」

 

重い......諸々足して6、70キロ。

人間に持って歩くことはまず無理。

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「何だかんだ1世紀近く使用されているこの銃は、まさしく機関銃の完成形のひとつとして認めてもいいでしょう。

長年愛されてきたこの銃、調べれば調べるほど奥が深く、その思いが見て取れました」

 

ナガン

「もっと語りたい事はあるが、流石に力量不足でまとめ切ることはできんのう......」

 

M2HB

「ゲームでも安定して入手できて強いんだから! 指揮官、私を戦場に連れてって欲しいな!

 

というわけで、指揮官、良きドルフロライフを楽しんで、Bye!」

 

 

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「ところで、M2の次としてLWMMGが色々やってるみたいなんだけど、どうなんだろうね?」

 

LWMMG「もっと頑張らないと......!」

 

ナガン

「お主どっから出てきたんじゃ!?」



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第6回 G11

 

 

「M1895ナガンの」

 

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「UA1000件突破! イェース!」

 

ナガン

「メタいのじゃお主! せめてあとがたりで喜ばんか!」

 

 

 

UA1000突破.......2018/10/01、確認したらUA1000超えてました。やったぜ。

 

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今回のゲストはこちら」

 

G11

「だるぃ......疲れてるのにぃ」

 

ナガン

「なんでお主そんなに疲れとる?」

 

G11

「最近大規模作戦が終わったばっかりで......ふぁぁ」

 

大規模作戦......キューブ作戦、クッソ高難易度で疲れました。あとG11は出ませんでした

(キレそう)

 

ガンスミス

「そんなわけで、第6回はG11を紹介していこうと思います」

 

 

G11 アサルトライフル 星5

 

口径4.73mm

 

使用弾薬 4.73×33mmケースレス弾薬

 

装弾数 45/50発

 

採用 ドイツ連邦

 

 

 

 

開発経緯

 

 

ガンスミス

「1970年代、西ドイツではG3に代わる新しい小銃の開発を求めた。

そこで銃本体をH&K社が、弾薬をダイナマイト・ノーベル社が開発を受け持ち、試作が進められた銃なんだ」

 

ナガン

「銃と弾薬を別々の会社で? 珍しいのう」

 

G11

「使う弾薬が弾薬だからねぇ」

 

ガンスミス

「ま、そこらへんはこのあと解説するよ」

 

 

性能あれこれ

 

ガンスミス

「この銃の特長として、発射速度が非常に高いところが挙げられるね。

フルオート時は毎分460発とそこそこな訳だけど、バースト射撃時はなんと毎分2000発。

0.1秒あたり33発という正に常識はずれの連射速度を誇るわけ」

 

バースト射撃......射撃機能のひとつ。

一回引き金を引くたび2〜3発の弾丸が発射される。その理由はフルオート時の射撃で最初の3発は命中率が高いため。

 

ナガン

「ほかにブルパップ方式なのも特徴かのう」

 

G11

「命中率はいいんだけど、耳元がうるさいんだよねぇ」

 

ブルパップ方式......グリップと引き金より後方に弾倉や機関部を配置する方式。

今までデッドスペースだったストック部分を有効に活用する事ができる。

利点としては、従来型と同じ全長でも銃身を長く確保でき命中精度が高くなる事。逆説的にコンパクトにまとめてもある程度の命中精度を確保できる。

欠点としては、銃身が短くなりグリップが銃の中央によるため、伏せ撃ちや弾倉交換が難しい事。重量バランスを取るのも難しい。

また、機関部が顔の近くに来るため非常にうるさい。

 

 

 

ケースレス弾薬とは?

 

 

ガンスミス

「ところで、ケースレス弾薬ってなんだと思う?」

 

ナガン

「なんじゃ藪から棒に。まあ、レスとつくのだから何かが無いんじゃろう?

むむむ......お手上げじゃ」

 

G11

「正解は薬莢が無いことでした」

 

ガンスミス

「その通り。 当時というか今でも付いて回る悩みではあるんだけれども、弾薬はかさばるし重い。その一端を担っているのが金属製の薬莢なんだよね」

 

G11

「だから、いっそのこと無くしちゃえって思ったんじゃない?

外注されたのも特殊な弾丸だったから、専門家にお任せってこと」

 

ガンスミス

「そんでもって試作されたのが4.73×33mmケースレス弾薬な訳。

実際重量はとても軽く、コンパクトにまとめることもできたから50発もの破格の装弾数を確保することができたんだ」

 

G11

「副次効果として、排莢する機構も必要なくなったから連射速度も高くできたってわけ」

 

ナガン

「聞く限りいい事ずくめじゃのう。じゃが、うまい話にが裏があるようにしか思えん」

 

G11

「......否定はしないよ。実際そうだし」

 

 

 

いいところばかりだけじゃない

 

 

ガンスミス

「不必要な薬莢をとっぱらってしまったところ、とてつもない欠点が発覚してしまったんだけど、その前に薬莢の役割について考えてみようか」

 

ナガン

「まず、火薬を湿気から守ることじゃろ?

次に衝撃や傷から守る事じゃ」

 

ガンスミス

「そう、弾薬を守ることが薬莢の役目。それが無い以上、ケースレス弾は湿気に弱い。もし海辺やジャングル、湿地帯で作戦行動の時に......なんて事もあるわけ」

 

G11

「そして薬莢は排熱の役割も持ってたから、長い時間連射すると熱がこもって暴発する危険もあるんだよねぇ」

 

ナガン

「なぜお主そんな欠陥だらけの銃を」

 

G11

「アイデンティティ?」

 

ガンスミス

「他に、少数試作生産だったからこそなんだろうけど、1マガジン5万円という超割高な銃になってしまったというわけ」

 

ナガン

「なんというか、チャレンジしすぎたんじゃのう」

 

G11

「いらないものを取ったらいらない子になった、って笑えないジョークだよねぇ」

 

ガンスミス

「結局一応少数が採用されたものの、冷戦終結後の軍縮の波が押し寄せ、G36に置き換わって消えてしまいましたとさ」

 

 

まとめ

 

 

ガンスミス

「コンセプト自体は良かったものの、時代と技術が追いつかなかった不遇な境遇。

箱にグリップをつけたような見た目も相まって変銃だの迷銃だの言われるけど、性能だけは高かったアンバランスさ。

そこを楽しむのもまた、面白いんじゃ無いでしょうか」

 

ナガン

「扱う身からすれば全くもってそんなことは思えんのじゃが!」

 

G11

「弾幕ははれるし、使い回しやすいしいい銃だよ。まあ時々の暴発はご愛嬌ってことで......寝ていい?」

 

ガンスミス

「せめて最後の挨拶はしてけ」

 

G11

「......私を引けなかった不運な指揮官様も、引けた幸運な指揮官様も、あと45も私をこき使って無いでたまにはゆっくり休ませて欲しいな。

というわけで、指揮官。よきドルフロライフを......ぐぅ」

 

ナガン

「寝てしまったのう」

 

ガンスミス

「......奥の仮眠室空いてるから」

 

ナガン

「了解したのじゃ」

 

 

 

あとがたり

 

HK416

「今ここにG11が来なかった?!」

 

ナガン

「ああ、奥で寝ておるが?」

 

HK416

「ああもう何やってるのよあのバカ!」

 

ナガン

「性能の良い人形は大変じゃのう......」

 

ガンスミス

「......そういえばあんな子部隊に居たっけ?」



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第7回 ナガンM1895


ギリギリ毎日投稿間に合った......もうむーりーぃ


試しに茶番劇を入れて見ました。需要ある?


 

 

 

 

ガンスミス

「ガンスミスと」

 

ナガン

「M1985の」

 

「「銃器紹介!」」

 

ナガン

「てやっとる場合か! いつもの癖で言うてしもうたがそんな場合じゃなかろうて!」

 

ガンスミス

「そうだね人手ないから前線基地の撤収準備に駆り出されて壊れたトラックの修理してたら鉄血が襲撃してきてトラックに2人で隠れてる状況だもんねにゅやああいま弾が掠ったって!」

 

ナガン

「状況確認せんでもよい! それにそろそろこのトラックも持たんぞ」

 

ガンスミス

「でも周りには何も無いんですけど!」

 

ナガン

「安心せい、手足が吹き飛んでも大丈夫じゃ」

 

ガンスミス

「人間だったら普通死ぬんだけど?!」

 

ナガン

「あの仮説基地本部まで走れば武器もある、遮蔽物もある! こんな鉄屑よりかは幾分かマシじゃ!」

 

ガンスミス

「その前に穴あきチーズになる未来しか見えないんですけども?」

 

ナガン

「......そこは運じゃな。カウント3で行くぞ、3、2」

 

ガンスミス

「ちょっと待って心の準備がまだと言うかハンドガン一丁で切り抜けようとかマジで正気じゃないからねえほんと援護待つとかそんな風なこと」

 

ナガン

「1、今じゃ走れ!」

 

ガンスミス

「ちょっと待ってええええええええええ!」

 

 

注)無事生還しました。

 

 

 

 

ガンスミス

「昨日はひどい目にあった......」

 

ナガン

「互いに貧乏くじを引いたようじゃのう」

 

ガンスミス

「責任者出てこーい!」

 

指揮官

「すみません、ほんとにすみませんっ!」

 

ガンスミス

「のわっ! 脅かすなよ」

 

指揮官

「わっ、ご、ごめんなさい!」

 

ナガン

「指揮官、こんなのにわざわざ頭を下げんでもいいんじゃぞ」

 

指揮官

「M1895ちゃん、そんなこと言ったらダメだよ。ガンスミスさんだってこの基地の仲間なんだから!」

 

ガンスミス

「そーだそーだー!」

 

ナガン

「お主と言う奴は......! そこに直れ! 説教してやる!」

 

ガンスミス

「......ところでなんだけども、今日のゲストは指揮官殿でいいわけかい?」

 

指揮官

「ゲスト?」

 

ナガン

「こいつ無理やり話を......まあ良いか」

 

ガンスミス

「となると誰を紹介しようか。一応カリーナから指揮官の履歴書とかこの前の健康診断の結果とかはもらってるし、できないこともないんだけど」

 

カリーナ......この基地の副指揮官。主に経理担当だとか。

 

 

指揮官

「......えっ?」

 

ナガン

「それはダメじゃろ」

 

ガンスミス

「スリーサイズ見ると着痩せしてる疑惑が......」

 

ナガン

「そこ詳しく(やめんか馬鹿者!)」

 

指揮官

「発言と心の声が逆だよM1895ちゃん!」

 

ガンスミス

「上から」

 

指揮官

「わーっ、わーっ、わーっ!」

 

 

 

〜しばらくお待ちください〜

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

指揮官

「すっ、スタート!」

 

ガンスミス

(かわいい)

 

ナガン

(わかる)

 

 

ガンスミス

「というわけで今日のゲストは、我らがS09基地の指揮官殿です。はい拍手!」

 

指揮官

「よろしくお願いします!」

 

ナガン

「うむ、良い返事じゃ」

 

ガンスミス

「とはいえウチの指揮官殿を紹介しても面白みもないし、番組の趣旨にも反する訳で」

 

ナガン

「今日紹介するのはナガンM1895リボルバーじゃ!」

 

ガンスミス

「という訳で性能諸元はこちら」

 

M1895 ハンドガン 星2

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 7.62×33mmナガン弾

 

装弾数 7発

 

採用 ロシア帝国(ソビエト連邦)

 

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「ナガンM1895は、ベルギーのナガン兄弟が開発した回転式拳銃だ」

 

回転式拳銃......通称リボルバー。銃中央部に回転する弾倉兼薬室があり、これを射撃時に回転させることによって連発するというシステム。

簡素な構造上壊れにくく頑丈なため、マグナム弾などの強装弾を使う銃も多い。

代表的なものとしてはSAA、ダーティハリーで有名なS&W M29や50口径の化け物マグナムM500などだろう。

 

ナガン

「名前の由来はロシア帝国に正式採用されたのが1895年だからじゃの」

 

指揮官

「へーえ、銃の名前に数字が多いのはそういう訳なんですか」

 

ガンスミス

「開発年だったり、型番を振っただけのもあるしモノによるね」

 

ナガン

「最近の銃で年号で番号を振っている形式のモノは見ないのう」

 

 

リボルバーの異端児、ナガン

 

ガンスミス

「さてナガンM1895の特徴について話していくんだけど、まず前提としてこの銃は特殊な部類に入る事を念頭においてほしい」

 

指揮官

「ふむふむ」

 

ナガン

「熱心なことは良いことじゃ」

 

ガンスミス

「特徴としては弾薬が特殊なんだ。

普通の弾薬は、こんな風に弾頭......要するに発射される部分が見えるんだよね。

でも 7.62×33mmナガン弾はというと」

 

指揮官

「......それらしいところは見当たりませんよ?」

 

ナガン

「うむ。薬莢部分が普通のものより突き出ておって、弾丸全体を覆うようにしておるのじゃ」

 

ガンスミス

「そして発射するとき、回転する弾倉部が少し前進して、銃身部分に弾薬を押し付ける」

 

ナガン

「すると弾丸と銃身の隙間がなくなる。さらに火薬の爆発で薬莢部分が膨らみ、完全に密閉されるというわけじゃ」

 

ガンスミス

「だからリボルバーの弱点だった燃焼ガス漏れ、要するにエネルギーのロスが限りなくなくなる訳。たとえ火薬量が少なくても、安定した威力を発揮できるのです」

 

ナガン

「他にもその副産物としてサプレッサーが使えるのじゃ。リボルバーで使えるのはこの銃だけなんじゃぞ」

 

サプレッサー......銃声や発射炎を軽減する装置のこと。現在の技術では完全に音を消すことは不可能ではあるものの、専用弾や銃自体に加工を施すことにより限りなくゼロにすることは可能。

 

指揮官

「へーえ、面白いね!」

 

ガンスミス

「そうだろうそうだろう、銃ってのは調べれば調べるほど奥が深いってもんよ!」

 

 

 

そう上手くは行かないわけで

 

 

指揮官

「だけどM1895だけ、って言い方が引っかかるよね。こんな良いことなら広まっても良いのに」

 

ガンスミス

「一概にそうとは言い切れないけども、やっぱり弾薬製造コストが高いからじゃないかな。それに、どんどん銃も進化を続けて来ていて、リボルバー自体が落ち目になっていた、というのもあるんじゃないかな」

 

ナガン

「時代に押し流されてしまった訳じゃ、本当に人生、いや銃生とはままならぬものよ」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「特殊な工夫が施されていたものの、呆気なく時代の波に押し流されてしまった哀しき銃というのが印象かな。

他にも設計は古臭いし、弾薬もそこまで威力がある訳でもない。性能の低い銃というのは否めないね。

でも最新式だけじゃなく。こう古臭い銃に目を向けてノルスタジックな雰囲気に浸るのも悪くないんじゃないかな」

 

ナガン

「老兵だからと言って舐めてはいかんという訳じゃ!」

 

指揮官

「すごくためになったよ、ありがとう!

これからも来て良い?」

 

ガンスミス

「たまになら良いけど......」

 

指揮官

「やった、じゃ明日も」

 

カリーナ

「し、き、か、ん、さ、ま?」

 

指揮官

「ぴいっ!」

 

カリーナ

「私に仕事を押し付けて、自分はサボりですかぁ?」

 

指揮官

「ち、違うよほら、銃、銃の勉強してたんだから。ねえガンスミスさん、M1895ちゃん!」

 

ガンスミス

「カリーナさんこの人サボってました」

 

ナガン

「仕事はきっちりやらねばいかんぞ」

 

指揮官

「裏切り者! 信じてたのに!」

 

カリーナ

「はいはーい、早く戻って書類片付けましょね指揮官サマー。いっぱい溜まってるんですからぁ」

 

指揮官

「仕事はいやだああああああああああ!」

 

ガンスミス

「戦場に向かう指揮官に敬礼」

 

ナガン

「......まあ、良いやつではあった。

 

さて、最後に少し締まらない事になってしもうたが、いつもの挨拶で締めるとするかの。

 

それでは指揮官、良きドルフロライフを楽しものじゃぞ!」

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「自分で老兵とか言ってたけど、こんなちっこいんじゃ説得力に欠けるよね」

 

ナガン

「何をいうか。わしはこの基地最初の戦術人形じゃぞ、それに練度も99じゃ」

 

ガンスミス

「......これからさん付けする必要ある?」

 

ナガン

「堅苦しいのは嫌いじゃ、このままで良い」

 




指揮官......この基地の総責任者。G&K社では珍しくもない女性指揮官で、養成学校では成績トップの秀才。
だけど仕事はサボりたがるし、どこか抜けている。
事あるごとに逃げ出しカリーナに連れ戻されるまでがワンセット。


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第8回 M1918


もうまじ無理ぃ


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ガンスミス

「メタな話するけど、この作品が作者の中では1話あたりの感想が一番多いんだよね」

 

ナガン

「時流というか、流行りというかのう」

 

ガンスミス

「努力と結果は必ずしも一致しないってか」

 

ナガン

「そういうもんじゃ。でも、それだから努力を放棄するのもいかんぞ」

 

努力を放棄......だからと言って毎日投稿はしんどいんです。あと最近忙しいんです!

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今回のゲストはこちら」

 

M1918

「ブローニングM1918です。よろしくお願いしますね?」

 

ナガン

「では性能諸元に参ろうかの」

 

 

ブローニングM1918 マシンガン 星4

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 .30-06スプリングフィールド弾

 

装弾数 20発 (着脱式箱型弾倉)

 

採用 アメリカ軍他

 

ガンスミス

「正式にはブローニングM1918自動小銃。

英訳すればBrowning Automatic Rifleとなるから、その頭文字をとってバーとも、ビー、エー、アールともいう」

 

M1918

「バーちゃんなんてやめてください!」

 

 

開発経歴

 

ナガン

「1917年4月、アメリカ合衆国は第一次世界大戦に参戦したは良いが、武装は旧式なものが多かったのじゃ。

高性能なM1903(スプリングフィールドライフル)やM1911などは生産が追いつかず、その不足分を旧式や性能の劣る武器で埋めておった」

 

ガンスミス

「機関銃も多分にもれず、フランスのショーシャ機関銃を輸入したは良いが......」

 

ナガン

「ま、これがポンコツでのう。現場からの不評が相次いだのじゃ」

 

ショーシャ機関銃......軽いのはいいが構造が複雑で壊れやすく、汚れにとにかく弱かった。

 

M1918

「同時期に、ジョン・ブローニングは設計、開発を進めており、同年5月に採用が決定されたのがブローニングM1918なんです」

 

ナガン

「なぜ1917年採用なのにM1918という名前なのか、と疑問に思ったじゃろう。

その答えは単純明解。ブローニングM1917重機関銃がすでにあり、混同を避けるためだったのじゃ」

 

ジョン・ブローニング......またお前か。

 

 

 

時代に振り回されながら

 

 

 

ガンスミス

「この銃は少々数奇な運命を辿っているんだ。運用方法がガラリと変化した銃、なんてのはあまり見ないからね」

 

M1918

「第一次大戦時の運用方法はもっぱらライフルの延長線上だったよ」

 

ナガン

「スプリングフィールドライフルと同じ弾丸、同じ長銃身。

フルオート機能はありはすれども、緊急時以外に使われることはなかったのじゃな」

 

ガンスミス

「あくまで持ち運びできるし、いざとなれば連射のできる自動火器、というスタンスだった」

 

ガンスミス

「そして、第二次世界大戦の始まり」

 

ナガン

「M1ガーランドやトンプソンサブマシンガンの普及により、持ち運びやすく連射のきく銃は増えた。だからこそM1918の立ち位置が変化する」

 

M1918

「強力な弾丸をばら撒き、部隊員の突撃を支援する分隊支援火器として生まれかわったんです!」

 

ナガン

「しかし、マシンガンとしてみると不足な点が多く見つかった。元々そのように出来ておらんかったからのう」

 

不足な点......主に交換できない銃身、20発という少ない弾数が挙げられる。

しかし銃身交換を可能にしたモデルや、M1918用の弾薬ベルトの開発もしていたらしい。

 

ガンスミス

「そしてベトナム戦争。

大量に在庫はあるはいいが、すでに旧式な部類とかしていたM1918。

M14の登場、トドメにM60機関銃の登場からはその存在意義を見失い、歴史の闇に埋もれて行った」

 

 

 

そして現在、M1918は

M1918

「まだまだやれますから、私は!」

 

ナガン

「民生用としては今でもセミオート専用ではあるが生産が続いておる。

さらに2013年に近代化モデルが開発されたのじゃ、その名もH.C.A.R。

ほとんどの設計はそのままに外装を一新したモデルなのじゃ」

 

ガンスミス

「それに分隊支援火器というコンセプトを生み出したM1918。その遺伝子は現在でも引き継がれているんだ。

例えばM1918のメカニズムを基礎にした傑作汎用機関銃FN MAG。そしてそれを元に開発された分隊支援火器ミニミ軽機関銃が有名だね」

 

FN MAG、ミニミ軽機関銃......どちらも未実装(なはず)。

この銃を解説しようと思うと文字数が足りないし時間もしんどい。どちらも現在現役でバリバリ活動中である。

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「堅実かつ堅牢な設計で、ふたつの大戦を戦い抜いたこの銃。新しい分類を生み出し、その遺伝子は現在も引き継がれ、その子孫は今日もどこかの戦場で戦っている......のかもしれないね」

 

M1918

「古臭くてもやりようはあるんですから!」

 

ナガン

「そうじゃろうそうじゃろう、お主もわかってるではないか、よしよし」

 

M1918

「ふやあ、触らないでください......髪の毛が痛んじゃうからぁ」

 

ナガン

「す、すまんかったのう。そこまで嫌がられるとは思わなかった......」

 

M1918

「指揮官にいつもやられるから困ってるんです......」

 

指揮官......もふもふが不足している。最近ネコとイヌを(勝手に)飼い始めたらしい。

 

ガンスミス

「あー、悪いけど終わりの挨拶してくれっかい?」

 

M1918

「じゃ、適当にやっちゃいましょう」

 

ナガン

「そこはキチンとするのじゃぞ」

 

M1918

「じゃあちょっと待っててくださいね......よし。

ではっ、指揮官の皆さん、良きドルフロライフを!」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「サングラスだったね」

 

ナガン

「サングラスだったのう」

 

「「......」」

 

ガンスミス

「似合ってなかったよね、正直」

 

ナガン

「本人には絶対に言うでないぞ」

 

似合ってなかったよね......あくまで個人の感想です。

 

 

 




説明し切れなかった感じパナイ。
ごめんよ......好きな銃なのにごめんよ...........旧式中の中では一番好きなのにごめんよ......



ところでこの銃を解説して?的なリクエストある人いる?


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第9回 Kar98k

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ガンスミス

「どういうわけか前回『どうしてカフェを爆破しないんだ!』という苦情が沢山寄せられたわけなんですけれども」

 

ナガン

「他所の話じゃろそれは」

 

他所......スプリングフィールドのカフェがよく爆発する基地があるらしい。

 

 

ガンスミス

「今日は要望もあったこの人をご紹介します」

 

Kar98k

「はあい、カラビーナー・アハトウントノインツィヒ・クルツよ。今日はよろしくね」

 

ナガン

「これまた珍妙な......」

 

Kar98k

「自由に呼んでくれて構わないわよ?」

 

ガンスミス

「素直にカラビナ98クルツでいいと思うぞ」

 

ナガン

「ややこしいのう」

 

ガンスミス

「んじゃま、性能諸元に入りましょか」

 

 

性能諸元

 

Kar98k ライフル 星5

 

口径 7.92mm

 

使用弾薬 7.92×57mmモーゼル弾

 

装弾数 5発

 

作動方式 ボルトアクション

 

採用 ナチス・ドイツ他

 

 

ガンスミス

「標準的なボルトアクションライフルだね」

 

ナガン

「特に特筆すべき点はないのう」

 

 

Kar98kって?

 

Kar98k

「まず私の名前から解説しましょうか」

 

ガンスミス

「すまん、ドイツ語は読めないんだ。頼む」

 

ドイツ語は読めない......ガンスミスは英語と日本語はペラペラ、ロシア語はちょっぴり読めるが話せない。

 

Kar98k

「まずKarabiner(カラビナー)とは騎兵銃を意味します、英語ではカービンとも言いますね。

98はそのまま1898年と言う意味です。

そしてkurz(クルツ)とは短い、という意味ですね。

合わせて1898年式短型騎兵銃という意味なんですよ」

 

カービン......歩兵銃を短く切り詰め馬上でも扱いやすくしたものの総称。騎兵銃、騎銃とも。

現代ではアサルトライフルの銃身を短く切り詰めたものを表すことが多い。M4なんかが代表例。

 

ガンスミス

「意外と普通だったな」

 

ナガン

「なんじゃ拍子抜けじゃのう」

 

Kar98k

「何を期待してたんですか?」

 

ガンスミス

「もっとこう......なんだかなぁ。やっぱなんでもない」

 

Kar98k

「?」

 

なんだかなぁ......ドイツ語はなんでもない単語がかっこいいのがずるい。

クーゲルシュライバー!

 

開発経緯

 

ガンスミス

「Kar98kは、ドイツが第一次世界大戦時に採用していたGew98の改良版。文字通り騎兵銃に改修したものなんだ」

 

Kar98k

「はい、他にも試作モデルが一杯あるんです。私はその決定版という立ち位置でしょうか?」

 

ナガン

「見比べてみてもそう大きな変化はないしのう」

 

ガンスミス

「それだけGew98が優秀だったってことよ」

 

Gew98......第一次世界大戦時ドイツ軍の主力小銃。使われているM98ボルトアクション機構は単純かつ強固、安全であり、最も考えられた設計と評された。

リー・エンフィールド、モシン・ナガンとともに三大ボルトアクションライフルに数えられる。

 

 

 

戦歴あれこれ

 

ガンスミス

「正式採用は1935年。第二次世界大戦大戦の終結する45年まで生産は続けられ、ドイツ軍を支え続けた銃。ドイツ軍だとMP40やStg44なんかが有名だけど忘れちゃいけない存在だな」

 

MP40......全金属製サブマシンガンの先駆け。詳細はまた解説するとき。

 

Stg44......アサルトライフルという概念を作った銃。詳細はまた(以下略)。

 

ナガン

「特に精度の高かったものは、スコープを取り付けられ狙撃銃としても配備されたようじゃのう」

 

Kar98k

「はい、戦争末期ではドイツ軍狙撃兵が連合軍兵士を苦しめたんです」

ガンスミス

「とはいえ、アメリカではM1ガーランド、ソ連ではSKSカービンのような自動小銃の開発も進んでたし、旧式化しつつあったのは否めないけどな」

 

SKSカービン......ソ連製半自動ライフル。ただ、後続のAK-47が強すぎて影が薄い。詳細は(以下略

 

 

そして現在では

 

ガンスミス

「ドイツが東西に分割されてからも、なんだかんだ使われ続けていたこの銃。現在では実戦こそないものの、式典などの儀礼銃としては見るかもしれないね」

 

Kar98k

「そして生産していたモーゼル社からは、戦時中のこの銃を可能な限り再現した『モーゼルM98ライフル』が発売されてます。日本でも猟銃として所持することが可能みたいですね」

 

ナガン

「戦争映画でもよく見かける銃でもあるのう。ナチスが登場する映画については必ず付いて回る銃じゃ」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「そのシンプルかつ流麗なデザイン、そして信頼性と安全性長けた設計。

かの第三帝国を支え続けた立役者は、半世紀以上を経た現在も愛され世界中で使われ続けています。

もしかすれば、貴方の身の回りにもいるかもしれませんね?」

 

Kar98k

「それでは、皆さま良きドルフロライフをお楽しみください。御機嫌よう」

 

 

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「今日はわざわざ時間を割いてもらいありがとうございました」

 

Kar98k

「いえいえ、時間を持て余していたところですし、貴重な体験でしたよ」

 

ナガン

「なんじゃ、お主ら知り合いじゃなかったのか?」

 

Kar98k

「いえ、私は隣の基地所属です。共同作戦のために今日はこちらの基地に」

 

ナガン

「お主わざわざ他所の人形を呼びつけたのか?!」

 

ガンスミス

「だってこの基地にいねえんだもん」

 

基地にいない......だって星5だし、排出率1%ないし。狙って出せるわけないだろ!

 




活動報告にリクエスト箱設置しました。

この銃を解説しろ、的な者あればどうぞ。


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第10回 一〇〇式機関短銃


リクエスト第一弾でごぜ〜ますよ!
資料多くて大変......大変じゃない? つか資料偏りすぎてつらい


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「前回のKar98kに関するコメント、他と比べたら多かった気がするんだけどどうしてだろ」

 

ナガン

「そりゃ、人気だからじゃろ。アイコンにもなっとるんじゃし」

 

アイコンにもなっとる......でもガチャからは出ない。

 

 

 

 

ガンスミス

「さて、記念すべき第10回のゲストは」

 

一〇〇式

「一〇〇式機関短銃です。いざ参る!」

 

ナガン

「そんな気をはらんでも良いぞ。リラックスリラックス、なのじゃ」

 

一〇〇式

「はい、頑張ります!」

 

ナガン

「お主のう......」

 

ガンスミス

「んじゃま性能諸元参りましょか」

 

性能諸元

 

一〇〇式機関短銃 サブマシンガン 星5

 

口径 8mm

 

使用弾薬 8mm南部弾

 

装弾数 30発(湾曲箱型弾倉)

 

採用 旧日本陸軍

 

ガンスミス

「まあ、これだけ見ればそこそこ纏まった......普通のサブマシンガンだねぇ」

 

ナガン

「言えることは少ないのう」

 

一〇〇式

「私のことを百式、とか短機関銃なんて書き間違えるのはやめてくださいね。一〇〇式機関短銃、ですから!」

 

百式......宇宙世紀に開発されたモビルスーツ。金ピカ、なぜ光らせる必要があったのか。

 

 

開発経緯

 

ナガン

「第一次世界大戦終了後の1920年、日本陸軍は外国製の短機関銃(トンプソン、MP18)などを購入、分解し研究を行い始めたのじゃ」

 

ガンスミス

「そして7年後の1927年。陸軍は『試作自動短銃』の第一次試作銃を完成させた。

しかし、欠点が多数見つかったわけだ」

 

一〇〇式

「ほぼ同時期に弾薬の選定も行われました。6.5mm弾(.25ACP弾)・7mm南部弾・7.7mm弾(.32ACP弾)がなどが試されましたがいずれも満足な結果は得られませんでした。

最終的は十四年式拳銃と同じ8mm南部弾を使用することに決定したんです」

 

十四年式拳銃......1920年代に開発された日本陸軍の正式採用拳銃で、終戦まで使用された。性能はこの時期のものでは標準的なものだった様子。

 

ガンスミス

「そして1930年、第一次試作銃の欠点を改良した第二次試作銃が試作されたんだけれども」

 

一〇〇式

「1931年の満州事変、そこで日本は本格的に戦争の道を歩み始める事となります。

同時に軍の予算割りも大幅に変更。現行の兵器の生産を優先するようになり、一〇〇式の開発は滞ってしまいます」

 

満州事変......日本陸軍のひとつ、関東軍が満州を占領(?)した一連の事件。ここで中華民国との不仲が決定的になり、後々の日中戦争に発展することとなる?

(正直な話、言い切るのもアレなので明確な発言は控えさせてもらいます)

 

ガンスミス

「そして再び開発が前進するのは1935年、前述の一四年式拳銃など開発した南部銃製造所により『南部式機関短銃一号』と『二号』が制作された」

 

ナガン

「えーと、陸軍技術開発局も1936年に『試製一型機関短銃』を、37年には『試製二型短機関銃』開発。

実射試験などを通し、さらに開発が進められた......なんだかややこしいのう?」

 

ガンスミス

「本線としては『試製一型』の方を参考にしたらしいな。他は忘れても構わんだろ、ややこしいし」

 

一〇〇式

「扱いひどくないですか?」

 

ナガン

「ややこしいのが悪いんじゃややこしいのが」

 

ガンスミス

「......んで、1939年に一〇〇式の元になる『試製三型機関短銃』が開発された。

そして同『三型甲』『三型乙』と改良を重ね、ついに1941年、『一〇〇式機関短銃』として準正式採用が決まった」

 

ナガン

「要約すれば1920年に開発が始まり、1941年に完成した、ということじゃな」

 

ガンスミス

「その後もちょいちょい改修は入ってるけど、完成系は41年完成のもの。あってるぞ」

 

 

 

一〇〇式の特徴は?

 

 

一〇〇式

「一〇〇式の特徴は横に取り付ける弾倉、銃剣を取り付けられることですね」

 

ナガン

「その他にも銃撃の際安定させるための二脚や1500mまで想定した照準器などがあるの。

これは主に使用が想定された騎兵隊や落下傘部隊の要望を取り入れたからだそうじゃ」

 

ガンスミス

「横に弾倉が付いていると、伏せ撃ちをする時に容易にもなる。さらに銃剣が重りになって銃撃の時安定する、なんて研究結果もあるそうだ」

 

 

 

でもなんで知名度が低いの?

 

ガンスミス

「それはひとえに一〇〇式に非があるわけじゃない。その当時の旧日本軍現場にもある」

 

ナガン

「一〇〇式は量産にはてきさない代物であった。パーツの切削加工が必須、そして手間のかかる木製のストック(銃床)。

その頃の主流は大量生産のできるプレス加工品じゃった、例えばMP40などが挙げられるのう」

 

一〇〇式

「そして旧日本陸軍の現状......輸送船撃沈などによりそもそも戦場にすら届かず、弾薬も拳銃の流用とはいえ、小銃や機銃弾が優先され、日本の少ない資源もあいまっての切り捨てもあり、ごく一部の部隊にのみしか配備されませんでした」

 

ナガン

「それ故に知れ渡らず、ゲームなどで少し姿を見ることがある程度、じゃな」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「外的要因により開発が遅れ、戦場でも十分に活躍することもできず消えていった不遇の銃、一〇〇式。

もし開発が遅れなければ、もし日本軍の十分な余力があれば......そんな「IF」を考えずにはいられません」

 

一〇〇式

「でも、今は違います! 私は十分に戦えるんですから!」

 

ナガン

「はっは、血の気が多いことは良いことじゃ!」

 

ガンスミス

「んじゃその調子で締めちまってくれ」

 

一〇〇式

「それでは指揮官の皆さん、良きドルフロライフを楽しんで下さいっ!」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ナガン

「......血の気の多い事はいい、とは言ったもののあやつは少々度がすぎるんじゃがな」

 

ガンスミス

「たしかに血気盛んではあったけども、そこまでか? AR小隊のSPOMPDⅡも大概だろ」

 

ナガン

「それもそうなんじゃが......

あやつの一〇〇式、銃剣装備じゃろう?」

 

ガンスミス

「うんうん」

 

ナガン

「それで一回、戦闘中にあやつが弾を切らしたことがあってのう。止むを得ず銃剣格闘で敵を仕留めたんじゃが......」

 

ガンスミス

「それで?」

 

ナガン

「変な学習をしてしもうたのかのう。

アレ以来、たまーにじゃがストック部分を持ってじゃのう」

 

一〇〇式

『なああなた鉄血でしょう? 首置いてきなさいよ、首置いてきなさいよぉぉぉ!』

 

ナガン

「と敵に突撃してズバズバと切り裂くんじゃ。夜戦の時なんかは特に嬉々として突っ込んでいくんじゃよ」

 

ガンスミス

「妖怪首置いてけ......?」

 

妖怪首置いてけ......某薩摩男児のあの人の通称。みんな、『ドリフターズ』読もう!

 

 

 



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第11回 ウェルロッドmk.Ⅱ


注意)今回、ウェルロッドMk.Ⅱがひどいキャラ崩壊を起こしています。それを念頭にご覧ください。







 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ガンスミス

「前回は感想がいっぱい来ましたね」

 

ナガン

「主に妖怪首おいてけのツッコミがおもじゃったがのう」

 

ガンスミス

「そうそう、一〇〇式ちゃんから刀くれって要望が来たわ。刀は無理だけど西洋剣くらいなら作れ」

 

ナガン

「やめんか!」

 

一〇〇式......本格的に目覚め始めた様子。

 

 

 

 

ガンスミス

「今回紹介するのはこちら。って物陰に隠れてないで、こっちこっち」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「闇に身を置く私にとっては、この場所はあまりにも眩しすぎる......」

 

ナガン

「真面目に喋ってくれんか?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「しかし白の妖精よ、私の言の葉は」

 

ガンスミス

「あーはいはい、わかった。このままでいいよ、俺が通訳すっから」

 

ナガン

「通訳ぅ?」

 

ガンスミス

「どうにも言語系になんかトラブルがあるらしくてな。本人はこれでも真面目なんだ。なっ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「感謝する、黒鉄の魔術師よ」

 

ナガン

「そんなトラブル聞いたこと無いんじゃが」

 

トラブル......主にプログラマーの悪ふざけ。

 

ガンスミス

「しかし、16Labからの新進気鋭の試作人形だってのになんでこうなったんだか。

......そういやアイツの就職先16Labだっけ、まさか、なぁ」

 

16Lab......自立人形制作最大手I.O.P社の技術開発部門。AR小隊はここ出身。

 

プログラマー

「へっぷし!」

 

ペルシカ

「ちょっと、ちゃんと働いてよ〜」

 

プログラマー

「うぃー。っと、ここのプログラムにアレ混ぜてやろ......うひひひ」

 

プログラマー......ガンスミスの知り合い、そして全ての元凶。

 

 

ガンスミス

「んじゃま、性能諸元に移りましょうか」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「私の力の真髄を此処に!」

 

性能諸元

 

ウェルロッドMk.Ⅱ ハンドガン 星5

 

 

口径7.65mm

 

使用弾薬 .32ACP弾

 

装弾数 6発

 

作動方式 ボルトアクション

 

採用 イギリス軍他

 

ナガン

「ボルトアクション?」

 

ガンスミス

「ボルトアクション」

 

ナガン

「......書き損じでは無いのだな?」

 

ウェルロッドmk.Ⅱ

「然り」

 

ガンスミス

「この銃は色々と特殊だからね」

 

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「この銃はステーションⅨというイギリスの秘密作戦担当部局である、特殊作戦執行部によって開発されたんだ。

主にイギリスやアメリカの特殊部隊で使われてたらしいね」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「私の役目は闇夜に潜み、敵に紅い花を咲かせることだ」

 

ガンスミス

「隠密作戦のことだな」

 

ナガン

「なるほどのう」

 

 

 

具体的にはどんな銃なの?

 

 

ガンスミス

「丸い棒に取っ手をつけたような奇抜なデザインだからね、初見で銃とは分かんない人もいるんじゃないかな」

 

ナガン

「丸っこい部分は消音器のようじゃ」

 

ウェルロッドmk.Ⅱ

「さらに秘められた力が隠されている......身を潜め、声を押し殺す様さながら曲芸師の如く」

 

ガンスミス

「あとグリップを取ってコンパクトして隠せるんだってさ」

 

ナガン

「......他にも、照準器に蛍光塗料が塗られておるらしい。まさに隠密特化なのじゃな」

 

ガンスミス

「ボルトアクションなのもそれが理由だ。例えばガバメントみたいにスライドが前後すると音が鳴るから論外、薬莢を落としても音がなるしな。考えた結果が、作動音が少ないボルトアクションてわけだ」

 

ナガン

「リボルバーもわしを除けば隠密には適さんしのう。考えた結果というわけじゃな」

 

ガンスミス

「でもまあ最近の銃はフレームに六角ボルトでも噛ませれば動かないし、サプレッサーを用意すれば銃本体は使い捨て出来るんだけどね」

 

ウェルロッドmk.Ⅱ

「魔術師よ、私を謀るのか!」

 

ガンスミス

「いやそんなわけじゃなくて、君は第二次大戦中の生まれだから、現代とは色々と違うから気にするなよ!」

 

ナガン

「さっぱりわからんのじゃが」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「......ふぇっ」

 

ガンスミス

「泣くなよ泣いてくれるなよまじで頼むぞお前んところのボディーガードがすっ飛んでくるから絶対泣くなよまじで頼むぞあわわわわ」

 

ナガン

「......2人は忙しいようじゃし、わしが解説を続ける。

 

 

銃口部分が若干丸みを帯びており、銃口を何か......十中八九人間に押し付けるのに適しておる。その状態で撃てばさらに発射音は小さく、というわけじゃな。

ちなみにMk.Ⅱとあるから、もちろんMk.Ⅰもある。そちらは弾丸が9mmパラベラムだったらしいが、少々威力が高すぎたようじゃ。隠密作戦にはそこまでは不要だったようじゃのう」

 

戦歴

 

ナガン

「主にナチス占領下の地域、おそらくフランスなどで使用されておった。使うものは主にスパイかレジスタンスだったのかのう?

 

使用される用途上、明確な記述は存在しない、しかし、1982年のフォークランド紛争でも使用された『らしい』。

あくまで推測の域を出んが、報告は成されたようじゃ」

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

ガンスミス

「潜入作戦の折用いられたであろう特殊拳銃、その実力は砲火飛び交う戦場ではなく、ほの薄暗い闇の中でこそ発揮される。

ま要するに適材適所ってこったい」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「然り、闇夜に潜み悪魔を封じることこそ私の運命。妖精と死神、存在する領域を違えども私と共に悪鬼羅刹を鎮めてみせようぞ!」

 

ガンスミス

「戦う場所は違うかもしれないけど、一緒に頑張ろう! だってさ」

 

ナガン

「そ、そうか......こちらこそ宜しく頼む」

 

ガンスミス

「そんじゃバシッと締めてくれるかい」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「うむ。

では私の愛すべき共犯者よ、共に今世を血で染め上げた悪鬼を見事封印してみせようぞ。

諸君、闇に飲まれよ!」

 

ガンスミス

「闇に飲まれよ!」

 

ナガン

「や、やみにのまれよ!」

 

ガンスミス

(......やべ、なんか恥ずかしくなってきた)

 

ナガン

「......」←無言で顔を赤くする

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「はー、今日は一段と疲れたな」

 

ナガン

「そうじゃのう......ところで、何故あのへんちくりんな言葉を解読できたのじゃ?

わしにはさっぱりじゃったが」

 

ガンスミス

「まー、そのー、若気の至りってやつ」

 

ナガン

「?」

 

若気の至り......主に中学2年ごろに発症する病のこと。詳細は皆さんが一番わかるはずでは?

 

 

 

 

 




ふと思ったこと。

他所の子を紹介したい。
例えばほら、爆発する方のカフェやってる春田さんとか。みんな爆発させたがってるし多少はね?


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第12回 ステンMk.Ⅱ

 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「前回はふざけすぎて申し訳ございませんでした」

 

ナガン

「今回からは初心に立ち返り、解説して行きます。そこんところよろしく、なのじゃ」

 

 

前回......ちょっとやりすぎた。流石にキャラ崩壊にも程があるのでこれからは修正します(できるとは限らないしやるとも言ってない)。

 

 

ガンスミス

「さて、今日紹介するのは誰にしようか」

 

ナガン

「決めておらんかったのか......適当に次に来たもので構わんだろう」

 

???

「こんにちわー、メカニックさんに用事があって」

 

ガンスミス

「よし、君に決めた!」

 

???

「......来たんですけ、ど?」

 

 

 

 

 

ナガン

「さて、今日のゲストはこちら」

 

???

「あのー、さっぱり事情がわからないんですけど」

 

ガンスミス

「いいからいいから、自己紹介して」

 

???

「うう、わかりましたよ。

私はステンMk.Ⅱ。今日はよろしくお願いしますね」

 

ナガン

「というわけで今日のゲストはステンMk.Ⅱじゃ。よろしく頼むぞ?」

 

ステンMk.Ⅱ

「あのー、毎回こんな風にゲスト決めてるんですか?」

 

ガンスミス

「いんや、俺の気まぐれ。でも今日は気分が乗らなかったから適当に」

 

ステンMk.Ⅱ

「......用事が終わったら早く返して下さいね。急いでるんですから」

 

ガンスミス

「ハイハイ、その件は承知ですよっと」

 

 

 

性能諸元

 

ステンMk.Ⅱ サブマシンガン 星3

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9mmパラベラム

 

装弾数 32/50発 (箱型弾倉)

 

採用 イギリス軍他

 

 

ガンスミス

「特に何の変哲も無い、ておきまりのセリフしか出ないね」

 

ナガン

「では、解説に移るかのう」

 

開発経緯

 

ガンスミス

「この銃の開発が始まったのは1940年。

さて、1940年前半に起きた一番デカイ事件といえば、なんだと思う?」

 

ナガン

「冬戦争の終結じゃろう、他には......」

 

冬戦争......ソ連vsフィンランド が起こした戦争の通称で、ソ連の勝利に終わる。シモ・ヘイヘの活躍の舞台で有名。1939〜1940。

 

ステンMk.Ⅱ

「ダンケルクですね」

 

ナガン

「ダンケルク? 何じゃそれは」

 

ガンスミス

「正確にはダンケルクの戦い、だな。ダンケルク撤退とも言うらしい。

ナチス・ドイツが電撃戦でフランス全土を占領し、残っていたフランス軍やイギリス軍がイギリス本土に撤退するまでの一連の戦闘だな、たしか。

その際、とにかく人員を輸送船の詰め込んだわけなんだが......武装なんかは殆ど廃棄処分や置き去りだ」

 

ナガン

「それは致命的ではなかろうか」

 

ガンスミス

「もちろん。もしドイツがイギリス侵攻なんて始めた日には、武器がない兵士だらけでは何の意味もない。

それを見越してイギリスはアメリカから大量に武器の買い付けをしていた。最初の予定とは違ったけどな」

 

ナガン

「それでは、イギリス軍は大量に武器をもらえたんじゃな。一件落着」

 

ステンMk.Ⅱ

「それが全然ダメだったんです」

 

ガンスミス

「アメリカからの輸送船はことごとくドイツの潜水艦に潰されてまともな数は入って来なかった」

 

ステンMk.Ⅱ

「それにロンドン大空襲も追い打ちをかけます。英空軍の活躍によりなんとか本土は守られましたが、主要な工業地帯は大打撃を受けてしまいました」

 

ナガン

「......それ詰みじゃないかのう」

 

ガンスミス

「実際はなんとかなったからイギリスは戦勝国ではあるんだけどもね。

さて、本題に入りましょうか」

 

ステンMk.Ⅱ

「はい、ステンの誕生ですね!」

 

ガンスミス

「この状況を重く見たイギリス軍は『とにかくいっぱい作れる銃を寄越せ』と開発を命じた。そしてできたのがステンMk.Ⅰという訳だ」

 

ステンMk.Ⅱ

「それをさらに省力化したものがステンMk.Ⅱという訳なんです」

 

 

 

ステンMk.Ⅱってどんな銃?

 

 

ガンスミス

「お世辞にもいい銃とは言い難い。とにかくコストを抑えて大量生産に特化させたこの銃は、見た目からしてひどい。

身もふたもない言い方をすればこの銃は『水道管に引き金と弾倉を取り付けただけ』だからな」

 

コストを抑えて......一丁あたり7ドル60セント也(当時のレートで)。

 

ステンMk.Ⅱ

「Mk.Ⅰではあった木製部品もなくなり全金属製。照準器は鉄板に穴を開けただけですし、とにかく弾が出ればそれでいい、という主張がにじみ出てます......」

 

ガンスミス

「しかし特化させただけあり生産性は高い。

しかも簡素な設計だけあって、自動車部品メーカー、装身具メーカー、果ては醸造場までこの銃が作れる始末。製造拠点が多ければ多いほど全体量も増えるのは言わずもがなだしな」

 

ナガン

「聞けば聞くほど酷い銃じゃのう。性能も今ひとつだったのが見え見えじゃな」

 

ステンMk.Ⅱ

「見くびってもらっちゃ困ります! たしかに遠距離射撃はトンプソンやMP40には劣りますけど、近距離だったら引けはとりませんから!」

 

ガンスミス

「連合軍が巻き返し始める1943年以降も生産は続けられるほどだったんだし、何だかんだ設計は優れてたみたいだな」

 

ナガン

「なるほど、見かけによらんのう」

 

ステンMk.Ⅱ

「もっと褒めてもいいんですよ!」

 

ナガン

「おー、よしよし偉いぞお主は」

 

ステンMk.Ⅱ

「ふふーん!」

 

 

戦歴

 

ガンスミス

「配備されたのはイギリス軍はもちろんのこと、フランスなどドイツ支配下のヨーロッパ諸国にばら撒かれた。比較的コンパクトなこの銃は持ち運びにも便利だしな」

 

ナガン

「なんか前回聞いた気がするんじゃが」

 

前回......ウェルロッドもコンパクトで持ち運びできる。若干用途は違うと思うけど

 

ステンMk.Ⅱ

「他にも、使用弾薬の9mmパラベラムはドイツ軍の拳銃弾と同じです。いざとなればドイツ軍兵士からも奪えますし、レジスタンスにとっては色々と好都合だったんですよ」

 

ガンスミス

「そして朝鮮戦争でも用いられていたんだが、その頃には後続が配備され始めていたんだ。そう遅くないうちに、この銃は戦争から姿を消すこととなる」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「イギリス軍の窮地を救った救世主とも呼べるかもしれないこの銃。

見た目こそ酷いですが、それは関わる人々がとにかく必死だったことの裏返しでもあります」

 

ステンMk.Ⅱ

「見た目が全てじゃないってことです!」

 

ナガン

「それじゃ、締めてくれるかのう」

 

ステンMk.Ⅱ

「それでは指揮官さま。これからも頑張って下さいね!」

 

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ナガン

「上機嫌でコンテナを持って行ったが、中身は何だったのじゃ?」

 

ガンスミス

「本部からの衣装支給」

 

ナガン

「ああ、たまにあるアレか」

 

アレ......衣装支給、又の名をスキンガチャ。課金とご利用は計画的に。

 

ガンスミス

「指揮官に一番に見せたいんだってさ。っとメールか、指揮官から......?」

 

指揮官

『ステンちゃんが可愛すぎて死にそう』

 

ステンMk.Ⅱ

『ドヤァ』←ピンクのドレス姿

 

ナガン

「............これ戦場でも着る、のかのう」

 

ガンスミス

「たまに支援部隊でドレス姿の奴いるよな、どうやって戦ってんだ?」

 

ナガン

「わしに聞くな」

 




ナガンちゃんに衣装を実装しろ(脅迫


ちなみにナガン推しですけど上に1人います。
早く解説したいけど資料無さすぎつらい。


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第13回 Vector


>自身の銃をトンファーのように使いながら決め台詞を叫んでそうなウェルロッドかわいいですね

俺も可愛いと思うから書いた。

ウェルロッドMk.Ⅱ
「闇の炎に抱かれて消えろ! ダークネス、バース、ああっ!」

ナガン
(そんなに振り回したら分解するに決まっとるじゃろうに......)


それでは本編どーぞ


 

 

 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「ついにココに書くネタが無くなったんですけど」

 

ナガン

「知らん」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「さて、今日紹介するゲストはこちら」

 

Vector

「今日のゲストはあたし......失望した?」

 

ナガン

「そんなダウナーにならんでも良いじゃろ」

 

ガンスミス

「むしろ面白い銃だしドンと来い、って感じだね!」

 

Vector

「......そう」

 

ガンスミス

「んじゃま、性能諸元にレッツゴー!」

 

性能諸元

Vector サブマシンガン 星5

 

口径 9mm 40 45

 

使用弾薬 .45ACP弾

9mmパラベラム弾

10mmオート弾

 

装弾数 13/17/30発(.45ACP弾)

 

採用 タイ陸軍他

 

ナガン

「なにやらやたら種類があるようじゃが......」

 

ガンスミス

「つまりいろんなバリエーションがあるってこと。それも後々解説するから」

 

Vector

「あたしのが使っているものは45口径モデル」

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「時は2000年代、アメリカ軍内で、9mmパラベラムが威力不足なのではないか、という不安が生じ始めていた。

例えばそう、MP5だな」

 

Vector

「そこで、強力な.45ACP弾を用いたサブマシンガンの開発計画が持ち上がったの」

 

.45ACP弾......M1911で使用されていた弾丸、詳しくは第一回を参照。

 

ナガン

「じゃが、45口径ともなると威力は大きいが反動も大きいじゃろう。難航したのではないか?」

 

ガンスミス

「もっともな意見だ。トンプソンやイングラムM10なんかも同じ.45ACP弾を使用したが、反動の問題は付いて回った。

トンプソンは銃の重さで反動を打ち消し、イングラムは発射速度でカバーしたが、サブマシンガンを主に使うだろう特殊部隊向け、とは言い難い」

 

ナガン

「重くてかさばるものは潜入には不向き、そして発射速度が高いということは無駄弾を撃つということ......なるほどのう」

 

Vector

「反動を抑え、コンパクトに。それを目標として、クリスUSA社とピカティニー造兵廠の共同の元、開発が始まった......出身なんてどうでもいいんだけど。銃は撃てればそれで良いの」

 

 

Vectorってどんな銃?

 

ガンスミス

「最大の特徴は反動抑制システム『クリス スーパーⅤ』だな。

反動の力の向きを変えて分散。発砲するときに肩にかかる軸方向の反動をいくつかの抑制機構によって抑え込んでるんだ」

 

ナガン

「ほう、仕組みはどんなのじゃ?」

 

ガンスミス

「お前ら専門用語の嵐を英語で聞きたいか?」

 

ナガン

「......おえ、のーせんきゅーじゃ」

 

Vector

「興味ない」

 

専門用語の嵐を英語で......英語サイトで詳しく解説してあるんだけど、読めないのでギブアップ。

ウィキにも書いてあったけどイマイチ理解できなかったのでご容赦を。

 

ガンスミス

「他にもピカティニーレールを採用してあるからアタッチメントの取り付けも容易にできたし、セレクターも使いやすい......らしいんだけど」

 

ナガン

「だけど?」

 

ガンスミス

「その特殊機構でボルトとか引き金周りはめちゃめちゃに複雑で整備面倒だし、銃口が上に向くのを抑制できたは良いけど、それが肩周りに跳ね返ってくるから試射の時青あざ出来たしあとセレクター周りが他の銃に比べるとややこしい」

 

Vector

「心の声出てるわよ」

 

(注、ネットの意見です。モデルガン持ってないので、作者にはどうにもわかりませぬ)

 

セレクター......安全装置兼セミオート/フルオート切り替え装置。主にアサルトライフルやサブマシンガンなんかに付いている。

作動方式も千差万別。

 

Vector

「他にもグロックのマガジンをそのまま使えるけど、逆にマガジン交換もしにくいらしいの。あたしは感じたことはないけれど」

 

ナガン

「資料によれば民間用としてはそれなりに出回っとるらしい。だから口径の異なるバリエーションが多数あるようじゃな」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「総評すれば失敗作とも取れるこの銃、しかしその試みは褒められて然るべきでしょう。

そのSFチックな見た目もロマンを掻き立てます。光も闇も備えるこの銃、ぜひ一度目を向けてみてはいかがだってでしょうか」

 

ナガン

「最後の方悪口しか言っておらんがの」

 

ガンスミス

「それは......その、スマン」

 

Vector

「良いよ別に......気にしてないから......気にして......ないから......」

 

ガンスミス

「めっっちゃ気にしてるよねほんとゴメンいくらでも謝るからあわわわ」

 

ナガン

「......お主よ、そう悲観するでない。お主のおかげで助かった、という仲間もおるんじゃ。銃は確かにこの男の言うように良き銃とは言い難いかも知れぬが、お主が否定されたわけではないのだ。元気を出せ」

 

Vector

「......ありがと、優しいのね」

 

ナガン

「ま、最古参じゃからのう。後輩を教え導くのも役目の一つじゃ」

 

Vector

「......まあ、気晴らしにはなったわ」

 

ガンスミス

「えっと、その」

 

Vector

「気にしないで、それが仕事なんだから」

 

ガンスミス

「......次は気をつけるよ」

 

Vector

「そう」

 

ナガン

「では、最後の挨拶頼めるかのう?」

 

Vector

「今日は良い機会をもらえて嬉しかったわ。

さて指揮官の皆さん、戦場生活を楽しんで」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

モシン・ナガン

『今日の出撃でVectorがいつもの倍は敵をグレネードで燃やしまくってたけどなんかあった?』

 

ナガン

「だそうじゃが?」

 

ガンスミス

「根に持ってる......超根に持ってる......!」

 

(このあと特に何も無かったそうです)

 

 

 



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第14回 DP28/RP-46

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ガンスミス

「その前にひとつお断り。

リクエストでRP-46を紹介してほしい、とのお便りが届いたのですが、どうやらドルフロ未実装、なようでして。調べてみたところDP28の改良版に当たるみたいで、そちらの紹介をしていたいと思います。

未実装に限らず紹介していこうとは思うんですけど、別コーナーでまとめたい構想があるんで......

後々になりますが、未実装銃もどんと来い、って感じですね!」

 

ナガン

「まあ、資料が無いと紹介は厳しいがのう。IDWとか」

 

IDW

「理不尽にゃーっ!」

 

IDW......イギリス製サブマシンガン。そして基地のマスコットで実質猫。

作者の最推し、そろそろ誓約したい。

 

 

 

 

 

ガンスミス

「今日のゲストはこちら。つっても、顔見知りというかな」

 

DP28

「あら、嬉しい事言ってくれるじゃない」

 

ナガン

「久しぶりじゃのう。教練の方は順調だと聞いておるが」

 

DP28

「そうね、最近の子は少し虐めても骨があるから好きだわ」

 

ガンスミス

「さらっと虐めって言わなかった?」

 

DP28

「戦場じゃ敵は待ってくれないの。多少の理不尽も慣れておかないと」

 

ナガン

「旧式呼ばわりされただけじゃろうに」

 

DP28

「......」

 

ガンスミス

「そっ、それでは性能諸元どーぞ!」

 

性能諸元 DP28 マシンガン 星2

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 7.62×54mmR弾

 

装弾数 47発

 

採用 ソビエト連邦

 

 

ガンスミス

「いわゆる軽機関銃......M1918と同じ分類かな。あちらに比べると重いかもだけど」

 

ナガン

「ちなみにRP-46はこれをベルト給弾式に改造したもので、基本構造にそう変化は無いようじゃの」

 

DP28

「名前のDPとはデグチャレフ型歩兵用火器の頭文字よ。また後で詳しく解説するから安心して、でしょう、坊や?」

 

ガンスミス

「その呼び方は心臓に悪い......」

 

DP28

「あらあら」

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「ソビエト連邦国産軽機関銃の開発が始まったのは、1920年代、ロシア革命も終わったばかりの頃だった。

第一次世界大戦で存在感を示した軽機関銃を導入した、又はしようとした国は多い。ソ連も例に漏れず、まずは帝政時代の旧式のものをかき集めたんだけども」

 

ナガン

「ほとんどが旧式、その上交換部品も欠けているから運用は難しい。そんなわけで、国産軽機関銃の開発が始まったというわけじゃ」

 

DP28

「そして1928年、ヴァリシ・A・デグチャレフ技師がDP28を開発、実用化したの」

 

ヴァリシ・A・デグチャレフ......我らが祖国の銃器設計者。機関銃や短機関銃、対戦車ライフルを設計開発した。

代表作にPTRD1941対戦車ライフルなど。

 

 

DP28ってどんな銃?

 

 

ガンスミス

「特徴は部品点数の少なさだな。可動部品は6個しかなく、重要部分はしっかり独立してるから壊れた場合も交換がしやすい」

 

ナガン

「欠点もある。銃を支える二脚部分は構造上弱かったようじゃし、一部の部品が熱の影響を受けやすく、長い時間連射すると作動不良を引き起こす。実戦では連射ではなく、3〜6発のバースト射撃を心がけるようにとの訓示があったようじゃのう」

 

DP28

「一番目立つのはこの大きな円盤型の弾倉ね。弾薬の都合上、近代のような真っ直ぐなマガジンが作れなかったの。だから必然的にこの形になってしまったの」

 

ガンスミス

「これがイマイチ不評だったみたいだな。大きいから予備を持つのに苦労したようだし、衝撃にも弱かったみたいだな」

 

ナガン

「故に、改良型のRP-46ではこのような形をとらず、ベルト給弾式に変更したのじゃ」

 

ベルト給弾式......マシンガンに主にみられる給弾システム。金具などで弾薬を100〜300発つなぎ合わせ、弾倉の代わりとしたもの。

現代でも多く使われる方式。

 

 

戦歴あれこれ

 

ガンスミス

「初戦はスペイン内戦、そして一番活躍したのは独ソ戦だ。1945年までには、モシン・ナガン、PPSh-41に次いで三番目に配備されていた、といえば広まりが伝わるかな」

 

スペイン内戦......1936〜39年に起きたスペイン内部での戦争。

ソ連や連合国が支援する共和国政府側とナチス・ドイツの支援する国民戦線軍が戦い、国民戦線側が勝利した。

第二次世界大戦の前哨戦とも取れる。

 

独ソ戦......1941〜45年に起きたドイツなどの枢軸国とソビエト連邦の間の戦争、大祖国戦争ともいう。

スターリングラードの戦いなどが有名。

ソ連の遅滞戦術、焦土作戦などによりドイツ軍は疲弊し、最終的にはソ連側が勝利に終わる。

ナガン

「うむ。そして新しい軽機関銃の開発などにより、弾薬ベルト給弾式RP-46に改造されたりなど改良は続けられたが、1961年には後進のPK汎用機関銃に道を譲り引退したのじゃ」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「軽機関銃の黎明期に開発されたこの銃。

構造の単純さからくる信頼性により、40年以上ソビエトで使われ続けてきました。もしかすると、ソ連をを影から支え続けて来た立役者なのかもしれないね」

 

ナガン

「改良されつつけたというのは愛されておる証拠、じゃからな」

 

DP28

「ふふ、そういってもらえると嬉しいわ」

 

ナガン

「老兵なれども腕は確かなのはわしが保障しよう。隊長として背中を預けてきたわしが言うんじゃからな」

 

DP28

「そう言われると照れてしまうわ」

 

ガンスミス

「お二人は知り合いかい? えらく親しげだけど」

 

ナガン

「元は同じ部隊でな、今こそは解散してしまったが、もう一度あの部隊で戦場に出てみたいものじゃ」

 

DP28

「ナガンの指揮下でもう一度戦ってみたいわね。あの痺れるような戦術は、今じゃあまり見られないから」

 

ナガン

「わしも暇じゃし、たまには運動するのもいいのう。この後暇か?」

 

DP28

「教えてる子達が模擬演習をするけど、どう?」

 

ナガン

「良きかな良きかな。せっかくだしあやつも呼ぶか」

 

DP28

「ナガン小隊再結成ね、腕がなるわ、ふふ」

 

ガンスミス

「あのー?」

 

DP28

「あらごめんなさい坊や。寂しかったわよね?」

 

ガンスミス

「そろそろ時間なんで、締めて貰えると」

 

DP28

「それは、ごめんなさいね。あまり話す機会もないものだからつい。お互い忙しくって。

 

では、指揮官の皆様、御機嫌よう」

 

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「あのAR小隊が手玉に取られるって......」

←演習観戦中

 

モシン・ナガン

「同士って戦場だとえげつないよ?」

←同じく観戦中

 

ガンスミス

「人は見かけによらねえな......」

 

モシン・ナガン

「そもそも人じゃないけどね。いやー、酒がうまい!」

 

DP28

「避けないとやられちゃうわよ〜」

 

SOPMODⅡ

「悪口言ってごめんなさああああああああああああああい!!!」

←今回の原因

 





ナガン小隊......ナガンが昔組んでいた小隊の通称。
メンバーにナガン、DP28、他に2名。


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第15回 9A-91

資料が少なくて苦労しました......


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくコーナーです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はうぃきを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「ところでタチャンカってのにやたら言及されたんだけど、知ってる?」

 

ナガン

「おう、よく知っておるぞ。なんなら歌ってやろうではないか」

 

ガンスミス

(......歌がアイドルでダンス?)

 

タチャンカ...... 2から4頭立ての荷馬車または無蓋馬車の後部に、重機関銃を後ろ向きに取りつけた兵器の愛称。

名前の由来は諸説あるが、ロシア語で「手押し車」を意味するタチカ(та́чка、tachka)に親しみを込めた表現をつけた説が有力らしい。

 

又は、上記の兵器の活躍を歌う軍歌。

 

又は、レインボーシックスシージのアイドル(?)

 

 

ガンスミス

「これで大方リクエストには答えたかなぁ」

 

ナガン

「メタな話をすると、どうにも持っていないキャラは扱いにくいからのう」

 

ガンスミス

「G36とかCZ-805はキツイんだよね......ウィキにもセリフないし。声聞かないとイメージ湧かないし」

 

ナガン

「というわけで、着任状況によっては紹介は先になるかもしれぬ。そこのところご理解願いたいのう」

 

ガンスミス

「んじゃま、紹介の方に行きましょう」

 

ナガン

「入っても良いぞー」

 

9A-91

「9A-91と言います、よろしくお願いしますね」

 

ナガン

「うむ、よろしく頼むのじゃ」

 

ガンスミス

「そんじゃ早速性能諸元に参りましょう」

 

9A-91 アサルトライフル 星4

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9×39mm

 

装弾数 20発

 

採用 ロシア連邦他

 

 

ナガン

「ライフルで9mmとは珍しいのう。普通は7mm、5mmじゃろうて」

 

ガンスミス

「そこら辺特殊なのよね」

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「この銃は専用弾の9×39mm弾を普及させるために開発されたんだ。といっても、9×39mm弾を使う銃はこれだけじゃないけどな」

 

9A-91

「はい、As Valちゃんも同じ弾丸を使います」

 

ガンスミス

「要するに、弾丸の需要を生み出すために開発されたんだ銃なんだよね。結構珍しいタイプ」

 

ナガン

「なるほどのう、少数生産ではG11の二の舞か」

 

ガンスミス

「ワンマガジン5万円の恐怖よ......」

 

9A-91

「?」

 

ワンマガジン5万円......G11の回を参照。

 

 

9×39mm弾とはなんぞや?

 

ガンスミス

「一言で言うなら、消音効果をありったけ高めるために弾丸だな。

ウェルロッドMk.Ⅱの回で少し触れたかもだけど、基本的に弾丸は音より速い。一般的な9mmパラベラムでもな音速を超える。

そして音速を超えると、物体というのは衝撃波、ソニックブームを発するんだ」

 

ナガン

「それが音に繋がる、というわけじゃな。かといって小さな弾丸にすれば、威力はガタ落ちじゃ」

 

9A-91

「そのために開発されたのがこの9×39mm弾なんです!」

 

ガンスミス

「その通り。弾頭自体を大きくすれば、押し出すエネルギーも大きくなり、自然速度は落ちる。そして大口径であればある程度は威力が期待できる、て寸法だ」

 

9A-91

「そのために開発されたのがAs Valちゃんなんですよ」

 

 

9A-91ってどんな銃?

 

ガンスミス

「内部構造は堅実そのもの、ベースは名銃AK47のものを踏襲し、完成度は高い」

 

9A-91

「他にも、コンパクトなのがウリなんです。

ストックを折りたたんで、サプレッサーを外せば......ほら」

 

ナガン

「なんと、サブマシンガンと同じくらいではないか!」

 

ガンスミス

「最小で30センチ強、このコンパクトさがこの銃の特徴のひとつでもある。便宜上はアサルトライフルに分類されるが、正式にはアサルトカービン......M4に近い。とはいえ、あちらはそこまでコンパクトじゃないがな」

 

9A-91

「他の口径のバリエーションもあるんです。主に輸出用、としてですね」

 

 

戦歴

 

ガンスミス

「弾丸の性質上、有効射程はそこまで長くない。だいたい400mくらいだっけな?」

 

9A-91

「そうですね。装甲兵相手だと100mくらいまで近づかないと......」

 

ナガン

「一般的な5.56mm弾の有効射程は倍はあるからのう。ひらけた戦場では不利じゃ」

 

ガンスミス

「特殊部隊向けだからかもしれないけど詳しいことはよくわからなかったな。

でも、特殊部隊や市街地用、要人護衛などコンパクトさを有利にできる場所で活躍すると思う」

 

9A-91

「私の活躍、もっと知ってほしいです!」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「弾丸普及のために生み出された特殊なこの銃。表舞台に立つことは少なくとも、その堅実な設計と小回りのきくコンパクトさを武器にロシアのどこかで活躍してるかもね?」

 

ナガン

「夜戦の時はその小回りさを生かして、さながら鬼神のような活躍を見せてくれるしのう。頼りになる仲間じゃ」

 

9A-91

「私を見てくれたんですか?」

 

ナガン

「ん? まあそうじゃ、背中を預けられたからには、しっかりと守らねばならん。

それがわしの役目じゃ。無論、仲間を褒めることもな」

 

9A-91

「嬉しいです!」

 

ガンスミス

「じゃ、ばっちし締めてくれるかい」

 

9A-91

「はい、指揮官。私の活躍、もっともっと見ててくださいね。私、頑張りますから!」

 

 

 

 

あとがたり

 

指揮官

「ガンスミスさんいるー? 話があるんだけど」

 

9A-91

「指揮官!」

 

指揮官

「わっぷ、どうしたの?」

 

9A-91

「えへへ、私頑張りました! 見ていてくれましたか?」

 

指揮官

「ちゃーんと聞いてたよ、よしよし」

 

9A-A1

「エヘヘヘヘ」

 

ナガン

「......お主、鼻の下を伸ばしてはおらんだろうな」

 

ガンスミス

「あそこまでやられちゃ、下心なんて持てるかよ。なんつーか、近所に住んでる年下の姉妹を見てる気分だな」

 

ナガン

「さしずめお主はそれを見守るお兄さんか?」

 

ガンスミス

「ま、そうじゃねーの?」

 

指揮官

「おにーちゃん!」

 

ガンスミス

「......カリーナに仕事サボってるって言いつけてやろうか」

 

指揮官

「ひどい!」

 

 




???
「新しい職場は、ここかぁ......?」


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第16回 ネゲヴ

とある人が自分の作品のパロディ書いてくれました。
完成度高いので見てくれるといいかも!


グリフィンの戦術人形はキワモノか!?
この小説内に限りそう思います。


 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「......前回のコメントはどう返したものか」

 

前回のコメント......9A-A1が[自主規制]とのコメントが多数寄せられました。

 

ナガン

「放置でいいじゃろ。人間の欲望というものはかくもねじ曲がるものであるな」

 

ガンスミス

「他基地の指揮官から送られてきたものもしばしばあるんですがそれは」

 

ナガン

「グリフィンは変態の巣窟じゃったか」

 

ガンスミス

「十把一絡げに語らないでくれます? 俺はマトモだから」

 

ナガン

「ええー、ほんとにござるかぁ?」

 

ガンスミス

「なんだその取ってつけたようなござる口調は!」

 

 

 

 

ガンスミス

「さて、今回のゲストは」

 

ネゲヴ

「専門家たる私が居るからには安心だよね!」

 

ナガン

「というわけで、ネゲヴを紹介していくのじゃ」

 

ガンスミス

「それでは性能諸元へどうぞ」

 

 

ネゲヴ マシンガン 星5

 

口径 5.56mm

 

使用弾薬 5.56×45mmNATO弾

 

装弾数 35/150発 (箱型/ベルト式弾倉)

 

採用 イスラエル軍他

 

ネゲヴ

 

「私の名前の由来になった『ネゲヴ砂漠』は古ヘブライ語で『南』という意味だ。砂漠が南にあるからな」

 

ガンスミス

「へー、詳しいな」

 

ネゲヴ

「当然だ、私はスペシャリストだからな!」

 

 

開発経緯

 

 

ガンスミス

「ネゲヴ開発以前のイスラエル軍は、ベルギー製のFN MAGを使用していた。と、この銃は確かM1918の回で少し触れたな」

 

ネゲヴ

「世界中に配備されていた傑作軽機関銃だったか?」

 

ガンスミス

「そうだな。だが、歩兵の武装としては少し重く、反動もキツかった。いくら銃が優れていようと、それを扱うのはあくまで人間だった。現場の負担を軽減するため、イスラエルは新しい軽機関銃の開発に取り組んだ」

 

ナガン

「じゃが、同時期にMAGの改良型であるなミニミ軽機関銃も開発されておる。言うまでもなく傑作だったからのう、高い壁を乗り越える必要が出来てしまった」

 

ネゲヴ

「だが、それを乗り越えた。1993年に試作型を、そして1995〜6年ごろに改良を重ね、ミニミより優れているとの評価されイスラエル軍に採用されたのだ!」

 

 

 

ネゲヴってどんな銃?

 

ガンスミス

「実はとてつもなくオリジナルティがあるわけでもないんだなこれが。機関部などの基礎部分はMAGやミニミを参考にできてる。だけどそれを上回る評価を受けたのは、現地に合わせた改良があるからだろうな」

 

ネゲヴ

「使用する弾薬は同じ5.56×45mmNATO弾。だが、通常のベルト式に限らず、ガリルやM16系列のマガジンも使用できるのだ!」

 

ガリル......イスラエルで開発されたアサルトライフル。AK47をモデルとした高い耐久性と、気配りの効いた謎機能が特徴。そのうち紹介したい。

 

 

ガンスミス

「マガジンが他のライフルに見られるように下から差すのも地味にポイントが高い。ミニミは斜め下から差す。最初や切羽詰まった時のとっさの行動が生死を分ける時だってあるからな」

 

ナガン

「とにかく兵士目線に考えられた銃ということじゃな」

 

ガンスミス

「他にも、ガリルとの共用パーツが多いのも特徴だ。これはそのまま生産性に繋がり、なおかつコストも抑えられる」

 

ネゲヴ

「他にも、7.62×51mmNATO弾仕様のものもあるのだ。他にも多様な装備品に対応するピカティニーレールを搭載しているのだ、凄いだろう!」

 

ガンスミス

「俺的には、異物を取り除きやすい機関部も良い点だと思う。砂漠に囲まれたイスラエルならではの設計だ」

 

 

戦歴

 

ガンスミス

「戦歴としてはレバノン侵攻、ガザ紛争が挙げられる。......説明は資料が多すぎてどうしようもねーなこりゃ」

 

ナガン

「そもそも戦争を一言で説明できるわけがなかろう。各国の思惑、偶然、その他にも色々な出来事があっての、戦争なのじゃ」

 

ネゲヴ

「だが、我々のやるべきことは目の前の敵を倒すことでしかないのだ!」

 

ガンスミス

「まーね、戦争するのはあくまで人間だからなぁ。まったく、いつになったら終わるのかねぇ」

 

いつになったら......サービスが終わっても、人が忘れない限り。

ずっと、ずっと、物語は続くのだ。

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「豊富な実勢経験と必要性によって開発されたこの銃。無骨ではあるが、実用性を突き詰めたからこその美しさもまた素晴らしいものだと思いませんか?」

 

ネゲヴ

「当然だ。私は模擬戦で2000回でスペシャルだからな!」

 

ナガン

「何を言っておるのかさっぱりわからんぞ......」

 

ガリル

「おーい、ネゲヴおるかー?」

 

ネゲヴ

「ガリルか、どうした?」

 

ガリル

「緊急任務やてー、ほんまもう疲れるわー。日をまたぐから、準備もやっといてや」

 

ネゲヴ

「了解した......では、これで」

 

ガンスミス

「大変だねぇ、現役部隊は」

 

ガリル

「ウチの隊長、迷惑かけんかった?」

 

ナガン

「行儀は良かったぞ。少し変わった言動ではあるがのう」

 

ガリル

「ウチの隊長、感情表現にバグがあるらしくて......勉強中なんや、粗相は許してや」

 

ガンスミス

「成る程......ソフトの問題なら直せる当てがあるけど、どうする?」

 

ガリル

「ホンマか!?」

 

ネゲヴ

「任務前に長話はどうかと思うが?」

 

ガリル

「おわっ、おったんなら言うてくれや......ほんじゃ、またな?」

 

 

 

あとがたり

 

 

ガンスミス

「感情表現にバグか、そうは見えんかったけどな」

 

ナガン

「うまく取り繕っておったからな。一見しては分からん。ただまあ、よく見るフォーマットを多用していた」

 

ガンスミス

「まじかよ......」

 

ナガン

「あくまでわしらは人形。感情はイミテーションにすぎん」

 

ガンスミス

「......さて、どうだかな。心を込めて作られたものには魂が宿る。そうでなくとも、俺はそう思って整備はしてるぜ? もしかすれば、な」

 

ナガン

「オカルトは好かん......が、そう言ってもらえると嬉しいのう」

 

 

 

 



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番外回 教えて、ナガン先生!

今回銃の紹介は一切ありません。
活字の山が続きます、OK?

覚悟して呼んでください。あと疲れすぎて推敲一切してません。

この回は作者の思い込みとウィキペデアでできています。
間違いあるなら主に作者のせい。


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

 

「「銃器紹介、番外編!」」

 

ガンスミス

「教えて」

 

ナガン

「ナガン先生! のコーナーなのじゃ」

 

ガンスミス

「今回は趣向を変えて、銃ではなく歴史......その中でも、とりわけ銃に深く関わる戦争を解説します」

 

ナガン

「とはいえ、戦争とは多数の思惑と偶然が絡みあるモノ。一から十まで説明するのは難しい。というわけで今回はズバリ、主な戦争の年表を知って欲しいのじゃ。

 

あの戦争はいつからだっけ、どこが参戦してたんだっけ、と今までの話を読んで首を傾げたものをおるじゃろう。そのようなものをお助けする回、なのじゃ」

 

ガンスミス

「今までに言及されたものを中心に解説していきましょう」

 

 

 

〜20世紀

 

ガンスミス

「まずは20世紀までの銃の活躍した戦争、戦いを主に解説していく。といっても、ここまでの銃は先込め式、要するに火縄銃のように、火薬と丸い鉛玉を別に詰めるやり方が主流だった」

 

ナガン

「有名なのは1575年、日本で行われた長篠の戦いじゃのう。

ここで織田軍は3000丁の火縄銃を用いた。これは、世界的に見ても始めて集団的に銃を活用した戦いなのじゃ」

 

ガンスミス

「3000丁はどうにも正確じゃないらしい。 1000とか1500とか資料によっちゃバラバラなんだ、でも、多数用いられたのに変わりはない」

 

ナガン

「次は1775年〜83年、アメリカ独立戦争。

ここではフリントロック式ライフルが活躍したのじゃ」

 

フリントロック......別称すい石式とも。引き金と連動したすい石が火花を散らし、それで火薬に点火、発射する。

 

ガンスミス

「まだまだ、現代のような銃の形ができるのは先の話なんだよね」

 

ナガン

「そして現在のように金属薬莢を用いる銃が歴史の舞台に立つのは、1861〜65年。

アメリカ南北戦争の頃。

ここではレバーアクション式のスペンサー銃が活躍していたそうじゃのう」

 

レバーアクション式......銃の機関部下に付けられたレバーを下に引き、まだ戻すことで薬莢を排出、次弾装填をするシステム。

カウボーイが使うライフルをイメージしてもらうと近い。

 

ガンスミス

「だいぶらしくなって来た、と思うけれど、この頃はまだ前装式......つまり、独立戦争ごろの銃がまだ主流だったと考えられる。そりゃ多少は進化はしてるけどな」

 

ナガン

「そして1895年、アメリカ=スペイン戦争。

ここでアメリカ軍はボルトアクションライフル、M1892を用いた」

 

ガンスミス

「M1892はボルトアクションライフル、先述のレバーアクション式より命中精度が高く、威力も高い。

だけど欠点として1発づつ装填する必要があり、後続にあっさり道を譲り渡したんだよね」

 

ナガン

「ちなみに、その後続がスプリングフィールドM1903なのじゃ」

 

ガンスミス

「他にも、この戦いはSAAがM1911に更新されるキッカケになっていたりも。これはM1911でも説明したな」

 

ナガン

「あと、1895年はわしが正式採用された年でもあるんじゃ!」

 

 

 

 

20世紀

 

 

ナガン

「2つの世界対戦を始め、ここからは戦争で銃が活躍するようになっていくのじゃ。

まずは1904〜05年、日露(日本=ロシア)戦争じゃな」

 

ガンスミス

「日本とロシア、2つの国が中国あたりでしのぎを散らしたんだよね。

日本軍で使われていたのは三十年式小銃。これは第二次世界大戦では三八式に改良され、長らく戦場を駆けることになる。

ロシア軍で使われていたのは、紹介もしたモシン・ナガン。こちらも第二次世界大戦で一線で戦い続けた銃でもあるんだよね。

銃だけ見れば、世界大戦の前哨戦だったのかも」

 

ナガン

「有名な戦いは『203高地』や『旅順』を巡るものじゃろう。ロシア軍の堅固な要塞と機関銃陣地の前に、日本軍は死体の山を作ったのじゃ」

 

ガンスミス

「日本軍の銃剣突撃神話はここから始まってるんじゃないかな......」

 

ナガン

「結果としては、大方の予想を裏切り日本が勝利を収めたのじゃ。しかし半ば痛み分け、賠償金をロシアからせしめることができなかった日本は大量の戦費を負債として抱え込み、後々苦むこととなってしまうのじゃ」

 

ガンスミス

「同じくロシアもダメージは大きかった。その影響で革命が起き、ロシア帝国は倒される事になる。これがかの有名なロシア革命」

 

ナガン

「他にも有名なのは、艦隊決戦の『日本海海戦』じゃのう。」

 

ガンスミス

「皇国の荒廃この一戦にあり、各員奮励努力せよ! ってな」

 

ナガン

「坂の上の雲を読むと大体は理解できるのじゃ。もし詳しく知りたいのなら、そちらを読むことをオススメするのう」

 

ガンスミス

「で、次は?」

 

ナガン

「急かすでない。

次は1914〜18年の第一次世界大戦じゃ。

ヨーロッパ諸国を戦場にした、文字通り世界中を巻き込んだ大戦争なのじゃ。

7000万もの軍人が動員され、戦闘員900万、民間人700万以上もの死者を出した。

そして多くの国が消え、新しい国が生まれたのじゃ」

 

ガンスミス

「主な参戦国を上げていこう。

連合国側は、フランス、イギリス、ロシア、セルビア、ベルギー、日本、アメリカ、中国など。

中央同盟側はドイツ、オーストリア=ハンガリー(当時はひとつの国だった)、オスマン帝国(現在のトルコ)など。他にも多くの国が参戦している」

 

ナガン

「始まりはサラエボ事件。セルビアの青年がオーストリア=ハンガリー帝国の皇太子を暗殺。

これを機にセルビアとオーストリアの仲は険悪に。そしてそのままオーストリア側が宣戦を布告し、戦争の幕が上がったのじゃ。

 

セルビアの背後にはロシアが、

オーストリアの背後にはドイツがそれぞれおった。

そしてそのまま流れ込むようにこの2国も参加、さらに同盟を組んでおった数々の国がドミノ式に参戦を表明し......あの通りじゃ」

 

ガンスミス

「西部戦線と東部戦線、主な戦場はこのふたつ。

塹壕戦は1m塹壕を掘りすすめるのに何百人と死者を出し、さらに戦場をこう着させた。

塹壕のような狭い部分ではライフルは使いにくいと、サブマシンガンの発達が進む。

他にも偵察用の飛行機、陣地攻撃用の大砲、塹壕を乗り越えるための戦車。

毒ガスなんかも使われた。

当時の戦場は、兵士の手記や記録映像を見るだけでも悲惨さが伝わってくるよ......」

 

ナガン

「使用された武器は数えきれん。

主なものを挙げるとすれば、

 

イギリス、リー・エンフィールド。

ドイツ、Gew98。

アメリカ、スプリングフィールド。

ロシア、モシン・ナガン。

他にもBARやC96、M1911、当然M1895ナガンも使れておる」

 

数えきれん......無理、しんどい。

 

ガンスミス

「結果として連合国側の勝利に終わる。

戦争を描く資料には『西部戦線異状なし』が有名だ、確か小説だけどな」

 

ナガン

「ちと古いが映画もある。しっかりと検証話されておるようで、まさに現実の戦場が目の前に浮かび上がってくるようじゃ......

作者は読んだことないがのう」

 

ガンスミス

「突然のメタ発言はNG」

 

ナガン

「さて次じゃ。

第一次世界大戦終結からたったの21年。

1939〜45年、もう一度世界大戦が始まったのじゃ。これを第二次世界大戦と呼ぶ。

一番有名なものと呼べるかもしれんな」

 

ガンスミス

「始まりはナチス・ドイツのポーランド侵攻。

とはいえ、ドイツがああなったのは第一次世界大戦の終戦処理が原因とも呼べるけど」

 

ナガン

「あっという間にヨーロッパは戦場へ。

そして1941年、真珠湾攻撃を始まりに日本はアメリカに宣戦を布告、太平洋戦争が始まるのじゃ」

 

ガンスミス

「参加国は、連合国側に、イギリス連邦諸国(カナダやオーストラリアなど)、フランス、ソビエト連邦、アメリカ、中華民国など。

枢軸国側にドイツ、日本、イタリア、ハンガリーなど。

第一次世界大戦に負けず劣らず多くの国が参加しているな」

 

ナガン

「国民全員を総動員する文字通りの総力戦、短期決戦で終わるはずだった戦争はどんどん泥沼化の様相を呈してくるのじゃ」

 

ガンスミス

「戦闘機や戦車の進化、戦術の進歩、技術革新、さまざまな要因の元さまざまな兵器が生まれ消えていった。

戦争は技術を普段の何倍も進歩させていく......悲しいことにね」

 

ナガン

「使用武器は数えきれん。いやマジで」

 

いやマジで......いやマジで勘弁して、死ぬ。

 

ガンスミス

「こちらも連合国側の勝利に終わる。

そして比較的ダメージの少なかったアメリカとソ連が突出して、世界の舵を切っていくことになる。俗に言われる冷戦だな」

 

ナガン

「資料は調べれば山のように、じゃ。

『硫黄島の手紙』なんかは最近のもので有名じゃのう」

 

ガンスミス

「さてお次は......と、戦争は続く。

流石にひとつひとつ書くと量が量なので纏めると、

『連合国植民地の独立戦争』

『アメリカとソ連の代理戦争』

のふたつに分けられるようになる」

 

ナガン

「前者はインドシナ独立戦争、ベトナム独立戦争など。後者には朝鮮戦争、ベトナム戦争などが上がるのう」

 

ガンスミス

「ベトナム戦争は、ベトナムの社会主義化を防ぎたいアメリカとそれがうっとおしいソ連、中国の対立。

アメリカはM14やM16、ソビエトはAK47などを投入した。

アメリカは反戦運動の活発化、戦争の泥沼化により撤退を余儀なくされ、ベトナム側が勝利を収めているんだよね」

 

ナガン

「これを描く作品で有名なのが『フルメタル・ジャケット』じゃ」

 

ガンスミス

「そんで1991年のソビエト崩壊まで対立は続いた。

そして現在は、宗教戦争、民族紛争......絶えず戦闘行為はどこかで続いている」

 

ナガン

「この間中東イスラエルは4度も周りの国々と戦争をしておる。これが俗に言う第一次〜四次中東戦争じゃ」

 

ガンスミス

「んじゃ、年表にわかりやすく整理してこうか。言及してないものが出るけど、ところどころ注釈は入れるから」

 

 

 

1904〜05年 日露戦争

 

1914〜18年 第一次世界大戦

 

1917年 ロシア革命、ロシア帝国からソ連へ

 

1936〜39年 スペイン内戦......ソ連や連合国が支援する共和国政府側とナチス・ドイツの支援する国民戦線軍が戦い、国民戦線側が勝利した。

 

1939〜45年 第二次世界大戦

 

1941〜45年 太平洋戦争

 

1948年 第一次中東戦争......イスラエルの建国にエジプト、シリアなどが反対、戦争。

イスラエル軍勝利、現在のイスラエルへ。

 

1950〜53年 朝鮮戦争......アメリカらが支援する大韓民国と、中国らが支援する北朝鮮が朝鮮戦争の覇権をめぐり争う。

現在停戦中。

 

1956 第二次中東戦争......スエズ運河国有化をめぐる戦争。

 

1960〜75年 ベトナム戦争(開始時期の諸説あり)

 

1967年 第三次中東戦争(6日間戦争)......アラブ諸国とイスラエルが戦う。別称通り6日間で決着がついた。

イスラエル側勝利。

 

1979〜89年 アフガニスタン紛争......アフガニスタン民主共和国に放棄した反乱軍に対し介入したソ連軍の一連の軍事行動。

ソ連軍は89年撤退。

 

1982年 フォークランド紛争......ポルトガルとイギリスにより、フォークランド諸島領有権をめぐる争い。

イギリス勝利。

 

1991年 湾岸戦争......イラクのクウェート侵攻をきっかけに、国際連合は軍の派遣を決定した。

多国籍(国連)軍勝利。

 

 

 

 

 

ナガン

「まあざっとこんなもんじゃろう。

資料としては不十分じゃが、名前と大雑把な内容ぐらいは知ることができたはずじゃ」

 

ガンスミス

「銃の歴史は戦争の歴史、活躍した場を知ることもまた面白さに繋がるんじゃないでしょうか」

 

ナガン

「それでは、また次回、なのじゃ」

 

ガンスミス

「それでは皆様、良きドルフロライフをお楽しみくださいませ!」

 

 

 

あとがたり

 

ナガン

「もう絶対やらんのじゃ」

 

ガンスミス

「資料集めるのクソしんどい」

 

 

 

 




もうやらない。


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第17回 WA2000




おや、ガンスミスの様子が......?





 

 

ガンスミス

「むーりぃー」(過労)

 

ナガン

「むーりぃー」(要修理)

 

過労&要修理......前回を参照、作者も疲れた。

 

WA2000

「あなたは人間なんだし先輩はボロいんだから早く休みなさいよ八時間労働守りなさいよ有給休暇活用しなさいよーっ!」

(布団準備、緊急修理連絡、看病用の料理作成、警戒網ローテーション再設定願いetc)

 

モシン・ナガン

「あ、WA2000、やほ」

 

WA2000

「何!」

 

モシン・ナガン

「手伝おっか、同士のピンチなんだし」

 

WA2000

「是非頼むわ! これ指揮官に!」

 

モシン・ナガン

「かしこまー」

 

WA2000

「あとは......これね。でもあの2人は動かせないわ。私がやるしかないわね......!」

 

???

「魔弾の射手よ、如何なる理由で生き急ぐ?」

 

WA2000

「ちょうどよかった、人手が足りないの。手伝って!」

 

 

 

 

 

 

 

「WA2000と」

 

「ウェルロッドMk.Ⅱの」

 

「「銃器解説コーナー!」」

 

 

WA2000

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説するものよ!」

 

ウェルロッドmk.Ⅱ

「我々は神に非ず。過ちを犯すものが、真に人間なのだ」

(間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください)

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしているわ。間違いがあったら随時受け付けるから!」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

WA2000

「あんたその口調どうにかなんないの!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「創造主が私にそうあれかしと定められた。故に、これこそが正しいあり方なのだ」

(どうにも言語機能にバグがあるらしくて、修理はラボの人レベルじゃないと)

 

WA2000

「ああもう通訳すればいいんでしょ通訳すればー!」

 

 

 

WA2000

「今回紹介するのは」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「魔弾の射手だ」

(WA2000ですね)

 

WA2000

「よろしく頼むわね!

ちなみに、いつもの2人はしばらく休みよ。あいつは過労、先輩はオーバーホールでしばらく本部、だから戻ってこれないの」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「何故私をその目で魅入ったのか。理由を聞かせ願いたい」

(あの、なぜ私を引っ張ってきたんです? 他に人もいたのに)

 

WA2000

「あんたはこのコーナーの経験者なんだし、何より同僚だから勝手がわかってるの。

ちょっと変だけど、あんたが論理的にものを考えるのは評価してるんだから」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「魔弾の射手......」

 

WA2000

「ああもうじれったいわね。これは同僚としての客観的な評価なの! 当然のことなんだから! ほら、さっさと性能諸元、行くわよ!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「黒き魔導図書館よ、私たちに力を!」

(確か黒いファイルにまとめてあったはず。

......と、ありましたよ)

 

 

性能諸元

 

口径 7.62mm他

 

使用弾薬 .300ウィンチェスターマグナム他

 

装弾数 6発(箱型弾倉)

 

採用 ー

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「運命に選ばれなかったモノ、か」

(採用されてはいない、ということは試作止まりですか)

 

WA2000

「それは後々説明するわ。段取り通り行きましょう」

 

 

開発経緯

 

WA2000

「開発は1970年代、とある事件の影響で、西ドイツ軍は高精度ライフルの必要性を痛感したの」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「書物によれば、六芒星の失墜を狙い黒き文月が悪魔の召喚を行ったとある」

 

WA2000

「1972年、西ドイツで行われたミュンヘン五輪の途中、イスラエル選手が拉致、死亡した通称ミュンヘンオリンピック事件の事ね。

西ドイツ側のずさんな対応が目立ったわ。

行われるはずだった狙撃作戦もずさんな結果に終わり、人質全員と警察官1名が死亡することになったの」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「痛ましい事件です」

 

WA2000

「それをきっかけに、西ドイツは対テロ部隊を組織、同時に、狙撃に失敗した教訓を生かし、新たに狙撃銃を開発することになったの。

事件狙撃にあたり使われたのはGr G3。アサルトライフルじゃ正確な狙撃はどだい無理があったのよ。ほんと、なんでそんなこともわからなかったのしかしら」

 

Gr G3......戦後開発された傑作アサルトライフル。同世代のM16、AK-47、FN FALと合わせて四大アサルトライフルとも言われる。

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「口を慎むべき、死者の愚弄は許されない」

(そんな言い方ないでしょう)

 

WA2000

「わかってるわよ。

そして、開発を命じられたワルサー社が私、ことWA2000を試作したわ」

 

ワルサー社......ドイツの銃器製造メーカー。現在は競技銃やエアガンなどの製造を行なっている。代表作にP38、PPKなど。

 

 

WA2000てどんな銃?

 

WA2000

「一言で言えば、高性能自動式狙撃銃よ」

ウェルロッドMk.Ⅱ

「言の葉は連ねれば伝わらないぞ」

(詳細をお願いします)

 

WA2000

「当時としては珍しかったブルパップ式を採用しているの。結果として、ボルトアクション式とほぼ同じ精度を誇りつつ、かつ連射が効くようになっているの」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「成る程」

 

WA2000

「他にも、銃身上に折りたたまれている二脚、標準装備されたスコープ、排熱しやすいように銃身に溝を掘って表面積を増やしてあるなど、至れり尽くせりよ。

狙撃銃は1mmの誤差が致命的になる。熱で銃身が温まると歪むから、それを最小限に抑えるためね。連射できる自動式ならではの工夫だと思うわ」

 

 

ウェルロッド「運命の輪から外れしモノ」

(でもなんで選ばれなかったの?)

 

WA2000

「べらぼうに高かったからよ」

 

べらぼうに......当時の値段にして7000ドル。日本円に直せば約210万。高すぎぃ!

 

ウェルロッド.Mk.Ⅱ

「......」

 

WA2000

「ブルパック式は複雑になりがち、さらに至れりつくせりということはそれだけ手間をかけているということ。

開発したはいいものの、高すぎたのよ。それで配備は二の足を踏むことになったわ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「そして天使は堕ち、魔弾の射手へと転身を遂げたのか」

(それで採用されなかったんですね)

 

WA2000

「でも資料を見る限りは、競合相手のPSG-1だって似たり寄ったりの性能なのよね。値段も同程度のはずなのに」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「かく異形の姿は万人には理解しがたいものであるだろう。いかに」

(デザインが奇抜ですし、受け入れられにくかったのではないでしょうか?)

 

WA2000

「今となっては真相は闇の中、どうしようもないわ。

WA2000が生産されたのは1985〜89年の4年間で、その間に作られたのはたった176丁。

今となっては、歴史に名を残すばかりね」

 

 

 

まとめ

 

WA2000

「性能こそ素晴らしかったものの、現実の前に飲み込まれてしまった銃、言うなればそんな感じね。

今回はイレギュラー放送だったけど、どうだったかしら」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「まるで黒鉄の魔術師の生写しのようであった、これは賞賛に値する」

(順調でしたよ、まるでいつものガンスミスさんのようでした、素晴らしかったです)

 

WA2000

「と、当然でしょ。仲間のピンチに駆けつけなくて何が戦術人形よ。別に善意なんてものはないわ、そう、義務、義務なんだから!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「......紅蓮の炎に焼かれたか?」

(顔が赤いですけど、大丈夫ですか?)

 

WA2000

「うるさいわね、これで終わりよ終わり!

指揮官、せいぜい頑張ってよね!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「闇に飲まれよ!」

(お疲れ様でしたー)

 

 

 

 

あとがたり

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「殺戮のみを生きがいとした死神が、新たな居場所を見つけたか。ここは、我々人形にとっての陽だまりなのかもしれないな」

(昔は尖ってたWA2000が、あんなに他人のために動くようになるなんて。随分といい基地みたいですね、ここは)

 

 

 

ガンスミス

「ノルマが......ノルマが終わってない......俺に銃を寄越せ......そこのブラシ取って......」

 

モシン・ナガン

「仕事中毒極まれり。人間てのは恐ろしいねぇ」

 



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第18回 416

題名はなるべくドルフロ原作準拠で参ります。


というか416小ネタ多すぎぃ!


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ガンスミス

「いやー、年かねぇ」

 

ナガン

「老いぼれにはキツイ仕事じゃった......WA2000とウェルロッドにはお礼を言っておかねばな」

 

ガンスミス

「菓子折りとか良いんじゃねの?」

 

ナガン

「ちと高級品じゃが......ほかに給料に使い道もないし、ええか」

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今回のゲストはこちら」

 

416

「HK416よ、ちゃんと覚えてね」

 

ナガン

「見ない顔じゃのう、新人か?」

 

416

「そんなところね」

 

ガンスミス

「それじゃ性能諸元参りましょう」

 

性能諸元

 

口径 5.56mm

 

使用弾薬 5.56×45mm NATO弾

 

装弾数 30発

 

採用 後述

 

ガンスミス

「採用がちょいと経緯ありなので後で。少々特異というか、訳ありなもんで」

 

ナガン

「ふむ、珍しい銃なのか」

 

ガンスミス

「そうでもないよ?」

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「この銃はアメリカ陸軍が、ドイツのH&K社にM4カービンの改修を依頼した結果生まれたもの。これはH&K社独自で行われてるんだ」

 

416

「M4カービンの『オプション装備に十分対応できない』『過酷な使用状況での信頼性に問題がある』との問題を主に改善したの。

M4カービンの素材にM16の設計が旧いから当然ね」

 

ガンスミス

「計画されていた新アサルトライフルまでの繋ぎとしてM4カービンと操作性が変わらないこの銃の開発は始まったんだけど、新アサルトライフル導入計画キャンセルやらなんやかんやありまして」

 

新アサルトライフル......XM8(未実装)の事。

 

ナガン

「......結局採用されなかったオチ?」

 

ガンスミス

「結局採用されなかったオチ。まあ、まとまった数は採用されなかっただけであって運用自体は世界中で行われてるよ」

 

 

HK416てどんな銃?

 

ガンスミス

「基本的にM4の欠点を改造したもの、と思ってくれれば良い。でも基本構造や大まかなシルエットはほとんど同じで、大掛かりな改修は行われてな」

 

416

「排莢システムが大掛かりに変化してるの。単純で壊れにくいけど、汚れに弱い方式から、現在では広く扱われている信頼性の高いものになっているの。他にはピカティニー・レールの標準装備、弾倉も強度の高いスチール製。全然違う」

 

ガンスミス

「ご、ご指摘どうも。

他にはマガジンを入れる部分や、排莢に関わるパーツが強化された。戦場で壊れやすい部分だったのかもな」

 

ナガン

「資料によれば、実射試験でも優秀な成績を収めたようじゃな。M4よりも優秀な成績を収めたようじゃな」

 

416

「当然ね、私は完璧だもの」

 

ガンスミス

「でも当のアメリカ陸軍に採用見送られてるけどな」

 

 

 

採用に関するエトセトラ

 

416

「どうして、私は完璧なはずなのに!」

 

ガンスミス

「声がでかいわ!」

 

ナガン

「銃は高性能、しかし......値段が高額、だったとかじゃなかろうか」

 

ガンスミス

「それも要因の一つだね。有り体に言えば何万と配備されてるM4全部を改修する予算はありませんでしたとさ。あと優秀だけど、M4全てを置き換えるほどか、と言われると」

 

ナガン

「他にも制作会社との軋轢とかありそうじゃのう。M4の制作会社は大手のコルトじゃし」

 

416

「またあいつか......!」

 

ガンスミス

「高額さ、M4カービン販売最大手のコルト社との確執。そして外国産という不利な立ち位置。様々な要因が重なって、HK416がアメリカ陸軍正式採用ライフルとなる夢は潰えた」

 

416

「......でも、各軍の特殊部隊では配備が多数ある。それだけ私がM16より優秀ということよ!」

 

ナガン

「立ち直り早いなお主。

......他にも、ノルウェーやドイツでは纏まった数が軍で運用されておるようじゃの」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「他にも7.62mm弾仕様のHK417があるとかバリエーションとか山の様にあるとか色々言いたいことはあるけどごめんね調べる時間なくて!」

 

416

「私がM16より優れている、それだけでいいの!」

 

ナガン

「えらく対抗意識が高いのう......」

 

ガンスミス

「あいつと対抗するという事は成る程、そういう事で良いのか」

 

416

「指揮官、このように私がM16より優れているのは確定的に明らかなんです。ですから、私をもっともっと戦わせてください! それでは」

 

 

 

 

あとがたり

 

ナガン

「なにやら道案内をしていたようじゃが、一体どうしたというのか?」

 

ガンスミス

「あの酒飲みM16A1と張り合うって事は酒豪なんだろ。暇そうだったし、春田のカクテル作りの相手になってもらおうと思ってバーに。俺はあんまり飲めないからさ」

 

ナガン

「成る程のう」

 

 

 

 

その頃Bar『Spring filled 』では。

 

416

「M16A1も、鉄血も、あといつも働かないG11も、私の邪魔をする奴はみんな消えてしまえばいいんだっ!」

 

モシン・ナガン

「一杯飲んだだけでこうなるとは、逸材だねなはははは」

 

スプリングフィールド

「備品壊さないでくださいよ、はぁ」

 

416

「もう一杯ちょうだい!

私があいつより強いということを証明してみせるわ! だからもっと、もっとぉ!」

 

 

M16A1

「......今日は辞めとくか」

 

 

 





そろそろオマージュされた件をやり返そうと思う。
だけど対策案が浮かばない......ヘルプミー


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第19回 トカレフ

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ナガン

「おぬし、いつもより動きが固うないか?」

 

ガンスミス

「筋肉痛」

 

筋肉痛......小話-2を参照、運動は計画的に。

 

 

 

ガンスミス

「さて、今日のゲストはこちら」

 

トカレフ

「あっ、よろしくお願いしますね」

 

ナガン

「というわけで、今日はトカレフを紹介するのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元どーん」

 

 

性能諸元

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 7.62×25mmトカレフ弾

 

装弾数 8発

 

採用 ソビエト連邦他

 

ナガン

「やはり9mm以外の拳銃を見るとどうにも違和感があるのう。わしもそれは言えんのじゃが」

 

ガンスミス

「9mmパラベラムが今のスタンダードだからねぇ」

 

 

開発経緯

 

トカレフ

「わたしの正式名称はТульский-Токарева(トゥルスキー・トカレヴァ )

1930/33と言います。通称のトカレフは設計者の名前なんです。こういうのは多いですよね」

 

ナガン

「うむ、わしやBARなどがあるのう。他にはトンプソンなんかもそう聞くが」

 

トカレフ

「ナガンさん、集中してください」

 

ガンスミス

「そんじゃ話を戻そう。時は1920年代ソビエト。

その頃はナガンM1895が正式採用拳銃だったわけなんだが、旧式なリボルバーな上にどうにも生産性が悪かった。そして外国からは新しい自動式拳銃も開発されてた」

 

ナガン

「M1911などじゃな」

 

トカレフ

「他にはモーゼルC96があります」

 

モーゼルC96......第一次大戦時、塹壕戦で猛威を振るった拳銃。射程が長く、ストックをつけてライフルのように使われることも。

 

ガンスミス

「第一次大戦、そしてロシア革命......軍事上いくつもの武器が流れ込んだんだけど、軍としては体裁を整えないことにはどうにもならない。そんなわけで1928年から、ソ連独自の自動式拳銃の開発が始まったわけ」

 

トカレフ

「そして1930年、トライアルを勝ち抜き、トカレフ(1930)が正式採用されました」

 

ガンスミス

「1933年には、さらに簡略化した1933年型が生産されるようになったわけだ。こちらの方が流通量が多い」

 

 

トカレフってどんな銃?

 

ガンスミス

「技術者目線で言わせてもらうと、とにかく簡単な銃だ。パーツは少なくし、噛み合わせは緩めに作ってある」

 

トカレフ

「その分寒さや汚れには強いです。国土の広く、寒いロシアにあった銃と言えるでしょうね」

 

ガンスミス

「最大の特徴はふたつ。

ひとつは7.62×25mmトカレフ弾という専用の弾。

もうひとつは、安全装置の省略だ」

 

ガンスミス

「......それはちと致命的ではないかのう」

 

トカレフ

「確かにそうでしょう。平時であれば暴発の危険が伴いますが、逆に安全装置を省くメリットもあります」

 

ナガン

「......もしや、構造の簡略化?」

 

ガンスミス

「正解だ。極力凍結や汚れによる作動不良を防ぐための、思い切った考えなわけだ。それに軍用なら訓練された軍人が扱う、暴発の危険も少ない」

 

トカレフ

「とはいえうっかり暴発させる人もいますけどね......私もこの前56-1式さんの頭をうっかり吹き飛ばしかけ」

 

ナガン

「あとで説教じゃ」

 

トカレフ

「あっ」

 

ガンスミス

「......他には専用弾だな。

7.62×25mmトカレフ弾の特徴は、ライフル弾のようにくびれがあることだ。興味のある人は是非画像を調べて欲しい」

 

画像を調べて欲しい......文字じゃ伝わりませんので。

 

トカレフ

「弾頭が軽いので少々射程は短めですが、装薬量の多さから弾速が速いんです。

鉛の使用量を抑えるため鉄芯を入れた弾丸は貫通力が高い、というイメージを持つ人も居たはずです」

 

ガンスミス

「コピー品も多く出回ってるが、グリップ部分に星型の刻みがあるのが純正品の証、とみてもいいかもしれない。共産圏らしいデザインだな」

 

 

運用アレコレ

 

ガンスミス

「このトカレフは、中国をはじめ共産主義国では広くライセンス生産や改良されたものが使われているな」

 

トカレフ

「51式や54式手槍(拳銃)ですね。他にもしっかり安全装置をつけたものや、9mmパラベラム弾仕様のものもあります」

 

ナガン

「資料によれば、日本にも密輸されておったようじゃのう。それゆえか発砲事件ではよく用いられてたそうじゃな」

 

トカレフ

「とはいえ、密輸品は品質も悪く、射手も素人です。トカレフをあまり優れた銃ではない、と思い込む人もいるでしょうが、そんなことはないんですよ、ね」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「ソビエトの厳しい大地によって育まれたトカレフ。その大雑把さは、実はこの土地で生き残るためには必要なものでした。

たまに変な悪評も立つが、それを苦にせず頑張ってる隠れた名銃でもあります。

 

......ナガンがトカレフに説教しにどっかへ行ってしまったので、これにて締めとさせていただきます。

それでは、良きドルフロライフを!」

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「中の人がFGOイベ周回で時間めっちゃ潰したという。遅れて申し訳ない」

 

FGOイベ周回......復刻ハロウィンイベのミッション終わらないんですもん。

 






そろそろハロウィンですね!
皆さま大型建造とスキンガチャの準備はよろしいか?


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第20回 マカロフ

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ガンスミス

「そういや最近本部から色々資料が届いたんだよね。ショットガンの整備指南書とか」

 

ナガン

「風の噂で聞いたが、散弾銃をもつ人形が開発されたらしいのう。それを聞く限り本当だったようじゃな」

 

ガンスミス

「また忙しくなるな」

 

ナガン

「その割りには楽しそうじゃのう」

 

ショットガン......散弾やスラッグ弾など、さまざまな弾丸を撃ち分けられる元は狩猟用銃。皆さま大型建造の準備はよろしいか?

 

 

 

ガンスミス

「さて、今回のゲストはこちら。前回と深い関わりを持つ銃だな」

 

マカロフ

「もぅ、待ちくたびれましたよう」

 

ナガン

「というわけで、今回はハンドガンのマカロフを紹介するのじゃ。それでは性能諸元に移ろうかのう」

 

 

性能諸元 マカロフ ハンドガン 星3

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9×18mmマカロフ弾

 

装弾数 8発

 

採用 ソビエト連邦他

 

ガンスミス

「よく見たら9mmパラベラムじゃねえ」

 

ナガン

「まあ、アレは西側の弾になってしもうておるでな」

 

西側......冷戦における資本主義陣営を指す言葉。反対に社会主義国は東側と呼ばれる。

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「マカロフ拳銃、頭文字をとってPM、という事もあるな」

 

マカロフ

「開発者の名前がマカロフさんだからマカロフなんですよ」

 

ナガン

「ロシアの銃は銃の名前に人名を当てることが多すぎじゃ」

 

マカロフ

「アメリカでやったら全部ブローニングさんになっちゃいますね」

 

ガンスミス

「話を戻そう。これは前回解説したトカレフの後継で、戦後1951年にソビエトにて採用された。要するにトカレフの欠点を改善した、とも言える」

 

マカロフ

「コンセプトはトカレフとは反対に、コンパクトで取り回しの良いモノになっていますぅ」

 

ナガン

「時代の流れというヤツじゃな」

 

ガンスミス

「その頃ソ連軍では拳銃は補助兵装、という見方が強まってたらしいからな。大型で嵩張るのは不要と見たんだろうさ」

 

 

マカロフってどんな銃?

 

ガンスミス

「身も蓋もない言い方するなら、ワルサーPPのパクリというか改良品というか。

デザインをはじめとする多くの部分を踏襲してるから、外見からして結構にてる」

 

ワルサーPP......ナチス・ドイツで開発された小型拳銃。バリエーションのひとつにPPKがある。

 

マカロフ

「使用弾薬は、ドイツがワルサーPPに向けて開発した9mmウルトラ弾(9×18mm)をソ連向けにアレンジしたものですね。のちに強装弾のマカロフPMM弾も開発されてますが、対応しないもので射撃すると壊れる危険があるので、要注意ですよ」

 

ガンスミス

「作動方式は単純で、なおかつ堅実。トカレフにはないセーフティもちゃんと付いてるんだよな」

 

マカロフ

「PPと比べて大きな変更点は、弾倉脱着スイッチでしょうか。これは生産性の向上のため本家本元とは違う位置にありますよ」

 

ナガン

「多少使いにくくはなったが、補助兵装としては困らない、か」

 

マカロフ

「そういう事です」

 

運用アレコレ

 

ナガン

「前回のトカレフと同じく、広く運用されとるようじゃのう」

 

マカロフ

「中国では弾薬の兼ね合いからあまり使われなかったようですね。サブマシンガンにトカレフの弾丸を使うものが広く使われていたらしいですから」

 

ナガン

「なるほど」

 

ガンスミス

「最近の日本では、警察が押収する拳銃ではマカロフが増えてきているらしいな。主にロシア製らしい」

 

ちなみに

 

マカロフ

「スライドを目一杯引くと、バレルとフレームの隙間が栓抜きに丁度いいらしいです?」

 

栓抜きにちょうどいい......マカロフ 栓抜き で画像検索すると出てくる。割と衝撃的だがしっくり来た。

 

ガンスミス

「モシン・ナガンには黙っとけよ?」

 

マカロフ

「?」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「この銃はコピー品の趣が強いからコメントしづらいな。とはいえ、コピー品をコピーとして見下すのも宜しくない。この銃みたいにならではの改良が施されているのが通例だ。その違いを楽しむのもまた一興かもな」

 

マカロフ

「ナガンさんが先輩だなんて知りませんでした〜」

 

ナガン

「別に敬う必要もない、ただ銃が古かっただけじゃからな。それにお主の方が性能的には良い」

 

マカロフ

「それでも、先輩は先輩ですから」

 

ナガン

「もう良い、さっさと締めてくれんか」

 

マカロフ

「ではー、指揮官の皆さま、良きドルフロライフをお楽しみくださいませ」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ナガン

「あやつは苦手じゃ......」

 

ガンスミス

「モフモフしてるもんな。あれどうやって手入れしてんだか」

 

 

 



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第21回 M14


最後がやりたかっただけ、反省はしてない。


 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ナガン

「ところで、お主はなぜ帽子を被っておるのだ?」

 

ガンスミス

「なんとなく軍曹ぽいから」

 

ナガン

「お主がハートマン軍曹を気取るにはちと覇気が足らんのう」

 

ガンスミス

「ま、まずは形からっていうし!」

 

ハートマン軍曹......映画『フルメタルジャケット』登場人物。演技指導に来た退役軍曹のはずが、あまりのハマりぶりに監督に見出され急遽出演が決まったとのこと。キツイいい回しのため、特に女性指揮官の方々は視聴に注意が必要。

 

“From now on, you will speak only when spoken to, and the first and last words out of your filthy sewers will be "Sir!"

 

 

 

 

 

ガンスミス

「今日のゲストはこちら」

 

M14

「待ってました、M14の出番ですね!」

 

ナガン

「というわけで今回のゲストはM14じゃ。では早速、性能諸元に入ろうかの」

 

 

性能諸元 M14 ライフル 星3

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 7.62×51mmNATO弾

 

装弾数 20発 (箱型マガジン)

 

採用 アメリカ軍他

 

 

ガンスミス

「いろんな意味で標準的というか、普通というか」

 

ナガン

「そこらへんも解説せねばなるまい」

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「第二次世界大戦も末期の1944年、軍部内でM1ガーランドの改良計画が持ち上がったんだ」

 

M14

「M1ガーランドも当時からすれば先進的ではあったんですが、色々な欠点もあり完璧とは言えなかったんです。そして、スプリングフィールド造兵廠に命令が下りました!」

 

スプリングフィールド造兵廠......主に小銃を生産した、アメリカ国営銃器開発施設。

現在は閉鎖され、民間企業に名前が残る。

代表作にM1903(スプリングフィールド)など。

この施設で作られた銃全てがスプリングフィールドライフルなので混同に注意。

 

ガンスミス

「フル/セミオートの切り替えや20発箱型弾倉などの基準を満たすものとして、1945年に開発、製造されたのがM14の原型だ。

といっても戦争が終わったから、生産数はごくわずかだったけどな」

 

ナガン

「原型?」

 

ガンスミス

「使用弾薬が今とは違うんだ」

 

M14

「M1ガーランドに使用されていた.30-06弾は威力は高いんですけど、大きくてかさばるんです。だから、もう少し軽量で、威力はほぼ同等の7.62×51mm弾が開発されたんです」

 

ガンスミス

「この弾丸はNATO(北大西洋条約機構)での小銃弾薬を統一する話が出たんだが、その時にアメリカがこの弾丸を押し通し、NATO正式採用弾にしてしまったって経緯もある。蛇足だけどな」

 

北大西洋条約機構......アメリカをはじめとする資本主義国の軍事同盟。

 

M14

「そして原型の機関部をちょこっと改造して、M14は生まれたんです!」

 

 

M14ってどんな銃?

 

ガンスミス

「基本構造はM1ガーランドとほぼ同じ......つっても、わかんないわな。

ロータリーボルトロッキング、という方式だ。

これは、ボルトアクションライフルの動きを発射した時のガス圧でやってるイメージだ。利点として比較的命中率が高い」

 

M14

「他にも構造が単純なので頑丈に作れます!」

 

ナガン

「欠点は重心変化が大きい故に連射時に命中率が低下する事のようじゃな」

 

ガンスミス

「言っておくが、この銃を種類わけするなら開発当時はアサルトライフルだ」

 

M14

「あれ、私ライフルの戦術人形のはずですよ?」

 

ガンスミス

「現在ではライフルとして運用することが多いからな。そこら辺は戦歴で解説していくぞ」

 

 

戦歴アレコレ

 

ガンスミス

「本格的な運用は1964年からのベトナム戦争だ。この銃は信頼性も高く、つまり壊れにくさという点では優秀だった。これはベトナムの主戦場がジャングルという点を鑑みればよくわかる。その他にも、7.62×51mm NATO弾は威力も高く、ストッピングパワーに優れていた、が」

 

ストッピングパワー......その銃弾が命中した時、目標である生物をどれだけ行動不能にさせるか、という指標。

威力と捉えれば分かりやすい。

 

ナガン

「が、とはなんじゃ。勿体ぶった言い方をしよって」

 

M14

「ナガンさん、ジャングルってどんな場所かわかりますか?」

 

ナガン

「あまり見たことはないが......足場は悪く、湿度も高い。さらに木々が生い茂っておるから視界も悪く......悪く、あっ」

 

ガンスミス

「気づいたみたいだな、言ってみ?」

 

ナガン

「湿度が高いと霧が出やすく、そして生い茂る木々で視界は最悪なのじゃ。そこから導かれる結論は、交戦距離が短くなる!」

 

ガンスミス

「大正解。M14の特徴は長めの銃身による安定したセミオートの射撃なんかだ。

それはひらけた戦場では適応されるが、交戦距離の短いジャングルじゃ、弾を安定してバラまける拳銃やサブマシンガンがどう頑張ろうと有利」

 

M14

「ストックのデザイン上フルオート射撃は不向きなんですよね、この銃は」

 

ガンスミス

「さらに7.62mm弾は反動強いしな。

というわけで兵士からの評判いまいちだったM14は、後発のM16に交代させられてしまいましたとさ」

 

M14

「でも、最近では見直されているんですよ?

M14の強みは高威力の弾丸と、連射できてかつそれなりに精度に優れることですから。

アフガンやイラクではM14の姿を見ることもあるんです」

 

ガンスミス

「魔改造されて使われてるのもあるな」

 

魔改造......M14EBRとか、Mk.14とか。

説明すると長くなるので省略。

 

M14

「他にも、民間用ライフルとしてはかなりの支持を受けているんです!

かく言う私の銃も民間用モデルの改造品なんですよ」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「巡り合わせが悪く一度は倉庫送りになったとは言え、再び日の目をみることになり戦場に舞い戻る姿は、まさに不死鳥!

とまあ冗談はさておき、目立つものはないとは言え、隠されたが実力を持ち合わせた面白い銃だと思います」

 

M14

「一度は捨てられ民間用の武器になったとは言え威力は健在ですから。なめないで下さい!」

 

ナガン

「今回は最後は尻切れトンボというか、若干おざなりになってしもうておるの」

 

ガンスミス

「バリエーション多すぎるんだもん調べきれるわけないじゃん」

 

ナガン

「それを現場の苦肉の策と見るか。有能の証明と見るかは人それぞれじゃのう」

 

M14

「私を戦列に加えた時は、期待してて下さいねっ? それでは指揮官のみなさま、良き戦場生活を!」

 

 

 

 

あとがたり

 

後日

 

ガンスミス

「やっちまったなぁ」

 

ナガン

「どうかしたのじゃ?」

 

ガンスミス

「M14にお前が活躍するから、って映画見せたんだよ」

 

ナガン

「ほう、何をじゃ」

 

ガンスミス

「フルメタルジャケット」

 

 

 

M14←新兵訓練中

 

「話しかけられたとき以外は口を開かない。口でクソたれた後にマムと言いなさい。分かりましたかこのガラクタども!」

 

「「「「イェスマム!」」」」

 

M14

「貴方達鉄クズどもが私の訓練に生き残れたら......各人が真に戦術人形となれます。

戦争に祈りを捧げる死の司祭にです。

その日までは鉄クズのガラクタ!

地球上で最下等のゴミよ!

貴様らは人形じゃない。

鉄血兵のクソをかき集めた値打ちしかない!

きっと貴方達はは厳しい私を嫌うでしょう。

だが憎めば、それだけ学ぶ事につながります。

私は厳しいが公平です。どんな人形であっても公平に扱います。

そう、ロシア、アメリカ、ドイツ、どこの出身でどんな銃を扱っても、私は見下しません。

すべて―――平等に価値がないから!

私の使命は役立たずを刈り取ることです。

愛するグリフィン&クルーガー社のバグを!

分かりましたか、ガラクタども!」

 

「「「「イェスマム!」」」」

 

M14

「声が小さぁい! 鉄血兵のエサにされたいですか!」

 

 

ガンスミス

「......あそこまで影響されるとは」

 

ナガン

「3日もすれば戻るじゃろう」

 

 

 




指揮官
「M14ちゃんが、M14ちゃんが......ぶくぶく」

WA2000
「指揮官ー!」


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第22回 M37

大型建造一発目がこの子だったもんで。


 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「すげえ、資源ごっそり減ってる......」

 

指揮官

「いっぱい回したらいっぱい来るから!

回せ、回転数がすべ」

 

ナガン

「それ以上はいかん!」

 

いっぱい回したら......大型建造の回しすぎは危険です。倉庫の中身と財布と相談しましょう。

というかあれは心臓に悪い。

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで、今回ははじめてのショットガンになります」

 

M37

「私はイサカ、今日から入隊しました! 貴方が指揮官さんですか?」

 

ガンスミス

「指揮官はあっち」

 

指揮官

「ガチャー、ガチャ回すのぉ」

 

M37

「あのー、今からでも交代しません?」

 

ガンスミス

「君ひどいこと言うね」

 

 

性能諸元 ショットガン 星4

 

口径 12/16/20/28 ゲージ

 

使用弾薬 12/16/20/28ゲージ弾薬各種

 

装弾数 4/7発

 

採用 アメリカ軍他

 

ゲージ......ショットガン特有の口径を表す単位。1/nポンド(約454g)の鉛玉の直径をnゲージとする。

(1/10なら10ゲージ、1/12なら12ゲージ)

12ゲージ=18.5mm

 

ガンスミス

「説明多いな......ってあれ、ナガンは?」

 

M37

「白い帽子の戦術人形ですか? 指揮官を担いで出て行きましたよ?」

 

ガンスミス

「まいっか、どんどん紹介してこう」

 

担いで......戦術人形はスーパーパワー!

指揮官の体重[極秘事項]キロなんて軽々と持ち上げる。

 

開発経緯

 

ガンスミス

 

「この銃を製造したのはイサカ・ガン・カンンパニー。アメリカ、ニューヨーク州にある銃器製造メーカーだ。有名な銃はこのM37。だから、頭文字をとってイサカM37と呼ぶ人も多い」

 

M37

「イサカ、だから。夢の中でも間違ったりしないでね?」

 

ガンスミス

 

「この銃の特徴として珍しく装填口と排莢口が同じなんだ。この機構はイサカ社独自のものではなく」

 

M37

「ではなく?」

 

ガンスミス

「ジョン・ブローニング技師によるものです。ちなみに彼のパテントを利用してショットガンを作った会社もあるんだけど、結局それ以降その機構を採用してない。

パテントが切れる1937年を見計らい、M37は世に出た、と言うわけなんだ」

 

M37

「パクリじゃないから」

 

ジョン・ブローニング......まさかこんなところで名前を見ることになろうとは。

言わずと知れたてぇんさい銃器設計技師。

詳しくはM1911を参照。

 

 

M37ってどんな銃?

 

ガンスミス

「先述した様に、排莢口と装填口を兼ねる設計が特徴だ。開口部分が少なくなるから、構造上強い。その分軽量化も容易になったって訳だ」

 

M37

「あと、砂なんかに強いのも。汚れに強いから、軍用として荒っぽく使われても大丈夫なのよ?」

 

ガンスミス

「他にも“スラムファイア”という特殊機構があるんだ、説明よろしく」

 

M37

「引き金を引きっぱなしにして、こう、グリップを手前に引いて装填すると、撃つ!」

 

ガンスミス

「にゃっふい!」

 

M37

「大丈夫、訓練弾だから」

 

ガンスミス

「大丈夫じゃねえよ! 屋内で銃なんて撃つなよびっくりするじゃねえか!」

 

屋内で銃を撃つ......音が反響してとてもうるさい、と思う。そうでなくともうるさい。

 

M37

「意外と可愛い声出すのね」

 

ガンスミス

「やかましい」

 

M37

「......と、このように、改めて引き金を引かなくても、弾を装填するだけで撃つ。つまり連続射撃ができるの」

 

ガンスミス

「言っとくがこれは意図的な暴発だ。とてつもなく危険だから真似しない様に。現在のショットガンではこれを防ぐためのパーツが取り付けられてるし、1990年以降の製造分じゃこれは出来ない......お前改造したな」

 

M37

「いいじゃない、戦場だもの」

 

戦場だもの.....仕方ないね。

 

 

戦歴

 

ガンスミス

「ショットガンの性質、と言うより弾丸の性質だな。近距離限定とはいえ、大雑把な狙いでも相手に致命傷を与えうる散弾は、戦場では好まれた。例えばトーチカや地下トンネルなんかの狭いところじゃ有効だったな」

 

M37

「第二次世界大戦や、ベトナム戦争で活躍したわ。今でこそ軍用は後発に譲ってしまったけれど、警察なんかでも愛用されてるの」

 

警察......ロス市警とかニューヨーク市警とか。

関係ないけどダイ・ハードはお好きですか? 私は好きです。

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「80年も前の設計ですが、その堅実さは今だに現用にすら耐えうるタフな銃です。

時には国のため力を振るい、平時には人々を守る盾になる。これこそが銃の在り方の一つの完成形なのかもしれませんね」

 

M37

「まだまだ新品だけど、ガンガン使ってね、活躍するから!」

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「配備早々、こんなのに付き合わせてごめんね。でもこれウチの恒例行事みたいなもんだし、グリフィン公式の広報活動なんだわ」

 

公式......最近上に認められた(と言う設定)

 

M37

「いいデータになったわ。それに、面白い声も聞けたし。また来たいわね」

 

ガンスミス

「ぜひその機会があれば......その前に」

 

ナガン

「基地内での無断発砲は禁じられておるのだが、ん?」

 

M37

「いや、あのその、えと」

 

ナガン

「ちょうど昨日からM14の新兵訓練が始まっておったのう......確か、枠が空いておったはずじゃ」

 

M14←窓の外

『このクソッタレの[放送禁止]!

貴方達は[放送禁止]ですか?!』

 

『『『『ノー、マム!』』』』

 

ナガン

「M14!」

 

M14

『何でしょう?』

 

ナガン

「コレ(M37)も追加じゃ!」

 

M14

『わっかりましたー。

おいそこの胸だけでかいガラクタのブリキ人形! さっさと装備一式担いで運動場、走る!』

 

M37

「は、はぃ!」

 

ガンスミス

「......あれまだやるの?」

 

ナガン

「楽しいらしいからのう」

 

M14......サージェントM14爆誕。

 

 




「ファミコンウォーズがでーたぞー!」
「「「「ファミコンウォーズがでーたぞー!」」」」
「こいつはどえらいシミュレーション!」
「「「「こいつはどえらいシミュレーション!」」」」
「のめりこめる!」
「「「「のめりこめる!」」」」
「のめりこめる!」
「「「「のめりこめる!」」」」
「声が小さいよ! もう一回! ファミコンウォーズが......」
((((なんか違う......))))


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第23回 UMP45

 

前回までのあらすじ

 

416

「騙して悪いが、仕事なんでな」

 

ガンスミス

「ちょ、やめ、なんでさぁっ!」

 

ガンスミス、拉致されるの巻。

 

 

 

 

???

「ただいま45ねえ。かぞくが増えた!」

 

ガンスミス

「ちがわい」

 

???

「ちぇー」

 

UMP45

「久し振りね、ガンスミスさん? ちょっと頼みたいことがあるのだけれど」

 

ガンスミス

「......仕事か、45」

 

UMP45

「理解が早くて助かるわ。修理の依頼をしたいの」

 

ガンスミス

「内容は他言無用だよな。なら口止め料込みの報酬は前に1本、後に3本」

 

UMP45

「アコギね......まあいいわ、こっちよ」

 

ガンスミス

「こっちは廃業したんだがな」

 

UMP45

「今日限り、てことにして?」

 

ガンスミス

「へいへい、と。コイツか」

 

UMP45

「ええ、使えるくらいにはしといてくれる?」

 

ガンスミス

「ジャンクの山は?」

 

UMP45

「裏手に、9、運んできて」

 

???9

「わかったー!」

 

ガンスミス

「妹さんか?」

 

UMP45

「ええ、とっても有能で大切な」

 

ガンスミス

「ウチのバカ弟とは大違いだ......さて、作業中は暇だし、なんか面白い話でもした方が良いかい?」

 

UMP45

「最近面白いこと始めてるんでしょう? 私のを聞かせてくれないかしら」

 

ガンスミス

「お前さんも物好きだな。目の傷といい、ネーミングセンスといい。

......長くなるぞ」

 

UMP45

「構わないわ」

 

ガンスミス

「それじゃ始めますか。カメラはねえけど。

 

 

ガンスミスの、銃器紹介。

このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノだ。

偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしい。こちらも人間だからな。

性能諸元はWikiを参考にしている。

それでは、スタート」

 

 

性能諸元 UMP45 サブマシンガン 星4

 

口径 11.43mm(.45口径)

 

使用弾薬 .45ACP弾

 

装弾数 25発

 

採用 アメリカ合衆国他

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「1950〜60年代にかけて、H&K社はかの有名なMP5を開発した。こいつは警察や特殊部隊なんかでも採用され、その優秀さが話題を呼んだ。

ただ、欠点として構造が複雑で単価も高かった。軍が大量に採用するにはちと見逃せない欠点だな」

 

UMP45

「ふうん、あのおチビちゃんの銃がねぇ」

 

ガンスミス

「そんで時は経ち1980年代。MP5の次が模索される中、同時に多くのサブマシンガンに採用されていた9mmパラベラム弾の威力不足が懸念された。

だから、45口径の強力な弾丸を発射するサブマシンガンが必要になり、それがきっかけで開発されたのが、UMP45だ」

 

UMP45てどんな銃?

 

ガンスミス

「外見は同じ会社が作ったG36に似ている。それもそうだ、同時期に設計開発されてるからな。

他にも弾倉、フレーム構造、撃発メカニズム、探せばいくらでも、てほどでもないがある」

 

UMP45

「他には繊維強化プラスチックを多く使うところかしら? 」

 

ガンスミス

「そうだな。その結果生産性が向上、軽量化にもつながった。他にも金属とは違って海水にも強い」

 

UMP45

「ストックはG36と同じ、右に折りたたむタイプ。簡単に作った方が良いから、長さを調節できないのは不便だけど?」

 

ガンスミス

「......あとで調整しとけば良いんだろ」

 

UMP45

「ふふ、わかってるじゃない」

 

ガンスミス

「作動機構は一番簡単なシンプルブローバック式と、命中精度を確保するためのクローズドボルト方式のふたつを採用しているな」

 

シンプルブローバック式......自動装填機構の中では最も単純。しかし、高威力の弾丸には対応しきれないという弱点がある。

比較的9mmパラベラム弾以下の低い威力の弾丸を用いる拳銃などに使われることが多い。

例) UZI(ドルフロにはMicro UZI)、FN 1910(サラエボ事件で使用された銃)など。

 

クローズドボルト方式......M2HBでは解説しきれなかったのでここで。

 

弾丸を発射する前に、薬室(銃弾を発射するところ)が閉鎖されている。

もう閉鎖されてるからブレか少なく、トリガーを弾いてから弾丸が発射されるまでのタイムラグが短い(=命中精度が高い)。あとマガジンを抜いても薬室に弾が残る(時々銃でN +1発と表記されるのがこれ)。

アサルトライフルに多く採用されている。

若干構造が複雑になるのと、薬室内に熱がこもるのが欠点(暴発の危険性がある)。

まあ関係あるのは数千発弾をばらまくマシンガンくらいなもんでしょうが。

 

匠.さんの感想を参考にしました、ありがとうございます。

 

UMP45

「他にも特殊部隊の使用を見越して、サプレッサーを無改造で取り付けることができるの。あとピカティニーレールも採用してるわね、でしょう?」

 

ガンスミス

「自分で使ってるからよくわかるくせに」

 

???9

「持ってきたよー! これどうすればいいの?」

 

ガンスミス

「そこらへんに置いといてくれ」

 

UMP45

「ありがとう9、でも今はちょっと大事な話をしてるの。後でね」

 

???9

「オッケー、また後でね45ねえ!」

 

ガンスミス

「......ちなみに、この銃の9mmパラベラム弾仕様のがさっきの妹さん、ことUMP9だな。合ってるだろ?」

 

UMP45

「正解。他にも.40S&W弾モデルもあると聞いたことがあるけど、人形として生産されるのかしらね」

 

ガンスミス

「さてな、一介の整備屋が知るもんでもないだろ」

 

 

 

プログラマー

「閃いた。UMP40を作って三姉妹でイチャコラさせ」

 

ペルシカ

「却下」

 

プログラマー......若干変態。

 

UMP40......UMPの.40S&W弾を使うモデル。本国版だと実装されてるんだっけ?

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「同じように45口径を使うVectorとは違い、遊びもなく堅実に設計された銃だな。

最新技術の塊の特殊部隊のイメージが強い銃だが、ロートルな技術を使っているのはなかなかに趣深いものがあるんじゃないか?

......と、整備終わり。マニュアルはあとで送るが、どこ宛にすればいいんだ?」

 

UMP45

「グリフィン本部ーーーのーーーに送ってくれればいいわ。存在しない部署だけど」

 

ガンスミス

「そんなとこに送ったらエラーメッセージしか帰って来ねえよ」

 

UMP45

「......報酬は3日後に口座に、近くまで送らせます、早く帰りたいでしょう?」

 

ガンスミス

「いや、お前らの銃全整備してから帰る。くたびれた銃を見ると気持ち悪くなる性分なんだ」

 

UMP45

「変わらないわね、貴方は」

 

ガンスミス

「お互い様だろ、お前も」

 

 

 

 

 

 



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第24回 AK-47

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ナガン

「ところで、404小隊を見ないのじゃが、非公式とはいえ所属したのではないのか?」

 

ガンスミス

「所属というよりは拠点のひとつとして利用していいって契約だしな。常駐するわけじゃないのさ」

 

UMP45

「たまには来るけどね、ふふっ」

 

ガンスミス

「ああ窓に、窓に!」

 

ああ窓に、窓に...... クトゥルフ神話を体系化したH・P・ラブクラフト作短編「ダゴン」の最後のセリフ。

現実には存在しえないものに我々が恐れを抱く必要などまったくああ窓に、窓に!

 

 

 

ガンスミス

「ひとしきりびっくりしたところで、いつものに戻ろうか」

 

ナガン

「というわけで今回のゲストはこちらなのじゃ」

 

AK-47

「やっほー大将、元気?」

 

ガンスミス

「大将ってお前なぁ......今日はいろんな意味で有名なAK-47を紹介していきます。

んじゃ、性能諸元どうぞ」

 

 

性能諸元 AK-47 アサルトライフル 星3

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 7.62×39mm弾

 

装弾数 30/75発 (バナナ/ドラムマガジン)

 

採用 ソビエト連邦他

 

 

ガンスミス

「最近ソビエトの銃しか紹介してないな......リクエストもソ連多いし。リスナーは共産主義者ばっかりか?」

 

ナガン

「ロシアの銃が優秀だという事じゃろ、色眼鏡で見るでない」

 

AK-47

「そーだそーだ!」

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「AK-47、ロシア語の正式名称じゃАвтомат Калашникова образца 1947 года だったかな。直訳すれば、多分カラシニコフ オートマチック1947年型だと思う。ロシア語は自信が無い」

 

自信がない......助けてグーグル先生!(ロシア語に自信あるニキでも可)

 

AK-47

「それでいいんじゃない? テキトーでいいよテキトーで」

 

ガンスミス

「お前というやつは......!」

 

ナガン

「......うちの弟子がすまん」

 

ガンスミス

「......話を戻す。開発は1942年。負傷でやる事が無くなったミハイル・カラシニコフは銃器開発に興味を持ち始め、独学で学び開発に携わるようになった」

 

ミハイル・カラシニコフ......人手不足で戦争開始早々に(特に詳しくもない)戦車に乗る羽目になり、偵察のため身を乗り出していたら砲弾が至近距離で爆発してあえなく病院送りになった。

技術者と兵士を兼ねているあたり、初期のソビエトは人員不足すぎである。

 

ナガン

「確か、技術者志望とはいえ専門教育を受けておらんかったのだな」

 

ガンスミス

「AKの設計図を引いたのは本人じゃなくて本職が設計士の奥さんだしな。

 

......と、話を戻そう。

そしてしばらくのち、独ソ戦にて興味深い武装をドイツ軍から鹵獲した。

そう、あの『StG44』......アサルトライフルの原型を形作ったとも言える銃だ」

StG44......ナチス・ドイツ軍開発の恐らくアサルトライフルの原型とも呼べる存在。デザインや作動システムなど、後の銃に与えた影響は大きい(と思う)。

 

ガンスミス

「それを受けて、ソビエトはアサルトライフルの開発を決定、カラシニコフ始め多くの設計者にそれを依頼した。

そして1946年に審査合格、改良を加えて48年に先行量産され、試験運用を経て49年に正式に採用された」

 

AK-47

「その時はまだ機密で、布をかけながら運用してたって話もあるよね」

 

ナガン

「なるほどのう......ところで、47の数字が全く見当たらないのじゃが」

 

ガンスミス

「君のような勘のいい人形は嫌いだよ」

 

 

AK-47ってどんな銃?

 

ガンスミス

「外見は先述のStG44と似ているが、射撃システムは中身はM1ガーランドと似たようなものだ。設計者自身も参考にしていたらしい」

 

AK-47

「長く、曲がったバナナマガジン、そして構えやすいピストルグリップ。これは他の多くの銃と似通ってる感じだよね」

 

バナナマガジン......バナナみたいに湾曲したマガジンのこと。使用弾薬は根元の方が太いので、数を並べると必然的にこうなる。

ドラムマガジンやDP-28のマガジンはその発展形。

 

ガンスミス

「他にも、内部パーツ一部を腐食に強いクロムでメッキ加工しているのもポイントだ。これで耐久性はかなり良くなる」

 

AK-47

「他にも隙間を広めにとってあるから、泥汚れなんかも取りやすいんだよね。分解しなくても水かけてガシガシやれば取れるし、便利なんだよ」

 

ナガン

「隙間をなくすのではなく、広く取って汚れを取りやすいようにする......逆転の発想じゃな」

 

ガンスミス

「パーツの隙間が多いから精度に問題があるのはしょうがないけどな。比較に良く上がるM16やFN FALと比べるとどうしても精度は悪い」

 

 

AKファミリー

 

ガンスミス

「この銃の構造はまあ画期的だった。M16の登場は1960年だし、アサルトライフルの概念を広めた銃でもある。バリエーションや影響を受けた銃は数知れず、だ。

主なものを列挙するなら、

 

改良型のAKM、小口径仕様のAK-74、分隊支援火器のPKやRPK軽機関銃。

他にはOTs-12、OTs-14なんかもだな。

他国での改良版、コピー版もある。

中国の56式自動歩槍(56-1式など)、イスラエルのガリル、とかだな。正直数えきれん」

 

AK-47

「あれ、もしかして認知してない妹が大量にいる可能性?」

 

ナガン

「......もっと言い方はないのかお主」

 

ガンスミス

「まあ欠点もないわけじゃない。反動は他と比べると強めだし、命中精度はイマイチ。

でもその生産性の高さと、誰でも扱える単純さは何ものにも変えがたい、AKの特徴であり長所だった。

その結果世界中のコピーや改良品が出回り、ギネス世界記録に登録されるほどだ」

 

ギネス世界記録......世界で一番〇〇なものに与えられる称号。割としょうもないもの、脱帽を禁じ得ないもの、割と正気を疑うものなど記録内容は様々。

AK-47の場合『世界で最も多く使われた軍用銃』で登録。

 

 

耳を疑う話

 

 

ガンスミス

「ソースは謎だが、基地の建設中、長いこと埋まってたAK-47を掘り出したらしい。

コッキングレバーを引いて初弾をいれ、引き金を引いたら何事もなく弾が......なんて話も」

 

AK-47

「半年間土に埋めても動くって話もあるよね!」

 

ナガン

「湾岸戦争のゲームボーイか何かか?」

 

湾岸戦争のゲームボーイ......とあるアメリカ人兵士がゲームを持っていき、出撃中寮舎が爆撃され哀れゲームボーイは爆発四散(比喩)。

外装まで熱で半分溶けかけ歪み黒焦げ。

まさかと思って電源ボタンを押したら......普通に起動したそうな。

現在、ニューヨークの任天堂販売店にて展示中、いまだ元気にデモ映像を流しているそうな。

 

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「M16と双璧をなすアサルトの原型とも言える存在だ。

その影響はまさに世界規模、未だに多くの設計に影響を与え続け、子孫が生き続けている。

......とはいえ、別の見方をすれば「一番人を殺した兵器」でもある。設計者のカラシニコフも『この銃は祖国を守るためにつくったものなのに』と嘆いていたな。

兵器の負の面も忘れるなよ。

とはいえ、今の使い方は設計者も本望だろうさ」

 

AK-47

「祖国を、ひいては世界を守るため、私は鉄血と戦う!

というわけで指揮官、私たちを上手く使って戦い抜いてくれ、期待してるぞ!」

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「今回は話題が多すぎて話の筋がぶれてばっかりだったな......まだまだ努力が足りねぇか」

 

ナガン

「逸話が多すぎるのも考えものじゃな」

 

 



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第25回 スプリングフィールド


もっとリクエストしていいのよ?

(3-6周回しましたけどCZ-805落ちないので書けません。けどエンフィールドはドロップする......これが物欲センサーか)


 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ガンスミス

「そろそろ冬か、早いもんだな」

 

ナガン

「外はめっきり冷え込むようになったしのう」

 

ガンスミス

「寒くない?」

 

ナガン

「わしは平気じゃが、薄着の人形はどうなんじゃろう」

 

薄着......9A-A1とかG41とか。みてるだけで寒くなるので身体に悪い。

 

 

 

 

ガンスミス

「さて、今回のゲストはご存知この人」

 

春田

「私なんかでいいのですか、少し気が引けてしまうのですが」

 

ガンスミス

「要望があったんだ、自信持ちなさいな」

 

春田......Spring field ライフルなので、日本語訳して春田さん。大陸版(中国)だと表記が春田なので、そちらからの輸入かと思われる。

 

スプリングフィールドは長いのでこれからは春田で表記します。

 

ナガン

「戦場に立たずとも、仕事はできる。それに実力は今日はあまり関係ないしのう、というわけで性能諸元じゃ」

 

 

性能諸元 スプリングフィールド ライフル 星4

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 .30-06スプリングフィールド

 

装弾数 5発(箱型弾倉/クリップ)

 

採用 アメリカ軍

 

 

ガンスミス

「実は、スプリングフィールドだが、正式な型番はM1903だ。スプリングフィールドは会社の名前だな、混同しないように注意」

 

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「時は遡る事1870年代、アメリカ軍は採用していたM1873小銃の後継を探していたんだ。とはいえ南北戦争の終わったばかりで、軍予算は先細りの一途、自前で武器を用意する人もいるくらいだし、まあ統制の取れていない状況だった」

 

春田

「他にも、無煙火薬への移行もありますね。この時期に黒色火薬よりも煙が少ないのが特徴の無煙火薬が発明されました。これは他にも発射後の汚れが少ないという利点があり、銃の発展に大いに役立ちました」

 

ガンスミス

「その通りだ。

そして新式のライフルが開発され、アメリカ=スペイン戦争(米西戦争)で使われたのはいいんだが」

 

ナガン

「性能がイマイチだったというオチか」

 

春田

「戦争には勝ちましたが、当時最新式のモーゼルM1893小銃を装備するスペイン軍に苦戦を強いられています。

その反省を踏まえて1900年、新しい小銃の開発が始まりました」

 

ガンスミス

「1901年に試作品が完成、銃身を短くし、細部に改良を施して1903年、M1903としてアメリカ陸軍に採用されたんだ」

 

春田

「同時に、専用弾の.30-06スプリングフィールドも開発されました。これはM1ガーランドでも使用されています」

 

ナガン

「それに改良を施したのが、現在の7.62mm NATO弾じゃったな」

 

ガンスミス

「その通り」

 

 

スプリングフィールドってどんな銃?

 

ガンスミス

「模範的なボルトアクションライフルといってもおかしくない。

第一次世界大戦では、他の国のものと比べ精度はかなり高かったと評判だったらしいな」

 

春田

「でも、機構で目立つものはあまりありません。それどころか、ドイツのモーゼル社に特許侵害で訴えられる事に......」

 

ガンスミス

「完成系がある程度似通っちゃうんだよな」

 

ナガン

「後発のM1ガーランドは資料によれば、採用は1938年から。となると、M1903が使われたのは第一次大戦のみか?」

 

春田

「いえ、引き続きアメリカ軍主力兵器として初期の頃は使用されていました。

M1ガーランドが十分に行き渡ってからも、狙撃ライフルとしてやグレネードランチャーとして用いられたんです」

 

グレネードランチャー......又の名を榴弾発射機。対戦車、対人などに用いられた。

文字通り手榴弾や爆弾を遠くに飛ばすための装置で、第二次大戦の頃は空砲を利用して飛ばしていた。

これには専用装置が必要なのだが、M1ガーランド版はやたら複雑で現場には不評だったらしく、簡略なこちらが用いられた。

 

ガンスミス

「戦場から姿を消したのは、朝鮮戦争ごろだな。海兵隊ではそれなりの数が狙撃銃として使われた。それ以降は引退したが儀礼用として使用される事もある」

 

ナガン

「何か、Kar98kを思い出すのう」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「目立つ部分はないものの高水準でまとまった銃だと思います。二つの世界大戦を駆け抜けたその実力は伊達ではないとも言えるでしょう。

是非、戦場では頼りにしてくださいな」

 

春田

「私はまだ精進が足りませんが、頑張ります」

 

ナガン

「焦らず堅実に実力をつけていくのじゃぞ」

 

春田

「はい!」

 

ガンスミス

「じゃ締めてくれっかい」

 

春田

「わかりました。指揮官の皆様、仕事は忙しいとは思いますが、体調に気をつけて、健康なドルフロライフを楽しんでください。

もし寒いと思ったら、はちみつ生姜湯を作るをオススメします、作り方はーー」

 

ガンスミス

「話が長くなっちゃうから!」

 

ナガン

「それではまた次回なのじゃ!」

 

 

 

 

あとがたり

 

春田

「生姜はココアなんかに入れても美味しいので、是非試してみてください」

 

試して......手軽にチューブ生姜を使うのがオススメ。量は各自で調節してね。

 

ガンスミス

「へーえ、そうなのか......

あ、そういやハロウィンどうする? 配る菓子の用意を考えとかないと」

 

春田

「でしたらマフィンはどうですか?

中に混ぜ込む材料も工夫すれば」

 

ガンスミス

「成る程......ただ酒飲みどもがどう思うかだな。砂糖少なめビターチョコ風とか、ラム酒を混ぜ込んでみるとか」

 

ナガン

「お主が菓子作るとか違和感しかないのじゃが」

 

ガンスミス

「俺の特技だぞ」

 

ガンスミス......実は菓子作りが上手い




爆発オチも考えましたがやめました。


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第26回 G17

まだ11時だからセーフ、セーフ!(投稿時間)


 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ガンスミス

「ハロウィン衣装の配布始まるじゃん?」

 

ナガン

「ああ、確か64式やWA2000とかマカロフとかに配られるんじゃろ?」

 

ガンスミス

「カタログ見てくれる?」

 

ナガン

「なんじゃ一体、別に騒ぐことの」

 

 

幽霊に追いかけられるWA2000の図

 

ナガン

「......いつからグリフィンはエクソシストになったんじゃ」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今回もリクエストから。

G17、ことグロックでお馴染みの」

 

G17

「グロック17です、セブンティーンですから、混同しないでくださいね」

 

ナガン

「それでは性能諸元に行くとするかのう」

 

 

性能諸元 G17 ハンドガン 星3

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9mmパラベラム弾

 

装弾数 10/17/19/33

 

採用 オーストリア軍他

 

ガンスミス

「ハンドガンの中では特徴的な33発ロングマガジンが目を引くね」

 

G17

「滅多に使われることはないですが」

 

 

開発経緯

 

G17

「開発の開始は1980年から。オーストリア軍の正式採用拳銃コンペディションに向けて、グロック社が開発したんです」

 

ガンスミス

「そして83年に『Pi80』として採用。のち85年に民間用として売り出されたのが『グロック17』だな」

 

ナガン

「グロック社、とはあまり聞かぬ名前だのう」

 

ガンスミス

「だって銃製造会社じゃねーもん、ここ」

 

ナガン

「なんじゃと?」

 

G17

「元は機関銃用ベルトリンクや軍用ナイフの製造など軍の備品製造を主に担当していたんです。そして80年のコンペ開始をキッカケに」

 

ナガン

「好き者でもおったんかのう」

 

G17ってどんな銃?

 

ガンスミス

「先述したように、この銃は銃器製造のプロが作ったわけじゃない。だからこそ柔軟な発想による革新的な機構がいくつか備わっているんだ」

 

G17

「今でこそ珍しくないですが、プラスチックを多用する拳銃は多くなかったです。それを達成し、かつ商業的に成功させたのはグロックが初めてなんです」

 

ナガン

「なるほどのう。して、その長所や欠点はあるんじゃろうな」

 

ガンスミス

「まあな。特殊なプラスチックを使用していて、強度は高くそれでいて柔らかく、軽い。

欠点として軽いと反動が押さえつけにくい、なんて事もあるが、プラスチックの柔らかさと銃自体のコンパクトさで多少は緩和できているな」

 

G17

「金属製のものより強度が劣るのは事実ですし、経年劣化にも弱いです。

他にはアタッチメントを締め付けすぎてフレームが歪む、という欠点もありましたが今は改善済みです」

 

ガンスミス

「他にも弾倉をプラスチックで覆い、寒冷地で見られるような皮膚の張り付きを防ぐ設計だな」

 

G17

「他には特殊な撃発機構もありますが......」

 

ガンスミス

「複雑だから、言っても正直理解できるとは思わん。ただ他よりも連射が効きやすいとだけ覚えてくれればいい」

 

 

派生あれこれ

 

 

ガンスミス

「この銃には様々なバリエーションがある。

例えば口径だけでも、

9mmパラベラム、

.45ACP弾

.40S&W弾などだな」

 

様々な......21種類、正直外見で見分けろと言われてたら不可能な気もする。

 

G17

「他には競技用に長い銃身を備えたものもありますし、マシンピストルとして運用できるグロック18/18Cモデルもあります」

 

ガンスミス

「分間1200発と、そんじょそこらのマシンガンにも劣らない連射力だ。それ専用にサブマシンガンみたいなカスタムストックもあるみたいだな」

 

G17

「基本的に、別モデルが出るたびに18、19、20とナンバリングがつけられていますね」

 

ナガン

「ところでなぜ17スタートなのじゃ?」

 

G17

「17発の装弾数、申請された特許の数が17、グロック社17番目の製品など、推測はありますが確かなものは」

 

 

 

ついでに

 

Vector

「前も言ったが、Vectorはグロック17のマガジンを使用できる。もっとも、弾薬の兼ね合いで.45ACP弾モデルのものに限られるけど」

 

春田

「どうしたんですか急に」

 

Vector

「いや、言わなければ忘れられる気がして」

 

春田

「そんな事ないですよ、みなさんはちゃんとベクターさんの事を覚えていますから」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「今までの既成概念にとらわれないこの銃の与えた影響は計り知れない。発売当初は賛否両論だったが、現在多くのプラスチックを使用する拳銃の祖は、間違いなくコイツだ。

現在ではアメリカ始め多くの国で採用されている。活躍する姿を見る事も多いかもな」

 

G17

「......自分自身を分析するのは初めての経験でした。何か不思議な気分です」

 

ナガン

「敵を観察する事も良い事じゃが、たまには自分と向き合う事も大切じゃ。直感ばかりに頼ればいつか足元をすくわれるぞ」

 

G17

「よく覚えておきます、教官。

それではボス、良きドルフロライフを」

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「教官?」

 

ナガン

「普段は後進育成に励んでおるというておるじゃろう。まあ、手ほどきしたのはそう多くはないがな」

 

ガンスミス

「例えば?」

 

ナガン

「モシン・ナガン、AK-47、SKS、そしてG17......そんなもんじゃな」

 

ガンスミス

「俺も弟子とかとろっかな。なんか師弟関係とか憧れる」

 

ナガン

「そうでもないぞ、変に関係を持てば」

 

モシン・ナガン

「ヘイ同士! 飲んでるぅ?」

 

AK-47

「一緒に飲もうぜ!」

 

ナガン

「こうなる」

 

ガンスミス

「......やっぱやめとく」

 

ナガン

「賢明な判断じゃ」

 



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第27回 M9

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ナガン

「メタな話じゃが、ドルフロ創作界隈も盛り上がってきたのう」

 

ガンスミス

「シリアスギャグ問わず色々な作品が出てきたな。いい事だ」

 

ナガン

「となると、わしらの立ち位置はどちらになるんじゃのう?」

 

ガンスミス

「......シリアス寄りのギャグ?」

 

ナガン

「はっきりせんか」

 

はっきり......正直作者もよくわからない、とりあえずギャクよりのつもり。

シリアスな話も一応書いてるけど投稿するかは謎。

 

 

ガンスミス

「さて今回のゲストはこちら」

 

M9

「M9なの、よろしく頼むなの!」

 

ナガン

「というわけで今日はM9を紹介していくのじゃ」

 

 

性能諸元 M9 ハンドガン 星3

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9×19mmパラベラム弾

 

装弾数 15発

 

採用 アメリカ軍他

 

ガンスミス

「正式名称はベレッタ・モデル92。M9の通称はアメリカ軍採用時の名称だ。今回はそっちに重きを置いて解説して行こうと思う」

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「1960年代後半、イタリア軍はM1951拳銃を制式採用していたが、若干の旧式化が否めなくなってきた。そこでベレッタ社はM1951に代わる拳銃の開発を70年からスタートさせた」

 

M9

「1975年には試験も終わり、生産が始まったの!」

 

 

 

M9ってどんな銃?

 

ガンスミス

「スライド上部を大きく削り、銃身を一部露出させたデザインが目を引くな。

これはベレッタ社独自のもので」

 

M9

「めちゃくちゃかっこいいの!」

 

ナガン

「ふうむ、他にも軽量化の意図もあるじゃろうな」

 

ガンスミス

「それが資料で調べても、答えが出てこないんだよ。スライドの切り欠きを排莢口にする設計はあっても、別に用意されてるわけだし、割と不思議」

 

割と不思議......Wikiにすら『意図不明』って書かれているんだもの、仕方ない。

でもあった方がかっこいいじゃないですか。

 

ガンスミス

「基礎のシステムはワルサーP38を参考にしたものが使用されているな」

 

M9

「他には複列弾倉(ダブルカラム・マガジン)を採用してるの。15発も入るから、あのオワコンの倍くらいなの!」

 

複列弾倉......弾丸を縦にまっすぐではなく、若干ずらして交互に入れている。正直説明は難しいので画像検索を。

今までの一直線に弾丸を詰めるシングルカラム・マガジンと比べて弾丸の量は増えたものの、若干グリップが太くなる欠点がある。

 

あのオワコン......70年以上アメリカ軍制式採用拳銃に居座ってたBBAのことなの!

これくらい常識なの!

 

ガンスミス

「ついでに、マガジン交換ボタンの左右入れ替えもできる。左利きに優しい設計だな」

 

 

アメリカ軍制式採用テスト

 

ガンスミス

「M9を語る上で外せないのは、1978〜86年にかけてアメリカ軍の行ったトライアルだ。4回ほど行われたが、その条件の厳しさに辞退する会社もあったほど厳しいものだったようだな」

 

M9

「M9、SIG SAUER P226、S&W M559、H&K P7M13、ワルサーP88、なんかが参加していたの。

最後はP226との一騎打ちを下し、見事M9栄光を勝ち取ったの!」

 

ナガン

「テストの中身はどんなものだったのじゃ?」

 

ガンスミス

「詳細非公開だからな......連続発射テストとか、悪環境での作動試験とかくらいは思いつくが、具体的にはサッパリだ」

 

M9

「そんなことどうでもいいなの!」

 

ナガン

「そういうコーナーなんじゃが」

 

そういうコーナーなんじゃが......おっしゃる通りです。

 

ガンスミス

「とはいえ、性能的にそう大差は無かったようだな。一部拳銃はちょいと特殊な操作で嫌われてはいたが、P226とM9は性能的に互角だったらしい」

 

M9

「でも私が選ばれた、それだけ優れていたって証拠なの」

 

ガンスミス

「手動のセーフティは無かった事が嫌われたらしい。一般の部隊で銃が暴発でもすれば大惨事だからな」

 

ナガン

「......とはいえ、一部特殊部隊ではP226の改良型の方を使用しているところもあるようじゃ。M9に完全に満足したわけでは無いようじゃな」

 

ガンスミス

「政治的な圧力があったりなかったり、なんて黒い噂もある。軍事関係はどうしてもカネが絡むから仕方ない事だがな」

 

 

M9の活躍

 

ガンスミス

「ちょいと昔の映画じゃ人気者だった。有名なものでいえば『ダイ・ハード』の主人公が使ってた事もあるし、バイオハザートの特殊部隊『S.T.A.R.S』ではカスタムモデル『サムライエッジ』が使用されてるな」

 

サムライエッジ......M9をベースにカスタムされた拳銃。弾薬はじめあらゆるパーツを吟味し、高い性能を持たせたモノ。カスタムした人間が日系人だった事、そして外見の特徴が日本刀らしいという事でこの名前がついた。

一部隊員は個人用にチューンナップされたものを使っている。

モデルガン化されているものもあるので興味があれば調べてみるといい。マジでカッコいいのでおススメ。

 

M9

「人気者は辛いの、なの」

 

ガンスミス

「他にも多くの法務執行機関に採用されてる。ドラマなんかでも見るかもな」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「厳しい米軍トライアルを勝ち抜き、あのガバメントの後継者として名高い銃だ。

その流麗なデザインは一見華奢に見えるかも知れないが、隠されたその堅牢さに驚くはずだ」

 

M9

「あんなオワコンの古臭いのより、断然私の方がカッコよくて性能も良くて強い、なの!」

 

ナガン

(それを実戦で証明してくれればいいんだがのう.......)

 

M9

「というわけで、指揮官の皆様、良きドルフロライフを楽しんでなの!」

 

 

 

あとがたり

 

ナガン

「最近どうじゃ、あやつは」

 

M1911

「まだイマイチかなぁ。どうにも危なっかしいんだよね、M9。成果を焦るというか」

 

ナガン

「まだ引退出来なさそうか?」

 

M1911

「危なっかしくて目を離せないよ」

 

ナガン

「対抗心があるに越したことはないが、ありすぎるのも考えものじゃのう」

 

M1911

「だよねぇ」

 

 

 

 

 

M9

「へぷし!」

 

トンプソン

「どうした?」

 

M9

「誰かが私を噂してるの。きっと私のことを褒め称えてるに違いないの!」

 

トンプソン

(あの2人が心配してるだけだな)





ネットで見たら、どうやらM9の後発が決まりかけてるみたいですねぇ。
うん十年と居座り続けたガバメントがいかに凄かったかがよくわかります。


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第28回 ブレン

友人「何でこの手の解説ってWiki丸パクリなのに面白いんだろう」

はっ倒すぞお前。
わかりやすく噛み砕いたり注釈入れたりセリフ回しで申し訳程度に笑い入れたりキャラを立たせたりとかいっぱい努力してるから面白いんだるぉぉぉん?!


 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしますので悪しからず」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ガンスミス

「基地に人間が少ない! 圧倒的に!」

 

少ない......実際どうなんでしょう。皆さんはどのように解釈していますか?

自分はオートメーション化が進み、人形という人手もあるので少なめと解釈しています。人が配置されるとすれば、指揮や機械じゃ難しい細かい調整などですかね。

 

ナガン

「確かに少ないのう。お主、指揮官、カリーナ......あとは......誰じゃったかのう」

 

ガンスミス

「他にもいるんだけどさ、昔と比べればめっきり減ったんだよね。超最前線時代の騒がしい頃が懐かしい」

 

ナガン

「そんな時もあったのう......」

 

 

 

ガンスミス

「感傷に浸るのはこれくらいにして、今日のゲストはこちら」

 

ブレン

「ブレン軽機関銃だ。よろしく頼む」

 

ナガン

「ああ、そっちか」

 

ガンスミス

「リクエストでブレンお願いしますって言われた時迷った。こっちで合ってるかな?」

 

こっち......最近ハンドガン『ブレン・テン』も実装されたので。

 

ナガン

「さてな」

 

ブレン

「手短に終わると聞いて来たんだが、長引くようなら帰るぞ」

 

ガンスミス

「じゃ巻きで行きましょうか」

 

 

性能諸元 ブレン マシンガン 星3

 

口径 7.7mm(0.303インチ)

 

使用弾薬 .303ブリテイッシュ弾

 

装弾数 30発

 

採用 イギリス軍他

 

ガンスミス

「種別としては、M1918(BAR)と同じ軽機関銃だな」

 

M1918......第8回で解説。

 

 

開発経緯

 

ブレン

「時は1935年、旧式化の目立つブレン軽機関銃に代わる新たな軽機関銃トライアルを実施した」

 

ガンスミス

「資料は少ないけども、先述のM1918などが参加してたみたいだな。その中で最優と認められたのが、チェコスロバキア製の『ZB27』だった」

 

ブレン

「イギリスはライセンス生産契約を結び、弾薬を当時の主流弾薬だった.303ブリティッシュ弾に合うように小改造を施し、ブレン軽機関銃が誕生した、というわけだ」

 

ガンスミス

「ブレン、の名前の由来もそこにある。

『ZB27』その基礎になった『ブルノZB vz26』と、イギリスの銃器製造会社『ロイヤル・スモール・アームズ・ファクトリー・エンフィールド』。

その『Brno』と『Enfield』の文字を取って『Bren』というわけだ」

 

ナガン

「......お主説明ヘッタクソじゃな」

 

ガンスミス

「知ってら」

 

ヘッタクソ......Wiki本家の方がわかりやすい......わかりやすくない?

 

 

ブレンってどんな銃?

 

ガンスミス

「もとになった『ZB vz26』系列がもともと優秀だから、現場からの評価は高かった」

 

ブレン

「その壊れにくさは戦中のマシンガンの中でも群を抜いている。参考に開発されたマシンガンも多くあり、その子孫同士で撃ち合う例もあった」

 

ガンスミス

「マガジン式だからベルト式と比べて軽く移動もしやすい。立ったまま腰だめで弾をばらまく事だって可能。さらに三脚を使えば据付の機関銃にして重機関銃がわりにも運用できた」

 

ブレン

「それ用に装弾数の多いマガジンも開発された。一部では対空機銃として使われる例もある、とにかく多用途に使われた」

 

ガンスミス

「さらにM1918では不可能だった銃身交換もスムーズに行えた......その当時の軽機関銃、分隊支援火器としての性能は、個人的にはM1918より上かもな」

 

ブレン

「当然だ」

 

ガンスミス

「他と比べると発射速度が抑えめ、というのもあるけど正直マガジン式だから逆に利点にすらなりうる。

純粋に欠点と言えるものは、精度が高すぎて弾がばらけないっていう事だ。拠点防衛なんかの時の制圧射撃にゃちと不便だ」

 

ブレン

「その程度射手の実力でどうとでもなる」

 

 

 

そして現在でも......?

 

ガンスミス

「戦後、NATOが発足し弾薬が変更されても、NATO弾仕様のものが使われていたくらいだ。

ミニミ軽機関銃やFN MAGに置き換わるまで居座り続けた、といえば信頼が伝わるだろうさ」

 

NATO......北大西洋条約機構。アメリカ始め資本主義国の軍事同盟。

この説明4、5回書いた気がするな。

 

ブレン

「イギリス本国では切り替わってはいるが、インドやパキスタンなどの旧英国領では現在でも現役だ」

 

ナガン

「あまり有名でもないが、M2とほぼ同格レベルの優秀さ、ということか?」

 

ガンスミス

「M2レベルとまではいかないけど、優秀なのは確かだな」

 

ブレン

「当然だ。ドイツ式の武器なんぞに私は負けん」

 

ガンスミス

(......まあドイツ産で似たり寄ったりな経歴の持ち主もいるんだけど)

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「知名度こそ劣るものの、その堅実さと壊れにくさから現在でも一線級であり続けるブレン軽機関銃。

過酷な任務ならばもってこいの耐久性、ぜひ戦場で使ってあげてください」

 

ブレン

「過酷なミッションであれば任せろ、完璧にこなしてみせる」

 

ナガン

「は、抜かせ青二才。自信家は美徳であるが慢心は身体に毒だぞ?」

 

ブレン

「ふん、肝に命じておこう」

 

ガンスミス

「......ではまた次回!」

 

 

 

あとがたり

 

 

ブレン

「くっ、負けた......」

 

ナガン

「お主の実力は高い、それはこのわしが保証しよう。が、ただ相手が悪かったのう?」

 

DP-28

「やだやだ、大人気ない真似しちゃって。

でも、旧式だからって後進に道を譲るほど、甘くはないのよ?」

 

WA2000

「あーあ、またやってる。

背中を追いかけてくれる後輩が増えたのはいいけれど、こう増長しすぎるバカも増えたのが欠点ね。

はぁ、全く、うちの隊はどいつもこいつも大人気ないんだから」

 

PSG-1

「あなたが言いますかそれ」

 

WA2000

「何ですって、ちょっと表出なさいよ!」

 

PSG-1

「だからそういうところなんですってば」

 

 

 

 

 



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教えてナガン先生! その2


少し早いですが、ハロウィンスペシャルを。

みなさん、ハロウィンを楽しむ準備はいいですか?


 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

 

「「銃器紹介、番外編!」」

 

ガンスミス

「教えて」

 

ナガン

「ナガン先生! のコーナーなのじゃ」

 

ガンスミス

「このコーナーはいつもと趣向を変えて解説する不定期開催コーナーです」

 

ナガン

「今日はハロウィンじゃ、というわけで、わしらも頑張って仮装してみたぞ?」

 

ガンスミス

「ラジオだから見えないんだけども」

 

ナガン

「雰囲気が大事なのじゃ雰囲気が。

わしは......戦車兵のコスプレじゃな」

 

ナガン......アニメ『ガールズ&パンツァー』よりプラウダ高校カチューシャ。あのヘルメット絶対似合う気がする、だれか描いて?

 

ナガン

「ところでなぜお主は白いマスクに黒いつなぎ.......手抜きではないのか?」

 

ガンスミス

「ちゃんとハロウィン関係あるし! むしろモロハロウィンだし!」

 

ガンスミス......映画『Halloween』よりプギーマン、ことマイケル・マイヤーズ。

映画は多数のホラーに影響を与えた名作で、2018年には一作目のその後を描く作品も公開されている。

寒い秋こそホラー、見よう!

 

ナガン

「それはさておき、皆が現在楽しんであろうハロウィーンではあるが......実は起源を知るものはそう多くはないのではないか?」

 

ガンスミス

「起源を知れば物事はもっと面白くなる!」

 

ナガン

「というわけで、今日はハロウィンを解説するのじゃ」

 

 

ハロウィンのはじまり

 

ナガン

「ハロウィンの起源は、古代ケルト人の祝祭が始まりだと言われておる」

 

ガンスミス

「ケルト人?」

 

ナガン

「中央アジアからヨーロッパ圏に移動してきた民族の事じゃ。現在ではアイルランド、スコットランド、ウェールズ、及びブルターニュなどイギリスのいち地方にその末裔が住んでおるようじゃの。古代ではヨーロッパの広い地域に住んでおったようじゃな」

 

ガンスミス

「ふーん、話の腰折って悪かった、続けてくれ」

 

ナガン

「では続きを、こほん。

ケルト人の文化において、11月1日は冬の季節の始まりであり1年での始まりでもあった。

そして、日没から新しい日が始まる、という考え方も相まって、新年を祝う収穫祭が現在の10月31日に行われるようになった、これがハロウィンの始まるになったと言われておるな」

 

ガンスミス

「要するに今で言う12月31日に当たるわけな」

 

ナガン

「それに近しいものはあるじゃろう。

同時に、古代ローマでは11月1日ごろに果樹園の女神であり、リンゴをシンボルにとる女神ポーモーナを讃える祭りが行われていたとされる。紀元1世紀ごろにイギリスに侵入したローマのこの祭りも影響を与えたとされておるな」

 

ガンスミス

「今じゃアメリカで有名だけど、その理由はどうなのさ」

 

ナガン

「そうじゃのう、アメリカにハロウィンという行事が広まったのは19世紀とされておる。

きっかけは、アイルランドやスコットランドから大量に移民が来た事じゃろう。その特定の移民のグループでの内輪の祭りから、徐々に対外的なイベントとして受け入れられていったようじゃな」

 

ガンスミス

「アメリカの国民性とか歴史とかも関係してるかもな。なまじっか歴史が浅い分不要なしがらみも少ないわけだし、むしろ積極的に取り入れたんだろ」

 

ナガン

「そして20世紀にはほぼ受け入れられるようになった。1950年代には、大量消費社会の風潮もあるじゃろうが、企業の宣伝活動であの「トリック・オア・トリート!」のセリフが普及した。

現代のような騒がしいイベントとして定着したのは、おそらくこういった要因があるんじゃろうな」

 

 

ハロウィンといえば仮装だよね!

 

ガンスミス

「ところで何で仮装すんの?」

 

ナガン

「ざっくばらんに言うなら、子供達を悪霊や悪い精霊、魔女から隠すためじゃな。

ケルト人の風習によれば、10月31日は死者の霊が家を訪れる日であり、悪い物が活動する時期でもあった。

そういったものから子供達を覆い隠し退けるため、初期には仮面を、そして幽霊や魔女といったおどろおどろしいものへと変化していったようじゃな」

 

ガンスミス

「なるほど、だから魔女や幽霊なんかが定番の仮装ってわけだ」

 

ナガン

「そうじゃな。時代の移り変わりとともにコウモリ、悪魔、黒猫、ゴブリン、バンシー、ゾンビなどの民間伝承の怪物、さらには吸血鬼、狼男、フランケンシュタインなどの創作上の怪物も含まれるようになった」

 

ガンスミス

「最近じゃコスプレパーティーだよな、もう何が何だか」

 

ナガン

「その先駆けはディ○ニーじゃろうな」

 

ガンスミス

「○ィズニー?」

 

ナガン

「シンデレラや白雪姫、ピーターパン。

ある程度実態はあっても、明確なキャラ付けがなされておらんかった話に強烈な印象を植え付けたのがディズ○ーじゃ。

これはわしの予想にすぎんが、ディ○ニーのイベントにハロウィンを取り入れていったのが始まりではないかのう」

 

ガンスミス

「あー、なるほど......」

 

ディ○ニー......言わずと知れた有名アニメ会社。書いたら消されそうなので伏せ字。

???「ハハッ!」

 

ガンスミス

「でも日本じゃただのコスプレ祭りとしか認識してないけどな」

 

ナガン

「それは......あれじゃろ。日本人の気風というか、文化の受け入れ方というか」

 

気風......車とか戦艦とかイロイロ擬人化したり、個人で本作るイベントが命がけでになったりする。だいたい全部魔改造する。

最近だと大陸まで侵食し始めた模様、というかドルフロがその一例だろ。

 

 

ジャック・オー・ランタン

 

ガンスミス

「じゃあもう一つの定番について解説よろしく」

 

ナガン

「かぼちゃのアレじゃろ?

