艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー (霧雨鴉)
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平和で日常的な鎮守府 プロローグ

8年前、ある海難事故から始まった

 

太平洋を渡っている豪華客船が突如として襲われたのだ

最初はテロリストや海賊と思われた

だが、違っていた

人の形をしていたその『何か』によって船は襲われた

 

 

 

そして、それをきっかけに世界各国で商業船や旅客機が次々に事故にあった

ただ、それは整備の不調とかではない。

その『何か』襲われたのだ

 

 

 

世界各国が集まり緊急会議が行われ各国はどこの国の兵器かと疑った

だが、その『何か』は海の上を通るものを全て見境なく攻撃したのだ

 

 

そして、世界各国はその『何か』の事も全く分からなかったがこれ以上の被害を出すのは不味いと思い

各国は協力し反撃を開始した

 

 

 

空母

戦闘機

戦艦

海上で戦える物全てを尽くし戦った

だが、その『何か』には傷一つ付けられなかった。

そして、世界各国ご自慢の兵器は意図も容易く、その『何か』に破壊されたのだった………

 

 

 

世界各国で結成された研究チームは、何とかしてその『何か』の正体を探った

だが、分かった事と言えば

 

 

その『何か』は海溝の深い海より急浮上し、軍艦並みの装甲と火力を持ち合わせていると言うこと。

 

 

そして、研究チームはその『何か』を深海に棲む軍艦達をこう発表した

 

 

 

 

 

 

 

 

『深海棲艦』

 

 

 

 

と呼んだ

そして、人類はそれに対抗する兵器を作り出すことにした

戦艦や戦闘機より、俊敏に、かつ人間と変わらない動きをし、敵を殲滅する兵器

 

各国は総力を上げて、その開発に手をかけた。

 

 

だが、その間にも深海棲艦は、進行を続け、次々と島国を占拠していった

 

 

 

各国は、そろそろ手を打たないと駄目だと感じ最終手段として核兵器を持ち出そうとしたとき

研究チームは、ある『兵器』の開発に成功した

その名は

 

 

 

 

『艦娘』

 

 

 

唯一、深海棲艦を倒せる兵器

人間とそっくりな俊敏性

動き

思考力

そして見た目である

 

 

何もしてない状態なら、普通の人間とそう変わらないであろう。

だが、彼女達には人間が使う銃、ナイフ等の類いは一切利かなかった

 

 

そして、初運用の時に彼女達の真価を見せた

あの忌々しく海を支配していた深海棲艦を意図も容易く倒したのである

各国は喜びを隠せなかった

やっとあの忌々しい深海棲艦達に報いることが出来たのだ。

そして今では何人もの艦娘がこの世界各国に存在している

 

 

だが、戦況は芳しく無かった……

艦娘が現れ、力を貸してはくれるが深海棲艦側も新たな力を身に付け艦娘に立ちふさがる

 

そして、始まったのがこの大戦争である

 

 

果たしてこの戦争の勝者はいかに……

そして深海棲艦と艦娘どちらが勝つのかそれとも……

 

「と言う感じの物語だよ!!!」

 



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日常

「………ねぇ?それ私に向かって言ってるわけ?」

 

 

「以外無いでしょ?」

 

 

「…………あんた、そろそろ大本営の明石(あかし)さんに脳ミソ直してもらったら?」

 

 

「え?酷くない?」

 

 

書類作業をしながら二人は休憩がてらのんびりと会話をしていた

 

 

ここは、4ヶ月前に新たに提督が着任した鎮守府の一室

上の看板には、提督室と書かれ銀髪の女の子と20代後半の男が、机の上でのんびりとくつろいでいる

 

 

時期は4月の中旬、外で綺麗に桜が咲き乱れぽかぽか陽気である

 

 

「いやさ、叢雲(むらくも)先生?そっちがこの戦争の事を聞きたいって言ったんだよね?

違ったっけ?」

 

 

叢雲と呼ばれた少女は背丈は中学生位、長い銀髪の髪を腰まで伸ばす可愛らしい女の子

 

 

「そんなこと言ったかしら?私は、暇だから何か話しなさい頭お花畑司令官さんって言ったのよ?」

 

 

「待て待て、お前それを上司に言うセリフか!?」

 

 

「酸素魚雷当てるわよ?」

 

 

「スイマセンデシタ」

 

 

この中学生位の女の子に全く頭が上がらない提督と呼ばれた男

容姿は平凡髪は黒く短めでそこそこ整った顔をしている名を

 

「それとも、佐渡満(さわたりみつる)司令官様とでも呼べば良いのかしら」

 

 

叢雲がそう言うと佐渡は「はぁ」とため息を付く

そもそも何故にそんな女の子がこんな鎮守府で書類整理をしているかと言うと

 

 

「お前なぁ……普通『艦娘』は提督の事を本名で呼ばないぞ?」

 

 

そう、彼女は艦娘なのだ。

 

 

艦娘  唯一深海棲艦と戦える存在

彼女達の出生は不明正直分からないことだらけだ。

調べようにも艦娘の事は重要機密に指定されており調べようとすれば憲兵に捕まるほどである

 

故に誰も調べない

 

 

「あら?じゃあ普通に能無しクソ司令官が良いのかしら?」

 

 

「そうそう普通に能無し……ってだから能無しクソは余計だっての!!!」

 

 

二人が会話をしていると提督室の部屋が扉が開き、少女が入ってくる

 

 

「提督失礼致します!

鎮守府近辺の哨戒完了致しました!」

 

 

入ると同時に佐渡に見事なまでの敬礼をするこの少女もまた艦娘である

容姿は中性的な顔立ちで可愛らしくまた左目が義眼なのだがそれでも綺麗な黄銅色をしている

 

 

「古鷹(ふるたか)ぁぁぁー!!!また叢雲が苛めるんだよぉ!!」

 

 

そう言うと佐渡は敬礼をしている女の子に抱きつこうと席を立とうとするが

 

 

「座りなさい!!」

 

 

叢雲が机の近くにあった薙刀見たいな物を降るい佐渡の背中を叩く

 

 

「ぐっはぁ!!」

 

 

背中を叩かれると佐渡は机に倒れ机の上の書類が宙を舞う

 

 

「え、えっとぉ……提督大丈夫ですか?」

 

 

古鷹は敬礼を解き佐渡の倒れた机の側に行くすると

 

 

「おぉ!!古鷹ぁ!!君はやっぱり天使だよぉ!!!」

 

 

佐渡は勢いおく立ち上がり側に来た古鷹に抱き付く

 

 

 

「て、提督!?だ、駄目ですよ!!先程海に出ていましたから磯臭いですよぉ!!」

 

 

 

抱き付かれ流石に驚いた古鷹は佐渡の抱擁から離れようとする

 

 

 

「そんなこと無いぞぉ!!古鷹は良い香りがするぞぉ!!」

 

 

「う、うぅ~……」

 

 

 

佐渡が古鷹に抱き付いていると古鷹は佐渡の胸に顔を埋めながら耳まで真っ赤にしておりそれを見ていた叢雲が机の中から何かを取り出し静かに佐渡の背後に近付く

 

 

「古鷹さんお帰りなさい

お風呂の準備は出来てるわよ

とりあえずそいつに酸素魚雷撃つからちょっと離れて貰って良いかしら?」

 

 

満面の笑みを浮かべながら右手の艤装にある魚雷を佐渡の背中にグリグリと押し当てる

 

 

「……あ、あのぉ?叢雲様?これは一体…?」

 

 

全身から冷や汗をかきながら佐渡は頭だけ叢雲の方を向く

 



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日常 二

「あら?分からないの?こ れ が?」

 

 

叢雲は酸素魚雷を佐渡の背中にグリグリと押し当てながら満面の笑みを浮かべている

 

 

「ま、まて叢雲

話せばーー」

 

 

「話せば分かるとか言わないでよねぇ!!」

 

 

瞬間叢雲は佐渡の両足を蹴り体制を崩す

 

「いってぇ!」

 

 

佐渡は余りの痛さに抱き付いてる古鷹を離してしまう

そして叢雲は佐渡の襟を掴むとそのまま床に叩きつけその上に馬乗りになると魚雷を顔面に突きつける

 

そして得意げな顔をしながら佐渡を見下ろす

 

 

「どう?前より様になってるでしょ?」

 

 

 

一瞬唖然とする佐渡だったがすぐに大声で笑う

 

 

「あっはっはっは!!流石だな!叢雲もうそれを覚えたのか?」

 

 

「当然よ?私を誰だと思ってるわけ?」

 

 

「すまんすまん、まだお前には無理だと思ったんだけどなぁ」

 

 

佐渡は身体を起こそうとすると叢雲も退き酸素魚雷を仕舞うために席に戻る

 

 

「いやぁ相変わらず上達が早いな

初期艦様?」

 

 

「と言うか普通艦娘に近接戦闘なんて教える?」

 

 

「何となくだ何となく

それに必要になるかもだぞぉ?」

 

 

叢雲と佐渡が笑いながら話しているのを見て古鷹は小さく「もぉ」と言い微笑むと思い出したかの様に佐渡に話しかける

 

 

「それよりも提督

そろそろ報告をしたいのですが……」

 

 

「あぁ!!すまんすまん

では頼む古鷹」

 

 

「はい!」

 

古鷹と佐渡は散らかった物を直すと近くのソファに移ろうとする

模擬艤装を机の中にしまった叢雲が戸棚からお茶菓子とお茶っ葉を取り出す 

 

 

「お茶入れるわね」

 

 

「あぁ、頼む

では古鷹聞こうか?」

 

 

「はい!!」

 

 

叢雲がお茶を入れている間古鷹の任務報告を佐渡へ話していく

 

 

「ーー以上が本日の報告になります」

 

 

「分かったありがとう」

 

 

佐渡はその報告を聞くと「ふぅ…」とため息を付きながら天井を見上げる

 

 

「………何も無しかぁ」

 

 

「ご、ごめんなさい!!何のお役にも立てなくて……」

 

 

「い、いやぁ!古鷹は悪くないよ!!

でも近海に深海棲艦の影すら無しか……」

 

 

実はこの小笠原鎮守府は三週間前に深海棲艦から大規模な攻撃を受けていた

大規模と言っても鎮守府を壊滅させ陸地への進行を考えた物ではない

 

 

明らかに鎮守府のみを狙った攻撃だ

 

 

幸いその時に叢雲 古鷹 佐渡は大本営に全員呼び出されており三人は無傷

だが、鎮守府はほぼ壊滅状態だった

 

「まぁあの攻撃でこの鎮守府には誰も居ないって向こうも気付いたんでしょ?良いことじゃない?はい、お茶」

 

 

「いやそうかも知れないけどさ…

ありがとさん」

 

 

佐渡は叢雲から貰ったお茶をすすりながら考えていた

 

 

(ここら近辺には、深海棲艦が居ないと思ってたのになぁ

 

こんな『辺境地』になんてさ)

 

 

お茶を飲みながら、佐渡は二人をみる

楽しく話ながら叢雲と古鷹はお茶菓子を頬張りながら談笑している姿を見ると微笑む

 

 

(でも、こいつらが笑顔ならいっか)

 

 

と考えながらボーっとしていると扉からノックが聞こえる

 

 

『佐渡提督殿 憲兵です

入ってもよろしいでしょうか?』

 

 

と話し声が聞こえた瞬間佐渡はお茶を吹き出す

 

 

 

 



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日常 三

 

 

「て、提督!?だ、大丈夫ですか?」

 

 

(え?え?何で憲兵??俺、何かしたっ………え?古鷹に抱き付いたの見られてた???嘘やろ?)

 

 

 

古鷹の心配を余所に佐渡は、滝のように汗をかきながら、思考を巡らせる。

その姿を見た叢雲がめんどくさそうため息を付き憲兵に話しかける

 

 

「入っても大丈夫よ」

 

 

「ちょ!!叢雲さんんん!?」

 

 

『では、失礼致します』

 

 

叢雲の合図を聞いた憲兵は、提督室の扉を開けソファーに寛ぐ佐渡に敬礼をする

 

 

「提督殿おはな」

 

 

「すいませんでしたぁぁぁぁ!!!!」

 

 

憲兵が言い終わる前に、佐渡はそれよりも早く立ち上がり憲兵にスライディング土下座をする

 

 

「……えっと?佐渡提督殿?」

 

 

「違うんです!!俺はやましい気持ち何て全く無いんですぅ!!!ただ、古鷹が可愛くて天使過ぎてやってしまったんです!!!許してくださいぃ!!」

 

 

佐渡は頭を床に擦りながら全力で土下座をする

それを聞いていた古鷹は、頬を赤らめながらお茶すすっている

 

 

「………何をしたかは後でじっくりとお話を聞かせて頂くとして、今は別の話しがございますので、よろしいですかね?」

 

 

「えっ?」

 

 

佐渡は予想外の憲兵の反応に頭を上げる

額は擦ったときに、どうやら力を込めすぎたらしく、デコに傷が出来てしまっている

 

 

「ち、違うんですか?古鷹に抱き付いた話ではないんですか?俺を牢屋に入れに来たんじゃないんですか?」

 

 

「そもそも、それは何の話ですか?毎回ですが、私を何だと思っているのですか?」

 

 

 

「艦娘へのセクハラしたら、絶対許さないどんなときでもの人では?」

 

 

「それは何ですか?私が貴方の全てを24時間監視してるとでも?」

 

 

「違うんですか!?」

 

 

「貴方ねぇ……」

 

 

憲兵は、はぁ、と溜め息を付くと佐渡に手を差し出す

 

 

「違います、大本営からの伝言です」

 

 

「あぁ、あのクソ野郎共の巣窟からですか」

 

 

憲兵の手を取り、佐渡は立ち上がり、汚れを落とし、ソファーに向かう

 

 

「あ、提督、額怪我してますね、少し待ってください」

 

 

「ありがと、古鷹」

 

 

古鷹は、救急箱を戸棚から取り出しに行くために立ち上がり、叢雲は憲兵の為にお茶を入れに行く

 

 

佐渡が座ると憲兵も続けて佐渡の正面に座ると、ネクタイを緩める

 

 

「どうぞ」

 

 

「おぉ、これはこれは叢雲殿、お構い無く、すぐに終わるお話ですから……」

 

 

叢雲が用意してくれたお茶をすすりながら、憲兵はふぅと一息付く

 

 

「んで?奴等は何て?」

 

 

「……申し上げにくいのですが、物資などの支援は出来ないと」

 

「やっぱりかぁ……

まぁ、当てにしては居ないけどね」

 

 

佐渡は、お茶をすすりながら、立ち上がり提督室の窓際へと向かい歩いていく

 

 

「まぁ、そりゃぁこんな辺境地じゃねぇ…」

 

 

「提督!傷、絆創膏貼りますよ!」

 

 

「お、すまんな、古鷹」

 

 

古鷹が、持ってきてくれた絆創膏を付けて貰い、佐渡は窓を開ける

窓からは心地良い、潮風が提督室に入り、佐渡はそれを堪能する

 

 

「申し訳ありません……

こちらからも、お願いしたのですが……」

 

 

「仕方ないって、憲兵さん、言って頂いた事でも嬉しい限りです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そりゃ、深海棲艦に『落とされた』島に何て物資何か送れませんって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは、小笠原諸島の一つ

 

 

 

 

6年前、深海棲艦に敗北し、鎮守府共に、壊滅した街

 

 

 

崩壊した建物が建ち並ぶ、言わばゴーストタウン

 

 

小笠原鎮守府、通称

 

 

 

 

敗者の鎮守府



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敗者の鎮守府

「にしてもどうすっかなぁ~?」

 

 

憲兵はあのあと直ぐに迎えを呼び帰ってもらい佐渡は鎮守府の窓外で夕暮れをのんびりと眺めていた

 

 

敗者の鎮守府

 

 

使えない又は罪を犯した艦娘、海軍に反抗しクビにしたい目障りな提督などが送られる言わば島流しの行き着く底辺

 

 

 

 

通常艦娘がここに来る事に関しては、ここに『辿り着けさえしない』が叢雲と古鷹は違う

佐渡達は、最初からここに配属されているため二人は無事にたどり着いている

何故『辿り着けさえしない』と言うと、日本列島に行き帰りする際に必ずと言って深海棲艦の艦隊と好戦するからである

ほとんどの艦娘はここに送られるとき単艦で行かされるらしい

実際、ここに着任するときは横須賀の艦から力を借りて何とか来れたような物だ

 

 

 

幸いここには深海棲艦は住み着いておらず落とされた後にすぐに別の鎮守府がここを奪い返したのだ。

 

 

だが、最初は酷かった。

 

 

廊下のそこら辺に散らばる何か白骨や血の後

入渠施設は酷すぎた

壁に穴が空いてあり艦娘が入る浴槽には幾つもの、骨

浴槽の中に穴があり完全に使い物にならなかった

崩壊した工癖

空爆を受け穴だらけの屋根

妙だったのはお風呂だけは綺麗にされていた

 

 

そもそも、ここには前任者や艦娘が居たのかと言うほどに酷い有り様だった

 

 

 

見たときここまでなのかと思うくらいに酷かった

だが、叢雲と古鷹のある活躍によって元帥からの報酬と明石さんの計らいで今はある程度直してもらい

艦隊運営が出来ている

 

 

 

 

幸いここはしばらく放置されてたらしく資材が十分にあり工厰は動かすことは出来る……

 

 

足りないのだ……あるものが徹底的に

 

 

「はぁ……あと一人は欲しいよな……

誰か……」

 

 

 

そう戦力含め諸々だ

 

 

家事は三人で交代でやるか、一緒にやっている

生活する分には構わないのだが

 

 

「ここは最前線だもんなぁ……

居ないとは言えど、また襲われたらひとたまりもないな…」

 

 

哨戒任務は二人に交代で行ってもらっているため問題ない

問題は戦闘だ、流石に二人だけなのは不味い

二人には哨戒だけで一切の戦闘をするなと命じてあり、万が一の時は鎮守府まで戻ってくるようにと伝えては居るが………

やはり、恐い

 

 

「また俺も哨戒に加わるか…?

そうすれば、戦闘になったとしてもあいつらが……」

 

 

「「駄目!!!!(です)」」

 

 

「うわっ!!ビックリしたぁ……」

 

 

佐渡は独り言を呟いていただけなのに隣から二人の大声で否定される

 

 

当然、声の主は古鷹と叢雲だ

 

 

「あんた!またろくでもない事考えてたでしょ!?私達だけで充分よ!!

あんな奴等、まとめて沈めてやるわよ!!」

 

 

「そ、そうですよ提督!深海棲艦なんて私達だけで倒せますよ!!

提督が出る必要何てないんですからね!!」

 

 

二人に気迫されたが佐渡は微笑むと二人の頭を撫でるご機嫌を取る

 

 

「ありがとな、二人とも……

頼もしいな、やっぱり

あ、そうだ、晩御飯何食べたい?」

 

 

「そうですね……私は提督の手料理なら何でも!!」

 

 

「同じくよ、あんたの料理、悔しいけど美味しいからね」

 

 

「オッケーそんじゃ考えとくよ。

二人ともそろそろお風呂入ってきなその間に作っておくよ」

 

 

「分かりました!」

 

 

「分かったわ」

 

 

二人は返事をして仲良くお風呂に向かう佐渡は窓を締め二人の後を追うように提督室を出る

 

 

(こうして、二人を見ているとただの女の子に見えて仕方ない

まぁ、最近近海には深海棲艦は居ないみたいだし良いかな……)

 

 

だが、そんな期待は簡単に裏切られる

 

 

 

ウウゥゥゥゥ!!!

 

 

 

けたたましい警報が鎮守府内に鳴り響く

 

 

「っ!叢雲!古鷹!!」

 

 

佐渡は前を歩いていた二人を呼び止める

二人は驚いては居るが分かりきったように頷く

 

 

「近海に深海棲艦だ!!出撃してくれ!!」

 

 

「「了解!!」」

 

 



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鎮守府近海防衛戦

二人は海に面したドッグから、自らの艤装を取り出し装着する

 

 

艤装(ぎそう)とは、艦娘が唯一装備することが出来る、対深海棲艦用の兵器である

その形は様々で、その艦娘にしか使えずそれぞれの使い方がある

人間が持つことが出来ないのは、この艤装はかなりの重量で一つ艤装を持ち上げようとすると20キロ以上の力が必要になる

 

 

 

叢雲は、腰周りに大きな鉄の塊と薙刀みたいのをドッグの艤装置き場から取り出す

鉄塊からは二本の鉄の管が伸びており、その先に主砲が両脇に来るように操作する

先程佐渡の背中に押し当てた魚雷を左手に付けると、手を握りしめ感覚を確かめる

そして、薙刀みたいのを右手に構え準備を整える

 

 

古鷹も同じように、ドッグから自らの艤装を取り出すが、こちらは全く違う

 

 

 

古鷹の艤装は、右腕全体に付ける物で、その艤装には叢雲とは違い多くの砲門が付いており、正に右腕だけで戦闘をするような物だ

 

 

 

古鷹は、艤装を右腕に通した瞬間、艤装がそれに反応するように古鷹の右腕にガッシリとくっ付く

そして、その右腕の艤装から二つの砲門が、左肩に回り正面を向く

最後に、二人は海上に浮くための脚の艤装を付け、海の上へと歩いていく

 

 

「あれ?叢雲?あれって艤装じゃなかったの?」

 

 

「あんたねぇ……流石に司令官を艤装持って殴らないわよ

模擬艤装よ」

 

 

「それもそうか、っと叢雲こっちこいこれ付けろ」

 

 

佐渡は、海の上に向かう叢雲の左目にあるものを付ける

 

 

それはまるでどこぞのドラ◯ンボールのスカウターの様な見た目をしたものである

 

 

「あんたねぇ……

大丈夫だって、言ったでしょ?」

 

 

叢雲は少し呆れながらも、そのスカウターの電源を入れる

スカウターは、電源が入ると何の映像も流れるわけは無いが、少し視界が見辛くはなった

 

 

「なら、俺もいくぞ?」

 

 

「………分かったわよ」

 

 

叢雲は、渋々理解し海上に向かって歩いていく

先に古鷹が、ドックの海上に立っており、叢雲を来るのを待ちながら、自分の艤装のチェックなのか右手を少し上下に降っていた

 

 

「何で、こんなものを……」

 

 

「提督も心配性なんですよ、それに少し頑固ですからね」

 

 

古鷹は、微笑みながら叢雲に言うとまるで仕方無いかと言いたげな顔をしながら、頭をポリポリとかきながらハッチが開くのを待つ

 

 

ハッチが完全に開くと二人は出撃体制をとる為少し中腰になる

 

 

「行ってこい!!!そして!!必ず帰ってこい!!!」

 

 

「はい!!提督!!」

 

 

「分かってるわよ!!!司令官!!」

 

 

 

そして、二人は各々出撃の合図であるかの様に叫ぶ

 

 

「重巡古鷹!!出撃します!!」

 

 

「特型駆逐艦叢雲!!!出撃するわ!!!」

 

 

そう叫ぶと、二人は海上を走行し、ドッグの外へと出撃していった

 

 

 

「……頼む、神様居るなら二人を無事に返してくれ……」

 

 

二人が居なくなったドッグで、小さく佐渡は呟くと、ドッグから離れ提督室へと走る



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鎮守府近海防衛戦 二

 

二人は、巡航を続けながら辺りの近海を哨戒していく

 

 

 

「…古鷹さん、水上偵察機の方は?」

 

 

「……飛ばしては居ますが居ませんね」

 

 

だが、警戒は解かない。

前の出撃で警戒を怠り被弾したことがあるのだ。

しかも、真後ろから唐突に

 

 

『あー、あー、二人とも聞こえる?』

 

 

叢雲や古鷹には、インカムを耳に装着しており、それから佐渡の声が聞こえる

 

 

「ええ、聞こえるわ」

 

 

「大丈夫ですよ、提督聞こえてます」

 

 

二人は、佐渡の声を聞くとどこか安心した気持ちになり、警戒を少し解いてしまう

 

 

『古鷹、水上偵察機はどうだ?引っ掛かったか?』

 

 

「いえ……今のところは」

 

 

『叢雲、今どこらへんを巡航してるんだ?』

 

 

「そうね……」

 

 

叢雲は、辺りを見渡し、それらしいものを探すが生憎、海上故に全く分からない

鎮守府は見えるからそこまで遠くでは無いということだけは辛うじて分かる

 

 

「鎮守府がまだ見えるからそんな遠くでもないわね。

大体、島の入り口かしらね?」

 

 

『そうか……』

 

 

佐渡は、提督室で小笠原鎮守府近海の海図を広げながら、叢雲達の現在地を割り出す

 

 

大体入り口……となると、ここら辺か

 

 

大体の位置が分かった佐渡は、二人に指示を出す

 

 

『叢雲、古鷹もう少し鎮守府から離れて偵察を行ってくれ。さっきの警報からはまだ時間が経ってないから、恐らく奴等の居場所は、そこから約4キロ圏内

こちら側に向かっているなら恐らく3キロ圏内には居る

もう少し走ればそいつと御対面だな

戦闘準備をしておけ』

 

 

佐渡の正確な指示を聞いていた二人は、顔を見合せ相変わらずだなと言う感じになり、指示通りに進んでいく

 

 

「ねぇ?司令官」

 

 

『ん?何だ叢雲』

 

 

「あんた……『あんなこと』しなかったらもっと良い所の司令官になってたんじゃない?」

 

 

叢雲は、半笑いになりながら佐渡を茶化す、それを聞いた古鷹もフフフと微笑みながら、佐渡と話す

 

 

「そうですね、私何かを助けなければ……」

 

 

そう、古鷹が言いかけた瞬間

 

 

『ふざけるな!!!!』

 

 

インカムから割れんばかりの声量の佐渡の怒号が聞こえる

二人はあまりの大きさにインカムから耳を外してしまう

 

 

『あんな奴等みたいになるんだったら!!俺は提督なんてやってたまるか!!!

艦娘に責任を押し付け!!!自分の昇進の為に使ってるクズ共と一緒になってたまるか!!!

良いか!!俺はお前達と歩んで行きたいんだ!!!

それを邪魔するなら誰だろうが許さねぇ!!!』

 

 

いつも温厚な佐渡が、声を荒げて叫んでいると、インカムから二人の笑い声か聞こえてくる

 

 

「アハハハ!冗談よ!

悪かったわね司令官」

 

 

「フフフ、ごめんなさい、提督

悪ふざけが過ぎましたね」

 

 

二人が笑っているのを聞いた佐渡は、へなへなと力が抜けて椅子に腰かける

 

 

『……叢雲、今日ピーマンの肉詰めな

古鷹は、納豆オムレツな』

 

 



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鎮守府近海防衛戦 三

 

その声を聞いた二人は飛び上がる様な反応を見せる

 

 

「ちょ、ちょっと司令官!!

嘘だってば!!お願いだからピーマンの肉詰めは辞めてよ!!」

 

 

「そうですよ提督!!

そ、そんな怒らないでください!!」

 

 

二人がおろおろしながら、佐渡に謝罪をしていると佐渡は微笑みながら一言言う

 

 

『嫌なら、帰ってきて、きちんと俺に直接謝れよ?

早くしないと、作り始めちゃうぞ?』

 

 

佐渡は、海図を見ながら二人に話しかける

違和感を感じながら

 

 

「…仕方無いわね!!

やってやろうじゃないの!!」

 

 

「えぇ!早く終わらせて帰りましょう!!」

 

 

二人は、速度を上げながら、走らせて行く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、佐渡は海図とこの前の襲撃と今回の襲撃を考えていた

 

 

「……何故、こんな短期間にこんなに来るんだ? 」

 

 

インカムを外し、叢雲が付けているスカウターを右目に付け、電源を入れると、叢雲が見ている景色がスカウターから見えてくる

 

 

「よし、正常だな」

 

 

佐渡は、スカウターの確認が済むと、海図を再び見直し、今回とこの前の比較をする

 

 

「今回、現れたのはここ……

前回、襲撃がされたのはわかる……

だが、なぁ……」

 

 

海図と同時に島の地図を取り出し、確認をしながら、警報装置の履歴を見る

 

 

「前回の襲撃は、警報がなってなかった……

つまり、奴等はこの一番遠い海岸から陸路を使ったってことか?

嫌でも、攻撃を受けたのは海に面した側だった……

そもそも、陸路を奴等は長時間移動出来る…?

いやそれよりも、警報の事を知っていた……

陸路なら警報がならないと言うことも……」

 

 

佐渡は、そこまで考えるとコーヒーを入れ、飲みながら、廊下に出て島の陸側を見る

 

 

島は廃墟となっており、確かに隠れて動くには最適だ

 

 

「……なら、今回の襲撃は何が目的なんだ…」

 

 

佐渡が考えていると、携帯の電話が不意になりだす

着信主は、大淀

 

 

「はいはい、大淀さん、こちらメガネセンター」

 

 

 

佐渡は携帯を取り電話に出ると、大淀さんは慌てた様子で声を荒げる

 

 

 

 

 

 

『佐渡さん!!そちらに《流された》艦娘は無事に着きましたか!?』

 

 

 

大淀からの会話に佐渡は、思考を停止する

 

 

え?大淀さん何て言った?

流された艦娘?

 

…流された艦娘……深海棲艦襲撃……

 

 

 

佐渡は、大声を出しながら大淀の電話に出る

 

 

「大淀さん!!!その艦娘は!!まさかっ!!」

 

 

『そのまさかです!!!』

 

 

「クソッ!!!」

 

 

佐渡は、携帯を握りしめ、提督室に走って戻り、インカムを耳に付ける

スカウターの映像にはただの海原しか見えない

 

 

「緊急伝達!!!!

その深海棲艦は、艦娘を襲っている可能性有り!!!

急いでその子を保護しろ!!!」

 

 



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鎮守府近海防衛戦 四

 

佐渡から、伝達を受けた二人は先程より速度を上げて、深海棲艦改め、島流しにあった艦娘を探す

 

 

「大本営!!本当に私達(艦娘)をただの兵器と思ってるみたいね!!」

 

 

「叢雲!!急ぎましょう!!その子が危ないです!!」

 

 

二人は焦りながらも、速度を上げ海を航行する

すると、古鷹が何かを見付けた様に叫ぶ

 

 

「敵影確認!!、もうすぐです!!」

 

 

すると、海原の向こうから砲撃音が聞こえてくる

 

 

「お願い……間に合って!!」

 

 

叢雲は、更に速度を上げ、その砲撃音に向かっていく

すると、確かに敵は確認できた

 

 

だが、その敵は一人の少女を集中的に狙っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘っ……魚雷発射管が……」

 

 

少女の目の前には、戦艦ル級一体重巡リ級二体、軽巡ヘ級二体、駆逐ハ級二体が少女に向けて砲門を向けていた

 

 

「私もここまでね……

ごめんなさい…」

 

 

少女は目の前の死を受け入れていた、自慢の魚雷が使い物にならなくなっては私は何にもないのだから

 

 

「最後に北上さんに……

会いたかったなぁ……」

 

 

だが、自らの行いに悔いはない、あんなクソ男にヤられる位なら、自らの死を選ぶ

それが、出来ないからここ(小笠原鎮守府)に飛ばされた

力が抜け、少女は海面に倒れ込む

 

 

「さようなら……

北上さん…」

 

 

少女は涙を流し、その時を待つ

そして、深海棲艦達は一斉砲撃をする瞬間

 

 

 

 

 

 

 

駆逐ハ級二体と軽巡ヘ級が一体突如としてきた雷撃によって一撃で激沈したのだった

 

 

 

「……え?」

 

 

少女は横たわりながら、その光景に驚いていた

自らが戦っても全く歯が立たなかった相手を一撃で……

一体誰が……

 

 

「私の縄張りで何してやがるのよぉ!!!!」

 

 

その声を聞いた戦艦ル級達は一斉にその声に振り向く、少女も最後の力を振り絞り、その方を向くと凄い形相と剣幕でこちらに向かってくる、自分より一回り小さい女の子だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「軽巡1!駆逐撃破!!!後、四体!!」

 

 

叢雲は、自らより早いと確信していた酸素魚雷を撃っており、それを見事三体に直撃させ、撃破していた

 

 

「叢雲!!援護するよ!!」

 

 

古鷹も叢雲に追い付き、右腕を戦艦ル級に標準を合わせ

 

 

「よぉぉく狙って……撃てぇ!!!」

 

 

唐突に来た援軍に、深海棲艦達は驚き、一瞬動きが遅くなる。

その隙に、古鷹は重巡リ級目掛けて主砲を撃つ

撃たれた砲撃は、見事リ級を直撃、当たり所が悪かったのか、これも一撃で沈めてしまった

 

 

「ガァ!!!」

 

残された三体の深海棲艦は、援軍の二人に向けて航路を変更し、突っ込んでいく

 

 

少女は、それを見て安心からかそれとも、疲労と傷からかそこで意識が途絶えてしまった

 

 



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鎮守府近海防衛戦 伍

「古鷹!!あの三体は任せて!!彼女をお願い!!」

 

 

「了解って大丈夫なの!?」

 

 

「任せなさい!!

あんなの楽勝よ!!」

 

 

すると、叢雲は腰の二つの主砲を二体に向けて数発撃ち注意をそらす

その砲弾は三体に直撃。

だが、撃破とはいかず、軽い損傷だけだ

 

 

「こっちよ!!

ほら!!あんた達の仲間三体を沈めたのは私よ!!」

 

 

 

当てられた三体は、叢雲に振り向き、砲門を向け撃ってくる

叢雲を、それを軽々と交わし、古鷹に注意が行かないように別方向へと航行していく

 

 

一瞬、リ級が古鷹を捉えるが、叢雲は続けてリ級を撃ち、注意を向ける

その砲撃は、リ級を直撃させ先程より大きなダメージを与えた

 

 

「あんたらの相手は私よ!!!

ほらほら!!こっちに来なさい!!!」

 

 

「ガァ!!!」

 

 

先程の攻撃が、リ級の感に触れたのか古鷹を忘れ叢雲目掛けて突っ込んでいく

その隙に古鷹は、傷付いた少女へと向かう

 

 

「大丈夫ですか!?しっかりしてください!!」

 

 

古鷹が、呼び掛けると少女は力無くうっすらと眼を開け反応を示す

 

 

「良し!息はあるみたい!!捕まって!」

 

 

古鷹は、少女の腕を左肩に乗せ帰航しようとすると少女から小さく消え入りそうな声で

 

 

「ありがとう……」

 

 

と聞こえると、古鷹は微笑みながら、

 

「お礼は私じゃなくて、あの子に言ってあげて?」

 

 

古鷹は、今丁度三体を相手している叢雲の方を向く

 

 

「叢雲!!彼女は無事よ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方叢雲は、少しばかり手を妬いていた。

 

 

「この戦艦と軽巡、重巡めんどくさいわね……」

 

 

それもそのはず、そもそも駆逐艦の砲撃では二人を倒すのは到底難しい

上手く急所を狙いたいがひっきりなしに動き、しかも連携が上手い

叢雲が撃った砲撃を、ル級の盾で防ぎ、次にヘ級とリ級が砲撃をしてくる

 

 

「チッ!!またか!!」

 

 

雷撃を撃とうにも、下手に撃って外せば後ろの古鷹に当たる……

そうこう、考えてる間にも三体の攻撃は止まない

 

 

『叢雲!!聞こえるか!?』

 

 

突如として、聞こえた佐渡の声にびくつきながらも、叢雲は応答する

 

 

「何よ!!今戦闘中!!」

 

 

『分かってるよ!落ち着け叢雲、相手を良くみろ』

 

 

「はぁ!?こんなときに何言ってるのよ!?」

 

 

『良いから!!』

 

 

叢雲は、イラつきながらも三体の様子を見る、するとあることに気が付いた

 

 

「………ル級が撃ってこない?」

 

 

そう、ル級からは砲撃が飛んでこないのだ、たまに機銃を撃って来るぐらい

 

 

『そうだ、訳は分からんが、ル級は弾切れを起こしている状態だ。

それを利用するぞ、確か、アレを持たせていたよな?』

 

 

「……あれってどう使うのよ?」

 

 

佐渡は、叢雲に有るものを持たせていた。

通常ではあり得ない物を、背中の艤装に

 

 



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鎮守府近海防衛戦 六

『そいつはな………』

 

 

佐渡は、叢雲に簡単だけど、かなりの難題を出す

 

 

 

「はぁ!?あんた正気!?」

 

 

『だが、これなら確実に奴等を沈められるぞ?』

 

 

「私に出来るとでも?」

 

 

 

『大丈夫、お前なら出来る』

 

 

 

佐渡の出した作戦を聞いた叢雲は、一瞬悩むがため息を付き、ほっぺを叩いて気合いを入れる

 

 

「良いわ、乗ってあげる!あんたを信じるわ!!」

 

 

 

『安心しろ!!失敗しても別の方法を考えるさ!!』

 

 

 

そう言うと叢雲は、ル級達に向かい走り出す魚雷と主砲を何発も撃ちながら

 

 

「はぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

流石に驚いたのか、ル級達は一瞬怯むが、関係なく叢雲目掛けて撃ってくる

叢雲は、寸前の所で砲撃を避けながら、ル級達に近付く

 

 

こんな砲撃……あいつの撃ってくる銃よりは遅い!!

 

 

「きゃぁ!!」

 

 

だが、叢雲は油断をしてしまい、左の主砲に直撃してしまい、体勢を少し崩す

しかし、叢雲は、進むのを辞めない

 

 

私は……アイツを信じるわ!!!

 

 

そして、叢雲は、ル級の目の前に辿り着くと、背中の艤装から『なにか』をその場に落とし、主砲をヘ級へと軽く当て、その場を通り過ぎる

 

 

 

ル級は、直ぐ様、叢雲に反撃をするが、叢雲はひらりと躱し、向き直る。

 

 

そして、叢雲は、通り抜けた後損傷した艤装のせいで、少しふらつき、倒れ込む

 

 

「叢雲!!」

 

 

古鷹は、叫びながら少女と共に叢雲の応戦に向かうが間に合う訳がない

ル級達はその間にもゆっくりと標準合わせる

まるで、勝利を確信し、獲物をじっくりと確実に殺すように

 

 

 

だが、叢雲はニヤリと笑っていた

 

 

「あんた達が、どんな装甲が固くても、連携が上手くともね

 

その数の雷撃に耐えられるか見物ね」

 

 

 

ル級は、ここで気付いた、自らの両端からどこからか撃たれたか分からない雷撃が迫っていることを

 

 

だが、この程度ならそんな、ダメージにもならないとばかりに、ル級は、盾を水面に向けるが見えてしまった

 

 

海中に漂う、かなりの数の魚雷に 

起爆せず、まるでそこに漂うクラゲの様に

 

 

「!?」

 

 

「両端から来てるのはさっきあんたに撃った雷撃よ

何発か撃った雷撃のうち、二発だけを大外回りに貴方の所に撃ち込んでおいたのよ

それとその浮遊してる魚雷でしょ?

そいつはね、発射しないタイプの特殊魚雷よ、通常では使える奴が居ないから見ないのも無理はないわね

でもそれに気づかないとはね貴女たち愚かね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沈みなさい」

 

 

ル級達はその場を一目散に離れようとするが、当然間に合わず

 

 

 

直ぐに立ち上がった叢雲が、古鷹の方を振り替える瞬間、通常ではあり得ない程の巨大な水柱があがりル級達を三体をまとめて木っ端微塵に吹き飛ばす

そして、傷付いた艤装を見ながら、叢雲はのんびりと目の前の古鷹に近付いていく

 

 

「そう言えば、さっき私の名前を呼んでたわね?何か用?古鷹?」

 

 

古鷹はそんな叢雲の姿を見てあははと乾いた笑いをしながら、少女を肩で抱えながら叢雲に近付く

 

 

「流石は、最強の駆逐艦ですね……」

 

 

 

その後、気絶した少女改め、新しく来た鎮守府の仲間を二人で運ぶ

 

 

 

「司令官、任務完了よ、帰投するわ」

 

 

『あぁ、お疲れ様、無事に帰ってこい』

 

 

佐渡は、微笑みながら、スカウターとインカムを外し、椅子に倒れ込む

 

持っている携帯からは大淀さんから『提督!!』と声が聞こえる

 

 

「あぁ、大淀さんごめんごめん」

 

 

『そ、それで彼女は!?』

 

 

「大丈夫だよ、うちのエースが助けてくれたってさ」

 

 

佐渡は、そう言うと、電話を切り、のんびりとした様子でドッグへと向かう

 

 

 

「今晩は、ご馳走準備しておかねぇとなぁ…」

 

 



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食事は、皆で楽しくね? 鎮守府近海防衛戦 後日談

ここは入渠(にゅうきょ)施設又の名を艦娘専用お風呂

一つ一つお風呂の浴槽になっており直ぐに入れる様に個室見たいに一人ずつ入るのだ

 

 

そこには二人の少女が特殊な液体に浸かっていた

先程まで深海棲艦と戦っていた勇気ある兵器改めて女の子達

 

 

「はぁ~……久しぶりに入った気がするわぁ……」

 

 

そう液体に浸かりながらのんびりと寛いで居るのは、深海棲艦を一人で五体撃破した少女叢雲だ

 

 

「そうだよねぇ……最近戦闘なんてなかったもんね~……」

 

 

その隣で叢雲と一緒に浸かる女の子も先程深海棲艦を一体撃破した古鷹である

 

 

「あぁ~……癒されるわぁ……」

 

 

「そうだねぇ……」

 

 

二人は「ふぅ~…」と息を吐きゆっくりとしている

古鷹はふと入渠施設の奥を見る

そこには立ち入り禁止の暖簾(のれん)が掛けてあり妖精さんがひっきりなしに出入りしている

 

 

妖精、それは艦娘とある一定の人間のみが見える存在

彼等と会話は出来るが存在自体は謎に包まれている

唯一分かることと言えば甘いものが好き艤装を作り出し整備が出来る者そして艦娘の傷を治す事が出来ると言うことだけ

彼等の性別は分からず人の手のひらに収まる程の大きさでいつもその姿に似合わない程の仕事量をこなす

 

 

「あの子、大丈夫かな?」

 

 

古鷹達は先程助けた少女をその先に担ぎ込んでいた

その時妖精さん達に古鷹達も入るように促された為に入っていると言う状態である

 

 

「妖精さんは、明日の朝までかかるって言ってたからねぇ~……

ゆっくり待ってましょ?」

 

 

「そうだね……」

 

 

古鷹が心配そうに奥を見つめていると入渠施設の扉から声が聞こえる

 

 

『あー……二人とも大丈夫か?』

 

 

その声を聞いた瞬間二人はお風呂の中に全身を入れ湯船に隠す

すると叢雲が怒鳴り声で佐渡に言う

 

 

「あ、あんた!?ここどこだかわかってるの!?

変態!!覗き魔!!」

 

 

『待て待て!!!覗いてない!!叢雲の下着なんて……

いや何でも』

 

 

「今なんていった!!!変態司令官!!」

 

 

叢雲はその話を聞いた瞬間風呂から立ち上がり、佐渡が居る扉に歩いていこうとする

 

 

「む、叢雲!!待って待って!!

そのまま出たら見えちゃうから!!」

 

 

古鷹の言葉に叢雲は「あ…」と言う顔をした後真っ赤になり再び風呂に飛び込む

次は顔半分まで浸かり、ブクブクと泡を吹く

 

 

 

「そ、そんなことより!!提督何のご用ですか?

まさか本当に私達の身体と下着を……」

 

 

古鷹の質問に佐渡は焦りながら答える

 

 

 

 

『ち、違う!!断じて!!

大破していた彼女は、どうだ?』

 

 

佐渡の答えに古鷹はやっぱりかと言う顔をすると質問に答える

 

 

「大丈夫ですよ、身体の傷は明日には良くなるそうですご心配なさらずに」

 

 

古鷹の話を聞いた、佐渡は安心したようにはぁとため息を付く、

 

 

『分かった二人とも晩御飯作っておくから入渠が終わったら食堂に来なさい。

あと叢雲お前の艤装は工厰に修理出しといたから明日の朝には取りに行けよ? 

じゃ、また後でな』

 

 

佐渡は用件を言うと入渠施設を出て食堂へと向かうと入渠施設から叢雲の声が聞こえる

 

 

「分かったわよ……

変態司令官」

 

 



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鎮守府近海防衛戦 後日談二

佐渡は廊下を歩きとある場所に向かっていた

先程二人には食堂にと言っていたのに別の方向に向かっている

それは、工厰

 

 

 

工厰(こうしょう)基本的に艦娘の艤装の手入れや武器の製造を行う場所

その他にも 艤装の製造 解体等を行う言わば小さな工房である。

一昔前までは実はここで艦娘の製造が行われていたらしいが、今はもう出来なくなっている

理由と言うのも艦娘の製造には莫大な資材が必要なのと、『同じ種類の艦娘』を製造する提督が多く日本各地の妖精が嫌がったのである

 

 

 

佐渡はしばらく歩いていると一階にある左端の廊下の扉を開き外に出ると屋根だけがある渡り廊下を歩く

外はすっかり暗くなっており街灯が付いているのが見える

この鎮守府の工厰は外に別の建物として置いてある

ドッグからは少し遠いがそこは仕方ないと感じている

 

 

渡り廊下を歩き終えると目の前に工厰の扉が見え右へ引き扉を開く

 

 

 

「おっじゃましまーす!!

親方さーんいっまーすーかー!?」

 

 

佐渡は元気よくこの工厰の責任者親方妖精を呼ぶ

 

 

「おう、提督さんじゃねえか、どした?

何か用かい?」

 

 

佐渡が入った扉のすぐ横にドラム缶が置いてありそこには、まるで職人見たいな感じの風貌の小さな手のひらサイズの妖精が佐渡を見上げていた

 

 

親方妖精、この工厰の全責任者

佐渡がここに着任したときには、既にいた『前任者』の世話もしていた妖精

最初は提督を嫌っており 製造 整備を嫌がっていたが佐渡の懸命な説得とその行動に心を開いてくれた

 

 

工厰はそこそこに広い鎮守府の半分位の大きさがありそこには艦娘の武器を作るための特殊な機材が立ち並び、その奥には個別化した部屋三つがある

その上にはプレートが挟んであり、そこには

分解室

製造室

改装室

と書いてあり、妖精以外立ち入り禁止!と扉に書いてある

だが丁度製造室だけ使用中の看板が下がっており、その奥から鉄と鉄が当たる音が聞こえる

 

 

そして佐渡の目の前には先程の戦闘で損傷した艤装が置いてありそれを他の妖精さん達が必死に直してくれている

 

 

「ごめんなさいね、今回の出撃で艤装結構損傷させて仕事増やしてしまって……」

 

 

「良いってことよぉ!!これが俺達の仕事なんだからよぉ!!」

 

 

佐渡が申し訳なさそうに言うが、親方妖精は「ガハハ」と笑いながら答えてくれる

 

 

相変わらず頼もしいなと思う佐渡だったが、それだけを言いに来たわけではない

 

 

「艤装の修復かい?」

 

 

不意に親方妖精に心を読まれたのか?と佐渡は一瞬焦るがその通りであり話を続け修理をしている他の妖精達を見る

 

 

「えぇ、どれくらいかかりそうですか?」

 

 

親方妖精は、うーんと唸るが、ばつが悪そうに話し出す

 

 

「叢雲ちゃんの主砲は、特に問題ない

砲塔が、流石にやられているが発射菅事態に損傷は無かったからな

多分、今晩中には終わるだろう……

問題は……あの流されてきた新人の艤装だね

ありゃ、かなり時間かかるぞ?」

 

 

佐渡はやっぱりかぁと頭を掻きながら親方妖精に向き直る

 

 



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鎮守府近海防衛戦 後日談三

「あと、例のアレ、また作って頂けませんかね……?」

 

 

佐渡が、腰を低くしながら、親方妖精に先程の戦闘で叢雲が消費した魚雷の話を持ちかける

 

 

「お?また使ったんかいあれを?

提督も物好きだねぇ、あんな『失敗作』を

まぁ、別にあれに関しては予備があるし、何時でも用意できるぜ?」

 

 

 

「お、それは助かります!

あと、誘導性魚雷は……」

 

 

「大丈夫だぜ、あれも作りおきがあるからな

ここ最近暇だったからなぁ」

 

 

「流石親方!!」

 

 

 

 

失敗作、先程親方妖精が言った言葉に嘘は無い

通常、魚雷と言うものは、射出されれば真っ直ぐに飛んでいく物なのだから

だが、作る過程でどうやら親方達の設計ミスで作られたのが、あの特殊魚雷だ

 

 

どうやら、途中で構造を間違えたらしく、射出しても、真っ直ぐに飛ばず、そのままある程度の深さの水中に浮くようになってしまったらしい

しかも、誘爆がしやすく、火力も通常の酸素魚雷より高いらしく、普通は絶対に使用されない

一歩間違えれば、自爆の危険性が高い

危険な武器である

 

 

 

正式名  誘導性酸素四連性魚雷(ゆうどうせいよんれんせいぎょらい)

実はこれは、佐渡が親方妖精に特別に依頼している酸素魚雷

通常の魚雷とは違い、先頭に磁力を感知する特殊な機材が入っており、ある一つの物に向かっていく特殊魚雷

その分火力と速度は、通常の四連性魚雷より落ちており、運用するのは難しい

 

 

「にしても、良くこんな使い方を思い付くねぇ、提督さんは?

叢雲ちゃんが、可愛くないのかねぇ?」

 

 

親方妖精は、頭を掻きながら佐渡に向かい皮肉じみた口調で言う

言われた佐渡の方が頬を掻きながら、親方妖精に言う

 

 

「あはは……

そんなこと無いですよ…

叢雲だから、信じて持たせてるんですよ」

 

 

 

親方妖精は、ふーんと言うと、ドラム缶から飛び降り、妖精達に渇を入れる

 

 

「お前達!!艤装の修理と開発!!明日中には、仕上げるぞ!!」

 

 

工厰に親方妖精の声が響き渡り、それを聞いた妖精達は、各々持っていた工具を上に掲げながら、おぉー!と気合いを入れ直す

 

 

「と、気合いを入れてくれたのは良いのですが、そろそろ晩御飯にしませんか?」

 

 

佐渡の声に、働いていた妖精達の手が一瞬で止まる

だが、親方妖精は申し訳なさそうに頭を掻きながら佐渡に言う

 

 

「いやぁ、提督よそれは嬉しいんだが仕事が」

 

 

「飯だぁぁ!!!」

 

 

「提督飯だぁぁぁ!!ヤッホォ!!」

 

 

だが、それを他所に仕事をしていた妖精達は持っていた工具をそこらへんに投げ捨て、工厰の入り口にあった小さい車に走っていく

製造室の下にある、小さな扉からも妖精が出てきて、みんな一斉に妖精専用の車に向かっていく

 

 

「お、おい!お前ら!!」

 

 

「まぁまぁ、ほら親方も行きましょ?」

 

 

佐渡は、親方妖精に手を差し伸べると、親方妖精は溜め息を付きながら、佐渡の手に乗ると、手を肩の方に動かす

すると、親方妖精はジャンプして、肩に移る

 

 

「晩飯は、何なんだい?」

 

 

「んー、今日は中華系にしようかと思いましてね…」

 

 

工厰の扉を開けると妖精達が乗ってる車のエンジンがなり動き始める

 

 

「出発ー!!目的地、食堂!!」

 

 

妖精達が乗った車が、エンジン音と共に廊下を走り始める

それを見た、佐渡は微笑みながら、後を付いていく



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鎮守府近海防衛戦 後日談 四

どうも、作者です(バーン!!)
艦これをつい最近始めた初心者故か、色々と間違えますが暖かい目で見守ってください(土下座)

古鷹のクリスマスボイス……良い…(昇天)


佐渡が、食堂の引き戸を開け、入ると既に先を走っていた妖精達が、テーブルの上に乗ってご飯を待っていた

何台か、食堂の引き戸の隣に妖精専用の車が綺麗に駐車してある

 

 

 

食堂と言ってもそんなに広くなく、六人程がある座れる縦長テーブルと椅子が置いてあり、奥に飲食店みたいな台所が有り、そこには業務用みたいな大きい冷蔵庫が置かれてあるだけである

 

 

 

「ごっはん!ごっはん!!」

 

 

「提督ーはーやーくー!」

 

 

晩飯を待っている妖精達が、自分達用の小さいナイフとフォークを両手に持ち、佐渡へ作るのを催促してくる

 

 

「今作るから待っててな?」

 

 

佐渡は、親方妖精を肩に乗せながら、台所に入っていき、冷蔵庫から、佐渡特性の醤油タレに付けてあり一口サイズに切り分けてある鶏肉のトレーを取り出し、揚げ物用の底の深い鉄鍋にたっぷりと油を入れ火をかけるすると、親方妖精が待っている妖精達に呼び出す

 

 

「お前ら!!暇してるなら!提督の手伝いをしやがれ!!!」

 

 

「「「はーい!!親方ぁ!!」」」

 

 

妖精達は、ナイフとフォークをその場に置き、半分は佐渡の居る台所に

半分は食器棚の方に行き、食事の準備をする

 

 

佐渡は、下の棚から片栗粉を取り出し、ボール中に入れ先程の鶏肉を片栗粉にまぶすと、油に手をかざし、温度を確かめる

 

 

「良し、暖まったな」

 

 

油が暖まったのを確認すると、上の棚から業務用の揚げ物篭を取り出し、鉄鍋に入れ、ゆっくりと鶏肉を入れていく

じゅう~と静かに泡を出しながら鶏肉が揚がっていく

 

 

「おぉ?提督、今日は唐揚げかい?」

 

 

親方妖精は、佐渡の肩に座りながら、油に入っている鶏肉を眺める

その間に、佐渡は冷蔵庫からピーマン、人参、玉ねぎを取り出し一口サイズに切っていき、それと同時に、別のフライパンに油をひく

 

 

「んー?どうだろうねぇ?

あ、親方、申し訳ないんだけど、油見ていてくれないか?」

 

 

「よしきた、任せろぉ!!」

 

 

佐渡は、そう言うと鉄鍋の隣に妖精が見れる専用の少し高めの監視台みたいのを置き、親方妖精をそこに行かせる

 

 

それが終わると、油をひいたフライパンに一口サイズの野菜を入れると中火で炒めていく

辺りに、野菜の焼ける香ばしい香りと、唐揚げの香りが混ざり、食事の準備をしていた妖精達もごくりと喉を鳴らす

 

 

「親方~、唐揚げはどうだい?」

 

 

「あぁ!いい感じに揚がってるぜ!!」

 

 

 

親方妖精の話を聞き、玉葱が飴色になっているのを確認すると、佐渡は火を止め、唐揚げが入っている揚げ物篭を取り出し、少し上下に細かく振る

唐揚げの香ばしい香りに、親方妖精も喉を鳴らす

 

 

「分かったぞぉ!!

酢豚だな!!」

 

 

「正解!!」

 

 

佐渡は、油をきった唐揚げを野菜を炒めたフライパンに中に唐揚げを入れ、戸棚から、作り置きしておいた、酢豚と書かれたタレの入れ物を取り出し、フライパンの中に入るとタレがかかった、フライパンが軽くじゅわっと音を立てるが、再び火をかける 

少しすると、タレを入れたフライパンの上で泡が弾け、先程とは違った甘酸っぱい香りがする

 

 

「妖精さーん!大皿出してー?」

 

 

「はーい!!」

 

 

妖精さん達は、戸棚を開けると、右側のボタンを押すと、大皿がある棚が自動的に、まるでエレベーターの様に妖精さん達の前に下へと動く

そして、棚のエレベーターが止まると自分達の四倍もある大皿を取り出す為に皆で運ぶ

 

 

「いっせーのせ!!」

 

 

合図と共に、大皿を持ち上げ、四人で大皿を囲い、物に当たらないように誘導しながら他の妖精さん達は一生懸命持ち上げ、佐渡の所まで向かう

 

 

その間、佐渡はフライパンを弱火に変え、軽く具材をタレに絡ませており、具材全体にタレが絡んだことを確認すると火を止める

 

 

「提督ー!持ってきたよー!」

 

 

妖精達は持ってきた大皿を置くと佐渡にはなしかける

 

 

「お、ありがと皆!じゃあ、危ないから離れててね」

 

 

妖精達が持ってきた、大皿に完成した酢豚を入れようとすると、妖精達が「わー!!」と言い蜘蛛の子見たいに散っていく

居なくなったのを確認すると、酢豚を大皿に移し、完成する

 

 

「良し完成!さてと、味見味見っと……

親方、妖精さん達の分はこれね」

 

 

そして、味見の為に小皿を二つ取り出し、二つに軽く酢豚を盛り付け妖精達へと渡す

 

 

「お、んじゃ、頂くぜ……」

 

 

 

佐渡は盛り付けた酢豚から人参を取り出し、冷ましながらヒョイっと口に放り込む

 

 

「んー、こんなもんかな?どうかな?」

 

 

親方妖精と妖精さん達は、はふはふしながら、食べており、皆で佐渡に向けてぐっと親指を上げる

 

 

「相変わらず旨いぜ!」

 

 

「良し、んじゃ、運びますか……」

 

 

「美味しそうな香りね?何作ってるのかしら?」

 

 

「この香りは、酢豚ですか?提督?」

 

 

佐渡が、大皿を運ぼうとすると、食堂の扉が開き、入渠していた二人が顔を見せる

 

 

 




空腹時に書くんじゃなかったと後悔しています()


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鎮守府近海防衛戦 後日談 五

「お?来たな、二人とも手伝ってくれ。

あと二品作りたいからな、叢雲、酢豚運んでくれ」

 

 

「はいはい、わかったわよ」

 

 

「じゃあ、私はご飯よそいますね」

 

 

 

「あぁ、頼む」

 

 

 

叢雲は、引き戸を閉めると佐渡の所に行き、出来上がってる酢豚を取りに行き、古鷹は、妖精さんが用意してくれた茶碗にご飯をよそう

 

 

「ほれ、そこの奴だ頼む」

 

 

「分かったわ」

 

 

佐渡は既に別の料理に手を回しており、酢豚の出来た皿が、台所に置いてあり、叢雲はそれを両手で持ち上げ香りを堪能する

 

 

「ん、美味しそう」

 

香りを堪能した、叢雲はそれを食堂のテーブルに持っていこうとすると妖精さん達が叢雲の腕や肩に掴まり、叢雲と共に向かう

 

 

「やっぱり、酢豚だったんだね?美味しそう!」

 

 

ご飯を茶碗によそい終わった、古鷹が叢雲の持ってきた大皿を見ながら、ご飯茶碗をそれぞれの場所に置く

香りに我慢出来なかった叢雲は、つい酢豚の唐揚げを一つだけ口に運ぶ

 

 

「………ん」

 

 

「あー!叢雲!つまみ食いー!

なら私も」

 

 

叢雲のつまみ食いを見た、古鷹はそれに続けて、酢豚を一口だけ食べる

 

 

「んー!美味しい!!」

 

 

「甘酸っぱくて、唐揚げもジューシーだね!!」

 

 

二人が美味しそうにしていると、妖精さん達も「ずるい~!」と不平を上げていた

 

 

「こら!二人とも、お腹空いてるからってつまみ食いは行儀悪いぞ!!」

 

 

佐渡は、皿を両手に台所から出てくると二人の前に二つの料理を出す

 

 

「これはエビチリね!こっちも美味しそう!」

 

 

「回鍋肉も作ったんですね!流石は提督です!」

 

 

料理を見ていた二人は、更に手をのばしてつまみ食いをしようとするが、提督にその手を弾かれる

 

 

「こらっ!つまみ食いは駄目だって言ってるだろうが!

はい、席につく!」

 

 

佐渡は、そう言うと席に座ると二人は渋々はーいと言いながら席に座る

 

 

因みに、佐渡が縦長の縦で二人はその両端に座り、後は妖精達がテーブルに立っている

 

 

「では、皆で手を合わせて頂きます!!」

 

 

佐渡がいつもの挨拶の様に手を合わせ、全員を見ながら言うと皆もそれに合わせ、手を合わせる

 

 

 

「「「頂きます!」」」

 

 

こうして、この鎮守府最大の煩さを誇る、晩飯が始まるのであった

 

 

「んー!!この回鍋肉美味しい!!

この甘辛の味付け最高!!」

 

 

「叢雲!こっちのエビチリも美味しいよ!!」

 

 

「本当?どれどれ……んー!こっちも少し辛いけど、ご飯に良く合うわね!!

ほら、古鷹もこっちの回鍋肉も食べてみなさいよ!

美味しいわよ!」

 

 

「酢豚のお肉おいしー!」

 

 

「人参も玉ねぎも柔らかくておいしーよー!」

 

 

 

それぞれ、料理の感想を言いながら、笑みを浮かべながら、楽しい晩御飯を堪能する

佐渡は、それを微笑ましく思いながら、自分の作った料理を頬ぼる

 

 

「相変わらず、あんたの腕は確かだな

提督!」

 

 

親方妖精も、佐渡の隣で、酢豚の唐揚げを頬張りながら、ご満悦な表情をしながら、佐渡を見上げる

 

 

「ふふ、皆の口に合って良かったよ

作ったかいがあったもんさ」

 

 

 



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鎮守府近海防衛戦 後日談 六

「そう言えば、叢雲?頭の上にいつも浮かせてる艤装はどうした?

今日、出撃時に付けてなかったよな?」

 

 

叢雲の艤装は、身体に付ける物と持っていく物、そして、最後に頭より少し上の両端にウサギ耳の様な艤装が付いているのだが、今日の出撃で付けて居ないのを不思議がり佐渡は叢雲に尋ねる

 

 

「あぁ、あれ?この前の戦闘で壊れてね

今、明石さんに直して貰ってるのよ

別に戦闘には影響無いし、大丈夫よ?」

 

 

「そっか」

 

 

明石さん

正式名 工作艦娘 明石(あかし)

艦娘唯一の、工作艦として知られている

所属は、大本営の工厰におり、艦娘の精密艤装や艦娘の製造に手をかけている人物だ

彼女も女性であり艦娘なのだが、戦闘能力が低く、戦闘には不向きで有るが、その変わり工具や機材を扱うのに長けており、自らサポート役へと回っている

 

 

彼女も艦娘ではあるため、昔は全鎮守府に一人は配置されていたのだが、これもまた妖精さん達が製造を嫌がり、今は貴重な人材として、大本営のみに雇われている

 

 

そして、この小笠原鎮守府を味方してくれる数少ない人であり、錆び付いた工廠を直してくれた恩人でもある

 

 

また、今度大本営に呼び出されたら、何か作って持っていこうかな?

 

 

 

「そう言えば、提督!聞いてくださいよ!!

叢雲ってば凄かったんですよ!?

一人で五体も撃破しちゃうんだから!」

 

 

佐渡が、そんなことを考えていると古鷹が今日の戦闘結果を報告する

それを聞いた叢雲は、少し照れながらそっぽを向く

 

 

「そ、そんなこと無いわよ……

あれぐらい、ふ、普通よ!」

 

 

「そんなことないよ!!

流石、叢雲!鎮守府最強!」

 

 

古鷹が叢雲を持ち上げる様に話していると叢雲が顔を真っ赤にしながら照れている

 

 

「あぁ、流石だな叢雲

我が鎮守府最強の駆逐艦だな」

 

 

更に追加で佐渡が言うと、叢雲の顔が更に赤くなり、ゆでダコみたいな感じになると気を反らす様に佐渡へとご飯茶碗を差し出す

 

 

「お、おかわり!!!」

 

 

「ふふ、分かったよ」

 

 

佐渡は、微笑むと叢雲のご飯茶碗を取り、席を立つ

古鷹の方を見ると、古鷹のご飯茶碗も空になっており、静かにそれも取る

 

 

「あ……提督…」

 

 

「いらないか?」

 

 

「……お願い…します」

 

 

「提督ー!僕たちもー!」

 

 

古鷹は、一瞬迷うが直ぐに照れ臭いのか頬を掻きながら、箸を置くと妖精さん達もおかわりを要請する

 

 

「はいはい、待っててね」

 

 

ご飯茶碗をトレーの上に乗せ、炊飯器の釜を開け、それぞれの茶碗にご飯をよそう

テーブルでは、古鷹達が今日あった出来事や、妖精さん達が和気あいあいと話をしているのを見ると、佐渡の頬も自然と緩む

 

 

「平和、だな……」

 

 

そう呟くと、よそいおわったご飯茶碗をトレーに乗せ、再びテーブルに戻り、皆にそれぞれ渡していくと、すぐに皆がご飯茶碗を持ち、食事を再開する

だが、佐渡だけは、再び台所に戻り、冷蔵庫から先程使った鶏肉を取り出す

 

 

「提督?食べないのですか?」

 

 

古鷹が不思議がって、台所に入って来ており、佐渡の隣に立つ

 

 

「ん?あぁ、そろそろかなぁと思ってね?」

 

 

佐渡の話に、古鷹は頭にはてなマークを浮かべたような顔をするとテーブルから怒号に似た叢雲の声が聞こえる

 

 

「あーー!!酢豚の唐揚げが無い!!

あんた達!!どんだけ食べてるのよ!!

私、まだ食べてないのに!!」

 

 

 



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鎮守府近海防衛戦 後日談 七

 

その声と同時に、佐渡は鶏肉を片栗粉にまぶし、加熱した鉄鍋に滑らせるように入れ、鼻歌混じりに、再び唐揚げを作る

 

 

「あはは……叢雲はまた…」

 

 

実は、このやり取りはいつもであると言うのも、妖精さん達も最初の頃は野菜もきちんと取っていたのだが、最近は、提督の作る料理の肉を良く食べるようになり、人数も相成り、すぐに肉が無くなってしまうのだ

 

 

叢雲も、動いてるのか……いやただの好み何だと思うけど、肉を良く食べており、特に酢豚等の唐揚げを好んで居るため、毎度妖精と喧嘩になっている

 

 

「叢雲が遅いのが悪いんだよー!

叢雲おっそーい!!」

 

 

「何ですって!?なら、あんたたをを食べてやろうかしら!?」

 

 

「にげろー!叢雲が、怒ったぞぉ!!」

 

 

全く……と佐渡は、溜め息を付くが、少しすると唐揚げが揚がり、鉄籠を持ち上げ、油をきる。

古鷹は戸棚から大皿とキッチンペーパーを取り出し、大皿にひき、提督に差し出す

 

 

「提督、どうぞ」

 

 

「お、ありがとさん」

 

 

差し出された、大皿に唐揚げを盛り付けていく

盛り付け終わった後、一つ唐揚げを取り出し、まな板を置き、半分に切り、爪楊枝で刺すと再び戸棚から、試作品唐揚げと書かれたタレの容器を取り出し少し降る、それを近くの少し底が深い小皿に少し出すと、唐揚げを熱々の唐揚げをに付け、古鷹に差し出す

 

 

「提督?こちらは?」

 

 

「新しく作った、唐揚げのタレ何だけど、試食お願いできないか?」

 

 

両手が塞がっている古鷹の為に、佐渡は唐揚げを息で冷ましてから、あーんをすると、古鷹は少し照れくさくするが、口を開け、タレ付きの唐揚げを佐渡から頂く

 

 

揚げたてだった故に、タレに付けてあるとしても熱く

口の中ではふはふしながら食べていると、佐渡は心配そうに聞いてくる

 

 

 

「どうだ?俺は好きな味何だけど……」

 

 

「……とっても美味しいです!!でも、何ですかこのタレは?

醤油ベースなのは分かりますが……」

 

 

 

佐渡は、ほっとしながら、タレを味噌汁等を入れる様な容器に少し入れ、古鷹と一緒にテーブルに戻る

 

 

「醤油と砂糖とゴマ油を加えただけの、少し甘めのタレだよ

案外、唐揚げとの相性が良くてね

古鷹が美味しいと言ってくれて良かったよ」

 

 

再び作った唐揚げを持ってくると、テーブルの上が戦場に変わっていた

 

 

叢雲は、妖精が持っている、唐揚げを箸で取ろうとしており、他の妖精達は、回鍋肉から肉を取り出し、引っ張り合い奪い合う

エビチリに、関しては、海老は無くなっており、タレのみが残されている状態だ 

親方妖精に関しては、いつの間にかお酒を取り出し一杯やっており、大の字で寝ている

 

 

「寄越しなさいっ!!このっ!!」

 

 

「やーだー!」

 

 

「はぁ……全く……ほらぁ!唐揚げ追加だぞ!!

要らないのか!?」

 

 

「美味しいタレもありますよー!」

 

 

その声に、皆は待ってました!!の声を上げ、我先にと唐揚げを取りに来る

 

 

 

 

こうして、賑やかな晩御飯時は過ぎていし

今日、忙しい一日の終わりを告げる

 

 

 



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鎮守府近海防衛戦 後日談 八

「ふぅ……今日も終わりか…」

 

 

佐渡は風呂に入りながらのんびりと、天井を眺めながら呟いた

ここは、男性用のお風呂である

ここの鎮守府には、昔何人かの男が在籍していたの、それとも、ただ先人の趣味なのかそこそこ広く、四人位なら同時に入れる程の浴室に、洗い場が二つある

 

 

 

 

皆の食事が終わり、妖精達は各々の仕事に戻り、叢雲は洗濯物を畳みに行き、佐渡も食器を片付け用としたのだが古鷹に「提督はお風呂にどうぞ?私がやっておきますから!」と言われてしまい、お言葉に甘えさせて頂き、風呂に入っている

 

 

「にしても……新人…かぁ……」

 

 

 

佐渡は、今日来た…と言うか流された新人に関して考えていた。

こんな所に飛ばされる艦娘何て言うのはよっぽどの問題を抱えた奴じゃないと飛ばされないからである

 

 

 

「さーて、何をやらかしたのかねぇ、あの子は」

 

 

けのびをしながら考え込んでいると、風呂場の扉が叩かれる

叢雲の声がする

 

 

「司令官、ここに替えの服置いておくわよ」

 

 

「あぁ、ありがとう」

 

 

叢雲は、更に一回ノックすると、少しだけ、扉を開ける

きちんと、佐渡が見えないように背中を向けてだが

 

 

「……何かあったか?」

 

 

叢雲の態度に違和感を感じた、佐渡は少し真面目な感じになり、叢雲に尋ねる

叢雲は、風呂場の外に顔だけだして、回りに誰もいないことを確認すると、本日全ての戦果報告をする

 

 

「今回、戦った戦艦ル級戦いなれてたわ、多分何回か他の艦隊と戦っては居たけど生き残った類いね

今回は不意打ちで、四体撃沈させたのが功をそうしたけど、あのまま二人で戦ってたら危なかったわ」

 

 

「……となると、例の『アレ』に成りかけてた奴だったのか?」

 

 

佐渡が、そう言うと叢雲は首を振り、否定する

 

 

「それはないわ、恐らくあいつが沈めてきたのは、駆逐艦だけだったみたいよ

あいつ、古鷹を見て警戒したけど、私を見た時余裕そうな表情してたからね。

だからこそ、あそこで私だけで戦ったのは正解だった見たいよ

前戦った、同じ形の奴とは、桁が違うもの」

 

 

そうかと、佐渡は呟くと顔に湯をかけ、ふぅとため息を付く

 

 

「以上が、戦果よ。

あと、あの新人、恐らく軽巡よ艤装を見るに

もしかして、雷撃よりの軽巡って奴じゃないかしら?」

 

 

「お、よく分かったな?

