アインズ様がシモベ達とイチャイチャする話。 (らるらるはまて)
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ナーベラルと一緒にお風呂に入る話。

ナーベラルってなんであんなに可愛いんでしょうか。
私も異世界転生したいです。精神鎮静化はぺかーって音でやってます。アニメみたいな感じを想像してくれればオッケーです。
稚拙な文章ですが、それでもよければお楽しみください。


「ナーベラル、一緒にお風呂に入ろう。」

 

「畏まりました。アインズ様。」

 

 

ナザリック地下大墳墓の絶対なる主人であるアインズ・ウール・ゴウンはナーベラルとアダマンタイト級冒険者「漆黒」として共に活動しているうちにふつふつと浮き上がってきた疑問を抑えきれずにいた。

 

ナーベラルが人間たちの間で「美姫」と呼ばれている理由はひとえにこの美しく整った顔が原因である。

だがそれは擬態であり、ナーベラルの種族はドッペルゲンガー、即ち本当の顔はパンドラズアクターのような卵顔のはずである。

 

 

……では服の下はどうなっているのか?

人間種に見せかけるためだけなら体まで擬態する必要はないはずだ。

服の上から見る体つきは完全に女性のそれであるが、実は胴体部分はパンドラズアクターのような感じなのだろうか。

それがずっと気になっていた。

服の下がどうなっているのかなどとは製作者である弐式炎雷さえ知らないだろう。

そもそもユグドラシルでは18禁に該当する行為は禁止されていたため、確認するすべがなかったとも言えるが。

 

だがこの異世界はユグドラシルとは違う。

 

確認しただけでもフレンドリーファイアは有効であるし、嗅覚も存在する。

当時は垢BAN必至であった18禁に触れる行為でさえ可能なのはアルベドで確認済みだ。

 

じゃあどうなっているのか見てみれば良いじゃないか、ということで今回の提案をしたのだがーー

 

「…え!?良いのか!?」

 

ーーまさかこんなにすんなりと受け入れられるとは思ってもいなかった。

 

アインズだって何も考えなしにこの提案をした訳ではない。

 

これを提案するにあたって、アルベドとシャルティアに気づかれない様に2人には大事な仕事を押し付けているし、もしナーベラルに断られた場合は絶対に情報を漏洩させないために記憶操作を合意の上で行うつもりでもあった。

 

ーーしかしこんなに簡単に行くとは。拍子抜けである。

 

(え!?何の疑いも無くこの提案に乗るのか!?もしかして俺って普段からシモベたちにセクハラ大好きな上司だとでも思われているのか!?)

 

 

「…あー、ナーベラル?」

 

「何でございましょう。アインズ様。」

 

「なぜこの提案を受け入れる?」

 

「……?何故、とは?」

 

「いや、何というかその……嫌じゃないのか?いくら骸骨とはいえ男と風呂に入るのは…」

 

「嫌などと!!その様なことがあるはずはございません!!!アインズ様の深遠なるお考え…ナザリック一の智謀の持ち主のデミウルゴス様でさえその末端しか理解する事が出来ないのですから、私ごときでは感じ取ることも叶いません。ですが、アインズ様の言動、行動…全てにおいて意味があるものと確信しています!ならば我々シモベはそれに従うのみでございます!!」

 

(わーお、びっくりするくらい俺に都合のいい解釈だぁーー!)

 

「……ふっ。その通りだナーベラルよ。故に今回のことは他のものには秘密にしておいて欲しいのだ。」

 

「それは何故でしょうか?今後の計画に関わってくる様なものであれば、デミウルゴス様などには報告した方が良いのでは?」

 

「ち、違う!違うともナーベラルよ。今回の件は単に私の知的好奇心を満たす為のものに過ぎない。故に他の者への連絡は不要だ。」

 

「なるほど…畏まりました。」

 

(ふぅ〜危なかった…!絶対にこのことは知られてはならないぞアインズ・ウール・ゴウン!俺の沽券とナーベラルの命のためにも!)

 

「うむ。では行こうか。」

 

「はっ!」

 

 

 

 

ー脱衣所にてー

 

 

 

(ドキドキ)

 

「…アインズ様、どうされましたか?」

 

「い、いや何でもないぞナーベラル!さ、さあ服を脱ごうか!」

 

「畏まりました、では僭越ながら私がアインズ様の脱衣をお手伝いさせていただこうと思います。」

 

「いや!大丈夫だ!服くらいは自分で脱ぐ!気を使ってくれるな、ナーベラル。」

 

「畏まりました。では私も着替えさせていただきます。」

 

(あっ)

 

ナーベラルがシャツを脱ぐと現れたのは黒の下着に包まれた形のいい柔らかな双丘。

つい胸に視線がいってしまう。大きな渦巻きの中心につい目がいってしまうのと同じように。

アルベドやユリと比べるわけではないが、それでも他の姉妹と比べると少しだけ慎ましやかなその胸はアインズの精神を鎮静化させる理由としては十分であった。

 

「………(ぺかーっ)」

 

ナーベラルがスカートに手をかけ、見惚れる様な動作でそれを腰から足首まで降ろす。

 

(これは、想像以上だ…。)

 

アンデッドのアインズでさえこの様子なのだから人間種だったら耐えきれなかっただろう。

 

(よかった…!アバターが異業種で、ナニが無くなっていて本当によかった…!!)

 

「…アインズ様。そんなにまじまじと見つめられると流石に恥ずかしいのですが…。」

 

「っ!すまない!あまりの美しさについ…。悪気はない。許せ。」

 

「う、美し…!?……いえ申し訳ありません。」

 

「では私は先に入っているから、ナーベラルも着替えが終わったら来るように。」

 

「畏まりました。」

 

 

ー浴場にてー

 

(ぺかーっ)

 

(ナーベラルの着替え…想像以上の破壊力だった…!これがギャップ萌えというやつなのか!?普段はツンツンしているから意識していなかったが、こんなことになってナーベラルが女の子であることを再認識することになるとは…。だからだろうか。こんなにも興奮しているのは。貴方が言っていたこと今ならわかる気がしますよ、タブラさん…。)

 

「お待たせして申し訳ありません、アインズ様」

 

「ああ、構わない、ぞーー?」

 

美しい肢体、陶磁器の様な白い肌にタオルを一枚だけ巻きつけ、漆黒の豊かな毛髪はお団子状に纏められている。

一言で言うならくびれる所とふくらむ所がはっきりとした体つきであった。

首筋から肩の方へなだれ落ちた線は、豊かに丸く折れて流れた末に、五本の指へと分かれ出る。

みずみずしい健康な体の全体に表れてるふっくらとしたやわらかみ。

 

「あの、アインズ様?」

 

あまりにも扇情的だった。

そしてーー余りにも芸術的だった。

 

だからだろうか。

 

「ああ、本当にーー美しい。」

 

こんな言葉が自然と口から紡がれるのは。

 

「っ!あ、アインズ様…!?その様なお戯れを…」

 

「ふざけてなどいないさ、ナーベラル。

今夜のお前は本当に美しい。美姫と呼ばれるのも納得だ。今改めて認識したよ。人間どもが私に因縁を吹っかけてくるのも道理だ。こんなにも美しい共がいるのだからな。」

 

「……………!」

 

絶対的支配者であるアインズに惜しみない賞賛を送られナーベラルの顔は朱に染まる。

 

(しまったやりすぎた!シモベたちを褒めすぎるとポンコツになるのはアルベドで実証済みだと言うのに!)

 

「…んん!ではまず体を洗おうか、ナーベラル!」

 

咳払いをし、ナーベラルを正気に戻す。

 

「……ハッ!?はい!お供させていただきます!」

 

 

 

「よし。ではナーベラル、背中の方を洗って貰えるか?骨の体は洗うのが面倒でな。いつもは別のものにやってもらっているのだが…。」

 

「三吉くん様、でございますか?」

 

「ああ、そうーーえ!?なぜそのことを知っている!?」

 

(秘密にしておいたはずなんだが!主に三吉くんの安全面を配慮して。)

 

アインズもバカではない。

そんなことが知られては守護者統括が暴走する姿が目に浮かぶ。だから他言無用だと言いつけていたのだがーー

 

「ソリュシャンから聞きました」

 

ーー現実は非情であった。

 

(ああ、もしかしてスライム同士仲がいいのだろうか?まあソリュシャンなら他のものに言うこともないだろう。アイツ優秀だし。)

 

「そ、そうかナーベラル…そのことなんだが…。」

 

「はい。勿論他のものには言っておりません。私以外で知ってるのはユリ姉様くらいです。」

 

「そうか…。まあユリなら大丈夫だろう。」

 

「はい。ではお背中失礼します。」

 

「ああ、頼ーーむ?」

 

「いかがされましたか?」

 

「ブラシは使わないのか?その方が手間がなくて楽だと思うが。」

 

「はい。アインズ様のお身体を洗わせていただくのですから、万が一にも汚れを残さない様に、一本一本素手で洗わせて頂こうと思っております。」

 

「そうか。では頼む。」

 

「はい。お任せください。」

 

ナーベラルの手は雪よりも冷たく、白い指はピアニストのように素早く動いてアインズの骨を丁寧に洗う。

いつものスライム風呂で楽に済ませるのもいいが、やはりゆっくりと丁寧に洗ってもらうのも良いものだな、とアインズは思考する。

 

(ああ…!ナーベラルが内側まで頑張って洗おうとしてくれているから胸が…!ものすごく柔らかな感触が背中に…!!)

 

ーーしかし邪心が思考を阻害する。

ナーベラルは身体を伸ばし、必死にアインズの体を洗う。それがアインズを悩ませているとも知らずに。

 

(色即是空空即是色…!去れ煩悩よ!汝姦淫することなかれ!)

 

ぺかーっ

 

(ふう…)

 

 

そして20分後ーー

 

「アインズ様。洗い終えました。」

 

「あ、ああ。ありがとう。では次は私の番だな。私が背中を流そう。」

 

「そ、そんなっ!?至高の御身がその様なことをなさらずとも…!」

 

「良い、ナーベラル。私がお前に報いたいのだ。普段からお前には面倒をかけているからな。下等生物である人間たちのところへわざわざ出向くのはお前にとっていい気分ではないだろう。共としてお前を無理やり連れて行っていることに対しては申し訳なく思っている。」

 

「その様なことは決して…!!我々は至高の御方に尽くすために生み出された身。面倒などということは…!」

 

「お前たちがそう思っていることはよく分かっている。だからこれは報酬だ。これからもよろしく頼む、その意味を込めてお前の背中を流すのだ。それでも断るというのか?」

 

「…!い、いえ!失礼しました!ではよろしくお願いします!」

 

(ふぅ。いや忠誠心高すぎだよ!洗って貰ったから洗ってあげるじゃダメなんだろうか…?ダメなんだろうな、きっと。はぁ〜もっとシモベ達と気楽に接することができればいいんだが…。)

 

「では行くぞ、ナーベラル。」

 

そう言ってナーベラルの瑞々しい裸の背中に手をかける。

 

(……!!)

 

「…?アインズ様…?」

 

「あ、ああ、なんでもない!」

 

(……え?柔らか過ぎないか?なんだこれ?あんまり肉がある様には見えないが…なんだろう、すごく癒される感触だ…。それに肌が綺麗すぎる。これもドッペルゲンガーとしての特性なんだろうか…?)

 

まだ弛みのない白く艶のある皮膚は、手の平で叩くとぴたぴた音がする

滑らかな果実のように美しい肌を先ほどナーベラルがやってくれた様に手で丁寧に洗う。

 

「……!」

 

「ん?どうしたナーベラル。痛かったか?」

 

「い、いえなんでもありません」

 

「そうか。」

 

(アインズ様の御手…気持ちよすぎる!流石は至高の御身…!全てにおいて超越しておられるとは…)

 

ナーベラルは酔ったように赤い、うっとりした表情になる。それ程迄にアインズの手は気持ちが良かった。

 

(うーわ、うなじ綺麗すぎだろ。何だこれ。)

 

アインズは気づく。

ナーベラルの汗の滲んだ白いうなじの目に染み入る様な美しさに。

 

(普段と違う髪型だろうか?ないはずの心臓がバクバク言ってるのが聞こえてくる気がするぞ…。)

 

そうしてナーベラルの背をじっくりと堪能した後に作業を終える。

 

「…よし体はこんなものでいいか。次は頭だ。」

 

「頭まで洗っていただけるとは…!感謝致します。」

 

「良い。では行くぞ。」

 

 

アインズはまっすぐな黒い髪に手をやり、少しのあいだ指ではさんで梳いていた。メイドとして、一流の動作をマスターしているナーベラルから見ても、素敵な仕草だった。素敵な指だった。細い指の一本一本がそれぞれの意思と方針を持っているみたいに見えた。

 

(…アインズ様の御手が気持ちよすぎる!骨だからかしら?ずっと手櫛で梳いていて貰いたい…。これを日常的に味わえるアウラ様やマーレ様が羨ましい…!)

 

 

「ナーベラル?痒いところとか…無いか?」

 

「有りません!ものすごく気持ち良いです!」

 

「そうか。ならよかった。では流すぞ。」

 

そう言って頭からお湯を掛けてやる。

髪型は完全に崩れ、夜の底みたいな色をしたストレートヘアーになる。

 

(なるほど、完全に髪を下ろすとこんな感じになるのか。)

 

そうしてナーベラルが乱れた髪を搔き上げる。ただそれだけの仕草がこの上なく色っぽい。

そうして掻き上げた髪を無造作に後ろで束ねる。

 

(あ…いつものナーベラルだ。やっぱりナーベラルはポニーテールが一番似合ってるなあ。お団子も可愛かったけど)

 

「…よし。体も洗ったことだし、お湯に浸かろうか。」

 

「はい。」

 

(さて、ここからが本題だ…!あのタオルの下はどうなっているのかものすごく気になる。でもまじまじと見るわけには…)

 

「では、失礼します。」

 

「……!待て、ナーベラル。」

 

「はっ!」

 

「…お湯にタオルを着けるのはルール違反、という奴だ。外せ。無論だが私も外す。」

 

「え…ハッ!畏まりました直ちに!」

 

アインズは腰に巻いていたタオルを外し、浴槽に身を沈める。

 

(よし!上手いことタオルの排除に成功したぞ!これでどうなっているのか見れる!)