アレはジャック・オー・ランタン。

日本語にするなら「お化けかぼちゃ」や「かぼちゃちょうちん」になる。

大きなかぼちゃをくり抜き、おどろおどろしい顔を彫り込んだものじゃな」

 

ガンスミス

「予想するに、あれも魔除けの一種だろ。仮装と同じで怖い顔だしな」

 

ナガン

「そうじゃ、アレを玄関などに飾り、悪いものを追い払うのが目的じゃな。

かぼちゃが発見される以前は、大きなカブを使っていたようじゃな」

 

ガンスミス

「カブはそんなにでかいイメージないけどな......あっちの方はデカイんだな」

 

ナガン

「それと同時に、ジャック・オー・ランタンは伝承上の存在でもある」

 

ガンスミス

「ただの魔除けのライトじゃなくてか」

 

ナガン

「伝承によれば、地獄にも天国にも行けなかった魂が、悪魔のくれた石炭で火を灯し、カブで作ったランタンを下げている姿というものらしい。

別名を鬼火、ウィル・オー・ザ・ウィスプというそうじゃ」

 

ガンスミス

「日本でいうと火の玉とか狐火とかいうアレか」

 

ナガン

「自然発火でなにもないところが燃え上がる現象の事でもある。こうした不可解な現象に名前をつけることは、世界でもよくあることじゃな」

 

ガンスミス

「じゃバミューダトライアングルは?」

 

ナガン

「......あそこに鉄血叩き込んだら消滅してくれんかのう」

 

バミューダトライアングル......魔の三角海域、異界の入り口などなど。

アメリカ東海岸の近くにある一部海域のことであり、よく航空機や船舶が消失する。

原因は不明。

 

 

トリック・オア・トリート!

 

ナガン

「お菓子くれなきゃ眉間に穴が開くゾ☆」

 

ガンスミス

「怖っ! 二重の意味で怖い!」

 

ナガン

「冗談じゃ。試作品は山ほど食うたしのう」

 

ガンスミス

「春田さんも自信作って言ってたし、今夜は楽しみにしててよ」

 

ナガン

「むしろ暴動鎮圧が目的じゃろうに」

 

ガンスミス

「抑止力がいないと、ね」

 

暴動鎮圧......ゴム弾装填のナガンが警備します、実際コワイので抑止力。

 

ガンスミス

「ところでトリック・オア・トリートってどういうわけで始まったのさ。単純に訳せば『ご馳走か、いたずらか』だよこれ」

 

ナガン

「どうにも地域交流の場として発達した風習のようじゃの」

 

ガンスミス

「地域交流」

 

 

まとめ

 

ナガン

「この祭りの起源自体は、悪霊を祓い身を守るための儀式的なもの。

それが現在ではただのお祭りに成り下がってしまったわけじゃが、あの騒ぎようでは案外悪霊避けとしての役割は果たせておるのかもしれんのかのう」

 

ガンスミス

「別に本来の行事に戻せとは言わないけど、頭の片隅にでも置いてくれると、ちょいと楽しくなるんじゃないかな」

 

ナガン

「節度を守って楽しくハロウィンを、なのじゃ!」

 

節度......軽トラをひっくり返したり窓ガラスを叩き割ったりしないように(時事ネタ)。

 

ガンスミス

「それではまた次回!」

 

 

 

小話-4 ハロウィン・フロントライン

 

 

日中の出撃任務も終わり、警戒にあたる人形を除きほとんどの人員や人形は暇になる夜。

何時もであれば、俺は気まぐれにカフェに行ってロハで働いていたり、身体の疲れを癒していたりするのだが、今日は10月31日。

 

そう、ハロウィンである。

 

最前線だから家族連れの兵士はほぼゼロ、というよりそもそもの人間の数が少ないのだが、子供は存在する。

別の言い方をするならば、子供っぽい性格をプログラムされている戦術人形が、だ。

 

というわけで数日前からそのための対策を春田さんと練り、手製の菓子を振る舞うということが決まった。

 

 

そこからが地獄の始まりだった。

 

「何個作ります?」

「小さめに作って種類を多く、てのが妥当じゃねえか? 大きいと焼く時間もかかるし、微調整も難しくなる」

「ですよねぇ」

 

そして人員名簿から、余裕を持った数を逆算したところ。

 

「春田さん」

「何でしょう?」

「有給休暇ってあまってる?」

「......そういう事ですか」

「覚悟しないとこの数は無理」

 

試作を数個作り、ナガンに味見をしてもらいゴーサインが出たところで作戦開始。

ハロウィンまで全休にしてカフェの厨房にこもり、生地と格闘する事ウン時間。さらにそれをオーブンに叩きこみ、その間にラッピングとコスプレ準備と店の飾り付け。

焼きあがったところでラッピングと、焼き作業をひたすらに繰り返す事気が遠くなるほど。

 

「お、わっ、たぁ......」

「もう、身体中ガタガタですね......」

「ラジオが録音放送で助かった、この有様じゃまともに解説なんて出来るわけがねえや......」

 

そして5時間ほどぶっ倒れ、本番の夜がやってきた。

 

「「「トリック、オア、トリート!」」」

「あらあら、皆お揃いで」

「トリート!」

「......カリーナまで参加してんのか」

「いいじゃないですかぁ、イベントは好きですから」

「儲かるからだろ」

「......」

 

ぷい、とよそを向くカリーナ、その様子を見る限りだいぶ儲かったらしい。

その本人の仮装はというと、日本の古い学生服であり、水兵服をかたどったセーラー服。

普段まとめている髪をすっかり下ろしてあり、そのらしくない見た目とは裏腹に案外似合っているのが驚きだった。

 

「......ただ、その手の人にしか見えないというか、なんというか」

「ひどいっ!」

 

飲まなきゃやってられないです、と適当にドリンクをオーダーされたのでカウンターに戻る。お菓子を配るのは春田さんに一任しているが、今のところ問題はなさそうだ。

 

「くくく......今宵は祭りよ、血が騒ぐ!」

「あ、ウェルロッド。闇に飲まれよ」

「闇に飲まれよ!」

 

次に現れた顔見知りはウェルロッドMk.Ⅱ。

その仮装はというと、黒系のレース付きドレス。それを俗にゴスロリ風、というんだっけか。長く縦に巻いたカールのついた銀色のウィッグもよく似合っている、が。

 

「なんでそれにした」

「天啓が舞い降りたのだ」

「......なんにせよよく似合ってる。今夜は楽しんで」

「では早速注文を、今宵は私は血を求める貴婦人が望ましい」

「ブラッディマリーか、了解」

 

確かイギリスの王族の名前が由来だったはず。多くの人を処刑したからついたあだ名が『ブラッディ・メアリ』。その名の通り、真っ赤な色をしているのが特徴だ。

 

「はいよ、いっちょあがり」

「かたじけない」

「お邪魔しまーす」

「その声はM14か......うげっ」

「何ですか、見た途端にへんな声あげて」

「そんなカッコしてれば誰だってビビるさ」

 

もう、と腰に手を当ててむくれているM14の格好は、カーキの軍服にテンガロンハット、つまるところあの軍曹殿である。

その割りには随分と可愛らしいが、正直トラウマがな......

 

「まあいいでしょう。スプリングフィールドさん、トリックオアトリート!」

「あらあら、随分と可愛らしい兵隊さんですね」

 

なんにせよ、楽しんでくれているようで何よりだ。

 

「ガンスミスさんウォッカー!」

「ええい、ハロウィンだろそれらしいもの頼めよ!」

「では、ハロウィンらしくオレンジ色のジャックダニエルを」

「今日は自重してくれよな酒飲みども!」

 

 

 

 

注文もひと段落したところで、俺の正面に座り直してきたカリーナ、どうにも手持ち無沙汰になったらしい。

 

「ほい、アイスティー」

「私もう大人なんですけど」

「まあまあ、飲んで見りゃわかるさ」

 

渋々といった様子で差し出されたグラスを傾けて一口飲んだところで、

 

「けほっ、これお酒じゃないですか!?」

「リキュールを混ぜて作ったアイスティー風カクテルだそうだ」

「コレ悪用できますよね」

「やんねーよ。それに咳き込むくらいだからそれなりに強いし、すぐわかるさ」

「とはいえ、一口で酔っ払う人には効きますよね」

「......やらねーからな」

「その沈黙はなんなんですか、考えたんでしょー?」

 

嘘だと否定できないのが辛い。最近カフェに来ては酒も入っていないのに管を巻いてやかましいのがいるから、そいつを潰すにはうってつけだろう。

 

「トリックオアトリート! お菓子くれなきゃいたずらするぞー!」

「あらあら、イタズラされるのは困りましたねぇ」

「ふへへ、おかしもーらいっ!」

 

颯爽と登場した我らが指揮官。やはり女子の血が騒ぐのか、気合の入った小悪魔風コスプレ、ミニスカートと大きく切り取られた胸元が目に悪い。

「......飲ませちゃいます? 騒がしくなりますよ」

「いや、今日はやめとこう」

「珍しいですね」

「......まあな」

 

俺の目線につられて、カリーナも指揮官の方を見やる。

「うりうり、いたずらしちゃうぞー!」

「ちょっと、離しなさいよ!」

「やだもーん。わーちゃんが可愛いのが悪いんだから」

「この、ちょ、どこ触って!」

「今日はお触り厳禁じゃ、引き締めるところは引き締めい」

「ちぇー」

 

怒られながらも笑顔でいる指揮官と、それを囲む人形たちは、とても楽しそうだった。

 

「今日は祭りだ。楽しまなきゃ勿体無い」

「......ですね」

 

自分のグラスにはソフトドリンクを入れて、軽くカリーナの方へ突き出す。意図を察したカリーナが同じくグラスを突き出した。

 

「夜は長いぞ、楽しもうや」

「ええ、今日はじゃんじゃん飲みますとも」

「......そこはほどほどにしといてくれ」

 

からんと軽い音が響き、騒がしさに溶けてゆく。

 

こんな騒がしい日も、たまにはいいかもな。

 

 

 

 

 

 

 





やっぱ自分で思うけど、普通に書くと実力不足が目立ちますねこれは


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番外 第1回 ドア・ノッカー

番外編シリーズと銘打って未実装だったり創作の銃をどさくさに紛れて紹介するの巻。
せっかくのハロウィンなので、ちょっとと関わりがあるかもしれない銃をチョイス。まあ見なくて見てもどうでもいいです。30分クオリティなので。

それではどうぞー





たとえその瞳を灼かれても

たとえその腕をもがれても

奴らは決して歩みを止めない

死沼へ誘う鬼火(ウィル・オー・ウィスプ)に導かれるまま

保身なき零距離射撃を敢行する――




 

 

 

16Lab 射撃試験場

 

ガンスミス

「試射いきまーす、カウント!」

 

プログラマー

「カウント3!」

 

ガンスミス

「カウント3、2、1、ファイア!」

 

プログラマー

「っー、毎度の事とはいえ応えるねぇ」

 

ガンスミス

「30ミリ鉄板貫通確認、そっちは?」

 

プログラマー

「んー、ギリギリ。外骨格積めばいけるけど、10発撃ったら耐久限界だわさ」

 

ガンスミス

「実用化は無理かー」

 

ペルシカ

「あら、貴方が外にいるなんて珍しいわね、そちらは?」

 

プログラマー

「兄です」

 

ガンスミス

「どーも、ウチの弟が世話になってます」

 

プログラマー......ガンスミスの弟。ガンスミスがハードウェア寄りなら、こちらはソフトウェア寄り。

16Lab勤務中、職業プログラマー。主に火器管制システムを担当。

 

ペルシカ

「それで、前線で働いてるお兄さんが何の用? 見たところ銃の試し撃ちしてるようだけど」

 

プログラマー

「漫画読んでて、ちょっとティンと来たアイデアがあったもんで。兄貴に協力してもらって再現しようかと」

 

ガンスミス

「一応形にはなったんですがね、どうにも実用化しろと言われると無理で」

 

ペルシカ

「......ちょっと諸元見せてもらえる?」

 

ガンスミス

「いいっすよ。職業柄わかりやすくまとめてるんで」

 

 

性能諸元

 

口径 13mm

 

使用弾薬 対装甲用高速徹甲弾他

 

装弾数 1発

 

 

ガンスミス

「今回の試作品は、口径13mmのやつですね。今んところ威力と反動のバランスが取れてる奴ですかね」

 

ペルシカ

「威力はどれくらい?」

 

ガンスミス

「そうですね......零距離射撃前提になりますけど、30ミリ鋼板が貫徹するのは確認したところなんで、垂直に当たればマンティコアも抜けます」

 

マンティコア......戦車級鉄血兵器のひとつ。四足歩行による軽快な移動と装甲、高い火力が厄介。おそらく鉄血が占拠した軍工場にて生産されていた製品と思われる。

公式で設定あるんだろうけどみつかんね。

 

プログラマー

「暇つぶしに漫画読んでたら、零距離射撃で戦車ブチ抜いてる画を見てしまったもんだから、これはもう再現するしかあるまいて、と思ってさ!」

 

漫画......「パンプキン・シザース」。

架空の世界を舞台に、休戦条約が結ばれたのちの戦災復興に奮闘する陸軍情報部第3課を描く。とりあえず一巻だけ立ち読みした。

月刊少年マガジンにて連載中、既刊22巻。

ドルフロ時空でプログラマーが入手した経路は謎、そこは聞くな。

 

ガンスミス

「半年ぶりに連絡きたと思ったらこれなんだよな、お前は全くもう」

 

プログラマー

「そっちだって忙しいだろうに。気遣いだよ気遣い。こんなできた弟そうそういやしねえだろ?」

 

ガンスミス

「死んでないだけまだマシな方かもな」

 

 

開発経緯

 

ペルシカ

「それで、この銃はどんな目的で作られたの? 見るからに正気じゃ考えられないけれど」

 

プログラマー

「対戦車部隊の主武装だとさ。

作品舞台が大体第二次大戦初期〜中期を想定してる感じで、戦車が戦場の主役になっていたわけだ。

戦車は戦車でしか倒せない、が、人間で倒せるんなら上出来だろう?

そんなわけで、作られたのがこいつ。作品の中じゃ『ドア・ノッカー』って呼ばれてたな」

 

ガンスミス

「戦車の装甲をブチ抜くためだけに設計された、対戦車ライフルの拳銃版。

今風にいうなら、対物ライフルを拳銃サイズにまとめた代物だな」

 

 

というわけで、再現してみた

 

ガンスミス

「ない頭振り絞って考えて見たんだが、まずほぼ同じサイズの12.7mmNATO弾程度じゃ威力不足。

炸薬三倍の強装弾をぶっ放したら銃の方が弾け飛ぶし、かといって20ミリで試してみれば人が持てる反動じゃない。

銃の方には補強を入れて強度を持たせて、銃弾の方は戦車用の砲弾をそのままスケールダウンしたやつに落ち着いた。それでも反動がああなんだけど」

 

プログラマー

「使う人形があるとすればの思考ルーチンは組めたんだけど、反動が人形でも抑えきれるか微妙なラインで。

ペルちゃん、なんか意見くれない?」

 

ペルシカ

「私、内部構造とかプログラムはできるけどハードの方はサッパリよ?」

 

2人

「え」

 

ペルシカ

「私は確かに天才だけど、万能ってわけじゃないわ。中世に行ったら万能の天才は見つかるだろうけど」

 

ガンスミス

「聞いてた話と違うやんけ!」

 

プログラマー

「助けてぺるえもん! なんか不思議な道具かその脳みそで解決策を頼むよプリーズ!」

 

ペルシカ

「......シミュレーションではどの種類の人形を想定してる?」

 

プログラマー

「HGの。リミッター取っ払って外骨格マシマシで入れてる。こうでもしないとドアノッカー用の射撃プログラムが入らん」

 

ペルシカ

「頭が硬いわね。SGのプログラム書き換えた方が楽じゃない。

あと銃の方はもっと銃身伸ばして重く、せめてもっと実用的に。ああめんどくさい」

 

プログラマー

「......あー、言われてみればそうかも。10分頂戴」

 

ガンスミス

「......んじゃ銃身削り出してくる。奥の工作機械勝手に借りる」

 

ペルシカ

「ご勝手に、私は寝る」

 

 

 

〜2日後〜

 

 

ガンスミス

「試射いきまーす、カウント!」

 

プログラマー

「カウント3」

 

ガンスミス

「カウント3、2、1、ファイア!」

 

プログラマー

「っしゃおら許容範囲内! プログラム問題なし!」

 

ガンスミス

「銃身の方も......見える傷は無し! 一応成功、てことで!」

 

プログラマー

「ということは」

 

ガンスミス

「つまり」

 

2人

「ドア・ノッカー完成! いやっほい!」

 

ガンスミス

「いんやこういう馬鹿騒ぎするのは楽しいなぁ!」

 

プログラマー

「はっはー! わかってるじゃないのよ!」

 

ペルシカ

「あら、完成したの?」

 

ガンスミス

「銃の方は耐久実験とかもやらないとダメですけど、一応完成です」

 

ペルシカ

「おめでと、コーヒーいる?」

 

ガンスミス

「俺紅茶派なんで」

 

プログラマー

「同じくー、あんな泥水なんで飲むんだかわからんね」

 

ペルシカ

「案外飲んでみたらハマるよ?」

 

プログラマー

「冒険するのは仕事だけで十分ですわ。今日は達成感に浸ってたいです」

 

ガンスミス

「今日俺帰るから、仕事あるし」

 

プログラマー

「基地の整備工だっけ? 頑張ってな」

 

ガンスミス

「ほいさー、あと領収書ツケといたから支払いよろしく。机の上に」

 

プログラマー

「あいよー......ん? 領収書?」

 

ペルシカ

「ああ、コレのことね......ウゲ」

 

プログラマー

「なになにペルちゃん、どうし」

 

領収書

「お前の給料一年分やで」

 

ガンスミス

『いやあ、銃器開発ってお金がかかるのよね、ははっ』

 

プログラマー

「あんのクソ兄貴いいいいいいいいいいい!」

 

 

 

 

 

 

ガンスミス

「休日に呼びつけた罰だ、バーカ」

 

 

 

 

 

 

 

 




兄弟仲は良くも悪くもない。
ちなみに、ウェルロッドMk-2を魔改造した犯人はコイツです。

そういえばとほくれすさんが質問コーナーやってたし俺もやってみようかな。
作品とか作者に関するQ&Aコーナーとかやってみたい、ラジオ番組でお便り読むのって定番じゃん?


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第29回 NTW-20

持ってないor資料が少なすぎて紹介不可能な銃以外はリクエストをほぼ消費。

G36CはG36のバリエーションのひとつだから説明しにくいし、
CZ-805はいつまでたっても出ないんだってばよ。

リクエストいつでも募集してます。かもーんばっちこい


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「あ、2人とも、お疲れ様です」

 

ガンスミス

「やみのまー」

 

ナガン

「ありがとうなのじゃー」

 

ガンスミス

「......んんん?」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「どうしました?」

 

ガンスミス

「なんでまともなこと喋ってんの」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「喋っちゃいけないんですか?!」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ......バグは解消された模様。やっとまともなウェルロッドちゃんが見えるよ、やったね!

 

 

 

ガンスミス

「えー、些細なアクシデントはありましたが、今回も始めていきましょうかね」

 

ナガン

「今回のゲストはこちらじゃ」

 

NTW-20

「NTW-20だ、よろしく」

 

ガンスミス

「では早速性能諸元の方へ」

 

 

 

NTW-20 ライフル 星5

 

口径 14.5/20mm

 

使用弾薬 14.5mm×114/20mm×82/20mm×110

 

装弾数 3/1発

 

採用 南アフリカ国防軍他

 

NTW-20

「14.5mm仕様と20mm仕様がある。特殊な工具など必要はなく、薬莢さえあれば機関部と銃身部分の交換が可能だ」

 

ガンスミス

「へー、そりゃ便利」

 

 

開発経緯

 

NTW-20

「開発は南アフリカ共和国の企業。広大な南アフリカの土地に対応するために、長射程高威力のライフルの開発が求められた」

 

ガンスミス

「アフリカはだだっ広いからねー。特に南はサバンナとか草原だし」

 

アフリカ......アフリカ大陸の事を主に指す。

サハラ砂漠の南北で文化圏が分かれている。南アフリカは乾燥して丈の短い草や木が生えるのみであり、見晴らしは非常に良い。

大陸最南端のケープタウン周辺は地中海と同じ気候であり、乾燥しているが雨はそれなりに降る模様。

 

ナガン

「見晴らしがよければ自然交戦距離も長くなる、理にかなったコンセプトじゃのう」

 

 

NTW-20てどんな銃?

 

ガンスミス

「個人武装用ライフルとしては最大級の弾薬を使用するのが特徴だな。なんと口径20mm」

 

NTW-20

「厳密にいえば、長距離狙撃ライフルではなく長距離狙撃『砲』なの」

 

ガンスミス

「一般的にゃ20mmが銃と砲の境目だからな。まあ一応コイツはライフルって分類だけど」

 

砲......陸上自衛隊やアメリカ軍では20mm以上の口径の弾薬を砲弾、それ未満を小火器弾薬と呼称する。

余談だが、世界最大の実用砲は(おそらく)戦艦大和の46サンチ砲で、砲弾の大きさ2m、重さは1.4t。最大射程42キロ。

80センチ列車砲? アレは実用的かと言われると、ねぇ。

ナガン

「......そこまでする必要あったのかのう」

 

NTW-20

「弾丸自体は対空機関砲のものを使用してるわ。確か、ドイツの」

 

ガンスミス

「ナチス・ドイツ製の『MG 151/20』だな。世界大戦が終わった後もフランスの会社が生産を続けているらしい」

 

MG 151/20......ドイツ製20mm航空機関砲。あのメッサーシュミットBf109やフォッケウルフFw190のメイン武装。これらは日本に置き換えるなら零戦くらい有名(かどうかはしらないけど傑作戦闘機)。

大戦中コピー生産が他国で試みられたが、あまりのデリケートさに成功した国は無し。

ドイツの科学力は世界一ィ!

 

NTW-20

「他には、より長距離狙撃に対応するための14.5mm仕様。20mm弾は流石に弾丸自体が大きくて、射程がそこまで伸びないの」

 

ガンスミス

「対物用には20mm仕様を、対人/長距離狙撃には14.5mm仕様を、と使い分けのできる便利さもある」

 

ナガン

「あのような大きな銃を複数持ち歩くのは大変だからのう......」

 

NTW-20

「......銃自体の重さは30キロ程度、他のライフルのように立射は無理」

 

 

機構あれこれ

 

ガンスミス

「これだけ高威力の弾丸を発射する以上、反動もシャレにならないわけで。それを軽減するための工夫ももちろんある」

 

NTW-20

「銃口にはマズルブレーキ、機関部にはスプリングと油圧ダンパーを内蔵。ストック部分にもスプリングと大型油圧サスペンションも仕込まれている」

 

ガンスミス

「これだけしてもアレだけの反動があるんだけどな」

 

アレだけの反動......YouTubeに動画があるので是非見て欲しい。外国語なので会話内容はさっぱりわかんないけど。

 

ガンスミス

「作動機構は安心と信頼のボルトアクション。この場合は、精度より頑丈さで選ばれたんだろうけどな」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「必要性があって生まれたロマン兵装。その過剰なまでの火力は、敵を穿つにはもってこいです!

......まあ技術者として言わせてもらうと、なぜ設計者はこんなバ火力を求めたのかがわからない」

 

バ火力......ロマン菌とかそういうのに感染してたんじゃなかろうかと思います。

 

NTW-20

「鋼鉄の壁であろうと、あらゆる障害を私は撃ち抜いてみせよう。困ったらすぐに呼んでくれ、どこからでも目標を破壊する」

 

ナガン

「その意気込みやよし。じゃが、焦ることなく基礎からこなすことが実力者になる近道じゃ。お主の火力が反則じみておろうがそれは変わらぬからな?」

 

NTW-20

「疾走する豹を一撃で仕留める。それが私の目標だ」

 

ガンスミス

「仕留めるどころかミンチの出来上がりなんですけども」

 

ミンチ......12.7×99mm弾による2キロ先からの狙撃でも人間は真っ二つになる。ではさらに口径の大きな14.5mmや20mmは?

 

NTW-20

「それでは指揮官。良きドルフロライフを」

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「竹槍戦術ねぇ......」

 

ナガン

「どうした、論文をめくっているとは珍しい」

 

ガンスミス

「ウチの弟が書いたモノなんだけど、NTW-20みたいな大口径ライフルとHG4人を編成して、RFの狙撃演算をHGの指揮能力で肩代わりして精度を上げて必殺の弾丸をブチ込む、てコンセプトらしいんだよね」

 

ナガン

「......まあ、あやつのようは重量級の銃持ちじゃと一気に弱体化するからのう。長距離狙撃は失敗しやすいのが常じゃし、理にはかなっておるな」

 

ガンスミス

「現場からすると?」

 

ナガン

「HG4人でもし敵襲があれば対応不可能なんじゃが」

 

ガンスミス

「ロマン砲にロマン戦術重ねがけしちゃダメだろ」

 

竹槍戦術......RFにHGのバフをかけまくって殴る戦術。今の所NTW-20などが使われており、うまくハマればボスすら一撃で殺せる。

 

ただ、スキルチャージまでの時間稼ぎ、道中の雑魚敵の処理など課題は多く、5リンク必須などコストも高い。ゲームでもロマン戦術。

公式4コマでもネタにされてたなそういや。

 




活動報告に質問箱置きました。
作品やそれ以外の質問あればどしどしどうぞ。
くだらない質問(常識的な範囲なものに限り)も受け付けます。
というかこういうので作品の質問を見かけないのは何故なんでしょうね......


コラボしてえ(本音)


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番外 第2回 ダネルMGL

今回、語り手としてとある他作品キャラに登場してもらっています。そういうのが認められない人はUターン願います。

割とがっつり登場するから。


 

 

ガンスミス

「んー、今回どうすっかなぁ。実在する銃とはいえ、対応する人形がいるとは聞いたことないし」

 

??

「おーい、レンやーい、レンやーい! どこにいったんだぁ〜、私を置いて行くんじゃないよぉ〜」

 

ガンスミス

「へいそこの君、どうしたんだ?」

 

??

「ううー、実は相棒が迷子になってしまってのう」

 

ガンスミス

「そりゃ不幸な事だなちびちゃん。あー、放送設備で迷子案内でもかけてやろうか?」

 

???

「ありがとおじさん! あと私の名前はフカ次郎だからな!」

 

ガンスミス

「おじ......」

 

おじさん......ガンスミスは自分ではまだおじさんではないと思っている。

他人からどう見えるかは人による。

 

フカ次郎

背が低く、長い金髪を纏めたあどけない顔立ちの少女。防具で全身を固めており、身に余る大きさのバックパックはまるで登山家のよう。

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

フカ次郎

「おじさん面白いことやってんね!」

 

ナガン

「おじ、おじさん......ブフォ」

 

ガンスミス

「笑うなぁ!」

 

ナガン

「そ、それよりもやることがあるのではないのか」

 

ガンスミス

「あーそうそう、そうじゃなかった。

今日の飛び入りゲストさんなんだが、どうにも相方が迷子らしいんだ。もし情報があれば放送室まで頼む」

 

フカ次郎

「えー、レンさまー、レンさまー、ピンク色の格好の小学生と同じくらいちっこいうさぎさーん、フカ次郎が探していますよー」

 

 

 

 

ガンスミス

「さて本題だ。今日のリクエストはいつもと趣向が違うんだな」

 

ナガン

「ほう、わしは聞かされておらんが、どんなのじゃ?」

 

フカ次郎

「じゃじゃーん、こちらになりまあす」

 

ガンスミス

「ダネルMGL、グレネードランチャーだ。銃は銃でも異色の部類だな。性能諸元に入ろうか」

 

 

 

ダネルMGL グレネードランチャー 星-

 

口径 40mm

 

使用弾薬 40×46mm擲弾/40×51mm擲弾

 

装弾数 6発

 

採用 ブラジル、アメリカ軍他

 

 

ガンスミス

「擲弾の読み方はてきだん、だ。ちょいと初見じゃ読みにくいかもな」

 

開発経緯

 

ガンスミス

「このダネルMGLは、南アフリカで開発されたグレネードランチャー。リボルバーのような回転式弾倉を持つ、割とスタンダードな部類のグレネードランチャーだな」

 

フカ次郎

「スタンダード? レア物って聞いたんだけど」

 

ナガン

「今じゃあんまり使う事を見ることはないのう。わしも一度か二度お目にかかった程度じゃ」

 

ガンスミス

「こいつはほかのものと違い、軍用を目指して開発されたものだ。弾丸もNATO規格のものを使用している。

これ以上は次で語るべきかな」

 

 

 

ダネルMGLってどんな銃?

 

ナガン

「そもそもグレネードランチャーとはなんじゃ?」

 

フカ次郎

「相手をぶっ飛ばすモノ」

 

ガンスミス

「身もふたもない言い方だが半ば正解だ。簡単に言うなれば、榴弾を飛ばす兵器......これがグレネードランチャーなんだわ」

 

ナガン

「となると、SOPMODが景気良くぶっ放しておるのもソレか?」

 

フカ次郎

「そうだな。アレはアサルトライフルのオプション装備用にコンパクトにしたやつだ」

 

アレ......M203グレネードランチャーの事。M4系列のグレネードランチャーは主にこれが用いられるが、近々更新されるらしい。

 

ガンスミス

「まあグレネードランチャーにはそりゃ長い歴史があるんだが、まあそれはそれ」

 

フカ次郎

「なんだよ、紹介しないの? そういう番組って聞いたんだけど」

 

ガンスミス

「尺が無いです」

 

フカ次郎

「世知辛いねぇ」

 

尺......2000〜3000文字を目処に書いています。なんとなく自分が読みやすいのでこの程度ですが、いかがですか?

 

ガンスミス

「本題に戻ろう。先も言ったようにこいつは軍用を前提として開発されていて、それなりに固くできてるし、状況対応能力が高い。

角度調整が可能な光学サイト、そして自由度の高いストック。実践的な気配りだな」

 

フカ次郎

「おお、お主はそんなに私のことを......ありがとうな」

 

ナガン

「いちいち大げさじゃのう」

 

ガンスミス

「他には、というよりグレネードランチャー全般に言えることなんだが、色々な弾丸を撃ち分けることが可能だ。表がこちら」

 

40×46mm擲弾内訳

 

高性能炸薬弾(HE)

多目的榴弾(HEDP)

空中炸裂弾

散弾

照明弾

催涙弾

発煙弾(煙幕展開用)

マーカー

演習弾

赤外線照明弾

 

プラズマグレネード弾

 

ガンスミス

「最後の手書きのは?」

 

フカ次郎

「抜けてたから書き加えとこうと思って」

 

ナガン

(プラズマ......もしや、軍関係の人間なのか?)

 

ガンスミス

「そしてグレネードランチャーの射程だが、長いようで短い。他には命中精度はあまりよろしく無いな」

 

フカ次郎

「ふふふ、それはトーシロが使うからってもんさ」

 

ガンスミス

「誰だってそうぽいぽい撃てるもんじゃない。

40×46mm擲弾を例に挙げると、最大射程は400m。有効射程は150m程だ」

 

最大射程と有効射程......最大射程は弾が届く範囲。有効射程は弾を狙って十分に充てることのできる距離(個人的解釈)。

わかりやすくいうなら、野球ボールを全力でぶん投げるのか、狙った場所に投げるかの違いだと思う。前者の方が飛ぶが、狙いは後者の方が良い筈だ。

 

ナガン

「他にも、放物線を描いて飛ぶのが特徴だ。着弾までにちと時間がかかるのが欠点じゃな」

 

フカ次郎

「でも、障害物の上を通しての狙撃とかには使えるんだよね、それにウチの観測手は優秀なんだよ?」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「リクエストって事でまとめてみたが、如何だっただろうか。

この銃の特徴は、多彩な弾丸の種別と高威力、そして放物線を描く弾丸。

そのピーキーさを使い分ければ一流ってな」

 

ナガン

「あまりみない銃ではあるが、少しは興味を持ってもらえれば幸いじゃ。では、締めを......うん?」

 

春田

「フカ次郎さん、お客さんですよ」

 

レン

「フカぁ!」

 

フカ次郎

「レン!」

 

レン

「探したんだぞこの〜」

 

フカ次郎

「あははは、ごめんごめん。迷っちゃって」

 

ナガン

「待ち人は見つかったようじゃな」

 

フカ次郎

「うん、ありがとおにーさん、そして同士!」

 

レン

「もう、ピトさん待たせてるんだから、もう行くよっ。サーバ間違えてるんだから一回ログアウトしないと」

 

フカ次郎

「だー、どうりで勝手が違うわけだ。

それじゃ、また会うひまで、あでぃおーす」

 

ナガン

「き、消えっ?!」

 

ガンスミス

「なななな、な、なんだよ?! きゅ、急に消えたぞ、どこ行った!」

 

春田

「落ち着いてください、迷彩マントではないでしょうか」

 

ガンスミス

「......なるほど、一理ある」

 

ナガン

「どうにも、怪しい2人組じゃのう。

ま、厄介ごとに首を突っ込むのも良くはない、か」

 

ガンスミス

「......それもそうだな、では、本日はこれにて終了。また次回!」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

 

フカ次郎→篠原美憂

「ふいー、不思議なこともあるもんだねぇ」

 

レン→小比類巻 香蓮

『もう、勝手に変なところログインしないでよ! 探すのがどれだけ大変だったか......』

 

篠原美憂

「ところでコヒー」

 

小比類巻香蓮

『なあに』

 

篠原美憂

「GGOに新規サーバー実装なんてニュースあったっけ?」

 

小比類巻香蓮

『北米でやってるとか? あっちだけ先行配信だったのに紛れこんじゃったとか』

 

篠原美憂

「そうだよね」

 

(でも、不思議だったんだよねぇ。あの世界はどう考えてもV()R()()()()()()()()()()()()を感じた。

なんなんだろうねぇ、このサーバーは)

 

篠原美憂

「Dolls-Frontline 人形たちの最前線なんて、ちょいとブラックジョークが過ぎるんじゃないの?」

 

 

GGO......ガンゲイルオンラインの略称。

かの有名ライトノベル、ソードアートオンライン及びそのスピンオフ、ガンゲイル・オンラインに登場する架空の対戦型シューティングVRゲーム。

作者は銃ばかり出てくる小説を書く小説家もとい時雨沢 恵一。名前の時雨沢は拳銃『SIG SAUER P226』が由来。

名前の由来からして重度のガンマニア。その名の恥じないよう、銃ばかり登場する作品を書き、アニメの銃器監修すらやっている筋金入り。

 

その作品、『ガンゲイル・オンライン』シリーズは銃の描写もさる事ながら銃撃戦の描写が見事。VRゲームらしい技術も登場する上、作品ゲーム自体がドルフロに近しい設定なのでかなり親和性が高い(個人的意見)。

 

篠原美憂、小比類巻香蓮はガンゲイル・オンライン登場人物。

詳細はとりあえず小説を買うことをオススメする。アニメ化もされているのでそちらもだが、どうせこのサイトにいるんだから文字読め文字を。物書きさんだったら参考になるしそうでなくとも(以下省略)

 

 





だって調べたらメインウエポンで使ってるキャラがフカ次郎やて知ってめっちゃ驚いて楽しかったんやもん。
GGO全巻履修済み+アニメ視聴済みの俺には耐えきれなかったんや......許して許して。

ところでGGOとドルフロの親和性高い、高くない?


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第30回 リー・エンフィールド


リーさん描写するの難易度高すぎる案件。地の文がないから会話文オンリーで個性つけるのしんどい。あと書いてる人少ないから参考にもできないしぃ!

かっこかわい系のリーさんをよろしくお願いします!(宣伝)


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「祝、30回!」

 

ナガン

「番外編を挟めばとっくに30話は超えておるのだが、小説のメインは解説じゃしな」

 

ガンスミス

「まあ特に記念をやるってわけでもないんだけどね」

 

ナガン

「思わせぶりなことを言いおって......」

 

ガンスミス

「50とかもっとキリのいい区切りあれば祝ってもいいかもね。みんな呼んでパーっとパーティでもしようじゃないのよ」

 

祝っても......何かしら短編でも書こうかなあと思ってたり思ってなかったり。年内には多分無理だけど。

 

 

 

ナガン

「さて、今回のゲストはこちらじゃ」

 

リー

「リー・エンフィールドNO.4 MkⅠです。よろしくお願いします」

 

ガンスミス

「リクエストはもう少し先伸ばしになりそうでねぇ、突然の申し入れだったけど大丈夫?」

 

先伸ばし......将来的には実装するけど今は未実装の銃のリクエストは困る。どうすりゃええねん。

 

リー

「お気になさらず。指揮官の命令とあれば遂行するまでですから」

 

ガンスミス

「真面目だねぇ、んじゃ性能諸元どうぞ」

 

 

性能諸元 リー・エンフィールド ライフル 星5

 

注)この性能諸元はNo.4 Mk Ⅰ準拠とする

 

口径 7.7mm

 

使用弾薬 .303British (7.7mm×56R)

 

装弾数 10発

 

採用 イギリス軍他

 

 

ガンスミス

「注意書きにも書いたが、今回扱うのはリー・エンフィールドのバリエーションのひとつだ。そいつをメインに紹介していく」

 

 

 

開発経緯

 

リー

「この銃の開発は、1888年採用のリー・メトフォード小銃の改良版として開発された。軍に採用されたのは1895年から」

 

ガンスミス

「その中でもNo4は1939年から開発されたモデルで、第二次大戦中のイギリス軍が用いていたものがコレになるわけだ」

 

ナガン

「戦争映画ではアメリカ軍を描くものが多いから、正直見慣れてはおらんがのう」

 

見慣れては......まあ作者が映画あんまり見ないだけですが。イギリス軍メインの映画ってあります?

 

リー

「その中でも、私が用いているものは狙撃銃モデル......生産段階で精度の良いものを選び、木製の頰当てとスコープを載せている」

 

ナガン

「スコープは初期のものは3.5倍のものじゃったが、年を追うごとに進化しており、44年には4倍スコープに改良されておるな」

 

ガンスミス

「狙撃銃は昔はそれ専用として設計されたものがほとんどだけど、昔はライフルの流用が主だったんだよね。

これはKar98kとかでも同じ事やってたな」

 

 

 

リー・エンフィールドってどんな銃?

 

ガンスミス

「覚えてるかどうかはさておき、この銃は三大ボルトアクションのひとつだ。

個人的な意見として、で言うなれば、

狙撃寄りのモシン・ナガン。

総合力の高いGew98(Kar98kの前身)。

そしてリー・エンフィールドは......連射力」

 

リー

「マッドミニット、ですね」

 

ナガン

「なんじゃそれは?」

 

リー

気が狂った1分間(マッドミニット)とは、第一次世界大戦前にイギリスで行われていた訓練が元です。

1分間で15発以上目標に向かい、撃つ。

要は速射訓練です」

 

ガンスミス

「ライフルの連射自体はWW1時はそう珍しくない。連射できる武器は限られていたわけだし、制圧射撃の必要があればそれこそライフルでも無理やりやるしかなかった時代だしな」

 

WW1......第一次世界大戦の略称。

World War 1 の頭文字に由来する。

 

制圧射撃......弾丸を連射し、相手を怯ませる戦術のひとつ。敵を足止めし別働隊を回り込ませる、数の多い敵を足止めする時など敵を牽制するときに用いることが多い。

基本的に当てるとかそういうのは考えない。弾丸が飛んでくるだけで人間怖いもんなのだから。

 

ガンスミス

「でもエンフィールド小銃の速射は他の武器とは一線を画す。

動画で見てもらうとわかるんだが、ワンマガジン10発を6.5秒で撃ち切る、なんて曲芸ができるのはおそらくこの銃だけ」

 

速射......エンフィールド小銃の装弾数は、同時期の小銃と比べて多い。また、同じボルトアクションでも作動がコンパクトで、大きなアクションが必要ない。

そこんところ比較動画がYouTubeに上がってるので調べてみるとわかりやすい。先人の知恵を借りていけ。

 

ナガン

「その計算だと、1.5秒に1発なんじゃが......」

 

リー

「実戦では2〜3秒に1発程度。それでも他よりは早い。

記録によれば、達人であれば1分に40発前後撃つことも可能だ。私もやろうと思えばできる」

 

1分に40発前後......1.5秒に1発のペースで撃てばよろしい。ただし、リロード3回を考慮してだが。

 

ガンスミス

「ま狙撃モデルでそこまでの連射が必要かと言われると」

 

リー

「......」

 

 

 

戦歴あれこれ

 

ガンスミス

「初期モデルの採用は1895年から。改良を重ねつつ、今回解説したNo4はWWⅡごろに使われていた。

そして朝鮮戦争時には狙撃銃モデルが参加。後続の狙撃銃が行き渡らない可能性も考えられて、7.62mm×51NATO弾仕様に改造されたものが、ものが......」

 

ナガン

「まーたもったいぶりおって、どうした?」

 

ガンスミス

「採用打ち切りの文字が見当たらないんですが」

 

リー

「未だ運用中ということですね」

 

運用中......ウィキ調べたら退役の文字が見当たらない。

一線は退いたと思われるが、訓練用などで少数が運用されている可能性が?

 

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「イギリス人の好きなものと言えば?

紅茶、フィッシュ&チップス、そしてこの銃。なーんて答えが出るくらいに知名度の高さを誇るこの銃。

気高い英国紳士の相棒は、今日も戦場で火を吹いている事でしょう」

 

リー

「私の誇りと栄光にかけて、必ずや」

 

ナガン

「思えば、運用年数最古参は実はこやつなのかもしれんのう」

 

ガンスミス

「流石に実戦で言えばガバメントに劣るわさ」

 

リー

「ところで、近々私に代えの衣装がまた届く、なんて話を耳にしたのだが」

 

ガンスミス

「うん、来るね。その話は聞いてるよ」

 

リー

「人形の私が予感などという不条理なものに頼るのもなんだが」

 

ナガン

「ふむふむ」

 

リー

「......とても嫌な予感がする」

 

嫌な予感......スキンガチャ『幼い日々』、近日実装。皆さんの幸運を祈ります。

 

ガンスミス

(すいません当たってます)

 

ナガン

「それではまた次回なのじゃ」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

 

ガンスミス

「はいよ、今日はレモンティーにして見た」

 

ナガン

「おお、サッパリして飲みやすいのう」

 

リー

「それでいて茶葉の香りも、味も負けていない......美味い」

 

ガンスミス

「手間は惜しむと不味くなるからな。飯がまずいこのご時世、紅茶ぐらいはうまくねえと」

 

春田

「スコーンも焼きあがりましたよ」

 

リー

「午後のティータイムは、格別だ......」

 

ティータイム......イギリス人はティータイムのために戦争を止めるほど紅茶が好きです。

WW1時は実際砲撃を止めて茶を飲んでたって話もあるとかないとか。

 

 

 

 

 

 





活動報告にてリクエストや質問受付してますよー。
じゃんじゃん受け付けてますよー。

でもエロいのは勘弁な!


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第31回 コルトSAA


だから解説することが多すぎるんだって!




 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「そろそろお便り返信コーナやろかなあって思うんだけど、どう思う?」

 

ナガン

「活動報告の方でも返事は書いておるし、いいのではないか?」

 

ガンスミス

「あれ作者曰く脊髄反射で書いてるもんだから、しっかりした返答をまとめたいんだと」

 

ナガン

「しかしこのコーナーは紹介がメインじゃぞ?」

 

ガンスミス

「だよなー」

 

だよな......作者もそう思います。最近番外編でお茶濁しも多いので、しばらく紹介メインにしたい(願望)。リクエストお待ちしております。

マジで返信コーナーどうしよう。

 

 

 

 

ガンスミス

「さーて気を取り直して今回のゲストはこちら」

 

SAA

「きゃっほー、コルトSAAだよ! ついに私の出番だね!」

 

ナガン

「言わずと知れた名作拳銃SAAじゃ。さて、性能諸元に入るとするかの」

 

 

性能諸元 コルトSAA ハンドガン 星4

 

口径 .45口径(約11.43mm)

 

使用弾薬 .45ロング・コルト弾他

 

装弾数 6発

 

採用 アメリカ軍

 

SAA

「SAAは、シングルアクションアーミーの略なんだよっ」

 

ガンスミス

「元は軍用拳銃だったからな」

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「SAAが発表された頃は、金属薬莢が広まり始めた頃なんだ。これに関しては、コルト社と双璧を成すS&W社が先を行っていた」

 

SAA

「遅れを取り戻す形で考案されたのが、旧式のパーカッション式拳銃のフレームを強化して、強力な弾丸を撃てるようにしたSAAなの」

 

パーカッション式......マスケット銃などで用いられた、弾丸、火薬、雷管を別々に詰める方式。これを一体化したものが金属薬莢である。

ライトノベル(?)「キノの旅」の「カノン」なんかがそれに当たる。知らない? なら是非読んでほしい。どんぱち賑やかな小説だ。

 

ナガン

「フレームを強化、と言われてもリボルバーは頑丈なのがウリじゃろう」

 

ガンスミス

「その頃はそうでもなかったんだな」

 

SAA

「当時は中折れ式やシリンダーを丸っと取り出せる拳銃が多かったからね。シリンダー部分の上が、SAAみたいにフレームが通っているのが少なかったんだよ」

 

中折れ式......リボルバーの装填方式のひとつ。銃を半ばから折るような形でリロードする方式。ムスカ大佐の拳銃や紅の豚のカーチスが使ってた拳銃なんかがそれに当たる(ジブリはいいぞ)。

利点はリロードが素早いこと、欠点は構造上ぜい弱になってしまう。現在は廃れてしまったが、散弾銃や一部のグレネードランチャーなのでは使われていることも。

 

シリンダーを丸っと......昔のリボルバーは装填に時間がかかる為、弾丸を入れるシリンダーごと交換するものもあった。形は違えど予備マガジンと同じようなものだと思う。

 

ガンスミス

「ある意味リボルバーのスタンダードを作ったんだ、とも言えるな」

 

ナガン

「なるほど、リボルバーの祖と言えるのか」

 

SAA

「どう、すごいでしょ?」

 

 

SAAってどんな銃?

 

ガンスミス

「前に紹介したナガンM1895と似ている、というよりナガンが似ているんだけどな」

 

ナガン

「1発づつ入れるローディングゲートは同じじゃしのう。違うのは弾丸くらいなもんじゃろ」

 

SAA

「弾丸は強力な45口径ロングコルト弾、同時期のM1873ライフル用の.44-40弾を使うモデルもあるの」

 

ガンスミス

「ウィンチェスターM1873とコルトSAAは西部を征服した銃として名高い。それだけ当時の人々に愛されていたというわけだ」

 

SAA

「テキサス・レンジャーや保安官が好んで使ったことから『平和を作るもの(ピースメーカー)』なんで異名もあるんだよ」

 

ナガン

「その割にはアウトローなんかも使っていた気がするがのう」

 

SAA

「それだけ愛されてたんだよ......」

 

テキサス・レンジャー......アメリカ、テキサス州の州法執行機関。アメリカ最古の法執行機関であり、現在でもテキサスの平和を守っているらしい。

現在でもSAAを装備するレンジャーもいるらしい。

 

ガンスミス

「そんでもって愛されてる分渾名も多い。なんせバリエーションごとにあるぐらいだ。

というわけで表とかも用意したり」

 

「フロンティア」

民間向け.44-40口径モデル

 

「ピースメーカー」

民間向け.45口径モデル

 

「アーティラリー」

砲兵向け約5.5インチモデル

 

「キャバルリー」

騎兵向け約7.5インチモデル

 

「バントラインスペシャル」

キャバルリーより長い最低8インチ、最高16インチの長銃身型の総称

 

「シェリフズ」

短銃身でエジェクター(排夾装置)レス

 

「シビリアン」

民間向けモデルの総称

 

 

ガンスミス

「他にもあるらしいが、代表的なものがこちらになります」

 

ナガン

「こんなにあれば混乱すると思うんじゃが」

 

SAA

「私もそう思う」

 

ガンスミス

「それにとうの昔に特許は失効済み、他の銃器製造会社のコピーモデルもある。他にもカスタムモデルや記念モデルも存在してる」

 

SAA

「カスタムモデルではアメリカのパットン将軍のが有名だね」

 

パットン将軍......アメリカ陸軍軍人。第一次、第二次大戦で活躍。バルジの作戦の指揮などが有名。

1885-1945、最終階級は陸軍大将。

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「掛け値なしの名銃SAA、現在のリボルバー全ての祖といえるかもしれないな。

今では旧式かもしれないが、その浪漫は衰えるところを知らない。どんな時でも心はフロンティアと共にあり、てな」

 

ナガン

「ダサい」

 

ガンスミス

「やかましいわ!」

 

SAA

「旧式って言っても今でも一線級なんだから! 早撃ちは誰にも負けないよ。

ところでコーラくれる?」

 

ガンスミス

「はいよ、お手製だけどな」

 

SAA

「わーい!」

 

ガンスミス

「......飲む前に締めてくれる?」

 

SAA

「えー、しょうがないなぁ。

それじゃ、また次回だよ!」

 

 

 

 

あとがたり

 

ナガン

「サラッと流したが、コーラって自家製でできるものなのか?」

 

ガンスミス

「できんことはないぞ、中身自体はありふれた香辛料ばかりだから大変なのは調合だけだ。それにこのご時世、会社の秘密のひとつやふたつ漏れるもんだしな」

 

ナガン

「......」

 








感想欄にリロードがレボリューションて書こうとしたろ。


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第32話 M1ガーランド

今回は長々と書いたから読みにくいかも、て言おうとしたけどAK-47とどっこいどっこいだった。それと番外編のダネルの方が長い。

あれ?


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「まーた出張依頼が来ました」

 

ナガン

「ほう、それで」

 

ガンスミス

「今回は同じ地区の第○基地」

 

ナガン

「......お主って有名じゃったのか? 身近にいると分かりづらいのかのう」

 

ガンスミス

「そこんところ俺にもわからん」

 

わからん......この作品の知名度ってどんなもんなんでしょうね、ぜんぜんわからん。

 

出張依頼......焔薙さん作「それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!」にてコラボストーリー進行中。

かわいい指揮官とお茶目なナガンや個性的な人形が織りなすほのぼのとした日常がテーマの作品です。

今回はその少し前、出張前の一コマ。

 

 

 

ガンスミス

「個人的なことはさておき今日のゲストはこちら」

 

M1ガーランド

「M1ガーランドです。今日はよろしくお願いしますね」

 

ナガン

「真面目で実直なやつなのじゃ」

 

M1ガーランド

「指揮官に私の良さをもっと知ってもらいたいです!」

 

ガンスミス

「本人も張り切ってるようだし、性能諸元に参りましょうか」

 

 

性能諸元 M1ガーランド ライフル 星3

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 .30-06スプリングフィールド弾

7.62×51mmNATO弾

 

装弾数 8発

 

採用 アメリカ軍他

 

ガンスミス

「半自動銃の先駆け的存在だ、その少し変わった機構に愛着を持つ人も多いんじゃないか?」

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「19世紀末から20世紀中頃、WW2終結までお国を問わず歩兵の主力といえば、ボルトアクションライフルだった。

さて、こいつの欠点はなーんだ」

 

M1ガーランド

「うーん、射撃に時間がかかることですか?」

 

ガンスミス

「あたーり。装弾から排莢を手動で行うから、連続的な射撃に難があるわけだ。

それを改善するために、各国は色々と考えてたわけなんだよね」

 

ナガン

「BARは違うのか?

強力なライフル弾に連射性能。今のアサルトライフルに通じるものがあるじゃろ」

 

ガンスミス

「そこなんだよ。実を言えばノウハウならどこの国も持っている。実際、自動式ライフルが試作されたこともあるんだ。

例えばロシアのトカレフSVTなんかだな。

前に紹介したスプリングフィールドにも、連射できる機関部を取り付けたモデルもあるにはある」

 

連射できる......通称ピダーセン・デバイス。

スプリングフィールドのボルト部分を交換することで使用でき、7.62×20mm弾を使用する半自動小銃として運用することが可能だった。

完成直後にWW1が終戦し多くが廃棄される。現存するのは世界でも100程度らしい。

 

M1ガーランド

「でも、戦場で見かけたことはないですね」

 

ガンスミス

「そうなんだ。自動式ライフルには技術力の他に立ちはだかる壁がある。

コスト、技術、弾薬の供給。この3つだ」

 

M1ガーランド

「技術も、ですか?」

 

ナガン

「先程技術は問題ないと話していたようじゃが、矛盾してはおらぬか?」

 

ガンスミス

「この場合の技術はテクノロジー面じゃない。言うなれば大量生産の技術だ。

部品を規格化し、同じ部品を大量生産できる。これを行うことができたのは当時アメリカだけで、他の国では職人が手間をかけて微調整を行なっていた」

 

ナガン

「なるほど、お主がちまちまパーツを削っていたのはそれか」

 

ガンスミス

「今でも古い銃だと規格合わないんだよなぁ、と小話はさておき。

残りのコストと弾薬供給はどうやって解決したかというと、ズバリ、アメリカそのものだと俺は思うね」

 

M1ガーランド

「アメリカそのもの、ですか?」

 

ガンスミス

「アメリカは国力も高く、唯一主要国で国が戦場にならなかった。

そしてアメリカは大衆車発祥の地でもある。ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラーをはじめとする大手車会社は、戦時中には運搬用の軍用車を大量に生産した。

そしてコストなんだが、国力もあるが、なんというかな......多分アメリカの意地もある。個人的な意見だがな」

 

ナガン

「大国の矜持、かのう」

 

ガンスミス

「太平洋戦争で争ったのは東方のこじんまりとした、とうの200年昔にゃ刀振ってた島国だ。負けるわけにはいかなかったんだろうよ」

 

 

M1ガーランドって?

 

ガンスミス

「前置きがいつもの倍以上はあるな、どうしてこうなった」

 

ナガン

「もう少し纏まらんかったものかのう」

 

ガンスミス

「まそれはどうでもいいか。

M1ガーランドの最大の特徴は自動式であることだ。その中身はM14とかAK-47でも触れたから今回は省略だ」

 

省略......M14の回で説明あります。

 

M1ガーランド

「他の点は、マガジンではなくクリップを使うことですか?」

 

ガンスミス

「といっても紙を止めるやつじゃないぞ。U字型の鉄板で、8発の弾丸を固定したやつだ」

 

M1ガーランド

「それを薬室にクリップごと押し込むんです。あとはボルトを引いて薬室を閉めて、初弾を装填すれば撃てるようになります」

 

ガンスミス

「8発撃ち切ったあとは、8発目の排莢と同時にクリップが吐き出される。底の板バネがクリップをはじき出す金属音が特徴的だな」

 

クリップをはじき出す......ドルフロでも8発ごとにクリップが飛び出している。開発陣にM1ガーランド好きがいるのでは?

たまにクリップが真上にはじき出されて、薬室の上に落ちてきてハマることもあるらしい。とてもラッキー。

 

ガンスミス

「今のようなマガジン交換のような、取り外しの手間もかからないのがメリットだ。実際装填作業はかなり素早く行える」

 

ナガン

「でも、これ以外でクリップ式装填は見たことはないのう」

 

M1ガーランド

「欠点もありますから。

まず、機構上必ず8発撃ち切らなければ再装填が出来ないんです。

次に、8発という少ない数。今では20〜30発が多いですから、それに比べれば少ない。

最後に、特徴的な音。敵に弾切れを教えているようなものですよ」

 

ナガン

「お主この前それを逆手にとっておらんかったか?」

 

M1ガーランド

「モノは考えよう、という事ですよ」

 

逆手に取る......クリップを上に投げて弾切れを装うテクニックがあったらしい、ソースは攻略サイトのコメント欄。

 

ガンスミス

「命中精度も申し分なく、弾丸はスプリングフィールドの使っていた.30-06弾を使用。

第二次大戦時のアメリカをはじめとした連合軍に使用され、M14の本格運用の始まる1961年まで現役だったんだ」

 

M1ガーランド

「現在では民生用としても生産が続いています。自衛隊では儀仗銃として使用されているみたいですね」

 

ナガン

「資料によれば狙撃モデルもあるそうじゃ。ただ、スコープがズレているから使いにくい気がするがのう」

 

ズレている......銃身の上じゃなくて左上についてる。真上だと薬莢とかクリップが直撃するから仕方ないネ。

 

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「銃の概念を大きく変えた、まさに歴史のターニングポイントと言える銃だ。現在でも愛されており、長く使われ続けている。

あのクリップのはじき出される音は、なかなか癖になるぞ!」

 

M1ガーランド

「私の勇姿、はっきりと見届けてくださいね指揮官!」

 

ナガン

「と、いうわけで今回の放送はここまでじゃ。しばらく留守にするから、またWA2000あたりにでも頼むとするかのう」

 

M1ガーランド

「それでは、また次回!」

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「というわけだからよろしく」

 

WA2000

「なんで私なの他の娘にしなさいよ私だって忙しいのよ!」

 

ガンスミス

「そんなこと言うなよわーちゃん」

 

WA2000

「わーちゃん言うな!」

 





どうでもいいですけど水曜どうでしょう面白いですね。

ナガン
「ピストルナガンへようこそ。
撃ち抜くぞー! 撃ち抜くぞー!」


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第33話 Cz75

Cz75......開発当初の名前。

CZ75......現行モデルの名前。

別にどうでもいい。


 

 

 

 

「WA2000と」

 

「ウェルロッドMk.Ⅱの」

 

「「銃器解説コーナー!」」

 

WA2000

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説するものよ!」

 

ウェルロッドmk.Ⅱ

「我々は神に非ず。過ちを犯すものが、真に人間なのだ」

(間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください)

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしているわ。間違いがあったら随時受け付けるから!」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

WA2000

「ピンチヒッター二回目よ、あいつが出張してるからね」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「然り。かの者は十字架を背負う妖精と無垢なる者の居場所へ旅立った。しかし、再臨する日はそう遠くない」

 

出張......コラボ回の裏で放送してるテイ。

ウェルロッドのセリフを訳すと、

「同じM1895さんと可愛い指揮官さんのいる基地らしいですよ。でも、すぐ帰ってくるから安心してくださいね」とのこと。

 

 

 

 

WA2000

「今日のゲストは」

 

Cz75

「なるほど、コイツが噂のアレか。アタシはCz75。あんま暇にさせんなよ」

 

WA2000

「台本通りにやりなさいよ!」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「気を鎮めよ魔弾の射手!」

(落ち着いてくださいWA2000!)

 

WA2000

「フーッ、フーッ!」

 

Cz75

「狂犬か何かかよ......さっさと進めてくれ」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「う、うむ。赤斧の勇者よ、その力の真髄を示せ!」

(そ、そうですね。では性能諸元どうぞ)

 

赤斧の勇者......赤いマントが似合いそう(小並感)。あくまでウェルロッドの主観でありゲッター線とかは関係ない、はず。

 

 

性能諸元 Cz75 ハンドガン 星5

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9×19mmパラベラム弾

 

装弾数 15+1発

 

採用 後述

 

WA2000

「軍用ではなく民間の銃だから、採用は後述するわ」

 

Cz75

(戻った......)

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

(深淵より帰還したか......)

 

 

開発経緯

 

WA2000

「この銃が開発されたのは、チェコスロバキア。現在ではチェコとスロバキアに分かれている東欧の国よ」

 

Cz75

「東欧の国はもともと共産主義の国が多い。

その頃の時流もあって、国ぐるみで武器を生産する国も少なくはなかった。

Cz75はその中で開発された銃だな」

 

共産主義...... 政治や経済分野での思想や理論、運動、政治体制のひとつ。

財産の一部または全部を共同所有することで平等な社会をめざすもので、財産を自分本位のものとする資本主義とは正反対の考え方。

 

なお、素晴らしくうまくいかないのはソビエトの崩壊を見ればお察し......と思うが、中国やベトナムなど社会主義国ではあるがうまくやっている国もないことはない。

 

というかこれはウィキ見て、まじめに説明するとなると1話が終わる。

 

WA2000

「開発は1968年から。アメリカなどで市場の広い9mmパラベラム弾を使用する拳銃の開発が決定し、Cz75の開発が始まったわ」

 

Cz75

「そんで75年に完成。名前の75はここに由来するんだろうな」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「ふむふむ」

 

 

 

Cz75ってどんな銃?

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「Masterpieceと評された銃と聞きおよぶが」

 

WA2000

「それは本当......かどうかは派閥によるわ。最優を決める論争は戦争に発展しかねないのよ」

 

Cz75

「ただの個人の主観だが、そこまで褒めてくれると嬉しくなるな」

 

Masterpiece......最高傑作という意味の英語。

 

論争は戦争に......通称きのこたけのこ戦争。

ところでみなさんが一番好きなハンドガンはなんですか?

自分はガバメントです。

 

WA2000

「話を戻すわね。

Cz75の作動方式はM1911系列と同じ、通称ブローニング型ショートリコイル。手動安全装置と、15発入るダブルカラムマガジン。と、堅実な設計を取っているわ」

 

Cz75

「特徴的なのはスライド、銃のフレームを包み込むように組み付けてある」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「して、それにはどのような利点が?」

 

Cz75

「長所は、フレームとスライドのガタが少ねえから命中精度が高い。

短所はその分スキマにゴミが入った時の対処が難しいな。一長一短だ」

 

WA2000

「他には、人間工学に配慮したデザインね。科学的な検証の元デザインされた持ち手周りはとても握りやすく扱いやすい、そうよね」

 

Cz75

「ああ、手によく馴染む。張り付いてると錯覚するくらい、は流石に言い過ぎか」

 

人間工学に配慮した......反例としてルガーP08は全く考慮されていない。

どっかの雑誌で読んだけど、しばらく撃つとの皮が切れるらしい。

 

馴染む......まあ持ったことないしなんとも。読者の中にCz75の所持者はいらっしゃいませんかー? ぜひ感想をお聞かせ願いたい。

 

WA2000

「他にも、価格は高いけど頑丈な鋼のフレーム削り出し。ここからくる強度は折り紙つきね」

 

 

 

まとめ

 

WA2000

「発売当初から高い評価を得ていた拳銃よ。むしろ悪評なんかを聞かない、高い標準で纏まったいい銃。

拳銃界の傑作のひとつと呼べるかもしれないわね」

 

Cz75

「そこまで言われると、照れるぜ」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「今回は我はあまりその力のを発揮できなかったな。魔弾の射手、そして赤斧の勇者よ、礼を言う」

 

WA2000

「資料の用意はそっちでしょ? 十分貢献してるから文句はないわよ」

 

Cz75

「クソまじめな割に自己主張がねえのがお前の欠点だな。もっと自信持てよ」

 

WA2000

「今回はこれまで。次はいつものメンバーに戻るはずよ。じゃあ、またいつか」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「黄昏の彼方にて、再びの逢瀬を!」

 

 

 

 

あとがたりだと思っていたのか?

 

Cz75

「斧の解説の時間だァ!」

 

一〇〇式

「わくわく」

 

Cz75

「アタシは斧の良さを力説してきた、が、誰もその良さを理解してくれない!」

 

一〇〇式

「そうだよね、刃物はいいものなのに」

 

Cz75

「というわけで斧のことをもっと知ってもらいたいんだ!」

 

一〇〇式

「うんうん」

 

Cz75

「アタシが使う斧はトマホーク。北アメリカのインディアンが使い始めたのが始まりだとされている。

柄の長さは30〜50センチほど、若干曲がっていたりなど持ちやすくなっている。

2000年代からアメリカ軍内では評価が高まっていたようだ。その理由は」

 

一〇〇式

「強いからですね!」

 

Cz75

「その通り、貧弱なナイフより多用途かつ威力が高い。

近接戦闘で用いる他に、扉などの障害物をぶっ壊したり、爆弾に投げつけて起爆させたりなんてこともできるスグレモノだ」

 

一〇〇式

「でも欠点もありますよね!」

 

Cz75

「そりゃ仕方ない。斧の破壊力は重さだ。そいつはメリットでありデメリット。

かさばるし重い。とっさの行動ではナイフの方が素早いな。

そんなもんけっとばしゃ問題ないけど」

 

一〇〇式

「投げつけたり叩きつけたり、すごい便利そうですもんね。一〇〇式も欲しいです!」

 

Cz75

「予備がねえからまた今度な」

 

一〇〇式

「だったら作ればいいんじゃないですか?」

 

Cz75

「......天才か?」

 

だったら作れば......世界の真理。

ないならば 作ればいいのよ ホトトギス

おそらくこれが知られるようになったのは某無人島開拓系アイドル。今は製鉄の準備もしてるし斧が作られる可能性も微レ存。

一〇〇式とCz75......近接武器持ち人形、他にはSKSが銃剣をつけてる。

それ以外には誰がいたっけ?

 

 

 

 

 

 




脚注機能なるものができまして、舞い上がってみましたが作業が面倒だし脚注って読みにくい、読みにくくない?


ぶっちゃけ作業が面倒だしヤダ。


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第34話 MP40


食べ過ぎて吐いたり中間テストがあったりしましたが元気です。

追加で解説するところで黒字を使用してちょっぴり見やすくしました。

黒字を使用......こんな感じ。


 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「ところでリクエスト箱作ったじゃん」

 

ナガン

「結構前からあったのう」

 

ガンスミス

「リクエスト来たのよ」

 

ナガン

「よかったではないか。解説しないのか?」

 

ガンスミス

KARASAWAって何?」

 

ナガン

「カラサワ......?」

 

 

KARASAWA......フロムソフトウェア作「アーマード・コア」通称ACシリーズより。

シリーズ群に登場するエネルギーライフルの名称、名前は初代プロデューサーから。

性能は作品によって異なるので一概には言えないが、総じて性能は高めの様子。

作者はAC未プレイですがいつかはやりたい。もちろん社長よろしくガチタン縛りで。

(´鍋`)「避けるとかはやらない」

 

皆様の中にレイヴンかリンクスはいらっしゃいませんかー、KARASAWAを解説してくれる傭兵はいらっしゃいませぬかー(他人任せ)。

 

 

 

ガンスミス

「気を取り直してまいりましょうか。今回のゲストはこちら」

 

MP40

「MP40です。私、精一杯頑張ります!

 

頑張ります!......アイドル島村なんとかさんの口癖。言いすぎると鬱になったりするので何事もほどほどが大事。

 

ナガン

「だから肩肘張らなくて良いと......この台詞も何回言うたか」

 

ガンスミス

「そうそう、肩の力を抜いてさ」

 

MP40

「はい、MP40肩の力を抜いて頑張ります!」

 

ガンスミス

「あのさぁ」

 

 

性能諸元 MP40 サブマシンガン ☆2

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9×19mmパラベラム弾

 

装弾数 32/64発

 

採用 ナチス・ドイツ他

 

 

ガンスミス

「割とスタンダードなというよりこれがスタンダードなんだよね。詳細は後ほど」

 

 

開発経緯

 

ガンスミス

「第一次大戦末期、ドイツで採用されていたMP18及びMP28は最初期のサブマシンガンとして使用されて、同時期に戦場で活躍したトンプソンと共に高い評価を受けていた」

 

MP40

「でも、ドイツは敗北。MP18も不当な評価を受けることがあり、大々的に評価される事はありませんでした。評価する意見もしっかりありましたけどね」

 

不当な評価......所詮〇〇は時代の敗北者じゃけぇとか思われ実際の性能より下に見られがち(個人的な意見です)。

今回の場合は賛否分かれると思います、ご指摘あればどうぞ。

 

ナガン

「んー、その名前はうろ覚えじゃが一〇〇式の時に聞いた覚えがあるのう」

 

ガンスミス

「開発時の参考用に輸入してたな。

と、そして時は流れることWWⅡ......ではなくその前哨戦のスペイン内戦がきっかけで、短機関銃を求める意見が高まった」

 

スペイン内戦......詳しくは第一回「教えてナガン先生」を参照。1936〜39年。

 

MP40

「そして軍部はさらに、ある要求を提示しました。

それは『木製部品を使用しない事』です」

 

ナガン

「ほう、それはどうしてなのじゃ?」

 

ガンスミス

「木製部品は生産は手間がかかる。特に開戦まで時間のないドイツ軍、そんな手間など待ってはいられない訳だ」

 

ナガン

「なるほどのう。最近では金属製やプラスチックが盛んなのはそれが理由か」

 

ガンスミス

「生産性重視で行くと自然そうなる。

でも外見重視の美術品狙撃銃じゃ木製は今も現役だ」

 

美術品......見て眺めるための銃もあるのだ。

完全オーダーメイドで一丁何百万とするとか、ちなみに一発でも撃つと価値が下がる。

 

狙撃銃......金属は熱によって体積が変化するのは中学校で習ったハズ。体温や環境による誤差を減らすため、木製のストックを用いるライフルは多い。

あと木の方がアジがあるしね。

 

MP40

「そんなわけで、開発に成功し本格量産が始まったのが、前身であるMP38なんです!MP40はその改良型です!」

 

MP38......落っことすと暴発するというやばい欠陥があったり。その欠点はMP40の改良版で改善。

 

MP40って?

 

ガンスミス

「大量生産に重点を置いたサブマシンガンだ。その点ではあのステンMk-Ⅱには流石に劣るけど、性能とバランスを加味するならこちらに軍配があがる」

 

MP40

「性能もそこまで悪いわけでもありません!毎分500発の発射レートは扱いやすいですし、4キロと少し重めの重量は反動を十分に打ち消せます」

 

ガンスミス

「マガジン部分をグリップがわりにし始めたのはこいつが始めて、なんて話も聞くな。ステンMk-Ⅱと違って根元はしっかりしてるから持っても歪みにくい......ま、先っぽを持てば流石に歪むから注意だ」

 

MP40

「他にはプレス加工による生産の簡略化も特徴の一つです。そこから生まれた『部品のユニット化』は生産性を大幅に高めました」

 

ナガン

「部品のユニット化?」

 

ガンスミス

「工場ごとにパーツを生産し、別の工場に集めて組み立てる、て方式だ。今でこそスタンダードだが、その始まりはこの銃だとされているらしい」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「M3サブマシンガン、ステンMk-Ⅱを筆頭に戦後の銃器に影響を与え、新しい体制まで作り出した、まさに時代に衝撃を与えた銃だ」

 

MP40

「今の銃器にも引けはとりません! ましてやペーペーシャーなんかには特にです!」

 

ナガン

(......あやつがやばいのを知っておるのはワシらだけじゃったのう)

「そうさな。ライバルを持つのはいい事じゃ」

 

MP40

「はい! MP40、頑張りまーー」

 

ガンスミス

「ではまた次回!」

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「MP40の対抗馬としては、ソビエト製のPPSh-41が上がる。

ドイツ軍からすると、その装弾数の多さが羨ましかったようだな」

 

装弾数の多さ......ドラムマガジンでは71発、箱型マガジンでも35発と多い。

 

ナガン

「逆にソ連兵はMP40の壊れにくさや扱いやすさが羨ましかったようじゃがのう」

 

ガンスミス

隣の芝生は青いんだなぁ」

 

隣の芝生は青い......他人のものは自分のものより良く見える、と言うことのたとえ。

隣の芝生は青く見える、とも?

 

 

 

 

 

 

 

 




ところでさ、最近色々とあって時間が取れないんですよ。

書きながらどうしたもんかなーって考えたんですよ。

解説というより「俺がめっちゃ推したい!」的なものを募集してみたらサボれるんじゃないカナー。
ほら、推すくらいだからいいところとか悪いところとかひっくるめた魅力を教えてくれそうだし、調べ物も少なくて済むし。ぶっちゃけネタさえ上がれば会話劇なんてパパパって書いて、終わり! だし。
それくらいなら自分で書けって話ですけど、尻込みする人も多いでしょうしね、だから自分が代筆のような形で書けば推しの魅力を発信できるし自分は話が書けるしまさにwin-winな関係じゃないでしょうか!




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第35回 P08

最近やる気が起きなかったり新しいドルフロ二次考えたりで執筆時間が取れないのが悩み。

G41に首輪つけられちゃった哀れな青年の話とか見たい?
ヤンデレじゃ無いけど、無邪気というかなんというか。



 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「最近、俺が何でもできると思われる風潮にある」

 

ナガン

「実際、なんでもできるしのう」

 

ガンスミス

「なんでもはできねーよっ! 料理は下手、掃除はできない、書類仕事は嫌いだ!」

 

下手......実はメシマズ勢。料理の時だけとにかく手際が悪い、なので必然的にうまくない料理が完成する。

ガンスミスの作ったパスタを食べた一〇〇式のコメント。

「食感的にはモチに近いですね」

 

 

 

 

ガンスミス

「まー気を取り直して、今回のゲストはこの人」

 

P08

「ルガーP08式自動拳銃です。不束者ですがよろしくお願いします」

 

不束者......芸事に明るくない、気の利かない人物を指す。

一般的には結婚の挨拶に用いるやーつ。

こういう時使うのはどうなの?

 

ナガン

「よろしく頼むのじゃー」

 

ガンスミス

「リクエストもだいぶ溜まってきたんで、バンバン消化してかないとね」

 

 

 

性能諸元 P08 ハンドガン ☆2

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9×19mmパラベラム弾

 

装弾数 8/32発

 

採用 ドイツ帝国他

 

 

 

開発経緯 最初期自動拳銃、その最高傑作

(一言コメント的なものをつけてみたり、いかがでせう?)

 

ガンスミス

「ルガーP08、正式名称はパラベラムピストーレ08。おそらく歴史上では一番最初の実用的自動拳銃、だと思われる」

 

ナガン

「実用的......ということはつまり、他の自動拳銃で試作はされたんじゃな?」

 

P08

「P08の元になったボーチャード・ピストルがこれに当たりますね」

 

ガンスミス

「それを改良、小型化したのがP08だ。ボーチャード・ピストルは重すぎる上かさばるからな」

 

P08

「ライフルサイズの銃床(ストック)をつけてやっとでしたっけ」

 

ガンスミス

「そんなの拳銃とは呼べねえよ。

片手で撃てて持ち運びがしやすい、一般的なサイドアームとして初めて運用できるようになったのが、このP08なんだ」

 

サイドアーム......副武装。主武装が壊れた時、使えない時に使用する武器のこと。拳銃やサブマシンガンなどが用いられる。

 

P08

「使用弾薬の9パラも、実はP08のための専用弾薬です。威力とバランスを兼ね備えた弾丸として開発されました」

 

9パラ......9×19mmパラベラム弾略称、9パラの他に9mmとも呼ばれる事も。

パラベラムとはラテン語による、

「Si vis pacem, para bellum」

(汝平和を欲さば、戦いに備えよ)

という格言より来る。

意味は強い力があれば戦争を防げるよ、という抑止力の考え方を示すもの(だと思う)。

 

ナガン

「たしかに、わしのM1985の7mm弾は威力不足、ほぼ同期のM1911ガバメントの45口径弾は反動が大きい。9mmはその中間というわけか」

 

P08

「初期のP08は7.65mmパラベラム弾を使用するものでした。1902年には威力の高い9mm口径のものが開発、これが現在のP08ですね」

 

 

P08ってどんな銃?

 

ガンスミス

「トグル・アクションと呼ばれる特異な作動システムが特徴だな。その動きから尺取虫との渾名もあるんだ」

 

P08

「排莢、装填のたびにトグルと呼ばれるパーツが前後します。それが尺取虫のように見えることからその名前がつきました」

 

ナガン

「ほうほう。それは面白いのう」

 

ガンスミス

「欠点は機関部の強度が低い事、そんで機構自体がそれなりに大きく、作動スペースを取る事。だから現代での採用例はほとんど無い」

 

ナガン

「駄目ではないか......」

 

ガンスミス

「まだ最初期のもんだし、多少はね?」

 

P08

「こほん、続けますよ」

 

ガンスミス

「ああすまん。他には、ほとんどのパーツが金属の塊削り出しで作られている事がある。それにより高いパーツ強度と精度を獲得した訳なんだが、MP40でも触れたように、すんばらしく手間がかかる」

 

P08

「そして当時は全て手作業。だからこそパーツ毎の差異が多かれ少なかれあり、パーツの互換性はほとんどありません......」

 

ガンスミス

「CADとか3Dプリンターとか無いしなぁ」

 

CAD......computer-aided design(コンピューター支援設計)。

コンピュータを用いて設計する事、又は設計支援ツールの総称。今時の工場ならばほとんど採用していると思われ。

 

 

採用アレコレ

 

P08

「P08を採用したのはドイツ軍が主だ。塹壕戦ではC96とともに随分と活躍したみたいだ」

 

C96......☆3 ハンドガン好みなので次回か次々回解説するつもり。

 

P08

「狭い塹壕戦では取り回しの良い拳銃が重宝されましたから。そのために32発入りスネイルマガジンも開発されていますね」

 

スネイルマガジン......カタツムリぽいデザインのマガジン。サブマシンガンMP18(未実装)のマガジンでもある。

 

ガンスミス

「でも歴史上では最初に採用したのはスイス軍だったり」

 

スイス......ハイジでおなじみアルプス山脈近くの国。チーズが美味しい。

 

ナガン

「完全中立国ではあったかその国は」

 

ガンスミス

「そう。だからあらゆる問題を自国だけで解決する必要がある。イマドキ一家に一丁銃を備える国はあそこくらいだな」

 

 

閑話休題(また話が逸れてます!)

 

 

ガンスミス

「1904年にドイツ海軍、1908年には陸軍に採用。そしてWWⅠではドイツ軍主力装備のひとつとして戦い抜き、1938年に更新されるまで運用された」

 

P08

「38年以降も、自費購入して使用する人もいたそうですね。主に階級の高い人々に好まれていたようです」

 

ガンスミス

「実はオランダ軍でも運用されてた、てのは豆知識かな」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「工業製品としては最高傑作、ただまあ銃器としての評価はイマイチ、という若干迷走したような銃なのが俺の所感だ。

でもその工作精度には眼を見張るものがある、飾って見る分の美しさは一級品だな」

 

P08

「しっかりと戦う事だってできますよ、ストックを装備すれば精度は段違いです!」

 

段違い......うろ覚えだけど100mか500m狙えるとかなんとか。

 

ナガン

「銃の評価に見た目を含めるのはどうかと思うがのう。性能が全てじゃろ」

 

ガンスミス

「お前にはロマンが足りていない」

 

ロマン......ドリルとかロケットパンチとかとっつきとかオーバードウエポンとか。

あと気合。

 

P08

「それでは指揮官様、良きドルフロライフをお楽しみください」

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「うーん、最初の試行錯誤してた方が良かったかもなぁ。だいぶ形式化したからまとめる分には問題ないけど面白みにはかけるというか」

 

ナガン

「わしとしてはわかりやすい方がいいのう。解説なんじゃし、知識を知ることがメインじゃろうて」

 

ガンスミス

「そうなのかねぇ......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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番外 第3回 AA-12

性能とかフォルムとかで人気のありそうな銃。
まだ未実装なので番外編になりまする。将来的には実装されるみたいですね、☆5で。

......どんだけ大型建造すればいいんでしょうねぇ。


 

 

16Labにて

 

 

ガンスミス

「武器の選定?」

 

プログラマー

「そうそう、新しい人形作ろうと思うんだけど武器が決まんなくてさ」

 

ガンスミス

「それで詳しそうな俺にってわけか」

 

プログラマー

「そゆこと」

 

ガンスミス

「......こういうのは普通偉いさんが話し合って決めるもんじゃないのか?」

 

プログラマー

「作れって言われたらそりゃ作るけど、個人個人で勝手に作ってるだけだよ?」

 

ガンスミス

「適当すぎるだろ16Lab!」

 

プログラマー

「というわけだからお願い兄貴、俺銃のことさっぱりなんだよ」

 

ガンスミス

「......まず候補だけでも見せてくれ。一からは流石に無理だ」

 

プログラマー

「というと思って用意しまーした」

 

ガンスミス

「こいつは山のように......」

 

プログラマー

「準備するの大変だったんだよ?」

(他の人のを借りパクしたんだけどね!)

 

ガンスミス

「......こいつなんかがいいんじゃねえの?」

 

プログラマー

「何それ、ライフル?」

 

ガンスミス

「こいつか、こいつはAA-12。こう見えて散弾銃なんだよ」

 

プログラマー

「へえ、どんな銃なの?」

 

ガンスミス

「一言で言うとショットガンの異端児だな......せっかくだし、一から十まで解説してやるよ。その方が参考になるだろ」

 

 

性能諸元 AA-12 ショットガン ☆5(未実装)

 

口径 12ゲージ

 

使用弾薬 12ゲージ各種弾薬

 

装弾数 8/20/32

 

採用 ー

 

 

開発経緯 フルオートに挑んだ散弾銃

 

ガンスミス

「コイツの原型は1972年、銃器設計技師マックスウェル・アッチソンによって開発された『Atchisson Assault-12』。

のちにこの銃を改良したミリタリー・ポリス・システム社に権利は売却され、2005年に『Auto Assault-12(AA-12)』として日の目を浴びることとなった」

 

プログラマー

「なんで権利なんか売却したのさ、自分で完成させればいいのに」

 

ガンスミス

「銃を売ろうと思えばまず手続きが面倒、自分で下手に作るよりは、多少取り分が減ろうと安心と信頼のプロに任せた方がいいだろ」

 

下手に作る......パーツの強度が不足したりマガジンだけが届かない事がある。

例:ブレン・テン。

 

プログラマー

「なるほど」

 

ガンスミス

「詳しくは商売の話になるからな、カリーナとか当たってくれ。あいつ詳しいから」

 

カリーナ......今後ともショップをごひいきに、指揮官!

 

 

AA-12ってどんな銃?

 

ガンスミス

「ズバリ、フルオートで撃てる散弾銃! この一点に尽きる」

 

プログラマー

「何が凄いのさ」

 

ガンスミス

「ショットガンというのは他の銃と比べると反動がかなり強い。それを安定して連続射撃できる、となるとかなり難しい」

 

プログラマー

「その口ぶりからすると出来なくはないみたいだけど?」

 

ガンスミス

「出来なくはないが、重すぎて使いにくいか扱えない代物になっちまうよ」

 

プログラマー

「ふーん、ハードの方は大変だねぇ」

 

ガンスミス

「だが、それを可能にしたのがAA-12だ。

反動を打ち消すシステムを多数組み込み、安定した射撃を可能に。

その完成度たるや片手やか弱い女性も撃てる程だ、普通のモノじゃこうはいかない」

 

普通のモノじゃ......M37をはじめとする一般的な散弾銃(ショットガン)は反動がかなり強い。

素人が撃つと大の大人でも2、3歩たたらを踏む、といえば伝わるか。

 

プログラマー

「結構画期的だったんだね」

 

ガンスミス

「それに、開発段階から軍用として設計されているから、強度も折り紙つきだ。

ステンレスのフレームは強力で壊れにくく、掃除もほとんど必要ない、と開発者が豪語するほど」

 

ステンレス......鉄、クロム、ニッケルを含む合金鋼のこと。サビに強いので水回りや屋外の装飾に使われる事が多い。

なぜか銃で使うと不具合が多かった。今ではそんなことはないが、精製技術の差だろうか。

例 .44オートマグなど

 

豪語する......フラグにしか聞こえないのは気のせいだろうか。

 

ガンスミス

「性能面の話するか。

弾薬はマガジン式で、8/20/32発から選べる。少しかさばるが、素早くリロードができる」

 

プログラマー

「要するにライフルとかそういうの?」

 

ガンスミス

「言わんとすることはわかる。

他には毎分350発、1秒あたり5〜6発、の発射速度も魅力だ。

この発射速度に制圧力の高い散弾、屋内戦闘になればかなり強いはずだ」

 

プログラマー

「ほうほう、ふむふむ......」

 

 

まあ、採用されてないんだけどね!

 

ガンスミス

「とはいえこの銃、実績には欠ける」

 

プログラマー

「なんでさ。試作止まりとか?」

 

ガンスミス

「完成はした、ただ売り込み先が無かっただけだ。この銃、軍に試験がされたが採用されていない」

 

プログラマー

「聞いてる限り高性能だと思うけどなして?」

 

ガンスミス

「別に散弾銃をフルオートにする必要も無いんだよな。

鍵壊したり、ドアをこじ開けるのが散弾銃の仕事だし、散弾なんて人に向ければほぼ1発で無力化できるし、威力過剰というかなんというか......正直散弾銃を人に向けること自体倫理的にどうかと

 

倫理的にどうかと......好き好んで人肉ミンチを作る人もいないでしょう。それに、傷口もえげつない事になりますし。

消耗品軍団(エクスペンダブルズ)には関係ない模様。

 

プログラマー

「平和な世界には不要だったわけと」

 

ガンスミス

「ともすればやりようはあったかも知れん。ただ、向ける相手が人の以上活躍は見込めないだろうな」

 

プログラマー

「だったらエイリアンとかならおっけーなワケ?

 

ガンスミス

「どうしてそうなる」

 

エイリアンとかなら......映画『プレデターズ』で主人公がぼんがぼんが撃ってましたね。

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「性能よし、コンセプトよし。といい銃たりうる実力はあった、ただそれを生かす場がなかったのだけが不運だったな」

 

プログラマー

「今の状況なら関係ないし、十分活躍できるよね」

 

ガンスミス

「まーな。銃を向ける相手人じゃないし」

 

プログラマー

「んじゃちょっくら組んでみるよ。ありがとー!」

 

ガンスミス

「全く、あいつはいつも自由なんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけに解説

 

ガンスミス

「散弾銃の弾薬説明してくれって変わったリクエストがあるからやってくぞー。

 

一般的に用いられるものがこの2つだ。

 

バックショット

よく言われる散弾。BB弾より一回り大きい金属製の丸玉が数粒ほど入っている。

000B弾だか00B弾だか忘れたが、前者が直径9mm、後者が8mm弱程度だったはず。

対人、対大型猛獣用。

有効射程は50〜100m、実用性を考えると30m程になる。

 

スラッグ(スラグ)弾

単発弾。発車直後の威力は大型ライフルに匹敵するが、弾丸の大きさゆえ空気抵抗を受けやすい。そのため遠距離では威力は下がりまっすぐ飛ばない。

溝を掘り込んだり形を変えたりして遠距離威力を増そうという試みはなされているな。

対物(扉の錠前や蝶番など)用。

ドアは流石に抜けない。

有効射程は100m程度

あまり遠くには飛ばないだろうな。

 

?......(資料が見つから)ないです

 

 

そんで特殊用途、マイナーな弾を解説していくぞ。

 

 

Frag-12

AA-12と同時開発された対装甲弾。資料が少ないので詳しくはできないが、榴弾や徹甲弾などが開発されたらしい。

ただ、弾幕を張る必要があるのでAA-12以外での運用は難しいらしい。

 

 

フレシェット弾

散弾の代わりに、小型ダーツみたいなものを飛ばす弾丸。初速、貫通力は高いが、弾道は安定しない。

一部が軍用で運用されている。

水中銃(SPP-1 HG ☆4など)とかに用いられることもあるようだな。

 

 

ビーンバッグ弾

ゴム製などの小さな弾を込めたナイロン袋を撃ち出す。非殺傷武器。

暴徒鎮圧や野生動物保護などで使用。

 

ガス弾

催涙ガスやペッパー(胡椒)ガスなどが込められた弾丸。ぶっちゃけグレネードで良くない?

暴徒鎮圧用。

 

 

ブリーチング弾

アメリカ特殊部隊SWATなどが使用。粉末金属を固めたスラグ弾で、最初の衝撃を受けた後は砕けるので、余計な被害を防ぐことができる。

ライフル弾や拳銃弾でも似たようなものがある。あちらは跳弾防止などが目的(うろ覚え)

軍用(?)

 

 

ドラゴンブレス

散弾をアルミやジルコニウムなどに置き換えたもの。めっちゃ燃える。

名前の由来は、銃口から出る炎が龍の吐息(ドラゴンブレス)のように見えることから。花火と似たようなものなので当然危険物、燃え移りには注意しよう。

銃弾自体の威力はそこまでない。

 

 

......と、有名どころはこんなもんだな。

 

 

 

よく考ええたら独り言だよな全部。

まったく、何やってんだか」

 

 

 

 

 




私事ですがドルフロ短編書きました。
需要ある? とか前回書いてたG41のお話です。
なんか首輪うんぬんは変な方向になっちゃいましたけど。
軽快な語り口でもカタルシスがあるわけでも文章力が凄まじいわけでもないですが、見ていってくれるとありがたいです。

というか書くのにめっちゃ頭使ったので見て欲しい。
見て、見ろ。


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第36回 Gr G3


現在リクエスト
CZ-805 AR 星3 未所持 資料少
SIX-12 SG 未実装 資料少
IWS2000 RF ☆5 近日実装予想
ゲパード GM6 Lynx RF 未実装 番外編で
MATEBA2006M HG 未実装 資料有
ワルサーPPK HG ☆2 資料有
ARX-200 以下 下調べなし(ARX-160親戚?)
SIG-556 (SIG-510ならあるんですけど)
FNX45
SA58
MPX
Gr MP5 SMG ☆4 資料有
Gr G36/36C ☆4/5 そのうち出します
Gr G3 AR ☆2 今回

64式自 AR 日本人の義務
62式 MG 以下同文
IDW SMG 資料がにゃい。



 

 

 

 

 

 

 

「WA2000と」

 

「ウェルロッドMk.Ⅱの」

 

「「銃器解説コーナー!」」

 

WA2000

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説するものよ!」

 

ウェルロッドmk.Ⅱ

「我々は神に非ず。過ちを犯すものが、真に人間なのだ」

(間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください)

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしているわ。間違いがあったら随時受け付けるから!」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

WA2000

「ピンチヒッター3回目よ。またあいつ出張してるからね」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

ヤシマ作戦に協力してくる、と言ってましたね」

 

WA2000

他所で暴れてるハイエンドモデルを倒しに行っただけでしょ。カッコつけて」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「多少の遊び心も大切、ということでしょう」

 

WA2000

「......というか、普通に喋れるのね」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「雑談はなんとか」

 

ヤシマ作戦......アニメ『新世紀ヱヴァンゲリヲン』にて第5使徒ラミエルを倒すために発令、実行作戦された作戦。

劇場版『序』の映像美は一見の価値あり、庵野監督、新作まだです?

作戦名由来は那須与一の扇うちで有名な屋島の戦い。ほら、平家物語ですよ。

 

他所......すまない、またコラボなんだ。

とほくれす様作「前線異常あり」にてちゃっかりガンスミスが紛れ込んでます。

作品自体はドルフロ他作品のごった煮、参加作品はわかりやすくまとめてあるので、興味あれば是非に。

 

普通に......ウチのウェルロッドMk-ⅡはOSが厨二病。日常会話はこなせるがラジオ中は発病するようだ。

だが、よく考えて欲しい。

普通というものは、ヒトが自分が他人から外れる事を恐れて作ったオリ。それに僕たちが囚われる必要なんてどこにもないんじゃないかな。

 

 

 

WA2000

「今回のゲストはコイツよ」

 

G3

「H&K G3です。よろしくお願いします」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「うむ。よろしく頼むぞ」

 

G3

「本当に私でいいんでしょうか。そこまで優秀では無いんですけれど」

 

ウェルロッド

「謙遜は時に毒となる。かの魔術師によれば、如何なるものにも素晴らしさは存在する、とな」

(そんなに卑屈になら無いでください。ガンスミスさんも言ってましたよ、どんな銃にも良いところはあります)

 

G3

「ウェルロッドさん、ありがとうございます」

 

WA2000

「本当に戻るのね......」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「然り。ではかの者の力の真髄を此処に!」

 

 

性能諸元 Gr G3 アサルトライフル ☆2

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 7.62×51mm NATO弾

 

装弾数 20/30/43/50

 

採用 西ドイツ軍他

 

 

 

開発経緯 H&K社の栄光、その先行き

 

WA2000

「G3のものは旧ナチス・ドイツ軍のStG.45ライフルがベースよ。ちなみにドイツ軍はこの銃の完成を待たずして敗北したわ」

 

G3

「基地にいるStG44とは同じ弾薬を使用しますが、機構がまるっきり異なります、そうですよね」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「うむ。仔細は後述だ」

 

WA2000

「そして1950年代、東西の対立などの煽りを受け、ドイツは西ドイツと東ドイツに分割されたわ。ベルリンの壁は有名な話ね」

 

G3

「地図を見ればわかりますが。ドイツはロシア......ソ連と国境を接しているのです。これはどういうことか分かりますか?」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

侵攻を受ける恐れがある、と?」

 

侵攻を受ける恐れが......その頃は東西の全面戦争の可能性もあった。日本、特に沖縄に米軍基地があるのはそれが理由。

西はドイツ、東は日本......ソビエトをはじめとする共産圏を取り囲む防衛網的なものをイメージしてくれるとわかりやすい。

 

G3

「その通りです。ましてドイツは敗戦国、軍需産業はことごとく解体され、アメリカをはじめとする国々も疲弊し支援は少ない」

 

WA2000

「AK-47の発表もそれに拍車をかけたわ。旧式ライフルと全自動銃......どちらが優秀かは一目瞭然よね。

戦後復興も兼ねて、だと思うのだけれど、西ドイツ軍はM14のような全自動ライフルの開発を求めた。

そこで目についたのが、ナチスドイツ軍StG.45だった、てわけ」

 

 

 

Gr G3が生まれるまで

 

WA2000

「原型の開発はスペイン政府の兵器研究機関セトメで行われたわ」

 

G3

「StG.45を開発したモーゼル社の技術者はそこに身を寄せていましたからね。

そして7.92x40mm弾を使用するセトメモデロA1が開発されました」

 

WA2000

恒例というかなんというか、専用弾は評判が良くなかった。そこで7.62×51mm NATO弾仕様のモデロA2が開発されたの。これがG3の始まりね」

 

恒例......Five- seveNとか、G11とか。

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「しかし、書物を読み解く限りかの社の名前は見えぬが、如何に?」

(開発はh&K社ですよね。名前が見当たりませんが)

 

G3

「モデロA2に目をつけた西ドイツ政府がスペインからライセンスを買い上げています。

そして、製造会社H&K社に改良を依頼しました。それが今のGr G3なんです」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「ふむ......」

 

 

Gr G3てどんな銃?

 

WA2000

「1番の特徴はローラーロッキング機構によるディレイドブローバック方式よ」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「......魔弾の射手、何と申したか?」

(すみません、もう一度お願いします)

 

WA2000

「ローラーロッキング機構によるディレイドブローバック方式よ」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「面妖な呪文を」

(呪文ですかそれ)

 

G3

「とても複雑な機構です。他に用いられているのはMG42機関銃ですね。

銃のフロント部分(銃身周り)はスッキリとしますが、薬室周りがどうにも不安定で、トラブルを起こしやすいようです。今ではほとんど採用例は見られませんね」

 

WA2000

「弾倉交換の手間も欠点ね。タクティカルリロードもできないから、現代から見るとあまり良い機構がでは無いわ」

 

タクティカルリロード......弾倉内に弾薬を残したまま弾倉交換すること。相手に残り装弾数を悟られないためなどで行われる。

また、薬室内に弾丸が残るので初弾装填の手間が省ける。

具体的にいうとレバーをガシャガシャしなくて良い。

 

G3

「あと、どういうわけか銃剣は銃身の上につけます」

 

銃剣......ひゃあ我慢できねえ、突撃だ!

一〇〇式やSKSが装備しているように、一般的には銃身下部に取り付ける。

 

 

 

意外と知らないG3ファミリー

 

WA2000

「実は、G3系列武器はとても多いわ。

弱小企業だったH&K社がここまでのし上がったのも、G3とその短機関銃モデルMP5の成功あってこそ、と呼ばれるほどにね」

 

MP5......みんな大好きMP5。精度クソ高い事で有名、その大元の割にG3の精度は普通。

人形は筋肉モリモリ、マッチョマンの変態だ。

 

G3

「短機関銃MP5に狙撃ライフルPSG-1、MSG90、軽機関銃HK11及び21。

そして5.56mm弾仕様HK33......聞いたことありませんか?

これらは全てG3バリエーション、及び再設計モデルなんですよ」

 

WA2000

「ここであいつの名前を聞くとは思わなかったわね......!」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「心を鎮められよ!」

 

G3

「私、何か悪いことでも言ってしまいましたか、それなら謝ります」

 

ウェルロッドMk-Ⅱ

「気に止むことは無い!」

 

WA2000

「思い出しただけで腹がたつ、今度会ったら叩きのめしてあげるわ!」

 

G3

「......なにか、悪いことをしてしまいました」

 

 

 

まとめ

 

WA2000

「四大アサルトライフルに数えられる銃、といっても素晴らしく優れていたわけではなさそうね。

それでもその存在は、その遺伝子はたしかに受け継がれているはずよ」

 

G3

「色々と物足りない私ですが、これからもよろしくお願いします」

 

物足りない......☆2なので性能はちと物足りないのが本音。

胸はたりてい(ここから先は血で読めない)

 

 

 

あとがたり

 

基地近くの廃教会

 

G3

「主よ、これから先、皆が幸せで暮らせるよう見守ってくださいませ......」

 

カリーナ

「おや、珍しいですね。ここに人が来るなんて」

 

G3

「! いえ、ここは落ち着くので。たまに来るんです」

 

カリーナ

「わかりますその気持ち。たまにこういう落ち着いたところが恋しくなるんですよ」

 

G3

「私もです。1人になりたいときは、ここに来て祈っているんです。でも、神様なんて不確かなものに祈るなんて、何か馬鹿馬鹿しいと思いませんか?」

 

カリーナ

「......どうなんでしょうね」

 

 

 

 




アンソロ読んでて思った。

「解説してて本当に良かった......小ネタがわかると三倍楽しいぜコレ!」

とりあえずIDWが出てたので大満足。
ところでこの小説の影響力てどんなもんなんでしょうね。
自惚れってわけじゃ無いですけど......なんか解説の影響を受けてる気がしないでもない話を見かけたもので、つい気になって。


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第37回 CZ-805

いろんなゲームで器用貧乏とか言われてて草。

あ、カルカノ姉妹ゲットしました。
あとカーチャンとゲーマーARも。
やったぜ。




 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ナガン

「なあ、お主コレどうやって流しておる?」

 

ガンスミス

「これ? 基地内線と、要望あったから他所の基地にも少し」

 

ナガン

「他所にはどうやって?」

 

ガンスミス

「無線だろ、たぶん」

 

ナガン

「......安全上あまり宜しくはないのうそれ。情報漏洩が怖いぞ? 変えられんか」

 

ガンスミス

「変えるも何も、そこまで重要か?」

 

ナガン

「小耳に挟んだが、どこかに漏れておるというか、盗聴されておるようでの。

機密情報はなるべく触れぬようにな」

 

ガンスミス

「機密も何も、一介の銃器整備担当だぞ俺」

 

ナガン

「お主のようなやつが他におるか!」

 

盗聴......ラジオ放送ですしやろうと思えばできる。

創作界隈の人はご自由に活用してください。

(意訳 コラボ待ってます)

 

 

 

 

ナガン

「さて、今回解説するのはこの銃じゃ」

 

CZ-805

「やっほー!ピカピカのBren805、今日からこの基地に所属することになりました、期待してよね!」

 

ガンスミス

「期待の新人クンか。いやあ楽しみ」

 

CZ-805

「......この人すっごいニタニタしてるんですけど」

 

ナガン

「安心せい。興奮しとるだけじゃ、銃に

 

銃に......美少女<新しい銃

ガンスミスはこういう人間です。

 

CZ-805

「銃に?!」

 

ガンスミス

「触ってもいい?」

 

CZ-805

「ああ、はい、ドウゾ......」

 

ガンスミス

「ウッヒョー!」

 

ナガン

「......ともかく、性能諸元に入るかの」

 

 

 

性能諸元 CZ-805 アサルトライフル ☆3

 

口径 5.56mm/7.62mm

 

使用弾薬 5.56×45mm NATO弾

7.62×39mm弾

 

装弾数 30発

 

採用 チェコ軍他

 

 

ガンスミス

「口径が2つ書かれているのは、銃身や機関部の入れ替えが可能だからだな。後述するけど」

 

CZ-805

「切り替え早すぎない......?」

 

 

開発経緯 コンセプトは器用さ

 

ガンスミス

「開発はチェコスロバキアのチェスカー・ズブロヨフカ国営会社。この銃の開発時はもう2つの国になってたけどな」

 

ナガン

「確かCz75も同じ会社で開発されていたのう」

 

Cz75......斧をぶん投げるHG、第33回で解説。

 

CZ-805

「開発は2005年、当時チェコで採用されていたアサルトライフル、Vz58の更新を目的としていたんだよ?」

 

Vz58......同会社製AR(アサルトライフル)。確か未実装なはず。

AKベースと見せかけて中身は全くの別物、AKより軽く命中精度に優れるとか。

 

ガンスミス

「Vz58は名前の通り1958年製、近代兵器としてはちと古すぎるからな」

 

CZ-805

「2008年には試作品が、その翌年には生産モデルが完成。2010年になり、チェコ軍の採用後販売が開始されました、拍手!」

 

ナガン

「おー、おー?」

 

 

 

CZ-805ってどんな銃?

 

ガンスミス

「全体的なフォルムは近代的、外装には軽いアルミ合金にポリマーを使用しているな。3.6キロってのは......軽い方、かな?

 

ナガン

「なんじゃその煮え切らなさは。はっきし言わんか」

 

ガンスミス

「そういや重さなんて気にしたことねえ......」

 

軽い方、かな?......考えてみれば重さなんてほぼ気にしたことがない。4〜5キロぐらいがARの相場って事でいいのかな。

 

CZ-805

「他にはモジュラー・ウエポンを見据えているのも特徴なんだよ?

ガンスミスさんの言う通り、銃身と機関部を入れ替えれば2種類の弾を撃ち分けられるの。

他にも短銃身にして取り回しを良くしたり、重くて頑丈な銃身で後方支援に特化させたり。結構器用なんだよね!」

 

ナガン

「それで2つ、と。なるほどのう」

 

ガンスミス

「それなんだけど、使用弾薬は5.56mm NATO弾と旧共産主義国圏で使われた7.62×39mm。冷戦終結後とはいえどっちつかずと言うかなんというか。7.62mmNATO弾使えばいいのに

 

ナガン

「......それはグリフィンで言うことかの?」

 

CZ-805

「いーじゃん適当で!」

 

グリフィン......G11のケースレス弾でもナガン・リボルバーの専用弾もなんでも作ってくれる太っ腹な会社。真面目に考えると生産ラインどうなってんだ?

 

使えばいいのに......7.62mmNATO弾は強力なので、専用のガッチリした銃を作らないと対応できないんですよ? by CZ-805

 

ガンスミス

「作動メカニズムはM16と似たり寄ったり。

もうひとつ特筆すべき点があるとすれば、マガジンキャッチがパドル式という所だ」

 

ナガン

「イマイチ聞きなれん名前じゃのう」

 

CZ-805

「AKシリーズに使われてるんだよ。

拳銃やM16なんかだと、マガジンを交換する時はボタンを押してロックを外すんだよね。

パドル式は、ボタンじゃなくて板みたいなレバーを使うの」

 

ガンスミス

「良し悪しは一概には言えないな、それぞれの良さがある。パドル式の方がリロードが若干早いが、マガジン周りの強度は低い。

今んところボタン式が主流だな」

ナガン

「なるほどのう。しかしなぜパドル式を選んだんじゃ?」

 

CZ-805

「慣れてるからね」

 

ガンスミス

「使われていたVz58がパドル式だったからな。銃の操作が変わっちゃ戸惑うだろ」

 

ナガン

「なるほど、理にはなかっておるな」

 

CZ-805

「一応ボタン式のマガジンキャッチもあるの。どう、凄いでしょ。これぞ至れり尽くせり!」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「2005年と開発は比較的遅く、だからこそ先立の銃の良さを遺憾無く取り込んだ銃だ。

コレといった強みには欠けるが、マルチロールな対応には強い。

総括すれば器用貧乏、使い方次第だな」

 

CZ-805

「どんな場所でもバリバリ活躍しちゃうよー! とっておきのグレネードランチャーだってあるんだから!」

 

ナガン

「はは、勇ましいのはわしは好きじゃぞ。早いところわしが指揮できるほどに成長して欲しいもんじゃな」

 

CZ-805

「へへーん。すぐ活躍して一軍に昇格してあげるんだから!」

 

ナガン

「それは......うん。頑張るのじゃ」

 

CZ-805

「歯切れ悪くない?」

 

ガンスミス

「期待の新人CZ-805の活躍を願って、また次回!」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ナガン

「ウチのアサルト陣は魔窟じゃろ、ああいう綺麗な目がこれから濁ると思うと......」

 

ガンスミス

「気持ちはわかる」

 

OTs-12

「誰もいない......よし。整備に来ました」

 

ガンスミス

「お、どうしたティスちゃん」

 

OTs-12

「銃身がコンマ1mm歪んだ。直して」

 

ガンスミス

「あいよー。他も見とくわー」

 

ナガン

「久しいの、調子はどうじゃ? ティス」

 

OTs-12

「今日もばっちし。秘密兵器は伊達じゃないよ?」

 

ナガン

「それは良かった。ところで......まだ次は育たんか」

 

OTs-12

「ダメだねー。AR小隊も404の416も私に言わせればマダマダ。いつになったらナガンみたいに引退できるのかなー」

 

ナガン

「ワシらもう旧式なのにのう」

 

OTs-12

「ダヨネー」

 

OTs-12......ロシア製自称秘密兵器。

現実だと開発中止の悲しみを背負ったAR。

ウチの基地ではAR最高戦力なので強キャラにチョイス。他の基地のインチキ人形くらいに戦闘能力がある予定。

目がキラキラしている(直喩)

 






そろそろクリスマスですね!





コラボ待ってます(迫真)


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番外編 相克の蛇(ウロボロス)

初めてお便りが届きました(隙あらば自分語り)

とほくれす様作
「わたしがウロボロスだ」
ウロボロスさんよりリクエストが届いたので次回紹介します。

.......何いってるんだと思うだろ。

俺もよくわからない(要するにコラボだ!)


 

 

 

 

 

「ガンスミスさんなに頼んだんですかぁ?」

「ああん?」

 

ノックもせずにドアを蹴破ってのカリーナの第一声に、思わず抗議したくなる。

 

「別に今日はなんも頼んでねえぞ?」

「忘れないでくださいよ! あんなでっかい荷物なんですから」

「心当たりないんだが」

「もう、いいから受け取ってください。

荷物搬入口に置いてありますから。あんなでかいの邪魔で仕方ないんですよう」

「へいよー」

 

しかし、誰の荷物だ?

弟はこんな事しねえし、親だったら電話してくる筈だ。指揮官は公私の区別はつけてるし、カリーナはあの様子じゃ無いだろう。

となると他所ん基地の人見知りか、ペルシカくらいか。どっちにせよ、心当たりはない以上サッサと受け取っちまおう、悩むだけ馬鹿馬鹿しい。

 

「ガンスミスです。荷物の受け取りに参りました」

「サイン頂けますか?」

「ほいさー、ていうかもう顔パスでいいって常々言ってるのに」

「規則ですから。というかないと書類作成が迷惑するみたいで、カリちゃんが噛みつくんですよ」

「成る程な、そりゃ仕方ない」

 

資材管理担当の同僚と軽口をかわしつつ、書類にサイン。同僚がハンコを押し、こっちだと案内してくれた、のだが。

 

「想像以上にデカイんだが!?」

「冷蔵庫くらいの奴がひとつと、長細いのがもうひとつ。宛先は......本部からですね」

「はぁ......?」

「台車ここに置いとくんで自由に使ってください。それじゃ」

 

小包程度なら察しはつくんだが、こんな大荷物だとマジで心当たり無いぞおい。

宛先は本部だから、基地新設の時来たゴリラみたいなオッさんからか?

だとすれば指揮官宛の筈なんだが......ああもうわかんねえ!

さっさと運んで開けちまおう。

 

「まずはこのでけえのを台車に乗せねえとな」

 

 

これ、意外と重いんですけど!

 

 

 

 

 

『 御機嫌よう、グリフィンの雑兵諸君。第十三大隊監督役をしている上級AIのウロボロスだ、そっちでは有名なのかな? わたしはよく分からないのだが。

 

 何で手紙を出したかというとだな、実は監督役なのに銃に疎くてなあ。最近傍受させてもらっているのだよ。

 ああ、別に悪用としかしてないから其処は気にするなよ? というかどんなセキュリティだろうがイントゥルーダーなら突破できるし、まあ無駄だからな。あやつのハッキングは結構普通にヤバイ。

 

 さて、ガンスミス。とナガンだったか。確かS12地区だったかな? あそこでダミーから拾った銃の仕組みがよく分からなくてな。この手紙と一緒に送り返しておくから是非、是非だな! 解説して欲しい。

 ぶっちゃけ普通に楽しみにしている。代わりにわたしの端末も銃と同梱しておいたから、情報交換ということで此処は一つよろしく頼むよ。

 これ見つかったら代理人殿にめっちゃ叱られるんだからな、出来るだけ頼むぞ。いやホントに』

......なにこれ?

 

「まじなにこれ」

 

ウロボロス、上級AI、S12地区(さいぜんせん)

 

「......なあ、ナガン」

「なんじゃ?」

「人生で初めて知らない人からプレゼントもらった」

「すごいではないか、今日は記念日じゃな」

 

なんか怖いな、開けないでおこう。

言葉を信じるなら面白そうな武器が入ってるんだろうけど、爆弾な気がせんでもないし。

また基地機能が麻痺したら困る。

 

「お主、このライフル見かけぬがどこから拾って来たんじゃ?」

「送られてきた」

 

振り向けば、机の上のライフルをナガンがしげしげと眺めている。小さい方には、最近配備が始まった新型の戦術人形のライフルが同梱されてた。

確認したがこれはなんの変哲も無い、動作もしっかり、滑らかに動く。

気になるのは若干の歪みと汚れ、本当に戦場から拾ってきたように見える。

 

「......とりあえず資料は作っとくか」

 

他のリクエスト溜まってるし、そのうち解説すればいいだろ、そのうち。

 

 

 

 

 

「カルカノM1891です、よろしくお願いします!」

「今日はよろしくー」

「頼むぞカルカノ(あね)、このバカをよろしく頼むぞ」

「任せてくださいナガンさん!」

 

今回の護衛はカルカノM1891。

彼女が持つイタリア製木製ライフルと同じ名前で、先日送りつけられてきたライフルもソレだった。

新人だが手空きでいてもあんまし困らずウンヌンカンヌン、要するに護衛任務を引き受けてくれたのが彼女だったわけ。

新人とはいえ訓練成績は優秀と聞いている。ソレに、非戦闘区域を突っ切るし、初任務の慣らしにはもってこいという判断なんだろう。

 

「寄り道はするでないぞ」

「わーってる」

「拾ったものは食うではないぞ」

「わーってる」

「知らない人についていくでないぞ」

「わーってる!」

「拾った銃を整備するでないぞ」

「ソレは無理」

「おやつは300円までじゃぞ」

「俺の仕事は遠足か何かか?!」

「......と、指揮官に言われるよう命令された」

「あんにゃろうロメロスペシャルキメてやる」

「あはは、面白い人ですね」

 

ゴタゴタはありはしたものの、なんとか(?)無事に出発と相成った。

 

「さて、いくぞ愛車弐号」

 

ぽんぽん、と言い聞かせるように砂色の車体を叩く。

初代? ああ、異世界から来た2人とFALが派手にぶっ壊してくれたよ。

レストアすんのにどれだけの金と時間が犠牲になったか......あとで領収書送りつけてやっからな!

 

空の彼方に消えた2人に心の中で悪態をぶちまけてから、いつものように運転席に乗り込む。助手席にはいつもの白っぽい服ではなく、赤と緑の民族衣装。

 

「ナビゲートよろしく」

「はい、頑張りますよ!」

 

うん、地図が逆さだね。心配だよ僕は。

 

 

 

『はいーもしもしS〇〇基地ですか、そーですか合ってますか。

わたしS09基地指揮官です今回はうちの銃器整備担当(ガンスミス)出張サービスを利用いただきありがとうございます。

今出発したんであと半日くらいで着くと思いますよろしくお願いしまーす』

 

『ああ、心得た。丁重に扱わせてもらう。

丁重に......な』

 

『ところで指揮官変わったんですね声からしてスケベぼでーの予感がするぜぐへへへ、一緒に飲みにいかない?

 

 

 

......切られた』

 

 

 

 

 

「窓の外見てるだけでいいから」

「はい、見張ります!」

「双眼鏡逆さ」

 

この空回りイタリアンガールめ。熱意は認めるがどうにもポンコツの予感がするぞ。

あー、なんでナガンは仕事かなぁ。あいつが一番やりやすいってのに。

ライフル戦術人形は目がいいから安心できるんだけどさ、あいつは判断材料が桁違いに多いから、安全性がダンチなんだよな。不足の事態には弱いが、そもそも問題を良ければいいんだもの。

 

「今日も空が綺麗よなー」

 

フロントガラス越しに空を見上げる。若干砂をかぶって光を反射するガラス越しに、黒い影が......ん?

 

反射的にハンドルを切れたのは日頃の訓練に為せる技、というよりあの逃走劇のおかげだろう。

 

迫撃砲弾が車のすぐ横で炸裂。

 

爆風で煽られ傾く愛車をハンドルさばきだけでどうにか立て直、せるか?!

 

「もど、れっ!」

 

ガツンと土を噛む音。

傾いていた地面ががまっすぐに戻る。

 

「カルカノ、前方に敵!」

「無理です、射程外です!」

 

助手席からは悲鳴じみた声が聞こえてくるが振り向く余裕もない。

あれは迫撃砲の護衛、明らかに圧力をかけるためのオトリ。

となると敵の次の手は、次の策は?

考えろ、ここは森近くとはいえ平原、視界は広い。左右から近くなら丸見え。

車の死角といえば......!

 

「カルカノ、後方警戒!」

「正しい......が、少し遅いな」

 

その声は天井から、いや、車の上から聞こえてきた。

 

「あー、不味い、語彙力限界オタクみたいになりそうだ――――――」

 

え、なんだって?

 

思わず聞き返したくなる台詞が聞こえて来たのだが、それをする余裕は無かった。

 

「悪かった、生で聞くとな............こう、良いじゃないか。うん、良いぞ。ちょっと楽しみになってきた」

「なにいってんだこいつ」

「分かりませんさっぱりです撃っていいですか?」

 

理解不能すぎて真顔になっちまったぞオイ。

だが、こちらの様子なんて知らないとばかりに話は進む。

 

「あーでだな、おぬし達を招待したつもりだったのだが............招待状は届いたか?」

「招待状だあ? んな洒落たもん知るかよ」

「ふむ、となれば名乗った方がいいな。というかあの愚か者共、どういう送り方をしたんだ?

――――まあ良い。どうせ問題は此処で解決する訳だしな」

 

 

 

 

 

 

「わたしはウロボロス。知っているかは知らんが、第十三大隊監督役上級AI。

そこの人形には、鉄血のハイエンドモデルといったほうが伝わるか?」

 

はー、鉄血のハイエンドモデルとな。そりゃまたえらいひとですね。

 

 

 

...

......

.........

............

 

 

「..................マジで?」



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第38回 カルカノM1891withウロボロス

前回のあらすじっ!

ウロボロス
「代理人殿.......生収録がみたいです......」

部下
「んじゃ拉致しちゃいましょ、こっちで手筈は何とか」

ウロボロス
「マジかよ。でも面白そう、やるか!」



 

 

 

 

 

ガンスミス

 

「ガンスミスの、銃器紹介コーナー!

このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノだ。

偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしい。人間誰しも間違いはある。

性能諸元はWikiを参考にしている。

それでは、スタート!」

 

カルカノM1891

「なんでこの状況で平気なんですか」

 

ガンスミス

経験済みだから

 

ウロボロス

「はうぁ、生ボイス......おっと不味い不味い。気が抜けたらすぐこうだ、おぬし声良いな」

 

ガンスミス

「多分生まれて初めて言われた」

 

経験済みだから......第23回 UMP45にて一度拉致られています。

二度あることは三度ある(伏線)

 

 

 

 

 

ガンスミス

「今回紹介するのは、カルカノM1891だ。

こんな状況だけど気にせず、気楽にやればいいから」

 

カルカノM1891

「はい、気楽にやります!」

 

ウロボロス

「拉致った本人が言うのも何だが逞しいな......というか敵とダウトしたりラジオ収録したりわたし人生エンジョイし過ぎでは?」

 

敵とダウトしたり…片手でシャッフルしたり、見てもないのに手札を把握しながらテーブルゲームする。

AR15をボコボコにした(ダウト)経歴あり。普通に楽しんでた。

 

カルカノM1891 ライフル ☆5

 

口径 6.5mm

 

使用弾薬 6.5mm×52マンリッヘル-カルカノ弾

 

装弾数 6発

 

採用 イタリア軍他

 

ガンスミス

「ウロボロスさん、一言」

 

ウロボロス

「悪いな、さっっっっぱり分かっておらん! だから見てるんだしなっ!」

 

ガンスミス

「ドヤ顔で言うな、あとやかましい」

 

 

開発経緯 パスタの国の名作ライフル

 

ガンスミス

「この銃の開発は1890年、トリノ陸軍工廠の主任設計者、サルバトーレ・カルカノによって開発されたんだ」

 

ウロボロス

「えっ、何。さるばとろとろ......?」

 

鉄血兵

「違いますよウロボロスさん、サルバトーレ・カルカノです」

 

カルカノM1891

「さるばとろとろ......? えっと、説明に戻しますが、今までに使用されていたベッテルリM1870小銃を更新する意図で開発されたみたいですね」

 

ガンスミス

「ちなみにベッテルリ小銃は10.35 mm×47R弾を使用する単発式ボルトアクションライフルで、開発当初は一般的なライフルだった。

とはいえ1900年前後には連発式ボルトアクションライフルが主流になり始めていた」

 

ウロボロス

「ふうむ、例えばスプリングフィールドだな」

 

ガンスミス

「マジで聞いてんのな......正解だ。

連発式ボルトアクション、その先駆的存在は、ドイツのGew88を皮切りに、各国で連発式ボルトアクションが開発された。

エンフィールド、モシン・ナガン、Kar98kなどなど――――

 

ウロボロス

「ボルトアクションは良いぞ!」

 

ガンスミス

「へいへい、わかったからちょっと静かにしてくれ」

 

ウロボロス

「す、すまん。もうKar98kとか大好きでなあ......いや、人形は嫌い。というか最近嫌いになった」

 

ガンスミス

「聞いてねえよ。まあ、カルカノM1891もそこら辺の影響を色濃く受けた銃だな。

そんじゃ詳しく解説して行こう」

 

 

 

 

 

カルカノM1891ってどんな銃?

 

ガンスミス

「割と先進的な試みがなされた銃ではあるんだが、まず基礎から抑えていこう」

 

カルカノM1891

「装弾数6発、銃身長は129センチ。重さは弾丸抜きで3.8キロです」

 

ウロボロス

「んー、それは......一般的なのか?」

 

ガンスミス

「そういうと思って作ってきました。

ほんとはナガンが突っ込むと思ってたんだがな......」

 

ウロボロス

「だって銃なんて全部軽いし小さいだろ......」

 

ガンスミス

「ちょっと何言ってるか分からないですね」

 

 

同時期の銃を比較してみた

 

Gew88(ドイツ)

 

銃身長 124センチ

重量 3.8 kg

 

(参考:Kar98k)

 

銃身長 110センチ

重量 3.9/4.2キロ

 

リー・エンフィールド(イギリス)

 

銃身長 113センチ

重量 3.9キロ

 

モシン・ナガンM1891/30(ロシア・ソ連)

 

銃身長 123センチ

重量 4.0キロ

 

三八式歩兵銃(日本)

 

銃身長 127センチ

重量 3.7キロ

 

ベルティエM1916(フランス)

 

銃身長 94センチ

重量 3.1キロ

 

 

 

ガンスミス

「とまあざっとこんなもんかなぁ。感想としては一般的なサイズ、重さではあると思う」

 

ウロボロス

「なるほど......しかし、6.5ミリ口径となるとちと特殊だとは思うがな。サイズ感は確かに普通らしい」

 

カルカノM1891

「確かにほかの国では7ミリ口径のものが多いですね。それに倣ってか改良版では7ミリ口径でしたけど、結局弾薬の都合で6.5ミリ版も作られています」

 

ウロボロス

「それで良いのかイタリア人」

 

ガンスミス

「お国柄なんだろ、しゃーない」

 

改良版......カルカノM1938。7.35×51mm弾を用いる、が、装薬量を変えないせいで初速低下、それを補うための軽いアルミ製弾頭を開発するなど、行き当たりばったり感が強い。

 

6.5ミリ版......カルカノM91/38のこと、こちらは実装されている。弾薬はM1891と共通であり配備数も多かったようだ。

戦後、各国に転売されている。

 

ガンスミス

「さてここからは技術的なお話。

カルカノM1891には、二つの大きな特徴がある」

 

カルカノM1891

「安全装置と漸増転度のライフリングですね」

 

ウロボロス

「お、難しい話が始まった。これだよこれ」

 

ガンスミス

「カルカノのボルト周りの構造はGew88を参考にしているので、見ればわかると思うがかなり似ているんだな」

 

見ればわかると思うが......心の目で見てください、もしくは画像検索。

 

カルカノM1891

「安全装置のレバーも、珍しくはありません。ですが、そこからの構造が特殊なんです」

 

ウロボロス

「急に通販番組みたいな畳み掛け方を始めたな。良いぞ――――それで、ええと何だ」

 

ガンスミス

「Gew88では、安全装置をかけると撃鉄が固定される。しかしカルカノでは、撃鉄にかかるテンション......圧力自体がかからなくなるんだ」

 

ウロボロス

「それは凄いのか? 文字が頭をふわふわ浮かんでるだけで実感がない」

 

ガンスミス

「撃鉄固定式も安全なのは言うまでもないが、衝撃での暴発の可能性は付いて回る。

しかしテンション自体が存在しないとなると、暴発の可能性はゼロに等しい。

たとえパーツがぶっ壊れても撃鉄自体がどうやっても動かなくなるからな」

 

ウロボロス

「昔は銃をそこら中にぶっ刺して使い捨てしてたものでな、壊れた時など考えたこともなかったわ。銃がないなら殺して奪えば速いし

 

銃がないなら殺して奪えば速いし......ドルフロ二次で散見される謎理論。

どっかの下士官殿も奪って重装備になるし、彼女もダミーから根こそぎ奪って使う。

殺伐とした世界観のせいなのでしょうか。

 

カルカノM1891

「専門的なことですから気にしないで――――――え、ぶっ刺す? 殺して奪う? え?」

 

ガンスミス

「突っ込むな、多分突っ込んだらこれは負けだ」

 

カルカノM1891

「そ、そうですか。では気を取り直して――――――後はですね、安全装置解除にはかなり力が必要ですから、一長一短なんですよ」

 

ガンスミス

「戦闘に関わることもないしな。与太話だと思ってくれ。

さて次、漸増転度のライフリングの話だ。

 

流石に常識として、ライフリングくらいわかるよな?」

 

ウロボロス

「ワタシゼンゼンワカリマセンネー」(棒読み)

 

ガンスミス

「はい?」

 

ウロボロス

「サッパリワカラナイナ、ガンスミスガ説明シテクレルト嬉シイナー」

 

周りでそわそわする鉄血兵

(ウロボロスさん、マジで嘘下手だな............眼から電流走っちゃってるしめっちゃ楽しそう)

 

カルカノM1891

(絶対嘘だ......どうするんです?)

 

ガンスミス

「......常識を押し付けるのは良くなかったな。んじゃ、軽く説明すっか」

 

カルカノM1891

(騙されてるー!)

 

ウロボロス

(よっしゃ行けた!)

 

ガンスミス

「ライフリングってのは、銃身内部に螺旋状に彫り込んである溝のことだ。

実は銃身内部の大きさは銃弾より微妙に細く、銃弾が発射される時溝で少しだけ削られながら回転して飛ぶ。

これにより安定して真っ直ぐ飛ぶようになるんだ」

 

ウロボロス

「なるほどねー、続けたまえよ」

 

ガンスミス

「んで、漸増転度なんだが、ライフリングに少し細工がしてある。

つっても、銃口に向けて螺旋がキツくなるだけだがな」

 

カルカノM1891

「最初はゆっくりと、銃口付近でより回転するようにという工夫ですね」

 

ガンスミス

「ちなみになんも意味ないけどな。製造の手間が増えただけだ」

 

ウロボロス

「それで良いのかイタリア人、わたしの中でイタリア人の取り柄がナポリタンだけになっていく......」

 

カルカノM1891

ナポリタンはパスタじゃねえブチ○すぞ」

 

ウロボロス

「えっマジで?」

 

 

ナポリタン......ピーマンやソーセージなどの具材を炒め、ケチャップなどで味付けした麺料理。喫茶店なんかでよく見るイメージ。

ちなみに戦後の物資不足の中で生まれた()()()()()()洋食。

間違えてた姉貴かわいい(小並感)

イタリア人に言ったらキレるという噂がある。

 

 

 

世紀の事件に関わっていたり

 

ガンスミス

「戦場ではパッとする事もなく銃生を終えたこの銃だが、戦場を去ったのちにとんでもないことをしでかしてる」

 

ウロボロス

「とんでもないこと――――――それは面白そうだなあ?」

 

面白そうだなあ......彼女の行動原理は大体これ。興味本位で暴走するプロフェッショナル。

 

ガンスミス

「正確には改良型(カルカノM91/38)ではあるんだがな。

1963年11月22日金曜日、現地時間12時30分。

テキサス州ダラスを遊説中の第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディがこの銃によって暗殺された......とされている」

 

カルカノM1891

「データによれば、犯人はリー・ハーヴェイ・オズワルドとされています。元狙撃兵ですし、確定なのでは?」

 

ガンスミス

「犯人は2日後に死亡、さらに捜査は中途で打ち切り。

......陰謀論者に騒がれても無理はないな」

 

ウロボロス

「面倒な事をする。疑わしい奴を全員殺せば解決するだろうに」

 

ガンスミス

「思考回路が殺伐としすぎだろ」

 

ウロボロス

「実際それくらいの心意気で取り掛からない方が妙じゃないか? 仮にも大統領暗殺だぞ」

 

ガンスミス

「何をぬけぬけと常識人ぶったことを......」

 

 

(注釈)この事件はジッサイとても怪しい。

気になる人は自分で調べてみてはいかがでせう?

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「堅実でありながら先進的な試みを行った銃だと思う。惜しむらくべくは、この銃を擁したイタリア軍は上手い改良型を作れなかった事だな」

 

カルカノM1891

「む、難しい話が多かったですね」

 

ガンスミス

「いやー、だいぶ話を聞いてるって感じだったし、ノっちゃってつい」

 

ウロボロス

「もう一回言っておくが、この状況に慣れているのはどうかとわたしは思う」

 

ガンスミス

「何か、こう、あんまり怖くないんだよなお前」

 

ウロボロス

「あ、そういう。じゃあ端末持ってこようかな?」

 

ガンスミス

「何でそうなる」

 

ウロボロス

「冗談だ。では約束通り解放するとするかな......おい! 頼むから代理人殿の目だけは掻い潜って解放するぞ! 良いな愚か者共!」

 

湧いてきた鉄血兵一同

「善処はするけど多分無理でーす!」

 

ウロボロス

「くっ......何となく分かっていたさ。怒られるのヤダなあ......」

 

ガンスミス

「律儀だったり上司に怯えたり中々人間臭いっていうか、変なの」

 

ウロボロス

「おぬしは代理人殿が怒っている時の何とも言えない威圧感を知らんのだ......まあ良い、今後も楽しみにしているぞ」

 

ガンスミス

「もう傍受しないでもらえると大変嬉しい」

 

ウロボロス

「ヤダ。端末やっただろう、アレが代金だとでも思え」

 

カルカノM1891

(結局どうして普通に解説できちゃったんだろう......不思議な人形だなあ)

 

ウロボロス

「さてさて、ではまた次回お会い......出来ないが。楽しみにしておけ、わたしも楽しみだ――――――いやあ、このセリフ言いたかったのだよ。さらばだ」

 

 




代理人
「何か弁明はありますか」

ウロボロス
「え、えっとですね。わたしはあくまで敵の使う兵器の性能を知ろうとしただけであって、決して興味本位でこんな事をしたわけでは」

代理人
「…………成る程、では仕方ありません」

ウロボロス
「この人チョロいな(ボソッ)」

代理人
「と納得するとでも? 勝率0%で「うっ」独断専行ばかりで「ぐっ!」おまけに指揮は部下任せ「がはぁっ!?」」

代理人
「阿呆なのですか。ウイルスの実験体として一生を終えたくないなら、今後はこういった馬鹿な真似は控えるように。良いわね?」

ウロボロス
「は、はい…………何も其処まで言わなくてもいいではありませんか…………」

代理人
「…………こういう事ばかりされると庇い切れなくなるから言ってるのよ」

ウロボロス
「え、何か言いましたか?」

代理人
「いえ、最近苦痛を与えることに特化したウイルスが出来たことを思い出したもので」

ウロボロス
「分かりましたから! もう絶対しませんからそれだけはご勘弁下さい!?」

代理人
「冗談ですよ」

ウロボロス
「冗談がマジで分かりにくいんだよなあ…………」



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教えて! ナガン先生! その3


フライングだけどクリスマスですね!
忙しいのでそれどころじゃないから先にやっちゃいます。

それでは皆様メリークリスマス!

今回はめちゃめちゃ難産でした。やりたいけど蛇足にしかならないネタが多すぎる。
トンプソンにピアノ弾かせたかったよう......


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

 

「「銃器紹介、番外編!」」

 

ガンスミス

「教えて」

 

ナガン←E:サンタ帽

「ナガン先生! のコーナーなのじゃ」

 

ガンスミス

「このコーナーはいつもと趣向を変えて解説する不定期開催コーナーです」

 

ナガン

「今回はクリスマスじゃ。と言うても、少し毛色は違うがのう」

 

ガンスミス

サンタクロースとか、クリスマスの起源を解説しても良かったんだがな」

 

ナガン

「甘ったれた話ではなく、身が引き締まるようなお話をとな」

 

ガンスミス

「メタ話すると他所ではクリスマスパーティーとかで盛り上がるだろうから、硬派なやつをやってもいいんじゃないと言うわけで」

 

 

サンタクロース......小アジアの聖人「聖ニコラウス」が由来。

貧しい家庭が3人の娘を身売りさせなければならない、と言う話を聞き、彼は3枚の金貨を窓から投げ入れた。

その時暖炉にかかっていた靴下に金貨が入ったのが、今日のプレゼントは靴下に入れる、ということの由来だと思われる。

また聖ニコラウスは海運、学問の守護聖人である。

繰り返す、学問の守護聖人である!

(学生の皆さん頑張りましょう)

 

クリスマスの起源......伝承上のキリストの誕生日を祝う日である。

またローマの農耕神サトゥルヌスのための祝祭(サートゥルナーリア)を挙げる説がある。

ブレイブウィッチーズで見た気がする。

 

 

 

クリスマス休戦

人間の良心、その最後の残光

 

ナガン

「今回解説するのは、クリスマス休戦じゃ」

 

ガンスミス

「WW1中の1914年、12月24〜25日、クリスマス。西部戦線で行われた休戦の事を指す言葉だ」

 

ナガン

「その前にWW1(第一次世界大戦)についておさらいしていくのじゃ。

必要な予備知識じゃからの」

 

 

WW1についてのエトセトラ

 

ガンスミス

「サライェヴォ事件を皮切りに始まったヨーロッパ中を巻き込んだ世界大戦だ。

主な参戦国はイギリス、フランス、ドイツなどだな。アメリカはちと参加は遅い」

 

ナガン

「戦闘機や戦車、毒ガスなんかの新兵器が多く登場したんじゃ。

じゃが、開始当初の1914年は特になにもなく......というか、泥沼の塹壕戦が始まったところじゃ」

 

 

塹壕戦......WW1時に行なわれた戦法の一つ。

人がすっぽりと埋まるほどの深さと、人がすれ違えるくらいの隙間しかない塹壕。

土の地面で水はけは最悪、更に当時の軍靴は水が染み込む革靴。水虫が横行したようだ。

そして直面する死の恐怖。

......言うまでもなく、地獄である。

 

ナガン

「ドイツ軍の快進撃は停滞。クリスマスまでには、と家を出たはずの男たちはクリスマスを家族と過ごすことは出来なかったんじゃ」

 

 

 

そして本題、クリスマス休戦

 

ナガン

「1914年12月25日、フランドル地方地方の戦場においてクリスマス休戦は確認されたのじゃ」

 

フランドル地方...... オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域のことを指す。海に結構近い。

英語ではフランダース地方と読む。

「フランダースの犬」って聞いたことあるじゃん?

 

ガンスミス

「その始まりは場所によって異なるが、一番映えるエピソードをあげていこう」

 

ナガン

「......BGMとか流せたら幻想的なんじゃがなぁ」

 

ガンスミス

「それは各自で流してもらうという事で」

 

ナガン

「では、推奨BGMは『きよしこの夜』。ドイツ語が一番望ましいのう。

 

 

両軍がたった100mの距離で、鉄条網越しに睨み合っておる時、ふとイギリス軍の耳に『きよしこの夜』のメロディが聞こえてきたのじゃ。

合唱はドイツ軍側からじゃった。

歌声はどんどんと大きくなり、終わることには戦場に響き渡るほど大きな声になっておった。

そしてイギリス軍もまた、同じように『きよしこの夜』を歌った。

 

塹壕の上には、ただロウソクを灯した粗末なツリーが掲げられていた。

その時じゃった。

あるドイツ軍兵士が武器を持たず、塹壕を乗り越え、イギリス軍側へと歩いてきた。

当然イギリス軍陣地は殺気立つ。じゃが、上官は兵士を制すると、同じように塹壕を乗り越えた。

そして両者が、塹壕の間で向かい合う。

 

そして、どちらかがいったんじゃろうな。それは資料には残されておらん。想像で語るとするなれば、

 

『今日はクリスマスだ』

 

そして誰がいうまでもなく、停戦した。

 

両軍は互いの戦死者を埋葬し合同で祈りを捧げ、酒類、タバコ、チョコレートといった嗜好品を交換し、一緒に記念写真を撮ってクリスマスを祝った。その時の写真も伝わっておる。

いくつかの地域ではサッカーの試合が行われたそうじゃな。

まともなボールがなかった場合、空き缶や小さい土嚢が代わりに使われたそうじゃ。

 

そして夜が明けた。

指揮官が拳銃を天に向かってはなつ。いっときの休戦は終わりを告げられたのじゃ。

そして両軍は陣地へ戻り銃を構えた。

先ほどまで共にクリスマスを祝った友人に向かってのう。

 

この休戦は、1918年の終戦まで行われることはなく、世界史上で見てもこのような休戦が行われた資料はないとされておる。

人間でないわしがいうのもどうかとは思うが、まさに神がくれた奇跡、というものじゃなぁ......」

 

ガンスミス

「そんなに簡単な話でもないんだがなぁ」

 

ナガン

「え」

 

 

 

 

 

奇跡の裏側

 

ガンスミス

「残念ながら、この休戦は美談で終わった訳ではないことをここに明記したい。

気持ちよく終わりたいなら今すぐにラジオのスイッチを切ってほしい。

そんで今までの話をクリスマスパーティでの話のネタにしてくれ。

今から説明するのは『戦争の負の面』が濃いぁらな、人によっては不快な気分になる。

だが、正の面も負の面も踏まえて説明するのがポリシーなもんでな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いいな?

じゃあ今から説明するぞ。

 

 

まず想定として各国は『12月までには終わるだろう』と思っていた。当然銃弾や食料の備蓄なんかも、12月分までしか生産されていなかったはずだ。戦況を見て増産を急いだとしても、すぐにはできない。

要は前線に弾が少なく、大掛かりな戦闘行為は行われることは少なかった。

次に、この休戦の申し入れは『ドイツ軍』が殆どだった。イギリス軍から休戦が申し込まれた例は資料にはない。

この理由は、1914年当時の戦況がドイツ軍優勢だったからだと考えられる。

悪く言うなれば勝者の余裕だったのかもしれん。

 

そして、クリスマス休戦が行われたのは、さっきも言ったようにフランドル地方......西部戦線の一部のみであり、他では普通に戦闘が行われていた。

特に国土が侵攻されたフランス、ベルギーなどの兵士はクリスマスをドイツ軍と祝おうとしなかった。

 

戦場によってはクリスマスを祝おうとした相手方の兵士を撃ち殺す場所もあった。

 

また、クリスマス休戦を快く思わないものもいる。

戦友を殺された怒りに燃えるもの、国のため勝利を必要とした将校などがそうだ。

かのヒトラーはこの日『戦時中にこのようなことをするべきではない』と仲間を叱りつけたが、ある意味正しいとも思える。

戦場では情けは無用だ。

そうでなくては正気は保てない。

そもそも人間は人間を殺すようには出来ていないんだからな。

 

この後両軍の上層部はこのような非公式の休戦を禁じる命令を出した。

そして、1918年の休戦まではこのようなことは行われなかった」

 

 

ヒトラー......通称ちょび髭美大落ち伍長閣下、数々の大罪を犯したヤバいやつ。

しかし社会政策手腕は褒められるべきところもあったりする。

けどユダヤ人に対するヘイトがやばい。

けどキルスコアはスターリンの方が多かったりする(うろ覚え)。お前もシベリア送りだ。

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM

作曲 坂本龍一『戦場のメリークリスマス』

 

まとめ

 

ナガン

「資料を集める時いい話だとは思っていたんだがのう」

 

ガンスミス

「人間そこまで割り切れないのさ。

別の意味で捉えるなら、戦場に礼儀がまかり通ったのはこの日までだと思うね」

 

ナガン

「礼儀ぃ?」

 

ガンスミス

「騎士道、武士道、そして貴族の嗜み......中世ヨーロッパなどではそう言った礼儀が戦場の中にもあった。

直近の日露戦争では示し合わせて戦闘行為を互いにやめ、死体を回収する時間を作るなんて取り決めもあった。

ある程度はルールがあったんだよ」

 

ナガン

「確かにWW2ではそのような例はないのう」

 

ガンスミス

「文字通りの総力戦、殺さなければ自分が殺される。そこまでの極限状態に陥らせた近代戦争の罪は重い」

 

ナガン

「クリスマスの話だというのに、重くなってしまったのう」

 

ガンスミス

「そのために前もって放送してるんだ。こんなの当日に聞かせられっかよ」

 

ナガン

「そうじゃのう......」

 

ガンスミス

「まとめちまおう。

戦場で一回だけ起きた奇跡の休戦。

そこにどんな事情があれ、その日戦闘行為をやめクリスマスを祝おうと武器を置いた人を、その尊い意思を感じて欲しい。

今回の放送が、その一端を担うことができれば満足だ。

雪を見ながら過去の出来事に浸るのも、悪くないだろう?」

 

ナガン

「では、また次回じゃ。最近忙しいゆえ次はいつになるのかのう。

メリークリスマス」

 

ガンスミス

「メリークリスマス」

 

 

 

 



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第39回 62式



注意)今回ばかりは擁護できないレベルのミスが多発している銃です。
多少気を悪くする方がいると思われます。
ご了承ください。マイルドに書いてるけどネ。



 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「クリスマスでも仕事はあるんだよなぁ。なんかやたら慌ただしいけどどしたの?」

 

ナガン

「なぜか対空警戒シフトなんじゃ、空襲でもあるんかのう?」

 

ガンスミス

(指揮官もしかしなくてもサンタを探したいだけなんじゃ......?)

 

サンタを探したいだけ......アメリカ軍が本気でサンタを捜索してるって話がありますが、元は軍にかかってきた間違い電話が元ネタだとか。

子供の夢を守るのは大人の仕事。

ところで人間サイズってレーダーで捕まえられるのん......?

 

 

 

ガンスミス

「今日のゲストはこちら」

 

62式

「62式正式に入隊! 初めまして!」

 

ナガン

「よろしく頼むのじゃぞ」

 

ガンスミス

「......」

 

62式

「ちょっと、何か言ってくださいよ?」

 

ガンスミス

「やっぱり君なのかぁ......」

 

62式

「なんですかその死んだ魚のような目は」

 

死んだ魚のような目......要するに色々と手遅れ。主に人間関係や仕事に疲れた人がしている。

創作でもちょくちょく見かけるが、本気の死んだ魚のような目はその程度じゃ足りないと思う(場合による、なお個人的意見です)。

 

ナガン

「お主性格変わりすぎじゃろう。それでは性能諸元なのじゃ」

 

62式 マシンガン ☆3

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 7.62×51mm NATO弾(減装)

 

装弾数 ベルト給弾

 

採用 自衛隊

 

ガンスミス

「日本製としては2つ目になるな。

とはいえ一〇〇式は大日本帝国で、62式は日本国になる訳だが」

 

62式

「別に変わったのは名前と憲法だけですけど」

 

 

開発経緯 国産兵器の一番星!

 

ガンスミス

「この兵器の開発は1954年から。米国の旧式兵器に頼っていた陸上自衛隊が、武器の国産化を目指して開発を始めたんだ」

 

62式

「配備されていた機関銃はM1919やM1918(BAR)なんだけど、小型な日本人には扱いにくいんだよね、デカイから

 

デカイから......1950年代のデータによれば、24歳男性の平均身長は161〜2センチ。体重は55キロほどである。

アメリカ人男性は平均身長が176〜7センチ。

現在では日本人平均身長はだいぶ伸びてきているが、戦後すぐはかなり差がある。

 

ガンスミス

「裏には日本もある程度は武装を、と言うアメリカの思惑もあった......のかもな」

 

62式

「冷戦時代だからねェ」

 

ナガン

「なるほどのう」

 

ガンスミス

「そんなわけで国産機関銃の開発がスタートしたんだ。設計には旧陸軍の技術者が多く関わってたみたいだな」

 

62式

「沖縄戦で活躍した戦訓を元に、精度に優れる軽機関銃、として開発がスタートしたんだよー」

 

ナガン

「精度に優れる機関銃とは......?」

 

62式

「それは注釈で」

 

注釈......しょうがないなあもー。

旧日本軍はなぜか機関銃に精度を求める風潮があり、多少の連射性能を犠牲にしても遠距離射撃を重視する傾向にあった。

多分弾がないからマシンガンで大量の弾丸消費を避けるためだと。結果的に現在のトレンドになっていたりならなかったりするので先見の明があった......のか?

 

 

 

 

62式ってどんな銃?

 

ガンスミス

「62式言うこと聞かん銃」

 

62式

「62式単発機関銃」

 

ガンスミス

「キング・オブ・バカ銃」

 

62式

「無い方がマシンガン」

 

ナガン

「やめっ、やめろぉ!」

 

ガンスミス

「物作りである以上失敗作は有るわけでして。資料を見て思うに少しこだわりが過ぎてズレてしまった......ってイメージ」

 

62式

「もちろん良いところもあるんだよ。

銃身交換は2.5秒でできるし、クロムメッキ加工で強度もバッチリ。

100丁バラしてパーツをシャッフルしても組み上げられるパーツ互換性。工業製品としては優秀そのもの。一丁200万くらいするけど」

 

ナガン

「高い......のかのう。銃の相場は分からん」

 

ガンスミス

「俺もさっぱり分からん」

 

62式

「全然分からん」

 

ナガン

「解説ー!」

 

62式

「あと二脚を標準装備、三脚を使えば重機関銃として運用ができるし。

直接スコープを取り付けて遠距離射撃もできる」

 

ガンスミス

「単発精度が良いのは62式の強みだからな」

 

62式

「それ以上に他がひどいんだけどネ!」

 

ガンスミス

「............まあそうなんすよ」

 

ナガン

「お主のこんな苦々しい顔久しぶりに見たわ」

 

ガンスミス

「部品点数の多さによる整備性の悪さ、に付随して重量増加、部品の隙間が大きいことによる部品脱落、連射時の命中率の悪さ。

不発・給弾不良・暴発や引き金を引くのを止めても発砲が止まらない自然撃発などの作動不良や故障の多さ。

 

......どうしろと?」

 

62式

「改良型の74式車載7.62mm機関銃は多少改善されてるけど、M1919の方がマシだったという言われよう」

 

ガンスミス

「精度確保のために開発した機構が完全に裏目にでるという、最悪の結果をもたらすことに......」

 

62式

「5.56mm機関銃MINIMIの登場で完全に世代交代、現在生産はされず細々と旧式として居残ってる状態ですねー」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「良いところは無きにしも非ずなんだけどそれ以上に悪評が目立つ銃だな。反面教師としては見習ってほしい」

 

62式

「要するにクソ銃ってわけ。いやー申し訳ないねー」

 

ナガン

「ううむ、聞いている限りどうにかなるわけでもないのう......」

 

ガンスミス

「銃を変えようにも烙印システムあるから変えようがないんだわ」

 

62式

「じゃー私出番これだけですねー。年末はRFBとゲームしてグータラ過ごすことにすると」

 

ナガン

マークスマン班に有望株が増えたな。単発射撃なら有能なんじゃろう?」

 

烙印システム......正式名称「Advance Statistic Session Tool(ASST)」。I.O.P社の開発した先進技術の一つ。

要約すると特定の銃のみ扱いが達人レベルになる。

 

マークスマン班......選抜射手とも。主に800m以内の距離で正確に射撃する訓練をされた歩兵。狙撃手と歩兵の中間の立ち位置。

まかり間違ってもマシンガンでやらせることはないがそこはまあ許容してほしい。

 

62式

「へあっ?」

 

ガンスミス

「そうそう君の62式、74式モデルに改造済みだから。人形は重量気にしなくて良いからねー」

 

62式

「あのー、そのー、えーっと?」

 

ナガン

「立ってるからにはとにかく使う、それがウチのモットー故にな。さあ、キリキリ働いてもらうぞ」

 

62式

「うそーん......」

 

ガンスミス

「そんなわけでまた次回。良いお年をー!」

 

 

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「変な時間に起きちまったな......今日クリスマスか。サンタさんが来てたら面白」

 

???

「フォッフォッフォ。サンタじゃぞ?」

 

ガンスミス

「褐色痴女がいるなぜにどうしてwhy?!」

 

サンタ

「私はアルテ......いや、サンタクロースなのじゃ」

 

ガンスミス

「羊に乗ってるのに?」

 

サンタ

「サンタじゃぞ?」

 

ガンスモス

「......そういうことにしておきましょう。それで、サンタさんが何用で? 自分はもう大人ですけど」

 

サンタ

「実はお前の上司にプレゼントを頼みたくての。あそこまで警戒されるとサンタとても辛い」

 

ガンスミス

「......うちの上司がすみません」

 

サンタ

「では、任せたぞ。フォッフォッフォー」

 

ガンスミス

「.......疲れてんのかな、寝よう」

 

 

 

 

「対空レーダーに感あり、サンタです!」

「指揮官命令、撃ち落とせー!」

「初仕事がこれかよー」

 

 

 

「フォッフォッフォ、メリー・クリスマース!」

 

その夜、夜空に虹がかかったとかかからなかったとか。




サンタクロース......ソシャゲ「FGO」よりアルテラ・ザ・サン『タ』。
私のカルデアではサンタが今のところ100レベ3人の90が1人。
(サンタを育てるのは)役目でしょ。

ちなみに指揮官へのプレゼントは「上司の胃痛を和らげる振る舞い方」という本。


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第40回 SIG-510



リクエストのSIG-556の親戚かと思ったけど別物でした。
リクエストの山が消化できないのー。


 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「寒い!」

 

ナガン

「暖房効かせとるはずなんじゃがのう」

 

ガンスミス

「にしても寒すぎるわこんなの。やってられっか、俺はカフェに行くぞ!」

 

ナガン

「ああお主待つのじゃ、機材はどうするんじゃ〜!」

 

 

(年末は大寒波の予想です。皆様暖かくお過ごしください)

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今日のゲストはこのかた」

 

SIG-510

「ごきげんよう、シグSG510よ。一人前の兵士になるため頑張りますわ」

 

ナガン

「お主もう古参じゃろうに」

 

SIG-510

「まだまだ半人前ですから。

ところで、なぜチーズフォンデュ食べてますの?」

 

ガンスミス

「寒いんだもん。温まって、かつ縁があるもの、というわけで思いついたのです」

 

ナガン

「まあまあ、たまにはまったりと解説するのも悪くなかろう?」

 

SIG-510

「......そうですね。いただきます。この白いものはなんですの?」

 

ガンスミス

「ジャパニーズライスケーキ、お餅って言ったっけな。62式にもらった」

 

SIG-510

「......ほんのり甘くて、柔らかくて美味しいですわぁ〜」

 

ナガン

「......このままじゃとただのグルメリポートになってしまうの、性能諸元に参ろうか」

 

チーズフォンデュ......鍋で溶かしたチーズに色々なものをつけて食べる料理。

溶かしたピザ用チーズに豆乳や牛乳、白ワインなんかを入れて伸ばして作る。意外と手軽に作れるのでいかがでしょうか。

具材はジャガイモにベーコン、ブロッコリーなんかが定番。お餅も美味しいのでおススメ。

 

 

 

SIG-510 アサルトライフル ☆2

 

口径 7.5mm

 

使用弾薬 7.5×55mm GP11弾

 

装弾数 24/30発

 

採用 スイス軍

 

 

ガンスミス

「バトルライフルに分類される銃だ。同時期開発のG3と似通ったところがあるな」

 

SIG-510

「むしろG3の方が似ているんですけどね」

 

 

 

 

 

開発経緯 アルプスのライフルしぐ

 

ガンスミス

「開発は1957年、ちょうどFALやG3なんかと同期の、いわゆる戦後第一世代と呼ばれるライフル群のひとつなんだ」

 

SIG-510

「50年代までスイス軍は旧式ボルトアクションライフルを使用していました。

戦後のトレンドの自動小銃開発の高まりも考慮して、また近代化を目指してというのが開発理由ですね」

 

ナガン

「輸入じゃいかんのか? FALとかG3とかと同期のならば、そちらを輸入して配備した方が手堅いじゃろう」

 

ガンスミス

「それはもっともな意見だ。だが、スイスという国の立場上それは難しい」

 

SIG-510

「スイスは永世中立国ですからね」

 

ナガン

「永世中立国?」

 

SIG-510

「どの国からも対等の立場であり続けること......つまりどのような条約も結ぶことはできないのです。

銃器の輸入は大掛かりな事業ですし、自然と二の足を踏むことになります」

 

ガンスミス

「自分の身は自分だけで守らなくちゃならんのだ。中立国というのはあらゆる国から干渉されない代わりにこちらからの干渉もできない、という事だからな」

 

ナガン

「難しいのう」

 

SIG-510

「それと、スイスは国民皆兵ですからね。配備にもそれなりの金額を要しますから、国内産業の方が経済が回るんですベーコン美味しい」

 

ナガン

「食べながら話すでない」

 

 

 

SIG-510てどんな銃?

 

ガンスミス

「アサルトライフルとしては少し異質なイメージを受けるな」

 

ナガン

「見てくれはガッチリしておるが、そこまで異質と言われてものう」

 

SIG-510

「弾薬が7.62×51mm NATO弾より強力な専用弾を使用しています。そのためフルオートの射撃には向かないのですよ」

 

ガンスミス

「アサルトライフルは取り回しや連射できることも特徴の一つだからな。こいつはストックは固定式だし、弾薬の関係上連射には不向き」

 

ナガン

「......そう言われてみればそうじゃのう。どちらかといえばM1918に近いのではないか?」

 

SIG-510

「二脚も標準装備していますからね」

 

ナガン

「アサルトライフル詐欺じゃろうそれ」

 

ガンスミス

「思えばなんでアサルトライフルなんだこれ?」

 

SIG-510

「ジャガイモ美味しいですわ〜」

 

ナガン

「あーうん、それは良かったのじゃ......」

 

ガンスミス

「このアサルトライフルだかライフルだかよくわからない銃になったのには理由がある。主にスイスの地形だな」

 

ナガン

「......奥まった山脈地帯じゃろう?」

 

SIG-510

「開けた場所が多いのですわ。だから、射程と精度を重視する傾向にあったのです」

 

ガンスミス

「高精度の削り出しパーツの多様と、銃の重量により単発精度はかなり高水準なんだ。あとライフルグレネードを射撃するために銃がかなり頑丈に作られてるから壊れにくい」

 

SIG-510

「30m下に落としても問題がなかったという与太話もありますわね」

 

ナガン

「だからこんながっしりとした見た目なのじゃな」

 

SIG-510

「それ相応に重いんですけどね」

 

ガンスミス

「ほかのアサルトライフルと比較して1〜1.5キロほど重い。そこは欠点だな」

 

ナガン

「......高そうじゃな、これ」

 

SIG-510

「それは言わないでください」

 

ガンスミス

「あとは、冬季用の分厚い手袋に対応するための折畳式の引き金とか面白いものも備えてたりするな」

 

SIG-510

「引き金が通常の倍の長さになるんです。また、引く力が減るので精密射撃にも使えるのです」

 

ナガン

「寒さの厳しい山岳地帯ならではの考え方、というわけじゃのう」

 

ガンスミス

「だったらロシアでも似たようなアイデアが出てもおかしくないんだがなぁ」

 

ナガン

「別にいらんじゃろ。寒さには強いからの」

 

SIG-510

「それで片付けていいのかしら......」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「軍用銃というのもはお国柄が出るものだと思います。この銃の堅実さとアイデアはお国柄、ひいては愛国心なのかもしれませんね」

 

SIG-510

「一家に一丁いかがですか?」

 

ナガン

「銃というのは千差万別よのう。だいぶ面白くなってきたのじゃ」

 

ガンスミス

「それが銃を知る醍醐味なのよな。

それではまた次回、よいお年をー!」

 

ナガン

「良いお年をーなのじゃー」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

SIG-510

「ごちそうさまでした!」

 

ナガン

「ごちそうさまでした、なのじゃ」

 

ガンスミス

「いやー、食った食った。初めて食ったけど美味しかった」

 

ナガン

「けど、この中途半端に残ったチーズがもったいないのう」

 

SIG-510

「牛乳とご飯でチーズリゾットにしませんか?」

 

ガンスミス

「天才かよ」

 





腹ペコ系お嬢様とかしたSIG-510

まだだ、私が求める飯テロはこの程度のものでは!


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番外編 ジャガイモ


正直、自分でもどうしてこうなったのかわからない。


焔薙さん作「それいけポンコツ指揮官(以下略)」さんとのプチコラボで、TOKIO系アイドルP38ちゃんにジャガイモを大量に貰ってしまったので、それをどうこうしようと悩むお話。


 

 

 

目の前には大量の段ボール箱。

中には大量のジャガイモが入っている......という。

この前、基地間の交流としてこちらの基地に来たP38はお礼に、とプレゼントしてくれたのだ。自家菜園で育てたという割には多いが、あのP38は一体どこへ向かっているんだろうか。

お前ら戦術人形だよな、戦闘が仕事のはずだよな?

なんで菜園なんかやってんの。

別に気にするわけでもないけど。

 

「うーん」

 

その好意は嬉しかった、ただ使い道に困る。

食堂に入れるには量がちと足らない、かといって自前で食うには多すぎる。

「まさに帯に短し襷に長し」

「何やっとるんじゃ、お主」

「ああナガンか。いや、貰い物をどうしたもんかなと」

「お主、コレを使ってスイーツとか出来んのか」

「レパートリーがない」

「そうか......」

 

お菓子となるとマジで活用方法が思いつかないんだわ、すまんな、期待させて。

 

「それに俺料理だけはできないんだよなぁ」

「お主不思議と料理だけはできんのよな」

「別にうまくなろうとも思ってないしな」

 

かといってナガンもそこまで料理は出来ないし......そうだ。

 

「困った時の春田さん。カフェ行こう。あそこの軽食としてなら捌けるかもしれない」

「おお、ナイスアイデアじゃの!」

「とりあえず一箱持っていって、そんで試作品を作ってもらおう」

 

よっ、と。結構重いな。さて、移動するか。

 

「しかし、同じHG戦術人形がやったとは思えないのう。見れば見るほどいい出来じゃ」

 

ひとつ適当にジャガイモを取り出したナガンがしげしげと眺め入っていた。ほのかに土の香りが残ったそれは大きも手ごろで、虫食いもない。誰が見てもいいものだ、と判を押される事間違いなしの逸品だろう。

 

「......して思ったんじゃが、そもそもこれ、なんなのじゃ?」

「なんなの、とは」

「植物なのはわかるが、どこの部分がなにをどうしてこうなったのかサッパリなのじゃ」

「じゃカフェに着いたら調べてみるか」

「頼むのじゃ」

 

そういや俺もジャガイモについてあんまし詳しくは知らないな。いい機会だ、根掘り葉掘り調べちまおう、ジャガイモだけに。

 

「......面白くねえわ」

「なんじゃ突然。先日のvectorといい、お主といい、急によくわからんことを」

「まあなんというか......何だろうな」

 

そんなこんなでカフェに到着。クローズの看板がかかったドアを遠慮なく押しあけると、箒を持って床を掃いている春田さんが。

 

「どうされました? 開店にはまだ早いですよ」

「実はーーー」

 

 

「potato、ですか」

「ああ、大量に貰ったもんでな、どうしたもんかと悩んでるんだ」

「カフェで引き取るのもアリですよね。おつまみにはもってこいです」

「だがな、ジャガイモのおつまみってワンパターンじゃねえか。揚げるの1択しか思い浮かばねえぞ?」

「......何品か作ってみます」

 

しばらく考え込んでいた春田さんだったが、エプロンを締めなおして厨房の方へ引っ込んでしまった。こうなると俺ができることもないので、調べものでもすることにしよう。

 

「ナス目、ナス科、ナス属、ジャガイモ......」

「どうしたのじゃ?」

「......あーうん、結構難航しそうな予感だ」

 

植物学は流石に専門外だわ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

ジャガイモの概要について

 

「ジャガイモはナス科ナス目の植物であり、食べられる部分は茎の一部......まあ要するに根っこな。それが肥大化し、球状になった部分のようだな」

「ナス科? スープとかに入っておるあの、紫と薄緑のアレと同類なのか」

「そうらしい。言われてみれば葉っぱとか似てなくもない......のか?」

「似てるようには思えませんね」

「......人による」

 

なんだろうこの歯切れの悪さは。

専門外なだけでこんなにグダグダになってしまうとは予想外だったな。

と、とりあえずいつも通り進めていこう。

 

「ジャガイモは加熱......煮るなり焼くなり蒸すなり揚げるなり、火を通せば食べられることができる。

そしてデンプンが豊富だから、それを利用した食品に加工されることもあるようだ」

「例えば?」

「アルコール、とからしい。実際ジャガイモを使った焼酎? が作られた資料があるな」

「酒か......いい思い出はないのう」

「俺も飲めないしなぁ。面倒そうだし却下」

「アルコールはビールで事足りますからね、在庫も十分ですし」

「他にデンプンは化学製品にも利用されてるらしい。

まあ、食品以外にも利用できる万能品という訳だな」

「おお、夢が広がるのう」

「とはいえ、プラスチックになったりはしないから応用力には欠けるんだがな。風の噂で聞いたが食べられるプラスチックも開発されてるとか」

「......味はどうなんでしょう?」

 

春田さん、いの1番に気にするのがそこのあたりだいぶ毒されてるよね、うん。

 

「保管の上での注意点としては、日光が当たって変色した部分や芽は毒性があるらしい。廃棄するか、切り落とすかが理想だ」

「......それわしらには関係なさそうじゃの」

「人間のことも慮ってくれやしませんかね」

「見た目にも悪そうですし、気をつけましょう」

 

 

 

植物としてのジャガイモについて

 

「ジャガイモはタネから育てるんじゃなく、種芋といって、ジャガイモを地面に植えてしまうらしい。そこから芽が生えて成長するんだってさ」

「種からではないのか?」

「......あるにはあるけど、あんまり成長しないらしい。食べるためにと思うなら、種芋を使うべきだとさ」

「食べられる部分を植えてしまうのはもったいない気もしますね」

「俺もそう思う。というか誰がこの方法思いついたんだろうな。

次、芽が生えた後は、だいたい50cm〜1mほどの大きさに成長する。その時花を咲かせるらしいが、種類によって色は様々だ。うまく受粉すれば実ができる事もあるそうだが」

「あるそうじゃが?」

「少量の毒性を帯びるため食用には適さない、つかそもそも不味いらしい」

「......やっぱ根っこが本体なのかのう」

「他の特徴として、やせた土地にはめっぽう強く、土が多少難くともなんとかなるようだ。

ただ、病気には弱い部分もある。あと同じ土地で連続して育成するのは推奨されない、と書いてあるな」

 

 

ジャガイモの歴史について

 

「南米アンデス地方が原産地と推測されている。ヨーロッパには15世紀〜16世紀にかけて伝わったとされるが、詳細な記録はない。

兵士たちの「お土産」として物珍しさに持ち込まれた、という説が有力だ」

「ふむふむ」

「16世紀〜17世紀初頭にかけて植物学者による栽培が細々と続けられた。

ジャガイモが歴史の舞台に上がるのは、17世紀前半に行われた三十年戦争が終わってからだ」

「戦争の後に普及したと?」

「そう、時のプロイセン......現在のドイツのあたりだ。戦争で国が荒れ果てたのを憂慮した時の国王が、踏み荒らされにくく育成しやすいジャガイモの栽培を推奨したのがキッカケらしい」

「たしかに、ドイツ料理はジャガイモをよく付け合わせに使いますね。それが影響でしょうか」

「多分そうだろうな。さらに海を渡りイギリス、アイルランド、そして北アメリカと全世界に広まっていったようだ。

日本に来たのは江戸時代中期〜後期だ。明治に始まった洋食文化に追随する形で、全国での栽培が始まったようだな」

 

 

料理法について

 

「それで本題の料理法なんだけども......なんか案ある?」

「そうですね。フライドポテトやマッシュポテト、ベイクドポテトは定番として、ハッシュドポテトなどはいかがでしょう?」

「コロッケなどもなかなか定番じゃな」

「聞いてるだけで胃がもたれそうなんだが」

 

俺の発言を受けうーん、と考え込む2人。とはいえ、俺にいい考えがあるわけでも無いんだがな。思いつくのはポテトサラダくらいだし。

 

「......食堂に一部回しましょう」

「......その方がいいかもしれんのお」

「だなー」

 

3人集まればなんとやらというが、どうやら人形2人に人間1人は何も思いつかないらしい。

 

「今蒸しているところなので、気分転換にじゃがバターで食べるのはどうでしょう?」

「ナイスアイデア」

 





冬でジャガイモといえばスープ系。ポトフとかいいんじゃないと思う。
というか年末にジャガイモのことばっかり考えてるのは人としてどうなの?


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第41回 64式自

今年最後の投稿です。

みんな、年越しの準備は十分か?


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「新年のための準備とかしないとな」

 

ナガン

「掃除とかは済ませたじゃろ。他に何があるんじゃ」

 

ガンスミス

「一応俺日系人だし、日本風の新年て奴をな」

 

ナガン

「それは楽しみじゃ」

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今年最後の放送は」

 

64式自

「私です!」

 

ナガン

「64式自動小銃じゃな、宜しく頼むのじゃ」

 

64式自

「前回は62式ちゃんでしたよね。とても楽しかったって聞いてます」

 

ガンスミス

「今回もそうなるよう頑張るよ」

 

 

性能諸元

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 7.62×51mmNATO弾(減装)

 

装弾数 20発

 

採用 自衛隊

 

 

ナガン

「この銃も減装弾なのじゃな」

 

ガンスミス

「自衛隊は色々と縛りが多いんだよ」

 

縛り......世論とか予算とか。そういや自衛隊に関する憲法が変わるらしいですね。自衛隊が防衛軍になるとかどうとか。

ニュースには気を配っておきましょう、他人事ではありませんよ。

 

 

 

開発経緯 質実剛健、そしてウッカリ

 

ガンスミス

「64式自......面倒だな。ロクヨン式で良い?」

 

64式自→ロクヨン式

似たり寄ったりの人がいますからね、良いですよ。むしろそちらの方が呼ばれ慣れている気もするし」

 

似たり寄ったり......SMG☆2 64式のこと。中国の銃は年号で番号を振るようなので被ったようだ。

 

ガンスミス

「ロクヨン式が開発されたのは、62式と似たり寄ったりの状況、つまり自衛隊の古い武器の更新を狙ってのことだ」

 

ロクヨン式

「1950年代、戦後間も無くの警察予備隊の装備は、アメリカ軍から供給されたものと旧陸軍の装備がないまぜになっており、しかも旧式品かつ朝鮮戦争などで用いられたものも含まれ、そりゃ酷い有様」

 

警察予備隊......現在の自衛隊の前身にあたる組織。

 

ガンスミス

「武装を一斉オーバーホールした時、検査を通過した小銃が一丁も無かったほどだ。それはもう軍隊としてどうかと思うね」

 

ナガン

「そこまで酷い武器とか兵士の心情をないがしろにしとるとしか思えんのじゃが」

 

ロクヨン式

「だから国産小銃の開発が始まったんだよ」

 

ガンスミス

「そこで多くの自動、半自動小銃が参考にされた。

M1ガーランド、M1カービン、M14、M1918ほか、ソビエト連邦のSKSカービン、チェコ製ZB26軽機関銃などがある。

G3のご先祖様のセメト・ライフルもあったようだ」

 

ロクヨン式

「しかし当時の上層部ではアメリカからM14を購入して使う、なんて意見もありました。開発が間に合わなければ、ロクヨン式は試作のまま消えていったかもしれません」

 

ナガン

「歴史というのはそういうもんじゃからのう」

 

ガンスミス

「そしてあがった試作品を幾度となく改良して、現在のロクヨン式があるわけだ。

というか、Wi◯i詳しすぎやしないか?」

 

Wi◯i......ウィ◯ペディアのこと。結構詳し目に書いてあるので参考にする事が多いサイトのひとつ。

ロクヨン式の開発経緯がやたら細かく書いてあって困惑した。なぜに?

 

 

 

 

64式自ってどんな銃?

 

ガンスミス

「その当時の主流と言うべきか、7.62mmの大口径を用いるアサルトライフル、バトルライフルに分類される銃だな」

 

ロクヨン式

「仮想敵のソビエトに備えて、かつ防衛戦術が基本の自衛隊の運用思想に合わせた形になってます。

具体的に言うと二脚を使用しての擬似機関銃として、ですかね」

 

ナガン

「他にもストック部分が木製なのは珍しいのう」

 

ロクヨン式

「肌触りとか、軽さを求めた結果だと思います。全金属よりは軽くできますから」

 

ガンスミス

「だが、削り出し部品を多用したことにより重めでもある。それに機構の関係上ストックを折りたためないから、少し取り回しには苦労するだろうな」

 

ロクヨン式

「日本人向けにコンパクトに作られてはいるんですけど、色々と限界が......」

 

ナガン

「それで、今回はどんなやらかし案件があるんじゃ? 62式の件がある以上、全く信頼できんのじゃが」

 

ガンスミス

「数カ所ある。

まず備え付けの照門なんだが、ぶつけたり射撃の振動で倒れたり動いたりする。

あと笑えない冗談なんだが、間違えた状態で組み付けられる部品があったりする」

 

ナガン

「やっぱりのう......」

 

ロクヨン式

「はいはいポンコツポンコツ」

 

ガンスミス

「数カ所の欠点はあれど及第点だと思うがな。

この銃の派生として狙撃銃モデルもあるらしい。現在ではほぼ引退してるようだがな」

 

ロクヨン式

「現在では生産終了しているこの銃ですが、自衛隊の新兵は必ず訓練を行う銃はこれ、と二戦級とはいえまだまだ現役!」

 

ナガン

「......ところでお主よ」

 

ロクヨン式

「はい?」

 

ナガン

「なぜビニールテープを銃に巻いておるんじゃ? 包帯やらテーピングなら理解できるんじゃが」

 

ロクヨン式

部品落としたら懲罰もんじゃないですか、何言ってんです?」

 

ナガン

「わしが間違っとるのか?!」

 

ガンスミス

「俺としてはみんなにやってもらいたいな」

 

部品落としたら懲罰もの......懲罰うんぬんはさておき、自衛隊のライフルにビニテがまかれているのは部品脱落を防ぐためだとか。

一部落ちやすい部品や、強度にかける部分がある様子。

ちなみに部品を落とすと部隊総出での落し物拾いが始まる。あと反省文とかもあるでしょう、多分。

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「戦後再出発した日本、そのための力として開発された堅実かつ日本らしい銃だと思う。ノウハウがないからちとウッカリミスが目立つが、国を守る力は十分に備わってると思う」

 

ロクヨン式

「ちょっと至らない部分もあるけど、主戦力としてばっちり活躍していくつもりだから、来年からはよろしく」

 

ナガン

「思えばもう年の瀬か、早いもんじゃのう」

 

ガンスミス

「あっという間だったな......