サンキューな叢雲~」

 

 

「じゃあ、私は寝るから

お休み、司令官」

 

 

「おう、お疲れ様。

いつも悪いな」

 

 

叢雲は、戦果報告をし終わると、扉を静かに閉め、風呂場を後にする

 

 

叢雲が居なくなったのを感じると、佐渡は窓を開け、外を見る

 

 

 

「……『歴戦種』では無い……か…」

 

 



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現実

佐渡は、呟くと、風呂を出て、自室へと戻っていく

 

 

『歴戦種』

 

 

深海棲艦の中で、どの原理で生まれてくるのかは分からないが極稀に存在する

強力な個体

 

 

 

初めてそれが、確認されたのは六年前

とある、大事件がきっかけだ

 

 

横須賀(よこすか)大空襲事件

横須賀鎮守府を含めた、神奈川県南部を襲った、深海棲艦による大空襲である

空母15体による、日本が受けた最大の被害であり、歴史にその名を残す最悪の事件

当時、最強の鎮守府として知られていた、鎮守府であり、負けるなんてあり得ない程だったのだが、その鎮守府はとある一体の『化け物』に軽々と潰されてしまった

 

 

 

『南方棲戦姫(なんぽうせいせんき) ー歴戦種ー 』

 

 

 

後にそう、語られるその者は、残っている記述には一体で戦艦三人を含む軽巡、重巡艦隊を軽々と轟沈させ、そのまま単機で鎮守府に急襲し、提督含め全ての艦娘を殺害

正に、完全敗北である

そして、その後深海から呼び出した、軽空母含め空母ヲ級達に指示を出し横須賀全土を火の海に変えた

 

 

 

これを重くみた、大本営はすぐに横須賀に応援を近くの鎮守府から向かわせたが、その艦隊を南方棲戦姫は撃破

そして、横須賀を後にし、二度とその姿を見せなくなった

 

 

 

後に分かったことは行動が異様なほど戦闘馴れしており、ほとんど通常の艦娘と戦ってるのと変わらないほどの戦闘力を誇る

実際、大本営が確認している個体は、南方棲戦姫を含めた三体のみである

 

 

しかも、この個体は通常の深海棲艦と違う点がもうひとつある

だが、その一つが最も厄介なのだ

 

 

それは、火力と耐久性だ

今まで報告に上がっている事は、戦艦の砲撃に耐える駆逐艦や戦艦を一撃で重症へと追い込む火力を出す軽巡等

司令艦(フラグシップ)より、可笑しいと言われるほどの性能である

 

 

これが、通常の深海棲艦だとするならば、二艦隊、総勢12人で挑まないと勝てないと言われており、大本営も何故なのかを究明を急いでいる

 

 

それが、原因だけでは無いのだが、今この戦争はこちら側がかなり芳しくない

実は、人類は、この戦争に一度勝利しているのである

いや、勝利したと““確信させられた””が正しい

艦娘の減少、そして、それよりも前に起きた大事件が影響している

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが、大本営襲撃事件

この事件は、最悪に等しいだろう

消えかけた火に油を注ぎ、それが再び燃え始めたのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

この事件がきっかけで、人類は深海棲艦に負けたと言っても過言ではない

 

 

 

 

 

 

何せ、これは艦娘と提督達への深海棲艦達からの最悪のプレゼントなのだったのだから

 

 

 

 



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敗戦

三年前、稼働している全ての鎮守府が、暇をしていた

理由は単純だ

深海棲艦が、確認されなくなったのだ

 

 

ある決戦を境に

 

 

 

ハワイ諸島大決戦

 

 

 

それは、深海棲艦達の拠点とされていた

ハワイ島より半径六キロ圏内にある、地図にも乗っていないとある島国を攻撃した事である

 

 

どこからの情報かは、分からなかったが、大本営はその言葉を鵜呑みにし、全鎮守府に場所を発表

大規模作戦の開始である

 

 

全鎮守府は、持てるだけの戦力を持ち出し、ハワイ諸島へと向かわせた

何とそこには、深海棲艦が通常海域の五倍は有るであろう大艦隊が居たのである

その中には当然、歴戦種の南方棲戦姫も居た

 

 

当時は、これが深海棲艦の巣窟だと思い込み、この大規模作戦に全てを費やした

 

 

 

 

 

これが、敵の罠だと知らずに。

 

 

 

結果としては、勝利はした

だが、被害も甚大だった、何人もの艦娘が犠牲になり、皆それを悔やんでは居たが、それと同時に戦争が終わりなのかと嬉しがったいた

 

 

 

作戦成功し、世界各国の海域から深海棲艦が消え、海は平和になった……はずだった

 

 

実なこの戦いは仕組まれた物だったのだ、ある深海棲艦と当時元帥だった男によって

 

 

内容としては、艦娘戦力を半分減らす変わりに戦争を終わらせると言う事だった

当時最強を誇っていた、金剛形二隻、長門形一隻、扶桑形二隻、伊勢形二隻を轟沈させる変わりにと言う破格の取引だ

 

 

そして、戦争は終結した………はずだった

取引をした深海棲艦が裏切らなければ

 

 

迎えた、大本営での授与式

くしくも、この日は12月24日、クリスマスイブ

全ての人類へのクリスマスプレゼントになるはずだった

 

 

 

一番功績を出した、横須賀鎮守府、佐世保鎮守府の二つが授与を受け取った

横須賀は大敗こそはしたものの、何とか立て直し、最後の決戦時には実力を戻していた

 

 

その授与式は、ある爆音と共に終わりを告げる

 

 

大本営の屋根が、突如として爆撃を受けたのだ

それと同時に、無数の艦載機が空を黒く埋め尽くし、授与式の会場に三体の深海棲艦が仲間を連れて乱入してきた

 

 

三体の深海棲艦はそれぞれ、別の服装をしており、一人は堂々としながら歩き

一人はあくびをしながら、艦載機を指先で遊び

一人はカップを片手にアイスを美味しそうに頬張りながら

 

 

警備員がその三体を止めようとするが、航空機とリ級達がその行く手を阻む

三体が授与式の真ん中まで到達すると、堂々としている深海棲艦は、どこからか持ってきたリ級からマイクを貰い

 

 

提督達に、流暢な日本語で宣戦布告をする

 

 

「提督及び海軍に、この世界全てに!!我等深海棲艦は宣戦布告をする!!!

我等、深海棲艦は必ずや人間共を根絶やしにし、この世界から一匹残らず殲滅してくれよう!!!

我等に降伏は有り得ない!!

お前達が立ち向かって来るのであれば受けてたとう!!!

去らばだ!!人間共!!!」

 

 

 

 










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敗戦

それと、同時に深海棲艦が合図をすると、艦載機による大本営への本格的な攻撃が開始され、大本営は壊滅

 

 

しかも、深海棲艦は同時期にその当時あった鎮守府を同時に全戦力で攻め落としたのだった

戦争が終わるそう聞いていた艦娘達と提督達

なのに、その三体の深海棲艦によってそれは成されなかった。

 

 

 

これが、人類最大の敗戦であり、大事件である

その当時、生き残った提督はたったの六人

しかも、二人は意識がない重体

そして、艦娘は三人だったらしいが、大本営はそれが誰かは秘匿した

 

 

 

この時、大本営に現れた深海棲艦は、

 

飛行場姫

 

空母棲姫

 

南方棲戦姫

 

の三体、どれも様々な海域に現れては気紛れに艦隊を壊滅させた、強者である

 

 

大本営は、これら三体のうち一体でも倒したものには、報酬とは別に更に何でも欲しいものをやると破格の条件を出すぐらいこの者達を警戒した

 

 

そして、この三体が大本営が確認できている

最強の歴戦種である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐渡は、自分の部屋にたどり着くと、直ぐ様布団へと倒れこみ、枕に顔を埋める

 

 

「あー……つっかれたぁ…」

 

 

ゴロンと寝返りをうち仰向けになり眼を瞑る

そして、今日スカウターで見ていた叢雲の戦果を思い出す

 

 

『アイツ、駆逐艦を見て余裕そうな表情をしてたもの』

 

 

(余裕そうな、表情……

駆逐艦をなめていたってことだよな……

でも、何故だ?奴等は駆逐艦と軽巡の違いが分かるのか……?

それとも、駆逐艦の叢雲を知っていた?なら逆に警戒するべきだ

あいつは、一度だけ同じル級の『歴戦を倒している』のだから……)

 

 

佐渡は思考を巡らせるが、全く答えがでない

 

 

「何時だぁ?」

 

 

ふと、時間が気になりベットの上の目覚まし時計を見る

今日は満月で夜でも明るく、部屋の電気を付けなくても、月の光で部屋がよく見える

 

 

「…2400かぁ、寝よ」

 

 

明日は、新人の歓迎会やらないとなぁ…

あー、メニューどうしよっかなぁ……

 

 

そんな他愛も無いことを考えながら、佐渡はいつの間にか寝息が静かになり、熟睡する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ、うちの艦隊を全て撃沈させるとはやるねぇここの提督と艦娘達は?」

 

 

 

月夜の夜、時間は0200を既に回っており、草木も眠る頃。

ある女は、鎮守府の見える崖に座り込み、のんびりとカップアイスを頬張っていた

 

 

「まぁ、『うちの』ル級の油断が行けないんだけどさ、一人で五人倒すとはね……

いやー、流石は『あいつが作った』歴戦を倒すだけはあるわぁ

んー!新発売ってか期間限定のサクラ味のアイス美味しいー!!」

 

 

カップアイスを食べながら、鎮守府を見るその女は、両脚に黒いブーツを履いてはいるが、そのブーツはふくらはぎ全体を覆い、太股の半分まであり、それを崖に当てる度に岩が崩れていく

座っている両端には、腕に付ける真っ黒な艤装を外している

そう、彼女は深海棲艦なのだ

空から黒い深海棲艦の艦載機が、手紙付きでその女に近付く

 

「あら?脆い崖ね、危ない危ないっと…

んー?どしたのー?」

 

 

女はアイスを太股に置くと、渡された手紙を見る

 

 

内容は

 

 

 

大本営ヘ先入シ

奴等ノ同行ヲ探レ

期間ハ六月二八日ノ作戦終了マデ

シクジルナヨ

 

 

「んー、次は大本営か

人の事こきつかうねぇ、あの脳筋さんは

了解」

 

 

女は受け取った手紙を、海に投げ捨てると、艦載機に命じ、手紙を撃ち抜かせ、バラバラになった手紙は海に散っていく

 

 

食べ終わったアイスカップを空に投げ、女は立ち上がり、両端に置いてある艤装を持ち上げ、両腕に付けると、真っ白な髪を左上にまとめ上げ、潮風に靡かせながら、鎮守府を見下ろす

 

 

 

「またね、反逆者の提督と艦娘さん達?貴方達が私達相手にどこまで足掻けるのか、今は静観しといてあげるわ

精々、艦娘を大事にしなさいねそうじゃないと……」

 

 

そう、言い終わる寸前に、女は人差し指をその投げたアイスカップに標準を合わせる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『貴方を殺さないといけなくなっちゃうんだからね

 

 

バァン」

 

 

その瞬間、アイスカップが何かに撃ち抜かれたのか粉々粉砕され、辺りに再びの静けさが戻り、女は夜の闇へと消えていく

 

 

 

この時、鎮守府内の深海棲艦の接近を告げる筈の、警報機は正常に起動しているのに鳴ってはいなかった

 

 

 

 



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男嫌いの軽巡 新人 男嫌い軽巡

 

 

 

ジリリリリリ!!!

現在の時刻 0600 外は太陽が登り、佐渡の自室に朝日が入り込む

だが、佐渡は起きる気配が無い

すると、扉が唐突に開き、一人の少女が入ってくる

少女は、入ってくると、佐渡の部屋に鳴り響く目覚まし時計を止め佐渡に揺さぶる

 

 

「提督~?朝ですよ、起きてください」

 

 

「んぁ~?まだ早いじゃんかぁ……

寝かせてくれよぉ…

古鷹様ぁ…」

 

 

古鷹は、もぅ!と呟くと扉の前に置いておいたフライパンとお玉を取り出し、思い切り叩く

 

 

騒がしい金属音に、たまらない佐渡は耳を押さえながら、苦しむ

 

 

「あーー!!!分かった分かった!!

起きる起きる!!」

 

 

「はい♪おはようございます提督

昨日着任した子がお待ちしておりますよ?」

 

 

「おっと、そりゃ行けねぇな」

 

 

古鷹の目覚ましに、スッキリ?と起こされた佐渡は、直ぐ様布団を投げ出し、自室の引き出しから海軍服を取り出し、着替えようと脱ぎ出す

瞬間、古鷹は顔をフライパンで押さえながらそそくさと佐渡の自室を後にする

 

 

 

「で、では!!提督失礼します!!」

 

 

「お、おう?

って、叢雲とは違うのか」

 

 

佐渡は、古鷹に悪いことしたなぁと思いながら早めに着替え、支度を整える

 

 

廊下を歩いていると、目の前から汗だくの叢雲が、肩にタオルをかけてスウェット姿でこちらに向かってくる

 

 

「おう、叢雲。

おはよう」

 

 

「おはよ、司令官

新しい子、治った見たいよ」

 

 

「聞いた聞いた、叢雲は風呂にでも入ってきな」

 

 

叢雲は、小さくありがとと言うと、お風呂へと向かっていき、佐渡とすれ違う瞬間佐渡が一言小さく叢雲に言う

 

 

「良い香りだな、相変わらず」

 

 

「っ!変態!!」

 

 

佐渡の変態発言に、相変わらずと思いながら脚を蹴り、足早にお風呂へと向かっていく

 

 

「いってー、良し今日も一日頑張りますかぁ!」

 

 

叢雲に蹴られて、渇が入ったのか、毛延びをしながら提督室への向かう

決してMではない

……違うからねぇ!?

 

 

 

佐渡は提督室に着くと、扉を開いた瞬間、聞きなれない女性の声での挨拶が聞こえる

 

 

「おはようございます!!

小笠原鎮守府佐渡提督様!!」

 

 

「お、おう?おはよう新人さん?」

 

 

流石に、入った瞬間挨拶されたのは、初めてであり、驚きを隠せない

しかも、綺麗な敬礼姿で戸棚にたっており

その女性……嫌女の子は、どこかの高校の制服に身を包み、髪は茶髪に見た目もどこか普通の女の子である

特徴と言えば……胸が少し大きいかな?

変態じゃないよ?男なら必ず眼にいくでしょ?

え?行かない?………こまけぇことは良いんだよ!!

 

 

「とりあえず、そこに立ってないで、こちらに来てくれるかな?」

 

 

「はい!!」

 

 



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新人 男嫌い軽巡 二

佐渡は欠伸をしながらのんびりと提督室の扉を締め自分の机へと向かおうとしていると古鷹が既に椅子の隣に立っており恐らくこの娘の資料を手にしている

 

 

「古鷹パスパス」

 

 

「はい、この子の書類になります」

 

 

古鷹から書類を渡され中身を確認する

事前に叢雲に言われたとおり彼女は軽巡だった

(艤装も確かにそこまで重装甲では無かったしな

そして、名前が)

 

 

「えっと…なんて読むんだ?…だいい?」

 

 

「申し遅れました!

球磨型軽巡洋艦(くまがたけいじゅんようかん) 四番艦 大井(おおい)です!!

本日より、小笠原鎮守府にお世話になります!!

よろしくお願い致します」

 

 

 

「こちらこそよろしく

俺は小笠原鎮守府提督

少尉の佐渡 満だ」

 

 

大井は背筋を伸ばした状態でお辞儀をすると佐渡もそれに返すようにお辞儀をしながらお互いの自己紹介を済ませる

 

 

「んでこっちが」

 

 

「私は古鷹型重巡洋艦 一番艦 古鷹です

これからよろしくね?」

 

 

古鷹は満面の笑みで自己紹介をすると大井は再びお辞儀をする

 

 

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

 

 

やけに腰が低い奴だなと佐渡は思いながら資料を見直す

ステータスとしては、主砲の火力は叢雲とあんまり差がない

他もほとんど

だが雷撃火力と言うよりは魚雷の搭載数がやけに多い

出撃回数はあるだが戦果はほとんどなし

だが戦闘経験はあり一度だけ深海棲艦の駆逐艦を撃沈

以外はほとんど大破

 

 

 

「そう言えば身体は大丈夫なのか?

昨日えらく傷を追っていたが?」

 

 

佐渡は聞くと大井はビクッと身体を震わせ再び敬礼をする

 

 

「大丈夫です!!痛みには馴れてます!

いつでも戦えます!!」

 

 

その発言に違和感を感じる佐渡だったが一応大丈夫そうなのか分からないがとりあえず流すことにした

 

 

「んー……」

 

 

大井の資料を見ながら佐渡は頭をかきながら変なところをいくつか見付ける

 

 

 

「提督?どうされましたか?」

 

 

「あ、いやな?ここの所

大井って何だ?強化装甲(バルジ)なんか積んでるのか?」

 

 

大井の変なところは出撃回数はあるのだが異様な程の大破率

出撃回数とほぼ同じ位の大破率

しかも何回は轟沈しかけてる

 

 

「なぁ大井…」

 

 

と言いかけた瞬間誰かの腹の音が聞こえる

可愛らしいなぁと佐渡は思いながら古鷹を見る

 

 

「私じゃないですよ?

だって、さっき…」

 

 

「となると?」

 

 

古鷹と佐渡は顔を見合せながら大井に向き直ると大井が顔を伏せながら耳まで真っ赤にしている

 

 

佐渡と古鷹はお互い笑うと佐渡は席を立ち上がり提督室の外へと向かう

 

 

「飯食うかー!」

 

 

「いえ!私は!!」

 

 

大井が佐渡を止めようとするが古鷹に肩を捕まれそのまま背中を押されていく

 

 

「ほらほら?大井さんも行きましょ?

朝御飯はきちんと食べないと提督煩いんですよ?」

 

 

「……分かりました」

 

 

古鷹に言われた大井はしぶしぶ古鷹に背中を押されながら、食堂へと向かう

 

 

 



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新人 男嫌いの軽巡 三

 

三人は、食堂へと入ると古鷹が電気を付け、食器の準備をする

昨日のうちにご飯は炊いてあり、いつでも食べれる状態だ

 

 

佐渡は、頭に帽子を被ると、食堂の奥厨房へと向かおうとすると大井に大声に止められる

 

 

「提督が、作るんですか!?」

 

 

「お?おう?そうだけど……

何だ?嫌か?」

 

 

「い、いえ……

何でもありません…」

 

 

大井の発言に、流石に疑問に思うのだが、まぁ良いかと佐渡は厨房へと向かう

 

 

その様子に、古鷹はあー…と言わんばかりに顔をしながら、食器を並べていく

 

 

厨房からは、佐渡の鼻歌と料理の音が聞こえる中、大井は、古鷹に指示を貰いながら、料理の準備をする

 

 

「あの、古鷹さん

この鎮守府は、いつも提督様が作るのですか?」

 

 

大井からの発言に、古鷹は一瞬悩むが、微笑みながら答える

 

 

「そうですよ、提督のお料理は絶品ですからね!

大井さんも気に入ると思いますよ?」

 

 

 

「あんまり持ち上げるなよー

古鷹、悪いけど出来た奴持っていってくれー」

 

 

「はーい、あと持ち上げてないですよー

本当に美味しいですよ」

 

 

佐渡に呼ばれた、古鷹は厨房から皿を二枚ずつ持ってくる

その皿には、スクランブルエッグ、ウィンナーが三つ、焼けた人参が乗っており、朝食にはピッタリである

その光景に、ゴクリと喉を鳴らす大井を余所に、古鷹は料理を運んでいく

 

 

「大井さんー悪いんだけど来てくれないか~?」

 

 

「は、はい!!」

 

 

次は、大井が呼ばれ厨房へと向かう

厨房に入った大井は、佐渡の料理している姿を見ながら、佐渡に近付き敬礼をする

 

 

「何でしょうか!提督!」

 

 

「あぁ、悪いんだけどそこの戸棚から味噌汁のお椀取って入れてくれないか?

そこに味噌汁あるから」

 

 

佐渡は、片手で火にかけてある味噌汁を指差すと、すぐに火を消して蓋を開ける

 

 

「は、はい!!」

 

 

大井は、お椀を取り出すと、味噌汁をお椀に移していくがその時に味噌の香りが鼻孔を刺激する

 

 

「美味しそう…」

 

 

そう、無意識に言ってしまい瞬間我に返り、佐渡を見上げると佐渡はふふと笑っており、顔が熱くなる

 

 

「つまみ食いは許さないよ?大井さん」

 

 

「は、はい!!」

 

 

恥ずかしくなり、直ぐ様味噌汁をよそい、テーブルへと人数分持っていくと大井の見慣れない人が食堂へと入ってくる

 

 

「あら?良い香り……朝御飯?」

 

 

先程までお風呂に入っていた叢雲である

服は、何故かタンクトップであり、髪はキチンと乾かしてあるが、拭ききれてない、お風呂の水が鎖骨に流れている

 

 

「おはようございます!!

私は……」

 

 

「知ってるわよ、昨日着任した、軽巡の大井さんよね?

昨日は災難だったわね

そう言う堅苦しいのは良いから朝御飯食べましょ?」

 

 

 

大井は、敬礼をしながら挨拶をしようとするが叢雲が先に知っていたかの様に自己紹介を聞くと、軽く自分の自己紹介も済ませ、テーブルのいつもの席に座る

 

 

「は、はい…」

 

 

叢雲のいつものスタイルに、調子を崩された、大井は何故か一番遠い左恥に座る

 

 

「ちょっと?あんたどこ座ってるのよ?

あんたはここよ?」

 

 

 



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新人 男嫌いの軽巡 四

 

 

「ですが」

 

 

「良いからこっち」

 

 

叢雲に言われるがまま、大井は叢雲の隣に移動すると、料理が運ばれてくる

 

 

「へぇ?今日はスクランブルエッグに鯵のヒラキね?

美味しそうじゃない?」

 

 

古鷹が、ご飯を全員分渡し終えると叢雲の正面に座る

少しすると、佐渡が漬け物を片手にテーブルに向かってくる

いつの間にか、妖精達も集まり、賑やかな朝食の始まりである

 

 

「だぁ!!叢雲!!またお前そんな格好しやがって!!

ちゃんとした制服を着ろ!!

襲うぞ!?」

 

 

 

「良いじゃない?別に

減るもんじゃないし?襲ったら憲兵さんに言うわ」

 

 

「いやまぁ、間違っても……うん

襲わない…よ?」

 

 

「酸素魚雷と憲兵どっちにする?」

 

 

「第3の選択肢!!!静観で!!」

 

 

毎朝恒例の二人のイチャつきに、古鷹は若干機嫌が悪くなるが、仕方無いかと言わんばかりに、ため息をつく

その頃、大井は目の前の食事に目が放せないでいた

 

 

「んじゃ、手を合わせて

頂きます!」

 

 

「「頂きます!!」」

 

 

「頂きます……」

 

 

挨拶と同時に、叢雲は、スクランブルエッグを頬張り直ぐ様ご飯も一緒に入れる

 

 

「んー!!このスクランブルエッグ少し甘い!でも旨い!!

漬け物もさっぱりしてて美味しいわぁ…」

 

 

「鯵も油が乗ってて美味しい!!」

 

 

二人が美味しそうに食べる中、大井だけは箸を持ったまま凍り付いていた

そんな、様子を見た佐渡は心配そうに聞く

 

 

「どうしたの?大井さん?

食べれないものでもあった?」

 

 

「い、いえ!!い、頂きます……」

 

 

大井は、恐る恐るスクランブルを一口サイズに切ると、口へと運ぶ

その瞬間、口の中に広がる砂糖の甘さと玉子の美味しさが広がり、思わず口を押さえ自然と呟いてしまう

 

 

「お、美味しい…」

 

 

「お?口に合ったか?

なら良かった良かった」

 

 

「は、はい!!」

 

 

佐渡は大井のさっきまで、恐る恐る食べていたのに一口食べたあとになるとバクバクと勢い良く食べてる姿をみて安心しながら、味噌汁を啜っていると、大井が泣いてることに気付いた

 

 

「美味しい…本当に……グスッ」

 

 

「え?ちょっとどうしたのよ!?あんた!!大井さんのご飯に、なにいれたのよ!!」

 

 

「大井さん!どうかしましたか!?」

 

 

「大井さん!?あ、あれ?変なもの何か入れてないはず何だけど……」

 

 

 

「新人さん、泣いてるのー?

どうしたのー?」

 

 

 

三人と妖精達が、困惑していると大井が我に返ったのか、服の袖で涙を拭くと笑みを浮かべながら三人に言う

 

 

「い、いえ……こんな、美味しいご飯は久しぶりでしたので…

つい」

 

 

その言葉に三人は固まる。

久しぶりに美味しいご飯を食べた……そこに引っ掛かった

 

 

「……古鷹さんや

彼女は何だ?俺をそんなに持ち上げたいのか?

んんん??」

 

 

 



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新人 男嫌いの軽巡 五

「と、言いますか……

多分、原因は『艦娘専用食』じゃないですか?」

 

 

「「何それ?」」

 

 

佐渡と叢雲は、同時に首を傾げるが、古鷹は「そうですよねぇ……」と呟くと続ける

 

 

「艦娘専用食と言うのは、人間で言う携帯食料見たいな物なんですよ?

良く、大規模作戦や遠征してる方々用にと開発したものらしいのですが。

これの凄いところが、艦娘が必要とする栄養素が全部詰まってるらしいんです」

 

 

「へー?なら美味しいの?

食べてみたいわね?」

 

 

叢雲は、古鷹の話を聞きながらスクランブルエッグを美味しそうに頬張る

 

 

「いえ、味が無いんです」

 

 

「「は?」」

 

 

その発言に、叢雲と佐渡は顔を見合せながら首をかしげる

 

 

「味が無い?専用食なのにか?」

 

 

「はい」

 

 

「何の味も?ないの?」

 

 

「ありません」

 

 

「もしかして、蒟蒻見たいな感じ?」

 

 

「正直、蒟蒻の方がまだ味があって良いですかね……」

 

 

「「うっそだろ(でしょ)……」」

 

 

二人は唖然としながら、大井を見る

大井はそんなこと気にせず、一心不乱に食べ、美味しいと良いながら朝御飯を噛み締めている

 

 

 

「えっとですね?提督

艦娘専用食と言うのは、栄養価だけを入れた携帯食なんです

実際は、作戦行動中に迅速に栄養補給を目的にされているのですが、他の鎮守府では、それだけを食べさせてるところもあるそうですよ?

実際、お安いですし、私達は…その……

 

 

『兵器』ですから…」

 

 

古鷹が言った最後の一言に、佐渡の眉がピクンっと反応するがため息を付きながら、味噌汁を飲む

 

 

「……まぁ、分かった

大井さん、いや、大井!

今から命令を下す!!」

 

 

 

「は、はい!!

提督様!」

 

 

佐渡の一言に、大井は食事の手を辞め、敬礼を佐渡に向ける

その頬には、先程まで食べていたスクランブルエッグがついている

 

 

「今日から一日三食!

きっちりと食べること、後いちいち敬礼はよせ、何か堅苦しい

あと、俺の事様付け禁止!

以上!!」

 

 

大井は、佐渡の出す可笑しな命令に「は?」と言わんばかりに唖然とする

当本人の佐渡は、若干イラつきながらもウィンナーをかじる

 

 

「あ、あの提督……」

 

 

「何だ?」

 

 

「何故、その様な待遇を私にするのですか?」

 

 

大井の発言に、こいつがどんな境遇を鎮守府で受けていたのか、何となく理解するが、佐渡は椅子から立ち上がり、箸で大井を指差す

 

 

 

「良いか、大井!

お前が、前の鎮守府でどんな扱い受けたとか、どんな奴だとかは知らん!!

ここは俺の鎮守府だ!!

俺はここで、お前達とのんびりしてたいんだよ!!

戦争とかぶっちゃけ知らん!!

分かったかぁ、あぁ!?」

 

 

佐渡は、ふんっと言うと再び座り、朝御飯を食べ始める

佐渡の堂々とした、自己中発言に唖然としていた大井だったがそれを聞いていた古鷹はふふふと笑みをこぼす

 

 

 

 



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新人 男嫌いの軽巡 六

 

 

「相変わらず自分勝手ですよね、提督は」

 

 

「良いだろー?何か不便な事させたか?」

 

 

「いえ、全く」

 

 

「ほんと、毎回その態度には呆れるわ」

 

 

二人はいつもの事と理解しているが、この時大井には全くといってその命令の意味が分からなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四人は、食事を終え、再び提督室に集まっていた

叢雲もいつもの仕事服(制服)に着替え佐渡の机の前に整列している

 

 

「今日は、古鷹、叢雲は哨戒任務

大井は……とりあえず書類整理を手伝ってくれ」

 

 

「はい!」

 

 

「分かったわ」

 

 

「分かりました!」

 

 

古鷹と叢雲は、二人揃って提督室を後にすると、部屋には佐渡と大井の二人きりになる

だが、ここで大井の変化に気が付いた

 

 

「ん?大井?寒いのか?」

 

 

小刻みに、肩を震わせて顔を下に向けている

佐渡に、呼び掛けらるとハッとして直ぐ様顔を上げ、佐渡を見る

 

 

「い、いえ!何でもありませんよ!!」

 

 

「そうかぁ?そうは見えないんだけどなぁ……」

 

 

佐渡は、椅子から立ち上がり、大井に近付こうとするが、大井は佐渡が近付くと後退り、距離を取ろうとする

 

 

「ほ、本当に大丈夫です!!」

 

 

「……そうは見えんのだが?」

 

 

大井は、提督室の扉まで追い詰められると、佐渡にデコを触られる

その瞬間ビクッと身体を震わせる

そして、そのままうつむき、全身を震わせる

 

 

「おいおい、本当に大丈夫かよ?

何かさっきより、体調悪そうだぞ?変なのでも食べたか?」

 

 

そして、佐渡はデコから肩に触れると、大井の震えが止まり、身体をわなわなと震わせる

 

 

「震えが止まったか、大井大丈夫…」

 

 

「……るな」

 

 

「ん?何か言った…」

 

 

佐渡は大井の顔を覗きこもうとするが、大井が一気に顔を上げる

その瞳は、佐渡を睨んでおり、先程の態度からは考えられない程に怒りに満ちていた

 

 

 

「私に!!触るなぁ!!!」

 

 

瞬間、大井の右ストレートが佐渡の頬に向かって飛んでくる

 

 

「あっぶな!!」

 

 

佐渡は、その瞬間に右ストレートを手で受け止めるが、次は右横腹に鈍い痛みが走る

 

 

「この!!くそったれ!!性欲野獣がぁ!!!」

 

 

「グハァ!!」

 

 

大井の蹴りは中々に強く、流石の佐渡も不意を突かれ、その場に座り込んでしまう

 

 

「おいおい、大井さんやどうし…」

 

 

佐渡が、腹を抱えながら、大井を見上げるが大井は既に脚を振り上げ、踵落としの体制を取っている

 

 

「死ねぇ!!!」

 

 

「わーお、ピンクか

良いもの見たな」

 

 

大井の振り上げた脚で捲れた、スカートの中身を確認しながら、踵落としを左腕で止める

大井は、相変わらず佐渡を睨んでいるが、佐渡は冷静にその状態を楽しんでいる

 

 

「大井さんや、そろそろ下ろさないと俺写真撮っちゃうよ?」

 

 

佐渡は右ポケットから、スマホを取り出し、大井のスカートの中身を撮影しようとすると大井は直ぐ様、振り上げた脚を下ろし、スカートを手で押さえながら、佐渡を睨み付ける

 

 

 

「変態!!!」

 

 

 

「認めよう、俺は変態だっ!!

って、見せてくれたのはそっちじゃないか?」

 

 

大井は睨み付けながらも、顔をほんのりと赤くしており恥ずかしそうだ

一方、佐渡は右横腹を軽く擦りながら、よっこいしょと立ち上がる

 

 

「これだから、男は嫌いなのよ……」

 

 

 

「やっと本性現したなぁ?

男嫌いの猫被りレズ娘?」

 

 

 

大井プロフィールリストの最後欄

彼女の移動理由

 

 

提督兼その他の男性職員に対する過剰な防衛

又、海軍上層部、男性二人への暴行

 

 

この者を小笠原鎮守府へと島流しにする

 

 

 

 



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彼女の選択 ー大井ー

提督室、ソファーに向かい合う様に二人は座っていた

一人はそっぽを向きながらお茶をすすり

一人は煎餅を食べながら、その女の子を見ていた

 

 

「なぁ、それ疲れないか?」

 

 

「貴方に心配される必要はありません

とりあえず口を開かないでください

空気が汚れます」

 

 

こりゃ、叢雲より手厳しなと佐渡は感じながらスマホを取り出す

さっきとうって変わった性格をしている大井

いつもは、猫を被り良い子のふりをしており、怒りだすとこう中身の性格を出すらしい

彼女が、ここに飛ばされた理由の大きな要因はこの男嫌いだ

どうやら、後から大淀さんから聞いて話によると、大井とは男嫌いの傾向があるらしいのだが、彼女は歴代の大井より別格と言うほどに男嫌いらしい

 

 

 

提督は基本的に男であることが多く、彼女はどこに移動になっても触られた提督を殴る蹴る等の暴行をしてしまい正直手に余るらしい

だからと言って、解体するわけにも行かずここに飛ばされた訳だ

 

 

「そっか、じゃあピンク色の下着をSNSに流すわ」

 

 

「撮ったんですか!?

寄越しなさい!!」

 

 

大井は、佐渡からスマホを取り上げようとするが、ひらりと交わしスマホをズボンにしまう

 

 

「それが嫌なら質問に答えてもらおうか?

猫被りの大井さん」

 

 

 

「……良いわよ

その代わり、消しなさいよそれ

あと、猫かぶりって呼ばないで」

 

 

呆れと言うよりは悪態を付きながら、ソファーに座り直し、再びお茶をすする、大井を余所に佐渡は先程の大井の下着写真を消す

 

 

「あーあ、もったいねぇなぁ

もう少し見ていたかったぜ」

 

 

 

「貴方……本当にここの提督なのですか?

ただの、下着写真趣味の変態野郎にしか見えないのですが」

 

 

「ところがどっこい、提督なんだよなぁ」

 

 

大井は深くため息付くと、佐渡を睨み付け、煎餅をかじる

スマホをしまい、お茶をすすると佐渡は本題を話始める為に資料を取り出す

 

 

「見たければ命令すれば良いのに……」

 

 

小さく佐渡に聞こえないように呟くと佐渡から質問される

 

 

「なぁ、この提督を半殺しって本当なのか?」

 

 

「えぇ、やりましたよ?

北上さんに手を出そうとしましたから」

 

 

「北上さん?」

 

 

「貴方……北上さんを知らないの?」

 

 

「あー、悪いな知らん」

 

 

「はぁ?あのですね北上さんはですね……」

 

 

それから、大井の話は止まらなかった

北上さんの可愛さや、美しさ、戦闘の功績等

さっきとはうって代わり、楽しそうにさも自分様に話ししている姿に佐渡は微笑みながら相づちをうちながら聞いていた

 

 

「……なんですよ!!北上さんは凄いんですよ!!」

 

 

「はは、大井は北上さんが大好き何だな?」

 

 

 

佐渡が笑いながら、お茶を飲んでいると大井は気付いたのかふぃっとそっぽを向きお茶を飲みだす

 

 

「と、とりあえず私はやったことに後悔はしていません。

北上さんをあのクズから守れましたからね」

 

 

大井の話を聞きながら、資料を見ると、確かに前任者の提督は下半身不随で提督業を出来なくなったらしく、提督を辞めている

 

 

「成る程?大井の話を聞くに、前提督は北上さんに無理矢理身体関係を持ち出し、それを大井が止めたか

はっ、良い気味だな」

 

 

 

「ええ、ざまぁみろって感じです……

って、え?」

 

 

 

 

 



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彼女の選択 ー大井ー 二

「ん?何だよ?」

 

 

「え?今、何て言いましたか?」

 

 

「嫌だから、良い気味だなって」

 

 

佐渡の予想外過ぎる発言に、大井は衝撃を受ける

何せ、彼女達は

 

 

「何で、提督、人間達が私達『兵器』に肩入れする発言をするんですか?」

 

 

兵器であり、『人間扱い』されるわけがないのだから

 

 

「……チッ、またそれか」

 

 

「北上さんを守るとは言えどやらかした事の大きさを分かっているつもりです

だから、ここに流されたのも……」

 

 

「なぁ、大井?」

 

 

佐渡は、大井の発言を遮りながら立ち上がり、提督室の窓を開ける

 

 

「それが、お前の選択だろ?」

 

 

「え?」

 

 

「だから、それがお前のした選択だろ

何か後悔とかはあるのか?」

 

 

佐渡の話に大井は首をふり、否定する

 

 

「いえ、後悔はないですよ

何せ、北上さんを守れたんですから」

 

 

大井の話を聞いた、佐渡は窓縁に両腕を付きながら、煎餅を頬張りながら少し真面目な面持ちになる

 

 

「なら、俺はそれに関しては何も言わねぇ

うちの奴等にも何も言わせねぇ

良いな?

うちはな、お前達が何をやろうが文句は言わねぇ

どこで何をしてこようがここに来たからにはそんな履歴は関係ない

ただし、二つだけ守ってもらうことがある」

 

 

佐渡の話に唖然としながらも、大井は何でと言わんばかりの顔をしながらも真面目に聞く

 

 

「一つ、ここでは艦娘を兵器として扱わず、一人の兵士、女の子として扱う

 

二つ、轟沈は許さねぇ、どんな理由でもな

 

以上

分かったな?」

 

 

「え、えぇ分かりはしたけど何故ですか?

だって、私達は……」

 

 

そう、言いかけた瞬間に佐渡は大井に近付こうとソファーに向かおうとすると大井の顔がほんの僅かだがひきつる

そして、佐渡は机の上にある資料を拾いあげ、大井の頭をポンっと叩き、戸棚へと向かう

 

 

 

「悪かったな、『男性恐怖症』なのに俺と二人きりにさせちまってな」

 

 

その言葉に、大井は全身を震わせた

隠していたのに、北上さんにもバレて居ないはずなのにと思いながら、佐渡の方向を向く

 

 

「ど、どうして分かったの!?」

 

 

「あぁ?分からないわけないだろ?そんな分かりやすい状態で、俺が近付くときお前は本心から震えてるし、触ったとき顔青ざめてたじゃねぇか」

 

 

「そ、そう……なら」

 

 

 

大井が、言いたいことを察していた佐渡は再び言葉遮り、戸棚を漁りながらお菓子を探す

 

 

「解体はしないぞ?」

 

 

「どうして!?」

 

 

「え?何お前死にたいの?」

 

 

新しいお菓子を戸棚から取り出し、それをソファーに持っていき、再び座る

 

解体

艦娘の艤装を、全て取り除き今までの記憶を消し、人間に戻す事と提督や艦娘に伝えてはあるが、詳細は定かではない

ある提督は、解体後その本人を探したが見付からなかったや本人の記録が海軍から消されてたり等で、今では解体=死と理解されているからである

実際、明石さんも知らないと言ってはいるが……

 

 

「だ、だって……

私は男が…」

 

 

 

「別に、俺と会わなくても仕事は出来るだろ?

哨戒も資料整理でも、報告は二人に任せれば言いし、ここは人手が足りないんだよ

分かれ」

 

 

そう言うと、佐渡は新しく持ってきたお菓子を頬張りながら、資料をゴミ箱に捨てる

 

 

「まぁ、それよりもっと

お前のその症状は、どれ程なんだ?

話すのが駄目か?それとも見るのも駄目か?

あ、もしかして同じ空間が嫌か?

となると……」

 

 

「どうして!!」

 

 

佐渡は、考えていると大井の大声に遮られ、話を辞めてしまう

 

 

「どうして……

私は…欠陥品なんですよ…

男性恐怖症と言う、艦娘が持ってはいけない病を煩いながらも、そこまで気をかけるの…?

早く解体して…

次の大井を建造すれば良いじゃない…」

 

 

 

大井の眼には、うっすらと涙が見え佐渡はその大井に袋に入ったドーナツを投げ付ける

 

 

 

「いたっ、何するのよ!?」

 

 

「命令違反の罰だ、次はウニの殻当てるぞ?」

 

 

 



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彼女の選択 ー大井ー 三

大井は、発言を思い出すが、それでも立ち上がる佐渡にくってかかる

 

 

「だ、だって!!」

 

 

「うるせぇ!!お前は黙ってそこでお茶してろ!!」

 

 

機嫌が悪そうにしながら、佐渡は机に座り、執務を開始する

その時大井が、立ち上がり、佐渡に自ら近付いていく

 

 

「……何だ?お茶してろと言ったよな?」

 

 

「えぇ、そんなことより執務は私がやりますから提督はなにもしないでください」

 

 

大井は、机の上にある書類をとろうとするが、佐渡は持っていたボールペンで大井の手を叩く

 

 

「いたっ!何するんですか!?」

 

 

「うっせ、お前は休んでろ

後で、鎮守府内案内してやるから」

 

 

佐渡は、そう言うと書類に眼を通していく、だがそれでも大井は書類を持っていく

 

 

「戻さないとその胸部装甲揉むぞ?」

 

 

「良いですよ、馴れてますし」

 

 

「良いのかよ………何だと?」

 

 

流石の佐渡もそれだけは聞き捨てならずに、動かしている手を止め、大井の肩を掴む

 

 

「待て、何て言った?」

 

 

「だから、命令ならどうぞ何でもお使いください

性的な事は馴れてますと言ったのです

あ、でも私暴れますのでキチンと手錠をしてくださいね」

 

 

「……成る程?」

 

 

大井の発言を聞いた佐渡は、静かに答え書類を置くと、お茶を飲み一息つくが大井に確認を取る

 

 

「それはなんだ、お前前提督と身体の関係があったのか?」

 

 

「えぇ、北上さんに手を出さないと言う理由でね

ただし、おさわりだけよ

それ以上は許してないけどね」

 

 

「それで、あれか、戦艦や空母の盾になってたのか?」

 

 

「っ!そ、そうよ」

 

 

 

「ついでに言うと、提督の執務もやってたのか」

 

 

「えぇ」

 

 

 

確認しおわり、佐渡はお茶を飲みきりふぅとため息を付くと、怒りの余り壁を思い切り殴る

木造の壁はバキッと鈍い音をたて、佐渡の拳サイズの穴を開ける

大井は、突然の事に驚き持っていた書類を床に落とす

 

「ちょっと!何してるのよ!!」

 

 

「あぁ?ああ、気にすんな……

大井、じゃあ命令なら聞くんだな

命令だ」

 

 

佐渡は拳を引き抜くと、木片等が刺さり、血だらけになっているが佐渡は気付いておらず、拳を開くと血が滴り落ちる

 

 

「な、何?」

 

 

大井は、先程までの佐渡と明らかに様子が可笑しいことに気付きながら恐る恐る聞く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日一日何もするな」

 

 

佐渡の意味がわからない命令に、大井は困惑していると佐渡はフラフラと大井に近付くが大井は後退りをする

だが佐渡は歩みを止めない

 

 

「な、なんですか!一体何がしたっ!」

 

 

大井の声は再び、遮られる

佐渡の血まみれになった片腕の抱擁によって

 

 

「は、放せ!!私に寄るな!!」

 

 

大井は、佐渡の横腹や脚に蹴りを入れているが、佐渡は動じず、全身を震わせる

しばらく、蹴っていると妙な安心感に襲われ、大井は攻撃を辞める

夢中になりながら、蹴っていたから佐渡の状態に気付かなかった

頭の上から冷たい何かが降ってきているのにもその時気付いた

 

 

 

「何をして………え?」

 

 

 

大井は、佐渡の胸から顔を除き混むと、突然のことに驚く

ありえないと思っていた、だって私は兵器だから、見た目だけは人間の兵器だから

こいつもどんな事を言っていても、上部だけだと

 

だから……何故貴方は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泣いてるのか分からない

 

 

 

 

「ごめん……

ごめんな……

でも、今だけこうさせてくれ……」

 

 

佐渡は血まみれではない、手で顔を抑え必死に涙を大井にかけまいとしているが当然そんなこと出来ない

 

 

「な、何で……」

 

 

あり得ない、何故この男は泣いてるの?

眼にゴミが?それとも私に対して…?

嘘よ、嘘よ!!!

あり得ない!!

だってこいつは男で提督なのだから……

 

 

そう思っていると、佐渡は大井抱き寄せ、顔を埋めさせる

血に濡れた手を払い、頭を優しく撫でながらずっとごめんと呟きながら

 

 

 

 



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彼女の選択 ー大井ー 四

しばらくして、提督室

部屋の中に、変な空気が流れていた

それはそうだ、さっきまで大の大人が高校生位の女の子を抱きながら、泣いていたんだから

 

 

「あー、うん何だその大井」

 

 

「……何」

 

 

「さっきのは見なかったことにしてくれ

その代わりお前の言うこと一つ聞くから」

 

 

「……別に良いですよ

……気にしないでください」

 

 

佐渡は、恥ずかしそうに頬をポリポリ掻いているが、大井はそっぽを向いている

さっきの佐渡の涙を考えながら

 

 

「とにかくだ!!ここではお前は自由だ!好きにやれっといててて……」

 

 

佐渡が立ち上がると、横腹を押さえながら大井の頭を優しく撫でる

 

 

「良く頑張ったな

辛かったろ?もう我慢しなくて良いんだからな」

 

 

大井はその言葉に、うっすらと涙を浮かべるが強気になり佐渡の手を払いのける

 

 

「……触らないで」

 

 

 

「お、悪い悪い」

 

 

それだけ、言うと佐渡は提督室を後にする

大井一人だけ残された提督室には静けさが残る

先程から言われた佐渡からの言葉を思い出しながら

 

 

「……何なのあいつ

ワケわかんない……」

 

 

 

『ごめん…ごめんな……』

 

 

「何で泣くのよ、こんなこと普通でしょ……?」

 

 

 

『とにかくだ!!ここではお前は自由だ!!ってて』

 

 

「…………蹴ったこと…怒りなさいよ…」

 

 

大井は、両手で頭を抱えながら、下を向き

ガシガシと頭を掻きながら、意味が分からずどうすれば良いか悩むが最後の一言に限界を迎えてしまった

 

 

 

『良く頑張ったな

辛かったろ?もう我慢しなくて良いんだからな』

 

 

「………グスッ

優しくするなぁ………

私は……私は……」

 

 

ソファーに倒れこみ、両手で顔を押さえながら、声を押し殺しながら泣いていた

今までの事とは全く違う扱いを受ける戸惑いと、やっと終った悪夢から解放された喜びと、あの男にした暴力への罪悪感の入り交じった感情と共に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いてて、流石だなあいつ……」

 

 

佐渡は、横腹を押さえながら、廊下を歩いていた

そして、スマホを取り出し、ある人物に電話をかける

 

 

 

「あー、もしもし、大淀さん?

ちょっとお願いがあるんですけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは?どこ……?

私はさっきまで……

 

 

 

少女は見たことある、ベッドに寝ていた

分かっていた、でも分かりたくなかった

あぁ、さっきのは自分が夢見ていた事だと思いながら、ベッドから起きる

二段ベッド上からは、愛しの女の子の寝息が聞こえる中服を制服に整え

起こさないように、部屋の扉を締め

ある部屋に向かう

忌々しい、部屋に

 

 

しばらく歩くと、そこにたどり着くそこには提督の自室と書かれた看板がある

 

そして、理解する先程まで見ていた世界が夢で今が現実なのだと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐世保鎮守府

大井が居た、木原淳也(きはらしゅんや)が運営する

駆逐艦と軽巡を不当に扱う

ブラック鎮守府




果たしてこれは夢か
それとも現実か


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彼女の選択 ー大井ー 五

友を守るためにどこまで自分を捨てられる?


「失礼致します」

 

大井は提督室の扉をノックし、扉を開き中に居る起きたばかりの木原に声をかける

 

 

「おはようございます提督」

 

 

「おぉ、おはよう大井ちゃん?

では早速だけど部屋の掃除を頼むわ」

 

 

「はい、分かりました」

 

 

ここでの大井の仕事は、雑務と執務がメインであり、木原の身の回りの世話も全てこなしていた

不意に部屋の布団を畳んでいた、大井の胸を後ろから木原は触りだす

 

 

「相変わらず良い胸だなぁ?

何でこの胸部装甲で軽巡何だかねぇ?」

 

 

「さぁ、どうしてでしょうか?」

 

 

大井は、必死に表の顔で笑顔を作りながら木原のセクハラに耐えていた

その触られてる間、大井は嫌悪感しか覚えずに吐き気を催す

だが、気付かれてはいけない、気付かれれば北上は…

 

 

「へへ、大井は従順だなぁ?

まぁ抵抗すれば北上を……」

 

 

「あの人には手を出さないで!!!」

 

 

「おっと大丈夫だっての

お前が大人しく俺の身の回りを全部やれば手を出さねぇよ」

 

 

大井の胸を離すと木原は、驚きながらもテレビの電源とゲーム機を付け、ごろんと寝転がるといつも通り、大井に指示をだす

 

 

「んじゃ、いつも通り、執務と資材庫の掃除

あと、飯も頼むわ」

 

 

「はい、失礼致します」

 

 

部屋を後にすると、トイレの個室に駆け込み胃酸を必死にはいてしまう

我慢しないと……じゃないと北上さんが…

 

 

大井が、こうなってるのも実は理由がある

つい一週間前に、大井と北上がこの鎮守府に同時に配属されたのだが、その二日後に二人は空母達の壁として使われた

それにろくに食事も与えられず、入渠もされずに

それでも、二人は何とかお互いを慰め合いながらやっていた

いつか、こんな生活が終わるものだと思い

そして、廊下を一人で歩いていた大井は聞いてしまった

木原とある秘書艦の話を

 

 

「あー、何て言ったっけ。

あの軽巡、大井と北上だっけか?」

 

 

「それがどうした?」

 

 

「二人とも盾にも使えねぇけど、大井は使い道があるけど北上は駄目だなありゃ

解体も申請書書くの面倒だし、『取引』で轟沈させるか」

 

 

それを聞いた大井は、脚を止める

大事な仲間を、友人を死なせるわけにいかない

その瞬間大井は、扉を開け言っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願いします!!!

北上さんを轟沈させないでください!!!

私があの人の変わりに何でもやりますから!!」

 

 

 

 

そして、今に至る

北上に手を出さない、轟沈させないを条件に大井は、嫌いな男であり、提督の身の回りを世話をしている

トイレから出てくると、顔を洗い、髪と服装を整え執務室に向かう

今日も北上さんの為に頑張ると胸に誓い

 

 

「大井っちー!」

 

 

後ろから、愛しの北上の声が聞こえ、振り替えるとこちらに向かい手をふる北上の姿があった

北上を待つために歩みを止め、二人で歩いていく

この時間が大井にとって、至福の時だった

 

 

「おはようございます!北上さん!

怪我はもう大丈夫なの?」

 

 

「うん、北上様だよ~?

このくらい何ともないさ!」

 

 

二人が仲良く歩いていると、目の前からフラフラと歩く小さな影が北上に当たってしまう

 

 

「おぉー?大丈夫か?駆逐艦?」

 

 

北上は、その駆逐艦の肩を掴むとその瞬間に彼女は北上の手を払い廊下に土下座をする

 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

 

「おー、落ち着けー」

 

 

「そうよ?私達は軽巡よ?」

 

 

駆逐艦の少女は、顔を上げると二人の顔を見て安心して、立ち上がり、そのまま再びフラフラと歩きだす

傷だらけの身体で

 

 

この鎮守府では、あんなのが当たり前だ

これが、当たり前なのが普通なのか、分からないが、みんなあんなもんだ

 

 

 

 



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彼女の選択 ー大井ー 六

この鎮守府では、戦艦、空母等は重宝される

だがその反面、軽巡と駆逐艦は基本的には運用されない

兵器としてではなく、ただの肉壁として 

通常なら、資材が足りなくなる為に、遠征任務を酷使するはずなのにここではそれをしない

何故かは分からない

でも、決まって『誰かが轟沈すると資材が増える』

恐らく、轟沈するかしないのギリギリで活躍して、資材を受け取っていると大井は思っていた

この時は、そんなことより北上の事で頭が一杯だったのだから

 

 

「あ、大井っち私行かないと」

 

 

「え?北上さん何かあるんですか?」

 

 

大井は不思議がっていた、何せ木原との取引で北上を守っているはずだからなのに何故?

と考えていると北上から予想外の返事が来る

 

 

「実はさー、今日海軍のお偉いさんが来るんだって~

だから、そのお出迎えを頼むだってさ

しかも、海から来るらしいからこのあと戦艦達と迎えにいくんだ~」

 

 

 

「そ、そうなんですか……

気を付けてくださいね!」

 

 

北上の久しぶりの出撃に応援を入れると、北上はうんーと言いながらのんびりとしながら別方向に歩いていく

 

 

「じゃ、またね大井っち~」

 

 

 

「はい!また後で!」

 

 

階段の所で、大井と北上は別れ、別々に歩いていくと大井の目の前に見馴れない戦艦がこちらに向かってあるいてくる

大井は、廊下の端に避け頭を下げる

ここでは、これが普通なのだ

戦艦や空母が廊下を歩いていたら、端に立ち頭を下げる

ではないと、戦艦達に殴られるから

決まって同じ台詞を吐いて

 

 

「貴様ら程度の兵器が、我々の歩く道の眼に入るな目障りだ」

 

 

 

だがその戦艦は歩いていたが、大井のその状態を可笑しく思ったのか大井の横で立ち止まる

 

 

「HEY?そこのyou?何故貴女も頭を下げてるんデスカー?」

 

 

半分英語混じりで喋るこの方は、恐らくアメリカ艦の戦艦なのだろうと大井は思いながらも、頭を下げるを辞めない

 

 

「いえ、戦艦様が歩く道を邪魔したくないからでございます」 

 

 

「oh…

何か、ここに居る子達は皆同じことを言いマスねぇ……

では、えっとyou、nameは?」

 

 

大井は、何故こんなにも私(軽巡)なんかと話をされているのか?と思いながらも質問に答える

 

 

「球磨型 四番艦 大井です」

 

 

「大井ですか!meはIowa(アイオワ)です

どうぞよろしく!!」

 

 

戦艦、アイオワは大井に手を差しのべるが、大井は手をとらない

…いや、取れない。

とれば、恐らくそのまま、他の戦艦に撃たれる可能性があるからである

 

 

「むぅ……meと握手もしてくれませんか…」

 

 

「はい、誠に申し訳ありませんが」

 

 

 

アイオワは難しい顔をするが、無理矢理大井の両手を取り、ブンブンと握手をする

 

 

「よろしくーネ!!」

 

 

手を取られた大井は、他所を向いているがアイオワは満面の笑みだ

アイオワは手を離すと、大井の頭に口を近付け頬を吊り上げ怪しく微笑みながら小さく呟く

 

 

「二一〇〇(ふたいちまるまる)に、執務室にGOよ」

 

 

 




その囁きは何を意味する?


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彼女の選択 ー大井ー 七

「……え?」

 

 

「じゃ、good-bye!大井!!」

 

 

「ちょっとまっ……!!!」

 

 

アイオワに、詳しく尋ねようとしたが、アイワナの行く手に別の戦艦が見えてしまい慌てて頭を下げる

 

 

「アイオワ、あれと何を話していたんだ?」

 

 

「んー?ちょっとしたアドバイスですよ?」

 

 

そうかともう一人の戦艦は、アイオワと歩き始めるが、アイオワは歩みを止め、大井の事をチラッと見る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

「そう、アドバイスよ…

ふふふ」

 

 

 

 

 

アイオワは、口元を不気味に吊り上げながら、目の前を歩く戦艦に悟らせない程に上手く隠しながら、再び笑顔になり戦艦に付いていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大井は二人が居なくなったのを確認すると、頭を上げ先程までのアイオワの言葉を思い出す

二一○○……

その時間は、確か海軍のお偉いさんが二人執務室に来るはずだけどなんなのだろうか…

と思っているが近くの時計が八時を知らせるとそんなことより執務をしないと行けないのを思い出し、早歩きで食堂に向かう

 

 

食堂につくと、いつもの朝食セットを食券を購入し、食堂のおばさんに持っていく

 

 

「あら?大井ちゃんおはよう!」

 

 

「おはようございます」

 

 

食券を持っていくと、この食堂のおばさんが出てきて挨拶をしてくれる

この鎮守府の、数少ない『普通』の人間だ

おばさんは、テーブルに両手を付き食券を切り、他の方に渡すと「ちょっと待って」と大井を引き留める

 

 

「これ!うちで作ってきた佃煮何だけどさ、味見がてら貰ってくれない?」

 

 

「い、いえ!悪いですよ!!」

 

 

「いーのいーの!!いつも提督の世話してるんだから頑張ってね!」

 

 

おばさんは、無理矢理大井にタッパーに入った佃煮を押し付けると、ヒラヒラと手をふり、朝食セットの準備をする

大井は、申し訳なさそうにお辞儀をすると、その佃煮を直ぐ様艤装の中に隠す

 

 

しばらくして、朝食セットが出来上がり、それを取りに行き、そのまま提督室へと持っていく

その最中に、何度か空母達とすれ違うが、先程までの様に端には避けない

空母達も、大井を避けていく

下手に手をだすとこちらが木原に何をされるのか分からないからである

前に邪魔だと殴った戦艦が、『不慮の事故』で轟沈したと言う話を聞いたが空母達は、大井とすれ違う途中に舌打ちをする

 

 

提督室に着くと、扉を叩き部屋を開ける

 

 

「提督、朝食です」

 

 

提督室では、木原が電気も付けずにゲームに集中しており、大井に気付かない

大井は、木原が終わりそうなタイミングを待ち、そのまま立っている

少しすると、木原がゲームのコントローラーを置き煙草吸おうとしたところ再び声をかける

 

 

「お食事です、提督」

 

 

「んー」

 

 

 

 



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彼女の選択 ー大井ー 八

大井から、朝食を貰うと木原は「そう言えば」と言い、ポケットから携帯を取り出し

部屋の電気をつける

 

 

「大井、脱げ」

 

 

「………え?」

 

 

木原の発言に、驚きを隠せない大井は戸惑いを隠せず後退りをする

すると、木原は大井に近付き、睨み付けながらドアを蹴りつける

 

 

「命令だ、早くしろ」

 

 

「……はい」

 

 

大井は震えながら、着ている衣類を脱ぎだすと、木原はニヤニヤとしながら、それを眺めている

服を全て脱ぎ終わると、両手で秘部を隠そうとするが木原に止められる

 

 

「隠すな、敬礼」

 

 

「………はい」

 

 

木原の命令に逆らえるわけなく敬礼をすると、パシャっとカメラ音がする

 

 

「ど、どうして!!」

 

 

「あぁ?今度上官がな、うちに来るんだけどお前を抱きたいんだってよ

んで、その写真だ」

 

 

大井はその言葉に、顔を青ざめる

大嫌いな男に身体を許す、これがどれ程キツいものかこいつには分かるまい

例えるなら、全裸の状態でミミズ風呂に入れられてるほどに気持ち悪い事なのだ

その様子を木原は、ニヤニヤしながら見ている

 

 

「まぁ、断るなら北上を…」

 

 

「やります!!やらせてください!!」

 

 

大井は、全裸の状態で木原に土下座する。

その様子を見た、木原は大井の頭を踏みつけ上機嫌になる

 

 

「そうそう、その意気だぞぉ?

にしても、本当に良い身体してるよなぁ……

ここで、味見してみるか?」

 

 

木原は、脚を退け大井の髪を持ち上げ大井の全身を舐めまわす様に見る

気持ち悪い、吐きそう

大井はそれだけを感じながら、人形の様にただ耐えている

 

 

「んー、だが上官は処女が良いって言ってたし……

仕方ねぇ、後で別の奴でも使うか

良し、行っていいぞ」

 

 

掴んでいた手を放し、大井を床に落とすと木原は再び煙草を吸い始める

そそくさと、服をまとめ大井は「失礼致します」と言い部屋を後にする

 

 

直ぐ様、近くの部屋に入り服を再び着てトイレの個室に駆け込む

そして、今朝と同じように胃酸を吐き出す

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い

 

ただ、それだけが大井の心を支配していた

 

 

少しすると、個室から出て再び鏡で身だしなみをチェックするとトイレから出る

 

 

「でも、耐えないとね

北上さんの為に

そうだ、佃煮……」

 

 

艤装から、佃煮を取り出して中身を確認する

 

 

「……良し、味、匂い問題なし

これなら、北上さんも喜んでくれるかな?」

 

 

「今日も北上さんの為に頑張ろう!!」

 

 

そして、再び艤装に佃煮をしまい、頬を叩き気合いを入れ執務室に向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大井っち……」

 

 

それを影から見ている者が居るとも知らずに

 

 

 

 



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彼女の選択 ー大井ー 九





執務室に着くと、書類が山盛りな状態で放置されてあり大井はいつも通りだなと思いながら、席に着き執務を始める

 

 

ここでの執務は基本的に、この鎮守府より上の階級の人達の後処理が主であり、正直辛くはない

しかも、出撃がやたら少ない

遠征はある程度メンバーが固定されているが、基本的には帰ってくるのは二日に一度

だが、帰ってきてはすぐにまた出かける

まともな補給もせずに 

 

 

 

「今日は……

北方海域の攻略位か…」

 

 

北方海域、実のところ危険度が低く、轟沈する確率が最も低く安全な海域

良くわからないが、あそこに姫級が二人居るらしいのだがその姫級や深海艦隊は艦娘を轟沈させることが少ないらしい

あそこでの轟沈は、精々帰投する際に運が悪くはぐれ艦隊と遭遇し、戦艦達が駆逐艦達を盾にしなければ大丈夫と言うこと

それに、あそこは場所は限られるが、漁業が出来ることから攻略する優先度は低いとされる

 

 

 

だからと言って、その二人は弱いわけではない

ここ最近、戦艦1空母2駆逐艦2軽巡1の艦隊と戦艦2装甲空母1軽巡3を送り込んでいるのに全く戦果が取れないのだ

 

 

 

戦艦達が言うには、あそこの一人の姫級がかなり強く、歯が立たないらしい

それでも、あそこに木原が艦隊を向かわせるのはある目撃情報かららしい

そこにはごく稀にある、深海棲艦が見付かるらしい

 

 

 

 

歴戦の空母棲姫である

何故かは分からない、だが四ヶ月程前にある鎮守府の艦隊が帰投途中に遭遇したらしく、その時は何とかして逃げたらしい

その後、数回位北方海域に居ることが確認されている

だが、どれも戦闘をしたことが無いらしく実力は不明

それを聞いた木原はそれを撃破するために艦隊を送り込んでいるのだ

 

 

「……どうせ今回も駄目なんだろうな」

 

 

大井はそんなことを呟きながら、執務に取りかかる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー……今日の分は終わりかしら?」

 

 

大井は執務の大半を終わらせ、時間を見るといつの間にか20時を回っていた

そろそろお風呂入ろうかなと考えていると、執務室の扉が開き見たくもない奴が顔を見せ、大井は敬礼をする

 

 

「大井、執務ご苦労様

戻って明日のために寝ろ」

 

 

「はい」

 

 

木原は、制服を見にまとい先程まで大井が仕事をしていた書類を見る

それを横目に大井は、執務室を後にする

大井は、その脚でそのままお風呂に向かい

服を脱ぐと湯船に浸かり

今日の疲れを癒す

 

 

「ふぅ……今日も終わりかぁ……」

 

 

この鎮守府は、終わりが他の鎮守府より早く幸い夜遅くまでは運営しておらず、夜7時には全員お風呂を終わらせているため風呂には大井だけしか居ない

 

 

「……北上さんへのお土産もあるし、今日は早く戻りましょう」

 

 

大井は湯船から上がり、髪を乾かしていると廊下に人の気配を感じて静かにする

廊下からは二人の男の声が聞こえる

 

 

『今晩ですかぁ、楽しみですなぁ』

 

 

『あぁ、久しぶりの女だからなぁ』

 

 

恐らく、海軍上層部の誰かだろうと思いながら、怪訝そうな顔をしながら静かに風呂の扉を開ける

二人の人影は、真っ直ぐ執務室に向かっており、再び脱衣場に、戻り髪を乾かす

 

 

『二一○○に、執務室にGOよ』

 

 

ふと、今日アイオワに言われた言葉が頭をよぎり時計を確認する

時計は20時50分を指しており、そろそろか……

と思いながら、髪を乾かし終わると脱衣場を後にする

 

 

自室の前に着くと、扉の音を立てないように開き中に居るはずの愛しの友人を起こさないようにするが、少し異変に気付く

気配がない、いや勘違いかな?と思いながら二段ベッドの上を覗く

 

 

「北上さーん?居ますかぁ~?」

 

 

だが、居ない

朝起きて動いた様に、布団が乱雑になっており、どうしてと思いながらもトイレかしらと思い

艤装から佃煮を取り出すとそれと一緒に艦娘携帯食を取り出し

大井は、艦娘携帯食を食べる

艦娘携帯食は、見た目はカロリー○イト見たいな感じの携帯食で味はない

 

 

 

「……相変わらず味がないなぁ…

北上さん、まだかなぁ……」

 

 

電気を付け、佃煮の香りを楽しみながら艦娘携帯食を食べ終わり時間を気にする

時刻は21時を越えており、布団に転がる

 

 

「……何だろう胸騒ぎがするわ」

 

 

 

アイオワの言葉を気にしながら、大井は部屋を後にし、北上を探しに鎮守府内を歩き回る

 

 

すると、執務室の扉から光が見える

大井は、足音を消すように忍び足で歩いていると部屋から声が聞こえる

 

 

『やっぱり、若い女は良い身体ですなぁ?』

 

 

『張りのある肌、これが兵器かぁ…

惜しいなぁ、うちに一人欲しいですなぁ』

 

 

『良ければ、駆逐艦でしたら密かにお譲りしましょうか?』

 

 

『本当かね木原君!?では、この子が欲しいねぇ』

 

 

相変わらず、胸糞悪い連中ね

と大井は思いながら、通りすぎようとするが中から聞こえたもう一つの声に足が止まる

 

 

「や、やだ!!やめてよ!!」

 

 

「……え?北上さん?」

 

 

 

 

 

 

 



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彼女の選択 ー大井ー 十

そして、彼女は選ぶ友か現在か


その声に身体が凍り付く様に固まる

え?何で?嘘?どうして?

大井の身体勝手に動いており、執務室の扉を開けており

目の前の光景に、言葉を失う

扉は、勢い開けたらしくその反動で直ぐにしまってしまう

 

「ん?何だね?」

 

 

「おい、大井何しに来た?」

 

 

「艦娘か?何の用かね?」

 

 

そんな声より大井の視線は別の方に向いていた

愛しの北上さんが、服を剥がされ執務室の机に押さえ付けられている

 

 

「どう……して?」

 

 

「うちの艦娘が失礼しました直ぐに追い払いますので」

 

 

木原は、大井の肩を掴み外に出そうとする

だが、大井は木原の両腕を掴み声を荒げる

 

 

「どうして!?するなら私でしょ!!

北上さんには何もしないって!!」

 

 

「ん?あぁ、あれか。

俺は守ってるじゃないか?」

 

 

大井ははぁ?と、言わんばかりに顔をするが、木原はニヤリと笑いながら大井に続ける

 

 

『俺はなにもしてないだろ?なぁ?』

 

 

木原の言葉に、大井は絶望する

確かに間違っていない、『木原はなにもしてない木原の上司が襲っているだけなのだから』

大井が、肩を震わせていると木原は再び上司の二人に向き直り

 

 

「どうぞ、ご堪能くださいませ!

これの事には気にしないでくださいませ」

 

 

木原は、頭を人差し指でトントンと叩くと、大井を嘲笑う

 

 

「軽巡風情が、俺に逆らうな

所詮貴様らは兵器何だからな?

大人しく人間様の言うことでも聞いとけや」

 

 

「それもそうだな!では楽しませてもらおうか」

 

 

上司が北上に再び手を出そうとする、大井は見ていることしか出来ない

こんな奴……殺してやる!!

でも、一人で三人なんて相手には……

大井が、脚を軽く動かすと何かに脚に当たる

当たったそれを大井は拾い上げると、それが何かを理解する

 

 

酸素魚雷、それも5連装である

何故、ここにこれがと思っていると後ろの扉が少し空いており声が聞こえる

 

 

『今晩わ大井さん、それは私からのプレゼントよ』

 

 

知らない声、間違いなくここの鎮守府の人間じゃない、だが大井にそんなこと考える余裕が無かった

その声はそのまま続け、大井に囁く

 

 

『目の前に友人が襲われているのに静観していて良いの?

貴女は、見てるだけしかしないの?

あんなに努力してたのに、それは誰の為?

嫌いな男に媚売って、裸を見せたのに?』

 

 

その言葉に、大井は沸々と今までされてきた事に怒りと同時にどす黒い感情が支配し、酸素魚雷握る手の力も必然と強くなる

 

 

『ほら、彼女を見なさい?

 

 

貴女に助けを求めてるわよ?』

 

 

見知らぬ女性の言葉に、大井はハッとすると北上は涙を流しながら、大井を見ており小さく呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けて………大井っち……」

 

 

 

 

「私の北上さんに触るなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

 

その言葉に、大井は感情を抑えられなくなった、酸素魚雷でまずは木原を後ろから殴りそれを見た上司の男は怯み、持っていた酸素魚雷を一人に投げつけると男の顔面に直撃し当たり所が悪かったのか、そのまま気絶

北上を押さえ付けていた男の胸ぐらを掴みそのまま投げる

女とは言えど艤装を付けている為に力は大井の方がある

 

 

 

正直、大井が覚えているのはここまでであり、このあとは全く記憶が無いらしい

匿名より「佐世保鎮守府の執務室で艦娘があばれている」と通報を受けた憲兵が四人で乗り込んだとき状況が酷かった

気絶した、北上を抱き抱える大井に回りに転がる海軍上層部の男二人

そして、ボロボロの木原提督

しかも、執務室に脚を踏み入れようとした、男の憲兵に大井は襲いかかったそうだ

うわ言の様に「死ね」と連呼して、男のみを狙っているらしく他の艦娘に押さえ付けられやっと止まった

押さえ付けられた、直後彼女は気を失い

この事件は幕を閉じた

ただ、大井は木原に対しかなりの怒りがあったらしく木原だけは重態だったらしい

 

 

捕まっている間も男に近寄らずに触られれば無意識に暴力を振るうなどしており

 

 

裁判の結果

 

 

 

大井は小笠原鎮守府へと島流しの刑に処された

 

 

 

 

 

 

 

 




貴方はどう思う?
彼女の選択を


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二度目の選択 ー選べ歩む道をー

「……夢?」

 

 

大井は起き上がると、部屋を見渡すとそこは提督室でもなく、佐世保の自分の部屋でない

誰か女性の部屋である

結構広く、恐らく畳8畳分はある

二段ベッドの下に寝かされており、ベッドから出て部屋を見渡すと机にカーペットがあり、大井は脚をかける

 

 

「起きた?大井さん」

 

 

不意に、二段ベッドの上から声がする為ベッドから出るとそこには叢雲が座っており、大井を見下ろしていた

 

 

「随分とうなされてたわね?それとあいつに泣かされた?大丈夫?」

 

 

叢雲は、飛び降りると大井を心配するように覗き込む

大井はいつも通りに表の猫かぶりを使い、叢雲の心配かけないようにする

 

 

「いえ!大丈夫ですよ、ありがとうございます!」

 

 

「ふーん……」

 

 

大井は作り笑いをしていると叢雲は大井の顔をじっと見つめ言い放つ

 

 

「その言葉は、嘘ね間違いないわ」

 

 

「…え?」

 

 

叢雲は、大井の脚を払うと大井は横に倒れそうになるが叢雲がそれを掴みそのままベッドに座らせ、ブランケットをソファーから取り大井に渡す

 

 

「貴女、嘘が下手ね?

しかもかなり」

 

 

「え?え?」

 

 

不意を付かれた、大井は困惑しながらも叢雲の持ってきたブランケットを羽織る

 

 

「んで、いーつまで猫被ってるの?」

 

 

 

「!?ど、どうして……」

 

 

驚きの連続で大井は、先程より混乱しっぱなしだ

叢雲は微笑むと、ソファーに座りゆっくりとする

 

 

「だって、分かりやすいんだもん貴女

あ、これから私も大井って呼ぶからそっちも叢雲って呼んでね?

私、敬語とか苦手なのよ」

 

 

叢雲は、そう言うと資料を手に取りゴロンとしながら、ソファーに寝転ぶ

大井は、ブランケットを顔に当てながらそんなに分かりやすいかな?と思いながら顔を伏せる

 

 

「にしても、貴女凄いのね

ここまでやるなんて中々よ?」

 

 

「……え?」

 

 

 

転がりながら資料を見ている叢雲は、微笑みながら大井に向き直る

叢雲が見ている資料と言うのは、大井が起こした事件の全容だ

 

 

「み、見ないで!!」

 

 

大井は直ぐ様それを叢雲から奪うと、叢雲は面白いのに……と言いながら再び転がる

 

 

 

「私がどれだけの事をしたか

何をしてきたかを知ったんですね」

 

 

「えぇ」

 

 

「……どう思いますか?こんな兵器」

 

 

大井は感想を恐る恐る聞くが、叢雲は顎に手を当て考え込む

そして、暇そうに転がりながら答える

 

 

「良いんじゃない?」

 

 

「……え?」

 

 

叢雲から返ってくる予想外の発言に、大井は拍子抜けをくらう

そして、大井を見つめながら叢雲は大井に続ける

 

 

「別に?間違ってないと思うわよ?

友人が襲われていて、それを助けた

それの何が悪いの?

私だって古鷹が襲われていたら同じことをしていたわ」

 

 

叢雲の堂々とした、発言に大井は唖然とする

自分がしたことを間違ってないと言う人は初めてだった

友人を助けるとは言えど、海軍の上層部と提督に暴力を振るう

これがどれ程のことか

 

 

叢雲は不意に立ち上がり、座っている大井を軽く抱き締める

 

 

「それと、ここでは大丈夫よ

もう、何があっても私達が貴女を守るわ

任せない」

 

 

その言葉と行動に、一瞬佐渡を思い出す

今まで見てきた人間達や艦娘達とは大違いすぎて、大井の思考は追い付かない

少し、何か裏があるんじゃないかとも思う

でも、何故かその叢雲の包容に安心感がある

 

 

大井は再び、涙ぐむと部屋の扉が開き大声でもう一人の艦娘の声が聞こえる

 

 

 

「あ、大井さん!起きても大丈夫ですか?

うなされていましたが?どこか悪いところがありますか?」

 

 

 



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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 二

古鷹は、クッキーと紅茶をテーブルに置くと叢雲が離れ大井の身体をくまなく見ていると小さく「うん!」と頷くと机の側に座る

 

 

「身体は大丈夫みたいだね!

それにしても、ビックリしたよ……

哨戒任務の結果報告に、提督室に行ったら大井さん、ソファーに眼を腫らして寝ているんだもん

何か嫌なことでもあったの?」

 

 

「っ!ご、ごめんなさい!私あんなところで寝てしまってたんですね!」

 

 

その発言に、叢雲が大井の頭をコツンと叩く

そこまで、痛くは無いが叢雲を見上げる

 

 

「敬語、ここでは使わなくて良いのよ」

 

 

「でも」

 

 

「でもも無し、良いわね?」

 

 

叢雲はそう言うと、古鷹が持ってきたクッキーと紅茶を食べようとテーブルに向かう

頭を押さえながら大井は、唖然としていると古鷹が手招きをする

 

 

「大井さんもこっち来なよ!

今日は美味しく焼けたんだよ!」

 

 

「うん、美味しいわね

大井、食べないなら私が全部食べちゃうわよ?」

 

 

「あー!叢雲駄目だよ!

今日は大井さんの為に焼いたんだから!!」

 

 

叢雲はお構い無しに、クッキーを食べ、古鷹がそれを阻止しようとクッキーの皿を取り上げる

先程、大井が夢に見ていた光景では絶対にあり得ない現実

これが夢なんじゃないかと不安にもなり同時に

 

 

「北上さんも居れば良いのに」

 

 

と呟いてしまい、それを聞いた二人は大井に向き直る。

視線に気付いた大井は慌てて口を抑え、頭を下げる

 

 

 

「ご、ごめんなさ…」

 

 

「ねぇ?その北上さんってどんな人?」

 

 

「……え?」

 

 

叢雲は、食べる手を辞め紅茶に切り替えるとと次は古鷹が聞いてくる

 

 

「私も聞きたい!

