元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん (ムメイ)
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ExDay HK417説明書とD08基地しおり

設定臭もとい設定集
5/25大幅修正

作者が頑張って描いたバストアップがコチラ

【挿絵表示】


そしてこちらが戦術人形と指揮官との作者、佐賀茂さんから貰った絵です

【挿絵表示】


コミッションして描いてもらったのがこちら

【挿絵表示】



名称:HK417/HK416ダミー

愛称:シーナ・タカマチ

人間時の名前:ジョシュア・ガンツ

 

使用銃器:HK417-20カスタム

 

ポジション:狙撃手・偵察

 

副武装:HKMk-23ソーコム

 

外観

基本的な物は416に準じている

ベレー帽は取り払われ髪飾りも片方のみになっていて、髪型はツーサイドアップ。

結ぶ飾りリボンの色合いは黒とパープルのツートン。

目元のタトゥーは消されブレザー風に改造された上着を着用。

申し訳程度にブラウスが追加されたが丈が短くへそは隠せてないし胸も大胆にはだけている。

見せブラがないと胸を大胆にポロリしてる状況は変わらない。

スカートも変更され黒地にパープルとグレーのチェック柄が入った

ショーツもついに見せパンになってしまった、FALと同じタイプのショーツでリボンが腰上に出ている。

カラーがすぐに割れる上にスカート丈が更にミニなっていてちょっと歩けばパンチラ。

背を140cmに、胸が416比較にして1.2倍のロリボインロット。背伸びしてる妹?といった様相である。

袖を余らせていて常に萌え袖で走る姿はブルンバスト、座る姿は子犬。

含みある笑顔を見せれば紛うことなきメスガキ小悪魔。

 

 

スキン:童貞を殺す服・穴開きニットセーター・フレンチメイド服・すけべチャイナ服・ヴィクトリアンメイド服・パーティードレス・ウェディングドレス

私服:黒ゴスロリ・Tシャツ・オーバーオール・タンクトップ・ホットパンツ・ジーンズ

 

性格

メス化が進むに連れて角が取れて丸くなっていった。

今では頭を撫でれば笑顔を見せる純朴なロリっ子そのもの。

お姉ちゃんっ子に化けてしまってロリロリしくなった。

偶に姉の面影で毒を吐くけど。

世話焼きたがりでお手伝いが大好き。

 

人形も一人員と考えている良くも悪くもあまちゃんな指揮官に絆されていった。

約3ヶ月の交流の後結婚。

 

 

 

HK417カスタム内容

トップレール:VFL 6-24X56・オフセットサイトレール(EOT 518)

サイドレール:PEQ-16A・フラッシュライト・バイポッド(FAMAS式)

アンダーレール:M320

 

 

 

 

【指揮官】

名称:ディーノ・タカマチ

年齢:28

身長:178

性別:男

イタリアと日本のハーフ

父親がかなりのヘタレ日本人

母親はその真逆を往く肉食獣だった。

私室の「諦めんなよ」の書は母が認めた物。

セクハラをしでかすのは母の血が原因でその後ヘタレるのは父の遺伝か。

もともと警備会社に所属していたが人形の扱いで折り合いがつかずG&Kに流れ着いた。

 

着任当初は女癖が悪くセクハラしまくっていたが主任・イサカ夫婦による矯正でまともに。

指揮官として上司と部下の関係を重んじていたが417の踏み込んだ献身に折れた。

好きな女性は家庭的で髪の長い巨乳だ。

ウワバミで酒には強い。酒癖はちょっとの笑い上戸

グロ耐性は低くスプラッター映画で吐く。

 

銃器を握らせて戦えなくはないが一般人よりマシ程度。

それよりも対人戦闘における鎮圧術に長けていて1対1であれば人形だろうがねじ伏せれる。

撃ち殺すよりも撃って抵抗力を削ぐ事に長けている。

握る武器はテーザーガンとFN57

 

417と結婚したことを両親に報告済み。孫は期待していいか?と聞かれているがノーコメントを貫いていた。

最近の悩みは嫁の多さからくる夜の長さと翌朝の腰の鈍痛。

 

 

母:ベアトリーチェ・タカマチ

父:ユウ・タカマチ

 

 

【デストロイヤー/V】

名称:デストロイヤー・ヴィオラ

使用武器:大口径榴弾砲/Magpul MASADA(ASST済)

 

突如発生したデストロイヤーガイアの異常個体。

左腕に物理シールドを装着、裏にはマグが刺さっていて迅速なマグチェンジが可能。

髪型などは特に変わりないが若干目つきが鋭い傾向。

お料理中は大体ポニーテールにしている。

中身は平成の人間。精神性は中性的ではあったが女性へとシフト。

I.O.Pには体のいい実験道具にされ人間には裏切られ続けて人間不信気味。

この基地きっての巨乳なので好色の目の的。

鉄血兵のコントロールジャックが可能な為無血開城も可能。

 

頼み込まれると断れない気質。

 

 

【D08地区前線基地】

結構激戦区ではあるけど、ハイエンドモデルはそんなに出没しない。

主に相手するのは機械兵とその取り巻きの人形。

セクハラが横行してるが公私分けて仕事はしているので黙認されている。

もともと巨乳な人形は揃ってさらに増強されている傾向がある。

 

夜間はレーダーに頼ってずるけている、人間夜は休みたいの。

 

D08のDはダイナマイトボディのDとも言われる程人形の一部がとってもたわわに実っている

いや、どうしてこうなった。

 

 

【D08地区】

荒廃した世界では比較的珍しい汚染が少なく自然豊かな地区

最前線からは一歩引いた地区であり各地区への産出品を輸出していたりする地区になる。

鉱山資源も少量ながらにあり貴重な宝石類も少なくも発掘されている。

基本的には温帯ではあるが冷え込む時はとことん冷え込み雪が降り積もる

 

 

 

【保有防衛兵器】

レオパルト2A7+戦車

10式戦車グリフィン改修モデル

AGFサーバル

ARRグリフォン

ARRコメット

 

AH-1Fコブラ

 

 

【職員】

メンテナンス班5名 ほぼ暇してる、出撃終わりの人形の武器メンテがお仕事

 主任(フランク・サンダース) イサカ嫁・愛煙者

 アルテウス・Suzuki・フランキ おっぱい星人で隙あらばセクハラしでかす。アストラと良い感じ

 タケル・ブローニング 良いからオナニー、でも視線はとりあえずおっぱい SuperShortyの尻に敷かれた

 ジョセフ・カーペンター 妄想族で甘ちゃん、スプリングフィールドに片思いだった M590が傍に

 フィロンソ・デューイ 愛煙者、ドM SIG-510がケツをぶっ叩くことに

I.O.Pテクニカルスタッフ4名 非常勤、大体一人居れば事足りる

ヘリパイロット2名 コイツは真面目で気さくな兄ちゃん

 フランク・クルーガー 陽気なベテラン

 ガルム・フロスト 朝に弱い方

調理班4名 厳ついおっさん率いる連中、貧乳好きばかり。

 ハリス・ヘンリー リーダー既婚者

 ジョン・アッカリー 西洋料理担当

 ユウイチ・ホンダ 日本食担当

 ユージーン・バーンズ ドイツ料理担当

掃除兼整備員

 ウィルバー・ガンツ 417の兄、元引きこもりのゲーマーで2次元に生きるオタク。魂のヤーパン人。SAAに逆誓約もらった。

 

【所属人形】

第1部隊 Alpha

HK417

G36C

MicroUzi

ヴィオラ

HK416

 

第2部隊 Bravo

FAL

イサカ

スペクトラM4

WA2000

G28

 

第3部隊 Charlie

ステンMk-Ⅱ

G36

SAA シェリー

スオミ

Mk-23

 

第4部隊 Delta

UMP45

UMP9

G11

M14

スコーピオン

 

警備部隊 PEACE MAKER

Five-seveN

M1ガーランド

漢陽88式

M1918

カルカノM1891

 

諜報部隊 PARANOIA

OTs-14グローザ

PPK

DSR-50

マカロフ

P7

 

基地防衛部隊 DynamiteDefense

M1919

AEK-999

ネゲヴ

PKP

MG4

 

基地警備部隊 HideSeeker

カルカノM91/38

SPAS-12

アストラ

SuperShorty

SIG-510

M590

IWS2000

FN49

BrM59

Mk48

 

戦車部隊 IronWall

NTW-20

Ameli

MG3

M60

64式自

一〇〇式

SuperSASS

 

試験運用中ARダミー小隊 D-Custom

M16A1

M4A1

AR-15

M4 SOPMODⅡ

Ro635

 

医療部隊 

Kar98k

トカレフ

M950A

K5

RFB

 

基地待機

スプリングフィールド

UMP40

 

触手くんお世話係

C96

G17

F2000

USPコンパクト

TMP

 

前線整備部隊

PzB39

SVD

モシンナガン

TAR21

9A91

LWMMG

MG34

MG42

PK

 

保護・協力関係

ドリーマー

デストロイヤー

ガイア

ゲーガー

アルケミスト

スケアクロウ

ウロボロス

エクセキューショナー

ハンター

イントゥルーダー

エージェント




大幅加筆した結果がコチラになります。
では、また設定が追加されていきましたら追記していきますのでよろしくおねがいします。


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Day1 IamLostMan 417

どうも初投稿です。よろしくおねがいします。
ねこでした。

ねこです、勢いに任せてます。


目が覚める、ここはどこ?

知らない天井に首を傾げる、寝間着にしちゃぁゴワゴワする。

よく分からん状況に眉を顰めつつ起き上がる。

さっきから耳周りがくすぐったい…何だ何だ?

 

覚えてる限りでは普通に就活して食って寝て…あれ?()()()はダレだっけ?

うーん…西暦2060年ぐらいに生きてる普通の就職難(ニート予備軍)の学生だった。

両親は戦火に巻き込まれて死亡、アニキが一人。趣味はゲーム、以上。

名前が思い出せないのがネックだけどそりゃどうにでもなる。

なせばなーる、なせばなーる。

名前を覚えなくても社会はどうにかなるからさッ!

 

んでっと…こんなグローブしながら寝た覚えはさっぱりない。

胸にこんなでっかいクッションも無かった…アルェー?

起きた拍子に何かがハラリと視界の端に落ちてくる…銀糸?

いやこれ髪だ、()()の髪だ、感覚繋がってるぅ。

 

「どーなって……あ、ふーん…」

 

声まで妙に高い、自慢じゃないが自分は低いほうで渋ーい声の持ち主だった筈だ。

だだ、今出た声はどう頑張って現実逃避しても女の声だ。

出た声の発信源は自分なのにだ、おかしいねぇおかしいねぇ…

50年も前に流行ったネタじゃないんだから…こんなの絶対おかしいよ。

でもコレが現実なので受け入れよう、人間諦めも肝心なり。

つーか鏡が欲しい、自己の状態を確認したい。

 

 

――――――――廃棄されたI.O.P社人形倉庫

 

 

どうやらオイラが居る場所はそうらしい。戦術人形を卸していた大手I.O.P社…

正式名称はImportant Operation Prototype manufacturing

身も蓋もない事言っちゃえばクソでっかい人形生産会社。

その人形は多岐に渡る。接客用人形、清掃用等の業務をこなす民生人形。

そして現在の戦争で使われている戦術人形。

ドンパチもお仕事も人間から人形に奪われていったのである。

まぁ物は言い方ってヤツだけどね。

就職難でささくれだってたのもあって人形には良くも悪くも「へーふーん…」程度だった。

 

2061年の蝶事件以降人類は反旗を翻しおった人形とのドンパチが始まりましたっと。

まぁ「安い、シンプル、壊れない!」が評判の鉄血工造製がとんでもない壊れ方をしたもんだ。

軍需産業の会社だったから規模がデカイ。

生産体制が尋常じゃない速さを誇ってたのが悪いもんで一時は人類抹殺も危ぶまれた。

ここで白羽の矢が立ったのがこのボディの生産元I.O.Pと結託先のPMCのG&K社。以上。

 

オイラの入っちゃったボディは416…のダミーモデル。

416Dとでも言うべきか…それの廃棄ロット、なんでって?

AIがポンコツになった上にボディ規格に合致しなかった…具体的には背がちょっとちっこく胸がデカい。

どれくらいかって?着てる上着ピッチピチなんですけどぉ!胸が苦しい。

倉庫を漁ってたら比較的に状態の良い417があった…なんで416がねーんだよ。

傍から見りゃ身の丈に合わないデカさの武器とおっぱいを振り回す凶悪少女ってところか。

普通の16インチモデルなら良かったのだが…こいつは20インチモデル。

セミオートスナイパーライフルって扱いにしたほうが良い気がするが…

まぁそこはI.O.Pボディだ、何とかなるだろうさ。

 

 

そう思っていたらどうにも火器管制をするには何やらスティグマ?

エッチングとか何やらかんやらしないといけない。

倉庫内に結構転がっていたバッテリーで施設をチェックしていた時に資料が出てきた。

人形と武器に繋がりを持たせて半身の様に振り回せるようになるんだとさ。

もっちろんこっちは生きるのに必死、ここは最前線の倉庫だ。

何時鉄血(鉄クズ)が攻めてくるか分からんのだ。

登録して…晴れてオイラは【HK417】の名前を頂いた。

 

エッチング処理後ボディで出来る事の確認をした。

戦術人形というからには物騒なことは大体出来る、出来てしまう。

フルオートでの射撃の精度も現役軍人バリバリ並。

下手なプロゲーマーのFPSでもこうは行かない…目測での距離感もほぼドンピシャリ。

こりゃ人間は敵わん、疲れもほぼ感じないし感覚カットなんて芸当も出来る。

ますます持って人間じゃ敵わん。人形バンザイ。

しかし何で女の子なんだろうか…いや、まぁ見た目大事ですね。うん。

迫ってくる敵が筋肉もりもりマッチョマンの変態よりも美少女の方が良い。

 

ボディのフィジカルスペックを確認してから倉庫内のオプションを漁る。

高倍率スコープ、オフセットサイトにアンダーバレルGL(グレネードランチャー)を拝借。

火力はあるに越したことは無いんですよぉ!

使うか分からんがライトモジュールにレーザーサイトをあわせて装着。

無線機を装着してからG&Kの使用周波数に合わせて…方角から最も近い筈の前線基地に向かう。

応答があったら?まんまコールネームは「Lostman(迷子)」でしょ。

脳内で高度なマッピングがすぐに終わるのは素晴らしい。I.O.Pの人形は良いぞぉ。

 

 

 

就職難から一転今度は女の子になって生命の危機ってね。

泣けるぜ。




趣味ガン載せ人形爆誕
細かい所はファンタジーなんです、よろしくおねがいします。

かしこ



タグは随時追加するかもです。


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Day2 「拍子抜け」

Day2と言いつつまだ一日経ってない矛盾
一匹のはぐれ人形、行軍中に間違いが起きないはずもなく…


いえす、あいあむLostman(迷子)417

manじゃなくてwomanじゃねーのか?うるせー知らねー。

現在一人で一番の近場、南東の前線基地目掛けて撤退中。

つーか走ってて疲れねーのまじ楽しい、人形って最高やなって。

客観的に見たらめっちゃ警戒しながら走ってる416。ただし胸がデカい。

走る重心がブレるんじゃ、このブルンバストめ。静かにせい。

まったく…スリングベルトが無いせいで常にこのクソデカい417を担がなくちゃいけない。

詰まる所常に片手が埋まる…弾薬は今刺さってる1マグ+4マグ。

それと殺傷榴弾が合計4発分、心許ない事この上ない。

タクティカルベストがありゃ一番だったけど…倉庫には無かった。

 

「無い物ねだりは出来ませんって…ねぇ…」

 

粗雑なバックパックに刺さるマグを放り込んでレッグポーチやポケットに榴弾。

そもそも狙撃向けの銃になってしまった以上接近戦はご法度。

取り回し?んなの知るかバーカバーカ状態なのだ。

今思えばバイポッドのほうが良かったかも知れない…パーツセレクト間違えたかなぁ。

まぁ良いわ、ボディ性能は完璧あとは人格(オイラ)の問題。

 

 

 

「腹減った…」

 

人形にも空腹ってあるんですね、初期充電のまま飛び出てたらしい。

くきゅるる…と言う可愛らしい音と

このバカでかい胸に詰まってないのかぁ…無かったかぁ…

倉庫にあった食料品はものの見事に腐っていた。残当である。

自己判断ツールを走らせて見ても残りエネルギー量すっくな!!

お前後数十km行軍するのにエネルギーが残り…残り……16%って少なすぎ。

システムログを確認すると倉庫で起動した時が30%…エッチングして稼働開始したのが27%

戦闘してなかったら燃費は良いものなのか。

それともオイラがダミー人形モドキだからなのか…それはさておいて。

目下のリスクはこうです。

 

1・エネルギー不足

2・鉄血人形との遭遇

3・弾薬の枯渇

4・コンパスが狂って遭難

 

という訳でサバイバル開始です。

食料の確保が出来なければこのまま行き倒れスリープ。

拾われれば御の字だがその可能性は低いと見ておこう。戦闘や物事は最低の状況を想定するものだ。

この単独行軍がそもそも最悪の状況も良い所だ。畜生め。

 

倉庫の位置は森の窪地だった。そこから南東に登り、森を抜けていけば前線基地にたどり着けるはずなのだが。

折返しはこの上りが下りに変わった辺り…ちょうど獣道がずっと続いているから助かる。

 

「ん?…この足跡は」

 

そんな鬱蒼とした森の斜面に比較的新しい足跡があった。

データと照合すると…出てきたのは。

鉄血のペットロボもといDinergate…働き蟻共の足跡だ。

最悪だ、近くに鉄血兵が居る可能性が出てきた…

 

スコープの反射等気にしてられるかこのくそ視界の悪い森で先を取るんだ。

射撃姿勢を整えてスコープを覗く…するとチラッと後ろ姿が見えた気がする…間違いない。

一瞬の映像でもしっかり思い出せるのは良い…このまま行軍すると残りエネルギー少ない状態での遭遇になる。

何とか忍んでやり過ごすしか無い…できるだけ痕跡を残さず。

やべぇ、後ろを見ると足跡ガッツリある…できるだけ落ち葉とかの上を歩けば大丈夫かな…?

あ、いけそう…これでアレの後を追うか…何処かに補給所があるかG&Kの人形と接敵しようとしてる。

つまる所は近場に野営地に侵入かG&Kの人形とのコンタクトを取れるチャンス。

Coolになれ、そして生を掴み取るのだぁ…変なテンションになってるのは自覚してる。

 

 

時折後ろを見ながら「働き蟻」の後を追う、戦闘待機につき残りエネルギーが減っていく…

もう10%を切ってレッドも良いところ…このままだと強制スリープ待ったなし。

こうなりゃチキンレースだ、ど畜生め。

 

 

――――――――――――鉄血野営地から南東

 

 

結果から言う、何とか鉄血の野営地に潜入物資を掻っ攫ってとんずらできました。

何あの杜撰極まる警備…めっちゃ警戒してたオイラがアホ☆くさ。

小石の誘導に簡単に引っかかるし…ワザと1マグ贅沢に遠距離から撃てばワラワラ出てきて捜索に当たって野営地ガラガラ。

こんなのに怖がってたとかマジアホくさぁ…

なんとも言えない脱力感に見舞われながらもそもそと補給していた。

補給の味、なんとも言えないねっとり感と不味さで味覚切った。

慣れたほうが良い気がするけどね、慣れたら負けだと思うの。

しかし匍匐出来ないな、胸邪魔だわ巨乳も辛いね。

それでも潜入は出来た…逆に怖いなぁ、これが相手の術中とか。

 

スリングベルト、タクティカルポーチ…弾薬も拝借してっと。

ドンパチしても多分一回くらいなら平気。

気力は大分盛り返したし残りエネルギーも50%…後3日分のレーションがある。

いやー…鉄血様様だわ、マヌケが。精々偽装の痕跡追ってなベイビー。

まぁ前線に送られてるオンボロだからだろうな、うん。

ゲームの受け売りが結構生きますね、オイラそこが驚きなの。

 

「今日はこのまま南東へ…夜は何処で寝るか」

 

野営地でざっと見た地域情報はインプットした、G&K支配下まで遠い、楽観視しすぎてた。

敵の侵攻ルートもざっと見たけど単純にまっすぐ行くだけだからちょっと逸れた地点だと眠れるかな…?

日は傾く、闇が落ちてくる。あ、火をどうしよう。




悲報:シリアスはシリアルに変わりました。
何処かに合流するのはもうちょっと後なんじゃ。


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Day3 静かな夜とハプニング

ちょっとだけ注意シーンあるかも。


前略、迷子の417はとある建物目指してまっしぐら。

1マグペイして得た補給品がバックパックの中でジャラジャラとうるさい。

まぁ仕方ないね、弾薬補給って言ってもHK417のマガジンが落っこちてる訳もない。

そうなのだ、このジャラジャラうるさいのは全部弾薬なんだ。

正直言って危ないです、あと逃走経路ごまかしに1マグ地面にぽいして来ている。

弾は増えたが継戦能力は落ちました、ちゃんちゃん。

ボルトリリースして一発ずつ込めりゃ良い?その手があったな。

 

んで、日が暮れる中の行軍。難なく目的地に到着…とは行かなかった。

途中で「働き蟻」のはぐれに遭遇したのだ。幸いにして向こう側に感付かれる事は無かった。

G&Kのはぐれ人形が居るから鉄血もそういう可能性もあるか。

何か見た目が犬っぽい上に迷子感半端なくて不覚にも可愛いと思ってしまった。

感性まで女の子っぽくなってないかオイラ…

 

ザックザックジャラジャラと音を立てて歩いていく。

スリングベルトで肩がけしたお陰ですぐに射撃姿勢には移れる。

さっきまで戦闘態勢で居たけど周囲に敵影は無いし通常モードに移行。

しかしあれだなぁ…タクティカルポーチの追加で余計胸が目立って邪魔になる。

マガジンの抜き差しの移動距離は短くなった、とってもとっても。

コレを強だ…げふげふ、拝借するまではバックパック内に突っ込んでた。

そうなるとどうなる?いざって時の再装填にいちいちバックパック展開ごそごそ。

敵がそんな暇見逃すわけ無いじゃん。パンパン、ゲームオーバーってね。

ちょっと動作してみよう。417からマガジン抜いてー胸下のポーチから…からっ…!

胸が邪魔で片手で抜き差し出来ないじゃねーか!これが本当のおっぱいリロード!?

そりゃ検品でダメ出し食らうわ、アホなんじゃねーか!?

 

「ふぃー……なんとか見えてきた」

 

道中ゴタゴタと一人劇場やってましたが中継地点が見えてきた。

鉄血侵攻ルートから外れたランディングゾーン…破棄された補給施設。

説明すると倉庫、つまりオイラが目覚めた所とほぼ同じ。

ひゅー…見事に電気はついちゃいないし灯りも無し。

夜が来ると真っ暗だな…夜目はある程度効く身体だけど怖いねぇ…やだねぇ…

 

「周囲敵影なし…よし、入りますか」

 

スコープ覗いてクリアリング、鉄血のての字もないぜ。

なんでクリアリングしたかって?ばっきゃろう開けた場所を突っ切るんだぞ。

狙撃手が最も嫌うシチュエーションだ、敵から丸見えこっちは見えないってヤツ。

ったく、この銀髪でどう隠れろって言うんだか…綺麗すぎて夜だと目立つわボケェ。

無線機は…あ、バッテリー切れ起こしてる。後でリチャージしておかなくちゃ。

 

 

―――――――――「―8地区――補給所」

 

ダメだ立て札が汚れてて全然見えない。

中を訪問うわぁーぉ…グッチャグチャのゴミ山って所か。

雨風凌げればラッキーと思ってたけど…現実はこれ、突きつけられると愕然とするなぁ。

んぉ?ここがメインフロアっぽぃ…

 

「ぅ…ぉぇ…」

 

見ちまった、人の死体だ。見ることになるとは…想定外だった。

こみ上げてくる吐き気を抑えれず()はその場で戻してしまった…

映像で見るのと実際に目で見てしまう物ではぜんぜん違う。

私は…今までゲーム感覚だったのかも知れない。

慣れろ、じゃなきゃ死ぬことになる。死を乗り越えて生を掴め。

 

…んぁ?これ人形じゃねーか!くそったれ!生々しすぎるんじゃぼけぇっ!!(涙目)

持ってる武器はなんだ…Mk23か使えるものは使う、すまねぇが戴くぜ嬢ちゃん。

…エッチングされてない武器だと火器管制が働かないから自分で制御しなくちゃいけないな。

射撃姿勢は足を肩幅開いて若干前傾姿勢で…アイアンサイトを覗いて。

 

パンッ…パンッ…

 

良い具合の重みが反動をマイルドにしてるのかな。

手からスッポ抜けるような事はなかった…

あ、オープンホールド。弾切れですね。

施設内で不審な物音無し、多分敵は居ないかな?鉄血はバカだし。

ブラフでも撃ったらガシャガシャとけたたましい音立てて突っ込んでくる。

居るとしたらI.O.Pの戦術人形、出会って即抹殺じゃないと祈ろう。

 

うーん…見回った所この施設の電気はまるっきり死んでいた。残当である。

破棄された補給所だからね、仕方ないのさ。

中をクリアリングした結果は活動停止したMk23の他にM14のダミー人形があった。

ダミーもどきにはダミーにしか遭遇しないなんて呪いがあるのかな?かな?

この施設での掘り出し物は暗視ゴーグル、バッテリーは辛うじて動く程度。

まぁオイラの稼働エネルギーを供給したら動いたので問題なし。

Mk23の装備を剥ぎ取りレッグホルスターとMk23っていうサイドアームをゲットした。

いざって時のものだけどね、あるに越したことはない。

マガジン?胸の谷間に押し込んだ。きれいに二本ぶっ刺さって笑う。

 

「はぁぁぁぁぁ………疲れた、やな夢だこと」

 

夢なんてのは勿論皮肉だ。夢なんかじゃない、こりゃ現実だ。

このベレー帽、銀髪、左目のタトゥー、思いっきり縮んだ背丈、デカい胸。

全部…紛れもない私のなんだ…

もしかしたらオイラは気が付かない間に死んでいたのかも知れない。

ころり転がってこの身体に入ったのかも知れない。

でもそんなのは所詮は「たられば」の話だ、事実か知らん。

 

「今のオイラはHK417…416のダミーから生まれた戦術人形。

多分他に類を見ないこの世界で生きる人間搭載人形だね。ふふん」

 

指揮官殿に遭遇したらそう説明しようかな。

ダミーの廃棄ロットだなんて絶対に言わねぇからな。

あ、でも調べられたらすぐにバレるかな。そんなー…

 

 

 

で、そんなこんなで施設のチェックと安全確認してたら日が落ちた。

しょうが無いので暗視ゴーグルで寝具を漁る。

出てくるのはボロ布とダンボールばっかり布団は無いな。

恐らく仮眠室だったんだろう場所にはベッド代わりのソファーがズタボロの状態で放置されていた。

無いよりはマシだったのでそこにダンボール敷いてボロ布を布団は代わりにその晩は寝に入った。

勿論薄っすらと音が入ったら飛び起きれる浅い眠りだけどね。

あーあ、寝て醒めたら元の身体に戻ってないかなぁー……

 

 

―――――――――翌朝「―8地区――補給所」

 

 

あぁ夜が明ける、昨日見た天井だ。おはようHK417さぁ今日も頑張るぞい…

…どうも思うに動揺したりぼんやりしてるときはHK416の挙動が流れ込んでくるみたいだ。

好都合でもあり最悪オイラが押しつぶされる可能性がある。

早い所どっかで検査受けたーい…怖い可能性考えるのやーだーもぉー

っと417担いでバックパック背負ってクソ不味いレーション食って目指すは南東前線基地。

 

「しゃあってぇっ!?あ、あー!服が…!

は?おま…えぇぇぇぇ………?」

 

よしっと気合い入れたら胸を張る動作してたんでしょう。

それまで懸命に留まってくれていた前ボタン君がすっ飛んでいった…

彼は尊い犠牲となったのだ…じゃなくてぇ!

状況確認するとこのボディ、ブラなんてない上にアンダーシャツなんてのもない。

ぽろりは無いけど不安だなぁ…不安だぞコラおいI.O.P

布団代わりにしたボロ布引き裂いてスカーフみたいにして隠した。

行軍中にぽろりしたら終わり(垢BAN)だ。

 

 

不必要な羞恥に顔を赤くしながらオイラは南東に出発した。

この空元気が続く間にコンタクト取れりゃ良いけどなぁ。




だんだんと女の子に侵食される417ちゃん君。猫です。
次辺りでついに…?よろしくおねがいします。


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Day4 前線こんなん?

R-15の範囲かな?範囲だよね。
ゲロインに関しては許してクレメンテ。

美少女のゲロだぞ、よろこべ。


まったくレトロゲーのロッ●マンゼロの主人公じゃ無いのになぁ。

あ、どうもボロ布カモフラージュマント装備のHK417です。

おっぱいリロードやろうとしてたMk23のマガジンはレッグポーチ送りです。

くそったれな現実は変わらずオイラは417です。よろぴっぴ。

あ、走ったら案の定マント下で案件が発生して直しました。ソーイングセットはまだかのぉ?

昨日の寝床は補給所でしたが正直ハズレ物件でした、まる。

バッテリーの一個も落ちてないのはいただけないぜ。

 

バックパックから取り出して食い歩きしていたレーションポイ捨て

これで朝はOKエネルギー変換が始まって…無線機や暗視ゴーグルにエネルギーを回せる。

その方法?なんとボディのメンテナンス端子がそのままアクセサリーソケットにもなったのだ。

つまり余剰エネルギーになりそうならアクセサリーにぶっ刺してバッテリーチャージできる。

うぉぉんオイラは動く火力発電所だー。

ポイ捨てが痕跡になるって?いや、補給所近くだしオッケーでしょ。

ボディスペックフルに生かして超遠投したし。

 

 

その時何がとは言わんが滅茶苦茶ブルンブルンしたの。

 

 

半露出狂みたいな今の装いは正直言って精神上よろしくない。

新しい上着が欲しい。めっちゃ欲しい。

M14のダミーからセーター剥ぎ取りゃ良かったかな。

いや…入らないな!I.O.Pのバカアホマヌケチ●コに作らせるぅ…(えぐえぐ)

 

ふぅ、朝から情緒不安定になってはダメよ。オイラは完璧なんだから。

よし、行こう…えっとマッピングからようやく1/4進んだって所か、ながーい。

まぁでもボディスペックあれば無理のない距離ね。

 

補給所で拾った双眼鏡で索敵しながら417肩に担いでのっしのっし。

袈裟懸けは無理。理由:おっぱい…あ、でも今は服が破れてるしやってみるのもありか?

ちょっとやってみ…みん"ん"!?谷間に落ちればとは楽だろうけど…

恐るべし乳肉の弾力…スリングベルトを拒むとは…というか痛い…

いちいち無駄なことしてる気がするのはオイラだけかな。

 

そう言えば、戦術人形も一々徒歩ではなくランディングゾーン…つまり着陸地点があればヘリで展開、撤収するらしい。

あの補給所も生きていたらオイラは晴れてはぐれから開放されていたけど…

ガチで徒歩をぶっ通しで歩く可能性よりもドンパチしてるとこに乱入かけてお持ち帰り。

これを狙ったほうが保身的に良いかも知れない。

何より今のオイラは傍目から見たらどう見ても人形なんだ。

役に立たない人形なんて本社に回収されてポーイだ。

 

「ふん、昨日と同じ()の足跡かぁ」

 

侵攻ルートに沿って歩いていた。何でって?

そうした方が遭遇率はアップする。敵にも味方にも。

ついでに大将首でも狙撃出来れば有用性は確立。

検品されてもポイ捨てはされないってワケだ、なーっはっはっは。

胸を張るな…くそぅマントが無かったら即死だったわ。

 

それは良いや、んでっと…痕跡とか頭からポーイしてる鉄血人形これでもかっと足跡残ってます。

多分昨日の夜に進行していった感じだな…試しに自分で足付けてみたらわぁくっきり!消さなきゃ。

多方向にガンガン踏んで痕跡潰して一応戦闘モードで姿勢を低くして歩く。

まだ緩い上りを登っていく…予測だとこの先のちょっとだけ下る辺りでドンパチしそうかなぁ?

補給所にはダミーの残骸だけ残ってた。

つまりは撤退してるってことだしオリジナル人形は元気してるってことの裏付けになるんじゃないか?

となると前線維持しようと善戦してるはず。前線だけに。

 

「ぃっ!?ひゃわぁっ!!…たたぁ…」

 

アホなこと考えたらすっ転んだ。木の根キサマァ!!

というか悲鳴、悲鳴…ひゃわぁって何ですと?

今のオイラの地で言っちゃってた…?

完全に女の子のリアクションじゃないの…いや、そんな事は…

 

……タタタン…タン…

 

遠くでの銃声だ…気を引き締めて初戦闘に行こうじゃないの…

細かいことは無視して全速で走る、うっわ何この速さ自分でビックリ。

100mを5秒フラットじゃないの、改めてビックリ。

でっと…予想通りで勾配を上り詰めた先でドンパチしていた。

戦闘フィールドは狙撃手の魅せ所、平原だ。

 

 

まずは戦場把握、情報が何よりも優先だ。せっかくの友軍は誤射ったくないし。

あと自分が何をぶち抜けば戦場が優位になるかを考えるんだ。

弾は沢山ある、遠慮なーく沢山おあがりよ…欲しがりさんめ。

…双眼鏡でざっと見る、遮蔽物のない草原を鉄血が直進中。人形が数匹確認できる。

向こうの木々や倒木から数名の見知ったI.O.P人形が確認できる。

撤退戦か…迎撃戦なのかは不明だがまだ始まったばっかりって感じ。

双眼鏡から切り替えて…417を構える膝立ちでチークを当て…火器管制セット。

グレネードは射程外、使用不可。推定距離から照準時誤差修正…

 

()()()()()()

 

嗤うHK417の銃火が鉄血の背後を襲った。

 

 

――――――――戦闘リザルト

命中率:80%

有効致命打:鉄血人形SMG型3体 蟻4体 4輪タイプ3体

 

何が完璧よ、だ…まぁ蟻がちっこいから当てづらいのはあったけど外しすぎじゃない?

あんなのパーフェクトゲーム出来て当然なんじゃないの。

イライラする胸の内…なんで、何で?一体何が足りないというの?

 

「繰り返すこちらStriker3、狙撃手応答願う」

 

「ぁ…無線機…?はい?こちら…ぁーLostman、どうぞ。」

 

G&Kの無線機から友軍のと思う無線が飛んできている。

良かった、無事らしい…私も胸を撫で下ろして応じる。

コールネームを忘れかけるなんて私らしくないな。

 

「Lostman…?でも…いえ、何でもない。支援感謝する。」

 

「良いのよ、こっちとしても助かった所。私、はぐれなのよ。」

 

「あー…だからそんなコールネーム…りょーかい!ちょっと待ってて合流地点を指示するから。」

 

そんな無線でのやり取りをして…途中から青ざめていた。

意識して使わないと一人称…私になってる…それにこんな完璧主義では無かった。

冷静に言えばよく出来た方…なのに…なんであんなにイライラしたの?

 

「ぅお…ぉ…おえ…」

 

こみ上げる嫌悪感に堪えきれず昨日と同じ様に戻してしまった。

 

 

結果、ボロ布にゲロが付着破棄、身軽になった所で支持に従ってランデブーポイントまで急ぐ。

どうやら撤退戦だったらしい、このままだとわた…オイラも危ない。

オイラの背後からまだ敵が来るとの情報だ。嫌だ死にとうない。

 

ランデブーポイントはそう遠くなかった。

全力で走っていってなんとも無かった…かと思った?

 

「あんたがLostman?挨拶の前に服直しなさいよ。」

 

「え?あ…ちが、これは…違うんだから…!!」

 

無線連絡しながら全速力で走る→壊れた戦闘服じゃブルンバスト抑えきれない。

あ と は 察 し ろ。

 

こほん、そんな放送事故(ポロリ)なオイラを迎えてくれたのはVz61スコーピオン。

彼女がStriker3前線隊長らしい。じゃあStriker1はダレだよ…

あ、何?Strikerは小隊長のコールネームだとぉ?アホか指揮系統こんがらがるわ。

指摘してもすんごい微妙そうな顔された。こんな前線だったの?

大丈夫かPMC、学生に負けてんぞー。

 

私の明日はどっちだ。




二度もゲロった417ちゃんのメンタルは強いか弱いかわかんねぇなぁ



番外編 射撃中の417ちゃん

「ヒット…ヒット…ヘッド…ヒット…首
リロード…チッ邪魔っ!(ぶるん)ふんっ…チッ…」

キルスイッチ入るとやさぐれ416モード、多分てんぱるとワタワタしちゃう。
射撃が全く当たらないでぐずる416君と同じ雰囲気。 伝われ。


追記:誤字指摘ありがたいです。


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Day5 ブチギレアームロック「むしろご褒美?」

(あとここで言ってる416は404の416じゃ)ないです。よろしくおねがいします。

おっぱい。


はぁい、急速に女の子になってるのを実感していて顔が青い417です。

もう口から出る言葉が女の子言葉になってるし所作も416ベースの物になってしまっていた。

スコーピオンに大丈夫?と聞かれてしまう程にだ。

吐きそう…もう吐かないけど。

 

軽く説明して416じゃなくて417だと言って装備とかも見せた。

まぁすごーく疑いの目を向けられたけど納得してもらえた。

エッチング処理の情報を見てもらえたらしい、わぁ便利。

ついでに行動ログを提示、めっちゃ驚かれた。

くっそ人間臭い上に戦略まぁそれなりに出来てたのがビックリなんだと。

ただG36Cとか取り回しがいい物とかが転がってる中で迷わずHK417-20を取りに行ったのはアホかと小突かれた。

てめぇ誰のお陰で無傷であの草原撤退できたと思ってんだ、あぁん?

 

「という訳でLostman…もといHK417です、よろしく。狙撃も完璧だから心配しないで」

 

「Striker3配下のM14よ、よろしく♪さっきの狙撃はすごかったね、後で教えて!」

 

「右に同じくGrMk23よ、センスのある狙撃だったけど…露出魔はNGよ?」

 

「何見てんのよ…私はUziよ」

 

SMG2にRF1、目役のHGか…悪くないのかも。

各人形の特徴は頭に入っている。弾幕を張って前線維持するSMG

小回りが利くHGが陽動、横合いからのちゃちゃ入れ。

RFできっちり殺す配置自体は良い…だったらなんであんな雑魚に遅れを取るのか…

あとMk23にきっちり露出魔じゃないと伝えた。(涙目)

 

「えっと取り敢えず417は私の配下に入ってもらうよ!

もうちょっと撤退したらランディングゾーンがあるからそこから基地まで撤退だよー

質問あるー?」

 

「鉄血は放って置くの?放置するのは危険だと思うけど?」

 

正直言えば引き撃ちしたら全滅させれる自信ある。

あと優秀な前衛が居たら負ける気しないけど。

弾薬だってまだ余ってるし…マグに弾を込めればさっきみたいにバスバス撃ち殺すけど。

放置する危険と撤退の安全を天秤にかけて質問をなげる。

 

「いやー、指揮官がHKを拾ったなら大戦果ってすぐに撤退しろって命令でさー…

あと放置はしないよー、罠を撒いて撤収、あとで戦力送って押し返す作戦だから」

 

「そう…」

 

多分だが第一部隊が駆り出されるのだろう…精鋭を送り込んで…って…

聞けばダミー2体連れられるのはエリートなんだとさー…はー…さようで。

ダミー人形のリンケージは最大で4まで出来る。これはスペック的に可能なのだ。

だがAIと体の最適化が追いついてないとダメダメなんだと。

まぁそうだよな、自分の体満足に動かせないのにラジコン動かせ?無理だろ。

 

取り敢えず今は私は…オイラは417として最大火力を振るおう。

あとUziがすごく羨ましい。だってブラしてるんだもん。

え、あれブラじゃなくてビキニだぁ?どっちでも羨ましいわ。

そういう意味ではMk23も羨ましい。ピンクのがちら見してる。くれ。

 

「欲しくてもあげないわよ?

そもそもサイズが合うと思って?」

 

「ぐぅ…」

 

しばらくは危機に怯えながらの運用かぁ…

というか視線バリバリバレてた、恥ずかしい。

逆にあっちは何見てるのか分からない…不公平だぁ。

 

「じゃ、移動するよー」

 

「はいはーい」

 

「ラジャー♪」

 

「ん、了解」

 

「Yes Ma'am」

 

こうしてわたs…オイラはStriker3小隊配下になった。

しかし遠足みたいだなぁ…と雰囲気を見て思う。

ドンパチしてるって感じじゃない…。良い事なのか悪い事なのか…

引率になったんじゃねーぞ…と内心愚痴りながら率先して遠方視察。

後方確認…と私ばっかり警戒してるじゃないの!

 

スコーピオンに苦情をあげても平気平気って…めっちゃ疲れる。

能天気もここまで来たら天下一品ね。目覚めた時のお前だ?

な、なんのことかしらー?

とか思ってたらまぁ…()()()()()()

 

「…後方コンタクト(お客さん)

 

「え、マジ?」

 

相手は猛烈な勢いで突っ込んでくるイノシシ。

後方確認した所蟻が徒党を組んで迫っていた。

数は21…思わず嗤いが浮かぶ。

うなずいてからスコープを覗く。

隣でM14も同じく展開…的が小さいとぼやいて居るがそのスコープ倍率低いぞ。

有効射程はどっこいでしょうけど…私が先に戴くわ。

 

「じゃあ417のタイミングで撃って!

あたしとUziで前線を維持するから」

 

ダンッ!ダンッ!ダンッ!

 

「え、早ぁ!?あたし達も急ぐよ!」

 

「ちょ、ちょっと位待ちなさいってばー!」

 

「いきなりの発砲はどうなのかしら?」

 

いきなりの発砲御免遊ばせ、もう射程なの。

急いでスコーピオンとUziが出ていく。

そのカバーにMk23が行って前衛はこれで良いだろうさ。

片膝立ちで先日の失態から射撃を最適化して…

並んだ蟻に3射。貫通していく7.62mmNato弾は一発で2キルを献上した。

残りの二発もきっちり当たって有効打。

しかしそれでこちらに気付いたのか速度を上げて突っ込んでくる。

 

ダンッ!ダンッ!

 

「チッ…」

 

焦るな、私は完璧なんだから…

まだ私の距離、1発のミスがなんだって言うのよ。

 

ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!

 

炸裂音が響く、薬莢がはじき出されて地面にカラカラと音を立てて落ちる。

まだ命中率は100、そう完璧なんだから…落ち着きなさい、私。

スコープ越しに睨む…撃つ。

…結局1マグ使い切ってもキルは10に留まった。

M14は射程に入ると猛烈に撃ち込んで5キルを献上。

 

「コンタクト!」

 

「どれどれ…嘘でしょ」

 

無線機越しに前衛のMk23の張り詰めた声とスコーピオンの間抜けた声が聞こえる。

どうよ、かなり削ってやったでしょ?

 

「リロード、すぐに片付け…んもぅ!」

 

「どうしたの?…あっ」

 

また事故よ、また事故よ!!あぁん、ひどぅい…

掴んだマグを落っことすわ最悪、隣のM14も察して目を背けてくれた…

……また事故ったおかげで取り乱してヒットレートは100が72%になりました。

もうやだ、またボロ布羽織りたい。

 

 

「いやー417がすごく優秀で助かったー♪

というか良く気がついたねー」

 

「逆に言うけど…あんたら双眼鏡の一つや二つ持っておきなさいよ…」

 

こいつらフィジカルスペックに胡座かいてやがった。

後でみっちり教育しないといけないなっ!(半ギレ)

 

 

想定外の…?いや、想定内の接敵はあったけど無事にランディングゾーンに到着。

程なくしてヘリコプターがやってきて私達を拾って離脱した。

あぁ…今人に囲まれてようやく一安心って感じでほぅっと胸を撫で下ろす。

 

 

 

――――――――――――D08地区前線基地・飛行場

 

ヘリボーンには恐らく連絡を受けていたんだろうI.O.P職員が待ち構えていた。

まぁ私のチェックだろう、非正規なエッチングに不良ロットのオリジナル化。

調べたいことだらけだろうなぁ…いかにも(マッドサイエンティスト)なヤツばっかり。

すごく嫌だけど特に抵抗することも無く私は連れて行かれ基地の工廠でチェックを受けた。

 

結論

この義体と同じ義体を3つ用意する。それだけ最適化されてる。

アタッチメントがガバガバだったのでそれの更新、あと専用でサイドレールバイポッドを用意。

見せブラを用意するから諦めろ。あと製造責任者に厳重注意。

義体の再調整も行う。

 

これで私は完璧ね。

 

416のダミー人形と並べると身長が0.8倍に胸が当社比1.2倍

それを放置した責任者も責任者よなぁ…まぁお陰でわた…オイラは生きている。

運命とは数奇なものね。

検査後解放されて今度は司令室へと連行された。

 

「貴方が指揮官?私はHK417…それなりによろしくおねがいします」

 

「キミがHK…ほぉ、ダミーとは思えんな?

さて、改めて聞かせてもらおうか」

 

まぁ調べられた事は全部上がってるわな。

身の上と情報は全部吐かされた。

はぐれとは言え無断でI.O.Pの施設を使った事を追求されてネチネチと嫌味を言われた。

どうも気に入らないわ…生きるのに必死だったと伝えたのに。

 

「まぁ貴様は優秀な様だし置いてやろう。

ついでに副官にでも「オイ」む?」

 

「ふぅぅぅぅ…一つ、私は今から指揮官に手を挙げる

二つ、生きるためと言って勝手に行動し施設を使用した

三つ、私はまだ言ってない事がある。

私は罪を数えたわ。」

 

「待て、三つ目、おぉい?」

 

それが貴様の地だな?お前の罪を数える番じゃぁぁぁ!!!!

417選手、有ろう事か指揮官に飛びかかる!!

右腕を取ってそのままアームロックだ!

おっぱいがグイグイと押し当たるがそれを感じ取る幸せは無いだろうッ!

 

「がぁぁぁぁ~~~~…!」

 

「別に貴方の部隊に入らなくてもいいのよ?

ただね、貴方が統括する前線が崩れるといけないの

あと、貴方の指揮の杜撰さと戦力把握がなってないから教えるのよ

今から きっちり ねっ…!」

 

そのまま折りに行くかと思いきやスパーン!と床に叩き落とす。直投げ(CQC)である。

見下ろす417の眼は生ゴミを見るような眼であった。

 

「おぉ揺れる揺れる。これが噂のブルンバスト(ショックブロウ)…ふむ白か」

 

「あ"ぁん?」

 

追撃でストンプした、でもピンピンしていた。

返答は変態であったからだと。変態怖いなぁ。

あと暴力もお咎め無しだった、嫌味はただの悪ふざけだったらしい。

 

もうやだお家かえる。お家ここだわ…




こうしてはぐれ人形HKは指揮官の元に来ました。
もう女の子女の子してるって?
本当かなぁ…?(ぐにゃぁ…)


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Day6 愉快な変態と原因は「我にあり」

頭悪い?へっ、何を今さら…
引きません!媚びへつらいません!反省しません!!

※この学生は特殊な訓練を受けていたかも知れません、皆様は絶対に機械に勝手に触れないでね☆


はい、D08基地に配属になった417です。

ついに思考の方でのデフォルトがめっちゃ女子化してるって気付いて落ち込んだのは内緒。

一人称がオイラとか俺だった私を返して。抵抗してもしきれないの。

まぁ良かったのはこの地区、深刻なほど前線じゃなかった。

要は新人育成用地域?最前線でヒャッハーしてる戦闘狂の撃ち漏らしの迎撃ね。

 

ウチのは指揮官?学生からダメ出し食らうダメダメな奴よ。

かなりのおっぱい好きで事あるごとに胸見てるのが分かる。

女性が視線に敏感とはこういう事か…といやーな気分にされる…

うえ…吐き気が…

 

幸か不幸かこの基地にHK416はまだ居ない。

I.O.Pから回されないらしい、その代わりに今私が居るんだけど。

来たら卒倒しそう。きっとね。断言してもいいかしら?

少なくとも私はストレスで倒れる。

 

で、今日の執務と言ったら私の案内…で終わりらしい。

撤退してきてから時間も結構経っていて外はもう夜。

 

「考え事かい?417」

「いえ、何でもありません…しれっと腰に手を回そうとしないで?」

「アッハイ…チッ…」

 

油断は出来ない、おいおい元男がセクハラに警戒しなくちゃいけないって何だ。

いやまぁ?こんなおっぱいですし?分からなくもないですよ?

あと露骨に舌打ちしないで、また投げてやろうかしら。

手を叩いてやったらすぐコレ…おいG&K入試落ちたのにこんなのが居るの?

なんでお祈りメール寄越したのよ。一体何が足りなかったのよ。

 

「…よし、ぐへへ」

「フンッ!」

 

あ、しまったつい裏拳が…ザクロになってない?

何この耐久性…人形?人形なの?

G&Kの入試は人形オンリー説ね…なるほど。

でも不思議ね、男の人形なんて需要が出ないって生産してないはず。

それに指揮能力に特化した戦術人形なんて見てないわ。

 

「いってぇ…キミ容赦ないな、変態でなければ即死だった。後、俺はれっきとした人間だ」

「うっそだろお前」

 

このスペックが必要なんですね?

つまりG&Kの社員は全員変態なんですね?

やだこの会社、辞めたい。辞めれないわ。

あと私は表情に出るからすぐに分かるんですって。

…そんなに驚いていた?と頬を擦ると隣から可笑しそうな目を向ける指揮官が居た。

ムカつくから拳骨食らわせた。喜ばれた。変態怖いなぁ。

 

「指揮官、Striker1.FALただ今…何この状況?

あ、貴方が例の娘ね?よろしく」

「はい…HK417よ、よろしく」

 

第一小隊の隊長様ね。ダミーを2体引き連れて行動できるエリートさん。

推定最適化率は38%って所かしら?この基地の規模からしてもそれで良いのかも。

その半脱げのような着崩し方はおしゃれなのかしら?

まぁこの独特のセンスは真似できないわ。

 

「……ふふっ」

「何よ…いきなり笑って…」

「貴女のセンスを矯正しようかなって♪」

 

やばっ…顔に出てたかしら?この笑顔は《狩る》時の笑顔だわ!

指揮官は拳骨で床をのたうち回って居て助けを請おうにも無理そ…

否、コイツ…私達のスカートの中を見て…あ、FALが踏んづけた。

アンタ達の中でも指揮官の扱いってこんななのね…

ってやばい、やばい…壁まで追い詰められた…!

 

「ヒッ…!」

「ふふ♪」

 

壁ドンだわ…ウレシイナー…ちょっと、胸…胸ぇ!

アンタの胸まで事故るわよ!?どうなってるのよぉ…

眼の前まで迫ったFALの目は笑ったまま…目が一ミリも笑ってないぃ…

 

「ひぐっ…ごめ…ごめんなさい…」

「よろしい♪失礼な事は考えないでよ?さ、私が案内するからついてきて」

 

私がべそかいて泣き出して謝ったら許してくれた。

すぐに謝ったら許してくれたかしら?

あ、指揮官が復活…今度はキック。いい音するぅ…

良いのかしら…あ、FALが行っちゃう…またね、指揮官。

…手を振ったら振り返してた。余裕そうね。

 

そう言えば検査時に回収された私の装備はどうなってるのかしら?

基地内だから武装する必要は無いけど…

案内を受けながら私はそんな事を考えてちょっと上の空だった。

お陰でまた壁ドンからのごめんなさいコースを食らった。

おかしいわね、私…同格の人形よね…?

 

指揮所・食堂・工廠・兵舎・倉庫…大まかに言えばこの5つがこの基地。

私の武装と装備品は兵舎に置かれてるらしい。

ついでに色々I.O.Pからの支給品も逐次送られる事になっている。

私のスリーサイズは計測されて寸分違わぬ…筈なんだけどなぁ。

だったらこの上着なんとかしてよI.O.P

まぁ返ってきたのは「諦めろ(ロマンだから)」の三文字。解せないわ。

 

射撃訓練場は無いのか?と聞いたら目をパチパチされた。

それで良いのかG&Kそこ大事でしょ!?訓練場!!

射撃訓練というか…誤差修正したいのに、出来ないじゃない。

何との誤差?決まってるでしょ理想とした着弾点との誤差。

そもそも調整で明日いっぱい工廠送りだったっけか。

その時に動かしてもらえると信じよう、うん。

 

 

 

――――――――――――第三小隊兵舎

 

まだスコーピオン達は食堂で騒いでる。

アルコールを煽っているのをちら見していたから間違いないわ。

 

兵舎の中は質素だけどしっかりしてた。

ウェポンラックにロッカー…簡素なベッド…

ソファーにゲーム機にモニター、雑誌類…これはスコーピオンの私物ね?

まぁパーソナルスペースに押し込めてるから良いでしょ。

やってたら私も混ぜてもらおうかしら…ふふ

 

あら?私のロッカーにもう小包?I.O.P仕事早いわね…

どれどれ…布?え?は?はぁぁぁ?

包を解くと中にあったのは……あったのは……

 

「なんでバニーガール…」

 

ますます持って度し難いわねI.O.Pィ!!(涙目)

これでも()()()ギリギリ覆える範囲ですって…

計算上って何よ…私達人形は成長なんてしないんだから。

あぁ普通に考えて射撃時のリコイルショックでしょうね。

…こんなの絶対着るものですか。

「アホくさい…」と罵ってからロッカーに吊るす…破棄は何となく…勿体無いわ。

なんとなくよ!?

 

「はぁ…疲れた、吐きたい…」

 

リバースするのが私のリバース方法になってるような気がする。

ちなみに兵舎に隣接されてるシャワールームと洗面台があるのでそこで吐こうと思ったら吐ける。

でも吐き続けはどうかと思うわ…

 

は、私今…乙女としてなんて考えが過らなかった?

 

「うぷ…ぅ…ぇ…」

 

……滅茶苦茶ゲロった。

顔面蒼白のまま兵舎でがっくり項垂れて…お腹が空いたけど喉を通る気がしないから動きたくなかった。

こんな無様…見せたくないし。

もう良い、今日は寝ましょう…悪夢なら醒めて…

 

胸が邪魔で横寝しか出来ない…元々そうだったから良いけど。

寝返りうつのも一苦労…女の体って大変…

……うぅ、だめ気が散って眠れない。

システムもエネルギー補給しろってうるさくアラート鳴らしてる。

あぁもう…あ、そうだ…電話回線はあったかしら…?

 

 

――――――――――――D08基地指揮所データルーム

 

 

「顔色が悪いが…本当に大丈夫だな?」

「平気よ…大丈夫だから…」

 

顔面蒼白な私を指揮官は心配したけど大丈夫…と言ってデータルームを貸して貰った。

電話回線は引っ張られていた…掛ける先は勿論私がよく知る…()()()()()()()だ。

震える指で一個一個確かに押して…コール音…

 

『お客様のお掛けになった電話番号は現在使われておりません』

 

私の頭は真っ白になった。嘘でしょ?

ナンバーディスプレイを見る、間違いないわ。

じゃ、じゃああのクソ兄の電話に…わた…私…!

コール音はする…出て、出てよ…お願い…!

 

『はい、もしもし』

「……ぅ…ぅぅ」

 

出た、間違いない…私のクソ兄…デブでオタクに引きずり込んだクソ兄ぃ

特徴ある声だから聞き間違えるなんて無い…え、じゃあ私は…?

 

『もしもし?』

「あ、えと…もしもし?夜分遅くに申し訳ないです。

そちらに弟さん…いらっしゃいませんか?」

『あー?……知り合い?』

「えと…はい…知り合いです……」

『アイツならI.O.P社見学行ったきり消息不明だよ、知らないの?』

 

あれ…?私…大事なこと…忘れてる…?

私がこうなったの…どうして…だっけ…?

動揺してる私を訝しむ兄に空返事しか出来なくなって…気がついたら通話は切れていた。

ガラガラと私の中で何かが崩れていく…思い出せ、私…

I.O.P社に入試前見学して…それから…工場見学して…工場内で私の身に何があった?

 

ぁ……ああ…!

バ カ な 私 が 安 易 に 生 産 機 械 に 触 れ て 巻 き 込 ま れ た ん だ っ た

当時の私のアホさ加減に頭痛が痛い…!

結果私って言う不良ロット…というか事故物件が出来上がって…

うわー生産責任者さんごめんなさい許して。

 

 

その後すすり泣く私の声を聞いた指揮官が入ってきて胸揉んできた。

大丈夫?おっぱい揉むからなっ…じゃないわよ。でも、元気出た…バカな私。

張り倒してからキックして私は兵舎に戻った。

ニヤけてないわよ、何よスコーピオン…や、ヤメロォー!




あ と は 楽 し み に し て い ろ 諸 君
ド ロ ッ ド ロ の 濃 厚 ピ ー チ 展 開 かもねー
取り敢えずR18には接触しないようにしますん
つまりセッ**しなけりゃやりたい放題なのでうわ何をするやm(ry


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Day7 ちゃんとした整備と波乱の予感

あと指揮官の挙動はやりすぎましたね、反省します。
でも変態だから多少は許して。


目が覚める…ここはD08基地、日夜鉄血人形とドンパチしている前線。

私はHK417、元人間元男…現在戦術人形のおバカ。

人形化の原因が自分だって思い出して呆れたけど…ある意味良かったのかな?

あのまま就職難でも自殺してたかも知れないし…第二の人生波乱の幕開けだけどいい感じ。

何だかんだ戦場が合ってるのかも。最前線は嫌だーって思ってたのに…

 

「ふぁぁぁぁ…あ、おはよー417」

「おはよう、スコーピオン…昨日はよくもやったわね」

「あっはははーつい♪指揮官と何かあったんでしょ?」

「教えないわよ、ふんっ…」

 

起き抜けのスコーピオンに早速誂われる。

どうやら私はカースト下位らしい、しばらくはこうしてオモチャにされるのね…ふふ…泣けるわ。

 

「…あら?早いのね417」

「おはよう、Mk23」

「わたくしより早いのは素晴らしいんじゃない?早くダーリンに挨拶に行かなくちゃ♪」

「あっそう…」

 

あんなセクハラ変態魔人が良いのかしら?

そう言えばMk23もセクハラされるのかしら…されそうね。

 

「勿論よ、それでも好きなの」

「え、あ…そう…」

 

恋する乙女はなんとやらって奴かしら。

というかナチュラルに心を読まないで。表情に出てる?

こんな心情をすぐに読む人形怖いわ…私も人形だけど。

そんなこんなでMk23は「待っててねダーリィィィン♪」なんてドップラー効果残して行った。

爛れてない?この基地…第三次大戦末期じゃないんだから…

 

あと起きてないのはM14とUziね。

確か第三小隊の作戦開始は…昼過ぎ。なら無理に起こすのも無いわね。

私は指揮官に挨拶してから…あとちょっと苦情入れてから工廠に行きましょう。

I.O.Pの職員が首を長くして待っていそうだから…

 

 

―――――――――――――D08基地司令室

 

 

「おはよう、指揮官…何やってるの?」

「おはよう417…見ての通り、朝の癒やしの時間」

「ダーリン、こっちを見てくれなきゃイヤよ?」

「はいはい、マイエンジェルソーコムちゃん」

 

…その尻尾の通りに発情した猫みたくなってるMk23が甘えていた。

…頭が痛くなる光景に頭を抑えた私は悪くない。

膝の上でゴロゴロと喉を鳴らすMk23とそんなMk23の胸元をガン見してる指揮官…

頭痛に悩まされながら意見具申に机をぶっ叩く。

指揮官の目とMk23の目がこっちに向いた。

 

「セクハラも大概にしていただきたいけど…それより、私から一つ提言です。

無線での交信ですが…コールネーム制止めません?はっきり言って指揮系統に混乱が出るかと。

ストライカーをコールネームにするなら小隊全員に配分するべきかと…

それ以前に鉄血のガラクタは傍受するなんてオツムがあるヤツ…見ました?見てませんよね。

はっきり言って無駄です。そもそもコードネームがあるんですからそれで呼びましょう?」

 

「お、おう…かっこいいと思ったんだけどなぁ…」

「かっこいいで混乱した私が居ます、これから配備される人形も同じだと思います。

ですので…危なっ!?」

「あいだぁっ!?」

 

この変態は…!ちょっとスキを見つけたと思ったら手が出るのか。

つい反撃でグーパンチしたのは悪くないわよ。むしろナイスな反応でしょ、私。

ふふん、やっぱり私は完璧ね。

 

「今日の予定の工廠での調整に行ってきます」

「ぉーぅ…いってらぁ…」

「大丈夫?ダーリン、おっぱい揉む?」

「前が見えねぇ」

 

吐き気を催しながら私は司令室を飛び出した。

甘ったるい空気にも、私の頭にも嫌気が刺す。

バカなんじゃないの?バカなんじゃないの?

 

 

―――――――――――――D08基地工廠

 

 

「待っていたよ、417君…さぁそのベッドに寝たまえ。義体の調整を開始する」

「お願いします…終わるのはどれくらいになりそうです?」

「予測では昼には終わるが…キミは特別だからな、夕暮れになるかも知らん。正直に言ってしまえば分からん。」

 

身も蓋もない、職員をしても分からないとは。

私のAIのコピーも取ってダミーの作成を完了するらしい…

運び込まれている義体は…見知った私の身体がずらり3体…

ぁ…作業が始まる…意識が遠のいていく…

 

 

「どうだ?AIのコピーは」

「…ダメです、芳しくないですね…このAIなんでこんなに複雑化してるんだか…しょうが無いから動くようにだけします…」

「となるとバックアップが効かない人形になってしまうな…AR小隊の人形と同じく…」

「えぇ、ほぼワンオフの人形になりますね」

 

カタカタと端末に対して顔突き合わせて唸る職員。

職務と私情は別なのだろう複雑な顔をしながらも417の身体を仕上げていく。

元々AR用の身体のセッティング。エッチングのみではカバーしきれていなかった。

その無理を矯正し各部パーツの再設定、組み換え。

未熟なエッチングも職員の手で正されていった。

ちゃんとした施設ではなく破棄された施設で行ったエッチングは未完成な物だったのだ。

正規のAIではマトモに当たったものでは無いだろう。

 

「なんだこのエッチング…たまげたなぁ」

「うわ…これは素人がマニュアル片手にしてますね…」

「人形自らが応急でしたんだ、そうなるだろうさ」

「それが不可解なんですよね…本来ならば起動すらしない筈」

「分からん…本社に送れば分かるかも知らんが…とにかく今は作業だ、イイナ?」

「アッハイ」

 

こうして作業は粛々と進められていく。

人形は眠る、すやすやと安らかに…忙しなく動く工廠に反して。

 

 

「おー、次の配属の人形のマニュアルか?」

「はい、新設の第四部隊に配備予定の人形たちですね。」

 

メカマン達がざわめく、配布される資料に目を通す。

新規に発注した人形の整備マニュアルである。

 

UMP45

UMP9

HK416

G11

 

以上四体の整備マニュアルだ。

メカマンは揃って調整中の417に目を向ける。

聞き及ぶ416の性格上問題が出る未来がみえたのだ。

 

「アフターケアはしっかりやろうな。なっ。」

「そうすりゃ俺らがあの子達のハートをつかめるチャンスも」

「いやねーよ、俺らなんて」

「そんな事よりオナニーだ!!」

「おいコイツをつまみ出せ」

 

「「うす」」

「ナニスルダー!」

 

工廠は眠らない。人間の賑わいで何時も溢れている。

喧騒に包まれる417の寝顔がうっすらと微笑んでいた…

 

 

―――――――――――――夕暮れのD08基地工廠

 

「ん…んん……終わった?」

「うむ、ばっちりな。ダミーリンクも終わっている。」

「……そのようね。」

「「「バッチリ、完璧よ。」」」

 

異口同音、整然と並んだ私のダミーは私の命令通りに動く。

そうでない時は各々のAIで動くみたいだ…常に肩肘張る必要は無いのね。

ただ…所作にぎこちなさが残るわね…

 

「実はキミのAIはバックアップ出来なかった

ダミーのAIも似せたが…オリジナルと一緒ではないな。」

 

まぁそうよね…とは言えないけど。

すんなり胸に落ちた。人形として生きるにも一度っきりの人生ってことでしょ。

ダミーなら死んでも直したり出来るけど…

うん、そこのAI見せブラがあるからって上着をはだけさせなーい。

FALのマネ?よーし本体の言うこと聞きなさーい?

楽だって?…あら本当…でもこれだと痴女よ?

 

「ヒューヒュー、見ろよあのおっぱい」

「打つわよ?」

「ヒエッおっかねー」

 

メカマン達が野次ってきた。

男の目があるのを自覚しなさい、私…どうであれ私は女として見られる。

それは否応無しの事。認めなければならないこと。

吐き気を催していたら壊れるわ。

順応しなければ死ぬのは…()ね…

 

調整の終わった身体での射撃をしたかったけど許可は降りなかった。

的は無いし訓練場も無いから認可できないとのこと。

あら?あの説明書は……あ。

吐き気してきた…ナンデヨリニヨッテ…

 

 

―――――――――――――D08基地司令室

 

 

「失礼します、417です」

「ん、入れ」

 

吐き気をひた隠しにしながら工廠を後にした私は指揮官に報告に来た。

まぁ報告は工廠から直接上がってるでしょうけど…

指揮官もホクホク顔だ…私の仕上がりがそんなに嬉しいのかしら?

いや、違うわね…()()()の事が大きいと思う。

 

「細かな修正だが…ふーむ、おっぱい…」

「ブラは仕方ないでしょ…事故が起こったら…だ、大体これだって恥ずかしいのよ!?ジロジロ見ないでっ!」

「へぶっ!」

 

あぁもうこの男は!おっぱいを見て少し落胆したぁ!?

ブラで隠されたのがそんなに不服!?上着がはだけて露出はしちゃってるのに!?

頭掴んで机に叩きつけてやったけど…あぁもう、調子狂うわ…

 

「だが…良いな、綺麗になったな417」

「っ…そ、そう?まぁ…私、完璧ですし?」

 

なにこれ…嬉しい…?綺麗って言われて嬉しい?

いや、違う…違う違う!

ぶんぶんと頭を振って復活した指揮官に対して踵を返す。

そのまま飛び出していく。

あんな男最低なのに…!

綺麗なんて言われただけで…ばーかばーか私のばーか。

 

「あ、アンタは…」

「…WA2000、ふぅん…この基地に居たのね。」

「フン、どんな新人かと思ったら失礼ね。まぁ私の事は知ってる様なら良いわ!

同じライフル同士仲良くしてあげても…良いのよ?」

「うん………じゃあね、指揮官によろしく。」

 

WA2000、高性能のRF人形。私と領域は同じ。

ただ私と違って銃自体のマルチロール性は無いから狙撃一辺倒ね。

手に持ってるのは作戦報告書…今日の副官はWAだったのね。

正直、この基地の人形は把握していない…一応周知されてるから私の存在は知られてるみたいだけど。

困るのよね…こういうエンカウントが…それにしても自尊心が高いこと。

…おっぱいもあるからアイツにセクハラされるわね。

 

「何よ文句あるわけ!?」

「見てるだけじゃないか…それより書類はもっと丁寧に主観は省いて…」

 

背後から聞こえてくるのは…あれ?仕事してる?

ふぅん…一応スイッチのON/OFFはできるのね。見直した。

早く食堂で遅いディナー楽しんで…後、スコーピオンから明日の指示を聞いて休もう。

今日のディナーメニューは…やった、カレーだ♪

山盛りは…食べなくても良いか、普通によそってもらお。

 

―――――――――――――D08基地食堂

 

 

食堂につくとそこには第三小隊のメンバーが揃って居た。

食事を受け取ってから食事する職員の合間を縫って合流する。

 

「やー417、今日はおつかれー」

「お疲れ様…私は調整で眠ってばっかりだったからそうでもないわ」

「あ、そうそう私は後で同じRFとしてデータのフィードバックがあるみたい。本気出したら引けを取らなくなるかも知れないぞ~」

「あら、可愛いブラじゃない…ダーリンに褒められた?」

「ブラじゃないよ!ちゃんとした衣装だってば!!…私じゃない?」

「「「「違う」」」」

 

ふふ、おかしい…スコーピオンはゲラゲラと笑いだして。

M14は不敵に笑って私に対抗心向けて。Mk23はからかいに来て…Uziはポカンとしてる。

私は私でおかしくてクスクス笑っちゃっていて。

あのバカの事なんて忘れてすんなり食事にありつけた。

ムードメーカーって大事ね。

 

だからこそ、この中から死者は出させないわ。

私の人形としての新たな一歩を胸に誓っていた。

 

「417どうでもいいけどおっぱいは机に載せない、行儀悪いよー」

「え、載っちゃうものじゃない?」

「載らないかなぁ…うん、うん」

「載らないわよ、載せようと思ったら載せれるけど♪」

「そういう事言わないで…ほらぁ…変な注目されるじゃないのぉ……」

 

スコーピオンが発端、Uziの天然からの飛び火で私が集中砲火。

私の扱いはもうこうなのね…いじられ役かぁ…

Uziが仲間の眼をしてこっち見てる

 

「大丈夫?まぁそのうち慣れるわよ」

「平気よっ…ふんっ」

「なら良いけど、カレーうまー♪」

 

Uziは周りの目を気にせずのんきにカレーを食べ始めた。

私も食べよ…ん、美味しい。

けど何でかしらね、しょっぱいわ…(涙目)




ちょっと役のわーちゃん、ポジは417ちゃんとほぼ同じ。
同部隊内での弄られキャラであり言わずと知れたツンデレちゃん。
いや、ツンに見せかけたデレデレキャラだ。

あとHK416満を持して次話登場。
やったね417お姉ちゃんだよ。


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Day8 ピクニック前線「ゆるフロ」

416襲来、417はゲロる


D08地区所属、HK417です。

今日はとても胃が重たい…カレー食べたからじゃないわよ。

例の人形が来ちゃう…鉢合わせになっちゃうの!

絶対私を見たら卒倒するし私もストレスで倒れる…!

やだぁお家帰るぅ…ここがお家だった…

 

「ふぅ…よし、覚悟完了」

「ダーリンに挨拶に行く?」

 

起きてたの?作戦時間よりはずいぶん早い時間だけどMk23はもう起きていた。

私も言えた立場じゃないけど…私達第3部隊は作戦開始時間が昼過ぎと遅い。

治安維持任務だから見てきて鉄血適当に潰して戻る。

規定偵察範囲を警備して終わり。接敵がなければ暇を持て余して終わる任務。

ましてや私からしたら的当て待ったなし。

次はパーフェクトゲームに持っていってやろうじゃない。

…Mk23の言う挨拶は謹んで辞退した。

今はあんまりストレス抱えたくないわ。

 

 

――――――――――――D08基地食堂…朝

 

 

「あら、早いわね…もう慣れた?」

「FAL…えぇ、まぁ」

「そう、なら良かったわ…その着崩し、センスあるわよ♪」

「…」

「拗ねないのー♪」

 

どうもこのFALという人形は苦手だ。

事あるごとにからかってくる。年下をおちょくるように。

私は清々しい気分で朝食を戴くはずだった。

隣に座ったこのお姉さん系おちょくり人形が来るまでは…

拗ねてるのがバレて逆に喜ばれてしまった。

 

「そう言えば聞いた?HKのお姉さんが来るらしいわよ。」

「知ってます…416でしょう?気が重いです…」

「あらら…喜んでると思ったら…」

「416の性格上私をどう思うと?」

 

喜んでないやーい。卒倒させちゃう相手が来るんですよ?

何をどう転んだら喜べるんですか。そんなに性格悪くないですぅー。

 

この人形、勝手に私の頬をつまんでグイグイ…餅みたいに伸ばしてぇ!

食べようと思ったベーコンエッグトーストが皿にぽとり。

訂正、私のおっぱいの上に乗っかった、熱い。

 

「あら、こんなに大きかったら乗せられるのね」

「むー!!(涙目)」

「どれどれ…ほー流石だな、おっぱいちゃん」

 

誰がおっぱいちゃんだぁー!朝から私をオモチャにして「楽しいわよ♪」この鬼畜人形ぅー!

訓練があったら絶対ヘッド連射して泣かすぅ!

メンテナンス班の人も覗くなぁ!

 

「ふふ、それじゃあ出撃だからまたね、おっぱいちゃん♪」

「あんたいつか泣かすぅ!!」

 

…ベーコンエッグ、好きだったのに味があんまり分からなかった。

これもそれもFALが悪いのよ!うわーん…

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎

 

 

「あら、おかえり」

「…Mk23」

 

Mk23も兵舎に戻っていた。

朝食は良いの?食いそびれるわよ。

私は食べてきたばかり…味気なかったけど。

 

「毎朝私はダーリンと食べてるからもう食事済みよ?」

「左様で…毎朝?」

「そ、毎朝♪」

 

ぼんやりとMk23を見ているとこっちを見て笑った。

ちょっとムカつく、何その顔…勝ち誇ってるつもり?

 

「ち・な・み・に…口移しでねっとり♪

もちろん指揮官の眼はわたくしに♪」

「もういい」

 

もうやだこのサキュバス、こんなのが夜目役なんて死にたい。

この部隊大丈夫?他はマトモだから大丈夫ね。うん。(錯乱)

作戦開始までまだ時間がある…どうしよう。

 

「ん、んー…あー良く寝た…おはよー二人共ー」

「スコーピオン…おはよう。」

「遅いわよ、ダーリンはもう堪能済みでしばらく挨拶しないわよ?」

「そりゃ良いやー」

 

ボサボサの頭を掻きながらスコーピオンが起きてきた。

とても人間臭い…お腹かくの止めなさいオヤジ臭い。

あ、ゲームし始めた。あのゲームは…!

 

「塊●!」

「知ってるの?一緒にやる?」

「えぇ、勿論よ!二人でとにかく大きくモード!」

 

こんな所で素晴らしいレトロゲームに巡り会えるなんて!

スコーピオン、貴方のセンスは間違いなく「いいセンスだ」よ!!

 

 

でっかい子供が二人してぎゃいのぎゃいの遊び始め、M14とUziが迷惑そうに起き出して。

そんな兵舎を見てMk23はクスクス笑って…ゲームで遊ぶ417を背後から強襲。

それを見てM14がUziを強襲して第3部隊の2大おっぱいちゃんは泣く羽目になった。

スコーピオンはゲラゲラ笑って煽っていた。

M14ェ…アンタはそんな事しないと思ったのに…

 

 

――――――――――――D08基地司令室

 

 

「指揮官、第3部隊スコーピオン以下4名入ります。」

「入れ」

「はっ!」

 

この基地に来て以来はじめての任務だ。

パリッとした緊張感を持ったスコーピオンに続いて私達も入る。

ちなみに私は一番最後。

 

「はい、気を楽にしてー何時も通りにリラックス

それじゃあ、昨日と同じでダミー連れて前線警戒よろしくね。

417は初めての出撃だけど緊張しないでね。キミの実力だと暇すぎるかも。」

 

「「「「はーい」」」」

「え、えぇ…」

 

それで良いのかPMC、それで良いのかG&K

ゆるっ…ゆるっゆるの司令に緊張感は何だったの…?って感じでがっくり。

拾われた時も遠足みたいだったのはデフォルトだったのね…

 

一人私だけ困惑していると指揮官がこっちに視線を投げていた。

視線が物語っている、コレでOKなんだと。

 

「417」

「何よ…」

「無事を祈る」

「……あっそぉ、私が居たら絶対だからその心配は無駄よ」

 

いい笑顔で言われた…呆れ通り越して笑えてくる。

遠足気分の小隊と行くのに指揮官は無事を祈る…ねぇ。

ちぐはぐ感がするけど…まぁ仕事はきっちり締めるのはわかった。

セクハラ目線だけは嫌だけど…うん、見直した。

 

 

指示を受けた後兵舎に戻り装備を整えて居る最中…

双眼鏡を持ってしっかりとしたマグポーチを腰に巻いて…

背中にはバックパックを背負って、レッグホルスターにMk-23を刺し…よし。

鉄血殺すべし、慈悲など無い。

おーいダミー人形あんたも双眼鏡持つのよ?

 

 

――――――――――――D08地区前線ランディングゾーン

 

 

「どうかお気をつけて!」

 

そう言ったヘリパイロットに別れを告げて私達は降り立つ。

この弾を撃ち込める相手はどこかしら?

 

「ねー、417ってなんで双眼鏡持ってきてるの?」

「性能差で私達に軍配があったとしても胡座をかきたくないのよ」

「そっかー。敵が居たら教えてね!今度はあたしが活躍するから!」

「はいはい…だったら私が全部食っちゃう前に展開しなさいよ。」

「言ったなー、今日のMVPはこのスコーピオン様の物だー!」

 

電子式のではなくクラシックな光学式の双眼鏡。

簡単に言えば反射を抑えて私達の視覚をブーストする。

私が担う偵察の役割に置いてこれは大変貴重。

ぶっちゃけ肉眼でも偵察出来るけど…結構寄られてからになるから被害が出る。

そんなのスマートじゃないわ。

軽口を叩き合いながらルートに沿って歩いていく…

ダミーには散開させて広範囲をカバー、ダミーリンクの物量よ。

 

 

 

 

結局今日は敵に会わなかった。

本当に暇な任務となってしまった…こうなると指揮官的にMVPは誰かしら?

そんなことを口々に言いながらヘリに回収され私達は基地へと帰って来た。

無線越しには無事をとにかく喜んでいた。

全く…私が居たら絶対だって伝えてるのに…

 

『可愛い部下を心配するのは悪くないだろ?』

 

何が可愛い部下よ…可愛げのない上司のクセに。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夜

 

 

戦果は無かったけど平和に終われて良かった。

スコーピオンたちと談笑しながら司令室向かっていたら中から話し声がする。

報告に入って…うわ。

 

「本日着任したHK41…6…」

「あ…」

「UMP45よ、よろしく~」

「新しく仲間になりました、UMP9!これからは家族だよ♪」

「G11…眠いからもう兵舎に行っていい?」

 

出会っちゃった。

あ…と私が漏らしたあとわなわな震えて大股で私に近づいてくる。

がっしり肩を掴んで顔を覗き込んでくる、止めて、怖い。

 

「アンタ…何よ?」

「HK…417…です……はい…」

「417ぁ?どう見ても私の完璧な身体を下品に見せてる露出狂でしょ!?

こうも着衣が同じなのに言い逃れ出来ると思っているの!?

こっちの目を見て、見ろ!!何処の所属の()よ!?」

「ひっ…せ、正式データです…」

「……」

 

…兵舎いこ、もどす…うえっ

烈火の如く怒られた、そうだよねぇ。そうだよねぇ。

こんな不良ロットが動いてたら怒るよねぇ…

 

「416~?あら、白目剥いて気絶してるわね、おもしろ~い」

 

後ろでなにか聞こえた…知らない、知らなーい…

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎

 

 

「おえぇぇぇ…」

「大丈夫ー?」

「だいじょばない…」

「重症だこれはー…」

 

飛び出した私を追ってスコーピオンが来ていた。

ゲーゲー戻してる所を見られて心配されてる。

戻す人形は初めてだと言ってる。でしょうね。

洗面台を見る、真っ青な416顔がそこにはあった。

 

違う、私は417…416じゃないのよ。

く、区別化の為に髪型とか変えたら…

うーん…納得してもらえるかな?

意見具申してみよう、あとはI.O.Pが何とかする。

というかさせる、絶対にだ。

 

「うぶ…ぉ…げえぇぇぇ…」

「はいはい…ゲーってしようね、ゲーって…」

 

スコーピオンの姉力が意外と高かった。

お陰で吐き気は2ゲロで収まった。

 

「416の怒りの矛先があの後指揮官に向いてねーいやー凄かったよ

指揮官もタジタジでいつもの開幕セクハラが無かったし」

「やめて、せっかく吐き気無くなったのに」

「まぁまぁ、でだけど明日また工廠に行ってほしいってそのタトゥーとか変えるんだってさ

はい、正式指令ね。んじゃーあたしは報告に戻るから」

 

口を濯いでぺっ…してから指令書を見る。

うん、明日の午前中に工廠に向かえ…か。

 

「どんな姿になるのかなぁ…」

 

悪化したらI.O.Pバカなんじゃないかなと思う。

UMP姉妹みたいなのが良いなぁ…




スコーピオンの姉力とかいうパワーワード
小隊長だからね、面倒見は良いはず
次回は417ちゃん変身の巻、皆ツーサイドアップなロリは好きかな?
それも小悪魔チックに着崩し制服のロリっ子は

416?まぁキレて気絶まで、次回で距離詰めるから。


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Day9 417おしゃれ革命

サブタイトルは適当だけど的外れじゃないはず
やったね417ちゃん、衣装が進化するよ!