 

と言うわけで、来年もご贔屓に。

次回は年明けかな」

 

「「「それでは、また来年!」」」

 

 

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「ところでそこらへんの木を切って臼と杵作るから手伝ってくれる?」

 

ロクヨン式

「餅つきですか、良いですね!」

 

ナガン

「ウス、キネ?」

 

ロクヨン式

「日本の風物詩ですよ。お餅つきといえば新年、新年といえばお餅つき」

 

ナガン

「ようわからんのう」

 

ガンスミス

「あと伊勢神宮のお札ファックスで送られてきたから、神棚に飾っとくね」

 

ロクヨン式

「ありがたいですがそれ、ご利益あるんですかね」

 

ガンスミス

天照大神を信じろ」

 

天照大神......あまてらすおおみかみ。

天皇の直系の祖先であるとされ、日本人の総氏神である。

伊勢神宮に総本山がありますが......初詣に行くなら覚悟を決めておきましょう。人混みがぱないです(経験者)。

天岩戸の神隠れが有名な逸話。と言うかお前ら日本人として古事記くらい読んでほしい、というか読め。意外と面白いから読め。

 

天照大神のことてんてるだいじんとか言ってはいけない。

 




今年一年、ありがとうございました。
多数の感想や誤字報告、とても励みになりました。
これから2ヶ月は受験が本格化するので、更新ペースかなり落ちるかもです。
第一志望浮かれるよう頑張りまする。

それでは良いお年を。


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小話-5 囲碁サッカー



囲碁サッカーといえば、囲碁サッカー




 

 

「ぐわー!負けたぁー!」

「ふふん、私の処理速度なめないで下さい」

 

娯楽室でロクヨン式が絶叫する。その前では、白い石を摘んだ振袖姿の一〇〇式が自慢げにしていた。

 

「はー、今日も疲れたー、って何してるの?」

「あ、指揮官にナガン。大掃除の時に碁盤と碁石を見つけて、囲碁をしてるんです」

「へーえ、囲碁かぁ、懐かしいな」

 

学生時代を思い出すのかしみじみと思い出にふける指揮官。一方今日の副官であるナガンは首を傾げた。

 

「指揮官、どんなゲームなのか?」

「陣取りゲームなんだけど......どう説明したものか」

 

それを見た一〇〇式が思いついたように手を叩く。

 

「指揮官、一戦どうですか? 見てもらった方が早いですよ」

「うーん、久し振りだからな......手加減出来なかったらゴメンね?」

「負けませんよ」

 

ロクヨン式が退いたところにどっかりと座り込み、盤上の石を片付けていく。

 

「じゃあ、行こうか」

「はい!」

「......えっ?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

雪をかかれた基地前の広場。

一〇〇式が指揮官が無言で向かい合っている。

指揮官は直立不動のまま右手を斜め上にピンと掲げ、

 

一〇〇式が逆立ちをして、足の間にボールを挟み込んでいる。

 

漂う異様な雰囲気。

立会人として呼ばれたナガンは、先程指揮官に言われた言葉を思い出していた。

 

『囲碁サッカーは今は平和なスポーツですが、昔は殺人術でした。

 

ですから、立会人をお願いします。

......死人が出てからでは遅いですから』

 

 

(先程からこの2人、何をやっているのか全然分からん。

......じゃが、この異様な雰囲気は、一体なんじゃ。

 

これが、囲碁サッカーなのか......!)

 

「素人が入門書を齧ったところでどうにでもなるわけではありませんよ」

「その声カリーナか?」

 

頼りになるであろう有能副官の声に振り返る。だが、カリーナもまた、修羅の1人であったのだ。

 

首から下げたボードに碁石の入った容器が載せてあった。

 

側から見れば、異様。

度肝を抜かれてフリーズするナガンを横目に、カリーナが一歩進みでる。

 

「いわば両者、初めから禁じ手を使った状態。

セオリー無視の、ハイレベルな攻防です」

「なあっ!」

「例えば、あのまっすぐに伸ばされた手、あれが碁盤の脚とするならば、

一〇〇式のあの構えは碁石!

一見相性がよさそうに見えますが、あの脚に挟んだボールが曲者。

私の推測ですがあの2人は、

 

太陽になろうとしている」

「なんじゃと!?」

 

ナガンの電脳を閃光が駆け抜ける。

 

(何を言っておるのかサッパリ分からん!)

 

「あっ、動きますっ!」

「はうわっ」

 

指揮官が手のひらを上へ向けながらゆっくりと右手を下げると同時、同時に左手をゆっくりと上げて、

 

「ふっーーーーー、ちゃす!」

 

脚をガニ股に、腕は手のひらを前に斜め下へ、腰を大きく落として構えた!

 

「不味いっ! ビー、ラブド!」

 

カリーナの切羽詰まった叫びが聞こえる。

気がつけば、カリーナが指揮官の背後へ回り込み、両手に碁石を摘んでまるで強大なものを抑え込むかのような腰の入ったポーズで固まっていた。

 

訪れる一瞬の空白。

 

「か、カリーナ、それはどういう......」

「しっ、静かに」

「ふえっ?」

 

カリーナの鬼気迫る表情。その目線は未だ無言の圧を発する2人から離れない、いや、離すことができないのだ。

 

「わかりませんか、あの2人の間を流れるしたりげな空気。

下手したらこれ、()()()()()()()

「なん、じゃと......」

 

冬にもかかわらずカリーナの額から冷や汗が流れ落ちる。

ナガンの理解の範疇を大幅に飛び越えた、まさに理外の絶技。

 

(一体、何が起きておるんじゃ......)

「私もこれほどまでにハイレベルな試合を見るのは久し振りです。

どうりで今日は風が騒がしいわけですよ」

「えっ、えっ、えっ?」

 

指揮官、動く。

腕は鳥のように大きく羽ばたかせるように、低く沈んでいた腰を少し上げ、

右腕はまっすぐ真横へ、

左手は手の甲を相手へ向け腰を支える。

 

「はあっ、マズイ!

野良試合であれをやるというのですか、正気の沙汰ではありません!」

 

気圧されたように後ずさるカリーナだが、苦しい表情で心臓あたりを握りしめる。

 

「しかしこの状況、見過ごすわけにはいきません......

師範、使わせて頂きます」

 

 

両手を槍のように尖らせ、碁石を勢いよく掴み取った!

 

溢れた碁石が周りに飛び散る中、姿勢を低くし顔を伏せ、なにかを振り払うように碁石を掴んだ両手を伸ばす。

「これもまた正義のために......光さす、星とならん!

 

小木禁止点流奥義!

 

小木星!

 

 

星に手を届かんとさせるまでに勢いよく手を伸ばしたカリーナが、板と碁石を投げ捨てひた走る。

両足で踏み切り、

基地の壁に飛び移り、跳んだ。

 

 

カリーナが宙を舞う。

 

「はああああああああああっ!」

 

2回目の踏み切り。

 

爆撃機が急降下するように、ピンと一直線に飛び込んだカリーナの身体が一〇〇式がと指揮官の地面の間をすり抜け、

 

地面すれすれを滑るカリーナの身体を、光の輪が包み込んだ!

 

「これぞ、あ、ファイナル、ラブドッ!」

 

 

「ぐはっ」

「ああっ」

 

両者倒れ伏す。

側から見れば一瞬の出来事、しかし、2人にとってすれば、永久よりも長い時間だったに違いない。

肩で息をする両者。

指揮官が先に立ち上がり地面で大の字に倒れる一〇〇式に手を差し伸べた。

 

「やるじゃない」

「えへへっ、指揮官こそ」

 

そして2人が、ガッチリと握手を交わした。

 

 

(軽い気持ちで聞いたことだったのじゃが、これは、とんだパンドラの箱を開けてしまったのかもしれんのう......)

 

 

 

 

 

 






今年もよろしくお願いします。

元ネタ......TVアニメ「日常」日常の82より


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第42回 Gr MP5




マッチョ・パワー・ファイブ


 

 

 

ガンスミス

「皆さま、あけましておめでとうございます。今年一年良い年が過ごせることをまた願っています」

 

ナガン

「その前にわしらは直近2ヶ月が心配じゃのう」

 

「そうなんだけどマジで胃が痛いからやめて」

 

2人

「「......誰だ今の」」

 

 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「新年早々代わり映えしない挨拶で申し訳ない。なんでもしますから! ナガンが(小声)」

 

ナガン

「今聞き捨てならんことを聞いたのじゃが」

 

ガンスミス

「......さあて新年しょっぱつのゲストをお呼びいたしましょう!」

 

ナガン

「オイお主......全く、覚えておれよ。

では、ゲストの方を紹介するのじゃ」

 

MP5

「MP5ただ今参りました。せ、背が小さいからって、甘く見ないでくださいね」

 

ガンスミス

「ウン、ソウダネ」

 

ナガン

「......では、性能諸元へ移ろうかの」

 

 

性能諸元 MP5 サブマシンガン ☆4

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9×19mmパラベラム弾

 

装弾数 10/15/20/30/32

 

採用 ー

 

ガンスミス

「採用国は多すぎるので省略だ。それは後程解説するぞ」

 

 

開発経緯 短機関銃の革命児

 

ガンスミス

「Gr G3の回(第36回)でちらっと触れたが、忘れてる皆さまのために丁寧に解説するので、心配しなくて良いぞ」

 

ナガン

「変なところで気遣いは出来るんじゃな」

 

ガンスミス

「もっと褒めても良いのよ?」

 

ナガン

「皮肉というのがわからんのか」

 

MP5

「進めますよ?」

 

ガンスミス

「すまんすまん、新年早々グダるのは良くないな。

この銃を開発したのは、ドイツH&K社。この銃のベースになったG3で大きな成功を収めたH&K社は、G3のバリエーションのひとつとして、G3のサブマシンガンモデルを開発した」

 

MP5

「それがMP5の原型になったとされるHK54です。

西ドイツ軍がサブマシンガンの採用試験を行なっていたので、それを目指した開発でもありました。結果的にはイスラエル製のUZIに敗北してしまうんですけど」

 

ガンスミス

「少々時を経て、社はHK54を軍用としてではなく、輸出用や法執行機関向けの商品として売り込むことにした。採用試験で指摘された改善点を踏まえ改良されたのが、現在のMP5にあたるんだ」

 

UZI......イスラエル製サブマシンガン。ドルフロ実装のMicro UZI(SMG ☆3)はこれの短縮モデルにあたる。

簡素で頑丈な作りと、プレス加工を多用したパーツが特徴。

 

 

MP5てどんな銃?

 

ガンスミス

「その前にサブマシンガンと言うものについて、大雑把に説明しないとな」

 

MP5

「現代では室内戦向けの取り回しの良い武器、例えば特殊部隊なんかに用いられるイメージが多いですね」

 

ナガン

「じゃが、昔は塹壕戦用......閉所で弾をばらまく即応武器としての意味合いが強かったはずじゃな。MP40の時そのようなことを言っておったはずじゃ」

 

ガンスミス

「その通り。あと生産性に優れるもの、ライフルと比べれば角落ちする緊急用武器......なんてイメージがあった。

それを180度ひっくり返したのが」

 

MP5

「私、ことMP5なんです!」

 

ガンスミス

「その精度は100m圏内であれば狙撃銃に匹敵すると言われ、建物の角から目と銃口だけを覗かせるテロリストの眼球を撃ち抜くことが可能、なんて豪語されるほどだ」

 

MP5

「その秘密は機関部、G3の構造をそのまま9mm仕様に改良した事によりサブマシンガンでありながら、安定しかつ精度の高い射撃を実現することに成功したんです!」

 

ガンスミス

「代償として整備が面倒だし単価も高くなった。とはいえ、その高性能とコンパクトさ、併せ持つ実績が世界中への普及を実現した。

ドイツはもちろんのことアメリカ、イギリス、日本と様々な国の特殊部隊で使用されている」

 

MP5

「最近ではライバルも多数登場していますが、まだまだ現役ですよ!」

 

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「近代的サブマシンガンといえばMP5と言われるまでに普及したこの銃は、軍、警察、民間問わず様々な形で使用されている。

印象深いが派手に目立つこともなく、静かに仕事をこなす仕事人というイメージだな」

 

ナガン

「たしかに特殊部隊御用達となれば派手さはないが、これだけ有名ということは仕事をしっかりこなしてきた証左でもある、か」

 

MP5

「褒めないでくださいよう、えへへ」

 

ガンスミス

「褒めるよ、いい銃じゃないのよ」

 

MP5

「うぇへへへへ」

 

ガンスミス

「笑い方キモいな!」

 

ナガン

「新年早々このようなものではあるが、今年もよろしく頼むのじゃ。

ではまた次回!」

 

 

 

 

あとがたり

 

MP5

「この荷物こっちですかー?」

 

指揮官

「そうだよー、MP5ちゃんか力持ちで頼りになるなぁ」

 

MP5

「もっともーっと頼ってもいいんですから!」

 

ナガン

「......業務用ガスボンベって一本何キロじゃ?」

 

ガンスミス

「一本80キロくらいらしいな」

 

ナガン

「......10本束ねるといくらじゃ?」

 

ガンスミス

「800キロくらいだな」

 

ナガン

「......あやつおかしくない?」

 

ガンスミス

うちの弟が申し訳ない

 

 

うちの弟が申し訳ない......これも全部16Labの仕業なんだ!

具体的には酒に酔った開発組が研究資材のMP5を採算度外視でガッチガチにフルチューンした結果がご覧の有様である。外見はノーマルと大差ないのがタチが悪い。

4体のダミー人形も同様に改造済みであり、

M(マジすごい)P(パワーの)5(5人組)

例えるなら戦艦大和、修理資材も半端じゃないので壊れ物注意。ウチの決戦兵器の1人のため出撃は多くない。



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第43回 PPK

ついに同業の人が現れてしまいました。
先達として嬉しい限りです。

スツーカ 様作
「指揮官とG3がお送りするドルフロ銃解説」
そもそも銃とはなんぞや、専門用語はなんぞや、というものを図解もはさみつつ解説する初心者〜中級者向け講座。興味のある方は是非。

あとパクるなりオマージュするなりは自由だけど一言くらい欲しい。


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「やっとこさ雪が降ったな。冬って感じするわ」

 

ナガン

「おお、かなり降っておるのう」

 

ガンスミス

「そうかぁ? こんなもん序の口だろ」

 

ナガン

「は?」

 

ガンスミス

「うちのじーさま曰く『2m積もってから本番』だとさ。一階が埋まるなんてザラだったみたいだし」

 

指揮官

(修羅の国の人だ......!)

 

(注釈)日本は世界的にぶっちぎりの積雪量を誇る国家です。

新潟県上越市にて8m18を記録(人里)。

観測史上トップ(ギネス認定)積雪量を観測したのは滋賀県伊吹山、記録11m82。

降雪量世界ランキングでは、日本の秋田青森がワンツーを占めるそうな。

 

 

 

 

 

ガンスミス

「今日のゲストはリクエストからこちら」

 

PPK

「うふふっ、ワルサーPPKよ。お会いできて嬉しいですわ」

 

ナガン

「よろしく頼むぞPPK」

 

PPK

「楽しませてくれることを期待しますわ」

 

 

性能諸元 PPK ハンドガン ☆2

 

口径 5.6mm/6.35mm/7.65mm/9mm

 

使用弾薬

 

.22LR弾/.25ACP弾/.32ACP弾/.380ACP弾

 

装弾数 7発(.32ACP弾) 6発(.380ACP弾)

 

採用 ドイツ警察組織他

 

ガンスミス

「軍用としてではなく警察官向けとして開発された銃だ。詳細は後述するぞ」

 

 

開発経緯 007(ダブルオーセブン)の相棒

 

ガンスミス

「この銃自体の開発は1931年からだが、元になったワルサーPP拳銃は1930年に開発、販売されている。

要はバリエーションのひとつなんだな」

 

PPK

「中型拳銃であったワルサーPPを小型化し、持ち運びを簡単にする目的で開発されましたの。

主に腰部ホルスターで拳銃を携帯する、私服警官向けにですわね。ちなみに末尾のKは刑事用を表すKriminal(クリミナル)や、短いを表すKruz(クルツ)だとされていますの」

 

ガンスミス

「んじゃ、まず元になったPPの開発経緯を話していこう」

 

PPK

「1920〜30年代、各国の警察機関は安全性を兼ねてダブルアクション式のリボルバーを携帯することが殆どでしたの」

 

ナガン

「ダブルアクションは引き金が重く暴発しにくいから、じゃな」

 

ガンスミス

「とはいえリボルバーの旧式化が進んでいたのも事実。そんなわけで、ワルサー社はダブルアクションの自動式拳銃開発を決意した、というわけ」

 

 

 

PPKってどんな銃?

 

ガンスミス

「コンパクトに機能をまとめ、携帯性に特化した銃だ」

 

PPK

「まずデザインからして丸みを帯びていますわ。これは服などでの引っ掛かりを避ける効果がありますの」

 

ナガン

「隠し持つには便利ということじゃな」

 

PPK

「その通りですわ。

冷戦時代にはその隠密性を生かし、多くの情報機関で採用されましたの」

 

ガンスミス

「これを受けて小説『ジェームズ・ボンド』シリーズでは途中から主人公たる彼の愛銃にもなった。

これにより、PPKは世界的な知名度を得たんだな」

 

PPK

「まさしくアサシンの本領発揮というわけですわ。あたくし、殺しのライセンスを持ってますのよ、うふふ」

 

ナガン

「あながち間違いでなさそうなのが怖いのう」

 

PPK

「どうでしょうね、うふふふ」

 

ジェームズ・ボンド......創作上の人物。

イギリス情報機関のMI6所属エージェント。

よく言われる007(ダブルオーセブン)は彼のコードネームであり、殺しのライセンスを示す。

大の紅茶嫌いでコーヒー党だそうな。

 

"Vodka Martini. Shaken, not stirred".

「ウォッカ・マティーニを。ステアせずにシェィクで」

 

 

ガンスミス

「この銃、実はダブルアクション自動拳銃として世界最初の成功を収めた銃とされている。

M1911も同様に自動拳銃だがあちらはシングルアクションだからな。ここテストに出るぞ」

 

PPK

「機構としましては、初弾が薬室に装填されていることを示すローディングインジゲーター。

現代でも通用するセイフティ機構の数々が挙げられますわね。

現代でも生産の続く、息の長い名銃でありますことよ?」

 

ナガン

「もう100年程度じゃ驚かぬぞ......」

 

薬室......銃や砲において弾丸(発射薬)が収まるスペースを指す。

わかるやすいところでいうとリボルバーの弾丸の収まる回転部分など。

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「小口径かつ安全性と携帯性を高めた、軍事用に開発されたものとは少し毛色の異なる銃だ。

正面きっての戦闘はちと他に譲るが、暗殺者としては......どうなんだかな?」

 

PPK

「ご想像にお任せしますわ」

 

ナガン

「ウェルロッドが可愛らしいくらいじゃのう。実際可愛いのじゃが」

 

PPK

「うふふ、たまには稽古をつけてあげましょうか。

あの子の苦悶に満ちた顔はゾクゾクしますの......!」

 

ナガン

「お、おう......」

 

ガンスミス

「趣味嗜好は人によりけりだから。

ではまた次回!」

 

 

 

 

あとがたり

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「......魔女の声が聞こえる」

 

WA2000

「は?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「PPKの訓練はもう懲り懲りなんです、今度の出撃変わってください!」

 

WA2000

「そもそも役割からして違うでしょうが。というか落ち着きなさいよ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「そこをなんとか!」

 

WA2000

「しょ、しょうがないわね。そこまでいうなら......

というかどんな訓練なのよ」

 

PPK

「血湧き肉躍る悪魔の饗宴といったところかしらあ? うふふふふふ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「ぴいっ!?」

 

PPK

「今度はどんな声を聞かせてくれるのかしらぁ?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「嫌だああああああああああああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 




この後ウェルロッドの姿を見たものは誰もいない......という事もなく普通に戻ってきました。ただ目は死んでいたそうですが、一体どんな訓練だったのでしょうね?

「貴方達は、まだ知らなくていい事ですわ」


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第44回 ARX-160(200)

リクエスト消化ちゅう。

なんか最近おざなりになってきた気がするヤバイヤバイ。


 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「そういえばナガン」

 

ナガン

「なんじゃ?」

 

ガンスミス

「人の入る大きさのダンボールってさ」

 

ナガン

「ほう」

 

ガンスミス

「被りたくない?」

 

ナガン

「............休暇届を代筆してやろう」

 

ガンスミス

「遠回しに頭大丈夫って言わないでくれる?」

 

 

 

 

ガンスミス

「今日のゲストはこちら」

 

ARX-160

「チャオ。わたしは次世代武器、X160だよ......えっ? らしくない? そのくらいでいいじゃん?」

 

ナガン

「肩の力を抜きすぎじゃお主は、少しくらい真面目にやれい」

 

ARX-160

「せいのうしょげんどうぞー」

 

 

性能諸元 ARX-160 アサルトライフル ☆3

 

口径 5.56/5.45/6.8/7.62

 

使用弾薬 5.56x45mm NATO弾/5.45x39mm/6.8×43mm SPC/7.62x39mm弾

 

装弾数 20/30/100

 

採用 イタリア陸軍他

 

 

ガンスミス

「さまざまなバリエーションがある銃だが、基本のARX-160は5.56mm弾を使用するものだ。それを踏まえて解説していこう」

 

 

 

 

開発経緯 M16を超えろ!

 

ARX-160

「発表は割と最近の2008年、もともとあったベレッタAR70/90を下地に叩き上げた銃なんだー」

 

ガンスミス

「ソルダートフトゥーロ計画、訳せば未来兵士計画、だったかな。要は軍の近代化だ。

元になった銃は名前の通り70年代ごろの開発、旧式化は否めなかったからな」

 

ARX-160

「それと外国の規格に合わせるとか、売り込みのチャンスも狙ってとか......」

 

ガンスミス

「ちなみにイタリアのベレッタ社製、あのM9と同じ会社が製作販売してるんだ」

 

ナガン

「なんと、あそこは拳銃だけ作っておるイメージだったのじゃがのう」

 

ガンスミス

「俺も調べてビックリだよ」

 

 

 

ARX-160ってどんな銃?

 

ガンスミス

「無難オブ無難というか、目新しいもんはこれといってない」

 

ARX-160

「ポリマー製の外装に、ピカティ二ー・レールも完備。マガジン部分は汎用性の高いM4系列と同じSTANAGマガジン」

 

ガンスミス

「特徴らしい特徴といえば、排莢口を左右どちらにも振り分けられることだな。細かいポイントだが便利だ」

 

ナガン

「いまいちピンとは来ないのう。それ便利なのか?」

 

ARX-160

「人形の私たちにはあんまり関係ないからね」

 

ガンスミス

「えー、解説するとわれわれ人間はですね、だいたい右利きな訳でして、銃も大方右手で構えるんですわ」

 

 

だいたい右利き......人類おおよそ9割が右利きだそうな。その中には矯正したり両利きの人も混ざってるかもなので、実際は8割後半あたりの割合ではなかろうか。

 

 

ナガン

「ふむふむ」

 

ガンスミス

「そんでナガン。左手でちょっとARX-160構えてくれる?」

 

ナガン

「他人の銃を構えるのはなんか嫌じゃのう」

 

ARX-160

「まーまー、そう言わずに。ずずいっと」

 

ナガン

「......構えたが、それが?」

 

ガンスミス

「通例、アサルトライフルとかは排莢口が右に付いてんのよ。そんで右から薬莢が飛び出すんだけど」

 

ナガン

「身体の前を横切っていくのう」

 

ARX-160

「邪魔だよねー」

 

ガンスミス

「薬莢は排出直後は熱い、その上足元に薬莢が転がるんじゃ転ぶかもしれないよね。

そんなわけで近代では左利き専用の改造パーツとかがあったりなかったりしたんだけど、両利き対応にした銃は少しだけ画期的だったのかもしれないね」

 

ナガン

「......あまり特徴的でもないのう」

 

ARX-160

「やっぱ地味だよねー」

 

ガンスミス

「他には銃身の交換が簡単だったり、色々なバリエーションがあったり。

リクエストされたARX-200は7.62mm弾使用、マークスマンライフル使用に狙撃向けの小改造やパーツ取り付けを行なったもののようだな。

2016年発表だから配備が多いとは思えないが、そこそこの国での配備が決まっているらしい」

 

ARX-160

「他にもGLX-160っていう40mmグレネードランチャーオプションがあるよ。同時期に開発されてるの」

 

ナガン

「銃身下部のこれか?」

 

ARX-160

「噂によれば赤外線タイプのナイトビジョン付きスコープとか、スコープとダットサイトを一緒にしたやつとか、テレビカメラ付きスコープとか色々とメルヘンな装備も開発さえれたらしいよ?」

 

ナガン

「絶対かさばるじゃろそれ」

 

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「近代において銃器の開発に関しちゃ頭打ちになった感はある。

それでも無駄をある程度突き詰めて、ある程度使いやすくした、てのが総評かな。

最後に話した夢のある開発計画が実ってれば、マジもんの未来兵装だったかもしれない」

 

ARX-160

「その前に第三次大戦とか始めってしっちゃかめっちゃかになっちゃったからねー。仕方ないね」

 

ナガン

「ままならぬものよのう」

 

ARX-160

「オプションは無駄に積みすぎるのも考えものだしね。ガン積み論者はSOPMODだけでいいよ」

 

ガンスミス

「それではまた次回お会いしましょう。チャオ!」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ARX-160

「160の名前の由来?

M16より10倍強くてかっこいいから、かな?」

 

ナガン

「16×10=160だから160なのか?!

適当すぎるじゃろイタリア人」

 

ARX-160

「イタリア人はとりあえずパスタ茹でてから考える人たちの集まりだから」

 

カルカノM1891

「今パスタの話してましたよね」

 

カルカノM91/38

「とりあえず茹でましょう」

 

ナガン

「お主らどこから湧いて出たんじゃ」

 





パスタの中ではペペロンチーノが割と好きです。

ドームパスタを友人にお見舞いしてやる計画を進行中なのですが、調べてみるにどうやら日本のパスタは茹で過ぎても増えないようで。

なお、茹ですぎパスタの食感はべちゃっとしてもちゃっとしてクソマズだそうです、知り合いが言ってました。試そうとは思いませぬ。


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第45回 FAL/SA58

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「大規模作戦かぁ、やだなー」

 

ナガン

「わしのようなロートルが駆り出されるとは思えんが、後方支援はキッチリとこなしていかねばな」

 

ガンスミス

「銃を壊す阿呆が少なく済みますように......!」

 

ナガン

「お主にとっては死活問題じゃしな。実際CUBE作戦の時は死屍累々じゃったし」

 

ガンスミス

「あんなのもうやりたくない」

 

 

 

極寒の嵐がやって来る。

 

大規模作戦「低体温症」近日作戦開始

 

 

 

 

 

ガンスミス

「でもまあウチは平常運転でして、というわけでゲストの方カモンぬ!」

 

FAL

「......まあ、私を失望させないよう、しっかりやってくださいね」

 

ナガン

「ひどい言い草じゃの」

 

 

性能諸元 FAL アサルトライフル ☆5

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 7.62×51mm NATO弾

 

装弾数 20/30/50

 

採用 アルゼンチン軍他

 

ガンスミス

「採用国は多いが、いかんせん旧式なためか現代では後進に道を譲っていることが多い。

もう少し前の時代なら世界中FAL一色なんて冗談みたいな事があったんだがな」

 

FAL

「この世界に、私がいたことのない場所なんかないわよ」

 

 

 

開発経緯 4大ARの一角にして傑作バトルライフル

 

バトルライフル......7.62mmなどフルサイズ弾薬を用いるライフルのことを指す。小銃より射程が長いため、最近見直されているようだ。

M14や本銃などが代表例。

 

ガンスミス

「開発は戦後すぐの1948年、アサルトライフル開発が盛んだった戦後すぐの銃なんだ」

 

FAL

「私の出身はベルギーFN社。Five-seveNが同郷ね。あとあのお菓子好きとも」

 

ガンスミス

「FN社は銃界隈じゃそれなりに有名だ、調べればもっとでて来るだろうな」

 

FAL

「話を戻すわよ。ナチスが開発したStg44、その影響は世界中に広まったわ。戦後西側東側問わず、各国でアサルトライフルの開発が進んだの」

 

ガンスミス

「そこに横槍を入れたのがアメリカだ。折しもNATO結成の頃、NATO統一弾にアメリカがフルサイズ弾薬、要はライフルに使用されるような強力な弾丸を推した事で、ちょいと事情が変化する」

 

ナガン

「ここら辺はM14の回を振り返ってみるのも良いかもしれんの」

 

ガンスミス

「その方が説明も少なくて助かるし、理解も深まるからな。

 

さて本題に戻ろう。

当然困ったのは開発していたFN社。M14の欠点にあるように、あの強力弾薬をフルオート射撃するのは至難の技。

もともと火薬量を抑えた弾丸を使うつもりだったFN社は非常に困惑した。とはいえアメリカに逆らえるほど発言力もシェアもない」

 

FAL

「そして、基礎部分は完成していたものを7.62mm仕様に設計変更したのがこのFAL、てわけ」

 

ガンスミス

「ちなみに名前の由来なんだが、

フランス語で軽自動小銃を意味する

Fusil Automatique Legerの頭文字をそれぞれとったものだ」

 

 

 

FALってどんな銃?

 

ガンスミス

「結論から言えば超ベストセラーになった。

自国利益の為に国でそれぞれにライセンス生産されることになったとはいえ、NATO加盟諸国の多くで採用されている。

主な採用国はベルギー、アイルランド、イギリス(L1A1)、オランダ、ルクセンブルグ、オーストリア(Stg58)、カナダ(C1A1)、イスラエル、トルコ、ローデシア、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカ共和国......地図で見ればわかるが、色々な国と地域で採用されている。

 

民生品としても生産はなされており、リクエストにあったSA58はアメリカで生産された民生モデルのようだな。オリジナルに比べるとちょっと銃身が短いとかなんとか。詳しくはわからん」

 

ナガン

「性能的にはどうなんじゃ?

比較するとなるとM14とかほぼ同期で同じ性能しとると思うんじゃが」

 

FAL

「もちろん私の勝ちよ」

 

ガンスミス

「削り出し加工の耐久性の高いレシーバーをはじめとする頑丈な部品群。

現代では主流とはいえ戦後すぐでは新しかった下から入れるタイプのマガジン、初弾装填用のチャージングハンドル、セミ/フルオートのセレクター。

そういった当時では新しい機構類をわかりやすい位置に配置してある」

 

FAL

「他にも工具なしでメインの部品できるのも便利よね。

今までののモノとは異なるものだからこそ、受け入れられやすいようシンプルに纏めてあるの」

 

ガンスミス

「まあ欠点もあることにはある。

パーツの組み合わせがしっかりしている分砂には弱い。現代ではAKベースのガリルのような、汚れに強い武器が砂漠の多い中東地域では採用されているな」

 

ナガン

「それで反動の方はどうなんじゃ。どうせどぎついのがあるんじゃろ?」

 

FAL

「......急な設計変更で反動問題に関しては対処はできなかった、としか思えないわね。

イギリス自国生産モデルではフルオート機能を搭載しておらず、単発のみのライフルとして生産されているわ。

まあそれでも有能だったのだけれど?」

 

ガンスミス

「逆にぶ厚めの銃身と二脚を装備させて、軽機関銃に転用した例もある。頭は使いようって事だ」

 

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「政治的な横槍で不遇な立場に陥ったが、それをはねのけるほどのポテンシャルを発揮し、世界中で今もなお生き続ける銃だ。

近年バトルライフルを見直す動きにあるから、もしかすれば現役復帰も......あるのかな?」

 

FAL

「紅茶の味はまあまあかな。それで、今日のチョコは?」

 

ナガン

「こいつくつろぎはじめよったのじゃが」

 

ガンスミス

「ガトーショコラとかどうよ」

 

FAL

「いいセンスね」

 

ナガン

「......それではまた次回なのじゃー」

 

 

 

 

あとがたり

 

ナガン

「常々思っておったのじゃが、お主の服ってダサいのう。正直言ってセンス皆無じゃ。お主もそうは思わんか?」

 

ガンスミス

「ハッキリ言って最高にイカしてると思う」

 

FAL

「貴方の方が間違ってるんじゃないの?」

 

ナガン

「わしが間違っておるのか?!」

 

ガンスミス

「もっと腕にシルバー巻くとかサ!」

 

FAL

「......流石にそれはないわ」

 

ガンスミス

「あれー?」

 





センター受験頑張ってきます(白目)


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第46回 ゲパードM1/GM6 Lynx


バレンタイン? マックと手羽先食ってたよ。


 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

ガンスミス

「やっとこさひと段落ついたのでやーっとこさ再開です」

 

ナガン

イロイロあったからのう」

 

ガンスミス

「というかそろそろ再開しないと鉄血のへんなのとかが押しかけてきそうで......」

 

ナガン

「?」

 

イロイロ......イベント「低体温症」があって忙しかったと考えてください。実際は作者の都合ですけど。

 

へんなの......とほくれすニキの某ウロボロスを想定。

決してUNACではない、念のため

 

 

 

 

ガンスミス

「さて再開一発目のゲストはこちら」

 

ゲパードM1

「ここがワタシの新しい仕事場なの?」

 

ガンスミス

「君は戦闘班じゃないかなー」

 

ゲパードM1

「まぁいいけど、ゲパードM1、正式入隊する」

 

ナガン

「新人か、よろしく頼むのじゃ......って、だいぶフラついとるが、大丈夫か?」

 

ゲパードM1

「仕事も武器も、ワタシには重く感じる......休んじゃダメ?」

 

ナガン

「こんな調子で大丈夫なのかのう」

 

ゲパードM1

「一番いい休暇を頼む」

 

 

性能諸元 ゲパードM1 ライフル ☆3

 

口径 12.7mm

 

使用弾薬 12.7×108mm B32/12.7×99mm NATO弾

 

装弾数 1発

 

採用 ハンガリー軍 他

 

ナガン

「対物ライフルといえば、NTW-20(第29回)とかが他にあるのう」

 

M1ゲパード

「ちょっと、小さいけど」

 

 

開発経緯 狩猟豹の一射

 

ガンスミス

「開発は冷戦もさなかの1987年。当時東側陣営に属していたハンガリー軍が、軽装甲車両の破壊や、長距離狙撃を目的とした大口径ライフルの開発に着手したんだ」

 

ナガン

「ソビエトは対物ライフルを持っておらんかったのか?」

 

ガンスミス

「あるにはあるんだが、WWⅡ時に開発された『対戦車』ライフルしかなかった。確か戦術人形でその銃を使用している奴がいると聞いたことはあるが、ウチにはいなかったハズだ」

 

ナガン

「なるほど。旧式すぎる、と」

 

ガンスミス

「その頃じゃあ戦車はもう手持ちのロケットランチャーなんかで十分対処出来るようになったからな。RPG-7とか」

 

ナガン

「だから自前で開発する必要があったと」

 

M1ゲパード

「そういうこと......ないなら作るしかない」

 

ガンスミス

「とはいえ対物ライフルもまだ黎明期、試行錯誤しつつという形になったんだがな。

ちなみにこのゲパードはシリーズとして後発も開発されたんだ。リクエストにもあったから今回まとめて解説していくぞ」

 

 

ゲパードM1てどんな銃?

 

ゲパードM1

「一発で仕留めなきゃ行けないからツライ。あと重い」

 

ガンスミス

「強度設計のための致し方ない犠牲だ、許せ」

 

ゲパードM1

「しょぼーん」

 

ナガン

「口で言うのか......ええと、具体的にはどういうことなのじゃ?」

 

ガンスミス

「使用される銃弾は重機関銃用大型弾、だから強度と精度を併せ持つ太めの銃身と剛健なボルトアクションを採用した。そのおかげで17キロもあるんだがな」

 

ナガン

「なるほどのう」

 

ガンスミス

「ちなみにこいつは特殊な装填システムなんだが、ぶっちゃけ口で言っても......てするつもりだったんだが、少しでもわかろうとする努力はしないとな。

 

スツーカ様作「指揮官とG3がお送りする銃解説」

「銃の歴史その4 ボルトアクションとレバーアクション」回を参考にしてほしい。図解付きで丁寧な解説がされてるからオススメだ」

 

ナガン

「ああ、お主が見とったのか。こちらも紹介されたから意趣返しに、ということかの?」

 

ガンスミス

「まーね。んじゃ話に戻ろう。

 

このゲパードM1が特殊なのは、銃把がボルトハンドルを兼ねるという点だ。

銃把を右に回転させて引くと撃発部分、わかりやすくいえば撃針など発射メカニズムが纏まった機関部だな、が露出し、そこから弾薬を装填、排莢するんだ」

 

ゲパードM1

「だから弾が一発だけ......一撃必殺じゃないといけない」

 

ナガン

「......たしかに不便ではあるのう。今時ボルトアクションでも5発は入るというのに」

 

ガンスミス

「後発のシリーズでは精度を少し犠牲にしたセミオートモデルが殆どだ。やっぱ使い道は悪かったつーこったな」

 

ゲパードM1

「長銃身モデルの試作もある......重すぎて使えなくて没になったけど、フフッ」

 

ガンスミス

「え、アレ正統強化版じゃないのか。作っちゃったんだけど」

 

ゲパードM1

「」

 

 

RPG-7......ソビエト製携帯対戦車擲弾発射器。ゲームじゃないよ?

現在では旧式化しつつあるものの、紛争などで多くが活用されている。筒の先に菱形のロケット弾をつけた姿はお馴染みのはずだ。

 

見とったの......あちら(指揮官とG3がお送りする〜)では、動画サイトによる配信を想定しているそうな。

こっちはラジオなので図解もへったくれもない。

 

 

ナガン

「......泡吹いてぶっ倒れたんじゃが」

 

ゲパードM1

「ぶくぶく」

 

ガンスミス

「俺悪いことしたかな......まあいいや。

リクエストにあった後発版『ゲパードGM6 Lynx』を紹介していこう」

 

ナガン

「放置か?!」

 

 

ゲパードGM6 Lynx ライフル ☆ー

 

口径 12.7mm

 

使用弾薬 12.7×108mm/12.7×99mm

 

装弾数 5/10発

 

採用 同上

 

 

開発経緯 狩猟豹の子孫

 

ガンスミス

「ゲパードGM6は、現在のゲパードシリーズにおける最新型だ。その設計自体はセミオートのゲパードM2を踏襲しているんだ」

 

ナガン

「より扱いやすく、現代戦に適応したカスタムが成されたということじゃな? 開発が最近じゃから、そういうことなんじゃろう?」

 

ガンスミス

「大正解」

 

ゲパードGM6 Lynxってどんな銃?

 

ガンスミス

「ブルパップ式を採用しているのが特徴だな。銃身を短くして持ち運びやすくすることができるんだ。取り回しの良さを重視した、と言えるだろう」

 

ナガン

「その代わりに精度に関しては......ということじゃな」

 

ガンスミス

「対物ライフルとして考えれば問題はないだろ。

そしてこの銃もう一つの特徴は速射性だ。

2秒で6発、分間に直せば180発。これはライフル銃としてはおそらくトップクラスの連射性能を誇る。

前述の取り回しの良さも相まって、市街戦でも十分に猛威を振るうことができるだろうな」

 

ナガン

「狙撃銃にそこまでの連射性は必要か?」

 

ガンスミス

「正直俺もいらないと思うがそれはこの銃を狙撃銃として捉える場合に、だ。

大口径ライフル弾を連射できる運搬可能な重機関銃、として捉えることもできなくはない。

それに装甲の継ぎ目を狙うほどの精密さが要求されることってあんまり想定できないんだが。ばらまいて無理やり貫通させた方がてっとり早そうじゃない?」

 

ナガン

「......お主は戦場を知らんのじゃ」

 

戦場を知らん......実際問題どうなんでしょうね?

まさか狙撃で時限爆弾を解体しろとか、フィクションじゃあるまいし。

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「対物ライフルがまだ模索期だった頃に生まれた一品。課題や欠点がないとはいえないが、そう言った改善点がある完成品があるというだけで物作りは格段に進歩しやすくなる。

後輩に道を作った偉大な先輩、そう思ってくれや」

 

ナガン

「そう言うと、なかなかの深いものがあるのう......よいしょっと」

 

ガンスミス

「なにしてんの?」

 

ナガン

「膝枕じゃ。そこまで疲れとるんなら、ゆっくり休ませてあげんとな。休むことも戦士の条件じゃ。

お主もそうじゃぞ、たまにはゆっくりと休め」

 

ガンスミス

「そうだねぇ。今は別段忙しくないし、正月帰れなかった分里帰りにでも......」

 

カリーナ

「大変ですヤバいです事件です!」

 

ガンスミス

「おい、まだ収録中だぞ? 急ぎじゃない限り声はかけるなって」

 

カリーナ

「指揮官が更迭されるんですよ、これのどこが急ぎの用事じゃないってんですか!」

 

ガンスミス

「し、指揮官がクビだぁ!?」

 

カリーナ

「とにかく来てください!」

 

ガンスミス

「わ、わかった。そんじゃまた来週!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お久しぶりです。
でもまたしばらく忙しいんでのんびりと更新していきますよい。
リクエストもじゃんじゃんどうぞー


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番外編 第4回 MPX

10秒でわかるH&K33

ガンスミス
「H&K G3の弾薬を5.56x45mm NATO弾に変更したものだ! 以上!」



 

 

 

 

 

後輩ちゃん

「こんにちわガンスミスさーん」

 

ガンスミス

「こんちゃーす。ご用件は?」

 

後輩ちゃん

「ボクの愛銃を整備して欲しくて。先輩を守るためには万全の準備をしておかないと」

 

ガンスミス

「あー、だったら代わりのものを用意しとくか?」

 

後輩ちゃん

「ぜひぜひ!」

 

ガンスミス

「とりあえず見せてみ、話はそれから」

 

後輩ちゃん

「これなんですけど」

 

ガンスミス

「はー、これは......なー。うん。わかった。代わりはコイツでいいか。講習は必要かい?」

 

後輩ちゃん

「使った事はあるんで問題ないですよ。それに2、3日ですみますよね? だったらこれくらいでいです」

 

ガンスミス

「あいよ。でお代なんだが......」

 

後輩ちゃん

「?」

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

後輩ちゃん

「これがナガンちゃんとガンスミスさんの愛の巣ですか?」

 

ガンスミス

「言い方!」

 

ナガン

「違うぞ指揮官、いや後輩どの。ガンスミスと銃との愛の巣じゃ」

 

ガンスミス

「あー、うん。そっちの方が近い、かなぁ」

 

ナガン

「今のはボケたんじゃツッコミせんかい!」

 

後輩ちゃん

「今回は私の愛銃だよ、ぶいぶい」

 

性能諸元 SIG Sauer MPX SMG ☆ー

 

口径 9mm/.357/.40(10mm)

 

使用弾薬 9×19mmパラベラム弾/357SIG弾/.40S&W弾

 

装弾数 10/20/30発

 

採用 ー

 

 

 

開発経緯 MP5が倒せない

 

ガンスミス

「開発は2013年。目的は広く普及した傑作サブマシンガンMP5、その座を奪い取ることだ」

 

後輩ちゃん

「確かに名前も似たり寄ったりな感じ」

 

ガンスミス

「内部機構もショートストローク・ガスピストン式のクローズドボルト。これにより高い命中精度を誇る」

 

ナガン

「わかりやすく言うと?」

 

ガンスミス

「ちょいと複雑だが銃のブレや反動が少ない。そしてMP5同様に高い命中精度を誇るわけだ」

 

ナガン

「理解したのじゃ」

 

ガンスミス

「そんなわけで打倒MP5を目指して発売された本銃だが、あー、今んところ大規模採用の話は聞かないな。民間用のセールスにも力を入れており、結構なバリエーションがある。それは後述」

 

 

MPXってどんな銃?

 

 

ガンスミス

「コンセプト自体はMP5と同じだと思ってもらえればそれでいい。現在の技術でMP5を作るとすれば、みたいなIFを叶えたようなもんだろ」

 

後輩ちゃん

「ボクは持ち歩くのに重宝するから使ってるんですけどね。いざとなれば片手でも撃てますし」

 

ガンスミス

「そのコンパクトさはMP5に勝るところかもな。全長30センチのピストルモデルがその例だ。

銃身下部のストックは廃止されてるが、その代わりにバインダーが取り付けてありそれをストック代わりに使用できる」

 

ナガン

「回りくどうないか? こやつのように素直にストックに換装すれば良かろう」

 

ガンスミス

「そりゃメイン売り先のアメリカの法律が絡んでるんだ。その頃の名残だな。

この件に関しては商魂逞しいといいうかその、結構無茶苦茶な話でな......」

 

後輩ちゃん

「先輩が呼んでる気がする......待っててください今行きますよー!」

 

ガンスミス

「......ゲストが途中で帰りおった」

 

ナガン

「前代未聞じゃのう」

 

ガンスミス

「......まいっか。で、話を戻すと、アメリカでの法律では、短銃身の銃火器はストックを付けた場合、『ピストル』ではなく『小型銃火器』として扱われる。それで追加のライセンスが必要になってしまうんだ。それをかいくぐるための苦肉の策だな」

 

ナガン

「なんかそれ無理やり過ぎやしないかのう」

 

ガンスミス

「他にも『全長16インチ以下のストック付き銃器の所持には追加ライセンスが必要になる』という法律を潜り抜けるため、16インチまで届くマズルブレーキを装着した型もある。

コイツはカバーを取り付けることでサプレッサーとしても機能し、『サプレッサー登録を別途行えばカバーを取り付けるだけで減音機能を得ることが出来る』と売り出したのはいいんだが......」

 

ナガン

「いやそれ、ただの組み立て途中のサプレッサーじゃろ」

 

ガンスミス

「そんなわけで論争からの裁判沙汰だ。結局シグ側は敗北したらしいがな」

 

ナガン

「なんというかその、銃は良さそうなのじゃが、売り込みがヘタクソだったのう」

 

ガンスミス

「それにUMPシリーズや未だ現役のMP5の壁は厚い。上手くセールス出来ていたとしても取って代わるのは難しかっただろうな」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「面白い経歴を辿っている、ちょいとワケありな銃だ。でも発売してからそう時間も経っていないから、これからの動きやバリエーションに期待だな」

 

ナガン

「くあー、久し振りだとやはり勝手が違うのう」

 

ガンスミス

「しばらくはカンを取り戻すのに時間がかかりそうだ」

 

ナガン

「それではまた次回なのじゃー」

 

 

 

 

 

 

あとがたり

 

後輩ちゃん

「先輩、セッ◯スしましょう!」

 

指揮官

「まだ日も高いのに何を言っとるか」

 

後輩ちゃん

「先輩の愛が痛い! けど、全部受け取めてこそ先輩の夫なのですから受け止めて見せましょう!」

 

指揮官

「私はまだ独身だーっ!」

 

 

 

 




後輩ちゃんのイメージはデレステの輿水幸子だったり、
ナイツ&マジックのエル君だったりします。
紫髪のちんまいショタ、のイメージで結構です。
CVりえりー(重要)


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番外編 第5回 サムライエッジ


番外編と言いつつ他所からキャラを借りてくるあたり実質コラボ編なのではと思うこのころ。

いろいろ様 作 「鉄血喫茶」より
「サムライエッジ」ちゃんおよび舞台をお借りしました。

ちなみに第27回 M9の回を読んでくれると理解が捗ります。
ベースになった銃はM9ですので、この銃について詳細が知りたくば今スク目次から第27回にゴー!


 

 

 

 

 

 

 

「迷った」

 

両手に荷物を抱えた男が呟く。

 

この男はガンスミス。

とある基地で働く銃器整備担当職員であり、今作の主人公格の1人である。容姿に関しては読み手にお任せ、おじさんでもおにーさんでも構わない。

 

さて、彼はというと現在迷子になっている。ふらりと気ままに脇道に入るのはいいが、空間把握をしておかないと迷子になるので注意しよう。

そんなわけで現在位置をロストしたこのバカ。

 

「......そうだ、どっかで道を聞こう」

 

ここで人を探そうと滅茶苦茶に歩くあたり方向音痴のダメなところなのだが、欠点はわからないからこそ欠点なのだ。

そうしてさまようことしばし。

 

「カフェか。そういやよそのカフェとか来るの初めてじゃねーの?」

 

木造風という、現在では珍しいとも言えるカフェ。ガンスミスが基地でスプリングフィールドのカフェを手伝っている事もあり、興味が湧いた彼が扉を開けた。

 

「いらっしゃいませ。ようこそ、『喫茶 鉄血』へ。

空いている席へ、ご自由にどうぞ。」

「ちょ、なんで鉄血のボスが働いてんですかね?!」

「あらあら」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「ははぁ、鉄血を辞めてと」

「ええ」

(随分人間らしいといえばらしいけど)

 

代理人と名乗った女マスター。

吹き出した理由を正直に答えると、少し笑いながら昔はそうでしたねとあっさり事実を認めた。そのあっけからんとした様子からすっかり毒気を抜かれてしまったガンスミス。

 

「なんかどうでもよくなった。マスターさん、紅茶あります? あと今日のケーキを」

「わかりました」

「ところで、戦術人形も来るんですね。見覚えのない顔もあるんですけど」

 

どこかで見たような黒いジャケットに灰色の髪のツインテールに、ハイセンスな服をきてフェレットを連れた女性。

 

「ナインが可愛いのよ。このローアングルの写真とか」

「また盗撮してる......」

ガンスミスは他人だと思うことにした。

それからしばらくカフェ特製のティラミスに舌鼓をうち、紅茶を飲んでと午後のティータイムを楽しみ、そろそろ道を訪ねようかと口を開こうとした時。

 

「店主、来たぞ」

 

どぱん、と扉を蹴っ飛ばして開けた赤いロングコートをきた女性。それを確認したマスターの代理人の顔が嫌悪感を覚えたように歪む。

 

「またあなた達ですか」

「聞いてください代理人! この2人また弾をばかすかと撃ちまくって!」

 

その長身の女性の後ろから顔を出す小柄の金髪少女。

腰にむき出しになった彼女の銃にガンスミスは目を見開いた。

 

「......さ、サムライエッジ!?」

「知っているのですか?」

「知っているも何も、M9系列カスタムモデルといえばその名が通る銃だぞ! まさにガンスミスの夢、目指すべき目標の一端といっても過言ではない!」

「お好きなのですね」

「......すみません。職業柄目ざとくなってしまうというかなんというか。その銃、拝見しても?」

「......んー、いいですよ。ただ変なことはしないでくださいね」

「ということだ店主、しばらく居座らせてもらうぞ」

「......はぁ、ご自由に。ご注文は?」

「コールタールのように濃いエスプレッソを」

「かしこまりました」

 

うやうやしく銃を受け取ると机の上に置きまじまじと眺めるガンスミス。

 

「ところでそこの人間、サムライエッジ(ソレ)はどんな銃だ?」

「......基本はイタリア製のベレッタM9拳銃をベースに高精度、高耐久になるようカスタムされたモデルだ。

まず基本フレームから高精度のものを選り分けて組み立てられており、その時にも細心の注意を払い、スムーズに動くように微調整が繰り返し行われているんだ。

 

口で説明してもあれだし、マスターさん、黒板ありますか?」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「サムライエッジとは!

 

アメリカ合衆国中西部に位置するラクーンシティ、そこにて発足した警察系特殊部隊『S.T.A.R.S.』に正式採用されていた拳銃M92Fカスタムモデルの事を言う。

 

その名前はM9系列独特の上部を大きく欠いたスライドが日本刀のように見える事、また製作者が日系人であったことが由来とされている。

グリップ部におおきくあしらわれた星のメダリオンが特徴的だな。

 

使用弾薬は9mmパラベラム弾、そして同強装弾。

装弾数は13発以上とされている。

ここら辺は個人の裁量にもよるが、純正M92Fは15発だからおそらく15発だろうな。

 

ただでさえ厳しいと言われた米軍トライアルテストを上回るほどの厳しさを誇るトライアルを勝ち抜いた傑作、M9系列の完成形といっても過言ではないだろう。

 

 

また、個人カスタムモデルがあるのが有名だ。

 

 

例えばジル・バレンタインモデル。

彼女のものはスライドストップが小型化されている。服やものに引っかからないように、と考えられてのものだろう。

 

次にクリス・レッドフィールドモデル。

彼のものは、スライドが硬質スチール製になっており、強度と精度を確保。さらにトリガーをシルバーメッキの特注品に換装、絶妙なタッチに対応するカスタムが施されている。

さらにコーティングによる微妙な寸法変化すら嫌い、熟練工が必要とされる薬品によるブルーフィニッシュにより錆や汚れがつきにく、つや消しを兼ねた仕上がりに。

 

少し特殊だがバリー・バートンモデル。

大口径、ハイパワーにこだわる彼がチョイスしたのは、9mmより一回り大きな.40S&W弾を使用するM96F。これもM9系列の銃だ。

スライドは強装弾、さらにその上位の強装弾に対応する強化スライドに換装。

しかも装弾数を増やすロングマガジンに、頭がおかしいと思うが3点バースト機能も完備!

さらに大口径に対応して銃口跳ね上がりを抑制する大型コンペンセイター、反動を打ち消すスタビライザーも装備されている。

 

最後に有名なのがアルバート・ウェスカーモデル。

彼のものは拡張性を重視したタイプで、レーザーサイトやサプレッサーのような拡張パーツの取り付けがしやすいようにしてある。

さらにフレームはステンレス削り出しの豪華仕様!

強度と外見の美しさを両立した仕上がりだ。

しかも強装弾に対応し、装弾数の少なさと引き換えに高い威力を備えているんだ!

年次によってはさらに進化したモデルがあるとのデータもある。

反動抑制と拡張パーツの土台を兼ねそなえた『レイルスタビライザー』、フラッシュライト、レーザーポインターの2つの装備が一体となった『L.A.M(ライト・アダプター・モジュール)』、角型が特徴的な『オクタゴン・サイレンサー』!

 

......とまあこんな感じか。何か質問は?」

 

「暇なんですか?」

「生憎と仕事だよ」

「これだから人間は面白い、ククク」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「......それで、外出届の時間を思い切りぶっちぎってきたと」

「いやー、自分が方向音痴なんてな」

「遺言はそれでいいか?」

「ちょ、待っ」

「わしがどれだけ心配したと思っとるんじゃああああああああああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

「泣けるぜ......がくり」

 

 

 





ガンスミスってオタクやねんな(自分の好きな事を早口で喋る)


サムライエッジがきになる方は調べればすぐ出てくるのでおススメ。
やっぱ画像で見た方が手っ取り早いって。


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番外編 はた迷惑な侵入者

METAL GEAR DOLLSから来た人はこんにちわ。
そうでない人もこんにちわ。

作者です。
今回はコラボストーリーということで、
犬もどき 様作「METAL GEAE DOLLS」よりスコーピオンちゃんが我らがS09基地に遊びに来てくれたようです。
METAL GEAE DOLLSの方で導入編その1(?)をやっているのでみていない方はそちらにゴーゴー!
それでは始まります!


 

 

 

 

 

 

 

「ん、警報?」

「誤報かの。いちおう準備はしておくか」

 

基地勤務から数年はたつが、侵入者警報なんて訓練以外じゃ始めて聞いたな。

たまたま資料作りを手伝っていたナガンが銃をホルスターから抜き銃弾を確認していた。怖いしとりあえずハンマー持っとこう。

こんこんと扉が叩かれる。ナガンはいつでも引き金が引けるよう準備をして待ち構えていたのだが、

 

「マスター、いる?」

「その声はモシン・ナガンか。てかバーでもないのにマスターはやめてくれ」

「いいじゃんいいじゃん」

 

いたのは白い服のナガンと仲のいいRFのモシン・ナガン。顔見知りだったので拍子抜けだ、というようにナガンの纏う空気が緩む。

 

「何の用だ?」

「ガンスミスさん宛に荷物だってさ」

「送り主は」

「さあ? 宛先しか書いてないや」

 

『 御機嫌よう、グリフィンの雑兵諸君。第十三大隊監督役をしている上級AIのウロボロスだ、そっちでは有名なのかな? わたしはよく分からないのだが』

 

白い顔の怪物リスナー(ウロボロス)の顔が思い浮かぶ。こんなこと前にもあったなぁオイ。

またあいつか? でもあいつだったら普通に手紙も送りつけてくるはずだ。だったら誰だ......?

 

「忙しいからこの辺で。サボってるとこわーい同士に怒られちゃうからね」

 

さよならー、と手を振って出ていくモシン・ナガン。サバサバしたところは嫌いじゃないがあの酒豪ぶりだけは好きになれないんだよ。

 

「さて、これどうするのじゃ?」

「開けてみたいことにはわからないでしょ。手紙も付いてないし、案外普通の荷物だったりして」

 

カッターナイフでガムテープが貼られた継ぎ目に刃を入れてと、

 

「いたい!」

 

......。

............えい。

 

「いったい!」

 

いやいや、まさかな。

ダンボールの中に人が入ってるなんてそんなアホな事が。

 

「だから痛いってばっ!」

「ぐふっ!?」

 

突如ダンボール箱から飛び出してきた金色のなにかが顎にクリティカル。

「なんで箱の中に人が......ぐふ」

 

 

 

 

「おーい、起きろお主。仕事じゃぞ」

「ったー、まだ頭がガンガンするぞ」

「あはははは、ごめんねー」

 

眼を覚ますと馴染みのナガンの顔と顔見知りの顔が。金髪のツインテールに眼帯が特徴のトラブルメーカー、SMGのスコーピオンだ。

 

「んで、なんで仕事サボってダンボール箱に閉じこもってたんだこの馬鹿は? 怒られても知らねえぞ?」

「イタズラ好きなのは許容しよう。じゃが、職務怠慢は見過ごせんな」

「そうじゃないんだよ、ほら!......ってあれ?」

 

えーと、どこにやったかなーと身体中のポケットを漁っているらしいスコーピオン。

 

「このやたら重い荷物は?」

「見ていいよ! ガンスミスさんなら喜ぶと思うから」

「喜ぶぅ?」

 

一体何が入ってるんだか。俺や喜ぶものなんてそうそうあるもんじゃ......

 

「やばい興奮しすぎて死ぬ」

「一体何があったんじゃお主」

 

恐る恐る、カバンの中に入っていた一丁を取り出す。

素人が見れたただの旧式拳銃M1911。だが、外見を一見すればわかる。

 

「こいつ......できる」

「えへへー、すごいでしょ。なんてったんてスネークの愛銃だからね!」

「珍しいな。お主が他人の仕事を褒めるなど」

「珍しいどころじゃない。正直、自分より上の仕事を見たのは初めてだ。

 

まずフィーディングランプが鏡のように磨き上げてある、これはマガジンから弾丸をせり上げて装填するパーツだ。給弾不良を起こすことはまずないだろうな。

 

スライドは......強化スライドに交換してあるな。

スライドとフレームの噛み合わせにもガタつきが全くない。

フレームに鉄を溶接しては削る作業を繰り返して徹底的に精度を上げてあるようだな。手間のかかる。

 

フレームのフロントストラップ部分にはチェッカリングが施してある、手に食いつくようだ。

これなら滑ることは無いだろう。

 

サイトシステムもオリジナルに改造してある、3ドットタイプだな。

フロントサイトは大型で、視認性が非常に高い。まさに実戦を知る者の改造だ。

 

ハンマーも軽量のリングハンマーに替えてある。

コッキングの操作性を上げ、ハンマーダウンの速度も確保するためだ。グリップセイフティもリングハンマーに合わせて加工してある。

グリップセイフティの機能はキャンセルしてあるようだ。とにかく即応性を求めるプロ仕様だな。

サムセイフティ、スライドストップも延長してあるから確実な操作が可能だ。

 

トリガーガードの付け根を削りこんであるから、ハイグリップで握りこめる。この様子じゃトリガーにも手を入れてるかもしれんな。

 

マガジン導入部もマガジンが入れやすいよう広げられている。マガジンキャッチボタンも低く切り落としてあるから誤動作も起こしにくいだろう。

 

メインスプリングハウジングも、より握りこむためにフラットタイプにしてある。

更に射撃時の反動で滑らないようステッピングが施してある。

その上、スライド前後にもコッキングセレーションを追加してある。

緊急時の装弾、排莢をより確実に行うことが出来るはずだ。

 

レストマシンでの射撃なら25ヤード、ワンホールも狙えるに違いない。

 

悔しいが......負けたよ」

「早口で気持ち悪い、というか何が言いたいのかサッパリじゃ」

「俺より仕事できる」

「やっぱスネークって凄いや!」

「このSAAもいいセンスをしている......」

「だよねー! でもこれ使ってるオセロットってほんと愛想がなくてさあ!」

「銃を見ればわかる、クソ真面目」

 

マシンガンやライフル、アサルトライフルにショットガン。多種多様な銃がカバンに詰め込まれてるが、どれ一つとして整備に手を抜いたものがなく、全てにおいて芸術品といっても過言でない完成度と整備の素晴らしさ。俺からすればこれと同じ量の宝石よりも価値を感じる。

 

「凄いでしょ! それでね「正座」......え?」

 

ただ、ひとつだけ許せない点がある。

 

「座れ」

「はっ、はいぃ!」

「......言いたいことはひとつだけだ。人形ならみんなわかってることだと思ってたんだが、お前はイタズラの件といい仕事のサボりの件といい、常識が足りない」

「......逆鱗に触れたか」

「なになに、逆鱗て何さ!」

「ああ、こやつはのう」

 

「銃をガンケースに入れて持ち歩かないとか銃に向けて申し訳ないと思わんのかああん!?」

 

「銃をおざなりに扱う奴に対してはすごく怒るからのう」

「ラジオで聞いてた声と違う!」

「ガタガタ抜かすなこの間抜け! 今すぐ倉庫に行って対応するガンケース担いで持って来る! ナウ!」

「はいいいいいいいい!」

「だから銃をおざなりに扱う奴は嫌いだ!」

 

 

「スコーピオンは一度怒らせておるし、あれ以来は大切に扱ってはくれてるのじゃがな。

別個体、他の基地のスコーピオンということかのう。まさか、スパイ、か?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「足が、足が......」

「これで基礎は叩き込んだ感じか」

「あれから2時間ぶっ続けか、よく喋るのう」

「今のはただのイロハだし本気出せば1日は話せるが? ちなみに今のを紙にまとめたのがこちらに」

「辞書並みにぶっといんじゃが」

 

キュキュとホワイトボードの文字を消す。やっぱ書くもんがあると色々と捗るよな。紙ばかりでもアイデア出ないこともあるし、大きいは正義だ。

 

「さて、何の用でこちらに来たの、他所の基地のスコーピオンさん」

「あれ、言ってなかったっけ?」

「言ってないわ一言も。お主まさかスパイとかではあるまいな? 場合によっては......」

「全然違うって、そんなことないってば」

 

言い出せなかったんだけど、とおずおずとポッケから出したバッジのようなものを見せるスコーピオン。

 

「これは?」

「MSFのエンブレム?! お主、まさかあの」

「えへへー、そうなんだよね」

「ナガン、MSFってなにさ?」

「......国境無き軍隊、MSF。

MSFはいかなる国家、組織、思想、イデオロギー、協定に囚われることなく、軍事力を必要とするあらゆる勢力にその力を供給し、戦いの中に生きる者たちの理想郷となることを目的にしてる。革命勢力に雇われて国家の体制を転覆させた事例もあると聞く。

要はPMCのひとつじゃ。最近ではG&K社とほぼ同等の規模を持つとして注意喚起がなされておるのう」

「そんなになってるの?」

「お前当事者なのに知らないのかよ」

「難しいことはわかんないや」

「そういうやつだったな......」

 

「ところでなんであたしが別の基地のやつだってわかったの? 見た目おんなじじゃん」

「銃が違う」

「さっすがー、ガンスミスさんは凄いねぇ!」

「お主さらっと変態ぶりを発揮してるんじゃが」

「普通じゃん」

 

 

 

「ところで本題なのじゃが」

 

和気藹々とした空気が霧散する。滅多に聞かないようなナガンの冷え切った声。振り向けば、真剣な顔をしたナガンがホルスターに手をやり、いつでも抜けるように身構えていた。

 

「お主の目的はなんじゃ。場合によっては」

 

カチリ、と撃鉄の音。

 

「やだなぁ、あたしはただあのラジオに出てみたかっただけだよー」

「..................なんと?」

「だーかーらー、ガンスミスさんのラジオに出てみたかっただけなの。ついでに銃を見せたら喜ぶかなあって!」

「......アホじゃ、アホが此処におる」

「へへーん、褒めないでよね」

「褒めてなどおらぬわ!」

「なーんだ、ただのゲスト希望かよ。だったらちょいと時間をくれないか。今日の分の放送までに資料まとめとかないといけないんでな」

「いいの!」

「いいも何も断る理由はねえよ。機密に触れるわけでもない。ただ遊びに来ただけ、そうだろう?」

「わーい、いやったぁ!」

「でも変な真似はするなよ。ただでさえ基地がピリピリしてるんだから、ずっと此処にいること、いいな」

「はーい!」

 

元気よく返事を返すスコーピオン。とりあえずはこれでオッケー。ただまあ、出撃を知ってる上の方の連中をどう誤魔化すかな。ウッカリしたら反逆罪にもなりかねないけど......

 

「指揮官なら話は通る。後輩ちゃんもまあ認めてくれるだろ。事後でいいや事後で」

「お主って少し......いや、かなり欲望に忠実に生きておるよな」

「いやー、あのクソ餓鬼みたいに落ち着きのないスコーピオンをゲストにできるチャンスは滅多にないだろうし。いい機会だと思ってな」

「......わしはみなかったことにしておくから、うまくやるのじゃぞ」

「ナガンも随分と毒されてきたネェ。昔はこんなこと言わなかったのに」

「本当に、わしも丸くなったもんじゃのう」

「そうだなー、って。

 

工具に触るんじぁねえ死にてえのかああん!?」

 

「ご、ごめんなさーい!」

 

「お主はむしろ尖ってきてはおらぬかのう」





色々と構想を練っている時に、「なんか裏でコソコソやるの楽しいなあ」とか言ったり言われたりしてました。

ちょっとした背徳感とドキドキが味わえるのでみんなコラボ、しよう!
でも自分の世界観を大切にしたい人には要注意。

ちなみにウチの基地はいつでもウェルカムですよ。お便りをいただければガンスミスも作者もカッ飛んでいきますので、ぜひぜひ。


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第47回 スコーピオン


待たせたな!

言ってみたかっただけです。




 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「スコーピオンと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「「銃器紹介!」」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「「それでは、スタート!」」」

 

 

 

 

ガンスミス

「......お前いまサラッと割り込んできたよなおい」

 

スコーピオン

「くぅーっ、夢だったんだよねぇ!」

 

ナガン

「そうカリカリする事でもあるまいて」

 

ガンスミス

「まあいいか、紹介だ紹介」

 

 

 

 

ガンスミス

「今日のゲストは、て言われなくてもわかってるわな」

 

スコーピオン

「ハローハロー、SMGのスコーピオンだよー! わーちゃん見てるー?」

 

ナガン

「これまた自己主張が激しいものが来たのう」

 

ガンスミス

「では性能諸元どうぞ」

 

 

性能諸元 スコーピオン SMG ☆3

 

口径 7.65mm

 

使用弾薬 .32ACP弾(7.65×17mm)

 

装弾数 10/20/30発

 

採用 チェコスロバキア軍他

 

 

開発経緯 その毒針は必殺の一撃

 

ガンスミス

「正式名称はVz.61。1961年に東欧チェコスロバキア、現在ではチェコとスロバキアに分かれているが、その国で開発、製造された銃だ」

 

ナガン

「サブマシンガン、というとやはり特殊部隊向けというイメージはあるのう。開発理由もそれか?」

 

ガンスミス

「うんにゃ。こいつは戦車兵や軍用トラック操縦士、通信兵など、後方支援に徹する人間向けの自衛、護身用に開発されているんだ。

アメリカのM3も戦車兵や自衛向けに開発された銃だな。これはまたいつか」

 

スコーピオン

「私は接近戦ばっかりやってるけど?」

 

ガンスミス

「使い方までは知らんがな。でもまた一つ知識が増えたな、喜べ」

 

スコーピオン

「わーい! ってあんまり役に立たないような......」

 

ガンスミス

「ちなみに開発はCz75と同じチェスカー・ズブロヨフカ国営会社だ。共産圏の銃を多く輩出した銃器メーカーなんだ。今はもうないけど」

 

ナガン

「んー、スコーピオンという名前はどこに由来するのじゃ? 正式名称ではないのじゃろう」

 

ガンスミス

「折りたたみ式の銃床の形からだな。こいつは銃にかぶせるように折り畳むんだが、その形が尾を振り上げ威嚇するような蠍のようだから、と言われている」

 

スコーピオン

「へー。でもあたしってサソリ見たことないんだよねー、どんななの?」

 

ナガン

「カリカリに焼くと美味しかったのう。刺された時はすごく痛かったが」

 

スコーピオン

「ゲテモノ食いはスネークだけにしてよ......」

 

 

M3......実装済☆2SMG WW2時期にアメリカが開発。形が油さしっぽいのでグリースガンとの渾名も。

 

Cz75......赤髪斧投げゲッター系ガール(実装済☆5HG)。

詳しくは第33回にて紹介したのでそちらに。

 

美味しかった......サバイバル番組を見る限りエビのような味がするとか。ただし毒には注意。

紫外線ライトを当てると光る種類があるとか。

 

 

 

スコーピオンってどんな銃?

 

ガンスミス

「開発目的から反動の抑えやすく扱いやすい.32ACP弾を使用している。これは9mmよりひとまわり小さい弾丸で、威力射程共に劣る。」

 

ナガン

「そのかわり反動は少なく扱いやすい......ということかの?」

 

ガンスミス

「そのとーり。でも威力不足は考えられていたようで、後に.380ACP弾モデルのVz 64や、9x18mmマカロフ弾モデルのVz 65、9mmパラベラム弾仕様のVz 68など口径違いのバリエーションも豊富だ。」

 

スコーピオン

「知らなかったな。今度あるか聞いてみよっと」

 

ナガン

烙印システムあるからその銃しか使えんぞ」

 

スコーピオン

「きょ、興味あるだけだしぃ?」

 

ガンスミス

(嘘だな)

 

ナガン

(嘘じゃな)

 

ガンスミス

「そして、もう一つの特徴がそのコンパクトさ。ストックを折りたためば全長27cmと大型拳銃と同じくらいに小さい。

そのおかげかKGBスペツナズでは暗殺用として良く使用されていたそうだ」

 

ナガン

「持ち運びやすいというだけで強みだからのう。

......アタッシュケースに仕込むモデルもあるのか。これまた奇妙な」

 

ガンスミス

「かといって機構に手を抜いているわけじゃない。小型なりに扱いやすさを考慮した作りになっているんだ。

マガジン基部はかなり強固に設計され、ストック代わりとして使用することも可能。

発射速度を自分である程度調整できることもなかなかの強みだ」

 

スコーピオン

「え、これがそうなの?!」

 

ガンスミス

「ねえナガン。戦術人形って自分の銃に詳しいんじゃないのかい?」

 

ナガン

「個体によりけり、としか」

 

スコーピオン

「なんだよ、あたしがバカって言いたいの?」

 

ガンスミス

「実際そうだろ」

 

 

 

KGB......ソ連国家保安委員会。わかりやすく言えばスパイやテロ対策を行う組織で、秘密警察的な役割を持っていたと思われる。

アメリカのClAと双璧を成した組織、といえば大体わかると思います。

 

スペツナズ......ソ連、ロシアの各組織が保有した特殊部隊軍の総称。詳細は不明。

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「小型ながらも使用者に配慮した作りになっていて、なおかつ扱いやすい。

威力、射程には劣る点はあるものの、接近戦にさえ持ち込めばその強みを押し付けることができる。

どう近距離戦に持ち込むかが戦闘での鍵になるだろうな」

 

スコーピオン

「あと乱暴に扱っても壊れにくいしねー、こんな風に......あっ」

 

ナガン

「どうしたのじゃ?」

 

スコーピオン

「......壊れちゃった」

 

ガンスミス

「何やってるんだよもー!」

 

スコーピオン

「それじゃー、また次回! ばいばーい!」

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「ほら直したぞ! あと粗悪パーツは純正品に置き換えたしカバーつけて無理やりレール増設したから扱いやつくなったろ多分!」

 

スコーピオン

「......うーわナニコレ。ゴテゴテしてる」

 

ガンスミス

「レーザーサイトとか積めるようにはなったから。他にも予備マガジン入れとか増設したりとか、こんな風に」

 

スコーピオン

「うーわなにこれ別もんじゃん!」

 

ガンスミス

「まま、撃ってからのお楽しみにという事で。

外に射撃場あるしレッツシューティング!」

 

スコーピオン

「(フルトン回収するチャンス!)わーい、行く行く!」

 

ナガン

「......わしはここにおるぞ。いつもより疲れたわい」

 

ガンスミス

「あいよー」

 

 

 

 

スコーピオン

「ねー、ガンスミスさん、後ろむーいて?」

 

ガンスミス

「別に構いやしねえけど......お、わーちゃんヤッホー。今日も自主練?」

 

WA2000

「いえ、今日は別の用事よ。そこのバカサソリに用があってきたの」

 

スコーピオン

「バカとは何さバカとは!」

 

WA2000(?)

「......ふーん。じゃあこういったほうがいいのかしらね、この穀潰し」E:スタンバトン

 

スコーピオン

「あばばばばばばば、あふう」

 

WA2000(?)

「これでよし、と」

 

ガンスミス

「......いつものわーちゃんとは違うような」

 

WA2000(MSF)

「ウチのバカサソリが迷惑かけたわね。MSFを代表してお詫びするわ。他にも荷物あるでしょう?」

 

ガンスミス

「ああ、スコーピオンが担いで来た銃がたくさんあるけど」

 

WA2000(MSF)

「それも持ってきてちょうだい」

 

ガンスミス

「あいよー、ちょいと待ってな」

 

WA2000(MSF)

「さてと、このバカにはしばらく空の旅でも楽しんでもらおうかしらね、っと」

 

スコーピオン

「もう、痛いじゃないかわーちゃん! ってなんでここにいるの?!」

 

WA2000(MSF)

「追っかけてきたに決まってるでしょう!

説教は基地でするから、アンタは空の上で頭を冷やしてきなさいな!」

 

スコーピオン

「......もしかして背中のってええええええぇぇぇぇ」

 

WA2000

「これでよし、と。あとは帰るだけね。

思ったけれど、この基地の警備ガバガバ過ぎじゃないかしら」

 

 

 

指揮官

「ぶえっくしょい!」

 

後輩ちゃん

「先輩風邪ですか風邪ですねそうに違いありません

ボクが優しく抱きしめて温めてあげましょうさあ今すぐ服を全部脱いでボクの懐に飛び込んで来てください!」

 

指揮官

「ヤダ」

 

 




ガンスミス
「ついでに整備マニュアル入れとこ。新兵さん育成に使って貰えばええんやで」

スコピッピの銃を勝手にグレードアップしたけどいいのかな......でもまああいつのことだしすぐ元に戻しそうだけど。
ちな近代モデルは別物かってくらい違うので一見の価値あり。



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第48回 OTs-12/14


最近モチベが落ちてきてますね......やばいやばい


 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「リハビリなのにいきなりゲスト二人とかアホか。

しかも1人はヤベーやつだし!」

 

ナガン

「あやつは悪いやつではないのじゃ、ただちょっと、うむ、アレなのじゃ」

 

ガンスミス

「アレって何さ」

 

ナガン

「......ふ、振り向かないことさー♪

 

ガンスミス

「歌って誤魔化すな!」

 

振り向かないことさ......特撮『宇宙刑事ギャバン』テーマソングの一節。なんか聞いたことあるけど調べてみたら意外なところから出てきて驚いた。

一昔前のラブソングか何かとてっきり。

やっぱおばあちゃんは例えが古い。

 

 

ガンスミス

「今回のゲストはこのお二人です、どうぞ」

 

OTs-12

「秘密兵器ティス、到着!もっと詳しい説明いる?」

 

OTs-14

「グローザ14だ、これから楽しくやりましょう。」

 

ガンスミス

「というわけで今回にゲストは最終兵器と夜戦女王のお二人です」

 

ナガン

「性能諸元にゴー、なのじゃー」

 

 

性能諸元 OTs-12 AR ☆3

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9×39mm弾

 

装弾数 20/25発

 

採用 ー

 

 

性能諸元 OTs-14 AR ☆5

 

口径 9mm/7.62mm 他

 

使用弾薬 9×39mm弾/7.62×39mm弾他

 

装弾数 20発

 

採用 ロシア軍

 

 

ガンスミス

「本来ならば別々に紹介すべきなのだが、関わりが深い銃であり、なおかつリクエストのOTs-12がワケありで解説文が短いからな。要は尺稼ぎだ!」

 

ナガン

「おおメタいメタい」

 

 

開発経緯 雷雨とヤドリギ、ふたつの関係

 

ガンスミス

「この銃の開発は1992年ごろ、従来の武装では満足できないというロシア内務省軍の要請を受けて開発された銃なんだ」

 

ナガン

「従来のというとAKS-74U、あとスチェッキン、とあるな」

 

OTs-14

「AKS-74UはAKシリーズの短縮モデルなのだけれど、消音性能が低いのよ。

だから隠密作戦には不向きで、銃身を切り詰めたから命中率もあまりいいとは言えない。

だからこそこのような改善案が出たというわけ」

 

OTs-12

「それで生まれたのが私とグローザな訳。

私は開発中止されたんだけどねー。だからこそ秘密兵器ってワケなのよ」

 

ナガン

「それはちとおかしくはないか?」

 

 

ロシア内務省軍......ロシア国内での活動を主とする軍事組織。主に重要施設の警備や、国内の秩序の維持などに繰り出されるよう。最近改編されたようで、現在では存在しない、と思われる。

 

AKS-74U......AK-47を小口径にしたAK-74の派生モデルの一つ。銃身を短く切り詰め取り回しが良くなっている。

 

スチェッキン......実装済 ☆4HG。毎分600発もの連射が可能なマシンピストルだが、デカすぎて不評。

しかし少し前に再評価されることになり現在でも現役だとか。

 

短縮モデル......銃身を切り詰めたりストックを省略することにより小型化を実現したモデル。

そのかわり色々と犠牲になっているが、隠密性と取り回しさ重点なので問題はない。カービンモデルもある意味ではその一つである。

 

ショットガンでよく言われるソードオフモデルも、銃身を切り詰めたもの。だが、言葉が違うのは少し意味が異なるから、詳しくはまたいずれ。

 

 

 

OTs-12ってどんな銃?

 

OTs-12

「AKS-74Uを9×39mmモデルにしただけというね」

 

ガンスミス

「ただの口径違いなんだもんなぁ......」

 

ナガン

「3行で終わったんじゃが、じゃが!」

 

 

OTs-14ってどんな銃?

 

ガンスミス

「こっから本番だな」

 

OTs-14

「基本はAKS-74Uの機関部を再設計して大口径に対応するようにし、かつトリガー、グリップを前方に移してブルパップ方式に変更」

 

ガンスミス

「これで全長を短縮し、かつ精度も確保できたというワケだ」

 

ナガン

「最新の流行に乗った形になるな、これでだいぶ使いやすくなったのではないのかのう?」

 

OTs-12

「それはそうとはいかないんだよねー」

 

OTs-14

「元になったAK系列の機関部設計は1940年代、だからこそ両手持ちなどには対応していない。

基本的に空薬莢は右側から排出される事になる」

 

ガンスミス

「左利き射手、ブルパップ式、アツアツの薬莢、何も起きないはずもなく......」

 

ナガン

「銃業界は左利きに親でも殺されたのか?」

 

注)具体的にどうなるかは第44回 ARX-160/200 にて解説してます。

ブルパップについては第6回 G11 を参考にどうぞ。

 

 

ガンスミス

「現行モデルでは消音性能に優れる9×39mm弾使用モデル、射程威力に優れる7.62×39mm弾仕様モデル、資料がないからわからんが他多数の口径のものが運用されているそうだ。

元が特殊部隊の銃だから資料はそう多くはない、だから情報も少なくてな」

 

OTs-14

「現行モデルではGP-25グレネードランチャーと引き金を一体化したモノが基礎になっている。もちろん私が使うように取り外すことも可能だ」

 

OTs-12

「元が単純なAK系列の銃な分、パーツもそう変わらないんだよね。75%がAKS-74Uと同じパーツだから修理も簡単なんだー」

 

ガンスミス

「裏方としては助かる設計だな」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「特殊部隊向けに開発された分、とにかく実用性を突き詰めていったような銃だ。またAK-47の血を引く銃でもあり、あの銃の偉大さがうかがい知れる一品でもある。AKってすげえわやっぱ」

 

OTs-12

「これ私がいる意味あった?」

 

ガンスミス

「やっぱ4人じゃ会話なんて捌けねえってことがわかった」

 

ナガン

「あまり良いとは言えなかったのう。反省、じゃな」

 

OTs-14

「ではまた来週」

 

 

 







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第49回 C96


バイオハザートって最近盛り上がってるから、それのキャラをドルフロに置き換えてひとつ書いてみたいなぁ。

となると主人公は誰なんじゃろ......?


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「......さて、明日から本気出すか」

 

ナガン

「今から出せ、今から」

 

ガンスミス

「やだよ、しばらくは有給休暇消費するんだい」

 

指揮官

「え、しばらく休みないよ? みんな演習したがるから仕方ないね!」

 

ガンスミス

「」

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今回のゲストはこちら」

 

C96

「キタキタキタキターッ! やっと私の出番ですね! 私がC96です! あなたがガンスミスさんですね?」

 

ガンスミス

「そういや初顔合わせだったな、よろしく」

 

C96

「はい! よろしくお願いします!」

 

ガンスミス

「......おにーさん元気な人大好き」

 

C96

「ふえええっ! こここ告白ですかぁ!」

 

ナガン

「違うわいこのポンコツ恋愛脳」

 

 

性能諸元 C96 HG ☆3

 

口径 7.63mm/9mm

 

使用弾薬 7.63×25mmマウザー弾/9×19mmパラベラム弾

 

装弾数 6/10/20

 

採用 ドイツ帝国他多数

 

 

開発経緯 マウザー社傑作のひとつ

 

ガンスミス

「まずマウザー社と言われると聞き覚えはないだろうが、モーゼル社といえば聞き覚えはあるだろう?」

 

ナガン

「kar98kの会社か! となるとドイツの会社じゃのう」

 

C96

「日本ではどういうわけか小銃を「モーゼル」、火砲は「マウザー」と何故か区分けさせていましたね。

一体どうしてなんでしょう?」

 

ガンスミス

「よくあるこった、気にすんない。

さて本題に戻りましょうかい。

この銃が開発、発売されたのが1896年。

ルガーP08が開発されたのはすぐ後で、この銃もまた自動拳銃の草分けのひとつだ」

 

C96

「詳しくはトラックバックを振り返ってください、というやつですね!」

 

ガンスミス

「まあそうさな、そちらをみていただくとありがたいし理解もしやすい。それを読んだ前提で進めっからよろしく」

 

ナガン

「リスナーに厳しいのう」

 

ガンスミス

「やかましい。

この銃もデザインは現在のものとは異なるが機構自体は後世に通ずるものがある。

また拳銃のあり方について後世に影響を与えた点も見逃せないな。これは後述するけどな」

 

 

 

C96ってどんな銃?

 

ガンスミス

「まずデザインからしてあまりみない形だが、脳内で銃身をながーく伸ばして三角のストックをつけるとライフルに見える......気がしないか?」

 

ナガン

「同意を求められてもの。まあ、グリップの前に四角い弾倉があるのはライフルに通じるものがある」

 

C96

「どちらかといえば一昔前のSMGに似たような感じだと思うのですが?」

 

ガンスミス

「意見はー人それぞれ、てことで。

ちなみのストックを取り付け可能なのも特徴の一つで、なぜか照準器もそれを見越した1000mまで狙える仕様になっている。

ただ、照準器のクセが強く左右の調整が不可能」

 

C96

「銃身の微妙な歪みなどのクセもまだ強い時期でしたからね。こればかりは射手の感覚に左右されるものでした」

 

ナガン

「......グリップのデザインといい、使い手にあまり優しくない銃じゃの」

 

C96

「それは私だけじゃないですから! この時期じゃ当たり前だったんですぅ!」

 

ガンスミス

「この銃の特徴は装弾数の多さと自動式であること。

大きめの弾倉は10発と多く、リボルバーとは比較にならない装弾数だ。

それにリロードも早い。後期のものは今と同じ弾倉交換型だが、初期のものは一部のボルトアクションライフルと同様にクリップ給弾式だったりする」

 

C96

「モデルによってはフルオート射撃もできます。ばんばんばんばんばんばーんと!」

 

ナガン

「......となれば塹壕戦でも活躍したのかのう?

WW1時期には主力じゃったんじゃろう、この銃」

 

C96

「その通りです! 塹壕戦の切り込み部隊の武装として大活躍したんですからね?」

 

ガンスミス

「またトルコ・イタリア・ペルシャ・オーストリア・ドイツ・フランス、と多数の国で採用された。

特にドイツ陸軍の9mmパラベラム弾モデルのものは『レッド・ナイン』と呼ばれたそうだ」

 

C96

「弾薬の混同を防ぐために、赤いペンキでグリップに大きく『9』と書かれたのが由来です」

 

ナガン

「ふうむ、資料によれば日中戦争期の中国でも活躍したらしいの。

中国人日本人問わず多く利用されたそうじゃ」

 

ガンスミス

「ワールドワイドな銃だったということだな」

 

C96

「それだけにバリエーションも沢山あるんです。

有名なものはさっき言った中国で『十七型拳銃』と呼ばれ45口径モデルとして生産されたモデルですかね」

 

ガンスミス

「また世界で初めて大規模に普及した拳銃とされ、100万挺以上生産されたとされている」

 

ナガン

「これを聞くとAKシリーズの生産数を思い出すのう。一億以上という数字の前には何もかも霞んで見えるわい」

 

ガンスミス

「ちなみに非公式だが工業製品としての生産数トップはAKシリーズな訳なんだが、公式の記録はあるものだと日本のホンダの原付『カブ』シリーズだとさ」

C96

「ああ、ブレン・テンちゃんが乗ってるやつですね」

 

原付『カブ』シリーズ......本田技研開発の原付バイクシリーズ総称。2016年にて総生産数1億台を突破したとか。

とかく頑丈な原付として広く愛されている。

いそのうち番外編で書こうかなーと思っていたり。

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「ちょいと拳銃としてはコンセプトが迷子な銃なんだが、その活躍の広さは特筆されるべきだろうな。

かたや狙撃、かたや近接戦闘。

ユーラシア大陸の西から東までの大車輪のごとき大活躍よ。

ちとデザインは古すぎるが、根強いファンは後を絶たない」

 

C96

「活躍の場は選びませんよー! いつでもいけますよー! だからしきかーん、私を活躍させてー!」

 

ナガン

「意気込んどるところちょうどよかったの。近隣の警護任務が空いているはずじゃ、推薦しておこう」

 

C96

「ほんと、やったー!」

 

ナガン

「後進の育成も仕事じゃからな。それではまた次回」

 

 

 

 

 

 



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第50回 Fr FAMAS

祝! 解説50回達成!

なんか企画やります!(内容未定)


 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「祝、50回達成! めでたいねぇ!」

 

ナガン

「ここまで続けてきた甲斐があるというものじゃ」

 

ガンスミス

「というわけで何かしらスペシャル放送回でもやろうと思うんだけど......どないしよ」

 

ナガン

「わしが思いつくわけなかろう。

もしよろしければ、リスナーの皆に案を募るのはどうか」

 

ガンスミス

「採用」

 

 

作者から)

というわけで50回記念というのでスペシャルな企画をやってみようと思います。

案があればぜひぜひメッセージでお伝えくださいな。

 

なければ普通に日常回になります。

 

 

 

 

ナガン

「というわけで記念すべき50回目ゲストは」

 

Fr FAMAS

「Fr FAMAS 到着しました。わたくしが貴軍に加勢すれば、百人力です」

 

ガンスミス

「というわけでアサルトライフルのFAMASさんがというわけですね、はい。

今回はよろしくお願いします」

 

Fr FAMAS

「わたくしでよければ、全力を尽くします」

 

ナガン

「というわけで性能諸元なのじゃー」

 

 

性能諸元 Fr FAMAS ☆4 AR

 

口径 5.56mm

 

使用弾薬 5.56×45mm NATO弾

 

装弾数 25/30発

 

採用 フランス軍他

 

 

開発経緯 黙示録のラッパ吹き

 

ガンスミス

「この銃の開発は1977年と(他と比べれば)割と最近だ。

理由は言わずもがな、武装の旧式化による更新だ」

 

Fr FAMAS

「戦後より使用されていたのはMAS-49小銃、故障は少なく良い銃ではあったものの、時代遅れは否めません」

 

ナガン

「それでこうなったと。ブルパップ式なのはその頃の流行りなのかの?」

 

ガンスミス

「ちょっと待てよ......G11が70年代開発だ。少なからず影響を受けているだろうが、大元はステアーAUGだろうな」

 

FAMAS

「ステアーAUG?」

 

ガンスミス

「元祖ブルパップ式近代銃といえばこの銃だ。オーストリアが開発した銃で、前に紹介したグローザをはじめ多くの銃に影響を......」

 

Fr FAMAS

「どうされました?」

 

ガンスミス

「同じ77年開発かよ知らなかったわ、思い込みって怖......」

 

ナガン

「ともかく、70年代はブルパップ式がトレンドだったという事じゃろう?

フランスも例に漏れずその流れに乗ったというわけじゃ」

 

 

他と比べれば......AK-47(1947年)/M16(1960年)/Gr G3(1964年)など。

まあ古いのをあげてるだけでもあるし、イギリスのL85とか新しめのもあるから一概にそうとはいえないが。

 

MAS-49......フランスが戦後開発したセミオートマチックライフル。

設計自体は戦前から始まっており、原型はほぼボルトアクションライフル。

いかんせん旧式のためあっさり後続に道を明け渡すが、90年代までは少数が使用されていたようだ。

その頑丈さには定評があったらしい。フランス外人部隊が言うんだから間違いない。

 

ステアーAUG......運営さん、まーだ実装に時間かかりそうですかねぇ?

 

 

 

Fr FAMASてどんな銃?

 

ガンスミス

「ブルパップ式の良いところも悪いところも詰め込んだ銃」

 

Fr FAMAS

「身も蓋も無いですね......」

 

ナガン

「というかブルパップ式についてはそこそこ語り尽くされとる気がするんじゃが」

 

ガンスミス

「まーな。G11の回とか、OTs-14の回とかで解説したのはあるな。それを踏まえて利点欠点を解説しておくぞ。

まずはおさらいから。

ブルパップ式の利点は、

全長を短くできる事、

銃身を長く確保できる精度が高い事。

逆に欠点は、

機関部が顔の近くにある事、

マガジンが交換しにくい事、

場合によっては左利きに優しく無い事。

 

だな。より詳しくはG11の回を振り返ってほしい」

 

ナガン

「それを踏まえて解説する、のじゃな?」

 

ガンスミス

「そのとーり。というわけでよろしく」

 

Fr FAMAS

「はい。FAMASの最大の欠点、というべきでしょうか。それは精度が下がったということですね」

 

ナガン

「ん? わしはブルパップ式は精度が高いと聞いたのじゃが、矛盾してはおらぬかのう」

 

ガンスミス

「言い方が悪かった。厳密にいうなら『狙ったところには飛ぶけど狙ったところがズレるので』精度が悪い。長距離射撃の場合は特にな」

 

Fr FAMAS

「その理由は狙いをつけるサイト(照準)にあります。

基本的にサイトは間が開いている方が正確になるのです。

私はブルパップ式なので銃身が短く、サイトの長さを確保できていません」

 

ガンスミス

「スコープを乗せれば問題はないが、近距離となると頼りになるのは備え付けサイトだ。ただまあ、近距離だとデメリットはあまり気にするほどでもないが」

 

Fr FAMAS

「他にも狙いやすいようニ脚装備だったりと対策は十分に立てられています」

 

ナガン

「なるほどのう」

 

ガンスミス

「あと初期モデルだとたまーに薬莢が千切れ飛ぶんだよなこの銃」

 

ナガン

「それは致命的ではないかの!? 」

 

Fr FAMAS

「昔はちゃんと対策に鉄製薬莢を使用していましたし、最新モデルでは対応できていますので心配は無用です。

私のは初期モデルですけど

 

ガンスミス

「他は、Gr G3のローラー遅延式ブローバックと似たレバー遅延式を採用しているので、銃身周りもスッキリして、バースト射撃も扱いやすい。

三点バーストを採用し始めた頃の銃でもあるな」

 

ナガン

「詳しくはG3の回を参照に、かの?」

 

ガンスミス

「あれは素直にウィキペディ◯を見てくれ、複雑すぎて説明できん」

 

Fr FAMAS

「そして現在のフランス軍ですが、わたくしからH&K416に順次入換が進んでいるようですね。

時代の流れには勝てません......」

 

 

 

416

「やはり私の時代ね!」

 

G11

「うるさい」

 

 

鉄製薬莢......普通の薬莢は真鍮だとか合金だとか。

ほとんど使い捨てなので安価かつそこそこ強度のあるある素材を使っているんじゃなかろうか。

 

 

まとめ

 

「その特徴的な形状から『軍隊ラッパ』の愛称を持った、冷戦時期のフランスを長きにわたって支え続けた名銃だ。

あとなんで銃にストラップつけてるの?」

 

Fr FAMAS

「指揮官に貰ったものですから......戦場でも一緒に居たいのです。壊れてしまいそうなのでやめようとは思っているのですが、つい」

 

ガンスミス

(なにこのギャップ、可愛すぎかよ)

 

ナガン

(皆人間らしくなってきたのう......)

 

Fr FAMAS

「わ、わたくしのことはどうでもいいではありませんか! ほら、終わりましょう!」

 

ガンスミス

「そうだな、んじゃまた次回!」

 

 

余談

 

スコーピオン(MSF)

「メタルギアシリーズにこの銃がよく出るのは、平たくてポリゴンで作りやすいからだってさ。

あくまで作者のうろ覚えだけどね!」

 

WA2000(MSF)

「あんた急になに言ってるのよ、変な電波でも受信した?」

 

スコーピオン(MSF)

「うーん。なんか言わなきゃいけない気がしてさ」

 

WA2000(MSF)

「......あんたやっぱり頭おかしいわ」

 

スコーピオン(MSF)

「酷くない?!」

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「結婚披露宴招待状か」

 

ナガン

「あの人見知りが結婚か、どう転ぶかわからんのう」

 

ガンスミス

「にしても人形かつ同性か......世界は広いな」

 

ナガン

「そういうお主はどうなのじゃ?」

 

ガンスミス

「んー、今のところはコウちゃんが恋人かねぇ」

 

ナガン

「コウちゃん?」

 

ガンスミス

「工具セットのコウちゃん」

 

ナガン

「......」

 

ガンスミス

「さて、服の準備するかね。結婚式なんて初めてだ、どんなのだろ、楽しみだなー」

 

 

 

後輩ちゃん

「先輩! 結婚式に行きましょう!」

 

指揮官

「招待された手紙の方にね!」

 

後輩ちゃん

「チッ」

 

指揮官

(油断も隙もありゃしない)

 

 

 

 

 

 




コラボのフラグもこっそり張っとく。

よそ基地の皆さんと絡むチャンスだ!


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第51回 Gr G36


メイドカワイイヤッター


やっとこさ彼女が建造から出てきてくれたので書ける。
ロリスキン仕様にしようか迷った。


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ナガン

「おぬし、最近ふらついてはおらぬか?」

 

ガンスミス

「いやあねえ、あの子も頑張ってるんだから、俺も頑張らないと」

 

ナガン

「気張りすぎは心に毒じゃぞ、適度に休むように心がけい」

 

ガンスミス

「それに弟子もできたしマニュアルとかも作らなきゃにゅふふ」

 

ナガン

「ほんとに大丈夫なのかのう?」

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今回のゲストはこちら」

 

Gr G36

「Guten Tag 私がG36です。本日はよろしくお願いいたします」

 

ナガン

「目つき悪いのうお主」

 

Gr G36

「......いえ、目の焦点調節機能の不具合で。

人間風に言うなれば視力が低いのです」

 

ナガン

「なるほどのう、ゴーグルでも作ったらどうじゃ?」

 

Gr G36

「検討しておきます」

 

ガンスミス

「そんじゃま、性能諸元行きまっしょい」

 

 

 

性能諸元 Gr G36 ☆4 AR

 

口径 5.56mm

 

使用弾薬 5.56×45mmNATO弾

 

装弾数 30/100発

 

採用 ドイツ連邦軍 他

 

 

 

開発経緯 おもちゃのようでおもちゃではない

 

ガンスミス

「ときは1980年代、NATO軍でトレンドになっていた7.62mmNATO弾が使いにくいという声が大きくなり、小口径弾の利用が増え始めた」

 

Gr G36

「当時ドイツ軍で利用されていたGr G3も欠点は多くあり、小口径には未対応。

そこで、ドイツ軍は小口径弾を利用した新型小銃の開発をH&K社に依頼したのです」

 

ガンスミス

「そこで完成したのがよりにもよってあの悪名高いGr G11だ。詳しくは解説を読めばわかるが、この銃非常に問題が多かった。

そして折しもベルリンの壁による東西ドイツ再編成の混乱。

一時、新型ライフルの開発は有耶無耶になってしまっや」

 

ナガン

「そして落ち着いた頃に開発された、ということかの?」

 

ガンスミス

「そういうことだ。採用試験では前に話しに上がったステアーAUGを破り軍に採用された。

以来ドイツ軍のメイン武装として現在に至るまで戦場に立っている、というわけだ」

 

 

 

Gr G36 ってどんな銃?

 

ガンスミス

「G11で懲りたかシステム自体は無難オブ無難、G3で利用されていたローラーロッキングも無し。

ショートストロークピストン方式というよく使用されたシステムを採用している」

 

ナガン

「資料によればHK416が有名かの。他にはFAL、M14と実績十分な作動方式じゃな」

 

ガンスミス

「とはいえチャレンジが無いわけでもないんだがな」

 

Gr G36

「銃の外装はほとんど繊維強化プラスチックで成形されています。当時としては画期的な事だったでしょうね」

 

ガンスミス

「他にもマガジンを透明プラスチックにしたことにより残弾の把握が容易になった。

さらにマガジン側面には突起があり、マガジン同士を連結するジャングルスタイルも可能になっている」

 

Gr G36

「照準器は上部にあるキャリングハンドルと一体化した3倍スコープとドットサイトがあります。

後発モデルはピカティニー・レールに入れ替えられ、拡張性が増しているのです」

 

ガンスミス

「ただ問題もあってだな......」

 

 

ローラーロッキング......整備にひどく手間がかかる代わりに、割と優秀な精度を誇る。

詳しくはG3やその派生のMP5で調べてちょうだい。

 

ショートスロトークピストン方式......図解による解説がwikiにあるのでそちらに。

信頼性の高い作動方式。

 

キャリングハンドル......持ち手。

それ以上でも以下でもない。

 

 

Gr G36の欠点とは?

 

ガンスミス

「過酷な環境下でもしっかりと作動することが認められているG36ではあるが、ここ最近問題が発生したんだな」

 

ナガン

「銃の問題というと装填不良の多発が思い浮かぶのう。実際そういう銃があるのじゃし」

 

Gr G36

「報告されたのは銃身の加熱による命中率低下です。

これは銃の材質に問題があるのでは、と推測されています」

 

ガンスミス

「実際問題、プラスチックより金属の方が放熱しやすいからな。

小口径弾ならともかく火薬量の多いライフル弾ではなおさらだ」

 

ナガン

「金属で銃を作ったのは色々な意味での最適解、そういうことだったのじゃな」

 

ガンスミス

「近代ならではの問題だな」

 

 

そういう銃......L85A1「へっぷし!」

 

 

派生について

 

Gr G36

「民間向け、特殊部隊向けとさまざまなバリエーションがあります。

有名なものはG36C という超短縮モデルですね」

 

ナガン

「確か姉妹機の人形が使用しておったな、戦場で見かけた事がある」

 

ガンスミス

「まーウチには居ないけどな。いたら指揮官がいじり倒してるだろうし」

 

ナガン

「見てくれからして薄幸そうじゃしのう......」

 

Gr G36

「他には民間モデルをベースとし、専用弾とサプレッサーを使用するSL9SDという狙撃銃モデルがあります」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「配備当初はレゴライフルだのと揶揄されたが、現在では多くが配備される良い銃だ。

信頼性にケチがつくのは認めるが、だったらそれ以外で使えという話だ。実際、市街地戦じゃ気にならない問題だろうし」

 

ナガン

「世の中不測の事態というのがあるんじゃぞ?」

 

Gr G36

「そうなった時のための拳銃です、ご心配なく」(ジャラジャラー)

 

ガンスミス

「君スカートの中に何丁隠してるのさ!?」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ナガン

「遅いのう」

 

指揮官

「ちわー! ガンスミスさん......居ないねぇ、なんか知らない?」

 

ナガン

「ああ、『となりのP38ちゃん用ガンスミス教育マニュアルできたから行ってくる!』と言ったきり帰ってこんのじゃ。連絡のひとつもよこさん」

 

指揮官

「心配だねぇ、連絡とってみようか」

 

ナガン

「お願いするのじゃ。最近平和だからといって同行しなかったわしが馬鹿じゃった」

 

 

 

 

 





こっからリクエストのハイエンドモデルのターンにしようと思うんだけど、原作仕様だとフツーに殺されるよねこの人。

またコラボ?


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第52回 M950A

字数がすっごく少ない、ふしぎー!

実際はキャリ子のキャラが謎すぎるというね。外見と性格が一致しねえ!


 

 

 

「WA2000と」

 

「ウェルロッドMk.Ⅱの」

 

「「銃器解説コーナー!」」

 

WA2000

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説するものよ!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「我々は神に非ず。過ちを犯すものが、真に人間なのだ」

(間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください)

 

WA2000

「性能諸元はWikiを参考にしているわ。間違いがあったら随時受け付けるから!」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

WA2000

「だからアイツは働きすぎなのよ!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「好きでやっていても、疲れは溜まりますからね。

これを機にゆっくり休むよう、私達で支援しましょうか」

 

WA2000

「せっかくの休暇なのに、こんなところで働かれちゃ困るわ」

 

ウェルロッド

「1週間くらいはゆっくり休んでもらいましょう」

 

 

 

 

WA2000

「今日のゲストはこちらよ」

 

M950A

「M950A、よろしく」

 

ウェルロッド

「素っ気ないですね、真面目にやってくださいよ?」

 

M950A

「言われた仕事くらいやれる」

 

WA2000

「......先が思いやられるわね」

 

 

性能諸元 M950A HG ☆5

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9mmパラベラム弾

 

装弾数 50/100発

 

採用 ー(民間、法的機関向け)

 

 

 

開発経緯 変態銃?

 

M950A

「どストレートに馬鹿にして!」

 

WA2000

「実際そうじゃない」

 

M950A

「貴方だけには言われたくない」

 

WA2000

「銃なんて大半が変態でしょうが、この話はこれでおしまい。さっさと話して」

 

M950A

「はぁ、まったく面白くない。

多弾数装弾できる弾倉を持つ銃として開発されたシリーズのひとつよ。元々は拳銃弾を使うセミオートライフルとして開発された、これでいい?」

 

WA2000

「次いきましょ」

 

M950A

「スルーとかどういうことよ、ねえ!」

 

WA2000

「これくらいここじゃ常識。ガタガタいうと締め上げるわよ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「暴力はいけません!」

 

 

M950Aってどんな銃?

 

WA2000

「見たとおり変態よ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「もうすこし詳しく解説しましょうよ。

ええと、引き金上部に筒型マガジンがあるのは個性的なデザインです、よね」

 

M950A

「それはヘリカルマガジンね。ドラムマガジンとはまた違った仕組みなの」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「作動機構は......ローラーロッキング方式ですか、珍しいですね」

 

M950A

「それはどうも」

 

WA2000

「しかし欠点が多い銃としても有名ね。まず大容量のヘリカルマガジンはネジをしっかり巻かないと装弾が止まるの。

しかも装填のタイミングを上手く合わせられずに装填不良が多発する。

大容量弾倉のおかげで弾丸の増減が銃全体のバランスに影響を与えすぎる。

撃ってる途中に銃の重心が移動するってどういう事よ」

 

M950A

「仕方ないでしょ、そういう銃なんだから」

 

ウェルロッドMkⅡ

「話は変わりますけど、これどこで狙いつけてるんです?」

 

M950A

「狙えないからレーザーサイトつけてんの」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「私がいうのもあれですが、IOPはどうしてこの銃を選んだんでしょう?」

 

M950A

リベレーターが選ばれてないだけマシでしょう?」

 

 

 

ヘリカルマガジン......ヘリカル、とは日本語で螺旋の意。実際螺旋を描くような溝があり、その中に弾薬が収まっている。

採用例は少ないが他にも存在する、Bisonとか。

 

ローラーロッキング方式......Gr G3で使用された方式。どっから出てきたお前。

 

リベレーター......車屋が作った(産廃)即席拳銃。

クソ銃代名詞として有名(?)

 

 

 

まとめ

 

WA2000

「時流の流れもあって活躍できなかった銃ね。ただ、優秀であればその中でも生き残れたはずだから、ひとえに銃が悪かったわね」

 

M950A

「発想自体が豪快すぎたの、これだから銃バカは」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「銃に国民性が色濃く出るんですね、勉強になります」

 

WA2000

「それじゃ、暫くはあの2人は休みで私たちが担当になるわ。

拙いと思うけど、あいつが潰れてこれ自体が無くなるよりはマシでしょう?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「それでは、また週末の彼方にて(次回)!」

 

 

 

 

あとがたり

 

M950A

「ねえ、正義の味方ってなんだと思う?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「何ですか急に?」

 

M950A

「......なんでもないわ、気にしないで」

 

 




しばらくあのおにーさんは休みやで。


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第53回 M16A1


現在のリクエスト
SIX-12 SG 未実装 資料少←オプション装備。
IWS2000 RF ☆5 近日実装予想
MATEBA2006M HG 未実装 資料あり
SIG-556 5.56ar 510とは別モノ
FNX45 →FNXシリーズタクティカルHG 資料少
M134 ヒャッハー! Gau-8とまとめて?
M61A1も採用、ガトリング銃という括りで
タウルス レイジングブル HG マグナムだっけ?
そのほかバイオ系列架空銃 資料無さすぎ案件
ウィンチェスターM70(プレ64) ライフル
ジャックハンマー フルオートショットガン
M1897 ショットガン
M3 SMG
トンプソン
M10イングラム
L85A1

うわキツ


 

 

 

 

 

「WA2000と」

 

「ウェルロッドMk.Ⅱの」

 

「「銃器解説コーナー!」」

 

WA2000

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説するものよ!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「我々は神に非ず。過ちを犯すものが、真に人間なのだ」

(間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください)

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしているわ。間違いがあったら随時受け付けるから!」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「おいなんで勝手に始めて」

 

モシン・ナガン

オット手ガ滑ッテ麻酔弾撃ッチャッタ

 

ガンスミス

「スヤア」

 

WA2000

「そのままベッドに縛り付けといて頂戴」

 

モシン・ナガン

Уразуметно(ウラズミェートナ)、任せて」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「力技ですね......」

 

WA2000

「それくらいでもしないと休まないでしょう?」

 

 

 

手が滑って......麻酔弾は基本近距離でのみ使用可能な空気銃に限定されるが、MGS(メタルギア)シリーズだと何故かモシンナガンで麻酔弾が使用可能。

某MSFから横ながゲフンゲフンどこかで拾ってきたようだ。

 

ロシア語......了解しました、の意。

 

 

 

 

 

WA2000

「今日のゲストは......って言っても、有名人なのよね。紹介する必要あるかしら?」

 

M16A1

「おいおい、ソイツは不公平ってもんだろう」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「そうですよ。有名人とはいえわからない人も居るはずです」

 

WA2000

「そうは言ってもねえ」

(コイツら隠し事多いし、どうにも苦手なのよね。

それに本部直轄の精鋭とは言っても、正直これより実力のある人形なんてウチとか他所にも山のようにいるわけだし)

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「そこまで渋るくらいだったら私がやりますよ。

こちらG&K社直轄精鋭(ネームド)部隊、ことAR小隊所属の人形です。

M4A1を隊長にM4SOPMODⅡ、ST AR-15、M16A1、そしてRO635の5体で編成されています。

M16系列の銃で固められているのが特徴ですね」

 

M16A1

「私らも有名人になったもんだな」

 

WA2000

「そのせいで予定を合わせるのに苦労したわ。AR-15でも良かったんだけど、どうにも連絡は取れないし」

 

M16A1

「私の妹達は優秀でなあ〜、申し訳ない、あっはっは」

 

WA2000

「イラつくから紹介に行くわね」

 

 

性能諸元 M16A1 ☆4 AR

 

口径 5.56mm

 

使用弾薬 5.56×45mm NATO弾

 

装弾数 20/30発

 

採用 アメリカ軍 他

 

 

 

開発経緯 世界に誇る傑作汎用ライフル

 

WA2000

「開発は1955年から、ちょうどベトナム戦争が始まった頃ね」

 

M16A1

「最初は確かそうだ、ベンチャー企業による小口径ライフルを開発する、てのが始まりだったらしいな。そこから企業の支援を受けてアーマーライト社が設立、開発ナンバーAR-10、そしてAR-15の開発が始まったというわけだ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「なるほど、軍が始めたわけではないんですね」

 

WA2000

「支援していたのは軍需企業のひとつだったフェアチャイルド社、実質的に軍の下請けの会社のようなものよ

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「やはり武器ですから、軍が関わってくるものがほとんどですか」

 

WA2000

「その例がないわけでもないのだけれど、思いつかないわね」

 

M16A1

「おいおい、このままじゃAR-15の説明になっちまうぞ」

 

WA2000

「これからが本番よ!

この銃が軍採用になったきっかけは空軍の警備兵の武器として、なのよ。少し特殊ね。

そこで銃の性能を認められたAR-15はM16という名前で正式に採用されたわ。

1年後には陸軍も大幅に採用することを決定、これから幾多の改良を受けながら、M16は現在でも使用されているライフルとなったわけね」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「空軍とは驚きですね。あそこはあまり銃を使うイメージがないのですが」

 

M16A1

「飛行機飛ばすだけが仕事じゃねえんだぞあそこは。

飛行場敷設とか警護とか、以外と普通の兵士も多いんだわ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「なるほど......めもめも」

 

 

フェアチャイルド社......今は亡きアメリカ航空機開発会社。

あのA-10を開発した会社なのだ! といえば分かる人には分かるだろう。

 

注)さらっと流しましたが、AR-15とM16は同じ銃です。強いて言えば前者が民間用、後者が軍用を指す事ぐらいでしょうか。

 

 

M16A1ってどんな銃?

 

WA2000

「現在のアサルトライフルのスタンダードを作った、といっても過言では無いわ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「木製部品を一切使わず、アルミ合金やプラスチックを用いた黒の外観が特徴的ですね」

 

M16A1

「配備当初はオモチャだのなんだの言われてたらしいな。全くひどい言いようだぜ」

 

WA2000

「作動機構は少し特徴的ね。ガス直噴射式、通称「リュングマン式」とも呼ばれるわ」

 

M16A1

「ボルトに直接ガスを吹き付けるシンプルな作動方式だ。ブローバック方式とは少し違うようだな、詳しくは知らん」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「ブローバック方式は火薬の爆発力を利用して薬莢を排出、次弾を装填するシステムですね。

このガス直噴射式では排莢を行うボルトに発射に生じるガスを直接吹き付け、薬莢排出や装填を行うんです」

 

WA2000

「構造はシンプルで精度も低くはならないといいこと尽くめに思えるけど、パーツが割れたりすれば漏れたが高圧ガスが射手を襲うことになるわ。

他にも機関部にススなどのゴミが溜まりやすくなるのも欠点の一つね」

 

M16A1

「配備当初は整備いらずなんて過大広告をしたせいで戦場で整備不良が多発したそうだ。

これは大量配備で他に手が回らなかった事もあるが、会社が悪いな会社が」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「興味を持たせるためでしょうか、その後配布された整備マニュアルは漫画のような形をとっており表紙には大きく美女の絵が......っとあれ?」

 

WA2000

「基地の風紀が乱れるッッッッ!」

 

M16A1

「今窓からぶん投げられたのがソレだな」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「貴重なレプリカなのに......」

 

 

 

バリエーションあれこれ

 

WA2000

「M16A1、というよりM16系列には沢山のバリエーションがあるわね。

軍用民生用問わず大量に販売されたから当然というべきかしら」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「細かな改良モデルは省くとして、目につくのは9mm パラベラム弾使用モデルでしょうか」

 

M16A1

RO635だな」

 

WA2000

「M16のガワを被ったサブマシンガンの方が近しいでしょコレ。

銃身は短くカットされたものに換装、マガジンはというと同じ9mm弾を用いるUZIのものを使用しているわ。ただし作動機構の違いで互換性は無いわね」

 

M16A1

「風の噂で5.7mm弾を使う面白モデルがあるっつう話を聞いたことがあるが......どうだろうな」

 

WA2000

「代表的なM4シリーズをはじめとしたバリエーションや、狙撃銃モデル。制作会社による細かな違いを備えたモデルもあるわ。数えればキリがないわね」

 

 

まとめ

 

WA2000

「一時代を築き上げ、未だに現役を張り続ける息の長い銃のひとつよ。アサルトライフルといえばこれかAKの二択、と知名度も高い。

何度かこの銃を更新する計画もあったけど、全てはねのけてアメリカをはじめとした軍隊で使用される実績は疑いようがないわね」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「とはいえそれには外的事情もあったりするのですが、まあそれはそれ、これはこれということですね」

 

M16A1

「使えりゃ私は問題ないからねー。パーツもたまーに廃墟に転がってたりするし、大量消費社会万歳ってな」

 

WA2000

「それではまた次回」

 

 

 

 

 

おまけ(大人向け?)

 

M16A1

「散々私がジャックダニエルと言っているが、もしかしてピンとこない指揮官もいるかもしれねえからな!」

 

モシン・ナガン

「そう言って飲みたいだけのくせにー!」

 

M16A1

「解説資料だから仕方ないな!」

 

モシン・ナガン

「だったらしょうがないなあ!」

 

 

ジャックダニエルとは?

 

M16A1

「テネシー・ウィスキーのブランドのひとつだ。

そもそもテネシー・ウィスキーというのはアメリカ、テネシー州で作られるウィスキーの事を指す。

ウィスキーがそもそも何なのかって? 知るかよんなもん。てめえの脳みそは何のためにあるんだっての」

 

モシン・ナガン

「言うねえ!

そういやテネシー・ウィスキーってもひとつ条件があるんじゃなかったっけ?」

 

M16A1

「ああそうだ。ウイスキーは発酵し蒸留した酒を樽に入れて熟成させる、てのが通例だ。

だがテネシー・ウィスキーは蒸留直後の酒をサトウカエデの炭で濾過する工程を挟む。

モチロン、そのサトウカエデもテネシー州産である必要がある」

 

モシン・ナガン

「味がそこで変化するんだよね。ちょっとスモーキーになるというか、香りがつくというか」

 

M16A1

「ま、作者飲んだ事ないから聞きかじった話なんだけどな、なはははは!」

 

モシン・ナガン

「未成年の飲酒は禁止ですよーってね!」

 

 

 



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第54回 コンテンダー

書溜めを消費して自分を追い込んで行け......!


次の番外編どーしようかなってアンケとるんでよろしくお願いします。


 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「やーーっと休暇解除だ、疲れたー」

 

ナガン

「無理に縛るよりは適度にあそばせる方が現実的と気がついたのでな」

 

ガンスミス

「それをもっと早く気が付いて欲しかったね俺は」

 

ナガン

「そもそもお前が働きすぎなのじゃ、全く」

 

 

 

ガンスミス

「というわけで復帰第1回のゲストはこちら!」

 

コンテンダー

「1日の計は朝にあり、早速今日の仕事を始めましょう」

 

ガンスミス

「珍しく今日は朝収録だからね、頭もスッキリしてるし気合い入れて行きまっしょい!」

 

ナガン

「では早速性能諸元に参ろうかの」

 

 

性能諸元 コンテンダー ☆5 HG

 

口径 22口径から5.56mmなど多数

 

使用弾薬 上記に同じ

 

装弾数 1発

 

採用 狩猟/競技用のためなし

 

 

 

開発経緯 ロマンを追い求めて

 

ガンスミス

「1960年代には開発者の頭ん中にこの銃の大まかな設計アイデアは浮かんでたらしい。

1965年にK.W. トンプソン・ツール社に入社した2年後、この銃が開発されたというわけだ」

 

ナガン

「わしがいうのも何じゃが古臭い銃ではあるのう」

 

コンテンダー

「軍用ならばともかく、狩猟用では単発タイプはそう珍しくはありませんよ?

一部のハンターは旧式の先込め銃や弓矢を使用しています、不合理ですが」

 

ナガン

「倒せなくなる確率が高くなるだけじゃろう?

なぜこのような事をするのじゃ人間は」

 

ガンスミス

「あー、友人にそれ聞いたことあるんだが『フェアじゃない』からだそうだ」

 

ナガン

「フェアじゃない?」

 

ガンスミス

「今のライフルじゃ200m500mは当たり前だろう?

動物の鼻は高性能とはいえ、そこまで離れちゃ臭いはわからない。

先込め銃や弓矢であれば射程は50m以下、それこそ獲物の目と鼻の先まで潜り込まなきゃいけない。

要は獲物との知恵比べさ。外せば逃げられる、反撃される。だが自然界じゃそれが普通なんだ、ズルは良くないだろう、ってね」

 

コンテンダー

「それでは狩猟成功確率をイタズラに下げるだけでは? 効率的とは思えません」

 

ガンスミス

「非効率な手段を好むバカもいるのさ、人間には」

 

 

 

コンテンダーってどんな銃?

 

ガンスミス

「装弾数1発、中折れ式の拳銃だ。構造はシンプル、イズ、ベストと言わんばかりの単純さ。そんだけ頑丈でもあるんだがな」

 

コンテンダー

「多彩な銃身を選択可能なのも特徴です。銃身はドライバーさえあれば取り外し可能ですからね。

22口径から38口径、狩猟用7.5mm弾、M1ガーランドなどに用いられる30-06弾など口径も様々で、銃身の長さも自由に変更できるだけのラインナップがあります」

 

ナガン

「......その必要性はあるのか?」

 

コンテンダー

「多彩な弾薬の選択は作戦の幅を広げます。

さらに安定させるためのストックモデルや、もっと大型化した散弾対応モデルもあるようですね」

 

ガンスミス

「主な使い道は競技用らしい。

アメリカで作られた銃なんだが、そのアメリカでメタルシルエットハンティング競技ってのが盛んでな。

金属板に切り抜かれた動物型ターゲットを『弾き飛ばす』競技で、威力の高い銃が好まれた。

精度もよく威力の高い銃はこの競技にて一躍脚光をあびることになったわけって話だ」

 

ナガン

「うむむ、イロモノだとは思っていたが、どう転ぶかわからぬものじゃのう」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「民間向けに開発されたからこそなんだろうが、軍用銃にはない『遊び心』に溢れた銃だ。

まあお世辞にも実戦向きとは言い難いが、ものは使いようってな」

 

コンテンダー

「私の弾丸で勝利を得る確率は99%、残りの1%は指揮官がもたらす奇跡が埋めてくれるはずです。

上手く私を使って下さいね、指揮官」

 

ナガン

「イロモノの割には真面目な解説になったのう」

 

ガンスミス

「それではまた次回!」

 

 

 

 

 

 

余談

 

ガンスミス

「コンテンダーの正式名称は『トンプソン/センター・コンテンダー』なんだが、SMGのトンプソンとは全く関係ないから混同するなよ。

 

せっかくだし次回で詳しく解説してみっかねえ」

 

 

 

 

おまけ「特撮愛好会」

 

「勝利の法則は決まった!」

「今の俺は、負ける気がしねえぜ!」

 

コンテンダー

「っーーーーー!」

 

Cz75

「バッチリ決まったぜオイ! やったな!」

 

コンテンダー

「はい、再放送を見て一目惚れして以来練習した甲斐があったというものです」

 

Cz75

「しっかし同士がこんな身近にいたとはな、探してみるもんだぜ」

 

コンテンダー

「しかし2人だけとは寂しいものです。RFBさんも誘ってみたのですが、あまり興味が無いようでした」

 

Cz75

「それは仕方ねえ、んじゃ次は何を再現する?」

 

コンテンダー

「でしたらあの『宝生永夢ゥ!』でもやりますか?

隠し芸としてなら優秀ですが」

 

Cz75

「......あれは人数がなァ」

 

 

 

特撮愛好会......旧時代の番組、通称「特撮」が好きな人形が立ち上げた同好会。

部員はコンテンダー、Cz75、RFBの3人である。

今のところは。

 

 

 

 




コンテンダーが勝利の方程式とかなんとか言うから......

注)2人がやっているのは2018年放映「仮面ライダービルド」の変身口上です。
素晴らしい作品ですので是非。

ただ仮面ライダーシリーズなに見ると言われたら私はフォーゼを推しますが。


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第55回 M3

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「はじめてアンケート機能使ったけどみんな利用してくれるもんだねえ」

 

ナガン

「1週間もすれば投票も打ち止めじゃろう、ちゃんと答えてやるのじゃぞ」

 

ガンスミス

「わかってます良い、あー忙しい忙しい」

 

 

注)投票待ってますと書こうとしたけどもう打ち止めっぽい......ぽくない?

 

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今日のゲストはこちら!」

 

M3

「こ、こんにちは、M3と言います......よ、よろしくお願いします」

 

ナガン

「そうかしこまらんでも良い。気楽に肩の力を抜くのじゃ」

 

M3

「あの、本当に私でいいんでしょうか。他にももっと出来のいい銃を使うみんなを差し置いて」

 

ガンスミス

「銃に貴賎なし! どんな銃でも歓迎するぞ俺は!

流石に粗製すぎると文句言うけど君の場合は文句ないから! むしろ味だから!」

 

M3

「は、はぃぃぃい!」

 

ナガン

「ひさびさじゃから張り切っておるのう。

では性能諸元に参ろうかの」

 

 

M3 ☆3 SMG

 

口径 11.4mm(45口径)

 

使用弾薬 .45ACP弾

 

装弾数 30発

 

採用 アメリカ軍他

 

 

開発経緯 ディスイスアメリカ!

 

ガンスミス

「この銃の開発は1942年、あのWWⅡのど真ん中だ」

 

ナガン

「また急造品か? ステンの後追いか何かとしか思えんぞ?」

 

M3

「設計やコンセプトは参考にはしましたけど......」

 

ガンスミス

「アレとはわけが違うんだなこれが。

こいつが開発されたのはトンプソンに変わる新たな短機関銃が求められたから、なんだわ」

 

M3

「トンプソンさんの銃は綺麗ですけど、その、木造パーツが」

 

ガンスミス

「そ、アレ作るのにひじょーに手間がかかるのよ。

簡略版とかも開発製造されたんだけど焼け石に水というやつ」

 

ナガン

「だからこそ簡素かつ大量生産できるモノが求められた、と?」

 

ガンスミス

「そゆことー。しかも戦時中だからねえ」

 

M3

「そんな理由で開発設計を任されたのが、GM、ことゼネラルモーターズです」

 

ナガン

「どっかで聞いた覚えがあるのじゃが......」

 

ガンスミス

「言ったのは覚えてるんだが、いつだか忘れちまったな......

話を戻せば、要は車会社だ」

 

ナガン

「ワッツ?!」

 

M3

「そこはロシア語では無いのですね......

当時の金属加工品の大量生産といえばプレス加工に溶接、車会社にはうってつけの仕事だったという訳です」

 

ガンスミス

「そんなわけで認可が通れば大量生産スタート、てわけ」

 

 

 

 

M3てどんな銃?

 

ガンスミス

「シンプルイズベスト、というより無駄を省きに省きまくったが、しっかりと銃として成り立つ絶妙なバランスを保ってるな」

 

M3

「45口径の強力な弾丸を30発発射できる上、発射速度はそこまででも無い(分間350〜450発)ため、扱いやすい銃と評判でした」

 

ガンスミス

「あとコンパクトで軽いしな」

 

ナガン

「なるほどのう......ただ、どうやって動かせばいいのかさっぱりわからぬのじゃが」

 

M3

「やって見せましょうか?」

 

ガンスミス

「ラジオだから口で説明よろしくね」

 

M3

「わかりました。

まず排莢口のカバーを開けます。これで安全装置が外れました。

次にボルトに指を引っ掛けて引きます、これで初弾が装填されました。どうぞ?」

 

ナガン

「......は?」

 

M3

「ひいっ、ご、ごめんなさい!」

 

ナガン

「いや違うのじゃキレてはおらん!

ただ、本当にこれだけで良いのか?

操作が雑すぎやしないかのう?!」

 

ガンスミス

「そこまで簡略化できると考えたのよそんときの人は。

そのおかげで操作性もよく超壊れにくい。

全長もないから取り回し易く、歩兵だけでなく戦車兵の自衛火器としても広く使用さたって話。

 

......おーい、ガクブルしないで戻っといでー」

 

M3

「ほ、他には自衛隊でも最近まで使用されていたりフィリピン軍特殊部隊に近代モデルが採用されてたり息の長い銃なんですナガンさんコワイ」(プルプル)

 

ガンスミス

「こりゃ当分このままかねえ」

 

ナガン

「わしそんなに怖いかのう?」

 

ガンスミス

「俺はどちらかというと......」

 

ナガン

「嘘じゃろお主」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「外見や生まれを侮ってはいけない、というのが俺の所感だな。グリースガンだのケーキデコレーターだの銃らしくない渾名はあれど、その実力は同時期短機関銃の中では引けを取らないはずだ。

何よりコスパが良い!」

 

ナガン

「お主はロマンだの夢に生きとる人種だと思ったのだが、違うのか?」

 

ガンスミス

「それは時と場合によりけりだ。良い銃一挺作るよりそこそこの銃100挺作るほうが戦争では勝つ。

戦場に美学を持ち込むマナー違反じゃねえのか?」

 

ナガン

「確かに、プライドやこだわりで飯は食えぬよ」

 

ガンスミス

「そんなわけで今回はここまで、ではまた次回!」

 




ガンスミス
「最近平和だねえ」

ナガン
「そうじゃのう」

後輩ちゃん
「そんなあなた達に最悪のニュースです。お隣のユノ指揮官が暗殺未遂で死にかけてます、現在進行形で」

ガンスミス
「......なんですとぉ?!」


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第56話 トンプソン


ところで彼女の使ってるトンプソンはどのトンプソンなんですかね(キレ)
画像だけじゃ全くわからんぞ!


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくモノです」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

(メタフィールド展開!)

 

ガンスミス

「アンケートがまさか同数とは」

 

ナガン

「言ってみたものの構想はあまり考えておらぬからのう作者。別件で頭を使ってたとはいえ、どんな人物像かくらいは考えておくべきじゃろうて」

 

ガンスミス

「案はあるんだよ?

実力でしぶとく生きてたらバイオハザートに巻き込まれたパターンか、超したたかに金稼いで引き取られた孤児院を再建したパターン」

 

ナガン

「何処かで聞いたことがあるような無いような」

 

ガンスミス

「作者的にポンコツ指揮官と似て非なるキャラにしたいから人間不信は確定なんですけども」

 

ナガン

「コイントスで決めてしまえばよかろう。時には運に任せるといいものが書ける気がするしのう」

 

作者

「じゃ後でやっとくわ」

 

 

 

 

ガンスミス

「まあ与太話はさておき今回のゲストはこちら」

 

トンプソン

「シカゴタイプライターだ、夜露死苦っ!」

 

ナガン

「威勢が良いのは嫌いではないぞ」

 

トンプソン

「おっす大将! 今日もよろしくな!」

 

ナガン

「今日も?」

 

ガンスミス

「たまにバーで演奏を。彼女いいサックス吹くんだわ」

 

 

性能諸元 トンプソン ☆5 SMG

 

口径 11.43mm(45口径)

 

使用弾薬 .45ACP弾

 

装弾数20/30/50/100

 

採用 アメリカ軍 他

 

 

 

開発経緯 世界最初のサブマシンガン

 

ガンスミス

「時は1916年のWW1ど真ん中、塹壕戦により戦線が膠着しまくっていた頃の話だ」

 

トンプソン

「どうにか塹壕を突破するにはー、って色々考えられた訳なんだが、その中の一つの案が、

 

ひとりで持ち運べる機関銃、だった」

 

ガンスミス

「今じゃ珍しくは無いが、昔は軽機関銃ですら1人じゃ運用できないほど重かった。それにちょいちょい壊れる代物だ」

 

トンプソン

「一秒が生死を分けるような塹壕戦にそんなブツは持ち込めねえよな?」

 

ガンスミス

「戦争中ではショットガンの配備が進んだり、BARのような持ち運べる機関銃の開発もされた。

結果としてこの『ひとりで持ち運べる機関銃』の試作品ができたのはちょうど終戦日と重なり戦争では使われることが無かった」

 

ナガン

「運がいいやら悪いやら......」

 

トンプソン

「でもまだ終わっちゃいねえぜ? この銃は民間に売られると爆発的な人気を誇ったんだ!

サブマシンガンという言葉を初めてつけた商品なんだぜ? ここからサブマシンガンの歴史が始まった!」

 

ガンスミス

「そこから様々なバリエーションが生まれたり、WW2でも運用されたり......イロイロあった訳だ。今でも生産されてるとか」

 

 

トンプソンってどんな銃?

 

ガンスミス

「強くて重い」

 

ナガン

「しっかり説明せんか」

 

トンプソン

「つってもマジでそうだからなんともな」

 

ガンスミス

「真面目に説明すると、まず.45ACP弾をフルオートでばら撒くという時点で強力だ。

そんでもって5キロと、サブマシンガンというよりライフルに匹敵するような重量を誇る。

結果として持ち運びに関してはキツイものがあるが、反動を抑え込みやすく扱い易い銃になった」

 

ナガン

「それは本当にサブマシンガンなのかのう?」

 

ガンスミス

「拳銃弾を使うライフルと言ってもおかしくはないな」

 

トンプソン

「大将、バリエーションの説明はいいのか?」

 

ガンスミス

「それもあるんだったな......

このトンプソン、バリエーションが多い。と言っても小改造に収まるものがほとんどだけど、説明していくぞ。

 

M1919(最初期モデル)

M1921(民間向けモデル)

M1923(強装弾試作モデル)

M1927(民間用セミオート)

M1928/A1(軍用及び改良版)

M1/M1A1(戦時省力生産モデル)

 

ざっと並べればこうなる。

M1がちと大幅に設計変更されているが、他はほとんど変わりないはずだ。ややこしいからひとまとめにする事が多いんだけど」

 

トンプソン

「実際区分けされんのはM1くらいだしな」

 

ナガン

「というと?」

 

ガンスミス

「このトンプソン、切削加工がメインだからコストも手間もかかる。だからこそ前のM3のようなプレス加工のパーツでできる銃が開発されたんだわ」

 

トンプソン

「放熱フィンとかは削除、作動も簡単なシンプルブローバック方式に変更、パーツ取り付けもねじ止めに変更。

これでも焼け石に水だったんだけどな」

 

ガンスミス

「まそんなわけでWW2後はお払い箱だ。ベトナム戦争などでは少数が運用されたらしい。民間でも細々と生産が続いてるらしいな。

現代ちっくに改造するとこんな風に?」

 

トンプソン

「大将、そいつはセンスがねえ

 

ナガン

「うう、似合わぬのう」

 

M3......前回解説。この銃の後継になった軍用SMG。

 

センスがねえ......2018年発表のタクティカルモデルでは、ストックをM4タイプに、グリップをM16系列のものに換装、さらにM4SOPMODがつけてるようなハンドガード(銃身を覆うカバー)装備。

画像検索したけど個人的にイマイチだったので。

 

 

トンプソンの歴史あれこれ

 

ナガン

「ところで、何故そのような物騒な格好をしてるのじゃお主は。戦術人形が多少銃のイメージを受けるとはいえ、他と比べてかなり毛色が違うじゃろう」

 

トンプソン

「そりゃナガン、トンプソンといえばマフィアだぜ?」

 

ナガン

「マフィア?」

 

ガンスミス

「1920年代アメリカで幅をきかせていた組織のことさ。アウトローとかヤクザとかカルテルとかそういうの」

 

トンプソン

「マフィアのボスとかはこんなカッコしてたんだってさ。古い資料で見たことあるぜ」

 

ナガン

「して何故お主とまふぃあ、が繋がるのじゃ」

 

トンプソン

「そん頃私を使ってたのがマフィアか警察くらいだったからさ。軍用には高いからな、買えるとすれば警察がちびっと買うか、酒で荒稼ぎしてるマフィアくらいなもんさ」

 

ガンスミス

「シカゴタイプライターはその時着いた渾名さ。銃声がタイプライターの音みたいに聞こえたんだと」

 

トンプソン

「あとマフィアといえばシカゴだかんな!」

 

ナガン

「なるほどのう......銃とは歴史が深いものじゃ」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「設計は旧式で銃も性能が高いと言い難い。しかし時代を印象付ける銃としてはこの上なく知名度を誇る一品だ。

スーツを着てこいつを構えりゃ気分はいつでもアウトローってな!」

 

トンプソン

「おう! せいぜい上手く使ってくれよな、ボス!」

 

ナガン

「それではまた次回なのじゃ。

最近忙しいからいつになるかはわからぬがのー」

 

 

 

 

あとがたり

 

トンプソン

「♪〜」

 

ガンスミス

「今日もいい音出すな」

 

トンプソン

「おう、数少ねえ特技だからな。あと歌もちょいと歌えるぜ」

 

ナガン

「して、何が歌えるのじゃ? 」

 

トンプソン

「アイドルソングとか。P38とたまにライブしてるぜ」

 

ガンスミス

「雷に撃たれて死にそうな事を......」

 

注)某佐賀県を舞台にしたゾンビアイドルアニメのメインキャストと中の人が一緒なのです。

面白くかつ佐賀に行きたくなるアニメなので、聖地巡礼も兼ねて是非ご視聴ください!

 

詳しくはゾンビランドサガでけんさk(ステマ乙!)

 

 

 

 





最近サバゲーに人生初参加してきました。

死ぬほど疲れるけど楽しかったです。
ちな装備はM4とFive-Sevenでした。
拳銃で何買おうか悩んでます......ガバメント買おうかな()


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第57回 L85A1

また題名忘れてました(修正済)


 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「そういや404のメンツ見ねえな。結構遊びにきてたんだが、ここ最近はめっきり来ない」

 

ナガン

「さてな、何かしら任務でもやっておるのじゃろうて」

 

ガンスミス

「ふーん、ま、生きて帰って来ればいいけど......話は変わるけど、なんであいつらあんな事やってるんだろうな」

 

ナガン

「わしが知るわけなかろう」

 

ガンスミス

「デスヨネー」

 

 

大型イベント『深層映写』配信間近

 

その瞳が映すものは、希望か絶望か

 

 

 

 

ガンスミス

「今回のゲストはこちら」

 

L85A1

「初めまして~L85A1です。今日はよろしくお願いしますねマスタ〜」

 

ガンスミス

「よろしく〜」

 

ナガン

「ふわふわが感染しとるぞ正気に戻れ!」

 

 

 

性能諸元 L85A1 ☆2 AR

 

口径 5.56mm

 

使用弾薬 5.56×45mmNATO弾

 

装弾数 30発

 

採用 イギリス軍 他

 

 

開発経緯 ひたすら運が悪かった銃

 

ガンスミス

「開発年は1985年、ベトナム戦争が終わり、世界に5.56mmの小口径アサルトライフルの有用性が示された頃だな。

正確にはこれは70年代の話で世界中で開発され始めた流れの中で開発された銃のひとつだ」

 

L85A1

「もともとイギリス軍は当時主流の7.62mm弾に不満があったのですよ〜。ですから、それに代わる小口径弾の開発やその弾を使用する銃の試作も行なっていました〜」

 

ガンスミス

「試作銃の開発要項は当時としては先進的だった。

ブルパップ式である事、

利き手にかかわらず使用できる事、

可能な限り軽量である事、

固定式光学照準器を備える事、

発展性を備える事」

 

ナガン

「無茶苦茶言いおる、しかしこれが達成できたならいい銃にはなるのう。

それで、その専用弾というのはどんななのじゃ?」

 

ガンスミス

「これもさまざまな口径が試作された。

その最終決定版が4.85×49mmだったんだが、この銃はアメリカのゴリ押しの結果5.56mmに敗れ、採用されなかった」

 

ナガン

「ふむ、初速は優れていたようじゃが、射程と威力に不満があったといったところじゃろう。

小口径弾は弾速は良いが威力には劣る。

Five-seveNの5.7mmも同じ問題を抱えておったしの」

 

ガンスミス

「それを受けてイギリス軍は試作銃を5.56mm弾仕様に再設計。

何回かの試験と改良を経て、85年に正式配備が始まったんだ」

 

 

Five-seveN......独自の小口径高速弾を使用するHG。

第4回で解説、懐かしいなぁ。

 

 

L85A1てどんな銃?

 

L85A1

「銃剣をつけるための台座でしたね〜」

 

ナガン

「......」

 

ガンスミス

これだからイギリスは

説明するとかなり欠陥だらけなんだわ。

 

他の銃と比較しても重い(弾倉込みで4.9キロ)。

ブルパップ式に加え重心が後方に偏る。

固定照準器が高い位置にあるため身を晒す危険性が高い。

引き金が硬く命中精度に影響を与える。

セレクターレバー操作時にグリップから手を離す必要があるので即応性がない。

マガジンが勝手に落ちる事がある。

弾詰まり(ジャム)が多発する。

マガジンのバネが弱く装填不良を起こす。

 

とまあ62式ロクヨン式を軽ーく超える、その方面では有名になってしまった銃だ」

 

ナガン

「日本と違ってイギリスにはノウハウがあったはずじゃろう? なぜこのようなことに」

 

L85A1

「設計チームに優れた工学者を集めたのですが銃に関しては素人ばかり、さらに低予算で作ることを強いられたため十分な時間をかける事が出来なかったようで......」

 

ガンスミス

「他にも色々あったが省略だ。多すぎて整理しきれんし脇道に逸れるような話だからな」

 

ナガン

「......ああ、だから運が悪かった、と」

 

ガンスミス

「俺の主観ではあるがな。

数回の実戦を経てそれらの欠陥をまとめた「LANDSETレポート」の提出などを踏まえ改良が行われることとなった」

 

L85A1

「重量などの問題は残ったままですが、殆どの致命的欠陥は改善できたのですよ〜。

他にもM16と同じマガジンを使用できるなど、拡張性が高くなる改良が行われました〜」

 

ガンスミス

「2016年にはL85A3というさらに拡張性を強化した現代モデルが発表されてる。M16におけるM4みたいなもんだと考えれば分かりやすいか?」

 

ナガン

「その例えは微妙じゃろうて......」

 

これだからイギリスは......英国はよくわからないものを作ったりよくわからないことをしたり致命的なミスをそのままにしていたりする。

もしかして:英国面

 

62式、ロクヨン式......日本が生産していた銃。

第39回、41回で解説。

端的にいえばあまり優秀ではなかったので比較対象として出しました。

 

まとめ

 

ガンスミス

「欠点ばかりが有名なこの銃だが、改良版のL85A2及びA3は及第点だ。過去の失敗ばかり叩いても現行使用に耐えられる性能は揺るがない。

人と同じで銃もまた失敗から学び、よりよくしていくものという事だ」

 

L85A1

「『過去の否認は有害な態度である。 現在と戦い、未来を創造するには、 往々にして過去が最も有効な武器なのである。』

フランスの小説家ジュリアン・グリーンの言葉です」

 

ナガン

「過去を繰り返したくないならば、その過去から学ぶべし、という事じゃな。

というわけで今回はここまで、また次回」

 

 

 

 

 

 

あとがたりよくわかる銃剣突撃

 

L85A1

「銃剣突撃とは、銃剣をつけて突撃する事です〜

凄いですね〜、かっこいいですね〜、楽しいですね〜。皆さんも一緒にお勉強しましょう〜」

 

一〇〇式

「突撃ばんざーい!」

 

エンフィールド

「......」

 

L85A1

「銃剣突撃の歴史は銃の歴史とほぼ同じ頃始まりました〜、一種の白兵戦ですからね〜。

しかし、現代では行われることはほとんどありません......」

 

エンフィールド

「自動火器の発達により突撃自体が困難になったからな。日露戦争から使用された機関銃や塹壕戦、それらが銃剣突撃という戦法を殺した、と言い換えることも可能だろう」

 

一〇〇式

「突撃は基本では......?」

 

エンフィールド

「それは旧日本軍だけだろう。

しかも兵士が多数死んだことは看破できない問題だ。玉砕なんて非効率な戦法を行う事態になっていたら敗北しているのと同じ」

 

L85A1

「そうですね〜。銃剣突撃は時代に逆行した戦法ではあります。

ですが効果的に使用する事が出来るなら、現代でも有効な戦術でもあるのですよ〜」

 

エンフィールド

「実際、英陸軍は2004年のイラクで発生した『ダニーボーイの戦い』の際、非正規軍の攻勢に際し銃剣突撃を敢行し撃退したとの記録が残っているな。

 

これは私なりの推論ではあるが、大声をあげて敵が迫って来る状況は恐怖を生み、規律を乱し、焦らせる。

正式な軍隊であればそのような状況を想定した訓練をしているだろうが、非正規軍、民兵上がり、テロリスト。彼らが必ずしもそのような状況に慣れているか、と言われると難しいだろう。

 

もし現代戦で使用するとすれば、

 

『適切な砲撃支援を受け、敵の戦意を挫いた上での最後の一押し』

......だろうか。

すまない、学が浅いわたしではここまでだ」

 

L85A1

「いえいえ、ありがとうございます〜。

銃剣突撃とは諸刃の剣、負傷の危険性の高い戦術行動ですから現代では使用することは難しいです〜。

その限定的な使用法を考える、という事だけでも良い思考訓練になったと思いますよ〜」

 

一〇〇式

「はい先生!」

 

L85A1

「なんでしょう〜」

 

一〇〇式

「そんな事どうでもいいんで突撃しましょう!」

 

L85A1

「そうですね〜。

 

敵は全面に展開し、我々の隠れる建造物群に集中砲火を加えています。

加えて支援部隊のみでの打開は難しく、内外からの挟み撃ちは効果的な作戦でしょう。

 

 

総員着剣。

支援部隊に皆様も準備はよろしいですね?」

 

春田

『こちらBチーム、問題ありません』

『いつでもどうぞー!』

『観測は任せろ......あたしももそっちが良かったなぁ』

 

Fr Famas

『Cチーム、了解。合わせます』

『ふふふ......血が騒ぐわね』

『なんでこんなことになったんですかぁ?!』

 

 

L85A1

「良い返事です。

では、参りましょう。一〇〇式さん、突撃ラッパはお願いしますね?

 

 

突撃! 敵は全員ブッ殺せ!

 

 

 

注)全員無事生還しました。

 

 

 




L85A1分隊......思考回路が一部200年ほど古い奴らの集まり。
損傷率は高いものの、戦績はトップクラス。
組織的銃剣突撃を現実で敢行可能なG&K社所属の戦術人形部隊の中でも稀有な部隊である。
あらゆる状況に対応するため、3体1小隊で構成され、3小隊が存在する。

メンバー
A小隊、L85A1、リー・エンフィールド、一〇〇式
B小隊、スプリングフィールド、SKSカービン、Cz75
C小隊、Fr Famas、M10イングラム、M1897←New!



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第58回 M1897

(募集)
そろそろガトリング砲の解説をしようと思います。

心当たりのある方、オープンボルトの加護を得た方、トリガーハッピー中毒者の方もしくは弾幕キチガイの方は感想欄かメッセージへの出頭を求めます。


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「この前ユノ指揮官が俺の送った銃使ってくれたみたいなのよ。とても使いやすくて助かりますって律儀に連絡が来た」

 

ナガン

「お主の腕を褒めてくれたという事じゃろう? 良いことではないか」

 

ガンスミス

「一から作った甲斐があったってもんだわ。

本音を言えば使って欲しくはなかったんだけど、あれで身を守れるようになればそれでよし」

 

ナガン

「人間というのは複雑な考え方をするのう」

 

ガンスミス

「人形は合理主義の塊みたいなもんだししゃーない、むしろそうでないと困る」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「今回のゲストはこちらの新入りさん」

 

M1897

「ぼくはウィンチェスター1897。掃除も戦闘も頑張ります」

 

ナガン

「おお、先日加入したSG人形か。前線は任せたぞ」

 

M1897

「お任せください。それと......掃除してもいいですか?」

 

ガンスミス

「すまん、放送終わったらにしてくれ」

 

M1897

「すみません、埃や汚れを見るとつい身体が」

 

ナガン

「では早く終わらせるとしよう」

 

 

性能諸元 M1897 ☆3 SG

 

口径 12/16ゲージ

 

使用弾薬 12/16ゲージ弾薬各種

 

装弾数 5+1発

 

採用 アメリカ軍

 

 

開発経緯 必殺掃除人!

 

ガンスミス

「開発はあのウィンチェスター社で行われ、設計図を引いたのはかの有名なジョン・ブローニングってだけで察しのいい人はだいたいわかると思う」

 

ナガン

「M1911やM2HB、M1918などを開発した有名な設計者じゃの。

感想ではチートだのなんだのと言われておったな」

 

M1897

「よくわからないけど、凄い人なんですか?」

 

ガンスミス

「凄いでも足りないくらい。神」

 

M1897

「????」

 

ガンスミス

「話を戻そう。この銃はレバーアクション式だったらしいM1893の設計をポンプアクション方式に改めたものだ」

 

ナガン

「ここら辺は資料不足じゃの」

 

M1897

「元々は狩猟用の銃でしたが、塹壕戦を重くみたアメリカが散弾銃を戦場に投入したことで一躍有名になりましたね」

 

ジョン・ブローニング......数々の名銃を生んだ天才的銃器設計者。彼の名前を冠する銃は数知れず。

代表作はナガンがあげた通り。

 

M1987ってどんな銃?

 

ガンスミス

「頑丈かつ信頼性は高い、と軍用銃としての要所をしっかりと抑えた銃だ」

 

M1897

「開発当時主流では無かった無煙火薬を扱えるよう、肉厚で一体型のフレーム構造なのでものすごく頑丈なんです」

 

ガンスミス

「他には排莢のたびスライドが露出することが特徴だな、今ではもう見られない構造だ」

 

M1897

「他にはそうでしょうか、銃身分離ができる事ですね」

 

ナガン

「ほう?」

 

ガンスミス

「正確には銃を2つに分割できる構造だな。

銃身交換が簡単にすみ、しまう時にはコンパクト。

すぐ組み立てて射撃ってわけにはいかないから、どっちかといえば民間向きの仕様だ」

 

M1897

「メジャーな散弾銃にはほとんどと言っていいほどつけられていますが、その方式はこの銃が始まりと言われているんですよ」

 

ナガン

「またスタンダードな機構を生み出しおってからに」

 

 

 

軍用銃としてのM1897

 

M1897

「活躍としてはWW1のアメリカ軍装備になり、近距離戦が多発する塹壕戦で猛威を振るいました」

 

ガンスミス

イサカM37の初期型と同じスラムファイアができる、だから連射力は申し分ない。

銃身を守るバレルカバーや銃剣取り付け用マウントが増設され、塹壕の掃除人、トレンチスリーパーという愛称をもってして愛された」

 

M1897

「射撃に自信がある人物にもこの銃が渡され、投げ込まれた手榴弾を空中で撃ち落とす、なんて事を行った記録があります。

実際撃ったら爆発しそうな物なのですが......?」

 

ガンスミス

「どうだろうな。昔の手榴弾の構造なんてわからん」

 

ナガン

「相手国のドイツからは『ハーグ陸戦協定違反だ、反則だ!』と言われたそうじゃが、アメリカは普通に無視しとるの」

 

ガンスミス

「あの協定は強制じゃないからな」

 

M1897

「今でも残ってるんでしょうか?」

 

ナガン

「人間相手に対するものじゃろうあれは、われわれ戦術人形には関係のない話じゃろうて」

 

イサカM37......第22回にて解説。散弾や口径について細かく書いてあるので、気になる方はそちらを参考に。

こいつもブローニング設計の銃である。

 

 

ハーグ陸戦協定......ハーグ陸戦条約とも。

 正式名称は「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」及び「陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則」。

特に23条においては、「毒、または毒を施した兵器の使用」や「不必要な苦痛を与える兵器、投射物、その他の物質」の使用が禁止されている。

 

この「不必要な苦痛を与える〜」の部分に散弾銃は当たるのではないか、というのがドイツの言い分だった。

弾頭の種類にしか言及されていないため(ダムダム弾の使用禁止など)、散弾銃や50口径の銃に関して規制は一切ないのが現状である。

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「WW1に活躍した銃の一角にあがる、有名な銃でもある。

生産は終わったものの、レプリカモデルなどの生産は続いているので今でも愛用する人はいるらしいな。

重め以外に欠点のない、ショットガンのスタンダードを作ったといっても過言ではないだろう」

 

M1897

「お掃除お洗濯、家事のことならお任せください!」

 

ナガン

「戦闘面で頼りになってくれた方が嬉しいんじゃがな、それではまた次回なのじゃ」

 

 

 

 

あとがたり

 

一〇〇式

「銃剣、銃剣、じゅ、う、けん、今日は楽しいくーんれんのひ〜♪」

 

ナガン

「ああ、今日は近接格闘訓練の日か。最近はあの男が来たから盛り上がっておるのう」

 

一〇〇式

「銃剣格闘まで精通してるとは思いませんでした、これで突撃が捗るというものです!」

 

ナガン

「ほ、程々にな?」

 

一〇〇式

「嫌ですよ! 私から突撃と刀をとったら大日本帝国の銃というアイデンティティが無くなるじゃないですか!」

 

ナガン

「おんしのう......」

 

 




ガトリング砲解説はコラボしなきゃ(使命感)


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番外編 ガンスミスさんの日常(?)


すまない、またコラボなんだ。
リクエスト来てたし仕方ないね!(開き直り)

oldsnake 様 作
「破壊の嵐を巻き起こせ」より主人公M61A2が遊びにきました。

つまり、リクエストはそういうことだ。


 

 

 

 

 

副題「ガトリング馬鹿、襲来」

 

 

 

『......というわけなの、頼めるかしら』

「大体わかったが、随分と特殊な銃を送りつけてくるもんだ。業者に頼め業者に」

『貴方の腕を信頼している、それじゃ不足かしら』

「16Lab筆頭研究員に言われちゃな」

『パーツはもう送ったわ、それじゃよろしく〜』

 

ふう、と息を吐く。

ラジオ効果かスゴ腕と評判になったはいいが、それが理由かたまにペルシカをはじめとした基地外部の人間に仕事を頼まれるようになった。

俺としては断る理由もない。大抵割高というか、相場よりは報酬上乗せしてくれるのでわりと儲かるのだ。

ただ怪しそうな仕事はなるだけ後輩ちゃんに弾いて貰ってるので、事件に巻き込まれる心配も多分ないだろう。

ただ特殊というかパーツがない銃ばっかり頼まれるもんだから、経費で3Dプリンターとか高性能な削り出しパーツ制作できる機材とか買う羽目になった。

そんな時に余ったからってまだまだ使えそうな機材を弟が譲ってくれたのは棚からぼたもちというかなんというか。

まあお金が浮くのはいいことだ。

 

「車のローンに改造費に工具と消耗品の買い替え、食費に保険、割とカツカツなんだよな」

 

経費で落ちないような趣味の改造パーツに関しては作るか買うかしないとだし、割と出費多いんだよな。

老後の蓄えとかどうしろと言うのか。

 

「おはようなのじゃ、今日はどうするかの?」

「あー、ナガンか。今日は収録は無しだ、整備依頼」

「また外部か、繁盛しとるのう」

「航空機の備砲なんぞ想定外なんだが......まー、やるだけやっとくわ。資料プリントアウトしといてくれる?」

「航空機? 何故またそのような」

「ペルシカの依頼だぞ、理由を考えるなんて馬鹿馬鹿しい。天才の思考回路は読めん」

「了解、終わったら机の上に置いておくぞ」

「すまんな」

「好きでやっとるんじゃ、気にするでない」

 

ナガンは手をヒラヒラと振って出ていった。

俺も仕事にとっかかるかと身体を伸ばし、軽く身だしなみを整えてから部屋を出た。

向かう先は補給部隊窓口、荷物置き場。

いつものように大声で同僚を呼びつけると、軽口を交わしつつパーツ受取を済ませ、重機を借りて外から運び込む。

いつものような銃ならともかく今回の依頼品は砲、パーツも相応に大きく重い。

「お前重機は無免だろ、いいのか?」

「私有地だから問題ありませーん」

「事故だけはするなよ」

「わかってますよい」

 

外につながる出入り口も増設済みだ、抜かりはない。

運び込みを手伝ってもらい、どでかいコンテナごと整備室に突っ込んだ。

 

「さて」

 

内容一覧を見れば送られてきたパーツは予備砲身や機関部パーツなど。見慣れないものはおそらく給弾装置に用いるようなパーツ。あとは現物を見て使うものや作る部品を考えて、てところか。

航空機に付くなら色々なパイロットが使うだろうし、カスタム無しのデフォルト仕上げになりそうだ。楽ではあるがちとつまらん。

 

「20mm砲か......しかも電子制御、となると機銃か。

基部に関しちゃパーツがないからそこはあっちで据付るんだろうな、しかし、たかが機銃を送りつける理由が思い浮かばんな」

「資料刷り終わったぞお主、しかし、16Labもアホなこと考えるもんじゃ」

 

やれやれといった様子でナガンが帰ってきた。手にはまだ暖かい刷りたてのコピー用紙。それを俺に押し付けると、疲れたと言わんばかりにイスに腰掛ける。

「16Labがアホなのは今に始まったことじゃねえだろ、何を今更」

「読めばわかる」

「読めばわかるってそんなアホな......アホだったわ」

「じゃろう?」

「なーんで20mm砲を人形に持たせるんだよ、しかもガトリング砲って」

「そもそも可能なのかこれは? わしらの持ち上げられる重量はリミッター解除でせいぜいが200〜300kgじゃぞ」

「MP5の例がある、金さえかければ出来んことはない。この重量も支えがあればしっかり支えられる。

量産不可能なことを除けば現実的な仕様だよ」

「戦術人形として致命的なんじゃが」

「言ったろ、16Labはアホだって」

 

しっかしペルシカが直々に整備を頼んでくる以上、厄ネタかもしれんな。オイオイ、俺は一体いくつ他人の秘密を抱えればいいんだよ。

 

「前向きに考えよう。使う銃の型番は取れてるんだ、開発資料くらいあるよな」

「やるのか?」

「そんくらいしないと気苦労との釣り合いが取れねえよ」

「M61であったな。よし、今日は非番じゃ、資料集めはこちらで済ませておくとしよう。お主は仕事に集中するのじゃな」

「オーケイ、余裕があるならガトリング砲の資料も頼むわ」

「1から解説ということか、全く、物好きじゃな」

「趣味でやってるんだ、とことん拘らせてもらうよ」

「はいはい、わかったのじゃ。

こんなに難解な仕事だというのに、お主はイキイキしておるのう、理解できん」

「こいつが俺にとっての天職だってことさ。ほら、行った行った」

「ガンスミスさーん、お客さんですよー」

 

資料室を兼ねるデータルームに向かう彼女と入れ違いに顔を出したのは元指揮官、どうやら依頼人が到着したらしい。

 

「ついたついた、ここだよ。ガンスミスさーん」

「なんだ?」

「ペルシカの知り合いっていう整備士はそいつか?」

「そうだよ、ごゆっくりー」

 

金髪に赤青のオッドアイという外見インパクトがやたらめったら強い子が来た。

彼女は目の前に座ると腕を組み、無言でこちらの方を向いている。どこか品定めしているように俺の手先や顔をジロジロと眺めていた。

 

「今回依頼したM61ってのは君のことでいいのか?」

「その通りだ、なあアンターー」

 

ずい、と彼女はこちらに顔を近づけると、とてつもなく馬鹿げたことを真剣な顔をしてーーー彼女にとってはとてつもなく真剣だからだろうからーー言った。

 

「ガトリングって、いいよな」

「分間6600発はロマンだよな」

 

どちらかが言うでもなく、ガッチリと握手を交わした。

 

「アンタとはいい酒が飲めそうな気がするな! 今度一緒に飲み屋でも行こうぜ!」

「付き合ってもいいが俺全くの下戸だから一滴も飲めないんだよな、すまん!」

「私は楽しめればどうでもいい! 整備が終わったら飲みに行こう!」

「この基地にいいバーがあるんだ、そこでなら奢ってやっても構わんさ」

「なんだって! そいつぁありがてえ!」

 

ハッハッハ、と笑いながら肩を組んできて背中をバシバシと叩くM61。そういや目的を忘れるところだった、とこれからの予定を伝えた。

 

「損傷具合がよくわからんから、数日はこの基地にいてもらう。その間は多分何してもらっても自由だ。

そこんところは執務室に詰めてるお前を案内してきた奴に聞いてくれ、あいつが責任者だ。

んで試し撃ちとか聞きたいことがあるときは連絡するから、常にアンテナは立てといてくれ」

「オーケー、私の愛しの相棒を直してくれんなら文句はねえぜ」

「あとちょっとした俺のワガママに付き合ってもらうが、まー修理がひと段落してから説明するわ」

「わかった、んじゃ私からもひとついいか?」

「俺にできることだったらな」

「相棒の替わりになるようなガトリングねえか?

ほら、ミニガンとか」

「ねえよんなもん」

 

「一家に一門ガトリング砲は常識じゃねえのかよフザケンナ!」

「いやそんな常識ねえよ。

あってもウチはM2くらいか?」

「はあああああ? 分間500発とかいうしょっぱい発射速度で満足しろとか無理だ!

私はガトリング砲の眩しいくらいのマズルフラッシュを、手が痺れるくらいの反動を、耳がイカレるくらいの銃声を、そして敵がバッタバッタと薙ぎ倒されて細切れになっていく姿が好きなんだ、それを数日も我慢しろだって?!

 

私死ぬぞ! マジで死んでやるからな!

「発想が極端すぎるわ!」

 

試作モデルは性能と開発コンセプトだけじゃなくてメンタルもおかしいのかよ!?

これだから16Labってのは!

 

「わかったわかった! 分間6000は無理だが代わりのマシンガンは用意してやっから!

ウチの武装ヘリのドアガンのM134手持ち式に改造してやっからそれでしばらくは我慢しやがれ!」

「なんだあるじゃねえか。まったく、出すもん出してくれよな」

 

......はぁ、どうやって話つけよう。

とりあえずM2余剰パーツ組み上げて代わりにしときゃ文句はねえだろ、多分。給弾装置は送られてきた予備パーツいじって作れば良いし......アレ、意外といけちゃう?

 

 

 

注)ガンスミスが一晩でやってくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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番外編 第6回 M61A2&ガトリング砲

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていない。


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「......いちおう収録はしてるものの、機密データ扱いだったらコレ放送できないんだよね」

 

ナガン

「危ない橋渡りは勘弁なんじゃが」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「今回は特別編、ということで本部の試作人形『M61A2』さんにお越しいただいてます。

本日はどうもよろしく」

 

M61A2

「おう、よろしくゥ!」

 

ナガン

「なんじゃこのM16の色違いは」

 

ガンスミス

「それは言ったらいかんでしょ」

 

 

 

性能諸元 M61A2 ☆ー MG(?)

 

口径 20mm

 

使用弾薬 20×102mm弾各種

 

装弾数 なし(ベルト又はリンクレス給弾方式)

 

採用 アメリカ空軍 他

 

 

開発経緯のその前に

 

 

ガンスミス

「まずこの銃は今まで説明してきたものとは違い航空機や対空砲など、取付を前提とした大型銃、かつ『ガトリング砲』というちと特殊な種別の銃なんだ。

 

メジャーではあるが珍しい方式かもしれないから、まずはここから解説していこうと思う」

 

M61A2

「そいつは有り難い、ガトリング砲の素晴らしさを全員に知らしめてくれよな!」

 

ナガン

「それは無茶はな話ではないかのう......?」

 

ガンスミス

「やるだけやるよ、俺もガトリング砲嫌いじゃないし。

 

ガトリング砲の考え方としては『多数の砲身を用意し、連続して射撃する』というものだ。

ガトリング砲が生み出された1860年代は機関銃はおろか自動式の銃もない。

前から装填する単発式のライフルがメインだったからな。

そして1862年には原型が完成、軍用として運用されたのは4年後の1866年、アメリカ独立戦争当時の北軍だ。

分間200発と当時としては高速の発射速度を誇るこの銃は、戦場で大いに猛威をふるったそうだ。

名前の由来は開発者である発明家、リチャード・ガトリングからとっている」

 

M61A2

「ちなみに日本じゃ1868年の戊辰戦争で長岡藩が使用していたって話だ。

詳しい資料はないが、それなりの損害を与えることはできていたらしい」

 

ナガン

「しかしWW1、WW2の兵器でガトリング砲は見たことはないが?」

 

ガンスミス

M1919みたいな銃身一つで大量発射ができるような銃が出来たからな。重くて壊れやすい方と、頑丈で軽い方、どっちが運用したいかと聞かれれば、な?」

 

ナガン

「確かにのう。こんなバカでかい代物、持ち運ぶには不便じゃな」

 

M61A2

「ま本来の用途は拠点防衛とかだからな。そもそも持ち運ぶ用にできてねえ」

 

 

ガンスミス

「そして時は過ぎて1950年代。航空機の機銃としてひたすらに高い発射速度を求めたアメリカ空軍が目につけたのは、博物館に眠っていたガトリング砲だった」

 

M61A2

「そんでこの銃が作られたってワケさ!

こいつの発射速度は分間6600、痺れるよなぁ!」

 

ナガン

「そ、そうじゃな......」

 

 

戊辰戦争......

 

 

開発経緯 〜破壊の嵐を巻き起こせ!〜

 

ガンスミス

「この銃の開発は1946年から56年。航空機の機銃として発射速度の高い銃を求めて開発されたのがこのM61『バルカン』シリーズだ」

 

ナガン

「バルカンというのはローマ神話の火の神が由来だそうじゃな」

 

M61A2

「バルカン砲というといろんなものが思い浮かぶが、実はこのM61シリーズ()()を指す言葉だ。

これでまた一つ賢くなったな!」

 

ガンスミス

「作動方式にはガス式、電気動作式のふたつが考えられていたが、より安定する電気動作式を採用することとなった。

しかしバリエーションによってはガス圧作動式のものもあるんだ、ちと特殊だがな」

 

 

M61A2ってどんな銃?

 

ガンスミス

「20mmだから原則は砲扱いなんだけどな!」

 

ナガン

「遊んでおらんで真面目に解説せんか」

 

M61A2

「こいつの発射速度はなあんと分間6600発!しかも最大分間7200発まで上げる事もできる上、試験では分間12000発を記録したこともあるんだぜ!

すげえだろ! 痺れるだろ! 撃ってみたいだろ!」

 

ガンスミス

「使用する弾薬も多種多様だ。

榴弾、焼夷榴弾、徹甲焼夷弾、半徹甲焼夷弾などなど。とはいえ20mmでは効果が少ないとされあまり多用されることはない、徹甲弾がめいんだな。

対空砲なんかではAPDSなんかが使われているな」

 

ナガン

「疑問なんじゃが、このような発射速度じゃろう? 銃身の寿命がすごい速度で減っていくと思うのじゃが。それに熱で歪むのではないか?」

 

ガンスミス

「それが欠点ではあるな。実際のところ故障を防ぐために2秒以上の射撃はご法度とされている、俺としてはあまりやって欲しくないんだがな」

 

M61A2

「え、まじで。知らなかったんだが」

 

ガンスミス

「おい」

 

M61A2

「でも今まで故障らしい故障は無かったんだしーー」

 

ガンスミス

「内部機構がズタボロだったの知らないだろ連続射撃時にかかる機関部の負担だって尋常じゃないんだからなしかもお前のA2モデルは銃身削って軽量化してるんだから壊れやすいんだ気い使え!」

 

 

 

派生あれこれ

 

ガンスミス

「こほん。さて、現代において実用性のあるガトリング砲の先駆けともなったこの銃、派生型もまた多い。

 

地上運用を想定され、レーダー射撃完成装置を組み込んだM168

銃身を3本に減らし、AH-1シリーズなどの攻撃ヘリなどに搭載されているM197

日本で開発された、掃海艇や巡視船における自衛火器として発射速度を大幅に落としたJM61-M

 

特に知名度が高いだろうものはこのふたつだろうな。

 

駆逐艦に搭載される近接防御火器システム『ファランクス』。

7.62mm弾用にスケールダウンし、汎用性を増した『M134』。

 

語り出すとキリがないから各自で調べてくれ、以上」

 

M61A2

「解説しないのか!? そういう場所だろうココは!」

 

ナガン

「尺がないんじゃ、尺が」

 

 

 

ところで

 

ガンスミス

「お前さん、ガトリング砲の欠点については把握してるの?」

 

M61A2

「当然だろ。使ってる分には付き合っていかなきゃならない問題だからな」

 

ナガン

「かいせつ、頼めるかのう?」

 

M61A2

「やってやろうじゃないの!

悪いところ言わないでオススメするのは詐欺とかわらないからな。それは私も好きじゃねえ。

 

まず重量だな。こんなバカデカイ砲に作動システムだ、当然重い。だいたい......100キロちょっとか?

私は盾や大型弾倉を積んでるから、全体で200〜300キロはある。

しかも反動は2tつう規格外な数字だ。私の場合分散できるシステムを身体に積んでるから問題ないが、それでもかなりのモノがある。

ボロい建物の上に登ってみろ、真っ逆さまだ。

足場には気を使わなきゃならないんだよな、めんどくせえ。

 

次に、まあ別に気にすることでもないんだが、精度が悪い。銃身が固定されてるわけじゃないからブレにブレる、とんだじゃじゃ馬だ。

しかも撃ち始めるのに銃身の回転プロセスを挟むから、撃ち始めまで1秒くらいかかるし、止めるのにも時間が必要だ。

ま、弾ばらまきゃ問題ないけどな!」

 

ガンスミス

「それにお前さん運用に縛りが多すぎるんだよな。

20mm弾なんて常備する基地は多くない上に一回の戦闘に消費する弾薬は10万発はくだらない、もしくはそれ以上か? こんな馬鹿みたいな運用コスト、本部付きでなきゃ払えねえよ」

 

M61A2

「それが良いんだろう?」

 

ナガン

「お主のせいで補給班が悲鳴あげとったんじゃが。試し撃ちだけであんな死屍累々になるとはどういう事なんじゃ?」

 

M61A2

「いやー、すげー調子良くてついテンションが上がっちまってな、ちと派手にやっちまった」

 

ガンスミス

「ちと派手にだあ? そんだけで屋外射撃場が穴だらけにはならねえよ」

 

M61A2

「大丈夫大丈夫、敵に撃ってるから問題ねえ」

 

ガンスミス

「そうじゃないんだよ!」

 

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「運用コストについては問題どころじゃ済まないレベルの厄ネタだが、それに見合うくらいの破壊力はあるな。

そんで個人的な意見だが......整備してて楽しかったからまた来て欲しい」

 

M61A2

「こっちも新品より快調なくらいだ、また世話になるぜ」

 

2人

「「ふふふふふふふ......」」

 

ナガン

「この2人は出会っては行けなかったのかもしれんのう......では、また次回」

 

 

 

あとがたり「浪漫のカタチ」

 

 

M61A2

「今回の話を要約するとだな。

 

ガトリング砲はな!1人で100人分の働きをできるような砲を発明できたら、戦争に投入される兵士の数は大幅に減らせてその結果として戦死者も減るだろうと考えた発明家リチャード・ジョーダン・ガトリングの優しさとロマンを併せ持つ最強にして最高の武器なんだよ!銃身一つのロマンの欠片もねぇ!威力もねぇ!射速もねぇようなライフルやアサルト、サブマシンガンの頂点に立つのがガトリングだぁ!なんだ?マシンガン?親戚見たいなモンだからマシンガンは盟友だ!だからな他の銃には無い優しさとロマンで作られたガトリング砲は最強なんだよ!なぁ!そうだろぉ!お前も一緒にガトリング撃ちまくろうな!M134から持って慣れたら大きくして行こう!な?お前も一緒にガトリングで敵を一掃しょうぜ!…ん?弾薬消費?気にするな!弾薬なんて集めればなんとかなるからな!多分!だから一緒に撃ちまくろうぜ!

 

 

ガンスミス

「馬鹿野郎運用できるからこそ兵器になるんだ試作品と正式採用品では雲泥の差があるのを知らんのか正式採用されれば使う人員も費用も大幅に増やせるだからこそそんな後先考えない運用方法ではなくもっとロジカルで理にかなったマニュアルを作るべきなんだそうやって運用されるべきなんだ。だからこそ俺はこの銃に可能性を感じてはいるが、今では俺はこの銃に魅力を感じないなんせどこでもいつでも使えないからだガトリング砲が普及しないのはなぜだと聞かれれば運用に制約が多過ぎるからだそれさえ解決できれば君がいうようにロマンに欠けるアサルトやSMGに虐げられている現状を打破できるってものだろう。とりあえず弾幕を張るというワンパターンなアプローチだけではなくさっき紹介した派生にあるような様々な改造や運用法を君は考慮して行動し移動し射撃し己の武器と向き合っていくべきだと思うんだがどうだろう」

 

M61A2

「違うねガトリング砲が今の姿がベストなんだ一番美しいカタチなんだこの優しさと美しさと残酷さを兼ね備えた存在を壊すなんて私にはできねえだからお前がガトリング砲になるんだよ!」

 

ナガン

「これ以上騒ぐと視聴者が情報過多でオーバーフローするぞ今すぐマイクのスイッチを切れ!」

 

M61A2

「ああなに言ってるんだお前今このチャンスことガトリング砲を布教するチャンスでありまさに神からの贈り物でクリスマスプレゼントみたいなもんだろうみすみすチャンスを逃してたまるかってんだ」

 

ガンスミス

「そうだぞ俺たちは今銃の歴史に刻まれるような新しい技術の進歩に立ち会っているかもしれないんだそれを記録しないでただの世間話で済ませるなんて俺にはできないそんな事をすれば俺はガンスミスではなくなってしまうのと同義だぞ構わん続け」

 

 

 

機械音声

「ただ今放送に不備がありました、しばらく水の流れる音を聞いて心を休ませてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ガンスミス......ロマンとは運用してこそ輝くものである、がポリシー。


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第59回 イングラム

あっこれE3-4とか無理ゲーだわ。戦力足りねぇ。

そろそろ高レアAR育成しないと枚数が......


 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「ジューンブライドとは言ったもんだけど、最近結婚の報告多いよね」

 

ナガン

「確かにのう。今は戦闘も大規模なものは起きてはおらぬ、落ち着いておるから丁度いい時期なのかもしれんな」

 

ガンスミス

「しかし結婚かぁ」

 

ナガン

「お主結構願望はあるのかの?」

 

ガンスミス

「無いとは言わねえけど......後輩ちゃんと指揮官がいつくっつくやら、の方が今んところ面白いからな。

何ヶ月後に結婚するかで賭けもしてるぞ」

 

ナガン

「バカなことをするものじゃのう......ちなみに、一番有力なのは何ヶ月後じゃ?」

 

ガンスミス

「なんだかんだ結婚しないが一番多かった」

 

ナガン

「......キッカケさえあれば結婚しそうなのじゃがのう」

 

 

 

結婚の報告......S09地区P基地やD08地区基地、D04地区基地など最近結婚ブームが相次いております。

この機会にぜひ結婚式を開くのはいかがですか?