夢の中で北上さんって言ってたから知りたいな!!」

 

 

 

二人の視線に、大井は照れながらも立ち上がり、テーブルの側に座る  

 

 

「長くなるけど良い?」

 

 

「構わないわよ、どうせ暇だし」

 

 

「聞かせて聞かせて!!」

 

 

「良いわよー!なら聞かせてあげる!!

北上さんはね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐渡は、三人が居る部屋の扉の横に立っており、内容を聞いていた

実はと言うと、古鷹と叢雲には既に彼女が男性恐怖症なのと佐世保鎮守府で起きた話をしており相談したところ

 

 

「なんだ、そんなこと?

と言うかそれならあんたが近づかなきゃ良いじゃない?」

 

 

「提督!それなら私達に任せてください!!」

 

 

二人に力強く言われ、佐渡は二人に任せることにした

正直、自分が手を出せないのは何か歯がゆいが、部屋の様子を聞くに大丈夫だなと思い、部屋を後にする

 

 

『へぇ?あいつ大井のパンツの写真を撮ったのぉ?』

 

 

 

『えぇ!全くありえないわ』

 

 

 

『ふーん?へぇ?ほぉ?』

 

 

佐渡が居なくなった、部屋の中で叢雲は携帯を取り出し、ある人へ電話をかける

 

 

『あー、もしもし、ちょっとよろしいですか?』

 

 

 

 

 

 

 



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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 三

ここは、場所代わり食堂である

今、佐渡は晩御飯の用意中である

ここでの晩御飯は大体佐渡が作っているのだが悩んでいた

 

 

「何にするかなぁ?

昨日は肉食べたし、野菜か?生魚も捨てがたいしな……」

 

 

調理台の上に、タレに浸けた肉、野菜、三日前に釣った魚が置かれ悩んでいた

しばらく、悩んでいると食堂の引き戸が空き誰か入ってくる

 

 

「ちょっと司令官?時間良いかしら?」

 

   

「ん?あぁ、叢雲か。

良くここが分かったな?」

 

 

叢雲が、食堂のカウンターに背を預けながら、佐渡に後ろ向きになりながら話しかける

 

 

「大井は?」

 

 

 

「古鷹さんとお風呂よ

私もこのあと向かうわ」

 

 

 

「そうか」

 

 

 

「……あの大井って子、普通に良い子じゃない?

何とかならない?こんなところ辺境じゃなくて普通の鎮守府に行かせてあげたいわ」

 

 

佐渡は、叢雲の言葉に微笑みながら、調理台から離れて叢雲の頭を優しく撫でる

 

 

「相変わらず面倒見が良いな……

そう言うところ俺は好きだぞ」

 

 

不意に言われた叢雲は、顔を真っ赤にすると佐渡の手を思いっきり払う

 

 

「す、すすす好きとか言うな!!」

 

 

「ははは!好きだぞ~叢雲?」

 

 

佐渡が笑いながら、再び叢雲を撫でていると、流石にムカついたのか手を払い厨房に入ってきて蹴りを当てる

 

 

「いてっ!何すんだよ!」

 

 

「うっさい!!!このロリコン!!」

 

 

「ロリコンちゃうわ!!」

 

 

蹴られた場所を擦っていると叢雲が去り際に、料理の注文をする

 

 

「……今日はお刺身と肉野菜炒め食べたい」

 

 

「お?了解だぞ」

 

 

 

佐渡は、それを聞くと早速調理にかかる、叢雲はそれを他所にお風呂へと向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は過ぎ、晩御飯時お風呂から上がってきた三人は仲良く話ながら食堂に入ってくる

 

 

 

(お、早速仲良くなってる流石は叢雲と古鷹だな)

 

 

それを他所に、佐渡は先程の叢雲の注文通りに肉野菜炒めとお刺身を作り

更に何品か料理を作り、カウンターに置くと大井がそれを取りに来る

ちょうど料理を置いたときに大井と目が合うが、大井は目を反らし気のせいか風呂上がりなのか分からないが頬が赤かった気がする

 

 

そして、準備が終わり妖精含めた四人の晩御飯が始まる

 

 

 

「いただきます」

 

 

 

「「「「いただきます!!」」」」

 

 

 

食事をしながら、佐渡は大井をチラッと見るが大井はその顔を反らしてしまい会話しようにも出来ずにため息をつく

それに、何か叢雲と古鷹から若干……嫌視線を痛いほど感じる

 

 

 

「………えっと二人共どうしたの?」

 

 

佐渡は、二人に尋ねるが二人は無言で佐渡を見ている

 

 

「そいや、提督。

艤装の修復終わったぞ」

 

 

「おぉ!本当ですか、親方さん!

良かったな大井!」

 

 

 

そんなことを気にしてない、親方妖精から助け船を出され佐渡はそれに助けられた様に親方妖精と話をし大井を見るがこっちを見ていたらしく、佐渡が顔を向けた瞬間またそっぽを向く

 

 

 



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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 四

「んー…?俺そんなに嫌われた?」

 

 

「そりゃそうでしょ、パンツの写真撮って、泣きながら抱き付いて、セクハラ発言しまくったんでしょ?」

 

 

「んなっ!!何でそれを!!」

 

 

佐渡は、大井に向き直ると大井はそっぽを向き知らんぷりをされ、その後古鷹にも怒られる

 

 

「大井さんが話してくれました!提督駄目ですよ!!そんなことしては!!

女の子……パンツの写真何て…ふ、節だらです!!」

 

 

「い、嫌ね?古鷹さんやこれには訳があってだね?」

 

 

「ほう?聞いてやろうじゃないの?下着写真趣味の底辺変態野郎」

 

 

「おいそれは流石に、酷くないか!?」

 

 

大井は、三人の話し合い兼佐渡の言い訳し、二人が聞いてる姿を横目で見ていると前にいた食堂とこの場所を比較してしまう

佐世保鎮守府での、食堂ではただの補給する為の場所

一切会話がなく、駆逐艦何かはほとんど入れなかった

食べ物も、こんな豪勢ではなく艦娘携帯食のみ

一部の戦艦や、空母達が色々と食べていたが、私達は居ることすら出来ない

 

 

 

ここでは違う、提督がご飯を作り、皆で食事の準備をして、一緒に食べ楽しく会話する

駆逐艦も重巡も軽巡も提督も、一切関係なく上下関係がある……とは思うけど

そして、こんなに美味しい食事……

 

 

皿の上に乗った肉野菜炒めを、取り口に運ぶ

こんな美味しいご飯、初めて……

こんな楽しいのは初めて……

私だけこんなでも優遇されて良いの?

 

 

大井は今朝と同じ様に、再び目頭に涙を溜めてしまい、泣き出しそうになる

 

 

「美味いだろ、ここの飯は」

 

 

不意に目の前から、声が聞こえ涙が引っ込み目の前に焦点を合わせる

 

 

「よう、新入りだなあんた

俺は、工廠妖精の親方を勤めてる親方妖精だ

よろしくな」

 

 

その姿は、自分達より遥かに小さく、でも立派だと思った

 

 

「は、はい!私は!」

 

 

「知ってる、大井ちゃんだろ?

話は大体、提督から聞いてるよ」

 

 

親方妖精は、あぐらをかきながらどこから取り出したか酒を取り出し飲みだす

 

 

「あんた、かなり苦労してたみたいだな

ここでは、そんなことしなくても良いんだぜ?

楽しく行こうや!」

 

 

親方妖精は、佐渡を指差しながら大井に向けさせ、再び酒をぐいっと酒を飲む

 

 

「あいつは馬鹿で変態だが、信頼だけはできる奴だ

お前達を本当に心配し、第一思う本当の馬鹿だ

今まで、あんな馬鹿見たことねぇ」

 

 

「……それ、叢雲にも古鷹さんにも言われました」

 

 

『それと大井、あの馬鹿の事だけは信じなさい

この叢雲様が保証するわ』

 

 

『私も保証しますよ!!

提督は、ちょっとエッチですけど信用出来ますから!』

 

 

大井は、必死に二人に弁解する佐渡を見ていると本当にそう思う

今まで見た男達ではあり得ないほどの男なのだから

 

 

「信じてやってくれ、あの馬鹿を

それと、これからよろしくな」

 

 

親方妖精は、おちょこを大井に付きだし乾杯する

同時にまた、一気に飲みだし「ガハハハ!!」と笑いだす

大井もその笑顔に微笑みを返す

 

 

 



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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 五

「親方さんんん!!聞いてくれよぉ!!!

二人が、俺を苛めるんだよぉ!!」

 

 

「あーはいはい、なんだい下着趣味の変態提督さんよ」

 

 

「親方さんまでぇ!?ここに俺の味方は居ないのかぁ!!」

 

 

佐渡は、机に伏せながらシクシクと泣き出す

親方妖精と二人はそんな姿を見ながら笑っている

そんな姿を見て、大井も続けて笑ってしまう

楽しい、そんな事今まで有り得なかったのに………

 

 

そんな、みんなが笑い合う楽しい…?夕食が過ぎていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、分かりました

では、三日後にですね

待ってます」

 

 

佐渡は、電話を切りベットに座り、煙草に火を付け吸いだす

 

 

「三日後かぁ……

ま、仕方ないか」

 

 

一人事を呟きながら、煙草の吸い殻を灰皿に捨てると、そのまま窓を開け外を見ながらのんびりとする  

 

 

『あの子なんとかならないかしら?』

 

 

「なんとかできるさ

少しだけ我慢しろよ大井」

 

 

佐渡の部屋も、叢雲達の部屋と変わらず、そこそこに広く、叢雲達の部屋と違い机と珈琲マシン、後はベッドとソファー位とあまり物がない

 

 

 

時計を見ると、時刻は夜の0時

鎮守府内は静かに静まり返り、すぐ側の波の音位しか聞こえない

都会とは違い、明かりがないからか星が良く見え、月の光だけで室内を照らせる

これだけは、本当に良い

 

 

「戦争なんてくだらねぇなぁ」

 

 

綺麗な海を見ながら、煙草を加えているとのんびりとしていると扉をノックする音が聞こえる

 

 

「んぁ?誰だぁ?」

 

 

こんな時間に、誰だ?

叢雲?いや、寝てるな

古鷹?いやあり得ないな

 

 

「……大井です」

 

 

「………え?」

 

 

予想外のお客人に流石に驚き、窓縁に火が付いたまま煙草を口から落としてしまう

すぐに拾い、灰皿に潰すと、扉に手をかけるがすんでのところで止める

 

 

大井は男嫌いだもんな

会うわけにはいかんな

ここで話すか

 

 

そう思いながら、扉を前に立ち止まる

 

 

「どうした?何かあったか?」

 

 

 

「………二人で話したいの、直接

入っても良い?」

 

 

佐渡は、流石にどうなんだと思いながらも、扉をゆっくりと開くとそこには俯いた状態でワンピース一枚しか着ていない大井がいた

 

 

「……男だぞ?俺」

 

 

 

「…早くいれて、二人に見られたくないの」

 

 

大井は俯きながら言うと、佐渡は部屋に大井を入れ、窓を閉めるとベットに座る

 

 

「……座りなよ?」

 

 

「……はい」

 

 

佐渡に言われ、ソファーに座りお互いの間に静寂が訪れる

何を話して話していいのか全く分からず、佐渡もどうすれば良いのか分からずとりあえず立ち上がる

 

 

「あー、うん、えっと珈琲飲む?」

 

 

「……頂きます」

 

 

珈琲マシンの電源を入れ、二つ珈琲を入れ始めている時にも大井を見るがやはり俯いたままである

珈琲が出来上がり、二つのカップに珈琲を注ぎ、大井の目の前に置くと小さな声で「ありがとうございます」と言い飲みだす

佐渡もベットに座り、珈琲を飲みだす

 

 

「どうした?こんな時間に?

あー、あれか?まさかの夜中に襲いに来たのか!?

嫌、勘弁してくれよ…

睡眠ぐらいゆっくりさせてくれよ……

下着の件は謝るからさ?」

 

 

「違いますよ!!そこまで貴方を困らせるつもりありません!!」

 

 

大井の突然の大声に、流石に佐渡もビックリしてしまう

 

 

「お、おう?

なら、何だ?」

 

 

 



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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 六

 

 

佐渡の質問に再び大井は黙り、俯いてしまう

特にこの後やることないし、のんびり待つか

…殴られる訳じゃないし

 

 

「………ください」

 

 

大井の言葉をしばらく待っていると、静かだが声が聞こえた

佐渡は、それを聞いたのだが何と言ったの分からずに聞き返す

 

 

「ん?何だって?聞こえんかったが」

 

 

大井は、意を決したように立ち上がりすぅと息を吸い、叫ぶ

 

 

「抱いてください!!!!」

 

 

「……………………………はぁ?

 

 

 

はぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

 

 

流石に意味不明…と言うわけでは無いが、全くの予想外過ぎる発言に珈琲の入ったカップを床に落としてしまう

幸い、壊れても誰も怪我を良いようにとプラスチックのカップ為中身だけが溢れただけだった

 

 

「だ、だから!!抱いてください!!」

 

 

「いや、ちょ、まてまてまてまてまて!!!

何でそうなる??

え?待って待ってワケわかんない??

どゆこと?え?分かんない?

ちょっっっと大井さんんんん??

どうしてそうなったんですかねぇ!?」

 

 

「だ、だから!抱いて……

あっ……ちがうぅぅぅ!!!」

 

 

 

「何がぁ!?

わけわかんないよぉ!?」

 

 

 

流石の爆弾発言に、何を言っているんだと言う顔をしながら完全にパニック状態になる佐渡

その一方大井は、座り込み今にも火が出るんじゃないかと言うばかりに顔を真っ赤にしている

 

 

「と、とりあえず落ち着こう

wait、sitソファーオケ?」

 

 

 

大井は、佐渡の言葉に頷きソファーに座るが、顔が真っ赤にしながら俯いている

そして、再び二人の間に沈黙が流れる

頬をかきながろ、「あー」等佐渡が言っているが大井は膝にかかってるワンピースをぎゅっとしながら俯き続けてる

 

 

「……とりあえず、珈琲飲みな?

落ち着くよ?」

 

 

その言葉に、大井は頷き珈琲を一気に飲み干し、一息付き何度か深呼吸をすると再び話し出す

 

 

「…………抱き締めて欲しいんです」

 

 

「………はい?」

 

 

「だから!抱き締めて欲しいんです!

提督に!」

 

 

さっきとは違うけど、いややはり可笑しい大井に首を傾げる佐渡

大井は意を決したように、佐渡の瞳を真っ直ぐにみる

 

 

「どうした?何かあったのか?やっぱり」

 

 

「良いから……お願いします」

 

 

大井は立ち上がり、佐渡の前に移動すると両手を広げる

 

 

その、光景に唖然としながらも微笑み大井の目の前に立つ

 

 

「やっと、俺を見てくれたな」

 

 

「……ごめんなさい、見れなかったのよ」

 

 

「殴るなよ?」

 

 

「…………善処します」

 

 

佐渡は緊張しながらも、大井に近付き抱き付こうと腕を広げその手が腰を通り過ぎる瞬間大井が身震いする

その瞬間を見逃さず

 

 

 

「なぁ?無茶しなくても……」

 

 

「良いから!!」

 

 

「お、おう…?」

 

 

 

 



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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 七

 

大井の瞳は、しっかりと佐渡を見ておりその瞳には決意の様な感じが見えており

それを見た佐渡は大井の決意を揺らがせてはなるまいと勢いに任せ抱き付く

 

 

「っ!!」

 

 

大井は、やはり反射的に佐渡を殴りたくなる衝動にかられるがぐっと拳を握り我慢する

 

 

「殴れ」

 

 

「……え?」

 

 

抱き付かれた状態で、大井は上を見上げると佐渡の顔が下から覗きこむ様に形に見えるが、暗く表情は分からない

それでも、木原や他の男と違う嫌悪感は無い

 

 

「我慢すんな

何発かは、多目に見てやるから

ほら」

 

 

その声に大井は甘え、軽くだが佐渡の背中を叩く

何回も、だが軽くしか叩いておらずほとんど痛くはなく

少しするとそれが止み、佐渡に身体を預ける

 

 

「もう、良いのか?」

 

 

「……えぇ、もう満足よ」

 

 

そうかと言うと、佐渡が大井から離れようとするが大井が手を回しそのまま佐渡をベットに押し倒す

と言っても、佐渡が座りそれに抱き付いている形になっている

 

 

「大井?」

 

 

「……頭、撫でて欲しいです」

 

 

「…はいよ」

 

 

予想外と言うか、男嫌いの大井が何故こんな事を?と思いながらも佐渡は大井の頭を優しく撫でる

 

 

「………私は」

 

 

しばらく撫でていると大井が、佐渡に抱き付きながら話し始める

 

 

「…私は、男嫌いの欠陥兵器です」

 

 

「んー、俺はそう思わないけどなぁ」

 

 

「しかも、軽巡です。

火力は無いですし、弱いです

……肉盾に位しか使い道がありません」

 

 

 

「そんなこと言ったら、うちの叢雲さんはどうなるんよ

あの子駆逐艦だぜ?」

 

 

「あれは、可笑しいんですよ

あんなに強い駆逐艦聞いたことありません」

 

 

「はは、全くだ」

 

 

佐渡は、笑いながらも大井の頭を撫でるのを辞めずにのんびりと話し続ける

 

 

「……私は犯罪者です」

 

 

「一応俺もだぜ?」

 

 

「…これからも殴りますよ?」

 

 

 

「んー、毎日は勘弁かなぁ?」

 

 

大井の表情は、見えないだがここまで近付き話してくれる大井に凄い嬉しさを感じながら佐渡は頭を撫でる

 

 

「…何でここの人達は優しいんですか?」

 

 

「ん?優しいって普通じゃないか?」

 

 

「…優しいですよ……優しすぎるんですよ!!」

 

 

服が、引っ張る感覚がすると大井が顔を上げ、目頭に涙を溜め佐渡を睨み付ける

 

 

「何で!!何で私なんかに優しくするのよ!!

私は欠陥兵器!!装甲も無い!!強くもなれない!!

どうやっても!戦艦や正規空母なんかにはなれない!!!

そう、何をしても!!

身体だけは綺麗で!!胸も他の子より大きくて!!

ただただ!!男の性欲処理にしか使えないような私に!!

何で何で!!!

あんたもそうでしょ!?だから、写真撮ったんでしょ!!!

何をしてほしいの!?何でもやってやるわよ!!

脱げば良いの!?分かったわよ!!」

 

 

大井は、今まで溜め込んだ物を吐き出し、癇癪を起こしたように来ていたワンピースを脱ごうとするが佐渡はそれを無理矢理にでも止める

 

 

「辞めろ!!大井!!」

 

 

「放してよ!!何でもするって言ったじゃない!!

こんな所に飛ばされて!!生かされて!!そうなんでしょ!?

内心では可愛そうだからとかおもってるんでしょ!!

分かってるから!!放してよ!!」

 

 

「大井!!良いから落ち着け!!」

 

 

暴れる大井を、抱き締め続け落ち着くまで何もせず何も言わずに待ち続ける

しばらくすると、抱き締めていた大井は落ち着き、肩から冷たいなにかを感じる

 

 

「何でも……言ってよぉ……

優しく……しないでよぉ…

恐いよぉ………

恐いのぉ…」

 

 

大井は、泣きながらそして弱々しく佐渡に言うと佐渡の肩が大井の涙で濡れながらも大井は静かに泣き出す

配慮が足りなかった、そう思うと佐渡は抱き締めながら片手で自分の頬を殴る

 

 

 

 



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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 八

「提……督?」

 

 

「すまなかった、俺のせいだ」

 

 

「何で……

謝るのよぉ……」

 

 

さっきまで、強気だった大井が完全に弱気になっており、肩で涙を流しながらも小さな声で言う

 

 

「大井俺に時間をくれないか?」

 

 

「…ぇ?」

 

 

泣きながらも、小さく呟くように大井は返事をすると、佐渡は抱き締める力を強める

 

 

「俺に任せろ、必ずお前を助ける

嫌いでも良い、今だけは俺を信じろ

ここに誓う、必ずお前をこんな所じゃない

しっかりとした、鎮守府で北上さんに会わせてやるからな!!」

 

 

佐渡の言葉を聞いた、大井は安心したのか、それともただ泣き疲れたのかそのまま佐渡に抱き付かれながら寝てしまう

 

 

「大井?」

 

 

それに気付いた佐渡は、大井を起こさない様に、自分のベッドに寝かせると自分の部屋を片付け、再びあるところに電話をかける

 

 

 

「もしもし、俺だ

悪いな、こんな夜中に……

調べてほしいことがあるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん……ここは…?」

 

 

翌朝、大井は佐渡の部屋で起床する

目を擦り、部屋には誰も居ないことを確認しながら、昨日したことを思いだし、顔を赤くする

 

 

「わ、私…何て事を!!」

 

 

でも、昨日言われたある言葉を思いだし、冷静になる

 

 

『俺に任せろ、必ずお前を助ける

今だけは俺を信じろ』

 

 

「……何が信じろよ…」

 

 

そして、起き上がると机の上に書き置きがあり目を通す

 

 

『大井へ

少し、本島に出掛けるから鎮守府での指示は叢雲から聞いてくれ 

部屋は俺の部屋でもどこでも使いな

飯は古鷹に頼んでね

 

By提督』

 

 

「何よこれ?」

 

 

少しすると、扉がノックされ古鷹が入ってくる

 

 

「提督ー……って大井さん?

どうしてここに?」

 

 

「えっと……それよりも古鷹さんこれ」

 

 

古鷹に、その置き手紙を渡すと古鷹は納得したように頷くと手紙をポケットにしまう

 

 

「大井さん、朝ご飯にしましょう

提督は、何となく分かりますから」

 

 

その言葉に疑問を感じながら、古鷹の後を追い朝食を取ろうと食堂へと向かう

 

 

 

食堂に付くと、既に叢雲が座っており入った古鷹達の方を向くと机に頭を付けぐったりとする

 

 

「古鷹ーあの馬鹿知らない?

何か今日見てないんだけど」

 

 

「はい、叢雲」

 

 

「んー?」

 

 

それを見た叢雲は、「ふーん」と言いながらも食堂を出て携帯を取り出しあるところに電話をかける

古鷹は、静かに厨房に入ると冷蔵庫を開け中の食材を物色する

 

 

「ね、ねぇ!提督はどこいったの!?」

 

 

大井はカウンターを叩きながら聞くと、古鷹は微笑みながら冷蔵庫から食材を取り出し大井に向く

 

 

 

「本島ですよ、恐らく夜中のうちに向かったんだと思います」

 

 

 

「そんな!!私達を置いて!?

アイツ!!」

 

 

 

騒いでいる大井に近付き古鷹は、カウンターに向かうと大井のデコにコツンっと拳を当てると笑顔になる

 

 

「提督を信じましょう

何かあるんですよ」

 

 

 

古鷹はそれだけを、言うと再び厨房の中に入り朝ご飯の支度を始める

それを言われた大井は唖然とするしか無かった

 

 

 

「古鷹、大井

ちょっと良いかしら?」

 

 

叢雲が、再び食堂に戻ってくると本日の予定を二人に告げる

 

 

「提督は、野暮用で二日間本島に残るそうよ

その間は、哨戒任務は三人で一日一度

以外は特になしだとさ」

 

 

 

「了解」

 

 

「わ、分かりました…」

 

 

それだけを、言うと古鷹は朝食の準備をし始め叢雲は食器などの準備を始める

何故こんなに冷静なの…?大井はそんなことを思いながらも心を読まれたかの様に叢雲に言われる

 

 

「信じなさい、あの馬鹿を

それと、貴女の道をあいつは作ってくれるみたいよ」

 

 

「え?それってどういう…」

 

 

 

「叢雲ー!ねぇそっちに醤油ないー?」

 

 

「あるわよー」

 

 

古鷹のその声に、叢雲は醤油を持って厨房に向かってしまい大井の疑問は残ったままになってしまった

結局その疑問は、その後も聞けず

提督が二日間不在の鎮守府には、特には何も変化もなく襲撃も深海棲艦との戦闘もなく過ぎていった

 

 

 

 




そして、彼女は生きる道への選択を
再び強いられる


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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 九

提督が、不在から三日が立ち大井は佐渡の部屋で起きる

この居ない三日間、大井は叢雲と古鷹に言われ、ここを寝床にしていた

そして、その間ずっと考えていた

自分の歩む先

これから、どうするかを

 

 

いつもの制服に着替え、廊下を歩いていると向こうから誰か眠そうにしながら歩いてくる

背丈からして古鷹さんかな?とも思ったがそれよりも大きい

そして、久しぶりにみるその顔に少し感動すら覚える

 

 

「んー……

よう、大井おはよう

三人だけにしてすまなかったな」

 

 

「おはようございます

心配してましたよ

二人が」

 

 

佐渡だ、三人を残し一人で本島に向かい三日間不在にした男

三日前の夜に起きた事を思いだし、思わず皮肉と顔を反らしてしまう

 

 

「おー……

あ、そうだ、後で提督室に来い

話がある」

 

 

「はい?私?解任ですか?」

 

 

「そんなもんだ

とりあえず来い」

 

 

その言葉に、やはりと思いながらもでも胸が少し痛む

大井が立ち止まって居ると佐渡は、横を通り過ぎようとするが大井はその佐渡の目を見て驚く

目にかなり濃いクマが、出来ており本人はかなり眠そうだ

何か声をかけようとしたが、佐渡は自室に入ってしまいそれ所では無かった

 

 

 

大井が食堂に着くと、食堂内では叢雲が食器の支度をしながら古鷹が鼻歌混じりに朝食を作っていた

いつもの光景、でもやはり提督が居た方がと思ってしまい頭を左右に振り、支度を手伝いに行く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時が流れ、夕方

佐渡は、連日の疲れが出ており、今朝方三人に会ったときから食事をせず、軽く自分の部屋で仮眠を取っていた

そして、約束の時間になると古鷹が入ってくる

 

 

「提督ー?お時間ですよ

あと、二人がお見栄になっていますよ?」

 

 

「んー、了解」

 

 

 

古鷹に起こされると、佐渡はその服のまま起き、軽い支度を整え提督室に行く

提督室の扉を開くと、大井がソファーに座り、叢雲が戸棚に背を預け、机の横には見慣れない人がいる

 

 

「お疲れ様よ、司令官

はい、熱いお茶よ」 

 

 

「さんきゅー、叢雲」

 

 

叢雲からお茶を貰い、飲むと苦味と渋みが強く少しは目が覚める

自分の机に、お茶を置き座ると隣に居た古鷹はそのまま提督の隣に立つそして、全員の目が佐渡に集まる

大井だけは、佐渡を睨み付けているが

 

 

「ふわぁ~……」

 

 

「佐渡提督、大丈夫ですか?

もう少し、寝ていても構いませんよ?」

 

 

「あぁ、嫌大丈夫

早く済ませましょう

そんなことより、こんな辺境に御足労願いありがとうございます

大淀さん」

 

 

 

大淀と呼ばれたその女性は、眼鏡をくいっと上げると片手に抱えた資料を持ち直し佐渡に向き直る

 

 

「いえ、構いませんよ?

佐渡提督にお力を添えろと元帥から言われておりますし、鎮守府から全員を移動させるの色々とよろしくないですからね」

 

 

大淀

正式名 大淀型 一番艦軽巡洋艦 

大本営所属、元帥が指揮する艦隊の旗艦にして秘書艦

大本営の経理など、様々な事をこなしながら、全鎮守府への伝達など多忙な人だ

基本的には大本営から離れることは無いのだが今回は特別に来ていただいている

 

 

 

「で、私に何ですよね?新たな罪でも見付かりましたか?

それとも、解体ですか?

好きにしてください……」

 

 

 

それを聞いた大淀は、佐渡を見てため息を付く

 

 

「佐渡提督……貴方彼女に何も伝えていないのですか?」

 

 

「あー……すいません忘れてました…」

 

 

あはは、と頬をかく佐渡を見て大きな溜め息を付くと大井に向き直り話し始める

 

 

「大井さん良く聞いてくださいね」

 

 

「はい、何ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女の無罪を証明する為に来たんですよ

今日は」

 

 

 

 

 



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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 十

「……え?」

 

 

予想外過ぎる大淀の話しに、困惑しているが大淀はそんなことをお構い無しに話を続ける

 

 

「大井さん、確認したい点がいくつかございます

質問をいくつかよろしいでしょうか?」

 

 

「は、はい!」

 

 

大淀の話しに大井は立ち上がり、佐渡の机の前に移動し、大淀からの質問を待つ

 

 

「貴女は、あの鎮守府でどのような扱いを受けておりましたか?」

 

 

「私は……」

 

 

言いかけると、口をつぐんでしまう

どうせ、何を言っても意味がない……

そう思っていると、叢雲と古鷹が大井の肩を叩く

 

 

「大丈夫よ」

 

 

「提督と大淀さんを信じてください、大井さん」

 

 

二人の言葉に、勇気を貰い大井は佐世保鎮守府の全てを話し出す

木原の行っていたこと、海軍上司との癒着、食事体制全てを

 

 

「……以上になります」

 

 

「…そうですか、ありがとうございます

お辛かったでしょう、証言ありがとうございます」

 

 

大淀は、そう言うと下ろしていた片手を持ち上げ、持っていた物を机に置く

 

 

「だそうです、元帥。

いかがでしたでしょうか?」

 

 

「えっ?」

 

 

持っていたものは携帯だった、どうやらハンズフリーにしていたらしく先程の会話を全てを元帥に聞かれていた

 

 

 

「成る程、可笑しいですね?

木原中佐、私が聞いていた話の違いますね?

それと、郷田(ごうだ)大将、桐沢(きりさわ)大将

貴方達との話しとも食い違います

これはどういう事でしょうか?」

 

 

 

元帥の執務室には、三人が座り右から車椅子の木原、郷田、桐沢の順に座っており、後ろには憲兵が待ち構えている

 

 

一番最初に声を上げたのは、郷田である

 

 

「ち、違う!!私はこんな男と癒着なんぞしとらん!!

こんな奴等知らん!!」

 

 

「なっ!!郷田さん!!」

 

 

「黙れ!!貴様なんぞ知らん!!

私は帰る!!」

 

 

郷田は、椅子から立ち上がり、逃げようとするがその前には憲兵が立ち塞がる

 

 

「退け!!邪魔だ!」

 

 

と郷田が、憲兵の一人の肩を掴んだ瞬間憲兵はその腕を取り郷田を投げ付ける

 

 

 

「郷田、桐沢、木原

諸君達を艦娘保護法及び、鎮守府運営違反により逮捕する」

 

 

「連れていってください」

 

 

「は、放せ!!」

 

 

「話しは留置場で、聞かせてもらおうか?

行くぞ」

 

 

ハンズフリーの携帯からは、木原と郷田と桐沢の叫び声が聞こえるがそんなことをお構いなしに元帥は話をし始める

 

 

『これが、真実かい?佐渡君?』

 

 

「えぇ、ありがとうございます元帥」

 

 

『そうか、なら後は大淀、頼んだぞ』

 

 

「はい、元帥」

 

 

話し終わるとハンズフリーを解除し、電話を切る

その光景を聞いていた、大井は終始唖然としていた

すると佐渡は大声で笑う

 

 

 

「アハハハ!!いやー傑作だわ……

あ、そう言えば、そろそろ入ってきなよ

北上さん?」

 

 

 

「え?…北上…さん?」

 

 

その言葉に大井は、恐る恐る後ろを振り返ると扉がゆっくりと開きその影から北上が姿を現す

 

 

「実はですね、今回一番の功労者は北上さんなんですよ?」

 

 

「え?」

 

 

大淀は、自慢げに眼鏡を上げ書類を大井に見せる

 

 

「今回の事件ですが、どうやら他の艦娘全員にあの郷田と桐沢が『何もない』と言えと恐喝していたそうなんです

ですが、彼女はそれに反旗を翻し、私に伝えてくれたんです

そして、それとほぼ同時期に佐渡さんからの話で今回の計画に至ったのです」

 

 

北上は、顔を伏せながら大井に近付き抱き付く

 

 

「ごめんね……

大井っち…

実は知ってたんだ、大井っちがあいつの言いなりになってたの……」

 

 

「!!」

 

 

その発言に驚きを、隠せずに全身から冷や汗が止まらない

それでも、北上を抱く力を緩めない

 

 

「だから、あいつに言ったんだ

これ以上大井っちを苦しめないでって

そしたら、アイツが」

 

 

 

『ほう?ならお前が大井の代わりになるか?

それなら、もうやめてやる』

 

 

その話を聞いた、大井は怒りに震える

拳を握りしめ、唇を噛み、自分は何て無力だったんだろうと思いながら

 

 

「でも、あの時大井っちが来てくれた時

嬉しかったんだ……

でもね…でもね……」

 

 

北上の声が段々と小さくなっていき、静かに泣き出しながらも必死に声を出す

 

 

「ごめんね……

大井っち………

辛かったよね…

苦しかったよね………

ごめん……ごめん………

 

 

あの時、助けを……求めて……ごめんなさい……」

 

 

その言葉に、大井は北上を抱き締めるのを更に強くしながらも少しずつ眼に涙を溜めながらこちらも必死になる

 

 

「…大井っ…ち…?」

 

 

 

「違います!北上さんは悪くありません!!

私は、貴女を助けたかったからやってたの!!

貴女が笑顔を見たかったの!!

だから!!謝らないでください!!

あの時!私に助けを求めてくれて嬉しかった!!

だから!!っ……だから……」

 

 

大井は、抱き締めるのを辞め北上に向き直る

その顔は、いつも以上に眼を真っ赤にしながら、鼻水も足らしながら必死になっていた

その姿を見ながら北上は無理矢理にでも微笑み

 

「うん……

ありがとう……

大井っち……

 

大井っちが無事で……良かったよ……」

 

 

「き、北上さぁぁぁん!!!!」

 

 

それと同時に、二人は提督室で抱き合いしばらく泣いていた

見た目の歳相応見たいに泣きじゃくり、顔をぐしゃぐしゃにしながらみっともなく

 

 

その光景を見ていた叢雲は眼を閉じ、古鷹は微かに出た涙を袖で拭い

大淀は、微笑みながら佐渡を見ていた 

 

 

「ありがとうございます、佐渡提督」

 

 

「それはこっちの台詞だよ、大淀さん

ありがとうね、俺と北上さんを信じてくれて」

 

 

 

「貴方は、信頼できるお方ですからね」

 

 

 

夕暮れの提督室、太陽が沈みかけ窓から入る光が二人を照らしていた

 

 

 

 







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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 十一

そして、彼女は行く道を選ぶ 



これから、自らが歩んでいく道を




長くなってすいません……


「……お恥ずかしい所を御見せしました」

 

 

「あははー、ごめんね皆ー……」

 

 

しばらく泣いた後、二人は落ち着きを取り戻しソファーの両隣に座りながら叢雲が入れたお茶とお菓子を頬張っていた

 

 

「全然大丈夫ですよ!

ごゆっくりしてください!」

 

 

古鷹は、お盆を持ちながら佐渡の隣戻ると叢雲もその場所に行く

 

 

「さてと、大井さんここからが本題です

よろしいですか?」

 

 

「は、はい!!

ごめんなさい!」

 

 

大井は、立ち上がると佐渡の机に向かい大淀に敬礼をする北上も同じ様に大井の後を追い手を繋ぎ隣に立つ

 

 

「今回の事件ですが、木原提督の不祥事

及び、郷田大将、桐沢大将の鎮守府への不正な行為が発覚したのは間違いなく、大井さん、北上さんのお陰様です

よって、元帥より貴女の罪の帳消しを命じられております」

 

 

「じゃ、じゃあ私は……」

 

 

「はい、無罪放免です

もう、犯罪者ではありませんよ」

 

 

 

その言葉に、北上と大井は喜び満面の笑みを浮かべながら二人で喜ぶ

 

 

 

「やったね!!大井っち!!」

 

 

「はい!!北上さんのお陰ですよ!!」

 

 

「違うよぉ!大井っちの頑張りだよ!」

 

 

 

二人を見ながら、佐渡も微笑み叢雲と古鷹も二人を祝福するように笑顔で拍手を送る

 

 

「良かったわね、大井」

 

 

「おめでとうございます!

大井さん!!」

 

 

「二人とも!ありがとうございます!」

 

 

大井は、叢雲と古鷹にお辞儀をすると同時に佐渡を見る

 

 

「良かったな大井」

 

 

「えぇ、これで貴方のお陰とは良いませんよ?あくまで大淀さんと元帥のお陰ですからね」

 

 

「かぁー、『最後』まで辛辣だねぇ!」

 

 

最後?その言葉に引っ掛かるが、その言葉の意味はすぐにわかる

 

 

「それと、今回の件に関して元帥からこちらをお預かりしております

大井さん、どうぞ」

 

 

大淀はある紙を、大井に渡すと大井はその紙を見て驚く

 

 

「これって移動……願い?」

 

 

「はい、佐渡提督にも既に許可を得ており、元帥よりも許可が降りております

と言うよりは、佐渡提督と元帥から貴女への細やかなプレゼント見たいな物です」

 

 

 

その言葉に、大井は書類を力強く握り締めながら、佐渡の顔を見る

笑いながら、佐渡は顎に手を付きながら内容を話す

 

 

「その移動先はな、佐伯鎮守府

北上さんが所属する、まだ出来たばかりの鎮守府でね艦娘を欲しがっていてな

それに、そこの提督は女性なんだ

お前さんにピッタリの職場だと思うんだけどなぁ?」

 

 

「うん!大丈夫!そこの鎮守府の提督は良い人だよ!

ご飯も美味しいし、ちょっと指揮はまだおぼつかないけど、私達艦娘を大事にしてくれて、大井っちもすぐに気に入るよ」

 

 

北上は、笑顔で大井に語りかけ、佐渡も進めており悩んでいると古鷹と叢雲が大井の背中を押すように促す

 

 

「こっちは、大丈夫よ

別に一人居なくなってもこいつを殴るやつが減るだけだし

任務に影響は出ないわ」

 

 

「待てこら、叢雲。

何故そこでそれを言う?」

 

 

「少し、寂しいですけど会えないわけではないですし、今度そちらに、遊びに行きますから!」

 

 

三人を見ると、笑みを浮かべており北上も大淀も大井の選択を待っている

しばらく、大井は考え込む

 

 

ここに残り、佐渡達と少ない戦力で生きていくか

現在(今)を取るか

 

 

北上と一緒に再び新しい鎮守府で再スタートを図る

過去を取るか

 

 

そして、大井は選択する己のこれより歩む道筋を未来を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい、北上さん

私は、この小笠原鎮守府に残るわ」

 

 

そう言うと、大井は書類を両手でビリビリに破り捨てる

 

 

 

 

 





その選択はお前の正しい道か?


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二度目の選択 ー選べ歩む道をー 十二

「なっ!大井、お前!!」

 

 

ビリビリに破かれた書類を見ながら佐渡は驚いていると

、大井は佐渡を指差し宣言する

 

 

「北上さんと一緒に居られないのは残念ですが、貴方なんかに叢雲と古鷹さんを任せてられません!!

それに、ここは本島と違って離れています!

ここで私が離れれば、数少ない戦力が更に減るのは良いとは思いません!

貴方の事は大っっ嫌いですが!!

ここに残ります!!」

 

 

その言葉に、佐渡は「えぇ……」と言いながら椅子に持たれかけながら天井を見て呆然とする

だが、北上も大淀達も何故か皆笑っている

まるで、大井の気持ちが分かっているかの様に

 

 

「な、何ですか!!皆さん!!」

 

 

「ふふふ、いえ何でもありませんよ大井さん

では、このままここに在住と言う形でよろしいのですね?大井さん」

 

 

 

「はい!

と言ってもし、仕方なくです!!

仕方なく居てあげるんですからね!!

全滅されても困りますからね!!」

 

 

大淀が、確認のために再び言うと、大井は腕を組ながらそっぽを向き北上が大井から手を放し「あーあー」と言いながらソファーに倒れ込む

近くの煎餅をかじる

 

 

 

「大井っちにフラれた~

きーらーわーれーたーグッスンー」

 

 

「ち、違いますよ!北上さん!!

嫌ってなんか居ませんよ!!

むしろ大大大だーい好きですけど!!

こんな変態に二人を任せてられないんですよ!!」

 

 

北上へ必死に大井は弁解しているところに、叢雲達もソファーに座ると参戦し更にややこしくなる

 

 

「残念だったわね!北上さん!

大井は私達が貰うわ!!」

 

 

「北上さん、すみません

大井さんは私達が頂きますね!」

 

 

「ちょ、ちょっと二人とも!!」

 

 

大井だけが、焦りながら三人に誤解を解くように弁解しているが、三人は大井の取り合いの話しに夢中になり大井の話しなんて聞いてすらいない

 

 

「あーあ、俺の努力がぁ……」

 

 

佐渡は、思わず煙草に火を付け吸うと、ふぅとため息混じりに煙を吐き出す

 

 

 

「これが、彼女の選択です異論は無いですよね?

では、引き続き大井さんをよろしくお願いいたしますね?佐渡提督?」

 

 

「へいへーい、てかアイツそんなに俺のこと信用してないのかよぉ……」

 

 

煙草を加えながら、大井達を見るが皆凄く楽しそうにしながら笑いあっている

大井だけは必死になりながら北上に弁解しているけど

 

 

 

「あ、それと佐渡提督もうひとつお話が」

 

 

「んー?まだ何かあるんですか?」

 

 

佐渡は、煙草の煙を吐き出し、再び加えると大淀は笑みを浮かべながらこちらを見ているが直感的に何か嫌な予感がする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ある艦娘からの通報で小笠原鎮守府提督が艦娘のパンツ写真を撮ってその子を恐喝したとか何とか聞いたのですが、本当ですかねぇ?」

  

 

 

 

 

「………………ぇ?」

 

 

 

その言葉に、思わず加えた煙草を落とし佐渡はフリーズし顔から血の気が引いてしまう

 

 

え?何で大淀さん知ってるの?待て、恐喝は…………あ、してるわ

あれ?大井にはまだ携帯持たせてないし、うちは電話線通してないから電話は出来ない筈だけど

持ってるとしたら

 

 

佐渡は、ハッと気付き叢雲を見ると北上達がこちらの異変に気付き呆然と見ているが、叢雲だけはお茶を片手にスマホをふりふりと見せながら嫌らしく笑っている

 

 

「叢雲ぉぉぉぉ!!!

貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

思いっきり立ち上がり、叢雲を指差しながら大声で叫んでいるとソファーに持たれかけながら余裕な顔をしながらスマホをポケットにしまう

 

 

「あっらぁ?どうかしたのかしら司令官様ぁ?

そんな声荒げて何かあったの?

あー、このスマホ?使ったわよ?あんたが大井にやった行為全て報告しといたわよ

この下着盗撮変態司令官様ぁ?」

 

 

佐渡が叢雲に近寄ろうとするが、後ろからガシッと腕を誰かに捕まえられる

そこに居るのは一人しか居らず

勿論大淀である

恐る恐る後ろを振り向くとそこには、笑顔ではあるが確実に怒りながら掴む力を上げている大淀の姿があった

 

 

「あ、あの、大淀さん?腕がですね?

何かすんごい痛い、いてててててて!!!」

 

 

「ど こ に 行 く 気ですかぁ?佐渡提督さん?」

 

 

ギリギリと、掴む力を上げ確実に放す気配が無い大淀はそのまま佐渡の腕を反対方向に捻りねじ伏せる

そして、指を鳴らすと提督室の扉が開き憲兵が姿を現す

 

 

「なっ!!け、憲兵さん!?」

 

 

「はぁ……佐渡提督殿…

貴方という人は……

これもお仕事ですから、恨まないでくださいね」

 

 

「さてと?佐渡提督行きますよ?

全く貴方と言う人は!!」

 

 

憲兵と大淀に、首根っこを掴まれ引きずられながら提督室から佐渡は連れていかれていく

その時全員に助けを求める

 

 

「叢雲help!!」

 

 

「自業自得よ変態司令官」

 

 

「古鷹ぁ!!」

 

 

「提督?罰は受けないと駄目ですよ?」

 

 

「北上さぁん!!」

 

 

「あーうん、頑張って佐渡提督」

 

 

「大井ぃ!!頼むよぉ!!」

 

 

「……ふん!」

 

 

「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

くそったれぇぇぇえ!!!

ここに俺の味方は居ねぇのかぁぁぁ!!!」

 

 

佐渡は叫びながら、提督室を憲兵と大淀に連れ行かれ四人だけが残される

すると、四人とも佐渡の光景を思いだし笑い合う

 

 

「なーんか、この鎮守府面白いね

提督は変態そうだけど、良いの?大井っち」

 

 

「大井、本当に良いの?あんなお馬鹿提督がやってる鎮守府だけど」

 

 

 

「そうだよ?今ならまだ大淀さんに言って……」

 

 

大井は、それを聞くと満面の笑みを浮かべながら三人に言う

 

 

 

 

「良いんです!

私は、ここに居たいんですから!」

 

 

 

 

 

 

尚、佐渡はこの後三日間の憲兵達の尋問によりやっとの事で解放されたのはまた別のお話

 

 

 

 

 

              男嫌いの大井編end






叢雲さんは、出来る御方です(目そらし)


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後日談 秘密の夜会

もう少しだけ物語は続きます


「あぁ~……疲れたぁ……」

 

 

時は真夜中二時をとっくに回り、三日間の憲兵達の尋問を受け、佐渡は帰還した

それから服を粗方脱ぎ、シャツ一枚でそのまま布団に倒れ、久しぶりの柔らかい感触を楽しむ

 

 

「叢雲あんにゃろう……

しかも、変な事まで言ってやがって………

今度ピーマン炒めだけにしてやろうか」

 

 

布団に倒れ込み、感触を楽しんでいると睡魔に襲われ、寝る寸前になったとき不意に扉をノックする音が聞こえる

 

 

「誰だぁ~

今日は休ませろよ~」

 

 

佐渡は、立ち上がりドアを開けるとそこには前に来たときと同じワンピースを着ながら大井が立っていた

 

 

「………おう?また来たんか?」

 

 

「えぇ、お邪魔しますね」

 

 

この前と違うのは、佐渡をしっかりと見て、返事を待たずに部屋に入る

扉を締めると大井はソファーでは無く、ベットに座りながら外を眺める

 

 

「何だ?今度は?」

 

 

「……二人きりで話したいんです」

 

 

「二人きりでの話?何だよ?」

 

 

大井は、深呼吸をすると立ち上がり佐渡を真っ直ぐ見ると口を開く

 

 

「……私を抱き寄せてください」

 

 

 

「…はい?てか、お前男嫌いだろ?無理すんなって……」

 

 

「良いから!!」

 

 

頭をかきながら、この我が儘お嬢様の言う通りに大井を抱き寄せようと腰回りに手を伸ばす瞬間やはり大井はビクンっと震える

 

 

「だから無理するなっ…」

 

 

「早く!!!」

 

 

「はいはい……」

 

 

大丈夫なのか?と思いながらも佐渡は大井を抱き寄せるとやはり震えている

大井は黙り身体を震わせているが、しばらくするとそれが止まり落ち着いたらしく深呼吸をする

 

 

「……お願いがあります」

 

 

「何だ?俺の出来る範囲なら聞いてやるぞ?」

 

 

佐渡は、お腹に当たる大きいものの感触に関して欲を無にするのに必死になっているが何とか返事を返す

 

 

「私は、男嫌いの欠陥兵器です」

 

 

「だからお前は…」

 

 

「聞いてください!」

 

 

大井が声を荒げて、佐渡の言葉を遮ると深呼吸を再びして口を開く

 

 

「それでも、貴方は私を使ってくれると言ってくれました

だから、私は貴方の為にこの男嫌いを直したいんです……

手伝って頂きませんか?私のこの欠陥を直す事の?」

 

 

佐渡は、そんなことかと思いながらも大井の頭を優しく撫でるとベットに座り大井を笑顔で見る

 

 

「俺で良ければいくらでも手伝ってやるよ」

 

 

その返事を聞くと、大井は満面の笑みを浮かべ佐渡を真っ直ぐに見る

 

 

「これから、よろしくお願いいたしますね!

提督!」

 

 

 

「おう!改めてよろしくな、大井!

ようこそ、小笠原鎮守府へ!」

 

 

 

 

こうして、小笠原鎮守府に三人目の艦娘

軽巡 大井 が新たに仲間に加わったのである

その日は、綺麗な満月であり、窓から入る月の光が二人を照らしていた

 

 

 

 

 

 

 

           秘密の夜会end




この後、めちゃくちゃ夜戦は……してませんよ?


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不穏な影

艦これ初めて一ヶ月
初のイベントにwktk しております!


時は流れ、六月二六日

ここは沖縄宮古島多良間島正面海域

時計が十二時を回っており、海は砲撃音と爆音により騒がしかった

多良間島の住民から、沖縄鎮守府へと『深海棲艦が出現』の緊急伝達が行き現在

深海棲艦と沖縄鎮守府在住の艦娘達は戦闘を行っており、その状態は劣勢

こちらの戦力は、旗艦軽巡一人 駆逐艦三人 軽空母一人 重巡一人

に対し夜間故に灯台からの光でしかほとんど見えないが深海駆逐艦十体 軽巡八体 重巡七体 空母五体 戦艦三体 そして、奥に黒い巨影一体の大艦隊だ

戦力差が酷く、多良間村の正面まで後退しながら戦うざるを得なかった

 

 

 

『阿武隈さん!多良間島の住民は全て避難させました!!』

 

 

ある、駆逐艦が旗艦阿武隈(あぶくま)に通信を入れると砲撃をしながらこちらは沖縄提督へと連絡を入れる

 

 

「提督!多良間島の住民避難完了!

どうされますか!?」

 

 

阿武隈は、耳に付いてるインカムで話かけるがその瞬間深海駆逐艦が海の中から飛び上がり阿武隈に襲い掛かるが、飛び上がり海上の上に出た深海駆逐艦の下に滑り込み、主砲を押し付け零距離砲撃を当て深海駆逐艦は胴体から木っ端微塵に吹き飛ぶ

 

 

『状況はどうだ!?被害状況は!』

 

 

 

「よろしくありません、向こうの戦力が分からず後退しながら戦闘を行っておりましたが、遂に多良間島正面海域付近までの進行を許してしまいました

被害状況は、阿武隈小破 潮(うしお)小破 龍驤(りゅうじょう)中破 朧(おぼろ)中破

那智(なち) 中破そして……」

 

 

艦隊の奥で一人、潮に抱き抱えられながら悔し涙を流し右腕を真っ赤な血で染め、左足の太股から下を無くし唇を噛み絞めている少女

 

 

「……曙(あけぼの) 大破重症です」

 

 

 

曙と呼ばれた少女は、真っ直ぐに深海棲艦を睨みながら痛みに必死に耐えていた

 

 

 

「曙ちゃん……大丈夫?」

 

 

「こんなの平気よ……

クソ……あんな奴等に…」

 

 

必死に強がるがそんなわけは無い、先程から左脚には潮風が当たり痛覚だけが刺激しており

右腕に関しては痛みが麻痺しているが、全く言う通りに動こうとしない

 

 

『すぐに帰投しろ!!

曙の守る用に輪陣形を取りながら、沖縄まで戻ってこい!!』

 

 

「ですが提督!!それでは多良間島を見捨てることに!!」

 

 

『バカ野郎!!向こうの戦力が分からないのにこれ以上戦闘をしても何の成果も得られんぞ!!

住民は避難が完了してる、これ以上君達が傷を追ってもこちらが不利になる一方だ!!

それと、誰一人として轟沈は許さん!!』

 

 

沖縄提督の必死さがインカム越しにでも伝わり、阿武隈は納得し、全艦隊に指示を出す

 

 

 

「通達!戦闘を中断し、全艦沖縄鎮守府へと帰還せよ!!

損傷が酷い艦を庇いながら撤退してくださーい!!!」

 

 

『『『了解!!!』』』

 

 

阿武隈が、インカムで指示を出すとインカムから今出撃している艦娘達はその指示を聞き命令通りに撤退する

 

 

「潮ちゃん、曙ちゃんは私に任せて」

 

 

「ありがとうございます、阿武隈さん」

 

 

大破している曙を抱き抱え、走り出そうとすると那智が忌々しく深海棲艦を見ながら何かの準備をすると龍驤がそれを静止する

 

 

「那智!何やっとるんや!!

撤退するで!!」

 

 

「なぁに、私は小破だ最後にあの巨影の姿を見てやろうと思ってな!!」

 

 

那智は、艤装から探照灯を取り出し脚に付けると正面にいる奥の巨影を照らしその正体を確認する

 

 

「なんだ……あれは…」

 

 

「うちが見たことある奴と大分違うで……」

 

 

その正体を見た二人は、探照灯の先を見て呆然としているのを見た阿武隈は二人の側に行く

 

 

「二人とも!!撤退だってば言うことを聞いてくださいよ!!!」

 

 

「阿武隈……あれを見ろ…」

 

 

「あれって………え?」

 

 

那智が照らす、その先には確かに深海棲艦が堂々といたが実際は本体よりはその後ろにいる艤装を見て唖然としていた

その艤装とは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手は鋭い爪の様になっており、手の甲に恐らく戦艦の主砲であろう物が二門ずつあり、両肩にはそれよりも巨大な主砲を四門ずつ背負っており腹部には頑丈そうな鎧を身に付け左脚には魚雷発射官まである

口半分開きっぱなしで、深海棲艦の本体が腕を撫でている

まるで暴れるのを抑えてるかの様にも見える

そして、何よりもそいつはデカイ

従来のその深海棲艦が所持してるものより倍近くでかく、恐らく人間なら丸呑みに出来るほどである

 

 

「あれ……『戦艦棲姫』…だよな?」

 

 

「あぁ……うちの記憶が確かなら…やけど」

 

 

戦艦棲姫

深海棲艦の上位個体

人間の女性と同じ見た目ではあるが、頭には角が生え、肌は雪の様に真っ白である

この姫自体は武器を携帯しておらず、管が繋がっており動く艤装と共に活動する

その艤装とは、まるでゴリラの様な見た目と目の無い口だけの顔と背中に巨大な主砲を背負った物で、基本的には遠距離からの砲撃を得意とする

そして、姫級は他の深海棲艦を操ることが出来るため良く艦隊での発見報告が上がっている

 

 

「グァァァァァァァ!!!!!」

 

 

探照灯の光が眩しかったのかは分からないが艤装は咆哮をすると両肩から主砲を那智達に向け、斉射してくるが運が良かったのか那智達の周囲に着弾し水飛沫が上がる

 

 

 

「那智!!すぐに探照灯を捨てて!!

逃げるよ!!」

 

 

「わ、分かった!!」

 

 

那智が探照灯を投げ捨て、全速力で航行し始めると再び深海駆逐艦や重巡達から砲撃を避けながら撤退する

 

 

「逃げるでぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸いなことに、今回の深海棲艦の目的が多良間島だったらしく向こうがこれより彼女達を追撃してくることはなかった 

 

 




戦艦棲姫より戦艦水鬼の方が強いとつい昨日初めて知りました……


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進撃セシ海上姫要塞 緊急召集

今回から新章です!


時は流れ、今は朝の九時

場所も変わりここは小笠原鎮守府

 

 

「今日も平和だなーこの島は」

 

 

この小笠原鎮守府の主兼提督佐渡はトンカチを片手に木材で壁を直していた

 

 

「そうですね、平和が一番ですよ提督

はい、釘ですよ」

 

 

「お、ありがと古鷹」

 

 

のんびりとしながら、古鷹に手伝って貰っており今日は提督室に他の三人も集まっていた

 

 

「提督、早く直してください

仕事が終わらないんですけど?」

 

 

「すまんすまんもう少しで終わるからさ秘書艦様は恐いですなぁ」

 

 

大井は眼鏡をくいっとあげながら注意すると、本日大本営から送られてきた書類を整理していた

 

あの後、大井自ら秘書艦を名乗り出てその訳を言ってくれた

 

『私は、戦闘経験がほとんどありませんから出撃しても二人の脚を引っ張るだけだと思います

なので叢雲達にある程度まで鍛えてもらい

その後、少しずつ出撃していきたいと思います

一々怪我をして貴方を心配させると面倒ですし

それに、私は前の鎮守府ではいつも書類整理等をやっておりましたからお役に立てると思います?』

 

 

と言われてしまい、二人は納得

それに、佐渡もその方が良いと思い、今に至る

結果的には、古鷹や叢雲より事務仕事に馴れており正直大助かりではある

たまに、佐渡がやろうとしたことを先読みするかの如く書類を渡したり先に終わらせているのが本当に助かる

 

 

「そう言えば、古鷹、叢雲。

大井の戦闘訓練はどうなの?」

 

 

佐渡が、トントンと木材を打ち付けながらソファーに寝転びながら漫画を読む叢雲と隣に居る古鷹を交互に見る

 

 

「悪くは無いけど、正直主砲での戦闘より搭載出来る魚雷が多いからそっち方面に育ててるけどねぇ……」

 

 

「そうですね……

命中率は正直悪いですね、取り敢えず主砲を的に当てることは出来ましたがまだまだですね

雷撃に関しては、センスはあると思いますよ?

ですがやはり外すこともありますので訓練が必要ですね」

 

 

二人からの評価を合計すると『雷撃だけ』らしく心配そうに大井を見るとボールペンを握り締め震えている

多分あれは悔しいとかではなく……

 

 

「いや、大井分かるよ?

俺もねこの二人は可笑しいと思うから」

 

 

「私も薄々は分かっていましたけど……

訓練を受けて本当に実感しましたよ………」

 

 

 

大井はその言葉に握り締めていたボールペンにヒビが入り、バンも机に叩き付けると二人を交互に指差す

 

 

「提督!!!この二人どんだけ強いんですか!!

一体何をすればこんな可笑しい駆逐艦と重巡が出来上がるんですか!!!」

 

 

その言葉に、二人は首を傾げるが佐渡は微妙な顔に頬を掻くことしか出来ずにいた

 

 

「叢雲に関しては!ひっきりなしに動き回られ、私はそれに追い付けずに主砲で撃たれてボロボロですよ!!

しかもいつの間にか雷撃撃たれて直撃!!

あんなの勝てるわけ無いじゃないの!!

しかも悔しくて二戦目挑んで主砲を避けられた所に追尾形雷撃!!

一方的ですよ!!一方的!!」

 

 

「……駆逐艦なら普通じゃない?

大井が遅いのよ」

 

 

「そんなことあってたまるか!!!」

 

 

その会話に、流石に大井に同情する佐渡と古鷹

叢雲の戦闘方法は主に近接戦闘での砲撃戦

敵に近付き、撹乱しながらその身軽さと小さな身体で確実にダメージ負わせていき仕留めていくスタイル

その他にも、追尾形雷撃と特殊雷撃に一度だけ使える一撃必殺コンボ

雷撃の着弾予測等様々な事を佐渡から教わっている

ある程度ダメージが、加算されたと思ったとき持ち前の雷撃でとどめと言う何とも慈悲はない

 

 




これって駆逐艦なら普通……普通じゃない?


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緊急召集 二

「それに!!何ですか!古鷹さんの砲撃と雷撃の命中精度!!

どんなに避けようとしても先回りされて当てられるし!!

しかも何で全て一撃大破まで持ってかれるのよ!!」

 

 

「えっと……私は叢雲見たいには動けないから少しでも砲撃の命中率を上げて叢雲の助けになりたくて頑張ったらこうなっちゃったんだあはは……」

 

 

「……健気過ぎるわね」

 

 

「分かるぞ大井」

 

 

古鷹の戦闘スタイルは中距離砲撃形

冷静そして、確実に相手を仕留めるために一撃を鍛えぬいた物

重巡の火力と叢雲のスタイルに合わせたやり方の為一人での戦闘にはあまり向かず基本的には叢雲と同時に出撃させている

ただし、その命中精度は百発百中とは言わないがほとんど外したことない

叢雲程とは言わないが、敵を一人の敵を凝視し続ける事で次にどのような動きをするのか大体理解し先手をうってくる

 

 

「何ですか!!この二人は!?」

 

 

「さ、さぁ…?俺にもわからん」

 

 

佐渡がこの二人に教えたことと言えば、ある程度のCQC、それぞれの戦い方、対人戦闘、近接戦、砲撃の体制位である

それ以外は自分達で何とかしたらしい

正直、ここまで強くなるとは思わなかったけど

 

 

「嘘ね、大井。

この自称普通の司令官も大分可笑しいから」

 

 

「はい?叢雲さんそれどういう……」

 

 

すると、不意に佐渡の携帯が鳴り出し工具を古鷹に預け電話に出る

 

 

 

「はいはい、どちら様ですか?今、うちの娘達と大事なお話タイム何だけど?」

 

 

『それはすまなかった。だが緊急なのだ許してくれ』

 

 

「げ、元帥!?」

 

 

唐突過ぎる元帥からの電話に驚愕し、携帯を落としかけるが何とか持ち直す

その言葉に三人とも反応し、各々やっていることを辞める

 

 

「え、えっと……私に何か御用でしょうか?」

 

 

『あぁ、すまない本日の予定はあるか?』

 

 

「えっと………大井、今日の予定は……」

 

 

大井に聞くと、両手をバツにし特に大事な予定がないと佐渡に行動で示すと再び電話に出る

 

 

「特にありません。どうかされましたか?」

 

 

『あぁ、すまないがこれから大本営に来てくれないか?

緊急なのだ』

 

 

「大本営に?分かりました今すぐ向かわせて頂きます」

 

 

『急な呼び出しに応答してくれて感謝する

詳しくはこちらに来て話す

大本営の三階会議室に来てくれ

既にそちらへ迎えの艦娘達を送っている、恐らく残り十分位で着くだろう

では失礼する』

 

 

ブツッと電話が切れ、携帯を服のポケットに終うと大急ぎで椅子に掛けてあった上着を羽織る

 

 

「叢雲、準備しろ

出掛けるぞ」

 

 

「…分かったわ、大本営?」

 

 

「あぁ、何かあったらしい

大方、どっかの鎮守府に出たか日本近海で何か居たんだろう

元帥からの電話なんてそれぐらいだろう」

 

 

叢雲は立ち上がると、漫画をしまい準備のために自室へと戻る

 

 

「提督……」

 

 

古鷹が心配そうに佐渡を見上げるが、微笑みながら頭を撫でてあげる

 

 

「鎮守府を頼んだぞ

大井、留守番を頼む」

 

 

「どれくらいで帰ってくるの?」

 

 

「恐らく、夕方位にはなるだろう

気を付けろよ」

 

 

「了解、そっちこそ気を付けてね」

 

 

佐渡は、準備を終え外に出ると既に艤装を纏った叢雲が海上に立っており、目の前から来た迎えの艦隊の艦娘達と話している

 

 

艦隊の艦娘達が佐渡の姿を見ると敬礼をする、それを返すように佐渡も敬礼で返す

 

 

「お迎え、恐縮の至りであります!

本日はよろしくお願いいたします!!」

 

 

「はい!こちらこそ、私は今回の旗艦を任された朝潮(あさしお)です!!

よろしくお願いいたします」

 

 

「よろしく、朝潮さん」

 

 

佐渡は、手を出し握手をしようとすると朝潮も佐渡の手を取り握手をする

 

 

「会えて光栄です、『戦闘の天才』佐渡様!」

 

 

「やめてくれ、俺はそんなんじゃないって

あと様と敬語いらないよ楽にして」

 

 

「はい!」

 

 

「早くしなさいロリコン司令官」

 

 

「叢雲さんや……

辛辣すぎやしませんか?」

 

 

佐渡は、叢雲が準備したボートに乗るとエンジンを掛け朝潮率いる艦隊と共に大本営へと航行する

 

 

 

 



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緊急召集 三

「いつみてもここはデカイよなぁ……」

 

 

「全くね」

 

 

佐渡達は、小笠原諸島から東京に到着しその脚で東京都にある海から少しだけ離れた大本営に到着していた

朝潮達は、近海を哨戒任務を元帥から受けていたらしく再び海に出ていってしまい現在二人だけで大本営に来ている

 

 

大本営

日本軍、今では海軍が主になるが最高機密機関

全鎮守府をまとめ上げる最高司令部として機能しており、全ての海軍情報があるとされ元帥とその秘書艦娘大淀さんが所属する場所である

そして、一度壊滅しており再び建造する際にさらに大きくしたらしく

四階だての豪邸見たいな外観をしている

 

 

「私、正直ここに来たくないんだけど?

司令官」

 

 

「許せ、お前じゃないと俺が困るんだ」

 

 

「後でパフェね」

 

 

「はいはい」

 

 

二人は、雑談をしながら階段を上がり大本営の開きっぱなしの扉を通り中へと入っていく

大本営の中は、廊下が多くしかも無駄に広いため至るところに案内標識がある

それに、ここにはエレベーター等はなく階段が一フロアに一つだけである 

途中海軍の者達や陸軍の者達とすれ違うと、大抵の人間が叢雲を見てヒソヒソのしている

 

 

「階段はっとここか」

 

 

「はぁー……行き苦しい」

 

 

「あーうん。本当にごめん」

 

 

実はと言うと、叢雲はちょっとした有名人である

それもそのはず、彼女はたった一人で東京湾に入ってきた歴戦種と断定された戦艦ル級を撃破しており、一種の英雄扱いされている

 

事実そのル級はかなり強かったらしいのだがこのお話はまた別の機会に

 

 

その当時、彼女を讃えてからか変な異名で呼ばれている

それは

 

 

「そう言うなよ、『雷撃姫』様?

皆お前を、凄いと思ってるんだぜ?誇りなよ」

 

 

「うっさい!私はそう言うのが嫌いなの!!

勝てたのは偶然と貴方の指揮があってからよ!

全く、本当にうざいったらないわ……」

 

 

雷撃姫

叢雲に付いた、誰が言い出したかは分からないがそんな変な名前が付いている

何でも、ル級を撃破したのが雷撃だったのと叢雲のこのツンツンした性格から付けられたアダ名らしい

叢雲はそれをかなり嫌がってはいる

 

 

 

むくれる叢雲を佐渡は頭を撫でながら会議室を目指していく

すると後ろから親しげな声で佐渡を呼ぶ声がする

 

 

「おーい!小笠原提督!!

雷撃姫!」

 

 

その声を聞いた瞬間、佐渡は普通に振り返るが叢雲に関しては睨み付けるようにその声の主を見る

その男は、走ってきており少し息が上がっている

 

 

「おー、雷撃姫怖。何かあったのか?」

 

 

「お久しぶりです、横須賀鎮守府提督 猿橋秀俊(さるはしひでとし)中佐殿。

本日はお日柄もよく」

 

 

猿橋と呼ばれた男に敬礼をしていると、叢雲が睨み付けているのを見て身体を揺らし合図をすると仕方なく敬礼をする

 

 

「あー、そう言うの良いからいつものでやってくれ」

 

 

「そうですか、ではお言葉に甘えて」

 

 

佐渡は敬礼を解くと、叢雲も同じように楽にする

 

 

「で?何の用でしょうか?」

 

 

「んや、何か居たから挨拶しただけ」

 

 

「提督ー!!待ってくださいよー!」

 

 

猿橋の後ろから、身長が高めの艦娘が走ってきており、隣に立ち止まると膝に手を当て肩で息をしている

 

 

 



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緊急召集 四

艦これのイベント厳しいですわぁ…… 
でも楽しいですなぁ


「あ、悪い大和(やまと)ちょっと知り合いが居たもんだからさ」

 

 

「知り合いって……あ、佐渡提督!!こんにちは!!」

 

 

大和と呼ばれた女性兼艦娘は佐渡を見た瞬間肩で息をしながらお辞儀する

 

 

「こんにちは大和さん

本日もお綺麗ですね」

 

 

「あ、ありがとうございます…」

 

 

佐渡が微笑みながら言うと、大和は頬を赤らめ俯いてしまう

 

 

大和

 

正式名 大和型 一番艦戦艦

横須賀鎮守府所属、猿橋の秘書艦を勤めている

現在、この海軍に所属する艦娘の中で最大の火力を誇り、日本海軍の誇りとされる女性

他の戦艦艦娘達の中でも郡を抜いた防御力、持久力を持つ彼女、だが今は諸事情により戦線から離脱している

見た目も美しく、正に大和撫子の様なお方だ

 

 

「おいおい、天才様?うちの大和をナンパしないでくれるかな?」

 

 

「まさか、私が中佐様の艦娘をナンパなんて……」

 

 

「その口調辞めてくれ気持ち悪い」

 

 

「……いや、酷くない?てかここ大本営なんだからこれぐらいしとかないと駄目じゃない?」

 

 

実は、この猿橋と佐渡は歴戦ル級戦の時に出会いそれから話をしていて気が合い、今は良い友人として付き合っている

だが、友人としても電話で話したりで共に出掛けたりは出来ていない

 

 

「そうそう、そんな感じなのがお前だよ」

 

 

猿橋は、佐渡の肩を叩くと歩いていくとその後を追い掛けるように佐渡は叢雲と共に着付いていく

 

 

「聞いたか、今回の話?」

 

 

「いえ?何の緊急召集何ですか?」

 

 

「やっぱりそっちには回ってないのか……

どうやらヤバいのが出たって話だぜ?」

 

 

「ヤバいの?いったいどんな?」

 

 

「ま、それは元帥が説明してくれるさ」

 

 

猿橋は、会議室の扉を開けるとそこにはそれぞれ席に座っている五人の提督がいた

今回集められたのは

 

佐世保鎮守府提督

 

佐伯鎮守府女提督

 

舞鶴鎮守府提督

 

呉鎮守府提督

 

大奏鎮守府

 

横須賀鎮守府提督

 

小笠原鎮守府提督

 

 

の七つの鎮守府の提督達が、それぞれの席に座り元帥の到着を待っていた

それぞれ、自分の秘書艦を後ろに立たせ、佐渡も自分の席に座る

 

 

「やっほー、佐渡提督」

 

 

後ろから声がして振り替えるとそこには、佐伯鎮守府所属の北上が立っておりこちらに向かい手をひらひらとさせている

と言うことは、当然隣には女提督がおり顔を見るとこちらに軽く頭を下げる

 

 

「あら?北上さん久しぶり。元気?」

 

 

「お、雷撃姫様~元気元気~

大井っちはどう?」

 

 

その言葉に、叢雲はイラッとはするが北上なら良いやと思い雑談を始めていた

 

 

「お久しぶりです、葛城(かつらぎ)大尉」

 

 

「えぇ、お久しぶりですね佐渡少尉

ちょっと長話をしたいから後で後ろの叢雲と一緒に話しましょ?」

 

 

「はい、分かりました」

 

 

そう言うと同時に、扉が開き元帥と大淀が書類を片手に入ってくる

会議室の真ん中に立つと、大淀に指示をして会議室を暗くする

 

 

 



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緊急召集 五

艦これイベントやり過ぎて小説忘れぎみ……
村雨姫固すぎる……
これ完走出来るかな……


元帥は、席に座っている各々の提督達を見ると机に書類を置き話し出す

 

 

「まずは、朝からの唐突な召集に集まって頂き感謝する

遠くから来たものも居るだろう、だがすまない君達の手を借りないと駄目だと感じてな」

 

 

「元帥~今度は何があったんですかー?」

 

 

 

 

そう、軽い感じで話すのは猿橋、机のお茶を啜りながらのんびりとしている

 

 

「あぁ、すまない猿橋提督

本題に入ろう」

 

 

元帥は、大淀に合図をすると元帥の後ろにある写真が公開されそれを見た提督達はざわざわとざわめきだす

 

 

「実は、昨日二四○○に沖縄多良間島の住民から深海棲艦の報告があり、沖縄鎮守府の石澤(いしざわ)大尉がこれを撃破しに艦隊を送り込んだのだが、数が多すぎる、これ以上の戦闘は不利な為撤退

多良間島が深海棲艦によって完全に占拠された

そして、その中にある一体の姫級が確認された

それがこの戦艦棲姫だ

彼女の目的は、恐らくこの本島 日本列島の占拠にある

君達の艦隊で連合艦隊を結成し、これを撃破して貰いたい」

 

 

元帥が説明をすると、舞鶴鎮守府提督が手を上げる

 

 

「何だね、舞鶴提督 唐澤慎也(からさわしんや)大将?」

 

 

唐澤と呼ばれた男は、立ち上がり元帥を向くと発言する

 

 

「元帥、貴方は今戦艦棲姫と申しましたね

ですが、その写真いやそいつは本当に戦艦棲姫なのですか?」

 

 

その写真とは、明らかにデカイ戦艦棲姫と思われる艤装とその本体、戦艦棲姫がその艤装の肩に乗り歩いている姿である

 

 

「すまない、断定が抜けていたな

こいつは沖縄鎮守府の龍驤が何とか艦載機を使い撮ってきて貰った一枚だ

だが、戦艦棲姫に容姿が酷似しているため大本営はこいつを戦艦棲姫と決めたのだ

理解してくれ

 

そして、この個体は新たな歴戦種の可能性が大幅に高い」

 

 

その言葉に更に、会議室の中に居る提督や艦娘達が騒ぎだす

 

 

「わーお、とんでもないなありゃ」

 

 

「えぇ、何あれ……」

 

 

流石に、佐渡も葛城は写真を凝視しながら唖然としている

 

 

「静粛に!!」

 

 

元帥が机を叩くと、会議室の提督達や艦娘達が一気に静かになる

それを確認した、元帥は再び話し出す

 

 

「明日、八○○○に沖縄に出立する

各々第一艦隊を準備し、大本営に来てもらい海路を使ってもらう

以上だ」

 

 

「「「「了解!!」」」」

 

 

その言葉と共に全員立ち上がり、元帥に敬礼をする

元帥が立ち去ろうとすると、佐渡に指を指し命令する

 

 

「それと、小笠原鎮守府提督 佐渡少尉は私の部屋に来るように」

 

 

「マジかよ……」

 

 

佐渡は聞こえないように、呟くと元帥が扉を開け外に出ていく

しばらくすると佐渡がため息をつく

 

 

「……俺何かしたっけかぁ?」

 

 

「ふふふ、ティータイムはまた今度ね

佐渡さん」

 

 

「そうなりますねぇ、すみません葛城さん」

 

 

佐渡は葛城にお辞儀をすると、叢雲を連れ会議室を出て元帥の執務室に向かう

 

 

 

 

 

 

 

 



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緊急召集 六

イベントのギミック解除方法が分からなくて絶望してる提督です……
E2どうすればええんや……


「佐渡少尉、ちょっと良いか?」

 

 

 

だが二人が、会議室を出た瞬間後ろから声をかけられる

声の主は、先程まで会議に参加していた大奏鎮守府提督

白鳥 一葉少将(しらとり いちよう)だ

後ろには秘書艦の重巡洋艦 鳥海(ちょうかい)が顔を伏せている

 

 

「何でしょうか、白鳥少将」

 

 

佐渡が、敬礼をすると叢雲も続けて敬礼をする

白鳥は叢雲の姿を舐め回すように見ると、話し出す

 

 

「そこの駆逐艦、叢雲とうちの伊168を交換(トレード)しないかね?」

 

 

 

その言葉を聞いた瞬間、叢雲は怪訝そうな顔をするが、佐渡は落ち着きながら平然としている

 

 

「いやさ、貰うのは流石に君達の艦隊……何てあるかは分からないけどさ

悪いとは少しばかり思うからさ?うちのご……失礼、『使えない』潜水艦と交換しないか?

