お金が無い彼女達は如何にして楽園へと至ったか? (山雀)
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Prologue
Prologue


ふと思いついたから久々に投下。
前作読み直すと色々とあまりに不甲斐なかったので、今回はふまじめ系オリ主をメインに据えて、後は知らない。故に設定も荒い。

でもTSは好きよ。


 ――俺氏、第二の人生が始まる。

 

 

 これだけだと一念発起して脱サラした時の台詞みたいだが、断じてそうではない。

 

 大雑把にまとめてしまうと、なんか起きたら自分の部屋ではなく、見知らぬボロいタコ部屋で小汚いロリショタ集団の中で寝てたのだ。何故か自分の身体も同じくらいのサイズになって。あと股間の穢れしバベルの塔が逆一夜城してた。たまげたなぁ……。

 

 当然ながら、初めは「変な夢だなー」と思って二度寝を十回以上繰り返したが、結局のところ寝ても覚めても状況は変わらなかったわけで。

 

 なんぞこれぇ……。

 

 

 

 

 数日様子をみるに、どうやらこの世界、俺が生きていた世界の百年以上先の日本らしいということがわかった。

 世界線が悪い方に振り切れた後なのか、自然環境が手遅れレベルに逝っちゃってるので、ちょっとコンビニに買い物をしにいく感覚で外に飛び出せばあっという間にお陀仏できること請け合いである。クレイドルが飛んでないアレな世界観を想像するといい塩梅かも。いや、それよりもっとひどいか。

 

 たまたま見た日本地図も俺が知ってるものと、なんかこう違っていた。とりあえず俺の実家は海の底確定である。もしくは消滅しているかもしれん。

 

 

 ……二十二世紀なら、どうせならドラ○もんの世界に生まれたかったなー。

 もしそうなら、ワンチャンどころか100チャンくらいはあっただろうに。

 

 

 

 今自分がいるここは、一応身寄りのない子供を集めて健全に育てる施設である。勿論、実態は全く健全ではないけど。

 

 雀の涙な補助金を絞り取って業突く張りの懐にそのままシュートする集金場、もしくはロリショタ趣味の富豪の、イケナイおもちゃ生産工場と言い換えてもいい。

 世話役の大人たちにしてみれば、「この世の中親なしが生きていられるだけでありがたく思え」、とのことだが、くっそまずい飯すらろくに食わしてくれない。ひもじい。臭い。

 

 流石の俺氏もこの状況には苦笑い。

 地獄行きとどっこいどっこいなのはちょっといただけない。前世の俺、そんなに悪いことやっただろうか? ちょっと記憶にありませんねぇ……。

 

 

 隣に寝ていた、いい感じに目が死んでる少女をわちゃわちゃと構い倒しながら、さあこれからどうしようと考える。

 

 とはいえ、大人達のスキを見て脱走なんてのは現実的ではない。

 生憎となーんか足が上手く動かせないので、まともに移動できない。よしんばカカッとオサラバ出来たとしても、それなりの装備と行く宛もなく外に出てしまえば、あっという間に無縁墓地行きである。

 

 ひとしきり悩んで出た結論は――ロリコンという名の善良な紳士が可愛くて気の毒なょぅι゛ょ(童女でも可)を見初めて引き取りに来るのを待つ、というものだ。

 まあ、これしかないだろうな(確信)。

 大人達の零れ話からすれば、今の日本で子供を引き取るようなのは120%碌でもないけどお金はたんまり持ってる輩くらいしかいないらしいので、とりあえず上手くことが運べば栄養失調で死ぬ羽目に陥ることはあるまい。

 

 というわけで、今俺が努めるべきは自分磨きである。それっぽい人の目に留まるように、身なりを整えた上で頭の良さをアッピルするのだ。

 死んだ目の少女の頬をグニグニしながらほくそ笑む。ダイジョブダイジョブ、道は見えた。

 

 なにせこちとら元々男なのだ。わざとらしくならない程度のあざとさなら、なんとか再現できる自信も無いことも、ない。

 

 

 ……でもできることなら、百合趣味のキレーな大金持ちのおねーさんで、オナシャス!

 

 

 

 § § §

 

 

 

 そんなこんな生活を始めて半年か1年か、それなりに時間が経った頃。

 

 

 

「ふーん、アンタ達がここで一番利口な×××って子?」

 

 

 

 唐突に俺の名が呼ばれて、普段見かけない女性(というか少女)が現れたのだ。

 おうふ……おねーさん(自分比)、しか合ってなかったよ。

 

 どうやらこやつがようやっと現れた俺氏の引き取り手候補のようだが、俺氏を見る目に情欲の色はとりあえず見えなかった。

 服もどこかこう、貧乏臭が漂っている。裾がよれてるし。

 

 はーやれやれ、とメリケン風にジェスチャーしながら首を振る。せっかく練習してきたあざとさは皆無だったが、我慢できなかったのでしょうがない。

 

 本当に孤児を引き取りに来たのかと思えるくらい、期待はずれであった。

 もっとも、こっちもふつくしいとはとてもとても言えない容姿なのでお互い様ではあるが。こんな環境なのでちゃんと歯磨きするだけでも大変なのだ。これ以上の美容対策なんてやりようがないじゃない。

 ……俺をダッチワイフにしないことだけは期待できそうだけど。

 

 

 「……確かに頭は良いようね、憎ったらしいくらいに」と、俺の煽りフェイズを受け目と唇の端をヒクつかせながらも、動かない足を見て嘆息したので、問題なく意味が通じていることも確認できた。

 まあいいわ、としゃがみながらこちらに視線を合わせてくる。おっ、子供好きのいい人アピールか? 個人的にポイント高いぞー! とまあ、そんなことを考えながら値踏みするこちらを他所に、そのお人は俺に宣言した。

 

 

 

 

 

 

 約束するわ。今後アタシの指示に従うなら――アンタに、この世界の何処に生きる誰よりも幸せな暮らしをあげる。

 

 美味しいもの食べて、キレイなお洋服を着て、周りのみんなにちやほやされて――

 

 緑いっぱいの草原を駆けて、透き通った海を泳いで、宇宙の果てにあるお星様まで見える夜空を仰いで――

 

 きれいな水を全身に浴びて、ほっぺたが落ちるくらい美味しいもの食べて――

 

 フッカフカのやわらかいベッドでぐっすり眠れる、そんなこの星の誰もが、もう絶対に手に入れられない幸せが欲しいなら――

 

 

 

 「アタシの手を取って、力を尽くしなさい」、と。

 

 

 

 

 

 ……う゛わ゛ぁ゛ーうさんくせー(こなみかん)。

 

 命乞いしながら、実は後ろ手にピストル隠し持ってる大統領かってくらい胡散臭……いや、あれは読んでるときそうでもなかったわ。

 

 だってさぁ、こんな嘘八百、信じるのは何も知らないガキンチョどもか、厨二患者か、もしくは脳みそがパッパラパーになった手遅れな人たちだけやん。

 地球捨てて、どっか他所の星に引っ越すならまだわからない夢物語だが、到底数年以内にそれが可能にある技術レベルだとは思えない。しかも、こんな底辺極まる孤児にですよ? そんな切符くれるわけありゃしない。

 

 ……それでも、俺としては粛々とついていくしか無いんですが(白目)。

 当てにならない言葉どころではないのだが、少なくとも、脂ギッシュにデブったオヤジの上で腰をふるような未来は避けられそうだったので。

 事ここに至って我が身の貞操は生存に不可欠ではない……が、大事にしておくに越したことはない。そうだろう?

 

 

 

 ちなみにちらっと話に出した、目の死んだ娘っ子も道連れにした。「もう一人、俺から見て利口な子を選べ」と言われたから真っ先にチョイスしたのだ。

 だってこの娘、普段口数少ないけど手慰みに仕込んだ日本語はちゃんと理解できるようになったし、知識に貪欲なのかひらがな・カタカナは勿論、漢字を通り越して簡単な英単語まであっという間に習得した天才児である。正直、将来性では間違いなく自分より良いお嬢さんであった。

 

 相変わらず目が死んでるけど。

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 そうして紆余曲折を経てたどり着いた新天地は――何にも無いといっていい空間だった。

 

 え? 今二十二世紀だよねって疑うレベル。この環境で必須な生命維持装置が据えられている他には、壁にかかった数着の服(?)と、うっすいせんべい布団と、保存食と思しきビニール袋。部屋の隅によく分からない電子機器っぽいものがある他には、何もない部屋――それが、この人の住処だった。

 

 いや、俺もこの人の服装からして、全然期待はしていなかったが、万が一というものにどこか希望を残していたのかもしれない。今やそれは、欠片も残らず飛んでいってしまった。

 一体全体、この惨状からどこをどうすればあの妄言を吐くに至るのか、コレガワカラナイ。

 

 約束通りアンタ達に幸せをあげる。そのために、今日からアタシと一緒にゲームをしてもらうわ、と改めて宣言するのは、扉の鍵を閉めた後にそこに正座とせんべい布団を指差すこの部屋の主である。もう片方の手には何年か前にリリースされたらしい、基本無料のDMMO-RPGという謎ジャンルゲーの特集記事が握られている。何度も読み返されたのか、表紙は色あせている。

 

 ……ぱーどぅん?

 今、ゲームをせよと、そう言いました? 労働の代わりに遊興に耽ろとでも?

 呆然とする俺たちの首筋に無痛注射(シリジェット)を打ち込みながら話は続く。説明によると中身はナノマシン――程なく自分たちの脳内に電子的な演算機構を構築するという――SF世界におけるご都合主義神器の登場に俺は内心ご満悦であった。首にジャックとか生成されたりするんだろうか。wktk

 

 

 そんな俺を知ってか知らずか、御高説は続く。

 

 言っておくけど、これから何年も毎日休みなんて無いから。ただでさえ出遅れてる上にあんたらを引き取ったから予算的にもこの先余裕なんてないの。その分はプレイ時間でなんとかするしかないから。寝る間も惜しんでプレイするのよ。ああでも病気になったらペナルティだからやっぱ適度に睡眠はとってね。え? ご飯? 目標達成まではご飯は全部ペレットよ、コスパ最高だし。ってかアンタ達臭っさ! この話終わったらまずお風呂ね。勿体無いから一緒に入って。ああ、話を戻すけどアタシ日中働いてるし、アホみたいに典型的なブラックだから夜も遅いか下手すりゃ徹夜続くの。小卒で入れるとこでは条件良かったのにやっぱり世の中腐ってるわね。上司もなんか視線イヤラシイし。そんなわけだからアンタ達以上に時間が限られてるし不器用だからプレイスキルは期待しないで。最低限のプレイ条件は伝えるし、BANされない程度ならどんな汚いプレイ方針でもいいからアンタ達しっかりアタシを引っ張り上げるの。このままだとアタシの野望は失敗するから、アンタらが頑張らないと一緒に野垂れ死によ。そんなの絶対に、アタシはまっぴらゴメンなんだから。今がどれだけ意地汚くても情けなくっても、終わりさえ良ければあとは万々歳なんだって決まってる。そうよねぇ――ねぇ、ちゃんと聞いてる?

 

 

 ここまで一息である。長らく溜め込んだ何かを一気に吐き出しているような言葉だった。プレッシャーに押されて壁に追い詰められた目が死んでる少女は震えながら俺にしがみついている。スマン、メシのところしかまともに聞いてなかった。

 

 ちなみに話に出たペレットとは、一粒三十時間の労働を保証する最高にゲロマズな合成栄養食品のことである。

 色んな意味で余裕が無くなっているこの世界において、それなりに低コストで大量生産されているそれは、最貧困層の人間にとってできれば食べたくないけどそれなりの頻度で食べなければならないという嫌なソウルフードである。今や袋麺はおろか、合成食パンでさえ贅沢品なのであった。

 

 

「言っておくけど、これはゲームだけど遊びじゃないんだから。ふざけたりサボったりして貴重な時間と金を無駄にするようなら――」

 

 

 殺すわよ、と俺達を見ながらそう締めくくる目は本気だったと思う。

 

 案の定、俺の手を握る目が死んだ少女の目が、さらに死んだ。

 

 

 

 




■おりしゅ

・転生者
・原作知識:なし
・たまァ!:なし
・親:なし
・学歴:なし
・職:なし
・体格:ちびがり


■うさんくさいおんな

・転生者その2
・原作知識:ありあり
・親:ろくでなし
・学歴:小卒
・職:ブラック
・金:あんまない
・プレイスキル:なし
・体格:不健康
・コミュ力:びみょう


■めがしんでるむすめ

・現地人
・かしこい
・いいこ
・多分、この作品の地球で一番ラッキーな子



初めのプロットではうさんくさいおんなが主人公だったりした。


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Prologue 2

まだプロローグよ、続いててスマソ


※ 本作は、稚拙なパクリと浅い界隈の知識の提供でお送りしております。

※ パクリ元を知りたい貴方は、時間が許す限りお気に入り小説を片っ端から御覧ください。



 スチームバスに入り、生後最高レベルにさっぱりした俺。

 

 くたびれた雑誌の特集記事やらネットの公式デモやらを皆で一緒に見て、隣からあれこれとレクチャーを受け、ユグドラシルなるゲームの理解を深める。

 

 

 なるほど、完璧に理解した。

 以下、要素列挙。

 

 

 

▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 

・皆が夢見た仮想ファンタジー世界へダイブして大勢でわちゃわちゃするゲーム

 

・さっき脳内に埋め込んだナノマスィーンやら、フルフェイスヘルメットやら未来的コンソールを使ってプレイ

 

・運営は糞

 

・自由度高し。

 

・人間だけじゃなくエルフや異形種になって善良な人間狩り尽くすぜーみたいなプレイだってできちゃう

 

・Wikiはあるがさほど当てにならない。最強ビルドとかそういうのも無い。

 

・サブ垢は作れない。ただしキャラデリと最初から始めることはできる、らしい。

 

・エッチなのはいけないと思います(即BAN&実名晒し)

 

・祝 配信ウン年目記念キャンペーン中!

 

・辛い現実から逃避したい貧困層を中心にブレイク継続中

 

・お手軽仮想現実を楽しみたい富裕層の方にもオススメ

 

・七面倒臭い法律のせいで視覚聴覚以外はほぼ機能しない

 

・実は世の中を支配する巨大複合企業とやらの思惑により、下々の学歴がガタ落ちしている

 

・俺の居た施設があんななのも多分そのせい

 

・世の中糞だな

 

・掲示板に晒されると難易度ノーフューチャーになるから、マナー違反なプレイはすんなよ!

 

・絶対にするなよ! 絶対だぞ!!

 

・仕様上可能なプレイはバグじゃない。ただし期限はGMが飛んでくるまで。

 

・基本無課金だよ、やったね!

 

・でもやっぱ痒いところに手が届かなくて皆課金しちゃうのビクンビクン

 

・なので、真面目にプレイするなら課金はある程度必須なのが前提

 

・別売りのツールで自分のアバターやらNPCやらアイテムやら諸々の外装とかいじれたりもできちゃう

 

・運営はクソ

 

・うちらは生きてくのもやっとの家計なのであえてリアル素寒貧プレイするぜ!

 

 

▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲

 

 

 

 

 うむ。こんな感じである。

 こうものっぴきならない状況なのにゲームに現を抜かせというのはイマイチ理解に苦しむが、せっかくなら楽しまないと続けるものも続けられないだろうしね。

 

 

 とりま感性に任せたフリーダムプレイが推奨され、逆に効率重視のテンプレプレイが雑誌で激しく貶されていたので、一々別窓でWikiを開くようなことはしなくて良さそうである。

 仮想世界でそんなことが可能かは知らないが、ファンタジーな風景にWikiの攻略情報とか気分ぶち壊しなのは間違いないよね!

 

 でも使えそうなバグ技とかねーかなーとネット検索画面を開く俺にちょい待ちと待ったをかけたのは、俺と目が死んでる少女を引き取った里親(14)。

 その歳で血の繋がらない子供二人を引き取るってちょっと人生始まったばかりでハードモード過ぎんよ~。

 

 

 

 まあそれは置いておいて。

 

 「Wikiはともかくネットは今後なるべく使うな」と言うのが一つ、「まずはさっさとキャラメイクしろ」というのが二つ。これが彼女の意見であった。

 

 

 なんでさご母堂よ、と尋ねれば、前者の理由はセキュリティ代さえ露骨にケチっているので、変なとこに繋がってゲーム機器全滅とかしたら困るからだとか。

 あと厚生省? とか公安局? だかがネットを監視しているので目をつけられたら困ると。

 

 流石にそれは考えすぎじゃねとは思ったが、この場において未来世界のネット環境に一日の長があるのは間違いなく眼の前の14歳児であり、俺のプリちーフェイスを凝視しながら「命令よ」とか「恐縮だが」とかされたら俺としてはその通りにせざるを得ない。

 

 それに時々忘れそうになるが、俺と連れのガワはネットデビュー直前の女児ということになっているし、実際にそうである。「信用に値しない」といわれればそれまでなのだ。

 

 定期的に放置プレイもされるようなことを言っていたので、この機会にネットリテラシーを叩き込もうという魂胆なんだろう……とどの詰まり、「余計なことすんなよオメー」ってこったー。

 

 

 んで、もう一つの方の理由なのだが。

 なんでも只今ユグドラシルが新規歓迎キャンペーン期間中であり(このタイミングで俺らを引き取った理由の一つなんだと)、自キャラメイクである程度の博打を許容すれば色々なご褒美があるとか無いとか。その間になるべく良いキャラを作らせたい、と。

 

 

 ……ここに来てリセマラかよぉ!

 

 いきなりゲームの売りである自由度(笑)を放り出すような企画だと思うのが、そこは良いんだろうかと思ってしまう。ちなみに、そのキャンペーンの期日は今日まで(あと数時間)である。せめてバックストーリーくらい把握する時間は欲しかったな……。

 

 俺としてはこの手のキャラメイクでのお決まりなんて百年前の知識しかないし、何度かやり直しもできるようだし、特典も割と良さげだし、タダだし、特に拒否する理由も権限も俺には無いし――と諸々の理由により言われるがままホイホイと抽選を回す。願わくば、何らかの特化型を引けますように。バランス型ってつまらんしな!

 

 やたら派手な演出とともに現れる俺の写し身。まさに堂々たる、と表現すべき姿とステータスが開示される――!

 

 

 

 

《 性別:男s「はい、やり直し」

 

 

 

 

 14ちゃいの少女の手によって容赦なく押されるキャラクター削除ボタン。仮想世界に生まれようとしていた偉丈夫のアバターが瞬く間に消え去っていった。

 

 

 ちょ、なにすんのや! 仮想現実とはいえ、せっかく股間の宝具を再び手にするチャンスだったのに!

 

 ……は? 女以外は駄目? なして?

 

 装備の管理がメンドイ? 多分女キャラの方が優遇される? 乞食プレイ姫プレイ寄生プレイの効率がダンチ? そのためにいい感じの声の女児(俺ら)を引き取ったぁ!?

 

 

 

 

 照れるぜ(ニッコリ)。

 そっかー俺ってイケボだったのかー気づかなかったなー。HAHAHA。

 

 

 

 ってちゃうわ。

 

 

 

 俺、今メスガキだから萌え媚びボイスじゃないか(呆れ)。 

 

 

 

 

 えぇ……キャラメイクからして乞食プレイ前提とかひくわー超ひくわー。

 

 始まる前からそんなこと考えるのはちょっと夢がなさすぎじゃないっすかねぇ……?

 ママンがそういうなら従うしかないけどさー、ねぇ?

 

 

 まあええわ(諦め)、というわけで、二度目のチャレンジである。ポチッとな、と抽選ボタンをプッシュする。

 再び始まる過剰な演出。よしよし、今度のシルエットはちゃんと女性的である。ボヨンボヨンとおっぱいおっぱいしてる。最高だな!

 

 今度はさっきより邪悪めいたアトモスフィアを感じるが、これはこれで俺の厨二心を否応なく刺激するので無問題である。

 

 

 

《 種族:ラミア(異形s「はい、やり直し」

 

 

 

 14歳の義母の手によって再び容赦なく押されるキャラクター削除ボタン。仮想世界に生まれようとしていた闇の眷属たる俺のアバターが瞬く間に消え去っていった。

 

 

 ちょ、なにすんのや! 人間のメスじゃなかったとはいえ、せっかくのでかちちを手にするチャンスだったのに!(強さは二の次)

 

 ……は? 人間種以外は駄目? なして?

 

 自分がPC人間種で作り直したから? なるべくに一緒にプレイしたい? 種族ペナルティもキツイ? 他のプレイヤーに絶対PKされる? てか、された? やっぱ装備の管理が面倒? 乞食プレイ姫プレイ寄生プレイの成功率が絶望的!?

 

 

 うん、ならしょうがないかなぁ(諦め)。

 異形種は強いって読んだけどそれならしょうがないな~いや~残念だな~HAHAHA。

 

 ま、まあ? 普通に考えてこの手のゲーム初めてでこれといってこだわりもないわけだし~↑

 

 ……ごめんなさい。ただでさえ縛りプレイみたいなもんなのに、更に自分から難易度を上げていくほど、俺は精神的マゾではないんです。性癖も攻められるより断然サービスしたいタイプなのです。

 

 

 ってか、一度異形種でプレイしてたのに諦めて人間種でやり直したんすかwww

 

 何があったかは知らんが、思い切ったことである。そんなに苦行だったのか、と思う以前に、なんでこの人はわざわざ難しいという異形種でプレイしようと思ったのか謎だった。

 

 

 

 というかそもそも、なんでこの人はユグドラシルをプレイしてるん?

 

 

 自分で不器用だとか言ってた気がするし、好きでやるって感じでもなさそうだし。

 趣味って感じでもないし、課題……でもない。仕事? 付き合い? うーむ、なんかこう、風? よくわからんが必死な雰囲気を感じる!

 

 

 

 しかし今ここでそんなことを考えだしたらキリがない、今更である。

 丁度で始まった14歳女児による愚痴っぽいものによれば、ド安定がどうとか、不確定要素がどうとか、知らないキャラはちょっととか、でもやっぱキモいのは無理とか。

 どうにもこうにも要領を得ないことばかり話すので、適当に放置してガチャに戻すことにする。しばらくすれば復帰するだろう。

 

 

 ガチャーガチャー多分もう回さないガチャーこいこいー、と適当な歌を歌いながら回す。合間合間にWikiと雑誌を斜め読みしながらという無駄に器用なスタイルである。

 

 え? Wikiは見ないんじゃなかったのかって?

 14歳が見ろ見ろと急かしてくるので見てるのです。「ある程度の効率プレイくらい許容しないとやってらんないわ」ってことらしく、おすすめの狩場や職業ページなどをプッシュしてくるのだ。

 

 

 結果としては読んで正解だった。

 メチャシコな女NPCの特集ページとか俺得である故に。

 エロフの……もとい、エルフのエロい……じゃない、偉い女の人とか定番だが実に素晴らしい。スレンダー金髪に貧乳とかこのキャラデザインした人マジ分かってる。あとこのロリ巨乳の吸血鬼とかオススメ。ゲームが始まったら率先して会いに行こう、と心に決めた。

 

 

 

 

 それはともかく、最初の目的であるガチャの方の経過だが、男 → 男 → 豚 → 男 → 汚物 ……とハズレが続いているので萎えてくる心を無心に変えて継続している。俺知ってる。こういうのはストレス感じた時点で負けなんだって。

 

 あと付け加えるならば、ただ女の人間種であれば良いのかと問われればさにあらず。

 最近の(-1世紀分)でいうところの、なぜかブサイクにされてしまった元美女キャラのごときアバターは、容赦なくゴミ箱ポイポイのポイされている。

 

 

 何しろ、これから始まるであろう我らの恥知らず極まりないプレイングに必要なのは、見るものの庇護欲を誘う可愛さ・美しさ・儚さ・艶やかさなのだ。

 それには当然、最低でも万人に「ねーよ」と思われない程度の顔面偏差値は必要であり、それを外部ツール等ではなく運否天賦に任せようというのだからそれなりに時間はかかる。間違ってもマッスルアピールとかいらない。

 

 

 

 

 気分転換にとふと隣に目を向ければ、目が死んでる少女(実はまだ名前知らない)が何やらむーむー唸って逡巡していた。

 聞けば、今まで人に名前を付けたことが無いので、勝手がよく分からないらしい。素直に自分の名前でいいんだろうか、とも零している。

 

 本名まだ知らないけど、下手すれば初対面の人間に死ねって言われる名前だってあることだし、慎重になるのは分からんでもない。

 生憎、俺もネーミングセンスに自信ニキとは自称できない感性しかもってないので、アドバイスするにしても自然とありきたりなところに行きつく。例えばそう――

 

 

 

 

 ――女キャラだし、「✞聖天使猫姫✞」ってのはどうよ?

 

 

 

 

 何故か14歳に頭をはたかれた。理不尽である。

 曰く、自分の分身じゃなく、自分そのものだと思ってもっと真面目に考えろと。あとは西洋ファンタジー風の名前だと尚良とのことだが。

 

 

 えー……何それ重すぎない? ネトゲキャラのネーミングってこんなもんじゃないの?

 あとは、適当に目に映った物とか流行りの二次キャラの名前でゲームのキャラ名つけるのって定番っしょ。

 「対○忍乳時雨」とか、「TOILET PAPER」とか。大体そんな感じの名前のほうが強くなれるし。

 

 

 俺? そんなこっ恥ずかしい性癖丸出しの名前付けるわけないじゃない(憤慨)。

 キャラビルド決めてからそれっぽい名前つけるんだお! その方が絶対いいお! と訴えたらため息を吐かれた。なぜだ?

 

 

 ちなみに14歳さんはどうしたのかと尋ねてみれば、「今の名前なんてクソくらえよ」と零しながらも、星にちなんだ名前にしたのだと教えてくれた。

 

 ……乙女かな?

 確か初対面のときもそんな感じだったし。

 

 そんなやり取りを何度か繰り返した後、目が(ryは結局本名プレイすることにしたようだ。

 

 

 

 

 

 

「この子は私。もう一人の私。だから同じ。パパとママから貰った名前だから、これでいい。これがいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 素敵やん(ニッコリ)。

 

 

 

 ワタクシもそれでいいと思いますよ。

 

 14歳かかさまの、「なんでこの子はこうなのに、こっちはゴミなの?」みたいな視線が心に痛いけど。

 

 

 

 ……で、程なくキャラビルドも合格をもらって完了させていた。ちょ、ハヤスギィ!

 

 

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 

 

 DMMO-RPG『ユグドラシル<Yggdrasil>』

 

 

 

 人間種を種族として選んだプレイヤーが初めに降り立つ駆け出しの街――その転移ポート前に、三人の少女が集い、その様子はたまたま居合わせた他のプレイヤー達の目を引いていた。

 

 

 

「――Hello, World……ってやつ? ま、まあ、これからよろしくね」

 

 

 

 一人離れて立つ黒髪の少女は、腕を組むモーションで偉そうに二人を見下ろしている。

 明らかに戦闘用ではなく、されど仕立てと見た目がよさそうに見える装備と大きなリュックや腰袋からして、どうやら彼女はマーチャント(商人)のロール中なのだろう。

 

 多少経験があるプレイヤーはこの街でその職業についている彼女が初心者(ノービス)ではないと察していた。

 ただ、もっと経験があるプレイヤーは彼女の装備の大半が店売り装備であったり、少々恥ずかしい台詞をわざわざ周囲チャットでも同時放送中であったり、突撃エモーションを誤爆していることからして、「やっぱり初心者だな」と判断していた。

 

 

 ただまあ……それでも彼女は先達なのは間違いないのだろう。

 仮想世界に初めて触れた人間に使う定型文をアバターの開かない口で口にしたのは、相対する二人が完全なるネット処女である証明でもあった。

 

 

 

 

「……うん、よろしく」

 

 

 向かい合う片割れ――目を閉じた長い茶髪ポニーテールの少女。

 明らかに唯の初期装備ではない長柄の金属鎚を肩に置き、未だに慣れていないこの場の空気を感じ取ろうとしているようだった。

 

 

 通常、全くの初心者プレイヤーを目にした経験者達の思惑は様々である。将来有望そうであるとか、自分のギルドに勧誘すべきかどうかであるとか、流行りにのっかるニワカめだとか、リアルで会えそうな頭の弱い子か、etc.etc……

  

 ただ、新規を呼び込むこのキャンペーン期間中にわざわざこの場所を張っていた面子が、初々しい彼女に対して抱いた思惑は似通っているものであった。

 

 

      

  ニア してでも うばいとる

 

 

 

 まあ、大体こんなもんである。

 

 

 

 

 

 そして、最後の一人。特に周囲の目を引いている一人。

 理由は、彼女の種族にある。

 

 

 

 背負った木製のリュート。

 

 腰に据えたダガーと、風に揺れる青緑色のフードとローブ。

 

 成人の半分以下の背丈に、見た目以上に軽やかな、されどどこか危なげな歩み。

 

 

 

 現在開催中のご新規募集キャンペーン期間中、お子様プレイヤー限定で生成されるという、草原を旅する小さな人間種――グラスランナーである。

 

 

 

 

 周囲から「……ほう」「レアキャラktkr」という感心する声や、スクリーンショットを撮影するSEがなり続けている。まさに異常事態であった。

 

 

 ここで説明しておくと、別にグラスランナーをPCとする条件自体はさほど多くない。

 先程挙げた、キャンペーン期間中に、本物の子どもがキャラクリエイトで粘れば数日とかからず達成できるものでしかない。

 

 

 

 ただ、「ユグドラシルを子どもがプレイする」ということそのものが現在無理ゲーと化しているのが問題だった。

 

 

 

 ユグドラシルをはじめとするDMMO-RPGに限らず、仮想現実を為すシステム全般に言えることだが、子どもの参加条件は身分が確立している大人のそれよりも格段に厳しい。

 

 具体的には、①保護者の承認、②倫理・プレイングマナーテストに合格、③ナノマシン適正値クリア などが挙げられる。

 これらはいずれもそれなりにハードルが高い事柄だが、特に長期のプレイングに障害となるのが、【一部の外部クリエイトツールを除き、全課金要素の利用権を問答無用に剥奪される】という、この一点に尽きる。

 

 

 課金要素が世に生まれてからこの二十二世紀に至るまで、長期に渡って子どもの自制なき課金は大きな問題であり続けた。(大人も同様だが、やっぱ自己責任で終わり)

 いくら法的に問題がなくとも、社会人全般の就職年齢が絶望的に低下しているとも、やはり子どもと保護者の財布は保護されて然るべきものである。

 

 しかし流石に過去の形骸化している年齢認証と違って、現在のそれは国民の統制管理システムとの一部リンクによりほぼ完璧と言って良い精度を誇っている。まず通常の手段で偽装されることはないと言っていい。

 

 

 

 

 だがそこに……神がダメ押しっ……!

 

 このユグドラシルにっ……年端もいかない……社会人経験もない……

 

 小賢しいだけの……おこちゃまの分際で……遠慮も無しに踏み入ろうというのなら……

 

 

 捨てねばならぬっ……万民に……この世界の根源に通じる免罪符っ……課金っ!

 

 金は力……力は金っ……故に……それを……捨てるっ……!

 

 

 金は、命より重い……! 腐った世の中……その上仮想で、金を捨てる……

 

 一時の悦に浸る……その為に課金っ……馬鹿っ……大馬鹿っ!

 

 そんなのは……馬鹿らしい……馬鹿なのは……先のリスクを弁えた大人だけで充分っ……!

 

 

 自らの愚かさっ……蒙昧っ……

 

 それらと決別し者のみ……手に入れるっ……この……珠玉っ……お子様限定種族プレイ権……!

 

 

 

 

 要は、課金要素と子どもにまつわるトラブルを一切合切排除しようという、クソ運営の無駄な余計なお世話(いつもの)の一種である。(尚、ここでいう「子ども」は概ね、十歳に満たない者のことを指す)

 それ故、「記憶もったまま転生してもプレイ継続無理じゃねこれ」という意見で掲示板の住民がまとまり、時折現れてはいつの間にかユグドラシルから消え去る幻の種族――それがグラスランナーなのであった。

 

 

 

 

 さて、今度の奴はどれだけ保つかという、周囲の興味と期待を知ってか知らずか、グラスランナーの少女は余りまくったローブの袖から小さな手を伸ばす。そしてフードを外し、素顔を晒した。

 

 

 

 陽光を反射しプラチナブロンドが肩に流れる。

 

 誰のものでもない、傷一つ無い肌が覗く。

 

 目を開ける。大きく瞑らな、紫の瞳が輝いた。

 

 

 

 ほぼ完璧だ……そう誰かがつぶやく。

 体内に貫通している一部の髪の毛や、実は地面から数センチほどの高さでホバー移動しているブーツを無視して皆が理解した。

 これ以上は(外部ツール使わないと)望めない。望むべくもない(嘘)ということを。

 

 

 今や、彼女はこの世界(界隈)の中心であった。

 

 ロリ属性など欠片も持ち合わせて居なかった、男女を問わずこの場にいる誰もが、彼女を脳内で自らの主神に据えた。

 

 

 そうだ……ここに、教会を建てよう(無理)。

 

 神の恩寵など潰えた現実を捨て(でも仕事はする)、この目に映る女神を終生(引退するまで)崇め奉ることを誓った。

 

 

 

 

 そして、にこやかに(無表情の)グラスランナーの少女が第一声を発した。それは紛れもない、天然の穢れなき童女のものであり――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――14歳の母って、響きだけでなんかエロくね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その音声の余韻をかき消すべく投擲されたレトロな爆弾により、グラスランナー少女のHPバーは残らず消し飛び、巻き添えを食らったハンマー少女の目が死に、下手人である商人娘のカルマ値が少し下がった。

 

 

 

 

 




無理矢理まとめた感が凄い


■仮想世界に君臨しそこねたオリ主
・リアル年齢は9歳
・みんなだいすきTSロリ
・強制無課金プレイ開始


■目が死んでるハンマー少女
・リアル年齢は13歳
・オリ主が思ってるほど子どもでも天才でもない
・ドワーフではない


■爆弾魔ーチャント
・リアル年齢は14歳
・入社二年目くらい
・爆弾(?)はPCを作り直したときにゲットしたキャンペーンガチャの景品。こいつは……強力過ぎる!



以下ネタバレ。


 ゆぐどらWikiに載っていた吸血鬼娘はシャルティアちゃんです。ナザリックはこのころ全盛期か、それに近い状態にあります。


 オリ主のアバターを一般PCの皆さんはやんややんやと絶賛してますが、極たまにしかこないグラスランナーのプレイヤーが現れたら、生暖かい目でもり立てながら自然消滅までのプロセスを見守るのが彼らの様式美になっています。なので、その前後の台詞は大体がノリの良いPCのものです。



 彼女が14歳の母になるまでの話。

 何気なく見つけた雑誌でユグドラシルの名前を見て、ここがオバロ世界と気づいた娘。色々と悩んだ末に小卒の学歴を得るまで必死に粘り、就職・家出を機にユグドラシルで異形種プレイを始めました。

 が、始めてすぐ酔ってゲロゲロになるわ自分のPCのキモいわようやく慣れたら人間種PCにPKされるわたっち・みーさん来ないわ知らない人は怖いわ無理してPT組んでもすぐごめんなさいされちゃうわ課金してもクズ運だわで、一年くらい踏んだり蹴ったりな目に遭ってます。

 それでもそのまま続けていればそれなりの状態でユグドラシル終焉期を迎えられたはずですが、日々忙しくなる仕事と芳しくないプレイ状況のプレッシャーによって、その選択肢は彼女の頭の中にはありません。前世では当たり前だった、幸運だった頃の記憶もそれに拍車をかけていきます。


 結局、彼女はナザリック合流を諦めて人間種で改めてプレイすることにしましたが、それでも問題の大半は解決していません。なので、自分を高みに引っ張ってくれる誰かを欲しました。もう、自力だけでは転移後の異世界で野垂れ死ぬ未来しか見えていません。そんなことないのにね。

 けど、たっち・みーさん(王子様ポジ)はいつまでたっても来なかった。
 他の人は何考えてるかわからなくて怖い。
 残された時間も、正確には分からない。
 
 そして最後に「自分が一方的に精神的マウントを取れる、保護者と被保護者の関係だったら」と思い至り、中身がボロボロの状態で施設にたどり着いたのが前話の場面です。地球ではない何処かに道連れにすることにもなるので、彼女なりに悩んだ結論がコレでした。尚、悲惨な子どもたちの姿を見てもっと胃がボロボロになっていた模様。

 オリ主をその相手に選んだ理由は劇中で話している通り色々とありますが、実は情が深い彼女は、アバターの肉体の方が明らかに良いであろう子どもを無意識に選んでいます。つまり、二人の身体は死ぬこたーないけどそういう状態に見えていたんでしょう。実はピンピンしてるみたいですが。誰も口にしない描写してないだけで。

 先の話でオリ主に言い聞かせた転移後の予想図は、実際には自分に言い聞かせる意味合いの方が強かったりしますね。もう本当にあの世界に行けるのかすら、彼女には分かっていません。そもそも、根拠すら自分の曖昧な記憶だけですので。


 そんでもって狭い我が家に連れ帰った娘っ子二人。これが、彼女の用意できた鬼札です。吉と出るか凶と出るか、まだ関係が浅い二人の前で精一杯の意地を張りながら、彼女の最後の挑戦が始まります。



今後現実の描写はありませんのよ。そう、オリ主視点ではね



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【胎動編】
マーチャント少女(その1)


土日も仕事だからこんな時間に投下です。
相変わらずの捏造アンド捏造。

今回はあの子の心の声をお送りいたします。


 ――どうして、どうしてこうなってしまったのか。

 

 

 

 黒髪のマーチャント少女(Lv.14)は頭を抱える。事ここに至って、周囲の目など無視である。というかそんな余裕など、今の彼女には残っていない。

 

 

 今日の日中はほぼいつも通りであった。過酷な労働と微妙な上司による陰湿なセクハラ。

 そのせいで重くなった心身に鞭打ち、家路についた。道中、今日は朝からずっとユグドラシルをプレイしていたと思しき二人のために甘味でも持って帰って景気づけしてやるべきかと考えたものの、家計の先行きを思い出して諦めながら。

 

 哀しい一幕はあったものの無事帰途し、無理矢理食事とシャワーでスイッチを切り替え、いつものようにユグドラシルにログインした。数日前とは違い、布団の上に書かれた川の字の三画目になって、という状況の違いはあったが。

 

 

 

 

 

 ――問題は、その後だ。

 

 

 

 そう……昨日、最初はちょっとマズったけど、それからの自分は何一つ、間違っていなかったはずである、と。

 

 

 昨日、いきなりユグドラシルにおける、初期チュートリアル後の最速死亡時間記録(全ワールド公開・削除不可)を塗り替えさせてしまったのはちょっとした誤算ではあったが、あれはあんなことを口走った馬鹿娘の責任なのは自明の理。自分はまっとうに罰を与えただけだ。

 まだ死亡時のチュートリアルを終えていなかったばっかりに、わざわざリアルに戻ってリスポーンの手順を教えなければならなかったのは納得いかないが、怒りを飲み込みちゃんとした対応を行ったのだ。むしろ褒められるべき、そうよねと自問する。

 

 その後、ちゃーんと回収しておいてあげたドロップ品(下級の小リュート、あいつの装備で一番レア度が高かった)は返してやった。

 謹製の手投げ爆弾(そこそこ強い、ただし仕様上同士討ち(フレンドリィ・ファイア)不可避)が直撃しなかったおかげで妖精1足りないが働き、辛うじて死ななかったがその後の燃焼ダメージでやっぱり死んでしまった片割れもこれまたちゃんとケアした(終始涙声だった、ホントにあの馬鹿は碌な事しない)。

 

 

 せっかくチュートリアルで獲得したレベル(自分は作り直した2キャラ目なので無かった。やっぱここの運営はクソ)をデスペナですべてパーにしやがったのだって、街の周りの雑魚を一緒にしばき倒してなんとか戻してやった。

 なんで自分がこいつらのレベリングを行わなければならないのか、これではまるっきり逆ではないかと、怒りを通り越した虚しささえ覚えて。

 

 

 不幸中の幸いではあるが、最初だけでも精神的に優位に立つためにと、ここまでレベルを上げておいたのが功を奏した。みっちりやっておいたおかげで堂々とエバれる。

 今後避けられない戦闘は全部こいつらに押し付け、自分は援護とドロップ品の収集と応援と逃走ルートの確保に終始するつもりだったので、戦闘用の攻撃スキルなんてロクに取っていなかったが……念の為、ほんっとうに念の為にやっておいて良かったと思った。

 大量に現れるぶち色のスライム塗れになったり、小鬼(ゴブリン)共に追い込まれて一方的にアレなアレになって何度も死んだりという、リアルだったら鬼畜物の薄い本みたいな展開に頑張って耐えた甲斐もあったというもの。

 

 

 また、仮想現実とはいえ二人が敵を躊躇なく攻撃できる気質の持ち主であることも確認できた。

 

 よくいるのだ。現実と仮想の区別も付けられず、狩りゲーで小動物を仕留めることに忌避感を覚えたり、"攻撃"という行為そのものを受け付けなかったりという、精神的に脆弱でちょっと頭が足りていないような残念な奴らが。

 自分だけならまだしも、「よく平気でそんな酷いことできるわね」などと嘯いて他者のモチベーションを減退させたり、他のお花畑ゲーへ勧誘するような厄介な奴らも。

 

 

 

 その点、二人は問題なかった。なさ過ぎるほどに。

 

 あの馬鹿は直ぐに慣れて基本アクションのみで小鬼にフェイントをかけたりおちょくるような、ちょっとヤバイ楽しさに目覚めていた。

 MOB相手に何無駄なことやってるんだと注意はしたが、仕舞いには当たり判定がどうなっているのか、わざと相手に攻撃をふらせ、それを躱したり躱さなかったりし始めたり。

 

 もう一人だって、剣による斬撃が通りにくいスライムを次々と飛沫にする光景は、なんとも形容しがたいものがあった。

 転ばせた小鬼の頭にハンマーを振り下ろして叩き潰したときなど、「おー」と感嘆の声を漏らしていた気がする。出血や脳漿が溢れるゴア表現まで忠実に再現するシステムだったらと思うと、ちょっぴり酸っぱいものがこみ上げてくる錯覚を覚える。

 

 

 まあ、二人だけでも無理さえしなければ問題なく狩りができるレベルになったことを確認しひとまずそれで安心して、昨日は三人揃ってログアウトした。

 

 自分が明日も早かった故に。

 

 

 

 

 

 

 ――そして、朝起きて仕事に行く前にチュートリアルを一通り終えておくことと、レベル上げと回復アイテム稼ぎを兼ねた初級クエストをひたすら回すように二人には伝えた。そう、間違いなく。

 

 

 

 

 

 自分のPCと違い、二人には素直に戦闘系の職業レベルを上げるように指導した上での話である。

 この二人の技量にもよるが、自分の時とは違ってはじめての仮想空間であれだけまともに動けていたのだし、新規プレイヤーへの恩恵である経験値ブースト効果適用中(やっぱり自分には無かった)でもあることだし、レベルで言うなら自分に迫るか、うまくいけば並ぶくらいは……と内心期待していた。

 

 

 

そもそも、だ。

 

 確か戦士職はリアルでの運動神経が、魔法職は膨大な魔法の名前と効力を覚える記憶力がそれぞれ戦闘におけるキーになっていた、と記憶している。

 

 仮想空間でのゲームプレイングどころか、ネットそのものがはじめての二人に、そんなものがあるのだろうか。

 

 迂闊であった。

 しかも、今の今までまともに運動の経験など皆無であったであろう劣悪な環境。記憶力はともかく、運動能力なぞ期待はできるべくもない。(もっとも、これは富裕層の奴ら以外軒並み似たようなものだが)

 

 なので二人の動きを実際に見させてもらった後、少しでも運動性能に見込みがありそうな方を戦士系(にくかべ)に、もう一方を魔法系の職業クラスへと進ませる腹づもりであった。

 

 

 

 ……そうであった、はずなのだが。

 

 自分と違い、あの二人は普通の人間種とはならなかった。

 

 

 

 まず、あのリアルとユグドラシル(こっち)、どちらでも目がおぼつかない少女。

 

 あの子が引き当てたアバターの種族は《白ドワーフ》。

 

 テキストによれば、『外見はほぼ通常の人間種に準じ、総じて寿命が短く、一定の年齢に達すると老化が極端に鈍化する』という、一風変わった設定のドワーフの系譜。

 通常のドワーフと同様に鍛冶職全般に適正を持っており、攻撃/鍛冶両方に使える便利なハンマーまで持っていたので、(あまり重要な要素ではないとはいえ)今後の装備の維持費削減が見込める上では有望なPCとなっていた。

 

 弱点といえば、普通のドワーフとは違って、火・地属性耐性がそれほど高くはなかった、というところだろうか。(あっという間に焼死したのもたぶんそのせい)

 ドワーフという名前がついているだけの別物と捉えた方が良いのだろう。

 

 魔法職のレベリングをとも思ったが、せっかく良さげな獲物を持ってるんだし――と、一先ず戦士職のレベルから伸ばす方針を定めた。

 

 

 

 

 そして……あの馬鹿が手に入れたアバターの種族グラスランナー。

 

 

 グラスランナーはその特性からして前衛職向き、であるはずである。多分、きっと、めいびー。

 

 少なくともこれまでに自分は一度も見たことがなかったので、そこそこ珍しい種族ではあるはず。

 

 関連する育成記録をWikiで探ってみたが、結果はなぜか芳しいとは言えなかった。

 スクショや初期ステの情報はいくつかあれど、それ以上は見つからなかったのである。

 

 

 とりあえず初期ステータス数値とスキルと実際の動きから素直に判断し、速度と魔法防御に特化した物理火力タイプではあるようだった。

 物理攻撃力は数値上、(他の人間職と比較して)幾分か弱いようなので一撃の威力が控えめ。その代わりに黒光りする人類種の宿敵を彷彿とさせるように動きが素早いので、威力を手数でカバーする戦闘スタイルでいかせるべきか。

 

 

 

 そういえば、とユグドラシルにおける『速度』のステータス項目についての記憶をほじくり出す。

 

 

 他の物理攻撃力などと違って、『速度』の高い数値を活かすには大なり小なりプレイヤー側の資質が問われてくる。

 

 『常人の三倍速く動ける手足』をただ手に入れただけで、人は三倍の速度でちゃんと動くことができるか? と問われれば――それは、普通の人間にとってかなり難易度の高い所業なのだそうで。

 ある程度脳内ナノマシーンで補正しているとは言え、人間の思考速度はどうあがいても『人間』の枠を超えることはできないから、らしいが。

 

 オーバーロード原作のシャルティアをイメージすれば分かりやすいか。

 彼女がいとも簡単にやってのけた、居合斬りを相手側からつまんで止めるというあの防御行動は、今のユグドラシルのPCでは自動発動するガードスキルでも無い限りは無理だ、多分。

 高速で移動する刀の切っ先を見て(あるいは感知して)、どうやって手指を動かすのか、という一連の思考速度が絶対に足りないからである。

 

 ユグドラシルを始めとする、仮想現実を構築するサーバーの処理速度が明確に定められていたり、脳内ナノマシーンの濃度によっては仮想世界から強制排出される理由はそこにあるとされている。

 

 人の思考の媒体たる脳ミソなり神経の生体組織の処理速度と、仮想の肉体を構成するサーバーの処理速度との同期がとれなくなってしまえば――最悪、待っているのは物言わぬ肉の塊になるか、植物人間になるか、はたまた電子体幽霊(ワイアード・ゴースト)という仮想世界でしか生きられないオカルト的存在になるか。いずれにせよ碌でもない結果になるであろう、と一般的には言われている。それこそ――この世界そのものが仮想世界でも無い限りは。

 

 

 

 まあ小難しいことだが、要するに、だ。

 グラスランナーたる彼女はステータス上の数値も確かに優れているが、さらにそれに磨きをかけているのは彼女本来の資質(主に運動神経と反射神経)である、ということだ。憎たらしいことに。

 

 

 だが、ここで問題となりちょっと……いや、かなり頭を捻るものとなる要素があった。

 

 

 種族的デメリットである。

 

 え? 人間種なのにと思うところなのだが、グラスランナーが装備可能な武器・防具は軽量・小型のものに限定されており、従ってどうにも火力・守備力不足感が否めないのだ。

 それに加え、そのお子ちゃま体型故か物理防御力は紙な上、種族固定の負のパッシブスキル :[デュラビリティ(よろめきにくさ) マイナス補正(大)] が痛すぎる。

 

 試しに一旦PTを解除してただのサッカーボールキック(非攻撃スキル、要はただの蹴りモーション)を何度か叩き込んでみたが、その度にノックバックするどころかかなりいい放物線を描きながら吹っ飛び目を回(スタン)していた。

 レベル差がそこそこあったとはいえ、非戦闘職の一撃でこの体たらくでは先が思いやられる。

 

 やはり否が応でも防御力の低さが目立つ。

 この世界はまだ(・・)ゲームなので、システムの仕様上どうしても躱せない攻撃がある。それにはどう対応させるべきなのか。

 あの娘の動きを阻害しない、アクセサリーなどで補完してやりたいところだが、当面の間はまずは武器の方を充実させて狩り効率を優先せざるをえない。

 

 ならば彼女を魔法職に……と考えたが、グラスランナーには主だった攻撃系魔法職の基本職に適正が軒並みないときている。MPが初期値ゼロなので案の定、物理一辺倒の種族のようだ。

 

 

 

 他にも理由はあるが、時間さえあったなら、別のアバターで作り直させていたであろう性能だった。こちらが求めているものと、今ひとつ噛み合わないので。

 

 

(こんなことなら、使えそうな子どもを引き取る決断を、さっさとしておけば……)

 

 後悔先に立たずとはこのことか、とため息を吐く。

 

 

 

 あと困ったことと言えば、あの馬鹿には脳内に理想とするスタイルがあるのか、二刀流にして戦うと唐突に言い出したことだろうか?

 

 ……冗談ではない。

 

 確かに将来的には視野に入る選択肢の一つかもしれないが、いくらなんでも時期尚早過ぎる。

 武器が二倍で火力も二倍かもしれないが、それに加えて消耗速度も二倍、維持費も二倍。消耗も考えると潰されるアイテム枠も二倍かそれ以上。こんな序盤でそんなのやってられない。

 

 しかも、片手武器ですら装備重量の関係で一々攻撃する度に振り回されている始末。

 私に言わせれば(大した経験もないが)まずは両手持ちでもいいからまともに剣が振れるようになってからでないとお話にならない。

 

 

 なんとか、「君はまず、日本一のグラスランナーになりなさい。それからでも遅くない。それに未熟者が一流のカタチだけを真似て何になる」と懇切丁寧に説教して思い留まってくれたので助かったが。思惑通り、パーティでのイニシアチブは確保できているようだ。

 日本一のグラスランナーとは? と問われたが、そこは煙に巻いて誤魔化した。そんなもの知ったこっちゃない。たまねぎ戦士でも目指せば? と思う。

 

 

 

 ……一抹の不安は、自分の目にはどう見たって前衛職向きとは言えなかったことである。

 これはゲームの数値上という話ではなく、現実的にあの体型で武器戦闘がモノホンの強者に通じるものなのか、という点で。

 

 

 何しろ、自分たちがいずれ立ち向かう可能性を考慮せねばならないのは、真正の化物共(ナザリックの面々)である。

 

 

 あの二人には諸事情を内緒にしたまま、将来転移した時のことを考えたビルドを組まさなければならないとなると、このリーチの無さは如何ともし難いのではないか。

 

 いや、あの世界がユグドラシルを元とした世界なら、ステータスこそが正義であるはず。その他の要素など些末。

 いやいや、でも軽過ぎる体重はどうなの? 普通に考えれば重いほうが何かと有利であろう、と自問自答を繰り返す。

 

 

 

 無論、自分には彼らと争う気なんて毛頭ない。

 

 

 あの世界で、この世界に生まれてから今までの不幸を鼻で笑ってやれるくらいの生活を望むだけである。そのためになら、土下座した上で相手の靴くらい、心底嫌ではあるが舐めてみせよう。自分たちを脅かす敵が攻めて来るなら、後腐れなく徹底的に殲滅だってしてやる。

 

 ただ、人間種パーティー(自分たち)に対して身も心も異形種へと変貌したモモンガや、あふれる忠誠心で彼に従いつつもあれこれいらんことをしまくるNPC達がどう動くのか、本当に予想がつかない。

 彼らにとって邪魔だと判断されれば一巻の終わりである。こちとら三人よ? 三人で勝てるわけないでしょ、と。

 

 

 そもそも、転移するのが原作の時期ではなく、もっと殺伐とした時代・土地であったら?

 

 たしかあの物語の以前の時代に、神か悪魔かみたいな名前でユグドラシルプレイヤーがやってきていた、みたいなことがあった気もする。

 私達があの世界にたどり着けたとして、その土地で既に極悪外道な性質のプレイヤー様が幅を効かせていて、自分たちをどうこうしようとしたらどうなるのか。 

 

 

 

 

 ――思考が逸れてしまった。今後のあの二人の育成プランに戻す。

 

 自分としては、今後色々と捗るのでどちらかが魔法詠唱者系統のスキルを修められたらとも思っていたが、今となっては流石にそれは高望みだろうと思い直した。

 計画が滞り無く進むのが理想だが、万事塞翁が馬とはいかない。ある程度の妥協は必要であろう。

 

 むしろ限られたあの時間内、あの外装で戦闘向きのアバターを取得できただけでもかなりの僥倖であり、それを為したあの時・あの二人のリアルラックは相当のものだった。何日も何日も散々粘って、ようやくまともな容姿の人間種を引き当てた自分とは偉い違いである。

 

 

 そうなると攻撃か回復か、それなりの魔法系リソースを自分が……とも思ったが、正直勘弁してほしい。ただでさえレベルに余裕が無く、記憶力にも自信がないというのに。

 ああ、どうしてままならないのだろう。自分は闘争を求めているわけでもないのに。

 

 

 

 ……いけないいけない、気が逸っている。

 いずれにしろ、今は順当に彼女たちの戦士職レベルを上げさせるしかない、とその場凌ぎながら妥当な結論に落ち着いた。

 

 

 

 

 

 § § § § §

 

 

 

 

 

 ……と、いうのが昨日の話である。

 

 今日はまず、日中の二人の戦果を確認し、然る後に不本意にも下がってしまった自分のカルマ値を立て直すべく、いくつかクエストをこなす予定でいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それが

 

 

 

 なぜ

 

 

 

 どうして

 

 

 

 どういう経緯で

 

 

 

 待ち合わせ場所に指定しておいた、この酒場で

 

 

 

 今朝よりレベルが下がった状態で

 

 

 

 結構な人数のPCに囲まれながら――

 

 

 

 

 

「いえ~い♪」「……いぇーい」

 

 

「「「「「いええええええええええい!!!」」」」」

 

 

「お次は――これ! 『トリプルエール』!」「えーるー……」

 

 

「「「「「Foooooooooooooo!!!」」」」」

 

 

 

 

「…………」

 

 のんきに、プチライブなんぞ催しているのか。

 二人揃って、全装備解除状態(すっぽんぽん)(18禁にならないレベルの下着姿だ)になってまで。

 

 

 

「♪~ んあっ! スマンお前ら。俺らのPTリーダー来たわ。今日はお開きね!」

 

「えー!!!」「しゃーなし」「むほっ、結構カワユス」「アンコールゥ! アンコールゥ!」

 

 

「また今度やるから、暇だったら是非来て一緒に歌ってね♪」「……来て、ね」

 

「「「「「Yes, Sir!!!」」」」」

 

 

 

 入り口で呆然と佇む自分に気づいたのが、やたらはしゃいだ様子の馬鹿が駆け寄ってくる。やめろ、こっちくんな。しっしっ! と脳内電波を送るも、生憎《メッセージ》は未習得である。

 

 

「いいなここ! いくら歌ったり踊ったりしてもロハで隣の部屋から壁ドンもねーし! おひねりも! ほら見てみ!」

 

「……すごい一杯くれた」

 

 

 

 そう言いながら今日の成果物らしき品々をインベントリに収めず、わざわざ両手に抱えて見せてくる二人である。

 

 

 

 くらくらする視界を抑えながら、眼の前の馬鹿のステータスを確認する。

 

 レベル……さ、3? 昨日確かに5まで上げたはずなのに、なんでレベルダウン!? と混乱が収まらない。

 内訳は……歌手(シンガー)と、踊り子(ダンサー)、それに楽士(?)のレベルがそれぞれ1。 ファイターのレベルが0になってるの、ねぇなんで?

 それにいくらなんでも、普通のプレイヤーはユグドラシル(ここ)をカラオケボックス代わりになんてしねーから! ちゃんとそれ用の仮想現実でやるから!

 

 んで、片割れ。案の定、こっちもファイターのレベルが0。

 楽士のレベルが2? 演奏、気に入ったの? 楽器も作りたい? あらそう――て、違う違う!