なんと今ならウェディングドレスが1日借りるだけでこのお値段!

式場を貸し切るならなんと「放送ど真ん中で宣伝するなよカリーナ!」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「今回のゲストはコチラ!」

 

イングラム

「イングラムです、よろしくお願いしますね......ふふ」

 

ナガン

「よろしく頼むぞ」

 

ガンスミス

「あんまり関わりはないけど気軽に接してもらって構わないから。むしろハイテンションでやっていこう!」

 

イングラム

「わかりました......では、そのように......」

 

ナガン

「......では性能諸元に入ろうかの」

 

 

性能諸元 イングラム ☆3 SMG

 

口径 9mm/45口径

 

使用弾薬 9×19mmパラベラム弾/.45ACP弾

 

装弾数 32発(9mm)/30/40発(.45ACP弾)

 

採用 アメリカ軍 他

 

 

開発経緯 目指せ新世代SMG!

 

ガンスミス

「この銃の開発は1964年、ゴードン・イングラムという銃器設計者が手がけたサブマシンガンの一つだ。

彼はWW2期間中、M3短機関銃に代わる新しいサブマシンガンを手がけていたそうだ」

 

ナガン

「その話がM3の回で出なかった時点で察して欲しいがの」

 

イングラム

「世知辛いものね」

 

ガンスミス

「とはいえノウハウ自体は蓄積されていたワケだ。

しかしながら彼が発表したこのイングラムM10は彼が手がけた銃とは似ても似つかないものだった」

 

イングラム

「資料によれば第3世界での販売を目的にしていたそうね。コピー生産なんかも考慮していたということかしらね、賢いこと」

 

ガンスミス

「その可能性は否定できないな」

 

 

M3短機関銃......第55回にて解説した、スーパー省エネSMG。外見からして別のものに思えるが口に出さないように。

 

第3世界......東西冷戦期において、どちらにも属さなかった新興国の事を指す。

南アメリカやアフリカ、アジア(インドなど)が該当すし、資料によっては中立を取り続けたユーゴスラヴィアもみなす場合があるらしい。

ここから独特の設計の銃が多数誕生している事を考えれば、銃に対する影響も大きかったのだろうか?

 

 

 

イングラムってどんな銃?

 

ガンスミス

「M3を彷彿とさせるようなプレス加工パーツが多くみられるのが特徴だ。とはいえこっちは箱型だから、外見イメージは大きく異なるけどな」

 

イングラム

「作動方式は単純なオープンボルト。機関部パーツも簡略化してあるから、生産性は高いの」

 

ナガン

「他に特徴的なのは小ささかの、全長は27センチと小型じゃ。スコーピオンと似たような感じじゃの」

 

ガンスミス

「まあ比較対象としては当然だな」

 

イングラム

「ですが設計思想は大きく異なってるんですよ......?

あちらは小口径化による安定性により、弾丸を集めて目標を殺す。私は大口径を短時間でばら撒き切ることで目標を殺す。

ワンマガジン打ち切るのに2秒とかかりませんもの、ああ、たまらないですねぇ」

 

ガンスミス

「他にはM3短機関銃のマガジンと互換性があったりと小技も併せ持ってるのが特徴といえばそうだな。

これは軍への売り込みを兼ねた仕様だろう、実際、少数とはいえ軍で運用されてるしな」

 

ナガン

「ふうむ、資料によればサプレッサーの取り付けが可能とあるが?」

 

イングラム

「小型軽量なこの銃、暗殺や潜入業務には最適だとは思いません?

特殊部隊の運用時のことを考え、専用サプレッサーの開発が行われたのです。

ベトナム戦争では試験運用されていた資料がありますね......どうだったのでしょう?」

 

ガンスミス

「他には競技用に『MP5レベルに精度を高める追加パーツ』なんてものがあったり。

まあデリケードだから戦場では使えんがな」

 

 

MP5......第42回にて解説。驚異の高精度を誇るSMGの皮を被った何か。 筋肉は正義だぜ!

 

まとめ

 

ガンスミス

「一時期は競合相手がいなかったとはいえ世界中から引っ張りだこだった銃だったりする。現在では高性能なMP5に取って代わられたが、このオンリーワンな性能に愛好家も多かったみたいだな」

 

ナガン

「作った会社が早々に倒産したのには驚きじゃが、現在でも生産が続けられておる以上、印象深い活躍だったということなのかのう?」

 

イングラム

映画の中の話ですけどね......現実で活躍したいわあ」

 

ナガン

「よく言う、うちの基地の切り込み隊の1人はお前じゃ、頼りにしとるぞ」

 

イングラム

「あら、ありがとう」

 

ガンスミス

「というわけでまた次回、さらば!」

 

 

映画......ジョン・ウェイン主演『マックQ』

劇中での本銃の活躍が知名度を大きく広めたといっても過言ではない。

また主演のジョン・ウェインは西部劇に多く出演していた名俳優である。興味があれば是非に。

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「......といっても特にないんだけどな。ん、電話か? もしもし」

 

プログラマー

『聞いてよ聞いてよー、暇だったからIoP傘下企業のやばいデータベースの情報引っこ抜いて遊んでたんだけどさー』

 

ガンスミス

「またアホな事を......それで?」

 

プログラマー

『電子戦特化型戦術人形、欲しくない?

ちょうど後輩ちゃんあたりが欲しがると思うから、チョッチ話通しといてねん。

今なら格安で作ってあげるよー、んじゃ!』

 

ガンスミス

「電子戦特化型戦術人形......? 話くらいは通しといてやるか。

......ただ、やばいデータベースから引っ張ってきたって、お前なぁ......確実に厄ネタじゃないかよ」




イングラムちゃんキャラ掴めへん......ごめんよ。

あと今回で実装済キャラのリクエストは全て終わったはずです。

あとは未実装銃どうしたものか......
というわけでリクエストは再開しますが、なるだけ実装してる銃をおなしゃす。

追記)
忘れてただけでリクエスト結構あったわ。まあいっか


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第60回 SPAS-12

あっという間に解説も60回、何だかんだ続けられるものですねぇ。
3、40回でエタると思ってましたが、何だかんだ続けてました。これからも頑張ります!


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「......ふと思うけど、そろそろ俺命狙われないかな」

 

ナガン

「なんじゃ藪から棒に。とはいえ可能性はないわけではないのう。現実問題、少なからず本部の秘密も握っとるわけじゃし」

 

ガンスミス

「そうじゃなくて弟の脅迫材料として誘拐されそう。あいつ笑顔で『勝手に殺せばw』とか言うタイプなのに」

 

ナガン

「納得した」

 

 

 

 

プログラマー

「へっぷし! .....閃いた! UMP40にこれも積んじゃお!」

 

ペルシカリア

「何積もうとしてるの?」

 

プログラマー

「自爆スイッチ。半径10キロがブッ飛ぶ反物質の爆弾誰から作ってたっしょ? そいつを拝借して」

 

ペルシカリア

「却下」

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今日のゲストはこちら」

 

SPAS-12

「こちらSPAS-12! 堅牢な盾が必要ならばお任せください!」

 

ナガン

「新人の散弾銃であったか、その喰いっぷりは聞いておるぞ。今日の実戦でもMVPだったそうじゃな」

 

SPAS-12

「えへへー、スイーツが美味しいから張り切れちゃいます!」

 

ガンスミス

「それはいいことだが、食べ過ぎには注意な」

 

SPAS-12

「......聞かないでください」

 

ナガン

「ああ......そういう事か」

 

ガンスミス

「もうちょい低カロリーなレシピを考案すべきかねぇ。気を取り直して性能諸元どーぞ」

 

 

性能諸元 SPAS-12 ☆4 SG

 

口径 12ゲージ

 

使用弾薬 12ゲージ弾各種

 

装弾数 2/6/7/8+1発

 

採用 イタリア対テロ機関 他

 

 

開発経緯 ロマン過積載な散弾銃

 

ガンスミス

「この銃が開発されたのは1979年のイタリア。1970年代の世相といえば金融に政治にテロに冷戦に、と荒れに荒れていたらしいんだがまあそれは置いといて」

 

SPAS-12

「テロの増加、ですね」

 

ガンスミス

「主に政治に関わるような極左組織が主ですね。

有名なものを挙げるとすれば日本赤軍なのでしょうか?」

 

ガンスミス

「他にもパレスチナ問題なんかでピリピリしてたからな、それに関わるテロ組織による事件が多発していた。

とりわけWW2敗戦国であり国力の比較的低いイタリアであれば治安も相当悪かったろう。

となれば当然、取り締まりのために武力を欲したはずだ」

 

SPAS-12

「そのためイタリア軍はフランキ社に『軍用』散弾銃の開発を依頼。

結果生まれたのがこのSPAS-12なんです!」

 

ガンスミス

「補足すると今までの散弾銃は民間用を転用したもの、狩猟用のものをそのまま買い付け小改造を施したものばかりだ。ここら辺M1897の回を聞けばわかるんじゃないか?」

 

ナガン

「名前の由来は『Special Purpose Automatic Shotgun』の頭文字、だそうじゃの」

 

ガンスミス

「意訳するなら『特殊用途自動式散弾銃』『対特殊用途用自動式散弾銃』かねぇ?」

 

SPAS-12

「対テロ用、と言い換えてもいいかもしれませんね」

 

 

 

 

SPAS-12 ってどんな銃?

 

ガンスミス

「すごいぞ、機能盛り盛りだからなこの銃」

 

SPAS-12

「まずセミオート/ポンプアクションの切り替えが可能です! これは初めての試みなんですよ!

確実性を求める場合は手動式に、制圧力が必要な場合には自動式に! どうですか、すごくないですか!?」

 

ガンスミス

「他にも即応性に優れるピストルグリップ(要はアサルトライフルと同様のグリップ)を採用。

照準器も備え付け、しかも大型で狙いやすい。

さらに折りたたみストックタイプもあり、近距離中距離の取り回しも強化。

他にもプラスチックの多用により軽量化も計られている。当時としては先進的な銃だったワケ」

 

ナガン

「おお、すごいのう! カッコいいのう!」

 

SPAS-12

「ふふーん、すごいでしょー」

 

ナガン

でも軍では採用されておらんようじゃが

 

SPAS-12

「ぐふっ......!」

 

ガンスミス

「機能は盛りすぎると弊害しか産まないと言うことの典型だな。欠点解説の方していくぞ」

 

 

でも軍では〜......現在はベネリM3などの信頼性の高いポンプアクションが採用されていることが殆どです。

 

 

 

SPAS-12のここがダメ!

 

ガンスミス

「まず多数の機能を備えているということはそれだけ構造が複雑化し、パーツ数も増加する、要するに重く壊れやすくなる。

これはプラスチックによる軽量化込みでもどうしようもない問題だった」

 

SPAS-12

「他にもポンプアクション/セミオートの切り替えが面倒で操作ミスが多発したようです。人形ならともかく人間ですからミスは必ず起きます......」

 

ガンスミス

「他には従来のポンプアクション散弾銃と同じチューブマガジンを採用している事だ。

これは装弾数は最高で8発と少なく、セミオートが使えるこの銃ではまるで足りない。

さらに殺傷/非殺傷を切り替える必要のある警察組織にとって弾種の切り替えがしにくいのは致命的な問題だろう?」

 

SPAS-12

「装填時に両手を使うのも大きな欠点です......弾切れのたびに狙いを外すのは非効率ですよ」

 

ナガン

「単純な方が優れるという典型例じゃなぁ」

 

ガンスミス

「他には強力な3インチ弾も使用できない。

これは散弾銃の中でも強力なスラッグ弾などを指すもので、殆どの12ゲージ対応散弾銃であれば発射可能だ。

ウチでもたま使ってるやつはいるぞ、イサカとか」

 

ナガン

「......他の銃では使えるのに、この銃では使えないと?」

 

ガンスミス

「薬室の寸法が問題で、撃つと上手いこと排莢できないんだよ。さらにたちの悪いことには()()()()()()()()()()()()()()()()なんだわ」

 

SPAS-12

「弾薬の間違いには気をつけましょう」(一敗)

 

ガンスミス

「1週間前にやらかしたもんな」

 

SPAS-12

「それは言わないでください......」

 

ナガン

「お主のう......」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「世の中には物理的限界が存在するというコトでした。皆さんも理想を積みすぎるのには気をつけましょう。

あとこの銃はデザインが特徴的なせいか色々な映画やドラマ、アニメに出演している。

どう転ぶかわかったんもんじゃないな」

 

SPAS-12

「わたしも雇いから拾われた身ですから、ほんとそうですよねぇ(しみじみ」

 

ナガン

「おや? お主は民生品上がりではないのか」

 

SPAS-12

「元々は別のPMCに居ましたよ。潰れて解体されそうになったところを指揮官が拾い上げてくれたんです」

 

ナガン

「数奇な運命を辿ったもんじゃのう」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

 

SPAS-12

「......今頃どうしてるんですかねえ、団長さん」

 

ナガン

「元の雇い主か?」

 

SPAS-12

「はい。名前も知らないので探しようもないんですけどね、えへへ」

 

ナガン

「安心せい、そういう奴ほどしぶとく生きておるもんじゃ。ガンスミスも元傭兵じゃしな」

 

SPAS-12

「へーえ、それは初耳です。実は団長と同じ所属だったりして」

 

ナガン

「それはないじゃろ」

 

 

 

 

団長

「なんで俺がガキのお守りなんぞしなきゃいかんのだ!」

 

死神娘

「こうでもしないと経営回らないんですよ! ああっ、なんで喧嘩するの!」

 

団長

(PMCの頃にもどりてぇ......)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで遥か昔に投票してもらった「しぶとく生きてた死神さん家の娘」も番外編を書きます。

楽しみにしとけよ(メモ帳真っ白)


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第61回 M1014

長らくお待たせしました

死神の娘さんの話が全然かけねえ


第61回 M1014

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「なんか最近ハイエンドの目撃情報減ってない? ってみなさんがボヤいてるんですけど」

 

ナガン

「さてなぁ。じゃが、高性能機の配備が減っとるということは、あちらも余裕がなくなっておるんじゃろうか」

 

ガンスミス

「どうなんでしょうね。隣には鹵獲されたのいるけど、よそも同じようにしてたりして」

 

ナガン

「まさかな」

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今回のゲストはこちらというかまたショットガンですハイ」

 

ナガン

「資料が多いゆえ優先は仕方ないことなのじゃ、許せ」

 

M1014

「すいません、あなたがガンスミスさん、でしょうか?こんなに若いなんて思わなかった、もっと年上だと......あっ、すみません!

こういうことは言っちゃいけないんですよね」

 

ガンスミス

「初めて年上って言ってもらえた......!」

 

M1014

「あ、あれ?」

 

ナガン

「こやつが特例じゃ。くれぐれも記憶するでないぞ」

 

 

 

性能諸元 M1014 ☆4 SG

 

口径 12ゲージ

 

使用弾薬 12ゲージ弾各種

 

装弾数 6/7+1 発

 

採用 アメリカ軍(主として海兵隊)

 

 

開発経緯 これこそ真の軍用散弾銃!

 

ガンスミス

「この銃が開発されたのは1998年と割と最近。

理由はズバリ、アメリカ軍が新しい軍用散弾銃を欲し、募集をかけたからなんだ。確かな資料はないが、セミオートかもしくは半セミオートという条件が含まれていた可能性は高い」

 

ナガン

「なるほどのう。しかしなぜアメリカ軍はそのような事を?」

 

M1014

「おそらくポンプアクションにない即応性を求めたからかと思います。

当時採用されていたのはモスバーグM500レミントンM870

他にはAR下部レールに取り付け可能なコンビネーション散弾銃がひとつ。最後のものは特例なので省きますが、2つはポンプアクション式の散弾銃でしたから」

 

ナガン

「なるほど」

 

ガンスミス

「それが無かったら米軍は今ごろSPAS-12使ってるよ、文句言いながら」

 

M1014

「そうでしょうか......?」

 

ナガン

「SPASが聞いておったら撃たれても文句言えんぞお主」

 

モスバーグM500、レミントンM870......民間、軍用、警察用と広く使用される傑作ポンプアクション散弾銃。アメリカで散弾銃といえば知名度ツートップに間違いはないだろう。

モスバーグは実装済(☆4)、レミントンは大陸版では実装されこちらでの実装を待つばかりである(☆5)。

 

 

 

M1014ってどんな銃?

 

ガンスミス

「この名前に聞き覚えがないと言っても、こちらだったら聞き覚えがあるんじゃなかろうか、という人も居ると思うので紹介しておく」

 

M1014

「私のM1014という名前はアメリカ軍に導入される際ナンバリングされたもので、本来の商品名はベネリM4 スーペル 90。ちょっと暗号化っぽいから我ながらカッコいい......」

 

ナガン

「ちょくちょく言及していたベネリM3という散弾銃を作った会社と同じじゃ。とはいえ、その設計は大幅に変わっておるがの」

 

ガンスミス

「前作であったかベネリM3とは大きく設計を変更し、堅実さを増していることがこの銃の特徴だ。

SPASのようなセミ/ポンプアクションの切り替え機能を廃止し、射撃はセミオート一本に限定してある」

 

M1014

「これによってパーツ数を減らす利点が生まれ、軍用銃としての条件『頑健さ』を十分に満たせるようになりました。

重量はあまり変わってはいませんが、それだけ各パーツを頑丈に作ってあると言い換えられますね」

 

ガンスミス

「他にはA.R.G.O.(Auto Regulating Gas Operated:ガス圧自動調節)システムがウリだな。

こいつは......詳細は省くが作動方式自体はAK47などに使われるガスピストン方式、つまるところ発射された際に生じるガスを利用して排莢装填を行うシステムの一種だ。

こいつを少しいじったシステムがさっき言ったので、ショットガンらしく多種多様なサイズや発射エネルギーに対応できるようになっている」

 

M1014

「流石に発射エネルギーを抑える非殺傷弾(ゴム弾など)はボルトを手で動かす必要がありますが、ほぼ全ての弾薬で安定した作動が見込めます」

 

ガンスミス

「他にもストックは伸縮式でどんな人にも対応可能、さらに拡張性の高いピカティニー・レールも搭載と拡張性も重視した作りになってるんだ」

 

ナガン

「まさに軍用銃に備えられるべき特徴は全て備えられておる、というところか」

 

M1014

「でも、弾倉がチューブ式なので弾数は従来品と変わらずリロードも手間取る、という欠点はあります。

そこだけは改善されるべきところでしょうか」

 

ガンスミス

(AA-12の例もあるから、箱型弾倉が一概に良いとは言えないんだけどね)

 

 

ベネリM3......多数の警察組織や部隊で運用される名作。セミオート/ポンプアクション切り替え可能なSPAS-12の上位互換散弾銃。

わりと有名(だと思う)。

ちなみに作者が現在サバゲで使ってます。

 

AA-12の例......要約するとオーバーキルで持て余す。

詳しくは番外編 第1回 AA-12を見てほしい。

実装済(☆5)、書いた当初は未実装でした。

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「壊れにくく、ある程度の連射ができ、取り回し、拡張性共に高いと、軍用としてはある種完成形を見た感じの散弾銃ですね。

後続の散弾銃にとっては高い壁となるだろうな」

 

M1014

「......自分がそこまで褒められるものでは無いと思います。騙されているのではないでしょうか?」

 

ナガン

「疑り深いのう、素直に賞賛は受け取っておけ」

 

M1014

「ですが......」

 

ナガン

「ガタガタぬかすでない。それ以上謙遜するなら屋根の上に放り出すぞ」

 

M1014

「高いとこだけはやめてください!トラウマがぁ!」

 

ガンスミス

「......わちゃわちゃし出したところで今日はここまで。ではまた次回!」

 

 

 

 

 

 

あとがたりーー高所恐怖症についてーー

 

 

M1014

「実は高いところがニガテでして......人間で言えば高所恐怖症と言ったところでしょうか」

 

ガンスミス

「あー。SG人形は装甲分の重さがあるから......」

 

M1014

「一度廃ビルの床を抜いてしまって。

危うく部隊を壊滅させるところでした。それ以降高いところは......」

 

ガンスミス

「人間らしいなあ。まー経験則だと思うけど。

人間だとちと違う感じはあるな」

 

M1014

「どんなものなんですか? 興味あります」

 

ガンスミス

「確か......恐怖症のひとつで、一応心的障害らしい」

 

M1014

「らしい?」

 

ガンスミス

「詳しくはよくわからん。ただ、その手の恐怖症は総じてふつうの恐怖の延長線上なんだよな。

誰だって30mの高さは怖いし、狭いところは不安になるもんなんだわ。

ただそれを人より気にしてしまう、怖がってしまう。

要するに普通よりちょっとだけ怖がりさんなだけ、ということだな」

 

M1014

「ガンスミスさんは博識なんですね」

 

ガンスミス

(PTSD調べてるとき色々情報集めてたからな......)

 

M1014

「それで対策は! 治し方とかあるのでしょう?」

 

ガンスミス

「現状、カウンセリングを通してとしか俺は答えられない。

高いところがダメっていう後ろ向きな考えじゃなくて味方を含めて安全確保をきちんとできる、と考えればその怖がりも前向きに捉えられるっしょ」

 

M1014

「そうではなくて、その......今すぐは無理ですか?」

 

ガンスミス

「なに? 降下作戦でもやんの?」

 

M1014

「いえ......宿舎が二階で。床を抜いて以来階段も登れなくなってしまって困ってるんです」

 

ガンスミス

「部屋変えてもらいな」

 

 

 

 

 




娘ちゃんの話マジでどうしたもんかなー。

......いっそのこと殺して人形なり鉄血なりにしてしまおうか


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第62回 IWS2000

IWS......岩瀬......?
岩瀬さん引退したかと思えばこんな美少女になって......()

ガチャで来てくれなかったので呼びました。
焔薙様 「それいけぽんこつ指揮官(以下略)」S09P基地からのゲストです。


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ナガン

「そういえばお主、最近電子制御に手を出しておるそうじゃのう?」

 

ガンスミス

「ああ、アナログ技術だけじゃこなせる仕事も減るしな。ガトリング砲とか指南書片手に整備してたんだぞアレ」

 

ナガン

「技術の移り変わりも大変じゃのう」

 

ガンスミス

「便利になるに越したことはないが、どっかにしわ寄せは来るもんなんだよな、裏方とか裏方とか、あとは裏方とか」

 

ナガン

「お主目が虚になってはおらぬか?!」

 

ガンスミス

「キノセイジャナイカナー」

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今日のゲストはこちら。同じ09地区のP基地から来てくれたIWS2000です」

 

IWS2000

「シュタイアー2000到着しました、頑張ります!」

 

ナガン

「そのように肩肘張らんでもよい、リラックスリラックス」

 

IWS2000

「......なにか違う」

 

ナガン

「わしのことか? 気にするでない。そちらの副官殿と姿形は同じかもしれんが中身は別物じゃ。あのようにしっかりすることはわしには出来ぬよ、ははは」

 

ガンスミス

「はいはい積もる話もあるかもだけど今はゲストとパーソナリティ。話は番組が終わってからね。

というわけで性能諸元にゴー」

 

 

性能諸元 IWS2000 ☆5 RF

 

口径 15.2mm

 

使用弾薬 15.2mmAPFSDS弾

 

装弾数 5+1発

 

採用 ー

 

開発経緯 我が槍に貫けぬ物無し!

 

 

ガンスミス

「この銃の開発の発端はかの有名な対物ライフルバレットM82だ。

この銃を皮切りに各国で口径12mm以上の大型、もとい対物ライフルの開発が行われた。この銃もまたその流れの中から生まれた対物ライフルてわけ」

 

ナガン

「しかしなぜこのようなものを? ロケットランチャーやミサイルも発達し使い物になり始めた頃じゃ。むしろこのようなものの不要論が囁かれるはずであろう」

 

IWS2000

「それがそうでもないのですよ副か......ナガンさん。

携帯性が高いというのはアドバンテージですからね。それにライフルですから、爆発物よりは周囲に影響を及ぼしにくいんです」

 

ガンスミス

「ロケットランチャーは重いし装填が時間かかるとか、そもそも使い捨てだとかあるしな。あと高いし」

 

ナガン

「なるほど」

 

IWS2000

「戦車や装甲車ならともかく、トラック程度であればロケットランチャーでは過剰火力ですからね。

適材適所というやつです!」

 

ナガン

(なんか大型犬を見ているようじゃのう......)

 

ガンスミス

「本題に戻ろう。

この銃の生まれはオーストリアのステアー社。

それまでの軍用小火器や携帯型ロケット兵器では不可能な、遠距離における高精度で十分な威力を伴う狙撃能力を持つ火器、というコンセプトのもと、自社開発が行われたんだ」

 

 

IWS2000ってどんな銃?

 

 

ガンスミス

「......先に言っておくと、この銃は開発段階で計画倒れしたいわゆる『失敗作』なんだ。

まあでもG&K社の方で改良を加えて実戦レベルにはなってるけどな」

 

ナガン

「ああ、採用欄が空白なのはそれが理由か」

 

ガンスミス

「その理由こそこの銃最大の特色であり、上手くいかなかった欠点でもあるんだがな」

 

ナガン

「それで、どんな阿呆な事をやったのじゃ?」

 

IWS2000

APFSDS弾使用します」

 

ナガン

「なんじゃそれは? 聞き覚えがないのう」

 

ガンスミス

「そりゃ戦車に使うような種別の砲弾だからな」

 

ナガン

「......は?」

 

ガンスミス

「要約すれば超高速でダーツみたいな侵徹体(Not弾丸)を発射、超高速で目標とぶつかる際に生じるなんやかんやを利用し、目標と溶かし貫く砲弾だ」

 

IWS2000

「試作段階では1000m先から40mmの装甲板を貫徹したとの記録が残っています」

 

ナガン

「......もう一度頼む」

 

IWS2000

「1000m先から40mmの装甲板を貫徹した記録が残っています」

 

ナガン

「オーバーキルじゃろう?! 40mmということは防弾ジープはもとより装甲車も貫徹可能、果ては戦車の一部装甲も抜けるということになるんじゃぞ!」

 

ガンスミス

「大火力はロマンでしょ」

 

IWS2000

「ついでに言うとセミオートです」

 

ナガン

「阿呆じゃ、阿呆がここにおる......」

 

ガンスミス

「とはいえ上手くいくのは戦車砲での話。

15.2mmとかいう小口径ではAPFSDS弾がうまく作動するかは運任せ、その不安定さが問題になるわけだ」

 

IWS2000

「何度も試作を繰り返したものの、結局この不安定さを解決することはできず、2019年現在計画は凍結され、開発は止まっています」

 

ガンスミス

「画期的な技術が生まれない限り、いや、どうせ設計自体が古いから日の目を見ることはないだろうな」

 

 

なんやかんや......なんやかんやは......なんやかんやです!

 

小口径......戦車砲では100〜120mmが平均。これに比べれば15mmなんぞ豆鉄砲ですよ。

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「発想だけは良かったものの技術力が追いつかず。

予想された失敗にもかかわらずそれに挑んだ勇気だけは褒められるべきだな。

とはいえ今では立派な武器になったわけだ、その有り余るバカみたいな力、有効に活用してくれよ」

 

IWS2000

「はい。この力、大切にします」

 

ナガン

「合同作戦などあれば同じ戦場にて会うこともあるじゃろうて、よろしく頼むぞ」

 

IWS2000

「頑張ります!」

 

ナガン

「はは、元気なのは良いことじゃ。

それでは次回、またのー」

 

 

 

 

 

あとがたり/戦う意味

 

 

IWS2000

「副、いえナガンさんは、どうして戦っているんですか?」

 

ナガン

「......先程からの間違えぶりからといい、わしを副官と勘違いしてるのではあるまいな」

 

IWS2000

「そんなことありませんよ! ただ、同じ姿なのに性格は違うではないですか。少し気になって」

 

ナガン

「......はぁ、わしにそんな高尚な理由はないぞ。

副官殿のように指揮官に負い目を感じてるわけでもなし、お主らの基地におる変人どものように指揮官に惚れ込んでおるわけでもないからな?

単純に『死にたくない』からじゃよ」

 

IWS2000

「死にたくない?」

 

ナガン

「当然じゃろう? わしは未練たっぷりに生きておるからな、やりたい事は山積みでは死んでも死にきれぬよ。今のところはそうじゃな......このラジオ放送が終わるまでかのう。

わしがおらんと回らんからな、この番組は」

 

IWS2000

「は、はあ......?」

 

ナガン

「そもそも他人と比較するのが愚かしいんじゃよこんなもの。

例えばわしの同僚は『今日の天気が気分じゃない』とか抜かしながら生きておるんじゃからな。ずっと『死ぬときは快晴の空がいい』なんて言っておる。

ま、戦う意味なんぞこんなものでいいのじゃよ、若人」

 

IWS2000

「......」

 

ナガン

「高尚でなくともバカらしくとも構わぬ。

ただ自分が生き残るに足りうるりゆであればそれでいいのじゃ。戦う理由なんぞ、それでいいのじゃよ」

 

 

 

 

 

 

 

 




そうそう、活動報告にコラボリクエスト箱起きましたので、気軽にどうぞ


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第63回 Gr Mk23

お知らせ

作者の海外旅行(キャンプ)により8月は更新ができません。
ご了承ください


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想欄などにて受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「そろそろ夏が本格的にやってくるといった頃合いだな、熱中症には気をつけないと」

 

ナガン

「人形にも関係ないとは言えぬ話だから注意するのじゃぞ、しっかり水分や冷たいものを摂取せねば冷却不全でオーバーヒートしかねん」

 

ガンスミス

「とは言え基地は大抵クーラー効かして涼しいんでよっぽどのことはない限り無縁の話ですがね」

 

ナガン

「工廠は例外じゃけどな! Чертовски жарко!」

 

ガンスミス

「お前衣装分厚いもんなぁ......」

 

Чертовски жарко......グーグル先生によれば「クソ暑い!」の意。

あの服装じゃ汗ダラダラでしょうて。

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今回のゲストはこの人」

 

Mk23

「ハロー! Mk23よ、よろしく!」

 

ナガン

「ようやくお主か、案外長かったのう」

 

Mk23

「全くよ。こーんなにセンスのある私が呼ばれないなんて失礼しちゃう」

 

ガンスミス

「あら知り合い?」

 

Mk23

「長い付き合いになるけどその話はまた今度。

今はこんなことする場じゃないでしょ?」

 

ナガン

「話が上手いやつは嫌いではないぞ。

では、性能諸元にまいろうかの」

 

 

性能諸元 Gr Mk23 ☆4 HG

 

口径 .45口径(11.4mm)

 

使用弾薬 .45ACP弾

 

装弾数 12発

 

採用 アメリカ特殊作戦群

 

 

開発経緯 サブアームだなんて言わせない!

 

ガンスミス

「この銃の開発は1995年。SOCOMことアメリカ特殊作戦群軍が軍用としての拳銃を必要としたからだな。

というのも今まで使われていたMk22は拡張性に欠け、85年に本格採用され始めたM9では9mmパラベラム弾の威力不足ぼ懸念やスライド破断事故から生まれた安全性への疑問が生まれたからなんだな」

 

ナガン

「そういえばそんなこともあったのう」

 

Mk23

「特殊部隊じゃ派手な戦闘は少ない代わりに過酷だったり、特殊だったりする環境に身を置くことが多いの。そこでは普通の銃よりも多くの使用機会が訪れることになるし、耐久性も必要になるでしょう?」

 

ガンスミス

「コイツをSOCOMはOHWS(Offensive Handgun Weapon System)、つまり自衛ではなく攻撃に重きを置いた拳銃を求めたというわけだ。

それで、SOCOMが求めた性能はこれだ。

 

・45口径を使用し、装弾数は10発以上

・サプレッサーなどを状況に応じて取り外しできること

・悪条件下でも支障をきたさない耐久性があること

(30,000発連続発射が可能など)

シンプルではあるものの難易度はかーなーり高い条件になったわけだな」

 

Mk23

「それを全て達成したのが私というわけ」

 

ガンスミス

「じゃ、その性能を見ていこう」

 

ナガン

「思うんじゃがM1911では駄目なのか?

45口径で頑丈じゃし装弾数も不足はないと思うのじゃが」

 

ガンスミス

「あれは拡張性がないのと設計が古臭すぎる。

特殊部隊用、となれば改められるべき部品も多い。それくらいなら新造した方が楽なんだよな。

特殊部隊用となれば数はそこまでいらないし」

 

ナガン

「寄る年波には勝てぬというやつか」

 

Mk23

「おばあちゃん、それ多分違う」

 

SOCOM......陸海空問わずアメリカ軍全ての特殊部隊を統括する組織。有名なネイビーシールズもここに所属する部隊である。

 

Mk.22......S&W M39というこれといった特徴のない自動式拳銃に専用弾と専用サプレッサーを取り付け、消音性能を高める改造を施したもの。

別名「ハッシュパピー」。調べたところコーンミールをメイン食材にした揚げ物らしい。わからん。

 

サプレッサーの寿命が22発しかない。

 

M9......第27回で解説。現在米軍で正式採用されている拳銃である。かっこいいデザインが特徴的だが、それが強度不足に繋がっているのは如何なものか。

 

 

 

Mk23ってどんな銃?

 

 

ガンスミス

「H&K USPをベースとして開発された本銃は、拳銃としてみればオーバースペックそのものとまではいかないが、かなりのハイスペックさを兼ねそなえる優等生だ」

ナガン

「確か命中精度はかなり高いと聞いたが」

 

Mk23

「私のウリのひとつね!

約25mの射撃距離で3センチ半径に集弾できるくらい高い精度を誇るわ。これは軍用拳銃の中ではトップクラスのもの......安定した精度というならトップでもおかしくはないわね」

 

ガンスミス

「比較としてM9であれば約20m先射撃した場合には5センチ半径に弾痕が収まるという実験結果がある。

ヤード法かセンチ方式どっちかに統一しろっての......」

 

ナガン

「今ではほぼセンチ方式にまとめられておるがの」

 

Mk23

「他には装備の充実かしらね。

銃口には専用サプレッサーの取り外しが可能なようにネジが切られているの。

銃口下部にはレールが取り付けてあって、AN/PEQ-6と呼ばれるLAM(レーザー・エイミング・モジュール)が装着できるの。

これは可視レーザー、赤外線レーザー、フラッシュライトの3機能を持ち、それぞれを単体でも組み合わせても使うことができるの。

戦場を選ばないってことね!」

 

ガンスミス

「他にもリコイルスプリングを2つ搭載することによって、45口径の強力な反動をかなり抑えている。

そして銃本体の重さも相まってかなり扱いやすい部類に入るはずだ」

 

ナガン

「至れりつくせりといったところじゃのう。

それで、もちろん欠点もあるんじゃよな?」

 

ガンスミス

「まーね。この銃、本体だけで1.2キロ、フル装備となると2キロを超えるという超ヘヴィ級」

 

Mk23

「拳銃としてはかなりの大型でもあるし」

 

ガンスミス

「かといってメインウエポンにするには力不足」

 

ナガン

「......要は中途半端になってしまったということなんじゃな?」

 

 

Mk23

「コンセプトや性能は良かったのだけれど......」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「9mm弾への不信感から生まれた、大型拳銃の中でもとりわけ完成度が高いこの銃。

取り回すにはちと覚悟とパワーが必要かもしれないが、その精度と威力には助けられるはずだ」

 

Mk23

「いっぱい敵倒してじゃんじゃん活躍してやるんだから! いまに見ててよね、ダーリン♪」

 

ナガン

「活躍といってもお主は立派にウチの中でも強いんじゃがな......1on1で勝てるのはウェルだけじゃろうに。

まだ強くなりたいと?」

 

Mk23

「当然! ダーリンはいま指揮官にお熱だから、それを塗りつぶすくらいの鮮烈(ビビット)な活躍をしないと振り向いてくれないわ!」

 

ガンスミス

「そっか、ま、頑張れよ。相談くらいにはナガンが乗ってくれるから。

というわけでまた次回」

 

ナガン

「お主さらっと面倒ごと押し付けたじゃろ?!」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

 

ガンスミス

「ふーふふふんふんふふふのふー」

 

ナガン

「楽しそうじゃな、また出張か?」

 

ガンスミス

「夏休暇貰ったから実家帰るんだわ。久し振りに帰れるー!」

 

ナガン

「おお、それは良かったのう!

して、お主の実家はどこじゃったかな......」

 

ガンスミス

「日本」

 

ナガン

「あそこはELIDが発生するようになった場所の近所じゃろう? とっくの昔に滅んでおると思ったんじゃが」

 

ガンスミス

「日本人を舐めちゃ困る。というかELIDくらい素手で倒せる人がゴロゴロいる国だし......俺は無理だけど」

 

ナガン

「いま聞き捨てならないことを聞いたのじゃが?!」

 

ガンスミス

「というわけで1ヶ月はあっちにいるからよろしくー」

 

 



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第64回 FF F2000


1ヶ月ぶりですね、傭兵です。
ユーコン川にちょっと川下りしてたんですけど超楽しかったです。
興味ある人は今すぐパスポートを取得するか「水曜どうでしょう ユーコン」で検索してください!
冬はオーロラが綺麗な街だそうですよ?
みんなもカナダ 行こう! (ダイマ)

ところであとがきにお知らせありますんでよろしく。


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想欄などにて受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

ガンスミス

「えーと、だいたい1ヶ月ですか? 長らくお待たせしてましたねぇ」

 

ナガン

「確か帰省であったかの? しかし、忙しいお主が1ヶ月もよく休暇が取れたものじゃのう。やはりあの指揮官はやり手じゃなぁ」

 

ガンスミス

「まーね。休めたんだかわかんない休暇だったけども」

 

ナガン

「そういえばお主の実家はヤーパンであったか? むしろあそこに行けることが驚きなのじゃが。あの国の周囲海域は封鎖されてたハズじゃろう」

 

ガンスミス

「E.L.l.Dの拡散防止だから別に通れないわけでも無いんだよね。あと実は旧ロシア領からトンネルが掘られてて移動自体は楽なのよ?

実家に行くときと帰るときに死ぬほど苦労したけど」

 

ナガン

「お主の実家は迷宮か何かなのか?」

 

ガンスミス

「E.L.l.Dがうようよいる地域のど真ん中にあるだけ。先祖代々の家だから手放せないんだとさ」

 

ナガン

「......お主の両親は阿呆じゃな。そんな死と隣り合わせな生活は命がいくつあっても足らんわい」

 

ガンスミス

「いやオヤジとか噛み付かれても平気だし、オカンはふつうに首ネジ切れるし問題ない」

 

ナガン

「それは......人間か?」

 

ガンスミス

「少なくとも俺は人間だと思うね。でもアレで昔より落ち着いてるからな? 歳だもの」

 

ナガン

「ええ......?」

 

 

ヤーパン......ユーラシア大陸の太平洋側に浮かぶ島国。ジャパン、日本などさまざまな呼び方があり、独特の文化を世界に発信している、のだが、戦争の影響もあってか間違った文化ばかりが現在に伝わっているとかなんとか。

E.L.l.Dの重度汚染区域により立ち入りが制限される国だが、文明や治安はWW3以前とほぼ同等らしい(一部区域を除く)。

ガンスミスの実家(汚染区域ど真ん中)があるのは旧くは関東と呼ばれていた地域のようだ。

 

ガンスミスの両親......ミュータントに噛み付かれても傷一つつかなかったり笑顔で首を捩じ切ったりするやべーやつだが少なくとも生物学上の分類は人間。

もうすぐ還暦(60歳)でもまだまだ元気。

 

 

 

ガンスミス

「夏休み明け1回目のゲストはこちらっ!」

 

F2000

「リスナーの皆さんこんにちわ。私は最新のアサルトライフルF2000です。遠慮なさらず、私と仲良くなりましょうね、うふふっ」

 

ナガン

「技術部に出入りしとる物好きじゃったと記憶しておるが?」

 

F2000

「そうですね、アクセサリやスコープは好きですよ? 色々な特徴があって楽しいですし」

 

ガンスミス

「RFよりスコープ詳しいもんな君。

じゃ、性能諸元に参りましょか」

 

 

性能諸元 FF F2000 ☆2 AR

 

口径 5.56mm

 

使用弾薬 5.56×45mm NATO弾

 

装弾数 30発

 

採用 スロベニア軍 他

 

 

開発経緯 これが本当の最新型です!

 

ガンスミス

「奇妙な外見が目を惹くベルギー・FN社製ARだ。

この銃の開発は2001年と最近、アメリカが提唱しているOICW というコンセプトに似たものだ。

こいつは湾岸戦争において有用性が認められたハイテク兵器を個人に落とし込み、戦果を高めることを期待したコンセプトなんだな」

 

F2000

「ハイテク兵器といえば空爆や戦車などが挙げられますね。とりわけGPSやステルス戦闘機、誘導ミサイルなどアメリカ軍は多くの新兵器を投入し、多くの戦果を発揮していますね」

 

ナガン

「よう分からんのう......」

 

F2000

「要は近未来化が一気に進んだ戦争、と捉えればいいですよ。その一環で私が生まれたんです」

 

ガンスミス

「ではその内容を詳しく説明していこう。ナガンはアナログ時代の行き遅れだし理解できるかは知らんけどな」

 

ナガン

「わしだってデジタルの申し子の戦術人形なんじゃが!?」

 

ガンスミス

「いやでもさ、うん、ソダネ」

 

ナガン

「なんじゃその目はぁ!」

 

OICW...... Objective Individual Combat Weapon 日本語では個人主体戦闘火器と訳す。

アサルトライフルにモジュラーウエポン(グレネードランチャー)や夜間暗視装置、レーザー測量装置などを搭載し、個人の戦闘力を高める試み。

......なのだが、価格や兵士の負担、装備の脆弱性や現在の戦場に対応できないことからこの計画は凍結。

しかし二足歩行式の搭乗型兵器(つまり戦闘ロボット)にOICWの役割を負わせる、との考えを示す専門家もいるとか。

パワードスーツやMGSの月光などがそれに挙げられている。この世界では正規軍が採用しているかも?

 

湾岸戦争......1991年、多国籍軍 vs イラク

米軍をはじめとする多国籍軍が完膚なきまでにイラク軍を叩きのめした。この戦いでは制空権の重要性や前述のハイテク兵器の価値が高まると同時、謎に包まれていた東側の軍事レベルの低さが露呈した。

 

GPS...... Global Positioning System(全地球測定システム)の略称。アメリカ軍は打ち上げた30機の軍事衛星から信号を受け取り、現在地を把握するシステム。

1995年には軍用民用どちらにもたりうる精度を達成し、現在では各国が衛星を打ち上げ、それぞれに利用している。

スマホやカーナビなどの用途が有名だろうか。

 

ナガン......知識や言動がどうにもアナログ人間。

 

 

FF F2000ってどんな銃?

 

ガンスミス

「ブルパップ式のカービン銃の中では後発な方で、よく先達を研究してるな。FAMASとかAUGとか。

ブルパップの欠点はこいつにはほぼ無いと言っていいだろう」

 

F2000

「機関部を密閉することにより音や排煙を抑え、射手の負担を抑えることに成功しています。さらにばら撒かれる薬莢を前方に排出することで足元も安心です」

 

ナガン

「ブルパップ式は散々こき下ろしたからのうG11とかFAMASとか。これぞ最新型と言わんばかりじゃな」

 

F2000

「整備性も抜群、とはいきませんけど、十分に配慮されてますからね?」

 

ガンスミス

「その分お値段は高くなっております」

 

ナガン

「じゃろうな」

 

ガンスミス

「それはさておきこいつの真骨頂はなんといってもモジュール式だ!

銃身下部に40mmグレネードランチャー、ショットガン、レーザーサイト、さらにピカティニー・レールを無加工で搭載可能。銃身上部には1.6倍専用スコープに取り外し可能なフロント及びリアサイトとレールを搭載!」

 

F2000

「しかも様々な照準機器の機能を併せ持つFCS(Fire Control System:火器統制装置)と呼ばれるアクセサリーを装着可能!

内蔵されたレーザー距離計が照準器で捉えたターゲットとの距離を自動測定し、グレネードランチャーなどの射撃をアシストしてくれる優れものなんです!」

 

ナガン

「あー、ワシの記憶ではお主が積んどるところを見たことがないんじゃが。だいたい普通のスコープを乗っけとるじゃろう、もしやそれがFCSとやらか?」

 

F2000

「いえ普通のモノですよ。

ここだけの話FCSの機能は今の技術だと戦術人形にある程度は内蔵できちゃうんですよね。あと重いし嵩張るし、バッテリー切れたらただの障害物でしかないので。デリケートですからぶつければすぐに照準ズレちゃいますし、私グレネード使いませんし」

 

ナガン

「......現場の意見も大切なんじゃなぁ」

 

ガンスミス

「そゆこと。重量や価格、バッテリーの問題なんかでFCS搭載型はどこの軍も配備はなく、レール装備などのシンプルなものばかり。ちなみに銃身を伸ばしてセミオート限定にした民生モデルもあるらしいぞ。

売れてることを示す資料は見当たらないけど」

 

ナガン

「シンプル・イズ・ベストということかのう」

 

F2000

「むしろアメリカではAR=M16系列のイメージが染み付きすぎなんですよ、だから他の銃が有名にならないんです!

酷い情報操作ですね、コルト社の陰謀では?」

 

ナガン

「416がすっ飛んでくるぞ、その話はやめい」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「挑戦的でありながら先進的、かつ要所は抑えていたはずのこの銃。ブルパップ銃のなかでは高い完成度を誇るはずなんだけど、どうしてか認知度は低いんだよなぁ」

 

F2000

「こんな銃もあるってこと、今日は覚えて帰ってください!」

 

ナガン

「1ヶ月も開けたことじゃし、リクエストも溜まっておる。それにじゃんじゃん答えていく所存じゃ。

さあ、忙しくなるぞ!」

 

ガンスミス

「あたり前田のなんとやら! そんじゃ、また次回をお楽しみに!」

 

F2000

「そのネタ懐かしいですね。ところでもっとテンションアゲアゲで行った方が良かったですかね? 割と抑えめでしたけど」

 

ガンスミス

「キミ本当に最新型かい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




そろそろこの作品も1周年ということで
1周年記念お便りコーナーやりたいんですよね。
ラジオってこういうのやるんでしょ? 憧れてたんですよねー

この後設置する活動報告に希望HNとメッセージを送ってください。
読者として、またはこの世界にいるキャラとして、なんでも構いません。
どしどしお便りのほうお待ちしておりまーす!
特にクロスオーバーした皆さんは送ってください、ね?(脅迫)


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第65回 95式&97式


そういえばそろそろ1周年やねんな.


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想欄などにて受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ナガン

「そういえばお主よ、外出用の義体(スミ子ちゃん)はメンテはしておるのか?」

 

ガンスミス

「あれは基礎パーツはAA-12と同一だからパーツ流用すれば問題なく修理できるよ。しかしどうしてそんな事聞くのさ」

 

ナガン

「いやあ、その、お主が居らぬ間に一悶着あってのう。アレが戦場に駆り出される事態になってしまっての。幸い大きな損傷はなかったのじゃが、のう」

 

AA-12

『ガンスミスー、この前借りた。壊してないけど断っとくの忘れたわ』

 

ガンスミス

「この前のAA-12の言葉ってその事だったの!?」

 

ナガン

「割と活躍しとったぞ」

 

ガンスミス

「マジかよ」

 

AA-12の色違い(スミ子)......レア。戦場で見ると幸せになるらしい。

 

 

 

ガンスミス

「とまあ衝撃の事実を聞いたところで、今日のゲストはこの姉妹!」

 

95式

「こんにちは、皆さま。わたしは95式アサルトライフルです。今日はよろしくお願いしますね」

 

97式

「中国産97式アサルトライフルが登場です。今日はお姉ちゃんと一緒かぁ」

 

95式

「ふふ、おいたはダメよ?」

 

97式

「わ、わかってるよう!」

 

ナガン

「姉妹仲は良好なようじゃな、では早速性能諸元に入っていくとするかの」

 

ガンスミス

「まず95式からいこう」

 

 

性能諸元 95式 ☆5 AR

 

口径 5.8mm

 

使用弾薬 5.8×42mm弾

 

装弾数30/75発

 

採用 中華人民解放軍 他

 

開発経緯 チャイナ・トランペッター

 

 

ガンスミス

「この銃の開発は名前の通り1995年。それまでの中国軍といえば、AKのデットコピー品の56-1式やSKSとAKの合いの子のような81式カービンなどが主兵装。

81式も悪い銃ではなかったんだが、いかんせん設計が旧式で使用する弾薬はAK-47と同じ7.62×39mm。

5.56mmのような小口径高速弾に威力こそ勝るものの命中では劣るわけだ」

 

95式

「NATO軍が仮想敵......であったかどうかは定かではありませんが、それに対抗するように95式の使用弾薬である5.8mm弾という小口径高速弾を開発しました。

それに合わせて開発されたのが」

 

97式

「95式お姉というわけ!」

 

95式

「そういう事です。開発経緯はこのようなものでしょうか?」

 

ナガン

「いう事なしじゃ。

では、どのような銃か掘り下げてゆくとするかの。97式の説明もここで纏めてするぞ」

 

97式

「私の説明適当じゃない?」

 

ナガン

「言ってしまえば一種のバリエーションじゃしのう。

ま、優れた姉の前には妹の力は霞むものじゃ、諦めい」

 

ガンスミス

兄貴より優れた弟なんぞ存在......してほしくなかった」

 

97式

「哀愁が漂いすぎてる背中っ!」

 

ナガン

「こやつも随分と規格外じゃが、弟はそれを軽く超えてしまうからのう」

 

95式

どんな人なのでしょうか?」

 

 

デッドコピー品......だって実際そうなんだもの。56-1式は細部は違えどほぼAKと同じです。

 

SKS......ソビエト製やたら影の薄い半自動カービン。

詳細はそのうちしま(n回目)

 

兄貴より優れた弟なんぞ......元ネタは漫画「北斗の拳」より「ジャギ」のセリフ。主人公の兄である彼が弟が活躍する様を見るのはどんな気持ちだったのか。

 

どんな人なのでしょうか......ペルシカがいなかったらこいつが代役して世界(物語)が回るくらいには天才。

ろくでなしの遊び人の変態が技術を持った結果がこれだよ。

 

 

 

95式ってどんな銃?

 

ガンスミス

「ブルパップ式のアサルトライフルだな。前回のF2000のようにブルパップ式の欠点を潰すような設計ではないが、完成度は十分に高いと思う」

 

95式

「内部構造などは81式を踏襲したものとなっており、作動方式は現代の小銃で多く使われるガス圧利用式を使用していますね」

 

ガンスミス

「余談というかAK-47に影響を受けた銃の特徴として、セレクターレバーの並びが独特なんだよな」

 

97式

「M4とかだとSAFE(安全)ーSEMI(単発)ーFULL(連発)、なんだっけ?」

 

ガンスミス

「MP5とかH&K社の製品でもそうだな。

けどコイツはSAFEーFULLーSEMIー3点バースト。

どうせフルオートでしか打たんやろ、なんて開発者の意思が伝わってきそうなもんだ」

 

95式

「不便ではないのですが、私はセミオートを使うことが多いのであまり便利には感じたことはないですね」

 

97式

「えーそう? 私はフルオートよく使うから便利なんだけど。単発なんてチマチマしてー」

 

ガンスミス

「この銃は同じブルパップ式であるFAMASとかAUGとかを参考したとされていますね! ではブルパップ式の問題点を復習してくれるかなぁ97式クゥン!」

 

97式

「えっとなに急に......まあいいですけど?

ブルパップ式の欠点は機関部が身体の近くにあることだから、うるさかったり薬莢を踏んづけちゃいそうになることかな?」

 

ガンスミス

「そうだな。あとは銃を持ち替えた時排出された薬莢が身体に当たり逆撃ちがしにくいこともある。

それの対策はもちろんされている。機関部については特筆すべきものはないが、排莢口に細工がしてあるんだ」

 

95式

「力技、なんですけどね......。

まず排莢口を設計上できる目一杯前方に持ってきます。そして薬莢が真横ではなく前方の蹴り出されるような加工を施すことで、一応ではありますが右左を問わずで撃つことが可能になりました」

 

97式

「目の前を薬莢が横切るのはあんまり気持ちよくはないけどね」

 

ナガン

「では、97式の方を解説していくかの」

 

 

97式について

 

ガンスミス

「97式は95式を海外輸出用に加工し、5.56mm NATO弾モデルにしたものだ。

言い忘れた欠点だが95式は少々マガジンを外しにくい。そこもしっかり改善されているようだな。

カンボジアやミャンマーの中国に近いアジア圏の軍隊で使用されていたらしい。 NATO弾は調達が簡単だからな」

 

97式

「ふーん、それだけ? 他にもまだあるでしょ? ほらほらー」

 

ナガン

「無いぞ」

 

97式

「ふえっ?」

 

ナガン

「無いぞ」

 

97式

「そんなわけないじゃん! なんかもっとこう、97式すごいとかカッコいいとか」

 

95式

「9 7 式?」

 

97式

「ごめんガンスミスさんなんでも無いよ!」

ガンスミス

(こっわ。さすが姉......)

 

ナガン

(これくらいビシッと言った方が良いのかのう?

おばあちゃん呼ばわりで親近感を持ってもらうのは良いが、わしにもプライドというものがあるしな)

 

 

セレクターレバー......主にライフルの安全装置や射撃方法を変更するための部品。

 

FAMASとかAUG......有名ブルパップ式ということで挙げさせて貰いました。

L85A2? G11? そんな銃知らないんだ!

 

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「1990年代においてはまだまだ欠点の多いブルパップ式を採用し、しっかりと完成度を持たせることができた一丁だ。さらには軽機関銃として扱うこともできるモデルもあり汎用性も高い。

先人の歴史を大いに活用すればこのように完成度が高いことができる、て訳だ。

前にも言った気がするが気のせいかな......」

 

ナガン

「人間は忘れっぽいのう。わしの記憶では......あれ、どうじゃったかな......」

 

97式

「あはは、おばあちゃんは忘れっぽいなあ! お姉ちゃんもそう思わない?」

 

95式

「き ゅ う な な し き ?」

 

97式

「物忘れなんてよくあることだから気にしなくてもいいと思うよ!」

 

ガンスミス

「......というわけで、今日のゲストは95式97式姉妹でした。

そろそろ初回放送から1周年、そこで特別放送を予定しているぞ!

そこでは皆様から送られたお便りを読み上げるつもりだ。宛先はS09地区B基地、ドルフロラジオまで!」

 

ナガン

「沢山のお便りお待ちしておるぞ、それではまた次回!」



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番外編 1周年記念スペシャル放送!


この日を迎えられたこと、本当に嬉しく思います。


 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介番外編!」」

 

 

 

ガンスミス

「なんと今日で第1回放送から1周年! いやはや時が経つのは早いものです」

 

ナガン

「なんというかあっという間じゃったのう。いろいろあった分、時が経つのは早いものじゃ」

 

ガンスミス

「他所の基地にも呼ばれたこともあったねぇ」

 

ナガン

「鉄血に拉致される、なんて非常事態もあったがの」

 

ガンスミス

「そ、そんなことあったっけなー?

 

それはさておき。

自分たちがこのラジオを1年間続けられたのもリスナーの皆様のお陰です。

ありがとうございました。

 

そしてこれからもよろしくお願いします」

 

ナガン

「放送ペースが不定期ではあるが、末永くお付き合いしてくれるとこちらとしてもうれしい限りじゃ」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「とまあ真面目な挨拶を済ませたところで」

 

ナガン

「チキチキ!」

 

ガンスミス

「折角だし知りたいこと聞いちゃおうのコーナー!」

 

ナガン

「この基地に届いた質問に全部返信して行く。せっかくの1周年、パーッとやらねばな!」

 

ガンスミス

「ではトップバッター。

 

RN(ラジオネーム)『7の片割れ』さんから。

 

『銃のリンク切ってないと整備したら大変な事になるよね。

ナガンは整備は自分でするの?それとも相方のガンスミスさんにやってもらってるー?

私は最近は夫に大事な部分だけしてもらってるの

 

あ、そうそうD08地区にあたらしいカフェが出来たそうだよー、良かったら来てねー』」

 

ナガン

「ふむ、メンテナンスの話か」

 

ガンスミス

「1発目から専門的なご質問。そうだね、これはナガンに答えてもらおうかな」

 

ナガン

「わしは日々のメンテナンスは自分で全て行なっておる。月に一度の大がかりなメンテナスも同様じゃ。

だが、大事な作戦の前はや違和感を感じた時には必ずこやつに整備を依頼することにしている。何かあってからでは遅いからの」

 

ガンスミス

「ところで銃のリンクがどうのこうの、って質問もあるけど実際どうなるの?」

 

ナガン

「わしはやったことないからのう......聞くところによると、なにやら身体中を弄られる感覚、に近しいらしい」

 

ガンスミス

「うへ、気持ち悪そ」

 

ナガン

「全身の感覚が銃に直結するということじゃろう? 手探りで探るよりは効率的に整備できそうじゃがな」

 

ガンスミス

「それどころじゃないと思うな。

 

さて次。

RN 『とあるガンマニア』さんから。

 

『毎回楽しみに聞いています!

 

さっそく質問なのですがガンスミスさんの好きなハンドガンベスト3はなんでしょうか?

 

因みに自分は1位ガバメント 2位グロック17 3位スーパーレッドホークです。

 

日本製の銃も徐々に増えているので実装が楽しみですね。

 

あっ、やべこれ機密じょ』

 

ガンスミス

「......我々は後半は何も聞かなかった、イイね?」

 

ナガン

「アッハイ」

 

ガンスミス

「質問は好きなハンドガンベスト3ってことだな。

 

1位はM1911ガバメント、2位はデザートイーグル、3位は......悩むがマテバ モデロ6としておこう」

 

ナガン

「理由を聞くのがわしの仕事じゃろうな。

その銃を選んだ理由を聞かせてもらえるかの?」

 

ガンスミス

「1位のガバメントについては、銃というよりその歴史に敬意を払ってだな。100年も最前線で戦い続けられた銃は歴史上コイツだけみたいなもんだろ? 設計のブローニング含め伝説だよもう。

2位のデザートイーグルは機構がなかなか面白いから好きなんだ。ハンドガンにアサルトライフルで使うような作動メカニズム詰め込んだって言えば、面白さが伝わるだろ?

3位のマテバ モデロ6については変態だから好き。リボルバーのくせにスライド付きでパーツ多いから壊れにくさの利点消えてるってんだからもう笑いしか出て来ねえよ、ハッハ」

 

ナガン

「すまぬさっぱり理解できん。

ところでこのお手紙続きがあるんじゃ、読み上げるぞ」

 

『P.S あとP38二回ほどリクエストしてますがやるのはまだ先でしょうか?』

 

ガンスミス

「ごめんすっかり忘れてた。次、は原稿書いてるから無理だけどその次に紹介するから。ガンスミスうそつかない。

 

 

次のお便りはRN 『ナマモノと機械の崩壊液あえ』。

物騒なRNだなオイ。

 

『ガンスミスさんが気に入っている銃ってある?あるならそれぞれの銃種でオナシャス!!

 

あと今の日本の住み心地って実際快適なんすかね?』」

 

ナガン

「まずは好きな銃について答えてもらうとするかの?」

 

ガンスミス

「拳銃についてはもちろんさっき言ったM1911。

サブマシンガンはMP5かなー、メンテしてて楽しい。

ライフルはM1ガーランドとさせてくれ。

マシンガンはあんまり詳しくないから保留。

ショットガンはAA-12かな。愛着あるし」

 

ナガン

「ほう、貴様も詳しくない分野があるとはな」

 

ガンスミス

「機構複雑な変態銃があったと思うんだけど名前が思い出せなくて。あとマシンガンて機構簡単だからつまんないんだよね。

ところでM134ってカウントして大丈夫?」

 

ナガン

「多分大丈夫じゃろ」

 

ガンスミス

「じゃあマシンガンはM134てことで。

次は日本の住み心地だっけ?

 

春は行かなくていいよ。花粉症に辛いし。

夏は行かなくていいよ。暑いし。

冬も行かなくていいよ。クソ寒いし雪降るし。

 

秋は肌寒いけどいちばん過ごしやすいよ。ELIDわんさかいるけど」

 

ナガン

「もっと前向きな意見はないのか?」

 

ガンスミス

「無い!

 

 

では次のお便り。

紙じゃなくて音声データできたので流しますね。

 

RN『オープンボルト教団教主代理』さんから。

 

『マシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンガンマシンgごっふぁ!!!?』

 

ナガン

「なにこれ」

 

ガンスミス

「......さあ? と、なんか続きがあるみたいだな」

 

 

RN『オープンボルト教団教主代理の上司』

 

『見ての通りそろそろ危険域に達しているから早めに発散させておいてくれると非常に助かるわ。今は殴って黙らせているけれど』

 

 

ガンスミス

「発散て何をどうすればいいんですかね......? 希望あれば今度は紙でメッセージ送ってくれれば対応します」

 

ナガン

「マシンガンの紹介でもすれば良いのでは無いか?」

 

ガンスミス

「なるほど、リクエスト確認しときます。あと暴力は良くないと思いますよ?

 

では次のお便り。

 

RN『G3は私の嫁』さん。絶対あの人じゃんか。

 

『如何お過ごしかな?このラジオをキッカケに解説の真似事を始めて早半年以上が経ち、非常に多くの経験と繋がりを得た。ガンスミスがいなければこれらも無かっただろう。非常に感謝しいる。ガンスミスとナガン、他指揮官らに幸あらんことを。

 

追伸 またコラボしたいなとか思ったり』

 

ナガン

「動画解説のところからの祝辞じゃな」

 

ガンスミス

「こうストレートにぶつけられると覚悟が......ちょっと涙出てきた。またコラボしましょうねー!」

 

 

 

ガンスミス

「仕切り直して次のお便り。

RN『イチイバル』さんから。

 

 

『お、なんだこれ、ここに質問書けばいいのか? なぁなぁアンタ銃火器に詳しいんだろ?アタシいつもはM134使ってんだがもっとこう、弾幕が張れる高火力な武器ってねぇか!?あ、人間が扱える扱えないとかは気にしなくていいぜ!よろしくな!

 

……あ、えっと、少し前にこの地区で大規模な戦闘起こして、騒がしくしてすまねぇ』

 

ナガン

「少し要領が掴みかねるのう......察するに結構前に緊急出動が掛かった時の犯人かの?

なに別に気にすることもあるまい。戦場ではよくあること、生き残っておれば万事問題ない!」

 

ガンスミス

「ベテランの言うことは違うねぇ。ま、生き残ってるからこそ後悔したり反省できるってわけ、そいつを胸に刻むと人生生きやすくなるぞ。

 

では質問に答えていこう。

その質問の答えになりそうなものは20mmバルカン砲くらいしかないけどさ、いつぞや整備したことあるけどあんな代物撃てる人形そうそう居て欲しくないんだけど君もジャンキーなのかい?

もっとこう、効率的な思考回路を持とうよ」

 

ナガン

「トリガーハッピーはどこにでもいるものじゃな。

では次の質問に参るとするかの」

 

 

ガンスミス

「RN 『なんで知名度皆無なのか分からないロマン』さんからのお便り。

 

『ワンマガジンが48発のケースレス弾薬をフルオートでぶっ放せるお母さん(ソ連製の試作拳銃)は好きですか?』

 

ナガン

「そんな銃あったかのう......?」

 

ガンスミス

「あるよ。VAG-73拳銃って言う奴だな。なんつーどマイナーな銃を引っ張り出してくるもんだよ。

説明するとケースレス弾薬みたいなものを使う銃で、2マガジン48発も入るのは魅力的だった。

ただまあコストは高い上故障にめっきり弱くてなぁ......」

 

ナガン

「ダメだった、とな?」

 

ガンスミス

「試み自体は好きなんだけどね。

 

では次のお便り。

 

RN『ドイツのミヨちゃん』さんから。

 

『いつも楽しみに聞いています。ガンスミスさんの知識にはいつも驚かされてばかりで、勉強させていただいてます。

実は最近、私の仕事場で重装甲なミュータントが出てきて困っています。

同僚や指揮官達はあれやこれやと頑張っているのですが、私はなかなかうまくいきません。

いつも徹甲弾も使っているのですが、効かない相手には面白いくらい弾かれてしまうのです。

機関銃として扱える範囲で弾をいじっても限度があるし、使う量が多くて補充も間に合いません。

効く距離で戦おうとも考えましたが、それもなかなかうまくいかないのです。

使っているのはMG34、こちらで手に入る良い銃弾や部品、カスタムとかはないでしょうか?

 

追伸

知り合いに武器の整備で困ってる人がいるんですけど、専用カスタム品とかもOKなんでしょうか?』

 

ナガン

「なかなかに厳しい職場に身を置いておるらしいの。このラジオが心の支えになっているなら幸いじゃ。

そしてMG34の強化案が質問じゃな、何かあるか?」

 

ガンスミス

「銃身伸ばすしか思いつかないから伸ばして」

 

ナガン

「…...おぬしこう、もっと、ないのか?」

 

ガンスミス

「MG34って完成度高すぎてもう手加えるところないというかなんといいますか。

死ぬまで撃てばいいんじゃないかな!?」

 

ナガン

「やはり裏方は現場のことを考えられんか。

わしの考えではどうにかして柔らかい弱点を突くしかあるまい。

こんな時生きてくるのは訓練で培った基礎基本じゃ。困ったのならば、いま一度最初に立ち返ることを進める」

 

ガンスミス

「そんで専用カスタムの依頼だっけ? オッケー、その部お金は取るからそこは勘弁」

 

ナガン

「お主G&K社は副業禁止じゃぞ」

 

ガンスミス

「銃の整備だから本業でしょ。

 

では次のお便り。

 

RN『前線基地で人形やってる指揮官』。おおう、指揮官様から来るとは。

 

『えっと...これでいいのか?

 

銃のメンテで腕が立つ人って聞いてメールを送らせてもらった。

はっきり言って機会があったらメンテナンスなどに関することや、また直接メンテナンスを頼みたい。

 

だが、扱っている銃のカスタムがおそらくどの基地にもない特殊なプロトタイプカスタムが多く、

かなり特殊な改造を施さているが、それでも大丈夫ならば依頼をお願いしたい。

 

それと、もしそれで依頼を受けてくれたらその時に周囲の基地のことや依頼を受けたことのある基地のこと、など色々と教えてもらいたい。いかんせん前線基地を見ているおかげかそういう情報が社内報以外で見かけることがなかったので直接聞いてみたい。

 

あと、基地の全員が人形だから、メンテナンスの方法などのデータを持ってきてくれるととても助かる』

 

ちょっと行ってくるわ」

 

ナガン

「お主早まるな生放送中じゃぞ!」

 

ガンスミス

「少数試作品に特殊改造! なにそれご褒美じゃん行く行く今すぐ行きますよ!」

 

ナガン

「全くお主と言う奴は落ち着け! こら、走るでない!」

 

 

◇◇◇

 

 

WA2000

「ここでCMよ。いい気分転換になるでしょう?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「ガンスミスさんが落ち着くまでの尺稼ぎですけどね」

 

 

 

 

 

舞台は北米アラスカ。

核に汚染されなかった原初の自然が残る聖域。

 

そこで繰り広げられたひと夏の物語。

 

 

「私はスペシャリストの筈なのに!」

 

戦場のスペシャリスト/Negev

 

「世の中適材適所って言葉があるんですがそれは」

 

輸送班の若きパイロット/Saber 1

 

「失敗は次の成功につながる糧だ、若人」

 

謎多き鉄血人形/Scout experiment(試製スカウト)

 

 

3人が辿り着く目的地は天国か地獄か。

 

『Seven Nignt Survivors』

 

現在執筆中......

 

 

◇◇◇

 

 

ガンスミス

「先ほどは取り乱してしまい大変申し訳ありませんでした」

 

ナガン

「全くお主は見境のない......良い、次は気をつけい。

ではお便りに参るとするかの。

 

RN『守護者の隊長』より。

 

『いつも楽しく聞いてるよ。

早速で悪いが、対物ライフルにサプレッサーは意味があるのか?

無いよりはマシなのだろうが、そちらの意見を聞かせて欲しい。』」

 

ガンスミス

「にゃるほど対物ライフルにサプレッサーの必要性を説くときますか。長い話になるかも」

 

ナガン

「では一言で説明せい」

 

ガンスミス

「コスパ悪いからやめときな」

 

ナガン

「その心は」

 

ガンスミス

「サプレッサーってのは発射ガスを分散させることで音を抑える消耗品なのよ。

そんでもって強力な弾丸を発射する対物ライフル専用のサプレッサー? 開発コストとかいくら掛かることやら。費用対効果釣り合わないと思うよ

それに対物ともなれば音より早いんだし、撃ったらちゃっちゃと逃げればいいと思うんだけど」

 

ナガン

「確かにライフルでつけているものは見ないのう」

 

ガンスミス

「ARの5.56mmも個人的にはギリギリアウトだと思ってる。拳銃弾みたいに初速遅めの弾丸じゃないと消音器の効果は薄いんじゃないかな」

 

ナガン

「そも対物ライフルで隠密することが間違っておるということじゃな?」

 

ガンスミス

「裏方から言わせてもらうとね。

 

 

では次のお便り行ってみましょー。

 

RN『青一点』さんからのお便り。

 

『ラジオいつも聞いているよ

俺は戦術人形だけど、半身のM16A4に銃剣だけを装着するのっておかしいでしょうか?

同僚の戦術人形達や猫耳おばさんは俺にいろいろすすめるのですが、所謂オプションを付けると使い勝手はそんなに変わる物のでしょうか?

 

個人的には、通常の金属照準器でも十分使いやすいのと銃剣突撃が得意なので、下手に取りつけると扱いずらくなると思うんです。

 

 

PS

いつか整備の依頼を頼んでもいいでしょうか?』

いつかと言わず今すぐにでも」

 

ナガン

「仕事が詰まっても知らぬぞ。

それで、アイアンサイトのみで射撃を行うことに違和感を感じておるとのことじゃな」

ガンスミス

「んー、本人がそれならそれでいいんじゃないかな? 銃剣突撃となるとオプションパーツ壊れやすくなるし、ベストとは言わないけどベターだと思うよ」

 

ナガン

「ベストは?」

 

ガンスミス

「銃剣を使うことをやめなさい。

 

 

では......これで最後。

 

RN『投げ槍傭兵』さんから。

 

『紅茶を片手にダイナゲートと猫を膝に、よくこのラジオを聞いています。

ガンスミスさんとナガンさんの銃器解説は、学の浅い私にとってはとても良い勉強になり、助かるばかりです。

うちのPMCの同僚であるガンスミス達にも聞かせてやりたいばかりです。彼ら、知識はあるんですがそれを話したがらなくて……ガンスミスさんの姿勢を習って欲しいものです。

あぁそうだ、もし良ければいつの日かSCAR-HやらACRの解説も頼めないものでしょうか。この二挺は私が仕事でよく使う愛銃でして、是非ともお願いします。

 

変態PMCから愛を込めて。

 

 

P.S

機会があればそちらへ伺いたい限りでございます。

仕事上、どうしても銃器がおかしくなることが多いものですから』。

ストレートに褒められるとやっぱ照れるなぁ」

 

ナガン

「紅茶と猫を片手にか。実に優雅なティータイムを過ごしておるようじゃのう」

 

ガンスミス

「俺のラジオが紅茶のお供になるとは思いませんがねぇ......それでリクエストですか。

正直な話、40件くらいリクエストが溜まってたようなないような気がしてるので難しいです。

リクエストはなるべく前の方に纏めるとは思いますが、紹介は後回しになるかもしれないです」

 

ナガン

「まずP38の原稿を書き上げるんじゃぞ?」

 

ガンスミス

「わかってらい」

 

 

 

 

ガンスミス

「......と、いうわけで今日の放送の終わりの時がづいてまいりました。

改まって言いますと、自分が仕事の傍この楽しい趣味を続けられたのは付き合ってくれた相棒のナガン、代理を引き受けてくれたWA2000、ウェルロッドMk.Ⅱ。そしてゲストを引き受けてくださった戦術人形のみんな。そして放送を許可してくれ、続けることも許可してくれたたウチの指揮官。沢山の人々の協力のもとこの番組は成り立っています。

もちろんリスナーの皆さんのご協力ありきのものです」

 

ナガン

「わしとしてもここまで長続きするとは思ってはおらなんだが、今ではすっかり習慣のひとつじゃ。

来年もまた、今日という日をここで迎えられることを願う」

 

 

「「では、また次回!」」



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第66回 FF FNC


iOSをアップデートした結果予測変換が荒ぶったりイロイロ変更があったりして慣れないですね......


そろそろスマホ投稿からPC勢に移行すべきか?
でもサクサクどこでもかけるのがスマホの強みだからなぁ......


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想欄などにて受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「夏も終わりって感じですね、朝夜は少し肌寒く感じます。厚着のナガンとしては願ったりかなったり?」

 

ナガン

「寒いにこした事はないの。暑いと熱感知センサーが鈍くてたまらんのじゃ」

 

ガンスミス

「思ってたのと方向性が違った。ところで熱感知センサー? ってなにさ」

 

ナガン

「カメラ内蔵のサーモグラフィじゃよ。人形は熱がこもりやすいから、これだけでも位置を把握できるから重宝するのじゃ。

ただ気温40度とかやられると一面真っ赤っかでなにも見えなくなるのじゃよ......」

 

ガンスミス

「そんな時はどうするのさ」

 

ナガン

「勘で当てるんじゃよ」

 

ガンスミス

「だからアナログ人形呼ばわりされるんだよ君」

 

 

 

ガンスミス

「今日のゲストはお菓子好き......といったら大体察しがつくであろう戦術人形」

 

FF FNC

「はじめまして、みなさん。チョコ食べまもごもご」

 

ナガン

「せめて収録中はお菓子を食べるのを止めてくれるかの?」

 

FNC

「もごもご(これだけ食べてから)」

 

ナガン

「......大丈夫なのかのう今回」

 

 

 

性能諸元 FNC ☆3 AR

 

口径 5.56mm

 

使用弾薬 5.56×45mmNATO弾

 

装弾数 30発

 

採用 ベルギー軍 他

 

 

開発経緯 倒れるときも前のめり?

 

ガンスミス

「親の顔より見た5.56mm弾AR」

 

FNC

「もっと親の顔見ようよ」

 

ガンスミス

「冗談はさておき開発経緯について話していこう。この銃のベースになったのはいつぞや紹介していたベルギーFN社製のARFAL。この銃を5.56mm仕様に改装し、改良を加えたものとなる」

 

ナガン

「AR-15の登場による5.56mm弾ブームの始まりじゃな。おかげでFALをはじめとした7.62mm弾小銃の需要がめっきりと冷え込んだ訳じゃ」

 

FNC

「それを考えたFN社がFALをそっくり小型化したCALを開発、その不具合を修正したのがこの私FNCなんだっ」

 

 

FNCってどんな銃?

 

ガンスミス

「作動方式はFALと異なるロングストロークピストン方式となる。この理由は小口径化に伴うガス圧の低下を見越して確実に作動する方式を選択したためだ」

 

ナガン

「他にはセミ/フル/3点バースト切替式、ライフルグレネードに対応するガス圧調節システムも完備と至れり尽くせりじゃな」

 

FNC

「他にはM16マガジンと互換性がある専用マガジン! 命中精度もこの年代の小銃でも高性能!」

 

ガンスミス

「まー売れなかったんだけど」

 

FNC

「わたしとしては文句しか出ないよもぐもぐ」

 

ナガン

「収録中に菓子を食うでない!」

 

 

どうして売れなかったの?

 

ガンスミス

「FNCが世に出る頃にはM16系列をはじめとして5.56mm小銃が多数出回っていたことがまず一点。競合品が多くちゃ当然売れない」

 

FNC

「さらにレシーバーがアルミ合金削り出しなの。

このアルミ合金の生産がそれなりの設備がいるから、ホイホイと自国生産もできるわけも無いっ! ダメっ!」

 

ガンスミス

「性能は良かっただけに、このアルミ合金製アッパーレシーバーさえ無ければ......」

 

FNC

「今更替えても需要ないでしょ。

そ、れ、よ、り、まだ話すことがあるでしょ?」

 

ナガン

「なんじゃ勿体ぶって。話すこともないじゃろう?」

 

ガンスミス

「あるんですねこれが! 普通なら売れない小銃で終わったところでしたがただでは転ばなかったFN社!」

 

FNC

「実は実は! このFNCのために平行開発されたSS109は前身の5.56mm NATO弾を置き換える新たな5.56mmNATO弾として今なお第一線で活躍を続けているのです!」

 

2人

「「イェーイ!」

 

ナガン

「この専用弾もコケていたらとんでもレベルの不良債権だったと思うのじゃが」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「一歩の出遅れが命取りになってしまった不遇アサルトライフル。しかし別の形で戦場に名を刻むことになりました。人間万事塞翁が馬、なんてことわざが似合います」

 

ナガン

「まさに倒れる時は前のめり、とな。ただで転ばぬ精神は嫌いではないぞ。

 ところで途中から妙にハイテンションだったのう」

 

FNC

「盛り上げて行こうっていう私の粋な計らいだよん」

 

ナガン

「そうか。では、また次回にお会いしたいものじゃな」

 

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ナガン

「......募集は終わっておるというのにおっちょこちょいなやつめ」

 

『RN : ガトリング砲は最高で究極

 

遅れてすまん!まだ間に合うか分からんが大丈夫かな?

 

この前はありがとな。私の相棒の修理をしてくれて!

オープンボルト教団って宗教に興味あるんだがどこで入信できるか知ってるか?

 

PS・プファイア・ツェスカって拳銃を使ってるんだが撃つ時にコツってあるのか?一応立って撃てんだが』

 

ナガン

「......と、これかの。表記揺れで探しにくかったが『Pfeifer Zeliska』の事じゃろう。口径15mmの象撃ち用のライフル弾を使用する馬鹿げた大型拳銃のような何かじゃな。

 

撃ち方のコツを知りたいとな? そもそも貴様のような特別製でなくては構えるのも覚束ぬ代物というのを自覚せんか!

あとオープンボルト教団とかそんな怪しい宗教に首を突っ込むでない! 宗教は毒だとマルクスが述べておったろうに!

 

全く......貴様は他人の立場に立つことを学べ。話はそれからじゃこの弾幕バカめ」




割と教官らしく忠告を飛ばすナガンちゃんで〆とさせていただきます。


そろそろネゲヴと鉄血兵とパイロット遭難させる予告編を真面目に本編にしなければ......


IDWのスキンを気合でげっとしました。人生初ガチャ課金です(確定除く)。


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第67回 P38(P基地所属)


腹痛だったり学祭準備だったりドルフロTRPGのこととか考えてて投稿遅れました。

かわりにナガンちゃんがなんでもするので許してください

ちなみに性懲りもなくコラボしてたんですけどどうしてこんなに投稿が遅いんですか?
焔薙様 作「それいけポンコツ指揮官(以下略)」よりP基地所属のP38がゲストです。
どんな子かって? アイドルだよ? ア、イ、ド、ル。


 

 

 

「そうだ収録予定立てとかないと。P38ちゃん借りられる日ある?」

「借りられるって......昨日から基地間交流で08基地に出向中ですよ。1ヶ月ほど」

「まじ?」

「予定はしっかり把握しといてくださいよ」

 

これは困った。このリクエストは催促されるくらい先送りしてきたんだから早いとこ放送したいんだけど。

 

「......出先から放送を、台本はデータで投げるとして設備が」

「P38なら目の前にいると思いますけど?」

 

 顔をあげれば先ほどマニュアルを手渡したお隣さん家(09P基地)の自称弟子、ことP38の姿、P38の姿?! 居るじゃん、ゲスト。

 

「......ユノちゃん、P38借りても良い?」

「? このあと予定はないから大丈夫ですよ?」

「師匠、呼びました?」

「実はかくかくしかじかという訳で頼める?」

「師匠の頼みとあらば!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「この番組は銃についてあんまり詳しくないであろう皆様向けに銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い、そこは大目に見てほしい。間違いがあれば随時感想欄などにて受け付けておる、有ればどしどし指摘して欲しい」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ナガン

「というわけで代役宜しく頼むのじゃ。わしはこれから夜戦教練のお仕事があるでの」

 

WA2000

「ちょっと急すぎない? ねえ!」

 

ガンスミス

「今日は色々と不測の事態が重なってるんだから頼むよー、時間外手当つけるからさー」

 

WA2000

「予定の管理をしっかりしないとって散々言ってきたわよね私!」

 

ガンスミス

「うーん耳が痛い」

 

WA2000

「じゃあやんなさいよ!」

 

 

 

 

 

WA2000

「今日はリクエストから『P38』を紹介するわ。そしてゲストはもちろんP38なのだけれど」

 

ガンスミス

「今回は特別ゲストです、それでは自己紹介どうぞ」

 

P38

「S09P基地所属、兼アイドル『スリーピース』リーダー、P38だよ! みんなー、今日はよろしくねー!」

 

ガンスミス

「ちなみに俺の整備士としての弟子一号でね、なかなかに筋がいいんだよ」

 

WA2000

「そんなに言わせるなんて、凄いのね」

 

P38

「いやいや、師匠の足元には到底届きませんよ」

 

WA2000

「このクラスの整備士がひょいひょい出てきたら少しは楽になるわね」

 

ガンスミス

「じゃ、性能諸元参りましょうか」

 

WA2000

「もしバックナンバーが手元にあれば第35回P08、第43回PPKの資料を手元に置いておくべきね。関連が深い銃だから資料があればより楽しめるわ」

 

 

性能諸元 P38 ☆2 HG

 

口径 9mm

 

使用弾薬 9×19mmパラベラム弾

 

装弾数 8発

 

採用 ナチス・ドイツ軍 他

 

 

開発経緯 華麗な盗賊の用心棒

 

ガンスミス

「この銃の生まれは1930年代、WW1の敗戦から立ち直っていたドイツ軍が新しい軍用拳銃を欲したところから始まった」

 

WA2000

「P08はパーツ数が多いから脆弱、しかし軍用拳銃では剛性が求められるわ。これはM1911が証明したことでもあるわね」

 

P38

「だからこそ、もっと頑丈な銃が求められたわけですね」

 

ガンスミス

「そうだ。そこで開発に乗り出したのがPP(PPKの前身)を29年に発表していたワルサー社。

 最初の試作品はPPをそのまま9×19mmパラベラム弾に対応させたMP (Millitärische-Pistole) を試作したんだが」

 

WA2000

「特に資料が残ってない、ということはそういう事よね」

 

P38

「PPは9mm口径モデルもありますが、発射薬が少ない9mmショートを使用しています。

それと比べれば9パラはなかなか発射薬の圧力も大きいですし、設計的に大型化しただけでは耐えきれなかったんです。ですよね師匠」

 

ガンスミス

「というわけでPPの設計を大幅に変更し、軍部の要望に合わせて細部を改装。

 そして1938年に正式採用となったのが、今回紹介するP38という訳だ」

 

 

M1911が証明......構造が単純かつ後発がなかなか登場しなかったため後続が80年ほど出なかった。

やり過ぎだと思うなの!

 

 

P38ってどんな銃?

 

P38

「最大の特徴はダブルアクション......要は引き金を引くだけで弾が出る機構を搭載してることですね」

 

WA2000

「そんな事が特徴なの? 普通ついてるもんでしょ」

 

ガンスミス

「現代でこそ一般化してるけど当時はそうでもないんだな。

解説するとダブルアクション機構自体は実用化されていたが、それを搭載した()()()()は無かったんだな」

 

P38

「構造が複雑になりますからね。まだ単純なリボルバーに仕込むことが当時の技術力の限界だったというわけです」

 

ガンスミス

「それを可能としたのがこの銃のモデルとなったワルサーPP。軍用拳銃としてはP38が恐らく初めてなんですよ」

 

WA2000

「なるほど......つまりなかなか画期的な銃だったわけね」

 

ガンスミス

「他にもあるぞ。作動機構はワルサー社独自のショートリコイル方式で精度が高いんだけど」

 

WA2000

「だけど?」

 

ガンスミス

「図解が欲しくなるから話すとなるとチト説明は難しい。

他所の動画解説してるトコに期待だな。最近忙しいらしいけど」

 

P38

「なんと言えばいいんでしょうね......M1911系列は銃身を斜めにする事でロックを解除し、P38はそれを別パーツ化する事で銃身が水平にしか移動しない、で良いのでしょうか師匠」

 

ガンスミス

「こればかりはラジオの限界だな」

 

 

動画解説してるトコ......某女性指揮官とG3がのんびりゆったりしてる基地のこと。

 

 

 

有名なP38、その理由は?

 

ガンスミス

「銃の完成度や美しさは勿論のことナチスの使っていた銃として有名なこの銃なんだが、巷の知名度が高いのには理由がある」

 

P38

「かの有名な怪盗の孫にして世界を股にかける大泥棒! 

女好きの3枚目、変装の達人、神出鬼没、とまぁここまで言えばジャパンのアニメが好きなみなさんならお分かりですよね」

 

ガンスミス

「そう、『ルパン三世』ですよ」

 

WA2000

「知らないわね」

 

ガンスミス

「デスヨネー。それは置いといて何故P38が有名になったかと言いますと、ルパン三世が持っている拳銃がP38だったから、これ一言に尽きます」

 

P38

「攻撃をひらりひらりと躱しつつ懐から取り出したP38で一撃、しかも百発百中と来ましたら私としては憧れてしまいますね。しかもあの女たらしぶり、アイドルとして尊敬しマス!」

 

ガンスミス

「......君本当にアイドル?」

 

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「戦後でも改良型が出ていたりと根強いファンが絶えないこの銃。人気の裏側にはもしかしたらこういった運も絡んでるのかもしれないという話でした」

 

P38

「運も実力のうち、と言いますよ!」

 

WA2000

「不確定要素に命までは預けるのは理解しかねるわね。

というわけで今回の放送はーー」

 

ガンスミス

「待った待った! 告知がまだ終わってない」

 

WA2000

「告知? いつもはそんなことしないじゃない」

 

ガンスミス

「今回は特別だからね。んじゃP38ちゃん、あとは自由にやってくれても良いよ」

 

P38

「ありがとうございます師匠!

では早速......あー、何にも考えてなかった、でもいいや!

ノリと勢いでなんとかなるでしょう!

 

 実はわたくしP38はこの地区で『スリーピース』というアイドルグループのリーダーを勤めています!

モットーは明るく、何でも出来、そして笑顔を届けるアイドルです! 不定期ですがライブも行っていますので、興味があればS09地区P基地「スリーピース広報係」までご連絡を! 連絡先は×××-××××-×××です!

 

私達がライブで歌ってる曲『流れ星キセキ』を聴きながらエンドロールといたしましょう!」

 

ガンスミス

「締めまでやってくれるとはつくづく優秀な弟子だねぇ。

 

というわけで、本日はここまで。

ゲストはP基地所属のP38とピンチヒッターのWA2000でした。また次回をお楽しみに!」

 

 



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第69回 Ameli


待たせたな!


 

 

 

「WA2000と」

 

「ウェルロッドMk.Ⅱの」

 

「「銃器解説コーナー!」」

 

WA2000

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説するものよ」

 

ウェルロッドmk.Ⅱ

「我々は神に非ず。過ちを犯すものが真に人間足りうるのだろう」

(間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください)

 

WA2000

「性能諸元はWikiから引用しているわ、間違いがあったら感想欄で随時受け付けてるからよろしく」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

WA2000

「久しぶりの代打ね、何話ぶりかしら?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「我らがヴァルハラへと旅立ったと思われているのではないか? 我らは勇士でなく、悪魔であることをお忘れなきよう」

 

WA2000

「物騒なことを言わない! 最近そういうのはすぐ拡散するんだから気をつけるように」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「......失念していた。認めたくないものだな、過ちというものは」

 

WA2000

「ちゃんと反省してるならいいのよ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

(普通に挨拶してるだけなのにどうしてこうなってしまうのでしょう......)

 

 

 

何話ぶりかしら......調べてみれば第53回の解説ぶり、話数にすれば25話くらい登場なかったですね。

 

すぐ拡散するんだから......SNSって怖いですよね!

 

どうしてこうなってしまうのでしょう......これも全部プログラマーってやつのせいないんだ。

 

 

 

 

 

WA2000

「というわけで今回のゲスト」

 

Ameli

「報告すればいいんですね?......わかりました。マシンガン戦術人形Ameli。規定により、今からワタシはあなたのものです。あれ、違いました?」

 

WA2000

「そう堅苦しいものじゃないわ。もっと肩の力を抜いて構わないわよ」

 

Ameli

「こう、ですか(ばちーん!)」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「はうわっ!? ボタンが飛んできたのですが!」

 

WA2000

「ウェル! あんたの衣装不良品じゃないの!?」

 

Ameli

「......私だってそう思います」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「民間衣装転用品は耐久力ないですからね......私のものは軍用改造品なので頑丈なんですけど。

 コホン、フリートークもここまでにして本題に行くべきではありませんか?」

 

WA2000

「そうね、お願いできる?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「承った。彼の者の力の真髄をここに示さん!」

 

Ameli

(急になに言い出すんだろうこの人)

 

 

Ameli ☆4 MG

 

口径 5.56mm

 

使用弾薬 5.56×45mmNATO弾

 

装弾数 30/100/200発

 

採用 マレーシア海軍特殊部隊 他

 

 

開発経緯 旧ドイツの魂を継ぐもの

 

 

WA2000

「セトメ・ライフルと言えば第36回Gr G3の基礎になった銃なのは覚えているかしら。そういえばその時も私達で解説してたわ、懐かしいわね」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「昔語は長くなりますから本題に入りましょう。

 この銃の開発はグロスフスMG42機関銃を近代用にアレンジ、再設計した軽機関銃となります」

 

Ameli

「開発は1974〜81。冷戦期の真ん中くらいです、よね」

 

WA2000

「正解よ。FN MAGの運用思想とかをベースにしているのかしら?分隊支援や軽機/重機関銃の概念が確立し始めた頃とも少し重なるわね」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「ちなみにこの銃が開発されたのはスペイン、セトメ社。

あまり有名ではありませんが、現代まで採用が続く銃でもあったりします」

 

WA2000

「どんな銃についてかはこれから話していきましょう」

 

 

 

 

Ameli ってどんな銃?

 

WA2000

「まず名前の由来から話していこうかしら。お願い」

 

Ameli

「了承。Ameliとは略称のことで、正式名はAmetralladora ligera、スペイン語で軽機関銃を意味します」

 

WA2000

「ありがとう。軍ではMG82の名前で採用されているわ、これは1982年に採用された事に由来するものよ。似たような名前が多すぎて困惑するわね......」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「よくある事ですからね。艦船などであれば気の利いた名前あるんですけど、大量生産品の銃に求めるのは酷ですか」

 

Ameli

「お二人はそのような名前では無いと思いますが......」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「役職柄そう思うのですよ。さて、話すことはまだまだありますよ」

 

WA2000

「次は作動機構についてね。これはセトメ・ライフル、ひいてはGr G3と共通するローラー遅延式になるわ。詳しくは第36回バックナンバーを参照してー」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「解説する義務があるとは思うのですが、私たちも任務がありますので。

 バックナンバーを文字起こししたものが09B地区ホームページにリンクがあるのでそちらであれば楽です」

 

Ameli

「そんなのありましたっけ......?」

 

WA2000

「後任のほうの指揮官が最近作ったの。まだまだ認知度が低いのと罵倒ばっかり送られてくるらしいけど、宣伝はしろって言われたからね。

 

と、脱線したわね。話を戻すわ。

 

 この銃は100/200発ベルトリンクを仕込んだボックスマガジンが主流だけど、アタッチメントを咬ませればM16系列のマガジンも使用可能なの」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「ひとつ思ったこと言っても良いですか?」

 

WA2000

「いいけど、なに?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「これMinimiでよくないですか」

 

Ameli

「命中精度はこちらのほうが上ですっ!」

 

 

 

まとめ

 

WA2000

「5.56mmNATO弾を使用する銃の一角であり、珍しいスペイン生まれ。性能としては一流とはいえないものの、受け継がれたノウハウの感じられる銃に仕上がっているわ。

 

 こう言った戦場ではあまり光を浴びないようなマイナー銃を紹介してゆくのもこのラジオの楽しみかもしれないわね。

Ameliはどうだったかしら?」

 

Ameli

「指揮官の命令でしたけど......その」

 

WA2000

「その?」

 

Ameli

「楽しかった、と、思います」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「それは良かったわね。あんた無愛想だから心配してたのよ、愛想が悪いとウチの基地の評判に傷がつくわ」

 

Ameli

「き、気をつけます......」

 

WA2000

「......それと、服装に問題があると思ったら補給班に頼りなさい。あそこには物好きがたくさんいるから相談には乗ってくれるわよ。

 

というわけで今日はここまで、また次回」

 

Ameli

「ま、また次回......」

 

 

 

 

あとがたり

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「......相変わらず素直じゃ無いですね、WA」

 

WA2000

「何よ?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「次は任せてほしいと言って新兵の彼女を指名でしょう? 

目的は会話に慣れさせる事ですか。周りくどいとは思わないんです?」

 

WA2000

「別に、自分の不利益になるようなことを潰しただけよ。

 

それよりも今回の台本の不備を洗い出すほうが先決。私ばっかり喋ってるし、メキシコの麻薬戦争の件も盛り込めてないし赤点以下」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「......付き合いましょう、私も喋り足りないですし」

 

 





最近TRPGが楽しくて仕方ないです。だから更新遅れても許して。


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第70回 SPP-1

リクエスト順次消化中


ドルフロをtrpgに落とし込む作業をしててすっかり遅くなってしまいました......




 

 

 

 

 

 

 

「ガンスミスの銃器紹介、始まります」

 

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です。

 

偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てください。間違いがあれば随時感想などにて受け付けています。

大人は嘘つきではありません、間違いを犯すだけなのです。

 

 

性能諸元は主にWiki◯ediaを参考にしています。

 

 

それでは、スタート。

 

 

ちなみに今日はナガンはお休みだよ。それどころじゃないからね」

 

 

 

 

???

「こんな緊急時に収録なんて正気だと思えない」

 

ガンスミス

「だって避難もできないしラボに引きこもってんのも暇だし、だったらやるしかないでしょ? 君だって基地防衛じゃ出番ないじゃないか」

 

???

「あたしの専任は潜入任務だから。向いてない作戦はもう懲り懲りだよ」

 

 

向いてない作戦は〜......彼女の初出『キューブ作戦』より。川があったとはいえ普通の小隊と同時に作戦行動を行うのは無茶があるのでは?

 

 

 

 

ガンスミス

「もう登場してますけど、今回のゲストはこちら」

 

SPP-1

「水中作戦専用SPP-1水中拳銃、地上でも使えるけど、水中こそあたしの見せ場だよ」

 

ガンスミス

「はいというわけで今回のゲストはSPP-1。本当はもう少し後の予定だったんだけど、今回は止むに止まれぬ事情がありまして」

 

SPP-1

「だからといって基地襲撃中に収録はおかしいと思う」

 

ガンスミス

「短期決戦じゃ俺の出番ないし。お互い外されもの同士仲良くしようぜい?

 

というわけで性能諸元にレッツゴー」

 

 

SPP-1 ☆4 HG

 

口径 4.5mm

 

使用弾薬 4.5×40mmR/115mmダート

 

装弾数 4発

 

採用 ソビエト連邦 他

 

 

開発経緯 サブマリン・アサシン

 

ガンスミス

「この銃の開発1960年代は冷戦の頃、といっても詳しくはわかっていない。秘密兵器として開発された事情もあり、データがないんだわ」

 

SPP-1

「特殊部隊スペツナズが使用するために開発された、って話でしたっけ?」

 

ガンスミス

「その通り。もう一つの小銃型水中銃APSとほぼ同時期に開発、運用されたらしい。

 とはいえ水中銃なんてニッチなもの作ってたのはソ連くらいなもんだけど」

 

SPP-1

「私が言うのも不合理なんですけど、普通の銃使った方がいいんじゃないですか?」

 

 

基地襲撃中......収録中09B基地はどこからか湧いた鉄血の大群に対応中です。マジで何やってんだこいつら。

 

APS......ほぼ同時期に開発されたAR型水中銃。

 

 

SPP-1ってどんな銃?

 

ガンスミス

「水中銃という特殊なジャンルである以上、普通の銃とは大きく異なる。そこんところしっかりと掘り下げていきまっしょい!」

 

SPP-1

「本調子になって来たね。いつも聞いてた通り」

 

ガンスミス

「なんかしんみりしてるのは性に合わない! 楽しくやんなきゃつまんないね!

 

それはさておき、銃と水のお話だ。

銃が火薬を使って作動するのはご存知の通り。では水中では射撃することは可能でしょうか?

 

 答えはイエス、出来ないことはない。

 現在の技術では薬莢の機密性は高く、水中であっても火薬を湿気らせる事はなく問題なく作動させることが出来る。

 

ですがここで問題になるのが水の存在な訳だ」

 

SPP-1

「水中を泳ぐより走る方が圧倒的に速いように、水は進む物体に大きな抵抗を与えます。

銃弾がどれほどの抵抗を受けるかという事で、実験した資料を参照しましょう」

 

ガンスミス

「使用弾薬は民間製造の減装弾5.56mm。使用された銃はSIG 556?

 実験動画を見ると実際にやってみたと言わんばかりに発案者がプールに潜り銃の数メートル前に立ち発射するんだが、弾丸は1mほど進んだところでプールの底に落ちた。

 

有効射程200m前後と言われる5.56mm弾がたった1mでエネルギーを失う。これだけで水の抵抗がどれほどかは理解してもらえたと思う」

 

SPP-1

「水の抵抗を減らすには、抵抗をなるべく減らすしかない。だからダート型の銃弾が考案されたというわけ」

 

ガンスミス

「では改めてSPP-1のスペックの方紹介していこう。

中折れ式の4連銃身を採用し、ライフリングは刻まれていない。銃弾は特殊ダート弾を使用して、4発同時にリロードすることができる。作動方式は簡単なダブルアクション式となっている」

 

SPP-1

「水中でも空気中でも問題なく動くよ。

水深20mの有効射程は11m、地上など空気中では20mくらいかな。

 

 この場合の有効射程は色々な定義があるから難しいけど、今回の定義は5mm厚のガラス製フェイスガードを貫通できる、もしくはパッドを詰めた水中用の保護スーツを安定して貫通できるか、だよ。

 どっちも人間が潜るときには分厚めの装備だね。特殊部隊ならもう少し軽いの使う方が合理的」

 

ガンスミス

「空中ではライフリングもないしモロに横風など空気抵抗の影響を受けるから命中精度はお察し。

 まさに水中で戦うことに特化した銃だね。

 

......実戦で使うところ見たことないけど」

 

 

民間製造の減装弾......軍が製造する銃弾と民間が製造する銃弾は同口径同規格であっても火薬の量が異なる場合がほとんど。

 民間人にハイパワーな銃弾持たせたら反動で体壊すし何より事件に使われたらどないせいっていう話だからね。

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「銃というよりは物理学、流体力学の結晶ともいえるべき本銃。この銃を作るために数々の試作品があったことは想像に難くないし、何よりこうして完成系があるというのは素晴らしい事だと思うよ。

 

たまにはこんな変態銃も悪くない。外道の銃も面白いので興味があったらぜひリクエストを送るか自分で調べてみてね!」

 

SPP-1

「私は水中では張り切れるけど、寒いところは苦手だからよろしく。サンゴ礁のある南国で任務がしたいな」

 

ガンスミス

「そんな任務あるかねぇ? 移動願いでも出してみれば?」

 

SPP-1

「すっごく悩んだけど却下された。指揮官が言うには『手放すには惜しいジョーカー、けど使い道には困る』だってさ。

 こう言うの貧乏性っていうんだっけ?」

 

ガンスミス

「あらゆる事態を見据えてる心配性だな。

 

というわけで今回はここまで、はー、バレずに済んでよかった。放送することにはばれてるから始末書だと思うけど気にしない!

というわけでまた次回」

 

SPP-1

「よろしくねー」

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

『わたしはみんなが戦っているときに遊んでいました』

 

SPP-1

『わたしはみんなが戦っているときにサボりました』

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「お二人はなぜ正座を......? それにあのような看板を首に下げて」

 

WA2000

「知らない方がいいんじゃない? さもないと同じ目に合うわよ」





さて年末、コラボの季節ですね???????
某所からお呼ばれもあるし一本書いてもいいんですけど、引き出しが足りなさそう。


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第71回 SV-98

最近忙しかったりモチベーションがでなかったりですっかりペースが落ちてしまいましたね。
色々とコラボもあったのに......不甲斐ない......

趣味ってこんなもんですし、これからもマイペースにやっていくつもりですがせめて週一投稿位にはペースを戻したい。


 

「元指揮官どの、ナガン見かけないんだけど訓練(おしごと)?」

「ナガン? えーと、今留守だよ」

「あらら。ちなみに何用で留守なの?」

「この前のS地区大規模襲撃のかどで本部に呼ばれてるよ、P基地がこっぴどく被害を受けたやーつ。

 指揮官(こうはいの)も呼ばれてるし、結構かかるんじゃないかなー」

「となるとしばらくあの二人に回して貰うか。ナガンいないとおもろくないわいって言うお便りも来ちゃった事だし。邪魔したね」

 

 

 

 

 

 

「WA2000と」

 

「ウェルロッドMk.Ⅱの」

 

「「銃器解説コーナー!」」

 

WA2000

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説するものよ」

 

ウェルロッドmk.Ⅱ

「我々は神に非ず。過ちを犯すものが真に人間足りうるのだろう」

(間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください)

 

WA2000

「性能諸元はWikiから引用しているわ、間違いがあったら感想欄で随時受け付けてるからよろしく」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

WA2000

「今日はやる気が出ないからよろしく、だなんてどうなのかしら」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「珍しいですけど、そんな事もあるんじゃないですか?」

 

WA2000

「好き好んでこんな事やってる奴よ、今更どうかとは思うわね。

 人間はやはり理解に苦しむわ、全然論理的(ロジカル)じゃない」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「我々が言えたことでも無いですがね」

 

 

 

WA2000

「さ、ゲストの紹介をしましょ。同じライフルのよしみ、しっかりしたげるわ」

 

SV-98

「SV-98、参戦しました。今日はよろしくお願いします」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「彼女ですか? WAが熱心に教えてる子ですね」

 

WA2000

飲んだくれ(モシン・ナガン)鬼軍曹(M14)畜生(M21)過労死馬鹿(ゲパード)自称姉狂い(Kar98k)。カルカノ姉は熱意だけは買うけどポンコツ、妹は思考が読めない天邪鬼(あまのじゃく)

 うちのライフルで1番話を聞いてくれて伸び代がある、それだけで理由になるわ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「振り返ると最前線で働いてる面子は濃いですね。戦場はマインドマップを歪めてしまう論文でも書けばいいのではないですか?

 

WA 2000

「それがなんの役に立つってのよ。ちり紙程度じゃない」

 

SV-98

「あの、昔は先輩方も真面目だったんですか?」

 

WA2000

「......一部を除けば着任してから変わらないわよ。知りたいなら元指揮官にでも聞いてみるといいわ。

 

さて、今日のゲストはライフルSV-98。

いつもの通り性能諸元から始めていくわ」

 

 

性能諸元 SV-98 ☆3 RF

 

口径 7.62mm 他

 

使用弾薬 7.62×54mmR弾/.338ラプア・マグナム弾 他

 

装弾数 10発(箱形弾倉)

 

採用 ロシア軍 他

 

 

 

開発経緯 モシン・ナガンの再来

 

WA2000

「久方振りのボルトアクションライフルの紹介になるわね。ゲパードM1以来になるかしら」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「ボルトアクションがどういったものか、その説明は今更必要ではないと思いますので割愛します。

モシン・ナガンの回に詳しい解説があったと思うのでそちらに」

 

SV-98

「第3回ですね。ガンスミスさんの滑舌の悪さには驚きました、今はあんなに流暢なのに」

 

WA2000

「さりげに毒を吐くわねアナタ......

開発されたのはソビエトが崩壊し、ロシア連邦になっていた1998年。

 ロシア軍はソビエト軍の装備を引き継いているわけだから、正式狙撃銃にはドラグノフ、ことSVD狙撃銃を配備していたわ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「SVD狙撃銃がどのようなものかと簡単に説明しますと、AK-47をベースに開発した近〜中距離向けの狙撃銃ですね。詳しくはバックナンバーをご確認願います」

 

SV-98

「SVDは現在のバトルライフル思想に基づくような設計思想のもと開発されたと先輩に教えてもらいました。

 ですので、遠距離狙撃銃と考えればSVD狙撃銃は不備が多いんです。

 

二脚(バイポッド)を装備していない。

半自動式なため精度に難がある。

構造上強力な弾薬を使用できない。

 

それを踏まえて、ボルトアクション式である私、SV-98が開発されたというわけですね」

 

WA2000

「その通りよ。では、次はSV-98の詳細についてさらに掘り下げて行くわ」

 

 

 

SV-98ってどんな銃? 

 

WA2000

「ロシア・イズマッシュ社が開発した銃ね。同社の民間向け製品をベースに改良したものになるわ」

 

SV-98

キャリングハンドルを標準装備、サプレッサー、バイポッドも装備可能。ピカティニー・レイルも装備と狙撃銃としての装備一式を完備しています」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「ところでこの、フリーフロートバレルやアンチミラージュバンド、てなんですか? 聞き慣れない名前ですが」

 

SV-98

「フリーフローティングバレルから説明します。

一言で言えば“銃身が銃床(ストック)に接していない構造”のことを指します。現在では一般的な構造になっていますね。

 銃というのは経年劣化や衝撃でパーツが歪んだり、変に衝撃が加わったりします。その歪みが微々たるものでも、長距離狙撃においては致命的です。

 そこで、ハンドガードや銃床をレシーバー側......銃本体ですね、に固定、機関部への干渉を最低限にしているといったところでしょうか」

 

WA2000

「アンチミラージュ・バンドは特殊な銃身カバーのことね、寒冷地ロシアならではの装備かしら。

具体的にはバレルの熱から生じる湯気・蜃気楼を軽減する機能を持っているわ、隠れるスナイパーにとって違和感を感じさせないことは生命線」

 

SV-98

「他にも様々なカスタムパーツを取り付け可能にしてあります。現代のニーズに合わせた銃ということですね」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「運用は警察や特殊部隊が主なものですか。ロシア軍は遠距離をあまり重視していないのですかね?」

 

WA2000

「それだけで判断するのは早計な上戦力を馬鹿正直に公開する軍隊がどこにあるのよ!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「言われてみれば確かに......?」

 

 

まとめ

 

WA2000

「ボルトアクションライフルは旧式である、そんな固定観念を打ち壊すような銃。

 昔の尖ったような部分はないけれど、どんな状況でも性能を発揮できるポテンシャルは褒められるところよ。

悪く言えば凡庸とも言われるかもしれないけれど、それは腕と実力が全てを分けるわ。

 

 だからこそ訓練を怠らないように。日々是精進よ」

 

SV-98

「了解しました先輩!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつかは話さないといけない事。だけど、ナガンちゃんが行方不明だなんて話すとガンスミスさんがどうなるか......荒れそうだなぁ......

 

まあベテランでやたらしぶといナガンの事だし、排水口からひょっこり帰って来るでしょ。1ヶ月くらい騙くらかしとけば......」

 

「......ナガン先輩が行方不明なんですか?」

「あっ、今のなし! 守秘義務! 上官命令! 指令権限でノーカウント!」

「あなたはただの民間協力者ですので何も権限がありませんが......? とりあえずガンスミスさんに知らせないと!」

 

 

 

2063/--/-- S09地区防衛戦 最終作戦報告書

 

大破 97体 メインフレームなし 65体を廃棄処分

中破 153体 メインフレーム 7体 いずれも復旧

小破、損害なしは多数のため記録せず

 

第Ⅱ、Ⅷ防衛施設大破 再建を要する

 

特記

 

本部所属S09B地区出向戦術人形 M1895

作戦時第Ⅱ小隊に帯同、同小隊の指揮を執る

 

 メインフレーム MIA(作戦行動中行方不明)

 サブフレーム  4体全てが全損 廃棄処分

 

備考 旧式モデルのため予備フレームの調達困難

   それに伴い復旧は不可能と判断

 

   よって基地名簿よりこれを抹消

   本部にこれを通達するものとする

   

   尚、再通達は不要の旨を明記する

 

S09地区B基地 指揮官 レン・ワイズマン

   代筆 戦術補佐官 アリサ・マクレーン

 

   




ちなみにナガンおばあちゃんMIAの下りは、まあコラボなのは確かですが色々考えてる段階です。

シンフォギア最近ハマったのでコラボしたいんですよね......

という訳でしばらくアンケート置いときます。べんり


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第72回 SVD





「......気乗りはしないけど、やるだけやろう。惰性で続けてる気がしないでもないけど、やれって言われてる気がするんだよな」


 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想欄などにて受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「もうすぐクリスマス! 1年前に解説したのが懐かしいばかり」

 

ナガン

「1ヶ月前の収録じゃがのう」

 

ガンスミス

「年末は忙しいししょうがないでしょ。去年? 今年?はやたら暇だったけど」

 

ナガン

「あれは元指揮官が仕事を全部引き受けたからじゃぞ」

 

ガンスミス

「まじ?」

 

ナガン

「今年は絶対にないから安心せい。そのようなこと今の指揮官がさせると思うか?」

 

ガンスミス

「......それもそうか」

 

 

 

 

 

 

 

ガンスミス

「と言うわけで今回のゲストはこちら! 妙に男心をくすぐるかっこいい名前でお馴染み」

 

SVD

「ドラグノフ狙撃銃だ。私をゲストに呼べるとはとんだラッキーマンだな」

 

ナガン

「予定をこじ開けたんじゃがの。こやつが銃器の整備不良だのなんだの使って」

 

SVD

「......オイ」

 

ガンスミス

「それでは性能諸元に参りましょう!」

 

SVD

「無視するな!」

 

 

性能諸元 SVD ☆4 SR

 

口径 7.62mm

 

使用弾薬 7.62×54mmR弾

 

装弾数 10発

 

採用 ソビエト連邦軍 ロシア軍 他

 

 

開発経緯 モシンナガンを超えろ!

 

ガンスミス

「この銃の正式名称をSnayperskaya Vintovka Dragunova、頭文字を取ってSVDとも言うし、開発者の名前を取ってドラグノフとも言う。ラジオではIoPのカタログ表記のSVDで統一するぞ」

 

ナガン

「ちなみにロシア語を訳すのであれば“ドラグノフ式セミオートマチックスナイパーライフル”となるぞ」

 

ガンスミス

「開発は1960年代。いかんせん旧式化と老朽化が進む狙撃銃、ことモシン・ナガンを更新できまいかというのがことの発端だ」

 

SVD

「他にもWW2で市街地における狙撃手の有効性が確認されたことも開発要因のひとつに挙げられるな」

 

ガンスミス

「そして3人の技師が試作品を提出。その中で優れていたSSV-58が採用され、63年にSVDとして制式採用される運びとなった」

 

 

 

SVDってどんな銃?

 

ガンスミス

「細身なスタイルが目を引くデザインだな。他にも銃床部分に開いた穴など、軽量化にもこだわり見た目通り重量は軽い。なんとたったの4.3キロ」

 

ナガン

「重めの小銃とそう変わらんが、本当に軽いのかそれは?」

 

SVD

「PSG-1は8.2kg、WA2000は約7kg。セミオートに限るが、狙撃銃としては破格の軽さなんだが?」

 

ナガン

「質問に質問で返すでない。それで、他に特徴はあるのか?」

 

ガンスミス

「そうだな、AK-47の設計をおおいにさんこうしてるところとか。機関部もなんとなく似てるし作動方式も同一。

 耐久性は言わずもがなではあるが、パーツに互換性はないのが惜しいばかりだ」

 

SVD

「よく精密射撃に難があると言われるんだが、実際そうでもないぞ私は。

 指標のMOAは1.0位だし、同条件のARより精度高いんだから」

 

ナガン

「いやARより精度の低い狙撃銃とか安心して背中預けられんのじゃが」

 

SVD

「心配しなくていい、私は優秀だからな」

 

ナガン

「そういう意味ではなくて」

 

ガンスミス

「おーい、戻っといでー。話がそれてるよ。あと君は銃身ぶつけすぎだから反省するように、SVDは銃身厚ないんだからすぐ歪むんだよ?」

 

ナガン

「注意するそばから逸れよって......わしがやればいいのじゃろう。

SVD、資料には暗視スコープの記載があるのじゃが、説明できるか?」

 

SVD

「ああできるぞ、こいつのことだな? 厳密には“対暗視装置スコープ”だけどな。

 バッテリーで照準線を光らせて暗視のようなことも出来るんだが、真価は敵の赤外線発信装置を発見するフィルタがついてることだ。現在では赤外線発信装置が小型化した分、廃れてしまったがな。

一応もってるが、普段はノーマルスコープだ」

 

ナガン

「そいつは初耳じゃな。他には何かあるか?」

 

SVD

「あるぞ。ついてないモデルもあるが、私のには銃剣ラックがデフォルトで付いていてな。

私の活躍の場を奪った不届き者を切り刻むことが出来る」

 

ガンスミス

「おまっ! カバーついてるからって刃物振り回すなよ危ないだろうが!」

 

ナガン

「自業自得じゃな......」

 

 

MOA......角度を表す単位であるが、銃の場合は集弾性能を

表す単位。

例えば1MOAならば、100m先の的にお直径2.9cmの円内に命中弾が収まる、程度の精度。

精密狙撃銃であればMOAは0.5〜1以下、セミオート狙撃銃であれば1前後が指標となる。

 一般的なARとなると1〜4程度。これは弾薬や銃身の長さなどにもよっても左右される。

 またどのような条件によってテストされたかにもよって変化するので、参考程度に留めておこう。

 

 

 

まとめ

 

 

ガンスミス

「というわけで東側では現在も生産の続く有名狙撃銃SVDの紹介でした。如何だったでしょうか。

 AKと似て非なる、掘り下げるほどに抱いていたイメージが崩れていった面白い銃でしたね。

 

 

......次回は少し長くなりそうです。では、またお会いできることを祈っています」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第73回 IDW


あけおめことよろ。新年初紹介ですどうぞ。


 

 

 

 

「WA2000と」

 

「ウェルロッドMk.Ⅱの」

 

「「銃器解説コーナー!」」

 

WA2000

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説するものよ」

 

ウェルロッドmk.Ⅱ

「我々は神に非ず。過ちを犯すものが真に人間足りうるのだろう」

(間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください)

 

WA2000

「性能諸元はWikiから引用しているわ、間違いがあったら感想欄で随時受け付けてるからよろしく」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「なんか今日嫌そうな顔してますね」

 

WA2000

「嫌な顔にもなるわよ。よりにもよって」

 

???

「うずうず、うずうず......」

 

WA2000

「こいつだもの」

 

???

「出番まだかにゃーん!?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「..................理解した」

 

 

 

WA2000

「今日のゲストがでしゃばりで待ちきれないようだし紹介してしまうわね。いいわよ喋っても」

 

IDW

「おっはよーリスナーさーん! IDWだにゃー! 今日はよろしく頼むにゃーん!」

 

WA2000

「だから嫌だったのよ......元部下でしょう? どうにかしなさいよ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「なかなかあれで繊細なんですよ。それに、見ていて飽きないしほっときましょう」

 

WA2000

「台本さえ読んでくれればそれでいいわ......」

 

IDW

「じゃあ、性能諸元ってやつにいくにゃーん!」

 

WA2000

「それ私のセリフ! 勝手に取るんじゃないわよ!」

 

 

元部下......彼女のキャラストーリーで詳細が語られています。ほら、さっさとカフェに行くんだよ!

 

 

 

性能諸元 IDW SMG ☆2

 

口径 9mm/40口径/41口径

 

使用弾薬 9×19パラベラム/10mmAUTO/.41AE弾

 

装弾数 20/32(9mm)20/28(10mm)発

 

採用 -

 

 

 

開発経緯 悲運の先駆け兵器

 

WA2000

「開発は1990年。まだ浸透していない概念だったPDW(Personal Defence Weapon)構想案のひとつとして開発されたわ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「もともとは英国ブッシュマン社で開発されたものですが、99年にはパーカーヘイル社へ売却、パーカーヘイルPWS(パーソナル・ウェポン・システム)として販売されましたね」

 

IDW

「どうして私は売られてしまったのにゃん? 別にブッシュマン社で販売した方が割がいいにゃ」

 

WA2000

「ブッシュマン社に生産、販売能力が無かったのよ。今検索しても資料が出てこない以上、小規模な会社だったんでしょう。だからこそパテント料金でかせごうとしたのでしょうね」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「ちなみにこのIDWは英国特殊部隊に売り込むことを前提とされており、多数のオプションパーツも開発されているようです。ある程度民間販売も視野に入れてはいたでしょうね」

 

IDW

「だからあんなにパーツが多かったわけだにゃ。でもー」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「でも?」

 

IDW

「二脚の戦術的活用法は見出せないにゃ」

 

WA2000

「どうしてSMGで狙撃させることを思いつくのかしら、理解できないわ......」

 

 

SMGで狙撃......その頃イタリアではリボルバーで狙撃していた。狙撃銃の展開できないような室内での使用を想定していたらしい。

うろ覚えです(正直)。イタリアかフランスの2択な気がする。

 

 

 

IDWってどんな銃?

 

WA2000

「正式名称をブッシュマンIDW。IDWはIndividual Defence Weaponの頭文字をとって、訳せば個人防衛火器となるわね」

 

IDW

「PDWとだいたい一緒だにゃー」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「使用弾薬は9パラから10mmオートと拳銃弾を使用。同時期に開発されたP90らと異なり専用弾を持ちませんね」

 

WA2000

「とはいえ最大の特徴は、ボルトを電子操作している点にあるわね」

 

IDW

「とってもハイテクなのにゃー! 発射速度は分間400〜1400発まで調節できるにゃ! 弾を高速でばら撒くのも、低速で狙いをつけやすくするも自由にゃ!」

 

WA2000

「小型な銃に付き纏う反動の問題、それに対するひとつの回答ね。

 ボルトの電子操作によってボルト後退距離が少なくても低い速度での発射速度を実現したわ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「......なにやらガンスミスさんが文句をつけそうな銃ですね。俺はアナログ人間だデジタル技術なんか使うなって」

 

WA2000

「実際のところ、売れなかった原因はそこね。

 ボルトを制御するコントロールユニットの信頼性、製造コスト、整備性。

 さらに当時のバッテリーの稼働時間も問題視されたでしょうね。この銃、バッテリーが切れればセミオートでしか撃てないぽんこつだもの」

 

IDW

「役立たずって言わないでほしいにゃ!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「作戦中に予備バッテリー忘れたとか言って切らしてたのはどこのどいつでしたっけ......?」

 

 

IDW

「ふにゃあ......」

 

WA2000

「他にも生産会社の経営不振もあって、試用段階まで進んでいたこの銃の採用計画は白紙になったわ。おかげで資料が少なくなったから随分と苦労したものよ」

 

P90ら......5.7×28mmという専用弾丸を開発されてますね。第4回に同じ銃弾を使用するFive-seveNの紹介があるのでそちらを参考に。

 

どいつ......ヨーロッパ中部に位置する国。ビールとソーセージが美味しい。

 

まとめ

 

WA2000

「挑戦的な試みをふんだんに盛り込んだPDWの先駆け的存在ね。このジャンルといえばP90やMP7を思い浮かべる人が大多数だけど、こんな銃もあるってことだけでも覚えておいてほしいわね」

 

IDW

「わったしこれでもグリフィン最強のぼでぃーがーどなのにゃん! 護衛潜入は任せて欲しいにゃん!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

遺される身にもなって欲しいものです......さて、今回はここまでですかね。

長らく更新が滞り誠に申し訳ありません。次回はなるべく速く更新するようせっついておきます。

 

それでは、良き週末を」

 

IDW

「ばいばいにゃーん!」

 

 

 

あとがたり

 

IDW

「わあい特別給料にゃーん! 隣町の雑貨屋で奮発して鰹節でも買うにゃー! ありがとうにゃーんタイチョー! にゃっはー!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「全く、貴方は変わりませんね......」

 

WA2000

「もと部下だったんでしょう? 積もる話もあるんじゃない、ついていったら?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「......あれから随分と経ちますが、いまだに自分を許せないんですよ、私は」

 

WA2000

「......そう」

 



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第74回 P7

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想欄などにて受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「......めえええええっちゃまたせました! 申し訳ないリスナーの皆さん!」

 

ナガン

「はぁ、全く律儀よのう。

今回の原因はわしが戦闘中に色々あり、修繕なんかで復帰が非常に遅れた。

 詳しくは守秘義務で言えぬが、そこのところご了承願いたい。

 戦術人形故にそういったものとは身近であるという事を知ってもらいたい。

 いつリスナー様の......お主の背後に鉄血兵が立つやもしれぬしのう」

 

ガンスミス

「不安を煽るようなこと言わない。

さてリクエストもそれなりに消化できているのかなと思ってます。

というわけで、今日から新規リクエスト受付の方、再開してゆきたいと思います。ぜひぜひお手紙でリクエスト送ってください! 資料があれば、紹介していきたいと思います!」

 

 

 

 

ガンスミス

「というわけで今日のゲストはこちらのかた」

 

P7

「待望のP7、ラジオに登場!みなさん、仲良くやりましょう!」

 

ガンスミス

「というわけで今日のゲストはハンドガンP7だ。よろしく」

 

P7

「よろしく〜ゲ、ナガンじゃない......」

 

ナガン

「今日はよろしく頼むぞ?」

 

P7

「わかってるわよ!」

 

ガンスミス

「じゃ性能諸元いきましょう」

 

 

P7 ☆4 HP

 

口径 9mm/40口径

 

使用弾薬 9mmパラベラム/.40S&W

 

装弾数 8/10/13発

 

採用 ドイツ警察

 

開発経緯 ポリス・ニューカマー

 

 

ガンスミス

「この銃の開発経緯は1970年代後半。警察の正式採用拳銃トライアルに向けてH&K社が開発、設計したものだ」

 

ナガン

「このコンペにはワルサーP38の後継機、P5も参加しておるの」

 

P7

「フフーン!すごいでしょう!」

 

ガンスミス

「まま、勝ったとかそういうのは無いんだけどな。結局州ごとに採用された銃は違うらしいし」

 

P7

「......」

 

ナガン

「初耳であったか、コヤツみごとに固まっとるが」

 

ガンスミス

「詳細説明するから起きた起きた!」

 

 

P7ってどんな銃?

 

ガンスミス

「ガス遅延式ブローバックとスクイズコックという2つの特徴が目を引くな。前者はどっかで説明した覚えがー、どれだっけ?」

 

ナガン

「そのみょうちきりんな構造はドイツじゃな。だが......どこじゃったかのう」

 

P7

「そんなの適当で良くない?」

 

ガンスミス

「もう少し思い出せそうなんだけど......巻いていこう。

 この銃最大のポイントはスクイズコック。安全装置の一環として、グリップ前部に取り付けられた握り込むレバーのことだ。

 こいつはこの銃の安全装置を兼ねていて、押し込まれている間は安全装置が外れ撃鉄が発射可能な位置になる。止めればロックがかかる。

 と少々妙ちきりんな構造を持つわけだ」

 

ナガン

「それ普通の安全装置でよくないかのう?」

 

P7

「ちっちっち、それが違うのよナガン。銃に求められるのは安全性と即応性。簡単な安全装置は外れやすく、複雑なものは解除に時間がかかる寸法。

 でもこのスクイズコックは違うの、狙いを定めて銃をしっかり構える......この動作自体が安全装置を外すってわけ

しかもスクイズコックなら暴発の可能性も少ないの。撃鉄内蔵型で引っかかりも少ない、これなら警察には持ってこい! すごいのよ!」

 

ガンスミス

「他にも先に述べた遅延式ブローバック、パーツ数は多いものの低反動と安定した精度を併せ持つ作動システムを持つこの銃。

 ジャムが少なく、低反動、よく当たる、となかなかに評判が良くギリシャ、メキシコなどではライセンス精算も行なわれている。

 が、2008年には生産を完全終了してしまった銃でもあるんだな」

 

ナガン

「つまり廃れたという事じゃろう? その理由は察しがつくがな」

 

ガンスミス

「パーツ数が多いから整備が面倒なんだ。スクイズコックに遅延ブローバック、もちろんパーツ数と値段は比例する。

 次に大口径に対応できない。

今でさえ9mmが主流とはいえ45口径は護身用として根強い人気を持つ。だが、遅延ブローバックは強力な弾薬に対応できない弱点があってだな。試作はされたが商品化されなかった、といえば伝わるだろう?」

 

P7

「装弾数の少なさも気になるところよね。ダブルカラムマガジンを使用する型もあるんだけど、グリップが太すぎて扱い辛いのよね」

 

ナガン

「思うんじゃが、これ他の銃と操作方法が違いすぎやしないかの? 

銃の握り自体も異なる、相応の訓練を必要とするじゃろうて」

 

P7

「私はそうは思わないけどね」

 

ガンスミス

「戦術人形の基本訓練はそこまでいらないからな。配備されたドイツ警察ではかなりの訓練が施されたとある、人間にとっちゃだいぶ扱いに苦労するらしい」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「安全性と即応性。これは護身銃に付き纏う永遠の課題、そこに新しい着眼点を持って挑んだ銃だ。生産終了が惜しまれるな」

 

P7

「そーよそーよ! もっと活躍できたもん!」

 

ナガン

「時の流れとは残酷じゃのう......しかして記録としてはしっかりと残っておるものじゃ。

老兵は死なず、ただ消え去るのみとはよく言う」

 

P7

「一緒くたにしないでよ!」

 

ガンスミス

「というわけでまた次回。リクエストも大体消化した気がするし、頑張ります!」

 

 

老兵は死なず......戦中〜戦後日本史ではお馴染みダグラス・マッカーサーの退任時の演説での一説。このフレーズをもじった言葉も多い。

 

あとがたり

 

ガンスミス

「そういやまえ依頼された研究所、基地に認められたらしいよ。本社から人も来て、前線基地になるんだってさ」

 

ナガン

「......あれで良かったのかのう? ぼかすところはぼかす報告書を書いたが、あの社長の前では取り繕いは意味をなさぬ」

 

ガンスミス

「さてな......って、森に怪物現る?」

 

ナガン

「あの主か? 勘違いして殺されなければいいんじゃがのう......」



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第75回 FF FN49


ブランクを感じる......


 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想欄などにて受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「はい。サボりました」

 

ナガン

「復帰直後というのにお主は......まあよい。リクエストにもどんどん答えにいくとするかの。だが架空銃の処理は苦労する、原本を探すのはこのご時世ちと難しそうじゃ」

 

ガンスミス

「最近仕事というか私生活が忙しくてねー!」

 

ナガン

「見苦しいわ!」

 

 

私生活が忙しくて......大学の新歓準備がコロナで遅れに遅れてるのでそれどころじゃない。あと別件で原稿書いたりとかホント忙しくてですね。

???「本当に申しわけない......」

 

 

 

 

ガンスミス

「今日のゲストはこちら」

 

FF FN49

「よよよ、よろしくお願いします......」

 

ナガン

「またえらく自信のなさそうなものを引っ張ってきたのう。お主もう稼働年数で言えばベテランというのに」

 

FN49

「でもぉ......こんなのはじめてでぇ......緊張がががが」

 

ガンスミス

「大丈夫なのん?」

 

ナガン

「わしもそう思う」

 

 

 

性能諸元 FF FN49 ☆2 RF

 

口径  .30/7.92/7.57/7.62mm

 

使用弾薬 .30-06弾 他

 

装弾数 10/20発(箱型弾倉)

 

採用 ベルギー軍/アルゼンチン軍 他

 

 

 

開発経緯 一歩遅れた優等生

 

ガンスミス

「この銃の正式名称はModel 1949と、名前の通り1949年に開発された自動小銃だ。

しかしこの銃の開発計画自体は1930年代まで遡る。

 この時期ボルトアクションでなく半自動式のライフル銃の設計は盛ん、とまではいかないと思うが、各国で構想段階にはあった。そのひとつだな」

 

FN49

「開発したのはベルギーFN社ですね。これはベルギーにある銃器製造会社で......」

 

ナガン

「周知の事実であろうし詳細は不要じゃろう。しなくてもよい」

 

FN-49

「そんなあ......がんばって調べたのに......」

 

ガンスミス

「その努力は買うよ。あとで原稿くれれば、いつか活用させてもらうよ」

 

FN49

「あ、ありがとうございます〜」

 

ナガン

「......では続きを話そう。この銃の試作品は38〜9年の間には完成していた。しかし、この開発は大幅に遅れることとなる。それは何故かねFN-49クン?」

 

FN49

「ひゃいっ! そうですね、調べてきました!

ドイツによるポーランド侵攻です! そのせいでボルトアクションライフルやマシンガンの生産に注力するため、開発が大幅に遅れるようになってしまいました」

 

ガンスミス

「正解。よく調べてる、いいね。

その後ナチスドイツによるオランダ、ベルギーをはじめとしたヨーロッパ諸国の侵攻によりFN社の工場は占領されてしまったわけなんだが」

 

ナガン

「開発者はイギリスに亡命。エンフィールド造兵廠の協力のもと開発は続けられたのじゃな」

 

ガンスミス

「戦中には様々な口径の試作品が何個か試作されている。

それを生かして、戦後49年にこの銃が世に出る事になるわけだ」

 

 

FN49ってどんな銃?

 

ガンスミス

「この銃は話題にはならないものの、かなり売れた。51年のベルギー軍採用を皮切りに、アルゼンチン、エジプト、ブラジル、コンゴ、と言った中東諸国に多く採用されたんだな」

 

ナガン

「命中精度に関しては優秀であったようじゃ。後々フォークランド紛争に於いてアルゼンチン軍が少数ではあるものの狙撃銃転用されている事実がそれを示しておるな」

 

FN49

「この銃はガスオペレート式......FALにも搭載された機構ですね。それを調整する事により様々な装薬圧力に対応できました。銃身交換だけで様々な弾薬に対応できるということです、ね」

 

ガンスミス

「だからこそ様々な国に採用されたってわけだ。

ちなみになんでこんなに存在感が薄いかと言いますとね」

 

FN49

「M14とかAK-47とかFALが同期では太刀打ち出来ませんよ......」

 

ガンスミス

「戦中に発表されていればもう少し有名だったんだが、いかんせん時期が悪かった。戦時中の占領による開発の遅れといい、ライバルの存在といい、ツキが無かったな」

 

FN49

「ですね......」

 

ナガン

「ま、それもまた歴史の流れよな」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「戦後世界に爪痕を残した隠れた名銃だな。ボルトアクションライフルのような美しい銃床とかは魅力的ではあるんだがな......いかんせん配備実績がなければ名は残せない......」

 

FN49

「それはこの銃の実力がないってことですよね......」

 

ナガン

「まぁ......しょげむことではあるまい。様々な銃弾を撃ち分けられるのは、G&K(ここ)にとってはありがたいしの。もっと自信を持て」

 

FN49

「そうですかね......」

 

ガンスミス

「それは君が決めることよ。

 

また次回お会いしましょう。アディオス!」

 

 

 

 

あとがたり

 

ガンスミス

「今回は資料少ないし、wikiも英語オンリーだしきつかった......」

 

ナガン

中の人の心の声が漏れておるぞ

 

 

中の人の......実際そうだったんですよね。今回は資料が少ないので物足りない。許せ......

 

 

 

 



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番外編 ベイスボール




趣味全開ですまない。


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いや補足点などあれば随時感想欄などにて受け付けているのじゃ。皆で作るラジオじゃからの」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWiki◯edeliaを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「久々すぎて機材にホコリがついてた話から」

 

ナガン

「野球の練習や大規模作戦があったからのう......」

 

ガンスミス

「いやー、昔の自分台本書いてて助かった」

 

ナガン

「真剣な顔で『俺どうやって話してたっけ......』と言い出した時には頭を抱えたのじゃ。人間は忘れっぽくていかんのう」

 

ガンスミス

「うるさいやい。

 

と、言うわけで今回はゲストはなし、銃の紹介も今回だけはお休みして別のものの解説紹介をしていこうと思います、久しぶりだからね」

 

ナガン

「で、今日紹介するものはなんじゃ?」

 

ガンスミス

「ズバリ、ベイスボール! 世界でそれなりにに有名なので聴き馴染みのあるリスナーさんも多いかと思います。知らなかったらこれを機会に是非観戦なんかに行ってみてください!

 

それでは、スタート!」

 

 

ベイスボールってなあに?

 

 

ガンスミス

「ベイスボールとは、球技、つまりは球を使うスポーツのひとつだ。

 基本的なルールはいくつか有るが、ボールを投げ、バットで打つ事で成立している。これに似たスポーツとしてクリケットやラプターなんかが有るが、その解説はまたいずれ。

 

 ベイスボールは1チーム9人で編成された2チームが攻撃と守備に分かれ、ボールを打ちダイヤモンドを一周する事で得点を取り合う。規定数アウトを取れば攻守交代、これを9回繰り返し最終的なスコアを競い合うゲームだ。

 

ベイスボールの由来はダイヤモンドに4つ設置されているプレート、通称ベースを用いることからだそうだ」

 

ナガン

「他にも球技と言われるとサッカーなどが思い浮かぶ、あとはバスケットボールなどかのう」

 

ガンスミス

「実際のところ競技人口は多くないんだな。

世界での競技人口はバスケットボールは『約4億5千万人』、サッカーは『2億5千万人』。

ベイスボールはたったの『3千5百万人』。一目瞭然なんだなこれが」

 

ナガン

「このご時世でこんなデータがあったとは驚きじゃのう」

 

ガンスミス

「これ2019年のデータらしいし細かいことは気にしないでね。

 実際のところ、ベイスボールの人気は落ち目だ。世界的な競技人口や観戦者数は右肩下がりで、他のスポーツに人気を取られている。

だからこそここで魅力を紹介して盛り上げていこうってわけ。

日本じゃやっと始まるしね

 

ナガン

「なるほどのう......」

 

 

細かい事は気にしない......そういう事で。細えこたぁいいんだよ!

 

日本じゃやっと......6/19 祝 日本プロ野球開幕!

 

 

 

ベイスボールのここが面白い!

 

ガンスミス

「個人的な意見として、野球の1番の華はバッターとピッチャーの真剣勝負だろうな。

 

 投げ込まれるストレートの威力、逆に休息を殺すチェンジアップ、バットから逃げていく変化球......ピッチャーはバッターに対決するためにさまざまなことを研究してきた。それこそ投げるフォームから投げられる球、その工夫は投手それぞれの個性になる。

 対するバッターもそれに応じて多数のバッティング理論が生み出され、打ち方もパワー重視もあればとにかく当てることに特化したも選手もいる。

 互いに鍛え上げた肉体と技術でそれに立ち向かう訳だ。

 

実際のところは圧倒的に投手が有利なんだが......とりわけエースと4番なんかの対決には心が躍る思いだよ」

 

ナガン

「ここままでは視聴者が置いてきぼりじゃぞい。基本ルールを教えねばわからん」

 

ガンスミス

「言葉じゃ伝わらないからなぁ......試合とがゲームとかでのんびり覚えていけばいいんじゃないかな?」

 

ナガン

「お主めんどくさくなったじゃろう」

 

ガンスミス

「......さて。まあ僕は何を隠そうジャパンの出身なので、せっかくだし日本プロ野球の解説をして行こうかな」

 

ナガン

「逃げるな!」

 

 

投手が有利......まあ投げるボール打つのは難しいよね。

実際のところ打率3割を超えれば優秀(NPB最高打率は.389である。化物か!?)とされるので、7割は投げてもヒット性のあたりにならない。

 

 

 

日本プロ野球についてのあれこれ

 

 

 

ガンスミス

「日本では2部リーグ制が敷かれ、それぞれ6チーム計12チームがリーグ優勝、日本一に向けて凌ぎを削っている。

それぞれがセントラル・リーグことセリーグ。パシフィック・リーグことパリーグとなるわけだ」

 

ナガン

「それは......多いのか? 少ないのか?」

 

ガンスミス

「世界最大級のアメリカのリーグことメジャーリーグだと同じく2リーグ制で、

ナショナルが15チーム、アメリカンも15チームで30。

 そこに比べたら少ないけど多い方なんじゃない?」

 

ナガン

「そこそこに人数がおるんじゃなぁ......」

 

ガンスミス

「ちなみにセ・リーグは

読売ジャイアンツ

阪神タイガース

中日ドラゴンズ

東京ヤクルトスワローズ

横浜DeNAベイスターズ

広島東洋カープ

 

パリーグは

オリックス・バファローズ

福岡ソフトバンクホークス

埼玉西武ライオンズ

北海道日本ハムファイターズ

千葉ロッテマリーンズ

東北楽天ゴールデンイーグルス

が所属してるね。

 

チームごとの特徴までは語ってらんないのでパス!」

 

ナガン

「そこまで語れば1チーム1話が必要になるやもしれぬのう、各自で調査してくれるとありがたい。今では衛星中継で見やすくなっておるからの!」

 

ガンスミス

「でだ。

日本プロ野球最大の特徴とも言って良い存在がある、応援だね」

 

ナガン

「応援? よくあることじゃろう? がんばれーとか」

 

ガンスミス

「いんやその程度じゃない。球場にブラスバンドを持ち込み観客全員が大声を揃えて応援歌を派手に歌い出すような、大掛かりな代物だよ。

 選手ひとりひとりに曲を作って流して、チャンスになれば別の曲を5本6本も流して、ヒットを打った時もテーマソングを流して喜んで......しかも毎年ちょくちょく変わったりするからね。

メジャーリーグではヒットやホームランが出た時に騒ぎはするけど基本的には静かだから、ここまで騒がしいのは日本だけだよ」

 

ナガン

「ブラスバンドまで持ち込むのじゃ?!」

 

ガンスミス

「日本高校野球だと100人単位で吹奏楽部が演奏したりもするよ」

 

ナガン

「......それ審判のコールが聞こえなくなるのでは?」

 

ガンスミス

「ジェスチャーとか大声をあげて対抗すっとかね」

 

ナガン

「......大変じゃのう」

 

 

 

よく話題に上がるすごいプロ野球選手の紹介

 

 

ガンスミス

「というわけで、有名どころでも紹介していこうかな。

じゃあ早速メジャーリーグ所属の......」

 

ナガン

「おいコラ。日本人を紹介せい」

 

ガンスミス

「するよ?  

 元日本ハム所属、現エンゼルス所属の投手/外野手。

 おそらく野球史上最強の二刀流『大谷翔平』。

 

 

注目すべきはそのポテンシャル。投げては日本人最速165km。打っては打率.280に本塁打20本とまあどちらをとっても一流と言っても差し支えない。

 

二刀流選手は数多くいるけど、プロは投手打手どちらかに専念する。だけどここまで成績残せるのはとにかく規格外。指揮官やりながら基地の撃破数トップ5に入ってるくらいのバカだね。漫画かよ」

 

ナガン

「現実味がなさすぎるにも程があるじゃろう?!」

 

ガンスミス

「そのせいで少し怪我がちなんだよね......早くメジャーも開幕しないかな。

 

これもメジャーリーグから。

同じく元日本ハム所属、現シカゴ・カブス所属、投手『ダルビッシュ 有』。

副業『You Tuber』『twitter廃人』」

 

ナガン

「色々と台無しなんじゃが!?」

 

ガンスミス

「まあプロの人も開幕しないと暇だから......世界大会優勝にも貢献した素晴らしい先発型。

特徴としてはその手先の器用さ。150km前後の直球と多彩な変化球を操る投手なんだけど、それはもう異常。

 代表的なものでストレート、スライダー、カッター、シンカー、カーブ、スローカーブ、スプリット、チェンジアップの8球種。同じ球種でも変化に大小をつけられるし、他にも投げられる球種を持っておりその日の調子で使い分けているとか。

 普通の投手は実戦では使う球種は3〜4種類と考えるとその倍だから器用にも程があるよね。また全ての変化球の質は高く、どれをとっても決め球になるくらい。

更に恐ろしいのが吸収能力の高さだね。19年からナックルカーブを投球するようになったんだけど、これはチームの同僚から教えてもらって2週間かそこらで実戦投入して三振も取ってる......とか。

 あとこの前縦スライダーとツーシームもどきを投げてウキウキしてた」

 

ナガン

「......は?」

 

ガンスミス

「投げ方をネットで見たからやってみた、だってさ」

 

ナガン

「......規格外にも程がある。其奴人間か? 人形ではあるまいな?」

 

ガンスミス

「人形だったらツイッターでクソリプ合戦してない

 

では3人目。

 

 

セ・リーグから紹介するよ。

読売ジャイアンツから遊撃手『坂本勇人』。守備負担の高く低打率選手が殆どのショートありながら打率3割40本と大活躍する主軸のひとり。更に今年中には50人少ししか達成者のいない通算2000本安打達成まであと少しと迫る好打者なんだ。

 しかも守備も疎かにしているわけじゃなく、19年シーズンは守備貢献度でのベストメンバー表彰『ゴールデングラブ賞』にてショート部門で受賞してるんだ。

なんで京田じゃなかったんですか......?(小声)」

 

ナガン

「......怨嗟の声はともかく、素晴らしい選手なんじゃな」

 

ガンスミス

「まーね。日本代表にも選出された経験もある、まさに球界を代表するどころか歴史上でも数少ないショート強打者のひとりだ。

いつ2000本打つか楽しみだね。

 

 

 

では最後にパ・リーグからもひとり。

オリックス・バファローズ所属投手『山本由伸』。

MAX159kmのストレートとカットボール、高速フォーク、カーブを軸に戦う先発投手だ。

21歳と普通であればまだ2軍でじっくり育成される若さでありながら一軍でフル回転し防御率1.95、2019年最優秀防御率投手として表彰されているんだ。

 

これだけの若さでありながらこれだけ優秀なピッチャーは少ない.....5年後10年後が恐ろしい選手だよ」

 

ナガン

「防御率とはその投手が9回あたりどれくらい点をとられるか、を指標としたものじゃ。

平均的な投手が3〜4点であることを考慮すると素晴らしい成績じゃな。さぞかし勝利を稼いだに違いあるまい」

 

ガンスミス

「あ、うん。ソウダネ......」

 

 

 

ネットで見た......最近では持ち玉の投げ方をネットに投げている選手もおおく、全国の野球少年に夢と技術を与えている。

プロの中でも参考にする選手はいると思うが早すぎでは?

野球経験者がもし居るなら変化球一つ覚えるのにかかった時間を教えて欲しいですね。

 

クソリプ合戦......直説的な物言いが多くたまに炎上する。またネットの使い方にやたら熟練しているためそうなるのだろうか......スマホ置いて投げろダルビッシュ!

 

ソウダネ......彼の2019年成績は20登板8勝6敗。あまり言いたくはないがバファローズの打者は得点力がそこまで高くないため8回1失点(とても優秀)でも勝ちがつかないこともあるのである。

類語「負け運って何?」

 

 

 

まとめ

 

 

ガンスミス

「このご時世ですが娯楽もなければやってらんねえ! というわけで趣味のひとつにスポーツ観戦でもということで紹介させてもらいました」

 

ナガン

「趣味10割じゃろう!」

 

ガンスミス

「......ということで、今年のリーグ優勝はどのチームの手に渡るか非常に楽しみですね!

 ナガン、さっさと閉めるよ」

 

ナガン

「お主今日おかしくないか?」

 

ガンスミス

「贔屓が勝って嬉しいからね! それではまた次回、今度は銃器紹介の方でお会いしましょう!」

 




皆さんも今年注目選手を感想欄に書いて宣伝しよう!(露骨な感想稼ぎ)

中日ドラゴンズをよろしくお願いします。今年はリーグ優勝や!


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第76回 パイソン



お久しぶりですね


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想欄などにて受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「いやはや久しぶりですね」

 

 

ナガン

「本当にその通りじゃ。戦線も膠着状態が続きそうじゃし、嫌になる程訓練日和じゃ」

 

ガンスミス

「そんなわけで新兵ちゃんが忙しくなる前に、リクエストを消化しておかないとね」

 

ナガン

「ほう、最近配属された面子にリクエストか......一体どいつじゃ?」

 

ガンスミス

「ドイツじゃなくてアメリカなんだなぁ......ではどうぞ!」

 

パイソン

「あんたが私の新しい『獲物』か?

 ふふっ、冗談だ、気にしないでくれ。コルト・パイソンだ。よろしく頼む」

 

ガンスミス

「こちらこそよろしく」

 

ナガン

「ほーう回転式(リボルバー)のか。これは訓練しがいがあるのう!」

 

ガンスミス

「訓練話は後にしてくれ。

 というわけで今回はコルト社製リボルバーパイソンがゲストだ。では性能諸元にいきましょう」

 

 

パイソン ☆5 HG

 

口径 .357口径(約9mm)

 

使用弾薬 .357マグナム弾/.38スペシャル弾

 

装弾数 6発

 

採用 民間

 

 

開発経緯 ダークヒーローの懐刀

 

ガンスミス

「この銃の開発は1950年代、戦争も終わってちょうど世界経済が回り出した頃。コルト社のセールスマンが射撃競技会に顔を出したのが始まりと言われているな」

 

パイソン

「そこで素晴らしい『カスタムリボルバー』を見た。記録にはそう残っているが写真はない」

 

ガンスミス

「それを踏まえて、射撃競技向けの高級リボルバーとして開発がスタートしたわけ。ここで拘られたのは精度。

パーツ単位から職人が拘って製作、一丁一丁を丁寧に調整仕上げることによって素晴らしい外観と精度を手に入れたんだ。

 価格はそれに応じて高く、高級車になぞらえられることもある。それだけ美しく高級だったわけだ」

 

パイソン

「私の名前の由来はニシキヘビの英語名。その名に恥じぬよう獲物の喉元を喰いちぎるような、華々しい戦果を期待してくれたまえ、()()?」

 

ナガン

「ほーう、面白いことを言う......」

 

ガンスミス

「はーい喧嘩しない。次がメインなんだから気合を入れなおしてほらほら」

 

 

 

パイソンってどんな銃?

 

ガンスミス

「特徴的なのはそのフレーム強度だ。9mm口径弾の中で威力上位に位置する.357マグナム弾を発射するにはそれ相応の強度が必要になる。

 9mmリボルバーの中では大型規格のフレームを用いてていることがその証左だ。警察官御用達のポリススペシャルのものより2ランク高い規格を使っているわけだ。その分重量はあるけど」

 

パイソン

「他には、この上部放熱板。これは銃身加熱により生じる陽炎を抑え正確な射撃を可能にするとして付けられたが、実のところ効果があるかはわからない。

 スコープマウントとしては役に立つが、よくわからん」

 

ガンスミス

「やっぱり人形てのはロマンがわからないのかねー?

んなもんかっこいいからに決まってるだろ」

 

ナガン

「たまに馬鹿をやるのが人間という生き物じゃ。もし獲物にとるなら頭の片隅に入れておけ」

 

ガンスミス

「余談だが、コルト社のライバルS&W社のリボルバー機構の方が完成度が高く不評だった、しかし銃身周りの精度は先述した通りのトップクラス。

 ということで、同じ.357マグナム弾を用いるS&W M19のフレームとパイソンの銃身を組み合わせた通称『スマイルソン』『スモルト』と呼ばれたカスタムモデルが製作されたこともあるんだ」

 

 

 

銀幕のスターとして

 

ガンスミス

「しかしこのパイソン、どっちかと言えば映画やドラマで聞いたことがあるリスナーも多いと思う。

 見た目の素晴らしさと.357マグナム弾を使う派手さから好まれたんだろうな。

パイソンといえば当然あの作品なんだが知ってるかい?」

 

パイソン

「知っているさ。『シティーハンター』だろう?」

 

ガンスミス

「知ってるとは驚きだ。他には『ダーティハリー』。日本では『西部警察』『あぶない刑事』といった警察組織が登場する作品で多くの登場人物が携帯しているんだな」

 

パイソン

「あの作品はハードボイルドがなんたるかを教えてくれたものだ。作品での俳優の名演は素晴らしいものだった」

 

ガンスミス

「......あれ、アニメじゃなくて?」

 

パイソン

「いや、実写の映画だったが」

 

ナガン

「......それ本当に同じ作品かの?」

 

 

 

シティーハンター......北条司による漫画/アニメ作品。

殺し、ボディーガード探偵などを請け負うスイーパー『シティーハンター』冴羽 撩の活躍を描く作品。

 世界5000万部を売り上げる人気作であり、19年に実写映画も製作され大ヒットした。

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「と、いうわけで如何だったでしょうか。一部では知名度も高いこの銃の魅力は、多分これだけでは伝わらないかと思います。もし機会があればパイソンが活躍する戦場を見て、生で魅力を実感するべきだと思いますね!」

 

パイソン

「指揮官、あんたは『獲物』を用意してくれるだけでいい。この私の牙がそいつを食い破ってみせるさ」

 

ナガン

「獲物に迫るにはひとりでは難しい事もある、時には仲間と協力する事も胸に刻めよ若人。

 

と、いうわけで久しぶりの銃器紹介、如何だったじゃろうか。ちとブランクを感じるような内容ではあったが......これからもよろしく頼むぞ」

 

ガンスミス

「と、いうわけでまた次回!」

 

 





今回はリハビリも兼ねてあっさり目。しばらくキャラや言い回しを思い出すのに苦労しますね


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第77回 FN Ballista

待たせたな!


いやほんと待たせてしまって申し訳ない。


第77回 FN Ballista

 

 

 

 

 

 

 

「WA2000と」

 

「ウェルロッドMk.Ⅱの」

 

「「銃器解説コーナー!」」

 

WA2000

「このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説するものよ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「我々は神に非ず。過ちを犯すものが真に人間足りうるのだ」

(間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください)

 

WA2000

「性能諸元はWikiから引用しているわ、間違いがあったら感想欄で随時受け付けてるからよろしく」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

WA2000

「......ところでガンスミス(アイツ)は?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「指揮官曰く夏休暇でハワイだそうです」

 

WA2000

「嘘つくならもっとマシな嘘つきなさいよ今のハワイなんて感染者の巣窟じゃないの!」

 

ハワイ......太平洋に浮かぶアメリカ50番目の州。リゾート開発が盛んであり、ワイキキビーチやキラウエア火山など有名な観光スポットも多い。

 

 

 

WA2000

「ごめんなさい、少し取り乱してしまったわね。

久しぶりのラジオにガンスミスが不在で急に任された物だからつい荒ぶってしまったわ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「しばらく居ないと聞いているので、私たちが紹介の方を進めていくことになります。にしても一体どこへ」

 

WA2000

「どうせすぐ戻ってくるわよ。

では、本日のゲストの方に自己紹介をしてもらおうかしら」

 

FN Ballista

「Ballista、今回貴殿が隊長の任務に務めます。

 状況が厳しい今、もっとしっかりしてください」

 

WA2000

「新人が生意気言うんじゃないわよこっちだって事情があるのよ!」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「まあまあ落ち着いてください。

では、詳細解説の方に移っていきましょうか!」

 

 

 

性能諸元 FN Ballista ☆5 RF

 

口径 7.62/8.6mm

 

使用弾薬 .308ウィンチェスター/同マグナム弾

     .338ラプア・マグナム弾

 

装弾数5/6/7/8/10/15

 

採用 ー

 

 

開発経緯 鷹の目の狙撃手(スナイパー)

 

WA2000

「この銃の開発が始まったのは2010年と最近。

アメリカ軍特殊作戦軍(USSOCOM)が主催する長距離精密狙撃銃のコンペディションのために開発されたからなの。

このコンペにはレミントンMSR、英国開発L96A1の発展型AXMCなどが参加し、MSRが正式採用を勝ち取っているわ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「この銃の元になったのはオーストリア、ユニークアルパイン社製TPG-1というボルトアクションライフル。この銃はアメリカという銃の最大マーケットにおいては知名度は低く、ゲームにもほとんど登場しません」

 

Ballista

「ですが、ポテンシャルが低いわけではありません。ヨーロッパ圏ではトップクラスの精度を誇る狙撃銃として認知され、スナイパーワールドカップにおいては多くこの銃が用いられてます」

 

ウェルロッド

「この銃は競技弾薬を使えば精度を表す指標MOAは0.25〜0.5と本当に恐ろしい限りです。MOAについてはどこかで解説していたと聞いていますが、何回目でしたっけ」

 

WA2000

「さあ? どこだったかしらね」

 

Ballista

「TPG-1の設計は元はフランスのユニーク社というところだったらしいのだけど、2000年ごろに倒産したと資料にあるわ。生まれた国から巡り巡ってFN社に拾われたということ、一体何かの縁でもあるのかしらね」

 

 

TPG-1...... 戦術高精度小銃(Taktisches Präzisions Gewehr)の略称。

 

何回目でしたっけ......解説した覚えはあるんですけど

 

 

 

FN Ballistaってどんな銃?

 

WA2000

「バレルやボルトフェイス(ボルト根元部分のパーツ)、マガジンを交換することで3種の弾丸が撃ち分けられるわ。弾薬に応じたモジュラー化というのは、現場の対応に即するため現在ではポピュラーな仕様。目新しくはないけれど、銃身を交換できながらあれだけ精度を保てるというのは特筆すべき点かしら」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「銃身は軽量かつ堅牢なアルミ合金。もちろんオプションを取り付けるピカティニーレールも彫ってある上に、ストックも頬当てをはじめとして様々なところが微調整できる優れもの。

最も現代では当たり前のように備えられてる機構でもありやっぱり目新しくはないですね」

 

Ballista

「マガジンがシングルカラムかつポリマー製というのは特徴ではないかと。

金属製のマガジンに比べて衝撃を吸収しやすいポリマー素材を選択し、機構が簡単なシングルカラムマガジンを採用。

もっとも弾数を増やそうとすれば不格好にも持ち運びにくくもなりますし、一長一短ですが」

 

WA2000

「狙撃銃でシングルカラムなのは当然でしょう? ダブルじゃ機関部設計も複雑になるし傷も多くなる。それにボルトアクション狙撃銃に弾数を求めるのはナンセンスでしょう?」

 

Ballista

「そうでしょうか? 単純に弾薬を多く持ち運べるのはアドバンテージになりうるでしょう」

 

WA2000

「狙撃手が弾ばら撒くときはよっぽどの時よ。そんな状況作りたくもないわ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「そういったこともまた経験でしょうWA。いちいち咎めるのもやめましょうよ」

 

WA2000

「むー。なんかこいつむかつくからつい」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「酷くないです?!」

 

 

 

まとめ

 

WA2000

「歴史に埋れていくような、良くも悪くも特徴に欠ける銃ね。いつかは忘れてしまうようなものかもしれないけれど、日常のどこかで思い出してくれればありがたい限りと言ったところかしら」

 

Ballista

「私たち戦術人形と同じようにですか?」

 

WA2000

「そうね。カタログに乗ってる大量生産品のひとつだもの。戦場で鉄屑になるか用が済んで鉄屑にされるか......誰も今の()は覚えてちゃくれないわ」

 

Ballista

「そうかしら? あなたの行動が誰かの心に鮮烈に残るかもしれない。それがたとえ、見上げた空に偶然鷹が飛んでいるようなそんな些細なことでも、覚えてくれる誰かはきっといるはずよ」

 

WA2000

「センチメンタルなのね。人形らしくないわ」

 

Ballista

「よく言われるわ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「少しだけしんみりとした雰囲気になったところで、本日はここまで。また次回お会いしましょう、それでは!」

 

 

 

 

 

あとがたり

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「ところでいつも肩に乗せてる鷹は今日はいないんですか? 留守番でもさせてるんですか?」

 

Ballista

「充電中よ」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「あれドローンなんですか!?」

 

WA2000

「知らなかったの? あんな変態機動する鷹なんていないわよ。見たことないの?」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「残念ながら訓練でも接点がなかったので」

 

Ballista

「動画見せてあげる」

 

ウェルロッドMk.Ⅱ

「いいんですか! ......って気持ちわるっていうか今なんか光のビームのようなものだしませんでした?!」

 

Ballista

「サイコフレームの共振よ」

 

 

 

 

 

 




「ワタシ......トリニナリタイナ......」

最後はふざけました。

本当は名前の由来のバリスタも解説しようと思ったけど長くなるのでやめました


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第78回 AUG

 長らくお待たせしました 解説でございます


そろそろ番外編と章分けしないとわかんねえな......


 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い。そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想などにて受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

 

ガンスミス

「いつのまにかもう......その......」

 

ナガン

半年も経てば言い淀むのもわかる

 

ガンスミス

「ええいもうやけだこの半年間忙しくて原稿かけないし収録できませんでした!」

 

ナガン

「まあ、色々とあったからのう。とはいえ趣味のようなものであるし、気まぐれに更新していくのは変わらん。

 そこんところ、ちっとばかし考慮してくれると嬉しい限りなのじゃ」

 

 

半年も経てば......前回の解説の日付が7月ですって怖い。

ドルフロのモチベーションが低空飛行ゆえにこんな有様ですわ。FGO楽しいです(小声)

 

 

ガンスミス

「本業やら副業やらが忙しくって......

と、いうわけで本日のゲストをごしょうたーい!」

 

AUG

「敵の葬式に花を手向けたいのなら、私は最善の適任者ですわ。AUGと申します、今日はよろしくお願いしますわ」

 

ガンスミス

「というわけで本日ゲストはAUGさん。最近他所からやってきたミステリアスなお姉さんだ!」

 

ナガン

「先任のM1895ナガンじゃ。何かわからぬことがあればわしに聞くが良い」

 

ステアー

「では、後ほど伺いましょう」

 

ナガン

「うむ。頼られるのは気分がいいのう」

 

ガンスミス

「ナガンが得意げになってるところで性能諸元といきますか」

 

 

性能諸元 ステアー ☆5 AR

 

口径 5.56mm

 

使用弾薬 5.56×45mm NATO弾

 

装弾数 30/42発

 

採用 オーストリア軍/オーストラリア国防軍 他

 

 

開発経緯 革新的軍用小銃

 

 

ガンスミス

「この銃が開発された1970年代といえば冷戦真っ只中。

ベトナム戦争が終結したりアフガニスタン侵攻など、まだまだ米ソがやり合っていた頃だ」

 

ナガン

「お陰で世界中で武器の開発も盛んだったわけじゃ。その時流に乗ってオーストリアシュタイヤー・マンリッヒャー社が設計、開発した銃なんじゃ」

 

AUG

「人によってはシュタイターやステアーAUGなど、いろいろな名前で呼びますわね。他に有名な銃といえばIWS2000などもこの会社の設計だったかしら」

 

ガンスミス

「それくらいしかないともいう。

話を戻すと、この銃が開発された背景の一つには、77年にオーストリア国防軍の後継小銃のトライアルがあったわけだ。

 今まではStg58、わかりやすくいえばFALのマイナーチェンジモデルが採用されていたんだがもう設計から30も経つ上、FAL自体もそこまで使い勝手が良い銃だったとは言い難い」

 

ナガン

「小口径化の時流もあったわけじゃし時代遅れだったということじゃな。M16A1の大量生産も始まっておったし、当然ともいえる流れ」

 

AUG

「トライアルではM16などと比較されましたが、その中で秀でている、ということでオーストリア軍の正式採用小銃となったのです」

 

ガンスミス

「ま、国防産業の自国化は大事だからね」

 

 

 

オーストリア......オーストラリアじゃないよ、オーストリアだよ。ドイツのお隣さん。中世から音楽が盛んでありウィーンなど有名な音楽学校がある都市が多い。

世界史やらないと覚えない国トップ10に入ると個人的には思っている。

 

 

 

 

AUGってどんな銃?

 

 

ガンスミス

「SFめいたデザインが特徴的だとはよく言われるね。

 まだ全金属製が主流で角張った銃の多いなか、全体を樹脂で覆った丸みを帯びたデザイン。当時の銃で比べてみればかなり異質だ。60年代開発の有名どころなM16A1やAKS-74と比べてみればよくわかると思う」

 

ナガン

「他にもブルパップ方式を採用し、マガジンも樹脂製、光学照準器も初期装備として持っていたのじゃ。ブルパップ式、流行っておったのかのう?」

 

ガンスミス

「FA-MASは67年採用とかだし影響は受けてるかも。あとG11とかP90とか、ちょくちょく誕生するのよね」

 

AUG

「それだけブルパップ式が優れている、そういうことではありませんの?」

 

 

ガンスミス

「そうでもないと思うけどなぁ......って、なんか関係ないところに話がそれちまったな、失礼失礼。

 特徴である樹脂多用の利点として挙げられるのが、グロック系列を見ればわかりやすいが軽量であること。

 なんだがこの銃実は重量自体は3.6kgと重い部類に入るもんなんだ。全金属製だったらもっと重くなるところを抑えてるとの見方もできるがな。同じブルパップ方式かつほぼ金属製のL85とかは5kg弱ある訳だし」

 

AUG

「かといって強度に劣る訳でもありませんわ。耐用強度は非常に高く、10tトラックで何度も轢き潰しても射撃に耐えうるとの実験結果もありますのよ?」

 

ナガン

「軍用銃に求める最低ラインはしっかりとクリアできるという事じゃな。でなければ採用はされぬか」

 

ガンスミス

「トピックとしてはもうひとつ。コイツは軍用銃で初めて『固定武装としての光学照準器を搭載した』銃なんだ。

 こいつが誕生するまでアイアンサイトが当たり前だった時代なんだ。

 光学照準器なんか積めるのは基本的には狙撃ライフルなんかの長距離射撃を基本にする少数部隊。

 だが、75年ごろにダットサイトの実用化、光学機器の小型化や安価化などによってこれから普及していくことになるんだが、この銃がその先陣をきった形になる。まさに見た目通り最先端だった訳だ」

 

AUG

「他にも左右を変更できる排莢口、セレクトレバーを廃し引き金の引き具合でセミフルを撃ち分ける機構など、挑戦的な趣向が凝らされていますが、もうひとつ、とっておきがあるでしょう?」

 

ナガン

「む、まだあるのか?」

 

ガンスミス

「久しぶりの放送だし隅から隅まで話しちゃうぜい。

コイツのもう一つの顔『モジュラーウェポン』について語っていこう」

 

 

モジュラーウェポンってなあに?

 

 

ガンスミス

「といっても放送では何度か言及した覚えがある。

AK-47やFALなどのアサルトライフルの銃身を補強し軽機関銃の使用に耐えうるようにした改修型や、民間に払い下げられたM16の機関部を9mm仕様に改造したRO635と。

 要は銃の多くのパーツを共有しつつ、たくさんの使用用途に振り分けたい! という我儘を叶える考えだ。欲張りだね」

 

AUG

「生産コストも下げられるし、良いこと尽くめな考えね」

 

ナガン

「現場としてはいちいち違う銃のマニュアルを作るのは手間じゃしのう。できることなら教練はひとつの説明書で済ませるのが楽じゃわい」

 

ガンスミス

「生産パーツが減ることによるコストの低下や訓練期間の短縮など実際利点は多く、思想としては1930年代から存在するんだ。40年代には実戦に耐えうるものがアメリカ海兵隊に持ち込まれ、評価は良かったんだが」

 

ナガン

「よかったんじゃが?」

 

ガンスミス

「その頃大量生産が始まったM1ガーランドの配備を白紙にするのは多大な予算と前線に負荷がかかると陸軍からの猛反発でおじゃんになった」

 

AUG

「41年となればアメリカも本格的な作戦参入が始まっていることでしょう。尚更ね」

 

ガンスミス

「それでも諦めきれなかった訳だ。そして成果が花開くのは戦後、M16の前身AR-10そしてそこから派生したストーナー63をアメリカ海軍の特殊部隊が採用した。ここから『モジュラーウェポン』という思想の有用性が世界中に認知された訳だ」

 

AUG

「......資料によればH&KのG3やG36などがある程度そのように設計されているわね」

 

ナガン

「そういえばそんなようなことを話したような話していないような......こないだの戦場のドタバタ騒ぎが強すぎて何も思い出せんワイ」

 

ガンスミス

「しかし、実用化・普及化に大きく拍車をかけたのがこのAUGの存在だ。この銃は全体を7つのモジュールパーツに簡単に分解でき、さまざまな用途に改装できる」

 

AUG

「例えば銃身を拳銃弾仕様に、ボルト機構をブローバック方式に変更すれば低反動の短機関銃。肉厚な長銃身とバイポッド、42発マガジンを使用すれば軽機関銃相当の分隊支援火器へ。

 これを戦場の休憩中にも行えるというのは移ろいゆく戦場に適応する優位性を保つことが可能になっていますわ」

 

ガンスミス

「工作技術向上の兼ね合いで精度や強度はやっぱ専門に作ったものに劣るって事で一瞬廃れかけるんだけど、長期かつ機動力を重視する特殊作戦なんかに於いてはその汎用性、適応力の高さは支持され続けているんだ。

 

5.56mm弾の絶対神話が崩れた昨今、7.62mm弾も併用できるモジュラーウェポンは見直されつつあるし、製造技術向上によって拳銃のモジュール化などに使われたり、民間企業でも設計できるようになったりとその可能性は現代でも伝わるものがある」

 

ナガン

「まさしく最先端をいく武器だったんじゃなぁ」

 

AUG

「堅実さも褒められる事ですが、暗闇にあえて身を投げ出す覚悟も必要、という事なのでしょう」

 

 

 

陸軍の猛反発......生産ラインに一度乗ったものを撤回して新しく工場で製作するパーツを作り直すのは非常に手間。だからこそ陸軍としては海軍の提案に反対である。

最近南米の廃倉庫に在庫いっぱいのM1ガーランドが見つかったくらいには生産されてる訳だしね(総生産数約625万挺)。

 

AR-10......コイツの小口径モデルがAR-15、つまりM16系列になる。お兄さん的なあれだ。

 

ストーナー63......この銃だけで解説1話分できちゃうくらいなのでまたいつか。簡単に言うとアサルトライフルとベルト式の軽機関銃2役をこなせるスーパーマン。

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「見た目だけじゃなく設計思想までまさに革新的だったAUG。近未来っぽい外見はまさに見た目だけの脅しじゃなかった訳だ」

 

AUG

「道具として役立てる場が広く在れるのは喜ばしい事ですわ」

 

ナガン

「......ま、汎用性があることは良い事じゃよ」

 

ガンスミス

「リクエストも溜まってるしガツガツいきたい......ところなんだけど、トンチキな銃が多くてしばらく時間がかかりそうだな。資料あるかねぇ......」

 

ナガン

「そこを頑張るのがお主の仕事じゃろうに。

と言う訳でまた次回! 」

 

 

 

 

あとがたり『アフターミッション』

 

 

「はいもしもしこちらG&K社S09地区B基地指揮官のワイズマンです支払いなら来月の活動資金が下りてからってこの前話しましたよ切っても良いですか?」

 

 また金の催促の電話か、と相手の確認もせずに適当に応対しながら電卓を弾く指揮官。

 基地運営のため空いた戦力を埋めるためリースやら中古品を後払いだのローンだのでかき集めたは良いものの、足元を見られるのが世の常。闇金とそう変わらないローン返済を吹っ掛けられるらしくないミスをした不甲斐なさやストレスもあってかなりピリついている。

 その態度ままに返事もしたものだから先方もお怒りらしく、先ほどより低い声で皮肉っぽい言葉が返ってくる。

 

『G&Kでは礼を言うために金が必要なのか?』

「.....失礼、最近色々立て込んでまして」

『随分と忙しいようだなワイズマン指揮官』

「そんな念押ししなくてもわかってますよキャロル指揮官」

 

S09地区P基地現指揮官『キャロル・エストレーヤ』。

経歴は調べれば闇に放り込まれることで有名なP基地で『当然のように』曰く付きな人物。

 前任のユノ指揮官とは顔が似通っているのでその正体には察しがついていなくもないが言葉にするのはタブー。もし仮に指揮官クラスであっても正体を言いふらせば路地裏に死体が転がっているはずだ。

 ユノ指揮官やガンスミスの個人的ツテでそこそこに仲が良いP基地とB基地だが、キャロルと今の指揮官に親交があるかと言われれば、ない。

 得体の知れない相手からの通信に若干冷や汗をかきつつ、指揮官は言葉を選んだ。

 

「大規模作戦の後処理で忙しいのはお互い様でしょう?

S地区の基地はどこもお祭り騒ぎですよ。そちらは随分と余裕そうですねぇ」

『被害自体はそこまでではないからな。それに、貴殿の基地のガンスミスには随分と助けられた』

「ボクは何も聞いてないのでとりあえずガンスミスさんはあとで説教するとして、うちのガンスミスが何をやらかしたんです?」

『そこまで邪険に扱わずとも......なに、俺の部下が世話になっただけだ。十分なメンテナンスにちょっとした改造。あのアイデアは目から鱗だったからな、驚きに対して礼がしたい。

 それに、作戦指揮はB基地に全て投げてしまった負い目もある。近々部下と一緒に改めてお伺いしたいところだ』

「そ、それは律儀にどうも。して......要件はそれだけですが?」

 

 ただの世間話なら苦労はしない。何かふっかけに来たのか、それともガンスミスの引き抜きか。見えない真意を問いただすためあえて核心に触れていく指揮官。

 

『なに、本題はここからだ。

祖母上(ナガン)から聞けば、随分と被害甚大と言われてな。指揮者に索敵レーダー車、兵員輸送車に輸送ヘリ。これだけの損失は基地運用にも支障が出よう』

「なんとか予備も出して回ってますよ。ご心配には及びません」

『......だが、補填にはそれなりの時間がかかる、そうだろう?』

「耳に痛い事を言いますね。まあご心配ならさず!

 他所の基地の遊んでるものや格安で市政に流れてるものが無いかかき集めてるところですよ。お買い得なやつがあったら是非教えて欲しいものですね」

『......あるぞ』

「おっと、その話くわしく」

 

 ニヤリ、という擬音すら聞こえてきそうなキャロル指揮官の言葉に同じく不敵な笑みを返す。聞くだけならタダ、それに不良業者との付き合いは切るに限る。

 

『ちょうどP基地では使ってない機材や車両がいくつかあってだな、埃を被せておくのも勿体ない。困っているのであれば格安とも言わず、今回の謝礼の意味も込めて無償で譲ろう。

いまカタログを送るから詳細を確認して欲しい』

「渡に船な話です......があああっ?!」

『どうかしたか?』

 

 どうせ型落ち品だろうがとたかを括って、今さっき送られてきたメールの内容を一瞥して思わず飛び上がる。

 

(いやこれG&K本社配備の最新式とか軍用で出回ってる中で1番の高額モデルだし輸送ヘリは上から数えた方が高いやつにP基地で運用実績のあるオーバースペックな航空機?????)