いやしてもらおうか?佐渡 少 尉 ?」

 

 

最後の少尉と言う言葉だけ、強調して白鳥はニヤニヤしながら言う

上司が部下の手柄を取るように、部下の優秀な艦娘を奪い取ろうとする輩は今の海軍どころか昔からあるらしい

実際、叢雲が戦果を上げた次の日から佐渡はこの様な事を何度も言われてきた

だからこそ、佐渡はいつも通りに返す

 

 

「お断りします」

 

 

その言葉に、白鳥は舌打ちをすると佐渡の胸ぐらを掴む

だが佐渡は敬礼と表情を崩さず冷静だ

 

「お前に拒否権は無いんだよ?少尉?

大人しく交換しとけよなぁ?」

 

 

「何度言われようと、叢雲は渡しません」

 

 

その行動に、会議室に居た猿橋と葛城は立ち上がりそれを止めようとするが、猿橋の隣をある二人が通り過ぎる

 

 

「てめぇ?舐めてんのか?俺は少将だぞ?

命令が聞けないのか?」

 

 

「いくら少将様の命令でも、聞けません

それに、叢雲は物ではありません

俺の『相棒』です」

 

 

白鳥がその瞬間怒り、佐渡の顔面に右拳で殴ろうとするが、それが佐渡に当たることは無かった

白鳥の拳は、後ろからある一人の艦娘の手によって止められたのだ

 

 

「いててて!!誰だ!!……」

 

 

白鳥は余りの痛みに、その掴んでいる主を見る、つかさずに敬礼をする

そこに立っていたのは、戦艦長門(ながと)そしてその後ろには唐澤だった

 

 

「失礼致しました!長門秘書艦!唐澤大将!」

 

 

先程、佐渡に取っていた態度を改め唐澤に敬礼をしており、端に避ける

胸ぐらを離された、佐渡は溜め息をつき服を直している

 

 

「くだらないことは辞めろ、白鳥少将

私はこいつに用がある、失せろ」

 

 

「は、はい!!」

 

 

唐澤に言われた、白鳥はさっさとその場を離れていき去り際に佐渡の隣を通るとき「覚えておけ」と言い残していく

佐渡は、唐澤にお辞儀をすると再び敬礼をする

 

 

「助けて頂きありがとうございます、唐澤大将!」

 

 

お礼を言うと、唐澤はその隣を歩いていく

 

 

「助けたつもりは無い、今回の作戦に着いていくなら精々足を引っ張るなよ。

国家の裏切り者よ

 

行くぞ、長門」

 

 

「あぁ」

 

 

長門が佐渡の隣を通り過ぎるとき、叢雲を上から睨むように見ると、叢雲も長門を睨んでいた

唐澤達が去った後、二人が心配してか駆け寄ってきてくれた

 

 

「おいおい、大丈夫か?佐渡」

 

 

「大丈夫ですか?佐渡さん?」

 

 

「ありがとうございます、特に何もないですよ?」

 

 

二人に、心配かけまいと佐渡は笑顔で二人に言うと、猿橋が唐澤の後ろを見ながら佐渡の耳元に囁く

 

 

「相変わらず敵視されてるなお前」

 

 

「あぁ、勘弁してほしいよほんと」

 

 

 

 

 

 

 



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緊急召集 七

佐渡は、あれから叢雲と共に元帥の執務室に来ており現在その前に立っている

 

 

「……なぁ?俺なんかしたっけ?」

 

 

「さぁ?あんたの事だから何かしたんじゃない?」

 

 

 

扉の前で佐渡は、大きく溜め息をつくと叢雲が背中を軽く叩き「ほら行くわよ?」と言われノックをする

内側から元帥から『どうぞ』と言う声を合図に、部屋に入る

 

 

「失礼致します!!

元帥、お呼びでしょうか」

 

 

部屋に入ると、そこにはほとんど物がなくあるとしても元帥が座っているデスクと本棚そして、湯飲みのポット位である

だが、何故かその部屋の中央には、ポツンと椅子が二つ置かれている

佐渡は、入ると同時に敬礼をすると元帥が体制を崩しながらお茶をすする

 

 

 

「まぁ、座りたまえ佐渡少尉、駆逐艦叢雲」

 

 

「はい!失礼致します」

 

 

佐渡が、そう言い椅子に座ろうとすると、大淀が扉を開け外を確認し、鍵を閉める

……え?なんで?と佐渡は、思いながらもぎこちなく席に座ると恐る恐る元帥に用件を聞く

 

 

「元帥、私何か致しましたでしょうか?」

 

 

佐渡の心配を他所に、大淀が元帥に耳打ちをすると元帥は頷き沈黙する

 

 

「佐渡少尉」

 

 

「は、はい!!」

 

 

その言葉に、佐渡はビクッとしていると元帥はお茶を飲みきり机に湯飲みを叩き付けると首のネクタイを緩める

 

 

「あーー!疲れた、淀お茶おかわり

あ、佐渡君叢雲ちゃんも飲む?」

 

 

「ふふ、はい元帥」

 

 

「え、えぇと頂きます?」

 

 

「頂くわ」

 

 

先程とはうってかわり元帥は椅子にもたれかけながらのんびりとしている

まるで、仕事疲れのサラリーマン如くぐだりとしながら

 

 

「あ、今回の呼び出しは大したこと無いから構えないで良いよ」

 

 

「は、はぁ……」

 

 

佐渡が、その姿に唖然としていると叢雲がこちらをつつきクスクスと笑い、耳打ちをしてくる

 

 

「元帥はね、表では厳しいけど裏ではあんなもんよ

あの状態なら本当に大したことないから安心なさい」

 

 

「そうなのか…」

 

 

再び元帥を見ると、どこから取り出したか分からない煎餅を口に加えながら頭を天井に向けている

先程との大違いに流石の佐渡も動揺する

 

 

「はい、佐渡さん叢雲さんお茶です」

 

 

「どうも」

 

 

「元帥!お茶ですよ!それと煎餅独り占めしないでください!!!」

 

 

「お、悪い悪い、淀食べる?」

 

 

「お仕事中ですから後で頂きます」

 

 

まるで、いつもの自分達見たいな感じがして佐渡は微笑みながら二人を見ていた

 

 

「それと今回の呼び出しの話はよろしいのですか?」

 

 

「あ、忘れてたごめんごめん」

 

 

元帥は、食べていた煎餅を全て口の中に入れ噛み砕き飲み込むとお茶も続けて飲むと本題に入る

 

 

 



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緊急召集 八

「話とは二つ、一つは大したことないけど

もう一つは重要なこと

どっちから聞きたい?」

 

 

「で、では大したことないことから……」

 

 

元帥は、やはりどこから取り出したか分からない、羊羹を取り出し一本丸々齧りだす

 

 

 

「そっちなら、大井ちゃんの事だね

あんなことがあったからねぇ心配でさ 

どうだい?やっていけてるかい?」

 

 

「あぁ、大井の事ですか

凄い助かってますよ、執務は早いし戦闘訓練の努力怠らないしうちには勿体ないくらいの子ですよ!!

この前なんて……」

 

 

佐渡は、元帥に現状の大井がどんな事をしているか等を詳しく報告すると、元帥と大淀は顔を見合せ笑っていた

 

 

「とまぁ、こんな感じです

正直うちには本当に勿体ないですね」

 

 

 

「あー、うんやっぱり君に預けて正解だったよ

彼女を大切にしてあげてくれ」

 

 

「任せてください!」

 

 

佐渡は、胸を張りながら自信満々に答えると元帥は思いっきり笑う

 

 

「それと、もう一つはかなり真面目な話になるけど」

 

 

元帥はそう言うと、立ち上がり再び先程の様な真面目な態度になりながら窓際に立つ

 

 

「今回君をこの作戦に参加させたのは、私の独断だ

私は君達の実力を認めているからこそ参加させた」

 

 

その言葉に、嬉しさもあるが少しの怒りも感じる

 

 

「お言葉ですが、元帥うちの艦隊は三人しか居ません

だと言うのにこの様な作戦に私の鎮守府が参加する意味が分からないのですが?

他の鎮守府にお願いしてはいかがですか?」

 

 

元帥は、その言葉に「ふむ」と言うと佐渡の目の前に歩いてくると肩を叩く

 

 

「全くその通りだ

だがな、すまない君達に頼るしかないんだ

あの戦艦ル級撃破と陸上型を撃破した君達を頼らせてくれ頼む」

 

 

その目は真っ直ぐ、佐渡の瞳を捉えており、叢雲も一言言おうとするが途中で口をつぐむ

 

 

「現在の戦況は、私達の圧倒的不利だ

艦娘を兵器としてしか見ない提督も他の兵士も多く存在する

だが、君は違う彼等とは

真っ直ぐ、艦娘達と向き合い共に歩もうとしている

それが、この戦況を変えるきっかけになると私は思う

 

だから、私の身勝手な事を許してくれ」

 

 

そして、元帥は佐渡に頭を下げると佐渡はそれを止め微笑みながら立ち上がる

 

 

「頭を上げてください、やれるだけの事はやりますので」

 

 

佐渡はそう言うと、椅子から離れ元帥の部屋を立ち去ろうと叢雲と共に執務室の扉の鍵を開け、開く

 

 

「奴等が我々から奪うのなら、その覚悟を持ってるって事ですからねぇ」

 

 

怪しく、口元を吊り上げながら呟くと現在の部屋を立ち去る

二人が去った部谷で、元帥は椅子に座ると溜め息をつく

 

 

「大淀、今回のアレは」

 

 

「恐らく、この前のル級と同じだと思われます

何者かによって『改良、及び改造された深海棲艦』の可能性が極めて高いです

そして、もしかしたら今回も居る可能性があります」

 

 

大淀からの話を聞いた元帥は、引き出しからある一枚の写真を取り出し睨みつける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は、何なんだ

『異形の空母ヲ級』よ」

 

 

その写真は、通常のヲ級とは違い

頭には艤装を付けておらず、両腰から二つの滑走路が伸びており、杖を海に付いている

つい最近見付かった、新型の深海棲艦だ

 

 

 



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緊急召集 九

そろそろ年末ですね
皆さんはどんな年末をお過ごしですか?


「んー……歴戦かぁ…

勝てるわけねぇのになぁうちが」

 

 

「そう言うことは言わないの、元帥が期待してくれてるんだから良いことじゃない」

 

 

「良い訳あるか、俺は戦いたくないの

お前らとあそこでのんびりしていたいのよ」

 

 

佐渡は、伸びをしながら叢雲に対し愚痴を言いながら歩いていると「あっ」と叢雲が言うと佐渡の服を引っ張る

 

 

「ん?なんだ叢雲」

 

 

「ちょっと寄りたいところがあるんだけど良い?」

 

 

叢雲に連れていかれるまま、大本営の廊下をしばらく歩いていると地下へ続く階段を見付け降り始める

行き先が分かった、佐渡は叢雲の頭を撫でながら後ろを共に降りる

 

 

「確かに、そろそろ寂しいもんなあれがないのは」

 

 

「戦闘になるなら尚更ね?」

 

 

地下の階段を降り、しばらく歩くと大きな鉄の扉がありそれを開けるすると中はかなり広くなっており、そこらに機材や工具等が置いてある近くには売店らしきものもある

 

 

「明石の工廠にようこそ、佐渡提督、叢雲ちゃん」

 

 

売店には、ピンク色の髪をした作業着の女の子が座りこちらに話し掛けてきていた

二人はその艦娘に近付き手をふる

 

 

「やっほー明石さん、最近はどう?」

 

 

「結構売行き良いんですよ

高速修復材の予約も殺到してますし、佐渡提督も何か買っていきますか?

今ならお安くしておきますよ?」

 

 

「いやー、今回は艤装を取りに来たんだ

買い物はまた今度ね」

 

 

「あ、叢雲ちゃんの

ちょっと待っててくださいね」

 

 

この艦娘、明石はこの大本営大型工廠の責任者にして、唯一艦娘の建造、改造等を行える貴重な存在である

実は、この明石と佐渡は面識がありそこそこ仲が良い

明石が戻ってくると、叢雲に箱を手渡す

 

 

「はい、直りましたよ」

 

 

「ありがとう、明石さん

やっぱりこれがないと落ち着かなくてね」

 

 

叢雲が箱を開けると、そこにはウサギの耳の様な艤装が入っておりスイッチを入れると叢雲の頭上にフワリと浮きまるでウサギの耳のように両端に浮き上がる

 

 

「あ、そうだ佐渡提督

叢雲ちゃんの練度検査してもよろしいですか?」

 

 

 

「あー…」

 

 

チラッと叢雲を見ると、コクンっと頷くのを確認すると明石に向き直る

 

 

「では、お願いします」

 

 

「かしこまりましたー

じゃあ、叢雲ちゃんこっち来てね」

 

 

明石に連れられ、叢雲は工廠の奥に連れていかれる

その間、佐渡は工廠から出て廊下のベンチに座り近くの自販機で珈琲を買いのんびりと待っていた

 

 

 

「あれ?佐渡提督?」

 

 

突然工廠の方から誰か女性の声に呼ばれ、佐渡は飲みながら振り替えるとそこにはタンクトップとつなぎのズボンを着た灰色の髪の女性が汗をかきながら立っていた

 

 

「おー、夕張(ゆうばり)さん

仕事休憩ですか?」

 

 

夕張

 

正式名 夕張型 一番艦軽巡洋艦

 

明石と同じ大本営に所属し、工廠で共に仕事をしている

手先が器用で、大淀明石共に仲が良く

実際砲雷撃戦も出来るのだが、今はここの仕事が気に入っておりここに定職している

 

 

 

 

 

 

 



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緊急召集 十

「そんなところよ

あ、そうだ佐渡提督~?

どうせだから奢ってよー?」

 

 

明石同様、夕張とも仲が良く自販機や他の所で会うと食べ物を奢ったり奢られたりしており今回は奢る方らしい

 

 

「はいはい、んじゃポカリですか?」

 

 

「いんや、紅茶欲しいなぁ?」

 

 

「はいよ」

 

 

佐渡は、午前の紅茶を買うと夕張に渡す

貰った夕張は佐渡の正面に立ちながら壁に背を預け紅茶を飲みだす

 

 

「隣空いてますよ?座らないんですか?」

 

 

「いやー、私汗臭いし?

それにさっきまで工具弄ってたからオイル臭いし……」

 

 

夕張は、そう言いながら紅茶を片手に頬を掻いている

 

 

 

「俺は別に大丈夫ですよ?

かもーんかもーん」

 

 

「私が気にするのよ!!」

 

 

そう言うと佐渡は、珈琲の缶を床に置き立ち上がると夕張に近付き壁に手を付け顔を近付ける

 

 

「ちょ、ちょちょちょ!?」

 

 

夕張は慌てながら顔を真っ赤にしていると、佐渡は夕張の首もとに顔を当て匂いを嗅ぐ

 

 

「特にそんな匂いしませんよ?

ほら、一緒に座りましょ?」

 

 

佐渡は夕張の手を取って引っ張り、隣に座らせる

顔を真っ赤にしている夕張には一切気付かずに

隣通しに二人で座ると夕張は顔を伏せているのを気付き興味が出そうな話題を持ち掛ける

 

 

「そう言えばさ、夕張さん今何か新装備の開発とかしてるの?」

 

 

「んん!?あ、あぁ開発ね

うん、今戦艦用の艤装を開発してるのよ

これが中々上手く行かなくてね……」

 

 

それからは、夕張は先程の事何か気にせず熱心に兵器開発や工廠の事を語りだしそれを相づちをうちながら佐渡は聞いていた

 

 

「ってことがあってねぇ今苦戦してるのよ……」

 

 

「成る程ねぇ、大変だね工廠の仕事も」

 

 

「まぁ、大変だけどさ

私も好きでやってますからねぇ……

そう言えばさ、そっちはどうなの?

この前、明石が工廠直したって聞いたからさ

開発とかしてるの?」

 

 

「あー、うんやってはいるんだけどねぇ……

基本的には魚雷とかばっかりかなぁ?

三人しか居ないしさ?」

 

 

「それもそっかぁ……」

 

 

夕張は、そう言うとベンチの後ろの壁にもたれ掛かると、天井を見上げ閃いた様に佐渡にニヤニヤと笑いながら向き直る

 

 

「なーらー?私がそっちに移籍しようか?」

 

 

 

「……………はい?」

 

 

 

佐渡が驚いてる中、夕張は立ち上がり佐渡の額に飲んでいるペットボトルを当てる

 

 

「だから、こっちを辞めてそっちの鎮守府行こうか?

それなら、佐渡提督の助けになるし色々と……」

 

 

「駄目ですよ」

 

 

夕張のペットボトルを取り、首元にペットボトルの蓋を突き付けると額を軽く逆の手先で小突く

 

 

「貴女はここに居るべきだ

俺みたいな戦場に来るべきじゃない

ここに居て欲しいんです

もう失うのは勘弁ですからね」

 

 

一瞬の事で、夕張も驚くが直ぐに笑いだしペットボトルを取り中身を一気に飲み干しゴミ箱に捨てる

 

 

「ふふ、ごめんなさい

わがまま言って」

 

 

「いえ、こっちとしては来てほしいですけど

夕張さんにはここに居て欲しいと思うだけですよ

次は奢ってくださいね?」

 

 

「はいはい、高いのは勘弁よ?」

 

 

二人が笑い合っていると、工廠の方から叢雲と明石が歩いてくる

その姿を見た叢雲は佐渡を睨み付けている

 

 

「あんたぁ?まぁた夕張さんをナンパしてるの?」

 

 

「待て、叢雲?俺は何もしてないぞ?」

 

 

佐渡と叢雲を見た、夕張は意地悪そうに笑いながら身体を両手で抑えしゃがみこみ嘘泣きをする

 

 

「そうなのシクシク

佐渡提督に、全身の匂いを嗅がれて

「ええ臭いだなぁ?夕張ちゃんやグヘヘ」って言われて襲われそうになったの………」

 

 

「待てぇ!!!夕張さんんん!!

俺そんなこと言ってないぃぃぃぃ!!!」

 

 

 

「こんのぉ!!匂いフェチの糞変態司令官がぁ!!!」

 

 

その瞬間、叢雲が佐渡の脚を蹴ると佐渡が体制を崩すと首を掴みそのまま押し倒し顔を踏みつけるグリグリとする

 

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」

 

 

「うっさい変態!!!」

 

 

二人は騒いでいると、その姿を見ていた明石の夕張は笑っていた

 

 

「本当に、仲が良いですね二人は」

 

 

「うん…羨ましい位にね」

 

 

夕張は、頬をかきながら少し叢雲に嫉妬していた

 

 

「私も行きたいなぁ……小笠原鎮守府…」

 

 

 

「………そうね」

 

 

二人が、そんなことを話していると露知らずに佐渡は弁解を述べ叢雲は相変わらず脚で踏みつけていた

 

 

 

 

 



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多良間島奪還作戦

今回から深海棲艦戦になります

上手く書けるか心配ですが……


ここはところかわって、次の日の沖縄鎮守府正門前

あの後、小笠原に戻り二人に事を伝え何とか沖縄に到着していた

 

 

「………あっつくね?」

 

 

「そりゃそうですよ

こっちは小笠原とは違い気温が高く暑いですからね」

 

 

佐渡の隣には大井が、眼鏡をかけながら立っており書類を持ち正しく秘書艦が板に着いてきているようだ

 

 

「そうですねぇ……

でも、それよりも……」

 

 

古鷹が、佐渡の後ろに立ちながらも叢雲の方を見ると叢雲は両手に食べ物を持ち食べながら立っている

 

 

 

「……ん?なによ?」

 

 

「叢雲さんや……いくらなんでも食べ過ぎじゃないか?」

 

 

「そうだよ……流石に食べ過ぎだよ?」

 

 

「戦艦並みに食べてますよね……

その食べ物どこにいってるのよ…」

 

 

この三人が、驚いているのはそのはずここまで来るのに四件位梯子してゴーヤチャンプルーやらソーキそばを食べまくり実際少し到着が遅れていた

 

 

「普通じゃない?」

 

 

 

「「「そんなわけあるかぁ!!」」」

 

 

三人は、ハモりながら言うが叢雲は気にせず沖縄鎮守府の正門をくぐり入っていく

 

 

「行くわよ、司令官

大井、古鷹」

 

 

そう言われると、呆れながらも叢雲に付いていき指定の会議室へと向かう

途中、大井と古鷹は別の場所で待機の為別れ、佐渡と叢雲は会議室に向かう

 

 

「大型作戦か………

俺達の出番がないと良いな」

 

 

 

「それには同意よ」

 

 

二人が話していると、会議室へとたどり着き扉を開けると中には大本営に居た六人の提督ともう一人沖縄鎮守府の提督 石澤 悠木(いしざわゆうき)大尉が一番前に座っている

その隣には、その石上の秘書艦 阿武隈の姿も見える

 

 

阿武隈

 

正式名 長良型 六番艦 軽巡洋艦

沖縄鎮守府所属、石上の秘書艦にしてかなりの実力者

この鎮守府の事務仕事をこなしながらも自ら出撃することもあり他の鎮守府に名を知られるほどである

 

 

佐渡が席に座ると、会議室はピリピリとした緊張感に包まれる

それを破ったのは入ってきた元帥だった

元帥は会議室を見渡すとデスクに書類を置き、話し始める

 

 

「おはよう、諸君

良く集まってくれた

これより作戦と相手の説明をしよう

今回の敵について、石澤大尉頼む」

 

 

 

「はい、では失礼致します」

 

 

元帥に呼ばれた石澤は立ち上がり、資料を読み上げる

 

 

「皆様、本日はお集まり感謝致します

では、現状の戦況をご報告致します

現在、深海棲艦達は多良間島を占拠、それ以降はこちらに対しなにもしてきてはおりません

万が一の為にも既に近くの島宮古島の住民も全て沖縄に避難させ二つの島は現在無人島となっております

 

こちらとしても、何度か奪還を試みましたが向こう側とこちらの戦力差が激しく攻略に至っておりません

我が艦隊の空母達による策敵では50を軽く越える大艦隊だと思われます」

 

 

その言葉に、会議室はざわめく

 

 

「50か……かなり居るな」

 

 

「凄いわね、流石に」

 

 

「わーお、ヤバいねぇこれ」

 

 

会議室がざわめいていると、元帥が空砲の銃を撃ち静止する

その瞬間、皆が静かになり元帥は銃を下ろす

 

 

「大尉続きを」

 

 

「は、はい!

そして、今回姫級が確認されました

その正体は 戦艦棲姫 

しかも、通常個体とは違い彼女の艤装はかなり大きく、そして砲撃火力、装甲、どれを見ても通常個体より高く彼女自身にも二つの砲門を所持していることが分かっています

他には、姫級や鬼級は確認出来ず間違いなく彼女がこの大艦隊を指揮していることは明白です

現在、彼女率いる大艦隊は多良間島から動いておらず

今叩くのがベストだと思われます

 

以上です」

 

 

「ありがとう、石澤大尉

では今回の作戦を話す

各員頭に叩き込め」

 

 

元帥は、石澤を座らせると今度は自分の資料を取り出し、部屋を真っ暗にする

 

 

 

 



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多良間島奪還作戦 二

あ、冬イベント諦めました

資材が全て溶けましてね……はは

でも、やっぱり楽しいですね!!
イベントは!


「今回は、沖縄鎮守府含む八艦隊で作戦に挑む

まず編成から見ていただこう」

 

 

元帥は、パソコンを弄ると大淀が準備したモニターに全ての鎮守府メンバーが発表される

 

 

横須賀鎮守府 猿渡中佐

 

旗艦 戦艦 榛名(はるな)

戦艦 ローマ

軽巡 那珂(なか)

軽巡 龍田(たつた)

駆逐艦 夕立(ゆうだち)

駆逐艦 時雨(しぐれ)

 

 

佐伯鎮守府 葛城大尉

 

旗艦 軽巡 北上

駆逐艦 吹雪 (ふぶき)

駆逐艦 霰(あられ)

駆逐艦 霞 (かすみ)

重巡  足柄(あしがら)

戦艦 比叡 (ひえい)

 

 

大奏鎮守府 白鳥少将

 

旗艦 重巡 鳥海

軽空母 祥鳳 (しょうほう)

軽空母 飛鷹 (ひよう)

潜水艦 伊168 (いむや)

戦艦 ガングート

重巡 羽黒 (はぐろ)

 

 

呉鎮守府 斎藤中佐

 

旗艦 軽巡 神通(じんつう)

重巡 摩耶 (まや)

正規空母 飛龍 (ひりゅう)

戦艦 山城 (やましろ)

駆逐艦 黒潮 (くろしお)

駆逐艦 天津風 (あまつかぜ)

 

 

佐世保鎮守府 藤谷少将

 

旗艦 駆逐艦 不知火(しらぬい) 

駆逐艦 浜風 (はまかぜ)

戦艦 日向 (ひゅうが)

軽巡 川内 (せんだい)

軽巡 木曾 (きそ)

重巡 高雄 (たかお)

 

 

舞鶴鎮守府 唐澤大将

 

旗艦 戦艦 長門(ながと)

戦艦 陸奥 (むつ)

駆逐艦 磯風 (いそかぜ)

駆逐艦 綾波 (あやなみ)

正規空母 赤城 (あかぎ)

潜水艦 伊58 (ゴーヤ)

 

 

沖縄鎮守府 石澤大尉

 

旗艦 重巡 妙高 (みょうこう)

正規空母 瑞鶴 (ずいかく)

軽空母 隼鷹 (じゅんよう)

戦艦 霧島 (きりしま)

駆逐艦 満潮 (みちしお) 

重巡 筑摩 (ちくま)

 

 

小笠原鎮守府 佐渡少尉

 

旗艦 駆逐艦 叢雲

重巡 古鷹

軽巡 大井 

 

 

「以上が編成となる」

 

 

その画像を見ながら佐渡溜め息をつくと隣にいた葛城提督に肩を叩かれる

 

 

「これより、作戦を言う

まず、艦隊の番号を決める

第一艦隊 旗艦 長門の舞鶴鎮守府

第二艦隊 旗艦 榛名の横須賀鎮守府

第三艦隊 旗艦 鳥海の大奏鎮守府

第四艦隊 旗艦 妙高の沖縄鎮守府

第五艦隊 旗艦 不知火の佐世保鎮守府

第六艦隊 旗艦 神通の呉鎮守府

第七艦隊 旗艦 北上の佐伯鎮守府

第八艦隊 旗艦 叢雲の小笠原鎮守府

 

以上だ」

 

 

この順番は、鎮守府の活躍や実力で構成されている

特に第一艦隊の舞鶴鎮守府はかなりの深海棲艦を撃沈している実力者揃いである

 

 

「そして、今回第八艦隊は本作戦の最後の砦として沖縄近海にて待機してもらう

佐渡提督、構わないな?」

 

 

「はい!全力でやらせて頂きます!!」

 

 

「よろしい、ではそれ以外の艦隊での作戦を発表する」

 

 

それから、元帥による本作戦に関して話していた

簡単に言うと、これより三つの艦隊に分かれ出立し、三方向から多良間島を目指す

艦載機を使い、多良間島一体の深海棲艦を各個撃破し、情報が行かないように奇襲を仕掛けていくと言うもの

まず、空母軽空母や潜水艦で先制攻撃をし敵を混乱させ、その最中に高速戦艦や駆逐艦使い確実に潰していくものである

 

 

 

そして、第一艦隊の長門率いる舞鶴鎮守府だけは単独艦隊でそれぞれ連合を組んだ艦隊に指示を出していくそうだ

 

今回、連合を組んだのは

第二艦隊 第三艦隊の榛名連合

 

第四艦隊 第五艦隊の妙高連合

 

第六艦隊 第七艦隊の神通連合

 

である

 

「容赦ないねぇ、負ける要素無いんじゃない?」

 

 

佐渡は、呟きながらお茶をすすると話が終わったらしく

元帥がこの場をしめる

 

 

「今回の作戦で、初の歴戦姫撃破になるかもしれん

皆の者心してかかれ!!

暁の水平線に勝利を!!!」

 

 

「「「「暁の水平線に勝利を!!!」」」」

 

 

その言葉と、共に各提督と秘書艦は会議室を出ていき、各々準備に取り掛かる

佐渡も立ち上がると頭を叩かれる

 

 

「今回は留守番だな」

 

 

頭を叩いたのは猿渡であり、後ろには秘書艦の大和が立っていた

 

 

「仕方無いわよ、そもそもこの作戦に参加事態ありえないんだから」

 

 

隣に居る、葛城も佐渡の肩を叩いている

 

 

「いやー、うちの艦隊は三人しか居ないからなぁ

お役に立てるわけないですって」

 

 

「どの口が言うのやら」

 

 

猿渡は、呆れながらも会議室の外に出ていくと大和がこちらにお辞儀する

 

 

「この作戦終わったら今度こそ話しましょ?

佐渡提督」

 

 

「まったねー、佐渡提督~」

 

 

葛城も北上を連れて、会議室を後にする

 

 

「さぁてと、俺らも行こうか?

叢雲」

 

 

「えぇ、どうせ暇だとは思うけどね」

 

 

 

 

 

 

 



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多良間島奪還作戦 三

ここは海上宮古島付近の海域

深海棲艦達は、付近を警戒しながら巡回を行っていた

編成は、軽巡へ級一体、重巡リ級二体、駆逐艦ハ級三体の偵察艦隊

リ級の一体が他の者達へ指示をしており、恐らくフラグシップ(司令艦)だろう

だが、もう一人のリ級が空を指差し、そちらを見ると敵の艦載機が真上からこちらに突っ込んでくる

 

 

「…!!」

 

 

リ級は指示を出すが間に合わず、艦載機の爆装がハ級三体を直撃、撃沈していく

それを見て、軽巡へ級が艦載機を撃ち落とそうとするが、突如として砲撃を受け一撃で撃沈してしまう

リ級は何だか分からず、空から海上を見ると、艦娘の艦隊がこちらに向けて走ってくる

反撃をしようとするが、向こうの戦艦の一撃を受けてしまいリ級の一体は意図も容易く撃沈する

残されたフラグシップは、一人でも応戦しようとするが

 

 

「ごめんね、君はここで終わりだよ」

 

 

「沈むっぽい!!」

 

 

いつの間にか、両端に回り込まれており二人の駆逐艦に挟まれ両方の砲撃が直撃し、何も出来ずに撃沈していく忌々しい艦娘を睨みながら

 

 

「こちら、第二艦隊旗艦榛名

現在、宮古島付近を通過これより多良間島に向かいます

 

 

『了解、戦況はどうだ?』

 

 

「優勢です

先程、深海棲艦の偵察部隊と遭遇。

奇襲によりこちらの損傷無しに出来ております

空母の皆さんと駆逐艦の子達のおかげですね」

 

 

「榛名さーん、夕立頑張ってるぽい?

誉めて誉めてー!!」

 

 

「こら、夕立あんまり榛名さんを困らせてはいけないよ?」

 

 

第二艦隊と第三艦隊を指揮する、榛名は夕立の頭を優しく撫でると夕立は満足気な顔をしている

 

 

長門は、海を睨みながら辺りを偵察しながらゆっくりと航行していた

耳のインカムからは、第四、第六からの戦果報告の通話がなりやまずに全てを聞いていた

 

 

「提督、現在宮古島を通過これより敵の本拠地多良間島海域に入る」

 

 

 

『了解、一体足りとも逃がすな

確実に全てを滅ぼせ』

 

 

「了解、伊58海中に変化は無いか?」

 

 

「問題無いでち、深海から上がってくる新手は見付からないでちよ」

 

 

長門達が、多良間島海域に入ってる頃提督達は作戦本部に全員集まり各々の艦隊と連絡を取っていた

そこには佐渡もおり、のんびりとお茶を飲んでいた

 

 

「んー、叢雲どうよ?」

 

 

『退屈よ、回りは海だし

どうせなら釣りの一つでもしたいわ

流石にやらないけど』

 

 

『叢雲ー!こっちの海は綺麗だよ!ほら海中が透けて見えるー!』

 

 

『本当ね、小笠原の海も綺麗だけどこっちも綺麗ね……

北上さんとバカンスしたいなぁ……』

 

 

他の艦隊が戦っている中、叢雲達は暇そうにしている

彼女達は宮古島と沖縄の丁度中間の海域にて沖縄鎮守府に向かってくる深海棲艦の襲撃から守る役割なのだが、基本的に警報があるから必要無いと言っては無いものでもある

だからこそ、暇である

 

 

「お前達ー?

仕事に来てるんだから警戒は忘れるなよ?」

 

 

『忘れてないわよ、少なくとも私はね?』

 

 

叢雲がチラッと二人を見ると、二人は海の上で少しはしゃぎながら遊んでいるのを見ると溜め息をつく

 

 

『司令官、二人をお仕置きするからちょっと回線切っても構わない?』

 

 

「あー……うん程ほどにな?」

 

 

インカムの回線を切ると、佐渡は手を合わせ古鷹と大井の無事を祈っていると不意に後ろから声をかけられる

 

 

「少しよろしいですか?佐渡提督」

 

 

声をかけられ後ろを振り向くとそこには、この沖縄鎮守府の主にして提督石澤が佐渡の後ろに立っていた

 

 

 

 



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多良間島奪還作戦 四

「どうも石澤大尉、何か私にご用ですか?」

 

 

「あ、良いよ敬語は今回は来てくださりありがとうございます

それと、少しばかり話しませんか?同じ島の鎮守府として」

 

 

石澤は、佐渡の隣に座ると持ってきた麦茶を飲みだす

 

 

「佐渡提督は、艦娘をどう思いますか?」

 

 

「どう……とは?」

 

 

その質問に、石澤は佐渡に向かい合い真っ直ぐ目を見て話す

 

 

「私はね?彼女達は兵器であって、兵器ではないと思うんだ

あんな表情豊かな少女達がただの兵器とは思わない

佐渡提督はどう思うかい?」

 

 

佐渡は、その質問に少し考え込む

そして、口を開く

 

 

「俺は、あいつらを娘か仲間としか見てないですね」

 

 

「と言うと?」

 

 

「そう……ですね

彼女達を兵器と呼ぶなら、それは人間でも同じように兵器と成り行くと思っています

兵器とは、簡単に言えば武器の事を差します

俺は、あいつらが兵器と言うよりは人間に近いのだが人間ではない。

だからと言って兵器ではない中途半端な存在だと

故に、提督の采配によって彼女達の存在が決まる

兵器か人間か

なら、兵器として扱わず人間として扱い、これから共に戦っていきたい歩んでいきたいと思ってます

兵器として扱えばただの消耗品になってしまいますからね」

 

 

佐渡がそう語ると石澤は、微笑み手を握る

 

 

「……君とは気が合いそうだ 

この仕事が終わったら泊まっていかないか?」

 

 

「え?良いんですか?」

 

 

「あぁ、旨い酒があるんだ

共に語り合い夜を明けようじゃないか?」

 

 

佐渡は、握られながらアハハと軽く笑いながら気付いたことを石澤に投げ掛けてみる

 

 

「そう言えば、阿武隈さんは今回出撃しないんですか?」

 

 

「あぁ、彼女は今入渠中なんだ

実はこの前の戦闘での傷が癒えてなくてね

先程の会議後すぐに入渠させているよ

それに、彼女には出てほしくないからね……」

 

 

石澤は、そう言うと頬を掻いていると佐渡はニヤニヤと笑いながら石澤を指差す

 

 

「まさか、石澤大尉と阿武隈さんって出来てるんですか?」

 

 

「ま、ままま!!まさか!!そんなことはないよ!!」

 

 

「その反応、告白はしてないですけど

好きではあるんですね?」

 

 

「う、うむ…」

 

 

石澤は顔を赤くしながら、俯いてしまい佐渡はそれを見てからかっている

 

 

「告白、しないんですか?」

 

 

「あぁ、阿武隈にはいつも世話になっているからな

この想いは戦争が終わったら伝えるつもりだ」

 

 

 

その言葉に、佐渡はニヤニヤを辞め真顔になるとお茶を飲み一息つくとボソッと言う

 

 

「後悔しないでくださいね」

 

 

「え?」

 

 

「俺達は戦争中です。

いつどこで死ぬかは分かりません

だからこそ、伝えるものは伝えておかないと後悔しますよ? 

………俺の体験談からですけどね」

 

 

「佐渡提督それはどういう…」

 

 

すると、石澤がインカムに指を当て「分かった」と小さく言うと佐渡から離れ唐澤の方へと向かう

 

 

「すまない、佐渡提督

進展があったようだ集まろう」

 

 

「了解」

 

 

その進展とは、どうやら石澤の艦隊と猿渡の艦隊連合が多良間島を捉えたと言う話だ

 

 

『提督、見えました

多良間島です』

 

 

「どうだ、榛名

島の様子は?」

 

 

榛名達は島を見渡し辺りに深海棲艦が居ないか確認する

空母達の方へと向くと首を降っているのを確認し、報告する

 

 

「今のところ気付かれては居ないようです

深海棲艦の影は見えません」  

 

 

 

すると、もう一人の戦艦ローマが主砲に手をかけながら多良間島を睨む

 

 

「……静かね」

 

 

「はい、では皆さん長門さん達と合流しましょう」

 

 

榛名率いる連合艦隊は、多良間島を捉え長門と連絡を取り指定の着陸ポイントへ向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その少し後方から一機の敵艦載機が榛名達を見ているとも知らずに

 

 

「……来たか」

 

 

多良間島から離れた所の海上に、一人の深海棲艦が立ち腰の滑走路から艦載機を飛ばしある場所へと向かわせる

 

 

 

 




満身駄目絶対


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多良間島奪還作戦 五

長門率いる艦隊は、辺りを警戒しながら多良間島付近の海域へと到着していた

辺りは昼間だと言うのに静かだ

普段ならうみねこやらの声がするのだが今は長門達に当たる波の音が少し聞こえるくらいだ

長門はインカムを押すと、多良間島付近に居る艦隊と連絡を取る

 

 

「全艦隊の空母達

索敵はどうだ?」

 

 

『こちら榛名連合艦隊 祥鳳

飛鷹共に付近に敵深海棲艦の影はなし』

 

 

『こちら妙高連合艦隊 瑞鶴

こっちも深海棲艦の敵影無しです

島の中も見てみますか?』

 

 

『こちら神通連合艦隊 飛龍

こちらは島の入り口に何体かの深海棲艦を確認

彼女達、艤装をしているけど陸上に居るわ

もしかしたら、島に潜伏しているのかも?』

 

 

「ありがとう、各員指示があるまで待て」

 

 

長門は全員の報告を聞くと、回線を唐澤へと切り替え指示を仰ぐ

 

 

『提督、奴等は既に多良間島を寝床にしてるみたいだがどうする?』

 

 

唐澤は、元帥を見ると元帥はコクンと頷き唐澤も理解したように長門へ指示をマイク越しに出す

 

 

 

「……戦艦及び各々の旗艦で多良間島に上陸

奴等を根絶やしに、そして奥に居るだろう姫を潰せ

多少家や物が壊れても構わん、勝利の為だ」

 

 

『了解』

 

 

唐澤が指示をだした後、会議室では勝利を確信して何人かの提督が安堵の溜め息をつく

ある程度の山場は終わり、後は陸上戦闘だが数が数であり確実に勝てると確信していた

元帥も隣の大淀を見ながら、安心してお茶を飲む

 

 

 

ただ一人、佐渡だけは表情を曇らせて居ているのを除いては

 

 

「どうした?佐渡そんな顔して」

 

 

「いやですね、どう考えても可笑しくないですか?」

 

 

その言葉を聞いた、各提督は佐渡に目を向ける

 

 

「はぁ?可笑しい?どこかだよ?

元帥の作戦が上手くいってる証拠だろ?」

 

 

「だから、それが可笑しいんですよ」

 

 

すると、唐澤大将は立ち上がり佐渡の前に立つ

 

 

「それはなんだ貴様元帥の作戦が上手くいかないと思ってたのか?」

 

 

「いえ、違います

『安易に事が運び過ぎているんです』」

 

 

「だから!それは作戦が上手く行ってる証拠だろうが!!いい加減ぬかすな!!」

 

 

白鳥が怒号を飛ばしているが、唐澤は表情を変えずに座っている佐渡を見下ろす

 

 

「唐澤大将、現在撃破した艦隊はいくつですか?」

 

 

「……榛名連合艦隊が二つ

妙高連合が二つ

神通連合が二つだ」

 

 

「少なくないですか?三方向に別れてるのにも関わらず」

 

 

その言葉に、唐澤は確かにとも思いながら長門からの報告を受けている艦隊メンバーを確認する

 

 

「だが、いくつかの敵艦隊には戦艦や空母何体か居た

量より質を取ったのだろう

違うか?」

 

 

「それもそうですか……」

 

 

佐渡は、それを受け下がってしまうがやはり考え込んでしまうが猿渡が頭を軽く叩き励ます

 

 

「気のせいだって、じゃああれか?

向こうに俺達の作戦がバレていて

陸上に上がった奴等を一網打尽にする為に今回わざとやられているふりをしてるとでも言うのか?

あいつらにそんな知恵は無いって

それにどうやってうちらを攻撃するんだよ」

 

 

そう言うと猿渡は笑っており、葛城も「大丈夫ですよ」と佐渡を励ます

 

 

 

佐渡は(本当にそうなのか?)と疑問に思いながらも長門達の報告を待つ

 

 

 

 



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多良間島奪還作戦 六

長門は7つの艦隊に指示をだし、空母達に先制で艦載機を飛ばさせると艦載機達は砂浜の上の深海棲艦達を容易に捉え爆撃を開始する

 

 

「全艦隊!!撃てぇぇぇぇ!!!」

 

 

その瞬間、7つの全艦隊は一斉に砲撃をし砂浜に居る深海棲艦を木っ端微塵に吹き飛ばす

砂煙が消えた後、長門達は全速力で多良間島を目指す

 

 

一番先に上陸したのは長門であった、それから榛名、鳥海、妙高、不知火、神通、北上がそれぞれ上陸した

長門は辺りをぐるっと見渡すが特に何もないことを確認する

 

 

「……やけに静かですね」

 

 

「えぇ、先程の砲撃で来ると思ったのですが」

 

 

「ですが、警戒は怠るわけにはいきませんね」

 

 

「何が来ても沈めるだけです」

 

 

「頑張りましょう!」

 

 

「いやー、つっかれたなぁ……

大井っちと来たかったなぁ」

 

 

「各員、行くぞ

それと、磯風、戦艦は私に付いてこい

他はここで待機だ」

 

 

長門筆頭に、各艦隊の戦艦と磯風は付いていき多良間島の中へと入っていく

 

 

「磯風、どうだ?」

 

 

「あぁ、居る何体か

だが、この島の真ん中に一体だけ動いていないのが居るこいつだな姫は」

 

 

磯風は電探を装備しており、それをソナーの様に使い映像を持っているタブレットに反映させている

 

 

「なら各個撃破と行こう

そいつは最後だ」

 

 

 

長門は、背を低くしながら歩いていき島に居る深海棲艦達を一体残らず撃破していく

 

 

「長門、次の曲がり角居るぞ」

 

 

磯風からの報告により、長門が壁に隠れながら曲がり角の先を見ると二体のリ級が歩いていた

 

 

「磯風、頼めるか?」

 

 

「了解」

 

 

磯風は、腰に掛けている二門の主砲両手に持つと音もなくリ級の真後ろまで走ると右に居るリ級の脚を撃ち抜くとリ級が脚を押さえながら倒れ、それに気付いたもう一人のリ級が反撃の為に振り替えるが、その瞬間磯風は右手から主砲を放し顔を掴み壁に激突させる

 

 

「ー!ーー!!」

 

 

痛みに耐えきれず声をあげ主砲をリ級は右手の艤装を放してしまい、磯風の手を外そうとすると磯風は直ぐ様右手を放しその瞬間左手の主砲をリ級の口の中に突っ込み撃つ

口から喉に貫通し、壁には穴と共に大量の血が辺りに散らばる

口から撃たれたリ級は糸が切れた人形の様にズルリと地面へと落ちる

 

 

そして、もう一人の脚を押さえているリ級を蹴り上げ、落とした右の主砲を持ち上げ頭に押し付けると主砲を撃つ

頭を木っ端微塵に吹き飛ばすとその返り血が磯風の主砲や服を汚し白かった制服は赤く染まる

 

 

「長門、これでいいか?」

 

 

その姿に、見ていた何人かは唖然としていたが長門は親指を立てながら

 

 

「流石だ磯風。行くぞ」

 

 

「ひゅ~痺れるねぇ」

 

 

「一方的……でしたね比叡お姉さま」

 

 

「ひぇ~…」

 

 

しばらく、歩き島に在住している深海棲艦を一体を除いて始末し終わると、最後の一つ姫級がいるであろう場所に向かう

 

 

そこは、島の中央小学校の体育館である

そこまで広くは無いが、物陰がなく長門達は校庭を突っ切り体育館の入り口へと行く

 

 

「磯風ここか?」

 

 

「あぁ、先程から動いていない

ここで間違いない」

 

 

「提督、姫級らしいものを確認強襲する」

 

 

『あぁ、気を付けろ』

 

 

長門は、比叡と榛名に指示を出し、各戦艦達にも砲撃の準備をするように指示を出す

 

 

「……開けろ!!」

 

 

 

比叡と榛名が開き、体育館の中に入り主砲を全門真ん中へと集中させる

だが、その者の正体にそこにいる艦隊全てが唖然としていた

そこに居たのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主砲を一つだけ持った戦艦タ級だった

 

 

 




ぶっちゃけ多良間島の見取り図が分からないのでほとんど想像です
お許しください


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多良間島奪還作戦 七

勝利を確信したときこそ、大きな隙が生まれる


「なん……だと?」

 

 

長門は予想外の深海棲艦に唖然としていた

その様子を可笑しく思った外に待機していた戦艦や旗艦達が一斉に体育館へ入ってくる

 

 

「戦艦……タ級?」

 

 

「あれ?戦艦棲姫は?」

 

 

「妙高!!どう言うことだ!!」

 

 

「え……どうして?嘘よ!!今朝まで居たって瑞鶴が!!」

 

 

一同が慌て混乱していると、その最中に戦艦タ級は頬を吊り上げ怪しく笑っている

 

 

「フフフ、アハハハハハ!!!」

 

 

「何が可笑しい!!!貴様!!!戦艦棲姫をどこにやった!!!」

 

 

長門は、主砲を撃つのを忘れタ級に近寄り胸ぐらを掴み持ち上げる

その最中でも、タ級はずっと笑っていた

 

 

「磯風!!電探に反応は!?」

 

 

「いや……この島のどこにも…」

 

 

すると笑っていたタ級が、おもむろに天井に主砲を向け、長門を嘲笑う

 

 

「バカドモメ、オマエタチハオワリダ」

 

 

「何…?」

 

 

長門がそれを問い詰めようとした瞬間、タ級が天井に向け主砲を数発連続して撃つ

撃たれた弾道は、そのまま体育館を突き抜け空へと登りある程度まで上がるとまるで花火のような爆発を見せる

 

 

「貴様!!!何をした!!!」

 

 

「ハハハハ!!オワリダ!!オマエタチモワタシモ!!!」

 

 

タ級は、それからずっと笑っており長門はタ級を投げ捨てると直ぐ様唐澤に連絡を取る

 

 

「こちら長門!!応答してくれ!」

 

 

『どうした?長門報告しろ』

 

 

「現在、多良間島中央の体育館。

在住している最後の深海棲艦戦艦タ級と接触

だが、肝心の姫級

戦艦棲艦が何処にもいない!!」

 

 

その報告を聞いた、会議室にざわめきが生じる

そして、その視線は沖縄鎮守府石澤に向けられる

 

 

「石澤大尉これはどういうことですか?」

 

 

石澤大尉は、唖然と口を開けその場から崩れ落ちる

 

 

「嘘だ……だって今朝瑞鶴の報告では…」

 

 

その姿を見るに他の提督も察していた

彼は嘘などついていない、我々が一杯食わされたと

だが、唐澤は落ち着きながらも長門の報告を聞く

 

 

「長門、なにか奴は言っていたか?」

 

 

『確か、終わりだお前達も私もと………』

 

 

その言葉に、一番反応したのは悩んでいた佐渡だった

終わり、艦娘達だけなら分かる

だが何故わたしも?

その瞬間、佐渡は急いで立ち上がりマイクを手に取ると叫ぶ

 

 

「長門さん!!!罠だ!!!急いでその島を離れろ!!!」

 

 

長門は耳から叫ばれ、耳を痛くしながらも佐渡からの声を聞き直す

 

 

「佐渡提督?何だ、罠とは……」

 

 

だが、それを聞き直す前に各艦隊の旗艦に砂浜で休んでいる者達から緊急連絡の回線がはいる

 

 

「どうした?伊58」

 

 

その連絡は、この状況そしてこの島に仕掛けられた最悪の罠の発動を報告するものだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「長門!!!緊急連絡!!!

深海棲艦が深海より浮上!!多良間島を囲む様に展開してるでち!!!

奴等!!私達を待ち伏せしてたんでちぃ!!!」

 

 

 

「何だと!?」

 

 

「なんだ……この数は!?」

 

 

磯風が弄っていた端末に、一気に反応が入りそれは島を囲う様に展開されておりその数ざっと70はくだらない数が反応を示していた

しかも、まだ更に増え続けている

 

 

 

 



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作戦が必ず上手くいくとは行かないですよね~








少し前、長門達が突入する前に遡る

 

 

「なんか暇ね」

 

 

艦載機を空母達は飛ばしながら、島全体を警戒しながら砂浜で休憩をしていた

一応艤装事態は付けており、すぐに戦闘は出来るようにしてはいるが何人かは遊んでいたりだとかはしていた

 

 

「いやー、やっぱり酒は旨いなぁ!!」

 

 

「ちょっと隼鷹?今敵陣のど真ん中にいるんだから程ほどにしてよ?」

 

 

「へいへーい、仕事はしますよ~」

 

 

瑞鶴は、呆れながらも隼鷹に言うと島全体を警戒し何時でも戦闘が出来るようにしていた

砂浜では、空母達の警戒している最中伊58は海上に顔をだし、別の鎮守府の伊168と話しながらのんびりと休憩している

 

 

「……イムヤ、何か疲れてる?どうかしたでち?」

 

 

「えっ!?そ、そんなことないよ!!」

 

 

「それに、何か艤装が傷だらけだし……」

 

 

「おい!あれ何だ!?」

 

 

話している最中に、摩耶が空を指差すとそれは体育館でタ級が撃った花火のような物である

それは砂浜からも確認でき、かなり大きな爆発であった

 

 

「!!、敵艦載機発見!!」

 

 

「どこ!?」

 

 

「先程の爆発がありました真上です

数、六機!!」

 

 

 

祥鳳がそう言うと、他の空母達一斉に祥鳳を見ると自分達の艦載機にも命令をだしそこに向かわせる

 

 

その敵艦載機は、動きが可笑しかった初めは一個の塊のように動きこちらの艦載機からの攻撃が始まると一気に散り散りになりそれぞれ六っつの方向へと飛んでいく

そして、こちらの艦載機の攻撃を軽々と避けると海へと向かっていく

 

 

「何あの艦載機!?私達の攻撃が当たらない!?」 

 

 

空母達の驚きを他所に、その艦載機の一機が瑞鶴達が休憩している砂浜に真っ直ぐ向かってくる

 

 

「駆逐艦!!対空準備!!」

 

 

駆逐艦達は高角砲を準備するが、それよりも先に敵艦載機がこちらの頭上に到着する

 

 

「各員!!備えろ!!!」

 

 

砂浜に居る艦隊達は敵艦載機を睨み付けるがその艦載機はそのまま通り過ぎ海の方へと飛んでいく

 

 

「……あれ?なんも来ない?」

 

 

「何だあれ?」

 

 

「警戒して損したっぽい?」

 

 

だが、敵艦載機は近海の海を突如爆撃を開始した

爆撃が海上に当たると水柱が上がり、艦載機はそのまま沖へと飛んでいく

 

 

「何あれ!」

 

 

「ちょ、どこ爆撃してるんだよ!」

 

 

「あれを使っているのは馬鹿なのか?」

 

 

空母達は笑いながら、敵艦載機を指差し笑うと駆逐艦や重巡も笑っているが瑞鶴だけは警戒を解かない

 

 

「あの艦載機があんな動きするとは思えないわ……

なんの意味が……」

 

 

爆撃が終わった後、瑞鶴は違和感を感じ更に策敵の為に弓を引き空に撃つ

放たれた弓は艦載機に変わり空に飛んでいく

それと同時に、伊58も潜水を開始しそれと同時に伊168も潜水を開始する

 

 

「瑞鶴?どうかしたの?」

 

 

「んー、何かね?あいつなんであんなところに爆撃を……え?」

 

 

「ゴーヤ?どうしたの?」

 

 

「何となくでち、アイツ一体何を……

イムヤ、あれは何でち?」

 

 

瑞鶴が確認したのは水柱が島を囲うように六角形方位で次々と上がっておりそして、上がった海が黒くなっていることが分かる

 

 

伊58と伊168は、深海より何かが急浮上してきており目を凝らして見るとそれは

 

 

「っ!!嘘でしょ!深海棲艦!?」

 

 

「何でち!!この数!?」

 

 

深海から浮上してきているのは、戦艦ル級、戦艦タ級、重巡リ級等の火力が高い奴等ばかりで伊58と伊168は緊急浮上をすると砂浜組にインカムで連絡を入れる

 

 

「緊急伝達!!深海棲艦確認!!数多数!!」

 

 

「全員!!戦闘準備でち!!」

 

 

その報告と同時に、砂浜に居る艦娘達は戦闘準備をするがそれよりも一足早く深海棲艦は急浮上し、砂浜に居る艦娘に砲門を向け砲撃を開始する

 

 

「きゃああ!!!」

 

 

「落ち着け!!奴等はまだ少数だ!」

 

 

摩耶は、落ち着いて艤装を付け海へと行こうとすると、戦艦タ級達は摩耶に集中砲撃し海へと行くのを阻止する

 

 

「クソ!!アイツら私達を海に出さないつもり!?」

 

 

「瑞鶴ヤバいじゃねぇかよこれ!!

おい、どうするんだよ!!」

 

 

隼鷹は、艤装を構えながら艦載機を飛ばすが、ことごとく撃墜されており瑞鶴に援軍を求めるが

 

 

「何よ……これ…」

 

 

瑞鶴は、空の上から多良間島を艦載機から送られてくる映像に絶望していた

水柱が上がった所から次々と深海棲艦が浮上し砲門を多良間島に砲撃しようとしている

その浮上してきたなかには更におぞましいのがおり、空母ヲ級が同時に六体浮上してきており頭の艤装から大量の艦載機を発艦し、それを多良間島上空へと飛ばしている

 

 

「嘘よ!!何よこれ!!!」

 

 

こうしている間にも、深海棲艦は浮上してきており、静かにだが確実に多良間島の砂浜や陸に向けて航行を開始する

まるで、網にかかった獲物をゆっくりと確保する狩人の様に

 

 

「隼鷹!!妙高に報告!!急いでこっちに戻さないと奴等この島ごと私達を全滅させるつもりよ!!」

 

 

「りょ、了解!!」

 

 

「他の皆も急いで!!この事を島に居る仲間に伝えて!!」

 

 

各々の者達は砲撃の中、空母達は艦載機を飛ばし他の者は仲間へと連絡を取る

 

 

 

「長門!!!緊急連絡!!!

深海棲艦が深海より浮上!!多良間島を囲む様に展開してるでち!!!

奴等!!私達を待ち伏せしてたんでちぃ!!!」

 

 

 

『何だと!?』

 

 

 

 





不幸?は更に続きます



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罠 二

その報告を受けた長門は急いで外に出ると空には大量の敵艦載機が空を覆い隠していた

そして民家の一部が何かに撃たれたのか轟音を立てながら崩壊していく

恐らく先程受けた報告の、島一体囲んでいる深海棲艦が撃ったものだろう

 

 

「全艦聞いたな!!

急いで砂浜まで戻るぞ!!!

行くぞ!!」

 

 

「長門!!アイツはどうする!?」

 

 

磯風は、床に寝転がり笑っているタ級を指差すか長門はその腕を掴み走り出す

 

 

「奴に構ってる暇は無い!!急げ!!」

 

 

それと同時に、敵艦載機が体育館と校舎を爆撃し建物が轟音と共に崩壊し始める

長門達は何とかそこから逃げ出すが空には艦載機達が島に向けて爆撃を開始しており全員は走っていた

その最中に、長門は唐澤へと連絡をいれる

  

 

 

「こちら長門!!!提督!!すまない我々は罠に嵌められた!!」

 

 

『何だと!?状況を報告しろ!』

 

 

「現状況はかなり、こちらが不利だ!

向こうの戦力は不明!だがこちらより圧倒的に多い!

しかも、我々は陸に上がり砂浜の者達と別れている!

こちらはあまり被害は無いが砂浜の者達は分からない!!」

 

 

 

長門の報告に、唐澤は愕然とし辺りにいる提督達はざわめきだしている

 

 

「どういう事だ!?」

 

 

「深海棲艦が待ち伏せだと!!」

 

 

『こちら瑞鶴!本部応答願います!!』

 

 

 

その中再び、インカムから連絡が入る

現在、砂浜で戦闘中の沖縄鎮守府所属瑞鶴だ

 

 

「瑞鶴現状は!?」

 

 

その声に、石澤は反応しマイクを掴み瑞鶴へと話始める

 

 

 

「かなり劣勢です!突如深海より深海棲艦の伏兵多数!!

数は恐らく70を越えています

それにこちらも、突然の事に大パニックになっておりまして」

 

 

瑞鶴が、他の艦娘達に見ると皆武器を放り投げ陸に逃げる者、果敢に戦う者、放心状態の者など多数居た

その間でも、深海棲艦達は砲撃を辞めずに確実にこちらを落としに来ている

 

 

「どうするっぽい!?どうするっぽい!?」

 

 

「ゆゆゆ、夕立落ち着いて!!」

 

 

「クソッ…被弾しちまった……」

 

 

「摩耶!誰か傷の手当てを手伝って!」

 

 

「そうだ!!島の中に逃げるぞ!!反対側に逃げれば……」

 

 

「馬鹿!!陸は空からの爆撃よ!!

入ったらそれこそ向こうの思うつぼよ!!」

 

 

各々、何をすれば良いのか全く分からず艦隊は大混乱に陥っていた

 

 

「瑞鶴!!駄目だ艦載機の残弾が無くなりそうだ!!

何とかならねぇか!?」

 

 

「今!!必死に撃ってるわよ!!」

 

 

瑞鶴は弓を引き艦載機を深海棲艦達目掛けて撃つが、すぐに撃墜される

 

 

「クソ!!目障りね……」

 

 

砂浜に近付く敵艦隊には対空性能に優れた軽巡ツ級が三体ル級の後ろに隠れこちらが艦載機を飛ばした時にだけ、ル級が下がり直ぐ様艦載機を落としてくると言う連携を取ってくる

 

 

向こうがこちらに向かってくる編成は前列にル級が九体、その後ろにタ級が六体、ツ級が三体その後ろにリ級やハ級等が何体も控えている

 

 

「何なのよ!!アイツら!!」

 

 

「提督!!応答願います!!

指示をお願い致します!!」

 

 

「瑞鶴!!とりあえず…」

 

 

 

ウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!

 

 

 

瑞鶴の悲痛な声に指示を出そうとすると警報装置がけたたましく鳴り出す

 

 

「今度は何なんだよぉ!!」

 

 

白鳥は頭を抱えながら警報装置の前にいる職員を怒鳴り付けると職員は慌ててその警報装置が鳴る原因を突き止める

 

 

 

「深海棲艦が、一体こちら沖縄に向けて進軍中!!!

どうやら、宮古島の陸地に隠れていた模様です!!」

 

 

「何だと!!」

 

 

元帥は、デスクから勢いおく立ち上がると椅子が倒れるがそんなことお構い無しに職員に駆け寄る

 

 

「何だ!何がこちらに来ているんだ!!」

 

 

「元帥!落ち着いてください」

 

 

「お待ちください、今モニターに出します!!」

 

 

職員は、急いで警報装置を処理し無人偵察機の映像をモニターに出そうとパソコンを必死になりながら動かす

 

 

「早くしろ!!」

 

 

「何が来ているの!?

ただのはぐれでしょ!?」

 

 

 

 

後ろから、何人かの提督に煽られながらパソコンを弄ると準備が終わったのか砂嵐状態だったモニターが少しずつ鮮明になり映像が流れる 

 

 

「映像!!出ます!!!」

 

 

その映像に、ここにいる全ての人間がモニターを見ており映像がハッキリと写った瞬間全員が愕然としながら絶望する

大淀は口を押さえ、元帥は膝をつき、唐澤はモニターを睨み、白鳥頭を抱えている

 

 

「嘘……どうして………」

 

 

「あり得ない……何故だ…」

 

 

「何故……貴様がそこにいる?」

 

 

「嘘だろ……嘘だ……」

 

 

その映像には一体の深海棲艦が写っていた

誰よりも居て欲しくない最悪の者が

そして、佐渡が一言だけ呟く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦艦……棲姫…!」

 

 

その映像には、明らかに姫よりデカイ艤装の肩に乗り口元を吊り上げニヤリとしながら沖縄を目指し航行する戦艦棲姫の姿だった

 

 

 

 

  



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チェックメイト

「嘘よ……何でアイツがこっちにいるの?

じゃ、じゃあ多良間島の深海棲艦は誰が指揮してるの!?」

 

 

 

「分からねぇよ!!クソクソ!!」

 

 

「提督!落ち着いてください!」

 

 

 

葛城に猿橋は、この状況に混乱し本来の仕事である艦隊指揮が出来る状態ではない

彼等だけではない、ここにいる提督のほとんどがこの映像に絶望しきっていた

そして、白鳥の一言がこの場を更に悪化させる

 

 

 

「終わった……もう無理だ…

この沖縄は戦艦棲姫によって滅ぼされるんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

「あ、あぁ、あぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

「逃げろ!!!この島から早く逃げろ!!!」

 

 

その言葉を合図に、部屋に居た海軍職員は大混乱に陥る

それを聞いていた沖縄鎮守府に来ていた他の海軍職員に伝達され沖縄鎮守府全体に広がってしまう

 

 

「諸君落ち着け!!まだ、我々は負けたわけではない!!

持ち場にもどれ!!」

 

 

元帥が必死に、マイクを使い館内放送をかけるが大混乱に陥っている為か全く効果がない

 

 

 

 

唐澤は、唇を噛み締めながら悔しがっていると佐渡が椅子にもたれ掛かりながらインカムを付けているのを見ると

 

 

 

「おい、佐渡少尉。

いや、佐渡」

 

 

椅子にもたれ掛かっている佐渡の胸ぐらを掴み持ち上げる

 

 

「貴様……これを知っていたのか?」

 

 

持ち上げられた佐渡は、帽子を深く被りながら目を伏せる

 

「いいえ、全く誘い込まれてるとは思ってましたが

まさか戦艦棲姫が出てくるとは思いませんでした

向こうもかなり本気見たいですねぇ」

 

 

「この状況が分かっているのか!!」

 

 

「分かってますよ?

だからこそ、戻らせても良いですよね?私の艦隊も?」

 

 

「何だと?」

 

 

佐渡はそう言うと、インカムを使い自分の艦隊叢雲達と連絡を取る

 

 

「叢雲、応答しろ」

 

 

『何?司令官、何か騒がしいけど?』

 

 

「撤退だ、沖縄まで戻ってこい」

 

 

『はぁ?もう作戦終わったの?戦艦棲姫撃破?』

 

 

叢雲は、海上で二人を正座させ暑い中説教をしており、佐渡の言葉に驚いていた

 

 

『いんや、失敗だ作戦失敗

しかも、俺達の敗けだ

確実にな』

 

 

その言葉に、叢雲は二人を正座から立ち上がらせ真面目な顔持ちで佐渡に尋ねる

 

 

「……説明して」

 

 

『簡単に言うと、待ち伏せされて連合艦隊はボロボロ

沖縄に向けて戦艦棲姫が爆走中~』

 

 

それを聞いた瞬間、大井の顔が青ざめ、古鷹は慌てる

 

 

「嘘でしょ……北上さん……」

 

 

「そ、そんな!!皆さんが!?」

 

 

二人が慌てる中、叢雲だけは落ち着いた面持ちで話を聞いていた

 

 

「……何か無いの?打開策」

 

 

『ねぇな、さっぱり

今回に関しては詰みだ』

 

 

佐渡は、そう言うと立ち上がり部屋を出ていこうとする

 

 

「待て!佐渡少尉!!どこにいく!?」

 

 

元帥が、佐渡を呼び止めると佐渡は帽子を取り両手を広げる

 

 

「逃げるんですよ?まだ死にたくないですからねぇ……

それにアイツらを迎えに行かないと行けないですし」

 

 

「そうだ…そうだよ!!佐渡!お前の艦隊で足止めすれば……」

 

 

「白鳥少将それ本気で言ってますか?」

 

 

「だって、そうすれば少しは俺達が逃げる時間が……」

 

 

佐渡は、溜め息を付くと白鳥を指差す

 

 

「確かに、叢雲達が戦えば少しは時間を稼げるかも知れないですね?

ですが、それよりも彼女達が沖縄に戻り島民を逃がす方がどう考えても効率が良くないですか?」

 

 

「どういう意味だ!」

 

 

「彼女達は代用が効きますよね?でも島民を殺してしまうとなると海軍の面子に関わるんですよ

 

ま、どうせ海軍の面子なんて丸潰れですけどね」

 

 

佐渡は、そう言うと再び椅子に座ると沖縄の地図を広げる

 

 

 

 



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チェックメイト 二

「宮古島がここ、うちの艦隊はここ、連合艦隊はこの多良間島」

 

 

佐渡は、マグネットを置いていき現状と敗北の原因を説明する

 

 

「まず最初に、アイツらは連合艦隊を全ての深海棲艦で殲滅しますと仮定します

そして、その間に戦艦棲姫が沖縄を一体で落とします

もう既にこの状態で我々の敗北は確定的です」

 

 

「だが、奴は一体しか来ていない

何とか出来るのではないか?」

 

 

「嫌、一体で来てるからこそです

奴はかなりの自信があると言うことです、それに奴の目的は島ではありません少しでも良いから島民を確保したら奴の勝ちです」

 

 

佐渡のその発言に、元帥や他の提督は顔を曇らせる

 

 

 

「まさか……戦艦棲姫の目的は…」

 

 

 

「そう、《島民の捕獲》です。

つまり、私達が必ず全員避難仕切ることが今回我々の勝利となります

そんなこと出来ますか?」

 

 

提督達は、一斉に黙ってしまう。

不可能だ、今からどんな勢力を使ったとしても島民全員を全て避難させるのは

 

 

「そ、そうだ!!大和!!戦艦大和が居るじゃないか!?

こいつをぶつければ…」

 

 

白鳥は、大和を見るが首を横にふり猿橋がその理由を説明する

 

 

「大和は……艤装を持ってきてないんだ……

今の彼女は、ただの女性と変わらない」

 

 

すると、唐澤はこの鎮守府の主石澤に迫ると肩を叩く

 

 

「阿武隈や他の艦娘はどうした?」

 

 

「……彼女達は入渠しております

確かにもう少しですが間に合いません」

 

 

各員はそれぞれ、案を出しては行くだがどれもこれもやはり駄目な物ばかり

そうしてる間に、佐渡が一つの打開策を出す

 

 

「……一つだけ、あると言ったらあります

ただし、これは不可能に近いです」

 

 

 

その言葉に、部屋に居る提督達は佐渡に視線が集中する

 

 

「あるのか!?何か!!」

 

 

「佐渡、言え」

 

 

「多良間島の連合艦隊が、全ての深海棲艦を倒し、

戦艦棲姫をどうにかし足止め、そしてぶつけるですよ?」

 

 

その発言に再び各提督は黙ってしまう

出来るわけがない

今多良間島には、70を越える深海棲艦が連合艦隊を相手にしている

ただし、主力の戦艦達は陸地向こうは奇襲により大混乱状態

それを撃破出来たとは言えど沖縄へ戻り戦艦棲姫の相手なんて出来るわけがない

 

 

確かに少し戦力はある、ただしそれはたった三人だけで戦艦棲姫を足止めなんてそんなことを出来るわけがない

 

 

それに足止めしたとしても歴戦の可能性が高い戦艦棲姫止められる時間なんて数分程度

 

 

「元帥、つまりですね

我々は奴等との知恵比べで負けたんですよ

 

 

チェックメイトです

我々の敗けです」

 

 

そう言い放つと元帥は、力無く椅子に倒れるように座り、唐澤は拳を握り締め唇を噛んでいる

この場に居る提督全てが諦めていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、そんなことかの様な笑い声がインカムから聞こえてくる

 

 

 

 



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不屈の精神

『何よ、あるじゃない?打開策早く言いなさいよ全く』

 

 

その声の主は叢雲だった

声は部屋中に響き渡り、佐渡はマイクを掴むと話始める

 

 

「おいおい、聞いてたか?相手は歴戦の姫だぞ?

お前達三人が何とか出来る訳じゃないんだぞ?」

 

 

『あんた本気でいってる?この叢雲様に出来ないことがあるとでも?』

 

 

叢雲は、自信満々に言いながら自分の艤装を点検し始める

 

 

「む、叢雲?まさか本気?」

 

 

「古鷹、大井を連れて沖縄まで撤退」

 

 

「え?叢雲は?」

 

 

魚雷発射菅から魚雷を取り出し再び装備し直すと、叢雲は軽く準備体操を始める

 

 

「その姫とやらと戦うわ」

 

 

「まさか!!一人でやるつもり!?」

 

 

「無茶よ!!相手は情報もほとんどない化け物なのよ!!!」

 

 

「それでもね、誰かがやらないといけないのよ

例え、無茶でも無理でもやらないよりはマシ

だから、私はやる。

ここで死んだとしても、そいつに一矢報いてやるわ

それにね」

 

 

叢雲は、準備体操を終えるとインカムに向こう側に居る佐渡に向けて話す

 

 

「これは私の選ぶ道、文句は言わせないわよ?

佐渡

あんたは、私が守るわ

何があってもね」

 

 

『………勝率十%位しかないぞ?』

 

 

「それなら、私達を含めればどれくらいまで上がりますか?」

 

 

その声の主は、古鷹だった主砲のメンテナンスを終え、叢雲の隣立っていた

 

 

「ちょっと古鷹!?」

 

 

「私も居ますよ?」

 

 

その反対側には、大井が立ち艤装をメンテナンスしている

 

 

『おい!!二人とも!!』

 

 

「勘違いしないでください、私は叢雲に世話になってるからこそここにいるんです

別に貴方の為だとか、海軍の為ではありませんので」

 

 

「提督、私にもやらせてくださいお願いします

叢雲一人に任せられる様な事ではありませんし、それに皆のお役に、いえ提督のお役に立ちたいのです。

どうか、私のワガママを聞いてください」

 

 

その声に佐渡は、頭をかきむしりながら椅子へと倒れこむ様に座り溜め息をつく

そんな様子を分かってか、叢雲はインカム越しに笑っている

 

 

 

「これがあんたの鎮守府所属艦娘よ

最初から分かってたでしょ?

ほら指示頂戴?佐渡司令官?」

 

 

叢雲の煽りに、佐渡はマイクを掴み説明を始める

 

 

『死ぬぞ、お前達』   

 

 

「ふん、ここで死ぬほどやわじゃないわよ」

 

 

『それでも無事には済まないぞ?』

 

 

「それでも、私達はやってみせます!」

 

 

『……間違いなく、負けるぞ?』

 

 

「はぁ?この叢雲様が負ける?

あり得ないわね

それに佐渡、私達は兵器よ

代用は効くわでもねこれは私達が選んだ選択よ

だからね」

 

 

叢雲は、一息置き真剣な面持ちをして静かにいい放つ

 

 

 

 

「私達を信じて」

 

 

その一言に、佐渡は頭をかきむしりながら大きく溜め息を付き叫ぶように言う

 

 

『分かったよ!!信じてやるよお前達を!!!

だが命令だ!!誰一人として欠けることは許さん!!

良いな!!』

 

 

佐渡の一言に、叢雲達は微笑みながら艤装の武器を空に掲げる

 

 

「やってやろうじゃないの!」

 

 

「その言葉を待ってました!提督!