 

 

 

「あの、ねえ………アンタら――っ!?」

 

 

 

 これは拷問だ、とにかく拷問にかけようと考え――だがちょっと待てよと、ちらりと周囲を見れば、そこには微笑みエモーションをこちらに投げかけるオーディエンス。

 

 これはあれだ。

 完全に彼女たちの中の人が本当に年端もいかない少女たちであることはもちろん、自分たちがエンジョイ勢であるとも勘違いされてしまっている。(前者は本当だが)

 

 

 ある程度ゲームに関する知識があるまともな初心者ならば、経験値ブーストが効いているうちに少しでも効率的なレベリングを行う。当然だ。誰だってそーする。自分もそーする。

 

 それが、こんな低レベルで戦士職の育成をほっぽりだし、昼間から駆け出しの街の酒場で歌い、踊り、楽しそうにただ騒いでいるような連中である。

 

 ちょっと待っててと言いながら掲示板を開くと、案の定先程のプチライブは微笑ましくもしょぼいニュースの一つとして取り上げられていた。

 

 

 この手の記事は通常の攻略情報ほどプレイヤーの注目を集めることはまずない。……だが、確実に興味本位で一定の暇人は見る。

 

 つまり、エンジョイ勢と認識された自分たちは、今後生粋のガチ勢と絡みづらくなる = 上位のクエストやアイテムに絡む機会が減る、ということでもあり……

 

 

「あ、あ、あ、あ……」

 

 

 また何処かのダンジョンでこいつら爆殺してやろうかと、インベントリの爆弾の残量を確認しようとした瞬間にまたしても気づく。この短期間に二度目はよろしくない、大変よろしくない、と。

 すでにファーストデッドの原因が、自分による爆殺であることは大々的に開示されているのだ。

 一度だけなら「事故だよ事故」でなんとか誤魔化せなくもない範疇だが、二人で一回ずつなので次やったら都合三度目。それは偶然ではなく必然と見做されることだろう。

 

 

 

 そして、考えてみると良い。

 

 

 これだけ楽しそうにアイドル染みたことをやっていた、ドリームビルダーを志す初心者プレイヤーが、翌日にはそれ系のレベルを消失させて、黙々と(しかも一方は死んだ目をしながら)MOB狩りを行っている光景に遭遇したら。

 

 この場にそれなりのお祭り騒ぎが好きなやつが混じっていたら、面白半分に彼女たちの笑顔を奪った犯人探しを始め、そしてその第一容疑者は今現にこうやって成果を自慢されている = 指導/保護者ポジの自分だ。

 もうスクショもたっぷり撮られていることだろう。あの時自分がすべきだったことは、ただ頭を抱えることではなく、直ぐにこの場から逃げ出すことだったのに。全てが一手遅かった。

 

 

 夢いっぱい、元気いっぱいのお子ちゃまプレイヤーたち(♀)の未来をプチっとつまんだ害悪存在として、自分のアバターの顔と名前が掲示板(晒し台)で晒し者にされている光景が目に浮かぶ。

 

 そうなれば姫プレイどころか、通常のアイテム取引すら避けられる。こいつらに小判鮫することすら邪魔されるに違いない。

 

 

 駄目だ。もうこいつらの自由にさせるしかない。少なくとも、こいつらに戦闘職だけを強要することだけは、できなくなってしまった。

 

 火力が……ただでさえ見通しが立っていなかった火力が、ぐぐーん↓と落ち込んでいくグラフの幻想が見える……

 

 

 

 

「う、うわあああああああああああああああああああん!!!!」

 

 

 

 

 そこには『?』を頭上に浮かべる二人の前で、ありったけの狂声とエモーションを暴走させる一人の黒髪のマーチャント少女(Lv.14)の姿があった。

 

 

 

 

 




■歌って踊れる系オリ主(Lv.3)
・元は一人カラオケが趣味
・吟遊詩人って感じじゃなかったのでとりま歌手
・下はズロース
・いつかやりたい小太刀二刀流


■ハンマーをなくした白ドワーフ娘(Lv.2)
・きもちよかった(ハンマーぶんぶん)
・きもちよかった(歌って騒いで)
・上はスポブラ
・ピアノが上手


■悩めし商人娘(Lv.14)
・ロリに躊躇なくサッカーボールキックをかませる女
・ITスキルは低い
・上下おそろい
・あ が け



▼ レベル周りはよく分からなかったので適当。キャラメイク時というか、職なしLv.0とか職業についただけなのはLv.0みたいなの捏造した感じになってます。どうしても消えないLv.1分が邪魔だった(勘弁してください、何でもは(ry)

▼ 二人の育成方針については大分端折ってます。とりあえず、色々な事情で最初は近接物理職でいこうみたいな方針になってた程度の認識でスルーしてください、お願いします(勘弁(ry)


色々考えて動いてはいるけど、当面の間は苦労性なままの娘の話。
その割に結構当たり前なことも知らなかったりする。
前世の価値観が割とオリ主と通じることにさえも気が付かない。


そんな彼女が輝ける日は、遠い。



※追記 ミュージカル・パフォーマー → 楽士 に変更しますた。


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2日目 俺達の冒険は明日から始まる

ネタが尽きてきたので控えめ。
まあ(引き出し無いのに続けるなら)そうなるわなって。


 マ、ママ上(14歳)ぇー!!!(笑)

 

 

 なぜか酒場に着くなり絶叫し、白目を向いて口から魂オブジェクトを漂わせ始めた我らが保護者様(14)。

 

 そ、そんな……典型的なFXで有り金全部溶かす人の顔をしながらわざわざ魂ゲロるなんて七面倒臭いこと……流石だな、堂に入ったRPだと恐れ入る。

 

 これには我輩もエンターテイナーの端くれとして便乗せざるを得ない。涙目エモーションを展開し、魂オブジェクトをむんずと掴んで口のあたりにぐいぐい押し込める。

 その光景を見て何を勘違いしたのか、下着姿の死んだ目をした少女はミルクで魂を臓腑へ無理矢理流しこもうとしている(堕天使かな?)。

 

 それを見ていた長身痩躯で耳がとがっているナイトが「ジュースをおごってやろう」と気の利いた言葉をかけてくれたので、「9本でいい」と謙虚に返す俺氏。控えめに一人頭3本換算である。

 

 都合5本のジュースを消費したマーチャント様が、「ねえ……せっかくの仮想世界なんだし、どっかの崖で紐なしバンジーしたくない? 楽しいらしいわよ、死んじゃうけど」だとか、「クエストガイドの可愛い女の子に何故か渋い顔されるけど、初心者向けのオススメクエストでゴブリンのすくつ(死語)へNPC救助しに行くってのがあるんだけど、興味ない?」だとか、「今の体どう? どうしてもって言うならキャラデリしてもいいのよ? 特典は惜しいけどこの際アタシも付き合うし」などと、この世界に不慣れな自分たちを慮ったかのような台詞をボソボソと口にしている。

 

 

 そこまで俺たちのことを……ありがてぇ……ありがてぇ……だがしかし――!

 

 

 おうおうおうねーちゃんよ、俺たちの冒険はまだ始まったばっかりなのだ。無駄なリスタートをするには時期尚早というものなのよね。

 まだゲームの全容どころか基本プレイの方向性すら掴んでいない初心者の身では、このままゲームを攻略するのと大して変わりゃしねーと思うのよ。

 

 それに、どうせまた女性のアバターにさせられるやん。……どうせなら最カワなおにゃのこでありたいのよ。せやろ?

 

 次のキャラメイクで外装を自分で好きに出来るとしても、今のようなそこそこ見栄えのいい外見で作れるかというと……正直センス的に全くもって自信が無い俺氏としては遠慮させていただきたいのでごぜーます。というか、メンドイ。嫌。

 

 

 ああそうだ。次のキャラ云々以前に、俺らに今日あったことの報告がまだじゃねーか。よっしゃ聞けリーダー! 腰を据えて耳の穴かっぽじってよく聞け!

 

 話を聞きたくなさそうに耳を抑える娘の手をぐくいっと押し開く。ふはははは無駄無駄ァッ! これでも俺は元社会人として、ホントに自分が原因のトラブルが発生した時以外、何かあった時の責任逃れをするためにホウレンソウはきちっとやるタイプなのだ! ちょいとそこのニューウェーブエンターテイナーさん、そっち側の手抑えといて。あと話の補足頼んます。

 

 

 

 

 あれはそう……今朝俺らが指示された通り、街の周りの粘体生物を追いかけ回し粗方駆逐し終え、更なる血と経験値と薬草を求め、ちょっとばかし遠出した時の話である。

 

 

 

 

 

 

 § § § § §

 

 

 

 

 

 

 んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

 この仮想現実しゅんごいのおおおおおおおおおおおおおおおッ!!

 

 

 

 

 ……ふぅ(恍惚)。と、いうわけで仮想現実生活二日目である。

 

 

 やっぱすげーわー かそうげんじつって すげーわー。

 

 

 (今の)リアルボディと違って普通に動けるし、何百メートル走っても息一つ切らさないのはまさに仮想現実様々……ちょっと風景がぼやけていたり感覚が鈍かったりするが、そこはご愛嬌。

 

 前世より格段に下がってしまった目線が多少新鮮……だがそれと差し引いてもこの五体満足な感覚は実に素晴らしい。俺嬉しくってついつい伸身ムーンサルトとかしちゃう! ヒャッハーぐへっ!

 

 

 ぐぬぬ……顔面から墜落した俺に好機と見たのかゴブリン共が集団レ○プしようと駆け寄ってくる。リアルだったら俺の貞操(鉄壁)は、もはや風前の灯火というシーンである。

 だが問題ない。昨日の開幕あぼーんにはちょっと心が折れかけたが、その後のレベリングの甲斐あって、もうここら辺りのモンスター共は俺らの敵ではないのだ。

 出会って3秒で(剣を)挿入して即昇天……この繰り返しで充分こなせるルーチンと化している。

 

 攻撃は今でも当たるとやっぱ痛いが、専らスロウリィな物理攻撃しかしてこない奴らばっかなので、「当たらなければどうということはない」という究極のコンプレックス複合体の名言通り、ここまで無事ノーダメージである。

 

 

 更に我がアバターの種族特性により、薬草探しとか良さげな木材集めとかはお任せである。

 なんかこう、なんでもない野原とか木々とか眺めるとぼんやり光るオブジェクトがあるので、適当にそれらを漁ると割といい感じの素材が生息していたりするのだ。

 

 尚、今日の俺のお気に入りはカブトムシである。たまに木にひっついているこいつらは探さずにはいられない。

 男ならみんなカブトムシ、好きくない(偏見)? 個人的にライダーは片刃短剣二刀流カッコヨスなクワガタの方が好みだったりするが……ああ、でもやっぱカブトムシもいいもの。グラスランサー、嘘つかない。あの独特の匂いもユグドラシルだと気にならないというか皆無だしな!

 

 

 

 ゴブリンと違って剣のダメージ効率がイマイチなスライム系は、頼れる我が死んだ目をした相棒にお任せである。

 餅つきの如くスライムの核をぺったんぺったん的確に潰す彼女にかかれば、頭上からのぺーと押し潰されない限り(あぶなかった)、粘体生物など恐るるに足りない。

 

 ちょっとひねくれたRPGのように、片っ端から武器を溶かしてきたり物理攻撃を全く受け付けなかったり、ムダに大きい当たり判定でタゲとられたり、ノータイムで復活しちゃったりするような、極めていやらしいタイプのスライムが居なくて良かったと思う。いやー、やっぱスライムは雑魚なのはお決まりだよなーそうだよなーうへへへへへへげほっげほっ。

 

 

 

 まあそんな感じで、二人して調子に乗りまくり、薬草採取のクエストと並行してレベリングを行っていた時のことだ。

 早速必要量を確保した経験値を消費し、(14)に指定された通りファイターのレベルを上げ、より効率の上がるレベリングにご満悦の俺は鼻歌を歌いながら木立の中を散策していた。

 普通に考えたら獲物はこういった込み入った地形の方に潜んでるものだしーという、専ら狩猟民族的思考回路に従って。

 

 ひらひらと俺の目の前にかわいらしい蝶々までとんで……なんか変な蝶ですなこれ、毒々しく光っとるし。

 

 

 

 

 

 ――そこで俺の耳に「ぎゅーん、ぼーん、びたーん」という三拍子が響いたわけです、はい。

 

 

 

 

 何奴ッ!? と俺が背後を振り返ると、そこにはいい感じのウェルダンに焼き上がって倒れ伏すハンマー娘の姿が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……そして気がついた時、俺は街のリスポーン地点でムカつく顔のタウンガイドに説教されていた。

 

 

 曰く、「おお、わかきグラスランナーよ! しんでしまうとはなさけない!」とのことだが、え? 死んだの? うっそーん……。

 

 ああ、ホントにレベルがガタ落ちしとるしローブとブーツがどっかいっとる……ダガーとチェニックに素足というなんとも微妙な格好になっていて、足の裏ゾワゾワして落ち着かない。

 

 

 隣を見れば、石畳の上で体育座りをしている目の死んだハンマー少……娘っ子よ、さっきまで振り回していたハンマーどこやったん?

 

 涙声のまま語る彼女の話だと、「俺の後頭部を眺めながら歩いていたら、突然致死レベルのダメージ数値が表示されて体が動かなくなり、そのまま地面にキスしたと思ったら俺と同じく街のリスポーン地点でガイドに説教されていた」のだという。

 ファーストキスが地球(?)とか、壮大なのか悲劇なのか判断に困るところだ。

 

 

 よくわからないが、兎にも角にも事件現場に戻ろうという話になった。今は落としたアイテムの行方が気になってしょうがない。

 

 俺は足裏に振れる土肌の鈍い感覚が落ち着かないし、愛用し始めていた武器を無くした相棒はそれどころではない。早急な精神安定が求められる。

 

 せっかく貯まり始めた活動資金を削るのは貧乏性的に辛いものがあるが、流石にモンクタイプでもマジシャンタイプでもないのに非武装で街の外には踏み出せない。

 初心者用の武器屋NPCからとりあえず《こんぼう》なる安価な殴打武器を買い求め、どこか哀しい目になった相棒に手渡す。スマン、今はこれが精一杯。

 

 

 

 

 意気揚々と街の正門からさっきと同じルートを辿るように木立へと向かう。

 今度はPTの並び順を、①こんぼう娘 ②俺 に変更して。

 

 無論、俺たちの本来の目的に沿って遭遇した魔物はなるべく仕留めていきながらの道中なのだが……案の定ここにきて5レベルのダウンはキツイものがあるね。当然のことながら、キル効率が目に見えて落ちてしまっている。

 

 

 やっぱ先達は偉大であるものだな、と昨日得意げにモンスターを痛めつけていた商人娘(Lv.14)の姿を思い浮かべる。

 「ああもうめんどうねー」だとか、「しょうがないわねー」などと呟きながらの騒がしいレベリングだったが、彼女がその言葉とは裏腹に結構嬉しそうにしていたような……まあ気のせいだな(確信)。

 

 

 今夜彼女と落ち合うまでに、失ったレベルを取り戻せるだろうか? と考えながら、確かこのあたりと検討をつけて木々に立ち入る。

 

 しばし探索を進めると、少し先にポツンと落っこちている俺たちの装備が見えた。おお! 良かったー! 助かったー! 気のせいかもしれんが、ハンマーがなぜかピカピカ光って見えるぜ!

 

 これで怒られないで済むなと俺が考えると同時、死んだ目を輝かせながらハンマーに向かって駆け出すこんぼう娘。やったね! ハンマーが戻るよ! 《こんぼう》には悪いけど!

 

 嬉しそうにハンマーに頬ずりする娘を見ながら、とりあえず履物をと手前に落ちていたブーツに手を伸ばす。

 

 そこで何故か何処からともなく飛んできたバッタが眼の前を横切り――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……気がついた時、俺は街のリスポーン地点でかぼちゃパンツを披露しつつ、ムカつく顔のタウンガイドに再び説教されていた。

 

 先程と全く同じ台詞を吐かれる。ひょっとしてこれから先、ここらへんでデッドする度にこのイラッとする台詞を聞かなければならないのだろうか? それは流石にちょっと勘弁。

 

 早めにリスポーン地点の変更か、もしくは追加が望まれるところである。

 今夜早速ギルドの結成を我らがPTリーダーに具申するとしよう。確かギルドの拠点からリスポーンできたはずだしね。

 

 

 それはそれとして、再びの謎デッドである。

 うーむ、思い出せる範囲だと、ブーツに手を触れるか触れないかってタイミングで何故か突然俺の眼の前が真っ暗になり、HPバーがすっからかんになったのは確かなんだが。

 

 程なく俺の隣にリスポーンする下着姿の娘。ああ、今回は死んだ順番が逆だったのね。

 呆然とする我が相棒は心配だが、さてどうしましょうかね。

 

 

 

 § § §

 

 

 

 とりま落ち着ける場所で考えるべきだなという結論に至り、ぐしぐしと泣きべそをかきながら「《インパクト》ぉ……」「《こんぼう》ぅ……」と、自身がこれまで使ってきた武器の名前を呼び続ける少女の手を引いて歩く。……あの、お嬢さん? 君は打撃武器なら何でも良いのか?

 

 まあなけなしの金で買った《こんぼう》まで失って意気消沈するのは分からないでもないね。俺も防具も武器も失った身なので。

 あまりにも風通しが良い恰好なので、気持ちいいこともないが想像以上に心許ないのよ。風なんて吹かないけど。

 

 

 代替品を買って再びあの木立にチャレンジ……と行きたいところだが、流石に全装備ロスト分の買い戻しとなると懐具合が今ひとつである。

 商人娘の話だと、ユグドラシルはモンスターから得られる金銭は比較的多いゲームとのことだが、現状足りていないのでしょうがない。無い袖は振れない、これは摂理である。

 何より、デッドした理由を突き止めないと先程の二の舞に終わる。それはあまりにも勿体無い。

 

 

 

 だがこうして歩いているだけで通りすがりのPC共がじろじろとこちら眺めてくるのは気になるのよね。まー確かに下着姿で少女二人トボトボと手を繋いで歩いてたらガン見するよな。男なら……ん? 女も? いやん。

 

 とりあえず人目を避ける為にPTの集合場所に指定されていた、酒場のカウンターに腰を下ろす。童女で痴女の街中練り歩きとか……そんなの自分の方がお金を払ってでも拝みたいくらいなので、他のPCの目にただ晒すにはもったいなさすぎる。ヘイマスター! 俺下戸だからミルク二つちょーだい!

 

 カウンターを滑りながら届けられた液体を口に運ぶ。「このミルク、味しねーな」とか考えながら微妙なバフがかかるのを確認し、隣のすっぴん娘の肩を叩いて慰める。まあ気分だ気分。

 

 

 

 

 しかし、ただフィールドを歩いているだけで死んで装備していたアイテムとレベルあぼーんとかひどいクソゲーである。

 運営だけではなく、肝心のゲームの中身までバグまみれとか、本当にこのゲームって巷で大人気なんだろうか? 疑わしいにも程がある。

 

 

 

 ふっ……だが問題ない。俺はこういうときに取るべき手段はちゃんと心得ているのである。

 

 というわけでっと……あったあった、これこれ。

 

 

 ――もしもしポリスメン? え、違う? あ、スマソ、間違えました。

 

 ちょいとGMさんGMさん。ウチら、さっきから二度も何もしてないのに死んじゃったんですけどー、ちょっとこのゲームバグってんよー、とメニューから呼び出したGMコールでバグ報告を行う。

 ただ漫然と提供されるゲームで遊ぶだけの俺ではない。昨今のオンラインゲームにおいて、総じてプレイヤー = デバッガー扱いなのはもはや常識。

 

 よしよし程なく回答が帰って――は? 「何も問題は無い? 全て仕様上の動きです」だとぅ!? にゃんですとぉー!?

 

 そんなはずはにぃ、ちゃんと確かめてくれと再三コールするが、その度に「仕様上の動きです」の一点張り。流石の俺氏もこれには憤慨(割とよくある)。

 

 ほんとクソゲーだな、と反応しなくなったGMコールに舌打ちしながらメニューを閉じる。隣には死んだ涙目でオロオロするPTメンバー。スマン、あてが外れちまったい。

 

 

 

 ぐぬぬ……これでは今後おちおちレベル上げするのもままならない。

 街から出る度に1デッドして装備全ロストとか割に合わなさ過ぎる。間に合わせで購入する武器代を溝に捨てるようなものではないか。

 

 

 仕方ないので、対策はユグドラシルのプレイに一日の長があるアヤツに縋ろうとレベリングを一旦放棄する。14までレベルをあげられる位なのだ。似たような経験はしているだろう。

 それに昨日は何も無かったし、何か伝え忘れていた注意点があったのかもしれん。

 

 とは言え、彼女が帰宅してログインするまで結構な時間残っている。はてさて、どうしたものか。

 レベリングをしていたはずが武器防具全部なくしてレベル1になってましたとか、ぜってー怒られるだろうなー、あ゛ー……気が滅入るわー……嫌だなー……。

 

 

 レベリングはできなくとも、時間を無駄にはできない。というわけで俺氏、おもむろに残っているアイテムを出してその辺に並べてみる。

 何は無くとも現状把握をせねば、何事もはじまらない。何が出来るかも分からぬのだ。勝負するにも手札を知らない、ではお話にならないので。

 

 それを見た隣のお嬢さんもぐしぐしと湿った音をたてながら後に続く。まあ少しでも彼女の気が紛れるならそれもよろしいでしょう。

 

 

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【 俺 】

 

 1.そぼくなリュート

 2.おかね

 3.やくそう

 4.やくそう

 5.やくそう

 6.やくそう

 7.カテーナ木材

 8.アリフレビートル

 

 

【 デッドアイズ・ホワイト・ドワーフ 】

 

 1.おかね

 2.やくそう

 3.やくそう

 4.はちみつ

 5.おいしいはちみつ

 6.スライムゼリー(低級)

 

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 むおっ、はちみつ!? いつの間に? 何処でげっちゅしたん!?

 なんとなく地面を掘ったらでてきた? ほへー、地面はあんま見てなかったから気づかんかった。よっしゃ今度真似しよ。

 

 んあ? リュート? 狩りには不要な気がしたので装備から外していたおかげで、唯一装備品の中で全ロストの被害を免れたラッキーなやつである。ポロロンボロロン。おー、ちゃんと音でるんだこれ。

 

 

 まあ案の定、役立つものは無さそうである。

 薬草の数は納品の規定数にギリギリ足りそうだが、それで得られるものはしょぼいポーション数個とちょびっとのお金。今回の損害を補填するにはまるで足りていないし、他の素材系アイテムは今の俺らが持ってても大した価値は無い。というか、多分本当に価値はあんまり無いよね、最序盤だし。

 

 

 

 打つ手なしかーと諦めかけた俺氏――その脳裏に浮かぶ、義母(14歳)の言葉。

 

 

 

 

 ――いい!? ちゃんと周りのロリコンどもに媚び倒してガッツリ稼ぐのよ! そのために雇ったようなもんなんだから!

 

 

そうよ、乞食プレイがあったじゃない。

 

 武器どころか靴下さえ無い有様なので、流石にどっかのパーティーに混ぜてもらう姫プレイの類は色々な問題から避けておいたほうが無難そうだが、プライドさえ捨てられるなら乞食プレイいけるんじゃね?

 

 下着姿のメスガキ二匹で適度に減らしたHPバーをアピールしつつ、その辺の心の弱そうなPC共に片っ端から泣きつけば……俺の見立てならまあ何十人に一人くらいは何かしらアイテムを恵んでくれると予想。

 

 問題は只今の時刻が平日の真っ昼間ということであり、どう見てもこの辺にそんなにPCが居ないことだが……それでも、ただ待つよりはマシかと腹をくくる。よっしゃー、やったるでーと気合も入れる。相棒が反応してくれなくて哀しい。

 

 

 ……しかし乞食プレイをするにしても、ただただ人様から貰うだけ、というのは個人的に心苦しい(それが真っ当な乞食プレイなのは置いておくとして)。

 他人から受けた恩を忘れずにいることは勿論、せめて援助を受ける側として相手が重荷に感じない、かつ俺らの懐が傷まないお礼をせねばならぬ。恩は3倍に、恨みは10倍にして返せという前世から続く我が家訓故に。

 

 

 

 ――何ができる?

 

 ――俺は、何になれる?

 

 

 

 自問自答しながらなんとなく横に視線を向ける。そこには俺のリュートをおもむろに弄る娘っ子の姿。

 スキルも何もないので本当にただ爪弾くだけなのだが、なかなかどうして良いセンスをしておられるようでちゃんと音楽になってるじゃないの。

 

 唐突に、「あ。」と呟く娘っ子。何やら、新しい職業レベルが取得可能になったと教えてくれた。

 なんのーと尋ね、こんなのーと返される。ふーん、そっかー、そうなのー……

 

 

 それを聴いた俺氏の脳裏に浮かぶ、起死回生の一手。

 

 我、天啓を得たり――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 § § § § §

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――で、その結果がさっきまでの乱痴気騒ぎってワケ? いくらなんでも、うまく行き過ぎじゃないの?」

 

 

 そこでジト目(あざとい)を向けられると興奮してしまうのでやめてください(真顔)。

 

 まあそうは言うが、実際そこそこうまくいってしまったのだから俺としてはそのままこれまでの経緯を述べるしか無い。

 

 残念ながら当初の目的である、戦闘職のレベリングは全くできなかったのは事実なので、そこを責められるんじゃねーかなーと内心ビクンビクンしていたが、どうやら彼女としてはそれどころではないようだった。あー良かった。いやちっとも良くないけどさ。

 

 

 んで、件の乞食プレイならぬアイドルプレイ(え? 響きがどこか卑猥? 鼓膜か魂のどっちかが腐ってますねぇ……)だが、実際やってみたら外のモンスターと戦わなくてもちゃんとレベルを上げられたし、歌手レベル上げたら声の通り良くなるし、踊り子レベル上げたらかわゆいモーション増えるし、俺氏も施設で悶々しながら我慢していた趣味を復活させられたしで結果オーライである。

 

 

 最初はどうにも素人臭が抜けないおこちゃま芸だったとは思うが、色々レベルアップしたころからは歌も踊りも音楽もキレがちゃんと出て……まあそれなりに見られるもんになったんじゃないだろうかと思う。ていうか、そう思いたい。でないと見てくれた萌え豚共(超失礼)に申し訳たたぬしね。

 

 夕方過ぎ位からポツポツ人も増え始めたし、人と歓声とスクショフラッシュが大きければそれに応じてこっちもテンション上がるもんだし、ただ無為に時間を過ごすよりはみんな幸せになれたと思うよ。これがWin-Winってやつ? え、違う?

 

 

 でもよー、あれだけ悲惨な有様だった我が相棒も大分気が紛れたのか、ほらこの通り。元の目が死んだ状態になってすっかり回復して元気になっている。

 何気に酒場据え置きのピアノまでアドリブでひきこなし、俺氏のぷりちーボイスに即興で合わせやがったコヤツには拙者も驚きですわ。演奏だけじゃなく歌もイケるクチのようなので、今度時間があるときに仕込んでみようと思う。

 

 

 おひねりとして投げ入れられたアイテムだってなかなかの収穫量である。

 お金、ポーション、各種素材、食材、武器、防具、アクセサリー……他プレイヤー譲渡不可属性のついていないお手頃なアイテムがテーブルに山盛りである。

 

 ただそのうちのいくつか――明らかに今の自分達が装備できないランクの装備品(商人娘の鑑定の結果、絶対見合わないらしい。なんでこんなのここいらのPCが持ってんのよ! とは彼女の弁)やら、価値が高そうな物品なんかは商人娘のお達しにより、間もなく元の持ち主へと返品されてしまったが。「あんなランクが高いもん貰っても後々恐ろしいだけだから返してこい。て言うか、お願いだから返してきて、ホント、何でもしてあげるから」とテーブルに突っ伏したままの彼女に頼まれたので、渋々親切な萌え豚ども(♀もいるよ!)にごめんなさいしつつ返してきた次第である。はー、気が小さいご主人様であるこった。き、嫌いじゃないけど!

 

 

 

 まあ、結果としておかげで装備も今朝と比べて格段に充実したでござる。

 

 

 ありがたく頂いた装備品でランクが適正なもののうち、性能は無視してデザインが良さげなものを優先して装備させて貰った。

 全体的にひらひらなやつね。かぼちゃパンツもちゃんと角度によっては見えるよ! クソ運営分かってる。やっぱ文明人としては衣類は必須なのだなと実感できて喜ばしい限りであります。

 

 せっかく貰った武器は無くなってしまったのがちょっと痛いが……まあ、これだけお金に余裕ができれば大した問題じゃないよな! 適当にショップ巡りでもして光り物を仕入れることにしようず。

 

 

 エロゲーの陵辱後みたいな雰囲気を漂わせていた、ハンマーがどっかいっちゃった娘っ子も大分健全になったよ!

 

 ショートパンツスタイルがお気に入りなのか、ぴょんぴょんとその場で飛び跳ねしきりに着心地を確かめてる。一緒に跳ねるポニーテイルも心なしかツヤツヤしている。ぐへへへへ、ええのう、ええのう。

 

 俺と違って手頃な獲物まで手に入れてブンブンとご満悦なことで……シャベル? あの、それ何の武器カテゴリーなん? 剣? 斧? 棍? ああ、手に感触が伝わるのがたまらなく良いと。へ、へー……(逸らし)

 

 

 

 

 

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

 

 

 

 即興ライブの休憩時間中に、昼間に俺らに起こった謎デッドの真相を教えてもらったのよね。

 曰く、「新人狙いのPKなんじゃねーの」だってさー、どっかに潜んでたプレイヤーに遠距離から魔法なりなんなりでやられたんじゃないかって。

 

 

 まさかの人災に俺氏の怒りが天元突破。激おこぷんぷん丸である。それが……それが人間種(決めつけ)のやることかよおおおおおおおおおおお!!

 

 別に個人的にはPK行為を全て否定するわけではないが、何も知らない初心者を食い物にするとは……どうにも救いがたい、けしからん奴らである。初心者ぃぢめてアイテム強奪して嬉しいとか……恥ずかしくないの?(呆れ)

 

 「駆逐してやる!! ……一匹残らず!!」と悔し涙を流すフリをしながらカウンターに立ち(きちゃない)、似たような奴らと遭遇したら即PKK(駆除)する不破の誓いを立て、養豚場に集った畜生共(みんないいやつ)で団結した一幕である。今度のライブも、頑張るぞい!

 

 

 

 

「……まあ、大体はやっすい初期装備だったし割とどうでも良いとしても、確かにあのハンマーは惜しかったわね」

 

 

 

 ちびちびとジュースをすすり(減らない)、多少は影が濃ゆくなったママーチャント娘が呟く。あのハンマーの行方には未練タラタラらしい。初期ステ画面確認した時、俺らの後ろで歓喜の小躍りしたせいで隣から壁ドンされたくらいだしな。さもありなん。

 

 

 

 ――フッ……だが安心召されよ、ご母堂。

 

 わざわざ我ら幼子を狙って姑息な不埒を働くしかないような、クソ雑魚ナメクジなんぞにこの俺氏……容赦せん!

 

 何を隠そうこういう時に取るべき行動について、昼間のステージインターバル中にちゃんと出来る一匹の豚からレクチャーを受けていたのだよ。

 

 

 俺の台詞を聞いて訝しむ14歳に対し、酒場のこきたない壁の一角を指差す。

 

 まー彼女にわざわざ言うまでもないことではあるが、そこには見た目はくたびれた羊皮紙がいくつか掲げられている掲示板があんのよね。

 

 俺が指差したのは、その中のオリジナルクエスト板。その実態は、アイテムのトレード・譲渡・収集・作成などはもとより、PL・PK・PKK・PKKK・ギルメン・PT・同好の士・出会い・見抜き相手を募集するなど、ありとあらゆる依頼が無節操にやり取りされているカオスの権化である。

 俺はその中から割と新しい記事をホイッと彼女の眼前にピックアップ表示させる。

 

 

 善因には善果あるべし! 悪因には悪果あるべし!

 害なす者は害されるべし! 災いなす者は呪われるべし!

 

 フハハハハハハハ! 見るがよいぞ! これで彼奴らは詰みなのじゃー!

 

 

 

 

 

 

<クエスト依頼:尋ねハンマー>

 

 

● 発行元

 

 【グラランむすめ】

 

 

● 目標

 

 ・両手鎚《インパクト》の回収・譲渡

 

 

● 報酬(更新あり)

 

 ・初級ポーション × 3

 ・おいしいはちみつ

 ・アリフレビートル

 

 

● 期限:無期限

 

 

 

< 募集文 >

 

・白ドワーフちゃんの愛ハンマーをさがしています。

 

・名前は《インパクト》です。最近使い始めたばかりの両手鎚です。

 

・ワールド:アルフヘイムの駆け出しの街付近でさがしています。

 

・○月○日のお昼頃、れべらげの途中にPKされてなくしました。

 

・その後、死んだ場所に行って探そうとしましたが、今度は防具を全て剥かれました。

 

・お力添えください。理不尽に抗えず困っています。

 

・見かけた方や、保護された方はご連絡ください。

 

・持ち主に似て臆病な子と思われます。

 

・ってか、やったやつ氏ね。

 

・やってなくても似たようなことやらかす奴ら皆氏ね。

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 ご覧の通り、ザ・他力本願である。どうよこれ、とドヤ顔とともにあんまり無い胸を張る。商人娘が盛大な音を立てて床に崩れ落ちた。

 

 えー、何故にその反応? 俺らを襲った不埒者に関する手がかりもこれといってあらず、他に出来ることも無い状況下で繰り出した、こんなに完璧な策であるというのに(困惑)。

 

 まあ、ぶっちゃけ恥知らずな初心者狩り共への嫌がらせ以外の何ものでもない。これで動きづらくなってくれればなーというのが、俺氏のささやかな願いでもある。

 新人はそれなりに大事にしてあげないと、コンテンツ全体の衰退を招いちゃうって、はっきり分かんだね。守護らねばならぬ……。

 

 初心者メスガキプレイヤー一匹の訴えがこの世界の何処まで響くかは甚だ疑問なのだが、入れ知恵元の豚君からは「やらないよりマシ」という極めて妥当な評価を頂いている。

 

 

 仮に(可能性はほぼ無いが)ハンマーが見つかったら万々歳。最悪盗まれたハンマーが返ってこなくとも、いつか同じものが手に入る可能性も見込める。

 下手人にハンマーが捨てられてしまう可能性が無くもないが……この先そんな悪党の倉庫の中で眠り続けるよりは彼女(?)も安らかに眠れるであろう、という断腸の思いで下した決断である。ハンマーちゃん……済まない……済まない……。

 

 

 成功報酬に旨味がさほど――というか報酬が絶対にしょぼいという事実が最大の問題だが。如何せん純粋に自力で獲得したと言えるものが、今の所コレくらいしか無いのが辛いところである。他人から貰った物をそのまま他人に流すのは、ちょっとモラル的に……ねぇ?

 

 ま、まあ? 今はしょぼくてもちょっとずつ良さげな内容に差し替えるし! そのうち労力に見合うクエストにできるやもだし!

 

 

 

 

 

 

 

 ま、こんなもんでしょ(適当)。果報は寝て待てというところなのよ。

 

 それよりもだリーダー! ギルド作ろうギルド! 死ぬ度にあのタウンガイドから説教受けるのもうやめにしようず。いい加減聞き飽きてんよー、まだ数回だけど。

 

 

「は? ギルドぉ? んなもんまだ無理に決まってるでしょ! 拠点どうするのよ! レンタル拠点代だって今のアタシらにとって馬鹿になんない額なのよ! 自力で見つけたいならさっさと強くなってどっか維持費格安の未発見ダンジョンにでもアタックかけられるようになんないと話になんないの! それにさっきからリーダーリーダー呼んでるけど、アタシ一度もそんなこと言ってないじゃない! 昨日やってたぁ!? 最初だけよ! もう嫌! ギルマスだってやんないわよ! ギルメンの管理とか他所のギルドとの交渉とかコミュ的に矢面に立ちそうなの無理無理無理! そうよアンタがやればいいじゃない! アイドルロールなんかしちゃって目立つの好きなんでしょ!? というかいい加減適当極まる母親呼ばわりやめてくれない!? 14歳とかリアルのことまでバラすせいで周りの奴ら皆変な目でこっちみてんじゃないの! この歳で経産婦扱いとか冗談じゃないわ! あとなんでアンタといいそっちの白ドワーフといいヤバイ方向に突き進んでるのよ! アンタらの育成方針考えるのはもう諦めたけど、だからってウォーモンガーとかお呼びじゃないっての! この先まともに連携できるんでしょうねぇ!?」

 

 

 

 

 ……とのことなので、俺らがギルドを結成するのは当分先になるらしいよ、残念。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【数日後 どっかの大墳墓】

 

 

 

 

 フフフ……

 

 

 

 あれ? ポーションと……昆虫の飼育セット? それがどうかしたんですか?

 

 

 

 いえ、ちょっと人助けを、ね。その報酬です。

 

 

 

 ああ、なるほど。いつもの、ですね。

 

 

 

 ええ、まあ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――「誰かが困っていたら、助けるのは当たり前」ですから。

 

 




・そろそろ原作キャラだせやオラアン! というお告げに従ってあの骨と虫にご登場願いました。短かいけど。

・キャラの名前ださないように無理矢理してるけどそろそろ厳しい……厳しくない?


■ぐららんオリ主
・暫定PTリーダー
・虫とともだち、草もともだち
・鼓膜はピッチピッチなので魂の方が腐っているに違いない


■白ウォーモンガー(なりかけ)
・とりあえず鈍器中心でいくらしいです。
・初ちゅーはアホ面で昼寝してたどっかの破天荒娘


■厨二マーチャント
・アイテム管理が格段に楽になるので実は切実にギルド拠点構えたがってるのはこいつ
・実態はともかく、コミュ症がリーダーに推されてもキツイものがあるよね


↓後出しのあとがき

 人間種なのに即PKされて剥かれちゃう激おこなオリ主と、他人から一方的に奪われる(心の)痛さと怖さを思い出してしまった可愛そうな女の子の話。

 ラストの通り、あっという間に解決してしまったので全くもって緊張感が続かなかったですが、結果的にすんなり行方不明のハンマーを取り戻してしまったオリ主への好感度うp待ったなし。


 高価な装備を貢ごうとしてきたのはオリ主sをまだ襲っていなかったPKが大半です。目的は純粋に改心してのプレゼントだったり、洗脳系のちょっとヤバイ品を贈って良からぬことを企んでいたりってとこです。

 ちゃんと商人レベル上げて得た鑑定スキルでそのあたりのことを見抜いた娘っ子は、多感な時期の少女メンタルに配慮して黙って返させましたが、後でヤバイ品だけ売っぱらえば良かったと後悔したことでしょう。



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10日目くらい DQNギルドと話題のあの子

前回、最初不出来なの投下して申し訳なす。早めに見ちゃった人は、いつか暇で暇でしょうがなくなったら読み直してちょ。

誤字報告感謝です。適宜直してます。次話投稿優先してますが。


……でもネタが無くなると困るので、その分文章量でごましちゃってますよコイツ。


 -----

 

 

 

 

「へー、そんなことがねぇ……」

 

「ええ、たっちさんはたまたま見つけたからだって言ってましたが、きっとわざわざアルフヘイムに転移して探してあげたんだと思いますよ。ホントに初心者狩り狩り(PKK)して取り返しちゃったのか、同じ武器を代わりに用意してあげたのかは教えてくれませんでしたけど」

 

「初心者狩り共を撫で斬りしてたって方がしっくりくるわね。たっちさんだし」

 

 

 栄えあるナザリック地下大墳墓――その第九階層「円卓の間」。

 ギルドマスターたるモモンガに最近のユグドラシルのあれこれを聞かされているのは、ピンク色の粘体をムニムニと蠢かせるアインズ・ウール・ゴウンの汚い盾ことぶくぶく茶釜だ。

 リアルでの声優業が忙しく暫くログインしていなかった故、ここ最近の出来事をギルドメンバーから聞かされていたのだ。

 

 そんな中、フラッと現れた風変わりなプレイヤーの話題になったのである。実際、それは彼女がユグドラシル絡みでは聴いたことのない類のイベントであった。

 

 

「二次元の萌えキャラをそのまま仮想現実に落とし込んだようなロリと密会とか……なんて、なんて羨ましい……ッ!」

 

 

 掲示板に添付されていたスクリーンショットを浮かべ、俯いて悔し涙のエモーションを浮かべながら悶えているバードマンは、リアルでは彼女の弟であるペロロンチーノである。

 

 

「グラスランナーの女アバターってことは、リアルでもロリっ子確定じゃないですか! キャラメイクだって完全ランダムのハズなのにこのほぼ完璧な完成度の美幼女!」

 

「その上に二面性俺っ娘アイドルロールまでやっちゃうドリームビルダーなんてもう二度と拝めませんね。しかも設定上は成人済で未来のロリババア候補とかそれなんてエロゲ……くっ」

 

「――畜生ッ! 畜生ッ! 俺も生で見たかったああああああッ!!」

 

 

 ペロロンチーノと一緒に盛り上がるのはギャップ萌え属性の持ち主でもあるブレインイーター、タブラ・スマラグディナだった。

 二人して本気で悔しがっているのだろう。円卓を両拳でバンバン叩いて0ダメ表示を次々と浮かべている。

 

 

「黙れ弟、それにドリームビルダーって言ってもまだレベル3――」

 

「それ全部娯楽系で埋める初心者なんてドリームビルダー以外の何者でも無いっての!」

 

「……まあ、それもそっか」

 

 

 通常ドリームビルドを行う場合は、一度それなりのレベルまで戦闘職を磨いてからデスペナを利用してビルドをやり直すか、主軸となる戦闘職の余りを雰囲気重視の種族・職業へと割り振る、という方法を採用する。

 前者はアインズ・ウール・ゴウンでは鍛冶師プレイを行っているあまのまひとつが、後者ではモモンガが良い例だ。最初から全力でRPというのはどう考えても苦しい。

 

 

 ノリと勢いと成り行きが背景にあるという真実には、今この場では誰一人たどり着くには至らなかった。

 

 

「ボクとしてはリアルの彼女が何者か気になるところだけど……まあ詮索は無粋ってものね」

 

「当たり前です」

 

 

 公開されているグラスランナーの獲得条件が間違っていなければ、彼女はリアルではせいぜい10歳前後のハズである。アーコロジー内の小学校に勤務する教師でもある半魔巨人、やまいことしてはどうしてもリアルの事情が気にかかるのだろう。

 だが現実の事情を話す間柄というのは、オンラインゲームのプレイヤー間では最上級の信頼関係と同義である。自分から明かしてくれたならばともかく、興味本位で他プレイヤーの現実を知ろうとするなど、典型的なマナー違反だった。

 

 

「初心者狩りなど、PKの中でもクズの極みと言って良いですからね。運営がいくらそういったことを推奨しているとはいえ、実際始めたばかりのゲームでわからん殺しとか、萎えてそのまま端末からアンインストールされても不思議じゃないですよ」

 

 

 PK・PKKに関して造詣が深いヴァイン・デス――ぷにっと萌えとしては一方的に弱者を甚振る初心者狩りは唾棄すべきものがあるのだろう。彼が好むのは、高度な情報戦を絡めた戦略的なPKである。

 

 

「そうですね……俺も異形種狩りされてるところをたっちさんに助けてもらえてなかったら、プレイを続けていられたかどうか」

 

 

 異形種を選びソロで活動していた時分に長らく苦しんでいた異形種狩り――何度目かになる理不尽に諦めかけて、そして聖騎士に救われたその時の感動を、モモンガは一生忘れることは無いだろう。

 

 それに、グラスランナーといえば普通のプレイヤーにとっては地雷種族と言っても過言ではない。

 可愛らしい外見と引き替えに、お子様・無課金・早期引退……と非常にマイナスイメージが強いプレイヤーイメージがほぼ固まってしまい、そしてそれはまず真実だからだ。

 

 かつてクラン時代、ペロロンチーノとあともう一名の仲間と共に無課金同盟を作っていた経験故、モモンガとしてはその茨の道はよく理解できる。

 火力にしろ浪漫にしろキャラメイクにしろ、果たして自分が誘惑に負けて諦めてしまったプレイ方針(下手すれば、それよりも厳しいであろう)を彼女はどこまで貫けるのだろうか、という興味もまたあった。

 

 

「んで、その子地下アイドルみたいなこと、はじめたんっしょ? 肝心の歌とか踊りはどうなのよ」

 

「どちらかと言うと思いつきで歌っただけって感じみたいだけどね。見栄えのいい衣装用の装備も無かったみたいだし、舞台も駆け出しの街の酒場ってのが微笑ましいというか」

 

 

 実際に見るのではともかく、下着姿(エロくない)の少女が楽しげに歌う1シーンだけを切り取って見せられても、まともな性的嗜好をもっている人間にしてみればまず意識で先行するのは滑稽さでしかない。

 

 

「俺が聴いた印象ですが……声は確かに幼い女の子なんですがつっかえたり舌足らずだったり、そういう拙い感じはしませんでしたね。もっとも、その歌も抜群に上手いって感じはしなかったけど……」

 

 

 初ライブが下着衣装とか上級者向け過ぎんだろ……とつぶやいていたペロロンチーノが、自身の印象を語る。掲示板に画像と一緒に添付された音声をリピート再生していたため、この場で一番彼女の歌を耳にしているのは彼だ。

 

 

「ふーん……まあ最初は多少素人臭い方が人気出るっていうしね。彼女の後ろに誰が居るか知らないけど、戦略を組んでプロデュースしてるのかもね」

 

「俺は違うと思うけれど」

 

 

 一瞬ぷるるんとぶくぶく茶釜の体が震える。弟の台詞を茶化そうとしたが、声に真剣味を感じてやめたのだ。

 

 

「……根拠は?」

 

「稚拙な言い方だけど、ちゃんと歌に心がこもっているというか……お金や人気のことを重視してない、本当に好きだから歌っているだけって感じ。そこに心が洗われるっていうか」

 

 

 この場に某商人娘が居れば、「当たってるけど、全然当たってない」と反論していただろう評論である。

 

 

「えらくロマンチックなこと言うのね。まあアドリブや会話にも即座に答えてるから音声加工もしてないみたいだし、それ以外にわざわざユグドラシル(こんな仮想環境)で他にアイドルの真似事する理由もない、か」

 

「純粋にRPを楽しむ……微笑ましいですね」

 

 

 アインズ・ウール・ゴウンにおけるグラスランナー少女の評価はその一言に尽きる。

 それは、大いに実態と乖離していることは言うまでもない。

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

「……で、当のたっちさんは、どうしてそんなに苦々しい格好をしてるんです?」

 

「……」

 

 

 そのモモンガの言葉通り、円卓の一角に座る聖戦士はゲンドウポーズ(大昔のアニメが由来らしい)を構えつつ『落ち込み』のエモーションを浮かべっぱなしであった。常に快活なプレイングを行う彼にしては珍しい光景だった。

 

 

「己の失態を恥じているんじゃないですかねぇ。後悔、と言い換えても良いと思いますが」

 

 

 若干嫌味を混ぜているだろう台詞を吐くのは、ギルドにおいてたっち・みーと対をなす立場の悪魔種――ウルベルト・アレイン・オードルだった。

 普段、常に完璧とも言って良い善性プレイを行うたっち・みーが凹んでいる様を見て内心楽しくて仕方ないのだろう。

 

 はて、その言葉が正しいなら、何やら彼女絡みでたっち・みーが何やらやらかしたらしい。モモンガとしては理由に思い当たるところが全く無い。

 

 

「この前は貰ったカブトムシ眺めて嬉しそうにしてたじゃないですか。実際、お礼をちゃんと言えるいい子だったんですよね?」

 

「お礼どころか、フレンド登録してくれと熱心に頼まれましたよ。彼女の仲間が私のことを知っていたようで。その場でワールドチャンピオンのことを聴いたあとはさらに詰め寄ってきて大変でした……もう一人居た女の子には死んだ目で睨まれましたけど」

 

 

 良くも悪くも、彼はこのユグドラシルでは大層なビッグ・ネームなのである。各ワールドにつき一人ずつしか排出されないワールドチャンピオンの職業持ちとは、そういうことだ。

 尊敬するプレイヤーもいれば、逆に羨み妬むプレイヤーも居る。彼女もおそらくそういった類なのだろう。

 

 

「……で、したんですか? フレンド登録」

 

「まさか。昔使っていた予備武器をプレゼントしてなんとか諦めてもらいましたよ。慕ってくれていたのは分かるので心苦しかったですが、お互いのプレイ環境が違い過ぎます。過度な付き合いは双方のためにならないでしょう」

 

「に、二重の意味で勿体無さすぎる……これがリア充の余裕か……」

 

 

 自分だったら即OKして今後色々と手取り足取り腰取り教えてあげるのに、と呟いたバードマン。この場で他人が何も言わないのは、Yesロリータ、Noタッチを実践できる性根の持ち主であることを理解しているためだ。(度胸が無いとも言う)

 ただ、隣に座っているピンクの肉棒による「愚弟、黙れ」から続く言葉責めは避けられていないが。

 

 

「じゃあ、なんでまた」

 

「いや、いい子だったからこそって言うか……」

 

「?」

 

「モモンガさん、これ見ればわかるよー、理由」

 

 

 

 ギルドメンバーがモモンガの眼前に転送・提示したそこには、『実録』と銘打ったグラスランナーの少女の記事が浮かんでいる。先程までペロロンチーノが見ていた掲示板とは別のもののようだった。

 

 

 

 

▼ 裏切りのグラスランナー、オーレリア絶許 ▼

 

▼ 異形種に媚びる売女に鉄槌を ▼

 

▼ RPしてるくせに設定を弁えないクソガキ晒す ▼

 

 

 

 

「これは……」

 

「事の顛末を嬉しそうに話してたところを異形種憎しなプレイヤーにすっぱ抜かれちゃったみたいだね。間が悪いことに。んで、そのことを誂われて我慢できずに言い返して泥沼。たっちさんへの謝意と敬意を口にしてさらに泥沼化」

 

「うわぁ」

 

「一瞬だけ持ち上げられかけて、即手のひら返しとかカワイソス」

 

「そう言えばそうだった。うち、ネットではDQNギルド扱いだったわ」

 

 

 内側で活動していると時々失念しそうになるが、ギルド:アインズ・ウール・ゴウンの一般的な評価はそういう事になっている。

 あまり好まれない異形種ギルドであることはもとより、悪のロールプレイ、所有するワールドアイテムの数、1500人超の大攻勢すら跳ね返した圧倒的な強さ……これまで積み重ねてきたそれらの実績が、「最強レベルのDQNギルド」という看板に否が応でも信憑性をもたせてしまうのだ。

 

 

「不覚でした……アイテムの受け渡しも、街から離れた森林フィールドで行ったので誰にも見られていないと安心して、クエスト達成の事実そのものを隠すよう言い含めなかった私の落ち度です」

 

「いくらこのユグドラシルをプレイできるほど賢いとしても、まだまだ純粋なお年頃だもんね。まして、自分を助けてくれた恩人にお礼言っただけでこんなことになるなんて、思ってもみなかったでしょ。まだ始めてからそんなに経ってないみたいだし」

 

「彼女のことを、俺たちが放った工作員だと喚いている馬鹿も出てきている。幼気な童女を利用する極悪非道ギルドか……これでまた悪名が上がるな……くくくッ」

 

「笑い事じゃないですよ……」

 

 

 ウルベルトの台詞にモモンガは頭を抱える。いくらこのアインズ・ウール・ゴウンが悪のロールプレイをモットーとするギルドだとしても、リアルの女の子を巻き込むというのは醜聞に過ぎる。今後の他ギルドとの折衝に多大な影響がでかねない。

 

 

「でもまあ、たっちさんにしては珍しい失態ですね」

 

「全くです。私がもっと配慮できていれば、こんなことには……」

 

「まあまあ……たっちさんだったからこそ、まだこの程度で済んでいるんだと思うよ。なんてったってワールドチャンピオンだもん」

 

「そうね。もしこれが愚弟だったら、彼女総スカンに遭ってユグドラシルから即引退させられてたかもね」

 

「言い返したいが、言い返せないのが辛い……」

 

 

 

 はあ……と一同揃ってため息をつく。

 

 

 

「……で、どうするんです?」

 

「どうする、とは?」

 

「このまま黙って見てるんですか? それこそアインズ・ウール・ゴウンの名が廃りますよ」

 

 

 

 そう言うウルベルトにはもはやたっち・みーの失態、というだけで終わらせるつもりは無いらしく、またその声にもはや彼を責める色はない。

 これは、ギルド全体で対処すべき問題である――そう彼の雰囲気は語っていた。

 

 

 

「私としては、なんとしても彼女の潔白を証明したいところなのですが……」

 

「俺としても、至高のつるりんぺたんをこの目で見れなくなるのは避けたい」

 

「居たんですか、フラットフットさん」

 

「彼女ほどの逸材に、この俺が注目しないはずもなかろう。譲渡可能な、体の線が露骨に浮き出る水着も用意した。これを着てもらうまでは、引退するにしきれん」

 

「そんな理由で引退を先延ばしにするってのは、流石にどうよ?」

 

「構わん。俺の存在意義(レゾンデートル)だ。裏切れん」

 

 

 

 いつの間にか円卓の一席で腕を組んでいた暗殺者が頷く。『胸が無い女性が好み』と豪語し、ペロロンチーノらと持論を戦わせる彼にしてみれば、是が非でもグラスランナーの少女を助けたいところなのだ。

 

 

 

「なら、私も便乗しましょう」

 

「ホワイトブリムさん?」

 

「良いキャラだ。私のコレクションが映えるだろう……メイド服の試着をついでに頼みたい。ぜひ頼みたい。いやなんとしても頼みたい。ビバ、憧れのお子様メイドプレイ。ビバ、メイドアイドルプレイ。傅かれて一度『ご主人様……』とか言ってもらいたい」

 

 

 さらにもうひとり、同意の意思を示す。メイド服に並々ならぬ情熱と拘りを持つ人物でもある、ホワイトブリムだった。

 ナザリックのNPCホムンクルスに様々なメイド服を着せて自身の嗜好を満たしている彼であり、その中には年若いタイプもいる。……が、やはり一度は本物の少女(アバターだが)に自分の作品を着用してもらいたいものである。

 これまで他の女性ギルドメンバーがガワがとんでもない異形種ばかりなので、今日までその想いが実現する機会がやってこなかったのだ。

 

 そこに降って湧いた今回の一件。うまく解決し、恩を着せ、あわよくば憧れのメイドプレイを――と目論んでいるのだ。

 

 

 

「……しかし、これ以上露骨に関わる訳にもいきませんよ。壁に耳あり障子に目ありとは言いますが、小聡い連中に嗅ぎ付けられれば尚更彼女の立場も悪くなる。そうなったらそれこそ手に負えない」

 

「ですよねぇ……はぁ……」

 

「堂々と庇っても裏がある、と捉えられるに違いない。結局は何時も通りにするしかないんじゃないですか?」

 

「……まあ、暫くは様子を見るのが懸命だな。人の噂も七十五日という。時間が解決してくれる可能性もある。それに種族から見れば彼女がライトプレイヤーである可能性の方が高い。余計な気を回し空回りした結果、こっちがバカを見るのは御免だ」

 

「それはそれで寂しいですがね」

 

「や、やっとこさ現れたユグドラシルの至宝が……」「うーん……」「うっ! ……ふぅ」「メイドグララン……グラランメイド……ううっ……」

 

 

 

 円卓の間に、様々想いが飛び交う。それは諦観であったり、欲望だったり、悔恨であったり、興味であったり、惜別であったり……

 

 

 ただ――ギルドメンバー全員に共通するのは、『気に食わない』という一点である。

 

 

 

 

 

 

「――つるりん、ぺたん……やはりむざむざと喪われるのは惜しい……ここは俺が動こう」

 

「フラットフットさん?」

 

 

 

 仕方なくその場が静観に留める、という方針で固まりかけたとき、暗殺者が手を挙げ行動の意思を示す。

 

 

 

「俺の潜伏スキルならば、人間種駆け出しの街の付近なら特に苦もなく潜伏出来る……あそこに居るレベル帯のプレイヤーならば、まだ情報収集系スキル対策など皆無だろうしな。自分たちが見られる可能性そのものが皆無なので無理もないが」

 

「うーん……」

 

 

 モモンガとしてはやや承諾しにくい提案だった。確かに隠密系特化である彼の能力があれば他のプレイヤーに気づかれることもないだろう。防諜系のスクロールを併用すれば上級プレイヤーにさえ絶対に感づかれないという確信もある。

 だが彼を派遣するということは、純粋にアインズ・ウール・ゴウンから貴重な能力が一時減じることでもある。果たしてそこまでする価値があるのだろうか、と。

 

 そんなモモンガの心境を察したのか、フッと息を漏らして暗殺者は言葉を続ける。

 

 

「流石に万事張り付くわけではない。時折時間が空いた時に遠目に観察するに留めるし、とりあえず数日だけだ。何も情報が手に入らないのではいざという時動きにくいだろう」

 

「そうですね、確かに」

 

「私からも頼みます。このまま終わるには後味が悪すぎる」

 

「……まあ、妥当なんじゃないですか?」

 

 

 情報の重要さを心得ているぷにっと萌え、騒動の一因であるたっち・みー、ただ放置しているだけなのは気に入らないウルベルトが同意を示す。

 

 

「頼む。あわよくば、ナザリックメイド服試着会への参加を打診しておいてくれ。相応の報酬も用意する、と」

 

「それなら俺も。彼女のアバターをじっくりねっとり観察させて欲しいと伝えておいてください。衣装……装備も用意するから――いや、邪な意図は無いけど。あとちょい意味深な台詞も読み上げて理想のエロゲシチュとかポーズとか再現とかしてもらいたい――いや、ホントのホントに邪な意図はないんだけど」

 

「フッ……承知した。任されよう」

 

 

 若干碌でもない意思を託す不届き者もいるが、今回のちょっとした冒険をする対価としてなら、まあそれくらいが妥当なんじゃ? と考えるギルドメンバーが一部どころか多数含まれていたことで、この依頼は黙認された。哀れ、グララン娘の淫らな未来が1つどころか3つ、4つくらい、確定した瞬間である。

 

 

 

 

「……では、フラットフットさんにひとまずこの件の対応を一任するということで」

 

「「「「「 異議なし 」」」」」

 

 

 

 

 最後にモモンガがギルドの長として意見をまとめると同時、暗殺者がその場から消え去った。早速彼女の元へ向かったのだろう。

 

 

 

 

「……でもまあ、結構バイタリティある子みたいだし、案外自力でなんとかしちゃうかもね」

 

 

 

 

 ざわざわと円卓の間が騒がしくなる中、じーっと下着姿で歌うグラスランナーの画像を見ながらポツリとピンクの肉棒が零した何気ない一言が、やけに印象的にモモンガの頭に残った。

 

 

 

 

 

 

 

 § § § § §

 

 

 

 

 

 

 

「ばかちん……ばかちん……」

 

 

 ここ数日で中身が一気に枯れたリュックの中身を眺めつつ(無論ポーズだが)、商人娘が嘆く。スマヌ……スマヌ……だってしょうがないじゃない……あんなこと言われたら(元男としては)黙ってられんかったのよ……

 

 

 事の顛末は、俺の出した依頼を見てハンマーを取り戻してくれた超親切なたっち・みーさんという最上級プレイヤーとの出会いにある。もんもんもん――

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 ――もし、もし。そこな童女よ。

 

 ――な、なんですか。唐突にレベリング中の私達の背後に現れた、めちゃんこ格好良くて強そうな全身銀色聖戦士系プレイヤーさん!?

 

 ――依頼の品だ。受け取り給え。(テワタシー)

 

 ――こ、これは俺らがずうっと、ずうっと(数日間)探し求めてた……ゆくえふめいになっていたハンマーちゃんじゃないか……! よくぞ……よくぞ無事で!

 

 ――ブンブンブンブン!(スリスリ)

 

 ――(白目)

 

 ――ありがと……ありがとナス! ウルトラ親切なお方!

 

 ――なに、たまたまだよ。(マントバサー)

 

 ――あ、これお約束の報酬ナリ。どどどどうじょ!(カサカサ)

 

 ――確かに、受け取ろう童女よ。

 

 ――申し訳無いれす……これ以上はアチキの貧相な身体で払います(ハラリ)

 

 ――!(カクシカクシ)

 

 ――ぶくぶく(アワフキー)

 

 ――いや、そこまで気にすることはない。そうなぜなら……

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 

「――『なぜなら、誰かが困っていたら、助けるのは当たり前』……  正 義 降 臨 !!!」

 

 パチパチパチ 「……はぁ」

 

 

 やんややんや。以上、回想と再現終わり。

 ……え? 大雑把すぎ? 本気であの時の事語ったら10万字超えちゃうよ? ええのん?