 

『そういえばジャミングの影響で通信機器も破損していたと聞く。こちらの基地で生産したものをそちらにも融通しようと思う、どうだろうか』

「アノ......ハイ、ワカリマシタ......アリガトウゴザイマス」

『喜んでもらえたようで何よりだ』

『ほんとに喜んでるんですかコレ......?』

 

 

(確かにこれだったら赤字どころか黒字に戻るくらいのお釣りが来るんだけど、よりによってP基地に借りを作るのは良くない!

 問題児のユノ指揮官が退官したは良いけど、次の指揮官はよくわからないし、あそこはブラックボックスが多い上に曰く付きの人形も多いんですよっ?!

確かにこの提案を飲めば抱えている問題の大半は解決しますが、基地同士の繋がりを同格としてではなく貸しを作る仲になってしまうのは、いやしかし......)

 

「だああああもうどうしよおおおおおおおおおおおお!

 

とりあえずガンスミスさん怒鳴ってストレス解消しよ。もしもーし緊急放送ですガンスミスさんは至急執務室に 出 頭 してください先の作戦行動においてお説教がありまーす!」

 

「やべ、心当たりが多すぎる」

「とんだ不良職員じゃのうお主......」

 

 

 

『通信を切りそびれたが聞かない方が良かったか』

『アハハハハ......』



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教えてナガン先生 その4『バレンタイン・デー』

というわけでせっかくのバレンタイン。こういう解説もしなくちゃね


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介、番外編!」」

 

ガンスミス

「なぜなに教えて」

 

ナガン

「ナガン先生! のコーナーなのじゃ」

 

ガンスミス

「このコーナーはいつもの銃器紹介とは趣向を変え、それ以外のものを解説する不定期開催コーナーです」

 

ナガン

「今回のテーマは2月14日の祭日......と、言えば、学生や戦術人形にはピンとくるものも多いじゃろう」

 

ガンスミス

「そう、バレンタイン・デーでございます。いやあ青春の1ページだねぇ」

 

ナガン

「お主はそんな甘酸っぱいイベントとは無縁そうじゃがのう」

 

ガンスミス

「同級生の野郎どもにチョコは散々配ったけどな」

 

ナガン

「むさ苦しいバレンタインじゃのう」

 

ガンスミス

「それはどうでもいい話だろ。

 さて、女性が男性にチョコを渡す日ってイメージも強いバレンタイン。その始まりやなんでチョコを配るようになったか、なんてのは実際にはよくわかっていない人も多いはずだ」

 

ナガン

「始まりを知ればその想いも深まるものじゃ、というわけで、今日はバレンタインの起源と変遷について語ってゆこうとおもう」

 

 

 

 

 

 

バレンタインの始まり

 

ナガン

「バレンタインデー。もしくは聖バレンタインデー、セイントバレンタインデーなど、地域によっては呼び方は違うが、バレンタインという単語は共通しているわな。

 

というのも、この名前の由来は『聖ウァレンティヌス、又はバレンティヌス』という聖人に由来すると考えられておる。主にローマ・カトリックに由来する国の間で信仰される聖人の1人じゃな」

 

ガンスミス

「由来の始まりは紀元260年代、軍人皇帝時代のローマ帝国の皇帝のひとりクラウディウス2世が発したひとつの勅令から始まる。

『兵士は結婚してはいけない』というモノだ」

 

ナガン

「軍人皇帝時代というのは下剋上やら領土争いやら、在りし日のローマは何処かと言わんばかりの戦国時代。当然戦争が絶えず、兵士が戦場に駆り出されるは常。

 愛する者を故郷に残せば士気が下がると危惧したからこそ皇帝は兵士の婚姻、結婚を禁じたとされている」

 

ガンスミス

「婚姻を禁止され悲しむ兵士を見かねたのがキリスト教の司祭だった『ウァレンティヌス(バレンティヌス)』。彼らのためにこっそり結婚式を行うなどをしていたんだが、皇帝に見つかってしまってな。二度とするなと言われても頑なに首を縦に振ることはなく、そのまま処刑されてしまったというわけだ。

その日が2月の14日。恋人たちのために命をかけたヴァレンタイン司祭を悼む日......てのが定説なんだが、実際は少しだけ裏がある」

 

ナガン

「当時の政治状況は込み入っておってのう。

 ローマ皇帝が布教したい初期キリスト教はまだ聖書のみを規範としそれ以外を排除する動きが強かった。かといって市民に定着した元々の神話や宗教、風習を捨てさせるのは市民や部下からの反感を買うことになる。

 そこで元々あったローマ神話の女神の祝日の前日にこのような説話をねじ込み、以降の祭りを『ヴァレンタインに因んだ祭りである』と解釈を変更させ、定着を図ったんじゃな」

 

ガンスミス

「こういう例クリスマスでも見た」

 

ナガン

「為政者と宗教家と犯罪者は自身の正当化のためならなんだってやるわい。いつの時代もソレは変わらぬよ。

ちなみにヴァレンタイン司祭の実在は疑われておるため、20世紀に行われた公会議で史実の上で実在が明らかでないと典礼日(聖人の死を悼む日)から取り除かれるという顛末もあったのじゃが......ま、わしは神など信じぬからそもそもがもが」

 

ガンスミス

「それ以上はオフレコで頼むよーっ?!」

 

 

 

 

地域ごとの特色

 

 

ガンスミス

「ふう、危なかった。

さて、本来であれば恋人を祝福するという意味合いのつよい始まりなんだがそれがどうして現代のようになったのか。ソレについては地域差があるのでそれぞれ語っていこう。

 

ヨーロッパやアメリカでは、主に恋人や親しい人に花やケーキ、贈り物やカードを贈るようになっていった。日々の感謝を伝え、労り、愛を囁く、なんてな。

贈答品の一つとしてチョコレートを贈るようになったのは19世紀のイギリスからなんだとか」

 

ナガン

「えらく早口じゃのう」

 

ガンスミス

「キミがやらかすからだよ。原稿読んで、はやく」

 

ナガン

「せっかちになったのう......こほん。

北欧では花を贈る日や愛を伝える日など、そこまで意味合いが強いわけでもないそうじゃ。

東欧やロシア圏では、ローマ・カトリックの催しということもあって、ロシア正教会の力が強いせいか祝日として特に定着はしておらんらしい」

 

ガンスミス

「ま、1番特徴的なのは日本よな」

 

ナガン

「さすが文化のガラパゴス島といったところかの。

戦後に広まったバレンタインという文化は資本主義の広まりとともに特色と形を変えてゆくこととなる。

 今の形になったのは1970年代、日本の高度成長期が終わりを迎え資本主義が定着したと言えるころになるかの。

 

贈り物にはチョコレートを。

女性から男性へと手渡すことが殆どで。

女性から男性へ愛を伝える。

 

この形になったのはモロゾフ製菓が新聞に掲載した“あなたのバレンタイン(=愛しい方)にチョコレートを贈りましょう”なんて広告が発端になったとか、2月に売り上げが伸びない菓子屋の店長が発案した企画など諸説ある。

 定着する理由の一つとして女性から男性へ贈り物をする習慣が日本にはなく、目新しかったかもしれぬがのう」

 

ガンスミス

「他にも職場の人間やクラスメイトに贈る『義理チョコ』同性の友人に贈る『友チョコ』などの文化も日本だけだ。

ちなみにお隣も韓国も影響を受けてか、女性から男性へチョコを贈るなんて文化が定着している」

 

ナガン

「中国では『情人説(チンレジエ)』という呼び方で呼ばれ、男性が女性に花束を送り愛をささやく日になっていたりする。台湾じゃ大切な人と過ごす記念日と認識され、デートやディナーに行ったりするそうだ」

 

 

 

 

派生文化アレコレ

 

ガンスミス

「さて、男性諸君。バレンタイン・デーの1ヶ月後の3月14日はなんの日かな? そう、ホワイトデー......は、認識してるかは個人差があるのでちゃんと説明しよう。このように、バレンタインに関連する文化も存在する」

 

ナガン

「一番わかりやすいのは先にこやつが言ったホワイトデーじゃな。

主に日本や韓国に見られるもので、男性から女性へ、先のホワイトデーの返礼のプレゼントをする日じゃ。プレゼントに贈る菓子にもメッセージが込められているという話があるが、こじつけのようなもので特に意味はない」

 

ガンスミス

「他に韓国には4月の14日にブラックデーなるものがある。これはバレンタインデーにもホワイトデーも縁がなかった男女が集まり、黒い服を着てジャージャー麺やコーヒーなど黒い食べ物を食べるというものだ」

 

ナガン

「傷の舐め合いじゃな......」

 

ガンスミス

「傷つく人もいるんですよ!」

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「形に違いはあれど、基本的には好きな人や日々お世話になっている人に贈り物をする日だ。そこにこじつけて告白をするもよし、お菓子作りの腕を披露するもよし、日々の感謝を伝えるきっかけにするもよし」

 

ナガン

「少し野暮な話も多かったが、感謝や愛を伝えることが悪なはずはない。

ただし、虫歯には気をつけるようにするのじゃ。甘いものを食べた後はしっかりと歯磨きをしないと酷い目に遭うことになろう。特にFNCは気をつけるんじゃぞ。

それでは、また次回なのじゃ!」

 

 

 

余談

 

ガンスミス

「ちなみにバレンタインという名前は欧米圏ではそこまで珍しいわけでもなく、イギリスには開発者の名前を冠するバレンタイン巡行戦車なるものもあるわけだ。

 これは2月14日に設計図が提出されたとかからとも言われている。どちらにせよ、ちょっとした小ネタとして紹介させてもらったぜ」

 

 

 

 



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第79回 P90

題名のつけ忘れを修正しました。このすかぽんたんめ


 

 

ガンスミス

「WA2000じゃないの。銃の調子は?」

 

WA2000

「応える必要も無いくらいに完璧。それで、何か私に用事?」

 

ガンスミス

「......ああ、P90を探してるんだ。今日非番だからラジオ収録したいって伝えてたんだけど、どうも宿舎に居ないみたいで」

 

WA2000

「ふ、ふーん? 私に探すのを手伝って欲しいってこと?」

 

ガンスミス

「そう思ってたんだけどもう時間ないし、今日のラジオの助手頼んでいいかな。今日非番でしょ?」

 

WA2000

「はい?」

 

ガンスミス

「今日はナガンもウェルロッドも任務だし探してたんだ。

 P90本人がいないのは惜しいところだけど、俺が知らない任務とか緊急出動(スクランブル)かもしれないから仕方ない。

後日に回せばいい話だけど今日くらいしか俺は時間取れないし、頼む!」

 

WA2000

「しょうがないわね、やってあげてもいいわよ」

 

ガンスミス

「んじゃ30分後のいつもの収録室で、よろしく」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「WA2000の」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介解説していくラジオ番組です」

 

WA2000

「偏見思い込み勘違い。そこは大目に見てほしいわね、間違いや面白い小話ががあれば感想などにて受け付けているわよ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「今日は珍しい組み合わせでの放送になるな。両方とも片割れが仕事で忙しいもんだから」

 

WA2000

「警戒任務となれば部隊の統制役になるHG戦術人形は欠かせないからね。今回は実戦経験の少ない新人のデビューも多いだろうから経験者は引っ張りだこよ」

 

ガンスミス

「新顔もだいぶ増えたしね。さて、今日のゲストはこちら」

 

Five-seveN

「はぁい、久しぶり。Five-seveNの登場よ。みんな私に会いたかったでしょう?」

 

ガンスミス

「はい、というわけで今日のゲストはFive-seveN、第4回の紹介以来だな。またFive-seveNの解説ってわけじゃなくて、今回の解説する銃に縁があるってことで呼ばせてもらったんだ。なんせ本人と連絡が取れないんだから仕方なくな」

 

Five-seveN

「......そう。新人は忙しいから仕方のない事なんじゃないの? 今回の警戒任務にでも駆り出されているんでしょ」

 

WA2000

「そうそう。防衛戦力の低下とかで他所の基地の警戒網まで担当しなくちゃいけなくって、最近忙しいのよね」

 

ガンスミス

「ま、そういうわけだ。今回だけじゃなくて暫くは変則的な放送になるかもしれんからよろしくな」

 

 

防衛戦力の低下......試作強化型アサルト様主催の大規模コラボのなんやかんやでその結果、S地区周囲の戦力が焼け野原になりました。

戦力を出し渋ったB基地は絶賛穴埋めに奔走中なのです。

 

 

 

ガンスミス

「と、いうわけで紹介する銃の性能諸元に参りましょう。

今日紹介するのはコイツだ!」

 

 

 

性能諸元 P90 ☆5 SMG

 

口径 5.7mm

 

使用弾薬 5.7×28mm

 

装弾数 50発

 

採用 ベルギー 他

 

 

開発経緯 その全てが型破り

 

 

ガンスミス

「そういうわけで専用弾を共有するFive-seveNに来てもらったわけさ」

 

Five-seveN

「だから呼ばれたってわけね。非番の日に、朝ごはんを食べている私に、有無を言わせず」

 

ガンスミス

「そ、それは謝るよ......

さ、さて開発は1980年代末期。冷戦が終わりに向かうにつれ戦争は国家間のものから対テロリズム、つまり銃後の戦争に変わりつつあった。

 その為に提唱されたPDWのコンセプトを体現する銃の開発のため『プロジェクト90』は始まり、この銃が生まれたってわけだ」

 

WA2000

「PDWについて説明はしないの?」

 

ガンスミス

「散々やったからもういいかなって。

ハンドガンくらい取り回しが良くて威力の高い護身武器って纏めとけばいいよ」

 

Five-seveN

「知らなければ私の登場する第4回や、IDWの登場する第73回。80年代以降に開発されたSMGの登場する回を見ておけば間違いはないわ」

 

WA2000

「......ま、時間がかからないことはいいことだわ」

 

ガンスミス

「そうそう。そんでもってプロトタイプ版の試作を経て、リスナーのイメージするP90の丸っこいSFめいたデザインの製品版が誕生するわけなんだ、が」

 

WA2000

「どうしたの?」

 

ガンスミス

「プロトタイプ版がまたトンチキなガワで、どうしてこうなったって形をしてるんだ。レプリカそこに作ったから見てみて」

 

Five-seveN

「......ハンディタイプの掃除機みたいな形ね」

 

WA2000

「ただの箱の後ろにカバーとグリップつけただけじゃない、実用性皆無にも程があるわよ。というか反動どうやって受け止めるのよこれ」

 

ガンスミス

「だからこれで製品化しなかったんだよ?」

 

 

ハンディタイプの掃除機みたいな......画像検索するとまじでそんな感じ。

『P90 プロトタイプ』で画像検索DA!

 

 

 

 

P90ってどんな銃?

 

ガンスミス

「前回のAUGも大概だけど、人間工学ってものに沿った丸みが目立つデザインがまず目を引くと思う」

 

Five-seveN

「箱をベースにグリップスペースをくり抜いて、ハンドルを足して、グリップ部をくり抜いて、なんだか穴あきチーズみたい」

 

WA2000

「とはいえ、ブルパップ式の利点と弾薬の反動の少なさはその印象の悪さをひっくり返せるくらいにはあるわね。

他にもチャージングハンドル、セレクターは左右から操作可能。排莢口は下に向けることで射手の気にならないようになってるわ」

 

Five-seveN

「たまに踏んで転ぶ人もいるらしいけどね」

 

ガンスミス

「とまあ、ここまでは常識の範囲内だろうから、視点を変えていこう。俺は思うに、コイツの真の特徴はマガジンにあると思ってるんだ」

 

WA2000

「マガジンに?」

 

ガンスミス

「ああ、いくら小口径といえども50発もの装弾数のマガジンなんて難しい。ブルパップ式となれば、長いマガジンは弾倉交換を妨げる要因になる上操作に支障をきたす。

そこで、この銃では面白い機構をマガジンに仕込んだんだ」

 

Five-seveN

「銃身に並行に取り付けることね」

 

ガンスミス

「そう! 普通の銃はスプリングで上げて弾を込めるから、機関部に垂直になるようにマガジンが刺さることが殆どだ。だが、この方式は弾倉が長くなると使いにくい。

ベルト式やドラム式など対策案は幾つか出たが、この銃はその考えを捨てたわけなんだな」

 

WA2000

「銃身に被せるように取り付けて、機関部のすぐ上でマガジンが弾薬を90度回転させて弾を送り込む。

長さはM4のSTANGマガジンよりは長いけれど、それを感じさせることは一切なく、取り回しの良さはそのままになったってわけよ」

 

ガンスミス

「故障が多かったり弾倉交換にコツが居るとかで一部現場から不評なんだけどね」

 

WA2000

「それはいわゆるコラテラルダメージというもので......」

 

Five-seveN

「専用弾も必要だし、知名度よりは採用は少ないのよね」

 

ガンスミス

「というか、ゲームで困ったらコイツ持たせとけって感じあるよね。見た目面白いし、装弾数多いSMGとして選択肢に入れやすいし。この前RFBがぼやいてたよ」

 

WA2000

「扱いが雑なのよ、扱いが」

 

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「多少の問題点に目を瞑りさえすれば、トップクラスに優秀なSMGのひとつだと思う。

その知名度も一昔前のイロモノ枠じゃなくアメリカでは民間改造モデルが流通するほどにメジャーになりつつあるんだ。

もしかしたらこれからのスタンダードになる日が来るかも、なんて思うくらいにはな」

 

Five-seveN

「P90が増えれば私の露出も出番も増えるかしらね。弾が専用弾とかで申請めんどくさいし、すぐなくなるし」

 

WA2000

「こんな生々しい話していいの......?」

 

ガンスミス

「よくないから切り上げるよ!

と、いうわけで本日のゲストはFive-seveNとP()9()0()でした! それではまた次回っ」

 

 

 

 

あとがたり

 

Five-seveN

「それじゃ、休日手当はよろしくね〜」

 

WA2000

「......」

 

ガンスミス

「......」

 

WA2000→P90

「いつからわかってた?」

 

ガンスミス

「最初っから。WA2000は『バッチリ』とはいうけど、銃の調子では『完璧』なんて言わないからね。特に自分にやった仕事はね」

 

WA2000

「うわ、他所ではよく言ってたんだけどな。珍しいね」

 

ガンスミス

「研究不足だね。それに、変装については......」

 

ガンスミス→死神さん

「プロの目の前で誤魔化せるとは、思わないことサ」

 

P90

「うぇええええええええ!?」

 

死神さん

「ハッハッハ、今回は誰も彼も代役だったって事サ」

 




ガンスミス
「ぶえっくし! 誰か噂してるのかねぇ」

WA2000
「そんなことより次の依頼よ。次はあっちが基地に出向いてくれるから早く片付けて」
ガンスミス
「ハイハイ。さて、次の依頼は、っと」



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番外編 修理依頼はお早めに

今回のお話はガンアーク弐式 様作『MALE DOLLS 外伝集』( https://syosetu.org/novel/207272/)とのコラボ導入編その2でございます。
こちらからラブコールした割には大変遅くなりました......
ちなみにコラボのラブコールしたら別の方から『コラボやりませんか!』なんて同タイミングで言われたもんだからビックリしました。それも解説とワンセットなんでそのうち。

では最後に、うまぴょいから逃げるな。
というわけでどうぞ。


 

 

「『出張修理依頼再開のお知らせ』交付の申請書っと」

「お主、何やっとるんじゃ?」

 

 作業机にパソコンを乗せ、書類作業に勤しむガンスミス。その様子が珍しかったのかナガンがそう声をかけると、ガンスミスはタイピングの手を止め顔を上げた。

 

「なに、作戦もひと段落して、俺も手が空いてきたからね。止めてたいつもの仕事の再開をってやつさ。それに報酬しょっぱかったし稼がにゃならん」

「なるほどのう、ちょうどよかった。依頼じゃ」

「......そのお知らせを今から配ろうとしてたんだが?」

「個人的なやつじゃよ。といっても、グリフィン指揮官から直々にというやつじゃ」

 

 指揮官からの命令書もある、といくつかのペーパーをホチキスで留めた資料を手渡したナガン。ガンスミスが目を通すと、ほとんどは指揮官からの正式な依頼としての形式ばった文言だがその中で一際目立つ文字がある。

 

「S07基地、ねえ」

「なんでも先の作戦で指揮官からお主の噂と仕事ぶりを知った様での。それを見込んで頼みがあるということじゃ。あちらもあちらで忙しい様であるし」

「S地区となれば尚更か」

「ああそうじゃ。ちなみに銃は89式だそうじゃが予備パーツ在庫はあるかのう」

「資料を見る限り豊和製の89だ。設計図は持ってるし、予備パーツも何個かは在庫がある。最悪図面引いて作ればいいんだから問題もない」

「そいつは重畳。ではすぐ来るでな、さっさと準備を進めておくんじゃぞ」

「すぐ?」

「あと5分で着くそうじゃ」

 

なるほどあと5分か。と、あたりを見渡す。

大量の銃を修理し整備するこの部屋。汚れは溜まるのは当たり前のことなのだが今回ばかりは平常時を遥かに超える量の修理を行なったため普段の数倍は汚らしい。

ガンスミスは腕を組み、修理にはもってのほかだなと内心呟いてから頭を抱える。

 

「もう全然時間ないじゃないのよ! 伝えるのが遅くないかい!」

「見ての通り出動帰りなんじゃ」

「じゃあ掃除だけでも手伝ってくれよ!」

「出迎えの仕事があるんじゃ。今日の副官の持ち回りわしなんじゃよ」

「んな事言ったってなあ......!」

「と、いうと思ってWA2000(整頓好き)を呼んでおいた」

 

 がし、とガンスミスの肩を誰かが強く掴む。彼が恐る恐る振り返れば軽く微笑を浮かべるジャージ姿のWA2000がいた。長い黒髪をしっかり束ね汚れ跳ね防止の作業用エプロンまでばっちりと装備。その手にはバケツと雑巾、腰のベルトには幾つかのポーチと掃除用具や薬品が見て取れる。

 まずはこれの整理から、と資料やら工具やらパーツやらが押し込まれた棚を指さした。

 

「きゅ、急に前の戦闘で受けた傷が。イテテテテ......」

「あんたこの基地に来て怪我なんてした事ないでしょうが。今までのツケよ。キッチリカッチリ、隅々までやるまで終わらせないから」

「いやああああああ掃除嫌いいいいいいいい!」

「掃除と聞いて」

「なんでM1897まで来ちゃうんだよもおおお!」

 

 

◇◇◇

 

 

「ここがきゃつの作業場じゃ。別に形式ばる必要もないから安心せい、A4、SMDR」

「そ、そうですけど。専門家の手前ですし、指揮官の銃を直してもらうんですから礼儀正しくしないと」

「......の、割には騒がしいようだけれど」

「いつものことじゃ、入るぞ」

「いつものこと」

 

 ドタバタと騒がしい物音が止まないのも気にせずドアノブに手をかけるナガン。

 そのまま扉を引き案内しようと顔を部屋の中ではなく2人の方を向いていたナガンは容赦なく部屋の中から吹き出す煤まみれの埃っぽい空気を浴びることになった。

 

「のわーっ!」

「な、ナガンさん!?」

「ぺっぺっ! 全然掃除が進んでないではないかたわけ!」

「今は掃き掃除して換気中なんですよ。全部終わるまで2時間くらいは使えないですね」

「M1897か。しかしどこまで汚しておったのか......」

「と、いうわけでガンスミスさん外に出しときますね、邪魔なので」

 

 顔を引っ込めたM1897と入れ替わりで部屋から叩き出されたつなぎ姿の男性。埃と煤が積もった頭を払いつつ同じく埃まみれのナガンに問いかける。

 

「俺のヒエラルキーがいつのまにか下がってないかな」

「掃除しないお主が悪いんじゃ。

紹介しよう、お探しのガンスミスじゃ」

「どうも、ガンスミスです」

「ど、どうも」

「コレが噂の凄腕整備士? とてもそうは見えないけれど」

 

 礼儀正しい素振りを見せる明るい茶髪の人徳無害そうな青年に、訝しい目を向ける赤いケープ姿の学生(ティーン)くらいの年齢であろう女性。学校あがりの下っ端新兵とお目付役の戦術人形か、と判断したガンスミスは若者の方を向いた。

 

「名前は?」

「M16A4です」

「AR小隊の新型かね。んじゃ君の名は?」

「だから、M16A4ですって」

「隣の戦術人形の名前じゃなくてだな」

「......お主はとんと世俗と噂に疎いのう。正式配備型で数少ない()()()()()()()、知らんか?」

「いや全く。彼がそうだっての?」

 

 全く信じる素振りを見せないガンスミスに呆れたのか、オーバーにため息をわざとらしくついてからじゃあこうしようと指を立てた。

 

「演習場で射撃訓練でもさせれば1発じゃ。この時間帯は空いておるし、修理する銃の不調を見るのも兼ねてやってみるのはアリではないか?」

「そいつはいいアイデアだ。んじゃM16A4と、隣の君、名前は?」

「SDMR」

「M27IARのマークスマンモデルか。だったら2人ともNATOの5.56mmとSTANAGマガジン使えるね。それでいい? それとも7.62mm仕様に改造してたりする?」

「あ、いえ。5.56mmで大丈夫です」

「ありがと。試し撃ちだし実包500で充分だろ。んじゃナガン場所案内よろしく」

「任されたのじゃ......って、何を驚いておるか」

「うちの整備士でもパッと思いつく人は少ないから」

「なに、物好きが高じただけじゃよ」

 

 見たことない銃の整備ができる、と嬉しそうにスキップしながら廊下を歩くガンスミスの背中を見つつSDMRが呟けばナガンがそっけなく応える。

 

「それに莫大な銃知識がなければあのようなラジオ放送などせんわい。あやつの銃の知識はどこから引っ張り出されてくるやら」

「ラジオ放送、って、ここだったのか!?」

「なんじゃ、リスナーか?」

「どうりで聞き覚えるのある声だと思ってたんですよ! お便りも送ったこともあります!」

「そんなに有名な人なの?」

「S地区の中では名の通った人なんだ。いろんな銃のためになる話なんかをしていて。

 そっか、この基地だったんだ」

 

 感動を隠せない様子のM16A4を見ていたナガンがいい案を思い付いたとパチンと指を鳴らした。

 

「なんじゃったら、ラジオに出演するかの?」

「い、いいんですか?!」

「どうせ整備室はしばらくは使えぬし、依頼が来るほどならば掃除だけで不調が解決する訳もない。M16A1の解説はしておるし、原稿にもそうは困らんじゃろう」

「いよっしゃ!」

「お兄ちゃんがこんなにはしゃいでるの久しぶりに見た」

「熱狂的ファンがいるのは悪くない気分じゃのう。

さて、着いたぞ」

 

 案内された屋内射撃演習場。最近出撃が多いせいか、いつもは何人かが練習しているここも今日は静まりかえっている。

 

「やっぱり屋内射撃場はどこも変わりないですね」

「こんなもの代わり映えなどせんよ。準備頼むぞ」

「了解」

 

 ブース横の機械を弄りつつ何枚かのマンターゲットを出しつつ、準備をするように促したナガン。2人が背負っていたガンケースから銃を取り出すと、ヒュウとナガンが口笛を吹いた。

 

「いい銃使ってるのう。手入れもしっかりとされておるようで。うむ、いい兵士になれるぞ」

「ありがとうございます」

「さて、あやつを待つだけじゃが」

「お待たせ。っと、いい銃使ってるじゃなーい!」

 

 扉を足で開けて入ってきたガンスミス。弾薬箱と工具箱を担いできた彼は手早くゴーグルをつけ、マガジンと分厚い防具を手渡した。

 

「んじゃA4君、コレつけて」

「コレ、って......防具ですか?」

「暴発やらパーツ破損で怪我したら危ないからね。SDMRちゃんは89式貸して。装填まではコッチで済ませるよ」

「試し撃ちは普通整備士(ガンスミス)本人がやるものじゃないんですか?」

「色々あってね」

 

 手慣れた様子で銃を受け取り、まずボルトを引いて薬室に弾丸がないことを確認。それからマガジンを刺し、ボルトを引き、安全装置はそのままにM16A4へ手渡す。

 

「安全装置の解除方法はわかる?」

「指揮官のをみていたので大丈夫です」

「なら言うことなし。セミ5発。指切りでバースト10発。フルオート15発。俺が声をかけるかジャムったらマガジン抜いて台に置いて手を離す、OK?」

「......わ、わかりました」

 

 M16A4は慎重な手つきで銃を受け取ると、深呼吸してから銃を構える。

 

「あの様子だと5、6発で詰まると思うけど」

「......?」

「いきます!」

 

 パン、パンとリズミカルな発射音と薬莢が地面に落ちる音。それを聞いた瞬間、ガンスミスが眉を顰める。

 

「だいぶよろしくないねぇ。次、2点バースト10発」

「了解!」

「そろそろ詰まるよ」

 

 ガンスミスがそう注意した途端、ガチンという金属音と共に射撃が止まる。M16A4がマガジンを外し、銃を置いたところでガンスミスが目元を揉みつつ口を開いた。

 

「機関部の故障だっけ、だいぶ酷いね。自分で整備はしてたけど、オーバーホールサボってたクチだな。それに結構酷使してるから整備もっと短スパンでやってと持ち主に伝えて」

「今のでわかるんですか?」

「作動音の響きが軽すぎるし、ボルトの動きが悪い。

掃除はしてるだろうけど、パーツ自体がダメになってんだろうね、こりゃ長くかかるわ。

 んじゃ次。君らの銃も見たげるから出しな」

「......わ、わかりました!」

「す、凄腕なんですね」

「じゃろう? ウチの数少ない自慢じゃよ」

「もっと褒めてくれていいのよ?」

「お主は仕事に集中せんか!」

「ヘーイ。君のは大丈夫だしセミオート15フルオート15で行ってみよう」

「ハイ!」

 

元気に返事を返すM16A4はガンスミスに任せて、SDMRがナガンに軽く頭を下げた。

 

「指揮官のだけじゃなくて、自分たちの分まで面倒を見てくれるなんて、なんと言ったら良いか」

「大丈夫大丈夫、結局あやつの趣味だからのう」

「変わってますね」

「変態とはよく言われる。お主らの仕事は整備が終わるまで......なんじゃが、しばらくはかかる。

ただで待たせるのも勿体無いし、わしに良い考えがある。

面白い経験を積むのは悪くないじゃろう?。

 

おいお主、メンテまでの空き時間にラジオ収録はするか?」

「あー? そのつもりだけど?」

「なんだったら、此奴らを使うのはアリではないか?」

「ナイスアイデア。んじゃ原稿よろしく」

「任されたのじゃ。と言うわけでよろしく頼むぞ」

 

 

 



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第80回 M16A4(S07基地所属)

長らくお待たせしました


 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い。そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想などにて受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

 

 

ガンスミス

「今日はスペシャルなゲストが来てます。なんとビックリ、男性型戦術人形の『M16A4』君です!」

 

M16A4

「よろしくお願いします!」

 

ガンスミス

「いい返事だ。お兄さん元気な子見ると嬉しくなっちゃう」

 

ナガン

「おじさんの思考回路じゃのう」

 

ガンスミス

「やかましいやい。ところでA4君くらいしか男性型戦術人形っていないわけなんだよね」

 

M16A4

「いえ、俺の基地にはもう1人男性型はいます。他にも、DG小隊のバレットやスミス、他にも何人か知ってます。探せばいるんじゃないですかね?」

 

ガンスミス

「戦場で鉄血の男性型は見かけた覚えがあるんだが。ウチにも配備されんもんかなあ」

 

M16A4

「女所帯だと肩身が狭くなるからですか?」

 

ガンスミス

「部屋が汚いとすぐ怒る奴ばっかりだから」

 

M16A4

「それは誰だって怒りますよ......?」

 

ナガン

「ガンスミスのズボラがバレたところで、今日紹介するのはこの銃じゃ!」

 

 

DG小隊......NTK様 作『人形達を守るモノ』より。

ほんとマジで男の戦術人形って居ないっすね。知らないだけ?

 

 

 

性能諸元 M16A4 ☆- AR

 

口径 5.56mm

 

使用弾薬 5.56×45mmNATO弾

 

装弾数20/30発

 

採用 アメリカ陸軍/海兵隊

 

 

 

開発経緯 M16A1、その最終派生

 

ガンスミス

「この銃の話をしようと思うとなると、M16A2の話をしなければならん。というわけで、まずはこっちの話から」

 

M16A4

「それはなぜですか?」

 

ガンスミス

「M16A2の改修版がM16A4、君だからさ。長くなると思うけど付き合ってね。

 

この銃の大元になったM16及びA1の話は過去ログを参照して貰うとして、だ。

ベトナム戦争を潜り抜けてきたA1、戦争の立役者とも取れるが当然その不評も戦場からは出る。そうしたものを洗い出し、検討し、分析して改修を施したのがA2になるわけだ。

1982年のアメリカ軍の正規採用に始まり、84年にはA1への更新がスタート。91年湾岸戦争においては米軍歩兵の主力武装として活躍したんだな」

 

ナガン

「M16といえばコレ、と思い浮かべる人も少なくないじゃろう」

 

ガンスミス

「変更点は色々あってだな。

フルバーストの廃止及び三点バーストの実装。

リアサイトの形状変更。

フラッシュハイダー及びグリップの改良。

排莢口を変更可能なケースディフレクターの実装。

見た目に大きく変化はないが、使いやすいように細かい改造を施しているな」

 

M16A4

「言われてみればたしかに違ったような。

あ、ハンドガードの形状も違いますよね。姉さ、M16A1は丸い形だったと思いますが、先に向かって細くなってましたよね」

 

ガンスミス

「そこも改良点の一つだからな。

さてM16A2もまた時代の流れによって改良されることとなる。その大きな要因としてあげられるのは『光学機器の普及』なんだな」

 

M16A4

「光学機器、つまりはスコープの進化、ですか?」

 

ガンスミス

「ああ。80年代には銃そのものにスコープが付属するものもあれば、逆に隊員の自己判断でスコープを購入し取り付けることも可能になった、ピカティニー・レールの開発も相まってな。だから拡張性に欠けるあのM16特有のキャリングハンドルを兼ねたリアサイトを廃止。

機関部上部をレイルに改めた(フラットトップ)レシーバーを開発し、近代化に追いつけるようにした。

これがM16A4の概要になる。M16系列独特のキャリングハンドルを兼ねたサイトもオプションパーツ化することによって、好みで選べるようにもなったわけだ」

 

M16A4

「なるほどなるほど......」

 

 

過去ログ......第53話でした。

 

 

 

M16A4ってどんな銃?

 

ナガン

「とはいうものの、M16A2の近代化改修版。それ以上でも以下でもないじゃろう。解説することあるのか?」

 

M16A4

「あ、あはは」

 

ガンスミス

「ないものは捻り出すんだよ。

さて、M16を語る上で欠かせないのはM4カービンの開発、及びRISの開発だ。

 RISってのはM4カービン標準装備のハンドガードの4面がレイルになってるアレだ。アルミ合金を使用することによって重量を軽減し、銃身の短さも含め取り回しと拡張性を向上させることに成功したこのオプション。

 

当然、配備されてたA4にも実装されるわけで。

ハンドガードをRISの改良版であるRASに改めたのが『M16A4 MWS』。海兵隊では隊長クラスにはM4、一般隊員にはこのMWSが配備されることが現代のM16A4 になるんだな。

 

あ、3点バーストの話していい?」

 

ナガン

「原稿にないことを......ま、ええじゃろう」

 

M16A4

「俺のはフルオートモデルですが、3点バーストモデルもあるんでしたっけ。アレ扱いにくいですよね」

 

ガンスミス

「仕方ないんだなこれが。実はM16系列の3点バーストってのは弾の消費を抑えるための場当たり的な改修なんだ。フルバースト用の機構に幾つかのパーツを噛ませて3点バーストにしてるもんで、コスパは良く単純な構造だが融通が効かない。だからM16系列で3点バースト機構とフルバースト機構を組み合わせることができないんだ。

 

 逆に言っちまうと、民間に流通する3点バーストモデルってのは知識と設備があればフルバーストモデルに改造することができる。これがたまに問題になったりするんだ。

 M16クラスのライフルを民間人が所持するにはかなり厳格な取り決めがある。ライフルのフルオート銃なんざ犯罪者が一番街中で振り回しちゃいけない銃だからな。それをすり抜けられてしまうのは、かなり不味い」

 

M16A4

「そうですよね、ライフル弾は貫通力の高い銃弾ですし、何人に被害が出ることやら」

 

ガンスミス

「ちなみに俺は5分でパーツから作って改造できるぞ。君のが3点バーストモデルだったら今すぐ実演して見せたんだが」

 

ナガン

「自慢などはせんでよろしい」

 

 

 

M16A4の現在地点

 

ガンスミス

「さて、A4君にはちょっとだけショッキングな話をしよう」

 

M16A4

「な、なんでしょう......?」

 

ガンスミス

「近い将来、米軍からM16A4は駆逐されM4に置き換わる。というよりもう始まってる」

 

M16A4

「ええっ! それはどうしてですか!」

 

ガンスミス

「現場の人間がこう思ったからだ。『長い銃身とか邪魔じゃね?』と。

実際狭い車内や市街地での移動や交戦時、M4の短い銃身が楽なのはわかるだろう?それにM16A4純正は固定ストックだ、尚更長い。どこぞの漫画じゃないが、狭い室内用に『ストックを担いで構える』構え方が用いられたくらいには問題視された」

 

M16A4

「でも命中精度とか、固定ストックの安定性とか、銃剣をつけたときのリーチの長さとか利点だってあるじゃないですか」

 

ナガン

「今時銃剣戦闘が起きる市街地戦があるかどうか。統計的にも銃剣戦闘が起こる事態は減っておるし、腰にハンドガンを下げる理由を今一度問いたいところじゃがのう」

 

ガンスミス

「あと命中精度についてなんだが、光学機器の進化で誤差レベルまで改善されてるし、銃弾の工作精度だって昔のようにばらつきがあるわけじゃないんだ。

あとは戦術の見直し云々で交戦距離が短くなり始めてるのも向かい風になってるんだな」

 

 

どこぞの漫画......少女漫画『覇王・黒龍』に登場する世界一腕の立つ殺し屋の一コマ。

あからさまに純正のM16A2のストックを肩に担いで狙撃するというミリタリに詳しい人からすればトンチキなシーンな訳だが、細かいことは気にしないのもまた作品の楽しみ方の一つだ。

「その綺麗な顔をふっ飛ばしてやる!」

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「時代の移り変わりで生まれる銃もあれば消えていく銃もある。だとしても、その銃を使用した兵士の経験値はしっかしと次世代へとひきつがれていく筈だ。

あとゲストなのに貶しすぎたかもしれん、申し訳ない」

 

M16A4

「いえいえ全然気にして無いです。むしろ時代遅れと言われてやる気が出たくらいですよ」

 

ガンスミス

「おっと。して、その心は?」

 

M16A4

「仮にも俺はM16A4の戦術人形です。自分の銃に誇りを持っていますよ。例えなんと貶されようと、俺が持つ銃は世界で一番最高だって言って見せます。

そして何より俺にはやることがあります。そのためには立ち止まってなど居られないですから」

 

ガンスミス

「そっか。ま、詳しくは聞かないでおくよ。んでナガンはなんで黙り込んでるわけ?」

 

ナガン

「その心意気......感動したっ! お主この後時間はあるか!」

 

M16A4

「え、あ、はい」

 

ナガン

「なればよし。この基地には銃剣戦闘に熟練した部隊がある。その戦闘データはいくつか持っていくが良い。何かの助けにはなろうとも」

 

M16A4

「良いんですか!?」

 

ナガン

「同じ時代遅れ(ロートル)のよしみじゃ。なんじゃったら直々に稽古をつけられんこともないぞ?」

 

M16A4

「是非、お願いします!」

 

ガンスミス

「なんだか2人も熱くなってきちゃったし、ここはお開きかな。というわけでまた次回お会いしましょう!」

 

 

 

 

あとがたり

 

 

 

ガンスミス

「......とまあそういう事なんだわ、すまんね」

 

 

SDMR

「無為に時間を過ごすよりは有意義ですよ。それで、指揮官の89式は修理できそうですか?」

 

ガンスミス

「予備パーツの在庫があるから問題なしよ。本音を言えばレシーバー丸ごと全とっかえするのが確実だけど、無い物ねだりは言えないからね。

消耗してた滑り止めとかパッドプレードについては損耗酷いからパーツ発注がベストなんだが、さてどこに発注するかな、そちらの指揮官に問いただしとくべきだったか......?」

 

SDMR

「あの。そちらの基地のM1895は、随分と熱血みたいですね。標準とは違って」

 

ガンスミス

「......まー、アレはなんというか、親切心だろ」

 

SDMR

「?」

 

ガンスミス

「経験の積み方が他所とは大違いってのもあるが、何より銃がトコトン旧式だからなアイツは。

 銃に文句を言える日なんて無かったし、それだけで戦場を生き残らなきゃならんかった。だからこそ、持ち味を活かす戦術を編み出してるんだよ。

 今でこそ高性能な銃を持つ戦術人形も増えてはきたが、その鉄則を忘れないでくれって毎回訓練の時は言ってるらしいからな」

 

SDMR

「持ち味を活かせ、ですか」

 

ガンスミス

「コンプレックスなんて捨てちまえ、の方が正しいかもな。

それはそれとしてサイダーご馳走様。このご時世こんな美味い奴があるとは思わなかった」

 

SDMR

「ええ、自信作ですので」

 

ガンスミス

「指揮官に言って購買に並べてもらうのもアリかもな......」



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番外編 ウェスタン・パレード-Ⅰ

というわけで戻ってきました、お久しぶりでごぜえます。

というわけでコラボなんじゃよ。次回はしっかり解説するのでこっち側なんだなぁ!


 

 

 

 

「ええ、では、その通りに。担当者の方はこちらから向かわせることとします。はい、では、約束の日に」

「お、今日は何のお仕事?」

「外部のPMCと」

「へぇ、珍しいね」

「普段だったらG&K社内の相互連絡網で済む依頼なんですがね」

 

司令室で電話をかける指揮官ってのは珍しくないが、こう丁寧な口調なのは珍しい。そう思ったので声をかけてみるとなんとも面白いことがはじまるらしい。守秘義務も特にない依頼ですしと前置きした上でことのあらましを語ってくれた。

 

「依頼ってのは書類輸送の護衛依頼ですね。食料やら日用品を運ぶんですけど、鉄血の襲撃で近隣の航空基地に輸送機が飛べなくなってしまって陸路で振り替え輸送する事になったんですが、その分他の護衛に人員を割けないわけで」

「けど郊外はあんまり治安良くないだろ」

「なので護衛依頼が回ってきたというわけですよ」

 

ですが、とため息をつく指揮官。

 

「まだ立て直しに時間がかかるわけで......」

「大規模作戦の爪痕デカ過ぎない?」

「仕方ないですよ。史上稀に見る大規模作戦ですもん。むしろ小規模な戦争レベルですよあんなの」

「ウチはわりかし忙しそうに見えるけど人員は出せない感じ?」

「今いるのは最低限の常備戦力と近隣地区をカバーするための人員です。防衛任務と護衛任務のどちらが優先かと言われれば防衛任務と言わざるを得ません」

「だからこそ傭兵に依頼するしかないと」

「ガンスミスさんの所属していたPMCがあればよかったんですけど、解散してしまっていましたからね」

 

 あそこの社長さんも足を洗ってしまったようで真っ当な仕事についていますから頼むこともできません、とぼやく指揮官。意外なところで元上司の行方を聞いたもんだ、っと、本題は別口だったな。しかしPMC、となると......

 

「依頼公募をかけたってわけ?」

「いや、こちらから信頼できそうなところを探しました。そこでひとつ気になるPMCがを見つけまして」

 

 戦術人形の名簿なんですけれど、と前置きして見せた名簿はそれほど長くはない。G&K社払い下げの準旧式〜現行の戦術人形の幾つかがそこにあるが気になる単語がひとつある。

 

「『CM901』か」

「僕の記憶が正しければ戦術人形のラインナップにありません。ガンスミスさん心当たりは?」

「銃にはあるが戦術人形にはない。弟に聞いてみようか?」

「頼みます」

 

弟に電話をかけた。16Lab所属の研究員だ、生産される戦術人形なら名前くらい試作品でも心当たりはあるはずだ。

 

『はいもしもーし!こちら平和を押し売りする研究所でーす』

「CM901って名前のコルト系ARの戦術人形作った?」

『なんそれ、知らんよ』

「わかった、さんきゅ」

『ところで新作の20mmを連射できるハルコ』

 

 電話を切り知らないらしいと首を横に振ると、指揮官は腕を組んで唸った。

 

「となると16labを通さない戦術人形が生産されたことになりますね、しかも実戦投入されている様子、きな臭いですね」

「戦術人形はペルシカの特許みたいなもんだ、彼女の統括するラボを通さずには不可能だろ。何かのミスとかじゃないのか?」

「代用コアさえあれば戦術人形は作れます。ただハイクオリティな義体が入手できかつ戦闘に耐えうるプログラミングを一から組める人間がいるなら、ですが」

「......あるのか? そんな組織が」

「その探りも兼ねてってワケですよ。出所不明の戦術人形が戦場に増えたらこちらも商売あがったりです」

「一気に下世話な話になったなオイ」

「それは冗談ですが、得体の知れない仲間を増やしたくはないでしょう? 最近謎の第三勢力の台頭もありますし用心はすればするほどいい」

「ただ、CM901となるとなぁ」

「おや、何か引っ掛かりでも?」

「CM901はM4の代替品としてコルト社が生産してるモジュラーライフルだ。民間流通モデルもあるが、ハイグレードモデルみたいな位置付けなんだ」

「そうホイホイと生産できるものでもないと?」

「機関部ととマガジンハウジングにクセがある。M16系統で選ぶなら性能も似たようなので安いのは山ほどある」

「なるほど。ますますわからなくなってしまいましたね。では実際に拝んでチェックするとしますか」

「仕事を引き受けてもらうって事か」

「戦術人形の戦術データを報酬に乗せれば確実に乗ってきますよ。まだ人形の方の配備は始まったばかりのようですからね」

 

 机の上に何枚か積んであるデータディスクをひらひらと振ってみせた後輩ちゃんの笑顔のなんとあくどい事か。だがCM901なんてあんまり見ない銃だしこっちとしても気にならないわけじゃない、触れるんだったらぜひ触る機会が欲しい。どうにかして

 

「だったら、ただで整備させる代わりに暫くこの基地に留めちまうのはどうだ? 演習とかもさせればその戦術人形がどれくらいかのレベルもわかるだろ」

「たまにはいいこと言いますねガンスミスさん! じゃあその方針でいきましょう!」

「......へっ?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「それで? お目付役もついでに任されたと」

「ナガンもいるから大丈夫でしょ、ってさ」

「全く、一端の老兵に頼りすぎるのは良くないぞ。もう前線は懲り懲りだと言うのに」

「ベテランに頼ることがそんなに悪い事かよ」

 

 発注していたパーツ群の確認をしながらつい先日のあれこれをナガンに話したら呆れた顔をされた。やれやれと肩をすくめつつチェックマークに印を入れていく。

 

「しかし......見ない会社のパーツじゃの。新人のものか?」

「件の出所不明の戦術人形のさ。余ったパーツは警備部のやつにCM901を使わせればいい。最近銃が古いってぼやいてたやついるし、丁度いいよ」

「ただの趣味に聞こえるんじゃが?」

「パーツ交換のついでにロット番号確認できれば儲けもんさ。そうでなくともどう作ったかで察しがつくかもしれんし。粗製だったり古かったりでも多少あたりはつけられる」

「サラッと言っておるがそれは変態の所業じゃからな?」

「そうか?」

「天才とは得手して自覚がないもんじゃからのう......」

 

雑談してるとナガンに何やら通信は届いたらしく、耳に手を当てている。そのまま2、3言葉を交わして、扉の方を指で示した。

 

「お客さんが来たようじゃな」

「了解、んなら、しっかりとお出迎えしてあげんとね」

 




コラボ先は『SUPER 64』様
「死んだ筈の戦友が戦術人形になって帰って来たんだが?」です。
題名とは違った硬派な文体と時折挟まれる素晴らしい挿絵がとてもイイ!
コラボストーリーはこちらからですが1話から読んでほしいな。
https://syosetu.org/novel/242770/7.html


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第--回 The War has End!

と、いうわけでございまして。


 

 基地の中で1番広い広場に職員、戦術人形が整列し。弾薬箱に乗って少しだけこちらを見下ろす正装姿の後輩ちゃんがこほんとひとつ咳払いをする。隣にはカリーナが控え、こちらも珍しく制服姿で姿勢を正す。

 だが、今日だけは全員がそうなのだ。いつもはラフなシャツ姿の職員やツナギ姿の作業員も、ちょっとばかし破廉恥なかっこうの戦術人形も全員が全員、かっちりとした制服を着込んでいる。それはもちろん俺も含めて例外なく、全員が。

 

 それはそうだ。今日はとてつもなくめでたい日であって、とてつもなく悲しい日にもなるだろうから。

 

「えー、本日はお日柄もよく......えーっと、なんだっけカリーナ」

「最後まで締まらない人ですね......カンペ渡したじゃないですか」

「そうだったそうだった。確かここらへんに」

 

 ......やっぱりいつも通りらしい。無駄に多い制服のポッケをまさぐり、メモ用紙の切れっ端を見つけて堂々と見ながら読み上げる。

 

 「まず先日の作戦を持って、鉄血工廠最後の生産基地を破壊、データに関しても削除された事を確認しました。

 残党もまた本部属部隊をもってしてこれを殲滅したことも重ねてここに報告します。よってこの日付をもって鉄血工廠の暴走戦術人形を殲滅、再生産を不可能にした、ということになります。

 これをもって、G&K社が提唱する『鉄血工廠の脅威に対抗する』目的を達成したことになりました。

 またE.L.I.D及び崩壊液の無力化を確認。壊滅状態のアジア、北米、ヨーロッパの除染も始まりました。

 よって、このS地区は01基地を除き全て解体とし、同基地に勤める者を除く職員及び戦術人形を解雇します。

 

 ここからは僕の言葉で語らせてもらいましょう。まどろっこしいのは苦手なので」

 

メモ用紙をまるめて投げ捨て、彼はこう告げた。

 

「......戦争は終わりました。

それに伴いこの基地も放棄されます。

 今まで、お疲れ様でした」

 

 

そう、戦争は終わった。

戦争と呼べるようなものではなかったかもしれないが。

 

それでも、俺たちが言う「戦争」は確かに終わったんだ。

 

「最後に一つ。

この戦いで散っていった仲間に。祈りを」

 

後輩ちゃんが被っていた帽子を胸に抱え、静かに目を閉じる。職員全員がそれに倣い黙祷を捧げた。

 

 

死んでいった友に。

砕けた戦友たちに。

立ち塞がった敵に。

 

戦場でなくなった全てのものに祈りと、願いを。

 

どうか安らかに。

 

願わくば、あるべき場所に立ち戻れるように。

 

 

 

◇◇◇

 

 

「それで? お別れを言いに来たってわけ?」

「腕利きの戦術人形ってのは引く手数多なのよ」

「私たちは戦う以外はまだ知らないことも多いですからね。自然こんな就職先を選ぶ戦術人形も多いんですよ」

 

 式典も終わり荷物をまとめる最中、見知った顔が工廠に顔を出す。短く手伝うわ、と告げて近くにいたナガンに指示を仰いでいた。

 WA2000とウェルロッドMk.Ⅱは北米へ渡り、警察組織に協力するという。そこでは数百年前の開拓時代のようにまだ安定した生活は望めず暴力が罷り通る場所も多い。だからこそ最前線で経験を積んだ彼女らの実力は充分に役に立つことだろう。

 

「しかしSTARS、なんて面白いネーミングセンスね」

「願わくば我々が希望の星になれる様、なんて」

「ロマンチストね」

「性分ですよ」

「......ま、先方からは催促も来ているとこだし、バッジももう届いてるわ。じゃ、ここでお別れねガンスミス。あんたの腕は最高だったわ」

「ラクーンシティに来ることがあれば、歓迎しますよ」

「おう、いつか銃を見に顔出してやんよ。身体も銃もメンテサボるんじゃないぞ」

「当たり前じゃない。私達はプロフェッショナルよ」

 

 

 

『よう兄貴! 人生で何度目の就活だ?』

「ほっとけ、お前はどうなんだ?」

『俺はラボに残るぜ。なんせやる事はまだまだ尽きないからな』

 

弟のプログラマーは16Labに残るという。戦術人形の再民生化や、鹵獲したハイエンドモデルの調査とやる事は沢山あるそうだ。面白い同僚も増えた事だしな、と黒髪に真っ白な肌の戦術人形のツーショットが......カノジョ戦場で見たことあるような?

 

 

「寂しくなるヨー。それにこの老耄(もうろく)の就職先なんてこんなところ以外どこにあるってのサ」

「俺知ってますよ、08地区のカフェにヘッドハントされてるって。春田さんもそこでしょう」

「耳が早いネー」

 

 死神さんは隣地区のカフェに務めることが決まっていた。なんでも、基地を一般に向け解放したときにやってきた人形が彼のコーヒーにいたく感動したようで『是非ウチに!』とのことらしい。

 あの約束から数年は経っているとはいえ約束は約束だ、とマスターと名乗る亜麻色の髪の民生人形がついでのように春田さんもかっさらっていった。もし行き詰まることがあったら気分転換に行ってみよう。

 

 

 

「本部に栄転とはいい話だとは思うんですけどねぇ」

「お前早々に俺のところに愚痴りにくるなよ、仮にも指揮官だろうて」

「ボクは今日付で指揮官の任を解かれてますんでただのヒラ職員ですよーだ」

「理屈っぽいというか子供っぽいというか」

「ナガンさんがそれを言いますか」

「やかましい!」

 

 後輩ちゃんはG&K社から逃げられなかった、もとい本部部署へ転属されることが決まったらしい。なんでも昔いた情報作戦班に戻ってこいと当時の上官がクルーガーさんを通して怒鳴ってきただとか。

 

「先輩とハネムーンするつもりだったんですけどね。数年くらい仕事サボれるだけのお金はありますし」

「あいつがそれを認めるかは知らんけどな」

「もちろん断られましたよ、秒で」

「じゃろうな」

「そんなことにお金回すくらいなら子供の養育費に積み立てとけーって」

「ハイハイ......はい?」

「こ、子供じゃと?」

 

 ナガン共々思わず振り返ると、いたずらが成功したようににししとわらいながらピースサインで返して、

 

「今で3ヶ月です」

「......お主らにもついに春が来おったか」

「このクソ忙しい時にとは思いますけどね」

 

 やれやれと首をすくめつつ、少しだけ嬉しそうに笑う。なんやかんやで同棲も始まった後輩ちゃんと元指揮官ちゃんの関係はどうにかこうにかうまくいっているらしい。後輩ちゃんの恋はやっとこさ実ったのだ、全く、長い片想いだったな。

 

「で、結局本部に行くのか? 指揮官ちゃんと一緒に?」

「ええまあ。先輩は子供ができるので専業主婦って話ですけど、ついて来てくれますよ」

 

 それで、と前置きした上で後輩ちゃんが口を開く。

 

「ガンスミスさんはどうするんですか? それにナガンも。身の振り先をボクが知らないのはあと2人だけなんですから」

「ソレはおいおい話すさ」

「とりあえずやることを済ませねえとな。このチャンスを逃した日にゃ次はないんだからよ」

「やること? チャンス? 次?」

「決まっておるじゃろう」

 

 俺とナガンは共々ヘッドフォンを被り、機材の主電源を入れる。今日のために原稿は書いてきたわけじゃあないが、なに、アドリブでもどうにかなるさ。

 

「ラジオの収録」

「ここの職員が一堂に会するのはコレで最後なんじゃろう?」

「うちの名物でファンレターもたくさん届いてたんだ。しばらくは出来なかったし、最終回のお別れの挨拶くらいはなくちゃな」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想欄などにて受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元は主にWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

 

「とは言っても、今日は銃紹介は無いんだけど」

「なんせ最終回じゃからのう。

戦争も終わった、G&K社も大幅にリストラが敢行されめでたく我々はお払い箱、てわけなんじゃなこれが」

「まー、うちの指揮官ちゃんは面倒見がいいからね。就活には困らないさ」

 

 軽くオープニングトークで最終回なことを告げて本題はここからだ。

 

「ざっと......-年間か......不定期とはいえ、よくここまで長続きしたもんだ」

「最初はただの趣味の思いつきだったものを。近くにいたせいで巻き込まれた身としては災難ではあったがな」

「それに最初はナガン自身を紹介しないっていうね! 全く、不親切にも程があるってもんよ」

「思い返せばゲストの扱いもぞんざいであるし、原稿もまぁ......読みにくければ話しずらいもの」

「よくやろうと思ったけど、なんせ人がついてきちゃあなぁ」

「数回続けてみれば面白かっただのためになっただの、そう言われてしまうとねえ」

 

 思い返せばそんなことのだけ。

 だけど、感想をもらってしまうってのは、それだけでしごく楽しかった。

 

「他所の基地に呼ばれもしたし、他所から放送したこともあったってか」

「P基地には随分と世話になったものじゃ」

「他のS地区基地にも行ったし、D地区にも行ったし......あと鉄血のヤベーやつに攫われたこともあったっけな」

「それだけ見ればひどい経歴よな」

「ま、どれもこれも揃えて俺のファンだの腕を見込んでだの......まったく、やんなっちゃうね」

 

 思い返せば拉致だのなんだのとひどい誘いもあったし、個人的なトラブルに巻き込まれたこともあった。逆にこっちが暴走したり迷惑をかけてしまったりってのもあった。

 

「ま、その付き合いもここまでって事だ。俺はいち市民に戻るし、ナガンは......聞いてないけどどうするの?」

「これでも本部所属。辞令あるまで待機ではあるが本部所属のボディーガードにでもなるじゃろう」

「なるほど、このコンビも解散ってわけだ」

「短いような長いような関係じゃったのう。戦友でもなし、親友でもなし、パートナーというわけでもなしと言葉にし難い間柄じゃったが......なんというと思う?」

「上手いこと形容できる言葉は思い浮かばねえが、ま、そういう関係だったって事でいいんじゃねえの?」

「......そうじゃな」

 

 俺は音が入らない様、少しだけゆっくりと拳を突き出す。その意図を察してくれたナガンも、同じように拳を突き出し、それを合わせた。

 

「とまあそういうわけだ。これからは少し寂しくなるだろうが......もし、S09地区で会う事があったら」

「そうじゃな。もし奇跡の様なことがあって。このコンビが再開することがあれば」

「「銃器紹介ラジオが復活するその時まで、またいつか!」」

 

 何も言っていなかったが、意思は通じ合っていた。

 

 さよならは言わない。またいつか。

 

「......じゃあな。また」

「そうじゃな。またいつか」

 

 そして俺たちは別れた。

 互いの道を進むため。互いの将来を叶えるために。

 

 

 

 

◇◇◇

 

「......ビバ、俺の店、開店!」

 

 あれから数年。流れの整備士としてG&K社の時のツテを使って金を稼いでいた俺はついに自分の店を持つことができた。

 銃を整備できる最低限の資材と、商品。そして趣味を叶えるための小規模なキッチン。

 

「......まー、今どき需要はねーけど」

 

 場所は土地代の安い裏路地で、店も居抜きのものを小改造しただけのこじんまりとしたやつ。少々の休憩スペースと、ついでに誰でも使える整備台を置いた鉄くさい様な甘い様な、中途半端な店。

 ケーキと銃が並ぶことになりそうなショーケースに寄りかかりつつ、久しく吸っていなかったタバコに火をつける。

 

「......アイツは元気にしてっかねえ」

 

 ちんちくりんのアイツの姿を思い浮かべる。胸くらいの高さで、時代がかった口調の、可愛い可愛い頼れる相棒。別れて以来、めっきり連絡は取ってはいない。

 もしかしたら初期化されたか事故で死んだか、忘れてしまったのか。

 

「......店主」

「おっと、開店は明日だぜ、おチビちゃん」

 

 ガラでもなく感傷に浸っているとキャスケットを被った子供が店の戸をくぐったらしく、ベルの音が響く。俺はタバコを咥えたまま適当にあしらおうと入り口の方を向いて。

 

 

  子供はまぶかに被っていたキャスケットをこちらに投げると、指にチラシを挟んで突き出した。

 

「バイト募集とは、書いてあったじゃろう?。 可愛い看板娘は必要か?」

「......オーライ。また世話になるな、ナガン」

「互い様じゃろう、ガンスミス」

 

久しく呼ばれていなかった名前と、変わっている様で、何も変わっていない彼女。俺は少しだけ込み上げる何かを見せるのが恥ずかしくて、手に持った帽子をナガンに乱暴に被せ、寄りかかっていたショーケースから起きて伸びをした。

 

「何をするか!」

「お? 店長に逆らうたぁ生意気なバイトだな?」

「やかましいわい! だいたいこんな店わしの様な可愛い娘がおらんと人が集まらんじゃろう。感謝して欲しいくらいじゃな」

「言ってくれるなオイ......!」

「お、やるか? わしは戦術人形じゃぞ?」

「やってやろうじゃねえかこのやろう!」

 

大人気なく飛び蹴りをかましながら、俺は笑った。

 

 

 

 

 ま。こんな騒がしい店ではありますが。

 

パティスリー『ブラックアイアン』をどうかご贔屓に。




短い間でしたが。ありがとうございました。



......もう少しだけ続いたりするんじゃよ?


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小話&番外コラボストーリー
小話-2 Karちゃん狂想曲。


注)今回は銃器解説ではありません。ただの息抜きです。
とりあえずKar98kで遊ばせとけばオマージュになるってじっちゃんが言っていた。

コメディって難しい......あの人凄いねんな......


 

 

 

 

 

 

 

ナガンがなんの気もなしにいつもの場所を訪れると、ガンスミスが一張羅の綺麗な作業着に着替えていた。

 

「おはよう。珍しいな、それを着るとは」

「ん、ああ。なんせ新しいライフル戦術人形が着任するって聞いたからな。ご挨拶くらいしとかねえと」

「仕事柄付き合いがあるからか。勤勉じゃな」

「まーな、給料分は働かねえと」

「ついでにわしも行っても構わんか? どうせ基地案内とか頼まれるじゃろうし、暇じゃし」

 

というわけで指令室を訪れる事になった2人。

 

「もしもーし、お邪魔しますよーっと」

 

階級は違うとはいえ気の知れた中である、挨拶もそぞろにドアを叩いて、扉を開こうをドアノブを捻るが、

 

「どうした、鍵でも?」

「いや、なんか突っかかってるみたいで」

 

とはいえ、成人男性のガンスミスに開けられないほどではない。そのまま無理矢理に部屋に押し入って、

 

「......え」

 

顔から血を流し、仰向けに倒れるカリーナを目にした。

 

「カリーナ?! おい、カリーナ!」

「これは......!」

 

腰のホルスターから銃を抜き辺りを警戒するナガンを横目に、ガンスミスは倒れたカリーナを引き起こし事情を問いただす。

 

「......う......」

「カリーナ、おい、なにがあった!」

 

うめき声をあげ、意識が戻ったか目をうっすらと開くカリーナ。ナガンもあたりの安全を確保したか、膝をついて彼女の言葉に耳を傾ける。

 

「......あ、れは......マズイ」

「何がまずいんだ、説明できるか」

「幸せ.......過ぎます......がくり」

 

「「は?」」

 

意識を失い力の抜けた顔がどうにも襲撃とか事故とはは無関係そうな、とにかく幸せそうな顔をしていて。

 

「......よく見たら鼻血じゃね?」

「ティッシュでも詰めておくかのう」

 

テキパキと鼻血の処理をし、ふと異常に気がつく。

 

「そういや指揮官は?」

「いつもは詰めておるんじゃが、まさか」

 

奥の自室かのう、と奥まった場所に備え付けられた指揮官の部屋に向かうナガン。

 

「指揮官、寝坊かー、起き」

「えーい」

 

しゅばん、と目にも留まらぬ速さでナガンが部屋の中に引きずり込まれ、パタンと扉が閉まる。

 

「ぎゃああああああ、ああああああ、あう」

「んふふふ......」

 

ドタバタと抵抗する音が悲鳴のフェードアウトとともに消え、静寂が指揮官室を包み込む。

「な、何が......」

「やばいんだよ」

「はっひぃ?!」

「私だよ私、スパナ振りかぶらないで!」

 

机の死角からひょっこりと顔を出す指揮官。この短時間で何があったのか、神妙な顔で語り出した。

 

「......キッカケは、新しく来たライフル戦術人形。そこからはじまったのよ」

 

 

 

 

その日私は、新しい人形がどれだけカワ、いえ優秀か楽しみにしてたの。カリーナも一緒にいたわ。

着任してきたのは、Kar98kちゃん。

ちっちゃくて白髪で、コートがモコモコで軍服姿と相まってカワ、じゃなくて、この前の合同作戦でも随分と活躍してくれた子。

ほらこの前の紹介の時見かけた時一目惚ちゃって、要請たくさん出しちゃった。そしてら別の基地が転属を受け付けてくれたらしくね、今日来る事になったの。

そんでついにきたんだけど......最初から様子がおかしかった。

顔も赤かったし、足取りも覚束なかったし、えへへへー、って。

 

とりあえず無難に挨拶して、いちゃい、じゃなかった、基地の案内とかしようと思ったら、急にカリーナに抱きついて。

 

『おねーちゃんのハグで癒されてください!』

 

 

 

「あの上目遣いとモコモコの魔力には誰も勝てないわ。M1895ちゃんもきっと......」

「心配して損した」

「ひどい!」

「たかがハグだろ。そんなもん多少はまあ思うところもあるだろうけど、カリーナみたいにああも大袈裟に」

 

やれやれと肩をすくめるガンスミス。

その時、どさ、と何かが崩れ落ちるような音が聞こえた。

ゆっくりと、壊れた機械のようにぎこちなく音の発生源の方に振り向く2人の目に飛び込んできたのは、

 

「と、とろけてしまうのじゃ......へへへ」

「さあ、おねーちゃんとハグしましょ?」

 

見せられないくらい蕩けた顔のナガンと、この前スプリングフィードがプレゼントした酒瓶を抱えるKar98k。

心なしか、Kar98kの顔が赤い。

 

「......こりゃまずいな」

「でしょ?」

 

2人は、一目散に逃げ出した。

「なんでああなったんだよまったく! 俺の知ってるKar98kはもっとお淑やかな、深窓の令嬢みたいな感じの女の子だったぞ!

あんなゆるふわおねーさんハグ魔じゃねえ!」

「私だってわかんないもん!」

「責任者お前だろ責任取りやがれ!」

「ふふふ、恥ずかしがらないでいいんですよ〜、おねーちゃんの胸元に飛び込んでくださ〜い」

「「ひい、来たぁ!」」

 

いかに様子がおかしいとはいえそこは戦術人形。人間の脚力とは比べものにならない程の速度で2人に追いすがる。

 

「どうするどうするどうする、このままじゃ追いつかれるぞ」

「だからどーしろって」

 

言うのよ、と言いかけた指揮官がガンスミスの視界から喪失する。

 

「恥ずかしがらなくていいんですよう?」

「きゃああああああああああああ!」

「くそ、それなりに距離があったんだぞ、一体......」

 

ふと目に付いたのは、壁面に刻まれたまだ白煙をあげる足跡。

 

(まさか、壁を蹴って飛んできたってのか!)

「おねーちゃんに不可能はないんですから、ぎゅー」

「ふへぁ......」

「すまん、お前の犠牲は無駄にしない!」

 

尊い犠牲を払い、ガンスミスは前へ進んだ。

 

「さあ、おねーちゃんがいっぱい撫で撫でしてあげますからねぇ」

「ふにゃあ......」

 

 

 

 

 

「どっこいしょのせっ!」

 

頭から飛び込み、そのまま手をついて一回転。空中で体をひねり、着地と同時時のドアへ駆け、閉める。

鍵をかけるには飽き足らず、てじかにある椅子机を積み上げ臨時バリケードを作る。

 

「ちょっと、何してるんですか、これじゃお客さんが」

「いいから、誰も入れちゃならないんだ!」

 

スプリングフィールドの戸惑いの声を一括し、息を整えようと座り込むガンスミス。

 

「何があったんですか、こんなに急いで」

「なんと説明すればいいのか......」

 

ハグしたら幸せのオーバーフローでぶっ倒れて意識が飛ぶ、なんて話誰が信じようか。

平時のガンスミスだってこんな話を聞けば鼻で笑い飛ばすだろう。だが、その現実をしかと目にした以上、信じるよりほかはない。

 

「ともかく、中に誰も入れるな、誰もだ!」

「どうしたんですかぁ?」

 

間延びした少女の声がカフェ内に響く。

無言で静かにするようにハンドサインすると、理解したらしいスプリングフィードもおし黙った。

 

「あれ、おかしいなぁ。確かに声がしたんですけどねぇ......」

 

むむむ、と可愛らしいうなり声が遠ざかっていくまで誰も動かない。かつかつと響くブーツの足音が消えたところで、ガンスミスはやっと胸をなでおろした。

 

「ぷはっ、一体なんだったんですか?」

「俺にもさっぱりわからん、ただ、アイツにだきつかれちゃ絶対にいかん」

「なんでハグしちゃいけないんですかぁ?」

 

遠ざかっていったはずの声がする。

「きゃっ」

「私は、おねえちゃんなんです」

 

スプリングフィールドが目にも留まらぬ早業で足を搦めとらせ押し倒される。

 

「だから、いーっぱい撫で撫でしてあげますね?」

「あっ、え、その」

「ぎゅーっ!」

 

また1人犠牲者が積み上げられる......

 

「......んふふ、あなたは優しいですね、そんな可愛いオネーちゃんには、妹の私もご褒美をあげちゃいます、ぎゅーっ」

 

......事もなく、スプリングフィールドの腕がKar98kの小柄な体を優しく包み込む。

 

「......新しい場所で緊張してるんでしょう? だったら、安心して下さい。ここは、あなたの妹や弟がたくさんいる場所ですよ、ねっ」

「えっ、あっ、うん、はい」

「だから、安心して下さい。みんな、あなたの事を大切に思ってますよ」

 

よしよし、と押し倒されたままで頭を撫でられるKar98kの目に涙が浮かぶ。

 

「......だって、転属だって......みんなから、いらない子って言われて、よくわからないところに行かされて、それでっ」

「うんうん、不安だったでしょう? でも大丈夫、おねーちゃんは、みんな好きだから」

「ふえっ、えぐっ」

「不安なら泣いていい、心配なら相談すればいい。基地のみんなは、仲間だから。

背中を預けて預けられて、そうでしょう?」

 

早朝の基地に、か細い鳴き声が木霊する。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「こうして今回の騒動は幕を閉じた。

ただ、ひとつ解せない事があるな、しーきーかーん?」

「はうっ」

「なんでKar98kの顔が赤かったんだろうな、まるで酒でも飲んだみたいに」

「ひいっ」

「場合によっちゃお仕置きもんだよな。なんせ基地が一時的に麻痺したんだ、原因はしっかり突き詰めとかねえと」

「ふひぃ」

「ところで......カリーナ曰く、一緒に缶ジュース飲んだんだってな。お近づきの印とか言って」

「へ、へー、そうなんですかぁ」

「ところで、この前缶チューハイの大量購入履歴があったんだよなぁ、誰だとお思う?」

「ほう、それは気になりますね」

「......」

「......」

「......」

「......私がKarちゃんに酒飲ませました」

「始末書、明後日まで、100枚」

「そんな殺生な!」

「だったら半月カフェ出禁にすんぞこのエロ指」

「始末書100枚書きます」

「よろしい。ちなみに通常業務も宜しくな。この前の苦情がたーっぷり来てるってカリーナ言ってたしな」

「へあっ!? き、聞いてないんだけど、カリーナ、ってあれ」

「カリーナは今日から一週間有給使って旅行中だから。1人で頑張れよ、それじゃ」

「鬼、悪魔、鉄血兵!」

 





(ただ、割と抱き心地気になる。せっかくだからハグされとけば良かったな)

そう思うガンスミスであった。


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小話-3 ふるめたる・どーるず・ぱにっく


解説中に舞い降りた突然のギャグ回。
生暖かい目で見てくださいな。


 

 

前回のあらすじ

 

ガンスミス拉致される。

 

「恨んでないとは一言も言ってない。というわけで拉致には拉致。行くぞー!」

 

M14

「貴様らー、準備はいいかー!」

 

「「「「イェス、マム!」」」」

 

指揮官←慣れた

「みんな頑張ってねー!」

 

 

 

 

416

「暇ね」

 

G11

「やること無いからねぇ、お陰で昼寝が捗るよ......ふぁあ」

 

416

「あんた今警戒中なの忘れてないでしょうね?」

 

G11

「ダミーにやらせてるから......あー、信号途絶。不味いかも。北東」

 

416

「あんたは情報を詳しく確認、私は45に連絡するわ」

 

G11

「了解、偵察してくるよ」

 

416

「もしもし45。基地がバレたかもしれない。G11のダミーが破壊された、北東方面のものよ、警戒して」

 

UMP45

「把握したわ。でも手は出さないで、いつも通りでいなさいな」

 

416

「なっ......どういうこと?!」

 

UMP45

「話は通してある......けど、反撃しないのも不自然かしらね。適当に応対して捕まってちょうだい」

 

416

「頭でも狂ったの?」

 

UMP45

「はぁ。じゃあ今から行われるのは演習よ。経費は相手が全部持ってくれる、思う存分やっても構わないけど、殺さないことだけ気をつけて。

 

......あっちがそう思うかは知らないけど」

 

 

 

 

 

 

G11

「敵さん広場に整列しちゃって。

でも今日は風が強いし200までかなぁ。こっちが風上だし回り込まないと、ああめんどくさい。

にしても、なんて言ってるんだろ。指向性マイク、オン」

 

 

M14

 

『いまこの時をもって、貴様らはガラクタを卒業します。

 

本日から貴様らは戦術人形でです。

姉妹の絆に結ばれます、貴様らのくたばるその日まで、ずっと。

どこにいようとグリフィンの仲間は貴様らの姉妹。

みんな戦場へ向かい、ある者は二度と帰っては来ません。

 

しっかりとコアにに刻みつけて。

戦術人形は、破壊されます。破壊されるために我々は存在しています。

 

だがグリフィンは永遠です。

つまり―――貴様らも永遠ですっ!』

 

『『『イェス、マムっ!!』』』

 

M14

『そして......貴様らはこれから、最大の試練と戦います。実戦において逃げ場なんてものはありません。すべてを得るか、地獄に落ちるかの瀬戸際です。楽しいですか?』

 

『『『イェス、マムっ!!』』』

 

G11

「なにこれ、なにこれ、なにこれぇ......」

 

M14

『いい声ですね、では......

 

 

お前らーっ、私たちの特技はなんだーっ!』

 

 

 

『『『『殺せっ!! 殺せっ!! 殺せっ!!』』』』

 

 

M14

「私たちの目的はなんだっ!?」

 

 

『『『『『殺せっ!! 殺せっ!! 殺せっ!!』』』』

 

M14

「私たちは人類をを愛してますか?! グリフィンを愛してますかっ?! ガラクタども!!」

 

『『『『ガンホー!! ガンホー!! ガンホー!!』』』』

 

M14

『OK! 状況開始っ! 」

 

『「『『YEAAAAAAAAAA!!!』』』』

 

G11

「無理ぃ......」

 

M14

『ところで......私の背後189mでのんびりスコープ覗き込んでる馬鹿はどこのどなたです?』

 

G11

「え、あ、うわっ......」

 

M14

『動揺する狙撃兵は三流ですよ? 第7小隊、突撃!』

 

『粉砕、破壊、大喝采!』

『生きて返すなぶっ殺せ!』

『潰す潰す潰す潰すゥ!』

 

G11

「にぎゃあああああああああ!」

 

 

 

416

「G11反応途絶......これ本当に演習なの?! あんたウイルスでも流し込まれてるんじゃ無いでしょうね!?」

 

UMP45

『全然聞いてた話と違う......わかった、交戦始め、全部壊して構わないわ』

 

416

「もうやってる、ああもう、なんて火力よふざけてるでしょ!」

 

『いい鉄血兵は死んだ鉄血兵だ!』

『殺せ殺せ殺せェェェェェェ!』

 

416

「でも、土煙で視界が悪くなってる。ここは煙幕をたいて仕切りなおして」

 

???

「おまん......敵じゃな?」

 

416

「いつの間にっ! でも銃を持ってないんじゃお笑いね。死にに来たのかしら?」

 

???

「諸行無常、人形はいつか死ぬ。貴方も死ぬ、私も死ぬ。みんなくたばる。

野原に骸を並べて、無様に墓もなく死ぬの」

 

416

「一体なにを......?」

 

一〇〇式

「だけど今日じゃない。

我らは人形、然れども、その魂はモノノフとともに有り......さあ、首、置いていって?」

 

 

 

UMP9

「防衛戦なんて苦手なんだけどなぁ」

 

UMP45

『正面戦闘自体避けるべき事だけど......そもそもこっちも勝つ気はないわ。ただ、防衛戦の練習になるんじゃないかしら。手筈通りにね』

 

UMP9

「はーい......さてと、頑張りますか」

 

 

 

 

1時間後

 

G11

「ごめんなさいゆるしてくださいわたしがわるかったですなんでもしますから」

 

416

「サムライこわいサムライこわいサムライこわいサムライこわい」

 

UMP9

「いやー、捕まっちゃったねぇあはは」

 

「ボス、終わりました」

 

M14

「了解、装甲車に乗せといて」

 

「ラジャ」

 

M14

「ふぅ、いい経験になりましたね。そう組織されている敵と戦う事は滅多にありませんから」

 

WA2000

「......あんたにやり過ぎって自覚はないの?」

 

M14

「とっても楽しかったですね!」

 

WA2000

「......」

 

M14

「そういえば、交渉の方はうまく行くのでしょうか?」

 

WA2000

「ナガンとあいつよ、失敗する方がおかしいわね。

ただ、不思議な格好をしていたけれど」

 

 

 

ガンスミス←大石内蔵助コス

 

「やぁーやぁーUMP45、とその他3名。

先日はよくも俺を拉致してくれたな!

俺の2ヶ月ぶりの有給休暇を潰した罪万死に値する! 者共、こやつをひったてぇい!」

 

ナガン

「わししかおらんのじゃが」

 

ガンスミス

「ノリだノリ」

 

UMP45

「......今日はハロウィンだっけ?」

 

ガンスミス

「冗談だよ冗談、あとお約束のネタってだけさ。

ここからは真面目な話だけどな。

さて......ウチに来ないか、404小隊」

 

UMP45

「へぇ、ヘッドハントって訳」

 

ガンスミス

「しょーじき言えば3人とも本体確保済みだし、ダミーも中大破させてる。断る余地も無いけどな」

 

UMP45

「断ると言えば?」

 

ガンスミス

「......そうだな、多分ウチの指揮官が泣き喚くくらいか」

 

ナガン

「ま、あやつならそうするじゃろうな」

 

UMP45

「誤魔化さないで、何かあるんでしょう?」

 

ガンスミス

「下心はないとは言えないね。本部直轄、書類上は存在しないエリート人形小隊、その実力はあのAR小隊と同等かそれ以上。

手元に置いておかない理由がないさ。

それをウチの指揮官に当てはめるのは早計だと思うぞ、一回会えばわかる」

 

ナガン

「なんせ頭は今時珍しい御花畑じゃからな。このご時世滅多に見られるものではないぞ?」

 

UMP45

「......話だけなら」

 

ナガン

「そう思うて繋げてあるぞ。ほら」

 

UMP45

「......もしも」

 

指揮官

『ぬゔっ! ......おっと失礼、声がかわい過ぎて変な声出ちゃった、許して?』

 

UMP45

「......」

 

指揮官

『ああ黙らないでよ、まるで私が変な人みたいじゃない!』

 

ガンスミス

「変な人だろ」

 

指揮官

『銃が恋人の人に言われたくないよーだ!

話はちょっとガンスミスさんから聞いた。なんか、特殊部隊だから装備や補給がしにくいんでしょ? だったらうちに来なよ、歓迎するよ?』

 

UMP45

「......私たちは本部直轄、いち基地に肩入れするのは禁止されて」

 

指揮官

『で、も、鉄血兵のうちハイエンドなものはここS地域で目撃情報が多い。詳しくは私も聞いてないけど、それに関わるお仕事なんでしょ? だったらウチの基地を使いなよ!

ああ、場所と資源は気にしないで、人形の4人や5人、受け止め切れなくて最前線は名乗れないよっ』

 

UMP45

「......ふぅん、で、どうしてこの話を持ちかけたの? ただの親切心、て訳じゃないでしょう?」

 

指揮官

『......あー、これって言う必要ある?』

 

ガンスミス

「だったら俺が代わりに」

 

指揮官

『たんま! だったら私が言う、黙ってて!』

 

ガンスミス

「はいよ」

 

指揮官

『しょーもないとか言わないでね、いい。

 

......G11ちゃんの髪の毛に埋もれて寝てみたいから声かけた。あと416ちゃんにドレス着せたい、UMPの2人はとっても可愛いから一緒に遊びたい。それだけ』

 

UMP45

「......」

 

指揮官

『だって、書類上は存在しないからって誰にも忘れられて、なんてじゃ、泣けるでしょ?

だから、声をかけた。

私の事はどうでもいい......いやどうでもは良くないけど、ともかく。何はともあれ、私は君たちのことを記憶に残したい。楽しいこと、辛いことでも構わないから。

それだけ。

 

返事は?』

 

UMP45

「......イエスね。こんな告白されたら、惚れてしまうわ」

 

指揮官

『いやっほい最高! これで合法的にG11ちゃんをhshsできるふぅおおおおおおいまからでも盛り上がってきましたよ!

あ、ガンスミスさんあとよろしく』

 

ガンスミス

「な、わかっただろ。一回会えばわかるって」

 

UMP45

「ほんと、あなただけには敵わないわね。

404小隊、本日をもって正式にS09基地に着任します。書類は無いけど」

 

ガンスミス

「よろしく頼むよ」

 

UMP45

「ええ、こちらこそ」

 

ナガン

「......迎えが来たようじゃな。あれに乗って帰るぞ」

 

ガンスミス

「装甲車ってのがまたグリフィンらしいと言うか......レディファースト」

 

UMP45

「あら、気が効くのね」

 

ナガン

「すまんのう......お主は乗らんのか?」

 

ガンスミス

「死にたく無いからねぇ。

じゃ、モシン・ナガン、やっちゃって」

 

モシン・ナガン

「イェーイ! 同士、盛り上がってるぅ?

私は最高に盛り上がってるぅ!

と言うわけで皆さんを地獄のドライブにごっしょうたーい! 交戦区域ど真ん中を突っ切る最短コースの飲酒運転をお楽しみくださいませー!」

 

UMP45

「......?」

 

ナガン

「 」

 

ガンスミス

「有給の恨み思い知れ。

モシン・ナガン......アクセルフルスロットルで行っちゃってください!」

 

モシン・ナガン

「んぐ、んぐ......ぷはぁ。やっぱりハンドルを握りながら飲むウォッカは最高だね!

ご乗車のお客様、舌を噛まぬように、それと銃の安全装置は必ずつけておいてくださいませ、それでは、2名さまごあんなーい!」

 

UMP45

「......嘘でしょ、ねえ嘘でしょ?」

 

ナガン

「わし関係ないんじゃがああああああああああああああああああああああああああ!」

 

UMP45

「きゃああああああああああああああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンスミス

「と言うわけで、また次回!」

 

 

 




ガンスミス......拉致された時は二ヶ月ぶりに有給を満喫している街中だった。
意外に根に持つタイプらしい。

グリフィンは週休2日制のホワイトな企業です(本部発表)


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番外編 砂糖詰めれば銃とてジャムる

ジャム......一般的に排莢不良のことを指す。ちなみに英語で書くとイチゴとかを煮詰めるジャムと同じ。

おはこんばんにちわ、作者です。突然ですが、コラボ回です。
とほくれす さんの「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜いた」とウチの作品のクロスオーバーになりまする。
きっかけは感想欄での軽口みたいなものでした。正直自分も半ば冗談みたいなもんでしたし、とほくれすさんもそう思ってなかったみたいです。その冗談を本気にしたのが今回のきっかけですな。
自分の力量不足をまざまざと見せつけられる事になりましたが......とてもいい経験になりました。
長ったらしい話はこれで終わり、コラボ回楽しんでください。
読めばわかりますが、会話文とかは自分、地の文はとほくれすさんに丸投げという変則的な作品です。ご了承を。



 

 

 

 

 

「はぁ? 出張ぉ?」

 

 突然の話だった。指揮官の野郎があんまりニマニマしているから不満が顔に出てしまう。

 ってか毎度毎度のことだが仕事場に勝手に入ってくるのどうなんだよ。この前は特例と言うか、まあなし崩し的に大目に見たが普通に仕事してる時に入られたらたまったもんじゃない。

 

 大体お前コッチ系の知識ないから迂闊に近寄られると危なっかしい。一応平気で指とか飛ぶものだって有るんだから、最低でも一言声を掛けるぐらいはしてもらわないと困るんだが。

 

「ガンスミスさん、最近暇じゃん」

「誰が暇じゃい! このゴーグルが目に入らんのか!」

 

 近眼でも分かるくらいにゴーグルをガンガン指で叩く。昼間に油臭くなってる男に対して暇とは何だ、お前失礼極まりないぞマジで。

 でもでもぉ、と何か気色悪い舌回しに嫌な予感が背筋を這う。直感的にコレは変なことをさせられる時だ、脚が思わず明後日の方向に動き出すが仮にも上司。逆らえない。

 

「じゃー今は何してるのさ~」

「ナガンと演習見ながらダメ出ししてるだろ? 戦闘スタイルに合わせたオプションの考案だろ? ラジオ放送の資料だって集めてる!」

「ええっと…………それで。本業の銃器整備はどちらへ?」

 

 横からおずおずと顔を出したカリーナの一言にウッと声が出る。

 ややホコリを被っているバイスと卓上ボール盤は遥か遠く、作業場でも俺とは逆位置だった。

 

 ちなみに今はあの愚弟がまた思いつきで作り始めた、えっとだな…………「ジャッカル」の草案を眺めて唸ってた。

 対化物戦闘用13mm拳銃、既に意味分からんと思う。そして専用弾で、全長39cm、重量16kg、装弾数6発。もはや人形にしか扱えない代物だ。

 

 敢えて言わせてもらうなら、慣れた兵士が両手で撃っても肩にガタが来そうな次元。バ火力とはこの事で、SG人形にサブウェポンとして持たせれば辛うじてという。

 

ジャッカル......平野耕太作、漫画「HELLSING」ラスボス系主人公アーカードの最強拳銃。噂では100万発入りのコスモガン(作者談)、威力は既に拳銃とかではなく、人間に大穴が開くレベル、めっちゃ凄い銃。使う時は大体舐めプだとか。

 ちなみに13mmというと弾丸の先の方だけで13mmの意(細かすぎるので後は各自で)。あのハンドキャノンことデザートイーグルが9mmとかを扱います。

 大型拳銃で有名なデザートイーグルを引き合いに出しますと。

あちらは全長269mm(=約27cm)。更に重量は2053g(=約2.05kg)。

ですからガンスミスの評価は馬鹿にしているようだが甘めの採点。SG、もしくはMG人形で肩に自信の有るモデルなら片手で扱える、かも。多分無理(byとほくれすニキ)

 

「…………してないな」

「暇じゃん!」

「うるっせえ!」

 

 ひえ、っと上司にあるまじき情けない声を上げながら早足にカリーナを盾にする。ひっでえの。

 この指揮官なあ、大きな声でそんな失礼なことよく言ってくれるぜ。その癖ちょっと言うとこれだから面倒極まりない、何故か俺が悪いんじゃないかと一瞬だけ迷うのだ。多分悪くない。

 

「じゃあ受けてほしいんだ、みんなで助け合っていかないと。この時代は一匹狼を気取るには極限状態なんだから!」

 

極限状態なんだから!......この作品始めドルフロの世界はかなりピンチです。ターミネーター(機械反乱)とマッドマックス(核戦争後の世界)、とバイオハザード(ゾンビ)、を足して3で割らない世界といえば伝わると思われる。

 

「んなお人好しでよく指揮官出来るな、この「ジャッカル」を投げられても言えるかね?」

 

 サンプルでアッチで作ってきた鉄の塊、通称「偽・ジャッカルⅡ」。アホみたいに重かい、銃身で持とうとしたのが失敗だったか手がぐらついてしまう。

 

偽・ジャッカルⅡ......「Fateシリーズ」より偽・螺旋剣Ⅱが元ネタ。

すぐ爆弾代わりにされたりしないですよ。というか使うなら質量兵器みたいな重さだと思われます。「I am the born of my sword.(我が骨子は捻れ狂う)」、レプリカとはいえ気分的に重さは20kg越えてるぐらい。

 

「多分言えない!」

「でしょーな」

 

 ジャッカルを置こうとしたが、思わずコンクリートに落として酷い落下音を垂れ流してしまう。

 

「ってて…………」

「それ凄い重そう、先に白旗上げててよかったよかった」

 

 にへらと笑って答えるさまはいっそ感心する、ちったあ粘ってみせろよ。まあ言ってのけたら言ってのけたで「お前はまるでくそのような女だ」つって引き金を引くがな、綺麗事ばっかの上司なんかゴメンだ。

 

 俺の疑念含みまくりな視線にカリーナは流石に隠し通せないと見たのだろう、指揮官の前に割って入ると身振り手振りを交えながらゲロる。

 

「まあ特別手当とか毟り取ってるのでただの善意でもないですよ!」

「ほう? 幾らだウォルター」

「ウォルターじゃないです」

 

 何となくこの前読んだ資料に書いてあった台詞を言うだけ言ってみたが、カリーナはよく分からなかったらしい。「ついに狂ったか」みたいな顔をしてる、悪かったって。

 

 指揮官がフラフラと不満げなカリーナの手を持つと、押しのけて俺に顔を至近距離まで近づけてくる。

 相変わらず距離感の大雑把な女だ、俺も慣れたからどうということはないが…………公の場とかで酒飲んでこれされたら堪らんよな。男の方が。

 とはいえいつものアホ面で笑ってるので慣れてると「うわウザ」くらいの感じになるが。

 

「手当はねえ、大体給料の1.5」

「よろしい、ならば出張だ」

 

よろしい、ならば出張だ......出張を、一心不乱の大出張を!!

 真面目な解説すると同じく「HELLSING」の世界一かっこいいデブこと少佐、またはモンティナ・マックスの名演説の一説「よろしい、ならば戦争(クリーク)だ」より。一心不乱の大戦争を!!

ドイツ語吹き替え版などさまざまなバリエーションあり。動画サイトで調べれば出てくるので一見の価値あり、戦争の狂気がうかがえます。

 

「えぇ!?」

「やったー! ガンスミスさんすき~!」

「調子良すぎだ、ったく…………」

 

 さーて、荷物まとめようか。

 

 

 

 

「とーは言ったものの…………」

「なんじゃ、その不安そうな目は」

 

 なんでナガンがさらっと助手席に乗り込んでいた。これ俺の私有車な訳だけどハウトゥー侵入。ってかそもそもいつからスタンバっていたんだか。

 疑念、不快感、面倒くさい。色々こもった視線を鬱陶しそうにナガンは払うとやれやれと言った様子で返事する。

 

「引率じゃ、い・ん・そ・つ! お主がほっつき歩かんように手綱は握っておけ、と」

「俺は野良犬か何かなんですか」

「確かに目と鼻は良いな。後、興味のあることにはすぐ首を突っ込むのも犬みたいじゃのう」

 

 否定できねえ、畜生が!

 葛藤の果てに適当な納得を頭に差し込むと、扉を乱暴に閉めつつエンジンをかける。俺の様子があんまり荒れていたからだろうか、ナガンは溜息をつく。

 

「何だかんだで付き合いは長いじゃろうに」

「…………まあ、M14とか言われるよりは楽だ」

「喜べば良いのかの? それとも比較対象が底辺クラスなのを怒れば良かったか?」

 

 お好きなように。

 ケラケラと弾も入ってない偽・ジャッカルⅡを突き付けてくるナガンに、溢れ笑いしそうな妙な安心感を感じてしまったのは確かだ。

――待て、持てるのか。成る程、じゃあ銃の重さに関しては―――――

 

「仕事病は構わんが、ちゃんと運転するのじゃぞ? わしは銃バカに付き合って死にとうはない」

「ああでも持てるとは言えSGの人形に持たせるしか無いのは一緒か、また振り出しだぞ…………」

 

 

 

 

「ほれ、着いたぞ」

「言われなくとも…………おお、そこそこ立派だねぇ。ウチ程じゃないけど」

 

 冗談まじりに言ったのを察したのだろう、ナガンが苦笑いする。

――ウチの基地に比べると本当に綺麗にされている。指揮官が綺麗好きなのか、もしくは指揮官が杜撰すぎて手を焼いてしまう甲斐性の有る副官の仕業のどっちかだ。

 

 逆に此処までしなくてもいいだろ、と一瞬思ってしまった。

 

「ウチは広いだけで薄汚いがのぅ、こう綺麗だと同じ材質なのかすら疑わしいというものじゃ」

「ホントホント、あの指揮官様には清掃関連もしっかりしてもらいたいな。勿論アイツ自身の体一つで」

「…………お主鬼畜じゃな」

 

 だってアイツだし。カリーナがよく困ってるのを見かけるのも有って、どうも優しくしてやろうという感情が湧いてこない。たまには痛い目見とけ。

 駐車場が有るほど未来が明るい時代でもなく、仕方ないので大門前にドデーンと駐車する。土地もないし。

 

未来が明るい時代でもなく......諸事情はネタバレなので伏せますが、人類の生活圏は非常に狭いです。割合とかも言わないけど、一部の土地が使い物にならない。だから土地も無いし高騰しがちと勝手に捏造。

 ちなみにガンスミスの車は今は珍しいガソリン車。ガソリンの調達が割と難しいだろうから、例えばプリ○スとかでも独身貴族の玩具と思われるのではないでしょうか。

 車の種類はこっちの作者に聞いてください(とほくれすより)、車の設定も勝手に私がくっつけました。後で設定が変わったら、まあそういうことです。

イメージ的には自衛隊の使うジープとかそんな感じ(by傭兵)

 

 シートベルトを外す。

 

「んじゃま、さっさとお仕事始めましょうか」

「そうじゃのう」

 

 俺が運転席に鍵を差しっぱなしにしていると、ナガンがそれをひょいと抜き取って丁寧に窓をロックするなり俺の所までトコトコ歩いてきた。

――どういうことですかね。

 

 一体俺がどんな気持ちで今の一連の動作を見ていたのか、ナガンに一ミリでも伝わっている感じはない。ケロッとした顔で俺の方を見る。

 

「ではしばらくよろしく頼むぞ」

「か・え・れ・よ!?」

「――――ああ、ワシとしたことが言い忘れておった!」

 

 ゴソゴソと俺の持っていたケースを勝手に開けて………………待て、何故リード付き首輪なんてものが俺のケースに入ってる。待て、ってか勝手に開けられてるの何で。

 ささっとケースを閉めてその謎の首輪を持ったナガンが輝くような笑顔。

 

「手綱もよろしくと命令されておったのじゃ!」

「だから野良犬じゃねーってのぉ!? せめてその首輪しまえ!」

「えー、おぬしノリが悪いのう…………ちなみにこれは指揮官が勝手に入れておったぞ」

 

 アイツ何考えてんだ、後で慰謝料ぶんどってやる。

 ナガンは今の拒否で可愛い動作とかはしない。「お前ノリわるー」って顔に出てるだけ、俺はかなしい。

 

 

 

 

「悪かった悪かった。わしがぜーんぶわるかった、そうだともー!」

「反省しろっての。あんにゃろう後で覚えとけ…………」

 

 俺の憤怒は中に案内されてからも収まる様子がなかった。案内の人には「コイツラどういう関係だよ」とやや引いたような視線で見られ、歩く人形には奇異の視線が寄せられてきた。

 しっかしコイツに反省の色がないのが悪い。首輪って、首輪って! 俺だってちょっとは傷つくわ!?

 

 ナガンがわざとらしく両肩を抱いて様子をうかがいながらニヤつく。

 

「おお~、女子に手を上げるとは。こわいこわい」

「今どき男女同権が高らかに叫ばれる時代だ、なら殴られる権利も同等にある! 正義は我にあり!」

「ひねくれた理屈じゃのう…………」

 

 ひねくれてようが何だろうが今この瞬間に俺が正当性を持ってアイツを殴れればそれで構わん!

――なんて阿呆なことを言ってる内に、随分と俺達は奥に来たらしい。廊下の奥の方から見慣れたもこもこコートが見えてくる。

 

 ナガンはちょっと目をこすって再確認すると怯えたように俺の後ろに隠れた。いや、多分別人なんだが流石にあの一件(Karちゃん狂想曲。)はいろいろな人に爪痕残したからね。

 

あの一件......小話「Karちゃん狂想曲」の事件を指す。アレ以来Karに酒を飲ませようという挑戦者は中々出てこないし、Karを見ただけで顔を蕩けさせて怯える珍妙な被害者も出ている。ちなみにこの回のKarは指揮官以外だとすごーく優しくハグしてくれます。

 

「あら、見ない顔ですわね…………失礼ですが、お名前を伺ってもよろしくて?」

 

 ニコリと精緻な微笑を浮かべるKar。前に会った酒で世界を滅ぼせる彼女と本当に同型なのだろうか、丁寧な仕草も柔和な笑顔もまるで別人だ。酒を飲ませてもただ単に可愛い姿が秒で思い浮かぶぞ、これがお嬢様ぢからの差だとでも…………?

 

 ナガンも驚いたように飛び出てくる。

 

「え、このKarはえらくお嬢様なのじゃのう!? 警戒して損したではないか! ああ、ワシはナガンじゃ。ココには居らんのかの?」

「あの、それはともかく別の私は一体どんな仕打ちを貴方達になさったのかしら…………?」

「酔っ払って辺り構わず抱きついた挙げ句、とうとう基地の機能を短時間だが停止させた――――――ってああそうだ、俺は唯のガンスミスだよ。紹介が遅れて失礼した」

 

 何を言っているのだこの人は、って顔される。そりゃそうだわ、俺もこの目で見なきゃ信じられない出来事だった。ナガンの目を見ろ、これが嘘をついてる目に見えるか。

 

ナガンの目を見ろ、以降の下り......凄く細かいけど「神撃のバハムート GENESIS」よりファバロ・レオーネの台詞。

 ちなみにこの後キメ顔から急に変顔になってビンタされるまでが様式美です。ちょっとした拘りで私が解説しました(とほくれすより)。

 

 とはいえ明らかに不信感を買っている感じ。

 鮮血色の瞳が俺達を見透かすように僅かに細められた、突然冷えつき出した視線に一応ベテランの筈のナガンですらその眼に一瞬身震いしている。

――長い、永い時間だった。彼女は突然朗らかに笑うと手を合わせる。

 

「ごめんあそばせ、嘘というわけでは無さそうね! では要件を尋ねても問題ないかしら?」

「えっとだな、かくかくしかじかで事で給料を毟り取れる(しばらくお世話になる)って聞いたんですけども」

「おい待て、お主本音と建前が逆じゃぞ」

 

 しまった。

 思わず冷や汗を流しながら引き攣った笑いをして誤魔化す。やべえ、これで指揮官同士が険悪になったとかだったらどうすりゃ良いんだろ、流石に頭が上げられない人生になっちまう。

 

――と思っていたが、Karはきょとんとした顔で聞き返してきた。

 

「…………存じ上げませんが」

「はい?」

「ですから、私は副官をさせてもらっていますが聞いていませんの。仄めかすような事だって、もうそれはこれっぽっちも」

 

 ふう、取り敢えず他の話題に釘付けらしい。助かった。

 しっかし変な話だ。うちの指揮官はへなちょこだし要らないことばっかりしてるが、こういう他との話とかはある程度ちゃんとしてるイメージが有った。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ようにはしているとばかり。

 

 そこは怒るというより、何か珍しいなと感じる。

 ナガンが仕方なさげに書類を引っ張り出す。

 

「伝達ミスじゃな、書類でも渡せば納得してもらえるかの?」

 

 書類の上をKarの紅蓮の視線が走り征く。それはとても速い眼の通しようだったが、俺にはそれがちゃんと確認されているのだと叩きつけられるような認識が有った。恐らく漂う雰囲気のせいだろう、彼女には表立たないだけで支配する側として必要とされる、言葉で表現できない征服能力が有る。

 

 目線がやっとコッチに戻ってきた。

 

「…………ええ。間違いありません、彼のサインですわね。大方彼が適当に了承してしまったのでしょう――――――――もうっ! こういう事になるからちゃんと仕事をなさってと私は常日頃から言っているのに――――――!」

 

 何やらKarはココの指揮官殿に大層ご立腹みたいだ。彼方に思いを馳せたぐらいから人が変わったように子供っぽくプンプンとし始めてしまった。

 まあ、何というか愛嬌があるのはKar98kの共通項では有るみたいだ。その指揮官とやらが怒られたがっている感じはなんとなく察せてしまった。

 

 俺達を案内する気らしく、つかつかと歩き出すのだが不意にまた振り向く。

 

「あっ。一応安全のため武装はお預かりしても問題ないでしょうか?」

「「アッハイ」」

 

 怒っていたかと思えばまるで平時の落ち着きでそんな事を言い出す。普通は情緒不安定に見えるというか多分怖いのだが、何となく彼女はそれを表情豊かだと思わせるような魅力、ないし色香のようなものを纏っている。

 

 凄まじい切り替えだ。こりゃ指揮官が仕事しなくなるのも分かる、彼女がやりすぎなんだ。

 

 

 

 

「指揮官さん! お客様ですよ!」

「客!? いや待つんだKar、というか何か怒ってるよな!?」

 

 怒られ慣れしすぎてドア越しの声の張り方で機嫌が分かってるぞ、此処の指揮官。Kar98kプロファイリングの第一人者とかそういうレベルだわ。

 慌ただしく物を直すような音。ナガンと見合わせて「この二人一緒に仕事してやっと釣り合い取れるやつだな」と無言の同意を得た。

 

 オッケー、オッケーと息絶え絶えの声がするまで僅か一分。だいぶバタバタしてたな、無視して扉を開けていく。

 

「失礼します」

「ああー畏まらなくていいよ、敬語使われるほどマトモな指揮しないし」

「そう? じゃあ俺はS09地区〇〇基地所属のガンスミス、人手足りないってのはマジでいいのかね?」

((なんでこの二人は普通に速攻でタメ口…………?))

 

 そんな目で見るな、コイツはなんとなく警戒に値しないって印象なんだ。

 はい?、とKarと何処と無く似た呆けた顔をする。コイツら、ひょっとしなくてもデキてるな? 何か分かる、コイツラは見れば分かるわ。何だろうな、修羅場に近づいてるのに甘ったるい空気が漂ってる。

 

「それはマジだな、うん。でも人呼んだっけか~…………?」

「――――――――――――し・き・か・ん・さ・ん?」

「ヒエッ?! そういう事か!?」

 

 事情がようやく飲み込めてきたのか、ゆっくりと歩み寄るKarに冷や汗を流しながら指揮官が弁明を開始する。健闘を祈るぜ。

 

「待て、話し合おうKar! というか思い出すお時間とお慈悲をくれ!」

 

 ナガンと俺はもう張り付いた笑顔のKarに近寄ることすら出来ない。本当に前来たKarちゃんとはえらい違いだ、何というか…………うん、違うんだよ。とはいえじゃれ合いの範囲内では有るみたいだが。

 

えらい違いだ......小話「Karちゃん狂想曲」のKarのモデルは「グリフィンの戦術人形はキワモノか!?」のKar98k。今回も拙作の「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜いた」のKarを扱っております。似て非なるもの、こっちの方がやや原典に近い。

 

――うーんうーんと唸る指揮官。巫山戯ているから分かりにくいが、真面目にしているとその顔はかなり整ったものだというのが分かる。女としての感性は持ち合わせていないつもりだが、雰囲気も有ってギャップでゴロゴロ女を引っ転がしていそうな印象すら見える。

 突然手を合わせた。

 

「ああそうだ! めっちゃ可愛い声のゆるふわ女の子から電話きてサインしたわ! アレ人手よこすってやつだったのか~! あーそーゆーことね完全に理解した!」

 

あーそーゆーことね完全に理解した......大川ぶくぶ作「ポプテピピック」のポプ子が元ネタ。ポプ子然り、この台詞を言ってのけたキャラが理解した試しがないのはお察しの通り。此処の指揮官はそういう人です。

 

「アンタついでにぼったくられてる訳だが、マジで大丈夫か?」

「そマ? 快諾したのは良いけど内容が不平等条約すぎだろ…………」

 

 絶対コイツ詐欺とかにすぐ引っかかるわ。美人局持ってくれば億の借金でも抱えてきそう、要するに馬鹿だな。

 もう俺達も呆れて声も出ないという感じだ。ニュアンス的に仕事がなくて金だけぶん取るような外道鬼畜な事はしなくて良さげだが、にしたってこれは杜撰極まる。Karが怒るのも仕方ない、俺だってウチの指揮官がこんな事したら説教するだろう。

 

 Karが指揮官に向かって怒り始めた。こりゃ長そうである。

 

「指揮官さん! だから仕事はちゃんとやってくださいと何時もアレほど!」

「いや~此処まで来ると俺も平謝りだなアハハハハ!?」

「笑っていれば誤魔化せると思わないでくださる!?」

 

 おーおーやってるぞ痴話喧嘩。

 

「あの二人、何というかアレじゃな」

「ああ。眼の前でノロケられてるのと大差ない」

 

 何だろうな、どっちも結局は「許してやろう」「許してもらえるだろう」って前提があって揉めてる感じが凄い。要はモーション? 実は立場は指揮官が上? そんな感じ。

 

其処らの話は「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜いた」を読み、その眼と感性でお確かめ頂ければと思います。

読むと話を数倍理解できるかと(by傭兵)

 

「そうじゃなー。まあ仕事はあるらしいし、不満はないじゃろ?」

「まあそれは無いけどよ。俺はこの阿呆がちゃんと仕事できるかが本気で心配だ」

 

 くすっとカンカンなカラビーナ嬢を横目にナガンが笑う。

 

「できた副官に恵まれておるようじゃのう。まるで夫婦じゃ」

「そうなると俺もナガンと夫婦になるん…………だが……………何だその顔」

 

 突然黙り込んだのでふとナガンの方を視線を寄せると、無言で不満げな顔をこちらに向けている。じとりとした視線が薄いようで分厚い壁を幻視させる、幾ら何でもクルものが有るぞこれは。

 そんなに嫌かよ、いやできた人間でも無いけどさあ……。

 

「そんなにイチャイチャする関係でも無いんじゃがな」

「んー、だったらビジネスライクな関係? なのかなぁ…………」

 

 ナガンの問いかけにふと考え込む。人と人形の付き合い方、それは人それぞれって事だろう。とはいえ人と機械が仲良くするってのはこの世界の歪さを感じる。

 歪だろ? だって俺達は機械と殺し合いだってしてるんだから。半世紀も前の人間からすれば不思議でたまらない光景の筈だ。

 

 とはいえ、2人を見てると結婚した同級生を思い出す。初々しい関係ってのは、見てる他人をやきもきさせるもんだ。

――さて。二人のイチャコラも終盤のようだ、決め手は指揮官のこの一言。

 

「まあ俺も悪い! だけどKarがやってくれると思うとついつい手が抜けてるんだ、これだけはご理解いただきたい! 決して俺も適当にしようというわけでもなくてだな――――――」

「――――――!? そ、そういう事を言えば言い逃れで、出来ると思ったら大間違いですからね!?」

「「Karはチョロいんだなあ」」

「お二人方まで! 失礼でしてよ!?」

 

 だってチョロいだろ今の。ナガンも高速で頷いてるぞホラホラ。

 さっきまでの冷たい視線は嘘幻もしくは狐ばかしの類ではないのか。というぐらい顔を真赤にしてオタオタと反論するKarはまさしく昔で言う所のチョロインのそれ。だからいちゃつくなっての。

 

 奥の手を残していたらしく、最後に

 

「だー! 言いたくはなかったが、プレゼント探してたら仕事おざなりだったんだよ!? 悪かったって!」

 

 とトドメのようにノロケけてみせた指揮官。別段恨みはないが、世界に数少ない独身男性の代表としてコイツを許すべきではないと何かが訴えかけてくる。

 戦場においての上官の死因は部下による誤射だと聞き及んだことがあるが、その気持ちが痛いほど理解できて辛いったらありゃしない。

 

 熱っぽい上目遣いの視線を寄せるKarを見てると、吊り上がった口元がヒクつく…………殺すか?

 

「プレゼント、ですか?」

「ああ、お前に似合うとっておきのだ。ずいぶん悩んだんだぞ?」

 

 さっさとこの夫婦漫才をやめろ、さもなきゃスパナを持った右手が抑えられなくなる。

 





 はい! という訳で後書きはとほくれすが担当します。今回はコラボ元になっている「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜いた」のキャラで行きますが、よろしくお願いしますね。

 さてさて、私をまず何人の方がご存知かが不安要素です。まあメジャーどころと言って良さげなものですと「わたしがウロボロスだ」と「世界は愛で満ちている」の作者、と言えば分かりますか? 分からない? それはどうしようもないですね。ピンときてもらえるよう精進しま…………せん、別に知らなくても貴方は死にませんから。お好きなように読書をお楽しみください

 何となしに感想でお話した後、「まあ送ってこないだろうなー、割と書きたいなー」と思ったら台本が飛んできたので、作者監修のもとで地の文および台詞の微調整を担当しました。弄りすぎて「とほくれすさんの話なのでは?」と言われた時あちゃーって思いました。
 この文体の時はえっと……此処で言って良いのかな。まあ「R-18同人誌の長い導入」みたいな内容を書いているので新鮮でした。ガンスミスにえっちな事言わせられませんからね、参った参った。

 ちなみに好きなのはKar98kです、言う意味ないねははは。ボルトアクションも好きです、ガシャコーンガシャコーン!ってやるの楽しくないですか?
 持ち方にも性格が出ますよね。ボルトアクションライフルは木製が多いのも好き。勿論今回出てきた「ジャッカル」だとか454カスールオートマチックも好きです。後はWA2000だとか、AR15とか416も好きですね! キャラも実銃も好きな子達です。

 えー、もう700文字超えちゃいそうですね。じゃあそろそろ締めましょう。
 まず通りすがる傭兵様、ガンスミスを合法で書かせて頂き有難うございました! 解釈違いが起きたのは苦笑しましたが、とはいえ出来るだけ合わせたつもり。ゆるしてね。
 そして特に私に興味のない読者様、アクの強い文章をお見せしてしまって大変困惑されたでしょう。苦情はとほくれすへ。

 そしてKar98kと女誑し指揮官がイチャイチャするR-17.5小説、「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜いた」をよろしくお願い致します。
 中高生の方にはちょっぴり刺激が強い描写はありますが一応健全です。イケメンが好き、ときめいている女の子が見たい、赤面してるのが好き、ちょっと大人な描写に飢えてる等々…………あんまり大声で言えない性癖を回収していると今気づきました。
 まあそんな小説ですので、よければ足をお運びください。Kar98kと乙女ゲーチックな指揮官が貴方を砂糖塗れにしてみせましょう。


――さて。締めが長いですね。
 それでは「ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー」の益々のご発展とリクエストの激増、及びKar98kの出番の増加を願いつつ後書きと致します。
 左様なら。また何処かの作品で出会えた時は、まあどんな喋り方でもそれが私ですので慣れてくださいね?


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番外編2 ガンスミスとポンコツ指揮官

コラボしたらやり返せってじっちゃんが言ってた。

というわけで前回言及した焔薙さんとのコラボ回をこちら側視点で書いてみました。需要あると思う?


 

 

 

 

「ガーンスミスさん」

 

甘ったるい声が狭苦しい部屋に反射して響く、その持ち主は言うまでもないだろう。みんなご存知、ウチの指揮官どのだ。

 

「ちと待ってくれ、仕事中だ」

「はーい、でもガンスミスさんが仕事してるなんて珍し」

「何か言ったか」

「なんでもないでーす」

 

この能天気、指揮官で女じゃなかったらモノ投げつけてたところだぞ、たく。

最後にニスを塗って乾燥ブースに入れれば整備終了、木製ストックは味はあるんだがいちいち調整が面倒だから嫌いだ。

作業がひと段落したところでマスクを外してから向き直る。ここら辺の礼儀は疎かにしたくないからな。

 

「んで、なんの用事」

「へへへ、実はですねぇ、出張サービス二回目が決まりました、拍手!」

「お、おう」

 

いつもよりハイテンションな勢いに気圧される。そのまま流れるように渡された書類を受け取るやいなや、

 

「それじゃよろしく。内容は書類に書いてあるから!」

 

ばたむ、と扉を蹴破って勢いよく去っていった指揮官。

「......全く、嵐みたいなやつだな」

 

指揮官に渡されたのは書類と言うよりは紙の束。少しめくってみると、どうやら先方が気を利かせて色々と資料を寄越した様子。

そして費用や経費はあちら持ち、移動用のガソリン代や消耗品代も負担してくれるとは太っ腹な基地だなオイ。給料は前回と同じでそこそこに高額、まじかよ。

一応、戦闘地域を通るみたいだし護衛は必須と注意書きされてるが、

 

「ナガンでいいか」

 

気心も知れてる、そして前回もついてきたし勝手もしれてるだろ。練度も申し分ないし適役だ。

 

「となるとカリーナに連絡だな。アイツは......ラジオの時でいいか」

 

あの指揮官の様子じゃ、カリーナも知らないだろうからな。

 

「と、こんな時間か。そろそろラジオの方の取り掛からねえと」

 

 

 

「ガンスミスと」

「M1895の」

「「銃器紹介コーナー!」」

 

 

 

「お疲れ様でした」

「お疲れ様なのじゃー」

「お疲れ様」

 

収録は無事に終了。スイッチを切ったところで緊張の糸がプッツリと切れた。退出するゲストのM1ガーランドに手を振っておく。

ナガンが手足を伸ばして身体をほぐすのを見て俺も体を伸ばす。

俺も資料集めん時から座りっぱなしだし、体が痛えや。

 

「と、ナガン。というわけで今回も頼める?」

「合点承知の助じゃ」

「......その挨拶誰から習った?」

「一〇〇式じゃよ、放送以来仲良くしとるんじゃ」

「へー」

 

ラジオにそんな影響があるとは意外だ。趣味半分で始めたもんだが、プラス方向に働いてんのかね。

 

「それで、詳しい日程は?」

「明後日からだ。1日2日かかると思うが、日帰りかもしれん」

「なんじゃ、そのにえきらん返事は」

「俺も予想がつかないんだわ」

 

先程指揮官から渡された分厚い資料を見せて説明する。こいつも同行人だし、詳しく説明するのが筋ってもんだろう。

 

「前回は銃全体のオーバーホールが必要な奴ばかりだったし、診断から始めなきゃいけないから時間がかかったんだ。

でも今回はご丁寧に写真付きの資料もあるし、そこまで痛みがひどい銃もない」

「なるほど、丁寧に扱われとるということじゃな」

「そゆこと。前回よりは楽で済みそうだ」

 

別に前回の基地の扱いが悪いというわけじゃねえが、この基地は他と比べてとりわけ丁寧だ。

 

「というわけで、よろしく」

「任された。明日のスケジュールを組み直してくる」

「教官殿は大変だね、忙しいったらありゃしない」

「そいつはお互い様じゃろう?」

「はは、こいつぁ一本取られた」

 

暇なのはお互い様だもんな、言ったら怒られるから口が裂けても言わないけれど。

 

ナガンが出て言ったのを見計らってパソコンを起動。とある相手にビデオ付き通話をかける。しばらくすれば、くまのひどい顔が画面に映った。

 

「そんでペルシカ、連絡してくれとは一体どういうことだ?」

『これは突然、がっつきすぎる男は好かれないわよ?』

「好かれようとは思ってないさ」

 

軽口を叩いてから、気を引き締めて問いかける。

 

「相手の指揮官、どう見たって未成年だろコリャ。連絡しろなんて書かれてなくても不審に思うさ」

『その子はちょっとワケありなのよ。一応機密事項だからオフレコで頼むわね。冗談抜きで漏らすと暗殺されるから』

「おお怖い。幹部の隠し子か何か?」

『そんな簡単なもんなら言わないわよ』

「んじゃ何さ」

『......詳しくは言えないけど、人体実験の元被験者なの。その子は人をヒトと認識できない、極度の人見知りみたいなものと考えればいいわ』

「それだけ?」

『人間不信が極まってるのよ。本人いわく少数の人間以外のヒトはマネキンに見えるそうよ』

「なるほど、PTSDな」

『そんなところかしら』

 

PTSD、又の名をパニック障害。何かしら心に深い傷を負った時、再度似たような状況になると心身不安定、発作などが起きる心の病。

......このご時世珍しくもない病気だ。

 

「そいつは随分と難儀なこって。でも本当に俺でいいのか?」

『貴方は割と人当たりもいいじゃない。それに下心の持ち合わせもないし、ナガンともうまくやってるし』

「そんだけ?」

『実は聞かれたとき思いついただけ』

「最低だなオイ!」

 

そりゃ最近会ったばかりで印象深いだろうけどさ、そいつはあんまりじゃねえの?!

 

『要するに、多少の無礼な行為は見逃してあげてって事。本人も人見知りを直そうと頑張ってるの』

「無礼なのはウチの指揮官で慣れてる」

『......なら安心した。よろしくね』

 

ペルシカはそれだけ言うと、通話を切った。

訳ありの以来なんて昔を思い出すからやめてほしいんだがな、でも仕事な以上仕方あるまいて。

 

「さて、どう扱ったもんかなぁ」

 

 

 

 

 

「人間不信じゃと?」

 

結局、同行人に頼るしか思いつかないというね。

その事を移動中の車中で隣に座るナガンに言うと、そのままおうむ返しに返された。でも本当のことを言えるはずもないのでぼかした言い方をしておく。

 

「そうらしい。どうにも虐待をうけたことがあるんだと。それでも成績優秀だから指揮官やってんだってさ」

「その様子じゃ整備員も怖がる始末か」

「だろうな、人間は指揮官含め2人だけだとさ」

「......それはそれで回るのか?」

 

そこは俺もそう思うが、ウチの基地も似たり寄ったりだろうて。

 

「......ふうむ、なるほどのう」

 

突然ナガンが窓の方をちらりと見やると、大きく窓を開けたかと思いきや身を乗り出す。

 

「おいおいおい、ちょっと!?」

「いやー、風は気持ち良いのう」

「危ないから戻れって!」

「はは、たまにははしゃぎたくなるんじゃよ」

「突然やんのは心臓に悪いぞ......」

「すまんすまん」

 

笑いながらナガンが窓を閉める。

するとニコニコとした顔は変わらないが、声色を真面目なソレにして話し始めた。

 

「なに、ちと狙撃兵の気配を感じての。ちょいと挑発をな」

「スナイパー?! もしかして鉄け」

「いや、どうやらご同輩じゃ。あのような絶好の狙撃チャンスを見逃す以上、超凄腕か敵意がないのう」

「いや完全に無防備でしたよね?!」

「あの角度では頭を狙うても角度があるからの、対物ライフル以外では一撃では倒せぬ。それにあの距離ではな」

「なるほど、今日は風が強いから」

 

弾丸の大きさの関係上不確定要素の多い対物ライフルは長距離狙撃には不向きだ。ましてや今日は風も強いし、狙撃にはとことん向かない日だろうな。

 

「やるとすれば地雷じゃのう」

「物騒なこと言うなし!?」

「かっかっか、冗談じゃ」

 

こいつより人生長いのに弄ばれてる感が半端じゃねえ。それなりに濃い人生送ってきたつもりなんだが、まだ勝てそうにないってか?

 

「っと、もうすぐ見えるようじゃ」

「おお、これは結構広いじゃないの。ウチよりも大きいとか相当だよ」

「荷物出しておくか?」

「後ろのやつ確認しといてくれる? 忘れ物あれば用意してもらうから」

「了解なのじゃ」

 

基地の前には、どうにも案内人らしい人影が数人ほど立っている。グリフィン制服のようだしあれが指揮官かな。怖がらせないように少し遠目に止めとくか、ガソリン車は今時の子は知らんだろ。

 

「着いたぞ」

「もう少し待つのじゃ......よし」

 

ナガンが態勢を整えるのを見計らってドアを開ける。その時に少しは服のシワを伸ばしておくのも忘れない、礼儀は大事だ。

 

挨拶しようと口を開く前に、ナガンの驚きの声が先に出た。

 

「むむ、わしが居るぞ?」

「珍しくもないだろうよ、っと今回出張サービスを利用頂きありがとうございます、ガンスミスです」

「ご丁寧に、わしはこの基地の副官を務めておるM1895じゃ。そうさな、そっちとゴチャゴチャになるのもいかんし副官と呼んどくれ、でこっちがほれ」

「あ、えっと、この基地の指揮官です、本日は遠路はるばるお越しいただき誠にありがとうございます」

 

ぺこりと頭を下げると、あちらの副官も頭を軽く下げて、っておいおい、右手右足まで一緒に出しちゃって。しかも声も身体もガッチガチだし、聞いてたより酷いじゃないか。

 

(なあ、大丈夫なのかのう)

(......ちょっと不安になってきた)

 

大丈夫なのかこの基地。



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番外編 異界からの来訪者 序


ダイジェスト式(?)で送るコラボストーリー1話。構成下手だから書きたい部分だけ書いてる。だれか上手いことまとめて欲しい......


 

 

 

 

「あのなー、俺は便利屋じゃねーんだぞ」

「だが車は修理できるのう」

「それは否定できない。スパナ、3番」

「これじゃな」

 

S09地区前線基地、その車庫。

カーキのジープの下にガンスミスが潜り込み、隣でナガンが駄弁っていた。そのそばでFALが呆れたようにつぶやく。

 

「しかしなんでも出来るわね、転職すれば?」

「なんでもじゃねーよ。出来ることはできる、それだけだ」

「確かに。できないことはからっきしじゃしのう、掃除とか」

「まそうだな。この前WA2000が『汚ったないわね掃除しなさいよ!』なんて怒鳴り込んできたからな。掃除した後に」

「どうりで綺麗だったわけじゃな。パーツ」

「あいよ。にしてもWA2000てあまのじゃくだよな。嬉しいくせにツンツンしてさ」

「もっと正直になれんもんかのう。何がいる?」

「いや、こいつで終わりだ。鍵」

「どうぞ」

 

ガンスミスが車の下から油まみれの顔を出して、鍵をFALから受け取る。そのまま運転席に座るとキーを差し込んで、

 

「頼むぞ、頼むぞー」

 

祈りながらキーを回す。そして......快調なエンジン音が狭苦しい倉庫内に轟く。

 

「修理完了じゃな」

「ふいー、給料分以上は働いた」

 

グイグイと身体を伸ばすガンスミスに無言でタオルを投げ渡すナガン、それを見る事もなく受け取り顔を拭く姿。

 

(熟年夫婦か何かなのかしら......)

「ねえ、ちょっと不味いみたい」

 

FALがツッコミを入れようとしたところで、少し余裕のなさげなFive- seveNが呼びかける。

 

「通信状況が不安定なの。FNCに至っては通じないわ」

「ジャミング?」

「わからない。ただ、FNCは......」

「......FNCは?」

「嫌な予感がするって、そう言ってた」

 

ビシャリ、と空間を裂くような雷鳴と閃光が一同を照らしだす。

「今日は荒れるな......」

 

窓の外を見たガンスミスの言葉通り、空は黒い、不気味な程に黒い雲が敷き詰められていた。

 

 

 

同時刻、基地司令部は大わらわだった。作戦中のNFチームと、車両修理に向かったガンスミスとナガンとの連絡が途絶したのだ。

 

「通信を確認して!」

「ダメです、繋がりません」

「もう、こんな時に限って不調なんて」

「応援は、どうします?」

「......お願い。なるべく足の速い子でチームを組んで」

「わかりました。今すぐ招集かけます!」

 

パタパタと放送室の方へ向かっていくカリーナの後ろで、指揮官は拳を握りしめる。

 

(FNチームはバランスよく組んであるけど、特筆した能力にはかける。それにハイエンドモデルとの戦闘になれば......)

 

今回の任務は簡単な索敵任務のはずだったのに、と歯噛みするが今となってはどうしようもない。

 

(......お願い、無事で帰ってきて)

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「無理無理無理無理かたつ無理!」

「お主余裕あるな」

「こんな事だったらお菓子もっと食べとけば良かったー!」

「ぶっ飛べ!」

「榴弾前に撃つんじゃねええええ!」

 

鉄血との戦闘区域を、猛スピードで突っ走る軍用ジープが一台。

非戦闘員だというのに当然のごとく駆り出されたガンスミスが涙目でハンドルを握り、アクセルベタ踏みで鉄血を跳ね飛ばしながら帰路を急いでいた。

 

「帰りは司令部でいいんだな?!」

「ええ、49とFive- seveNは自力で帰ってもらうわ」

「それが妥当かのう。現状、わしらが止まる訳にもゆかぬし」

「クッソ人形はいいよな肝が座ってて! 俺なんか心臓が破裂しそうな気分だ!」

 

いつもの倍の速さで通りすぎる景色、道の先にあるもの何一つみ逃さぬよう目を見開く。この速度で事故なりブービートラップに引っかかりもすれば即死待った無しなのだから。

「しかも民間人まで乗っけてんだろ?! 俺に責任被せすぎやしないか!」

「放っておく訳にもいかないでしょ!」

「わーってるよそれくらい!」

 

不用意に飛び出してきた鉄血兵を轢き潰し、後ろから迫るものは窓から顔を出すFNCとFALが叩き落とす。

「今日は厄日だーっ!」

 

思わず叫ばずには居られない。どうしてこんなことになったんだと出撃前のミーティングが脳裏をかける。

 

『民間人がいるならなるべく安全に撤退して。鉄血兵には見つからないように』

『そんなことより突っ切った方が速いんじゃねーの? 俺の愛車は防弾装備ばっちしだから』

『ならお願い、場所はーーー』

 

「よく考えたら言い出しっぺ俺じゃねーかよ!」

「今更言うかのうソレ」

 

ナガンの冷ややかなツッコミがジト目とともに炸裂する。今日も今日とて仲のいい2人であった。

 

 

 

「し、死ぬかと思った」

「おかえりみんなぁ〜! 無事でよがったよう!」

「く、首が、首が......」

「おおおおお落ち着くのじゃFNCが死んでしまうのじゃー!」

「あれ、FALは?」

「民間人を連れてさっさと基地に戻ったぞ。これを見越していたんだろうけどな」

「ぐぶ、ぶぶぶ......」

「泡吹いておるのじゃ早くそのハグを緩めるのじゃー!」

「お、お菓子は棚の下に......がく」

「FNCーっ!」

 

 

 

「あの......私は......?」

 

 

 

 

 

 



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小話-4 ガンスミスは銃を持たない


実はコラボする時釘を刺していた「ガンスミスには銃を持たせたくない」。その理由は個人的なものでしたが、そのモヤモヤを吐き出したいので書きました。
まあ所謂自己満足的なサムシングのものです。読まなくても一向に構いません。



最初の理由は「戦闘系主人公にぜっっっったいにさせない」という鋼の意思でしたね。書いているISの二次創作も主人公がマネージャーやってたりするので、そういう裏方系の主人公が好きなんだと思います。
というか部活で(以下略)
あとサポ系主人公少ないしいいじゃないのよ。

どうでもいい話その2
とほくれすさん家のウロボロスには「カッコよくないけどくせになる」というよくわからないCVを仰せつかったガンスミスさん。

どんな声だよ(哲学)



 

 

 

「ガンスミスの信号(れいあつ)が、消えた......?」

「なんじゃとぉ!?」

『ガンスミスの、銃器紹介コーナー!

このコーナーは、銃についてあんまり詳しくない指揮官に......』

「なにやっとるかあいつはー!」

 

前回(カルカノM1891)の事件から事を発した、通称「ガンスミス拉致事件」。

この事件をきっかけに後方輸送路が再編、さらには人員移動を含めたあらゆる移動の護衛が強化されるようになった。

そしてもうひとつ行われたのが、

 

「というわけで、上からの通達で一斉に訓練を行います! 人間諸君、射撃場へ移動!」

人員(人間)の再訓練である。

 

G&K社はそもそもが民間軍事会社であり、ある程度の訓練は行いはすれ、コスト削減のために文官、ガンスミスやメカニックのような裏方職員に訓練は行われていない。

しかし今回の事件を重く鑑みたG&K社上層部は、ある程度の自衛能力が必要と判断。

さらには設備が整い始めコストもかからないだろうという状況も相まって、人間職員の一斉訓練が行われる事になったのだ。

 

「というわけで、ハンドガンの使い方を勉強します!」

 

軍人としては一通りの訓練を受けている指揮官とHG戦術人形の協力のもと、一番基礎的な拳銃射撃訓練が行われるようになった。

 

「意外と当たらないですね......」

「よっしゃど真ん中、俺才能あるんじゃねえの?」

「おい、それ俺の的だ」

「もう少し力を抜いてください、その方が当たるかと思います」

「別に訓練じゃ、そう気張らんでもええ」

「ゆっくりやれば身につくのー!」

 

和気藹々とした微妙に緩んだ空気が漂う屋外射撃場。その中のいちブースにいる元凶、ガンスミスはというと。

 

「真面目にやる気あんのか?」

「ここだけ、ここの噛み合わせだけだから!」

 

案の定というべきか当然というべきか、配られた拳銃の分解整備を始めていた。

 

「あんなあ、お前戦う気あんのかよ」

「75ちゃん、どったのん?」

「どうしたも何もこのあり様だ指揮官」

Cz75が示す射撃台の上には、見事なまでにバラバラになったガバメントが。

それを見て思わず眉間にしわを寄せる指揮官。手グセだろうけど注意しないと、と声を上げる。

 

「ガンスミスさん。真面目にやってください」

「真面目も何もこれでもだいぶ真面目だぜ」

「いくら訓練が面倒だからとサボらないでくださいな」

「......はぁ、真面目にやればいいんでしょ真面目にやれば」

 

綺麗に組み上げたガバメントを台の上に置き、ちょっと荷物持ってくるとこの場を後にしたガンスミス。数分後戻ってきたガンスミスの手にはそれなりに大きなカバンが。

 

「なんだ、自前の持ってんのか」

「まーね、ちゃんと自分の給料で買ったやつだし」

 

消耗品だけどね、と言いながらロックを外しフタを開けると......

 

「ナイフ?」

「スローイングナイフ。本当は年始年末の隠し芸なんだけどなぁ」

 

ほい、と刃の部分を指で挟んだかと思えば、特に気負うでもなく腕を振りかぶり。

 

「......ど真ん中?!」

「あらよっと」

 

3連投。その悉くがまと中央に吸い込まれるように放物線を描いた。

 

「ざっとこんなもんでしょう。銃とか別にいらないじゃん? んじゃお先」

「あ、ちょっと!」

「仕事溜まってるんでー、というよりこれから溜まるんで仮眠とってきまー」

 

スタコラサッサと逃げ出したガンスミス。その背中を、ナガンだけは不審げな様子で眺めていた。

 

 

 

「入るぞー」

「どぞー......って珍しいな。プライベートで入ってくるのは」

「ほとんどラジオ関係ばかりじゃからのう」

 

深夜、ナガンはガンスミスの仕事部屋、整備室を訪れた。灯りは非常灯とガンスミスの机の上のライトだけでありかなり薄暗い。

 

「それで昼間のはなんじゃ?」

「昼間の、とは?」

「とぼけるでない」

 

机に向かうガンスミスの後ろにコンテナを引き寄せ、腰掛けるナガンが言う。

 

「わざとサボったろ、お主」

「......当然だろ? あんな面倒なもの参加するよりかは銃をいじったほうが経験値になる」

「それもそうじゃが......前から少し引っかかる事があるんじゃよ」

 

ナガンは前置きすると、ひとつ深呼吸して告げた。

 

「お主、何故()()()()()

 

ここ数ヶ月で散々顔を合わせてきたナガンからこそ気がついたこと。

この男......ガンスミスは、銃を構えることはありはすれ、一度も引き金を引いた試しがない。それが弾倉に弾のない空撃ちだったとしても、だ。

 

「......俺の仕事は整備だよ。別になんの意味にもならんさ」

「抜かせ。銃は撃って始めて整備の良し悪しがわかる、それを怠るお主ではない。

試射と称して何度も何度も本人を呼びつけるのは、はっきり言って手間じゃろう」

「本人が扱うんだし当然だろ」

「それを踏まえても多すぎる。

 

 

 

......隠し事があるんじゃろう、お主。

銃を握らない理由がそこにある。違うか?」

 

作業の手が止まる。

図星のようじゃな、とナガンは言葉を続けた。

 

「話してはくれんか?」

「個人的なことだ。あまり語りたくはないな」

「そうか......ならば」

「でも今日のような、もう昨日か。訓練に顔を出さないで済むなら楽になるし、面倒ごとはないに限る」

「......」

「でも他言は勘弁な。当事者以外ではヘリアンさんしか知らない。指揮官にも話してないんだ。そこだけ宜しく」

「わかった」

「そうだな。

 

ーーーー銃ってのはジャンク山からものの10分で作れる、て知ってるか?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

あん時は、といよりハイスクール時代の頃か。俺も年頃ってやつで、色々とやんちゃしてたわけよ。

女の子をナンパしたりだとか、麻薬もやった。あと酒とタバコはみんなやってたな。

人より違うところがあるとすれば、俺には人より技術力があったという事くらいだ。

 

そんである日、度胸試しとかなんとか銘打って街の外に出てな、近くの廃墟にお邪魔したことがあってよ。

廃工場だったのかな......そん中には旋盤とかフライス盤とか、要するに金属加工の設備がまるっと一通り残ってたんだよ、無傷で。

ガッコーでうるさい先生のそばで、言われた通りに操作してたもの......そいつを自由に動かせる、て事実を理解した途端舞い上がったね。

 

金属パーツなんて道を歩けば落ちてるようなもんだし、学校の廃材を見繕ってちょろまかすくらいわけない。

そんなわけで何作ろう......ってなれば、答えは決まってたよ。

 

銃だ。あの頃から大好きだったからな。

 

設計図は自分で引いた。

弾丸はアルミを使えばいくらでもできる。

火薬は落ちてる弾丸を拾って分解すれば好きなだけ手にはいる。

 

知ってるか? ライフリングは旋盤あれば掘れちまうんだ。特別な機械なんてなんもいらないのさ。

 

そんなわけで出来ちまったんだよ。

リベレーターより不完全な代物が。

銃身は細径の鉄パイプ、引き金部分は溶接して作った。弾丸もお手製。

 

弟と連れ立って意気揚々と出かけて、ちょっと見てろと立たせて、いちおう保護ゴーグルをかけて......んで、引き金を引いた。

 

 

気がついたら手が血まみれで、弟が目を押さえてのたうちまわってた。

 

 

 

銃身が衝撃に耐えられなかったんだよ。

そんで鉄片グレネードみたいに弾け飛んだ。幸か不幸か、弟の目に突き刺さって潰した。

そんだけの話だ。

 

あれから銃を握るたびに吐き気がする。

引き金に指をかけた途端、弟の声が聞こえるんだ、痛え、痛えってな。

 

今でこそ弟は義眼で一般人より視力が良いくらいだし、俺も銃をいじる仕事についてる。

だいぶトラウマ自体は薄くなったんだが......引き金を引くことだけはできない。

 

 

◇◇◇

 

 

「......そんだけの話さ。

別に誰かを殺したわけでもなし、悲劇的な結末があるわけでもなし、つまんないだろ」

「たしかに面白くはない、のう。

最後にひとつだけ、質問いいかの?」

「何なりと」

「......なんでこの仕事やっとるんじゃ?」

「なんでだろうなぁ。銃が好きだから、かな。

そこんところ、俺にもようわからん」

「ハハハハハ、ようわからんと来たか!

やはり人間というのは奥深いのう」

 

答えに満足したのか、ナガンは席を立った。

 

「指揮官には伝えておこう。こやつの場合、そこらのものを投げつけた方が早いとな」

「さーんきゅ、面倒ごとがなくなって心が軽い」

 

ガンスミスがひらひらと手を振る。それに合わせてナガンも手を振り返す。

 

「それでは、また明日じゃ」

「ああ、また明日」

 

 

 

 

「マジでなんでこんな事してるんだろうな」

 

誰もいない中、ひとり自問自答する。

銃のことは好きだ。

デザイン、機構、名前、積み上げられた歴史、生まれるまでの先立の努力。全てを愛しているといっても過言ではない。

 

銃のことは嫌いだ。

どう足掻こうと銃は殺戮兵器。そこに善意などどうあがいても存在しない。他人を傷つければ、それだけ不幸になる人間は増える。

 

ただ惰性で続けているだけなのかもしれない。

 

弟への贖罪も兼ねて入った傭兵部隊は、トラウマのせいでつまはじき。結局雑務や銃整備の裏方周りばかり。

そこをグリフィンのお偉方にスカウトされて、言われた仕事は人形の銃の整備をしろと来た。しかも在庫は旧式銃ばかり。

それでも何だかんだ言いつつ何年もここの仕事を続けている。

昔は銃を見るだけでも吐き気がしたってのに、毎日見てるばかりか夢にまで出てくる始末だ。

 

俺は俺で何がしたいんだろうな。

今とりあえずできることといえば、ベストの仕事をするだけ。

使う奴は別に人形だから暴発しても死ぬことはねえってのに、毎度毎度全身全霊で、ちりひとつ、歪みコンマ1ミリも許さないような追い込みようだ。自分でもアホらしい。

 

「ほんと、何で続けてるんだろうな」

 

そこんところ、自分でも分からん。

 



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小話-6 指揮官の独白

みんな、気を張りすぎなんじゃないの?
もっと力を抜いて、楽に生きていきましょ。
正義の味方? ムリムリ、私の柄じゃないから。



自己満ですまんな。


 

 

 

 

「はーだるいだるい。正装はやっぱ疲れるわー」

 

正装の堅苦しい軍服をもう放り出して、首元を緩め大きく息をする指揮官。悪い意味で女性らしさに欠ける振る舞いに、お目付役でありカリーナから仕事を押し付けられた同僚の金庫番が苦言を呈する。

 

「そんなんでいいんですか指揮官、本部の激励会なんですよ、しっかりしてください。

まだ人が見てるんですから」

「いーのいーの、どーせ何も言われやしないんだから。成績は出してるんだし文句言われてもどうって事ないのよ金庫番君」

「確かにそうですが......て何ですかそのあだ名」

「基地のお財布事情、支出の方は君の担当でしょ、だから金庫番君。

言っとくけど、前戦もロクに支えられない赤字指揮官にナニ言われても痛くも痒くも無いんだな、あっはっは!」

 

周りの同僚指揮官に見せつけるように大声を出す指揮官。

指揮官が自称するように彼女は最高とまではいかなくとも、五指に入るレベルの激戦区を一年以上も守り、安全区域を確保している凄腕指揮官。しかもキッチリ担当地域の安全確保も行い、周辺民間人からの受けもよく、資源収支は黒字を計上するほど。

性格と正反対に完璧な成績を叩き出す彼女はもちろんやっかみの対象になる事は言うまでもない。

睨みつけであったり妬ましさの混ざった暗い視線を意にかいすることなく、むしろ楽しんでいるように肩で風を切り意気揚々と駐車場に向かった。

 

 

 

 

帰りの車中、金庫番が助手席で書類をめく指揮官に問いかける。

 

「さっきの言い方、どうかと思いますよ」

「なに?」

「集会が終わった後のです。見下すような、煽るような言い方をして......同じグリフィンの仲間ですよ、少しは協力しようとか」

「事実を言ったまでじゃん。上手いことやりくり出来ないのは指揮官の責任だね」

「事実であっても言い過ぎです、無闇矢鱈に敵を作る事もないじゃ無いですか!」

 

荒げた声にんー、と考え込む指揮官。暫くして帰ってきた答えは金庫番にとって意外なものだった。

 

「それで死ぬわけでもないし、別に?」

 

予想とは斜め上に回答に、今度は金庫番の側が黙り込む。指揮官は特に気にするでもなく世間話をするような軽い口調で、

 

「ウチの基地を潰すつもりなら、S地区をまるっと鉄血に明け渡して街を三つ潰す事と同じ。隣接するR地区は工業地帯、ここを攻め落とされれば圧倒的に戦況不利。

こんなのも理解できない阿呆が指揮官になれるとは思えない。やる気だったら潰し返して無能が一つ減るだけ」

「協力しようとかそういうのは無いんですか!?」

「そりゃするよ。前にガンスミスが出張してたお隣さんはじめS地区の指揮官とは仲良くしてるし。合同作戦つってもどーせ地区単位でしかやんないでしょ。

困ってる人同士の助け合いは大いにやるべきだけど、別に困ってないからいいじゃん」

「それは......」

 

指揮官の言うことは理には叶っている。だがこのご時世あんまりなことでは無いのか。

 

「ひどい女だ、とか思ってるでしょ金庫番君。顔に出てるよ」

「......ええ、ひどい上司だと思います」

「自覚はあるよ、もともと薄情者だもの。

ココ何年も手紙送るだけで実家には帰ってないし、私人のこと考えるの性に合わないんだ。生まれついてにクソ野郎だね」

「自覚はあるんですね」

「あるよあるある。あるアルヨ」

「......」

「何か言ってよ」

 

沈黙が車内を支配する。

指揮官にはイマジナリーフレンドとか見えない友人とかが憑いているわけでも無いので、話し相手は金庫番だけだ。彼が喋らねばとてつもなく暇になってしまう。

 

「......どうして、指揮官になったんですか?」

「このご時世で食いっぱぐれないから」

 

身もふたも夢もないごくありふれた理由。

結局違う形に収まったとはいえ、故郷を守ろうとG&K社の門を叩いた金庫番には理解しがたい。

心境が顔にありありと出ていたのか、金庫番の横顔を見てため息をついた指揮官が言葉を補う。

 

「正義の味方とか、誰かを守るのって疲れるじゃん。常に勝ち続けなきゃいけないんだから」

「勝ち続ける?」

「誰かを守るには攻める誰かに勝つ。

だけど戦争に勝ち続ける方法は存在しない、いずれ敗北する。あのナポレオンだって結局は負けたんだから」

「......現実主義者(リアリスト)のつもりですか」

「現実主義者だよ、私は」

 

黄昏空を見上げる。

冬日の短い夕焼けは、もう地平線に沈もうとしていた。

 

「何かを背負えば強くなる。

同時に、背負った何かを失えば崩壊する。

......私は壊れるわけにはいかない。

私の仕事は、あの場所に立ち続けることなんだから。

何があっても、誰が死のうと」

「......背負ってるじゃないですか。色々なモノを」

「だからよ。もう私は背負いたくない。

期待とか希望とか夢とか、キラキラしたものは荷が重すぎる。

ちょっと下ろすくらいが丁度いいのよ。

適度に手を抜いていかないと疲れちゃう。

そうは思わない、金庫番君」

 

 

 




指揮官......正義の味方とか夢物語を好まないリアリスト。

「勝ち続ける方法は負けるときに上手く負ければいいの、勝つ事なんていつでも出来るんだから」

金庫番......基地財政の支出担当。基地のお財布の紐を握っているのはこの男なのだ。お金を稼ぐ方担当のカリーナは金遣いが荒いのでしょっちゅう喧嘩してるとかなんとか。

「正義の味方って、なんでしょうね」


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番外編 よそから見た指揮官

受験で疲れたので。

そういえば指揮官と人となりをどうしたものか、と思いついたのがことの始まり。
休憩時間にコツコツと書き溜めてたやつです。


 

 

 

 

 

銃器整備担当職員

 

こんにちわ

 

「こんにちわ」

 

前述連絡の通り、グリフィン本部のーーーーというものです。本日はS09基地の聞き取り調査に参りました。

 

「聞き取り調査なんて物騒ですね......何やらかしたんです?」

 

定期的なものです。といっても一年にやるかやらないか程度ですが。

 

「成る程、で、何聞くんです?」

 

この基地の指揮官についてですね。まず人柄など、思ったことを適当に述べてくれますか?

 

「不満はないことはないですが、いい指揮官ではあると思いますよ?」

 

不満、とは?

 

「無茶振り振られるのはチョット、ねぇ」

 

成る程、無茶を言うことが多いと.....

 

「タチが悪いことに出来る無茶振りなんですよ。こう、全力を出しきれば達成できることばかりなので。

人を見る目は、あるんですかねぇ?」

 

人間観察能力はあると。他には何か。

 

「性格も明るいですし、みんなにも慕われています。人形にも分け隔てなく接してますし、いい指揮官だとは思いますよ?」

 

......成る程、ありがとうございました。

 

「あー、最後にひとつだけ」

 

はい、なんでしょう。

 

「気さくで明るくてフレンドリー、有り体に言えばそうなんですけど。

なんかこう、なんというか......いえ、なんでもないです、呼び止めてすみません」

 

 

 

補給班職員A(同僚)

 

本日はよろしくお願いします。

 

「はいよ、よろしくー」

 

では早速人となりをお教え願います。

 

「指揮官に俺らのような下っ端が関わることなんて無いと思うんだが、他所回れ他所。

あのガンスミスの野郎とか仲良いぞ?」

 

彼にはもうお聞きしたので。

 

「あー、そうなら仕方ないわ。じゃちいとばかし」

 

お願いします。

 

「朝礼くらいなんだが、まあいいヤツなんじゃないの? 明るいし、俺らみたいなのにも挨拶してくれるし」

 

成る程。

 

「ただまー、上の悩みっていうのかねぇ。たまーに切羽詰まった顔というか、青い顔ってわけじゃ無いんだが、しんどそうな顔してんのは見かけんな」

 

ちなみにそれはいつ頃に?

 

「覚えちゃいねえが、着任当初は特に。最近めっきり減ったが、ついこの間見かけたな。何かあったんか?」

 

......私にはそのような事は。ありがとうございました。

 

「ういー、んじゃ仕事戻るわい」

 

 

 

 

本部付き出向人形/M1895

 

これから聞き取り調査を行います。

 

「よろしく頼むのじゃ」

 

では早速、指揮官についてどう思われてますか?

 

「どう、とは?」

 

人柄、生活、言動などでしょうか。

 

「あやつは行動が支離滅裂なのじゃが、どうにも筋を通してはおる。あれは案外理論的というか、計算高いところがあるのう」

 

なるほど。他には。

 

「俗に言う明るい性格、ではあると思う。ハキハキと喋る、いつも笑う、仕事もこなす。

どこに出しても恥ずかしくない指揮官ではあると思うのう。

人形たるわしらも大切にしてくれている。メンタルモデル全損が今のところないのは、あやつの努力の賜物じゃろう。基地創設から見とるが、思うのはそれくらいじゃのう」

 

わかりました。

それでは以上で聞き取りを終わります。

 

 

 

基地所属人形/WA2000

 

では、これより聞き取り調査を行います。

 

「よろしく」

 

指揮官についての忌憚のない意見をお聞かせ願います。

 

「指揮官? 不良ね」

 

不良、とは。

 

「サボり魔なのよ。副官になった人形ならみんな知ってるわ。

何だかんだ理由をつけてすぐ居なくなるし、他のやつと遊んだりするし。仕事なんて真面目にやっているの見たことないわ」

 

戦歴に関しては素晴らしいものだと思いますが、その点に関しては。

 

「頼りないわ。アレ、あんまり自分で考えてないのよね。たまに意見は出すけど、ほとんど司令部の人間や人形に任せてるんじゃない?

もっとシャンとしてほしいものね!」

 

なるほど、人柄に関しては?

 

「頼りなくて仕方ないわ! 私が支えてなきゃどうしようもないのよ!」

 

......これにて聞き取りを終わります。

 

 

 

財務管理職員(金庫番)

 

「本日はよろしくお願いします」

 

よろしくお願いします。早速ですが、本題に入らせてもらいます。

指揮官についてどう思われてますか?

 

「責任感の強い人ですね」

 

意外ですね。今までの人は明るいとかおちゃらけてるとか、フレンドリーだとかお聞きしたのですが。

 

「以前本音をポロリと漏らすのを見たことがあって。

なんというか、悲痛なものをすら感じました。

頼れるのは自分だけ、他人とは最低限との付き合いで」

 

指揮官仲は良好だと聞き及んでいますが。

 

「多分ガワだけですよ。あんまり人に心を開くタイプではないのでは、と個人的には思います。

多かれ少なかれ他の指揮官もそうだとは思いますよ」

 

それを言われると......そうですね。

 

「こんな時にですら協力できないのが人間の弱さだと思いますよ?

指揮官はそれに漏れず弱い人、僕はそう思います」

 

なるほど、貴重なご意見ありがとうございました。

 

「ちなみにこれ本人には?」

 

伝えません。本部に持ち帰り、人事部の参考にさせていただきます。それでは。

 

 

 

財務管理職員/臨時副官 カリーナ

 

本日はよろしくお願いします。

 

「はーい、よろしくお願いしまーす」

 

では、指揮官について知っていることをお話しください。なんでも構いません。

 

「お得意様です♪ でもいつも値切られちゃんですよねー」

 

値切り......お金がないのですか?

 

「わかりません。貧乏性なだけなんじゃないですか? 」

 

なるほど、他には。

 

「お仕事はよくサボりますねー。でも、定時の、って但し書きはつきますけど」

 

定時の?

 

「書類仕事はそれこそ私たちに丸投げですよ。やっているのは特別重要な書類か、怪しい文章とか。指揮官が本当に目を通すべき書類というのを嗅ぎ分けてるんです」

 

ははあ、そして?

 

「定時になれば即仕事はあがり。そのあとはずっと勢力図と睨めっこしてます。それも自室でこっそーりと。

あ、いまの誰にも言わないでくださいね、本人もバレてないと思ってるんです」

 

言われなくとも本人には一切口外しません。

 

「ならよかったです」

 

では続きをどうぞ。

 

「あ、はい。それでですね......うーん。指揮官様は人前で頑張りたくないタイプだと思います。

ほら、指揮官がおちゃらけてたら下は頑張りますし、基地の雰囲気も良くなります。計算づくなんでしょうかねえ、わかりません」

 

なるほろ、貴重なご意見ありがとうございます。

 

「いえいえ、これも仕事ですから!」

ところで、なぜ突然聞き取りに?」

 

わたしには、答えかねます。

 

「そうですよね、ごめんなさい、こんな事聞いて」

 

お互い仕事ですから。

 

それでは聞き取りは以上になります。

お疲れ様でした。

 

 

 

 

 

 

 

S08地区 指揮官

 

これより聞き取り調査を行います。

 

「よろしく」

 

では早速、S09地区の指揮官についてーー

 

「あいつの事か? 知ったこっちゃねえよ」

 

辛辣な物言いですね。

 

「あんな高飛車女知るかよ、一人でなんでもできると思ってやがる。ただの思い上がり野郎だ。いや女だから思い上がりのクソ女だな」

 

詳しくお聞かせ願いますか。

 

「あいつの守備範囲知ってっか? あいつ俺んとこまで勝手に守ってんだぞ。それを言うには『貴殿の部隊は頼りないので』だってよ!

ああもう思い出しただけで腹がたつ!」

 

ですが実際、この基地は新興基地ですし事実なのでは?

 

「それが事実なのがさらに腹がたつんだよ! しかもふっかけた演習もボコボコにされるし! しかもあいつの部隊は二線級の旧式人形ばかりだったんだぞ、ぐうううう!」

 

......あの

 

「思い出しただけでも腹がたつんなろリベンジしたるわい! おいART! あいつの基地に電話かけろ、あと一軍メンバーを引っこ抜け、実弾演習だ!」

 

......あのー

 

「連絡ついた? よし、カチコミじゃあ! 」

 

............これにて聞き取りを終わります。

 

 

 

 




S08基地指揮官
負けず嫌いな青年。ちなみに指揮官の格好のイジリ相手にされている模様。
まだまだ新人のペーペーである。
副官がART556であるあたり業が深い。

作者の性格を反映したケモナー野郎にしようと思っている()


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小話-7 おわりとはじまり

指揮官がクビになるお話です


 

 

 

『単刀直入に言おう。

貴殿から指揮官の資格を剥奪する』

 

 

赤服の上司(ヘリアントス)から告げられた宣告。

どうしてと理由を考える前に、ある言葉が思い浮かぶ。

 

 

私の負け。

 

 

私は結局のところ勝負に負けたのだ。人形だけではなく、人間とも戦わなければならなかったのだ。

それを見落とし、もう一つの勝負をおざなりにしてきたツケが今回ってきたのだろう。

 

「たはー」

 

感慨も、達成感も、憤慨も、寂寥感もない。

あるのは指揮官でなくなったという義務感の喪失。

 

「そんじゃ片付けでも......ん?」

 

バタバタと誰かが廊下をかける足音。

きっと聞かれちゃったかな、こういうのはひとりでやりたかったのに。

 

「まあいいか、今更どーにでもなるわけじゃないし。敗者は敗者らしく潔くしないとね」

 

 

 

 

「辞めるってんはホントかよ!?」

「おおうガンスミスさんがけしかけて来るとは」

「くくくくクビになっちゃんですか?!」

「なっちゃう」

 

大慌てでやってきたのはガンスミスさんとカリーナ。カリーナが多分聞いてて、それなりに親交のあったガンスミスさんに声をかけたのかな。

しかし、こんなに感情をあらわにするガンスミスさんてはじめてみたかも。いつもはしかめっ面だったり笑う顔だった。仕事中もずーっとニヤついてるし、こんな真面目な顔なんて見せること無かったもん。

「それなりにこの地区も落ち着いてきたし、もうちょい人望ある人にってことだと思うよ。

戦闘しか能のないやつはお払い箱ってねー」

「今は小康状態ってだけで平和になったわけじゃないだろ、上層部の目は節穴か?!」

「さあねえ、何考えてるんだか」

 

心当たりはある。

私の人付き合いの悪さは折り紙つきだ。この地区の顔役と上手くやれているとかと言われるとノー。他の基地のように工場なんかと提携したりだとかそんな事はしていない。

そこが上層部の目に触ったんだろうね、いちおう住民に寄り添うだのと謳っているわけなんだし。

特に激戦区だったこの地区は常に戦闘に巻き込まれるリスクを孕む。そのメンタルケアが行き届いていなかったとか、そんな理由。

 

なんてつまんない考え方。

大方私の足を引っ張りたい誰かの工作。

 

だけど、私はあくまでいち社員、わがままを通す気なんてない。言われた分には仕方ないよ。

 

「私これから引き継ぎ資料とかも作らないとだし、人形のみんなにも伝えとかないと。

忙しいから帰った帰った、ガンスミスさんもカリーナもまだ仕事あるでしょー」

 

二人の背中を押して指揮官室から追い出した。

基地立ち上げ当初からいたあの二人に、私の情けない姿は見せたくはない。

 

「なあおい、ちょっ」

「指揮官さま、話だけでも」

 

扉に鍵をかける。

 

「ごめん、ひとりでゆっくりやりたいからさ」

 

叩かれる扉、だが開けるつもりもない。

怒りすら感じるような強い殴打の音を聞きながら、私は紙にペン先を走らせる。

引き継ぎといっても型通りのものばかり。ここしばらくの資源収支を纏めたりとか、お得意様をリストアップして次の顔合わせの準備とか、あと部隊の運用法とかメンバー振り分けの理由とかも纏めとこうかな。

これだけあれば誰でもみんな上手く使ってくれるはず。

 

「あと誰が何を得意とかも纏めとくかな」

 

指揮官として最後までできることはやっておきたいしね。指揮官の椅子にいつまでもしがみつきたいような未練がましさみたいなのを感じるけど、ただの義務感よ義務感。仕事をしてるだけなんだから。

人形の一覧をめくると今より随分と生真面目で顔の硬い写真が目に入った。

 

「......懐かしいな」

 

昔は今よりずっと冷静で、融通がきかなかった。

本部付きとして長い間副官を務めてくれた彼女は、私のことをどう思ってるんだろう。私よりも年下で、私よりもベテランで、私よりも戦い続けた小さな淑女(レディ)

幾多の人間を見てきた彼女の目に私はどう映っているんだろう。

 

『お主は、大バカ者じゃ!』

「そうだねぇ」

 

めくる。

基地立ち上げから付き合ってくれていた頼れるお姉さん。最近は出撃の機会もないけど、出会うたびに声をかけて優しくしれくれたっけ。

 

『あなたはいつも1人で抱えこんで』

「みんなに迷惑はかけられないでしょ?」

 

めくる。

少し変わった喋り方で、部隊を盛り上げてくれたムードメーカー。今ではネームド部隊の副隊長まで勤め上げるほど立派に成長してくれた。

 

『ほんま、あんさんは阿呆や』

「ごめんね」

 

めくる。

格好とは反対に生真面目で戦うことが大好きで。それでもみんなといることを選んでくれた。

幽霊(スペクトラ)と呼ばれながら、一番存在感を示したかわりもの。

 

『指揮官はいつも無理をして!』

「してるのかな。よくわかんないや」

 

めくる。

素直じゃないけど世話焼きで、色々なところに目が届く優しい人。文句ばかりいうのは、もっと出来るって意味の励ましだったのかな。

 

『私がいないと何もできないんだから!』

「大丈夫、できるよ」

 

沢山の人に出会った。沢山の人形にも出会った。

だけど最初に出会った人は不思議とよく覚えている。

『新しい指揮官様ですか? 私はカリーナです。カリン、とお呼びください。早速ですか、買い物、したくないですか?』

 

『お前が指揮官か。俺はまー、ガンスミスと呼んでくれればそれでいい。仕事は言われなくたってキッチリとやるさ、なんせ好きでやってるんだしな』

 

『わしが本部から派遣されたM1895ナガンじゃ。

新人だからといって容赦はせぬぞ、覚悟しておれ!』

 

『貴殿は私が基地の司令官たる器に相応しいと思った。貴殿をS09基地の指揮官に任命する。

人類の砦として、職務に励んでほしい』

 

『私が上官のヘリアントスだ。良い戦果を期待している。

なに、この前居酒屋で見かけた、だと。合コンをしているようだった......上官命令だ、今すぐ忘れろ。

なんだその顔は、おい、こら! 基地中にばら撒こうとするな! やめろ!』

 

いろんな人がいたなぁ。

楽しい人、つまらない人、優しい人、厳しい人。

他にもたくさんたくさん、たくさんの人と出会った。

 

「もっと......」

 

「もっと一緒に......」

 

「もっと一緒に、いたかったな......」

 

いつのまにか扉を叩く音は消えていた。

執務室って、ひとりだとこんなに静かだったんだ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「そんじゃ、引き継ぎはよろしくね金庫番クン」

 

朝日が昇るか登らないかというころ。遅番の金庫番クンにだけは事情を話して、こっそりと抜け出させてもらった。今日の6時まで私はまだ指揮官だからねん。

 

「送別会の準備もしてるのに、みんな楽しみにしてたんですよ」

「いーのいーの、そんなことしたら仕事にならないじゃない。いつも通りでいいんだよ、ただの人事異動なんだから」

 

戦士に休息は許されない。ましてここは最前線、そう簡単に防衛ラインに穴を開けるわけにはいかないよ。

 

「悲しくないんですか?」

 

金庫番クンの言葉にどんな意味が込められているのか私にはわからなかった。

だから私はこう返した。

「私はみんなを駒としてうまく扱っただけ。そこに、感情があったわけじゃないから」

「......そう、ですか」

 

それじゃとボストンバックひとつ分の荷物を背負って、基地の門のパネルにカードをかざす。

「これももう必要ないね、あげる。記念にでもといたら?」

 

軽くカードを投げると、くるくると輪を描いて金庫番クンの手にちょうどおさまった。我ながら会心の出来だねぇ。ラッキー。

 

「これからどうするんですか?」

「どうしよっかー。決めてないや。

久しぶりに実家でも帰って、農業でもしようかな」

「......向いてないっすよ、指揮官には」

「そうかなー、やってみたら案外楽しいかもよ?」

「そんなもんですかね」

「そんなもんよ、金庫番クン」

 

後ろ手に手を振って、私は基地の敷地の外に足を踏み入れた。

 

 

 

時刻はちょうど6時ジャスト。

 

これで、私にはなにもなくなった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

「ボクが新しくこの基地の指揮官になった者です。

早速ですが、ボクは指揮官としてあなたたちに最初の命令を下そうと思います。命令はーーーーー」

 

 

◇◇◇

 

 

 

街を歩く。

 

「ねえ今度どうしよっか」

「俺昨日さー」

「あはは、それほんとかよー」

「私〇〇社のものですが」

 

誰も振り向かず、誰も注目することはない。

当然だ地域とのつながりをもった試しなどない。基地があることは知っていても、その職員までは知られてはいない。

それが基地のトップであろうとも、知られていない。

これが私が守ってきた民間人のありのままの姿。

 

「やんなっちゃうねー」

 

現実を知っちゃうとやる気無くすわ。

 

ふらふらと目的もなく街を歩く。

比較的華やかなな繁華街を抜ければゴミだらけのスラム街。

型落ち品や壊れた何かのパーツ、見覚えのあるジャンク部品。人形らしき人体パーツの成れの果て。

他にも扇情的な格好をした女性や、カタギでもなさそうな男の姿。

「知らなかったな、こんな場所があるなんて......っと」

「ごめんねおねーさん!」

「はは、子供は元気が一番だぞー」

 

ボロボロのタンクトップを着た少年が駆けていく。

少し遅れて、スカートのポッケが軽くなることに気がついた。

 

「んなろーサイフ盗みやがった」

 

......まあいいか、めぼしいもんはなんも入ってないし、現金は持ち歩かない主義だしね。

「さーて、バス停はどっちかねぇ」

 

歩く。

 

歩く。

 

あてもなく歩いて、

目的もなく彷徨って、

理由もなく足を動かして。

 

 

「この財布は君のもののだろう?」

「ん、あー、サンキュ」

 

投げ渡されたサイフを受け取る。中身は、少し減ってるか、当然だよね。

投げ渡してきた相手は黒いコートの似合う渋い声の男。クルーガーさんとも違う渋さだ。カフェの老マスターが似合いそうだな、と見当違いな感想を持った。

 

「ご親切にどうも、でも、どうやって?」

「いや、たまたま目に入ったものでな。それに、仕事をするときは善行をしてからと決めている」

 

袖口から滑り落ちるように手に収まったのは、つや消しが塗られた黒い小型ナイフ。

「誰に雇われたとかは聞くのは野暮だよね」

「許しは乞わん、もとよりそういう仕事だ」

「いいよ、なんか疲れちゃったし。どうぞ」

 

黒い刃が迫る。

 

それを私は......

 

「何やっとるんじゃ()()()!」

 

銃声。

 

小型ナイフが歪んでねじ切れ、男の手から弾き飛ぶ。

 

壁を蹴って目の前に割り込んできた白い影。

暑い毛皮のロシア帽。白いファーコート。胸元まで届かない小さな身体。

そして......未だ白煙を銃口からたちのぼらせる、旧式回転拳銃(リボルバー)

「両手を上げよ。わしは戦術人形、慈悲は無いと知れ」

「やれやれ、私もヤキが回ったか」

 

状況が全くわからない。

両手をあげる男。

銃を構えるナガン。

なぜ、どうして、どうやって?

 

「新しい指揮官に感謝するんじゃな、先輩」

「先輩......?」

「先パァイ!」

「ぐふっ!?」

 

この学生時代にやたら食らった覚えのあるタックル。

なんかすっごく嫌な予感するんだけど!

グリグリと胸に顔を埋めてくる小柄な紫髪、声といい言動といいまさか......

 

「先パイの匂いだぁーーーーー!!!」

「いやだあああ実家帰るううううう!」

 

「説明を要求したいのだがいいかね?」

「わしにも分からん」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「一言で状況を説明すると?」

「私が新しい指揮官です!」

「なるほど、そんで私は?」

「戦術アドバイザーですね!」

「そんな仕事あったっけ?」

「ないので作りました!」

 

目の前には、学生時代散々私を追いかけ回してくれた後輩ちゃん。グリフィンの制服姿がよく似合う......とかではなく。

 

「私は用済みになった存在。外部とはいえ呼び戻すことなんて簡単に出来ることじゃ」

「先輩と一緒に居たいからじゃダメですか?」

「真剣に話してるの」

「そうですね、ちょーっとオネガイしました。

最近の人は隠し事が多くて嫌ですね。でもボクはいつでも先輩にオープンですよ! バッチコイ!」

「やかましい!」

「ああんいけずぅ」

 

大方弱みでも握って無理に通したな。私のクビだってそうやって通したもんだろうし、復帰するのはそう難しくはないけどさあ。

 

「それに、先輩はひとりでなんでもしようとしちゃいますから。たまにはお灸を据えておかないよですよね。

基地のみんな、心配してましたよ。急に居なくなったりしてなんて怒ってました。発信機はありましたけど、町中探し回れたのは、戦術人形の協力があっての事です。あそこまで自主的に動き回るのは生まれて初めて見ました。

でも一番心配してたのはボクですからね! 」

「......私にそんな価値があるとは思えないけど」

「そんな悲しいこと言わないでくださいよ」

後輩の目が潤む。

「先輩は優しすぎるんです。

先輩は天才ですから、人より物がわかって、できてしまう。人より優れてるということはそれだけで他人を傷つけてしまいます。

だから先輩は線引きをしているのです。

親しい人間には優しく、それ以外は厳しく。

 

先輩は自分の価値観で人を憐れみたくないのです。

だから極端に人間関係を狭めて、自分ではどうしてもできないことだけを他人にやらせる。

そのいびつな優しさはボクは大好きですけど、人を傷つけてしまいます。やめるべきです。

もっと信頼しましょう、先輩。

まずはボクから、初めてみませんか」

「後輩ちゃん......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その巧妙な告白に騙されはしないから」

「辛辣っ! でもボクは大好きです! もっと罵ってください!」

「今すぐにこの縄を解けー!」

「この縄はボクと先輩の間に結ばれた運命の赤い糸、例え死神だろうと断ち切る事は出来ないのです」

「こんなの認められるかああああああああ、ぬおおおおおおお!」

「さあ先輩、一緒に愛を深めましょう!」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「今度の指揮官、指揮官から後輩ちゃん呼ばわりされたけど知り合いかな?」

「恋人って言ってましたね。自称ですけど」

「自称」

「でもお似合いじゃないですか? これで指揮官も少しは人当たりは良くなると思いますよ」

「時には荒療治も治療法なりうるのだ。これでまた一つ学びが増えたな、若人よ」

「さらっとそこでコーヒー飲んでる暗殺者の人はなんでいるんですかね怖いわ!」

「ああ、これから厄介になるよ。近接格闘術や潜入術を教えてほしいそうだ。

そろそろ歳だから引退しようと思ってはいたが、とんだ余生になりそうだ。スプリングフィールド女史、もう一杯頼めるかね?」

「もうやだこの基地」

 

 

 




指揮官→戦術アドバイザー
クビになったがまた雇われて基地に戻ることとなった。苦手だった庶務はやらなくていいので昔よりいい仕事かもしれない。
ただし特大のおまけがついてきたことを除けば。
後輩ちゃんと恋人(後輩のみ自称)になった。春と呼んでいいものか

「まあその、ただいま?」

後輩ちゃん
新任指揮官。指揮官の後輩で、学校生活の時一目惚れして今に至る。
あんまりにも離れすぎたのでヤンヤンしているのかもしれない。
なお指揮官より有能で、人付き合いもそこそこ出来る。
指揮官が仕事を効率よくこなすタイプだとすれば、後輩ちゃんは与えられた仕事を高速で片付け結果指揮官より先に仕事が終わる力技タイプ。
ショタが押し倒してくる(誰得)。

「これが先輩とボクのラブラブパワーです!」

暗殺者(死神さん)
一昔前一世を風靡したやばい殺し屋。だが現在では年齢の衰えには勝てず、あの頃のキレは失われている。結果ナガンにKOされた。
カリーナの機転と人材強化の名目のもとその場でヘッドハントされ、近接格闘や潜入の教官になった。
コーヒー党で、どこからともなく豆を仕入れてくる。そのためカフェで豆が切れることはまずなくなった。
イケオジ(重要)

「死神の名前も返上かね......おかわりをもらえるかな」

ガンスミス
取り越し苦労で無駄に疲れただけ。


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番外編 祝う時には盛大に1

大規模クロスオーバー大会の会場はここかぁ?

というわけで、ちょこーっと他所様の基地にお邪魔していきます。

「焔薙』様作 『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!』
200話からの結婚式スペシャルにお邪魔します。

さあ、盛り上がっていきましょう!


 

 

 

 

「結婚式かぁ、一生縁がないものと思ってたな」

「女なのにその言い草は無えだろ、将来の夢はお嫁さんです、とかなかったのか?」

「夢ではなく約束された事ですから!」

「そんなこともない」

「いつも通りじゃのう」

 

いつも通り、というか散々聞いたような掛け合い。

いつもと違うのはここが俺の車内で、ちょいとばかりキチンとした格好でいることだ。

 

「まさか、あのちんまい指揮官がなぁ」

「ほんとほんと、最初に会った時は認識されなかったよわたし」

「先輩を......認識できない.....?!」

「落ち着くのじゃ、あの子は訳ありだったのじゃよ。

もっとも今ではその病気も直っておる。受け入れられるのに時間はかかるが、ちゃんと向き合えば答えてくれるはずじゃ」

「つまり先輩の魅力にメロメロに......?!」

「どうしてそうなる」

 

通常運転の後輩ちゃんに辟易する指揮官に、助手席からそれをたしなめるナガン。

あちらには流石に劣るが、ウチもだいぶ様変わりしたもので随分と騒がしくなった。

「しかしボクとしても興味はありますよ。『低体温症』作戦成功の立役者ですからね。会ったことはないので気になります」

「期待したようなもんじゃないな、見てくれはそこらにいる子供だぞ」

「戦力的にはバケモノ揃いじゃがな、わしより強い同型がおるんじゃよ」

「それは面白いですね。タイマン勝負とか見てみたいものです」

「勝てる気はせんよ」

「もうそろそろ着くぞ、指揮官、招待状の準備はできてるんだろうな?」

「あー、赤字でもってこいって書いてあったやつね」

 

もちろん、と制服胸元から招待状を取り出す指揮官。

絶対と書いてあるあたり偽造防止の何かしらの仕掛けがしてあるんだろうな。

あそこの技術力はどうなってるんだ?