任せてください!!」

 

 

 

「えぇ、分かったわ

皆は私が守るわ

何せ、あんたの『相棒(バディ)』何だからね!!」

 

 

そして、叢雲達は海上からこちらに向かってきている戦艦棲姫が居るであろう方向に向け振り下ろす

 

 

『暁の水平線に』

 

 

『「「「勝利を!!!」」」』

 

 

その合図と共に、叢雲達は一斉に走り出し古鷹は水上偵察機を飛ばし戦艦棲姫を捉える

 

 

「敵補足!!会敵まで後十分!!」

 

 

 

「行くわよ!!二人とも!!!」

 

 

叢雲は、そう言うと武器を振り回し戦闘体制に入るそれを合図に二人も武器を構え戦闘体制に入る

 

 



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不屈の精神 二

その姿を、唐澤は見ているとおもむろにマイクを掴み長門へと連絡を入れる

 

 

「長門、応答しろ」

 

 

『何だ!提督!!』

 

 

長門は、磯風を布団に寝かせながらある民家に隠れていた

あの後直ぐに敵の艦載機達に襲われ、その攻撃を避けるために他の艦隊所属の戦艦達とは離れ離れになっていた

そして、磯風は長門達を襲う敵艦載機を撃破するために一人立ち向かったが向こうの感に触れたのか集中攻撃を受けてしまい

その際、左腕を被弾し服はボロボロになっており長門に抱えられながら逃げ、民家に共に隠れている

その左腕は、穴が空いておりそこから溢れ出る血液で真っ赤に染まっている

今は簡易的に治療を終え、腕には包帯が巻かれている

 

 

『今から説明することをよく聞け』

 

 

「あぁ、何だ!」

 

 

唐澤は、今起きている現状を説明すると長門は目を開きながら驚く

 

 

「何だと!?戦艦棲姫が沖縄に向けて進軍中!?」

 

 

その言葉に、磯風は起き上がり驚きながらも片腕を押さえる

 

 

『あぁ、だが現在小笠原鎮守府の第八艦隊が迎え撃っている』

 

 

「無茶だ!!そんなの勝てるわけがない!!」

 

 

『そうだ、無茶だ

勝てるわけがない誰が見てもな

だが、奴等は諦めてなんていない

だからこそ、長門そして連合艦隊への命令だ

多良間島の深海棲艦を掃討し、第八艦隊と合流

戦艦棲姫を撃破せよ』

 

 

「なっ!!!提督!!流石に無理が過ぎるぞ!!」

 

 

唐澤の無理難題を聞き長門は頭を悩ませる

現状、どこも大混乱状態

しかも仲間とは離れ離れ、砂浜の者達もどうなってるか分からない状態

この状況を打開出来るわけではない

 

 

『そうか、ならこの国は終わりだ

私もここで死ぬことになる 

繰り返すのか、あれを』

 

 

「!!!」

 

 

ただし、ここで諦めると言う選択は敗北を意味するそして佐渡の言う通り今回の戦艦棲姫の目的が島民だとすれば

 

 

「我々の……敗北…

そして……」

 

 

そう言うと長門は思い出し、拳を握り締め唇を噛む

大本宮襲撃事件を

彼女は、当時の数少ない生存者でありその敗北の全容を鮮明に覚えていた

逃げ惑う人々、蹂躙する深海棲艦、そして壊滅した自分の所属する艦隊の仲間達

助けて助けてという言葉を無視するように蹂躙され、多くの仲間が轟沈させられた

そして、長門はある化け物に会っていた

 

 

南方棲戦姫の歴戦種である  

 

 

彼女はたった一人で艦隊を壊滅させた

命乞いをする艦娘の頭を持ち上げ、空に投げると両手の艤装で的当ての様に楽しみ

逃げようとする者の脚を撃ち抜き、這いずる背中を踏みつけ頭を砕き

怯え戦う者に砲弾を弾きながらゆっくり近づき四肢を一つずつちぎる

その姿を鮮明に見ていた

泣き叫び、悶え苦しむ仲間達を嘲笑い

ボロボロの長門に見せ付けているその姿を

 

 

思い出した瞬間長門は凍りつく

あれを再び経験させられると思うと

 

 

『……悪い、だが思い出せあの屈辱を

絶望を』

 

 

「…そう……だな

敗北とはあれを言うのだな」

 

 

長門は立ち上がると、インカムの回線を全ての艦娘へと繋ぐ

 

 

「各艦隊諸君聞こえるか?」

 

 

『長門さん!!こちら瑞鶴砂浜に多数の深海棲艦!

何とか応戦してるけど、提督と通じないの!!

どうなってるの!?』

 

 

『長門さん!こちら榛名!!比叡が被弾しまして介護してるところです!!援軍を!!』

 

 

「各艦隊諸君、落ち着いて聞いてくれ

今、我々は劣勢だ

それに加え、どうやら本命の戦艦棲姫は沖縄鎮守府に向けて航行中だそうだ」

 

 

それを聞いた艦娘達は言葉を失う

そんな状態でも長門は続けて話す

 

 

「だが、今小笠原鎮守府の第八部隊の三人が迎え撃っている」

 

 

『『『!!!!』』』

 

 

『そんな!無茶よ!!

相手は歴戦の可能性が高いやつ何でしょ!』

 

 

『何でそんなことしてるのでち!』

 

 

とインカムからは、様々な声が聞こえるが長門は全て聞き流しながら用件だけを伝える

 

 

「そして、提督からの命令だ

我々は、何とかしてこの状況から深海棲艦を壊滅させ

第八部隊と合流、戦艦棲姫を撃破せよとのことだ」

 

 

 

『無理よ…そんなの無理無理!!』

 

 

『これを突破して更に戦艦棲姫も叩け?馬鹿じゃないの!?』

 

 

インカムから聞こえる否定的な意見を聞きながら、長門はすぅと息を吸い込む

 

 

「なら!我々より不利な状態でも戦いを挑んでいる!!第八部隊の三人は何だ!!

愚かでも!!馬鹿とでも言いたいのか貴様ら!!!」

 

 

 

『……』

 

 

その言葉に、インカムから聞こえてきていた否定的な言葉は一気に消え静かになる

 

 

「我々が頑張らなくてどうする!!

我々がここで負ければ全てを失うんだぞ!!

鎮守府も友人も提督も未来も!!

全て!!」

 

 

『で、でもよ?この戦いが全ての終わりだなんてよ……』

 

 

「戦艦棲姫の目的は、島民の捕獲だ

それを盾にされ沖縄を落とす予定らしい

沖縄が全て落とされた後どうなるか分かるか?

奴等が、他の歴戦種達が補給も全て完了させ、我等の本土を急襲してきたとしてもか?」

 

 

摩耶がインカム越しに意見するが長門の言葉に再び口をつぐむ

 

 

 

「正直、我々に勝機はほとんどない

だがな、ここで我々がこれを為せば勝機はある

戦艦棲姫の進軍を止めれば、沖縄は落とされない

そこで勝ちだ」

 

 

そこまで言うと長門は叫ぶ

 

 

「今こそ!!我等の意地を見せてやろうじゃないか!!!

奴等を殲滅し!!勝利を手にしようではないか!!

それともここで殺られるのを待つのか!?」

 

 

『……やりましょう』

 

 

『…やってやろうじゃねぇか!!』

 

 

『……やるっぽい!!』

 

 

『第八部隊の三人だけ何て心配よねぇ~

行かないとね~!』

 

 

長門はその返事を聞くと微笑み磯風の手を取る

 

 

「行けるさ、私もな

私の腕を取ったんだ、それぐらい報いを受けてもらおうじゃないか」

 

 

「すまないな、怪我してるなか」

 

 

磯風は立ち上がり、長門を見ると艤装を構える

 

 

 

「暁の水平線に」

 

 

 

『『『『『勝利を!!!』』』』』

 

 

それを合図に、隠れていた者達は静かに戦闘準備をし始め、砂浜の者達も無理矢理にでも海に出て応戦し、砂浜からは空母達が艦載機を飛ばしていく

 

 

 






長くなってしまい申し訳ないです……


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開戦

ここから戦闘シーン多目です
表現下手でもお許しください……







「…古鷹、敵は?」

 

 

「もう少しで会敵するよ」

 

 

「……私、来ない方が良かったかしら?」

 

 

『だから、大井無理するなって……』

 

 

三人は、沖縄に向かってくる戦艦棲姫を迎撃するために宮古島に向けて航行していた

古鷹は水上偵察機を飛ばし、叢雲は艤装を構え大井は魚雷を準備していた

 

 

『各員、俺の指示にしたがってもらう

サポートは任せろ

叢雲、古鷹、大井付けろ』

 

 

「「「了解」」」

 

 

三人は、スカウターの電源を入れると佐渡もポケットからスカウターを取り出し電源を入れる

 

 

「佐渡」

 

 

佐渡が、映し出されている映像を見ていると唐澤から声をかけられる

 

 

「お前の艦隊はどれだけ足止め出来る?」

 

 

「……敵の実力にもよりますが十分は余裕です

それから先は流石に分かりません」

 

 

「そうか、それとその映像をモニターに映せるか」

 

 

「?可能ですが……」

 

 

「映してくれ」

 

 

佐渡は、スカウターからコードを取り出し、USBメモリに突き刺しパソコンで映像設定をすると大画面に三つの映像が流れる

それぞれ場所は違うものの見ている姿は同じのようだ

 

 

「……佐渡、私はお前を認めない」

 

 

唐澤はスカウターの映像を見ており、佐渡に言うと腕を組ながら佐渡に向き直り睨み付ける

 

 

「だから、我々に見せてみろ《天才》の才覚とやらを」

 

 

その声を聞きながらも、佐渡はパソコンを見ており集中している

 

 

「でしたら、戦闘が始まりましたら私の事を一切呼ばないでください

気が散ります

それと、そちらはそちらの情報をお願いします

これより、作戦に入ります」

 

 

「何だと?」

 

 

唐澤が佐渡を再び見ると、先程とは違い真剣というよりは集中状態に入っており何とも言えない雰囲気になる

 

 

『叢雲、古鷹、大井

これより、深海棲艦 戦艦棲姫の迎撃作戦に移行する

オペレーションは任せろ

全員しっかり従え』

 

 

 

「えっと提督…ですよね?

どうしたのです……」

 

 

「大井!!作戦中よ!!黙りなさい!!」

 

 

 

 

その言葉に、いつもの佐渡とは違う感覚がした大井は心配そうに訪ねるが叢雲に怒られてしまう

古鷹を見ると、指先を口元に当てている大井は何だろうと思いながら静かにする

 

 

『大井、戦艦が見えた瞬間雷撃を撃て当たらなくても構わん』

 

 

「舐めないでよ!私だって…」

 

 

『古鷹、敵との距離は?』

 

 

「後、二分近くで見えます」

 

 

『叢雲、いつも通りに斬り込め

距離をとればお前は死ぬと思え』

 

 

「了解よ佐渡」

 

 

大井はいつもと違う艦隊の雰囲気に押されながらも、指示に従う

少しの間沈黙が、続くが佐渡がカウントダウンを始める

 

 

『10、9、8、7、6、5、4……』

 

 

そのカウントダウンに、大井は唾をのみ叢雲は武器を鳴らし古鷹は主砲を構える

 

 

『3、2、1…』

 

 

佐渡が0を言う前に前方から何かが見える

こちらに向かってくる巨大な影がこちらに向かってくる

その映像を見ていた、提督たちも息を飲む

瞬間古鷹が叫ぶ

 

 

「敵確認!!!

数!!一体!!」

 

 

『大井!!!先制で食らわせてやれ!!!』

 

 

「!!

酸素魚雷!!行っちゃってよ!!」

 

 

 

 



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緊急任務 戦艦棲姫を迎撃せよ

そう言えば、この前イベントで初めて戦艦棲姫と会いましたが
硬いですね……
本当に…







大井は左腕を振り上げると艤装に付いている魚雷が全弾発射され真っ直ぐ戦艦棲姫に向けて海面を進んでいく

 

 

向こうもどうやら、三人に気付いたらしく戦艦棲姫が艤装に砲撃命令を出し艤装は肩の主砲で三人を砲撃する

その瞬間を見ていた、佐渡は直ぐ様命令を出す

 

 

『叢雲、大井はそのまま航行、古鷹は航行停止後右に避けろ』

 

 

「な!砲撃を受けているのよ!」

 

 

大井は、その指示に反発し避けようとするが叢雲が大井の腕を掴みそれを阻止する

 

 

「馬鹿!!従いなさい!!」

 

 

「従って!大井さん!!」

 

 

古鷹は停止すると、右に航行しながら右腕の艤装を構えている

すると空から先程敵艤装から撃たれた砲弾が二人めがけて飛んでくる

(直撃する!!)

大井は目を瞑るが、一向に当たる気配はなくその代わりに大井と叢雲の回りに全ての砲撃が落ち

二人は無傷である、古鷹の方も先程いた場所に砲撃が落ち全員無事である

 

 

「嘘……」

 

 

「行くわよ!大井!!!」

 

 

 

それを見た提督達から歓声が上がり、佐渡へと目を向け元帥が呟く

 

 

「これが、《戦闘の天才》か」

 

 

佐渡は、そんなこと気にせず三人から送られてくる映像のみを真剣に見ながら戦艦棲姫と艤装の分析を開始していた

 

 

『大井、叢雲と離れ戦艦棲姫と少し距離を保ちながら、古鷹と逆方向に航行

単装砲を準備、砲撃戦に入る

叢雲、後一分で奴に大井の魚雷が到達する

その瞬間、斬り込め

古鷹、艤装を構えながらもう少し奴に近付きながら、叢雲の援護まずは様子を見るぞ』

 

 

「「「了解」」」

 

 

戦艦棲姫は、先程の砲撃が外れたのが悔しかったのか再び撃とうとするがその瞬間自分の足下に魚雷が到達してしまい急いで艤装の肩に移動すると瞬間爆発が起きる

 

 

「良し!命中した!!」

 

 

大井がガッツポーズを取っていると水柱が消え戦艦棲姫を見るが全く効いていない

 

 

「嘘でしょ!?」

 

 

すると、戦艦棲姫がある程度まで近付いて来ると三人をぐるっと見渡すと口を手の甲で押さえながら笑い出す

 

 

「アハ、ナニヨコレ

コンナノデ私ヲ倒スツモリナノ?

舐メテルノカシラ?」

 

 

「へぇ?喋れるんだあんた?

分かってるくせに言ってくれるわね」

 

 

叢雲が、薙刀の様な艤装を持ち直し戦艦棲姫に斬りかかるがそれは意図も容易く戦艦棲姫の艤装の腕に止められる

 

 

「マァ、イイワムカッテクルナラ

シズミナサイ!!」

 

 

その言葉と、同時に戦艦棲姫の艤装が叢雲の艤装を弾き飛ばし左手の主砲を向ける

だが、叢雲は全く引きもせずに海上を走りながら戦艦棲姫に向かっていく

 

 

「バカナノカシラ?

沈メ!!」

 

 

戦艦棲姫の艤装が左手から主砲を撃つ瞬間、横からの砲撃が左手に直撃し叢雲の左を霞めていく、忌々しく砲撃の場所を見るとそこには右腕の艤装を真っ直ぐに構えながら静かに息を吐く古鷹が居る

 

 

「忌々シイ!!

《ケルベロス》!!!」

 

 

「ガァァァァァ!!」

 

 

ケルベロスと呼ばれた戦艦棲姫の艤装は咆哮と共に右腕の主砲を向け撃とうとするが、お次は反対側から魚雷が迫りケルベロスに直撃し体制を崩す

 

 

「クゥ!ウットウシイナ!!

ケルベロス!」

 

 

「あんたの相手は私よ!!」

 

 

 

そして、古鷹とは反対側に居る大井にも向けて左手の主砲を向け撃つ準備をするがその間に叢雲は既に戦艦棲姫の側まで来ている

 

 

「チィ!!ケルベロスコイツヲ叩キ潰セ!!」

 

 

ケルベロスは、両手を拳にし叢雲に向け殴るが叢雲はそれを寸前で後ろに交わし拳は水面に叩き付けられ水柱が上がるが叢雲はその叩き付けられた拳を上に乗ると腕を伝い戦艦棲姫へと向かっていく

 

 

「ケルベロス!握リ潰セ!」

 

 

それに気付いた戦艦棲姫はケルベロスに命じるともう片方の手で握り潰そうとするが叢雲はそれを避け高く跳躍すると腰の主砲を二門戦艦棲姫へと向ける

 

 

「沈むのはあんたの方よ!!」

 

 

「!!!」

 

 

叢雲が、主砲を撃つ瞬間ケルベロスが片腕で戦艦棲姫を庇った為主砲はケルベロスの腕に直撃するがやはり効果的なダメージを負わせることは出来なかった

叢雲はその後ケルベロスの肩を蹴り、後ろの海上へと着地する

 

 

「…かったいわねあれ」

 

 

叢雲は、そう呟くと再び主砲を戦艦棲姫を向けケルベロスは腕に纏わりつく煙を払い叢雲へと向き直る

 

 

 

 

 

 

 



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みんなの為に

佐渡率いる第八艦隊が、戦艦棲姫と戦闘を始め連合艦隊が多良間島で接戦を繰り広げている中沖縄鎮守府提督石澤は廊下でベンチに座り頭を抱えていた

 

 

自分のミスで、こんなことになってしまった 

何故もっとうまく出来なかったんだと自分を攻め続けていた

そうでもなければこんなことには……

 

ふと、外を見ると警報が鳴り響き元帥の声が聞こえてくる

 

 

『ただいま、この沖縄に深海棲艦 戦艦棲姫と言う怪物がこちらに進行しております

現在我々、海軍の艦娘達が食い止めております

ですが、万が一と言うこともありますので皆様には避難を呼び掛けております

海軍の者達の指示に従い順次避難をお願い致します』

 

 

外では、海軍所属の軍人達が沖縄の島民を港へと案内している

そこには、大和や大淀も参加し艦娘の力を生かして老体等を運んでいる

 

 

石澤は自分の不甲斐なさに、警戒の低さに怒りを覚え石の壁を殴り頭も打ち付ける

 

 

「すまない……すまない…」

 

 

誰に言うわけでもないだが、謝りながらズルズルと壁に頭を打ちながら床に座り込み涙を流していた

 

 

「提督」

 

 

不意に、声がするとそこには入渠しているはずの阿武隈が立っており全身に艤装を纏わせているが服は所々破け、右腕には擦り傷、魚雷発射菅に関してはほとんど駄目になっており両手の艤装は腰に付けていた

 

 

「阿武……隈…」

 

 

「こんなところでどうしたんですか?

またお仕事サボりですか?」

 

 

阿武隈は、石澤の手を取り立ち上がらせると優しく微笑む唖然とする石澤は直ぐ様涙を袖で拭う

 

 

「そんなことより!!お前達は逃げろ!!

ここに戦艦棲姫が……」

 

 

「知ってます、先程大淀さんにあって状況を聞きました

そして、提督にお願いがあります」

 

 

その言葉に、石澤は察し阿武隈の両肩を掴み声を荒くする

 

 

「駄目だ!!そんなことさせられない!!!

君達は充分に頑張った!!だから…」

 

 

そこで言葉が止まりつぐんでしまう

その姿を見て阿武隈は、外を眺めながら潮風に髪を揺らしている

 

 

「提督、私ねここが大好きなの

いつも提督がお仕事サボって妙高さんや那智さんに怒られるからって一緒に逃げて

お昼は皆でご飯食べて、海に遊びに行って、釣りしたりご近所さん達と雑談したり子供達と鬼ごっこしたりしてね

たまに喧嘩もするけど、すぐ仲直りして

妙高さんも瑞鶴さんもみんな頑張ってるのに私だけ逃げるなんて嫌」

 

 

「阿武隈……」

 

 

「だから」

 

 

阿武隈は、振り返り石澤を真っ直ぐみて決意を話す

 

 

「私の大切で大好きなこの場所を守りたい!

あんな奴何かに島民の皆の居場所を大切な物を奪われたくない!!

こんな私でも役に立てるのであればやりたいの!!」

 

 

決意の言葉を聞いた、石澤は頭を悩ませながら口を開こうとするがまたつぐんでしまう

 

 

「馬鹿者、一人で行かせるわけないだろ」

 

 

その声に驚き、石澤が振り返るとそこには

那智、龍驤、朧が艤装を纏わせながら立っていた

 

 

「お前達……」

 

 

「この鎮守府を島を深海棲艦なんぞに渡してたまるものか」

 

 

「ウチの飛行甲板はまだ使えるで!あの野郎に目にもの見せてやるさかい!!」

 

 

「私達の居場所を渡さない」

 

 

各々の決意を聞くが、やはり石澤は頷くことはない

 

 

「クソ提督……」

 

 

その声に驚き声の主を見るとそこには潮に抱えられながら脚を引きずりながらもこちらに歩いてくる曙の姿だった

 

 

「曙!!どうして!!!」

 

 

「ごめんなさい提督!!曙ちゃんがどうしてもって……」

 

 

曙の状態は変わっておらず、右腕は傷だらけであり左脚は少しだけ治っており、脹ら脛の半分は治ってきているが一人で歩くのは困難な状態だ

 

 

曙は痛みに耐えながら、歩いていくと石澤の事を指差す

 

 

「高速…修復材…頂戴

お金は天引きで良いから……」

 

 

「!!」

 

 

曙から言われた高速修復材とは傷付いた艦娘達をたちまち治すことの出来る万能薬

ただし、使いすぎればその副作用により廃人になりかねない危険な物でもある

そして、更に言うとこれは大破艦達にはもうひとつのリスクがある

それは治すと言っても再生機能を向上させるだけのため、欠損したものなどには通常では耐えられないほどの苦痛を味わう事になる

 

 

「だが……あれは…」

 

 

「クソ提督!!しっかりしなさいよ!!

私達は艦娘よ!!兵器なの!!でもね!こんな駆逐艦にも守りたいものがあるのよ!!

こんな!どこ言っても皮肉しか言えない駄目な駆逐艦でもあんたやこの鎮守府は迎えてくれた!!

だから!!私にも守らせなさいよ!!

ここをみんなの居場所を!!」

 

 

曙はそこまで言うと、痛みに耐えきれず苦痛に顔が歪む

石澤は皆の顔を見渡すと皆決意とやる気に満ちており、少し息を吐くと自分の頬を殴る

 

 

「提督?」

 

 

そして、大きく深呼吸をするとみんなに指示を出す

 

 

「では!お前達に命ずる!!宮古島近辺で戦闘を行っている第八艦隊と合流!!戦艦棲姫を迎撃せよ!!

曙には高速修復材の使用を許可する!!

我々の家を!!島を守るぞ!!!」

 

 

その命令に、阿武隈や那智達は微笑み敬礼をする

 

 

「「「「「「了解!!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁい、もしもし私よ

《ユリ》に早くその三人を仕留めないと沖縄の援軍が来るわよって伝えて~?』

 

 

 

「そうか、ご苦労

《エア》」

 

 

多良間島の沖に立ち黒い煙をあげている島を見ながらその深海棲艦は腰の滑走路から艦載機を発艦させると持っていた杖を思い切り海上に叩き付ける

 

 

「足掻いて見せよ

艦娘共」

 

 



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戦艦棲姫迎撃戦

 

 

「全く!!どんだけ固いのよあれ!!!」

 

 

叢雲は主砲を戦艦棲姫に当てようと撃ちながら、叫んでいる

先程から古鷹、大井、叢雲の三人は佐渡のサポートで無傷のまま何とか戦艦棲姫と艤装ケルベロスに対し優勢な立ち位置で戦えていた

叢雲が近接戦をしながら、古鷹、大井が中距離からの援護砲撃

だと言うのに、ケルベロスの異常な程の高い装甲に全く有効打を与えられていなかった

 

 

『確かにかなり固いなあれ』

 

 

「何とかならないの!?」

 

 

『叢雲!!来るぞ!!』

 

 

佐渡の指示に、叢雲は前を向くとケルベロスが左手で叢雲を殴ろうとしてきており艤装を使いそれを防ぐがかなり重く傷こそ負わなかったが海上を滑るように飛ばされるがすぐに持ち直し主砲を交互に撃つがまたもやケルベロスがそれを防いでしまう

 

 

「固イデショウ?コノ子ハネ特別製デネ

戦艦クラスノ砲撃ジャナイト倒セナイワヨ?」

 

 

戦艦棲姫は、ケルベロスの頬を撫でると指示をだし叢雲に砲撃し始める

両肩からの砲撃は、何とか交わした直後

 

 

『叢雲!!両手の主砲来るぞ!!飛べ!!』

 

 

佐渡の指示を聞きケルベロスを見ると、両手の主砲を構えており、叢雲は艤装を思い切り海に突き刺しその勢いで宙を舞う

その瞬間ケルベロスの砲撃が当たり先程まで居たところに砲撃が当たり水柱が上がる

 

 

『古鷹!!叢雲のカバーで奴の右足を狙え!!大井!左足に雷撃!!』

 

 

「「了解」」

 

 

 

宙を舞う叢雲をゆっくりとケルベロスは肩の主砲を構え狙いを定める

 

 

「飛ンデル最中ハ避ケラレナイワヨネ!!

吹キ飛バシナサイ!!ケルベロス!」

 

 

「ガァァァァァ!!」

 

 

叢雲は咄嗟に腰の主砲を二門構え戦艦棲姫へと向ける

ケルベロスが撃つ瞬間古鷹の主砲が右足に直撃し体制を崩す

そのおかげで、ケルベロスの砲撃は叢雲の頭と胴体の横を霞めただけで済んだ

 

 

「やらせないよ!!」

 

 

 

「コノ邪魔ナ奴ラメ!!」

 

 

 

戦艦棲姫は、古鷹を睨んでいるとお次は先程の大井が撃ってきた雷撃が左足に直撃し今度は左側に体制を崩す

 

 

「私の事も忘れてるんじゃないわよ!!」

 

 

「クソォ!!」

 

 

「ガァァァァァ!!」

 

 

ケルベロスは先程から何も出来ずにただ砲撃を受けており苛つきながらも両手の主砲を二人に構えるが

 

 

「あんたの相手は私だって言ってるでしょ!!」

 

 

主砲を二門構え、戦艦棲姫に向けて砲撃するが直ぐ様気付いたケルベロスがまたもやそれを防いでしまう

 

 

 

「ちぃ!またか!!」

 

 

 

そして、再び戦闘は膠着状態へと持ち込んでしまう

 

 

『そうだ、それでいい

無理をして倒す必要はないんだ

俺達の目的は時間稼ぎなんだからな…』

 

 

佐渡は、そう言いながら静かにスカウターに映る戦艦棲姫を見ていた

 

 

 



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戦艦棲姫迎撃戦 二

作戦本部では佐渡の第八艦隊の戦闘を他の提督達がまじまじと見ており一同唖然としていた

普通ならたった三人で足止めすら難しい戦艦棲姫相手に優勢な立ち位置でありながらも全員無傷と言う状態だったからである

 

 

「これが、《戦闘の天才》か」

 

 

猿橋はそう呟くと佐渡を見る、佐渡本人に関してはずっと動かずにスカウターに映る三人の見ている姿を何度も見直しながら指示を出している

 

 

 

この戦闘の天才とは、佐渡に付けられた海軍に来る前から付いていたアダ名である

佐渡は戦闘自体をあまり好んでいないのだが相手の初期動作と言動、状態から次に何をして来るかを確実に読むことが出来る

それに加え、今まで受けた戦術や作戦等も全て頭に入れており戦闘に関してはほぼ負けなしと言う物だ

 

 

「唐澤大将そちらはどうですか?」

 

 

「もう少しで、長門達が砂浜に到着する」

 

 

唐澤は長門の通信を聞きながら腕組をしていた

現在、長門達連合艦隊は多良間島の深海棲艦達の相手をしている状態であり砂浜の者達も被害は出ているが何とかなっているらしい

 

 

「佐渡少尉」

 

 

外に出ていた石澤が作戦本部に入ってくると、佐渡に近付く

 

 

「今、阿武隈達が出立した

二十分程度で第八艦隊と合流出来るはずだ

そして、私の艦隊を君に預ける」

 

 

その言葉に、作戦本部の者達はざわめく

位が上である石澤が下である佐渡に部下を預けるなんて通常ではあり得ないことなのだから当然だ

 

 

「君なら私の艦隊を上手く使えるはずだ

だから頼む!!私の《家族》を君に預ける!

奴を!戦艦棲姫を倒してくれ!!」

 

 

「…石澤大尉、それは違います

我々は奴を足止めしてるだけです、撃破ではありません」

 

 

佐渡は画面に集中しながらも冷静に返す

だが、口元を吊り上げにやける

 

 

「ですが、私達では役不足ですからね

石澤大尉に艦隊の支援をお願いしないと行けませんね

それを先に読んでくださるとはとても有り難いです

流石は石澤大尉です、私より上の御方だ」

 

 

 

「そ、そうだとも!!アハハハ!!

ではこれより我々の艦隊を第九艦隊として貴殿第八艦隊として合流させる!!」

 

 

「ありがとうございます!

石澤大尉」

 

 

 

その言葉の意味を理解した、石澤は佐渡に近寄り小声でささやく

 

 

「ありがとう」

 

 

「いえいえ」

 

 

『こちら砂浜に居る残っている艦隊!!

応答せよ!!作戦本部!!』

 

 

返し言葉をすると、瑞鶴から緊急入電が入り作戦本部の者達にも緊張がはしる

 

 

「どうした、瑞鶴」

 

 

唐橋は腕組をしながらインカムに話しかけると瑞鶴からとんでもないことを言われ、焦りを感じる

 

 

『突如として深海棲艦が多数通常からエリートに進化!!しかも倒しかけていた奴等まで回復してる!!

戦艦棲姫が何かしたの!?』

 

 

 

 

 

 

 

 



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戦艦棲姫迎撃戦 三

報告を受けた唐澤は佐渡へと向くが佐渡は頭を横にふり否定する

 

 

「瑞鶴、もう少し耐えてくれ

もう少しで長門達が到着する」

 

 

『りょ、了解!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは変わり瑞鶴が緊急報告をする少し前の多良間島砂浜

ここでは激戦が繰り広げられていた

空母達は砂浜から艦載機を飛ばし、海上では重巡達が奮闘していた

数少ない戦力では、ある程度の迎撃しか出来ず戦艦達の到着を待っていた

 

 

「何なのよ!!こいつら!!」

 

 

だが、しかし深海棲艦の連携により優勢とは言えなかった一番硬い戦艦を前に後ろから駆逐艦や重巡を置きゆっくりと進軍してきていた

 

 

「だけどさ、まだゆっくりなのが良いよな

何とか抑えられてるからさ……

まだかねぇ、妙高は!!」

 

 

「彼女達が来る前にはもう少し片付けて置きたいですよね!!」

 

 

 

隼鷹は、艦載機を飛ばしながら愚痴を溢していると隣に居る赤城に言われてしまう

 

 

「むぅ……夜戦なら得意だからこんなやつら余裕なのに!!」

 

 

「川内!無駄口叩かないの!この夜戦バカ!」

 

 

川内はむくれながら、敵ル級に対し砲撃していると隣居る高雄に言われてしまうがそんなこと気にしていないらしい

 

 

「素敵なパーティーしましょう!!」

 

 

 

「夕立!油断は駄目だよ!!」

 

 

 

夕立と時雨コンビは若干この状況を楽しみながら応戦していた

 

 

「ほらほら!!こっちにもいるでちよ!!」

 

 

「沈みなさい!!」

 

 

海中では、伊58と伊168が魚雷を発射しル級に直撃させるがやはり効果的なダメージにはなっていない

 

 

 

そんな戦場を見ながら瑞鶴は考えていた

(戦艦棲姫は宮古島、でも何でこいつらこんなに連携が取れているの?可笑しい……)

 

そう思うと瑞鶴は、真上に向けて弓を引く

 

 

「おい!瑞鶴!どこに撃つつもりだよ!!」

 

 

「この深海棲艦達の親玉を探すのよ!!

恐らくそいつはどっかでこいつらを見てるはず!!」

 

 

弓を放つと空高く三つの艦載機が飛んでいき飛べる限界まで高度を上げていく

だが、ル級が間を開けるとツ級達がそれを撃墜しようと顔を出すだがその瞬間を逃がさなかった

 

 

 

「今です皆さん!!

ツ級が顔を出しました!!一斉に叩きましょう!!」

 

 

綾波が指示を出すと海上に居る艦娘達が一斉にツ級へと向き直る

 

 

「うふふ、やっと顔を出したわねぇ~?」

 

 

「もー!アイドルが居るのに隠れてるのは良くないぞ!!」

 

 

「顔を出したわね!!潰してやるわ!!」

 

 

「先程から良くもやってくれましたね!!」

 

 

全艦娘は一斉に主砲をツ級に構えると、赤城が合図を出す

 

 

「全艦隊!!一斉射!!」

 

 

「「「「「撃てぇ!!!」」」」」

 

 

 

全艦娘からの一斉砲撃が撃たれると慌ててル級は自分の身を守ろうと盾の中に隠れるが肝心のツ級を隠すのを忘れてしまう

それに気付いたツ級も隠れようとするが既に遅く

砲弾は頭を貫通し穴からは血液が吹き出し、忌々しく撃っていた両手の高角砲は砲弾に当たり空へと千切れ吹き飛ばされていく

そして、胴体を貫きそのまま爆発を起こし、ル級達の連携が崩れてしまう

 

 

「ーー!!!」

 

 

突然の事に驚きを隠せずル級の一体が指示を出すが

辺りには、水柱が上がり近くにはツ級の物であった艤装の残骸が浮遊しており、他のル級達にも被害が出ており、盾を壊されている者もいれば腕が吹き飛びそこから血を出している者も居る

最早、連携は取れないほどの損害である

 

 

「やったぁ!!!」

 

 

「やりました!!」

 

 

「ざまぁみなさい!!」

 

 

「バカめと言って差し上げますわ!!」

 

 

 

「皆さんお見事です!!

ですが油断しないでください!」

 

 

 

ツ級撃破と深海棲艦の連携を崩壊させた事に喜ぶ一同であったが劣勢なことには変わらず再び艤装を構える

だが、これで制空権は有利へと運ぶ事であり空母達は密かに喜んでいた

 

 

 

 

 



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戦艦棲姫迎撃戦 四

瑞鶴が放った艦載機はツ級の妨害を受けることなく空へと上昇していく

途中、ヲ級達の艦載機と遭遇し二機落とされてしまったが一機だけを残し更に空へと向かっていく

そして、航空出来る限界まで達すると策敵を開始する

多良間島の砂浜にはル級や砲撃を可能とする者達が集まりその反対側では敵空母達が待機しており恐らくそこから発艦させているものだと思われる

 

 

「違うこんな所じゃない!!

もっと周囲を見ないと!!」

 

 

艦載機はゆっくりと沖合いへと航空しながら、辺りを見ていると多良間島と宮古島の中間辺りに何かが居ることを確認した

 

 

「何……あれ?」

 

 

その何かとは一切の装備をしておらず、かといって人間とは違い海上に立っていた

 

 

「艦……娘?いやだとしたら何であんなところに…」

 

 

するとその何かは、杖らしき物を海に叩き付けると再び動かなくなる

 

 

「一体、何をして……!!!」

 

 

一瞬寒気が全身を走る

実は一度だけ、瑞鶴はこの感覚を感じたことがあった、それは深海棲艦の姫級や鬼級が目の前で浮上、または生まれた瞬間である

(まさか、あれが親玉!?)

 

 

 

 

「瑞鶴さん!!敵の様子が!!」

 

 

 

そう考えている間に隣いた赤城が瑞鶴に呼び掛けると瑞鶴は目の前の深海棲艦達の群れを凝視する

目の前のル級達が一斉に動きを止めているのである

まるで、糸の切れた人形の様にうつむいている

 

 

「止まった…?」

 

 

「どういうこと?」

 

 

「あれじゃないの?仲間がやられてショックでも受けてるんじゃないの?」

 

 

海上に居る艦娘達は各々警戒を怠ってはいなかったが油断しきっていた

 

 

「先程、全身を駆け巡る様な寒気がしてからあんな感じです」

 

 

「動かないなら良い的じゃない?」

 

 

そんなことを言ってると興味心身に夕立が深海棲艦に近付いていく

 

 

「夕立!離れなよ!!」

 

 

「大丈夫大丈夫ー!動かないならもっと至近距離で当てた方が火力でるっぽいー!」

 

 

 

そう言い戦艦ル級に近付いていきある程度までの距離に近付くと主砲を構える

 

 

 

「ここで、活躍して提督さんに誉めてもらうっぽい!

よーく狙って……」

 

 

 

夕立が主砲を撃とうとゆっくり狙い撃つ瞬間深海棲艦達が震え始める

 

 

 

「全艦!!そいつらから離れて!!」

 

 

「夕立!!離れて!!」

 

 

「ぽいー!!」

 

 

 

時雨は夕立の首根っこを掴みながら離れていくと深海棲艦達が一斉に顔を上げ全員の目が真っ赤に染まり、損傷していた深海棲艦達がみるみるうちに治っていく

 

 

「嘘でしょ!!」

 

 

「あり得ない……

エリート化…現象…」

 

 

エリート化現象とは、戦っている際に追い詰められた深海棲艦が見せる火事場の馬鹿力みたいなもの

だが稀にしか起こらずそれがこんな全員一気に起こるなんてありえない

 

 

「さっきの奴!!」

 

 

瑞鶴は先程飛ばした艦載機をその何かに向かわせようとするが更に上から敵艦載機によって撃墜されてしまう

その艦載機は下降を続けゆっくりとその何かに向かっていく

 

 

 

「クソ!!なんなのよあいつ!!」

 

 

 

「瑞鶴さん!そんなことより!!」

 

 

瑞鶴がハッとすると目の前の惨状に気付く

先程までゆっくりと進軍していた深海棲艦達は勢いをまし連携など取らずに艦娘達を各個撃破しに向かっている 

 

 

「あいつは後ね!!」

 

 

砂浜に居る空母達は弓や各々の艤装を構え艦載機達を飛ばしていく

 

 

 

そして、先程の作戦本部への連絡を済ませ現在エリート化した40を越える深海棲艦と砂浜組は対峙していた

 

 

「こっのぉ!!」

 

 

「死にたい艦はどこかしら~?」

 

 

木曾は日本刀の様な艤装を使いル級の盾に挑み

龍田は薙刀の艤装でリ級の腕を切り裂いていた

だが、ル級は後ろに下がり、リ級は薙刀を片手で掴む

 

 

「うわっと!」

 

 

「嘘でしょ…正気?」

 

 

そして、その瞬間後ろから駆逐艦達の一斉砲撃を二人同時に受けてしまう

 

 

「いつの間に!!!」

 

 

「きゃぁぁぁぁ!!!」

 

 

木曾への砲撃は、脚と背中に直撃し脚は間接を撃ち抜かれ痛みにより膝を着いてしまうその瞬間にル級から蹴りを貰い吹き飛ばされる

龍田への砲撃は幸い背中だけではあったが服が破け背中には火傷の傷と共に多くの血が流れる

 

 

「ぐぅ……この…!!」

 

 

木曾は急いで反撃しようとするが、既に向こうは主砲を構えており既に砲撃体制だ

(やられる!!)

この状態から逃げられるわけも無く弾が来るのを待つばかりになるが

 

 

「仲間を!!傷付けさせません!!」

 

 

瞬間浜風が、主砲をル級の横から押し当てゼロ距離で砲撃をし何とか木曾への砲撃を防ぐが流石にゼロ距離での砲撃は砲主にも負担が大きく砲門事態が駄目になってしまい使い物にならなくなる

 

 

「木曾!大丈夫ですか!!」

 

 

「あ、あぁ浜風ありがとう…」

 

 

ゼロ距離から砲撃を受けたル級は撃たれた場所を押さえながらも浜風達へと砲門を向け砲撃を撃ってくる

 

 

「さっきより酷い劣勢だな!!こりゃ!!」

 

 

 

「つべこべ言わずとっとと飛ばす!!」

 

 

空母達も必死になりながら艦載機を飛ばしては居るが全く追い付かない程に敵の攻勢が止まない

 

 

「このままじゃじり貧だ!!」

 

 

「瑞鶴!!何か無いのか!!」

 

 

「わっかんないわよ!!そんなこと言われても!!」

 

 

だが、ここで最悪の事が起きてしまう

ル級達の後ろから何かがこちら向けて航行してくる

 

 

「……増援…」

 

 

そう、先程まで多良間島の反対側に居た敵空母艦隊とその護送艦達である

この状態でもキツいのに更に増援、最早万事休すに追い込まれる

 

 

「こ、来ないで!!」

 

 

そんなこと考えているうちに佐伯鎮守府の霞が大破を起こしており艤装がほとんど壊れ右足が真っ赤に染まっており足を引きずりながら目の前からゆっくり歩いているリ級と対峙していた

 

 

「霞今助けるわ!!!」

 

 

「霞ちゃん!!」

 

 

「霞!!」

 

 

足柄、吹雪、霰がその援護に回ろうとするがル級達はそれを逃がさず一斉に砲撃をし三人の進行を妨害する

 

 

「全艦!!霞の援護に回って!!

轟沈艦なんて出すわけには行かないわ!!!」

 

 

瑞鶴の指示を皆が聞いては居るがそんな状態ではないほどに深海棲艦の攻勢が激しく人の事を構ってる余裕がない

 

 

「いや、いやぁ!!!」

 

 

そんな状態でも、霞の危機は迫りつつあった

 

 

「こんのぉ!!」

 

 

瑞鶴は、弓を引き絞り何とか艦載機を飛ばそうとするがどう考えても間に合うわけがない

 

 

「やめてぇ!!」

 

 

「いやぁぁぁ!!!」

 

 

リ級が頭を押さえながら死を恐がる霞を見ながら嘲笑うとゆっくりと両手の主砲を構え轟沈(ころ)そうとする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全砲門一斉射!!!

撃てぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

 

その大きく猛々しい声が砂浜の空母達の後ろからその声は響き渡り空へと大量の砲弾が降り注ぐ

 

 

 

 





次回予告

合流

何となく書いてみました☆ミ
許してください書いてみたかったんです!!



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戦艦棲姫迎撃戦 五

その声と砲撃音に驚いた深海棲艦達は一斉に砂浜を見ており各々自分達に向けられた砲弾を避けるのに必死になる

対してその言葉に艦娘達は驚き砂浜の奥を見ているとそこには息を切らしながら肩で息をしている長門率いる戦艦達の姿があった

 

 

だが、瑞鶴達が言葉をかけるよりも速く何人かの戦艦達は空母達の横を走り抜けていき直ぐ様海上へと行くと全力航行をし自分達の艦隊の仲間の元へと急ぐ

 

 

先程の砲撃で怯んでしまったリ級は再び砲撃をしようと霞へと砲門を向けると目の前から戦艦の一人が突っ込んでくる

 

 

「気合い!!入れて!!守ります!!!

当たってぇ!!!」

 

 

戦艦比叡は、四門ある主砲を全てリ級へと標準を合わせ一斉に砲撃すると全弾着弾し、リ級の両腕と右顔に直撃し爆発を起こし腕を空に吹き飛ばしながらリ級は煙を上げて倒れていく

 

 

「良し!!命中!!」

 

 

比叡は、拳を握り締めながら霞の前に立ち塞がる

その光景に霞はおろか足柄、吹雪、霰も呆然としていた

すると比叡は霞へと振り返り手を差しのばす

 

 

「霞ちゃんごめんね遅くなってしまいました!

これより、比叡貴女達を全力で守りますから!!」

 

 

「比叡…さん……

ごわがっだよぉ!!!!」

 

 

 

比叡は頭に傷を負っているのか頭から少し血を出しながら霞達へと声をかける

その言葉に霞は涙を溜めながら、比叡の胸の中へと飛び込み大泣きする

 

 

「いやーごめんごめん遅くなったわ~」

 

 

その後をのんびりと北上は航行しながら、吹雪、霰、足柄達へと合流する

 

 

「随分と遅いじゃないの?北上」

 

 

「ちょっと道に迷っちゃってね~」

 

 

相変わらず、のんびりとマイペースな北上ではあったが、この現状を見てどんな状態かは把握する

 

 

「にしてもお疲れ様~こりゃー凄いねぇ」

 

 

「はい、こちらが劣勢のままです…」

 

 

「ま、これから勝てるっしょ~」

 

 

北上はのんびりとした口調で話していながら各々の艦隊達へと目にかける

 

 

「勝手は!!榛名が!!許しません!!!」

 

 

「良くも仲間をやってくれたわね!!

食らいなさい!!!」

 

 

榛名とローマは、負傷した龍田と那珂の前に立ち塞がり目の前のル級達へと砲撃をしており

 

 

 

 

「良くも私達にこんな罠を仕掛けてくれましたね!!

許しませんよ!!全門斉射!!」

 

 

 

 

霧島は、筑摩達と合流し目の前にいるリ級とハ級達へと砲撃を開始しており

 

 

 

「仲間が世話になったみたいだな、許しはしない!!

撃てぇ!!」

 

 

日向は、傷付いた木曾達を庇いながら砲撃しており

 

 

 

「全く、何で私はこんなに不幸なのかしら

それもこれもあんたたちのせいよ!!

沈めぇ!!!」

 

 

山城は、損傷した摩耶を見てため息と共にその鬱憤ばらしの様に主砲をチ級達へと撃っていく

 

 

 

「作戦は良かったがお前達はここで終わりだ!!」

 

 

ガングートは煙草を吸いながら、羽黒達と合流しル級達へと砲撃を開始している

 

 

 

そんな光景を見ながら、瑞鶴は唖然としていた

さっきまでの劣勢が嘘のようにこちらが少しずつ押してきているのだから

 

 

「すまない、瑞鶴

遅くなった」

 

 

長門は、磯風を背負いながら瑞鶴へと走り近付いていく

 

 

「いえ!お待ちしておりました!!

長門さん!」

 

 

瑞鶴は、思わず敬礼をしてしまい

それをみた長門はクスッと笑ってしまう

 

 

 

「辞めてくれ、罠に嵌まったバカな戦艦なのだから……

そんなことより戦況を教えてくれ」

 

 

「はい!では…」

 

 

瑞鶴は、今までここで起きた事を説明した

深海からの奇襲、連携、そして謎の人影、エリート化について全て

それを聞いた長門は少し考え込む

 

 

「艤装を持たない何か……気になるな

だが今は奴等を片付けなくてはな…」

 

 

長門は、磯風を下ろし赤城へと任せると海上へと歩いていき大声で指示を出す

 

 

「これより!!我々の合流と共にこの多良間島を深海棲艦から脱却し!!急ぎ戦艦棲姫の迎撃に当たる!!!

まずは、目の前の敵に集中せよ!!!

行くぞ!!!連合艦隊!!全艦気合いを入れ直せ!!!」

 

 

 

「「「「「了解!!!」」」」」

 

 

 

すると、長門はインカムの向こう側にいる唐澤に連絡を取る

 

 

「提督、こちら戦艦組

砂浜の者達と合流

奴等の殲滅に取りかかる」

 

 

 

『了解、任せたぞ長門』

 

 

そう言うと、インカムを切り深呼吸をする

 

 

 

「長門、行きましょ?」

 

 

 

隣にいる陸奥が長門に話しかけると頷き主砲を構える

 

 

「行くぞ!奴等を倒し!!戦艦棲姫を仕留める!!」

 

 

 

 

 




次回
  
海上要塞





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戦艦棲姫迎撃戦 六

唐澤は、長門からの報告を聞くと一段落したと安堵の溜め息をつく

それを聞いていた佐渡は理解し、三人に報告する

 

 

「お前達、そちらに沖縄鎮守府からの増援と多良間島の連合艦隊が合流

俺達が頑張れば勝てるぞ」

 

 

 

『へー!良いニュースね!

でもそれまで持つかしらね!!』

 

 

 

 

 

 

ここは宮古島近海、叢雲率いる第八艦隊が戦艦棲姫と戦っており戦況は良くは無いが何とか足止め出来ていた

 

 

「…流石にキッツいわね」

 

 

 

叢雲は、主砲を構えながら薙刀みたいな艤装を握り直すと目の前の戦艦棲姫と艤装ケルベロスを睨み付ける

どうやら向こうはかなりの余力を残している見たいらしく佐渡が警戒している戦艦棲姫の腰の艤装は一切触れていない

 

 

「渋イワネ?ソロソロ落チタラドウナノ?」

 

 

 

「はっ!先にあんたが家に帰ったらどうなのよ!

今なら追撃しないわよ?」

 

 

 

叢雲のその言葉にピクンっと戦艦棲姫は反応し艤装のケルベロスを見る

ケルベロスは以前変わらず、口を半開きにしながら荒く息をしている

 

 

「……ソウネ、私達ニハ負ケハ許サレナイ…」

 

 

 

戦艦棲姫はそう呟くと、ケルベロスの肩に乗ると叢雲に向けて突っ込んでくる

 

 

 

「オ前達ヲ!!沈メテ私達ハ先ニ進マセテ貰ウワヨ!!」

 

 

 

「ガァァァァァァ!!!」

 

 

 

「かかってきなさい!!何度でも止めてやるわよ!!」

 

 

ケルベロスは、肩の主砲を撃とうと標準を叢雲に向けるが瞬間大井と古鷹に両サイドから砲撃を受け爆発を起こし煙に包まれる

 

 

「ケルベロス!!私ヲ守ルナ!!全力デ行ケ!!」

 

 

 

「ガァァァァァァ!!!」

 

 

その言葉と共に、ケルベロスと戦艦棲姫は煙を突っ切り叢雲と対峙する

叢雲はやはりそう来たかと思いながら叢雲も艤装を握り直すとケルベロスへと突っ込んでいく

 

 

「撃テェェ!!」

 

 

「ガァァァァ!!!」

 

 

戦艦棲姫の合図と共に肩の4連装主砲を叢雲に放つが、急停止して何とか目の前で砲撃を避け水飛沫を突っ切りケルベロスへと向かい出す

 

 

「何ダト!?」

 

 

戦艦棲姫は、あまりにも無謀な戦い方をする叢雲に驚きながらもケルベロスへと指示を出す

 

 

「ケルベロス!!」

 

 

「ガァァ!」

 

 

突っ込んでくる叢雲に対し、右手の拳を握り締め叩き潰そうとするがケルベロスに対し叢雲は小さく意図も容易くその拳を避け腰の主砲を戦艦棲姫へと向ける

 

 

 

「食らいなさい!」

 

 

 

だが、ケルベロスは左手で叢雲を捉えようとしてくる

 

 

「分かってたわよ!!」

 

 

叢雲は、瞬間主砲を左手に構え撃つが全く止まる勢いがなく持っている艤装を左手に突き刺す

 

 

「グガァァァ!」

 

 

あまりの痛みに左手を引っ込めているうちに艤装を引っこ抜き叢雲は再び距離を取る

 

 

『流石はうちのエース』

 

 

「茶化さないでよバカ」

 

 

叢雲は、血の付いた艤装を振り血を払うと海上へ赤い血が撒き散らされる

 

 

 

「オ前、本当ニ駆逐艦カ?」

 

 

あまりにも戦闘馴れしている叢雲を睨み付けながら戦艦棲姫は痛みに耐えているケルベロスを撫でている

 

 

 

「えぇ、ただのそこら辺に居るような駆逐艦よ?」

 

 

 

「ソウハ見エナイガナ……」

 

 

 

「あら?褒めてくれるの?素直に受け取っておくわ」

 

 

戦闘が再び膠着していると一機の艦載機が戦艦棲姫の頭の上から急降下してくる

 

 

 

「アイツノ艦載機……何ダ?」

 

 

 

叢雲は、艦載機を警戒するがどうやらただの連絡の様な物だったらしく戦艦棲姫の目の前を通りすぎると直ぐ様どこかへと飛び去ってしまう

 

 

「………仕方ナイカ、私モヤラナイト通レソウニ無イシナ

余リ手ノ内ヲ見セルノハ良クナイノダガナ」

 

 

その言葉と共に戦艦棲姫は腰にある艤装に手を伸ばすと、艤装がまるで吸い付く様に両手にはまりその主砲を叢雲達へと向ける

 

 

「サテト、オ遊ビハココマデダ 

覚悟シテモラオウカ

艦娘共」

 

 

『…叢雲気合い入れ直せ

これからが本番だ』

 

 

 

「えぇ、この要塞を何とか足止めしないとね……

古鷹!!大井!!行くわよ!!」

 

 

「やってやろうじゃないの!!」

 

 

「援護は任せて!!」

 

 

 

 





次回 


接戦



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戦艦棲姫迎撃戦 七

戦艦棲姫の主砲ですが、簡単に説明すると重巡リ級の砲門を直接腕に付けたような感じです
ですが、威力は41㎝砲並みです




 


その場にいた三人は再び気合いを入れ直すと、佐渡もインカムの向こう側でほほを叩く

 

 

「沈ミナサイ!!」

 

 

先に動いたのは戦艦棲姫が指揮するケルベロスであり、ケルベロスは片手の主砲を叢雲へ向け撃つ準備をすると

叢雲は、それに立ち向かい真っ直ぐに突っ込んでいく

 

 

 

「私モ居ルノヲ忘レルナヨ!!」

 

 

 

その瞬間、戦艦棲姫は右手の主砲をケルベロスより先に撃ち込むが叢雲は右へ左へ軽快にステップをしながら避けていく

だが、戦艦棲姫はわざと叢雲の目の前の海面撃ち抜き視界を奪う

 

 

『叢雲!!真っ直ぐ左に避けろ!!左の主砲から来るぞ!!』

 

 

佐渡に言われた通りに急停止から左に避けると先程立っていた場所の少し右側へとケルベロスから砲撃が当たり、怯まずに再び戦艦棲姫へと突っ込んでいく

 

 

 

「コレデモカ!!ケルベロス!!」

 

 

 

「ガァァ!!」

 

 

 

ケルベロスは、全砲門を全て叢雲へと標準を合わせ一斉に砲撃を構えてくる

舌打ちをしながら、速度を上げ何とかケルベロスの懐に飛び込もうとするが

 

 

「来サセナイワヨ!」

 

 

戦艦棲姫の援護砲撃が叢雲に向けて放たれるが何とかギリギリで交わしてはいるがやはり追い付かない

ケルベロスが砲撃を撃つ瞬間、ケルベロスの肩の主砲を正確に砲撃してくる者がいた

 

 

「グラァ!!」

 

 

ケルベロスはその砲撃の方角を向くとそこには、右手を真っ直ぐにケルベロスへ向け捉えている古鷹の姿があった

 

 

「簡単には……やらせないよ!!」

 

 

 

古鷹は、右手を真っ直ぐにケルベロスに向けながら少しずつ距離を詰めていく

 

 

 

「厄介ダナ!撃チ抜ケ!!」

 

 

 

戦艦棲姫は、ケルベロスへと指示を出し古鷹を撃たせるが古鷹はほんのすこしだけ動き自分に着弾する弾だけを正確に撃ち落としていく

 

 

 

「バカナ!!アリ得エナイ!!」

 

 

 

「私にばかり構ってて良いの!」

 

 

古鷹の言葉に気付くと、戦艦棲姫は叢雲が居ることを思いだし砲撃を構えようとするが何かに当たり出来なくなる

 

 

「運の良い奴!!」

 

 

それは叢雲の艤装であり、戦艦棲姫へと振り下ろされており間一髪で戦艦棲姫の艤装に当たり防ぐことが出来た

 

 

「私を…忘れないでよ!!」

 

 

だが、その瞬間ケルベロスの背後に回り主砲を撃っているが鎧を来ているせいかやはりほとんど効果は無い

 

 

「くっ!!だったら雷撃ならどうなの!」

 

 

『馬鹿!!大井!』

 

 

 

佐渡の静止も聞かずに大井は主砲を下ろし、魚雷を発射させると叢雲はそれを確認すると少し戦艦棲姫から離れる

戦艦棲姫もそれに気付きケルベロスへ指示を出す

 

 

「ケルベロス!!」

 

 

「ガルァ!!」

 

 

ケルベロスは、大井の方角から来る魚雷を確認すると自分に着弾する前に水面を殴り魚雷を全て海上へと飛び出させる

 

 

「嘘でしょ!?」

 

 

『叢雲!!空中に魚雷が来るぞ!!

避けろ!!』

 

 

次の瞬間、ケルベロスは飛び出た魚雷を全て掴むと離れていた叢雲に全て投げ付ける

流石に驚いた叢雲だが、冷静に飛んでくるそれを避けようとするが

 

 

「甘イワネ!」

 

 

戦艦棲姫はその飛んでくる魚雷へ砲身を構え、正確に全ての魚雷を全て撃ち抜き強制的に爆発させる

その瞬間叢雲は、両腕と艤装で爆発から身を守ったが爆風に吹き飛ばされる

 

 

「くぅ!!」

 

 

『叢雲!!大丈夫か!?』

 

 

吹き飛ばされた、叢雲だが自身か軽いお陰なのか幸い艤装が軽く壊れた程度と両腕の軽い火傷で済んでいた

 

 

 

「問題ないわ、まだ行けるわよ!!」

 

 

「相変ワラズ可笑シイワネ貴女」

 

 

「あら?こっちを見ていて良いの?」

 

その言葉に気付き振り返るとそこには主砲を構えた古鷹が真っ直ぐ戦艦棲姫を捉え静かに正確に砲撃を開始しており、ケルベロスの頭部を撃ち抜いていた

 

 

 

「グラァァァァァ!!!」

 

 

 

ケルベロスの後頭部と首の付け根に当たり痛みの余りケルベロスは叫び声を上げ着弾した場所を押さえる

着弾した場所は鎧がなく、砲弾により真っ黒に焼け焦げながら血を流していた

 

 

「コイツ…!!」

 

 

戦艦棲姫は、直ぐ様反撃を開始し古鷹へ何発か砲弾を撃つと足元に当たり体制を崩してしまう

一進一退の攻防を繰り広げていると、インカムから再び佐渡からの指示が通る

 

 

『古鷹!そのまま援護砲撃!

大井!雷撃を止め主砲で応戦!

叢雲、いつも通りに暴れろ!!』

 

 

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 






次回

コード


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戦艦棲姫迎撃戦 八

指示と共に叢雲は、戦艦棲姫へと向かい突っ走り二人はある程度の距離を取りつつ砲撃をしている

 

 

「……ソロソロ本当ニヤバイナ」

 

 

戦艦棲姫は時計を艤装から取り出し、直ぐにしまうとケルベロスの肩に乗り始める

 

 

「ケルベロス!!叩キ潰セ!!」

 

 

「ガァァァ!!!」

 

 

向かってくる叢雲へ命ずると戦艦棲姫も主砲を構え迎撃体制を取るがそれ同時に援護している二人を見るとニヤリと笑う

 

 

「ソウ言エバ叢雲ト言ッタカオ前」

 

 

「それが何!!」

 

 

主砲を構え、ケルベロスに向かい走る叢雲に戦艦棲姫が話しかけてきており主砲を叢雲とは別の方角へ向ける

 

 

『!!

古鷹!大井のカバー!!』

 

 

佐渡からの不穏な指示を聞くと、叢雲は勘づき急いで主砲を戦艦棲姫へ向け砲撃をするがケルベロスがそれを阻む

古鷹も全速力で大井のカバーをしようとするが間に合わない

 

 

 

「アンタノ仲間ノ一人ハ使イ物ニナラナイミタイネ!!」

 

 

 

戦艦棲姫は、大井へと主砲を構え両腕で砲撃をすると佐渡の声がインカムから大声で聞こえ大井は避けようとするが

 

 

『大井!!避けろぉぉぉ!!』

 

 

「きゃあぁぁぁぁ!!」

 

 

戦艦棲姫は、正確に大井の足と胴体を撃ち抜き大井は被弾してしまう

足は幸い艤装に当たり爆発を起こしただけだが、鋭い痛みに襲われ海面に膝をついてしまう

胴体に関しては円を書くように服が破け、所々火傷の後がある

服の艤装によるセーフティが働き最小限の損傷に押さえていたが艤装はボロボロであり状態は中破である

 

 

「ヤハリ、ソイツハオ前達トハ違ウナァ?」

 

 

「あんた!!」

 

 

叢雲は、古鷹が大井のカバーに入るのを確認すると戦艦棲姫に単艦で突っ込んでいく

 

 

「援護モ無シニ来ルノカ

愚カ者メ!!」

 

 

「黙れ!!沈めてやるわ!!」

 

 

『大井!大丈夫か!?』

 

 

「問題ありません…

まだやれます…」

 

 

佐渡からの言葉に痛みを耐えながら立ち上がり、古鷹と共に砲撃を構えるがやはりふらついてしまう

 

 

『古鷹、大井の状態は?』

 

 

「良くありません

これ以上の戦闘は困難かと……」

 

 

 

古鷹は主砲を構えながら、大井の肩を支えると大井は唇を噛み締める

目の前では、叢雲が戦艦棲姫とケルベロスの相手をしているが全くダメージを負えさせてないのを見える

 

 

「もっと……強くなりたい…

二人に迷惑かけないほどには……」

 

 

大井の言葉に、古鷹は微笑みながら叢雲を見る

 

 

「私も……強くなりたいな」

 

 

その言葉に大井は驚きを隠せない

今でも充分強いのに、何故こんなことを?

そんなことを考えていると二人の目の前に、叢雲が吹き飛ばされて来る

 

 

「いったいわね!!!」

 

 

 

叢雲は、主砲を構え戦艦棲姫に撃つがケルベロスが手で防いでしまうと舌打ち君に立ち上がる

 

 

「あぁ!!うざったいアイツ!!

何とかあれを引き剥がせないかしら!?」

 

 

頭をかきむしりながら、考えていると古鷹が指をさしながら叢雲に提案する

 

 

「……戦艦棲姫とケルベロスを繋ぐ首のコード

あれ撃ち抜けないかな?」

 

 

古鷹の指先を見ると、確かにケルベロスと戦艦棲姫の首はコードで繋がっておりそのコードはそこまで長くない

確かに二人はある程度の距離から離れようとはしないが恐らくあれが原因であろう

 

 

「……やってみる価値はあるわね?」

 

 

叢雲は古鷹、大井の順番に頷くと再び走り出し艤装を展開し主砲をケルベロスへと撃ち始める

 

 

「私が隙を作る!!古鷹頼んだわ!!

大井!無茶しないで休んでなさい!!」

 

 

 

その合図と共に古鷹は、叢雲の後ろで主砲を構え、大井はフラフラとはしているものの立ち上がり主砲を構える

 

 

 

 

 

 






次回


首輪



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戦艦棲姫迎撃戦 九

叢雲は、主砲を撃ちながら戦艦棲姫へと向かっていくが当然戦艦棲姫とケルベロスは応戦するために砲撃を撃ってくるが何とか避けながら再び懐まで入り込むと艤装を構え再び近接戦闘へと持ち込む

 

 

「チィ!!ケルベロス!!」

 

 

「ガラァ!!」

 

 

ケルベロスは、叢雲を捕まえようとするが相変わらずの身のこなしと軽さで軽々と避けていくが今回だけは違った

 

 

「私モ居ルノヨ!!」

 

 

今回から戦艦棲姫も近接戦闘をするが、叢雲には遠く及ばない

ゼロ距離での砲撃すら避け、こちらに向け砲門を合わせてそれを避ける

砲弾はほとんどケルベロスに当たるが全く傷を受けていない

だが、叢雲の目的は戦艦棲姫よ首の後ろに繋がってるコードでありそれを何とか前に出そうとするが上手くいかない

 

 

「ケルベロス!!」

 

 

「ガァ!!」

 

 

ケルベロスは、指示を聞くと身体を震わせると着ていた鎧を脱ぎ捨てる

重い鎧は海に沈んで行くと瞬間ケルベロスの動きが更に速くなる

 

 

「まだ速くなるの!!」

 

 

叢雲は、少しだけ離れようとするがケルベロスはそれを逃さずに間髪入れずに拳を当てようとしてくるが何とか避けた先にすぐにもう片手での拳がくる

 

 

「クソ!!」

 

 

艤装を突き立て、もう片手の拳を止めるのだがその時点で大きく隙が生まれてしまい戦艦棲姫はそれを逃がさなかった

 

 

「ヤット隙ガ出来タワネ?沈ミナサイ!!」

 

 

「しまった!!」

 

 

今片手と主砲は使えるがそれを戦艦棲姫に当てられる状態ではないが叢雲は主砲を海面に向けると両方同時に撃ち宙を舞うと同時に戦艦棲姫からの主砲が海面に当たり水飛沫が上がる

だが、ケルベロスはそれを逃さずに叢雲を片手で捕まえ握り締める

 

 

「ハハハ!!!捕マエタゾ!!」

 

 

「ぐぅ!」

 

 

『叢雲!!』

 

 

ケルベロスは、握り締める手を強めながら叢雲を握り締めていく

その痛みと苦しさに思わず声を出すが、叢雲は古鷹を見ると首を立てにふる

その意味が分かったのか、古鷹は静かに動き始めている

 

 

「ケルベロス!!ソノママ握リ潰シナサイ!!」

 

 

「ガァ!!」

 

 

「ぐぅぅぅ!!」

 

 

叢雲は、徐々に絞められていく手の中で苦しさに耐えながら声を抑えるがケルベロスの力が強く背中の艤装からのギギギと嫌な音も聞こえてくる

 

 

「アハハハ!!捕マエレバコッチノモンダ!!

ソノママリンゴノ様二粉々ニシテアゲル!!

ヤレ!!ケルベロス!!」

 

 

 

「ガァァァァ!!!」

 

 

 

戦艦棲姫は、今まで苦労をかけさせられたのがそんなに辛かったのか叢雲を握り潰すことに集中してしまい肝心の二人の存在を忘れていた

 

 

『古鷹!大井!!急いで叢雲を……』

 

 

「馬鹿…司令…官……ちょっと…黙り……なさい…よ……!」

 

 

握り締められながら、叢雲は笑顔を浮かべていると戦艦棲姫の顔から笑みが消える

 

 

「……何ヲ笑ッテイル?Mナノカ?」

 

 

「ちっがう……わ…よ!!

あん…た…忘れ…てない?」

 

 

その瞬間、ケルベロスと戦艦棲姫の間を砲弾が通り、二人を繋げていたコード正確に撃ち抜くとコードは焼け落ちそしてケルベロスの手が開き叢雲は解放され

ケルベロスは、機能を停止したのか両手を下ろし糸が切れた人形の様に項垂れる

 

 

解放された叢雲はむせながら距離を離しながら古鷹達と合流する

 

 

「もう!叢雲無茶しすぎだよ!!」

 

 

 

「流石……ですけど

大丈夫なんですか?」

 

 

 

「あれぐらいあいつの鍛練に比べたら平気よ

さぁてと?これで1対3ね?

どうする?戦艦棲姫

あんたのご自慢の艤装は動かないわよ?」

 

 

戦艦棲姫は首の後ろのコードを掴み断面図を見ながら驚いている

 

 

「……ソコカラコレヲ狙ッタノカ?

恐ロシイ奴ダナ…

賞賛シヨウソシテ」

 

 

戦艦棲姫は一息付くと、ケルベロスから少しずつ離れていき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アリガトウト言ッテオコウ

馬鹿共メ」

 

 

 

その言葉と共に微笑みながら、首のコードを外しケルベロスへと向き直る

 

 

 

「サァ!!ケルベロス(凶犬)ヨ!!オ前ノ枷、首輪ハ取レタゾ好キニ暴レロ!!」

 

 

 

 

 

 

 





次回


ケルベロス(凶犬)

いつから艤装は単体で動かないと錯覚していた?

 


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戦艦棲姫迎撃戦 十

「何!?」

 

 

三人は揃ってケルベロスへと向くと先程まで動きをやめていたケルベロスは口を開き唾液を垂らしながらキレイな歯をカチンカチンとならし、こちらを睨み付けており今すぐにでもこちらに突っ込んで来そうだ

 

 

 

「くそ!!古鷹!大井!

戦艦棲姫をお願い!私は…」

 

 

 

「ガァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

 

 

そう言い叢雲が軽く動いた瞬間に、辺り一体に響き渡るような程の大声でケルベロスが叫び思わず三人は耳を塞ぐ

 

 

「っ!うるさいわね……」

 

 

『叢雲!!前を見ろ!!来るぞ!!!』

 

 

叢雲はかろうじて前を見るとすぐ目の前までケルベロスは突っ込んで来ておりこちらに口を開きながら爪で引き裂こうとしてくる

 

 

「いつの間に!!しかもさっきより速い!」

 

 

叢雲は逆に懐に入り込み艤装を腹に突き刺すが、先程より固くなっており刺さらず弾かれてしまいならばと刃の部分を使い流すように切ると股下から潜り抜ける

 

 

「さっきより固い!!嘘でしょ!」

 

 

「ガルァ!!!」

 

 

潜り抜けた瞬間、ケルベロスも気付き直ぐ様振り向き叢雲へと両拳を振り上げラッシュの様に殴り付ける

何とか寸前で交わしては居るが先程よりも速く一撃だけ避けきれずに腰の艤装に当たり体制を崩してしまいふらつく

 

 

「しまっ!」

 

 

「グラァ!!」

 

 

それをケルベロスは逃がさずに、体制を崩した叢雲に対し拳を腹部へと当てそのまま吹き飛ばす

 

 

「がはっ!ゲホッゲホ……」

 

 

「ガァ!!」

 

 

ケルベロスの一撃をもろに受けてしまい、かなりの距離を吹き飛ばされて苦しさのあまりむせているがケルベロスの猛攻は止まずに再び叢雲へと突っ込んでいく

 

 

「叢雲!今援護を……」

 

 

「オ前ノ相手ハ私ヨ!!」

 

 

叢雲の援護に走ろうとする古鷹に向け戦艦棲姫は近付き砲撃をし動きを止める

 

 

「手ノ内ヲ晒スノハイケナインダケ……

アリガトウネ、コノコードハ私デハ切ル勇気ガナクテネ!!

奴ハ完全自立型ノ特別性ナノヨ

私ノ最後ノ奥ノ手ダケド仕方ナイワ

アンタタチヲココデ沈メテカラユックリ沖縄ヲ落トサセテ貰ウワヨ?」

 

 

「なら!貴女を倒して叢雲を助けさせて貰います!!」

 

 

「舐メラレタモノネ、沈メテアゲルワ!!」

 

 

古鷹と大井は戦艦棲姫へ艤装を構え砲撃戦へと移り叢雲は単艦でケルベロスと対峙する

戦力は圧倒的に不利でありながらも、何とか応戦しようとしているが

 

 

「速すぎる!!」

 

 

ケルベロスは先程より遥かに速くなり、しかも叢雲が撃っても一切怯まずにこちらを攻撃してきており対応のしようがなかった

 

 

『叢雲!右ストレートからの左ジャブから連続で来るぞ!!』

 

 

佐渡のサポートがあるとしても身体が追い付かず次ももろに受けてしまいそうになり咄嗟に艤装でカバーするにもやはり衝撃は大きく吹き飛ばされ身体を海面に叩き付けられる

 

 

 

 

 

 

 

 

 





次回

劣勢

艤装の自立型の元ネタは島風の連装砲ちゃん達です
これ、自立型にしたけどヤバくね?とは思ってます()





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戦艦棲姫迎撃戦 十一

「さっきより痛くないけど、艤装が……」

 

 

先程の拳を受けたとき、右側の主砲の艤装でカバーした影響で凹んでおり少し動きがぎこちない

左の主砲は先程避けるときに殴られており、こちらも凹んでおりこちらも同じようだ

しかも先程から、殴られて居るため全身を強打しており身体が痛みに悲鳴を上げている

 

 

「ガァ!!」

 

 

叢雲が考えているとケルベロスは既にすく側まで迫っており次は爪を立て引き裂こうとしてくる

 

 

「休ませてもくれないみたいね!!」

 

 

ケルベロスの爪を何とか避けその腕に乗ると、頭目掛けて走っていく

 

 

「ガァ!!」

 

 

走ってくる叢雲目掛け肩の主砲を構えるが叢雲はそれよりも早く肩の主砲に乗ると主砲が放たれその振動で体制を崩す

 

 

「しまった!!」

 

 

ケルベロスはその瞬間を逃さずに叢雲を捕まえ海面へと叩き付ける

 

 

「がはっ!」

 

 

叩き付けられた衝撃に耐えきれず、叢雲は声を漏らしながらケルベロスを見上げると既に拳を構えていた

殴られる瞬間叢雲は主砲二門をケルベロスの顔目掛けて砲撃するのだがケルベロスは止まらずに叢雲は殴り付けられる

 

 

「ぐぅ!」

 

 

「ガァ!!!」

 

 

それからはケルベロスに一方的に殴られ続け服の艤装が剥がれ始めていく

 

(このままだと不味い)

 

咄嗟に叢雲は、持っている艤装を拳に突き刺し何とか抜け出すが次の瞬間ケルベロスの片手に捕まってしまう

 

 

「くっ…そぉ!!」

 

 

「ガァァァ!!!」

 

 

ケルベロスは捕まえた叢雲の頭に食べようとするかの如く口を開くとそこには別の主砲が喉から伸びており叢雲の頭をしっかりと捉える

 

 

「叢雲!!」

 

 

その様子に気付いた古鷹は、援護に向かおうとするが戦艦棲姫の主砲を脚に直撃してしまい海面に転んでしまう

 

 

「オ前ノ相手ハ私ダ!!」

 

 

戦艦棲姫は、海上を走り古鷹に近付こうとするが瞬間目の前に雷撃が走ってくるのを確認し急停止をすると雷撃は外れてしまう

 

 

「外した…!」

 

 

大井が、何とか撃った雷撃を交わされ主砲を構え応戦しようとする

 

 

「マダ動ケタノカ

雑魚メ!!」

 

 

戦艦棲姫は、古鷹から大井へと標的を変え走り出すとそれを止めるべく古鷹も大急ぎで大井へと向かう

 

 

「貴女の相手は私です!!」

 

 

古鷹が、戦艦棲姫に近付いた瞬間戦艦棲姫は振り返り左手の主砲を古鷹の腹部へと押し当てる

 

 

「ヤハリ来ルト思ッタワ

コノ距離ナラ避ケラレマイ!!」

 

 

「!!」

 

 

古鷹が行動を起こす前に戦艦棲姫は主砲を撃ち古鷹の腹部をゼロ距離で砲撃し吹き飛ばされてしまう

 

 

「古鷹さん!!!」

 

 

吹き飛ばされた海上を転がり古鷹はお腹を抑えながら、フラフラと立ち上がるが被弾した所は真っ赤に焼け焦げ服が円形状に焼け落ちており鈍い痛みが刺激する

 

 

「ヤット当タッタカ

コイツハヤハリオ荷物ミタイダナァ?」

 

 

戦艦棲姫は、再び大井へと向き直り主砲をゆっくりと構える

 

 

「良くも!古鷹さんを!!」

 

 

大井は一人で、戦艦棲姫へと主砲を撃ち応戦するが見事に外れてしまい悠々と近付き大井を蹴り飛ばす

 

 

「がはっ!」

 

 

蹴飛ばされた海上を転がり大井は咳き込んでしまい戦艦棲姫はそのまま大井の髪を掴み持ち上げる

 

 

「ヤハリ弱イナ?オ前ハ

二人トハ大違イダ」

 

 

その言葉に大井は睨み付けるが戦艦棲姫は口元を吊り上げ笑いながら大井を再び海面へと叩き付ける

 

 

「大井……さん!!」

 

 

古鷹は主砲を構え戦艦棲姫を撃とうとするが、大井を踏みつけながら戦艦棲姫は主砲を下に向ける

 

 

「オォット?オ前良イノカコイツガドウナッテモ?」

 

 

下に向けた主砲の先端を大井の頭にぐりぐりと当てながら古鷹を向いていると古鷹は現状を理解し主砲を下ろしてしまう

 

 

「良イ子ネェ?黙ッテソコデ見テイナサイ?