 

 

 まあそんなわけで、死んだ目の娘っ子のハンマーが無事返ってきましたよっと。シャベルちゃんは即、予備武器にスライドエボリューション。ご苦労さま、またハンマーちゃんに何かあったらよろしゅー。

 

 モロちん、それで終わる話ではない。「『たっち・みー』……ユニーク職種『ワールドチャンピオン』獲得者の一人……最強の聖騎士ムーブ昆虫系異形種……ランク9位の最上位ギルド……何で今更出てくんのよ……ッ!」と悪の女幹部みたいな反応で説明してくれる茫然自失の商人娘がその場に居たので。ほほーん?

 

 それをバッチシ聴いていた俺は速攻で聖騎士に飛びかかった。無論、纏わりついてフレンド登録をしてもらうためである。

 序盤も序盤で偶然出会ったワールド最強の聖戦士とか……それなんてご都合主義、ここでフラグを逃してなるものかという意図からくる当たり前の行動であった。実際、こんなシチュ見逃す輩おるん?

 

 しかして、小一時間絡みまくったものの、断固として俺の「おともだちからはじめましょう」作戦を拒んだたっち・みーさんは大層身持ちが固い御人だったとさ。リアルの彼はさぞ充実しているに違いない。

 それでもなんとかその銀色の鎧をprprしまくって媚を売り、今後のキャラビルドのアドバイスとお古の武器を頂いた。やったぜ。

 

 

 ――そこまでは万事オッケーだったのだが。

 

 

 たっちさんと別れ、それ以降何を言ってもなぜか「そうね」しか言わなくなった商人娘相手に会話の(一方的な)ドッチボールを行いつつ、意気揚々と元の街に帰って「さすたっち」を連呼して居た時、唐突に「待てやオラアン!」と絡んできたいかにも三下っぽい風体のPCが現れたのだ。

 

 曰く、「異形種に助けてもらうとか恥」だとか、「人間種以外と絡むとかマジ裏切り」だとか、「ワールドチャンピオンテラ羨ましす」だとか、一方的な言い分を展開。

 

 

 ――こいつ、もしやアンチ聖戦士か。

 

 

 そう見当を付けた俺氏である。案の定、奴の言い分の中には、「たっち・みーはロリコン。そんな彼に媚びて上位アイテムしこたま強請った雌豚pgr」という根も葉もないものが含まれたことに俺氏の怒りが有頂天。インベントリの中身をぶちまけ、んなもんあるか証拠に今持ってるもの全部くれてやると御開帳。

 

 俺の後に続いてその場にドバーッと荷物をぶちまけるハンマー娘、ぼけーと惚けっぱなしの商人娘。……あとは分かるな?

 

 

 

 尚、「なんで忌々しくも上手くいっちゃってた媚びプレイの成果まで自分から全部放り出すのよ……あほ……ばか……のーたりん……」というのが、一週間後やっと仮想現実の現実に意識が戻ってきた商人娘の言葉である。(いくらなんでも遅くね?)

 

 

 

 まあそんなこんなで、俺と相棒のインベントリの中身(主に装備品)は綺麗さっぱり消失した。残っているのは、商人娘の手持ちアイテムのみ(消耗品とか素材が多い)となっている。

 しかもあれから時折催すことにしたプチライブの観客はめっきり減り、今じゃ豚くんちゃん数人という過疎っぷりである。諸行無常ってこういうこと言うのね。

 

 

 それもこれも、あっちこっちの掲示板で俺に対するバッシングが加速しているせいなのだが。

 

 

 当事者になって初めて分かる、ネット社会の恐ろしさである。いくら仮想現実の中だけの話とは言え、巻き込んでしまった相棒とサブリーダー(暫定)はたまったもんじゃないだろう……しかし、俺としては恩人に対する感謝は忘れるわけにはいかなかったのである(キリッ)。

 

 せめてこの現状をなんとかするべくレスバトルに参加しようとした俺を止める商人娘14歳である。ちょ、サブリーダーちゃんやめてよ! こいつら(世間的に)殺せない!

 結局、「これ以上ややこしくすんな!」と無理矢理止められた。ぐぬぬ……

 

 

 

 

 

 まあ、そんな流れででここ最近は少しずつ上げてきたアイドル系(?)スキルのレベリングを控えている有様である。

 いくら歌声の質が向上し、踊りの種類が増えていっても、聴いてくれる人見てくれる人が居るのと居ないのではやる気の質に違いが出てしまうのん。

 

 うぐぅ……やっぱオーディエンス0は堪える。

 観客の数で演技の質を変える心づもりは毛頭無いが、それでも辛いものは辛いので見えない舞台裏で涙を流す俺である。え? 生前は一人カラオケ余裕でしたが何か?

 

 

 

 

 故にここ最近は真っ当に戦闘職レベル上げが捗っている始末。まあ、たっちさんのおかげでそちらのやる気も充分あるのでレベリングが止まることはないのは幸い。

 

 何でも一定値以下のダメージを無効化する防御系パッシブスキル持ちの敵(PC・NPC・MOB問わず)がそのうち出現するようになるので、その対策にお手軽なプランとしてまずは単発の威力を上げると良いとか。現実味のあるアドバイス、重ねてありがとナス!

 

 そういう理由で、今の俺の未来図に二刀流は無い……というか暫くお預け状態だ。

 やっぱ全ての攻撃挙動オートじゃないので本来右利きの俺には難しいし、武器が充実しない今手を出すもんじゃないね(当然)。

 最初の商人娘のアドバイス通り、日本一のグラスランナーとやらを目指すことにしようず。他のグラスランナー一回も見ないけど。こんなに激カワなのに、なんででしょーね(恍け)。

 

 

 今、自分はたっちさんから貰った《王蟲被殻の短剣》(自分の種族だとそれなりの大型武器扱いになる)を両手持ちで運用している。

 昆虫系異形種の種族レベルが一定に達した時に入手出来る、とある素材アイテムから昔ギルメンに作ってもらった、思い出の武器なのだという。(自分の抜け殻装備を幼女に渡すって、結構変態っぽいと思った自分はいけない娘だろうか)

 

 ほへーいいんだろうかね、そんなもの大切そうな貰ってと思ったが、今はもう予備武器としても使っていないから構わないってさ。

 

 まあ、あれだけ野良PCから武器を受け取ることを拒んでいた商人娘がそれを聴いた途端血相替えて「絶対貰っておけ! 死んでもいいから離さないで! ハンマーなんてもうどうでもいいから!」って口走ってたから遠慮なく頂戴したのよね。

 せっかく戻ってきた自身の愛ハンマーの価値がPT内で一気に下落したことを知り、相棒の目がより死んでいたのは言うまでもない。

 

 

 まあとどのつまり、コレ以降戦闘で俺ら結構なハンデを負うことになったわけで。具体的には、俺は今後最前衛固定である。脆いのに。

 

 ……しゃーなし。何が何でも手放すなって命令だかんね。

 少なくとも、自分はPTの中でも最後にデッドする権利を剥奪されたのと同義。最悪死んでもPTメンバーが即ドロップアイテム回収してくれるようにってね。ヒドス。

 

 

 

 そうそう、レベリングの話だが。

 

 

 時折このあたりで出現する、初心者の壁の一つであるゴブリンメイジは、俺にとってはベビースライム以下の戦闘力である。

 この幼女風ボディーだとまともに急所に魔法を食らっても1ドットもHPバーが減らないので、盾で防御するどころか片手で魔法攻撃を掴み、笑顔でぐしゃっと握りつぶす強者ムーブが捗ってにっこにこにー(使い方合ってる?)な俺である。

 

 

 そのかわり相変わらず物理防御はお察しなので、敵の攻撃は全て躱すか左腕の小盾でパリィしなければならない。物理攻撃怖い。魔法攻撃(物理)も結構怖い。

 今は武器持ちゴブリン中心にひたすら練習中……パリィに成功したとき『ドゥーン!』とどこからともなく低いSEなるけど、なんなん? そしてその後のぶっさーと繰り出す一刺しが……あぁ~めがっさ気持ちえぇんじゃあ~。

 

 

 あと、《アクロバット》の職業レベルを上げた結果取得したスキル《三角跳び》や《足場生成》が便利。超便利。

 ダンジョンの壁や天井を蹴ったり、空中に瞬間的に足場を展開。踏み台・反射板にしてからの一見無理な体勢から繰り出す強襲がほんとつおい。地面に弱点が接していない限り、まず棒立ちの相手で狙えない部位が無くなったよ! やったね!

 

 

 小柄な身体を生かし、相手の大型武器を空振かせると同時にその上に瞬間移動して乗り「欠伸がでますね♪」と可愛く挑発(タウント)かますのもホント楽しい(ゲス顔)。アクロバット格好良い……格好良くない?

 

 

 要は、溢れんばかりのまじゅちゅ耐性・じゅじゅちゅ耐性を頼りにピョンピョン超スピードで飛び跳ねながら両手持ちの片手剣で敵を切り刻むという、どっかの青セイバーを全体的にダウンサイジングしたよーなナマモノ……それが今の自分の戦闘スタイルである。そのうち魔力汁ブッシャーして瞬間加速とかもやりたいもんだ。

 

 

 

 白ドワーフたる死んだ目の相棒は、俺の攻撃手段を打撃系にシフトしたようなものに落ち着いている。相変わらず俺が苦手な硬かったり粘体であったりする敵を率先して潰してくれる彼女は実際有能。

 

 どこからか魔法が飛んできたら発射地点との間に俺を挟めば安全ということに最近気づいたらしく、俺を壁(魔法限定)にすることにもはや一片の躊躇もない(商人娘は最初から躊躇なんてしない)。

 

 そのかわり、どうしても避けられない物理攻撃は彼女にまかせている。というか、危ないからと何度言ってもそういった攻撃の気配を察知してスイッチングしてくるのだ。いい子すぐる。

 しかしただ防御するだけなのは性に合わないのか、最近は嬉々として相手の武器ごと近接攻撃を潰し始めた相棒の未来に、オラすげぇワクワクしてきたぞ!

 

 

 サブリーダーの商人娘? ヘイトもらいたくないからって専ら応援と俺らで捨て奸させること終始してるよ? ポーションすらよっぽど追い詰められないと投げてくれないという徹底ぶりには恐れ入る。

 たまに絶対安全なところから爆弾とか試験管っぽいもの投げてるけど、前者はともかく後者は目に見えた効果があった試しがない。デバフ系の効果があると思ったんだが。戦闘が不向きなのは本当だったらしい。

 

 

 というわけで、今のPT構成はこんな感じである。並び順も同様にどぞ。

 

 

  ①  俺  : 突撃

  ② 商人娘 : 応援

  ③ 死眼娘 : 突撃

 

 

 ちなみに商人娘はもうLv.14じゃなくなっているよ、ネタが減って残念。

 なんでも、あれから魔法職を少しずつ上げることにしたらしい。「せめて《メッセージ》くらい覚えないといつか死んじゃう……」とは彼女の弁。……ただの伝言魔法にそれほどの価値が!?(驚愕)

 

 

 あと専ら攻撃には参加しない彼女が真ん中ポジションなのは、一度バックアタックを食らってこっぴどい目に遭って涙目になったからである。

 

 慌てた娘っ子がキャーキャー言いながら爆弾ポイポイ放り出しはじめたときは死ぬかと思った、マジで。実際死んだし。

 

 その後合流した俺らに回収したドロップアイテムを手渡しながら、しおらしく「ご、ごめんなさい……」してきた彼女には、なんかこう、ひじょーにムラムラくるものがあったね。じゅ、14歳相手にそんなことしないけど!

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

「アンタがたっちさんの名前出すから……それにフレンド登録すらしてもらえなかったし……これじゃ普通に知り合うより質が悪い……盛大に迷惑被ってるだろうし……絶対あのDQN共に目をつけられた……もう最悪よ……」

 

 

 それはそうとして、問題はこっちのお嬢さんである。

 

 自身を除くPTメンバーのインベントリ内のアイテム全ロストとかいう、すごろくゲーのイベントでもなかなか見ない割とひどい経験を一頻り罵って以来、彼女はずっとこんな感じである。色々とダメな人間っぷりが熟成されニートっぽい何かが出来上がりつつあるね。

 

 だが、彼女にしてみればアイテムぽいっちょ(そんなこと)は割とどうでもよく、たっちさんとロクに今後交流できないであろうことの方を専ら恐れていることが台詞から分かるだろうか?

 

 

 

 ――そう、俺は知っている。知ってしまった。

 

 初対面にもかかわらず、「うそ……なんで……今更……こんなところに……」なんてことばっかり暫くリアルでも独り言しまくっていた娘っ子である。

 

 なるほど……と俺は彼女の姫樽刃――もとい、秘めたるヤバイ想いに行き着いてしまったのだ。

 

 

 

 

 ――銀色全身鎧の異形昆虫種聖騎士に惚れこんでのユグドラシルプレイとは恐れ入った(怖気)。

 

 ――以前異形種でプレイしていたというし、実はそういう嗜好があるに違いない(寒気)。

 

 

 

 

 今度聖剣っぽい何かか、希少なカブトムシでもお裾分けしてみたら多少気が紛れるだろうか、とか考えながら、俺はその答えをそっと心のクローゼットにしまう。

 なんだかんだで世話になっている人物であるし、他人に惚れた腫れただの特殊な嗜好だのをイジられるのは誰だって嫌だろうしな(当然)。

 ここは目をつぶって普通に相手してあげるべきだろう、これが俺の精一杯の優しさよ、無力な自分をユルシテ……ユルシテ……。

 

 でも、少しはその気持ちが分からんでもない。リアル聖騎士とか生まれて初めて見ました故に。

 鎧兜脱がなければ自分もprpr出来るくらいだし、中身もすげーいい人そうだった。そういった意味では、大いに応援するべきだなとも思う。彼女も今後の交流は望んでいるとみているので、機会があれば積極的に繋がりを作っていくべきなんでしょう。俺が初対面時に感じて即行動(飛びつき)した通りにね!

 

 

 

 

 

 ……さあ、そろそろ嘆くのもそれくらいにしてレベリング行くべかなー、と俺が可愛く活を入れようとした、その時である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――見つけた! グラスランナーの女の子!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レベリング前の微妙なバフを得るために料理(サブリーダー作)をつついていた俺ら……というか俺個人に、険しい表情(多分)をしたPCが一人が声を掛けてきた。

 

 

 ……ほうほう。なんと、これまた見事な金髪碧眼貧乳森妖精(エルフ)の少女PCではありませんか。

 腰に細身の直剣(高そう)を佩き、杖のような魔法発動体を装備していないことから剣士ビルドキャラのようで。緑を基調とした布系装備に要所要所のみをカバーする上質な防具……むふ、実に素晴らしい。敬意を表する。晒している腕とか足とかマッサージしたい。

 

 

 

「……な、なん……でしょ、う……か?」

 

 

 

 ここに来て現れた新キャラを幼女視点なのをいいことに視姦していた俺を差し置き、会話を試みるサブリーダー殿(若干キョドってる)。そういや最近の挙動不審っぷりで忘れていたが、コミュ障っぽかったなーと割と失礼なことを思い出す。

 まあ相手がいかにも陽キャっぽいし、頑張って対応してると思うよ。後で褒めてあげよう(ニッコリ)。

 

 ガタガタと震えだした保護者をさり気なく後ろ手に押し出しつつ、自分が会話をバトンタッチする。

 

 んでんで、何用でしょうか、エルフのおねーさん? ライブは当面おやすみなのですよー。

 

 

 

 

 

「いや、ライブはとりあえずいいから……それよりも、貴方達に協力してほしいことがあるの!」

 

 

 

 

 俺の拳を両手でしっかと握り、すげー勢いで眼前に迫ってくるエルフ娘。やっぱ顔整ってる。かわゆす。んでもってもう少しでチューできそうなくらい近い。

 

 そしてなぜかお尻の一部の感覚が鈍い。具体的には、ギリギリとちっちゃいお手々か何かで抓られてるみたい。感覚抑制のおかげでぜんぜん痛くはないけど。

 

 

 

 

 ――これが俺らとそれなりに長い付き合いになる、エルフの少女剣士と俺たちとの出会いであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




■晒しグラスランナー
・戦闘方針:ノミ
・持ってる職業:アクトレス(アクロバットと同時取得)
・なまえ:オーレリア・ルハティー・S・ナノレス
(※適当、今後、予告なく修正が入る可能性が微レ存)


■新生ハンマー娘
・戦闘方針:ウェポンキラー
・急に出てきた聖騎士に敵意アリアリ。感謝はしてるけど、prprとか次は許されない(戒め)
・でもprprしてもらえるなら鎧もあり? とかきっと考えてる。
・エルフ娘に敵意マシマシ、やっぱエルフとドワーフは相容れない


■コミュ障商人娘
・戦闘方針:まだゴミ
・料理スキル持ち、今後も少しずつレベルを振る模様。
 「約束は守るタイプなのよ」、とのこと。
・最近、思うところがあって占いを始めたらしい。


■エルフ娘
・一体、何みちゃんなんだ……




・アニメ等で台詞が無かったり自分が読めてないナザリックメンバーの口調はほぼ捏造。具体的には、骨、肉棒、鳥、虫、悪魔以外。

・幼女の定義は曖昧だけど、まあグララン白ドワーフはそれでいいかなって。







↓ 以下、最近サボってたあとがきというなのネタバレ


 もう今後ずーっとアイドルプレイで安定だと思った?

 m9(^Д^)プギャーwwwwww

 残念、その位で抜け出せるほど、主に考えなしの誰かさんのせいで彼らのお金との縁の無さは筋金入りです。やっべ稼がせ過ぎたかなと一瞬思わせてそれを遺憾なくフイにしてくれる便利な幼女のことですが。また素っ裸になったり、プレイを諦めるほどじゃないけど、何かと苦しいお財布事情に頭を悩ませる商人娘なのです。(タイトル詐欺になっても困るし)
 今回みたいに、報酬を得るとしても何かと引き換えにした現物支給が基本になるでしょうね。補正マシマシなのでそれなりに有用なもの取得するんでしょうけど。


 720°ほど周りに回ってようやく普通の戦闘職レベリングが出来ていることに気づいている娘は一人もいません。

 オリ主は聖騎士の圧倒的オーラに毒されてそのスタイルの模倣に入りかけています。あれほど「一流の真似をするには早い」って言われてたのにね。奔放に動いているように見せて、ちゃんと商人娘ちゃんをカバーする優しさもあります。こう見えて、他二人のことは何より大事にしてます。
 
 ハンマー娘はとにかく眼前の、というよりオリ主の障害を排除する役目に価値を見出してます。盲目的に従う訳ではありませんが、ちゃんと意を汲んで暴れてます。商人娘のことも一応は気にかけてますよ。若干優先度が低いだけです。

 商人娘は……当初想定していた流れはもはや枯れきっていますし、それと差し替えに手に入れたアイドル行為の報酬が右から左へ素通りしていった精神的ショック、それにあれほど望んでいたのに会えていなかったたっち・みーさんとこんなふざけた形で交流した影響がもろに出てます。本編は多少立ち直っていますがそれでも本調子では無いっぽいです。駄肉状態。


 疫病神の魔の手がたっちさんを容赦なく襲っていますね。アイテム渡してはい、これで終わりだった話が、ここまで面倒なことになるなんてホント可哀想(笑)。しかもギルメンにまで大迷惑かけてオブラートに包みまくった文句をボロクソに言われる始末。こんなに扱い悪くしていいのか書いていて思ったけど、今作ではTS幼女にprprされるとかメチャクチャ慕われてるので、それに免じてこのくらいは許容してもらっています。


 ほぼ捏造しましたが、想像以上にフラットフットさんが便利に動いてくれています。主人公TSロリにして良かったと今以上に思ったことが無いくらいに。「つるりんぺたん」で大体なんでもこなしてくれそうなキャラに仕上がってる(困惑)。


 ラストの謎の娘っ子は……とりあえず鉄拳でふっ飛ばしてくるエロくない女教師の姉が居ますね。多分。彼女と違って、ボクっ子ではないようですが。




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10日目くらい その2 駆け出しの街にて

地味に難産回。最初書いてた時はエルフ娘視点だったけど結局いつものです。


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 酒場に突撃してきたエルフ娘はほぼ一人でひたすら喋り倒した後、可愛い可愛い言いながら何故か俺とハンマー娘を撫でくりまわし(警告出てなかったから中身男じゃないっぽいね)、「何か進展あったらよろしく!」と言い残して去っていった。あ、おさわり料金もらうの忘れた。

 

 用件? 俺たちのせいで彼女の姉のギルドがやべーからなんとかしてくれってさ。姉は大丈夫だっつってるのに掲示板見て、学校から帰って即勝手にここまで突撃してきたらしい。

 最初やたら深刻そうに迫ってくるわりにはあっさり帰っていったので拍子抜けしてるけど、それでいいんだろうか?

 

 

 そして俺の隣でテーブルに突っ伏し、如何にもなリア充エルフ娘の襲撃に遭ったせいで精根尽き果てている我らが商人娘である。

 それに加え、リアルでのエルフ娘とのあまりの環境格差に涙している模様。

 でもしょうがないよね! このクソみたいなご時世に普通に進学してその上公務員一家とか、俺でも一瞬だけリア充皆死ねばいいのにと思ったよ! こっちは一日ペレット3つでゲーム三昧だってのにね!

 

 でもよく頑張った! 感動した! ご褒美にハンマー娘と一緒に煤けている背中を擦ってあげてるお! よーしよしよしよし!

 

 

 

 んでさー、なんてったっけあのギルド――ああそうそう、アインズ・ウール・ゴウンね。

 ぶっちゃけどうなん? 俺らのせいでピンチって本当ですか? だったらたっちさんに申し訳ないんだが。

 

 元から評判最悪だから今更? むしろ俺たちへの印象が悪くなっただろうから、そっちの方が心配? うーん、たっちさん見た限り、そんなに心配するこたーないと思うけど。

 

 

 ……って、ちょっと待てよ。

 あのたっちさんのいるギルドなのに評判最悪ってどういうことぉ!?(今更)

 

 え? むしろたっちさんは例外のカルマ値が高いプレイヤー? 嫌われ者の異形種プレイヤーの集団の上に、悪RPを徹底してるって? 何そのひねくれてるギルド。デスペナ重いこのクソゲーで積極的に狙われに行く姿勢とか……マゾの集団?

 

 かくかくしかじか……ここだけの話で、俺達にしてみればユグドラシルでも最悪のギルド? なんとかしてうまく取り入ってしまうか……早めに潰しておきたいって? 

 

 いやいや、潰すってのはいくらなんでも無理じゃね? 俺ら100人束になってもたっちさんの《スラッシュ》一発で終わりそうな気がするんだけど。

 

 

 え、何? さもないと――俺ら全員奴隷にされて、裸に剥かれて、首輪はめられて、尻尾付けられて、四つん這いで椅子にされて、何年も飼い殺しにされた挙げ句、最後はこの上無い苦痛を味わいながら生皮引っ剥がされて、舌抜かれて、毛の一本、血の一滴すら残さずアイテムに加工されて人生を終えるってさ。ハハッワロス。

 

 

 

 …………!?!?!?!?

 

 

 

 奴隷!? 首輪ぁ!? 尻尾ぉ!? ヨツンヴァイン!? はあー!? 何よその秘密SMクラブっぽい導入からの悪魔信仰カルト教団みたいな実態!?

 

 商人娘嘘つかないの知ってるから素直に信じるけど、え、何!? 俺そんなとこのギルメンと繋がり作ろうと必死にフレンド登録迫ってたの!?

 やべーじゃんもっと早く教えてちょーだいよ! 仮想現実の話だとしてもおっかなすぎて即Bダッシュでとんずらするレベルのヤバさじゃないの!

 

 確かあの貧乳エルフの姉って、小学校の先生とかいってなかった? え、たっちさんリアルは警察官なんすか。この時代の公務員の裏嗜好ってどうなってんのよ。

 

 誠、人の世のおぞましさよ……ガタガタ震えだしたハンマー娘とひしっと抱き合ってしまう。俺も震えているのでガタガタ椅子がなって実にけたたましい。

 今ここにいる人間種の美少女(普通に可愛い)・美童女(死んだ目もキュート)・美幼女(自画自賛)には揃って娼館送りより尚悪い未来が待ち受けているのだから無理もないけど。

 

 

 そんなやっべーとこの恨み買っちゃった俺ってどうなると思ふ? さーねー……って、呑気か。始まったばかりの俺らの冒険どころか仮初めの人生もこうして終わろうとしているというのに。

 え? リアルではそんな力はないし、すぐにはどうこうならない安心しろ?

 むしろどこに安心できる要素があるんですかねぇ……俺らなんて起きてる間はほぼこちら側の住人みたいな生活してるし。

 

 

 これはいかん。ここはなんとしても原点にして頂点のお方みたく、カルト教団を完全にぶっ潰すか、恨みを帳消しにしておかないと俺らの命がマッハである。

 

 今の俺らが最上位ギルドを殲滅するのは控えめに言って無理なので、俺に対する彼らのマイナス感情をバーンと挽回する方向で動くよ!

 

 その為には、ネットでの俺氏の炎上をなんとか鎮火させんと話にならんのですが……でも、もう既に勢いつきはじめてるネット炎上をどうこうするって無理じゃね? 

 

 ゲーム開始二週間経たずこんなことになってたら、普通はキャラデリして全部無かったことにするレベル。俺らはそんなことしないけどね!

 俺はまたふつくしいアバター作れる自信が無いし、商人娘からしてみれば良くも悪くもたっちさんと面識できたという事実が捨てがたいんだと。ぐでーっとしてる割には意外と太い肝っ玉である。

 というわけで、俺は今の身体のまま、ネットの評判をキレイキレイにしなければならないのれす。

 

 

 ちょっとここで、掲示板を覗いて俺の概要を抜き出してみる。

 

 

 

【事実】

 ・人間種の俺氏が、異形種であるたっち・みーさんのスンバラシィ行いを称賛した。(今はちょっと後悔)

 

【噂】

 ・異形種プレイヤー側から送られたスパイ

 

 ・人間種より異形種すこのすこ

 

 ・人間種にハニトラ

 

 ・人間種側で手に入れた情報を横流し

 

 ・異形種に洗脳を受けた

 

 ・感度3000倍(チート)

 

 ・経験人数二桁

 

 

 

 無茶苦茶すぎwwwアホすwww後、俺世間でクソビッチにされてますたwwwwwこんなんどうしろとwwwww

 

 って、冗談じゃねぇ! こちとら初体験どころか初ちゅーすら経験ねーっつーの!

 

 たっちさんの鎧はprprしたけど、割とそこら辺ノーマルのつもりだから! 男とにゃんにゃんとか御免被るのです! 虫ぃ!? どノーマルだっつたろ! ナシだナシ!

 

 

 ハーヤレヤレ ┐(´ー`)┌ マイッタネ

 

 ネトゲで炎上とかいやーやっぱキツイっす。 

 

 ……え? 何よ母上? だからアレほど炎上するようなことするなってゲーム始める前に言っただろって? そんなの―― 

 

 

 ・

 ・

 ・

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・掲示板に晒されると難易度ノーフューチャーになるから、マナー違反なプレイはすんなよ!

 

・絶対にすんなよ! 絶対だぞ!!

 

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 ・

 ・

 ・

 

 

 ……ああ、そういえば言ってたね。俺も理解度完璧とか言っちゃってた気がする。すっかり忘れてたけど。

 

 でもさー母上。俺、ここまで一度もネトゲマナー別に破ってないよね?

 

 プレイヤーの死体にお座りとかしてないし、さすたっち(もう絶対しない)しただけだし。上位プレイヤー↑なんて普通にやるやん。聖騎士アンチ煽る形になったのは完全不可抗力だし。

 

 流石にゲーム開始して二週間たらずで炎上案件になるとは夢にも思わんっしょ。……ねぇ?

 

 

 まあ、それは今更議論しても意味が無いことなのでおいておく。

 えーと、色々選り分けると……今の問題は、①談合の疑い ②ユグドラシルの世界観設定無視 って悪評を晴らさなければならないってところね。

 

 

 

 

 まず①ね。これは談合……というよりは、著しくゲーム性と公平性を損なうような行為を咎めているっぽい。

 俺のやったことに何処が談合なんだって言ってやりたいが、そんなことに構ってくれるネットの住人達ではない。

 

 商人娘が教えてくれた例だと、ワールド:ニダヴェリール北方領地にある、『アルペンベイス鉱山』を巡っての談合行為疑惑が有名なんだそうで。

 

 かつてユグドラシルに存在した「帝国過激團」「鬼道六堝」「スウェット&ウェット」とかいうトップギルド集団が超長期間の抗争で所有権を争っていたんだが、ある日その抗争自体がフェイクで、実際には彼らだけで鉱山資源を独占していた談合行為疑惑が浮上した、と。ふんふん。

 結局その騒動は、談合行為に関わったとされる(疑惑含む)ギルド群全ての急速な規模収縮を招き、果てにはそれらのほぼ全てが解散状態。

 

 うへぇ……まあそんな事されたら普通のプレイヤーはたまったもんじゃないわなって話である。

 

 資源の独占は現実世界でもありがちな国家間交渉の好カードだとは思うけど、やり方間違ったり時節ちゃんと見きれないとアザディスタンみたく他所から総スカンくっちゃうのよね。

 

 ん……? アインズなんたらも鉱山独占してる? ますます度し難いな……

 

 ま、ウチの商人娘に言わせれば、「大規模にやり過ぎ。もっと慎ましくやるべき。大体バレる方が馬鹿なのよ」ってことらしいです。逞しいことで。

 バレなきゃどんなあくどいことしても犯罪にはならないってさ。そりゃそうだが。

 

 実際、広大なユグドラシルのどっかではまだこんな話がゴロゴロしてるんだろうなー。

 情報は独占してこそ価値があるって誰かが言ってたし、効率的な狩場とか、レアな素材の採取場とか。Wikiには絶対載らないお得な情報もあるし、そんなところも情報系サイトが当てにならないって理由の一つなのよね。嘘も多いし。

 

 

 

 今回は……あれ、そんな事実も容疑に対する反証も無いからぶっちゃけ放置するしかなくね?

 「それでも僕ぁやってない!」と反論するのも手だが、絶対効果ないっしょ。

 「全部……俺がやりました……」てゲロっちゃったら元も子もないし。

 

 うん、放置だ放置!

 

 

 

 

 ――んで②。

 これは仮想現実に浸っている他のプレイヤーにリアルを思い出させるような言動を執拗に行ったり、あまりにもユグドラシルの世界観を軽視したプレイングをしたりすると非難されるってこと。

 

 

 例えば、ある人間種のプレイヤーと異形種のプレイヤーがユグドラシル内で結婚したとするじゃん?

 ゲーム内とは言え結婚である。大抵の人間にとってはおめでたな話か、うらやまけしからん話のどっちかになるだろう。ちな、俺は両方である。

 

 だが、ここに余計な茶々を入れる連中がいる。「異形種と種族的な敵対関係にある人間種が結婚するのはおかしい!」って騒ぐわけだ。

 個人的にはシステム的にできちゃった結婚の再現さえ出来るんだから、別にそんくらいいいんじゃねーのって思うんだが。

 

 一応言っておくと、プレイヤーが扱うことが出来る種族間で敵対関係にある、または共存不可能であるという設定を想像させるシステムは多いっちゃ多いよ。

 異形種ってだけで人間種のNPCから買い物できなくなっちゃうとか、色々と面倒くさい制約があるところとか。

 

 ただ、別にこれがユグドラシルにおいて絶対である、とは言い難いんっすよ。

 ギルドだって、異形種・亜人種・人間種混合で一緒に作ってワイワイやってるところはいくらでもあるし。 

 

 

 んでんで、俺が世界観を無視したというのは、思いつきで酒場占拠してカラオケしたことであったり、異形種であるたっちさんとマブダチになろうと画策(自殺行為)したことを非難しているわけで。

 でもそれって、結局は俺の言動を見聞きした他のプレイヤーの裁量次第と言って良い。俺自体に世界観ぶち壊そうとかそんなつもり欠片ねーから。

 アイドルもどき活動だって、ちょっと調子に乗って大衆の面前で歌って踊っただけである。観客のノリを除けば、ファンタジー世界でもありがちな光景なのではないだろうか、と俺は思うのだよ。

 

 

 それに異形種と人間種が敵対とか言われてもねー……。

 そもそも俺ってば、まだ一人だけしか異形種のプレイヤー(しかも超がつく優良っぽく見える)見たことがないもんだからあんまり脅威感じてなかったのよね。今はそんなことないけど。

 

 

 

 

 

 ……やっぱ無理じゃね?

 

 商人娘も「まともに相手するだけ無駄。事の真偽を証明できる物証を私達が用意できない以上どうにもならない。表面上は落ち着いても裏ではやましいところがあるから否定するんじゃないのかって猜疑心を煽る形になりそう」ておっしゃっておられる。

 

 というか、自分のお尻の貞操(尻尾のこと。獣人種にされちゃうとかではないらしいので)やら命やらがかかっていなかったら絶対諦めてる。

 エルフの娘さんはこれらの実は根も葉もありそうな疑惑を晴らすのに協力してくれって駆け込んできたわけですが……やたらそいつらの実情に詳しい14歳の話を聞く限り、むしろ疑惑を煽りに煽って積極的に息の根を止めに行く方が良い気がしてきたし。

 それはそれでバレたらカルト教団と「俺たちは殺し合う仲」っぽい関係になっちゃうので却下されてしまったけどさ。うぐぐ……

 

 

「アンタがたっち・みーのことをロリコンNTR騎士だとかボロクソに貶して、踏み絵みたいなことをすれば一応の釈明にはなるかもだけど……それはそれで異形種プレイヤーやアインズ・ウール・ゴウンの盛大な反感を買うのよね。ワールド・チャンピオンだけあって人気もあるし」

 

 

 鬼かこいつ。俺に死ねと申すか。

 

 

 

 さて、それらを踏まえて今後の俺らの対応をハンマー娘と考える。……こんなところ?

 

 

 

① 放置

 まんま。全てを気にせず今まで通りプレイし、炎上案件は自然消滅するのを待つ。

 安牌なんだがギルドの印象を回復するって意味では無意味に近いので無理ぽ。×。

 

 

② アインズなんたらにおまかせ☆

 ①と似てるけど、どうにかこうにか問題のギルドに連絡とって対応を依頼するってことね。

 最上位ギルドにしては人数少ないらしいけど、こっち三人こっきりだし文殊の知恵より上等な対応は期待できるのでオナシャス! ってところ。

 どうせいつかは上辺だけでも謝罪はせにゃならんし、ありっちゃあり。けど失礼。他人任せ。というわけで×。

 

 

③ 全方位焼き土下座

 全ての容疑を認め、ダメ床の上で土下座するグラスランナーの映像を全ワールドに生中継でお届けする。

 プライドなんて最初から無いし。乞食プレイするって決まってたくらいなので、手段の一つではある。

 幼気なグラスランナーの姿への罪悪感からくる心理的ダメージだけでも与えられる可能性はある。

 アインズなんたらへの謝意も盛大に示せる。

 あんまり気乗りはしないけどね。見ていて気分のいいもんじゃないだろうし。……△。

 

 

④ 運営に泣きつく

 これはあまり当てにならない。ネットの利用は自己責任が鉄則である。

 そもそもこの運営クソだしね。×。

 

 

 

 

 ちなみに商人娘的には③らしいよ! 軽い気持ちで私達を罵った阿呆の現実の胃に大穴開けてやれってさ!

 そういえばうちの保護者鬼だったね。でも最後の手段にしてほしいな☆

 ……冗談? 同情心から怒りがアインズ・ウール・ゴウンに向かって結局はた迷惑? あ、そっかぁ……

 

 ってことで、どうあがいても絶望。グラスランナー終了のお知らせ。やべえよ……やべえよ……

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

「せめて、傍から見ているプレイヤー共が面白おかしく笑ってどうでもよくなる方向に感情を逸らせないかしら……」

 

 

 

 もはや感情の起伏が無くなってしまった、たれマーチャント娘が呟く。手がつけられない炎上案件のことは忘れて、別の興味深い話題で覆い隠そうという逆転の発想であろう。

 

 

 ……あれ、よくよく考えれば意外と良さげじゃない? 件のギルド連中も笑ってくれればマイナス感情が反転する可能性もありそう。

 

 

 唐突だが炎上案件に対応するにあたって前提とするべきことが一つある。

 ぶっちゃけ、「ほとんどのプレイヤーにとっては俺がクソビッチだろうが、清純派アイドルだろうが心底どうでも良い」ってところね。

 所詮知名度も全然ない初心者プレイヤーに関することだし、よっぽど入れ込む要素がないと関わろうとすらしないだろう。

 

 

 結局は「よりおもしろい方か、もっと経験値とアイテム手に入る方」が正義ってなることが多い。謝罪? そんなのいらんから詫び石よこせーってね。

 でもって、今回の話はどう転んでも普通のプレイヤーに報酬なんて入ってくる要素が無い。なら、そんな彼らが考えるのは――

 

 

「当然、話がおもしろおかしく盛り上がる方よね……」

 

 

 まあ、そういうことになる。

 イベント期間でもないこの時期、それなりに年季を重ねたプレイヤーにとっては良くも悪くもルーチン化したプレイに徹している者が多い。

 暇なプレイに多少刺激があればってことでこうなるのだ。

 

 

 

 それを踏まえてたった今出た案を推敲する。俺的には、それに実利(メリット)がついてくると尚嬉しいところ。

 素直に情に訴えても効果がなさそうなので、札束で頬をぶん殴って味方につけるアレである。

 

 だが、それも待ったがかかる。「私達程度のレベルしかない人間種プレイヤーに期待する事なんて誰も、なーんにも無い」と言われれば引っ込まざるを得ない。 

 

 ふむ……となれば、ここで重要なのは他のユグドラシルプレイヤーが持っておらず、されど俺らの中にはあるもの、ということになる。

 

 俺らにしか無いもの。それは――

 

 

「……それは?」

 

 

 やっぱアイドル系スキルっしょ! プロクラスとはとても自分では言えんが、ユグドラシルで出来る範囲では結構いい感じだと思うんだが!

 

 なんかため息つかれた。ダメ? ……俺氏は絶賛炎上中だろうって? ああ、そっかぁ(二度目)。

 プチライブの観衆も去った今、よっぽどインパクトのあるニュースじゃないと大衆を味方に付けるのは無理だよね。

 

 

「……でも方向性は悪くないと思うのよね。ユグドラシルでああいう見世物みたいな真似すんのは声優ギルドの連中除けばアンタだけだし」

 

 

 え、声優ギルド!? なにそれ! 私、気になります!

 モノホンの声優だけが所属できるギルド!? シンパ系ギルドも多数乱立!? うっひょー! いいですなー楽しんでますなー!

 

 良いねぇ、当面の目標は打倒声優ギルドで決まりですわ! 目標は常にでっかくってね!

 

 

 それはそうと……あとはやっぱ……か、身体? たっちさんには微塵も効果なかったけど、いざとなったら脱げば――!

 

 

「あのねえ……」

 

 

 だけどまともな話、今の俺らにあるものってそれくらいしかねーべ?

 ユグドラシルに関する知識なんて、他のプレイヤー様に比べたらうんこみたいなもんだし。やたら14歳はアインズなんたらの実情にまで詳しいけど。

 

 豚くんたちに貰った装備だってランク高めのは返しちゃったし。そもそも他人の貰い物をどうこうできないし。たっちさんの剣も同様。

 あとはリセマラでゲットしたアバターとアイテム、そもそもの発端のレアハンマーか? ……あ、ごめんよハンマー娘。これアカンやつだったね。

 

 

「はぁ……武器にしろ、アバターにしろ、種族にしろ、多少珍しいだけで他のプレイヤーにとって何の意味も無いって…………」

 

 

 やっぱここは一つゲリラライブでも、もっとでかい街で開いてもっと認知度を――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――それだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 

 

 

 ――フラットフットは、とある酒場に自身の《分身》を隠密状態で侵入させる。目当てのグラスランナー嬢がよく出没するという情報があり、調べるならここからだという判断によるものである。

 

 そしてそこでは、彼女と彼女の仲間と思しき商人娘と……あともう一人(?)が激しい言い争いをしている最中であった。

 

 

 

 

 

「いーやーだー!!! いーやーなーのー!!!」

 

「大人しく観念なさい! 最初から姫プレイ前提だって言ってたし、アンタ目立つのウルトラスーパー大好きでしょ! 踊り子(ダンサー)のレベルだってもっと上げても良いって言ってるんだから喜びなさいよ!」

 

「それとこれとは話が別なのー!!! ただ単にちやほやされるのとこれは訳が違うって!!!」

 

(オロオロオロオロ)

 

 

 

 ……RPの方針ででも揉めているのだろうか?

 

 

 

 

「あのギルドのメンバー……というより、あいつらなら多分……というかアホみたいに基準が厳しくなってる児ポ法に屈するしかないこの時代の男共なら、みんな絶対に食いつくんだから! それこそ些細な噂なんてほっぽり出すくらいに――」

 

「俺知ってんだからね!!! 非実在青少年でもえっちなのはいけないんだって!!! ユグドラシルでだってエロ目当てのプレイだと公式にさらされてBANされちゃうって!!!」

 

「だからギリギリのラインちゃんと見極めるって言ってるでしょ! そもそも仕様上そういうアクションは取れないってば!」

 

(オロオロオロオロ)

 

 

 

 …………む?

 

 

 

 

「アンタ達用のお子様用エロ水着装備なり、胸チラパンチラしそうな衣装なりでも手に入れて、それ着てるところ掲示板にスクショ(高画質)うpすれば万事上手くいくんだから!」

 

「そこまで露骨にエッチなのは俺の趣味じゃないのー!!! 俺が目指すのは正統派なのー!!! パンピーが見ても普通なのに、見る人が見たらエロいとかせめてそういう方向性なのー!!! 大体ロリどころかガチペドに踏み込みかねないアバターのエロなんて需要あるわけないのー!!!」

 

「男共なんてチョロいんだから! それにさっきのエルフ娘の反応みたでしょ! アンタを可愛がることで自分のことを可愛いく見せたい性格ブスな女も釣れるかもしれないじゃない!」

 

「この娘っ子何気に最低なこと言ってる!」

 

(オロオロオロオロ)

 

 

 

 …………。

 

 

 

「大体なんで俺ら二人揃ってそんなことさせられるんですかー!!! どう見ても相棒はそんなの向いてないっしょ!!!」

 

(コクコク)

 

「餌は多い方が良いに決まってるでしょ! タイプが違う美少女なんだから使わない手はないのよ! 目元に黒帯いれれば死んだ目はどうにでもなるわよ!」

 

「それはそれでえっちなお店の紹介写真みたいだから却下!!! ってかやるなら自分でやりなよ! 一応美少女アバター狙って当てたんでしょ!? なんで自分だけ助かろうとしてんのさー!!!」

 

「……」

 

「……」

 

「と、当事者アンタでしょうが! どうしても嫌なら勝手にクソコラ作ってそこらの掲示板に貼りまくるわよ!」

 

「それはもっと嫌だあああああ!!!」

 

(オロオロオロオロ)

 

 

 

 …………ほう。

 

 

 

 

「ちょっとだけ! ちょっとだけよ! エロイのだけじゃないって! なんとか見栄えの良い奇跡の一枚さえ取れれば、あとは鼠算式に勝手に味方が増えてくれるわよ! 多少短足むっちりで鼻ほじっててもそれが良いって言ってくれる変わり者だっているんだから!」

 

「……でもやっぱりスケベなのも撮るんでしょ?」

 

「ええ、まあね」

 

「やっぱり嫌だああああああああああ!!!」

 

(オロオロオロオロ)

 

 

 

 

 

 

 ……ふむ。

 

 ――成程。概ね事情は理解した。

 

 どうやら黒髪の商人娘は、この窮地を脱する奇抜なアイディアを実践しようとしているらしい、と。

 

 自分は実にタイミングが良い場面に出くわしたようである。出来過ぎじゃないかというくらいだ。

 

 いや、本当に運が良い。これも日頃の行いの賜物か……暗殺者は一人ほくそ笑む。だ、駄目だ……まだ笑うな……堪えるのだ……し、しかし……

 

 

 

 

 

「ちゃんと狙いは説明したでしょ! アンタのアーパーなところを隠しつつ、アバターの可愛さと無邪気なアイドルRPっぷりを見せつけてやればそれでいいって!」

 

「無邪気なのとエロいのはイコールじゃないって!!! 大体、そんなエロ装備どこにあるのさ!!! 俺らほぼ着たきり雀じゃん!!! 普通に装備脱ぐとかぼちゃぱんつだよ俺!!!」

 

「だからそれを今から探すって言ってるでしょ! こんなつまらないイベントでグダグダいつまでも手をこまねいてる訳にもいかなのよ! お金も無いけど時間もないの! レベリングが必要ならなおのこと時間取られるんだから!」

 

(オロオロ)

 

 

 

 

 駄目だ。笑わずにはいられない。

 

 つるりんぺたんが本当に我が物にできそうな展開に精神が昂ぶり、抑えが利かない。

 

 こうまで自分に都合が良いと、逆に誰かの筋書き通りなのではと疑うほどである。

 

 

 しかし一同、いい焦りっぷりである。特に商人娘の余裕の無さなど、見ていて片腹が痛いくらい。

 

 しかも彼らには懐の余裕も無いらしい。これは良い情報だった。無論、幼い彼女たちを意のままにコントロールする材料は多いに越したことはないというひどい理由で。

 

 

 

 

 

 意識を本体に移し、物陰で密かに《伝言》のスクロールを発動させる。ここから先は、我らがギルド長の裁可を得なければならないのだ。

 

 

「もしもしモモンガ殿……ああ、早速収穫があった……そう、あのグラスランナーの娘の件で……早すぎる? 気にするな。それよりギルド長名義でアインズ・ウール・ゴウンの《招待状》発行を頼む。3通だ……そう、彼女とその友人2人をナザリックに……ああ」

 

 

 

 ――《招待状》。

 

 自分のギルドに他所のプレイヤーを招き入れる際に必要なアイテムであり、使用者には一時的にギルドのゲスト権限が付与される。

 そして一度だけだがギルドへの転移魔法も発動させることができる。今の彼女達のレベルと装備では、アインズ・ウール・ゴウンの拠点が存在するワールド:ヘルヘイムのグレンデラ沼地に真っ当な手段で辿り着くことすらできないので、当然の配慮であった。

 また、これがないとギルド拠点に設置された数々の防衛機構が問答無用で作動してしまうので、維持費的な面でも少女たちの経験値のためにも必要な処置なのだ。

 

 

 

 

「――上手く立ち回れば色々なことに片が付く」

 

 

 

 頭の中で三人娘の「つるりんぺたん」が並ぶ様を妄想する。ギルドメンバーからの少々厄介な託され事も、この分なら期待大だろう。

 

 自身の健全ではない考えは自覚しているが、やっぱりこの仮想現実においては倫理だの道徳だのといったもののリミッターは外れがちなのだ。

 

 ここは素直に自分の欲望に従うとしよう――程なく出来上がった《招待状》を受け取りに行くため、暗殺者は《転移門(ゲート)》のスクロールを起動させた。

 

 

 

 




■シャイニングガチペドオリ主
・身長はヒミツ
・実はちょっとある
・ドリームプレイお墨付きがでた


■描写少ないけどちゃんといるハンマー娘
・身長は他二人の真ん中かちょい上くらい
・実はそれなりにある
・恥ずかしいのは嫌


■鬼畜商人娘
・身長は1.5mあるかないかくらい
・実は結構ある
・もうまともなプレイは諦めた


■エルフ娘
・……え、出番これだけ?



あとがき


やっぱりネット民は強敵だったよ……

色々と解決方法考えてドツボにハマる。エルフ娘視点とかだとやっぱ考え方もまともになっちゃうのでやめ。まあ普通ならキャラデリ安定だと思います。

エルフ娘? ま、まあ最初の出番だし。
ぶっちゃけると、彼女が寸劇の邪魔でしょうがないので速攻退場してもらいました。商人娘ちゃんが嫉妬と苛立ちでヒステリー起こしたりしちゃったのでしょうがないね。
きっとその内一緒にカラオケしたりする仲になってるのでそれまでは我慢。


オリ主とハンマー娘の中でアインズ・ウール・ゴウンがとんでもないイメージになってます。商人娘としては油断せず警戒してほしいので意図的に恐怖心煽ってますねこれ。大体原作アルシェちゃんがやられたことなので嘘は言ってないんですが。



次回、悪のすくつギルドにて三人娘にはエロい目に遭ってもらいます。



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おいでませ なざりっく

モモンガ「歓迎しよう……盛大にな!」

みんな「「「 おかのした 」」」





前回三人娘がエロい目に遭うと書いたな……あれは嘘だ。すまんの。

あと今回ネタ皆無です。みんなまじめで困る。


-----

 

 

 

 

【 しょうたいじょう 】

 

 

 

「――で、どうしようかコレ」

 

 

 客がいない酒場の、奥まった位置のテーブル席に座る少女たち。

 

 目の前には質の良い封筒が三通。仰々しい印璽が刻まれた封蝋が禍々しく自分たちを睨んでいるように思えてならない。

 

 つい先程少女たちの元に届けられたものであり、ユグドラシルのプレイ歴が浅い少女たちであっても、『招待状』というそのあからさまなアイテム名からしてその用途は容易に想像がつく。

 

 

「……わざわざ私達の名前まで入ってる……試着会とか色々依頼したいことがあるらしいけど、詳しい内容が一切書かれていない……それでいて報酬にヴィジュアル重視の装備品……」

 

 

 逃げられない……そう暗に告げる少女の声は暗く、目は光を失っている。

 あしたの朝にはお肉屋さんの店先にならぶ運命であることを自覚している豚ちゃんがいれば、こんな目をするかもしれない。

 

 

「つまり……こっちの事情は全部調べられてるってことかぁ」

 

 

 このアイテムを少女たちに齎した黒装束の男(?)によれば、自分たちの企てを全て把握した上で、協力を求めるならば使うがいい、とのことらしいのだが。

 この状況、このタイミング、そしてその言葉の裏を読めないほど彼女たちは愚か者ではなかった。

 

 

 

 ――間違いなく、先日やらかした落とし前をつけに来いということだろう。

 

 

 

 動揺する心の影響を忠実に再現(フィードバック)し、二人のアバターが震える。奴隷として飼われ、最後に殺される……痛みのない仮想世界とはいえ、そのような最期(1デッド)を迎えるのはすごくすごく悲しくて辛いことだった。

 

 だが、これは逆にチャンスと言えるのかもしれない。

 本気で彼らが怒り狂っているのなら、まともに戦闘職を育てていない自分などとうにヤ○チャ同然である。

 

 こういう回りくどい接触方法をしてきたということは、何かしら彼らが自分達に期待するものがあるということなのではないか?

 そうなのだとしたら、見込まれたからには出来る限りのことをせねばなるまい――(元)男なのだから。

 

 だが、自分たちの中でもようやく対策らしい対策が練られ、グラスランナーの幼女としては(心底嫌だが)さあこれから動きだそうとしていた矢先にこれだ。

 もし最上位ギルドの支援を受けられるのならば、自分たちだけで計画を進めるよりも遥かに早期に目標を達成できる……それは間違いないのだろうが、素直に喜べるものではない。

 

 幼女はぐっと拳を握る。ここ最近、何かと状況に振り回されてばかりいるという自覚があったからだ。何事も先攻絶対有利が根底にある彼女としては、実に面白くない。自分から踊るのは好きだが、他人に踊らされるのはまっぴら御免なのである。

 

 

 弱き者は去り、強者だけが生き残る。

 グラスランナーは知った。力無き者に対し世界は厳しい。この仮想世界で生き残るためには、真っ当な力を得なければならない。さもなくば、この先生きのこることはできないと。

 ……だが今は雌伏の時。まずできることからやっていくしかないのだ。

 

 

 それはさておき、天上人からのお招きである。下民は下民なりに、それなりの準備はしていかなければならない。

 このまま断頭台の露と消えるとしても、道化としての役割を期待されているとしても、弱者の矜持を示しておいて損はしない。というかこれは意地の問題である。

 その辺りの心得くらいならばちゃんと持ち得ている幼女ではあった……が、彼女たちの現状を鑑みると如何ともし難い瑕疵があった。

 

 

 

「ドレス系とか外行きの可愛いのとか持ってない? 武器も攻撃力とかどうでもいいから儀礼用のキレイなのが良いんだけど」

 

「これしか無い……他のはこの前持っていかれちゃった……」

 

「……そうだった……今の装備そこそこ可愛いけど、折角のお招きなのにオシャレ出来ないとか……乙女としてあるまじき失態……ウカツ……ウカツ……」

 

 

 

 グラスランナーの幼女の常識から言えば、上位者からご招待に預かった際のおめかしは至極当然であった。

 白ドワーフの少女は、そう言えばそういう慣習(?)があったような気がするな、と今となっては遠くなった記憶を思い出していた。

 

 ちなみに、現実では二人とも下着以外にまともな衣服すらまだ殆ど無い有様なので、それ以前の問題である。

 

 

 

「服もそうだけど……犬猫尻尾とかそれ系のアクセサリーないか優先で探そうず。この際呪われててもいいから」

 

「……なんで?」

 

「ほら、予め装備して垂らしておけば、お尻は無事ガードできるかもと思うんだよ。どう?」

 

「よくわかんないけど……何処かで見た気がする……探してみる?」

 

「人数分揃えたい。この歳で後ろの開発済ませましたとか、いくらなんでも背負う業が深過ぎる」

 

「じゃあ頑張る」

 

 

 

 とりあえず店売り装備の再確認とフリマのチェック。然る後に金策だな、と二人は席を立つ。指定された日は三日後の夜。後から悔いることの無いように、それまでに出来ることはして全ておかなければならない。

 

 

 

「生きて家に帰ってくるまでが遠足だかんね……今度はもっともっと長生きしてやるんだから」

 

「ずっと……一緒……死ぬ時も……一緒」

 

「お、よく知ってんね。えーっと、『我ら三人、生まれる時は違えども~』だったっけか? まあ三人だし、貧乏だし、性別違うけど丁度いいかもね」

 

 

 横山版(演義でも?)だと強奪に近い出世払いで馬とか調達していたりする元ネタの英雄たちは、結局バラバラのタイミングで死んじゃうことは口にしない。その程度のデリカシーは持っている幼女である。

 

 

「……姉妹?」

 

「家族、かなぁ? 友達ってのとはちょっと違う気がするし、仲間というには距離が近すぎるから、俺ら」

 

 

 姉妹なら、あと一人いれば若草物語だなと幼女が呟く。ネットで炎上しっぱなしなのにこんな調子の彼女たちは実際大物と言って良いかもしれない。

 

 

 

 

 

 尚この場に一人足りないのは、商人娘の本体が今現在真っ黒な勤労に勤しんでいるためである。

 

 今となっては恐怖と憎悪の対象でしかないアインズ・ウール・ゴウンへの対策を必死に考えながらの業務をこなす彼女は実際有能であった。

 

 その彼女の手により、「レベル上げ!? 知るかバカ! そんなことよりバケモン対策よ!」と被保護者である二人には職業の調整と素人催眠術を交えた演技指導が行われるのだが、それはまた別の話。

 

 

 

 

 

 § § § § §

 

 

 

 

 

(――ちっさ!)

 

 

 事前にその姿は画像で見ていたものの、実際に見えるとこうも違うのか……鈴木悟ことモモンガが初めてグラスランナーの姿を見た感想はまずそれが第一だった。

 間違いなく、自分が今まで見てきたPCのどれよりも小さい。アウラとマーレの双子ダークエルフと比較しても尚小さいだろう。ヴィクティムほどではないが……反目の執事ペンギンNPCことエクレアとほぼ変わらないのでは?

 

 公式が子どもにしか解放していない種族だというのも納得の身長の低さであった。大人が使うアバターとしては身体を操る感覚が違いすぎて、リアルでの生活にまで支障がでてしまうことは容易に想像がつく。

 これで戦闘に関しては近接型のキャラメイクだというのも信じがたかった。どちらかと言えば魔法詠唱者タイプで運用するほうがよっぽど楽だろうに。

 

 

 

「……おはつにおめにかかります。アインズ・ウール・ゴウンのみなみなさま。グラスランナーのオーレリア・ルハティー・S・ナノレスともうします。こ、このたびははいえつのえいによくし、こうえいのきわみでございます」

 

 

 

 今はこうして玉座の間のレッドカーペットの上で跪き礼を尽くしているため、玉座に座り見下ろすその身体は尚の事小さく見えていた。

 

 

(……というか、なぜに敬語!? なぜに跪礼!? あとなんで狼尻尾!? めっちゃ震えてるし!)

 

 

 登場後のいきなりな低姿勢に、自分を含めたギルメンの雰囲気は穏やかではない。

 

 

 そもそもこの日、ナザリック地下大墳墓は密やかな熱狂の中にあった。何しろ、「普通の外からのお客様」である。

 

 某エルフの少女等ギルドメンバーの身内を除き、これまでアインズ・ウール・ゴウンは決して外部のプレイヤーを大墳墓の奥へと招くことはなかった。

 それは悪の異形種ギルドという、何かと敵を作りやすいプレイ方針故に敵対プレイヤーに情報が渡ることを防ぐ意味が大きい。

 数々の防衛ギミックやNPCの配置、相手の思考を誘導し読んで組まれる迎撃体制……いずれにせよ、敵方に漏れてしまえば拠点の防衛力そのものが低下する秘匿事項である。

 

 1500人からなる他プレイヤー・NPCの一大攻勢以降、その辺りの情報の価値が相対的に薄れているとはいっても、部外者においそれと見せるものではない。特にギルドメンバーの私室や作業場、娯楽施設などが配置されている第九階層以降には攻め入らせてすらいないのだ。

 如何に相手が幼い少女であってもそれは同様である。ギルドの情報が漏れる可能性は最低限に留めるべきなのは自明の理だ。

 

 

 だが対外的な警戒心と比較し難いほど、自分たちが作り上げたナザリック地下大墳墓を見せつけたい・見せびらかしたいという大人気ない気位もまた彼らにはある。仲間内で楽しむだけでも十二分に楽しいが、それをさらに共有し、称賛を得られることがどれだけ自尊心を満たし、プレイの励みになることか。

 

 無論、自分達とは違った視点から手痛い指摘を受ける可能性もある。年齢……性別……様々な考えを持つのが人間であり、分かり合えないこともまた多いものだ。

 だが、そうなったらそうなったらで奮起することができる。マンネリ化したギルドメイクに一陣の風が吹き込まれるのは間違いない。

 

 そういうわけでこの日一同は、第十階層「玉座の間」にて時を待っていた。いきなり最奥部なのはどうなのよという反論も少数あったものの、やっぱり威厳ある悪のギルドとして客人を歓迎するならここだろうという意見が支持され、こうして今日ログインしているギルドメンバーは可能な限りのNPCまで集め勢揃いしている。

 

 

 

 

「しかしながらこたびのふめいよは、すべてわたくしめのせんりょがまねいたこと……ふとくのいたすところでございます。も、もしおのぞみでしたら、さしょうではありますがこのグラスランナーのちであがなうしょぞんにございます」

 

 

 

 ……なのにこれだ。いくらなんでもへりくだりすぎである。

 直前までのどこか浮足立っていた場の雰囲気がすっかり霧散している。それもこれも、フラットフットに連れられてやってきた少女がいきなり最敬礼を通り越した服従の姿勢を見せたせいだった。

 

 アインズ・ウール・ゴウンの面々は預かり知らぬことだが、保護者からそれはもうきつく厳命された彼女は、絶賛強いものに巻かれろプレイの真っ最中である。

 要は本能でお腹を見せて降参アピールをする仔犬に等しい。それが仮に面従腹背の構えであったとしても、今この場で生殺与奪の権限は自身には無いことを全力で示しているのだ。

 『アクトレス』のスキルまで併用しての全力お嬢様系幼女プレイ中である。礼を失しないよう頭部防具と武器は装備すらしていない。これが失礼でないなら何が失礼なの? と言わんばかりの格好である。

 

 

 

「ノノカ……フランクフェザー……です。同じく、お詫びします」

 

 

 白ドワーフの少女が頭を垂れる。緊張しているのか、ちんまりとしたぎこちない挨拶だった。

 

 

「ステラ・トトニス・キャスロードです。あの、先日はご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。本日はご招待に預かり嬉しく思います。今日は宜しくお願いします」

 

 

 恭しくお辞儀をする少女は三人の中では一番しっかりしている印象を受けた。初対面の取引相手に対する挨拶としては充分な出来と言って良い。

 

 この二人の少女もグラスランナーの少女ほどではないが、同様に低姿勢である。

 お前、何やったんだと言わんばかりの視線が少女たちの背後に立つフラットフットに集中しているが、暗殺者としてもこれは予想外過ぎて冷や汗エフェクトを出しながら全力で首を振る以外にない。実際、特に何もしていないので。

 

 

 

「う、うむ……よく来たな。歓迎しよう」

 

(って違うだろ俺! 何雰囲気にあてられちゃってんの!?)