――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・早朝

 

 

「おはよう、Mk23」

「おはよう♪」

 

何時ものように朝はやってきた。

私の外観を変える日…416に遭遇した時に怒られないくらいに変わるかな?

制服がより大胆になったりしないよね?

不安が胸の中で渦巻くけどそれはどうとでもなれ…大胆になったらI.O.Pを恨む。

というかカチコミ加えに行く。

 

Mk23はうんっと伸びをしてさっと身だしなみを整えると早足で司令室に。

何時も元気ね…早朝の指揮官はだらけたセクハラ魔人モード。

近寄ったらどうなることか分かってて行ってるのだから恐ろしいわ。

それにしても…Mk23もそこそこ胸があるわよね?

やっぱり揉まれたりするのかしら…

 

後で聞いてみようかしら?

いや、藪蛇ね…考えるなバカな私。

 

それより、食堂が開くまでどうしようかな?

ゲームは他の子起こしちゃうし雑誌読んでようかな。

ファッション雑誌?ふぅん…M14の私物かぁ。かわいい系が多かった。

これは?ぶ…何このアダルティックなファッション雑誌は…

間違いなくMk23ね、ダーリンオススメなんて丸文字で書いてるもん。

うわぁ…うわぁ…

 

 

――――――――――――D08基地食堂・朝

 

 

「あらぁ?貴女は…」

「えっと、イサカね…HK417よ、よろしく。」

 

食堂でばったり会ったのは第2部隊隊長のM37イサカ。

私と並んでおっぱいちゃんなんて呼ばれてる人形。

ちょっと特殊な受注方法じゃないと要請できないSGの人形だ。

私より長身で…おっぱいは互角か私が大きいかしら?

横に並んでみて比べてみません?

 

「ふふん、私の美貌に目を奪われてるのね♪

劣ると思うことはないわ、私が美しすぎるのがいけないよ」

 

訂正、ただのナルシストで賛美しか聞こえないタイプと見たわ。

…付き合うのはアホかな…と思うけど食事くらいは肩を並べて食べるとしましょ。

一応、仲間ですし?変な対抗意識はありませんから。

 

「んー♪」

「ん…美味し♪」

 

今日のメニューはハニートーストとサラダ、温かいオニオンスープ

 

並ぶおっぱいに食事中の職員たちの眼が集中する。

食事中は私事モードですか、そうですか…露骨に見るわねー…

イサカの逆隣の職員なんて覗き込むくらいだし。

ぐい…と顔を押しのけたらチラ見に変わったけど…

 

美味しい食事が台無しになるわ、勘弁してほしいけど…

やっぱり気になるわよね…分かるわ、私が男だったら見逃すわけ無いわ。

特に…こんなの…

 

「なぁに?(ユサッ」

「なんでもないわ(タプン」

 

些細な所作で揺れるおっぱい、眼に毒だもの。

男の悲しい性はわかってるわよ…わかってるわ…

 

「あ、イサカちゃん、あとで今日の分頼むね」

「はぁい♪任せて、私が癒やしてア・ゲ・ル♪」

「そっちのおっぱいちゃん…おぉでっけぇな!…でけぇな!」

「うるさい、黙って。」

 

気安く話しかけてくるのはメンテナンス班の職員ね。

所属はG&K、つまりは変態か。

そしてイサカあんたもMk23の同類か?

あんたはメンテナンス班のアレなのね?アレ。

 

「あぁ主任については悪く言わないで?

仕事についてはしっかりする真面目なんだからハメを外させてあげるのもイイ女の条件よ」

「知らないしそんなの聞いてない」

 

楽しい食事は終了よ、色ボケ女。

工廠に行くのは…同じだから肩を並べて食堂を出ていく。

職員、後で全員シメるわよ?鼻の下伸ばしすぎ。

 

殺気を当てたら慌てて視線を外してるの、ぷーくすくす

 

 

――――――――――――D08基地工廠・朝

 

「じゃ、またこのベッドに寝てくれ。

ダミーリンクは…今食事中?ふん、分かった…逐次作業開始しよう。」

 

「お願いします、またよろしく…」

 

見慣れたI.O.Pの職員が私をメンテナンスベッドに寝かせて作業を開始。

程なくして私は眠りに落ちる…ダミーリンクはちょっと遅れるけど問題はないみたい。

私のダミー人形は起きるのが少し遅い。そしてちょっとだらし無い。

私の性格の何処が出たのかしらね?416に叱られるからそこも直してほしいなぁ…

 

あ、イサカは何してるんだろう?

メンテナンス班の主任の背後から…抱きついて、ほう、肩たたき?

え、あんな調子で言ってたからMk23と同じ調子で視姦されるんじゃないの?

 

「あーら凝ってる凝ってる♪もみもみしましょうね~♪」

「あー…助かるわ~さんきゅーサッカ…つ…で……お……い……」

 

あ…ダメだ。そろそろスリープに落ちる…

認めないわよ、そんな微笑ましいやり取りだけじゃないって。

わた…し…が……

 

 

 

「眠っちゃった?」

「はい、スリープに落ちましたね。」

「ふふ、可愛らしい寝顔ね♪私の次に美しいんじゃない?」

「……そうですね、作業開始する、各員設計通りにやれよ」

 

 

眠った417の上着は剥がされて細やかな作業が始まる。

それに伴い衣服の着替え方もシステムにインストールしていく。

着替え方が分からなかったらポンコツも良いところだ。

淡々と黙々と職員は417にメスを入れる……

 

そんな様子をイサカは少し羨ましそうに見ていた。

寝転がったメンテナンス班主任の背中に乗っかりながら。

これが本当の尻に敷かれる男。

 

 

――――――――――――D08基地工廠・昼下がり

 

「工程完了、そろそろ目覚めるはずです」

 

職員の声だ…ぅぅん…何だか目覚めが怖いわ。

瞼を擦り起きると…姿見が置いてあって、私を映していた。

 

ベレー帽は取り払われライトブルーの髪飾りも片方のみになっていて、髪型はツーサイドアップ。

結ぶ飾りの色合いは黒とパープルのツートン。馴染みの色。

目元のタトゥーは無くなって…制服が…

学生服のブレザー風に改造され下乳辺りボタン一個で止められているツートン上着。若干袖が長くなってる。

あ、ブラウスがあるけど…なにこれ丈みじか!?おへそ丸見えよ…

ブラに包まれた胸はボンって出てるしおへそまで晒す事に…これは恥ずかしい…

上着がほぼイサカスタイル、ブラウスがU字におっぱい回避してるの!

ボタンは?は?どっちも一個だけ…?結局胸の守りはブラに頼れですって?

ミニスカートは柄が入りチェック模様、待って、鼠径部上からショーツが見えてるじゃない!?エグい角度の…サイドが紐のショーツ

変更されてるってことは…はぶっ…

 

「卒倒したぞ」

「何を想像したんだか…」

「不満をあげた416嬢に見せるのは?」

「画像データを送ればよかろう、妹君はこうなったとな」

 

無心で作業する職員と気絶したニュー417。

 

その後怒りの416がカチコミしてきたが職員は無常にも緊急停止コードを発動。

416は無事止められ粛々と処理。

苦情を上げたのを後悔して床で呆然とする416と気絶する417がそろって工廠に残された。

 

 

 

「う、うーん…」

 

あれ、私…バージョンアップは終わったんだっけ。

あぁうん、私の見た目は大幅に変わった。変態共覚えてろ。

絶対いつかカチコミして泣かす。

見せブラの次は見せパンツ…私はビッチではないのよ?

そもそも心が女じゃないのに…こんなメスガキ風に仕上げちゃってどうするのよ。

あ、416…眼の前で手を振っても気がついてない。

魂を抜かれたように中空見つめてブツブツ何言ってるの…?

 

私は間違ってない…間違ってない…間違ってない…

「うわぁ」

 

うわぁ。うわ言で何言ってるんだ。

うーん…ちょっと慣れないなぁこの髪型。

ずっと摘まれてるような感じ…縛ってるってやーね。

 

「……姉さん?」

「…何よ、その格好…アンタの指示!?」

「違います!I.O.Pの仕業ですぅ!」

「よし、今度一緒にカチコミ入れるわよ

銃器はダメだけどマーシャルアーツなら通るはず」

「はい!シメましょうね!」

 

思い切って姉さんなんて声かけしたけど成功だったかな。

また肩掴まれて詰められたけど今度はイイ笑顔で握手。

416の瞳に映る私もまた笑顔だった。

結構面影は残るけど印象が変わったから許容範囲内に収まったかな?

あ、416はマーシャルアーツなのね。

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・おやつ時

 

 

「そんな訳でリニューアルです」

「うわ、攻めたデザインだねー…このジッパー動くの?」

「はい、でも着用すると…I.O.Pのガチガチ行動阻害コードが邪魔してここまで上げきっちゃうんです」

「うわー…」

 

くるり、ターンして見せるとスコーピオンから声を掛けられた。

そう言えば今日は非番だって言ってたわね。ゲームしてる…後で混ぜろ。

一つ訂正、ここまで攻めてるのは私の意思じゃなぁい!

I.O.Pの見えない手が私をこう着飾らせるの!

ついでにバニースーツの着方までインストールされてて笑いも浮かんでこないわ…

誰が着るもんですか!

 

あら、何かしらバニースーツのデータに隠れてもう二つインストールされて…

……私は何も見なかった事にする。そんなの着たら416に絞め殺される。

せっかく仲良くなれそうな雰囲気なのにご破産にするもんですか。

 

「ただいま~♪あら、417ちゃん可愛くなったわね~♪

この辺もセクシーに出しちゃって…要望どおり?」

「全く逆になったわよ。」

「そぉ?似合ってるから良いわよ♪小悪魔なおませさんね♪」

「誰がおませさんだぁ!」

 

この弄り人形は…!

そこに直りなさい!修正してやるぅ!!

 

「お、喧嘩の開始ー?やれー!ブッカマシちゃえー!」

「何か面白そうな気配~」

「ふふ、元気な証拠ね♪416の妹ってアグレッシブなのね!」

 

外野が増えたが関係ないわよ!

さぁMk23覚悟しなさいよ、今日こそアンタを泣かすぅ!

あ、ブラ掴むなヤメロォ!あ、あー…!

 

 

私は無力でした。ひぐ…




即オチキャットファイト。417はどうあがいても勝てない。
実用性は無い、安心と信頼のI.O.P
416?もう姉堕ちしてるから。

まぁスキンで肌面積は減るから安心やで、417

*追記*

誤字報告感謝です


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Day10 417メンタル「くそざこ」

今回は短い。
チョロゲロ417ちゃん。 あとちょっと重いかなぁ?


――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・夜

 

 

「さて、暴れた罰を与えないと♪」

 

いきなりコイツは何を言い出した?

私のロッカーを勝手に漁って…まさか?

手に取ったのはバニースーツ!しっかりウサ耳まで取ってこっちに来る。

やめろ、やめろぉ!それを私に近づけるなぁ!

 

「暴れた悪い子には…コレを着てご給仕してもらいましょ♪」

「断る!」

「まぁまぁ、着ちゃいましょ~…ついでにそのバカでかいのどうやったか教えなさい…コノデカチチ…」

「嫌だー!服に手をかけるなぁ!ひゃっ!?」

 

うわ、何をするやめろ。

 

 

*衣擦れの音*

*あられもない悲鳴*

*悪乗りする人形の野次*

 

 

「じゃーん♪」

「……いっそ殺せ」

 

この低身長とおっぱいに見事に合わせたバニースーツ。

カフスもきっかりハマるし…I.O.Pは私の3サイズ把握してるのよね?

細部に渡るまでびっちりしてて逆に怖い、この網タイツとか食い込み計算してる上のサイズだ。

このロリロットの最大の魅力は…身長と胸以外のお尻とか太ももとか…

足の長さの比率とかは416基準をしっかり守られている。

頭と身長の比率はSAA並になってるのにね!

 

すれ違った時に目線の高さはほぼ同じだったと思う…

 

「じゃあ、まずはダーリンの所ね♪」

「ふふふ、面白そうだからついて行こうよ45姉」

「そうね~…あの417がどんな反応示すか楽しみね~…あ、そうだ」

 

シャッター音!?振り返った私の顔まで撮られた!

見ると45と9が揃って情報端末を構えて撮っていた。

待って?9が戻る?まさか…

 

416に見せるつもり?あー…私死んだかも。

Mk23に引っ張られながら私は死んだ眼で司令室に連行された。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夜

 

「何してるの、417…非情に眼福だけど、うへへ」

「殺せ、いっそ殺せ…」

「はい、ダーリンにプレゼント♪

今日のおやつは417で決まりよ」

「おやつ…?ねぇMk23~おやつって何のことよ?」

 

指揮官に真っ先に見せられる。

見られた…男に、こんな姿…見られた…

女の…男に給仕するための…姿…

うふ、ふふふへへ…ふへ…

 

「417の表情が死んでる件」

「おやつっていうのはダーリンの満足するまでおっぱいを~」

「あーわかった気がするからもう良いわ~」

 

…満足するまで見られるとかでしょ

そうは行かないわよ、どうせ416がカチコミしてくるわよ。

指揮官が心配そうにしてるけど知ってるわよ、ほら胸見てる。

どんなに心配でも欲望には忠実なのは知ってるんだから。

 

「Mk23、もう良い下がらせろ」

「えー」

「えっ…?」

「え~?」

 

正気?あのセクハラ魔人が「早く」

ありえない、ありえない…こんな姿見たら野獣のようになってもおかしくないのに。

私だったら舐め回すように見るのに…ありえない…

一応…あれかしら、指揮官としての…?

不満そうなMk23と45に指示して下がらされたけど…次は何処よ?

 

食堂?ちょっと本気で止めて…!

止めてよして…私にそんな事はさせないでよ…!

この姿で男に給仕?やだよ!やだよぉ!

助けてお姉ちゃん

 

 

――――――――――――D08基地食堂・夜

 

「ヒュー!見ろよあのおっぱいちゃん」

「すんげぇエロい…お触りは?」

「「ダメ~♪」」

 

もう無理…私が悪かったわよ…

あれ、ぐらっとくる…あは、ふわふわするぅ

 

「417ちゃん、さぁこのトレイで…え?」

「ん~?え…」

 

「ぅ…ぐぅぅぅ……ぉぇぇぇぇ…」

「おいおいおい…」

「美少女のゲロ…」

「人形でも吐くのか?」

 

あれ…?私?なんで吐いてるんだろ…嫌って言うつもりだったのに

わからないなぁ…()()()()()()()()()

したら…良いんでしょ?男に給仕…うふ、えへ…

 

 

「騒ぎを聞いてみたら…うちの妹に何してるのよ45…

確保、これから兵舎に叩き込んでくるわ、指揮官。」

『ご苦労さん、後で何か奢るけど何が良い?』

「ウィスキー、瓶ごと頼むわ」

『りょ、そこそこ良いの用意する』

 

416…おねえちゃん?それに指揮官の…声?

あは、あはは…心配なんてしなくてもいいのに…

あら…横抱きかかえ?

 

「そんな死にそうな顔で心配するな?

ふざけてるの!?

()()のことを心配しないと思ってるの!?まったく…この…」

「ぅぶ…」

「喋らなくていい、今は休みなさい」

 

「…416」

「黙って、45とアンタは指揮官の所に」

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・夜

 

 

「「「すみませんでした」」」

「何事?ねぇ、何事?」

「417に無理させて吐かせたんだって、指揮官が血相変えて各部に連絡してた」

「あーあの417捜索連絡はそうだったんだ…」

「今は416にまかせて私達は…見守ってましょ」

 

眠る417と傍らで添い寝する416

I.O.Pの簡易チェックでは問題なし

嫌がるAIに無理やりなスキン変更でAIがエラーを吐いていたんじゃないか?…との見解。

兵舎に並んで正座させられるMk23、45、逃げ切れなかった9

駆け戻ってきたM14はUziに経緯を説明されてHK姉妹を見守る。

スコーピオンは司令室に呼び出され拳骨を食らってる最中だろう。

 

今の417にはバニーは早すぎたのだ。

封印されて暫くは417の眼の届かない所に置くとのことだ。

断じて指揮官がハスハスするためではない。

 

「…少しは強く拒絶してもいいでしょ、バカな妹」

 

姉の罵りは人知れず闇に溶けていった。

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・深夜

 

 

「ん…ぁ…」

「目が覚めた?気分はどう…417」

「お姉ちゃん…うぐ、ひぐっ…」

「そう泣かないの、泣くのは女の最終手段よ」

「ちがぅ…私は…」

 

私は女なんかじゃない!男の心を持ったキメラなのよ!

言えない、言えないけど…違う、断じて違う…キモチワルイ

ボロボロ溢れ出る感情が抑えられない。

 

「違くないわ、アンタは私の妹で完璧な狙撃手

感情がボロボロ出るクセに拒絶が下手くそな女よ」

「ぅぐ、でもっ!」

「まぁ完璧な私と比べるのは…酷だったかしらね?」

「違うの…違うの……わたし…」

 

遠い昔になってしまった記憶にしがみついて否定するけど…

寒く震える私をあやすようにお姉ちゃんは抱きしめて背中を擦る。

ぎゅっと抱きしめられる…お姉ちゃんの胸に抱かれて…

温かい…私の本当のお姉ちゃんみたい…ふふ、ふふふ…

お兄ちゃんにもしてもらったこと無い…優しさ…

家族って暖かいものだったっけか…

 

パパ…ママ…どんな人だったっけ?

お兄ちゃんは私が死んだことを知らなかった…

友達は…就活で私からどんどん離れていったっけ…

家族って…寒いものじゃなかったっけ…?

 

「もういい、一人で寝れる」

「そう…でも起きたくないからこのままよ、朝まで観念して」

「じゃあ一緒に寝る…」

 

大好きなお姉ちゃん…あったかい…

みっともない妹でごめんなさい…

 

 

笑顔で泣きじゃくる417

胸元を濡らされても咎めない静かな416

抱き合う二人を窓から覗く月明かりが照らしていた

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん、行こ♪」

「えぇ…指揮官が待ってるわ…」

 

バスケットを抱えて走る

小春日和の草原に複数のレジャーシートを広げて

待っていたのは指揮官・45・9・G11…スコーピオン・M14・Mk23・Uzi

皆見慣れたカジュアルファッション

たのしいピクニックはこれから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どんな夢見てるのかしらね…こんなに笑顔になって…」

「……ふふ……おねぇ…ちゃん♪」

 

まぁ悪くないわね…姉というのも。




拒絶が超絶下手くそ女
無事妹堕ち完了です、そして416の姉力を見ろ。


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Day11 こうして花開く

妹堕ちの次はなんだろうね~?


――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・朝

 

 

「ん…」

 

誰かに包まれている…目が覚めた私はぽやっとそんな包んでるのをむにゅり

…むにゅり?離れない…あれ、なんで…

 

「んん…」

 

頭上から聞き慣れた声がする、あ…そっか

昨日は結局お姉ちゃんに添い寝してもらったんだった。

てことは今掴んでるのは…おっぱい…

何でもない、何も胸が高鳴らない。

男の頃は見てるだけでも楽しかった物だけど…どうでも…

ううん、どうでもは良くないけど…別にいいかなって感じだ。

 

「おはよう、417…その手はどけて?」

「ごめん、お姉ちゃん…おはよ」

 

ちょっと変わった朝を私とお姉ちゃんは迎えた。

ふふ、お姉ちゃんくすぐったそう…

 

 

「おはよう、HK姉妹」

「「おはようMk23」」

 

通気性を考えて上着着崩していたお姉ちゃん。

姉妹揃って寝起きで着崩してると何だかアレした後みたいで…

Mk23は昨晩の事もあってかちょっと余所余所しかった。

けど、行先は指揮官の元ね…変わらず、一途というか。

乙女まっしぐらきっと直後には素敵なショータイムね…

 

「お姉ちゃんはこの後どうするの?」

「4小隊の出撃があるわ、食事して出るけど…

一緒に寝坊助のお世話に行く?」

「うん、行く…G11でしょ」

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・朝

 

「あ、おはよ416に417」

「おはよう、すっかりお姉ちゃんが板についてる♪」

「おはよう、先に支度してて後で向かうわ」

「……おはよう」

 

苦手なのが…うぷ、また戻しそうに…

朝から兵舎でゲーゲーしてたら迷惑だしこらえるけど…!

そしてお姉ちゃんの影に隠れながら進んでいくと…起きてなきゃ不味いのに…

ぐーすか寝てる寝坊助が居た、幸せそうな寝顔。

 

「起きろ、朝だよー」

「んー…うるさいよ416…あと24時間寝かせて…」

 

まずは…と私からゆさゆさ揺さぶって起こしにかかるけど…

そんなんじゃ起きなくて唇をへの字に突き出す…へぇ…

私をお姉ちゃんと間違えた…お姉ちゃんはそんなに優しいかしら?

 

「ん?声がロリっとしてたような…それにこんな起こし方じゃ…」

「ロリで悪かったわね!」

「おぉー…これは楽だー…移動しながら寝れる…おやすみー」

「417そのまま食堂に連れて行くわよ起こすのはそこでいいわ…いつもの手荒な起こし方するから」

「らじゃー!」

 

よっこいせー…っと背中に負ぶってそのまま歩く。

抱っこは無理、私おっぱいでっかいもん。

丁度いいカウンターウェイトと思えば良い。

えっへへ、これで少なくとも私はG11よりはお姉ちゃんね!

 

 

――――――――――――D08基地食堂・朝

 

 

「お待たせ」

「あだっ…暴力反対だよぅ…」

「起きないアンタが悪い、降りて」

「はいはーい…またよろしくね、417タクシー…」

「私からも一発貰いたい?」

「妹まで暴力だぁ…」

 

背負った状態のG11はすっかり寝入っていた。

お姉ちゃんの目覚めの拳骨が頭に降って無理やり起こされてる。

先に食堂でスペース確保してたUMP姉妹と合流、食事?

お姉ちゃんが完璧に3膳持ってる。今日は1枚で終わるメニューだもん。

ハムエッグサンドにBLTサンド…朝のメニュー…?調理班今日は誰よ?

まぁいいわ、起きたなら…とG11を下ろして私も相席する。

場所はもちろんお姉ちゃんの隣、G11もお姉ちゃんの隣。

 

対面のUMP姉妹は何だか微笑ましくこっちを見てたけど…何?

45のニヤニヤ顔はキライ!

 

「416~お姉ちゃん、良いでしょ~?」

「面倒を見る相手が増えただけ、さっさと食事を済ませて出撃するわよ」

「顔、ニヤけてる♪」

「ニヤケ顔で言われてもね~」

「っ…黙りなさい!417も…なんでそんな顔して…抱きつくな!」

 

えへへへ~知ってる、お姉ちゃんの胸の内は分かりやすいよ。

私と同じで表情に出やすいんだもん。

食べづらいかもだけど、私はお食事中ずっとお姉ちゃんに抱きついてた。

 

「こうもうるさいと寝ながら食べれない…」

 

G11、食べるか寝るかはっきり区別したほうが身のためだと思うけど。

喉詰まらせてもしーらない。私はしーらない。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

Mk23はもう居ない、お仕事モードの指揮官が居た。

食事を終えたお姉ちゃん達は足早に出撃していった。

今週の午前中組が第4、午後が第2…そう言えば任務自体は簡単な警備がほとんどだからローテーションなの

私達人形だから疲れとかは人間に比べて感じないよ?と聞いたことがあったけど…

指揮官はどうも私達を人間と同じ様に扱いたいらしい、物好きで甘ちゃん…

 

「そんな顔しても417は出撃させないぞ」

「むー…お姉ちゃんと一緒がいい…」

 

やだやだとは言わないけど偽らざる本心はそう。

お姉ちゃんと一緒の隊で出撃したい。

どうにかならないかなぁ…私が戦闘では完璧な所見せたいのに。

私はあんまり出撃させてもらえない。まぁ心配なのかな?

 

「あ、そうだ…今日副官やってくれる?

まだ決めて無くて…最悪無しでも良かったんだけど」

「やる」

 

そうだ…副官業務について私は未経験だ。

教えてもらえばすぐに覚えれるのが人形の良いところだから…

ほらあった、報告書形式のデータ媒体

 

「じゃあ、そこの椅子に座って。最初だからそのフロッピーからデータを…」

「これでしょ、これにやり方とかのデータが入ってるのよね?」

「流石、じゃあよろぴく」

「うん、任された」

 

指揮官は結構ノリが軽いし緩い。

けど…仕事に関しては結構真面目でセクハラ目線も鳴りを潜める。

今日一日副官したらより理解できるかも。

副官用の椅子に座ってデータインストール、仕事開始!

れっつわーきんぐ!

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「ふぅ…もっと出来るけど」

「良いから休憩、ついでにおっぱい揉ませろ」

「……お姉ちゃんに言うよ?」

「あっはい…ごめんて、冗談だよ」

 

お休み時間に入った。

私は別に休まなくても良いと言ったけど指揮官が良いから休むんだと命令してきた。

休むのが命令っていうのも変ね。

で、おやすみモードの指揮官は内面の変態っぷりを表した。

手をワキワキしながらこっち見ないで、セクハラよ。

着任当初なら私、無言でアームロックしてたのに…暴力で黙らせるって思考に行かなくなってた。

おかしい、おかしいけど胸にすとんと落ちていく。

 

言うほど、私…嫌って気持ちが浮かんでこない。

どうしたんだろ…おかしな私。

 

「今日のお昼はなんだろな…」

「アメリカンピザらしいよ、指揮官」

「ほー…お、来た来た…」

「肉肉しいピザ…指揮官、太らないようにしましょうね?」

 

朝がサンドイッチでお昼がピザ…炊事担当今日休みか何か?

晩ごはんもこれは期待できなさそう…あ、美味しい…

ジャンクフードだけど美味しいのは認めるわ。

ムカつくくらいに…

 

これなら私がお料理したほうが良さそう。

ここの職員の総数なんてそう多くないわ。

夜がダメだったらちょっとカチコミしようかしら…

あ、でも大凡30人の食事か…大変よね。

 

「そう言えば調理班の風邪パンデミックってマジ?」

「…スイマセン、暫く冷食っす」

「まぁ不味いレーションよりはマシでしょ」

「今週の出撃が第2じゃ無かったら…まだヘルプ呼べたんですけど…」

「あー春田マッマ…兼務はさせれないしなぁ」

 

むー…そういう理由かぁ…第2部隊にお料理上手の人形がいるのかな?

今度教わってみて私が補欠で行けるようになったら…

配膳に来た職員は本来メンテナンスの人だ。

申し訳無さそうだけど仕方ないわね、うん。

 

胸の中でも罵ってごめんなさい。

 

「にしても今日はおっぱいちゃんが副官っすか」

「お前が言うおっぱいちゃんは多いから分からんぞ」

「おっぱいちゃん言うな」

「今度暇な時に相手してくれたら考えるわ」

 

むー…私のことをまたそのあだ名で呼んでー…

というかおっぱいちゃんってあだ名多いのね。

あのメカマンは…出ていくまで私の胸をガン見して…

私の顔見て手を振った、二度と来るな。

 

「よし、食ったら軽く運動して…お仕事だ」

「運動?」

「そ、イイ運動だぞぉ…417も協力してくれると…ぐへへ」

「…その顔はセクハラ?嫌よ」

 

あ、分かったMk23が突撃して来るんでしょ?

 

 

食べ終わった頃にMk23が突撃してきて指揮官に抱きついていた。

運動って?お姫様抱っこしてスクワット、背中に乗ってもらっての腕立て伏せとか…

所謂筋トレだった、変態の耐久力の秘訣はここにあったのかしらね。

おっぱいブーストとかいって目標数付近でMk23がご褒美してた…

おもしろくなーい…あたまわるーい…

 

 

昼下がりにお姉ちゃん達は帰ってきて、逆に第2部隊が出ていった。

基本的な人数が4人体制だ…となると…今の私の副官ってポジションがちょうど良かったりするのかな?

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夜

 

 

「おつかれおっぱい」

「何言ってるの?」

「ごめんなさい」

 

大まかな仕事が終わったら気が抜けたのかな。

午前の作戦報告書を作成して本部に提出済…今日の業務はもう殆ど残ってない。

ま、まぁ…毎日休まずお仕事してる指揮官だから…

ちょっと位は許しても良いのかな…なんて思ったり。

きっと指揮官は我慢してると思う、控えめに言って美人の部下を持っていて…生殺与奪も意のまま。

並の男だったら…贔屓にする娘が出たりその逆が起きたり。

基本的にアプローチはしないで…向こうから待ちなセクハラしかしない…

ヘタレなのかもしれないけど…うーん…

 

「417、どうしたそんな顔して?」

「んーん、何でもありません」

 

何時からかな、こんなに気を許してるの…

あ、第2部隊が戻ってきた。

ヘリの音がした…この作戦報告書を書けばおしまい。

書き上げるのは私の仕事で、承認は指揮官。

 

余談だけど、私の字は本来雑だったけど…綺麗な丸文字に変わっていた。

自分でもビックリしたけど…女の子らしいかわいい文字だって指揮官は褒めてくれた。

女の子…女の子かぁ…

 

「ニヤけてるぞ、417」

「ほぇ?嘘…ほんと?」

「ほれ、それがニヤけ顔と言わずして何という?」

()……これが…?」

 

指揮官の手鏡に映し出される私は()()()らしい柔らかい笑みを浮かべていた。

もう吐き気は浮かんでこなかった。




ふぅ…口に合ったかなぁ?
合ったなら良いけど…


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Day12 工廠主催、お着替え会とドンチャン騒ぎ

届くI.O.Pからの小包と言う名のスキン集


――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・朝

 

新しい朝…今日も一日暇だけど私はどうしようかな?

指揮官の所に行くか…お姉ちゃん達の所に行くか…

メンテナンス班のお兄ちゃん達の所に遊びに行こうかな?

あ、そうだった…お料理とか覚えたら良いかな…

調理班が壊滅してるんだから…データルームとかに資料あるかな。

 

「おはよ、417ちゃん♪」

「あ、おはよ♪Mk23」

 

今日も元気なMk23が起きてきた。

指揮官の所に行くんだよね…ちょうどデータルームに行くし…私もついて行こうかな。

身だしなみを整えて…ん…んー?

寝癖が立ってる…ぴゃぁぁ…このまま出て行ってたら恥ずかしかったぁ…

 

「あら?」

 

手櫛を入れて…ちょっとズルだけど髪型一度解いて…それからもう一度結直す。

うん、完璧…これで指揮官に会っても恥ずかしくない。

不思議そうにMk23が私を見てる…なに?

 

「ううん、女の子らしくなったって思って♪

ダーリンの所に行くの?」

「んー…副次的に」

「じゃ、一緒に行きましょ♪」

 

朝から肩を並べて歩くのは…新鮮。

指揮官も驚くかな…驚いた顔、可愛いから見てみたいなぁ…

 

 

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「はぁい、ダーリン♪今日もわたくしがやって来ました♪

ごろにゃぁん…もっと見つめて…♪」

「よぉしよしよしマイラブリーエンジェルソーコムちゃん今日もエロ可愛いなぁ~♪」

 

「あはははー…指揮官、データルーム使いますよ」

「ん、あぁご自由にー」

 

ごろにゃぁん…ごろにゃぁん…

強烈な甘え方だったなぁ…Mk23…

飛びついて指揮官の膝の上にすっぽり身体をこすりつけてたし…

やっぱりサキュバスなのかな、大胆なのー…

 

さてと、私はお料理について学ばなくちゃ。

資料はあるかな…

 

 

 

結論から言います、ありませんでした…ちぇっ

あと、ついでにお兄ちゃんにまた連絡してみたの。

いくつかお話して…最後にいつまでもヒキニートしてたらカチコミ食らわすぞ

って脅したの…凄みが無いから笑われたけど。弟みたいなこと言うなって…ちょっとドキッとした。

…今度お休み貰った時に外出届出してみようかな。

ここから行けなくない距離だし…やってみたいこと…増えるなぁ

 

 

データルームから出ると指揮官とMk23はまだ居た。

 

「今日の副官はMk23に決めたから、417は…」

「ダーリン♪」

「調子ノリました、申し訳ない」

 

指揮官尻に敷かれてるなぁ…仕事の後でちょっと顔だしてあげようかな…

Mk23は飴と鞭上手に使い分けそうだけど…今日は鞭が多そうな予感だし。

ばいばいって手を振ってから私は…

 

あれはメンテナンス班の主任…どうしたんだろ。

 

「あ、417ちゃん…ちょうどいい所に、工廠に来て欲しい。I.O.Pからプレゼントが届いてるぞ」

「…ぇー」

「嫌そうにしても…届いたもんはしょうが無いから着てきて」

「穴開きニットセーター・童貞を殺す服…その他にあるの?」

「よくご存知で…」

 

人形ですから、情報を見ないと思ってるの?こっちは417よ、舐めるなっての。

むん、と胸を張ると…あー知らない、私の胸に見とれるなんて…

イサカに言ったら面白そうだから強請りのネタにしーよお♪

 

 

――――――――――――D08基地工廠・昼

 

 

私は今3つの衣装の前、ぽやっと立ってます。

I.O.Pから届けられた衣装の確認をしてるの…メンテナンス班主導で。

一応の更衣室があるからそこで着替えるの。

着替えデータの無い1着分は追加でデータが来てたからさっさと導入した。

 

お着替えタイム…もう私は拒まないよ。

コレを着ても、私は私…417、受け入れたの。

最初はこれにしよ、普段着にしても…良いかも。

 

「じゃん♪」

「黒のニット…ミニスカートも合わさってSoGood…」

「おっぱいやべーな…そして背伸びしてる感ある見た目もすこ…」

「だが完璧だ…いい仕事っすI.O.P」

 

まずは1個目、胸元に謎のスリットがあるニットセーターセット。

タートルネックな黒のセーターにブルーグレーのミニスカート

下着はショーツのみ、髪型は三つ編みに変更でアクセサリはメガネ。

足はガーターベルトが覗く黒のニーハイソックスとブラウンのブーツ。

 

スキンネームは「冬の勝負着」

 

「おほん…サイズ的には大丈夫そうだね?」

「うん、問題ないよ、主任のお兄ちゃん」

「…もう一回」

「お兄ちゃん?イサカに怒られなーい?」

 

あ、黙った…うしし、脅しのネタゲット♪

私の笑顔に思う所があったみたい…まぁいいや、次は…

 

ごそごそ…もそもそ…

 

「どうだー♪っと…ごめん、ボタンが一個壊れちゃった」

「これまたおっぱいが…ちょっと見抜きいいっすか?」

「ダメだ!」

「ダメだ!」

「ダメだ!」

「そいつを今すぐつまみ出せ」

 

エントリーナンバー2 スキンネーム「童貞スイーパー」

 

髪型に変更は無くて髪留めがパープルのシュシュに変更

縦折りがいくつかデザインで入ってるブラウス…ちょっと胸元がキツくて2個+1ボタンが留まらない。

派手な赤の見せブラが谷間のY字から顔をのぞかせている。

白のブラウスと対になってる黒のコルセットスカート。防御力はピカイチかも。

ふりふりのフリルがいっぱい着いててちょっとゴスロリチックかな?

腰、背中の方ででっかい飾りリボンがあるのもポイント。

 

「まぁそういうデザインだから胸のボタンについては問題ないはず」

「そっかぁ…データ修正しておくね」

 

I.O.P職員のミスだね、カチコミ時に清算させる罪リストこうしーん。

鼻の下ダラダラ伸ばしてるメンテナンス班にお尻を向けて最後の…

ある意味ではバニーと並ぶのかも…あ、指揮官からバニースーツ返してもらお。

 

…うわ、背中とかほぼ裸じゃない?

 

「じゃーん…ちょっと恥ずかしい」

「ダボ袖チャイナか…」

「うわ、背中えっろ…」

「谷間と横乳を忘れるな」

 

エントリーナンバー3 スキンネーム「にゃんにゃんかんふー」

 

胸元の留め具が猫の肉球なチャイナ服

付け袖になっててとってもダボダボ、色はパープル

背中は首と腰で留まってるけど背中がすーすーする…でっかいひし形のスリットがあるの

胸元は穴開きニットと同じスリットだよ。

素足を晒すのはなにげに初めてかも。

ドレス自体の丈?ミニ丈だからちょっとポーズすると見えるよ?

下着は白に変更…ただ際どい形状で恥ずかしい。

 

以上、衣装は問題なし。

制服に戻って…よし、着替え完了。

 

 

 

「ねぇ、主任のお兄ちゃん…ちょっとお願いあるの」

「ん?こう見えてお兄ちゃんは忙しいんだけど」

「イサカにさっきの着替えショー中の表情「分かった」いえーい♪」

 

「まぁ身構えないで、お兄ちゃん…私のお願いはね…」

 

お料理についてのデータをどうにか工面してくれない?と聞いたら諸手を挙げて喜ばれた。

あ、ついでにI.O.Pに連絡してる…仕事熱心って事でいいかな~?

明日にはデータ出来てるかな?楽観視かな…

衣装小脇に抱えてトコトコ私は工廠を後にした。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・おやつ時

 

 

「という訳でバニースーツ返して」

「無理してない?」

「してない、何ならまっさきにご奉仕に来てもいいよ?」

「嬉しいけど416に殺されないかと不安になるから遠慮する」

 

お~真面目、それでこそ指揮官だね。

小脇に抱えた衣装にも目を向けられたし今度証明に着てこようかな。

指揮官の反応を見て楽しみたい。

気持ち悪いって感情は無くなって今はそんな悪戯心が湧いてくる。

それに…ちょっとの事故は仕方ないよね…

 

「えへへ、ありがと」

「おう、用はそれだけ?」

「んー…うん、お仕事頑張ってね」

 

指揮官の私室に隠してあったのね。

私の目から遠ざけておけばOKみたいな感じ…だったのかな。

 

後は何しよっかな…

 

 

 

「あ、しまった…417用の情報端末が届いてたんだった…渡し損ねたな」

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・夕暮れ

 

 

「おー417上手いね」

「ふふん、私にゲームで勝とうとは…100年早いわ」

「M14なんで私ばっかり狙うのよ!」

「Uziがダメージ蓄積してるんだから残念だけど…」

「はいメテオ」

「あ"あ"あ"あ"あ"417あんたねぇぇ!!」

「容赦ないなー…でもアタシを無視したのは間違いね、ボム兵!」

「にゃぁ!?」

 

ロッカーにいっぱいになった衣装を叩き込んでスコーピオン達とス●ブラしてた。

トップが私、張り合ってるのはスコーピオン

乱戦で強いのはM14で…Uziは結構読みやすくて置きスマッシュが入る入る。

 

「よそ見とは…スキありぃ!」

「ジャッジ」

「なんて強運!?あー…またドベかぁ」

「乱数読みも完璧よ」

 

スキは無いわよ、私。

さぁどんどんかかってらっしゃい!かまーん!

あ、待ってスマッシュボールはダメよ!

 

いやーん…おねぇちゃぁぁん…

 

「ッシャァ!!並んだわよ417ァ!」

「ま、負けないもん…!」

「私も巻き返すよ…勝利のために」

 

「泣きそうな417を察知したわ」

「面白そうな♪」

「空気だから~」

「眠い…寝て良い…?」

 

ウッソでしょお姉ちゃん。

今頃戦術データの読み漁りしてる頃なのに。

あとG11、眠るなら布団をしっかり被りなさい…

お姉ちゃん、顔…顔…ギリギリ歯を鳴らしちゃだめー!

女の子がする顔じゃなくなってるぅ…

 

「おー…一気に人が増えたし次は何しようか」

「どうせだしカードゲームでもする?」

「お、良いですね…いただき!」

「く…まだまだぁ…そこ、逝ね!スコーピオォォォン!!」

「う"あ"!?だー…」

「ナイスよ417その調子、落ち着きなさい」

「お姉ちゃん…かおかお」

 

第3部隊兵舎はその日すごく騒がしくて第1部隊のFALに注意を受けた。

でも私反省しないもーん。

 

「む…」

「お姉ちゃん?」

「っ…こっちね!あぁぁぁあああぁぁぁ!?」

「ジョーカーありがと♪」

 

「416うるさいよ…」

 

懲りずに私とお姉ちゃんとUMP姉妹とでババ抜きしてた。

UMP姉妹と目を合わせられないし…私も表情に出やすいからUMP姉妹はさっさとあがった。

45に睨まれるとあの時の恐怖がちょっと思い出されるの…苦手意識が出来てるのかも。

9はずっと笑顔でよくわかんない、怖い。

結局お姉ちゃんとの一騎打ちになってババの送り合い…

こっちかな?

 

「んにゃぁぁ!?」

「ふ…まだ負けないわよ」

 

「417、うるさーい…」

 

どうしよう、お互いに読めるからババの抜き合いになってるよぅ…

お姉ちゃんも遠慮が無くなって本気になってるし…

ま、負けないもん…こっち!こっちぃ!

あ、待ってお姉ちゃんそっちはだめ、ダメだってば!

にゃぁぁぁぁぁん……

 

 

「腹いせに417のベッド独占してやるぅ…」

G11はふて寝していた。

 

あ、そうだった…ここらで切り上げて…

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夜

 

 

指揮官はもうお仕事を終えてリラックスモード…もうすぐしたら私室に籠もっちゃう。

Mk23は兵舎に戻ってきていてすれ違いにおやすみって言っておいた。

 

「こんばんは、指揮官」

「んぉ?ぉー…417かぁ?」

「うん、当たり…何してたの?」

「寝る前の休憩タイム…そういう417は何か用?」

「用事がなきゃダメだった…?」

 

二人がけのソファーでだらーっとしてた。

アイマスクもして…お疲れさま。

勝手に失礼して…おとなりにぽすんと座る。

 

「あのね…指揮官」

「うん」

「ありが…と……色々心配かけて、ごめんなさい」

「うん」

 

全然私は大丈夫じゃなかった。

指揮官の目は間違ってなかった…危うい私を変態なりに見ていたのかも。

ちらっと横を見ると…あはは、目線…おっぱいに釘付けだ

 

「お礼に触っても良いって言ったら?」

「遠慮なく揉みしだく」

「そこは遠慮しようよ…ふふふ…」

「遠慮がちならOKって事でファイナルアンサー?」

 

どうしようかな…ここでOKなんて言ったら…指揮官暴走しそう。

目が血走ってて鼻息荒くなってるし…怖い怖い。

 

「っと…すまない」

「…えへへ♪」

「おいおい、俺汗臭いぞ…」

「いーのっ」

 

怖くて苦笑い浮かべたら流石に察したみたい。

肩に頭を乗せると指揮官は慌てて…カワイイ。

嗅ぎ慣れた働く男の汗臭さ…今は良いなって思える。

くんくん…うん…指揮官のニオイ…

 

「…まぁまた無茶はしてくれるなよ?」

「うん、お兄ちゃ…指揮官」

「ごめん、もう一回」

「なんでもないでしょ?」

 

ぷいっとそっぽ向いたけど…あーあー指揮官の覗き込む気配ぃ…

ちらっと見たら…ニヤニヤ顔の指揮官が私を見てた

瞳に映された私は顔が真っ赤だった…

 

 

散々からかわれたけど悪い気はしなかった。

ついでに情報端末を受け取った…私の情報端末…

ん?メッセージだ…なんだろ。

 

「おやすみ、417。リラックスして寝ろよ」

 

心配性だなぁ…本当にお兄ちゃんみたい…

メッセージ返して…寝よ…

 

 

 

 

 

 

 

ピロリン♪

「おやすみ、指揮官のお兄ちゃん」

 

お兄ちゃん…か…まぁ今の417は確かに妹みに溢れているが…

俺みたいなのが兄ねぇ…変態が兄って物好きだな。

417のおっぱいは良かったなぁ…いつか揉みたい、揉む。

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・深夜

 

 

「あははは……」

「ぐー……かー……」

 

私のベッドが占領されてる…と思ったら…

G11が拗ね顔でど真ん中に鎮座してた…ごめんてごめんて…

でも私だって眠いし…お隣失礼しますよ?

あとはお姉ちゃんと同じ様に…こうして…ぎゅっとしたら…良いかな?

 

「もが……」

 

あ、ブラが邪魔かな…誰にも見られないだろうし…寝る時くらい…良いよね?

ちょっと悪い子になった気分…さてと、G11…お姉ちゃんが一緒に寝てあげるからね♪

 

 

翌朝、なぜかベッドに潜っていたお姉ちゃんも相余ってG11は珍しく朝自発的に起きた。

HKおっぱいサンドは息苦しい…幸せな柔らかさ?…どっちか単体で楽しみたい。

そうマジ顔で話したの…あとお姉ちゃんに怒られた。

 

寝る時くらい良いじゃないの…ぶー…

余談だけどダミーはもうそういう寝方してたらしい。

ダミーも揃ってお姉ちゃんにガミガミ叱られた…




もうゲロは吐かないよ、ゲロインスキーは儚く散れ。
これからは可愛くなっていく417ちゃんにご期待を…

416と417のHKサンド、G11はへろへろに。


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Day13 可愛いは正義

奮闘する417ちゃんは可愛い?可愛いヤッター?


――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・朝

 

自発的にG11が起きる珍事とお姉ちゃんによる私へのお説教って言う物珍しい朝が訪れた。

Mk23はそんな様子に目を瞬かせていたけど指揮官の所に行っていた。

あと私はエッチな子じゃない、そこだけは言わせて貰おう。

 

G11ヘロヘロしてたし…大丈夫かな?

心配だし後で追いかけようかな…最悪ダミーに視察してもらえば…

 

 

ピロリン♪

「417、今日なんか工廠に行って欲しいんだってさ。

工廠のおやっさんが417にって伝言を頼んできたぞ…何頼んだんだ?」

 

カコカコ…

「ひみつ」

 

例のデータが届いたのかな?腕がなるわね…!

すぐにでも行って今の食糧事情を…改善しないとね!

 

 

――――――――――――D08基地工廠・朝

 

「おはよ、主任のお兄ちゃん」

「おーおはよう417ちゃん…ふぁ…ぁ」

「おっきなアクビだね、眠い?」

「まーな…」

 

ありゃりゃ、主任さん眠たそう…

聞くとI.O.Pと深夜までやり取りしてたらしい…

で、これはなーに?って感じの小包も届いてる…

 

「そりゃ417ちゃん用の料理衣装だな」

 

またなの?I.O.P豪勢だね…だから私にここまで…

データインストール……ん、完了かな?

お料理のメニューは…んがっ…多いなぁ…

じゃあちょっと着替えて早速キッチンに潜入してみよう…

 

衣装は何だろ?あー…なるほど、そうきたかぁ…

フリフリのカチューシャ…エプロンドレスに白ニーソ…

まごうこと無いメイド服だった。

しかもフレンチメイド…ま、まぁ大丈夫…お料理するのに最適だと思うわ。

 

「更衣室借りるね」

「おう、ついでに定番セリフも頼むよ~」

 

定番セリフ?あぁ…アレかな?

うわ、このブラウス乳袋処理されてる…細かいなぁ…

驚くほどすっぽりハマる…

 

フリル多すぎない?服飾部門の本気ここに見る…

 

「お待たせしました、ご主人様」

「アーイイ…アー…」

 

メイド服の内訳はこう。

白いフリルのヘッドドレス、パープルカラーのリボンでポニーテール

白いブラウスは乳袋加工、黒いベストはおっぱいを回避、おっぱいを強調する。

黒いスカートの前にはエプロン…ふりふりのフリルたっぷり、パープルのラインが私らしいかな?

黒のガーターベルトに白のニーハイソックス。

 

カーテシーの仕草までインストールされてた。芸細。

主任さんのリクエストは消化したし…いざ私の戦場へ!

…とその前にダミーに着替え回収させとこ。

 

 

――――――――――――D08基地キッチン・昼前

 

 

突然現れたメイド姿の私に驚いてる職員。

あれ?この人達見たこと無い…だぁれ?

あー…調理班の人なの?もう風邪は平気?

むぅ…私も頑張ろうって思ったのに空振りかぁ…

 

「野郎ばかりのキッチンに華が増えるのは良いことだ、手伝ってくれる?」

「はい♪がんばりますよー!」

 

ふんす、と鼻を鳴らして頑張る意欲を見せる私。

見てる調理スタッフの微笑みにつられて私もえへえへ笑ってた。

 

だが、私の前に立ち塞がったのは…とある障害でした

私の身長は140に満たないちんまーいボディです。

それに対してキッチンは…高かったの…

急遽踏み台を用意してのお料理です。

 

忙しなく動き回るキッチンの中で私が担当したのはスープ。

トマトが多く残ってたのでさっと煮込んで美味しく戴くとしましょう。

余り物の野菜も入れ込めば栄養価も上がって良いことです。

味付けはコンソメで良いかな…本当はこだわって作りたいけど時間は有限。

量を作らないといけないし泣く泣く断念。

 

軽くトマトを皮むきして…じゃがいも、玉ねぎも同じく皮むき。

手際が良いって言われたけどほぼズルしてるから喜んで良いのかな?

 

材料はトマト、じゃがいも、玉ねぎ、長ネギにコンソメ

ざく切りにしてお鍋の中へ、オリーブオイルをかけてちょっと弱火で煮る

柔らかくなってきた所で水を入れて…次にコンソメを投下。

香りは良いかな…味は…まぁこんなものかな。

私の好みが濃ゆい系だからコンソメは多め…だけどどうかな?

 

「どれどれ…出来上がった?」

「あ、はい…どうですか?」

「……ちと濃ゆいが及第点だな。野郎には417ちゃんのお手製と言えば喜ぶだろう」

「ぁぅ…」

 

わしゃわしゃと頭を撫でられた。

コック長さんの手大きくてゴツゴツしてた…

今度お料理教えてくれるってお約束もとれたし…今日はこれで…

 

「もし良ければ配膳してくれる?」

「やります!」

 

はい!と手を挙げて意思を見せたらまた頭を撫でられた。

髪型が乱れるぅ…

 

 

――――――――――――D08基地食堂・昼

 

 

「いらっしゃいませ、ご主人様♪」

 

食堂にお食事に来た職員をそう迎える。

ちょっと恥ずかしいけど私は今ノリノリです。

いつからメイドカフェに変わった?とか質問されましたけど…いつもの食堂です。

お1人やお2人様はカウンター席へ。3名様以上のお連れ様はテーブル席へ。

出ていく職員まで把握してるので完璧なの、えっへん。

 

「今日はどうしたんだ、あのおっぱいちゃん…」

「さぁ…主任から聞いてたけどマジ眼福…」

「つーかおっぱい強調しすぎじゃね…誘ってんの?」

 

誘ってないです。I.O.Pの趣味ですー

お食事よりも私の方に意識が向いてる職員が多いですね…

 

 

「417どうしたのその格好!?また無理してないでしょうね?」

「あ、お姉ちゃん…今回は私の意思で着てるし給仕してるから平気だよ。」

 

「417ちゃん可愛い~♪1枚撮っても良い?」

「ふ~ん…かわいいじゃな~い…お仕事終わったら一緒に食べましょ~」

「ついでに全部食べさせてくれたら嬉しいなー…寝れるし…」

「はいはい、後でね…ご案内します♪」

 

出撃から帰ったお姉ちゃん達が来た。

私の格好としていたことにお姉ちゃんが血相変えてるけど…笑顔で大丈夫って言って…

空いてるテーブル席にご案内

 

「シェフ、4名分お願いします」

「あいよ…今日はこれで終わりだから上がって良いよ。俺はこれからまだダウンしてる残りのヤツのお粥を作らねばならん…」

「あ、はい…では、お疲れ様でした」

 

大きなお盆に載せられた5人分の食事。

今日のメニューはトーストにサーモンサラダ、ハムエッグ。私のトマトスープ。

 

「お待たせ。それと…今日はもうお上がりだから一緒に食べよ?」

「……本当に大丈夫なのね?」

「大丈夫だって…もう…」

「416は心配しすぎだよ、それより食べようよ!」

「積もる話は食事しながらでもいいでしょ~?」

「じゃ、417頼んだよー…あー…」

「はいはい…あーん…」

 

ひな鳥みたく口を開けてるG11にご奉仕です。

心配性なお姉ちゃんはオロオロと私の方を見ているけど…大丈夫だよ?

45はいつものよく分からない感じで9はニッコニコ。

なんとなくだけど9は本心で笑ってる感じ…

 

「うまうま…」

「417も食べなさいよ?G11を甘やかしてばかりじゃなくて…ほら、G11は起きなさい…自分で食べなさい!」

「はいはーい…ちぇっ…」

 

お姉ちゃんが怒った、G11も渋々自分で食べだした…

良かったのになぁ…妹みたいで私は甘やかしてもいいと思うけど…

 

「甘いわよ、417…コイツは甘やかすと何処までも堕落するから」

「いやぁー…それほどでもー」

「褒めてない!」

「ぃっだぁ!?」

 

「417~痛いの痛いの飛んでいけ~ってやってあげなよ~」

 

「お、なんだ何だ?」

「あ~またあの姉妹おっぱいちゃんが騒いでるのな…」

「んー…しかし、良い…」

 

「そこの職員、あとでシメるわよ。」

「お姉ちゃん、すてい」

 

騒がしくなる食堂だけど、心地いい騒がしさ…

だいたい笑顔で騒いでる…良いことだと思う。

取り敢えず私の食事はお姉ちゃんに抱きついて掴みかかりそうになるのを抑えることに終始追われることに。

職員のお兄ちゃんが煽るんだもの…私もちょっとイラッときた。

G11?今朝と同じでHKサンドされて二次被害受けてた。

主に被害出してたのは私のおっぱいじゃないかって?な、何のことかなー?

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・おやつ時

 

 

「それにしても解せないわね~」

「んー?何がー?」

 

新設に伴い急増された兵舎は劣悪ではないものの余り整ったものではなかった。

主にG11の要望で寝具はかなり上等なものが運び込まれたが…

指揮官は要望を可能な限りで受理、G&Kに送りつけている。

 

簡素なソファーで休みながら45が不思議そうに声を上げる。

9はおやつのチョコレートバーを齧りながら首を傾げる。

45の視線の先は416…それと何故かこちらについてきていた417。

流石にもうメイド服ではないが甲斐甲斐しくお世話をしようとする417。

これが引っかかっていた。

 

「何があんなに変えたのかしら?」

「うーん…やっぱり家族!あ、そうだ…♪417~こっちこっちー♪」

「なぁに?」

「あー行くなー…がく、寝よ…」

 

9は家族で一つ思い出したものがあった。

家族といえば喧嘩の一つや二つは当たり前だけどケジメは必要。

 

「この前のはごめんね?無理に着替えさせて罰ゲームなんてさせちゃって」

「あー……もう、良いですよ?」

「よし、それじゃあこれからは家族だー♪」

「んむぎゅ…」

 

45の目から見ても無理をしてる感じは無い。

9からの抱きつきも嫌がってる様子もない…何があってそうも心境が変わったか。

この新入の妹に関してまだ線引が曖昧な45は距離感を掴みかねていた。

それにしても妹なのにデカイ…このデカチチが…

 

「その件、私からも謝るわ。あの時は悪ノリがすぎたわ~」

「んむっぷ…だから、良いですから…」

「その堅苦しい喋り方はしなくていいんじゃな~い?」

「むぅ…」

 

あら?少ししおらしくこっちを見てな~に?

首を傾げているとこっちを上目遣いにチラチラ見て…

 

「じゃあ45お姉ちゃん?」

「お姉ちゃんは私一人で十分でしょ?」

「ほ~」

 

私まで姉と言いますか、踏み込むわね~このデカチチ

その胸のバレーボールを少し分けても良いんじゃない?

これ見よがしに放り出して…んぎぃぃぃ…

って何よ…私の方に来て…

 

「だめだった?」

「ん~…別に~?」

「じゃあ45お姉ちゃんね、えへへ♪」

 

至近距離でのしょんぼり顔からの花咲く笑顔への変貌を目の当たりにした45

あーもう、いいや、コイツも家族で

可愛らしい素直な反応に416じゃないけど情に流されてしまった。

 

この基地離れるまでの間だけど、可愛がってあげる

わしゃわしゃと416譲りの髪を撫でていた

416がギャーギャー言ってたけどシスコン拗らせるのは悪い事じゃないわよ?

ただ妹にウザがられたら良いお姉ちゃんにはなれないわよ~

あ、コイツほっぺもモッチモチ…反応も可愛いわね~

 

「んにぃ~!」

「45、いい加減にしなさいよ!417が泣きそうじゃない!」

「あはは、良い一枚ゲット♪」

「あーうるさ…ヘッドホン要請しようかな…」

 

はぁい、416ぅ…シスコン沼はいいでしょぉ~?

今度9を一緒に可愛がってもいいのよ?




45も姉キャラだし何だかんだ家族に甘そうなのよ。


ギャグでファミリーパンチかまして貰おうとしたのはナイショ。
なおどうあがいても416修羅化の未来だし苦手意識が克服されないと思ったのでお蔵入り。


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Day14 酒 乱 降 臨

416と言ったらねぇ? あと今回は短めです。


――――――――――――D08基地食堂・夜

 

 

「しきかぁん…きいてるのぉ!?わたしと417のどっちが大事なのぉ!?」

「うぇひひ…うふ、えへ…うぇひーwwwwうふえへあはぁwwwウケるwww」

 

そこは見るも無残な酒乱の祭典となっていた。

壮大に巻き込まれているのはこの基地の指揮官。

他の職員は皆揃って視線を外している。

 

酔っ払って居るそんな人形を見て笑っているのはこの基地きってのお祭り騒ぎ好きのスコーピオン。

おこぼれでお酒を楽しんでる9

介抱のためにスタンバイしてる無表情の45とUzi

G11はアイマスクして寝入っていた。

 

騒ぎを起こしているのは…HK姉妹であった。

普段の様子とは違った乱れ方をしていた。

 

 

事の発端は数時間前に遡る。

 

指揮官はウキウキ気分で食堂を訪れていた。

メイド417がご奉仕してくれるかもしれないと聞いて直接出向いたのである。

ついでに416に遭遇したら何時ぞやの礼のウィスキーを奢ろうと思っていたのである。

無論指揮官は飲まない、職務はまだ残っているからである。

 

残念ながらメイド417は居なかったが配膳のお手伝いをしている417と第4部隊の面々は居た。

指揮官が食堂に来ることは珍しく職員たちも驚いた顔をしていたがそれはさておき。

416にとハイランドパークウィスキーを瓶ごと用意したのである。

416は大層喜び45と9は指揮官に止めておけと忠告したのだが…指揮官は止まらなかった。

その結果ディナータイム中に泣く上に絡む416が出来上がってしまったのだ。

宥めようとした417は巻き込まれて飲まされ一杯で酔っ払う。

417はというと笑い上戸みたく笑い袋のように笑いだしてしまって止まらない。

 

騒ぐHK姉妹を止めようとするが人形パワーでがっちり416にホールドされた指揮官に逃げるすべは無かったのだった。

 

どうしてこうなった…とは指揮官の心中の叫びである。

孤立無援の指揮官はどうにかしてくれと神にも祈るが…

 

「聞いてるのぉ!?ねぇ聞いてる!?」

「いひひwwwいーwww姉貴の泣き顔wwwあーおかしwwwぶふぉぉwww」

 

ヒステリックに叫ぶ416に掴まれて無理やり正面向けさせられる。

416を挟んで向こうに居る417は言動がおかしくなっていた。

遠い所に来てしまったなぁ…と現実逃避してしまう指揮官は悪いだろうか?

結論からして言えば自業自得である。

 

ちなみにどっちが大事という質問はこれで10回めになる。

どっちを答えても拗れて泣くので大変である。

416が大事と答えれば417はどうだっていいっていうのね!?酷い!と泣き。

417が大事と答えれば私が居たら十分でしょう!?と泣きついて正直面倒くさい。

 

「どっちも大事だよ…」

「二股するつもり!?重婚も辞さないわよ!?」

「うけwwウケるwww姉貴から重婚とかwwwパワーワードwww」

 

赤ら顔のHK姉妹はそろってウザい…指揮官はそれを痛感したのであった。

 

「指揮官ーあたしにもお酒おごれー!」

「お前の分はねぇ!それより助けろ!」

「浮気ね!早速浮気するのね!?一体どこが足りないの!言いなさいよぉ…ふぐぅ…!」

 

騒ぎはスコーピオンによって火が入れられ大炎上となった。

指揮官愛されてるね、笑えよ。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・深夜

 

 

騒ぎが収まったのは416が泣き疲れて瓶を片手にカウンターに突っ伏し。

417がいくらか酔いが醒めたか笑うのを止めた時だ。

スコーピオンは眠いと言ってさっさと撤退。

416は待機していた45が回収してUziは417を回収しようとしたが…

 

「私は良いよ、まだ酔ってたいからさー」

「…?そう?」

「うん…酔ってないと出来ない与太話もあるし」

 

と言ってUziの回収を拒んだ。

肩を並べてウィスキーグラスをカラカラと回していて。

…特に何もないなら仕事に戻りたいのだが。

 

「私ね、お兄ちゃんが居るの」

「ほう、初耳だな。」

「お兄ちゃんはお兄ちゃん…指揮官は指揮官…ねぇ指揮官。私酔っ払ってるの。だからあり得ないことガンガン言っちゃうの」

「417?」

「私ね…やっぱ止めた、信じないだろうし。」

「417の言うことは信じるぞー?信用ないなぁ」

 

勿体ぶるというより何かを恐れて言い淀んだ感じだ。

何かまだメンタル面にあるのだろうか。

心配そうに見ていると417は少し悲しそうな顔をして笑った。

 

「大丈夫だよ、()()()()()私、今は温かい家族に恵まれてるんだもん」

「417、キミは」

「心配性なお兄ちゃんだね、本当のお兄ちゃんみたい…あのクソとは天と地程ちがうなぁ」

 

ぽふ、と417は甘えるように俺の肩に頭を載せてきた。

二の腕には417のボリュームたっぷりのおっぱいの感触キター!

いかんいかん、まだ仕事があるんだ…

 

「お兄ちゃん、今日は一緒に寝よ?」

「いや、まだ仕事が」

「寝よ?」

「しg「寝よ?」…はい」

 

あぁぁぁくそぉぉ明日は忙しくなるぜチクショウ。

ちょっとでも私室以外の所に行こうとするとそっちじゃないよってこえーよ。

いや、マジで一緒に寝るの?417さんマジです?

 

 

――――――――――――D08基地指揮官私室・深夜

 

 

この状況やばいって。

「えへへ…お兄ちゃん、ぎゅっとしてあげゆ♪」

酔っ払ってる美少女がベッドに潜り込んで布団めくってポンポンしてるんだぞ。

おまけにその格好が誘ってるようなもんだからマズい。

 

渋っているとしびれを切らした417にそのまま引きずり込まれた。

まぁ良いか…本当に妹みたく思えばなんとも…

やっぱ無理です、おっぱいおっぱい柔らかいなぁ!

「ぎゅー♪」なんて言って抱きついて…あ、あがががが…

締まってる締まってる!417ちゃんタンマタンマ!

 

「お兄ちゃん…もう寝ちゃったんだ…いいこいいこ♪おやすみ~…」

 

遠のく意識の中指揮官は絶対にHK姉妹に酒を出すのは止めようと誓ったのだった。

417は特にタチが悪い。

 

 

――――――――――――D08基地指揮官私室・早朝

 

 

目が覚める、417の締め付けは緩くなっていた。

流石に寝てるな…さてと、今のうちに起きて仕事だ。

昨晩はHK姉妹に振り回されて出来ちゃいない…今日はフル稼働だ。

最前線の指揮官は大体がひっきりなしに深夜まで仕事してるからなぁ…大変だわ。

俺もそのうち送られる可能性があると思うとゾッとする。

 

しかしホントおっぱいでけぇ…ちょっとくらい揉んでもバレへんやろ…

振り回してくれたお礼に…

 

「ん…んん…」

 

お、起きたか…チッ、残念だ…このブルンバストをいつか揉みしだきたいですねぇ

いや、寝返りうっただけか、お~ブルンバスト激しい…

ちょっと撫でる位はOKやろ…

 

ナデェ…ヤラシイィ…

 

 

 

んぁ?

 

何かが胸を撫でてる…何このベッド汗臭い…

頭がガンガンするし、何よぅ…夜の記憶が無いけどなーにー…?

薄っすらと目を開けると…私のおっぱいを撫でてるお兄ちゃんの姿が…

なんだ、夢か…エッチな夢を見るようになっちゃったかぁ…

 

 

って夢じゃない!?

 

「やべ、起きたか…?」

 

むくりと起き上がってみると…知らないお部屋。

エッチ雑誌が転がってるし臭いティッシュが転がってる…お兄ちゃんのお部屋かな?

乱暴なことは…された形跡なし、逆にお兄ちゃんには…脇腹に跡がある。

夜の記憶が無くなってるのと関係あるのかな?

まぁ良いや…お兄ちゃんもまぁ男だし仕方ないかなぁ?

 

「いや、ちょっと」

「ちょっと?」

「おっぱいをですね…味見してました」

「素直でよろしい、けど通報ね」

 

お兄ちゃん、欲望に素直だ~

でもお兄ちゃん、寝込みを襲うのは無いなぁ。

よってお姉ちゃんへの通報待ったなし。

 

お兄ちゃんは無事、お姉ちゃんによって締め上げられることになりました。

こうしてみると仲良し家族って感じで私は好きだよ。

家族ってやっぱりこういう…ものだったんだよね…




酒が入ると笑う417抜け出すと理性が戻った風に装って大胆なことしでかす。
コレはどう見てもメスガキです、ありがとうございました。

ウィスキーに関しては適当なでっち上げ


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Day15 嵐の後には何も残らない

今更だけどタイトルはくっそ適当


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

「ずびばぜんでじだ」

「ふん!人の妹に勝手に手を出して…次は許しませんからね!」

 

ボッコボコにされたお兄ちゃんと怒って食らいついてるお姉ちゃん

どうでもいいけどお姉ちゃん、見られてるよ?

あ、ストンプ…お兄ちゃんも懲りないけどタフだねー

バカは何とかって言うし私と同じ様な経験したら…いや、普通は死ぬか。

 

「大丈夫?お兄ちゃん」

「アーナントカナァ…」

 

大丈夫そう、私のパンツをのぞき見するくらいの余裕がある。

ついでに私からもビンタ食らわせておいた。私からのは喜んでた、解せぬ。

お姉ちゃんからはばっちいから手を洗えって…そんなに怒るかなぁ…

変態の目はあるけどお兄ちゃん悪い人じゃないよ?

おっぱい触ったのは…うーん…

まぁそれはいいや、悪い気はしなかったし。

口にしたらお兄ちゃんが調子に乗るから言わないけど。

 

所でお姉ちゃんにはセクハラされたとしか言ってない。

決しておっぱいを触られたなんては言ってない。

真実を言ったらお姉ちゃんがこんな程度で済ませるかなぁ…と心配したけど。

うん、心配した通りかも。

 

逆にお兄ちゃんがお姉ちゃんにセクハラしたら私が修羅になるかも。

いくらお兄ちゃんでも許されることと許されないことがあるって事。

合意の上なら仕方ないけど。

そもそも合意の上だったらセクハラじゃないか…ただの乳繰り合いだね。

 

穏便に脅せる方法ないかなぁ?

お兄ちゃんの耐久力にかまけて暴力で済ませるのはスマートじゃないもん。

あ、そうだ…あのセリフがあった。

 

「お兄ちゃん」

「ァー?」

「今度お姉ちゃんにセクハラしたらチ●コ握りつぶす」

「ヒエッ」

 

逆セクハラだって?しらないよー

あ、お姉ちゃん待って、私もG11起こしに行くー!

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・朝

 

 

「417~…おんぶー…」

「はいはーい」

「甘やかすなって言ったわよね?417、ちょっと聞きなさい」

「むぅ…ごめんね、G11…という訳で起きて」

「やーだー…まだ眠いー…」

 

またG11はベッドの上で芋虫やっていた。

私が甘えるG11に対して甘いことしようとしたら…お姉ちゃんからの静止が入った。

見るとお姉ちゃんが今にも泣きそうな顔してたから止めた。

お姉ちゃんの言うことをきかないと多分こじれる。

ごめんね、G11…という訳で渋るG11に対して…

 

「起きないなら」

「んぉ?」

「こうするまで」

「あいだだだだだだ!?足はやめろぉ!いだぁぁぁ!?」

 

旧タイ王国式足つぼマッサージ、やはり効果は絶大ね。

それにしてもこんなに痛がるなんて不健康ね。

これで起きるでしょ、あら?お姉ちゃんどうしたの?

ドン引きな目でこっち見ないでよ。健康なら心地いいはずだよ~?

 

「わがっだ!おぎる!!」

「よろしい、次からは最初で起きようね♪」

「……は~い」

「えげつない拷問ね…」

「拷問違う、マッサージだよ」

 

何ならお姉ちゃんにもしようか?

あ、苦笑いで遠慮された…しょっくぅ…

 

 

――――――――――――D08基地食堂・朝

 

 

「いらっしゃいませ、ご主人様…とオリジナル」

 

「ご苦労」

「…417?なにこれ?」

「私のダミー、食堂のお手伝いさせてた」

「おー…でも何だか着崩してない?」

「あー…まぁ…」

 

ダミー3体にもI.O.Pからのメイド服は配給されていた。

コレを生かさない手はないと私が朝のタレコミ時点で指示を出していたの。

お陰で職員の顔は伸び切ってる…だらしなーい。

あと、おい見せブラかましてるんじゃなーい…着替えデータは渡ってるでしょ?

 

「ん、触った?」

「悪い悪い、ついねー」

「ふふん、悪くない…持ってくれると楽」

 

おいこらー、ダミーはさらっと痴女してるんじゃないわよー

指示出してもコレを止めないからー…もう頭痛い。

目の届く内はそんな反抗は許しません。

全員の手が止まったのを見計らって割り込み命令。

不満そうにこっち見るな、不満を言いたいのはこっち!

 

何?楽しかったのにですって?はっ倒すわよ。

 

「おう、嬢ちゃん…うちのバカ共も完全復活だ」

「バカはねぇだろクソジジイ」

「黙って腕を動かせ青二才共が!!」

「あははは…」

 

キッチンの中は賑やかだった。これは期待できそう。

お姉ちゃんもダミーの奇行を止めに行ってるし…あーあ…

いだぁ!?ちょっとダミーあんた本体に対して痛覚投げるって何よ!?

愛の拳骨の共有?いらんわ!!

 

「どうしたのさー…417ー?」

「なんでも…ない…」

「全く…本体はこんなにかわいらしいのに…」

 

G11に心配されたし、後で何をしてやろうかダミーめ…

お姉ちゃんも戻ってきたし席に着こう。

今日のメニューはライス・フィッシュソテー・フレッシュフルーツの盛り合わせ・ミソスープ

うーん、見慣れない物が並んでるけど…たしかライスとミソスープの組み合わせはヤーパンの家庭料理だった気がする。

シンプルが故に腕が出てくるお料理…

 

「なにこれ?」

「ヤーパンのソウルフードだよ…ん、おいし♪」

「ヤーパン?あ~極東の島国~」

 

9と45を始めとして知らないみたい。

ヤーパンの名前は知ってるみたいだけど…まぁ私もお料理データから知ったものだし…

それにしてもミソスープの独特の風味、いいなぁ。

フィッシュはサーモンだね、ちょうど近くに川があったっけ?

暇な職員が釣りに行ってたりして…いや、できすぎか…

普通に納入品リストであった気がする。

ヤーパンは変態の発祥の地とも言われてる。

…ここの職員ヤーパンの血を引いてる説。

 

博識ね、とお姉ちゃんに頭を撫でられた。

ダミー、羨ましいと思うならいい子になりなさい。

職員にとって都合のいい子じゃないわよ?フリじゃないからね!?

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・朝

 

 

ほくほく顔のMk23が居た。くねくねして…なにがあったの?

普段してもらえない大胆なことしてもらったんだって。

タガが外れてるなぁお兄ちゃん…お仕事ほっぽりだしてたみたいだし、らしくなーい…

写真があるって?ふぅん…自撮りね?

わぁMk23の決して小さくないおっぱいが鷲掴みだ。

だから胸に手を当ててくねくねしてたのね…

 

…むぅ、お兄ちゃんのセクハラは私だけに留まらなかったかぁ。

まぁMk23も抜群にカワイイから仕方ないかな?

面白くないなぁ…私は結構遠慮がち…だったのかな?

なでぇってしてるだけだったし…お兄ちゃん我慢のし過ぎで暴走したとか?

 

「それより417ちゃん」

「んー?」

「昨日の夜は何時まで飲んでたの?」

「ほぇ?あ、あー…飲まされた後覚えてない…」

「あ、ふーん…」

 

飲んでた?あ、あー…お姉ちゃんがお酒飲んでから巻き込まれたんだったか。

記憶が無いなぁ…私の酒癖ってどうだったっけ…最後に飲んだの覚えてないなぁ…

MK23の反応からけっこう乱れてたっぽいかなぁ…恥ずかしい。

 

「酷い酔い方してた…?」

「え、あー…そうでもないわよ?」

「Mk23嘘は嫌よ?」

「覚えていないなら幸せだと思うわよ」

 

うわー…お姉ちゃんも酷かった覚えだけど…

え?じゃあ酔ってる間にお兄ちゃんのお部屋に押しかけたってこと…?

夜の野獣になりかねないお兄ちゃんに…?

乱暴なことはされてないみたいだけど…違和感もない。

すんすん…変な匂いもない…

…女として見られてないって訳じゃないけど今ひとつなのかな?

んー…悶々とするぅ…

 

「ちょっと眠る…」

「はいはい、おやすみ♪」

 

こういう時は寝るに限る。

 

 

 

 

 

 

 

んー…お兄ちゃんの好きそうな下着で…えへへ、喜んでくれるかな♪

あ、お兄ちゃんこんばんは♪寒いから入れて…

ひゃんっ…もう、けだものなんだからー…いいよ、お兄ちゃんがそういう面を見せるのは信頼してるから、だもんね?

受け入れてあげる、全部…大好きだもん…お兄ちゃん…

 

えへへ、お兄ちゃんのが大きくても私のおっぱいには敵わないでしょ?

いっぱいぎゅっぎゅってしてあげるね…♪

 

 

「ぁぇ…」

 

夢?夢の中までお兄ちゃんが出てきてた…

よ、夜の関係なんてまだ私には早いよぉ…ふえぇぇ…

んー…お兄ちゃんは好きだよ?でもそれは父性的な?んー…

恋心なんてものじゃない…はず…

あーもう余計に悶々とするぅ…!

 

時間も寝てから一時間もたってないし…シャワー浴びよ…

 

 

――――――――――――D08基地食堂・昼

 

 

お仕事着に着替えてキッチンに入っていた。

なにかお手伝いして気を紛らわせる事にした…

シャワーでスッキリしたと思う…?

 

ダミーも勢揃いでメイド417の実力はフルに発揮できるわ。

食堂のお掃除して…何時でも来なさい、職員のやろうどもー!

 

だからダミーは着崩さないのー!

そうした方がおっぱいを持ってもらいやすい?

持ってもらうなー!!本体の言うことは聞きなさーい!!

 

あ、ほら職員が来たよ…ってお兄ちゃん!?

珍しい…お兄ちゃんが食堂に来るなんて…今日の副官のFALと一緒だ。

2歩後ろを歩いてる出来る女風だけど…

 

「あらあら、可愛らしいメイドちゃんね?」

「ここが天国だったか」

 

「こほん、いらっしゃいませ、ご主人様♪」

「席に案内するーお駄賃よこせー」

「指揮官だーかこめかこめーとう!」

「おんぶー…とう!」

 

お兄ちゃんに群がるな!うらやま…げふげふ。

仕事しなさい仕事ぉ!笑顔で抱きついてるんじゃなーい!

お兄ちゃんもデレデレするなぁー!

 

「417ちゃん、スマイルスマイル♪」

「ご主人様と一緒の席ですよね?ご案内します」

 

営業スマイルは崩してませんとも…えぇ…!

笑顔が硬い?しりませーん

 

 

帰ってきたお姉ちゃんと協力してなんとかどうにかこうにか…暴走するダミーを抑え込みながら…私の職務も終わり。

ダミーと顔突き合わせてお食事。今日のランチメニューはカルボナーラ、ちょっとヘビーかも。

そういえば人形って太ったりはしないよね…ね?

生体部品が多いからって人間みたいに太ったりしないよね…?

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「前線支援?」

「そ、前線支援…第3部隊で最前線の方に行ってもらって物資輸送班の護衛とかだな」

 

決して安全では無いけど…危険って言うほどでもない。

暇していた私達第3部隊と第1部隊に命令が下った。

作戦内容は安全地帯から物資を運ぶトラックの随伴護衛。

成功したらこっちにも物資を融通してくれるってヤツ。

 

 

 

物資の供給が心許なくなってきたから止む無くだって。

2部隊投入してるし大丈夫だよ、お兄ちゃん。

それに、私が居るんだから…

何も心配しなくても…私に任せてくれれば問題ないの。

 

「そっか…じゃあ明日開始だから帰ってきたら午前出撃な、頼むよ」

 

なんなら大将首撃ち抜いて来てもいいよ?

削ぎ落とし用のナイフも用意しないと…FALがククリ貸してくれるか。

 

行軍に備えて携行食料に舌を慣れさせておこう。

 

 

結果から言うと夕食を食べに食堂に行かず携行食料食ってるのがバレて

夜にしこたま416に叱られている417が居た。




次回はちょっとシリアス風味な巻かなー?

今回がちょっと頭悪いって?作者がよく分かってらぁ
プロットも作らずにゆるっゆるに書いてるもん


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Day16 マジキチフロントライン 

シリアスに書いてるつもりだったけどね…我慢できなかった


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

ズラリと勢揃いした総勢9名の人形。

第1部隊の面々と一緒に行動するのは初めてだけど…大丈夫かな?

紹介しよう、第1部隊のイカれたヤツ達

小隊長はFAL、いつもはセンスがどうのとかイジるのに命かけてるヤツだけど…

戦闘準備してから来てる最中薄ら笑いを浮かべてる。

 

マークスマン、WA2000先輩。

お兄ちゃんに良いとこ見せようと意気込んでる。

おちょくると面白いけど戦闘のことに関するとこっちも薄ら笑い。

なんでも撃ち抜かれた鉄屑のことを思い浮かべてるらしい。

FALは爆破した後の鉄屑、どっちも戦闘狂だったか。

 

第1部隊きってのやべーやつ、スペクトラM4

M4って名前が気に入らないけど格好がやばけりゃ性格もやばめ。

平和なこの基地が退屈でしかたない、戦いを求めているとかなんとか…

今もめっちゃくちゃイキイキとしたマジキチスマイル浮かべてる。

早くトリガーを引きたくて仕方ないトリガージャンキー

一人だけ携行してる弾の量がおかしい。

おっぱいに弾倉何個突っ込んでるのよ。針山か?

 

第1部隊最後の一人はステンMk-Ⅱ

戦闘狂ではない、横のスペクトラに対して今にも死にそうな顔。

スペクトラM4のストッパー役なんですって…

FALとWA2000は止めないのって?止めないらしい…

胃薬がポケットから出てる、苦労人だね。

ちなみにやけっぱちになると例に漏れずマジキチ化するらしい。

 

第1部隊がやべーの揃いだった件。

 

情報元はスコーピオン、あまり一緒に行動したくないってぼやいてた。

一番おとなしいのがWA2000だけど獲物を見つけるとウォーモンガー化するんだって。

鉄屑が来ないのを祈るだけだわ…こういう時に限って来るんでしょうけど。

 

殺意高い装備してるお前が言うな?何のことかな?