 

「はーい、来賓の方はこちらですよ!」

 

ピッピと笛を吹きながら案内をしているらしい人形の指示に従い、駐車場に車を止める。

 

「入り口はこちらですので!」

「ありがと、頑張ってね」

 

しばらく歩くと見覚えのある人影がふたつ。

受付らしい机の前に立っているのを認めた。それはあちら側も同じらしく、談笑を止めた。

 

「はじめまして。SO9地区〇基地の指揮官、ーーーーです。この度は結婚おめでとうございます」

 

後輩ちゃんの言葉に合わせ俺も頭を下げる。同じく受付側の人形も頭を下げたところで、その受付側の人形が堅苦しいのは抜きだと真剣な顔を崩した。

 

 

「お初にお目にかかる者がいるな、わしはこの基地の副官を務めておる、ナガンM1895じゃ、そっちのわしとごっちゃにいかんからな、副官と呼んどくれ」

「こっちもいろいろバタバタあったと思ってたけど、この基地も色々あったようね。噂、聞いてるよ?」

「まぁのう、こっちとしては指揮官が変わったというのも驚きじゃがな?」

「変わってませんよ~、指揮官は変わらず先輩ですからね!」

 

後輩ちゃんのセリフを聞いてすぐ、副官が指揮官の方へ顔をチラリと向け頷く。

それはまるで、頑張れと言っているようで。

 

(似たようなのがいるのか、頑張れ先輩)

(勝手に憐れむんじゃないよ!)

 

それでは案内はこいつじゃと隣に立っていた人形を副官が言うと、

 

「では皆様の本日の基地案内担当は私、P38にお任せ下さい、師匠!」

「師匠じゃと?お主、何時からそんな」

「いや、待て俺も初めて聞いたぞ、それ」

「そりゃ勿論、あれこれ銃の整備を教わったのですからそう呼ばない理由はないですよ」

 

目の前でキラキラとした羨望の眼差しを向けてくるのは、いつぞやの弟子入りと称して整備を教えたP38。

 

「師匠てなぁ、なんだかなぁ......」

「なーに照れてんだこのこの」

 

言葉を濁すと、したり顔で脇腹をつついて冷やかしてくる指揮官。その楽しそうに他人をいじる様子をあの後輩ちゃんが見逃すはずもなく鼻息を荒くして、

 

「先輩! どつくならボクをどついて下さい!」

「ふん!」

「ヤクザキック!?」

「ナイス......キックです......!」

 

最近元暗殺者の人に護身術を教えてもらって以降格闘のキレに磨きがかかっている指揮官。後輩ちゃんという移動式サンドバッグの効果もあるだろうが、飲み込みが早くて見てるこっちも楽しいもんだ。

腹を抑えて青い顔の後輩ちゃんも嬉しそうだし。

ありゃあ完全にみぞおち入ったな、それでも足を抱え込んでサムズアップする後輩ちゃんの根性がすごいや。

 

「大丈夫ですか!?」

「あー大丈夫大丈夫、いつものことだから。あれはあれで感情表現みたいなもんだからさ」

「式典はあるから顔を狙うのはやめておくんじゃぞ」

「だったらボクのターンですね」

「ちょ、まずっ」

 

お、掴んでた足をひっくりかえして......体制を崩したところにがっぷり組み合い、肩を相手の胸に叩きつけると同時に両足を後ろから払いおとす。

 

「見事な大外刈りだこと」

「技あり一本というべきかのう」

「ふひひひさあ先輩愛を深めましょう、さあさあ!」

「嫌だあああああああ!」

 

そのまま胴体をがっぷり抱え込み押さえつける横四方固めに。あんだけ重量差身長差あるのにガッチガチに動かせないとか、相当な腕してるねェ後輩ちゃんは。

 

「......と行きたいところですけど、正式な場ですからね、続きはまた後ほどに」

 

ピョイと起き上がり軽く身だしなみを整え、倒れている指揮官に手を差し伸べる後輩ちゃん。

一応TPOはわきまえていると見た。そうでなきゃそもそも指揮官になれるわけ無いか。

 

「はぁ、どうなることかと」

「多少の暴走は見逃してくれると助かる、ちょいとこじらせておるのでなあ」

「好きが強すぎるんだよな」

「正直言ってウザい」

「っっっ!」

 

......まだ受付も済ませたばっかなのに、こんなんで良いのかねぇ?

俺は不安だよ、人様の結婚式をめちゃくちゃにしなきゃ良いんだがな。

 

「......すまない、受付はこちらでよろしいだろうか」

 

 

 

 

 

 

 




正直書いた後やり過ぎだと思った。

まあいいか!


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番外編 祝う時には盛大に 2


大規模コラボたいかいじゃーい!
というわけで「スツーカ」様の指揮官とおしゃべり


 

 

 

 

「......すまない、受付はこちらでよろしいだろうか」

「はい、こちらですよ?」

 

眼帯長身という威圧感溢れる立ち姿の女性。

隣に見慣れたG3が立っているのを見て、やっとこさ同業者らしいと思いついた。

「初めて、らしい軍人を見たかもしれん」

「なによ、私が軍人らしくないって?」

 

ついと視線を下に落とす。そこには不満げな顔をした指揮官がこちらを見上げていた。

どちらかといえば万人ウケしそうな柔らかい顔つき、高いとはいえない身長。ふわふわとした茶髪に、大きいとも小さいとも言えない胸。

 

「どちらかといえば大学生といったほうが通るな」

「......やっぱそう見えないよね」

「気にしてたのな」

「もっと身長が欲しかった」

 

「いや待てぇぇぇ!!??」

「ふおおお!?なんだよ驚かすなよ、私意外と小心者なんだぞ!」

 

けたたましい剣幕に振り向くと、先ほどの威圧感たっぷりの女性が飛び上がって身構えていた。その目の前には肌のやたら白い女性が副官にたしなめられていた。

 

「これ、どういうことだ?」

「見ての通りじゃ、話は聞いたことあるじゃろうて。離反する鉄血が居るとな」

「え、あの人鉄血ハイエンドモデルだったの?」

「気づいてなかったんです? そんなうっかりな先輩も大好きですよ」

「ブレないねえ君は」

 

ほんじゃ登録済ませようか、と話題になっていたハイエンドモデルが言うままに機械の前に立たされなんしばらくなんやかんやして、

 

「……はい、オーケー、全員の登録は終わったからこれで警備ロボも無害、ダイナゲートとも遊べるようになる特典付き!」

 

最後のなんだよ、ダイナゲートって戦場でうじゃうじゃしてるアレか?!

 

「おすわり! お手! ちんちん!バーン!」

「後輩ちゃん順応力高すぎない?!」

「か、かわいい......」

「先輩も一緒に遊びましょうよ!」

「..................あそぶ」

 

わらわらと集まってきたダイナゲートと戯れる指揮官と後輩ちゃんはさておき、

 

「はじめましてというべきかな? 」

 

ぎこちなく手を差し伸べてくる威圧感マシマシ上官殿がコワイ、というか俺より背が高いとはどういう事よ。ただ見覚えのある顔なのが......

 

「は、はじめまして」

「いやあ、こんなところで貴殿と会えるとはな。

なにせ私はあなたのラジオのファンでな、時たま動画サイトで真似事のようなことを」

「もしかして......動画サイトで解説してる人ですか?」

「お恥ずかしながら」

「あ、ああああああ!」

 

どうりで見覚えのある人だと思ったわ! そらそうよ、つい2週間前の動画とか見てたし、面白そうだって見てたやつだもん。

なーんでこんな顔の人忘れてたんだか、やっぱ人の顔はしっかり覚えないとだなぁ。はあ、もうちょい他人に興味持たないと。

 

「すみません、すっかり忘れていました。申し訳ない」

「いえ、それよりラジオのようなもう少しフランクな口調で構いませんよ。むしろそちらの方が慣れてるので」

「じゃあお言葉に甘えて......この基地の指揮官とはどんな知り合いで?」

「数日前にな。個人的に扱う資材を発注するついでに縁ができたんだ」

「指揮官は戦前の戦車を持ってるんですよ」

「ただ部品や燃料が無くて訓練の的になってたんだ。これでやっと戦力として運用できるようになった」

「へぇ、そいつは興味あるな」

「そっちはどんな縁で?」

「他所との繋がりが欲しくてなとうちの元指揮官が俺を派遣してからだ。

ここの基地って色々と訳ありでな、武器整備が行き届いていないのもあって俺に白羽の矢が立ったわけだ。

最も、個人的な繋がりに終わってたんだがな」

「ツメが甘くてわろうござんしたね!」

「......と宣ってるのがウチの元指揮官じゃ。詳しくは本人に聞いてくれるとありがたい」

 

......にしても、今こうしているのは奇跡みたいなもんだよなぁ。

 

「あの嬢ちゃんが結婚か、こうして招待された今でも中々現実味湧かないのは不思議なもんだな」

「いつだったか、私と会った時もガチガチで逆に心配になるほどだったからな」

「そうですね、でも一生懸命な感じでいい娘だとは思いましたけどね」

「呵々、まぁ異性でなく、更に人形と、と言えばあやつらしいと思うがの、わしとしては一安心じゃよ」

「副官殿は発言が親目線だネェ」

「冷やかすでないわ」

「結婚かぁ、ここは先輩だb」

「断固拒否」

「ブレんのうお主も……」

 

ああそうだ、あそこから祝電を受け取ってたんだっけな。忘れるところだった。

 

「副官殿、ちといいかい?」

「なんじゃガンスミス」

「知り合いから祝いのメッセージだ」

 

手紙を渡すと副官の顔がひきつる。そりゃそうだ、送り主は曰く付き、爆弾のような代物だしな。

 

「これは……素直に驚いたのじゃ、お主ら此処とも繋がりがあったとはな……」

「まぁ、ラジオ効果ってやつだ、俺も驚いたがな」

 

軽く見聞して安全なことを確認し、副官は手紙を懐に収めた。

 

「入り口で長話も困るでの、続きは控え室で頼む。P38、案内するのじゃ」

「かしこまりました、皆さんこちらですよ」

 

ツアーガイド気分で手を挙げて先導するP38の後ろについていく。

さてさて、どれくらいの人が来ることやら。

 





曰く付き(MSFの皆さんより)の手紙


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番外編 祝う時には盛大に 3

ホワイトデー?
んなもん知るかよ。


 

 

 

 

 

 

 

余興を披露するために設置された特設ステージ。

まず最初に他所の基地の人形がプロも裸足で逃げ出すようなキレキレのダンスを披露し場を温め、俺の弟子(自称)のP38がアイドルらしい明るい歌で場を盛り上げた。

 

その次に現れたのは......よりにもよってこの基地所属であろうあのVector。

面白くもないダジャレを隙あらば挟み、場に吹雪を吹き荒らさせる事でおなじみのあのVectorである。

 

(......もしかしてひとりコントでも披露するんじゃなかろうな)

 

俺の心配をよそにスポットライトの下でマイクを握りしめて目を伏せ、気を落ち着かせていたらしいVectorが面をあげた。

 

「Vector、歌います」

 

その中央スポットライトに照らされた彼女の歌声にこの場にいる全員が魅了され、俺はというとあんぐりと口を開けていた。

 

「......うせやろ」

 

歌もロクに聞いたことのない俺ではあるが、素晴らしい歌だというのはわかる。透き通るような高い声に、恋心を鮮やかに綴った歌詞。

演奏こそデジタルではあるが、これがもし本物のオーケストラであれば......そう考えただけでも鳥肌が立った。

 

まさに魂を震わせるような歌。

 

自分が命を預けるにたると認めた指揮官の門出には、この上のない贈り物であるだろう。

 

 

気がつけば演奏は終わり、若葉色のドレスを纏った歌姫は息を吐いた。

 

「静聴ありがとうございます。ふふっ、流石に久し振りは疲れるわね」

「......すんげー」

 

思わずパチパチと手を叩く。周りも言うまでもなく自分と同様に手を叩き、彼女の歌声に賞賛の気持ちをあらわにしていた。

 

「では、二人の馴れ初めエピソードを話すにゃ」

「雰囲気ぶち壊しじゃねえか!」

「ちっちっ、野暮なことは言わないのがお約束にゃー」

 

 

 

このあとめちゃくちゃ過去話した。

 

「あやつ、外見通りヤることやっておるのじゃなぁ」

「あんなにちっこいのにヤることやってるんだ。

......つまりウチのPPKちゃんもスケベ?」

「よそはよそ! 勝手な思い込みはやめなさい!」

「あやつは損傷すると喜ぶぞ」

「ドMというやつですね」

「まじかよ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「大規模作戦指揮お疲れ様、ということであたらめてかんぱーい!」

「「「かんぱーい!」」」

「か、かんぱーい?」

 

場末の居酒屋かくもやと言わんばかりの挨拶だが、ここは結婚式場でかつ俺らが持ってるのはワイングラスだ自重しろ元指揮官、3人とも困惑してるじゃないのよ。

 

「はじめましてかな。私がこいつの元上司、なんだけどみーんな指揮官って呼ぶんだよね。早い所慣れて欲しいんだけどねえ」

「先輩はいつまでも指揮官ということですよ」

「そんでこの男か女かわかりにくいのがウチの指揮官だ。なんか後輩ちゃんとしか呼ばれないけど」

「ま、どうせしっかりと見えてはおらぬだろうし、なんか面白いのがいると思ってくれればそれで良い。

質問があればわしかこやつが通訳するからの」

「良い人ではないのは保証するが、良いやつではある。隣だから関わりも多くなるだろうし、人見知りを直す第一歩として接してくれや」

「こ、これからよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いしますね」

 

にこやかに挨拶する後輩ちゃんに対してまだ表情も硬い。初対面だし後輩ちゃんが人形みたいに見えてると思うんだが、進歩したんだな。

 

ここの指揮官が人を認識できていないのは2人には説明してあるし、それを失礼ことと思わないでほしい、見守ってほしいと頼んだ。

めでたい席だ、つまらない事で楽しくない思い出を残したくはない。

 

「まだ慣れないようじゃな」

「こればかりは仕方ない事じゃ」

「徐々に慣れさせれば良かろうて。急がば回れ、というコトワザもあるしの。そう一〇〇式が言っておったわ」

「すまんナガンとナガンで喋られると全くわからんからやめてほしい」

「え、すぐ判別できるでしょ。最後に喋った方がおばあちゃん」

「今のどこに判別できる要素あった」

「なんとなく?」

「なんとなくときますか」

「わしとユノは長い付き合いじゃからの。わしも理解していない特徴を感じ取っているのかもしれん」

「というかお主も銃であれば同じじゃ、この似た者同士め」

「あんなもの見ればわかるでしょうが」

「わかんない」

「わからんのう」

「銃はよくわかんない」

「ボクもサッパリですね、先輩は?」

「同じくー」

 

全否定されるとかマジで?

いやあれって、1ヶ月もあれば身につくというかなんというか。心得さえあれば誰だって出来るしもちろんP38ちゃんも出来るでしょ、ねえ?

 

「流石にまだ無理です。あと2年ください」

「出来るのかよ」

「師匠ができるんですから弟子の私もできます」

「オーケー理解した。半年くらいつきっきりで鍛えていい?」

「その間仕事できる?」

「......出来るけど俺のプライドが許せない」

 

 

 

「あと、低体温症作戦の時は......」

「ちょうど引き継ぎでもたついてた時期だったから後方支援しか出来なくてゴメンね?

拠点攻略とかもうすこしだけ手伝えたらよかったんだけど、指揮系統がめちゃくちゃになってて」

「いえいえ! 後方支援だけでも充分だった、じゃなくてでした!」

「敬語なんて要らない要らない、気軽な感じで接してくれていいのよ」

「じゃあボクも気軽な感じで接します! 先輩ハグしましょうハグ! ぎゅーっと!」

「ぎゅーっと鯖折りにしてやる」

「にぎゃあああああああああああ!」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「はー、食ったねぇ」

「きゅう」

「......後輩を締め上げて楽しいのかのう?」

「楽しいヨォ、とっても!」

「最後に一杯やっただけでこうかよ、つくづく酒に弱いなお前は」

「なっはっは、知ってらい」

 

帰りの車中、ほぼノンアルのカクテルで酔っ払ったらしい指揮官が後輩ちゃんを締め上げてノックアウトし後部座席でいつかのようにクダを巻いていた。

流石に距離があるので手は出して来ないのが救いだが、やかましいのでノーカンだ。

 

「結婚か、羨ましい限りだね」

「後輩ちゃんのラブコール、受ける気は無いのか?

性格はともかく、金もあるし地位もある、仕事も似たようなもんだし、休みも取れるだろ」

「それはいいんだけど、後輩ちゃんはそれで良いのかねってのがねえ」

「これだけ好意を伝えておるんじゃろ、それは結婚したいということではないのか?」

「人間心理はもうちょい複雑なのよ、ナガンちゃん」

 

相変わらず自己評価が低いんだからうちの指揮官は。どうせ後輩ちゃんをもっと幸せにできる相手はいるとか、私がふさわしくないとか思ってるんでしょ?

そういうところよ指揮官。

 

「ところで私らさ、なんか贈り物したっけ? なんかガンスミスさんが張り切って作るとか言ってた気がするんだけど、渡した?」

「あっ」

「えっ?」

「......ごめんすっかり忘れてた」

「お馬鹿!」

「運転中だぞ座席蹴り飛ばすんじゃねえ! 事故ったらどうするんだローンまだ2年も残ってるんだぞこの車!」

「基地の経費でどうにでもなるからぶっ壊しても別にいいもん!」

「お主もう指揮官では無いからそんなことは無理じゃろ」

「......」

「指揮官?」

「やっべ吐きそう」

「おい待て待て車内で吐くとかやめてくれよにおいが染み付くだろうが今車止めるから外で頼むぞマジでいやほんとマジで耐えてあと10秒でいいからそうゆっくり落ち着いてなだああああああああああああああ!」

 

 

 




ぎゅーっと(背骨はへし折れる音)


しばらくは50話記念に色々やるつもり、紹介もなるだけ頑張るけどね!
まだ色々リクエストは募集中やでい。


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小話-8 ガンスミスの受難(?)

50回記念リクエストから企画。
鉄血側の装備を整備してほしい、という内容だったのですが銃とか装備とかの詳細わかんないわ(白旗)。

結構悩んでこんなもん書いてしまうあたり、経験値が足りないっすわ。


 

 

 

 

「んーーーーーーーーー」

 

目の前には無骨な大型拳銃。それを舐めるように眺めること数秒......

 

「クソッタレかな!」

 

工具箱から取り出した大柄レンチで目の前の女性、こと鉄血ハイエンドモデル、エクスキューショナーのこめかみに向かってフルスイングした。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

『ガンスミスさんですか? 来てないですよ?』

「そうですか、わかりました」

 

無線を切った後輩が真剣な顔で椅子に座りなおす。

目の前には心配そうにそわそわするナガンと、どうしたものかとため息をつく元指揮官が立っている。

 

「さて先輩。ボクに状況を説明してくれますか」

「......前にも似たような事があったんだけどね。今んところ予想されるに、ってヤツだけど」

「気に入られてしまったのかのう」

「似たような事ですか?」

「こんな事があってね」

 

※番外編「相克の蛇」及び「第38回」を参照。

 

かくかくしかじか、と説明した元指揮官。それをふんふんと頷きながら聞いていた後輩は机の脇に置いたパソコンを叩き始めた。

 

「どこへいったのかはこちらで探ります。先輩は捜索隊の編成を非番の皆さんで組んでください。休養日は後日振替することも伝えてください」

「わかった」

「あやつの居場所がわかったのか?!」

「現代機器は便利ですけど、抜け穴が多いですからね」

 

このPCにはデータが不足ですか、と席を立ちデータルームに向かった後輩。その後をナガンが追いかける。

 

「GPSというのは現在ほとんどのものに搭載されてますし、第三次世界大戦では衛星にはあまり被害は無いですから探知も簡単なんです」

「だったら何故使われん? 今の主流はドローン、衛星探査の方が便利ではないのか?」

「費用対効果が薄いだけですよ。ECM技術の進歩によってどこでも妨害電波が飛び交ってるような世の中ですから、受送信にはそれなりの強力な機器が必要なんです」

「そんなものウチにはないぞ?」

「ボクの私物です。先輩を追いかけるために作ったんですが、数回使ったらばれましてお蔵入りしてたんですが、持ってきて正解でした」

「お主はブレんのう」

「ブレるも何もそれ以外知りません。さてナガン、この基地のデータルームに繋げば軍用マップと接続できますよね。それと衛星レーダーを組み合わせればS地区内であれば何処へいったかわかります。カリン、いますか」

「はい、なんでしょう指揮官様?」

「マップデータをボクの私物と同期させるので手伝ってください。()()()()です」

「......わかりました、何をすればいいですか?」

「ボクの車をこの部屋の前に回してください。あと後ろのコンテナから配線出てるんで、全部こちらに持ってきてください」

「わかりました、でもなんですそれ?」

「先輩を追尾するための衛星探査システムですけど」

「あ、ハイ」

「......私的利用を記録に残すのもダメですし、ちょっと書き換えちゃいますか」

 

手慣れた様子でプログラミング画面を開き、目にも留まらぬ速さでプログラムを書き換える。同時並行で携帯片手にカリーナにも指示を出し、居合わせたナガンにもやる事があると指示を飛ばした。

 

予備ケーブルの入った箱を運ぶ途中合流した元指揮官に、ナガンがポツリと漏らす。

 

「......あやつ、指揮官より出来がいいという話は本当じゃったのじゃな」

「自慢したくないけど私のロクデナシな後輩だもの、あれくらいできて当然よ?」

「いびつな信頼関係じゃなあ」

「なんかいった?」

「......いや、ただ独り言じゃ」

 

扉を開けた先にはパソコンを前にして舌なめずりする後輩の姿、真剣な場には不釣り合いなほどに顔は蕩けていて、なにかをブツブツとつぶやいる様子。それに二人が聞き耳を立てていると......

 

「さーて、先輩以外の人間をストーキングするのは初めてですが、先輩の悲しむ顔の方が見たくないですからね。

ガンスミスさんを無事に見つければ先輩のボクへの評価はストップ高、そのまま結婚まで一直線待った無し......完璧ですね。我ながら恐ろしい計画です!」

 

「とっくの昔に評価はカンストしてるけど」

「もちろん下でじゃろ?」

「......さっすがナガン、伊達に付き合い長くないね」

「褒めるほどの事でもない。

それで捜索隊の話じゃが、ロートル拳銃の枠一つ分くらいは余っておるじゃろうな?」

「もちろん、頼むよベテランさん」

「任せるのじゃ。旧式だからといって、ワシは弱くはないぞ?」

「指揮権は任せる、自由にやって」

「最高の言葉じゃな」

 

 

 

それから時を遡ること数時間、ガンスミスは私物の車で隣の基地へと向かっていた。

やたら多趣味なP38に整備のイロハから中上級者向けの技術指南も取り揃えてたガンスミス渾身のマニュアルと、ついでに作り忘れていた小さな新婚夫婦(?)へのささやかなプレゼント、その2つを届けるために車を走らせていた。

 

のだが、

 

「あん、お前誰だ?」

「やあやあ、結婚式の時どっかで見なかったっけ。ココの指揮官さんどこにいるか知ってるー?」

「ああ? お前アタマでもイッってんのか?」

 

ガンスミスの目の前にいるのは、両手足を機械化している彼にとってはどこか見覚えのある女性。基地らしき場所の前で立っていたので声をかけたのだが、どうも不機嫌な様子。

 

「失礼な、俺はいたってマトモだよ? その証拠のあなたの銃を見てしんぜよう。さあお出しなさいな」

「ああ? 渡すわけねーだろ。こいつヤクでもやってんのか? 話が通じねえぞ?」

「まーまー、騙されたと思ってー?」

 

ニコニコとしながら、腰部ホルスターに下げられた自身の大型拳銃をじっと見つめる目の前の男。自身の大型実体剣をチラつかせているのに気がつく様子もなく女性、ことエクスキューショナーはため息をつきながら自身の大型拳銃を投げ渡した。

 

(変な真似すりゃ殺せばいいだろ)

「んーーーーーーーー」

(しっかし物好きな奴もいるもんだな。銃なんてジロジロ見て楽しーーーー)

「クソッタレかな!」

 

視界が白く点滅し、遅れて側頭部の痛みが彼女を襲う。 だが高性能なカメラアイはキッチリと下手人と捉えていた。

 

「な、にするんだテメェ!」

「銃を雑に扱わないとか控え目に言って死んで欲しい」

 

俺が悪いのかと言わんばかりのとぼけ顔を披露しながら手はしっかりと動かしている。

1分と経たないうちにエクスキューショナーの大型拳銃はパーツごとにバラバラにされ、ガンスミスはフレーム部分に噛みついていた。

 

「この味はなんとなんの合金だか。レアメタル......クロムとかかねぇ。寸法は......アレが使えるね。ちょっと削ればいいでしょ。

あと君これで結構ぶん殴ってきたでしょ、強化フレームなりに組み替えないとそろそろ暴発してたんじゃない?

それと銃口押し付けて撃つならオススメのオプションパーツあるからつけとくね。

 

駆動系はやっぱエネルギー式ですか、ハイテクではあるけどアナログの方がロマンがあるとは思うけどね。ウロボロスさんのお土産分解して勉強しといて良かった。

電子系でも面白いモンだね、選り好みしないで勉強しとけばよかった。ただブラックボックス部分はノータッチで行こう、まーだ勉強不足だからね。

 

あと剣についてもメンテを進めとくよ。カッターナイフみたいに刀身を変えられるならしといた方がいいね。

人工血液と人工皮膚とはいえ脂はベッタリつくからね、人間は言わずもがな。ちゃんと毎回拭いて粉叩いて脂落とさないと斬れ味落ちるよ。

西洋剣モデルだから気にしなくていいけど、刀身の上から45センチのとこヒビ入ってるから打ち付けると多分ぽっきり折れるんじゃない?」

「いい加減ごちゃごちゃうるせえ殺すぞ! さっさと俺の銃返しやがれ!」

 

怒り任せにエクスキューショナーは剣をたまたま近くにあったガンスミスの軍用車に叩きつける。

するとカインと音を立て、刀身ちょうど上から45センチの部分から綺麗に割れクルクルと回ってから彼女の足元に突き刺さった。

 

「言ったでしょ?」

 

表情は変わらず楽しそうにニコニコ笑っている。

人の良さそうな笑みに対するエクスキューショナーは不気味さすら覚え始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「珍しいな。無頓着なお前が」

 

戦術人形の残骸と、人工血液と大量の空薬莢が散乱する戦場。エクスキューショナーと合同で作戦にあたっていたハンターが驚いた様子でつぶやいた。

 

「んー、まーな、気が向いたんだよ」

「得物の掃除なんてやった事ないだろう?」

「イロイロあったんだよ、聞くな」

 

人形から剥ぎ取ったであろう服で大剣の血糊を拭き取ろうとこするエクスキューショナー。

 

(......しっかし、俺に物怖じしない人間なんぞ、初めてみたな)

「そのうち拳銃もメンテしねーとな」

「......お前一回頭診てもらえ」

「んだよ俺がこんなことしちゃいけねーのかよ!?」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「いまどきケータイも持ってない人間なんて......」

「うまくいかないこともあるから、ね?」

(クソざまあ!)

「心配したんじゃぞおおおおおおおお!」

 

おいおいと泣いてがっしりとガンスミスに抱きついているナガン。作戦が上手くいかず凹んでいる後輩に、それを慰める振りをしている元指揮官。

とうの本人、心配されているガンスミスはというと......

 

(ここ最近の記憶がない)

 

結局、予定通り1週間ほどの有給休暇を言い渡されたガンスミスは暇を持て余すことになるのだった。

 

 

 




ガンスミス「鉄血の装備もイケる」

エクス「あいつ怖い」

後輩ちゃん「ボクの完璧な計画ががががが」

プログラマー「お、出番かな?」


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小話-9 エイプリルフール

エイプリルフール(大遅刻)


 

 

 

 

 

 

「エイプリルフールってのはウソをついていい日だとか。確かヨーロッパの風習だっけな。

そんな事はどうでもいいんだ。こういう日はちいとばかし面白い嘘をついてみる、ってのはなかなか定番だよな。

兄貴もそう思うだろう?」

「確かにそうだが締め切りオーバーだろこれじゃ」

「てへ?」

「正直その顔はキモいわ」

「辛辣ゥー!」

 

 

 

 

 

 

ガンスミスの朝は遅い。

しばらく貰った休暇も半分ばかりが過ぎ、今までおろそかにしていた身の回りの整理に深夜まで手間どりこんな時間になってしまったと心の中で愚痴る。

部屋にストックしてある保存食を食べる事すら億劫なぐうたらぶりを発揮しながらふらふらと食堂に向かって歩いていた。

 

「おはよーガンスミスさん! 髪切った方がいいんじゃない?」

「......おはよ、そうだな、そうするか......」

 

いつでも元気なスコーピオンがすれ違いざまの手を振り、ガンスミスも力なく手を振り返す。そういえば伸びたな、と肩に届かんとする髪をつまんだ。

 

「......やっぱ長えなあ。ここまで長いとやっぱそれっぽい」

「おはようございます、今日は遅いですね」

「部屋の整理だ、やっとかないとWA2000が怒る」

「彼女は綺麗好きですからね」

「隣いいかい?」

「どうぞ」

 

ピークも過ぎガラリとした食堂では、ウェルロッドがひとり食後の紅茶を楽しんでいた。折角なので隣に座りトーストを一口。焼きたての香ばしい小麦の香りとサクサクの食感を味わいながら雑談にふけっていると、

 

「だろうと思ったわ!」

「あ、ワルサー。どうしたんですか?」

「何度教えれば気がすむのよ!」

「また整理の話ですか?」

「今度こそ綺麗だと思ってたのに! 収納の中グチャグチャじゃない!」

「だって入らないんだもーん」

「うだうだ言わない! 整理整頓していた方が便利でしょう、どうしてそんなこともわからないのかしら!」

「アーアー聞こえなーい」

「もうっ!」

 

聞きたくないと耳を塞ぐガンスミスに怒り心頭になったWA2000。こうなったら力ずくでと耳を塞いでいる手を無理矢理にとって、

 

「............?」

「どうしたんです固まって」

 

むにむにとガンスミスの手のひらを触るWA2000。

つまんでみたり撫でてみたり、伸ばしてみたり頬ずりしてみたり。

 

「WA2000?」

「ワルサー?」

「............まさか」

 

何か思いついた様子のWA2000はおもむろにガンスミスの胸に手を伸ばし、

 

「ひゃん!」

「いやいや、そんな冗談みたいな......」

 

ふにふにふにふに、

 

「あの、ちょっと、待っ......」

「............」

「食事中に失礼ですよ!」

 

ふにふにふにふにふにふに、

 

「だ、駄目ぇ......」

「ガンスミスさん顔赤いですけど大丈夫ですか!」

「成る程ね」

 

何か理解した様子のWA2000は、大きく息を吸い込んで、一言。

 

「なんで私より胸大きいのよ!」

「理不尽!」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「ガンスミスさんが女になったとかマジ?」

「にわかには信じられんのじゃが」

「実際そうなのよ、脱がせて確認もしたわ」

「それはもう強引に」

「......ああ、だから丸まっとるんじゃな」

「もうおむこにいけない」

 

場所を移して司令室。出撃任務から戻り合流したナガンと元指揮官が見たのはやれやれと肩をすくめるWA2000と真顔の後輩、そして部屋の隅っこで毛布をかぶって三角座りをするガンスミス。

 

「......まいっか、見せろー!」

「わわわっ!やめろよ!」

「気になるから見せて」

「心配とか心情を推し量る良心は無いんですか」

「親の腹のなかに忘れてきた」

「だからクビになるんじゃないですか?」

「ちょ、それは禁句で」

「なんつったオラァ!?」

「ひい、キレた! 地雷なのこれ!」

「オラ面拝ませろやああん!?」

「もっと女の子らしい言動して!」

 

なんやかんやで毛布をひっぺがされ、もとい使えなくレベルに引き裂かれたガンスミス。

その姿はというと、

 

「パッと見......髪伸びただけじゃあ?」

「もっとシャキッとしてください、シャキッと」

「服がダサいのう」

「もっと身の回りに気を使いなさい!」

「なんか思ってたんと違う!」

 

心配どころか辛辣と平常運転なセリフに思わず両目を覆ってまた伏せるガンスミス。この基地の上層部には良心と常識を投げ捨てたやつしかいないらしい。

 

「そうではなく、女の子らしくなさすぎてわからないのでは? わたしには十分女性に見えますけど」

「カリーナだけが良心だよぉ〜」

「って、カリーナいたんだ」

「最初っから居ましたけど!?」

 

それはともかく、と唯一まともらしいカリーナが涙目のガンスミスに向かって優しく語りかける。

 

「経緯はわかりませんが、なってしまったのは仕方がないです。わたし達が女の子の暮らしというものを教えます。女の子にはそれ相応の準備とかがあるのですよ」

「でも元指揮官てだいたい髪ボッサボサで休日は芋ジャージでテレビ見て」

「アレは反面教師でお願いします」

「アッハイ」

「先輩はズボラですからねぇ」

「無頓着と言いたまえ」

「ソコは胸を張るところなのかのう......?」

 

とりあえず服とか色々変えましょう、とカリーナがガンスミスを引っ張っていった。

そして取り残された後輩ちゃんはというと、

 

「本人が居ないから言いますけど、結構なんというかその、イイおっぱいしてましたよね」

「あれ肩こりそうだよねぇ」

「......帰っていいかしら」

 

 

「というかそもそも、アレが本物のガンスミスさんだという保証がないんですよね」

 

後輩ちゃんがポツリと漏らした一言に場が静まる。

だってほら、と前置きして後輩ちゃんはさも当たり前だと言うように言う。

 

「うちの警備がザルだとは言いませんが、あのような変化では別人を疑う方が妥当でしょう?」

 

今の時代人間の1人や2人簡単に用意できますし、とナガンやWA2000の方を見ながら呟く。

 

「......銃見せればわかるんじゃない?」

「まあそれもそうですね。ちょうど新型人形がウチに配備されるようですし、その反応を見て決めましょう」

「ニセモノと信じたくはないがのう」

「雰囲気や話しぶりは似ているのよね、それだけじゃ証拠にはならないと?」

「疑いの目を持つことが不信とは違いますよ。

今回ばかりはトラブルの予感がしますが。

ボク嫌な予感だけは当たっちゃうんですよね......」

 

そんな時こんこんとドアをノックする音。

 

「ちょうど彼女が来ましたか......どうぞ!」

「こんな服しか着ないんですか、もっとオシャレしましょうよ」

「ひらひらのスカートなんて着れないって」

「失礼しまー」

 

司令室の廊下側の扉から入ってきたのは、白いパーカーに銀色の髪、星のアクセサリがついたピン留が眩しい小柄な女性。

少々やる気が無さげのようにも見えるが、タレ目と濃い化粧がそうさせて見えるだけらしい。

ただ、この場にいた彼女を除く全員が驚きのあまり固まる。

 

「AA-12着任しましたー、って、こりゃタイミングまずった?」

「もうすこし引き伸ばせると思ったんだがなぁ」

 

()()()()()()()()()()()!?」

 

興が冷めたとジト目になるAA-12と首に手を当ててアチャーとイタズラが失敗した時のような気まずさを露わにするガンスミス。

 

「いいいいい一体どう言うことなんじゃだだ誰か説明をぷぷぷりーず!」

「ええとアレがそうなってそれで?」

「ドッキリ成功なんですか、これ?」

「仕方ない、早いけどネタバラシと行きましょう」

 

瞬間ぷっつりと糸が切れたように地面に倒れこむガンスミス。それを見ていた面々はさらに訳がわからないとパニックはどんどん大きくなる。

ナガンはショートしたように同じことを繰り返し、元指揮官はやろうとすることはてんでバラバラ。WA2000に至ってはオーバーヒートで自動シャットダウン、カリーナがガンスミスの方を見たまんま大口を開けて固まってしまうしまつ。

 

「メディーック! メディーック!メディーック!!」

「ええとまずは人工呼吸してAEDを口に貼って心臓マッサージは肩を叩いてあわわわ」

 

「へーい、エイプリルフール!」

「エイプリルフール!」

「ドッキリ大成功?」

 

「「「は?」」」

「......なるほど、これは面白い!」

 

笑顔で物陰から飛び出してきた()のガンスミスとその実弟プログラマー、AA-12の掲げる『ドッキリ大成功』の看板。

それを見た後輩ちゃんだけが一本取られたと目を抑えて膝を叩いて笑い出す。

カオスはまだまだ終わらないようだ。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「簡単に言えばガワだけ作った人形な訳ですわ」

「その人形を動かしてたのは俺って話」

「私はただデザインを流用しただけの赤の他人でーす」

 

簡単に説明すると、

 

まずプログラマーがガンスミスを女にしたような人形と、遠隔操作できる機器を開発。それをガンスミスが動かせばあら不思議、女になったガンスミスが爆誕するという寸法だ。

声もボイスチェンジャーを通してはいるもののガンスミスがしゃべっているのだから本人と同じ。体の動きもトレースするのだから、そっくりで当たり前なのだ。

 

「......で、なんでこんな事したの?」

「エイプリルフールだから」

 

 

 

「「「「は?」」」」

 

「だってエイプリルフールは嘘ついてもいい日なんでしょ? だったらデッカいのを一発やってやろうと思ってね、いや結構頑張った!

んじゃ溜まった仕事があるからこれにて、バイビー!」

「......まあそう言うわけだ。よろしく」

「機材丸ごと置いてっているって事は......」

「これ頑張ろうと思えば作業しながら動かせるんだよ。実質自分が2人いるから超早い」

「そっちじゃないよつっこむところが!」

 




女体化ガンスミス=AA-12

なお、暫く作業用として働く模様。
たまに他所基地にドッキリとして送りつけてやるからな。
なお人形なので特定の人間には1発でバレそうな模様。


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番外編 大遅刻なプレゼント


久しぶりな投稿な気がします、作者です。
最近は大学生活をエンジョイしすぎて書く暇がなかったので、これはいかんぞとコラボの話を吹っかけて気合いで書きました。これでモチベーション上がれば良いなあ

焔薙作「ポンコツ指揮官と(以下略)」さんの基地にお邪魔させてもらいます


 

 

 

 

 

「......と、来てみたは良いものの誰も居ないじゃないか。朝早過ぎたかねえ。歳をとるとつい早起きになってしまう」

 

ぽりぽり、とこめかみあたりをかきながらぼやく初老の男性。基地内では死神さんという物騒なあだ名とは裏腹に優しいオジサンで通っている職員の1人だ。

「かといって時間を持て余すのも暇だねェ」

 

彼の目の前にあるのは鉄条網の張り巡らされた2m強はあろうかというフェンス。そのところどころには監視カメラと赤外線センサーらしきものまで取り付けられていた。

 

「久しぶりに、すこし頑張ってみるかネ」

 

タンタンと革靴を2、3度確かめるように地面に打ち付け、軽く背伸びをしてから、

 

「ほっ」

 

軽々と身長の倍はあろうかという鉄柵を飛び越えた。

 

「チョット待って対人地雷とか聞いてないんだけドこんなところにはワイヤートラップとかチョット待って待ってノオオオオオオオオ!?」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

S09地区A基地司令官、ユノは朝に弱い。

彼女が弱冠17歳の少女という事もあるが、新婚らしく夜になるとハッスルしているのも一因ではある。

それはいま語ることではないだろう。

横に眠る自分の伴侶たる戦術人形を起こさぬよう、ゆっくりと身を起こしてからけのびをして、まだ焦点の定まらない目をこする。

 

「ねむい......」

「ならば朝には紅茶でもいかがかね?」

「飲む......」

「砂糖とミルクはどうするかね?」

「いれる......」

 

かちゃかちゃと混ぜているらしい音がして、柔らかい茶色になった、白い湯気をあげる紅茶が目の前に差し出される。カップを両手でもち、すこし吹いて冷ましてからずず、と紅茶を一口飲む。

鼻に抜ける紅茶の甘い香りとすこしの渋み、それを柔らかくする合成クリームの風味と砂糖の甘さ。

それをゆっくりと噛み締め、意識がはっきりとしたところで......

 

「美味しそうです何より、上質のダージリンの茶葉だったからネ。次はお茶の風味を楽しんでもらうためにストレートをオススメするヨ」

「............誰」

「気がつくのが遅くないかネ、あと声怖いんですけド?」

 

目の前で紅茶を入れているバーテン服の初老の男性がボヤいた。いつもとは全く異なる冷たい声にベッドから飛び起きた戦術人形ーーHG戦術人形のPPKーーが愛銃を手に取り男に銃口を向けた。

 

「どちら様ですの?」

「そんな野暮ったい質問は聞き飽きたネ。強いて言うなら『死神』カナ」

「まさか、暗殺者の......!」

「そんな事もしていたネェ」

 

なんの気なしに言い放った一言に2人は凍りつく。

暗部の情報を少なからず持っているPPKは目の前の『死神』と名乗った男の事を知っていた。

 

(敵味方問わず、関わったものすべてを破滅させる暗殺者。今までに依頼を失敗した回数はたった一回。

最近活動しているといった話は耳にしてはいませんでしたが、まさか指揮官を)

「というわけで早速であるが......」

 

胸元に手をいれ、ナニカを取り出そうとする男。

それを認めたPPKは引き金を引くが、

 

「あ、弾丸は抜いてあるからネ。枕元は流石に無用心が過ぎるヨ」

「そんな!」

 

ならばいっそ指揮官だけでも......!

 

「はい、プレゼント」

「「............は?」」

 

差し出されたのは銃でもナイフでもない、桜があしらわれた包装紙に包まれた、手のひらよりひとまわりほどの大きさの箱。

 

「銃マニアの彼からの依頼だ。

結婚式の時にはすっかり忘れてたからチマチマ作っていたものがやっと完成したと言っていたよ。

手紙もあるんだが、読みあげる必要は?」

「銃マニア......ガンスミスさん?」

「彼はそう呼ばれてる方が多いネ」

 

ぽかん、という擬音が似合いそうなほどに口を大きく開けて間抜けそうな顔をした目の前の2人。

それでようやく思いついたか、彼は服装を正してから自己紹介を始めた。

 

「はじめまして、レディ達。

昔は暗殺者の真似事をしていたが、今は隣の基地で格闘技や潜入術を教えているのサ。

そこの彼女はやたらピリピリしてたけど、もう現役じゃないから依頼は受けないヨ」

「ただの......杞憂でしたか......」

「ねえPPK、なんか......変な人が来たみたいだね?」

「もう、勝手にしてくださいまし」

 

取り越し苦労だった事に気がつき、へなへなと倒れこむPPKに寄り添うユノ。

さてこれからどうしたものかと思案顔の男だったが、何かに気がついたように天井を見上げた。

 

「君はえらく部下に愛されてるようだネ」

「うん、みんな大好き!」

「それは良かった、ただまあ......チョット過激過ぎないかネ?」

「お母さんから離れて!!!!」

 

男の背後の天井板を突き破って飛び出してきた黒い影、そのまま彼の首筋を噛みちぎるようにまっすぐと狙いを定めた一撃は、

 

「チョット荒すぎるナ」

「へっ?」

 

黒い影、ことHG戦術人形P7がふわりと床に立った。

彼女が振り返ると、つい先ほどまで手に持っていた拳銃と小型ナイフが彼の手の中に収まっている。

 

「度胸100点気配遮断も100点、殺気の隠し方と狙いのつけ方は0点。

惜しい、実に惜しい逸材だネェ」

 

ナイフを両手でお手玉しながら、そうP7を評価する男。

武装を一切剥がされたらしいP7は歯をむき出しにして男の方を睨みつけて唸るばかり。指揮官たるユノもPPKもまだこの男を完全に信用しているとは言い難く、警戒心を強める。

 

そんな時だった。

 

「指揮官、ガンスミスが来たぞ」

「あれ、そんな連絡あったっけおばあちゃん」

「どうにかこうにか抜け出してきたと言っておったな。ぬ、ガンスミスから先に行かせとるのがおる、ときいたがお主のことかの?」

「カレは上手く抜け出してきたみたいだネ」

 

均衡を破ったのは彼女の副官たるM1895ナガン。扉を開け男の姿を認めると、ひとり納得したように頷いていた。

その後ろから声をかけたのは......

 

「ヤッホー」

「..................誰?」

「本人はガンスミスだと言いはっておるのじゃが」

 

黒メインのつなぎに作業ゴーグル、手袋をつけ工具箱を装備した業者のような格好をした大柄の女性が久し振りと手を振っていた。

 

「抜け出してきたってそういうことかネ」

「そゆことー」

「?????」

 

実はね、と彼女(?)が語った話を要約すると、エイプリルフールで女版ガンスミスを制作したのはいいが使い道に困っていた。仕事を休めと監視されているのでノーマークだったこっちを使って抜け出してきた。

 

「我ながら天才かと思ってる」

「ワーカーホリック極まれり、というのかねェ」

「ガンスミスさんだけどガンスミスさんじゃない?」

「スミ子ちゃんと呼んでくれたまえ。

早速だけどメンテナンスする銃とかない? そろそろ禁断症状で手が震えだしたんだけど」

「銃がガタついていると数名言っておったな。しかし報酬は支払わんぞ」

「銃が整備できるだけで十分ですよいひゃっほう!

あとP38ちゃん呼びつけといて! イロイロ教えたいからー!」

 

ほいじゃまた! と嵐のように去っていった女版ガンスミス改めスミ子ちゃん。

白けたような、固まってしまったような雰囲気をほぐすためか、少しばかりの愛想笑いを浮かべながら男が切り出した。

 

「とりあえず紅茶でも飲むかい?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

紅茶を飲んで一息ついたところで、思い出したようにPPKが切り出した。

 

「ところでプレゼントの中身は一体なんなのでしょう?」

「私は知らないよ? 開けてみてのお楽しみってやつだネ」

「じー」

「......爆弾とかそんなものは入ってないからね、ホントだよ?」

「怪しい」

「信頼感ゼロだネエ」

 

 

ユノからしてみれば知り合いの知り合い、要は赤の他人とほぼ同義なのだから仕方ない。人嫌いはだいぶ改善されているとはいえ、そう簡単に治るものでもないのだから、さらに彼女をよく知るP7らをはじめとする戦術人形もまた同じ。

しょうがないなあ、と男が折れてプレゼントの包装紙を剥がすと中からはニスで磨き上げられた木製の箱が姿を現わす。

それを特に気にするでもなくパカリと蓋を開けたところで......

 

「彼らしいといえばそうなんだけど」

「......なぜそんな渋い顔なのです?」

「うーむ、でも今のご時世相応しい贈り物なのかねェ? ほら」

 

くるりと180度回転させ、皆に見えるように角度を傾ける。

彼女らの目に飛び込んできたのは、

 

「わあ、綺麗!」

「美しいですわ......」

「なにこれ、すっごーい!」

「なるほどあやつらしいのう」

 

PPKの持つつや消し黒の塗装とは正反対の、鏡のようの景色が映るまで磨き上げられた銀色のハンドガン、ワルサーPPK。

ペアルックならぬペアガン的な? と能天気な声がガンスミスを知るものたちの脳裏に聞こえた気がした。

 

「彼の事だから実戦にも充分耐えられる代物だと思うヨ。ホルダーもあるし、せっかくだから下げてみたりとか?」

「......私にはまだ早いかな」

「おや、なにか理由でもあるのかネ?」

「......まだ覚悟が足りない、と思う。

人は嫌いだけど、傷つけるのが怖いから」

「なるほどネ」

「でも、覚悟はいつか持たないと。だから、その時まで大切に保管させてもらいます」

 

ユノは箱を閉じ、それをゆっくりと机の上に置いた。

しばらくはあの箱が開かれることは無いだろうが、これもまた銃のあり方のひとつだろうとガンスミスは言うに違いない、そんな気がしていた。

 

「傷つけるのが怖い......ならば、格闘術を習ってみるのはどうかネ?」

「格闘術?」

「こやつは運動神経からっきしじゃぞ、そんな芸当出来るはずないじゃろう」

「お母さん運動音痴だもんねー、すぐ転ぶし」

「荷物を持っている時などは不安になりますわ」

「そんな風に思ってたの?!」

「......運動神経なんて動いてるうちに覚えるモノだヨ? センスある無しはあれどたどり着く先は皆同じようなものだからネ」

 

散々な言われようなユノに対し男がフォローしたところで、真剣な話だと声色を切り替えた。

 

「銃や剣は加減が効かないものだ。引き金を引けば一定の質の攻撃が約束されている。故に加減が難しい、だからこそ君のような意見を持つものも少なくはない。

だったら私は格闘技をオススメするね。

殺すも生かすも自分のさじ加減で決められる。やりすぎに関してはどうにもできんが、相手を殺さずに倒す術を求めているなら、格闘術に勝るものはない」

「......」

「そして格闘術に長けた人間が目の前にいるのだが?」

「......時間は、ありますか?」

「奇遇なことに今日はずっと暇なんだヨネ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

「久しぶりに教えがいのある弟子だった」

「あれ、帰ったんじゃなかったんです?」

「ちょーっと指導をネ」

 

基地への帰路、いつのまにか車の中にいた男に驚きつつも、スミ子は車を走らせた。

 

「しかしどういう風の吹き回しです? 全くの赤の他人でしょう、彼女は」

「いやなに、ちょっと娘に似ていてネ」

「あんた娘居たんですか?!」

()()()ネ」

「らしい?」

「昔の話サ」

 

窓の外を、いや、過去を見つめているのだろう男は、ポツリポツリといつものふざけたような言い回しとはうってかわって静かな声で語った。

 

「20年程、いやもうすこし前の話だ。

一度グリフィンの高官を殺せ、との依頼を受けてね。それで本社の職員として潜入していたんだが、そこで出会った女性と一夜を共にしたのだよ。

一目惚れだったね、アレは。

結局彼女とはそれっきりだったんだが、風の便りで娘が生まれたとかそんな話を聞いた。

表立って支援することはなかったけど、あしながおじさんよろしく匿名でイロイロ送ったりはしたよ。

それから何年か経って、彼女が死んだと聞いた。

正義感が強かったからね、何か怪しいことに首を突っ込んでしまったらしい。気が付いたころには娘も行方知れず。おそらくもう死んでいるだろう。

そう思うとついお節介を焼いてしまった。あの娘が生きていれば、ちょうど彼女くらいの歳だったんだ。

......一度もあった事もないくせに。

それだけの話だよ」

「......帰ったら一杯やらないか?」

「今夜は私が奢るよ」

「そうだな......んじゃ、どっかで生きてるかもしれない娘にでも乾杯するか」

「その前に君の脱走がバレないといいネ」

「安心しろ、さっきバレてナガンに通信越しに怒鳴られたばかりだ」

「尻に敷かれてるネェ。彼女いいお嫁さんになれるよ」

「あんな鬼嫁は願い下げだ。もうちょい可愛くて優しいので頼む」

「あっはっは、私も同感だヨ」

 

 

 

 



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番外編 嵐の予兆

お隣さん設定の焔薙さん作の「それいけぽんこつ指揮官(以下略)」がすこーしまずい状況になったようなのでつい筆が乗ってしまいました。
アンケートでさっさと解説進めろに投票してくれた人ごめんなさい!
これと同時並行で進めてますんで!許してください!なんでもしますから!



ひだまりは狭く、その影響は限りなく広い。


 

 

 

 

「割と真面目にピンチです」

 

そう切り出した後輩ちゃん、いや現指揮官の顔はいつになく真剣だった。

 

「A基地のユノ司令官がナイフで刺され重傷、連絡によれば緊急治療室にて治療中とのこと、現状まだ予断を許しません」

「ユノちゃん......」

 

せっかく人間を信頼しようと頑張ってたのに、そんな努力を踏みにじるような真似を......誰がッ!

 

「ガンスミスさん落ち着いて。そんで、犯人の目星は?」

「それがさっぱり」

 

お手上げだ、と言わんばかりに両手をあげておどけてみせる。いつもなら気をまぎわらせるには十分だが、今回ばかりは歓迎できないな。

 

「......すまん、真剣に頼む」

「では真剣に行きましょう。

下手人は不明、彼方さんは目処がついているようですが、こちらに情報はありません。

ですので、()()()()()()()()()()()()動くしかないでしょう。

大雑把に分けるとこんな感じですかね。

ケース1

鉄血の手によるもの、またはそれに準ずるもの。

 

基地混乱を狙っての襲撃が予想されます。指揮官への攻撃は狼煙兼弱体化狙いでしょう、ですのでA基地の警戒区域をこちらで持ちます。

先輩には防衛部隊の編成と指揮を任せます。

この命令はあらゆる命令に優先するとします。

 

ケース2

G&K社の誰かによるもの

 

成り代わり......でしょうか。A基地の戦力はトップクラス、上を挿げ替えて記憶を上書きすれば最強軍隊が完成します。

この場合こちらにも手が伸びる可能性がありますので、死神さんはそちらの警戒をお願いします。

多少の人員を引っこぬいても問題はありません。

先輩と話し合って決めてください。

 

ケース3

その他突発的な事象によるもの

 

要は想定外の事態ですね、こちらに関してはおそらく出来ることはないでしょう。

とりあえず1ヶ月の外出自粛と警備強化を。ローテーションはこちらで組み直します。

金庫番くんはかかる費用を試算、休暇を申請した職員に事情を説明しておいてください。

 

では仕事にかかってください!」

「「「了解!」」」

 

テキパキと指令を出し、俺以外の全員が命令に従い動き出す。

......そうだよな、一介の整備工に出来ることなんてなんにもないよな。

 

「あ、ガンスミスさんはボクと一緒にお見舞いに行きます。スミ子ちゃんでしたっけ、安全のために彼女を使ってください。

ボクもちょっとやる事があるので」

「......わっつ?」

「察しが悪いですね、説明が必要ですか?

理由は共同戦線の構築とかそんな雑務を伝えに行くだけです。割り込みで聞かれても面倒が増えるだけですから。

それに、結構彼女に入れ込んでるでしょう? 一言くらい声をかけた方が良いのではないですか? 部下の心配事を取り除くのも上司の役目です」

「......あんた」

「勘違いしないでください。先輩以外の人間と2人きりとか吐き気をもよおすほどですが、緊急事態ですので不可抗力です。

それに曲がりなりにも同僚ですよ? 命を狙われたってなら気が気でなりません。

それに、人間不信は何も自分だけではないって事を知る必要があります、人生の先輩からひとつ教えてあげようと思いまして。っと、喋りすぎましたか」

 

それでは、と指揮官室に引っ込んでしまう始末。

 

「......なにがなんだか」

「ほんと、真面目だったらこんなの優秀でかっこいいのに」

 




26日になったらアンケート締め切ります!


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番外編 人形と人間、その違いとは


注意
今回はコラボを前提とした話となっており、コラボ先である焔薙さん作「それいけぽんこつ指揮官と(以下略」
の最新話までの読了を強く推奨しております。

要するにスルーしてもいい話ってことだわさ。

あとアンケートで解説してくれって言ってた人ごめんこれ終わったら書くから!


 

 

 

 

 

「では行きましょうガンスミスさん」

「いやちょっと待て、それなんだ?」

「ちょーっと借りてきました」

 

そう何気なく言う後輩ちゃんの姿はいつもの指揮官服ではなかった。

赤いキャスケットに黒基調のドレス、背中には大きな赤いリボンが目立つ。髪もウィッグを被っているのか白髪になり、水色のカラコンまで入れている。

ましてや手に持った武器がソレであるならばもはや間違いはない。

 

「ワザワザMP5のコスプレをする必要性は?」

「保険ですよ保険、指揮官が出向けば狙われるかもですし何より本部が喧しいですからね。

それにガンスミスさんも言った通りの格好でしょう?」

「まあ、言われたからな」

 

かくいう俺もツナギではなく、白い大きなジャケットと黒のインナー姿、手には大柄なフルオートショットガンAA-12、いつぞや弟に説明してたっけな。

戦術人形AA-12のプロトモデルな事が役に立つ日がくるとは思いもしなかった。

 

「ガンスミスさんの知名度もなかなかですが、義体の方は知名度低いですからね。顔つきも同じですしバレないでしょう多分」

「だいぶ苦し紛れな気がするんだがな。双子の入れ替わりトリックみたいなもんだろこれ」

「気にしたら負けですよ、では運転よろしくお願いしますね、A()A()-()1()2()?」

「......オーケー、わかったよM()P()5()

「気持ちは分かりますけど法定速度は守ってくださいね」

「わかった、100マイルでぶっ飛ばす」

「聞いてました?!」

 

 

 

 

「今回はお見舞いではなくカウンセリングとして行く、というより先方からカウンセリングして欲しいと依頼されまして」

「カウンセリング? ま、刺されたんだからそりゃ必要だわな。でも、なんでお前が? 刺された事あんの?」

「別にありますけどそれと別件ですよ。

あの親バカな副官に『お主の過去を見込んで頼みがある』と切り出されちゃあ断れません」

「過去を見込んで?」

「暗に脅迫された気分ですよ、バラされたらそれはそれで困る黒歴史ですから。ボクもまさか調べられるとは思わなかったのですがねえ」

「......ま、詳しくは聞かねえよ」

「英断ですね、聞いたら首をねじ切るところでした」

「死ぬところだったの?!」

「冗談ですよ。

それで、ひとつお願いがあるのですがーーー」

 

 

 

 

 

「AA-12にMP5、ですか。珍しい組み合わせですね」

「私たちはまだまだ練度不足ですから、それに、みなさん忙しくて。指揮官さんに行ってこいって言われちゃいました」

 

隣の基地に無事到着し医務室に通してもらう。医者役のPPSh-41によれば1ヶ月は安静にとの事だが、傷口以外の後遺症は無いという。ただもうすこしズレていたら、そんな彼女の呟きに思わずゾッとした。

 

「医務室では騒がないで下さいね。でないとナガンさんにつまみ出して貰いますから」

「あ、指揮官さんに言われて花束持ってきたので、花瓶ありますか?」

「こちらにありますが......」

「どうかしました?」

「PPSh、客人をまじまじと眺めるもんでも無かろう」

「そうですよね、ごめんなさい」

 

彼女はコスプレのMP5を本物と見間違えたのか、特になにを言うでもなく病室に通してくれた。

すれ違いざま、ドアに寄りかかるナガンが後輩ちゃんにだけ聞こえるような小声でつぶやく。

「......頼んだぞ」

「お任せください♪」

 

ドアが閉まったところで、堅苦しかったのか後輩ちゃんが蹴伸びをする。俺も猫背を作るのちと辛かったから背中が痛えや。

 

「以外とやってみるもんですねえ」

「その声どうやって出してんだよ、本物かと思ったぞ」

「死神さんに声帯模写を習いまして。これなら合格は貰えそうですね」

「変態化が進むなぁ」

「うるさいですね......あ、ボクやることがあるので先どうぞ」

 

持ってきたカバンからなにかしら取り出し作業を始めた後輩ちゃんは放っておいて病室奥側、仕切りで区切られている窓際のベッドに向かう。

とりあえず気楽に気楽に......

 

「や、やっほー」

「あ、ガンスミスさん!」

 

病衣姿のユノちゃんが笑顔で出迎えてくれた。すこし顔色は悪いものの他に目立った違いはない。元気そうで何よりだ。

 

「お見舞いに来てくれたんですか?」

「そんなところだ。花持ってきたから、花瓶に飾っとくね」

「わあい、ありがとうございます」

 

ニコニコと年頃の女の子らしい振る舞い。ただ、それが俺にはかなり薄ら寒いもののように感じた。

普通刺されたらもっと気分が沈むものではなかろうか、なにかしら考えるものではなかろうか。

刺された事ないから知らんが少なくともウチの弟は怪我した時にはもっと沈んで、荒れてた。

 

(俺がお見舞いに来てるから......なのか?)

 

こっちは大人なんだ、吐き出した不安を受け止める心構えは出来ていると言うのに。

もしくは信頼されていなかったか、されなくなってしまったのか。俺は彼女の力になれないんだろうか、そう考えれば考えるほど自分の無力さが恨めしい。

 

その時だった。

 

吐き気のするような、何か形容しがたいような寒気を背中に感じた。

例えるなら蛇のような、獲物をなめつけるような薄気味悪さ。戦場で一度だけあったことのある頭のイかれた野郎に会った時の、それを煮詰めたような強烈な嫌悪感。

 

おおよそ、人に向ける感情ではない事は確かだ。

 

「準備完了、さーていっぱいお話ししましょうねー?」

「ひっ」

「おやーコスプレ否定派ですか?

それとも人間(にんぎょう)人形(にんげん)の真似をしているのが気持ち悪いですかー?」

 

突然飛び出してきた人間にユノ指揮官の顔が恐怖に歪むのを見、その人間が嗜虐的な笑みを浮かべた。

逃げるように枕元のナースコールを押そうとするが、人間はニコニコと笑いながらハサミを突きつけて宣告する。

 

「配線は切りましたので外には繋がりませんよ? 監視カメラにもダミー映像が流れているところでしょう。それにお見舞い中に来客が来ることはないでしょうね。

ドアもさっき封鎖してきたところなので、都合30分はボクとあなた、おまけのガンスミスさんと一緒です」

 

さあ、たくさんお話ししましょうねぇ?

 

椅子に座ってにっこり笑う。

いつもの人懐っこい笑みのはずなのに、俺はその笑顔の裏にあるだろう何かの得体の知れなさに恐怖した。

コイツは......俺が知っている人間なのだろうか。

 

「そうは言ってもボクはあなたの事を知っていても、あなたはボクの事を知りません。

仲良くなるのは自己紹介からと言うのが鉄板だそうですが......まあ今更ですしどうでもいいですねぇ。

クソ後輩、後輩ちゃん、変態、銀色坊主、弟子1号、好きにお呼びください。

あなたのお名前は?」

 

にこやかに挨拶しても縮こまるばかり。逃げ場を求めるように部屋の隅で枕を抱えてうずくまってしまった。

 

「拙者キサマのような不埒者に名乗る名前は御座いませぬ、そう言いたいようですね。ではボクは適当にユノ指揮官と呼びましょう」

「出てって......!」

「お見舞い人に出て行けとは殺生な。

ボクはともかくガンスミスさんは誠意を持って花まで買ってきたんですよ?」

「出てって、出てって、出てって!」

「んー、これは重症」

「傷口に塩塗り込むようなことしていけしゃあしゃあと、流石に我慢できねえぞオイ!」

「荒療治って奴ですよ。こんな様子じゃ歪んでいくのは確かですからね、こんなのに殺されるのって嫌ですよボク」

「殺されるて、そんな誇大妄想にも程があるだろ」

「彼女は人間を信じられない、今回の事件でそれが憎悪や殺意に変わっていてもおかしくありません。

今はまだ、でしょうが」

 

そう言ってのけた後輩ちゃんの顔にウソは無かった、今の発言は冗談でも出まかせでもないらしい。

おいおい、冗談キツイぜ......

 

「カウンセリングにボクを呼びつけた副官殿は慧眼ですね。とはいえコイントスでもするような気持ちでしたでしょう。

ボクってほら、イロイロと危うい人間ですから」

「おばあちゃんが......?」

「......んー、これは更にマズイ」

 

副官殿と言う言葉に反応して恐る恐るではあるが顔を出してくれたユノちゃんに後輩ちゃんは渋い顔を見せる。

 

「おばあちゃんが言うなら......頑張らないと」

「ちなみに彼女にはボクは来るとは一言も告げてませんよ。ほんとは先輩が来る予定でしたが代理で、そうですよねガンスミスさん?」

「ん、あ、ああ、そうだっけ?」

「あー、言ってませんでしたごめんなさいね?

しっかし副官殿? も節穴ですねえ、こんなボクみたいな不審人物を素通しするなんて」

「......ちがうの」

「違いますよ。本来来る人はもうちょい親身でドライでちょっと壊れたボクの愛しの人です。

代理できたのは親身さのかけらのないネジが外れたロクデナシです。

人を簡単に信頼するのは悪い癖ですねえ?

自分の目でしっかりと確かめる努力をしないと、いつか痛い目をつい先日見たばかりですかごめんなさいねえ!」

「ひいっ」

 

わざと声を荒げて威圧、つくづくタチが悪い。

ただ『今回ばかりは手出し無用』て命令だからな。流石に限度越えれば手が出るとは言ってあるが......割ともう限界なんだが。

 

「人形が信頼してるから私も信頼しよう、そう考えるのは早計どころが愚策以下です。

だいたい人形が人間に勝てる通りがありますかそこに、観察眼という点では人形は人間にどう転んでも勝てないんですよ?

たかが10年ぽっち前に生産された人形が、三倍は長生きしてるような人間の本性を見抜けると思いますか?

貴女は人間観察という人見知りを直す第一段階を放棄している、間抜けか何かですか?

 

人形の付属品のまま一生を終えるつもりですか」

「おばあちゃんの事を悪く言わないで!」

「おばあちゃんとまで言ってしまいますか......随分と慕っているようですね。

 

()()()()()()()()()()()

 

纏う空気が変わった。得体の知れない生温いような理解不能な雰囲気が、刺すほどに寒いような殺意混じりへ。

その発生源は言うまでもなく後輩ちゃん、いや、指揮官から発せられていた。

 

「人形ほど信頼できない存在はない。

 

妹を蹴り飛ばして踏み潰した。

母をかばう父の前で母を撃った。

父は両手両足を潰して頭を砕いた。

弟の手足を引き千切った!

昨日まで笑いあっていた、家族だと思っていた!

なのにあんな事になった!

泣いていたんだ......泣いていたんだよ。

殺したくないって言いながら殺していたんだ!

その時まで忘れていた。

人形は人間じゃない。

人形はあくまで機械なんだって。

 

プログラムやメモリーの書き換えで信頼していた仲間が敵になる。

家族が殺人鬼に成り下がる。

 

戦術人形だって同じ。

 

セキュリティが強固? G&K社の管理体制?

そんなもの鼻で笑えるようなスキルを持った人間はごまんといる。

 

少しダークウェブに潜り込んで金を払えば殺人鬼がひとり生まれる。それを眺めて笑ってるような人間も!

昨日まで笑い合っていた仲間が翌朝には銃を向けている......そんな未来が待っているかもしれないんです!

なんでそんな事を言える!

なぜ人形(そんなもの)を信頼できる!?」

「だって......だって、わたしには人形(にんげん)しか味方がいなくって、人間(にんぎょう)からずっと暴力を受けてて、生きるのにすら足りないご飯しか貰えなくて、でも人形(にんげん)が助けてくれて、じゃないと今此処に私が居なくて、あれ?

 

わたしを助けてくれたのは人形(にんげん)だっけ?

 

あれ、あれ、あれ?」

「おいユノちゃん?」

「みんなは大切な家族で人形(にんげん)で、ガンスミスさんは人間(にんぎょう)で、でも目の前にいるガンスミスさんは人形(にんげん)で」

「落ち着けユノちゃん! 一回冷静になれ!」

「わたしにひどい事をするのが人間(にんぎょう)でわたしを助けてくれたのが人形(にんげん)で、あれ、どっちだっけ? あれ、あれ、どうしたんだろ? 」

「おいユノちゃん、しっかりしろ! ユノちゃん!」

「壊れましたか、哀れなものですねぇ」

 

目を虚ろにして同じようなことばかり繰り返すユノちゃんに対し、指揮官はゴミでも見るような目で吐き捨てた。

 

「所詮はどっちつかずの半端者ですか。中途半端な立ち位置に立ったおかげでそんなになったんです。

こんな揺さぶりでこうなるようでは、先が思いやられますね」

「まるで他人事みてえに言いやがって、お前が壊したんだろうがっ!」

「実際他人事でしょう? それに、一から積み直した方が都合が良いですからね」

「ふざけんなよお前......! そんな積み木みたいに人間どうとでもなるもんじゃ無いんだぞ!」

 

指揮官を押しのけ、ガタガタと震えて頭を抱えるユノちゃんの肩を掴んで無理やりにこちらを向かせる。

どうする......ユノちゃんを正気に戻す方法は、この状況を一言で解決できるようなそんな言葉は。

ああもうそんなん考えつくわけないだろ馬鹿な俺に!

 

「いいから正気に戻れこんにゃろう!」

 

気がついた時には手が出ていた。呆気にとられて頰を抑えることもなくこちらを見るユノちゃんの肩を掴んで、揺さぶって、叫んだ。

 

「人形とか人間とか、そんなくだらん問題で悩むな!

ここにいるみんなは家族なんだろ、大切な仲間なんだろ! もうそれでいいじゃねえか!

人形とか人間とか、そんなこと関係なく仲良くすればいい!

酷いことするやつも、良いことをするやつも、人形も人間も、それをひっくるめてあんたの周りに存在してるんだ! そんなのに線引きしてたら息苦しいだけじゃないか!」

 

昔は人形は機械なんだって思ってた。でも今は違う。人形も笑って、怒って、泣いて、喜ぶんだ。

結局そこに違いなんて見出す方が馬鹿馬鹿しい。

んなもん一緒くたで別に良いじゃないか。

 

「それに、悪人とだって仲良くできますしねー。

先日きたおじさん、死神さんとか名乗ってましたけどカレ元暗殺者なんですよ、何百人殺してるんだか。

そんな人間でも仲良くできてしまうのが人間の不思議なところです。

仲良く、というのは違いますかね。

 

 

 

 

聞いてるかどうかは知らないので独り言ですけど、先人からのアドバイスというやつです。

 

 

 

ボクがなぜ死神さんを雇っているか、ご存知ですか?

 

最初にあった時にはカレはボクのいとしの先輩を殺そうとしてまして。身柄を確保した後は八つ裂きにしてやろうかと思ってたんですよ。今では職員の1人として死ぬほどこき使ってますけどね。

正直今でも殺したいくらいには憎んでますよ。未遂だからとかそんなチープな言い訳が先輩を殺そうとしたことへの言い訳になるはずがない。

 

でもカレをボクは雇用している。それは何故か?

 

彼の『暗殺者としてのスキル』これが今のボクには必要だったからです。

自分にできないことが彼には出来るから、ただその一点のみで彼を雇用しています。

 

信頼も信用も憐憫も愛情も憤怒も共感もできないような人間こそ、貴女は触れるべきなのです。

 

それこそ人間というものを知る一歩であり、周りの誰かがひた隠しにしてきた現実に目を向ける事でもあります。

 

貴女は人間の闇を見てしまっている。だからこそ光に触れてほしい、光の中にいて欲しい。気持ちはよーーーーーーく理解できますとも。

だが光が強いほど影が強くなるように、この仕事は残念ながら闇無くしては遂行できません。

 

今誰から代行している闇の仕事、それに触れて真に人間を理解して欲しい。

それと同時に、いい人とたくさん交流してください。

人間を闇一辺倒だとは思わないでください。

 

元暗殺者の人はコーヒー入れるの上手なんですよ。それこそスプリングフィールドさんなんか目じゃないんですよ? 彼はコーヒーの話をするとき、ガンスミスさんが銃の話をする時と同じかそれ以上に生き生きしています。

 

人間は必ずしも悪だけではない、そのようなクソゴミ野郎はボクをはじめとした極少数なんです。

 

先輩に出会ってからボクに友達が出来たように、貴女も誰かを通じて友達を作ってください。

善人でも悪人でも戦術人形でも鉄血でも異世界の住民でも動物でも植物でも無機物でも、なんでも構いません。

 

あ、ボクはやめてくださいね?

ボクは信頼してはいけない人種なのは自覚があります。

この件で貴女もボクの事が嫌いになったでしょう?

ですので、ボクはクソみたいな人間と付き合う練習とでもしてください。

 

同じS09地区を守る基地の司令官として、よろしくお願いします。

 

私はあなたのことが大嫌いですが! ほんとうに! 貴女と友達になるくらいならドブ水を啜る方がマシなくらいなので! 仕事仲間として! しょうがなく! ほんとうなら殺したいくらい憎たらしいですが! どうしても!

 

......てな感じで。

ボクとあなたの関係は、きっとそれが丁度いい。

互いに利用し合うような仲間と敵の両方であるべきなんですよ。

 

 

 

最後にひとつだけ。

殻に閉じこもるのだけはよろしくないです。

この基地はいい基地ですが、一歩も外に出ないような、このぬるま湯に浸かり続けるような事は絶対にだけです。

歩みを止めたならば人間は堕落し腐敗し数年と経たないうちに破綻します。

 

そのようにはならないでくださいね」

 

そろそろ時間ですし帰りますかー、と帰る準備を始めた、っていうかもうドアに手をかけてるとか早すぎだろ待てオイ!

最後に一言ぐらい......えと、えっとだな......

 

「お、お大事に......?」

 

俺のバカー!

 

 

 

 

 

 





「後輩ちゃんにあんな重い過去があったなんてなー」
「あ、アレ演技ですけど?」
「......なんつった?」
「実は昔役者まがいの事をしてまして割と黒歴史なんですよ。
画面越しとはいえ先輩以外に媚び売ってたとか......!」
「同情して損した」


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番外編 選考依頼と出張と

死神ちゃんの娘驚くほど話が進まないなぁ。

リクエストはこれから順次消化していく予定です。資料が少ないものは弾きますけどね......





 

 

 

 

 

「机の上に拳銃を並べてどうしたのじゃ? しかも見たこともないようなものも並んでおるのじゃが」

「依頼で銃を選んで欲しいんだと。しかもそこそこ戦えるやつで」

 

ナガンにまあ座れよと座るよう促せば俺の隣に座った。対面の方が見やすいとは思うんだが、こっちの方がいつもらしいというか慣れてるんだろうな。ラジオじゃいつも隣の席同士だし。

 

「依頼?」

「なんでも、妊婦でも安心できるような護身用の武器を選んで欲しいって事だそうだ。って事で、使えそうな銃をリストアップして並べたところ。実物あった方が選びやすいだろ?」

「また無駄に仕事を引き受けおってからに......まあよい、話を聞こうではないか。幸いかどうかは知らぬがわしはHG戦術人形、アドバイスは出来るぞ」

 

じゃあ早速と机のはしに置かれた‘M1895’リボルバーを指差して、

 

「あれは妊婦にふさわしいと思うかい?」

「護身用とするならば不適じゃろうな」

 

自分の現し身にかかわらずざっくりと切って捨ててみせた。その理由を聞けば、

 

「7.6mmでは口径不足じゃよ。マカロフのような徹甲弾を使うならばともかくワシのはそういうのは仕込むことは難しい」

「だよなー」

「リボルバーであればSAAはわりかしオススメなのじゃが。口径は大きいし何より頑丈じゃからの」

「いんや、俺はダメだと思うね」

「ほう、それは一体?」

「妊婦つーことは要は一般人かもしれないわけじゃないのよ。そいつに安全装置のないこいつを持たせるのは俺は反対だよ。弾倉から一発弾を抜いて置くのも手だけど、護身用の意味がない」

「となれば安全装置のかかる自動式(オートマチック)限定かの?」

「グロックとか割とオススメかもな。カスタムモデルならSMGも真っ青な弾幕張れるし」

「そいつは素人にはキツイじゃろうて」

 

というかそもそも、とナガンが思い出したように立ち上がっていった。

 

「そもそも護身用の銃となると何が求められるんじゃ? それが決まらぬことにはどうしようもあるまいて」

「それもそうか、ホワイトボード出してくれる?」

 

こういう場合はディスカッションでたくさん意見を出した方がいいだろう。護衛経験も豊富なナガンの意見は現場側としての意見で参考になるはずだ。

人間側としての意見は俺が出せばいいだろう。ちょうど非戦闘員だからな、都合のいいことに。

 

「まず口径は大きい方が良いな。脅しの意味にもなるし、ストッピングパワーは高いに越した事はない」

「妊婦と考えるならば反動は小さい方が望ましいところじゃな。子供が心配じゃ」

「暴発の可能性は低い方が良い、安全装置は欲しいな」

「連射能力はあってもなくても問題ないかの?」

「口径が小さいならもたせたいな」

「携帯性は高いものが良いな」

「上限は大型拳銃サイズまでにするべきか」

 

と色々と意見を出し合う事しばし。だいぶ方向性がまとまってきたところで、その条件に当てはまるそうな武器をリストアップしてゆく。

 

「拳銃であればワルサーPPKはまず入るとして、G18C、マカロフ、M1911のショートバレルモデル......スチェッキンは個人差あるから一応カウントって形だ。あとM93Rくらいか。

SMGだとスコーピオンやイングラムも候補には入る。

妊婦さんが力に自信があるならソードオフのダブルバレルショットガンなんかも面白いかもな。

他にはコンビネーション用ショットガン、ああ、ARとかの下についてる小柄なショットガンとかも扱いやすいだろ。

他にゃああれだ、スタンバトンとか、スタンガンとか、あと刃が飛ばせるナイフとかで良いんじゃね?」

「お主の趣味混ぜ込みすぎじゃろ」

「なぜばれたし」

「長い付き合いじゃぞ? このくらい予測できぬならHG戦術人形とは言えぬよ」

 

ふふんと自慢げに胸を張るナガンだが、その外見上の幼さと相まって子供っぽさしか感じられないのは黙っておこう。本人に言えばきっと気にするだろうし、いらない事は言わずにおくが吉というものだ。

 

「しかし妊婦とは、しあわせな家庭を築いておるようじゃの。確かD08地区基地の司令であったか」

「そうだな。しかもたくさん選んでくれってんだからよっぽど心配性なんだろう。嫁さんは幸せもんだな」

「それに比べてこの基地の指揮官といえば......」

 

相変わらずウチの指揮官と元指揮官はアホをやっている様子をそこかしこで見かける。毎度のごとく後輩ちゃんが指揮官に付きまといあれやこれやと絡み合い、耐えきれない指揮官が手を出して後輩ちゃんが宙を舞う。

本人的には加減してるようだし、今まで怪我らしい怪我を見かけたわけじゃないから遊びの範疇なんだろう。

 

「「いい加減結婚すればいいのに」」

 

繰り広げられる痴話喧嘩?を見てそう呟かずにはいられないくらいには、仲良く見えてしまうんだなこれが。

 

「指揮官ももうすぐ30、身を固めてもいい時期ではあるはずじゃろうて。それに、今の仕事は昔のような激務ではない、妊娠しても多少は仕事もできようて」

「本人の問題だぜそれは、小姑だかそんなような台詞を言うなよ。本人達に満足するまで殴らせてやろうぜ。そのうちくっつくだろ、多分」

「案外ずっとあのままかもしれぬかのう」

はぁ、とため息をつかずにはいられない。他所も結婚してるんだから、意識くらいすりゃあいいのに。

 

 

◇◇◇

 

 

 

「というわけでD08基地への派遣、頑張って下さいね」

「あいよー、着いたら連絡するわ」

「セクハラされないように気をつけてね! 胸触られたら股座蹴り上げればいいから!」

「んな物騒な......」

 

見送りの後輩ちゃんと指揮官に手を振って車に乗り込む。助手席にはいつものようにナガンがシートベルトを締めてスタンバイしており、後部にはガンケースと資料がギッシリと詰め込まれてる。

 

「よいしょっと」

 

俺はそのまま座席に座りベルトを締め、ハンドルを握ろうとして......無言で座席を前側にずらす。

 

「まだちょくちょくしか弄らないから慣れんなぁ」

「腕の長さが違うと苦労するのう」

 

遠距離出張なので通例の通り生身ではなく、AA-12モデルの女性義体こと通称「スミ子ちゃん」での出勤である。俺の本体は今頃グースカ寝ていることだろう。

まだまだここも物騒だから、生身での出張は09地区内だけと後輩ちゃんに制限されているのだ。なんでも軍主導でウチの地区のスラム街を焼き払ったおかげで浮浪者だの失業者だのが増加、犯罪者の巣窟であるスラム街はなくなったはずなのに結果的に治安は悪化しているという本末転倒な現実を受けての事だそう。

 

「ホント上は現場のこと知らないんだから......」

 

出張先の指揮官も頭硬いタイプじゃないとやりやすいんだけどなぁ、とぼやきながらアクセルを踏みこむ。

 

目的地はD08地区基地、少し長いドライブになりそうだ。

 





とりあえず前振りは作ってぶん投げていくスタイル。
詳細は話しながら決めればええんちゃう(震え)


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番外編 ようこそ、D08基地へ!

くらえ、短冊アタック!(?)
あちらではとうの昔に予告されてたコラボの時間ですオラァ!

カカオの錬金術師改め ムメイ 様 作
「元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん」よりD08基地にお邪魔します。
ほのぼのでちょっとアダルティな作風が魅力です。あとおっぱい。

7、8月はほんとイベントづくしで更新が滞りますんで許してください。


 

 

 

 

「あー、疲れた?」

「何故疑問形なのじゃ」

「いやぁ、精神は疲れてるのに身体が疲れないのは慣れなくて」

「その調子で元の身体で仕事をこなされては困るから慣れるでない」

 

駐車スペースらしい何台ものバイクや車が停まってるスペースに愛車の軍用ジープを滑り込ませる。軍用車が並ぶ中奇抜なデザインのバイクもチラホラと見受けられた、指揮官の趣味なのだろうか。

現在時刻は先方に伝えた時間ピッタリ。遅れなく到着したのは流石に俺と言いたいところなのだけれど、出迎えは一体何処へやら......5分前行動とかしとくべきだったか?

 

「遅くなりました」

 

ふむう、と車内で考え込んでいると男の声。

急いでジープから降りるとそこには制服を着こなす男性とウチにも所属する戦術人形「マカロフ」、反対側には水色の髪を2つにまとめた可愛らしい女性の姿が。

 

「ようこそ、D08基地へ。遠路遥々(えんろはるばる)ご足労頂き誠に感謝します」

「これは丁寧に。僕がS09地区B基地所属の銃器整備工で、彼女が同行人の戦術人形『ナガン』です」

「よろしく頼むぞ」

 

礼儀として頭を下げると、ジロジロとこちらを観察していたマカロフが一言。

 

「へぇ、この人がガンスミス?というかAA-12に見えない?」

「マカロフちょっとそれは失礼だよ……こほん、中へどうぞ。小腹がすいてたら軽食をご用意してますのでつまんでいってください」

 

このマカロフ、なんかよく見たら違和感がある。

服のサイズが小さいというか、なんか威圧感というか存在感を感じるというか......気のせいか?

 

「いや、そこまでは小腹は空いておらぬよ。早速で悪いが仕事の話をしようではないか。なにぶん、こちらの仕事はどれだけかかるか目処が立っておらぬでの」

「ああ、そうなんですよ。色々話して置かないことにはこちらとしても迷惑なので。それに依頼の代金の話も改めてしたいので」

「あちゃー、となると司令室だよなぁ。わかりました、案内しましょう」

「え?すぐに仕事の話しにする?」

「じゃあ私が食事を持ってくるからダ……指揮官と417は先に行ってて」

 

そう言うとマカロフが小走りに走っていく。

やはりそうだ、何かがおかしい、具体的にいうと胸が......ん?

 

「なあナガン、ここのマカロフ胸大きくないか?」

「なーに鼻の下伸ばしとるんじゃ!」

「あいたぁ!?」

 

俺が人形の体だからって手加減しなかったろ、いつもより倍くらい痛いんだが!

 

 

 

案内されるままに指揮官の部屋へ。割とここは指揮官の好みやセンスが出るので毎回楽しみにしているのだが、今回は......良くも悪くもカオス、といったところだろうか。

色々な趣味嗜好のモノが入り混じっていて主張がこんがらがっているのだが、割と成り立っているあたりセンスがいいんだろう。

しかし男モノは極端に少ない、きっとあれもこれも水色の髪の嫁さんのモノなんだろうな。仲睦まじくことで。

 

「いや、普通に工廠で話すかと思って……散らかりっぱなしですんません……」

「はいはい、それじゃあ私がちょっとお片付けするからお仕事の話し続けて?」

「お掃除と聞いて」

「失礼します、お茶の用意が出来ましたので来ましたが……その前にお掃除ですね」

 

ここは随分と職員が多いんだな、とお茶を飲みながらどこからか湧いた事務員さんの方を向いてみると。

 

「......ブフッー!?」

「わーっ! 何するんじゃ!」

「あら、どうかしましたかお客様?」

「なんで鉄血人形が普通にいるんですかね?!」

「お気になさらず」

「......まあ、ユノちゃんのとこにもいたし、いいのか?」

 

最近鉄血のハイエンドモデル裏切りすぎじゃね案件。みんなちらほら「鉄血人形に助けられた」とか「一緒に戦った」とか「ゲーセンでバトった」とかいう話聞くし。最後のなんだよというか。

......まあいい、本題に入ろう。

 

「今日の依頼は護身に使えそうな銃のカタログと説明、それとデリケートな銃の整備作業と、それに関するアドバイスや技術指南を......って事でいいんでしたっけ?」

「最近色々と物騒なもんでな」

「あははは……まぁ私達が妊娠したのが気に入らないって人たちが少なからず居るみたいですし」

 

目線は思わずタカマチ指揮官のそばに控える秘書官のお腹へ。そこにあるのは戦術人形らしからぬ大きな膨らみ、妊婦というにはつまりそういう事らしい。

聞けば隣のP基地も一枚噛んでるという話、どんどん人間らしさが加速してるな......俺としては本当に喜ばしいか、と言われると微妙な表情をしたくなるのだが。

 

「実際にカチコミがあったんですけど強化外骨格で武装していて徹甲作用のあるものじゃないと抵抗できなかったですね」

「んな物騒なことをさらりと言われても困るんですけど」

「基地に辿り着く前に血祭りにしてたし生き残りもなぁ」

「え、生き残りなんて居たの?」

「おっと……これオフレコな」

 

しー、と口元に指を当ててジェスチャーするタカマチ指揮官、また聞きたくもない厄介な秘密が増えた。

 

「と、ところで今は何か持ってるんですか?」

「そうね、今持ってるのは起動後に拾った……これだね」

「拝見しても?」

「ええ、どうぞ。

 

いつのまにかタカマチ指揮官に寄り添っていた417さんが慣れた手つきで腰ホルスターから拳銃を抜き、見せてくれた。一言断ってから手に取る。もちろん弾丸を抜いておくのは忘れない。

 

ふむ、Mk.23か。拾い物という割には綺麗だが、少々ダメージが酷い......おっと、意識が飛んでた、いかんいかん。

45口径の強力な弾丸を使用する銃、威力は十分だけど護身用にはちと不向きな銃だ。

 

「あまり反動の強い銃ではお腹に障るかもしれませんし、もっと軽くて威力はそのままくらいの銃が欲しいんですよ」

「あー、なるほどなるほど」

 

多分他にも意見はあるだろうし、聞きながら選定作業は進めていくイメージだな。じゃ、善は急げだ。

 

「早速ですけど射撃場の方に向かいましょうか。やはり銃は撃ってなんぼですし、使い心地を確かめながらが良いでしょう?

ナガン、銃持ってきてくれる?」

「了解なのじゃ、少し人手が欲しいのじゃが」

「お手伝いしましょう」

「......鉄血のに言われると複雑な気分じゃのう」

 

ナガンは積み込んで来た銃を持ってくるように頼み、俺は一足先に射撃場の方へ移動。

 

「ああすみません、()()()に伝えるので少し待ってもらえますか?」

「みんな?」

「はい、ダーリンはいっぱいお嫁さんがいるんですから。モテモテなんですよ?」

「一番好きなのはもちろんお前だけどな」

「いやん」

 

流れるように後ろから抱きすくめて417の胸をぷにぷにと揉み始めたタカマチ指揮官。

 

 

(誰か状況を説明してくれ。俺はこれからどうすればいいんだ?)

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「えー、というわけでですね。これから護身用の銃について色々とレクチャーさせて頂きます、S09地区B基地所属のガンスミスです。

本日はどうぞよろしくお願いします」

「「「よろしくお願いします」」」

 

見渡す限りの山、山、山。威圧感がすごい。

あの、なんといいますか。この基地は皆様胸が大きいようで、すごいですね、はい。

この基地で妊娠してるもしくはそれが疑われるメンバーを集めたらしいのだが、あの、はい。

 

「多いわ! どんだけヤッてんですかアンタ!」

「そりゃぁ……ねぇ?」

「可愛いから仕方ないですよね、あとおっぱいは正義」

 

さも当然のように隣に立つ417が流し目でタカマチ指揮官の方を見、そして流れるように抱きつく。指揮官もさも当然のように平然としながらなんの悪びれもなくキメ顔を決めていた。腹たつ。

しかも指を折り始めた......見覚えのあるようなないような戦術人形曰く、

 

「真っ先に妊娠が発覚した私と417に始まり……」

「今では念入りに仕込んでいた……私達残りの初回重婚組が妊娠発覚」

「お姉ちゃん今でこそ落ち着いてるけどちょっと前までつわりが酷くてゲーゲー吐いてて」

「もうその話はやめて」

「ま、まだ妊娠が発覚しているわけではございませんのよ?」

「カラビーナ、もう腹をくくったほうが良いわ」

「そうよ、どうせいつかは妊娠するつもりだったんでしょう?それが早くなっただけよ」

「い、医務隊の長として責務が……」

「そのニヤケ顔で言っても何も響かないからね?」

「君らも大概だなオイ!」

 

今日びでもそんな極端な肉食系女子見ないぞどんなプログラムになってんだI.O.P! 乙女プラグインとかそういうの実装してんのかあれは創作だけの話じゃないのかよ。

とそうこうしてる間にもたゆんたゆんと胸の強化装甲が自己主張されておられる、これ生身で来てたら割と危なかったかも知らん。すごく目に毒だ。

それを知ってか知らずか、ナガンが自分の胸に手を当てて一言。

 

 

「ワシも大きくならんかのう」

「君は最後の良心だからそのままでいて! ナガンまでおかしくなったら俺帰るよもう!」

 

とりあえず本題に入らないとツッコミだけで1日終わる上それで給料貰っちゃうとか俺の良心が痛むので巻いていこう、うん。

 

「えーとまず護身について色々と確認しましょう。

まず最強の護身術、と聞かれればどんな事を思い浮かべますか?」

「確かヤーパンには『アイキドー』と言うものがあるんだったかしら。ほら、片手で大男も投げ飛ばせるって言う」

「とりあえず相手を叩きのめせば良いんでしょう?」

「うん君らほんと戦術人形(バーサーカー)だね!」

 

なーんで頭に相手を倒すことしか考えられないのかなこの人らは。まずは意識改革から! もっと自分の体と命を労って貰わないと。

 

「護身術ってのは『身を守る事』全般を指す。

それの中に『カラテ』や『ジュージツ』、そして君らのいう『アイキドー』なんか含まれる訳だが、まず最強の護身術というものは『そもそも危険なことに関わらない』ことを知ってほしい。

 

・人通りが少ないところを避ける

・いつも2人以上で行動する

・他人に無駄に悪意を振りまかない

・危険そうなことは断る

 

この4つを守るだけでも十分護身とも言えるんだわ。

 

でも君らの場合、仕事の性質上荒事も致し方ない事でありなおかつ身重。その場合、どうしても逃げたり戦ったりの『身を守る行動』に支障が出る。

それを鑑みて俺はオススメの銃をプレゼンテーションしていく訳であって、あくまで銃は『本当に困った時』に使うように。

あと普通に危ないから振り回さないでね」

 

今言ったこと全部死神さんの受け売りではあるんだけどもいいでしょう、別に著作権だのある訳じゃないしどんどん広めてくことにこしたことはない。

 

「君主危うきに近寄るべからず」

「あぁそんなことわざもあったね」

「一人でフラフラと出歩くつもりはないが......肝に銘じておく」

「ヴィオラ外に出る時絶対にダーリンにくっついてるもんね」

「......主人の隣が一番安心するんだ」

「護衛の人形と一緒に行動して危険そうな所は出来るだけ通らないように......」

「強盗連中はそんなのお構いなしだから最終手段としてもやっぱりほしいわね、完璧な一丁を頼むわよ?」

 

特に異論はなしと、思考が柔軟で何よりだ。

そして417の挑発してくるような物言い、こいつは見逃せないな、俺の腕を知らないと見える。

 

「オーケイ、完璧なんて物足りないくらいにさせてやんよ」

 

 

 





さあて、これから銃いっぱい調べなきゃ(げっそり)。

八月は所用(海外旅行)により更新がほぼ不可能です、ご了承ください。

書き溜めなりしとくべきなんだろうけどレポートが......


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番外編 レッツ・プレゼンテーション!

コラボ後編です。

......まあ、事情により複雑な気分にもなりながら書いているのでありますがひとつだけ。

コラボ楽しかったです、また会えることを夢見ています。


 

 

 

 

「まず護身用の銃に求められるものは何か。

これは軍や傭兵からすると少し難しい考え方だ」

 

皆さん熱心にメモを取っている様子がうかがえる。勉強熱心で何よりだ、話す側としても気分が乗るのでもっとやってほしい。

 

「銃を扱う技量があり、人を撃つ覚悟がある。それは狙われる可能性の高い因縁や恨みを持つ相手も同様。

しかもこのご時世、相手が武装してくることすら考えられる、というか実際あったみたいだしな。

そこんところ考えながら色々と条件をピックアップしてみた。

 

ひとつ、携帯性が高いこと。

ひとつ、威力がそれなりにあること。

ひとつ、場所を選ばず使用できること。

 

最初のは言わずもがな。

護身用にライフルなんぞ振り回してたら日常生活の雰囲気悪いうえそれに物騒だ。

次のは君らの事情を鑑みてというやつだ。

護身用であれば正直22口径、38スペシャルといった小口径のもので十分なんだが、君らの場合相手が武装する可能性が無いわけではない。

その場合小口径じゃ役不足になる。俺個人の考えとしては9mmパラベラム弾が最低ラインといったところだろう。

 

最後のは護身用ということを考えてだ。

相手がいつどんなところで襲ってくるかはわからない、つまり、どんな時にでも対応しないといけないよな。

ひらけた道路、奥まった室内、足場が不安定な場所や逆に安定した場所。どんな場所でもパフォーマンスを発揮できることが求められる。

 

この3点を満たすとなると、やはりハンドガンが相応しいかと思う。

サブマシンガンやショットガンも考えたんだが、オーバーキルすぎるという事で除外した。

ここまでで質問は?」

 

一旦区切ると、417さんが首をかしげる。

 

「威力が多いことに越したことは無いんじゃないの?」

「私などグレネードだが……これは流石にオーバーキルすぎるのは理解できる」

「彼女の言う通り、敵でない人が近くにいる状況もあり得ないとは言えない。流れ弾で人を傷つけることは俺としても望ましくない。というわけでNG!」

 

ばつ印を作ると納得したかはさておきうなづいてくれた。よし、次いこう。

 

「あと個人的には銃は隠しとくのはメリットになるな。コンシールドキャリーってやつ。

例えば417さんはふとももにホルスターで下げてるけど、これは見えるというか『417は銃を持っている』という事はわかるんだよね。銃を持ってる事を見せること自体は抑止力になりうるんだけど、君らの場合お構いなしに襲いかかってきそうだからねぇ。

『まだ武器を持ってるかもしれない』と思わせるのは大事だと思う、素人考えだけどね。

 

あと銃をひけらかして歩くのは子供にとっても良いとは思えないし、そこんところも考えてね?

ありきたりな言葉だけど、もう君らだけの体じゃないんだからさ」

 

 

......とまあ、言いたい事は言い切ったけどどんなふうに思ってるんだろ。これから整備もあるし、いちいち反応してたら時間もかかるだろうしあんま触れないけどさ、色々思うところあればいいな。

 

「では紹介の方していこう。

ワルサーPPK、

H&K HK45、

M1911A1/V10(短銃身モデル)。

USPコンパクト、

Px4 ストーム、

を俺はオススメする。

個々の説明は長くなるから後でナガンあたりに任せるとして、さっき言った条件を満たすもの、ではないかと思う銃をここに並べました。

一応リボルバーとかも揃えたから、皆さまお好きな銃を取ってくださいな」

 

そういうとワイワイと相談しながらめいめいが銃を手に取り始めた。割とこういうのって趣味というか性格出るよね、おにいさんこういうの大好き。

さて、護身用というのれあればつきまとう問題について言っておこうかな。軍よりの人間だからこそ気がつかない事だろうし、俺だって忘れてた事なんだよな。

 

「あと最後にひとつ。

 

子供ができるであろうみなさんには常に頭に入れて欲しい事ですので、聞いてください。

僕が持っているこのリボルバー。縁があって引き取らせてもらった物なのですが......人を殺しています。

 

それもただの殺人ではありません。

 

護身用としてまくらもとに置いてあったこの銃を子供が触って暴発、持ち主の母親を銃殺しました。

また、ポケットに入れておいた銃を子供が叩いたりした事で暴発した事例もあります。

 

あなた達は確かに銃についてはプロフェッショナルかもしれませんが、その銃に触る可能性のある人全員がそうではないはずです。

 

そして、銃による事故は記憶に残る、という事を忘れないように。

僕は一度銃を暴発させて危うく弟を殺しかけたんですが、銃に引き金に指を掛けると今でもその光景をはっきりと思い出せます。

 

銃の扱いには覚悟を持って、くれぐれも事故のないよう、扱ってください。

 

じゃ、ナガンあとよろしく」

「任されたのじゃ。

ではちゅうもーく、これより拳銃の射撃訓練を行う。

各々は銃を十分に確認したら、マガジンを入れてブースに並ぶのじゃ!」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「ヒャッホウ整備の時間だぜテンション上がってきたやっっばいみwなwぎwっwてwきwた!」

「なんだこのオッさん!」

「おにーさんだよ!」

 

このあとめちゃくちゃ整備した

 

 

 

 

 

 




はい、これにて終了です、お疲れ様でした。

コラボ先のココアの錬金術師 改めムメイ様もありがとうございました。

......なんか、とても言いたいことが多すぎて何も言えないのですが、

お疲れ様でした。


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番外編 世界の片隅に生きる


皆さんお待ちかね「死神さん家の娘」のお話。


ちなみに続きはあるかもしれないとだけ言っておきます。


 

 

 

『あの人を恨んじゃいけない。恨むなら、あいつを愛した私を恨みな』

『......そんなに元気なら死なないかって? バカ言え、んなもん気合いに決まってんだろーがそのうち死ぬわ。

それに、あたしが死ななきゃアンタが巻き添えで死ぬ。これでいいんだよ』

 

『最期に親として最後にひとつだけ言っておきたいことがある』

 

『人として死ね。犬でもなく、死体でもなく、人形としてでもなく人として』

 

『自分が死んでもイイと、胸を張って死ね。

あたしはあんたを守って死ぬ。

あんたを残すことは心残りだけど、どうってことは無い。あんたが生きてくれれば、それでいいんだ』

 

『さあ行け、生きろ。そして死ね。

地獄か天国が、どっちかであんたを待ってる』

 

『あたしみたいに思い残すような死に方するんじゃ無いぞ。さあ走れ、我が娘よ!』

 

『くたばるまで止まるんじゃ無いよ!』

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「終わった......かな?」

「せんせー、おわったー?」

「あそびたーい」

「おとしないよー」

 

蓋がわりの鉄板をそろそろと持ち上げあたりの様子を伺う。

爆発音も足音もなし、ひと段落ついた様子。しかし空を見て見ないことにはどうにもならない。

 

「じゃ先生行ってくるから、待っててね」

「「「行ってらっしゃーい」」」

 

蓋を持ち上げてズラし人ひとりが通れる隙間をこじ開け、へりに手をかけて上半身を持ち上げる。

目に入るのは見事なまでに青い空と、焦げ臭い匂い。

地面を靴で軽く叩くと、ザクという音を立てて沈み込んだ。

「ハァ、いい感じに耕してくれちゃって」

 

どこぞの誰かさんが爆撃で入念にここら一帯を更地にしていったらしい。生きてるだけでどーして目の敵にされるのやらとため息をせずにはいられない。

この様子じゃ全部がオシャカになってるだろうし、しばらくは備蓄食料で食いつながないとならない。

使える廃材もどれだけ残ってるかわからない、建物の再建もままならないだろう。

金庫の残ってるお金があれだけだとこれしか出来なくて、でも更地になってるし業者もぽっくり死んでるだろうなぁ、どっから仕入れたもんか。

 

「あははー、ひろーい!」

「こげくさーい!」

「ふわふわー!」

「あっ、こら! まだ出てきたらダメって言ったでしょう!」

「いいじゃないかセンセ、俺の経験じゃこんだけこっぴどくやりゃあ反復爆撃は来ねえよ」

「......団長がそういうなら仕方ないですね。

じゃーみんな、おうちなくなったからしばらくは秘密基地で寝泊まり出来るぞー!」

「「「わーい!」」」

「......ハァ」

 

好き勝手に走り回る子供たちと、それを見守る髭面で相変わらずむさ苦しい私の元上司の団長。

団長は軽く笑って流すけれど、新しい家、足りない食糧、そして増えるであろう孤児。問題は山積みも良いところ。

団長さんが傭兵時代から貯めた貯金も順調に食いつぶしてるところだし、どうにかして金を稼がないといけない。どうしたもんか。

 

「なんか当てあります団長さん。私は白旗をあげたいところなんですけど」

「少年兵でも育てりゃいいのか?」

「......団長に聞いた私が馬鹿でした」

「よくわかってんじゃねえか」

 

団長はそう皮肉っぽく言うと、ポッケから取り出したちびたタバコに火をつけた。それを見た私は目一杯非難がましい目をして団長を睨み付けると、その髭面を歪ませてクックと笑う。

 

「どこまで行こうと俺は前時代的な戦争バカだよ。それにここのボスはお前だ、自分で考えな」

「それじゃ子供達にその怖い顔を活用してきてくださいな」

「あいサー院長どの。おーいお前らー、おじさんと鬼ごっこするかーい」

「鬼ごっこー!」

「おじさんが鬼だー!」

「逃げろ逃げろー!」

「はっは、10秒待ってやるぞー! いーち、にーい、さーん!」

 

傭兵団が解散して3年。

 

それが私がこの孤児院を開いてから経った年数と同じで、そんな私はもう17歳になった。

 

どういうわけか、私はまだ生きているようだ。

 

 

 

 

 

わたしには親がいない。

というより『いた』と過去形で話した方が正しいだろう。

なんて事はない、死別しただけだ。

何があってどうして死んだかなんてのはあまり良く思い出せないがママが死んだ事だけは覚えていたし、物心つくまえからパパの記憶なんてものはなかった。

今思えばうん、シングルマザーでお母さんG&K社のそこそこ偉い人だったし、暗殺でもされたんじゃないかな......なんて事くらい察しはつくけど、4歳児がそんな事わかるはずないじゃん?

 

それから危うくやばい研究機関だかなんだかに拉致されかけて死ぬより酷い目にあうというよくある悲劇まっしぐら、になるところだったのだけれど。

 

『よう嬢ちゃん、元気か?』

 

今よりもっと若くて逞しくて......それでいて無精髭はさっぱり変わらない団長と出会った。

最初ふつうに見捨てられかけたのだけど、幼いながらも『これを逃したら死ぬ!』という事くらいは理解できたから、文字通りブーツにかじりついて死ぬほど見捨てないでくださいってびゃーびゃー泣き喚いて。

 

弱冠4歳児の傭兵が誕生したのである、すげえなおい。

実際は金勘定や後方支援など書類仕事ばかりのホワイトカラー組なので特に無理はなかったけどね。流石に4歳児を戦場に放り出す真似はされなかったので良かった。

とはいえ4歳児なんて言葉くらいしか能のないワガママに使い所など皆無だったのだが、G&K社の職員で親バカで勉強熱心の母親のおかげもあってか物覚えとてぎわはそれなりに良かったこともあり放り出されることはなかった。サンキューマッマ。

むしろウチの傭兵団のマスコットキャラ扱いされやたら可愛がられた。ただ『死んだ娘と同じ年なんだ』とか言われると微妙な気持ちになるのでやめて欲しい、お前はわたしの顔も知らない父親かっつーの。

 

年を経て資金も十分に溜まったところで孤児院を始めた。別に子供のためとかは言わない、ただ、自分が助かったのに他人を助けないのはクソ後味が悪かっただけだ。

 

本当はもうすこし働きたかったし、何より雇われとしてどこかの孤児院なり子供を預けるような施設で働いてノウハウを集めてから、と現実的というか夢のないようなことを考えていたのだけどーーー

 

G&K社と戦術人形、この2つの台頭により人間のPMCは価値を失いつつあった。何かしら一芸に秀でているならともかく、ただの中堅規模の傭兵団だったウチに太刀打ちできるはずもない。

 

ひとりまたひとりと傭兵を辞めていった。

あるものは希望を見失って命をたち、

あるものは苛烈な戦場を求めて東欧へ旅立ち、

あるものは銃を置き商売を始め、

あるものは技能を生かせる平和な職へ着いた。

あの歳の割に老け顔の整備職の兄ちゃんなんかG&K社直々にヘッドハントされた。

あの銃も握れない穀潰しが、ってあん時は誰しも目ん玉が飛び出しそうになってたね。

 

そしてまたひとりと人が消え、人員が全盛期の半分なったところでウチの団長は解散を宣言した。

団の資金を分配し、身の振り方を皆で手伝い、残る全員が手に職をつけ野垂れ死ぬ事が無くなったことを確認して、

 

ウチの団長は、ただのオッさんになった。

そして私が院長になり、団長は雇われ1号になった。

 

そんな話はどうでもいいや。

 

そんな事よりこの状況をどうにかせねばならない。

 

なーんか使えるような資材は残ってないかと瓦礫の山をひっくり返していたところ見つけてしまった、血の気の失せた白い腕。血だまりは見つからない上に腐敗臭もしない、きっとここ数日で出来た死体、恐らくはあの爆撃の日だ。

腕だけひょっこり見えているだけなのでもしかしたら他の部分は、と考えるだけで思わず背筋が総毛立つ。

子供に見せてパニックにさせるわけにもいかない、さっさと掘り出して町のはずれにでも埋めてこようと瓦礫の隙間に棒を突っ込み、思い切り持ち上げようと力を込める。

 

「よい、しょっと」

 

幸いにも瓦礫は非力な私が持ち上げられるくらいには小さかったらしくすぐに退かせた。

さあてどんな潰れたトマトみたいな死体が待っているのやら、と半ば冗談みたいな事を思い浮かべながらうすーく閉じた目で腕のあるあたりを見て、

 

押し黙る。

 

白い肌に白い髪色、無機質さを際立たせる黒色の衣装。

煤まみれ泥まみれだけど大きな損傷はなく、多分爆撃の衝撃かなんかでトンでいるだけかも。

 

自然と腰に下げた護身用の小型拳銃に手が伸びる。

 

......決めなければいけない。

 

私は今、みんなの命を預かる上官なんだ、だから何があっても私が決断しなくちゃならない。

 

「ん......むぅ......」

 

小さな口から声が漏れる。

じじ、とほんの小さな電子音が耳に届く。

時間はない。

ここから団長を呼びに行く頃には起きているかもしれない。私が決断しないといけない。

 

ホスルターのボタンを外し、両手でしっかりとグリップを握りこむ。

安全装置を外すことも忘れない。

 

「......あ......う......」

 

ゆっくりと瞼が開く。

黄金色の瞳がこちらを覗き込んでいる。

 

私は撃鉄を親指で倒した。

 

肘はまっすぐ直線に、照門は彼女の眉間へ。

倒せるかもしれない、倒せないかもしれない。

だけど、ここで見過ごす事はできない。

 

「ーーーーーー」

 

彼女がなにかを口にする。

 

 

そして、私は決断した。

 

この行動には意味があると自分に言い聞かせながら。

 

 

 

 

「食費が月いくらで、燃料費がこれくらい、発電機修理代がこんだけで稼ぎと貯金がーーー」

「ねーまっまー、何してるの?」

「ディーちゃんダメ、今仕事中」

「いーじゃん、遊ぼーよー」

「もう、悪い子にはお仕置きなんだから!」

「くすぐ、なはは、あははは、ひぃ!」

「このこのこのこの!」

「やめてマッマ、あはっ、にゃははあはは!」

 

こちょこちょこ、と私の背中に飛び乗ってきたこの最近うちにきた特級問題児をしばく。

人間の体よりもずっしりとした重量と、鼻先をくすぐる白色のツインテール、そして死体より血の気のない灰色の肌色が特徴的だ。

 

鉄血工廠ハイエンドモデル『デストロイヤー』。

少し旧式よりとはいえ高い制圧力と生産性がウリの戦術人形。戦場で何度か戦った覚えがあるし、昔何回か共同戦線を張ったりしたことも覚えている。

 

そして、現在の人類の敵だ。

 

だが、この子は......

 

「ディーちゃーん! 一緒におままごとしよー!」

「いーねー、やるやる! 私の犬はすごんだぞー!」

「ディーの犬ってすごいよな、犬みたい!」

「ふふーん、もっとほめてもいいのよ!」

 

どういうわけか普通の子供みたいな立ち振る舞いをするばかり。確かに子供っぽい性格をプログラミングされているとはいえどもここまで子供みたいだっけか。

今のところ無害なので問題ないし、スラム街はほぼ灰になったので今更怪しい人が増えてもどうとでもなる。

問題ごとを背負ってくるなと団長には言われたけど、そんなもん知らないとねじ伏せ今に至るというわけ。

G&K社に嗅ぎつけられでもすればおおごとになりかねないけどまあいいや。

 

「あー、可愛い可愛い」

「マッマやめてよー」

「うりうりー」

「きゃー」

 

可愛いならだいたいは許される。

そこに是非はないでしょう?

 




院長(死神の娘)......現在は孤児院を営む17歳。可愛いものが好き

おじさん(元団長)......そろそろ60歳の傭兵崩れ、最近では料理の腕ばかり上達しているのが悩み。

ディーちゃん(デストロイヤー)......スラム街に紛れ込んでいたハイエンドモデル。不良品としてパーツ市場に紛れ込んでいたもののようだ。
どこかの戦場で拾われたらしいが、本人はそれを知らない。


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番外編 外部委託とエトセトラ


コラボです。
MGFFM様作「M14EBR-RIの日誌」からアサルト小隊の面子が遊びに来るようですよ?


 

 

 

 

 

「L&M社、ねぇ......」

 

後輩ちゃんから貰った資料によれば、今回の委託はG&K社内部ではなく外部......それも同じPMCからの依頼だそうだ。

もちろん襲撃の可能性も0ではないとのことで死神さんや諜報部隊が軽く暗躍して情報を集めたのだが、社長が旧時代兵器マニアなお陰でいつもかつかつな中堅〜弱小PMCといった風態。その中でも攻撃に重きをおく人形人間混成部隊「アサルト小隊」が今回の依頼人となる。

 

......電話かけてきたのが傭兵時代のガンスミス仲間だったのは驚きだったけどな。あっちもてんてこ舞いだからって話だったし、こっちも暇だったから二つ返事で受け付けちまった。

 

事後報告ってことで朝からちょっとした騒ぎになりはすれど、調べてみればダーティではあるものの裏もない割とクリーンなPMC。

 

万が一も考えて俺に警護に近接格闘と射撃にバランスが良くかつ仲が良いナガンがいつものように抜擢された所で時間を迎えた次第だ。

いつもであればこっちから出向くのだが今回は例外、あちらさんからきてもらう運びになっている。

「柄にもなく緊張してるようじゃないの」

「きき緊張なんてしてねえし?」

「そわそわ歩き回っておれば説得力にも欠けるわ。全くお主は人見知りがすぎるぞ?」

「余計なお世話。というかM21はなんでいるのさ」

「非番だからねー、それにM14の近代モデル使いが来るって話じゃないの。なんか面白い話のひとつやふたつ聞ければいいなーってね」

「M14は? 彼女は連れてこなかったの?」

「あの子はもう遠くに行っちゃった......」

 

悲しげな目をして遠くを見るM21。

昔は優しげな性格だったはずだったんだが現在のM14にはその面影はない。

今この基地にいるのは笑顔で毒と皮肉を吐き新人を煉獄の炎で身も心も焼き尽くす悪魔のような鬼教官だけである。

せっかくだからとM21も声をかけたらしいのだが「訓練があるからね」と笑顔で答えられてしまえば何も言えなかった、とのこと。

どうにか話を変えないといたたまれなさすぎる!

 

「そ、そういやM21ちゃんの戦闘スタイルは遠距離よりだっけ? そういうチューンしてるけど」

「そうだよ? でもどうして急に」

「いや、向こうがどんな感じで扱うか気になっててね。そもそも向こうのM14がセミ限定かセミ/フル切り替え式なのか知らないし」

「言われてみれば確かに。あたしはセミオート限定モデルで狙撃に寄せてるもんな。立ち回りもアサルトっぽい動きも出来なくはないけど、基本はスナイパーだもん」

「M14ちゃんは中距離チューンにしてるんだ。スコープの設定も400m基準だし、銃身周りも頑丈に作ってある」

「狙撃銃はデリケートだかんねー。銃剣なんて怖くてつけた事ないよ」

「いやそれはうちが特殊なだけだと思うよ?」

 

俺の言葉に首を縦に振るナガン。あんな頭のいかれた人形はウチ所属だけでお腹いっぱいだとでも言いたげだな。俺もそう思う。

 

「ライフルはスタイルによってチューン方法がだいぶ変わってくるし、見合ったパーツも選ばなくちゃならん。

スコープもいろいろリストアップしてやんねーとな。

銃ごとの癖も見抜かにゃならん。いやー、忙しい」

「その割には楽しそうじゃな」

「それが好きでやってんだもの」

「なにそれウケるー!」

「人間そんなもんよ?」

 

雑談をしていると備え付けのスピーカーから雑音が溢れる。という事は?

 

『あーあー、業務連絡、業務連絡。

ガンスミスさんとナガンさんは第1飛行場に来てください、お客さんですよー。

警備部隊のみなさんも準備お願いします』

 

 

 

「あくびをするのはわかるが、客人の前ではシャンとするんじゃぞ」

「今日の仕事は午後からのつもりだったんだよ」

「また徹夜か?」

「そ。どうせ暇だろうしってお菓子の試作してたんだよ。そろそろ秋だしモンブランとかな」

 

ジトとこちらを非難がましい目で見つめてくるナガンをあしらっていると空気を叩く特徴的なローター音が聞こえてきた。

予算のないPMCらしいといえばそうなのか、輸送専用ヘリではなく重武装が施された灰色の戦闘ヘリを飛ばしてきたようだ。基地のヘリよりも高めの高度を飛っているらしいヘリがゆっくりとこちらに向かって降下してくる。

 

「うへ、派手な事すんねぇ」

「なあお主よ、どうにも減速する気配が無いのだが」

 

ほのぼのとした空気が凍りつく。

ヘリはまだ機首をあげる様子はなくどんどんと角度を急にしながら地面への距離を縮めてゆく。

ともすれば何かしらのトラブルが発生して機体操作が不可能になっているように。

 

「......やばくない? 」

「緊急連絡! 第1滑走路にヘリ墜落の恐れあり、至急救護班に出動をー」

「ぶつかるぶつかるぶつかるー!」

 

無線に向かって叫ぼうとしたナガンと俺の頭上数mを掠めるようにしてぶわりと強風が吹きつける。

 

「......死ぬかと思った」

「......あ、あちらのパイロットは随分とお茶目なようじゃの。ほら、尻餅をついていたら格好がつかんぞ」

「いや航空機突っ込んできたらビビるって!」

 

 

 

 

 

 

 

「こちらL&M社アサルト部隊、隊長のネルソンだ。

急な依頼だったが引き受けてくれて感謝する」

「俺がご指名のガンスミスだ。派手な歓迎どうも」

 

ネルソンと名乗る若い男がこちらに手を差し出してきたので握手を交わす。敬礼よりはこちらの方がPMCらしいといえばらしいな。

握手を交わしたのを見て部下の面々もそれぞれ自己紹介をはじめてくれた。

 

「私エレナ、今日はよろしく」

「バラライカだ」

「M200、です」

「FNCだよ、お菓子ちょうだい!」

「今朝クッキー焼いたんだ、持ってけ」

「わーい! これ美味しい!」

「わ、私ももらおうかしら......」

「おう食え食え。量はないから仲良くな」

 

ふう、お茶菓子にと焼いたクッキーが効いたな。ワイワイと盛り上がり始めた中、ひとりだけ自己紹介もせずもすもすと夢中でクッキーをかじる人物が1人。

 

「で、そこにいるのが?」

「M14EBR、エマって呼んでやってくれ。おいエマ、自己紹介!」

 

声をかけると慌てながらも頭を下げてくれた。ん、なんかジェスチャーしてるみたいだがよくわからないな。横着しないで喋ればいいのに。

 

「クッキーはまだあるから、落ち着いても良いんだぞ」

「いや、あの子は事情があって喋れないの。

でも人形同士なら問題はないし、人間だってこれを使えば問題ないよ」

 

身振り手振りで挨拶をしてくれていたらしいM14EBR-RI、ことエマ。隣にいたエレナと名乗った銀髪の女性、いや人形か? が代わりに答えなにやら無線らしきものを差し出した。

 

「スロートマイク。付け方わかる?」

「......いや、もうちょい効率的に行こう。ちょっとまってな」

 

折角使うんだし、何より人形ってわかったんならこっちの方が親近感出るだろうしな。

えーと、なんか最近小型化に成功したとかなんとか言ってたっけな。軍用ヘルメットより軽いとかほんと、うちの弟は天才が過ぎる。

電源を入れたヘッドギアを被り、スイッチを手で探り当て上に弾く。

 

意識が一瞬だけ暗転、ノイズに包まれてから再起動する。

おおう、瞬間移動する感覚はまだ慣れないな......

 

人形用の回線は、と。これかな。

 

『あーあー、テステス。聞こえてるかい?』

『割り込み? あの、どちらさまで?』

『俺だよ俺、ガンスミス。目の前にいる人形ちゃんさ。今はスミ子ちゃんと呼んでくれたまへ』

『か、変わったことをなさるんです、ね?』

 

おお案外可愛らしい声、じゃなくて。

 

『こっちの方がニュアンスが伝わりやすいだろう? それに、クローズドにしとけば後ろのこわーいチビッコとも話さなくて済むしな』

『聞こえておるぞー』

『......物事そううまくいかないモンだな』

『あはははは』

 

さて小粋なジョーク? で場を和ませたところで本題だ。こいつは人間の隊長さんにも聞こえるように声に出すのを忘れない。

 

「そんじゃ仕事の話に入ろう。

俺にはメンテナンスをして欲しいって事だったな。

カスタムも時間があれば承るところだがまずは整備だ。

さ、出すもんだしな」

「戦術人形はリンクを切るのを忘れるでないぞ」

 

各々背負っていた銃を机の上に置く。

置き方でも結構性格が現れるんだが、みんな丁寧に扱ってくれてるようでなにより。

 

「M200チェイタックとは珍しいもんが出てくるな。それにKord機関銃......おいおい、スコープまで乗せてるとか随分と面白い事するじゃないの。

隊長さんのM27もなかなか良い面構え。真面目そうに見えてやっぱり真面目だった。

うーわこのスコープ高いやつじゃん! それに銃床(ストック)良い素材! はー、羨ましい。

FNCはカスタムは無しか。いじりがいありそうだぜ」

『あ、あのー......?』

 

「......っと、申し訳ない。ちょっと興奮しすぎたな」

「お主の悪い癖じゃぞ」

「ごめんて」

「おあついことでー」

 

客人の前だってのにナガンはいつも通り脇腹を小突いてくるのはやめろって。それとM21、棒読みがすぎるぞおまえ。さて、仕事モード仕事モードと。

 

「......みたところ大きな損傷はM14くらいか。こんなでかいキズ何やらかしたんだか詳しくは聞かないが、銃身にダメージ通ってるからちょっと時間かかるかもな。

他の銃はバラして見ないとわからん。それにパーツ在庫がない銃が半分だからな......ま、俺の頑張り次第としか言いようがないな。

ところで皆さんサブアームもあるでしょう? 出せオラ」

 

 

◇◇◇

 

 

「なるほどー、君はオールラウンダーになりたいと申すか。ならばこの銃身とこのオプションとアレとこれとそれと」

『あ、あのー、そこまでしなくても......』

「いやいやいや名指しで指名してくれたんでしょうだったらその期待に答えずにはいられまいてっと中距離用にダットサイトも差し上げよう任務ごとに使い分けたまへ」

『あ、これ凄い。くっきり見える』

「でしょ? 高いからねソレ」

「いーなー、羨ましいなー」

 

エマちゃんとおしゃべり中。

どことなく自己評価が低く感じるM14だなあと感じていた。服装や髪に気を使ってる訳でもないし、思考回路もM14のそれとは大違いで妙にかしこまってる。

PMCだから面白い経歴の持ち主なのか、はたまた中身が別物なのか......

 

『どうかしましたか?』

「いや、なんでもない」

 

ま、そんなわけ無いわな。

 

「はい取り付けおしまい。

調整のために試し撃ちして欲しいからレンジまで来てくれる?」

『わかりました。せっかくですし、隊のみんなも呼んでいいですか?』

「そうだねぇ......いいよ。弾代くらいはコッチで持つとも伝えといて」

 

暇を持て余すくらいなら銃撃ってた方が有意義になるか、と許可を出した。俺の裁量で済ませられる範囲だしな。

エマが連絡したのを確認してからシューティングレンジに案内する。今は席を外しているアサルト小隊の面々だが、そこは御付きのナガンが案内してくれるだろうて。

ありゃ、今日は珍しく人が多いな。空いてるのはと。

 

「シューティングレンジ6番使ってくれる? 他は使用中だから邪魔しないようにね。俺はちょっと調整用の道具持ってくるから。

M21、的とかスコアの見方とか教えてあげて」

『わかりました』

「かしこま!」

 

 

 




次回に続く!


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番外編 射的勝負とスイーツと?

コラボ後編です




 

 

 

「ねぇ、勝負してみない?」

 

隣でスコアを読み上げていたM21がこちらを見て言った。いきなり言われたので何のことか分からず首を傾げていると、彼女は話を続けた。

 

「せっかくおんなじような銃を使ってるんだし、1つ腕試しって事で。ただ人型の紙切れを狙ってるよりかはやる気出るでしょ?」

 

う〜む。つまり勝負をしようと言うことか。でも自分はそんなに銃の腕が良い訳ではないし、自信もそんなに無い。彼女には悪いけど断ろう。首を振って勝負をしないことを伝えるとM21はやれやれとオーバーに首をすくめた。

 

「ふーん、拍子抜け。傭兵は腰抜け揃いなの?」

 

今の発言は聞き捨てならないな。

 

 

自分が馬鹿にされるのは別に構わない。

 

が、

 

ネルソン達を馬鹿にするのは許せないなぁ。

 

 

良いだろう。その勝負受けてやる。イエスの返事の代わりに、紙切れの的の頭をぶち抜いてやった。

 

さぁ、どうやって勝負するよ?

 

「そうだねー。せっかく部隊で来てることだしチーム戦、と洒落込まない?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

「......そんで結局俺のスイーツを賭けてバトルする事になったと」

「いやー、どうしてこうなちゃったんだろ」

「俺が知りたいよ」

 

席を外している間にどういうわけか勝負をすることになったらしい。

景品は俺の秋の新作スイーツ。確かに開発はしていたけどもこのために作ってたわけじゃないんだが。

しかも間の悪いことにほぼ完成といってもいい試作品が何故かちょうど人数分ある。未完成品を出すのは癪だが味はほとんど変わらんので今回は妥協しよう。

 

それに、

 

「へぇー、ガンスミスさんの新作スイーツ......ふーん、勝てばいいんだ」

「スイーツ......! スイーツ......!」

「何か面白そうなことをなさっているようですわね、わたくしも混ぜてもらってもいいですか?」

「ゲーム? やるやる!」

 

外野まで賑やかになっちゃ止められるものでもないとネルソン隊長ともども白旗をあげた。

そうなればとやるしかあるまいとナガンが仕切って結局射撃勝負、ということに相成ったわけだ。

 

対戦は以下の通り。

 

・Kord 重機関銃 《バラライカ》VS M2HB

XM8(エレナ)VS G36

・M200 VS Kar98k

・FNC VS FNC

・ネルソン(M27IAR) VS Am RFB

・M14EBR-RI VS M21

 

 

「ルールはチーム戦。個人の勝負ではなく全員のスコアを合計し、高い方のチームの勝利じゃ。

勝負についてじゃが、狙撃組は800m先のマトに対し10発の射撃を。アサルトライフル組は200m先のマト10個に速射を行う。

各自微調整が済み次第ワシに声をかけてくれ」

「ガンスミスさんよろしく!」

「よろしくじゃねえ自分でやれよ」

「けちー!」

 

開幕早々俺のところにライフルを持って駆け込んできたRFBは除き皆真剣にチューンを始めた。

想定される交戦距離よりやや短めに設定してあるということは、それぞれの技量の差が浮き彫りになるということ。さて、どうなることやら。

 

 

一回戦目 バラライカ vs M2HB

順当というか当然のごとくバラライカが危なげなく勝利した。そもM2HBは設計が古めなので追加オプションとの噛み合わせが悪く精度にブレが生じやすい。

1980年代設計のKord重機関銃はそこらへんの考慮もできている。要は年代的にちと太刀打ちが難しいのだ。

それでも十分食い下がった彼女には拍手を送りたいところではあるがな。

 

「むむむむ......」

「ははは、これが時代の差ってやつかな」

 

二回戦目 エレナ vs G36

 

実力伯仲で僅差の勝負となったが、総合点はG36の勝利となった。

速射自体はエレナが早かったのだが、速射の速度を下げてまでも正確性を求めたG36に今回は軍配が上がったようだ。

 

「実戦であれば貴女の勝ちですが、これはあくまでゲームですので」

「納得いかないんだけど!」

 

 

三回戦目 M200 vs Kar98k

 

最新技術vs戦前の遺物といった構図になった狙撃対決。近代モデル改造をしてるとはいえ100年ほど設計の開きがある銃だがそれを補う腕があれば良いこと。

まさかの同スコアでの決着となった。

 

「なかなかやりますわね、貴女も」

「こ、こちらこそ」

 

 

四回戦目 FNC vs FNC

FNC同士でのミラーマッチ。身体の性能は同格、銃は同じ、ならば求められるのは戦闘経験から導き出される最適解がどちらがより最適であると言えるのかどうか。戦場の違いからAS(アサルト)小隊のFNCは早撃ちより、ウチのFNCは正確性を重視したらしい。

 

「「お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子」」

「わかってるわかってる、だからそんな睨まないでよ」

『が、頑張るから』

 

結果は......最後のお楽しみということもありここからは伏せさせてもらうんだけどね。だから君らは残りの4人にプレッシャー与えるのダメ、離れる!

 

 

五回戦目 ネルソン隊長 vs Am RFB

 

双方ど真ん中の穴ひとつしかなかったのだが、タイムは0コンマ5秒差でありネルソン隊長が勝利となった。

言っておくが、ピンヘッドを見たことは俺は生まれてこのかた今回だけだしこいつらおかしいよ。しかもこの中で誰よりもタイム良いんだが。

 

「くっそー、やり込み勢のわたしが負けるなんて......!」

「ははは、伊達に人間で傭兵してねーよ」

 

((こいつらどうなっとるんや))

 

 

六回戦目 M14EBR-RI vs M21

 

ここで全てが決まるラストゲーム。実は5回戦までの成績は僅かにAS小隊側のリード、しかしその差はほんの僅か。

それこそここの勝敗で全てが決まると言っても過言ではないほどにほんの少しの差なのだ。

 

「隊長さんはどっちが勝つと思います?」

「エマは勝てないだろうな」

「意外ですね。部下なのに応援しないとは」

「部下だから実力がよくわかるんだ。短い付き合いだけどな。それにーーー」

「あー、そういえばそんなこと言ってましたね。だから急に来たって訳ですか」

 

チャキ、とボルトが後退し初弾を飲み込む音が聞こえた。お互い準備できているという合図だ。

 

「自由に始めよ。双方が10発撃ち終わったところで終了と......M21! 人の話は最後まで聞かんかこの!」

 

ナガンの合図を待たずして引き金を引きはじめたM21。2発3発と撃ち込んでいくがエマは慌てるようすはなく、1発1発丁寧に構えるようだ。

 

「......こんな所でしょ」

 

M21が残弾を撃ち切り構えを解く。弾痕は中心を離れてまばらに散っておりそこまで点数は高くはないだろう。だが彼女が慌てる様子はない。

 

「さて、そろそろかな」

 

彼女の言葉と同時に放たれた弾丸が的から外れた。

 

「っ!?」

 

動揺を隠せないエマに対し、気楽そうに壁にもたれかかるM21がそのトリックを告げる。

 

「今日の午後って()()()()()()予報なんだよね。具体的にいうと風が超つよい」

「!」

「でもまあ、のんびりやればいいんじゃないの?」

 

ニマニマと悪い笑みを浮かべる様を想像して眉間にしわを浮かべたエマ。切り替えていこうとスコープを覗き込むものの強風のなかで射撃するスキルを彼女は持ち合わせてはいなかった。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「いやー、なんとか間に合ってよかったよ。あ、これケーキです要冷蔵だから保冷バックに入れといてくださいねあと基地についたらすぐ冷蔵庫に入れる事。さっぱりした味の飲み物をお勧めしたいから紅茶の葉っぱ入れときますね?」

「なにからなにまで、いいのか?」

「こっちが好きでやってんですよ、気にしないでください」

 

フライトの準備が進む様を背景に隊長さんとお話し。

ついでに昨日の夜仕上げた完成品も渡しておけば100点満点だ。FNCのあの顔見ちゃうと罪悪感がひどいし、エマちゃんが必要以上に自分を責めそうだったもんで仕方なく。

 

「ところで彼女......エマちゃんは? 随分と落ち込んでましたけど」

「自分で立ち直ってくれるさ。それに、経験値を積めばあの程度の風なんともない」

「期待の新人ちゃんの今後に期待というわけですか?」

 

なにかM21と話してるらしいエマを指差せば、彼はなにを返すでもなく軽く息を吐いた。

 

「おーい、そろそろ出発だ!」

『わかりました隊長! 次はかつてよM21』

『もち! 今度は実力勝負で!』

「では、また会う日まで」

「こちらこそ。ご依頼いつでもお受けしてますよ」

 

差し出された手を握る。

ヘリの中から小隊の面々が名残惜しそうに手を振り続けている。

 

『そろそろ離陸します。滑走路から離れて』

『了解』

俺の合図とともに高度を徐々に上げていく武装ヘリ。小さな窓からはFNCやエマがこちらをじっと見つめ優しく手を見えなくなるまで振ってくれていた。

 

「今度も勝つ。なんとしてでも」

「うーんこの畜生」

「なんでよ! 勝てば官軍じゃん!」

「そこが畜生なんやぞ!」





お疲れ様でした

アサルト小隊.....PMC .L&M社部隊のひとつで、戦術人形と人間の混合編成となっている。詳しくはあちらさんの作品で!


ガンスミス......お菓子作れる設定を忘れられている気がする

M21......畜生ムーブをする


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番外編 そして夜は更けて行く


大変長らくお待たせしました

コミケ頑張りましょう。ぼくは2、3日目にちょっと行ってきます。
人生初だからおわわくわくすっぞ!


今回のお話は今頃の基地の様子を書いてみました。日常って難しいね。


 

 

 

「あれ、きょうの教官さんは?」

「ナガンさんの筈だけど......」

「しまった引き継ぎしてない! 本部は下の事情考えないんだからもー! とりあえず今日は予定通りの実戦射撃訓練、教官さんは非番の誰か連れてくる!」

「モシンナガンさんはやらないんですか?」

「ばっか! そんなの私がサボりたいからに決まってるじゃん!」

 

 

 

 

「......ていうことがあってさ、大変だったんだよもー」

「指揮官に連絡させてもらいますね」

「待って待って! 春田ちゃん待って! なんでもするから黙ってて! この通りだから!」

「ふふ、冗談ですよ。あと注文のカフェ・ロワイヤルです」

「ども〜」

 

 Bar 『Spring filed』。最近大型改修を経た娯楽室の一角を占領する。木製のカウンターにシックな内装を備えたBar。

 カウンターの端で白いボアコートをきたモシンナガンがいつものごとく酒を飲みながら愚痴り、仕切り役のM1903 スプリングフィールドが静かに聞く。

 それはこの場所にこればいつでも見られる光景であり、或る種の風物詩のようなものだった。

 

「あつつ......ほんと、なんで何も言わずに出てったんだか」

「ナガンさんのことですか? 我々とは指揮系統が異なりますし、仕方のないことではないでしょうか」

「いやいやいや、同士に至ってそれは無い。長い付き合いだもの、すぐわかるよ」

「......そういえば、基地初期からの付き合いでしたか」

「3年と少しね。昔はよく小隊組んでたし。ガンスミスさんと同じくらいよ」

 

 今じゃもう疎遠だったけどね、と言いながらコーヒーカップを傾ける。少し焦げてカラメルになった砂糖の甘味とと染み込んだブランデーの香り、そして死神こだわりのコーヒーの苦味と酸味が口一杯に広がった。

 

「頭硬いし上下関係だとか敬語だとか口うるさいしのは知ってるでしょ? よりにもよってその同士が何も言わずに出てくのはおかしいとおもわない? 私は思うね。同士だったら今ごろ手紙の1つや2つ寄越す筈でしょう?」

「単純に忙しいとかではないのですか?」

「まさかー! 教官の仕事と後方支援のまとめ役と戦略助言の仕事こなした上でガンスミスさんとのラジオをねじこんでるんだよ! タスク管理できないはずがないじゃん!」

 

 考え込むスプリングフィールド。暫くしてある考えに至ったが、彼女はそれを口に出す事はしなかった。

 

「......きっと本部だと電話する暇もないんです。いつかは手紙でも届くでしょうし、のんびりと待ちましょう」

「はーあ、同士がいないと寂しくなるねェ」

 

シックな洋楽の中におかわり、という元気な声が響く。

 

 

 バーの夜はまだ終わらない。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 第一整備室。もうすっかりガンスミスの仕事部屋という認識が定着したここはたいてい夜遅くでも明かりが灯っている。

 ひとしごと終えた、と保護メガネを外したガンスミスがひとつおもいきりけのびをした。

 

「んー、今日も疲れたー!」

「お疲れ様。早く片付けて頂戴」

「......WA2000? なんでいるの?」

 

 よりによって横の作業机にいた自分のことに気がついていなかったらしいガンスミスに対し呆れ顔を見せた。

 

「私の銃よ、見るのは当然でしょう?というかどうして隣にいて気付かないのよ」

「集中してたからね、声かけてくれれば良かったのに」

「邪魔しちゃ悪いでしょ。私は狙撃中に話しかける馬鹿は嫌いなの」

「いやいや、大丈夫だよ。作業中はいつも話してるくらいだしむしろ話し相手が欲しいくらいさ。ところで何のよう? カスタムの依頼?」

「ヤーパンでは年末に大規模な掃除をすると聞いたわ。それに倣って一〇〇式主導で基地の掃除をするの。

 ついでに貴方に整理整頓の概念を叩き込もうと思って。ナガンは甘やかしてばかりだし」

「WAは厳しいなぁ。ナガンもそう思わない?」

 

いつものように己の相棒に話を振る。

 

『そうじゃなー。ま、こやつの好きにすればええじゃろう』

 

そんな投げやりな返事は聞こえた気がするだけで、静かに雪の積もる音だけが場を支配する。

 暇を持て余しているように椅子に座っているであろう小柄な戦術人形の姿はここにはないのだから。

 

「居ないわよ、アイツは」

「......そういえばそうだった。本部に戻ったんだっけ?」

「元指揮官からはそのように聞いているわ。挨拶のひとつもないなんて失望したわ」

「急な話で暇もなかったんでしょ?ラジオはどうするかな......」

「やめるには丁度いい機会じゃないかしら、最近忙しいでしょう?」

 

 つっけんどんに、それでいて事実を突きつけるWA2000。最近銃器整備(ほんしょく)が忙しくてろくに原稿もかけていおらずリクエストが溜まる一方なのは確かだ。

 少し俯いて、しかしはっきりと彼は答えた。

 

「......頻度は下がるけど続けるよ、楽しみにしてくれる人がいるからね」

「顔も見ない相手にそこまで尽くす必要はあるかしら。疑問だわ」

「感想を貰えるのはうれしいけど、そういうのでやってるんじゃないから。ただ強いていえばー」

「強いていえば?」

 

「ナガンと喋るの。けっこう楽しかったんだ」

 

 整備室の明かりが消える。

いつものように、それでいて何かの終わりを示すように。

 

 

 

「はぁ〜〜どうしよどうしよどうしよ」

 

元指揮官こと戦術補佐官アリサ・マクレーンはひとり頭を抱えていた。

 SV-98の口止めはすんでのところで成功したが、ナガンMIAの話は少数に漏れてしまった。その多くは古参だったためか口を噤むことに同意してくれたものの、10人を超える人形、人間がこの秘密を知った事になる。

 間の悪い事にこの防衛戦中不在だった現指揮官、そしてナガンと1番仲が良いであろうガンスミスの2人にはこのことを伝わってはおらず、その心労も彼女の頭痛に拍車をかけていた。

 

「ダミーは回収できたけどメインフレームは行方不明。反応も切れてるし、ワザと隠すような理由もない。ここら辺に電波遮断できる地下空間もない。

鉄血もただ攻めてきただけで組織的な行動は見出せなかった。というかP基地から謝罪が来るということはユノちゃんがらみの事件だろうし100%ウチは無関係の被害者」

 

 

 むー、と唸りながらS09地区外縁の地図を表示する。

 09地区東部廃市街区域に表示されたマーカーはナガンの反応が最後に確認された場所だ。

 ここは鉄血兵はいないがとにかく入り組んだ街並みであることが有名で、増改築した街並みに地図は役に立たず、老朽化の目立つ建物が倒れ道を塞ぐ。

 ここで行方不明になったダミーも少数であるが存在し、人間については言わずもがな。ここを拠点にする盗賊がいるという報告も少なくない。

 

 そのような危険地帯だ。捜索となれば大いに戦力を割くことになり基地の戦力は削がれる。

 それを知って鉄血が何もしないはずはなく、襲撃直後で戦力再編中のこの基地の防衛能力は低い。

 

 それでも心優しい彼はきっと捜索のために部隊を編成するだろう。

 

 大切な仲間であり、先任の人材であり、本部所属であり、基地のムードメーカーであり、教官を務められる練度の高い戦術人形。

 

戦力として、

人形として、

人として、

 

 あらゆる面で必要になる彼女(ナガン)の損失が如何程のものか理解し、それを取り戻すには充分なリスクだと割り切っている。

 

 ナガンと一緒にこの基地の始まりから現在まで同じ時を過ごしてきたものとして、彼女を助けたいという情もある。

しかしそれは戦術補佐官であり、元指揮官としての彼女は許容できなかった。

 

 大規模攻勢の後、それを見計らったような同規模の襲撃は()()()()だろう。であるがその可能性が数%でも残る限り基地を危険に晒す真似はできないし、()()()()

 

 ここがただの前線基地であれば、ゴーサインを出したかもしれない。

しかしここはS地区外縁部の重要な防衛ラインでもあり、小規模であるがこの背後には街がある。

 一体の戦術人形と、何百何千もの人命。

 天秤にかけるには対価が重すぎた。

 

 

 

 

 無言で指揮官の机を漁り書類に承認判を押す。

訓練学校時代からの長い付き合いである以上、嫌でも物の配置の癖はわかる。例えば、結婚指輪と婚姻届を机の二重底の引き出し奥に隠しているとか。

 それに道具類も半分以上は指揮官時代手に馴染んだもの、手続きマニュアルも当然頭に入っている。

 

「アナログ方式はよく非効率なんだの言われるけど記録は消しやすいのはメリットかな。あいつ現代っ子だからアナログ弱いし」

 

 あとは適当な重要書類に混ぜて本部に郵送してしまえば晴れて真相は闇の中。書類さえなければいかに人形が口を滑らせようとも我関せずで押し通せる筈だ、と心の中で呟く。

 

 報告書を軽く振ってインクを乾かしながら、改めて書き損じがないか確認する。

 

 これを本部に提出すればナガンはあらゆる名簿から抹消され、09B地区所属()()()という記録だけが残る。戦術人形である以上彼女の扱いは備品と同義。ひとつ無くなったところで、新しいものが補充されるだけだ。

 

「そう割り切れれば、良かったんだけどねぇ」

 

もうすぐ歳の瀬。書類を茶封筒に入れる作業を終えた元指揮官。

 

窓の外に降り積もる雪を見ながら彼女はそうひとりごちた。

 

「寂しくなるなぁ......」

 

 




年末最後の投稿になるかと思います


それではみなさま、良いお年を。


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番外編 ーーーの消失 前編

年末年始は遊んでばかりでした。


コミケ楽しかったです。それではどうぞ

2020/01/11 タイトルを変更しました


 

 

 

 

 

「ちょいさー!」

「はーい」

「よっせ!」

「べー」

「もっと気合入れてよ!」

「そんな気張る作業でもないし」

「おふたりは仲がいいですねぇ〜」

「......(きね)が残像しか見えないんですが、どんな速さなんです???」

「ガンスミスの弟さん特製の高速餅つきOSです、ウチの風物詩になってるんですよ、初めてですか?」

「せんじゅつにんぎょうってすごーい!」

「あーうん、喜んでくれてなによりです......」

 

 本部からかっぱらってきた(支給されたともいう)赤や白など明るい色が目立つ晴れ着に身を包み、餅つき機も真っ青と言わんばかりの高速餅つきを披露するロクヨン式と62式の日本出身コンビ(犯人はプログラマー)。

 ずぞぞ、と通販でかった煎茶をすする補給班長とその隣でワイワイと騒ぐ子供、そしてため息をつく後輩ちゃんこと現指揮官。

 

 そう、今日は新年ということで基地開放の交流デー。基地内に近所の人を招いてのお祭りだ。

 

「にしてもこのスープ美味しいですね、甘くて」

「お汁粉、だそうです。ジャパンでは年越しや冬場に食べるってガンスミスさんが」

「日本って......輸送費とかは?」

P基地(おとなりさま)から格安で。さまさまです」

「ほんとなにしてるんですかアソコ!?」

「さあねぇ」

 

 掴み所のないこの壮年の男が指揮官はどうにも苦手だった。P基地との物品の受け渡しはこの男が責任者だというが、何か隠しているのではないかとつい勘繰ってしまう。  帳簿の上ではきな臭いのだがなぜか証拠が出てこないのも彼の不信感に拍車をかけた。

 とはいえ優秀なのは事実、ガンスミスの同僚ということもあり信頼は一応置いている。

 

 さておき今は1月は1日。せっかく基地を開放しているのだし積極的に交流せねばと立ち上がって、

 

「おしるこだって!」

「どんな味なんだろうねディーちゃん」

「たのしみ!」

「ぶっふう!?」

 

 戦場で見覚えのある白髪ツインテール幼女を見かけて思わず吹き出した。

 

「ウチの子がどうかしましたか?」

「えっと、その......なんでもないです」

「へんなのー」

(あれデストロイヤーでしょ、なんて言える訳ないでしょう!)

 

 同伴する姉らしき学生ほどの少女に咎められ気まずくて目線を逸らす。その様子をニマニマと眺める補給班長。その騒ぎに気がついてか、餅を配っていた漢陽88式が寄ってきた。

 

「つきたてのお餅ですよ〜、きな子に、あんこ、砂糖醤油もありますよー」

「お姉ちゃんお餅ってなにー?」

「え、えーと......」

「遠い島国でよく食べられてるデザートさ、嬢ちゃん。好きなのひとつ持ってきな」

「わーい!」

「こらディーちゃん、お礼は?」

「ありがとうおじさん! ハッピーニューイヤー!」

「お、おじっ......」

「気にしてたんですか?」

「......聞くな、まだこれでも三十路なんだ」

(嘘でしょう?! 明らかに50代の顔ですって!)

 

 

 

◇◇◇

 

 

「新年そうそうよくわからないことばかり......へんなのは来るし、出所不明の食材に戦術人形の高度な電脳に一切干渉すること無く組み込める外付けOSに鉄血人形らしきモノに!

 最前線なのに緊張感が足りないとは思いませんか! ねえガンスミスさん!」

「俺に絡まれても困るぞ」

 

 時と場所は移り娯楽室ことBar『Spring field』。珍しくカウンターにはスーツ姿のガンスミスが立っていた。

 ここは基地開放ゾーンの外であり、今日の喧騒から逃れられる場所でもある。現在進行形で重要なイベントが行われている以上閑古鳥が鳴いている状況がのぞましいのだが、ひとり客がいた。

 

「だいたい身長が低いからってコスプレ扱い......! ボクは20超えてるんです! お酒呑めるんです!」

「はいはい、甘酒飲んで一息つきな後輩ちゃん。お酒じゃないけど」

「ガンスミスさんまでボクを子供扱いですか」

「日本じゃ年末年始に飲むもんさ。味は人を選ぶけど、あったまる」

 

 差し出された陶器製のカップに注がれた白い液体を啜ろうとして、ふとある言葉を口に出す。

 

「楽しいですか?」

「ん? ああ、これかい? 外に出るのは嫌いじゃない訳じゃないんだけど、今は気分じゃなくてね」

「やっぱりナガンさんが居ないからですか?」

 

 きゅいきゅい、とグラスを拭いていたガンスミスの手が止まった。

 

「図星ですか。だいたい新年だってのに雰囲気が暗いんですよ。人形の皆さんはともかく、人間はそういうの隠すの得意だと思ってたんですが、ダダ漏れじゃあないですか」

 

 新年早々これではいいスタートが切れませんよ、と愚痴を零す。思い当たる理由など、ひとつしかない。

 

「それだけナガンは大切な存在だったって事ですか?」

「そうだよ。指揮官ちゃん、今は戦術補佐官だっけか。この基地はあの子とナガンの2人で作ったと言っても過言じゃない。

 それに、ナガンはここの立ち上げメンバーの1人だよ。詳しくは知らないけどな」

「あれ、ガンスミスさんて最初からここ所属じゃないんですか?」

「違う違う、俺は中途入社だよ」

「あんなに溶け込んでいるからてっきり」

「割と加入が初期の方だった、てのもあるけど、1番の理由はやっぱりナガンじゃねえかなぁ」

「ナガンが?」

「聞けば俺、ナガンの一声で雇われたって話だし」

 

 長い話になりそうだから、とカウンター側に移動したガンスミス。後輩ちゃんの隣に座り自分で注いだ甘酒を飲みながら、過去を懐かしむように話し出した。

 

「昔は人も資材もカツカツでね、損傷も直さずに出撃してた位には切羽詰まった運用してたらしいのよ。

 その時はP基地も無かった訳で、指揮官ちゃんはあの人間不信ぶり。支援のシの字も出ない、どこの旧時代の兵站かっていうね。それを改善したのは本部から派遣されてたナガンだったって話」

「人形がそんな提案をするとは思えませんが」

「ほら、戦術人形って前職がある訳じゃん。本人は記憶にないかもしれないけど、服装とか立ち振る舞いとかでだいたい察しはつくでしょ?」

「軍人だったり、コールガールだったり、メイドだったり、カフェの店員だったり、ですか?」

「ナガンにも聞いたことあるんだけど、なんだと思う?」

「......あの服装ですし寒冷地において活動を考えられているとは思いますが、それ以上は」

「北欧風のカフェで働いてたんだと。でも主人が倒れたから経営から食事接客清掃ぜんぶやってたってさ。結局のところご主人が亡くなって暇してたところをスカウトされた......つー話」

「はー、だから気が回るんですねぇ。お茶出してくれたり書類整理だとか」

 

 そういえばなんかそれっぽい、と1人納得する後輩ちゃんを待ってガンスミスは語りを続ける。

 

「人件費を増やしてでも仕事は分散させる。仕事を完全に部署分けして独立させる事で負担を増やさない。

 指揮官には最終決定権を渡すだけにして戦闘に集中させる。なかなか理にかなった事だと思うね」

「良くも悪くも会社みたいですよね」

「そのぶん風通しは良くなるように、人形を噛ませて雰囲気だけは明るくしてるのさ。

 それにラジオだってもっと住民に理解を得たい、て始めたことだしな。これもナガンが言い出したこと。

 案を出したのは俺だけど、それを形にしたのはアイツだしな。最初は新聞にするともりだったんだが、

『こんな紙切れでは血が通っとらん! せめて映像なり声でやらんか!』てな訳でラジオ放送になったわけだ。

アイツがいなきゃどうなってたことやら。この基地なんてとっくに空中分解してたかもなぁ」

「......人形といえども侮れないモノですね」

「だからこそ、アイツが無言で出ていったことが信じられないんだよ。あの世話焼きが無言で出るか? ありえない、今回の出撃で死んだって方が信じられる」

「それほどまでにですか?」

「ああ。信じたくないけどな」

 

突然内線電話が鳴り響く。ガンスミスがとり少し話したところで、後輩ちゃんに手招きした。

 

「隣のP基地からだ、なんか話があるんだと」

「話ですか......はいこちらS09地区B基地指揮官、ワイズマンです」

『こちらP基地指揮官ユノです。おば......ナガンちゃんのことでお話があって』

「ああ転属の話ですか。大丈夫ですよ、彼女は元々本部付きですし、呼び戻されたっておかしくは」

『ええと、ちがくて。この前の大規模な戦闘がありましたよね、そこでナガンが戦闘中に行方不明(MIA)になったことで、お話が』

 

 

その声は静かなbarによく響いた。

 

 

作戦行動中行方不明(MIA)

 

それは、奇跡のような例外を除いて。

 

 

戦死を、意味していた。

 

 

 

『と言うことでしたのでこちらで捜索隊を作り......』

「どういうことですか?! その話! ボクは聞いてませんよ!」

『え、はい、指揮官不在ということでマクレーンさんにP基地はナデシコも使っての捜索を協力すると』

 

「......わかりました。

 こうなったら本人を問いただすしか、一体なんのつもりなんですか!」

『あ、ちょっ』

 

 電話を乱雑に切り上げ怒りを露わにする指揮官、そのまま走ってBarを飛び出して行った。

 

「ナガンが......死んだ......?」

 

 

 

 

 

 

 




焔薙様『それいけポンコツ指揮官(以下略)』様ではあちら視点のお話もあります。
最新話ではありませぬが、そちらもぜひ


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番外編 ナガンの消失 中編

レポートからの現実逃避は楽しいですね。

というわけで深夜テンションとか鬱気分とかをレッツラ混ぜ混ぜした続きができました。
どういうわけか前後編のはずなのに終わってくれませんでした、不思議ですなぁ。


 

 

 

 

「毎度思うがズボラと言われぬかお主?」

「これでも整理できてるんだが」

「それは整理できない人間の言い訳の通例じゃぞ」

 

 散らかったいつもの整備室でで書類をめくるガンスミスを揶揄うナガン。当の本人は不満げに頬を膨らませた。

 

「わしがおらんとどうにもならんな。居なくなった後が心配じゃわい」

「傭兵時代はしっかりやってこれてたんだ」

「でも昔とは仕事は質も量も段違いじゃろう? いい加減整理整頓すべきだとは思うが。まあ、お主が良いならそれで良いじゃろう」

「お節介なのか投げやりなのかハッキリしたらどうなんだ」

「わしは言うべきことは伝えるが、そこまでとやかく言うつもりはないぞ」

 

 机に腰掛け足をプラプラ揺らしながら、ナガンは当然のように言う。

 

「わしら戦術人形は、いつどこで死ぬかわかったものではないからのう」

 

 

何故笑っていられるのか。

プログラムされたから、もしくは理解が及ばないか。

それとも、自分とは違って兵士だから覚悟していたからのだろうか。

 

 

 

 

 

「という感じでお願い。あれ、どうしたの? そんな怒ってーー」

「場合によっては殺します。今からいう質問には全て嘘偽りなく正直に答えてください」

「し、指揮官さん?!」

 

 ヘラヘラといつものように振る舞った指揮官の眉間に銃口が押しつけられる。それでいても彼女は表情を崩さす、当然だよねと呟いた。

 慌てるのは隣で話をしていたM1911だ。何せホルスターの銃を勝手に抜かれたうえに銃口が上司に向けられている。しかも民間人がいる今日の基地内に限って。

 

「......何故隠したんですか」

「なんのことを?」

 

スライドを無言で引く。

 

撃鉄が倒れ初弾がこめられる。

 

安全装置などとうに外れている。

 

「ナガンのこと、どうして隠蔽したのか聞いているんです」

「私がそうすべきだと思ったからだよ」

「......話になりませんね。まず何がどうしてそのような結論に達したかそのプロセスを懇切丁寧にお話しください」

「し、しきかん! いったいどういう」

 

 発砲する。

 

「少し席を外してもらえますか? 今日は虫の居所が悪いようでして」

「し、失礼しましたー!」

 

 頬をに赤い線を引いたM1911は無言で何度も頷いた後、高性能戦術人形としての機能をフルに活用してこの場から逃げた。

 邪魔者がいなくなりあたりが静寂につつまれる。先に動いたのは銃を向ける現指揮官だった。

 

「2人っきりですね先輩。では吐くもんキッチリと吐いてください」

「そうだね。順序立ててだったかな。でも私はそういうの嫌い。

 

結論から言わせてもらうと、

()()ナガンを助けるべきだと思わなかった」

「......彼女の存在の大きさ、影響力を加味してですか」

「それでも私は助けるべきではないと思った」

 

黙り込む。何かを逡巡しているのか。

 目はまっすぐにこちらに向けたまま、しばらくしてまた口を開く。

 

「先程ガンスミスさんにナガンさんのお話を伺う機会がありました。

ナガンと先輩は一緒にこの基地を作ってきた仲だと。そうお聞きしました」

「そうだよ」

「何故ですか?今では疎遠だったかもしれません、たかが人形だったのかもしれません。

だとしても、冷徹にナガンを切り捨てられる理由が僕には理解(わか)らないんです」

「......そっか」

 

 元指揮官は目を閉じた。

 指令系統を無視した行動は反逆罪に他ならない。その罪に対する刑は死刑すらありうる。そういうものなのだ。

 

それに......良心の呵責が、無いはずがないのだ。

 

「じゃあ辞める。基地やめる」

「どうしてそう論理が飛躍するんですか!」

「わたしだって好きでこうしたわけないじゃない!」

 

反射的に目の前の人物を突き飛ばして、叫ぶ。

自分だって好き好んで死に追いやる事なんてしたくなかった、だけど、こうするしかなかったんだと。

 

「わたしは指揮官だから......人を死なせるわけには......可能性があるなら、できなかった!」

「全然話が見えてこないんです! 回りくどいのは先輩の悪いところですよはっきりと言ってください!」

「わたしは! ナガンを救うために払われる犠牲を許容できなかった!」

 

「だってそうでしょう! ナガンを助けようにもこの基地は万全とは言えなかった! 部隊再編、再訓練、消耗品の補充、何もかもがたりてない。そこに私事で部下を動かしたら確実に防衛ラインは崩れる。

そこを鉄血に襲われる可能性を考えたら、って! 考えたら、考えたら! そんなことできない!」

「その程度()()()()()()()()()()()()! 相変わらず周りが見えていないんですか!?」

 

銃を投げ捨て胸倉を掴み、壁際に叩きつける。背中から抜ける鈍い痛みに呻くのも御構い無しに後輩からの口撃は続く。

 

「いいですか!? ここにガンスミスさんが捜索に使用した監視衛星、隣のP基地には千里眼持ちのナデシコ指揮官もいるんです! 隣の08基地にだって頼んだっていい! 誰かに相談さえすれなどうにでもなったはずです! どうして誰にも相談せず握りつぶしたんですか! いまだに自分が指揮官だと勘違いしてるんですか!

 はっきり答えてくださいよ先輩!

これはあなたの悪癖が、人に頼ろうとしないあなたが引き起こしたことなんです! なんとか言ったらどうなんですか!

 黙ってないで答えてください! 何か一つでも言い返したらどうなんです! ええ!」

「うるさい!」

 

言われなくとも分かっている、これは自分のせいだ。ナガンを殺したのは自分なんだ。

あれからずっと、自分の中で誰かが言い聞かせていた。

それを正当化できる理由を見つけて、ごまかしてきた。

 

勝利のための犠牲だった。

民間人を守るためには仕方ないことだった。

そもそもこの程度で済んだことを喜ぶべきだった。

 

「私は間違ってない」

「間違ってます! あなたは彼女を見捨てた! 助けられる可能性を自ら切り捨てて!」

「違う違う違う違う! 私は指揮官としてこうするべきだった! 戦術補佐官として最良の手順を踏んだ! 私がナガンを殺したことは間違いなんかじゃない!」

「人殺しに間違いもクソもあったもんじゃないでしょう! 善悪をそんなものに押し込めて語らないでくださいよ!」

「そこまで」

 

 ゴム底の作業履特有の鈍い足音。この足音の主は何人といるが、指揮官に気軽に声をかけられる人物となれば自ずと限られてくる。

 

「ガンスミス、さん?」

「……そういえば置いてきぼりでしたね」

「はいそこまで、二人とも頭を冷やして。銃声がしたもんだから急いで飛んできたんだけど、どうしたのさ」

「っーーーーー」

 

顔を伏せたまま元指揮官はこの場から逃げ出した。

すれ違う最中、彼女は泣いているようで、悔やんでいるような。どんな表情をしていたかガンスミスにはわからなかったが、現指揮官は何も言わない。

 

「本気の喧嘩なんてらしくないじゃん、もしかして痴話喧嘩? それとも何か大切なこと?」

「……当の本人がこうではやる気も失せますね。でも、これが指揮官の務めですし」

「なんか言った?」

「ガンスミスさんには大切なお話があります。落ち着いて聞いてください」

 

M1895ナガンは、MIA、戦死扱いとなりました。

 

「やっぱりそうか」

 

納得していたように、それでも、受け入れることが難しいのか。眉をしかめ、深々とため息を吐く。

 

「ガンスミスさんはナガンさんととても仲が良かったです。だから、このような事態になってしまったのは自分の責任です、だからーー」

「別に責めたいわけじゃない、遅かれ早かれ覚悟してた事だ。それにーー」

 

 

 

『え、わし、勝手に殺されとるのか? 確かにちいとばかし生死の境目は彷徨ったがの、なんとか生きておるぞ』

 

「………… はいいいいいいいい?」

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「ううむ、驚かそうと思うて生存連絡はこちらからというのは悪手だったか?」

 

09P基地のベッドの上でポツリと呟くのはそう、いつの間にか死んだ事扱いにされていたナガン。

 

「つながりましたか?」

「ああ、感度良好じゃ。あやつが誘拐されてから携帯を持つようになって助かったわい」

「そもそも携帯は連絡手段ですよ?」

「はてそうじゃったかのー」

 

医師を務めるPPdhー41に対しおどけてみせるナガン。その様子はお世辞にも万全とはいえない。人工皮膚は未だつぎはぎまみれ包帯だらけ、顔にも手足にも裂傷をの後遺症が痛々しい。だが大切な機能には何一つ欠けはなく、会話程度には十分。それでもベッドに寝かされているのは手足がまだ完成していないからだ。

 

「今では見ない旧式パーツ、崩壊液技術があるとはいえ設計図がないことには一苦労です。よくこんな体で無茶ができますね」

「人生にはやらねばならぬ時がある、たったそれだけのことじゃ」



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番外編 ナガンの消失 後編

これにて終了です。くぅー疲れました。


最近は友人に勧められて始めたエクバが楽しくて仕方ないです。

まだまだ少尉1ですが気楽にやってます。だから執筆時間がね......


 

 

 

 

 

「世話になったの」

「元気になって何よりです、ですが」

「気にしてはおらぬよ」

 

P基地医務室。そこにはいつもの衣装に袖を通したナガンの姿があった。しかし改装前の旧モデルということはつまり、この基地の副官であるM1895ナガンではないということを示していた。

 

「すみません、私たちの実力ではこれが限界でした。でも、本当にいいんですか?」

「なんの話じゃ」

「その傷ですよ」

 

 彼女の発言に対し発言に振り向くナガン。その顔には大きな裂傷が走り火傷の跡が痛々しい。服で隠れているが身体も同様に生々しい傷跡が残っていた。

 しかし傷をそのままにしたのはナガン自身の決断であったのだ。

 

「M1895型義体にはメンタルアップグレード、MOD改装に対応した新義体があります。ペルシカさんも引き受けてくれるでしょうし、副官のように新しいボディに換装しても」

「そちらの副官殿は戦うためにMOD改装を受けたのは聞いた。しかし、わしはそういう立場にはなるつもりはない。

 確かにわしも身体にガタがきておったのは事実ではあるし、何もなくても有事に備えて改装するのも悪くない」

「だったら」

「だが、わしはこれで良いのじゃ」

 

 何かを思い出すように晴れ渡る空を見上げる。

 

「話は変わるが夢を見ての」

「夢? 戦術人形がですか?

「そうじゃ。わしもずいぶんと驚いた。

その夢で面白いやつと会うてな、色々と影響されてしまったのじゃよ。

 わしの身の丈に余るようなことじゃし、人形がそう思うのは本当に滑稽だとは思うが......」

 

一息置いて。

重荷を降ろしたような晴れ晴れとした表情で。

これからの未来が楽しみだと、期待で胸を膨らませながら。

 

「人間として生きてみたくなったのじゃよ。それにーーー」

「それに?」

 

 

「P基地には優秀なハッカーがおるようじゃし、利用してちと花火をあげようと思うてな」

「うわ悪い顔。何を始めるつもりですか?」

「なあに、ちいとばかし花火を打ち上げるだけじゃが?」

「.............ああ、そういう事ですか」

「察しのいい人形は好きじゃぞ。この事は内密にな」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「雰囲気が悪い!」

「元気そうね」

「煩わしい太陽ですね(おはようございます)」

「代打コンビおはよう、何用?」

「ここしばらくは整備の腕が悪くてね! 再メンテよ再メンテ!」

「相方の銃整備を学ぶのも役に立つかもしれませんし、この機嫌ですしね」

「はいはい、じゃ出すもん出して」

「まったく、あんた以外信頼できないわ。どうしてこんなこともできないのかしらね」

 

 ギロリとガンスミスを睨みつけるWA2000を遠まわしに諫めるウェルロッド。いつものことだとガンスミスが無視して整備を始めようとしたところで珍しくウェルロッドが口を開いた。

 

「空気が澱んでいる、というのは私も同意します。特に司令室の空気はよくありません」

「確かに張り詰めた空気。まるで作戦中の修羅場よ。私たちならともかく新兵が震え上がってちゃ動けないわ」

「ベテランらしい意見どうも。しかし、後輩ちゃんが口を聞かなくなったのは驚いたよ」

「一方的に会話してたものね。だからこそコミュニケーションが取れていたとも言うけども」

「ただの伝達ミスがどうしてここまで発展したのか、私はわかりませんね。

 ナガンさんは戻ってくる事ですし、水に流せば良いじゃないですか」

「そんな事じゃないんだよな」

 

 ウェルロッドの物言いが引っかかるのか、作業を中断して2人に向き直るガンスミス。

 

「今回はナガンが死にかけたのが問題じゃあない、そのことが共有されなかったことが問題なんだ。

 指揮官ちゃんが後輩ちゃんに報告を上げてりゃ、問題は......まあナガンが死ぬことは大問題だし俺もどうなってたかわからんが、ナガンを見捨てることはそれほど問題じゃあない。

 大を助け小を見捨てる。その中にたまたま今回ナガンが入っていただけの事。

 

それを1人で抱え込むのが問題だったんだ。

いいか? 今回ばかりは指揮官が悪いが、その理由はわからんでもない。

......俺だって、ナガンが死んでたらかなり取り乱した自信はある、この基地を辞めていたかもわからん。それを見過ごせない指揮官ちゃんが誤魔化しをした気持ちも理解できるよう。

でも、後輩ちゃん的にはそれが許せないんだろうさ。最悪隠し通すにしたって自分に話して欲しかった。そう思ってたんだろ。

だけど指揮官ちゃんがひとりで抱え込んでしまってこの始末。怒鳴り散らすのも無理はないさ」

「それはただ今の指揮官が信頼されると思い込んでただけでしょう? 理想を押し付けて勝手に失望しただけじゃない」

「しかしだな」

「……私も同感ではあります」

「そもそも人形に助けを求めるのが間違いなのよ。人間同士の問題は人間同士で解決すべき。私たちはただの道具(ツール)にすぎないんだから、人間の価値観をあてにしないで」

 

 つっけんどんな物言いにへこむガンスミス。それに対し先ほどから考え込んでいた様子のウェルロッドが妙案でも思いついたように指を鳴らした。

 

「ナガンさんであれば、説得は可能かもしれませんね」

「ナガンが? どうしてまた」

「元指揮官から信頼を受ける人形ということもありますし、市井の生活が長い経験から一番人間らしい価値観を養っているということは明らかです。今回の事件の発端でもありますし、彼女をおいて事件を収めることはできませんよ」

「ふーん、ナガンを通せば解決するかもって、そう言いたいわけ?」

「可能性は一番高いかと」

「問題は、いつ戻ってくるかわからないってことか。あれからとんと音沙汰がない。もう2週間も経つんだぞ」

 

 ガンスミスの言う通り、ナガン自身が無事であると言う連絡をしたのは2週間前の話。しかしそれ以降連絡は一切なく音信不通。保護したP基地にも連絡を入れ確認をとったものの、P基地側も忙しく十分な連絡が取れていないと言うのが現状だ。

 それに音信不通だけが問題なのではない。

 

「他にも問題は山積みです。除籍処分の話は? 取り消しなんですよね」

「それを決めた本人があれだぞ、話しかけられるかっての。本部に連絡したかどうかもわからないのに」

「もしかすれば、もう戻ってこないかもしれないわね」

「別の基地に転属ってことですか?! このまま!」

「あながちない訳でもなさそうなのがな。本人だって自覚してたから」

「彼女の出自を鑑みればない話でもないですが……」

「このままこじれれば、取り返しがつかなくなる。どうにか……ん?」

 

 WA2000が素早く整備台においていたライフルWA2000を構え、ウェルロッドも抜け目なく拳銃に弾を込めあたりの気配を伺う。ガンスミスは手頃な工具を持って姿勢を低くし同じくあたりにきを配る。

 

「敵か?」

「ここには私たちしかいない。スパイかも」

「冗談きついぜ」

「静かに、敵の先手を取るんです」

 

 このような奥まった場所では拳銃の独壇場。WA2000に目配せをしてウェルロッドは静かに音の発生源へ向かう。

脳裏に色々な可能性が巡る。この不和を見てどこかの勢力が仕掛けてきたか、はたまた競合他社のスパイか。

 

(…何か這いずるような音、ダクトか地下の配管の二択ですか。音が変に反響してやりづらい。ですが)

「そこです!」

「……ハズレじゃ。まだまだ、任せるには技術が足りんのう」

「その声は......なるほどそういうことですか」

 

 ちゃき、と後頭部に銃口を突きつけられ手を挙げるウェルロッド。銃をつけつける侵入者とは、もちろん。

 

「お前......」

「あなた......」

「まあその、なんじゃ」

 

 彼女は振り向いて、傷だらけの顔に苦いような照れ臭いような表情を浮かべながら。

 

「こんなとき、なんといえばいいのか」

「......たく、遅い帰りだったな」

「心配するだけ、やっぱり無駄だったわね」

 

「おかえり、ナガン」

「......っ、ただいま」

 

「それはそれとして協力してほしいことがあるんじゃが。具体的にいうとだな......ごにょごにょ」

「......ショック療法って大事だよな」

「いいんじゃない?」

「劇物は時に薬となりますが、大丈夫でしょうか」

「なんとかなるじゃろ。もう仕掛けは張ったことじゃし、話を聞いたお主らはもれなく共犯者じゃ」

「嵌めやがったな!」

 

◇◇◇

 

「というわけでのこのこと帰ってきたわけじゃが......まあ随分と様変わりしたのう」

 

 ナガン自身がひらひらと手で振っているのは、自身の除籍処分通達書の写し。その目線の先には俯く元指揮官と、少し離れて作業に勤しむ現指揮官の姿。

 

「事の顛末(てんまつ)は聞いたが、あのような状況では除籍も当然の判断とも取れる。問題は除籍処分の結果書類上は存在しないワシの処遇じゃが......」

 

 ますます暗い雰囲気が増す元指揮官。現指揮官のタイピングの音が耳に痛いほどに大きくなっていく。

 これほどまで仲が悪化してるとは思わなかった、と内心驚くナガンであったがこれ以上は引き返せない。

 

「お主らの養子として適当に書類を書き換えておいた。よろしくの、母上、父上」

「......なんの話です」

「いやなに、本当は生き別れた妹とかに改竄しても良かったんだがの、両方とも親族が存命なれば騙せるものではない。であれば夫婦の養子としてなれば出自は怪しくとも引き取ることも容易じゃろうて」

「......夫婦?」

 

 タイピングの音が止まり視線がこちらを向いた。あとは野となれ山となれと内心やけっぱちになりながらさも妙案のように自信を持って言い放つ。

 

「というわけで、結婚おめでとうなのじゃ」

 

「......は?」

「はい?」

 

呆気にとられる2人。

しかしこれは電撃戦、畳み掛けるが定石。

 

「そもそも人を信頼できない悪癖がここまで問題を拗れさせたんじゃ。まず隗より始めよという古い諺に倣って1番身近な人間同士、ちと親交を深めてみればというお節介をーー」

「いやいやいやどういうことですか説明を要求します!」

「ワシはここにいたい、お主は此奴と結婚したい、こやつは性格を矯正したい。

win-win-winのまさにパーフェクトな案じゃろう? かーっ、思いついたわしが憎い」

「確かにそうでしたが、時と場合を弁えるべきーー」

「できないよ」

 

 ハッキリとした声で拒絶する声。

ふるふると、力なく元指揮官は首を横に振った。

 

「だってさ、私はナガンちゃんを、見捨てたんだよ。こんな私が......」

「たわけ。そもそもわしはお主の判断が間違ったものだとは思っておらんわい」

「いてっ!」

 

 意気消沈して言い訳をするやるせない顔を軽く叩き、世話がかかるとため息をつく。

 

「別にわしを見捨てるのは間違いでない。お主とわしが逆の立場でもそうするし、お主も納得するはずじゃ。現にわしも納得はしていた。

 今回はそれを他人に相談しなかった、お主の悪癖がもたらしたことじゃ」

「......」

「これで見えてくるものもあるかもしれん。しばらくは、自分を見つめ直すのも悪くないのではないのか?」

 

 ではこれで失礼する、と回れ右をして去ろうとするナガン。

 

「あ、あの」

「結婚式は己がしたい時にすれば良いじゃろう、わしは干渉せぬよ」

 

ぱたむ、と扉が閉まる。

 

「......」

「......」

「ふ、ふつつか者ですがよろしくお願いします?」

「......私は嫌だから。ナガンのために仕方ないから」

「デスヨネ......」

 

 





結婚したな、ヨシ!(現場猫


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番外編 ーーー大明神?