ケルベロス!!ソイツヲ木ッ端微塵二吹キ飛バシナサイ!!」

 

 

古鷹と大井はその言葉に思いだし、ケルベロスを見るとケルベロスの手に捕まっている叢雲は苦しそうにしながら何とか逃げようとする

 

 

「しまった!!叢く…」

 

 

「動クナッテ分カラナイノォ!?」

 

 

古鷹が振り返り移動しようとした瞬間戦艦棲姫からの背後からの主砲を当てられそのまま崩れるように倒れ込んでしまう

 

 

「がっはぁ!」

 

 

「古鷹さん!!」

 

 

「アハハハ!!!コレデオ前達ハ終ワリヨ!!

ケルベロスヤレェ!!」

 

 

「この!このぉ!!」

 

 

 

ケルベロスは、口の主砲を叢雲の頭を狙いを定めると撃つ準備をし、叢雲は何とか逃げようと主砲を撃つが効果はない

絶対絶命、そう思い叢雲達は目を瞑り攻撃されるのを待つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうは行きませんよ!!!」

 

 

瞬間沖縄の方角から聞こえた声と同時にケルベロスの頭に複数の砲弾が命中し、衝撃の影響で頭を反らしてしまい叢雲への砲弾が空へと放たれる

 

 

 

 






次回

救援

阿武隈さんの活躍はこれからです!





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戦艦棲姫迎撃戦 十二

「ナンダト!?」

 

 

あまりのことに驚いた戦艦棲姫は、砲弾が放たれた方角を見ると六人の艦娘達がこちらに向けて航行してきていた

 

 

「助…かった…?」

 

 

叢雲は突然の事に驚きながら砲撃を受けたケルベロスを見るとケルベロスは呆然としており持っていた艤装を腕に突き刺し手を緩めさせ何とか逃げ出す

 

 

「ガァァァ!!!」

 

 

ケルベロスは、叢雲より新たに来た六人の方角へ向き直り主砲を全て構え一斉に砲撃する

 

 

「皆!!散開!龍驤さんは艦載機をお願い!!

那智さん、曙ちゃん、潮ちゃん、朧ちゃんは戦艦棲姫の所に居る二人をお願い!」

 

 

 

「「「「了解!」」」」

 

 

六人はケルベロスの砲撃を避けると各々行動を起こし、旗艦と思われる少女一人はケルベロスへと向かっていく

 

 

「さぁてと、艦載機の皆!お仕事お仕事!!

行ったれー!」

 

 

一人は艤装から、艦載機を発艦させると空へ飛び立ちケルベロスと戦艦棲姫に向かっていく

ケルベロスは肩の艤装から三式弾を艦載機に向けて撃ち応戦すると幾つかの艦載機に直撃し撃墜するが何機かは残りケルベロスへと爆撃を開始する

 

 

「グァァァァ!!!」

 

 

空からの爆撃に全身を撃たれ爆炎を上げ煙に巻かれると艦載機は次に戦艦棲姫へと雷撃を放ち再び空へと上がっていく

 

 

「撃チ落トシテヤル!!」

 

 

戦艦棲姫は、正確に艦載機を狙い撃つが自分の主砲では一機二機が落とすのは関の山であり、その隙に踏みつけられていた大井は逃げ出し、古鷹も叢雲の元へと走る

 

 

「クソォ!!!」

 

 

すると、戦艦棲姫に雷撃が命中し水柱に包まれその隙に大井は立ち上がり離れると痛みからかふらついてしまうが潮、朧に抱えられ何とか立っている

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

「えぇ、ありがとう…」

 

 

大井は二人に抱えられていると、那智と曙は戦艦棲姫へと主砲を構えており古鷹も急いで叢雲の元へと急ぐ

 

 

「叢雲!大丈夫!?」

 

 

「平気よ……古鷹こそ大丈夫なの?」

 

 

「全然大丈夫!それよりもこの方々は?」

 

 

古鷹は、辺りを見渡すと居るはずのない艦隊に驚いていると一人がこちらに向かってくる

 

 

「すみません!遅くなりました!」

 

 

「貴女は……確か沖縄鎮守府の……」

 

 

「はい!阿武隈です!提督の命令で我々も第九艦隊は貴女達、第八艦隊と合流し戦艦棲姫を迎撃せよと命令されました!

よろしくお願い致します!!」

 

 

阿武隈が敬礼をしていると、叢雲と古鷹は安堵のため息をつく

 

 

『間に合ったみたいだな』

 

 

インカム越しから佐渡の声が聞こえると叢雲が怒鳴るように怒り始める

 

 

「あんたねぇ!!

救援来るなら先に言いなさいよ!!

全く……でも」

 

 

叢雲は、艤装を構えケルベロスへと向き直ると古鷹と阿武隈も戦闘体制を取る

 

 

「ガァァァ!!!」

 

 

「ちょうど手が足りなかったのよね!!」

 

 

 

爆煙が晴れるとケルベロスは、ほとんど無傷のまま叢雲達に咆哮をしており爪を構えている

 

 

「ヤッテクレタナ艦娘共ガ!!

増援トハナ!!」

 

 

水柱を切るように、戦艦棲姫は主砲を那智達へ構え戦闘体制を取る

 

 

「嘘やろ、あれまともに受けて無傷なんか?」

 

 

「予想以上に固いようだな」

 

 

「ふん!関係ないわよ!クソ提督の……私達の居場所を奪おうとする奴を倒すだけよ!!」

 

 

曙の身体は高速修復を使った影響で全身回復しており艤装も完全に治っているためか、かなり強気である

 

 

「そうだな、我々の居場所を奪うものを倒さねばな!!」

 

 

那智も曙に言われ気合いを入れ直し、主砲を全門戦艦棲姫に構えるとインカムから佐渡の声が聞こえる

 

 

『これより!第八艦隊、第九艦隊連合を結成し!

戦艦棲姫とケルベロスを迎撃する!!

叢雲、古鷹、阿武隈でケルベロスを!!

大井、曙、朧、潮、那智、龍驤で戦艦棲姫を!!

各自!!俺がサポートはするが轟沈だけはするな!!!

良いな!!』

 

 

「「「「「了解!!!」」」」」

 

 

「忌々シイ奴等ガ!!マトメテ沈メテヤル!!!」

 

 

「ガァァァァァァ!!!」

 

 

 

各々、艤装を構え戦闘体制を取ると戦艦棲姫は主砲を那智達へ撃ち

ケルベロスは咆哮と共に爪を振り上げ叢雲達へ向かっていく

 

 

『戦闘!!開始!!!』

 

 

 

 

 

 





次回  


激戦

沖縄&小笠原の共同戦線
はてさて勝てるでしょうかねぇ?





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戦艦棲姫迎撃戦 十三

ケルベロスは、爪を叢雲と阿武隈に振り下ろすが二人は軽々と避けるがすぐさまもう片腕からの爪が来ており阿武隈に当たりそうになるが

 

 

「させません!!」

 

 

古鷹が艤装で防ぎ鉄が擦れる鈍い音と共に何とか防ぐと叢雲はその隙にケルベロスの懐に入り込み胴体に直接両方の主砲を押し当てる

 

 

「沈めぇ!!」

 

 

ゼロ距離から放たれた砲弾はケルベロスに当たるがやはりダメージは低くその隙に阿武隈が主砲を両手の構え同じ場所を撃ち抜く

 

 

「食らえ!!」

 

 

「グァァァ!!!」

 

 

同じ場所を撃ち抜かれ流石にダメージが入ったのかケルベロスは痛みの余り声を上げるが直ぐ様古鷹から手を放し肩の主砲を二人に標準を合わせる

 

 

『阿武隈!そのまま懐に入り込め!

叢雲離れて砲撃!古鷹右側の主砲を撃ち抜け!!』

 

 

「え、えぇ!!」

 

 

「良いから言うとおりにしなさい!」

 

 

叢雲は離れながら阿武隈に言うと阿武隈はどうにでもなれ!!と言うと懐に入り込むと右側の主砲だけその方角を向くと古鷹が正確にその右側の主砲を撃ち抜き砲撃を防ぐ

 

 

「嘘ぉ!!」

 

 

『阿武隈!そのまま同じところに砲撃!!』

 

 

ケルベロスの腹部は、叢雲と阿武隈の連激に耐えきれず赤く血が出ておりそこを目掛けて再び砲撃をするとケルベロスは痛みに耐えきれず声を上げ腹部を押さえる

 

 

「ガァァァ!!!」

 

 

「ナイス阿武隈さん!!」

 

 

「凄いです阿武隈さん!!」

 

 

先程より確実にダメージを与えられており、古鷹と叢雲は阿武隈に近寄りハイタッチをしていると阿武隈は唖然としている

 

 

『良くやったぞ阿武隈

さて、まだまだ来るぞ!!』

 

 

その言葉に、ハッとするとケルベロスは主砲を構えこちらに向かってきており再び三人は艤装を構え戦闘体制を取る

 

 

『叢雲、阿武隈、奴の懐へ

古鷹は少し遅めに援護砲撃をしながら行け!!

更にダメージを増やすぞ!!』

 

 

「「「了解!」」」

 

 

すると、ケルベロスはいきなり海面に両爪を立て海水を三人に掛ける

 

 

「目眩まし!!」

 

 

「何すんのよ!!」

 

 

「くっ!」

 

 

叢雲と阿武隈はまともに海水を受け眼を擦り古鷹は顔を腕で抑えていた為眼にはかからなかったが次の瞬間焦る

 

 

「叢雲!!避けて!!」

 

 

「えっ?」

 

 

古鷹が言った瞬間叢雲の小さな全身に衝撃と痛みが走る

ケルベロスは海水をかけた瞬間拳を握り叢雲を狙いをつけていたのだ

鈍い音と共に叢雲だけ古鷹の後ろに吹き飛ばされ艤装を海面に突き立て距離を抑える

 

 

「叢雲!!」

 

 

「叢雲さん!!」

 

 

「っ!大丈夫よ!!それよりも来るわよ!!」

 

 

叢雲の事を心配していたが、目の前のケルベロスは口を開き二人を主砲で狙いを定めており急いで左右に交わす

 

 

『叢雲!行けるか!?』

 

 

「平気…よ!!」

 

 

『そうか!なら古鷹の背中目掛けて走れ!!』

 

 

佐渡の指示を聞いた叢雲は痛みを抑えながら走りだし古鷹の背中目指す

 

 

『古鷹!中腰になれ!後左の主砲を下ろせ!

阿武隈!奴の注意を引け!!』

 

 

「了解!」

 

 

「りょ、了解!!」

 

 

それと同時に阿武隈は、ケルベロスの顔面目掛けて主砲を撃つとケルベロスは阿武隈へと集中し再び爪を振り下ろす

 

 

『右から一撃!左から主砲!最後に口と肩の主砲!!来るぞ!!』

 

 

「は、はい!!」

 

 

佐渡のサポート通りに右の爪を振り下ろし避けると左手からの主砲、そして肩と口の主砲を撃つ準備をしている

 

 

「こんのぉ!!」

 

 

阿武隈は、何とか全て避けると傷口へと両手の主砲を撃つとケルベロスは声を上げる

 

 

「ガァァァ!!!」

 

 

その間に叢雲は、古鷹の背中に追い付き走りを止めないそして、背中に着いた瞬間小さく ごめんなさいと言われるが古鷹は大丈夫と呟くと叢雲は古鷹の主砲と肩を蹴り宙を舞う

その時古鷹の背中に激痛が走るが何とか耐え、再びケルベロスへと主砲を構える

 

 

『阿武隈!古鷹!!一斉砲撃!!

叢雲!騎乗の時間だ!!』

 

 

「了解!」

 

 

「了解…?」

 

 

 

「はいはい、分かったわよ!!」

 

 

阿武隈は、叢雲への指示に不信がりながらも古鷹と一斉砲撃をするとケルベロスは痛みを耐えながらも主砲を構え阿武隈達へと向ける

だが、その瞬間

 

 

「よっこしょ!捕まえたわよ!!」

 

 

「ガァ!?グラァ!!」

 

 

宙を舞っていた叢雲がケルベロスの首に降り立ちがっしりと掴む

いきなり背中に何かがくっ付き意味が分からぬまま半狂乱になりながらも背中の叢雲を振り落とそうとする

 

 

「古鷹!!阿武隈!!今よ!!こいつに集中放火!!」

 

 

「え、えぇ!!

ちょっと大丈夫何ですか!?」

 

 

「大丈夫だから!!早く!!」

 

 

叢雲は、必死になりながらケルベロスの首に捕まっているが今にも振り落とされそうではある

そんな様子を見てなのか古鷹はケルベロスに近付き主砲を構える

 

 

「全く!無茶ばっかりするんだから!!

阿武隈さん!奴の足を狙うよ!!」

 

 

「は、はぁい!?」

 

 

阿武隈はこの状況に付いてはいけないが指示通りに古鷹と共に足を集中的に狙っては行くが如何せん暴れているため中々狙い図らいのだが古鷹は確実に一撃ずつ当てて行く

 

 

『どうだ?叢雲楽しいか?』

 

 

「アホぉ!楽しいわけ……いや楽しいわね」

 

 

その会話は一応二人にも聞こえており、古鷹はため息をつき阿武隈は唖然としているが砲撃は辞めていない

 

 

『さて、楽しい乗馬体験は終わりだ

奴の被弾場所にあれをくっ付けろ』

 

 

「……成る程ね

了解!!」

 

 

佐渡の意図を理解した叢雲は艤装からあるものを取り出し、赤く血で染まっているは被弾場所に粘土と一緒にくっ付ける

 

 

「二人とも!!砲撃辞め!!

撤退するわよ!!」

 

 

「了解!」

 

 

「は、はい!!」

 

 

叢雲は、暴れるケルベロスの首を蹴飛ばし再び宙を舞うと海面に軽々と着地しケルベロスから距離を取る

 

 

「ガァァァ!!!」

 

 

振り落とせたケルベロスは、再び叢雲に向かっていこうとするが足が動かず走っては来れないでいた

先程の砲撃が効いており足からかなりの出血をしていた

 

 

 

「やった!!」

 

 

「阿武隈さん、良く提督の指示に対応出来ましたね?

流石です!」

 

 

「えへへ…」

 

 

古鷹に褒められ素直に阿武隈は喜んでいると再びケルベロスが三人へと向かって砲撃をしてくる

 

 

「ほら!ぼさっとしてない!!来るわよ!!」

 

 

三人は艤装を構え、再びケルベロスへと向き直り戦闘を続行する

 

 

 

 

 

 

 






次回



長くなってしまい申し訳ないです……





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戦艦棲姫迎撃戦 十四

ケルベロスとの戦闘が優位に運んでいる中こちらはかなり劣勢を強いられていた

それもそのはず、相手は姫

ケルベロスと違い確実にこちらを潰す為に装甲が軽いものから確実に仕留めていた

 

 

「ぐぬぅ……」

 

 

「うぅ……」

 

 

「まだ……行ける…わよ!!」

 

 

駆逐艦の三人はほぼ大破状態まで持ち込まれ、艤装がまともに動いていない

 

朧は、左足を撃ち抜かれ胴体にも主砲を直撃しており服はボロボロであり艤装も主砲が辛うじて撃てるほどに追い込まれていた 

 

潮は、服こそ大丈夫ではあったものの両足を撃ち抜かれ立っている足は真っ赤に染まりガクガクと震えており

艤装も魚雷発射管を破壊され黒煙を上げている

 

曙は、服がボロボロになっており右肩と左腕を正確に撃ち込まれ血で真っ赤に染まりながらも主砲を構えており潮と同じく魚雷発射管が破壊され黒煙を上げていた

 

 

 

「アノ奴等トハ違イマダ弱イナァ?

コレナラ私デモ余裕ネ」

 

 

戦艦棲姫の方は、両手の主砲こそ無事ではあるが肩で息をしながら足を痛めたのか少し血を流していた

だが、六人を一人で相手取りまだ余力を残していた

 

 

「なんちゅー奴や……

これが姫って奴かいな…」

 

 

「嫌、従来の姫よりかなり固いようだな…

成る程、確かに歴戦の可能性は高いな…」

 

 

 

 

龍驤は、幸い離れていたお陰かほぼ無傷であり那智もほとんど傷を負っていない

その後ろで、大井は唇を噛み締め悔しがっていた

(お荷物何て……嫌よ!!)

 

 

「提督!!私に何か無いの!?

あいつを何とかする方法は!?」

 

 

『……無いことはない

だが下手をすれば……死ぬぞ?』

 

 

「構わないわ!!

でも、死ぬ気は無いけどね!!」

 

 

大井の目には諦めておらず、主砲を握り締める強さが更に上がる

 

 

『……分かった

全員聞いてくれ!』

 

 

インカムから聞こえる佐渡の声に反応し、全員インカムに集中し佐渡からの作戦を聞く

 

 

「あんた!!そんなことしたら大井さんが……」

 

 

「良いわ、やってやるわ」

 

 

「おい!大井!」

 

 

曙と那智が心配するのを他所に大井は頬を叩き気合いを入れ痛む腹部と足を気にするがまだ耐えられると自分に言い聞かせ戦艦棲姫を睨み付ける

 

 

「作戦会議ハ終ワッタカシラ?」

 

 

戦艦棲姫は主砲をこちらに向けながら余裕の表情をしており勝利を確信していた

 

 

「……みんなお願いしますねっ!!」

 

 

その言葉と共に大井は痛む脚に耐えながら全速力で戦艦棲姫へと突っ込んでいく

それと同時に沖縄鎮守府の者達も動き出す

 

 

「何!!馬鹿ノカ!オ前!」

 

 

戦艦棲姫が主砲を大井へと向け砲撃をしようとするが、艦載機によってそれは阻まれる

 

 

「やらせへんで!!」

 

 

「鬱陶シイ!!」

 

 

戦艦棲姫は直ぐ様、龍驤へと主砲を向け砲撃をすると飛行甲板に直撃し爆煙に包まれる

 

 

「龍驤!!」

 

 

「大丈夫や!!うちの事より戦艦棲姫へ集中せぇや!!」

 

 

那智が心配するが、すぐに戦艦棲姫へ向き直り左肩と右腕の主砲を向け砲撃をする

 

 

「鬱陶シイ奴等メ!!」

 

 

戦艦棲姫が那智へ主砲を構えた瞬間、それは近距離の砲撃で防がれる

 

  

「あんたの相手は!!私よ!!」

 

 

「コイツ!!イツノ間ニ」

 

 

戦艦棲姫の元へとたどり着いた大井は主砲を戦艦棲姫の主砲へ近距離で当て砲撃の軌道を無理矢理反らしていた

そう佐渡の作戦と言うのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

『大井、奴に近接戦を仕掛けろ奴は近接戦闘には馴れていない

お前のスペックなら行けるはずだ 

龍驤は、艦載機を発艦その後わざと砲撃を受けろ

次弾は、那智奴へわざと砲撃を外し大井から注意をそらせ

曙、潮、朧大破しているところ悪いが大井が時間を稼いでいる間確実に砲撃が当たる位置まで移動

準備が出来次第奴へ四艦で一斉砲撃を仕掛ける』

 

 

 

大井への叢雲と同じ近接戦闘を仕掛けろと言う危険極まりない物だった

ただでさえ、先程戦艦棲姫から受けた傷が癒えて居ないのにも関わらず

 

 

 

 

 






次回

近接戦

主砲での近接戦は普通は出来ない?
気にしたら負けやで()







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戦艦棲姫迎撃戦 十五

何かかなり長くなってしまって申し訳ありません…
戦闘は描くのが進む進む……











 

 

先程までボロボロだった大井が突然近接戦闘をしてきたことに驚きながらも戦艦棲姫は何とか距離を取ろうと後ろに下がろうとするが

 

 

『距離を離すな!!

奴を捕まえろ!!』

 

 

「分かってるわよ!!」

 

 

直ぐ様大井は踏み込み主砲を戦艦棲姫に突き付け砲撃をすると後ろに動かずその主砲を避けるために右へと移動する

 

 

「コイツ!!」

 

 

「さっきは良くもやってくれたわね!!

お返しよ!!」

 

 

通常、砲撃戦は自分の艤装に合った距離でするのが的確であり戦艦に関しては主砲の反動とその火力の為近接戦闘を仕掛けることは少ない

それこそ、自分に腕に主砲があり自らの主砲と腕を壊すことと同じだからである

 

 

「クソ!!マダヤレルノカコイツ!!」

 

 

戦艦棲姫は、主砲を大井へ向け撃とうとするが大井との距離が近すぎて撃てず主砲で大井を殴り付けようとするが何とか避け近距離で砲撃を当て続ける

 

 

『大井!!あんまり無茶を……』

 

 

「これぐらい!!

あいつに比べたら!!大したことないわよ!!」

 

 

大井は右腕や全身の痛みに耐えながらも、戦艦棲姫に向かい戦闘をしていると叢雲に言われたことを思い出す

 

 

『良い、大井

一応近接戦闘に関して教えておくわ

近接戦闘で最も大事なことは相手になにもさせないことよ

動きを読み、先に手を打ち、確実に傷を負わせていきなさい?

 

まぁ、やることはないとは思うけど一応よ一応』

 

 

大井はがむしゃらになりながらでも何とか戦艦棲姫の先を読み戦闘を続けているがやはり身体へと負担は凄まじく一瞬だけ反応が遅れてしまう

 

 

「コッノォ!!」

 

 

「がはっ!」

 

 

戦艦棲姫は、大井の怪我腹部へと主砲で殴り付けるとそのまま吹き飛ばされてしまう

 

 

「ヤッテクレタナ!!

ダガ、コレデ終ワリダ!!」

 

 

主砲を吹き飛ばされた大井へと向けて撃つ瞬間左からの砲撃によろけてしまう

 

 

「やらせないさ!それに……」

 

 

 

「!!イツノ間ニ」

 

 

 

那智を筆頭に曙、潮、朧は戦艦棲姫を囲うように主砲を構えており

 

 

「うふふ、貴女の終わりですよ?

戦艦棲姫!!」

 

 

大井はフラフラと立ち上がり、戦艦棲姫へと主砲を構え慌てて逃げようとするが先程の戦闘での傷が痛み一瞬遅れてしまう

 

 

「砲撃!!一斉射」

 

 

「「「「「撃てぇぇ!!!」」」」」

 

 

「クソォォォォォ!」

 

 

次の瞬間五人の砲撃に撃たれ爆煙に包まれる

曙、潮、朧は安堵のあまり手を合わせながら喜び、後ろから龍驤が近寄り良くやったのぉ!!と誉めている

那智もその姿に微笑むが大井だけは険しい表情である

 

 

「どうした?大井?奴は流石に沈んだだろう?」

 

 

「まだ…」

 

 

「『終わってない(わ)』」

 

 

那智は急いで爆煙の中を凝視するとそこにはまだ人影が残っていた

 

 

「…許サナ…イ、オ前…達」

 

 

煙が晴れたそこには、角が片方だけ折れ右腕の主砲を破壊され立っている戦艦棲姫が居た

 

 

「どんだけ固いのよ!!こいつ!!」

 

 

「嘘……五人の一斉砲撃でも駄目なの?」

 

 

『全艦!!そいつから離れろ!!』

 

 

佐渡の合図に、全員が離れると戦艦棲姫は息を吸い空に向かい大声で叫ぶ

 

 

 

「ケルベロス!!!!

戻レェェェェェ!!!!」

 

 

「ガァァァァァァ!!!」

 

 

それに反応するように、ケルベロスは走ってきており、再び戦艦棲姫の後ろへと付き主砲を五人に向ける

 

 

「モウ作戦等知ラン!!

オ前達ヲ海ノ藻屑ニシテヤル!!!」

 

 

戦艦棲姫は左の主砲を構えながらこちらを睨み付けているとケルベロスと戦っていた三人と合流する

 

 

「……ヤバそうねあれ」

 

 

「曙ちゃん!潮ちゃん!朧ちゃん!皆大丈夫!?」

 

 

「大井さん!大丈夫ですか!?」

 

 

二人は合流した者達の心配をしており那智と叢雲だけは戦闘体制を取っていた

だが、叢雲は横目で大井を見ると一言だけ呟く

 

 

「お疲れ様、大井

後は任せなさい」

 

 

その言葉とどこか頼りなるその背中に、少し涙目になるが袖で目を擦り小さな声で言う

 

 

「任せたわよ!うちのエース!!」

 

 

叢雲はニヤリと笑うと艤装を構え、最後の戦いへと向かう

 

 

『お前達!!もう少しだ!!もう少しだけ耐えてくれ!!』

 

 

 

「ほら!あいつの声が聞こえたでしょ!動ける奴は行くわよ!!」

 

 

「「「「了解!!」」」」

 

 

叢雲の声に、那智、古鷹、阿武隈が応答し戦艦棲姫とケルベロスへと向かい始める

 

 

「死ネ!!死ネ!!皆底ニ沈メテヤル!!」

 

 

 

「ガァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか分かった」

 

 

多良間島付近の海域に居たその深海棲艦は艦載機から多良間島の状態と戦艦棲姫の戦況を聞き沖縄へと走り始めながらある者へ連絡を取る

 

 

「私だ、仕事だ」

 

 

「えー?マジで~?

《ユリ》しくじったの~?

ま、分かったわぁ」

 

 

電話先の相手は海上で寝転んで居たが起き上がり準備運動を開始する

 

 

「行きますかぁ、沖縄へ」

 

 

 

 

 

 

 





次回


時間切れ


次で戦艦棲姫と決着です!
長くなってしまい申し訳ない……



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戦艦棲姫迎撃戦 十六

阿武隈と叢雲は戦艦棲姫へ真っ直ぐ走っていき、那智と古鷹は少し離れて援護砲撃の準備をしている

するとケルベロスが主砲の標準を那智と古鷹に合わせ先制砲撃をする

 

 

「くぅ!」

 

 

「何の!!」

 

 

砲撃は二人の横を掠め海面に着弾すると水柱が上がる

その隙に阿武隈と叢雲が距離を詰めようとするが

 

 

「沈メテヤルワ!!」

 

 

前から突っ込んできた戦艦棲姫が主砲を阿武隈にぶつけ

もう片手で叢雲の首を掴もうと手を伸ばす

 

 

「ぐはっ!!」

 

 

「阿武隈さん!!」

 

 

「余所見出来ルノカシラ!?」

 

 

叢雲は戦艦棲姫の手を掴むと投げ飛ばすと阿武隈に当たっていた主砲も離れる

投げ飛ばされた戦艦棲姫は直ぐ様着地をすると叢雲に主砲を構える

 

 

「甘いわよ!!」

 

 

「ドッチガカシラ!?」

 

 

「叢雲!!後ろ!!」

 

 

「ガァァァ!!!」

 

 

叢雲のすぐ後ろまでケルベロスが迫り拳を振り上げており避けようとするのだが

 

 

「っ!!」

 

 

足に力が入らない

先程ケルベロスの攻撃をまともに受けており蓄積した痛みと過剰な動きについに耐えきれなくなり足が動かなかった

ドゴッと鈍い痛みと共に叢雲の腹部に拳が当たりそのまま拳と共に主砲が放たれ叢雲に直撃すると爆煙を上げながら宙を舞い海面へと落ちる

 

 

「叢雲さん!!!」

 

 

「オ前モダ!!」

 

 

少しだけ油断した阿武隈に戦艦棲姫は左の主砲を砲撃すると直撃し爆煙に包まれと同時にケルベロスが拳を当て叢雲と同じ場所へと殴り付ける

 

 

「ごぼっがはっ……」

 

 

二人の連携技を受けた阿武隈は腹部の焼ける痛みと共に喉から上がってくる吐き気に耐えきれず血と共に胃酸を吐き出し苦しみつつある

 

 

「阿武隈!!」

 

 

「叢雲!!」

 

 

「ガァァァ!!」

 

 

未だに意識の無い叢雲と苦しむ阿武隈に駆け寄ろうと二人は走るのだがケルベロスが主砲を撃ちその行き先を行かせまいと砲撃をしてくる

 

 

「アハハハ!!二人落トシタゾ!!

沈メテヤルワ!」

 

 

「誰…を……沈め…る…です…って…?」

 

 

その声に戦艦棲姫はぎょっとして二人を飛ばした先を見る

そこには苦しみながら、吐血をし艤装を海に突き立て全身血塗れになりながらも弱々しく立ち上がろうとしている叢雲が居た

 

 

『叢雲!無茶をするな!!』

 

 

「うる…さ…い…!!」

 

 

先程の砲撃で服はボロボロになり艤装のセーフティが無くなり腹部には砲撃の焼けるような痛みと殴られた鈍い痛み

それに加え内蔵も少しやられたらしく口の中に血が溜まり嘔吐するように大量の血を吐き出す

骨も折れており、動かそうとすると激痛が走る

 

 

「阿…武……隈!!起き…な…さい…!戦闘は…まだ…続い…て…るわ…よ!!」

 

 

その声に何とか立ち上がり、腹部の痛みを抑えながら阿武隈も立ち上がる

こちらも服はボロボロになり、吐き気は止まらず全身焼けるような痛みに耐えながらフラフラと立ち上がる

 

 

『阿武隈…無茶は…』

 

 

「大丈…夫!それ…に

駆逐…艦…何かに…負け…るわ…けない…でしょ…!!」

 

 

 

 

「「私達が負けるわけには行かないの(よ)!!

守りたい物があるんだから!!」」

 

 

 

二人は重症なのに立ち上がり、再び気合いを入れる

叢雲は海面に右手の魚雷を突き立て静かに三発全て海中に射出する

 

 

「残…り五…分…」

 

 

そう呟くと、艤装を構え再びケルベロスと戦艦棲姫にボロボロの状態で向かっていく

 

 

「渋イ奴等目!!」

 

 

「全艦!!奴等に隙を作るわ!!!

砲撃用意!!!」

 

 

叢雲は叫ぶと痛みのあまり吐血をするが、それに耐え主砲をケルベロスへと当てていくがその前には戦艦棲姫が立ち塞がる

二人は、ケルベロスしか見えておらず戦艦棲姫に気付いていない

 

 

「良イ的ネ!!シズ…」

 

 

そう言いかけた瞬間戦艦棲姫は砲撃による爆煙に包まれ睨むようにその先へ目向ける

 

 

「やらせはせんさ!!」

 

 

「やらせません!!」

 

 

「コノグズ共ガァァァ!!!」

 

 

戦艦棲姫を抜け、ケルベロスへと向かうとこちらに砲主を構え砲撃してくるが何とか二人は避けるのだが

 

 

「あっ…」

 

 

阿武隈が躓き、フラッと倒れそうになるが叢雲がその手を掴み何とか持ち直す

 

 

「ありがと!」

 

 

「お礼なら…これが終わってからよ!!」

 

 

ボロボロの二人は、何とかケルベロスへとたどり着くと近距離で砲撃を開始する

 

 

「ガァァァ!!!」

 

 

ケルベロスも応戦するように爪を振り上げ戦闘を仕掛けるが先程より動きが鈍い

三人の攻撃が効いているのか、左脚を気にしながら戦っており叢雲はそこに目をつけた

 

 

「阿武隈!!左脚を狙うわよ!!」

 

 

「了解!」

 

 

「グラァァァァ!!」

 

 

二人はケルベロスの猛攻を交わしながら、左脚に集中的に砲撃をするとその痛みにケルベロスは耐えきれず倒れてしまう

 

 

「ケルベロス!!ドウシタノ!?」

 

 

「時間ね、撤退するわ!!」

 

 

「オッケー!!」

 

 

ケルベロスの声を聞き付けた戦艦棲姫が駆け付けてきておりその間に二人は離れていく

 

 

「アァ、脚ガ…オ前達!!」

 

 

だが、その瞬間ケルベロスと戦艦棲姫は海下から来た雷撃に直撃し水柱に包まれる

 

 

「雷撃!?一体誰が……」

 

 

「阿武隈!!砲撃用意!!!」

 

 

阿武隈が驚きながら叢雲を見ると右手の魚雷が全弾無くなっているのに気付きニヤリと笑いながら主砲を戦艦棲姫とケルベロスに向ける

 

 

「…流石雷撃姫」

 

 

「全艦!!砲撃先ケルベロスと戦艦棲姫!!」

 

 

その言葉と共に全ての艦娘が主砲を戦艦棲姫とケルベロスへと向ける

 

 

「己レ……雷撃トハ小癪ナ…!!」

 

 

水柱が晴れた瞬間、戦艦棲姫の目に飛び込んできたその光景に唖然とした

全ての艦娘がこちらに向け主砲を構えていたのだから

 

 

「ケルベロス!!」

 

 

「ガァ!!」

 

 

ケルベロスは、身を体して戦艦棲姫を守ろうとすると背中のあるものが古鷹の目に映る

 

 

「古鷹ぁぁぁ!!!背中を撃てぇぇぇ!!」

 

 

「了解っ!」

 

 

古鷹は正確に落ち着きながら、主砲を構えると深呼吸をしながらゆっくりと狙いを定める

 

 

「……当てる絶対に

砲撃、開始」

 

 

静かに呟き砲撃をすると、古鷹は正確に先程叢雲が取り付けた失敗作の魚雷がありそれを撃ち抜くと瞬間大爆発か起こり痛みのあまりケルベロスは手を背中へと伸ばし、戦艦棲姫ががら空きになる

 

 

「ガァァァァァァ!!」

 

 

 

「ナニ!?ドウシタノケルベロス!?」

 

 

「流石!古鷹!!」

 

 

「全艦!!一斉砲撃!!!」

 

 

突如起きた爆発に驚き戦艦棲姫も慌ててケルベロスの背中を見ようとするがすぐに叢雲達へ向き直るがもう遅く叢雲がニヤリと笑っているのを見ると睨み付ける

 

 

「「「「撃てぇぇぇぇ!!!」」」」

 

 

「ヤッテクレタナァァァァァ!!叢雲ォォ!!!!!」

 

 

瞬間、九人からの砲撃をまともに受けた戦艦棲姫とケルベロスは砲撃による爆煙に包まれ辺りは静けさを取り戻す

 

 

「やったの…?」

 

 

「……かしらね」

 

 

阿武隈は静かに呟き、叢雲も辺りを確認すると遠くからこちらに来る影を見付け油断してしまう

だが、次の瞬間

爆煙から何かが勢い良くこちらに走ってきており叢雲の首を掴み持ち上げる

 

 

「ヨクモ、ヨクモヨクモォォォォォ!!!」

 

 

「ガグラァァァァァァ!!!!」

 

 

まだ、晴れない爆煙の中ケルベロスは全身を弱らさせては居るものの両手の主砲と脚の魚雷発射菅は壊され黒煙を上げているが肩の主砲は生きておりこちらに向けて適当に砲撃してくる

そして、頭の角を両方折られ左手を主砲と共に無くし、左脚を血で真っ赤に染めているがそんなのを気にしないほどの気迫で叢雲を掴んでいた

 

 

「ぐぅ……」

 

 

「叢…雲!」

 

 

阿武隈も突然の事に驚き、何とか応戦しようとするが身体が動かない

先程からの無茶がたたりもう身体が限界を迎えていた

他の者達もケルベロスの砲撃を避けるのに精一杯であり叢雲の心配なんて出来ないほどである

だが、叢雲は笑っていた

 

 

「何ガ可笑シイ!?」

 

 

「アハハ…何でって…私達の…勝ち…だから…よ」

 

 

『あぁお疲れ様、皆

良く耐えてくれたな

俺達の勝ちだ』

 

 

 

佐渡は、スカウターをデスクに起きため息混じりに息を吐き訳がわからない石澤は佐渡を攻め立てる

 

 

「佐渡少尉!!一体どういう…」

 

 

「どういうってそりゃ……」

 

 

「『時間切れだ(よ)』」

 

 

それと同時に佐渡と叢雲はニヤリと笑う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全艦!!あのデカブツに一斉砲撃!!

 

 撃てぇぇ!!!!」

 

 

 

 

 

 






次回


決着

これで、戦艦棲姫との戦いは終わりになりますがまだ少しだけ続きます!




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戦艦棲姫迎撃戦 十七

その言葉に驚いた戦艦棲姫は、叢雲の手を放しケルベロスへと向き直るとケルベロスへと大量の砲撃が降り注ぎ大爆発を起こしている

 

 

「ケルベロス!!」

 

 

「ガァ……アァ…」

 

 

先程古鷹達のより火力の高い砲撃にケルベロスは耐えきれず、その場に倒れてしまい海面が水飛沫と共に血を流している

肩の主砲もその砲撃で破壊され、ケルベロス自体もボロボロの状態である

 

 

「マサカ!!嘘デショ!!アレヲ抜ケテキタノカ!?」

 

 

「遅いのよ……全く…」

 

 

「あれって……」

 

 

「凄いな…あれを抜けてきたのか…」

 

 

 

 

戦艦棲姫は驚きながらもその姿を見るとその顔は絶望に染まり、叢雲達は歓喜に震える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「連合艦隊到着!!これより戦艦棲姫の迎撃を開始する!!!」

 

 

多良間島に居たはずの連合艦隊であった

長門を筆頭に全旗艦が前に並びこちらに向けて進軍してきておりその内の不知火、北上が叢雲達へ飛び出してくる

 

 

「不味イ!!セメテコイツダケデモ!!」

 

 

戦艦棲姫は、何とか叢雲だけは仕留めようと再び手を伸ばすがそれよりも早く不知火が叢雲の前に飛び出し手を近距離で撃ち抜く

 

 

「往生際が悪いですね

沈め!!」

 

 

「駆逐艦ガァ!!」

 

 

不知火の砲撃を避け、後ろに下がると見せかけ不知火の腹部に蹴りを入れると苦しさのあまり腹を抑え後ろに飛ばされてしまう

 

 

「ぐっ」

 

 

「沈ムノハ貴様ダァ!!」

 

 

戦艦棲姫が不知火を再び殴ろうとすると真下からの雷撃により吹き飛ばされてしまう

 

 

「クソ!!マタ雷撃カ!」

 

 

「へ~、あんたが戦艦棲姫何だー?

まぁどうでも良いけどさ?

良くも大井っちをこんなにしてくれたね

流石に私も怒っちゃうよ」

 

 

先に撃っていた雷撃が命中し、北上は大井達の前に立ち塞がりその顔は珍しく怒りに満ちていた

 

 

「ヒーロー到着何てね

大井っち助けに来たよん

……今度は助けるからね」

 

 

「北上さぁぁぁん!!」

 

 

大井はボロボロになりながらも北上に抱き付くと北上が大井の頭を撫でていた

そして、戻ってきた不知火も主砲を戦艦棲姫へと向けていた

戦艦棲姫は膝をつき集まりつつある連合艦隊を睨み空に向かい叫ぶ

 

 

「ケルベロス!!」

 

 

「ガァァァ!!!」

 

 

ケルベロスは、ボロボロになりながらも戦艦棲姫へとたどり着き北上達へ威嚇しているがその姿は先程より驚異とは呼べないほどに痛々しかった

 

 

「お前の負けだ戦艦棲姫よ」

 

 

戦艦棲姫とケルベロスの前に長門が立ち塞がり主砲を向け睨みを効かせていた

後ろに居る横目で見ながら叢雲と阿武隈に一言呟く

 

 

 

「良く耐えたな

後は、我々連合艦隊に任せろ」

 

 

「お願い…します!!」

 

 

「……ふん、遅いのよ」

 

 

阿武隈は安堵し、海面に座り込み叢雲は嫌味を言う様にそっぽを向いてしまう

だが、長門は前に居る戦艦棲姫に振り返り主砲を構える

 

 

「全艦!!目標!戦艦棲姫!!

主砲準備!!」

 

 

「ケルベロス!!」

 

 

「ガァ!」

 

 

どうやら、まだやる気のあるらしいケルベロスはまだ使えそうな主砲を構え長門達へと向けている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまでだ」

 

 

突如として聞こえたその声と同時に長門達と戦艦棲姫の間に海中から水柱が上がり深海棲艦の艦隊が六体の姿を現す

その編成は全て戦艦ル級であり主砲が無い盾を装備していた

 

 

 

 

 

 






次回


邂逅

新種の深海棲艦現る?




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戦艦棲姫迎撃戦 十八

後少しだけ続きますご了承くださいませ……





「ナッ!!」

 

 

「深海棲艦!!」

 

 

突如として現れたその深海棲艦に二組は慌て艤装を構えるがその者は両手を上げ降伏の態度を取る

 

 

「……なんのつもりだ貴様」

 

 

ル級達はケルベロスを囲うように動き完全にその回りを固定すると一切動かなくなりその深海棲艦は両手を上げながら長門に近付きル級の隣まで来ると止まり首を傾げる

 

 

「ふーむ…?両手を上げるのは降伏の表れだと聞いたのだが間違っていたかな?

私は君達と戦う意思はない」

 

 

その深海棲艦の姿は、空母ヲ級と酷似していた

だがヲ級とは違い頭に艦載機を発艦させる艤装が無く代わりに腰に飛行場姫と同じ様なカタパルトだけを装備しており他に艤装が見当たらない

口元は真っ白なマフラーで隠れており半分くらいしか見えていないが無表情であることだけは分かる

そして、普通に人間の言葉を喋れるところを見ると通常のヲ級とは考えられない

 

 

「戦う意思はない……?

なら何故戦艦棲姫を庇う?」

 

 

「何故なんて分からないのか?

《ユリ》とケルベロスを回収しに来たのさ」

 

 

「待テ《監視者》!!嫌待ッテクダサイ!!」

 

 

ユリと呼ばれた戦艦棲姫は、ケルベロスの側に立ちながら傷口を抑え監視者と呼ばれた謎の深海棲艦に顔を向ける

 

 

「私ハマダ戦エマス!!

ネェ!ソウデショ!!ケルベロス!!」

 

 

「ガァ…ァァ!」

 

 

ケルベロスもボロボロの身体を動かし、再び動きだそうとするが監視者はル級へ合図を出すとケルベロスの脚を蹴り飛ばす

 

 

「ガァァァァァァァ!」

 

 

「ル級貴様!!」

 

 

 

ケルベロスは痛みの余り脚を抑え苦しんでいると監視者はユリとケルベロスを睨み付ける

 

 

「黙れ、このまま沈めてほしいのか?

貴様ら」

 

 

その顔に恐怖したケルベロスとユリは萎縮しケルベロスも倒れてしまう

監視者は長門に振り替えるがやはり無表情のまま杖に手を当てる

 

 

「と言うわけだ、我々は帰らせて頂こう」

 

 

「何がと言うわけよ!!」

 

 

長門の隣で弓を目一杯引き艦載機を飛ばそうと瑞鶴は監視者を睨み付ける

 

 

「あんたが!!多良間島を占拠してたんでしょ!! 

冗談じゃないわ!!

ここでみすみす逃がすわけないでしょ!!」

 

 

瑞鶴は、弓を空に放つと弓矢は艦載機に代わり監視者に向け爆撃をしようと突っ込んでいく

近くのル級がそれを阻止しようとするが監視者はそれを制止し腰から数機の艦載機を飛ばす

 

 

「航空戦か、それにその艦載機

成る程、お前のだったのか貧乳ツインテール」

 

 

「っ!!蜂の巣にしてやるわ!!!」

 

 

瑞鶴の放った艦載機は十機に対し監視者が出した艦載機は三つどう考えても勝てるわけがないと言うのに監視者は落ち着いていた

 

 

「だが下手だな貴様」

 

 

「っ!!なによその機動!?」

 

 

監視者が放った艦載機は通常ではあり得ない動きをしながら確実瑞鶴の艦載機を全て撃ち落とし、空に滞空している

通常艦載機はその場に滞空何て物は出来ないのだが、監視者の艦載機はそれが出来ていた

 

 

「満足したか?」

 

 

「こんのぉ!!」

 

 

「面倒だな」

 

 

瑞鶴が再び弓を引き艦載機を飛ばそうとしてくるが、先に監視者の艦載機が瑞鶴を正確に狙ってくる

 

 

「瑞鶴!!」

 

 

「ふむ……そのツインテールは瑞鶴と言うのか」

 

 

 

長門が間に入りその攻撃を自分で受けようとするが、監視者の艦載機はそれを避け回り込み正確に瑞鶴の飛行甲板を破壊し爆煙に包まれる

 

 

 

「きゃあぁぁぁぁ!!!」

 

 

「貴様ぁ!!」

 

 

長門は怒り主砲を監視者に向けるが、監視者は右手を上げ弁明する

 

 

「待て、黒いの

私は攻撃をされたから返したまでだ

それに瑞鶴と言ったか

そいつには怪我はないはずだ」

 

 

長門が瑞鶴を見ると確かに正確に飛行甲板と弓を破壊しており本人にはほとんど怪我がない

その言葉を信じ主砲を下ろす

 

 

「……だが確かに逃がすわけにはいかない

大人しく我々に捕まるなら話は別だがな」

 

 

「それは困るな、私も任務なのだ

逃げさせてもらおう

だがまぁ、少し話そうではないか?

黒いの」

 

 

 

 

 

 




次回


女王(クイーン)


因みにこの監視者は実際の艦これには出てこないのでご了承を
完全なオリジナルでございます



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戦艦棲姫迎撃戦 十九

「話…だと?」

 

 

監視者から言われた提案に長門は不審がりながらも主砲を完全に下ろす

 

 

「そう、私はお前達に興味がある

我々の作戦を看破した君達にね」

 

 

そういい終わると同時に監視者は両手を叩き純粋に長門率いる連合艦隊とユリを迎撃した叢雲達と阿武隈達を褒める

 

 

「見事だったよ、君達の足掻きと信念とやらは

我々も見習わなくてはね

特に、そこの叢雲

君、この前も私達のル級を撃破した駆逐艦は

今回の戦いも見事だった

良くもまぁユリとケルベロスを相手取れた物だ

それに加えそこの黒いの

名前は分からないが君が多良間島の戦いの火付け役だった 

私は全て見ていたからね

いやーお見事お見事感服したよ」

 

 

「敵に褒められるとはね……

変な感じね」

 

 

「同感だ」

 

 

 

そう長々しく監視者は今回のMVPを褒め称えると、両手を叩くのを辞め人差し指を立てる

 

 

 

「さて、では君達に特別に報酬を与えよう」

 

 

 

先程からかなり友好的な監視者に全員はすっかり気が抜けてしまい

その言葉に喜びすら覚えていたところに更に向こうからの報酬と言う言葉の誘惑に乗ってしまう

 

 

「何だ報酬とは」

 

 

「黒いのと叢雲の質問に一つだけ正直に答えよう

何でも、な」

 

 

その言葉に全艦娘と提督達はざわめきだす

深海棲艦との会話、これ自体すら珍しく大きな情報になると言うのにも関わらず向こうから情報を聞き出すことが出来るのだからざわめきだすに決まっている

 

 

「本当に…何でもか?」

 

 

「あ、一つ訂正しよう

私でも分からないものがある

その場合、私は分からないと答えよう」

 

 

その話を聞いていた作戦会議室の提督達はざわめきだしそれぞれ案を出しあっているが唐澤はそれを押しきり長門へと指示を出し長門はその言葉を聞き監視者に質問を出す

 

 

「私から良いか?」

 

 

「良かろう黒いの

聞こうか」

 

 

「……お前達、深海棲艦は何故我々、人間を襲う?」

 

 

「何だそんなことか」

 

 

長門の質問に、監視者は片手を長門達へ指差し首を傾げながら答える

 

 

「至極簡単だ

お前達が持っているものが欲しい

そして、貴様等人間が邪魔なのだ

それだけだ

まぁ、この考えが大半だな」

 

 

「共存は…」

 

 

「おっと質問は一つだこれ以上は答えないぞ?

さて、後は叢雲だな何を聞きたい」

 

 

長門が言いかけた瞬間、監視者は手を出し長門の言葉を遮り叢雲へ向き直る

 

 

「さぁ、何を聞きたい

駆逐艦、叢雲よ」

 

 

「そんなの決まってるじゃない」

 

 

叢雲は立ち上がり佐渡の聞きたい事が大体分かっており、聞く前に監視者へと質問すると佐渡と言葉が被る

 

 

「『お前は何者だ?』」

 

 

 

その言葉を言った瞬間辺りは静まり返り、監視者は杖を両手に持ちかえ海面を叩く

 

 

「ふむ、良い質問

嫌、普通は聞くところだ

どうやら君達は優秀な様だ」

 

 

次の言葉が待ち遠しく、ここにいる艦娘と作戦を会議室の提督達はごくりと喉をならす

そして、監視者は質問にゆっくりと答えていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が名は監視者

深海棲艦の親にして全ての始まり、始元によって建造された全ての深海棲艦の管理人であり

人形兵器艦娘に対抗し作られた初の二足歩行形の深海棲艦

そして、全ての深海棲艦を操ることが出来る唯一の存在

それが私だ」

 

 

その言葉に、全ての艦娘達が一斉に艤装を構え戦闘体制を取る

だが監視者は微動だにしない

 

 

「始元…だと?」

 

 

監視者の言葉に驚きを隠せないのは、作戦会議室の提督達も同じである

 

 

「長門!!そいつを必ず捕まえろ!!!

奴はこの戦争を止めるきっかけになるはずだ!!」

 

 

 

『了解!!』

 

 

唐澤の指示を聞いた長門は全門監視者に向けておりいつでも撃てるようにしている

 

 

「監視者!!ソコマデ言ウ必要ガ……」

 

 

後ろではユリが、心配そうに見つめるが監視者ははぁとため息をつく

 

 

「だからお前は馬鹿なんだ、ユリ

私がただこいつらに話すわけないだろ?」

 

 

監視者は、杖を海面に再び叩き付けると付近から深海棲艦が何体か出現しケルベロスとユリを持ち上げる

 

 

「どういう意味だ!!

監視者!!」

 

 

「やはり、そこの叢雲以外は馬鹿なのか

 

時間稼ぎはここまでで良かったな」

 

 

時間稼ぎ、確かに監視者はそう言うと長門達の背後から何かがこちらに向けて航行してきており監視者はため息をつく

 

 

「長門さん!!

こっちに何か来ます!!」  

 

 

「何だと!?」

 

 

その航行してきている者を全艦隊で確認すると全員が冷や汗と共に警戒している

あるものは震え、あるものは恐怖している

その者は通常の深海棲艦とは違い人の形をしており

全身に多くの砲門を装備しており

海軍に居るものなら誰もが知る最悪であり最強の深海棲艦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いぞ、《クイーン》」

 

 

それは、南方棲戦姫の歴戦種

この二度目の戦争を引き起こした最悪の存在であった

 

 

「はぁ~い

来てやったわよ、監視者~」

 

 

 

 

 





次回


海の怪物

いきなりラスボス登場!
良くある展開ですよねぇ









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戦艦棲姫迎撃戦 二十

南方棲戦姫、全ての始まりそして二度目の戦争を引き起こした最強最悪の深海棲艦

海軍が勢力を上げて倒したい相手

それが目の前にいる

その真実だけが艦娘達へ突き付けられた

 

 

「よっと」

 

 

 

南方棲戦姫は、海面を蹴り勢い良くジャンプをすると監視者の隣に見事に着地すると腕を振り回し肩をゴキゴキと鳴らす

 

 

「あらぁ?本当にやられたの?ユ~リ?

あれだけお膳立てしておいて勝てないなんてねぇ?

あんたどんだけよぉ?」

 

 

「モ、モモモ申シ訳アリマセン!!

クイーン様!!」

 

 

ユリはクイーンと呼ばれた南方棲戦姫に土下座をしており頭を海面に擦り付けている

 

 

「まぁ、良いわ

それに」

 

 

クイーンは言い終わる前に長門達を見ると口元を怪しく吊り上げながら笑い始める

その姿に、艦娘達は恐怖を覚えていた

 

 

「アハハハ!!こんな大勢が相手なら仕方ないかぁ?

じゃあ、殺しますかぁこいつら」

 

 

その言葉にゾッとしながらも全員は主砲をクイーンへと向けるが監視者がクイーンの頭を軽く叩く

 

 

「馬鹿者、今回お前の任務は護送だ

戦うんじゃない」

 

 

「えー!何でよー!

こんなにゴミが浮いてるのよ?

早く掃除しましょうよ?」

 

 

クイーンは長門達を指差しながら子供の様にねだるようにほっぺたを膨らませる

だが、それは演技だと直ぐ様見破った監視者はクイーンを放っておきながら航行し始める

 

 

「帰るぞ」

 

 

「ちぇつれないわねぇ」

 

 

「待て!!」

 

 

ケルベロスとユリを運び始めると、長門がその二人の行方を引き留める

足が震え怯えながらも果敢に二人へと主砲を向けながら

 

 

「誰が行って良いなど……」

 

 

「ふむ、ではやるか?

お前達は傷だらけスタミナも無いのだろう

だがそれに対して私達は体力満タンに君達が恐れているクイーンだぞ?

負けるのは目に見えているだろう?」

 

 

「やるのぉ?構わないわよ?

藻屑になる覚悟が出来たってことよねぇ?」

 

 

「………くっ」

 

 

監視者の言葉に、長門は連合艦隊と叢雲達を見渡すが戦える状態ではない

それに加え、深海棲艦を操ると豪語する監視者に南方棲戦姫の歴戦種

こちらに勝機はない

 

 

『…長門沖縄に帰投せよ』

 

 

「提督……」

 

 

『これ以上の被害を出しても仕方ない

責任は私が取る帰ってこい』

 

 

唐澤の言葉に納得し、主砲をおろし唇を噛み俯く

 

 

「懸命な判断だ

そうだ、多良間島と宮古島は返却しよう

もう必要ないからな

行くぞクイーン」

 

 

「アハ、なっさけなーい」

 

 

ル級達は、ケルベロスとユリを持ち上げクイーンが来た方角へと走り出し

クイーンと監視者もその後ろを付いていく

その姿を見送る事しか出来ない連合艦隊と叢雲達は自らの弱さと敗北に頭を抱え悔しさに耐えており

叢雲と長門はクイーンが通り過ぎる瞬間睨みを効かせ、クイーンは余裕な表情をしていた

 

 

「そうだ」

 

 

最後に通り過ぎた、監視者は長門達に振り返ると杖を掴みながら無表情のまま続ける

 

 

「君達への賞賛は私の本心からだ

良くもまぁ、エリート化のあれらを処理出来たものだ

 

 

次はもう少しこちらも策を練らせてから行かせてもらおう

 

 

 

また会おう、お互い死ななければな」

 

 

そう告げると、振り返りケルベロスとユリ達の後ろを付いていくように航行し、しばらくすると水平線へと消えていく

 

 

「くそ!!!後少しだったのに!!!」

 

 

 

「悔しい……です!!」

 

 

 

「比叡お姉様…私もです!」

 

 

 

完全に姿が見えなくなった瞬間、瑞鶴は弓を海面に叩き付け比叡や霧島、長門達は悔しさに唇を噛み締める

 

 

「………すまない提督」

 

 

『嫌、これでいい

連合艦隊帰投せよ』

 

 

「……分かった

全艦!沖縄に帰投せよ!!」

 

 

長門の合図に連合艦隊はとぼとぼとした足取りで帰投する

勝利はした、目的の多良間島は取り返した

だが、連合艦隊はユリと呼ばれる戦艦棲姫と艤装ケルベロスを逃がしたと言う結末に納得出来るものは居なかった

そんな中四人、海面に倒れ意識を失った艦娘がおりその音が全員の目を集めた

 

 

「大井っち!!しっかりして!!」

 

 

「叢雲さん!!古鷹さん!!」

 

 

「阿武隈!!ちょっと大丈夫!?」

 

 

 

先程までケルベロスとユリを相手取り痛みと体力の限界が来ており全く動けなくなっていたのである

全員傷口から大量出血をしており海面が赤く染まっている

 

 

(あれ……動かない…

ちょっと、無理し過ぎた…かしら)

 

 

薄れゆく意識の中、耳元から聞こえる佐渡の必死な声と心配する声が頭に反響する

 

 

(眠い……駄目だ…

あいつに…心配……)

 

 

そう考えている間に叢雲は眼をゆっくりと閉じ意識を手放してしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           海上要塞ケルベロス

         戦艦棲姫ユリ迎撃戦 end





次回

お前は誰だ


今回でVS戦艦棲姫戦は終わりになりますが、次回は今回の話に関係ありません!
良かったら見て頂いても良いのよ?(チラッ)










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罰を下すのは誰?

今回(二話目は)、かなりのグロが含まれると予想します!
キッツいと言う方は今回はスルーして頂いても構いません!!










それでも良ければどうぞ!







ここは、海軍刑務所の外ある人物が出所し車椅子のタイヤを回しながら走行していた

外は真っ暗になっており、時刻は0時を回っていた

 

 

「くそ!!大井と小笠原提督の野郎……

絶対に許さねぇからな…」

 

 

この男、元佐世保鎮守府提督 木原である

実は木原は海軍大将や他の元帥等に顔が効くため賄賂を払い刑期を無くし出所してきたのだ

 

 

「元帥も元帥だ、何で兵器を守る法律なんて作りやがるんだ

絶対に許さねぇ

まだ、奴との《取引》は終わってねぇ

俺には地位もあるやり直してやるぜ

 

 

あいつらを追い詰めて殺してやる!!」

 

 

木原が呟いていると目の前からある人物が歩いてくる

その姿を見ると木原の顔が明るくなる

 

 

「Hi!提督迎えに来ましたよ!」

 

 

「おぉ!アイオワ!!迎えに来てくれたのか助かる!」

 

 

アイオワは、木原の後ろに回り込み車椅子を押し二人は歩き始める

 

 

「提督、災難でしたね

これ大井の所属先の情報になります」

 

 

「流石だなアイオワ既に調べていたのか」

 

 

木原は資料を見ると怪しく微笑んでいると、アイオワはその姿を後ろから微笑みながら海を見渡していた

 

 

「提督?そう言えばまた提督をやられるのですか?」

 

 

「あぁ?やるに決まってるだろ?

佐世保では無理だと思うから大元帥に頼んで他の……」

 

 

「そこでの方針を今のうちに聞きたいのですが、よろしいですか?」

 

 

木原は、アイオワを見ると不思議がる

(何でこんなに聞いてくるんだ?

まぁ良いかこいつは戦艦何だしな)

考えてはいるが、戦艦や空母のみを優先的に育ててきた木原にとってアイオワは居ないと困る存在だからこそ特に気にも止めなかった

 

 

「きまってるだろ?駆逐艦や軽巡を盾として使いつつお前達戦艦を優先的に育てるだよ

 

所詮あいつらはすぐに使い捨て出来る

本当に便利だよなぁ!!」

 

 

そう言うと、木原は辺りに響き渡る位の笑い声を上げると静かにアイオワは笑う  

 

 

「……提督、所でドッペルゲンガーってご存知ですか?」

 

 

「はぁ?唐突にどうした?」

 

 

アイオワは、車椅子を押しながらゆっくりと歩きながら話を続ける

 

 

「ドッペルゲンガーはですね

自分自身の姿を見ることが出来る幻覚の一種とされています

基本的には、自分の第二の自我と言われたりもう一人の自分と称されます

超常現象の一つとされています」

 

 

「……それがどうかしたのか?」

 

 

先程からアイオワの様子が可笑しい、木原はそう考え振り返ろうとすると後ろからアイオワに頭を掴まれる、そしてアイオワはギリギリと力を込めながら頭を締め付けていく

 

 

「いたたた!!何をするんだアイオワ!!放せ!!」

 

 

痛みのあまり、両手でアイオワの手を掴み離そうとするがアイオワの力が強く全く離せずにいる

アイオワはそんなことお構いなしに話を続ける

 

 

「そしてある都市伝説がありますそれは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自分のドッペルゲンガーに会うとどちらかが死ぬと言う物ですよ

 

 

木原 淳也 中将」

 

 

その言葉に恐怖を覚え急いで車椅子から転げ落ちアイオワに振り返るとその姿に唖然とし恐怖する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何故、俺が居るんだ?」

 

 

アイオワが居て車椅子を押しているはずなのにそこにいたのは軍服を着た木原自身だった

 

 

 

 

 





次回

ドッペルゲンガー

幽霊かな?(すっとぼけ)





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罰を下すのは誰?二

最近友人に色々と艦これに関して聞いてますが知らないことが多くて辛い…







木原が唖然としていると、その男もう一人の木原は車椅子を蹴飛ばし木原の頭を掴み持ち上げる

 

 

「いだだだ!!」

 

 

持ち上げられた木原は頭を手で押さえながら足を動かそうにも全く言うことが聞かないため力を入れようにも何も出来ずにいた

 

 

「誰?俺はお前だよ

駆逐艦と軽巡を盾に使い

深海棲艦と《取引》を行い

そして、艦娘を玩具としか思っていない

親のコネで入った海軍中将の木原 淳也さ

他にも言ってやろうか?」

 

 

「なっ!!」

 

 

深海棲艦との取引、これは木原とある一人艦娘しか知らない事実

しかもその艦娘は轟沈させており知ってるのは実質木原のみである

それに、この男が言ってることは全て合っており男のどこを見ても自分にそっくりである

 

 

「足で抵抗しないのか?

あー…そう言えば巨乳軽巡大井にやられたんだっけか?

憎いよなぁ?まぁ知らねぇけどよ!!」

 

 

その瞬間、男は木原の頭を地面に叩き付け足の太股を思い切り踏みつけながら怪しく笑みを浮かべている

 

 

「ギヤァァァァァ!!!!」

 

 

「おっと痛いのか

だが、こんな動かない下半身は入らないよな?」

 

 

男は木原の足を踏みながらポケットから銃を取り出し木原の脹ら脛に突き付ける

 

 

「や、辞めろ!まさか!!」

 

 

「そーれパンパンっとな」

 

 

引き金を引くと、二発の銃弾が発砲され木原の脹ら脛にに穴を開ける

穴からは硝煙の匂いと血の匂いが混じり空いた穴からは大量の血液が流れ始める

 

 

「あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「おー痛そうだねぇ?

俺よ?」

 

 

そして、男は穴が空いた脹ら脛を思い切り踏みつけ木原に更なる痛みを味会わせる

 

 

「痛い痛い痛い!!!

辞めろ!!辞めてくれ!!」

 

 

「嫌に決まってるだろ?

やりたいからやってるだから」

 

 

「なら!!死ねぇ!!!」

 

 

 

木原もポケットから銃を取り出すとその男に向けて発砲する

銃弾は全て男に命中し、当てられた男は腹部を押さえながら苦しそうにしている

その隙に木原は抜け出し、這いずりながらでもここを立ち去ろうとしている

 

 

(何だ?何なんだ!!アイツは!?

アイオワはどこにいったんだ!?)

 

 

木原は、この状況が全く理解が出来ていなかったが一つだけ分かっていることがある

 

 

(あいつは俺を殺す気だ!!)

 

 

それだけが分かり、ただがむしゃらに痛む足に耐えながら上半身が泥だらけになりながらも這いずっていた

惨め、まさにその言葉が似合うほどに生きることに必死になっている木原を嘲笑う様に男は再び木原の首根っこを掴み持ち上げる

 

 

「逃がさねぇよ?

俺!!」

 

 

「ぐはっ!!」

 

 

木原は投げ飛ばされ、地面に叩き付けられると同時に足に冷たい物が感じられる

それが月明かりに照らされて目に写ったのは綺麗な銀色の刃

日本刀だった

 

 

「木ー原?これが何か分かるかなぁ?」

 

 

「やめろ、辞めてくれ!!!」

 

 

その行動に理解した木原は全力で逃げようとするが、男は片手で銃を撃ち残りの銃弾を両腕に全て撃ち込む

 

 

「痛い!!腕がぁ!」

 

 

両腕の二の腕と手の甲を撃ち抜かれ最早逃げる為の行動手段を失った木原は身体を揺らしながら何とか逃げようとする

 

 

「アハハハ!!滑稽だな!惨めだね!!

その姿が良く似合ってるぜぇ!!」

 

 

そう言うと男は、木原の背中にナイフを投げつけると見事に背中に刺さり木原は動けなくなる

 

 

「ギヤァァァァァ!!

背中!!背中にぃ!」

 

 

男は近付き背中のナイフを勢い良く抜くと木原を仰向けにすると日本刀を取り出し、木原の足首に当てる 

だが木原は気丈にも男に対し睨みを効かせる

 

 

「お前!!俺は深海棲艦との《取引》をおこなってるだぞ!!

俺を殺せばそいつらが……」

 

 

「知ってるさそんなこと」

 

 

そう言うと男は日本刀を振り下ろし木原の足を切断する

その瞬間木原は泣き叫び大声で痛みを叫ぶ

 

 

「足がぁぁぁぁ!!!足がぁぁぁぁ!!」

 

 

「ふふ、やっぱり楽しいねぇ

これは」

 

 

男は切り落とした足首を拾い上げ流れ出る血を木原にかけると中身を見せる

断面は、綺麗に切られており肉と骨がハッキリと見え絶え間なく血が木原へと流れ出ている

それに恐怖を覚え木原は震え涙を流し始め命乞いをする

 

 

「頼む……

金でも、名誉でも、地位でも

何でもやるから助けてくれ……」

 

 

男は、日本刀を片手に人差し指を手に当て考え込むがすぐに日本刀を振り上げ木原の腹部へと突き刺す

 

 

「ギヤァァァァァ!!」

 

 

「欲しいもの?あるぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お前の命だ」

 

 

刀を抜くと次はもう反対の足を切り落とし次は、それを徐々に太股、脹ら脛へとまるでネギを切るように輪切りにすると綺麗に切れた肉片が辺りに散らばり地面は真っ赤に染まる

そこまで、切ると男は日本刀に付いた血を地面へと流し木原の頭を掴む

 

 

「生きてる~?」

 

 

「ぁ、ぁあ」

 

 

その顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになってはいるが話が出来るところを見ると生きているらしい

男はそれを確認すると血塗れの木原を車椅子に乗らせ海の崖沿いへと運んでいく

 

 

「全く~大井ちゃんがこいつを中途半端に生かすから殺すのに手間取って仕方ないわね」

 

 

その言葉を聞いた木原は、意識をハッキリとさせゆっくりと頭を向け男を見上げる

 

 

「ぉ、まぇ…まさ…か!!」

 

 

木原の言葉に、男はニヤリと頬を吊り上げながら睨み付けるように木原を見下ろす

 

 

「お前達提督を殺すのは私の役目

 

どんな奴だろうが、艦娘を無下にする奴は許さない

 

全て皆殺しにしてやるわ

 

私は正義ではない、お前達が提督がただ純粋に憎いのよ

 

 

だから、死ね 《木原提督》」

 

 

男は、車椅子を蹴飛ばし木原の車椅子は真っ直ぐ崖に進みそのまま崖からゆっくりと海へと落ちていく

木原は怯えながら目の前に迫る尖る岩に落ちていき、顔を突き刺しそのままぶらんと岩にもたれ掛かる

頭を突き刺した岩は真っ赤に染まり足の傷口から血が滴り落ち海面に落ちていった

 

 

その姿を見た男は、木原の死を確認すると振り返り服を全て脱ぐと月明かりを見ながら木陰へと消えていく

そして、一言だけ呟く

 

 

「地獄に落ちろ、グズ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、海軍刑務所の職員が出勤時に見た血痕を怪しみ後を辿るとそこには崖の岩に頭を突き刺した木原の姿が確認された

遺体は血の匂いが漂い、海猫達につつかれており白骨化している部分が多くかなり悲惨な状態だったらしい

その為か、彼が誰なのか分かるまで時間を要した

 

 

 

 




次回 

勝利

戦艦棲姫迎撃戦の後日談になります!
戦闘はほぼない完全な日常風景を書きます


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沖縄ツアー

ここからは日常の話になります
戦闘無しのオフ状態の叢雲達をご覧ください!







(ん……どこここ…)

 

 

叢雲は真っ白な天井とベッドで眼を覚ました

身体が動かない

そう思いながらも無理矢理にでも身体を動かそうとすると何か付いてるのが分かる

辺りを確認すると点滴があるのは分かる

袋には高速修復材と書かれている

 

 

「そうだ!!戦艦棲姫!!

っていてて…」

 

 

 

だが、次の瞬間起き上がるが全身に痛みが走ると同時に誰かが側に居るのが分かり眼を向けるとそこには佐渡が腕を組みベッドに寝ていた

恐らく、叢雲が起き上がるのをずっと診ていたらしくそのまま寝てしまったのだろう

その姿に微笑み時間を確認するとどうやらあれから四日はたっていたらしい

そのまま、外の風景を見ていた

少しすると、んんと言う声と同時に佐渡が目を覚まし起き上がり叢雲を見て喜びに微笑む

 

 

「おはよ、司令官」

 

 

「あぁ、おはよう叢雲

……じゃねぇ!!!」

 

 

その言葉と共に佐渡は、叢雲の頭を殴り付ける

 

 

「痛いじゃないの!!

怪我人に何するのよ!!」

 

 

「うっるせ!!お前無茶しやがって!!

このやろう……心配させんなよ!!

こいつ!!」

 

 

佐渡は、それと同時に叢雲を抱き締めるその姿に叢雲は察し背中を撫でる

 

 

「悪かったわ

でも守ったわよあんたも仲間も」

 

 

「あぁ、ありがとう

そして、お疲れ様」

 

 

すると部屋の扉が開き、古鷹と大井が入ってくる

 

 

「あら、起きてるじゃない!

叢雲平気なの!?」

 

 

「叢雲!!大丈夫!?

痛いところない!?

生きてるんだよねぇ!?」

 

 

佐渡を押し退け古鷹は叢雲に抱き付き大井はベッドに手を置きながら心配そうに全身をくまなく見る

 

 

「平気よ、心配かけたわね」

 

 

「こいつに何かされなかった!?」

 

 

「あー、頭叩かれて抱き付かれた位かな?」

 

 

それを聞いた、大井は佐渡に振り返りどこからか取り出した魚雷を佐渡の腹部へとゴリゴリと押し付ける

 

 

「ほほーう?あんたは怪我人を殴る癖があるのぉ?

ちょっと向こうで話しましょ?て い と く?」

 

 

「待って待って大井さんや

言い訳言わせて?」

 

 

「問答無用!!」

 

 

「ヒィィィィ!!」

 

 

「それは後でで良いから、佐渡状況を説明して」

 

 

いややらせたのお前じゃね?とか佐渡は思っては居るがパイプ椅子に座り直すと今回の作戦結果と現在の状況を話始める

 

 

叢雲達が気絶した後、沖縄の海岸に待機していた医療班に運ばれ総出で艦娘達の治療にあたり

特に叢雲はケルベロスとユリを相手取り無茶をしていた為かなり危険な状態だったらしい

他の艦娘達は高速修復材を使用したり、入渠したりで二日位で皆完治しそれぞれ自分の鎮守府へと帰っていった

 

 

沖縄は叢雲達が戦艦棲姫ユリと艤装ケルベロスが死守し最後に連合艦隊を恐れをなし逃げ出したと沖縄、宮古島、多良間島に伝えられ例の監視者と南方棲戦姫クイーンに関しては伏せられていた

 

 

戦艦棲姫ユリの艤装ケルベロスは、監視者と南方棲戦姫クイーンが連れ去り同行を探ってはいるもののどこに消えたかは分からず仕舞いらしい

恐らく深海を通り追っ手を逃れたのかもしれないと予測されていた

 

 

今回の作戦ミスの多くは元帥に有り、その否を認め全ての提督に謝罪をしたがあんな作戦を引かれているとは誰も予想できては居なかった為誰でも同じようになっていたと理解し今回は不問となっていた

 

 

 

だが、今回収穫もあった

歴戦の南方棲戦姫との接触識別名クイーン

そして、クイーン、ユリ達を従え未だに多くの謎に包まれている

始元によって建造された深海棲艦 監視者

深海棲艦を操る最も危険な存在であり、大本営はこの監視者だけでも同行を探るように呼び掛け必ず撃沈では無く捕縛命令が出ていた

彼女はこの戦争を終わらせる切り札になると感じていた

 

 

 

 

「成る程ね

つまり、私達は」

 

 

「そう、一応の所は奴等に勝ったってことになるな」

 

 

話を聞き終わった叢雲は再びベットにもたれ掛かると両腕を伸ばしながらのんびりと脱力する

 

 

「なら良かったわ

 

良くもまぁあれに勝てたわね私達」

 

 

叢雲はそう呟くとユリとケルベロスとの戦闘を思い出すそれと同時に当てられた砲弾の痛みや苦痛を思い出しベットの布団を握り締める

 

 

 

 

 

 





次回  

休暇

次回からゆるーいお話になっていきます
つかの間の休息を楽しむ彼女達見守ってあげてくださいませ!