 

「では……。」

 

ナーベラルの頬が桜色に染まる。

やはり恥ずかしいのだろうか。そんなリアクションをされると、少しの罪悪感と嗜虐心が同時に沸き起こる。

 

 

 

 

 

はらり。

 

 

 

 

 

絶景であった。

 

 

二つの乳房は形よく均整美を保って隆起している。蕾のように上向いた乳首が宝石の様にも見える。

 

両手のひらで抱えることができそうな細い胴。

白い象牙のようにすべらかな腹。

 

そしてーーーー

 

柔い太ももの間に、半熟の水密桃を思わせるかわいい物が、桃に共通した縦の筋をきっかりと引いてついていた。

 

桃の筋が股を動かすたびに割れ目となって赤い中身が見え隠れする。

 

 

 

「あ、アインズ様…?」

 

「………(ぺかーっ)」

 

「……なるほど、な。」

 

「どうかされましたか…?」

 

「大丈夫だ。少しだけ待って貰えるか。(ぺかーっ)」

 

「……?畏まりました。」

 

「ああ、よし落ち着いた。少し取り乱しただけだ。気にするな。」

 

「左様でございますか。」

 

「よし。では気を取り直して風呂に入ろうじゃないか。」

 

 

(あ、アンデッドじゃなかったら終わってたぞ……!!ていうか普通に人間と同じじゃないか!!精神鎮静化があんな短期間で2回も起きるとは思わなかったよ!!)

 

「あの、アインズ様。」

 

「なんだ?ナーベラル?」

 

「此度の入浴の真なる目的とはなんだったのですか?」

 

「………。」

 

「アインズ様?」

 

(……やばい!ちゃんと考えてなかった!そう言えば目的はぼかして伝えてたんだったな。かといってナーベラルの裸が見たかったから、なんて言ったらどうなるかは想像に難くないし…!何か適当に…はっ!そうだ!)

 

「えーと、それはだな…。あの、ほら、えっと、報酬だよ。」

 

「報酬、でございますか?」

 

「うむ。この間守護者達に報酬として何が欲しいかのアンケートを取ったのだが、その中に、アインズ様と一緒にお風呂券、というものが含まれていてな?けど女性守護者達とお風呂、というと色々問題があるだろう?だから気心が知れているお前にその実験の対象として白羽の矢が立った。ということだよ。」

 

「なるほど…そのようなお考えが…!」

 

「うむ。それで…今回の入浴、どう思った?」

 

「素晴らしい時間でした!これが報酬になるのであれば、ナザリックに属するものなら全員が欲しがるものである事は間違いありません!!」

 

「…そうか、なら一考してみよう。ありがとうナーベラル。」

 

「勿体無きお言葉…!」

 

「ではもう少し浸かったら出るとしようか。ナーベラル。」

 

「はっ!」

 

(誤魔化せたーー!!!あっぶねぇーーー!!!!絶対的な支配者が配下の裸を見たいが為に一緒にお風呂に入らせる、なんて失望なんてものじゃ済まないだろうからな…絶対に他のやつに知られてはいけない…!!)

 

ーー脱衣所にて

 

「ナーベラル、このことだが、他言無用で頼むぞ。特に守護者統括殿には絶対に知られない様にな。お前の命の為にも」

 

「畏まりました…!」

 

(これだけ言えばこのことが漏れることはないだろう。聞き分けのいい子で助かったよ。)

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

「………」

「………」

「あ、アインズ、様……?」

 

「………」

 

「何故、ナーベラルと一緒に…浴場から出てこられたのですか…?」

 

「あ、るべ、ど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーこの後ナザリック地下大墳墓第9階層が死地と化すまでに1分もかからなかった。

 




お疲れ様でした。本当に。ここまで読んでくださった人に心からの感謝を。


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アウラと湖デートする話。

前回のナーベラルの話とは少し毛色が違うかもしれません
休日の過ごし方がいまいちピンと来ていないアウラが、アインズ様にお願いして一緒に休日を過ごす、という話です。
稚拙な文章がダラダラと続きます。本当にすいません。



「ねえ、マーレ。休日って何をすればいいのかな?」

 

その日、ナザリック地下大墳墓第6階層守護者アウラ・ベラ・フィオーラは悩んでいた。

 

悩みのタネは至高の存在の纏め役であり、この地に最後まで残られた慈悲深き主人ーーアインズ・ウール・ゴウン様が「ふくりこうせい」なるモノを導入した事である。

そのシステムの主な内容は休みを取る事。

圧倒的な智謀の持ち主である主人の事だ。きっと私達シモベには考えも付かない様な壮大な目的があるに違いない。

 

しかしそれはナザリックに尽くすべく生まれてきたシモベ達にとっては受け入れ難い制度でもあった。最初は私達の忠誠心を試しているのか、とさえ思ったほどだ。主人の言うことはナザリックに於いて絶対であり、シモベであれば何人であっても逆らうことはできない。

だからこそ渋々、休日の過ごし方を考えていたのだがーー

 

「ぼ、僕にも分からないよ。お姉ちゃん…。」

 

ーーこれが全くと言っていいほど思いつかないのである。

 

「だよねぇ。好きなことをしろって言われてもナザリックに尽くす以上に素晴らしいことなんてないしねえ。」

 

前回の休日はアルベド、シャルティアと一緒第9階層にあるスパで過ごしたが、今回の休日は誰とも被っていない。アルベドは執務をしているし、シャルティアは守護者本来の仕事である階層守護を行っている。マーレも同様だ。

 

「一応聞くけど、アンタはこの間の休日、何してたの?」

 

「ぼ、ボクは…アインズ様とデミウルゴスさんとコキュートスさんとお風呂に入ったけど…。」

 

「お風呂かぁー。別にわざわざ入りに行くほど好きじゃないんだよねぇ。」

 

「あの、アインズ様に、き、聞いてみるのは、ど、どうかな。」

 

「聞くってーー休日の過ごし方を?」

 

「う、うん。」

 

ふむ。悪くない案である。主人がその問いに対しての正解を持っていることは間違いないし、そうでなくとも、もしかしたら余っている仕事をいただける可能性もある。なによりこのままでは脳が泡立つばかりでいいアイデアが出ないという事をアウラは確信していた。

 

「そうね。じゃあちょっとアインズ様のところに行ってくる。」

 

「い、いってらっしゃい…。」

 

そうと決まれば、とアウラは早足で駆け出す。そういえば最近主人とあまり話せていない。アルベドやシャルティアほどではないが、アウラもアインズ様と関わりたい、という気持ちは人並み以上に抱いていた。アウラはワクワクする気持ちを抑えながら玉座の間へと赴いた。

 

 

 

 

 

 

 

「アインズ様、アウラ様が謁見を求められていますが、どうされますか?」

 

「アウラが?分かった。すぐに行こう。」

 

(はて。何の用だろう。アウラには特に仕事を言い渡していなかった気がするが…。うーん、今後の計画について、とかだったらどうしようか。その時はいつものヤツで誤魔化してデミウルゴスに説明させるしかないよなあ。)

 

「第6階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ。御身の前に。」

 

「良い、楽にしろ。それでアウラ、何の用だ?」

 

「はい。休日について聞きたいことがあるのですが…」

 

 

(休日について?計画についてとかではなさそうだな。ひとまず安心だ。)

 

 

「ふむ。なんだ?言ってみろ。」

 

「休日とはどの様に過ごすものなのでしょうか?」

 

 

 

 

(……え?そこから説明しないといけないのか!?どんなブラック企業の社員でも休日の過ごし方くらいは知っているぞ!)

 

 

 

「…休日とは自分の好きなことをして過ごすモノだ。」

 

「好きなこと、とはどの様な事ですか?アインズ様だったらどの様に過ごしますか?」

 

「私か、私は…。」

 

 

 

 

 

 

(まあ、ユグドラシルしか、無いよなぁ……。)

 

 

 

 

 

 

「アインズ様?」

 

「っ!ああ、すまない。そうだな…私だったら、かつての仲間と旅をしたりとか…そういった感じだな。」

 

「なるほど!!休日とはそうやって過ごすものなんですね!!」

 

「いや、これが一概に正解だとは言えないが…そうだな、アウラ、お前の次の休日はいつだ?」

 

「明日です!」

 

「おお、それは都合が良い、私も明日は仕事があまり無いのだよ。」

 

「え、そ、それって…。」

 

「うむ。お前さえ良ければだが…一緒に過ごしてみるか?」

 

「ほ、本当ですか!!是非!!是非お願いします!!!」

 

「ああ。では私の仕事が終わり次第、第6階層に行くから…そうだな。確か第6階層に湖があったな。あの辺りで遊ぼうか。水着を持ってくるといい。」

 

「畏まりました!」

 

(しかし休日の過ごし方を聞かれるとは…。これは他の守護者達とも一度過ごしてみたほうがいいのか…?でもアルベドとシャルティアがなぁ。うーん、悩ましいところだ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、ナザリック地下大墳墓第6階層守護者アウラ・ベラ・フィオーラは悩んでいた。

 

「水着…アインズ様はどれがお好みかな?」

 

アインズ様と一緒に過ごすという栄誉を頂くことが決まってからというもの、アウラはこの事についてずっと考えていた。

幸いにも水着は造物主であるぶくぶく茶釜様から頂いたモノが沢山ある。

だが、沢山ある事が逆にアウラを悩ませていた。

可愛いモノから色気のあるセクシーな水着まで、どれもぶくぶく茶釜様が私にくださった素晴らしいモノだ。

この中から一つを選ぶなんてーーアウラには出来そうも無かった。

 

「ど、どうしよう。本当に決まらない…!」

 

ーーやばい。こうなったら全部持っていてアインズ様に選んで貰おうか、そう思った時である。

 

「チビ助、ちょっと聞きたい事が…って何をしておりんすの?」

 

 

シャルティアが現れた。

 

 

「あっ!シャルティア!ちょうどいいところに!」

 

「な、なんでありんす?」

 

「シャルティア!男の人が好きな水着ってどんなの?ねえ!どんなの!?」

 

「ちょ、ちょっと落ち着くでありんす!!急になんでありんすか!!」

 

「もう時間が無いんだよ!!お願い、教えて!!」

 

「分かったから離れるでありんすー!!!……ふう。で、なんでありんす?」

 

「だから、男の人が喜ぶ水着だよ!アンタ、異常性癖のバーゲンセールみたくなってるんだから、それくらい知ってるでしょ?」

 

「い、異常性癖とは失礼な!他の人よりちょっと死体が好きなだけでありんす!」

 

「はいはい。で、どんな水着だと喜ばれるの?」

 

「……というか、何でそんなことが知りたいでありんすか?好きな殿方でも出来たのかえ?」

 

「え!?そ、そんなんじゃ無いよ!?ただ、ちょっと気になっただけで!!」

 

「ふーん、成る程ねぇ。あのガサツなチビ助が恋、でありんすかぁ。」

 

「だから、そんなんじゃ無いってば!!ニヤニヤしない!!」

 

「ふーん…まあいいでありんす。そうでありんすね…我が主人、ペロロンチーノ様はかつてこう仰っておりんした。『やはりスク水は至高。水の抵抗を受けにくいという点でも他の水着とは機能面という点で一線を画す存在であるし、何よりもその密着具合。それこそが運動した時にワレメやポッチを生み出してくれます。また締め付けが強いので、悩ましいフォルムも。擦れる感じは女性にも好評だし、俺自身も着たときのタイト感が好きですね。』と。だから私のおススメはスクール水着でありんす。」

 

「スクール水着かあ。持ってないんだけど…。」

 

「私のを貸してあげんしょうかえ?」

 

「……いや、やっぱりいいや!自分で考えるよ!ありがとねシャルティア!」

 

「どういたしましてでありんす。」

 

(やっぱり自分で選ばないとアインズ様に失礼だよね!それに何だか、私の中のぶくぶく茶釜様がシャルティアの案を拒否している気がした。よーし、頑張って選ぶぞ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます!アインズ様!」

 

こぼれるような笑顔でアウラが言う。余程楽しみにしていたのだろう。

 

「ああ、おはよう。アウラ。」

 

実を言うとアインズもかなり楽しみにしていた。執務では常にアルベドが隣に居るため、あまり気を抜ける時間は無い。だがアウラ相手ならそこまで気を使わなくてもいいから幾分かリラックス出来る。

 

「まずはどうされますか?」

 

「そうだな…アウラ、昼はもう食べたか?」

 

「いえ、まだです。」

 

「そうか、なら早めに食べてしまおうか。」

 

そう言ってアインズはブルーシートを取り出し、料理長に作らせておいた弁当をアウラに渡す。

 

「でも、アインズ様は…」

 

「ああ、私は大丈夫だ。こういうのは雰囲気を楽しむモノだからな。ちょうど花も綺麗だし、それを楽しむとしよう。」

 

「…畏まりました!」

 

アウラは弁当を広げる。

弁当にはからあげ、卵焼き、ポテトサラダなどいかにも弁当、と言った具材が詰め込まれていた。食欲を刺激する匂いが辺り一帯に広がる。

 

「………!」

 

アウラが目を輝かせながら弁当の具材をみる。アインズはその光景を微笑ましく思う。本来、子供とはこうあるべきなのだ。

 

「……美味そうだな。」

 

「はい!とても美味しそうです!」

 

「よし、では食べてしまいなさい。」

 

「すいません。アインズ様…。」

 

「構わないとも。お前が幸せそうに食べているところを見るのは私にとっても幸せなことなのだからな。」

 

「アインズ様…畏まりました!」

 

この言葉は半分嘘であった。守護者が幸せそうにしている所を見るとアインズも幸せである。これに嘘はない。だが出来るなら、それが許されるのであれば、その輪の中にアインズ本人もいることが出来たら、これ以上幸せなことはなかった。故に今回ほど食事が食べられないこの体を不便に思ったことはなかった。

 

「………ん〜!美味しかった!!」

 

そんなことを考えているうちにアウラは弁当を食べ終えている。

 

「はは。早かったな。」

 

「はい!!美味しかったです!!」

 

「では、湖に行こうか。」

 

 

 

 

 

 

(やっぱ子供と遊ぶなら海水浴だよなあ。アウラ、すごいワクワクした顔してたし。)

 

アウラの着替えを待ちながらアインズは思考する。

鈴木悟が住んでいた世界では環境汚染によって海水浴なんかは絶対に出来なかったが、ここは異世界。土壌も汚染されてなければ、外に出るためにガスマスクをつける必要もない。だからアウラ達には現実世界で鈴木悟が子供の時にやりたかったことを出来るだけさせるようにしていた。

そんな事を考えていると何処からか足音が近づいてくる。きっとアウラの着替えが終わったのだろう。

 

 

 

「お、お待たせしました。アインズ様。」

 

 

「ーーーーー。」

 

 

 

 

 

言葉を、失った。

 

 

 

 

 

アウラの水着は小さなハンカチをいくつか結びあわせたみたいなワイルドな代物だった。

強い風が吹いたら飛ばされてしまいそうに見える。

日に焼けた肩はオイルを塗ったように輝いていて、膨らみの暗示さえない少女の平たい胸を面積の少ない彩り豊かな布が覆っている。彼女のしなやかな胴の周りを目測して、しずかに息づいている腹を眺める。琥珀のようになめらかだった淡い褐色の腹を緊張のせいか少女は波のようにうねらせる。

 

アウラの目の光の揺れで羞恥に耐えていることが見て取れる。頬はさくらんぼのように染まって、少し涙目になりながらアインズの方に視線を飛ばす。

 

「ど、どうでしょうか。アインズ様。」

 

「アウラ、その水着は一体…。」

 

「はい。色々あって迷ったんですけど、ぶくぶく茶釜様に一番着せていただいた回数が多い水着にしました。どうでしょうか。似合ってますか?」

 

「あ、ああ!似合っているとも、アウラ!!可愛いぞ!!!」

 

「ーーーー!!本当ですか!ありがとうございます!!」

 

アインズはこの時ほどぶくぶく茶釜とペロロンチーノが姉弟である、ということを感じたことはない。こんな所であの姉弟の業の深さを実感することになるとは思っていなかった。

 

「シャルティアには穴開きスクール水着が良い、って言われたんですけど…。」

 

「い、いやいやいや!!そっちの方が私は好きだぞ!!アウラによく似合っている!!さすが茶釜さんだ!!」

 

前言撤回。ペロロンチーノの業はやはり誰よりも深かった。

 

「えへへ…。アインズ様はお着替えなさらないんですか?」

 

「私は…。そうだな。私も着替えるとしようか。少し待っていてくれ。」

 

「畏まりました!」

 

 

 

(ビックリした…!まさかアウラがあんなに色っぽい水着を着てくるとは…。ていうかペロロンチーノ!まさかお前シャルティアに穴開きスクール水着を持たせているのか!?)