 

 

 

 

ダミーも引き連れての移動だ、このためにちょっと大型の人員移動用ヘリが来ていた。

ヘリパイロットは顔馴染みだ…何時もより緊張してるのは言うまでもなさそう。

コパイロットは夜担当で眠そう、おら起きろ先ずはテメェからシメるぞ。

大あくびかましたコパイロットに背後から頭ぐりぐりしたら私が怒られた。

お姉ちゃんから無線越しにめっちゃくちゃ怒鳴られた。解せぬ。

 

 

――――――――――――

 

 

どの地域かは知らない、知らされていない。

ヘリコプターの窓から見える景色は段々と荒廃したゴーストタウンと荒野に変わっていく…

これが見たこともなかった最前線…内地でずっと暮らしていては見ることは無かっただろう風景。

毎日鉄屑と戦火を交えている…最前線…こんなにも酷いものか…

学校・教会・マンション…全部焼け落ちて廃墟になっている…

 

そして散見する廃棄された人形…死ぬのが人間から人形に変わっただけだ…

戦争は今も変わらない…本質は何も…変わっていない。

この戦争に終わりはあるのか?終わった後は私達はどうなる?

 

移ろう景色に思うのはそんなつまらない事ばかりだ。

 

見えた、荒野の中に施設がいくつか見えてきた。

見張り台に金網…迎撃用のトーチカ…立派な要塞だ。

これが最前線の基地…今回の私達の出発点であり帰る先。

正面ゲートには資材コンテナを積み込んだトラック…そして数台の装甲車

こんな荒野を走るトラックなんて相手が先に見つけるもの…

これは楽しいパーティーになりそうです。

 

 

――――――――――――

 

 

到着後手筈通りに私達第3部隊は後方の車両に搭乗。

それぞれダミー人形を随伴させてなのでちょっと大掛かり…

ダミー人形にはトラックに隠れてもらって襲撃してくる鉄屑にサプライズを送ってもらおう。

運転はM14、ナビゲーターシートにUzi、砲座兼車長席にはスコーピオン、無線席には私とMk23が座る。

 

第1部隊が乗る車両はトラック前方を走る。

無線席にステンが乗ってるみたいだけど…無線越しに聞こえてくるのは…

 

「良い?鉄血の鉄屑を見つけたら全員でぶっ放すわよ」

「殺す…」

「誘うために1マガ撃ち切るのはどう?」

「良いわね、どうせだから榴弾も派手にぶちかまそうかしら?」

「誘わないで、任務内容覚えてますー?」

「「「敵を殺せ」」」

「ダメだこの小隊…」

 

殺意マシマシなFALとWA2000とスペクトラの会話と早速死にそうなステンの悲痛なぼやき。

ちなみにWA2000が目がいいって事で砲座に座ってるみたいだけど…

見つけたらぶっ放したりしないわよね?最前線の際っきわだけど流石にドンパチしたら鉄屑が群れてくるわよ?

フリとかじゃないわよ?ねぇ、ちょっと?

隣で同じ無線聞いてるMk23も満面の苦笑い…何時もなのね?

 

「ステンが爆弾魔になるのも時間の問題かも…」

「爆弾魔?」

「そ、爆弾魔」

 

ジャケットがやけにもこもこしてるのは手榴弾だったかー!

というか被弾した時どうするつもりなのよそれ!

本体が被弾しなければいい?アホか!くそ…第1部隊はマジキチの巣窟だったのね…

あぁもう無線機から聞こえてくるのがガンホー!ガンホー!に変わってるし…楽しそうね

 

「417さん、変わって?」

「嫌よ」

「じゃあMk23、変わって?」

「無理ねぇ」

 

「ねぇ、私は戦闘が好きなの…殲滅戦が好き♪電撃戦が好き♪打撃戦が好き♪防衛戦が好き♪包囲戦が好き♪突破戦が好き♪退却戦が好き♪掃討戦が好き♪撤退戦が好き♪」

「平原で…街道で塹壕で草原で凍土で砂漠で海上で空中で泥中で湿原でこの地上で行われるありとあらゆる戦闘行動が大好き…って続くんでしょ?まぁ同じ気持ちだけど」

「「「よろしいならば、戦闘だ」」」

「早くボンバーニィしたい…」

 

先頭車両がこんなんで良いのかしら?

ヒラコー顔してない?平気?あ…ステンの無線が途絶えた…いいや、接続先を変更して基地とのやり取りに変えよう…

現在順調に護送中、付近に敵影なし…後で二人でお食事?任務中にふざけるんじゃないわよ。

 

 

――――――――――――

 

 

Mk23が事務的なことしか喋ってない理由が分かった。

この作戦支部はナンパ男しか居ないんだ、無線をつなげているとしきりにナンパしてくる。

すっごくうざったい…任務中ですよ?と言っても聞いちゃいないし…

キザっぽく振る舞ってるのが逆に寒々しいっていうか…

 

「右側に戦火あり、本体ーしじくれー」

「視察できる?」

「おー…ありゃ、装甲型の鉄屑がわんさかだねー」

「狙撃可能距離ね…ナイスよダミー」

 

無線席を離れて上部ハッチを開ける。

Mk23に前方車との無線を任せて…私は狙撃に移る

ダミーにも指示を出し射撃制御していく…M14のダミーも同じく狙撃に移っていく

WA2000も同じく起動した…ってオイオイオイ砲座はやめろ。

 

ダンッ

 

ん…誤差修正、データフィードバック…

想定外の狙撃に装甲型が困惑と言う名のエラーを吐いている。

最前線の人形さん、頑張ってくださいよ?

じゃないと全部私が食っちゃいますから…

 

「417」

「なにM14?」

「ごめん、データが細かすぎ分かんない」

「あー…うん」

 

電脳のランクが違ったんだった、もっと大雑把にしてM14にデータを寄越す。

ダミーも困惑って感じだったし…早くに気づくべきだったわね。

WA2000?高笑いしながらバンバンぶっ放すのはやめて?

一応私達の任務は護送がメインでこういう茶々入れはサブターゲットよ?

聞いちゃいない…しかし装甲型…硬いわね。

関節部分は薄いみたいだけど狙え…無くもないわね。

 

「私を敵に回したのを呪いなさい、鉄屑が」

 

 

――――――――――――

 

 

朝に出発し長く作戦行動して…お昼は過ぎ、

ちょくちょく戦火を見ては茶々入れをするもこちらには接敵なし。

もう少しで無事に最前線の補給所まで物資を運び入れる…といった所だった。

流石に前線に近づいている事もあって捕捉された。

 

「来たわよ!総員戦闘態勢!」

「イエェェェェイ!待ってました、ぶっぱなーす!!」

「逃げる鉄屑は悪い鉄屑、逃げない鉄屑はよく出来た鉄屑ゥ!!」

「HAHAHA」

 

「弾幕を張って近づけさせるなー!そーれ攻撃ィ!!」

「運転席側のカバーよろしくね」

「任せなさいって、丸見えなのよ!」

「後方は私と417にまかせて」

「榴弾の出番ね…」

 

半ば待ち伏せに近い形で鉄血人形がわらわらと出てきた

取り囲む様に展開しているが…見たら撃つ、とにかく撃つみたいな単純なロジックね。

精度が侮れないから厄介だけど…フラッシュバンには引っかかるしスモークグレネードにも困惑してるし。

まるで初心者ね、相手じゃない!

 

先頭を歩いている人形の足を撃ち抜いて転ばせると後続がもつれて転ぶ。

密集するとこうなるって学びなさい、間抜け…授業料はグレネードよ!

 

しかしスペクトラとステンが血走った目で敵に鉛玉とグレネードを投げ込んでいたのは圧巻ね…

ステンのグレネード起爆時間コントロールもさることながら投擲軌道まで完璧でほぼトップダウン…

本当にその最適化で良いの?アンタフロントアタッカーよね?

スペクトラもMGもかくやって弾幕張って制圧してたし…お陰で射撃しやすかったけど…

WA2000もバスバス致命打与えてて鼻高々でしょうね…

不満そうなのはFAL、運転手でドンパチ出来てないもの。

 

そんな訳でFALは周辺警戒、私達で積荷の下ろし作業のお手伝い。

職員は例に漏れずナンパ男だった…ダミーが壁ドンされてた。

横から蹴ったけど別に問題はないでしょ?

職務怠慢はダメなんだから、当然でしょ。

 

 

「コンタクト!そーれそれそれー!」

「スキだらけよ!」

「うつけがぁ!!!」

 

FAL、何だか若本っぽい声出してなーい?

気の所為?気のせいよね、うん…私は聞いてなーい。

 

「ぶるぁぁぁぁぁああ!!」

「死ぬか!消えるか!!土下座してでも生き残るか!!?」

「殺戮のバトルストンプゥ!!」

 

気のせいじゃなかった…もうやだこの戦闘キチ。

 

 

――――――――――――

 

 

「こちら護衛部隊B、417…ターゲットの護送完了です。接敵は1…撃退済みです。

はい、現在積み下ろし完了して帰りの護送に入ります…」

「了解、順調だったね…任務をこなすキミも良い…」

「はぁ…」

「帰ったら」

「任務中ですので、失礼します」

 

ったく、気持ち悪い。アホか。

命の危険に晒される最前線だからって女に飢え過ぎでしょ。

後でFALをけしかけたら良いかしら?

にべもなく蹴られるのがオチかしらね…

 

しかしもう日が落ちている…夜間走り通して…翌朝に到着かしら?

夜間作戦になるから私の装備とMk23の夜目が鍵になるわね。

WA2000も貴重な火力…スペクトラに暗視ゴーグル渡したほうが良かったかしら?

しまったわね…持ってきたら良かった。

ステンは問題なくボンバーするって言ってたけど…

 

スコーピオンも手榴弾が主軸の戦闘になる。

その前に私がグレネードを叩き込んでターゲッティングするけど…

スコーピオンなら爆発の光で分かるでしょ。

 

 

それから帰りの護送だけど、マズい携行食料を食べて交代で見張りをしながら戻っていった。

特に敵影も無く静かな夜の荒野にエンジン音が響くばかり…

上を見上げれば久しく見ることのなかった星空が広がる。

前線も悪くはないかも…携行食料だけは勘弁だけど。




このD08基地の人形は一部戦闘キチです。
FAL嫁の指揮官には悪いね☆


あと戦闘描写は勘弁してクレメンス。


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Day17 あったかホーム

ここで危機に叩き込む?
残念ながら頭がハッピーな作者にそんなのは降りてこないのさ。

妄想が降りてきたので今日は二本だよ!


――――――――――――

 

 

ガタガタと揺られる…夜闇に紛れて装甲車とトラックが走る。

ここは最前線の真っ只中、夜間警戒中の417です。

トラックの運転手が大あくびかましてるけど私達は平気です。

私とMk23で索敵しながらの行軍は気が張り詰める…

小さな見逃しは全員を危険に叩き込む…見逃せられないのだ。

 

気分はさながらさながらネズミね。

物量的には鉄屑の方に分がある。弾薬は豊富とは言え無限ではない。

そしてこんな真っ暗な中で戦火なんて火を見るより明らかってヤツで…

わらわらと群がられる可能性が高くなる。

 

第1部隊の戦闘キチはトリガーを引きたくて仕方ないみたいだけど。

私はそんなのより指揮官に全員を無事に引き渡すのが大事。

愛しいあの基地に帰る、呆れるくらい平和なあの基地に…

 

「前方に敵影!」

 

敵襲!?後手に回った…!

カバーの為にライフルを構え…

 

「轢殺したわ、馬鹿みたいに突っ込んでくるんだもの」

 

えぇ…うわ、飛び散ったオイルが血みたいできれーい…

あれ、見慣れないモデルじゃない?

青い髪にバイザー…手に持ってるのはナイフ?

銃社会でナイフとは恐れ入ったわ…はぐれかしら?

あたりをMk23に見てもらうけど…うわー…残骸がさらにひーふーみー…

 

「周囲に敵影は見えないわ」

「同じく…」

 

「こっちも見つけられないわ」

「退屈すぎなーい?4マガ程撃って良い?」

「戦果が足りないわ、これじゃあ指揮官に…」

「指揮官に?なーに、わーちゃん」

「な、何でもないわよ!あとわーちゃんって呼ぶんじゃないわよ!」

 

あーもう、この戦闘キチは…

 

 

私の嘆きを他所に先頭車両は騒がしく走る。

願わくはこれ以上敵が来ないこと…

 

 

――――――――――――

 

 

夜が明けた…薄く明るくなっていく空。

再び広がる荒れ果てて残骸が転がる荒野…

様子をうかがいながら偵察に顔を出すとより鮮明に見える。

あちこちに鉄屑の残骸が転がっていて戦闘の激しさを物語っている。

よく見れば廃棄されたG&Kの人形も散見できる…

 

「おはようございます、定時連絡です」

「おはy」

「敵影を視認することもなく順調に帰還しています、予定通りに帰投できる見通しです」

「あの、すまなかっ」

「では何かありましたら連絡致します」

 

私からの報告をMk23が本部にやっていたけど相手が相手だから同情できない。

おはようからのナンパコースに行こうと思ってるんじゃない?

はーやだやだ…ん?こっちに無線?

 

「こちらは任務中ですが、火急の御用でしょうか?」

「いや、なに…朝から天使の声を」

「あ、もう結構です」

 

寒気がするわ、帰ったら苦情入れてやる。

コール音がうるさいなぁ…本当に用事がないならかけてくるなって…

まぁ用事かもしれないから取ってあげますか。

 

「はい?」

「昨晩の話覚えてる?もし良かったら」

「おい」

「ん?何かな?」

「作戦行動中って何度も言ってますよね?貴方の耳は腐ってるのかしら?それとも頭が腐ってる?どっちでもクソなのは変わらないわね。

私用の無線は控えてください、貴方と違ってこっちは暇じゃないんです。良いですね?分かりましたか?

わかりやすくもう一度言ってあげましょうか?ち●こ頭」

「」

 

後でステンに無線を飛ばしてみたら向こうもナンパされてたんですって

他の基地の人形ナンパすんなや、暇人かよここの無線手

横を見るとMk23がサムズアップしてた、言ってやったぜ。

 

 

――――――――――――

 

 

ヤサグレ顔な私達無線席の人形を除けば皆ホッとした顔…

第1部隊は不満ばっかり垂れてるトリガーを引かせろですって

せっかくの最前線だからもっとぶっ放せると思ったのに肩透かしだ…とは言ったものね。

第1部隊の正体はマジキチだった…知りたくなかった。

 

顔見知りのヘリパイロットが来たときと同じで待ち構えていた。

さ…それじゃあ帰りましょうか、愛しのD08基地へ…

あと苦情は絶対に入れてやる

 

「皆さん居ますね?離陸します」

「FAL以下第1部隊は全員OKよ」

「スコーピオン以下第2部隊も同じくだいじょーぶ」

「では、テイクオフ!」

「了解、テイクオフ…帰りましょう、我らのD08基地へ」

 

あぁ離れていく…二度と来るかこんなクソ前線。

無線席に座ってた私達はもう帰りのヘリの中ぐっすりでした。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「お疲れ…特にステンとMk23と417」

 

「もうゴメンですよぉしきかーん…」

「苦情はしっかり入れてるの?全然改善されてなかったわ」

「ナンパ野郎は即刻解雇で」

 

「417どうした…とにかくあの基地にはまた苦情入れておくから…」

 

ギリィ…と歯ぎしりしてる私を見てお兄ちゃんがオロオロしてる。

いけないいけない…乙女がする顔じゃなかった…

あと作戦行動中のテンションじゃだめだよね…スマイルスマイル♪

 

「じゃあ、部隊長はあとで作戦報告書を提出して…お疲れ様。相手方の指揮官も助かったって言ってたし…またよろしくね?」

 

「次は沢山トリガーを引けたら良いけど…」

「フン、まぁどうしてもって言うんなら行ってあげても良いわよ?」

「もう嫌ですよ~…あの無線手改善されないと行く気にならないですー…」

 

「あー面倒くさいなー…417に頼んでも良い?」

「ダメよ、スコーピオンちゃん?」

「良いじゃん処理能力はピカイチなんだしー」

 

帰ってきた私達を迎えてくれたのは変わらないここの日常だ。

この何気ない平和が愛おしいな…大事にしないと…

後で工廠に行って銃のメンテナンスをお願いしないと…

 

しかし私も分からないもので、ここでのセクハラ目線は別に嫌じゃないの。

良い人だってある程度わかってるから…かな?

工廠のお兄ちゃん達は今日も元気かな?

 

 

――――――――――――D08基地工廠・昼

 

 

「お、おかえりおっぱいちゃん」

「おかえり、触らせて?」

「おかえり、はいバンザーイ」

「主任、おっぱいちゃんが帰ってきたぜ」

「なにぃ!?イサ…なんだ、417ちゃんか…おかえり、無事だったみたいだね」

 

「主任のお兄ちゃん、後で工廠裏♪」

「ナンデー!?」

「冗談だよ、ふふふ♪」

 

お兄ちゃん達は変わらず…セクハラ目線はあるけど…

銃を出すとしっかり仕事を始めてくれる。

おっぱいちゃんって言うのもからかい半分かも?

主任はおっぱいちゃん=イサカって認識してるみたいで私の顔を見て若干残念そうにして…むぅー

まぁ主任はイサカ大好きだもんね、仕方ないね。

 

「身体の方は何とも無いかね?」

「自己診断で問題ないですよ」

「そうか、なら良かった…そうそう、本日新たな衣装が届く予定だ」

「またー?」

 

I.O.Pの職員が心配してくれたのは新鮮…

で、また新しい衣装が届くみたい…暇なの?

聞くと服飾部門で殴り合いが発生したらしい。

私とお姉ちゃん用にメイド服が支給されるんだって、殴り合いになったのは私に支給されたメイド服がフレンチだったのが原因らしい…

 

「あの規格外巨乳にはヴィクトリアンメイドだろぉぉがぁぁああああ!!」

「ロリにはフレンチで良いだろカワイイは正義なんじゃああああああ!」

「一見ちょっと大きいかな?からの服ビリからのでっぱいおっぱいが最高だろうが!!」

「んだとぉ!?見るからにおっぱいおっぱいしてるのが最高だろうがぁぁん!?」

 

なんて問答があったらしい、あたまわるーい

なお乱闘騒ぎを起こした職員はそろっておっぱいスキー…3サイズ知られてるのが怖いなぁ。

で、仲裁されて折衷案って所で私本体にヴィクトリアンメイドが支給、ついでにお姉ちゃんのも支給されるらしい。

お姉ちゃんとお揃いでメイド服着れるのは嬉しいけど…良いのかな?

ただじゃない筈なのに…良いのかなー…?

 

到着予定は夕方らしい、夕方以降に来てくれって。

整備のお兄ちゃん達も忙しくなってきたみたいだし…お邪魔するのは悪いかな?

簡単なメンテナンスは自分でも出来るけど…任せたほうが良いんだよね。

なにせそれがお兄ちゃんたちのお仕事だし。

 

 

――――――――――――D08基地工廠・夕方

 

 

「来たか、416も一緒だな?」

「えぇ、私にも衣装って…正気なの?」

「やったね、お姉ちゃん私とおそろいだよ♪」

 

「おっぱい姉妹のメイド服…ンー…」

「416ちゃんは俺がいただいても?」

「ダメだ!」

「ダメです」

「あああああああああああああ!!!!」

 

整備のお兄ちゃんはいつもの寸劇をやってた。

半世紀も前のネタだけどよく知ってるね、お兄ちゃん達。

 

一緒に更衣室で私達は着替える。

隣でお姉ちゃんが着替えてるけど…淀みなく着替えが終わって出てる。

私はって言うと…これもおっぱいがキツイ!む、無理やり押し込んでる感が半端ないよぉ…

ほらぁー胸元パッツパツで今にもはちきれそうなんだけど?

多分コレも設計してるんだろうけど…うーん一番の防御力かも。

 

ヘッドドレスは変わらないけどメイド服のデザインがクラシカルなヴィクトリアンスタイル。

体のラインはあんまり出て無いし露出もほぼ無し、これこれ。こういうの待ってたの。

スカートを捲られたら?白のストッキングと白のガーターベルトがこんにちは、だよ。

 

「おー」

「大きいメイド長に小さいメイド長か」

 

並んでみると諸々同じで私がちっちゃいからお背伸び感がはんぱなーい。

でも胸元のパッツパツ感は私がはんぱなーい。

 

「二人共嫁に欲しい…」

「メイドとして俺たちの所で働かない?」

「姉妹丼…」

「姉妹おっぱい…」

 

「そこに直りなさい、腕か足かどっちか折ってあげるわ」

「お姉ちゃん、待ってあげて?お兄ちゃん達なりの褒め言葉だから…ね?」

 

理解してあげるのもイイ女の条件だよ?

お姉ちゃんはちょっとキツすぎるからマイルドになったほうが良いと思うの。

うーん…それにしてもお姉ちゃんは着痩せするなぁ…

お姉ちゃんは脱いだらスゴイんだよ、知ってた?

まぁ完璧な身体って言っても過言じゃないよね、ふふん。

 

「おし、今夜の食堂は楽しみですねぇ!」

「417ちゃんのダミーはいつものスケベメイドだし…じゅるり」

「ダミーとは言え妹に手を出したら分かってますよね?今度はその汚らしい手をへし折らなくちゃいけないわ…」

「ヒエッ」

「お姉ちゃん…」

 

もー、お姉ちゃんは過保護だなぁ…私は別に良いかなって思ったり

 

「417」

「なーに?」

「スケベなことをされても良いなんて思ったら拳骨だけじゃすまさないわよ?」

「……はーい」

 

拳骨のうえグリグリされそう、お姉ちゃんのはやってる内容こそ可愛らしいけど。

すっごく痛いから私は勘弁したい…ダミーがよく食らってるけど泣いてるもん。

泣いても懲りないのがダミーなんだけど…

 

 

着替えて戻るとダミーはもうメイド服に着替えてた。早いよ。

メンテナンス班のお兄ちゃんにご奉仕するお約束?

セクハラされたらダメだよ?良い?フリじゃないからね?




大体4000~5000あたりを目指してカタカタしてるけど、ボリューム足りてる?
正直作者は不安でござる

メイドHK姉妹の爆誕だ、おめーらご奉仕されたいだろ?


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Day18 はっちゃける妹達

第2部隊もそろそろ出てきてもいいよね?
そして今回は短め。


――――――――――――D08基地食堂・夜

 

 

メイド喫茶状態になってる食堂、もう珍しい光景ではない。

職員もそんな眼福な光景に狼狽えることもない。

案内から配膳まで見目麗しい美少女が滞りなくしてくれる、なんと良いことか。

しかも視線に無防備でパタパタ走る際に揺れる胸を惜しげもなく見せている。

誠に眼福である、ここがD08基地の天国だ。

 

さらに今夜は一人追加である。いつものメイド、417の姉の416だ。

真面目一辺倒の彼女が参加するとは誰も予想しなかっただろう。

装いを新たにした417本体の嬉しそうな顔に落ちたらしい。

 

誰がG11を連れてくるか?45が有無を言わさず連れてきた。

417が心配するからと45は話していた。

 

416の主な役目は暴走する417ダミーの静止。

ダミーは本体の命令は無視するクセに姉の言うことはしっかり聞く。

主に拳骨とうめぼしぐりぐりで聞く。でもすぐに破る。

G11とはベクトルの違った手のかかる奴である。

 

 

「そこのダミー!職員に不用意に近づかない!!」

「えー…」

「まだ何もしてないっす…」

「まだって事はなにかするつもりだったんでしょう!?私の目の黒いうちはそんな事許さないわよ!!」

 

「おかえりなさい、ご主人様♪こちらへどうぞ♪」

 

本体はというと姉に任せて粛々と案内をしていた。

ヴィクトリアンメイドなのも様になるが、豊満なバストは隠れきれていない。

欲望に正直な変態職員に色目を使われることは免れなかった。

本体はその事実を知りながら無視してる節があり416の悩みのタネとなっていた。

曰く「男はそういうものだから仕方ないよ」だそうだ。

 

 

「あらあら?私よりはインパクトに欠けるけど…良いメイド姿ね」

「この方が417さんですね、何だかG36姉さんみたいです…」

「まだコーラある?あるの!?やったー!」

「ふぅ、これは私も頑張らないといけませんね…ふふふ…」

 

夜の出撃から帰ってきた第2部隊がやって来た。

隊長のイサカ一瞥するとメンテナンス班主任のところへ突撃。

残されたG36Cが空いている席を聞いて案内を受ける。

SAAはコーラを求めてキッチンカウンターに突撃してコック長からボトルを投げ渡され。

お手伝いしている417に何か火を付けられたスプリングフィールドが居た。

 

一週間キッチンから外されてウズウズしていた所らしい。

それから417という少女になにか思う所があるみたく微笑んで見ていた。

 

「あの、コック長…あの417ちゃんは?」

「おう春田の嬢ちゃん…俺らが風邪でダウンした時に一念発起したみたいで俺らの代わりをしようとしてくれてなぁ…

スケジュールが合わないで料理について教えてやれてないから嬢ちゃんがやってくれねぇか?」

「そういう事ですか…ふふ、勿論良いですよ♪ただし貸イチですからね?」

「ったく…ガトーショコラで良いか?」

「うふふ♪ありがとうございます」

 

どの場所でも女は強し、格言である。

コック長もスプリングフィールドには頭が上がらないのであった。

甘味でOKなあたりはまだ甘いと思われる。

 

 

「主任はなんでイサカちゃん射止められたんだか…」

「俺らと同じスケベなのに不公平っすよねー…」

「それより416ちゃんのお世話焼きっぷり…良い…」

「SAAちゃん今日もあのつるぺたが良いンゴねぇ…」

 

「我慢しなくていいのよ?私は貴方のぜーんぶ受け止めてあげるんだから♪」

「食事中は勘弁してくれよイサカ…一人で食べれるって…」

 

食堂の一部は愛の巣と化し、眺める取り巻きは不公平さに嘆き。

ある者は自分の性癖にどストライクな人形に欲情し。

じっくりと舐め回すように視姦して

 

「へぶっ!」

「ジロジロ見るのはやめようね?」

 

早速空になったボトルで顔面を殴打されていた。

変態にはそれはご褒美だが、SAAは気にせず往復ビンタを3セットして戻っていった。

あとに残ったのは恍惚の表情でノビる職員とドン引きしている残り3人…

この基地は変わらず平和であった。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夜

 

 

「お兄ちゃーん♪」

「「「かこめかこめー!」」」

 

「おぶっ…おぉ、おっぱいおっぱい…」

「お兄ちゃん?」

「何かね、417」

「えへへー♪」

 

今夜は特に酔ってもいない417がはっちゃけていた。

ダミーを引き連れてメイド服のまま司令室に突撃していた。

姉は疲れたといって兵舎に戻りストッパーは居ない。

指揮官は変態ではあるが余り出すぎたことはしない。

変態紳士である、仕事中につきデレデレはしないがおっぱいには逆らえなかった。

そして417も兄と慕っている指揮官に抱きついてデレッデレ。

 

ヴィクトリアンメイドとフレンチメイドによる囲い込みは圧巻であろう。

 

「お仕事中だからまた後で」

「じゃあお手伝いするから後で構って?」

「はいはい…それじゃあこの書類の処理を頼む」

 

ダミーも居るため指揮官の作業スピードの3倍で終わったのは言うまでもない。

 

「で、今日来たのは何でかな?」

「なんとなく!」

「暇だったからー」

「シキカニウム不足」

「おやすみなさいの前の挨拶」

 

ダミーはとても欲望に忠実だった。

これには指揮官も苦笑いでダミーの頭をなでて落ち着ける。

シキカニウムとは?417ダミーの中で定義された新物質。

これでも抑えているとはダミーの言である。

 

仕事を一気に片付けられ暇になった指揮官は私用モードに移行して内に秘めた欲望をにじませてきていた。

元から美少女でロリで巨乳と属性盛り盛りな417がMk23と同じ様に甘えてきているのだ。

手を出したいのは男の正直な所だろう。

だが変態紳士は見るだけである、じっくりねっとりと見て満足するのだ。

手を出すのはよっぽどの時である。

 

「じゃあダミーはおやすみなさいな…」

 

「……チューは?」

「は?Mk23にしてることは?」

「チキン」

 

ダミーは容赦なかった。紳士的に頭をなでて終わりにしようとしたらこれである。

容赦ない口撃に指揮官も苦笑いが張り付く。

詰まるところは417ダミーはこうである…

 

お手つきしろよ、怖気づいてるのかベイビー?

触れ、撫でろ、あわよくば揉め。といった所か。

指揮官の明日はどうなる?

 

 

「お兄ちゃん♪」

「何だい、417?」

「私にもおやすみなさいのチューして♪」

 

デレあまな417は暴走すると大胆、指揮官はもう考えるのをやめた。

最後の理性がそうさせたか、唇ではなく頬にキスをして自室に籠もった。

417ダミーは揃って不満そうな顔を浮かべ、本体は幸せ夢見心地でふわふわと兵舎に戻っていった。

 

 

――――――――――――D08基地指揮官私室・早朝

 

 

「んふぁぁぁぁ…あー、くそ寝た…」

 

指揮官の私室は狭い、6畳程のスペースにめったに使われないクローゼット。

私用のPCとPCデスク、雑誌ラック、山積みになった使用済みティッシュ。

親直筆の「諦めんなよ」と書かれた書…散らかってはいないが男の部屋であった。

 

隣接してバスルームがある、そこは兵舎と変わらない。

 

万年床と化してるベッドから跳ね起きようとする指揮官だった。

が、しかし…何故か腕が動かない上に何かが乗っかっている。

 

「すぴー…」

 

左右と上から寝息が聞こえるのだ、慌てて見れば417のダミーが制服で寝ていた。

ダミーがこぞって不法侵入した上で指揮官のベッドに押し入っていたのだ。

両手に華で羨ましいと思うなかれ、全力で抱きつかれている腕は感覚がなくお腹の上に乗っかっている417は失礼だが重い。

甘えん坊と化した417は酔った時同様面倒くさい…

 

 

レスキューに417本体と416が来るまで指揮官は417サンドされていたのであった。

聞きつけたMk23が暴走して指揮官の理性を朝からゴリゴリ削ったが変態的には嬉しいだろう。

朝からおっぱいおっぱいとうるさく416にシメられた。




第3視点のトライ回。
そして好意マシマシな417によるジェットストリームメイドアタック。
指揮官は死んだ。


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Day19 にゃーん

ペットってどっから拾ってると思う?
ボクは人形が拾ってきてると思うんだ。


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「「「私悪くない」」」

「悪いわよ、指揮官の部屋に勝手に入り込んではしたなくないと思わないの!?」

「何ではしたないの?」

「一緒に寝ただけ」

「添い寝と変わらない」

「あの変態が牙を剥かないと思ってたわけ?それにはしたないって…そんなの大声で言えるわけ無いでしょうが!!」

「「「チキンだもん、ないない」」」

 

「ごめんね、お兄ちゃん…」

「いや、良いんだ…」

 

朝から騒がしくてごめんなさい、417です。

私のダミーが暴走してお兄ちゃんのお部屋に勝手に入り込んで腕を締めてたみたいで…

お兄ちゃんの腕が不能状態なのでお仕事を代行して私がしてる。

 

「痛いっ!?」

「ふにゃし!?」

「あだぁっ!?」

 

「いい加減に迷惑をかけるのは止めなさい、良いわね?」

 

おー痛そう…お兄ちゃんは暴走して猫になってるMk23にまかせて…

動けるようになるまでの間お仕事頑張るぞー…

 

 

そんなこんなで作戦開始までちょっと遅れた。

今週は私達第3部隊が午前出撃、張り切るけど…朝からダミーが暴走気味だから不安だなぁ。

ん?なになに?近々お兄ちゃん宛になにか来るらしい。

なんだろうね、機密につき同封した資料で詳しくは知れって…

 

お兄ちゃんも皆目検討つかないって表情だった。

 

「Mk23」

「なーにダーリン、おっぱい揉む?」

「そろそろ降りて、お仕事」

「もう少し抱っこして♪」

「417」

「なぁにお兄ちゃん?」

「もう少し代理頼んだ」

「はーい」

 

Mk23、貸し一つだからね?

お兄ちゃんの為なんだから…!

唸れ私のペン!

 

 

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

結局お兄ちゃんのお仕事半分潰した。えっへん。

さて、今日はこれから出撃だ。前線の様子を見て戻ってくる偵察だ。

昼までの出撃だけど気をしっかり締めないと。

皆はゆるゆるだけど私はしっかりするの!

 

さてと、切り替えていきましょう。

ダミーもお遊びは止めよ?良い、任務は簡単よ。

全員無事に基地に帰す、たったこれだけよ。

 

目が据わった私を指揮官は頼もしそうに見てくれる。

それだけで私は頑張れるのよ、ふふ…

 

「それじゃ、いってらっしゃい」

「いってきまーす、お土産に期待しててねー」

「今日はヒットレートどれくらい行けるかなぁ…頑張ってきますね♪」

「ダーリン、行ってきます♪」

「いってきまーす…何見てるのよー…」

「行ってきます、皆無事に帰すから安心して?」

 

私は完璧よ。それは揺るがない。

 

 

――――――――――――D08地区前線・朝

 

 

「では、お気をつけて」

 

見やすく大げさに手を振って返答。

さぁ行動開始、最前線を抜けてやってくるバカはどれだけ居るか…楽しみね。

私は嗤いながらチャージングハンドルを引いた。

小気味いい音と共に初弾がチャンバーに装填された。

いつでもぶち抜いてあげる。

 

 

 

 

「それじゃー偵察よろしく、417」

「任された。発見後の展開は迅速にね?」

「それより今日こそ私の実力を見せますよー!」

 

偵察の私と狙撃のM14は早速戦闘モード。

意欲満々なのは良いけどM14はさっさとそのアタッチメントに慣れてからよ?

スコープを高倍率にしてから初めての作戦行動、誤差修正するまではどうかしら。

 

暫くの間、接敵することもなく私達は前線を警備する…

ダミーも無駄口を叩かず双眼鏡片手に偵察を続ける。

 

ん?ガサガサと草が揺れている。

敵かも知れない…注視していると中から現れたのは…尻尾?

茶トラ模様の尻尾だ、敵じゃないけど…

 

ちょっと衰弱した様子の子猫が出てきた。

ど、どうしよう…スコーピオンに聞いてみようかしら?

見殺しにするのは後味が悪いわ…

 

「スコーピオン、あの先なんだけど」

「何なに!?敵?」

「いえ、敵じゃないけど…猫が居るの」

「うーん?」

「衰弱してる様子だし…保護とか出来ないかしら?」

「……指揮官はOKだって、417が回収しておいでー」

 

指揮官は本当に甘ちゃんね、そこが良いんだけど…

許可は取れた…あとはあの子が逃げたりしなければ良いけど…

ダミーに周辺を見させながら子猫ちゃんに近づく。

向こうもこっちに気づいて警戒した様子でこっちを見てる。

 

「大丈夫…大丈夫だよ…」

 

「みゃーぉ…みゃーぉ…」

 

母猫とはぐれたのか…それとも見捨てられたのか…

このままだといけない…私の小さな両掌くらいのサイズだ。

一人で行きていくにはこの土地は痩せてるし…

本当はお母さんが良いよね…ごめんね、お姉ちゃんで…

うんうん…弱ってたからか大人しく捕まってくれた。

胸に抱えてみるとちっちゃくも暖かくて…可愛い…

 

「こちら417、子猫を保護したわ…」

 

『じゃあ警備に戻ろうかー敵影は?』

 

「無いわ、今日も暇で終わりそうね…」

 

『平和でいいけどねーつまんないなー…』

 

スコーピオンの言うことも分かるけど、私は平和のほうが好きよ?

それにこの子を驚かせなくて良い…

 

何事もなく警備任務は終わりヘリで帰投した。

猫ちゃん暴れないで、あ、やめて…おっぱいに爪を立てないで!

 

 

――――――――――――D08基地救護室・昼

 

 

帰ってからはダミー達に食堂のお手伝いに行かせて私はこの子猫のお世話に精を出していた。

衰弱してたけどミルクはちゃんと飲んで餌に貰ったお肉なんかももりもり食べて…

今は私のお膝の上で丸まって寝てる。懐いてくれてるのかな。

猫は恩知らずなんて言われたりするけど…どうだろう?

 

「……じー」

 

さっきからWA2000が見てるけど、何?

キラキラした目で子猫を見てるし…可愛い物好き?

カシャカシャと端末で激写してないで入ってきたらどうかな…

 

「あのー」

「な、何よ?」

「愛でたいなら入ってきたらどうかなって…」

「ちょ、ちょっとだけ…はわー…可愛い~♪」

 

あのいつもキリっとしたWA2000がふにゃふにゃ笑顔に…!?

撫でて笑顔になったかと思えば寝てる子猫を抱きかかえて頬ずり…

起きた子猫が大あくびすると悶てるし…膝の上に抱っこして撫でまくって…

あんまりしつこくすると猫って…

「ふぎゃ!?」

あー、爪立てられた…

そんな泣きそうな顔でこっち見ないで…猫ってそういうものです。

 

「撫ですぎですね…」

「可愛いから仕方ないじゃない!」

「どうどう、怒鳴らない…」

 

怒鳴るWA2000に対して…膝の上で寝てる子猫はゴロゴロと喉を鳴らしていてリラックスしてる様子。

人懐っこいのかな?人見知りしなくて良かった。野良猫ちゃんって警戒心が強いはずだけど…

生後間もない子なのかも…

 

「ねぇ417」

「なんですか?」

「この子私に頂戴」

「お兄ちゃんに相談してください」

 

物じゃないから頂戴もなにも…管理はお兄ちゃんがするって言ってたし…

暫くはこの救護室で生活してもらって人間に慣れてから飼うか決めるって言ってたけど…

…それにこのWA2000暴走気味で不安が残るの。

 

「ちょっと直談判してくるわ」

「素直に言ってくださいね?」

「う、うるさいわよ…アンタには関係ないでしょ?」

「はーい…じゃ、私はこの子の様子を見てますから」

 

 

その後WA2000がまた戻ってきた上に猫目当てにイサカとかお姉ちゃんとかG11まで来た。

45お姉ちゃんがそっと横に居たのはびっくりした…いつの間に?

いきなり「猫かぁ、気まぐれで良いわよね~」なんて囁かれたから心臓止まるかと思った。

子猫も人見知りしないで愛嬌振りまいてくれて来た皆和ませてた。

 

暇していたメンテナンス班のお兄ちゃん達が急造でダンボールハウスを用意してくれていた。

暫くの寝床はそこになるって…ごめんね。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「お、417…猫の様子はどう?」

「あれからぐっすり寝ちゃったよ」

「この基地のマスコットがまた増えるな」

「ふふ、そうかもね♪」

 

お兄ちゃんは休み時間も書類仕事をしていた…あれー?今日の分はもう終わってても良い頃だけど?

お仕事熱心なのは良いけど無理とかしないでよ…お兄ちゃん。

所でマスコットって私も含まれてるのかな?

お兄ちゃんは私の頭を撫でてくれて視線を書類に戻して難しそうな顔をしていた。

機密っぽいから見ないけど…何だろう?

 

「その書類、難しいの?」

「んぁ!?あー…まぁ、困ったものだな…うん」

 

過剰な反応もある…むー?よく分からないけどお兄ちゃんは悩んでる。

何がこんなに悩ませてるんだろう…

 

「それより猫が来たから保護施設の本格始動だな…」

「もっぱら投資してたのデータルームだもんね、お兄ちゃん…」

「今まで見つからなかったんだもん…キャットフードも注文しておいたからな」

「ナイスだよ、お兄ちゃん♪」

 

普段はスケベだけどこういう時は頼りになるなぁ…

 

 

余談だけど猫のお世話は非番や出撃帰りの人形の希望者でやるって。

WA2000がすっごいやる気満々で立候補したからお兄ちゃんが苦笑いしてた。

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・夜

 

 

「猫ランジェリーってどう思う?」

「いきなり何言ってるのMk23」

 

猫が可愛いからってランジェリーを着ても可愛がられるとは限らないよ?

Mk23は聞いちゃいない、血走った目でカタログ見てるし…

お兄ちゃんに喜んでもらいたい?まぁ止めないよ?

元からMk23は猫っぽいから似合うと思うし…

 

でも、良いなぁ…好きな下着を選べるのは。

私は支給されるのしか合わせられないし。

私のおっぱいのサイズに合うブラはオーダーメイドクラスになる。

人形にはちょっと手が出ないかなぁ…

本当に欲しいと思ったらI.O.PにおねだりしたらOKだと思うけど。

 

うーん…お兄ちゃんの喜ぶ下着かぁ…

トレンド視察も兼ねてお出かけ申請しよう。私に似合う服って言うのも探してみたいし。

何より、遠くなってしまった内地をまた見たい。




所で指揮官君が悩んでた書類ってなんだろうねー(棒読み)



誤字報告ありがとですー


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Day20 厄介な書類とお買い物の約束

今回ちょっと某作品の話しが出ます。


――――――――――――D08基地司令室・早朝

 

 

俺は非情に面倒なことを押し付けられたと思う。

各基地で効果が実証されているとあるアイテムが波乱の引き金になりかねないのだ。

機密という事で人形が勝手に開けなかったのが良かったが…もし開封されていたら大波乱になっていたかも知れない。

I.O.Pお抱えの研究者、ペルシカの姉御が寄越したアイテムはただのアイテムじゃない。

野郎を墓場へと叩き込む魔性のアイテム…結婚指輪だ。

 

誓約システムとか言って人形の性能を頭一つ上げる素敵アイテムだが…

ケッコンという儀式になぞられていて悩まされる。

一応ながら一夫多妻制なんてのもOKみたいだが…養える気がしない。

俺はあまりモテるような男ではない、自他ともに認めるスケベで変態だ。

独身貴族で悠々自適なシコリティライフを送りたいのだが…

上の連中はそれを許してはくれないらしい。超プッシュしてくるのだ。

 

いかん、一夫多妻制などやってみろ、周りからぶっ叩かれるのが目に見えてる。

そもそもこんな指輪を渡して喜ぶヤツが居るか?俺はそこが疑問でしかたない。

こんな厄介なのはしまい込んでおしまいよぉ、見なかったことにする!

ペルシカの姉御の通信は無視!ヘリアントス上級代行官は知らん存ぜぬで押し通せ。

俺と同じで独身の癖してケッコン押し付けてんじゃねぇよクソがっ!

 

「ダーリーン♪」

 

あぁクソ、もうそんな時間か。Mk23が突撃かましてくる。

こんなのは忘れて仕事に集中しよう、そうしよう。

その前に…Mk23の柔らかさを堪能せねば…

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・朝

 

 

「起きて、G11?」

「ぁー…ぁーぃ…」

「いつもありがとうね、417…私じゃ中々起きないから」

「任せてよ、お姉ちゃん♪」

「んぃー……」

 

ぐっとサムズアップする私と後ろでもぞもぞ動いて起き出すG11。

G11のぼさぼさな髪を整えてあげながら私は大丈夫ってサムズアップ。

まだ寝ぼけてそうだからちょっとほっぺたをつまんで伸ばす。

やっぱり半分寝ぼけてる、起きろー

 

私達第3部隊は隊長のスコーピオンを除いて起きてる。

昨日夜中までゲームしてたから寝坊コースかも?

朝ごはん食べて起きてこなかったら流石に叩き起こしに行くけど…

 

「足つぼマッサージするぞ☆」

「ハイ起きました」

「よろしい♪」

 

さて、食事して戦闘準備だね。G11はしゃっきり起きたし…

G11はごそごそとDVDプレイヤーを用意し始めて…何を見るんだろう?

45と9はワクワクとしていて…お姉ちゃんはパッケージを見て苦い顔してる。

シャイニング?今度一緒に見せてもらおうかな?

 

 

――――――――――――D08基地食堂・朝

 

 

「我ら独身野郎どもー!」

「恋人になってくれる人形を募集するゥー!!」

 

「何やってるんだろ…」

 

食堂でコントやってる職員は無視してさっさと食事をかきこむ。

募集するのは勝手だけど魅力的な所を見せないと靡くものも靡かないよ。

バカバカしいーって思いながらぼんやりそっちを見てた。

期待してそうな目がこっちに合うけど残念だけど私はその気はないよ?

ふっ…と鼻で笑って視線を外す。

 

「朝から元気だねー、コック長コーラ頂戴♪」

「はいよ」

「わーい♪コック長大好きー♪」

「いつもすいません…」

 

SAAは我関せずでコーラを貰ってテンション上げてるし…

G36Cがぺこぺこと頭を下げてる…これも日常的な風景だなー

今日の朝ごはんはエッグマフィン、手軽だね。

ちなみにこのマフィンはスプリングフィールドの手作りらしい…美味しい…

負けてられないなぁ…これが女子力の違いってやつ?

オフの時はセーターにジーンズってラフな格好だけど様になってるし…あれが大人の魅力ね。

あ、こっちの視線に気づいて手を振ってる…にゃんこエプロンだ、良いなぁ。

 

手を振り返したら嬉しそうにするんだもん、綺麗で可愛いって卑怯だなぁ。

食べかけのマフィンを掲げておいしいよってジェスチャー。

満面の笑顔のサムズアップが帰ってきた、可愛いなぁ。

 

遅れてスコーピオン達が起きてきたみたい。

大慌てでカウンターに走っていってる…もっと早くに起きなよー…

お寝坊は怒られるって一番に言われてるんだから…

 

「417ぁー起こしてくれてもいいじゃないの~!」

「夜中までゲームしてるのがわるーいの」

「ちぇー」

 

カウンター席に座っていた私の隣に来て牛乳を片手に流し込むように食べるスコーピオン。

喉につまらせる心配は無さそう。そそっかしいって感じじゃないんだよね。

ほぼ食べ終わってた私と同時にごちそうさまして…戦闘準備だね。

 

ちょっと救護室の様子を見たけど…WA2000ことわーちゃんがデレデレお世話してたからOKかな?

噛まれたり引っかかれたりで生傷増やしてないかな…

まぁ修繕したらすぐに終わりだけどね…

 

 

――――――――――――D08地区前線・朝

 

 

「敵影、蟻8に人形4」

「りょーかい!突撃ィー!」

「私と417でバックアップだね」

「別に全部倒しても構わないのよ?」

「私達の取り分は残しておきなさいよー!」

「うふふ♪ショータイムの時間ね♪」

 

朝から前線を抜けてきたのが出てきていた。

私は伏せて二脚を展開、隣でM14は膝立ちで狙う、スコーピオンとUziが突撃していき…Mk23がサポートに回る。

馬鹿みたいに突っ込んでくる鉄屑の人形のコア部分を撃ち抜いていく事にしよう。

こんなに愉快な的当ては無いわ、ふふふふ…

 

「あっれー?」

「アタッチメントがズレてるんでしょ?多分…はい、誤差修正はこれで良いんじゃない?」

「んー……お、ドンピシャ!ありがと、417」

 

M14はコアを狙ったつもりが腹部にヒットしたみたい。

アタッチメントのマウントがずれてるんだと思うけど戦闘中にずらすなんて事は出来ない。

着弾から逆算して誤差修正データを通信で渡してから戦闘続行。

あと…銃の構え方が固いのかしら?銃の扱い方も後で教えたら伸びるわね。

 

「スコーピオン、その影でアンブッシュ…Uziとバックスタブしてあげなさい。奴ら私達しか見えてないわ」

「マジ?残りは?」

「蟻8、人形は3」

「纏め刈りのチャンス!」

「手榴弾用意…今!」

 

何時もよりUziとスコーピオンの展開が早い。

まっすぐ脇目も振らず突っ込んでくる鉄屑に焼夷榴弾と鉛玉の雨が降り注ぐ。

混乱して棒立ちになる所を的確にヘッドショット。

M14と息を合わせて人形の方を片付ける…バタバタと倒れる人形に狼狽える蟻。

飛び出したUziに照準が行った所で…

 

「残念だけど、貴方達の負けよ♪」

「ゲームオーバーってヤツ!」

 

横合いからスコーピオンとMk23がスキだらけの土手っ腹に風穴を開けて終了。

ダミーの被害も無し、パーフェクトゲーム。

私のヒットレートも100、M14も狙い通りに行かなかった一発があったとは言え100…好成績ね。

これこそ…完全無欠ね。ふふふ。

 

Uzi?どうしたの?

変に高機動したからブラが壊れた?知らないわよ…

 

 

――――――――――――D08地区前線・昼

 

 

Uziのブラが壊れた事以外は特筆すべき事もなく警備は終わった。

私もあんまり動かないけど動くことがあったら…怖いわね。

Uziも事故案件だけど私の場合は致命傷になりかねない事故よ。

 

「そういえば、聞いた?」

「何を?」

「S地区の話しー」

「S地区?」

「強襲受けて壊滅した上に鉄屑に侵攻を受けたってやべー地区よ」

 

G&Kの社内報で出てたらしい。社内報なんてあるんだね。

どこかの基地では後方幕僚の労働環境のブラックさを報道されてたり。

ある基地での人形偏愛っぷりや熱愛っぷりを報道されてたり…

主だった記事はどうでもいい…って思うようなくだらないのだけど…

 

で、件のSで地区の話しはというと…一度鉄血の強襲を受けて壊滅。

指揮官は戦死、生き残りは数人の人形に留まると…悲惨で同情するけど…

幸いにも救出された人形はとあるG&Kの支部で保護されて居るらしい。

エリートの所属する支部らしいからきっと幸せね。

で、終われば良かったんだけど…現在そのS地区は再び攻撃を受けてるんだって。

鉄屑はS地区に恨みでもあるのか?ハイエンドモデルも出てるってやばい所じゃない。

基地の規模自体は私達のD08基地より小さいのに…どういう事かしら?

 

帰りのヘリの中での談笑はそんな所で…今日のMVPはスコーピオンだった。

ひたすらナンバーワンと言ってうるさかった

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「……はい」

「お、おう…よく必要な書類わかったな…」

「私は完璧よ」

「あー…うん、そうだな…」

 

今日の副官はお姉ちゃんだったみたい。

お兄ちゃんはお姉ちゃんの醸し出す雰囲気に押され気味みたい…

脇目もふらずに書類に目をやってるはずなのにお姉ちゃんはお兄ちゃんの必要な書類をパッパッと渡して…完璧だけど怖いね。

基本お仕事には真面目なお兄ちゃんだから怒られてはないみたい?

 

「考えてる暇があったら手を動かしなさい」

「へーい…」

「はい、でしょう?」

「はいはい…」

「はいは一回で良いの」

 

訂正、お姉ちゃんがかなり厳しくて怒られてる。

脇目を振るのもダメっぽそう…

 

とと、申請に来たんだから声を掛けなくちゃ…

 

「お兄ちゃん、今いーい?」

「んぉ?417か、どうしたの?」

「どうしたの?報告はもう終わったはずだけど」

 

お、お姉ちゃんもお兄ちゃんも手を止めてこっちを見た。

表情は柔らかいし邪魔ってわけじゃ無さそう、うん…なら申請してもOKかな?

 

「外出許可を貰いたいの、今度のお休みに!」

「そんなの?別に大丈夫だぞ…ついでに買い出し部隊編成するか」

「ありがと、お兄ちゃん♪」

 

私の身体は不便なもので車の運転は出来ない。

なんでかって?そりゃ足が届かないの!

ともかくこれで足に困ることはないしついでにお買い物を楽しめる!

お買い物部隊がどうなるか…だけど…

 

「ついでに休むか…働き詰めで遊んでなかったしなー…」

「何連勤してたのよ…」

「ざっと…21連勤だな。ヒュー、ブラックブラック」

「アンタが単に休んでなかっただけでしょ…」

 

「じゃあお兄ちゃんも一緒にお買い物いこ?」

「おー…良いな、でも荷物持ちは勘弁してよな」

「そんな事しないってばー」

 

次のお休みは基地をお休みにするって。

メカマンとかは交代で休んでたりするけどお兄ちゃんずっと働き詰めだったんだって。

家族でのお買い物かぁ…楽しみ♪

 

 

――――――――――――D08基地データルーム・昼下がり

 

 

「という訳で、今度そっちに顔を出すかも知れないから」

『いやいや、引き篭もってたいんですけど』

「引きこもりは良くないよ、というか働け」

『なんでか貰ったI.O.Pからの金で生きてるから平気平気』

「良くない、良い?親は居ないしお金だって有限で」

『弟みたいな説教しないでくれや…』

 

電話回線を借りて通話してるのはあの夜から通話してなかった兄

こっちは一応ながら肉親だった兄、もう弟じゃなくなったけど…

一応、私は大事に思ってる人でクソクソ言ってたけど死んでは欲しくない人。

買い物先と住んでる場所は近い。押しかけて引きずり出そうかとも思う。

 

携帯端末にも連絡先を入れ込んでいて連絡取れないってことは無い。

ヒキニートでロリコンの気があるけど三次元には興味ない生粋のオタク。

また不養生してると思うと頭が痛いなぁ。

というかI.O.P金で揉み消しやがったな…

 

所属の片割れに微妙な感情が生まれたけどまぁそれは良いや…

あれは私の過失もあるし…今はこうして幸せだし。

 

「それじゃあ、またね」

『おう、弟のお友達さんよ…あんなのでも友達になってくれてありがとよ…』

「え…?あ、もう…切れてる」

 

………寂しそうな声が聞こえた。

あんな兄でも…一応、思っててくれたのかな?




クソ兄なんて居なかった。
普通に育ってりゃそれなりに大事に思うと思うんだ。
特にこんな荒んだ世界の肉親なんて大事も大事と思うんだ。



【挿絵表示】


どうでもいいですけど作者のクソ画力で具現化してみた417ちゃん
まぁ416の面影はおもっくそありますよん


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Day21 キッチンより真心を込めて

春田マッマの新妻感、分かるかい?
若妻と言っても良い。作者はすごく好き


――――――――――――D08基地キッチン・おやつ時

 

 

「ふんふんふーん♪」

「今夜はペペロンチーノとマルゲリータピザですね」

 

「417ちゃんと春田さんの合作かぁ…」

「女の子の手料理って字面だけでもうね…」

「お前らは付け合せのシーザーサラダを作れ、ボケナス共!」

「へいへい…」

 

夕方のキッチンはお料理する私とスプリングフィールドによってほぼ占拠されていた。

ダミーも私もメイド服を着てからお料理中、人海戦術は任せろー

人海戦術に物を言わせて拘りの手作り麺です。

もっちりアルデンテに仕上げていきましょう…スプリングフィールドさんはピザ生地を捏ねてる。

私はパスタ生地を捏ねていて最初の工程は似たり寄ったり。

小麦粉に塩を混ぜて、卵と水、オリーブオイルを入れながら混ぜる。

そうするとなめらかになってきて捏ねれるようになる。

ここから更に纏めていって…と時間がすぐに経つの。

 

ピザには卵は入れないけどね。大体の工程は同じでこねこねするの。

後工程で寝かせるんだけど、その時の寝かせ方が違ったり。

パスタの方は冷やすんだけど、ピザの方は温かい所で寝かせる。

寝かせてる間にデザートでも作ろうかな。

 

おっと、スプリングフィールドも同じこと考えてたみたい。

 

「しかし捏ねてるときに…揺れるな」

「あぁ…デカイとああも揺れるか…」

「無駄な脂肪だろ、くだらねぇ…ぺたんここそ至高」

「無駄口叩いてんじゃねぇ!!」

 

捏ねてる時に横から視線を感じるなぁと思ったら調理班の若い子が見てたみたい。

邪な感じじゃなかったから無視してたけど…見るものは見てたみたい。

後で料金取ってやろうかな?まぁいいや、それよりデザートは何にしようかなー?

 

「417ちゃん、デザートはどうしましょう?」

「んー…チーズスフレケーキはどうかなって思うけど」

「イタリアンですし…レアチーズタルトはどうでしょう?」

「ん、それにしよう!」

 

デザートの案はスプリングフィールドの方が一枚上手だった、くぅ…

お料理着もなんだろう…私がヴィクトリアンメイドならスプリングフィールドは新妻感が半端ないの。

セーターにジーンズ、その上に猫ちゃんエプロンだよ?はー…理想の若妻って感じ。

こんなの見せられて邪な感情を抱かないのは男じゃないと思うな!

ただのロリコンかもしれないけど…

 

「SAAたんだ…!」

「コーラだ、コーラを用意しろぉ!!」

「貢げ貢げ!」

「おめぇら…」

 

コック長以外はロリコンかぁ、私は射程外となるとつるぺたなSAAが好みかな?

SAAは多分コーラを取りに来たんだろうけど…ダミーに持っていかせよう。

細かいのはダミーには無理だもん…捏ねたりは出来てもね。

 

タルト生地はどうしよう。これも時間がかかりそうなんだけど。

 

「こんな事もあろうかと…焼いたタルト生地を寝かせておいたんです♪」

「やるぅ」

 

この用意周到さ、見習いたいなぁ。いたずら成功みたいな顔しててお茶目。

ともかくこれで30人位のデザートも残り時間で用意できるかな?

あ、ゼラチンアレルギーは居ないかな?

固めるのにゼラチン使うから居たら大変だけど…

 

「ここの職員はアレルギー持ちが居ないから楽ですよ?」

「おー…」

「健康児ばかりだ、嬢ちゃん達は存分に腕をふるってくれや」

「はーい♪」

「ふふ、腕によりをかけますよ♪」

 

アレルギー持ちは居ない、コレは良い情報だ。

型代わりのタルト生地はある、後はレアチーズを作ればいい。

 

クリームチーズに熱を加えながら砂糖を混ぜまぜしてクリーム状になるまで混ぜる。

ダマにならないように注意しながら…ヨーグルトと生クリームを入れて混ぜる…

よーく混ぜたら…一旦コレは置いて、固めるためのゼラチン入りクリームを作る。

生クリームにゼラチンを入れて沸騰寸前まで煮詰める。

で、出来上がったゼラチンを混ぜてあげて…濾すの。

濾したものを冷やしてから型に流し込んで…冷やせばOK!

スプリングフィールドと一緒に味を見ながらやったからOKのはず…

 

「ん…上出来だな、嬢ちゃん…いい嫁になるぞ」

「あははは…」

「ふふ、貰い手はまだ居ませんが…」

 

お嫁さんか…考えたこと無いけど、私もいつかはそういう日が来るのかな…?

戦術人形だし…無いかなぁ…他所の基地では熱愛があったりするみたいだけど…

お兄ちゃんはどうもそういう感じはしてないし…愛してるって言う感じはMk23くらいだもんね。

イサカは主任とくっつきそうだけど…どうだろう?

鉄屑とのドンパチが終結したら…そういうのも考えたほうが良いかな?

 

もしくは検体とかでバグの理由が発覚したら鉄血連中と手を取り合える未来があるのかな?

…今の所はあり得無さそうだけど。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夕方

 

 

だぁくそ!隠していた例のブツをFALに見られちまった!

誰にも渡す気なんざねぇ!そもそも誰も好いてないだろ!いい加減にしろぉ!!

とにかく無駄な混乱を避けるために黙ってろって言ったが…素直に黙ってるタマかねぇ?

Mk23あたりに知られたら俺の理性をガンガンに削ってでもプッシュされそうだから嫌なんだよ…

大体俺の理想は少なくとも料理が出来る家庭的な女だ、戦術人形じゃねぇ!

理想に近いのはスプリングフィールドだが…でも結婚を切り出せるか?いや、無理だ。

 

「おにいちゃーん、晩ごはん持ってきたよー♪」

 

血の繋がりはまったくないが俺を兄と呼んで慕ってくれる人形も居る、迂闊なことは出来ないんだ。

あのアイテムのことはもう忘れよう、FALがやけに張り切っていたのも忘れよう。

それより今日の晩飯は何だろう、楽しみだな。

 

お、ペペロンチーノにマルゲリータピザか…豪勢だなぁ。

おまけに今日はデザート付き!シーザーサラダもくっついて…これは素晴らしい。

 

それにしても417のメイド姿も板についてきたな…

慎ましい姿ながらもその胸元は豊満…うーん、素晴らしい。

妹みたいに振る舞ってるが…うーん…

 

「なぁに、お兄ちゃん?」

「ん、いや…何でもない」

 

ガン見してたか、いかんいかん…

それよりさっさと食って下げさせないとな。

んー…このペペロンチーノ良いな、コック長も凝ったことするなぁ。

今日のコレ手打ちだろ、めっちゃもっちりしてて美味い…生パスタってヤツ。

舌が割とザルな俺でも分かるぞ、コレは…いや、スプリングフィールドが作ったのか?

 

「これ美味いな、誰が作ったの?」

「私だよ♪」

「えっ」

 

417料理出来たの?これは思わぬ伏兵だぞ。

妹系なのに嫁力高いって何よ。笑顔も天使だし…取り敢えず頭なでよ。

コイツは嘘を吐かない…さらに聞けば今日の料理は417とスプリングフィールドの合作らしい。

キッチンコイツに任せたら良いんじゃね…?お前本当に戦術人形?

民生人形じゃないよな?

 

「えへへ♪美味しいかぁ♪」

「うん…パスタもピザもこりゃ絶品だわ…」

 

ちょっとだけ人形を嫁にしてる指揮官の気持ちわかった気がする。

こりゃヤベーわ。沼だな。

 

「食事は終わりましたか?さ、残りの仕事を済ませましょう」

 

メイドが増えた、416お前もメイドか。

メイド流行ってるの?基地全体メイド化でもするのか?

ヴィクトリアンメイドが副官とか…はー、これ良いわ…

 

 

――――――――――――D08基地食堂・夜

 

 

「お兄ちゃん美味しいって絶賛してたよ」

「それは良かったですね、ふふふ♪」

 

カチャカチャと食器を洗いながら私とスプリングフィールドは談笑していた。

ダミーはもう兵舎に戻った、ここまで手伝わせる事は無いし。

食器洗いもメイドのお仕事の内だよね。んー…綺麗になっていく食器は良い。

 

「俺らの仕事が無くなるな…」

「まぁ良いんじゃね?」

「楽できるし、今日のまかないクッソ美味かった」

 

コック長は先に休みに行っちゃった。私とスプリングフィールドに任せておけばOKって事かな?

数日一緒にお料理しただけなんだけど…信用してもらってる?

まぁ真面目にしてればそういうものかな、あんまり考えないでおこっと。

 

「はい、今日の食器洗いはおしまいですね」

「二人がかりだとあっという間だね」

 

作業効率自体は私もスプリングフィールドも大差ない。

そこは戦術人形だからかな、効率化したらほぼ同じ動きになっちゃうし。

ただ私もスプリングフィールドも楽しくて身体でリズム刻んじゃうんだよね…

見てる人はシェフの子3人だけ、どう映ってたかな?

 

「そこに立ってるのがSAAちゃんだったらなぁ…」

「UMP45ちゃんでも可」

「スコぴっぴを忘れるな」

 

ロリコンじゃなくてこの人達ただの貧乳派閥なのね。

やったね45お姉ちゃん、喜ぶかは知らないけど。

 

私達は射程外だったらしい、ある意味安心できるから良いけど。

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・夜

 

 

ふぅ…メイド服も慣れたけど、ちょっと動きすぎたかなー?

ゴキゴキと私の各関節が鳴る…凝り固まった感じはないけど、人間臭いなぁ。

I.O.Pは変な所でこだわってるなぁ、お陰で人間だった頃と変わらず過ごせてるんだけどね。

 

「おつかれー、今日はほんと良く働いてるねー」

「じっとしてるのは何だかもったいない気がして…」

「今日の晩ごはんは417の力作でしょ?あれ美味しかったー♪」

「タルトとかも美味しかったし…今度お菓子作ってよ」

 

クッキーでも焼いたら良いかな?チョコチップクッキーを用意したらFALとか喜びそう。

レシピは頭の中にあるし出来なくはない、今度キッチン借りて試してみよう!

 

「任せて、良いのがあるから」

「やりぃ、頼んで見るものねー♪」

 

これはワガママになりそうだけど…お姉ちゃんも巻き込んじゃおうかな。

お姉ちゃんと合作ってしてみたいし。UMP姉妹を巻き込んだらもっと楽しそう。

楽しみが日に日に多くなっていくなぁ♪

 

 

 

 

「………ふぅん?」

 

Mk23の端末にはFALよりショートメッセージが届いていた。

その字面を読み上げて面白そうに唇を歪ませていた。

 

『指揮官はアレを持っている』




まぁアレですよアレ。

特に波乱は起きないけどね。


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Day22 抑えて、ねぇ抑えて?

子猫は可愛いんだぞぉ


――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・朝

 

 

「おはよー」

「おはよう…ふぁぁぁぁ…」

「ぁー…ねむ…」

「んー♪今日もいい朝…ダーリンに挨拶してくるわー♪」

「おはよ…ふぅ」

 

朝出撃の第3部隊は全員起きてます。一部眠いとぼやいてるけどそのうちしゃっきり目を覚ますからOK。

今日の朝はどうしようかな…G11を起こしに行ってもいいけど…お姉ちゃんが起こすって言ってたし…

私が行くまでもないかな…Mk23は何時も通りにお兄ちゃんの所に突撃していったし…ダミーは全員兵舎で寝てる、よしよし。

また何時ぞやの様にお兄ちゃんのお部屋に侵入してたらどうしようかと思った。

 

その心配はなく…朝ごはんにはまだ早い。

そうだ…と救護室の方へと足を向けたのであった。

拾った手前顔を見せるのは筋というものです。

 

――――――――――――D08基地救護室・朝

 

 

「みゃーぉ♪」

 

「ふにゃぁ!?」

 

朝から救護室に行ったら飛びついてきた子猫に驚かされる。

とててて…と近寄ってきたものだからしゃがんだらこの始末。

あ、まって…飛びつかれた場所が悪い、ブラに爪を立てちゃダメー!

子猫の体重なんて大した事ないと思う?残念だけど私のパツパツな所には致命打だった。

朝から大事故を起こしたけど目撃者は居なかったからセーフ。

 

「おはよう、猫ちゃん…あら?」

「ぴゃっ!?」

「417ちゃん…ミルクは出せないでしょ?出そうなくらい大きいけど」

 

スプリングフィールドに見られた!そしてさり気なくセクハラ発言だよ!?

ミルクが出そうなくらい大きいって…む、むぅー!

好きでこんなに大きいわけじゃ無いのにー!

 

「とにかく着直したらどうです?」

「はぅぅ…」

 

朝から大事故を見られた上にそっと諭されて…完全に私勘違いされてない?

違うんだよ?私はただ飛びかかられただけで、おっぱいをあげようだなんて思ってないよ?

とにかく…ズレたブラを直して…ってまだしがみついてるー!?

爪で穴とかできてないかな…怖いなぁ…とにかく抱えて下ろしてから直して…

 

んー…風穴はあいてないかな?良かった。

精神的にはちょっと重症負ったけど…猫ちゃんは元気いっぱいで…あーまた飛びかかって…

次は何?あー背中によじ登ってきてるー!

 

「あらあら…♪」

「ひーん…ここまで懐かなくてもいいのにー…」

「みゃーお!」

 

みゃーおじゃない!痛いんだよ!?

バリバリ言わせて登ってこないで!痛い痛い!

 

「猫ちゃ~…ん"ん"」

 

あれー?おかしいぞー、この時間G11を連行して朝ごはんに行ってるはずのお姉ちゃんが何でここに?

しかもしっかり見ちゃったよ、すっごいデレデレ顔だったの

お姉ちゃんもわーちゃんと同じで猫にデレデレなの?

デレデレなんだね…お姉ちゃんも可愛いのには弱かったかぁ…

 

「ち、違いのよ?417…」

「いや、うん…可愛いから仕方ないと思うよ?」

 

お姉ちゃんは悶絶して床に沈んだ。

猫ちゃんがそんなお姉ちゃんの頭をペロペロ舐めていた。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

あの後食事を終えて私は戦闘準備してから司令室に来ていた。

でもなんだか何時も以上にゆるーい雰囲気で小首をかしげていた。

スコーピオン達は戦闘準備すらしてない…何があったの?

 

「ぁー…お前働きすぎって上層部にキレられた。よって今日から数日強制的に休みになった」

「えぇー…」

「だから戦闘準備しないでOKって言ってたのね」

 

まさかの展開で私は肩を落としてえぇー…って脱力。

ヘリアントス上級代行官のサインもある書類が本部から届いてる。

お兄ちゃんももうお仕事モードから私用モードでだらけてる。

それで良いのかG&K、ケツ持ちはどこがするのよぉ…

 

お隣の地区が担当してくれるらしいけど…

というか私達の担当地域って微妙にお隣もカバーしてたのね?

初めて知ったよ、お兄ちゃん…お仕事熱心だったんだね。

でもお休みかぁ…何しよう…

 

「じゃあアレしますかぁ」

「ダーリン、今日は私とくんずほぐれつしましょう♪」

「417、連れてって」

「らじゃー!」

「ヤメロー!!ハナセー!!」

 

発情したサキュバスを取り敢えず運び出そう、お兄ちゃんはそういう気分じゃ無いみたい。

Mk23のパワーもそこそこスゴイけど…私のパワーの方が上…!

あんまり暴れないで…暴れんなぁ!

 

結局お兄ちゃんの姿が見えなくなるとMk23はおとなしくなった。

お兄ちゃん何したの…こんなじゃなかったよね?朝の挨拶でなにかしたでしょ!?

今度から私は止めないよ?

 

 

――――――――――――D08基地救護室・昼

 

 

さて、暇を言い渡されたので救護室の方に遊びに来たのですが…

同じ様に考えた人形が多く押しかけていて…

 

「はぁ~♪」

「にゃん、にゃん、にゃーん♪」

「こっち向いて~」

 

「みゃぉ…みゃーぉ…」

 

猫のマネしてデレデレしてるわーちゃんとお姉ちゃん。

遠巻きに見てニヤニヤしてる45お姉ちゃんに9お姉ちゃん。

ひたすら写真を撮ろうとしてるFALと…スゴイことになっていた。

渦中の子猫は若干嫌そうに鳴いていた、おい誰か止めなさいよ。

 

「みゃ、みゃー!」

 

「いだだだだ…何で私にぃぃ!!?」

 

身体を捩って抜け出してきたと思ったら私に一直線。

スカートに飛びついてきてよじ登ってきた。わかったわかった…分かったから…

と肩に乗せたらご満悦みたいでゴロゴロ鳴いて体を擦り付けて…もー…

 

「417と猫ちゃん…イイ…」

「お姉ちゃん?」

「良いのは認めるけど~勝手に浄化されてるんじゃないわよ~?」

「あの子猫ちゃんも家族だね、ふふふ♪」

 

猫に色々と狂わされてるぅ…お姉ちゃんは笑顔でなんだかブツブツ言ってるし。

45お姉ちゃんと9お姉ちゃんは端末でカシャカシャ撮りすぎ。

写真を端末に送ってこなくていいから…

 

「猫ちゃ~ん…おいで?おいで~♪」

 

わーちゃん、猫にぞっこんなのは良いけどちゃんと見てあげてね?

ふしゃー!って威嚇されてるけど…何したのさー…

あー猫パンチ…撫ですぎたのかな?わーちゃん悪い人じゃないんだけどなぁ…

全然めげてない、私の肩に乗ってる子猫に構わず頬ずりしてる…

猫恐るべし…あんなツンツンしてたわーちゃんをこんなにデレッデレにするなんて…

 

猫可愛がりしてるわーちゃん自身が可愛いとは言ったらどんな反応するかな?

とにかく、元気になってるみたいで私は安心した。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼下がり

 

 

「という訳でお兄ちゃん、第1部隊兵舎に猫を入れたほうが」

「ストレス抱えるかも知れないから一番懐いてる人形に任せたいんだが?」

「うーん…」

 

現状たぶん懐いてるのは私なんじゃない…かな?

暴走わーちゃんが第3部隊兵舎に入り浸る未来が見えてくるんだけど…どうしよう。

とりあえずG&Kから届いた猫ベッドを何処に置くか…現状維持で救護室に配置する?

 

「というかお前が拾ったんだから責任持って、な?」

「はぁい…」

 

お世話係を拝命しました、第3部隊の皆は多分OKしてくれると思うけど…

 

「話を聞かせてもらったわ!納得行かないわよ!!」

「わ」

「WA2000、どったの?」

「お世話係は私っていう話しじゃなかったの!?口約束を反故にするつもり?不誠実なヤツね!!」

「いや、聞き及んでるお前さんの行動からしたらなぁ…」

「文句あるわけ!?」

 

わーちゃんが何処から聞いてたか知らないけど殴り込んできた。

猫ちゃん絡みになるとアグレッシブだなぁ…戦闘中でもこんなにイキイキしてたかな?

でも、ガチでストレスになりかねないから私がお世話するよ?

 

「可愛がるのは良いけど…ちょっと抑えようよ」

「抑えるのなんて容易いわ、私がそんなにデレデレしてると言いたいわけ?」

「うーん…」

「何よ、その微妙な顔…」

 

自覚なし、これは手強いなぁ…あんなにデレッデレだったのに。

というか見られてたって事実を認識してないパターンかもしれない。

下手に突っつくと怒り出しそうだし私は微妙な顔でお茶を濁すことにした。

 

 

なお、その後45お姉ちゃんが見事に写真をばら撒いてわーちゃんブチギレ案件に発展した。

ついでに私の飛びつかれて驚いてる顔とかもばら撒かれてた。

45お姉ちゃん、後でしめる。

あと私の乳揺れにフォーカス置くの止めてね。ブルンバストとか言ってばら撒かないでよ。

いやまぁ…うん、その通りなんだけど…お兄ちゃんたちの目が怖くなるぅ…

 

ダミーがセクハラ受けてたら45お姉ちゃんのせいだからね!?

 

 

――――――――――――D08基地食堂・夕方

 

 

「417ちゃんのチョット良いとこ見てみたいー」

 

「しょうが無いなぁ…」

「お兄ちゃん達にちょっと」

「サービスサービス♪」

 

「やめんかー!」

「417は抑え込んで、案内は私がしておくから」

 

メイド服に着替えた私達で食堂の配膳とご案内をしていた。

今日の助っ人はお姉ちゃん、私とお揃いのヴィクトリアンメイド服。

私が煽てられてとんでもないことしようとするダミーを抑え込んで…その間にお姉ちゃんが案内。

ついでに煽ててたお兄ちゃん達にゲンコツ降らせてた。

 

「何のためのメイドだー」

「ご奉仕精神は豊富だよ?」

「サービスは大事」

 

「だまらっしゃい!!」

 

何をサービスしようとした!?普通にお触りOKって感じにしてたよね!?

それはサービスじゃなくていけない事だよ!?私の身体を安売りしないでー!

お姉ちゃんに倣ってゲンコツして本体の威厳を見せるの。

痛覚を送られて私まで頭が痛くなったけど…ぐす…

 

とにかく、私の管理が行く間はそんなのは許しません!

 

「本体のケチ」

「一緒にサービスしたら良いのに…」

「私達に悪いことじゃないのにねー」

 

むぅ…悪いことじゃない…?いやいや、それはないない。

あーもう、整備のお兄ちゃん達に変なことを植え付けられてる気がする…

そういえば工廠に入り浸ってるんだったっけか…今度様子見ておこうかな?

 

 

おいゴルァ!そのお触りはやめろぉ!!

 

注意した傍からお触りさせに行ったダミーとお触りしたメカマンは揃って417本体によってチョークスリーパーされて絞め落とされた。

 

「ゲンコツで済ませておきなさい、チョークスリーパーはやりすぎよ、ダミーは兎も角職員にはやりすぎ、良いわね?」

「はーい…ごめんなさい…」

 

正座させられるしょんぼり顔のメイド417とメイド416によるお説教があったそうな…




猫煩悩わーちゃんと416、そして何時も通りのダミーちゃんでした。

さてお休みですから何をさせましょうかねぇ



所でペルシカ姉貴とヘリアン姉御を間違えたバカが居るらしい…

作 者 だ よ ! 笑えよ…


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Day23 暇な休暇の過ごし方

暇な休暇って辛いと思うの


――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・早朝

 

 

「ん、んー……」

 

ぐっぐっと伸びをしてベッドから起きる。

今日も清々しい朝…ちょっと早すぎたかな?と思うけど。

うん、お外を見ても日が昇りきってない…これは早く起きすぎた。

まだお兄ちゃんも起きてないかな?Mk23も夢の中っぽいし…

こういう時は情報端末で暇潰しだね、長らくやってなかったけど…今はどんなのがあるかな?

 

んー…この端末の性能は把握してないけど…良いやつなのかな?

情報自体は多く入ってるしインターネットも繋がってくれる、オーソドックスだけど非常にいい。

タッチ操作ですぐに分かるし…人形に支給して良いものなの?

とりあえず今日の暇潰しはコレ…戦術教本!

型にはまった教本って読んだこと無いしこういう時に読んでおいた方が良いと思うんだ。

 

著者は無いけど実践的な座学の内容だ、作ったのは軍人っぽいなぁ。

ゲームで知ってるのもあるけどまぁ搦め手なんてのはないし普通にどう動くべきかとか。

団体行動でのカバーの仕方とかクリアリングの仕方とかの解説がつらつらと並ぶ。

この基地での主だった戦闘シチュエーションは屋外戦だけど、覚えておいて損はないね。

あ、拳銃の跳弾とかの話しもある…サイドアームにMk-23を持ってるけど狙えるかな?

戦術の中に組み込めたらバッチグーだけど…とっさに出来るかなー?

エッチングしてないし私のマニュアル制御でやらないといけないから…難しいけどやってみる価値はあるかな。

データとして出来ればMk23に渡して撹乱に応用できそうだし。

 

「うーん…」

 

座学だけでも良いシチェーションプレイになるな。他にも戦術本のデータは無いかな?

あ、ない…しょうが無い、このデータを穴が開くまで見よう。

朝はこういう時間も良いね、ベッドでゴロゴロしながらって昔を思い出すなぁ。

 

あの時はどうだったっけ…好きな小説サイトを覗いて、妄想して萌えて…その後ゲームして。

就職活動のためのサイトを覗いて…エントリーシートを作成して…あっちに出しこっちに出し…

結果を見てはがっくりしてたっけか…遊びらしい遊びは無くなって娯楽を端末に頼りっきりだったなぁ。

今からしてみれば考えられないつまんない過ごし方だったなぁ…

 

あ、そうだ…お料理サイトとか見てみようかな。

家庭料理とか出来たら良さそうだし…あ、これとか美味しそう…!

それにコレだったら大量に煮込めば食堂でも出せそう。

肉じゃがかぁ…美味しく出来たらお兄ちゃん褒めてくれるかな~♪

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・朝

 

 

「おはよー…あら417はもう起きてたの?」

「おはよ、早くに起きすぎちゃったの…」

「ふぅん…私は早速ダーリンの所に行ってくるわね♪」

 

いつもの朝がやってきた。Mk23が起き出してお兄ちゃんの所へ突撃していって…

残された私はどうしようかな?ってなる所。

そういえば第2部隊や第1部隊の方はどうなってるのかな。

この時間に起きてる人形は居るのかな…スプリングフィールドは起きてそうだけど。

ちょっと様子見てこよう、他の隊の朝の事情を突撃取材ってね。

 

先ずは…第1にしよう、FALの寝顔が拝めたらラッキーかも。

 

 

――――――――――――D08基地第1部隊兵舎・朝

 

 

「おはよう、417ちゃん♪」

 

まぁ起きてるよね、普通に朝からお洒落に精を出してた。

今やってるのはお化粧かな?よくわかんないけど化粧台に座って何かやってる。

そして鏡で確認されたか普通に入ってくるのがばれてーら。

他のメンツはというと…わー、すやすやと幸せそうに寝てらっしゃる。

特にわーちゃんは猫グッズに塗れたベッドで寝てる…殺しのために生まれたとか言ってるけど。

これじゃあ萌え殺しの為に生まれてきた女よ。男が見たら萌え殺される。

スペクトラは?寝るときも銃を手放さないのね、片手に銃を持ったまま寝てる。

そして胸の谷間に弾倉…そこはポケットじゃないよー…

 

私のおっぱいでも弾倉挟めるかな…いや、バカなことだね、考えないようにしよう…

ステンはすっごく大人しく寝てる、こうしてみるとお嬢様風で可愛いなぁ…

いつものツインテールを下ろしてるだけで印象がガラッと変わるなぁ

 

「おはよう、FAL…お化粧?」

「そう、お化粧は女の武器よ」

 

やってみる?とでも言いた気にこっちを向いてくるFAL

正直良くわかってないけど…

 

「すっぴんでも可愛らしいけど化粧するともっと可愛くなれるわよ」

「やる」

 

もっと可愛くなれる、これはキラーワードだ。

私の意思を一瞬で決めさせたけど、どれだけ可愛くなれるのかな?