 

 

 つい彼女たちに釣られ、支配者っぽい口調で話しかけてしまったが、どう考えても悪手であった。ますます縮こまっている。

 

 

(ていうか何この子たちの態度!? ちっさい女の子三人を跪かせて上から物を言う状況とかめっちゃ胃が痛くなってくるんですけど!)

 

「あのー……別にとって食べるわけじゃないから普段通りでいいよ。周り異形種のアバターばっかで怖かったり緊張したりしてるのは分かるけど、中身は普通のお兄さんお姉さんだから」

 

(……あ! そうか!)

 

 

 ギルドメンバーのその言葉で、彼女たちが駆け出しも駆け出しの人間種……中身も全員まだ(おそらく)子どもだったとことにモモンガは思い当たった。

 

 自分はすっかり見慣れてしまっていたが、彼女たちは今まで人間種以外のPCなどほとんど見たことすらなかったに違いない。

 こうしていきなり骸骨だの悪魔だの巨人だの……大量の魑魅魍魎の中に放り込まれた彼女達にしてみればたまったものではないだろう。幼い子供なら長期に及ぶトラウマになりかねない。

 モモンガは後悔する。もっと相手の心情を慮って、事前にそれなりの配慮をして然るべき事柄であった。

 

 

「そ、そうですよ! 別に俺たち本物の怪物でもなんでもないんですから! 楽にしてください!」

 

「では……ええと、ギルドマスターのモモンガさま。むちとむぼうからくる、こんごのわたくしたちのぶれいとしったい、せんじつのものとあわせましておゆるしいただけますでしょうか?」

 

「かしこまりすぎぃ! 許すも何も俺たち全員ちっとも怒って無いですよ! 種族やプレイ時間は違っても同じユグドラシルプレイヤーじゃないですか! むしろ俺たちの悪評の巻き添えになっちゃったみたいで申し訳ないくらいで!」

 

 

 状況への焦りから年下の女の子に使うのは微妙な普段の口調で返してしまっているが、これは偽らざるモモンガの本心であった。

 そもそもプレイ開始間もない彼女達がネットでの炎上被害に遭ってしまっているのは、自分たちのギルドが最大の要因であるとモモンガは認識している。

 ユグドラシルの世界を楽しむ上で自分たちのやり方が間違っているとまでは考えていないが、仮に善のギルドであったのなら、グラスランナーの少女の言動に何一つ問題などなかったに違いないのだから。

 

 しかしながら異形種である自分たちがホイホイ人間種の拠点まで謝罪に出向く訳にも行かないので、こうして手間を掛けさせて自分たちの拠点に召喚する形になっている。

 

 

 

「むしろ貴方達のプレイスタイルには素直に関心と興味を持っています。個性的なやり方でこの世界を楽しんでいるなーと――」

 

「じゃあわたしたち、ともだち?」

 

「「「と、友達ぃ!?」」」

 

 

 

 唐突にグラスランナー娘の口調が極端に幼いものになり、どこか的はずれな展開になっていることにも気づけない。

 

 

 

「ええと……まだ強くない異形種プレイヤーをやたら滅多にPKとかしたりしなければ」

 

「しません! されたくないのでしません!」

 

「なら……はい、友達です。イベントとかで戦ったり競ったりすることもあるかもですが、今後とも仲良くしましょう」

 

「よっしゃー! おとこともだちゲットー!」

 

 

 

 幼女の口調のまま両手を上げて素直に喜ぶグラスランナーが一人。年若い女の子に囲まれる現状に不満は欠片もないのだが、たまには男性と駄弁る機会もあればなーと思っていたので。

 緩んだ場の空気からホッと息を吐く声が聞こえる。自分たちは悪くないのに幼い少女たちをいじめているような居心地の悪い感覚は失せていた。

 

 

 

 

 そして――商人娘の唇端がわずかに上がり、抑えきれない興奮から言葉を漏らしたことに気づいた者は誰もいなかった。

 

 

「及第点どころじゃないわね……よくやったわよ……後で一杯褒めてあげる」

 

 

 モモンガが口走った一連の言葉の真の価値を知る者は、PC・NPCを問わずこの場では唯一人のみである。

 

 

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 

 

 

 まずは軽い親睦から……ということで、アインズ・ウール・ゴウンのプレイヤーと招待客たる三人娘はサロンでお茶会を開いていた。

 女子会なら第六階層「大森林」 の巨大樹で催すところなのだが、モモンガら男性プレイヤーも交えてということでこの場での開催となっている。

 

 

「いい光景ですね……」

 

「ええ……このナザリックにまともな外からの客人なんて、永遠にありえないことだと思っていました」

 

 

 椅子に掛け、ティーカップを持ちながら(飲めない)会話に興じる人間種と異形種の姿は、モモンガにしてみれば感慨深いものである。

 どうやら異形種への確執も殆ど無いようで、最初は所作がぎこちなかった少女たちだったが今ではすっかり自然体である。

 

 

「しかもうちのなんちゃって女子とは違う、れっきとした女の子が三人も……感無量です……」

 

 

 ホワイトブリムなどは涙ぐんでいる。待ちに待った自身の念願が果たされようというのだから無理もない。

 

 

「おい、私らのどこがなんちゃって女子だオラ」

 

「普通の感性がある女子はピンク色の肉棒とかゴツくてキモい巨人とか自分のアバターに選ぶ訳ないだろ! いい加減にしろ!」

 

「あにおー!」

 

「……私はちゃんとした女の子ですよ」

 

「そりゃエルフだし……というか、なんであけみちゃんここに居るの?」

 

「え? 勿論お姉ちゃんに今日のこと聞いたからですけど」

 

 

 私抜きで三人とお茶会とかずるい! というのが、実は最初の歓迎のときからしれっと同席し、今現在グラスランナーを膝に乗せているエルフ娘の主張である。

 そんな醜い姉弟の諍いなどはあったものの、概ね穏やかにお茶会は進み、話題は三人のプライベートへと移っていた。

 

 

「――え、何? じゃあ、貴方達リアルでは一緒の部屋に住んでるの!?」

 

「はい。かかさまに、わたしたちみたいなこがいっぱいいたしせつからひきとってもらえました」

 

「うん。ついこの前」

 

「はー……掲示板で見たけどたしかまだ貴方14歳なんでしょ? よくその歳でその決断ができたわね。お金とか大変じゃない?」

 

「も、モロバレ……いえまあ、思うところがあって。確かに生活は苦しいですけど、でも二人のおかげで毎日賑やかです。一人はどうにも寂しくて……」

 

 

 今日は人一杯なのに気分良さげで元気だな、とグラスランナーは商人娘ことステラに目を向ける。多少は人見知りが緩和されたのか、それとも全くもって人に見えない人間が会話相手だからだろうか、と考えている。

 

 彼女が周りの異形種達を『創作物のキャラクターである』という歪んだ認識を交えながらこの場にいるという事実には、どうあっても思い当たるはずがなかった。

 

 

「で、でも学校とかどうしてるの? てか貴方達いくつ?」

 

「……学校通ってない。歳は多分12」

 

「わたくしははずかしながらじぶんのねんれいもわからず……ようちしゃにも(今世では)いったことがありませんね」

 

「そっちの娘が13、こっちが9歳です……引き取った時に確認しました」

 

「ほぼアバターのまま……ていうかそれ以下じゃん」

 

 

 不憫な……と、現実で幼い娘がいるたっち・みーや小学校の教師であるやまいこが呟く。特にやまいこなどは教育者として彼女達の現状はどうにかしてやりたいと思ったが、感情だけで動けるほど軽い問題ではなかった。

 

 

「でもかまいません。すばらしきこのせかいがわたしたちのがっこうのようなものですので」

 

「運動も好きなだけできる……リアルより好き」

 

「……恥ずかしながら、食べさせるだけで精一杯で」

 

「だいじょぶ……ペレット……美味しい……」

 

「ひにさんどちゃんといただけて、しせつにいたころよりいっぱいたべられますからきになさらないでくださいまし」

 

 

 グラスランナーと白ドワーフのフォロー(本心)が痛い。こんなことならもう少し良いものを無理してでも食べさせておけば……いやでも予算が無くなっちゃうとか考え、恥ずかしげに身を縮こませる商人娘である。

 

 

「……というか、いくらなんでも打ちひしがれすぎでしょう皆さん」

 

 

 そのウルベルトの言葉通り、三人娘以外のほとんどのメンバーは顔を伏せ『落ち込み』の感情をアピールしていた。

 

 

「普通にしてるの、貴方だけですよウルベルトさん……」

 

「皆さん素直に話を信じ過ぎなんじゃないですか? 初対面の間柄でするリアルの話なんて、話半分に聞いておけば良いんです。普通に考えればRPの役作りの一貫だと理解できるでしょうに。不遇な環境からの成り上がりストーリーとかありきたりじゃないですか」

 

「確かに……学校にも行ったことないはずなのにこの賢さは謎ですが……」

 

「うーん……」

 

「ぐすっ……だとしても真に迫り過ぎてて……びえーん!」

 

「何ですか……小卒で家を出て働き出して、体の不自由な身寄りのない女の子二人も施設から引き取って育ててるって……」

 

「学校にもいけずに、ペレットオンリーでの生活でも充分幸せなんて……作り話でも心が痛い……」

 

「自分がこの世で最も劣った生き物みたいに感じられてしょうがないんですが……14歳の母というパワーワードで一瞬ステラちゃんの不純な光景を思い浮かべてしまった自分が恥ずかしい……」

 

「うん、それは本気で恥ずかしいと思う」

 

「でもホントにどこか二人のお母さんっぽいのが……琴線にビビッとクルものがあるよね」

 

「そこはせめてお姉さんにしてあげようよ……」

 

「でも胸も結構あるし……ノノカちゃんもそれなりだけどぶっちゃけここに居る中で一番エロいと思う」

 

「貧乏なロリ巨乳のママキャラ……ありだな!」

 

「いやねーよ」

 

「いやいや、有りだろ」

 

「こいつら……」

 

 

 

 結局、話の流れが切ないものになりかけたところで、「私達は充分幸せです。世の中と運営糞だけど」というグララン娘らの言葉と男共の猥談で軌道修正することに成功した。

 

 

 

「それにしてもリアちゃん……アバターのお肌の質感ツヤツヤね」

 

「いえいえぶくぶく茶釜さんほどでは……みずみずしいことこのうえなく」

 

「いや、私スライムだし」

 

 

 そう言い合いながらぷるるんと躰を震わせるピンクの肉棒をキャッキャと両手で擦るグラスランナーである。手付きがちょっと卑猥とか思ってはいけないし、9歳児が半ば本気のいやらしい手つきで擦っていることに気づいてはいけない。

 

 

「んん……? でも確かに画像よりも、なんかこう艶っぽいというか……リアちゃん最近外部ツールでアバターをいじったりとかした?」

 

 

 だが二人の触れ合いをねっとりとした視線で眺めていたペロロンチーノの目はごまかせない。元々ロリ系NPCの作成に通じ、この中で一番オーレリアの画像を眺めていた機会の多かった彼の言葉に疑う余地は無かった。 

 

 

「ええと……このまえしゅとくした"ぷろすてぃてゅーと"のクラスレベルのおかげかと。アバターのがいそうにプラスほせいがあるとテキストにかいてありましたので」

 

「「「!?!?!?」」」

 

(プロスティ……って、は!? 娼婦(プロスティテュート)ぉ!?)

 

 

 モモンガ(童貞)は聞き慣れない職業名に一瞬思考が及ばなかったが、小学校の時に頭の中に詰め込んだ英単語(必須ではない)の知識から正解に至った。ほぼ間違いなく戦闘とは無縁の、雰囲気作り以外何者でもない職業であろう。取得しているプレイヤーの名前どころか、その存在すら今の今まで知らなかったが。

 

 

「な、なんでそんなものを……」

 

「はずかしながら、このまえステラとくちげんかしたあと……その、レベルがあがってしまいまして。えっちえっちとなんどもはしたないことをいいあってしまったのがとりがーかと……」

 

「いやいやいや、私の職業選択欄にそんなもん出てないし……というか、何いつの間にか上がってたみたいな言い方。私の居ない日中勝手にレベル1に上げちゃったのアンタでしょうに」

 

 

 やんやんと頬に手をやりながら恥ずかしがるグラスランナーと、そんな娘をジト目で見遣る商人娘。二人のこれまでのプレイ実績の違いに、『下着姿を不特定多数のPCに晒す』というものがあったりなかったりする。

 

 

「クラスめいをみたしゅんかんに、これはもうぜひとらなくてはならない、ぜったいにとっておけというえろいかみさまからのおつげが……」

 

「どこの碌でもないギリシャ神だよ……」

 

「俺の心の神様。エロには逆らえない」

 

「ああっ急に俺っ娘にならないで! イメージが! イメージが!」

 

「あら……しつれいをば、ウフフ、しせつではおとこのおとなのひとしかまわりにいなかったもので、つい」

 

 

 一瞬だけキリッと真顔になったオーレリアだったが、カバーストーリーも混ぜつつすぐさま笑顔で口に手をやり口調をもとに戻す。

 少なくとも、今回の訪問中ではこのキャラを通さなければならない、という強迫観念にかられて。

 

 

 

「はー、本当に思いつきでロールプレイしてるのね……俺らには無理だわ」

 

「ロール……プレイ……?」

 

「ちゃんとけんしとしてもつよくなりたいともおもっておりますのよ? ただ、いまはこういうプレイのほうがたのしくてたのしくて……」

 

「楽しい……」

 

「おかげで苦労しています……退屈はしませんけど」

 

「グララン……ロリババア……未就学児……貧乏……処女騎士……娼婦……アイドル……枕営業……うっ! ふぅ……」

 

「うわぁ……その属性でよく欲情できますね……」

 

「余裕っす。多少盛りすぎだとは思いますがエロゲーだとどうみても容姿が小学生以下だったり身長数十センチしかなかったりする攻略ヒロインもざらだし。無論普通の人間ではありえないけど」

 

「まあ……こうして見てると所作がそれほど子どもっぽくないしね……分かる気もする」

 

「色々と捗りますよね。今日はストレージの容量も空けてきたし、キャプチャツールの設定も万事OKです」

 

「アンタら暫くこの娘達に近寄らないでね」

 

「ボクも教育上不適切過ぎると思う」

 

 

 

 多人数のPTメンバーを庇い立てるスキルを発動させたピンクの肉棒の体積がぐわっと大きく広がり、少女たちをいやらしい視線からガードする。さらにやまいこの巨体と合わせ、ここに少女たちの貞操を守る鉄壁のガードが完成した。

 

 もっとも、この後の出来事に微塵も影響はないのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 

 

 ――この日、ナザリックは大いに盛り上がった。

 

 

 お茶会の後は、当初の目的でもあったホワイトブリム謹製のメイド服と、主にペロロンチーノが用意した古今東西のコスプレ装備の試着会である。

 異形種ギルド故需要が無かったため、普段日の目を見ない宝物庫の中の装備まで大放出された。

 

 主にノリの良いオーレリアが率先してポーズを決め、積極的ではないが特に拒否もしないノノカは着せ替え人形にされ、当初は断固拒否していたステラは何人ものレベル100異形種の土下座攻撃に絶えられず泣く泣く参加した。また、最初は少女たちの着せ替えショーを眺めて興奮していたもうひとりの人間種であるあけみも成り行きで交ざった。

 

 

「……大丈夫ですか? ホワイトブリムさん、ヘロヘロさん、ク・ドゥ・グラースさん」

 

「ゆ、夢のような時間でした」

 

「四人とも嫌がらず、一通りのデザイン全部着てくれて好きなだけ撮影し放題とか……正直、もういつ死んでもいいと思った」

 

「お嬢様風ロリメイド……生意気ロリメイド……無口ロリメイド……母性マシマシ巨乳メイド……無邪気スレンダーメイド……いずれも素晴らしい」

 

 

 

 現在自身が抱えるメイド服を全て四人の少女に充てがい、精根尽き果てる寸前の化物達の姿がそこにあった。これが本懐を遂げた漢の姿か……モモンガは精神の極限を迎えた人間(?)というものをこの時初めて見たのである。

 

 

 

「だが駄目だ……肝心のメイド服がこの完成度では到底恩に報えない」

 

「ふふふ、そうですよね。まだ満足するには早いですよね」

 

「まだNPCレベル余ってましたっけ……?」

 

「は!? これ以上まだ作るんですか!?」

 

「ええ、今日の画像データだけであと20年は戦えます。それに彼女達の体型は完璧に把握しました……巨乳はやっぱり良いが貧乳もまた良しという真理も得られました。今日試着してもらったメイド服とは別に、一からのオーダーメイドで作成します。私の中にまだこれほどの熱意とアイディアが眠っていようとは……本当に彼女たちには感謝しきれませんよ」

 

 

 

 ――この数年後、ホワイトブリムはヒロインがメイド姉妹の漫画を月刊連載しはじめると瞬く間に好評を得、やがて「メイド漫画の帝王」までと呼ばれる様になる。

 漫画賞を受賞した際のインタビューで彼は、「あの時の彼女達との出会いがなければ、ここまでの高みには辿り着けなかっただろう。またいつか会ってお礼を言いたい」と答え、読者の称賛と嫉妬を一身に受けたという。

 

 

 

 

「――なんで18禁スレスレの装備をあんなに可愛く着こなせる……エロ可愛いとか……むしろ尊い……あんなの反則ですよ……」

 

「私としてはあの体型のロリにそんなもの着せたお前にドン引きだわ」

 

 

 グララン娘に極端に生地面積が狭いボンテージを着せたバードマンが咽び泣く。この日、ユグドラシルが18禁作品だったならと世界で一番悔しがった男、ペロロンチーノである。

 尚、実際に試着と撮影を終えた本人の感想は「なにこれめっちゃ動きやすい」であった。

 

 

「ドレス、ナース、メイド、チャイナ、和服、巫女服、バニー、スーツ、セーラー、魔女っ子、姫騎士、レオタード、軍服、水着、道着、くノ一、体操服、ブレザー、つなぎ、ゴスロリ、ケモ耳、ケモ尻尾、天使に悪魔……やるだけやった……もはや一片の悔いもない……!」

 

「そりゃあ、あれだけやりたい放題できればそうでしょうよ……」

 

「けっきょくしっぽからはのがれられませんでしたが、こえだけですんでホッとしています」

 

「意味深ボイスもバイノーラルでしこたま収録してましたもんね」

 

「至高のつるりんぺたんに感謝だが……流出したら逮捕されかねんな。非ネット接続で新規にストレージを組むか……」

 

「オンプレで三重バックアップします」

 

「最低限必須だな」

 

 

 予定外の出費に課金を控えなければと、嬉そうに語る男衆である。

 普段こういうことに興味を示さないモモンガでさえ、後にグラスランナーの至高の一枚をブロマイドアイテム化するほどの充実感を得ていた。

 

 

「まんぞくです。こじんてきには、ゴスロリとひめきしいしょうがすきです。『くっころ!』」

 

「おやめなさい、はしたないから」

 

「……疲れた」

 

「もう……お嫁に行けない……」

 

「大丈夫大丈夫! 皆可愛かったよ!」

 

 

 女性陣も色気を前面に出した装備の試着にはあまりいい顔をしなかったが、素直に可愛い美しいと言える装備の試着では一緒になって盛り上がった。あれこれとコーディネイトの指南をしてあげるほどに。

 自身の美的センスがイマイチであるという自負があるグラスランナーもこれには満足。今日の経験値は末永く活かされることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 ――続いて、各階層の施設を巡ることになった。自分たちなど及びすらしない、最上位ギルドの拠点だけあって、リアとノノカにとっては見るもの全てに驚くほかない。

 

 

 

 

【バー】

 

「……ピアノ」

 

「ノノちゃん弾いてみたい?」

 

「うん」

 

「今日は時間が無いから、また今度にしようず」

 

「……わかった」

 

 ……グッ!

 

(また来るって……!)

 

(よくやった!)

 

 ドヤァ

 

「おさけをたしなむしゅくじょとかよさげですわね」

 

「大人になってからね」

 

「もーまんたいですわ」

 

 

 

 

 

【鍛冶場】

 

「……すごい……参考になる」

 

「何か作りたい装備でも?」

 

「うん。剣と鎧と……あと何か」

 

「ふーん……誰かにあげるのか?」

 

「……鎧は私の……絶対に……守る」

 

 

 

 

 

【地底湖】

 

「「「何も見えない」」」

 

「動かしたら凄いんだけどね。普段はこんなもんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

【大森林】

 

「おー……」

 

「……星が見える」

 

「ブルー・プラネットさんの力作、いつ見ても圧巻ですね」

 

「恐縮です」

 

「……」

 

「そういえばステラちゃん……君は、どうしてその名前を使うことにしたんだい?」

 

「……私は、現実の世界が大嫌いです。こんな世界、消えて無くなっちゃえばいいのにって、何度も何度も考えていました。今でもそう思うことがあります」

 

「大いに同意ですね」

 

「まあ……分からないでもないわな」

 

「私は……私の中では、星というのはもっと身近なものだったんです。もっと黒々というか、どこか深い青を混ぜたような夜空に、ここよりももっとたくさんの星が見えて……いろんな色と光の点が煌めいて、流れ星かと思ったら人工衛星だったり……ああ、一度だけだったけど彗星をみた時は圧倒されちゃったなぁ……まだ子どもだったから寝ぼけてましたけど」

 

「……夢の話かい?」

 

「……まあ、そんなところです」

 

「今の地球の空でそんなもの宇宙に出ない限りは拝めないですからね」

 

「それで(ステラ)か。ロマンチストねー」

 

 

 

 

 

 

 

【性格最悪】

 

「チャックモール……演奏は凄い上手……けど嫌い」

 

「そうですね」

 

「そう言えばリアちゃんとノノちゃん楽士の職業もってたんだっけ? 楽器系のレシピとかいる?」

 

「くださいな♪」

 

「ほいさ。クラフト系の職業鍛えればもっといろいろ作れるよ」

 

「……そうする。ありがと」

 

 

 

 

 

 

【エロ最悪】

 

「ふぅ……なかなかよいですね。HPを1すらへらさず、うんえいからのおしかりもなく、どうやってここまで18きんにちかいシチュエーションをじつげんできたのかふしぎです。そのどりょくにわたしはだつぼう。ほっこり」

 

「いや、実際にあのエロトラップを体験してそれで済ませる9歳児のほうがどう考えてもおかしい」

 

「気持ちよかった……参考にする……」

 

「えぇ……(ドン引き)」

 

「なんの参考!?」

 

「これが無知の勝利、か……」

 

「いや、どう聞いてもリアちゃんエロ知識持ってたっしょ!?」

 

 

 

 

 

【拠点最悪】

 

「「「パスよ」」」

 

「はい……」

 

「俺氏、気になります。何が居るん?」

 

「……まあ、知らない方がいいものでしょうね」

 

 

 

 

 

 

【料理長】

 

「え……ステラちゃんコックの職業レベル取ってるん?」

 

「NPCに持たせるべきじゃないの?」

 

「良いんです。錬金術的に意味が全く無いわけでもなさそうなので。スキルでミートパイとか出せますよ」

 

「……商人系のRPじゃなかったっけ?」

 

「美味しい料理……いつか食べさせるって約束なんです」

 

「……」ホロリ

 

 

 

 

 

【ペストーニャ・S・ワンコ】

 

「わんわんお」

 

「そういえば、リアちゃんの名前にも"S"って入ってるわよね? この子はショートケーキの略なんだけど、貴方のはどういう意味なの?」

 

「ないしょです」

 

 

 

 

 

【エクレア・エクレール・エイクレアー】

 

「仲良くしてあげてね」

 

「かしこま!」

 

「……うん」

 

「反逆志向……どうしてそんな要素を足したんですか?」

 

「それはね――」

 

 

 

 

 

 

【セバス・チャン】

 

「ウホッ、にくたいはしつじ」

 

「お爺ちゃん……」

 

「名前といい、ありがちといえばありがちなキャラなのよね」

 

「だがそれがいい」

 

「そうね」

 

「自分と同じく、力が無いばかりに苦しむ誰かを助けられるようなキャラクターをイメージしたのですが……」

 

「たっちさんのその思いは通じてると思いますよ、きっと」

 

「……ありがとうございます」

 

 

 

 

 

【ユリ・アルファ】

 

「おこったらこわそう……こわくない?」

 

「そりゃ、悪い事したら怒られちゃうかもね」

 

「……知ってる」

 

「子供のやることを全部優しく笑って済ませるだけの教師が良い教師であるはずないですもんね」

 

「あれ? ボクの仕事のこと、喋ったっけ?」

 

「……あけみさんから聞きました」

 

「あの娘ったら……」

 

 

 

 

 

 

【ルプスレギナ・ベータ】

 

「おっぱい!」ダキツキ

 

 ホッコリ

 

「そういえば、ユグドラシルってよくある萌キャラ系の獣人種っていないんですね」

 

「人要素が二本脚で立ってて道具を使えて喋るくらいしかないですからねぇ」

 

「異形種の人間形態の方がそれっぽく可愛いキャラになっちゃうっていうのも皮肉っすよねー」

 

「まあね……でもその仕様のおかげでこの娘はアインズ・ウール・ゴウンにいられる」

 

「いいはなし」

 

「……そうかな?」

 

 

 

 

 

【ナーベラル・ガンマ】

 

「にんげんしゅですの?」ダキツキ

 

「残念、二重の影(ドッペルゲンガー)だよ」

 

「あの、自分と同じ姿のを見たら死ぬっていう」

 

「呪術系の職業は設定してないからそのようなことはないな」

 

「……強いの?」

 

「一応プレアデスのメイドの中ではレベルを一番高く設定してはあるが……まあ強さは一つではないし、一概にそうは言えん。仲間がいるなら尚更だ」

 

「おー……」キラキラ

 

 

 

 

 

【シズ・デルタ】

 

「……ロボ?」ダキツキ――カタイッ

 

「人形……」

 

「ユグドラシルの過去の歴史って一体……」

 

「異星文明か超科学・魔法文明か……何にしても浪漫だよねぇ」

 

 

 

 

 

 

【ソリュシャン・イプシロン】

 

「エロいおっぱいです!」ダキツキ

 

「そりゃ、外装はそう創ったからね……捕食型粘体(スライム)だから融通がきくし」フフン

 

「え」

 

「今はゲスト権限あるから良いけど、普段だったら捕食されちゃうからハグはほどほどにね」

 

「……」モミモミ

 

 

 

 

 

【エントマ・ヴァシリッサ・ゼータ】

 

「……はぁ……エントマちゃんかわゆ……!?」ジリッ

 

「本能で察知した……!?」

 

「……」ギュッ

 

「あ、やっぱりいくんだ」

 

「かたい……ギチギチいってる」

 

「そりゃそうよ」

 

 

 

 

 

【シャルティア・ブラッドフォールン】

 

「お! 可愛い吸血鬼!」ダキツキ

 

「流石俺……グラスランナーとロリ吸血鬼の絡みがここに」

 

「よくやった」

 

「この娘、本当に吸血鬼なんですか? ……よくこんなに可愛いNPCを創れましたね?」

 

「まあ、それなりに課金したから。あとは根気と情熱の問題」

 

「愛あればこそってやつですか?」

 

「お、分かってるね。二人も絡んでいいよ。いやむしろ見せてほしい」

 

「……じゃあ少しだけ」ダキツキ

 

「……」ダキツキ

 

「「「ああ^~」」」

 

「そういえば、シャルティアのこと知ってたの?」

 

「Wikiで見た俺の一押しNPC!」

 

「……ああ、そう言えば攻め込まれた時にスクショ撮られてたんだっけ」

 

「最上層の守護者だし……ある程度情報が漏れちゃうのはしょうがないっしょ」

 

「いいおっぱいなり」

 

「いや……実は貧乳でPAD入りっていう」

 

「?」

 

「まあ設定だけだけどね」

 

 

 

 

 

 

【コキュートス】

 

「ザ・ムシショーグン……」

 

「……強そう」

 

「武器戦闘では守護者最強なのだよ」

 

「そこは昆虫系の腕の多さの強みですね」

 

「うむ……鎧さえ装備出来ればもっと良かったのだが」

 

「鎧……」

 

「幸い武器での防御も出来ないことはないが……種族特性の悩みというものだな。この辺りは」

 

「わかる」

 

 

 

 

 

 

【アウラ&マーレ】

 

「どう? うちの子たち可愛いっしょ!」

 

「「「ハイ」」」

 

「ほらほら、並んで並んで……はい、チーズ!」パシャ!

 

「やっぱりいいわねー、うちの愚弟と全員トレード出来たらなー」

 

「酷すぎる……」

 

「なんで格好が逆なんでしょう……似合ってますけど」

 

「姉ちゃん業が深いからな……」

 

「おまいう」

 

 

 

 

 

 

 

【デミウルゴス】

 

「これは……くろまくというやつですね!」

 

「……確かに見た感じ、それっぽいですね。如何にも悪の参謀というか、魔王というか」

 

「そうなってくれたら、創造主としては実に愉しみがいがあるというものですね」

 

「……賢い?」

 

「ええ、軍略、内政、外政……あらゆる策謀において欠点がないという設定です。悪魔的って表現がぴったりかと」

 

「こんな上司がいたら心強いでしょうね。……現実では有りえませんけど」

 

 

 

 

 

 

【アルベド】

 

「ウッヒョー!」ダキツキ

 

「……淫魔?」

 

「大人の女性って感じですね。背徳的ですけど上品さもあって……王妃って感じがしますね」

 

「それだけじゃありませんよ。守護者統括として頭も切れる。そしてタンクとしての能力も一級品にしてあります。それに――」

 

「それに?」

 

「おっと、これは秘密です」

 

「……はあ」

 

 

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

「――すみません。こんなに装備品を頂いてしまって」

 

「気にしないでください。報酬としては少ないくらいなんで、これだってほんの一部です」

 

「そんなにまだ持てないからね……ギルドの拠点構えたら、ちゃんと追加分受け取りにきなよ」

 

「……はい」

 

 

 リアルでは日付が変ろうかという時間になり、子どももいるので名残惜しいが本日はお開きということになった。

 種族を超えたフレンド登録を交わし、穏やかな空気が流れる。

 

 尚、今回はたっち・みーもグラスランナーの少女とフレンド登録を交わした。相変わらずプレイ環境の差はあれど、今日の交流で十分友人と呼べるだけの関係は築けただろう。

 ……それにまた厄介事があったとき、連絡をとり辛いのは困る。聖騎士としてはこんなことが再び生じては大いに困るのだ。

 

 

「では、ネットの拡散の方もおまかせしますね。私だけだと手が回らないし、勝手がわからなくって」

 

「まかせてちょーだいよ。多過ぎず少な過ぎず、それでいて絶妙なタイミングでやってみせるから」

 

「他の奴らが悔しがる様子が目に浮かぶ……これが愉悦か」

 

「今の俺達こそが人生の勝ち組である……そう思わざるを得ないですね」

 

 

 そう……それこそが本日の(一応は)最大の目的である。大量に撮影された画像データを少しずつ世間に広めることで悪評を欲望で打ち消そうという、半ばヤケクソの作戦であった。

 

 もっとも、ぷにっと萌えやウルベルトなども笑いながら推したという心強さがある。たっち・みーややまいこなどの反対はあったものの、「アホらしくて誰も傷つかない、良い作戦だと思います」とのお墨付きがでたので結局遂行されることになった。

 

 なお、これには本人たちの名誉は一切考慮されていない。

 

 

「アルバムできたらくださいな♪」

 

「いいですとも」

 

「よっしゃー!」

 

「今度、君たちに完璧に合わせた最終メイド服(決戦兵器)を作成する。完成したらぜひ受け取って欲しい。そして見せてくれ」

 

「……はい」

 

 

「ではまたお会いしましょう――《転移門》」

 

 

 今日の良き思い出への感謝をわずかばかり込めての詠唱で、ギルドマスターであるモモンガ自ら《転移門》を展開する。この中を通れば、彼女たちの街へと辿り着けるだろう。

 

 

 

 

「感謝します……お元気で」

 

「……さよなら」

 

「おたっしゃで、ですわ」

 

 

 

 

 黒髪の商人娘はお辞儀を、他二人は手を振りながら《転移門》の闇へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

「いやぁ……いい子達でしたね……」

 

「良い心の洗濯が出来た気がします。やはり無邪気な子どもというものは良いものです」

 

「それは……どうでしょうね。どうにも怪しいところです」

 

「?」

 

 

 各々が穏やかな心地をさらけ出す中、不穏な言葉を口にしたウルベルトに皆の注目が集まる。

 

 

「そんなわけないじゃないですか! 三人共今どき珍しいくらいの良い女の子ですよ! 私には分かるんです!」

 

「エルフのお嬢さんの言うことはともかく……個人的にステラさんは一筋縄ではいかないと思いますよ? 明らかに何か企んでいる様子でした。そこが興味深いといえば興味深いんですがね……」

 

 

 クククと笑うその口調は如何にも愉しげだ。

 

 

「そう言われれば、まあなかなか裏がありそうな子でしたからね……境遇もそうですが、私達のこともWiki以上に知っているみたいでしたし」

 

「……え?」

 

「うむ……不快では無いが、何かをこちらを探るような言動もしていたな。実害はなさそうなことばかりなので一旦様子見としたが」

 

「は? え!?」

 

「うまく隠していましたが、ナザリックの構造をある程度熟知してるんじゃないかって素振りもありましたからね。どう見てもただの初心者じゃありませんよ」

 

「……もしかして、あの娘本当に工作員とかだったりするわけ?」

 

 

 ぶくぶく茶釜が暗い口調で尋ねる。無論彼女一人に限った話ではないが、今日一日だけで少なからず三人娘に情が移ってしまっていた身としては気が気ではない。

 

 

「さてどうでしょう。これまでの全てが演技で……という意味ならば、その線は薄いでしょうね。いくらなんでも目立ちすぎです。グラスランナーの幼女とか、PTメンバーに入れるだけで人目を引きます」

 

「確かに……」

 

「おそらくは、私達のせいで個人的に彼女の恨みを買うようなことが過去偶然にあったとか、その程度だと思いますよ。誰も身に覚えがないようですので、どこか私達の預かり知らぬところで、でしょうが」

 

「そんなの話してくれないとどうしようもないじゃん!」

 

「まあ、いざとなればどうとでもなりそうですがね」

 

「?」

 

「適当な意地の悪い話を捏造して、それと一緒にお仲間の際どい画像をばらまくぞ……と、これで彼女は何も手出し出来ないでしょう。なかなか妹思いのお姉さんのようですしね」

 

「えげつな!」

 

「悪魔かよ……」

 

「悪魔です。そのために今回の提案にものりましたし、害がなければ何もしません。お互いに手を取り合ってユグドラシルを楽しむ関係ですよ」

 

「ああ、そういう」

 

 

 一同がウルベルトのかけた保険にドン引きするなか、悪を己の信条とする男は笑う。彼女が語った、リアルの世界を憎む気持ちは本物であるという確信とともに。

 一体彼女がどんな闇を抱えているのか、暴きたくてしょうがない。

 

 

 

 

「――ま、大丈夫でしょう。彼女が裏切るその寸前まで、私達はほら、『お友達』なんですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―― がいけんはこわかったですが、おもったよりふつうで、いいかんじのひとたちでした。おしりもぶじです。

 

 ―― そうね。

 

 ―― またあそびにいきましょう。

 

 ―― ……うん。

 

 ―― よきかなよきかな。

 

 ―― ……もういい加減に喋り方普通にしていいわよ。

 

 ―― ……もどらない。

 

 ―― ……なんでよ。

 

 

 

 

 

 




【グラスランナー オーレリア・ルハティーなんたら】
・リアちゃん
・弐式炎雷さんにロックオンしたようです
・ひっそりたっちさんにキモい剣を返そうと思っていた
・狼尻尾
・言語中枢崩壊中


【白ドワーフ ノノカ・フランクフェザー】
・ノノちゃん
・キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!
・Always with You.
・うさぎ尻尾


【にんげん ステラ・トトニス・キャスロード】
・名前は前世の本名からもじった
・上手くいってるはずだけど複雑
・催眠術は嗜み
・猫尻尾(もってるだけ)


【エルフ あけみ】
・ストーカーなりかけ



【モモンガ様】
・口約束で免罪符を発行





↓ あとがき と ネタバレ ↓

 ナザリックツアーはダイジェスト気味。なんとなく誰の台詞かは分かるように書いたはず……分からなかったら適当にイメージしてください。多分支障ありません。
 

 商人娘の指示で、特にオリ主は徹底的に媚びを売る様子を見せるようにされましたとさ。とにかくPC・NPCの第一印象を『ナザリックにとって無害』かつ『庇護下である』ことをみっともなくアピールする役割です。モモンガ様からしっかり言質とったのでこれからは安心だね!

 今回は人数多かったので終始ひらがな口調を強要しました。キャラがぶれてるので、時々極端に幼女化したり本性がでたりしちゃってます。かなり不自然ですが、今回もっと不自然なキャラが居たのでこれくらいは許容範囲内。



 ハンマー娘ノノカは今回一番楽しんでいます。言ってることやってることそのまんまの彼女は特に裏もないので普通にナザリックに馴染めています。今回は珍しくよく喋ってたけど、どこまでもオリ主にとって都合の良い女で有り続けるため、これといって見せ場も無いのが悩み。

 あと今回は冒頭のシーン以外目が死んでないよう見えますが大体何時も通りです。



 商人娘ステラは、今回で一安心といったところでしょうか。
 アインズ様の機嫌をよっぽど損ねない限り「こんにちわ! 死ね!」される心配はとりあえずなくなりました。
 必死でギルドの面々とNPCにまで胡散臭い媚を売りまくってます。前世の知識を総動員してるので、いらんことも描写してないところで喋ったりしてますが。彼女にしてみれば命がけの上本心からくるヨイショなので、聞いてる方も嫌味は感じないでしょうが。
 そのせいで一番警戒を集め、他に何か目的があるんじゃないかと疑われるキャラになってます。まさか媚びを売る事自体が目下最大の目的とは思われていないのでしょうがないね!
(ぶっちゃけこれからアインズ・ウール・ゴウンは衰退期に入るので特にどうということはなかったり)



 あけみちゃんは根っから優しい女の子です。天才肌なのであまり失敗らしい失敗とかしてきてなさそうにしてます。ひたすら突撃って感じのキャラです。
 今回で商人娘も大分馴染んだようなので、これからは普通につるんでくれるでしょう。


 モモンガ様視点では、オリ主は歳の離れた妹か娘が出来たらこんな感じみたいなイメージです。それはそれで一波乱ありそうなのでちっとも穏やかではないんですが。



 とんでもないギルド像を想定していたので、無事に帰れて拍子抜けしているオリ主とハンマー娘。お話的にも一段落といったところです。

 あとは……メチャクチャになってるレベル構成をどうにかするためにご都合主義イベントを経てってところでしょうか。適当プレイ全開でもそれはそれで味がありそうですが、それなりに強さがないとうっかりマーレきゅんとかに殺されちゃいそうな危うさがありますので。










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100日目 dungeon attack!

 日付は時系列の目安程度に。

 あまり意味はありませぬ故。




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「――いいわね!? もう形振り構ってらんないわ! 多少ショボかったりどっかのギルドが放棄してったやつでも良いから、ギルドホーム系ダンジョン探しておきなさい! 絶対よ! フリじゃないからね!」

 

 

 というわけで、我らがオカンこと商人娘(14?)が最近ギルドホームを欲しがるようになりましたよっと。

 

 ギルド結成用アイテム(最低クラス)をついこの間取得したとはいえ、「ゲーム始めた頃あれだけ拒否ってたのに心変わり早すぎねぇ?」てなことを毎日の日課である牛乳搾り中に考えてはいる俺氏である。

 でもそんなの関係ねぇさっさと見つけてこいってお尻を叩かれてるよ! そんなにホイホイ拠点化できるダンジョンが見つかるわけないだろ! いい加減にしろ!

 

 

 俺としては今使ってるこのレンタル拠点(人間種用)で十分なのです。

 駆け出しプレイヤーの懐にも優しい価格設定の維持費、地上2階地下1階の一戸建て(初級生産施設付き)+庭+小牧農場+αって今のニッポンだとありえないくらい勝ち組の住宅環境だし。

 

 ……けど、やっぱりナザリックとか見ちゃうと、どうしても格差を感じてしょうがないってのは嫌でも分かる。あそこの感覚に慣れちゃうと如何せんここって狭くてかなわんのよね。

 

 

 

 

 時が経つのは早いもので、俺らのプロフィール欄から若葉マーク(初心者の証)が外れてそれなりの月日が流れており、今となっては日向で俺らを見て悪い意味で指差しゴニョゴニョする輩はほとんど居なくなったと言って良い。

 

 あの素人感丸出しの作戦は……まあなんとか上手くいった。いってしまった。

 

 俺らの血と汗と涙の結晶である珠玉のデータ類は瞬く間にネットでの炎上を鎮火させ、それを拡散させたアインズ・ウール・ゴウンの野郎共は一躍時の人……どころか、現世に降臨せし現人神として掲示板の住人たちに日々崇められている。

 異形種の神って……カルト系ギルドの実態に変な方向で真実味が増してしまったではないか。日々俺らの悪評が立たない程度に小出しに、データを世に放出させるバランス感覚には頼らざるをえないのだけれど。

 

 

 そんなネットの海に漂っている俺らの画像なり音声データを収集する作業が、最近のユグドラシル掲示板界隈での暇潰しとしては密かなトレンド。

 例えば、ある日のプチライブで「ブヒュー、チミの使ってるブヒ、使ってるブヒ!(超失礼な意訳)」と豚くんが教えてくれた、俺が丹精込めて吹き込んだボイスパックとやら。知らんがな。

 

 ……で、調べてみたらホントに無料で配信されてたでござる。

 一番DL数が多かったのが、『ぐららん妹姫これくしょん×12』というボイスパック。『兄への12種類の声掛けを12種類の呼び方でお届け! グラスランナーの小さなお姫様ボイスで吹き込まれた144発のシスコン悶絶セット』って……なにこれぇ?

 

 サンプルボイスを聞くに、俺がアインズ・ウール・ゴウンのギルメンに頼まれて吹き込んだ、適当なお兄様呼びの台詞集をアレコレして抽出・編集して作り上げたようで、これを作った人は本当に暇だったんだなと分かる一品だった。ご苦労様な話である。

 

 

 ――だが真実はもっと奇禍あるべし。

 

 最大の協力者であるアインズ・ウール・ゴウンのメンバー+1には、『プレイヤー名+お兄ちゃんお姉ちゃん』で吹き込んだ完全オーダーメイドの映像・音声集を一緒に作成して進呈したという事実がある。「モモンガお兄ちゃま! お米様抱っこして!」ってな具合だ。収録メチャクチャ大変だったよ……。

 

 性癖を常にオープンにしているバードマンを始めとして、一部のプレイヤー名と吹き込んだ名前が違う猛者がいたが……俺としてはそれなりに大事にしてくれれば何も言うことはない。こんな時代、せめてプライベートなところでは人はもっと自由であっても許されると思うのです。はい。

 

 彼は「こんな妹が欲しかった……」と地面を叩きながら切実に呟いていたので、肩に手をやりしみじみと慰めてあげた。現実は厳しく、俺みたいな可愛い妹が実際に存在するはずもないじゃない。

 

 しかしここは仮想世界……現実ではありえないものが存在する超空間である。

 当然、理想の妹っぽいキャラだってここに居る。中身が俺というちょっとばかし残念な要素は言わなければ分からない。世の兄君たちにとって、もっとも重要なのは外側なのだから。

 

 ぶくぶく茶釜嬢にもプレイヤー名と違う名前で吹き込んだ『貴方の妹ちゃんセット』を贈呈した。「こんな妹が欲しかった……」って、ピンク色の粘液溜まりになって弟君とおんなじこと言ってたのでやっぱ姉弟だなって思った。

 

 そしてそんな彼女には、ペロロンチーノ氏と同じ回答を呈しておいた。

 ――貴方にも家族がいるでしょう? 毒親でも穀潰しでもない家族なんだから大切にしなさい。ホントにボッチだと部屋を借りたり入院したりする時めっちゃ大変なんだから! と。現実的なアドバイスを添えて。

 

 

 ちなみに俺氏のボイスパック二番人気は『俺のぐららん娘これくしょん×12』である。

 残酷な成長を遂げた娘からの愛に飢えた、世の可愛そうなお父さんや、独り身で結婚はしたくないが娘は欲しい、しかし到底叶わないという切ないおじさま達のリビドーを12種類の呼び方で満たす癒やしのボイスパックだ。この国の将来は大丈夫かな^^?

 

 

 

 そうそう、ナザリックで思い出したけど、商人娘から当面は身の安全は確保できたと複雑そうに言われたのでたまに遊びに行くギルドの面々から、悪魔のお誘いが来るようになった。「僕達と契約して異形種になってよ!」というやつである。

 

 

 

 ( ゚ω゚ )< お断りします。

 

 

 

 もちろん冗談なんだろうが。

 でも確かにこの前「ログイン出来なくなるかも」って話してたギルメン居たし、ならメンバーの補充がてらどう?って感じの話の流れみたい。

 異形種への転化イベントも手伝ってくれるとまで言ってきてる。果たして、グラスランナーではなくなってしまった自分のアバターに価値が残るのかは甚だ疑問だが。

 

 所謂、ヘッドハンティングって奴? 社会人限定ギルドって話だし、ウチらのPTだと該当するの商人娘のみなんだが。……商人娘が拠点欲しがってんのと何か関連があるんすかね?

 最上位ギルドへの勧誘なんてそうそうあるもんじゃないし、商人娘が乗り気なら俺としては哀しいけど笑顔で送り出す所存である。

 

 

 俺ら? ハンマー娘共々学歴すら白紙ですが何か?

 

 一応今のニッポンだと就業可能年齢ではあるはずなんだが、専らゲームさせられてるので強制ニート状態であるというおまけ付き。普通の人事なら履歴書の白さを見て、お祈りメールを即用意するものの意味が理解できるか頭の出来を心配されるレベル。

 

 

 なるべく考えないようにはしているが、たまに本気で将来のことが心配になってくる。「まだ未成年の義母を働かせて食べるペレットは上手いか?」って煽られたら二重の意味でクソ不味いとしか答えようがない。

 これが何十年も続くとか、流石に申し訳ないのでなんとか現実での金策もしたいところだ。俺のボイスMODって売れないかな……。駄目だよにゃあ……素人の歌や声で金(ゲーム内通貨は除く)を稼ごうという濡れ手に粟的な思考自体が間違っていると言わざるを得ない(戒め)。

 

 

 あ、ちなみにペロロンチーノ氏曰く、自分たちのイメージに近い異形種だと俺が蠱惑魔、ハンマー娘が粘土人形(クレイドール)、商人娘がホムンクルスなんだって。

 

 俺はやたら植物系やら虫系の生き物と相性が良いところとか、獲物を自分の容姿(見せかけ)で自分の世界に引きずり込むところだとかが合いそうだからって。可愛い?って尋ねたら、一拍置いて可愛いって断言してたからホントに異形種になるならありかも。

 ハンマー娘は暇だったり疲れてるときによくフニャフニャの液状になってるかららしい。ならスライムじゃねって言ったんだが、属性的に水より土だそうで。上位種に武器をモグモグするタイプも存在するからそっちでも良いかもって言ってた。

 商人娘は、なんか話聞いてると人間形態以外想像出来ないからだって。まあうちの母上はやたら人間でいることにこだわってるフシがあるよね。

 

 

 

 

 それで、えーと、何だったか……ああそうそう、本拠点の話ね。

 

 ワガママな我がママのお達し通り、この間適当にフィールドを走ったり獣道を駆けずり回ったりしてしっかり(偶然)見つけてきましたでござる。拠点化できそうなギルドホーム系ダンジョン。自分で言っておいてなんだが、見つかるわけないというのは一体何だったんだろうか……。

 森林地帯に囲まれた砦っぽい何かで、規模としては最低クラスにちっちゃいけど。ダンジョンはダンジョンである。

 

 そんなこんなで、今日は久々にダンジョンアタックの予定である。アイドル活動も悪くないけど、やっぱたまには基本に立ち返って冒険もしなくちゃね!

 

 日課も手早く片付ける。野菜やら牛乳やら卵やらをまとめて収穫箱に収め、騎乗用のお馬ちゃんたちをブラッシング、もこもこの白黒羊にじゃれついていた尻尾の先が白い茶色狼ちゃんを指笛で呼び戻してモフる。

 

 彼女はこの前PTの皆でキャンプごっこをしていた時、即興で弾き語りしていた適当ソングを聞いて寄ってきた茶色でモフモフな生き物である。

 体型的に馬に跨る光景が滑稽なものとなる自分にとって、餌付け(テイム)に成功した今ではこの上ない良きパートナーなのです。肉系料理を作って餌付けしてくれたオカンや、首輪などのアクセサリーを手作りしてくれたハンマー娘には感謝の言葉しかない。

 なお彼女は拠点での農畜産系アイテム獲得効率アップというどっかの萌神様のような謎スキル持ちである。外に出るときはほぼ俺氏専用の騎乗用NPCみたいなものなので、内と外での役割がはっきりしていていいと思います(小並感)。

 まだ子どもっぽいけど、それはそれで一緒に成長できる楽しみがあるというもの。これから一緒に頑張ろうずという願いを込めてモフる、更にモフる。モフモフモフモフふひー、いい汗かいた!

 

 

 

 

 さ、満足したところで本日のイカれたPTメンバーを紹介するぜ!

 

 

 まず一人目。

 ハンマー娘は当然パーティーIN。微妙に消耗している装備品を修繕したり、少しずつ強化してきた愛ハンマー磨きに精を出したりと余念がない。今日は人数も多いので心なしかいつもの死んだ目がウッキウキで嬉しそう。え? 分からん? 俺には分かる。

 

 二人目。

 休日なので今日は朝から商人娘もパーティーIN。この日の為にしこたま貯めてきたダンジョン攻略用アイテムをうんうん悩みながら整理している。うむうむ、楽しんでおられる。こういうのって道具の準備から楽しいよね! ……でもなーんか爆弾の数多くね? いつものことだけどさ。

 

 そして三人目。

 ぶっちゃけ攻略するには絶望的に火力が足りなさそうなので、「来てたる~」って訊いたらば「いくたる~」と返してきた、特に自分のギルドでの予定もなく暇してたエルフ娘AKMも助っ人としてパーティーIN。まあ実際、近接型であるにもかかわらず魔法もそこそこ使える彼女の存在はありがたい。レベルも一番高いし。

 

 ラスト・ワン! 俺! 以上! 嘘! あと狼ちゃんとお馬ちゃん(戦闘不参加)! 閉廷!

 

 

 これで合計PCレベルが250くらいかな……? 純粋な戦闘職レベル換算だとガクッと目減りするのには目を瞑るとしても少々心許ないが……人見知りする商人娘のことを考えるとこれ以上戦力は増やせない。というか、これが正真正銘の全戦力なのでこれでいくしかない。どうにも不安だ……

 

 

 

 

 はーい、ここで皆に倣って俺も装備品の確認をしまーす。ちょけらっちょー。

 

 武器……たっちさんに貰ったでかくてキモい蟲甲ダガー。

 正直、彼らの性癖を知ってしまった今となってはなるべくなら使いたくないところだ。きっと自分の一部を幼気な女の子が一生懸命握って振るって汗を吸わせている(意味深)とか、そういう特殊なシチュエーションでハァハァしているに違いないので。外面だけはあの人完璧なんですがねぇ……。なんて残念な聖騎士なんだ。

 鍛冶職を鍛えているハンマー娘がそのうち格好良い剣を作ってくれるとのことなので、それまではこいつで我慢である。悔しいことに外見とは裏腹に性能だけは良いのでしょうがない。

 

 あ、小盾はリストラの憂き目に遭いそう。大型モンスター相手だと、パリィするにしても受け方が悪いとそのまま吹っ飛んでスタンしちゃうことが結構あったので装備倉庫行き候補になりつつある。俺が上手く扱えないばっかりにスマンね……。

 現在の左手メイン装備は、俺氏の自称ファンであるらん豚ちゃん(♀)からの頂き物、らんらん印のマンゴーシュである。普段は蟲甲ダガー両手持ちしてるから、狩人用剥ぎ取りナイフみたく腰の辺りで鞘に納まってるけど。振るうだけなら蟲甲ダガーよりも速いので、火力より身のこなし優先の時はこっちだけ装備したりする。一応パリィも出来ないことはない。

 これまたハンマー娘が俺のミニマムな御手々に合わせた短剣を作ってくれる予定。どんなのって訊いたらソードブレイカーだと答えながらキラキラした星を死んだ目の中に浮かべていた。彼女は俺までウェポンブレイクフェチの仲間入りさせたいと……そういうことなのだろうか?

 

 後はほぼ適当だ。ハンマー娘お手製の軽鎧(試作品・あまり意味はない)を付け、その上にいつもの淡い青・緑を基調色にしたローブ、他にもアクセサリーやらコルセットやら諸々身につける。ブーツは飛んだり跳ねたりしやすそうな見た目なのをチョイス。

 

 忘れずに無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァサック)に各種ポーションやダンジョン攻略用のアイテムをセット。これによりアイテムショートカット機能が使えるようになり生存率がぐんと上がる。

 ……しかしこんなオンゲでは基本的な要素すら、わざわざ専用アイテムを装備させないと使わせない運営はやっぱ糞だと思う。普通なら最初から使えてチュートリアルでも優しく使い方教えてくれるよね? アバターの外装に反映されない装備アイテムって点だけは評価するけどさ。

 

 

 よし、そこそこ強くて可愛い紙防御前衛型グラスランナーの完成である。

 

 最後に軽く飛び跳ねながらアバターの動作確認。ふわっと軽くバク宙を決め、両手武器を軽く素振りする。グラスランナーらしく、体重を感じさせないように動くのが格好可愛いく魅せるポイント。普通この量の装備を身に着けながらできることではないが、そこはゲームならではってことなんだろう。

 うーん……同時に使うどころか、ダガーを片手ってのはまだきついですな。腕力の問題と慣れの問題、解決するには時間がかかりそう。日本一のグラスランナーへの道は遠い。

 

 

 またナザリックのザ・ニンジャ:弐式炎雷氏や、ザ・サムライ:武人建御雷氏にご指導仰ぎたいものだ。紙防御高速機動型ビルドの俺にとってあの御方々のプレイスタイルは実に参考になるので。

 

 ニンジャ的には隠密状態から素っ首をパニって大抵のモンスターのHPを一撃で刈り取るあの火力は羨ましいとしか言いようがない。

 とはいえ残念ながら彼ほどの隠密性能はこのアバターには無く、敵の注意を引いてくれるような仲間の数も少ないのでまるっきり真似するという訳にもいかないのだが……むふふ、そこはオリジナリティの見せ所というもの。夢がひろがりんぐ。

 

 武人建御雷氏はマイ・フレンドモモンガ氏や姉避けエロゲーマイスターことペロロンチーノ氏らと並び、遊びに行った時には個人的に結構よく話す仲である。戦闘スタイルでの指南もそうだが、ユグドラシルに対する考え方がすげー合うのよ。

 俺らがしょっちゅう全滅してたり馬鹿やってる話を、負け癖が付くのは良くないと言いながらも楽しそうに笑って聞いてくれる御人なのだ。「それも良いだろう」って。武器が気になるハンマー娘に得物見せてくれるし、いい人過ぎね? うちの商人娘とはソリが合わないっぽいけど。

 

 

 

 得物をチャキっと鞘に納める。丁度PTメンバーも準備完了といった様子。

 

 ハンマー娘はショートパンツにジャケット、キャスケット帽、要所要所のみ防御装甲装備という出で立ち。戦闘モードに切り替えた強化版両手鎚が頼もしい。

 あと彼女は最近髪型を短めに変えた(一瞬)。エルフ娘と被ってたからね。よく似合ってるぞーと言うとふすーと鼻息を鳴らす。おーおー嬉しそう(ホッコリ)。

 

 商人娘は不本意だけど久々に本気で逃げ隠れせずに戦いますって感じ。

 黒髪ツインテにベレー帽、商人らしく品のある内着に防御効果のあるショートローブ、ベルトには毒々しい色の液体が揺れる試験管やらポーチやら短杖やら。そして背中には爆弾やら爆弾やら爆弾を詰め込んだ大きなリュックを背負う。

 可愛いぞーと言うとため息をつかれた。素直じゃないね。

 

 エルフ娘は一人だけ別格である。装備ランクが総じて高すぎる。聖遺物級とか伝説級とか。これでも控えめにしてるらしいけど。

 全体的に軽装で関節部以外に装甲系は装備してないけど、その必要がないほど布系装備の性能が高いってことなんでしょうね。羨ましいことで。

 得物は魔法発動体を兼ねた細身の直剣が一本。金髪ポニテにマントを翻したその姿はまさしくエルフの騎士……って表現でいいのかしら?