 

 

ぺかーっ

 

 

(ふう、落ち着いてきたぞ。大丈夫だ、アインズ・ウール・ゴウン!相手は子供だぞ。何を興奮することがある!)

 

そう自分に言い聞かせローブを骨の体から脱がす。

 

 

(しかし水着かあ、イベントアイテムがいくつかあるけど完全にネタアイテムだったからあまり装備していなかったなあ。こういうのはゲーム時代を思い出すことができて楽しいものだ。)

 

 

 

 

 

 

 

その頃アウラは頰を真っ赤に染めながらだらしなく口元を弛緩させていた。

 

(アウラ!可愛いぞ!!だって。えへへ…。ちょっと恥ずかしいけど着てきた甲斐があったなあ。流石ぶくぶく茶釜様!!)

 

そんな事を考えていると後ろから足音が近づいてくる。主人の着替えが済んだのだろう。アウラは直ぐに顔を引き締める。

 

「待たせたな、アウラ。」

 

声のする方を振り返ると、黒の水着を着たアインズが立っていた。

 

「いえ!アインズ様の水着、とってもカッコいいです!」

 

「ありがとう、アウラ。さて、せっかく水着に着替えたんだ。泳ぐとしよう。」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

バッシャーン!!

 

 

 

 

 

………

 

その後アウラと競争をしようとして、アウラがアインズの思いもよらないほどの速さで湖を泳ぎ、水中のシモベを怖がらせてしまった為、泳ぐのはやめて、アウラのシモベの背中に乗ってクルージングを楽しむことになった。

 

「行くよ!」

 

そう言ってアウラが魔獣をゆったりとしてスピードで泳がせる。

 

「ふう。アウラどうだ?楽しいか?」

 

「すっごく楽しいです!アインズ様!!」

 

(おっ。いい傾向だな。その調子でどんどん休日の楽しさを覚えていってくれよ。俺はナザリックをブラック企業にはしたくないんだからな。)

 

「そうか。それは良かった。」

 

「あの、アインズ様。」

 

「なんだ?アウラ?」

 

「私、今日アインズ様とずっと一緒にいられて本当に幸せでした。」

 

「ああ、私も楽しかったぞ、アウラ。今日はありがとう。お陰で日々の疲れが吹き飛んだよ。」

 

 

「ーー!!……アインズ様はお優しいですよね。本当は仕事もあるはずなのに、私みたいなチンチクリンの悩みを解決するために一緒に過ごしてくださるなんて…。」

 

「はは。そんな事は無いさ。配下が悩んでいるのならそれを解決するのは上に立つ者の責務だ。私は当然のことをしたまでだよ。それに最近アウラとあまり会えていなかったからな。私としてもアウラに会いたかったんだよ。」

 

「ーー!!……アルベドやシャルティアじゃなくて、私に会いたかったんですか?」

 

「何故ここでアルベドとシャルティアが出てくる?私が会いたかったのはアウラだよ。」

 

「……………!!(でもきっとそれは一人のシモベとして、って事ですよね?それは分かってはいるけれど、それでも、そんな風に言われたらーー勘違いしちゃいますよ。アインズ様。)

 

「……アインズ様。」

 

「どうした?アウラ?」

 

「…………大好きです。」

 

「ああ、私もアウラが大好きだぞ。」

 

その瞬間、アウラの頬が朱色に染まる。

嬉しいという感情を抑えきれず、自らの息が止まるほど、骨の背中をギュッと抱きしめる。アインズはそんなアウラの頭を薄硝子の人形でも撫でるようにそっと撫でる。

 

(やっぱりまだまだアウラも子供だな。ま、この子達が人間なら甘えたい盛りの年齢だしな。俺がこの子達の父親代わりになってやらないと。)

 

ーーと、全く持って的外れな考えをしながら。

 

アウラは崩れる花束のようにアインズの胸の中へ身を投げた。

アインズはそんなアウラをそっと受け止める。

 

「……アインズ様。私、少し疲れちゃいました。」

 

「そうか。ならこの辺でお開きにするか。」

 

「あの、アインズ様。お願いがあるんですけど…」

 

「何だ?」

 

「抱っこしてもらえますか?」

 

「ああ、別に構わないぞ。」

 

そう言うとアインズはくびれたアウラの胴のあたりを横から抱くように引き寄せる。抱き寄せた細い体はしなやかに湾曲した。アウラの健康的な色をした肌は弾力があり、すべすべとしながらピッタリと隙間に吸い付く。

白い蛇のようにぴったりからまりあっている二つの体。アウラとしては二人の身体の間に空気の分子すら入れたくない気持ちだった。

 

無論アインズとてこの状態で何も感じない訳では無かった。アウラの肌からは日向の様ないい匂いが発散して、子供らしい髪の匂いもする。

 

そしてーーーー

 

(アウラさん、水着!水着ズレてますよ!)

 

アウラのほとんど膨らんでいない乳房がアインズの肋骨辺りにふにふにと息をする様に当たっていた。アウラの均整の取れたピチピチとした小柄な肉体に、アインズ自身、興奮で胸が激しく波立つのを感じる。

 

 

 

ぺかーっ

 

 

 

発光した。

 

「……?アインズ様…?」

 

「……あー、アウラ。水着…ズレてるぞ。胸のところ。」

 

「っ!!す、すみません…。気づきませんでした…。」

 

アウラは少し残念に思いながらアインズから手を離し、ズレた胸の水着を整える。

 

「ほら、アウラ。岸に着いたぞ。」

 

そうこうしているうちに岸に着いた。

 

アウラにとってアインズと2人きりで過ごしたこの時間は一瞬のうちに過ぎる儚い夢の様でありまた、悠久の時を漂うかの様に無限に感じられる様な不思議なモノでもあった。

 

今日あった事はアルベドにもシャルティアにも絶対に話してやるもんか。そう決意したアウラであった。

 




お疲れ様でした。本当に。ここまで読んでくださったあなたに最高の感謝を。


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ソリュシャンに添い寝する話。

今回マジで原作クラッシャーです。
オーバーロードの一期を見直して宝物殿でアルベドが泣くシーンを見た主が大人びた女の子が静かに涙を流すシーン良いな、と思って書いたものです。今回今までで一番設定ガバガバな感じがします。ソリュシャンってそもそも寝るのか、とかね。
それでも良いと言う方のみご閲覧ください。


「褒美、でございますか?」

 

「そうだ。お前は王都で重要な働きをしてくれたからな。結果的にセバスが裏切っていなかったとはいえ、深刻な事態に発展する前にその芽を摘んだお前の働きは報酬を与えるに相応しいものだ。」

 

 

王都での一件。セバスがツアレを八本指の下部組織から無理矢理救出したことによってアインズの意に反して八本指と対立する事になってしまった際、ソリュシャンはこれをナザリックに対する叛逆と判断し、アインズに報告した。

 

勿論セバスがアインズを裏切る筈もなく、セバスとしては己の造物主であるたっち・みーの信念とする正義に基づいて行動しただけであり、その事をアインズは寧ろ嬉しく思っていたが、それでも自分の直属の上司であるセバスからこの事に関してアインズへの連絡は不要である、と言われていたにも関わらずそれに背いてしっかりとナザリックを第一に考え行動したソリュシャンに対しては然るべき褒美を与えるべきだろう、とアインズは考えていた。

 

 

「ナザリックに尽くす以上の褒美などある筈もございませんがーーそうですね。今回に至っては細やかなお願いがあるのですが…。」

 

ほう。とアインズは関心する。

ナザリックのシモベ達に褒美関連の話をするとほぼ確実に前述のようなやりとりーーナザリックに尽くす事こそ至上の喜びであり、褒美など頂いては失礼に当たるーーが発生するのだが、やはりソリュシャンは優秀である。実際、デミウルゴスやアルベド、パンドラズアクターの様にそうあれと想像されたシモベを除けばソリュシャンは他と比べて群を抜いて柔軟な考えができる。その一部でももう一人の三女に分けてあげられれば冒険者稼業も楽になるのだがな、とアインズは苦笑する。

 

「ああ、構わない。では何か決まったら私の部屋に来るように。」

 

「畏まりました。では失礼します。」

 

今回の件に関して、アインズはソリュシャンに褒美として何を渡したらいいのか全くと言って良いほど思いつかなかった。きっと何を渡してもソリュシャンは喜ぶだろう。だが褒美というからには本人が本当に欲しいものを渡すべきだ、とアインズは考えた。そこでソリュシャンを呼び出して何が褒美として好ましいか質問をしていたのである。

 

(これがコキュートスとかなら武人建御雷さんの刀を渡してやるだけで良いんだが…女性だと想像するのが難しいよなあ。俺童貞だしなあ。)

 

アインズはソリュシャンの趣味趣向など全く知らない。故に何を求められるのかと、ソリュシャンの内面を知れることが少し楽しみでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アインズ様。ソリュシャン様が面会を求められています。」

 

「良かろう。通せ。」

 

あれから1日、想像していたよりもずっと早くソリュシャンがやってきた。

 

「……?どうした、ソリュシャン?」

 

心なしかソリュシャンの顔がいつもより赤い気がする。それになんだか瞳が動くとき情痴のような可憐ななまめきがちらついている。どうにも様子がおかしい。

 

「……っ!失礼しました。」

 

そう言った途端、いつもと同じ様子に戻る。

 

「体調でも悪いのか?お前には普段から沢山仕事をしてもらっているし少しなら休んでも構わないぞ?」

 

「いえ!そういう訳ではありません。今日は先日の報酬の件をお話しさせて頂きたく参上した次第でございます。」

 

「良かろう、言ってみろ。サービスで何でも聞いてやろう。」

 

「はい。それにつきましては、アインズ様にご確認して頂きたいモノがあるのですが…。」

 

そう言ってソリュシャンはポケットから一枚の紙切れを取り出す。

 

「ふむ。……!?こ、これは…!」

 

そこには「アインズ様と添い寝券♡」という文字がつらつらと書き連ねられていた。

 

これは少し前のこと。ナザリックに給金システムを導入しようとしたアインズが守護者達から意見を募ろうとし、その意を深読みしたデミウルゴスとアルベドによって開催された第一回好き好きアインズ様ナザリック守護者記念大オークションの景品の一部である。

 

「私は今回の褒美として、此方を頂きたいと思っております。」

 

「………他には?本当にこれでいいのか…?」

 

「はい。他にも候補があって迷っていたのですが……」

 

ソリュシャンが豊満な胸を縮こまらせて借り猫のようなおとなしさで主張する。

 

「……その候補とはなんだ?聞かせてくれないか?」

 

(なぜこれをソリュシャンが……。断って別のものにしてもらうか?でもさっき何でも聞くって言っちゃったしな…。それを今から撤回するのも支配者として有り得ないよな…。)

 

「はい。アインズ様と一緒にお風呂券、というものもあってとても迷ったのですが……。」

 

「い、いや!!添い寝にしよう!!それで良いな!ソリュシャン!」

 

「はい!勿論でございます!」

 

(もう一緒にお風呂はナーベラルだけで充分だ!あの後怒り狂って修羅と化したアルベドを鎮めるために全階層守護者を呼び戻さなきゃいけなかったんだからな!!)

 

なおアルベドは現在、絶賛謹慎中である。

 

「では、今晩寝室に参らせて頂きます。失礼します。」

 

「あ、ちょっと待っ……!!…行っちゃったよ。どうしようこれ。」

 

アインズは手に持った紙切れを眺めて深いため息を吐く。

 

(まあ、相手はソリュシャンだ。アルベドみたいにがっつり体を狙っては来ないだろうし、そういう雰囲気にもならないだろう。案外ただ甘えたいだけなのかもしれない。それに部下との心を縮める為にも物理的な接触は必要不可欠だ。究極的に言えば、一緒にお風呂よりは何倍もマシだろう。)

 

とアインズは前向きに思考していた。

 

 

 

一方その頃ーー

 

「アインズ様…。慈悲深いお方。本当に認めてくださるなんて…。」

 

ソリュシャンはにんまりと嬉しそうな顔をほころばせていた。

彼女は狡猾なメイドであった。

最初は生きている人間でも貰おうか、と考えていたが、ナーベラルが報酬でアインズ様と入浴する栄誉を賜りトラブルを引き起こした、ということを思い出した。

これをうまく使えば、私でもアインズ様とお風呂に入れるんじゃないか?という考えがふと頭に思い浮かんだが、即座にそれを否定する。一度トラブルを引き起こした問題を思慮深い主人がもう一度してくれるという可能性は極めて低い。

ならばーーとソリュシャンは思考する。このシャルティア様に頂いた「アインズ様と添い寝券」と「アインズ様とお風呂券」を二つ同時にそれとなく提示するのはどうだろうか。まず間違いなく主人は一緒に入浴はしてくださらないだろう。だからあくまでも本命は添い寝だ。初めに添い寝という条件を提示して難色を示した所にお風呂の話をチラつかせ、判断の余裕を奪い、添い寝の方に飛びつかせる。

ソリュシャンには主人はこれに引っかかるという確信があった。

恐るべき智謀を持つ主人を素面の状態で出し抜くことはナザリック一の知恵者であるデミウルゴス様ですら不可能である。

しかし、私達の主人は異性のシモベとの駆け引きに対して少し遠慮がちになる節があった。まるでーーどう接していいものか分からない、という風に。実際はきっとそんな事はなく、何か理由があって演技でもしているのだろう。しかしソリュシャンにしてみれば演技であろうとこれを使わない手は無かった。

これは実際他のシモベが聞けば不敬だ、と言われるような内容であったがソリュシャンは今までの行動を鑑みて主人はこの程度では絶対に不敬とは判断しないと考えていた。それになりよりもーー