あんまり濃ゆいのは嫌だけど…そこはFALのセンスを信じよう。

 

「はい、目をつむってー」

 

FALと交代して化粧台に座るとFALが何か道具をいっぱい出して…

何が何だかわからないけど…覚えておこう。

化粧水?美容液?洗顔みたいだけど…なんだか違う。

それから?ナチュラルメイク?アイラインって何?

チークがどうとか呟かれても私わかんないってば…

 

目元とか頬に色々塗られた様に思えるけど…目を開けちゃまだダメ?

口紅?あ、それは分かるわ…綺麗に塗れる気がしないけど。

 

「もう良いわよ、出来上がり♪」

「……わぁぉ」

 

目を開けたら目がちょっとパッチリした印象で血色が良くなった私が居た。

結構変わるものだね…これで軽くなの?化粧っていうのも奥深いなぁ。

FALはいつもお化粧してるのかな?

 

「いつも軽くはしてるわよ、指揮官に見られても良いようにね♪」

「ふぅーん…だから朝も早起きなの?」

「そういう事♪WA2000もそろそろ起きて軽くメイクするわよ」

「わーちゃんもかぁ…」

 

それなりに大人な見た目してる人形は嗜んでたか。

M14もそう言えばちっちゃな鏡を取り出してなにかしてたような…

私達に隠れてこっそりしてたってオチかな?

本当にうっすらだから私が気づかなくて分からなかったってだけかな?

 

うーん…比較すると一目瞭然だ。

 

「417ちゃん化粧を知らなかったのね…教えてあげよっか?」

「お願いします」

「よろしい♪じゃあ…」

 

朝の貴重な時間だったけど、FALは手取り足取り化粧を教えてくれた。

とりあえずナチュラルメイクを覚えた、お兄ちゃんにも可愛いって言ってもらえるかな…?

メンテナンス班のお兄ちゃん達はとりあえず言いそうだけど…

 

汗とかかいたら化粧が落ちちゃうらしいけど私達人形は制御ができるし心配はないよね。

 

 

――――――――――――D08基地第2部隊兵舎・朝

 

 

「おはようございまーす…」

「あら?おはよう417ちゃん」

「おはよー、コーラ飲む?」

「おはようございます、417ちゃん…なにか御用でしょうか?」

「イサカは?」

「主任の所に行きました、休みだと朝からこうです」

 

ひゅーあっつあつ…第2部隊は全員朝が早いと…

あ、ここに簡易キッチンがある…スプリングフィールドの要望かな?

良いなぁ、第3部隊兵舎にも付けてもらおう…お菓子作りだけでも出来たら嬉しいな。

スプリングフィールドのお手製朝ごはんが振る舞われていた。

マフィンとコーヒーかぁ…サイフォンもあるし全部お手製?やるぅ。

暇な時は朝から押しかけてお料理のお手伝いとかしてもいいかな?

 

「みんな何してるのかなーって気になって」

「なるほど…一緒に食べていきますか?ちょっと余分に焼いてしまったので」

「んー…暇な朝とかお手伝いに来ても良い?」

「勿論良いですけど?」

 

やった、朝の暇潰し先を発掘した。

スプリングフィールドのお料理のお手伝いとちょっとした教えって楽しいから好き。

余分に焼いてたマフィンをいただいて朝から得した気分。

でも余分に焼くって…誰かに渡すつもりだったとかじゃないかな?

 

「みんなお休みはどう過ごしてるの?」

「コーラがあればそれでいいー!あとはピザ!」

「編み物を少々…手慰みに始めたのですけどハマってしまって…」

「ご覧の通りのお料理です」

 

G36Cはどう過ごしてるのかなって思ったら編み物かぁ…女子力たかーい

編んでるのはマフラーかな、誰に渡すつもりだろう…

開いてるロッカーを見たら中に毛糸のセーターが全員分ある…なるほどー

 

「そろそろ指揮官に贈ったらどうです?」

「ぶふぅっ!?ま、まままま…まだ早いですよぉ…」

「ふーん?」

 

お兄ちゃんに贈る?良いと思うけどねー手編みの物とかポイント高いと思うよ?

元男の私が言うんだもん、間違いない。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「んぁー…」

「お兄ちゃーん…お仕事してる?」

「いやー…つい癖で座ってるだけだー…はー417っぱい良いなぁ」

「もう、エッチ」

 

お仕事してないお兄ちゃんは欲望に素直だった。

入ってきた私のおっぱいをガン見して口にも出すんだもの。

普通の女の子だったら怒るよ?私だから笑って流せるけど…

それにしてもお兄ちゃんはワーカーホリック気味かな?

お仕事を止められてるのに仕事机に座って…

 

「いや、正直休みとか言い渡されてもすることがねーんだよなぁ…」

「じゃあ明日お買い物しようね、楽しみにしてるから♪」

「ぁー…準備だけでもしておくか…」

 

お兄ちゃんがもそもそと動き出した…お金の準備とかだ。

私達の自由にできるお金も用意してくれてるあたりお兄ちゃんらしい。

全部申請式にしたほうが楽そうなのにね。私達にもプライベートって言うのを考えてくれる。

…兄貴にも会えるな、元弟がこんな女の子になってたら驚くよね。

というか…気づくかな?気づかないよね…どうせ不養生してるから手料理食べさせないと!

最悪私が養っても良いかな…さてさて、私の手取りはどれくらいかなー?

 

仔細を見せてもらったら…わぁぉ、エリートリーマンクラスに貰ってて笑みが引きつった

 

「そういや417」

「なーに?」

「今日化粧してる?可愛いな」

「そぉ?FALに教えてもらったの、えへへ♪」

「えへ顔ダブルピース…」

 

お兄ちゃんに気づいてもらえた、というかよく気づいたね!

それに可愛いも貰った、今日はもうテンション爆上げだね、えへへへー♪

今の私を止めれるものは少ないぞー!

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・昼

 

 

「でね、お兄ちゃんが可愛いって言ってくれたの♪」

「良かったわね…まぁ417が可愛らしいのは周知の事実だから今更ね」

「416もちょっと化粧してみたら?」

「道具がないしそんなのしなくても私は完璧よ」

「それより今日はこれ観ようよ…SAW」

「カーテン閉めて、照明も落として~これで良いわね~」

「ま、またホラー?怖くなんか無いけど別なのにしない?」

「えー…怖くないなら良いじゃ~ん…」

「わくわく♪」

 

興奮冷めやらない間にお姉ちゃんの所に突撃してめっちゃ話してた。

お姉ちゃんは私の頭を撫でてからまぁ当然って感じで話してたけどすっごく嬉しそう。

お姉ちゃんも化粧したらもっとキレイになると思うけど…無駄って思ってるかな?

まぁ道具が無いから出来ないっていうのもあるかも…明日のお出かけで買ったら逃げ場はなくなるかなー?

で、そんなこんな話てる間にG11がビデオを再生し始めて…

45お姉ちゃんが部屋を真っ暗にして…9お姉ちゃんはワクワク顔でモニターを見始めた。

お姉ちゃんは何だか乗り気じゃなかったけど…結局座って…私まで一緒?

うーん…お姉ちゃんと一緒なら私は良いや、45お姉ちゃんも隣だし

 

 

「「ぴゃああああああ!?」」

「スゴイ血しぶき、おーコレはスゴイ」

「相変わらずエグい映画を見つけてくるわね~」

「血がドッパドパー♪」

 

お姉ちゃんと私とで揃って悲鳴をあげる事になった。

G11は面白そうに見てるけどなにこれ怖すぎない!?

ち、血しぶきぃ!グロテスクなシーンもばんばん出てくるし…こんなの面白くないよぉ…

45お姉ちゃんがこっちを見て歯ぎしり?何かあったかな…?

 

「ひゃぅん!?」

「うるさい子はおしおきね~♪」

「ちょ、ちょっと45?何してるのよ…人の妹に」

「416はモニター観ようねー♪」

「ひぃぃぃっ!?」

「416うるさいよ、怖がりめ…」

「怖がってないわよぉ!!ひゃぁあああ!?」

「はいはいそーですねー」

 

私のおっぱいになにかが!?

そしてお姉ちゃんが45お姉ちゃんに食って掛かったと思ったら9お姉ちゃんが鬼畜なことを…

G11はいつもの眠そうな顔を幾ばくか覚醒させていて…

怖がってるお姉ちゃんを半分からかっていた

 

「はぁ…怖いわーこんなでっかいバレーボールがあるなんて…怖いわー…」

「45お姉ちゃん…それ、私のおっぱいだよぉ…揉んでも大きくならないよー?」

「バレーボールかと思ったら…はぁ~怖い怖い~…どうしてこうも大きいのかしらねー?ちょっと交換しましょ?」

「できるかぁー!」

 

どさくさに紛れて45お姉ちゃんの個人的なコンプレックスをぶつけられたのでした。

45お姉ちゃんと二人っきりになったら私、危ないのかな?

私が気づかない間に煽ってたかな?




ロリ巨乳な妹に養われたい人生だった。

そして417の女子力がまた上がったのだった


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Day24 自分の心に気づけ

まぁ順当に


――――――――――――D08基地食堂・夕方

 

 

「おっぱいが足りねぇ417ちょっとブルンバストを見せてくれ」

 

「お兄ちゃん疲れてるの?忙しいからまた後でね?」

 

「じゃあ春田マッマに頼むか…おほ、背中がくっそエロい…」

 

今日は中華料理ってことでチャイナドレスに着替えてお手伝いしてたらお兄ちゃんがやって来て開口一番そんな事言ったの。

見せるのは構わないけど忙しいからあんまり構ってあげられないよ?

背中を向ければ背後からお兄ちゃんのまた世迷い言が聞こえた気がするけど無視無視。

このチャイナお尻付近まで背中が開いてるから恥ずかしいんだよね…

とと…袖がお皿に入りかけた…汚しちゃったら大変。

 

エッチな視線は別にいいけど…お姉ちゃんにバレても私助けないからね?

というかブルンバストを見せてって思いっきりセクハラだよね。

 

しかしコック長手広くお料理できるのすごいなー。

ちょっと横で見てたけど慣れてる感じ…

 

「うひょぉー今日はおっぱいちゃんが色っぽい」

「胸の谷間がセクシー…やっぱI.O.Pの服を…最高やな」

「あの腰のくびれとかもすげーな…ミニ丈ナイスだわ」

 

見るのは勝手だけど口にしないでよ…恥ずかしいなぁ

ぞろぞろと入ってくるお休みの職員に視姦されながらの給仕となりました。

もう慣れっこだけど…ダミーは今日は珍しく大人しく給仕してた。

メンテナンス班のお兄ちゃん達もニヤニヤ眺めてるだけでセクハラしに来なかった…

なーんだか怪しいなぁー…後でダミーの行動ログを漁ろう…

 

「はい、おまちどうさまです♪」

「おー今日の晩飯はエビチリにチャーハンか…良いねぇ」

「だからチャイナなのな…」

「至近距離ブルンバスト…おぉデカイ…」

 

見世物じゃないよー?まぁそういう服だから目が行くのは分かるけど…

さっきから大人しいのはこれだからかな?

 

「ふふーん♪」

「もう一回、もう一回」

「いいよー♪」

「おぉー…ブルンバストごちそうさま…」

 

おい、ダミーてめぇ。ブルンバストは見世物じゃないって言ってるでしょー!

 

「417のブルンバスト…うーん素晴らしい…俺にも見せてくれる?」

 

あ、見世物でも良いや。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・夜

 

 

「貴方達ねぇ…なにか言うことは?」

「私は悪くなーい…」

「417のおっぱい最高でした」

「ふんっ!」

「たわばっ!」

 

ちょっと調子に乗りすぎてお兄ちゃんにあれこれダミー共々吹き込まれてたらお姉ちゃん乱入。

私にもゲンコツが降ってきた、痛い。ダミーはついでにグリグリされてて床に伸びてる。

お兄ちゃんは今しがたゲンコツを貰って床に伸びた。

直接触られてないしセーフで良いんじゃないの?って私は思うんだけどなー…

 

いや、お兄ちゃんだから許してるのかも…うーん、自分で分かんない。

お兄ちゃんはまだ線引してるからちょっと位甘くしてもいいと思うなー

 

「417は危機感がなさすぎるの、ちょっとは距離感を養いなさい!」

「適切な距離だと思うけど?」

「近すぎる!」

「いたいっ!…むぅー…」

 

もう一発ゲンコツ貰った…いったーい…近すぎるかぁ。

じゃあ適切な距離感ってどうなのかな…よくわかんない。

お姉ちゃんは心配しすぎな所があると思うな!そんなに心配しなくてもお兄ちゃんは変なことしないって。

精々向けてもエッチな目線くらいだもん、紳士だよ紳士。

 

説明してもお姉ちゃんはまた私にゲンコツを降らしてきた。

三発目は堪えたよ…

 

「おーいてぇ…」

「指揮官もいい加減に妹に色目を向けるのは止めていただけませんか?」

「じゃあ代わりにキミに色目を向けるのは良いの?」

「え…それは…だ、ダメです…」

 

ぉ?お姉ちゃんが詰まった?

強く否定してないしゲンコツしてない…んー?

うぉぉぉ…と蹲ってた所からちらっと見ると…わーぉお姉ちゃんがテレ顔ー

 

「一女性としてキミに魅力を感じるのもダメ?」

「え、それは…どういう意味でしょう…」

「お兄ちゃ~ん?」

「し、失礼します!」

 

お姉ちゃんが戦略的撤退をした…お兄ちゃん、お姉ちゃんに魅力を感じてるの?

 

「ふっ…やはり初心だったか…」

 

したり顔でカウンター席に座りに行った…お姉ちゃんの反応を読んでいたの?

お兄ちゃん策士だねー…あ、お酒煽り始めた。

 

「大将、あんまり飲みすぎるなよ…」

「俺だってツレーんだよぉ…あんな爆弾が送られてくるしどーしろってんだ…」

 

コック長に対して泣き絡みしてる…巻き込まれない内に私も撤退しよう。

酔っ払いって気が大きくなって普段しないことを堂々としちゃうから、紳士的なお兄ちゃんも狼になるかもしれないし。

爆弾って何だろう…やっぱりあの悩み顔で見てた書類かな?

何か同封されてたしそれが爆弾?G&K本社から送られてたものだしそのままの意味じゃなさそうだけど。

うーん…今度相談に乗ろうかな?

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・夜

 

 

「休みと言ったらゲーム三昧でしょ」

「明日のショッピング楽しみ♪最新コスメはなんだろ…」

「ダーリンを悩殺する下着…買わなくちゃ…」

「お酒新しいの補充しておかないとー…」

 

晩ご飯後の第3部隊兵舎は何時も通りの各々好き勝手していた。

スコーピオンは何してるのかなー?

あ、ピカ●ュウげんきでちゅう!だ…よくこんなクラシックゲームを持ってるものね。

こんなの動いてるのが見れるだけでもありがたいわ…周辺機器まで揃ってる!?

マニアがヨダレを垂らす激レア物じゃない!なんでこんな所に…

 

「ピッピ●チュウ!」

「はぅん♪」

 

画面の中のピカ●ュウ可愛い…VRゲームがあったら撫で回したいなぁ。

この基地の電力事情じゃ難しいか…ちぇー…

しょうが無いから私はスコーピオンの隣りに座ってモニターをガン見。

モニターの中で動く黄色いネズミに萌え殺されていた。

 

「417」

「んー?」

「うるさいよー」

「……はぅん」

 

スコーピオンに怒られた…

言葉に出してなかったけど顔がうるさいって…顔がうるさい?どういうこと…?

 

「それにしても…今日は化粧なんてしてどういう風の吹き回し?」

「そういえば…いつもすっぴんだったのに、珍しいね」

「んー…FALに教えてもらったの」

「なるほど♪ダーリンの目を気にして?」

「んーん…朝暇だったから兵舎めぐりしてたら偶然」

 

お化粧について突っ込まれたけどお兄ちゃんの目を気にして…いや、それは無いね。

可愛いって言われたら嬉しいかなっとは思ったけど…

というか実際に可愛いって言われて舞い上がっちゃったし…

 

「ダーリンのこと好きなの?」

「誰が指揮官のことなんか好きですって!?」

「Uziには言ってないわよー?」

「はっふん…」

 

お兄ちゃんの事かぁ…お兄ちゃんはお兄ちゃんとして好きだけど。

多分Mk23が言ってるのは愛してるかどうか…って所?

正直わかんない…大好きだけど、異性としてはまだわかんない。

そもそも私が異性を好きになれるか…怪しい所なんだけどね。

 

「わかんない」

「じゃあ想像してみて、愛の告白を受けたらどうするかって」

 

お兄ちゃんに愛の告白を…?

異性として好きって言われたら…?

う、うーん…嬉しいような…困惑するような…

 

「イヤじゃないなら満更でもないってところでしょ?」

「う、うー…」

 

満更でもない…のかなぁ?イヤじゃないのは確かだけど…

 

「まぁ自覚が無いならまだまだね。ライバルと思ってたのが一人減っていいわね♪」

 

お兄ちゃんに恋…うーん…うーん?

そもそも恋ってどんな感情?私はそれが分からない。

ただ分かってるのは…お兄ちゃんにならお触りされても割とイヤじゃないしエッチな視線も許容できて

褒められたらとっても嬉しいしお料理だって頑張れちゃう位には好きって事ぐらい。

あくまで兄妹的な好きの範囲を出てないと思うな。

 

そもそも…愛してたら何をするのかな?

うーん…パパもママも私には物心ついた頃には居なかったからなぁ…

そういうのが尾を引いているのかも…

 

私に関してはライバル扱いしなくても良いと思うよー?

 

「結婚を申し込まれたらどうかしらね?」

「結婚って例のアレがもしかして…?」

「なっ…!」

「あーそういえば何か隠してたねーアレだったかー」

 

結婚?結婚を申し込まれたら…?ジョーク抜きで迫られたら…かぁ…

想像する、お兄ちゃんに求婚される風景を…

私の前に跪いて結婚指輪を取り出しお決まりのセリフを言って…

あーうん、頷いちゃうかも…結婚って事はその先は…はぅ…!

 

「ぶはっ…」

「417が鼻血を噴いたー!?」

 

わ、私に夜の関係は早いよぉ…おにいちゃーん…

 

「笑顔で気絶してる…」

「どんな妄想したのやら…」

「ふーん…やっぱりライバルね♪」

「ま、待ちなさいよ指揮官は私が…!」

 

夜分遅くに女子が騒ぐ。ここに居ない男を巻き込んで。

 

 

 

 

翌朝目が覚めた417は童貞を殺す服に着替えて第1部隊兵舎へ押しかけていた。

ばっちりナチュラルメイクを決めて指揮官をかなり意識していた。

無自覚な好意から明確な好意に変わった417は己の女子力を高めることに貪欲になっていた。




さて、417ちゃんの未来はどうなるかなー?
想像に容易いかもしれないけどね!

あと417はムッツリスケベ


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Day25 お買い物の開幕

筆が大いにノッて分割になった


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「よーぉ417朝から気合入ってるなー」

「そ、そうかな…何時も通りだと思うよー?」

 

そういう私の胸中はありえないくらいドックドックと高鳴っていた。

お兄ちゃんって慕ってたはずなのにいつの間にか私の好意って言うのはLikeからLoveに変わっていた。

今ならはっきりと言えるけどセクハラばっちこい、というか私に欲情するならしちゃって襲っちゃいなよって…あーもう!

何が言いたいかってお兄ちゃん大好きって事!

FALに見守ってもらいながらも一人でメイクしてきたしチョット今日は張り切って洋服も変えてきたんだし…

す、少しはお兄ちゃんの目がこっちに向けばいいかなーって…思ったり。

 

あうぅ、お兄ちゃんと目を合わせられないよー…顔を直視できなーい…

黙ってたらまぁ悪くない顔立ちだし真剣な顔したら…うぅ、変に意識しちゃう。

 

「なんかやっぱり変だぞ?」

「ぴゃっ!?」

 

がしっと肩を掴まれて顔を覗き込まれる。

あああああ顔が赤くなってくるのを自覚するぅ…ぴゃー!ぴゃー!

お兄ちゃんの顔が近いよぉ…キスするみたいで…はぅ!?

 

「へ、平気だから…!」

「おぉぅ…?」

 

ぐっと押し返して大きく深呼吸…お兄ちゃんのにおい…じゃなくて!

ちょっと落ち着こう…ふぅ…何時も通りに過ごせばいいの…

お兄ちゃんを好きって気づいただけ…取り乱すな、417…

困惑気味のお兄ちゃんだ…でへへへ~…

 

「まぁ良いや、ほいこれがお前のキャッシュカードな自由行動を許してるけどなんかあったら無線を飛ばせよ?」

「えへへへ~…」

「聞いてる?」

「頭撫でて?」

「おう…」

 

んーお兄ちゃんの手、おっきいなぁ…わしゃわしゃと撫でてもらえて私嬉しい…♪

困惑気味みたいだけどしっかり撫でてくれる…うん、やっぱりお兄ちゃんは優しくて好き…♪

私、この人のことが好きだったんだ…えへへへ…♪

 

「ぎゅっとして?」

「こうか?」

「ん~♪」

 

包み込まれる…おでこにはお兄ちゃんの逞しい胸板…

思わず私からもぎゅーっとしちゃう、好き好き大好きぃ♪

どう表現したら良いかな、私の表現の仕方…間違ってないよね?

好きってこんなに素晴らしい感情だったんだね…ずっとずっと知らなかった。

下手したらずっと気づかないままだったかも知れない…ちょっと怖い。

…今はお兄ちゃんにギュッとしてもらって幸せを噛み締めよう。

 

「おぉ…おっぱいおっぱい…」

「ん~♪」

 

サービスくらい良いよね…幸せにしてもらったお返し。

めちゃくちゃいっぱいおっぱいを擦りつけてサービス。は~…幸せ…

お兄ちゃんも幸せそうにしてたからWin-Winだよね、うん。

 

 

「指揮官~移動中…おー?」

「ん、G11か…どした?」

「417と抱き合ってる…これはスキャンダルの予感」

「えへへへ~…」

 

朝から暴走気味な417に付き合った指揮官、運の尽き。

G11が416に通報、第4部隊兵舎方面から騒がしい足音が。

程なくして扉が蹴り破られ…

 

「指揮官、なにか言い残すことは?」

「俺は悪くねぇ!」

「断罪ぃ!!」

 

朝から416の怒号と指揮官が床に沈む音が響いた。

 

――――――――――――

 

 

「んぁー…」

「ふふふ♪」

 

基地のハンビーを借りて私達は買い物に出る。

各々勝手にしてるんだけど…私は第4部隊のハンヴィーに混ざっていた。

運転はお姉ちゃんがして、ナビゲーターシートのは45お姉ちゃん。

後部座席に私、9お姉ちゃんにG11のメンバーとなってる。

 

G11は私の太ももの上に頭を乗せてすやすや寝ている。

固いハンヴィーの最悪な寝心地だろうに…ちょっとでもいい環境を整えようとしたんだろう。

正直おっぱいを枕にされるかと思った…なんていうのはナイショ。

G11がお買い物に出るなんて思わなかったけど普通に嗜好品を買いに来たらしい…

最悪膝枕が無かった時のためか首に仕込む枕を持ってきてるあたりは彼女らしい。

 

行き先は平和な内地のショッピングモール…私もちょっとお買い物してから兄の住んでる家に向かう。

帰宅予定時間も決まってるから予定通りにキビキビ動かないと…

 

買う予定の物は…人形用のお裁縫データ、裁縫セット、お化粧品にちょっと洒落たバッグ

お姉ちゃん達は自分たちで食べるお菓子とか飲料の調達。お料理はしないらしい…楽しいのにー

意外なのは45お姉ちゃんがファンシーショップに行くっての。可愛いの好きなんだね。

そう言えばベッドの枕元にぬいぐるみがあったような…あれ45お姉ちゃんのベッドだったのね。

9お姉ちゃん?45お姉ちゃんとつるんで動くみたい。

 

そうそう、お兄ちゃんはソロで動くらしい。まぁ多分エロ本とか探しに行くんだろうなぁー

望むなら私が脱いでもいいのに…まぁそこはお兄ちゃんの望む望まないだから仕方ないか。

 

「417はここで良いの?」

「ん、私はフラフラ一人で行くから」

 

行き慣れたショッピングモールだ、迷うことはない。

向かう先がだいぶ変わっちゃったけどね、迷わない迷わない。

お姉ちゃんたちと離れてソロ行動開始。さーお買い物だー♪

 

この周辺は比較的に治安がいいから変なことにはならない。これは私が人間だった頃から変わらない…

人形にも理解がある地域だし権利団体が出しゃばることも無い無い。

人形ボディでも自由に買い物出来るのは素晴らしいことだと思う。

 

 

――――――――――――

 

 

さて…最初に向かうのはバッグショップ…ファンシーショップが良いかな?

私の見た目はローティーンなロリっ子が背伸びして童貞殺しの服を着てる状態。

じゃあ収納はどんなかな?全然ないよ♪控えめに言って無いの。

ずっとカードを谷間にしまい込んでるわけにも行かないし…ということでポーチを探しにファンシーショップにレッツゴー。

 

このショッピングモールは全3階建ての大型施設。この時勢にはかなり大きい部類。

戦火が遠い内地だからできる事だけどね、周辺の人間の生活拠点でもある。

従業員は一部除いて人形なんだよね。センス的な所が必要な服飾店は変わらず人間だったり…

正直人形も人間もそんなに変わらない気がするのは私だけかなー?

 

で、ファンシーショップは2階に鎮座してる。

ちょっと緊張するけど…おー、可愛いのがいっぱい…

 

んー…いいポーチが無いなぁ…ピンクって感じじゃないんだよなぁ。

スカートの色に合わせて黒で可愛いの…黒って大人っぽいから無いのかな?

あ、ゴスロリとか置いてるお店なら…でもあったっけ…このショッピングモールに…

最悪白でも…うすピンクでも良いか…結構安いしお財布に優しいのもGood

 

よしよし、肩がけ出来るしちょうどいい感じ…

 

「これください、カード使えますよね?」

「はい、ではこちらに…」

 

今の時代に現金を持ち歩くヤツは少ない。時代はキャッシュレスよ!

…ちなみにカードを出すときに谷間から出したらちょっと引かれた。あーうん、だよねーとは思うけど…

 

 

さて、ポーチをゲットして…タグを処分してから装着、中にカードを入れて…さぁ行こう。

あ、あのお洋服可愛いな…おっぱいが入らなそうだけど…お、この洋服も…

やばーい目移りしちゃう…キビキビ動こうと思うけどついつい目移りしちゃう…これが女の買い物?

うーん…試着とかしてみたい…可愛く着飾れたらお兄ちゃんも喜んでくれるかな?

最悪I.O.Pに申請してみたら作ってくれるか…うん、作ってくれるな。

ウィンドウショッピングって言うのも楽しいね、ふふふ♪

 

あ、このお洋服お洒落…着てみたいけど背伸びし過ぎかな?

 

「何かお探しですか?」

「ほぇ?あー…このお洋服お洒落だなーって見てたんです」

 

わーぉ店員に声かけられちゃった。こういう時ってどうするかなぁー…

下手にお話聞きすぎると丸め込まれて買わされちゃいそうだけど…

うーん、お金は結構あるけど無駄遣いは出来ないし…それにまだコレって決めた物買ってないし。

…よく見たらこのお洋服たっか!?ひえーお洋服ってこんなにするんだ…学生の頃女の子がお金ないお金ないってぼやいてたのこういう理由なのね。

でもまぁ…すっごくお洒落だし着こなせたらお兄ちゃんの目を楽しませれるかな?

 

「試着してみますか?お客様の背丈でも十分お似合いかと」

「う、うーん…バストサイズが…」

「あ…失礼しました…」

 

店員が黙っちゃったよ。背丈に気を取られておっぱいに目が行ってなかったな?

まぁそうだよね、普通140センチ台の女の子なんて精々Cカップ行けば良いほうだもんね!

私のおっぱい何カップだろう…I.O.Pに今度聞いてみようかな…いや、何だか怖いからやめとこ。

店員はその後何事もなかったかのように離れていった。

うん、分かっていたけど私の体型に合致する市販の服なんて無かった…くそぅ…

胸元を大胆に開ければ着れなくもないけど…痴女認定待ったなし。

正直今の格好だって男受け狙ってるようなものだから痴女認定されかねない…

お兄ちゃんにはウケてたかな?それが心配だけど…まぁおっぱいおっぱい言ってたからウケは良かったんじゃないかな…?

 

ぉ?この店は…!?まさかのゴスロリ専門店!?あったんだ…新装開店?へー…

おー…マネキンも人形じみてて雰囲気あるなぁ…あ、やっぱりバストサイズは小さい…

ハンガーに掛かってるのをちょっと手にとって身体に合わせてみるけど…胸囲が足りないなぁ。

まさに驚異的なバスト…ごめんなさい、スベった。

オーダーメイドも取り扱ってるみたいだけど即納は無理そうだし…次のお休みがいつになるか…わかんないからなぁ

私一人で来れるなら良いけど…私の身体じゃ車運転できないし…お姉ちゃんを巻き込むのはどうかな…?

うーん…保留、ゴスロリはちょっと着てみたい…!私の隠れた中二心がうずくの…!

 

 

――――――――――――フードコート・昼

 

 

「ハンバーグ♪いい匂い♪」

「9の要望だったけど…これ良いわね~」

「417大丈夫かしら…あ、こらG11また勝手にそんなのを買ってきて…!」

「良い寝具はいくつあっても足りないのさ~」

 

フードコートにてちょっと遅い昼ご飯にありついていた。

9が食べたいと要望を出し、決めてなかった他全員が同じ店で注文するという流れになった。

ちなみに頼んだのは鉄板ハンバーグの店で9はデミグラハンバーグを頼み、45がチーズハンバーグ、416はミックスグリル、G11はきのこハンバーグと言った内容だ。

全員重い物を頼んでいるが人形だから太らない、全国の女子が羨む体質だ。

全員で分け合って食べてるあたり本当に仲がいいのは伺い知れる。

なおG11が怒られているのは料理を待ってる間にフラフラと寝具店に入って枕と寝袋を大量購入していたからだ。

ホクホク顔のG11は何時もより機敏でハンバーグに食らいついていた。

 

「うまー♪」

「ん、美味しい…」

「偶にはこういうのも良いわね~」

「うまし…」

 

9は何時も通りの笑顔でハンバーグにありつき、妹の笑顔につられて45も唇を吊り上げて…生真面目な416も微笑んで食事を楽しんでいた。

人間に紛れてもその笑顔に違和感は無かった。

 

 

「お、お姉ちゃんだ…おーい♪」

「417?変な男に言い寄られたりしてない?大丈夫だった?」

「お~おっぱいおばけな妹だ~」

「こっちこっちー♪」

「んぁー?枕が増えた」

 

ハンバーグなメンツに対して後から偶然合流した417はアボカドサラダサンドとかなり軽かった。

416は食事から妹に一瞬で集中して心配して45はからかい半分で手をひらひら。9が元気いっぱいに手招きしていた。

G11は417の事を枕と扱っている、なにげに酷い。ある意味平常運転だが。

 

「おーハンバーグ…昼から豪勢だねー」

「そういう417は軽いわね~はい、椅子」

「おーそのポーチ可愛いね♪」

「荷物入れが無骨なバックパックだったし…女の子らしくないじゃん?欲しかったんだよね♪」

 

第4部隊ももっぱらウィンドウショッピングしていたらしく手持ちはG11の寝具くらいで一度ハンビーに積み込んで買い物に戻るらしい。

ついでに寝たいとごねるG11を置いていくのだろう。ほしい飲料は伝えてあるから416が買ってくれると信じての行動だろう。

文句を言いながらもきっちり買う416も416で何だかんだ甘い。

最悪買わなくても417の情報端末にもメッセージで送っている、417が姉に聞いてきっちり買うだろう。

この姉にしてこの妹である。G11に甘い。

 

食事中はファンシーショップの品揃えで何が可愛いとかで盛り上がっていた。

 

 

――――――――――――ショッピングモール化粧品店

 

 

さぁやって来ました、目的地その1!化粧品店…20年程入ることなんて無かった未知の領域だ。

んー?どれが良いのかな、私わかんないんだけど…店員に聞いてみたら良いかな?

オススメのコスメセットとかあったらそれで間違いないかな…

んー…んー…これとか?うーん…お値段結構するね、良かった無駄遣いしないで。

 

「何かお探しですか?」

「うん、初めてコスメを買うの…何が良いかな?」

「それではこちらがオススメですね、トレンドのコスメです」

「ふぅん…」

 

直感で選んでたのそのまま店員がオススメしてきた。

セット内容は…うん、ナチュラルメイク教えてもらった時に使ってたのは全部入ってる。

まつげ用のもあるんだね、ふむふむ…まぁ無難なんだろう。

ちょっと商品名で情報を…ネットの声も概ね好評だね。よし買おう。

 

「じゃあこれください♪」

「ありがとうございます、お会計はこちらです」

 

ポーチの中にも入るサイズなのもGood、これでお出かけ先でもお化粧直しできるね。

あ、そうだ…化粧についてもちょっと教えてもらおうかな?

 

「お化粧について教えてもらっても?」

「はい、ではこちらへ…」

 

結局私の感性から言うと濃ゆいのは受け付けなかった、ナチュラルかモデルメイクが肌に合った。

メイク手順はFALから教えてもらったのと同じだったから履修みたいな感じになった。

ギャルメイクって何よ、私には合わないわ。普段の格好だったら合うかも…?




作者が書きたかった話の一つでね、お買い物を女の子女の子して楽しむ417だ。
次の話もお買い物なんじゃ…別部隊のほのぼの買い物風景を楽しんでいただけたら幸いと思います。

買い物話が終われば兄とご対面じゃ。わっふるわっふる


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Day26 お買い物の続き

筆が乗るとすーぐに膨れ上がる


――――――――――――ショッピングモール民生人形用品店

 

 

人形に理解があるって言うのはこういう所にも出てくるね。

I.O.Pの民生人形の様々な用品が置いてる。メンテナンス用の道具だったりデータディスクだったり。

私は私で人形であるとは言ってないけど…自分用にデータディスクを探しに来た。

家事全般の事と裁縫についてのデータディスクを探して…

 

流石民生人形用とあって戦術人形には不必要な物ばっかりだけど…私のスペック上余裕はまだまだある。

ちらっと話を聞いた誓約…いわば結婚と同意義の儀式だけど…まぁ結婚って事はそういう事。

もしも、もしもお兄ちゃんにプロポーズとかされた時に家事一つ出来ない女だとがっかりさせちゃうだろうし…

こういう所も完璧でありたい、お姉ちゃんじゃないけどお兄ちゃんには無様なところは見せたくないな。

そんな思いから今私はここに居る。ただ漠然とした思いから明確な物に変わったのは大きいな。

 

「ぅえへへへ…♪」

 

ついついとゆるーい笑みが浮かんでくる。自覚してても止められない。

あ、でもお兄ちゃんが妹系よりお姉ちゃん系が好きだったらどうしよう…

見た目はロリロリしてても中身がお姉ちゃんになれればOKかな?

は…そうなったら最大のライバルはFALとかお姉ちゃんになるかも…?

うーん…逆に私みたいなロリっ子好きならMk23がライバルになるよね…アピール手段考えておかないと…

どこかの格言であったけど…恋は戦争!手段を選んでたら勝てないの!

幸い私には男心が分かるってアドバンテージがある。男受けの良い事はだいたい知ってる…気がする。

お兄ちゃんはとにかくおっぱい好きだ。私にはこのバカみたいにおっきなおっぱいがある。

恥ずかしいけどアピールしたら食いついてくれる…と思う。

ダミーいわくヘタレだけど据え膳食わぬは男の恥とも言うし…整えたらお手つき待ったなしだよね。

 

でも実際に手を出されたら爛れちゃうし…自重自重…

今はまだ抑えていざお兄ちゃんがそういう気配を見せた時に自然と選んでもらえるくらいにイイ女になってればいいんでしょ?

思うのは簡単だけど…さて、お兄ちゃんの好みを探らないとね…

エロ本漁るか…お兄ちゃんの部屋は鍵付きだけどそんなのピッキングでどうにかなるし。

 

自己メンテ用のツールも購入してポーチに突っ込み…お目当てのデータディスクも買った。

さてと…後は裁縫セットだね…置いてる店あるかな?

手芸店に行けば置いてるでしょ、何処にあるかなー?どこかなー?

 

 

――――――――――――ショッピングモール手芸品店

 

 

見渡す限りの可愛い小物がずらずらずらーり。身につけるアクセサリーから置物までいっぱい。

いくらか「あーこうしたら良いよね?」って浮かぶものはあるけど…おー…流石に商品として出してるだけある。

猫ちゃんグッズもあるからお姉ちゃんとかわーちゃんに買ってあげたら喜ぶよね。

ちっちゃいペンギンのぬいぐるみもあるー!かーわいいー♪

お手頃価格だ…どうしよう、買っちゃおうかな…このビーズのブレスレットとか可愛いなー

ベッド周りがちょっとさみしいし…猫ちゃんのぬいぐるみ買っちゃえ♪

 

「これくーださい♪」

「ありがとうございます、お会計……になります」

「はい、カードで」

 

結局買うもの買った後の私はタガが外れていた全部使い切るつもりはないけど気は大きくなってるね。

裁縫セットはポーチの中に入れ込んで…ポーチはもうパンパン

残りの買ったぬいぐるみだったりアクセサリーはお買い物袋に入れてもらった。

 

買ったのは白のふわふわリボンのブレスレットにチョーカー、ビーズのブレスレット。

猫ちゃんのフェルトぬいぐるみ、腕とかに抱きつかせれる猫ちゃんぬいぐるみ、肉球柄の手編みマフラー!

プレゼント用にフェルトぬいぐるみはさらに2つ余分に買ってるの。

わーちゃんとお姉ちゃん喜んでくれるかなー?

 

さーてと…まだまだ時間はたっぷりあるし…ちょっとブラブラとウィンドウショッピングしようかなー?

まだ寄ってないエリアが…

 

 

――――――――――――

 

 

フラフラと買い物袋片手に歩いていたらふとある店が目に留まる。

ランジェリーショップだ…可愛い下着とかもちょっと探してみよう…

吸い込まれるように入ってみると色とりどりの下着が私を迎えた。オーソドックスな形状からフリルたっぷりで可愛いのもあるし…

これ、ブラ?カップが無いんだけど…?って言うのもあったり…シースルーなネグリジェとかもあったりするし…

わーぉ…これは刺激が強いなー…興味半分だけど私のおっぱいに合致するサイズあるかなー?

 

「すいませーん」

「はい、何でしょう?」

「合うブラを探してるんですけどー…」

「まぁなんて大きさ…」

 

規格外か、店員のお姉さんも私のおっぱい見てびっくりしてる。

ぱたぱたと店員が走っていって…持ってきたブラは…わぁぉ色合いが真っ赤でシースルーなフリルがあしらわれた下着だった…

カップも結構削られててショーツとか面積少ないなっ!?これセクシーすぎない…?

私が着るにはちょっと背伸び感が…う、うーん…

 

「試着室はあちらになります」

「アッハイ…」

 

と、取り敢えず付けてみよう…案外似合っちゃうかもしれないし…

というか…試着OKなのかな…まぁ良いんでしょ

お、ショーツはちょっと食い込み気味だけど…いい感じ。

ブラは…アンダーがスッカスカだなぁ、そしてカップ合ってないね…うん。

ギッチギチで乳肉はみ出てるよ…これで何カップ?わかんないけど…とっても大きいよね?

こうなると私の下着はオーダーメイドしか出来ないかぁ…

 

「ごめんなさい、これちっちゃい…」

「当店で扱っている最大サイズでしたが…」

「ウッソだろお前」

 

流石、不良ロットは伊達じゃなかったよ、チクショウ!

まぁ予想通りだったけどさぁ…泣いてないもん!

 

 

その後も色んなお店に入ってお洒落な服や可愛い服、ゴスロリとか試着しようとしたけど

どれもこれもおっぱいが邪魔で着れなかった!がっでーむ!!

服飾データだけ保存してI.O.Pに作らせてやるぅ!!

 

唯一買えた物はなんだと思うー?

水着だよ水着、季節は全然合ってないから安くで買えたよ。

ただし布面積はおっぱいに対して頼りなさすぎのホルターネックの背中で紐を結ぶタイプ。

ちょっとジャンプとか走ったりしてブルンバストしたら大事故不可避な水着。

泳いだりとかは出来ないよねぇ…だからまぁお洒落でパレオも合わせたの。

柄は白に青のスプラッシュ柄、夏に着たいね。後は…混浴とか?

 

 

――――――――――――ショッピングモール・猫カフェ

 

 

「……」

「それそれ~♪」

「ふふ、可愛らしいですね…」

「あぁ、膝の上で寝られてしまいましたわ…」

 

第2部隊のメンツは買い物前にリラックスのためと猫カフェに来ていた。

イサカは無言で猫との2ショット自撮りを主任にメールしていてコーヒーを啜っていた。

SAAは猫じゃらしなどのオモチャで全力で戯れていて、スプリングフィールドはそんなSAAと猫を微笑ましく見守っていた。

G36Cは自然と膝の上に猫が乗ってしまって寝られてオロオロ…取り敢えず撫でていた

 

このメンツは何を買いに来たか?最新の服と下着である。

SAAはコーラの買い溜めで速攻で食料品コーナーに突撃をかますだろう。

カフェに来てまで飲んでいるのがコーラ、徹底している。

スプリングフィールドはコーヒーを飲んで考察している、勉強熱心である。

まだスプリングフィールドのコーヒーは成長余地があるのだ、十分美味しいのに更に上を探求していた。

 

「ふぅ…おや?」

 

「ふふふ、猫ちゃんがいっぱい…♪」

 

そんな各々で楽しんでいた第2部隊のメンツだったが…乱入者が現れた。

第1部隊所属の猫溺愛者の一人WA2000だ。猫カフェが開設されたと聞いて飛んできたようだ。

いつものツンケンした顔がデレッデレでふにゃふにゃだ。早速足元に来た猫を撫でて至福に浸っていた。

 

「はっ!?」

「あらあら♪」

「おー?わーちゃんも来たんですねー!」

 

視線を感じてWA2000が振り向けば微笑ましく見ていたスプリングフィールドと無邪気なSAAが声を上げていた。

見る見る内にWA2000の顔が真っ赤に染まって行くがもう無類の猫好きなのは周知の事実。

一番のぽやぽや娘の417にすら知られているのだ、今更恥ずかしがっても無意味である。

 

結局WA2000は第2部隊によって猫カフェに居るのが部隊に知られFAL達も合流することになった。

意外だったのはスペクトラが猫に懐かれたことである。

硝煙の匂いが染み付いてる程にトリガージャンキーな彼女もびっくりであった。

 

「猫、良いわね…」

「フン、今更ね」

 

余談だがG36Cなどは違和感無い格好だがスペクトラ等の一部危ない格好の連中は流石に上着を着込んでいたり着替えている。

余計な火種は蒔かないに限るのだ。

 

 

「へぇー猫カフェなんてできたんだ…お?」

 

外を417が通り過ぎていった。中にいるメンツに手を振って。

 

 

――――――――――――

 

 

さてと、予想通りにハンヴィーにはG11が戻っていた。

お洒落とかよりも寝ることが大事だからね、仕方ないね。

そんなこんなでハンヴィーにお買い物してきた荷物を入れて私はもう一つの目的地に向かった。

 

内地のボロアパート…治安が悪い地域で女の子はあまり近寄らない場所。

かつて私が住んでいた兄弟二人暮らしのお部屋に…

 

ショッピングモールから車で40分程離れた場所でタクシーで移動した。

帰りの予約も入れておいたから大丈夫大丈夫…

見知ったスーパーでお買い物して…っと…

 

手軽に簡単にって事で市販のカレールーとお野菜を購入。

まぁお夕飯の用意くらいしてあげないとどうせカップヌードルで済ませる。

食事らしい食事をさせてあげないと…と私は密かに燃えていた。

 

わりかし新鮮な野菜を買えてお買い物袋片手に歩き慣れた道を往く。

街についた時は真上にあった太陽もだいぶ傾いてきていて…もうおやつ時かな?

時間が有り余っていたらお菓子でも作ってあげたら喜んだかな?

兄は甘党でよくお菓子を貪り食っていた。私のプリンとかもよく食べられたっけ…

 

お、ついたついた…変わらないなぁこのボロアパート。

アパートの二階が私達の住んでた部屋だ。兄の名前が表札にある。

…自分の家だったのに他人として入るって言うのも複雑だなぁ。

 

ぴんぽーんと呼び鈴を鳴らす。のっしのっしと歩いてくる音がする。

多分兄が今のぞき窓から見てるんだろう。

 

「こんにちはー遊びに来たよー」

「チッ…帰れや」

「とか言いながら開けてくれるんだ、やっさしー」

 

見慣れた兄の顔が見えた、憎まれ口叩くのは兄の癖だ。

部屋に入ると…わーひっどい!ゴミ屋敷!!想像以上に酷い!!

これ私の部屋までゴミに侵食されてないよね?

う…鼻が曲がる…カップヌードルの食べかすが腐ってるんだ!

どうして処分しないのかなー!まったくもー!!

 

「ゴミはゴミでちゃんと捨てる!いい!?」

「……」

「聞いてるー?ちょっと、聞いてよ!」

「うるせぇな…」

 

あーもう!この兄は、面倒くさがりなんだから!

買っておいてよかったゴミ袋…まったくもう…ゴミの掃除からだよ…

見てるんだったら手伝えや!ゲームばっかしてないで手伝えー!

 

 

 

お掃除が終わったのは時計の針が一周する頃だった。

 

「ふぅ…全く、溜まる前に捨てなよ、面倒くさくなるんだから」

「……弟みてーなこと言うんじゃねぇよ」

「え…?」

「ふん…」

 

生の表情は初めて見るけどすごく…寂しそうな顔をしていた。

またゲームに集中し始めたけど…こっちを見てたのは…まさか…?

いや、まさかね…

 

「こっちの部屋も汚いんでしょ、お掃除するよ」

「やめろ、入るのは勝手だが弄るな」

「……理由を聞いても?」

「…………あのバカがいつ帰ってきても良いようにしてるんだよ」

 

かつての私の部屋を覗くと…私がよく使っていた時のまま保存されていた。

ホコリは積もってるけど…私が…過ごしていた時とおんなじ…

ベッドの布団の乱れもそのままにしてるんだね…あは…ははは…

兄の方を見ると兄はゲームに集中出来なくてこっちをチラチラ見てる。

 

あ、この雑誌…自転車の雑誌だ。嘗ての私の趣味だ…

そういえば私の自転車ってどうなってるのかな?

メンテナンスしないとガッタガタになると思うんだけど…売ったりしてないよね?

 

「ねぇ、弟さんの自転車は?」

「アイツのはガレージに預けてる…つかよく知ってるな、お前」

「まぁね」

 

本人だとは言えないけどさ…なんだ、この兄…最高じゃない…




プロット時点ではクソ兄にしておくつもりだったけどね。
作者の頭にクソ兄ムーブが降りてこなかった。


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Day27 お買い物の終わり

兄への第一回カチコミはこれで終了です。


――――――――――――

 

 

ふぅ、思わぬ兄の一面を見れた気がする。

でもごめんね、私はもう女の子になって元に戻れないの…

それにしても…言ってなかった私の趣味もちゃんと把握してたかー…黙ってたのに…

もうこの身体じゃ自転車に乗ってどうこうは出来ないし…過去のものになっちゃったなぁ…

前の名残はもうゲームくらい?

 

さてと、そろそろお料理に入ろう!

日持ちがする上に面倒くさがりでも食べるだろう…カレーだ。

後始末の仕方さえ教えておけばOK…だと信じたい。

 

「お台所借りるよ」

「怪我すんなよ」

「心配してくれるのー?やっさしー♪」

「あのバカの彼女かなんかだろ、用が済んだらさっさと出ていけよ」

 

彼女ちゃうわ!まったく…ロリコンじゃないし。

このボロアパートの台所は低くて助かるーギリギリ手が届く。

さてと…兄の3食分を作ろう…時間はまだまだあるし…弱火で煮込めるかな?

 

作る献立は普通のカレー、作る手間は掛からなくて大量に作れるお手軽料理。

後片付けは面倒くさいけど…食器洗いくらいはするよね…最悪紙皿用意したら良いか…

勝手知ったるキッチンなので私が迷うことはない。あんまり使わなかったけど…覚えてるものは覚えてる。

ガスが止められてるってこともない、普通にガスコンロが使える…良いことだね。

じゃあ調理開始、まな板に並べるのはカレーの彩り担当のお野菜。

ニンジン、じゃがいも、玉ねぎにピーマンを刻む。サイズは一口大、これは私の好み。

玉ねぎに関しては細かく刻むんだけど…刻んだらお鍋に放り込む。

無駄におっきい鍋があったんだ…ってこれホコリが積もってるー…洗わなくちゃ。

っと無駄なことが挟まったけど…これでよし。

じゃあお野菜を煮込んでいくの、しんなり柔らかくなるまでグツグツと

 

「何作ってるんだ?」

「カレー、ヒキニートも好んで食べる料理でしょ?」

「……」

 

兄がゲームを止めて私の方を見ていた。飯よりゲームが大事な兄らしからぬ動きだなぁ。

私が不思議そうに振り向いたらなんだか変な顔。何考えてるのかな?

少なくとも兄がこういうのを嫌ってる感じは無かった。

カレーメシを好んで食べてたし。

 

「いやさ、弟の彼女に言うのも変かもしれないけどよ…お前、なんか弟に似てるな」

「え…?」

「その表情とかなんつーのかな…口うるさいのとかよ…気に掛け方が弟そっくりなんだよ…」

 

喉の奥まで私の正体について…こみ上がってくる。

でも、言えない…今の私はこの人の弟ではない、417なんだ。

もう…戻れないけど…

 

「なぁ、弟は何処に行ったんだ…知ってるか?」

「……心配してんじゃねぇよ気持ちわりぃな、ヒキニートのくせによぉ就職活動してから言えや」

「…」

「なんて、弟くんなら言ったかな…」

 

……さようなら、(わたし)。もう二度と出ることはないね。

兄に背を向けて料理再開…兄のなんとも言えない視線が耐えれない…

久しぶりに吐き気がこみ上げてくる…

 

背中からはまたゲームの音が聞こえ始めた。

 

 

 

「はい、カレー出来上がったよ」

「おう…」

「また遊びに来て勝手にお料理していくから…それじゃあね」

「おい…チョット待て」

 

出来上がったカレーを押し付けてさっさと皆と合流しようと思ったのに。

呼び止められて肩まで掴まれた…何?ヒキニートなのに。

 

「お前さ、幸せ?」

「……まぁ、幸せかな?」

「そうか…まぁ、また来いよ……――――――――――――からよ」

「……次は就活しててよね、ヒキニート」

 

飛び出した…気がついたらタクシーに乗ってて…ボロボロと私は泣いていた。

 

 

――――――――――――

 

 

「用事はもう終わった?」

「45お姉ちゃん…うん、終わった」

「そ、じゃあ帰るわよ~416が心配してうるさいし~」

 

タクシーを降りたら45お姉ちゃんが待ち構えてた。

ちょっと泣いてたけど見逃してくれてたのかな…?何時ものように笑って…何事もなかった様に歩き出した。

私もその後をついて……いや、隣に立ってぎゅっと手を握った。

 

「417?どーしたの?」

「…んー…今、幸せだなって…思っただけ」

「ふぅん?」

 

45お姉ちゃんはクシャ…と私の頭を撫でてくれた。私、本当に幸せだなぁ。

血の繋がりなんて無いけど、本当に…幸せいっぱいだ…えへへ♪

何をしに行ってたかとか何があったかとか45お姉ちゃんは深く聞いてこなかった。

私が言いたくないの察してくれたみたい。

なによりお姉ちゃんが大暴走不可避な事だし…人間の男の家に行ってたなんて言ったらね…

 

「おまたせーさ~帰りましょ」

「お待たせっ」

「スッキリした?」

「……うん」

「そっかー♪なら良かったんじゃない?」

 

ハンヴィーの後部座席に乗り込んで…45お姉ちゃんはナビゲーターシートに。

変わらずお姉ちゃんが運転席に座っていた…ミラーで私のこと確認してから何か言いたげだけど…なーに?

 

「言い忘れてたけど417~目元の化粧が残念になってるわよ~」

「ぴゃっ!?おーうのぉぉぉぉぉ!!」

「417うるさいよ…」

 

ポーチからコンパクトミラーを出すと…私の目元のアイラインが涙で崩れてた。

最悪…泣いた時に崩れたんだ…まぁ良いや、一度拭き取ってから…もう落とそうかな?

お兄ちゃんに見られることもあり得るし…整えよう…

 

ハンヴィーの中はお買い物した食料品で満杯だった。

何週間分買ったのよ…というか良くそんなお金が…私以上に貰ってるのかな?

チョコレートバーそんなに買ったのは誰だよ…帰りの途中で溶けないかなー

…買ったの9お姉ちゃんだね?めっちゃニッコニコでかぶりついてるもん。45お姉ちゃんにも渡してるし。

 

「417も食べる?」

「いや、良いです…」

「美味しいのにー」

 

見てるだけでお腹いっぱいです…

 

 

――――――――――――D08基地工廠・夜

 

 

「ただいまー」

「おかえり嬢ちゃん達、買い物は楽しめたかい?」

「はい、ハンヴィー借りましたよ…キーお返しします」

「おう」

 

今日は私達が出ていくって事でメンテナンス班だったりは残っていた。

帰ってきた私達を出迎えてくれたのは主任だ。外で煙草を吹かしていた。

健康に悪いんだけどなー…まぁ良いけど…

お姉ちゃんもさっさと離れたし…おーお姉ちゃんの顔が顰めっ面だー

 

「兵士ではないけどあんな物に頼って自己管理がなってないわ…」

「あははは……大目に見よ?」

 

ダミー人形総出で荷物を担ぎ込んで私達はゆっくり休もう。

第1部隊と第2部隊…そして第3部隊のハンヴィーはまだ帰ってきてない。

 

余談だけど第3部隊はゲーセン巡りしてたらしい。

ショッピングに行ってた私達とは大違いだったよ。

主に引っ張っていったのはスコーピオン、音ゲーで相当目立っていた。

太鼓の達人で鬼フルコンボ決めて観衆を作ってたのをM14が撮影して送ってきてた。

おい、女子らしいことしろよ…と思ったら普通にカフェでデザート食べてたり…よくわかんないな…

さては適当にフラフラとしてただけでは…?

 

さてと…お裁縫のデータディスクのインストールだ。セルフインストール出来るかなー…

出来なかったらお姉ちゃんに頼ろう。

簡単3ステップだった、やったぜ。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夜

 

 

お兄ちゃんはまだ帰ってきてなかった。どんな買い物に行ったのかな…

まさか夜の如何わしいお店に行ったり…?う、うーん…まさかなぁ…

ソファーに座ってうんうん唸ってもお兄ちゃんは戻ってこない。

……おや?お兄ちゃんが何時も座ってる椅子にあるのは…?

 

お兄ちゃんのG&Kの制服の上着だ…!右を見る、誰も居ない…左も誰も居ない。

出入り口である扉も誰の気配もない!よし…よし…

そーっと…恐る恐るお兄ちゃんの上着を取って…羽織る。

ぁやばい…めっちゃくちゃ包まれてる感がする…お兄ちゃんのニオイだ。

ちょっと袖を通してもいいよね…だぼだぼだーうひょぉー…

くんくん…お兄ちゃんのニオイ、いい…♪

 

「みーちゃった…♪」

「にやにやー♪」

 

ぴゃっ!?UMP姉妹、どうしてここに…!

というか…しまった、くんかくんかしてたのを見られた…!はうぅ…

お兄ちゃんにバレたらドン引きされるよぉ…

 

「撮った」

「ナイス45姉」

「まったぁ!!」

 

慌てて脱いでたら45お姉ちゃんの端末のカメラが火を吹いた。

背もたれに引っ掛けてからダッシュで45お姉ちゃんを追いかける。

くそ、SMG型は早い!おまけに余分なウェイトも無いから全力疾走出来るって…くそぅ!

これで私が諦めると思わないでよ!レッツゴーダミー、45お姉ちゃん狩りの時間よ!!

 

であえであえー!!ひっ捕らえろぉ!!

くそ、見失った…草の根かき分けてでも探すんだよぉ!!

あのナイチチを逃したら私の乙女としてのアレやそれやが崩れるのぉ!

 

 

結局ダミー全員45姉に返り討ちにあってた。私も鼻を曲げられて沈んだ。

胸の事なんて思ってただけで口にしてないんだけど…何でバレたの?

結局くんかくんかしてるデータはばら撒かれた…私無事死亡のお知らせ。

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・夜

 

 

いったーい…まだ鼻が痛む…

あれだけドタバタしたのにお兄ちゃんはまだ帰ってきてない…どこで油売ってるのかなぁ…

スコーピオン達は食堂でお酒飲んで大騒ぎ中。

というか大体の人形が今日買ってきた嗜好品持って食堂で騒いでる。

私はそういうのは買ってないし…ベッドの上に猫ちゃんぬいぐるみ並べて横になっていた。

 

脳裏に過るのは夕暮れの嘗ての家、兄の言葉。

なにか察したような目と沈黙…悲しそうな表情。

 

「また、来いよ…かぁ」

 

『また来いよ……()()()()()()()()()()()からよ』

ばーか、私はもう弟じゃないっての…

もう、私は417…女になっちゃって、一人の男に惹かれてるんだよ。

貴方の弟には…もう戻れないの…

 

 

417の枕はすこし濡れていた。

 

 

 

――――――――――――内地のとあるアパート・深夜

 

 

「いつか帰ってくると思ってたさ…」

 

男は呟く、誰に聞かせるでもなく独り言を呟く。

主を失い時間が止まった部屋の中で…

 

「はは…あんな姿になって帰ってくるなんてな……」

 

夕暮れ頃に訪れた来訪者の姿を瞼の裏に浮かべながら天を仰ぐ。

どうしてそうなったかは知らない。もう行方不明となって何週間も経った。

しかし…幸せにしている。嵐のようにやって来ては帰っていった()()

少女が作ったカレーは美味かった。実に男好みだった。

 

「次、いつ帰ってくるんだろうな…あのバカ…」

 

疲れたように物事を忘れるようにゲームをしていた男に久しく浮かばなかった笑みがそこにはあった。




なんつーか、家族って姿が変わっても分かるって思うんだ。
悪しからず想っていた家族ならね。




あと今日の昼の更新はねーぞ。わりぃな。


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Day28 楽しいお昼の準備

お料理回挟むと大体春田マッマが出ちゃう病


――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・早朝

 

 

目が覚める…いつもの制服じゃないまま寝てたみたい。

ふぅ、メイクを落としていたのは幸いだったかな?

今日は昨日お買い物に出れなかったスタッフが一斉に出ていく…基地が完全にお休みだから出来ることなんだけどね。

お兄ちゃんは戻ってきてるかな…来てるよね?朝帰りなんてのは流石に許せないよ?

 

Mk23が起き出す前に私が挨拶するの…っとその前に着替えなきゃ…いつもの制服が良いよね。

ふぅ、童貞を殺す服も良いけど…お兄ちゃん的にはこっちのほうが良いよね。

というかお兄ちゃんが興奮してる様子もなかったし…うーん…悩殺とかはできなさそう。

そういうのじゃなくてもっと地道に惹かせた方が良いのかな。うん。

あ、今日の朝ごはんを作ってあげよ!

じゃあっと…あー!エプロン買っておけばよかった!!私のおまぬけ!

最悪スプリングフィールドのエプロンを貸してもらおうかな…いや、ここは自前で作るって言うのも…布がなーい!!

はー…2日連続同行するのはなんだかなぁ…買ってきてもらえるように頼むかな?

見返りになに請求されるか怖いけど…背に腹は代えられないかな。

 

なんて考えてる内に着替え終わってから軽くメイクもして…お兄ちゃんに会う準備OK!

私は皆を起こさないようにこっそりと兵舎を抜け出した。

今日の朝ごはんは何にしようかなー?あっさり系が良いよね。

 

 

――――――――――――D08基地キッチン・早朝

 

 

「おはようございまーす」

「ん?おはよう417嬢ちゃん…今日はどうした?」

「お兄ちゃんの朝ごはんを作ろうって思って」

「…好きにしな」

 

朝からコック長がお仕事していた、朝の仕込みだ。

皆お休みでもキッチンはいつも動いてるね…コック長の格好がいつものコック姿じゃないのは新鮮だけど…

頼まれた分だけ作ってるんだって。他は各々勝手にするから作らないんだってさ。

 

今日の朝は何があるかなー?んー…冷蔵庫の中身を見て考える。

豚肉がちょっと多めに残ってる…朝から重いかもだけどこれ使おうかな。

油を落としきればそんなにヘビーにはならないし…イケるいける。

お野菜と一緒にソテーして塩コショウで味付けしたら良いかな…

うーん…パンも付け合せにすること考えると…

スクランブルエッグの添え物に豚肉やってハムエッグトースト…かな?

卵はいっぱいあるし拝借しよう。もう一品はサラダで決定。

 

さー調理開始だ、エプロン無しだけど平気でしょ。

あっつ!?油がはねて露出してる肌に、おっぱいに…!あーもう!痛覚カット!

無駄にでっかいおっぱいは本当に邪魔だなぁ!視覚的にも、痛覚的にも!

 

先ず調理するのはスクランブルエッグ、溶き卵に調味用の塩で味付けしておいて…それから油を引いたフライパンに注ぐ。

薄く膜が出来てきたら箆で剥がしてっていうのを繰り返すだけ、簡単でしょ?

今日のはお兄ちゃん一人用だしさっさとしちゃおう。

次!油をそのまま使って…豚肉のソテー…説明不要の焼くだけ。

塩コショウしてから火を通しておしまい、雑だけど他の調理法は時間がかかっちゃうし今からじゃ間に合わないの。

そして主食のパンに乗せるハムエッグ…これも単純なお料理でフライパンにハム乗せてその上に生卵を落とす。以上

その間にトースターにパンを入れたらOK、焼き上がる頃にはトーストの出来上がり。

さて、焼き物が勢揃いしたから後は生鮮野菜でサラダを作って…レタス、パプリカ、ニンジンにミニトマト

ドレッシングは胡麻ドレッシングを採用。お兄ちゃん用の朝のプレートの出来上がり。

 

「うーん…嬢ちゃんは教える必要なさそうだな…テキパキやってるし口出しするとしても味付けだけだ」

「そう?」

 

ずっと私の調理を見てたんだろうコック長は私にそう評価してきた。

味はもう好みの範囲だし…そうなるとなぁ…感性とかの問題になってくる。

腕前とか手際は評価されてるみたいでサムズアップを貰った。

 

「また人手が足りない時は呼んでね、全力で手伝うから♪」

「おう、頼む」

 

調理を終えてキッチンから私は飛び出した。

朝食を作って行ったらお兄ちゃん喜ぶかなー♪

 

 

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「んふー♪ダーリン、もっと撫でて♪」

「よぉーしよしよしよしよし」

 

司令室にはもう起きていたMk23が詰めかけていた。毎朝の光景だね。

今日はもう歯止めをかける仕事っていうのが無いから心底堪能するまでお兄ちゃんもMk23とのスキンシップを楽しむんだろうなー…

いけない、ちょっとムカッときた…私だってお兄ちゃんとのスキンシップ楽しみたいけど…

それより今はお兄ちゃんのお食事だね。

 

「お兄ちゃん、起きてるんだよね?417だよー」

「おー?朝から大盤振る舞いだな、入ってきていいぞー」

「ダーリン、今はわたくしを見て♪触ってもいいのよ?」

 

盛ってるMk23は放っておいて…許可が出たから入ると…あーうん、何時ものようにMk23がお兄ちゃんの膝の上で組んず解れつしてた。

今日は猫可愛がりの日かな?めっちゃくちゃ頭を撫でて髪に鼻を押し付けてた…いいなー…

 

「今日の朝ごはんだよ、食べてね♪」

「ぉ?今日はキッチン休みじゃねーの?」

「私が作ったの、お兄ちゃんの為に」

「マジ?あんがとよ…お、美味い」

 

よっしゃ、お兄ちゃんの美味しいを戴いた。内心ガッツポーズしながら食べ終わったら下げる所までしようかなと待機。

今の私の目的はお兄ちゃんの胃袋を掴むことよ…!お料理上手の女は評価点高いんだから…!

お料理しない、出来ない女よりは良いのよ!これは決定的に明らかな事なんだから…!

もう既にお兄ちゃん争奪合戦は始まってるの…Mk23に遅れを取るなんてことは無いんだから…!

でも今の御時世重婚とか当たり前だし…お兄ちゃんが重婚を選んだなら私は従う。

お兄ちゃんに一定の好感を持たれていて大事に思われてるなら私は満足だし。

 

「ダーリン♪」

「おう、食わせてくれるんだろ…あー」

「ん…美味しいわね…あーん♪」

 

始まったよ…Mk23による口移し食べさせ合いっこ…お兄ちゃん曰くいつもの事らしい。

しっかり見ると唇は重なってないけどね、傍から見たらキスしあってるようにしか見えない。

お兄ちゃんもデレッデレだし…むぅー…

私もああいうガン攻めした方が良いのかな…んー…グイグイ来る女の子が良い?

あ、お兄ちゃんの目がこっちに向いた。視線の先は私のおっぱいだね。

 

「ん…」

「おぉ…ブルンバスト…」

 

視線が突き刺さってるのを確認してからちょっと胸を張る。

私の規格外おっぱいはちょっとした動作でも揺れる。お兄ちゃんのデレ顔ゲット。

ちょっと手が怪しい動きしてたけど…私は良いんだよ?

まぁお兄ちゃんの最後の理性がブレーキを掛けてるんだろうけど。

 

「ごちそうさん」

「ごちそうさまでした、ふぅ…美味しい料理ね、417ちゃん?」

「お粗末さまでした、下げるね?」

 

Mk23には口だけ動かして「当たり前でしょ」と伝えておいて。

私はお兄ちゃんが平らげた食器を抱えてキッチンに戻っていった。

 

 

――――――――――――D08基地キッチン・朝

 

 

キッチンの中はもうもぬけの殻だった。コック長も街に繰り出したか。

工廠の方で騒ぐ声がする、主任とイサカがイチャコラしてるんだろうなー…

イサカは市販の服がギリッギリ入るサイズなのが羨ましい。はーぁ。

一人がっくりしながらカチャカチャと音を立てて食器と調理に使った道具を洗う。

 

お昼はたぶんスプリングフィールドが張り切ってマフィンを焼くしお手伝いしようかな?

そうだ…付け合せのスープを作っておいたら喜ばれるよね。

コーンポタージュにするか、うん…それが良さそう。あ、でも時間足りないか…なら…

私は私でバターロールでも作ったら良いかな?お料理って楽しいし良い暇つぶしになるなー♪

 

「おや、おっぱいちゃんがキッチンに居る?」

「おはよ、メンテナンスのお兄ちゃん…どうしたの?」

「軽くなんか摘んでから出ようと思ったんだけどよ…幼妻感があって良い…」

「何言ってるの、お兄ちゃん…」

 

メンテナンスのお兄ちゃんが一人キッチンに侵入してきた。

手軽に摘めるものってあったっけ…?ソーセージくらいじゃない?

幼妻…かぁ…えへへへ、幼妻かぁ…♪

 

「ふりふりと揺れる尻…暴力的なおっぱい…これは襲えというお告げじゃな?」

「目覚まし代わりに水ぶっかけようか?」

「アッハイ…」

 

お兄ちゃん以外に襲われるつもりはありませーん。

さてと、食器洗い終わり…乾かし台に置いてっと…冷蔵庫からソーセージ数本取って放り投げる。

 

「はい、軽く摘めるのだったらそれでいいでしょ?」

「サンキューおっぱいちゃん」

 

さてと…お昼の準備開始ぃ!メンテナンスのお兄ちゃんが行ったのを確認してから…強力粉、卵を取り出した。

ついでだ…クッキーも焼こうかな…ふんふんふふーん♪

料理に大切なのは何よりも愛情~♪お兄ちゃんへの愛で美味しくなーれ。

 

さて、ボウルを二つ用意しました。片方はバターロール生地用でもう片方はクッキー用。

クッキーはチョコチップを混ぜるつもりだから区別は可能なはず。

ダミーが起きてたら手伝わせるんだけど…まぁ私一人でも出来るから頑張る。

まずはクッキーから始める。用意するのはバター、砂糖、薄力粉、卵黄、チョコチップ。

バターを室温でドロドロにしてから練る。溶かすのはNGなので要注意。

砂糖を入れて…卵黄を混ぜてよ~く練る。それから薄力粉を入れてから箆でささっと混ぜる。

捏ねないのがミソ…でここでチョコチップを入れ込んで混ぜる。

こうしたらクッキー生地の出来上がり。じゃ、冷蔵庫で冷やして寝かせる。オーブンの出番まで寝てろお前!

 

寝かせてる間に作るのは…バターロールの生地。

用意するのは似たり寄ったりだけど…バター、卵、砂糖…それから水と強力粉、塩、ドライイースト!

バターを最初にボウルに放り込むのは一緒なんだけど…ここで溶かすの。

熱湯を入れてから溶かしていって…結構溶けてきた所で水を入れて冷ます。

塩、砂糖、溶き卵、ドライイーストを加えて軽く混ぜる…卵黄だけじゃないのが違うかな?

さて、纏まってきたら手捏ねの時間でーす。見る人が居ないから思いっきりやれる。

 

お兄ちゃんになら見られてもいいけど…私のおっぱいが大暴れするからあんまり見られたくない…恥ずかしい。

最悪ブラが耐えきれなくて事故につながるし…見られてない間だったらすぐに直せばOKだもん。

 

さて、捏ね上がったらオーブンの出番じゃー!

 

 

――――――――――――D08基地キッチン・昼

 

 

「あら、417ちゃんもお料理ですか?」

「こんにちは、スプリングフィールド。クッキーとバターロールを焼いてたの」

「なるほど…では私はコーヒーを用意しましょう…あとパンのお供を」

 

予想通りでスプリングフィールドがお昼ちょっと前に来た。

マフィンを焼こうとしたんだろうけど…私が既に焼いてたから予定変更したみたい。

コーヒー豆から挽き始めてコーヒーの用意しはじめた。

 

私はって言うとお片付けしながら焼き上がり待ち。

皆に振る舞えるように結構作ったし…おやつ代わりなればいいかなー?

一番はお兄ちゃんに美味しいって言われるのが大事なんだけど。

 

「いい笑顔ですね」

「そう?」

「はい、良いことです♪」

 

……めっちゃくちゃニヤけてた。

おっと、そろそろ焼き上がるかな。味見してもらお。

 

「スプリングフィールド、一つどう?」

「いただきます…ん、美味しい♪」

「よっしゃ…」

 

クッキーはスプリングフィールドの太鼓判貰った。

ぐっとガッツポーズしたらクスクス笑われた、解せぬ。

バターロールもきっとだいじょーぶ…焼き上がったのを一つちぎって食べる。

……ちょっと砂糖多すぎたかな?

 

「こっちはどうかなー?」

「……美味しいですが甘すぎですね」

「がくー…」

 

反省点が出来た…料理も一筋縄では行かないね…ちくせう。

そうこうしてる間にもスプリングフィールドもコーヒーを挽き終わって準備終えてた。

後は皆誘って楽しいお昼にしたら良いかな?




おかしい、最初に浮かんだプロットは各々の趣味回だったはずなんだ。
気がつけば楽しい朝の準備とお昼の食事を準備してる嫁力高い417を書いていた。
作者も分からない波動が作者の腕を動かしていた…


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Day29 お食事会へのご招待

この作品の417が嫁に来たら指揮官は確実にダメになると思うんだ。
416も嫁に来たら全部任せろ系ヤンデレだけど…こいつも依存させる系のダメ男製造機だと思う。



――――――――――――D08基地食堂・昼

 

 

「良い匂いにつられて」

「やって来たよー♪」

 

呼んでもないのに来たのは45姉と9姉。片手にはチョコレートバー…どれだけ好きなの?

スプリングフィールドはパンのお供を何にしようとしたのかなー?

私にもナイショと言ってキッチンを追い出した。お手伝いは要らないのかなー

まぁ出してた食材からポテトサラダだと思うけどね。バターロールに挟んで食べたら美味しそう。

 

「クッキーとパン焼いてたの、お昼にするにしても皆呼んでこようかなって」

「417のクッキー…美味しいのかな」

「9お姉ちゃん…まぁスプリングフィールドのお墨付きだよ」

「おー!それはスゴイ、流石だね♪」

 

まぁパンはちょっとダメ出し貰ったけど。クッキーはお墨付き。

お姉ちゃん達がワクワクした目でこっち見てるけど…今は出さないよ?

皆呼んでから振る舞うんだから。どうしても食べたかったらスプリングフィールドを口説き落としなさい。

きっとスプリングフィールドなら私と違ってのらりくらり躱してくれると思う。

 

さてと、先ずは各兵舎巡ってアナウンスだけしておこ…あとG11は叩き起こす。

起こしてから誘わないと絶対寝続けて参加なんてしないだろうし…お昼ご飯食べないと寝ても疲れるばっかりだっての。

まぁそれでも寝続けるのがG11なんだけど…だから引きずってでも起こす。せめて昼飯食ってから寝ろ。

私が起こさなかったらお姉ちゃんが起こすんだろうけど。

 

 

――――――――――――D08基地第1部隊兵舎・昼

 

 

「お昼を用意してくれたの?」

「ふーん…ありがと、別に自分で用意したけど」

「スプリングフィールドが用意したかと思ったら…へぇ、やるわね」

「良いんですか、やったー♪」

 

おいスペクトラビキニ脱いでるんじゃねーよ、開幕事故ってるんじゃねーよ。

こほん、お休みの部屋の中だから格好についてはもう突っ込まないわ…

FALはなんかI.O.Pの衣装カタログ片手に電話し終えた所かな?

わーちゃんは猫ちゃんグッズから顔をあげてブツブツなにか言ったような。

スペクトラは何してたんだろ、よく見れば谷間にマガジン突っ込んでるし銃も転がってるからリロード練習?

だったらブラ付けてろや、お兄ちゃんがもしも来たらどうするんだ。これだからM4なんて名前がついてるのは…!がるるるる…

ふぅ…ステンは何してたんだろ、日記つけてたのかな?うすピンクの日記帳を畳んでたし間違い無さそう。

 

とにかく全員昼ごはんにありつくのは間違いなしだね。よしよし…

 

「それにしても…張り切ってるけど、誰の為に頑張ってるのかしら~?」

「え?」

「もしかして…指揮官の為?」

「ぶほっ」

「へぇ?」

「なるほどー?」

「え、あ…はい…そうだけど…?」

 

FALは納得って感じで頷いてわーちゃんは咳き込んでこっちを信じられない目で見てる。

私がお兄ちゃんの為に頑張ってるのは悪いこと?良いことでしょ。

スペクトラは何よ、その生暖かい目は…ステンはよく分かってない感じ。

 

「じゃあ質問変えるけど…指揮官の事好き?」

「大好き」

「なんですって…?」

「なるほど、じゃあ私とはライバルの関係ね…負けないわよ?」

「上等、私だって負けるつもりないし」

「あのバカを引っ張るのは私よ!?」

 

第1部隊の恋敵は二人…ふーん…良いじゃない、お兄ちゃんは人気だね。

まぁ誰が恋人になってもおかしくはないけど…お兄ちゃんのメガネに適うのは誰かな?

負けられない戦いの火蓋が切って落とされた。負けてられるもんですか。

お料理もしない干物女なんかに負けられるもんですか!

 

 

――――――――――――D08基地第2部隊兵舎・昼

 

 

「お昼?ふぅん…感謝しておくわ」

「コーラは勿論あるよね?」

「まぁ…ありがとうございます」

 

SAAはブレないな…コーラは冷蔵庫にたんまりあったよ。

主にキッチン担当のぺたんこスキーが用意してた分だ。勝手に振る舞ってもOKでしょ。

イサカは端末でなにかしてたけど…まぁ確認するまでもなく主任とのやり取りでしょうね。

主任も愛されてるね、結婚しちゃいなよ。お祝いしてあげるよ?

G36Cは編み物してた…多分だけどG36Cも恋敵だと思う…お兄ちゃんを見る目がちょっと違う。

秘めたポテンシャルもあるし油断ならない相手だ…

 

「そのマフラーさ、やっぱりお兄ちゃんに渡すんだよね?」

「え、あ…はい、そのつもりですが…」

「負けないよ、私…」

「はぁ…?あ…なるほど、その戦いは私も負けません」

 

誰が一番になるか…いや、一番というか選ばれるか?

うーん…お兄ちゃんがその気があるかはわからないけど。もしもそうだった場合…負けられない。

ライバルは多いけど負けられない…睨み合うけど蹴落とすようなことはしない。

競り合うの、よりイイ女になる為に…全てはお兄ちゃんの為…!

 

「あら…ふふ、面白いことになりそう…」

「おー?指揮官を巡っての大勝負ですねー!コーラがすすむ!」

「なにかにかこつけて飲みたいだけでしょ?」

「そうとも言うー!HAHAHAHA!!」

 

イサカは良いよね、もうくっついてるんだから…そうだ、今度馴れ初めとか聞いちゃおう。

コーラちゃんは何時も通りだから知らなーい。

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・昼

 

 

「お?お昼用意してくれたのやったー!」

「おー、それは助かるー…ありがとうね、417ちゃん」

「ふーん…」

「あら、いい傾向ね♪」

 

Mk23余裕ぶっこいてると置いてくよ。Mk23のポジションは今の所愛玩動物並だと思うんだけど?

まぁそれでも良いのかな…大事にされているのは変わらないし…

Uziは…うーん、Uziもお兄ちゃんの事悪しからず思ってるのかなー?

M14はセクハラがイヤって言ってたし…スコーピオンは興味無さそう。

となると同じ第3部隊での恋敵候補はMk23とUziくらいか…うーん…恋敵多いなぁ…!

Uziは部屋着が結構可愛いからなぁ…そして私と同じでおっぱいちゃんってあだ名…そう、でっかい…

お兄ちゃんにとっては魅力的なんじゃないかな…ぐぬぬぬ…

私のはでっかすぎるきらいがあるからなぁ…

 

おっきいのは正義なんて格言もあったけど…貧乳はステータスなんて言葉もあった。

お兄ちゃんはどっちもイケるって豪語してたけど…どうかなー…

まぁ人形だからどうこう出来ないけどね。もう生まれ持ったおっきさで勝負するしか無い。

 

「Mk23も頑張らないと置いていくよ?」

「わたくしはわたくしの魅力があるからいいの♪」

「魅力…魅力ねー…私もなにか武器を持たないと」

 

Uziも確定だね、焦ってる…ふーん…結婚の話しが出たあたりの反応でそうだと思ったけど!女を磨きなよ。

恋敵がそろって女子力無いなんて嫌だよー世の中甘くないからね。

そんなんならお兄ちゃんは私がかっさらうからね!元男の女子をなめんな。

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・昼

 

 

「え、お昼…良いよ別に…チョコレートバーでいい…」

「折角417が用意してくれたんだから行くわよ、起きろこの寝坊助」

「うるさいなぁ…わかったよわかったよー…行けば良いんでしょー?」

 

G11は予想通りに布団の上で寝てた…と思ったら新しく買ったクッションの上で寝てた。

とっても大きいビーズクッションですっごく沈み込むヤツ。寝心地よさそう…

お姉ちゃんはお休みだけど戦況分析を繰り返してたみたい。休めよ。

休みの過ごし方下手かよ…やだ、私のお姉ちゃん真面目すぎ…?

あ、G11を引っ張ってさっさと行っちゃった…やれやれねー…

 

ん?これ何かな…お姉ちゃんの日記?ほうほう…ちょっと覗いちゃえ。

どんな事務的なことを書き込んでるか…悪戯心が私を突き動かし…え?

 

ただのお兄ちゃんへの好意の塊だったー!?

女にだらし無い所を除けば私の指揮官にふさわしい…っておいベタ惚れかよ。

普通にベタ惚れやん…えー…お姉ちゃんまでお兄ちゃんに落とされてたの?

矯正していけばいいとか…この基地離れるつもり無いとか…わーぉ…

ちゃんと評価してくれる指揮官は好き、時たま頭を撫でてくれるのも好評価とか…

え、撫でてもらえてるの!?羨ましいっ!