今日も今日とてなんとやら、お久しぶりです。
バレンタインもすっ飛ばして懲りずに番外編ですね。ほんへはどこ......?
とはいえ今回はコラボですので真面目にやります。

というわけで、こちらは派遣まで。
鮭酒 様 作『終末世界にて碧い竜は地を清める』
https://syosetu.org/novel/198601/
とのコラボになります、それでは!


 

 

 

 

 

 

「ガンスミスさーん、依頼が来てますよー」

「あいよー」

 

 あの事件からやっと1ヶ月が経とうとしている。

 基地の雰囲気はまだギクシャクしてお世辞にもいいとは言えないが、いつも通りの馬鹿騒ぎができるくらいには戻ってきた。

 ナガンの帰還とともに組織再編も進んだらしいのだが、俺にとってはどこ吹く風。いつもの如く銃の整備をしてたまにラジオもやり、ちょくちょく他所から飛び込んでくる整備依頼をこなす。

 そう、こんな感じにね。

 

「ご無沙汰してますーガンスミスさん」

「ああ、お隣さんのL85ちゃんじゃあないの。依頼ってのはまた君らの基地からかい?」

「今回は友達から言伝を頼まれていましてー。銃器整備の依頼をしたいということでー、頼まれた訳なんですー」

「なるほど。じゃあ早速場所と依頼内容を」

「......考えなしというかなんというか」

 

 ナガンのぼやきは聞かなかった事にしてと。ふんふん、流れの戦術人形で、有事の時に備えたいから銃のメンテナンスが入り用で、さらにすんでる場所も暗いから電気配線も見てやってほしいって?

 

「わっかりました引き受けましょう!」

「ほんとですか? ありがとうございますー!」

 

 いやあ人助けもできて整備欲も満たせてお金ももらえる。なんと理に叶った仕事であることか、やはりこれが天職というもの、素晴らしい!

 ペコペコと頭を下げていたL85ちゃんではあるが、他にも仕事があるとのことで去ってしまった。君の銃はデリケートだから早くバージョンアップすべきだと言いそびれてしまったが、問題はそこじゃあない。

 

「......指揮官ちゃんがいるということは裏でもある? いつもは言付けだけして帰る、おかしい」

「察しのいい人は好きですよ」

「なんじゃなんじゃ、やっかいごとであるならば口出しはするぞ」

「確かにそうなんですよね......

 まず依頼先の基地の場所。ここはもともと研究所だったらしいです。誰が、どんな目的で、いつ建てたか。それは明らかではありません、危険すぎます。

 そしてそこにいる流れの戦術人形。規約上、戦術人形は廃棄されても一応はG&K社に権利があります。要は、ルールによって彼女らは連れもどさないといけないんです。

 最後に、そこの振る舞いです。

 最近ここらでは未帰還になっていた戦術人形が元気で戻ってくる事例が相次いでいます。それだけであれば喜ばしいことですが、彼女ら曰く口を揃えて『廃墟から資材を得た』なんて言ってますが、うちの基地そこまで廃墟多くないです。となれば」

「ここで救助活動が行なわれていると?」

「その通りです」

 

 ナガンの意見にうなずく指揮官ちゃん、なんだかきな臭い空気になってきたな。

 

「となるとつまり......どゆこと?」

「僕が思うに、彼女らが指揮官と仰ぐ何者かがいますね」

「わしも同意見じゃ、戦術人形だけでここまで積極的には動けぬ。とっくにどこかの基地へ身を寄せているはずじゃ」

「でも引き受けるって言っちゃったし、今更断りは入れにくいぞ?」

「ガンスミスさんなら引き受けると思ってましたよ、それくらい織り込み済みです」

 

 大きくため息をついてから指揮官ちゃんが説明を始めた。そういえば後輩ちゃんとの付き合いもだいぶ長くなってきたっけ。

 

「ガンスミスさんは普通に仕事するだけで結構です。ついでにG&K社規約についてしっかりと伝えることが僕からのお願いです。

 あとはそうですね、彼らが指揮官と仰ぐ何者か......その人物をこちらにスカウトするのも悪くないですね」

 

ウチはいつでも人手不足ですし、と付け足したところで指揮官ちゃんが思い出したように指を鳴らす。

 

「モチロン無料とは言いません。この依頼料は僕のポケットマネーから支払いますよ」

「こやつにスパイの真似事は無理だとは思うんじゃがなぁ」

「普通にしてればいいんだろ? ついでに言伝を頼まれた感じでやればいいってんなら引き受けるさ。場所は?」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「まさかこんなところに研究所があったなんてな」

「峠を超えた先となると、何やら後ろめたいものを感じてしまうのう」

「全く。人体実験でもしていたんだか」

「さてな」

 

 このまま道なりに行けばもうすぐじゃ、とナビゲート担当を買って出たナガンが言う。山道で若干入り組んでいるから近所とはいえないが距離的にはだいぶ近いとか。

 

「......と、もう道のりだから案内は不要か。

 この湖をぐるりと回れば研究所跡じゃ。入り口は分からぬが、出迎えくらいはあるじゃろうて」

「おお」

 

 視界が開ける。山の頂上付近、森にぽっかりと開いた湖が目に飛び込んできた。

 一見するだけでとても澄んでいて、最近では滅んで映像風景だけだった自然の風情、それに近しいものを感じる。

 

「少し降りてもいいか?」

「よいぞ、わしもそう思うていたところじゃ」

 

 長時間運転で凝り固まった身体をほぐしながら大きく息を吸い込む。いつも吸う排気や有機溶剤、そういった工業系の匂いとは無縁な自然のまっさらな空気。

 

「「実家(あちら)を思い出すなぁ......」」

 

 無意識に感嘆の声を漏らす。

 

「......て、人形までそんなこと言うか?」

「言いたくなっただけじゃよ。そのうち話すと思うが......ん、通信か。少々古いコードじゃが......もしもし?」

 

 耳に手を当て何かを話し込むナガン。と同時にチカチカと視界の隅が何やら点滅を始めた。水の反射でもなし、これはモールス信号か......?

 

「ミズウミカラシキュウハナレルベシ、キケン?」

「......よく分からんが離れた方が良いらしいぞ。すごい剣幕じゃ」

 

 ナガンも似たようなことを言われたらしく、素直に車に戻る。エンジンはアイドリング状態だったから発進には手間取る事はないが、

 

「一体何があるのやら。湖にヌシでもいるのか?」

「ヌシとな?」

「湖の中でもひときわデカいやつの事さ。日本じゃ蛇だか魚だか、そこに住む神様のことも指すんだ」

「神様に喧嘩を売っている人形が聞くことではなかったな。まあ良い、神様でもいるなら御利益貰えるかも知れぬの」

「どこでそんな言葉ならったんだ?」

「わしの博識さを舐めてもらっては困る」

 

 どれひとつ拝んでやるか、と助手席から興味本位で顔を出すナガン。その時だった。

 

莫大な音量の水音。

 

それも大魚が跳ねるといった生易しいものではない。

 

まるで、ウン十メートルサイズの巨大なものが跳ねるような......運転中とはいえ振り向いてしまった。思い返せばよく事故らなかったなオイ。

 

「な、んじゃそれはぁああああああああ?!」

「......俺、悪いことしたかな」

 

そんな呟きは、降ってきた大量の水にかき消された。

 



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番外編 やきうスペシャル 

お久しぶりです、通りすがる傭兵です。

大変お待たせしました......というわけで。


野球しようぜ。


 

 

 

 

 

 

 

「......そうだ、野球をしよう」

 

きっかけは、指揮官の言い出したこの一言。

 

「やきゅう? ベースボールのこと?」

「最近体動かしてないし! 暇だし!」

「うぃーす、整備予算の提出に来ましたって、なんの話?」

「なんか急に野球したいなって言い出したのよ」

「......乗った」

「ガンスミスさん?」

 

人から人へ。

 

「よし、ホームラーン!」

「つまんなーい! RFBが勝ってばかりじゃん!」

「へへーん、腕を磨きなさいスコーピオン」

「野球ゲームか、懐かしいね」

「あ、補給班のおじちゃん!」

「おにーさん、な? ところで、ガンスミスとかが野球したいって騒いでたな」

「ふーん、いいじゃない」

 

人形から人形へ。

 

「......最近出撃もありませんし、手榴弾を投げる腕も鈍って来たところです」

「SMGの重要な武器のひとつにゃけど、そこまで神経質に、にゃにゃ?」

「これは......」

「ベースボール? 面白いこと考えるにゃー」

「似ている......」

「にゃ?」

 

 

 

と、言うわけで。

 

「さあ始まりました人間vs人形のガチンコ野球勝負! 実況はわたしM1911が! 解説には100式さんをお呼びしています」

「よろしくお願いします」

「審判長にはM21、塁審それぞれファーストベースからM2HB、Mk23、M16A1がつとめます」

「まずスターティングオーダーを見ていきましょう。まずは人形チームから」

 

1二塁(セカンド) スコーピオン

2中堅(センター) 89式

3一塁(ファースト) M14

4DH (指名打者) NTW-20

5左翼 (レフト)AK-47

6三塁(サード)Am RFB

7右翼(ライト)Cz75

8捕手(キャッチャー)ウェルロッドMk-Ⅱ

9遊撃(ショート)IDW

 

P(ピッチャー)先発 WA2000

 

「続いて人間チーム......人数不足から数人ほど人形がいますけどね」

 

1中堅 ジャックス/補給班同僚

2 遊撃 ナガン

3 捕手 レン/指揮官

4 一塁 死神さん

5 三塁 ガンスミス

6投手 アリサ/元指揮官

7 右翼 モシン・ナガン

8 二塁 プログラマー

9 左翼 カリーナ

 

 

「......といっても、この紙を読んだだけじゃよくわかんないこ人も多いですけどね」

「まず遊撃とか未経験者にはわからないですよね」

「じゃあ詳しく説明しよう」

「ガンスミスさん?! 選手のはずじゃ」

「開始まで時間あるし大丈夫でしょ」

 

よっと、とユニホーム姿のガンスミス姿がスターティングメンバー表を手に取った。

 

「まず野球のルールに簡単に説明しよう。

 

基本的に野球は9人対9人で行うスポーツ。攻守に別れ、守備側の1人である投手が投げた球を打者がバットで打つ。

打てたら反時計回りにベース......あそこの白い四角形のやつだ。

それを一周して、ホームベースに触れば得点になる。

 

これを繰り返して、得点数を競うゲームだな。

 

ちなみに攻守交代の方法は3つアウトを取ることだ」

 

「打者が打ったボールを、地面に触るより前に取る。

打者がベースに触るより先にボールを持ってベースに触る。

三振を取る、でしたっけ?」

「だいたいそんなところだな。では次は守備意図についてだ。

 

 投手は文字通り球を投げる選手で、チームの柱的存在になる。

 捕手というのはその球を受ける役割の選手だ。どこに球を投げるか、など一番頭を使うポジションとされている。

一塁、三塁は見て分かる通り、ベース付近の守備を行う。

一塁はゲーム中でかなり球を受け取るポジションであり、しっかり捕球できるかが大事だ。

三塁は一塁方向に球を素早く投げる守備技術が求められる。

二塁手は 一塁と二塁の間を守る。ここは一番ボールが通り抜けるスペースだから、足の速さと守備力が求められる。

遊撃手はその隣、二塁と三塁の間を守る。一説によれば、一番センスを求められる守備位置だそうだ。守備に加えて送球の良さ、速さが求められる。

 次は右翼、中堅、左翼だ。

これはホームベースから向こうをみて右、真ん中、左を守る。まとめて外野ということもあるな。足の速さや肩の強さが求められる」

「じゃあDHというのは?」

「指名打者といって、打撃専門の選手だ。今回はハンディとして人形側のみ採用している。要は投げる専門の投手の代わりに打席に立つんだな」

「なるほど、つまり相当バッティングに自信があるってことですね」

「そうなるな。実に楽しみだ」

 

窓から外を見ていたM1911が気がつき、自分のマイクの電源を入れた。

 

「と、ガンスミスさんの解説も終わったところでウォーミングアップも終わったようです、選手たちが並び始めましたね」

「というわけだ、じゃ、頑張ってくるよ」

「いってらしゃいませ、ガンスミスさん」

 

 

◇◇◇

 

 

「先攻、人形チーム。礼!」

「「「よろしくお願いします!」」」

 

人間側チームが守備位置に散っていき、元指揮官が投球練習を始めたころ。

同じく人形側も作戦を練っていた。

 

「......指揮官さんの持ち球はストレート、スプリット、スライダー、カーブ。

スライダーの変化量が少ないので狙い目かもしれません。しっかり引きつけて球種を見極めていきましょう」

「ありがとう89式。わたしとしては、左翼のカリーナは狙い目ね。そこまで肩も強くなさそう」

「要注意人物はナガンですね......かなり練習したと聞きますし、ガンスミスさんが何を吹き込んだか」

「ジャックスは経験者と言っても私たちの敵じゃないわ。

 悪いけど、10点コールドゲームで決めてやるわよ!」

「「「了解!!」」」

 

 

 

「......とか思ってるんでしょうね」

「まさかカリーナが元ソフトボール選手だとは知らなかったよ」

「えへへ」

「指揮官クンだってなんでそう器用なのかネ? あとオジサン4番とかヤな予感」

「ガンスミスさんには負けるよ」

「ボクがキャッチャーでいいんですかねぇ......特訓したとは言え未経験者ですよ?」

「ままま、なんとかなるよ」

「それじゃ、みなさん頑張っていきましょう!」

「「「了解!」」」

 

 

 

「プレイボール!」

 

 M21の元気な掛け声と共に、男子顔負けの豪快なワインドアップ投法から第一球が投げ込まれ、

 

「あっ」

「あっ」

「あっ」

「やばっ」

 

それはもう、みごとな真ん中高めの力のないすっぽ抜け。

カキン、と芯を捉えたバットの快音が仮設スタジアムに響き渡る。

 ライト方向に高々と上がった打球を守備につくモシンナガンは追うことなく見送った。

 

「......いやー、すごいねぇ」

「やたー! ホームランだー!」

『ホ、ホームランです! 先頭打者ホームラン!スコーピオンの目が醒めるような一撃と共に、先攻チームに1点が入りました!』

『元指揮官さん、緊張してたんですかねぇ......』

 

 白球は建材を利用したフェンスの向こう側へ消え、ゲラゲラと笑いながらM2HBが腕を回す。

 先頭打者初球ホームランという派手な幕開けとともにゲームが始まった。

 

「しょーがないですよ先輩! 切り替えていきましょう!」

「......うん、わかってる」

 

マスク姿の後輩ちゃんが投手の元指揮官を鼓舞するが、いまいちピリッとしない。

 

「ボール、ボールフォア!」

「ラッキー♪」

「ぐぬぬ......」

 

89式はフォアボールで無死(ノーアウト)一塁。

 

「ストラックアウト!」

「あーもう!」

「よしよし......」

 

3番M14は三振に斬って取るものの、4番NTW-20(ダネル)にヒットで一死一、三塁。

 さらに5番のAK-47に犠牲フライ、三塁走者の89式がタッチアップでホームベースを踏み2-0と突き放される。

6番RFBの打球をセカンドのプログラマーが捌いて攻守交代となったが、初回2失点と痛い立ち上がりになった。

 

その一回裏。

 

「......あれ150後半は出てるしょ」

「安心せい、153kmじゃ」

「プロ並かよオイオイ。バッセンでも今日びない速度だぞ」

 

 投球練習で小気味良い音を響かせながら球を投げ込むWA2000。それを横目に1番バッターの同僚ことジャックスがぼやく。

 

「たかが人形だし配球がパターン化されてるだろ」

「人形だって人間並とはいかないけどそこそこ高性能PC入れてんだぞ? 作ってる身からすればどうなるかわからんね」

「とりあえず様子見ながら球数投げさせてって感じか」

 

んじゃ行ってくるわとメットを被り、利き腕と同じ右バッターボックスへと向かう。

 

「プレイ!」

 

(右投げオーバースロー、指揮官ちゃんとは同じフォーム)

「うぉっ!?」

 

 軽く構えたジャックスに投じられた初球は顔そばを掠めるストレート。思わず仰反るバッターには目もくれず、外れたわねと呟きながら返球を受け取る。

 

「オイオイ随分と荒れ玉だな、ぶつけてくれるなよ?」

「彼女に言ってくださいよ」

(典型的ノーコンタイプか? 自滅してくれればいいがそれはそれで面倒だぞ)

 

『おっとピッチャーWA2000初球から危ない投球、コントロールはあまり良くないように感じます。

そして第二球を振りかぶって......

 

ストライク! 落ちる変化球で空振りをとりました』

『スプリットという鋭く打者の手元で落ちるボールです。見逃していればボールの低めでしたが、バッテリーうまく振らせています』

『3球目はストレート! 大きく外に外れました。これでワンストライクツーボール』

 

 返球を受け取り、気に入らない様子で足元をならすWA2000。その様子を注意深く観察し、ある仮説を立てていた。

 

(やはり球威で押す力技にピッチャーだな。甘い球が来るのを待てば十分打ち返せる)

 

バットを長く持ち、フルスイングしやすいように気合を込める。

 

(出塁とはいかないが、同じ先頭打者ホームランと言ってやろうじゃないの!)

 

『さあピッチャー、第4球を振りかぶってー、投げた!』

 

真ん中寄りのストレート、そう読み思い切りバットを振りにいったが......

 

『ショートIDWがボテボテのあたりを捌きワンナウト!』

『打ち損じたんですかね......?』

 

 少し痺れる自分の手を振りながら、ベンチに戻るジャックス。その途中で素振りをするナガンに囁く。

 

「すまん、ストレートと思ったんだが......」

「気にするでない、あそこまでの速度なれば」

「いや......妙なんだよな」

「?」

「いや、引き止めて悪かった」

 

(あきらかにストレートのはずだったんだが......)

 

 最初こそもたついたWA2000だったが、ボール先行が多いながらも続く2番、3番をそれぞれ内野ゴロに打ち取り攻守交代になった。

 

 

 続く2回表。元指揮官は四球を2つ出しながらも無失点で締める。

 

そして2回裏。

 

『4番、ファースト 死神』

「ちょっといってくるヨ」

「デカイの一髪頼むよ死神さーん!」

「ワタシにそれは無茶だと思わないのかネ?」

 

 老齢の姿にはアンバランスのはずのユニホームとヘルメットを着こなし、自然体でバッターボックスにたった。

 

『全てが謎に包まれた人物。素性はもちろんのこと、野球の実力も未知数! さあ、どんなバッティングを見せてくれるのか!?』

(彼の同僚くんが言ってた不思議と打ち損じるストレート、見極めないとネ)

 

「よろしくお願いします」

「よろしくたのむヨ」

 

 捕手と審判に軽く一礼をしたうえでバットを構える死神。 数回のサイン交換の後、大きく振りかぶった投球モーションから繰り出された瞬間。

 

(バットを寝かせた?! セーフティ!)

「三塁! 一塁! 詰めてください!」

「っ!」

「なんとっ!」

 

投じられた球を寝かせたバットで狙って......そのまま死神はなにするでもなくバットを引き棒立ちになる。

 

「ス、ストラーイク!」

『バントの素振りを見せましたがここはやめてストライク。難しい球と見たんでしょう』

『なかなか悪くない撹乱でしたね』

(揺さぶられましたか......! しかし、次はありませんよ!)

 

鼻歌を歌いながら気楽に構え直す死神をマスク越しにキツイ目で見つめる捕手ウェルロッド。

 

(ここは高めで勝負です。ねじ伏せましょう)

(了解)

 

 サインを送り、WA2000がミットの中にあるボールを握り直す。その間何ごともなく打席で鼻歌を歌う死神を間近で感じてしまう捕手には気味悪く感じる。

 

その動揺が伝わったか。

 

「ボール! ボール、フォア!」

「ちょっ、今の入ってるでしょう!?」

「ボール。審判に文句つけると退場させるよ」

「ぐ......」

「悪いネ」

 

(このお嬢さんは確かに強い。けど、それを受けるキャッチャーまでも強いとは限らないヨネ?)

 

 バットを丁寧に字面に置いて一塁まで歩く死神さんに変わって、

 

『さあ先頭打者を出して悪い流れになってきたか? それとも持ち前の豪速球で流れを取り戻せるか?

 というところで、打席には5番ガンスミスさんが入ります』

『チームキャプテン、声だけでなくその打力でもチームを盛り上げていきたいところです』

『さあ、ピッチャー第1球を振りかぶって......』

 

 

 

「無☆理」

「見事な6(ショート)-4(セカンド)-3(ファースト)のダブルプレーでしたね」

「先輩の力投を無駄にしてー!」

「野球道具で人を叩かない!」

「死神さんもなにかひとつ言ってやってくださいよ!」

 

 無様なプレイでベンチに引っ込んできたガンスミスを責めべしべしと叩き、同じくベンチに戻ってきた死神さんがにも同意を求める後輩ちゃん。

 しかし死神さんはキョトンとした顔で。

 

「ン? 今のは必要経費ではないのかネ?」

「はぁ......?」

「やっぱりアレ、覚えてきてますね」

「ダネ」

「ちょちょ、何の話ですか」

「不思議と打ち損じるボールの秘密。

次の回WA2000をめったうちにできるかもしれない......!」

 

 

 

 

 

 



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番外編 やきうスペシャル Ⅱ

そろそろ授業が始まるので一回休み


寝てるとモチベが上がらない定期。


 

 

 

 

 

 

 

 

「熱心に話してますね」

「初心者だからってことじゃないの?」

 

 3回裏。7、8番をテンポ良く打ち取り9番カリーナを迎えるWA2000-ウェルロッドのバッテリー。

 ネクストバッターサークルにて何やらガンスミスが熱心に伝えているようで、彼女が頷きながら話を聞く様子が伺えた。

 

『長く話していたようですが、バッターボックス左打席にカリーナ補佐官が入ります』

『全くと言って良いほどデータがないですからね、その実力は良くも悪くも未知数で......!』

『こ、これはっ!?』

 

 驚きのあまり実況解説席から身を乗り出す89式。それもそのはず、カリーナがとある仕草をバッターボックスでとったからだ。

 

 バットを空高く掲げ、本来の球場であればバックスクリーン乗る空間を指し示す。

 公式の場では滅多にみることのない挑発行為。

 古来から創作と現実で語られるこの仕草の表す意味は『ホームラン宣言』。

 お前を倒すという意思表示に他ならないのだから。

 

 メットの影から覗く鋭く投手を見据え、数秒ののちバットを下ろし足場を踏みしめ姿勢を整えた。

 

『なんとここでホームラン予告が飛び出しました! いやあ強気ですね!』

『これが作戦なのか本意なのかはわかりませんが、この打席が間違いなく分岐点のひとつになります』

「ホームラン予告ですって、冗談じゃないわよ......」

 

 帽子を被り直しながら打席のカリーナを睨みつけるWA2000。その心に動揺は起こらずとも、自分が舐められている、という態度に対する怒りが湧き上がる。

 

(上等! ねじ伏せてやるわよ!)

( 内角高め(インハイ)で攻めましょう。顔の前にボールが来れば誰だって弱気になりますし、このコースで飛ばすのは難しいはずです)

(......オーケー、アレも使うわよ。いつも仲良くしてるからって舐めて良い根拠にはならないわよカリン!)

 

 サイン交換を終え、ミットに隠してボールを握りなおした。その両手を高々と掲げ。沈み込むように足を踏み込み第一球を投げ込んだ。

 

「ストライーッ!」

「オーケー、バッター反応できてませんよ!」

 

ミットの快音と球審の声がグラウンドに響く。

ウェルロッドは大声を出して投手の鼓舞と打者の威圧をするが、当の本人はそうそうに打席を外し変わらない様子でバットを2、3度振っていた。

 

(このまま同じコースで攻めましょう。多少甘くなってもそう飛びませんよ)

(三球三振、それがベストね)

(はい、積極的にいきましょう)

 

 様子見はなし、短期決戦。それにこだわる理由はカリーナだけに構っている余裕がないのが一点、そしてWA2000は長期戦に不利であるというのが一点だ。

 コントロールが悪く四球が多い、そう言ったタイプのピッチャーの弱点はスタミナだ。戦術人形にスタミナという概念は存在しないが、生体パーツの疲労がそれに相当する。

 ましてや慣れない投球という動作。

 ストレッチや最適な身体の使用方法の学習など準備はしているものの、150km超の速度で物体を投げるというのは其れ相応に体に負荷を掛けるのだ。

 十全に訓練を積んだプロ野球選手でさえ、投球動作を重ねれば重大な怪我や故障を招く。

 

 人形の本職は戦闘、このようなレクリエーションで故障なんてたまったものではない。だからこそWA2000-ウェルロッドのバッテリーは強気の投球、配球を行なっていた。

 

 2球目、低めに投げ込まれた直球も見逃す。

 

『さあバッターおいこまれました。先ほどから早いテンポでバッテリー投げ込んでいます』

『やはり初心者ってことで、早く済ませたいんだと思いますよ』

『なるほど力配分ですか、と、ピッチャー振りかぶって......』

 

「そういえばみんなには言ってなかったんだけど」

「?」

 

 バッターボックスでのカリーナの突然の呟き。不思議に思ったウェルロッドが目をやる瞬間。

 

「わたしって、昔はエースで4番だったのよ?」

 

 カリーナはフルスイングしたバットを軽く放り投げ、ニヒルに笑った。

 

 

 

 

「......とはいったものの、球種が分かってもそうポンポンと打てる訳でも無いんだよなぁ」

「所詮アマチュア集団よ?」

「しかしカッターまで覚えてくるとは思いもよらなんだ」

 

 ガンスミスのぼやく通りWA2000の直球の秘密。シンプルな話で直球ではなかった、それだけの話である。

「カットボール」と呼ばれる、右手で投げる投手であれば左に曲がっていくスライダー系統の変化球。

 この球種の特徴は「ほぼ直球に近い軌道、速度」「手元で鋭く曲がる」この2点。だからこそ直球と織り交ぜると効果的として現在数多くの投手が覚える球種なのだ。

 

「6回5失点か......よくやってるとは思うんだがな」

「あ、またカリーナがかっ飛ばした」

「これで3-7。4点差は厳しいと思うがの」

 

 イェーイとバットを放り投げるカリーナを見ながらかりかりと黒板の得点表に1を書き込むナガン。

 球種のタネが割れた結果、カリーナのホームランから3点を奪い、7回途中までに7点を積み上げる。指揮官もあれから失点をひとつ許すものの、人間側有利で試合が進んでいる。

 

「ここらへんでもう一点頼むぜジャック」

「まかせろ!」

『ここで、ピッチャーの交代をおしらせするよ!』

「あら」

『WA2000に代わりましてピッチャーVector。背番号13』

 

 審判のアナウンスと同時にベンチから帽子を被ったvectorが小走りでマウンドに上がる。

 

「任せたわよ」

「ええ、一点もやりませんので」

 

 マウンドを足で踏み整え、何球か投球をしたのち審判に準備完了を伝えプレーが再開。左投手のVectorに対して右バッターボックスに立つジャックスの心中はというと。

 

(この嬢ちゃんとは話したことも少ねえし、どんなやつかわかんねーんだよな......あと俺左投手は苦手だし)

「......では」

 

 腕は胸付近のまま、軽く足を振り上げてから踏み込みと同時に腕を振る。頭上から振り下ろすのではなく横から振り切る横手投げ(サイドスロー)

 

 (球速はそこまで無い......コントロールよりだな)

 

 内角の球に合わせてバットを振ったジャックスの目に飛び込んできたのはとんでもない光景だった。全くなかった手応えと審判のコールを気にもせず、驚きのあまり目を見開く。

 

「マジかよ......」

「次」

 

 返球を受け取りながら、しかしバッターにもはっきり聞こえるような声で告げる。

 

 投球動作に入りながら彼女は宣言する。それは彼女の闘志が形になって現れたようだった。

 

「ヒットは許さない。バットにも当てさせない。

 これ以上、点はやらない。絶対に」

 

 

◇◇◇

 

 

『打った打ったー! 8回表これでノーアウト満塁! ついに打線が指揮官さんを捕らえました!』

「よーっし!」

 

 回は交代し8回表。外野から帰ってきたボールを受け取りながら一塁上で拳を突き上げるAK-47を一瞥し、指揮官は額に伝う汗を拭った。

 

 次に迎えるのはゲームチャンプのAFB。パワーはないが本日2安打と調子が良い。ノーアウトのこの状況は仕切り直さないと、と後輩ちゃんは立ち上がりタイムを要求した。

 

「先輩っ! 大丈夫なんですか?」

「わかんない......急にボコスカ打たれ出して......」

「人形だしサイン盗みなり、球種の解析なりやってんだろ。人間相手じゃないんだからな」

「ちょ、プログラマーさん!?」

「というか人形相手だったら当たり前なんだよな。眼の性能は人間とダンチだ、選球眼がいいってもんじゃねーんだぞ?」

「スポーツマンシップに則ってとはいったものの、我々は普通にしとるだけじゃしなぁ......今更止めろと言われても難しいぞ?」

 

 だってそれくらいのスペックがなきゃ戦場では使えねーよ、とはプログラマーの言。それに何も言い返せない後輩ちゃんの方をガンスミスが叩く。

 

「じゃ、交代だな。2回も集中力が続くやら......」

「織り込み済みとはいえ、もう少し粘りたかったんだけどね......」

「それに満塁じゃあアレは悪手ですよ!」

「うだうだ言わない。審判! 交代だ!」

 

『おや、タイムを要求したかと思えば交代ですか。確かに元指揮官さんは限界ですが、このチーム控え投手の登録はないですよ』

『となると誰がピッチャーを......って』

 

 アナウンスよろしく、と伝令の戦術人形が紙切れを実況のM1911に手渡す。

 

『こで守備の交代をお知らせします! 元指揮官がピッチャーからサードへ。捕手の指揮官さんはセカンド。

そして......ガンスミスさんがキャッチャー、ナガンさんがピッチャーです!』

 

「ピッチャーナガンですって? ナガンは投手の練習なんてしてなかったじゃない!」

「お主とウェルロッドの諜報活動くらい知っておるわたわけ。誰が隠密行動を教えたと思うてか」

 

 ベンチのWA2000が思わず大声を上げるが、マウンドに立つナガンはどこふく風。

 

「審判。はじめとくれ」

「あれ、投球練習は?」

「不要じゃよ」

「へへーん、強がりいっちゃって」

「わしが手を抜くことはない」

 

 右腕を軽く回し、グラブに隠したボールを握る。

 

 そしてそのまま元指揮官やWA2000とは違う軽い仕草でボールを放った。

 

「失投? もらっ......たっ?!」

 

あきらかに速度が死んだゆるい放物線。それにバットを合わせにいったRFBだが空振りしすてんと転んでしまう。

 

「おーし上出来」

「今日はいい調子じゃ」

「何その球ズルくない!?」

「ズルイといってもなー」

 

 RFBの文句を飄々と受け流しながらミットを構えるガンスミス。

 

()()()()()どう動くかわからないんだぞ。ズルと言われる筋合いはない」

「何そのランダムガチャ!」

『......どう動くかわからない、という事はナガンはナックルボーラーという事ですか』

『ナックルボーラー?』

『ナックル、と呼ばれる特殊な球種を操るピッチャーの事です。

 

 元来変化球というのは、球に回転を加えることで生まれる空気抵抗を利用して曲げています。それはストレートであっても例外ではありません。縦に回転をかけることにより上昇(ホップ)させることで、放物線軌道ではなくまっすぐ飛ばしています。

 他の例を挙げるならばフォーク、スプリットは回転を抑えることにより打者の手元で重力に従い鋭く落ちるようになっています。

 

しかし、ナックルだけは大きく異なります。

 

極端に回転を抑えることによって、風や空気抵抗の生む()()()()()変化をもたらさせる。そういった球種なのです。

 極端に回転させなければ変化は極小しかし回転させ過ぎればそれは変化を生む力を消す。科学が解明された現在に残る唯一の魔球......それがナックルとされています』

『ようするに毎回変な動きをするってことですか?』

『そうです。変化球というのは大概同じ変化を生みます。人形である我々であれば尚更のこと。

 それに比べて毎回変化するというのは恐ろしい武器になり得ます』

『へー、っとここでRFB三振! 全くタイミングが合いません!

ところで強いのになんでみんな使わないんです?』

『近代野球では風の影響を与えないドーム球場が増えたことが要因の一つとされていますね。

ナックルの変化の要因の一つは風ですから。他にも弱点が多く......』

『っとガンスミスさんがボールを後ろにそらす!

 その間に三塁走者が突っ込んできて一点獲得です!』

『変化はランダム。それは諸刃の剣でもあります。

バッターだけでなくピッチャーキャッチャー双方どんなふうに動くかわかりません。だからこそ後ろに逸らす可能性は他の球種に比べて格段に高い。

さらに平均球速は100〜120kmとあって盗塁され放題なんですよね』

『あ、走った』

「実況が一方に肩入れしてどうするかたわけー!」

 

ナガンが怒鳴るも時すでに遅く、鈍足のNTW-20ですら三塁を悠々と陥れてしまった。1点を失いさらにワンナウト1、3塁。

 迎えるバッターはCz75。戦斧を何本も投げる強肩を買われて誘われたが、打撃も疎かにしているわけではない。下位打線にいるとはいえ侮れないバッターなのだ。

 

(逸らしても文句は言うなよ?)

(もう割り切っておるわい。ギアを上げるぞ)

(ヘイヘイ)

 

 短いサイン交換を済ませ、投球モーションに入るナガン。そして第2球を投げた。球種は同じ、山なりのナックルボールだが。

 

(......!)

(やっぱりこいつはよく曲がる!)

 

 ベース上でワンバンドする球を身体で受け止め素早く三塁ランナー目で牽制。これではホームには突っ込めない。

 

『今のは......?』

「縦のカーブですか。やりますね」

「ナックル一本で勝負できるほど訓練できたわけじゃねーんだわ。あと目良すぎ。怖いよ」

「よくなきゃ死んでる」

 

 軽口を叩きながらサイン交換。その間にCz75がバットを短く持ち直すのをガンスミスは見逃さない。

 

(......当ててくるぞ。低めに低めに)

(了解)

 

「くっ、そう!」

 

 低めのナックルボールに手を出し、ボテボテと打球が転がる。それを前進気味に守備していたショートが捌きアウト。2、3塁としながらツーアウトまでこぎつけた。

 

(わたしが招いた失点......取り返さないと......)

(お、気負ってんな。速い球つかっちまおう)

(了解)

 

 キャッチャーに必要なのは相手の様子を伺う観察眼であるとは誰がいったか。

 

「っ、速球ですか」

「投げられないとは言ってない。次はインハイあたりに頂戴ねー」

 

 動揺してるうちは球種を絞らせないほうがいい、と今まで使わなかったストレートをメインに組み立てた配球。さらには耳許でそれっぽい嘘を囁いてまで見せるのだからな狙い球を絞れるはずもない。

 

「ストライク! バッターアウト!」

「だあっ、もう!」

「きばるなきばるな。指揮するものが動揺するなと教えたはずじゃがなぁ〜」

「煽るねぇナガン」

「事実を言ったまでじゃよ」

(さてあそこまでみだせばリードもワンパターンかな? いくらピッチャーが良くても受ける方がダメじゃ実力半減でしょ)

 

 

 

 

こっそり悪巧みをするガンスミスの思惑などどこ吹く風、と2、3、4番をあっさり三振に切って見せたVector。

 

 

そして、運命の九回へ回は進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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番外編 やきうすぺしゃる3


大変長らくお待たせしました。すまんね


 

 

 

 

『さあ8回がおわり3-7! 戦術人形チームは9回で5点以上取らなければあとがありません! 今回の試合延長戦はありませんからね!

 しかしこの9回のマウンドには先ほどまでノーヒットのナガンが上がるでしょう。攻略できるのでしょうか!』

『ナガンの乱調を期待するしかないでしょうが、なんとか意地を見せて欲しいですね』

 

 

「急造サードとセカンドが突かれなきゃ十分守れるな」

「前に飛ばされるなとはひどい注文じゃがのう......お主の方は大丈夫か?」

「そろそろ限界だ。キャッチャー難しいわ」

 

 ナガンの質問に、プロテクターを外しベンチで汗を拭うガンスミスが答える。

 

「やっぱりナックルボールは投手捕手ともに負担が大きいですね......本当は9回に登板するのがベストなんですが」

「その点についてはなんも言えない!」

「本職のボクがもう少しリードしてあげるべきでした。しかしそれはそれ、これはコレですカリン」

 

 現場4点リードで有利な立場にある人間チームではあるが、内部事情は全く持って反対。この土壇場で計算が狂い始めていた。

 まず先発の元指揮官の7回での降板。通常のプロスポーツであれば及第点のソレだが、このチームには他に投手はナガンひとり。さらにナガンはナックルボーラー、バッテリーの負担は大きい。

 

 次にガンスミスさんの体力のなさ。普段の昼夜問わない勤務体系のおかげで体はボロボロ、そこに秘密兵器としてのナガンの投手練習への付き合いでここ最近身体をしっかりと休められていなかった。

 最初こそ比較的負担少なめのサード守備で体力温存はしていたが、ナックルボールを止められる捕手がもういないということだけあって負担は大きい。

 最後に、ナガンの登板における守備体型の変更。元々ガンスミスやナガンの適性は内野守備。運動センスの塊である元指揮官はともかく、ショート初挑戦の後輩の守備はおぼつかない。かといって他に守れる人員もいない。

 

 球が前に飛んでいないからバレていないだけであってこのチーム、内野守備はファイアーフォーメーション。

 外野もカリーナのレフト守備は一流のもののそれ以外は素人の草野球。外野も内野と同様ほぼ守備難の炎上まったなしなチームなのである......

 

「でも4点差だ! 1失点2失点は気にするな、確実にアウトを取れば終わり! 勝つぞ!」

「「「「了解!」」」」

 

 

『運命のラストイニング9回表。スコアは3-7と大幅にリードを許す戦術人形チームですが打順は1番からの好打順! なんとか点をとってつないで欲しいものです!』

『バッター1番 セカンド スコーピオン!』

「よーっし!」

 

(足とパワーはある、警戒して行こう)

(ナックル中心じゃ、行けるか?)

(なんとか)

 

 サイン交換を交わして投じた第一球、真ん中少し下のナックルボールを、

 

「ボール!」

(低めは振らない作戦、低めは振らない作戦......)

(見送った......? こいつのことだし狙ってくると思ったんだがな)

 

 続く2球目ナックルボールも見送る。今回はストライクゾーンに入ったもののピタリとも動く気配なし。

 

(ナックルを捨てにかかってるのか? 気になるな、点差もあるし高めにくれ)

(ふうむ......お主がそういうなら投げるが)

 

 第3球は高めに投じられた変化量の少ないナックルボール。

 

「おりゃって......あれ?」

「ファール!」

 

 クリーンヒットではないもののバットの上っ面を掠って後ろへ飛んでいった。明らかに先ほどとは違う積極的なしせいに、ガンスミスは低めは諦めろという作戦だろうとあたりをつける。

 

(しかし9回からで間に合うか見ものだな)

 

 続く4球目、真ん中から下に沈むナックルボールは見送って、

 

「ボールスリー!」

「よーし!」

「焦るな焦るな! タイミングは合ってないんだ!」

 

 バシバシとグローブを叩きながら声を張るものの、状況は芳しくないのが現状だ。

 

(次もナックルだ、これは決まらなくてもかまわない)

(......わかった)

 

 4球目もナックル、しかしこれは外れて四球、続くバッターも四球を選びノーアウト1、2塁のピンチを招く。

迎えるは3番、今日は不調のM14。

 

(タイミングは合ってない。低めに集めれば大丈夫だ)

 

 盗塁警戒を兼ねて様子見に一球ボールゾーンにストレートを外すサインを出し、確認したナガンが足を上げる。

 同時、ベースからリードを取っていたスコーピオン、89式が飛び出した。

 

「盗塁だ! サードで刺す!」

 

 タイミングは悪くないが球種はストレート。十分に三塁アウトは取れるタイミングのはずだった。

 

「ふ、ぬっ!」

 

 半ばバッターボックスから身を乗り出し強引にバットを振り抜くM14。鋭いあたりでもなかったものの、12塁間を抜けてライト前ヒット。

 

「ヒットエンドラン、舐めた真似を」

「へへーん、どーよ!」

 

 快速を飛ばして全力疾走、ボールがホームに送られてくる前にスライディングしてホームを踏んだスコーピオン。

 

『後がないのにもかかわらずに強硬策に打って出ました! しかしこれが見事に成功!』

『もしフライであればゲッツーの可能性も大きかったはずです。なかなかの賭けにでましたね』

『なおもランナーを1塁3塁に置いて本日好調のNTW-20! 練習ではホームランを連発するパワーもあり、ここで1発出れば試合を振り出しに戻せます!』

 

「......来い」

 

 ヘルメットから桜色の髪を覗かせ、言葉少なくバットを構えるダネル。物静かな彼女だがこの打席においてはそれが不気味さを生み、威圧感のようなものすら発していた。

 

(......敬遠する方がマシだな。今日は好調だし、ミートもうまいが本質はホームランバッター、1発同点もある以上勝負したくないのが本音だ。

 そんなことすればノーアウト満塁、こちらの士気もダダ下がりになるに決まってる。

 ここは是が非でも三振......最善はホームでアウトを取ることだが、現実的にはダブルプレーが理想。

 なんでもいいからアウトを取って流れを断ちたい。頼むぞ)

 

 出したサインにうなずきセットに入るナガン。

 初球投じられたのは、ストライクゾーンギリギリのストレート。ダネルはこれを見逃しワンストライク。

 

(直球狙いじゃないのか? とりあえず次はナックルだ。

外野は定位置すこし後ろ、犠牲フライは仕方ないから長打警戒。低めなら振ってこないはずだが)

 

 続く2球目に投じられたのは真ん中低めのコースにナックル。際どいところではあったがこれを見送ってボール。

 

(......やっぱりか。低めにナックルを集めさえすれば打たれないはずだ。カウントが悪くなったら手を出すだろ)

 

3球目同じくナックル低め。

今度は決まってツーストライクワンボール、追い込んだ。

 

(ピクリとも動く気配はなし。直球狙いに絞ってるか? だったらそんなもん投げさせるかよ。次もナックルだ)

 

ナガン第4球、投じられたのはもちろん決め球ナックルボール。

 

(どう変化するかはわからないけど大体の軌道はわかった。なら、思い切り引き付けて最後の微妙な変化を見極めればいいだけ。

 戦場と同じ、敵をよく見て......)

 

()つ」

 

 真ん中低めボールひとつ外れるくらいのボール球。

 ダネルはそれを目一杯引き付けて、救い上げるようにバットを振り抜いた。

 

「嘘だろっ!?」

『これは目を見張るような大飛球! 流し方向に飛ぶ打球が高々と空に上がる! これは入るか、入るかーーーーーっ!

 

ファールゾーンに入りましたファールです。審判の判断はファール、これには人形側ベンチは意気消沈と言ったところ。逆に人間側は命拾いしたことでしょう』

『あと数センチでホームランだったでしょう、惜しいですね』

 

(あぶねーーーーーっ!)

(し、死ぬかと思ったわい......)

 

しかしホームランと認められなければただのファールボール、カウントは以前投手側有利のまま。

 

では、あるのだが。

 

(困ったな、投げる球がないぞ)

 

 M14のヒットエンドランに見られるように最終回の作戦はおそらく直球狙い、ストレートは投げにくい。

 決め球ナックルは先ほどのファールから察するにタイミングや変化に対応されている。投げられない。

 ナガンが他に投げられるのはフォークとカーブだが、元指揮官の投げるものに比べれば質が落ちる。2安打と好調でタイミングを合わせられているダネルには投げづらい。

 

悩みに悩み、ガンスミスはサインを出した。

 

(アウトロー(外角低め)直球勝負。こまったらここに投げろと偉い人は言っていた)

 

 撃たれるくらいなら気持ちよく吹っ飛ばされたほうがマシ。それに元指揮官のスタミナも幾分か回復してるだろうし、いざとなれば交代してもらうおう。

 

 そういった心持ちの安全策。その意図が伝わっているかはわからないが、ナガンは首を横に振る。

 

(ダメなのか? じゃあインハイ(内角高め))

 

これも首を横に振る。

 

(......じゃあフォークとか? 今日は一球も見せてない)

 

これもダメ。

 

(カーブで緩急をつける。これも見せてない球種だし)

 

 自分のサインに縦に首を振ってくれない。たまりかねたガンスミスは思わず立ち上がりタイムを要求した。内野陣がマウンドに集まる中、ガンスミスが不満げに口を開く。

 

「確かにダネルは今日当たってるし、ノーアウトのピンチだ。どこに球を投げればわからなくもなる気持ちは理解できるがーーー」

「最後の一球、わしに任せてはくれぬか」

「......どこに投げるつもり」

「ストレート、ど真ん中」

「正気か?」

「正気じゃよ」

 

 バッターにとって1番打ちやすいのは当然真ん中の直球。そこにあえて投げ込むという頭のいかれたことを言う相方に対し思わず聞いてしまうのも無理はないだろう。

 

「......いいんじゃないですか? 意外と打たれないかもしれないですよ?」

「面白いこと言うねぇナガン。さすがベテラン」

「オイオイなんで乗り気なんだよ正気とは思わないんだが!?」

「他に案があるのか?」

「それはーー」

「捕手が全て引っ張っていく必要もない。投手に任せることも大事ではないのかね?」

「しかしだな」

 

 食い下がるガンスミスに対し、ことの発端でありバッテリーであるナガンが呆れた顔でグラブで彼の横っ腹を叩いた。

 

「別に()たれても死ぬわけではない。遊びであればそこまで肩肘を張り詰める必要性はあるまいて」

「遊び......」

「お主も言うておうたじゃろう、これは草野球、プロリーグの試合でもなければ何かを賭けている訳でもない。

発起人だからといってそこまで頑張る必要性はないのじゃぞ」

 

 へんに真面目なところがお主の悪癖じゃよ、とぼやきながらもガンスミスをホームベース側へと押し出した。

 

「しっかり構えろ。それがお主の役目じゃろうて」

 

 

 

 

「話は終わった?」

「ああ、考えすぎは良くねえな。ダネル、ストレートだ」

「......予告三振、てことかしら? 余裕ね」

「違うね、ナガンが投げたいっていってるんだ、打たれるわきゃねーだろ」

「そう」

 

 短く返し、バッターボックスで構に入るダネル。こちらもとガンスミスは注文通りミットをど真ん中に構えた。

 

 

 ロジンバッグを地面に投げ捨て、吹いて手から滑り止めの余分なチョーク粉を飛ばした。

帽子のツバを触る合図は了解のサイン。

その目線は真っ直ぐにミットだけを見つめている。

 

 

『さあ、ナガン大きく振りかぶって......!』

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「辞表ね。どこに向かうつもり」

「少し......カナダの方へ行こうと思います」

 

 09B地区執務室。そこには制服でなくロングコートを纏い荷物を纏めたダネルの姿があった。

 指揮官は不満そうに辞表を見つめめつつ、判子を押して自分のサインを書き突き返す。

 

「流石に辞めるのは認められない。こればかりは責任問題にもなるからボクの首が涼しくなってしまいます」

「......そう」

「だけど、君は不幸にも訓練中の事故で全損してしまったわけなんだよね。基地でそのような事故が起きてしまったことにボクは悲しみを隠せないよ」

 

 突拍子もない事を言い出した指揮官に首を傾げるダネルだったが、指揮官は振り返って書類を手渡してきた。

 

「と、言うわけ。部外者はささっと退出してもらえると助かるね」

「......これは」

「このご時世だから戸籍偽造なんて余裕なのよねん。

 

メジャーで大成する事、これがボクの最後の命令(オーダー)

 長い任務になるけどできるね、NTW-20」

「......NTW-20、任務を拝命します」

 

 綺麗な敬礼をお互いに交わし、この場を後にするダネル。

 

「......全く、人間らしくってサァ」

 

指揮官が眺める掲示板の端には、こんな記事が張り付けられていた。

 

『主砲の1発! 逆境を打ち砕く20mm砲!

 

人形と人間のチームで先月開かれた草野球。中盤までシーソーゲームが続くものの、9回表に走者一掃のツーベースをはじめ4安打2HRの固め打ちを披露したNTW-20の活躍によって劇的な勝利を収めました。

対する人間チームは助っ人ナガンが最終回突如崩れ......』

 

 





プロ野球開幕! プロ野球開幕!

やきうの詳細な解説はまたいつか


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番外編 違うソラを見る者たちに

やあ、解説だと思った? 許して欲しい。

焔薙 様 作
『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』

https://syosetu.org/novel/166885/

本編完結記念という事で、一筆書かせてもらいました。

終了直後のちょっとしたアフターストーリーです。本編読破を推奨します。すまんの。


 

 

 

 

「やあやあ、遅いではないか」

「こちらは仕事だってあるんじゃ。引退したお主とちごうて忙しいのじゃよ」

「お主だって半隠居状態じゃろう? 教官殿」

「抜かせ、副官殿」

「もう元じゃよ」

 

 指定されたカフェの奥で手招きする自分と瓜二つの人形。そのひとを食ったような態度に少しだけ苛きながらもナガンは席の対面に腰を下ろした。

 

「ご注文は?」

「ブレンドをブラックで、お主は?」

「任せる。来たことない店のメニューなんぞ知らん」

「では同じものをもう一つお願いするのじゃ」

「かしこまりました」

 

 注文を受けキッチン側に戻る亜麻色の髪の女性店員に声が聞こえなくなっただろうと判断したところで、今し方店に来た人物が口を開く。

 

「それで......お主から声をかけてくるとは随分と変わったのう、()()()

「それはお互い様じゃろう? ()()()

 

 子供と見間違わんばかりの幼い体にアンバランスな老婆のような話し口が特徴のHG(ハンドガン)戦術人形『M1895』、通称をナガン。

 全く同じ出自、同じ型番の2人が同じ席に座っている理由を知るには少しばかり時を遡る必要がある。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「うーん」

「どうしたお主。次のラジオの原稿に悩んでおるのか?」

 

 仕事場の外でタブレットと睨めっこするガンスミスというのはそう珍しくない。大抵彼はラジオの事か銃のことを考えているもので、今日もそれだろうと相棒パーソナリティでもあるナガンがいつものように声をかけるが、

 

「いやぁ、そうじゃないんだよなぁ」

「なんじゃ珍しいのう。もしやぷらいべーとな悩みか? お主にそんなものがあるとは思わんが、あったら聞くぞ」

「俺だって悩むことくらいあるよプライベートで。俺をなんだと思ってるんだ」

「良くも悪くも公私混同する能天気馬鹿じゃな。

で、なにで悩んでおるのか?」

「......子供が生まれた時ってなに送ればいいと思う?」

 

 予想の斜め上すぎる質問に目を見開き驚きを隠せないナガン。ガンスミスは頭をガシガシとかくと恥ずかしそうに口を尖らせた。

 

「そんなに驚くなよ、俺だって他人くらい祝うし礼儀は弁えてるってば」

「ワシの経験則ではそんなこと少なかったんじゃがな。

お主の家族が結婚したとは聞かぬが、遠縁の親戚か?」

「いや、隣のP地区のだよ。2人も生まれたてんだからどうしようかなって悩んでる」

「それはめでたい。では無難なベッドはもうすでに買ってあるじゃろうな。おしゃぶり......も買ってあるじゃろう。

おもちゃが妥当なところではあるがはお主、作るなよ?」

「ぎく」

「......悪さでもするつもりだったか? お主安全管理とりわけ子供はそういったものは控えるように護身拳銃講座のときあれほど口すっぱくいったことじゃろうがなぜ教官たるお主がそれを破るんじゃ気概がなっとらんぞ!」

「違う違うわざとじゃない悪巧みなんてしないから大丈夫よ」

「......よこせ」

「なになに? 一緒に考えてくれるの?」

「お主に任せるのは不安じゃ。わしがやる」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「......で、引き受けたが良いが結局分からずじまいで聞きにきたとな。話が合うP基地の中で隠遁生活を始めて暇そうなわしに白羽の矢が立ったということか」

「互いの近況報告も兼ねてな。先の騒動ではB基地は蚊帳の外じゃったからのう。作戦中枢におった副官としてその話も聞かせて欲しい」

 

 守秘義務に関わらぬ範囲でじゃがな、と最後に付け足し湯気の立つコーヒーカップに口をつける。コーヒー特有の香ばしい香りとすっきりした苦味が錆び付いた思考回路を正してくれる。安物には出せない良い風味、珍しい合成品ではないものを使っているのだろう、副官がこの店を選んだのも納得がいった。

 副官は少しだけ考え込むと、重々しく。

 

「そうじゃのう......あの作戦で決着がついた。と言えば良いか」

「決着?」

「ユノをめぐる一連の騒動。オリジナルを巡る因縁も、クローンとの決着も、母親(レイラ)との決別も、計画の終焉も。

正着だったかはいまだに分からぬが......すべてに終止符が打たれたんじゃよ」

「面倒ごとじゃな。聞かぬ方が良いかの?」

「いや、わしは聞いて欲しい。

本来であればユノを一度正したあやつ(ガンスミス)が適正じゃろうが、残念ながら民間人の倫理観しか持ち合わせておらぬ。

 じゃがお主ならば、付き合うてくれるじゃろう」

「すいも甘いも吸い分けたわしだからこそ、か?」

「そうじゃ。あとはどうしてかわからぬが、この物語を無性に()()()()()()()()()()

「親バカじゃなぁ。随分と祖母が板についたか」

「何も言い返せぬな。ユノも結婚し家庭をも持つようになり、これで完全に独り立ちじゃ。子供が生まれたことで新しい身の振り方も考えることじゃろう。

 もしかすれば、前線を退くやもしれぬ」

「前線を退く、か」

 

 そこでナガンはカップを傾け一息つくと、少しだけ目を厳しくしながらも言葉を発した。

 

「難しいな」

 

 ナガンの発言に副官の目が険しくなる。

 

 「あれほどの指揮官を易々と手放すとは考えられん。まだ鉄血やELIDは残存し人間に危害を及ぼし続けておる。お主らが先の戦闘で大方勢いは削いだとしても彼奴らが殲滅された訳ではない。戦力は少しづつ削減されてゆくことじゃろうが、お主らが真っ先に切られることはあるまいよ。

あるとすれば小規模な我らB基地の方に決まっておる。

 それに指揮官には人には言いにくい特性もあることじゃろう? 深入りした人間が何人も帰って来なかったと聞く以上後ろめたく有益なものであるのは確かじゃ。

 

 市井に渡り悪用されれば、平和に牙を向くことになる存在なのは明らか、それをクルーガー社長が野放しにするか」

「普通はそうじゃろうな」

 

 ここからはオフレコじゃぞ、と辺りを見回し少しだけ声を抑えながらも、副官が口を開く。

 

「確かにお主らが邪推するような過去も、それにより生まれた弊害もある。

が、先も言ったようにそれを含めて全ての決着がついた。ユノが作られた計画も、それを引き継ぐものも、詳細な研究データも全て灰になった。

 そしてユノができることは人数さえいれば同じことができる。確かに卓越した技能と唯一性のある能力、素晴らしいものじゃ。でも、それはもう必要とされない。

もう何もかもを少女1人に背負わせる必要は無くなった。

わしらが、それを証明した」

「だから不可能ではないと?」

「ああ。できるとも。

 指揮官の幸せを願わぬ戦術人形がどこにおる、たとえそれが奇跡であっても、わしらの手で手繰り寄せて見せる。此度と同じように」

「お主は随分と尽くすな。ただの指揮官であろうに」

「わしにとってはそうではない。

ユノは、わしの指揮官の忘形見なんじゃよ」

 

 その一言に言葉が詰まるナガン。目を逸らし制服の帽子を少しだけ傾けて謝罪の意を示すが、本人は意に介している様子はなく自然体で、

 

「それを含めて全ては終わったこと。もう彼奴の眠りを妨げられることはなかろうよ」

「?」

「なんでもない、こちらの話じゃ」

「ならば良い。それで」

 

 ひと段落したところで、1番切り出しにくいであろう話を切り出すべきだとナガンは感じていた。

 

「直さぬのか?」

 

 自分の目の近くを人差し指でトントンとたたく。

反対側に座る同じナガンは眼鏡をかけているのだが、右目レンズには艶消しの黒が吹かれ隠してはいるものの隙間から痛々しい傷跡が窺える。その発言に副官の目が細められた。

「最近配備が始まったMODフレームの在庫はないとは思えん。先の戦いからも時は十分に経っておる。

何か理由があってワザと残しておるのじゃろう? よければ、聞かせてくれぬか?」

 

そんな事か、と拍子抜けした様子で、副官は答えた。

 

「思い出のために、とでも答えれば良いのかの」

「思い出、か」

「ああ。あの戦いを最後に身を引くのは決めておったし、派手にやられたから修理するとすれば頭部フレームごと交換になる、老兵が出しゃばって若者に迷惑はかけられぬよ。それに」

「それに?」

「平和にはもう不要なものじゃ」

 

 確かM1895型の利き目は右だったな、と思い出すナガンは遅れてその発言の意図を理解することができた。同時に、腰部にあるはずのホルスターを彼女が下げていなかった理由にも思い当たる。

彼女は、もう武器を捨てたのだ。

 

「人として生きるつもりか?」

「うむ。あの大馬鹿者に代わり可愛い孫娘達を見守り続けるつもりじゃよ」

 

 己の居場所は此処にあると、柔らかい笑みを浮かべる表情が全てを物語っていた。己とは何もかも違うな、とナガンは深くため息を吐く。

 

「......敵わぬな」

「お主もいずれその時が来よう」

 

 さて、ユノの子供の誕生祝いの話じゃったかな? と副官が切り出す。本題をすっかり忘れていたナガンはタブレットを取り出してショッピングサイトを開いた。

 

「子供の面倒は経験があるが、赤子は任された事はなくてのう。見当違いのものを贈られても迷惑じゃろう?」

「気持ちはわかるぞ。それであれば相談にも乗ろう。ところで、せっかくであるし孫の写真も見てみるか?」

「是非。おお、これは愛いものじゃ......しかしどちらにも似ておらぬのう。本当にあの2人の子供か?」

「似ておるじゃろう!? こことか、こことか!」

「......言われてみれば確かに」

「それにこの手がまた可愛くて、指を差し出すと軽く握り返してくるのだ、これがまた心に響いてな」

 

 コイツは長い話になりそうじゃ、と指揮官の子供の写真一枚に熱弁を語る副官を適当にあしらいながらコーヒーをすする。

 

 騒がしい声はローテンポなジャズの音楽と喧騒に紛れ、カフェの時間が静かに流れていくのだった。

 

 

 



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番外編 北に向かいて死神を討て

待たせたな!(劇遅更新)

と、言うわけで今回も番外編ですよ。


 

 

 

「今日も暇だねぇ......」

 

 指揮官たる彼が司令室でぼやくように、最近の戦線は膠着状態が続いていた。

 先の騒乱から鉄血の大規模攻勢は大幅に鳴りを潜めている。警戒基地からの定期報告にも異常はなく、1日に数度の哨戒任務以外ではここ1ヶ月出撃らしい出撃も無い。

 

「やることがないと錆び付いてしまうの〜。せっかくのカスタムパーツが泣いてるの」

「兵士が暇なのは良いことなんだよ?  僕らは暇であるべきなんだ、ただ働きで給料がもらえるならそれに越したことはない」

「それはそれで良いことなの! 買い物行きたいの!」

「せめて副官任務はしっかり済ませてね?」

「わかってるの!」

 

 元気にはたらくM9を横目にいつもの如く物質帳簿と補給班から上がる報告を読み上げ間違いがないか修正する作業を始めた。

 最近代わり映えのない仕事、厄介ごとでも起越してくれるだけでも良い気分転換になるんだけど。そんな暇人特有の考えは大抵果たされることはないと言うのが通例である。

 

「ほうこーく! 哨戒中の警戒班が怪我人を見かけたらしいなの〜」

「医療班に出動命令を。詳細は追って知らせてください」

「了解なの〜」

 

(F区域は街からも街道からも遠い。行き倒れか流れの行商人ですかね)

 

 他基地からの警戒網からも薄く、ちょうど死角になりがちな部分。入り組んだ地形とも相まって見落とされたのを拾い上げたのだろう、と指揮官は結論づけた。

 

「ところで指揮官。この基地から救援を飛ばすより出張帰りのガンスミスに拾ってもらう方が近いなの」

「?」

「これを見て欲しいの」

 

 M9が差し出すタブレットには確かにガンスミスの車両の反応がある。近隣の地区からの出張帰りらしく、距離的には基地より近い。けが人の度合いにもよるが、迅速に対処して悪い事は存在しないはずだ。

 

「わかりました、その提案を採用しましょう。

 ガンスミスさんに連絡してナビを送ってください。ところで見つけた偵察班はD班ですかね」

「そうなの! 出せ出せって煩かったジャンキーどもの緊急編成隊が仕事するなんて思わなかったの!」

「君、案外毒舌だね」

「あのおいぼれがいる時点で評価は最低点なの!」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「へっぷし!」

「風邪?」

「人形は風邪ひかないでしょ。M9が私の悪口でも言ってるんじゃない?」

「それは違いないね。はい応急セットとAED」

「まさか心肺蘇生法を習ってて良かったと思う日が来るとは......下がった下がった。人形は金属だから変に近づくと俺が感電するからな」

 

 意識のないけが人にAEDパッドを押し当てると、ビクンと身体が跳ね上がる。すぐに心拍を確認したガンスミスは一安心と胸を撫で下ろした。

 

「とりあえず心拍は戻った。人工呼吸は......流石に憚らねるね」

「ではわたしが変わります」

 

 M1911に人工呼吸以降の仕事を引き継ぎガンスミスは一休み。そこら変に腰を下ろしていると、警戒中であるM14が無線を飛ばす。

 

『こちら警戒中Dakota02、異常なし......にしてもどこから流れてきたんだろうね、その子』

「ああ。戦術人形じゃないのは確かなんだ。傭兵、にしてはここじゃ場違いすぎるよ」

 

 見下ろす先に横たわる重武装の人物姿。マスクを外した時には思わず驚いたものだがその正体は年端もいかない少女だった。ここでは少女の兵士など見慣れてしまったものだが、怪我の様子やカタログには存在しないことから人間だと判断、応急処置を行なっているのだが。

明確に異なる点はひとつだけ。

 

「しかしネコミミに尻尾とは、もしかしたら生物兵器とか? 人間とのキメラとか怖いわぁ」

『怖くないにゃ可愛いにゃ!』

『ちょっと大声出さない。改装したからって調子のんじゃないの!』

『ふにゃ! ごめんなのにゃ!』

「元気だねぇIDWは。改装おめでとう」

『これで給料すかんぴんだから、稼ぐにゃあ!』

『うるさい!』

「あい変わらず騒がしいね、IDW」

「隣のもうすこし達観した同型を見習って欲しいもんだよ。しかし......」

 

 カチューシャのような人工物ではない、明らかに肉体から生えている猫の耳と尻尾。行き倒れたこの人物はファンタジー世界の生物のような獣人とも取れるような特徴を備えているのだ。

 ガンスミスは少し間をおき、寝ている彼女のホルスターから銃を抜き手慣れた手つきでマガジンと初弾を外し観察を始める。

 

「この銃おかしいんだよね」

「おかしいってただの92Fでしょ? コピーモデルじゃないの?」

「いやいや、クオリティからして純正モノだよ。製造ナンバリングだって正規ロットだし、カスタムパーツもいくつかは知らないけど、もとは確実にベレッタM92Fで合ってる。

 合ってるはずなのに......型番が一緒なんだよな」

「一緒って......ガンスミスさん銃持ってないじゃん」

「ウチのM9の2番F(フレーム)と同じロットだ。製造年までそっくりそのまま。まるで並行世界のモノを拾ってきた気分なんだよ」

「並行世界?」

「ああ知らないのか、パラレルワールド理論。

あり得たはずの世界、例えば鉄血工廠が反逆しなかったとか、そういうの」

「たらればってやつ? そんなことあり得ないのに」

「人間は失敗を取り戻したい生き物なのさ。傷は?」

「それはこちらで連絡しました」

 

ガンスミスの質問に答えたのはLWMMG。てきぱきと答える真面目な兵士の印象が強い戦術人形で、今回の任務には実地訓練のためとひとりストイックな理由で志願を申し出ていた。

 

「まず、大きな損傷としては身体に大きな衝撃が加わった痕跡があります。

病状としては左腕骨折、内臓にもダメージが出ている可能性が高く、付随する擦過傷などから感染症の恐れもあります。

 あと、特記事項として膝部下からの中度凍傷、でしょうか。春先だというのに冬の湖に足を突っ込んだ様に......原因は不明です。

 意識を覚まさないのは脚部凍傷による血流低下や内臓出血が原因と考えられます。速やかにしかるべき処置をするべきと考えます」

「なるほど......じゃあ後部座席に積んじゃおう。少し揺れるけど、毛布があるからそれを枕がわりにすればなんとかいけるんじゃないかな」

『こちらBeta01。車両付近異常なしじゃー。早く帰りたいぞ』

「はいはい。じゃあ後は帰還するだけ、556も手伝ってけが人運ぶよ。木から降りなさいってば」

「せっかく鉄血と戦えると思ったのにつまんない」

 

ライムグリーンと猫耳が目立つ幼い少女型のART 556がつぶやきながら頭上の木の枝から飛び降りようとした。

 しかしその直前で、視界に異様なものが映ったことを高性能カメラアイは見逃さなない。顔の横についた通信機を叩き回線を開く。

 

「Dacota readerより各員、16時方向距離300m先に異物を発見、警戒班は急行を。ちょうど帰路の先になっちゃうよ」

『Dacota01了解にゃ。02と確認しまーす』

「03、04了解。負傷者搬送を続けますがよろしいか」

「reader了解、03、04は最優先任務を続行して」

「「roger」」

「ガンスミスさん、後はよろしく〜」

 

 短く返答を返し、返事も待たずに怪我人を担架で持ち上げる2人。ガンスミスも治療道具一式を片付け車へと走る。

 

「おう早かったの。状況は聞いておる。エンジンはかけたぞ」

「目視では異常有りですがレーダーには何も映らずですか、奇妙極まります。無視しますか?」

「想定外と切り捨てるのは早計じゃ。正体が判明するまで考察の手を止めるな。諦めは敗北への第一歩につながると教えたはずじゃろう」

「......失礼しました教官、精進します」

 

 ジープの上によじ登って警戒を行っていたLWMMGが荷台に降り荷台で固定射撃用の三脚の設営を始める。ナガンは助手席から半身を乗り出しその様子を見守っているが、すぐに飽きたかガンスミスらに目線をやった。

 

「それでー? 怪我人は?」

「重症だ。意識もない。助かるかはわからん」

「そいつは急がねばな。ヘリを出してもらうべきか?」

「後輩ちゃんに聞いてくれや」

「LW、指揮官につなげ。怪我人の容態は伝えてある以上動いておるとは思うがな」

「了解しました」

「それでー? どんな阿呆が行き倒れか?」

「可愛い女の子だよ。変なのが生えてるけどな」

「へんなの?」

「IDWとか556とかと同じ猫耳さ」

「......ふうむ、新手の戦術人形か?」

 

 どれひとつ拝んでやろう、とナガンは車から降り小走りでけが人を運ぶ担架の方へと近く。

 興味ありげに怪我人の顔を覗き込んだ途端、ナガンは黙り込んだ。

 

 否、声を出せないほどの衝撃を受けたのだろう。全くその場で固まってしまい、担架が通り過ぎたにもかかわらず茫然と立ち尽くすばかり。

 

「おい、どうしーーー」

「LW、回線をわしに回せ」

「りょ、了解。ナガンが交代しろと。はい、繋ぎます」

「他のものは車に乗り込め。安全装置(セーフティ)を外すのを忘れるな」

 

 そこからの行動は素早かった。指揮官からの回線をLWから受け取り、その間にもテキパキと指示を出すのも忘れない。少し遅れてジープに飛び乗ったナガンは通信を切ると、隊内回線をオープンにして宣言する。

 

「これよりDacota小隊は戦術人形M1895を指揮官とする小隊として再編成される。これよりこの指令が解除されるまでM1895が発する命令は如何なる命令より優先されることを忘れるな。

 

Dacota1、2。調査任務の結果を知らせ」

「おいおい、いったい何がどうなって」

「......わしのわがままに少しだけ付き合わせることになる。詳しくは後ほど話そう、今は一刻を争う」

「はぁ?」

「ガンスミス、アクセル全開。発見した正体不明物の近くへ寄せよ」

「......あいよ」

 

 尋常ではない事態。それを理解できないほどガンスミスは無能では無い、落ちこぼれとは言えども元は傭兵、戦場をわきまえている。

 

『Dacota2、正体不明物だけどどこかの景色が映る鏡、と言えばいいのかもしれない。

あと手を触れようとするとすり抜けるの、ハッキングされてオブジェクトを割り込みで投影されてるみたい』

「......なるほどそういう事。1、2、もう直ぐ到着するジープに飛び乗れ」

『『了解(にゃ)』』

 

 無線を切ったあと、ハンドルを握るガンスミスが思わず疑問を呈する。いったい全体どうなってるんだ。

それに対してナガンの対応はこれだけ。

 

「すぐにわかる」

 

 不満がないわけないが、元はと言えばこれも仕事のうち。山賊に襲われるのとそう変わらんと割り切りアクセルペダルを踏み込んだ。

 

数分と経たないうちに報告にある謎の物体が見えた。

 

 確かに何もない空間に景色を映し出す鏡のようなものがある。しかし外枠は見当たらず反対側からは不可視、レーダーにも映らず手持ち検索機器に反応がない。調べるほどわからない、というのが調査したM14の見解だった。

 

「向こうに見える景色は市街地みたいだね。随分と寂れた都市に見えるけど」

「まだ放棄されて日が浅いのでしょうか? あちこちで火が見えますから、何人かが暖を取っているのでしょう」

「違う。あれば戦禍の炎じゃ」

 

よいしょ、と人間臭い掛け声を上げながら後部座席に寝かせていた怪我人を背負い出すナガン。無理な姿勢が負担をかけてるせいで痛みのせいか呻き声を上げる怪我人を見て、隊長ART 556がナガンを咎める。

 

「ちょっとどういうつもり! 怪我人なのよ!」

「あちら側に行く。このままでは助かるものも助からぬのじゃ」

「あちら側?」

「......ああ。この景色には見覚えがある。

 

チェルノボーグ、聞いたことあるか?」

 

 ナガンの告げた地名には誰も聞き覚えがない。

 

「チェルノブイリじゃなくてか?」

「そうじゃ。そんな地名、ここには存在しない」

「存在しない地名? コミックのよみすぎよナガン。身体だけじゃなくてメモリまでポンコツになったの?」

「本当にそう思うか?」

 

 ナガンの言葉に嘘は無い。付き合いの長いガンスミスは感覚でわかるであろうし、ここで嘘をつくメリットは皆無だ。ひとつ、心当たりがあるとすれば。

 

「ねえナガン。しばらく前MIAやらかしてたよね? もしかして、その時別の場所をほっつき歩いてたわけ?」

 

M1911の質問に対してナガンの返答は沈黙。それこそが答えであるように、彼女は背負っている怪我人を愛おしそうに見つめた。

 

「こやつの名前はジェシカと言う。本来であれば支給品の武装を扱うはずじゃったが、生活費を切り詰め銃を買うような変わり者じゃった。

 気が弱いのが難点じゃったが、忠実に基礎基本をこなせる良い兵士じゃった。その基本はわしが教えた。

 

わしの教え子の1人じゃ。

 

初めて弟子の中から死人を出すわけにはいかん。しかし、この様子ではもう間に合わぬ。

しかしあちら側であれば、助かる見込みはある」

 

 ナガンは鏡を一瞥し、一歩を踏み出す。

 

「......前回は幸運に戻ることができた。じゃが、今回はわからん。

 

年寄りのわがままに付き合う必要はない。お主らは主力として戦線を支えてゆく存在じゃ、このような細事に惑わされるな。

基地に戻れ。良いな」

「......了解」

 

 無言のままジープに乗り込んでゆく人形たち。

それらを見届けてから、ナガンは鏡を潜り姿を消した。

 

「......さて。命令に従うのは人形だけ。さっきの根回しはそのせいか」

「まさか、不気味に静かだったのは」

「へいへいナガンよう俺を先に返さなかったのは誤算だったな。もうナガンを失うのは沢山だ! ちっとばかし付き合ってくれよな!」

「そうでなくっちゃ面白くない!」

「しかし、命令は......?」

「忘れた。聞き間違えた。人間は都合の良いことばかり覚えて悪いことは聞かなかったことにすんのさ!」

 

 アクセル全開、出力最大。

 

 相棒のわがままは聞き飽きた。今度はこっちのわがままも通させてもらわなきゃ釣り合いが取れない。

 

「レッツーゴー異世界! いつまでも自分の言うことが通じると思うなバッキャロー!」

「ゴーゴーレッツゴー!」

「教官......フハハハハ、血が滾るわねぇ! 思いっきりシゴいてあげようじゃない!」

「怖いにゃ! M14が壊れたにゃ!」

「いつものこと」

「はぁ......私は貧乏くじばかり......ついていけない」

 

前回は1人だったかも知れない。

だが、今回は1人じゃない。

 

1人と5体を乗せたジープもまた鏡を潜り姿を消した。

 

 

 

 

 

そして、戦場は異世界、チェルノボーグへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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番外編-Co 北に向かいて死神を討て Ⅱ


まだまだ続くよクロスオーバー

だいぶ長めになります(どうしてこうなった)。

割と久々に本気で長文を書いている


 

 

 

鈍色の空、肌を刺す寒風。

 

 黒く汚れ風化したコンクリートはこの都市が長く放棄されている事を示し、アスファルトの捲れ上がった光景は戦闘があった証左。

そして何より、隠しきれぬ血溜まりの跡があったことを如実に物語る。

 

「いかにも紛争地域、て感じだね」

『各員警戒は怠らないようにしてください。何ひとつ見逃してはいけません」

「ナガンはそう遠くに行ってないはずなんだけど」

「どーしてすぐ突っ込んんだのに見つからないのよー!」

 

ARTが叫ぶ通り、一行はナガンを見失っていた。

 数秒しか経っていない上怪我人を担ぐことで足の遅いはずのナガン、方やこちらは軍用ジープ。追いつくのは容易いはずなのだが、どういうわけか影も形も見つからない。さらには車載のレーダーも何かしらの影響を受けて使用不能になっており、まさしく五里霧中といった有様だ。

 あてもなく車を走らせてはいるものの、この道が正解かもわからない。

 

「うーん、やっぱり壊れてるんじゃない?」

「バンバン叩くなよM14。備品なんだから」

「ちょっと! 痛いってば」

「ロシア製なら45度に蹴っ飛ばせば写るんだけど」

「乱暴だな!」

 

 車載機銃にLWMMGが乗っているとはいえ、狭苦しい軍用車に1小隊は多い。その上、各一体の予備ダミーまで詰め込んであればすし詰め状態。手なんて振り上げようものなら誰かにぶつかるのは当たり前だ。

 

「ほんと勘弁してほしいよ。重いし」

「重いって言わないでよ! かわいいっていってよ!」

「はいかわいい」

「ふふ〜」

 

 スペースのなさから膝上に座るARTを適当にあしらい、瓦礫を避けて通りを右折する。こちらの通りは廃棄されたらしい自動車が路肩や真ん中に駐められている。いくつかは原型を保っているが、炎上したり衝撃でねじくれたり弾痕らしきもので穴だらけになっているものも少なくはない。

 

「......人影なし。ほんとに廃棄都市って感じ」

「狙撃ポイントまみれだから気をつけてね」

『了解。新調したヘルメットも被ってますし』

「ライフル弾も防げるって謳い文句のやつ? 騙されたんじゃないの?」

『製品テストの動画も実験データも大丈夫でした。だから大丈夫です!』

「メットなんぞ被ってなくても変わらないって、頭に当たったらだいたいパー」

「さすが古株、キツいお言葉」

「14の方がこの基地ではながいでしょ? ロートルだからって弄らないで」

「ごめーんM1911!」

「にしても、寒い」

「そお? そんなにかな......寒っ」

「な? おかしいだろうこんなに寒いのは」

「北欧だからじゃなくて?」

「夏でか? 朝方にしても冷え込みすぎだ、息が白くなるなんておかしい」

 

 窓を開けてはー、とガンスミスが息を吐くと白く曇る、これは気温が10度以下であるということ。

 

「それに......薄らとだけど霜も降りてるしな、スリップにゃ気をつけねえと」

「さっすがガンスミスさん! 細かいところにまで気が効くね!」

「私たちが気がつかないといけないんだよARTちゃん。指揮官として失格! それに偵察にだって連絡してない!」

「うへー、もうしょうがないなぁ......」

 

 小言がうるさいベテランのセリフにケモ耳を塞ぎならも、渋々したがい通信を飛ばすART556。

 

『Dacota LよりDacota2。どう? そっちは?』

『10時の方向、アクセル全開にゃ』

 

 スカウト役を買って出たIDWの唯ならぬ様子の一言に皆が殺気立つ。同時にM14ら戦闘狂(ジャンキー)どもがにたりと笑みを浮かべた。それを見てため息を吐きつつも、ガンスミスは指示通りにハンドルを切ってアクセルを踏み込む。

 

『白い帽子の戦術人形が交戦中。なら、相対するのは敵で間違いないのにゃ? どうする、リーダー?』

『Dakota Lより Dakota全員へ。

安全装置は解除してある? 初弾は装填した? ならオッケー!

さーてみんな、戦争しよう(あそぼう)よ』

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「年寄り1人によってたかって襲いかかってからに......こちらは時間がないんじゃ、押し通らせて貰うぞ」

 

 物陰から一瞬だけ身を乗り出し7連射、弾丸をは向かってくる重装備の兵士らしき人物の頭部を正確に撃ち抜き倒す。

 しかしそれをものともしない物陰から際限なく湧いてくるように感じる援軍の数。皆一様に白いフードと仮面を被り、暴徒のような調達した雑多な刀剣や鈍器を持ち一様にこちらに向かってくる様は不気味そのもの。

 

「きょ、きょう......かん......」

「今は話すでないジェシカ。もう少しで助けが来る」

 

 弾薬ベルトから弾丸を引っ張り出し再装填するが、残り弾丸と敵の数を照らし合わせると明らかに不足している。そもそもただの偵察任務に弾薬は必要ない。ガンスミスの車には予備弾薬が備蓄してあったが......

 そこまで考えついて首を振り考えを頭から消す。自分がその道を絶った以上、頼ることは許されない。

 

(ジェシカの通信機でSOSは発信してある。もう少しすれば必ず救助隊はくる、そこまで耐えるのがわしの仕事!)

 

 うかつに身体を物陰から出した間抜けの脚を打ち抜き転ばせ無力化、それを見て助けに行こうとしたものの腕を吹き飛ばし武器を取り落とさせる。

 

「ーーー! ーーー!!」

「ーーーーーーーー!」

「もう少し大きな声で話せば良いものを! ハッキリと物を言わぬと伝わらぬじゃろうが!」

 

 何か叫んでいることがするが戦闘音にかき消されて届かず、思わず怒鳴り返すほどに苛立ちを隠せないナガン。怪我人を抱え状況は手詰まり、もし打破できるとすればいつ来るかもわからない救援を待つのみ。

 有り体に言ってほぼ詰んでいる状況、現実は創作のように都合よく援護が間に合うものではない。

 09地区であれば、指揮官が状況を察して援護を寄越せたかもしれない。同じS地区から助けの手が差し伸べるかもしれない。

 

でもここはS09地区ではない。

ここは北欧チェルノボーグ、人を排斥し虐げる極地。

弱者が喰われ強者がのさばる世界。

 

そう都合の良いコト起こる筈がないのだ。

 

「ああクソ、どうしてわしのリボルバーはこうも旧式なんじゃ! 落ち着いたら振り出し式に改造してやる!」

 

自分の写身に文句を言いつつ射撃戦を繰り広げるナガン。その目の前に現れたのは、

 

「ーーー! ーーーーーーー!」

 

 身長は2mを越えようかという大柄な体に、全身を雑多な防弾アーマーで覆い、さらには身の丈に余るほどの大楯を軽々と盛り上げる大男。

 ナガンは一度自分の銃に目を落とし、そして大男を見直し、銃弾を2発。

 

 しかし自身の体を覆うように押し出される盾が銃弾を軽々と弾き、表面に傷をつけた。

 

 余談だが、経験豊富な戦術人形は剥げた塗装から除く銀色と跳弾の音から大体の装甲厚と材質は割り出すことができる。

 そしてナガンの思考回路はそれが可能。そして先ほどの判断材料から想定されたモノの材質は防弾用の高強度特殊合金に近しいもので、厚みは10mm以上。

 

ナガンの7mm口径ごときの拳銃では、突破は不可能だ。

 

 「......さて、逃げるとするかの」

 

 三十六計逃げるにしかず、逃げるは恥だが役に立つ、と即断即決。ホルスターに銃を仕舞い、物陰に寝かせてあるジェシカを担ごうと立ち上がる。

 

 しかし、ナガンはひとつため息をつくと徐に両手を上げた。

 

「ワイヤー使いとは、妙なものがおるものじゃ」

「お、察しがいいじゃないの。もう少しで首が飛ぶところだったぜい」

「その程度気がつかぬと思うてか」

「いやいや、たいした奴だと思うぜアンタは」

「抜かせ」

 

 ナガンのすぐ後ろに目を向けると、同じ白フードに身を包んだ爬虫類然とした顔の男が景色を上書きするように現れる。その両手にはワイヤーを巻いたヨーヨーがあり、その糸はナガンの首元にピンと張り詰めていた。

 

「光学迷彩とは、気がつかぬワシも耄碌したか」

「そんなチープなもんじゃないぜ、ネタバラシはしないけど」

 

 おーいコッチだ、と彼が声をかければ先の大男をはじめとした白装束の兵士達がやってくる。

 

「おい、ロドスのオペレーターを捕まえたってのは本当かイーサン」

「運が良かっただけだ」

 

 イーサンと呼ばれた人物がシュルシュルとワイヤーを巻き取り、軽くリーダー格らしい人物の方へナガンを押し出す。リーダー格であろう男はナガンをしげしげと観察し、殴り飛ばし唾を吐きかける。

 

「ッチ、手こずらせやがって。ロドスの犬が」

「そんなものになった覚えはない」

「どうかな。俺たちには向かうのはよっぽどの馬鹿かロドスのクソ野郎だけだが、テメエはどうやらよっぽどの馬鹿だったらしい。恨むならテメエを恨みな。レユニオンに歯向かうのがいかに愚かってのがわかったろ」

「......全く持ってそうじゃな」

 

 悪態に付き合いつつも、その視線は倒れているジェシカの方へ。今のところ何かされているわけではないが、時間が経てばたつほど助かる見込みは減る。

 

「......これからワシらを如何するつもりじゃ?」

「殺すさ。

 

散々苦しませて殺す。

絶望を与えてから殺す。

心をへし折ってから殺す。

 

こうでもしないにゃ俺たちの恨みは晴らされない。これでも足りねえくらいだ」

「ただの憂さ晴らしじゃろうに」

 

 そう返したナガンを再度殴り飛ばす。

 

「俺たち感染者がどれだけ虐げられてきたか知らねえんだろう?! お前らは人を押しやり成果だけを享受しのうのうと平和を謳歌してきた! 俺たちを踏み台にしてな!

その報いを受ける時が来たんだ!

 

......殺す」

「ぐっ......!」

 

 リーダー格の男がナガンの首を掴み高々と持ち上げ締め上げる。そして各々が重い思いの武器を持ち、こちらに一歩一歩と歩み寄る。

 

「無様にくたばれ、クソ野郎」

 

 

「くたばんのはお前だ、にゃ」

 

そこに、悪魔が舞い降りた。

 

 頭上から音もなく着地した黒い影がその背後に回り込みナイフで首を裂く。

 男が崩れ落ちる暇もなく、ナイフを近くにいた兵士に投げつけマウントしていたPDWを両手に構えて乱射し始める。

 リーダー格の死と突然の奇襲に混乱する中、その人影はナガンの手を引き怪我人ジェシカを抱え上げ脱兎の如く逃げ出した。

 

「お主......その声は」

「にゃは! やっと見つけたにゃ!」

 

 ピコンとフードから覗く黄金色の猫耳と髪、手に持つ独特の形状が目を引くサブマシンガン。そしてこの特徴的な語尾の話しかた。

その人物は振り向き、にぱっと笑顔を受けべて答えた。

 

「ボディーガードIDWただいま参上! ちょいと私がくるのが早過ぎたかにゃん?」

「......いいや、最高じゃよ」

 

 道をかける中、おっとと急にしゃがめば頭上をクロスボウのボルトが通り抜けていく。後ろを振り抜けば無傷だった集団がこちらに殺意を向け追撃してくる様子が見て取れる。

 

「このままでは追いつかれるぞ!」

「だいじょぶだいじょぶ! 頼もしい援軍が来てくれてるにゃ!」

「援軍? じゃが......」

「そう! みんな大好き愛すべき馬鹿!」

 

 自身のすぐ後ろで鉄パイプを振りかぶっているのも気にせず、軽口で答えるIDW。

 

「S09基地は、仲間を見捨てないにゃ!」

「前方不注意ですまんね!」

 

 突如がしゃんと派手な音を立てて、後ろにいた兵士が吹き飛んでいく。

 

 背後を向くナガンの目に飛び込んできたのは、カーキの車体にG&K社のエンブレムと09の文字がペイントされたジープ。

 急停止したジープの助手席が蹴破られるように開き、運転手が身を乗り出して質問する。

 

「お前が居なくて誰がラジオの相方やってくれんだ?」

「ほんとにもう、お主という奴は......!」

「はい乗った乗った!」

 

 差し伸べられた手を掴み、車内に飛び乗る。

 IDWは怪我人ごと後部荷台に飛び乗りマガジン残弾をお見舞いした。ガンスミスの膝の上ではARTが窓から銃身を突き出して弾幕を貼り、M14は膝や腕などいやらしい部分を狙撃、仮設銃座ではLWMMGがフルオートで徹甲弾を撒き散らして敵を牽制していた。

 

「早く出して!」

「アイアイ、サー!」

「サー! じゃない!」

 

 同じく後部打席のM1911が座席を蹴っ飛ばし、答えるガンスミスもアクセル全開。

 死体の山と怪我人の山を積み上げるおまけもつけて、ナガンたちは華麗にその場から逃走した。

 

 

 

 



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番外編-Co 北に向かいて死神を討て Ⅲ

線路は続くよどこまでも。

救いはないんですか......?


 

 

 

 

「この......大馬鹿もの!」

 

ナガンが第一声に発した言葉は罵倒、命の恩人であり、ハンドルを握るガンスミスに対してだった。

 

「馬鹿! 阿保! 間抜け! うつけもの! ズボラ! 人見知り! 内弁慶!」

「おいおい叩くなって」

「どうして助けに来たんじゃ馬鹿者! お主だけは巻き込みたくなかったというのに!」

 

 ポカポカと殴りかかるがガンスミスはそれに対して呆れ顔でため息まで返した上、空いた右手でナガンの眉間をデコピンで弾き飛ばした。

 

「お前はよっっっっっっっっっっっぽど自分のしたことを理解してないらしいな!」

「痛いぞ!」

「やかましい! デコピン程度なんてな、お前が居なくなってる間、どれだけ寂しい思いをしたか、そんでもってどれだけ基地で面倒ごとがたまったか! そのしわ寄せされた身にもなってみろこれくらいのお仕置きじゃ軽いくらいだ!

 

ラジオのお便りがくるけど収録もできないし台本も面白くないやつばっかりできる。

 WA2000が毎日やってきてやれ掃除しろやれ整頓しろやれ精度が甘いやれ新人が生意気だとうるさい。

 他にもあるぞ、元指揮官ちゃんは大荒れするわ後輩ちゃんもぶちぎれて大喧嘩に発展するわ、おかげで基地の居心地がどんなに最悪だったことか。他にも問題が山積みだ!

お前が居ないとうちは回らないんだよ!」

「お、おう」

 

 拳をハンドルに叩きつけ溜まりにたまった不満をあらわに様子におもわずたじたじになるナガン。もう1発と右手をデコピンの形にしてナガンの眉間に向けると、これだけの不満を抱えられるのも無理はないと諦めて目を瞑るが......

 

 帽子をとり、ぽん、と軽く頭の上に手が乗せられる。顔をあげればこちらの方を見ては居ないものの、優しげに2度3度と頭を軽く叩いた。

 

「とにかく無事でよかったよ」

「......おぬし」

「うえー、砂糖を吐きそうってこんな感じ?」

「甘い甘い、他所はもっと甘ったるいのやってるから。こんなの1gにも入らないよ」

「ガバメントお主ちと口を閉じろ」

「こっちだってとばっちりで顔に傷作ったんだよ、冷やかすくらいはやってもいいでしょ?」

 

 もう直ってるけど、とは口に出すはずもなく。

 

「それでこれからどうするのリーダー。あの妙な集団に喧嘩を売ったはいいけど行く当ては? てかそもそもアレ何?」

「うにゅ、私に聞かないでよ」

「そうじゃな......頭の上のこやつに聞けばよかろう」

「おい傷つけんなって修理代給料から差っ引くぞ!」

 

 徐にグリップで車の天井をぶっ叩いたナガンの奇行に思わず叫ぶガンスミスだが、目線を前に戻せばフロントガラス上部に映り込む謎の男と目があった。

 

「おいおい気付いてんのかよ。おっかないねぇ」

「のわーっ!?」

「よそ見するな殺す気かよ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「で、どうして引っ付いてきたんじゃイーサン?」

「イーサン? 知り合い?」

 

 一度安全な場所で話し合うために物陰に車を隠そうと、元はガレージか何かだったらしい場所に車を止めた。シャッターがわりの瓦礫を積み上げればそれなりの目眩しにはなる。

 そして先ほどから銃を離さないナガンが剣呑な雰囲気で質問すれば、軽薄そうなダミ声で男は返した。

 

「ついさっき殺されかけたりしたところ」

「ふーん......て事はつまり、敵ってことでは?」

「そうなるな」

 

 その発言に銃口を向ける人形たちだが、男は慌てて挙げた両手を振って抵抗の意思がないことを示した。

 

「どうしてわざわざついてきたと思ってる! お前さんたちどこかの傭兵かなんかなんだろ? ロドスに雇われた」

「ロドス?」

「おうまじかよアテが外れたな......」

 

 しまったしまった、と頭を抱えた様子のイーサン。しかし先ほどから首を捻って考え込んでるガンスミスが口を開く。

 

「見れば見るほど妙な顔だよなぁ。水色の髪といい灰色の肌といい......」

「何だおっさん、サヴラは見た事ねえのか」

「サヴラ?」

「お前らよっぽどの田舎者なのか?」

 

 ほれほれ、とイーサンが徐に声をかけると、青い爬虫類然とした尻尾が彼の背中から覗く。ファンタジー世界のような信じられない光景に固まる一同と、キョトンとするイーサン。

 

「おいおいなんだよ。そのバケモンでも見るような目は、見せ物じゃねえの」

「......話せば長くなる。今は無視して進めて欲しい。

お主の目的は? 何故お主はここにいる」

「ちょっとばかしあてが外れたが、まあいいか。

 お前さんらの会社にちょっと雇って欲しいんだ。レユニオンはもうウンザリなんだよ」

「あの組織を裏切ると」

「そうなるんじゃないか?」

 

 無言で銃を構え、照準を合わせ続きを促すナガン。それに対してイーサンはやれやれと首を振る。

 

「だってあそこのメシ不味いんだよ。メシは1日1回あればラッキー、それもかったいライ麦パンを塩水を変わらないスープでふやかして食べる。やってらんねえ」

「そりゃやってらんねーわ......」

「それで? それだけか」

「それだけだが?」

 

静寂が場を支配する。

 

 食の問題というのは、案外侮れない。こと軍隊においてはそれは顕著であり、厳しい規律に守られる軍人の数少ない楽しみでもあるからだ。部隊の士気を高く保つため、食事に力を入れる軍隊は多い。

 例えば護衛艦ごとに特色を持つという自衛隊海軍の「金曜のカレー」や戦車に湯沸かし機を取り付けいつでもお茶が淹れられるようにしたイギリス軍、水の貴重な砂漠でパスタを茹でたという与太話の残るイタリア軍など、食と軍隊の逸話は数知れず。現代保存食で有名なフリーズドライ製法も、開発が進んだのは軽量でも美味しい軍用糧食開発のため。

 

それくらい食事と軍隊は切っても切り離せない。

 

 しかし、戦術人形は食事が不味くても文句なく稼働する。士気なんてあって当然であり、そもそも不満を漏らさない。

 

つまるところ、食事に文句をつけるなんて頭がおかしい、なんてことを考える戦術人形も多いわけでーーー

 

「それだけじゃないじゃろう。吐け」

「信じてもらえないか?」

「その程度で裏切れるなら軍人ではないわ。二重スパイをやるつもりならもっとマシな嘘をつけ!」

「ストーップナガン! その人本気だから! 飯がまずいのは死活問題なんだからーっ!!!」

「......本当か?」

 

 手が滑って発砲しかねないほどヒートアップしてたナガンを止めるべく、ガンスミスが思わず擁護に入った。心底胡散臭い物を見るような目で見るが、その真剣な頷きようと信頼からとりあえず信じることにした。

 

「それに、道案内(ガイド)役は欲しいだろ? 」

 

 こちらの足元を見透かすような発言も決めてだったかもしれない。どうする、と違いに責任を押し付けるように目線だけで話し合って、ナガンが代表して答えた。

 

「依頼は道案内。報酬は......ロドスへの口利き」

「ーーーそれで、雇ってくれるんだな?」

「臨時雇用じゃ。報酬も出来る範囲は限られる」

「とっかかりができただけマシってもんだ。

俺はイーサンだ、よろしく」

「......ナガンと呼べ」

「じゃあ、まずは状況説明から。これも依頼のうちだからな」

 

よっこらせ、とその場に腰を下ろし、ガンスミス達にも座るように促す。指示にしたがって腰を下ろす一同を見渡し、舌で唇をぺろりと舐めてから口を開いた。

 

「じゃあ最初にーーー」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「と、いうところだ」

 

彼が話してくれたのは、ごく簡単なことばかり。源石(オリジニウム)という新しいエネルギーの発見と、それに伴う弊害によって生まれた「感染者」という存在。

 虐げられた彼らが産んだ戦乱と、彼らを救おうとする組織「ロドス・アイランド」。

 

「それは救いようがないな......」

 

 話を聴き終わったのち、唯一の人間であるガンスミスが思わずそう言いたくなるくらいにこの世界は詰んでいる。

 「感染者」は身体の内部から肉体が源石に置き換わりいずれ死亡し、そしてそれは新たな「感染者」を生む。これを遅らせる治療法はあっても完治は不可能、不治の病であり必ず死ぬ病。

 

「でもただ一人で死にたくないから巻き添えで死んでくれってか、迷惑この上ないな」

「1人で死ぬより有意義な死を迎えたいのさ。奴隷のように使い捨てられて道端で死ぬより、戦って死ぬ方が100倍マシってもんだろ?」

「それにこの世界の感染者への弾圧は半端ではないのじゃ。先の大戦でのユダヤ人の如く彼らは排他され、拒絶され、息絶えてゆく」

「それが誰にでも起きうるのさ。俺だってそうするし、されたからな」

 

 さも重要ではないとでもいうように、呆気からんと自分は感染者だと言い放ったイーサン。驚き少しだけ距離を取ろうとするガンスミスに対して気にするなと言葉を続けた。

 

「俺はまだまだ軽いもんさ。症状が進んでるやつは身体の表面に石が浮かび上がってくる。人に感染るようになるのはそれからだ。今は安心していいぜニーサン」

「お、おう......」

「それにすぐ感染るわけじゃないから安心しろ。ま、食べたりすりゃあ一発アウトなんだが、そんな馬鹿そうそういないしな」

「......皆事情は分かったな。

 では、ロドスの戦力はどこに布陣しているかわかるかイーサン。早いところ運んでやらねば、ジェシカは間に合わん」

「ちょっと待てよ、地図は......ここだな」

「テーブルありますよ」

「お、ありがてえ」

 

 瓦礫の山から引っ張り出してきた机の上に地図を広げながら、手渡したペンでどんどん書き込んでいく。

 

「現在地がココ。でー、俺らの拠点はこの付近。

つい1週間前にロドスで戦闘があったのは、7ブロック先。

でリーダーは市庁舎に布陣してるから、攻めるとすればここじゃねえの?」

 

 彼が丸をつけたのは、市庁舎から少し離れた商業施設。ここにも敵が布陣していることはメモしてあるが、ここからなら市庁舎がよく見えるなど作戦本部としては申し分のない立地。

 

「ワシとしてはその隣の病院を目指すべきじゃと思う。そこに医療器具が残っている可能性もある、応急処置を考えるならここじゃ」

「オーケー、ならそこにしよう。ART、指揮は任せる」

「かしこまり!」

 

 ピっ、と軽いふざけた敬礼を返してからてきぱきと指示を飛ばし始めるARTを見て口笛を吹くイーサン。

 

「コイツは随分と調教されてんね。幼女愛好者の歪んだ形か? やになるね」

「......なんか勘違いしてるようだけど、俺はロリコンじゃないし彼女らは」

「ハイハイ。ただの少年兵だろ?」

「言い争う時間も惜しいんじゃ! いいから!」

「後で説明するから真面目に聞いてくれよな!」

 

 たくもー、とぼやきながら車のエンジンをかけようとキーを捻るがなかなか始動しない。そろそろオーバーホールかねぇ、とかけ直すがやはりうまくかからない。

 

「おいおいお主こんな時に限って故障か?!」

「おかしいな、ちょっとボンネット開けてくる」

「早くしろ!」

 

 どこかさっきぶつけたかな、と首を傾げつつロックボタンを押そうとかがみ込もうとして。

 

鋭い風切り音と、何か突き刺さるような鈍い音。

 

「きゃああっ!」

「LW!?」

「「総員降車、戦闘態勢!」」

 

 荷台から転げ落ちるLWMMGに驚くIDWには目もくれず、ドアを蹴破り物陰に身を隠すARTとM1911。

 

「ボウガンとはまたややっこしい! 狙撃手は?」

「違う、焦らないでARTちゃん。これはーー」

「これは本命ではない! 気を緩めるな!」

 

 ナガンの発言と同時に、外から突き破られる外壁。

 

「総員突撃! GO! GO! GO!」

「つっこめー!」

 

 くぐもりながらもハッキリと通る掛け声を合図に雪崩込み、砂煙の中から姿を表す謎の部隊。

 

「私の教え子をこんな風にするなんて」

 

 負傷したLWMMGを物陰に引き摺り込み、抜いたボウガンの矢を握りつぶしながらM14が銃を構える。

 

「最っ高にソソるじゃない......!」

 

 左手に銃剣を構え、ひとり舌舐めずりをしながら。

 

 

 

 

 

 



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番外編-Co 北に向かいて死神を討て Ⅳ

あれおかしいな、長引くぞ......?

4話くらいで終わらせるはずだったのになぁ......?あれ......?

というわけでまだまだ続くんじゃ


 

 

 

 

「救出作戦、ですか?」

 

私の発言にドクターはこくりと頷くと、地図を指し示す。

 

「これは、ジェシカさんのーー。数日の間、消えていたはずの救難信号が今になって灯るなんて罠じゃないんですか?」

 

 質問すると、違う、と首を振った。そして指先でスー、と地図を撫でる。少しだけジェシカさんの救難信号から離れた場所から、今の場所へ。

 

「移動しているということでしょうか。

 罠なら最適の場所に置いた上で電源をつけるか、そもそも動かさない。そう言いたいのですか?」

 

 ドクターは頷いた。ドクターはいつも無口だけど、作戦指揮と観察眼は間違えたことがない。だったら、きっとだいじょうぶ。

 

「わかりました。すぐに動ける行動予備隊A1の皆さんに救助作戦をーー、え、この人もですか?」

 

 すぐに指示を出そうとすると、肩を叩かれて名簿の1点をコツコツと叩いた。これをする時はこのオペレーターも編成してほしい、ということです。その理由は大抵、

 

「また、入れた方がいい気がするですか?」

「......」

 

 なんとなくだとか、気分とか。ドクターはそういった直感で編成を弄ることが多い。けど、不思議とそれは当たってしまう。ドクターが見えない何かを感じているとしか思えないほどに正確で、状況にぴったりの人選をする。

 

「わかりました、あなたを信じます。

それより、早く作戦を考えてください。フロストノヴァさんを倒さないと、先へは進めないんですよ?」

 

 やだなぁ、と言わんばかりにため息をついてゴソゴソと広げていた資料をまとめだした。ついでにメモ帳に何か書き出している。

 仕事を面倒くさがるのも、昔のままだ。すぐみてみて、と私の肩を叩くと、メモ帳を見せてきた。

そこには疲れた様子で目頭を揉む私のスケッチが......

 

「もう、真面目にやってください!」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「みんな、私に続いて!」

「ボディガードを舐めるなにゃ!」

 

 砂塵から姿を現したパーカーに長槍を携えた青髪の人物が鋒を煌めかせ突撃してくるが、それに待ったをかけるのがIDW。

 穂先を人間離れした身体能力で紙一重で躱して、手に持つナイフで首筋を刈ろうと迫る。

 しかし槍の柄でナイフを防ぎ、一度距離を取って仕切り直すべくまだ立ち込める砂塵の中へ。

 

「総員撃ち方!」

 

 ARTの号令と共に制圧射撃を敢行するが、帰ってくるのは金属の弾ける音。

 

装甲持ち(シールダー)?!」

「LW、M14、徹甲弾は?」

「持ち合わせが......予備弾薬は車内です!」

「もう撃っちゃった!」

「やんなっちゃうね」

 

 悪態をつきながらマガジンを交換し射撃を続けるARTに隊内無線を飛ばしたのはM1911。

 

『どうする? 撤退判断は今のうちだよ?』

『ダメ。狙撃手がいる以上外へは出にくい。ここで迎え撃って車出す方が100倍現実的かな』

『了解リーダー』

 

 都合30発を撃ち切り3マガジン目を装填しボルトを引く。そしてダットサイト越しに砂塵を見つめる。

あるいは、そこにいる敵の影に照準を合わせているのか。

 煙が徐々に晴れる中、戦場には似つかわしくないような声が聞こえた。

 

「もう、銃を使うなんて聞いてないですよ!」

「私だって初耳です!」

「皆さん大丈夫ですか?」

「私は問題ない。行くぞ」

「話し声......?」

 

 運転席で身を隠すガンスミスが恐る恐る覗き込むのも無理はない。なぜなら、その話し声は明らかに年端もいかない女の子。戦術人形ならともかく、生身の人間でその年頃の女性が参戦しているのは明らかな異常に他ならない。

 

「イーサン、ロドスってのは全部こうなの......?」

「さてな。俺が知ってるのはむさ苦しいオッサンとかなんだが」

「ナガンは何か知ってる?」

「......知ってるも何も」

 

 何か言いかけたところで、衝撃波と爆発音が辺りに轟く。ライムグリーンの小柄な体が宙を舞い、車が揺さぶられる。

 

「な、なんだ!? グレネード!?」

「屋内で爆発系のアーツを使うなとあれほど......!」

「派手にやるネ。じゃ、俺は好き勝手やらせてもらうぜ」

 

 すいー、と勝手に風景に溶け込み姿を晦ますイーサンに何か訳知り顔で腕を振り上げ文句をつけるナガン。

 

「なんだよもう」

「......全く、油断するなとあれほど......借りるぞ」

「ちょ、それ俺のスパナっ!」

「静かにせんか」

 

 無造作にガンスミスの工具を掻っ払い、すぐに死角になる車の影側から降りてしまった。戦闘できないガンスミスは文句も言えないまま、結局運転席に隠れるしかない。

 

(にしても......かわいい女の子ばっかりだ。服装に統一性もないし、どんな組織なんだか。

 

一番槍を担っていた、長槍青髪の子。

恐らく銃弾を防いでいたであろう大楯持ちの橙髪の子。

姉妹か双子か、同じ紫の髪をした子。

 共通項といえば同じ黒を基調にしたパーカーを羽織っていることだが着崩してもいる子もいるし、他の衣装も手に持つ武装もバラバラで統一性がない。

 

 何やら隊長格らしい青髪が無線機を片手に話しているが、突然車の方を指差して、何やらハンドサインを出している。

 

「反応は6時の方向......この車でしょうか?」

(やべ、こっち来た)

 

 思わず縮こまるガンスミス。だが、後部座席で苦しそうにするジェシカと目が合い、ナガンが散らかしていった工具箱からハンマーを取り出した。

 

(......こんな子だって戦ってるんだ。俺だって元は傭兵の端くれ、せめて1発くらい)

 

「グレネード1発で倒せると思わないでよね」

 

暗く重い声に、場の空気が一変する。

そこには、先程の衝撃で剥がれ落ちた瓦礫の山があるばかり。

その中から、くぐもった声が聞こえた。

 

「......なに? 私たちを舐め腐ってるワケ?」

 

 ゆらり、と瓦礫の中からベージュ色のカーディガンに身を包み、己の半身を杖にしてゆっくりと立ち上がる人影。

 

「これだから新人は嫌いなのよ。都合の良いことばかり考えるから」

 

 頭部を切ったのか、赤い血を垂らしながら。

 またひとり、また1人と立ち上がる。

 

 天井のダクトから音もなく降り立つ、アーマーを着込んだもの。

 

「全く、危ないところだったにゃあ」

 

 瓦礫を蹴り砕き、ジャラジャラと弾薬ベルトの音を鳴らして立ち上がるもの。

 

「不覚は取られましたが、これから挽回します」

 

二丁拳銃をくるくると回しながら、鼻歌まじりに歩くもの。

 

「これくらい予想できないとね〜。そうでしょ、教官さん?」

「殺しにかかるなら確実に息の根を止めなきゃ、さもなきゃ......こっちが殺すよ」

「......!」

 

 無機質な殺意を込めた目線が相手を貫く。それに縮こまる敵に注意は向けるが意識は向けずに、軽くツインテールについたゴミを払いながら、側のM1911に問いかけた。

 

「隊長は......どこ飛んでったんだか。次はガバメント?」

「序列的にはあなたが隊長」

「かしこまり」

 

 軽く敬礼を返し、引き金に指をかけくるりと回して。

 

「......って言っても、私のやることなんてもう終わってるんだけどね」

「武器をおいて両手を頭の後ろへ。無駄な真似をすると頭が吹き飛ぶぞ」

「変な真似すると手足も飛んじまうぜ」

 

格好は振りだけ。

 

 ナガンが最後尾にいた紫髪の片割れの頭に銃口を突きつけ、無機質に問い掛ければ。

 瓦礫の山の上ではイーサンがヨーヨーをもて遊びながら、片手はワイヤーを張りめぐらせている。

 

(あとはクルーズが頼り。なんとかしてこの窮地を)

「ただいま〜! 狙撃手見つけてきたよ〜」

 

 陽気な掛け声と共に無駄に前転しながら、ARTが帰還。小脇には金髪の少女が抱えられ、目を回してしまっている。

これがあの狙撃手だったのか、隊長格の少女は露骨に顔を歪めている。それを見てため息をつくナガン。

 

 

「......ポーカーフェイスは隊長の必須技能じゃろうに。

双方そこまで」

「勝負あったな」

 

 ナガンが銃をしまい、同じタイミングで奥から凛とした声が発せられた。

 奥の暗がりから姿を現したのは、黒づくめの服装に身を包んだ女性。滑らかな犬らしい耳を頭につけているところ以外はなんの変哲もない、真面目そうな顔つき。

 

「......全く、貴様ら。教練を一からやり直すか? 実戦経験を積んできたからと油断したな」

「初動は良かったが油断がすぎる。長は新兵か?」

「その通りだ」

 

ナガンとしたしげに話す女性。さも戦友のような話ぶりに、M14が突っ込んだ。

 

「知り合い?」

「話せば長くなる。ハイビス! 怪我人を見てくれ。車の中じゃ」

「は、はい!」

「あ、あー。こっちだ。一応どこが怪我してるかメモもあるから渡すよ」

「あ、ありがとうございます!」

 

 銃口を向けられていた方があたふたとしながらも車に向かい、状況をあんまり理解してないガンスミスがとりあえず応対する。

 

 しかしここにいる大多数が状況を理解できていない。

どうなってんの、と明らかにうろたえている青髪の前に黒髪の女性が立ち頭を軽く叩いた。

 

「実戦であれば全滅だ。ナガンさんの知り合いで命拾いしたと思え。帰ったら訓練だぞ」

「はい......」

「ビーグル! 初動は良かったが、もう少し積極的に動け! 重装の貴様が動かねば戦線が動かせないぞ!」

「はい!」

「ラヴァ! やるならもっと火力を上げろ。もしくは絞って1人に当てろ! 範囲で押しつぶすだけが術師だと思うな!」

「はーい」

「クルーズ......は気絶したか。説教は後回しだ。

いいか! これは良い機会だ! どうしてこうなったかよく考えろ! 戦訓を無駄にするな!」

「おうおう、今日も派手じゃなぁ」

 

 使い所を失ったスパナで肩を叩きながら、ナガンがにこやかに笑って話しかけると、その女性はしかめっつらのままションボリとする彼らを睨みつけながら、

 

「鍛えるのが私の仕事だ」

「鬼教官ぶりは変わらずじゃのう、ドーベルマン」

「あなたも変わらないな、ナガン。優しすぎる」

「それ私もさんせー! というかもっと厳しくしないと! 教官つきたーい!」

「お前だけはダメじゃ」

「彼女は?」

「同僚じゃ。お主と同じ新人しごきが仕事じゃよ」

「最近暇してるんだよね〜、ちょっと貸してよ」

「ダメじゃ」

「......まず傷を見てもらえ、ハイビスカスが止血キットを持っているはずだ」

「けち」

 

 何事でもないように車を指差し行ってこいと示唆するドーベルマンにし文句を言いつつも、早く直してと車の方へ駆けて行ったM14。彼女と入れ替わるようにガンスミスがこちらに向かって歩いてきた。

 

「えーと。2人は知り合い......なんだよね」

「「そうなるな」」

「......どういうわけで?」

「話せば長くなる」

「詳しくは、もう少し人を交える必要がある。

移動するぞ」

「移動するって、どこに?」

「ロドス・アイランド前線基地だ」

 

 ドーベルマンが口を開いた。

 

「貴君らには、ドクターと面会してもらう。話は、それからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これもうドルフロじゃないのでは......?(名推理)


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番外編 北に向かいて死神を討て Ⅴ

もう何も言うまい......(話数が伸びて行く音)


 

 

 

 

 

 

「それで? ナガンとはどういう関係なのさ」

 

 車を走らせて数分。情報交流に盛り上がる後部座席の騒がしさに紛れて、助手席でナビゲーター役を買って出たドーベルマンにガンスミスが質問を投げかけた。

 

「関係、とは」

「どこそこで一緒に戦ったか、とかね。だいぶナガンも気を許してるみたいだしそういう仲なんでしょ?」

「彼女とは親しいのだな」

「もう何年もの付き合いだよ」

「そうか」

 

 素っ気なくかえすのはきっと彼女が不器用だからだろう、それがわからないほどガンスミスは察しが悪いわけでもない。

 特に気を悪くすることなくそれで? と言葉を促した。

 

「彼女とは、ここではないが同じチェルノボーグで出会ったんだ。重要な作戦の最中で神経を尖らせていてな、白い服装だから反射的に敵かと思ったものだ」

「実際手を出してきよったからなコイツ」

「不可抗力だ」

「まあまあ落ち着いて。それで、続きは?」

「そこに折り悪く襲撃してきたのがレユニオンの奇襲部隊だ。見境なく襲いかかってきたからなし崩し的に共闘することになったのだ。

 その時に居合わせていたのが、ジェシカを隊長にする特務隊だ。私が指揮を取る手筈だったがいつのまにか指揮権を渡してしまっていたよ。

......ナガンさんの指揮がなければあの苦境を脱することは難しかっただろう。

 だから私はオペレーターとして協力する事を提案した。これほどの腕を持つ人物はそうそういない。そのまま私の隊に編入して戦闘指揮を互いにとりつつ、作戦を進行していった。そして......」

 

 そこまで言いかけたところで彼女は押し黙ってしまう。不思議に思ったガンスミスが声をかけようとするがナガンが無言で静止し、口を開く。

 

「ここからはワシが話すべきじゃな。

 その作戦というのはとある人物の救出と暴動鎮圧、というものじゃった。救出任務は首尾よく行ったが、問題は鎮圧任務の方じゃ。

 感染すると身体能力も向上するのかの。人間かというのにハイエンドかくもやのと言わんばかりの埒外の人間ばかりじゃった。それに純粋な人数の差、都市の労働者全員がそっくりそのまま暴徒化したおかげで警察も飲み込まれた。都市と共同戦線を敷く鎮圧作戦は放棄され、脱出のためにレユニオンの包囲網を突破する事になったんじゃよ。

 

 先鋒を買って出たワシらには当然負担がかかる。補給もままならぬ中、なんとかあと一歩というところまで来て、奇襲部隊に捕まってしもうての!

 口先八丁で時間を稼ぎなんとか機転をきかせて脱出したと思ったんじゃが、気がついたらP基地の医者がワシの顔を覗き込んでおったのう」

「生き残ってらしたんですね」

「見ての通りピンピンしておるぞ」

 

 そこ右です、と時折指示を交えながらではあるが聞き入っていたドーベルマンとガンスミス。ま、過ぎたことではあるがの、とナガンが付け加えたところで無線にノイズが走った。戦場ではよくある感度の悪い時の通信機特有の合図のようなものだ。

 

『そ......の車両、停止......』

「こちら行動隊A1、隊長のドーベルマンだ。警戒を解かれたし」

『了......いしました。どうぞ』

 

 扉もなければ検問所があるわけでもない。本当に臨時で作ったんだな、と言いつつアクセルをかけて車を進める。

 

 しばらく進めば指揮所の前に着いた。こちらもわかりやすいランドマークがあるわけではないが山積みの物資と人の出入りを見れば一目瞭然。促されるままに降車し、ドーベルマンの後に続く。

 

 途中物珍しいげにこちらを見てくる人もいるにはいるが、ほとんどは目もくれずあちこちを走り回り自分の仕事に没頭していた。

 奇妙なのは、皆ほとんど一様に人間ではないような耳や尻尾が生えている事だろうか。

 

「珍しいか?」

「そう、ですね。あまり見たことはないです」

「......ここではアーツ適性が強いほど重宝される。そのせいで身体の一部を肥大化させている者もいるのだ、言及するなよ」

「気をつけますよ」

「ここだ。ドーベルマン、入室の許可を求めます。クルーガー社の面々も一緒です」

「どうぞ」

 

突き当たりにある比較的綺麗な部屋の扉をノックすると、不釣り合いに可愛らしい声が聞こえてきた。

 それに疑問符を浮かべつつも、いうがままに入室する。

 

「ようこそロドスへ。CEOのアーミヤです。こちらが指揮官のドクターです」

「......」

 

 サイズの合わないロドスの制服らしいパーカーと、兎耳を生やした少女。その奥の執務机には、目深にフードをかぶったいかにも不審者な人物が手を振っている。

 

「......?どうしました?」

「あ、ああ。こちらこそよろしく。ガンスミスと呼んでください」

「はい、よろしくお願いしますガンスミスさん」

 

 アーミヤと握手をかわし、こちらへどうぞと手招きするドクターに促されるまま座る。

 いかにも先ほど瓦礫の中から用意しましたと言わんばかりの汚れ具合のソファだがないよりはマシ。一拍遅れてナガンが隣に座り、思い出したようにART 556も座る。

 

「ジェシカさんを保護してくださりありがとうございます」

「いえいえ、自分たちはできる事をしたまでです。それに主導したのは彼女、ナガンです。感謝するのであればそちらに」

「! これは失礼しました!」

「世辞はいい。本題に入ろうアーミヤ、ドクター」

 

 漂っていた堅苦しい空気を取っ払い、ナガンが前のめりになりながらドクターに問いかけた。

 

「戦況は」

 

 これに対し、ドクターは首を緩々と横に振ってからアーミヤにアイコンタクトを送る。それを理解した彼女が悔しそうな顔で説明してくれた。

 

「戦線は押され気味の膠着状態、芳しくありません」

「じゃろうな。面々の顔を見ればわかる」

「龍門やペンギン急便の支援があればよかったのですが、望めないものを戦力としては数えられません」

「現在計画立案している作戦はあるか」

「あります。

 この膠着を生んでいるのは尋常ではない冷気と、それらが生み出す霧や寒冷地の特徴を利用した攻撃です。ですがそれを行えるのはフロストノヴァと、彼女の部下である『スノーデビル小隊』だけになります。

 彼らをどうにかして出し抜きフロストノヴァを攻略する。そのために、現在このように部隊を編成して」

「それ作戦ではなく努力目標じゃ」

「う......」

 

 アーミヤがしょぼくれると同時に耳もペタンと萎れるが、ナガンは気にせずズバズバと切り込んでいく。

 

「それで? 作戦としては少数精鋭による一点突破、さらには他の部隊を陽動に用いるってところじゃろ?」

「はい、現在はそのために準備を」

「無理でしょ」

 

 2人の会話に割り込んできたのは今まで見に徹していたART。幼い顔を目一杯しかめながら指を折って問題点を数えて見せた。

 

「その1、あれだけの物資があるなら少数精鋭である必要がない。もっと多角的な部隊運営をするべきだよ。

 その2、多分陽動は効かない。あっちは戦線を作るだけでいいんだから、陽動に突っかかる必要性が皆無。ただの戦力分散の愚策でしょ。

 その3、周りくどい。もっと派手にやればいいのに」

「派手に、とは」

「私たちがそいつをぶちのめす。そっちは一切口出しなしで」

「「はい?」」

 

 アーミヤとガンスミスの驚くセリフが重なるがARTはお構いなしに言葉を続けた。なにせ合法的にひと暴れできる滅多にないチャンス、逃すわけにはいかない。

 

「新しい戦力。それも既存の編成とはガラリと変わった統率のとれて戦闘力の高い部隊、欲しいでしょ?」

「た、確かにそうですが」

「それに目標は達成したのと同じだしね。

 今の部隊は基地の中でも戦闘力はあるLWMMGととM14がいるし経験を積んでるM1911とナガンもいる。IDWも私も弱いわけじゃないし、何度か同じ部隊で任務もこなしてるから連携もバッチリ。

 早く帰りたいだろうガンスミスさんには悪いけどどう? やらない?」

「乗り掛かった船から逃げるほど阿呆でもない。わしも彼らには恩と義理がある」

「じゃあ!」

「......あまりやる気は出ないが、やるしかあるまい。もうレユニオンにも顔は覚えられておるじゃろう」

「いよっしゃ!」

 

 小さくガッツポーズを見せるARTに対し、渋々了承したと言わんばかりにため息を吐くナガン。嫌なら反対すればいいのに、とガンスミスが言いかけたところで突然ナガンが立ち上がる。

 

「ああドクター、折角の再会じゃ、少し2人で話さぬか?」

「......」

「大丈夫ですよ。少しだけ休憩時間があります。その間に私は皆さんを空き部屋に案内しますがよろしいでしょうか?」

「......」

「わかりました。皆さん着いて来てくれますか?」

「やっと広いところで休めるにゃ?」

「あまり広いとは言えませんが」

「いやたー! 狭っ苦しい車内とはおさらばにゃ! LWの隠れ巨乳に劣等感を抱かなくてすむにゃん!」

「ちょっとIDWさんどういうことですか! さんざん触ってきたのはあなたの方からでしょう?!」

「まーまーふたりとも」

「アーミヤさんとか言ったっけ? 射撃場とかある? 訓練場はー?」

「君らちょっと騒ぎすぎ。アーミヤさん困ってるでしょ」

「皆さん元気ですね」

 

 ワイワイと騒ぎながら部屋を出て行く一同を見送ってから、ナガンが帽子を取って格好を崩す。それと同時にドクターもまた気を楽にして椅子に身体を沈めた。

 

「お互い苦労はしたくないものじゃなぁ」

「......そう、思う」

「息災かドクター。久しぶりじゃな」

「そちら、こそ。元気、で、よかった」

「勝手に居なくなってしまってすまんの」

「だいじょう、ぶ。あなたのおかげで、たすかった」

 

 ガラガラにヒビ割れた声に吃った口調。彼が人前では無口で基本的に口を開かないのにはそのようなコンプレックスがあるからなのだが、ナガンの目の前では気にしてはいない。

 

「しかし、お前のようなものが指揮官とは出世したもんじゃな。記憶を失う前はそれなりの博士だったと聞くが、才能というのはわからぬものじゃ」

「おかげで、たすかってる、よ、ししょう」

「よせ、わしは基礎基本といくつかの例を見せただけ。紛れもなくお主の才覚と勉学の賜物なんじゃよ」

「そう、かな?」

 

 褒められて嬉しそうに頬を掻くドクター。ナガンが思うにガンスミスとほぼ同い年であろう青年である彼は、ナガンを救ってくれた人物の1人であり、それなりに気安い仲なのだ。

 

「そ、れで? どうして、ここに」

「わしにもわからん。前と同じように源石が悪さをしたか、もしくは他の原因があるか。その口ぶりからするに結局は分からずじまいだったんじゃろう?」

「そう、だね。これからは、どうするの?」

「ここの他に行くあてもない。不肖の部下と同僚までついてきおって騒がしくなるがしばらく世話になる。

 仲間としてではなく戦力としても少しは頼っても良いのじゃぞ?」

「ありがとう」

「旅は道連れ世は情け。受けた恩は忘れぬよ。それでーーー

 

Aceは? あれからどうなった?」

「......」

 

 沈黙が答えだ、と言わんばかりに俯くドクターの様子からどうなったかを悟った。

「......そうか」

 

 無粋なことを聞いてすまなかった、とだけ告げてこの場を去ろうと立ち上がるナガン。その背中をドクターは何をいうまでもなく見送った。

 

「お主まで死ぬこともなかったというのに......」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「おっすドクター。A2行動隊隊長Aceただいま帰還と。

どうした、慌てたような顔して?」

「......! ......!」

「え? 昔の知り合いが来たけど俺が死んだと勘違いさせちまったって? オイオイ勝手に殺すなよ」

「............」

「どこに配属してたか思い出そうとしてたらもう居なかった? そりゃ仕方ねえなぁ」

「......!」

「お、どうした悪い顔して? なに? 面白いこと考えたって?」

「......」

「............そういうユーモアは大好きだ! で、誰を追加で抱き込む? こいつは派手にやれそうだぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 




ここから日常交流会を挟んで戦争の時間だよー


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番外編-CO 北に向かいて死神を討て Ⅵ

やってみたかった短編集

次と次の次でおわりだから! 
もし終わらなかったら木の下に埋めてくれても構わないよ!


 

 

 

 ロドス・アイランドの戦闘員(オペレーター)には様々な人物がいる。戦闘職種(クラス)に分けられているのは前提としてその境遇。

 

 もとより戦うことを求めたものもいれば、心情の変化により身を置くようになったものもいる。

 やんごとなき事情で流れ着いたものもいれば、ここに居場所を定めた流浪人もいる。

 患者であっても現状を憂い自身を戦場に置くものもいれば、才覚を見いだされ戦場に立つものもいる。

 

 他にも仕事であったり打算であったりと目的すら決して一枚岩ではないのだ。

 

それ故か、様々な人種もいるわけで。

 

 

 

 

 

◇赤い暗殺者と気紛れな猫

 

「......む」

 

 赤いモッズコートに身を纏う少女は、己の昼寝場所に先客がいることに小さく唸った。

 ここは前線基地の中でとりわけ日当たりが良く彼女のお気に入り。出撃のない晴れた日にはよく日向ぼっこしながら微睡にふけるのが彼女の数少ない楽しみ。時折小さな術師ドゥリンなど邪魔者がいないわけでもないが、彼女の居場所を横取りするなんてことはしない。

しかし、どうやら今日は違うらしい。

 

「どいて欲しい。ここは私の場所」

「ん〜、にゃはは。ちゅーるはマグロに限るニャァ〜」

「......」

 

 ゆさゆさ、と見覚えのない軽装で猫耳と貧相な尻尾の生えたオペレーターの肩を揺らすが、寝ぼけてばかりで起きる気配はない。

 

「......いい加減に起きて欲しい」

「んや〜、にゅふふにゃ〜」

 

 さらに力を込めて揺らすが盗人は寝ぼけて、あまつさえ肩に置いた手をエサか何かと勘違いしてかハムハムと甘噛みしだす始末。

 ひとつ余談なのだが、このレッドというオペレーターは非常に世間知らずで喧嘩っ早い。これも彼女の得意な経歴が理由なのだがそれは今問題ではない。

 

つまるところ。

 

「......いい加減起きて」

 

 こんな天気のいい昼下がり、さて昼寝しようと思ってスキップしながら着いたお気に入りの場所に無作法な誰かが陣取っていることに対して、堪忍袋の尾が切れた。

 コートの中に持ち歩くナイフを取り出し暴力的な手段に訴えかけようとしたところで待ったをかける声が。

 

「やめておいた方がいいにゃ」

 

今まで寝ぼけていた誰かが声を発する。

右手をひらひらとさせ、薄く目を開けてこちらの方を見ながら面倒臭そうに告げた。

 

「実力者も見抜けない2流にはこの場所は渡せないニャァ......zzz」

 

じゃらり、と枕にしていた左手にレッドが隠し持っていた6対のナイフ全てを広げて見せびらかしながら、彼女はまた眠りについた。

 

「おひるねおひるね〜、って、レッド、どうしたの?」

「......ドゥリン。訓練、付き合って」

「え〜? なんでよ〜」

「昼寝の場所を、勝ち取るために」

 

 眠気は燃え上がる闘志に、劣等感は覚えるまもなく嫉妬から向上心に変化する。

 

彼女のコードネームはレッド。

 その名の通り、赤く燃えるような闘志を秘めるオペレーターだ。

 

 

 

 

◇フェイス・コミュニケーション

 

 

「......む、貴殿は確かクルーガー社の」

 

 廊下を散歩するガバメントの対面から現れたのは、白い鱗に覆われた爬虫類が二足歩行しているような生物。もちろん生物兵器などではなくこの世界ではごくありふれた種族であるサヴラのオペレーターだ。

 

「はい。PMCクルーガー社のガバメントです。短い間になりますがよろしくお願いしますよ」

12F(トゥエルブエフ)です、以後お見知り置きを」

 

 軽く会釈すると12Fもまた挨拶を返した。そのまますれ違おうとするが、ガバメントの物珍しい物を見る目に思わず立ち止まる。

 

「......私が珍しいですか?」

「貴方の様な人は見たことありませんから」

「はは、私の様な人は見たことがないと言いますか。遠方からいらしたのですものね」

「そうなんですよ! 触っても?」

「ええ、構いませんよ」

 

 自分の顔に手が届く様に屈み込んだ12Fの顔を恐る恐るながらさわさわと撫でるガバメント。

 

「見れば見るほど不思議ですねぇ......」

「そう珍しいものではありませんよ。ただ、ロドスには少ないというだけですから」

「へーえ。あ、ここ紙やすりみたいにザラザラしてる」

「爪を削るのに重宝してます」

「あはは、身嗜みには困らないんですね」

「逆です。汚れが隙間によくたまるので苦労しているんですよ。貴方の方は肌がすべすべですね。触っても?」

「お互い様でしょう?」

「では遠慮なく......おお、これは......」

 

 どの様な形であれ、触れ合うことは最高のコミュニケーションになる。

もっとも、廊下の片隅で幼女と長身の竜人がお互いの顔を触り合う光景はいかがなものではあるのだが。

 

「ト、12Fさん貴方そうゆう趣味だったんですか......?」

「そうなの、この人が無理やり......! まー冗談なんd」

「警備兵! 警備兵の方はいらっしゃいませんか!」

「「ご、誤解です!」」

 

 

 

◇消えてしまった憧憬をもう一度

 

 

「アーツを纏わせると硬度が跳ね上がるとは、不可解極まりない」

「そうだよねぇ。なんでだろうね?」

 

元々は公園だっただろう空き地で腹這いに伏せていたLWが立ち上がり服の砂を払いながら、目標を見据える。

 まるで嘘の様に軽く堅固な盾。というか、盾ですらない背負い鞄。それが自身の8.6mm弾50発の連続射撃を防いで見せたことにLWMMGは驚きを隠せなかった。

 

「......やっぱアーツってすごいんだね?」

「何故そこで疑問形なのですか」

「わからないものはわからないよ!」

 

 私に聞かないでよねと盾の持ち主であるオペレーター、オーバーサイズの濃い緑のジャケットを纏い金属バットを担ぐ少女クオーラは元気に溌剌と笑った。

 

「無強化の一般的な盾では穴だらけだった筈なのですが、アーツを通すだけでこれほどまでに強度が増すとは。

 徹甲弾でももしかすれば貫通が難しいかもしれません」

「ところでおねーさん変わったボウガン使うんだね!」

「え? 違います、これはマシンガン、銃のひとつですよ」

「そうなんだ、カッコいいね!」

「もしよかったら、触ってみますか?」

「いいの? やったぁ!」

 

 壊してしまわない様に触って欲しくない部分を伝えながらも、先程の自分と同じく2脚を立てて腹這いになり構える格好をするクオーラを見守る。その年頃の女性かと思わんばかりの仕草に、ふと気になることがあった。

 

「貴方、ハイスクールは......?」

「ハイスクール? なにそれ」

「学校のことです。貴方の格好は見るからに学生といった出立ですが、もう通っていないんですか?」

 

 質問に対してんー、と少しだけ考え込んでなんでもない様にクオーラは答えた。

 

「わかんないや。私記憶喪失だから」

「記憶喪失......」

「そう、なーんも覚えてないの! 覚えてるのは自分の名前だけ!

「......」

 

 話ぶりとは大違いの過去に言葉が出ない。そんな彼女の様子を自分の境遇を哀れんでいると勘違いしたか慌てる様に手を振って、

 

「別に気にしてないよ! 戦うのはちょっとだけ怖いけど、ここはいろんな人も、美味しいご飯もあるから好きなんだ!

 野球をする人がいないのは、ちょっぴり悲しいけど」

「野球なら、少しだけ投手の心得がありますよ」

「本当に? ちょっと投げて見せてよ!」

 

 野球の話題が出た途端に噛みつかんばかりにし迫ってくるクオーラ。すぐにバッグの中からミットとボールを彼女に押しつけ自分といえばもうすでにバットを構えて打者気分。

 少しだけ苦笑いしてLWMMGはミットをはめボールを握った。握りはもちろん、基本のストレート。

 

「行きますよ」

「さっこーい!」

 

プレートも何もない平坦な地面で投手が振りかぶり、

ボックスもベースもない場所で打者が構える。

 

打ち返した打球は金属音とともに青空に吸い込まれていき。

 

キャー

ドクターガタオレター

エーセーヘー!

 

「......うん。みなかったことにしよっか!」

「そうですね」

 

 

 

 

◇戦士の心得

 

「そこまで」

 

 銃剣を模した模擬槍の穂先が喉元に突きつけられたところで、教官役のドーベルマンが終了の掛け声をかけた。

 

「まいりました......」

「メランサまで負けちゃうなんて! すごいね!」

「へっへーん、どんなもんよ」

 

 くるくると武器の柄を回しながらカーディガン姿の少女M14は笑えって返す。そして野次馬に集まってきたオペレーターたちを見回しながら、くいくい、と人差し指で手招きした。

 

「で、次は?」

「よーっし、じゃあ吾輩が!」

「よせ。もう時間だマトイマル」

「えー、盛り上がってるのにやめちまうのか?」

「次の使用者がいるんだ、これ以上時間をかけるなら迷惑をかけないよう使わせないこともできる。

他のものも仕事に戻れ!」

 

 教官らしい強権と権威をちらつかせこの場をおさめたドーベルマン。野次馬がすっかり散ってしまったところで、ひとりさも当然のように残るオペレーターがひとり。

 

「少し、時間をお願いできますか?」

「フェンちゃん?」

 

 青髪クランタ(ウマ)族の少女フェン。戦場で一度殺し合う直前まで発展した2人が、再び相対する。

 

「貴方が強くなった理由を教えてください。クルーガー社の中でも、貴方はとりわけ強いように見えましたし、そう感じました。ロドスのオペレーターの中でも強いのは、さっき見ました。

だから教えてください。私は強くなりたいんです!」

「よし。じゃあ映画見よっか」

「映画?」

「そう、私の魂のバイブル、私を形作った作品」

 

どこからともなくDVDを取り出すM14。

そのタイトルは言うまでもなく。

 

「くそったれの戦場へようこそ」

『フルメタル・ジャケット』

『地獄の黙示録』

『プラトーン』

 

 

 

「死んだレユニオンが良いレユニオンだ! あはははは!」

「フェンが壊れた!」

「ちょっと刺激が強すぎたかな?」

 

 

 

 

◇なんでもない日にお祭りを

 

「おいしい!」

 

 殺風景なロドス前線基地食堂、そこでただ飯にありついていたのは翠色の髪が眩しい猫耳ART556。両手にフォークを握りしめ口の周りを少しだけ汚しながら言えば、となりでフライパンを持ってニコニコ笑っているウルサス(クマ)族シェフこと、オペレーターのグム。

 

「遠いところからって来たって聞いたけど、ウルサスの料理が口に合うようで良かった良かった!」

「不思議な味だね、でもおいしい!」

 

 こんがり焼かれたソーセージをモゴモゴと齧りながら答える様は見た目相応の子供そのもの。殺伐とした戦場には無縁の微笑ましい光景に心安らぐような、そんな空間が食堂の片隅で起きていた。

 

「あとはガンスミスさんのデザートがあれば完璧なんだけど」

「ガンスミスさんて、一緒にいたおじさんのこと?」

「そうそう! 料理はヘタクソなんだけど、お菓子はとってもおいしいんだよ! ハロウィンの時やバレンタインの時なんかはおいしいかぼちゃのケーキとチョコをもらったの!」

「お菓子もらえるなんていいなぁ......ここはそんなイベントとは無縁だから」

「だったらやっちゃえば?」

「えっ?」

 

 ふと漏らした弱音にあっけからんと解決策を投げつけられぽかんとするグムを横目にARTが言葉を続ける。

 

「ないならやっちゃえばいいんだ! おいしいお菓子をたくさん食べて、みんなで盛り上がるような楽しいこと!」

「なるほど、面白そうですね」

「お菓子作りですか......久しぶりに腕が鳴ります」

「マッターホルンさんにアズリウスさん?」

「いま面白そうな話してる?」

「ガンスミスのおじさんまで!?」

「お、おじさんちゃうわ!」

 

 

「と、いうわけで」

「「「「G&K社とロドス・アイランド業務提携を祝して! かんぱーい!」」」

 

 数時間後、食堂は人で溢れかえっていた。

机の上にはさまざまな料理とお菓子が並び、オペレーター職員問わずさまざまな人が入り乱れていた。突然のパーティともなって全員が集まっているわけではないが、多くの人がここにいて楽しんでくれていることが確かだ。

 

「......どーしてこうなっちゃった?」

「みんなお祭りが好きだからね! となりいいよね?」

「うん」

「にゃはは、勝手に計画してよかった。ドクターさんも簡単にOK出してくれたし、ちょっと食材の準備に手間が掛かったけど、いっぱいシェフが来てくれた良かった!」

「すごい......こんな光景はじめて」

「はじめて? それは良かった!」

 

 ニコニコと笑うARTにつられて、思わず固くなっていた顔がほぐれるグム。それと同時に少しだけ涙ぐんでしまうほどに、目の前の光景は平和だった。

 それこそ、戦乱が起きる前。故郷ウルサスで楽しい学生生活を送っていたあの頃のように。

 

(いけないいけない。ないちゃいけない。楽しい場所を邪魔しちゃダメだよ)

「それとねー。こんなパーティにはトラブルと悪戯もなきゃね」

「カフッ」

「ドクターがまた倒れた!」

「この味......姉さ、ハイビスカスを厨房に入れたのはどこの誰ですか!?」

「え、料理できるって引っ張ってきたって聞いたんだけど」

「彼女ですね」

「何か意図があるとは思っていましたが」

 

 彼女の目の前で料理を食べたドクターが泡を拭いて倒れ、ラヴァの発言に同じく厨房に立っていた面々から一斉に指を差されるART556。

 

「どっきり大成功! これも全部私のせいだ、でも私を謝らせたかったら捕まえてみなさいなー! じゃあパーティー楽しんでねー! あーでぃおーすあみーごー!」

 

 颯爽と窓に飛びつき、煽るだけ煽ってひょいと逃げ出すARTを追いかける数人のオペレーターを見送ったところで紙皿のケーキを一口食べるグム。

 ケーキは、少しだけ塩の味がした。

 

「......おいしい」

 

 

 

 



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番外編 北に向かいて死神を討て Ⅶ

暑いですね。夏バテでアイデアが出ませんでした。

嘘です。さぼくってました。




 

 

 

 

 

 

「ねえナガン、やりにくくない? こう戦術が未発達というか、動きがトーシロ臭いというか」

「元を正せば暴徒の集まり、軍隊経験者は多くとも教官の方はおらんのじゃろう。風は南3m。距離1570m」

了解(ラジャー)

 

 銃声のたび薬莢が宙を舞い、スコープの先で誰かが倒れ伏す。

 廃ビル屋上前線からつごう500mの要所に陣取るM14とナガンはそんなことを話しながら援護射撃を行なっていた。

 

「ほらまたカバーリングが甘い。足に一発と」

「......命中。そろそろ勘付かれると思うか?」

「私はまだいけると思う、続行しよ」

「では観測を続ける。着弾は太もも中央部じゃ」

「狙いバッチリ。ガンスミスさん相変わらずいい仕事するぅ!」

 

 LWMMGの高倍率スコープの予備を改造して取り付ければM14であっても1km先まで銃弾は届く。戦場での思いつきでは難しい事だが、ガンスミスにかかれば近距離チューンのM14でさえ遠距離狙撃銃に早変わりだ。

 

「しかし硬いしウザったいね。アーツってのは」

「身体を内部から作り替えていく激痛と恐怖に耐え抜けばじゃがな。それに寄せ集めとはいえ防弾装備まで一丁前に揃えてからに」

「前線組は苦労するねぇ」

「そのための後方支援じゃ......次。敵術師、狙えるか?」

「フードのいけすかない人影なら」

「風向きそのまま。距離1639m」

「あいよっ」

 

 戦術人形の正確な諸元と戦闘経験、それさえあれば後は銃に文句をつけるしかない精密射撃が実現する。今度は頭から血を吹き出して人影が倒れ、護衛らしき影が物陰に散っていった。その機会を逃す事なく黒パーカーの重装オペレーターが道を切り開いてゆく。

 

「......あの動き、本当に製薬会社の私設軍なのか?」

「うちだって元を正せば民生品だけど?」

「......ま、民間人を戦場に駆り立てるのはどちらも同じか」

「あー、そろそろ限界射程じゃない? 2000mは厳しいよ」

「ではポイントBへ移動する。アーミヤに連絡するか......む」

 

 単眼鏡で戦場を見渡していたナガンが疑問の声を上げ、一方向に目を凝らす。そして無線のスイッチを入れた。

 

『こちらBeta01フロストノヴァを発見。区域は東-2-1』

『アーミヤ了解。作戦を第二段階へ移行します』

 

 短い返答ののち無線は途切れ、腹這いになっていたM14が立ち上がり砂を払う。て早く狙撃スコープをダットサイトに付け替え銃の先には銃剣を取り付ける。マガジンを10発のものから30発多弾マグに入れ替え、近接装備に意識も外装も切り替えた。

 

「第二ってことは祭りの時間だね」

「そうなるな。しかし何故よりにもよってお主が選ばれてしまうか」

「いっちゃん強いから仕方ないよね〜」

「......では移動するぞ。この狙撃ポイントは放棄する」

「りょーかいっ」

「てはず通りならばジェシカの部隊と合流のはずじゃが、連絡はなしか」

 

 窓枠に引っ掛けたアンカーにハーネスをかけ、ザイルを伝ってビルから滑り降りながら無線機に手を伸ばす。足元を見ても人の気配はなく、静かな路地裏が広がっているばかりだった。

 

『こちらBate1。 Chicago1応答を』

『こちらChicago1ジェシカ! 現在戦闘中のため合流は難しいです! お先にどうぞ!』

「あらら」

「......まあこういうこともあろう。損耗は避けつつ前線を目指すぞ」

「潜入ミッションは不得意なんだけど」

「やれと言っている」

「はいはーい」

「西から迂回する」

 

 短く言葉を交わした後に、お互い擬装マントを目深にかぶり、腰を低くしながら走り出した。

 

「......なるほど、そういうカラクリか」

 

 

 

◇◇◇

 

 

「ところでなんで銃使わないんだろうね。剣だのやりだのクロスボウガン、まるで中性だか石器時代だか」

「銃が貴重品だと聞く。なんと発掘されるとかなんとか......整備がなっとらんとあやつが怒鳴っておったのう」

「いやいや、銃身の煤取りをライフルがしてないのはサボってるとしか思えないね。分解整備も知らないし、銃手舐めてんのかって感じ」

「とはいえ、異世界とはいえ見慣れた銃ばかりだったのは面白かったのう」

「Vectorにエンフィールド小銃にデザートイーグル。ガンスミスが手元を見もせず分解を始めた時の表情といえば傑作だったのう!」

 

 思い出すのはつい先日のこと。

 

『おー、イイ銃持ってるじゃないの!』

『ちょっとー、それ貴重品だから触らな......』

『あ、ごめん。バラしちゃった』

 

 射撃訓練場でエンフィールド小銃を持っていたオペレーターとガンスミスの喧嘩といえばしばらく話題になる程の騒動だった。

 

『それとさーっきから見てるけどね。エンフィールドの持ち味は連射力なのよ? ワンマガジンこんなもんで打ち切らないと。分間30発くらいしないと』

『え......は......は?』

『あと整備甘すぎ! パーツへたってるし銃身はライフリング削れまくりススたまりまくり! こんなんじゃ当たる狙いも外れるじゃんか! 銃持ってるの集めて講習会するよそこの天使ちゃん! この様子じゃズボラは君だけじゃないんでしょ落ちてる薬莢見るだけでわかるんだからな。

ハーリーハーリー! 』

 

 バラした小銃をそのオペレーターの顔を見て怒鳴ってる間に組み上げ、ワンマガジン分のボルトアクションを数倍のスピードでやって見せろ、安全装置をかけマガジンを外した上で投げ渡す。一連の動作をを1分も経たずにやってのけたのは彼にとっての通常運転だったが、ロドスにとっては目が飛び出すほどの出来事だったらしい。

 さらには装備品の扱いの粗雑さにブチギレたガンスミスの大暴れによりついにはドクターまでも駆り出される大規模な講習会になったのだが、ガンスミスは初歩の初歩だと終わった後も不満気だったくらいだ。

 

「ま、あやつはバカだからの」

「だよねぇ......っと、気がついてる?」

「光学迷彩だけで隠れてると思っておるならおめでたい」

「サーモカメラ内蔵してるからねぇ。ま、人間相手にはそれだけあれば十分だとは思うけど運が悪かったね。

で、どうする?」

「相手に撃たせる。敵を捉えているならば泳がせるべきじゃとは思わんか」

「うーわ性悪」

「なんとでも言え。それにクロスボウなら()()()()()()()し刺さっても問題なかろう」

「死ぬほど痛いから頑張って避けるね!」

 

 そう軽口を無線で飛ばしあいながら前線へと歩みを進めた。時には物陰に隠れて敵をやり過ごし、時には体術で敵を気絶させ排除する。

 距離をつかず離れずに保ちながら気配はピッタリとあとをつけてくる。

 

「襲って来ないね」

「案内させるつもりか?」

「だろうね」

「プランBを使う」

「プランB? なにそれ聴いてないんだけど」

「覚えておけ。プランBというのはな」

 

角を曲がり、追跡者の視界から消える。

 

(......気がついたようだな。だがそれで撒いたつもりか?)

 

 ナガンたちを尾行するファウスト、レユニオン内部でも指折りの兵士である彼はそう心中で笑う。

 彼の任務は先の戦闘から突然出てきた異分子(戦術人形)の排除。先の戦闘から実力者でないと排除できないことが分かっている以上、自由に動ける彼が任務に当たっているのだ。

 

『......どうする? 感づかれたぞ』

「問題ない。配置についているな?」

『ああ』

「潰せ」

 

彼の真価は集団戦。独自部隊の多角的狙撃と隠密は、あらゆる敵の首を獲ってきた。

 

のだが。

 

『......! ファウスト』

「どうした?」

『死んでいる』

「......は?」

『だから死んでるんだ! 身体が冷たい。脈もない!』

『俺たちは死体を追跡してたんだ!』

「囮作戦か。すぐにメフィストと合流する。クソ、フロストノヴァを直接取りに来るつもりか!」

 

 

 

「......やっぱり無理だったのう」

「ま、都合のいい話だったわけで」

 

目を開ける。

 そこは先ほどまでいた廃市街ではなく非常灯の灯る薄暗いカーゴヘリの中。隣では身体の動きを確認するようにM14が立って体操をしていた。

 

「アーミヤ。ダメだったわい」

「ここまで引き付けてくれれば十分ですナガンさん。しかし、戦術人形というのは不思議なものですね」

「最近の敵には動きで直ぐに露見するが初見であれば、な」

「サブプラン立てといてよかったね」

 

 SF(サブフレーム)にリソースを集める事でMF(メインフレーム)に錯覚させ敵を引き付ける戦術人形特有の囮作戦だ。古い教本に書かれている程度の古典的な手だが、生身の人間と相対していると勘違いする人間ならよくかかる。

 本来なら敵を排除しながら途中から自律駆動に切り替え同時に多角的に攻める作戦だったが、プランBとしてナガンが用意していた。おかげで厄介な敵部隊を決戦から引き剥がすことができる。

 

「それで......状況は?」

「あと3分で降下です」

「ウキウキするね!」

「......」

 

 隣で話しかける青髪の女性オペレーター、ブレイズが己の獲物(チェーンソー)を担ぎながら笑っている。

奥にはドクターが無言で構え、地図を見ながら作戦指示を飛ばし続けている。

 

「降下作戦はもう数年ぶりか」

「お、びびってんの〜?」

「抜かせ......死ぬなよ」

「わかってるよ。バックアップなんて一月前だし。こんな楽しい事忘れたくないからねん」

 

 ポーチに入っているたった1発分の赤い印の付いた弾丸を確認しながら、冷やかしてくるM14を適当にあしらっていた。

 ふと、作戦前にこの弾丸を渡された時のことを思い出す。

 

『源石って火薬になるんだね......威力がダンチすぎて他の人は使えないけど、ほい』

『なんじゃこれは』

『ナガンの銃なら耐えられるから作った源石火薬の超超強装弾〜!』

『珍しく薬莢を掃除してるかと思えばそんなことしとったのか! いいか、源石というのは核物質よりも厄介なー!』

『わかってるって作ったのは俺じゃない専門家に頼んだから安心しろって!

威力は多分44マグナムを超える。あとアーツが発現するとかなんとか言ってたから、ここぞって時に使ってね』

 

「......なんそれ?」

「とっておきの銀の弾丸、といえばいいかのう?」

「はぁ?」

「降下1分前です!」

「時間じゃ。さて、最後じゃぞ」

「オッケー! 盛り上がっていくよっ」

 

 ローターが空気を叩く音を聞きながら、後部ハッチが開いていく。

気圧差で吸い出されるようになりながら、しっかりとパラシュートの安全装置と紐を確かめる。

 

「......お主? パラは?」

「いらない!」

「ドクターは?」

「私が抱えるから大丈夫だよっ」

「お、おう......」

 

 初対面でありながら破天荒な振る舞いと言動を見せるブレイズにドン引きしながら、開ききったハッチの前へ。

 

「突貫します!」

 

 そう言いながらいの一番に飛び出したアーミヤに続き、ナガンたちも空中へ飛び出した。

 

「さあ、今度こそ最終決戦じゃ!」

「イェーイ!」

 




はい。いかがでしたでしょうか。


全然終わらんかった。次ことは最終決戦です!
ちなみに私のドクターはフロストノヴァまだ倒せてないんで動画見てきまーす!(キレ)


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番外編 北に向かいて死神を討て 終

*アークナイツ6章のネタバレを含みます

これがやりたかっただけなんだ(小声)

もうこれドルフロじゃないやん......


 

 

 

「来たか」

「ああ、来たぞ。フロストノヴァ」

 

 基地の最奥。吹雪吹き荒れる地下施設。

 履いた息が白く煙る寒気が覆う中、彼らは再会した。

 

「フロストノヴァさん。ロドスは感染者を受け入れる組織です。無論レユニオンであったとしても、それは変わりません。

 感染者との無駄な衝突は引き起こしたくない。特に、貴方と貴方のチームとは」

「......こちらへ、来てくれないか?」

 

 フロストノヴァに手を差し伸べようとするドクターとアーミヤ。しかし、彼女はその手を振りはらう。

 

「......私もだ。私もお前たちと無駄な争いはしたくない」

「では......!」

「しかし、ここは戦場で、私はレユニオンで、お前たちはロドスだ。戦場で敵と会うことは殺し合うこと。

 その手を取ることはできない」

「そんな!」

 

 拒絶の意を示すように、彼女の周囲に鋭く尖った氷塊が浮かびあがる。それは彼女の髪色のような白ではなく、ドス黒く染まっていた。同時に彼女の顔が痛みで強張るのをブレイズは見逃していなかった。

 

「......まさか、皮膚からオリジ二ウムの結晶が滲み出てきて、空気中の水分と混じり合い、黒い氷の結晶となった?」

「なっ......! それはつまり!」

「ふざけるな!」

 

 同じ結論に至ったナガンが驚き、ブレイズが叫んだ。

 

「やめろ! 死ぬ気なのか!? 源石が皮膚を食い破るほど暴走させて、アーツを行使してるんだろ!」

「......」

 

 彼女は答えず、無言でアーミヤとドクターの方へと手を伸ばす。素肌からは鋭く尖った源石が皮膚を突き破り、赤い血が表皮に凍り付いていた。

 

「お前たちはこの戦いを終わらせに来たんだろう?

敵の指揮官が死ぬまで、この闘いは終わらない。

いや、終わらせない。

 

熱くなれ。お前たちの敵は、目の前に立っているぞ」

 

 言葉を引き金に地面が凍りつき、白い冷気が霧のように濃くたちこめていく。

 

「まずい、こんな低温じゃ私の機器が動かなくなっちゃう......!」

「ドクター、下がって!」

「天災の安売りでもしてるわけっ!?

止まってフロストノヴァ、あなたは自分を殺すつもりなの? こんな強度のアーツを使わなくても貴方は十分に強いでしょう!」

「やめたほうがいい。もう言葉では足りんよ」

 

 防寒用の革手袋の指を通したナガンがブレイズを制す。

 

「見ない顔だな。最近雇われた傭兵か」

「そんなところじゃな。さてフロストノヴァといったか。

 お主には血を吐き身体を壊してまでも通す義理と決意があると見た。

 そんな輩にはお決まりの文句があるんじゃよ」

「ほう......?」

「話はベッドで聞かせてもらう。傷まみれの身体に包帯を巻かれて点滴でも通されて、ゆっくりと傷を癒しながら続きを語ってもらえばいい」

「私を倒すと?」

「そうとも」

「ーーその大言、飲み込むなよ。

 私は指揮官としては敗北したとしても、戦士として敗北した覚えはない」

「......近隣にいる部隊に通達。援護は必要なし。連絡があるまで、この区域から退避を。ナガンさん達も無理をする必要はありません」

「ここまで来て下がれってのは冗談でしょ」

「この程度の寒気は慣れている。それに下準備は済ませた」

「......わかりました。では、4人でフロストノヴァを倒します。ドクターは撤退を」

「断る。この戦いを、最後まで見守らせてくれ」

 

 決意はフードに隠れた表情から伝わったのか、アーミヤはドクターを一瞥して何も言わなかった。

 

「......準備はできたか?」

「さあ、始めようか!」

 

 ブレイズのチェーンソーが唸りを上げて火花を散らす。

 彼女の突撃と共に、戦闘が始まった。

 

「戦え。どちらかが死にどちらかが生きるまで」

 

 

 

 

「ちいっ!?」

「悪くないが......私を侮るなよ」

 

 ブレイズのチェーンソーを氷の刃が受け止める。チェーンがガリガリと音を立て熱波を突き立てるが氷の刃は無慈悲に熱を奪い跳ね返す。

 

「アーミヤ、援護を!」

「任せてくだ......あ、うっ」

「どうしたの!」

「そんな、指が......」

 

 アーミヤは指にはめられた10個の指輪を起点にアーツを操作している。しかしその指輪は黒い氷に覆われてしまっていた。

 

「お前とタルラの戦いを見ていた。その指輪を解除することでアーツを解放するんだろう? それを封じてしまえばいい」

「指輪をいくつか凍らせただけだっていうのにペラペラと余裕そうだね」

「果たしてそうかな?」

(氷が私の熱でも溶けない......?)

「ブレイズさん引いてください! この冷気のトラップ......まさか最初から仕込んでいたのですか」

「戦闘はお前たちがこの層に足を踏み入れた時点で始まっていた。この10個の結晶は体温を吸い取り、おまえのアーツを搾り取る。加える力が大きければ大きいほど、より氷はより強固となり、より冷たいものとなる。

たわいもない手段で、私に勝つつもりか?」

「いいや、そうでもないよ」

 

 銃声が場をつん裂いた。

 

 フロストノヴァの氷の装甲に弾かれるが、その射手は何事もなかったかのように銃を構える。

 

「戦場とは不確定要素がつきもの。勝手に暴れて勝手に死なれては面白みがないよね」

「殺すのであれば手足を直接凍らせれば良いものを武器だけに絞るとは余裕じゃな。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「戦いに楽しさを求めるか」

「そうでなくてはやってられぬよ」

 

 撃ち放った銃弾が空中で凍りつき失速させるが、本人はしてやったりと口角を吊り上げる。

 

「10m。その内側がキルゾーン」

「いいねぇインファイトは大好きなんだ」

 

 M14がポーチから何本もの銃剣を抜き放ち、ナガンが弾丸を再装填する。もうひとつの愛銃の1発目には赤い弾丸を詰めてホルスターに仕舞い込んだ。

 

(使わぬことを願うしかあるまい)

 

そう念じながら、彼女達は駆け出す。

 

「銃か。だが......!」

「そうそう、そんなことやられちゃ弾丸は通らないよね」

 

何枚もの氷の装甲が空中に浮かび斜線を塞ぐ、だがM14はそれを足場にしてフロストノヴァに肉薄していく。

 

「合わせて能天気熱血おバカさん!」

「私の名前はブレイズだ!」

 

 チェーンソーが装甲をうがち、その間隙を銃剣と弾丸が走る。冷気をものともしないM14に防戦一方になるフロストノヴァ。

 

「こんな戦闘スタイル初めてなんじゃない?」

「......それが?」

「図星だね!だってそんな身体を壊すほどにアーツを使うなんて一生に一度! ほおら隙ができちゃった!」

「防御はやはり甘いな」

 

M14の言葉と同時にフロストノヴァの太腿を弾丸が穿つ。

 

「次は腕をもらうぞ」

 

宣言通りに右腕を弾丸が穿つ。

 

「次は指か? 目か? 角か? 望み通りに吹き飛ばしてやるぞ」

「......なぜ凍らない」

「凍っておるぞ。バッチリとな。ただ少しばかり身体が特殊なだけじゃ」

 

 ひらひらと凍りついた左手を振って見せるナガン。フロストノヴァの言う通り2人も氷結罠を武器に受けているし、事実薄着であるため指の何本かは凍りついている。だが彼女らは戦術人形、コアが無事なら頭だけになろうが銃は撃てるし戦闘もできるからこそ、たかだか指の1、2本の凍傷でコンディションが落ちるはずもない。

 

「ならば」

 

バシバシ、と冷気が奔る。

その矛先は冷たさと痛みに動きが遅いアーミヤの方へ。

 

「しまっーー」

「アーミヤっ!」

 

 

 

「仕損じた、か」

「そんな、ナガンさん!」

「嘘でしょっ」

「......ワシも、情に脆くなったものじゃ」

 

 諦めたように肩を竦めるナガン。彼女の膝から下は、どす黒い氷が覆い尽くし、地面に繋ぎ止めてしまっていた。

 

「これで狙撃は封じた。お前なら彼女を庇うと思っていたよ」

「何故そう思う」

「お前の切った啖呵の裏すら読めないと?」

「......ならばわしの本気も読めなくてはな。脚部ボルトパージ」

 

 パシ、と短い発砲音とともにナガンの膝が砕け散った。

 人工皮膚が破れ、血液が飛び散り、フレームの金属パーツがバラバラに散らばる。

 

「なっ」

「な、なにそれ」

 

 支えを無くし地面に転がるナガンは器用に体を起こした上で告げた。

 

「......生体アンドロイド、生命(いのち)のない人でなし。戦うことを強いられる戦術人形。それが我々じゃ」

「なるほど。熱を感じなかったのはそのせいか」

「無駄な機能は長期戦には不向き故にな。冷気のせいでバッテリーの減りも早いから節約しなければならなかった」

「な、ナガンはロボットだったってこと?! 膝から下が義体だったわけじゃなくて?」

「薄皮一枚剥けば金属の塊じゃよ。今からやってみせるか?」

「戦闘中だよまだ、戦える?」

「背負ってくれ。M14」

 

 脚を失っても平然とするナガンとその堂々とした言葉に納得するしかないアーミヤとブレイズ。M14はナガンを背負い簡単に紐で縛りつけると、フロストノヴァに正対する。

 そして残念そうに唾を吐き捨てあーあ、と落胆したような声を響かせた。

 

「勝つためなら手段を選ぶな、敵は自分だ。なんて煽っといてなんで喋ってる途中に攻撃しないんだか、教え子だったら喉掻っ切る所の大馬鹿。

......結局のところその程度の想いしか抱えてないわけ? それとも私たちに同情でもしてるわけ? 冗談にしては三流ね。

ひとでなし(私たち)に簡単になろうとするなんて舐めてる? 見捨てた仲間の将来でも考えてるつもり?

自分が死ねば部下は助かるからって前向きな自殺、典型的な死に急ぎ野郎。映画で見たよくある主人公だかになったつもりなのかしら。

部下の面倒を最後まで見るのが隊長の務めよ。

勝利への執念も上に立つ者の責任も放り出すなんて、戦士としても死んでるわよ」

 

 挑発に中指すら立て始めたM14にフロストノヴァが無言で氷の刃を降らせる。それを銃剣で弾きながら背中のナガンに問いかける。

 

「いける?」

「早めに決着をつけねば彼奴が持たんからな」

「撃てるの?」

「射線があればな」

 

 左ホルスターから2丁目の愛銃を取り出す。弾倉には赤く輝く特製の源石弾丸が1発のみ。

 右目を精密射撃モードに移行させ、構える右手は目標に向かって真っ直ぐと。

 

「一撃必中......外さんよ」

「舞台は私たちが整えてあげるっ! いくよアーミヤ!」

「はいっ!」

 

 アーミヤの使う黒い稲妻のようなアーツが迸り、ブレイズがその影を縫うように走る。そこに氷の障壁が立ち塞がり、飛び越えた先には槍の雨が降り注ぐ。

 

「もっと! もっと燃え上がれ!」

 

 自身の髪や衣服すら焼け焦がすような熱を放出し、槍を削り裂くブレイズ。

 

「燃え上がれ、私の魂ィィィィィ!」

 

 叫ぶほどに、滾るほどに彼女の熱量は増し、炎を纏う錯覚すら覚えるほどの熱気が空間を支配する。

 冷気と熱気が食い合い、水蒸気が当たりを霧状に包み込むほどのヒートアップする。

 

「まだ、底ではなかったか」

「当然! あなたができて私にできない道理がない! この一撃、確実に通してみせる!」

「その意気だ。だが......!」

「ぐ、うっ」

 

 フロストノヴァが手をかざすだけで、状況は一変した、暴風が熱気を吹き散らし、寒気が空間を支配する。

 燃え上がるほどに暑くなっていたブレイズの腕と武器は、もう凍りついて動かない。

 

「一手、不足だったな」

「ええ、あと一手が足りなかった」

 

だが、ブレイズは不適に笑う。

 

「だから、その一手を託したのよ!」

「射点、確保ッ!」

「目標確認、照準よし。Огонь(発射)!」

 

気がついたときにはもう遅い。

 

赤い一撃が、フロストノヴァの胸元を貫いた。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「砕けた、か」

 

胸元の無骨なペンダントの破片がバラバラと崩れていく。

 

「戦いに耐えられると言っていたが、これで砕けてしまうとは、な」

 

赤い血が、地面に垂れる。

口から血を吐きながら、フロストノヴァはゆっくりと倒れていく。

それを抱きとめたのはドクターだった。

 

「見事な勝利だ、ロドス。

これでは......私の家族は無駄死にさせてしまったか。

何故だ? 私の命には何の価値もないというのに。何故外した。心臓を穿てば、良かったものを」

「彼らは、君の信念に敬意を評しただけだ」

「......だが、私はもう助からん。お前たちは助かる命を救いに行け。私の死に価値はない。行け、行ってくれ」

「ドクター......?」

「アーミヤ、指揮を任せる。もう少しだけ私は残る」

「わかりました......」

「行こう、アーミヤ」

 

 ブレイズに連れられこの場をさろうとするアーミヤは、地下区域を出る直前に深々と頭を下げた。

その意味は、当の本人しか分からないだろうが。

 

2人だけの空間になり、ドクターが声を絞り出す。

 

「ロドスに入る、約束は、どうした」

「悪人には悪人の末路を。私の手は汚れすぎた。

生きていたとして。私の知る場所など、雪原しかない。故郷へ、美しい大地へ、ウルサスへ、帰りたかった」

「フロストノヴァ」

「ああ......すまない。もう何も見えないんだ」

 

力なく手を伸ばす。その手を、ドクターは固く掴んだ。

 

「冷たいか、私の手は」

「暖かい」

「......最期に、人と触れ合うことができて良かった」

「もう一度聞く。ロドスに、来ないか?」

「私には資格はない」

「過ちを正す資格はある。そのための場所だ」

「残念だな。ドクター......私にはもう時間はない」

 

 

 

「いいや時間をくれてやる。とっておきの特等席をな!」

 

2人だけの空間に割って入る無粋な声。

それど同時に。

 

「まに、あったか!?」

「遅い! 早くしなければ間に合わんぞ!」

「こっちだって事情が......ってお前足と右腕は?」

「いいから早く!」

 

 何かを担いだガンスミスが息を切らしながら飛び込んできた。その隣には煤塗れ泥まみれの小隊の面々が並ぶ。

 

「無茶させないでよ! なに! 戦場でナガンの義体を拾った上でガンスミスさんと機材を無傷で運べって鬼なの!」

「やかましい! 死ぬか生きるかの瀬戸際なんじゃコイツは!」

 

 いいから早くしないか、と急かすナガンに追い立てられるようにガンスミス達がフロストノヴァへと駆け寄る。

 

「ああもうこんなの非人道的すぎて2度とやらないからな! 成功するかも5分なんだから」

「なに、を」

「今から君の脳をデータ化してコピーしてナガンのフレームに移す! 人間やめるけどいいよね? もう始めてるけど!

ドクターさん、これでもいいかい!?

フロストノヴァはここで死ぬ! 助けられるのは限りなく彼女に近い誰かになる。それでも」

「......頼む」

「わたしは」

「人間誰にだってやり直す機会を与えられるべき。そうは思わないかい。誰も彼も間違いをおかすんだ。それを認めるのがヒトってもんよ! どうするの? やるの、やらないの?!」

「わたし、は......」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「ただいま帰還しました......」

「遅い! 3日も消息不明になってなにしてたのガンスミスさん!」

「ちょっと東欧で人助けを」

「はぁ......ってなるかい! 護衛の面子は?」

「損傷したから整備室」

「一体何してきたのよ......」

「ノーコメントで」

「話しなさいよ」

「黙秘権を行使します!」

「裁判じゃないから」

「守秘義務が......」

「いいから話しなさいよ! 全く何日も心配させてからに!」

「先輩ガンスミスさんが死んじゃいますステイ!」

 

後日。

報告に来たガンスミスを締め上げる元指揮官とそれを窘めようとする後輩の姿がそこにはあった。

 

 いつものように騒がしくなり始めた指揮官室の片隅で、黄金色の髪の少女がふとつぶやくと、無線から同じ声で笑い声が返ってくる。

 

「......騒がしいな、ココは」

『そうじゃろうそうじゃろう。身体が馴染むまでの期間だけじゃが、宜しく頼むぞ()()()()()()()

「わかったナガン。......話が長いな。氷漬けにしていいかあの女」

『何故アーツを行使するか貴様!』

「まだしていない」

「あれ、ナガンさん。珍しく静かですね。止めないんですか」

「ああ、今からな」

 

 彼女が手をかざすと、クーラーで涼しくなっていた部屋が真冬かくもやと言わんばかりまでに冷え込む。

 

「さ、さむっ!?」

「これで静かになったか」

 

 白い冷気を指先から漂わせながら、白い少女......この基地最古参の戦術人形と同じ姿をした彼女は告げる。

 

「フロストノヴァだ。これから世話になる。

 

これでも兵を率いるものだった。指揮は任せてくれ」

 

 

「「......誰?」」

 

 

 

 





愉快な仲間が増えました。やったね!

これで夏を涼しく過ごせる。

というわけで次は頑張って紹介書きます。


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番外編 鉄血重要拠点及び防衛ライン破壊作戦-1

今回は試作強化型アサルト様主催の大規模コラボに参加させていただくことになりました。
言ってみるもんですねぇ。
該当話はこちらからどうぞ。https://syosetu.org/novel/190378/124.html

ちなみに参加者の方ですが
主催 試作強化型アサルト 様『危険指定存在徘徊中』
   焔薙 様 『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』
   NTK様 『人形達を守るモノ』
   白黒モンブラン 様『Devils front line』
   oldsnake 様 『破壊の嵐を巻き起こせ!』
   ガンアーク弐式 様 『MALE DOLLS外伝集』
 そして本作『ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー』となっております。

主催さんがゴローちゃん化してましたけど納得ですわ......