 

 

 

「では準備を始めましょうか。」

 

 

 

ーー今回はどうしても主人と一緒に寝たい理由があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(そろそろソリュシャンが来る時間帯だな)

 

「すまない、リュミエール。しばらくしたら…そうだな。0時頃にソリュシャンがやって来ると思うので、彼女が来たら部屋の外で待機してもらえるか?この部屋に2人きりにしてくれ。」

 

「………!?か、畏まりましたっ!!」

 

そう言ってリュミエールぱたぱたと可愛らしく駆け足で部屋の外に出て行く。なぜか妙に顔が赤みがかっていた気がする。どうしたのだろう。

そんな事を考えているとコンコンとノックの音がする。

 

「ソリュシャンか、入れ。」

 

「失礼します。」

 

「……ふむ。き、綺麗だな、ソリュシャン」

 

「ありがとうございます…。」

 

ソリュシャンの格好は羽衣のような、透けた水色のネグリジェで、服の隙間からいまにも零れ落ちそうな乳房の端の膨らみがほのかに見える。すらりとして流麗な身体の曲線は彼女の水禽のように冷たい優美さを示し、象牙細工のように華奢で端正な足で床をこつんこつんいわせながら鹿のように軽快に歩みを進める。

 

「…んん!さて、今回は添い寝ということだが、一体私は何をすれば良いのだ……?」

 

「まずはベッドに行きましょう。アインズ様。」

 

「あ、ああ。そうだな。」

 

そう言ってソリュシャンの手をドギマギしながら引いて寝室まで連れて行く。

 

「さてここが寝室だが……」

 

「ではまず、アインズ様。ベッドに横たわって貰っても良いですか?」

 

「あ、ああ。こうか?」

 

「ありがとうございます。では…失礼します。」

 

「ぅぉっ!?」

 

突然ソリュシャンが着ていたネグリジェを脱いで全身を練り絹のようにあらわした。そのままアインズの元へ倒れこみ、胸に頬を寄せ、本来なら心臓がある位置に耳をつけ、馴れ合った男女の感じで肌を寄せる。

 

「そ、ソリュシャン!?服!服は!?」

 

「私、眠る時はいつも全裸ですので。」

 

そう言ってソリュシャンは漆黒の闇の中で恋人の手が見えない相手の輪郭を確かめるような艶かしい動作でアインズの首に手を回す。

ソリュシャンのスライムらしい柔らかな乳房はアインズの肋骨の上に吸い付きながら動く。

腰を蛇のように柔らかにクネクネと動かし艶かしい足をアインズの腰を包む様に組む。

ソリュシャンの髪が金色の渦を巻いてきらきらと慄え、そこから湯上りのような香りがする。

 

「あ、あの……ソリュシャン?」

 

「……申し訳ありません、アインズ様。少しだけ…もう少しだけ、このまま居させてもらえないでしょうか?」

 

ソリュシャンが怯えた子犬の様な声を出す。心なしか体も震えている様な気もする。

 

「……何かあったのか?」

 

「………………。」

 

ぎゅ、とソリュシャンはアインズを抱きしめる手に力を入れて頭をさらに強く押し付ける。アインズはそれを肯定の返事と受け取りソリュシャンの豊かな金髪の頭を軽く撫でてやる。すると時々痙攣のようなものが痩せた首の上に走る。

 

「もし良かったら、何があったか教えてくれないか?」

 

「………………。」

 

ソリュシャンは何も言わずにアインズに抱きついている。

 

(一体何があったんだ?普段クールなソリュシャンをここまで追い込むなんて只事じゃないぞ。)

 

そのまま10分程が経過した。ようやくソリュシャンが頭をあげる。アインズがそちらに目を向けると恐怖の色をその目の中に宿しながらソリュシャンが震えた声で言葉を紡ごうとしていた。

 

 

 

「…………夢を見たんです。」

 

ソリュシャンの目には涙が一杯溜まり、それが月の光をキラキラと反射する

 

 

 

「……夢?」

 

「はい。ほんとうに恐ろしい夢を」

 

「それは、どんなものだ?」

 

「……アインズ様が私達を置いてこの地を去り、ナザリックが崩壊する夢です。」

 

「…………そうか。」

 

アインズはそれ以上聞くことが出来なかった。アインズは守護者達がアインズが去る事を最も恐れているということを知っていた。 しかしアインズはシモベ達に絶対にこの地を去らない、と明言した事は無かった。それに関して特に理由はなかった。強いて言うなら必要だと思わなかったから、程度であった。

だが、今回ソリュシャンをここまで追い込んだのはアインズ自身に他ならない。アインズは心の底から申し訳ないと思った。完全に自分の失敗だ。

 

だが、ここで絶対に居なくならない。と言ってもソリュシャンの不安は拭いきれないだろう。だからアインズからは何も言えない。その代わりーー強く、強くソリュシャンを抱きしめる。

 

しらじらとすべらかな肉づきのよい肩を自らの肋骨にしまい込む様に引き寄せ、蜂のようにくびれた腰に手を回す。びっくりするほど艶かしい一糸纏わぬソリュシャンの裸体をかき抱く。キメ細かい桃色の肌は泡にさわるようにやわらかく、融けてしまいそうだ。少し恥ずかしいのかソリュシャンの体が狡猾な猫のように妖しい媚態で動き出す。

にじみ出た汗がソリュシャンの胸元を濡らし、一筋の線となってベッドに滴り落ちる。

 

「…あ、アインズ様!!どうか!!どうか私達を置いて行かないとお約束ください!!」

 

抱擁によって堰を切ったようにソリュシャンから言葉が紡がれる。

 

「…………。」

 

それに対しアインズは沈黙で返答する。返事をしない代わりに、さらに強くソリュシャンを抱きしめる。

ソリュシャンの湯上りの様な瑞々しい肌は、アインズとの抱擁で汗をかくことによって熱帯植物の果実のようにねっとりとした肌になる。

アインズはソリュシャンを納得させるにはこうするしか無いと思って居た。ここで気休めの言葉などを言ってもなんの解決にもならないだろう、と言うこともわかって居た。

 

「アインズ、様……。」

 

「済まないな、ソリュシャン。」

 

「っ……ふ……っ……ぅ……」

 

ソリュシャンが声を押し殺す様にして暖かな涙を零す。アインズはそれを止めることもなくただ頭を撫でて抱きしめる。

 

そうしているうちに1、2時間程経っただろうか。いつのまにかソリュシャンは眠っていた。泣き疲れたのだろう。胎児のように体を丸めてくぅくぅと寝息を立てている。腕の内側に彼女の息がかかって、その部分だけ温かく湿る。

アインズはアンデッドなので眠らない。ソリュシャンが起きるまでの数時間、ずっと愛おしそうに頭を撫でて居た。

もう朝日が昇ってきた。人口の太陽がアインズの寝室を照らす。

朝日の眩しさに目を細めて外を眺めているとつられるようにソリュシャンも目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アインズ様の動きに釣られて目を覚ます。

泣いているうちにいつのまにか寝てしまった様だ。

不思議なことに昨日の事はほとんど覚えて居ない。それでも胸の中には確かな温もりがあった。父親がいたらこんな感じなんだろうか、と率直な感想を口にする。そんな事をしていると頭の上から声が聞こえてくる。

 

 

 

「おはよう、ソリュシャン。昨日はよく眠れたか?」

 

そんな事を言いながらアインズ様は私の頭を撫でる。骨だから表情に変化はないが、微笑んでる様に見えなくもない。

 

 

「はい。アインズ様。今までで最高の夜でした。」

 

ニッコリと耐えようにも耐え切れなさそうな微笑が口元に浮かび、頬はいつしか紅を差す。

 

「ああ…!素敵でした…アインズ様の熱い抱擁…!他の姉妹達に自慢してやりたい気持ちでいっぱいですわ…!」

 

「ぜ、絶対に言うんじゃ無いぞ!!頼むから!!」

 

冗談です、と満足からくる笑みを漏らす。本当に慈悲深いお方だ。不敬かもしれないがそうやって慌てるところも可愛らしい、と心の中で呟く。

 

 

 

きっとこの方は私達を置いて居なくならないだろう。昨日約束はしてもらえなかった。だがきっと誰にも言えない理由があるんだ。

 

 

 

ならば私達は貴方が此処から去らない様、全身全霊を以って尽くさせて頂こうと思いますーーと決意を新たにしたソリュシャンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。本当に。ここまで読んでくれた貴方に最高の感謝を。


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シャルティアとコスプレパーティーする話。

シャルティアが原作よりもハアハア言いません。
アインズ様がハロウィンにシャルティアとコスプレを楽しむ話です。独自設定かつ稚拙な文章がダラダラと続きます。アルベドはいつまで謹慎してるんだよ、とかそういうツッコミは無しで。
それでも良いという方のみ、お楽しみください。


「そう言えば今日はハロウィンだったな。」

 

アインズは今日が10月31日であることに気づく。

ハロウィンーー本来は子供が仮装して街を練り歩きお菓子をねだるという可愛らしいイベントだったと聞いているが、鈴木悟のいた世界では大人が日々のストレスから逃れる様に仮装して馬鹿騒ぎをし、気が狂った様に好き勝手に暴れる祭りと化していた。

それはユグドラシルも例外ではなく。ハロウィンの時は少し調子に乗ってしまい18禁に触れる行為に抵触→BANという流れを辿るプレイヤーが急増したりしていた。

しかし、アインズの様なレベル100に到達したガチプレイヤーだとハロウィンイベントの周回をしたりしているのでハロウィンを楽しむ余裕など全くもって無かったのだが…

 

(あー、やっちゃったな。コキュートスは蜥蜴人の集落だし、アウラとマーレは偽ナザリックの建築、デミウルゴスは聖王国でアルベドは謹慎中。今ナザリックにいるのはシャルティアだけだ。かといって遊ぶ為だけにみんなをわざわざ呼び戻すのは気がひける…。今年は諦めるしかないか。来年は忘れない様にしないと…。)

 

そんな事を考えていると今日の当番であるシクススが話しかけてくる。

 

「アインズ様。シャルティア様が面会を求められています。」

 

「もう定時報告の時間か。わかった、通せ。」

 

「畏まりました。」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

「失礼します。第1、第2、第3階層守護者シャルティア・ブラッドフォールン。御身の前に。」

 

そんな事を言いながらシャルティアが片膝をついて忠誠の儀を行なっている。

 

 

 

ーー何故かバニーガールの姿で。

 

「……………。」

 

「アインズ様?」

 

「し、シャルティア …?その格好は、一体」

 

 

「よくぞ聞いてくださいましたアインズ様!!今日は10月31日!!トリックオアトリートでありんす!!お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうでありんす!!」

 

「…………。」

 

「は、反応なし?こ、これは…!イタズラしても良いという事でありんすn」

 

「違う」

 

やや食い気味に否定する。

 

「……一応、聞いておこう。シャルティア、何の真似だ…?」

 

「はい!我が造物主、ペロロンチーノ様が仰っていたハロウィンなるイベントが今日開催されると聞いておりんすので、ペロロンチーノ様から頂いたコスチュームに着替え、アインズ様にご褒美を貰いに来たでありんす!」

 

 

ーーまた、お前か。ペロロンチーノ。

 

アインズは心の中で盛大に溜息を吐く。

 

 

(アウラと湖で遊んだ時も気になってはいたが……ペロロンチーノ!お前シャルティアに何を持たせているんだ!!この様子だと絶対まだまだ他にも際どいモノを持っているだろう!!)

 

そんな事を考えながらシャルティアのコスプレを今一度しっかりと見てみる。

 

吸血鬼らしい、降ったばかりの雪のように青白い光のこもった冷たい肌に黒の光沢がかった薄いレザーの生地が肩から流れており、恥骨の所でぐいっと股に食い込ませられている。その切れ目からすべすべしていて油になじんだセーム革のような柔らかさがある太腿に網タイツが履かれている。

全体的な体のラインは細い喉から華奢な鎖骨の浮くデコルテまで続き、胸に行き当たると、とたんにどこか懐かしい丸みをおびた、まろやかな線に生まれ変わる。今日はパッドをしていないようだ。いつものガウンとは違って生地が薄いためずり落ちてしまうのだろう。

しかしこれはーー

 

「なんというか、犯罪的……だな。」

 

「犯罪的…でありんすか?」

 

「ああ、褒め言葉だぞ。」

 

「わーい!でありんす!!」

 

 

 

(何も知らないって、平和だな…。)

 

 

 

「……あー、それでシャルティア。お菓子…だったか?それなら残念だな。私は飲食が出来ない体だから、その様なものは持っていないんだ。」

 

「じゃあイタズラしちゃうでありんす!アインズ様、すぐに私の守護階層まで来て欲しいでありんす!」

 

「え、ええー…。まあ、うむ。わかった。少しだけだぞ。」

 

「はい!」

 

 

(そんなキラキラした目で見られると断れないじゃないか!俺ってこういうのに弱いんだよな。しかし、イタズラ…か。一体何をするつもりなんだろう)

 

 

 

 

 

ーシャルティアの部屋にてー

 

「では、これからアインズ様にイタズラしちゃうでありんす!覚悟はよろしいでありんすか?」

 

「あ、ああ。それで?イタズラとは一体何をするつもりなんだ?」

 

これがアインズの体を狙うものだった場合即座に宝物殿に転移する必要がある。

 

「安心してくださいでありんす。今回、アインズ様には私と一緒にコスプレをして頂いて、撮影会に参加して貰うだけでありんす。」

 

「……コスプレだと?」

 

「はい。こちらの衣装棚の中にペロロンチーノ様に頂いたコスチュームが大量にあるでありんす。アインズ様には、私が決めた衣装を装備して頂いて一緒に写真を撮って貰うでありんす!勿論私の衣装もアインズ様に決めて頂きたいと思っておりんす。そしてカメラマンはーー」

 

 

 

 

「カァメラマンはっ!ン私ぃ!パンドラズ・アクターがァッ!!!努めさせて頂こうと!!思います!!」

 

 

 

 

「帰れ」

 

 

 

ーー帰れ。

 

アインズは心の底からそう願った。

 

(自分がコスプレしているところを自分が作ったNPCに撮影されるなんて羞恥プレイも良いところじゃないか!こいつにだけは帰ってもらわないとな…。)

 

「オオゥ!!冷たいお言葉ァッ!!でもそんな所もス・テ・キデェス!!!」

 

アインズは思った。

 

ーーこいつだけは何がなんでも排除しないといけない、と。

 

「……シャルティア。コスプレなら時間が許す限り幾らでもするから、カメラマン、チェンジで頼めるか?」

 

「ほ、本当でありんすか!!!ーーという訳でパンドラズ・アクター、さっさと帰るでありんす。」

 

「酷ォい!!アインズ様ァッ!!」

 

そんな事をぼやきながらシャルティアのシモベに引きずられてパンドラズ・アクターは退場する。

 

(よし。ひとまず危機は去ったな。)

 

 

「ではカメラマンはお前にお願いしんす。」

 

シャルティアがカメラをヴァンパイア・ブライドに手渡す。

成り行きで参加することになってしまったが、これはこれでゲーム時代を思い出して少し面白い。ハロウィンイベントの時はみんなでワイワイと仮装を楽しんだものである。まあ異業種ギルドだったので普段から仮装してる感はあったが…。そんな事を考えてながら衣装棚が大量にある部屋に入る。そこの棚からシャルティアがアインズに着せる衣装をガサゴソと探る。

 

「じゃあ、アインズ様にはまずこれを来て欲しいでありんす!!!」

 

そう言ってシャルティアが取り出したのはーー

 

「…………。」

 

ーー可愛らしいフリルの付いたメイド服だった。

 

「……え!?シャルティアは俺にこれ着て欲しいのか!?」

 

「はい!きっとお似合いになると思いんす!!!」

 

そんな事を言ってシャルティアはニヤニヤと嬉しそうに笑っている。

 

(くっ…!さては楽しんでいるな?それならこっちだって容赦はしないぞ!!)