 

「見たわね?」

「あ」

「417…お姉ちゃんね、今冷静さを欠こうとしてるわ…」

「まって」

「待たない♪良いから忘れなさい」

「ぎにゃぁぁああああああ!!!」

 

めちゃくちゃグリグリされた、あたまいたーい…

忘れるわけ無いでしょ、こんなスキャンダル…!あ、まって連続してはやめ…

あにゃぁぁああああああああ……!!

 

 

「起きた?」

「あー…ぅ?」

「疲れてたのね、寝てたのよ?」

「うん…?」

「お昼ご飯いきましょ」

 

なにか忘れた気がするけど…んー…あれ、皆呼んだんだっけ?

あう?あうー?すっぽり抜けてるな…おかしいなぁ…

 

「ふぅ、忘れたわね」

「んー?」

「何でもないわ」

 

変なお姉ちゃん。呼んだか解らないし確認していこう…あーなんか頭がガンガンするぅ…

 

 

――――――――――――D08基地指揮官私室・昼

 

 

「お兄ちゃん、居る?」

「417かー…おう、居るぞー」

「んっとね、お昼用意したから皆で食べよ?」

「マジかよ、最高に良い子だな417」

 

兵舎はもうもぬけの殻だったし後はお兄ちゃんを呼べばおしまいだった。

お兄ちゃんは私室に居て中でなにかしてた…何してたのかなー?

ノックして開けてみると本を読んでたみたい。なんか薄いなぁ…そういう本かな?

私室で読むのは全然OKなんだけどね…性癖偵察しておこうかな…

 

「よしよし、いい子な417には褒美をあげないとなー」

「はぶっ…あわ、あわわわわわ…」

 

あー!困ります困ります!ナデナデは困りますお兄ちゃんお兄ちゃん、あ、あ、あー!

顎クイして何、え、やだ嘘…そういうこと!?まってまって心の準備が…

 

「うーん…撫で心地もいい…」

「……だよねー」

「なぜにがっくり?」

 

……顎クイされて早とちりした私が悪いけど…私はMk23じゃないし喉を撫でられても…微妙だよ?

そういうのは猫とかにするものだからね…お兄ちゃん…はぁー…ちょっとがっかり。

 

「もしかしておっぱいを揉んでほしかった?」

「ふざけてるでしょ?」

「はふん…」

「ふざけ半分は嫌だよ」

 

お兄ちゃんのセクハラ発言とかは割とふざけてることが多い気がする。

疲れててタガが外れてたりよっぽど嬉しい時はやらかすけど…

今の私はもうお兄ちゃんのセクハラを拒まないよ?もちろん、おふざけじゃなかったらだけど。

 

「ほら、行こ♪」

「おう…あの417さん?ひっつかれると歩き辛いんですが?」

「おふざけセクハラの罰でーす」

「おぉぅ…おっぱいおっぱい…」

 

手を握って腕に抱きついて食堂まで向かおう…これくらいは良いよね?

お兄ちゃんの腕に必然的におっぱいが当たってるけど…当ててるのよ!

お兄ちゃんもデレデレしてるしこれはいい感触…かな?

 

 

 

まってお兄ちゃん、私を抱っこしての食事はやめて?

ドキドキして食事どころじゃなくなるんだけど!?はわ、はわわわわわ…




(指揮官争奪戦)もう始まってる!!
416も割と仕事に真面目な指揮官には惚れやすい気がするの。
あとやっぱり愛が重い。

さて包囲網の中の指揮官は幸せかなー?


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Day30 暴走HK姉妹

だれかこのポンコツ姉妹を止めろ


――――――――――――D08基地食堂・昼

 

 

「はぅ…あぅ…」

「んー今日のMVPは417で間違いなしだな…よしよしよしよぉ~しよし…」

 

私は今、公開処刑されてるような気分。いや天国だけど!

お兄ちゃんの膝の上に抱っこされてめちゃくちゃ頭を撫でてもらってる。

一部の人形がスゴイ顔してるけど見てる余裕は私には無かった。

お兄ちゃんは気づいてないみたいで私の頭を撫でながら…おっぱいガン見してた。

お兄ちゃんは何時でもブレないなぁ…そんなお兄ちゃんが好きなんだけど。

めっちゃくちゃ顔が赤くなってるのを自覚してるけど…

 

何でこうなったかって?なにかしてほしい?なんて言ったから抱っこって言ったら後でじゃなくて今された。二人っきりならまだしも…皆の前は恥ずかしい…

 

「赤面417も良いわね…尊い…」

「416~?あー、いつもの妹煩悩か」

「45姉がそれ言っちゃう?」

 

食堂のテーブルを移動させて全員円卓状に並んでのお食事。

対面に座ってるお姉ちゃん達がカメラ向けてるみたい…

ちなみにお兄ちゃんの隣はスプリングフィールドとFAL…準MVPのスプリングフィールドは分かるけど…

FALは何でかなー?まぁ付き合いが長いから…らしいけど

 

「それでは、召し上がれ」

「お、美味いな…俺はこれ好きだわ」

 

お昼のメニューは予想通りのバターロールにポテトサラダを挟んだ物になっていた。

私が使い物になってない状態だからかスプリングフィールドが号令掛けて皆食べ始めた…

私はどうしよう、手が震えて食べるに食べれないよぉ!?

よくMk23は撫でられながら食べるなんて出来るね!私は幸せすぎて死にそう!

 

「指揮官、その辺で撫でるのは止めたら?417が固まったままよ?」

「撫でてるのが気持ちよくて止まんないわ」

 

お兄ちゃんに撫でられるの嬉しすぎてオーバーフローしそう。

やばいやばいめっちゃくちゃドキドキしてきたぁぁぁぁ…!

 

「ほい、417…あーしてみ?」

「あ、あ…あー…」

 

お兄ちゃんが徐にあーってしろって命令してきたからしたがってあーってする。

いや、まさかあーんってシチュエーションじゃ…

 

「ほい、美味いか?」

「大体を作ったのは417ちゃんですよ?」

 

口いっぱいにパンを頬張る事になった。

私が焼いたバターロールはまぁ甘すぎるけど美味しいよ。

あーんしてもらったのが嬉しすぎて言語回路が焼けそう。

というか思考回路も焼けそう。いや、焼ける。

 

「うぇへへへへ…♪」

「お、おー?」

「お兄ちゃんはじっとしてて…私が食べさせてあげる♪」

 

Mk23がしてるんだから良いよね、ね?

口移しで食べさせ合いっこしてもいいよね、ねっ

ついでにチューしても良いよね、ねっ♪

 

「た、タンマー!!」

「お兄ちゃ~ん…たんまなしー♪」

「あらあら…417ちゃんが暴走しましたね」

「417を抑えなさい!FAL!!」

「了解っと…」

「まくぺっ!?」

「417ー!?」

 

暴走した417はFALに手刀を食らって気絶。

そのまま指揮官に抱かれているかと思えば…FALが代わりに抱っこして食事は再開された。

程なくして気がついた417はしでかした事を覚えていて恥じらいにさめざめと泣きながら食事をしていた。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・昼下がり

 

 

「うるさいことになったけどお腹いっぱいだし…寝よ…」

「あはは…G11ちゃんはいつもそうですねー…」

「でもお腹いっぱいになったら幸せで眠くなるのは分からなくもないじゃない?」

「自己管理してたらそんな事にはならないわよ、だらしないだけよ」

「ったく…もう寝てるじゃない……枕もなしに寝たら辛いでしょうが」

「流石わーちゃん優しいわね♪」

「わーちゃん言うな!!」

 

椅子を複数個占拠してG11が寝始めたら皆も眠気を覚えてるのか寝顔を見ながら頷いていた。

私はさっき少し寝かされたばかりで眠気は無いけどね…まだ顔が熱い…

お兄ちゃんに抱きついてマウストゥマウス…なんて事をしようとしたかなぁ…

さらにその先までしようとしてなかったかな…ダミーの事もう怒れない…

げふげふ…それはどうでもいいや。どうもG11のお昼寝にかこつけて皆で揃って昼寝しない?って流れっぽい。

わーちゃんはG11に膝枕してるし…眠れるのかな?

 

いや、寝るつもり無さそう…あれはなんだろう…母性?

まぁいいや…私はどうしよう…お兄ちゃんのお隣で寝たいけどまた暴走しかねないし…

ここはそうだ…お姉ちゃんの隣に失礼しよう♪

お姉ちゃんの寝る場所はどこかなー?…お兄ちゃんの隣巡って小競り合いが発生してるのを横目に添い寝始めてるー!?

お、お姉ちゃん大胆だぁー!完璧な寝心地を提供しますって…おーい!

それはまずいよ、お姉ちゃん…!Mk23がすごい顔で睨んでるー!!あ、背中側はスプリングフィールドが陣取った…サンドイッチ状態だね、お兄ちゃん…

しょうが無いや、じゃあ私はお姉ちゃんの背中にいこ…

 

「お、417か…ちょうどいいや、膝枕してくれない?」

「え?」

「抱きまくらがあっても頭は枕を欲するんだよ…だめ?」

「勿論OKだよ?」

「おー助かる…ぷにぷに太ももキター…」

 

やばいやばい、またドキドキしてきたぞー…幸いにお兄ちゃんの寝顔っていう劇物はおっぱいで隠れて見えない。

お姉ちゃんは?ウィンクして目をつむって寝始めた…スプリングフィールド?あ、もう寝てる…幸せそうだなぁ。

小競り合いしてた連中がそれぞれひっついてお兄ちゃんを囲うように寝た…なぁにこれ…

…さっきからおっぱいの下がくすぐったいなぁ…あ、これお兄ちゃんの髪と顔だね…乗っかってる?

 

「ぐへへへへ…417っぱいの感触に416っぱいの感触…春田マッマのおっぱいも…ぐへへへへへ…」

 

お兄ちゃんのエッチ…寝る気あるのかな?

さてと、私は眠る気ないし…どうしよう…

そうだ…歌を歌おう…子守唄って奴だ。

 

「~♪」

 

幸いに私の知ってる子守唄代わりになりそうな穏やかな歌は不評ではなく。

そのまま周りの人形を深い眠りに落とし込んだみたい…お兄ちゃんもそのまま私のお膝の上で寝た…

でもこれ何時間後に起きるんだろう…起きてるのは私とわーちゃんだけ…暇だなぁー

…こういう平和な暇は良いけどさ。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・夕方

 

 

「んぁー……」

「おはよ、お兄ちゃん…よく眠れた?」

「私が抱き枕になったのだから当然よ」

「おう、お前の抱き心地は素晴らしかった…」

「誤解を生む言い方はやめて」

「んー?」

 

誤解もクソも全員ここで寝てるんだから無いでしょお姉ちゃん…

あー!頭なでてもらって…くぅぅぅぅぅぅ…私は!膝枕ずっとしてた私にはー!?

寝返り打って背中にいたスプリングフィールドにも頭なでてるし…私!私はー!?お兄ちゃ~ん!!

 

内心で猛り狂っていた私に気がついたか…お兄ちゃんが徐に手を上げる…頭ナデナデ?やった♪

なんて思って頭を差し出したのが私の間違いだった…

 

「おほぉぉぉぉ…417っぱい…」

「うぇ?」

「ふんっ!」

「めっですよ?」

「たわわっ!?」

 

私事モードのお兄ちゃんにおっぱいを押し付けることになってお兄ちゃんが暴走しかけた。

即座にお姉ちゃんとスプリングフィールドが鎮圧したから私のおっぱいは無事だった…

あと数秒遅れてたら私の…いや、私は良いんだけど…

お姉ちゃんのその顔…なんで私という完璧な人形が居るのに手を出さない?って感じだね…

まぁお姉ちゃん容姿も完璧だし評価されたいんだよね…こんな変態でも…

 

いや、おかしいでしょ、お姉ちゃんどうしたし!?酔っ払っちゃった?いつ酒を飲んだ!?

料理の中にお酒なんて入れてないよ?まさかお腹の中で…?いやいやいや…

まさかお姉ちゃんもお兄ちゃんが好きなんて事?

共同戦線築いたほうが良いかな…お姉ちゃんは直接目に見える女子力って言うのはあんまりだけど…

仕事においてはポテンシャルをフルに活かして副官としても戦術人形としても一級品で光るものがある。

…お姉ちゃんと一緒にゴールインとか出来たら一番だけど…お姉ちゃんは執着し始めると…なぁ…

流石に色恋沙汰になると妹も排除ってありえそう…うーん…悩みどころだ。

 

とりあえず…伸びたお兄ちゃんを私室に放り込もう。

私が抱えようかな…なーにお姉ちゃん?

 

「417じゃキツイでしょ、私が運ぶわ」

「いや、大丈夫だけど……私がするの!」

「じゃあ折衷案で二人で連れていきましょ?」

 

背がだいぶ違うけど…お姉ちゃんが合わせてくれた。

お兄ちゃんを肩の下から支えて連れて行く…お兄ちゃんの私室は鍵が掛かってたけどお姉ちゃんが何食わぬ顔でピッキングした。私が固まったのは言うまでもないよ。

 

 

――――――――――――D08基地指揮官私室・夕方

 

 

「ふぅ…417、ご苦労さま」

「……」

「何よ?」

「なんでもなーい…」

 

不法侵入じゃない?ダミーもまさかピッキングとか知ってるんじゃないだろうか…

私が知らないのはおかし…データにあるぅー!?うわ、巧妙に隠されてるけどピッキングから盗聴まで…

違法行為だけど諜報には欠かせない技術がデータ化されてた…盗聴器は自作しないといけないけど…

 

ま、まぁ良いや…意図せずお兄ちゃんの部屋に侵入できたんだし…

ちょっとベッドの下を失礼…ん、怪しそうなダンボール発見…

 

「何してるの417…」

「まぁ見ておきなって…じゃじゃーん」

「ぶっ…なんて破廉恥な物を…」

「お兄ちゃんの性癖偵察なりー」

「や、止めなさいよそんな事は…」

 

びんごー!エロ本と薄い本の山が出てきた。隠し場所がベタすぎぃ!!

ってことは…多分だけどこの机の引き出しとか…やっぱり二重底だ。

はい出てきた…うわ、こっちはロリ系の薄い本…業が深いな。

パッと見た感じベッド下に入れていたエロ本…たぶんおかずに使っていただろうヤツは何処がとは言わないけど大きい傾向。

大事にしていたのは二重底の下のロリペド系のエロ本…ますます持ってお兄ちゃんの性癖がわからん!

異種姦物とかもあるし…雑食か?雑食なんだね?

 

「うわ…すご…こんなのもあるの…?」

「お姉ちゃんも見てるじゃん…」

 

お姉ちゃんは恐る恐ると言った様子で開いてたけど…次第に食い入るように見てる。

嫌そうな反応はどこいったー?あと触手は流石に現実的じゃないよー

男だった頃の私は好きだったけどね。好きでも無い相手にベタベタ触られるのは絶対イヤだね。

あーむりむり、無理やり気持ちよくなんてむーりー

一番の懸念だったホモ系が出てこなかったのは良かった。

 

「でもまぁ…お兄ちゃんは普通の健全な男って言うのは分かった。バイって事もなさそう」

「ふふ…籠絡する手段が増えたわ…」

「……どうかなー?」

 

お姉ちゃんのエロ本見た時の反応…エッチな事に耐性ないでしょ。手を出されたらあわあわ言うんじゃない?

ハニートラップクソ雑魚なんじゃなーい?と妹は訝しむ。

…いった!?ゲンコツ貰った…

 

「何で…?」

「なんとなく…」

 

おうぼうだー!

 

…キレイに片付けてから私達はお兄ちゃんの部屋を後にした。




敵情視察と言う名のただの暴走でした。

あと416はエロ耐性クソ雑魚であって欲しい

*追記*

誤字報告ありがとうございますぅー!


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Day31 寝坊助の一日

G11のぐーたらな一日と甘やかし417をどうぞー


――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・朝

 

 

「この基地基本だらけててもいいよねー…」

「いきなり何言ってるのG11…朝から起きてると思ったら…」

「いや、417の足つぼはもう嫌だし…」

 

ボサボサの銀髪を掻きながらのそのそベッドから這い出たのはG11。

この基地きっての寝坊助でだらけマイスターだ。

この基地に配属されるまでは朝が来ようがお構いなしに寝続ける寝坊助だったが…

とある朝からしっかりと起きるようになった。起きなければ地獄の足つぼマッサージが待っているからだ。

ただしただで転ばないのがG11だ。起きさえすれば後は甘い417なので朝食を摂った後は速攻で寝る。

世話を焼いている416が呆れるのは目に見えていることだ。

 

G11が起きた後に必ずすることがある。ベッドメイキングだ。

快適な睡眠は整えられた寝具でこそ発揮される。というのが彼女の言だ。

普段のぐーたらぶりからは想像できないキビキビとしたベッドメイキングは目を見張る物がある。

指揮官に申請してから揃えたふかふかのベッドに高級枕…彼女は寝るために全力を尽くす。

第4部隊の寝具は揃って高級である。人形のワガママは可能な限り叶える意向の指揮官だから叶ったことだ。

心地よい眠りを提供されるようになってUMP45はG11を叩き起こす様な事はしなくなった。

 

宿舎内部に設置されている寝具はかなりの数に登る。ハンモックも設置されていてG11の気分しだいで寝場所がコロコロと変わる程だ。

極稀にやってくる417の寝床にも困らないのは良いことだが…G11のパーソナルスペースがだいぶ多くなっている…

宿舎だけに留まらず基地のあちこちにマットレスと布団が敷かれている始末。気に入った昼寝スポットに置かれている。

その中には司令室も入っているものだから困りものである。上層部が視察に訪れたらどう映るか。

まぁ指揮官が偶に使って仮眠をとっていたりするのだが…勝手に使うとG11が怒る。

 

「ん…よし……後で寝るには良い…」

「普段からそれくらいキビキビ動きなさいよ」

「えー…やだよ、めんどくさい…」

 

ベッドメイキングを終えたG11はのろのろとDVDプレイヤーの電源を入れてリモコン片手に設置されているビーズクッションに身体を沈めこんだ。

寝る以外の趣味である映画の鑑賞を始めるのだろう。G11は何を隠そうホラー映画が大好きである。特にゾンビものは大好物。

ポップコーン代わりに口にするのはUMP9が大量に買い込んだチョコレートバー。カウチ決め込んで見るのは…

 

「やっぱゾンビっていったらこれだよねー…」

「ま、ままま…またそんな趣味の悪い…」

「お~?今日はなに見るの~?」

「なになに、今日は何見るのー?」

「バイオハザードだよー」

 

ゲームが元になったゾンビ映画、生物兵器を開発しようとした薬品会社からウィルス兵器が漏れ出し発生した生物災害。

そしてウィルスに感染した生物はゾンビとなる…といった物だ。

ニタニタ笑いながら見るG11、苦手を克服しようとガチビビリしながら見る416、映画の魅せ方を純粋に楽しむ45、皆とワイワイできればOKな9

若干1名楽しんでいるか不安が残るが映画はモニターに映し出され物語が進んでいく。

 

「朝ごはん持ってきたよー…うわ、またホラー映画…?」

「9、確保よ」

「りょうかーい♪」

「は、はなせー!!」

 

憐れな子羊が朝食担いでやって来た。この基地きっての働き者417だ。

416がホラー苦手ならばその妹417はというと…大の苦手だ。UMP姉妹に取り押さえられて無理やり上映に参加させられた。

料理していたのかメイド姿のままでだ、憐れ。G11とUMP姉妹は温かい朝食を摂りながら楽しんでいたが…

 

「おねえちゃ~ん…」

「だ、だだだだ…だいじょうぶよ…ひぃぃっ!?」

 

ぐずぐずに泣き叫びモニターの中の惨状にガチビビリしている若干2名は朝食どころではなかった。

お前ら戦闘中の冷静さは何処に行った?

 

 

――――――――――――D08基地食堂・昼

 

 

映画の鑑賞は終わり416は冷静さを取り戻す為に戦術データを読み漁り417は半べそかきながら食堂に戻ってお手伝いしていた。

G11もお昼を食べに食堂に来ていたのだが…

 

「あー…」

「はい、あーん…どう?美味しい?」

「んー…まぁまぁ?」

「くっ…」

 

お手伝いしていた417をとっ捕まえて給仕させていた。

G11の中では417はいたら便利なヤツといった所か。甘えれば甘やかしてくれる都合のいい姉代わり。

半分寝コケながらでも食事できるとG11の中では評価高いほうだが…

まぁまぁと評価を受けて悔しがってる辺り今日のメニューも417が張り切ったのだろうか。

睡眠以外はザルなG11だから出た評価かもしれないが…

 

「ふぅ…食べた食べた…寝よ」

「おやすみ、G11…食器は下げておくね」

 

食事が終わればG11のすることは唯一つ。寝る事だ。

食堂の日が当たる縁側に広げられている寝袋にすっぽり入ってからぐーすか寝始める。

食堂の中の喧騒をBGMにしながら…

 

「うーん…何時見ても寝坊助ちゃんの寝顔は気持ちよさそうだなー」

「寝ることに全力だしなー…おほ、ほっぺためっちゃ柔らかそう…」

「突きてぇなぁ…ただ起こしちゃうかも知れないしなぁ…」

 

眠ったG11の寝顔は癒やし効果があるのかセクハラ脳の職員達もセクハラなぞ放り投げてから寝顔を鑑賞していた。

とくによく見られているのはG11のほっぺただった。ボサボサな髪とだらし無い格好で台無しになってるが…G11も美少女に分類される。

そしてG11の細分はロリだ。とてもほっぺたがまんまるとしていてもちもちしている様に見える。

この基地でG11のほっぺたを突いたことがある人形、人間は居ない。想像だけだがもちもちしているのだろう。

好奇心は尽きること無いが本人の快眠の為と誰もが我慢するのだった。

 

「ふぅ…終わった終わった……よく寝てるなー」

「何処に居ると思ったら…こんな所で寝て…」

「食堂で寝るのはどうかと思うけど…G11だし仕方ないんじゃないー?」

「熟睡してるしちょっとイタズラしても起きないんじゃない…?」

 

仕事終わりの417、何時まで経っても戻ってこないG11を心配して探しに来た416、それについてきたUMP姉妹がG11を取り囲んだ。

45がしゃがんでつっつく…G11は全く起きる気配がない。

どこまでもG11を甘やかそうとする417は率先して膝枕を提供し…416が呆れる。

9は45に便乗してG11のほっぺたを突いた…その時9に電流走る…!

 

「なにこの魔性のもちもち感…」

「んー?どれどれー…おー…これは確かに魔性ね」

「そこまでにしておきなさいよ…」

「416も突いたら?」

「はぁ……あほらしいからやめておくわ」

 

ざわ…ざわ…と見守っていた職員にも伝播していく。G11のほっぺたは魔性の柔らかさ…

面白いと45と9がぷにぷにと突いている姿は…羨ましいのだろう。

白い目で見ている416は興味無さそうにため息吐いて頭を振る。

416は突かなくともそのほっぺたの柔らかさは知っている。散々伸ばしているからだ。

言うことを聞かない時の制裁はゲンコツかほっぺたを伸ばすかの二択だからだ。

 

「うわ、本当にもちもちだ…♪」

「これは飽きないわ…面白いくらいにもちもちだわ」

 

416はツンとしていたが417は好奇心に負けてG11のほっぺたを突いていた。

そしてその柔らかさに負けて起きない程度に加減しながら何度もついていた。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・おやつ時

 

 

「んぁー…良く寝たー…」

「ん…起きた?」

「起きた起きた…あとよろしくー」

「はいはい…」

 

G11が目覚めればもう3時間程経っていた頃だ。

キッチンからは甘いお菓子の匂いとスプリングフィールドの楽しそうなハミングが聞こえてくる。

そして417ダミーがわちゃわちゃと動いている、おやつの準備に大忙しなのだろう。

417本体が目覚めたG11の頭を撫でて声を掛けるが…G11の視界にはでかい2つの山が。

これで誰が膝枕していたかを判断してるから割と失礼である。

 

G11は起き上がるともぞもぞと寝袋を脱ぎ去り整えるのを417にまかせてそのまま食堂のテーブルに座る。

おやつが出てくるまでの間また居眠りをするのだ。ときには固いテーブルを枕に眠るのも良い…らしい。

今日のおやつは何であろうか…そんな事を思いながらスリープモードに入っていった。

 

「起きたと思ったら…もう寝てる…」

「417ちゃーん、手が空いたなら加勢に来てー!」

「はーい!」

 

G11の周りは騒がしい。知ったこっちゃないとG11は眠りこける…

次第に漂う甘い香りに鼻をくすぐられようとも眠り続ける。

そんなのより睡眠こそが至高。G11とはそういうものなのだ…

 

 

「おきろー、おやつができたよー」

「えー…今日のおやつはなにー?」

「今日のおやつはミルクプリンとチョコレートプディングだよ」

「はいはーい…」

 

417に叩き起こされたG11は不機嫌そうにしながらもおやつの内容に機嫌を良くする。

先日食べたクッキーから知ったが417のお菓子作りの腕前はそこそこ良い。

スプリングフィールドの料理の腕はザルなG11でも美味いと思う。二人揃ってやったなら美味しいだろう。

短い眠りの後に食べる甘いおやつは美味しい。睡眠が捗るらしい。

 

誰よりも早くにおやつにありつきながらG11は次の寝場所について考えていた。

もう夕方になるから司令室のソファーか第4部隊兵舎で寝たほうが快適だ。

司令室は特に人形が入り浸るということがあまりない。朝を除けばだが。

指揮官もオフの時は私室に篭って居るので司令室はとんでもなく静かなのだ。快眠空間になる。

 

「あむあむ…まぁ、美味いか…」

 

舌触りの良い二つのプリンに幾分テンション上げながらG11は笑みを浮かべていた。

 

「ごちそーさまー…417ー抱っこー」

「はいはーい…ちょっと待ってー」

 

ぐうたらなG11は可能な限り甘える。特に甘やかす417に対して。

何処かへ移動するにも自分の足ではなく417に抱っこしてもらおうとしている。

416に見つかったらゲンコツを貰うのだが…

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・夕暮れ

 

 

「珍しいね、今日は添い寝してもらいたいなんて」

「丁度いい抱きまくらが欲しかったんだー…」

 

417とG11は小さい身体で抱き合いながらビーズクッションの上で寝ていた。

抱っこして入ってきた417に対して416が苦言を呈したが417は聞き入れなかった。

飴と鞭は重要だよ?と言うのが417の言だ。

何だかんだ文句を言う416だが二人の様子を見て微笑んで見てから静かに読書していた。

 

G11はちょうどいい枕だと言って417の胸に顔を埋めてから寝ていた。

417は嘗て姉に甘えた時の自分を思い出してそんなG11を抱きしめて一緒に寝ていた…

出撃がない平和な一日はこうして過ぎていく…

 

そんな二人につられて眠気を抱いた416が寄り添って寝るのはもう少し後。




先人の動かし方を見てG11ってこうかなーって書いたんですけどねー…
ウチのG11はとにかく甘えん坊ですな。

*追記*

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Day32 チキチキ友情崩壊ゲーム大会「遊びは終わりだ」

4人対戦ゲーム…リアルファイト…ウッ頭が…


――――――――――――D08基地食堂・朝

 

 

「暇だしゲーム大会しようと思いまーす!」

 

すべてはこの一言から始まった。スコーピオン主催のゲーム大会が突然勃発した。

食堂に基地の全員が集まったタイミングで大声でアナウンスしていた。

大人数で出来るゲームなんてあったかなー…?あ、アレかな?一つ思い当たる節がある。

昨日もちょっとしてたのを見たけど…まさかねー。

 

思い当たったゲームは名作ゲーム、ボンバーマン。ステンの二つ名じゃないよ?ゲームタイトルがそうなの。

基本4人対戦のゲームだけど一部の物は8人対戦も出来る。スコーピオンが保持してるゲーム機の中にあったはず…

まさかと思うけど8人対戦で大会を開くつもりじゃないでしょうねー…そもそも人数集まるかな?

お休みは今日まで、明日からまたお仕事な筈だけど…まぁ連休最後の一日だしこういうのもありかな?

 

お兄ちゃんもこれにはノリノリで人形は全員参加って強制してきた…お姉ちゃんがスゴイ顔してるけど私しーらない。

案の定お兄ちゃんがお姉ちゃんにヘッドロック掛けられてた。おっぱいおっぱいうるさいよ。

珍しく食堂に来たと思ったらこれだもんね…休日モードのお兄ちゃんはほーんとブレないなー

お姉ちゃんがキレながらお兄ちゃんを絞め落として食事に戻った。

お兄ちゃんはまぁ大丈夫でしょ。Mk23とFALが付き添いしてるし…すぐに復活するでしょ。変態だし…

 

今日の朝ごはんはライスにミソスープ、サーモンサラダだった。サーモンサラダの新鮮さがとっても美味しかった。

今度仕入先とか聞いてみようかな…もし利用可能なら兄の所に今度行く時に買ってから行こうかなって。

 

あ、お兄ちゃんが復活して今度はFALのおっぱいに飛び込もうとして殴られてる。懲りないなぁ…

皆朝食が終わった順にスコーピオンが用意したクジを引いてる。職員のお兄ちゃん達も参加するんだね。

あ、コック長も参加…へー、全員での勝ち上がりトーナメントになるんだね…

4人1ブロックで…私は誰と対戦することになるのかなー?D08基地の総人数は確か32人…8ブロックになるね。

人間と違って人形は瞬時の識別能力は高い。仮にボンバーマンじゃ無かったとしてもゲームにおいてアドバンテージはある。

この基地に1フレーム読みが出来るような人外が居るとは思わないし…この大会貰った…!

 

「あ、言い忘れてたけど勝ったら指揮官からご褒美を貰うってことにしておきまーす!」

「てめっコラ、スコピッピ!?」

「嫌なら指揮官が優勝したらいーじゃん」

 

ざわ…ざわ…その時、一部の人形達に電流走る…!お兄ちゃんからのご褒美…?

それを聞いて張り切らない人形は少なくない。私は少なくとも張り切る。負けられない戦いがここに始まろうとしていた。

お姉ちゃん、食器は破壊しないでね?プラスチック製のスプーンをへし折ったら駄目だよ。

 

それから程なくしてブロック分けが決まった。私が放り込まれたのはメンテナンス班のお兄ちゃん達3人との対戦だ。

なにこのクジ偏りすぎじゃね?作為的なものを感じるんだけど…まぁいいや、お兄ちゃん達には悪いけどストレート勝ちさせてもらうから。

で、肝心のゲームはなんなのさ。スコーピオンは勿体ぶって言ってないけど何だよ早く言えよコノヤロー

物によっちゃリアルファイトに発展しかねないんだけど?くにおくんとかだったら死ね。私がスコーピオンを締め落とす。

 

 

結局ボンバーマンじゃねーか、これも友情崩壊ゲームだけどね。スパボン5かーまぁなんとかなるでしょ。

軽く操作説明してから開幕だね、なるほどー…ルール無用どんな手を使っても勝て、ね。へぇー…

爆弾を使うって事でステンのテンションがおかしい事になってるけど大丈夫かなー…?

 

 

――――――――――――

 

 

大型モニターが食堂に運び込まれゲーム筐体がセットされ…そしてマルチタップと4つのコントローラーがセットされた。

第1ブロックの対戦カードはFAL、416、スプリングフィールド、イサカの4人。ゲーム初心者が揃ったね。

ただ素の判断力が高い人形が揃ったからこれは見ものかなー?お姉ちゃんがんばれー!

司会役のスコーピオンが実況のマネごとをし始めて…今ゲームスタート。それぞれソフトブロックを破壊していく。

デモンストレーションでスコーピオンが基本動作を見せてるからスムーズだね。お、グローブが出てきた…取ったのはFAL。

そして狙うのはお姉ちゃんか!?容赦ないなFAL…

 

「スキありよ♪」

「ちょ…ふざけないで!」

 

既の所で回避したお姉ちゃん、冷静な判断力が活きてるね。お…パンチグローブが出てきた。これで仕返しが出来るね。

熾烈なハメ合いが発生してるけど…スプリングフィールドとイサカは地道にボムの性能を上げてるね。

お、スプリングフィールドがフルファイアを取った、これで火力MAXあとは何が出るかな…

 

「取りました」

「ちょっ」

「ざまぁ無いわねFAL」

 

しれっとスプリングフィールドもグローブ拾ってたのね。そしてドンパチを繰り返していたFALとお姉ちゃんの横合いからちゃちゃ入れ。

FALはそのままボムに挟まれて…爆散、なむなむ…あえなく敗退。

 

「ふぅーん…キックは任意の所に止めれるのね…見てて、ダーリン…♪」

 

お?イサカが動くか…連続ボムキックなんて芸当をさらっとやってのけて…おーきっちり止めてソフトブロックのなぎ払いをしてる。

流し目を見せる余裕が…あるのかなー?

 

「ふ…その余裕そうな面が気に入らないわ」

「あっ!」

 

呑気に主任に手を振ってたらそのスキにお姉ちゃんとスプリングフィールドにハメられて敗退…あっけなーい…

さて、これからが長いんだよねー……一騎打ちになったら相手のミスを誘うかサドンデスになるまで終わらない…

ソフトブロックはもう無い。アイテムの追加は無い…散らばったアイテムをかき集めて…お姉ちゃんが果敢に攻めていくけどスプリングフィールドは引き気味で捌いてる。

リモコンボムが出なかったのは辛いねー…長引くかなー?いや、もうそろそろ…

 

ラストスパート!!

 

始まった、サドンデスだ。突然の事に二人共慌ててる…あ、引き防衛だったスプリングフィールドが外壁に押しつぶされた。

お姉ちゃんの勝利だ。スプリングフィールド悔しそうだねー…

 

次のブロックは私だ…さーて、ボコるか…

入れ替わりに私がコントローラーを握り…隣にはメンテナンス班のお兄ちゃんが座る…というか挟まれてる。

マルチプレイでのボンバーマンなんてすること無かったけど…新鮮だなー

まぁごめんだけど…早々に敗退してもらう。お兄ちゃんからのご褒美は逃せないんだよぉ!!!

 

「お、おー?」

「これ意外と難しいな…」

 

慣れないゲームに悪戦苦闘してるお兄ちゃん達。それに対してこっちは乱数読みしてからアイテムの出現ブロックを予想。

さっさと回収して早々に狩り殺す。はい読みどおり…グローブだ。

 

「はい、チェック」

「のぁ!?」

「続けてチェック」

「はぁ!?ちょっとまって!!」

 

ククク…油断するほうが悪いのです…さーて後は対角線上の一匹のみ…ちゃっちゃと殺るぞー

 

「遊ぼうよ、お兄ちゃん…こっちへ来な…」

「おっぱいちゃんキャラ変わってない?」

「来いよ、怖いのか?」

「おっぱいちゃんなんて怖かねぇ!!ヤロー!ぶっ殺してやらぁぁぁああああ!!!」

「来いやぁ!!」

 

ボムキック流星群で囲って殺しましたが何か?こうして全力で潰すんだよ。

ゲーマー舐めんな、コレくらい余裕っすよ。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・昼

 

 

人間と人形が混戦するブロックは人形が圧勝していた。お兄ちゃんも漏れなく敗退。

勝ち進んでいたのはお姉ちゃん、私、スコーピオン、SAA、UMP9、Mk23、スペクトラ、ステン。

ステンがわーいらーくちーんとか言いながら笑顔で私も真っ青なコンボ決めてたのは戦慄したわ。

UMP姉妹対戦が起こってたけど45お姉ちゃんはね…妹煩悩拗らせて悶死してた。

というか9お姉ちゃんがリアルアタックしてた。抱きつき攻撃っていう対45専用の禁じ手をね、してたの。

私とかち合ったら何してくるか…警戒はしておこう…実力的に一番の警戒対象は間違いなくステンだけど。

何よあの動きツールアシストでもしてるかのような爆破コントロールするんだもの。

そして煽りに対しての対応が…にっこりと笑うだけなのよ。怖いわ。

SAAはロリコン勢の中に放り込まれたから

まだ罵倒が飛び出るお姉ちゃんの方が可愛いと思うよ?私?んなのどうでもいいじゃん。

 

第二回戦の前に食事休憩だ。今日の昼ごはんは何かなー?手軽にさっさと済ませてから続きの対戦に行きたいけど。

コック長が早々に敗退してたから準備は整ってるでしょ。私が手伝うまでもないかな…と思うけど。

時間がなかったしゲームに熱中するだろうからって事でお昼はサンドイッチだって。やったね。

たまごサンドは頂いたー!!んー…このマヨネーズ和えのたまごサラダが良い…

 

さて、ぺろりと平らげてから第二回戦のスタンバイだ。

対戦相手はお姉ちゃん、9お姉ちゃん、スペクトラ…M4って名前に過剰反応気味のお姉ちゃんが真っ先に殺す宣言だー!

そして血気盛んなスペクトラも乗ってHK姉妹潰す宣言だー…私まで巻き込まれてる~ぅ。

まぁ潰される前に潰すか…対角線上に来られたらどうするかなー…心を鬼にして9お姉ちゃんを潰すか…

一度電源を切ったから乱数はリセットされている…電源つけてからの乱数ルーチンはどうだったっけか…

ある程度アイテムがポップしたら乱数も読めるんだけど…まぁしょうがない。

楽しいパーティーの時間だ。精々楽しませてよ、お姉ちゃん達?

 

「勝負だー…っと」

「勝負だー♪」

「負けないわよ…」

「来いよHKM4共怖いのか?」

「コイツぶっ殺す!!」

「ぶっ殺す!!」

 

あーったまきた!!HKM4だとぉー?思考ルーチンの奥底から沸き立つ苛立ちを抑えきれん、まずスペクトラからぶっ殺す!

その後その顔に私の鉄拳をねじ込んでやらァ!!覚悟しやがれこのクソSMG!!

 

「おーっとスペクトラがいきなりHK姉妹を煽る煽る!堪らずブチギレたHK姉妹競うようにスペクトラに攻め込んでいくー!」

「お姉ちゃんどいてそいつ殺せない!!」

「417アンタがどきなさい!そのクソSMGは私がトドメを刺すのよ!」

「なにぉぅ!」

「何よ!!」

 

お姉ちゃんが邪魔だ!あのクソSMGを爆殺するには詰将棋の様にじわじわと嬲り殺しにするのが良いのよ!

横合いからボムを投げてきてから邪魔じゃまぁ!!ぶっころーす!!

 

「えい♪」

「ふにゃ!?」

 

9お姉ちゃんのボムが飛んできた!?あー!なんてこと、私をハメたな!!

なんてね、まだボムキックが…

 

「退いてなさい!」

「えー!?」

 

ダメ押しにお姉ちゃんが私にボムを落としてきた。そして剥がれたのは…ボムキック、詰んだ!

 

しまったぁ!!ウワァァ!!

 

最悪…こうなったら…

 

「うわぁぁぁ!」

「ちょ…何するのよ!?ビキニに手をかけるのは止めなさいよ!」

「うるせー!お前だけは道連れにしてやるぅ!!」

「やんのかコラー!」

「スッゾオラー!!」

 

私とスペクトラが取っ組み合いの喧嘩に発展。スコーピオンは煽りに煽って…

結局キャットファイトは痛み分けに終わった。両者共に見せブラで胸を守ってるでしょ?

取っ組み合いになって掴んだ先が両者共にソコだった…後は分かるな?

私の貴重なブラはぶっ壊れた。お兄ちゃんの目の前でポロリしそうになったけど手ブラで何とかギリセーフ…

キャットファイトはもうしない…スペクトラに恥をかかせられたのは良いけどね!

 

結局勝負は9お姉ちゃんが闇討ちして勝ってた。お姉ちゃん頭に血が上りすぎたね。

 

決勝戦?ステンの圧勝だったよ。

能面のように笑顔を貼り付けてコントローラーを握った後たった一言…

 

「死にたいらしいな…遊びは終わりだ、殺してやるよ」

 

文字通りの白い悪魔が降臨していた。リアルボンバーマンは強かった。

ステンは爆弾が絡むと極端に強いっていうのは今回のでよくわかった…

ステンのお願いは唯一つ…もっと敵に手榴弾を投げさせて…だった。

やだこのボンバーキチガイ…




([∩∩])壊れた417のブラはくれてやるよ
ステンをボンバーマンにしちまった時からこの回の構想はあった。

M4つながりでHK姉妹をキレさせたけどスペクトラ嫁な指揮官はスマン、正直スマン。
だが私は引きません媚び諂いません反省しません!


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Day33 お仕事再開

ドローンコンソールについて盛ってます
実際できそうかどうかは知らねー!


――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・朝

 

 

今日は私が副官だ。気合を入れないと…!私がお化粧している間にMk23はさっさと起きてお兄ちゃんの所に突っ走っていった。

おはようすら言わないのはもうご愛嬌だね…まぁお兄ちゃんの膝の上は極楽だけどさ…

M14はぐっすり寝てる、スコーピオンは昼まで起きないパターンだ。Uziはどうかな…もうすぐしたら起き出しそう。

さてと、今日のメイクも終わったし私もお兄ちゃんの所に行こっと。

 

Mk23が今頃猫可愛がりされてると思うとちょっとムカムカするけど…

今日一日お兄ちゃんにべったりくっつけると思うとニヤニヤが止まらないなー♪

 

「うぇへへへ…」

 

コンパクトの鏡に映る私は見るもだらしなーいへにゃっとした笑みを浮かべていた。まぁ仕方ないよね、嬉しいんだもん。

今日の午前中の出撃は第1部隊、午後の出撃は第2部隊…第3部隊と第4部隊は暇を持て余すことになるけど…

また後方支援とかに駆り出されたりしないよね…またあの前線基地だったら私はキレる。

それはそれとして…私もお兄ちゃんの所に向かおう。

 

あれ?第2部隊兵舎から誰か来る…イサカとスプリングフィールド?

朝から何するんだろう…スプリングフィールドは今日出撃だからキッチンからは外されてるはずだけど…

お手伝いって感じじゃないし…声かけてみよ。

 

「おはよーお二人さん」

「おはよう、417」

「おはようございます、417ちゃん」

「珍しいね、二人揃って出撃の時に朝に起きるなんて」

 

イサカは主任といちゃつくために出てくることがあってもスプリングフィールドは兵舎内で優雅にモーニングコーヒーを戴いてる頃の筈だけど?

二人揃って出ているのは珍しい…何があったんだろうか?と聞いてみるけど。

イサカは何時も通りの主任の所に突撃。スプリングフィールドはっていうと…あれ?行き先が同じ?

その両手に持ってるマグカップはもしかしてー?

 

「モーニングコーヒーの差し入れに…と」

「ふぅーん…?」

 

 

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「お兄ちゃん、今日からお仕事だね、頑張ろうね♪」

「おうよ…で、なんで春田マッマが居るのかな?」

「モーニングコーヒーはいかがでしょうか」

「いりゅ」

 

私が副官として入る頃にはお仕事モードでキリッとしてたけど…スプリングフィールドのモーニングコーヒーにころっと行ったね。

Mk23は今日は不満そうに出ていったから満足行くまで撫でてもらえてないな?…お兄ちゃん途中で切り上げた?

うーん…これは仕事中にセクハラ目線が出てくる可能性も出てくるかー?

良かったね、お兄ちゃん今日の副官が私で…見放題だよ。

 

おっと?私にもコーヒー?

 

「今日のお仕事、頑張ってくださいね♪」

「ん…ありがと」

 

コーヒーかぁ…このボディになってから初めてだけど。飲めるかな…

あ、うん…普通に飲める…うんうん、美味しい…目がしゃっきりしてくる。

さてと…頑張るか、書類仕事は任せてよね…!

 

「…そういえばこの頃ドローン使って無かったな」

「あれだけ立派なドローンコンソールがあるのに使ってなかったの?」

「おう…だって警備だけなら自律戦闘でも問題なしだったし」

 

お姉ちゃんが聞いたら呆れ返ってるなぁ…私もこれには苦笑い。この基地のデータルームは一応前線基地ということもあってか結構上等なものが入っている。

その性能はかなり良くて映像の鮮明さたるやかなり良いのに使ってないと来た。宝の持ち腐れだよ。

使おうね…って事で私が書類を片付けている間にお兄ちゃんはデータルームに移動…というかお仕事場がデータルームに変わった。

お兄ちゃんはインカム装着してドローンコンソールの操作…簡単な操作は出来るみたい。

複雑な操作になってくると旧世代のPC操作が出来る人間が必要になってくるんだって…後で見てみよう。

私の役に立たないと思ってたオタク知識が火を噴くかも。

 

「まぁとにかく…書類仕事半分になるから417の負担が多くなる、そこは勘弁してくれ」

「りょーかい、任せてよ♪」

 

むん、と腕まくりしてから私は書類仕事に専念することにした。

そうそう、戦闘に関して監視しながら指示するのが指揮官だもんね。副官はそれを支えるのがお仕事。

えっへへー…私、お兄ちゃんの役に立ててる…♪嬉しい、とっても嬉しい♪

 

「お兄ちゃん、ついでにその映像私に回せる?」

「出来るらしいけど…わかんねぇ」

「うーん…後で私がイジってみても良い?」

「おう、その書類が一段落ついたらな」

 

戦術的な口出しも出来たら良いかなって程度だけど副官にもドローンの映像が回るようになったら共有はしやすいよね。

それに戦闘データの収集にもなるし…一石二鳥ってヤツ!

という訳で私は大急ぎで書類を捌いて行った…お兄ちゃんのサインが必要なのは分けてるけどね。

あれ、この書類は…?

 

「お兄ちゃん、ペルシカリアって人からの極秘書類だって」

「なにぃ!?あのクソまた何か寄越してきやがるのか!?焼いちまえ!」

「いやいや…社長のハンコもあるから焼いたらお兄ちゃんのクビが飛んじゃうよ?」

「チッ…後で確認する」

 

うわーぉ…露骨に嫌そうな顔して舌打ちまでしてる、よっぽどお兄ちゃん嫌いなんだね…

クビはイヤみたいで渋々後で確認するみたい…焼いちまえって過激だなぁ。

私が確認してみたらどうかなー…ちょっとだけなら良いよね…?

 

「絶対確認するなよ」

「はーい」

 

見ないでおこ、お兄ちゃんを怒らせたくないし。

お兄ちゃんの表情は能面みたいになってて一切冗談とかが通じない表情だった…こわーい…

でもこうして険しい顔してるお兄ちゃんは新鮮だし…こう見るとイケメンだなぁ…

うぇへへへ…すき、すきぃ♪

 

「ニヤケ顔してないで仕事して、そろそろ第1部隊が来るから」

「はっ…は、はーい!」

 

いけないいけない…私としたことが…

戦闘準備を終えた第1部隊の戦闘キチが雁首揃えてやってくる頃合いだ…

お願いだから鉄屑来ないでよー…

 

 

――――――――――――D08基地データルーム

 

 

「それじゃ書類確認するから417はドローンコンソール見てみて」

「はいっ♪」

 

さーって…私の電脳が唸る。ピッカピカのコンソールを叩いて操作を確認。

旧世代PCと同じでキーボードでの入力で操作するんだ。UI?んなのはゴミofゴミだ、煩雑この上ない。

初心者バイバイなクソ複雑なUIだ、設計者出てこいってレベル。ここには居ないけど後方幕僚って言う補佐が居る基地も同じなのかな?

これ操作覚えるの大変だと思うんだけど…はぁー?決定がEnterじゃなくてCtrlだとぉ?ふざけてんのか。

押し間違え防止か?にしてもナンセンスだわ。設計書とか無いのかなー…お、このケーブルは?しめた、映像出力端子だ。

…軽く私に差したら映像データが流れてくるぅ…うぇ、気持ち悪い。

私は並行処理出来るけど他の人形は出来るかなー?こうじゃなくてモニター映像を端末に飛ばせないかな。

ケーブルの長さが微妙に足りなくてデスクに届かない…延長ケーブルは無いのー?

色々足りないよこのコンソール!これの製造元はどこー!

 

「はぁぁぁぁ…追加とか聞いてねぇよ…」

「んー?」

「いや、何でもない…」

 

お兄ちゃんが書類をビリッビリに破いて戻ってきた。疲れたようにも見えるけど大丈夫かな?

壮大なため息が聞こえたけど絶対何かあったよね。

 

「それよりコンソールどう?」

「いや、これ酷いよ…」

「えぇ…G&Kからの支給品なんだが」

「せめて説明書位ほしいね、操作が馬鹿すぎるあとUIがゴミ過ぎない?」

「説明書は…確か…」

「あるの?」

「これだな」

 

いや、デカいな。コレをさっさと速読してから操作覚えないと。

人間でコレを覚えろっていうのがそもそも間違ってない?おいG&Kちょっとどうかと思うぞ。

他の基地ではタイプライターが現役で動いてたりするらしいし…色々と前時代すぎるんだよぉ!

もっとスマートに出来ないのかなぁ…せっかくの情報端末があるのになぜそれにインストールしてないのか。私は理解に苦しむね!

それより読解読解…いや、想像もつかない操作方法ばっかりで頭にくる…開発者はバカなの?

操作方法がクソなのとUIがクソなのを除いて性能はピカイチだから余計に腹が立つ。

ドローンを動かす操作は専用の操作パッドで動かしてスムーズに動かせるのに…何がどうしたし。

 

「ふぅー…設定終わり…ちょっとお兄ちゃんの端末かしてみて?」

「おう、というか良く動かせたな」

「まぁねー…」

 

人間だった頃にこの手のコンソールは触ってたからね。

あとは電波を拾うように設定したら…はい、お兄ちゃんの端末でも映像が出てくるようにー

司令室でも視聴はできるはず…操作の都合上こっちにつきっきりになるだろうけど。

人形に視聴させてっていうのも出来るはず。

 

「ほー…こんなのも出来たのか」

「性能はすごいんだよ、性能はね」

「ありがとよ、417」

「えへ…えへへへへ~♪」

 

コンソールの開発者にブチ切れながら設定弄くり回した甲斐があったー♪

お兄ちゃんに頭をナデナデしてもらえて私はとーっても幸せ♪

 

「んじゃ、また書類仕事よろしく…おーFALがハイになってるなー」

「あーあ出会っちゃったか…」

「ま、特に変わったことは無いな…」

 

よりにもよって戦闘キチとカチ合った鉄屑にはちょっと同情するよ。

ちらっと映像を見るとスペクトラがすんごい勢いで敵に突っ込んでいきながら弾をばら撒いてる。

木を蹴ってアクロバットしながら撃つとか映画かよ。

FALはイイ笑顔で榴弾祭り開催してるし…ステンは笑顔を張り付かせてボム祭り…

一番見ていてホッとするのはわーちゃんだけど…変な覚醒はしないでね。

お兄ちゃんも特に指示出しすることもなく終わった。口出ししても野暮ってものだね。

 

「おっぱいリロードか…」

「お兄ちゃん?」

「なんでもないぞ」

 

練習するかな…おっぱいリロード…

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「作戦終了、第1部隊は帰投してくれ。さて…俺らは昼飯だな」

「はいっ」

「という訳でおっぱい鑑賞タイムいいっすか?」

 

良いよって言いたいけどなんだろう…このOKを言ったら負けみたいなこの気持…!

惚れた弱みはあるけど変態的な欲求をそのまま直にぶつけられたら…もやっとする

 

「沈黙は肯定とみなす」

「え、あ…うん…」

「え、マジ?」

「冗談半分だったんだね…」

 

お兄ちゃんの距離のとり方がよくわかんない半日だなぁ。




追加ってなんでしょうねー(すっとぼけ)
それはそれとして可愛い妹に元気な「はいっ♪」を貰える人生でありたかった


どうでも良いことだけどコラボ書ける作者ってすげーなーって思う。
作者のクソ雑魚ナメクジメンタルでは怒られないか不安で書けん。


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Day34 ドローン映像鑑賞会

ドローンを使ったくっだら無いこと


――――――――――――D08基地データルーム・昼

 

 

「という訳で暇な連中に集まってもらった。全員端末は持ったな?」

「準備OKだよ、お兄ちゃん」

 

暇を持て余していたお姉ちゃん達には集まってもらった。

全員情報端末を持ってきてもらってドローンコンソールとの同期を取れるように設定した。

これでドローンコンソールの映像をそれぞれの端末でも確認できるようになる…はず。

だって仕様書に最大何台まで出力可能とか書いてなかったんだもん!くそぉぁ!!

まぁそれは良いんだ、大事なのは皆でこのドローンの映像を見れるかなんだ。

 

現在第2部隊が前線に向かっている。ヘリの中の映像がドローンコンソールに浮かんでいる。

ドローンのカメラ操作はいまお兄ちゃんがしていて…飛ばすのもやろうと思えば出来る。

で、今写ってるのはなーに?正解はスプリングフィールドのおっぱいがどアップ。

お兄ちゃん…ちょっとそれは無いと思うよー…GOサインが出るまで映像共有開始しなくて良かったー…

 

で、お姉ちゃん達はって言うと…

 

「面白い試みもあったものね~」

「45姉、ポップコーンいる?」

「私にもちょうだーい…あと寝ていい?」

「寝るんじゃないわよ…この寝坊助」

「いふぁいいふぁい!」

 

「珍しくドローンが動いてると思ったら新しい試みだったのね」

「フン、私の活躍をどうしても見たいっていうんなら言ってくれたら協力したのに…」

「で、ドローンから射撃とかできないの?」

「できないよスペクトラさん…普通に考えて無理だよ…」

 

「こんなのも出来たんだねー」

「ドローン動いてるの始めてみましたよ」

「で、これで何見るの?」

「どうせ見るならダーリンの膝の上が良いわ…」

 

思い思いにわーわー騒いでた。というかほぼ全員何かしらつまめる物を持ってきてるし…

映画鑑賞じゃないんだよー?一応戦術データの収集が目的だからねー?

一応デモンストレーション的なところもあるんだけどさ…

要するに暇な時にデータルームに来たら戦術データの収集が出来るぞ、やったねって事。

必要なデータがあったらそれを収集して最適化に貢献できる…素晴らしいことだと思うね。

 

「全員配置についたか?よし、じゃあ行動開始…今回はちょっといつもの巡回ルートじゃなくて…」

 

なにか新しい動きをさせるつもりみたい。ヘリコプターから降りた第2部隊に指示を出している。

それに従ってSAAが斥候しながらルート案内。イサカとG36Cが随伴して後方からスプリングフィールドが構えてる。

残念ながら音声は入ってこない。前線とやり取りするのはお兄ちゃんだけだ。

 

「ねぇ指揮官、そのコンソールどう使うの?」

「いや、教えねーよ」

「ケチ」

「それより417、GO」

 

45お姉ちゃんが興味持って使い方聞いてるけどお兄ちゃんは素気なく却下。

ゴーサインが出たので配信開始…ん、行進中の第2部隊の頭上をドローンが追尾してる。

 

「おー…」

「これあったら偵察要らなくない?」

「あー…それは言えてるかも、楽できるね!」

 

「お前ら…」

 

これにはお兄ちゃんに同情するけど…おっぱい撮影してたのしっかり覚えてるからね?

 

 

――――――――――――D08基地データルーム・おやつ時

 

 

「敵部隊と遭遇?了解、おーおー結構流れてきてるな」

 

お兄ちゃんがドローンを操作してイサカ達の視線の先を映し出す。

ワラワラと群がって行動している鉄屑の頭がいくつも見られた。

現状の距離では有効打を与えられるのがスプリングフィールドだけ…必然的に近接戦が出てくるだろうなー

私やM14、わーちゃんみたく連射が効く銃じゃないし処理能力は正直あんまりだ。

流れるようにボルトアクションを行ってるけど限度がある。

 

敵の行進の速さもあってG36Cの交戦距離に入った。まともな撃ち合いが始まる…

しかし鉄屑の動きがナンセンスだ。射程距離に入ったと思ったら棒立ちで撃つ撃つ撃つ…ただこれだけ。

リロードタイミングをずらすなんて芸当はしないしただ射線に被らないように行動してるだけ…杜撰にも程がある。

要は物量でゴリ押すだけの超脳筋思考だ。戦術もクソもない。

 

「こんなの見たってねー」

「的当てみたいなものよね~」

「くかー……」

 

若干一名寝コケるほど退屈なんだ、この絵面。まぁ打開策はいくらでもあるし…

さっきからG36Cがちょっと顔出しては伺いながら武器だけ出して撃つって芸当をしている。

もうそろそろかな?アレを使うのは…

 

「フォースフィールドの使用許可。片付けろ」

 

お兄ちゃんの無線が響く。G36Cに搭載されている最前線を張る人形御用達の…フィールド発生装置の使用許可だ。

片付けろって言葉にも含みがあってダミーを前に出して…イサカとSAAに連携させて一掃するって意味合い。

しかしこの第2部隊曲者が揃ってるんだよね。SAAは銃という物の中でも最古付近に位置するレトロな機構の銃だ。

リボルバーというのもそうだけどその中でも一発ずつ出して装填しないといけない面倒な銃だ。

どれだけ慣れてもマグチェンジよりも何倍も再装填に時間がかかる…鉄屑相手に叩き込んでは再装填…殲滅力に欠けるんだ。

イサカも4発装填のショットガンしかもポンプアクション…再装填はSAA程じゃないけどやっぱり手間がかかる。

しかも有効射程は短い、そう短い…かなり詰めないと有効打になりづらいの。例外的にスラグ弾を装填したら良いけど…イサカはそうじゃない。

一般的なバックショット弾を使っていたはず…どう距離を詰めるのかな?

おぉ、フォースフィールド張ったG36Cのダミーの影に入って詰めていく…てかそれダミーを完全に盾にしてるよね?

フィールド持続時間はそう長くない…

 

「417」

「なぁにお兄ちゃん?」

「キミは仕事して」

「はぅん…」

 

鑑賞会に混ざってんじゃねーよって言外に怒られたはーい書類仕事してますよー…

デュアルタスクなんて余裕だもんねーだ…見てなよお兄ちゃんあっという間に片付けちゃうんだから。

唸れ私の両手、こんな書類はすぐに片付けてやらぁ!

 

「……そうだ、しきか~ん…もう一つドローンなーい?」

「あ?まぁあるけど…それがどうした?」

「偵察に使えたりしないかってことでちょっとここで飛ばしてみない?」

「この戦闘が終わったら考えるよ…ん、被害はダミー一体潰しちまったか…まぁ仕方ない、持ち帰って修理だな」

 

戦闘は無事終了、G36Cのダミーが一体行動不能になったけどほかは無事か。

おーぅG36Cの地味にわがままなボディが見えてるぅ…お兄ちゃんガン見してるよ。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夕方

 

 

結局あの後は特に接敵することもなく今日が終わりそうだ。

ドローンはイサカ達が回収して帰還してる最中…じゃあ今は何をしているかって?

 

「見てみて45姉、アクロバット飛行してるみたいー♪」

「ふふ♪上手ね~」

 

UMP姉妹がスペアのドローンで遊んでいる。

基地の外や室内に行ったり来たりだけど9お姉ちゃんの操縦センスが良いのか墜落するような事はなさそう。

私は黙々と書類を片付けていて…ちょっと肩が凝っちゃったかな…

 

「ん~…」

「417のおっぱいが限界迎えそう」

「もげろ…」

「はっ!?なんでドローンを向けてるの!?」

「9ちょっと良い?」

「へぶっ!?」

 

ナイチチなんて思ってないのに!45お姉ちゃんがすごいいい笑顔でこっち見ながらドローン激突させてきた…いったいなぁ!

ちょっと伸びをして肩を回しただけだよ?別に強調とか見せびらかしたわけじゃないんだからね?

しかし…ドローン頑丈だなぁ…あれで墜落しないんだね…私はそれに驚きだよ。

皆見どころ無くなったしそれぞれ戻っていって今残ってるのはドローン遊びに夢中なUMP姉妹と…戦闘データをガン見してるお兄ちゃん位。

 

「悪いな…今日の書類全部押し付けちまって」

「んー…後でいっぱい撫でて♪」

「おう…そんなんで良いのか?」

「いーの♪」

 

目一杯伸びをした後の騒動でこっちに顔を向けたお兄ちゃんが労ってくれた。

欲張ればお膝抱っこまでしてもらいたい欲求があるけど…そこまでしたら私が暴走しかねないし…

ちょっと引いて頭を撫でてもらう位で私はOKなの。お兄ちゃんに撫でてもらうの嬉しいんだからね?

 

よっしゃ、書類全部片付けたー…ふぅ、私一人でも余裕だね、へへん。

今度はダミーも加勢させてやろうかな…単純な判断は出来るし…

 

「書類終わったよ、お兄ちゃん…何見てるの?」

「え…あ」

 

お兄ちゃんが見てたのは戦闘映像じゃなくてただのトップダウンで見たイサカとかスプリングフィールドの胸だった…

あとUMP姉妹が飛ばしてる間に映った私とかのおっぱいも…

 

「サイテー…」

「……すまん、つい」

「……ぶー」

 

何時も見るだけなら私は怒らないのに…というか満足するまで見せてるけど?

戦闘中も見たくなったの?それとも…また別な欲望?

お仕事中はすごく真面目だと思ったのに…ちょーっとがっかり

 

「もしもし、お姉ちゃん?お兄ちゃんがねー」

「MATTE!!」

 

やーだ、待たないよ♪

 

私の通報によって修羅となったお姉ちゃんがお兄ちゃんを絞め落とした。

その間に私が映像の方を処理して…お姉ちゃん達にお説教した。

ちっとも聞いてない感じだけどね…はははぁ…

 

「「面白いと思ったからやった、反省はしてない」」

「いや、反省してよ…お姉ちゃん達も」

「ふふ、その不機嫌顔も可愛いわね」

「姉妹喧嘩みたい♪」

 

駄目だこりゃ。

 

結局ドローンの操作はお兄ちゃんじゃなくて副官がして、書類はダミーに任せるって決まりになった。

お兄ちゃん反省してねー?




まぁドローン使わなくても平気な地帯だけどね
なんとなくUMP姉妹は遊べると思ったらガンガン遊びそうって思ってドローン握らせちゃった。


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番外 節分と旧正月

季節物はこういう時に書かないとね


――――――――――――D08基地キッチン・朝

 

 

「セツブン?」

「そう、節分…ヤーパンの季節行事」

 

早朝から私はある料理を作っていた…恵方巻きという物だ。

道具がないのでキッチンペーパーで代用してるけど…出来るかなー?

養殖物だが海産物はまだまだ現役だ…本物の海?やつはコーラップスの餌食にされたよ…

まぁそんなこんなでライスと海苔をベースにキクラゲ、厚焼き玉子などを巻いていく。

シンプルながら楽しめる料理だね。ヤーパンの食文化はシンプルだ。

海苔にはミネラル分が多く含まれているし…これに味付けをしておけば立派な調味料代わりになる。

爪楊枝で細かく穴を開けておくとパリッとした食感も出て良し。このテクはコック長に教えてもらった。

ライスはヤーパンの主食、私達の文化で言うパンと同じだ…ヤーパン人のエネルギーの元らしい。

祖にヤーパンを持つ人が多いこの基地でもそれは同じだ。私も好き。

 

さて、ヤーパンの季節行事の節分だけど…お兄ちゃんに教わってから知ったの。

言葉の意味は季節の分け目らしい。ヤーパンには四季があって春夏秋冬が巡り巡る。

春には桜、夏は花火、秋は月、冬は雪…季節によって自然を楽しむのがヤーパンらしい…

節分は冬と春の合間の行事らしい…邪を払い、福を寄せる…縁起物っていうらしいけど…

鬼っていうオーガに豆をぶつけて追い払って福を司る神を家に招き入れる…らしい。

無神教者の私にはよくわからないものだけどねー…縁起担ぎには良いかなって。

 

恵方巻きは何だって?その福の神様にあやかって食べるんだって。

無病息災、商売繁盛…そういった願いを込めてるらしいけど…

一説によってはまぁ…アレを咥えてるっていうイメージで始めたとか…なんとか…

シンプルだけど人数分用意するのは手間だなぁー…

 

「うわ、崩れた…これは私の分にしよっと…」

 

巻くのが結構難しい…本来の道具でも難しいらしい…

形が崩れた恵方巻きは除けておいて…ささっと作り上げちゃおう…

 

そう言えば旧正月って言うのもあった気がする…爆竹祭りらしいけど。

お祝い事でとにかく爆竹や花火でどんちゃん騒ぐらしい…お兄ちゃんも馴染みは無いらしいけど。

一部の職員が動いてたなぁ…今朝I.O.Pから大量に荷物が届いていたし…

何かあるのかも…私を変に巻き込まなかったら良いけど…

 

「マフィンが焼き上がりました。お一ついかが?」

「食べるー♪」

 

スプリングフィールドのマフィンだヤッター♪

 

 

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

その頃司令室にはこの基地きってのバカ男が集まっていた。

 

「ですから指揮官殿、この流れに乗るべきです!」

「そうですよ、I.O.Pもノッてくれたんですから!」

「いや、でもねぇ…」

 

メンテナンス班の若い衆と指揮官が顔突き合わせてあーだこーだと言い合っていた…

否、メンテナンス班が一方的に説得を試みているのであった。

展開されている資料に乗っているのは…チャイナドレス…そう、旧正月にかこつけて全人形チャイナドレスを着せようとしているのだ。

自分達の給料で支払ってI.O.Pに発注をかけたのだ…バカである。

しかし着せるに当たって指揮官の協力が不可欠である…指揮官に好意的な人形は少なくない。

指揮官が頼み込めば最終的に折れると踏んでメンテナンス班は己の欲求の為だけに頭を下げていた…バカである。

 

「指揮官には欲はないのですか!?」

「まさか…アナタは…ホモなのですか!?」

「そんな、信じていたのに…!」

「あァァァんまりだァァアァ!!」

「いや、ホモじゃないし欲はあるけど…」

「では何故!?」

「いや…嫌がるかもしれないじゃん…」

「ヘタレか!!」

「上司だし部下との適正な距離っていうか…ヘタレちゃうわ」

 

指揮官は全員そうすることに難色を示していた。確かに見目麗しい人形がチャイナドレスを着たらさぞ良い光景になるだろう。

だがしかし、セクハラはしてもガチで嫌がることはしたくないがモットーの指揮官。

パワーハラスメントに当たりそうな事なので相当嫌そうな顔である。

ホモではない、健全な男として人形に一定の感情を抱くことはある…

 

「とにかく、説得なら君たちがしなさい…」

「くそっ!玉砕覚悟だ、行くぞオメーら!!」

「「「おう!」」」

 

仲の良いバカ4人衆は揃って兵舎の方へと突っ走っていった。

残された指揮官は大きくため息を吐いて副官に目をやった。

 

「やっと仕事できる…Mk23、書類くれー」

「ダーリン」

「あー?」

「わたくしはチャイナドレス着ても良いのよ?ダーリンが喜ぶなら♪」

「なん…だと…?」

 

 

――――――――――――D08基地キッチン・昼

 

 

「で?私も着ろって話?」

「そうです!残りは417ちゃんだけなんだ!」

「頼むよおっぱいちゃん、あのセクシーチャイナを着てくれ!!」

「一生のお願いだ、頼む!」

「一生軽いね…いや、良いよ?」

「女神か…ありがたやありがたや」

「ただし、お昼が終わってからだよ?」

 

お昼のお手伝い中で私はメイド服に身を包んでいた。今日はフレンチメイドね。

メンテナンスのお兄ちゃん達がカウンターに頭擦りつけてお願いしてくるものだから何事?って思ったら…くっだらない。

んー…でもお姉ちゃんとお揃いになれるのは良いねー♪

あ、でも体のラインがバッチリ出るし45お姉ちゃんが微妙そうな顔しないかなー…

 

よく見たらお兄ちゃん達揃って鼻が赤いな、地雷踏んだでしょ…

はぁーぁ…チャイナ服着たら絶対私がとばっちり食らうじゃん…なんてことしてくれたんだ…

まぁいいや…了承した手前着ましょう…馬鹿騒ぎされても迷惑だし。

 

「ついでにおっぱいを」

「あ"?」

「何でもないです…」

 

全く…面白みのないジョークを言うね…その目線だけで満足してなよ。

メンテナンス班のお兄ちゃんの目に映る私はゴミを見るような顔をしていた。

 

「おっぱいちゃんに睨まれるのもイイ…」

「キモ…」

「はっふん」

 

うわ、もう近寄らんとこ…これは危ない人間ですわ、あー鳥肌立つ…人形だから立たないけど。

 

 

相変わらずダミーに手を出しかけたので鉄拳制裁を加えたのを加筆しておくね。

遺言は「前が見えねぇ」だったかな。死んでないけど。

とにかくお昼は何時も通りに過ぎていった…ダミーの暴走には困っちゃうなー

 

 

――――――――――――D08基地食堂・夕方

 

 

「おー…これは壮観だな…」

「「「「我らに一片の悔い無し」」」」

 

「まぁ貴方達にしてはイイセンスなんじゃない?」

「フン…指揮官がどうしてもって言うから仕方なくよ!?勘違いしないでよね」

「なんか落ち着かないわね…気晴らしにぶっ放したいわ…」

「やめましょうよ…折角のお洒落なんですから」

 

第1部隊の面々がチャイナドレス着てやって来た。行事だからってお兄ちゃんも食堂に来ていた。

FALは腕に何か布を引っ掛けている…あれお洒落なのかな…?私の付け袖みたいな感じ?鮮やかな赤だ。

わーちゃんはオーソドックスなチャイナドレス、シックな黒が良いね。手に持ってる扇子も良い。

スペクトラはどういう訳か森林迷彩色なの、I.O.Pテクニカルスタッフから戦闘狂なのがバレてるのかな?

ステンは可愛らしいピンクのドレス…袖のデザインは私のと同じだ。

 

というか殆どオーソドックスなチャイナドレスじゃん…私みたいに尖ったのは無いの?

FALのチャイナドレスが若干胸にスリットがあってセクシーな位じゃない?おいI.O.Pどうした。

なんで私みたいな尖ったのを寄越さない、どうしたんだI.O.Pのくそったれ変態共。

 

「じゃじゃーん!」

「これはちょっと…恥ずかしいですけどね」

「ダーリン♪わたくし似合ってる?」

「指揮官のためとかじゃないんだから」

 

Uzi、アンタだけが私の仲間だ…何あの露出度マシマシなミニチャイナ…脇腹と胸元がスリットいっぱいで超セクシー…

ダボ袖仲間はステンとM14…おい他ぁ!!全部スタンダードじゃねーか!私にも寄越せ!!

 

「殺す…I.O.P絶対に殺す…」

「とか言って結構ノリノリで着替えたくせに~」

「指揮官の名前出されたら目の色変わったのにねー」

「寝たい…」

「んあぁっ!?45アンタねぇ!!殺す!!」

「キレたキレたwおーこわいこわいw」

 

お姉ちゃんはFALと同タイプかー…胸元が眩しいね…

45お姉ちゃん、あんまり手をワキワキさせないで、怖いよ…あ、お姉ちゃんの鷲掴みにした…

おーぉー…お姉ちゃんがキレた…殺す宣言して追っかけ回し始めた…

 

「「がんばれ~…はっ?」」

 

G11と私が被って言ってた…どっちに向かってのがんばれ~なのかな?

まぁ二人の脚力と持久力変わんないし…デッドウェイトが少ない45お姉ちゃんが有利かな?

 

 

その後第2部隊が戻ってきて全員勢揃いしてから恵方巻きを頬張った。

メンテナンス班の皆が喚いてたけどしーらない。

太巻きってでかすぎない…これを一気とか…顎関節外れるかと思った…ふぅ。

 

どうでもいいけど戦闘に参加してない人形2体分の修理資材が消費されました。

過激な喧嘩ダメゼッタイ。




416のチャイナスキンとか来ませんかね?
あと恵方巻きをグイグイ突っ込ませたいぜ…


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Day35 工作入門

夜戦のイメージがふわっと降りてきたので


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「………」

「ダーリン?」

「ん、あぁ…悪い悪い…」

「どうしたの、険しい顔して」

「…前線支援要請だ」

 

早朝に伝達があり一部隊を投入してとある前線の支援を行なえという命令だ。

編成部隊を考えなければならない…1部隊のみという縛りもあり考えることになる。

作戦内容も一つ面倒であり悩むことになる…

 

夜間行動。それも破壊工作だ。破壊工作に長けた人形などこの基地には配属されていない。

指揮官の頭を酷く悩ませることになった…

 

「そんなに難しいの?」

「破壊工作できる人形いたかぁ…?」

「……居ないわね」

 

Mk23の頭にもそんな人形が居たなんて記憶はない。できそうなのはFALか?

いや、ただの爆弾魔だから隠密が肝になる夜間行動は不向きも良いところだ。

というか第1部隊がそろって戦闘したがりのマジキチだから隠密が大事な夜戦との相性が悪い!

 

指揮官は頭を抱えた。そんな指揮官の背中にはMk23がぴったりと張り付いて慰めていた。

 

「いや、マジどうするってんだよ…」

「ヘリアンも分かってないワケじゃないはずなのに…どういう事かしら?」

「その基地に潜入のプロが居るみたいな言い回しだったがいや…いねーよ…」

「大丈夫?おっぱい揉む?」

「いや、マジで悩んでるから結構です」

「(´・ω・`)そんなー」

 

本当にどうなるんだこの作戦。無情に時間だけが過ぎていく。

 

 

「話は聞かせてもらったわ」

「お前は…」

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・朝

 

 

「という訳で夜戦を引き受けたわよ~」

「なんで私も…?」

「家族一緒にお出かけだね♪」

「じゃあ私サボっていい…?」

「駄目に決まってるでしょ…」

 

朝のお化粧していたら45お姉ちゃんに引っ張られて連れてこられた。何事?

確かに私の銃には夜戦装備が装着されてるし私もNVゴーグル持ってるよ。でも…だからって…私?

いや、私も潜入とかしたこと無いんだけど?45お姉ちゃんも分かってるよね?

G11はサボろうとしてお姉ちゃんに打たれてるし…私を戦力に数えないほうが良いよ…

たしかにね…元々は416型のダミーだよ。でもね、お姉ちゃんと同じ様に動けるかと言ったらNOだよ。

その辺ちゃんと理解してるのかなぁ…いやまぁ…やれって言われたから死に物狂いでやるんだけど…

まぁスニーキングの基本は知ってるようなものだからそんなに足は引っ張らない…と思いたい!

 

「はぁ…まぁ良いけど…動き方とか教えてくれる?」

「実地教育ね~逸れないようにしなさいよ~」

「そんなに難しい潜入じゃないしだいじょーぶだいじょーぶ♪こなせたら」

「家族だ…でしょ?」

「わかってるー♪」

 

今日に限り私は第3部隊を外され第4部隊に配属。行動を共にすることになった。

この先も夜戦任務が下ったら一々こうするんだろうか?まぁそこは柔軟に…なのかなぁ?

行動開始は夕方から…ヘリで移動してから陸路を歩き夜闇に紛れて敵の通信施設と防衛設備の破壊が目的。

最悪私のグレネードで狙撃してもいいと思うんだけどね…今回は敵のハイエンドと遭遇する可能性もあるし迂闊なことは出来ない。

私の独断で動いたらマズいよね…はーぁ、気が重いなぁ…

ブリーフィングはこうだ。先ずは私とお姉ちゃんとG11で潜入、待機してUMP姉妹が敵を撹乱しながら敵指令所を強襲。

その後に私達が動いて可能な限り敵を排除、通信施設と機銃を爆破して撤退。

 

私の半身には消音器はくっついてないから今の内にくっつけておいて…

 

「お姉ちゃん、サプレッサーの余りない?」

「はい、予備だから後で返しなさいよ」

「ん、了解」

 

私の手持ちのアクセサリーは全部くっつけてある。つまりは消音器は無い。

お姉ちゃんのお古を借りて取り付ける…うわ、バレルがとんでもなく長くなった。

潜入に入る密林とかじゃ取り回しに困るなー…こういう時だけは16インチバレルが欲しくなるなー…

部品さえあれば簡単に取替できるんだけどね。ボルト2本でポロリだもん。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・おやつ時

 

 

「45、本当にお前たちで大丈夫なんだよな?」

「心配性ね~大丈夫よ、ヘリアンに私達の名前を出しても良いんだけど?」

「うーん…問い合わせしたらまぁ間違いないとは言ってたしなぁ…とにかく、あの周辺には装甲型が確認されている。いざって時はHK姉妹お前らが頼りだからな?」

「「了解」」

「定時連絡は怠るなよ、連絡が途絶えた場合はすぐさま救助部隊を編成しなくちゃならん」

「見捨てるって選択肢はないのね~」

「あ"?今なんて言った?」

「あら、怖い怖い…軽いジョークよ♪」

 

こわっ、お兄ちゃんを煽らないでよ…お兄ちゃんもガチギレしてるし…目が据わってるぅ…

まぁ甘ちゃんなお兄ちゃんだから見捨てるなんて選択肢は絶対ないな…

しかし装甲型の鉄屑かぁ…私の7.62mm弾と榴弾がキーって事ね…

お姉ちゃんの5.56mmでも狙えばOKなんじゃ…?いや、装甲が結構厚いから弾かれるのか。

徹甲弾とかもあったら確実なんだろうけど…無い物ねだりだなぁ。

 

「いいか、絶対に生きて戻ってこい…」

「「「「「了解」」」」」

 

まぁお姉ちゃん達慣れてる感じだし間違いはないと思うよ…間違いがあるとしたら私だ。

眠い眠い言ってるG11も流石に作戦行動始めたらキビキビ動いてる…普段からこれくらい動きなよ…

あれかな、能ある鷹は爪を隠すって奴かな…?とにかく出撃だ。

 

 

――――――――――――

 

 

「ここからは徒歩で作戦領域に侵入、ついたら丁度日が落ちてる頃合いよ~」

「りょうかーい、楽しいピクニックにしようね♪」

「がくー…」

 

緊張感が抜ける事を言うなぁ9お姉ちゃん…ピクニックとは違うよー…

作戦行動中に本当にも~…気が抜けるぅー…っとと、NVゴーグルが落ちそうになった…

何時にも増して私の装備は多くなってる。お決まりの双眼鏡に無線機…その他にNVゴーグルとスペアバッテリー。

殺傷榴弾10発分、スペアマグ8個…夜間行動が長くなり敵との遭遇戦も多くなるだろうから…だけど。

お姉ちゃん達は何時も通りの割と軽装で来てる…心配しすぎたかなー?

 

「作戦領域が近くなったら散開同時に連絡を入れるのよ?」

「了解よ」

 

今回の作戦が作戦なだけにダミー人形は連れてきていない…損傷はそのまま死につながる。

バレず的確に潰していかないと…ポジションに着いたら私は狙撃支援かな?それともCQB?

 

「私はどうするのが正解?」

「G11と同じで狙撃支援、可能ならCQBもって言いたいけど…」

「ん…やってみる」

 

ツーマンセルとスリーマンセルで別れて行動開始…私は支援役ね…

役割だって想像通りってところだしやってやろうじゃない…私は完璧なんだから。

 

「じゃ、後は殺るわよ~♪」

「それじゃーまたねー♪」

 

「やるわよ」

「はいはーい…さっさと終わらせて寝たい」

「了解、行動開始」

 

チャージングハンドルを引き初弾装填、いつでも戦闘できる様に準備。

もう日は傾きいつ闇が訪れるか…初の破壊工作に緊張しながらも私は416姉に付いて歩いた。

 

 

 

夜の帳が降りた、私達の行動開始時間だ…作戦開始前の無線を入れて作戦領域に侵入。

鬱蒼と茂る密林の中を進んでいく…最前線という事もあってかどこかしこで銃声が聞こえる…

戦場は眠らない…この地区担当の部隊が小競り合いをしているんだろう…好都合だね。

作戦領域内では不必要な無線、会話は無い…UMP姉妹はどうだろうか…無事なのか…

 

現在の鉄血の意識は戦闘中の正面に向いている。好都合だけど何があるか分からないし内部から敵を排除するのも目標だ。

なお、私達の事は知らされていない…指揮系統が乱れたら雪崩れ込む可能性も高い。

冷静な人形ならそうでも無いかもしれないけど…いきなり発砲なんてのも有り得る、証拠は残さず撤収するの。

 

「こちら416、潜入開始」

 

416姉のピッキングでロックを解除してさっさと潜入、近くの施設に侵入。

電気は落ちている…NVゴーグルを掛けて私が内部を伺う…よし

 

「…クリア」

 

少しずつ扉を開け入ればもぬけの殻だ。短く状況を伝えて内部でカバー。

416姉とG11が入れば扉を閉めて…416姉が先行、G11がカバーを行い…私はその後ろでバックアップ。

 

パスッパスッパスッ

 

短い間隔で発砲音…中に敵が居たのか?