 カッコ可愛いいぞーと適当な賛美を送る。力を貸してもらう側じゃけんね。少しでも気分良くなってもらうに越したことはない。ホントにカッコ可愛いので問題もない。疑心は一切ないのだ。

 

 

 さあ出発というところで、エルフ娘がスクショ撮ろう撮ろうと言いだした。俺としても異論は無いでござる。

 良い装備ほど見栄えが良いのはこの手のゲームでは定番。更に今の自分達はそれなり以上の美少女パーティー、ここで記録しなかったらいつするんだってくらい。そうでなかったら色々と勿体無い気さえする。

 

 ちょっと贅沢だがエルフ娘が記録用のアイテムを使ってくれたので、拠点の前で4人と1匹並んだ良い写真がとれる。画像はアイテム化してくれるというので、楽しみにするとしよう。思い出はいくら有っても良いものだしね。

 

 

 

 よいぞー、ハイチーズ。 エヘガオダブルピース!

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 え? 道中? まあめんどくさいのでまさかの描写ほぼ全省略である。大体こんな感じ。

 

 

・転移ポイントから狼と馬に乗って移動しました。

 ←楽しい!

 

・森と砦を4人で攻略しました。

 ←アニマルズ待機

 

・罠がてんこ盛りでしたが俺氏とオカンの活躍で無事に乗り切りました。

 ←よゆう

 

・敵の武器持ちはハンマー娘が美味しくいただきました。

 ←うん、美味しい!

 

・エルフ娘が自分のギルド過疎ってきたからと俺らに合流したいと言い出しました。

 ← (^ω^)おっ?

 

・商人娘が露骨に嫌がってドス利かせて脅しました。

 ← ( ^ω^)おっおっ?

 

・それでもへこたれないので渋々承諾しました。

 ← (^ω^ ≡ ^ω^)おっおっおっ?

 

・というわけでうちにエルフ娘がやって来るらしいです。

 ← 今日貧乳エルフが来るんですか!? やったー!

 

・え? ギルド加入禁止期間が明けるまでは駄目なんですか?

 ← まだ来ないんじゃないですか! やだー!

 

・それまでにギルドの名前でも考えよう。

 ← かしこま!

 

 

 以上。今夜はお赤飯味のペレットになりそうな予感。

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 いやぁ……拠点ボスは強敵でしたね。というか、エルフ娘以外が弱すぎっていう話なんだけどね!

 

 

 大型の生ける鎧(リビング・アーマー)とか……ちょー硬いので俺の両手持ちダガーでもHPバーが1ミリも減りゃしねえ。

 その上奴さん物理一辺倒で俺氏の魔法防御特化が無価値無意味と、とことん相性悪すぎな相手だった。俺氏涙目。

 

 

 開幕、商人娘がありったけのデバフアイテムと爆弾を投擲、爆破から前衛三人の吶喊、後はその場の流れにまかせて臨機応変って――適当過ぎぃ!

 

 俺は今回ひたすら挑発連発と回避タンクもどきに徹しました。

 攻撃は捨てた。修行はしたが、あの虫ダガーではハッキリ言ってこの戦いにはついてこれそうもないという無慈悲な戦略的即決である。

 いやはや光学幻影系スキルの《プレッシャー・デコイ》がいい感じにハマって助かった。近接スキル扱いなのでMPいらないし。

 この前覚えた単純な手品みたいなスキルだが、このスキルを覚えてから必中攻撃を回避する余地が出来たので、手も足も出ずに被弾して死んでしまう機会はグーンと減った。アクロバット系スキルと併せて質量を持った残像ごっこが捗る捗る。なおプレイヤー相手だと面倒臭がられて周囲一帯吹き飛ばされて終了する模様。

 

 商人娘は今回逃げずに頑張ってた。俺らが自前でポーション使うのを見計らって、それよりランク下のポーションを同時に使うことで自分へのヘイトを回避するという小悪党っぽい技を駆使して疑似ヒーラーっぽい動きしてたよ!

 

 ハンマー娘も流石に大きさ的に厳しい大剣の破壊は早々と諦め、足の小指の先を執拗に狙って叩き潰すという地味に痛そうな攻撃を連発。あれ中身入ってる敵だったら痛撃ボーナス入って一発KO出来てもおかしくないと思う。

 

 んでもって今回のMVPのエルフ娘。エンチャント系はやっぱり映えるわー。俺には無理だけど。

 まあレベル的に当然っちゃ当然って話よね。居なかったらまた全滅してた。それどころか、もうあいつ一人でいいんじゃないかなって。それなりに時間はかかりそうだけど。

 これで遊び入ってるビルドだってんだから恐れ入る。え? これが普通? 嘘でしょ……(白目)

 

 

 

 

【 本日のダメージレースの結果 】

 

 俺 : カス

 

 ハンマー娘 : こうかはいまひとつのようだ

 

 商人娘 : 開幕ぶっぱ。よくがんばりました。

 

 エルフ娘 : こうかはばつぐんだ!

 

 

 

 

 トドメは順当にエルフ娘でした。ピカピカ光る直剣で粗方ボスのHPバー削りきって試合終了。剣を残して消滅していく金属鎧。そしてログに表示される、【拠点獲得】の文字。

 

 商人娘は感激で泣いてる。ハンマー娘は鼻息鳴らして満足気。エルフ娘はいい汗かいたーって伸びしてる。

 

 初期ギルド武器は、リビングアーマーが振るっていた大剣がそのまま配置された。他に適当な物もないし、とりあえずこれでいいかなって。

 

 『さっさとギルド登録しろよオラあん!』ってシステムコールされたんで、まあ適当でいいやと『いつか美味しいご飯食べ隊』で登録。後で変更しよっと。

 

 

 

 

 

 

【ぐららんむすめ】

 やったねみんな! きょてんができたよ!

 

【しょうにんむすめ】

 ねんがんの ぎるどきょてんを てにいれたわよ!

 

【しんだめのむすめ】

 ……よゆう。べつにひとりでもかまわなかった。

 

【えるふむすめ】

 じつは、おいわいのけーきとか、かってあっちゃったりなんかして!

 

 

 

 

 ――この夜、むちゃくちゃ盛大にお祝いした。

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 

 数日後。

 

 

 さあ今日も朝から頑張るぞい!とログインした俺とハンマー娘の頭の上に浮かぶ折れた旗のアイコン――なにこれ? へー、『敗者の烙印』ってやつ? 自分のギルド武器壊されると出てくるマークね。ほーん……。

 

 

 ……というわけで、何処からともなくやってきたプレイヤー共に襲撃され、俺達はやっとの思いで手に入れた拠点を失ったらしい。倉庫に入れたアイテムと金貨を道連れにして。まあ……こうなることは分かっていたよね?

 夜討ち朝駆けすら置いてけぼりにする速攻劇。流石にこれはどうしようも無い。一応罠は商人娘が設置していたはずだが、所詮間に合わせ程度じゃあ大した意味もなかろうてからに。

 

 ハンマー娘はまた目が死んでおられる。商人娘は悲嘆に暮れてべそかいてる。エルフ娘(フリー)は苦笑い。話を聞いたモモンガ氏は「あちゃー」って感じ。

 

 え? 俺は悔しくないのかって?

 そりゃ悔しくないこともないけど、結果が残当過ぎて先に述べた通りまーそーなるよねってなんとなく思ってたし(震え声)。

 そもそも、俺らみたいな色んな意味で有名になっちゃっただけの少人数PTが、防衛力無いのに無理していいところ確保しようとしてもって話である。商人娘には悪いけど分不相応としか言いようがない。(幼女の男泣き)

 

 

 ……それにしては拠点取られるの早過ぎる気もするが。

 だって昨日の今日だべ? 俺とハンマー娘の豪運で見つけた未探査拠点だったから、どこぞの誰にも知られてないはずなんですけど。

 

 ――これは、裏切り者がこの中に居るということなのでは?

 拠点の防備が整っていないこの時期に、俺達の留守を狙って襲う輩を招き入れた不届き者が……!?

 

 

 冷や汗をかきながら視線を横に動かす。獅子身中の虫がこの三人の中に?

 俺の視界には、転職先が決まって辞表を出したところで肝心の転職先が倒産した時のような気まずそうな顔をしてるエルフ娘と、イライラをクズ武器に叩きつけて素材アイテムに変換しはじめたハンマー娘と、地面にのの字書き連ねていじける商人娘。 

 

 ……うん、ないな!(確信)

 きっとたまたまプレイしていた奴らがノーガード戦法を展開してる拠点をみつけちゃったからヒャッハーしちゃった結果なのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 ……やっぱり俺としては今こうして使ってるレンタル拠点(出戻り)で十分だな。(おきらく)

 

 駆け出しプレイヤーの懐にも優しい価格設定の維持費、地上2階地下1階の一戸建て(初級生産施設付き)+庭+小牧農場+αって今のニッポンだとありえないくらい勝ち組の住宅環境だし。ちょっと狭いけどこの人数じゃ無駄に広くても困るというもの。

 

 レンタル拠点は色々とショボい代わりに他のプレイヤーに襲撃されることもないので、保管してたアイテムやら整備した施設やら一夜で失うこともない。従って防衛設備にコストを割く必要もないのだった。

 

 

 

「もうずっとここでいいんじゃないかな……ねえ? そう思わない?」 

 

 

 

 俺の言葉に商人娘が泣き始めた。ごめんね、また新しい拠点ダンジョン探しにいこうず。

 でも、その前に適当に決めちゃったギルド名、ちゃんとしたやつ一緒に考えよ? ノリで決めたのいつまでもぶら下げてると恥ずかしいから、ね? いい子だから泣き止んでおくれやすー。

 

 更に大声で泣き始めた。どないせーっちゅーねん……。

 

 

 

 




【蠱惑魔系オリ主】
・金策は下手(今更)
・実はPTで一番瞬間火力がない


【武器もしゃハンマー娘】
・今のハンマー:ぐっど・いんぱくと
・大きい敵は身体の端を狙えってどっかのちびが言ってた。


【糠喜び娘】
・破産しました


【魔法剣士あけみ】
・つおい。Lv.80か90くらい
・オリ主とはズッ友の誓いをたてた
・実は着痩せするアバター



↓ あとがき ↓


 新しい拠点ダンジョンを手に入れたらまずはちゃんと防衛設備整えましょうというお話。このまま人手もお金も無いオリ主たちには到底無理なのでした。


 オリ主は今、魔法は効かないけど素早く動けるだけの雑魚とかそんな生き物。経験値くれないメタル系粘液生物っぽい何か。
 戦闘職レベル大してもってないし、たっちさんの武器それほど強くないし、危機感薄いし、まーこのままなら転移後間もなくマーレきゅんにフルスイングくらって頭パーンコースです。

 あれほどあったたっちさんラブはもう空の彼方ですね。幼女にprprされるほど慕われてるから許してとは一体何だったんでしょうか。本編非レギュラーキャラの扱いなんてこんなもんです。戦闘シーンさえ見せれば多少見直してくれるんでしょうが、そんな機会一度もこないのでオリ主の扱いは変わりません。


 商人娘は異形種恐怖症は物語スタート時より若干治まっています。が、まだ生理的に無理な種族は無理なレベルなので、今更そんな連中の仲間入りは御免よーというお考えのようです。私もうギルド拠点まで作っちゃってますから! 御免遊ばせオホホとか言ってお断りするつもりだったんでしょう。


 ハンマー娘は色々作ってます。万能な鍛冶生産職適正持ちなのでホントに自由にガラクタ作って遊んでる。そんでとりあえず作ってみたへたくそな軽鎧をオリ主が気に入っちゃったもんだから恥ずかくて「うーあー」とか布団の中で唸ってる。そんな状態。
 エルフ娘と髪型被ってたので自分から変えた。自分から変えろとは言わない臆病だけど良い子。


 速攻拠点奪われちゃったのは、相変わらず人間種至上主義のプレイヤーには嫌われていたり、熱心なストーカー気質なプレイヤーがオリ主の残り香を求めて殺到したせい。つまり元を正せばあれもこれもオリ主のせい。ちゃんと普段から防諜しとかないから居場所とかモロバレしてこうなる。(呆れ)


 レンタル拠点は初心者用のチュートリアル施設を多少マシにした程度のイメージ。割となんでも出来るけど、上級施設にはなれない。そんなお家。

 狼ちゃんは留守番NPCの鑑。野菜取ったり牛乳絞ったり羊毛むしったりもできる。きっと今に美少女NPCにワープ進化する萌え方向にド定番な運命を歩むことでしょう。



 次回は血迷ったエルフ娘のお話。





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10~103日目 エルフ娘の追憶





 前回のあとがき通りエルフ娘AKM-Chang回となりますれば。






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「はぁ……どうしよ……」

 

 

 山瀬明美は控えめに言って悩んでいた。

 

 自宅のダイニングテーブルにうつ伏せて頭をグリグリと腕に押し付ける行為を始めて一時間以上経過しているが、未だに思考が堂々巡りし続けて一向に答えが出てくる気配がない。

 そもそも、今の疑問に対して明確な答えなどあるのか、ということすら今の彼女では判断が付かなかった。

 とどのつまり、時間の無駄遣いである。

 それでも彼女は思い悩まずには居られなかった。

 

 その悩みの焦点は、今彼女が(ある意味で)夢中な三人のユグドラシルプレイヤーにある。

 

 

 

 

 

 ――明美が初めて三人娘に接触した目的は、自身の姉が所属する異形種ギルド……アインズ・ウール・ゴウンの讃談を払拭する手助けを求める為である。

 

 しかし実際のところ、彼女にとってその真意は正確には別にあったと言っていい。

 あれは炎上騒ぎの切っ掛けでもある、グラスランナー少女への“釘刺し”という意味合いが強かったのだ。

 

 即ち――『絶対に逃げるなよ』、という……今思うと、なんとも浅ましい考えなのだろうか。

 裏を返せばその時の自分はそれだけ必死だったということでもあるのだが、いやはやなんとも恥ずかしくて恥ずかしくて悶絶してしまいそうになる記憶だ。

 

 

 そもそも当時の彼女が知り得た情報の中に、『騒動の発端となったグラスランナーの少女はユグドラシルをプレイし始めてから間もない』というものがあった。

 実際に会ってそのレベルが一桁だったのを確認し、まだ彼女がユグドラシルから離れていなかったことに安堵したのを覚えている。

 

 もし自分が彼女の立場だとしたら……オンラインゲーム開始早々にこんな炎上騒ぎに巻き込まれた時点で、さっさと自分のアバターを削除しユグドラシルそのものを止めてしまうか、最初からやり直してしまうだろう。

 自分のようなそれなりにプレイ時間を重ねた経験者の感覚からしてみれば、片手で数えて終わってしまうレベルのアバター程度惜しくもなんともないのだから。

 

 ……だが、明美としてはそんなことをされては困るのだ。

 

 一瞬だけ話題になったドリームプレイヤーのことなど、当の本人が居なくなってしまえばすぐに忘れられるだろう。

 彼女たちは前の人生のことを綺麗さっぱりロンダリング。

 お金も時間も掛けること無くおニューのアバターで心機一転新装開店。結果、世は全て事もなし。

 

 しかしアインズ・ウール・ゴウンはそうはいかない。

 

 現実の幼い女の子を脅し透かすなり誑し込むなりして工作員に仕立て上げるなど、これまでの噂の中でも悪辣極まりない。

 唯でさえ良くない印象が、ますます手のつけられない有様となるだろう。今度は延べ2000人以上の大攻勢をかけられるかもしれない。

 

 最悪、当てにならない現実の治安機構が出張ってくる未来まである。

 考え過ぎかもしれないが、仮にそんな事態になれば教育者としての姉の立場はどうなる?

 疑惑をもたれた時点で教師生命が絶たれるのではないだろうか。

 

 故に、彼女にはなんとしてでも弁明の為にユグドラシルに残っていてもらわねばならなかった。

 あるいは、少しでも姉のギルドへの疑いの視線を逸らすスケープゴートとして残すために。

 

 

 三人娘はそんな自分の浅知恵など、初見でお見通しだった。

 グラスランナーの幼女はこちらを観察しながらやる気なさげ相槌を打ちながら話を聞いているだけだったし、謎種族の童女は死んだ目で自分のことを終始睨みつけてきたし、マーチャントの少女は関わり合いになりたくないのか、視線を逸らし最初の問いかけ以外会話に交ざってくることが無かった。

 

 初対面なので外見以外褒める材料がないという理由で、ひたすら年少組と思われる二人を可愛い可愛いと連呼しながら構い倒したりもしたのだが、結局自分を見る彼女たちの視線にいたたまれなくなり、明美は早々に会話を切り上げてその場から離れてしまった。

 

 ログアウトしてから数日の間、彼女たちへの安易な接触を後悔した。それはもう盛大に。

 

 よくよく考えれば、あのやり方では彼女たちの焦りを誘発するだけである。

 ひょっとしたら、さらなる厄介事に巻き込まれたと考えているかもしれない。

 あんなみっともない懇願を聞き届ける人間なんて、よっぽどお金と時間に余裕を持った道楽者か、今の世では滅多に見られないまともな義憤を持ち得ているような正義漢くらいだ。

 結果、自分が避けたかった未来を自分の手で一気に手繰り寄せるというバッドミラクル。何をやっているのだ私は。

 

 終わったと思った。

 現状残っている切り札をみすみす放り投げ、後はただ事の成り行きを外野から眺めることしかできないのだと覚悟した。

 

 

 

 ……だが、そうはならなかった。

 幸か不幸か、あの三人娘がその絶滅危惧種に該当していたおかげである。

 

 自分たちのプライドと羞恥心を秤にかけ、彼女達は文字通り一肌脱いで事態の収束を図ってくれた。

 彼女たちは一人を除いて一見平気そうな素振りで撮影に興じていたが、内側では必死に逃げ出したい気持ちを抑えていたに違いない。

 

 そして、そんな彼女たちを見ていた明美には、自分がこの世で最も醜い生き物になってしまったようなおぞましい感覚があった。

 いつも通り、自尊できるほど可愛いエルフの容姿のハズなのに、アインズ・ウール・ゴウンの誰と比較しても、その時の自分には魅力が一切感じられなかったのだ。

 

 その理由は分かっている……これまで散々自分の身内を救うことだけを優先し、相手を嵌めることに執心した人間の発想――痩せた考え。

 それに従って行動した結果、自分は自責の念に苛まれているのだと。

 

 華美な衣装を着こなす彼女たちが直視出来ず、自分は顔を伏せていた。なんのエフェクトも発生していないのに彼女たちのアバターが光り輝いて見えるほど、自分の性根は歪みかけていたのだと思う。

 

 そんな私の心はまたもや明け透けだったらしい。

 そっと私の肩を押してくれた人達がいたのだ。

 

 ――尊敬する姉をはじめとした、アインズ・ウール・ゴウンの人達だった。

 

 彼らは、自分が勝手に動いて自爆したことを知っていたのだろう。

 今日、彼女たちの前では無理して奔放に振る舞っていたことも含め全てを知り、それでいて自分と彼女達を信じ、敢えて何も言わなかったのだ。

 

 姉やぶくぶく茶釜、餡ころもっちもちら女性陣は優しく自分の頭を撫でてくれた。

 男性陣は『微笑み』や『突撃!』エモーションを浮かべていたり、可愛らしいメイド服を差し出したり、グッっと親指を立てたりと様々なアクションだったが、そのいずれものが自分を励ますものだった。

 

 恥ずかしさとみっともなさから溢れようとしていた心の涙を拭いながら(現実なら本当に泣いていただろう)、自分は三人娘にこう言ったのだ。

 

 

 「――私も交ぜて!」と。

 

 これまでの謝罪と、僅かばかりの贖罪と、これから仲良くしてください、という意味を込めて。

 

 今でもたまにこの時のことを改めて謝罪をする度に、「なんのこと?」と三人揃ってとぼけられてしまうのは、恥ずかしいやら嬉しいやらで止めてほしいものなのだが。

 いい加減、素直に自分の謝罪を受け入れて楽にしてほしいものだ。

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 彼女たちとの出会いを思い返しながら明美が悶々としていると、姉である舞子が帰宅した。

 

 

「ただいまー……って何よその格好、らしくないじゃない」

 

「あ、おかえりー……」

 

 

 舞子が驚いた表情を見せる。

 常に溌剌とした明美が見せる、『私、悩んでます』と露骨に表現するポーズを晒しているのが珍しかったのだ。

 

 

「うん、ちょっとね。リアちゃんたちのことなんだけど……」

 

「それはまた、『ちょっと』で済みそうにない悩みね」

 

 

 舞子の脳裏に、人間種PTのくせに極めて特徴的な三人娘の姿が浮かび上がる。

 彼女たちに関する悩みなら、その質と量と種類は折り紙付きだろう。

 特に最近の妹は、彼女たちにいたくご執心であることだし、と一瞬で思考を走らせた。

 

 

「で、あの子たちがどうかした? またPKされて装備盗られて騒いでるの? それとも罠にかかって全滅したとか?」

 

「あ、それは両方だね」

 

「……両方?」

 

「うん。ドロップして盗られたハンマーが何故かパワーアップして返ってきたとか、山岳フィールドでローリングボムとパンジャンドラムに逆落としされて、仕舞いに水攻めトラップ起動させちゃって生身でラフティングしたとか言ってた」

 

「“らふてぃんぐ”って、何?」

 

「大昔に流行った、岩肌丸出しの急流を丈夫なゴムボートに数人で相乗りして滑り落ちる命がけのレジャーなんだって。今じゃ水が汚くてもう誰もやろうとしないらしいけど。私も知らなかったけどネットで調べたら本当にあったみたい」

 

「知らないなぁ……誰からの情報?」

 

「ステラちゃん」

 

「まあ、そうでしょうね」

 

 

 相変わらず謎の多い少女達だったが、だからこそ出典が分からない情報の発信元であることが、ここ最近の会話でのお決まりだった。

 

 

「それにしても相変わらず命と経験値の価値が軽いというか、悪運が強いというか、とことん自由ね」

 

「あはは、一人だけ苦い顔してるけどねー」

 

 

 明美が見せる思い出し笑いに、思わずつられて頬が緩む。

 しかし、この話題は今の妹の悩みには直結しないものらしい。

 舞子は会話の続きを促した。

 

 

「で、どんな悩み? 言ってみなさいな」

 

「暇なら今度拠点ダンジョン攻略するから手伝ってーって」

 

「? それだけ?」

 

 

 明美の答えを聞いて拍子抜けする。

 助っ人としてPTに参加することに今更躊躇するような性格の妹ではないし、彼女たち三人との関係も悪くないはずだが。

 

 

「用事が無いなら行ってくれば良いじゃない」

 

「行くとは返事したよ。ただ……」

 

「ただ?」

 

「あの三人、このままにしておいて良いのかなって……」

 

 

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 

 

『――それは……どうでしょうね。どうにも怪しいところです』

 

 

 アインズ・ウール・ゴウンのメンバーの一人、ウルベルト・アレイン・オードルの言葉……正確にはその一言を切っ掛けに始まった、彼女たちに関する疑惑の発露。

 それが、今の明美の心配事の始まりである。

 

 ナザリックでの触れ合いを通じて彼女たちと心通わせた(と思っている)自分にしてみれば、それはまさに寝耳に水であった。

 その場では咄嗟にフォローして彼女たちの印象が悪くならないようには努めたが、よくよく考えると確かに彼の言う通り……とりわけステラの態度は不審なものが多すぎた。

 

 明美は興味本位で他人の事情を探るのは良くないことだと理解しながら、その日から衝動を抑えきれずに少しずつ探りを入れていくことになる。

 そして彼女達との思い出が増えれば増えるほど、謎は深まるばかりであった。

 

 

 

 決定的になったのは、オーレリアから聞き出した、彼女とノノカが施設から連れ出された時のエピソードである。

 

 

「ほっぺたが落ちるほどのご馳走? 柔らかくて快適な寝床? 雄大で美しい自然?」

 

「うん、そんな嘘をついてまで、二人を施設から連れ出したって……」

 

「それは……穏やかじゃないわね」

 

 

 舞子は話を聞いて表情を曇らせる。明美としても心境は似通ったものであった。

 オーレリアとノノカが『ここだけの話』とした上でポロッと出た話だったが……そんな誘い文句にホイホイのせられてやってきたのがこの仮想世界というのはあまりにも気の毒というものだった。

 

 確かにあの仮想世界には、見た目が美味しそうな料理は存在する。

 料理スキルをとれば自分で作ることもできるし、事実ステラが料理人のレベルを取得していることも知っている。

 だが果たして、飲み食いする真似は出来ても口には出来ない、味が全くしない、使えばバフやステータス異常を齎して一瞬でかき消えてしまう料理アイテムをご馳走と言い張るのはいかがなものだろうか。

 

 快適な寝床にしたってそうだ。

 料理よりはマシかもしれないが、どれだけランクの高い寝具アイテムを作成しても肌触りはリアルのそれには遠く及ばないし、本当に寝落ちしてしまったのならばその脳波を読み取られて即強制ログアウトの憂き目に遭う。

 

 雄大な自然……確かに雄大は雄大だろう。自分だって初見では圧倒された。

 しかしよく見ればテクスチャは適当で細かい部分は雑だ。空気も無味無臭。今まで見てきた中で一番それっぽいのがプレイヤーメイドの星空という微妙な残念っぷりは、逆にそこまで見事な物を自力で作り出したブルー・プラネットを称賛するべきだろうか。

 

 

 

「詐欺か……誘拐か……」

 

「うーん……」

 

 

 実はこれは、世間を知らない少女二人を嵌めた、極めて悪質な犯罪の類だったりしないだろうか?

 

 自然とステラを見る目が厳しいものになりそうになる……だが同時にある疑問も思い浮かぶ。

 『そんな嘘八百を並べてまで、孤児二人を施設から連れ出したのは何故なのか』という点――つまりは動機だ。

 

 『なんとなく』だとか、『特に理由はない』と言われればそれまでだが、その割にはあの商人娘は感情のみで動くタイプには……見えないこともないが、普段の彼女は一応理知的だ。

 理路整然とした会話を好み、確実な利益を優先する。

 つまり、彼女に利益を齎す明確な目的が存在するはず。

 

 

「『寂寥を紛らわせたい』っていうステラちゃんの言い訳は一旦考えないものとして……それでいて、リアちゃんとノノカちゃんの言葉に一切嘘がないと仮定して、彼女達を施設からステラちゃんが引き取った現実的な理由ね……」

 

「お金かな?」

 

「違うでしょうね。生活は苦しそうだけど」

 

「だよね……」

 

 

 金銭――ではないだろう。

 

 営利目的の詐欺や誘拐なら孤児を狙うはずがない。

 そういう時、普通は小金を溜め込みがちな貧困層~中階層の人間を狙う。

 上流階級? 彼ら相手に貧困層の人間が犯罪に成功するのは、犯罪そのものが何らかの八百長である場合か、同じ上流階級の人間の手引きあってこそだ。

 

 その場合、あの二人が実はどこぞの大企業のご令嬢だったり、権力者の隠し子や捨て子だったりといったような、極めて特殊な事情が背景にあり、それを知ったステラが身代金や脅迫目的で囲っている、ということになる。

 しかし、それにしてはゲームの中で彼女たちを自由にさせすぎているし、目立つことこの上ないプレイを行っていることに反する。

 事実、彼女たちに口止めしていないせいでこうして自分に疑われているのだからさもありなん。

 

 

「なんにも知らない女の子を騙して借金負わせて、どうにもならなくなったところを風俗業界に落としちゃうってのはたまに聞く話だけど、それにしちゃ9歳と13歳ってまだまだ小さ過ぎるしねー。リアちゃん娼婦クラス持ってるけど、所詮ゲームの中だけの話だし」

 

「……」

 

「? お姉ちゃん顔が怖いよ。どうしたの?」

 

「……え? ああ、ごめんなさい。そうよね、そんなこと――ありえないわよね、ええ」

 

「?」

 

 

 さらに言えば、今の彼女達のリアルのド貧乏っぷりが犯罪の結果得られた対価としては釣り合っていない。

 聞けば、リアルでの食事は三人とも毎度毎度安価なペレット三昧らしい。

 食事は極限まで切り詰めているなら分からない話でもないが、それにしたってペレット三昧というのは精神的にも耐え難い苦痛だろう。

 要は金銭的に苦しい状況にあるのは間違いないらしい。

 

 

 ならば今現在ではなく将来のための投資か? ……いや、それも微妙だ。

 

 金の卵を毎日産み落とすガチョウや、牧羊犬コンテストで優勝しちゃう仔豚ならばまだ分かる話だが、彼女が養っているのは孤児の少女二人。

 それも毎日毎日やっていることといえばユグドラシル――詰まる所、ゲームだ。

 それもギャンブルと違って、普通にプレイする分には間違ってもリアルマネーは生み出さない類の。

 

 

「……プロゲーマー育成とか」

 

「それはちょっとありえなくない?」

 

 

 これまでに至る話を聞く限り、抜群にゲームが上手い子どもを狙って拐かしたとも思えない。

 本当にそうだったとしても、いろいろな意味でギャンブルとしても成立するかどうか怪しいレベルだった。

 ゲーマージュニアアイドルとして売り出した方がまだ確実だろう(ただし、現実の彼女たちの容姿は考えないものとするが)。

 

 

「名誉かしら。身寄りのない気の毒な女の子を引き取って育てるって、子ども好きな人達からのウケの良さは相当だし」

 

 

 これまでで一番可能性は高そうな案だった。

 事実、その話を聴いたアインズ・ウール・ゴウンのメンバーはほぼ貰い泣きするかしんみりとした雰囲気になっていたこともある。

 

 

「でも、それって女の子二人も引き取る必要ある?」

 

「そうよね……」

 

 

 一人より二人……とはいうものの、あくまで同情と称賛を得る為だけならば一人引き取れば十分だ。

 0と1の違いは大きいが、それ以上は『たくさん』と表現するレベルまでやらないと、他者の共感に大した違いは発生しない。養育費の問題もある。

 

 

 ――お金でもない。名誉でもない。

 だがそれでもステラが自分の食い扶持を減らしてでも二人の身柄を確保しておくことに、なんらかのメリットが存在するとしたら……。

 

 

「……単純に、リアちゃんとノノカちゃんにユグドラシルをプレイさせることそのものが目的、とかかなー」

 

「いえ、流石にそれはありえないと思うわ」

 

 

 自分のプレイを有利に導くにしろ、ゲームの面白さを共有する為にしろ、普通に考えればどれだけ廃人でもリアル幼女育成なんて分野には手を出さない。やろうと考えるはずもない。

 

 

「でもさ、人の心は分かんないよー。例えばステラちゃんの正体が実はユグドラシルの開発陣の一人で、よりニッチな隠し設定を披露する手段としてあの二人を使ってるとか。……どう?」

 

「……どんだけユグドラシルに愛着持ってるのよ。ステラちゃんの中の人」

 

「自分たちで創った世界だもの。愛着持ってない訳ないと思うけど」

 

「だとしても、そこまではしないでしょ。それにステラちゃんの年齢忘れたの?」

 

「あ、そっか」

 

 

 オーレリアとノノカの話からしても、ステラの実年齢がまだ大人と呼べるものではないのは確実だ。

 ユグドラシルが発表されてから既に十年近く経っている。小学校に入学する前に最先端DMMO-RPGの作成を手がけるのは無理がある話だった。

 開発者の娘という考えも浮かんだが……やはり孤児をわざわざ使う理由がないという結論になった。

 

 

 

 

 

 

「うーん……じゃあユグドラシルはあくまでただの暇潰し目的にプレイさせているとして……」

 

「ステラちゃんの真の目的って……」

 

「「とどのつまり――」」

 

 

 そして在り得なさそうな可能性を排除していった結果、山瀬姉妹が最後にたどり着いた結論は――

 

 

 

 

「どんな事をしても二人と一緒に居たい……ってことでしょうね、やっぱり」

 

「あー……そっかー。寂しいだけじゃなくって、ガチな方もってこと。なるほどねーやっと納得できたよー」

 

 

 

 

 ……哀れ、どこかの商人娘にとってこの上なく不本意なものとなった。

 

 

「リアルで光源氏計画の倍プッシュ。しかも子ども同士、さらに同性……それは業が深すぎるわよ。ステラちゃん……」

 

「あはは、自分のものにしたいって気持ちは分からないでもないけどなー。あの二人可愛いし、リアちゃんなんて私もよくハグしちゃうほど……あれ? でもグラスランナーにしろ白ドワーフにしろ、あれアバターだよね。リアルでもすんごく可愛かったりするのかな?」

 

「おそらくステラちゃんの一目惚れでしょうし、そうかもね……ボクたちには知りようもないことだけど」

 

「う~、やっぱりそう考えると一回リアルでも会ってみたいなー!」

 

「無理強いはだめよ」

 

「そりゃあ分かってるけど……」

 

 

 はぁ……と溜め息をつく明美である。

 今回解決した悩みとは別に、彼女には別の悩みがまだ残っているようだった。

 

 

「でも確かに……それならステラちゃんが二人のドリームプレイを許してる理由にも合致するね!」

 

「野に咲く花のように、自由に生きる姿が好きってこと? まあ、個室に監禁して飼い殺しにしちゃうよりは万倍マシでしょうね。仮想現実だけど本人たちも楽しそうだし」

 

「うんうん!」

 

「でも悩ましいわね……今現在、誰も不幸になってないのが尚の事悩みどころよ、ホント」

 

 

 舞子としてはさほど深刻な事態にはならないだろうという安堵はあったものの、教育者の端くれとして思案するべきことがあった。

 ステラの恋愛観を知った上でオーレリアとノノカの身柄を保護するべきだろうか。

 ステラの正体が男性だったら、一発で事案だったのに。

 そしたらぶん殴って解決できる。事は簡単だ。

 

 だがしかし、ステラはリア♀である。

 また、彼女の尽力で身寄りのない幼女と童女がまとも……ではなさそうだが、一応家族として仲良く生活出来ている事実がある。

 少なくとも、身銭を切ってそこまでするステラの覚悟と責任感は本物だという証だった。

 

 

「なら、私に任せてよ!」

 

「明美?」

 

「大丈夫……私にいい考えがある」

 

 

 キリッとキメ顔を作りながら明美は語り始めた。

 

 

「拠点ダンジョン攻略するってことは、ギルドも作るってことでしょ? あの三人がどこかのギルドに加入するって考えられないし」

 

「まあ、そうよね」

 

 

 良くも悪くも我が道を往く三人娘である。

 見ているだけなら良いが、そんな劇薬みたいな少女たちを実際に受け入れようなどと考えるのは、アインズ・ウール・ゴウン(自分のところ)ぐらいのものだろう。

 

 

「だから、そこに私も入れてもらうの!」

 

 

 明美は言い放った。これで完璧と言わんばかりの晴れ晴れとした表情で。

 

 

「そうすれば、継続的にあの子達のこと観察出来るし、何かあった時にすぐに対応できると思う!」

 

「それはそうかもだけど……自分のギルドは?」

 

「仲がよかった女の子、引退しちゃったからね……。他の人は私が異形種プレイヤーと付き合うことにあまり良い顔してなかったり、アイテム収集のノルマを各自に課そうとか言い出しちゃったりしてるし、もう良いかなって……」

 

「……そう」

 

 

 若干曇った表情の妹を見て、舞子は言及を避けることにした。

 自分の知らないところで、妹にもあの三人と一緒にギルドを作る理由があるのかもしれない。

 そして、それが本人の口から語られない以上、今は無理をして聞き出すタイミングではないことも心得ていた。

 

 

「……一応、後腐れないように挨拶だけはしておきなさいね」

 

「うん……そうする」

 

 

 結局、舞子は妹にそれだけを言うに留めることにした。

 そこには、天才肌な妹への確かな信頼があった。

 

 

 

 

 

 

 § § § § §

 

 

 

 

 

 

「――え? 駄目だったの?」

 

 

 数日後、拠点ダンジョンを無事攻略して返ってきた明美の事後報告である。

 話はギルドの加入に及んでいた。

 

 

「ううん。リアちゃんは歓迎してくれたし、ノノカちゃんは反対しなかったし、ステラちゃんの許可もちゃんと貰えたから駄目じゃないんだけど……なんか、めっちゃ渋られちゃった。というか、最初は露骨に断られた」

 

「ステラちゃんに?」

 

「ステラちゃんに」

 

 

 ドリームプレイヤー二人と非戦闘職のギルドなのだ。

 普通ならば自分のような高レベルプレイヤーは是が非でも味方に欲しいはず。

 それなのに――

 

 

「ギルド作ったら私も入れてーって言ったら、『似非アイドル活動にうつつを抜かして炎上とかしちゃうグラスランナーの小娘、それに付き合って楽器だの小物作って満足してる白ドワーフ、社会人で時間取れないのに苦手なゲームやってるアタシ――レベルも低い、戦力もない、お金もない……そんな面子ですよ?』って、ひたすら自分達をこき下ろして拒否ってきたんだ」

 

「まあ、謙虚と言えば謙虚なのかしら?」

 

「それでさ。私が『別にレベルは関係ないよ? 友達も居るんだからおかしくないでしょ?』って言ったら『……友……達?』って心底何のことか分からないって顔になるし! リアちゃんなんて『おれゎあけみちゃんとゎ……ズッ友だょ……!!』って言ってくれたのに! ひどくない!?」

 

「……“ずっとも”って?」

 

「100年くらい前に一瞬だけ流行った、不滅の友情を示すネットスラングだって。当時バカウケしてすぐ廃れたらしいけど」

 

「リアちゃんも大概変なこと知ってるわね」

 

「えへへ……不思議だよね」

 

 

 なぜそこで妹が照れるのか舞子にはよく分からなかったが、話の展開が気になるので続きを促すことにする。

 

 

「……で、それからどうなったの?」

 

「うん、それでね。仕舞いには『……はっきり言わせてもらえるなら 嫌 です。これからもずっと、必要な時にだけ私達に力を貸していただける都合の良い女で居ていただけると超ありがたいんです、個人的に』とか言い出すんだよ!?」

 

「へ、へぇ……というかステラちゃん、なんかキャラ変わってない?」

 

「そうなの! それまではいつもの丁寧な物腰だったのに、ギルドに入れてって言った途端にそれだよ!? いきなり毒舌キャラになっちゃうなんて思いにも寄らないし!」

 

 

 もうぷんぷんだよーと頬をふくらませている妹の怒りはもっともかもしれないが、舞子としてはそれ以上にステラが急にそのような物言いをするのかがよく分からない。

 そこまで妹のギルド加入を拒もうとする理由は何なのか……そこまで考え、ステラの嗜好を思い出し、得心がいった。

 

 そりゃあ、折角作った自分のハーレムに余計なものを招くはずがないでしょう……と。

 

 

「逆に、そこから良くギルドに入れてもらえるまで話を持っていけたわよね」

 

「ふふん、これでもかってくらい粘ったからね……最後あたりに『あけみさんって……モモンガさんの知り合いなんですか?』って再三確認してきたのが気になったけど」

 

「……どうしてモモンガさんの名前が出てくるのかしら?」

 

「そこは分からないけど……アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターだから、もっとしっかりしたコネが欲しいんじゃないかな。今でも十分だと思うけど」

 

 

 そんなこんなで、妹は苦心して新しく作られたギルドの席を予約することに成功したらしい。

 普通なら上出来な結果だと言えるが、妹にはまだ不満があるようだと舞子は察した。

 

 

「でも、まだなーんか隠されてるというか、壁を感じるんだよねー……」

 

「ははあ、その壁をなんとかしてもっと打ち解けたいってわけね」

 

「うん、そう。折角同じギルドのメンバーになるんだし、ギスギスしたままってのはちょっと勘弁だし」

 

 

 人間複数人が同じところに集まれば、たまに喧嘩の一つや二つはする。コミュニティとはそういうものだ。

 思い切り意見や拳を戦わせて、最終的な和解を経て、より強固な関係を築くというのは、問題解決の理想パターンの一つでもある。

 

 しかし、それが恒常的なものであり、さらにその攻撃が陰湿なものとなれば話は別だ。当事者は勿論、巻き込まれる方もたまったものではない。

 

 だが、先日のジェンダーやら誘拐やら、危険な領域に関わる悩みと比べれば、舞子にしてみれば遥かに指南するのは簡単な問題であった。

 この手の相談はかつての同級生や同僚、教え子達と幾度もこなしているのである。

 

 

「ほら、ステラちゃんって普段クールぶってるけど、実は多感で感情がはっきりしてる女の子じゃない?」

 

「そうだね」

 

 

 それは彼女と一度でも会話を交わした人間に共通する感覚である。

 某鳥男曰く、「常に何かを押し殺してる感じの表情がそそる」とのこと。

 

 

「だから、古典的な手が使えそうなのよね」

 

「うーん……例えば?」

 

「ひどく気落ちしてるところを狙い澄まして、優しくしてあげたら一発で墜とせるんじゃないかしら?」

 

「……流石にそれはちょっと引くかな……ナンパ目的のチャラ男じゃないんだから。それにいくらなんでもチョロすぎない?」

 

「まあ、実際やってみても損はしないだろうし、機会があったら物は試しでやってみたら? 案外コロッといきそうな気がするわ」

 

「そんなもんかなー」

 

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 

 

 ――で、その機会は案外早く訪れ、そして商人娘は実にチョロかったと言えよう。

 

 

「……なんでこうなるのよぅ……わたしがなにしたっていうのよぅ……」メソメソ

 

「そうだねー、ステラちゃんは自分のおうちが欲しくて頑張ったんだもんねー」

 

 

 折角手に入れた拠点を早々に失い、頭の上に『敗者の烙印』を浮かべた商人娘ステラは絶賛傷心中であった。

 場所は仮拠点からほど近い場末の酒場である。「僅か数日で喪われた我らが拠点に対し、遺憾の意を表します」というグラスランナーの宣言に従い、一同本日は慰問会の真っ只中である。

 

 商人娘と同じく、頭の上に『敗者の烙印』を浮かべたグラスランナーと白ドワーフの幼女たちの姿は、今は壇上にある。

 新調した宴会アイテム『ステージマイク』を片手にオーレリアはしんみり唄い、ノノカは小ぶりのアコースティックギターを大人しく奏でていた。

 慰問という雰囲気に合わせ、今日は哀愁的な雰囲気でいくとのことだが、それを特に打ち合わせもせずに出来る辺り、芸達者な二人であると言えよう。

 

 

「そうよぅ……わたしはわるくないもん……がんばったもん……ルールいはんしないし……ぴーけーなんてされたことはあってもしたことなんてないし……」メソメソ

 

「大丈夫大丈夫、悪いことがあった分、今度はそれ以上の幸せが……ってあれ? あの二人のファーストデッドって確か」

 

「したことないし!」クワッ

 

「アッ、ハイ……そ、そうだね! ステラちゃんは悪くないよね!」

 

 

 そして、今明美がやっていることはいじけている商人娘の慰め、全肯定、褒め殺しである。

 本当なら、じっくりグラスランナーのステージを楽しみたいところではあったが、今日のところは我慢である。

 最初はいじけて投げやり気味に「うるさい!」「ほっといてよ!」「この貧乳エルフ!」と罵声を連発していた商人娘だったが、雰囲気作りの一環で少々お高いカクテルを奢り、ひたすら優しい言葉をかけ続けた。

 

 

「ぐすっ……アンタいいヤツね……このまえはひどいこといってごめんね……」メソメソ

 

「いいからいいから。さ、泣きたい時は思いっきりなけばスッキリするよ」

 

 

 そしたらこの有様である。口調からはすっかり丁寧さが抜け、場酔いどころか幼女退行まで起こしていた。

 ここまでチョロいと流石に彼女の将来が心配になってくる明美である。いつか、悪い男に騙されてしまわないだろうか。

 

 

「はじめてあったとき、ただのナルシストエルフだとおもっちゃってごめんね……」メソメソ

 

「う、うん。まあ誤解が解けて何よりだよ」

 

「じつはアンタのギルドのかにゅう、『かんがえる』っていっただけで、あとでてきとうにごまかしておいだそうとおもってたの……」メソメソ

 

「……え゛?」

 

「さんざんりようしたあげく、ボロぞうきんみたいにポイすてしようとかかんがえちゃってごめんね……」メソメソ

 

「……」

 

 

 商人娘の遠慮のない言葉に一瞬心が折れかけた明美だったが、姉譲りの骨太メンタルでなんとか耐えた。

 折角仲良くなれるチャンスなので、ここで台無しにするわけにもいかなかったので。

 だが、本当に仲良くなっていいものだろうか……ここに来て二の足を踏まざるをえない。

 

 

「――ねーねーあけみちゃん。うちのオカンのメンタル戻ったー?」

 

 

 いつか今日の暴言をネタにしてからかってやろうと明美が画策していると、幼女二人がテーブルまでやってきた。ひとしきり楽しんで満足したらしい。

 

 

「んーとね」チラッ

 

「」メソメソ

 

「あはは、駄目そうかなーこれは」

 

「あちゃー……まあ今まで頑張って手に入れた希望をあっさり奪われたってパターンは今まで無かったし、当分後引いちゃうかなー?」

 

「……まだ大丈夫だと思う」

 

 

 「やれやれ」と言いながらメリケンジェスチャーを繰り出すグラスランナーは今後のフォローについて考えていたが、白ドワーフはそうではなかった。

 いつもの死んだ目で商人娘を観察し、何かを納得できたのか会話に交ざりはじめる。

 

 

「ノノカちゃん?」

 

「……泣けるのは余裕がある証拠……本当に絶望してたら泣くことも出来なくなるから」

 

「怖いよ!」

 

「……とにかく大丈夫」

 

「ふーん、相棒がそう言うなら大丈夫かな? ……ところで、あけみさんや」

 

「ん? 何リアちゃん」

 

「今更だけど、うちの【美味しいご飯食べ隊(仮)】に入るってホント? 撤回したりしない?」

 

「しないしない」

 

 

 明美の言葉を聞き、露骨にホッとした様子を見せるグラスランナーである。

 やたら肉体的接触が多いこの見目良い貧乳エルフがギルドに加入するにあたり、内心一番喜んでいるのはこの幼女だった。

 

 同性であることと自分がリアル幼女であることからか、セクシャルな行為に対する警告や妨害は今の所飛んできたことは無いが、それだっていつまで保つか分からない。

 イケナイことだとは知りながらも、乙女の柔肌の感触を諦められるかと問われれば元々男だった身からしてみれば当然の如くNoな訳で。

 

 故に今のうちに愉しむに限る。

 倫理バリアーに阻まれるようになってしまうその日まで。

 

 

「……むぅ」

 

 

 反面、複雑な表情なのはハンマーを楽器に持ち替えているノノカである。

 自分と一番仲が良い少女が奪われそうになる感覚、危機感とでも言おうか。

 『NTRですね、分かります』と知り合いの男共は言うだろう。

 頼りになる仲間が増えるのは結構だが、それで彼女との時間が減らされるのは困るし、嫌なのだ。

 

 

「心配しなくても、ちゃんとギルドの方針には従うから大丈夫だって。今までは微課金勢だったけど、これからは1円だって使わないし!」

 

 

 そして、明美はそんなノノカの表情から別の心配事があると曲解した。

 彼女たち三人のプレイングポリシーを横から突き崩す真似はしない。お財布にも優しいので個人的にも若干嬉しかったりする。

 

 

「……そこは、やめないでほしいかな」メソメソ

 

「えー、この期に及んで私だけ仲間外れはひどいよ。ステラちゃん」

 

「そういうわけじゃ……ああもう、どうでもいいかぁ……」メソメソ

 

 

 商人娘の若干持ち直しかけた精神が再び萎え、テーブルに突っ伏す。

 そんな保護者の様子を見たグラスランナーは、手にしたステージマイクを彼女に差し出した。

 

 

「んー、母上も歌う?」

 

「なんでよ……」メソメソ

 

「……なんとなく」

 

「なんとなくって何よ……」メソメソ

 

 

 そうは言いながらも、商人娘はマイクから視線を外さなかった。

 

 

「でも確かに……好きな歌を唄って気晴らしって定番ではあるよね」

 

「……いいと思う……歌は人間(リリン)が生んだ、癒やして良し、殺って良しの文化だって聞いた……つまり万能」

 

「後者はちょっと違う世界の歌だと思うかな!」

 

「無理強いはしないけどさ。もし歌うなら俺も演奏に回るし。贅沢だよー演奏スキル持ちのプレイヤー二人の伴奏なんて」

 

「何よその安っぽい贅沢……折角だし唄うけど」メソメソ

 

「あ、唄うんだ」

 

「うん……カラオケ用の仮想空間って結構クレジット使うし、もうここで良いや……『クリムゾン・アンヘル』よろしく……」

 

 

 歌唄うの久しぶりだけど、と呟きながら差し出されたマイクを受け取る商人娘は、曲名をリクエストしつつノロノロと壇上へ向かった。

 ノノカはクラシックギターをオーレリアに手渡しピアノの方へと向かう。曲調に合いそうな楽器がそれ以外に手持ちにまだ無かったので、いつものように勝手に使うつもりのようだった。

 

 

「あけみちゃんはどーする? 一緒に唄う?」

 

「ありがたいけど……今日は視聴に専念するよ。また今度お願いね」

 

「おっけー! その時はデュエットするか、グループ曲皆で歌おうず!」

 

 

 

 そう言うとグラスランナーの少女は、「演奏スキルぜんかーい!」と叫びながら壇上へ掛けて行った。

 

 

 

 

 

 ――やがて商人娘が歌い始める。明美が知らない曲、知らない歌詞だった。

 

 太陽は沈み、月は砕け、風が淀み、水が濁り、大地は腐り……そんな狂った世界は偽物だと、愛の為にまるごと叩き壊す天使の歌。

 

 たとえ死んでも、何度でも生まれ変わって同じことを繰り返す。そして最後に好きな人と笑い合って、幸せ掴んで終わるんだ、と。

 

 

 荒々しい曲調、歪な歌詞ではあったが、確かにそれは人並みの幸せを望む少女の歌だった。

 明美はその歌を聞きながら先日の拠点ダンジョン攻略の時、商人娘に言われた言葉をふと思い出していた。

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 ――それは、姉である舞子にも話していない事。

 

 

『アタシ達にとってユグドラシルは……そう、悪い言い方をすれば逃避なんです』

 

 

 まだ気安い関係とは言えなかったあの時、ギルドに入りたいと言った自分に言い聞かせるように商人娘が口にした言葉だ。

 おそらく彼女は、ユグドラシルをゲームとしてしか見做していない、自分のような人間とはうまくやっていけないということを迂遠に表現していたのだろう。

 

 

『知ってますよね? 貴方達みたいな上流階級の世界を見上げながら、ほんの一握りのお金持ちにペコペコ頭下げて媚び売って必死で働いて、そこまでやってもゴミみたいに薄汚れた環境でしか満足に生きられなくなったアタシ達が何を考えて、何を心の支えにして生きるのか』

 

 

 その言葉を即座に否定することは、その時の自分には出来なかった。

 どれだけ綺麗事で取り繕っても、生まれからして彼女達と違うというのはおそらく正しい言い分だ。

 (彼女の話が本当なら)まだ十代半ばの彼女が生きるために必死で働く一方、年上の私は家族のおかげで学生をやれている。

 クラスメイトたちはそれが普通の感覚らしいが、幸か不幸か自分は、それが多くの人にとって得難いものであることを知っていた。

 

 

『アタシ達はこの仮想世界でこそ本当の自分で生きていられるんです。他の人にとってはアバターはただの写し身でしかないけれど、私達にとってはこれが正真正銘の私達自身の身体。これまでも、これからもずっと』

 

 

 その言葉を否定しないオーレリアとノノカを見て、このままだと危険だと思った。

 

 歪である。

 

 自然の摂理に反している。

 

 仮想はもはや仮想にあらず――というのは、現在を生きる人間にとって一つの真理だ。

 『DMMO-RPGのような仮想空間は、そこに活動する人達にとっては単なるゲームなどではなく、現実世界そのものなのだ』という結論に至る人達がもつ思想。

 昔と比較して環境問題が加速度的に悪化していったこの世界で、仮想世界こそが唯一残った人が真の意味で自由でいられる場所であると。

 

 ただそれは、現実世界をただの肉体の置き場としてしか見做さなくなった人間の言葉でもある。

 もはや息をして、食べて、寝て、お金を稼いで……彼らにとって現実の世界は、そういった些事をこなす場所でしかないのだ。

 

 それは生きていながらにして死んでいる人間……哲学的ゾンビ状態というやつであって、人が本来あるべき姿とはかけ離れている。

 

 

 

『……ユグドラシルは、凄い世界だと思うよ』

 

 

 でも、この世界には終わりがある……そう明美は語りかける。

 

 ユグドラシルは、仮想現実だ。

 腐っても永らえ続ける現実世界と違い、ラックに収まったサーバー筐体に依存するこの世界には、遠くない未来に必ず終焉がやって来るだろう。

 

 故に、明美は尋ねずにはいられなかった。

 

 

『その時、ステラちゃんたちはどうするの?』

 

『そんなの決まってます――』

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

「『――次の世界にいくだけです』……か」

 

 

 

 普通に考えれば次世代の仮想世界へ乗り換えると考えるべき台詞だったが……どことなく、不吉な響きに聞こえたのは自分の勘違いだっただろうか。

 

 少しばかり恐怖を感じる……気の弱い乙女ならばそこでギルドへの加入を諦めるところだろう。

 

 だが、生憎自分はそんな程度で引き下がるほどヤワではなかったらしい。

 自分でもよくわからないが、とにかくこれでもかと食らいつき、そして(ついさっき)ギルド加入の権利をもぎ取った。

 

 

 改めて三人の姿を見つめる。

 

 オーレリアは、とても不思議な女の子だった。

 

 普段は破天荒な雰囲気の俺っ子(?)だけど、コロコロ表情がかわってRPに入ると本当にお嬢様や臆病な女の子みたいに変貌するから見ていて面白いと思う。

 膝に乗せるとちんまり大人しくなって可愛い。

 相手を尊重し、ちゃんと他の人のことを考えて労る心を持っている優しい子。

 自分とは、ズッ友の誓いを交わした仲でもある。

 他に交わした人はいないというし、もうこれは親友同士ってことでいいんじゃないだろうか。

 

 

 ノノカはオーレリアのことが大好きだ。傍目に見ているとそのことがよく分かる。

 

 どこへ行くにも付かず離れず、けど決して彼女の邪魔はしない。それでいて、自分もやりたいことを一緒に楽しんでいる。

 お転婆な妹とその姉のような関係。まだ幼かった頃の、自分と姉のそれを思い起こさせた。

 

 

 ステラはそんな二人のさらに歳上の、面倒見の良い姉のようだった。

 

 オカン気質だよねと姉のギルドメンバーには言われており、そう言われれば確かにそんな気もする。

 手のかかる二人に振り回されて、苦労性気質なところが若干不憫。それでも彼女達の意思を尊重して受け入れている。

 他のプレイヤーと話す時は若干こわばっている彼女の声色が、あの二人と話す時はその素振りすら見られない。

 信頼している。認めている。

 そしておそらく……それは心の底から二人を愛している故なのだ。

 

 

 三人共自由なようで、その実見れば見るほど奇特な少女たちだった。

 何かあれば、すぐバラバラになってしまいそうな危うさもある。

 

 

 ――だからこそ、自分が守護(まも)らなければならない。

 だって、自分たちはもう(気分だけは)同じギルドの仲間で、友達なのだから。

 

 

 『友達が苦しんでいるなら迷いなく助けなさい。間違っているならとりあえずぶん殴ってでも止めてあげなさい。ボクならそうする』

 

 

 尊敬する姉の教えであり、自分も異論などあるはずもない。それを実践する時なのかもしれない。

 

 

 おそらく、今までの自分では居られなくなるだろう。

 

 これまでは避けていたデッドだって嵩んでいくに違いない。

 たった4人の無課金プレイ……一度も失敗しないほうがおかしいのは明白だった。

 

 これまで上げてきたレベルが零れ落ちていく未来が見える。

 勿体無い、ひどいものだと他のプレイヤーは言うだろう。

 

 

 だがなぜだろうか。

 自分にとって、これからがとても楽しい日々になりそうな……そんな予感がある。

 

 この仮想世界にあれほどまで入れ込む彼女たちなのだ。

 あのユニークな面々と一緒に冒険することが、面白くならない筈が無い。

 

 オーレリアが言っていたように、一緒になって歌を披露する、ということにも(多少の羞恥心はあるが)興味がある。

 多少マンネリ化していた自分にとっては尚の事だ。

 

 このユグドラシルはゲームなのだから、何よりも『楽しさ』『面白さ』を重要視するのはなんら間違っていないだろう。

 お金を落とさなくなるのは運営にとって苦い顔をされるかもしれないが……『未知を楽しむ』というのが彼らがプレイヤーに望んだことだ。

 少しくらいはお目溢ししてくれるだろう。女の子4人だし、と勝手に納得する。

 

 

 

 

 ギルドの転入禁止期間が明けるまで、あと何日だったか。

 彼女たちと本当に仲間になれる、その日が待ち遠しい。

 

 

 そんな心境で残りの日数を指折り数える、エルフの少女が一人。

 

 それは後に伝説にもなる、メンバー僅か4人のギルドの誕生までの日数と同じであることに、今はまだ誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 




■ 敗北のオリ主
・今回は脇役。主人公(笑)
・一人でギルド名(真)に悩んでる


■ 楽器娘
・何気に内心描写したの始めてじゃない?
・オリ主 > オカン >>> エルフ♀
・どこぞの大企業のご令嬢だったり、権力者の隠し子や捨て子だったり、極めて特殊な事情があるようです


■ 傷心の商人娘
・チョロい
・クソレズ(疑惑)
・何やら良からぬことを企んでおられる様子


■ 善良エルフあけみ
・この後、無事弱体化
・後に三人に合わせてそれっぽく改名
・結局、最後まで三人のリアルフェイスは拝めなかった










↓ あとがき & いつもの ↓




 多分10万字以上書いては消して書いては消してを繰り返したYO!