 

そう言ってクローゼットを開けて、衣装を探す。するとちょうど目の前に5着あったので取り出してみる。

 

 

 

・穴が空きまくったエプロン

・スクール水着(紺)

・超ミニサイズハイレグレオタード

・スクール水着(白)

・絆創膏

 

 

 

「ちょっと待て」

 

アインズはペロロンチーノの服の概念を疑った。

 

(どうやら俺のかつての友は相当な所まで精神が追い詰められていたらしい。そうでなければ衣装棚から絆創膏なんてものが出てくるはずがない。)

 

「さすがアインズ様お目が高い!その棚はこの部屋の中で1、2を争う過激な衣装が入っている棚でありんす!!」

 

「……シャルティアはこれを着ることになっても平気なのか?」

 

そう言って直径5センチほどの絆創膏を指でつまんでヒラヒラと空中に泳がせる。

 

「それはまあ、少し恥ずかしいでありんすが…この部屋にはアインズ様しかおりませんので…。アインズ様が見たいというのであれば如何様にもさせていただくでありんす!」

 

そんな事を言ってシャルティアはいやんいやんと身を捩らせる。見た目が美少女なだけにとても残念な光景だった。

 

「………じゃあお前これな。」

 

そう言って別の棚から取り出したクマの着ぐるみをシャルティアに渡す。

なぜかシャルティアが少しだけ残念そうな顔をした。

 

「では行きます。3、2、1…。撮れました。」

 

「どれどれ…?」

 

 

撮れた写真を見せてもらうとそこにはフリフリのメイド服を着た長身の骸骨と顔を火照らせ息を荒げながら汗まみれになって着ぐるみを着た吸血鬼が写っていた。

 

「…………。」

 

「はぁぁ…。アインズ様のメイド服姿、とおっても素敵でありんすえ…!」

 

右からとても残念な声が聞こえてくる。

 

「……シャルティア、次に行くぞ」

 

「畏まりました!で、ありんす!」

 

この棚はもう二度と開くまい。と心の刻んだアインズだった。

 

 

 

 

 

「ふむ…。これでいいか。」

 

アインズは少しまともな服が入っている棚からスーツを取り出しシャルティアに渡す。

 

「ではアインズ様もこちらをどうぞ!」

 

そして嬉しそうな顔をしながらシャルティアもアインズにスーツを渡す。

 

「アインズ様とペアルック…!」

 

そんな事を言いながらシャルティアが更衣室に入って行く。

 

(ものすごい嬉しそうだったな…。まあ無理もない。最近シャルティアと関わりがあまり無かったもんな。こんな日くらいは少しくらい特別扱いしても構わないだろう。)

 

そして何よりアインズ自身、結構楽しかった。シャルティアがいつもよりテンションが高く、喜んでいるのが目に見えてわかるからだろう。

 

「お待たせ致しましたでありんす。」

 

 

シャルティアは上品な光沢を放つグレーのパンツスーツに身を包む。社会人としての常識をわきまえたファッションである。胸こそないものの、シャルティアの手足はスラリとした女性的なものであり、スーツに着替えたことによってそれが一層際立つ。柔軟な胴体をしなしなさせて、目を輝かせながらアインズの方を微笑を含んだ上目使いで見る。

 

「アインズ様、どうでありんすか?」

 

「ああ、似合っているぞ」

 

実際これは意外なほど似合っていた。

初めは恥ずかしい衣装を着せてやろうと考えていたアインズだが、シャルティアに恥という感情はどうやら無いらしい。それならば普段の格好と真逆のものを着せてやろう、とスーツを選んだわけだがやはり中身は腐っても見てくれは美少女。この部屋の中にシャルティアに似合わない服など無いだろう。絆創膏だって優雅に着こなしてしまうに違いない。

 

「ああ……!」

 

シャルティアはうっとりとした目で白い頬を茜色に染め、瀕死の魚のように手足、胴体がピクピク震えている。

 

 

「ハァ…ッ…!また下着を変えないと…今日だけで5枚目でありんす…。」

 

 

アインズは何も聞かなかったことにした。

 

「アインズ様もとってもお似合いでありんす!!」

 

「……ああ、ありがとうシャルティア。」

 

この世界に来るまでは毎日来ていたが、異世界生活が始まってからは一度もスーツに身を通したことはない。鏡で自分の姿を見てみるとスーツを着た骸骨が写っていた。ブラック企業に全てを搾り取られた鈴木悟のように見えて苦笑する。

 

「では。撮影いたしますね。3、2……」

 

「あ、ちょっと待ちなんし。アインズ様、抱っこしてもらえますか?」

 

「え、ええっ!き、拒否権は…?」

 

「イタズラだからないでありんす!!」

 

そう言って抱擁を促す様にシャルティアがありんす!とこちらに両手を伸ばす。

 

「……分かった。」

 

アインズは諦めた様にシャルティアの腰を掴んで自身の広い胸と細い腕との間に羽がいに抱きしめる。淡い香水の香りが心地よく鼻を刺激する。シャルティアが頭を少し動かすと、髪の毛から微かにシャンプーの香りが匂ってきた。とても良い香りだ。シャルティアの体重はびっくりするほど軽かった。流石にアウラよりは少し重たいが、それでもほとんど変わらない。これもアンデッドとしての特性なのだろうか。しかし、少年の様な体型のアウラとは違い、シャルティアの体は女性らしくふにふにと柔らかくとても抱き心地が良い。ソリュシャンともまた違った感触だ。純粋な心地よさだけで言えば一番かもしれない。

 

「あ、アインズ様!違うでありんす!お姫様抱っこでありんす!!」

 

いきなり自分の考えとは違う抱きつき方をされて、びっくりしているのだろう。真っ赤な顔をしながら腕の中でありんす!ありんす!と抗議をしている。アインズに抱きしめられているから行動が束縛され身動きしにくいようで手足を必死にもぞもぞと動かそうとしているのが伝わる。

 

「少し待て。」

 

そう言ってアインズはシャルティアの銀色の髪にぽふんと鼻を乗せ思い切り深呼吸する。はあ。安心する。とても良い香りだ。

 

 

 

「きゃーーーーー!!!!!!!!!!!」

 

 

 

そんな事をしているとシャルティアが腕の中で大絶叫を上げる。流石にやり過ぎたか。

 

「いや、スマンな。お前の頭からとても良い香りがしたのでつい嗅いでしまった。許してほしい。」

 

「い、い、いえ。アインズ様がお望みとあらば、いつでも…!」

 

「いや、もうしない。それでお姫様抱っこだったか。」

 

「あ、は、はい。そうでありんす。」

 

「では行くぞ、よいしょっと。」

 

シャルティアの足を掬って冷たく丸い尻に手を掛ける。なぜかズボンのお尻の部分がやたら濡れていることに関しては何も気にしないようにした。

シャルティアは骸骨の首に手を回しカメラの方を見る。

 

「3、2、1………はい。撮影できました。」

 

撮ったものを見せてもらうとこれはさっきのと違って中々良い写真だった。記念に一枚貰っておきたい。

 

「この写真、あとで私にも貰えるか?」

 

そうヴァンパイア・ブライドに話しかけると畏まりました、とにっこりとした顔で言う。その様子を見ていたシャルティアが横からひょこりと顔を出して言う。

 

「この写真、あとで私の部屋に1グロスほど焼き増しして置いておきなんし。」

 

「1グロスは多すぎだろ」

 

と、ツッコムが聞こえていないようで撮れた写真を見てうっとりとしている。こういう時、なんと言えば良いのかわからない。

 

「……んん!シャルティア!」

 

「………ハッ!?…なんでありんしょう。アインズ様。」

 

「私は今日はまだ執務が残っていてな。時間的に次で最後になりそうだ。」

 

「口惜しいでありんすが、畏まりました。」

 

「では次の衣装を選ぼうか。」

 

そう言って衣装棚の方に手を掛けようとするとシャルティアがニコニコしながらアインズの手を握ってそれを阻止する。

 

「アインズ様、最後の衣装だけは最初から決めておりんしたの。

そちらを着ていただけますか?」

 

「………ふむ。まあ良いだろう。」

 

「ありがとうございます!!では、こちらを。」

 

そう言ってシャルティアが取り出したのは黒のタキシードであった。

 

「ふむ。構わないが…これではさっきと似たような感じにならないか?」

 

「いえ、私がこれを着るので意味合いは変わってくるかと。」

 

そう言ってシャルティアは立派なウェディングドレスを取り出す。

ほう。シャルティアも女の子らしい所があるじゃないか、と感心する。

 

「……なるほどな。まあ今日くらいは良いだろう。」

 

そう言ってやるとシャルティアの顔が太陽を思わせるほど明るい表情になる。よほど嬉しいのだろう。ハロウィンの時くらい茶番に付き合ってやるのも悪くない。

 

2人とも更衣室に入る。むこうの着替えは大変なようで、ヴァンパイア・ブライドが着付けを手伝っている。アインズの方は簡単な作りであったため比較的早く終わり、シャルティアの着替えを待っていた。

 

(いや、結構楽しかったな。本当に。シャルティアの部屋って何気に初めて着たけど色々なものが置いてあって見ていて飽きない。たまにいかがわしいものはあるが…。)

 

そんなこと考えていると試着室のカーテンがスッと開く。

 

 

 

「アインズ様。お待たせしました!」

 

 

 

その時のシャルティアは今まで見てきた中で一番美しかった。

 

 

 

俯きがちに真っ白い肌を見せながらシャルティアがこちらに歩いてくる。

髪型はゆるく三つ編みにした長い髪を、うなじの上で巻き上げて留めている様で、くつろげた襟の下にうなじから背へかけて三角形に滑らかな首筋が艶かしい。背中の大きく開いた純白のドレスが青白い深海魚のような背中を寂しげに写している。丸みのある柔らかい肩を震わせながらその他にはブーケが握られている。大胆に斜めカットされたスカートから長く美しい脚がスラリと伸び、もう夜になったのか窓ガラスら入る月の光がシャルティアのそれを怪しく光らせる。

 

 

 

「中々似合っているじゃないか。」

 

「はい。ペロロンチーノ様に頂いたものですから。」

 

そっちを褒めた訳じゃないんだがな、と思うが口には出さない。

 

「では、さっさと撮ってしまおう。ポーズはどうする?」

 

「本当ならキスしてもらいたい所でありんすが、流石にそこまではしてもらえないでしょうしーー私がアインズ様の額にキスをさせて頂こうかと思っているでありんす!!」

 

「…………まあ、それくらいなら構わない。」

 

てっきりキスを要求されると思っていたので転移の準備をしていたのだが、今日のシャルティアはいつもの様にガツガツこない。普段からこんな感じならもう少し好感が持てるんだがな、と苦笑する。

 

「はい!では…。」

 

シャルティアの声が近づく。

アインズの目の前に青く澄んで光るような美しさを持つ容貌の顔が緊張のせいか紅を散らしたように赤くなっている。犬が舌を出して喘ぐような荒い呼吸音が目の上から聞こえる。

 

「……失礼しますっ……!」

 

そんな掛け声の後、アインズの額に薄い水のような唾液で濡れた唇が接触する。珊瑚色の唇は、小さくつぼめた時もそこに映る光をぬめぬめと動かすのをアインズは額で感じ取る。

 

「では行きます。3、2、1………はい、撮れました。」

 

 

「どれ。……よく撮れてるじゃないか。」

 

 

写真には動かない骸骨に儚げな表情でキスをする美少女が写っていた。それはまるで最愛の人の死後、その骨を慈しむ女の様でアインズにはとても美しく見えた。

 

「本当でありんすね!流石はアインズ様!」

 

俺は関係ないんじゃないか、と思わなくもないが。しかし骨と美少女という組み合わせは何となくアインズの厨二心を揺さぶった。素晴らしい写真だ。

 

「……シャルティア。分かっているとは思うが、その写真。絶対に誰にも見せるなよ。」

 

「はい!私とアインズ様の2人だけのヒミツでありんすね!!」

 

こんなものを見られた日にはアインズ様は頼めば何でもしてくれる、と言った誤解を生みかねない。それだけは避けなくてはならない。

 

「……分かっているならいい。今日は中々楽しかったぞ、シャルティア。」

 

「はい!私も楽しませて頂きました。無理を言ってしまい申し訳ありません。」

 

「はは。無理なんかではないさ、来年のハロウィンはきちんとパーティーを開こう、他の守護者達も一緒にな。じゃあ私はそろそろ行くよ。またな。」

 

「はい!今日はありがとうございました!!!」

 

アインズは満足気にいつものローブに着替えて、先ほど撮った写真を写真立てに入れ、小脇に抱えてシャルティアの部屋を後にする。

今日はいい日だった、他の守護者達も呼べばよかった、とかそんなことを考えながら。

 

 

 

 

一方その頃ーー

 

 

 

「パンドラズ・アクター、もういいでありんすよ。」

 

「はい!お疲れ様でした、シャルティア様。」

 

「しかし、本当に貴方の言う通りでありんしたねえ。アインズ様があそこまでしてくれるとは思ってもいなかったわ。」

 

「ええ、そうでしょう、そうでしょう。このナザリックでアインズ様の事を一番知っているのは私だと自負しておりますから。」

 

 

 

それは今から約5時間前のこと。

シャルティア・ブラッドフォールンは宝物殿に向かっていた。

 

その理由はーー

 

「パンドラズ・アクター、急に呼び出しなんかして何の用でありんすの?」

 

ーーパンドラズ・アクターに呼び出されたからである。

シャルティアは本来ならこの時間お風呂に入るつもりだったのに、それが出来なくなってしまったので、若干だが腹が立っていた。

 

「これはシャルティア様。本日は私の守護領域までお越し頂き、感謝申し上げます。ではさっそく本題に入りますがーーシャルティア様はハロウィンという物をご存知でしょうか?」