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沖縄ツアー ニ

「あ、それと元帥から休暇を貰ったぞ」

 

 

「「「はぁ?(はい?)」」」

 

 

佐渡は、両手を合わせ言うと三人は首を傾げる

 

 

「今回の作戦でのMVP

長門

阿武隈

叢雲

達の鎮守府には今回の作戦報酬とは別に何かを元帥から貰えるのだが悩んだ結果三日間の沖縄ツアーを貰った」

 

 

そう言うと、佐渡はえっへんと言うほどの態度を取ると大井は肩を震わせ佐渡に掴みかかる

 

 

「提督!!何でそんなもの貰ったのですか!!

そんなことより艤装の新調とか!!」

 

 

「いや、今特に欲しいのは無いし」

 

 

「じゃ、じゃあ!機材とか!!」

 

 

「……今欲しいものは無いかな?」

 

 

「なら!新しい艦娘とか!!」

 

 

「おいおい、うちを忘れたのか?

そんなの貰えるわけないだろ?」

 

 

「………はぁ…」

 

 

大井は頭を抱えながら大きく溜め息を付くとその頭を佐渡は撫でる

 

 

「折角沖縄まで来たんだ、少しは羽を伸ばそうじゃないか?

それにお前達も疲れただろ?

たまには貰おうじゃないかな休暇をさ」

 

 

佐渡はニカッと笑うと大井はその手を払いのけ叢雲達と顔を見合せ溜め息をつく

 

 

「そうね、どうせだからゆっくりさせて貰おうかしらね」

 

 

「叢雲が治ったらね?」

 

 

「あら?私はもう大丈夫よ?

この位…」

 

 

叢雲はそう言うと、ベッドからゆっくりと立ち上がると点滴を持ちながら準備運動を開始する

 

 

「お、おい、叢雲大丈夫なのか?」

 

 

「こんなの平気よ

少し痛むけどすぐに馴れるわ

それに」

 

 

叢雲は窓から沖縄の景色を見ながら、満天の青空を見上げながら窓際に背を預け佐渡達へ向き直る

 

 

「休暇何でしょ?

折角貰ったんだから楽しませなさいよ!

美味しい物、珍しい物、小笠原では見れないものを見させてもらうわよ!!」

 

 

その姿に安心した佐渡はパイプ椅子から立ち上がり近くにあったスポーツドリンクを取ると叢雲に投げ付ける

 

 

「それでこそ叢雲だな

だが、ちょっと待ってろ先生呼んでくる」

 

 

「その必要はありませんよ」

 

 

その声の主を見るため全員が振り返るとその先に居たのは沖縄鎮守府提督 石澤と秘書艦阿武隈だった

 

 

「阿武隈さん!!

治ったのね!!良かったわ!!」

 

 

「叢雲さんこそ、良くぞご無事で!!

本当に……良かったです

一時はどうなるかと……」

 

 

部屋に入るなり、阿武隈は叢雲に抱き付き心配していると叢雲は阿武隈の頭を優しく撫でている

その後ろから石澤が歩いてくると佐渡と握手を交わす

 

 

「叢雲さん目覚めたのですね

良かったです」

 

 

「えぇ、本当に」

 

 

「阿武隈、ちょっと来い」

 

 

「あ、はーい!」

 

 

阿武隈は石澤に言われ叢雲から離れると石澤の隣に並び同時に佐渡達にお辞儀をする

 

 

「この度!我々の鎮守府!そして、沖縄を守って頂きありがとうございます!!

貴方達のおかげで無事戦艦棲姫達からこの沖縄を守れました

この恩は一生忘れません!!本当にありがとうございました!!」

 

 

「ありがとうございました!!

沖縄鎮守府艦娘一同を代表し、お礼を申し上げます

本当にありがとうございました!!

私達の居場所を守ってくれて……本当に……」

 

 

阿武隈は涙ぐみながら話し、石澤も少し目に涙を溜めながら話すと佐渡が肩を叩き叢雲は溜め息をつく

 

 

「石澤大尉、顔を上げてください

我々は至極普通の事をしたまでです

お礼なんていりませんよ」

 

 

「だ、だが……」

 

 

「そうよ、私達は兵器として軍人として当然の事をしたのよ

一々、そう言うのは要らないわ」

 

 

「で、でも……」

 

 

煮え切らない二人を見ると、佐渡は思い付き叢雲達を集めヒソヒソと会議を始める

 

 

「あ、それ良いわね」

 

 

「だろ?」

 

 

「そうですね!私も賛成です!」

 

 

「へー?提督の癖に良いこと思い付くじゃない?」

 

 

「提督の癖は余計だ!」

 

 

石澤と阿武隈は、置いてきぼりをくらい二人顔を見合せていると佐渡が振り返りごほんと喉をならす

 

 

「では、その恩今返して貰いましょうか?」

 

 

「!

あ、あぁ!何でも言ってくれ!!

艦娘でも資材でも……」

 

 

「俺達にこの沖縄を案内してくれませんか?」

 

 

「………へ?」

 

 

予想外の答えに石澤は、拍子抜けをしてしまっていると叢雲達がクスクスと笑っている

 

 

「私達、休暇中なの

それで沖縄を観光したいんだけど」

 

 

「私達、沖縄に来たことがありませんからどこをどう回れば良いのか分からないです」

 

 

「でも、観光したいんだけど観光客とかの予約はしてないから分からないんですよねぇ」

 

 

「と、言うわけで沖縄鎮守府の方々に沖縄を案内してほしいのです

どうせなら地元に住んでる方々に案内された方が良いですし

仮はこれで無しにしましょう!」

 

 

「だ、だが…」

 

 

石澤が狼狽えていると阿武隈が隣で微笑んでいると溜め息を吐き頭に被っている帽子を深く被りありがとうと呟くと帽子を取り息を吸う

 

 

「…そんな事で良ければ幾らでも!!

我々、沖縄鎮守府総出で貴方達小笠原鎮守府の方々をおもてなししましょう!!」

 

 

「やったー!」

 

 

「阿武隈さん!案内よろしくお願いします!!」

 

 

「よろしくお願いします!」

 

 

「まっかせて!!色々案内して退屈なんてさせないんだから!!」

 

 

阿武隈を含め叢雲達が楽しく話しており今後どこにいくとかを計画していると石澤が佐渡に近付く

 

 

「本当に良かったのか?

こんなので

艦娘でも良かったんだぞ?」

 

 

「えぇ、頑張ったのはこいつらです

一時を休息をね?」

 

 

佐渡が言うと石澤は、微笑み四人の姿を見守っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「所でここ病院じゃなかったでしたっけ?」

 

 

「「あ…」」

 

 

石澤と阿武隈が振り返るとそこには、カルテを持った看護師がひきつった顔で笑っておりドアにカルテを叩いていた

 

 

「病院では、お 静 か に!!

石 澤 さ ん?と阿 武 隈 ちゃん?」

 

 

「「ごめんなさい……」」

 

この後、石澤と阿武隈はしっぽりと看護師に部屋に正座させられて怒られており阿武隈が必死に弁解しているのを四人は笑いを堪えながら見ていた

 

 

 

 





次回

小笠原鎮守府休暇ツアー

IN 沖縄


次回から阿武隈達と叢雲達だけの沖縄ツアーになります!
だが、作者は沖縄に行ったこと無いので沖縄にお住みの方々が見ておりここおかしいとかあったらすいません…







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沖縄ツアー 三

ここから提督達の出番が一気に減ります
ご了承を!!

今回は叢雲達の食べ歩きツアーになります



 

「へぇ?これ美味しいわね?

具沢山で様々な味を楽しめて」

 

 

「でしょでしょ!私これ大好きなのよ!!

お肉は美味しいし野菜も取れるし!」

 

 

「あ、本当に美味しいですねこれ」

 

 

「具材沢山だから叢雲さんも古鷹さんも喜ぶと思ったけど良かった!」

 

 

現在、沖縄にて古鷹、叢雲は共に行動しその案内役として瑞鶴、阿武隈が同伴していた

その理由と言うのも、瑞鶴は沖縄の食べ物に詳しく阿武隈は景色等に詳しいからと言う理由だった

 

 

叢雲の状態は安定しており本当はニ、三日は安静にしてほしかったのだが叢雲本人が「早く出掛けたいの何か無いの?」と医師に詰めより液状の飲む高速修復材を出してもらい朝、昼、晩とキチンと飲むことを約束に今回ツアーに参加した

 

 

肝心の佐渡は「用があるからお前らだけで楽しみな、後夜まで帰ってくるなよ」と言われ沖縄鎮守府で何か用意しているらしい

 

 

大井に関しては、曙、潮、朧、那智が連れていき「大井さんの案内は私達がやるわ!!」と息巻きどこかに連れていってしまった

大井も満更ではなく「夜に落ち合いましょ?」と言い三人の駆逐艦に手を引っ張られその同伴として那智が着いていっていた

 

 

明日は明日で、また人を変えて小笠原の三人をもてなすらしいのだが三人はそれが楽しみで仕方無い様子だ

 

 

「タコスって言うのこれ?」

 

 

「そうよ!トウモロコシの生地で出来たメキシコの料理何だけどね……」

 

 

瑞鶴は味が気に入った叢雲に嬉しそうにタコスの事を詳しく説明していると叢雲も食い入るようにその話を聞いてはいるがタコスを食べる手をやめてはいない

 

 

「あはは、相変わらず食べるなぁ叢雲は……」

 

 

「あ、古鷹さんついてますよ?」

 

 

「え?どこ?」

 

 

阿武隈は、古鷹の口元に付いたサルサソースを取ると自分の口に運び舐めるのだがその瞬間気付き顔が熱くなる

 

 

「あ、ありがとうございます!

どうかしましたか?阿武隈さん?」

 

 

「な、ななな、何でもないです!!」

 

 

「よーし!!」

 

 

阿武隈が突然赤くなっているのを気にしていた古鷹だが突然瑞鶴が立ち上がりタコスを一気に食べきるが口元にトマトとサルサソースが付いているが気にしてないのか気付いてないらしい

 

 

「叢雲!気に入った!!今日は食べまくるわよ!!

付いてきなさい!!」

 

 

「良いわよ!!この沖縄名物今日一日で食いきってやるわ!!」

 

 

瑞鶴と叢雲を握手をするとニカッと二人して笑っていると古鷹と阿武隈は苦笑いを浮かべて溜め息をつく

 

(やっぱりこうなるのか……)

 

 

「ほら!!あんた達ボケッとしてない!!

まだ食べてないもの一杯あるんだから!ちゃっちゃと食べる!!」

 

 

「古鷹行くわよ!!今日は食べまくるんだからね!!

あぁ!!楽しみだわ!!」

 

 

二人は意気揚々としながら、古鷹達を置いてスタスタと歩いていってしまう

 

 

「ちょ、ちょっと!!」

 

 

「二人とも早いよ!?」

 

 

古鷹と阿武隈は急いで食べ終わり、ゴミ箱に捨て律儀に店のお兄さんに「ご馳走さまです!美味しかったです!!」と言うとお兄さんは「ありがとう英雄さん」と言われたのだが古鷹はそんなこと気にしてる余裕がないほどに瑞鶴と叢雲が早く阿武隈と後を追いかける

 

 

 

「「二人とも待って(よ)ー!!」」

 

 

 

 

 




次回

大井&駆逐艦の水族館ツアー


今回の話は叢雲、大井、佐渡の交互にやっていきます
彼等の一日の休暇ご覧ください





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沖縄ツアー 四

今回は大井の戦艦棲姫と対峙した組の話になります

龍驤さんは、残念ながらお仕事です(後半に出てきます)







「で、どこにいくの?」

 

 

「秘密」

 

 

「秘密よ!」

 

 

「秘密…です」

 

 

大井は、朧、曙、潮の三人に連れられながら五人で道路を歩いていた

実は、大井とこの四人は叢雲が意識が無い間に仲良くなっており沖縄鎮守府でも良く話していた

戦闘を共にしたと言うことも有り、気絶した大井の世話も北上と共にしていたらしく叢雲が意識を取り戻すまで一緒に行動していた

 

 

「すまないな、大井

叢雲達と離れ離れにしてしまって……」

 

 

「いえ、大丈夫ですよ!

どうせ叢雲と一緒に行くと食べ歩きになってたと思いますし……

古鷹さん…大丈夫かしら…」

 

 

「「「着いた!!」」」

 

 

 

苦笑いをしながら話すと那智は察したのか大井の肩を叩きそうかと呟くと前を歩いていた三人が叫びだし二人は目の前の建物を見る

そこには水族館と書かれており、大井は首を傾げる

 

 

「水族館?」

 

 

「……成る程な」

 

 

「そうよ!!大井さんの所にはないでしょ!こう言うの!」

 

 

「私達は基本的に海には居るけど、海上でしょ?

だから、大井さんには海の中も見てほしいの」

 

 

「折角ですから海の中の光景を楽しんで行ってください…!」

 

 

大井は三人に手を引っ張られ、転びそうになりながらも水族館の入り口へと誘われていく

 

 

「ちょ、ちょっと!」

 

 

水族館の入り口には、職員が居るが曙がその職員に向かいウィンクをすると職員は微笑みながら「ようこそ」と言い中を通してくれる

 

 

「え!お金は!?」

 

 

「先に払ってあるから平気」

 

 

「ほらほら!行くわよ!!」

 

 

「行きましょ…!」

 

 

 

曙が手をぐいぐい引っ張り朧が背中を押し潮がもう片手を引っ張っていくと那智が立ち止まり職員にお金を払おうとする

 

 

「すまない、五人で……」

 

 

「良いんですよ那智さん

館長からの話で特別に英雄達は無料にしろと言われているんです」

 

 

「何だと?提督か?」

 

 

「いえ、我々の島を救ってくれた英雄からはお金は取れないとの事です」

 

 

職員は引っ張られている大井の後ろ姿を見ながら微笑みながら話す

 

 

「あんな少女が化け物と戦いこの島を沖縄を守って頂いたんです

これぐらいはしないとな、との事です

那智さん達も今日は特別何ですよ?」

 

 

「……すまないな、ではお言葉に甘えさせて頂こう

おい!あまり走るんじゃない!!」

 

 

那智は職員と話を交わし三人に連れていかれた大井の後を追っていくと後ろで職員は深々とお辞儀をすると呟く

 

 

「本当に…ありがとうございます

我々の島を救って頂き

英雄様方…」

 

 

「すいません、よろしいですか?」

 

 

「あ、はい、水族館へようこそ!」

 

 

そんなことを大井は知らずに水族館へと入っていく

周りの視線を集めながら

 

 

 

 

 

 




次回  

佐渡と石澤の執務室


今回はここまでです
次回、本格的に水族館を四人で楽しむ姿を書きたいと思います!


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沖縄ツアー 五

今回は提督二人の話になります

男としての話がメインになります
あれですよね、現実にあったらこんな感じですよね…








「良かったのかい?三人と出掛けなくて」

 

 

「えぇ、あいつらも俺が居ない方が羽を伸ばせると思いますし」

 

 

佐渡と石澤は、沖縄鎮守府の机に向かい執務を行っていた

と言うのも、ほとんど石澤の執務を佐渡が手伝っていると言う感じであるが

だが、石澤は突然お茶を入れだし佐渡へと差し出す

 

 

「うん、辞めよう

流石に君に手伝わせるのはどうかと思うしね

はいお茶」

 

 

「あ、ありがとうございます?」

 

 

佐渡はお茶を手渡され手を止めると石澤は完全にだらけきりお茶を飲みだしており佐渡もそれに続いてお茶を飲み始める

 

 

「そうだ、石澤大尉」

 

 

「んー、あぁ大尉辞めて

どうせオフ見たいな物だからそれに

君とは腹を割って話したいし?」

 

 

「は、はぁ」

 

 

「所で聞きたいのだが、艦娘をどう思う?」

 

 

「えっと……俺は別に普通の女の子だと……」

 

 

「ちがーう!!そうじゃなくて、男としての目線で聞いてるのさ……」

 

 

「………はい?」

 

 

石澤の変化に佐渡は驚いていると、机に腕を立てどこかの黒眼鏡をかけたおっさんの様な姿をする

 

 

「……君、性欲はどう発散してる?」

 

 

「!?」

 

 

「嫌さ、この職業やってると正直…ほら……来るじゃん?

色々とさ?しかも女の子だよ?分かるだろ?男ならさ…」

 

 

佐渡は察すると、同じ様なポーズを取りながら石澤との話に望む

 

 

「……分かります、三人しか居ませんが正直あそこが…」

 

 

「だろ?うちは更にいるしから、結構無防備な子も多くてね。

こう、襲いたくてね……」

 

 

「分かります分かります

でも…」

 

 

「やっぱり」

 

 

「「憲兵さんが恐いよねぇ……」」

 

 

「……くだらないことで何意気投合してるんですか

仕事してください」

 

 

いつの間にか入ってきていた妙高に冷たい視線を送られており二人はハッと気付く

 

 

「おう、妙高。

お前も混ざる?男談義?」

 

 

「私は女です

阿武隈さんに言い付けますよ?」

 

 

「ゴメンナサイ」

 

 

妙高は、石澤に書類を手渡すと呆れる様に溜め息を付きながら佐渡を見ると微笑みを返す

佐渡も軽くお辞儀をすると妙高が扉を開けようとする

 

 

 

「それと、提督お客様です」

 

 

「ん?誰だい?」

 

 

妙高が扉を開けると廊下から腰を曲げスーパーの袋を持った80代程のお婆ちゃんを連れてくる

 

 

「やぁ、石澤さんこんにちは」

 

 

「あれ?佐藤さん!!どうしたんですか?

今椅子を持ってきますね!!」

 

 

 

「いいのいいの、今日はこれを持ってきただけだから」

 

 

 

石澤は立ち上がり佐藤へと椅子を持ってきてゆっくりと座らせようとするが佐藤は手を降りスーパーの袋を石澤へと渡す

 

 

「おぉ!これって!!」

 

 

「そうじゃよ、家で作ったミミガーとクーブイリチーじゃよ

どうか皆で食べて」

 

 

「ありがとう!!今度何か持っていくね!」

 

 

石澤は、スーパーの袋に入ったミミガーのタッパーとクーブイリチーを見るとそれを妙高に渡し嬉しそうにしており佐渡はその光景を見て微笑ましく思っていた

 

 

 

「良いんじゃよ、作り過ぎただけだからねぇ

それに今日はもう一つ用があったからね」

 

 

「用?」

 

 

佐藤は、ゆっくりと佐渡へと近付いていき、佐渡もそれに気付き椅子から立ち上がり佐藤へと近付いていく

 

 

「えっと、俺ですか?」

 

 

「貴方が佐渡さん、なのかい?」

 

 

「はい、小笠原鎮守府提督 佐渡少尉であります!」

 

 

佐渡は、敬礼をすると佐藤はそうかそうかと言うとゆっくりと頭を下げる

 

 

「この度は、沖縄を救って頂き誠にありがとうございました

本当に……本当に…どうお礼を言えば良いのか……」

 

 

「良いんですよ、それにその言葉は俺にじゃなくて叢雲と大井と古鷹に言ってあげてください

俺は、所詮ここで指揮を取っていただけですから……」

 

 

「いや、彼女達も素晴らしいですが貴方も素晴らしい指揮でしたどうか、このばばぁと握手をさせてください…」

 

 

佐渡は照れ臭くなりながらも、佐藤の手を取り握手を交わすと佐藤は嬉しそうにしながらありがとうと連呼している

 

 

「このばばぁが生きてる間に英雄様と会えるなんて嬉しい限りじゃ……」

 

 

だが、佐渡はその「英雄」と言う言葉に引っ掛かり石澤の方を向く

 

 

「……えっと?英雄って何ですか?

石澤さん?」

 

 

「あー……

えっと、実はね?」

 

 

石澤は歯切れが悪いように話すが妙高に腰を叩かれそっぽを向きながら答える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君達、小笠原鎮守府の戦闘映像が間違って避難所のテレビ映像に流れてしまってね?

小笠原鎮守府全員がこの沖縄と多良間島、宮古島で英雄やヒーローと呼ばれているんだ……」

 

 

 

「…………………は?」

 

 

その発言に、佐渡は言葉を失った

 

 

 

 




次回 

沖縄食べ歩きツアー中編

誰にも間違いはあるよね!!
間違いで許されるのかこれ()
あ、黒眼鏡のおっさんネタがわかる人凄いと思いますよ?





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沖縄ツアー 六

(友人)なぁ、お前さんの小説のコメントログインしないと書けなくね?

( ´°ω°)←作者
え?何それ?

(友人)はぁ……
設定見ろよアホ

( ´°ω°)なぁにこれぇ?←情弱作者


馬鹿でゴメンナサイ…


「はぁ!!何それ!!」

 

 

叢雲は、机を叩くと一緒に食べている瑞鶴に詰め寄る

 

 

「だから、あんた達の戦闘映像流れててこの沖縄ではあんた達小笠原鎮守府の艦娘 叢雲 古鷹 大井は英雄扱いされてるのよ」

 

 

「あぁ~だから、タコスのお兄さんに英雄さんって言われたんだ!」

 

 

「らしいです……

何かすいません…」

 

 

それを聞いた叢雲は再び座り込み頭を抱える

 

 

「成る程ね、だからこんなに人が居るのね」

 

 

叢雲達が入ったお店には何人もお客さんが入っており叢雲達を見ながらひそひそと話をしている

 

 

「変だと思ったのよ、何か妙に優しいし私達の事知ってる見たいだしオススメは美味しいけど…」

 

 

「ま、そう言うことよ諦めなさい」

 

 

「すいません!!」

 

 

四人が食べていると、女子高校生位の二人組から話し掛けられる

 

 

「どうかしたの?」

 

 

「あ、あの!艦娘の瑞鶴さん 阿武隈さん 叢雲さん 古鷹さんですよね?」

 

 

「そうよ?どうかしたの?」

 

 

それを聞いた女子高校生の二人は「言いなよ!!」「えー?」と言っており四人は首を傾げる

 

 

「い、一緒に写真撮っても良いですか!?」

 

 

「そんなこと?構わないわよ?

古鷹達は?」

 

 

「良いわよ?」

 

 

「良いですよ?」

 

 

「私的には全然オッケーよ?」

 

 

「ありがとうございます!!」

 

 

二人の女子高校生は四人と一緒に写真を撮るとお辞儀をしてお礼を言うとそそくさとその場を後にする

 

 

「あんた達人気者ね?」

 

 

「原因さっき言ったわよね貴女……」

 

 

「でも、本当にあんた達の凄かったわよ?

私も見たけどさあんな化け物相手に三人で最初戦ってたんでしょ?

本当に駆逐艦?」

 

 

「駆逐艦よ、ただのそこら辺に居るね」

 

 

「ふーん……まぁいっか!

とりあえず!!食べましょ!!」

 

 

 

 

瑞鶴は、そう言うと沖縄そばをすすりスープを飲み干す

叢雲も続けてスープを飲み干し二人同時に皿を机に叩きつける

 

 

「にしても、本当に食べ物は美味しいわね」

 

 

「で、どうだった?沖縄そば?」

 

 

「さっこうね!!豚骨ベースのスープに良く絡む麺!!それにあのデカくて肉厚のチャーシュー!!

美味しいわ!」

 

 

「やっぱりあんたとは気が合うわ!!

良し!次行くわよ!!」

 

 

「ちょっと!!」

 

 

「二人とも待ってよ!!」

 

 

 

二人は立ち上がり、次の店に行こうとするが古鷹と阿武隈を見るとまだ食べ終わってないのを確認し再び座ると二人は「良かった」と呟くが

 

 

「すいませーん!」

 

 

「沖縄そば二つ!」

 

 

「「まだ食べるの!?」」

 

 

二人の食欲に付いていけるのか、かなり不安を募らせながらゆっくりと阿武隈と古鷹は食べ進めて行く

 

 

 

 

 

 

 

 




次回

大井&駆逐艦の水族館ツアー 中編

今回からしっかりと内容を書いていきますので許してください()


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沖縄ツアー 七

大井と駆逐艦と那智さんの絡みをご覧くださいませ!
キャラ崩壊起こしていたらすいません…






大井達は水族館に入ると、まず入り口の所にある水槽に目がいく

 

 

「ここは?」

 

 

「えっと淡水魚のコーナーですね…」

 

 

中はそこそこ暗いのだが水槽があるところは光で照らされており様々な魚達が水槽の中を自由に泳いでおり大井はその光景に見とれていた

 

 

「死んだ魚や、釣れた魚とかは見たことあるけど水槽の中に居るのは初めてみるわね……」

 

 

「そっちには水族館とかは無いのか?」

 

 

「えぇ……島だけど人は私達しか居ないのよ

だから水族館とかは初めて来るわ…」

 

 

大井は、水槽の中を泳ぐ魚を見ながら手で水槽の壁を触ると魚はビックリし急に泳ぎ始め逃げてしまう

 

 

「あ、ごめんなさい!」

 

 

その姿を見ていた曙達は再び大井を引っ張り出すと奥へ奥へと進んでいく

 

 

「ちょ、ちょっともう少し!見させてよ!」

 

 

「良いから良いから!ここからが名物よ!!

那智さん大井さんの目を隠して!!」

 

 

「良いだろう!」

 

 

「ちょ!ちょっと!!」

 

 

 

曙に言われた那智はその先にあるものを理解すると大井の目を両手で覆い隠すと大井は狼狽えながらゆっくりと歩いていく

そして、しばらく歩いていると引っ張っている手が止まり大井は歩みを止める首を傾げる

 

 

「大井さん!準備は良い!?」

 

 

「え?えぇ?」

 

 

「まだ、目を瞑っててね?」

 

 

「那智さん…手を放してください…?」

 

 

「やはりここか、承知した」

 

 

大井は言われたとおりに目を瞑って居るが少しすると三人の駆逐艦が一斉に

 

 

「では!!ご覧ください!!」

 

 

「目を開けてください、大井さん」

 

 

「目を開けても大丈夫ですよ…?」

 

 

三人に言われ大井はゆっくりと目を開けるが急な光に眩しく少し瞬きをするが目の前の光景に驚き見とれてしまう

 

 

「…………綺麗…」

 

 

そこは真っ青な巨大な水槽になっており多くの魚が泳ぎ様々な生態系が作られていた

まるで、今その海の中に居るような光景に大井は驚き、そして感動していた

 

 

「凄いでしょ!うちの名物なのよ!!」

 

 

「ここに連れてきたかったの

大井さんこう言うところ来たことないって言ってたし」

 

 

「どうですか…?」

 

 

「最高よ……ありがとう…」

 

 

大井はゆっくりと巨大な水槽に歩いていきその光景を目にする

上を向くと海面が光に照され綺麗に反射しており、下を向けば石に珊瑚が生えておりその回りを魚達が泳いでいる

 

 

「本当に……綺麗…」

 

 

「お前達が守ってくれたおかげでここにも来れたのだ

本当にありがとう」

 

 

「これは私達からのお礼よ

こんなことしか出来ないけど」

 

 

「大井さんが喜んで貰って良かった」

 

 

「すみませんこんなことしか出来なくて…」

 

 

「充分よ……全然…」

 

 

四人からのお礼の言葉を聞きながらその水槽に夢中になっていると四人は突然驚き大井の心配をする

 

 

「ちょっと!大井さん!?」

 

 

「どうかしたのか!?何か悪いことでも思い出してしまったか!?」

 

 

「目に何か入ったの!?どうしたの!?」

 

 

「大丈夫ですか…!大井さん…?」

 

 

「え……どうかしたの?」

 

 

大井は四人に振り返ると潮にハンカチを渡される

 

 

「涙…拭いてください」

 

 

「……え?」

 

 

潮に言われ初めて気付いた自分が泣いていることを、木原の所で今までどんなに努力しても頑張っても報われないと思って仕事をしてきた

 

 

自分が頑張るのは当たり前の事だと思っていた彼女にとってはかなり嬉しいものでありいつの間にか泣いていた

潮から貰ったハンカチで涙を拭きながらゆっくりと説明する

 

 

「大丈…夫よ…嬉しくて……

こんなこと……されたこと…無かった…から…」

 

 

その言葉を聞いた四人は顔を合わせ笑い合うと再び大井の手を引っ張り背中を押し始める

 

 

「なら!今日は色々と楽しみましょ!!」

 

 

「うん!色々と教えてあげるね!」

 

 

「行きましょう…!大井さん!」

 

 

「さぁ!休暇を楽しもうじゃないか!大井!」

 

 

そう言われると、大井は涙を拭ききり四人に連れられるままどんどん奥へと進んでいく

 

 

「じゃあ!お願いするわね!

皆!!」

 

 

「「「「任せなさい(て)!」」」」

 

 

 

 

 

 

 




次回

佐渡と石澤、提督雑談部屋


少しお涙頂戴が含まれましたが大井は一生懸命に生きています
それこそ過去を乗り越えようと
次回は、少し真面目な話が含まれます


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沖縄ツアー 八

今回は提督達のちょっと真面目な話です
男談義はほんの少しだけ…


「はぁ~……」

 

 

佐渡は頭を抱えながら溜め息をついていた、先程の佐藤さんは握手と抱擁をすると妙高さんに連れていかれ自宅へと帰っていった

 

 

「何か、すまないね佐渡君」

 

 

「一体全体何でそんなことに……

機密保護ぇ…」

 

 

「それがね……君には真実を伝えるが大元帥がそれをやったらしいんだそれを」

 

 

「あんのクソじじぃか!!!」

 

 

石澤から教えて貰った真実に怒りを覚え机を殴ろうとするが自分のではないため何とか我慢する

 

 

「……どうやら今回の作戦ミスでの混乱を避ける為の処置だったらしい仕方ない言ったら仕方ないね

ちょっと真面目な話をしようか」

 

 

「…はい、私も聞きたいことがあります

戦艦棲姫ユリと艤装ケルベロス達のことを」

 

 

佐渡に言われた石澤は、やはりかと呟くと再びお茶を入れ二人で向かい合うように座る

 

 

「戦艦棲姫ユリはあの後大本営の発表で新たに確認された歴戦種と決定された艤装ケルベロスもだ

今のところ彼女達に動きはない」

 

 

「やはりそうですか……

奴等が逃げた先とはもしかして」

 

 

「あぁ、間違いない

あの後すぐに連合艦隊の空母達が追跡したが奴等は

《飛行場姫の縄張り》を経由して逃げた

間違いなくな」

 

 

飛行場姫の縄張り

歴戦種の中でも唯一どの海域でも確認されない姫の一人である彼女は太平洋のどこかの島に拠点を築いているらしく太平洋全域の海域にはかなりの数の深海棲艦が配備されている

何でも対空母専門艦隊や戦艦専用艦隊がうじゃうじゃと居るらしく一定以上近付くとこちらに向かってくるらしい危険な海域の事だ

 

 

「やはり……

奴等は」   

 

 

「間違いなく繋がっている

でなければ奴等があそこを通れるとは思えん

それに加え今回の収穫である

監視者だが彼女の艦種は特殊空母として断定された

 

特殊空母 監視者それが奴の正式名称だ」

 

 

 

それを聞いた佐渡は溜め息混じりにお茶をすするとゆっくりと背中を椅子に預ける

 

 

 

「特殊空母 監視者……

またとんでもないのが出てきましたね…」

 

 

「全くだ、だがこの戦争の終わりが見えたのはデカイ

何とかして監視者を捕まえこの戦争を終わらせなくてはな……

そして、最終決戦の場所が大本営から発表された

 

 

「どこですか?」

 

 

石澤は一息付きお茶をぐいっと飲みきると深呼吸をするとゆっくりと話し出す

 

 

「…アメリカ合衆国ハワイ諸島

ハワイ島だ

五年前に歴戦種 南方棲戦姫クイーン に落とされ

今まで奪還出来ていない島だ

そして、奴等の航路が大体の予測地点らしい」

 

 

「……成る程」

 

 

ハワイ島

五年前突如現れた、歴戦種南方棲戦姫によって落とされた初の島国

当時、そこにはアイオワ、ローマ等の戦艦艦娘達と提督が居たのだが見事に完敗

提督と艦娘は殺され深海棲艦に占拠され続けている場所だ

 

 

「大本営の発表では、ここを攻めるとき

それは最後の決戦になることが予想されるらしい…」

 

 

「……」

 

 

石澤は言い終わると大きく溜め息を付くと、佐渡が考え込んでいるのを見ると戸棚のお菓子を取り出し差し出す

 

 

「まぁ、今日はこれ以上はよそう

どうだい?沖縄のお菓子でも食べようじゃないか?」

 

 

「これは?」

 

 

「くんぺんさ、まぁ食べてみなよ」

 

 

佐渡は渡されたくんぺんを頬張ると口の中に広がるピーナッツの香ばしさが広がる

 

 

「美味しいですね!これ!」

 

 

「だろう?では、さっき妙高に邪魔されたが……続けようではないか

男談義を…」

 

 

「……良いでしょう

俺も同じ職場の人と話してみたかったんですよ…」

 

 

佐渡は、滅多に無い艦娘達が居ない男同士だけの会話を楽しんでいた

それこそ、仕事柄人と会うことすら少ない彼にとっては中々に貴重な体験でもある

 

 

「所で、駆逐艦は好き?」

 

 

「……返答に困りますな…それ…」

 

 

 

 

 

 




次回

沖縄食べ歩きツアー 後編

次で叢雲達の話は終わりです! 
ほとんど瑞鶴と叢雲が食べている感じですけどね!!




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沖縄ツアー 九

 

今回は叢雲と瑞鶴達のお話です
少し瑞鶴のお話があります





「いやー…食べた食べた!!」

 

 

「美味しいわね!沖縄の料理も!!」

 

 

辺りはすっかり夕暮れになり電灯が光始めていた頃

叢雲と瑞鶴は、満足しながら沖縄鎮守府に帰路に着いていたその後ろで阿武隈はお腹を支えておりその背中を古鷹が苦笑いしながら擦っていた

 

 

 

「どんだけ食べるの……この二人…」

 

 

「えっと、タコス、ヤギ汁、ゴーヤチャンプルー、ラフテー、ソーキそば、沖縄ソバ、ハンバーガー、イラブー汁、豚飯、沖縄焼きそば、ステーキ……」

 

 

古鷹が今日食べたメニューを思い出していると阿武隈は思いだし吐きそうになる

 

 

 

「あ、叢雲!〆にあそこの名護すば食べたい?」

 

 

「何それ?」

 

 

「あっさりとしたソバの事よ」

 

 

「良いわねぇ!!」

 

 

「いい加減にしてください!!!

食べ過ぎです!!」

 

 

阿武隈が店に入ろうとする二人を制止すると二人は不服そうな顔をして仕方無く帰路に向かいだし古鷹は「あはは…」と苦笑いをしながら阿武隈の背中を擦っている

 

 

「今からある場所に行くんですからね!!」

 

 

「はいはい、分かってるわよ阿武隈

あそこでしょ?」

 

 

「?

どこ行くの?瑞鶴?」

 

 

「秘密よ、食べ物ではないわ」

 

 

瑞鶴が阿武隈の代わりに先導していくと歩道からズレしばらく山道を歩いていく

道はほとんど獣道見たいになってはいるが所々木々が切られており

足下以外は結構通りやすくなっていた

 

 

「どこ行くのよ?こんなところ通って…」

 

 

「ひーみーつ!私と阿武隈と提督だけが知っているね」

 

 

しばらく歩くと開けた場所に出ると目の前の光景に驚き感動する

 

 

「へー?綺麗じゃない?」

 

 

「凄い…!綺麗です!!」

 

 

二人は感動している光景は、太陽が水平線に沈みかけており海面がそれに反響しており島が一望出来る物だった

 

 

「……叢雲、古鷹

改めてお礼を言うわ…

ありがとう、この島を皆を守ってくれて

阿武隈もね」

 

 

瑞鶴は、近くの椅子に座ると続けて叢雲達も椅子に座り光景を眺めている

 

 

「良いのよ、私達は私達のやりたいことをやっただけなんだから」

 

 

「はい、私達は当然の事をやったまでです」

 

 

「それでもよ。

それでも…本当にありがとう…

私達連合艦隊が着くまであの化け物を足留めしてくれて……」

 

 

先程とは違う態度の瑞鶴に疑問に思っていると瑞鶴が話し出す

 

 

「私ね実は最初、沖縄鎮守府所属じゃなかったのよ」

 

 

「え?」

 

 

その言葉に驚いていると阿武隈が続けて言う

 

 

「実は、瑞鶴さんの鎮守府と艦娘は深海棲艦達によって壊滅してしまったんです

それこそ、彼女一人を残して」

 

 

「私は、仲間に何とか逃がしてもらって偶然沖縄鎮守府にたどり着いたの

だから、今度は私がこの沖縄を守りたかった…

本当にありがとうございました

私達の居場所を守ってくれて」

 

 

瑞鶴は、叢雲と古鷹にお辞儀をすると二人がクスクスと笑い出す

 

 

「ふふ、あんたのキャラじゃないわよ?そんなの?」

 

 

「そうですよ、私達で良ければいくらでも力をお貸ししますよ!」

 

 

「……ありがとう

二人とも、大好き!!」

 

 

瑞鶴は叢雲と古鷹に抱き付くと二人はくすぐったそうにしておりそれを見ている阿武隈も微笑ましく思いながら見ていた

太陽は完全に沈み辺りが真っ暗になった頃四人は帰路に着こうとするが瑞鶴が少しだけ残らせてと言い先に三人は先に降りていく

 

 

瑞鶴は一人残り拳を握り締め誰も居ないその場所で満天の夜空を見上げると目を瞑る

 

 

(今回は、本当に三人と佐渡提督に感謝しないとね

本当なら私がやるはずだった守りたかった……

まだ弱いな、私は……

いつか貴方の様になりますからね……

この命無駄にはしません…

だから、あの世で見守っていてください…)

 

 

そして、静かに目を開けると涙を流しながら夜空を見上げる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「加賀先輩……」

 

 

今は亡き大好きな先輩の名前を口にする

 

 




次回

大井&駆逐艦ツアー 後編

瑞鶴に何があったのか
それはいずれ詳しく書いていこうと思います





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沖縄ツアー 十


今回は大井達と戦艦棲姫戦でのメンバーです


駆逐艦三人のお陰さまで大井は大満足なご様子です!




「楽しかったわ、今日はありがとうね皆」

 

 

「楽しんで貰えたなら良かったよ」

 

 

大井達はある程度回り終わり今はレストランで一息着いていた

辺りでは、やはり英雄の話が出ているのか大井を見ながらヒソヒソと話しており大井もその事に気付く

 

 

「そう言えば、今日何だか視線を感じるわね

私達なんかしたのかしら?」

 

 

「あぁ、それはだな」

 

 

那智が大井に説明すると唖然としながらも溜め息混じりに珈琲を一口飲む

 

 

「成る程ね…

それなら納得だわ…

まぁ、良いわ

別に大したことではなさそうだし」

 

 

「すまない…」

 

 

「良いわよ、別に悪い気はしないし」

 

 

大井は珈琲を飲んでいると、三人がほとんど話してないのに気付き見ると三人がうつらうつらと眠そうにしている 

 

 

「皆大丈夫?」

 

 

「だ、大丈夫…よ…」

 

 

「ん……」

 

 

「大丈夫…です……」

 

 

ふと、曙のポケットから何かが落ちるのを見た大井は静かに拾い上げると今日一日の事を理解する

 

 

「……ふふ、頑張ったのね三人とも」

 

 

「ん?何だそれは?」

 

 

大井が拾い上げた物を那智にも見せると微笑み静かに笑い声を上げる

 

 

「ふふ、成る程な

これは恐れ入ったな…」

 

 

それとはこの水族館のパンフレットであり、今日は向かった水槽やイルカのショー等が赤丸やメモ書きがされており今日の為に下準備をしていたらしい

 

 

「本当にありがとう

皆…」

 

 

大井は優しく、曙の頭を撫でて上げるとそのままテーブルに突っ伏して寝てしまう

その姿を見た二人は微笑むと那智が携帯を取り出し応援を呼ぶ

 

 

 

 

 

 

 

「ほう?餓鬼共寝てしまったんか?」

 

 

「あぁ、すまないな仕事終わりに」

 

 

 

鎮守府近海警備の仕事終わりに駆け付けてくれた龍驤は溜め息混じりに言うと仕方無い奴等やなぁと言いながら会計を済ませにいく

 

 

「良し!帰るで!

大井さんすまないんけど手伝ってくれへんか?」

 

 

「良いですよ、これぐらい」

 

 

三人はそれぞれ寝てしまった駆逐艦達をおぶりゆっくりとした足取りで水族館を後にしていく

途中、何度か観光に来ていた人達に写真などを求めらたが龍驤が

 

 

「あんた達背中の子供が見えへんのか?

そう言うのは今度にしてーや」

 

 

と少し強い口調で言い皆萎縮してしまい、ゆっくりと三人で沖縄鎮守府へと帰っていく

 

 

「どやった?今日の駆逐艦達の沖縄観光ツアーは?」

 

 

不意に龍驤から言われ大井は満面の笑みを浮かべながら向き直る

 

 

「最高でしたよ!本当に!」

 

 

そう言われると、龍驤はそうかそうか!かなり嬉しそうになりながら自分の事の様に喜ぶ

 

 

「こいつら、上手くやったんやな!

良かった良かった!」

 

 

「龍驤が教えたのか?曙達に?」

 

 

「せやで、うちは行けへんから何か出来んかと思ってな……

満足してくれたならよかったで!」

 

 

二人の話を聞きながら、大井は今日の事を思い出していた

 

 

(楽しかったな…本当に…

今度は北上さんとも来たいし…

アイツとも……二人で…

って!なに考えてるのよ私!!)

 

 

突然頭を左右に振る大井を不思議がり那智と龍驤は心配する

 

 

 

「どうかしたか?大井?」

 

 

「な、なななんでもないですよ!!」

 

 

「せや!大井、今度小笠原の……」

 

 

「て、提督二人でなんて来ませんから!!!」

 

 

「ちょ、ちょっと大井!?」

 

 

「まちーや!!まだうちは何とも!!」

 

 

大井はそう言うと顔を真っ赤にしながら足早にその場を立ち去っていくと那智と龍驤も慌ててその後ろを追い掛ける

 

 

 




次回

佐渡と石澤の企み


楽しい帰りには駆逐艦とか楽しくて子供は寝てしまいますよねぇ
大井さんはどうしたのですかねぇ?
次回で、沖縄観光ツアーは終わりです!
さて、佐渡も石澤は何をやる気なのでしょうか?



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沖縄ツアー 十一

今回は、佐渡と石澤達の話ですが二人だけではなく全員を含めた締め括りになります




「~♪」

 

 

佐渡は沖縄鎮守府の厨房を借りながら、霧島、妙高、筑摩と共に夜ご飯の料理をしていた

三人が沖縄での料理を作っている間佐渡は自分の鎮守府よりある多くの食材や調味料に嬉しさを覚えながらテキパキと手際良く色々と作っていた

 

 

「へぇ……佐渡さんお料理上手なんですね…」

 

 

その姿を隣で見ていた筑摩が覗き込むように言っており佐渡はフライパンを返しながら楽しそうに話す

 

 

「俺の数少ない趣味なんですよねぇ

あ、筑摩さんこれ味見して頂けませんか?

いつもは親方にお願いしてまして、こちらの方々の口に合えば良いのですが?」

 

 

佐渡は箸で少しだけ野菜炒めの肉と野菜を取り出し小皿に乗せると筑摩へと差し出す

 

 

「あ、ありがとうございます…」

 

 

「熱いのでお気をつけを」

 

 

佐渡から差し出された野菜炒めを息を吹き掛けながら食べるがやはり出来立てなのでまだ熱くはふはふしながら食べる

 

 

「いかがですか?」

 

 

筑摩は、口の中に広がる野菜と豚肉の旨味を堪能しながら佐渡へと親指を立てる

 

 

「すっごい!美味しいでふ!」

 

 

「良かった!!では次はっと」

 

 

筑摩から褒められ、このぐらいで良いかと思い大皿によそうと直ぐ様フライパンを洗い別の料理を作る準備をしていると近くの鍋が沸騰しており中身を覗く

 

 

「お、こっちも出来たか…

味は…」

 

 

中身は味噌汁だが、中には大きいマグロの頭が入っておりグツグツと煮えている

小皿に味見の為少しよそい飲むと味を確認する

 

 

「…こんなもんか、良し!

次は…」

 

 

と言うと蓋を締め火を切ると手早く別の料理へと差し掛かる

その様子を見ていた三人は感心しながら納得はする

 

 

(((古鷹さんと大井さんが言ってたのはこう言うことか……)))

 

 

実は、佐渡の料理好きは大井と古鷹に聞いており半信半疑だったのだがここでの腕前を見て確信する

 

 

「佐渡君ー?料理の出来はどうだい?

こっち完了したよ?」

 

 

「こんばんわ

妙高さんこっちの準備は終わりましたよ?」

 

 

「お?良い香りじゃねぇか!!

なに作ってるんだい?」

 

 

石澤が、厨房に入ってくると後ろから満潮、隼鷹が入って来ており用意された料理を見に来ていた

 

 

「えぇ、完璧とは言いませんけどそこそこには出来てますよ」

 

 

「お?これは妙高達が作った奴じゃないな?

佐渡提督のかな~?」

 

 

隼鷹が佐渡の作った野菜炒めをつまみ食いしようとすると満潮がその手を叩き止める

 

 

「こら!!隼鷹!つまみ食いは駄目!」

 

 

「ちぇ、みっちーは厳しいなぁ」

 

 

「みっちーって呼ぶな!!

ほら運ぶわよ!!」

 

 

満潮に言われた隼鷹は口を尖らせながら渋々満潮と共に料理を運んでいくと佐渡は微笑む

 

 

「そうだ、佐渡君そろそろ君の艦隊が帰ってくるんじゃないかな?」

 

 

「おぉ、でしたら迎えに行かないとですね」

 

 

佐渡は、フライパンを洗い終わると後を三人に任せて早足で沖縄鎮守府の出入口へと向かうと不意に携帯が鳴り出す

 

 

「はいはい、佐渡ですが?」

 

 

『あ、佐渡さんですか?大淀です

ちょっとお話が………』

 

 

「……はい、分かりました

いつですか?」

 

 

『四日後になります

資料は後でそちらに送りますね』

 

 

「はい、分かりました

では失礼致します」

 

 

佐渡は電話を切ると溜め息混じりに歩いていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ、また島流しか」

 

そう誰も居ない廊下で呟きながら

 

 

 

 

 

 




次回

祝勝会

何か料理の事書いてたら終わってたと言う
なにこれ辛い




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今回、小笠原が再び集まり宴を楽しみます!
もう少しだけ彼等のオフを見てあげてください…





「……そろそろかな?」

 

 

佐渡は沖縄鎮守府の前に立ちながら携帯を確認しながら三人が帰ってくるのを待っていた

すると、遠くから三人がこちらに向かって歩いてくるのを確認すると手を振る

 

 

「あ、佐渡提督や」

 

 

「お出迎えとはな」

 

 

「チッ、何でいるのよ」

 

 

「お帰り、六人……と三人は寝てるのか」

 

 

佐渡は声を小さくすると大井の背中で寝ている曙の頭を撫でてあげる

 

 

「曙を触らないでくださいロリコン提督」

 

 

「撫でただけでそれは無いぜ…秘書艦様……」

 

 

「ふん!」

 

 

「あ、もしかして曙ちゃんに妬いたのか?」

 

 

「違いますから!!!」

 

 

大井は大声で否定してしまい急いで口を塞ぐが背中の曙がうう…んと言いながら起きてしまう

 

 

「あれ…ここは……」

 

 

「おはよ、曙ちゃん今日は大井を楽しませてくれてありがとね」

 

 

「はい……ん?

何で、佐渡提督さんが……」

 

 

曙は寝起きで今の状況を理解できておらず、周りを見ると那智、龍驤におぶられている潮と朧

そして、目の前に大井の頭と背中

ここでようやく自分がおぶられていることに気付いた

 

 

「あれ!?私!!寝ちゃってたの!!

ごめんなさい大井さん!!私!!」

 

 

「良いのよ、ありがとう曙ちゃん

龍驤さんから色々聞きましたよ?

私の為に夜更かしまでしたんですって?」

 

 

曙が龍驤を見ると片手で謝っており、溜め息をつく

 

 

「もぉ~……秘密にしてたのに……」

 

 

「ふふ、楽しかったわ今日は

本当に

お礼にもう少しおぶらせて?」

 

 

「し、仕方ないですね!

……お願いします」

 

 

大井はそう言うと佐渡の隣を抜けて沖縄鎮守府へと入っていく

その後ろから那智と龍驤も後を付いていくと佐渡が大井に向き直ると一言だけ言う

 

 

「あ、大井ー

晩飯は広場で取るから後で行けよなー」

 

 

「はいはいー」

 

 

しばらく、佐渡が外で待っていると遠くから四人がこちらに向かって歩いてくるのが見える

恐らく、叢雲達かな?思うと手を振ると向こうも手を振り返してくれる

 

 

「お、帰ってきたな英雄達」

 

 

「あんたねぇ!!あれどういうことよ!!聞いてないわよ!!」

 

 

帰ってくる早々に叢雲に怒鳴られてしまい耳が痛い

 

 

「いや、俺も知らなかったんだよ……」

 

 

「まぁまぁ、叢雲。提督ただいま戻りました」

 

 

「おう、お帰り古鷹楽しかったか?」

 

 

「はい!美味しいもの沢山食べてきましたよ!

それに綺麗な景色に島民の方々とも話せましたし!」

 

 

叢雲は苛ついてる中古鷹は満面の笑みを浮かべながら楽しんでいるのだが……

阿武隈がかなり苦しそうだ

 

 

「……阿武隈さん大丈夫ですか?」

 

 

「だ、大丈夫……です」

 

 

「全く阿武隈ったらあの程度で根を上げるなんて情けないわよ?」

 

 

「いや、食べきれる二人が可笑しいと思うんですけどぉ!?」

 

 

叢雲と瑞鶴は見合わせるとやれやれみたいな顔をしながら沖縄鎮守府に入っていきその介護の為佐渡と古鷹は阿武隈を支えながら共に入っていく

 

 

 

「よし、帰ってきたな

ほら、宴会やるぞ?」

 

 

「よーし!食べるわよぉ!!」

 

 

「まだ食べるんだね……叢雲…」

 

 

 

 

 





次回

宴会IN沖縄鎮守府!

沖縄鎮守府での夜
戦いが終わった後には楽しい宴会が待っています!
因みに、料理の大半は佐渡が作ったみたいです




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宴 二

今宵は楽しい宴の日!

各々それぞれの楽しい時間を過ごしていきます




「えー皆さんお集まりありがとうございます

本日もお日柄良く…」

 

 

現在、沖縄鎮守府中庭にて石澤と佐渡が計画していた宴会の始まりの挨拶?みたいな状態である

実は、この提案は佐渡からであり沖縄鎮守府の艦娘と小笠原の三人が仲良くしてほしいと言う物で石澤に頼んだところ快く了承してくれたのだ

 

 

「本日は小笠原の佐渡提督に……」

 

 

「話なっげーぞ!提督!それに肩苦し過ぎんぞー似合ってねぇ!」

 

 

「本当によ!あんたの長い話に付き合ってたらせっかく佐渡提督さんが作ってくれた料理が冷めるじゃない!!

本当に馬鹿ね!」

 

 

「いやさ?こう言うのは真面目に……」

 

 

「提督さーん!!はーやーくーしーてー!!

待ちきれないんだけど!!!」

 

 

佐渡と石澤一同は皆片手に飲み物を持ち挨拶を待っていたが沖縄鎮守府の面々は石澤の長い挨拶に苛立ちを覚えたのかヤジを飛ばしておりそれに耐えかねた石澤が阿武隈に袖を引っ張られる

 

 

「提督?、皆さんの言う通りじゃないですか?」

 

 

「……それもそうか んじゃ!我々沖縄鎮守府と遠くから来た連合艦隊!!

そして、たった三人であの化け物艤装と歴然の戦艦棲姫 ユリを止め指揮をしていた英雄の四人に!!!

 

 

乾杯!!!」

 

 

 

「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」

 

 

石澤が飲み物を空に掲げると同時に艦娘一同も同時に空に掲げ、各々食事や話をし始める

 

 

「へー……これを佐渡提督が…」

 

 

「大井さんの提督…凄いですね…」

 

 

先程まで大井達と出掛けていた朧と潮だが曙に起こされ今の祝勝会に参加しており現在佐渡の料理を凝視していた

 

 

「皆さんの口に合えばよろしいのですが……」

 

 

「ひゃっはー!佐渡提督ー、料理最高だぜー!

このつまみ、酒にすっごい合うよ!!」

 

 

「うむ、こっちも中々に旨いな……

酒が進む…」

 

 

那智と隼鷹は、お酒を片手に佐渡の作ったおつまみ料理を堪能しており朧も潮も恐る恐る口にするが食べた瞬間顔を見合せ美味しそうに食べ始めるのを見ると佐渡は安心する

 

 

「大井さん!こっちの食べてみて!美味しいわよ!」

 

 

「ちょっと曙!大井さんにはこっちのを食べてもらうの!大井さん、こっちの方が美味しいですよ!」

 

 

「二人とも……お気持ちはありがたいけど…」

 

 

「「さぁ!」」

 

 

大井はと言うと曙にすっかり気に入られの時一緒に仲良くなった満潮にもどんどん食べ物を進められて少し困っていた

 

 

「へぇ?あんたのところの提督かなり料理旨いじゃない?」

 

 

「でしょ?あいつ料理の腕前は本当に高いのよ」

 

 

「本当です…先程の野菜炒めも美味しかったですがこれも……」

 

 

「ぐ、何か悔しいですが……佐渡司令の完璧に計算された料理に完敗しました…

あ、これも美味しい」

 

 

叢雲と瑞鶴は相変わらず料理を食べておりその隣で霧島と筑摩も佐渡の料理を堪能していた

 

 

「へぇ…古鷹さんのあの砲撃は自己流何ですか?」

 

 

「はい!でも、そんなに命中率が高いわけでもなくて……」

 

 

「何をご謙遜を、映像見ましたがラストにケルベロスの背中にある魚雷を撃ち抜いた砲撃は見事でしたよ!」

 

 

 

「そ、そうでしょうか……」

 

 

古鷹は、阿武隈とすっかり仲良くなり妙高もそこに加わりべた褒めされておりすっかり古鷹は赤くなっていた

 

 

 

 




次回  

夜はまだこれから!


次回も宴の模様を書いていこうと思います
佐渡さんの料理スキル?あんな孤島にいたらそこそこ上達しますよね…(やることないですし)


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宴 三

宴は楽しいですよね……

酒が進むと本音も少し出ちゃいますよね




「ふぅ」

 

佐渡は、楽しんでいる皆の姿を見ながら少し離れた距離で椅子に腰掛け一息付いていた

初の大型作戦の参加と今回、初めて確認された監視者達の行動に少し考え事をしていた

 

 

『我が名は監視者

全ての深海棲艦の管理人だ』

 

 

「……全ての深海棲艦の管理人か」

 

 

「佐渡君、隣良いかな?」

 

 

「ん、良いですよ」

 

 

そう呟くと空を見ながら飲み物を口にする

そんなことをしていると石澤が隣に来て座る

 

 

「……平和だね」

 

 

「ですね、本当に…」

 

 

二人は宴会を各々楽しんでいる皆を見ながら、飲み物を飲んでいるとお互い気持ちを吐露する

 

 

「僕はね、戦いが、戦争が嫌いだ

そして、艦娘が嫌いだ」

 

 

その言葉に、佐渡は驚き石澤を見ると石澤は力強くコップを握り締めており悔しそうにしている

 

 

「……何故、僕達大人の男が部屋に籠ってなくて行けないんだ…

何故、隣で共に戦えないんだ……

何故、僕達にはその力が無いんだ…

俺も、艦娘になれば…」

 

 

佐渡は飲み物を飲みきると空になったコップを石澤の頭に軽く当てる

 

 

「駄目ですよ石澤さん

俺達は提督、彼女達は艦娘なんですから

そして、お互い軍人でしょ

代わりは居るんですから自分の仕事をやらないと」

 

 

「……君は怖くないのか?

彼女達がいつ死ぬか戦場に送り出すのが」

 

 

「怖いですよ?

そりゃーもちろん」

 

 

 

石澤の質問に佐渡はすぐに返すと意外な言葉に驚く

 

 

「正直、俺も戦いたいです

あいつらに任せないで俺が最前線に立って奴等を殺したいですよ

……でも俺達にはそれができない

だからこそ、俺達があいつらに出来ることは信じてやることですよ

…指揮をして、あいつらが勝って無事に帰ってくることをね

俺の全てをあいつらに託してね」

 

 

そして、佐渡は空を見上げながら呟く

 

 

「前に無茶をしたのですがある艦娘に言われてしまいましてね」

 

 

「一体何て?」

 

 

その言葉を思い出す佐渡は悔しそうにしながらでも笑い

 

 

「『あんたはそこで私達の帰りを信じて待ってなさい

必ず、どんなことになっても帰ってくるから

ボロボロでも、死にかけでも、絶対に

だから、信じて私達を』って言われてしまいましてねぇ

あるうちの大食いからですけどね」

 

 

そう言うと佐渡は笑いだすと石澤は俯いてしまう

 

 

「……僕は彼女達に何が出来るのだろうか」

 

 

「さぁ?俺には分かりません

それは石澤さんが決める事ですから」

 

 

「なぁにこんなところで二人でいるのよ?

私達は放置なのかしら?」

 

 

不意に二人で話していると叢雲がいつの間にか来ており両手には飲み物を持っている

 

 

「おう、叢雲

宴会は楽しいか?」

 

 

「えぇ、それなりにはね

はいこれ飲み物

あんたさっき飲みきってたわよね?

石澤提督にも渡して上げて」

 

 

「サンキューな」

 

 

佐渡は叢雲から飲み物を受け取ると空のコップを叢雲に渡すと戻ろうとする

 

 

「なぁ、叢雲」

 

 

「なぁに、司令官?」

 

 

「俺が司令官で良かったか?

お前達に無茶ばかりさせてるけど」

 

 

そう言われると叢雲は微笑みながら佐渡を指差す

 

 

「『俺が』じゃないわ『あんたが』良いのよ

二人で居るのも良いけどそろそろこっちに来ないと皆が心配するわよ?」

 

 

叢雲が言うと石澤は顔を上げ、皆を見るとこちらを見て心配しており佐渡も石澤に手を差し出す

 

 

「行きましょ、石澤さん

艦娘が貴方(提督)を待ってますよ?」

 

 

「……そうだな!くよくよしてても仕方無いか!!」

 

 

石澤は佐渡の手を取り元気良く走りだし阿武隈達の肩に手を回しはしゃぎ始める

 

 

「……何を話してたの?」

 

 

「男同士の秘密だ」

 

 

「そいつは残念ね」

 

 

佐渡と叢雲は二人でその光景を見ていると佐渡が叢雲の頭を撫でる

 

 

「お疲れ様、叢雲

信じてたぞ」

 

 

「ありがと、佐渡

本当かしらね」

 

 

「ちょっとー!!叢雲!提督!!

なに二人で居るのよ!!

提督!!叢雲に手を出していないわよね!?」

 

 

「叢雲ー!提督ー!

皆で沖縄料理食べましょー?」

 

 

大井と古鷹に呼ばれると佐渡と叢雲は顔を見合せ笑うと二人で歩いていく

 

 

「出してねぇよ!

お、古鷹どんなのがあるんだー?」

 

 

「肉は残しといてよねー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、騒がしい夜の宴会は過ぎていく 

束の間の平和を楽しむように

各々の疲れを癒すように

 

 




次回

夜のお話

もう少しだけ続けさせてくださいおねがいします(土下座)
宴会が終わり各々が寝静まる夜
叢雲と瑞鶴、そして古鷹と阿武隈が自分達の話をします
少し真面目な話になりますかね?



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宴 四

これ書いたら新章行けるかな…(遠目)




月夜が照らす夜

宴も終わり辺りは静けさを取り戻し

その中で、叢雲は月が映る海を一人で見ていた

艤装を展開しながらゆっくりと目を閉じ四日前の戦闘の事を思い出す

 

 

(……あの時、私がケルベロスを倒していれば…

あそこで判断ミスをしなければ……)

 

 

そう後悔しながら、身体をケルベロスの動きを思い出しながら避ける動作をする

すると、後ろから突然パァンと渇いた音がし振り返る

 

 

「何してんのよイメトレ?」

 

 

「…そんなもんよ」

 

 

瑞鶴がこちらを向いており手にはホットミルクが入ったコップがあり二人は近くの流木に腰掛ける

 

 

「……もしかして、ケルベロスとの戦いの時?」

 

 

「…そうよ、あの時もう少しこうしてたら避けられたなぁとかの反省よ」

 

 

「ふーん……」

 

 

二人はさっきと違い静かになってしまう

仲が悪いわけではないだが、何となく話す内容が思い付かないのだ

その空気に耐えかねた瑞鶴が叢雲に訪ねる

 

 

「ねぇ、叢雲」

 

 

「なぁに」

 

 

「叢雲はさ、大事な仲間を失ったことってある」

 

 

その言葉に、叢雲のコップの握る手は強くなるがすぐに力を弱めはぁと溜め息をつく 

 

 

「……あるわよ」

 

 

「…目の前で?」

 

 

「えぇ、四人ほどね

目の前で死んだわ」

 

 

「そっか……

邪魔してごめん」

 

 

瑞鶴はそこまで言うと謝り飲み物を飲みきり立ち去ろうとするが叢雲が服を掴み再び座らせる

 

 

「……それだけじゃないでしょ?

続けなさいよ」

 

 

「……うん」

 

 

先程、元気良くしていた瑞鶴とは違い少し弱々しく見え叢雲に服を引っ張られ再び座り込む

 

 

「……ねぇ、叢雲はさ

そんなに強いのに何で失ったの?」

 

 

叢雲はそう言われると返答に困ったわけではないが月夜を見上げ星空を見る

 

 

「私は、最初からこんなに強かったわけではないわ

努力して、打ちのめされて、負けて、負けて、死にかけて、やっとここまで成長出来た……

まだ弱いけどね」

 

 

その言葉に驚きながらも瑞鶴は拳を握り締める

 

 

「それに、私は強くないわ」

 

 

「嘘よ、叢雲は強いよ」

 

 

「強くないわよ……

でも、強くいたいのよ」

 

 

瑞鶴にまだホットミルクが入ったコップを渡すと立ち上がり空に手を伸ばす

 

 

「私は誓ったの

死んだ仲間に

今以上に強くなって、守れなかった貴方達の代わりに他の人を守るって

だから私は強くなりたい、もっともっと、血反吐を吐いても骨が折れても死にかけても……

二度と失わないってね」

 

 

そう言うと、空を掴むように拳を握り瑞鶴に向き直る

 

 

「それにね、アイツは私に言ってくれたのよ

『今を後悔したって遅いんだよ

事実は変わらない変えられない

だが、未来は変えられる

だから変えるために動け』ってね

だから、私はその為に強くなるの

二度と失わないために」

 

 

「アイツって佐渡提督?」

 

 

「そうよ、それにアイツは私に自分の全てをくれるって言ってくれたのよ

技術も知識も全て

だから私達は約束した

 

『海では私達艦娘が守るわ

だから、貴方は陸での私達を守って』てね

 

瑞鶴はまだあの提督に守られてるだけで良いの?」

 

 

叢雲は瑞鶴へ手を差し伸べると、瑞鶴は笑いながらその手を取る

 

 

「冗談じゃないわ!もう、守られてるだけなのは嫌なのよ!」

 

 

「その意気じゃない?正規空母瑞鶴様?」

 

 

「辞めてよね!確かに誇りはあるわ、でもあんたにはそう言う呼ばれはされたくないわよ駆逐艦叢雲」

 

 

お互い、少し冷めたホットミルクを飲み干すとコップを流木に置くとにぃと笑いながら握手を交わす

 

 

「貴女に会えて良かったわ

そして、ありがとう阿武隈をこの沖縄を守ってくれて

本当に感謝してる」

 

 

「しつこいわよ?でも素直に受け取っておいてあげる」

 

 

その近くの木の影で古鷹と阿武隈は二人の会話を盗み聞きをしておりお互いの顔を見合せる

 

 

「良い仲間をお持ちなんですね

阿武隈さん」

 

 

「古鷹さんこそ、最高な仲間を持っていますね」

 

 

二人はクスクスと笑い合うとはぁと言いながら阿武隈は立ち上がり瑞鶴と叢雲に向かっていく

古鷹もその後ろを付いていく

 

 

「ちょっと~?二人だけで何してるんですかぁ?」

 

 

「叢雲~?私を置いていくのは酷いと思うんだけど?」

 

 

「あちゃー、バレちゃったか……」

 

 

「どうせだから、もう少し話さない?

連合組とケルベロス組が揃ってるんだし?」

 

 

「お、叢雲ナイス~

阿武隈ほらほらここ座りなよ?」

 

 

「夜更かしはお肌の天敵だよ?」

 

 

「たまには良いんじゃない?」

 

 

阿武隈は、仕方ないなぁと言うと座り他の三人も各々座りだし色々と話を続ける

 

 

今までの話やこれから、恋ばなや女の子らしい話をしながら夜は明けていく

まだ終わらぬ戦いの最中に少しばかりの休息を

 

 

 

 

 

 

 

 




次回   

別れ

何か二回連続で真面目な話になってる?気にしたら敗けです(




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別れ そして我が家へ

今回で沖縄編終わりです
長かった~!



「本当ならもっとゆっくりしていってほしいのにな……」

 

 

「まぁ休暇は今日までですからね……

仕方がありませんよ」

 

 

現在、佐渡率いる小笠原鎮守府は沖縄の港で海の上に居た

昨日の朝四人が居ないと騒いでいたが、何故か四人とも部屋で外で身体を寄せあって寝ており少し騒ぎになったがそれ以外は特に何もなく

楽しい休暇は過ぎていってしまい小笠原鎮守府の帰りになっていた

 

 

「大井さん行っちゃうんですね……」

 

 

「元気でね…」

 

 

「また来てください…!」

 

 

「今度は私も入れて四人で色々と案内しますからね!!」

 

 

「達者でな、大井」

 

 

「元気でな大井、身体にはきぃつけぇよ?」

 

 

 

「皆、ありがとう

今度は北上さんも連れて一緒に回りましょ?」

 

 

大井はすっかり駆逐艦と那智、龍驤と仲良くなり別れを惜しみながらもまた来ることを約束し頭を撫でている

 

 

「古鷹さん、お元気で…

今度また砲撃のコツを教えてくださいね?」

 

 

「今度来たときはしっかりと観光巡りしますからね!!」

 

 

「はい!妙高さんも阿武隈さんもお元気で!

楽しみにしてますね!」

 

 

古鷹は、妙高と阿武隈と仲良くなっており次に会うときの約束を交わし

 

 

「叢雲…」

 

 

「何よ?」

 

 

瑞鶴は、涙を堪えながら叢雲に手を差し出しそれを取り握手を交わす

 

 

「次会うときまでに沈むんじゃないわよ!!

最強の駆逐艦!!あんたに会えて最高の三日間だったわよ!!叢雲!!」

 

 

「はっ!何言ってんのよ沈むわけないでしょ!!

私を舐めるんじゃないわよ!!

私もよ!瑞鶴!!」

 

 

二人は熱い友情と誓いを交わし

 

 

「佐渡君ありがとう、この作戦そして救援に来てくれて

改めてお礼を言おう」

 

 

「気にしないでください

我々の仕事ですし、困ったときはお互い様です」

 

 

佐渡と石澤は握手を交わし、二人とも微笑みながら別れを告げる

 

 

「また来てくれたまえ

君達なら歓迎だ」

 

 

「えぇ、生きていればですがね」

 

 

そう言うと、叢雲達は艤装のチェックを終え佐渡は船に乗り込むとエンジンを掛ける

すると沖縄鎮守府の面々の後ろから旗等が振られる

後ろには多くの島民が叢雲達にお礼を言っている

 

 

「島を救ってくれてありがとー!!」

 

 

「また来てねー!!」

 

 

「英雄の鎮守府!!死ぬまで覚えてるからな~!」

 

 

その言葉に小笠原面々は照れくさくしながらも海を走り始める

古鷹と大井は沖縄に手を振るが叢雲と佐渡は振り返らない

後ろからは皆の声が聞こえる

 

 

「帰るぞ!!お前達!俺達の鎮守府へ!!」

 

 

「「「了解!!!」」」

 

 

小笠原鎮守府の面々は速度を上げ、一気に沖縄から離れていきしばらくすると水平線に消える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行っちゃいましたね」

 

 

「あぁ、」

 

 

阿武隈が、そう言うと石澤が頷き港を後にしようとするが瑞鶴だけ一人残ろうとする

 

 

「瑞鶴?どうかしたのか?」

 

 

「………ううん、何でもないよ

提督さん、私決めた」

 

 

瑞鶴は微笑みながら心に決めたことがあった

振り返り石澤と阿武隈に抱き付くと大声で誓いを口にする

 

 

「この島を!!皆を!ずっと守り続けるね!!

駆逐艦の叢雲にも出来たんだもの!!正規空母の私が出来ないと可笑しいわよね!!」

 

 

瑞鶴の言葉を聞いた石澤と阿武隈は微笑みながら瑞鶴の頭を撫でる

 

 

「そうだな!!頼りにしてるぞ!我がエース!」

 

 

「瑞鶴、頼りにしてるからね!!」

 

 

「まっかせておいて!!あんな駆逐艦何かに負けないくらい強くなって見せるんだから!!」

 

 

太陽照らす昼間の時、一人の少女は硬い誓いと共に自らを守ってくれた先輩と仲間を守った叢雲に負けないと心に刻み生きていく

いつかこの戦争が終わるその時まで

 

 

 

 

 

       沖縄編 end




次回

新章?はい、島流しです

と言うわけで新人が小笠原鎮守府に来ます
今回は犯罪者と言うわけでは無いですが?


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不幸な高速戦艦 新たな仲間 不幸艦?

新章と言う名の新人です!!
今回の島流しは少し分け有り?です




「……暇ね」

 

 

「そう言うな叢雲さんやチョコバー食べる」

 

 

「……提督、本当に来るんですよね?」

 

 

「来るぜ?話によればな?」

 

 

「て、提督!今回はお一人で来ませんよね?

大丈夫ですよね?」

 

 

「うん、大丈夫だよ古鷹

今回はきちんと確認したからね?

姉妹艦達が送ってくれるらしいよ」

 

 

四人は小笠原鎮守府の港にて各々待機していた

叢雲はコンクリートに寝そべり、大井は書類をチェックしながら、古鷹はそわそわとしていた

各言う佐渡も中々に落ち着かない感覚で待っていた

沖縄から帰ってきた直後大淀さんからの連絡があり、本日一二◯◯にてそちらに艦娘を送るというもので合った

 

 

「……提督、確認してもよろしいですか?」

 

 

「何だ、秘書艦様?」

 

 

「今回の島流しですが犯罪者じゃないんですよね?」

 

 

「あぁ、お前と違ってな?」

 

 

そう、今回の島流しは犯罪者ではないならどういうことかもう一つの理由『使えない』の方である

だが、その方の理由としても何とも不可解であるため大井は首を傾げる

 

 

「ですが……この理由

ふざけてるんですか?これ本当に大本営の資料ですよね?」

 

 

「あー、うん一応な明石さんからコピー機貰ってるから間違いないし俺も聞いたからなぁ」

 

 

その理由が、何とも言えないと理由なのだが叢雲は寝そべりながら佐渡と大井へと向くと溜め息混じりに言う

 

 

「まぁ、良いんじゃない?高速戦艦がこっちに来るのは良いことよ?火力足りなかったし、うちの艦隊」

 

 

「いや、まぁそうだけどさ……」

 

 

そう、今回の島流しされた子は高速戦艦

小笠原鎮守府に取ってはかなりの嬉しい事なのだがやはり腑に落ちない

 

 

「にしても変よね聞いたことないわよ」

 

 

叢雲は、起き上がると港のコンクリートに座り近くに置いてあった飲み物を飲む

 

 

「不幸な高速戦艦なんて聞いたことないわよ?私」

 

 

そう、島流しの理由は『不幸』だったからただそれだけである

他には特に何もなく使えないのもただ不幸だからと訳がわからない

 

 

「でも、不幸な戦艦って実際居るんですよ?」

 

 

「え、マジ?」

 

 

「えぇ、確か扶桑型の一番艦扶桑(ふそう)と二番艦山城はかなりの不幸らしいんです

何故かは分かりませんが

ですが……これに関しては私も聞いたことなかったですね…」

 

 

大井の話を聞いた、叢雲、古鷹、佐渡はへぇと言うと水平線の向こう側から三隻こちらに向かってくるのが見える

 

 

「お?来たみたいだぞ?お前達」

 

 

「やっとね」

 

 

「皆さん!無事なご様子ですね!

良かった……」

 

 

叢雲は立ち上がり、海へと行くと古鷹はおーい!と手を振りながら三隻をこちらに誘導する

だが、大井はやはり訳がわからないその資料を読み返す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「金剛型 一番艦 金剛(こんごう)

山城、扶桑よりも酷い不幸を鎮守府にばらまきたらい回しにされた高速戦艦…か…

聞いたことないわよ、こんなの」

 

 

 

 




次回  

金剛四姉妹


今回より新たな仲間、金剛さんの登場です!
はてさて、叢雲達にどんな不幸が降り注ぐのやら?


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不幸な長女

実際のゲームにはない設定を入れてみました!
金剛好きの方にはすみません……




「遠路遥々護送ご苦労様です!!」

 

 

佐渡は、小笠原の港に到着した三人の艦娘に対し敬礼をすると三人も敬礼を返し叢雲達は佐渡の後ろで待機している

 

 

「いえ!!お姉さまの為なら私何でも頑張っちゃいますからね!!

佐渡司令官ですよね!!司令からいわれております!!良い方だと!!」

 

 

元気一杯に右端で敬礼しているこの娘は、金剛型二番艦 比叡

戦艦棲姫戦の時に連合艦隊に居た、佐世保鎮守府所属 葛城提督の艦娘である

 

 

「お姉さまの為ですから!これぐらい平気です!