 面倒臭いあまり、エルフ娘初登場時の描写を適当にしたツケがここに現れてるってはっきり分かんだね。

 いや、最初はなんにも考えずにオリ主に一目惚れ(?)してついてくるキャラだったんですが、傍目からオリ主sを見てきた割と常識的な良い子の役割押し付けたら、無事に逸般人の仲間入りを果たしていました。

 カルト教団と聞かされたメンバーと普通に接するオリ主もそうですが、頭がおかしい他人のレズハーレムにズケズケと入り込んでくる時点でやっぱこの娘もおかしい。
 


▼ オリ主

 愛され系になってますね。
 そんなつもりなかったけど、幼女にアイドルプレイさせるならまぁしょうがないかなって。

 最初のプロットではダンジョン攻略時に罠にかかりまくって逆さ吊りに遭い、下着(ロリメイド仕様ガーター)を晒しかけるものの重力に逆らう鉄壁スカートのお陰でBANを免れるというシーンがあったんですが、ダンジョン攻略の道中が前回の数行であっさり終わってしまったため、全カットされました。
 よって前回から彼女の下着はかぼちゃパンツではなく、常時それっぽくなっております。見えないところにこそ拘るのが一流だと思っている娘っ子ですので。



▼ ハンマー娘

 オリ主とイチャイチャする時間が短縮されてしまったので、エルフが邪魔で邪魔でしょうがない。
 でも優しくしてくれるしオリ主は喜んでるしでとりあえず様子見することにしたようです。
 あけみちんが増えたのでますますPT内での影が薄くなりそう。
 彼女が鬼のように活躍してくれるスポットシナリオがあればワンチャン。



▼ 商人娘

 最初書いてた話だともうこの娘が主役でいいよね級に台詞多かったんですが、あけみちゃんにこれでもかと言葉責めされて可愛そうな気狂いキャラに変貌しそうになったので、今回ひたすらメソメソさせることで大幅な文章量ダイエットに成功しました。安易な発狂描写はNG。

 あけみがギルド加入を申し込んだ際、一応関係ない人間をクッソ危険なギャンブルに巻き込むわけにもいかないので適当なフカシをこきまくった挙げ句、最終的に「こんなキャラ原作に居たっけ?」的な思考から、「原作主人公の知り合いなのに見覚えないってことは、まあユグドラシル終わる頃には絶対に引退してるやろ! よっしゃ暫く寄生したろ!」的な結論に落ち着いてOKしていたり。

 元々アインズ・ウール・ゴウンの面子には疑惑の視線で観察されていましたが、この日からただ生暖かい目で見られるようになったとか。


 
▼ あけみ

 お気づきでしょうが、都合に合わせて頭の良さや強さがコロコロ変わる気分屋であります。他三人が絡むと時たまポンコツになるだけの、基本的にはなんでもこなせる万能キャラです。 

 最初腹黒キャラにしようと思ったけど良い子過ぎて諦めた経緯があります。どっちかというとてへぺろお姉さんっぽいキャラになってるので、オリ主の馬鹿に便乗して一緒にはっちゃける役目になってそう。 

 リアルの三人と接触しようと奮闘するも最後まで報われない娘。
 もしそんなことになったら闇堕ちして「こんな世界――ぶっ壊してやる!」と暴走し、ホントにぶっ壊すテロリストか破壊神にクラスチェンジしちゃうからやっぱ駄目。

 オリ主が特にお気に入りで、よく膝の上に乗せてハグしております。ハグされる方もホクホクなので完全にWin-Winの関係。らぶらぶってやつ。

 最後は……まあ意地でもついてくるか、その後の語り部要員のどっちか。
 ただここまで内面書いておいてジャガー号のパイロットみたく置いてけぼりにするのは勿体な――可哀想かなって。



 あとこの4人組どっかで見たような……思い出せないけど。





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あの娘たちのうわさ(1)

 
 
 
前から一度やってみたかったという大降臨キ○ンダー氏的な理由で掲示板回

最初期~炎上騒ぎくらいまで

でも修正なり追記するとき死ぬほど面倒そうだからレス番すら手抜き
雰囲気で誰の台詞か察して


 


-----

 

 

 

 

 

《DMMO-RPGユグドラシル <Yggdrasil> 雑談スレ》

 

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そういえば今日アルフヘイムで珍しいもん見たわ

新規グラスランナーちゃんのアバター

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

( ´_ゝ`)フーン

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

嘘乙

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ソース出せ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ソースは俺

ガン見しすぎてスクショ取り忘れたからそこんとこ勘弁

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 あ ほ く さ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

はい解散

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ソースも無しにスレageてんじゃねーよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あ、でも開始早々に爆破されてたからWRには載ってるかもしれん

ちょっと見てくるから待ってて

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

爆破とか草

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

一体どういう状況なんですかねぇ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

仲間の女の子が間違って爆弾系のアイテム起爆したっぽい

街中だったからビックリしたぜ

現実ならスプラッタだ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うっかりちゃんか

萌える

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うっかりで5レベルダウンさせられてたまるか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

マジで載っててワロスwww

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

開始5分未満で爆死してるやつか

これ絶対狙ってやったやろ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

名前長すぎ

真面目ちゃんか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

こんなもんやろ

ちょっと厨二臭するけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

これ1位2位まとめてPKされてる

記録日時殆ど変わらんし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ホンマやな

爆死と焼死で仲良くワン・ツーか

あーかわいそ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

これは当分破られんやろなぁ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

もう更新の余地無さそう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

流石に最速でチュートリアルすっ飛ばせば更新出来るし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

こんなくだらん記録のために一回こっきりのチュートリアルスキップする馬鹿おるん?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

むしろこれは更新したら総スカンでしょうねぇ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ある意味美しすぎるからな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

さて、今度のグラランはどれだけ保つかな?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

一ヶ月位じゃね?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

二週間に50ガバス

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

長過ぎやろ

前回のクソガキは初日で消滅してたやんけ

良くて3日に1000ギルダ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあそんなとこか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

前のグラスランナーっていつ出たっけ?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

半年前くらいのイベントん時かな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

スタート地点付近で暴言の嵐巻き起こした上に通りすがりの巨乳エルフにエレクチオンして消えていったクソガキのことかな?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ある意味純情なガキンチョやったな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

外見だけはいい感じのショタだったのにな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ホントにネトゲマナーテストで合格点とったんやろか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あれには草

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

勿体無いなぁ

俺好みの良い感じのズリネタにできたのに

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ショタコンの上にホモとか……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

帰って、どうぞ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

今北

グラランのイキったガキとかさっさと消えた方が世の為人の為なんだよなぁ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

今回のはグララン♀やぞ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

お前ら全力で支援しろよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

嘘やで

ゆうたとかいうそこら辺のフィールドで取れるはちみつ乞食するレベルのクソガキや

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

放置安定

さっさと消えて、どうぞ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

嘘乙

金髪ツインテールのツンデレ風ロリやで

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

どっちだよ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

死亡関連のWR見て来い

10秒でどっちか分かる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そうする

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

手の平ドリル並にクルクルしてて草

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ロリコン必死すぎキモス

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そら(中身がロリっ子確定だし)そうよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ここまであからさまだといっその事清々しい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあWR見ても性別は載ってないんですが

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

よくも(AA略

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ざまぁww

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

<赤い流星さんがロックオンしました>

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ニワカ乙

ロリだけでは大佐殿は動かんよ

 

妹属性かオカン属性付きでももってこい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

妹属性には不足しそうにないな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

で、金髪ツインテールのロリってmj?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いんや

金髪は金髪やけどもっと薄いというか淡い色合いやで、キレイやけど

ほんでもってロング

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ほーん、ええやん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

気が向いたら投銭しとくか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

申し訳ないが過剰な干渉はNG

初心者っぽいし自由にさせたれや

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあ支援するなら勝手に頑張れ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

お前ら……

貴重なロリ枠のアバターあっさり消えてもてええんか?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

__人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人__

>    わりとどうでもいい    <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

 

      ヘ(^o^)ヘ

         |∧

        /

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

どうせ何してもすぐ消えるしな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

言うても所詮おこちゃまだから見抜きできんやん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そういう意味じゃねーよハゲ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ハゲなのはかんけーねーだろハゲ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

また髪の話してる……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

真面目な話、グラランに期待する方が間違ってるとしか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

弱いしな

課金できんし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ビジュアルだけならいい感じなんだけどな

NPCは兎も角ロリっ子アバター少ないし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

こんなクソ運営に支配されたゲームやるくらいだし

擦れてそう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

堪え性なさそう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

すぐ泣きそう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

乳臭そう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

漏らしてそう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

だがそれが良い

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

子どもだしな

多少喚いててもおーやっとるやっとるとしか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

踏まれてもどうとも思わん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

むしろもっと踏んで欲しい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

グラランのおにゃの子なら何されてもご褒美やんけ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

お前ら……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

はなしのたねにながいきしてください

それだけがぼくののぞみです

 

 

 

 

 

 

 

・       ・

・(次の日の夜)・

・       ・

 

 

 

 

 

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いやぁいい祭りでしたねぇ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

たまにはこういうのもいいかもね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

最近はプレイもマンネリ気味だったしな

個人的にこういうユーザー発イベントは歓迎するよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ちょっと雰囲気ブチ壊しな気もするけどな

今度は吟遊詩人っぽくやってほしい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

何の祭りの話だよ

急にしゃしゃって来てワケワカメなこと言い出すな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

グラスランナーと白ドワーフのロリの下着コンサートの話

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

詳しく

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

詳しく

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

詳しく

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

残念もう終わったよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

クソがあああああああっ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

昼過ぎからだから結構長いことやってたけどね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うん、まあ

(ロリコンにとって)いい宴だったかもな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

せやろか?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

せ、せめて画像とか……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

は?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

乞食は滅びろ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

バッチリスクショ撮ってあるけど要る?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ホスィ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 orz =3

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

やっぱ投下やめた

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

氏ね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

放り出せ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

スマソ間違えた

 

    §,; ________§; ,

  || §; /    § ヽ  ||

  |~~~§~     §'~~~~~~~|

  | ____§/"""ヽ,§_____  |

  |__|///(§  §)ノ////|__|///\

 ⊆___)///ゝ___§ノ/////(____⊇////

 ///////////////ジュ~////////////

 ////////////////////////////////

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なんてみっとみない

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

必死だな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあいいや

焼き土下座に免じて投下すっぞ

 

 LO_Fes001.bmp7

 LO_Fes002.bmp7

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ありがとナス!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ええんやで

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

歌もサンプルあったほうがええやろ

俺からのサービスだ

 

 GR_song.mp9

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

すまねぇなぁおまいさん……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いいってことよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なにこれかわいい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

かわいい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

かわいい!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

尊い

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ええアバターしとる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

中の子は良い運の使い方をしてくれた

皆が幸せになれる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そういえばグラランちゃんキャラメイク完全ランダムだったな

攻略に必要な運全部注ぎ込んでそう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ちょい待てや本人に許可とったんかこれ?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

良いって言ってたよ

マジモンのロリ天使や

 

時々俺っ娘になるけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おー絶対良い子だな!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

大丈夫かな

おじさん心配だわ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺っ娘とはまた稀有な

だがまあ人並み以上にサービス精神はありそうだ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おかしい……

下着ライブと聞いたから絶対エロいはずだと確信してたのにあんまりエロくない

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

お前は野良ロリに何を期待しているんだ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

見た目幼女だしエロく感じる方がおかしい

下手すれば裸でも欲情できん外見だぞ

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:***

いや十分エロいよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

これがエロく見えるのは普段の思考と嗜好が不健全な証拠だロリコン

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

嘘やん

俺犯罪係数一桁なのにエロく見える

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

犯罪係数と性的嗜好は無関係だゾ

ネタ測定値だし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

健全なのは間違いない

誰もBANされとらんからな

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:***

グラスランナーちゃんはかぼちゃパンツだしブルマみたいなもんだから

見る奴によってはエロく見えるのはしょうがない

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

何やブルマって

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ggrks

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:***

昔の女児用体操着(下)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

知るかボケ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そら運動自体金持ちの道楽みたいなこんな世の中じゃあね……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

むしろ知ってる奴は軒並みエロいことネット検索しまくった奴だけやで

つまり

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

……あっ(察し)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺をエロ魔神みたいな言い方するのヤメロぉ!

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:***

エロゲやってればたまに拝めるジャンルだから知ってる奴は知ってるぞ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺も分かる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ググったけどなにこの痴少女の群れ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

昔の女子学生は公衆の面前でこんな股間にダイレクトアタックしてくるエロ衣装着て飛んだり跳ねたりさせられてたん?

エロい方の拷問じゃん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

エロい……かなぁ?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

エロい目で見る奴が出てきたから大昔に廃止されたんだろ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

え? そうなの?(無知)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そうだよ(迫真)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

画像漁ったけどオナネタとして十分やな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

もう現実ではニッチなエロを買うお店くらいでしか生で見られんコスや

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:***

とりあえず眼福ってことで

白ドワーフちゃんもスポブラ風でいいぞー

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

イイね!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

陸上選手のユニフォームみたいとも言える

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

またお前は……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

このエロ魔神め

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

もう正体分かってるから(呆れ)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

せめて狩りゲーのインナーみたいって言え

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

片割れのドワーフちゃんって成人してんの?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

白ドワーフだしほぼ外見通りだろうさ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いやそっちじゃなくて中の人の話

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

んなこと分かるか!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

グラランちゃんと同じでモノホンのロリっ娘

あんまり喋ってなかったけどこの目でねっとり見た豚の俺には分かる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

豚なら分かるのか……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

(゚∀゚)キタコレ!!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

リアルでもロリコンビとか

百合系の妄想が捗りますねぇ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そして信じるのか……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なぁなぁ

これグラスランナーちゃんダンサーと歌手職とってるよね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

分かるの?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

前にドリームビルド用のスキル検証動画で視聴した時とモーションと音声の質が似てる気がする

気がするだけ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

質……?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

声の通りが良くなるとかいうぶっちゃけ効果の程がよく分からないクソスキル?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あの微妙な違いが分かる奴が居るほうが驚き

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

白ドワーフちゃんが楽士とってるのは俺でも分かった

指の動きとリュートの音色完全に一致してなかったから

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おっ演奏スキル持ちか

個人的に応援しよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ほう、二人揃ってドリームビルダーですか

たいしたものですね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いやまだドリームビルドと決まったわけじゃ

ソードダンサーとか歌魔術師とか魔法楽士とかに繋げられるから

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

んなわけねーだろ

ガチなら1レベルすら振らん地雷職やぞ

普通に魔法職鍛えた方が強いし応用きくしレベル対効果高いっての

大体非戦闘職が前提の上位職なんか無駄も甚だしい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

せやな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

哀しいなぁ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そうか?

別に好きでRPやってるなら横から憐れまれたり文句言われたりする筋合いねーよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

戦力にならんクズはいらん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ガチ勢(笑)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

は?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

は?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

やめろ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

喧嘩なら他所でやれバカども

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

……わかったさ、この話はやめるさ

ハイサイ!! やめやめ

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:***

じゃあ歌と演奏の感想の話でも

 

天然のロリボイスいいよね……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

合成だったり加工音声で売り出してる自称歌手(笑)で巷が溢れてるからな

いい耳の保養になるわホント

 

これでもっと音質が良かったらなぁ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

予告すらなかったからしゃーなし

録音ツール持ってる奴がいただけでも運がええ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

次あれば期待

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

勇ましい歌もおしゃまな曲もいい感じよね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

個人的に失恋ソングの雰囲気がドンピシャだった

あの物悲しい声色たまらん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

オーレリアちゃんいいわー腹パンしてぇ

きっといい声出して泣いてくれると思うから

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ヒェッ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

変なの湧いてますねぇ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

でもこの瑞々しいイカっ腹見てるとこう、腹パンしたくなってくるのよね

んでもって痣作りながら苦痛に喘いでるところじっくり観察したい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ドン引きです……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

異常者は置いておいて

 

3曲目とか聞いたことないけどこれ誰の歌か分かる奴いる?

メロディーはどっかで聞いたことある気がするけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

分からん

聞いたこと無い

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

歌詞だけで検索したら曲調が全く別モンの100年以上前の曲が出てきたでござる……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うせやん!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ジャンルが萌ソングだったりアイドルソングだったり節操ないけど嘘ちゃうで

曲の発表年見て肝冷やしたの初めてだわ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おい豚ぁ!

まだ居るなら当日の流れ教えろ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

豚だけど、そういう曲は大体

 

① 白ドワーフちゃんが流しで一回演奏

② その曲でグラスランナーちゃんが唄う

 

って流れの繰り返しだったから即興だったっぽいよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

嘘やろ……

じゃあほぼアドリブで歌詞当てはめてるみてーなもんじゃん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

リアル幼女でしょ

グラスランナーの娘天才なんじゃ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そっちはそっちで凄いけど

 

最近の曲知らなくて、その代わりにアドリブで唄った歌詞がたまたま大昔の曲と同じだったって事じゃん?

 

 

 

 

 

 

こわ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

グラスランナーちゃんがその時期の曲しか知らなくて白ドワーフちゃんの演奏に合いそうな歌詞を記憶から引っ張り出してる説

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

どんな幼女だよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

タイムスリップしてきたんやろ(適当)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それよか前世の記憶持ちって言う方がしっくりくるな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

このご時世にオカルトとか

 

真面目な話、親がレトロ曲マニアとかでそれ横で聞いてたとかそんなんでしょ

俺はどっちかっていうと白ドワーフちゃんの方が天才だと思うわ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それな

楽士スキルの補助があるとはいえゲーム開始直後でこの演奏はイミフクラス

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

歌に気を取られてそっちに気が向いてなかったけどたしカニ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

リアルで音楽経験あるならスキル抜きでも結構いいとこイケるらしいけど、それ加味しても上達が早すぎる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

(どっちも)天才じゃったか……

 

 

 

 

 

 

・       ・

・(更に数日後)・

・       ・

 

 

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

噂のグラランちゃん炎上してて草

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあここまでかな

あっという間だったが楽しい祭りだった

 

ありがとうオーレリア・ルハティー・S・ナノレスちゃん

君のことは暫く忘れないよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

どうしてこんなことになってしまったんだ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そらゲーム開始早々に人間種至上キチにロックオンされたのが運の尽きってもんよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ああ……やっぱアバター生成で運の殆どを使い切ってたのか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

気の毒だなー(ハナホジー

 

■xxx 赤い流星 213X/XX/XX ID:***

はっきり言う

 

気に入らんな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

可哀想だとは思うけどアインズ・ウール・ゴウンなんかに関わるからこうなるといういい見本ではある

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

え、あのDQNギルド今度はなにやったん?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

↓ここ嫁

 

Link:グラスランナー炎上騒ぎまとめ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

やらかしたのはあの聖戦士か

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まああのWCなら納得

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

トイレみたく略すなww

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

悪いのはアインズ・ウール・ゴウンでFA?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それが一番角が立たん気がするな

事実はどうでもいいけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

元からそんなとこだし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

やっぱりか

アインズ・ウール・ゴウン最低だな!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

い つ も の

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

グラスランナーの工作員とかうらやまけしからん

俺のところにも来ねーかな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ぶっちゃけご褒美以外何物でもないよね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ユグドラ金貨なんて有り余ってるしな

いくらでも貢いで構わんからグララン娘とイチャイチャしたいわ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それで逆に手篭めにしちゃうんですね

わかります

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そう、生意気な幼女を屈服させたいのだよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おしりペンペンしたい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

眼球ペロペロしたい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

腹パン叩き込んで泣かせたい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ぶりぶりしたい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

↑水責めは加減間違えるとあっさり死んじゃうからNG

 

三角木馬くらいで

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

竹串で十分よ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

バターかハチミツで

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

道具なんぞ不要

ヘブンズドアとデモンズハンドからのライトニングチャージのコンボで未開花の幼女でも昇天は確実

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

接触する時点で野蛮というもの

支配の呪言で好きに料理できますので

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

このロリコンどもめ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

一部ロリコンじゃ済まない人間が混じってるんですがそれは

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

とりあえずまとめ読んできた

でもこれ、誰も悪いことしてないよね?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うん(真顔)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあぶっちゃけ人間種至上キチが騒いでるだけ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

強いて言えば幼女二人殺して身ぐるみ剥ぎ取った初心者狩りが一番鬼畜

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いやいやいや

無理矢理炎上させたアホだろワーストは

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

炎上スレでは一言も触れられんけどな

↑のまとめスレも事実だけ載ってる良心的な方だし

 

ここはまだ変なの湧いてない……こともないけど割と平穏だからな

見切り発車したプレイヤーが立てたグラランスレは阿鼻叫喚よ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

可哀想過ぎる……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

気の毒ではあるけどまあネット社会の洗礼を浴びたってことで

今後のためのいい勉強にしてほしい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

血も涙も無いのかお前には

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

実際何も出来んし

それにどうせ今頃キャラデリしてる頃

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あ、そっかぁ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

  ┌─┐

  │お│

  │|│

  │れ│

  │り│

  │あ│

  │の│

  │は│

  │か│

 ┌┴─┴┐

 │|三三|│

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

勝手に殺すな馬鹿

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

せめてちゃんくらいつけろや

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

  ┌─┐

  │お│

  │|│

  │れ│

  │り│

  │あ│

  │ち│

  │ゃ│

  │ん│

  │の│

  │は│

  │か│

 ┌┴─┴┐

 │|三三|│

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なげーよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

   ┌───┐

   │こ リ│

   │こ ア│

   │に ち│

   │眠 ゃ│

   │る ん│

  ┌┴───┴┐

❀❁│ |三三| │❁❀

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあよし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いやよくねーよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うわあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛

リアちゃん消えないでええええええぇぇぇ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

気持ちは分からんでもないけどさー

こんな状況に陥ったら普通全部投げ出すよね?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

グラランでプレイ続けることに一切メリットねーしな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なんでや! アバター可愛いダルルォ!!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それ以外になんかあんの

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

……それでもワイは信じてるで

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

何気にひどくね

 

 

 

 

 

 




あとがき:特に無し。

おきらくネット民の皆さん。
比較的キレイなレスばかりの板。
いろんな人からリアちゃん大人気ですね。

あと楽士じゃなくて楽師の方がユグドラシルでは正しいっぽいけど個人的嗜好に依るものなんでこのまま。


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666日目 さいきょうのぐらすらんなー

投げやり気味だけど、リアルが忙しないのでこれで勘弁。







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 エルフ娘ちゃんがうちのギルドにやってきてからかれこれ二年くらい経った今日此の頃。

 

 ……あれ? ところで今何月だったっけ。

 環境維持システムだけは完璧な住宅構造だけあって、室温でリアルの季節を感じることなんて出来ないから、今が春か秋かも覚束ない。もっとも外に出ても命あるものはほぼ死んでるので季節感なんて毛ほどもないけど。

 

 まあそんなことはどうでも良いからおいておくとしよう。

 ところで今の俺の職業構成を見てくれ、こいつをどう思う?

 

 

▼ファイター Lv.2

▼歌手 Lv.3

▼ダンサー Lv.3

▼楽士 Lv.1

▼娼婦 Lv.1

▼アクトレス Lv.1

▼アクロバット Lv.1

▼敗北者 Lv.1

 

 

 初心者かな^^

 

 はいそこ、まるで成長していないとか言わない。

 こんな有様なのは、それはもう聞くも涙語るも涙なお話があるとか、そんなこと一切ないから安心してほしい。俺がユグドラシル先達の洗礼をこれでもかと浴び、グラスランナーの死体の山を築き上げた結果である(震え声)とどのつまり、あれもこれも全部PKの外道共が悪い。

 

 

 経緯を軽く説明しよう。まずこれまでで俺らがせっかく拠点化したダンジョンを奪われること都合5回目を数えたことはご承知の通り。

 ……え? 何? そんなこと知らない? あといくらなんでも拠点取られすぎ? おう、俺もそう思うんだが商人娘が懲りずに「拠点欲しい! 欲しいったら欲しいのー!」と駄々こねるからには、喜んでそれに付き合わねばならぬからね。

 

 勿論ただ黙って拠点を奪われるわけじゃないよ? 商人娘が毎回悩みながら罠仕掛けてるし、俺らも迎撃に出られる時はちゃんと出てる。全部無駄骨に終わってるけど。

 他のギルドなんて、大体は一度拠点とったらそれでもうほぼ安泰なんだっていうのに、俺らは数ヶ月単位で頭の上から折れた旗が消えないことだってザラである。遂には『敗北者』とかいうネタにされそうな職業も皆仲良くゲットさせられた。育てたらなんか新しい道が拓けそうな予感がビンビンするクラスだけど、それについてはまた今度だ。

 

 最終的には、あいつらは拠点が目当てなのではなくて、俺らへの嫌がらせが主目的なのだと判明した。取られた拠点が早々にフリーになっていたので間違いない。

 理解に苦しむ……と言いたいところだが、勘の良い俺氏は彼らの思考が手に取るように分かってしまった。ホラ、あれだ。好きな子にちょっかい出して気を引きたいとか、そういう奴らなのだろう。

 

 これもアイドルプレイ故の弊害か……エルフ娘が加入してますます加速する俺らのエンターテイメントプレイだが、純粋にそれらを楽しんでくれるファンが増えると同時に、さっき言ったような歪んだ愛情を抱えた人間や攻撃的なアンチも増えるもの。

 ましてやここは仮想世界。白くベタつく何かやカミソリを仕込んだプレゼントを送るより先に、アイドル気分でキャッキャしている幼女をルンルン気分で殺しに来るやべー奴らがワンサカしている魔境でもあるのだ。

 

 PvPを挑んでくるような連中と違って、そういう奴らは真っ当な騎士道精神は持っておらず、弱い相手を一方的に屈服させprprすることにこの上ない快感を覚える変態さんと考えてほぼ間違いない。

 こっちが戦闘面ではまず勝てないことを承知で襲いかかってくるので、命乞いや説得はむしろ相手を喜ばせる材料にしかならない。よって俺に出来るのは装備をドロップしないように裸になることしかないのだった。

 

 

 勝てない理由は大量にあるが、例えを挙げるならば「相手に空を飛ばれると手も足も出なかった」というのがその一つである。

 

 知ってる? ユグドラシルにおいて、ルール決めてPvP挑んでくる輩は兎も角、それ以外の連中ってば、屋外で交戦状態に入って尚且こっちが飛べないと分かるとほぼ確定で空ビュンビュン飛ぶんですよ。魔法職も戦士職も。こちとらちょっと飛び跳ねるだけで満足していた低次元三次元戦闘しかしてこなかったというのに。

 そんでもって、戦士職相手だと飛ぶ斬撃どーんとか、飛ぶ刺突ぐさーとか、真空波ぶーんとか、唯でさえリーチに乏しい俺としてはあもりにもひきょう過ぎるでしょうと言いたくなる遠距離攻撃を連発されて死ぬ。

 魔法職相手だと純粋な魔力攻撃はなんとか耐えられない程度の被ダメで生還することもあるのだが、まあそれだけの話である。最後には手も足も出ずに死ぬ。 

 これを無理ゲーと言わずになんと言おう。空を飛ぶ事自体はそれほど難しいことじゃないらしいけど、急激な戦闘環境のインフレ速度に俺がついていけなかったわけだ。

 

 下手人はさぞ気分が良かったに違いない。無様に地を這うしかない俺のことを笑いながら、「ザマァ無いぜ!」とばかりに狙い撃ちにしてくるのだ。

 一方的にボコられる、痛さと怖さをこれでもかと与えられるめっちゃ正しい戦法なのは分かる。「対抗できない方が悪い」という、弱い者いじめが大正義な世界において、この手の法則には一プレイヤーとしては従う他ないから。だが実際に殺られる側としてはたまったものではない。

 アクロバットスキルで無理矢理迫ろうとしても届くはずもなく、おもちゃにつられてぴょんぴょんするだけの子猫状態。500円でゲット出来る王様以下とか、戦闘面での俺の存在価値が大暴落。

 

 そしてやっとの思いで空を飛べるようになるアクセサリーを入手して、PKにビクビクしながら練習を重ね、さあリベンジだと思ったら今度は時間停止スキルの暴力である。

 効果は言わんでも分かるよね? 問答無用で動き止めらてしまうチート級スキルだ。アバターが指一本動かせなくなってしまうのでこれ使われる = 俺の死である。これもPKしてくる奴は普通にやってくるとかこのクソアンドクソなゲームバランスよ。

 昔のネトゲなら動きが止まってもチャットくらいはできそうなものだが、ユグドラシル仕様では視線すら動かせなくなっちゃいましゅ^q^

 

 俎上の鯉の気分をこれでもかと味わえること請け合いである。もう好きに料理してくださいという意味ではマグロ状態と表現しても正しい。

 PKに素手でとっ捕まえられた後、笑顔エモを浮かばせた奴さんにひたすら腹パンされて嬲り殺されたこともあったっけ。あれめっちゃ怖かった。でも痛くないからむしろ体内に響く衝撃が心地よかったのは秘密(恍惚) 

 

 

 そんなこんなで、今ではユグドラシルのデドラン1位を突っ走っております。遅参組なのにね!

 ちくせう……ちくせう……せめてエルフ娘ちゃんが居てくれる時ならばプレイスキルの無い、弱い者いじめ目的の連中は返り討ちにして追い払ってくれるのだけれど、あいつら徹底的にこっちがソロかハンマー娘ちゃんと二人っきりの時を狙ってきやがる。こっちのPT事情は完全に把握されていると見て良いだろう。

 

 ふとナーバスになってエルフ娘に愚痴っちゃった時は無言になってたなぁ。

 自前のスキルでギルド加入時点から飛行スキルもってたり、時間停止対策はちゃんとしてたりというしっかり者の娘さんなんで、今更PK対策すらしてない俺に呆れて物も言えなくなっていたに違いない。

 俺が平謝りして額を床にスリスリすると何時も通り膝に乗せてニコーと笑ったんで、「幻滅しました……このギルド抜けます」とか言われない程度の落胆で済んでいるようなのは不幸中の幸いである。

 さっきも言ったようにエルフ娘ちゃんが居れば弱いものイジメしかしない連中は寄ってこないんですが、如何せん学生である彼女に四六時中頼るわけにもいかないのである。

 

 

 でも一番厄介だったのは、俺と一緒に仲良死するハンマー娘(デドラン2位)なんです。

 

 やたら俺のこと守るって常日頃から言ってて、その上で俺がPKされる度に死んだ目で死にそうな顔されたのでは、相乗効果でこっちの胃がストレスで保ちそうにない。

 そのため現在俺は彼女の意識改革中に努める毎日である。兎に角ネガティブで重苦しい方向に向かいがちな彼女の考え方を、もっとライトなお気楽思考にしておかないと楽しんでゲームがプレイできないと思うのよ。

 正直あんまり似合ってないゴツい鎧を良いではないか良いではないかと御代官ごっこしながら剥いだり、守備重点な職業構成見直すとか以前に、そっちの方をまずなんとかしないとね。

 

 とにかく俺の死は彼女の責任では全く無いこと、PK共に敗北することを気にしていないこと(これは嘘)を、聖幼女ヴォイスでそれはそれは優しく言い聞かせているのだ。「あ、あんな奴らに良いようにされたってちっとも気にしないんだから!(涙目)」とか、そういった感じで。

 

 で、今のところの成果がこれ ↓

 

 

「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスツブスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスツブスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスツブスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスブッコロス」

 

 

 俺がPKされた後ブツブツ恨み言をエンドレスで垂れ流しにするようになりました。彼女の死んだ目がいい感じにベストマッチしてるね!

 う、うん? まあ、ネガティブバーストして一人落ち込むよりは良いかな。俺が死んだ後無気力になっちゃうことも無くなったし。

 

 

 商人娘? 彼女はいつも通りです。

 

 

 

 ……ハァ(クソでか溜め息)

 なぜこうも現実というものは俺たちに厳しいのか。俺はただ、この仮想世界を自分なりのやり方で楽しもうとしているだけなのに。

 

 特にエルフ娘ちゃんには悪いことしてるなと言わざるを得ないね。個人戦ではその辺のPK共に引けを取らないどころか普通に圧勝できるポテンシャルの持ち主な彼女ではあったが、流石にPT戦だと俺を含んだ面々が足をこれでもかと引っ張っている。

 元々高かったレベルも徐々に下がって、その、見ているこっちが申し訳ないくらい。ひたすらごめんなさいはしているのだが、その度に「たのしーからだいじょーぶだいじょーぶ」と笑って流されてしまうので、尚の事つらたん。こうなるといっその事罵倒でもしてくれた方が楽なくらいである。

 

 それにこれゲームだからレベルダウンと装備品ドロップと死体のスクショ撮られるくらいで済んでるけど、リアルだったら色んな所がガバガバになってるよね? 敗者で女といったら古今東西そういうもんだと相場は決まっているし。いやーこの世界がゲームで良かった。

 

 

 そんなこんなで、俺らの人気に比例してアホみたいな頻度で襲ってくるようになってしまったPK目的の外道共をなんとかせねばならぬ……そのために俺は今現在、手っ取り早いパワーアップを望んでいるというわけなのだ。

 グラランを超えるグラランとか、そういう進化を遂げねばならない時にきている。現実世界がクソなのに、仮想世界にきてまで負の感情スパイラルに陥ってたまるかってんだYO!

 

 

 まあぶっちゃけて言うならば、この際丁度よい機会なので最終的に目指すキャラビルドをそろそろ固めようと思っただけのことである。

 本腰入れて戦闘職の方も育てないとやられっぱなしのままで終わる。負け続けてメソメソして何も出来ずに引退するなんて、そんなの気に食わない、俺の趣味じゃない。

 

 あ、アイドルプレイは止めないよ。なんやかんやあってレベルダウンスパイラルに見舞われながらも続けていた地道な下積み活動(ライブとか握手会)が功を奏し、芸能系最上位職『エレメンタルミューズ』のフラグだけは偶然にも立てることができたので、いい感じに戦闘面と両立できそうなのだ。ちなみにWiki未掲載職である。ここに来てアイドル道を諦めてガチ戦闘職で固めるというのは実質敗北と同義なので、非常に運が良かったと言えよう。

 

 しかし一人でウンウン唸ってビルドを考えるのは不安が残る。客観的な意見も欲しいところだ。

 それで俺はまず一番身近な相手に相談を……と、錬金術用の鍋をぐるぐるしている商人娘のところへ向かって訴えたわけよ。何かいい感じのモデルケースとか無いっすかねーははうえー。

 

 

「だったらアンタの趣味全開にして、確実にレベリング出来て、今までアタシ達のこと散々踏みにじってきた連中を一泡吹かせられるビルドがあるんだけど」

 

 

 これが以心伝心というやつか……流石俺の今生での義母である。俺の悩みなどまるっとスリっとゴリっと全部お見通しだった。

 

 元々戦闘がとことん苦手な商人娘が考えていた、「戦闘に入る前に戦闘の発生する可能性自体を回避する」という、完全平和主義者的発想によるキャラビルドの亜種で、完成された護身とか、夢想の境地とか、そういうものを目指すサムシングのようだ。当の本人は諸事情で諦めたらしいけど。

 これが彼女の言っていた「日本一のグラスランナー」の完成形なのだろうか? 趣味と両立出来るビルドというのは期待せざるを得ない。

 

 早速、彼女考案のキャラビルドを拝見する。どれどれ……

 

 

 

▼ダンサー

▼グレイスフルダンサー

▼歌手

▼ディーヴァ

▼アクトレス

▼グレートアクトレス

▼楽士

▼上級楽士

▼娼婦

▼高級娼婦

▼傾国

▼スピリット・シャーマン

▼巫覡

▼プリンセス

▼ファウンダー

▼ブレインウォッシャー

▼ヒュプノティスト

▼パーフェクト・ヒュプノティスト

 

 

 

 電波系クソビッチアイドルかな^^

 

 ちなみに商人娘の描いた草案が間違っていなければ、最終的なコンセプトは【コントロール奪取】となっている。

 アイドル系クラスと魅力値が上がるクラスとちょっと電波系入ってるクラスにレベルを注ぎ込み、それらの複合スキルで周囲のキャラを片っ端から強制的に隷属させるか寝返らせちゃうという、明らかにゲームジャンルからして間違ってるとしか言いようがない職業構成である。

 完全娯楽系の職業は上限レベルが低くて助かるわーどうよーいいでしょー強いわよー戦わないけどー、と胸を張りながらこれを俺に披露してきた商人娘のドヤ顔はなかなかのものだったよ。彼女は俺をどんなグラスランナーに育て上げ、何をやらせたいんだろうね。

 

 ふむ。一目瞭然だが、攻撃力は皆無である。「戦闘で勝てないのなら、そもそも戦闘しなければいいじゃない!」という、俺が想定していたプレイスタイルの斜め下を往く発想によって組まれているビルドらしいので当然と言えば当然なんですが。

 なるほど、レベリングも確実に行えるだろう。何しろ集落から一歩も出ないプレイが想定されている。よってPKに襲われる危険性が皆無。安心だね!

 経験値稼ぎは戦闘以外で賄わなければならないのでそこは大変そう。ひたすら唄ったり踊ったり援交モドキを重ねる他無く、特に最後のが元男である俺にとって苦痛といえば苦痛でなのだが……まあそれも辛抱辛抱。

 

 『支配の呪言』とか、『人間種魅了』とかが代表的なのだが、強制支配系スキルは通常、低レベル帯にしか効かなかったり特定の種族にしか効果が無かったりするものなのである。だが商人娘の情報によると、このビルドだとそこらへんもある程度カバー出来るので抜かりは無いらしい。少なくとも人間種の男共には効果抜群で同レベル帯すら骨無しになるはず、だそうで。

 

 結構なことである。ユグドラシル全体の種族・性別構成的に半分以上が対象の上、俺らを今まで散々いたぶってくれたPK共は大体が人間種の男アバターだった。

 ちょっとやそっと空を飛べた程度でクソビッチアイドルのハイパーボイスからは逃れられはしないだろう。耳を塞ごうが蝸牛管潰そうが容赦なく叩き落としてやんよ!

 娼婦職すら極めているので、お触りを1秒だけ許してあげればそれでも十分だろう。うちの狼ちゃんでも一撫でで腰砕けになる愛撫スキルはマジパネェっす。

 

 というわけで、間もなく俺の逆襲の幕が開けることが確約された。俺の歌が、俺の踊りが、俺の色香が、奴らを地獄へと叩き込む力へと結実する刻が訪れるのだ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――でもこれ、絶対にグラスランナーでやることじゃないよね?

 

 

 

 

 だってほら、アバターの見た目これだよ? ロリどころかペドの領域。俺に魅了されてやられる方のプレイヤーは絶対納得しねーよなって話である。お色気キャラなら小悪魔なり淫魔の方がよくね? もしくはボインのおねーさん。

 想像してみなよ。下手したら幼稚園児くらいの背丈の幼女(三次元)がしな作ってたり女豹のポーズとってるところ。滑稽を通り越して、大人の真似っ子みたいで微笑ましくなってくると思わんかね? 思わない? 思うでしょ! 分かれよ! それ以外の何物でもないんだよ! 

 

 俺勢いで娼婦クラスとかレベルふっちゃったけどさ、やっぱおかしいと思うんだ(今更)

 そもそも俺、前から言ってたけど露骨なエロスなんて欠片も求めていなかったし。なんだよこのクソビッチ完成図……典型的な絶対何やったってしくじるキャラか、最後の最後でヘマして死ぬ女みたいじゃん。

 

 歌で攻めるにしても、人魚とかセイレーンとか、声に特殊な効果がのる種族の方が良いに決まってる(決めつけ)

 少なくとも、魔力皆無なグラランでやることではない(断言)

 

 

 それにお外(フィールド)に出られなくなるのは困る。

 

 ひたすら街や集落を転々として地道な地方アイドル巡業するのは良いんですが、流石にこれから先年単位でそんなプレイングばっかりだと流石に飽き飽きしてきそう。

 俺だって……また皆と普通にフィールドなりダンジョンなり冒険したいのである。ユグドラってそもそもそういうゲームですしおすし。

 断じてPC相手に男漁りしたくないとか、そんな理由ではない。断じて(大事なことなので二回言いました)

 

 

 てかなんで商人娘は最初俺が戦闘職以外にレベル振るのも渋々って面だったのに、今はなんでこんなに非戦闘職プレイ推してくるのさ!

 ……新世界の神になれって? 申し訳ないが、古代ギリシャ神話並に性的モラルガバガバな神になるのはNG。そもそもイミフだし、それに俺らはもう一部界隈では神の御使い扱いなのですが(ペロロンチーノ氏調べ)

 アインズ・ウール・ゴウンの連中みたく、俺らの画像抱えて2ちゃんの連中に配布しろってことでおk? 違う? 今以上にアイドル活動に注力しろと? 

 普通に皆の衆にアピールして信者増やして盛り上げろって言われてもなぁ……たまにはっちゃける程度で満足していてはダメなのだろうか。

 

 

 駄目だこいつ……早くなんとかしないと……。

 育ての親に向かって酷いこと言ってる気がするが、なんか娘のジュニアアイドル活動をエロ方面推しするヤバイママさんみたいになってる……どうしよう、頼みの綱がこれではお先真っ暗である。

 スケスケヒラヒラ防御力0の装備品を持ち出した笑顔の商人娘に恐怖を感じ、脱兎の如くその場から逃げ出す。誰だあんな良い子に良からぬことを吹き込んだ奴は!

 

 こうなったら俺が商人娘の目を覚ましてやらねばならぬのだろうか。俺というグラスランナーの有り様が歪んでいることについて気付かせてくれたことには感謝するが、今彼女の意見を聞くべきではないと俺の宇宙が全力で警告を発している。✞悔い改めて✞

 

 そのままの勢いで居間に突撃し、くつろいでいたハンマー娘とエルフ娘に縋り付く。ちょっとかかさまを戻す為にお知恵を拝借させてくれたもー! あと俺のビルド相談もたのまー!

 

 ……と思ったらばハンマー娘は今回意見を出さないって。古き良き「かぐや姫」読みながらそう言ってた。

 ここに来てまさかの裏切りである。ハンマー娘ちゃんよ、お前もか。お前まで俺がクソビッチアイドルになることを望むのか!? 

 

 そうでは無いらしい。ヨカッター

 言いたいことが無いわけじゃないし、自分もやりたいことあるから俺には普通に強くなって欲しいけど、商人娘には義理もあるし彼女が俺にやらせたいことに大凡察しがついてるんで完全にはあの変態ビルド否定し難いんだって。ナ、ナンダッテー!!

 それが何か気になるところではあるが、彼女が言うべきではないって考えなら俺は尊重する。めっさ気になるけど。

 

 

 じゃあエルフ娘はと言うと……

 

「非力なリアちゃんの護衛プレイとか、それはそれで良くない?」

 

 こんなことを仰っておりますれば。ちょ、良くないでごぜーます! 俺がクソビッチアイドルになっても良いのでごぜーますか!?

 

「そっかー残念。まぁステラちゃんの説得ならいいけど、ついでだしPK対策とか強いビルド相談ができそうなところにまとめて頼もうよ。アテはあるし」

 

 そんな都合の良い人がエルフ娘ちゃんと既知とはなんて好都合な。

 ……でも彼女の知り合いにいたっけ? そんな都合の良い人。

 

 

 

 

 § § § § §

 

 

 

 

 そんなわけでここナザリック大墳墓へとやってきたのだ。

 

 

「――成程、概ね事情は理解しました」

 

 

 俺が赤絨毯に額をスリスリするのを見下ろしながら玉座に座し、支配者ロールで語るモモンガ殿である。

 藁にもすがる思いの俺氏、本気で土下座中。何しろ本気で今の俺には余裕が無いので。

 今回は寸鉄帯びていないどころか結局商人娘に捕まって強要された、露出度高めなスケスケヒラヒラ衣装である。これとかぼちゃパンツの二択を迫られ、流石にこれからお世話になるのに下着姿よりはマシであろう、という判断に依るものである。

 おねげーします! モモンガ博士! お助けください!

 

 

「ええ、勿論構いませんよ」

 

 

 モモンガ殿めっちゃええ骸骨でえがったー!

 

 

「ですがその前に……おい、誰かそこのロリコン逆さ吊りにして羽毟っておけ!」

 

「ちょ、なんで俺が!」

 

「黙れ弟! あの格好、どうせアンタの碌でもない入れ知恵でしょ!」

 

「誤解だぁ!」

 

 

 なぜかペロロンチーノ氏が袋叩きに遭っているのを尻目に話は進む。

 あ、もちモモンガ殿だけじゃないよ! 見ての通り他のアインズ・ウール・ゴウンのメンバーも同席中。意見を聞ける人は多ければ多いほどいいかんね、多分。なんか少し見ない内に人数ゴッソリ減ってるけど。

 

 まー気にしてもしゃーないので、サロンに移動して取り敢えず諸氏に今の俺の職業構成を晒す。

 

 

「「「 ぶふぉぉ! 」」」

 

 

 盛大に噴かれた。そうだろうそうだろう。笑うならば笑え。弱すぎてもはや恥とも思わん。むしろ笑ってくれた方がネタ的に美味しい。

 んで、次に商人娘謹製の「さいきょうのぐらすらんなー」の完成図を広げる。

 

 

「「「 クソビッチアイドルだこれー!!! 」」」

 

 

 ヒャッハーと嬉しそうに盛り上がる一同。

 

 

「ステラちゃん推しってマジ?」

 

「AV堕ちしたジュニアアイドルとか、いやー厳しいっす」

 

「ストリッパーだろう、エロとダンスだし」

 

「違うっしょ。全力で枕営業しにいってるよ」

 

「実力もあって将来有望なのに、躰を売る夢も希望もない女の子とは恐れ入る」

 

「あと足りないのって『調教師』?」

 

「『ハイエロファント』かな。宗教家的なところで」

 

「歩き巫女要素まであるのか……忍者職が欲しいところでござる」

 

「でもそれだとレベル的にローグ系になっちゃうしなぁ」 

 

 

 こんな感じでワイワイ盛り上がった。おうおう、こんないじり甲斐のあるおもちゃ見つかったら当然そうなるよな。ちょっぴり漂っていた暗い雰囲気もキレイに吹っ飛んだね。

 ところで今回の相談事は以下の3つである。

 

 ① 商人娘の説得

 ② 俺氏のキャラビルドについて

 ③ PK対策

 

 まず①のちょっと暗黒面に堕ちかけていた商人娘の説得だが、現在進行中である。ご覧の通り、ゴツい巨人とピンクの肉棒に正座させられてガチ説教されておりますので。

 

 

「ステラちゃん……いくらなんでもリアちゃんにあのビルドは無いわよ」

 

「貴方あの娘達の保護者の自覚あるの!? いくらもうあの娘達が働ける年齢だとしても、未成年にやらせちゃいけないことと悪いことの区別くらいつくでしょ!」

 

「だ、だってあれならあわよくば世界穫れるところまでいけるかもなんですよ!? あの娘のスペックならユグドラシルのロリコンどもをハーメルンにレミングスしてゆくゆくは新世界の神にだってなれるし、むしろそうなってもらわないと危険なんです!」

 

「いや、何言ってるのよ。厨二病こじらせて変な妄想と現実ごっちゃにしちゃだめでしょ」

 

「たとえどんな理由があっても、現代日本で自分の養子に売春モドキなプレイさせようとするなんて不健全極まりない! 親代わりの資格すらないわ!」

 

「ユグドラシル18禁行為NGですよ!? それにその貞操観念は偏見が過ぎます! 好きな相手とイチャイチャしたりその身体を無茶苦茶にしたいというのは極めて純粋な欲望であって、決して不健全な考えじゃありません! ましてやここ仮想現実――」

 

「言い訳するんじゃありません!」 バンッ! <0dmg>

 

「ひっ!」ビクッ

 

「いい機会だからこの際まとめてその腑抜けた性根叩き直してくれるわ! 覚悟なさい!」

 

「……いいでしょう受けて立ちます! あんな狂った世界の常識なんかに私は屈しませんよ! 何が何でも抗ってみせるんだから!」

 

 

 ……果たしてこれ、説得なんだろうか? どんどんヒートアップして論点がズレまくってる気が、俺には言葉で殴り合いしてるようにしか見えない。

 反省するまで続けるって言ってたから、明日の仕事に響かない限界を鑑みて後数時間は続くんじゃないかな。

 いやー怖い怖い、でもだんだんクセになってくるから不思議。空を切るやまいこ氏怒りの鉄拳の唸り具合が半端ない。そういえばリアルでは女教師だってね。そら怒るわ。

 

 ……でも、なんか涙目で怯えながら反論してる商人娘みてるとメチャクチャ苛めたくなってくるね! 今度リアルで擽りごっこでもやって一家のスキンシップでも図ってみるとしようそうしよう。

 

 

 まあ、とりあえず彼女のことは女衆にお任せするとして、諸々の事情をナザリックの面々に説明してPK対策と俺のキャラビルド相談に移る。特にモモンガ殿は手の内晒されてるのにPvP勝率5割安定の強者ということで、是非ともアドバイスが欲しいところ。

 

 まず一頻り盛り上がった商人娘のクソビッチアイドルビルドについての評価をいただく。総論としては、「RPビルドとしては有りだが上級者向け過ぎるし少人数ギルドじゃ茨の道。あと同じことするならエロ系なり何なりに補正がある種族の方が絶対に良い」そうな。

 プレイする人間の脳波が洗脳スキルの成功率に微妙に関係するらしいんで、ハートと鼠径部にダイレクトアタックできる容姿の方が有利なんだって。「せめてエロゲに出てくる攻略対象のロリ枠くらいの外見じゃないと普通のPC相手でも厳しい。でも俺はこっちでも一向に構わん!」とペロロンチーノ氏は言う。ほーん。どうでも良いけどエロゲ基準多いよねペロロン氏。

 

 あと俺のキャラビルド考えるのは良いけど、今のドリームビルド崩して良いのかって恐る恐るモモンガ殿に尋ねられた。んー? ねぇねぇ、『ドリームビルド』って何なのさ。

 

 

 ……なんで皆そんな目で俺を見るの? 俺、変なこと言った?

 

 

 皆が教えてくれたユグドラシル語録によると、強さじゃなくて個人的趣味嗜好を優先させて作るキャラビルドの事なんだってね。

 とりあえずアイドルスキル分のレベルは確保させておくれやすーと頼んでおく。さっきも言ったが今更放り出したら俺の沽券に関わる。

 

 なぜか場がホッコリした雰囲気になった。なんでさ。

 

 

 そして、話はグラスランナーという種族そのものへの批評から始まった。……え、そこから?

 一言で言うとクソ・オブ・クソらしい。ひどくね?

 

 モモンガさんの話だと、そもそもユグドラシルの運営はクソではあるが、糞の役にも絶たない種族とかは作らないんだって。

 全ての種族や職業に無駄なものは一つもなく、たとえ貧弱だったり意味なさそうだったとしても、その組み合わせや使い方次第で大きな力になる……ことがあるという、どっかのデュエリストのようなことを仰っている。

 そんでもって種族で出来ない役割というのも特に無くて、一見ガチムチっぽいアバターでも実は魔法特化とか、貧弱貧弱ゥ!的な外見でも実はパワープレイヤーとか、そういうトリックプレイも出来ちゃう。違和感半端ないけど。

 

 そんな中、俺のグラスランナーほど極端なステータスはやっぱおかしいという話だった。

 魔法が絡むステータスが防御面以外クソで切り捨て一択なことや、強制無課金なことなのもキャラビルドの選択肢をこれでもかと狭めているお邪魔要素となっているので、『自由な探索』を推奨しているはずの運営の意思と食い違ってるそうで。

 

 課金は確かに家計を直撃してしまうという負の側面もあるが、本来はお金に余裕があって時間が無い、俺達とは真逆の性質を持つプレイヤーにとっては救済となる大変ありがたいシステムでもある。

 あのクソ運営が、いくらグラスランナーを使うのがお子ちゃまだけだからと言って、マネー・イズ・パワーを体現する課金システムに真っ向から否定して無闇矢鱈に力を得る(収入を得る)機会を奪うようなことをするだろうか?

 更に言えば、お子ちゃまプレイヤーなら普通は何らかの救済措置が施されていてしかるべきである。お子ちゃまプレイヤーなのに難易度:ハードを強要されているのか意味がわからない。普通なら難しいステージはボタン一つでクリア扱いされるぐらいのゆとり(笑)仕様でもありえなくはない。第一、もう俺は普通に勤労可能な年齢に達しているのでそこら辺の制限も解除されてないとおかしい。

 

 ……というのが廃課金連中の言い分である。うん、よく分からなかったが、幼女にさえ厳しい今の世の中ってばやっぱクソだなということはわかった。

 

 

 というわけで俺氏、久々のGMコールである。ちょいとGMさんGMさん。うちのグラスランナーちゃんいつまで経っても弱いままなんですけどー。課金はしませんがどうにかなんないっすかねー。

 自己を振り返る前にシステム的な手段で解決を図る俺ってば無課金姫プレイヤーの鑑。とりあえず以前のような塩対応ではなく、ちょっと待ってろと言われた。ま、期待せずに待つことにしまひょ。

 

 

 あとナザリック連中から俺のユグドラシルのプレイがそれなりの長さになったわけだが、リアルボディとアバターの齟齬はどうよ?と訊かれた。

 そうなんすよねー。俺の現実の声が成長に伴い幼女ボイスから少女ボイスに変わりつつあるのだ。いつライブに通ってくれている豚君ちゃんたちに「アバターに微妙に合ってなくね?」とツッコまれるかハラハラしている。

 ネカマプレイ用で使ったりする音声加工ツール(別売り)があればその辺もカバーできそうなのだが、如何せんお金がかかる要素は無理なのだった。

 

 そっちじゃなくて視点の高さがリアルと違い過ぎてて、気分が悪くなったりしないのかって話らしい。

 あー、その辺は考えてなかったなぁ。俺とハンマー娘の現実世界って今ではあのワンルームで完結してるし、意識がある時間は仮想現実で過ごす方が長いから気にならない。どっちかと言えばリアルボディが衰えないようにやってる筋トレしてる時の方が違和感あるかも。

 

 え? そういうリアルボディの成長を検知して、運営からアバターの外見弄るアイテムが特別枠で届いているはずって? うっそだーそんなの来てないんですけど。

 最近リアルでの成長著しいハンマー娘にも尋ねる。ねぇ、そんなの持ってないよね?

 ……俺がいつまでもちんちくりんなんで、色々気を遣って受け取り保留していたらしい。自分より俺を優先するのやめろって言ったダルルォ!?

 

 

 ちょうどそのタイミングでGMから逆コールがかかってきた。はいはい、こちらグラスランナーのオーレリアちゃんどえす。

 

 ……えーと、なんかグラスランナーに関わる不具合があったらしいです。

 滅多にグラスランナー使う人いないしバグ報告すらなかったから今の今まで気づかなかったと。今度の定期メンテで対応するからスマソスマソって謝られた。

 

 

 ――屋上へ行こうぜ……久しぶりに……キレちまったよ……。

 ぷ、ぷじゃけるなぁ! これまでの苦労(そんなの無い)は何だったの!? 詫び石寄こせやゴルァ! 消費者センターに訴えてやるぅ!

 

 こんな感じで怒鳴るべきか一瞬悩んだ俺だったが、止めておいた。この歳でクレーマーとかみっともない上に嫌な幼女だなと思ったので(小並感)

 

 

 グラスランナー(真)になれるよ! やったねモモちゃん!と喜び勇んで報告する。きっとステータスが人間種のそれに準拠する形に修正され、魔法職への道もちゃんと拓けるに違いない。

 

「その体躯なら近接戦はリーチ的に厳しいので魔法職がオススメですよ!」と言うモモンガ殿。なるほど、伝説の淑女プレイですね、分かります。

 

「それならガンナープレイがオススメ、2丁拳銃進呈するからシズちゃんと組んで!」と言うガーネット氏。ガン=カタがアクロバットスキルと相性良さそうと思いました。

 

「個人的には聖騎士プレイして自分の後を継いで困ってる人を助けてくれると嬉しい」と言うたっち・みー殿。PKされてたところを何度救われたことか。その恩に報いるのも悪くないだろう。

 

「折角姫プレイの実績積んだんだし、姫騎士・巫女姫辺りも極めてホントのお姫様とかどう?」と言うあけみちゃん。成程、そういうのもあるのか……。

 

 

 

 うわぁ……夢が広がりんぐ。ぐふふPK共、尻を洗って待ってろよ……もうただ焼かれるだけの存在ではない。自分のやってきた仕打ちを後悔するが良いぞ!

 

 

 

 さぁ――俺達の冒険は、これからだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――次の定期メンテナンス後、俺のアバターがエロゲの攻略対象ロリキャラ並に大きくなっていた。

 

 違う、そうじゃない。

 

 

 

 

 




■娼婦レベルを捨てたオリ主
・この後、エロ同人配信数が増えた

■楽器職人見習いハンマー娘
・ファンタジーには理解がある

■幼女娼婦斡旋娘
・実はエロには深い理解がある

■つよつよエルフ娘
・ギルメン一般層人気一位



▼書き忘れてたあとがき

 キャラビルド回です。嘘、準備回です。次の次の次辺りに四人娘のビルドがほぼ完成する予定です。遅くて御免なさいね。

 浅い設定を弄ってキャラビルド考えてたらメチャクチャ時間食いました。オリ主の設定に困ってファンタジー姫の名前診断とかに手を出し始めましたよコイツ。お陰で踏ん切りついてこの話書けたけど。


 今回は14歳じゃなくなった14歳の話でも。

 読んでるとおわかりですが、ちょっと危機感が募ったのかプレイヤーの大量誘拐を企んでます。
 ライブをユグドラシル最終日に催し、100人でも50人でも良いので集ったファンをまとめてそのままの勢いでナザリック攻め落としちゃおうとか、あるいは全員転移させちゃって、オリ主の魅力でそいつらをまとめて一大勢力にしちゃおうとか考えてる超危険人物と化しています。彼女に何があったんでしょう。

 本当に実行してたら、転移後間もなく下剋上に遭ってエロ同人みたいな運命を辿っていたのは間違いないです。図らずも紙回避。







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670日目 愛ゆえに

なんでこんなに時間かかったんですかねぇ……





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 覚醒イベント(定期メンテ)の恩恵により、俺のアバターは無事、真・グラスランナー(笑)へと進化し、結果身長がちょっとだけ伸びた。

 

 その高さ、エロゲーのロリキャラ並み……と言われても、「俺ホモだからさ、エロゲはイケメンパラダイスな女向けしかやったことないのよね」という上位者ニキもいるだろう。

 

 そんな貴方の為にナザリックロリ系NPC身長比較表に俺らを混ぜ込んだリスト(最新版)をご用意しました。御覧ください。

 

 

 ① あけみちゃん

 ② シャルティアちゃん

 ③ 永遠の14歳

 ④ エントマちゃん

 ⑤ AIBO

 ⑥ アウラちゃん&マーレちゃん

 ⑦ 俺ちゃん(after)

 

 

 一応言うがあけみちゃんのアバターはロリエルフではない。遅れてギルドに加入したことを内心気にしているらしい彼女を仲間外れにしちゃうと、ちょいおこぷんぷん丸になってヘソを曲げちゃうのだ。

 

 彼女曰く、俺達4人はもう既にPTという枠組みを超えているという……言うなれば運命共同体。

 互いに頼り、互いに庇い合い、互いに助け合う。

 一人が三人の為に、三人が一人の為に。

 だからこそ戦場で生きられ……ってしょっちゅう死んでるやんけ、ダメだったわこれ。

 

 こうして背の順でみると分かるが、俺らとナザリック勢が交互にに並んでるだけだから覚えやすいっちゃ覚えやすいかもね。ぶっちゃけ相棒と双子エルフと俺はあんまり変わりない。そして一般ロリメイドちゃんズは含まれていないのであしからず。

 

 他にもステータスが微妙な変化を起こしていたので何らかの調整が施されたようだが、昨日また「ぬわー!!」と焼き殺されたせいで本格的にレベルがヤバイこともあり、もはや以前との違いが殆ど分からない。今度レベリングを兼ねた検証が必要だろう。

 

 だが魔法関連がイマイチパッとしないのは相変わらず。

 光明が見えていたビルドの一部がおじゃんとなり、想定していた【巫覡】+【プリンセス】→(省略)→【巫女姫】へのクラスチェンジルートはもはや絶望的であると言えよう。エルフ娘ちゃんの言う、両刀プリンセスビルドは非情に厳しいものになったと言わざるを得ない。

 

 なんか商人娘がえらい剣幕で否定してきたのが気になるしね。「そんなブラック職に就くだなんてとんでもない!」という具合だ。

 彼女が言うことには、【巫女姫】=死亡フラグの塊らしいので。なんでも「家族から引き離されて、洗脳されて、人間性を失って、道具にされて、誘拐されて、エロエロなことされて、発狂しちゃって、最後には木っ端微塵に爆発しちゃうわよ! それでもいいの!?」とのこと。恐ろしいにも程がある。

 

 

 商人娘(✞悔い改め後✞)希望の俺の就職先は、【聖騎士】や【ホーリー・パニッシャー】であるという。正直意外だったが、「モモンガさんとタイマンで有利とれそうなやつ」を目指せとか言ってる。

 

 あのPvPの達人相手に有利とれとかなんとも厳しいことを仰る。

 だが、ユグドラシルプレイヤーでも最強クラスの魔法詠唱者である、かの御方に打ち勝てとは実に燃える話ではないか。先日の「クソビッチアイドル目指せよ!」に比べれば遥かにマシな発言である。

 そして彼女の胸中には、「かつて自身が憧れたたっちさんのようになってほしい」という、燻っている想いがあるのかもしれない。くっ……なんていじらしい娘なんだ……!