 

「はろうぃん、でありんすか?存じんせんねえ。一体なんでありんす?」

 

「ハロウィンと言うものは10月31日に行われる仮装大会の様なモノなのですが。我が造物主アインズ・ウール・ゴウン様はこの世界に来る前このイベントをたいそう楽しみにしておられました。」

 

「ーー詳しく聞かせるでありんす。」

 

「具体的には何もない時のユグドラシルにいる時間は約2時間ほどだったのが、このイベントが開催される時はその2倍の約4時間ほどになっておりました。」

 

これは、実際ハロウィンイベントはコスパが良くギルドの維持費を纏めて稼ぐのに最適だったため、というのと、ハロウィンに託けて仲間達がログインするんじゃないか、という淡い期待を寄せていたからという悲しい背景があった。

 

「しかし、どうやらアインズ様はこの世界に来てから忙しさの余り、今日という日を忘れているご様子。そこでシャルティア様にはアインズ様に今日がハロウィンだという事を伝えてもらいたいのですよ。」

 

「大体の事情は理解しんした。でもそれなら貴方が行っても良かったんではありんしょうかえ?わざわざ私に連絡を取らなくとも…。」

 

「それではダメなのですよ、シャルティア様。私が行ったところで、アインズ様はきっと無かったことにする。今日は貴方以外の領域守護者は外に出ていますからね。それにシャルティア様が行けば確実に成功します。」

 

「それは何故でありんしょうか?」

 

「まず一つ、ハロウィンと言うのは本来幼い子供がお菓子をくれなきゃイタズラするぞ、と言ってコスプレをしながら街を練り歩くといったイベントらしいのです。他の至高の御方々の子供と呼んでも差し支えない貴方の頼みを無下には出来ないでしょう。そして2つ目、コスプレをする、ということです。シャルティア様はペロロンチーノ様に貰って衣装をたくさん持っていらっしゃるでしょう?だからコスプレという面において貴方はナザリック最強と言っても過言ではないのですよ。」

 

「大体理解しんした。しかし、貴方はそれでいいのでありんすか?今の話では私ばかり得をして、貴方にメリットがある様に感じられないでありんすが…。」

 

「私は良いのですよ、シャルティア様。アインズ様の寂しさを少しでも紛らわせることができたら、それでいいんです。」

 

「それはーーとっても貴方らしいでありんすね」

 

「お褒めにあずかり光栄です。では具体的な作戦会議と洒落込みましょうかーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パンドラズ・アクター。貴方、見かけによらず頭が回るのでありんすね。」

 

「私の造物主はアインズ様ですよ?」

 

「それは失礼、頭が回って当然でありんすね。」

 

ふふ、と笑ってシャルティアが返答する。

 

「ええ、私はアインズ様に創造していただいたアクターですからそのくらい当然ですとも。」

 

そう言って2人はこの後の作戦の成功を確信して互いに笑い合う。

シャルティアは自らの幸せを想像しながら。

パンドラズ・アクターは自らの造物主の幸せを想像しながらーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。本当に。
ここまで読んでくださった貴方に最高の感謝を。
追伸 ハンタ・ケンさま誤字報告ありがとうございます。修正しておきました。


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ルプスレギナにお仕置きする話。

ルプスレギナの駄犬っぷりが可愛いと思ったのでそれを前面に押し出して書いたつもりですが、そのせいでアインズ様のキャラ崩壊が発生しました。申し訳ありません。
稚拙な文章がガバガバ設定でダラダラと続きます。
それでも良いという方のみご閲覧ください。


「ーーこの愚か者がぁっ!!」

 

怒声を発しながらアインズはドン、と怒りに任せ机を叩く。ビクリ、とそれに反応する様にルプスレギナの肩が震え、その瞳は恐怖の色に染まっている。

 

「も、申し訳ありません!!」

 

そう言ってルプスレギナが泣きそうな声で謝罪する。

こうなった事の顛末はトブの大森林にて、ハムスケがいなくなったことによって勢力のバランスが崩れ、東の巨人と西の魔蛇なる魔物が縄張りを拡大せんと兵を集めている、との情報がカルネ村から入った事である。

ただ、アインズにとってそんな事は大した問題では無かった。真に問題なのはーー

 

「……何故その事を報告しなかった?まさかとは思うがーー隠そうとしたのか?」

 

ルプスレギナがこの報告を怠った、という事である。何も知らなかったのなら問題は無い。しかしルプスレギナはその事を知っていながらあえて報告しなかったのだ。これはアインズにとって由々しき事態であった。

 

(まさかホウレンソウが出来ないとは…。組織として許される事では無い…。)

 

「そ、その様な事は決して!!大した情報では無いと思い……。」

 

「ルプスレギナ!お前には失望したぞ!」

 

そんな事を言うと、ルプスレギナが捨てられた子犬の様な瞳に涙を溜めながら顔を俯かせる。どうやらこの様子を見ると情報伝達の大切さを本当に理解していなかった様だ。そこに悪意が介在していない事にアインズは少しだけ安堵する。

 

「…ルプスレギナ。あの村がナザリックにとってどの程度の価値をどの程度の価値があるか分かるか?」

 

「はい。えっと、アインズ様が実験に使われた村です。それに…玩具がいっぱいある…。」

 

「……お前は本当にそう思っているのか?」

 

「…………はい。」

 

「……その程度の価値しか無いのならわざわざお前にあの村を監視させたりなどしない。少し考えれば分かる事だろう?」

 

「理解が及ばず申し訳ありません…!」

 

「……もう良い、頭を上げろ。」

 

そう指示し、頭を上げさせるとルプスレギナの薄桃色の靄に囲まれたように潤んだ瞳から熱い涙が一筋の線となって溢れ出す。アインズはやっちゃったな、と思いながらも言葉を紡ぐ。

 

「……ルプスレギナ、失敗は誰にでもある。私はその事を叱責こそすれ、ネチネチと責め立てる気は無い。本当に大切なのはその失敗からどれだけ学ぶことができたか、と言う事だ。」

 

「アインズ様…!」

 

「ルプスレギナ。今回のお前の失敗はなんだと思う?」

 

「愚かにも報告を怠ってしまったことかと。」

 

「……それだけでは無い。お前が勝手に報告が不必要だと判断したと言うこともだ。お前が報告を怠った事により万が一にも不具合が生じた場合、それは私の失敗に繋がる。お前はその責任をどう取る?」

 

「そ、それは…!そこまで考えが至らず申し訳ありません。すぐに自害致します…!」

 

「やめろ!!!!ルプスレギナ、勝手に死ぬ事など許さない。お前の命はナザリックのために存在するものであって、それをお前の一存で散らす事などあってはならない。」

 

「………申し訳ありません。」

 

ことり、とルプスレギナが手に持っていたナイフを足元に置く。少しミスを指摘するとこれだ。どれだけ忠誠心が高いんだよ、とアインズは心の中でひとりごちる。

 

「……まあ良い。その様子だと本当に分かっていなかった様だしな。だが、こう言った以上お前に次は無い。これからはどんな些細な事でも報告する様に。では行け、そしてお前の務めを果たせ。」

 

「……恐れながらアインズ様。アインズ様のミスを誘発しかねない私の前の行動は簡単に許されるものでは有りません。どうかこの愚か者に相応しい罰をお与えください。」

 

「それはーー確かにそうか。前にアルベドが言っていた様に信賞必罰は世の常。他のシモベに注意喚起する意味も込めてお前には罰を与えよう。今日の深夜に私の部屋に来い。そこでお前に屈辱という名の罰を与えよう。」

 

「ぇーーーあ、はい!畏まりました!では今夜お部屋に参らせて頂きます!失礼します!!」

 

ルプスレギナがぱたぱたと顔を真っ赤にしながら部屋の外へ駆け出ていく。きっと気が動転しているのだろう。忙しい奴だ、とアインズは苦笑しながらンフィーレアが作ったと言う紫のポーションを片手で弄る。

 

「ふふ、しかしこれは素晴らしい発見だ。この調子でユグドラシルのポーションが安定供給出来るようになってくれれば良いのだが…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「深夜、アインズ様の私室、屈辱。これってつまりーーそう言う事っすよね…!」

 

ルプスレギナは褐色の肌を耳の付け根まで真っ赤にしながらぶつぶつと自問自答を繰り返す。主人は罰と言っていたがルプスレギナの想像した通りの罰が与えられるのなら、それはもはや罰では無くご褒美である。

 

「いや、アインズ様が罰と言うからには寵愛といった形で無く強引に望まない形のーー強姦の様な伽が行われると言うふうに解釈する方が正しいっすかねえ…。」

 

自分は基本的にサディズム体質ではあるが、アインズ様が相手となると話は別だ。自分にマゾヒズムの才能があることは先程アインズ様からの叱責で少しだけ粗相をしてしまい、下着に薄い染みを作ってしまったことから理解している。普段滅多な事では怒らない温厚な主人が、その怒りを自分に向けられた事に少し興奮してしまったのだ。こんな事になるのはアインズ様に対してだけだろう。だからもし仮に強姦の様な形だったとしても、自分にはご褒美にしかならない。

 

「まさか、こんな形でアインズ様の寝室に行く事になるとはかけらも思ってなかったっす。」

 

いつか自分も寵愛を受けたい、とは思っていたもののまさかアルベド様やシャルティア様、ナーベラルよりも先とは…。あの3人が少し可哀想に思えてしまう。

 

「…でも、これは罰として、だからノーカンっすね。」

 

天井を見上げ、ルプスレギナは想像する。自らの蕾の花が主人のあやしい戯れに強引にかき散らされる様を。語りかけるのでも伝えるのでもなく、強引に命じるのだ。ルプスレギナを見下して、命令という形をとって。当然ルプスレギナは逆らうことができない。そして望まぬ伽であるが為に冷たく紙のように乾燥している自らの痴裂を主人の熱く脈打つ逸物にーー

 

「きゃーーー!!!っす!!」

 

そこまで想像して急いで止める。なんだか体が下の方から火照っている気がする。これ以上はいけない。癖になってしまう。さらに言えば不敬だ。だって、まだそうなると決まった訳ではない。

 

「それでも、最低限常識として()()はしておくべきっすよね…。」

 

そう言うとルプスレギナはスッと流れる様な動作で太腿までスリットが入ったスカートと黒のレース生地の下着を足首まで下ろし、恥骨を突き出す様にして股を開く。するとやはりというべきか、自らの水蜜桃はネットリと暖かな蜜を無意識の内に出していた。その桃の一筋の線となっているところを優しく指でなぞり準備を開始する。

 

「は、ん、んあっ、あっ」

 

とっくに陽は落ちている。部屋の明かりもなく暗闇の中、その空間が女の殺しきれない声を反響させる。仕置きの時間が来るまで明かりの燈らなかったその部屋で、ベッドのシーツの白さだけが女の行為をぼんやりと照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アインズ様。ルプスレギナ様がいらっしゃいました。」

 

「ああ、報告ありがとうフィース。では先ほど言った通りルプスレギナと2人にしてくれ。」

 

「……!!か、畏まりましたっ…!」

 

フィースが顔を赤くしてパタパタと外へ出て行く。なんだかソリュシャンの時もこんな光景を見た気がする。やはりメイドとして共通する部分があるのだろうか。

 

「し、失礼します。アインズ様。」

 

そんな事を考えているとルプスレギナが部屋に入って来る。

 

「ああ、来たな。ではお前に罰を与えよう。」

 

アインズはルプスレギナに与える罰の内容を考えていたが何も思いつかなかった。これではまずいと急ぎでルプスレギナの嫌がりそうな事をその姉妹であるプレアデス達に聞いて回っていたのだ。ユリとソリュシャンはルプスレギナはかなりのサディストなので、アインズ様が躾けてやれば良いと思います。と言った。ナーベラルとシズは何も仕事を与えずただ無視するだけで良いと言い、エントマは恐怖候の所に閉じ込めたらどうか、と言った。

罰を与えるのに仕事を与えずに無視するのはなんだか違う気がしたし、恐怖候の部屋に罰として閉じ込めるのは恐怖候が気の毒だ。よって今回はユリとソリュシャンの案を採用する事にした。

それに当たって大図書館に行き、犬の躾についての本を熟読しておいた。今夜はそれを実践するつもりだ。この本によるとまず最初に上下関係を徹底的に分からせる事が大事らしい。

 

「ではルプスレギナ。まずはそこに四つん這いになれ。」

 

「か、畏まりました。」

 

ルプスレギナがいそいそと手と膝を床につき、顔をこちらに向ける。なんだか本当に犬の様だ、と苦笑する。

 

「よし。ではーースカートをめくれ。」

 

「ーーぇっ?」

 

「スカートをめくれ。早くしろ。」

 

「か、畏まりましたっ…!」

 

ルプスレギナが慌ててスリットの入ったスカートを腰の上にあげると、純白の布が姿を現す。その純白はルプスレギナの健康的な肌の色と相性が良く、褐色の肌を引き立てる。

 

「……っ!…ルプスレギナ、お前の主人は誰だ?」

 

少し動揺しつつも、尋問を始める。

 

「あ、アインズ様です。」

 

「そうだな。お前の全ては私のーーナザリックの為にある。それが分かっていながらなぜ報告をしなかった?」

 

「は、はいっ!私が愚かでした!村人が襲われる所を見てみたい、という私利私欲で行動してしまいました!」

 

 

パーン!!

 

 

蝋燭による明かりしかないアインズの部屋に快音が鳴り響く。アインズがルプスレギナの桃の様な尻を手で引っ叩いたことによるモノだ。

 

「ーーーーッ!!」

 

「…では、お前は上位者である私の命よりも自分の欲望を満たすことの方が大事だと言うのだな?」

 

「い、いえ!違います!!アインズ様の命令は村の監視、だけでしたので…。」

 

 

パーン!!

 

 

もう一度、ルプスレギナの尻を叩く。先程の一撃と相まってルプスレギナの尻に紅葉が咲く。

 

「ーーーぁぁっ!?」

 

「…では何か?お前は私の命令が情報が不十分なまま発信された事がダメだ、とそう言っているのか?」

 

「ーーぁぅっ…!ち、違います!!馬鹿な私が悪いんです!」

 

 

パーン!!

 

 

3度目となる張り手をルプスレギナの尻に叩き込む。

 

「……ぅふ…っ……!!」

 

3回目ともなると流石に自分が何をされているか理解した様で、必死に痛みに耐えている。羞恥の為か褐色の肌を耳まで真っ赤に染め、唇をプルプルと耐える様に震わせる。

 

「お前は馬鹿なわけではない。命令を縮小解釈しすぎるているだけだ。」

 

「はっ、はい!その通りです!」

 

「では、お前があの村で最もナザリックにとって価値があると思うものは誰だ?」

 

「…………エンリ・エモットでしょうか?」

 

 

パーン!!