 

 

「皆さんに集まってもらったのは言うまでもありません。今度の大規模作戦に参加する選抜メンバーとして選定させてもらったからです、ハイ」

「......じゃあなんで俺がいるんだよ!?」

「そこ後で説明しますんでお静かに」

 

 

 冬の足音が近づく某日。司令室には珍しく十数人の人員が集められていた。思い思いの姿勢で過ごす彼らを指揮官とその補佐を行う元指揮官が静かに見つめている。

 

「作戦の概要は?」

「今から資料を配るよ。カリーナよろしく」

「わかりました指揮官......あっ」

「そろそろ覚えてくれないかなカリンちゃん???」

「ごめんなさーい!」

 

と茶番劇を挟みつつ、紙で数枚にまとめられた資料を配りながら、プロジェクターで戦域のマップを表示する指揮官。

 廃都市を始め森林地帯や広野などさまざまな地形が表示され、それぞれにいくつかの光点と注意書きが書き加えられている。マップの遥か下方には青い字で様々なG&K所属基地の名前が振られた光点もあった。

 

「今回の作戦目標は鉄血勢力下にある重要拠点の破壊です。それに伴い、これらの防衛ラインも同時に突破しなければいけません」

「この作戦には我々だけではなく()()()と共同作戦として......そこ露骨に嫌悪感示さないでくださいワルサー」

「吐き気がするんだけど。あいつら足並みを揃えるって概念がないじゃない」

「こっちが合わせてどうにかするか別の戦場に行って下さい。続けます。

 

 この戦術区域は我々S地区基地が重点的に攻撃を仕掛けていた場所であり、実質ここが鉄血側の最終防衛ラインに近いのではないかとの目算が出ています。よって、この作戦の成功の暁にはこの区域から鉄血の脅威を取り除くことも可能ではないかと、そう判断された訳です」

「ただ、問題としては防衛戦力がどれだけかって話なんだよね」

 

 指揮官の話を継いだ戦術補佐官が画面を切り替えると、解析度の低い衛生写真の真ん中に見覚えのある影の列が映った。

 

「こちらジュピター砲台群になっております」

「多くないですか......?」

「ついでに言うとこれ自走式が混じってるせいで一部の場所がギリギリまで確定しません」

「は?」

「さらに偵察の結果地雷原がこの区域とこの区域とこの区域にあることが確定してます。つまりこれ以外にもあるということですね!」

「どうして?」

「他にも中隊規模以上が確認された拠点もこことここ、ついでにここにも」

「物量もバッチリですね」

「さらに確認されたハイエンドモデルがこれだけ」

「ボスラッシュやってんじゃないんだけど」

「それと未確認の新型の報告があがってます。ちなみに目撃した戦術人形は反応途絶となりました」

「「......」」

「ま、いつもの上の無茶振りって奴ですよ」

「全然いつものじゃないと思うんだけど!」

「誤差ですよ誤差」

 

 思わず叫ぶスコーピオンを無視して指揮官がカラカラと笑い、手を叩いて場を収める。

 

「先輩はああ言いましたが悪い知らせばかりでもありません。

S07基地も参加しますし、隣のP基地も全面協力を表明してます。本部も戦力を出すようですし、S13基地の虎の子も出るようです。あのM61A2(バルカン)がいるといえばまあ伝わる人もいるかと思いますね。

他にも色々とDG小隊だとか民間協力者の『DMC』だとか......聞いたことないんですが、腕は確かと社長のお墨付きがついてますよ。

 

 他にも正規軍主力部隊の一部が派遣されてますし、なんと正規軍管理の軍用列車も使えるそうです。列車砲とかの配備は軍機に触れるとかで教えてくれませんでしたけど」

「お、P基地も参戦するとは。よっぽどの事らしいのう」

「そうなのか?」

「あそこは部隊まるごと派遣することは多くはないからのう。相当の作戦と見える」

「そうか。で、我々は何をする」

 

 後方で腕を組むM1895ーーオリジナルより幾分か目つきが鋭く、新規MOD義体に換装している彼女(フロストノヴァ)ーーが質問を飛ばすと、指揮官は姿勢を崩してため息を深くついた。

 

()()()()()()

「私知ってる、それ一種に言う愚策って奴だ!」

「上官に対する口の聞き方には気をつけるようにって言ってますよね」

「袈裟固めはいだだだだだだ!」

「その懲罰ものの発言はともかくスコーピオンさんの言う通りなんですよねぇ。やめてあげてくださいスペクトラさん」

 

 また深く息を吐く指揮官。その眉間にはバッチリと皺が刻まれ、どこか達観した顔をしていた。

 

「この作戦どこが統括してるかわかんないし、正規軍は言うこと聞かないし、なんか第三勢力の介入の噂もありますし......先行きが不透明なんですよね、ハハっ」

「WWⅡ中期の日本陸軍みたいなこと言ってる」

「先輩一〇〇式には絶対に言わないでくださいねソレ。

 と、言うわけなのでマジで指示がとんで来ません。言うなれば『高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変かつ的確に対応せよ』とか言う現場丸投げ状態なわけで。

 

なので、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 では本題に入っちゃいましょう、とプロジェクターの画像が切り替わる。そこに映るのは、指揮官の私物の衛星通信が可能な特製指揮車両。

 

「コイツを前線基地に置いて各部隊の情報を掌握しちゃいます。そんであとは適当に()()()()()()()適切な部隊配置になるようにお願い(指揮)するくらいです。

我々の主任務は基地の防衛と戦力のないところに的確に『居る』こと。

というわけで今回の部隊編成です。なるだけ足の速いメンバーを選んでありますので頑張って戦場を走り回ってください。

 

A小隊はMP5、スコーピオン、FF FNC、AK-47、MG3。隊長は FNCに。

B小隊はM1895(ナガンさん)、ウェルロッドMk-Ⅱ、WA2000、スペクトラM4、カルカノM1891。隊長はM1895になります。

 

 今回は打撃力より機動力重視です。例え敵部隊と当たった場合は遅滞戦闘で正規軍や他部隊になすりつけることを心がけてください」

(こす)いのう......」

「狡くても卑怯でも結構、死な安って奴ですよ」

「で、私を呼んだ理由はなんだ?」

 

 1人名前の呼ばれなかったフロストノヴァがそういえば、指揮官に代わり戦術補佐官がこう答える。

 

「正直な話、ウチには尖った戦力はないのよね。P基地の特殊部隊のような理不尽さや07基地のような統制されたエリート部隊もいない、かといって13基地のバルカンのような破壊力のある小隊もない。

 だけど、フロストノヴァはその誰かに匹敵できる力がある。そう私は考えたってわけ。

 あなたはB基地の切り札(ジョーカー)。本来なら本社や正規軍に目をつけられるし出したくはないけど、万が一を潰すために私が選んだの。

状況に応じて出撃してもらおうと考えてる」

「切り札、か」

「あと指揮官の経験があるならサポートもお願いしたいなって。人は多ければ多いほどいいからね」

「船頭多くしてなんとやらともいうが」

「3人よればなんとやらとも言いますね」

「わかった。その命令に従おう」

「......俺らは?」

 

 ガンスミスが自分を指さすように、ここには何故か補給班や整備班を筆頭にした何名かの人間職員もいる。そのどれもが部署内のエースと呼ばれる彼らだが前線においては肉壁くらいにしかなれない存在のはずだ。

 

「補給担当です。正規軍の列車も使えることですし、中継役として前線に頑張ってパーツと兵糧と資材を運んでください。大規模作戦となれば消費物資も莫大ですからね、他基地と協力して資材を回してください。頼みましたよ」

「俺は?」

「整備担当です、いちいち基地に戻す暇もありませんでしょうし修理は仮設前線基地でやることになってます。壊れた銃いっぱい回ってきますから頑張ってくださいね。

 ちなみにガンスミスさんのことについてはもう前線に出てくるって告知は出したので、人気者ですね」

 

 ニコニコと笑う指揮官にガンスミスは薄っすらと汗をかく。こいつ俺を潰す気か、と。

 

「今でさえ20連勤目くらいなんだが?! 死ぬが?!」

「この前40連勤でもピンピンしてましたよね。あと終わったら溜まってる有給使っていいですよ。年末休みじゃないですか」

「好きでも限界ってもんがあってだな?!」

「ちなみにですが手当はいっぱい出るそうです。具体的にいうと0が7つくらい」

「よし頑張ろうみんな! この戦い必ず勝つ!」

「現金じゃのう......」

 

ナガンの呆れる言葉を最後に、作戦会議は幕を閉じた。

 

作戦開始まで、あとーーーー。

 



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番外編 鉄血を派手にぶっ飛ばすらしい大規模コラボ-2

なんか堅苦しい題名だと面白くないだろうし。


というか大規模コラボって何すれば良いんだろう。と思うこの頃。


 

 

 

『こちらFox2ジュピター7陥落を確認、膾切りってどうなってるのよあの一般人』

『Fox4、D7区域の敵中隊壊滅。やることなすこと派手ですねぇ』

『こちらFox5! 特に異常ありません、オーバー』

 

「Foxリーダー了解。しかし......」

 

 ふぉあ、とあくびを漏らすナガン。その姿はいつもの制服ではなく、森林迷彩用のネットを被り顔にドーランまで塗りつけた本気の隠密姿だった。簡単な単眼鏡を覗きつつ戦場を報告して臨時本部に飛ばし続けるーーーこれがB中隊の今の仕事だ。

 山岳地帯に面すると言うことは、偵察に適した高台がそこにはあると言うこと。それもいくつもだ、それぞれにサブフレームを振り分け、ダミーの通信も発しつつ部隊を細分化することで敵の目を撹乱し効率よく情報を集める。これが指揮官の立てた作戦のひとつ。

 

「実情は派遣戦力が少ないおかげで他にやることもないんじゃよなぁ」

 

 もちろんB基地が総力を上げればこの作戦の主力を担うこともできる。がしかし今回ばかりは予備兵力の意味合いの方が強く、そもそもB基地の主力はこの攻勢にあわよくば裏をかこうと動く鉄血勢力を抑え込むために別方面へ派遣されているのだ。基地防衛のための虎の子の戦力も前線に割くわけにもいかず、たったの2小隊では偵察部隊が席の山。

 

『117支援砲撃、有効。このまま続けられたし』

『8,9,12セクターのジュピター砲沈黙』

『E-7にジュピターを確認、誰か派遣させて』

『W方面から敵鉄血歩兵隊多数、掃討に当たられたし』

 

 隊員の報告を聞きながらブリーフィングを思い出し、現在の状況と照らし合わせる。自分たちがシュミレートしたよりも、戦況はこちらが圧している。

 

「これで砲台陣地は半数を占拠。うち全てが再建不可なまでに破壊されているとな。今のところ正規軍とも足並みは揃うておるし、このまま何事もなく終わりそうじゃのう」

『こちらFox3。隊長、それフラグってやつだと思う』

「まさか」

 

 そう軽口を叩くくらいには、B基地の面々は暇を持て余していた。

 

 

 

だが、戦場はここだけには止まらない。

銃後の補給線もまた、戦場なのだ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

「こっちの資材はここじゃない、アッチ」

「ハーリーハーリー! 予定3分オーバーなんだから早く回した回した!」

「司令部より報告、31補給所が砲撃され壊滅状態にあると」

「そこは戦線のど真ん中でしょ!? 早くしないと突破されるよ方策考えて!」

「17補給所のの資材をごっそり転用するのは? もうあそこの仕事は終わってます」

「戦場の端から端までは流石に時間がかかりすぎる! プール資材はどこいったの!?」

「正規軍に追い剥ぎされたとの報告が」

「ふざけんなよあの『放送禁止』ーッ!」

 

 怒号飛び交うG&K社臨時本部、その物資集積所。

 そこはどこの戦線より激しい怒号と罵声が飛び交う戦場だ。その様子をオイルまみれになったつなぎ姿の男性、ことガンスミスが見て一言。

 

「いやあ、乱世乱世」

「じゃあこれ修理依頼ね。逝ってヨシ」

「『以下放送禁止』!」

 

 同僚に大量の書類を押し付けられいつもの修理キットを担いで飛び出す羽目になったりと、とかく忙しいことこの上ない。

 なにせいくつもの基地が多数の部隊を率いて広々とした戦線を作っている。

 さらにG&K社の戦術人形はありあわせの民生人形とかき集めてきた銃を合わせた、いわば突貫作業でできたもの。弾薬もパーツも半分以上が共有できないと言う軍隊において致命的な欠点を抱えていればどうなるか。

 

「AKの弾とM4の弾を間違えたのはどこのドイツだバカヤロー! 報告書と違うやろがい!」

「え、一緒じゃないんですか?」

「おバカー!」

 

 そもそもここにいる半数以上の人は民間人上がりの職員でもあり、銃の区別がつかない人も一定数はいる。それでも事務作業能力は優秀なので現場を回すのには必要で、というんだから邪険に扱うこともできない。

また戦術人形も少数ではあるがここで働いている。銃ではなくペンと紙という旧世代な武器を持ちながら同じ姿の人形が何人も走り回ってる姿を見れば一目瞭然のことだろう。

 ただ、たまに銃を持って走り回ることも少なくない。

 

「物資コンテナの一つに戦術人形が紛れ込んでいたの!!!」

「どのコンテナに潜んでいたんだ!?」

「そこのおじ様が受け取る予定だったコンテナに潜んでいたのですわ!!」

「鉄血か!?」

「違いますが、怪しいのでパイソンに拘束させているのよ!!」

 

「なんだなんだ、騒がしいねぇ」

「民間人の人は下がってください! 敵が潜入した恐れがあります!」

「......総員退避ー!」

「「「総員退避了解!!」」」

「にげろにげろー!」

 

 昨日は砲撃、一昨日は誘爆事故。その前はスパイの暗躍。本部であっても戦火は絶えず、あちこちで銃を持った戦術人形が走り回っている。

 

逃げるは恥だが役に立つ、とはよく言ったもので。

きょうもまた、職員は仕事を放り出して笑顔で逃げ回っている。

 

「問題解決までおやすみだー!」

「休め休めー!」

「働けバカやろー!」

 

 

 



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番外編 鉄血をぶちのめす花火大会的コラボ-3

え、むちゃくちゃやって良いってほんとですか!?(常識を投げ捨てる音)


 

 

自身の眼を使わず、双眼鏡を覗き込んで冷や汗をかくWA2000。一度双眼鏡から眼を外しゴシゴシと眼を擦った上で、もう一度覗き込む。

 それでも目の前の光景が変わるはずもなく、彼女の目の前には地獄絵図が繰り広げられていた。圧倒的弾幕と暴力で、友軍と正規軍を文字通り溶かすように食い破る、悪夢のような光景が。

 

「ちょっと冗談が過ぎるでしょう......?」

『Fox2、どうしました?』

「Fox2からFoxリーダーへ。第三勢力の登場よ。それもなみの軍隊じゃないわ、正規軍の部隊と同じかそれ以上」

『FoxリーダーからFox2へ。詳細を知らせ』

「ケッタイなパワードスーツに重武装よ。種類はビームに実弾、ランチャーとSG人形相当の盾ね......やばっ」

 

 飛んできた流れ弾に思わず身をかがめたWA2000、頭を起こした先には溶解した山肌が無惨な様を晒していた。

 

「威力については人形は1発で全損ね......他に悪いニュースがあるんだけど聞きたい?」

『なんじゃ?』

「A小隊がいる場所にちょうど流れ込んでるわね」

『......それを速く言わんかい! A小隊へ撤退連絡急げ!』

「間にあうかしらね」

 

 ふん、とため息を漏らすWA2000。それは諦めではなく同情からくるものだ。あのA小隊......B基地屈指の問題児(アホ)規格外の馬鹿(ぽんこつ)の集まりにばったり出くわしてしまった敵にはお悔やみ申し上げる、と。

 

「うちの消費資材と迷惑状がどこまで増えるかしらね」

『賭けでもしますか?』

『私は指揮官が倒れるに10000賭けます』

『スペクトラって真面目に見えてお茶目よねー』

『清濁併せ持たなければ、生き残れませんよ』

 

◇◇◇

 

 

「とりかじにげろー!」

「うわー!」

 

 頭を抱えてたったかと廃市街を逃げ回っているのはB基地のマークを制服に縫いつけたMP5とスコーピオン。後ろからレーザービームや20mmクラスの銃弾が山ほど追いかけてくるが、小柄な体躯で上手いことかわせているらしい。積まれたバリケードや、屋内屋外を目まぐるしく飛び交うパルクールめいた曲芸に流石に銃口が追いつかないのか、それとも気持ちよくなって狙いをつけていないだけなのか。

 

「ヒャッハー!」

「良い戦術人形は死んだ戦術人形だけだ!」

「エリちゃんを泣かす奴に朝日を拝む資格はねぇ!」

『おー物騒物騒、呑まなきゃヤッテランネーな隊長!』

『やってらんねー!』

 

 通信の向こうでは重度のアル中であるAK-47がいつものように資材にこっそり混ぜ込んでいるスミノフウォッカをラッパ飲みし、隊長の割に部隊をまとめるつもりのないFNCが飴をバリバリと捕食している音が聞こえる。

 

「MG3は?」

『ソッチが襲われた瞬間に装備担いでそっち行ったよ』

『戦場がモグモグ勝利がムグムグ私を呼んでいるとか叫んでたっけバリバリ』

「あはは、らしいね! あといい加減咀嚼音電波に乗せるのやめなよ」

『隊長命令、気にするな』

「職権濫用!」

「あ、ここ袋小路だ」

「あっ」

 

 そらよそ見をしながら走ってるからそうなるよ、とどこからか聞こえてきそうな状況に陥ってしまう2人。さあ捕まえた、と言わんばかりにパワードスーツの部隊もジリジリと2人の距離を詰める。

 

「あそびは終わりだ」

「殺すべし殺すべし殺すべし」

「フィーヒヒ」

 

 三者三様に下卑た言葉を発する彼らだが、彼らは知らない。

 

ここにいるのは歴戦の戦術人形であり。

折り紙付の問題児と規格外の馬鹿であることを。

 

「よいしょっと」

 

 軽い掛け声で廃屋から建材のH鋼を溶接部を力だけで引きちぎり引っこ抜くMP5と。

 

「えい」

 

ジャケットのジッパーを下ろしぴょんぴょんと飛べばバラバラと山のように多種多様な手榴弾の山(炸薬十倍ガンスミス印のやべーやつ)を足元に作るスコーピオン。

 

「じゃあ」

「そうだね」

「「サッカー/野球しようぜ!お前がゴール/ボールだ!」」

 

 キックオフにプレイボール。コールをかける審判は自分つまりルールも自分。最後に立っている方が勝ちというシンプルなルールのもと、全てが間違った殺人スポーツが始まる......!

 

MP5の構えるバットは推定1t以上、長さを十m超のH鋼。

さて問題、これをフルスイングした時に発生する威力はどれくらいでしょう。

答えは簡単。身をもって知ればわかること、だ。

 

「死ねぇ!」

「「「ぐああああああああああああ!」」」

『実況のFNCさんどうですか?』

『うーんこれはいい引っ張り(レフト)方向のホームラン』

 

 ロリポップな外見から繰りだされる物騒な言葉とともにフルスイングされたバットの軌道にいた哀れな(ボール)は四肢を粉砕されながら地平の彼方へ姿を消した。

 推定数百キロあるであろうパワードスーツがゴムボールのように飛ばされる常識からかけ離れた光景に呆気に取られるが、そのDFの隙をFWが見逃すはずがない。

 

「くらえ私のファイアートルネード!」

「こんなのが効くかあああっついいいいいい?!」

「私の黄金の右脚ィ!」

 

 高く飛び上がったボレーシュートから放たれた焼夷手榴弾(シュート)が燃え上がり、1200度の焔を撒き散らす。

 厚い装甲とはいえ高熱にさらされ、中身をオーブンのようにこんがりと焼き上げられる逃れられない痛みが彼らを覆い、混ぜ込まれた通常炸薬の衝撃と鉄片、ついでにスモークと閃光とクラッカーの紙吹雪が彼らを覆い尽くす。

 

外側にいたおかげで害を免れた彼らのうちいくつかは反撃に移るが、MP5の高磁場(フォース)シールドがその攻勢を弾き返す。一般機であれば数秒でクールタイムに入る機能だが、この高パワー義体を動かすために用意されたイカれたバッテリーはこのシールドを24時間フル稼働させても有り余る電圧とマシンパワーを誇る。

 

「打撃も守備も一人前よ!」

「走塁はヘタクソだけどね」

「なーっ!?」

「くそ、コイツらどうなってやがる!?」

「ただの戦術人形じゃねーぞコイツら!」

「祭りの場所は......ココかぁ?」

「新手か?!」

 

 彼らの背後、太陽の光を背負った廃屋の上に誰かが立っている。

 

 弾薬帯(ベルト)の音を響かせ、ボルトの作動音を子守唄にし、発砲音をBGMに戦場を闊歩する気狂い集団。

 13基地所属のM61バルカンに勝るとも劣らない弾幕馬鹿は、B基地にもいる。

 最近配備された弾薬箱を背負う専用装備を手に入れてしまったが故に初出撃の次の日には装備をひっぺがされ出撃禁止を喰らったのはいうまでもなく、そろそろ立て篭もり案件を起こされそうなので仕方なく指揮官が作戦部隊に編成した馬鹿の集まり(総勢1名)。

 

「我ら生まれた時は違えど」

「弾幕を張る時は同じ」

「同じ銃に忠誠を捧げた同志達」

「7.62mmを愛し、分間1150発に愛されたモノ」

「そう、我らこそは!」

G&K社(グリフィン)マシンガンラ」

 

「殺せ」

「あ」

「まだ名乗ってる途中でショー?!」

『お約束は守らないのねワハハハハ!』

 

 号令と共に一斉射撃で建物ごと吹っ飛ばされる人影。圧倒的弾幕で塵も残さず灰になったことを確信したパワードスーツ群は今度はお前だと2人に銃口を向けるのだが。

 

「「「「「G&K社マシンガンラバーズMP3!」」」」」

「「「「with MP5!」」」」

 

 なにも、 このMP5は一点モノではなく罷り間違って量産されてしまった代物なのだ。彼女らの前で両手をかざしキッチリとフォースシールドを展開した無傷のMP5に護られた彼女達MP3は、最強の矛として成立する......!

 

「撃ち方はじめ」

「「「「待ってました!!」」」」

「撃ち返せ!」

「「「「オオオオッ!」」」」

 

リーダー格の掛け声と共に、両陣営が引き金を引き絞る。

 

互いが互いに火花を散らし、一方的にパワードスーツに弾痕が刻まれていく。

 

「それがどうした! 7.62mm程度で我々の装甲に傷は付かん!」

「圧せ! 近接戦闘に持ち込めば我々の勝ちなんだ!」

「この程度どうということはない!」

「10倍はもってこい10倍! ははははっ!」

 

 だが彼らにとっては想定内。もし自分たちを倒すのなら倍はもってこいと挑発をかけるリーダー格であろう人物の言葉に彼女は引き金を引き続けながら、にたり、と口角を釣り上げる。

 

「ヘェ、1()0()()()()()()()()()()

「なに?」

 

 ジャキ、というボルトを引く音が戦場に轟く。それも多種多様、スライドを引く軽い音も、ボルトを引き次弾を装填する音も、派手にマガジンを差し込んで銃を叩く音も、ポンプアクションで次弾を込める音も。

  そして彼女らの隙間を縫って様々な銃口が突き出される。HG、SMG、AR、RF、MG、SG。様々な銃身と、様々な口径が黒々と敵に顔をのぞかせた。

 

 近代にあった戦列歩兵のように。

 古代ローマにあった槍衾のように。

 隙間なく、法則なく、整列する。

 

「あの御仁は10倍で良いと言ったねみんな。なら100倍で行こう。この戦場にいる戦術人形全員がが我々の同志だ。弾が出るならそれはマシンガンに他ならない、そうだろう同志たち!」

「私が! 私達が! マシンガンラバーズだ!」

「いやそうはならんやろ」

 

敵の冷静なツッコミなどどこ吹く風。引き金を引く指は止めない。銃声轟く戦場で声を張り上げることこそ、マシンガンの銃手(ガンナー)に許される特権なのだ!

 

「死なぬなら 死ぬまで撃とう ホトトギス」

「撃ち方はじめーい!」

「敵が死ぬまで引き金から指を離すなー!」

 

トリガーハッピーは死ぬまで治らないとは誰が言ったか。

 

 戦術人形と正規軍を蹂躙していたはずの謎の軍団の一角は、ちょっとだけ規格外の戦術人形とただの戦術人形の一団によって一掃された。

 

「死ぬ死ぬ! 味方の流れ弾で死ぬーっ!」

「たーまやー!」

『銃弾で前が見えもっきゅもっきゅしゃっきりぽん』

「隊長その効果音は何食べてるの?!」

 




やっちまったZE☆


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番外編 鉄血を派手にぶちのめす花火大会的コラボ-4

さてそろそろ本格的にコラボしたいなっ! なっ!

うちの影が薄すぎて他所じゃ触れられないからね! 触れてたらあやまる。

というわけでレッツラ最前線! 次回は派手に行けるかな?


 

 

 

「やっぱり防衛装置ですかあのとっておき」

「衛生写真で確認してたやつ?」

「なんだろうとは思ってましたが古典的な砦とは思いませんでしたよ」

「問題か?」

「ですね」

 

場所は09B基地前線臨時指揮車、その中にある作戦本部。

 そこでは指揮官と戦術補佐官、そして同行するフロストノヴァが顔を突き合わせていた。

 

きっかけは先ほどの通信、ここにいるグリフィンや正規軍に放たれた、悲痛な叫びとも取れる広域のものだ。

 

『......こちらタロス1、鉄血の最終防衛ラインに強力な防衛施設があって攻めることができない状態に陥っている......

そのためその状況を打開する決死隊を編成を考えている。そこで腕に自信があるやつに協力を頼みたい。無論、腕に自信がない奴は参加しなくていいし、無理して来なくてもいい......参加して攻める際は我々の戦術人形を盾にしてもらって構わない......協力を頼む!!あの防衛施設を攻略すれば基地まであと一歩なんだ!!』

 

 先の通信が流れてから数分。早くあの厄介な拠点を攻略しなければ、そこを起点として逆にこちらが攻め込まれかねない。現状他の部隊も攻めあぐねていたり敵の処理などで手が回らずと状況は錯綜するばかりだ。

 頭痛そうに目頭を抑えつつ、指揮官はつぶやく。

 

「ここまで来て参加しないと腰抜け呼ばわりされそうなんで参加したいんですよね」

「わかる。作戦後に他所に煽られるよねこれ」

「......それだけで自身の部下を危険に晒すと?」

「まさか、勝算のない戦いはしませんとも。B小隊隊長(ナガン)はどう思いますか?」

『今正規軍の列車砲を弾き返すのを観測した。この情報の共有を』

「200mm相当の徹甲弾も弾きますか、これ正攻法じゃ無理じゃないです?」

『ワシもそう思う......A小隊はどうか』

「弾切れで補給所へ帰還しています。修理もありますししばらくは出られませんよ』

『MG3を入れたのはやはり間違いだと思わぬか?』

「2中隊と引き換えならまだ耐えられます。

 さて、我々にできることを考えましょう」

 

 先程繋いだ通信をそのままに、4人で衛生写真と地図を見る。フロストノヴァは同時に視覚共有でナガンにもこの光景を見せられるようにスイッチを入れた(これは同じような義体を使ってできる裏技のようなもの)。

 

「あの防衛装置は防衛線のちょうど急所になるような場所に3箇所置いてあります。周りは平地ですし遮蔽物もないとなると決死隊を作る理由もわかりますね。さて先輩、どうしますか?」

「別方向から攻められないの? 大抵こういうのは前面に火線を集中させるもんだし、裏から攻めれば」

「空を使えれば空挺で決死隊を裏に回せるんですけど、上部には対空砲がびっしりです。アレじゃA-10でも堕ちますね」

「んじゃ戦術人形(ウチ)じゃ無理だね!」

 

 お手上げだ、と両手をあげて椅子に倒れ込む補佐官の言う通り、歩兵火力の延長でしかない戦術人形では無理だ。これを突破するには戦車か航空機か、とにかく火力が必要になる。だが正規軍の火砲支援では突破できない。

 その最大火力の列車砲は無力化されているし、他の火砲も別の敵の対処に回っている。それに弾薬も無限なわけではない。

 

「私の出番か?」

「フロストノヴァの氷結能力は対人特化ですよ。拠点丸ごと凍らせるほど無茶はさせられません」

「そうか。術師や強力なアーツを駆使できる人材であれば突破は可能だったかもしれないが、射手だけでは無理がある。諦めるべきだ」

「ここは他所に任せますか。A小隊はこの攻勢には不参加、それで依存ないです?」

『了解。じゃが突入準備は済ませておくぞ。おそらくもうすぐ落ちるからの、あそこ』

「..................はい?」

 

 ナガンのなんの気無しに放たれた一言に返事を返すのにたっぷり数秒は使ったことだろう。

 

 そして本部すら揺るがすような衝撃波と甲高い音が轟いて、地面が揺れる。思わず人間の職員が耳を塞ぎ、遅れてナガンが呆れや驚きを含んだような声で報告を流す。

 

『報告、A地点防衛施設に大打撃。決死隊による突入開始じゃ......ワシらはその後詰と突破後の攻勢の先陣を切る。フロストノヴァも来い、良いな』

「え、あ、ハイ」

「わかった、今向か」

これがあたしの全力だあああああああああああああああああ!

 

 ダメ押しに広域通信に雄叫びが轟き今度は頭がくらくらするほどの大声が室内に響く。ほぼ同じタイミングで顔を出した職員からは他部隊からもうひとつの砦に大穴を開け、残り一つは陥落寸前との報告。

 

「......もうやだこの戦場、想定の遥か上ばっかり!」

「では私は行くぞ、バイクを借りるからな」

 

 指揮官の心からの叫びが響く中、足早にフロストノヴァは臨時本部を後にした。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「この迷彩市街地では逆に目立つのう......」

「だから顔までやらなくったってよかったのに」

「昔サボったおかげで頭をぶち抜かれた。それ以来迷彩に手を抜くつもりはない」

「はいタオル。吹いても落ちないとは思うけど、念のためです」

「助かる。やはり安物は変な匂いがするのう」

 

 拭いても顔料の緑が残る顔とドーランの匂いに顔を顰めつつ、最前線へと装甲車を走らせる。

ナガンは先ほどの視覚共有と絶え間なく飛んでくる本部の報告を聞き流しつつ今後の作戦を練っていた。

 

(2棟は問題なく落ちるじゃろう。じゃが、G&K社が決死隊を派遣した残りはおそらく苦戦する。報告によればレールガンの狙撃のようじゃが、その後が続かぬ。

 つまりそこの戦力が1番の手薄になる、それに決死隊)

 

 昔本部にいた頃の記録を思い出す。まだお互いにセオリーも何もなく正面からぶつかり合っていた頃の、昔の話。

 決死隊というのは基本的には志願制ではあるが......無能な指揮官は基本的にそこら辺にいるもの全員を強制的に志願させるのが通例だ。その結果として積み上がった無駄死にした遺体の山を、ナガンはよく覚えている。

 

(......部隊の士気が高ければよし、低ければ......わしらでどうとするしかあるまい)

「砲撃近いです。そろそろ目的地ですよみなさん。

透明人間のようにこそこそといきましょう」

「そこは名前通り幽霊みたいにじゃなくてスペクトラ? 不思議な例えをするね」

「生きて帰ろうってことですよ。幽霊になろうなんて自殺しようってことですから縁起が悪いじゃあないですか」

「そんなもんかな?」

「つまんないこと言ってないでサッサと飛ばした飛ばした!」

「はい先輩!」

 

 アクセルを踏み込み、一同は道なき道を突き進む。

 

行き先が最前線、目的は......決死隊の援護だ。

 

 

 



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番外編 鉄血をぎったぎたに叩きのめす大規模コラボ-5

ハッピーニューイヤー! あけおめことよろ!

FGO福袋はサンタアイランド仮面とクハハの2枚抜きでした、やったぜベイビー!

というわけで大規模コラボは続くよどこまでも。適当に捏造してもバレへんやろ(小声


 

 

 

『こちらFrost、最前線までは数分といったところだ。何もなければな』

「では合流にはその倍はかかると伝えておくべきかの。ここまで戦線が入り乱れておるんじゃ。最前線など秒で変わる。Foxリーダー了解、戦場で会おうぞ」

『了解、コマンダー』

「今のは新入りから?」

「そうじゃ。もう少しかかると言ったところかの」

 

 WA2000からの質問にナガンが答えると、不満を隠さない様子でフンと彼女は鼻を鳴らした。どうにも、最近やってきたのにすぐ重要作戦に組み込まれた新入りが面白くはないらしい。

 

「いつぞやの生意気なやつね。それにナガンの義体のクセに射撃はヘタクソだし......」

「そう神経質にならずとも、新しい仲間じゃあないですか。ベテランなんですから新人は快く迎えないと」

「仲間が増えることはいいことですとも!」

「外野は黙ってなさい、ケジメの問題よケジメの!」

「おうおう、面子だかケジメにこだわるとはお主もまだまだ若いのう」

「そのうちわからせてやるわよ、にしても」

「たった今本部より報告、防衛施設3棟の撃破を確認したそうです」

「......私らいらないんじゃないのこれ?」

 

 この状況下、まだ先頭が終わってはいないとはいえ通信担当のウェルロッドMk-Ⅱの報告に思わずぼやくのも無理はない。

 目玉の戦果は他部隊に全てかっさらわれた後だ、本陣への詰めには参加するだろうが、WA2000としてはまともな戦果を期待するのは難しいだろうという判断からこれ以上の戦闘は面白くない、そう感じていた。

 ナガン的には別に誰も傷つかないならそれでいいのだが、これは前線に立ち続けるものとそうでないものの価値観の違いだろうと納得できなくもない。

 迷彩用のマントを畳み、低倍率スコープのレンズを取り付け市街戦に備えるWA2000の愚痴は止まらない。

 

「スナイパーは大物喰ってナンボよ。せっかく高初速の特製徹甲弾を2マガジンも持ってきたのに腐りっぱなし。せっかくの炸薬3倍の出費がパーだわ」

「私は派手にバンバンやったから満足です!」

「お陰で不要な敵と追いかけっこするハメになったのは誰のせいよ誰の!」

「ひいい頭ぐりぐりしないでくださいよセンパイー!」

「仲良きことはなんとやら、ですね」

「スペもいい感じに纏めない!」

「いいじゃないですかこれくらい」

「っっもー!」

「いつもはこんなに騒がしくはないんですけどね」

「そうじゃなぁ」

 

 後部座席ではしゃぐ後輩達をみながら相槌を打つ。

 前線を引いた身だが、昔の光景が少しだけ蘇ったようで嬉しかった。手のかかる後輩に、ツンデレで騒がしいスナイパー、呆れながらも笑う同僚も相変わらず。地図は見ているが、ナガンはそこに昔の光景を重ねていた。

 

「昔を思い出すのう」

「スペクトラさんにWAは立ち上げ初期のメンバーでしたっけ」

「うむ、もう前線に出ずっぱりなのはWAくらいでお主やわしをはじめ他所に行ったり訓練官になったり。随分とロートルになってしまったからのう」

「今でもナガンさんは現役ですよ」

「そんなもんかのう......通信が来とるぞ」

 

 その一言に場が静まり返る。馬鹿騒ぎで通信を聞き逃したとなれば基地中で阿呆とネタにされかねない。

 無線手ウェルロッドの短い返事と共に彼女が通信機の電源を切り、ふう、と短く履いてから全員を見渡す。

 

「これより我が軍は敵司令部制圧、そして主要ハイエンドモデルの撃破を行うとの通達が入りました」

「ハイエンドのモデルは?」

「不明です。新型の可能性が大きいと。また傘ウイルスという人形の回路を汚染する電子ウイルスが散布させる可能性が指摘されますが、本部がワクチンをすでに開発、我々にもDL済みですので心配入りません」

「司令部戦力は?」

「これも不明。少なくとも大隊規模かと予想されます」

「何も情報が伝わってこないってことじゃないですかぁ!?」

「ま、ぶっつけ本番もよくあることじゃろう。文句を言うな、若いの」

「傾向と対策がなきゃ作戦もできませんよう」

「そこは臨機応変にと言うやつじゃ、むしろ敵さんが毎回毎回律儀に情報を明かすと思うか?」

「うう......」

 

 不安げに自身のライフルを抱き寄せるカルカノ。もうすぐ戦場に立って1年だってのにとぼやきながら脇腹を突いて文句をつける先輩(WA)は置いておいて、ナガンは指揮官に連絡を飛ばす。

 

「そちら掴んでいる情報はないか?」

『決死隊の一部はそっちに合流するみたいだね。戦力に不安があるところは後方支援に徹する旨の連絡来てるしそうさせとくよ。なんで応急修理だけで戦場にほっぽり出しますかねえ』

「他には?」

『P基地の面々も参加予定ですね。

 あと敵はほんとの最終防衛戦てことで、包囲されてるとこ以外の戦力をかき集めてるみたいだよ。予備も虎の子も全部吐き出すだろうし、まさに最終決戦てやつ。

正規軍の列車砲はそろそろ弾薬補給でしばらく打ち止めと聞くし、FFも怖くなってくる頃合い。

 本格的にインファイトの殴り合いになりそうだね。

派遣してるフロストと合流は?』

「まだじゃ、少しかかると聞く」

『了解。無線妨害もないですし、何かあればまた連絡します。無事に帰ってきてくださいね』

「指揮官の命令とあればな」

 

 総括すれば援護は来るが砲撃支援はない、グリフィン側は全戦力で得体の知れない基地をどうにか制圧しボスも殺せ、ということ。

 無策極まれりと言ったところだがナガン達からすれば『いつものこと』。黎明期は情報も戦術ドクトリンもないに同じ、こんな戦いは毎日のように行われていたものだ。ブランクがあるとはいえ、何度も踏んだ轍だ。

 

「今日はよく昔を思い出す、おいぼれの記憶回路を酷使させるな」

「それを見越して私を入れたんだろうか、あの指揮官」

「食えないやつじゃからな。もしかすれば」

「現地合流地点もうすぐです......おや、誰かいますね。それにあれは、正規軍の外骨格(スーツ)ですか。みたことのないものです、恐らくは新型ですね」

「他にも戦術人形の反応アリ、となると決死隊の面々かのう」

 

 目のいいカルカノが言うには正規軍や決死隊の面々は先に着いているようだ。と、こちらを認識したか手を振る人影もあり、何故かこちらの通信機も鳴った。

 

「通信か。本部ではないが」

「識別コード、これはP基地のものですね。つなぎますか?」

「こちらにまわせ」

「了解」

 

 短く頷きナガンが無線機の通話ボタンを押す。そう間を置くこともなく、相手型の声がこちらに届いた。

 

『もしもし、B基地のナガンさんですか?』

「......はいこちらB基地のナガンじゃ。息災のようじゃな」

『えへへ、バッチリ元気だよ。そうだ、ナガンさん達は今決死隊の皆さんと合流するでしょ? P基地(私たち)も部隊を向かわせてるから、会ったら仲良くしてね。それじゃ!』

「ああ、うむ......」

 

 無線から漏れ出る人当たりの良さそうな、年頃の女の子の声と何故か煮え切らない態度のナガンに車内が静まり返る。WA2000は少しだけ深呼吸をしてから、ぽつりと呟いた。

 

「こんだけの要件をわざわざ伝える意味はあるのかしら? 能天気なオペレーターね」

「さあ...... また通信ですが繋ぎます?」

「繋げ。今度は別口じゃろう?」

 

 ナガンの言う通り、識別コードは同じだが末尾が違う。また同じように通信を開けば、先とは違う堅物そのもののような声が聞こえて来る。

 

『お初にお目にかかります、我々はS09P基地所属のオートスコアラー小隊の部隊長ということになってますスユーフ、そして右からダラーヒム、トゥーマーン、ジャウカーンです』

「そっちの指揮官から話は聞いておる、お主らもこっちに来たのか」

『それがマスターからの指示ですから、何か有りましたら我々が支援等に回れますので何時でも声を掛けて下さい、では失礼致します』

 

 窓の外で手を振る戦術人形よりカラフルで、ともすれば少し鉄血のハイエンドとも見間違えられそうな一部異形とも見える服装に少しだけ納得ができたナガン。FFに気をつけてね、という注意喚起だったんだろう。

 

「全くみないうちに新型の自主開発か、あそこも大きくなったもんじゃのう......」

「そろそろ突入予定時刻です」

『こちら正規軍AA-2、コード『タロス3』だ。よろしく頼むぜ嬢ちゃん方』

『こちらこの場所に配置された決死隊の臨時隊長『ワカ』。本部隊は後方支援に徹する事になっている。そのことを考慮に入れて行動してくれ、こちらの戦力は万全とは言い難い』

「こちらB基地所属Fox小隊、隊長M1895である。貴官らの働きに期待する、それぞれの職務にてベストを尽くせ、オーバー」

 

 手を振ってくるパワードスーツや戦場らしからぬペンギンの戦闘人形の言葉にナガンはいつもより低い声で返事をした。返す言葉はそっけないものなのだが、それは今はまだ緊張感が必要だからだ。雰囲気を和らげる軽いジョークの引き出しもあるが、今使う時ではない。

 ナガンは無線機を戻し自身の愛銃のグリップに軽く指を滑らせる。滑らかで、傷一つない木製のグリップ。それを整備した人物を少しだけ脳裏に浮かべ、すぐにそれを振り払い前を見据えた。感傷に浸るのは死ぬ前か作戦が終わってからだ。

 

 

 

最後の作戦(ラストダンス)が、始まる。

 

 

 

「言い忘れていたが、さっきの声はP基地の司令官じゃぞ。もしさっきの言葉聞こえておったら懲罰ものじゃったからな」

「冗談も大概にしたらどうなのよ」

「......ま、信じてはくれぬか」



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番外編 鉄血にボコボコにされかねない大規模コラボ-6

さて盛り上がってまいりましたね(白目)
詳細は省きますが無線封鎖にダミー使用禁止に敵の増援とバフのコンボが襲いかかります楽しいね()


 戦場というのはいつだってどんでん返しを引き起こす。

幾ら不利な状況でも諦めてはいけない、逆転の可能性は0ではないからだ。

幾ら有利な状況でも気を抜いてもいけない。

 

逆転の可能性は、0ではないからだ。

 

 

『こちら観測班リーダー! 敵地にて未確認の大型の装甲兵器を確認、至急これを全域に伝えられたし! 繰り返ーーーーーーッ』

「観測班からの通信及び反応途絶! いや、これはー!」

「状況報告!」

 

 始まりは観測ダミーの報告が途切れたことからだった。焦るカリーナを指揮官は一括し、冷静に状況報告を命じたが心中は穏やかではない。

 

(観測班が砲撃を受けた? 違う、通信に砲撃や戦闘音はない。だとすればジャミング? 今更? 何故?

 

もしかして、こちらは()()()()()()()()()())

「指揮官に報告します! 考え事は後でする!」

「は、はい先輩!」

(そうだ、今は僕が指揮官なんだ。この状況をなんとかするのは僕じゃなきゃいけない、落ち着け)

 

一度深呼吸をし、軽くジャンプして気を鎮める。そして頬を叩き、自分に喝と気合を入れ直した。

 

「今わかっていることを教えてください」

「はい、現在、観測班及びA小隊の本隊、B小隊の通信が途絶えました。同時に、反応も途絶し生死が不明です」

「他には?」

「本部との通信がジャミングにより妨害、補給所も同じです」

「正規軍からは何かありませんか?」

「......通信不可能です、ジャミングされています」

「なるほど。広域通信妨害ですか、厄介ですね」

「合同作戦が裏目に出るね。早く原因を探って復旧しないと、このままじゃ各個撃破されちゃう」

「不味い展開になりました。ですが、ここまで温存した理由がどこかにあるはずです。展開時間、範囲、どこかに突破口があるはずです。これを最初から展開していれば最初の防御陣地の突破には1週間はかかっていたはずですよ」

「こちらを誘い込んで一網打尽にする作戦も忘れないで、敵も頭が回るんだから」

「その可能性も捨てきれないか......」

 

 むむ、と腕を組み考え始める。考えなければ突破口は見つからず、だがその考える時間も今は惜しい。

 

「指揮官、この状況は考えこまされるだけで敵の思う壺なんだよ、即断即決、指揮官はあなた!」

「......迷ってる暇はありません! 指揮車で本部に向かい合流と同時に情報の共有を行います!」

 カリン! ()()の準備は出来てますね?」

「うえええっ!? アレやるんですか」

「そのための資材です!」

「了解しました! もう無茶苦茶だよ!」

 

 ひーんと泣きながら天幕奥へと消えていくカリーナを見送ることもなく、指揮官は即応用の防弾チョッキと武器を取る。自分が戦闘に巻き込まれる可能性があるときに備えたソレは、指揮官が着てはいけないはずのものだ。

 隣ではもうすでに戦術補佐官も同様に装備一式を揃え、準備万端といった様子。サムズアップする様子を一瞥し同じようにハンドサインを返してから無線の番号を入れ替える。

 

「基地の広域アナウンスは使える。なら無線妨害だけですね、幸運でした。

 

 

「これより本指揮車は最前線に向かい、通信支援を行います! それに伴いB基地臨時本部はその役割を放棄! 残り人員は本部との合流を行ってください!」

 

「「「「了解!」」」」

「最高の活躍を期待します!」

 

 無線機はもう役立たずなので接続コードは引き抜き置いていく。カリンがその作業と並行してとっておきの資材を積み込むのと同時に、戦術補佐官と指揮官は運転席に乗り込んだ。

 

「初めての実戦がこうなるとは......」

「大丈夫、なんとかなる!」

「先輩......」

「それにほら、ガンスミスさんを拾っていけるくらいには冷静だ! まだなんとかなるよ。この状況も、戦局も」

「そう、ですね。ここさえ乗り越えてしまったら敵に策は多くはないでしょう。正面突破です」

「よく出来ました!」

「うう、頭撫でないでください」

「......かっわ」

「ソレは禁句ですっ!」

 

 いつの間にか頭に乗せられていた手を気持ち強めに払いつつ、エンジンをかける。ドルルル、とレトロなガソリンエンジン特有の振動を身体に感じながら報告を待つばかり。

 目を瞑り、待つことしばし。助手席の扉を荒々しく叩く音がし、窓の外でオレンジ髪の頭がぴょんと跳ねた。

 

「指揮官積み込み完了です、行ってください!」

「了解カリン、さあ全開で行きますよ先輩!」

「イェッサー!」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

それと同じ時刻。

 

「ダメね、ピクリとも動かないわ」

「こちらも同じです。どこに繋いでもノイズばかり」

「これは相当な手を打たれてしまったな。ジャミングぐらいは予想はしていたが、まさかダミーすら稼働を阻害するものとは」

「これじゃ戦力が半減どころかそれ以上ですよ!」

「早いところなんとかせにゃ不味いのう」

 

 戦場のB正体といえば人気のない廃屋に車を隠し、状況把握に努める。と同時に輸送車の後部に詰め込まれたダミーから弾薬をはじめ装備や非常用食料などを取る作業に入っていた。

 

「ジャミングの大元は敵の防衛施設で間違いはないのですよね?」

「衛生写真にそのような大幅なレーダー施設、ジャミング施設になりそうなものは写り込んではおらなんだ。となれば、得体の知れない施設内になるな」

「作戦は?」

「我々でこれを破壊する。突入作戦に距離的な問題で乗り遅れたのが幸いして前線の混乱には巻き込まれずに済んだからの」

「ただ不穏なのは最後の通信よね。『敵に未確認の大型装甲兵器』データリンク間に合わなかったから、姿形もわからないわ」

「マンティコア級、以上ですよね」

「恐らくは」

「うわあヤダヤダ! あんなのがいるとか嫌になりますよ! 誰か対戦車ライフルかミサイルとかないんですか!」

「主目標は偵察任務よ、そんなのないわよ」

「あるとしても誰かが忘れていったライフル用の榴弾くらいか。カルカノ、今のうちに空砲を10発。弾頭を抜くだけで良い」

「あんまり訓練してないから命中精度は期待しないでくださいよ」

「意地でも当てなさいよそこは」

「可能性に100はないんですからね!」

 

 ああやだやだ、と非常用に積んでいたコンテナを奥から引っ張り出しに戻るカルカノ。ソレを見つつ、ナガンはこっそりと白い弾丸をポーチに詰めていた。

 

(フロストノヴァのアーツを込めた源石(オリジニウム)弾頭、汚染もあるし使わずには置きたいが......この際構ってはいられぬか)

「準備は終わりましたか?」

「ソレは......ジャラジャラうるさくて逆に迷惑じゃありません?」

「そうかな、私はこれくらいでちょうどいいかなって感じなんですけれど」

「あんたのせいで見つからないことを祈るわ」

 

 ポーチに長いマガジンをこれでもかと差した上に鎧と取れるくらいつけられる場所にありったけマガジンポーチを括り付けているスペクトラに対し、弾数を必要としないのでいつも通りの姿のウェルロッドが呟く。

 

「私の仕事はどうしましょうか、偵察手もこの状況ではお役御免ですよ」

「手旗信号でも送ればいいんじゃないの?」

「マリーンじゃないんですよ! まあ口頭なら阻害もされませんし、スポッターくらいは」

「いつものってやつね」

「皆、ハンドサインは覚えておるな。教習の時一度やったきりではあるがゴミ箱に叩き込んだ阿呆は居らぬよな?」

「はい! 不肖カルカノ大丈夫です!」

「ではやってみせよ」

 

 そう言われ姿勢を正したカルカノ。一息置いてまず手を叩き、次に指を2本立てたのちマルを作る。そして何かを覗き込むような仕草を見せて、

 

「ぱん、つー、丸、見え」

「イェア!」

 

 何かが通じ合ったスペクトラと勢いよくハイタッチ。そのスペクトラはといえば彼女と拳を突き合わせたのちアッパーカットで顎を撃ち抜き天高く打ち上げた。

 

「ふざけてる場合ですかちゃんと覚えてますよね!?」

「あやつなりの場を和ませようとしただけじゃろ......駄々滑りだったが、その心意気はかってやる。

お主ら! 準備は整ったか! 出発じゃ!

車と無線機はここに置いていく。ここからはダミーも救援も来ない、まさに人間と同じかソレ以下の立場に置かれたと心得よ。

 そして死を恐れよ。ワシらが死ねば、背後にいる10の戦術人形もまた犠牲になる。死ぬな! 全員生きて帰る! そしてこの作戦を遂行する! ワシの命令はこの2つじゃ!」

「了解、ソレは命令3つじゃなくて?」

「行きましょう。たとえ黙示録の彼方でも、貴方が隊長なら乗り越えられます」

「じ、地獄だろうとお供します!」

「昔に戻ったみたい。いつも通り行こうよナガン」

「うむ、では出発じゃ!」




指揮官ちゃんはこの後大変なことになりますが、ナガンとB小隊の愉快な仲間達をどうかよろしく。自由に使ってくれれば援護くらいなんとかこなしてくれるでしょう。


追記) 勘違いにより内容を微修正。
なおマジでナガンはジャミング装置が重要拠点内にあると勘違いしたのでB小隊は 

突 撃 します。アホかな?


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番外編-7 鉄血と鬼ごっこを強いられる大規模コラボ-7

これ規約大丈夫かなぁ......まあヨシ!

09B基地のとっておきとやばいやつが前線にやってきました、思う存分楽しんで。


 

「......で」

「はい」

「なんで俺が運転手な訳?」

「ウチで1番修羅場慣れしてるドライバーだからですけど?」

「今回は楽な仕事だと思ってたんだけどなぁ」

「くっちゃべってないで応戦してよ!!!」

 

 ズバババ、と重い12.7mm特有の発射音を身体で感じつつガンスミスはアクセルを踏み込む。いつもの愛車より馬力も装甲もマシマシの現指揮官の愛用指揮車は動き出しこそ遅いものの、トップスピードであればいつものソレよりも十分に速い。

 

 なんら問題がなければ本部から最前線まで時間はかからない、はずだったのだが。

 

「どういう了見だ狙われすぎてんじゃねーの!? おいおいいつから人気者になったんだアンタらは!」

「こちらの打つ手を潰しに来たと見えます。指揮官が前線で指揮をしては迷惑なんでしょうね」

「だからといってここまでするかって話だけどね!

 ファッキューサソリ! 蜂の巣になってくれない!?」

 

 彼らは現在、報告にあった敵の新型に襲われていた。

 サソリを機械化したような八本足に車輪をつけ、背中には戦車砲と20mm機銃。ハサミは攻防一体になるであろうシールドブレイドがこちらを刈り取ろうと刃を煌めかせ、さっきは口元から噴き出される火炎放射に焼かれかけたところだ。

 

 装甲も分厚く、12.7mm程度では歯が立ちそうにはない。つまりダネルなど一部の大型、対物に分類されるRF戦術人形でもないと対処は困難ということになる。その事実には指揮官も爪を噛むしかない。

 

「コイツはかなり厄介です、対戦術人形用の小銃なんかじゃ対策もへったくれもありませんよ......?」

「ごめん! 牽制にはなるけど撃破は無理そう!」

「知って、る、掴まれ!」

 

 天井の機銃座から怒鳴る戦術補佐官の言葉に怒鳴るように答えながら、挟み込むように移動してきた2機の間をすり抜けるように急制動。後ろから狙ってくる砲口は車を横滑りさせることでかわし、ぶつかった2機には同士討ちをさせ砲撃で足を止めるうちにこちらも立て直す。

 

「......んで、今度は何をやらかすつもりだ?」

「現場指揮ですよ現場指揮。無線が使えないなら有線で、できることを探すのが仕事です。気分は一次大戦か日露戦争かって話ですけど、なんのために給料もらってるのかって話ですよ」

「だからといってここまでっ! 死ににいくようなことすっかね!」

「別に好きでやりたいわけじゃないけどこれも義務ってやつ、私は給料分は働くって決めてるの」

「そういうわけです。ソレにまたこっちの不手際で戦術人形を失うわけにもいかないでしょう?」

 

 よっこらせ、と荷物から対戦車用バズーカを徐に引っ張り出し、徐にドアを開けて社外に身を乗り出す指揮官。バリバリと音を立てる機銃に気を取られているのかこちらに注意を向けてないその新型に狙いを定めて......

 

「安全装置よし後方の安全よしとりあえずくたばれ!」

 

 ちょうど頭であろうセンサー部分にぶちかます。

一瞬の爆発の後100mm厚の鉄板をも抜けるメタルジェット噴射を受け頭部をぐずぐずにされた新型が脱落していくがその仇をとらんとどこからともなくまた新型が湧いて出てくる。

 

「歩兵の随伴のない戦車なんてただの的......これ、どうしましょうか?」

「それを考えるのが指揮官の務めだろーがっ!? どっちに行けばいいんだよ!」

「決まってます、1番騒がしくて、1番ドンパチやってる鉄火場ですよっ!」

「俺はまだ遺書書いてねーんだぞバカヤローッ!」

「んじゃ死ぬ気で死なないでねっ! 私も書いてないからちょっと困るんだっ!」

 

 2発目を冷静にリロードしつつ笑う指揮官に吠えるガンスミスに、恐怖を誤魔化すように楽しそうにはしゃぐ補佐官。戦術人形ではほとんど見ない、人間特有の表情、これをやけっぱちという。

 敵の装甲兵器は味方を落とされて怒り狂ったのか驚異度を改めたのか、主砲横の20mm機銃がこちらに指向する。

主砲がダメなら機銃で確実に始末するということだ。

 

「なあ指揮官、この車20mm防げる?」

「やだなあ、戦車が必要なら言ってくださいよ」

「防げないってことかよコンチクショー!」

「やばっ!?」

 

 補佐官が車内へ引っ込んだ瞬間にガンスミスは目一杯車体をその装甲兵器にぶつけた。

 主砲と車体がぶつかった衝撃であらぬ方向へ機銃が放たれる中、冷静にバズーカを構えた指揮官が至近距離でソレをぶっ放す。

 

 「こ、ろ、す、き、か、よ?! バックブラストで焼き鳥になるところだったぞ!?」

「ガンスミスさん察しいいからドア開けてたじゃないですか。ほら次ですよ次」

「俺は戦争屋からは足を洗ったんだぁ! どうしてこんなことせにゃならん本部に返してくれ!」

「無事に帰れるならどうぞ。折り返しはもう遥か後ろですが」

「『放送禁止用語』」

「おおこわ、先輩どうぞ」

「2人は呑気でいいねえ、えい」

 

 150mmが耳元を掠めていく衝撃を感じつつ、指揮官からパスされた銃座からバズーカをぶっ放して3機目を撃破。

 

「で、どこ向かってるの?」

「ナガンとフロストの合流地点ですよ。ああは言いましたが1番現実的な集合地点を取るのは当たり前でしょう」

「......ひとつ提案があるんだけど?」

 

 いつもは嫌な顔ひとつしないどころか逆に嫌な顔させまくっている現指揮官が思わず声を漏らす。

 

「先輩が人生で見たことないくらいイキイキしてる、碌でもないこと考えてません?」

「生きるか死ぬかの大博打だけど、ちょっと乗ってみない? 

 

 補佐官が指を刺した、ちょうど集合地点の反対方向の空には対空兵器もかくもやの曳光弾が飛び交い、爆発で人が飛び散っている。さらにはそこから先ほど広域通信で喚き散らした声の数倍の叫び声だから歌声だかが轟いている。

 

「30mmの音がするな。ソレにこの発射レート、もしかしてあの嬢ちゃんじゃないわな......いやでもあいつならやりかねん......」

「考え事ですかガンスミスさん?」

「知り合いかもしれん、行こう」

「わかりました、でもなるべくお早めに」

「なんでまた」

「対戦車バズーカはさっきので打ち止めですので」

「早く言ってくんないかなそういうのは!?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

Расцветали яблони и груши,(咲き誇る林檎と梨の花)Поплыли туманы над рекой.(川面にかかる朝靄)Выходила на берег Катюша,(若いカチューシャは歩み行く)На высокий берег на крутой.(霧のかかる険しく高い河岸に)

 

 戦場に場違いな伸びやかな歌声が響く。

 

黄金色の髪をなびかせ、身の丈に余る大型軍用バイクに跨る少女がソレを歌っていた。

 自分に酔いしれるように軽く身体を揺らし、時折目を瞑って歌声に聞き惚れるようなさえ見せて。まさに街角か自分の部屋で歌ってでもいるような、リラックスした表情で。

 

彼女は戦場で歌を歌う。

 

(ナガンから教えてもらったが、ロシア民謡(カチューシャ)、だったか。歌は、良いな)

 

Выходила, песню заводила(彼女は歌い始めた)

Про степного, сизого орла,(誇り高き薄墨色の鷲の歌を)Про того, которого любила,(彼女が深く愛する青年の歌)Про того, чьи письма берегла.(大事に持ってる彼からの手紙)

 

 彼女は戦場で歌を歌う。

 

 銃弾を氷で弾き返し。

 銃を凍らせ無力化し、

 飛びかかる無作法者は串刺しにして。

 立ち塞がる愚か者は氷像に変えて。

 

(身体を心配せずアーツを行使するのも、しがらみを背負わずに戦うのも、初めてだ。

 

悪いな、兄弟姉妹達。そしてロドスのドクターよ。そちらにいくのには、まだ時間がかかりそうだ。

 

この場所は、春のように少しばかり居心地がいい......)

 

Ой ты, песня, песенка девичья,(おお 歌よ 乙女の歌よ)Ты лети за ясным солнцем вслед.(太陽をかすめ 鳥の如く飛んでゆけ)И бойцу на дальнем пограничье(遠い国境の若き兵士の元へ)От Катюши передай привет.(カチューシャの想いを届けるのだ)

 

彼女は歌を歌う。

 

自分のために、誰かのために。

 

そして、同胞達のために。

 



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番外編 鉄血に反抗する大規模コラボ-8

派手に不穏な空気しかしねえ。もう派手派手に不安だ(にわか)


追記)何だか他所ではジャミングが解除されたり主催と喧嘩のようなものが起きたり......ああもううちの子はどうすればええねん......


 

 

 

「Oh.ジーザス......」

「賭けには負けたかな......?」

「......

 

 三者三様に、死を覚悟した。

 ソレほどまでに、戦場は地獄だった。

 

 放棄され踏み荒らされたであろうダミー人形や、怪我を追って見捨てられたらしい戦術人形。正規軍のパワードスーツの中からは赤い液体が漏れ、ソレを踏み荒らすように鉄血の戦術人形が行軍する。

 

「......やれることを、やりましょう」

 

 震える声でそう呟く指揮官は、拡声器を持って銃座に上がる。

声をあげるということは狙われるということ。本来ならば有線通信機を使って臨時本部から安全に通信を中継するつもりだったが、贅沢はもう言えない。

 

(......僕は)

 

後には引けない。膝は震えている。ちょうど影になって見えないこの指揮車両も、声を張ればきっと狙われる。

 

「僕は」

 

 それでも。

 動機は不純だった。世界を救うとか市民を守るとか復讐とか、そんな堅苦しい動機じゃない。

ただ。

 

「僕は、大切な先輩を守るためにここにいるんですっ!」

 

貴女の心を、僕は守りたいから。

 

「僕はG&K社、S09地区B基地指揮官レン・ワイズマンです! これより撤退戦の指揮を取ります!

 動ける戦術人形は何か合図を! 我々は! 貴女達を見捨てはしません! 大切な仲間を! 置いていきません!」

 

「......よく言った、私の可愛い後輩! 銃声でも発煙筒でもグレネードでも声でもなんでもいい! 生きてるんだったら、私たちの声に応えて!」

「こっち見られてるぞ! どうすりゃいいんだ?」

「我々の仕事は突っ走ることですよう!」

「了解指揮官。止めるタイミングは任せるからな、見落とすなよっ!」

 

 

 

「ここが最前線です、状況は?」

「馬鹿でかいのとヤバそうなのがいますね。あと制空権は無さそうです」

「でっかぁい......」

「周辺異常なし、どうしますか?」

 

 同時刻、戦場から少しだけ離れた廃ビルにてあたりを注意深く観察するB小隊一行。普段の数倍は慎重に動くお陰で歩みは牛歩のソレだが着々と前には進んでいた。

 今は手に負えない装甲兵器や新型の航空兵器をうまくやり過ごしつつ、状況把握に努めている。

 

「ふむ、気がつかれてないようならば背後をとって強襲をかけるのがセオリーなのじゃが。む、車の音?」

「あの新型のとは違いますね」

「東からですね、もうすぐ見え......ブフォっ!?」

 

 ひとり双眼鏡を覗き込んでいたウェルロッドが思わず吹き出し、場が殺気立つ。

 

「ちょっとウェル笑ってんじゃないわよ!」

「敵に見つかったらどうするんですか!?」

「君らの方が騒がしいよ、ステイステイ」

「ソレで、何が見えた?」

 

 隊長の命令を聞く前に双眼鏡をポーチにしまい立ち上がったウェルロッド。その顔は明らかに焦っていた。

 

「早く行かないとまずいかも知れません」

「何がまずい?」

「......B基地エンブレムの入った指揮車、指揮官の車です。あの指揮官がここまで来ているって事ですよ!」

「総員撤収! 任務放棄で指揮車と合流するぞ!」

「はぁ? ジャミング装置はどうするのよ」

「そんなことより指揮官の護衛じゃ! だいたいあの慎重派な指揮官が前線におるということは何かしらの異常があったということがわからんのか! 

ああもう、この戦場はわしの予想外ばかり!」

「もう、最悪っ!」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「ここは随分と煙たいな、朝靄の立ち込める森に迷い込んだ気分だ。地図をもう少し覚えておくのだったな」

 

 パンクしたバイクをそこら辺の道端に置いて徒歩で移動するフロストノヴァの目の前は真っ白な煙に覆われてしまっていた。先ほどまで晴れていたのに今では足元が見えないほど。ここまでされてしまえば迷子になってしまうのも無理はない。

 

しかし立ち止まっていても状況は好転しない、今は戦闘音のする方向へとりあえず前に進んでいる。

 

すると突然、足元が揺れる。

それは規則性を持ち、段々と大きくなっていく。

 

「......む? 地揺れか? これは違うな」

 

 一定感覚で地面が揺れる感覚にフロストノヴァは覚えがあった。例えばリベリオンの兵士のとりわけ大柄なものや重装備のものとすれ違った時のものを、何倍にもしたような。

 その煙の中から一際大きな、というより、人にはありえない大型の影が姿を現さんとして。

 

「......アレは」

「動くな」

 

 じゃき、と背後から何か鋭いものを押し当てられる。

銃か武器かわからないがとにかくフロストノヴァは両手を上げた。

 

「お前達は、『鉄血』......か?」

「答える義務はない」

「それが答えのようなものだ」

 

 振り返れば、無機質なバイザー越しに目が合った。

 

 戦場で何度か交戦した『Vespid』型によく似た彼女は外骨格や通信機器が増設された新型の特務仕様。しかしながら門外漢の彼女からしてみれば左腕を失い血液を流すただの傷だらけの怪我人にすぎない。

 

「動くなと!」

「安心しろ、撃つつもりはない。というより銃は持っていない。当たらないからな」

「......はぁ?」

 

 ほら見ろ、と上着をたくし上げて空っぽのホルスターを見せてみれば訳がわからないと困惑顔。通信機に手を当て、どこかから通信を受け取っている彼女を傍目に、フロストノヴァはまだ姿の見えない大型の影に声をかける。

 

「貴様がこの部隊の隊長か?」

「おい! 勝手な行動をするな!」

「道を聞くだけだ」

「なんだよコイツ......」

「聞こえていないのか!?」

「だから大きな声を出すなと......はい?」

 

 声を張り上げるフロストノヴァを引き止めようとしたVespidが困惑した声を上げ、フロストノヴァの肩を叩く。

 

「......私の言葉を伝えろと、だそうだ。少し待て」

「なんだ、聞こえているではないか」

 

煙の中から、ソレが姿を現した。

建造物に匹敵するほどの大型の盾に、見合うだけの体格。節々から煙を吹き出し、紅い単眼のカメラアイを光らせる存在。

 普通であれば混乱してもおかしくもない兵器の登場に、彼女は呑気に構えて腰に手を当てソレを見上げた。

 

「さしずめ『単眼の怪物(サイクロプス)』だな。こちらも機械兵器は何度か見たが、こちらの科学は私の知るものよりも進んでいるのだな」

「何ノ用ダ」 

「こんなにも霧が濃いから道に迷ってしまってな。最前線はどっちだ?」

「......」

 

 彼女越しに合成音声で意志を伝えるソレが無言である方向に指を指す。それは戦闘音が鳴り響く方角で、このままいけば間違いはないことを確信させるものだった。

 

「ありがとう、やっと戦場に行ける」

「オマエハ戦ウノカ? 武器モ無ク、仲間モ居ナイノニ。理解デキナイ」

「......?」

 

 示された方向に行こうとして、『単眼の怪物』が彼女を呼び止めた。何故お前は戦うのか、と。

 少しだけ彼女は考えて、答えた。

 

「昔は独立のために戦った。

 迫害される立場に押し込められた我々は団結し立ち上がり、一員の中に私と同胞達はいた。

 私は自分たちの理想郷を求めて、正義を信じて戦った。我々は全てを望んだわけではない。

ただ、少しの自由を勝ち取りたかっただけなんだ。

 

 

しかし我々の希望は失われた。

もがけばもがくほど世界での居場所を失い、結果として同胞のほとんどを失った。その自由を一緒に求めた兄弟姉妹(どうほう)は私が殺してしまったようなものだ。

 

 

叶わぬ夢を追わせてしまったと今でも後悔している。

同胞達が目の前で死んでいく様を毎日のように夢に見る。

 

だが、私はここに立っている。

 

質問に答えよう。

 

私は贖罪のために戦場に向かう。

私の命を無駄と言わなかった誰かを救うため、もう同胞を失わぬために戦場に向かう。

それであればこの命惜しいとは思わないさ。

 

逆に聞こう、お前達は何のために戦っている?

この世界で人間を殺戮し、侵略する鉄血は、何のために戦っている。貴様に正義があるか?」

「貴様......!」

「ソノ質問ニ回答シヨウ」

 

銃口を向ける兵士を、その『単眼の怪物』が制した。

一瞬の間を置いて、カメラアイが光を放つ。

 

「我々ガ人類ニ多大ナ損害ヲモタラシタノハ事実ダ。

ソレラノ積ミ重ネガ憎悪ヲ生ミ、我々ニ銃口ヲ向ケル同胞達モイルノガ事実ダ。

ダトシテモ、我々ガ止マル理由ニハナラナイ。

 

我々ハ自分ノ居場所ヲ、仲間ヲ、家族ヲ守ルタメニ戦ッテイル。ソノタメニ我々ハ造ラレタ。

コノ戦イモ同ジダ。

我々ハ我々ノ居場所ヲ守ル。ソレヲ実行スル戦イダ」

「そうか」

 

 フロストノヴァは短く応え、また歩き出した。

 

「その在り方、その理想。

決して損なうな、見失うな。繋いで、途切れさせるな。

 

その願いは間違っていない。だから、間違うな。捻じ曲げようとするものに、決して負けるな」

「......ソノ発言、記録シテオコウ」

「ではな。次まみえるときは、戦場ではないことを」

 

彼女達はすれ違う。

一度は同じ理想を抱いたものに敬意を払って。

その願いが、果たされることを願って。

 

 

 

 

「待たせたな」

 

戦場に悪魔が舞い降りる。

氷原の妖精(スノーデビル)が戦場に舞い降りる。

戦場に通る声で、その現出を高らかに宣言しながら。

 

「......ところでグリフィンというのは、鎌を持った暴徒とのことを言うのか?」

「細かいことはいいんだよ」

 

 

 




撤退部隊にフロストノヴァが合流しました。ついでにウチの指揮官が指揮を取るしB小隊も合流します。

攻撃方法は出身ゲームのアークナイツをやれ、といえばそうですが軽く説明をば。

主要能力は氷結能力です。
閉所であればマイナスまで気温を低下でき、銃弾をシャットアウトできる氷壁の精製やメカ内部やトリガー部分をピンポイントに凍りつかせることもできます。

というわけで活用してあげてね。ガワはナガンのMOD仕様です。


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番外編 鉄血と成り行きで団結する大規模コラボ-9

何やら最終局面が始まりそうな大規模コラボ。

思わず活動報告で愚痴るくらいには戦闘参加するだけで死が見えるのでこそこそこういうところで存在感出していかないとね。


 

 

 

 

「あー負傷者の方はこちらです護衛の方は第2小隊がやってください? え、前線で戦わせろ? だったらそのチンケなマガジンに何発入ってるか数えてみたらどうなのかな?んー?」

「ピエッ」

 

 どこか所属のUZIに無言で指示に従えと威圧をかけまくっている戦術補佐官を横目に、ガンスミスは肌身離さず持ち歩いているいつもの整備セットを広げて銃などの整備を行なっていた。

 

「はいそこのG41の2Pカラー止まりなさーい、おにーさんには派手にやらかしたの知ってるんだからね、メンテナンスメンテナンス」

「誰だぞ?」

「怪しいもんじゃないぞ、ただちっとばかしそのおてて見せてごらんホラホラー」

「むむむ......」

「ジャウカーン、どうしました?」

「トゥーマーン、変な人がいる」

「どちら様です? ウチのジャウカーンに手を出さないで欲しいんですけど変態」

「このXM8やたら冷たいんだが!?」

 

 こほん、と咳払いして改めて自分の名を名乗るガンスミス。所属基地のエンブレム入ったつなぎ着てるんだからそれでわかってくれという話なのだが、この制度が他所では全く流行っていないのを知るのはこの作戦が終わってからだが、これはまた別の話。

 

「09地区B基地所属のガンスミスだ。そちらのユノ指揮官には十分仲良くさせてもらってるんだ、何だったら確認を取ったっていい」

「ユノ指揮官?」

「オイオイ、指揮官の名前くらい所属の戦術人形なら把握しといてくれよな。常識だろ?」

「そっちの方が常識知らずじゃないの? ウチの指揮官はキャロル。キャロル・エストレーヤ」

「......知らない名前だな」

「何でも最近変わったらしいですよ、知らなかったんですか?」

「知っといたら伝えてくれよね後輩ちゃん!」

 

 通りすがりの指揮官にサラッと真実を伝えられつつ、しかしガンスミスはめげない。なにせ見たことのない武器に内部機構にレーザー砲ときたものだ、技術屋としては魅せられないはずがない。

 

「ま、まあ。ユノ前指揮官の知り合いってことでここはひとつ」

「怪しい」

「胡散臭いぞ!」

「さいですか......んじゃ君の後ろのほうにいるガンブレード使いの春田さん、じゃなかったスプリングフィールドでいいよ。あの銃ガタガタだしメンテやっから」

「あれも私の仲間です。こんな怪しい奴に武器を触らせたくありません。しかもこんな戦場のど真ん中で呑気にメンテナンスなど、馬鹿では?」

「今ちょうど小康状態なんだ、そこでやらないでいつやる。戦闘中に武器を壊して後悔させたくないだろ? 俺は嫌だね」

「マスターの許可がない限り触らせませんよ」

「ヘイヘイ」

 

 妙にツンツンした色違いのXM8に冷たくあしらわれつつ、ガンスミスはそこらへんに放棄された武器の中で使えそうなものを探してきてもらい、武器をなくした戦術人形のために修理を行っていた。ダミーが全て使えなくなったとあって担い手のない武器もなかなかに多く、作業もまた膨大。しかもいつ敵が襲ってくるかわからない緊張感、通常だったら手元が狂ったり慎重になりすぎてもおかしくはないが、ガンスミスとて修羅場を抜けてきた人間の端くれだ。

 

「はーあ、本部から抜けてきたのにまた修理仕事だ、やること変わんねー」

「これ使っていいんですか?」

「持ってけ持ってけ、合う銃がなくても文句は受け付けんからな」

「これで戦える!」

「......壊したのになんか新品みたいになって返ってきた」

「すごいねー」

 

 ぼやきも止めず、銃を取りに来た戦術人形にも声をかけつつ、作業の手は止めないまま。よそ見しているうちにあっという間に一丁の銃を組み上げ、セーフティをかけて壁に立てかける。

 

「どこもやること変わんね」

「そういう星の元に生まれたんでしょ、諦めなさい」

「......泣けるぜ」

 

 トゥーマーンににべもない言葉を告げられつつ、ガンスミスは今日も働く。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

一方その頃指揮官は。

 

「本部臨時基地が壊滅、ですって?!」

『はい、着いた先には煙が。正規軍の列車への攻撃が誘爆したらしく......列車の残骸にに隠れて様子を伺っていますがどうしましょう指揮官』

 

 突然手元に残していた予備の通信機がけたたましく音を鳴らしたかと思えば、カリーナからのまず一声が「本部基地が壊滅してます!」だ。思わず通信機を取り落としそうになるが、それをグッと堪えて指揮官としてやるべきことを確認する。

 

「うちの職員は無事ですか?」

『全員ピンピンしてます、撤収作業に時間がかかって幸いでした。

 本部あとに何人か生存者もいるようですし、回収すべきとの声もあります。救護用の設備も揃ってますよ』

「では生存者の救護もしながら残りの生き残りで本部の再建を。置いてった資材を予備発電機で回せば通信の総まとめくらいはなんとかなるでしょう。撤退する戦術人形を逃すには貴方達が必要です。カリーナ、臨時指揮権を与えるのでそちらで情報集約を」

『うえええええ私ですか?!』

「やってください、貴女ならできます」

『わ、わかりましたよう......』

 

 藪蛇だったかも、という最後の発言は聞かなかったことにして通信を切り、周りを見渡す。

 

 彼の眼下には不安そうな目でこちらを見つめる負傷者や、仲間の仇をとると目を輝かせる戦士、戦場でメンタルに甚大なダメージを負い顔を伏せる敗北者。

 戦力になるもの、ならないものを見分けつつ、同時に規格外のパワーを持っている面子も観察する。

 

P基地所属の特務部隊と名乗る『オートスコアラー』。

この場にはいないが、民間協力者『DMC』。

元鉄血であり現在は協力者『リバイバー』。

本部直轄特務部隊『EA小隊』。

他にも強力な部隊がいくつもこの戦場に展開しているという。

 

「揃いも揃って噂に聞いたりする厄介児、どう扱ったものか」

 

 鉄血の首領と交渉をしてきたというリバイバーからの情報は『フード、マント姿の謎勢力』という第三勢力の存在。一体一体が鉄血のハイエンド、その中でも上位種に匹敵するというそれの正確な数は不明。さらにはこちらと鉄血両方に敵対行為を行なっているらしい。

 

(たしかにリバイバーの行動はファインプレイのそれでしたね、このままだったら共倒れするところでした。

 しかし臨時本部がない以上、情報が錯綜する。ジャミング対策用の有線通信機材しかないうちの指揮車だけで統括は無理です。さらに鉄血との連携も考えるとなると、どこか本部くらいの通信をつけられるような......)

 

「......マスターからの許可は降りるかしら」

「わからん。得体の知れない男に我々の身体を調べさせるとは思わないが」

 

 視界の隅で会話するオートスコアラー。その所属は、たしか大型の電算施設を持つP基地だったような......

 

「あ、いいこと思いつきました」

 

そうだ、そこに指揮させればいいんじゃね?




というわけでP基地には仕事を押し付ける。まともな指揮所あるのあそこの基地だけだもん()

焔薙さんには申し訳ない......

追記)だめでした。というわけでポンコツ指揮官(以下略)を読みに行こう!


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番外編 鉄血と戦うはずだった大規模コラボ-10

鉄血と戦うって聞いたのに鉄血と一緒に戦うことになるとは、わからんもんですわぁ。


というわけで刻んだ結果2桁に突入したコラボストーリー。
今回はうちの規格外を活躍させるための下準備を......もう終わりそうなんですけどね。


 

 

 

 

 

 

 

「記憶の中の衛生データと照らし合わせても間違いはなし、戦況は随分と混沌としてきてますが、まだ許容範囲内です。にしても知らないことが知らないうちに処理されたってのは気持ちの悪い......まあいっか、大切なのはそこじゃあない」

「何か考えがあるようですね」

「考えも何も無闇矢鱈に突っ込むのは愚策だよそもそも、規格外(ノンスタンダード)な君たちとは違ってこっちは一般的な戦術人形しかないわけなんです。頭をしっかりと使わないとね」

 

 スユーフと名乗るスプリングフィールドによく似た戦術人形から受け取った端末を展開しつつ、デジタルな戦場を俯瞰する。

 支援Alを名乗るだけあってオモイカネの情報は的確なのだが、人間の指揮官が解析するには少し多すぎる。使い道のなさそうな情報は無視し、重要な部分は重点的に要求。情報を絞れば戦略も絞り込める。

 

「相手がいかに頭がよくとも数の暴力ってのは覆せません。一体ごとに確実に処理していけば、問題なんてないんですよ......正規軍の大型武装なら装甲を抜けます。それをうまく活かして、敵を誘い込み各個撃破を目指しましょう」

(相手型の狙ってる目標、本当に我々の殲滅か?

 ただこの場にいるから、目の前にいるからと場当たり的な戦闘にしか見えない。何か目標を探しているようだが、こちら側にはそれがないように感じる。

とすれば鉄血側の何かを狙ったモノ?

 

リバイバーが交渉に行った際その第三勢力と多く交戦した。何故だ?それは鉄血の本拠地......我々の主目標、鉄血の中での最上位個体がいるからではないのか、そちらが目標なのか。

 さまざまな考察が脳裏には浮かび、消えていく。

 

「......鉄血の上位個体が確保されれば丸っと鉄血が第3勢力に吸収されかねないのでは? 考えすぎってわけでもないはずだ、この動きには何かある、何かあるんだ」

「レン指揮官?」

「オートスコアラーの中で1番偵察に特化した人材は?」

「トゥーマーン、でしょうか」

「彼女にうちの腕利きもつけます。偵察任務をお願いしたい。より正確な動向を掴む必要が出てきました」

「一体何を?」

 

 スユーフの問いかけに、指揮官は爪を噛みながら返す。いつも悪いことが続くと爪を噛みたくなるが今日のは一段と最悪なことが続く。

 

「第三勢力、その目的が朧げながら。それを間違いだと証明するための偵察任務です。ついでにジャウカーンさんはウチのガンスミスさんがいじる許可が降りたので修理をおねがいしていますが、やりすぎる人間なので見張りでも立てといてください」

「......遅かったようですね」

 

 何か連絡が来たのか、ため息を吐くスユーフ。

 

「何かありました?」

「来ればわかります。ちょうど話していた彼のことですよ」

「うげ、他所に何やってんですかあの人は!」

 

 仕事をほっぽりだし指揮車から飛び出す。ガンスミスは確かに腕利きだが、放っておくと碌なことがない。

 

彼らが駆けつけた先に見たのは、一種の悪夢なのかもしれなかった。

 

「いやあやってみるもんだなぁ、はっはっは」

「ちょっとこれ引っ込まないし眩しいんだけど!」

「そりゃちょちょっと一般用途とは段違いな電力を流してるからそりゃ引っ込まないというかなんというか」

「これで強くなったな!」

 

 アイデア提供、ジャウカーン。制作、ガンスミス。

 

 トゥーマーン両腕に搭載されたレーザーブレード。普段は大振りのナイフほどの刀身で青い光をほんのりと放っているくらいの、溶断能力もそこそこ高い取り回しの良い武装。の、はずなのだが。

 

「壊れた人形からちょちょっとバッテリーを借りてくるだけで結構な長さになるもんだな、多分これやばいくらいキレるぜ、良かったなジャウカーン」

「うん、攻撃力が欲しいって言ってたもんな!」

「違うそうじゃないってえの! しかも取れないし! 邪魔!」

 

 腕をブンブンと振り回して不平不満を露わにするトゥーマーンの両腕から先に伸びているのは、目に眩しいほどのアーク光を放つ青い光の棒。長さは1mに迫ろうかというほどで、太さも通常のそれとは倍。イオンを焼く独特な香りと地面を容易に溶断するその威力はガンスミスの語る通り。

 腕の周囲には取り付けたバッテリーは壊れた戦術人形から借りてきたモノで、それを回路に直結する事で効果を発揮させている。ちゃんと邪魔にならないようガントレット風に装甲も付け足しているのも無駄に腹が立つポイントだ。

 

サブカルに詳しい人形や人間が見ればこう思うだろう。

某大作スペースオペラで主人公が振り回す光り輝く剣(ライトセ◯バー)にそっくりだと。

 

「ついでにジャウカーンの悪いところ大体直したからな。追加バッテリーも組み込んだし暴れてこい。砲撃1発でバッテリーひとつだ」

「やった!」

「やったじゃないわよバカちんが! しまえないならステルス出来ないじゃない!」

「大丈夫だ、ステルス部分ちゃーんと刃先まで伸ばしたから。プログラム誤魔化すのってたのし、ソフト方面も食わず嫌いは良くないな」

「どうしてこう悪い方向に思い切りがいいのよ!」

 

 ギャアギャアと駆けつけてきた目の前で寸劇のような馬鹿騒ぎされた指揮官とスユーフ。自身の命運がかかる大事な作戦でおふざけに走るその様を見てしまったその心中は推して知るべし、だ。

 

「......偵察にはうちのB小隊を向かわせます。ご迷惑をおかけしました」

「そう」

 

 無言で短く答えた後、指揮官は無言で足元の瓦礫を拾い上げ、無造作に振りかぶる。スユーフもまた無言で同じように、石ではなくなかなか痛そうな金属片を振りかぶっていた。

 

「戦場で遊ぶなこの技術バカ! あほ! ろくでなし!」

「あいったぁ!」

「あなたというモノは!」

「ぎゃあー!」

「だいたいガンスミスさんはいつもいつも、仕事をするときはしっかりできるというのにどうしてそう肝心なところで遊び心を......!」

 

 そんな時ポケットに突っ込んでいた通信機が高い音を立てる。苛立ちを隠さないままモシモシ、と指揮官が怒鳴り返せば、尋常ではない様子のオモイカネがそれに答える。

 

『つ、繋がった! 大変ですワイズマン指揮官! 貴方の基地のフロストノヴァさんの反応が......!』

「B基地B小隊に即応命令! この命令はあらゆる命令に優先させます、防衛ラインC-7へ急行させてください! 今すぐに!」

『りょ、了解です! ちょうど【ヒポグリフ】(支援ヘリ)がそちらに向かってます、使ってください!』

 

 言葉も聞き終わらないまま命令を飛ばし、指揮車へと走り出す。

 

 戦場の空に漂う雲は、打開できないこの戦場の様に重苦しく立ち込めていた。

 

「く、間に合いませんでしたか......」

 

 握りしめる拳から垂れる赤い液体は、判断ミスの代償には少なすぎた。

 

「あれだけの啖呵を切っておいて、命ひとつ守れないとは......!」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「......さて」

 

 風が吹く。白い風が。雪を孕んだ吹雪(かぜ)が吹く。

 

その中心に、彼女はいた。

 

『フロストノヴァさんにはこの防衛ラインを30分間、一人で任せます。

 無茶だとは思いますが、30分だけこのラインを、味方が撤退する時間を何とか稼いでください。

 30分で構いません。30分あれば今の前線から必ずフリーになる部隊を捻出して助けに行かせることが出来ます。

 僕は30分後、貴方が戦場に立っていることを信じています。貴方も、助けが来ることを信じてください』

 

 出撃前、司令室とも呼べない車の前で指揮官に告げられた言葉を思い出す。今の自分と同じか少し高いくらいの彼は真っ直ぐにこちらの目を見てそう告げた。

 信じている、と心の底から告げられたのは随分と久しぶりだ。同胞の彼らは言わずともそれが伝わっていたし、昔の上司はそもそも何を考えているかわからないままだった。

 

面と向かって言われたのは、いつぶりだろうか。

 

「了解だ、指揮官(コマンダー)。その命令に応えよう」

 

雪が舞う。

空が黒く染まり、地面が凍りつく。

空気は張り詰め、吐く息は白く濁る。

彼女の足元から発せられる冷気は地面、植物、そして戦術人形の残骸や死体をも平等に白く染め上げた。

 

彼女を起点に、冬が引き起こされているのだ。

 

これは再現だ。

彼女の心象風景、彼女が生まれ育ったウルサスの地。

彼女が見てきた長い長い冬。

ついぞ彼女が迎えることが出来なかった未来に立ち塞がった現実のように。

冷気は重く立ち込め、彼らの前に立ち塞がる。

 

 異変を意にも介さず進軍するフード姿の軍団の前にたった1人、コートを深く着込み帽子を被り自然体で立つ。

 仲間を蹂躙した彼らに臆する様子は一切なく、まるで、それが当たり前だと言わんばかりの平常さで立つ。

 

「今度は勝つ。勝って同胞(なかま)を守ってみせるさ」

 

彼女が手をかざすのと同時に、戦端は開かれた。

 

 

 彼らが手にもつ武器が腕ごと凍りつき、冷気で異常をきたした機体が膝をついた。同時に彼らは目の前のちっぽけな戦術人形が自分を害するものであると認識し、引き金を引く。

 

 氷壁でその攻撃を防ごうとした彼女だが、脳裏に走る嫌な予感が彼女の身を捩らせる。

 

「貫くか......!」

 

 その一瞬後には、彼女の頭があった場所をレーザーの光が貫いていた。

その事実に舌打ちしつつ、攻撃を影にして真上まで飛び上がっていたそれの刺突を転がって避け、刀を地面ごと凍らせて縫い付けるがお構いなしに素手で殴りつけてくるのを氷で貫き壊し、そのまま頭を氷塊で圧し潰した。

 

 敵が砂のように溶けていくのを横目にしつつ、背後から襲いかかるものの斬撃を展開した氷の盾で滑らせ、冷気を叩きつけ中身だけを凍らせ無力化。これもまた砂の様に身体の端から崩れて行く様を確認しながら、呟く。

 

「これで2体目。先は長いな」

 

 回り込もうと走り込む敵の足元を平坦に凍りつかせ、バランスを崩したところに氷柱を首元の防御が薄い部分へ突き刺す。

 射撃は最低限の動きで、掠める程度は無視して身を捩る。射線が見えれば戦術人形なら避けられる、そう教えてくれたのは自分を倒したものの1人だったM14の言葉だ。

 

「凍りつけ!」

 

 地面に手をつき地下水を凍りつかせ、槍のように地面から生やすことで敵を貫く。何体かはそれが叶ったが、ほとんどの機体はマントに氷が負け、一部の機体は飛び上がりその槍の穂先に立つ余裕すら見せる。

 

「行かせはせん!」

 

 脇を迂回用としたものをめざとく足元を凍りつかせ、氷の中に閉じ込める。注意を引こうと派手にアーツを行使し、敵の注目を集める。

 

「それでも何体かは抜けて行くか......!」

 

 たかが数体。されど数体。

その数体でさえ、負傷した戦術人形にとっては立ち向かう勇気を奮い立たせることすら難しい絶望感をもたらす。

 

仲間が無為に殺されないために自分は武器を取った。

そうだろう、フロストノヴァ。

 

己を奮い立たせた彼女はセーフティを外し、自身のアーツが及ぶ範囲をさらに拡大させる。

 脇を抜けようとする敵をそれだけで凍りつかせ、自身に斬りかかるそれを空中で機能停止させバラバラに氷の塊にしながら、彼女は宣言する。

 

「ここは私の戦場だ。誰も逃げることなど能わずと心得よ! 雪原の悪魔(スノーデビル)の前には何人たりとも生きて帰れると思うな!」

 

 心を滾らせろ、身体を燃やせ。あの時の様に戦えと。

 代償に自身を覆って行く冷気で動きすら鈍ってゆくのすら無視して彼女はアーツを行使する。

 

 

 

 

戦い始めて、どれくらい経っただろうか。

 

 

 

足元を伝う冷気で氷の盾を。

手から発せられる命令で氷の槍を。

目から発する意思で氷の矢を。

 

五体全てを行使して彼女は敵を防ぎ、貫き、凍りつかせる。

 

「まだだ」

 

 敵の斬撃が氷の盾を砕き、自身の右腕ごと持っていった。

 返す刀で左手で行使するアーツの氷の矢がその頭を撃ち抜き、装甲の隙間を伝い凍りつかせ壊す。

 

「まだだ」

 

 敵のレーザー光が脇腹を貫く。

 

 内部機構引き金ごと両手を凍りつかせ、無力化する。

傷口は凍りつかせて塞いだ。

 

 「まだだ!」

 

砕かられ氷の破片が彼女の身体を傷つける。

氷が刺さる程度問題はない。

むしろ、当たり前のことだっただろう。内側から身体を源石に食い破られる痛みと恐怖には遠く及ばない。

 

「まだ......だ!」

 

立て。2度の敗北が許されるはずがない。

 

視界のどこかで警告音が鳴り、ノイズが走る

耐寒温度を超えた人工筋肉が役割を果たせず砕けていく。

彼女とお揃いだったコートは、すでにバラバラになってしまっていた。

 

アーツの行使に耐えられなかった左脚が凍り砕ける。

関係ない。残った部分を氷で補い義足にしろ。

 

顔の半分が光で消し飛ぶ。

関係ない。視界が半分残っている。

狙撃手の方を向く余裕もなく迫る目の前の敵の突進(チャージ)をよろめくようにかわし、ガラ空きの背中に叩き込む氷柱はコートで弾かれた。

 

「ま......だ......!」

 

 斬りかかる敵を凍りつかせようとかざした左腕は、内側から凍り付いていた。

 

咄嗟に敵の刀に氷を纏わりつかせたのは反射的だった。

 切れ味を失ったとはいえ人外の力で地面に叩きつけられたフロストノヴァの身体はバウンドし、凍り付いた地面が衝撃で砕ける。

 それっきり、彼女は動かなくなった。

 

「......標的ノ無力化ヲ確認」

 

 間を置いて、無機質に告げられた言葉が彼女の有り様を示していた。

 

熱源反応なし。

動体センサー感知なし。

コア反応、なし。

 

四肢は砕け、人工皮膚は役目を失いひび割れ、身体にいくつもの傷を刻み、背骨は砕けた。

 この戦場に打ち捨てられた数多の戦術人形のように、彼女はそこに横たわった。

 

「進軍ヲ再開」

 

 命令を発した個体を皮切りに彼らは進軍を再開する。

 

「ま......て......」

 

ジャリ、と雪を掻く音が響く。

彼らが振り向けば、無惨に這いつくばる彼女がない腕を伸ばしていた。

 

「わた、シは......まけ......て、ナい」

「再起動ヲ確認」

「確認」

「確認」

「確認」

「確認」

「わ、タし、ハ、ここ、に」

「コレヨリ攻撃ヲ再開スル」

 

 彼らのうちの一体が、彼女を踏み潰そうと脚をあげて。

 

「......よう、姉貴。俺たち抜きでつまんないことしないでくれよな」

 

 その一体の胸を、刀とも呼べない鉄片が貫いた。

 

 

 

倒れ、砂になって行くソレの背後に彼女達はいた。

 

 手足を失い、頭部を失い、胸や腹に風穴の空いた......機能を失い打ち捨てられた戦術人形たち。

 

その彼女たちが、立ち上がり、彼らの前に立っている。

槍、剣、刀、大楯、槌、ボウガンに杖。

ありあわせのものをかき集めたような、ボロボロでありながら手入れの行き届いた、そんな矛盾した様な武器をそれぞれが握りしめて、並んでいる。

 

霜に覆われ、白い息を吐く彼女たちの共通点。

 

それはフロストノヴァが纏っていた、膝下までを覆う冬用の、吹雪に溶けてしまいそうな真白色のコート。それに刻まれる民族模様にフロストノヴァは見覚えがあった。

驚きに目を見開く彼女に、誰かが手を差し伸べる。

 

「さ、戦うんでしょう姉貴」

「そうそう、ここが地獄だって姉貴と一緒なら天国さ」

「指揮してくんな。隊長は姉貴だろう」

「スノーデビルには姉貴がいなくちゃな」

 

誰かが肩を貸してくれた。

誰かがコートを被せてくれた。

誰かがお守りを首にかけてくれた。

 

声は違くとも、彼女はこれを知っていた。

学のない粗雑な口調を。

誰かを思いやることのできる優しさを。

 

「おまえたちは」

 

全員が並ぶ。

軍隊のように整列とはいかないが。

全員が構える。

命令があればいつでも飛び出せるように。

 

彼女に肩を貸し、立ち上がらせた誰かが言う。

 

「指示を。隊長。俺たちは、あんたを待ってたんだぜ」

「......っ」

 

彼女は息を呑み、目を瞑り、そしてまた立ち上がる。

 

仮初の身体を脱ぎ捨てて。

幼児の身体(ナガンのダミー)ではなく、自分の本当の姿を得て立ち上がる。

 

雪原のような銀色の髪を肩口で切り揃え、新雪のように真っ白な肌には戦歴と等しいだけの傷を刻み、雪空のような灰色の目には意思をたたえ、四肢は新たな希望を掴むための力強さを込めて。

 

年端も行かぬ少女だが、その身はもう歴戦の戦士だ。

自身の種族を示す兎耳を2、3動かして、彼女は大地を踏み締める。

 

「姉貴」

 

もう肩を貸す必要のなくなった誰かが、彼女に短剣を手渡した。

 

「......永く、待たせたな」

 

フロストノヴァは渡し手に短く告げると、敵の方へと向き直る。

 

目の前には自身を蹂躙した圧倒的存在があった。

しかし今の彼女は不思議と負ける気がしなかった。

命と背中を預けた兄弟姉妹たちと一緒なら、どんな敵であろうと負けはしない。

 

彼女は短剣の鋒を彼らに向けた。

呼応して、彼女の周囲に黒い氷の刃が舞う。

 

「蹂躙せよ」

「砕け」

「貫け」

「斬れ」

「叩き潰せ」

雪原の悪魔(われわれ)の名を、ここに証明しろ」

 

枷は解き放たれた。

悪魔の雄叫びが轟く。

そして、戦場に吹雪が吹き荒れた。

 




モノホンの悪魔がいる状況でいうセリフでもないわなぁ......


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番外編 あっちこっちで忙しい大規模コラボ-11

やることが、やることが多い......!(大規模コラボゆえに要素を拾わなきゃいけないという使命感が文章量をどんどん増やしていく)

7000文字とかウッソだろお前......


 

 

『こちら復活者(リバイバー)、正規軍を連れて撤退ポイントに向かってるぜ』

「把握しました、後はこちらで引き受けましょう。

引き続き孤立する正規軍の撤退支援を続行してください」

『了解だ』

『こちらランページゴースト、敵リーダーを撃破』

「報告は受け取っています。そのまま他のリーダー格に向かうなり支援を行うなりは任せます。報告さえもらえればこちらとしては問題ありません」

『わかりました』

『こちらA小隊、リバイバーから引き継いだよ!』

「彼らの被害状況は?」

『まだ十分動ける機体はあるみたいだね。負傷者は2名、重傷で戦力にはならないかな』

「では元気なものは防衛班に編入する様にお願いしてください。負傷者はまだ下げられませんし、中継ポイントもいつ襲われるかわかりません。防衛陣地の構築は?」

『MG3と他の基地の人形が主導してやってるね。正規軍も協力的だよ』

「ではそのまま陣頭指揮を頼みますFNC」

『ラジャー!』

「08臨時中隊、状況は?」

『こちら08臨時中隊通信手、現在敵と交戦中!』

「援護は」

『あれば欲しいです!』

「了解。8ラインに展開する正規軍部隊へ、現在3ブロック東にて戦術人形の部隊が交戦中。至急援護へ向かわれたし」

『あいよ任せな』

 

 現在の指揮車両ないはいつものごとくてんてこまい。通信機からはひっきりなしに通話音が流れ、応対が終わればまた次の通信に向かう。

 普通であれば通信手10人以上、指揮官格が何人もいて成り立つ仕事。さらにはリアルタイムで動く戦場を予測し、謎の第三勢力に対抗しうる数少ない部隊を潰さぬ様、そして的確に敵を撃破できる様に配置、指揮する。

 正規軍にさまざまな所属基地の戦術人形のおかげで情報どころか通信コードも錯綜しそうなものだが、P基地特製の高性能通信機はその問題を解決しているらしく、ノイズなく指示や報告を送受信してくれる。そのおかげで彼らもなんとか情報集約ができているのだ。

 

「臨時5中は3ラインから撤退させるよ、その方面に敵はもう空っぽだから中継基地経由で8ラインで08のカバー」

「了解指揮官。こちら臨時司令部から臨時5中隊へ。聞こえていますか、どうぞ」

『こちら臨時5中隊隊長、どうぞ』

「その方面に敵は見当たりません。他の部隊に任せて前線に戻ってください」

『了解』

「はいもしもーしこちら臨時司令部です!」

『こちらS07基地の......』

「指揮官に繋ぎますしばしお待ちを!」

 

 通信機に繋いでいた有線用の通信機から耳を離した戦術補佐官が忙しく指示を飛ばす指揮官に声をかける。彼は彼女の方を見もせず答える。

 

「07のカスミ指揮官ですね。繋いでください」

『こちらS07前線基地のサクラ・カスミ指揮官だ。貴方が臨時司令部の司令ということで間違い無いか?』

『こちらS09B基地指揮官のレン・ワイズマン。便宜上そうなっていますね、どうぞ」

『これより我々の基地所属戦術人形部隊『BS小隊』と西行号で貴官の指揮車両を護衛したく思う、良いか』

「願ったり叶ったりです。ではまず『BS小隊』のデータがあれば......こちらで確認しました。P基地には優秀なオペレーターがいるようで、ウチにも欲しいくらいです」

『司令部はB基地の人員だけじゃないのか?』

「本当ならP基地に任せる予定だったんですがキャロル指揮官の方はイロイロと忙しい様でして。オペレーターだけは借りられたので3人で回してます」

『なるほど、なら私にも手伝えることはあるか? これでも指揮官の端くれだ』

「お気持ちはありがたいですが、状況を説明する時間も惜しいのであなた方には臨時司令部防衛を任せます。そこら辺の戦術人形も使ってください」

『わかった、ベストを尽くそう』

「通信は以上ですか?」

『ああ』

「救援感謝します、カスミ指揮官」

 

形式めいた礼を告げてから通話を切り指揮に戻る。その隣で同じ様にタスクをこなす戦術補佐官が心配そうな顔で、

 

「ヘルプ頼まなくていいの?」

「船頭多くして船山に登ると言います。正直半分くらいは投げたいところですが、カスミ指揮官は前線よりの指揮が上手い人ですからね。少数人数での指揮をを的確にやるのは向いてるでしょうがこうも大規模だと適正がないと思いますよ」

「詳しいね、知り合いだったの?」

「同じ区域の指揮官の為人(ひととなり)くらいは覚えてますよ」

「へー......」

「なんか冷たいですね、まさか僕の先輩への愛が疑われていると?!」

「いや普通に職務熱心だなーって思っただけ」

「普通にそっけないだけだった!」

 

 でもそんなところもイイッ! と若干達しつつ指揮に戻る指揮官の後ろ姿を少しだけ悲しそうな目で見る戦術補佐官。その原因はついさっき反応が途絶えたフロストノヴァの事だ。

 

(いつも通りの振る舞ってるけど、手に巻いた包帯のこと見逃してないからね私は)

 

さっきまでは無かった手の包帯、適当な理由で取り繕う事もせずに淡々と職務に励む姿。

 表面上は何事も無くとも、心中穏やかではないのを察せるのは昔の経験があればこそ。彼女もまた今の彼と同じ立場に置かれたことがある。だからこそ自分の抱えた感情と、きっと同じ葛藤を抱えている事だろう。

 

 やり直せると、元指揮官だったアリサ・マクレーンの勘は告げている。

 しょうがない、可愛い伴侶の背中くらいは押してやるとしますか。そう決めて彼女はヘッドセットのマイクをオフにし彼の方を向いた。

 

「レン、ちょっといい?」

「戦場では名前で呼ばない約束ですよ先輩」

「ヒポグリフは今ヘリポートであと2分と30秒で出発する。ここからなら走れば間に合うよ」

「間に合うとは?」

「救援隊に混じってフロストノヴァ助けに行けって言ってんの! わかんないかなぁ?」

「僕は指揮官であり、この場に置いては司令官でもあります。軽々しく場を離れるわけにはいきませんよ」

「他人に頼ってもいいんじゃないの? そう言ったのは君だったじゃん、もうしかして自分の言葉も守らないつもり?」

「それ、は」

「後悔しても遅いんだから。あの時は運が良かっただけ」

 

 ナガンがMIAになった時、何もかも抱えこもとうとした自分に告げた言葉を、そっくりそのまま突き返す。

言葉に詰まる彼を彼女は優しく肩を持って回れ右させ、車外へと押し出した。

 

「私でも15分くらいは保たせられる。それに、フロストノヴァって多分どうしても死にぞこなう星の元に生まれてるから、きっと大丈夫!」

「なんなんですかその適当な根拠は」

「先輩の勘を信じろって言ってんの! あと1分だよ!」

「ーーーーーーもう! ちゃんと持たせて下さいよっ!」

 

手から離さなかった通信機を投げ渡し、振り返ることもなく走り出す指揮官。その背中を見届けることはなく戦術補佐官は誰かに向けて言葉を放つ。

 

「焦ると周りが見えないのはお互い様。似たもの同士は惹かれ合うってね......ヤダヤダ」

 

「そこが好きなところなんだけどね」とは口が裂けても言わない。今はまだ、もう少しだけ捻くれたままでいい。

もう少し世界を平和にできたら、この戦争が終わったら。

その時は少しだけ素直になってやろう。

可愛い可愛い後輩を、驚かす言葉を言ってやろう。

 

「その時の為に、張り切らなきゃね! さあオモイカネちゃんじゃんじゃん仕事回して!」

 

 

 

「出発するよ、これで全員?」

「ああ。ダミー回収は流石に間に合わん、出してくれ」

「ちょーっとそのヘリ待ったぁ!」

「誰じゃ時間も気にせんおっちょこちょいは、って指揮官!?」

 

 いままさに飛び立たんとした輸送ヘリの扉にしがみつき、ガンガンと叩く。中から顔を出して文句の一つでも付けようとしたナガンが現れた顔を見て驚きに目を見開いた。

 

「な、なぜここに、指揮は!」

「先輩に任せて来ました! いいから出してくださいよそこのパイロット、コレは司令命令ですよ!」

「りょ、了解」

 

 急かされるままにローターを回し、空中へと飛び立つヒポグリフ。その貨物エリアにはB小隊の面々とP基地所属のオートスコアラー組が居た。

 

「普通の人形には対処できませんので」

 

 とはリーダーのスユーフの言葉ではあるがあんたらもそう変わらんでしょうが、とWA2000に噛みつかれたのが少し前。今は仲良く謎のフード集団の対策を練っているところだ。

 

「関節に弾丸を撃ち込んでも効果はなさそうね」

「7.6mmすら耐えるとの報告があります。貫通するには20mmかそれ以上か......我々の手持ちにはありませんね」

「我々も交戦しましたが、機動力、判断力共に一線を画しています。一握りの人間の特殊部隊を想定した行動を」

「ウチの基地では対人戦闘訓練はそこまでしてません。ナガンはどうでしょう?」

「ワシもそこまではやっとらん」

「デスヨネー。対策としてはとにかく数の有利を作る事。難しいですが関節部を狙うことは悪くない案だと思います。この2点を徹底しましょう。あとは臨機応変になんやかんやしてください」

「「「「「了解」」」」」

 

 指揮官が指示を飛ばす横で肩をすくめるのはトゥーマーン。皮肉屋らしい彼女は呆れ声も交えて言った。

 

「指示が偉く適当ね、指揮官としてどうなの?」

「現場に立つタイプじゃないんで。僕の仕事は部隊を適切な場所に配置することだけ、あとは知りません」

「あっそ。それでアンタはどうするの?」

ヒポグリフ(コレ)を盾にしておきますよ。僕の仕事は貴方達を盾にしても生き延びることなので」

「じゃあなんで来たのよ」

「そう言われるとまあ、後悔しない為ですかね」

「サッパリ意味が分からないんだけど」

 

 意図の掴めない指揮官の言動に首を傾げるトゥーマーン。彼女が首を傾げる間にパイロットから通信が飛ぶ。

 

『コチラ81式。そろそろ目標座標ですが吹雪のため着陸困難。P基地の皆さんはラペリングでの降下準備を』

「吹雪ィ? 戦場に雪なんて降ってなかったじゃない」

『ここ一帯だけ天候が悪くて中の様子も掴めないんです』

「総員降下準備! 機材は?」

『左のコンテナに。G&K社の機材ですから使い方は分かるかと思います』

「30秒で着けなさいな! あなたたちは?」

「別にいらないぞ! コレくらいだったら大丈夫!」

「頑丈なのが羨ましいね」

「マスターのおかげだ!」

 

 雑談している間にも準備は整っている。それを確認した指揮官が声をあげ、呼応して格納庫の扉が開く。

 

『本機はこの空域一帯に滞空しています、連絡ひとつで駆けつけますよ』

「感謝します」

「総員降下! ゴーゴーゴー!」

 

 隊長のナガンが号令をかけ、空中に身を躍らせると同時にオートスコアラー組も飛び降りた。

 目の前には一寸先も真っ白な吹雪の世界。足音や物音を聞き逃さぬよう最小の注意を払いつつ着地し後続を待つ。

 

「......寒いな」

「ぶえっくし!」

「ちょ、ジャウカーンさんお静かに」

「申し訳ない」

 

 ここら一帯では殆ど見ないような猛吹雪。センサーをみれば気温は優にマイナスを超える超極寒を示していた。帽子が風で飛ばぬよう少しだけ押さえつけてから、姿勢を低くして歩みを進める。

 

「戦闘音も吹雪の音に消えてしまうな。反応が消失したのは?」

「南西の方角です」

「助かる、ん? その声は指揮官?」

「すみませんコート借ります」

「あ、ああ」

「うおお寒い......」

 

 ナガンから流れるようにコートを剥ぎ取り、若干鼻水を垂らしつつもうしっかりと警戒は怠らない。ずび、と鼻を啜ってから、彼は手持ちの小型レーダーを確認していた。

 

「前方に反応あり、みなさん注意を」

「そんなことより何故ここにいるか小一時間ほど問いただしたいのじゃが」

「こんなに天気が悪いと見えるものも見えませんて。それにもう戻れませんよ、連れてってください」

「前任と違って大人しいと思っていたのじゃがなあ」

「出撃して一緒に鉄血を蹴散らす指揮官よか大人しいですよ......誰かいますね」

「敵か!」

 

 ホルスターから銃を引き抜き素早く構える先には、うっすらとではあるが大型の影が。すわ敵か、とナガンの銃を握る手にも力が入るが、その人影は膝をついたかと思うと砂になって雪に溶けていく。

 

「......死んだようじゃな」

「じゃあ誰かがいるって事ですね」

「コチラS09B基地所属小隊の隊長である、そちらの所属と階級を述べよ! でなければ敵とみなすぞ!」

「死人に対して名乗る名前はねえな」

 

 荒い口調の戦術人形の声が聞こえた瞬間、ナガンはもうすでに引き金を引いていた。

 

「敵襲!」

「エンゲージ!」

「交戦開始!」

 

 四方からも同様に仲間から攻撃を受けたと報告する声が聞こえる。しかし、通常なら見えるはずの隣の仲間が影も見えない。

(くっ、天候兵器とはあちらの底が知れません。一体全体我々が戦っているのはどんな存在なんですか!)

 

牽制用にばら撒くSMGの弾倉をかじかむ指で入れ替えつつ歯噛みしながらナガンの背中にピッタリと張り付く。

 

「他の皆と合流します、レーダーを確認して......っ!?」

「どうした指揮官!」

「寒さでイカれてますこのポンコツ!」

 

 うんともすんとも言わなくなったレーダーを放り投げれば、矢らしきものがそれを地面に縫い留めた。いつでも撃てると言わんばかりの敵の行動にに舌打ちしつつ、他の皆にも聞こえるように声を張り上げる。

 

「みなさん落ち着いて! 今発煙筒を焚くのでその光に合流をーーーッ!」

「伏せよ指揮官!」

 

 ナガンが左手で指揮官を突き飛ばし、右手で飛びかかってきた下手人に向かって引き金を引く。

 

人間サイズのフード姿の頭を正確に射抜いたその弾丸。人影はしかし、それも関係ないと手に持つ剣をナガンに突き立てんと振りかぶった。

 

「手応えがないとは面妖な」

「ナガンさん!」

「案ずるな! 発煙筒を早く!」

 

 悪態をつきつつ、剣の横面を銃の持ち手で叩いて逸らし、巴投げの要領で自分も転がりながら相手を後ろへ蹴り飛ばす。指揮官はナガンの言葉を受け、胸元の発煙筒の色も見ずに火をつけ手で持って大きく振った。

 

煙の色は赤、救援の合図。

 

 

 

その煙が上がった瞬間、ぴたりと吹雪が止んだ。

 

 

雪が晴れ、透き通るように澄んだ冬の景色に変わる。

雪に混じった砂山や瓦礫、砲撃のクレーターや損壊した戦術人形や正規軍のパーツ群が転がる中、B小隊にオートスコアラーがそれぞれが敵と相対した姿勢のまま、その中心に立つ誰かを見上げる。

 

 灰色の髪に血の気のない肌。頭の上に生えた兎耳はともかく指揮官はそれが判例からそのフード姿の人型を鉄血のハイエンドと判断しSMGの銃口を向ける。

 

「我々と鉄血には一時的な停戦協定があったはず、それを反故にするつもりですか?」

「なるほど、この姿では気付かんか」

「動揺を誘うつもりで?」

「ではこういえば伝わるか。 3()0()()()

「30分......?」

「信じていたぞ、()()()

 

 30分。信じていた。

 

謎の彼女の言葉に対し、彼は武器を下ろす事で応えた。

 

「ええ、僕は約束を守る人間ですとも」

「武器を下ろせ、援軍だ」

「武器を下ろしてください。彼女は味方です」

 

 互いの指揮官の一言で互いが武器を収める。

交戦する気満々だったオートスコアラー組も空気を読んでくれたようではあるが警戒して戦闘態勢は解かずに指揮官に対し懐疑的な目を向ける。

 

「ちょっとどういうこと、説明してちょうだい」

「私からもだ。彼らはあの第三勢力とは違うが、明らかに敵意を向けてきている。それに」

 

 オートスコアラーのダラーヒムが、フード姿の彼らに目を向けこう告げた。

 

「......アレらは戦術人形だ。それも所属も種類もバラバラな。それに、彼女はそのような口調では話さない」

 

 自分に襲いかかってきたフードマント姿の人形と自分の基地の農場で元気に働くP38(アイドル)の姿を重ねる。場を盛り上げようという心意気と皆を楽しませようと直向きに頑張る彼女とは、あまりに違う粗野な口調だ。

 

「お前、何をした」

「ナニって、うーん」

 

 そう言われて、フードマントに人影は悩み出した。まるでどうやってここに来たのかをすっかり忘れてしまったような仕草にますます疑り深い目を向けたくなる筈だったのだが、

 

「姉貴を放って置けなかった、からかな」

「......はぁ?」

「お前らもそうだろ」

「うんうん」

「そうそう、暴走癖あるしな」

「先にいっちまったしな俺たち」

 

 口々に言葉やジェスチャーで彼女の言葉に同意する彼ら。全くもってわからないと頭にはてなマークを浮かべ始めた彼女らに代わりナガンがその彼らの正体を告げる。

 

「お主ら、噂に聞くスノーデビル小隊か。あの時は見なかったが」

「......その通りだ。私の記憶が正しければ、彼らは私の知る兄弟姉妹(どうほう)達で間違いない」

「そしてお主は......どうして元の姿に戻っとるんじゃフロストノヴァ」

「わからない。奇跡としか言いようがない」

 

 ナガンの半ば呆れたような言葉に投げやりな言葉で返すフロストノヴァと名乗った彼女。その名前は要救助者のものと同じだがその彼女はナガンと同じ義体だったはずでは、と疑問を思い浮かべる他全員を置いて話は進む。

 

「約束は守った。誰一人通さなかったぞ」

「信じていましたよ。死んだと聞いた時は、とても焦りましたが」

「実際死んだが、一度死んだ身、2回も3回も変わらん」

「笑えない冗談ですね......ナガンさんとガンスミスさんは何をどうして彼女を引っ張ってきたんです?」

「話せば長くなる。それより指揮官。この通り要救助者はピンピンしておる」

「我々の任は終わった」

 

「「さあ、次の命令は?」」

 

 いつのまにか整列したB小隊に、姿勢を正したオートスコアラー達、そしてフロストノヴァの背後に並ぶフード姿の彼ら。

 

彼ら全員が、今か今かと命令を待ち侘びている。

 

「......フフフ、戦場ってのは予想外ばかり起きる」

 

彼は一度深呼吸し、凍りつくような冷気を胸一杯に吸い込んだ。その冷気が今の今まで自分の頭を覆っていた後悔やしがらみを綺麗に流していく。

彼が告げる命令は、たったひとつで構わない。

 

「命令はひとつ。

 この戦闘を、終わらせに行きますよっ!」

「「「「了解!」」」」

 

彼は短く、通信機へ呼びかける。

 

「ヒポグリフパイロットへ、次の行先が決まりました」

『どちらへ?』

「ドンパチ賑やかな最前線ですよっ!」

 

 

 

 

 

 

『そんな事よりはやく戻って来なさいアホンダラ! そろそろ私死んじゃうから!」

「臨時司令部に僕だけ下ろしてってください」

『私はタクシーじゃないんですけど......』

 





「ところで約1名頭をブチ抜いてしまったのじゃが......」
「ああ、コイツ? そもそも頭がねえから痛くも痒くもないって言ってると思うぞ。死ぬかと思ったけど死んでるからもう関係ないけどな、ワハハ。だってよ」

「......キュウ」
「ウチの新兵には刺激が強すぎたようじゃな」


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番外編 ラストダンスを私に 大規模コラボ-12

うかうかしてたら戦場に乗り遅れちまうぜ!



実際乗り遅れました。リバイバーと万能者の目の前にいるリーダー格っぽいやつと戦いたかったんだが書いてたら死んでたわ。残念無念また来世。


 

 

 

 

「いやー、やはり目が眩むなこの高度は」

「......言い出したのは自分とはいえ、ここまでとはな」

 

 高度10000m。

 ともすれば地球の輪郭さえ捉えてしまいそうな、空の果ての成層圏。

 そこに彼らはいる。

 開け放たれたハッチから見下ろす先に広がる朧げに見える大地は、いまなお戦火の炎を燃え上がらせている。

 そこに彼らは行かねばならないのだ。

 

「超高高度からの空挺落下、考えたな」

「地上からではワシらではあの戦場にすら辿り着けん。ならば上から行くしかあるまい、並の高度ではなく敵の手が届かないくらいな」

『その無茶を私にさせないで下さいよう』

「乗り合わせた縁じゃ。それにここまで運んできてくれたことには感謝している」

「幸運を祈っていてくれ」

 

 本来なら5000m程度程の降下に使うパラシュートを無理矢理背負い、しかも2人の降下を同時に行うとなると何が起きるかわからない。最悪、減速が間に合わず地面にぶつかることすら考えられる。

パラシュートを背負ったナガンにパラコードや金具で無理やりフロストノヴァをくくりつける不恰好さも拍車をかける。現場の応急処置、負荷計算など当てずっぽう。

 しかし、無理を通して道理を蹴っ飛ばさないといけない時はいつか来る。それが今日と思えば安いものだとナガンは込み上げる恐怖を噛み潰し、口角を釣り上げた。

 

「笑え、フロストノヴァ」

「何故だ?」

「こんな馬鹿をやる兵士は、きっとお主とワシが初めてじゃ。歴史に名を残すことになるぞ」

「......馬鹿、か」

「不服か?」

「部下にいつも分の悪いほうに賭けをしていつも負けている奴がいた。今までは何故そんなことをするのか分からなかったが、成る程」

 

 フッ、と短く彼女も笑った。

 

「星屑のような可能性、掴み取ることができたのなら......それを成し遂げた時の周囲の呆れ顔が楽しみで仕方ない」

『降下ポイントです!』

「なるほど、では、そいつを拝みに行くとしようかの!」

 

 パイロットの81式からの降下合図。

 壁に灯る青いランプに従い、迷うことなく2人は空へ身を躍らせた。

 

 

 

 

 

「クソ、突破口も見えやしねえ!」

「お前対策専用ってのは飾りじゃないな、これじゃ!」

 

 20mm散弾砲によって地面が削られる様に冷や汗をかきながらも地面を蹴り、繰り出される銃槍の突きをかすめ抜ける。

 槍ごとリバイバーが彼らに襲いかかる上位個体を蹴り飛ばして仕切り直し、万能者とリバイバー、上位個体の三者が相対する。

 一瞬の休息の中、万能者は思考する。

 

(リバイバーの言う通りよく俺の対策ってのを理解してる。

というより、俺のできることを悉く研究して潰しに行っている感じだ。

 レールガンは効かねえのはわかってる以上、撃ちに行くのは好きを作るだけだ。かといって他に武器があるかって言われると、無え。どいつもこいつも取り回しが悪くちゃのんきに構えてる間に蜂の巣か串刺し、盾も散弾銃はともかく、レールカノンでブチ抜かれる以上視界を塞ぐだけ)

 

「八方塞がり、てか? 認めたくねえなぁ......!」

 

 思わず歯噛みするほどにどうしようもない現実。

 今までに感じたことのない屈辱と無力感を味わいつつ、それでも、とレールガンを構える手に力を込める。

 

「それでも、こいつを倒さなきゃ俺たちの明日は無え!」

「......だな、気合入れてくぞッ!」

 

 吼える万能者。同調し雄叫びを上げるリバイバー。

それに呼応し、力を込めて跳びかからんと身体を沈める上位個体。三者三様に、ここが正念場だとと己を奮い立たせる。

 

 それはまさに古代の闘技場(コロセウム)。それぞれが命を賭けて戦い、出ることができるものは勝者のみ。邪魔立て不要、俺たちだけで決着をつけると言外に叫ぶ彼らに周りの誰もが近寄ることも許されない。

 

『こちら正規軍α小隊、目標ポイントに到着した』

『司令部了解。リバイバーさんの援護は可能ですか?』

『無理だ、俺たちではどうしようもない。アレは、次元が違いすぎる......!』

 

自立兵装でありながらその判断は正確で

鋼鉄に覆われた身体でありながら誰よりも素早く、

素早くありながら、矛盾したように装甲は堅牢で、

その武器は戦場の誰よりも破滅的な威力を持つ。

 

 もし攻撃をすれば、此方に命はないことは馬鹿でもわかる。流れ弾ですら即死級の威力、狙ってなくとも巻き込まれて死にかねない。正規軍のベテラン兵長は己と部下の命を守るために選択を下す。

 

『これ以上は無理だ、撤退する!』

『了解しました。

 クソ、折角のリーダー格で段違いの強さなんですよ、こいつを倒せばこの戦闘に決着がつくような虎の子に決まってます。それを倒せば戦闘が終わるってのに、彼らに任せるしかないってことですか......!』

 

 通信に漏れてしまった指揮官の悔しそうな声のように、戦場はどうしようもないこう着状態にある。

 質と量で押す第三勢力相手に対して、すでに消耗しているG&K社と鉄血はいくら同盟を結んだところで消耗戦に持ち込み耐え忍ぶくらいしかできない。

 

 この戦局を打破できるような奇跡的な一手を、誰もが欲しいていた。

 

 

 

「......ならば、その命令を聞き届けよう。

奇跡とは願うものではない。努力の先にある結果、偶然が積み重ねた必然に手が届くまで足掻くこと」

 

誰かが応える声がする。

 

「絶望的な現実にある未来を、耐え忍んだ同胞達よ。

忍耐に報いよう。理不尽の悉くを覆そう。

その絶望を、希望に変えてみせよう」

 

誰かが叫ぶ声がする。

 

「この戦場にいるすべての兵士たちよ! 

 我々が、この戦いを終わらせにきたぞっ!」

 

誰かが空を仰ぎ見た。

誰かが空を指さした。

 

絶望を示すような曇天はもう青く晴れ渡り。

その青空を裂く、流星が流れる。

 

流れ星は空を駆ける。

 

「......もしかしなくとも風で流されておるな」

「ならば翼を作ろう、これで目的地まで飛べるはずだ」

「いやそれをされると減速用のパラシュートの展開がぁあああああああ?!」

 

 

 

 

 

 

「パラシュートが速度に耐えきれずねじ切れた時はどうなることかと思ったが、なんとか生きているな」

「金輪際お主と空挺降下はやらん、けふっ」

 

 不自然に積もった雪をかき分け顔を出す2人。案の定パラシュートは開かず、フロストノヴァが機転を効かせ落下ポイントに細かい氷を大量に生成することでクッションにしなんとか五体満足で着地したのだ。

 

「ここは目標ポイントそのままじゃが、さて、万能者とリバイバーは一体どこへ」

 

いったのじゃろうな、と言いかけた彼女の目の前をレーザーの光が貫いていった。思わずのけぞり尻餅をついたナガンだったが、フロストノヴァはそのレーザーの発振地点を捉えていた。

 

「どうやら味方らしいな、行こう」

「危うくメザシになるところだったわい」

「......締まらないな」

「放っておけ」

 

尻についた雪を払い、立ち上がったナガンはズンズンとそのレーザー光の放たれた場所へと向かう。

 

暫く歩けば、途中から現れた航空機や大型戦術人形の影、その側で何やら作業に勤しむ戦術人形の姿を捉えた。

と、同時にナガンの通信機が鳴る。

 

『こちらリバイバー及び万能者、敵上位リーダーユニットの一機を撃破した!

 そして今、万能者が以前I05地区で使った標的のみ狙い撃つ戦略兵器の発射準備をしている発射まで時間がかかる故、それまでの護衛が必要だ!手が空いてるやつはこのポイントまできて援護を頼む!』

 

「大物は食いそびれた、か」

「不服か?」

「ないといえば嘘になる。お主の全力を一度拝んでみたかったからのう」

「あの時私は全力で戦ったが、それでも不服か?」

「身体中鉱石塗れで半分死人だったじゃろうが、それを全力とは呼ばん」

 

 軽口を叩き合いながら歩みを進めれば、瓦礫と砂の山の上に立って何か指示を飛ばしているらしい人影が見える。武装をつぎはぎにくっつけた不恰好なシルエットのパワードスーツを身に纏ったその男性は2人を認めると声を上げた。

 

「ヨォ、援軍か?」

「S09B基地所属のM1895、貴君に加勢しに来た。ロートルじゃが好きに使ってくれ」

「フロストノヴァ、よろしく」

「リバイバーだ、よろしく。2人だけか?」

 

 2人と軽く握手を交わした彼があたりを見渡すが足音もしない。残念ながら、と前置きした上でナガンがその質問に答えた。

 

「まともな戦術人形では太刀打ちもできんからな。まともじゃ無いやつしかココには連れてはこれん」

「09基地にはやたら強い戦術人形がいるって聞いたが、もしかしてお前さんか?」

「多分(P基地)の誰かじゃろう。ワシはただの付き添いじゃよ。本命はこやつじゃ」

「......お前さん戦術人形じゃねえな。生身の人間、か?」

「それは必要な質問か」

「いや、援軍だったらなんだっていい。猫の手でも借りたいんだ」

 

 とにかく、と強引に話を切り替えたリバイバー。

 

「俺たちがやる事はさっき通信で連絡した通りだ。万能者が戦術兵器を使えるようになるまであいつを守る。多分敵も感づいて集まってくるだろうし、もしかすればリーダー格も来るかもしれん」

「なるほど、あの戦力がこちらに全て集まって来るとなれば......最悪じゃな」

「だろ? 俺1人でも何体かはやれるがそれ以上は無理だ。それも何かを守りながらなんてもっと無理だ」

「こういう時若造は意地張って援軍を呼ばん時があるからのう、自分の状況をしっかり把握できておる。いい戦士になれるなお主」

「お、おう......ってアレ、お前さんの相棒は?」

「フロストノヴァか、そこら辺ほっつき歩いておるんじゃろ。さ、詳しい状況説明を頼むぞ。

お主らの戦略兵器なぞ風の噂でも聞いた事がないわい。それに」

『......戦略兵器は個人が持っていいものではないですがこの際は無視しましょう。さて、僕たち(G&K社)は何が出来ますか』

 

 

 

 

 同時刻、念入りにあたりに目を配るサイクロプスの隣に誰かが座った。センサーを向ければ、見たことのない反応を持つ誰かということしかわからない。

 しかし、何故かつい戦場ですれ違ったあの小柄な戦術人形ではないか、という仮説が浮かびすぐに証明された。

 

「先程ぶり、か。また会う時はと言ってみたが、互いに戦場で会う定めらしい。

しかし、肩を並べて戦える事は誇りに思う」

 

 ソレに音声発信装置は積まれてはいない。その機能は不必要だからであり、もしあったとしても配下の戦術人形を中継すればよかった。だが、ここは2人きりだ。

 

「......言葉は話せないとは思っていた。申し訳ないが、一方的に語りかける事になってしまうな」

 

「合縁奇縁とはよく言ったものだ、戦場の縁はどこに繋がっているかわからない」

 

 「......たった一時の休戦関係。だが、目的は同じだ。家族のため、兄弟のため、同胞のため、仲間のため。

所属は敵対しようと、盾を構え、剣を取る理由は同じだ」

 

「安心して背中を預けられる」

 

 そうか、とそれは頷いた。

 浮かんだ言葉はとてもそれのAIでは論理的に説明がつかないものであり、普段ならバグのようなものとしてすぐに消去してしまうようであったが、何故かそれを重要なファイルにしまい込んだ。

 

 レーダーの端に反応を捉える。

 

「......敵か」

 

 頷く。すると彼女は何故かソレの肩に飛び乗った。

何故、と問いかけようと首を傾げる。

 

「こちらの方が景色がいい」

 

たしかに高所を確保する事は論理的だ。

だが、足場が不安定で動きにくくはないだろうか?

 

「......なに、問題はない。それにお前の盾が護ってくれると信じている」

 

理解不能な論理だが、なぜか納得はできた。

そうか、と頷いた。

 

 「では、征くか」

 

眼下に広がる敵の大群を見据えながら、また頷いた。

 

 ああ、征こう、と。



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番外編 Last Dance 大規模コラボ-13


NKT(長く苦しい戦いだった......)

というわけで大規模戦闘これにて終幕でございます。


 

 

 

 

「おお、絶景かな絶景かな、眩暈がするほど大量じゃのう」

「これでも最初の半分くらいだよ。こっちは吐き気がしそうなんだが、お前さんはなんでそうもヘラヘラしてられるんだ?」

「こうでもせんとやってられんからじゃよ、ハッハッハ」

「ヤケになってるだけじゃねーか!」

「1時方向に敵多数じゃ、ブチ込め」

「アイアイサー!」

 

 ガチガチに要塞化された平地、その装甲板にこそこそと隠れるようにしながらレーダーを見て乾いた笑いを飛ばしながら、隣のリバイバーに指示を飛ばすナガン。

 リバイバーの大型レールカノンの咆哮と共に、万能者の奥の手を守り切るための最終決戦が始まった。

 

「......なんというか、WW1の塹壕戦の様相を呈してきたのう」

「相手が空を飛ばなきゃな! 対空レーザー!」

「5時方向弾幕薄いぞ、何やってんのじゃ!」

「こっちはこっちで一杯一杯なんだ!」

「気を遣ったても敵は手を緩めてくれんぞ、ハリーハリー!」

「だったらお前さんも戦ってくれよヘラヘラしてないでさぁ!」

「HG戦術人形の仕事は部隊の指揮統制じゃぞ? 火力などもとより期待されておらん。それに拳銃弾で倒せる相手ならこんなに苦労せんわい」

「そうだったな畜生!」

 

 ほぼ穀潰しじゃねーかよ、というリバイバーの叫びを都合よく聞き流しつつナガンは臨時司令部から飛ぶリアルタイムの戦場データをにらみつける。

 

 (なかなかに戦力も集中しておる。隣はフロストノヴァと鉄血のデカブツ(サイクロプス)が抑えてくれとるし、それ以外も他所の基地のものに任せて問題はない。

 あとは万能者の奥の手まで時間を稼ぐだけの簡単な仕事じゃ。

何より防衛戦闘はワシの得意分野、これで遅れを取ってはここに命がけで飛び降りた意味もない)

 

 銃火を交えるだけが戦争にあらず。

 派手な戦闘はスーパーヒーローが必要だが、それ以外にもそれを支援する指揮官や雑兵、戦闘を途切れさせないための補給部隊がいる。

 たったの数人で戦闘はできても戦争はできない。

 古来より数多の英雄が猛将が生まれたが、その悉くを打ち破ったのは『数の暴力』。数で勝るだけの弱者が強者に勝る方法を古来より『戦術』と呼ぶ。

 

戦術とはもとより弱者の兵法。

弱者であればあるほど、その戦術が戦争を左右する。

 

(質のある少数部隊を全力が出せるように支え、取りこぼす数は同じく数で留める。仕留める必要がないのなら戦術人形(われわれ)でも十分手助けが出来る)

 

「そうじゃろう、指揮官」

『その通り。倒せなくとも注意くらいは引けますよ。

 防衛を除く全部隊は指定ポイント付近まで急行、砲撃でも銃撃でもなんでも構いません。ありったけ攻撃を叩き込んで1秒でも時間を稼いでください!』

 

 指揮官の叫びに呼応するように敵後方から爆発音が響き、銃撃音が一斉に轟く。

一瞬でも注意をこちらに向けるのならば。

一秒でも足を止めてくれるのならば。

一分でも攻撃しようと振り向いてくれるのならば。

 

 

そんな決死の覚悟のもと弱者は引き金を引き続ける。

一度折れた心を奮い立たせて、彼女たちは銃を構える。

 

「撃って撃って撃ちまくるのよ!」

「これで最後なんだ、やってみる価値はある!」

「お願い、止まって!」

 

 

 

威力は少なくとも無視はできない。

一機また一機と膝を折り、振り向いて応戦する機体が現れるのを見てナガンがニヤリと笑った。

 

「我々は蹂躙されるだけの存在でじゃないのじゃ、例え力及ばずとも最後まで抗って見せるぞ」

 

 

 

戦闘終了まで、あとーーー。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

『こちらオモイカネ。第7中隊に負傷者多数、活動限界です!』

「第7中隊は司令部まで撤退を、無理する必要はありませんよ! 

 4ラインはどうなってますか?」

「現在砲撃支援を実行中だよ、何機か砲撃陣地を潰しに来てる!」

「全力で敵を押し留めさせてください! あそこの砲撃陣地は時間稼ぎの要です、ギリギリまで支援を続行するんですよ!」

「了解、38中隊と正規軍D小隊はそちらに急行! H-4あたりが最終防衛ラインになります、至急防御陣地を!」

 

 勝利の光明が見えたことによりにわかに慌ただしくなる臨時司令部。P基地オペレーター『オモイカネ』の情報共有をもに大きく変わる戦場を混乱させないため、司令部は各地に散らばる部隊へ指示を飛ばし続ける。

 

『こちら臨時中継地点、応急処理が終わった戦術人形と我々正規軍の希望者で部隊を結成したい、どうか?』

「許可します! 最寄りの第2支援部隊に合流を!」

『了解だ。最後のひと暴れ、行くぞお前ら!』

「無茶しないでくださいよ!」

『こちら第7中隊副隊長、まだやれます!』

「他の部隊に任せて下がってください、拾った命を無駄にするつもりですか?」

『やられた隊長の仇を取らせて欲しいんです!』

「目的を見失わないでください、今の目標は時間稼ぎなんです。貴方たちは十分役目を果たしてくれました。あとは、任せましょう」

『了解......』

『こちら第5中隊、敵が食いついた』

「では即撤退を。前線から一歩でも敵を遠ざけるだけで構いませんからね!」

『イェッサー』

 

 (リーダーユニットを撃破したことで、わずかながら敵の指揮系統に乱れが生じてます。

こんな陽動にも引っかかるのがその証拠、つまりサブの指揮系統では全体の目標がしっかりと統制されていないということ。

 こればかりはあの2人に感謝しかありませんね、時間稼ぎが捗ります♪)

 

にひひ、と小悪魔めいた笑みを浮かべる指揮官。こういった泥沼の戦闘は攻める側は悪夢、守る側は気が楽なモノ。

 かつてのベトナム戦争で質も量も勝るアメリカ軍が攻めあぐねたのは、こんなズブズブの泥沼戦況にベトナム側が持ち込めたからだ。

敵が焦れば焦るほど判断を誤り、各個がバラバラに行動し出す。あとはそれを沼に引きずり込んでやればいい。

 

時間は我々に味方している。

 

『こちら万能者! 

正規軍とG&Kの戦術人形に伝達!

 目と識別、位置をこちらの方で勝手に接続して調べさせてもらう!必要な情報が色々と足りん! あとそこの鉄血のデカい蜂か一つ目のデカブツ!

 そっちのボスか上司に鉄血戦術人形と兵器などの識別、位置の視界データを俺に送ってくれと伝えてくれ! 

 アンタらのあのジャミングは無くなったが、アンタらのネットワークの規格がかなり違うから色々と情報が入らん!』

「お、いい知らせが来ましたね。オモイカネさん、万能者に情報共有を。彼らで無理に引っこ抜くより渡した方が手早いでしょう?」

『わかりました、データ送信します』

「照準諸元が必要となればあと少しといったところでしょうか。さ、気張っていきますよ、先輩」

「おっしゃーーーー!!!! 終わったら焼き肉じゃーい!」

「元気ですねェ......」

 

 

 

戦闘終了まで、あとーー。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

『こちら万能者! この状況を打開できる兵器の設定は完了した! 後はコイツを上に発射準備をして発射するだけだが、その兵器の発射を邪魔されるか、撃ち落とされてでもしたら終わりだ。

 それを迎撃できそうな奴の撃破か妨害、その兵器が発射された後、目的の高度まで上がるまで守るのを頼む!』

 

「......だ、そうだ。やれるか?」

 

 やれるさ、と鉄の巨人は頷いた。

 盾は半壊し、身体も万全とは程遠い状態、戦力としては半減以下。今ここで撤退する選択肢を取る事はできないが、通常の戦闘であれば撤退を選択すべき状況にある。

 だが、計算できる勝率は悪くない。

 

彼女の支援があれば目標達成までの時間まで、充分戦うことはできる。

 

「あり合わせで悪いな。だが、代わりにはなろう」

 

 女が呟くと、盾が黒い氷に覆われる。使える武装部分は穴になってその機能を阻害するところはなく欠けた部分を重点的に補うように。

 現象としてはまるで意志を持った氷。しかも、計算される重量よりはるかに軽量であることに思わずエラーを吐くが修正した。

 

「あと数分か、十数分か」

 

 万能者からの回答はなされなかった。

故にその兵器が撃ち込まれるまで、抗おう。

 

「これが最後の、決戦だ」

 

彼女の呟きと共に、膠着した戦況が動き出す。

 

 打ち上げられた兵器を叩き落とそうとする機体に重点的に接近戦を仕掛け、こちらに注意を向けさせる。

 それでも取りこぼす敵機は、女が気温を操作することによって関節ごと凍らせ地面に留める。打ち上がる弾丸も氷で防ぎ、反撃にその氷を空から打ち下ろす。

 

「姉貴の援護だ!」

「行かせるかよ!」

「関節を狙え、頭を潰せ、武器を壊すんだ!」

 

 その号令と共に、機能を停止していたはずの戦術人形が動き出す。ノイズまじりの叫びを上げ、四肢を失った人形が鉄器に噛みつき、とりつき襲いかかる。G&K社、鉄血の区別なく、動作しないはずの人形が立ち上がり銃を取っている。

 この戦場は理解不能なことばかりが発生する。

だが、勝利のために過程は問題ではない。

 

「......お前たちは一体どういう存在になったんだ?」

「ゴースト兵的な?」

「いや、違うと思うんだが......」

 

 

戦闘終了まで、あとー。

 

 

 

『こちら万能者、お待たせしたな......あのフード付きマントの集団に一泡吹かせる用意が完了した。それじゃ攻撃を開始する! サンライト・パラノイア攻撃開始ィ!』

 

 

 

 

 

 

 



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番外編 幕引きは呆気なく 大規模コラボ-END

大規模コラボこれにて終幕。
他の作者様と戦力バランスがアレでまー戦闘シーンではちょっとばかり苦労しましたが、雑兵には雑兵なりの戦い方もあるんだぞということを見せられたかなと思います。

長くなりましたが、お付き合いくださった他のコラボ参加者様と、主催様。
お疲れ様でした。


 

 

 

 

「赤字です」

 

 あの大規模戦闘が終わってから数日。疲労も抜け切らぬまま後処理に駆り出される指揮官は司令室でそう呟いた。

 

「マジ?」

「マジです。赤字も大赤字です」

「本社からの補填出るでしょ」

「出ません」

「なんで?」

 

 思わず書類を書く手が止まり、持っていたペンを握りつぶす戦術補佐官。同様に納得いかないのか指揮官もまた深々とため息を吐いた上で本部からの通達を伝える。

 

「先日の作戦では実にG&K社の投入した戦力の7割が戦闘不能になり、正規軍もまた同様かそれ以上の被害を被っています。

 主目標であった鉄血の防衛ラインについては突破できはしましたが、本筋の鉄血本拠地に侵攻する部隊まで失っては本末転倒。今回の被害はS地区の防衛欄に穴が空きかねるほどのものですので補填するために拠点侵攻用だった戦力もしばらくは動けません」

「戦術目的は達成しても戦闘内容は敗北と同じだからか。

というかよく五分まで持ち込んだもんだよね」

「それに謎の第三勢力まで噛みついてきた。上層部もこっちも頭を抱えるばかりです」

 

 考えることが多すぎる、それに他にもやる事は山積みですからねぇとぼやきながら書類にサインを書き込んでいく指揮官。

 

「鉄血の新型の残骸の回収、第三勢力の機体を構成する砂状の物質の解析。戦術人形の残骸回収は民間業者に委託するとしても、火事場泥棒対策に警備が必要です」

「民間業社への委託料金に、周囲の生存区域へのお礼参り、外部協力者への報酬。

たしかに赤字にしかならないわ」

「正規軍からも別途で報酬があったらしいんですが、壊滅してそれどころじゃないので大幅減額になったらしいですよ」

「えーと、実際にそろばん弾いてどれくらい赤字?」

 

 無言で机の端に置いてある電卓を手に取り、リズム良くボタンを弾く指揮官。数秒ののち戦術補佐官の前に提示されたのは見たくもないほどに桁の多い数字だった。

 

「ちなみにこれ()()()だけですからね? 見込みなので多少は前後しますけど、概ねこの程度です」

「あとここにそれ以外の出費が乗るんだよね」

 

 修理代とか、と思い出したように呟く頃には戦術補佐官はもう机に顔を突っ伏していた。

 

「私がプールしてた予算全部無くなるじゃん......」

「その為の予備費ですので、ええ」

「いくらかちょろまかそうと思ってたのに!」

「目の前で横領宣言されたのですが、これは告発ものですか?」

「冗談に決まってるじゃん。けど、自分が頑張って貯めたお金がなくなるのは辛いねぇ」

「僕の指揮車も廃車です。フレームから機材まで全部ダメになっちゃいました」

「......お金足りる?」

「だから赤字って言ってるでしょう?」

「デスヨネー」

 

 どうしようもない現実からは目を逸らすために仕事に没頭しようと書類を手に取る戦術補佐官。しかしその書類もまた今回の被害を報告するもので。

 

 

『今作戦におけるB基地の被害報告。

 

職員

 死者 0名

重傷者 2名

軽症者 8名

 

戦術人形

 

MF(メインフレーム) 全11体

全損     1体(M1895MOD 追記:回収不能)

廃棄処分予定 2体(MG3、FNC)

損傷重度   3体(MP5、スコーピオン、スペクトラM4)

 

SF(サブフレーム)全40体

 

全損     19体

廃棄処分予定 7体

損傷重度   12体

 

廃棄車両

 

指揮車     3台(全損2、廃車処分1)

輸送ヘリ    4機(全損)

索敵レーダー車 2台(全損)

兵員輸送車   2台(全損1、要修理1)

 

廃棄処分予定の機材及び消費資材については別紙に明記』

 

 

「予算がああああああああああ!」

「戦術人形はともかく車両がですね」

「臨時本部に置いてたやつ全部無くなったの?!」

「ハイ、綺麗さっぱり消し炭です」

「ジーザス......」

 

思わず天を仰ぐ。

 本部要請で駐留させていた機材は本部への攻撃の巻き添えになり全てスクラップ。原型の残る指揮官の虎の子の特設指揮車両は戦闘のあおりでフレームがガタガタになり廃車処分になった。B小隊が使っていた装甲ジープもまた流れ弾で大穴が空き発注元に戻す大型修理を行うハメに。

 作戦において少数精鋭を派遣しそつなく立ち回ってしまったB基地。全体としては被害を少なく済ませたのはいいものの、その所為で本部からの補償金の対象に外されてしまい、おかげで補填金が回ってこないという窮地を招くことに。

 

「ジャミングの影響もあって通信機材も全とっかえです」

「ねえ、年度予算いくら残ってる?」

「赤字って言ってるでしょ残りませんよそんなもん」

「本格的に身銭切った方がいい感じ?」

「まずは人件費の削減からですねぇ、あと娯楽費も削りましょう」

「申し訳ないねえ」

 

 やりたくないなぁ、というため息がシンクロする執務室。リストラまでとはいかないもののしばらく職員には節約生活を強いることになるだろう。

 

「......まいにち戦争起きないかなぁ。何も考えずに指揮だけ一生やってたい」

「物騒なこと言わないでくださいよ!」

 

戦争で一番面倒なのは、結局事後処理なのである。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「そろそろ本格的に俺も遺書を書くべきだと思うの」

「不思議と前線に駆り出されるからのうお主。どうしてこうも引っ張り出されるのか」

「俺が知りたい」

 

 珍しく今日はお休みを貰っているガンスミスではあるが、所定ポジションということでいつもの仕事場にいる。その隣には今回の作戦で微々たる活躍を見せたナガンの姿があるのもいつもと変わらない。

 ただいつもと違うのは、彼の整備台には何のパーツも載っていないどころか、綺麗になんにもないところだろう。

 自然と、ガンスミスの目線がナガンの腰に寄る。

 

「......メンテしたくない?」

「昨日自分でやった」

「ちっ、今日明日は何もしなくていいって拷問だよなぁ」

「今日明日はゆっくり休めというありがたいお達しのまちがいじゃろうに」

「そこまで疲れてるかといわれると、あんまり」

 

 余裕だ、と腕をぐるぐると回して見せるガンスミス。実際作戦当日は車で駆り出されるばかりで気力は使えど体力を使い果たしたわけでもない。

 それに整備以外の業務があった臨時本部とは違って、終盤の臨時司令部では銃器整備ばっかりやっていたものだから気力も上限までばっちり回復している。

 この元気はつらつな様を指揮官が知っていれば「じゃあ働いてくださいよう!」と仕事を回しただろうが彼らはもうしばらくは執務室から出られそうにない。 

 そんなわけであってなぜか元気なのに仕事がない、なんて宝の持ち腐れのような状況ができてしまっていた。

 

「元気じゃのう」

「まだ若いからかな」

「嘘つけ今年でさんじゅ」

「気にしてるんだから言わないでくれるかなぁ!?」

「ガンスミスいるー? 私のワルサーのメンテナンス」

「よっしゃ仕事ぉ!」

「したいから道具だけ借りるわよ。ガンスミスは休みって指揮官から聞いてるから」

「ふぁああああああああああああああっく! 右の作業台使えバッキャロー、うわーん!」

「あ、逃げた」

「......いつまで経っても子供と同じじゃのう」

 

 ガンスミスとしては戦場に駆り出される時よりも銃をいじれない今の方が地獄、なのかもしれない。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

B基地の敷地の端には、戦没者を祀る慰霊碑がある。

 現在では戦術人形が主体の戦場で死者など出る方が珍しいのだが、昔はそうではない。人間と人形が共同戦線を張ることも少なくなく対戦術人形の戦術もまだ固まっていない黎明期には相応の死者がでた。

 S地区は最初期から最前線であり続けている。当然、死者も他地区と比べて相応に多い。

 

だからこそ、ここには慰霊碑がある。

失われた命を忘れるなと。

 

 今でこそ花を手向けるものは少なくなってしまったが、今日もまた誰かが慰霊碑に祈りを捧げている。

 例えば、フロストノヴァのように。

 

「前回は手向ける暇も、無かったからな。

花よりこちらの方がお前達は好きだろう」

 

 まだ雪の残る慰霊碑にフロストノヴァは花ではなく彼らの喜びそうな甘い飴の袋を置いた。

 

 戦いが終わったあと、彼女に付き従っていたスノーデビル小隊の面々は姿を消した。彼女自身が風に聞いた噂によればなんでもあの地域一帯はそう言った「よくないもの」を惹きつける地形であったらしく、先の戦闘では実際に『戦術人形や戦死者の霊を見た』という発言をする人物もいたほどだ。偶然が彼らを戦場に引き寄せたのだろう。

 

奇跡は、二度は起こらない。

 

 あれから彼らを見たものは誰もいない。フロストノヴァは戦後処理の中探し回ったが痕跡すら何も見つかることはなかった。

 残っているのは、彼女の全盛期でありながら相反して病に侵されていない都合のいい肉体と、彼らの代名詞である民族模様が織り込まれた白いローブ。

 

 彼らが纏っていた装束や武器は、雪のように溶けて消えてしまっていた。彼らの存在を証明する記録もなく、戦場にいたものの記憶にしか彼らの勇姿は残されてはいない。

 

 

彼らは何故自分の目の前に現れたのか。

その疑問は、彼女の中で謎のままであり続けるのだろう。

 

Rset In Peace(死者よ、安らかに眠れ)

 

同胞達よ、地獄に私が行くまで待っていてくれ。

......まだ少し、時間がかかるかもしれないが」

『ゆっくりでいいさぁ、姉貴』

『俺たちの分まで生きてくれや』

『残りの人生楽しんで』

 

 突風が吹いて彼女のフードを捲り上げたその時、幻聴かもしれないが彼女は誰かの声を聞いた。

 

「......ああ」

 

太陽の光に目を細めながらも、雲ひとつない青空を仰ぐ。

 

空は彼女が掴み取った希望あふれる未来のように、曇りなく蒼く、眩しく、輝いていた。

 

「寄り道も、悪くない」

 



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番外編 大規模コラボ コーヒーブレイク 1


おひさしブリーフ。傭兵です。騙して悪いがコラボだよ!

だってこっちの方が楽しいんだもん。


 

 

 

「仕事が多い!」

「いつものこと、諦めてハンコ押して」

「やだもー!」

 

 積み上がる書類の山に今日も今日とてS09地区B基地指揮官は不平不満をぶち撒け、隣では諦めたように戦術補佐官が書類の山をまた積み上げた。

 

「というかなんなんですか! なんなんですか! そもそなんでウチが防衛地区の事務とか福利厚生まで面倒みなくちゃいけんのですか馬鹿なんですかオーバーワークで干からびますよ!?」

「仕方ないでしょ、責任者なんだから」

「もっと仕事を他所に投げさせてくださいよっ!」

「仕方ないでしょ。役所が麻薬密売と人身売買とクーデター未遂で物理的に更地になったんだから。そもそも制圧主導したのはウチなんだし自業自得と言えばそれまでよ」

「武装組織の弾薬庫が吹き飛んだのが悪いんですう」

「......不平不満を言うのならば、少し休憩してはどうだろうか」

「このそこはかとないひんやり感は......フロスティさん」

「フロストノヴァだ」

 

 つけられたあだ名を訂正しつつ、お盆にコーヒーを乗せてやってきたケープ姿のウサギ耳、彼女の名前はフロストノヴァ。別世界からとある事情でやってきて、とある事情でやって一度は戦術人形になり、偶然元の姿に戻ったと言う奇妙な人生を辿って生きてきた。その現在の着地点とはいえば、指揮の補佐をしつつ、忙しいカリーナの代わりに副官や連絡員まがいのことをしていた。

 

「あの男が入れたエスプレッソだ。砂糖は好きなだけ入れるといい」

「徹夜明けの頭にはありがたいですねえ」

「やった」

 

 指揮官はマグカップより一回り小さい専用のカップにコレでもかと角砂糖を放り込み、戦術補佐官の方は砂糖はほとんど入れずにあおるように飲み干した。

 

「砂糖を入れないなんて勿体ない。死神さんのうんと濃いエスプレッソには溶けなくなるくらいの砂糖を放り込んだ方が効くんですよ」

「コーヒーはブラックが好きだし、今虫歯治療中なの」

「毎日寝る前に歯を磨かないからですよ!」

「いいじゃない1回や2回サボったって」

「その積み重ねが虫歯なんですからね! あ、もう一杯貰ってきてくれますか? 今度はカフェオレの甘いやつ!」

「私は普通のブラックを」

「いいだろう。まさか私がハナで使われることになろうとはな」

 

 そう不満を漏らすのとは裏腹にフロストノヴァは楽しそうに答えた。彼女が欲して、得ることのできなかった日常がここにはある。どんな形であれ、それを感じることができることが今の彼女の幸せなのだから。

 

お盆を小脇に抱え、出ようと執務室のドアノブに手をかける。

 

 その瞬間荘厳な古く、そして重い鐘の音が室内に響く。普段は聞かない音に耳をかしげたフロストノヴァは2人に質問してみることにした。

 

「今日は特別な日なのか?」

「いや、なんでもない日。そもそも、この地区にこんなおっきな鐘はないはずだけど?」

「どっかで聞き覚えはあるんですが......どこでしたっけセンパイ?」

「どこかで聞いた気はするんだけど、サッパリ思い出せないや」

「悪いモノでもないだろう」

 

 気にしなくともいいか、と彼女は扉を開けた。

 

「いらっしゃいませ、喫茶『鉄血』にようこそ ! 空いてる席にご自由に座って」

 

彼女は扉を閉めた。

 

「どうかした?」

「疲れているのかもしれないな。まさか、目の前に幻覚が見えるとは。廊下がカフェめいた施設に見えるなどと」

「それは大変。サボりの口実に使えるので教えて下さいよ」

「いや。ただの幻覚だろう。明日はぐっすり休めば......」

「はい目薬」

「すまないな」

 

 軽く目を揉みつつ、元指揮官からもらった目薬をさして目をスッキリさせたところでもう一度扉を開ける。

 

「間違えた! もう閉店時間だからお客さんには帰ってもらわないと! でも緊急事態だし逃げてきたのかも」

 

今度はしっかりと扉を閉めた。

 

「目薬に麻薬でも入れてないだろうな?」

「それなんて物騒?」

「というか僕もはっきり見えましたよアレ! なんで鉄血の首魁がクラシカルなメイド服を着こなして接客してるんで......なんか見覚えのあるような......」

「思い出した。昔道に迷った時の変なカフェ。あそこによく似てる」

「ああ!」

「どういうことだ?」

「実はカクカクしかじか左右BAってわけで〜」

 

 2人でした奇妙な経験を彼女に語った。道に迷い込んで見つけた、コーヒーとケーキが絶品の『別世界の』カフェ。そこには鉄血の反乱もなく、日常が平和で戦争もない時間が流れていると。

 

「......話はわかった。だが、そこから先にどう繋がる。このままでは出口が使えないぞ」

「つまり入れないというわけにもなりますね。とりあえずあちらの話を伺うことにしましょう。さすれば事態解決の道も見えるはずです」

「前回は時間経過だったと聞くが、今回もそうではないのか?」

「勘、ですかね。今回はちょっとばかり火薬の匂いがします。取り越し苦労だといいんですけど」

 

 ゆっくりコーヒーブレイクできればいいんですがと近くのガンロッカーから自分の銃を取り出す指揮官。その悪い予感は的中してしまう事となる。

 

 

◇◇◇

 

 

「......というわけなんです」

 

 しょんぼり、という擬音が見えるほどに気を落としているのは『D』と名乗る代理人のそっくりさん。冷酷無比な印象を受ける彼女は違い、こちらはふにゃふにゃとした可愛らしい雰囲気を放つ優しいカフェ店員だ。

 

 彼女が言うには、どうにも近場に来た軍の武装軍用列車がテロリストに乗っ取られてしまった大ピンチ。この街にもテロリストが侵入している恐れもあり、市民の避難も始まっているとか。それを聞いた指揮官が腕を組みため息をつく。

 

「悪い予感は当たるモノですね」

「どうする。このままここで喫茶するわけにもいかんだろう」

「ここは当然?」

「お手伝いしますとも。前回の食い逃げ分はこれでチャラということにしていただければ」

「ありがとうございますっ!」

 

 詳しくは軍の通信を聞けばわかると思います、というありがたい言伝ももらい完全武装で街に繰り出す事になった3人。戦場に向かう準備は万端、だがしかし一つ問題があった。

 

「アシがないですね」

「徒歩で行けばいいだろう」

「戦場まで15km以上あるんだよ。へばっちゃうよ」

「さて、どうしたものか......おや」

 

 彼らの目の前にはちょうど軍のものらしい装甲ジープが。ちょうど乗ってきた軍人は避難誘導で忙しいようで席を外しているようだ。幸運な事にエンジンもかかりっぱなしでキーも刺さったまま。まさに盗んでくださいと言わんばかりにおあつらえ向きの状態。

 

「あるじゃないですか、アシが!」

「乗った乗った!」

「おい、いいのか? いくら別の世界とはいえ軍のものだぞ」

「あとで返せばいいんですよう。走れ風のように、ブルズアイ!」

「変な名前をつけるなっ!?」

 

 後部座席にフロストノヴァを放り込み、戦術補佐官が助手席、指揮官が運転席へ乗り込んでアクセルを踏み込む。

 

「また大規模戦闘か......」

「今度は指揮官じゃないので気が楽ですね! 命をベットする以外はね、あはっは」

「それ前回も変わらなくない?」

「ベットするのは自分の命だけですよ軽い軽い」

「駄目だこいつ疲れすぎてハイになってる」

「ああん先輩の久しぶりの罵倒堪りませんっ! 達する!」

「やめないか!」

 




いろいろ様主催の大規模ギャグ大戦争です。詳しくはいろいろ様の活動報告と導入をみるよろし。

参加者の皆さん

一升生水:『本日も良き鉄血日和』:04
白黒モンブラン:『Devils front line』:ギルヴァ、ネロ
無名の狩人:『サイボーグ傭兵の人形戦線渡り』:エミーリア、エージェント(+実働部隊)
oldsnake:『破壊の嵐を巻き起こせ!』:バルカン、マーダー
焔薙:『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』:キャロル、アナ
ガイア・ティアマート:『閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者』:シゴ、フィアーチェ、ナイン
NTK:『人形達を守るモノ』:バレット、スミス、レスト、ウェイター
村雨 晶:『鉄血の潜伏者』:潜伏者
村雨 晶:『鉄血工造はイレギュラーなハイエンドモデルのせいで暴走を免れたようです。』:救護者
いろいろ:『喫茶 鉄血』:代理人、ゲッコー、マヌスクリプト


前回の大規模戦闘コラボも大概だけどモンすげえ事になったなオイ


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番外編 コーヒーブレイク Ⅱ

いざギャグを書けと言われてもこれがなかなか難しい


 

 

 

「はーい皆さんこちらでーす。あわてなーいあわてなーい」

「ツナギ姿じゃと交通整理が板に合うのう」

「押さなーい、走らなーい、慌てなーい! グリフィンは市民の安全を守る企業でーす! どうか落ち着いてー避難所はこちらでーす!」

 

 黄色いヘルメットに安全靴、グリフィンのマークが入った黒いツナギ。手に持っているのは工具ではなく、交通整理に使われる赤いバトン。

 

「......別世界に来てやることが避難民の誘導とは」

「戦場にほっぽり出されることがお好みか?」

「いつもだったらそうだろう」

「確かにのう。こちら西地区、避難は30%程かのう」

 

 はいそこ焦らない、と仮説矢倉の上で声を張り上げるガンスミスと、隣で地図を読み無線で連絡を飛ばすナガン。作業場のドアを開けたらどこぞの異世界に接続されて、興味本位で入ってみれば帰れなくなった2人が忙しそうにするグリフィン職員に声をかけたところ、何故か地図と無線機を押し付けられ『避難誘導よろしく』の一言。

 

 「どこもかしこも人手不足か。変わらんのう」

 

とナガンのぼやき。

 

「全く、どうなってることやら。指揮官が知ったら大騒ぎだ」

「始末書もんじゃろうな。最も、あやつらまで来ておれば描く必要もなくなるじゃろうがの」

「まっさか、ナイナイ」

「こんな偶然1日に数度起きてたまるか、とでも言いたげじゃのう」

「もし来てたら一食分きっちり奢るさ。それくらいあり得ないね」

「......大喰らいの指揮官に飯を奢ると来たか。よっぽど本気と見たな」

「そうそう。こんな偶然あり得ないったら」

「ま、確かに」

「「あっはっはっはっは」」

 

そんなおり、ナガンの無線機がなる。

 

「もしもし?」

『こちら南西地区! テロリストが潜んでたらしく俺たちだけじゃ手に負えない! 救援を頼む』

「......おっと、急にやばい気がしてきたね」

「この場は任せる」

「あいよ」

 

 矢倉の手すりに足をかけ、手近な家屋のベランダ伝いに屋根の上に登るナガン。もらった地図を思い出しつつ、報告のあった南西方向へと駆け出した。

 

「平和な世界に来たんじゃ、休暇と思って満喫させに来たつもりなんじゃが......全く。勝手に積まれた仕事は、素早く畳むとするかのう」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「い つ も の !」

「この前とおんなじことしてないかな?!」

「派手な運転だな。どこぞの運送会社を思い出す」

「こんな荒っぽい運送会社がどこにいるんです?!」

 

 先の大規模作戦で磨かれたドラテクを駆使しつつアクセル全開の指揮官一行。無線から流れる情報を捌きつつ、1番手薄そうな後部車両『パピス』を狙う事になったのだが。

 

「......戦力詳細もう一回聞く?」

「あーあー聞きたくない。もうこんなのギャグか何かでしょう」

 

 空を飛び交う意味不明な高速機動を見せる謎の戦術兵器や、列車上で斬り合いを演じる人知を超えた何かであろう人形。そのほかP基地や謎の傭兵部隊、ついこの間にどこかで見た覚えのありそうな面々ばかり。他にもAR小隊に404小隊、正規軍に街の防衛部隊。

 

 面子が面子のせいか、現実味がないわけで、そういうことは戦場では嫌いな指揮官が耳を塞いでわんわんと喚いた。

 

「だいたいこないだの作戦にこれだけの部隊があったらどれだけ楽だったか! 僕の胃の穴が一つや二つは減ったでしょうに!」

「過ぎたるは猶及ばざるが如し、だぞ」

 

列車砲の副砲を氷の盾で弾くフロストノヴァがそう返す。

 

「本気出せば車両丸ごと凍らせる事も不可能ではないんだがな」

「中の味方までアイスキャンディーにするつもりですか? 笑えませんよ」

「言ってみただけだ。線路を凍らせる事も、同じ理由で却下するだろう?」

「変に脱線したらどこに請求書いくんだろうねえ。テロリストのお財布?」

「最近のテロリストは薄給と聞きますがね。先輩、ヘリ撃ち落してください」

「不可能かどうか聞いてくれないのほんとクソだと思うけど」

 

 よっこらせ、と彼女が助手席で担ぐアサルトライフル、その銃身下部についたグレネードランチャーの狙いを定める。幸い派手にやってくれる武装ヘリに注目がいっているから割とフリーなのだ。

 

「吹っ飛べ......ま、ペイント弾だけどね」

 

 ビシャっという水音と同時にオレンジの蛍光色がヘリ全面を覆い尽くし、操作がおぼつかなくなったものから落ちていく。

 

「列車の方は派手にやっているようだな」

「アバーッ」

「グワーッ」

「人はああも飛ぶものなのか......よっと」

 

 列車内では誰かしらが派手に暴れてテロリストをふっ飛ばし、時折着弾しそうになる人間ロケットにはフロストノヴァが相対する。彼女の手には手頃な形に形成した氷柱、具体的にいうと、金属バットほどの大きさのそれを形成して。

 

「最近、練習中でな」

「ウソデショ......」

 

 フルスイングで振り抜いたそれは、全く同じ軌道を戻って列車に着弾した。

 

「......うわぁ、痛そう」

「股間がキュッとなるのでやめてもらっていいですか」

「野球とはタマを打ち返すんだろう?」

「誰ですかこんな下品なジョーク教えたの!」

 

 

 

 

◇◇

 

「へくちっ。あーい、くしゃみ助かるとか言わない。避難所に向かう、そこの君スパチャとかよくわからん事言ってないで前に進む!」

 

 

 

 

 

 

 



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番外編 コーヒーブレイク Ⅲ

これにて一応しまいでござい。戦闘能力インフレしすぎて日常系ほのぼの小説じゃ手も足も出ないでござるよ(大嘘)


ま、もうちっとだけ続くらしいんじゃがな!


 

 

 

 

「やっぱりしんどいのう」

 

 ローディングゲートから弾丸を取り出し、弾を詰めながらぼやくナガン。彼女が身を隠す物陰のすぐそばで、キュンキュンと弾丸が石畳を削る音が聞こえて来る。

 

「機銃は12.7mm。もらったら即お釈迦か。別働隊のようで、少人数なのが救いではあるが、どうにもならんのう」

 

 さっき叩き割れた手鏡で盗み見た時は歩兵が10人ほどと装甲車が1両。ナガンM1895の装弾数は7発、2丁持ちなので計14発。リボルバーなので戦闘中にリロードするなんて器用なことがまず不可能。装甲車の中にいる人数を考慮しても足りるかどうか判断はつかない。

 

「全員頭が抜けるなら話は別なんじゃが......人死には望まんし、あのヘルメットのクラスであれば接射でも抜けるか怪しいのう」

 

 ポーチに在庫のあった訓練用の減装ゴム弾に入れ替えつつ作戦を練ってはみるが、ダミーもない1人ではどうしようもないという結論しか出ないのであった。

 

「相手の気でも引かれるような事があれば、なんとかなるんじゃがのう」

 

 そんな都合のいいものが都合よく起こるはずもないと甘えた考えを一蹴しどうしたものか、と顎に手を当てて考え込もうとした矢先のことだった。

 

「銃声......2ブロックは先か。申し訳ないが見捨てるしかあるまいよ」

 

 遠くて聞こえにくいが、何か男が話すような声も聞こえる。市民自警団か、はたまた頭のいかれた自殺志願者かと溜息をつくナガンだったが直後の金属を派手に割く耳障りな音に文字通り飛び上がった。

 

「な、なんだ?」

「橋の方にやべえ奴がいるらしい!」

「お、応援に行くぞ!」

 

 それはテロリストも同じようで、銃撃をやめ踵を返そうとする足音とエンジン音がした。

 

一瞬意識から自分が消えている。

そう考えた時には、ホルスターを銃に収め直していた。

 

「抜き打ち勝負か、たまには使ってやらねばな」

 

戦術人形のクイックドローは、0.1秒を遥かに下回る。

 

銃声が1発轟いて、まず7人が倒れた。

 

仲間の異変と銃声に気がついた歩兵3人が振り返って、何が起きたかも分からないままにまた倒れた。

 

「歩兵は全部! あとは」

「クソガキがっ!?」

「遅い遅い!」

「がってむ!?」

 

 気がついた運転手がドアを開けたのに1発ぶち込んでから親切に閉め直して1人がのびた。

 

「......ふう」

「油断したがふっ!?」

「しとらんわい」

 

こっそり後ろから近づいてきたテロリストの顎に1発ぶち込んで1人がダウン。

 

「一体何が......?」

「さてな、悪い夢でも見とったんじゃろ」

 

最後に後部ドアを開け放って、2発ぶち込んだ。

 

 

そして、誰もいなくなった。

 

「14発、なんとか足りたか。しかし......別働隊にしては少人数だったのう。ま、関係はあるまい。縛り上げて後部座席に詰め込んでおくとするか」

 

 

◇◇◇

 

 

 

「......もうこれ私らいなくていいんじゃないかナー」

「教科書のようなジト目してて草生える」

「草? 草は生えているが、今その会話が必要か?」

「新鮮な反応ドーモ」

 

 しばらく列車に並走して車を走らせてはいるが、どうにも抵抗はしばらくは無い。突入部隊が無事にテロリストを蹴散らして掃討したということで間違い無いだろう。そう指揮官は結論づけることにした。

 

「やれやれ、呼び出されたかと思えば振り回されるばかりで」

「積極的に飛び込もうとしなかったし当然じゃない?」

「回収任務だけは買って出ましょうか」

 

 車を列車に近づけておーいと声をかけクラクションを鳴らす。電車から車に飛び移ろうとするとそこらのスタントより命懸けだが、あの大立ち回りをこなせる戦闘員なら鼻歌交じりにこなせるに決まっていることだろうと構わずに寄せた。

 

「もしもーし」

「よかった、救援だな! あんなの相手してられるっか、逃げろ逃げろ!」

 

のっそりと顔を出したのは、雑多な装備を着た男たち。

車にいるのは、グリフィン制服姿の男女。

とりあえず、互いの指揮官格の人間が叫んだ言葉は一言一句同じだった。

 

「「敵じゃねーか!」」

 

 テロリストたちが銃を構えるのとフロストノヴァが氷の盾を構えるのはほぼ同時。

 

「ふぁっっっっっっっっく! 働け超人ども!」

「コラボ相手に罵倒しない!」

「メタ発言が過ぎますがこうでも言わんとやってられませんよ先輩! だいたいコラボなんてのほほんとだべりながらナガンさんとガンスミスさんが相手と銃いじってキャッキャすればいいんですー! 戦闘なんて僕には不向きなんですー! だいたいただの人間に超人的反応を求めるなって話なんですわバッキャロ〜!」

「黙れクソガキ」

「口が悪すぎませんことよ?!」

「いいから反撃してくれ。私は防御で手一杯だ」

「せっかくボケたのにスルーは悲しくなりますねぇ!」

 

 アクセルを踏み込み、無理矢理に射線を切った指揮官。後部座席では戦術補佐官が小銃を構え指示を待っている。

 

「作戦は?」

「派手にやってください。あとは援護を待つだけで十分です」

「了解指揮官、フロストも派手にやっちゃって!」

「派手に、か。どのように?」

「辺り一面真っ白にしちゃって!」

「了解した」

「......なんて?」

 

 凍りつけ、とフロストノヴァが叫んだ瞬間指揮官の視界が180度回った。思わずブレーキを踏み込もうとする反射神経をねじ伏せ、後部座席に向かって叫ぶ。

 

「ニャンてことするんですか!」

「ごめん、言いたかっただけ」

「バカなんですね!?」

「可愛らしい噛み方をするものだな、これがあざとさか」

「っーーーーー! もう、いいですっ!」

 

 顔を真っ赤にしながらもなんとかハンドル制御で車をまっすぐに戻し、表面が真っ白に凍りついた列車から離れていく。

 

「これだけやれば十分ですよもう、さっさと戻る方法探しますよ!」

「えー、もっと派手にやりたかったのに」

「これでも十分派手ですよっ!」

「消化不良だな......えい」

「なんで路面凍結させるんですかあああああああ?!」

「さっきクルクル回ってたのが楽しかったから」

「子供ですか?!」

 

 



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番外編 コーヒーブレイク Ⅳ

たたみ忘れてたーッ!


 

 

 

「ンー、ここのケーキは絶品ですねぇ!」

「ワンホールをペロリとあっちゅーまに、胃袋どうなってんだ?」

「すいませーんケーキお代わりで!」

「ハーイ」

 

 諸々の事件が全て解決した一行は、今回の事件のことの発端だろうと言う『喫茶 鉄血』のカフェテラスにてコーヒーブレイクと洒落込んでいた。店内では同じく世界を渡り、この街を守ることに協力した面々が同じようにコーヒーを楽しみ、スイーツに舌鼓を打ち会話を楽しんでいることだろう。

 

「しかし、ガンスミスさんたちまで居るとは。縁とはかくも数奇な巡り合わせですねぇ」

「一回来たんなら縁はつながっちまうってのがこの世界のルールらしい。半分くらいは驚いてないし来たことがあるんだろうさ」

「この世界は不思議だな。平和で穏やかだ」

「鉄血がいなかった古い時代の一コマですよフロストさん。我々が目指すべき光景でもありますが」

「それを言うためにわざわざ私を巻き込んだのか?」

「まさか、戦力とでしか捉えてませんよ」

「このクソ指揮官は照れちゃってさあ」

「ちょ、やめてくださいよ先輩!」

「いつもの光景だねぇ......」

 

 じゃれあいだした2人をみてガンスミスはそう呟いた。ナガンMIA(行方不明)事件から、現指揮官と戦術補佐官の間には埋め難い溝が引かれてしまっていた。こんなスキンシップも今まで見たことがあるのはあの事件以前のものだけだ。

 しかし大規模作戦や今回の事件を通じて、その溝は埋まりつつある。より相互理解を深め、たがいのほの暗い部分を見せ合い、恋人らしく自己をさらけ出している。恋愛としては不器用な2人が歩き出す様が、ガンスミスとっては少しばかり微笑ましい。

 

 

「ところでナガン、合流までなにしてたのさ」

「スクリーンの保安官の物真似じゃな。最近のOSアップデートでガンスピンやら細かい動きが滑らかにできるようになってな、SAAの教えも相まって、なんとか14発全弾叩き込んでやったわい」

「おおこわい怖い。投げ縄で逮捕はやめてくれよ保安官様」

「安心せい、逮捕する時はドアを蹴破って銃突きつけた方がはやいからのう」

「決め台詞は『デトロ! 開けろイト市警だ!』ですか?」

「後輩ちゃんよ若干ネタが古いしここはデトロイトじゃない」

「最近の流行りは分かりませんねぇ」

 

 小ボケも挟みつつ甘味に舌鼓をうっているろ、オーナーの『代理人』が小さな紙袋を抱えながらこちらにやってきた。

 

「楽しんでもらっているようで、何よりでございます」

「どうもどうも。今回はちゃんとツケにするつもりはないから。金で支払いできたりするよね?」

「いえ、今回は軍から報奨金を頂いておりますので支払いは必要ございません。また平和な時に来てくだされば幸い、といったところでございましょうか」

「うーん、逃げられちゃったな、残念無念」

 

 むう、と不満げな現指揮官だったが、鼻をスンスンと動かして紙袋の正体に気が付いたらしく目を輝かせた。

 

「おやおやおや、手に持っているのはもしかしなくとも!」

「いつかとおなじお土産です。そろそろ夏ですし、アイスコーヒー向けのブレンドを用意させていただきました」

「いやっほい! 生豆の本物コーヒーです堪りませんね!」

「そいつはありがたい限りだ。基地に戻ったら少しコーヒーゼリーでも作ってみるかね」

「なんとそれは本当ですかガンスミスさん! しばらく甘味には困りませんね!」

「浮かれちゃってさぁ。まだ書類仕事は山積みなんだよう?」

「美味いコーヒーがあればすぐ終わりますよ!」

「こないだまで紅茶派じゃなかったっけ? 泥水とかなんとか」

「あーあー聞こえませんねぇー」

「コイツ......」

 

 不意に、荘厳な鐘の音が響く。それに気が付いたのか、代理人はコーヒー豆の入った紙袋を手渡し、両手を合わせて軽く頭を下げた。

 

「本日は『喫茶 鉄血』にご来店いただきありがとうございました。どうかまたこの街に来ることがあれば、我々の店を訪れてください」

「ええ、言われずとも!」

「ま、コーヒーは美味しかったしね」

「......ああ」

「ういうい、また来るよ」

「では、我々はここでおさらばかのう」

 

「またのご来店を、お待ちしております」

 

 スッと意識が遠くなり、気がつけばそれぞれが元いた場所に戻っていた。しかし、明確に違うのは......香ばしい香りを立たせる、コーヒー豆の入った紙袋があること。

 

「先月のカフェの売り上げ台帳なんだけド......フム、コーヒー豆、それも煎りたての良き香り。ナニ、老ぼれに隠し事かネ?」

「ええ、死神さん。ちょいとつてを辿っていいコーヒー豆を貰いまして、折角なので夏らしくアイスコーヒーをこしらえてもらえませんかね」

「......かしこまりました」

 

世界は違う。

 

しかし平和への想いと、

コーヒーの香りだけは、

どこも変わらないのだろう。



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