 

 敢えていうならば、【聖騎士】に加えて【アンホーリーナイト】も抑え、光と闇が両方そなわり最強に見えるアバターにしてみたい。俺の勘だと間違いなく【カオス・ソルジャー】とかあると思うのだ。

 

 

 あけみちゃんは兎に角、俺にお姫様プレイを推してくる。「レベル1になるようなことがあったらまずはプリンセスをとってね!」ということで、俺の根っこの素性をお姫様という設定にしてがっており、なにかと機会があれば皆でRPすることを好む。

 仲間になった女の子が、実はどこかの国のお姫様だったとかいうありがちで古臭いシチュエーションとか……王道で非常にいいと思います。女の子はちやほやされるプリンセスに憧れるものだが、男の子だって可愛いプリンセスとイチャイチャしたいという浪漫があるのだ。

 

 

 ハンマー娘は俺の進路に特に希望は無くて普通に強くなってくれればそれでいいと言う。ただ一緒に演奏会出来なくなるのは寂しい……と言われては、ますますアイドル系クラスが手放せなくなるね!

 

 

 そして先日から続いていた俺のグラスランナー(真)を巡る運営とのゴタゴタだが、実はまだこの話には続きがある。

 

 

 

 § § §

 

 

 

 定期メンテナス明け直後の話である。

 

 結局クソ運営の調整力には勝てなかった俺だったが、何もアバターの修正以外に全く収穫がなかったわけではない。俺と俺の愉快な仲間たちのプレゼントボックスに詫びチケが届いたのだ。

 

 おそらくは口止め料ということなのだろう。

 グラスランナーのバグで不都合を被ったのが俺のギルドメンバー以外存在しないので、プレイヤー全員に配布するのではなくこういう対応にしたのだろうが……彼らは俺が大声でグラスランナーの背負ってきた重荷をぶちまけることを想定していないのだろうか?

 だとしたらなんとまあ手緩いことか。いやまあ、面倒だしそんなことしないけどさ。

 

 無論、こんなシケたチケットで誤魔化される俺ではない。

 無課金プレイヤーである俺らに降って湧いたこの幸運に目の色を変え受け取ったが最後、今後は何を言っても「本件は既に解決済みです」の一点張りで返されるに決まっている。コイツは使わず、ネチネチいやらしく運営の失態を責め立てるのが対応としては正解だろう。

 

 しかも枚数は各自たったの一枚ずつときたもんだ。はーつっかえ。

 クソ運営にしては奮発したつもりなのかもしれないが、やることがセコいとしか言いようがないね。身銭を切りたくないのは分からないでもないが、せめて10連ガチャチケットにしておけば話は違ったものを……愚かなる運営の浅知恵を鼻で笑う。

 

 

 ……でもこれ、引き換えに時間制限あるのよね。

 

 …………

 

 ………………

 

 

 

 ――もう、ゴールしても良いよね……?

 

 

 

 

 ひゃっほーいガチャの時間だああああああああああ! 二年ぶりのガチャの時間だあああああああああ! もう我慢できないのおおおおおお!!

 ガチャァアアアア!! いっぱいいっぱい回すのぉぉ!!(1回) 溶けるぅう!! 溶けちゃうううう!!

 

 

 ……何? なんか文句あんの?

 仕方ないじゃない、我慢出来なかったんだから。コレクター気質かギャンブラー気質がある人間なら誰だって、ガチャの魅惑に勝てるはずがないと思うの。

 

 それにほら、プレゼント扱いでプレミアムガチャチケット届いたら、運営に回収される可能性を考慮してとっとと使ってしまおうという心理はソシャゲーマーなら痛いほど分かるだろう。

 「好きなキャラのピックアップか期間限定ガチャで使いたいから取っておくだろJK」とか言っちゃう子は、プレゼント枠が知らない間に一杯になってて、あふれたアイテムが自然消滅しちゃってもリアちゃん知りませんからね!(2敗)

 

 

 欲望を滾らせたガチャの結果、俺がゲットしたのは《初級術師推薦書》であった。

 

 所謂転職アイテムの一種で、開放イベントを介さずに新たな職業レベルが取得できるようになる代物だが、如何せんアイテム名の通り魔法詠唱者向けとあって、俺にしてみればほぼゴミ同然。欲望センサーの感度が高すぎる。

 

 なにもMPの問題だけではない。取得魔法数が課金で上限開放出来てしまうユグドラシルの仕様上、本気で強い魔法職プレイを志すには課金が必須……つまり無課金勢でもちゃんと強くなりたいという人間にとって、魔法職という選択肢は原則ありえないのだった。

 尚、あけみちゃんは既に必要分は確保済みらしい、抜け目ないね。

 

 俺だってファンタジーな仮想世界で魔法バンバン使ってみたかったというのに……やっぱクソだわこのゲーム。

 せめて戦士職用だったならもっと有効活用できたはず。もしくは、将来の聖戦士系への転職を見越して《洗礼の聖水》辺りが欲しかったところだ。

 

 うーんそれでも敢えてこの機会に獲るならば……【地霊操師(ジオルーラー)】辺りだろうか?

 

 地脈、霊脈、龍脈やライフストリームといった、自身ではなく周囲の環境を巡るエネルギーを使ってスキルを発動することができる(という設定の)職業なので、割と魔力とかMPが乏しくてもなんとかなったはず。

 その代わりに戦闘用スキルの効果が特殊環境依存の上にマイルド、他には負の地形効果を抑えたりするパッシブスキルが覚えられるくらいだとか。

 

 ……あれ、意外と良くね?

 

 元々種族名グラスランナー(草地を駆ける者)だし、自然と調和を図る系の職種とはRP的にもなんとなく相性よさそう。その上、このアバターで魔法使いごっこもできるとすれば……。

 

 よーしリアちゃん、ここは賭けに出てこいつを育成候補にしてみようではないか。以前よりマシになったとはいえ、この体で接近戦オンリーというのはやや厳しいものがあるしね。

 流石にこれだけ死んでいるとレベルを下げることには全く抵抗がないので、駄目だったらやり直せばいいだけの話なんですがね!

 

 

 

 ……で、他のメンバーはというとだ。

 

 

 ステラママ16歳は見た感じ、キャンドル、カード、クラッカー、花火、爆弾といったパーティーグッズをテーマにしたアイテムの詰め合わせっぽいものを受け取っていた。課金アイテム扱いですらないあたりからして微妙な品々であり、彼女も難しい顔をしている。ご愁傷様。

 

 あけみちゃんはアバターのリビルドアイテムを引当て、それを使って自分の名前をカタカナ表記にした。よって彼女はこれからアケミちゃんです。一人だけ平仮名なのが仲間外れ感があったようで渡りに船とのこと。

 だが俺の美少女センサーは誤魔化せない……彼女はこの機会を利用して絶対にアバターのバストを、ちょっとだけ大きくしたのだ。絶対にだ! 見た目だけだと殆ど変わらないが、俺を抱っこした時の後頭部の収まりが格段に良くなったのが何よりの証拠。

 

 

 

 ――ところで、俺らのギルドメンバーの中で、この手の運試しに滅法強いのは誰かご存知だろうか? そうだね、話の流れから分かるかもだがハンマー娘だね!

 

 レア種族の白ドワーフとレアハンマーのセットを人生初のガチャで手に入れたことは言うに及ばず、以前ナザリックで開催された麻雀大会の例もある。

 

 悪辣な攻めに定評があるウルベルト氏、年季の入った手を仕込む死獣天朱雀氏、緻密なデータ分析で点数を伸ばすぷにっと萌え氏という、一癖も二癖もある面子を相手取りながらも初手天和をぶちかまし、以後戦略もクソもない打ち方で国士無双十三面(ライジングサン)清一色三暗刻四槓子ドラ20(バルチックフリート)純正九蓮宝燈(シベリアンエクスプレス)と立て続けに御無礼を重ねた彼女の運は謂わば国家首脳級。

 ガス欠が早いのか、連荘すると「ちょっと運が良い」レベルに落ち着いたが、レベル100の異形種連中を尽く素寒貧の死に体に貶めた挙げ句、彼女は勝者のくせに死んだ目で一同を笑った(可愛い)。

 

 「あんなに勝てるならなけなしの金貨を賭けてやらせれば良かった」とは、事が終わった後の商人娘の談である。もっとも、「未成年が賭け事なんてとんでもない!」という巨人がいたしどちらにしろ無理だったろうけど。

 それでもレベルも年齢も低いハンマー娘にしてやられたその時の苦い経験から、純粋な運勝負で彼女に挑むような輩はナザリックにはもはやいない。

 

 

 ――そんな彼女が、一発勝負のプレミアムガチャなんて回した日にゃあどうなるか。

 

 

 

 ティンティロティンティロティロリロリン! ペカー!

 

< You acquired World Item! Congratulations! >

 

「……やりました」

 

 

 

 虚空に古びた石版が出現し、自慢げに呟くハンマー娘のステータス欄に、燦然と《WI》の称号が輝く。「おめでとう、おめでとう」と拍手をする俺とアケミちゃん、そして白目を剥いたオカン。俺らの仲間にワールドアイテム持ちが誕生した瞬間だった。

 

 

 

 

 WI……つまりはワールドアイテム。

 

 俺が今更言うまでもないことだろうが、ユグドラシルに存在する全アイテムの中でも頂点に位置する、一つ一つがゲームバランスを崩壊させかねないほどの破格の効果を持つとされている200種類の公式チートアイテム群のことである。(Wikiママ)

 

 ユグドラシルというゲームを語るにあたって、こいつの存在は避けることができない要素である。

 

 こいつが使われることによって、ユグドラシルから特定の魔法・スキルがはじめから無かったことにされたり、リアルマネーと丹精をこれでもかと込めて作り上げた俺の至高の嫁的NPCを寝取られて何処かの誰かが血涙を流したり、世界のどこかでスーパーなロボット大戦が始まったりと、それはまあ愉快な出来事が起こるわけだ。

 

 

 このワールドアイテムだが、なんとその一部が課金ガチャで手に入っちゃったりする。専ら使えば無くなってしまう消費アイテムタイプが殆どではあるが、このお陰でワールドアイテムを抱えているプレイヤーはちらほら見かけるのだ。

 

 そして俺ほどの著名プレイヤーともなれば、ゲーム内最上級レアアイテムとてそれほど珍しいものではない。

 プレイ歴はお世辞にも長いとは言えないし、当然課金などしたこともないわけだが、名前が売れれば売れるほど、この類のレアアイテムとは何かと縁が生まれるものなのは世の常である。

 

 悪名高い【二十】の一つ、使用者と被使用者のアバターを完全抹消する《聖者殺しの槍(ロンギヌス)》でさえ、俺は二度もその刃を向けられたという碌でもない過去もある。

 今こうして俺が無事でいられるのは、たまたまライブを見物しに来ていて完璧なタイミングでキャンセルスキルを発動させたワールドチャンピオン殿と、身を挺して俺を庇い、良い笑顔でサムズアップしながら光の中へ消えていった豚くん(後に復活)のお陰でしかない。

 そういった哀しい出来事を乗り越え、俺は今この場に立っていられるわけだ(しみじみ)

 

 

 さて、今回ハンマー娘が手に入れた石版……《魔神王の契約書》の効果だが、大雑把に説明すると『使用者と使用者の所属するギルドのメンバーに一定期間ワールドエネミー属性を付与して強化するよ! 頑張って他のプレイヤーを虐殺してね!』というものであった。

 

 

 ワールドエネミー……最大人数六人からなるチーム六つで構築される軍団(レギオン)ですら勝算が低いとされるバランスブレイカーな超級モンスター達である。(Wikiママ②)

 その形態は様々だが、状態異常完全無効、相手の完全耐性無視、能力超向上、レベル上限無制限化、超広範囲必中殲滅攻撃と、『ワールド』の称号に相応しい殺りたい放題な存在と化すことは間違いない。

 

 

 ……って、ちょ、おま! うちの子になんてもの寄越しやがる!

 拍手なんかしてる場合じゃねぇ! 案の定、「今までを俺達を殺してきたPK共の大粛清を始める。皆も命の収穫頑張ろー」とハンマー娘がいつになく張り切っているではありませんか。

 

 

 くっ……ここに来て俺の完璧な意識改革計画が裏目に出てしまうとは……。

 

 いつの間にか俺達が仲良く御手々繋いで世界の敵になる世界線に向かって何かが収束していっているのを感じる。

 そうでなくとも、このままでは間違いなく相棒がカルマ値真っ黒くろすけなシリアルキラーと化してしまう運命は避けられない。それなりに人生経験豊富な幼女である俺と違って、まだまだ未熟な彼女にそんな展開許されるはずもない。

 

 無論俺としては俺達全員の精神衛生上大変よろしくない為、彼女の覇道を阻みたいところ。他二人も同意見なのか、今にもワールドアイテムの効果を発動させようとしている彼女を必死で抑え込んでいる。

 

 

「やめなさい、やめ……やめろって言ってんのよ! 言うこと聞きなさい!」

 

「ヤダ。これも運命。私は世界を壊し、世界を変える」

 

「の、ノノちゃん! そんな危険物使わないで!」

 

「うるさいですね……」

 

 

 いつになく強情な彼女に、なぜか俺の良心がイタイイタイなのだった。

 

 とりま正面から纏わりついて沈静化を図る……せめて心の準備くらいさせて! お願い!

 ムギュっと童女を拘束し、なんとか大人しくさせることには成功したが……とはいえ、どうしたものですかね。

 

 今後の展開を脳内シミュレートしてみる。もんもんもん……

 

 

 

1.えんがちょ!なのでWIを即座にゴミ箱ぽいぽいしたい。

 

2.しかしシステム的に課金でゲットした扱いなのか譲渡不可属性が付いている。その辺りにぶん投げても手元に戻ってくる。

 

3.なので、他のプレイヤーに押し付けることも不可。

 

4.だがWIを抱えてるだけで余計なステータス表示が点灯しっぱなし。

 

5.それを見たWI目当てのPK連中がヒャッハーしてますます寄ってくる。

 

6.装備アイテムじゃないので死んでもドロップしない。

 

7.結果、俺達のデッドスパイラルが加速。

 

8.故に状況を打破するには彼女がさっさと使ってしまうしかない。

 

9.したらば大虐殺不可避。

 

10.事が終われば激おこPKがワンサカ復讐にやってくる。

 

11.☆ お わ り ☆

 

 

 ここまで考えて察する。アカン、これもうどうしようもないやんけ……。

 

 

 

 § § §

 

 

 

 ――いい! 絶対にアタシがログインするまで大人しくしてなさい! それまで対策考えとくから! 絶対だからね! フリじゃないわよ!

 

 ――早まっちゃだめだからねノノちゃん!

 

 

 昨夜そう言い残して、カッチャマとアケミちゃんはユグドラシルからログアウトしていった。暫くの間、ギルドは俺と相棒の二人きりとなる。

 

 俺の隣には「わたしがかんがえたクズどものさつがいほうほう108しき」を嬉々として語っている童女が、ホントにどうしよう……。

 

 

 ……うん。どうしようもないので、近所の酒場で営業活動することにしました。

 PKが怖いのでフィールドに出るわけにもいかないし、俺の新アバターのお披露目もしておかなければならないので、丁度よい機会だろう。

 

 

 ――そしてライブ会場でお披露目した結果、俺の支持層(パトロン)連中の感想がものの見事に真っ二つに割れてしまったでござる。

 

 

 「あのちんまい幼女がもう見られないのは悲しい……悲しくない?」「ロリキャラが成長することなんてあるわけないじゃない!」「せっかくのレアアバターが台無しでくやしい……でも感じちゃう(ビクンビクン)」という【クソ運営分かってないな派】と、「所詮、これが低身長アバターの限度よ……!」「100%違法ロリから、リアルだと違法なロリになったのでセーフ」「むしろ体型とサイズのバランスがとれてスッキリポンよ」という【クソ運営仕事したな派】の醜い争いの始まりである。ビジュアル要素以外が一切考慮されていないのはこの際どうでもいいんだろうね。

 

 折角なので「争え……もっと争え……」とばかりに彼らを煽ってもいいのだが、どちらのグラスランナーも俺であることには変わらないので、今後も変わらぬご愛顧をお願いするに留る。

 新たなフォームに相応しいパフォーマンスを披露し、それを見て観衆がウッヒョーする。今日もユグドラシルの連中はお気楽であった。

 

 そして今日は彼らから貢物をこれでもかと一杯貰えた。

 姫プレイヤーの面目躍如でもあるのだが、今日はグラスランナー(真)の誕生記念だそうです。俺、自分の誕生日知らないから、こういうの初めてだよ。ありがとナス!

 

 

 さーて、今回のプレゼント何じゃろなー。毎回のことだが中身がピンキリで開封作業もワクワクする。

 

 ドレス、ケーキ、アクセサリー、ポーション、花束、鞭、ケーキ、う○こ爆弾、ケーキ、ステーキ、ポーション、ワールドアイテム、レオタード、スク水、ケーキ、首輪、きぐるみ、ネコミミ、メアド、ポーション、金塊、大鉄塊、ナイフ、ワールドアイテム、寄稿誌、ケーキ、ポーション、婚姻届と指輪のセット、チキン、銃……うーんこのカオスっぷり、たまらないね!

 

 ハンマー娘の独断と偏見により、ゴミと判断された物品が雀の涙な資源に変換されていくのを横目に見ながら、俺は目を逸らしたかったワールドアイテムを両方手に取る。まあ、さっきプレゼント受け取った瞬間に俺のステータス欄に【WI】って付いたので、この場にいる全員が俺のワールドアイテム獲得の事実を知ってたんですが。

 誰が俺のプレゼントに混ぜたのかは分からないが、立て続けに二つとかもう嫌な予感しかしない。

 

 うーん、見た目古びた石版とボロい革装丁の古本である。しかしこうして実際にワールドアイテムを手に取るのは初めてだが……なるほど、気分が高揚します。これだけあれば、せかいをせいふくできるかもな、むひひひひ……。

 

 

 そんでもって、これらには一体全体どんな効果が込められているのだろう。こうして普通に受け渡し出来てるってことは、課金アイテムではなさそうだけど。

 

 まず石版の方。名前は……《魔神王の禁断契約書》?

 大雑把に効果を説明すると『使用者と使用者の所属するギルドのメンバーに一定期間ワールドエネミー属性を付与して強化するよ! 頑張って他のプレイヤーを虐殺してね!』というものであった。

 

 ……なんか昨日も同じ文章読んだ気がする。

 

 っていうか思い切り被ってんじゃねーか! 世界の意思は、そんなにも俺達を世界の敵に仕立て上げたいの!?

 

 え、何ハンマー娘ちゃん。まだ続きがあるって? あ、ホントだ。どれどれ。

 

 

『また、効果対象者はもれなくイモータル系・グリムリッパー系等の種族に強制転化します。用法用量を守って正しくお使いください』

 

 

 うえー、しかもアバターの強制種族変更ときたもんだ。不死者(イモータル)系と死神(グリムリッパー)系ってぜってー異形種じゃん。アバター完全抹消とかよりはマシかもしれないが、姫プレイ出来なくなるので商人娘はマジギレ案件だろう。

 

 そんでもう一つの古本は……《ヴォルヴァの予言書》? 

 

 

『ユグドラシルで実現したいシナリオを入力して使用することで、後日開催されるゲーム内イベントにその内容が反映されちゃうかも』

 

 

 なんか最後の文体があやふやだが……ははーんなるほど、そういうわけね。完全に理解した。ユーザー参加型企画というやつで間違いないだろう。

 

 漫画やゲームで自分の考えた敵キャラが採用された時ってすんごく嬉しいらしいね。俺は絵心無かったから普通のイラストコーナーでさえも採用された試しがなかったけど。

 

 俺はウィンドウをそっ閉じする。そうか、そういうことか……。

 

 

 ――クソ運営よ、ユーザーにイベントのアイディアを募るとは、万策尽きたか……。

 

 

 このゲームの制作会社は並々ならぬ熱意をもって作り込んでるという話を聞いていたこともあり、下手すれば世界観を崩しかねないこんな迂闊なアイテムがユーザーの懐に潜り込んじゃう時点で、ユグドラシルの未来に暗雲が立ち込めていることを察する。案外、世界の終焉は近いのかもしれない。

 でもユグドラシルのシステム変更要求できるアホみたいなワールドアイテムが初期からあるって聞いたことあるしなぁ。スケジュールにないシステム変更作業とか負担半端ないどころか殺意すら湧くレベルだろうに、自らの首を絞めるような真似をする運営って馬鹿なの? 死ぬの?

 

 ……それを踏まえると、この古本は運営にとって負担が少ないという意味ではマシな効果だと言えなくもないのか。

 流石にそのまんまイベントシナリオとして採用されることはないだろうが、少なくともその原案には出来る。そうしてシナリオライターの雇用費をケチって開発費を確保しようという魂胆なのかもしれない。クソ運営にしてはやるではないか。

 

 

 ……で、チミ達はこれを使って俺にどうしろと?

 ネットは最初の炎上騒ぎ以来閲覧禁止されたままなので、最近は百科事典(エンサイクロペディア)へのネタカキコと自分たちが唄う歌の歌詞以外の書き物なんて、俺してませんよ? メールすら課金要素なので使えないし。

 

 自分たちだけで楽しむために、ユグドラシルのアイドルプレイヤーが一同に集う合同ライブとかなら分からないでもないが、ユグドラシル一般プレイヤー層にも受けの良いイベントのシナリオなんて、どうやって作れば良いんですかね?

 

 周囲を見渡しても、ワールドアイテムを押し付けられて右往左往する俺を助けてくれる者はいない。笑顔アイコンとニヤケアイコンを浮かべる奴らしかいやがらねぇ。無責任に「期待してるブヒ」という豚くんちゃんたちすらいる始末。

 俺がワールドアイテム手に入れて困っていることなど百も承知しているはずなのに。こいつら……幼女を精神的に追い詰めて愉しんでやがる……!

 

 頼れる仲間に相談しようにも、今の俺の意見を求められるのは隣にいる「ワールドアイテムげっと……おそろい……」と死んだ目をキラキラしているハンマー娘ちゃんのみ。

 二人とも魔法職も盗賊職も修めていないので、<伝言(メッセージ)>のスクロールすら使えない。従っていつものようにアインズ・ウール・ゴウンにアドバイスを求めることすらできない……!

 

 

 くっ……八方塞がりッ、俺は……一体どうすれば良いんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

『――姫様、今よろしいですかな?』

 

 

 むおっ!? 唐突に俺の脳内に悪魔的なねっとりボイスが響く……こ、これは、ウルベルト氏!?

 

 

『ワールドアイテムを手に入れたようですね。おめでとうございます。ギルドとしての位階を一つ上げたようで何より……心からの賛辞をお送りします。近い内にお祝いの品でもお送りしましょう』

 

 

 あ、これはこれはどうもご丁寧に……。

 しかしこれまたなんてタイミングの良い……しかも俺氏がナザリックを訪問する時にやってる、アケミちゃん発案恒例RPの一つ「リアちゃんをお姫様扱いして適当に盛り上がろう」モードじゃないか……これはノルしかないだろう、エンターティナー的に!

 

 丁度良いところだウルベルト殿! 今現在とっても困っているのでお主の知恵を借りたいのだ! と虚空にペコペコしながら天の声に縋り付く。いつものことながら恥も外聞もない、みっともない幼女がそこに居た。

 

 

『ククク、何事かは存じませんが、この私にそのようなことを仰るとは迂闊ですなぁ。高くつきますよ?』

 

 

 ぐぬぬ、背に腹は代えられん。その代わりに最後まで付き合ってもらうぞーと言質を取る。しめしめ、これでもう途中抜けは許さないのです。

 実はこれこれこういうわけで、ワールドアイテム三つほど処分したいのだがどうすればいいんでしょう?

 

 

『……は? 三つ?』

 

 

 そう、三つ。出来れば譲渡できる二つだけでもそっちで引き取ってもらえると大変ありがたい。

 

 

『……まあいいでしょう。都合が良いことにお役に立てそうな者もおります。ではお迎えにあがりますので、街の正門横で待機願います』

 

 

 よーし、期待できそうだな!

 ぃよっしゃ行くぞ相棒! ケーキ喰ってる場合じゃねぇ! なんとか穏便に事を収められそうだぞ!

 

 腐ってもワールドアイテムだし、アインズ・ウール・ゴウンなら喜んで預かってくれるに違いない。これで大分考えることが少なくなって楽になるぞ!

 

 

 

 

 § § § §

 

 

 

 

 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 

 

 う~~ヘルプヘルプ。

 

 今ヘルプを求めて全力疾走している僕は、日本一の座を狙うごく一般的なグラスランナー(♀)。

 

 強いて違うところをあげるとすれば、男に興味がないってとこかなー……名前はオーレリア。

 

 

 そんなわけで、グレンデラ沼地にあるナザリック地下大墳墓にやって来たのだ。

 

 ふと見ると、サロンのソファに一人のブレイン・イーターが座っていた。

 

 

 (ウホッ! いい触手……///)

 

 

 そう思っていると、突然そのブレイン・イーターは僕の見ている目の前で、正面の席を指し示したのだ……!

 

 

 (打ち合わせを)「やらないか」

 

 

 そういえば此度の訪問は、分不相応に三つも手に入れてしまったワールドアイテムを処理する為であった。

 

 逆境と触手に弱い僕は、誘われるままホイホイとソファへと近づいて行っちゃったのだ。

 

 

 彼……ちょっとタコっぽい錬金術師で、タブラ・スマラグディナと名乗った。(知ってた)

 

 ミーティングもやりなれてるらしく、席につくなり僕の現状は素肌にむかれてしまった。

 

 ウルベルト氏の言葉通りに、彼は素晴らしいアドバイザーだった。

 

 僕はというと、心の琴線に触れてくる刺激の波にビクンビクン身をふるわせてもだえていた。

 

 

「ところで、俺のプランを見てくれ。こいつをどう思う?」

 

 

 すごく……大きいです……(スケールが)

 

 

「うれしいこと言ってくれるじゃないの。それじゃあとことん喜ばせてやるからな」

 

 

 

 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲

 

 

 

 ……とまあ、大体こんな感じで、具体的に何があったかを100年は語り継がれている古典衆道文学に沿って表現してみました。正確にはタブラ氏だけではなくて、わざわざ迎えに来てくれたウルベルト氏も同席していたが。

 非常に珍しいメンバーであると言わざるを得ない。普段俺とはあんまり絡まないからね。

 

 生憎、モモンガ殿は不在であった。仕事が忙しいらしい。確か今は決算期だからサラリーマンはこの時期大変そうだね。多分。

 しかし流石はしつこいくらい気配り重点のギルドマスター。ちゃんと俺が困っていたら助けるようにギルドメンバーに言い含めておいてくれたようである。すまないッ……すまないッ……。

 

 

 

 以下、回想である。

 

 一刻一秒を争っていた俺は話を進めた。姫呼ばわりされていたことだし、RPも続行、レベル1【アクトレス】技能が火を噴くぜ!

 ところで、お姫様の自称って何が良いんだろうね。『妾』だろうか? 『(ワタクシ)』だろうか? 偉そうに『余』とか? それとも自分の名前まんま? それは子供っぽ過ぎるか……ロリアバターだけど。

 

 うーん、なんとなく今日は『余』でいこうかな。ちなみにRP時のモモンガ殿は『私』だ。魔道士らしくインテリっぽいリーダー設定である。慌てるといつも通りになるけど。

 

 

 そして始まった世界征服談義。なぜそんなものが始まったのかはイミフだったが、必要なことらしいので存分に語り合った。俺とて元は男の子、世界最強と世界征服には当然一家言あるものなのだ。

 

 非戦派な商人娘ならばほぼ間違いなく国連と企業連を影から牛耳る外交勝利か、さもなくば萌えカルチャーを駆使して異文化を衰退させ乗っ取る文化勝利を推すだろう。

 

 だが俺的には目的と手段が分かりやすい上に後々禍根が残らず、初心者にもオススメ的な意味で、他の文明全てを綺麗さっぱり滅ぼす征服勝利を推したい。ちなみにリアル世界基準ならば、地球を捨てて別天地を目指す宇宙勝利一択である(断言)

 

 評価は、「幼女らしからぬ主張」「戦術レベルでも話して、どうぞ」「アイドル文化で無血支配するとか言い出すと思ってた」である。うーむ手厳しい。

 

 

 ……で、世界征服が俺達の危機回避にどうつながるのかと尋ねた。

 

 結局のところ俺のギルドの規模ではいつまでもワールドアイテムを抱えている訳にもいかないし、勿体無いのでなるはやで使うしかないって。知ってた。

 

 そして都合よくお誂え向きのワールドアイテムを俺が持っているので、良さげなイベントプランを立てることでクソ運営の力を利用しユグドラシルのワールドを可能な限り征服、PK問題をまとめて解決し、更になんとかアフターケアまで完璧に出来そうとのお言葉をもらった。

 

 なるほど、そこで世界征服につながるのね……って嘘でしょ!?

 

 

「クソ運営の心理を読み、彼らが喜びそうなシナリオを用意してやればよいだけのことです。いやなに、実はたまたま、似たようなことを考えた時に没にしていた腹案がありまして」

 

 

 はー、信じられる? こちらの要望を捻じ曲げ、自分に都合が良いように解釈することに定評があるクソ運営を手玉に取ってみせると断言するんだぜウルベルト氏。

 で、具体的にどーするのって聞いたらば、ハンマー娘の望むがままに、俺達でこの際徹底的に低レベル相手のPKを目的とするプレイヤー達を皆殺しにして心を折ってしまえばって。

 

 ……何……だと……と思わないでも無かったが、そのまま話を聞いてみる。

 

 

「所詮はプレイスキルすら磨こうとしないこの世界に巣食う害虫……ユグドラシルの存続に必要不可欠な新規すら嬲って喜んでいるような連中です。他のプレイヤーはおろか、運営すら排除に諸手を挙げて賛同することでしょう。そして姫様達に手を出した結果世界が滅ぼされた……もとい、征服されたという前例を作れば、その危機感は間違いなく今後彼らの行動を縛ります」

 

 

 俺達が普通の女の子になるためには、どうやら覇道を志すしかないらしい。

 

 でもそれだと世界の憎しみが俺らに集まってしまうのでNG。それに恐怖では人は支配できない。そのやり方ではいつか必ず報復を受けるものだ。

 なので一片の肉片すら残さず彼らと彼らの係累は余さずこの世から消滅させるべきなのだが、残念ながらこの世界の命はストック制ではないのだった。

 

 しかし、そんな俺の意見に対してダメ出しが始まる。

 

 

「どうせPK共をなんとかしない限り、姫様達の今後に未来はありません」

 

「フィールドに出る度に殺されるものだから、レベルがちっとも上げられなくてずっとクソ雑魚ナメクジというのでは、今のままだと貴方は一生無力な幼女のままです」

 

「プレイ方針の組み立てを間違いましたね。ドリームプレイを志すのは大いに結構。ですが貴方が真っ先にするべきは人間共に愛想を振りまくことなどではなく、己が盾となる肉か……同士を募り、技を鍛え、我々のように強力なギルドを構えることだったのですよ」

 

「そうすれば、今頃は思う存分に遊んで暮らせていたものを……感情に任せるがまま動き、結果いいようにPK共に弄ばれるとは愚の骨頂です」

 

「人数はそれ即ち力。数を揃えられなければどれほど個人が強い力を得ても、結局は結束の力に対抗出来ません」

 

「事ここに至っては、これ以上貴方に味方するものはいない。要は『詰み』です。ワールドアイテムはその問題が表面化する切っ掛けになったに過ぎません」

 

 

 こんな感じで、ひたすら正論で心にグサグサくることこれでもかと言われた俺の気持ち、分かる? 久々に、この世界に二度も生まれてきてごめんなさいしたくなったよ。

 

 俺だって……俺だってもっと可愛い女の子の仲間集めたハーレムギルド作ってみたかったよ……(切実)

 でも人見知りが激しい商人娘ちゃんの事を考慮したらば、そんなこと出来るはずもない。ちょっと見知らぬ他人が近づいてきただけでガタガタ震えだしちゃうほどなのだぜ? アケミちゃんが加入したのだって実は奇跡に近い出来事なのだ。

 

 しかし、改めて言われれば俺のプレイスタイルは最初の一歩から間違っていたとしか言いようがない。

 

 くっ……はじめからWikiを読み込んでおけば、こんなことにはならなかったものを……初見プレイで攻略情報など邪道と決めつけ、軽くしか読まなかったのがここに来て響くとは……!

 

 

「それにですね……」

 

 

 言葉を続けるウルベルト氏。おうふ……これ以上まだ何かあるの!?

 やめてクレメンス……もうとっくに俺の精神的ライフはゼロよ……。

 

 

「ネットでは、貴方の死に様が定番のネタになっていますよ? 悔しくないんですかそんな扱いで」

 

 

 まさかの衝撃の真実2であった。「にゃんですとー!?」と、RP中に口調が崩れてしまった俺をどうか許して欲しい。

 

 

「有名ですよ? 一生ネットの晒し者になるのは確定です。ステラさんたちは貴方の心情を慮って、ネットそのものを貴方に使わせていなかったようですが」

 

 

 俺の脳内で、アヤメ科フリージア属・半耐寒性球根植物の種の名前が浮かんだ。

 フラフラと床に崩れおちる。ここで演出すべきは悲劇のヒロインである。間違っても喜劇に救いを見出された哀れな男ではない。

 

 お、俺は、そんなネット上での扱いも知らず、これまで生き恥を晒しながらアイドル活動をしていたというのか……。

 いや、なんか……死にたくなってきた。恥ずかしいとかそういうのではなく、なんかこう……完全に死にたい。

 ぐぅぅ、俺の胃がキリキリ痛む。こ、これがリアルボディの身体的損傷が仮想でもフィードバックされるという逆流現象というものか……演技とか抜きで顔がゆがむ。ま、すぐに治るだろうけど。

 

 

「貴方の存在は今言った通り厄介極まりない。一緒にいるだけで大なり小なり迷惑を被ってきたでしょう。……にもかかわらず、彼女達は貴方のことを見捨てなかった……ひとえに、愛ゆえに」

 

 

 うっほほーい、ここにきて愛ときたもんだ。悪魔系異形種が愛とか語りだすとひどくシュールである。

 でも愛って便利な言葉だよね。人を救うにも絆すにも十分な理由にできるって意味で。

 

 

「これまでずっと一緒にユグドラシルをプレイされた。貴方のドリームプレイを阻む事無く。これを愛と言わずになんと表現すれば良いと?」

 

 

 横を見ると、ハンマー娘が全力で同意している。「そ、そうだったか……俺は……愛されていたのか……」的な雰囲気を醸し出す。

 余談だが、俺はギルドメンバーの俺に対する愛を疑ったことなど微塵もない。なんだかんだで俺のドリームプレイを応援してくれたり、一緒に演奏会に興じてくれたり、ご飯を作ってくれたり、ハグしてくれたりと、得難き最高の仲間たちである。

 

 

「悔しくないのですか? いつまでも負けっぱなしで恥ずかしくないんですか? 勝ちたくはないのですか? 彼女たちの愛に報いたいとは、思わないのですか?」

 

 

 悔しくないわけない。恥ずかしい。勝ちたいです。もう負けたくないんです。愛されるだけ、愛したいのです。いや、それ以上に……!

 そんなことを呟きながら涙アイコンを浮かべ慟哭。ちっ、課金さえできれば涙エフェクトが使えるものを……。

 

 

「今まで貴方達を苦しめたPK共、許せますか?」

 

 

 ゆ゛る゛さ゛ん゛!! ……こんな感じでおk?

 

 

 

 

 

「――――結構。それでは、如何でしょう。彼女達の愛に報いる……そのための世界征服、そのための覇道。我々も、影から応援致しますとも、ええ」

 

 

 

 

 

 

 

 ……ふぅ。まあこんな感じの運びになりましたとさ。

 

 いやぁ、久々に熱くなってしまった。俺の相談ついでにRPをしてくれるウルベルト氏らはこういうゲームの楽しみ方を本当に分かってらっしゃることで。

 

 相談事? 結論だけを言えば「もう面倒くさいからさっさと使っちまえばいいんじゃないっすかね?」の一言である。

 

 うんまあ、そんなわけでワールドアイテムはどうにかなりそう。

 二つはパーッと使ってしまって、残り一つはアインズ・ウール・ゴウンに預けるのだ。ワールドアイテム持ちというステータスは惜しいが、こうしておけばいつでもその地位には戻れる。そこら辺のレンタル倉庫より遥かに安全なのだから。

 

 タブラ氏のお陰で、大体の筋書きは完成している。あとはウチのオカンとアケミちゃんの決済がおりれば即時プラン発動予定。

 ちょーっとだけ、アイドル業から女優業に比率を振るだけのことである。世界征服を狙うワールドエネミー(幼女)とか、ユグドラシルプレイヤーの皆さんは楽しんでくれるだろうか?

 

 それにネットでの俺の扱いとかショッキングな出来事もあったけど……色々演技にのって吐き出したお陰で大分心が軽くなった気がする。

 最近はほそぼそとしたアイドルプレイに満足して大人しくしていたこともある。たまにははっちゃけてみるのも悪くない。

 何事も暴力で解決するのが一番手っ取り早いって言うし、アバターチェンジしたことも含め良い機会なので、過去の自分に俺は別れを告げるのだ。

 

 

 

 

「――ふふふ……我が半身……ずっとずっと一緒……どこまでも一緒……」

 

 

 

 お、おうふ……。

 

 そして俺に対するハンマー娘の懐き具合が半端ない。今拠点への帰り道なんだが、厨二入ってる上にこれでもかというくらいひっついてくる。

 確かに思春期の病気を患う年頃の子だし、これまでも俺の傍から離れることなかったけど、いつも以上ですよこれは……。

 

 ハンマー娘さんや、ちょっと周りのPCの視線が気になるんですけど! いや、仲良しできるのは嬉しいけど!

 

 

「ノノカ」

 

 

 ほえ?

 

 

「ノノカって呼んで、マスター」

 

 

 『ギルド』が抜けてますよノノカさん!

 

 

「……すき……もう離さない……永久に……」

 

 

 ……俺、何かやっちゃいました? 皆で楽しく適当な寸劇したくらいしか心当たりないんですが。

 

 ちょっとだけ、俺と手を繋いでいる童女がこわい。

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 

「本当に上手くいっちゃいましたね……」

 

「激情型にして劇場型の典型みたいなものですからねぇ、あのお姫様は。うまく場を整えてやればこんなもんです」

 

 

 閉じていく転移門を見ながら、タブラ・スマラグディナは呟く。どうにも幼気な少女を洗脳してしまったような、そんな後味の悪さを感じて仕方がない。

 今回の筋書きを書いたウルベルトに視線を向けると、オーレリアから受け取った石版を手持ち無沙汰にお手玉していた。

 

 

「でも、いいんですかこんなことしちゃって」

 

「さっきも言った通り、彼女たちがあの人数で本気で上を目指すのなら、今のプレイスタイルはどのみち止めさせないといけません」

 

「それはそうですが……」

 

 

 今回の一件は、全て彼らが仕込んだ茶番である。

 ありったけの偽装処置を施し、人間種に偽装させた工作員――フラットフットだが――を少女たちのライブ会場に潜り込ませ、プレゼントの山にワールドアイテムをこっそり混ぜたのだった。

 

 

「やれやれ、いつもの悪役(ヒール)と違って、こういうのは慣れませんね。もし皆にバレたら、なんて言われることか」

 

「どうせ近々引退してしまうのですから、後のことなど残ったメンバーに適当に任せれば良いんです。むしろ感謝してほしいくらいですよ。嫌われ役をやってあげたんですから」

 

 

 この事を知るのは限られた少数のメンバーのみ。密かにワールドアイテムの情報を集め、わざわざ遠出までして探してきたことすらモモンガを始めとするメンバーは知らない。

 

 

「……ですが、目的としては半分しか達成できませんでしたのは残念です」

 

「自力で一つ、ワールドアイテムを手に入れてしまっていたのは計算外でしたね……予定では、この機会に異形種にして我々の後釜に納まってもらう予定でしたのに」

 

「るし★ふぁーさんやベルリバーさん達にも手伝ってもらって、苦労して手に入れたのに、結局戻ってきちゃってますしね。似たようなのをガチャ一発って、笑っちゃいますね」

 

「素人の幸運に負ける……ま、そういうこともあるでしょう。気にするだけ無駄です」

 

 

 そう呟きながらウルベルトが掲げるワールドアイテム《魔神王の禁断契約書》を見る。

 妹分を手助けすることは勿論だが、どちらかと言えば彼らの主目的は彼女たちを異形種にしてしまうことにあった。

 

 

「自分たちが抜けてもギルドが寂しくならないように……ですか。まあ彼女達なら、他の皆も文句は無いでしょうけど。無駄になっちゃいましたね」

 

「後で必要になるかもしれません。彼女たちがアインズ・ウール・ゴウンに泣きついてきたら、改めて送りつければ良いでしょう」

 

「それもそうですね」

 

 

 これはもう、彼女たちのものだ。そういうことになっている。望むならそのまま渡してやれば良い。

 

 

「……ところで、ホントに上手くいくんですか? あの計画。それっぽく盛り上がりそうな設定は書きましたけど……」

 

「成功しようが、失敗しようがどっちでも良いんですよ。彼女達がPKされることがなくなればそれでよし。自力ではどうしようもなくなって途方に暮れているところを勧誘して、アインズ・ウール・ゴウンに合流させる形で保護するならそれもよし」

 

 

 うわぁ……えげつな……

 

 そう思ったが、口にはしなかった。どうせ、「褒め言葉ですね」とか言い返されるに決まっているので。

 

 

「しかしまた愛とは。全然似合わないことをいうものですね」

 

「良いじゃないですか。愛って人を騙すにも貶めるにも便利な言葉ですよ。あの二人は本物みたいですが……」

 

「……そういえば、さっきのシーン見ます? 録画しましたけど」

 

「事が終わったら、ギルメンに配るなり掲示板に上げるなりすればいいんじゃないですかね」

 

「……絶対恥ずかしくなって将来悶え苦しみますよ、彼女」

 

「ま、それもまた良しです。若気の至り、美味しく頂きましょう」

 

 

 手を振り歩き去る大悪魔を見送りながら、タブラ・スマラグディナは今日の収穫を確認する。これもまた、協力者各位への報酬となるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

『――そう、か……余は、最初の一歩から間違っていたのか……』

 

「ここらへんかな」

 

 

 動画を適当に早送りすると、絨毯に両手をつくオーレリアのシーンだった。この辺りから場が盛り上がっていたっけ。

 

 

『確かにそうだ。余は弱い。余一人では何も出来ない。一人では駄目だ……今の余には、あの者たちが必要なのだ……!』

 

「ほくほく」

 

『それに……ふふふ、世界征服――なんとも心が躍る響きではないか。言葉にしてみると分かるゾ……余はこれほどまでに世界が欲しかったのか……そうとも分かっている。求めるとは? そうだ――愛しているから求めるのだ!』

 

「イイネ!」

 

『愛する者たちとのいられる当たり前の居場所を求め、そして世界を愛するが故に……それこそが征服の第一歩だ。そんなことも見失っていたとは……我ながら、遅きに失するとはこのことか……』

 

「むふー」

 

『そして愛し、欲し、奪う――それ即ち覇道!! 最初に愛が無ければ、欲ではなく覇でもない! そういうことなのだな! ウルベルト!』

 

『……ええ……まあ、そんなとこです』

 

「あ、ウルベルトさん若干引いてるなココ」

 

『異論の余地は欠片もない。至当である。このオーレリアとて全く賛同する! 今気づいた……世界の心は、愛だったのだな……!』

 

「……いや、なぜそうなるのリアちゃん」

 

『こうなったら世界征服だ! 征服しかない! 大人しくやり過ごそうなどと考えていたのは間違いだった! 秩序で守れるのは妥協だけだ! 平和なんぞで守れるのは昨日だけだ! 余はもう妥協などしない! 昨日ではなく明日を歩く! そして世界は征服されたがっている……余にはその声が聴こえるっ!』

 

「意味不明だけど、いい演技してるのよね」

 

 

 

『……ギルドマスター』

 

「お、ここからだ」

 

 

 画面端からトテトテと少女がフレームインしてくる。今回の撮れ高最高潮のシーンだ。

 

 

『ノノカ……お前はどうする?』

 

『……決まってる。私は貴方には恩がある、情もある、義理もある。……貴方が行く場所が、私の行く場所。他に宛なんて、何処にも無い。ずっと貴方についていく』

 

「愛が重スギィ」

 

『なら――余と世界を征服するか? これからも余とともに来てくれるか? 余はまだ唄って踊るくらいのことしか出来ないただの幼女だが、これからこの世界に遍く全ての場所に行くのだ!』

 

『……うん。じゃあ一緒に……世界征服、してあげる』

 

「……これ、演技だよね?」

 

 

 

 

 

 

 

『よし――では征くぞノノカ、我が半身よ! これまで我々を灼き滅ぼしてきた、数多の恐怖と共に踊れ! 余とともに、闘争のオーケストラを奏でるのだ!』

 

『イエス……マイマスター……何時(いつ)までも……何処(いずこ)までも……!』

 

 

 

 

 

 

 

「うん、上手に撮れてるな……鬼気迫るくらいに」

 

 

 撮れ高万歳、もうこれだけでも今回の茶番の意味はあったと、ブレイン・イーターは満足気に微笑んだ。

 

 




協力者「「「世界征服と聞いて」」」

デミえもん他「(同じ部屋で)ずっとスタンバってました」



■明日が欲しいオリ主
・演技は雰囲気重視
・出そうと思えば(王者の風格)
・愛のパワーを下さい!


■しあわせノノカちゃん
・演技はしないタイプ
・たぶん本当に幸せな時なら目は死んでない
・牌の動かし方しか知らない
・笑顔は凶い
・厨二期真っ只中


■しょうきにもどったステラかーさん
・レギュラー以外のNPCは覚えていない
・アストロジアンとかはじめました


■あけみちゃん → アケミちゃん
・受験勉強中
・今度私も撮ってもらおうとか考える



▼ あとがき ▼

 王道を征く覚醒回。

(こんな出来で投下しちゃってさ……)恥ずかしくないのかよ?

 やべぇよやべぇよ……百合とホモの書き方なんて、わかんねぇよ……。
 これでノノカちゃん回ではないという恐ろしさ、どうやって彼女視点回書けばいいんですかね……?


・WI×3
ま、まあ転移直前に捨て値で売られているのをただ買うよりかは面白いかなって。
あと課金でゲットしたWIは普通に奪える。譲れない捨てられないのはバグかな?

・沼地の魔神王
一字違い、惜しい。

・ウルベルトさん
優しすぎる。偽物疑惑。



 ネットでのオリ主の死体ネタですが、実はウルベルトさんが言うほどではないですね。団長には及ばなくてロキ・フェンリル氏くらいのレベル。
 まあ、嘘は言ってないし……という話の持っていき方。

 あとウルベルトさんたちは適当なところでRPは切り上げて、普通に話をするつもりだったみたいです。なかなか演技を切り上げない誰かさんのせいでタイミングを失ったようです。そのまま最後までズールズル。


 全体的に分かりやすいくらいの転移後下準備会です。皆仲良く一緒に世界征服目指してくれると良いなぁ。





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マーチャント少女(その2)

あけましておめでとうございます。

本当は大晦日に投下したかったけど、全部彼女視点に書き直したので三が日ギリギリ。


※ 今回、彼女は大いに寝不足です。




---

 

 

 

 

「――あいつら、最近はなんちゃってアイドル活動に満足しておとなしくしてたと思ったのに……」

 

 

 血の繋がらない娘二人をどうにかこうにか扶養している16歳の少女(徹夜明け)は、そうボヤきながら帰り道を歩く。先日自身の養い子が手に入れてしまった一つのアイテムが、そのボヤキの原因であった。

 

 

「ワールドアイテムなんていきなり持ちこまれても困るっての……欲しかったけどさぁ……」

 

 

 そもそもこの二年間、当初彼女が想定していたユグドラシルのプレイは、全く計画通りにならなかった。

 早々にあの二人のドリームプレイを認めざるを得なくなったのに始まって、すっかり諦めていた正義キチとの出会い、炎上騒ぎ、エルフ娘の強引な飛び入り、拠点喪失 etc.etc.……とまあ、想定外の出来事を数え上げるとキリがない。

 

 レベリングが頗る捗らないのだってそうだ。初っ端から無駄に注目を集めてしまったせいで、集中的にPKされたり拠点を取られたり……普通にプレイできていたならばとっくに100に達しているであろうレベルが一向に上がらない。これなら、一人でちまちま生産スキルを使い続けていた方がまだマシだったのではないだろうかとすら思えてくる。

 

 辛うじて計画に沿って上手くいっていると言えなくもないのは姫プレイくらいなものである。こちらがドリームプレイをしていることが知れ渡っているせいか実用的なものは少ないとはいえ、諸事情により制限プレイ状態な自分たちにとっては、全く無いよりは全然ましというものだった。

 

 

 それに、中途参加のアケミのこともある。

 かれこれ彼女が加入して1年半は経つが、名前しか原作に出てこないキャラのそのまた関係者とか、正直扱いに困って仕方がない。

 迷惑なPK連中を追い払ってくれるのはありがたいが、期待していた寄生プレイも思っていたほど効果が上げられていないし、それどころか最近の彼女は他の面子に倣って非戦闘職の裁縫師(ドレスメーカー)まで育成し始める始末。ほとんど戦闘職らしい戦闘職をとっていない自分が言えたことではないが、どうにか考え直させることはできないものだろうか。

 

 ……だがまあ、ナザリックに顔パスでお邪魔できる立場を手に入れられた棚ボタに繋がったあれこれに関しては、他のメンバー三人には感謝する他にない。自分一人では絶対に得られなかった立場だ。

 それも協力者だとか内通関係だとか、そういう利害関係で結ばれた仲ではなく、ほぼ純粋な情で繋がった縁……損得抜きで非常に良好な関係が築けている。多少の不安定さは否めないが、これは収穫としては大きいと言ってよいだろう。

 

 更に言えば、自分の目から見てアインズ・ウール・ゴウンの面々は自分たち4人に甘々である。

 露骨な金銭や物品のやりとりこそなく、化け物揃いなアバター故に表情すらろくにわからない連中ではあったが、それなりの精神年齢である自分からすればそれなりに察しはつく。

 悪の異形種ギルドトッププレイヤーたちという世間体は一体何だったのか……無駄に敵視していた自分が馬鹿みたいではないか。

 

 特にあのアホの子にはゲロ甘と言って良いだろう。

 ちょろちょろとナザリックをお化け屋敷感覚で冒険したがるあの娘にやましいものを見られまいと、一部のメンバーはこっそり過去を清算しているようだと女性陣から聞いている。娘がお年頃の時期に入りかけたお父さんみたい、とは良く言ったものだ。

 

 確かにな、とは自分も思う。

 人間を苗床にして増殖するクリーチャーだとか、入るだけでSAN値直葬してしまう拷問器具展示室だとか、人の尊厳を傷つけることに特化した意地の悪いNPCとか……そういう児童教育に大変よろしくない一部の施設やNPCを作ったと、純粋無垢な(と思われている)幼い少女に自慢するほどの猛者はそうそういないだろう。残るのはせいぜい、エロコンテンツだけは消されまいとなんとか固持している自称エロゲーマスター、悪に拘り中途半端な悪役は消えちまえ主義の大悪魔、いたずら好きの悪タレくらいなものだ。

 

 またその分浮いたリソースを活用し、グロに頼らないギミックが増えたとも聞いている。

 幽霊・悪霊といったアストラル系の異形種モンスターを増やしたり、第六階層のジャングルエリアに配置されている魔獣・動物・植物系モンスターが多彩になったり、一般メイドNPCにそれぞれ違った娯楽職レベルを追加して個性を増やしたりといった具合に。ナザリックに対する大規模なプレイヤーの攻勢がなくなって久しいとはいえ、アンデッドの巣窟がそんなビフォーアフターしてしまって大丈夫なのだろうか?

 

 

 それに加え、どうもナザリックの中には明らかに自分たちをアインズ・ウール・ゴウンに合流させようとしているフシがある。

 

 言葉こそ匂わせるレベルでしかないのだが、ファッション装備以外に異形種に転化させるアイテムを何かとプレゼントしてくるあたり、向こうも隠す気がないとしか思えない。

 その度に愛想笑いを浮かべて、うっかり何かの間違いで使ってしまわないようにそのままアイテムを三人に受け渡すやり取りを何回繰り返したことか。おかげでレンタル拠点の倉庫が圧迫されて困る。捨てるわけにもいかないし。

 

 正直、勘弁してくれとしか言いようがない。

 こちとら紆余曲折があった末に決断した、人間としてあちら側に行きたいからこその人間種プレイである。下手すれば二度と太陽のもとを歩けなくなる上に、食事だとか睡眠だとか……そういった煩悩まみれな人生の楽しみを捨てるつもりはサラサラないのだから。

 

 この確実に外堀を埋められている現状、あの娘は理解しているのだろうか?

 ……間違いなくそんなわけがあるはずもない。どうせ何かいいものをプレゼントされたくらいにしか考えていないだろう。いつの間にか異形種になっていたとしても、「これはこれで良くね?」とか言い出すに決まっている。せっかく自分が気を使って人間種でプレイさせ始めたというのに、いらん気苦労ばかりさせられている。

 

 

 そこにきて、あのワールドアイテムときたもんだ。寝耳に水どころか熱湯を注ぎ込まれたみたいなもんである。

 

 確かに、前々からワールドアイテムはいずれ最低一つは確保しておきたいとは思っていた。ワールドアイテムの効果を防げるのは、同じくワールドアイテム持ちであることが必須条件である故に。

 自分は――自分だけは、原作のシャルティアのように洗脳される展開はなんとしても防がねばならない。他の三人の記憶ならばいくらでも持って行かれても困ることはないだろうが、自分のこれはそれなりの手順を踏まなければ決して表には出せない。出すわけにはいかない。

 

 時間にして10年以上前の遠い昔の記憶なのでもうあやふやとはいえ、原作知識が登場人物の誰かに知られた時の影響が全く予想できないのだった。

 仮にナザリックの連中に知られてしまったとしたら……自分は見たことすらないが、確か拷問なり脳味噌クチュクチュなりすることで、相手の情報を抜き取ることを専門にしている設定のNPCがいたはず。そいつの手でとんでもない目に遭わされ、ジ・エンドるのは間違いない。それも惨たらしく死ぬ可能性が非常に高い。

 

 無論、そんな展開を避けるために洗脳系や記憶操作系、催眠系の抵抗スキルや装備品を優先的に取得することで対策は進めている。だが、最後の保険にワールドアイテムは是が非でも手に入れなければならない……!