 

 

「…ひ…ぁっ…!」

 

「違う」

 

「し、失礼しました!!!では、ンフィーレア・バレアレですか?」

 

「よし。正解だ。」

 

そう言うとアインズがルプスレギナの柘榴の様な色をした三つ編みの髪をわしゃわしゃと撫でる。ルプスレギナは何が起こっているのか分からない、と言わんばかりに目を見開いてアインズの方を見ている。

 

「…撫でられるのは嫌いか?」

 

「い、いえ!!そんな事は!!大変気持ちが良いです!!」

 

「それは良かった。では次だ。何故ンフィーレア・バレアレがナザリックにとって最も価値があるかわかるか?」

 

「そ、それは…どんなマジックアイテムでも使いこなすと言うタレントを所持しているからですか?」

 

 

パーン!!

 

 

「あぅっ!!!」

 

撫でられた後に尻を叩かれるとは思っておらず油断したのか、少し大きめの声が出る。

 

「違う」

 

「で、では…モモン様の正体を知っているからですか…?」

 

 

パーン!!

 

 

「……ふ…ぁ…っ!」

 

「それも違う。お前は今日、自分が私の所に何を持ってきたのか忘れたのか?」

 

「紫色のポーション…ですよね?」

 

「そうだ。彼にはユグドラシルの素材に頼らないユグドラシルポーションの作成に取り組んでもらっている。この世界のポーションは青く、性能も悪い。だがユグドラシルのポーションは赤く、この世界の物と比べるとその効果は雲泥の差だ。そして彼が作ったというポーションは赤と青の中間、紫色をしていた。これは研究が順調に進んでいると言う証拠だろう。だからあの村は重要なんだ。分かったか?」

 

「な、なるほど…。理解が及ばず申し訳ありません…!」

 

「良い。では次だ。ンフィーレア・バレアレの次にあの村で重要なのは誰だ?」

 

「では…その祖母、リィジー・バレアレですか?」

 

「良し、正解だ。」

 

わしゃわしゃとルプスレギナの頭を撫でてやる。彼女は頭を一撫でされて、気持ちよさそうに目を細めた。

 

「では次だーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事を繰り返しやり続け1時間が経った頃。

 

 

 

「…あっ…あっ…あっ…あっ…あっ」

 

 

 

ルプスレギナがトリップしてしまった。

 

アインズも最初は10分くらい続けたら辞めようと考えていた。しかし、ルプスレギナの形の良い、柔い桃尻を叩いていると楽しくなってきてしまってついつい夢中になってしまった。

ルプスレギナは汗で体中が水に濡れたようにしっとりとしていて妙に官能的だ。汗じみた純白の下着はルプスレギナの雌穴の部分だけ妙にネットリとした湿り気があり、褐色の肌を持つ尻も紅葉の跡が大量についていた。どう考えてもやり過ぎだ。

 

「………おーい、ルプスレギナ?」

 

「あ、あ、あ、あ、あ、」

 

駄目だ。完全に壊れている。水でもぶっ掛ければ元に戻るだろうか。そう思ってアインズはルプスレギナに無限の水差しで頭から水を掛ける。ルプスレギナの着ていたメイド服が形の良い胸に張り付く様な形になり、妙に扇情的だ。スカートはめくられていて、ルプスレギナの顔は完全にキマっている。何も知らない人に見られたら、懲役10年は硬いだろう。

 

「……ルプスレギナ、大丈夫か?」

 

「…はひ、あ、いんずさま?つ、ぎは、どう、されるの、ですか?」

 

「い、いや…悪かった。やり過ぎてしまったな。」

 

「い、いえ、大丈夫、です。」

 

「それではお前に与える罰はこの辺りでーー」

 

「お、お待ちください!!」

 

アインズの言葉を遮る様にルプスレギナが大きな声を出す。

 

「どうした?」

 

「わ、私…アインズ様から罰を受けている内に…気持ちよくなってきてしまって……。こ、これでは罰になりません!だから、も、もっと、もっと強く叩いてください!!」

 

さあ!!とルプスレギナは褐色の尻の割れ目をこちらに向け、犬の求愛行動さながら、アインズを迎え入れる様な姿勢をとっている。

 

「い、いや!!私がやり過ぎてしまっただけだ!!もうこのくらいで仕置きとしては十分だろう。スカートを元に戻すといい。」

 

「くぅーーーーん!!」

 

そんな奇声を発し、ルプスレギナが心底残念そうな顔で衣服の乱れを治す。メイド服はマジックアイテムなので、濡れたとしても魔法ですぐに乾く。

 

 

「ーーでは、ルプスレギナ。復習だ。お前の主人は誰だ?」

 

「アインズ様っす!!」

 

「宜しい。カルネ村で守るべき者は誰だ?」

 

「1位がンフィーレア、2位がリィジー、3位がエンちゃんっす!」

 

「宜しい。今後不測の事態に陥った時はどうする?」

 

「独断で動かず、アインズ様もしくはデミウルゴス様に判断を仰ぎます!」

 

「宜しい、完璧だ。お前への罰は終わりだ。行け。」

 

「ありがとうございました!!」

 

ルプスレギナが一礼して部屋から出て行く。

 

(ルプスレギナはサディストだと聞いていたんだが…マゾヒストの気もあるのか?最後の方なんか完全に堕ちてたもんな…。)

 

これでは罰かどうかは微妙な所だな、と一人苦笑した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルプー、そんな顔してどうしたの?」

 

「ああ……アインズ様…!超ステキっす…!!!」

 

「何を当たり前のことを言っているのルプー。」

 

「私、アインズ様の犬になったっす!!」

 

「……何があったの?」

 

「昨日の夜、調教されてきたんすよーー!!!すっごい気持ちよかったっすーー!!!!」

 

 

『!?』

 

 

 

アインズはまだ知らない。

ルプスレギナが食堂で口走ったこと。

それを聞いたフィースが昨日の夜部屋で行われていた事を勘違いして一般メイド達に口走った事。

それを聞いたアルベドが()()を着けて夜這いに来ること。

そしてまたアルベドが謹慎することになる事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。本当に。ここまで読んでくださった貴方に最高の感謝を。


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ナーベラルを看病する話。

原作設定破壊回です。
最近エロ系と日常系、どっちを書けばいいのか分からなくなってきました。
内容はタイトルそのまま。病気のナーベラルをアインズ様が看病する話です。
稚拙な文章がダラダラと続きます。それでもよければよろしくお願いします。


「…………っ…。」

 

「ナーベ!?おい、ナーベ!大丈夫か!!」

 

「も、ももん、さん。わ、わたしはだいじょうぶでーー。」

 

パタリ、と。

美姫ナーベことナーベラル・ガンマが力無く地面に倒れた。

顔は赤く、ぜえぜえと息を切らしている。

 

「ーーーーーっ!!」

 

異常事態の発生。それにより泡立った精神がアンデッドの特性で沈静化されていくのを感じ、アインズは思考の海に沈む。

これは一体どういう事だ?

 

ナーベラルは見た目こそ美しい人間種の女性に見えるが、その実態はドッペルゲンガー。風邪等の体調不良とは縁遠い種族である。

 

では、何らかの状態異常か?それも有り得ない。冒険者ナーベとして外に出ることの多いナーベラルには状態異常対策は完璧に施してある。それこそワールドアイテム級でないと魔法による状態異常付与は難しい。

 

かと言ってこれが何者かによるワールドアイテムを用いての攻撃という事も恐らくだが無い。ユグドラシルにおける状態異常に今のナーベラルの症状に類するモノは無かった。ワールドアイテムはゲームの性質すら変えてしまう凄まじい性能を持つが、『ユグドラシル』という枠組みをはみ出る事はない。

 

そうすると他に考えられるのはーー

 

「……この世界特有の病気か。」

 

これはアインズが最も危惧しているモノの一つである。睡眠や麻痺、火傷に凍結などユグドラシルの時から存在する状態異常であれば、治療する事は容易い。

だが、そうでないものだとすると話は変わってくる。まず、従来の魔法で治療出来るものかどうか分からない。さらに感染の条件も分からない為、感染者をナザリックに連れて帰る事も躊躇われる。

 

「……ひとまず黄金の輝き亭にナーベを寝かせた後、情報収集を行うとしよう。」

 

倒れたナーベラルの首と腿の下に手を入れて、優しく抱え込む。腕の中でシャツがグチャグチャになるくらいのいっぱいの汗をかき、苦しそうに息をするナーベラルがアインズの焦燥感を掻き立てる。

 

「少し待ってろよ、ナーベ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モモン様、それはこの辺り特有の風土病です。」

 

「……風土病、ですか?」

 

「はい。今のナーベ様の症状を聞く限り、間違いないかと。」

 

アインズはほっと胸を撫で下ろす。話を聞いている宿屋の従業員の様子からして、この辺りではよくある病気の様だ。

 

「……それで、治療法はあるんでしょうか?」

 

「自然治癒しかありません。この病気には魔法は効果を発揮せず、薬も存在しておりません。病気自体は2〜3日で治りますが、その間、ナーベ様はかなり衰弱した状態になるので何から何まで手厚い看護が必要です。」

 

薬が無いのか、とアインズは落胆する。

治癒魔法が効かないのは先程ナザリックからペストーニャを呼んで試したので知っている。ナーベラルはかなり辛そうにしているので、できる事なら早く治してやりかった。

 

「もしよろしければ我々が介護をさせていただきますが…」

 

「いえ、それには及びません。ナーベは私が面倒を見ます。それと、皆様に感染してしまうといけないので、ナーベの病気が治るまで我々の部屋の掃除などは不要です。ベッドシーツなど選択の必要があるものは私が部屋の外にカゴを出しておきますのでそこで交換しておいてください。よろしくお願いします。」

 

それだけ言ってアインズは部屋に戻る。

 

(ナーベラルは人間が死ぬほど嫌いだから彼らに面倒を見てもらうなんて絶対に嫌がるだろうし。かといってナザリックからシモベを呼び出して世話をさせて、そいつも病気になってしまったら元も子もない。やはりここは俺が面倒を見るしか無いか。)

 

アインズが病気になる事は恐らく無いだろう。呼吸器が存在しないし、食事も不要で体は骸骨。この体ではウイルスを取り入れる方が難しい。ナーベラルはきっとアインズに面倒を見てもらうのは嫌がるだろう。しかし他に選択肢が無い以上我慢してもらうしか無い。

 

(すまないな、ナーベラル。)

 

そう考えて部屋に入ると、布団の中でナーベラルが苦しそうに喘いでいる。

 

「………ぅ…。」

 

「大丈夫か?ナーベラル。」

 

アインズが頭を優しく撫でるとナーベラルがぼーっとした目でアインズの方を見る。

 

「あ、いんず、さま?」

 

「何だ?」

 

「わたしは、どうしてしまった、のでしょうか。からだにちからが、はい、らなくて。」

 

「どうやらお前はこの世界の病気にかかってしまったらしい。そして魔法や薬による治療は不可能で自然治癒を待たなければならず、2〜3日はその状態が続くそうだ。そしてその間お前の面倒は全て私が見る事になった。早速だが、何かして欲しいことはあるか?」

 

「しこうのおんみに、おてまをかけさせる、わけには。」

 

「流石に自分が病気のときくらいは自分の事を労ってくれ…。ナーベラル、これは命令だ。今私に何かして欲しいことがあるなら言え。」

 

命令ーーナザリックに属する者にとって至高の存在が放つこの言葉の威力は絶対で、逆らうことなど有り得ない。少し汚い方法だが、ナーベラルを素直にする為にこれ以上の方法がなかった。

 

「…………では、あせで、ふくがはりついて、きもちわるいので、きがえを、てつだって、もらえますか…?」

 

「……了解した。お前の着替えはプレアデスにナザリックから送らせよう。」

 

「はい。では…。」

 

そう言ってナーベラルが上半身を起こしシャツのボタンをぷちぷちと丁寧に外していく。アインズはそれに少しだけ動揺しながらも、体を拭くためのタオルを濡らして、ナザリックから送られてきた着替えをベッドの脇に置いて準備をする。

 

「…あいんずさま。おねがいが、あるのですが。」

 

「何だ?」

 

「きんにくが、こうちょく、してしまって、せなかにてがとどかないので、したぎを、はずして、もらえますか?」

 

見ると、ナーベラルが背中に手を回し、ホックを必死に外そうとしているが全く届いていない。宿屋の従業員が介護を進めてきたのはこういう意味だったのか、これは確かにアインズがやるには少しだけ恥ずかしい。

 

「……了解した。」

 

ぱちん、とあまり時間を掛けずにホックを外す。はらりと黒色の下着がベッドに落ちた。アインズはナーベラルから落ちたそれを目に付かないよう籠の中に一瞬でしまい込み、体を拭く準備を始める。ナーベラルの顔は病気の為か羞恥の為か茹だこのように赤く染まっている。

 

「では、まずは上半身から拭いていくとしようか。」

 

用意しておいた濡れタオルを片手に握りナーベラルの汗でじっとりと濡れた背中を優しく包み込む様に拭いていく。アインズの骨の手がナーベラルの柔い背にずぶずぶと遠慮なく入っていく。

 

「………っ…ぁ…。」

 

ナーベラルが心地良さそうに目を細めてぴくぴくと肌を震わせている。

 

(風邪引いた時って他人の肌の感触がなぜかやたら心地いいよな。わかるぞ。)

 

ナーベラルの気持ちを感じ取ったアインズはわしゃわしゃと撫でる様にナーベラルの背をタオルと骨の手で蹂躙していく。一撫でする度にナーベラルから艶っぽい声が聞こえてくる。どうやら喜んでもらえている様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っん…、ぁ……ぅ。」

 

ナーベラルはアインズの攻めに必死に耐えていた。病気の為に火照った体はいつもより刺激に対して敏感に反応するようで、背中に触れる手の感触に思うがままにされていた。

 

(お風呂の時もかなりのものだったが…病のせいかあの時よりもさらに気持ちいい。なぜただ背中を拭かれているだけなのに私はこんなにも感じてしまって…)

 

ナーベラルは回らない頭で考える。

アインズ様だからなのか、と。

きっとアインズ様と同じーー同じと言うのはかなり不敬だがーー骨の手を持つスケルトンに同じ事をされてもこんなにも波の様な快楽がどっと押し寄せて来ることはないだろう。どちらかと言えば肉体的な快楽よりも精神的なものの方が大きい気がする。

 

(心が、感じているのかしら?)