佐渡提督ですね!提督から聞いております、素晴らしい方だと」

 

 

比叡の隣で、佐渡に敬礼している健気そうなこの娘は、金剛型三番艦 榛名 

彼女も戦艦棲姫戦の時に連合艦隊にいた、横須賀鎮守府所属 猿橋提督の艦娘である

 

 

「お姉さまの為ですからね!少し遠かったですがこの程度計算のうちです!

また会いましたね、佐渡司令官」

 

 

そして、最後佐渡に敬礼しているこの娘は金剛型四番艦 霧島

戦艦棲姫戦の連合艦隊におり、そして沖縄でお世話になっていた 沖縄鎮守府所属 石澤提督の艦娘である

 

 

「皆さん、疲れたでしょう?

一息いれませんか?後、俺には敬語も敬礼も入りませんからね?」

 

 

「そうしたいの山々なのですが……」

 

 

「私達、この後任務がありまして…」

 

 

「正直、もっと話したいし料理のコツを聞きたいのですが……」

 

 

比叡、榛名、霧島共々悔しい表情をしながら顔を反らすが霧島に関しては拳を握りしめているほどに悔しいらしい

 

 

「そうなのですか、残念です……

折角ですからパンケーキでも作ろうかと思ったのに……」

 

 

その言葉に三人ともビクッと身体を震わせる

 

 

「ぱ、パンケーキ……」

 

 

「蜂蜜とバターたっっぷりの美味しいのを……」

 

 

佐渡はそう言うと叢雲達を見るとアイコンタクトを送る

理解したのか大井は溜め息をつく

 

 

「えぇ、とっても美味しいんですけどね

提督のパンケーキ。

確か紅茶もありましたよね?」

 

 

「こ、紅茶……」

 

 

「残念ねぇ、

まぁ、任務があるなら仕方ないわよねぇ?

私達五人で美味しく頂きましょ

あーあ、折角司令官が作ってくれるのになぁ?」

 

 

「ぐ、ぐぬぬぬ……」

 

 

三人が煽るように言っていると、比叡達も拳を握り締めかなり悔しがっていると古鷹が満面の笑みで止めを指す

 

 

「提督のお料理は何でも美味しいですからね!

パンケーキも絶品ですよね!それこそ、街のスイーツ店にも負けないくらいですよ!!」

 

 

「「「絶品…」」」

 

 

その瞬間、三人が喉を鳴らしたところで佐渡は振り返り比叡達から去っていこうとする

 

 

「でも、残念ですねぇ今日位しか作れないのに……

街に買い物行くのは一ヶ月に一回ですから滅多にないのに…」

 

 

「「「……」」」

 

 

三人は顔を見合せると霧島が手を上げる

 

 

「はい!!佐渡司令!私食べたいです!!」

 

 

「ちょっと霧島!?」

 

 

「この後の任務は良いの!?」

 

 

すると霧島は眼鏡をくいっとあげながらそっぽを向く

 

 

「わ、私の計算が正しいならこの後沖縄鎮守府に帰るまでにお腹が空いて戦闘どころではないと思います!!

それに、佐渡司令の料理スキルは今後役に立つと思われます!!」

 

 

「じゃあ、私も食べたいです!!」

 

 

「比叡お姉さままで!?で、では榛名も……」

 

 

霧島を火付け役に結局三人とも一息つくことになったのだが肝心の島流しにあった金剛が居ないことに気が付く

 

 

「そう言えば、金剛さんは?」

 

 

「あ、お姉様ですね……」

 

 

「お姉様、そろそろ出てきてください?」

 

 

「そうですよ、佐渡司令がお呼びです」

 

 

そう三人が言うと榛名の後ろに隠れていた何かがビクッと動く

 

 

「そう言えば、そこに誰か居たわね?もしかして」

 

 

「貴女が?」 

 

 

その何かはおずおずと榛名の影から出てきては居るが榛名の袖を掴みっきりになりながらゆっくりと出てくる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こん…にち…は……金剛…型…一番艦 金剛…です

初めまして……佐渡…提督さん」

 

 

やたら縮こまりまるで子犬の様な感じになっている金剛、つまり今回の島流しになった艦娘が居た

 

 




次回

不幸な金剛


明るい金剛さんだと思った?残念だったな!!!

すいません理由があるんです許してください


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不幸な長女 二

最近、うちの艦隊が少しずつ改二になりつつありますがやはりまだキツいものがありますわ……





ここは場所代わり小笠原鎮守府の食堂

佐渡は、パンケーキを作るべく材料を混ぜておりその隣で比叡が凝視し、霧島が手伝っている

テーブルには榛名と金剛が座りずっと服を掴んだままである

それを囲むように叢雲、大井、古鷹が見ているが肝心の金剛は俯いており無言な状態だ

 

 

「……ねぇ、霧島さん。

彼女、君達のお姉さん何であんなに縮こまってるの?」

 

 

「えっとですねそれには理由がありまして……」

 

 

「お姉様、かなり運が悪いと言うか不幸なんですよ……」

 

 

「それは知ってるよ、こっちに送られてきたのはそれが原因なんだろ?」

 

 

佐渡が気になっているのはそこではない

もっと根本的な部分だ

彼女、金剛型一番艦金剛と言えば誰よりも明るく少し英語混じりの話をすると資料に書いてあったのだが

どうみても、全く雰囲気が違う

まるで捨てられた子犬の様に縮こまり下手すれば自殺するんじゃないかなと言うほどに弱々しい

 

 

「なんかあったの?彼女に」

 

 

実は佐渡が、この三人を引き留めたのはこれが理由の大幅だ

大井の時は情報が少なくどうすれば良いのか分からなかった為少しでも事情を知ってる三人の話を聞きたかったのだ

 

 

「実はですね、金剛お姉さまの不幸は『伝染』するんです」

 

 

「……伝染?病気みたいなもんか?」

 

 

「あながち間違っていないですね。

私達は特になんにも無い……訳ではないのですが」

 

 

伝染、彼女達は確かにそう言った

人から人へ移る不幸、そんなの有り得るわけが無いのだが……

 

 

「詳しく聞かせてくれないか?」

 

 

比叡は霧島を見ると頷きそれを見た比叡は佐渡に話始める

 

 

「金剛お姉様は、初めてお会いしたときから確かにちょっと運が悪かっただけだったんです

タンスの角に小指をぶつけたとかくじ運が悪いとか本当ちょっとしたことでした

最初は金剛お姉様も明るく「私ったらドジネー!」とか笑いあった位だったんです

 

ですが、その不幸はどんどん酷くなっていったんです

一緒に歩いていたら強盗に会ったり、殺人犯に狙われたり、ストーカーに狙われたりしたので外出は辞めました

でも鎮守府では、突然電柱が倒れてきたり、窓ガラスが割れて怪我しかけたり、雹(ひょう)が降ってきたりしてきまして部屋に籠るように当時の司令に言われました

ですが、そこでも不幸が発生しました

部屋のストーブが突然発火して部屋は全焼、鎮守府も半焼

しかも、近くの消防署の車がパンクしていて遅れたり……」

 

 

「なんだそりゃ……すげぇな…」

 

 

信じられないほどの事を聞くと金剛を見ると榛名が必死に話しかけているが俯いたままである

何とか古鷹も大井も話し掛けているが全く変わらない

 

 

「しかも、それが原因で一人逃げ遅れた艦娘が倒れてしまい……

お姉様は異動になりました……

何にも悪くないのに…」

 

 

比叡は悲しそうに、でも悔しそうに拳を握り締めると霧島が肩を叩くと再び口を開き続きを伝える

 

 

「ですが、金剛お姉様の不幸は続きました

異動先の鎮守府で金剛お姉様以外艦娘が轟沈したり、鎮守府が津波に呑まれたり、深海棲艦に潰されたり……

そして、金剛お姉様のせいと決め付けた司令が居たらしくお姉様を監禁し、酷い暴行を働いたそうなのですが……

その司令は不慮の事故でなくなったそうです……

しかも、金剛お姉様に触れた艦娘もしばらく不幸に会うらしいんです……

轟沈しかけるとか、空から瓦礫が降ってきたとか

そして、付いた名が 不幸な高速戦艦だそうです……」

 

 

「成る程な…

でも、榛名さんは大丈夫なのか?

ずっと側に居るけど?」

 

 

比叡が落ち込んでいる所に霧島が眼鏡をくいっと上げながらその理由を話始める  

 

 

「榛名お姉様は、他の方より運が良くてですね

金剛お姉様の不幸を消しているみたいなんですよ」

 

 

「……成る程な中和されてるのか…」

 

 

すると、火を止め金剛を見ると比叡が佐渡の服を掴み必死になりながらお願いをする

 

 

「だから!!佐渡司令!!金剛お姉様を何とかして頂けませんか!?

私達では何にもお力になれないんです……

葛城司令と霧島から聞いたんです!!佐渡司令なら何とかできるかもって!!だから……だから……」

 

 

そう言われると比叡は佐渡の腹部の顔を埋めており少しだけ泣いている

佐渡が困惑していると霧島も同様に頭を下げる

 

 

「お願いします、佐渡司令

何とか解体だけは避けられてここに行かせて貰えるように頼み込んで何とか漕ぎ着けたんです

だから!……私達のお姉様を何とか出来ませんか!?」

 

 

「何とかって言われてもな……」

 

 

佐渡は、金剛を見るとやはり顔を下に伏せており頭を掻きながらんー……と言うと二人に答える

 

 

「んまぁ、やってはみるよ 

出来るだけ、ね?」

 

 

その言葉を聞いた二人は顔を上げ喜びあう

 

 

(んまぁ、別にここなら特に何にもないからなぁ……)

 

 

そんなことを考えていると比叡は佐渡の両手を握り握手を交わす

 

 

「ありがとうございます!!!

もし!何かお手伝い出来る事があれば何でもしますからね!!」

 

 

 

 

 

 




次回

おやつタイム!パンケーキと紅茶はいかが?


次回からきちんと食べるよ!!
ごめんなさい!!


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不幸な長女 三

資材が足りなくて遠征に任せっぱなしのクソ提督がこちら()





その言葉を聞いた佐渡はピクッと身体を動かし比叡の顔を凝視する

 

 

「……ほう?今何でもするって言った?」

 

 

「はい!!何でもしますよ!!」

 

 

すると佐渡は金剛達から見えないように身体を動かし比叡の顎を持ち上げ顔を近付ける反対の指で胸を指す

 

 

「こんなことでもかな?」

 

 

「ひ、ひぇ~……」

 

 

「比叡ちゃん、可愛いし良い身体してるよね?

俺を慰めてくれないかなぁ?」

 

 

 

比叡は発言の意味を理解し、顔を真っ赤にするがキッと佐渡を睨み付ける

 

 

「ですが!それでお姉様が何とかなるなら!!

比叡!気合い!入れて!慰めます!!」

 

 

「ほほう?滅茶苦茶にしちゃうよ?」

 

 

「構いません!!」

 

 

顔が近く、そんな会話をしていると霧島も顔を真っ赤にしており眼鏡をひっきりなしに上げており少し沈黙が流れるが佐渡は突然笑いだし比叡の頭を撫でる

 

 

「アハハハ!冗談冗談!他の人の艦娘に手を出すほどクズじゃないよ俺は」

 

 

「ひえ?」

 

 

佐渡は、笑いながら比叡の頭を撫でておりフライパンに火を付け再びパンケーキを焼き始める

 

 

「こんなに妹さんに思われているお姉さんを助けない訳にはいかないでしょ!

さぁ、二人とも向こうに座りなよ

パンケーキ、そろそろできるよ」

 

 

「は、はい!」

 

 

「佐渡司令!ありがとうございます!!」

 

 

二人は、喜びながら歩いていくのを見送るとフライパンでパンケーキを大量に作っていく

 

 

「と言われてもどうすっかなぁ?」

 

 

「その前に、あんたを蹴るわ」

 

 

「あいたぁ!?」

 

 

いつの間にか隣に叢雲がおり、片手に魚雷そして足の脹ら脛を蹴り続けている

 

 

「叢雲さん!痛いっ!辞めて!痛い!」

 

 

「え、もっと?分かったわよ!!」

 

 

「痛ぇ!?酷くないか!?」

 

 

「黙れ性欲野獣変態司令官!!」

 

 

「全てしっかりと漢字で揃えられてる!?」

 

 

叢雲はある程度蹴り終わると満足したのか台所から出ていく

 

「……地獄耳かよあいつ」

 

 

佐渡はそう呟くと痛む足を押さえながら出来上がったパンケーキを腹ペコな艦娘達に振る舞いにいく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、私達はこれで」

 

 

「佐渡司令!お姉様をお願い致します!!」

 

 

「お姉様をお願いします!佐渡提督」

 

 

「おう、気を付けて帰れよ~

あと、それレンジで温めて蜂蜜とバターかけて食べなよ~」

 

 

三人はすっかり佐渡のパンケーキを食べ満足しお土産にそのパンケーキの余りを三人に持たせている

 

 

「では!佐渡司令!!」

 

 

「あ、比叡ちゃんやちょっとちょっと」

 

 

「ひぇ?」

 

 

比叡は佐渡に呼ばれ近付くと、佐渡は口元に付いた蜂蜜をハンカチで拭う

 

 

「また来てね、今度は晩御飯をご馳走するよ」

 

 

「本当ですか!?ではまた来させて頂きます!!」

 

 

比叡は片手をブンブンと振ると霧島と榛名も手を降り別れを告げる

しばらくすると水平線に三人の姿が消えると佐渡は毛延びをしながらのんびりと歩いていく

 

 

「さってと、どうしますかね……」

 

 

先程の料理の片付けをしようと食堂の扉を開けると、そこには下を俯いたままの金剛が目の前のパンケーキを残しながら座っていた

 

 

 

 

 





次回

不幸

佐渡さんが変態に見えた
貴方は正常です



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不幸な長女 四

今回は佐渡と金剛がメインになります





「パンケーキは嫌い?それとも不味かった?」

 

 

「い、いえ!…美味しいです…

とっても……」

 

 

「なら、残さないでほしいな?

それともお腹一杯だった?」

 

 

佐渡は金剛の目の前に座り、戸棚からお茶を取り出しコップに注ぎ込み飲み始める

 

 

「……ごめんなさい」

 

 

「ん?」

 

 

突然金剛に謝られ意味がわからず、首を傾げていると金剛は小さな声で続ける

 

 

「……こんな使えない不幸な高速戦艦何かが皆様の鎮守府に来てしまって…

戦艦ですから耐久には自信があります、盾にでも使ってください…」

 

 

佐渡は、そう言われるとムカッと来てしまい金剛のデコを指でつつく

 

 

「ばっかやろ、使えないとか誰が決めやがった

ここではそんなの関係ねぇよ」

 

 

だが、ここで金剛は目を見開き佐渡の指から逃げると椅子を倒して立ち上がる

 

 

「触らないで!!!」

 

 

そう突然に言われ、流石の佐渡も驚くがここで金剛の不幸が発動する

佐渡は驚き手を勢いよく引っ込めてしまいその反動で椅子が倒れてしまいそのまま背中から床に叩きつけられ運が悪く頭を強打、そしてその振動で戸棚が開きその中にあった煎餅の入った入れ物が落ちてきて佐渡の顔面に直撃する

辺りに埃が飛び散り佐渡はゆっくりと立ち上がる

 

 

「いてて…こりゃすげえな……」

 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」

 

 

金剛は土下座をしており、佐渡は椅子を直している

 

 

「ちょっと?何してるのさ?」

 

 

「私がっ!私が悪いんです!!ごめんなさい!!!」

 

 

「いやいや、大袈裟だよ……

こんなこともたまにはあるって……」

 

 

佐渡は金剛へとテーブルを回り駆け寄ると肩を触れた瞬間的また金剛が逃げる

 

 

「来ないで!!!」

 

 

その瞬間、佐渡は躓き胴体を椅子の座る部分に直撃し肺が圧迫されその振動で背中に紅茶が降りかかり冷たくなっている

そして、頭にパンケーキの蜂蜜がたっぷりとかかりベタベタになってしまう

 

 

「……わーお、なぁにこれ?」

 

 

「ごめんなさっ!!」

 

 

「あー、待って待って?」

 

 

 

流石にこれは凄いわと思いながら、ゆっくりと立ち上がると金剛が謝ろうとするのだが佐渡はそれを辞めさせる

いててと言いながら金剛を椅子に座らせると厨房へ入っていく

 

 

「さっきのが君の不幸かい?」

 

 

「………はい」

 

 

「あーごめん、声が小さくて聞こえないからもっと大きな声で!!」

 

 

佐渡は髪を軽くタオルで拭くとフライパンに火をかけ、再びパンケーキを作り始める

次は小さな奴を

すると、金剛はゆっくりとカウンターに来ており佐渡の背中を見ながら調理を観察している

 

 

「…私に触れないでください

皆さんを酷い目に合わせてしまいます……」

 

 

「ふーん?そうなのか」

 

 

佐渡は手早くパンケーキを金剛に手渡すと金剛はパンケーキを見ながら首をかしげる

 

 

「提…督?」

 

 

「とりあえず、食べよっか?

俺も食べたいし」

 

 

金剛は恐る恐る皿を持ち上げ、かなり慎重にパンケーキをテーブルに置くと安堵の溜め息を付くのだが、座ろうとした瞬間椅子の後ろ足が壊れ床に倒れてしまう

 

 

「うっ!」

 

 

「金剛!大丈夫か!?」

 

 

佐渡は心配そうに、駆け寄ろうとするが金剛は頭を擦りながら手をこちらに出している

 

 

「大丈夫…ですから…来ないでください…」

 

 

佐渡は、そう言われると心を痛めながら椅子に座るが金剛は立ったまま食べようとする

 

 

「まてまて、金剛

椅子に座りなさいよ?」

 

 

「ですが、椅子が……」

 

 

「代わりはあるんだから、ほら」

 

 

金剛は渋々壊れた椅子を端に置くと別の椅子を使い座り始める

 

 

 

 




次回

伝染する不幸とは?

早速不幸艦の本領発揮ですね……
次回、更に他の艦娘も絡み不幸は続きます



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不幸な長女 五

不幸とは中々にどんなことか書きづらいですねぇ…

インデックス読んでみようかな……




「ほい、んじゃ頂きます」

 

 

「いただき…ます」

 

 

パンケーキにお互いたっぷりの蜂蜜をかけバターが乗っておりそれをナイフとフォークで食べているがやはり金剛は手を付けようとしない

 

 

「……やっぱり嫌いか?パンケーキ」

 

 

「いえ!頂きます!」

 

 

金剛は急いでパンケーキを切り分け食べるが出来立てだからか熱くてはふはふしながら食べ始める

 

 

「どうだ?旨いか?」

 

 

「はい…はい!」

 

 

金剛は美味しそうにパンケーキを頬張っており、急いで食べたのか喉を詰まらせる

急いで佐渡が飲み物を与えると一気に飲み干し再び食べ始める

 

 

(お腹、空いてたのか?)

 

 

だが、一つ食べ終わるとナイフとフォークを置き手を合わせる

 

 

「ご馳走様でした……」

 

 

「おう、お粗末様。

すまんな、こんな物しか作れなくて

まだ、食べるか?」

 

 

「いえ!とても美味しかったです…

だ、大丈夫です!!」

 

 

(戦艦ってかなり食べるって聞いてたけどそうでもないのか?

でも比叡ちゃん達はかなり食べてたよな…)

佐渡はそう考えながら食べ終わった食器を片付けようとするとぐぅとお腹が鳴る音が聞こえる

 

 

「………ん?」

 

 

その音はもちろん佐渡ではない

目の前の金剛から聞こえており、耳まで真っ赤しながら顔を伏せている

 

 

「ふふ、おかわりいるか?」

 

 

「えっと!あの、その、……はい」

 

 

真っ赤にしている金剛を見ながら佐渡は皿を取り再び調理を開始する

今回は、大きめに焼きながらいくつも作っていくと食堂に三人が入ってくる

 

 

「あら?こんなとこに居たのね?」

 

 

「こんにちは!金剛さん!」

 

 

「この香りは、また焼いてるんですか……」

 

 

三人は入ってくると再び金剛を囲うように座りじっと金剛を見つめる

 

 

「へぇ、巫女服って言うんだっけそれ?

似合ってるわね……

あ、私叢雲よ。よろしく」

 

 

「そ、そうでしょうか…

よろしくお願いします!」

 

 

「私は古鷹一番艦 古鷹です!

金剛さん!これからよろしくお願いしますね!!」

 

 

「は、はい!よろしくお願いします、古鷹さん!」

 

 

「こちらとしては待望の戦艦ですからね

私は、大井ですよろしくお願いします」

 

 

「あ、ありがとうございます!

よろしくお願いします」

 

 

「お、自己紹介終わったか?」

 

 

佐渡が、皿一杯のパンケーキを持ってくると叢雲の目がキラキラと光る

 

 

「とりあえず、食べましょ!!

パンケーキはご飯じゃないもんね!!」

 

 

「アハハ…

叢雲は、相変わらずだね…」

 

 

「あ、金剛さん

食べながらで良いので幾つか質問があるのですがよろしいですか?」

 

 

「あ、はい!」

 

 

佐渡が、パンケーキをテーブルに持っていくと叢雲、金剛がそれをとり二人とも美味しそうに食べ始めると佐渡は大井の隣に座る

 

 

 




次回

壊滅した鎮守府?

今回、書こうと思ったら足りなかった…
許してくだせぇ…



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不幸な長女 六

「とりあえず、話は色々と聞きました

不幸…体質?何ですか?」

 

 

「はい…何故かは分かりませんが…」

 

 

「では、いくつか聞いていきますね?」

 

 

大井は、金剛にいくつかの質問をしながらそれを金剛は答えていくだが一つ気になるものがあった

 

 

「でしたら、この……不幸によって壊滅した鎮守府とは?」

 

 

「何だそれ?」

 

 

「いや、書いてあるんですよ

備考欄に、金剛の不幸が招いた鎮守府壊滅事件って」

 

 

佐渡が資料を見ると確かに金剛が原因で鎮守府が壊滅したとそれを聞かれた金剛は腕を掴みながら小刻みに震える

 

 

「……当時、私は不幸艦と呼ばれある鎮守府に引き取られました

ですが、そこはブラック鎮守府と呼ばれていました

戦艦である私は度重なる出撃を繰り返していたのですが、戦績は良くなく盾として扱われていました

その当時恋仲だったある重巡と提督に良く戦果が悪いと陰湿に苛められたのですがその際私に手を上げてしまい

 

それが原因で不幸が伝染し重巡の娘に浮気がバレてしまい、鎮守府は険悪な雰囲気になり、更にその重巡はある姫級に轟沈されてしまい……

 

更に、提督は二週間後に何者かに殺されてしまいまして、その情報が深海棲艦に流れ集中砲火を受けて壊滅

鎮守府は解体されたんです……」

 

 

「わーお、すんごい。

まぁ天罰だな、良くやった金剛」

 

 

「提督、不謹慎ですよ」

 

 

流石に鎮守府一つ潰した?金剛に驚きを隠せないが、佐渡は金剛に親指を立てて褒めるが大井にバインダーで殴られる

 

 

「とんでもないわね、それ」

 

 

「そう言えば、そんな話聞いたことありましたね……」

 

 

「ふーん……不幸ねぇ…」

 

 

 

叢雲はそう言うと、金剛の肩を掴む

掴まれた金剛はビクッとし直ぐ様離れる

 

 

「触らないで!」

 

 

叢雲はその声に驚き慌てて手を引っ込めるとその反動で椅子の足が折れ後ろへと倒れる

 

 

「あぁ……これは凄いわね…」

 

 

大井と古鷹はその様子に驚き、金剛を凝視する

 

 

「今のが……」

 

 

「伝染する不幸?」

 

 

その言葉を聞くと更に金剛は頭を抱え込んでしまう

 

 

「大井、そう言うことだ……」

 

 

と言うと佐渡は大井の肩を触るとプチッと音がする

 

 

「……プチッ?」

 

 

流石に何の音か分からず大井を見ると、大井は固まりながら顔を真っ赤にしており勢いよく立ち上がると大井の服から何かが落ちる

 

 

「大井、何か落としたぞ?

……え?」

 

 

佐渡がそれを見て拾い上げると叢雲と古鷹がビクッと震えそれを凝視し、大井を見上げるとプルプルと震えている

 

 

「えっと……

大きいな!」

 

 

「死ねぇぇぇ!!!!」

 

 

「ガハァ!?」

 

 

佐渡が拾い上げたのはホックが壊れと肩の紐が切れた大井のブラジャーだった

下着を見られ怒り浸透になった大井はぶっ飛ばした佐渡に近寄ると次は無言で蹴り続けている

 

 

「痛い!大井!すまん!悪かったって!!」

 

 

「死ね!死ね!死ねぇぇ!!!」

 

 

その姿を見ながら叢雲は大井のブラジャーを拾い上げ自分の胸と比較する

 

 

「……確かにでかいわね」

 

 

「……大きいですね…」

 

 

「二人とも!!人の下着を見ないでよ!!!」

 

 

大井は胸を押さえながら、二人から下着を奪い取り佐渡にバインダーを投げつけ半泣きしながら食堂から立ち去ってしまう

 

 

「ちょっと司令官?今のはあんたが悪いわよ?

後できちんと謝りなさいよ?

確かに大きかったけど」

 

 

「そうですよ、提督?今のは失礼ですよ

大きかったですが」

 

 

「あぁ、そうするよ……」

 

 

「と言うかあれもそうなのかしらね?」

 

 

ボロボロになりながら、佐渡が立ち上がると金剛へ近付こうとすると

 

 

「来ないで!!

ごめんなさい!ごめんなさい!!」

 

 

金剛は、頭を押さえ泣きながら食堂を走って出ていってしまう

 

 

「金剛!!叢雲!後は頼む!!」

 

 

「ハイハイ、行ってきなさい」 

 

 

佐渡もその後を追いかけ走っていき、食堂には古鷹と叢雲だけが残されてしまった

 

 

「さてと、片付けましょうか」

 

 

「そうだね、凄い娘が来たね!」

 

 

古鷹は満面の笑みを浮かべており、叢雲は溜め息を付くと荒れた食堂の掃除を始める

 

 

 

 

 





次回

何で私だけ…

今回は金剛の不幸が猛威を振るいましたね……
大井さんはドンマイとしか…




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不幸な長女 七

「ひっぐ…えぐ……」

 

 

金剛は鎮守府の食堂から逃げ出し、小笠原の港に座りながら泣いていた

辺りはすっかり夕暮れになっており日が水平線に沈みかけていた

今までもずっと変わらない景色、自分が不幸だけならまだ良い

でもそれを他の人に移し不幸にするのが彼女には耐えられないのだ

目を伏せればあの光景が浮かび上がる

 

 

「お前のせいだ!!お前の不幸が原因だ!!」

 

 

「あんたなんか!!居るんじゃないわよ!」

 

 

金剛に向けられた提督達の暴言の数々

 

 

「こんな奴と一緒の艦隊とか最悪ね…

運の尽きね」

 

 

「提督!!この人とは別にしてください!!

沈みたくありません!!」

 

 

艦娘達からの批判の声

 

 

「お前何て、金剛型の恥だ!!」

 

 

「あんたなんかとっとと死ねばいいのに!!」

 

 

触ろうとすると避けられる

 

 

「触らないで!!!あたしはあの娘みたいになりたくない!!」

 

 

「金剛、貴様は執務室に立ち入り禁止だ失せろ!!!」

 

 

(どうして……何で…私だけ…)

 

 

「あんたのせいで!!轟沈艦が出たんだけど!!」

 

 

「うぅ……何でよ…」

 

 

 

(ごめんなさい!ごめんなさい!!!)

 

 

 

「死ね!死ね!死ね!死ね!!!」

 

 

「ちゃっちゃと沈みなさいよ!!」

 

 

(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!)

 

 

「この!!不幸を呼ぶ不幸高速艦が!!!」

 

 

(ごめんなさい……ごめんなさい………

解体……嫌……もう……殺して…)

 

 

「はぁ、はぁ、金剛!!こんなところに居たのか!?」

 

 

後ろから大声で名前を呼ばれ振り返るとそこには肩で息をしていた

 

 

「提……督…?」

 

 

「ふぅ……探したぞ、全く…

うちには空母が居ないから探すのに手間取るぜ……」

 

 

佐渡は息を整え、金剛に歩いていくと金剛は立ち上がり後ずさる

 

 

「こ、来ないで!!!」

 

 

金剛の言葉に一瞬足を止めると涙でぐしゃぐしゃの金剛を真っ直ぐ見ながら問う

 

 

「俺が嫌いか?それとも男苦手?」

 

 

「違います!!私に近付くと不幸が……」

 

 

「ふーん、じゃあやだ」

 

 

「……え?」

 

 

佐渡は再び歩み始め、金剛にゆっくり近付いていく

佐渡が来ると同時に金剛も後ずさるが後ろはもうコンクリートは無く後ろは波が打ち付けている

 

 

「辞めて!来ないでください!!」

 

 

「やーだー」

 

 

金剛は歩みを止めない佐渡に脅え、海を向くと飛び込もうとする

 

 

「逃がさん!!」

 

 

佐渡は一気に走りだし、金剛の手を掴み海へ入るのを辞めさせる

 

 

「!!!

離して!!私に触らないで!」

 

 

「暴れるなって!!落ちるか……」

 

 

そう言った瞬間、金剛は足を滑らせ真っ逆さまに落ちそうになるが佐渡が何とか止めるのだが、佐渡も足が滑り二人共海に投げ出される

 

 

「……ぷはぁ!!金剛!大丈夫か!?」

 

 

佐渡は落ちた後、何とか浮かび上がるが金剛の姿が見えない

まさかと思い海を覗くと金剛が足を押さえながら沈んでいく

恐らく足がつってしまい泳げないのだろう

息を整え、海に潜ると金剛を抱き抱えながら何とか岸まで泳いでたどり着く

 

 

「はぁぁ……疲れた…」

 

 

「ご、ごめんなさい…」

 

 

金剛は申し訳なさそうに座り込み、佐渡はその頭を撫でようとするとやはり逃げ出しそうになるが腕を捕まえる

 

 

「逃げんな!!」

 

 

「離してください!!じゃないと!!不幸が!!」

 

 

「うっるせぇ!!」

 

 

そう言うと、金剛を抱き締め逃がさないようにする

しばらく金剛は佐渡の胸の中で暴れるが諦めたのか大人しくなる

 

 

 

 





次回

不幸な高速戦艦と変態提督


ちょっと金剛の過去を書かせて頂きました
詳しくは……書くと大変なんでゆるしてくだせぇ


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不幸な長女 八


男は変態、これは揺るがない





「離して……ください…」

 

 

「やーだー、寒いから金剛の体温で暖まるんだ~」

 

 

そう言うと更に強く金剛を抱き締め、金剛も手を佐渡の背中に回そうとするが辞めてしまう

 

 

「不幸が……移りますよ?」

 

 

「既に移ってるからへーきへーき」

 

 

確かに、先程佐渡は金剛に触っており既に金剛の不幸を経験している

 

 

「それに、金剛の胸と身体の感触を合法的に堪能できるからな!!」

 

 

「……変態です」

 

 

「アッハハハ!!悪いな変態で!

だが、男は皆こんなもんだぞ~」

 

 

佐渡は笑いながらも金剛の身体を離さないが金剛もすっかり佐渡に身体を預けている自分がセクハラを受けているのにも関わらず

 

 

「……私より古鷹さんや大井さんの方が良いですよ?

私は…不幸を運びますから…」

 

 

「俺は気にしないからよゆー

それに金剛いい香りだな?女の子独特の良い匂いだわ」

 

 

「ふふ、嘘つき

さっき海に落ちたじゃないですか

塩の匂いしかしませんよ」

 

 

「嘘じゃないさ!くんかくんかしてやるぞぉ!!」

 

 

「辞めてくださいよ!もう!!」

 

 

「アハハ!悪い悪い」

 

 

次第に佐渡の冗談なのか分からない変態発言に涙が止まり少し微笑むと佐渡が笑いながら金剛を見ている

 

 

「お、やっと笑ったな?このやろうやっぱり可愛いじゃねぇか!ハハ!」

 

 

金剛はそう言われると直ぐ様顔を隠し照れてしまいしばらく無言になる

 

 

「……ごめんなさい、こんな不幸な戦艦で」

 

 

「気にしないって、それより金剛の事を聞かせてくれないか?もっと金剛の事を知りたいんだ」

 

 

「分かり……ました」

 

 

 

佐渡は、金剛を話すと二人で砂浜に座り話始める

今まで不幸の数々、そして胸の内を

 

 

「……と言う事です」

 

 

「成る程なぁ、つまりあれだな

全部金剛のせいにしてたってことだろ?」

 

 

「違います!!私が不幸だから……皆さんに伝染させるから……」

 

 

「嫌考えても見ろ?確かに金剛は不幸なのかもしれないでも、そんな鎮守府を壊滅させたとか言うけどあり得ないだろ

元々狙われてたんじゃないか?後、轟沈に関しては提督が悪い

艦娘をしっかりと導けなかったな」

 

 

「で、でも!!」

 

 

金剛が反論をしようとすると佐渡は口を押さえさせ、無理矢理にでも反論させないようにする

 

 

「良し!決めたお前の命令!」

 

 

そう言うと佐渡は立ち上がりと金剛は頭を伏せる

どうせ内容は決まっている

近付くな、別の鎮守府へ移動しろ等

この提督もどうせ変わらないと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これから一週間!俺と共に生活をしてもらうぞ?」

 

 

「…………ぇ?」

 

 

 

だが、金剛のその思いに反して佐渡が言った命令は真逆の物だった

 

 

 





次回

不幸な一週間、始まります!

触れられることすら許されなかった彼女は困惑する提督の能天気兼馬鹿さ加減に……みたいな?


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不幸な長女 九

「だから、俺と共に一週間生活をしてもらうぞ?

あ、寝るとき風呂、トイレは別々よ?

それ以外な、食事、仕事はずっと一緒だ!!」

 

 

「ちょっと待ってください!そんなの駄目です!!

提督の身が持ちませんよ!」

 

 

「だから、証明してやる」

 

 

「…え?」

 

 

佐渡は金剛に向き直り頭を優しく撫でながら笑みを浮かべる

 

 

「お前の不幸何て物がどれ程ちっぽけで俺がそんなことを気にしないって証明してやるよ!」

 

 

「で、でも……」

 

 

「提督命令だぞ~?規約違反で憲兵さんに捕まっちゃうぞ~?怖い目に合っちゃうぞ~?」

 

 

「それでも!!私は提督が不幸な目に合うのは嫌です!!」

 

 

金剛は、ここに来て初めてはっきりと意見し佐渡に食いかかってるのを見た佐渡は更に頭を撫でながら笑う

 

 

「ハハ、お前は優しいんだな!

それとも男と一緒は嫌か?」

 

 

「そんなんじゃありません!!

霧島や比叡から提督がどんな方は聞いています!

正直、確かに一緒には居たいですが……」

 

 

「ほい、んじゃ決まりな

ほら行くぞそろそろ身体がベタついて構わん」

 

 

佐渡は金剛の手を取り鎮守府へ向けて歩いて行こうとすると金剛は手を払おうとする

 

 

「離してください!」

 

 

「やーだよ、それに命令は始まってるから従って貰うぞ?

ほら戻るよ金剛~

それに絶対に離さないからな」

 

 

半分強引に、金剛を連れていくが金剛はこの状況に全く付いていけてなかった

今まで、こんなことあり得なかったから

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

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ーーーー

 

場面は代わり夜食堂

あの後、二人は風呂に入りさっぱりした後からずっと一緒におり現在五人で晩御飯を囲んでいる

そして、佐渡の隣には金剛がきちんといる

 

 

「……と言うわけです良いよな?」

 

 

「…何がと言うわけですか説明してください」

 

 

大井は、食事をしながら佐渡を睨み付けている

あの後大井に土下座をすると「今回だけ多目に見ます、次は酸素魚雷撃ちますからね?」と言われ何とか許してもらった

 

 

「嫌だから、かくかくしかじか四角いムーブ?」

 

 

「分かりませんし、CMネタ持ち込まないでください

分かる人絶対居ませんよ?」

 

 

「え?分からないの大井

簡単に言うと金剛と一緒に一週間過ごして不幸なんて大したことないって証明するんでしょ」

 

 

「何で分かるのよ……」

 

 

叢雲はテーブルに肘を付きながら金剛を見ており金剛は顔を伏せている

 

 

「ふーん……まぁ良いんじゃない?

司令官が決めたことだし、どうせやましいこと考えているとは思うけど」

 

 

「待て、叢雲さんや俺はそんなこと考えて……待て大井

無言で主砲を俺に向けるな辞めろそんなこと考えてない辞めろ落ち着け」

 

 

「どうせ、その不幸に乗じて金剛さんの身体触りまくって「ぐへへ、戦艦の身体は最高だぜ」とか「しおらしい金剛たんの弱味漬け込んで襲っちゃうぜぇ」とか考えてるのよこいつは」

 

 

「て  い  と  く?」

 

 

大井はどこからか取り出した酸素魚雷を片手に持ち上げると佐渡へ向けて投げようとしてくる

 

 

 

 

 





次回

取り決め

叢雲の勝手な言い分に理不尽に大井に攻撃されそうになる佐渡さんくそわろす(作者)



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不幸な長女 十

理不尽な暴力が佐渡を襲う!




「まてまてまてまて!!!俺そんな考えしてませんけどぉ!?」

 

 

「でも、実際は?」

 

 

「あったら……良いな」

 

 

「酸素魚雷当てますね、死ね変態提督!!」

 

 

「落ち着け大井さんんん!!今食事中なんですけどぉ!!」

 

 

 

目の前で起こる騒ぎに、金剛は顔を伏せていると隣にご飯茶碗を片手に古鷹が隣に座ろうとし肩を叩くとビクッと反応する

 

 

「お隣、よろしいですか?」

 

 

「……は、はい」

 

 

古鷹が隣に座ると触ったときの不幸なのか、同時に醤油が溢れるのだが古鷹は気にせず布巾で拭くと座る

 

 

「金剛さん、この鎮守府は楽しいですよ

多分金剛さんも気に入ってくれるはずです」

 

 

「でも……私のせいで提督と大井さんが喧嘩を…」

 

 

「ふふ、三人をよく見てください」

 

 

「え?」

 

 

金剛が喧嘩をしている大井と佐渡を見るが、確かに言い合いこそはしてるものの二人とも笑顔だ

それに、加え叢雲も二人を横目に微笑んでいる

 

 

「どうして……」

 

 

「この鎮守府はみんな仲良しですから

金剛さんも時期に分かりますよ」

 

 

古鷹は、微笑みながら食事をしているが唐突に大井がテーブルを叩きその場を制す

 

 

「……取り決めをしましょう」

 

 

「おう?秘書艦様何を決めるんだい?」

 

 

「提督と金剛さんのです!!」

 

 

大井は眼鏡とバインダーをどこからか取り出す

(大井のあの四次元ポケットなんだドラ◯えもんか?)

そう考えていると大井は眼鏡をくいっと上げると話し出す

 

 

「とりあえず、ここでは幸いほとんど出撃がありません

メインとなるのは家事、食料調達、書類整理、演習、対人戦闘訓練、です

金剛さん、何かやったことはありますか?」

 

 

「えっと……無いです…」

 

 

「でしたら、家事は古鷹さん、食料調達は提督、書類は私が、そして、叢雲には対人戦闘、演習を手伝ってもらいます

各々よろしいですね?」

 

 

「構わないわよ、戦艦相手は新鮮で楽しそうね」

 

 

「私も!大丈夫です!!正直人手が足りなくて大変でしたから……」

 

 

「俺も構わんが、大変だぞ?」

 

 

全員の承諾を確認すると、バインダーに何かを書いていき明日からのスケジュールを組むみたいだ

一通り書き終わった後、大井はバインダーを別の机の上に置く

 

 

「とりあえず、食べましょうか

折角のお料理が冷めてしまいますし」

 

 

「いや、大井さんやお主が始めた…」

 

 

「ああ?」

 

 

「ゴメンナサイナンデモナイデス」

 

 

佐渡が謝ってると叢雲はその姿に笑うのだが溜め息と共に食事を再開する

 

 

「明日から楽しみですね!金剛さん!」

 

 

「え、あ、はい…?」

 

 

金剛はこの状況が分からず、とりあえず古鷹の言葉に頷き返事をするしか無かった

これから、小笠原鎮守府で起こる楽しい?騒動の幕開けになるとも知らずに

 

 

 

 

 

 

 




次回

古鷹さんと家事手伝いをしよう!

次回から小笠原鎮守府の一日を書いていきます!
戦闘無しのゆるい生活をご覧くださいませ!



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不幸な?一週間! 一日目

今回は、古鷹さんと金剛がメインとなります
少しの変態佐渡アリですがね!!


次の日、佐渡と金剛は古鷹に鎮守府の家事を教わる為に脱衣場に来ていた

二人とも古鷹に言われ服装はジャージを来ている

 

 

「さてと、んじゃやるぞ金剛!デッキブラシは持ったか?」

 

 

「は、はい!」

 

 

金剛は脱衣場のロッカーに合ったデッキブラシを持ってきており佐渡はスポンジを持っている

 

 

「良し、入るぞー!」

 

 

ガラッと脱衣場から風呂場に入ると古鷹がデッキブラシを床に擦りながら掃除をしていた

いつもやっているわけではないが、ここでの掃除は三日に一度

そして、今日がその日なのだ

 

 

「あ!二人とも来てくださったんですね!! 」

 

 

「おう、俺達は何をすればいい?」

 

 

「では、提督は蛇口回りを金剛さんは私と床の掃除ですね!」

 

 

「オッケー、んじゃやろっか」

 

 

「は、はい!分かりました!」

 

 

佐渡と金剛は別れて各々決められた仕事をこなしていく

その間金剛はデッキブラシでの掃除に馴れてないのか、おぼつかない様子でやっているのを見ていた古鷹からアドバイスを貰う

 

 

「金剛さん、もっと力込めても大丈夫ですよ?」

 

 

「はい!」

 

 

古鷹から言われると、金剛は少し力を込めたのだがその瞬間デッキブラシが滑り体勢を立て直そうとしたのだが近くに何故か落ちていた固形石鹸を踏みつけずるんと滑り頭を床に打ち付けてしまう

 

 

「いたた……」

 

 

「金剛さん!!大丈夫ですか!?」

 

 

古鷹が心配そうに駆けつけようとするが、ここでも不幸なのかそれともただのおっちょこちょいなのか古鷹も足を滑らせ宙を舞う

 

 

「あ」

 

 

「え?」

 

 

その瞬間、古鷹が金剛に突っ込んでしまい辺りに石鹸やらシャンプー等が宙を舞うと二人とも頭からボディーソープを被ってしまい

石鹸でぬるぬるになってしまう

 

 

「うぅ……ぬるぬるする…」

 

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

 

「大丈夫ですよ、私がキチンと片付けてやってなかったのが悪いんですしそれに」

 

 

そう言いながら古鷹はふふ、と笑いながら金剛の顔を触り鏡へと向けさせる

 

 

「金剛さん、真っ白な血を流してますよ頭から

戦闘したあと見たいです」

 

 

「え?」

 

 

金剛は鏡で顔を見ると頭の天辺に見事シャンプーが乗ったままそこから髪を伝い顔へ頭から血を流した見たいになっている

 

 

「どうせですから流しちゃいましょうね」

 

 

古鷹は、蛇口をひねりシャワーを使い金剛の頭を洗っていく

 

 

「金剛さん、綺麗な髪ですね

何かお手入れとか、してるんですか?」

 

 

「い、いえ……」

 

 

古鷹は髪を洗い終わるお互いびしょびしょになりながら、微笑む

 

 

「ふふ、お風呂と一緒に私達も綺麗になりましたね!」

 

 

「はい!」

 

 

「ところで私のデッキブラシ……」

 

 

「そう言えば私のも……」

 

 

二人がデッキブラシを探していると声が聞こえる

 

 

「………お二人さんや、俺に何か恨みであるのかい?」

 

 

二人がその声の主、佐渡を見ると先程の二人より悲惨な状態になっていた

二つのデッキブラシが首から背中に刺さり腰に打ち付けるように支えてあり全身に固形石鹸とボディーソープやらシャンプーをすべて被っていながら固まっていた

 

 

「提督ーー!?」

 

 

「ご、ごめんなさいい!?」

 

 

古鷹と金剛は急いでデッキブラシや固形石鹸を取り払い二人で謝罪する

 

 

「ふむ、だがこれは良いな……」

 

 

「え?」

 

 

だが、佐渡は金剛と古鷹の状態を見ながら満面の笑みを浮かべている

 

 

「二人のジャージがピッチリとくっ付きその肌にくっ付きプロポーションが良く分かる

古鷹は胸はそこそこ大きくだがしっかりとウェストは引き締まりヒップも中々ある

対して金剛は胸は中々に大きく、ウエストの俺好みに引き締まり、ヒップもいい感じに大きい

うん、ええ光景や……下着が見れないのは残念だけどな」

 

 

「提督の変態馬鹿ー!!」

 

 

古鷹は、佐渡に思い切りビンタを加えるとそのまま佐渡は横移動するように滑っていき桶などに当たっていき石造りの浴槽に頭を直撃し宙を舞っていた桶などを佐渡に降り注ぐ

 

 

「生涯……悔い…あるな…ガクッ」

 

 

「ああ!!ごめんなさい!!」

 

 

 

佐渡は頭を打ち付け、気を失ってしまい古鷹は大急ぎで助けに向かい金剛もそれを手伝っていた

この後皿洗いや鎮守府の掃除をしていたが、古鷹へは特に不幸は降り注がず佐渡への不幸がかなり酷かったと金剛と古鷹は語っている

 

 

一日目!終了!!

 

 

 

 




次回

山!海!食材の宝庫!!

今回は佐渡が十割悪いですねはい
次回は小笠原鎮守府の食事情を書いていきます!


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不幸な?一週間! 二日目

今回は、佐渡、古鷹、大井、叢雲の面々で小笠原鎮守府での食材を取りに行きます!




「と言うわけで、今日は材料を取りに行くぞ?」

 

 

「分かったわよ~」

 

 

「頑張りますっ!」

 

 

「はぁ、まぁ仕方ないですよね……」

 

 

「えっと……どこにですか?」

 

 

「どこって、そこらへん」

 

 

佐渡は、海と山を指差すと金剛は首をかしげる

 

 

「でも、私達艦娘に食事は……」

 

 

「駄目よ!!金剛!!ご飯は大事よ!!」

 

 

「そうだぞ!金剛!!食事は大事だ!!

皆で食べるからこそ意味があるんだよ!!」

 

 

「は、はい…ごめんなさい…」

 

 

二人の気迫に押されていると大井が肩を叩く

 

 

「駄目よ、この二人食べ物にはうるさいですから何言っても無駄なのよ……」

 

 

「は、はぁ…」

 

 

「二人ともご飯大好きですからね……」

 

 

三人を置いていきながら、叢雲と佐渡はやる気満々にそれぞれの担当場所にいこうとする

佐渡、金剛、古鷹は海で魚を

大井、叢雲ほ山でキノコなどの山菜を

そして、佐渡と金剛は二人で釣りをしており、古鷹は沖合いに出て罠を回収しに行っている

 

 

「……提督」

 

 

「んー?」

 

 

「釣れませんね……」

 

 

「そんなもんさ」

 

 

二人はかれこれ二時間ほどやってはいるが一向に当たりは来ない

佐渡は特に気にもしてないのだが金剛は次第に落ち込んでいく

 

 

「ごめんなさい…私のせいで」

 

 

「嫌、金剛は特に何もしてないでしょ?」

 

 

「でも……当たり来ませんよ?」

 

 

「そんなもんよ、ついでに暇だから話すか?」

 

 

佐渡は、竿を置き金剛の隣に座ると手をを握る

 

 

「……不幸移りますよ?」

 

 

「へーきへーき、こんな海でどんな不幸があるってのよ

雲一つ無い快晴だし、不幸要素皆無だぞ?

それよりも金剛たんの手をにぎにぎしたいお」

 

 

「……馬鹿…

ここは平和ですね」

 

 

「だろ?戦争中なのにな」

 

 

二人は穏やかな海と戦争のせ文字も無い現在の状況をゆっくりと楽しんでいた

少しすると、金剛が佐渡の手を握り返す

 

 

「私は…」

 

 

金剛が何かを言おうとしたが、急に竿が曲がり引き始める

 

 

「お!!金剛来たぞ!」

 

 

「え、え、え?」

 

 

佐渡が急いで竿を持ち上げ引き始めるのだがかなりの大物らしく結構キツイ

金剛も急いで加勢するがかなり大きいらしく二人で何とか引き上げる事に成功したのだが

 

 

「おぉ……おぉ?」

 

 

「えっと……これは?」

 

 

釣り上げたのは、なんと言うか良く分からない、そもそも魚なのかどうか分からないのだが、全身真っ黒でありそこそこの巨体であるのだが見た目が深海棲艦の駆逐イ級(以降駆逐イ級)にそっくりなのである

 

 

「え、何これ食べろって?無茶言うなよ……

捌ける……かな?」

 

 

「提督……この子泣いてませんか?」

 

 

「え?」

 

 

良く見ると駆逐イ級の目から涙の様に流しており金剛が可哀想な顔をしている

 

 

「……仕方ねぇな…」

 

 

佐渡は駆逐イ級を何とか持ち上げ海に返してやると駆逐イ級が顔だけ海面に出し佐渡達を見上げる

 

 

「もう、魚の餌なんて食べるんじゃねぇぞ!

次は捌くからな!」

 

 

駆逐イ級は、頷くと海の中へと潜っていく

 

 

「…………あれ?俺これ不味いことしたんじゃね?」

 

 

「提督ー!!ただいま戻りましたー!」

 

 

水平線から手を振りながらこちらに向かってくる古鷹を見ると振り返すと「まぁ良いか」と呟く

 

 

この後、結局三人で釣りをしていたのだがさっぱり釣れず夕方頃に叢雲と大井と合流したのだが叢雲は多くの山菜を運んでいるのに大井だけ異様に濡れており理由を聞くと

どうやら、川の苔に滑って盛大に転けたらしくその際山菜も流れ全身冷たい川に入ったと言う話だ

今回の不幸は大井に降りかかったらしい

 

 

「うぅ……何で私だけ…」

 

 

「ごめんなさい!!!」

 

 

 

二日目、終了!!

 

 




次回

真面目?な艦隊お仕事

大井さん、災難でしたねぇ
イ級に関してはぶっちゃけ何となく書きました許してください!!
次回、大井さんとの真面目なお仕事です!



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不幸な?一週間! 三日目

今回は、大井と金剛主体の話になります!




「さてと、では始めますよ二人とも

今日はしっかり仕事してもらいますからね」

 

 

「へーい」

 

 

「は、はい!」

 

 

次の日、佐渡達は提督室に集まり書類仕事の整理をしていた

基本的にここでの仕事は大井と佐渡のみなのだが、今回は金剛も一緒にやることになっている

 

 

「では、金剛さん

教えていきますので、こちらに来てください」

 

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

 

金剛は大井に付いていき今日の仕事関係に関して話しているのを見ながら椅子にもたれ掛かりサボろうとすると大井から魚雷に似たクッションを投げつけられる

 

 

「提督?サボってないでキチンと仕事してください?」

 

 

「へいへい……」

 

 

佐渡は渋々書類仕事をこなしていくのだが、大本営から来たある資料に手が止まり凝視していると大井に再びクッションを投げつけられるが受け止める

 

 

「て い と く?」

 

 

「あー、待て待てちょっとな?」

 

 

「全く、何見てるんですか?」

 

 

佐渡が必死になって、見ているものが気になり大井と金剛も覗き混むとそれは大本営からの警告と言うか注意喚起の封書だった

 

 

「警告、鎮守府各員提督達ヘ

昨日確認サレタ殺人事件ハ『提督殺シ』ノ可能性ガ高イ

各々警戒ヲ怠ルナ

 

    大本営より

 

だってさ?大井分かるか?」 

 

 

 

「提督殺し……また出たんですね…」

 

 

大井は、その名前を見た瞬間顔が曇る

心なしか金剛も嫌そうな顔をしている

 

 

「知ってるのか?」

 

 

「はい、有名な殺人鬼です

その独特な犯行と手口から海軍ではかなり」

 

 

「どんなだ?」

 

 

「提督のみを殺すんです、正確には『艦娘を指揮する者や艦娘を非道に扱う者』をですがね」

 

 

それを聞いた佐渡は背中に氷を入れられたかの様な寒気に襲われる

正に今の佐渡がその対象だからである

 

 

「手口は簡単です

提督やターゲットが一人になった夜に行われます

あるものは解体され、あるものは砲撃で一撃で、あるものは身体を生きたまま燃やしたり等方法は残忍極まりません」

 

 

「じ、実は私の元提督もその提督殺しの犯行だったらしいんです……」

 

 

「マジかよ恐いなこの仕事

つか、何で捕まらないんだ?」

 

 

「証拠が無いんです、何にも」

 

 

「は?殺してるのにか?」

 

 

「えぇ、目撃証言は愚か、指紋、毛髪等は一切見付からないそうなんですよ

まぁ、ここは島ですから狙われるとは思えないですけどね」

 

 

「へ、へぇ……」

 

 

そう言いながらもかなり動揺しておりお茶を飲もうとするが空になっているのに気付く

 

 

「あ、私持ってきます!」

 

 

金剛はお茶を持ってこようと運んでくるのだがここでもお決まりの不幸が発動し何もないところで躓き熱いお茶が宙を舞う

 

 

「あ」

 

 

「あ?」

 

 

「はい?」

 

 

そのお茶は見事佐渡の頭に直撃し流石の熱さにあわてふためきながら床に転がる

 

 

「あっつぅぅぅぅ!!!!」

 

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 

「ちょっと提督そんなに暴れると!」

 

 

佐渡がゴロゴロと床を転がり回っていると机に激突し山の様に積まれた書類が崩れ落ちたお茶で濡れていく

 

 

「あぁぁ!!!書類がぁぁぁ!!

金剛さん手伝って!!」

 

 

「は、はい!!」

 

 

慌てて書類を回収しようとするが、大井は書類に足を滑らせ金剛の頭に激突する

 

 

「いったぁ……」

 

 

「いたた…」

 

 

金剛は頭の痛みに耐えきれず後ろへと後退ると戸棚に激突し上に合ったお菓子が入ったアルミ缶が落下し頭を直撃し気絶してしまう

 

 

「ちょっと司令官、なんの音?」

 

 

叢雲が、部屋に入ってくるとそこには惨状が広がっていた

床を転がり悶え苦しむ佐渡

頭を押さえ痛みに苦しむ大井

アルミ缶が頭に乗ったままの気絶している金剛

ばら蒔かれた書類 

溢れたお茶

 

 

叢雲は見渡しながらため息をつく

 

 

 

「あんた達……何してるのよ…」

 

 

 

 

 




次回

叢雲式砲撃演習!


今回、後半酷かったですねぇ
主に佐渡が悪い(暴論)




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不幸な?一週間! 四日目

叢雲が教える砲撃演習です!
叢雲だからこそ行える事もありますけどね…




「んで、今回は私ってこと?」

 

 

「そうなるわね」

 

 

「が、頑張ります!」

 

 

「金剛さん、気張りし過ぎないでくださいね?」

 

 

現在、四人は海上の上でそれぞれ艤装を纏いながら立っていたのだがやはり三人は金剛へ視線を集めていると金剛は申し訳なさそうにする

 

 

「な、なんですか……」

 

 

「へぇ…良いわねやっぱり戦艦って」

 

 

「こんなに砲門あって重くないの?」

 

 

「私より多いですね……

火力も高そうです」

 

 

「お前らー!演習しろー!!

早く金剛と遊びたいんだけど俺~?」

 

 

 

三人はまじまじと金剛の艤装を見ているが岸に居る佐渡から注意されるのだが大井は佐渡へ砲門を向ける

 

 

「提督~?金剛さんへの過剰なスキンシップは許しませんよ?」

 

 

「何でだよ!!良いじゃないか!!

金剛柔らかいんだもん!!」

 

 

「良くないですわ!!この性欲野獣提督!

あんたなんかに金剛さんは渡さないわよ!!」

 

 

「あんた達?どうでも良いけどやるの?やらないの?

やらないなら二人とも雷撃で吹き飛ばすわよ?」

 

 

「「ごめんなさい、お願いします」」

 

 

「あはは……」

 

 

三人コントの様な流れを一通りやると、大井も主砲を構えそれに続き金剛、古鷹も構える

 

 

「じゃあ、あれ撃ち抜いて」

 

 

叢雲が指差したのは金剛達から百メートル程離れた三つの的である

ここからではかなり距離がありしかも的が通常の半分、車の窓位の大きさである

 

 

「はい、開始」

 

 

そういい終わると、叢雲は手を叩き特に何かを教えるわけでもなくただ海面に座り始める

 

 

「え?え?」

 

 

流石にどうすれば良いのか分からず困惑する金剛の隣では大井が必死になりながらその的目掛けて砲撃している

 

 

「この!この!!」

 

 

だが、大井の砲撃は的の側を掠める程度で全く命中していない

一方古鷹は静かに息を吐くといつもの優しい感じとは違い冷静に確実にその的を狙う

 

 

「良く狙って……撃て」

 

 

古鷹が放った砲撃は弧を描き的の少し上を狙うのだが、距離により砲弾はゆっくりと高度を落とし見事的の真ん中を命中させる

 

 

「相変わらずね、古鷹

休んでて良いわよ?」

 

 

「やった!ありがと叢雲!」

 

 

古鷹は、的当てを終えると叢雲の隣に移動し大井と金剛の様子を見ると金剛はゆっくりと砲門を的に向け照準を揃える

 

 

「撃てぇ!!」

 

 

金剛の艤装から、ずっしりとした重い砲撃音に叢雲と古鷹は聞き惚れ大井は驚いている

 

 

「うん、やっぱり良いわよね戦艦って」

 

 

「そうだね……ずっしり来るよね…」

 

 

だが、金剛の砲弾は的の遥か上を通りすぎ見事に外れてしまう

 

 

「ほらー、当たるまでやりなさいよー金剛ー?」

 

 

「は、はい!!撃てぇ!!」

 

 

と勢い良く叫びながら砲撃をしようとするのだが一向に砲弾が射出されない

 

 

 

「……金剛?砲撃は?」

 

 

「金剛さん?」

 

 

「あれ?」

 

 

「金剛さん大丈夫ですか?」

 

 

 

疑問に思い叢雲と古鷹も近付くのだが次の瞬間金剛の艤装が大爆発を起こし金剛は倒れてしまう

 

 

「ちょ!ちょっと金剛!?」

 

 

「金剛さん!?大丈夫ですか!?」

 

 

「提督!彼女をドッグに!!」

 

 

「分かった!!急げお前達!!」

 

 

幸い艤装の爆発だけで、特に異常は無かったのだが修理に二日はかかるらしい

爆発の原因は長い間使われてなかったのと整備不良だったらしい

 

 

 

 

 




次回

親方に会いに行こう!

爆発オチ最低?ハハハ、今更()



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不幸な?一週間! 五日目

今回は、親方妖精と工廠のお手伝いです!

工廠は危険が付き物ですよねぇ




「さて、着きましたよ

ここが工廠ですよ」

 

 

「は、はい!」

 

 

「親方妖精がここを仕切ってるんだぜ?金剛さんや」

 

 

現在、三人は工廠に来ている

理由は簡単に親方呼ばれたかららしい

何でも戦艦専用艤装が完成したと言う報告だ

その試運転をかねての事だ

 

 

佐渡は、工廠の扉を開けると至るところから火花や鉄の叩く音、溶接している音が聞こえる

 

 

「おっやかたーさーん!!いーまーすーかー!?」

 

 

「おう、来たか提督待ってたぜ」

 

 

親方は相変わらず、工廠の入り口近くにあるドラム缶に立っており妖精達の仕事を見ていた

佐渡が手を出すとそれに乗り肩へと移動する

 

 

「ほう?嬢ちゃんが戦艦の金剛ちゃんか

俺はここの監督親方妖精だ

よろしくな!!」

 

 

「は、はい!よろしくお願いいたします!」

 

 

親方は笑顔で金剛に挨拶すると金剛もそれに頭を下げながら答える

 

 

「所で、親方さん

金剛の艤装は……」

 

 

「あー、あれか

あれは掛かるな、主砲が中からイカれてるからな

それに良くもまぁあんなにメンテナンスしてないもんだ

まるで半年手すら付けてないくらい酷かったぜ?」

 

 

「そうなんですか……」

 

 

「ま、その代わりにこんなもんを作ったんだわ

見てくれ、提督と大井ちゃんと金剛ちゃんや

俺の新作さ」

 

 

親方が、妖精達に合図を出すと妖精達は製造室に入っていき扉が開くとクレーンに吊るされたかなりデカイ砲門もとい艤装がこちらに向かってくる

 

 

「親方さんこれは?」

 

 

「実はな、明石ちゃんから設計図を貰ってな

作ってみたんだ 試製35.6㎝三連装砲だ

戦艦クラス専用の艤装だな」

 

 

そう言うと妖精達がクレーンをゆっくり下ろすのだが、やはりかなりの重量があるらしくズシンと重みが伝わってくる

 

 

「へぇ、これは…威力高そうですね

で、親方さん資材はかなり消費を?」

 

 

「いんや、設計図があったから一発で成功したよ

設計図さえあればこんなん余裕余裕!」

 

 

親方は笑いながら大井の言葉に返すと三人はその艤装を眺めていると親方から金剛へ言われる

 

 

「とりあえず、金剛ちゃんよ

着けてみてくれないか?」

 

 

「は、はい!!」

 

 

金剛は嬉しそうに艤装をも持つと自分の艤装に付ける

中々に様になっており佐渡も頷きながら喜んでいる

 

 

「どうだい?感覚は」

 

 

「問題ありません!!」

 

 

「よっしゃ!それなら今日からその主砲は金剛ちゃんの物だ!大事に使ってやりな!!」

 

 

「ありがとうございます!!

わぁ……新装備…」

 

 

「良かったですね、金剛さん」

 

 

「はい!!」

 

 

金剛は自分に取り付けられた装備を見ながらかなり喜んでいる

 

 

「ありがとね、親方さん」

 

 

「良いってことよ、俺達はああやって喜んで貰えるだけで嬉しいんだからな」

 

 

喜んでいる最中、艤装を外そうと金剛が35.6㎝砲を持ち上げるが良くわからないが奮闘している

 

 

「……あれ?」

 

 

「どした、金剛?」

 

 

「外れないです……あれ?」

 

 

「手伝いますね!」

 

 

大井も外そうと努力するのだが、やはり外れない

妖精達も加わり、何とか外そうとし何とか外れたのだがその反動で金剛は転けてしまう

そして、不幸が発動する

金剛が転け手を付いた所にオイルがあり、更に頭を打ち付ける様に転ぶ

その衝撃で艤装に入ってないはずの砲弾が砲撃され天井を撃ち抜く

しかも、それに収まらず

焼き焦げ穴が空いた天井から鉄骨が落ちてきて、それが偶然にもクレーンのスイッチな当たり大井の服の襟を釣り上げる

 

 

「え?」

 

 

「不味い!!お前達!すぐにクレーンを止めろ!!

大井ちゃんが燃やされちまう!!」

 

 

そのクレーンの次の行き先は溶鉱炉

もしも駄目だったらすぐに廃棄できるようにと親方が設定しており大井を釣ったクレーンはゆっくりとそこに向かっていた

 

 

「おやかたー!」

 

 

「とまらないよー!」

 

 

どうやらさっきの衝撃で、クレーンのスイッチが壊れたらしく一切言うことを聞かなかったその間もクレーンはゆっくりと動いていく

 

 

「いやいや!!外れなさいよ!!」

 

 

何とか暴れて外そうとするが、クレーンはしっかりと襟を外さずにしていると佐渡が走り始める

 

 

「大井!!」

 

 

佐渡は、工廠の機材を踏みながら真っ直ぐ大井へと向かい襟を腰に予備として持っていた銃で正確に撃ち抜くと襟からクレーンが外れ大井が落ちるのだが佐渡は抱き抱え何とか事なきを得る

 

 

「ふぅ……大井大丈夫か?」

 

 

「え、えぇ……ありがとうございます…」

 

 

「二人ともごめんなさい!!!」

 

 

「ふぅ……良かったぜ…」

 

 

こうして、危機一髪の五日目は終了した

 

 

 

 





次回

佐渡&叢雲の対人演習!!

何か大井さんが被害に合いまくってる?
気のせい気のせい




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不幸な?一週間! 六日目

今回は、佐渡が叢雲に教えている近接戦闘訓練になります




「さってと、んじゃ全員準備運動終わったか?」

 

 

「はい!」

 

 

「オッケーよ」

 

 

「ふわぁ~……眠い」

 

 

「は、はい!!」

 

 

現在全員は、ジャージに着替えており砂浜に来ており全員は艤装を装備している

と言っても親方に作って貰った模擬の艤装であり、主砲は墨が染み込んだゴム弾になっている

今日はいつも叢雲がやる海上での近接戦闘に関してをやるらしい

 

 

「じゃ、叢雲全員に基礎から教えてあげなさい」

 

 

「はいはい、じゃあ教えていくわよ」

 

 

叢雲は三人の前に歩いていくと戦闘に関してを軽く教えていき二組に分かれ実戦をするらしい

古鷹、大井のペア

叢雲、金剛のペア

でやるとのことだ

 

 

「さてと、んじゃ金剛やりましょうか?」

 

 

「はい!!お願いします!!」 

 

 

金剛が主砲を構えるのだが、叢雲は特に何かをするわけでもなく棒立ちしている

 

 

「どうしたの?来ないの?」

 

 

「えっと?なにもしないんですか?」

 

 

「別に、あんたなんかに負けるわけないし

背中向けてても余裕よ

不幸なだけが取り柄だもんね」

 

 

その言葉にムカッと来た金剛は主砲を構え叢雲に向けて砲撃するのだが、叢雲は意図も容易く避けてしまう

 

 

「嘘!?」

 

 

「どうしたのー?戦艦ってのはこんなもん?

これなら、金剛形ってのは大したことないのかしら?」

 

 

その言葉に更にムカつきやけになりながらも叢雲に主砲を構え撃つのだがやはり避けられてしまう

 

 

「もしかして、姉妹達もこんなもんなのかしらねぇ?

嫌、もっと弱いのかしら?」

 

 

「今の言葉……撤回してください!!!」

 

 

金剛は、姉妹達を馬鹿にされたのが一番腹に来たのか叢雲に全力で向かっていきながら主砲を撃とうとするのだが

 

 

「甘いわね」

 

 

その瞬間叢雲は金剛へ向かい走り出すと金剛は驚きながらも何とか攻勢に出ようとするが叢雲と金剛では差が大きく主砲を叢雲に構える前に腕を掴み引っ張ると同時に首を掴みそのまま地面に叩き付ける

あまりの苦しさに目を塞ぎ喉に手を当て苦しんでいると額に冷たいものを感じる

眼を開くと叢雲の越にある主砲が額と心臓を狙っていた

 

 

「はい、私の勝ちこれで貴女は一度死んだわよ?」

 

 

金剛は唖然としていると叢雲は主砲を放し金剛に手を差しのべる

 

 

「ごめんなさいね、少し本気を出させて貰ったわよ

それと、さっきの姉妹艦達への暴言と罵倒は謝罪するわごめんなさい」

 

 

「い、いえ……」

 

 

金剛は叢雲の手を取り立ち上がるのだが先程の速すぎる動きに頭が着いていけず、ぼーっとしてしまう

 

 

「金剛、覚えておきなさい

近接戦闘において、一番大切なのは主導権を握ることよ

絶対に相手に有利な状態にさせないことさせたら負けよ

後、さっきの罵声の意味は貴女を怒らせ油断を誘うためよ

まともに貴女とやりあっても私は勝てないし」

 

 

「な、成る程……」

 

 

「私は、私のやり方があるように貴女は貴女である戦艦のやり方で戦いなさい

それが一番よ」

 

 

叢雲が近接戦闘の事を教えている最中に佐渡に頭を殴られる

 

 

「いったいわね……何するのよ!!」

 

 

「やり過ぎ!言い過ぎだ!この馬鹿!!

金剛は新人だぞ!それと姉妹艦を馬鹿にするのは許さん!」

 

 

「悪かったわよ……」

 

 

叢雲は珍しく反省しながら歩こうとした瞬間何かを踏み足を痛める

 

 

「いったぁ!!」

 

 

踏みつけたのはウニの殻

何でここにあるのかは分からないが叢雲はそれを踏みつけ後ろに倒れるとそのまま佐渡も同じように倒れる

 

 

「おぉい!?」

 

 

佐渡は倒れた瞬間背中に痛みが走り転がると背中にもウニ(中身入り)のが三つほど刺さっておりかなり痛そうだ

 

 

「提督!大丈夫です……あ」

 

 

「あ」

 

「うそん……」

 

 

金剛が心配して駆け寄ろうとすると足下にあった、雑誌に滑り叢雲と佐渡を押し潰す

叢雲は金剛の胸に、佐渡は再び背中にウニが刺さってしまう

更に不幸は続きその衝撃で叢雲の艤装にあった砲弾と金剛の砲弾の墨が艤装から溢れだしまるでトマトが弾けるかの如く辺りを真っ黒に染める

 

 

「ちょっと!!」

 

 

「三人とも大丈夫ですか!?」

 

 

三人は倒れており佐渡の顔は苦痛に歪み

金剛の顔は真っ黒に染まりその胸に叢雲が押し潰されている

 

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 

金剛は真っ黒な顔をしながら、急いで起き上がると二人の間に板挟みされていた叢雲が真っ黒な状態でゆっくりと立ち上がる

 

 

「ふふふ……成る程ね……これが不幸か…

やるわね…金剛……」

 

 

「………へ?」

 

 

まるで幽霊のように立っている叢雲に少し怖がっていると叢雲が金剛の胸を鷲掴みにする

 

 

「きゃっ!」

 

 

「この胸か!!この胸で私を苦しませたいの!?

このこのこのぉ!!!」

 

 

「いてて……って叢雲!?なにしてんだお前はぁ!?」

 

 

 

そのまま揉みしだいていると佐渡が状況に気付き叢雲を止めようとするが

 

 

「うるさい!!巨乳好きの変態やろう!!!」

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

 

 

叢雲の肘が見事佐渡の股間に命中し、佐渡は股間を押さえながら更に悶え苦しむ

 

 

「こんな邪魔だけの胸のどこが良いのよぉ!?」

 

 

「助けてぇ!?」

 

 

「ちょっと!!叢雲ストップストッッッップ!!!」

 

 

「ほら辞めなさいよ!!」

 

 

「うるさぁぁぁぁぁい!!」

 

 

「………不幸や…」

 

 

この後、駄々をこねる叢雲をなだめるのにかなりの時間を用し佐渡はかなり疲れたらしい

全身痛かったらしいが

 

 

こうして、佐渡だけかなり大きい被害を被った六日目終了!!

 

 

 

 





次回

叢雲と金剛


佐渡さん大変ですね……
男の急所を……
次回で金剛の一週間が終わります!!
ちょっとだけ真面目な話になるかも?


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不幸な?一週間! 七日目

「ふぅ……」

 

 

金剛は一人湯船に浸かりながら今日の疲れを癒していた

いつも金剛は皆と時間をずらし入った後の最後に入り一人入浴をすると決めていた皆を不幸に巻き込まないために

そして、今日も一日佐渡と共に行動したがやはり不幸によって叢雲達を巻き込んだ事を後悔していた

(……やっぱり私は居ない方が…)

そんなことを考えているとお風呂の扉がガラッと開く

 

 

「あら?金剛じゃないの、初めて会ったわね?ここでは」

 

 

「!!!」

 

 

入ってきたのは叢雲だった、確かに今日は見掛けなかったけどこんな時間に入ってくるとは予想外これも不幸なのかと思いながら金剛は急いで湯船から出ていく

 

 

「ごめんなさい!!出ますね!」

 

 

「待ちなさい、いきなり私が入ったから逃げるなんて

そんなに私の事が嫌いなのかしら?」

 

 

「ち、違います!!ごめんなさい!」

 

 

あの後、実は叢雲がキチンと謝罪し金剛とは和解していた

その後叢雲の贖罪なのか分からないが、自分の好物を分け与えたり演習をしたり一緒に話したりしていた

実は叢雲の方が戦艦と言うのを少し嫌っており付き合い方が分からなかったと後から知ったのだ

 

 

「なら、何で逃げるのよ?」

 

 

「……ごめんなさい!」

 

 

金剛は急いで叢雲の脇から逃げようとするが叢雲に手を掴まれ逃げられなくなる

 

 

「放して!!」

 

 

「嫌よ、私の事そんなに嫌い?ショック受けるわ……」

 

 

「違うの!」

 

 

「じゃあ何?言わないと放さないわよ?」

 

 

「…………」

 

 

「あっそ、んじゃ一緒に入りましょ?」

 

 

叢雲は半分強引に湯船に連れていき、金剛と共に入る

叢雲がのんびりとはしているが手を放す気配はない

しばらく無言の状態が続くが金剛から話し始める

 

 

「……私の…不幸は…」

 

 

「ん?」

 

 

「私の不幸は、直接触ると更に強く伝染するんです

それこそ、抱き付いたり手を握ったりすると」

 

 

「成る程、それが私達との接触を避けていた理由ね」

 

 

「はい……ごめんなさ…」

 

 

金剛が謝ろうとした瞬間叢雲が人差し指で口元を押さえ言葉を遮る

そして、近付いていき金剛の胸に背を預ける

 

 

「な、何を!?」

 

 

「いやー胸が大きいのは良いわねぇ……

柔らかいソファみたい」

 

 

叢雲は、背中を押し付け金剛の胸を堪能していると何とかして逃げようと