 

 

 ――<魔神王の契約書>

 

 

 ノノカが手に入れた、プレイヤーをワールドエネミーに変化させてしまうという実用性がなさすぎるにも程があるあのワールドアイテム。はっきり言ってしまえば、他のワールドアイテムと比べてもハズレもいいところだった。使えばなくなる消費型アイテムという時点で大チョンボだし、具体的にどのようなワールドエネミーになるのか明記されていない点でも結果が恐ろしくて使えたものではない。死ぬほど追い詰められたときに使う、最後の手段としておくしかない。

 

 休憩時間中に軽く調べてはみたが、<魔神王の契約書>なんてアイテムは見つからず、代わりに<魔神王の禁断契約書>とかいうパチモンくさい別のワールドアイテムの情報しか発見できなかった。おそらく同系統のアイテムだろう。効果もほぼ同じであり、加えて異形種に転化する強制効果が付与されているという違いはあった。……今回手に入ってしまったのがそっちではなくて、本当に良かったと思う。

 

 過去<魔神王の禁断契約書>が使用されたことが何回かあるらしく、およそ5年前の発動時には、ギルドに所属していなかったアウトロープレイヤー一人のみがワールドエネミー化(Lv.334)した、と記事にはあった。

 他の大多数のプレイヤーにとって、それは幸運だっただろう。それほどの大惨事だった。

 

 

「個人的に恨みがあったプレイヤーにひたすら粘着とリスキルを繰り返した挙句、巻き添えで拠点や集落、良狩場をいくつも廃墟にしちゃうとか……」

 

 

 うっかり発言した、「やべっ……俺しーらね」という失言が大音量で響き渡ったらしい。それをバッチリ記録されて拡散されたものだから、自身の思い出や狩場を台無しにされた都合100人以上のプレイヤー達の恨みを買って袋叩きに遭うとか阿呆すぎる。全長50メートルを超す巨体になっていたこともあり、全員が同時に攻撃をしかけてもポジショニングには全く困らなかったという記録もある。ただし、「やたら固いしタフだしそのくせ大したアイテムドロップしなかった」と当時のコメントに愚痴の山が残っていた。

 

 逆にいえば、そうでもしないと討伐できなかったということでもあるのだが。

 

 結局討伐されたプレイヤーはそのまま引退してしまったようである。それはそうだろう。ブラックリストの一番上に固定されたようなものなのだから、今の自分たちよりひどい有様になってしまったことは想像に難くない。

 

 仮に、自分たち4人が同じような効果を発動させてしまったら、どうなるか……考えるまでもない、地獄絵図だ。

 

 サイズが50倍になった少女アバターが4体とか、ひどく滑稽な絵面になるだろうが、当事者としてはとてもそんな呑気にかまえていられない。

 うっかりミニスカ系の装備でも身につけていたが最後、地上全域にこれでもかとパンモロを披露しながら歩くことになり、意図したものではないにせよ無慈悲なBANを喰らうことになるだろう。

 

 それだけではない。間違いなくそんな珍獣を発見したらば、全ワールドのプレイヤーがこぞって集まって来る。前回の惨劇を知っているものは危機感マシマシで駆けつけるだろうし、コレクター気質のあるプレイヤーはドロップ品狙いで襲ってくる。それ以外の連中もお祭り気分でとりあえず超位魔法を打ち上げてくるのは間違いない。

 それほどの大人数の視線にさらされるなんて、自分には耐えられるものではない。即座にログアウトして、あとはBotにお任せする。それしかない。 

 だがそうなってしまえば、事はユグドラシルの中だけには収まらないだろう。そんな面白可笑しいニュースがネットを通じて全世界に拡散されないはずもなし。4人揃って仲良く世界的道化の仲間入りである。流石にリアルの素性がバレるようなことはないだろうが……

 

 

「……ダメ、絶対にダメ」

 

 

 幸い、ワールドエネミーになった後の大きさやレベルはまちまちらしいので、そういう展開になるとは限らない……が、そうならないと断言することもできない。

 従って、これから彼女が選べる道は2つ。ノノカにワールドアイテムを使わせずに抱えさせるか、さっさと使ってしまい効果が切れるまで暫くどこかの過疎地に引き篭もるか。

 

 前者を選べば、あの世界に貴重なワールドアイテムを持ち込める。アイテムについている譲渡不可属性もおそらくあっちでは無意味になるので、問題なく自分のアイテムボックスに入れることもできるだろう。

 ただそうなると、これまで以上にPKが苛烈になることは想像に難くない。レンタル拠点から彼女を外に出さずにずっと留守番させることも視野にいれなければいけない。そう、後々のことを考えれば絶対にそうするべきだなのだ。

 

 そうするべき、なのだが……

 

 

「……はぁ、それは流石にあの娘が可哀想ね。後からアインズ・ウール・ゴウンの連中に何言われるか分かんないし、勿体無いけどさっさと使っちゃうこと前提で今後の対策練らないといけないのかなぁ」

 

 

 さほど悩まずそう決める辺り、彼女は完全な利己主義者とは言い難い少女である。

 

 

「どこか巨人の隠れ家みたいな所ってあったっけ……お誂えな場所ないか聞いてみるしかないか……ああ、あの連中にこれ以上借り作るのやだなぁ……」

 

 

 徹夜明けということもあり、今日の彼女はとっても疲れていた。それでも、考えなければならないことが山積みである。

 とりあえず、最低でも軽い現状確認くらいはしなければならないだろう。ため息を吐きながら、少女は家路を急いだ。

 

 

 

 

 ……そう、思っていたのに。

 

 

「あ、おかえりーステラちゃん」

 

「……世界征服のお時間」スリスリ

 

「――ふっ、御母堂。余が世界に覇を唱える日がついに来たのだ!」

 

「がう」

 

「……」

 

 

 ユグドラシルにログインした彼女を迎えたのが、ギルドメンバーのお気楽っぷりである。さらにこの漫然とした違和感はなんなのか。

 

 エルフ娘アケミちゃんはいそいそと内職中である。一見これは特に変わりのない、いつも通りの光景である。

 下品さが度を過ぎたエロ装備がオーレリアに度々送られてくるのはけしからんという理由で、彼女はかなり前に裁縫師系のジョブを取得し、メンバー全員の衣装を自作していた。正直自分たちのギルドが彼女の色に染められている感がないわけでもないが、そこそこ高性能で見栄えの良い装備品を量産するだけあって半ば黙認状態である。

 

 だが、作っているものがいつもと毛色が違う。今も大方グララン娘の衣装でも作っているのだろうが……並んでいる装備品がこう、如何にも悪役っぽい品々なのは気の所為?

 

 

 他二人の様子は明らかに様子がおかしい。NPCの(ロー)ちゃんまで何処か自慢げな態度なのがムカつく。何があったし。

 

 世界征服という台詞と変なグララン娘の自称からして、二人してまた訳の分からないRPに奔っているだけなのかと思いきや、白ドワーフ娘ノノカはいつもと比べてお肌がツヤツヤしている(ように見える)し、隣のグララン娘にいつも以上にベッタリくっついている。

 あと二人のレベルがついに一桁になっていた。大方言いつけを破って何処かに出かけ、またPKされてデスペナを食らったらしい。二人揃ってワールドアイテム持ちなので、そうなるのも自明の理である。

 

 ……あれ?

 

 

「なんか、増えてる……」

 

「ふふん!」ドヤァ

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 とりあえず興奮状態の二人を先日ガチャで当てた完全なる静寂(ピコハン)ではたき、事情を聞き出した。

 たった一日でワールドアイテムを二つも追加で持ってきたことや、ナザリックでの入れ知恵には、何も言わない。言いたいことはたくさんあるが、今はそのようなことに気を遣っている余裕は無い。

 

 それよりも……ユグドラシルのイベントシナリオが書き記されたワールドアイテム<ヴォルヴァの預言書>を斜め読みした自分が、今ここでどうしても言わなければならないことがあった。

 

 

 ――このシナリオ書いたの、どこのどいつだ。

 

 

「アインズ・ウール・ゴウンの誰かだとは思われ」

 

「問題あり?」

 

 

 大有りに決まっている。

 いきなり主役と思しきグラスランナーの娘が故郷を滅ぼされて奴隷落ち。牢屋の中で似たような境遇の白ドワーフと出会い、そこにたまたまやってきた旅商娘が二人を全財産はたいて引き取る。旅の道中でエルフ娘が加わり、そして4人娘一行を巻き込む一大スペクタクル。

 

 

「逆境から這い上がるのはよくあるパターンなの」

 

 

 そこまではまあいい……だが問題はラストである。

 『罠に嵌って全員惨殺されて死体が沼地にゴミのように沈められた後、理不尽な世界を憎む系の悪堕ちから復活……さあ世界の命運や如何に!?』 ――これ絶対、化け物になって最後には『もういい……安らかに眠れ……』とか主人公に言われながら倒されて消滅する流れである。

 ユグドラシル時代に起こったことやユーザーメイドの設定が、ある程度向こうの世界で反映されることを踏まえると、到底受け入れられるものではない。

 

 

「やっぱり私もハッピーエンドがいいなー」

 

「そこは同意」

 

 

 幸い、ギルドメンバーにも不満はあるようで、さり気なく軌道修正は可能とみた。

 だが、これ書いた人物は性根が弄れているとしか思えない。序盤の未来が明るく開けていく展開から容赦なく叩き落とされるこの落差……残虐性と悲劇性まで盛り込んでいるため、読み手の感情を揺さぶりまくること請け合いである。ただ単に幸薄な女の子がイチャイチャしながら幸せになる展開を期待していた層にとっては阿鼻叫喚ものだろう。

 そして微妙にリアルの自分たちの事情が盛り込まれているということはつまり……あと、なんでラストがこんなに凄惨なのか。ホラー映画でも最低一人くらいは生き残るというのに。

 

 

 とにかく却下却下である。世界の敵になるのはともかく、そのトリガーが自分たちの無残な死という時点で論外というもの。まったく……全力で死亡フラグ踏み抜くところだった。

 

 

「修正は構わないけど、イベントの主催を務めるんだからさ。①一般プレイヤーの皆さんを喜ばせるのと、②低レベル狙いPKをしばき倒すのは確定ね。あと、自分のキャラ設定に『世界征服を策謀する幼女』って入れといてね」

 

「私はその半身」スリスリ

 

 

 二人がアインズ・ウール・ゴウンの異形種二人にされた入れ知恵によれば、程々に強いワールドエネミーになって適当に暴れればそれだけで娯楽としてはそこそこ上出来らしい。

 

 ただし、気をつけねばならないポイントがいくつか。ネトゲのイベントと言えば、後々問答無用で修正を食らうであろうご祝儀性能なイベント報酬でプレイヤーの競争心を煽ることが多々ある。

 だが今回のように復刻なしの一度限りのイベントとなれば、それは仮に今回ログイン出来なかったプレイヤーがいたら、後々そいつらから自分達が総スカン食うということにもなる。止めておくべきだろう。それにイベント報酬で旨味なんて羨ましいことこの上ない……自分たちはイベントホストなので報酬らしい報酬は後に何も残らない。あと報酬をタダで配るような安い女だと思われるのもなんとなく嫌だった。

 

 そもそも、自分たちが用意出来るのはシナリオと敵キャラのみ。報酬その他については完全に運営任せである。

 

 

「さいですか。すまない、一般プレイヤーの諸君。運営が気を利かせてイベントアイテムを勝手に作ったりしない限り、報酬には欠片も期待しないでくれ給へ」

 

 

 そういうことである。

 

 質の悪いPKを駆逐するという目的は、アインズ・ウール・ゴウンを信じればシナリオを通して運営へのお願いでなんとかなるはずである。誰が誰をいつどうやって殺したか、というデータベースが存在することはワールド・レコードが実装されていることからしても間違いないようなので、そこからエゲツないプレイをしている外道共を判別し、世界の敵と化した自分たちが天誅を下す……という流れらしい。

 

 

「お手本にすべきは、巨悪を以て小悪党をちまちまお掃除するダークヒーロー……俺たちが絶対にしなければならないこと……その最たるものは、クソPK共を徹底的に懲らしめ、俺みたいな幼女でも普通にレベリング出来るようになるレベルまでユグドラシルの治安を回復させること……!」

 

「……思えば、ゲーム開始早々のわからん殺し。無理矢理装備を全部剥ぎ取られたあの時から、すでにこの戦いは始まっていた」

 

「下着ライブ開催時に酒場に居た皆と交わした、『初心者狩り絶対駆逐してやる』的な誓い、今こそ果たす時……!」

 

 

 年少組二人がワイワイ盛り上がっている。そういえばそんなこともあったな、と二年前の出来事を思い出す。自分が二人のドリームプレイを許容させられた、あの日の記憶が甦る。

 ……そういえば、ワールドエネミーということはオーバー100レベル以上になるのは確実なわけだが、肝心のキャラビルドはどうするのだろうか?

 

 

「今回の俺は本気なのです。『慢心するだけの実力もない悪役とか論外』って、ウルベルト氏からもこっ酷く言われた故に。いや、これまでの俺が手抜きってわけじゃないんだけどさ」

 

「勝負はガチガチ」

 

 

 ――あれ、これはもしかして、これまで自分が待ち望んでいた、純戦闘職三人に寄生して行うPLを実現する好機なのでは?

 

 

「あ、母上。一応言っておくけどさ、RP用に最低限の非戦闘職は取るよ。今もプリンセスLv.1が根っこだし。それに別に俺は強いほうが偉いだなんて思ってはいないしさ」

 

 

 そんな自分の考えを読んだかのように、さらっとアケミの希望を反映させたグララン娘が言葉を続ける。

 

 

「あくまでPvPの結果とかとしてはそうせざるを得ないだろうけどさ、要は気の持ちようってやつ。どうせ課金出来ない以上、今回みたいな反則技でも使わない限り俺らは相対的に弱者で有り続けるしかないわけなのだし。それくらいなら、弱くっても皆の尊敬を集め、ただ幼く可愛いというだけでチヤホヤされるような……せめてそんな皆の理想的幼女に俺はなりたかったのだよ。そもそも『ぅゎょぅι゛ょっょぃ』みたいなキャラでもない限り、幼女はか弱いのが普通であるからして」

 

 

 可愛い顔をして、可愛げのないことを言う。時々、コイツは変に大人びたことを口走るから困惑する。大方、アインズ・ウール・ゴウンの連中の受け売りなのだろうが。

 

 

「だが、それもつい先日までの話……今の俺は、まさしくその『ぅゎょぅι゛ょっょぃ』みたいなキャラになることを……強いられているんだ!」

 

 

 集中線エフェクト(無料)を展開しながらのドヤ顔だった。……いや、どっちよ。

 

 だがまあ、やる気になるのは悪いことではない。この際、将来に向けての布石は打てるだけ打っておくべきなのだから。

 

 

 

 

 まず、全員ただの一般人では物足りない。収集癖があり、レア物に弱いモモンガの傘下で確実に生き延びる為には、その素性からして見直さなければならないだろう。

 

 というわけで、オーレリアがグラスランナーの国の王女という設定はイマイチ物足りない。他にグラスランナーのプレイヤーも居ないことであるし、実は魔法の無い異世界から逃げ延びてきた希少種ということにしてしまってはどうだろうか。

 

 

「……それって実験動物にされて、最終的にホルマリン漬けか冷凍保存される展開じゃないですかね?」

 

 

 この世界にたった一人だけの生き残り種族とか燃えると思う。

 

 ノノカも似たような素性にしておくべき、と言い含める。オーレリアとお揃いにしては、というとほぼ間違いなくその通りにしてくれるので、この娘の説得はとても簡単だ。

 

 ついでに、アケミの設定も合わせてしまおう。ただのエルフだとイマイチパンチが弱い、ハイエルフよりも格上のエルフってことにしてしまおうそうしよう。世界に数人しかいない古代種のエルフとかそれっぽいやつ。

 

 

「ユグドラシルにそんなエルフ居ないよステラちゃん!?」

 

 

 そんなこと、気にする必要はない。とにかく、レアっぽい何かをイメージさせる種族なら、捏造でも万々歳なのだ。

 自分の設定も考える。一見ただの旅商だが、実は超切れ者の天才錬金術師で、超強力な魔力持ちで身体能力抜群で苦手なことが無い前世の記憶持ちの超絶美少女な王女様とかどうだろうか。あとこの世界の全部の魔法が無制限に使えるけど実は隠してる、とか――

 

 

「いや、それは駄目だよ。力を封印されてるとか事情があるならまだしも、全力を出さない手抜きキャラには最近厳しい風潮なんだから」

 

「同意。王女も一人だけならともかく、そうホイホイ増やされたらちっとも有り難みがない。それに我が主は一人だけ」

 

「それと自分だけチート設定盛り過ぎです。ワールドエネミー属性に加えてどれだけ求めるのよ、この欲張りちゃんめ」

 

 

 今日に限って、どこかギルドメンバーが手厳しい。だが、ここで恥や外聞を気にしてはいられない。三人にも、ここで決めたことが実現すると思って書け、と言い含める。間違っても、弱点とか設定してはいけない。

 

 

「……ステラちゃん、キャラの弱点はちゃんと設定しておかないと人間味も人気もなくなっちゃうって、この前自分で言ってなかったっけ?」

 

 

 だまらっしゃい。

 それにオーレリアは魔法がロクに使えない代わりに特殊な能力が使えるという設定は必ず入れるべきである。魔法とか呪いとかの無効化能力とか反射能力とか如何にもヒーローっぽい。おすすめである。

 

 

「なんというチート・オブ・チートの典型」

 

 

 レベル100オーバーは確定なのだからそれくらい許される。むしろそれくらい出来ないとワールドエネミー(笑)とか言われて馬鹿にされるに決まっている。

 

 

「そーなのかー」

 

 

 そして思い出した。全員時間操作系能力持ちであることも盛り込む必要があった。

 

 

「それモモンガ殿が言ってたPvPでの時間対策? ってか、ワールドエネミー属性で賄えると思うんですが」

 

 

 とにかく書くのだ。書くだけならタダなのだ。

 この際だ。イベント期間中は魔法も格好いい詠唱付きにしてしまっていいと思う。前々から思っていたが、ユグドラシルの魔法は味気なさすぎるのだ。

 

 

「賛成。口上と詠唱は浪漫」

 

「流石にそれは無理だと思われ」

 

「初心者にも分かりやすい方がいいと思うんだけど……」

 

 

 ああ、ワールドエネミーになった後の、各自の二つ名も作っておかないと。箔をつけるためには必須だ。

 

 

「賛成する。世に広く我らの名を知らしめる良い機会」

 

「ン拒否するゥ。俺センスないし、多分二つ名なら運営かネットの暇な人が考えてくれると思う」

 

「そうだね。いっぱい呼び名があっても覚えにくいだけだし」

 

 

 ではそれはこちらで適当に考えておくとしよう。

 ……というか、なぜ自分ばかり案を出さなければならないのか。なんでも良いから、とりあえず意見だけでも出してくれないと議論が滞る。

 

 

「うーん、なんでもいいって言われても困っちゃうなー、皆で演奏会とか、そんなのでもいいのかなー」

 

 

 アケミちゃんがポロッとこぼした一言に着想を得る。……なるほど、合体スキルか。確かにこれまでのユグドラシルには無かった要素だ。ギルドメンバーの数が足りていない自分たちの最大火力を伸ばすという意味ではいいかもしれない。

 

 

「はいこれ」

 

 

 そう言いながらノノカが差し出してきたメモには、彼女が考えたらしい自分のキャラ設定が書き連ねてあった。

 人魚の肉、賢者の石、不死鳥の血、冥界の霊草、仙人化、吸血鬼化、意思が宿った機械人形、精霊化したアーティファクト、などなど……書いてあることに矛盾が山盛りで節操が無いが、ファンタジーや二次元文化に触れたことのある人間なら、概ねその狙いは正確に理解できる。

 

 

「白ドワーフの短命設定作ったスタッフは死ねばいいと思う。でもこれだけあれば万全。我が半身……永遠に一緒……」スリスリ

 

「 ソダネー 」

 

「皆の分も書いてあげる」

 

「あ、ありがとう……でも意味無いと思うな」

 

 

 いや……意外と良いかもしれない。

 

 自分の仮想敵であるモモンガの得意とする魔法は死霊系に特化している。それらに対する抵抗力を得られるとすれば、満更悪い案ではない。異形種に関わる要素だけ削除して、とにかくノノカに任せて書けるだけ書いてしまって構わないだろう。アンデッド系種族でさえちゃんと死ぬ(デッドする)このユグドラシルにおいて、本当に死の概念がなくなることもないだろうし。

 

 

「母上、この際だし俺らもギルドと皆のエンブレム作ってもらおう。イメージだけ書いて、運営に丸投げするの。アインズ・ウール・ゴウンの玉座の間に飾ってあるフラッグ、あれ凄く羨ましい」

 

「課金しないと本来作れないしね、ああいう凝ったやつ」

 

「モチーフにする資料ならお任せ。著作権が切れたアーカイブが一杯ある」

 

 

 確かに良い案だ。向こうの世界では日本語は仲間内でしか使えないし、敵味方を問わず人語や文字を解さない種族で溢れている。そこで自分たちを表す分かりやすい記号を用いれば、コミニュケーションの一助となるだろう。悪くない。

 

 

 思いつきなのだろうが、むしろこの場では質より数が重要だ。もっとこの調子で意見を出してくれ皆の衆。

 

 無意味にテンションが上ってくる。そうだ……自分は本来、こういう妄想を友達と一緒に楽しむ人間なのだった。

 

 前世で女友達と漫画やラノベをテーマに馬鹿みたいに語り合った日々を思い出す。あの時、自分は確かに自由だった。

 

 

 それなのにクソみたいな世界、クソみたいな親、クソみたいな会社……一体自分の第二の人生はどうなるというのか。

 

 無論、このままだとどうにもならない。一方的に搾取され、野垂れ死ぬだけの未来が待っている。

 

 だから今は、ひたすら忍耐の時……リアルの自分の身体は、今号泣しているかもしれない。久々に、明るい未来を自分は感じている……!

 

 

 せめてお金のかからない妄想の中でくらい、自由でないとこの先やっていられないではないか――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――この日から数えて二週間後に開催される、【伝説級黒歴史】とユグドラシルプレイヤー達に評されるイベントが、実はこういう経緯で生まれたことを知るものは、とても少ない。

 

 そして……結果だけを言えば、彼女たちの功績により低レベル狙いのPKはユグドラシルから一掃された。そんなことをすればどうなるかを、彼らは身を以て思い知らされたのだ。

 

 ユグドラシルがサービス終了するまでそれほど長い年月ではなかったが、それでも彼女たちの偉業は生暖かい視線と笑顔で皆から讃えられた。

 

 

 

 哀れ、本来彼女たちの手綱を握るべき人間が、諸事情でブレーキどころかアクセルを目一杯踏んでしまった結果である。

 

 

 

 

 

 

 




■本気で世界を獲りにいくオリ主
・思春期(ずっと)
・騎獣:ローちゃん(命名)
・グラスランナー → グラスランナー・ゴシック とかそんなの

■是が非でも愛する人とは添い遂げたいノノカ
・思春期(以降永続)
・趣味は電子書籍収集(無料)
・白ドワーフ → ネザーランド・Wドワーフ

■寝不足ステラさん
・思春期(二度目)
・実は非戦闘職レベル(総合)が一番高い
・希少民族出身(意味は無い)

■実は今回内心では超喜んでいるアケミちゃん
・思春期(まだ)
・えっちなのはいけないとおもいます(自分が見る分にはおk)
・エルフ → ルーンエルフ



・パンドラさんは無事
・恐怖公も無事
・餓食狐蟲王は駄目だった。




▼ あとがき

 とっても人生に疲れているステラちゃん回。そういうときもあるよね。


 理性がちょっと吹っ飛んでいますが、それでも自分と仲間の身を護るために頑張ってます。
 ただし、今回ワールドアイテムに書いた妄想がどれだけ実現するかは分かっていません。数撃ちゃ当たるの精神です。

 厨ニ妄想は彼女の素です。普段は社会人として節度を弁えて我慢してますが、色んなしがらみが無くなるとこうなります。小さな身体に精神が引っ張られてます。他の面子もきっとそうなる。

 実は異世界で無双することを誰よりも夢見ていた子。そして、その願いだけは叶わない。だって、戦いそのものが苦手なんだもの。



 次回、掲示板回の予定


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あの娘たちのうわさ(2)

掲示板回です。

時期的には、前半がアケミちゃん加入後暫くした頃。

後半がイベント期間。


≪ユグドラシルWiki FAQ≫

 

 

 

 

【Q】

先日、超低身長の人間種PCを見かけました。大人の膝丈くらいの、可愛らしい女の子です。

自分も同じ種族を使ってみたいので、詳細をご存知なら教えてください。

 

【A】

種族:グラスランナーをアバターとするプレイヤーです。はっきりとしたことは分かっていませんが、通常のキャラクリエイトでは選択肢にすら登場しません。 →【種族:グラスランナー】

ユグドラシル全体で継続的にプレイしているグラスランナー使いは現状一名だけであるため、初心者マークが付いていないのならばオーレリアというプレイヤーのものと考えて良いでしょう。 →【著名プレイヤー:オーレリア】

 

 

 

 

≪ユグドラシルWiki 著名プレイヤー:オーレリア≫

 

 

【Q】

どんなプレイヤー?

 

【A】

グラスランナーを種族とするドリームビルドプレイヤー【オーレリア・ルハティー・S・ナノレス】ちゃんのことです。213X年現在、リアル年齢が高くても10歳程度の女子であることは確定的に明らか。

別称、【グララン娘】【世界最速爆死娘々】【デドラン一位を突っ走る幼女】【PK出来るジュニアアイドル】【また拠点取られてる子】とも。

 

 

 

【Q】

過去の炎上記事があるみたいなんですけど……

 

【A】

彼女がユグドラシル開始間もない頃、異形種の最上位プレイヤーに感謝する発言をした事実が発端となった炎上騒ぎです。

現在でも一部の人間種至高主義を掲げるプレイヤーは同様の反応を彼女に対して示しますので、関わり合いにならないのが吉。

 

 

 

【Q】

オーレリアちゃんってソロプレイヤー?

可愛いしマスコット枠でぜひ勧誘したいです。

 

【A】

彼女をリーダーとしたギルド『フライア・ユスティミル』が結成済みです。

勧誘等は個人の自由ですが、一度断られたら素直に諦めましょう。

 

 

 

【Q】

どっかで見たことある気がする……有名キャラのパクリ?

 

【A】

時折Wikiや掲示板で彼女と彼女のギルドメンバーのコスプレ装備画像がうpされることがあり、それが拡散されたものを見たことがあるのでしょう。

有志によってジャンル別に投下画像がまとめられたアーカイブがユグドラシルWikiからダウンロード可能。一番数が豊富なのは【ロリっ子メイドさん】シリーズ。

 

18禁に該当するものを時折野良掲示板で見かけることがありますが、ユグドラシル産ではなく100%彼女の画像を無断で加工したものなので注意。

キャッシュに画像が残っていると普通に逮捕事案になるので発見次第通報を推奨。

 

 

 

【Q】

オーレリアちゃんって普段どこにいるの?

 

【A】

現在はワールド:アルフヘイムの、主に人間種のプレイヤーが活動しやすい街や集落の周囲で確認されることが多いようです。

正確な活動拠点を知りたい場合はネット掲示板の情報をあたると良いでしょう。間違っても、生命探知系の情報収集魔法はNG。

 

 

 

【Q】

『フライア・ユスティミル』ってどんなギルド?

 

【A】

女の子オンリーのメンバーで構成されている、アイドルRPを行っている超少人数無課金ギルドです。

オーレリアちゃんの他に、彼女と常に一緒に行動する魔眼持ち(比喩表現)の白ドワーフ、夜間のみ(たまに休日も)合流するマーチャント(オカン属性・14歳)、別ギルドから合流したエルフの計4名が所属している模様。

 

 

【Q】

時々ライブしてるって本当?

 

【A】

本当です。

当初は規模的には和気藹々とした音楽会のようなものでしたが、徐々に観客数が増える傾向にあります。

積極的に本人から情報発信することもなく、気まぐれで催されるゲリラ的な催しが主流でしたが、最近はちゃんと告知もしてくれるようになったとか。

 

オーレリアちゃんがボーカル、ギルドメンバーの白ドワーフちゃんが楽曲を担当することが多いです。

あとたまにエルフの少女が、極々稀にマーチャントの少女が一緒に歌うことがあるようですが、人前で歌うのが苦手なのかマーチャントの女の子はプライベートなメンバーのみの場でしか確認されていません。

特段の配慮は無用とのことですが、気を利かせてメンバー水入らずの雰囲気を壊さないようしてあげたり、(どうしても聞いてみたいなら)隠密系スキルを使用して目立たない場所でこっそり聞きましょう。

感知系能力があるオーレリアちゃんだけにはバレますが、後でそっとしておいてくれたお礼を言いにきてくれます。

 

 

 

【Q】

でも……お下手なんでしょう?

 

【A】

ユグドラシルは歌唱専用の仮想環境ではない上、音声加工ツール等の使用は一切行われていません。それ前提での視聴をオススメします。

フリージャンルですが最新の曲は比較的披露することが少なく、逆に100年以上前のレトロな「元気になれる曲」(本人談)を好んで歌うようです。

ただし大人し目の曲調の方が視聴者の評判が良く、小型のリュートやウード、ハープを用いての弾き語りがアバターの雰囲気とマッチしているということで、都度ほっこりするプレイヤーが続出する。

 

 

 

【Q】

水牛兜を被っていただけで牛ちゃんって呼ばれた……他に豚とか鹿とか犬とか悪魔とか呼ばれてるPCも居る……ひどくない?

 

【A】

動物好きな彼女なりの、観客やファンに向けた愛称です。なのでむしろそこは喜ぶべき。

そんな装備付けてるくらいだし、貴方も好きなんでしょう?

 

 

 

【Q】

差し入れってOK?

 

【A】

リアルで相当食べ物に飢えているのか、美味しそうな料理アイテムをあげると非常に喜んでくれます。食べた(使用した)後の味気無さに(´・ω・`)ショボーンするまでがワンセット。

 

 

 

【Q】

イケナイ大人の知識を教え込んでハァハァしたいんですが、構いませんかねっ!

 

【A】

ギルドメンバーのエルフちゃんの怒りに触れて即PKされても良いならどうぞ。

 

 

 

【Q】

一度で良いのでオーレリアちゃんとPvPしてみたいです。

 

【A】

彼女は特にPvPを毛嫌いしているわけではないようなので、手合わせしてみたいと思ったのならば対戦を申し込んで、挑戦してみるのも良いでしょう。

入念にシチュエーションを設定したRPの一環であれば非常に喜ばれます。お礼の品を包むなどアフターフォローはこれでもかというくらいしっかりとしましょう。

あと彼女の機嫌次第では、『強制隷属シリーズ』や『敗北の姫騎士シリーズ』を装備してくっころな演技をやってくれることもありますが、あくまでやってくれたらラッキー程度に考えること。無理に迫ってBANされても知らない。

 

 

 

【Q】

オーレリアちゃんって強いの?

 

【A】

本人のレベルに対し戦闘職の育成度合いが通常のプレイヤーより明らかに低いので、同レベル帯の他プレイヤーと比較して強い方がおかしいと考えてください。つまり弱い。

グラスランナーの種族特性(?)により、魔法攻撃はかなり威力が減衰されます。また非常に素早い代わりにキャラの防御性能が低く打たれ弱いようなので、一度でも当てられたら以降「ずっと俺のターン!」状態に入れるとの報告あり。

ただその場合、常に一緒に行動しているPTメンバーの白ドワーフちゃんのヘイトが爆発して装備品の耐久値を根こそぎ持っていかれるので注意。

 

 

 

【Q】

リア焼きって?

 

【A】

ひたすらオーレリアちゃん(とそのお仲間)をPKすること。主に人間種の殺傷ポイントや稼いだりPvP成績をあげるためにいともたやすく行われるえげつない行為。

非課金、弱い、日中はほぼ常時ログイン、活動場所へのアクセスが楽、本人が殺され慣れしている、悲鳴が心地よい……等の独りよがりな理由で、ここ最近横行している。

ユグドラシルのプレイ方針は個人の自由なので、こういった安易な実績稼ぎ行為が流行るのもある意味当然なのだが、当然のことながらモラル的に全く褒められた行為ではない。

見かねて助っ人に入った他プレイヤーとの戦闘になることもある。完全に自己責任。

 

 

 

 

 § § § § §

 

 

 

 

《ギルド:『フライア・ユスティミル』スレPart128》

 

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

ほーれ皆の衆餌だぞー

たくさん食べて大きくなれよー

 

>>upo2.org/uploadsp/upupver/1919003x.ziprar

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ぶひいいいいいいい!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ぶふぉ!ふひゅるるるるるる!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ありがたやーありがたやー

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

これでまた半年はリアルで戦える

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

しかし毎度のことながら何処で入荷してるんですかねぇ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

して、今日のラインナップは ↓

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

解凍した

ロリメイドものの新作その他だった

傅いてあーんしてくれてるリアちゃんのショットが尊過ぎる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

やったぜ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

またWikiのリアちゃんメイドの項目が充実してしまうのか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

またメイド服か……別のが良かったな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あ゛?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なんでや!

メイド服の何処が気に入らんのや

めっちゃクオリティ高いし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いや、流石にこのジャンルだけ多過ぎって話

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

この衣装をリアちゃんに着せてる奴の性癖以外の何ものでもねーよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

嫌なら自前で装備用意して貢げ

俺はモコモコの寒冷地衣装を捧げてスクショ撮らせてもらったぞ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あれお前の仕業かよ

 

 

よくやった

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

新たな神がまた一柱……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

世界で一番神が量産されるスレ定期

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺ソロで微課金の純戦闘職だからファッション装備とか無理

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なら出しゃばらずにすっこんでろ無能

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

己が畜生以下のナマモノであることすら理解出来んとは愚かな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

家畜に神はいない

 

違った

家畜より劣る生き物に神という概念自体不要

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そこまでいわんでもよくね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

声だけ大きい乞食は黙ってろ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

新参はただでリアちゃん達の御姿を拝見できることがどれだけ尊いことなのか理解できんのか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

基本そういう目的でプレイするゲームじゃないしな

 

リアちゃんとギルメンがレアキャラなだけ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

せやな

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

安心せよ

今日のおまけで田舎の畜産娘風衣装を数枚混ぜておいた

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いるじゃん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いたな

家畜の神

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そういえば、皆最初は豚だったわ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

豚に甘すぎ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ありがとう……ありがとう……

俺強くなって、ケモミミ巫女さん風の衣装作ってくれる人探してみせるよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

頑張れ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あの子達の画像が出回るようになってから生産職鍛えるプレイヤー増えたよね?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

レンタル鍛冶施設とか少し人が戻った

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

最近ガラガラだったしな

理由はどうあれ活気が戻るのはええこっちゃ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

生産職メインのプレイヤーだけど

喜んでるのと迷惑がってるのと両方おるで

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

え、なんでよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あの子らのお陰でファッション性重視の装備品作れる生産職の地位が上がったからな

逆に実用性だけの装備しか作らん奴らにしてみれば面白くないしチャラチャラしてるってんで気に食わんのや

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

勿体無い

素直に楽しめばいいのに

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そういうなや

俺のほうが良い物作ってるのにって感情はわからんでもないしな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

他にも

 

・中途半端な出来の装備品が氾濫

・可愛い装備品作る=貢ぎ用アイテムと思われる

・素材の供給が追いついてない

 

とかいろいろ理由ある

全部ホントのことだけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あー……そらそうか

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

各自自重しろでFA

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

仮想世界経済を混乱に陥れるギルド(全4人)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

むしろそこは鈍化した経済を回していると表現すべき

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

本人達絶対その気ないよね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あったら空恐ろしいわ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ギルメン全員固定ファンおるよな

最大派閥はやっぱリアちゃん?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

・一番積極的にライブに出てる

・サービス精神旺盛

・Wiki掲載の画像数最多

・アバター可愛い

・声もかわいい

・グラスランナー(♀)

・ドリームプレイヤー

・無課金の星

・異形種プレイヤーにも分け隔てなく接する

・ロリコンホイホイ

・RP大好き

・PK出来る

・貧弱

・見抜きOK

 

これで一番人気じゃない方がおかしい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なんかいくつかおかしいのがあるんですが……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺っ娘忘れとるで

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

スマンな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あれ演技ちゃう?

この前幼女口調で喋っとったし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

へー、お嬢様RPメインだと思ってたわ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

普段俺っ娘やで

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

どれでも良い

なんでもイケる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあリアちゃんがワントップなのは間違いない

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

嘘こけや

ロリコンじゃなければあけみちゃんが一等賞なのは確定的に明らか

非公式人気投票見てないんか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

フーン

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いくらロリコンでも小さすぎてリアちゃんは選ばん

故にあけみちゃんがナンバーワン

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そうは言うても人気は団子状態じゃね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

露出多いという意味ではリアちゃんとノノカちゃんなんだけどな

リアちゃんと一緒に平日昼間でもプレイしてるし

 

目が死んでるけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ノノカちゃん歌もリアちゃんと遜色ない位上手いしな

 

目が死んでるけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それ以上に演奏スキルの熟練度がずば抜けてる

この前一人バックバンドしてたし

 

目が死んでるけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

現実ではありえん自作楽器使うとはいえフルオーケストラをソロで奏でる童女やで

そのくらい余裕よ

 

目が死んでるけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

お前ら……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ノノカちゃんの目が死んでるネタはもうヤメロ定期

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

そこはほら

愛されてる証拠ということで

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うーん俺はやっぱりド安定のあけみちゃん推しですハイ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

分かる

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

貧乳エルフ……良いよね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

良い……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

四人の中で一番強いんだっけ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

元々戦上手で評判良かったってのはある

今のギルド入ってから弱くなったらしいけどとりまレベルは一番高いな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それがまたなんでアイドルギルドに?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

知らん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

方向性の違いで前のギルド抜けたとは聞いたことあるな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

何そのバンドグループの崩壊話みたいな理由

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

最近評判悪いしな

あけみちゃんの古巣

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

元々200人以上ギルメン居たのに今100人切ってる

古参優先して装備充実させたり無茶なノルマギルメンに課してるらしいから当然

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ヒェ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

申し訳ないが、仮想世界にいてまでブラック勤めはNG

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあ抜けて正解やと思うわ

間違っても本人にその辺の事情訊くなよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

わーっとるわ

そんくらいのデリカシー豚でも持ってる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ぼくはステラちゃんが一番可愛いと思います!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

これまた茨の道を……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあ露出少なめやけど画像は多少出回ってるし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

滅多にあることじゃないけど歌唄ってることもあることはある

 

ただ他の面子と違って常に哀愁纏ってるからな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

手前アイドル育成ゲームで事務員ルート探して無かったら低評価にするタイプやろ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

せやで

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

何気に結構胸あるよね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

4人で一番でかい

あれは揉める

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

オカン属性もちにはたまらん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

マザコンロリコンシスコンの需要を一度に満たしてくれる貴重な娘やで

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そこまで業が深い強者はそうそうおらんけどな

 

■xxx 仮面の赤ゴーレムマスター 213X/XX/XX ID:***

認めたくないものなのだな

自分自身の若さ故の過ちというものを

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いたぁー!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

大尉、お勤めご苦労さまです

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ス○トロ大尉、成仏してください

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

誰だコイツ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

性癖オープンにし過ぎてトップギルドから追放された変態

 

■xxx 仮面の赤ゴーレムマスター 213X/XX/XX ID:***

今の自分は彼ではないのだがね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

こいつみたいにはなりたくない

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

こんなんがワールド職業持ちだなんて世も末

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なぜこいつが一度もBANされないのか……コレガワカラナイ

 

■xxx 仮面の赤ゴーレムマスター 213X/XX/XX ID:***

世間は非情さ

そのくらいのことは考えてある

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺の人生には不要な処世術だな

 

 

 

 

 

 § § § § §

 

 

 

 

 

≪ユグドラシル公式イベント:【リターン・ザ・ピリオド】スレ Part1≫

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

とりあえずお知らせがあったからスレ立て

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

今日のMob狩りはキャンセルかな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

何このイベント

ログインしたら普通に始まってるし

予告あったっけ?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

無い、正真正銘の緊急イベント

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うっそだろお前

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ちょっと待って

公式サイトの情報がクッソ長いストーリーしかないやん

 

 

 

しかも第一章だけ

なんぞこれぇ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

誰か読んだヤツいたら三行にまとめて

 

とてもじゃないけど読んでられん

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

 

俺は読んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして泣いた

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

概要おせーて

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

暇なロリコンとフェミニストなら読むべき

 

ていうかネタバレされる前に読んどけ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ちょっと読んでくる

どこで何すればいいんかわからんと動きようが無いし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ヒドス

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ざっとまとめると

 

グラスランナーの女の子が故郷を攻め滅ぼされ奴隷落ち

似たような境遇のおにゃの子達と和気藹々に冒険

ところが散々酷い目に遭って追い詰められた所で黒幕っぽい何かに唆されて全員闇堕ち

 

次回に続く

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

有能

褒めてつかわす

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

無能

 

まとめ方が雑過ぎる

ちゃんと読まんと感情移入できんぞ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

時間の無駄なので読まんでいい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

これ主役リアちゃんじゃんか

 

俺得

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

mjd

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

誰……と思ったけど

ああ、あのいつも死んでるグラスランナーの子か

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ひでぇ覚え方だな

 

あってるけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

イベント作成アイテムでも手に入れたか

頑張ってシナリオ書いたんやろうけどお子ちゃまクオリティだし出来はお察しかな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

彼女と彼女の愉快な仲間たちの今後の活躍に――ご期待ください!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

始まったばかりや終わらすな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

キーアイテム収集か

それともレイドボス討伐か

 

どんなやろなぁ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あの子が本来この世界でやりたかった冒険がようやく……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ヤメロ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

やめーや

 

俺の胃にこれ以上穴空けんじゃねぇ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあ報酬次第ならやらんこともない

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

詳細わかるのに

まーだ時間かかりそうですかね~?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

 ク ソ イ ベ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

何があったし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

WE少女×4「お邪魔するわよ~?」

拠点俺「」

 

以降、デッドループ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まるで意味がわからんぞ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いや、まんまなんだが

 

自室でアイテム整理してたらいきなりワールドエネミーの女子4人転移してくる

「貴様の罪を数えろ」

死ぬ⇔蘇生

 

ちなみにその場復活でデスペナ軽減無しな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ファッ!?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

わざわざ生き返らせてくるのか……(困惑)

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

底知れない怒りを感じる……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

不法侵入ですよ不法侵入!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

スクショは

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

無い

んな余裕無い

 

ただそのうち二人のロリが誰かは分かる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

リアちゃんとノノカちゃんですね分かります

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

残り二人は……まあ言うまでもねーな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

えっなにそれは…(ドン引き)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

女の子4人に嬲り殺しにされるとか……

恥ずかしくないのかよ?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

気合で勝てや

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

無理ダルルオォ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

WE4体に囲まれて勝てるわけがないんだよなぁ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

初っ端に食らったハンマー一発で攻撃受けた装備の耐久値全部もってかれたから注意しろよお前ら

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ますます無理ゲー

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

どうやって対抗しろと

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあ逃げるしかないわな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

逃げられるものならね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

逃げようとしたら身体が何故か動かんくなった

視線だけ動かすとニコニコ笑ってるエルフちゃんがごめんねポーズ

「残念ワールドエネミーからは逃げられないよ!」とか可愛くぬかしおる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

大魔王様かな?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

拘束完全耐性もちゃんとついてたはずなのに……

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

WE相手は流石に無意味

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

転移して逃げられんかったん?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

アカンかった

 

虎の子の課金アイテムで逃げようとしたら起動出来なかった

 

そもそも自動復活の指輪装備してたのに最後まで消えずに残ってた時点でおかしかった

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

WE「課金アイテムなぞ使ってんじゃねえ!」

 

やさしい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そんな感じ

なんか悪いことしたガキを叱りつけるみたいな感じのこと言われた

無駄遣いすんなこの馬鹿って感じで

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あ、俺誰か分かったゾ

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

俺も

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

私も

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

オカンなにやってんの

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あ、課金装備のドロップも何故かしなかったからそこだけは安心していいぞ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ああ、うん……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

懐に優しいイベントWEの鑑

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

しかし一番おっぱい大きい子はドロップしたアイテム全部その場で金塊とか金貨に変えてぶっ放して殺しに来る罠

故に課金装備以外は全ロスト

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ちっとも優しくなかった……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そこまでされるならログアウトすれば良かったのに

イベント終わるまで別ゲーでもやってろ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

したよ当然

 

そしたらログアウト処理が中断

幼女の御手々が俺の頭を鷲掴み

「そんなに急いでるなら、一回で終わらせたげるよ! 感謝してね!」

頭パーン

「 さ よ う な ら 」

ログアウト

Lv:-255 カルマ:-5392

イマココ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

おめでとう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おめでとう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おめで……とう?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

どうしよう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

良かったな! これまでガチャに使ったお金は無駄じゃないぞ!

頑張ってレベリングしてね!

 

 

 

 

 

 

 

鬼かな?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

課金アイテムだけ残すのがまた意地が悪い

新しいアバター作るにしても勿体無い精神が邪魔をする

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

逃れられぬカルマ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ギルメンに事情を説明してPLしてもらわんと……

でもこれ+になるのいつになるん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

知るか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

お前ら明日は我が身なんだぞ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

廃課金の俺

低みの見物

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

条件を探せ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あんさん何やらかしたん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

心当たりはねーの?

普段見かけないNPCとかアイテムとか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

無い

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そんなん対策のしようがあらへん……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺くじ運悪いから明日には来そう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

お前ら騙されんな心当たり無いとかぜってー嘘だぞ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

コマ?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なんか知っとるん?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

似たような状態なのがうちのギルメンにいる

今他の面子にヘラヘラしながらレベリング頼んでる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

普段どんな奴?

カルマ値は?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

カルマはプラスでPvPの成績がギルドでも上位だけど見せかけだけのクズ

暇になったときにちまちまリアちゃん焼きに行ってキルポイント稼ぎしてるのは知ってる奴は知ってる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

あっ(察し)

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

ギルティ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

氏ね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

クビだクビだクビだ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ケッ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なんてことを…(憤怒)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

リョナ野郎じゃん殺せ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

終わり!閉廷!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

とどのつまり個人的な復讐イベントか

 

放置安定

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

とりあえずリーダーにウィスしてチクっておく

 

仮にも傭兵ギルドなのにこんな恥晒し置いておけるか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

残当

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

恥知らずなのは間違いないな

俺だったら恥ずかしくて黙ってキャラデリしてる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

これまでリアちゃんをオモチャにしてきた連中ガクブル

 

え、それだけ?

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

今の所はね

 

でもサービス精神旺盛な子だし、それだけじゃ終わらんと思う

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

情報集まるまでは様子見ですな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

じゃあ安心してMob狩り逝ってくる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

イテラー

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ギルメン皆でレイドボス殴ってたら幼女に横から掻っ攫われた上にレベルがマイナスになるまでサンドバッグにされた

 

 

なにあれ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ギルメン皆で幼女をいじめた

 

具体的にはリアちゃんバーベキューして美味しく頂いた

 

 

ギルティ?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なんのこったよ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

答えはYESってことやな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

被害者その3

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

加害者の間違いじゃね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そんなにレベル下がってないから大した悪じゃなさそう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

しょーもないことしたんやろうな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いや、俺リア焼きなんてしたことねーんだが

 

異形種のキルポイント狙いでソロプレイヤー囲んでリンチすることはよくあるけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ああ、そういう……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

察しろや

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

リアちゃん……

 

これまで食い物にされてきた弱者の怨念背負ってるんか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おまけに拠点にリスポーンしたら当たり前のようにWE少女四人が待ってた恐怖

 

そのまま乱戦になるも一方的に蹂躙される俺ら

 

奮闘虚しく幼女のハンマーで木っ端微塵に粉砕されるギルド武器

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

今日から俺ら100人は宿無しです……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ざまあwww

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ギルド単位で外道プレイするとそうなるんか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

拠点のNPCが野良になっててパニック

どう収拾つければいいんですかね……

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

可愛い子いるなら貰ってあげる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

来んな絶対来んな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

リアちゃんのこと本気で怒らせちゃったね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

これから何が始まるんです?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

大惨事世界大戦だ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

DQNギルド解体ショーの始まりや

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

今度こそアインズ・ウール・ゴウンの崩壊かな?

 

ナザリックがぶっ潰れる時を期待して寝るわ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺リア焼き経験者

 

イベント終わるまでログインしないことを決意

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うわぁ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

禊だと思っておとなしく粛清されとけや見苦しい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それで逃れられるもんだとも思えんがな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おい

 

なんか超位魔法発動時に変な呪文音読しろって表示されるんだが

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

えっ

 

 

 

 

 

 

 

≪ユグドラシル公式イベント:【リターン・ザ・ピリオド】スレ Part5≫

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺異形種

 

ソロで採取を兼ねたレベリングしてるところを人間種PTに見つかって袋叩き

 

抵抗虚しくさんざんおしゃぶりされた挙げ句の1デッド

 

俺の死体にお座りする臭そうなケツの野郎共

 

はークソゲーしょーもなとリスポン準備に入る俺

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

異形種ぼっちの日常

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まあいつものこと

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

そこでWE幼女に助けられたわけですね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おう、周囲一帯更地にしてな

ちゃんとデスペナ無しで蘇生してくれたし

 

あとこっちが何も言わないのに「誰かが困っていたら――助けるのは当たり前!」って可愛いポーズとってた

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

なんか聞き覚えのあるシチュ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

しかし去り際に

 

「でも自衛のためにソロプレイはやめてちゃんとギルドに入るか作ったほうが良いよ」

 

と真っ当なこと言われて俺氏涙目

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

wwww

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

他のPCとかNPC盾にしたらまとめて両断してくるってマジ?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

マジ

「その小悪党っぷり、実に良いですねー」とか言いながら家畜以下のゴミを見る目で叩き斬ってくる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

正直興奮する

 

幼女の蔑むような視線とかご褒美や

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

御御足でふみふみしてくれたら言うことはない

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

   (´・ω・`)

 /     `ヽ. ロリコンのドMに効くお薬

_/  ┃)) __i |  増やしておきますねー

ヽ,,⌒)___(,,ノ\

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

盾にされた方のHPは1も減ってなかったからタゲ指定スキルってのは分かるんだが

初めて見たなあれ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

謎スキルどころか使う武器と戦法に節操がなさ過ぎる

 

ショットガン接射してくるわ体術で空に誘拐されるわ地上じゃ振れない特大剣で滅多斬りにしてくるわやりたい放題 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

えぇ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

虫素材っぽい短剣しか使ってるの見たことなかったのに

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

普段姫プレイで使えもせん武器貰ってしこたま溜め込んどるからなぁ……

メインとサブの武器枠に入れられるだけ入れて使い勝手試してるんやろ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺の時はアンカー付きのチェーン(?)やら鞭やら投げナイフやら火炎放射器やらだった

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

よっぽど近寄りたくなかったんだろうな

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

異形種にも優しいリアちゃんが近寄りたくないって相当だぞ

最後に消毒されてるし汚物系か?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

(クソPKの上に汚物とか)

もうどうしようもねぇな……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

汚物系ではありません

 

胞子ムンムンのじょうじ系であります

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うぎゃー!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

マグマダイブして蒸発して、どうぞ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

すみません

でも女の子がキャーキャー叫びながら逃げ出すのを見るのが快感で止められなくて

そして最後に追い詰めたときに漂う絶望感がこれがまた病みつきになれること請け合いなんです

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

だとしてももっとまともな種族選べや変態

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おい、公式サイトの情報更新されてんぞ

色々開放されとる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

長い一週間だった……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

終始傍観してるだけでメシウマな週だったわ

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

大分粛清も落ち着いたかな?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ギルド崩壊のお知らせは聞かなくなったけど

狩り尽くしたんか

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それなりに規模が大きいとこだと5つは逝ったかな? 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

トータルギルド数のグラフの落差から見て小さいところも結構叩き潰されてるっぽいな

そんだけ初心者狩りやっとった輩が潜んでたってことなんだろうけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺のところのギルメンみんな戦々恐々してたけど幼女は来なかった

PKギルドでも問答無用で潰されるわけじゃないんだな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

やり方が悪辣なところだけらしい

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

女の子の形をした理不尽の権化が無双し続けた日々だった

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

街中でも平然と襲いかかってくるしな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

タスケテ……タスケテ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

どしたん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

イベントの追加ページ読んだらニヤケが止まらんくてしょうがない

あと体中が痛い……痛くないけど痛い……

そして無性に恥ずかしくてたまらん

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

お前精神状態おかしいよ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

アレみたら誰だってそうなるから……

 

そうならないのは病気持ちだけだから……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

分かる

 

俺の場合腹筋がねじ切れそうなってるけどなんとか堪えてる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

読むの怖いんだが……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ストーリーの続き

 

・闇堕ちするかに思われたその寸前で女の子皆が特別な出自であることを都合よく思い出す(異世界出身だったり、前世の記憶持ちだったり)

 

・さらに古代の女神の転生体だか前振りが一切ない適当な理由で秘めた力を使えることも発覚

 

・自分たちに集まっていた怨念を愛の力(?)で取り込んでWE化

 

・そして世界が全力でSOSを発信しているという謎電波を受信

 

・あんな糞虫(公式キャンペーンのラスボスのことと思われ)程度に滅ぼされかける世界とその住人があまりにも不甲斐ないので自分たちが支配して救済してやる宣言

 

・手始めにしょーもないことで私欲を満たしていた奴らを粛清した

 

・この世界が大事なら自分たちの軍門に下れ云々

 

・それ以外の奴らは叩き潰すからかかってこい、適当に世界制覇のワールド・ツアーしてるからライブ中は邪魔すんなよ

 

 

 尚、プレイヤーは強制的に敵対ルートの模様

 もうめちゃくちゃ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

wwwww

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

おかしい……

どうしてこうなった……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

見てきた

 

 

「※ユーザー寄稿文をそのまま掲載しています。」

 

 

全力で予防線を張るクソ運営であった

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

鬼ww

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

クッソこんなのでwwwww

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

読んだら吹いた

合成緑茶返せ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ほっこりした

かわいいなぁ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

痛みに耐えて設定とかなんとか纏めてみた

掲示板の外聞も混ぜてある

まず全員に共通してるやつから

 

 

・WE属性は当然

・古の女神の映し身とかそんなん

・何らかの属性を司る(全員闇属性は標準装備)

・ついでに一切減衰出来ない万能属性も

・魔獣霊獣聖獣の使い魔がいる

・妖精っぽい使い魔もいる

・現在は消えてしまった4つの月が象徴

・とにかく不老不死かそれに近い能力持ち

・ふがいないとか言ってる癖に人間の楽しみや堕落っぷりは好き

・死ぬと世界が崩壊する

・胸に宝石か何かがくっついている、尚弱点ではない

・額と手の甲に紋様が描かれている

・背中に翼がはえる

・そして最終的に魔神化

・何かと魔法陣が展開される

・音楽系スキルは標準装備

・4人揃えば究極の合体スキルが発動できる

・容姿が完璧(誰基準かは不明)

・多分全員ガチ百合

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

リアちゃん

 

・異世界から落ち延びてきたオンリーワン種族

・遊興と娯楽を司る

・魔力の乏しい世界から来たので魔力が関わる攻撃には無敵(!?)

・周囲に魔法無効化空間を展開できる

・相手の強化状態を問答無用で解除できる

・ただし超位魔法は普通に食らう

・魔法は使えないが、代わりに高位の自然エネルギーを使う

・全種武器使用可

・歌と踊りに強力なバフ効果

・お年頃に扱われたいお姫様

・動物や虫に好かれる

・好奇心に逆らえない

・感情を偽らない

・前世では愛の力で世界征服を達成

・使い魔は狼

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ノノカちゃん

 

・どっかの悪魔召喚儀式で間違って呼び出されたオンリーワン種族

・破壊と創造を司る

・邪眼使い(普段死んだ目だったのはそのせい)

・しかし眼帯はしない

・強化に強化を重ね、敵の血を吸い続けた愛用ハンマーが超世界級に進化

・終末を呼ぶラッパを何故か持っている

・つか持ってる楽器がいちいち物騒

・鍛冶、工作技術も完璧

・リアちゃんとは前世からの従属関係にしてそれ以上

・従ってリアちゃんが死ぬと同時に死ぬ

・使い魔は兎

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

アケミちゃん

 

・世界に一体ずつしかいない超レア種のエルフ

・自然の調和と秩序を司る

・属性、精霊魔法は完璧習得

・魔導の知識と技術に精通

・魔法剣士

・魔剣士

・糸、布使い

・ロリ化できる

・リアちゃんラブ

・使い魔は鳥

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ステラちゃん

 

・絶滅寸前の希少種族

・欲望や営為を司る

・とりあえずアルビノ

・とりあえず美少女

・とりあえず魔力限界突破

・とりあえず全魔法習得

・とりあえず全属性耐性

・とりあえず全種族召喚

・とりあえず黄金率

・とりあえず超天才

・とりあえず無敵

・とりあえず料理が超うまい

・唯一前世の記憶がある

・逆十字架を背負う

・カッコいいポーズ

・謎オーラを纏っている

・予言が100%的中

・過去視、未来視、霊視が出来る

・「凶星」の称号を持つ

・運命を司る黒衣の死神(自称)

・時間、重力使い

・完全記憶能力持ち

・学問と商売に長ける

・古代遺産に一人だけアクセス出来る

・他者の精神干渉を一切受けない

・自爆機能付き

・使い魔は猫

・使い魔その2は竜

 

 

他にも色々あるけどもう無理

チカレタ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ぜったいつよい(小並感)

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

いたたたたた

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

痛い痛い痛いぃぃぃ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

もういい……! もう……休めっ……!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

うわあああああああ

やめてええええええええええ

いやああああああああああああああ

ばかああああああああああああああああああ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

日本最大規模のDMMOを私物化すんなwwwww

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

「※尚、これらの内容には当方の力不足により、システムに反映出来なかったものが多数含まれています。このような結果になり、心より彼女たちにお詫び申し上げます」

 

 

運営敗北宣言www

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

女の子のお願いすら満足に叶えられないとかやっぱクソ運営だな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

いやー流石にこれは無理っしょ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

 

「ワールドエネミー討伐までの間、ユグドラシル全体で死亡時のペナルティが全て無効化されています。心ゆくまで彼女たちの世界をお楽しみください」

 

 

あれ、運営久々に神じゃねこれ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ヤッタネ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

しばらくWE放置しようぜ

 

ギルドの皆集めてちょっと行き詰まってた最高難易度ダンジョン攻略してくるから

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺も俺も

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

どうせそこまでやるからにはすんなり攻略は出来んやろ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

さーてどれが実現したのかなー(白目)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

モウマジ無理……ふて寝しよ……

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

報酬欲しいから真面目に考えるけど

 

 

魔法系はいくら集まってもリアちゃんに絶対勝てないのはなんとなく分かる

 

武器持ちはまともにノノカちゃんの相手できんのも

 

アケミちゃんは普通に強そう

 

ステラちゃんはあまりにも鉄壁過ぎて実は大したことなさそう

 

 

よって狙い目はステラちゃん

 

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ほう

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

とりあえず強行偵察して情報収集からかな

デスペナ無しってことはそういうことだろうし

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それ終わったら攻略プラン組もうぜ

種族関係なく戦える奴で一度にかからんと絶対泥沼になると思う

WEとか普通に戦ってもキツイのに

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

多種族連合軍か

まあ文句言う奴は軒並みレベルマイナスになってるしな

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

胸が熱くなるな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

まず課金要素封印してくる原因から突き止めてくんろ

オラの最強の拳が完封されて存在意義が無くなるのはめぇった

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

多分何か条件満たしたら弱体化するからそれ次第じゃね

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それか封印スキル使ってそうなのを真っ先に潰すか

まあ設定盛ってるステラちゃんだな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それより超位魔法使うときにくっそ恥ずかしい音声認識強制されるのなんとかしてくれ

なんで使う度に一々死ぬほど恥かかなくちゃならんのだ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

それは放置で良くね?

どうせ詠唱時間長いんだし

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

誰も表面上は気にしてないから安心しろ

内心は腹抱えて笑ってるけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

位階魔法はいつもと変わらんしな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺のストレスがマッハなんだよ!

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

……で、この「わたしがかんがえたさいきょうのワールドエネミー」設定考えた子誰だと思う?

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

俺はステラちゃんだと思う

 

■xxx 爆撃王ペロリシャス 213X/XX/XX ID:prrnt1n0

だな

他に比べて一人だけガチ過ぎる

 

リアちゃんも設定多いけど無意味なのと適当なのがあるからそこまでじゃない(感覚麻痺)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

他の面子も大概なんだけどな

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

ずっとオカン系だと思ってたのに不意打ち過ぎる

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

大丈夫かな

将来これ思い返して自殺したりしないといいけど

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

手遅れ

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

カスが効かねぇんだよ(無敵少女)

 

■xxx 名無しの探索者 213X/XX/XX ID:***

一生ネットの宝物

 

 

 

 

 

 




▼ あとがき

・(約一名を除き)楽しかった

・ステラちゃんはイベント期間中ほぼbotにお任せしてログインしていなかった模様

・自分の想像力ではこれが限界だけど実際にはまだやらかしてる。これ以上の描写はユルシテ……

・コテハンはロリコンしか出してないけどナザリックメンバーのレスもありますあります。

・実際にはそこそこのWEレベルに留まるくらい。ただ4体というのが攻略のネック。

・書き忘れたけど他所の拠点でのデスペナはそのまま。

・ここまで無茶を許してくれるネトゲなんてもう末期に違いない。


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