 

何を馬鹿な、と自嘲気味に笑う。私はただのナザリックに仕える1メイドに過ぎない。ナザリック地下大墳墓における絶対的な主人に恋慕する事などあり得ない、あってはならない。しかし、だと言うならこの感情は一体何なのか。今まではただそこに畏敬の念が存在するだけだった。しかしこの世界に来て、主人と共に冒険者として旅をして、主人の優しさに沢山触れた。私が失敗をしても罰を与えず笑って許し、次から頑張ろう、と励ましの言葉をくれる。いつだってそこには我々に対する深すぎる慈悲と慈愛が存在していた。

 

(ああ、そうか。そんなアインズ様だから、私はこんなにもーー)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう。よし、背中は終わったぞ。」

 

汗を完全に拭きとり、一息つく。

お風呂で一度見ているとは言え、ナザリックでは見た目が日本人に最も近いナーベラルの裸を見るのはやはり緊張する。

 

「……あいんずさま。まえもおねがい、できますか?」

 

その瞬間、アインズの頭が回転を止める。

 

 

(……………前。………………前だと!?)

 

「ま、まえも、か?」

 

「はい。ちからが、はいらなくて、うまくふくことが、できないんです。もし、よろしければ、ぜんしん、おねがい、できますか?」

 

「そうか…。了解した。」

 

(まずい。まずいぞ。風呂の時は前までは流石に拭いてない。ここで動揺した様子を見せてしまったら、部下の裸に興奮しているセクハラ上司という烙印を押される可能性がある。…というか全身!?ナーベラルはそれで良いのか!?どんだけ俺の事を信用しているんだよ……。)

 

「では、した、もぬがせて、いただきます。」

 

かちゃかちゃとベルトを外した後にスッと腰から落とす様にしてズボンと下着を同時に足首まで下げる。ナーベラルが完全に生まれたままの姿になり、人を引きつけて離さない誰もが羨む美姫ナーベの普段は隠されている場所が露わになる。そう考えるだけで優越感と背徳感が同時に襲いかかってきて、アインズはアンデッドの特性を利用して必死にそれを自制する。

 

「おねがい、します。」

 

ナーベラルがこちらを向くと小さい顔と反比例するようなたわわな胸やら小さく赤っぽい杏の実やら色々と見えてしまうが、それを一瞬で頭の中から消し去り、鎖骨のあたりから優しく拭いていく。

 

「……あいんずさま。すごく、きもちいいです。」

 

(……無心!!無心だぞアインズ・ウール・ゴウン!!!何も考えるな!)

 

「……そうか。それは何よりだ。」

 

そうこうしていると不意にアインズの手の平にムニムニとした優しい感触が訪れる。いつだったかーーこの感触は何処かで触ったことがある。そうだ。確かこれは、この世界に来た時にアルベドのーー

 

「ぁ、ん…」

 

 

そこまで考えてバっとそれを触っている手の方を見る。それはやはりと言うべきか。アインズが右手で鷲掴みにしていた物はいつか見たナーベラルのふにふにとした曲線であった。

 

 

 

(……冷静に考えろ、アインズ・ウール・ゴウン。どのみち全身拭かなきゃいけないんだ。ここを触ってしまうのは不可抗力。避けては通れない道。ここで狼狽えてしまえば変態支配者オーバーロード・モモンガとしての第一歩を歩む事になってしまう。冷静に。冷静に対処するんだ…!)

 

「……ナーベラル、ここも拭くぞ?」

 

「は、はひっ、どうぞ」

 

流石にナーベラルも恥ずかしいのか、上擦った声で返事をする。赤かった顔はさらに赤くなり今にも爆発しそうだ。

 

「……召し上がれ…?」

 

どうやら病気で頭が相当弱っているらしい。この場面で使うべき言葉は召し上がれでは無いはずだ。ナーベラルも相当緊張しているのが手に取るようにわかる。

 

手の平にギリギリ収まらないくらいの乳房をタオルで拭いていく。ふにふにと柔らかい乳の下で心臓がドクンドクンと動いているのが骨の手に伝わり、生命の神秘を感じずにはいられない。柔い肉の下を拭くためにそこに手を掛け軽く揺すると気持ちのいい重さを掌に感じる。ナーベラルのそこを弄んでいるうちに少し楽しくなってきてしまった。

 

(…このまま、世界征服はデミウルゴスに任せてナーベラルと退廃的に過ごすのも、ありだな…。)

 

と、完全にアウトな思考を続けていると腕の中でナーベラルがビクンと感極まった様に震えている。少し触りすぎたか。急いで手を離す。

 

「…ひぁっ……ぅ…!」

 

「すまん。気持ち悪かっただろう。さっさと次にいくとしようーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はアインズ様への気持ちを自覚したーー自覚してしまった。きっとそれは許されない感情。不敬の中の不敬。こんな気持ちは知りたくなかった。吐き出したい。吐き出して楽になりたい。

 

でも、それは出来ないし、したくない。

この感情は私自身が初めて持った感情。今までは与えられた設定に従って生きてきた私がこの世界に来て初めて抱いた誰にも与えられていない本当の気持ち。それを大事にしなくてはならないことはいくらポンコツの私とはいえ理解できる。

 

「ぁ、ん…」

 

アインズ様が私の胸に触れる。心臓は緊張のためか忙しなく動き、身体中に血液を送る。

 

「……ここも拭くぞ?」

 

愛しい御方から声が掛かる。そんな事に対して許可など取らなくても嫌がったりしないのに。

 

「は、はひっ、どうぞ。」

 

どうやら私もかなり緊張している様だ。ナザリックのメイドらしくもなく声が裏返ってしまった。もしかしてアインズ様は私が緊張している事を分かっていて、わざわざ声を掛けたのだろうか。いや、きっとそうに違いない。本当に慈悲深い御方だ。私の気持ちなんて考えなくても良いのに。

 

「……召し上がれ…?」

 

あ、と思った時には遅かった。つい言ってしまった。羞恥で顔が真っ赤に染まる。私は何を言っているのだ。

 

でもアインズ様はそんな事を全く気にする様子も無く私の胸を拭く。触れられて確信する。やはりアインズ様だけが特別なんだ。だってこんなのはおかしい。いつか浴場でルプスレギナに揉みくちゃにされた時だって全くと言っていいほど何も感じなかった。それがアインズ様が少し触れただけで、身体中に電流が走ったように反応してしまう。反射的に背中は反り返り、声が溢れてしまう、太ももの間からも本能による滑りを感じて、恥ずかしくなる。

アインズ様が私の乳房の下を拭いている。何回かたぷたぷと胸を揺らすように揉まれている。男性は大きい胸が好きだとペストーニャが言っていた。アインズ様もそうなのだろうか。だったら私はあまり自信が無い。

そんな事を考えていると、急に快楽の大波が来た。初めての感覚に訳が分からなくなりながら、それに身をまかせると体が反射的に大きく震える。

 

「…ひぁっ……ぅ…!!」

 

 

少しの気怠さと開放感が身を包む。

 

「すまん。気持ち悪かっただろう。さっさと次に行くとしよう。」

 

気を使われているのだろうか。アインズ様に触られる事が気持ち悪い訳が無いのに。いや、むしろ大変気持ちが良かった。そのせいで先程から下の方が大変なことになっている気がする。

アインズ様は私の腕と脇をスッと流れる様な動作で汗を拭き取り、残すところは下半身のみとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(遂に来た、いや、来てしまった、か。ここは一番気を付けて拭かないと変態になりかねんからな)

 

「…まずは足から拭こうか。」

 

「かしこまり、ました。」

 

ナーベラルの象牙細工のように華奢で端正な足をしたから丁寧に拭いて行く。

 

(ここはまだ大丈夫なんだ。問題は()()()だ。触れた事が無いからどう拭けばいいのか分からない…。というか触れていいのか?セクハラ認定されそうで怖いんだが…。)

 

ごちゃごちゃと考えているうちに足を拭き終わる。

 

「次は……そこだな。」

 

「はい。たいせいは、どうされますか。」

 

「……足を開け。」

 

「ぇーーかしこまりました。」

 

パカッとナーベラルが足を開くとそこはよほど汗をかいたのかビショビショに濡れていた。これでは流石に気持ち悪いだろう。

ナーベラルの顔が赤を通り越して黒っぽくなっていた。そりゃそうだ。こんな体勢恥ずかしいに決まっている。だけどこういうよく見える体勢にしないと童貞の鈴木悟ではどこを拭けばいいのかよく分からない。だから、出来るだけはやく終わらせてやりたい。

 

「では、行くぞ。」

 

ナーベラルのそこにタオルを当ててぱっくりと開いた桃の筋に沿らすようにタオルで汗を拭いて行く。この体勢だと奥の方まで見えてーー

 

(って俺は何を考えているんだ!!無心!!無心だ!!この子は弐式炎雷さんの娘!!やましい気持ちなど持ってはいけない!!)

 

と、暴走する感情を理性によって押し込むことに成功しかけた時に。

 

 

「あっ……ああっ……んっ、ああっ……あっ……」

 

アインズの手の動きと連動する様に、甘ったるく人を誘惑する様な声がナーベラルから聞こえてくる。

 

(……………………………。)

 

今までギリギリ保っていた理性の限界を突破した事でアインズは腕の上下運動を繰り返すロボットになってしまった。当然、強さなど調節できない。

 

「ひあっ……やあぁ……ぃや…っ………ふあぁっ……ぁあっ!!」

 

先程とは比べられないほどナーベラルが痙攣し、その振動がアインズを正気に戻す。正気に戻ったアインズがナーベラルの顔を見ると嬉しそうにーー嬉しそう?に目の焦点が定まらない感じでにへら、と口をだらしなく弛緩させていた。やばい。

 

「大丈夫か!ナーベラル!!」

 

「だいじょうぶ、れす。あいんずさま、きもちぃです。」

 

「うん、全然大丈夫じゃないな」

 

ナーベラルがこんなエントマの様な甘い口調になるのは異常事態以外の何者でもないだろう。

 

「ひとまず全身拭き終わったので、これに着替えるといい。」

 

そう言ってナザリックから送られて来た寝間着を取り出してナーベラルに渡す。ナーベラルが力が入らずにうまく着られないと言うので、着付けを手伝ってやった。ふう。山は越えたな。あとは安静にして入れば治るはずだーー

 

 

 

 

 

「まずは足からいこうか。」

 

そう言ってアインズ様が私の足を丁寧に拭いていく。これは何たる不敬か。主人に足を拭かせるなどと普段だったらありえない。しかし何だか今日は特別主人に甘えたい気持ちでいっぱいだった。

主人が脹脛から腿まで丁寧に拭いてくれる。私はそれを心地よく享受していたーーどうかその上は見ないでください、と願いながら。そこは大変なことになっていた。触らなくてもわかる。粘性の高い透明の液体が私の奥の方からとめどなく溢れてきて止まらない。そう言った経験が無いから私がそういう体質なのかどうかは分からないが異常事態であった。

 

「次はそこだな。」

 

遂に来てしまったか。乾くまで待って欲しい気持ちもあるが主人の思いを無下にはできない。

 

「たいせいは、どうされますか。」

 

「足を開け」

 

「ぇーーー」

 

主人が口にしたのは、今私が最もしたくない体勢であった。

足を開く?この状態で?そこは今とんでもないことになっている。それを開脚した状態で主人に拭かせるだと?一体どんな羞恥プレイなんだそれは。しかしーー

 

「ーーかしこまりました。」

 

ーー逆らうことは出来ない。主人もきっと嫌々拭いてくれている。それを効率的に終わらせるためにその要求をされているのだろう。なら私の恥などと言うくだらない理由でその提案を却下することは出来ない。

 

ぱかっと足を開いてそこを主人の近くへ持って行く。これはーーああ、なんたる恥辱か。この世にこんなにも恥ずかしいことが存在するとは。きっと今の私の顔は赤を通り越して黒くなっているに違いない。

 

「では行くぞ。」

 

主人が私の恥部にタオルを当てて拭いて行く。なんて気持ち良さだ。これまでの部分とは格が違う。今まで以上にネットリとした蜜が溢れてくるのがわかる。主人の手の動きに合わせる様に勝手に腰が浮き上がってきてしまう。

 

「あっ……ああっ……んっ、ああっ……あっ……」

 

そんな事を考え続ける余裕もなく私はみっともなく声を出してしまう。幻滅されただろうか。チラッとアインズ様の方に目をやるとアインズ様の手が急に激しく私のそこを擦り始めた。あ、アインズ様!?ち、ちょっと待って下さい!!

 

「ひあっ……やあぁ……ぃや…っ………ふあぁっ……ぁあっ!!」

 

何も知らない生娘の様に声を荒げてしまう。

いや何も知らない生娘なのだが。

や、やばい。このままではーー堕ちる。堕ちてしまう。なんとか抗わなくては。

 

「ナーベラル!大丈夫か!!」

 

アインズ様からお声が掛かる。心配されているのだろう。ここは心配させない為にもメイドらしくはっきりと返事をしよう。

 

「だいじょうぶ、れす。あいんずさま、きもちぃです。」

 

「うん、全然大丈夫じゃないな」

 

どうやらアインズ様から見た私は相当酷いものだったらしい。申し訳なさと気持ち良さが半々くらいの複雑な感情の中で私はアインズ様に服を着替えさせてもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつ、いい顔で寝るなあ。」

 

ナーベラルがアインズと同じ布団でスヤスヤと寝息を立てていた。病気という事でリングオブサステナンスを外して睡眠をさせて休養を取らせている。なぜ一緒に寝ているかというと、子供が風邪の時は一緒に寝てあげると落ち着くとやまいこさんから聞いていたからだ。アインズは種族的に睡眠が不可能なので前にソリュシャンにやった様に添い寝という形だが。

しかしこうやって見ると病気には見えない。顔色は先程とは打って変わって健康そのものであり、吐き出される息も小気味よく、くぅくぅと可愛らしい寝息を立てている。

 

「今日のナーベラルは随分と甘えて来たな。」

 

ナーベラルはアウラやマーレの様に甘えてくることはあまりない。精神年齢も見た目相応という事だろうか。

 

「もっと頼ってくれていいんだけどな…。」

 

何の気なしにナーベラルの頭を撫でると本当に嬉しそうに口元を綻ばせる。そのまま腕を枕にされてしまった。

 

「しかし、風土病か。他の奴らにもしっかりと注意喚起しておかないといけないな…。」

 

アインズはまた明日もこれをしなくてはならないという事実から目を背け、眠るナーベラルの頭を朝日が昇るまで撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー翌朝ー

 

 

 

「……治っただと?」

 

「はい。恐らくは完治したかと。」

 

「2〜3日掛かると聞いていたんだが。」

 

「いえ、むしろ病気になる前よりも好調です。やはりアインズ様の手厚い介護のお陰でしょうか。」

 

「ふむ…何故だろう。あとで少し聞いて見るか。まあ治ったならそれで構わない。仕事に出かけようか。」

 

「畏まりました!」

 

 

 

 

…その後、漆黒が滞在している一室から夜な夜な女の喘ぎ声が聞こえてきたという噂が立ってわざわざエ・ランテルを訪ねてきたイビルアイと一悶着あるのだが、それはまた別のお話。

 




ナーベラルの病気が1日で治った理由は作者のスタミナ切れです。
お疲れ様でした。本当に。ここまで読んでくださった貴方に最高の感謝を。


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