 

「3ダウン、417はここから狙撃して…私とG11で施設に侵入して破壊してくるわ」

「了解…全部倒しても構わない?」

「えぇ、勿論よ…ただしバレないようによ?」

 

狙撃ポイントは確保された。装甲型の人形が巡回しているが…弱点はおそらく変わらない…

デカい四足歩行のオモチャが指令所付近に陣取ってるけど…あれはちょっと難しいか。

とにかく私は416姉の支援だ…巡回してくる木偶人形を撃ち殺せばいい…NVゴーグルを上げてスコープを覗き込む。

身を屈めて進む姉の後ろ姿を視認しながらそちらに向かおうとする木偶人形に照準を合わせる。

生意気にもツーマンセルで動いているが後方を動いてる人形から撃ち殺してすかさずもう一体も撃ち殺せば…OK。

警戒するどころか不審な物音に立ち止まって振り向く始末…お粗末ね。

 

ザザッ

『こちらUMP45、これから指令所にカチコミいれま~す…416生きてるー?』

『生きてるわよ、さっさとしなさい…こっちはもう行動してるから』

 

指令所の方面に視線を向ければ小さく見慣れた姿が見えたような気がする。

まぁ向こうは任せよう…こっちの支援が終われば移動して向こうの脱出支援だ。

 

パスッ…パスッ…

 

「2…」

 

スコープを覗く先で倒れる装甲つきの木偶人形を一瞥して狙撃支援だ…

夜はまだまだこれから。私の眠れない夜はまだ…始まったばかりだ。

 

 

『定時連絡入れたわよ~皆無事でしょー?』

『もちろん』

『あーい』

「無事よ」

 

ま、無事に帰れるでしょ…




次回までちょっとこんな雰囲気に付き合ってくれ


指摘どうも、恥ずかしい間違いしてたヨ…とほほ…


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Day36 眠れない夜

潜入描写むずいぞこれ


――――――――――――

 

 

この鉄血基地の防衛施設は3つだ。レーダー施設、対空機銃制御施設、通信施設。

そして指令所がぽつんと鎮座していてその他の施設は人形の兵舎だったり見張り台だったり。

弾薬や爆薬の置かれた倉庫…長距離移動用のジープが止まっている車庫だったり。

基地の内容はG&Kとそう変わりない…ただ妙なのはヘリポートはあるのにヘリが無い…奴らは使わないのか?

416姉が真っ先に向かったのは倉庫だ。そこから爆薬を拝借するつもりなんだろう。廃棄されたらたまらないけどね…

 

パスッ…パスッ…

「5…6…」

 

スコープの先では次々に木偶人形が倒れていく。地面には損傷箇所からあふれる血じみたオイルが広がる。

バイザーが破損して中の表情が見える。無表情で…気持ちが悪い。

あぁ、奴らに感情なんて上等な物は搭載されてないんだろう…命令に沿って動き人間を殺す。

本当に、ただそれだけの存在なんだろう…情けをかける事なんて無い…殺せ、殺せ。

 

発見…ターゲット周囲に敵なし

パスッ…パスッ…

「7…8…」

 

鉄血の基地と化した敷地内に血色の華が咲く。

 

ザッ…

『こちら416、レーダーの無力化及び爆薬設置に成功…次に通信設備を破壊に行くわ』

「了解、援護する…施設周辺の掃除は終わってる」

『了解』

 

無線越しに姉の声と一緒にクリアリング…周囲に敵影無し。現状バレてはない…

正面でドンパチやってくれてるお陰だね…警備が手薄だからバレてない…

施設から飛び出た姉とG11の背中を視認…隣の施設に飛び込んでいった。

周囲に敵影無し…指令所の方はどうなってる?ちょっと見てみよう。

 

「……わぉ」

 

潜入とはどうした?スモークばりばり炊いてますやん…不審な煙に困惑ってエラーを吐いてる様子だけど。

オロオロしてばかりで…間抜けね。この距離、いただいた。

 

パスッ

「9…」

 

と言うか警戒というのが疎かだ…おろおろと左右を向いてばかりで動こうとしていない…

身を伏せるなり物陰に隠れるなり何かアクションを起こすべきなのに…所詮はって所ね。

指令所の方ではもう潜入が割れてるみたいだけど…大丈夫なのかしら…?

いや…各人形に警戒が促されてる…動きが変わった。ツーマンセルの真似事からしっかりしたツーマンセルに変わっている。

これは迂闊に射殺も出来ないかな…下手したら私がバレる…

ふぅ…立地的に密林内からの狙撃が出来ないのが痛いなぁ…CQBなんてシチュエーション無かったものだから…

ゲームと違って被弾はそのままパフォーマンス低下につながる…死に直結してくる。

安易な凸スナなんて出来ない、リスキー過ぎる…室内戦での取り回しは現状最悪を極めているからMk-23が最後の生命線になる…

私が潜伏してる施設にクソ人形が入ってきたら被害は免れないかなぁ…

 

ザッ

『通信設備に爆薬設置…対空機銃のコントロールルームを破壊しに行くわ』

『こちらG11狙撃地点に到達、支援するよー』

「了解…狙撃地点を変えるわ」

『了解、無理はしないでね?』

 

地点転換の時間だ…その前に…高台の見張り人形を…

 

パスッ…

「10…」

 

 

ザッ

『指令所占拠~後は適当に爆破しちゃっても良いわよ~』

『それそれー♪』

 

指令所の防衛メカも活動停止…人形も指示系統が停止して大混乱ね。

 

施設の窓から飛び降りてから改めて周りを確認…人形の姿はなし…

外周に沿って慎重に移動していけば…最初の狙撃に使った施設に似た宿舎のようなモノが立ち並ぶ。

私が目指すのは近場にあった見張り台その上から狙撃しようと考えたのだが…

もうちょっと正面寄りの施設に潜入して狙撃したほうが良いかな?

 

NVゴーグルを下ろしてからMk-23を引き抜き潜入…今回は私一人だ…油断できない。

この中に居るのが装甲型だったら最悪だけどね…Mk-23じゃ弾かれる。

扉を開け中を伺う、敵影らしきものは見えない…飛び込み構えるが敵影なし。

カッティングパイで確認しながら二階を確保に向かう…敵影無し…

 

二階の室内はクイックピークで確認…こちらももぬけの殻だ。

ふぅ、警戒したけどアンブッシュは無さそうだ…さてと…狙撃の的はどこかしら?

NVゴーグルを上げて417を構え、二脚を立ててからスコープを覗く。

慌ただしく動く人形が何体も施設から飛び出してきている。異常事態にようやく気づいたか。

416姉は完全ステルスやってたのね…やるぅ。

 

ザッ

「こちら417、連中異常事態ってようやく理解したみたいよ、警戒に飛び出てきてる」

『了解…45のヤツ早いのよ…』

『あら、416が遅すぎるだけよ~♪』

「ともかく、支援するから…G11もOK?」

『はいはーい』

 

作戦も大詰めだ、後はキレイに爆破して撤退しておしまい…

もうこうなれば多くの的を撃ち殺しておこう…

わーい楽ちーん、こんなの電子ゲームみたいね、ふふん。

 

とと、集団で各施設から飛び出しちゃって…良いのかしら?

もうバレてるようなものだし良いよね?グレネードの出番ね。

二脚を折りたたみ、角度を付けてからグレネードの引き金を引く。

ポンっと間抜けな音がしてから榴弾が発射され…

 

「どっかーんってね…纏まって動くからよ、間抜け」

 

地上に1輪の華が咲いて散った。

 

ザッ

『設置完了、撤退準備』

『じゃあ潜入したルート遡って帰るわよ~』

『遅れたら置いていっちゃうからね?』

『あーもう面倒だなぁ…417~あとでおぶって』

『タイマー開始…30秒後に爆破するわ』

 

よし、私も撤退しよう…さーて帰ったらうんっと褒めてもらうの。

 

 

――――――――――――

 

 

撤収しようと通信を切って振り向いた時だった。

2体の人形が入ってきた…すぐさま構えて撃ったが…向こうも反応速度だけは良い。

当然無傷とは行かず反射的に動いたから軽傷で済んだが…左腕をやられた。

痛い痛い痛い…痛覚を即座に切って弾頭を取り出す…くそ、疑似血液が止まらないなぁ…

バックパックの中に止血帯と包帯はあったっけか…

……人間から人形になってこんなのもぱっぱっと出来るようになって…ほんと、遠くに来ちゃったな。

 

あーくそ、さっきので私の位置完全にバレたかな…?

死角になってた部分から入ってきたのか…?あーくそ…クリアリングが不足していた?

 

「ごめん、しくじった」

『あら?』

「追跡撒くからちょっと遅れるかも」

 

命懸けのかくれんぼの開始ね。奴らの思考ロジックなんて単純だから撒くのはそう難しくないはず…

慌てるな、私はまだ生きている…囲まれたってまだまだ殺れる。

左腕が鈍くなったから何だって言うのよ…これくらい丁度いいハンデよ。

 

窓からクイックピーク…わらわらと銃声を聞きつけてやって来てる…逃走経路は…いや、待てよ…

グレネードの残りは9発…施設はかなり脆い…逃走経路が無いなら作れば良い…

ぎこちなくグレネードの再装填をしてから挨拶代わりに群衆に叩き込む。

仲間の犠牲など気にも留めないでこちらにまっすぐ突っ込んでくる…

 

「うぁっ…」

 

駄目か、もうこっちの居場所は完全にバレた…窓から構えて撃つのはもう無理だな…

クイックピークしてもすぐに撃たれる…もう駄目だこりゃ…室内でのCQB戦になるか…その前に逃げるかよ。

もちろん後者を選ぶんだけど。逃走経路は今バカスカ撃たれてる窓と入ってきた扉…他には多分ない。

じゃあ、どうするかって言ったら…二階の壁に穴を開けてそこから飛び降り。

マスターキーはグレネードってね!でもタイミングは…

 

 

「けほっ…空いた空いた…逃げるわよ…!」

 

首尾よく設備が爆発していく、それに合わせて窓の反対側の壁に大穴をこじ開けた。

クイックピークはもう無理だけど銃撃が止んでる辺りから想像して爆発音に全員振り向いてるか…

飛び降りてからよーく様子を伺う…影から慎重に…

 

「居ない…よし…」

 

さっさとこんな所トンズラするに決まってるでしょ。

ピッキングで開けられたフェンスはまだ開いてる筈…そこから…

 

「うひゃぁっ!?」

 

頭上を弾丸が通り過ぎていった、やばい見つかった!?全速力で逃げるんだよぉ!!

ひんっ、服が破けていくぅー!やーだー!!

 

今度は狙撃!?髪がいくらか持っていかれた!あーもうヤダー!!

 

 

――――――――――――

 

 

「この、バカ妹!どれだけ心配したと思ってるの!!」

「すいませんでした…」

「謝らないくていい…もう、無理だと思ったら助けを求めなさいよ…」

 

何とか密林に逃げ込めて難を逃れた。無線も叩き切ってたからお姉ちゃんが青ざめてて無線機に怒鳴り散らしてた。

ボロッボロになった私を見て駆け寄って抱きしめたと思ったらゲンコツ貰った…すごく痛い。

置いていくなんて言ってたくせに45姉も待っててくれて9姉は笑顔で拳振り抜いてる…やだなぁ怖いなぁ…

ホッとした反面安心して腰が抜けちゃって…へたりこんじゃった…あ、左手エラーダウンしてらぁ…

 

「417~♪」

「な、なにかな9お姉ちゃん…」

「心配したんだからねー…これからは家族だ」

「へぶっ!?」

 

私の頬に9姉の心配ファミリーパンチが炸裂した、私はそのまま気絶した…

 

 

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「で、その損傷か」

「はい…」

 

ズタッボロにされた私を見て指揮官は痛ましくこっちを見ていた。

羽織っている上着はボロ布になってるしブラもちょっと破損して危うい状態に。

スカートなんて穴開きでパンツ丸見え…痛ましいのは左腕の怪我…だらんと垂れ下がっている。

あとは9姉のファミリーパンチの跡か…

 

『妹が出来て嬉しかったのに…失うなんて事はしたくないわ…生きていて良かったわ…本当に』

 

416姉には帰りのヘリの中でめっちゃ泣かれたし45姉にも無茶は厳禁よ?と釘を差された。

あとやっぱり私の性格か慌てるとボロが出る…ペースを崩されると駄目っていうのが弱点だなーって自己診断。

こればっかりは人間の時と変わらない、慌ててないつもりでも慌ててる…

 

「とにかく生きて帰ってきてくれて良かった…工廠には連絡が行っている、すぐに修理を受けてくれ」

「了解…」

 

メインフレームの修繕って結構時間がかかるらしいけど…あーあ、メンテナンスのお兄ちゃんに怒られるかなー?

朝から大忙しにしちゃってごめんねー…

 

はー…生きてるって…良いね…




多分最初で最後の戦闘での417ピンチ回でした。
というか工作ってこんなんだっけ…?


*追記*
誤字報告ありがとうございます


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Day37 修理と休息

修理ってどうしてるんだろうなーって思いながら妄想だけで書いてる


――――――――――――D08基地工廠・朝

 

 

「うーわ結構派手にやられてるなー」

「あははは…ごめんなさい」

「野郎共気合い入れろ!417嬢ちゃんの修理だ!」

「「「「うす!」」」」

 

普段中々拝めないメンテナンス班の真面目な顔が見れてる。

それに普段は我関せずなI.O.Pテクニカルスタッフも忙しなく動いてる…あっちゃぁー…これはやっちゃった。

左腕は完全にエラー吐いて動かないし痛覚を叩き切ったまま…多分入れたらすごく痛いんだろうなー…

 

「よし、痛覚切ってるよな…そのまま切っておけよ」

「左腕の交換を行います…それと各関節に負荷がかかっていますね…整備しましょう」

「いや…交換までは要らんな、取り外して修理だすぐにやるぞ、パーツは揃っている」

「予定時刻は…だな。さ…417、キミは眠りなさい…」

 

メンテナンスベッドに寝かされた私はそのまま眠りに落とされた…

妙に皆が優しいのが気になるなぁ…ま、そうか…この基地だとメンテナンス班の仕事殆どなかったし…

すごーく平和だったからね…私みたいに大破してくるのがそうないってだけ…かな…

 

「損傷チェック…あーやはり外傷から察していましたが左腕はボロボロですね」

「取り外すぞ…よし、取れたな…次は」

 

戦火で煤けた肌はそのままに修理が進んでいく…

各部関節の簡易オーバーホール、ショックで緩んだ接合を増し締めしていく。

特に損傷が激しい左腕は一度取り外してからほぼオーバーホール。

 

「ダーリン…あら?」

「イサカか、ちょっと手が離せない後にしてくれ」

「はーい…真剣なアナタも素敵ね♪」

「……この様子なら大丈夫そうね」

「大丈夫よ、普段はおちゃらけてるけどする事はちゃんとする子たちよ?」

「そうだといいけど…」

 

主任は来客に目もくれず修理に精を出していた。

修理の様子を見に来たのはイサカと416。前者は主任に、後者は417の様子を見に…

 

 

作業は日がてっぺんに来るまで続いた…

 

 

――――――――――――D08基地工廠・昼

 

 

「ぁ…ぁー……終わった?」

「あぁ、終わったとも…至近距離でのグレネード発破に連続しての飛び降り…それから全力疾走」

「ちと足にガタが出来てたぞ、もう無理はすんなよ?」

「悔しいことながら我が社の人形は高性能ですが壊れやすいので…無理はしないでください」

「はーい…」

 

父性溢れる主任からぽんぽんと頭を撫でられてから私は目が覚めた…

セルフチェックでも各部異常なし…あとはこの破れた服と肌の汚れかぁ…

 

「すぐにシャワーを浴びなさい…破れた服はこちらで回収します、後で持ってきて下さい」

「はーい」

 

汚れは流石に落とすってことはしなかったのね。まぁデリケートな所だし…助かるけど。

兎も角私完全復活…ふぅ、痛覚を戻して…あー…ジーンと来た…術後だからかな?

術中も感覚あったら地獄だったろうなー…おー怖い怖い…

この痛覚を叩き切れるのも人形の利点だよねー…痛覚があるだけで判断が鈍るからね。

…あれが実際に撃たれる痛み…銃撃に晒される恐怖…まだ、私は戦場をちゃんと理解してなかった。

どこかフィルターを一枚挟んで見ていたんだ…ゲームと同じ様に…

 

「気分はどう、417…」

「お姉ちゃん…すっかり元気だよ」

「そう、なら良いわ…そうだ、417…あとでお願いがあるの…シャワーを浴びた後で良いから」

「ん、りょーかい」

 

お姉ちゃんのお願い…?私になにがあるんだろ…ふーむ?だめだ見当つかない。

およよ…お姉ちゃんの手が私の頭の上に…撫でられてる、おほー…これは新感覚。

それから?おやおやお姉ちゃんが私の手を握って…どうしたのかな?

 

「どうせだし、一緒に浴びない?」

「え"」

「ダメ?」

「あー…まぁ…大丈夫だよ」

 

ちょっと避けてたことの一つだ…もう同性だけど人形と一緒にシャワーっていうの…

いや、気恥ずかしいのもあるし元野郎っていうのもあって…そこはかとなく罪悪感が…

自分一人ならもう慣れちゃったんだけど…うーん…

しかしお姉ちゃんのちょっと弱気な顔に押されて了承しちゃった…やべーぃ。

お姉ちゃんの身体ってこう…破壊力があるからなぁ…私みたく目に見える破壊力じゃないし…

 

やっぱりデカい、お姉ちゃんは色々デカい。

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎シャワールーム

 

 

「髪を下ろすと以前と変わらないわね」

「あはは…あの時はお姉ちゃんめちゃくちゃキレたね…」

「もう過去のことよ…」

 

ふぅ…今私は身を包むものなどなにもない状態だ。シャワー浴びてるからね…

隣にはお姉ちゃん、ちらっと横目で見てもまぁ…デカいしキレイだ。

実際に一緒に浴びてみてどうか?まぁ…思ってたほど恥ずかしくはない。

そしてやっぱりと言うか…興味はあるけど欲情はしないね。

もう性的嗜好とかも女の子になっちゃってる節があるし当然か。

普段はツーサイドアップで差別化されてる髪型もシャワー中はお揃いだ。

この基地になんとかたどり着いて…お姉ちゃんが着任するまでのあの間を思い出す。

あの頃から比べるとホント…私は丸くなったんじゃないかな?暴力は殆ど振るわないし。

 

「417、ヘアトリートメントはね…」

「うぇ?」

 

私なりに手入れはしてたけど…どうやら仕方が違っていたらしい…お姉ちゃんからの指摘だ。

もっと丁寧に優しく髪を撫でるようにケアするの、見よう見まねでやってみるけど…これは時間がかかるなぁ。

思えばMk23にそんな短時間でOKなの?なんて聞かれたっけ…なるほどなぁ。

私もお姉ちゃんも長いし…ケアしながらってなるとかなり時間がかかる…

 

「髪は女の命とも言うのはこういう所からかな?」

「命とまでは言わないけど…大事に手入れしているのは間違いないわね」

 

お姉ちゃんもまぁ自慢げに髪をつまんでウィンクしてきた。うん良い匂い…

真面目一辺倒かと思ったらわりと茶目っ気もあるのかな、お姉ちゃん…

 

「はー疲れた疲れた~報告書出してようやく浴びれるー…あら?」

「あら」

「あちゃー…」

 

報告書を書いていたんだろう45お姉ちゃんが入ってきた…珍しい客な私を見るなりにやぁ…と笑ってきた。

あーこれはイヤーな予感がするぅ…手をワキワキさせて何近寄ってるのかなぁ~?

 

「妹分の発育チェック~♪」

「あにゃぁぁぁあああああぁぁああああ!!」

「……程々にしなさいよ」

 

ウェッ!?オヌェーチャン!?オンドゥルルラギッタンディスカー!!?まって、45お姉ちゃんそんなに…あっあっ…

…なんかアレだよね、45お姉ちゃんは自分からのスキンシップは遠慮ないね。

私だからか?私だからなのか?…兎も角私の悲鳴が響いた。

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・昼

 

 

「それで?お願い事ってなーに?」

「お願い、ゲームを教えて頂戴…あの大会の結果は悔しいわ…」

「えぇ…」

 

お姉ちゃんの完璧主義から来てるんだろうけど…ちょっと意外というか…なんというか…

ヒートアップした後の私達のプレイングは酷かったけど…気にする?気にしちゃう?

というか…遊びにも本気だね、遊びを遊びとして見てないのかも…?まぁいいや。

困惑はしたけど別に教えない理由はない…ちょうど良い暇つぶしにもなる。

 

「OK、それじゃあ大会の時と同じでボンバーマンで良い?」

「えぇ、ついでだからUMP姉妹も巻き込むわよ…」

「スコーピオンに借りてくるねー」

 

私が自分の兵舎に戻る間…第4部隊兵舎からは言い争いのようなモノが聞こえたような気がする…

事情をちょっと説明したらスコーピオンは快く貸してくれた。この手のレトロゲームは貴重なんだよねー…

それを快く貸してくれたスコーピオンには感謝しないと…今度お好みのスイーツ作ってあげよ。

 

「お姉ちゃーん借りてこれたよー?」

「あら早かったわね、さ…やりましょう」

「……やるわよ」

「ふふ、楽しみ♪」

「あーあ、ゾンビ映画見るつもりだったのに…」

 

まぁそんなこんなで4人プレイでのボンバーマン開催でーす。

観客は眠そうなG11だけだ。騒いでもまぁ文句は言われないかな…?

 

「じゃあお姉ちゃんには…ボンバーマンにおける基本の詰め方から教えていくねー」

「えぇ、よろしく頼むわ」

「ティーチングしてる間に容赦なく潰すけど」

「取り敢えず…えい、えい♪」

 

基本動作は知ってるはずだからその基本動作で出来る戦略の立て方と詰め方。

なんて言ってるけど要するに如何に相手を陥れるかを実践している。45姉に対して。

 

「ふぅーん…」

「ごめんね、悪く思わないで」

 

どうやっても相手に抵抗させないためには物量で押し込むとか…ある程度プレイしてきたら見えてくる相手の癖を突くとか。

本当に基本的なことだけど…教え込んでいく…お姉ちゃんもまぁ分かってることだと思うけど。

それから連続ボムキックやボムキック流星群…要するにボムキックコントロールを教えていった。

あれ任意のタイミングで止めれるんだよね、知らないとそのままツーってやっちゃうけど。

それを応用した追い込み方、私が勝手にそう呼んでるだけなんだけどね…かっこいいじゃん?

 

修理復帰後早々に遊んで…うーん…これでいいのかな?

まぁ図らずも左手のぎこちなさは無くなってるのを確認できてるからOKなのかな?

 

「という訳で9お姉ちゃん覚悟」

「とりゃ!」

「あわわ…でも、まだ…」

 

9お姉ちゃんのダイレクトアタック、私の胸部を叩かれた…おぉ揺れる揺れる、バランスも崩れる。

だがそれだけで私の集中を乱せると思うな9姉!

 

「ブラずれたよ」

「え、うそ!?」

「嘘♪」

「あばー!?」

 

くそぅ…簡単な騙しに引っかかった…お姉ちゃんの微妙な視線が突き刺さる。おぉ痛い痛い…

名誉挽回の為に言うけどその後私ちゃんと勝ったからね!?




破損箇所を修理してあとの汚れは自分でやれってスタンスだと思うんだよね。
スオミとかサウナ付きの~とか言ってるし…


しかしアレですね、毎回感想貰うと本当励みになります。
毎朝起きてニッコニコしてますありがたき…

*追記*
誤字指摘ありがたき…


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Day38 女子会ですか?「たぶん違う」

全員ゲンドウポーズしてると思って
そして大体全員机におっぱい乗せてると妄想しろ


――――――――――――

 

 

「集まった?」

「ふん…」

「この集まりは一体何でしょう…?」

「さぁ…?取り敢えずコーヒーをご用意します」

「うふふ♪」

「何よー…その意味深な笑み」

「クッキー用意したよー」

「……」

 

さぁ今夜は楽しい楽しい女子会の開催だ。…嘘です、とある疑惑を追求するための会合です。

メンバーはFAL、わーちゃん、G36C、スプリングフィールド、Mk23、Uzi、お姉ちゃんと私。

勘のいい人なら分かるんじゃないかなっていう組み合わせだよね。いや勘がいいって何やねん。

基地の隅っこにある倉庫に集まって机を囲って円卓ごっこ…お話中の口慰めは私の焼いたクッキーとスプリングフィールドのコーヒーだ。

これだけだとただのお茶会なんだよね…うん。

 

「では、会議を始めます…」

「会議…ですか?」

「ズバリ、指揮官はヘタレかどうか!」

「ぶふっ」

「ヘタレって何よ?」

 

G36Cが吹き出すのは珍しいな、レアな一場面だよ。

Uziがヘタレの定義が分かってない様子でMk23に聞いてるし…Mk23もコレには苦笑い。

さて、この会議を開催したのはFALで事前に話を聞いていたのは私とMk23だね。

曰く完全にべた惚れだろうし指揮官の事を話す会議には参加するでしょ?ってさ。釣られたけど。

お姉ちゃんが来たのが結構意外といえば意外かな。FALに会議持ち込まれた時嫌そうな顔してたのに。

 

「軽く確認いいですかー?」

「メンバー417、発言をどうぞ」

「はい…この中でお兄ちゃんからの直接なセクハラを受けた事がある人てーあげて」

 

なんて言って号令掛けて私は手を挙げる…するとまぁ全員しゅばっと手が挙がる。

全員一度はセクハラ被害にあってる…はいはい。

 

「じゃあ、最近受けましたか?受けたならてをあげてー」

 

ありゃ、これはゼロ…まぁ予想通りって言えばそうかな?

私とお姉ちゃんは来て日が浅いから最近の定義が結構難しいけどね…ここ数日間で直接的なセクハラは受けてないね。

私が受けた直接的なのって言ったら…来て早々のキモチワルイムーブでの胸揉みと撫でられた時くらいか。

お姉ちゃんはいったい何時食らったし…というかお兄ちゃんよく生きてるなぁ…何されたかわかったものじゃないのに。

 

「もう一つ確認…セクハラしそうになったお兄ちゃんにちょっとでも嫌そうな素振りを見せたらすぐに引かれちゃう?」

「あー」

「そうですわね…」

「そういえば…」

 

皆心当たりあるようだ…最初はガンガンに踏み込んでくるくせに最近は適正な距離を取ろうとするみたいな?

新しい人形が着任すると嬉しさ余って暴走するみたいだけど…ふーむ。

 

「段々気恥ずかしくなってヘタレちゃう系なのかなー?」

「最初の頃なんて酷かったわよ、毎晩揉まれて…」

「私が着任した時なんか汚らしい手でベタベタと…それも今は頭を撫でる程度…フン」

「皆さん同じ様なうらや…苦労されたのですね」

「わたくしは合意の上ですから思いの外ここ最近でも遠慮が無いように見えますが…」

「あー…」

 

そういえばMk23は毎朝盛ってるね…でも全貌を見てるわけじゃないからどうとも…

 

「そう言う割には毎朝見られるだけじゃない?」

「あら?なんで416、貴女が知ってるの?」

「どうだって良いでしょ」

 

おやおや?お姉ちゃんが思わぬ爆弾を持ってきたかな?

確かにお姉ちゃんは朝の司令室には滅多なことがない限り近寄らない。

あのMk23とお兄ちゃんが織りなすピンク色の空間は私も長時間は居られない。

真面目なお姉ちゃんには到底耐えれない空間のはずだけど…何故知っている…?

あ、まさか…私は思い当たるのがあるぞー…?この姉好きな人の部屋に仕込んだな?

 

「お姉ちゃん…」

「しっ…言わないで」

 

クロだわ、これはマックロだよー?これはいけない…

これは議会に言わなければならない案件では?と妹は訝しむ。

言わないでってこっちに言っても…うーん、どうしよう…

今度第4部隊の兵舎を総ざらいするか…受信機があったら確実にクロだよ。

 

「まぁでも…確かにMk23は比較的にセクハラ受けてる筈だけど…でもおっぱいに手をぴとってされる程度でしょ?」

「えぇ、それでダーリンは満足しちゃうの…物足りないわ…」

「そこなんだよ、普通男ってそこまでしたら調子に乗ってグイグイ行きそうなんだけどね」

「つまり、議題に上がったヘタレ疑惑となるわけね…」

「そゆこと、言い換えれば慎重になってくれているって事だけどね」

 

ダミーも口々にボロックソに言ってたけどお兄ちゃんはヘタレで間違いない筈。

これだけ魅力的な女の子が集まって話ししてもグイグイ踏み込んだのは最初の数日間だけ…

それからは緩やかに一線引いて普通に指揮官してる…ちょっとスケベな男って感じ?

スケベなくせして目で見るだけで満足しちゃうようになっちゃうのはどうなんだろ…

Mk23に同意するわけじゃないけど私達は別に…ねぇ?

 

「417、何よその目」

「べつに~?」

 

堅物なお姉ちゃんだって迫ればきっとお願い聞いてくれるだろうにねー

 

 

「まぁあの人がヘタレなのは決定的に明らかね」

「グイグイ押してもMk23の例があるから効果は薄そう…」

「微妙にヘタレて精々行っても撫でる程度?」

「この前なんて見てもいいよって言ったら聞き返したくらいだよ」

「えぇ…」

 

皆揃ってお兄ちゃんはヘタレと認識…さて、ここでもう一つ疑惑が浮かんだぞ。

グイグイおしてもヘタレるし放って置いてもヘタレ気味だし…

 

「さて、ここでもう一つ…お兄ちゃんはもしかしたら童貞なのでは…と私は疑います」

「ほぅ」

「続けて」

「ぶっちゃけて言います、私とお姉ちゃんはお兄ちゃんの部屋に侵入したことがあります。そこで性に関してはえらく貪欲なのは確認済みです…具体的にはエロ本を漁ったんですけどね」

「ギルティ」

「ステイ、続けて」

「はい、そこで見たのはでっぱいからちっぱい、お姉さんから幼女まで各ジャンルありましたし…おそらく雑食であることは推測されます」

「異種姦ものまである業の深さだったわ…喜んで、グリフィンの人形の物まであったわよ」

「しかしながら現実の私達には一線を引いて触れるのすら勇気がいる…といった様子です…接触に耐性が無いとも見えます」

「なるほど…」

 

お兄ちゃん童貞疑惑に皆の目の色が変わった…初物を奪おうと必死かな?

あとお姉ちゃん、恥ずかしいなら横から口を入れなくても良かったのに…顔が真っ赤だよ。

ちなみに人形の薄い本は多分スプリングフィールドがネタだった気がする…ギルティ。

まぁ女に興味があっても触れるのに億劫になるほど臆病で見るだけでフンフン鼻息荒くなるのはまぁ…童貞臭いよねって話しさ。

 

「つまり…逆レも…」

「止めてあげて、FALそれはトラウマになりかねない」

「そうね…」

 

逆レはマズいよ、多分お兄ちゃんのメンタルだとトラウマになりかねないから。

やってもそうだね…手を取っておっぱい触らせるとか?それでも多分十分だと思うけど。

兎も角過剰なアプローチは逆効果だと思われる…

 

「つまりは今までどおりに接していけば問題ないのでは…?」

「そうとも言う…過剰なアプローチは厳禁だね」

「私達乙女同盟の決まりとしましょう」

 

こうして特に何事もなく議会は解散となった…かと思った?

 

「所で417ちゃん、侵入ってどうしたのかしらー?」

「え」

「興味なんて無いけど、アイツの護衛とか考えたら知っておいたほうが良いでしょ?教えなさい」

「あの、私は」

「良いから吐きなさい♪身体に聞いてみたほうが良いかしら…」

「ふにゃぁぁああっ!?」

 

おにょれ…FAL……結局私はお姉ちゃんのピッキングで侵入したことをゲロった。

わーちゃんの抑え込みが完璧で抵抗すら許されなかった…くそぅくすぐり地獄はいけないと思うなー…

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夜

 

 

「おにいちゃーん…あれ?」

 

返事がない、うーん何時もここで仕事終わりに騒いでると思ったんだけど…今日はどうしたんだろう?

キョロキョロと見渡してみたらソファーに寝転がって静かにしてる…寝てるのかな?

うーん…他に誰も居ないよね…そーっと近づいてお兄ちゃんの寝顔を拝見…

おーぐっすり…無防備な寝顔はちょっと可愛いかな?えへへ、ラッキー♪

とりあえず…膝枕してあげよ、疲れてるんだからこれくらいはしてあげないとね…

 

ここなら私も寝れるし…最悪寝ちゃってもいいよね…

でも…本当に、お姉ちゃん発信機はどこに仕掛けられたのやら…

この物音とかも聞かれてるんだろうなー…隠しカメラとかも仕掛けてたりして…おー怖い。

この前のピッキングといい…色々とアウトな事知ってるなぁ。

…私は風邪引かないしこうしたら良いかな…?上着を脱いでお兄ちゃんの掛け布団代わりにして…

 

「おやすみ、お兄ちゃん…」

 

私は瞼を閉じてそのままスヤスヤと寝息を立てた…

 

 

 

 

翌朝起きたら私にお兄ちゃんの上着が掛けられてた…寝顔は戴いたなんてメッセージがご丁寧にフォト付きで送られてた…

あれ?私の上着は?まぁいいや、お兄ちゃんの上着もーらいくんくん…えへへ♪

暫く堪能してもいいよね…ね、ねっ♪




寝ている無防備な女の子を見て襲わないのは紳士的と言うべきかヘタレと言うべきか
しかしまぁ下らない事で議論をやらかすのは平和だろ?(すっとぼけ)


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Day39 兵舎拡張工事開始!

スキンストーリーで見た兵舎は個室っぽかったのを思い出して…
あと春田カフェを出したかったので急遽


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「という訳で兵舎を拡張します」

「ふぅん?」

「もうそろそろ工事の連中が来るはずだから要注意な」

 

どうにも兵舎の要望が多く集まってじゃあ仕様変更だって事で拡張工事するらしい…今までの生活スペースが共同スペースに。

パーソナルスペースやロッカーは追加される個室にぶち込まれるんだって。

で、もうそうなったら部隊ごとに分けるのもって事で本体用の兵舎はもう纏められるんだって…デカい工事にならない?

土木建築用の人形が夜を徹して建築するらしいし2日程度で住めるようにはなるって話しだけど…本当かなぁ?

ちょうど基地の休暇に被るからOKなんだろうけど…

お、共同スペースに待望のキッチンスペースが出来るんだ、やったね!

20体分のスペースって事は人形の追加発注とかもまだあるのかな…ふーむ?

ペットスペースも確保されてここで飼えって話し?ふーん…わーちゃん歓喜だね。

 

「お兄ちゃん、この仕様書はコピーOK?」

「おう、いいぞー」

 

じゃ、遠慮なく読み取って…皆に周知しておこう…これは大改修だねー

その他職員の宿舎も大改修?ふーん…え?お隣になるの?これ大丈夫なの?

ほう?こっちは何だ…兵舎の一部を使ってのカフェ&バー…店主はスプリングフィールドだって?

ふーん…となると現在の第2部隊のマークスマンが居なくなるから代わりが必要に…まさか私が入れってオチかな?

シャワールームは…おや、でっかくなってるね…なんだろう?シャワーって感じじゃない。

大浴場…?おー、バスルーム!身体をざっぱーんって入れるのね…これは良いね。

この大改修は良いねー実に良い…お、ついに射撃場も追加されるんだね…

 

「いやー…要望に上がっていたのを可能な限り叶えたのでな…大工事だ」

「なるほどー…」

 

個室はベッドに簡単な机…ブックシェルフ…それに小さな冷蔵庫か。

洗濯は共用スペースに洗濯場があるね…そこで洗えってことかな?まぁ戦闘で破れたら交換だけどね。

まて、キッチンスペースもしっかりあるじゃない!これは良いわ…兵舎でお料理できるじゃーん!

カフェは旧第4部隊兵舎がそのまま改修されるのね…兵舎内に建てられてたらやばいことになってたけど…

…シネマルーム?おいおいおい…ここは兵舎だよね?アミューズメント施設じゃないんだよ?

こっちにはカラオケスペースだと?これよく申請通ったね…

 

「お兄ちゃん…」

「いや、言いたいのは分かるぞ…でもな、大事なお前たちの要望だから何とか通したんだよ」

「甘ちゃん…」

「好きに言えやーい」

 

大凡基地とは言えないような施設まで入ることになったけど…一部の人形が大喜びするんだろうね。

後から着任した人形が超驚くのが目に見えるよ…こんなに人形に甘い基地は他にないでしょ。

…いや、G&Kだ…他にも甘ちゃんな基地はありそうだ…いや、あるに違いない。

人形をおばあちゃん呼びしてベタ懐きしてる指揮官とか喫茶店に入り浸る連中が多い基地とか…

…考えたらキリがないな…もう止めておこう…

 

「で、417…もう身体は万全か?」

「うん、メンテナンス班がバッチリ直してくれたからね」

「そうか…もう無茶はするなよ…お前もこの基地の大事な家族なんだからよ」

「…照れながら言ってるーかーわいい♪」

「るせーやーい」

 

ぶんぶん頭を振ってたら不審に思われたか体調を聞かれてむんっと胸を張ったけど…

実際もう不備はないのは確認済みだからメンテナンス班の仕事は花まる満点。

お兄ちゃんはキザったい事を言ったけど言った本人がきりっとしながら顔を赤くしてたらスベっちゃってるよ?

可愛いから私はOKだけど。ふふふ♪

 

 

――――――――――――D08基地第3部隊兵舎・朝

 

 

「という訳で兵舎大改修らしいです」

「要望が多かったからねー…でも本当に全部叶えるとは思わなかったわー」

「スコーピオンのゲームスペースまであるんでしょ?」

「お風呂にサウナ…それは嬉しいわね」

「ダーリン…素敵…」

 

データを持ち帰ってシェアしてお話展開中、皆何かしら要望を出していたんだろう…

M14はバーに置かれる予定のダーツ、スコーピオンはゲームスペース…レトロアーケード筐体付き…ゲームセンターじゃないんだよ?

Uziはサウナ、半分ネタで要望してたらしいけど…実際に実装されて喜んでる。Mk23は何を要望したのかな?

答えは新しい着替え…なんだか一つMk23用にラインナップがあるらしくそれを欲しがっていた。

兵舎に対しては特に不満はないらしい…私?私は射撃訓練場…シューティングレンジとキルハウス。

倉庫の横に併設されることになるらしい…こっちは後回しになるけど訓練出来るようになるし…優先してもらいたいような…

もっと欲を言えばこの身長でも乗れる自転車とか欲しかったけど…不必要だしただの娯楽だから微妙かと思って申請してはいない。

ガレージに預けられてるらしい相棒との折り合いもついてないしね…次のお休みに見に行こうかな?

 

「ちなみにアーケード筐体はなーに?」

「格ゲーマルチ筐体とシューティング筐体…音ゲー筐体」

「ほぼ全てじゃねーか!!」

 

しかも詳しく見てみればI.O.Pが一枚噛んでるじゃねーか!!暇だなI.O.P!!

ほんと休みに暇~ってなることは無くなりそうだよ…まったくもー…

シューティングレンジとキルハウス追加もあるしお姉ちゃん達相手に訓練していけばあんなヘマはもうしないはず…

私、強くなるよ…もう心配なんてさせないもん…

 

「キッチンもあるみたいだけど…立てる人形数少ないよね?」

「あーこの部隊だと417だけだもんね」

「第1部隊のFALと第2部隊のスプリングフィールド…第4部隊は知らないなぁ」

「FALって料理できたの!?」

「お菓子作りにちょっぴり顔出したことあったよ?」

「「「うそだぁ」」」

 

皆のFALに対するこのイメージよ…チョコレート菓子に対する情熱はすごいよ?

自作したチョコスイーツはお世辞抜きで美味しかったし…普通に見た目も洒落ててセンスが光ってた。

エプロンはちょっとよくわかんないセンスしてたけど…

お化粧教えてくれてたし女子力あなどれないんだよ?女死力も高いけど…

皆戦闘時のあのハイテンションが先行してるでしょ…そういうの良くないよ。

ちょっと見せてもらったロッカーの中身とか季節物の服多かったし…色々女子してるよ?

 

「ぐぬぬ…」

「女子力磨きなよ…」

「わたくしも料理…したほうが良いのかしら?」

「男から見て料理のできる女は点数高いよ」

 

元男が言うんだ、間違いないよ。おらお前らも料理沼に落ちるんだよぉ。

 

「んん…ハァイジョージィ…料理に興味はないかい?」

「!…ないない」

「えー…料理は良いんだよ?ジョージィ…自作スイーツは美味しいよ?」

「騙されんぞ、ただただ手間なだけやろ」

「まぁまぁ確かに手間だけど…アピールポイントになるんやで、ジョージィ…」

「面白そう!ゲームするわ!」

「待てや!!」

 

「何この寸劇…」

「半世紀前のミームね」

 

くそぅ、沼に引きずり込めるかと思ったら…スコーピオンがノッてくれたけど結局ダメだった。

と言うかM14お前もペニーワイズ知ってるんかい…この基地オタ多い…多くなぁい?

いいじゃん、Uziも料理しようよ~料理友ほしいの~!!

 

 

――――――――――――D08基地キッチン・昼

 

 

「カフェですか…」

「増設というか再利用らしいけどね」

 

何時も通りに私がお手伝い、出撃に行く前のスプリングフィールドにお話していた。

割と同じRF人形って事もあって私とスプリングフィールドは仲が良い。

要望を出していたけど諦め半分だったらしい。自分のカフェを持てて嬉しいんだろうけど…

やっぱり懸念は出撃ローテーションにどう影響するか…だね。

まぁそこを考えないお兄ちゃんじゃないから手を打つんだろうけど…

 

「良かったね、念願の自分のカフェだよ」

「ふふ、ありがとうございます…お手伝いは随時募集しますよ?」

「やりぃ、暇を持て余すなんて事はなくなりそう♪」

 

カフェの制服みたいなのも考えていたみたいでI.O.Pに発注かけるみたい…私の服も来るかな?

来なかったらメイドで働くんだけどね…戦争終わったら私もカフェとか開いてみようかな…

そのためにもスプリングフィールドの美味しいマフィンの焼き方を学ばないと。

美味しいコーヒーは…うーん…そもそも天然の豆がそうそう手に入らないし…合成品になっちゃうからなぁ。

合成品が悪いとは言わないけどやっぱりなんだか後味が悪いんだよね…合成調味料の味って言うかなぁ…

 

「そういえば…バーも兼ねるみたいな感じだけど?」

「あ、はい…夜はバーにしようと思っていて」

「なるほどー?」

 

そういう事を考えると制服がなかった場合は夜はバニーになったほうが良い…?

あとダミーは働かせられないな…絶対酔ったお兄ちゃん達の毒牙に嬉々として掛かりに行くもん…

あとバーはお姉ちゃん出入り禁止かなぁ…お酒飲んだ時の凄みが…朧気に覚えてるけど…

有無を言わさず私に飲ませてきたような…私も飲んだんだっけ?よく覚えてない…

まぁ働いている時に飲むのは厳禁だから関係ないね。うん。

 

「でもそうなると…ママって呼ばれるんじゃない?」

「もう既に呼ばれていますよ…それにそれはスナックです」

「そうだったね」

 

ママ呼びが違和感ないのもスゴイと思うけどね。

 

「取り敢えずですが、416さんと417ちゃんはお酒厳禁ですからね」

「飲まない飲まない」

 

お姉ちゃんは飲みそうだけど…だれか止めるでしょ…私は多分止めれない。

止めないと多分大変なことになる。私は多分飲んだら記憶装置がバグるんだろう…

今度誰かに酔ってる間の私を録画していてもらおうかな?覚えてないほうが幸せとか言われると気になるし…

 

取り敢えず人間の頃に飲んでたビールで試そう…人形ボディになってからかもしれないし…

酒癖が悪いって事はなかったはずだけどねー…性格が変わるくらいだし酒癖も変わるかな?

 

「あら、いけない…もう時間が…」

「あちゃ…いってらっしゃい」

 

慌てて残りをかき込んでバタバタと出ていくスプリングフィールド。

話しながら食べていたらまぁ時間がかかっちゃうよね…悪いことをしちゃった。

さてと…私はこの残された食器を運んで…食器洗いしてっと…

 

「おっぱいちゃーんちょっとー!」

「はいはーい、今行きまーす」

 

お昼の食堂は今日も大忙しです。あ?何?ブルンバストを見せろだぁ?

下らない事で呼ばないで下さい、お盆でぶっ叩くよ?

 

 

――――――――――――D08基地兵舎付近・夕方

 

 

お、早速着工開始してるのかな?見慣れない人形が大工道具担いで動いている。

基礎づくりを開始しているのか大声であーだこーだ言いながらハンマーを振るってる…おー激しい。

アンカーボルトか…地中深くの硬い層にアンカー打って強い基礎にするんだね…ほうほう。

早速柱が立ってる…これで支えるのかな?第1第2…第3部隊兵舎まで囲う基礎のデカさよ…隣接してもう一個作られてるけど予算どれだけ積んだんだよ。

いや戦力拡大とかに費やせとは言わないよ?でもね…これはどうなのさ…良いのかよG&K…

 

「お住まいの人形ですかね?」

「あ、はい」

「明後日には兵舎をぶっ壊しますから私物はあちらの仮設住宅に移しておいて下さい」

「…なるほどねー」

 

仮設住宅と言う名のコンテナハウスが鎮座していた…あそこで明日明後日寝ろって話ね?

ロッカーとか中身移すの面倒くさいしロッカーそのまま担いで行こう…

 

「明々後日には本当に出来上がってるものですか…?」

「我々の建築スピードを舐めてもらっては困りますな!明後日には無事に住めるようになっていますとも」

 

スピード建築にも程があるでしょ…どうやって建築するつもりだよ…個室なんて20も必要なんだよ?

まぁ明日にはタネも分かることか…明後日は休み…明日には外出届けだけ出しておこう!




お風呂回を書く布石でもあるのですがね…417が弄られるだけの話しになると思うんですけど(迷推理)


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Day40 416のお料理入門

戦闘さえ出来てれば完璧?んなわけないじゃん
残姉ちゃんは申し訳無いがキャンセルだ!


――――――――――――D08基地仮設兵舎・朝

 

 

「で、お姉ちゃんはなんで私の所に…?」

「料理を教えて」

「理由を聞いても良い?」

「私は完璧なのよ?料理も出来なかったら笑いものだわ」

 

朝からお姉ちゃんが私の所に来ていた。待ってよ化粧中なんですけど…

まぁ順当にお姉ちゃんが焦る頃と思っていたよ。料理のりの字も知らなそうだったし…

戦闘と業務一辺倒で女子力は見た目以外壊滅的だもんね…

 

「ぎゃんっ!?」

 

こ、コイツ…私の心を読んだか…ナチュラルに読心すんなぁ…ゲンコツ貰った、痛たたた…

 

「暴力反対~…」

「で、教えてくれる?」

「ゲンコツしなかったらすんなり…」

「417が失礼な事考えるからよ」

「はいはい…そういう事にしておきますー」

 

最近読まれてなかったから油断したけど…元が同じ人形だからすぐに割れるわ…

逆もまた然りだけどね…私はなんとなーくお姉ちゃんの考えは分かる。

建前は完璧な~って何時ものだけど…実際はお兄ちゃんへのアピールポイント稼ぎでしょ。

まぁ確証は無いしそういう事にしておいて料理沼に引きずり込もう。

どこから教え込もうかな~?見たこともないって感じだし…

 

「じゃあお化粧終わったら…」

「待って」

「んー?」

「その化粧も教えてくれないかしら?」

「ウッソだろお前…」

 

お姉ちゃんが完全に私と同じ道辿ってません?あ、ふーん…(察し)

まぁ良いや…お姉ちゃん化粧なしでも全然キレイだしやっぱりここはナチュラルにしましょ。

化粧水はこれで…チークは薄っすら乗せていきましょ、アイラインとかお揃いにしても良いよね?

 

「取り敢えずナチュラルメイクでいーい?」

「えぇ、よろしく…」

「じゃ失礼して…」

 

私のメイクは終わったし次は私のメイク道具でお姉ちゃんのメイクじゃーい!

鏡をずーっと持ってもらって見てもらいながら化粧を施していく。

こうしてみると私達肌が白すぎるんだよね…もうちょっと血色が良くても良いよね。

シミひとつ無い真っ白って言うのも良いけどね…儚い印象を与えちゃうからねー…何でか知らないけど。

チークを乗せたらうん、ちょっと人間味が増してとっつきやすい印象かな?アイラインを引けばキレイなお姉ちゃんがよりキレイに…

目がパッチリした印象になっていいぞ~…とガン見してるからこれじゃダメだな…

 

「片目閉じてー」

 

がっつりガン見してるお姉ちゃんがこわーい…片目閉じてももう片方の目が瞳孔ガン開きなんですもの…

いや、貪欲なのは良いことなんだけどね…怖いわ。ルージュを塗ってる時とかもガン見してるし…

 

「じゃじゃーん」

「…ふぅん、まぁ悪くはないかしら?」

「だいぶ印象変わったと思うよ?」

「そうかしら…明日の朝もそれ貸しなさいよ」

「はいはーい」

 

うわーこんな所までデジャヴ…明日お休みだから買いに行ってねー?

まぁ一人で出来るかどうか横で見てあげるわ。これじゃどっちが姉か分かったもんじゃないわ…

 

 

 げ ん

 こ つ

 

「くすん…」

 

私の頭はそんなにポンポンぶっ叩いて良い代物じゃないよー?

 

 

――――――――――――D08基地キッチン・朝

 

 

朝のキッチンは調理班が忙しなく動いている。何時もの風景だ。

そんなキッチンに新しい風でーす、メイド服に身を包んだお姉ちゃんの乱入だ。

コック長にちょっとお願いして一角を貸してもらう…お姉ちゃんに料理を1から教えるからね…

今日はお手伝いできないと思ってほしい…うん…

元人間で料理を少し知ってた私と違ってお姉ちゃんは完全に人形で料理の事なんてぜんっぜん知らないし…データ渡してはいおしまい…ってすると何しでかすか…

人形の中には英国面丸出しな人形も居るらしいしね…何でもかんでもゼリー寄せしたら料理なんて言うんじゃねーぞ。

あとスターゲイジーパイは個人的に料理と呼ぶか迷う一品…見た目がエグいんねや。

 

それはそれとして…料理クソザコなお姉ちゃんにしてもらうのは…ずばり、卵焼きでございます。

朝に嬉しいメニューですからね、それに簡単な加熱調理だ。ささっとしてもらいましょう?

まずはデモンストレーションで私がお料理するんだけどね…

 

手順は簡単、生卵を割って溶いてそれからちょっと調味料を入れて味を整えて…それからフライパンで焼く。

焼いてる最中に折を見て巻かないといけないけどこれは慣れだしね…まぁお姉ちゃんの場合は焼く時間を秒単位でカウントしてるだろうし…

強火でさーっとやればすぐに練習できますよ、ええ。何度失敗するかはお姉ちゃんのセンス次第。

 

「はい、お姉ちゃん…やってみ?」

「こんな簡単なことなのね…ふふ、見てなさい」

 

簡単?いやいや…まぁ口で説明せずにやってみせただけだからどこまで理解できるか…

生卵を掴んで…それから…ぁー勢いよく叩きつけすぎたね?ぐしゃっと行ったよぐしゃっと…

 

「お姉ちゃん…?」

「一体…何が…悪かったというの…」

「力入れすぎ、この殻にヒビが入る程度に…だよ?」

 

人形パワーに物を言わせたパワープレイをやらかしてくれたよ…正直やると思った。

…卵の割り方真似しなくて良いよ、片手で割るのは大変だよー?あ、今何入れた?塩?ぉーぅ…まぁ味付けとしては良いのかな?

何だかんだ一発目から片手割出来るのはスゴイと思うよ?何だよパワーコントロール上手いじゃん…

溶き卵にする手際はお見事、見ただけでも十分だね…最初のパワープレイは一体…

 

「あーやっぱりそこ難しいか」

「くっ…」

「お姉ちゃん、ちょっと失礼するよ」

 

フライ返しで私と同じ様に巻こうとして失敗してる…誰もが通る道だから仕方ない。

ちょっと手を取ってから私がかる~く返してみてから…っておいこれまだ火が通りきってなーい!!

半熟は美味しいけどね…そりゃ難しいわけだよ…

 

「うーん…出来なくはないけど、さっきのタイミングはまだ早かったかな?」

「そうなの…?」

「そうだよ。まだ火が通りきってないよ…いわゆる半熟って所…美味しいんだけどね」

 

焦がしてもアレだったけど…まぁ次だ次、練習あるのみだよ。

一品加えるってことで頑張ってるんだからあと30回は練習できるから、ファイトだよ。

だから割り方…あー今度は殻が手から滑ってるじゃーん!!

 

 

――――――――――――D08基地食堂・朝

 

 

「お疲れ、お姉ちゃん」

「料理って難しいのね…」

「何も知らなかった状態から短時間であそこまで出来るようになったのは驚異的だと思うよ?」

 

無事32個の卵焼きを焼き上げたのだけど…まぁ出来はちょっと波がありすぎるかなぁ。

でも最後の方はパーフェクト、コツ覚えるの早すぎない?

まぁ出来上がったのがあれだし…名誉のために私がやらかしたって事にしてるけどね。

完璧主義者のお姉ちゃんからしたら失敗したのが出回るのは耐え難いことだろうし…

私は名誉なんて別に…って所だし。

 

「失敗したってマジ?」

「俺らのメンテが不十分だったか…?」

「かもしれねーな…」

 

おぉっと変な所に飛び火しちゃったぞー?どうしよう…事情を説明するとお姉ちゃんがアレだし…

かと言ってこのままだとまた…いや、リハビリついでだったって言えばOKか?

実際最後の方はパーフェクトなんだし…うぐぐぐ…心苦しい。

 

お昼も頑張るみたいな事言ってたけど…それよりこっそり練習できるほうが良いでしょ…

あの兵舎が完成するまで待ってなって…料理を触りでも知っただけでも大きな一歩なんだから。

…次教えるのは無難な野菜炒めにしますか。焼き物で練習したほうが良い。

 

「………」

 

おーぅお姉ちゃんがすごーく悔しそうな顔してるぅ…ダメだったか。

めっちゃ歯噛みしてギリギリ…禁句言われた時と同じような反応だぞー?

 

「まぁまぁ…お姉ちゃんはまだルーキーなんだから…」

「417…特訓に付き合ってもらうわよ」

「はひ…」

 

G11はどこかにいなーい!?こういう時の宥めつかせるのはG11とかの役目じゃなーい!?

お昼もおやつ時も夕方もこれ拘束されるパターンじゃないですかやだー!

あと私の教え方は取り敢えずやって見せてやらせてダメな所を指摘する仕方だからなぁ…

完璧主義者なお姉ちゃんには合わないのかも…教え方変えた方が良いよね…

うーん…どう教えたほうがお姉ちゃんに合うのやら…普通にコック長に教えてもらっても…いや、教え方同じだったか。

 

「416と417が面白いことを」

「してると聞いてー♪」

 

げぇっ、事態を拗らせるUMP姉妹がやって来た…というかお料理のこと話してないよね?どこで嗅ぎつけた。

まさかお姉ちゃんと同じく盗聴器どっかに仕掛けてたりする?

あ、こっちに目が合った…意味深にニコぉっと笑った…あ、ふーん(察し)

 

「笑いに来たの?」

「いやー?丁度おやつを作ろうかなーって思ってたから」

「アップルパイを一緒に作らない?」

「…作れるの?」

「「もちろーん♪」」

 

おーや、思わぬ伏兵でしたね。この姉妹もお菓子は作れると?それもアップルパイ…

おやつの一品としては十分だね。練習にもなると思うし…あと気心の知れた仲に教えてもらうのはまだ良いんじゃない?

その時のキッチンは貸切状態だし人目を気にする事は無いしねー

 

「じゃ、おやつ作りで特訓しよ?」

「…そうね」

「うわ、すっごく不服そう」

「お料理は楽しくしないとダメだよー♪」

 

お料理の道は一日にしてならず…あ?私?細かいこたぁ良いのよ。

 

 

――――――――――――D08基地キッチン・昼下がり

 

 

「という訳でー♪」

「アップルパイをー」

「作っていきましょー」

「「「おー♪」」」

「……おー」

 

不機嫌ありありとしたお姉ちゃんを他所に私とUMP姉妹はとにかく楽しくお料理することにしました。

私はお姉ちゃんにつきっきりで…UMP姉妹はデモンストレーションだね。

先ずはパイ生地を作っていくんだけど…薄力粉と強力粉をボウルに入れて泡立て器で混ぜ込む。いわゆる粉ふるいって奴だね。

この工程が終われば次はキンキンに冷えたバターを出す。まぁ冷蔵保存されてるからこれをカットしてボウルの中へ。

そして木べらで細かくしていく…練るんじゃないよ。

 

「どうしてこうも面倒が多いのよ…」

「あははは…あ、そこまででOK…次は水を入れて引き続き混ぜる」

 

まぁ生地づくりは寝かせる段階があるから時間がたっぷりかかる。面倒は多いけど出来上がったら美味しいから…ねっ。

混ぜ終えた生地は整形して冷蔵庫へポイ、一時間くらいかかるんだ。

 

「は?一時間も待つの?」

「マジだよー」

「じゃ、その間に今朝の失敗談を聞かせてもらいましょうか~」

「どんどんぱふぱふー♪」

 

おいやめろ、お姉ちゃんのメンタルが死ぬ。あと私も死ねる。

結局こうやってわーわー騒ぎながらのお菓子作りは何だかんだ成功で終わりました。

お姉ちゃんもアップルパイの作り方はしっかり覚えたみたいだし…少しづつレパートリー増やしていこうね。

 

やべぇ外出届出してなーい!って夜に慌てたのはナイショ




きっとだけどUMP姉妹は何だかんだ女死力高いと思う。
416は今から女子力上げていってもらう。あと姉妹でお料理とかしてもらいたい。


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Day41 休みの日にはお弁当を

お前のために早起きしてお弁当を作ったんだ


――――――――――――D08基地キッチン・早朝

 

 

今日はお休み、お兄ちゃんも遊びに出る日だ。そんな日には何をしたら喜ばれるか…

答えは一つ!お弁当作りでーす!お弁当をそっと出してあげたら出先で食事に困ることはないし…

何より手作り弁当って言うのはポイントが高いんですよ…えぇ!

この時間なら誰も起きてこないし朝にそっと渡すって事もできる…ふふーん。

とにかく男が好みそうなメニューをつめつめしないとー…なーにを作ろうかなー♪

お料理すること自体楽しいけど…誰かのために作るのは輪をかけて楽しい♪

 

「ふんふんふーん♪」

 

ついついハミングしちゃう、もう私を止めるものはなにもないぜー!ふはははーん。

可愛い容器はないけど…まぁそこに拘って量が足りなくてお兄ちゃんが空腹になっちゃ本末転倒だし。

今日はどこに出かけるんだろう…ま、私もどこに行くかとか言ってないしお互い様?

 

およ?こんな朝早くに誰か来た?物音がするぞー?

振り返ってみればあー、なんか納得。スプリングフィールドだ。

 

「おはようー」

「おはようございます、417ちゃん」

 

うっきうきでキッチンに入ってきてはエプロン装着、朝の支度を開始…料理こそ生きがいみたいな感じだね。

正直戦場に立ってるよりもキッチンに立ってる時の方が似合ってる気がする。

んー?それにしても今日の朝は何を作るつもりだろう…皆の分作るって感じじゃない。

 

「気になりますか?」

「まぁ…見た感じ二人前の分量だけど…」

「指揮官にどうかと思いまして」

「ほほぅ」

 

お兄ちゃんに朝ごはんかぁ…となるとそのもう一膳は自分用か?

ほうほう…そりゃ結構なことだ。朝はスプリングフィールドに譲るとしましょう。

お昼は私が用意してるんだけどね…ふふん。

こっちを警戒してるけど作ってるのは朝ごはんじゃないし。

 

「そちらは?」

「お弁当」

「お弁当ですか」

「そ、お兄ちゃんに渡すお弁当♪」

 

取り敢えずこれで目的は似てるけど被っちゃいない…危機回避だね。

お互い作る志向も違ってくるしはい、共有なんて事はできそうにないなぁ…

朝から油ものガッツリはイヤでしょ?私が人間だった時は朝からはキツかった。

スプリングフィールドもそこは承知してるでしょ…多分だけど。

お互い背中を向けてお料理に精を出していく…暫くするとスプリングフィールドもハミング歌い始めた。

やっぱり料理はこうでなくちゃね!

 

朝のプレートはイングリッシュマフィンとダブルチーズベーコンマフィンと淹れたてコーヒー…おい重いぞ?

ベーコンガン押しだね…朝からコレきっついんじゃない…?

対する私?お弁当は一口サイズハンバーグ3つとオムレツ、スパゲッティ、ポテトサラダにライスだよ。

作った余りで自分の分を詰めて…よし、これでOKかな…

 

「では、私は指揮官と食事をいただきます…」

「はいはーい…そろそろMk23が押しかけてる頃だけど平気?」

「大丈夫です、あの程度で狼狽えはしませんわ」

「そっか」

 

スプリングフィールドは行った…あとは可愛いハンカチで包んでおしまいだね♪

 

 

――――――――――――D08基地指揮官私室・朝

 

 

「お兄ちゃん、起きてるよねー?」

「ぉぅふ…はいはい、なんですかい?」

「ん♪」

 

丁度いいタイミングだったかな?お食事終わってお出かけ準備中のお兄ちゃんが部屋に居た。

ノックして開けると私服に着替えたお兄ちゃんがそこに居た…正直に言うとラフすぎなーい?

まぁ良いや…気楽に遊びに行くんだろうし…花柄な包にした弁当をそっと突き出して笑顔笑顔♪

欲を言ったら朝からおはようのハグとかしてみたいけど…過激なスキンシップはNGだもんね。

お兄ちゃんのリアクションは意外って感じだけど嬉しそう、よしよし…

間違いじゃなかった、ふふん…まぁ味も悪くないはずだしお昼は期待してよね。

 

「これ弁当?」

「そだよ、朝早起きして作ったの♪」

「サンキュ、お礼は何が良い?」

「じゃあ感想聞かせて」

「そんなのでいいの?」

 

そんなのじゃないんだけどねー…私からしたら最重要事項だから。

とにかく黙ってにっこり笑ってサムズアップ。

 

「じゃあね、私も遊びに出かけるから」

「おう、迎えが必要なら言えよー」

 

さてと、メイド服で出かけるつもりは無いし…着替えてからお出かけだね

あ、やべ…化粧してないすっぴんのままお兄ちゃんに会っちゃった…私のおバカ…!

と…とにかく…着替えてお化粧だ…今の私はボドボドダァー!!

 

 

――――――――――――D08基地仮設兵舎・朝

 

 

そう言えば工事中の兵舎だけど…あれはスピード建築出来るわ…どっかの工場で組まれた部屋をユニット化して運び込んでいた…

つまりはでっかいプラモデルみたいなものだ…基礎と接合だけ現場でやればOKってそりゃすぐ出来るね…

さっさと作るために日夜問わず動いてるから騒音もスゴイんだけどね…職員寝れてるんだろうか?

 

M14とかお寝坊助なスコーピオンも起きてるし…私のお化粧を興味深そうに見てる。

まぁ何時もは寝てる時に済ませてる工程だからね…見世物ちゃうぞこのやろー。

ちょっと今日は冒険してギャルメイク…濃ゆすぎるくらいだけど…これはこれで可愛いかな?

ヘアアレンジも加えようかな…あ、そういうの無理だ…パーマかける機械無いじゃん…

 

外出はどうしたって?申請間に合わなくて明日にずれ込んだんだよ、チクショウ

だから結局今日はどうしようか悩むんだよねー…お姉ちゃんの所に遊び行くかな?

スコーピオンはゲームし始めたしM14は街で買い物するって出ていった…

G11は買い込んだ寝具でぐっすりだろうし…今日は天気がいいし外で寝てそうだな…

折角の全員休みを寝て過ごすのは勿体無いし…うーん…基地に誰が残ってるかだなぁ。

 

こういう時の端末です…お姉ちゃんはどうなんだろ…あ、買い物に行ってるのね。

んーじゃあUMP姉妹は?あれ、居るんだ…お姉ちゃんだけで買い物かぁ…化粧品だな?

あ、そうだついでにエプロン…いいや、自分でちゃんと買おう…

 

ではどうしようか…FALは街の喫茶店に行くとか言ってたし…わーちゃんもそうだ。

スペクトラは今頃銃の分解整備してるだろうし…ステンは暇してるかな?

第2部隊の連中はエステに行くとか…SAAはコーラがぶ飲みしてるでしょ。

 

しょうがない、今日はスコーピオンとゲームして暇をつぶそうかな。おう、デュエルしろよ。

 

「今日はそんなカリカリするようなゲームじゃなくてさー…代わり番こでプレイしない?」

「ほう、例えば?」

「この名作ゲーム風のクロノアを1ステージごとに交代でプレイする」

「乗った」

 

如何に魅せプできるかの勝負だろ?こいやクソッタレ!!

このゲーム何回クリアしたと思ってんの?100%クリアすっぞおらー!!

 

「何してるのよ…」

「「見ての通りゲーム」」

「あっそ…後で私も混ぜなさいよー…」

 

Uziが眠たそうに起きて…また寝た。Uziの場合はゲームでパニクるからなぁ。

変な所でミスっておしまいになりそうだし…アクションゲーよりRPGとかの方が…

いや時間が足りないか…ん?誰か入ってきた?

 

「お姉ちゃん暇なのー♪」

「うにょわぁ!?」

「同じく暇~遊びましょ~?」

 

この姉妹は…!とにかく私のおっぱいを揉まなきゃ気がすまないのか!?

今まで45お姉ちゃんばかりだったのに9お姉ちゃんまで…びっくりしたー…

 

「……」

「な、何かな…お姉ちゃん?」

「ちっちゃいのにおっきくてふかふかなんて卑怯よ!」

「あにゃぁぁああああ!!揉みしだくなぁぁあああああ!!」

「うっさいなー…」

 

ごめんねUziごめんねぇ!うるさいって言うのは仕方ないね…

くすん…とにかく擽ったいから止めてほしいんだけどなぁ…

あとお兄ちゃんの目の前でやったら流石に怒るよ。ったくもー…

私が最初にプレイして無くてよかったよ…序盤でミスとか嫌だし…

 

45お姉ちゃんはさっくりセクハラしてくるのに対して9お姉ちゃんはけっこうガッツリしてくるのね。

家族判定貰ってから遠慮が無くなってませーん?もうちょっと遠慮を思い出してほしいなぁ…

こらしれっとまた揉もうとするな!どんだけじゃーい!

 

「がるるるる…」

「あはははーごめんて」

「で、今はこのゲームしてるのね…私達も混ぜてもらっても良い?」

「あーうん、いいよ~」

 

ゲーム仲間にUMP姉妹が合流した…9お姉ちゃんは結構なやりてだったけど…

速報:45お姉ちゃんゲームクソ下手でした。

 

「え、これどうするの?待って待って敵が近いんだけど!?あ~!!」

「いやその仕掛けは…」

 

ゲーム脳じゃないから分かんないのかも…?にしても何時も余裕そうな45お姉ちゃんがテンパってるのは面白いなぁ。

シューティングゲームとかさせたら余裕ぶっこきそうだけど…あ、乙った。

 

「なんなのよ!これ人形がするもんじゃないわ!!」

「はい、次9お姉ちゃんね」

「はーい♪45姉見ててよね」

 

45お姉ちゃんがボンバーマン大会で速攻乙ってたのは9お姉ちゃんの妨害以外にこういう所かな…?

おー妹のプレイに見入ってるけど身体べったりすぎなーい?

そしてしれーっと手がワキワキとしていて何を狙ってるか見えてるようなんですけど?

コイツ…美少女の皮を被ったセクハラオヤジじゃなーい?

 

「擽ったいよー45姉ー」

「傷心なお姉ちゃんを慰めて~」

「「うわぁ…」」

 

思わず私までうわぁって引いちゃったけど仕方ないよね?

絶対この45姉傷ついてないし9姉も嫌がれよ…何普通のスキンシップみたいな反応なの?

一切動じてないし…ゲームプレイしながら片手間に頭撫でてるし…

いや、お前らどっちが姉だよ…あ、私と目が合った…

 

「次は417~あんたが慰めて~」

「あーはいはい…」

 

この後めちゃくちゃ悲鳴をあげることになった…戦闘でもないのにヘロヘロになったのは言うまでもないよね。

お兄ちゃんのセクハラ魔が伝染ったな…?




次回は(多分)お出かけでーす


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Day42 二度目の買い物

二度目のカチコミ


――――――――――――D08基地仮設兵舎・朝

 

 

朝だ…ふぅ、昨日は夜遅くまでゲームに明け暮れたなぁ。

しかし45姉がゲーム壊滅的に下手っぴっていうのは予想外だったなぁ。

おかげで珍プレー連発で笑いが絶えなかった。ああやって皆で笑いながらゲームするって久しく無かったなぁ。

ただ私がミスった時におっぱい揉みに来るのは止めてほしかった…なんで私だけ罰ゲーム付きになってたんだろう?

発育チェックって人形だから成長もクソも無いでしょ…それとも人間臭く多少の増減はあるって話?

これ以上おっきくなっても困るだけなんだけどなぁ…最悪パーツ交換でしょ…

 

まぁそんな下らない事はさておいて…今日の予定だ。

今日は一日まるっと基地が休みなのを利用して兄の所にカチコミを行う。

あとエプロンとお裁縫とかに使う材料を買って…編み物とかにも手を出してみようかな。

というか家事全般的に出来るようにしておこうって思うから道具を揃えないとね。

結局ショッピングモールに行くことになるかなぁ…うーむ…

 

まぁでもその前にお姉ちゃんに呼ばれてるんだった…メイク見てあげないとね。

自分のメイクはその後でも良い、お姉ちゃんは起きてるかな~?

起きてなかったら叩き起こすだけだけど…私の用事もあるんじゃい。

 

「という訳でおはよー」

「おはよう、今日も早いわね」

 

お姉ちゃんは起きていた、45姉と9姉は揃って…一緒の布団に入って寝てた。

仲良きことは良いことかな…うぅ、私もお姉ちゃんと一緒に寝たくなったぞ…

寝顔見比べるとまぁー似てますこと…ちょっと端末で撮っちゃおうかな。

 

「そんな事してないで見てくれない?」

「あ、ごめんごめん…」

 

お姉ちゃんから怒られた…私から口出しすることは多分無いと思うんだけどね。

見てる感じは何も不自然なことはない…私と同じでちゃんと出来てるけど…

うん、一度見たら完璧だね…流石お姉ちゃん。

隣で見てても全然ダメ出しすること無く終わった…お姉ちゃんはちょっと不安そうだけど。

ぐふっ…上目遣いで見てくるお姉ちゃんがツボに入った…これは凄くクルね…

 

「417?」

「な、何でもない…それより一人で全然出来るじゃん…」

「そう?まぁ当然ね…私は完璧だもの」

 

危ない危ない、お姉ちゃんへの愛が鼻から出そうになった…出たら出たで心配してくれるんだろうけど…

うん、お姉ちゃんの渾身のドヤ顔も拝めたし今日は幸先が良いね。

あとお姉ちゃんはお料理を練習したら女子力もまぁいい具合なんじゃないかなー?

結託してお兄ちゃんを永遠と堕落させるのも手かな…むふふふ…お姉ちゃんが乗ってくれたら心強いぞー

まぁまだお姉ちゃんには話さないけど…お姉ちゃんが独占欲の塊だった場合私から排除されかねないし…

 

「417、ちょっとこっちに…」

「んー?」

「ふふ、2ショットを撮ってみたかったの」

「あ、待ってじゃあ私もメイクさせて…」

 

メイクして自撮りしてたらUMP姉妹が起き出して私達姉妹揃って揉まれた。

お姉ちゃんにまで被害が飛び火し始めたぞー?尚お姉ちゃんはしっかり反撃した。

私?いやまぁ…激しいスキンシップは嫌いじゃないし…反撃するほどイヤじゃないし…

 

 

――――――――――――

 

 

さて、縦リブセーターに着替えて私はショッピングモールに降り立った。

今日のトランポ役は同じくこのショッピングモールに用があったコック長だ。

前に来た時と同じ様に私は単独行動、この付近は治安がいいから女の子一人でも全然平気だもんね。

私の実家付近はちょっと怪しいけどね…ごろつきって程じゃないけど不良は多い。

取り敢えず今日のマストターゲットをさっさと買っちゃえ。

あとラフな格好の為にシャツとジーンズ位は買っておこう…流石にシャツなら私のおっぱいでもOKでしょ。

最悪男性物を買えば…お腹周りとかダボダボになりそうだけど…

エプロンと布とかはどこに行けば…手芸店?まぁ良いやそれっぽい所を見て回ろう…

 

お、ユニクロだ安くて良いんだよね…特にこだわりがないオフ用の服ならここでOKかな。

失礼しまーすっと…私のサイズのシャツとジーンズはあるかなー?

あ、やっぱし子供サイズのジーンズになるかぁ…うーんヒップ入るかぁ?

ウエストサイズはまぁ良いんだけど…取り敢えず試着だー適当なシャツもひっ捕まえて…試着室は奥だね、レッツゴー!

 

あ、ちょっとまってシャツ伸びる…これは酷い…あ、ジーンズもヒップがきっつい…!

シャツは試着時点で伸ばしちゃったから購入決定…ジーンズは店員に相談してから一つ上のサイズを裾上げして貰うことに。

わがままボディですねと言われたけど…うん、まぁその通りですね…はい…

という訳でシャツ3着とジーンズ2着、タンクトップ1着を購入。オフの日にゆっくり出来るかな。

あ、あのアウター可愛い、ちょっと羽織るのには最適かも…

 

ふぅ…ショッピングモールは甘い罠の集まりね…あっちこっちに目移りしちゃう…

可愛く着飾りたいと思うとあれやこれやと目が行っちゃう…シャツ一枚だと味気ないけどアウターも合わせると可愛くなれるし…

ラフな格好から一歩出た程度だから気楽だし…んー…素晴らしいと思うの。

後は裁縫の為の布地とエプロンを買おう。エプロンを買えば一々メイド服に着替えずにお料理出来る。

出来れば可愛い柄のエプロンがあればいいなー…猫ちゃん柄とかあったらよし!

手芸店に2つともありました、やったね。あと毛糸と編み棒もあったから購入…むふふー♪

 

買い込んでパンパンになった手提げ袋をハンヴィーに乗せてから私は今日の目的地…兄の家へレッツゴー!

あ、途中でお昼ご飯買っていこう…おに…兄と一緒に食べるんだー

 

 

――――――――――――

 

 

「あ、もしもしお兄さん?今日お休みだからそっちに行くね…あ、お昼まだでしょ?買っていくから一緒に食べようね…面倒じゃなーい食べるの!良い?よろしい…じゃあね」

「あー…お客さん、あの付近に住んでるの?お嬢ちゃん一人だと危ないよー?」

「ん、こう見えて腕っぷしには自信あるので平気平気」

 

タクシーで移動中電話して連絡してたら運ちゃんに心配された。

いざって時の自衛手段はあるし…人間相手に人形が遅れを取ることは無いんですよ。

ましてや私は戦術人形、ゴロツキくらいならかるーく捻れるんですから。

あとミラー越しに私のおっぱい見るなし、前見ろー

 

「はい、支払いはカードで…」

「ありがとうございました、またのご利用をお待ちしております」

「うん、またねタクシーのオジサマ♪」

 

さーってと、お昼ご飯は何を買っていってあげようかなー?お、カツ丼がセール中これだね。

二人分買って後は自宅まで直だね…また散らかしてなければいいけど…

まぁまた散らかり放題なんだろうなーものぐさだし…妹としては片付け甲斐があって良いことですけど!

私の部屋の物ちょっと基地に持っていこうかな…あとガレージの場所を聞いておかないと…

 

およ?あの自転車は私のだ…きちんと整備されてる…うん、私の今の身長じゃペダル漕げないかな。

いや、ギリギリイケるかな…あ、ダメだスカートがめくれて大惨事になっちゃう。

乗り降りもこれは出来ないな…パンモロしちゃう…乗るならジーンズに履き替えてからだね。

意外と低身長でも乗れるものだね…最悪これで帰るのも手だけど…んー…ハンヴィーに乗るかな?

まぁ良いや…それより兄とのランチタイムだ…

 

「お兄さーん、妹が帰ったぞー♪」

「おぉ…おかえり、変なやつに絡まれたりはしてないか?」

「無い無い…つーかジョークを軽く流すな」

「そうか…久しぶりに一緒にゲームするか?」

「それも良いけどそれよりご飯にしよ?」

 

片手に提げたカツ丼を見せてにっこり微笑む。

兄さんはゲームの手を止めてノロノロとテーブルについた。

思ったよりは散らかしてないけど…やっぱりお掃除したときに比べて散らかっている。

あ、カレーの鍋洗わないで放置してるー!うわ、くさっ…しょうがない、後で洗わなくちゃ…

 

「それにしても…現実は小説よりなんとやら…ってやつだな。弟が超絶美少女な妹になって帰ってくるなんてな…」

「…マジで気づいたの?というか…信じてるのそんな事」

「おう、それで…今は幸せなんだろ?」

「うん…まぁ、新しい家族って言っても良いような大事な仲間が出来たし…あ、もちろん兄さんも大事だよ?」

「今、どこに住んでるんだ?」

「G&K社の前線基地」

「危険じゃないのか?」

「まぁ危険といえば危険だけど…私こう見えて強いんだし」

 

包み隠さず言ったら間違いなく私がバカだし…呆れられるだろうから言えなーい…

世間話というか私の近況を話しながらのお食事になった。

今の私は戦術人形であり人間じゃなくなった事、前線基地で働いていること。

新しい家族…家…そこでの日常を話してそれで今も幸せだって事を伝えた。

ここで過ごしていた平和とはまた違った幸せが今の私にはある…

もっとも、この身体になるまでここでの日々が幸せだった…っていうことに気づかなかったんだけどね。

 

さて、お食事が終わったらお掃除じゃー!生活力皆無な兄の代わりに私がやるしかないんだよぉ!

 

「すんすん…兄さん、お風呂ちゃんと入ってる?」

「……」

「入ってないでしょ、臭うよ…ゲームしてないでお風呂入れるから入りなさい」

「めんど」

「面倒くさいじゃありません、締め落とすぞヒキニート」

 

このヒキニートは…手間が増えるなぁ…まったくもー

お掃除にお風呂と動いてる私を他所に兄はゲームを再開させてるし…

区切りが良いところで中断させたろ…そうしましょ。

…お風呂を沸かしても入る気配が無かったので絞めたのはナイショ。

 

「暴力女…」

「なんか言ったかヒキニート?」

「なんでもねぇよ…」

 

風呂に入って清潔になった兄と並んで対戦ゲームと洒落込む。

やるゲームは私と兄の十八番、レースゲームだ。対戦型で2Pで出来るのは限られるんだけど。

大手の所でマリオカートだ。好みの差で兄は重量級、私は軽量級を選択。

実力は五分五分、いざ尋常に勝負!

 

「はっはー!ざまぁねぇな!!」

「うるせぇよ…トゲゾー行ったぞ」

「え、嘘…ぎゃああああ!」

「調子に乗るからだぞ」

 

緑甲羅ぶつけてトップに躍り出たと思ったら妨害アイテムが直撃。

結局私と兄の勝負は兄が勝った…くそぅ…

 

「ま、ゲームして改めてお前はお前だな…こんな姿になっても変わってない…生きててくれてありがとよ…」

「……あっそ」

「見てわかったと思うがガレージからお前のチャリ戻しておいた…持ってくなら持っていけ」

「その…ありがと」

「お前が二次元の存在だったら今頃襲ってたわ」

「言ってろピクトフィリア」

 

うん、やっぱりこの兄最高だわ…ただ襲う発言はいただけねーぞ。

ゲーム楽しんだ後は掃除して食器洗ってお洗濯とかもして…あらかたの家事をした。

また来週の週末に来れたら来るとだけ伝えて私は帰路についた…

時間はあるし…ちょっと危険だけど自転車で移動しようかな?

 

あーやっぱり無理!スカートがめくれてパンモロだよぉ!へい、タクシー!




口うるさく世話を焼く姿はオカン?それとも女房?


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Day43 新しい宿舎

こんな宿舎作者も住みたいよ


――――――――――――D08基地仮設兵舎・朝

 

 

「出来たぞー!!!」

 

朝から万歳三唱聞こえてきて叩き起こされました。何事ですか?

騒いでるのは建築の人形ですね…出来たぞーって騒いでるからまぁあれでしょうね…兵舎が出来上がったんでしょう。

じゃ、この仮設兵舎は回収されるんでしょう…サヨナラコンテナハウス。

またロッカーに私物ぶち込んでえっちらほっちら運ぶことになるんだろうなー

G11が駄々こねるのは目に見えてるし先んじて運んでおこうかな?

 

まぁその前にメイクメイク…今日は私達が午前出撃だしささっとしないとね。

朝ごはんも食べて元気に警備に向かいましょう!

という訳でおらさっさと起きろスコーピオン、隊長のテメーが寝てちゃいけないでしょー!

 

「ふがっ!?」

「起きようねー♪」

「ふがふがふがふっ!」

 

鼻を摘んでみたら面白いリアクションをどうもー普通に揺すって起こしても中々起きないんだからね。

布団を引っ剥がす程度でも起きないし…どうしてこうも寝坊助は面倒なのか。

お、起きた起きた。この部隊一番の寝坊助がさっさと起きたしあとはM14とUzi起こせばOK

 

「ぁー…」

「はい、起きるー!朝だよー!起きろっつってんだろ!」

「んんっ…ふぁぁぁ…おはよー」

「なによもー…うるさいわねぇ…」

 

よし、M14とUziはこの通り号令かければ起きてくれるから良い。

寝癖がついてるから整えてきなよー未だ寝ぼけてるスコーピオン引っ張って私は食堂へ。

さっさと食って出撃するのよ。シャキッとしなさい隊長?

 

 

――――――――――――D08地区前線・朝

 

 

「はぁーぁ、ダーリンとのイチャイチャが中途半端で消化不良だわ…」

「そういうのは帰ってからにしなさい…」

「よくもまぁ人目を気にせずできるわねー」

「M14ー敵は見えなーい?」

「敵影なーし」

 

いつものゆるゆるフロントラインです。敵影は私から見ても無し。

本当にこれで前線なのかって位平和なんだよね…D地区がそうなのかもしれないけど…

激戦区のS地区は日夜ドンパチかましてるって聞くけどね…呪いのS02地区の話は私も社内報で見たし。

流れてくる鉄血人形はどれも程度の低い物ばっかりだし偶に装甲型が混ざってくるけどズタボロだったり…

The寄せ集めの烏合の衆って感じで攻めてくるからねー…ハイエンドなんて来ない来ない。

 

「417ーちょっと双眼鏡貸してー」

「ん?はいはい、どうぞ」

「さんきゅー」

 

スコーピオンが双眼鏡を要求してきた…何するんだろう?

上空を見上げてる?今日はドローンは持ってきてなかったはずだけど?

 

「バードウォッチングってのやってみたかったんだよねー」

「がくーっ…」

 

こいつ…任務中だってことを忘れてんのか…呑気に鳥を見てる場合かー!

こらそこのMk23は欲求不満だからって自分で胸揉んでるんじゃない、痴女か。

隊長がこの調子だから周りもおふざけムードだよ…任務に集中しろー

しかし…コーラップスの影響が少なからずあるはずなのに…この付近は自然豊かだし動植物も少なからず見かける。

つくづく前線とは思えないよ最前線のあの荒れ果てた荒野とは違うね…

 

「遊んでるんだったら返しなさい」

「えー…隊長権限で貸してなさい」

「……チッ」

 

しょうがない…索敵はスコープでやるか…舌打ちした私は悪くないぞー

 

「構えて何か居たのー?」

「……」

 

キレていいかな?私キレてもいーい?索敵に双眼鏡使うのに遊んでるからでしょー?

このふわふわ小隊ほんとやだ。キリッとした第4小隊に移りたーい…

 

 

――――――――――――D08基地兵舎・昼

 

 

「いや、デカいな…」

「すっごく広くなったねー」

「誰がここまでしろっていったのかなー…あははは…」

「お風呂入ろうよ、お風呂」

「そうねー」

 

出撃から帰ってきた私達を迎えたのは完成した兵舎だった。向かい側には職員用の宿舎もあり…似たような作りだ。

都合40名分の個室を備えた大型の宿舎になったし共有スペースは職員の人と被ることに。

お風呂は流石に別れてるみたいだけど混浴も可能だってさ…覗きとかないよねー?

基地の皆の荷物も運び込まれてもう仮設宿舎は撤去されていた。

これからはそれぞれ割り振られた部屋での生活になる…ある意味女子力も試される時だね。

 

お姉ちゃん達は交代で出撃していったし…今日の疲れを解すためにひとっ風呂浴びてきましょう!

でっかいお風呂と聞いてワクワクしないわけないでしょー…あ、メイク落としておかないと。

サウナっていうのも初めて聞く施設だし楽しみなんだよね。

今までは小ぢんまりとした更衣室にシャワーだけだったけど更衣室もでっかくなってるなー。

お、姿見とかもある…改めて私の全体を見る…もうやましい事は浮かばないね。見慣れてしまった。

隣ではUziが脱いでる…特に恥ずかしがる様子もないし私も特に思うことはない。

着替えのシャツとジーンズを置いてさて…いざ、入浴の時間です。

 

「これは…凄く良いわ…!」

「コレ何、ジェットバスじゃない!」

「こっちは滝みたいよー」

「これがサウナね…」

 

何この…何?下手なレジャー施設より整ってないかしら?

一個小隊全員が入れるジェットバスに大浴槽、滝打ちにサウナ…体を洗うスペースも確保されているし…

それぞれ興味がある浴槽に突撃していったけど私は取り敢えず体を洗いましょ。

髪が長いしこのバカみたいにおっきなおっぱいもね…ふぅ…

あ、ここにはシャワーがくっついてるのね、便利…ボディーソープもあるじゃない。

あ、でもそろそろ個人用のを持ったほうが良いわよね…んー…香りは嫌いじゃないけど。

 

湯温はちょっと熱いくらいだった、まぁ我慢出来ないことじゃないね。

マナー的には体を洗わずにどぼーんはNGだけど小うるさく言ってもねー…

伸び伸びとするのが良いだろうし…あ、そういえば…ここの清掃とかどうするんだろう…

専用の職員を雇うのか…それとも私達で清掃ってことになるのか…

 

まぁ今は気にしても仕方ないか…さてと、身奇麗にしたし私も湯船に入ろっと…

ん、こっちの湯もいい具合…ほふぅ…これは良いね、癒やされる…

 

「…じー」

「んー?」

 

大浴槽に入って肩まで浸かると隣から視線を感じる。なにかと思ったらスコーピオンがこっちを見ていた。

頭もぐっしょりだからさっきまで滝に当たっていたね?で、何を見てるのかなー?

 

「Uziもスゴイけど417はもっとスゴイ…」

「は?」

 

いや、何いってんのコイツ…目線が下?あ、ふーん…そっちを見てたわけね。

まぁ確かにスゴイデカさだけど…案外浮かぶものね、おかげで肩が楽なのよね。

人形の身体って作り物だからこの辺浮かばないかと思ったら…拘ってるのかしら?

Uziの胸も大きいから浮くのかしら?まぁ私のが浮いてるし浮くんだろうなぁ。

混浴は?ちょっと外に露天風呂が掘られてるらしい。暑い時期にはプールにして遊べるかもね。

ここまで言えば職員用の宿舎と近いことは分かるでしょ。

ついでに言えばその露天風呂を経由してこっちにまで来れるってことだと思うんだけど…人形側のドアは自動ドアになってるね。

人間が近寄っても反応しないから侵入は難しいかな?無駄にハイテクだな。

 

「ふぅー…新しい兵舎最高だね」

「まぁあの指揮官にしては思い切ったことしたわよね」

「Mk23は?」

「サウナに篭ったわ、暫く出てこないんじゃない?」

「サウナはどんな感じだった?」

「もっと小ぢんまりとしてるかと思ったら普通に私達入れるわよ」

「え、じゃあ入ってみようよ」

 

わーわーぎゃーぎゃー騒ぎながら私達は仕事の疲れを流していった…

サウナで私とUziがイジられたのはナイショ。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎417個室・昼

 

 

ここが今から私の生活基盤となる個室かぁ…小さな窓ガラスから外は把握出来る。

中の間取りは質素なワンルーム、いくらか上等になったベッドにクローゼット…デスク。

私物のぬいぐるみがベッドの上に転がっている。ただまだ殺風景な印象だ。

これをどう飾っていくか…これからだね。来週末はファンシーショップで色々買い込むかな。

…やっぱり異質だよなぁ、ロードバイク…また乗りたいけどねぇ。

室内の壁に立てかけるように置いているけどかなり異質だ…どうにかしないとなぁ。

ピンクにリペイントしようかな…いや、ハンドル部分だけピンクのテーピングに変えたら良いかな…

 

あと自室でも出来る何か暇潰しを買っておかないとなぁ…

今は共有スペースのゲームスペースとかで暇をつぶすしか無いかなー?

いや、ここはお菓子を作りにキッチンに行くか…?

まぁ暇潰し先が用意されてるのは良いことだね…個室は寝る場所だね、今のところは…

 

…いつかお兄ちゃんを連れ込んだりしてみたいなぁ…うぇへへへ…♪

は…いかんいかん、ついトリップしてたぞー…あ、そうだカフェ見に行こう…

スプリングフィールドがどんだけウッキウキでオーナーしてるか見てみよう。

 

 

――――――――――――D08基地カフェ・昼

 

 

旧第4宿舎の中身を大改装して出来上がったカフェはかなりお洒落だ。

まぁ街のカフェと比較してもお洒落だ、来客を知らせるベルが鳴り中に居たスプリングフィールドがこちらを見る。

エプロンして髪をポニーテールにして…あらま、可愛い…

今やってるのはコーヒー豆を挽いてるのかな?天然物だろうか…わかんない。

合成物でも美味く淹れるから関係ないか。さてと…

 

「お手伝いは必要かな?」

「まだなんとも…それより何にしましょう?」

「んー…ブラックで」

 

料金は給料天引きなので心配はなしだ。午後の開始はこのカフェで始まる。

ちょっと優雅な昼下がり、ふふ…良いねカフェ。

 

あ、そう言えば増員するらしい、やっぱり第2部隊のマークスマンのスプリングフィールドが抜けるようなものだからね。

3体の人形が追加かぁ、誰が来るんだろうか…




所でなんでD地区って話しですけど…S地区があるならA地区とかもあるよねって安直な話しです。


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Day44 増員予定

3体追加でーす、あとシューティングレンジでの射撃訓練


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「新しい人形の発注をかけた…さーて何が来るか楽しみだなぁ」

「ふーん…」

 

朝からお兄ちゃんが変なテンションだったから何事かと思ったら増員かぁ。

資材を投入してI.O.Pから人形が搬送される。今回は3体…これでこの基地に所属する人形は20体になる。

納入は明日になるらしいけど整備マニュアルはもう送りつけられるらしい…工廠に行けば何が来るか分かるって話だね。

まぁ今日は出撃だし帰ってからの事だね。どんな人形を発注したんだろうか…?

第2部隊の穴埋めもあるだろうし狙撃銃は一丁あるだろうなぁ…

 

「そもそもだが部隊の再編を行うつもりなんだよな…」

「へぇ?それはまた何で?」

「戦力バランスを見直そうと思ってなー…」

 

第2部隊のバランスは悪かったしねー…まぁ順当なのかな?

実際に動くのは増員が到着してからだろうけど…到着した人形が揃って曲者ぞろいだったら笑いにもならないけどねー

例えばの話だけど対物ライフルが来たら取り回しが悪いどころの話しじゃなくなるし…

かと言ってリボルバーが増員に来てもこれまたリロードに時間がかかるし火力に難が出る。

無難なARが増員に来てもらった方が良いけど…お兄ちゃんがどんな発注の仕方をしたかが不明だからなぁ。

まぁI.O.Pの変態共がどんなのを寄越すかにかかっているね。

 

「さ、417はさっさと準備に行ってきな」

「はーい、帰ってきたら撫でてよ?」

 

手をワキワキして返してたけど…変なテンションだし…いやぁ、まさかねぇ…

とにかく出撃準備だ、イクゾー!

 

 

――――――――――――D08地区前線・朝

 

 

今日はドローンが飛んでいる…戦術データの蓄積の為だとか言ってるけど実際はどうだか?

ちょっと上を向いて手を振ってみるとお兄ちゃんからのツッコミが飛んでくる。

あと小声でブルンバストとか言ってるのばりばり聞こえてるからね?

呟くなら無線切ってから言おうねー人形の耳を舐めちゃいけないよー

 

「戦術データって言っても敵が来ないとねー」

「そうそう…っとぉ?」

「M14ナイス、ありゃ敵だね」

「突撃ィー!!」

 

敵発見の報告をしてから方角指示…スコーピオンが突撃していったのでそれにドローンは追尾していった。

この様子だと私達が出る幕あるかな…まぁ撃ち漏らしを潰していきましょ。

 

「指揮官、指示を」

『データ回収が目的だし狙撃は最小限に、撃ち漏らしを掃除してくれ』

「了解」

 

私とM14はほぼ暇か、まぁ仕方ないね。狙撃で全部片付けちゃったら戦術データもクソも無いしねー

一番ローリスクで確実な手段だけどデータとしてはなにもないと同じようなものだしねー

という訳でスコーピオンとUziが主に頑張れーMk23は索敵と陽動だし…

 

ま、私は伏せて何時も通りにやるだけよ…私は完璧なんだから。

 

「今の危なかったんじゃない?スコーピオン」

『いやーメンゴ助かったわー』

 

完璧な狙撃手が居る戦場は安心して良いわよ、ふふ…

その後連続して接敵、同じ様に撃退していったが…最終的にはスコーピオンとUziの弾切れが発生。

撤退させて変わりに私とM14で残りを殲滅…なんていう珍事が発生したことをここに記しておこう。

試しにって事でちょっとおっぱいリロードを試したけど案外良いね。タクティカルアドバンテージになる訳ないけどリロード速度はちょっと上がった。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

撃ち続けてクタクタに疲れたといったスコーピオンに代わって私が報告書を纏めて提出に来た。

お兄ちゃんはデータコンソールとにらめっこしていて書類仕事を副官に投げてる。

今日の副官はわーちゃんだ。ぶつくさ文句言いながらも丁寧に仕事している。

ツンデレ副官の鑑だね、仕事は何だかんだ出来てる方だから良いんだろうけど…報告書がちょっと…らしい。

 

「はい、これ先程の出撃の報告書です」

「はいはい、見ておくからもう下がっていいわよ」

「はーい…お兄ちゃん、なーでーてー♪」

「どわっ」

「私はご褒美を要求するぅー!」

 

コンソールと顔突き合わせているお兄ちゃんの背中にべったり抱きついてかまってアピール。

ふぅ…実精神年齢考えるとキツイけど見た目とか考えたらセーフセーフ。

それよりご褒美をよこせーお兄ちゃんのナデナデが欲しいのー!

 

「ほんと任務中と別人だよな…どこを撫でれば良いのかなぁ~?」

「頭に決まってるじゃん」

「チッ…ですよねー」

「おっぱいって言ったほうが良かった?」

「え、あ、いや、大丈夫です…」

 

ふふん、やっぱりヘタレだね…変なテンションになってるのは間違いなかったけどセクハラ魔は鳴りを潜めてるね。

この分だと新人さんは最初の毒牙にかかることは無いかなー?どうかなー

とりあえずいっぱい頭を撫でてもらって私は大満足です、えへへへ…

わーちゃんが居る手前もっともっとなんておねだりはしなかった。

撫でてもらってる最中のわーちゃんの表情がおもし…怖かったし…

 

別におっぱい撫でてもらっても私は構わなかったんだけどね~男の欲望は分かってるし。

 

「で、新しい人形の資料とか送られてきたの?」

「えぇ、ここにあるけど…まだ指揮官も読んでないんだから見ちゃダメよ」

「はーい…」

 

お兄ちゃんは戦闘データの整理に夢中だし…暫くは見ないんじゃないかな?

ちょっと本当に仕事してるか覗いちゃえ…じー…

 

あ、ふーん…私のおっぱいリロードの瞬間を見てた…

 

「お兄ちゃん?」

「あ、はいこれはですね…」

「言い訳無用、まぁでも…通報は勘弁してあげるね」

「何かあったの?」

「何でもなーい」

 

通報しないであげるって言って私はちょっと耳元に口を近づけて…

 

「貸し1だからね、お兄ちゃん…ふふ♪」

 

今日の午前はおしまい、午後は何しようかなー?

 

 

――――――――――――D08基地シューティングレンジ・昼

 

 

「ヒャーハッハッハッハッハッハー!!」

 

シューティングレンジに入るなりとっても楽しそうな声が聞こえてきた。

まぁ十中八九スペクトラでしょうね、楽しそうにトリガーを引いている姿が目に浮かぶよ。

弾薬に限りはあるけど腐らせるほど余ってるし使っても怒られないんだろうなー…

まぁ折角出来たシューティングレンジだから早速使ってみようって話しな訳で…

この射撃訓練もデータ化されて各々の経験を見れるんだよねーほんと便利。

だから私がどう狙うかとか判断までのレスポンスタイムなども全部見れる。

イヤーマフラーを引っ掛けて…さて、やりますか。

二脚を立てるまでもない、構えて撃つだけ…うるさく騒ぐ必要もない。

ただ目の前に立ち上がる的を撃ち抜くのみ。

 

お姉ちゃん達が帰ってきたらキルハウスでの訓練とか誘ってみようかな…

あの工作の夜から察したお姉ちゃん達の強さ…学びたい。

まぁ銃の向き不向きはあるだろうけど…それでも学べるものはあるはず。

 

「今の私に出来る最大限…見せてやる」

 

完璧な姉を持つ私なら出来ないことは無いはずなんだから。

カウント開始、さぁ楽しいゲームの始まりよ。

 

 

何てことはない、流石に訓練って言うハプニングが起きない環境だと私は完璧だ。

ほぼ頭を一発、稀に首を撃ち抜いたけど…人なら即死だし人形でも行動に支障が出るだろう。

後はハプニングが起きる環境下でこれを発揮できればなぁ…

まぁそれは言っても仕方ないし訓練あるのみだね。

 

あ、そうだ次はMk-23での射撃訓練してみよう。

何の補助もない実力のみでの射撃だ…どこまで出来るか…

これで地力を上げていけば追いつけるのでは…?とにかくやってみよう。

 

 

結果はあんまりだった、ヒットスコアは70%前後だけどキルに繋がるヒットは50%を切っている。

これは酷い、所詮はシステムに頼ってただけか…射撃訓練はアシストなしのMk-23でしよう。

ただの的当てもロクに出来てないのならそりゃね…ライフルの人形としては恥ずかしい限りね。

目指すは全ヒット、ヘッドショット80%超えね。どんな武器でも1ショット1キルを目指すのよ。

システムに胡座をかいていてはダメ…成長余地はまだある…

 

「はーぁ…まだ先は長いかぁ…」

 

Mk23に同じ様に射撃訓練させたらヒットスコアはどうなんだろう…

本家が撃った場合…流石にもっとヒットスコア行くわよね?

 

 

――――――――――――D08基地工廠・夕方

 

 

お、メンテンスマニュアルが来てるみたいだね。どれどれ…どんな人形が来る予定なのかな?

私達のデータが上手く活かせる人形なら良いんだけど…

 

「おう、勝手に見るのはいかんぞー」

「えー良いじゃないですかー…気になるんだし」

「しょうがないなぁ…」

 

主任は女の子に対してとっても甘い、ちょっとおねだりするとコロッと行ってくれるから良いわ。

どれどれ、マニュアルを見せてみろおらー…お?

並んだ3つのマニュアルを開いてみると…印字されていた人形の名前は…

 

「G28」

「スオミ」

「G36」

 

軽くマニュアルを読み漁るとRFとSMGとARって所か。あれ?このG28って…もしかしてー?

いやいやまさかねぇ…HK417の改修モデルじゃなーい?

HK三姉妹とかになるわけ?この場合は私の妹分になるのかなー?

G36は間違いなくG36Cの姉だよね、良かったね姉が来るよ。喜ぶ顔が目に浮かぶ。

スオミは何だろう…図解を見る感じではドラマグのSMGか…

肝心の人形の図解は無いから到着するまでは不明なんだよねー…

G28かぁ…気になるけど、私達と似た人形になるのかな?

 

「ありがとね、主任」

「おうおう、ただ見たのはナイショにしておけよ?」

「はいっ」

 

さて、今日の夜の支度に取り掛かろう…エプロン取りに自室に戻るか。




HK姉妹に絡ませたいだけのG28
超ハイテンションで416にウザ絡みしてもらう予定です。


*追記*

ご指摘どうもです、ヘッドホンじゃなくて防音仕様のイヤーマフラーですか…
作者のにわかがモロバレしました、恥ずかし…死にそ…


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Day45 新たなる姉妹

(この先増員の予定は)ないです。


――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

今日の出撃は特に代わり映えもなく終わった。敵に遭遇することもなかったし。

ドローンを飛ばしていたけど何の意味もないフライトだった…って事。

交代で第4部隊が出ていって私達はもう非番って形…ふーん…さて、どうしたものか。

キルハウスで訓練って言っても戦闘狂が来て訓練って形から外れそうなんだよねー

戦闘と聞くと止まらなくなるのがアイツ等だし…ペイント弾で極彩色に彩られるつもりはないけど。

 

「今日も417が報告持ってきたのね」

「うん、なんとなく私が引き受けちゃった…」

「ふーん…小隊長適正ありだな」

 

やめて、私に小隊長とか無理なんですけど。自分一人の指揮で精一杯ですぅー

いやまぁ大雑把な指揮は出来るかもしれませんけどーマジ物の指揮なんて無理。

…そう言えば小隊長と言っても指揮してたっけ…?あれ、そうでもないか…

この基地だと書類仕事と主に指揮を受け取る役割になってたような…

ほんと、この基地ゆるっゆるだな!とんでもなくゆるゆるだよ…

 

「……ちょっとだけ」

「お兄ちゃん…?」

「はい、なんでもありません」

 

ちょっとだけなんて言っておっぱいに手を伸ばすなー?新人にそれしたら好感度パイルドライバーだぞー?

今日搬送されてくるはずなんだから…大丈夫かなー?まぁFALが監視につくらしいけど…

念の為に私も付いておこうかな…いや、本当にこれは不安が残るもん。

もう鳴りを潜めた筈の私相手にもセクハラ働こうとしてるし…許したらそのまま新人にもしそうだから釘を刺しておかないと。

 

「一応言っておくけど…新人が来るのが嬉しいのはわかるよ?でもセクハラして良いって事じゃないからね?」

「おう…」

「そういうのは二人きりの時にしてよね」

「え?」

「なんでもない」

 

さてと…歓迎用のお菓子でも作っておこうかな…カップケーキがいいかな?

到着予定は夕方…時間はたっぷりあるね、うん…お姉ちゃん達は夜に挨拶って形になるのかなー?

兵舎のキッチンで焼くか、振る舞うのも兵舎でやったほうが良いだろうしー

この基地のふわっふわな空気を味わってもらうには丁度いいだろうさ。

スプリングフィールドが張り切ってたし美味しいパンでも焼いてそうだしー

…今はカフェで忙しいか…となると今は生地は寝かせてる感じかなー?

 

 

――――――――――――D08基地兵舎キッチン・昼

 

 

「ねー417ーコーラ取ってー!」

「はいはーい…」

「投げちゃダメだよー!あーしゅわわわー!!」

 

食堂のキッチンにぎっしり詰められていたコーラは兵舎に移されていた。

おかげでキッチンに立っているとSAAのコーラ要求が飛んでくる。

お菓子作りにパタパタ動いてるのにお構いなしだからちょっと雑になるけど仕方ないよね?

ちょっとは自分で取るって事を覚えてくれても良いんじゃなーい?

とまぁそれは良いとして…完全オフの格好で居てもいいってわけじゃないから制服の上にエプロン着けてクッキングなう。

いや、着替えてもいいけど挨拶するときにオフの格好だとねぇ…

 

「何作ってるのー?」

「カップケーキ、歓迎用のお菓子だよ」

「なるほどー!」

 

調理中の私に興味を示したのかSAAがキッチンに入ってきた。

コーラ片手に覗き込むのは結構だけどこぼしたりしたら怒るよー?

ちょっと表情がワクワクしてるのはあれかな…味見とかおこぼれを期待してるのかな?

まぁ生地の味見をさせてみても良いかな…人によっては生地が美味しいなんて言う人もいるし。

 

「ん」

「くれるの?わーい♪」

 

焼く前の生地をちょっと掬って差し出すと待ってましたとばかりに食いついた。

やっぱりおこぼれを狙っていたか…犬か猫みたいだな…

砂糖が効いた甘い生地はどうだ?あぁん?ちょっと感想くらい聞かせてみろよ。

 

「よくわかんないけど良いと思うよ!」

 

ふわっふわだなぁ…カップケーキみたいにふわっふわな感想だなぁ。

今回は人形達での歓迎って事で20個だけ焼いた、職員の分まで焼こうか迷ったけどね。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・夕方

 

 

「狙撃武器G28です、よろしくお願いしまーす!」

「スオミ、KP31です。よろしくお願いします」

「GutenTag本日より配属となりましたG36です」

 

超ハイテンションっ子に清楚っぽい子にメイドですか…ちょっと濃ゆいな。

しかしG28かぁ…私としてはちょっと複雑だなぁ、開発経緯からするに妹分になるんだけど…

あとメイド、本職っぽいなー…ファッションメイドしてた私を見たらブチギレられないか心配だぁ。

おちおちメイド服を着れなくなったかなぁ?まぁご奉仕のイロハを教えてもらうって言うこともできるかな…?

 

「いらっしゃい、ようこそD08基地へ、歓迎するわ♪」

 

私達を代表してFALが笑顔で迎えてそのまま背中を押して共有スペースのテーブルにつかせる。

さて、ここからが私とスプリングフィールドのターンだぜぃ!

 

「では、歓迎会を開催しましょう♪」

「盛大にな!!」

 

と言ってもお菓子のマフィンとカップケーキで開催するお茶会みたいなものだけどね。

前線とは思えないゆるゆるな空気に毒されるが良い!

 

そっとFALに聞いたけどやっぱりお兄ちゃん初手セクハラやらかしたらしい…

G28は満更でもなさそうだったらしいけど…スオミは泣いてG36は静かにキレたらしい。

おい、G28どういうこっちゃ…妹分にあらぬ疑いが持たれるぞー?

全員席についてから一人一人軽く自己紹介してからお菓子に舌鼓を打っていた。

私の自己紹介の時に新人三人衆揃って首を傾げていたけど…まぁ正規の人形じゃないようなものだしねー

あとG28がえらく熱視線を送ってくるんだけど…私に何かごよう?

 

「ねぇねぇ、一つ質問良いですかー?この基地に416って居ますー?」

「そこの417の姉ね。居るわよ」

「ふぅーん…?」

 

おぉぅねっとりとした視線が私に突き刺さるぞー?

おっぱいのデカさは私に並ぶようなでっかさだけど…身長が私よりでっかいな…

何だ何だ、言いたいことがあればハッキリ言ってくれないかなー?

 

「妹みたいな姉が居るって不思議な気分ね!」

「ん?あー…なるほど、コレでHK3姉妹になるのかしら?」

「改修モデルとしてみたら…んー、なるほど?」

 

妹みたいな姉ってなんじゃーい!開発経緯から考えたらバリバリ姉ですよ?

まぁ私の存在は非公式みたいな所だと思いますけど!ぐぬぬぬ…妹みたい、かぁ。

見た目が見た目だから強く否定出来ないぞー私外見はロリ416だしなぁ…

服装の意匠がまぁお姉ちゃんや私に似てるし…いいとこ取りみたいな外見してるし繋がりは見えないこと無いけど。

お姉ちゃんがどんな反応示すことやら…私と最初会った時みたいな反応しないよね?

まぁ帰ってきた時に見れることだ…このニッコニコな妹を見て何を思うか…

 

「ふふ、姉さんが来てくれて嬉しいです…♪」

「妹がお世話になっていました」

 

おーおー、G36姉妹がべったりですよ…お姉ちゃんっ子だったのね。

しかしG36さん眼力強くないかな?えらくキリッとしてて…いや、ぎろっと見てくるから怖いんだよね。

物腰はとっても柔らかいのに表情で損してません?

あ、妹撫でてる時はとってもいい笑顔ですね、お願いだからその笑顔を絶やさないで。

 

「良い雰囲気の部隊なんですね…音楽、かけてみても良いですか?」

「音楽?オーディオ機器もあるからどうぞどうぞ」

「あ、はい…では…」

 

スオミちゃんがミュージックディスクを取り出した?どこに隠していた!?

あの外見だし品のいいスムースジャズとかかな…お洒落な午後になるのかな…

 

と思ったらとんでもないのが流れ出した。いや、何このミュージック…

皆度肝抜かれて口あんぐりだし…私もだけど…スオミちゃんこんな可愛い顔してとんでもないの聞いてるな!

スピーカーから大音量で流れてきたのはメタル…それもヘビーメタルだ。

本人はニッコニコでノッてるし…スコーピオンやSAAはノッてるけど…

G28おめーもノッてるんじゃねーよ!

 

「ね、ねぇFALこれは…」

「我慢しましょ…新人の希望なんだから」

「はーい…」

 

わーちゃんはギャーギャー言ってるみたいだけど爆音に掻き消されてる…憐れ。

あとペットブースに居た子猫がめっちゃビビってる…もう少しの辛抱だから我慢してね…

 

 

――――――――――――D08基地HK416私室・夜

 

 

「で、何でアンタが居るのよ?」

「ダメ?」

「ダメじゃないけど…遠慮しなさいよ」

 

夜の親睦会も終わってそれぞれ馴染んだんだけど…お姉ちゃんは結構な塩対応をしたんだ…

いや、それはダメでしょってお姉ちゃんにツッコミ入れたらまぁ…それなりに対応したんだけど…

身内以外にはあんまり興味無いんだねお姉ちゃん…あれか0か100かのタイプだね?

G28に対してはため息混じりに対応してたけどG28側がグイグイ来るものだから…

私も手を引っ張られてお姉ちゃんの私室に押し込まれた…私は歓迎したのにG28に対してはあの対応。

多分だけどG28に遠慮って単語は無いと思うよ…

 

「まず417、カップケーキ美味しかったよ、ありがとね♪」

「あぁまぁ…どういたしまして」

「ふん、当然でしょ私の妹なんだから」

「それから姉妹としてよろしくおねがいしますね♪」

「勝手に名乗ってなさい…」

「ま、まぁまぁお姉ちゃん…」

 

HK三姉妹なんて勝手に呼ばれるようになってお姉ちゃんは苦虫噛み潰した表情だよ…

ほんっとかなりグイグイ来るからお姉ちゃんも私も困ってるんだけど…

私は嫌な感情は無いから妹として迎えるつもりなんだけど…

 

「あ、417が末っ子ね♪」

「は?」

 

ちょっとそこに直れクソ妹、どっちが姉かハッキリさせてやろうじゃない。

 

「ちょっと私の部屋で暴れないでちょうだい」

「あ、はい…一つだけ言わせて…私が姉だろ!」

「えーその見た目と言動で?」

「うぐっ!?」

 

ぐうの音も出ない、私の言動は紛うことなき妹ムーブ…見た目も相余って違和感がない…!

くそぅくそぅ…で、でもこれからその認識を覆してやるぅ!

 

「で、G28は417と押しかけて何するつもりだったの?」

「いや、姉妹でお風呂行きません?ってお誘いです」

「裸の付き合いってやつね…」

 

じゃあ私は着替えを持ってこないと…シャツにジーンズで良いよね…もう寝るだけだし。

お化粧も落として…お姉ちゃんも化粧落とし始めたし乗り気だね?

何だかんだ文句言いながらも付き合いは良いよねお姉ちゃん…そういう所好きだよ。

 

 

結局お風呂に行った後お姉ちゃんが世話を焼いたのは言わなくても分かるかな?




妹連合とか姉連合とかで一品書きたいですね。
あと増員はG28は決めてましたけどスオミとG36は作者の好みです。


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番外 乙女の聖戦

バレンタインデーって事で…短めだけど


「バレンタインデーだね」

「あぁ、バレンタインデーだな」

「お兄ちゃん」

「んー?」

「こんなに食べ切れる?」

「ちょっと無理」

「ですよねー」

 

人形達のボイコットで一日無理クソ休みになった基地。日付は2月14日。

指揮官の机の上にはどっさりとチョコレートが積まれていて見ているだけで胸焼けがしてくる。

どうしてこうなった?そりゃ勿論今日が恋する乙女の聖戦の日だからだよ。

 

バレンタインデーと言ったら恋人や大事に想っている人に贈り物をする日だ。

何時からかその常識が歪められて好きな人にチョコレートを贈る日なんて事になっている。

元を正せばキリスト教の話をすることになるんだけどね。私は無神教だから知らない。

だがしかし、残念ながらお兄ちゃんがこうなるのはもう私は知っていた。

 

時間は遡り前日になる。キッチンに大挙して指揮官Loveな人形が押し寄せ占拠した。

勿論その中には私も居たんだけど…作る側では無く作り方を教える側としてだ。

料理下手とは言わないがイロハが分かっていない人形に泣きつかれたからだ。

鬱陶しいと一蹴しても良かったんだけど…変なのお兄ちゃんに渡されても困るんだよ。

ということで私、スプリングフィールド、FALが教師として教鞭を執る事になった。

UMP姉妹は面倒臭いからってパスしたしお姉ちゃんは自分ひとりでするって言って宿舎のキッチンに篭った。

まぁあの小さなキッチンに何人も籠もることは出来ないので…食堂のキッチンを借りた!借りたんだ!

男には分からない乙女の聖戦なんだよ、少しの間目を瞑っていてね。

 

ここでこのチョコ作りに参加した人形を紹介しよう。

ツンデレ一強、別に指揮官のためなんかじゃないんだからね!WA2000!

家庭的ではありますけどチョコ作りより編み物が得意なんです…G36C!

ツンデレちゃうわ!天然やらかすおっぱいちゃん、MicroUzi!

ダーリンのハートはわたくしの物!誰が呼んだかサキュバス、Mk23!

指揮官のハートを狙い撃つのは私よ!私の妹分G28!

 

以上の5体を3体でティーチングした訳で…さーこれが大変なことになった…

それぞれ作りたいと言うチョコレートは異なっていてこれが面倒臭い。

全員そろってハート型のチョコレートって言ったら楽だったんだけど…

わーちゃんは手作りトリュフチョコを所望してG36Cは小分けのチョコ詰め。

Uziはベタなでっかいハート型、Mk23はチョコチップクッキー…G28は生チョコ。

因みにスプリングフィールドはチョコケーキ、FALはチョコタルトと来た。

重いぞ、これはお兄ちゃんの胃には重いんじゃないか?私はそう訝しむ。

という訳で私はチョコやお菓子からは離れよう…編み物で手袋を贈ろうと思った。

 

因みにチョコを贈ろうと思ったらG28とモロ被りでした。生チョコ美味しいじゃん?

 

普段から作っているクッキーや作ろうと思っていた生チョコとかの兼ね合いから私がMk23とG28の顧問を請け負った。

Mk23は聞き分け良いから問題ないんだけど…G28がねー…自分勝手というか…

レシピ通りに作ればいいのにアレンジを加えようとするタイプのメシマズちゃんフラグビンビンだった。

止めなかったらとんでもないのをぶち込んでチョコを台無しにしそうだったのは書き加えておく。

本当は洋酒をと思ったけどチョコと生クリームだけで精一杯だったので断念。

あとFALから止められた、味見で酔っ払ったら知らないわよってね。

どんな酔い方するか教えてくれても良いんじゃない?

 

目を離すと何をしでかすか分からないG28に付いて適時Mk23に指示を出していたんだ。

案の定G28は香りが良いからと香水を混ぜようとしたりスパイスを入れようとしたり…

どこから用意したって言うような物を次々に混ぜようとして疲れた…

テンションに任せてあれこれ入れようとしてる疑惑が持たれるけどそれはまた今度。

ブチギレた私がバカな妹にアームロック仕掛けて黙らせた後さっさとMk23に手ほどきしたのさ。

あれこれ勝手にしないで言われた通りにしてくれるから助かったよ。

ただ効率化を図って手順を端折るな、美味しいクッキーが焼けないぞーとなったなぁ。

手順自体は簡単、バターを溶かしながら混ぜてクリーム状にしていき…溶き卵と砂糖を混ぜる。

その次に薄力粉を混ぜて…今回はチョコなのでココアパウダーを混ぜる。

練上がった生地にチョコチップを混ぜ込んで寝かせる。ちゃっちゃと教えてしまえばあとはなんとかなった。

元々女子力高めなMk23に問題は無かったんだ。コレを機にお菓子作りしよ?

 

で、問題児の我が妹…生チョコづくりなんだが…

カカオ豆から作るとかほざき出した時はど突き回したんだけど…そんな時間は無い!

諦めて既存のチョコレートから作ろうねー…って事で使用するのは市販ミルクチョコレートと生クリームだ。

手順自体は簡単明解で…チョコレートを細かく刻んであっつあつに熱した生クリームと混ぜ合わせていく。

んでもって出来上がったペーストを型に流し込んで…冷やしてからナイフで切り分ける!

オーブンシートなんかを敷いていたら取り出すのがとっても楽なんだ。

あとはカカオパウダーをふりかけたりしたら見た目もGood♪

溶かす段階はゆっくりとダマにならないようにしないと行けないんだけどね…

まぁここは出来なかったとしても美味しいチョコにはなるからOKさ。

 

殆ど私が横から口を出したから間違ったことはさせてないし味見もさせてるから変な味には仕上がっていない。

少なくともお兄ちゃんが食べて気分悪くするような要素は無い。

 

余談だけどスプリングフィールドが顧問を務めたわーちゃんは見事に焦がして苦笑いを誘った。

作った本人は得意げにしていたけど…味見をしてからギャン泣き。

なんでそうなったかって?そりゃプライドの塊なわーちゃんだよ?

教えてもらうまでもなく出来るわよって強がってこっちの見よう見まねで溶かしていってやらかした。

その間スプリングフィールドは何時でも駆けつけれるように隣でケーキ作ってた。

しかもまさかのホールケーキ…お兄ちゃん一人にどれだけ食わせるつもりなんだか…

実物みたお兄ちゃんの反応?うわぁ…って言ってた。

 

まぁそんな大騒動があったわけで…今のこのチョコラッシュになっている。

編み上がった手袋はお兄ちゃんに渡したけど…私もチョコを渡したほうが良かったかな?と思ったり。

私の好意については気づいてくれてるかなー…とは思ってるけどね。

ich liebe dich Kommandant by 417なんて編んじゃったけど…読めるかなー?

 

「お兄ちゃん」

「んー?」

「一日じゃなくてもいいからちゃんと食べてあげてね?」

「善処する…417も一緒に食べてくれね?」

「ん、わかった」

 

恋敵の想いを噛み砕くのは忍びないけど…お兄ちゃんのお誘いを蹴るなんて選択肢は私には無いんだよ。

 

「こういう甘ったるいのを食べる時はウィスキーとかどう?」

「お前は絶対に飲むなよ!」

「分かってますって」

 

だから酔った私はどうなるんだ?教えてくれよお兄ちゃん…

調理中の事や一番わーちゃんが頑張ってた事やら話しながら…バレンタインデーの昼下がりはこうして幕を開けた。

スプリングフィールドがコーヒー片手に乱入してきたから二人っきりとはいかなかったけどね…チッ…

 

所でお姉ちゃんを見てないんだけど誰か知らない?

 

「そういやあのデカい箱は何だったんだろうか…」

「んー?」

「いや、俺の部屋にデカい箱があったんだよ…」

 

まさかねぇ…自分がプレゼントだ…なんてことをしてないよね?




一番ぶっ飛んだ行動をしてる姉が居るらしい。


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Day46 突発・狙撃deフロントライン

一話限り?RF小隊結成


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「今日は何時もの部隊ではなく思いつきの部隊で出ていってもらいます…WA・M14・417・G28の4体で行ってもらう」

 

朝から招集をかけられたと思ったらそんな事をお兄ちゃんは言い出した。

部隊に上げられたのは見事なまでにRF人形ばっかりで一体何をさせるつもりなのか…

本当に思いつきなんだろうけど…運用としてそれは大丈夫なのかな?

前例のない事だけど…まぁ接近を許す前に撃ち殺せなんでしょ。

理論的にはOKだけど…まだ新兵も良いところのG28を早速戦場に投入するのはどうなのかな?

…姉としてケツを持ってあげれば良いんだろうけどデータを読ませてから最適化はしましょうよ。

 

「いや、実戦に勝る物はないじゃん?」

「ナンセンスだよお兄ちゃん…」

 

銃の扱いが出来るだけの新兵を実戦投入とは…おいこらーそれはマズいぞー

ま、まぁ現地で私が教え込めばOKか…あー不安がいっぱいの出撃になるなぁ…

ナンセンスな前線になるわ…一つ崩れれば被弾だって有り得るって…

 

殲滅力には長けてると言えば長けてるけどね…私とG28が20発装填のセミオートで発射レートも悪くない。

私に関して言えばフルオートもイケるから咄嗟の瞬間火力は光るものがあるよ?

一応全員セミオートライフルだから問題は無いのかな…考えなしって訳でもないのかなー…?

 

「兎に角新しい運用のテストだって事でよろぴく」

「「はーい」」

 

あ、G28と返事が被った。どこか似たところがあるのかな…?よくわかんない。

こっち向いて笑顔を浮かべてるんじゃなーい…ホントテンション高いなー

 

 

――――――――――――D08地区前線・朝

 

 

「小隊長とかも特に決まってなかったけど…」

「フン、しょうがないから私が指揮を執ってあげるわ」

「兎に角やれることをやっていきましょうね!」

「指揮官、見てて下さいねー!」

 

このグダッグダであるよ…指揮はわーちゃんが執ることになった。

ダミーには散開させてカバー範囲を拡大RF人形ばっかりでの行動だしねー…

お兄ちゃんは特に小隊長なんて要らないだろと言ってるけどね…各々の判断で別にアウトレンジから殺せるだろう?ってさ。

さて…目下一番の心配はG28だけど…大丈夫かなー?意気込みは良いんだけど。

カスタムはバーティカルグリップにバイポッド、ライフルスコープ…一番オーソドックスなアセンブルだね。

16インチバレルだし取り回しは良さそうなのよね…羨ましいと思ったり。

 

超意気込んでるけど敵が来るとは限らないからね?この地区平和よ?

ジョークでも何でも無く本当に平和なんだからね…?

まぁ敵が来ないとは限らないし…索敵の手は緩めていないけど。

 

「WA、敵影発見…3時の方向」

「了解、全員構えなさい!」

「了解」

「りょうかーい!G28の実力見せてあげるよー☆」

 

M14以外は二脚を立ててから伏せて狙撃の態勢を作り上げる。M14は膝立で構えている。

戦場に華クソも無いけど…狙撃手が揃った場合の戦場っていうのを見せてあげましょう…

スコープの先に映る小さな小さな的達…精々足掻いてみなさいよ。

 

「用意…撃て!」

 

小隊長の号令が降りた…あとは私達の意思が奴らを殺す…

ん…ダミーも敵を発見した様子…同じく狙撃開始したらしい。

じゃ、私達が負けていられるもんですか…ちゃっちゃと片付けちゃうよー

 

「あぃだっ」

「G28?」

「ぐぉぉぉぉぉぉぉ…」

 

小さい悲鳴にそっちを向いたらG28が顔面抑えてのたうち回っていた…何してるのかと思ったけど…

いや、痛覚切りなさいよ…人間じゃないんだから作戦行動にさっさと復帰しなさいって

ことの顛末は後で聞くことにしましょう、今は敵の排除を最優先。

敵の数は20…すぐに片付けられる。いや、もうM14とWAが排除し始めて数が減ってる。

 

「さっさと撃ちなさい!」

「分かってる」

 

WAに怒鳴られたが分かっている…相対距離観測、修正…発射。

静かな森林地帯にやかましい銃声が合計30発分響いた。

 

 

「で、G28…アンタ何してたのよ」

「なんか撃ったらスコープとゴッツンこしちゃってのたうち回っていたの、てへっ☆」

「てへっ☆じゃないわよ!」

「いったーい!」

 

銃の扱いもロクに出来てないじゃないのよ!こんなので前線に出されたらたまらないんだけど?

何がいけなかったかを知ろうともしないバカはどついてから…さてどう教育するか。

WAは我関せずで指揮官と通信して指示仰いでるしM14は自分の反省会で忙しい。

ったくもー教育は私がしろってことでしょう?泣けるわ。

 

「良い?アンタの構え方に問題があるの銃っていうのは撃ったら反動が来るのは分かってる?それを踏まえてスコープを覗く際はクリアランスを取りなさい」

「でもこれじゃ見づらくない?」

「それで慣れなさい、さっきみたく使い物にならないのなら考えものよ」

 

ちょっと構えさせて構え方の矯正をしていく。得物は私の姉妹品、構え方に関して言えば私流が通用する。

このポンコツ妹はスコープに目をべったりくっつけていた…そりゃ反動で目をやるわよ。

戦場で一々教えることが出来るこの緩い戦線で助かったわ…

これが激戦区だった日には教える間もなく破壊されてバックアップからのやり直しでしょうね。

新人3人そろってこうじゃないと良いけど…訓練を強く推進しておこう…

実質3人での戦線とかシャレにならないわ…指揮官の采配はちょっと間違えていたわね。

 

「むぅーこのままじゃ終われない!」

「意気込むのは結構だけど敵が来るとは限らないわよ…小隊長、警備に戻りましょ?」

「……指揮官からの命令もあったし、そうね。警備に戻るわよ」

 

指揮官へのアピールになると思った初戦が惨敗に近いから挽回を狙ってるんでしょうね。

でも悲しいかなこの地区は平和よ…所詮は若い新人指揮官に任される地区なんだから…

さて、という訳で部隊は再び警備に戻ることに。

 

G28、残念だったわね今日の警備ではもう敵に遭遇することは無かった。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「さて、今回の出撃…なにか言うことは?」

「思いつきで行動したのは悪かったと思う」

「お兄ちゃん…反省してね、ふんっ!」

「たわばっ!」

 

久しぶりの鉄拳制裁というかビンタだけど…ぺちーんとぶっ叩いた。

お姉ちゃんなら絶対ぶん殴ってただろうけど…反省してなさそうだけどね…

張り倒してもすぐに復活してるし…見慣れたけど気持ち悪い復活速度だよ。

 

「兎に角、新人は戦場に立つに値しないぺーぺーの可能性が大です。射撃訓練だけでもさせるべきだと具申します」

「そうだよなぁ…折角作った射撃場使わない手はないしな」

「あとね…何のための戦術データ蓄積だったのかなー?」

「あ…」

「あっ…じゃないよー?」

 

このポンコツ指揮官忘れてたね?もう一発ビンタ貰っておく?流石に私もおこだよ?

本当に取り敢えずで実戦投入しやがったな…というかも一発ビンタ食らわせる。

 

「まった417」

「許しは請わないよ?」

「ビンタならそのおっぱいでやってくれ」

「……」

 

このド変態め…度し難いなぁ。

したかどうか?全力でしてあげたよ。幸せそうにノビてくれたよ。

 

 

――――――――――――D08基地シューティングレンジ・昼

 

 

「というわけで突発ですが射撃訓練を行うわ、講師は私FALと」

「ステンMk-Ⅱと」

「WA2000が担当するわ、光栄に思いなさい!」

 

暇を持て余した戦闘狂達が挙って教官を買って出ていた。

物珍しさに見物客が集まってるのはご愛嬌。私はG28が失礼なことしないか心配で見てるだけ。

隣にはG36Cが座ってるんだけど…姉煩悩拗らせてるわ。

 

「はぁはぁ…家事全般完璧なのに銃の扱い下手っぴな姉さん…良い…」

 

などと申して鼻息荒くして居るものだからねぇ…

この手の撃つことに関して一番うるさいスペクトラはどうしてるかって?

過激派過ぎるからね簀巻きにして兵舎に叩き込んだ。

だってそうしないと新人が何をトチ狂ったかトリガーハッピーになられても困るし。

制御不可能な新人とか左遷待ったなしじゃないですかやだー

 

スオミにはステンがくっついてSMGのイロハを教えてる。

流石第1部隊の良心、丁寧に教えていてスオミも信頼を寄せて射撃に精を出している。

ただSMGの真価と言ったら自慢の耐久力と回避性能で前線で弾幕を張ること。

命中精度に関して言うと…まぁお察しの数値だけど仕方ないよね。

 

G36にはFALが教え込んでいるけど…FALが性能良すぎるんでしょうね、教えているレベルが高いんでしょう。

ちょっと困惑気味の表情が見えるぞ…レベルを合わせてあげてー半分くらいしか理解してないと思われる。

あ、でも筋が良いのかそう悪くない姿勢で撃ってる…ヒットスコアはまぁ及第点じゃないかな?

問題はどの部隊と主に組まされるかなんだよね…暫くはFALと組むのかな?

 

さて、戦場でちょっと教えておいたG28だ…この子がまた曲者だ。

すぐに我流の構え方をしようとしてわーちゃんにキレられてる。

ヒットスコアは悪くないけど…距離が距離だからねーちょっと当てにならない。

これ教えるの私が買って出たほうが良かったかな…一応身内みたいな物だし…

あーダメダメ教えてもらってるのにそんな態度しちゃったら怒られちゃうでしょー…

不安的中だよ…思いっきり失礼なことしてるし…後でわーちゃんの好物作って持っていかないと。

いちごのババロアだっけか…面倒が重なるなぁ。

 

お姉ちゃん達が帰ってきたら誘って一緒に作ろうかな…

あ、そうだ…一番良い教え方があるかも…

 

「WAちょっと失礼…G28、ちょっとその銃貸してみ?」

「ん?417どうするの?」

「まぁ見てなさいって…銃の扱いっていうのを見せるから」

 

結局私が実践、わーちゃんが補足や座学的な所を担って教え込むことになった。

ちょっとは姉として見てくれても良いのよ?締めにもう一回担がせて撃たせることに。

 

「そのキレイな顔をぶっ飛ばしてやる!」

「ヤメロォ!!」

 

おい間違ってもストックは肩に担ぐな、銃がすっ飛んでいくぞG28ィ!!




ちょっとスランプ気味っすかねー…もっとぶっ飛んだ妄想が降りてきたら良いんですけど…


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Day47 妹連合

違うんだ、G36Cはこんなぶっ壊れた子にするつもりじゃなかったんだ。


――――――――――――D08基地兵舎・夜

 

 

「妹っていう横繋がりでー」

「今夜はどんな姉談義?」

「それとも姉が可愛い自慢でしょうか?」

 

兵舎の共有スペースの一角に集まった私と9お姉ちゃんとG36C、端的に言えば妹連中である。

それぞれ持ち寄ったお菓子とジュース片手に夜の会話に花咲かせるのですが…

妹という立場から見た姉の可愛らしい所や凛々しい所…詰まるところは姉自慢の開催である。

姉が可愛くて仕方ないG36Cは今か今かと話したくて仕方無さそうだが…まぁ待て。

鼻息を荒くして…あのお淑やかなG36Cはどこへ行った、帰ってこい。

 

「まぁまぁステイステイ…」

「ふーっ!ふーっ!」

「ダメだね、家族の事になると待てなんて出来ないみたい」

 

どうしてこうなった…って感じで9姉がこっち見てるけど私にも分からん。

とりあえず落ち着こうとしたのかジュース一気飲みしたし…ちょっとは落ち着くかな?

 

あぁG36姉さんは凛々しいのですがちょっとお茶目な所があってですね、それはもう大変可愛らしくて辛抱たまらなくなるのです。

わかりますか?凛々しい姉のギャップのある姿を見て落ち着けますか?私には無理ですわ!まず家事はもうパーフェクトなんです疑う余地もなくパーフェクトです。

お洗濯中のハミングなんて聞いてみて下さい昇天できますわ…あ、思い出しただけで達してしまいますわぁぁぁぁあああああ!!」

 

「「うわぁ…」」

 

コレには私はドン引き、9姉は引き笑いが浮かんでる。

めっちゃ早口で捲し立ててくるんだよ?怖いわ。つーか瞳孔ガン開き。くっそ怖い。

仰け反ってビクンビクンしてるし…あれーおかしいなこんなにヤバい奴だったっけ…?

 

「でもお姉ちゃんに想う所があるのは分かるなー♪」

「ん、んー…そう、かも…」

 

こんなに強烈に想う事は無いけどたしかに姉のちょっとした仕草とかにキュンとくる事はあるかなー?

あとはほにゃっと笑っちゃうような事とかもあるし…9姉はどんな所に想う所があるのかな?

 

「はっ…申し訳ありませんついはしたなく達してしまいましたわ…」

「思い出すだけで達するって…」

 

G36Cの認識が完全に書き換わった瞬間だったよ、シスコン勢のヤベー奴。

因みにシスコン勢は45姉も含まれている。私達は言うまでもなくシスコン拗らせてる。

9姉は45姉とべったり、プライベートではお互いの私室に入り浸ってなにかしてるし。

たまーにキッチンで二人っきりでお菓子作ってたりしてるし食べさせ合いっこをしてるのを見かける。

ちなみに私はそれを見かけてはお姉ちゃんに持ちかけてるけどねー…良い返事は貰えてない。

 

「ねぇ今回は姉のシスコンエピソードを話してみない?」

「G36姉さんがシスコン…ぶはっ」

「今度は鼻血!?」

 

G36Cが妄想したのか鼻血を吹き出して倒れ伏した。

暴走しすぎじゃないかなこのシスコンのヤベー奴…もうちょっとどうにかならないのかよ。

 

「姉のシスコンねー…お姉ちゃんはあんまり表に出さないからなぁ…」

「416はねー…でもとびっきりのエピソードがあるじゃない?この前の夜戦の」

「あー…私が負傷した時のあれ?」

「そうそう、あの416が酷く取り乱した話ー」

 

あの日の夜、左腕を負傷してボロボロになりながら駆けた夜だ。

私が見たのは通信機に怒鳴りつけて終いには地面に叩きつけて青ざめていた姉の顔だった。

45姉に聞いた話だとしくじったって通信送った後のお姉ちゃんの様子がとてもおかしかったらしい。

G11が引き止めなかったらそのまま突撃してきて私を助けようとしていた位…その結果置いていかれることになったとしてもね。

なんとか切り抜けたら通信くらい送ってくる、妹を信じろって言いくるめられて撤退していったらしい。

その途中も何度か通信していたらしくてその顔は不安で彩られていたってさ。

回収地点まで来てもうんともすんとも言わない通信機にしびれを切らしたのが私が見たあの光景。

もう少し遅かったらお姉ちゃんだけでも私を助けに飛び出していたって言うのが45姉の言。

 

9姉のファミパンでノビた後9姉にガチギレして食って掛かったらしいし諌められたら今度は私に泣きついて…

回収のヘリが来るまでずっと抱きしめてくれていたんだって…ヘリの中で目が覚めたらお姉ちゃんの胸の中だったっけか。

つくづく良い姉を持てたと私は想うよ。

 

逆に私はふんわりとしたシスコンだからなぁ…強烈に想っている所を発露はさせてないな。

ただたまーに一緒に寝よ?って提案してくっついて寝てたりG11を挟み込んで寝たり…

一緒にメイドしてる時はイキイキしてるってよく言われたりするけど…

 

「416にあんなに想われてて嬉しかったでしょ♪」

「姉に想われて嬉しくない妹なんているのですか!!?いいえ居ませんわ!!!」

「G36Cうるさい…まぁ控えめに言ってめっちゃ嬉しかった…」

「「でしょー?」」

 

妹として認めてくれていたのはあったけど本気で想ってくれていたとは半分思ってなかった。

ボロボロ泣きながら抱きしめてくれていたアレは…胸に来たなぁ…

嬉しかった反面心配させてごめんなさいって申し訳無さでいっぱいだったけどね。

 

「じゃあ今度は45姉のシスコンエピソードー♪」

 

あのセクハラ姉のシスコン拗らせかぁ…過激なスキンシップ多いんだろうなー

 

大体の拗らせは二人きりになった時に発露するらしい。

旧宿舎の時、G11はどこかに寝に出かけお姉ちゃんは私の所に行った時だ、事件が起きた。

掴みどころのない表情を浮かべてることが多い45姉が途端にデレ~っとした笑みを浮かべて抱きついたらしい。

真正面から抱きついて9姉の首元の鼻を埋めてクンカクンカ…そう、見て触れて嗅いでの3コンボ。

擽ったいと言っても聞き留めずそのまま頭を擦り付ける様は猫そのもの。

その時ばかりは45姉の頭に猫耳じみたものを幻視したらしい…なにそれ可愛い。

 

で、さらにエスカレートしていって…なんと45姉は9姉を押し倒してキスまでしたらしい。

そう、キスだ…押し倒してまでするキスだ。シスコンヤベー奴が私の姉にも居たとは…

でも安心して、拗らせるのは二人きりの時だけだから…って安心できなーい!!

 

後さらに一つ語ってくれたのは制服のスワップ事件。

制服が似てるからって取り違えた時なんだけど…45姉がトリップした。

9のにほい…とかうわ言を残してトリップ…暫くそのままにへ~っとしたまま帰ってこなかったらしい。

落ち着いた後も9姉に包まれている様で落ち着かないってやっぱりニヤけ顔だったんだって。

 

「お二人共良いですわね…まだ私にはエピソードがございませんわ…」

「まだ来たばかりだしねー」

「でもG36Cはべったりじゃん…」

 

鼻血から復活していたG36Cが羨ましそうにこちらを見ていた。

確かにこの基地に来たばかりのG36とのエピソードは無いだろうね。

でも冒頭のぶっ壊れ加減から察して欲しいけどこのG36C暇さえあればG36にべったりである。

そしてそんなG36Cに対してG36は仕方ないと言いたげに受け入れている。

なんだろう…ブレーキのぶっ壊れた犬みたいなんだよね。

 

「当然ですっ!!姉さんがこの基地に来ることをどれだけ待ち望んでいたことか!もうそれは一万と二千年待つくらいの事です!何度姉さんのことを夢に見て幻視したことか…!

この基地に配属されてから一日たりと姉さんの事を想わなかった日なんてありませんわ!一緒に寝て起き食事を共にして出撃しては頭を撫でてもらってよく頑張りましたと褒めていただいて抱きつくのです。

お掃除お洗濯も隣でお手伝いしましてからあの茶目っ気溢れる笑顔とハミングを聞いて過ごしてから一緒にお風呂でさっぱり…あーやばいやばい達するゥゥゥゥウウウウ!!」

「もういい、休めよ…」

 

もうやだこのシスコン筆頭のヤベー奴。

こんなシスコンでもお兄ちゃんのこと好きなんだよねー…あ、そうだ…

 

「ねーG36C、G36の事好きなんでしょ?」

も"ぢろ"ん"でずわ"!!!

「じゃあお兄ちゃんとG36どっちがより好きなの?」

「………」

 

あ、黙りこくった…いや、これは違う…!コイツ、フリーズしてやがる…!

あれかな、どっちが大事なんて測れなくてそのまま処理が止まったのかな?

この溢れんばかりのシスコン魂と比肩するのか…お兄ちゃんがもしG36Cをお嫁にしたら大変そうだな…

 

「G36Cってこんなに面白い子だったんだねー♪」

「知りたくなかった一面だよ…この後どうするー?」

「それぞれ姉のところに突撃でいいんじゃない?」

「そうする?」

「G36ねえさーん!妹が今行きますわー!!」

「復活まで早いなオイ…」

「ふふ♪じゃ、私達も行こっか♪」

 

お姉ちゃん…うーん今日は一緒に寝てくれるかな?

 

 

――――――――――――D08基地宿舎HK416私室・夜

 

 

「あら、今日は甘えん坊ね?」

「いいじゃん、たまになんだから…」

「ふふ…良いわよ、今日は一緒に寝てあげるわ」

 

パジャマに着替えたお姉ちゃんが私を出迎えてくれた。メイクはもう落としてある。

私もパジャマに着替えて上がり込んだから意図は言わずとも伝わったみたい。

やった♪お姉ちゃんと一緒に寝れる♪私のテンションアゲアゲだよ。

お姉ちゃんの香りに包まれて眠るといい夢を見れるんだ…よく覚えてないけど。

 

「ぎゅ~♪」

 

力を入れすぎない程度に抱きついてお姉ちゃんの胸に頭をあずけて眠る…

お姉ちゃんの手が私の頭と背中を撫でて…安らぐなぁ…柔らかくて寝心地も良い。

お兄ちゃんにおねだりして姉妹同室に出来ないかな…私はとても熱望するぞ!

 

「おやすみなさい、417」

「おやすみ、お姉ちゃん」

 

両目を閉じて息を整えてスリープに落ちていく…

ふふ、大好きだよ…お姉ちゃん。

 

余談だけど他の姉妹も同じように抱き合って寝てたらしい。

妹連合想う所は同じだったか。




もうちょっとふわふわした物を書くつもりだったんだ。でも、気がついたらぶっ飛んでいた。
G36C「訴訟も辞さないです」


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Day48 結成、メイド隊

404メンバーのメイドだぞ、喜べよ。


――――――――――――D08基地工廠・昼

 

 

「じゃ、今日もよろしくー」

「おう、夕方には取りに来いよー」

 

出撃後の銃器のメンテナンスをメンテナンス班にお願いしてお昼にする。

今日の出撃でもちょこっと鉄屑を撃ち殺したので一応メンテナスをしてもらうのが常だ。

一発も撃ってない時は自分で分解整備をするのが決まりなんだけどね。

こうしてメンテナンスに出さないと工廠で暇だ暇だってくだを巻くだけになっちゃうからね。

 

「お、そうだ…417ちゃんや、キミには教えておこう」

「んー?」

 

私の顔を見て思い出したって感じで主任が話しかけてきた。

何かあったんだろうか?私の顔で思い出されると言ったら…第4部隊に関わることかな?

首を傾げて振り向いた私に主任は何事もないように話してきた。

 

「そうそう、UMP姉妹とG11ちゃん用のメイド服が来るんだってさ。仲の良い皆とお揃いのメイド服だぞ、良かったな」

「はひ?」

 

何を言ってるのかさっぱり理解が追いつかないぞー?あのメンバー全員のメイド服…だって?

マジ物のメイドが配属されたタイミングでの配給とはふざけてんのか。

余計な火種にしかならないと思うんだけど?絶対G36の変なスイッチ押しちゃうでしょぉ?

いやまぁおそろいの格好っていうのは嬉しいよ?嬉しいけどさぁ!

 

「待った、G28にもあったりしないよね?」

「あの子にはウェイトレス服が支給されるぞ」

嘘やん…」

 

もう実質メイドなのでは?身内がほぼ全員メイド化したらG36の反応が怖いんですけどー?

当のG36は今の所射撃訓練と家事に精を出しているんだけどね。

いやぁどうしよう…下手にメイドの真似事したら怒るよね!?私はまぁ家事は出来るけど仕事にするほどじゃないしなぁ…

そう言えばお姉ちゃんの生活力ってどうなんだろう…私室は私以上に殺風景だしなぁ…

G28はまだ来たばかりで街に買い物に行った事無いし…仕方ないと思うけど。

 

「じゃ、今日の夕食は楽しみにしてるわ」

 

主任は気楽にそう言ってくれるけど胸中穏やかじゃないぞー

あとメイドを楽しみにしているなんてイサカに言ったらどうなるか分かってるぅ?

イサカメイドが追加とかなったら私知らないぞー…いや、マジで追加されそうだから怖いんですけど。

あぁチクショウ今日の夕食の手伝いが気が重いぜ…私はエプロン持ってるけどダミーはそうじゃないもん。

結局合わせてメイドになるからなぁ…どうしてこうなった。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・昼

 

 

私は家事に勤しむG36の傍まで来ていた…恐れも知らずメイド服に着替えてな!

いや、本当は怖いよ…後回しにしてもアレだし…どうせシメられるなら早い方が良いってね。

 

「おや、HK417さん…どうしたのですか、その様な格好で?」

「え、あー…お手伝いをとー…」

「ふむふむ…形からということでしょうか?結構、では厳しく指導しましょう」

「あわわわわわ…」

 

ひえー厳しく指導なんてきたよ、これは手厳しいことを言われるフラグかなー?

目つきも鋭いし圧が強いんだよぉ…

 

「くすっ…冗談です、ではこちらのお洗濯を手伝ってもらいますよ?」

「は、はい…怒ってない?」

「あら、こんなに可愛らしい同僚が手伝ってくれると来たら諸手を上げて喜びますよ」

 

ごめんなさい、貴女が相当キレやすいと勘違いしてました。

笑うとG36Cに雰囲気似てるなー…もちろんヤバい拗らせ方してないときのG36Cな!

というか家事してる最中本当楽しそうだなぁ、楽しそうにお洗濯してるとこっちまでハミングしたくなる。

なんで戦術人形になったのやら…普通にメイド人形で良かったんじゃないのかな…

はっ、まさか妹が大事で戦術人形になった妹を追いかけてなったとか…?

いかんいかん、バカな事を考えてないでお洗濯だ…いや、洗濯物多いな…

 

「もしかしてだけど全部引き受けた?」

「その通りですが、何か?」

「…うん、手伝うから一緒に終わらせようね」

 

妹がぶっ壊れているなら姉は姉でアレだな…ワーカーホリックか?

一人でこれを全部やるとか無謀でしょ…いや、出来なくも無さそうだけど日が暮れるまで家事に追われるぞ。

洗濯しておしまいじゃないし、干さなくちゃいけないでしょー?

外干し出来たら良いけど物干し台はあったっけか?どっちにしろこの量を運んで干さなくちゃいけない。

洗濯機がある分まだ良いけど手洗いだったら地獄だったよねコレ。

お手伝い申し出てよかったよ、新人が家事に追われて訓練できてないなんてシャレにならないよー?

 

「そう言えば…お食事を配膳されている際もその格好でしたね?」

「ぎくっ」

「大変愛らしくてよろしいかと思いました」

「あは、あはははは…ダミーの奇行は…?」

「元気があってよろしいかと…」

 

がっつり見られていたか…怒られなくて良かったと思う半面恥ずかしいな。

というかダミーのあの奇行を元気があってよろしいと一蹴ですか…

本心から言ってる感じだから温和な人なんだろうな。目つきで損してない?

 

ん?お洗濯なのに何してるんだって?洗濯機に入り切らなかった物を手洗いしてるの。

あとは普通に手もみ洗い推奨なものとかを洗ってるの。

 

「炊事、お洗濯と様になっていますね…どこで教わりました?」

「炊事はここのコック長に教えてもらってちょっとしたズルをしたの。お掃除お洗濯はまぁ…とある場所で」

 

元人間で一応自活していたなんて言えるかよぉ。

人間がベースだから粗方の生活に関する事はできるからねー…お料理に関してはノーコメントでお願いします。

 

姉さん姉さん…はぁはぁ…

 

なんか聞こえた気がするけど気にしたら負けだな。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・夕方

 

 

今日は午後の警備も早めに切り上げられた。理由?んなのメイド服関係でしょ?

現に帰ってきたお姉ちゃん達は工廠に入ってから作業してたし…いや、訂正、お姉ちゃんだけは兵舎に戻ってメイド服に着替えてきていた。

となるとメイド服関係で作業しているのはUMP姉妹とG11になる。

あとついでにで送りつけられたG28も着替えてウェイトレスを元気いっぱいにやっている。

 

どことなくフレンチメイドテイストだから遠目から見たらカラフルなメイド服に見える。

因みにG28は一応料理できるらしい。フリカデレ…まぁハンバーグに近いのを得意にしてるらしい。

あとはヴルストを使用した料理か…いわゆるドイツ料理って呼ばれるものだね。

G36の得意料理も同じだから腕が問われるね。

あ、因みにG36とは大分仲良くなれた、同じく家事が出来る仲間って事も手伝って一気にね。

 

「ビールくれー!」

「はいはーいただいまー!」

 

夕食時っていうのもあって職員や人形の中にはアルコールを摂取するのも出てる。

まぁ明日は基地の休みだし…羽目を外すのはOKかな?

お姉ちゃんは羨ましそうに見てるけどお姉ちゃんと私には禁酒令出てるからね?

このビール戦前の様に洗練されたアルコールではなく粗雑なアルコールで悪酔い待ったなし。

この前お兄ちゃんが調達したウィスキーはかなり貴重な物だったりする。

…酔っ払った職員がダミーにセクハラするので目を光らせないといけないな。

 

「お待たせー♪」

「メイドって言っても何をしたら良いのかしら~?」

「眠いよ…おやすみ」

 

若干一名すぐに眠ったけど応援がやってきた。UMP姉妹はキビキビ動いてくれるでしょう!

すこしはこれで楽ができると良いんだけどなー…

因みに追加されたメイド服は私とお姉ちゃんと同じくヴィクトリアンメイドスタイルだ。

G11は着崩してやがるけどね…ちゃんと着ろー

 

「寝てるんじゃないわよこの寝坊助がっ!」

「ぎゃんっ…うぅ、わかったよぅ…」

 

おぉお姉ちゃんが半ギレで蹴り入れてらぁ…痛そう、すごーく痛そう…

ダラダラとしながらもしっかり仕事はしてくれるG11は助かったよ。

 

「メイドへのお触りはご遠慮ください」

「がぁぁぁぁぁ…!!」

 

あ、私が目を光らせるまでもなくG36がお手つきしようとした職員をシバいていた…

セクハラに対してえらく手厳しいね。

 

 

――――――――――――D08基地キッチン・夜

 

 

「ふへぇぇぇ…」

「疲れましたか?」

「G28の場合は慣れないことをテンションに任せてやりすぎたんじゃない?」

「ふんふんふーん♪」

「……9のハミング…いぃ」

「45、手が止まってるわよ」

「めんどくさーい…」

 

慌ただしい夕食は過ぎ去って私達メイドでお皿洗いを引き受けていた。

G11は面倒臭いと言ってボイコットした…まぁシンクに入り切らないのもあるんだけどね。

9姉はハミングしながらノリノリでお皿洗いしてくれている。

そのせいでか45姉がポンコツ化してるけどお姉ちゃんがどついて再起動かけてる。

G28は私の隣で洗ってるけど疲れたって表情で深い溜息を吐いてた。

戦術人形なのに慣れないことしたから疲れたんじゃない?って私は勝手に思ってるけどね。

一番疲れてそうなG36はピンピンしてるしまだやることがあるらしい…いや、休めよ。

 

「この後は皆さんどうされるのですか?」

「私はお風呂に入ろうかなー」

「417が入るなら私もー」

「45姉も一緒に入る?」

「9が行くなら」

「どうせならこの寝坊助も入れるわよ」

「ぐえっ」

「ふむふむ…では私もご一緒してもよろしいでしょうか?」

 

大浴場ならまぁ全員入っても大丈夫か。改装したおかげで自由度が高くなったなぁ。

このメンバーで一緒にお風呂かぁ…なにげに初めてだな。

寝たい寝たいとぼやくG11をどう入れてるかも気になるし…

こういう仲良くなる機会は積極的に参加していこう、その方が絶対いいもの。

45姉、シャキッとしなよーそのデレデレ顔で進行するのはどうなのさ?

 

「では、さっさと片付けてしまいましょう」

「賛成ー」

 

大量にある食器もこの人数ならすぐだろうさ。さっさと片付けてお風呂だ。

尚負けず嫌いを発揮させたお姉ちゃんがとんでもない速さで食器洗いを遂行した。

 

「私は完璧なのよ」

 

勝ち誇った顔で言ってもね…G36はさして気にした様子じゃないし…

 

 

お風呂?セクハラ魔と化した45姉が全員に牙を剥いたけど何か




この回致命的なスランプに陥った…やべーよ…何時もの4倍近く時間を食った


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Day49 残姉ちゃんにFPSを渡すな

この基地の416は残念系美人だから


――――――――――――D08基地共有スペース・朝

 

 

貴重な基地の全休日の朝、シャツとジーンズに着替えて共有スペースに出てくると何か騒がしかった。

何事かと思うけど一人がギャーギャー騒いでるだけみたいだから事件性は無いんだろう。

今日は出かける予定もないし私は私の休日を堪能するだけだ。

いや、久しぶりにロードバイクで駆け回るのも良いかな?

寝て過ごすのも魅力的ではあるけど折角の休みに好きな事をしないで終わるっていうのもなんだかなぁ。

G11の部屋を覗いたけどまぁ予想通りの寝て過ごすつもりなんだろうね。

G28はお買い物に出かけるらしい、まぁ小物を買うくらいだろうね。

お姉ちゃんは何してるんだろう…朝から姿が見えないんだけど。

いや、まさか騒いでいるのがお姉ちゃんってオチは無いよね…?

 

そ の ま さ か で し た 。

 

ゲームスペースで騒がしく怒鳴り散らしながらゲームに興じていたのは我が姉であった。

アーケードゲーム筐体の中でも異色を放つLeft4Deadの筐体に齧りついていた。

本来のL4DのプラットフォームはPCなのだがこの基地にPCは無い。

その代りにあったのがアーケードエディションと言われるL4Dだった。

PC版の劣化コピーなんて散々ぶっ叩かれた物だけどそもそものL4Dが良作だからね…

というかコレも半世紀前の代物なのによくあったものだよ…I.O.Pが一枚噛んでるのかな?

 

「あぁあぁああああああ!!なんでARがM16なのよこのクソゲー!!」

 

お姉ちゃんの怒りの殆どはこれに尽きる。M16という存在に対してえらく食いつく。

もっぱらゲーム内で担いでいるのはAK47だ…発射レートは若干劣るが単発火力に秀でるARって味付け。

あ、ちなみにL4Dはいわゆるゾンビゲーに分類されるFPSになる。

大量に出てくるゾンビを撃ち殺す一人称視点での銃撃戦ゲームだ。

人間の頃に一時期ドハマリしたゲームでガチ勢入りしたこともあるゲームだ…懐かしいな。

筐体は一個だけじゃなくてご丁寧に2人分用意されている…これはアレだね?乱入しろって事じゃな?

 

「よう、お姉ちゃん…楽しそうじゃん混ぜろよ」

「417?」

 

返事を待たずに隣の筐体に座ってスタートボタンを叩く。操作法はもう直感的に分かる。

筐体に据え付けられているものはモニターとスピーカー、ジョイスティックにマウスと言うPCを踏襲してるものだ。

ただし操作ボタンが圧倒的に足りてないのはご愛嬌、右クリックでゾンビを殴れるんだけどこれにアイテムを拾うのも紐付けられているっていうね。

途中参加したけどお姉ちゃんがプレイしているのはまだまだ序盤も良いところ。

ようやくSMGから上位武器がPOPする面に入ったって所…ガンショップでARのラインナップを見てキレてたんだろうね。

じゃあその前に騒いでいたのは…多分特殊感染者の露骨なプレイヤー狙いにキレてたな?

 

「ふはははは、かなり離れていたけどハンター殴りなんてお茶の子さいさいよ」

 

このゲームで重要なのは行動不能にならないことだ。

特殊感染者って言うのは複数体居て普通のゾンビと違って特徴が存在する。

飛びかかり抑え込んで殺すか殺されるまで弄ぶハンター。

飛びかかり倒れるまで頭上に乗って行動を阻害してくるジョッキー。

長い舌で絡め取り引きずって締め上げるスモーカー。

異常発達した片腕を盾に突っ込んできて捕まえたらひたすら叩きつけるチャージャー。

特殊な胆汁というゲロを吐いてきて視界を悪くする上集中砲火させるブーマー。

酸性の唾を吐いてくるスピッター。そして筋骨隆々異常発達したタンク。

タンクはあまり出てこないけどそれ以外の特殊感染者は結構な速度でPOPするから適時処理していかないといけない。

特に速攻処理しないといけないのはハンター、ジョッキー、スモーカー、チャージャーの4体。

こいつらがまぁ捕まったら行動不能になるからね…飛びかかってくるハンターを殴るのは一応上級テクに分類される。

慣れてしまえば片手間に殴り落としてそのまま処理出来るようになるけどね。

 

「あーもうまた…どこから湧いて出てくるのよ!!」

「はいはいお疲れ様ー」

 

お姉ちゃんがスモーカーに捕まった所を殴って救出、そのまま舌の伸びた先を辿って本体を撃ち殺す。

FPS初心者のお姉ちゃんは取り敢えず慣れようね、このゲームの雰囲気にも操作感覚にも。

普通のFPSとは違ってかなりカジュアルな挙動だから慣れたら楽しいよー

初心者にありがちなフルオート射撃しても暴れないのは素晴らしいと思う。

まぁお姉ちゃんは初心者でも現役の戦術人形だから指切りはちゃんとしてるしクリアリングもしっかりしてる。

 

「え、何このBGM?」

「あータンクだねーいわゆるボスが出てきたんだよ」

「何よあのデカいゴリラは!」

「取り敢えず鉛玉をプレゼントしてあげようねー」

 

想定外の敵の出現にお姉ちゃんが珍しく取り乱してるな。

M16ショックもあって荒れ放題なお姉ちゃんも珍しいしちょっと見てたい…

おっとチャージャーが湧いたな…このゲームは音が結構重要である。

特殊感染者が湧くと特定の音階の音が鳴るそれで判別も可能である。

あと定期的に特殊感染者は鳴くからそれでも判別は可能だけどね。

そしてやれると気持ちがいい…突撃チャージャーHS殴り。

傍から見たら突進してくるチャージャーを一発で殴り殺したみたいになるからスカッとするんだよね。

なお失敗したら行動不能になるからかなりリスキーなワザである。

 

「突進が来なかった?」

「あ、もう処理したからOKだよー」

「ゴリラも処理したわ」

「チェックポイント近いから走っちゃおうか」

 

このゲーム意外と時間を食うのだ。早めのゲーム進行を心がけないと平気で30分位食われる。かなりの時間泥棒なのだ。

 

それにしてもお姉ちゃんがこの手のゲームに興味を示すとは驚きである。

よく見たら筐体の横に軽食が散らかっている…おい、まさかね…

 

「ねぇお姉ちゃん…朝食は?」

「もう食べたわよ」

「その隣に散らかってるチョコレートバーなんて言ったら怒るよ」

「……」

「おい、お姉ちゃん?」

 

もしかしなくても生活力クソザコ疑惑が浮上したぞ。

目をそらして誤魔化そうとするなよちゃんと妹の目を見てよ、お姉ちゃん?

 

「お姉ちゃん…」

「な、何かしら417?」

「ゲームの前に一緒に食事作ろっか♪」

「そ、そうね…」

「拒否ったら電源ぶっこ抜いてたからな」

 

お姉ちゃんの首根っこひっ捕まえてキッチンスペースに引きずっていく。

 

 

――――――――――――

 

 

「よくそんなズボラな事して完璧なんて言えるね、えぇ?」

「そんな事ないわよ、手軽に済ませるのも」

「あぁ?何いってんだ女子力壊滅お姉ちゃん」

「ぐはっ」

「そんなんじゃお兄ちゃんにも幻滅されるぞ、おらシャキッとして料理すっぞおらぁん」

「ぐふっ」

 

半ギレの私の口撃にお姉ちゃんが若干涙目になった所でエプロン装備させてお料理開始じゃい。

まぁ手軽に済ませるのも良いけどね、ズボラと手軽は違いますぅ。

この分だと部屋もそのうち汚部屋になりかねないな…家事を叩き込むか。

この姉多分だけど教えてもらってない=知らないになってるな?

まぁ戦術人形として生まれたなら家事の事なんて二の次だろうし知らなくても当然かぁ?

だがこの姉は完璧を自称しているんだ…そう、完璧なんだ…そんなの許されると思ってか!

 

「手軽にサンドイッチ作るよ最低でもちょっとは手を加えようね…」

「わかったわよ…」

 

今回作るサンドイッチは超ズボラでも作れる手抜き飯だよ。

作り方は簡単、出来合いの食パンに野菜を適当に乗せてマヨネーズで味付け、そして半分に折って出来上がり。

簡単3ステップだよ、これで美味い飯が食えるんだから良いだろ?

私が人間の頃によく使っていたズボラ飯だ。最低でもこれくらいはしようぜ。

ここで女子力を発揮させようと思ったらちょっと洒落てアボカドとかサーモンをトッピングするのかな?

 

「あ、G36そこのゴミは片付けないで、この残姉ちゃんに片付けさせるからー!」

「わかりました…残姉ちゃん?」

「ちょっと!?声が大きいわよ…」

「面白そうな」

「気配を」

「感じ取ったのでー☆」

 

うわ、UMP姉妹とG28が飛び出してきた。G28テメーは買い物に出ていくんじゃないのかなー?

珍しくしょげているお姉ちゃんを見て面白いのを発見したとばかりにUMP姉妹がからかい始めた。

 

「朝から騒いでると思ったらしょげちゃって~なにがあったのかしら~?」

「残姉ちゃんなんて言われてしょげちゃった感じ?ねぇねぇ♪」

「完璧な人形なのにずいぶんと…ぶふーww」

「あんたらねぇ…ぶっ殺す!」

「あーあ…後片付けどうするんだよ」

 

私をほっぽりだして3人相手に追いかけっ子を始めたお姉ちゃん。

因みに食事は相当早く掻き込んで飲み下している…早食いは完璧だなオイ。

私はゆっくり食べたいからちまちま食べてるけど…あーあ家具を張り倒して片付け範囲が広がっていく。

私はブチギレないけど…私より怒らせたら怖いのがキレるよー?

 

「あらあら♪朝から元気いっぱいね…そんなに遊びたかったら外でやれぇー!!ぶるぁぁぁあああああぃ!!」

 

あーあ、この基地きっての戦闘狂がキレた。言わずもがなFALである。

動きのキレがすごいな…逃亡を図る45姉にドロップキック、その反動でさらに9姉に飛びかかり張り倒し…

パワープレイでお姉ちゃんにはノーザンライトボム、G28はぶるぁが効いたのか竦み上がって固まってるし…

 

「ごくん…ふぅ、取り敢えずUMP姉妹は私室に放り込むか」

 

お姉ちゃんは水でもぶっかけて起こしてから片付けさせよう。

掃除というものを叩き込まなくちゃいけない…

私室をちらっと見たらすでに軽食の食べた後のゴミが散らかっていた…やっぱりこの姉生活力が死んでる…!

 

 

――――――――――――

 

 

ちょっと教えたらすぐに片付けなんてお茶の子さいさいと言った様子で片付け始めた。

それでようやく完璧なんだよ、このポンコツ姉…

ただ文句言いながらするのはいただけねぇなぁ…元はと言えばおめーが散らかしたんだろうがっ!

 

「いった…何するのよ!」

「文句言ってばっかりで自分でやったことだろうがや、ちゃんとケツを持てや」

「417?ちょっと言動が」

あ"ぁん?

「な、なんでもないわ…」

 

普段てめーはG11に厳しいこと言ってんだろうが、自分がされる覚悟はあったんだろうなぁ?

妹は鬼おこだよ!この姉の残姉ちゃんっぷりになぁ!!

あまりのおこっぷりに昔が少し舞い戻ってきたよどちくしょう!

 

「兎も角…これで生活力は良いよね?あの汚部屋をお兄ちゃんに見られたら引かれてたからね?」

「もう良いでしょ…」

「完璧なんて言うんだからその辺も完璧にね」

 

私の目が黒い内は許さへんで。




この基地以外の416はきっと完璧だから(震え声)

こんな扱いですが弊基地では結婚している人形なんですよね…


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Day50 カフェの一幕・騒動を添えて

休日のカフェ回


――――――――――――D08基地カフェ・昼

 

 

お姉ちゃんのだらしなさにブチギレた朝から時間は経って昼。

基地の全休日と言ってもこのカフェは休みではない、絶賛稼働中である。

昼に差し掛かり昼食にありつこうと職員、人形問わず押しかける。

食堂は休みだからね、皆食事を作るのは面倒臭いんだろうね…

差し当たってスプリングフィールド一人では手が回らなくなるのだ。

ではどうするのか?臨時のお手伝いが必要になるのです。

誰がするかだって?そりゃぁもちろんそんな忙しいのを喜んで引き受けるのは…

 

「私、417と」

「私、G36ぐらいでしょうね」

 

仲良しメイド隊の二人くらいである。もちろん私もメイド服である。

他のメイド隊はどうしたって?面倒なのは嫌いなUMP姉妹は拒否するし。

お姉ちゃんも態々火の車に飛び込む酔狂な事はしない。G11?はっ(笑)

G28は今日は出かけたからそもそも無理な話だ。

しかしまぁ狭いカフェの中は昼食を摂る職員でごった返している。

満員御礼であるよ。臨時で席を追加してもコレだからね…スプリングフィールドの飯は美味しいか?

いやまぁ実際めちゃくちゃ美味しいからカフェを開いているんだろうけどね。

店主であるスプリングフィールドはさっきからフル稼働でパンを焼いてはコーヒーを淹れて…と大忙し。

私達はそんな店主のサポートだ。配膳、空き食器の回収、食器洗いにお客のオーダーを取ったり…

まぁ言ってしまえば雑用だね。これでも重要なんだけどね。おっと注文だ。

 

「オーダー入ります、イングリッシュマフィンセット一つ、ブラックコーヒーです!」

 

因みにこれでカフェラテとかが入ると私がちょっとひと手間を加える。

ラテアートをちょこっと加えるのだ。ちょっとしたサービスなんだよ。

まだ練習段階だし出来るのは限られてるんだけどね…頑張ってG&Kのマークをやろうとしてるんだけど。

 

「417ちゃんお願い生地を捏ねてて!」

「はーい」

 

店内はジャズが流れる優雅な空間なんだけど…キッチン内はドタバタだ。

スプリングフィールドがコーヒーを淹れている間に私が代わって生地を捏ねることに。

もう味は決まったようなものだし捏ねくり回すのは慣れたものだからお茶の子さいさい。

なんてこともなく私が捏ね上げてから寝かせるまでに至るけど…回転率が悪い!

そもそも寝かせる必要のある生地を今捏ねてたら間に合うわけ無いじゃん!どう考えてもピーク後のことだよね!

 

「そろそろ空いてるかしら…っとまだまだ盛況ね」

「ごめんなさい、まだ満席ですー!」

 

まだ空腹を抑制できる人形が後回しになっている状況だ。

45姉がドアを開けてそっ閉じした、まだまだ盛況も良いところだよ!というか手伝えや!

 

「ご注文のブラックコーヒーです、セットはまだですので先にコーヒーをお楽しみください」

「417ちゃんはそのまま生地を作って!分量はこのレシピ通りにお願い」

 

まぁ文句言っててもしょうがない、私は与えられたお仕事をするまでよ!

接客はG36一人でも十分みたいだし…私はキッチンでこねこねするだけよ。

というかG36の接客がパーフェクトで私が出る幕がないといったほうが正しいか。

レシピを確認してから後は分量をきっちり計って…なるほど、スプリングフィールドのレシピをゲットだぜ。

これで私も美味しいマフィンが焼ける…ふへへへ、思わぬプレゼントだね。

 

「おっぱいちゃんえらいご機嫌だな」

「ちょっとナンパしてみたらコロッと…」

「お客様?」

「「アッハイ」」

 

不穏な客はG36が眼力で黙らせてるしいやー快適ですね。

それでも不躾な視線っていうのは無くならないけどね…私は別に構わないけど。

G36やスプリングフィールドはどう思うか知らないよー?

いや、スプリングフィールドは忙しくて気づかないか…

 

 

――――――――――――D08基地カフェ・昼下がり

 

 

「はふ…お二人共今日はありがとうございました」

「いやいや、私は暇してたし」

「頼られる事を悪く思いませんから」

「「ねー♪」」

 

いえーい♪とG36とハイタッチして過ごすのはピークタイムが過ぎ去って一段落ついたカフェ。

職員があらから食い終わってから人形が代わる代わる入ってくる頃には忙しさのピークは過ぎていた。

寝坊助のG11が入ってきた頃にはもう穏やかに時間が過ぎるばかりになっていた。

お昼の営業はおしまいとしてお手伝いした私とG36が遅いお昼を堪能していた。

スプリングフィールド特製のイングリッシュマフィンは絶品だ。

そして自分でやったラテアートを眺めながら談笑して過ごす昼…うん優雅!

窓の外に危ないやつが居るなんて知らないよ、G36Cみたいな顔した危ないやつなんてしーらない。

 

「そういえば寝かせたマフィン生地はどうするの?」

「おやつ時にまた開店した際におやつとして振る舞うんです」

「なるほど」

「ふむふむ…その時にお手伝いは要りますか?」

「いえ、お昼ほど忙しくはないのでお客さんとして来てくださいな」

 

おやつ時は忙しくないのか…お客さんとして来るか…それとも…

そういえばスプリングフィールドはマフィンの他にもケーキとかも焼くから人形がこぞって来るんだよね。

特にわーちゃんは甘い物に目がないから入り浸っていたり…

甘いのに弱いのはなんと私のお姉ちゃんも例外ではないのだ…甘いの恐るべし。

因みに私の好物はふわふわなスフレチーズケーキだ。

これは人間の頃からなんだけどね、甘くて口当たりも良い物は極上だよ。

まぁこのご時世にそんな高級品はめったに食べれないけど…

 

「じゃあまた後で来るね」

「私も家事に一段落つけばまた来ます」

 

ふぅ、遅いお昼はぺろりと平らげて次の行動に移りましょう。

G36は足早に基地の方へ行ったな…基地のお掃除かな?

お皿だけでも下げてから私もカフェから飛び出る…何をしようかな?

 

 

――――――――――――D08基地カフェ・おやつ時

 

 

結局私はあの後食後の運動としてロードバイクで基地の周りをぐるぐる周回した。

あとしたのはちょっとしたスタントだね、ロードバイクでも出来るスタントは限られるけど…

この人形ボディになってからポテンシャルがかなり上がったからやりたかったことがアレコレできるんだ。

 

まぁそれはそれとして…今はおやつ時でカフェがまた開店している。

中はもう甘味を求めた人形でごった返している。

騒がしいのが嫌な人形はテイクアウトして自室で食べてたりするらしいけど。

あ、第4部隊のメンバーが仲良く食べてる。ちょっと混ぜてもらおうかな?

 

「いらっしゃいませー…あら、417ちゃん」

「やほー、チーズケーキある?」

 

ケーキは日替わりで出てる種類が変わる。ラインナップに関しては聞いたほうが早い。

で、私は好物のチーズケーキがあるかどうかを聞いてみてからあったらそれにしようと思ってる。

無かったらチョコレートケーキがあればいいかなぁ?

 

「本日は焼いていますよ、はいどうぞ」

「やりぃ♪」

 

好物があるとなるとテンション上がるねー♪

さっそく支払手続きしてから商品を受け取り店内の一角へ。

 

「相席良いかな?」

「あら、417も今日はカフェに?」

「ほらここに座りなよ♪」

「こらG11私のケーキをつまむな!」

「えーいいじゃーん…」

 

9姉が隣を開けてくれてそこに私が滑り込む。詰めれば5人ギリで入れるテーブルで良かった。

UMP姉妹が普通のショートケーキでお姉ちゃんはチョコレートケーキ…G11はアイスクリームだ。

そして私のチーズケーキが加わって本当に色とりどりになったなぁ。

 

「んー♪」

「やっぱり美味しいよねー♪」

 

一口食べただけでも美味しさの暴力に簡単に私は屈した。美味すぎる…!

ほっぺた押さえて悶ちゃうと9姉が同じ様にショートケーキ食べてにこにこして

 

「やっぱり9が一番可愛いわ」

「は?何言ってるのよウチの417が最カワでしょ?」

「あ?」

「何よ?」

「ひえぇ…」

 

なんか姉連中が一触即発になってるんですけどぉ?なんでなんで?

9姉は我関せずでそのままケーキに没頭してるし…マイペースだなぁ!

G11なんてそんな一触即発なお姉ちゃんと45姉の合間だから完全なとばっちりだし…

というか姉連中そんなキャラだったっけ?

 

「お待ちを」

「「あぁん?」」

「愛らしい妹であるなら私の妹、G36Cが一番であると具申します」

「「よし、表へ出ろ」」

 

イヤーな予感…隣で食べてたG36も混ざって姉連合が外に出ていったぞ…G36Cはトリップしてるし。

いや、本当にこれどうするのよ…お姉ちゃんと談笑しながらのおやつのはずだったのに…

 

「45姉の食べかけ…んー♪」

「へへへ、今の内に食べちゃえ…」

 

出ていった姉の食べかけ…ごくり…9姉は躊躇なく食べてるし…

G11はこれ幸いにともそもそ食べ始めて…ま、待って私も食べるぅ!

 

「何するんだよぅ、これは私のだぞぅ」

「お姉ちゃんのは私のなのー!一口、一口だけでも良いからぁ!」

 

唸れ私のシスコンエンジン!お姉ちゃんのケーキは私のもんだー!

 

 

所変わって店外。

 

「9の天使っぷりにアンタ達ひれ伏しなさい。毎朝の挨拶がもう天使そのものなのよ?満面の笑顔でおはよう♪今日も元気に行こうね♪なんて言ってくるのよ?それも私にだけの特別な挨拶なのよ?もう昇天物よ。」

「はっ、そんなのまだ甘いわよ。ウチの417なんて挨拶だけだと思う?そんなのじゃ甘いわ朝ご飯まで持ってきてくれてから一緒に食べよう?なんて甘えてくるのよ。これこそ天使って言うものでしょう?まったく完璧な妹には参ったわ」

「お待ち下さい私の妹G36Cはお手伝いの居ない日に限って率先してお手伝いをしてくれるとても健気な天使なのですよ。本日もお洗濯中文句一つ言わず手伝ってくれた大天使です。おまけに気遣いに今日もお疲れ様ですなんて声を掛けてくれるのです」

 

「「「私の妹が一番に決まってるでしょう!!」」」

 

「何だありゃ?」

「さぁ…妹自慢合戦?」

「姉の妹煩悩って奴か。微笑ましいねぇ」

 

店外では姉連合による妹自慢合戦が始まっていてその余波は凄まじく…

その後暫く私達妹連合のメンバーは揃って温かい目で見られることになった。




妹たちの暴走と姉の暴走は同時に起こるもんだよ。

*追記*

誤字脱字報告ありがとうございます


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Day51 兄と姉

140cmのロリっ子が運転するってどうよ?


――――――――――――D08基地兵舎HK417私室・朝

 

 

今日は外出日だ。一週間ぶりの兄との会合の日。

茶目っ気の発露でナチュラルメイクではなくギャルメイクで行ってみよう。

無職童貞の兄には目の毒な童貞殺しの服で行って…ふふふふ、今日は目一杯からかってやろう。

ついでにお買い物をしてからお部屋を彩るファンシーアイテムを買い漁らないと。

お部屋が殺風景だと女子っぽくないしねー…今あるのは猫ちゃんぬいぐるみくらいだもん。

ぬいぐるみを多く買ってからお部屋に飾りつけよう、あとは可愛い小物だね。

あとあと街でスイーツを買ってから冷蔵庫の中に放り込むかな?

出撃後とかに自分で作るだけの時間がない時にリラックスするためだ。

 

うん、メイクもバッチリ。服もおかしい所はなし!

どこに出ていっても恥ずかしくない美少女だね、えっへん♪

じゃ、後は簡単に朝ご飯食べてから行動開始だね。お腹が空いてはなんとやら。

間違ってもチョコレートバーで済ませるような事はしちゃいけない。

 

こんな時のために昨晩こっそり作っておいたのが…春田印のイングリッシュマフィン!

ベーシックに目玉焼きとベーコンとチーズをチョイスしているから朝からボリュームはOK!

一晩置いて冷めちゃっても美味しいのがこれいいぞ~♪

 

あと、例のブツも冷えて出来上がってるだろうし…プレゼントしたら喜んでくれるかな?

 

かくしてお部屋から一歩も出ること無く朝の支度は完了だ…後は同行する人形か職員が居るか確認して…

…あー、今日は誰も出ないと来たもんだ。私が運転かぁ足届くかな?相当座席を前に出さないと届かなさそうなんだよなぁ。

ロードバイクに跨がれたからまぁイケるっしょ。お姉ちゃんの足長いし私の足も長い方だからきっとイケる!

 

おっといけねぇ護身用のMk-23を忘れる所だった…

 

 

――――――――――――

 

 

座高が足りてない上に足がギリギリだったから運転するにあたりかなり危なっかしい事になった。

ハンヴィーの想定してる運転手の体格が良すぎるんだよぉ!ちくせう。

ということでちびっこ人形用に用意されていたバギーを借りることになった。

荷物の安全はちょっと保証できないけど私でもまぁ運転できなくはない範囲だ。

私一人でのお出かけっていうのは初めてだな…帰りの時間をあんまり考えなくてもいいから気が楽だね。

 

脳内ナビゲーションに従ってバギーを走らせて…街につくのはやっぱり昼か。

バギーの動力性能じゃ出せる速度なんてたかが知れている。

無理くり速度を出しても事故の元なので無理はしない。安全第一さ。

 

運転免許?んな細かいことは気にしちゃいけないのよ、人形だぜ?

普通にG&Kの所属証を見せりゃ止められても黙らせれるのよ。

最悪それでも聞かないなら人形である証の識別コードを見せればそれで黙る。

まぁ街の中で脱ぐ必要が出るからそれは勘弁願いたいけどね。

長時間のドライブだ、さて楽しんでいきましょう。

 

 

――――――――――――

 

 

街について真っ先に向かったのはお馴染みのショッピングモール。

ファンシーアイテム買い漁りタイムですよ。えぇ。

ピンクで可愛らしいクッションにテディベア、猫ちゃんぬいぐるみ!

この手のアイテムとしては手頃なのが良いけど嵩張るなぁ。

すぐに満杯になったお買い物かごを片手に抱えて向かうのはテイクアウト可能なファストフード店。

ジャンクな物だけど偶には良いでしょ。見れば嘗ての私と同じ様な学生の姿がちらほら見える。

それも今の私と大差無さそうな女学生の姿も見える…残念だが今の私はぼっちだがな。

 

お姉ちゃんだけでも良いからついてきてくれてたらなぁ…と思わなくもないけど。

私のお買い物に付き合わせるのもアレだし気ままなぼっちツアーを楽しもうじゃないの。

 

「ヘイ彼女、一人?」

「んー?」

「俺たちと遊ばない?」

 

おーおー出たナンパ男。始めて見たけど実在したものなんだね。

まぁ冷静に見ればぼっちの美少女を放っておくわけもないか…面倒臭いのに絡まれたなぁ。

兄さんのとこに行くつもりなのに…さーて…無視してさっさと行くかな?

はよテイクアウト品出てこいよ…

 

「無視ぃ?ちょっとそれはないんじゃない?」

「優しくしてあげるウチに返事しなよ…あぁ?」

 

うわー面倒くさ…女になってこれは面倒くさいなぁ…ここで乱暴ごとにするつもりはないしどうしようかねぇ

銃でちょっと黙らせるか…ついていくふりして路地裏でボッコボコにするか…決めた!

 

「あぁごめんなさい、それで何?何して遊ぶの?」

「そりゃぁもちろんイイコトよ」

「天国に連れて行ってやるぜ…へへ…」

「ふーん…」

 

視線は私のおっぱいか…まぁ下衆な欲の塊と言った所か。

おとなしく付いて行ったら何されるかわかった物じゃないな。

という訳で私が行使するのは…

 

「ごりっと♪」

「お、おっと…」

「へいへい、そんなの取り出すのはノーだぜ…」

「とっとと失せなベイビー、それとも脳天で呼吸出来るようになりたい?」

 

慣れた手付きでMk-23を引き抜いて眉間にごりっと押し当てる。

目に見える抑止力は大事だねちょっと予定外の事で時間を取られたけど…さて兄さんの所に行きましょか。

 

ん?なんだか背後で見慣れたモノが見えたような…気のせいかな?

 

 

――――――――――――

 

 

「やっはろー♪愛しの妹が今日もやってきたぞー!」

「声がデケェよバカ妹」

「んなぁ!?バカ妹とは何さー!」

 

愛しのマイスイートホームの近くにバギーを停めて押し入る。

ふむ、今週はそこそこ清掃していたな、上出来じゃない。

ただバカ妹発言はいただけねぇぞヒキニートォ!!

 

「ぷーだ…あ、そうだ♪はいこれプレゼント!」

「ん?何だこれ」

「開けてみ、ふふん♪」

「…チョコレート?」

「数日遅れのハッピーバレンタインだよ、兄さん」

 

そう、昨日作っていたブツとは兄さんに贈るための生チョコレート。

ヒキニートな兄さんには縁遠いものだっただろうブツさ、妹は頑張ったんだぞ♪

身内からのものだったとしても嬉しいんじゃない?

 

「うめぇな」

「でしょ?はい、あとこれお土産のハンバーガーだよ、おやつ代わりにどーぞ」

 

よし、美味しいをいただきました…まぁ間違いはなかっはずだからね。

ん?お外でなにか物音…?何事だろう…?

 

「そういやお前には朗報かもしれねぇ…就職先見つけたんだ」

「マジで?兄さんがヒキニート卒業…だと…?」

「おう…清掃員だけどな、住み込みだし給料も良いんだぜ?」

「やったじゃん!」

 

べしべし肩をぶっ叩いて我が事のように喜ぶ。

脱ヒキニートは大きな一歩だぞ兄さん!ただ住み込みかぁ…このアパートどうするんだろう?

 

「だからこの部屋もほぼ引き払う…お前の部屋がまだあるから退去はしないけどな」

「んー…私の部屋はもういいよ?ほら…私はもうこんなんだし、男物は要らないんだ」

「ゲーム機はどうするんだよ」

「今日持っていくつもり、車で来てるし」

 

宅配なんて基地に頼めないし…どこからのだよって怪しまれるからねぇ…

自分で持ってきたらジャンク品を買ったってまだ誤魔化せる。

んん?ノック?誰だろう…

 

「はーい…え?」

「417、この家はどういう事かしら…?」

「……尾行か」

「勝手に尾行したのは悪かったと思うわ、でもこの兄っていうのはどういう事?」

 

玄関を開ければそこに居たのはオフの格好をした我が姉、416であった。

毎週どこかに出かける私を訝しんだか?尾行するにしても今日は出ないって…

まぁ隠すことでもないし…堂々とするか…

 

「そのままだよ、お姉ちゃん…この人は私の兄」

「人形ではないわよね?」

「そりゃそうだよ、この兄さん人間だもん」

「分かりやすく説明しなさい、417」

「おい、姉ってどういう事だよ…417?どういうこった」

「「黙ってて」」

 

あーあ、これは私の奥深くを姉さんにも話さなくちゃいけないなぁ。

人形の身体になった経緯はぼかしながらも私の意識、AIの根幹は人間のものであること。

それが段々と今の形に形成された事を話した…当然、私が元男って言うのも含めてね。

 

「にわかに信じ難いわ」

「だろうね、ならなんで見ず知らずのハズのこんな家に入り浸ってると思う?」

「…………もともとアンタは私のダミー人形だったはずよね?」

「生産段階ではね。それもエラーロット…普通は倉庫とかで永遠眠り続けるはずだった」

「私が知ってるのは世界で最も可愛い妹よ、元男?元人間?知ったことじゃないわ…」

「…」

「どんな経緯で生まれたとしても417、アンタが今の私の妹であることに変わりはないわよ、姉を舐めんじゃないわよ。

それとそこの男、ご覧の通りで今は私の妹でもあるから渡さないわよ」

「わっぷ」

「元から俺のものじゃないし…バカ妹を頼むぞ」

「フン、言われなくとも私が面倒を見るわ」

 

お姉ちゃんと兄さんとが目線を合わせてバチバチ火花を散らせてるぅ…主にお姉ちゃんから一方的にだけど。

所でお姉ちゃん、息苦しいんだけど…めっちゃおっぱいで鼻が潰れてりゅ。

 

「じゃ、俺はゲームするんでその妹そのまま連れて行けよ」

「いやまってよ兄さんせめてワンゲーム位は一緒にしようよ!?」

「ワンゲームだけよ…」

「あぁん!?お姉ちゃんもやるんだよぉ!!」

「何で私まで…」

 

その後結局日が暮れるまでゲーム三昧したのであった。

一番熱中したの?言うまでもなくお姉ちゃんだけど何か?

 

 

――――――――――――

 

 

「で、なんでお姉ちゃんは私を尾行したのさ?」

「そりゃ毎週末ショッピング以外に出かけている妹が心配で先週時点で発信機を着けてたのよ」

「えぇ…」

「個人宅に数時間も居たんだから心配にもなるわよ…その、変なことされてないかとかね?」

「私がそれを黙ってるクチだと思う?」

「それでもよ」

 

帰り着いた後荷物片手にお姉ちゃんに聞けばそんな種明かしをしてきやがった。

身内だろうが怪しめば容赦なくそういう事するのね…

だから初っ端結構剣呑な雰囲気で来たのね…

 

「もう一度言うけど…アンタの出生がどうであれアンタはアンタ、私の妹よ。それ以上でもそれ以下でもないわ」

「ふふ…良い兄に良い姉をもって私は幸せだよ♪」

 

今日はとっても良い夢が見れそうだ。




お姉ちゃんには秘密をゲロっちゃいましたけどこの世界は優しい世界だから

Q:この回でバラす必要ある? A:ある(鋼の意志)



おまけ・その日のご近所さん

「ねぇ聞いて、あの部屋の引きこもりさんなんだけど今日は二人も女を連れ込んでいたわよ!」
「あらやだ、あの引きこもりがそんなプレイボーイだったなんて…その女は?」
「二人揃って超美人なのよぉ!しかも似てたから姉妹かしら?ダメンズ好きなのかしら?」
「あらやだ~あの子にも春が来たのね~」

<アァァアアアア!!フザケナイデ!
<オネエチャンオチツイテ
<コントローラーナゲンナ

「楽しそうねぇ」
「そうねぇ~」


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コラボ番外:スチェッキンさんの屋台が来た

今回のは焔薙さん所の【それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 】とのコラボって言う番外です
ほのぼの日常だから皆も見ようね、ねっ!


――――――――――――

 

 

「で、この移動式屋台の話しどこで知ったの?」

「いや、本部から持ちかけてきてくれたんだよね、いやー助かるわ」

「ふぅーん…」

 

今日はちょっとしたお客さんが来ていた。

S09第○地区の基地からのお客さんだ。えぇとS地区と言うと呪いのS02地区があったりする激戦区だ。

鉄血のハイエンドモデルも出没する危険な地域な筈だけど…いやめっちゃ遠い所からご苦労さまです。

何をしに来たのかって言うと移動販売をしにきたみたいだ。

販売員兼店主のスチェッキンとお手伝いのトンプソンだ。

 

お兄ちゃんに連れられてお出迎えをした所まぁ怪訝な感じに見られたか。

そりゃそうか、HK417なんて人形はそもそも存在しない筈の人形だしね。

 

「あの地区の指揮官はな…俺より若いんだぜ?」

「ふぅん…どれくらい?」

「ティーン・エイジャーだぜ」

「ウッソだろお前」

 

十代で指揮官…相当優秀なんだろうか…移動販売も手掛けてる程だしやり手なんだろうな。

その後も聞けば指揮の天才で戦績も聞けば相当なものらしい。若いながら天晴と笑っていた。

 

「なんと一昨日我が基地の指揮官が結婚記念という事で今日は全商品、赤字覚悟の6割引きだ!!」

「結婚…マジで?」

「ほぉ?」

 

ピシリとお兄ちゃんも私も固まった。え?結婚記念ですって?

 

「いや、マジ?マジなんね…へーふぅん…ほー…」

 

お兄ちゃんがかるーくショックで固まってるぅ…

で?赤字覚悟で表示額の6割?いやいやいやそういうのだったらそのまま提示額で出せや。釣りもいらねーよ!

向こうから来たトンプソンも食って掛かってる、いや言って良いことだったのか!?

共犯ってワードも出てきてるぞー?おー?不穏だな。

 

しかしまぁ商品がとんでもない量だ…しかもこれ…おいおいこれ天然物じゃないか…!

これ自作してるの?ウッソでしょ…農業セットなんてのもあるし…お前らも出来るんだぞってことかこれ?

暇してる人形は多いし出来なくもないか…?この付近の天候は比較的安定しているし…

汚染物質の雨が降るようなことも無い…これはチャンスなのでは?

 

「おいオメーら良いか?これはご祝儀みたいなもんだ。ありったけ買うぞ」

「「「「ウス」」」」

「コーラコーラ!」

 

SAAはもうコーラ一直線だな、買い占めするつもりだぞコイツ。

メンテナンス班も今日は財布の紐をゆるっゆるにしていくつもりだな?

それにしても結婚かー…良いなぁお相手は誰なんだろう?

ごろごろ転がってる貴重な天然物のじゃがいもを手にとってそんな事を考えていた。

 

「弾薬だ、弾薬をYO・KO・SE」

「こ、この枕は…!ふおぉぉぉぉ…」

「このチョコは私の物よ、ふふ♪」

「おぉー!このスコープとバイポッドアタッチメントは良いですねー!私はコレにします!」

 

「あーはいはい押さない押さないスチェッキンさんは逃げないよー?」

 

いい具合に屋台の周りがわちゃわちゃしてきたぞ。これは私のお望みのものを買うのは難しいかな?

取り敢えずお兄ちゃんに農業セットの購入を打診しておこう。

じゃがいもから始めて農業に成功したら一大ビジネスにも繋がるぞ。

 

「なにこのチャーム?」

「皆のアイドルP38?」

「CDもあるじゃん、お一つくださいな」

「「「俺らの天使がここにあった」」」

「はい、まいどありー」

 

お兄ちゃんがスチェッキンさんと握手してる傍で目新しい商品に次々目が行ってるな。

アイドルグッズまであるとは…P38?戦術人形だよな…?戦術人形がアイドルしてるってどういう事?

まぁ見た目はかなり可愛らしいからアイドルとして売り出すには良いかもしれないけど。

ラバーストラップのチャームか…銃のスリングベルトアタッチメントにくっつけてみようかな?

あ?野菜育成のDVDもP38が出演してるの?ウッソだろお前。

調理班の若い衆が興奮してらっしゃる、御本人登場したらこれ大波乱になりかねないな…

おーおーあっという間にアイドルグッズが買い占められたし…

 

「P38って人形…何者…?」

「何者ってそりゃアイドルだよ。歌って踊れてなんでも出来るアイドル」

「どんなアイドルだよ!?」

 

思わず叫んだ私は悪くないはずだ、いやいや何でも出来るアイドルって何事よ。

あ、この編み物可愛い、これは買いだ。ふぅん風景画なんてものもあるんだね…

 

「まった、そのボトルシップ私にもちょうだい」

「まいどー」

「いや、それなら私が作ってから」

「じゃあお姉ちゃんのと並べて飾るから」

「ぐぬぬぬ…」

 

向こうの基地にも416が居るのね。どんな感じなんだろう。

趣味でこんなのをするくらいに遊びはあるみたいだし私生活がだらしないみたいな事は無いかな?

完璧なのを作ってくれるらしいからお姉ちゃんのも期待しておこう。

 

ん?待てよ…と言うことはもしかして私以外の人形は居る可能性が高いよね。

ふーむ…と言うことは色々違いが出てくる…?環境が違えばAIも変わってくるよね。

商談以外に交流とか出来たら良いけど…後方支援活動で出向けたりしないかな?

 

ちょいっと予定外だけど良いインテリアも買えたし私はほっくほく…

皆も色々買ってホクホク顔で兵舎に戻っていってる。

一旦私も兵舎に置きに行くかな…両手と胸に乗っけてもこれはもう無理ぽ。

 

どっさり置いてからまた戻って…今度は倉庫から出て来たっていうブツを見てみようか。

 

むっ、このサプレッサーは買いだ。Mk-23と417用に買って…あとMk-23のライトモジュールだな。

お兄ちゃんは何買ってるんだろう?天然物の作物ばりばり買ってらっしゃる!

おーこれは大人買いの体ですな…

 

「いいかお前達…金って言うのはこういう時に使うもんなんだよ…!」

 

そう言って割と高い嗜好品の類いを買い込んでる…お、これは?

アコースティックギターとは丁度いい趣味になりそうだ。これも買っちゃえ。

 

 

結局この基地の面々で買ったのは…

 

指揮官:農業セット・種芋・農業DVD・各種お菓子類や酒・炬燵

FAL:チョコレート・風景画

WA:ボトルシップ・眠気覚まし

スペクトラ:弾薬とマグ

ステン:編み物手袋とマフラー

イサカ:P38CD・傷薬・眠気覚まし

スプリングフィールド:m45の美味しいパン

SAA:コーラコーラコーラ

G36C:編み物類

スコーピオン:傷薬・けん玉・半纏

M14:バイポッドアタッチメントとスコープ

Mk23:m45の美味しいパン

Uzi:手榴弾ポーチ

417:ボトルシップ・じゃがいも・編みぐるみ・P38ラバーストラップ・サプレッサー・ライトモジュール・アコースティックギター

UMP45:ぬいぐるみ

UMP9:ぬいぐるみ

416:ボトルシップ

G11:枕

G36:モノクル

スオミ:P38CD

G28:スコープ・ボトルシップ

メンテンス班:m45の美味しいパン・風景画

調理班:P38グッズ

ヘリパイロット:チョコレート

 

他にも各々買ったものがあるだろうけど…私が把握してる限りではこんな所。

 

んー…買い込んだけど…あっばぁ、これは酷い私の手持ちはもうすっからかん。

お兄ちゃんの方を見ても首を振って財布を逆さにしてる…すっからかんだな?

カタログも来るって言うし今ここで無理に買う必要は無いが…

 

私っていうイレギュラー人形も特に動じずに受け入れられているのは良いんだけど…

指揮官がイレギュラー…まぁティーン・エイジャーで指揮官してたらそりゃイレギュラーだわな!

それに農業してヘリの修理したりする万能アイドルなんていうよくわかんないP38も居るし…

どうなってるんだよ向こうの基地の人形…というか伸び伸びしてるな。

このスチェッキンだってこの屋台経営してるしさ…まじどうなってるのよ…

そのトンプソンだって何か趣味持ってるんだろう?えぇ?何か管楽器でもかき鳴らしてない?

 

「おい今拉致って言った!?」

「言ったな」

「連れてくるだけだよ~」

 

「ボスを拉致んなよ…」

 

その後に続くトンプソンの呆れ声と思わずといった様子の頭を抱える動作にお兄ちゃんが吹き出した。

私もこれには呆れ笑いが出てくる、指揮官をそんなふうに扱って良いものなのか…

 

「それにしてもそっちも自由な感じなんだね」

「そりゃぁまぁ我らが指揮官が指揮官だからねー」

「ウチのお兄ちゃんも大概だけどね」

 

大体の商品が売れていってガラガラになった屋台の前で雑談しているけど…

まぁーこんなに人形に対して自由にさせている基地がここ以外にあったものだ…

ぜひとも一度会ってみたいものだ、どんな指揮官なんだろう?

 

そして時間は過ぎて…スチェッキンとトンプソンは撤収準備して挨拶もそこそこに撤収していった。

 

「行っちゃったね」

「おう、次に来るのが楽しみだな」

「その前にお金稼がないとね…」

「そうだな…じゃ、さっそくパーティーすっか」

「買ったお菓子で?」

「あたぼうよ、あと農業する人形も選抜しねぇとな」

「あ、それだけど私がやってみても良い?」

「マジ?じゃあ頼むぞ」

 

購入された炬燵は兵舎に担ぎ込まれて共有スペースにぶち込まれた。

そして購入した食料品を持ち寄ってのパーティーが開催された。

理由?んなの向こうの指揮官さんの結婚を祝ってだよ。

 

聞いた話では向こうでスチェッキンが怒られたらしいけど…何でだろう?

 

「あ、S09第○地区の基地ですか?この度は世話になりましたD08地区の基地の指揮官です…はい、はい…いやーおめでたいですね、そちらの指揮官がご結婚なされたとか。

あ、いやこちらとしてはこれからもよろしくと…はい、はい…ではそちらの指揮官によろしくお伝えください、失礼しました」

 

司令室で通信機で通信している指揮官が居たとかなんとか。




正直に申し上げてコラボってこうでいいのかな…?
あと向こうのスチェッキンの喋り口とか自信ないぜ…

焔薙兄貴許して


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Day52 スオミのカラオケ親睦会

スオミちゃんをすこれ


――――――――――――D08基地共有スペース・朝

 

 

今週は第1第2部隊の出撃の日程だ…第1が午後、第2が午前である。

私はいつもの癖で早起きしてからお化粧して飛び出てきた訳だけど…

ちらっとMk23が突っ走っていったのが見えた。いつもの事ながらブレないなぁ。

さて、基地待機な私達は何をするか…これが中々に決めづらい。

お姉ちゃんはフリーだろうけどまたFPS祭り開催するんじゃないかなー?

朝からズボラしないために睨みに行ったけどチョコレートバーを持ち出すことはしてなかったから良しとしよう。

UMP姉妹?9姉は起きてたけど45姉はこれがなんと寝坊してた。

オフはダラダラしたいクチなのかな?こんな感じで待機は割とゆるゆるな朝だ。

因みに同じ部隊のM14やUziも同じなんだよね。スコーピオンは起きたらゲームしだす。

 

ん?あれは…スオミか?何してるんだろう?共有スペースに出てきて一直線に動き出した。

向かう先は…カラオケブース?おいおい朝からそれは迷惑なんじゃないの?

一応扉を閉めりゃ防音にもなるけど…限度があるしなぁ

あとスオミが音楽ってなると…ほら、あのインパクト大なヘビメタって相場が決まってるようなものだし。

大音量で流したりしたら流石に大迷惑やで…止めるか?

という訳で朝から似非スニーキングの開始である。扉に耳を当て中の様子を窺う。

 

「どのバンドなら…」

 

機材の電源を入れてから曲のサーチに入ってるな…デモンストレーションの音楽から察するに音量は適正値だから迷惑にはならないか?

ただ重低音の振動は出るだろうから近くの部屋には迷惑がかかるだろうなぁ…

一人カラオケって言うのも良いけどこういうのは皆でやるのが楽しいんでしょうが。

ちょっと待ってなスオミちゃんや…417にはいい考えがございましてよ?

 

さて今起きてる待機組をかき集めるか。取り敢えずお姉ちゃんは確定な!

おるぁん!45姉も寝てるんじゃねーぞ面白いことするぞー!

 

 

――――――――――――D08基地カラオケブース・朝

 

 

「わ、皆さんどうしたんですか…?」

「カラオケしてるとー」

「417からの情報が~」

「あったのでー♪」

「一人だと寂しいでしょ?仕方なく来てあげたのよ」

「なんで私まで…」

「お姉ちゃんに必要なのはコミュ力もあるからだよ」

 

布団引っ剥がしてまで話を持ちかけて集まったのは…スコーピオン、M14、Uzi、UMP姉妹にお姉ちゃん

G28は第2部隊のマークスマンとして出ていくらしいから無理だった、ちくせう。

カラオケっていうのは仲間内でワイワイしてこそ楽しい物だと思うんだよ。

あとこの機会に一気に仲良くなりましょ?っていう私の思惑もあるんだけどね。

 

「じゃあ一番手は私が貰ったー!」

 

トップバッターは我らが部隊長、スコーピオンが取った。

こういうのはムードメーカーが歌うとそのまま盛り上がったりするんだよね。

皆が知ってる歌なら尚良し…さて何を歌うのかな?

2ndSIDEって曲か…どんな曲かな、私知らないや。

 

へぇ、スコーピオンってこんな声も出せるんだ…ちょっと落ち着いた感じ。

というか歌ってるスコーピオンがめっちゃくちゃ楽しそうに歌っていてこっちまで楽しくなってくるぞ。

歌詞はシャイな女の子が勇気を持って気持ちを伝えるみたいな感じかな…?

なんかスコーピオンとは対極みたいな歌詞だけど歌唱力高いな…

というかコレアイドルソングじゃね?よく知ってたなスコーピオン。

そういうのに全く興味無さそうなのに…不思議と歌えた?ウッソだろお前。

 

「スコーピオンも中々やるわね」

「へへん、どんなもんだー」

 

「次は私が行きます!」

 

お、次はスオミか…ヘビメタなんだろうなぁ…お、曲が入ったどれどれ?

TheFinalCountdown?これまた知らないな…

ぎゃぁ、やっぱりヘビメタだこれ!かなり前奏長いと思ったら普通にヘビメタだ。

そしてスオミの歌声は凄く透き通っているもんだからギャップがスゴイのなんの。

でもこれは入門向けなのかな?想像より比較的大人しいかも。

ビブラート上手いなスオミ、民生人形になったら歌手なっちゃいなよYou。

 

「ヘビメタ…中々良いわね」

「適度な音量ならまぁ聞いても良いんじゃない?」

「初日のあれは爆音だったのがいけなかったのよね~」

 

「じゃ、次は私が行くね」

 

さてと、私が入れるのは皆多分知ってるだろうものだ。

Take Me Home, Country Roadsって言えば大体通じるアメリカのカントリーミュージックだ。

リリースは1971年かなり古いが今もなお愛されるミュージックの一つだ!

私が歌っているけど知ってる皆も歌って合唱みたくなってる。

これこれ、こういうのが楽しいんだよ…人間の頃にも数回やったっきりだけどなぁ…

 

「「「イエーイ♪」」」

「センキュー!さ、次は誰ー!」

 

「じゃあ私が歌うねー♪」

 

9姉が行った、歌うのはなんだろう?出た出た。

通りゃんせ?ヤーパンの民族音楽だったっけか?どんな歌なんだろう?

 

いや、怖いよ?なにこの歌、9姉の歌い方がハマってるのかホラーなんですけど?

言葉の意味が大分わからないけどこえーよ、なんだよこの曲ぅ!

お姉ちゃんまでビビってるじゃん…テンジン様ってなんだよ…

 

「なんか…」

「うん…」

「「怖かった」」

「なんでー!?」

 

こんな感じでカラオケはどんちゃん騒ぎになっていった。

 

 

――――――――――――

 

 

それぞれ持ち歌を歌ってってなるとさて欲しくなってくるものがあるだろう?

ソフトドリンクにおつまみ。人によってはお酒も欲しくなるだろうさ。

という訳で私が代表して用意してるんだが…ついでにお昼ご飯としようとして張り切ったわけだ。

こういう時はパーティーメニューが良いと相場が決まっている。

 

では何を作ろうかと言うと…ピザであります。ピザパやろうぜ。

それと最近仕入れたばかりの肉を使ったスペアリブだね。

あ、そうだスチェッキンの屋台で買ったじゃがいもだってあるしポテトサラダも作ってみようかな…ふふん、腕がなるわね!

 

ピザ生地は説明不要だよね、簡単に言えば材料混ぜて捏ねておしまいよ!

あとは伸ばしていって具材乗せてオーブンで焼き上げりゃ良いのよ。

今回は見た目とかよりボリューム重視で肉盛りだね。ウインナーにベーコン、チーズとケチャップ、パプリカとトマト等。

オーブンに叩き込んでその間にポテサラ作ろうか。じゃがいもを茹でる工程があるからちょっとめんどい。

まぁその後に皮むきっていうのもあるんですけどね。鍋でコトコト茹でるんだよぉ!

そしてアッツアツなじゃがいもの皮剥いてマッシュマッシュ♪

粗熱が残ってるままの鍋に玉ねぎをぶち込んでちょっと熱する。

こうすると辛味が甘みに変わるのさ。そしてキュウリを輪切りで刻んで…熱を通した玉ねぎも薄切りで刻む

そしてシメにハムをちぎって入れてからマヨネーズで和える。これで出来上がりである。

ただパーティーメニューにするから量が多いんだよ…マッシュ量がえぐい!

そしてもう一品のスペアリブ、これは簡単な焼料理だから…っとその前にオーブンに叩き込んでたピザを出して。

よし、スペアリブを焼こう。今回仕入れたのは養殖物の牛肉だ。

半生位で食すとこれが美味とかなんとか…ミディアムくらいに焼きを入れましょう。

味付けはこれまたシンプルに塩と胡椒だけです。さぁピザパの時間ですよー

 

 

あ、因みにこういう事をする時はキッチンに事前に連絡をしている。

食材が勿体無いことになるからね。この世界で食材はとても大事だからね!

 

 

――――――――――――

 

 

「さー続き行ってみましょう!」

「次歌うのは誰?」

「それより喉を潤そうじゃない」

 

あれ意外なのが増えてた。G11が混ざっているだと?

それも歌っていたのが9姉とのデュエットだと…?お前誰だ。

まぁそれは良いや、おめーら待望の飯だぞー歌うのも良いけど腹拵えしようね。

G11の連絡もしてっと…一人前賄い行きだな。

 

ソフトドリンクは残念ながらSAAのご要望で大量に仕入れているコーラだよ。

 

「ちょっと次は私に歌わせてよ」

「いや、ここは417とのデュエットを歌わせなさい」

「なに~416~私達のデュエットが羨ましかったの~?」

「うふふ、これも家族だね♪」

 

あーあ歌う順番の取り合いになってらぁ…こういうのは順繰りにしておいたほうが良いのにねぇ。

まぁ良いや、私はお料理してて抜けてたし…ここは私が入れようじゃねぇか。

お姉ちゃんがデュエットをご所望だし…何か良い曲あったっけかな?

WINDING ROADだな、半世紀前の大ヒット曲だ。流石にコレは知ってるでしょ。

 

「よし歌うぞお姉ちゃん」

「え、早いわよ!?」

「いつの間に」

 

最初なんで私がとか言ってたのにやっぱりノリノリになってから~

ツンケンするけどこういうのも嫌いじゃないでしょ?

マイクを投げて渡してから立ち上がり目を合わせてウィンク。

皆は料理に手を出しながら聞き入る態勢だろう。私達姉妹の美声に酔いしれな。

ところでUMP姉妹のデュエットは何だったんだろう?

 

よっしゃお姉ちゃんも知ってたみたいだ。私が出だしを歌えば理解したみたい。

いつの間にか用意されてたマラカスとかもスオミが振って盛り上げてくれてる。

こういう待機も偶にあっても良いね、丁度いい機会を作ってくれてありがとう。

歌い終わればお姉ちゃんとハイタッチしてから次にマイクを渡す。

 

まだまだ終わらないカラオケ親睦会第2部隊が戻ってきて更に騒がしくなったのは言うまでもない。




カラオケ回の構想が降りてきたけどこれほんと学生とかのカラオケのノリじゃね…?
みんなJKの格好しちまえば…

あ、スコピッピの選曲は中の人繋がりで、9の選曲も中の人ネタっす。


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Day53 訓練

真面目に訓練


――――――――――――D08基地シューティングレンジ

 

 

集中しろ、簡単な事だ…私は人形、人間と違ってすぐに上達できるんだ。

目を閉じて右手を開いては閉じてを繰り返し右股に吊り下げたMk-23を撫でる。

カウントが始まる…目を開いて前方を睨む。引き抜く動作を確認する。

 

パンッパンッ

 

カウントゼロ、立つ的に対して最速でMk-23を引き抜き頭を狙い撃つ。

クイックドロウでの殺傷の習熟訓練だ。きっちり頭に二発叩き込んでやるが…

んー…正直これでは微妙だな…ヘッドには当たっているが一発目がかなりギリギリのラインだ。

 

私の得物であるHK417はとてもではないが室内戦や遭遇戦では取り回しに困る。

そうなると取り回しの良好で致命傷を与えるに至るMk-23で戦闘する必要がある。

今までおざなりにしていた訓練を今しているのだが…芳しくない。

訓練でこれだから咄嗟の状況下ではもっと命中精度は悪い。

一発目で頭のど真ん中に当てれるくらいにならないと…あぁくそぅ…

システムの支援が無ければ私はこんな物か…やれやれだ。

こんなんだからあの夜に負傷する事になったんだよ。

構え方が悪いのか…それとも引き抜き動作に問題があるのか…

修正しながら見ていかないとな…もう一度同じ様にクイックドロウだ。

 

同じ的に対して狙うのは首だ。頭よりも的のサイズは小さくなる。

左右のブレは許されず上下のブレもあまり許されない。ここを的確に当てれるようになれば…

 

パンッ

 

一発放った弾丸は的の首ギリギリを掠めて行った。ダメだ。これでは自分が撃ち殺されている。

思わず歯ぎしりしてしまう。何がいけないんだろうか?

引き抜いてから構えてみる…肩肘は変に張っている事もない。射撃フォームは悪くないはずだが…

このまま撃ってみても狙った場所にすっ飛んでいく…引き抜き動作はどうだ?

一度ホルスターに収めてから引き抜く…構える…微妙に右にズレている?

 

「やってるわね」

「お姉ちゃん…んー、今問題が発覚した所」

「そう、ならそれを克服することね」

 

私の癖になっているのだろうか…矯正しなくては。

引き抜き構える…やはり微妙に右にズレている…

 

パンッ

 

試しに撃ってみてもやはり右に逸れている…リコイル吸収時にも変な方向に出るから余計にずれるんだ。

うーん…原因はわかったがコレをどう矯正していこうか…

 

「握り方がなってないわね…」

「お、お姉ちゃん?」

「完璧な射撃フォームはこう」

 

おおう、お姉ちゃんが背後から私の姿勢を矯正しに来た…

この姿勢をメモリーして…引き抜き後に取れるように動作修正…

ホルスターに収めてから再び引き抜いて構える…おぉ、ズレが無くなっている。

 

「そもそもアンタは狙撃兵な訳だからこんなのは覚えなくても良いはずだけど?」

「護身の為だよ…あの夜みたいに不意を突かれる様な事はもちろんだけどCQB戦で足手まといになるつもりはないから」

「そう、なら勝手にしなさい」

 

つっけんどんにお姉ちゃんは言ってから私から離れて射撃訓練を開始した…

私生活は残念っぷりが激しいけど、こういう事にはストイックだからね…

じゃ、私はこれでどれだけ的当て出来るようになるか…試すか。

的を取り換えてからまたカウントから始める…今度は大丈夫なはずだ。

 

パンッパンッ

 

カウントゼロ、ホルスターからMk-23を引き抜いてからすぐさま構え、トリガーを引く。

乾いた火薬の炸裂音が響く。私の狙った通りに弾丸は真っすぐ飛んでいく。

誤差数ミリで脳天ど真ん中に穴が2つ空いている…よし、これで良いな。

お姉ちゃんには後でお礼言わないとね…えへへ♪

 

ついでだから417でももうちょっと射撃してみようかな?

今回は狙撃じゃなくてフルオート射撃でどこまで精度を保てるか…

20インチバレルでのCQB戦を想定して…レッツゴー!

 

 

ごめん、人形ボディでもこんな暴れ馬で精密射撃はできません。

 

 

――――――――――――D08基地キルハウス訓練場

 

 

シチュエーションをCQB戦とするならばこの訓練場以外にありえますかね?

室内戦を想定したキルハウスが鎮座しているのですからこれを使わない手はない。

電子制御が組み込まれてペイント弾がヘッドや心臓に着弾したら引っ込むタイプの的がランダムに配置される。

更に一般的な鉄血人形が接敵から反撃に移るまでのレスポンスタイムを反映していて設定さえしてしまえばエリア侵入から排除までに時間が掛かれば即終了とする事も可能。

お姉ちゃんの記録を見てみるが…単騎でも制圧していっている…的確にヘッドを一発で撃ち抜いてだ。

基本的に使うクリアリングのテクニックは私が知っているものばかりだけど…精度が違うのかな?

いや違うんだ、データの積み重ねが違う…私の想定する動きとお姉ちゃんの動きは剥離している。

これが効率化された人形の動き…流れるように的が引っ込んでいく…

 

クイックピークで状況確認、4体確認…飛び出し2体を沈黙させてそのまま遮蔽物に身を隠してから銃だけ出して的当て…

この間掛かったのはたったの3秒…接敵から反撃に移る秒数は2…弾幕に晒される前に安全を確保して一方的に潰している…

私なら?一匹一匹慎重に潰してる…こんな大胆なことは出来ない。

その間に残りが反応して弾幕を張ることだろう…うーむ…となると私的には詰みになる。

うーむ…私でも出来る所までやってみよう…為せば成るが私のモットー!

 

訓練終了条件は制限時間と的が全部引っ込む事と接敵後指定秒数経過内に仕留めきれない場合。

クイックピークでは接敵判定にならないからそれで如何に状況確認するかが重要になってくる。

今回設定したのは反撃に移行して弾幕を張るに至る秒数…3だ。

奴らの簡単なロジックでも反撃というものは簡単に出来る。ただ撃ってきた相手を見つけてトリガーを引くだけ。

レスポンスタイムとしては上等でしょ、I.O.Pの人形の腕の見せ所よ。

 

スペアマグは2本、慣れた我が半身417を担いでキルハウスのスタート地点に立つ。

セミオートRF用のメニューということで的の数はARに比べて抑えめ…出来るはず。

無機質な電子音でカウントダウンが始まる。一歩踏み入れればそこから戦場だ。

気を引き締めて行こう…即落ちなんて無様は晒せないぞ。

カウントゼロ、扉が開け放たれる。意気揚々と飛び込まず先ずはクイックピークで状況確認。

的は無し、入り口はクリアか…取り回しは悪いが構えて進んでいく。

残り時間は長くはない、慎重に迅速に的確に敵を排除する。

第1セクションは問題なし、第2セクションはどうだ…?おっと的が2個かほぼ対角に配置されていて一個は照準を置けば良いだろう。

残り一匹は即座に反転してから撃ち抜かなくちゃ…エントリー!

 

ダンッダンッ

 

大きく飛び込みながらエントリー後右に配置されている的を撃ち抜いてリコイルを利用して反転撃ち抜く。

ん、上手く行った2体までなら対応可能だね。次だ…状況確認、的は2…固まっている。

飛び出すまでもなくリーンインしてからそのまま撃ち抜けばOKだね。

 

ダンッダンッ

 

一人のみのキルハウスに7.62ミリ弾の銃声が響いていく。

私の初のキルハウスのスコアは最終セクションでゲームオーバーで終わった。

RF人形用メニューだが最終セクションは容赦なく4体の的が出てくる。

私の処理能力では後1体が殺せなかった。無念…

でも417を振り回してのCQBも出来なくはない事がこれで分かった。

今度はツーマンセルでの潜入訓練とかできたらしてみたいけど…

いや、一人でイメージトレーニングだけでも出来るか…

最悪お姉ちゃんの戦術データを読んで反芻するだけでも違ってくる。

RFとARでは立ち回りは全然違ってくるけど事CQB戦や潜入戦では差は無いに等しい。

 

「あれ?417じゃない何をしてたのかしら~?」

「ん、45姉…CQB訓練だよ」

「一人で~?」

「うん、一人で」

 

暇を持て余したんだろう45姉が訓練場の方に遊びに来ていた。

訓練をしていたと言うとコンソールでデータを呼び出して私の動きを見始めた。

感心するでもなく何でも無くただじーっと画面を見ている。

 

「根本から言っていい?」

「ん、どうぞ」

「417の持ってる長物でCQB戦する方が間違ってるわ、そもそも417は狙撃メインのRF人形でしょ?」

「いや、でもねしておいて損は無いでしょ」

「それより狙撃の腕を磨きなさいよ」

「うぐふ…」

 

悪いことじゃないけどねーと付け加えて45姉は私の頭を撫でていった…

狙撃の腕を上げろって言ってもここのシューティングレンジでは交戦距離が狭いしなぁ…的を小さくしたらいいのか?

それともなにか別な訓練方法を考え出して…ん?これは…そうだ、コイツを使おう…

転がっていた空き缶…これを見て私はある訓練方法を考えついた。缶蹴り狙撃訓練じゃ…!

 

やることは簡単、全力人形パワーで缶を蹴り飛ばして空中を高速移動する空き缶を撃ち抜く。

これが出来るようになればどんな標的も…よっしゃぁやったるぞー!

っとリフレッシュ目的でコーラを1缶開けよう…コイツを的にしちまえ。

 

 

――――――――――――D08基地シューティングレンジ外

 

 

さて、やりますか…缶蹴りなんて何時以来だろう?

訓練用のペイント弾を装填して準備バッチシレッツゴーじゃすてぃーん!

 

「そぉい!!」

 

唸れ私の黄金の右足空高く空き缶が舞い上がる、豪速球だぜ。

すかさず膝立ちで417を構えてスコープを覗く…見えた!

 

ダンッダンッ

 

当たったかな…?軌道がちょっと変わったと思うけど…落着したヘリパッドに拾いに行くか。

連続してやれないのは残念だけど散らかすわけにも行かないしね。

あとヒット確認しないと…んー…この辺に落ちたと思うんだけど…

お、あったあった…どれどれ極彩色になってるかなー?

んー…残念掠ってるけどクリーンヒットじゃない。もっかい!

今度はど真ん中ぶち当ててやるぅ!私はやるぞぉ!

 

「お、何だ何だ?」

「417ちゃんが缶蹴りしてるっぽいぜ」

 

「どっせぇい!!」

 

外野はどうでもいい、それより訓練なの。一度蹴って変形した缶をまた蹴り飛ばして空高く舞い上がらされて…

膝立ちで構えてスコープを覗き…標的を収めてからトリガーを引く。

お、今度はきっちり当たったかな…手応えありだぞー

 

「見たか?」

「あぁ…納得のブルンバスト…」

「カメラに撮っていたぜ」

「「ナイスだぞ」」

「へぇ、その映像を見せてもらえないかしら?」

「げぇっ416(セコム)!」

 

ん、ど真ん中だ…よし、これをもっと早く的確に…

およ?外野が居た気がするけど…どこに行ったんだろう?

まぁいいや、この缶が使えなくなるまでこの方法で鍛え上げよう。

私はまだまだ強くなるんだー!




キルハウスの下りは妄想、空き缶は某アニメからインスパイア。


追記

毎度誤字指摘どうもです。ありがたや…


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Day54 おにゅーな趣味

安易に属性を増やしていく


――――――――――――D08基地農業エリア予定地・朝

 

 

さて、農業しようと思うわけですがそのノウハウは私達には無い。

精々がお手本DVDによってもたらされた物だけだ。そんなのとてもではないが心許ない。

では今回は何をするかって言うと…森林伐採です。

基地内は見事に舗装され尽くしているので農業なんて出来ません。

地質はまぁこの森林地帯ですから栄養は豊富なことでしょう。

では目下の問題はエリアが確保されていないことなので…伐採してから開拓するんです。

そして今基地にお金は無いので…自力でやっちまおうって事で暇な私がガスガスやろうってことです。

汚してもいいかなって事でメンテンス班のツナギを貸してもらってシャツとジーンズの上から重ね着です。

そのうちオーバーオールでも買おうかな…まぁ暫くはこれですね。

おっぱい周りは丁度いいけど他がだっぼだぼでどうにかならないかな?

 

今回使う道具は経費削減の為に斧一丁だけ!

切り倒した木はどうするかって?後で街の木材店が買い取る手筈になってる。

つまり私がハッスルしたらそれだけ臨時収入として潤う訳ですよ。頑張るぞー

今日の私はバーサーカーだぜーふぅははははは!斧を担いでブンブン振り回すロリっ子ってインパクトデカいな…

まぁという訳で…早速木を伐採していきましょう。

 

木の伐採は計算づくなんです。決して感性だけで斧を入れてはいけない。

倒れてもいい方向を決めておいてそっちの方向から大きく切り込みを入れる。これを受け口って言うんだ。

切り込みは直径の1/4か1/3程度でOK、水平にガスガスやってから角度は上30度程度に追加で叩いて三角形にする。

中身は全部除去する。出来上がった三角形の空間が受け口。残った部分はつるって言う。

だが木って言うのは中々しぶとい物でこれだけじゃ倒れちゃくれないの。

追い口って言うのも切り込まなくちゃいけない。受け口の正反対の場所、上に2/3位オフセットした場所に同じ要領で切る。

さらに気をつけなくちゃいけないのが森林地帯で倒す場合他の木に掛かっちゃう事が多い。

こうなった場合はさっさと対処して完全に倒さないと危険なので…バールとか棒で根本からガスガス動かして倒す。

それでもダメな場合は最悪は別方向から伐採して両方ばったーんとさせないとダメ。

今回は私ソロな訳ですが…複数人いる場合は倒す際に大声で倒れるよってアナウンスしないといけない。

安全に作業するための鉄則なので貴方も伐採する場合は覚えておきましょう。

 

大まかにだけど予定地の面積は教えてもらってるから…その端々に杭を打って目印にしよう。

では、やりますか…私の新しい趣味のためにぶっ倒れろぉぉぉおおおお!!

 

「そぉい!!もういっちょぉ!!そーれぇ♪」

 

かーん!かーん!と小気味良い音と共に木に受け口を彫っていく。

理論は頭に叩き込んでるからあとはやるだけなのぉ!ひゃぁこれたーのしぃー♪

っとと切込みを入れすぎる所だった…あとは斜めから切り落として…

ゴスゴス横から叩けば除去できるね、うん。これで受け口は彫れた。

では次は追い口を彫ろう同じ要領で反対側から…と、その前に目印代わりに軽くコンコンと…

うし、レッツゴー!思いっきり振りかぶって水平にぃ振り抜くぅ!

 

「お、おぉー!」

 

メキメキといやーな音を立てて木が倒れていく。

計算していた通りに倒れてくれてあとに残ったのは切り株だ。大成功です。

ではこれを後何十本もやるんですよ…これは重労働だなぁ…これ人間がやってたんだよ?

さぁ次じゃー!イクゾー!

 

 

――――――――――――D08基地農業エリア予定地・昼

 

 

「ふぅー…」

 

精神的に結構疲れた…作戦行動と違って単調な作業だからね。

休憩ついでに軽くお昼をつついてから兵舎にいっぺん戻ってからある物を取ってきた。

屋台で買ったアコースティックギターだ。こいつを新しい趣味にしたいんだよね。

あ、因みに今日の午前だけで25本伐採しました、えっへん♪

 

このアコースティックギターで何を演奏するかって?まぁ知ってる曲が限られるし…

弾けそうな曲って言うのがさらに限られる…ではどうするか?

脳内耳コピーっていう暴挙に出て爪弾くのさぁ。人形ボディの良いところぉ!

絶対音感も標準装備なのですぐにチューニングも出来るし耳コピーもラクラク。

ちょっと開けて切り株だらけになった所に腰掛けて…よっこいせ。

では軽く…黒ネコのタンゴでも弾くか。本来は別な楽器とするもんだけどね。

 

「んんっ…LaLaLaLaLaLa♪La~La♪」

 

左足でリズムを刻みながらじゃんじゃんと鳴らしていく。

ちょっとぎこちなさが出るけどそこはしょうがないね。私初心者だし。

そしてそんなギターの演奏に合わせて歌い上げていく。

2分チョットの短い曲だし割と単調な曲…だと思うから弾けるかな?

一人でじゃんじゃんかき鳴らして歌うコンサート、聴くのは伐採された木。

そして午後もガスガス切り倒す予定の木々…

ん…頬を撫でる風が心地いいな。太陽の陽気と合わさって昼寝したくなる。

 

「にゃぁ♪…なんちゃって」

 

歌い終わって茶目っ気で猫の鳴き真似なんてしてから誰も居ないよね…?ってキョロキョロ見渡す。

いや、なんとなくやったことだけど普通に恥ずかしいし…

 

休憩時間はまだまだあるし…もう一曲だけ練習がてらに弾いてみようかな…んー…

やっぱりTakemeHome,CountryRoadだな、これ定番。

アコースティックギターといえばカントリーミュージックって相場が決まっている。

ゆったりした曲調だし練習にはもってこいだよね。

いやもう一つ練習に良いかなって曲はあるけどゲームミュージックだしなぁ…

そういうのはまだ早いでしょ。うん。

…この曲の舞台であるウェストバージニア州は今どうなってたっけか

第三次世界大戦でズタボロだっけか…アメリカがそもそも危ういっけ?

やっべぇうろ覚えだ。まぁ良いやそんなのはどうでもいいし。

 

あ、アメリカで思い出したけど木こりの逸話でポール・バニヤンなんて言う巨人も居たっけ。

西部開拓時代って言われる時代に流布したジョークだっけ?

奇しくも今私も開拓してるわけだから旧時代のアメリカと同じ様な事してるのかな?

……なんか腹が立ってきた、追加でガスガスぶっ倒してやる。

てめぇらは私達の基地の臨時収入になるんだよ。上等だろ?

アコースティックギターは基地の柵に立て掛けてもう一回斧を片手に森林伐採に出ていく。

 

「よっ…こいせー!」

 

今の私は戦術人形である前に木こりなんだよぉ!この鬱蒼と茂る木を倒さなくちゃいけないの!

あ、この斧を入れるリズムがちょうどいいな…歌いながらやろうかな?

俄然楽しくなってきたぞーもっともっとぶっ倒しちゃうよー!

 

いけね、エリアオーバーまで切っちゃった…まぁ良いのかな…?

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夕方

 

 

ツナギを脱いで返してから制服に着替えて報告に上がった。

そりゃ基地の敷地とは言え開拓したんだから叩き切った木の本数を報告しなくちゃ。

んで、合計何平米開拓したかを報告に上げた。

 

「え?マジで417一人でこれだけやったん?」

「まじまじ、疑うなら見てきても良いんじゃない?」

「えぇ…今日の一日でこれだけ開墾したのかよ…まぁ、おつかれさん」

 

お兄ちゃんはかなり困惑した様子だけど私の報告って事で納得してた。

ふふん、私の普段の言動が信頼されてる証だね。やったぜ。

 

「じゃあ計画を進めても良さそうだな…まぁ木がどれだけで売れるかだがな」

「高く売れたら良いね、お兄ちゃん」

「ついでだから農業エリアの周辺数メートルも開拓しといて。野生動物に荒らされるかもしれねーから」

「了解、明日やっておくね」

 

明日は更に言えば木材店が買い取りに来る日でもあるらしい。

明日は早朝からガンガン切り倒さないとね。早起きして頑張らないと。

因みに計画が進めば金網の一部を倒してまたやり変えてから農業エリアと基地を接続するの。

そして金網でぐるっとまた囲うようにして一応動物除けするらしいけど…

まぁー明日は大忙しだな。追加で木を伐採してから切り株の除去もしなくちゃいけない…

お察しかもしれないけど全部人力でガリガリやらなきゃいけない。

農業責任者として私がやんないといけない…ひー大変だ。

 

「農業関係用の倉庫も建てないとなー」

「作物の倉庫は確かに欲しいね」

「ついでに高圧電流でも」

「それは電気がもったいなくない?」

 

未だ設計図状態の農業エリアの間取り図を囲ってあーでもないこーでもない。

お兄ちゃんと意見交換しながら書き足しては計画を練っていく。

 

「所で」

「ん?」

「ソロコンサートするんなら聞かせろよ」

「っ!?聞いてたの!?」

 

メンテンス班が聞いていたみたいで暇してる人形も来て私の聞かれてたらしい…

うっわなにそれ恥ずかしい…めっちゃ恥ずかしい。

 

「ほれ、にゃぁって鳴いてみ」

「にゃ、にゃぁ…あうぅぅ」

「良し可愛い」

 

お兄ちゃんに可愛いって言われたから私もこれで良し…!

さらに言えばご褒美にお菓子も食べさせてもらって今日はもう気絶しても良い…

 

 

――――――――――――D08基地HK416私室・夜

 

 

「って事があってね、もう私今日はテンション爆上げなの♪」

「それは分かったから静かにしてちょうだい」

「むぅ…」

 

もう嬉しくてからお姉ちゃんのお部屋に突撃して今日の事をべらべらマシンガントークしたの。

ただお姉ちゃんは新しい趣味にする予定のボトルシップの作成に集中していた。

お部屋の中は私が散々キレたからかキレイになっている。ズボラした形跡も無し。

私に対してもかなりの塩対応で思わず私のほっぺも膨らんでしまう。

 

ちょっと横から覗いてみればピンセットで船の船体を組み立ててる模様だ。

お手本にはS09第○地区の416が作ったボトルシップ…

負けず嫌いが発揮されてるのか精巧に作っていってる。

お姉ちゃんのストイックな性格もあってこういうのは向いているのかもね。

 

「やってみてどう?」

「出来なくはないわ、向こうの私に出来ることだから当然だけど」

 

ふむ、この組み立て方はかなり難しい筈の組み立て方だけど…

お姉ちゃんは初心者ながらにチャレンジしている…本来は設計図も必要な物だけど…

まぁ私達人形には脳内で設計図を引いてそれと照らし合わせて…みたいな事は出来るか。

と、ここでお姉ちゃんがぐるぐると肩を回した…凝ったのかな?

この様子だと明日も朝から制作に精を出すんだろうなぁ…

 

「無理のない程度にね?」

「分かってるわよ」

「ご飯はちゃんと食べてるよね?」

「食べたわよ…」

「なら良いの♪」

 

お話が一方通行だったのはがっくしだけどお姉ちゃんの真剣な顔を拝めたし。

そんな中でもちゃんと生活はしてる様子だから私は良しとしましょう。

 

「じゃ、おやすみ…お姉ちゃん」

「おやすみなさい、417」




TOKIO系アイドルP38のお手本から全部自分でやっちまえとなった結果が木こり系人形417という物を誕生させた。
そして黒ネコのタンゴは416の中の人ネタでーす。417も声帯は大体同じですから


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Day55 お掃除仲間?「おいおいおい」

ふふふ…僕はね…どうあっても平和しか書けない奴なんだよ…
という訳で一人家族招待じゃぁ!


――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「終わったぁぁぁぁぁ…」

「朝からご苦労さん」

 

朝からフル稼働で木こりして枝っぱを叩き落として材木として売りに出せるようにしてって…

あーもう流石に疲れた、めっちゃ疲れた…報告してからぐでぇっと崩れたのは悪くなーい。

そして意外なことにこの材木が結構な高値で売れたんだ。

それこそエリアの囲いと倉庫を建設するくらいの資金は余裕で出来た。

またよろしければ材木の卸しをよろしくなんて言われたけど…お兄ちゃんの判断次第だ。

即日は流石に無理があるけど2日もあれば私が切り出しておくから。

 

流石に疲れた様子を見せた私に対してお兄ちゃんは肩を叩いて労ってくれた…うーん、これだけで癒やされる…

うぉぉぉぉさらに頭まで撫でてもらって…もうこれだけでお釣りが来るよぉ…ふえぇ…

 

「ん~♪」

「おぉ…」

 

ぎゅーっと抱きついてからお兄ちゃんのお腹にぐりぐり頭を擦りつけていく。

嬉しさが爆発するともう止まらないの。もっと撫でてほしい褒めてほしい。

分かってるよ、お兄ちゃんのおぉってこの感動とも取れる声は私のおっぱいに感動してるでしょ?

もっと聞かせて聞かせて…私に言っちゃえば…命令しちゃえばもっとスゴイことだってしてあげる…

 

「はいはい、そこまでな…」

「むぅ…」

「それ以上はいけない」

 

お兄ちゃんはいつもこうだ…お兄ちゃんだって嬉しいはずなのに止める。

肩を押して私を引き剥がして頭を撫でてから宥めつかせるの。

不満そうな顔をしても苦笑いを浮かべて取り合ってくれない…ヘタレ。

 

「そうそう、この基地に新しい職員が来るんだ」

「へぇ?」

「清掃員でな、研修が終わったから来てくれるんだ」

「ふぅーん…どんな人?」

「わかんね」

 

なんだそりゃ、清掃員かぁ…兄と同じ職かぁ。変な人じゃなかったら良いけど。

あとはまぁ…ここの職員の空気に当てられて変態にならなければいいけどなぁ。

清掃員って事は兵舎とかの清掃をするんだよね?

 

「今日の夕方から勤務に入るから会ったらよろしくな」

「はいっ♪」

「良い返事だぞ~」

「えへへ~♪」

 

夕方からかぁ…会ったらお手伝いとかしてあげたほうが良いかな?

G36とか張り切って掃除してるしメイド隊の出番だね!

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・おやつ時

 

 

「って訳で清掃員が追加されるらしいよ」

「左様ですか…ご主人様のご厚意には感謝いたしますが…」

「お仕事が無くなるのがいや?」

「私と417やG36Cのお手伝いで済んでいたことですので」

「もっと負担を減らしたいって考えじゃない?」

 

G36とおやつタイムと洒落込んでいた。

その時にお昼に聞いた話をそのまましていたんだけど…G36の反応は渋かった。

自分の仕事に不満があるのか?と思っているのかな?

お兄ちゃんはそんな感じじゃなくてもっと簡単なことだと思うけどね。

私が話したように単純に負担を減らしたいって所だろうし…

あとは雇用を増やしてG&Kの株をちょっとでも上げておこうって所?

 

「まぁお互い負担減らしにお手伝いしない?」

「私は無論今まで通りにご奉仕させていただきます」

「じゃ、私も夕方からお手伝いに加勢するから」

「助かります」

 

まぁ詰まる所は増員が来ようが何時も通りのD08基地運行なんですよ。

前線基地と聞いて緊張してるだろうしこのほわほわ平和な基地の雰囲気を味あわせてやるぅ。

どうせならとびっきりに平和な雰囲気を出すために歌いながらお出迎えしようかな?

この基地で働くってことは宿舎に住み込みになるのかな?

新しい家族になるわけだ。ふふん…では歓迎方法は9姉に一度食らったアレでも良いかな?

いや、あれは初対面にはインパクトが大きすぎるか…うーん、歓迎方法は本当にどうするかなぁ。

 

「417さん…?」

「うぉ!?G36Cか…びっくりした…」

「今日は一緒にハッスルしましょうね…」

「え、あ…うん」

 

G36Cどっから出てきてんだよ…びっくりした。

私の足元からヌッと出てきたんだもん…G36は驚いた様子無い…これがG36Cの平常運転だって言うのか!?

ハッスルってなんやねん、いやマジで…私はG36に特別な思いとか持ってないからな?

 

「G36C、はしたないわ」

「あはぁん」

「うわぁ…」

 

このシスコンのヤベー奴の平常運転だわ…こわ、近寄らんとこ…

 

 

――――――――――――D08基地駐車場・夕方

 

 

「お前も来る必要は無かったんだぞ?」

「気になるからねー♪」

 

メイド服に着替えて私とお兄ちゃん揃ってお出迎えに待っていた。

暫く待っていたらG&Kのマークが入った車が来て2人降りてきた。

ん?んー?なんか見知った顔があったような気がするぞー…?

 

「お久しぶりです指揮官、変わらずお元気そうで」

「はい、もう元気が有り余ってるくらいですよ…で、そちらが?」

「えぇ…今回採用しました清掃員です」

 

「本日付けで配属となります――――です」

 

「では、私は本社に戻ります…」

「あ、はい…お元気で」

 

「え、え…えええええええぇぇぇぇえええ!?」

「どした417?」

 

なんでここに兄さんが来てるのよぉぉおおおおお!!嘘でしょぉぉおおお!!!?

ここで兄さんも流石に私に気づいて口あんぐり…本社所属らしい人はもう帰っていった後だ。

兄を指さしてわなわな震えて…こっちも口あんぐりだよ。

 

「ウッソだろお前」

「そりゃ私のセリフだよ!」

 

「え、何知り合いなの?」

 

お兄ちゃんを完全に置き去りにして私と兄とで言い争いになっていた。

引きこもり卒業したと思ったら私の同僚になるって何事さー!!

どうして教えてくれなかったの!?と詰め寄っても聞かれなかったし…ってふざけんな!

 

「知り合いなら417が案内してやって」

「えぇ!?ちょっと、お兄ちゃん!?」

「あぁん?」

 

ウッソだろお前、このまま兄と二人で案内しろっていうの?

ちくしょう、やってやらぁ…!なんか怪訝な顔してる兄の手を引っ張っていくぞー!

 

 

――――――――――――

 

 

「…何時から決まってたの?」

「ん?話した時には所属まで決まってたぜ」

「じゃあ言えよ…」

「だから聞かれなかったし…つかお前のその格好よ」

「うっせぇ…あ、ここが食堂ね。おめーの仕事場の一つだよ」

 

手を繋いで案内して歩いている。工廠と司令室を案内してから食堂に来た所。

今の時間はまだキッチンで調理班が忙しなく動いている所だね。

G36がこっちを見てウィンクしてくれた。ついでに紹介しておくか?

 

「あそこで動いてるメイド見える?」

「ん?あぁあの目つきが怖いメイドな」

「掃除する同僚だから覚えとけよ、G36って言うから」

「ほーん…で、お前も同僚になるわけ?」

「まぁね、お掃除とかはお手伝いに留まるけど…あと今の私の名前はHK417っていうから以前の名前で呼んだりしたらはっ倒すぞ」

「……そうな。ジョs」

「おい、言うなっつってんだろ」

 

何でかって?言うまでもないでしょうが。流石に兄も察して頷いた。

こんな風に喋りながら案内して回っていると変な誤解とかされないよね?

つーかしれっと言おうとしてんじゃねーよクソ兄ぃ!!あ、記憶が補完された…

 

「朝昼晩食事付きだよ、給料から天引きされてるから気にする必要は無いけど…時間は気をつけてね?」

「ふーん」

「あと夜はお酒も注文できるよ、飲まない兄さんには要らない情報かな?」

「いや、ここんところ毎週末夜に飲むから」

「え、マジで?」

 

おーぅ私が知らない間に兄も変わったなー…ふぅん?

前は月に一回飲めば良いほうだったのにねー…そう言えば掃除した時に空き缶が多かったっけ?

 

「はい次…ここが宿舎だよ」

「デカいな」

「職員僚と戦術人形寮で別れてるから間違えないでね。あ、でも掃除で入るっけ」

「そうなるな」

「横にあるのがカフェ、お昼とおやつ時…あと夜に開いてるよ。夜はバーになってるから」

 

D08基地自慢の宿舎には流石に兄もびっくりみたいだ。

それと同時にうげっと言った様子…まぁ仕事の面積は多くなるからね。

特に職員僚は私達は入れないからお手伝いは出来ないから完全に兄一人だからね。

逆に人形寮は私とG36やG36Cがお手伝いに入るから楽かな?

 

「荷物は…?」

「明日トラックで運送される手筈」

「ふぅん、じゃあ今日は手ブラなんだ」

「暇になるな…」

「いやーそうとは限らないんだ。まぁ宿舎の中見てみたらわかるぜ」

「ほぉ?」

 

入ってみ?と背中を押して宿舎の中に入れてから…さて何秒後に飛び出してくるかなー?

あのアーケード筐体群を見たら絶対興奮して出てくる。

 

「オイ!なんだありゃぁ!!」

「見ての通りだよ、アケ筐体天国」

「この基地やべーな!!」

「でしょー♪」

 

ゲーマーな兄にはたまらない施設でしょうね。にっこにっこと微笑んでサムズアップ。

その後兄に割り当てられたお部屋を教えてから支給品をお兄ちゃんが渡してから兄の初勤務が開始でーす。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎大浴場・夜

 

 

「お兄さん、もっと頑張りなよー」

「うっせぇ…」

 

皆が利用し終わった浴槽のお掃除に私と兄さんの二人で駆り出されていた。

もち、私はメイド服でデッキブラシ装備。兄さんも同じくデッキブラシ装備。

ただ手際は私の方が断然上で私が煽りながらお仕事していた。

G36?今は食堂のお掃除してるよ。お風呂場は私達に任せろーバリバリーって言ったからね。

 

「こんなんじゃ男性風呂の方も私がお手伝いしないといけないかなー?」

「はっ倒すぞ」

「きゃーこわーい♪」

「うぜぇ…」

 

でもマジな所兄さん一人で大浴場を掃除するのは大変だからね…お兄ちゃんに陳情してから侵入できるようにしようかな?

慣れない間だけでも良いからお手伝いに入れるほうが絶対いい。

善は急げだな…端末ポチポチっと…

 

「おい遊ぶなや」

「遊んでないよー」

 

結局応急で兄同伴で男性風呂の方に混浴風呂経由してから侵入して掃除しましたけど?

えぇ、その間めっちゃくちゃ煽りましたけど、何か。




清掃員の話しはあったからね!やったね417毎日兄と会えるぞ。


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Day56 酔っ払いだらけの基地「ここが地獄か」

夜のバーだけど酔っぱらいがおとなしくすると思う?


――――――――――――D08基地カフェ・夜

 

 

「あら、いらっしゃい417ちゃん」

「どーも」

 

しんみりと飲みたい人が集まる時間帯。私は飲むなと禁止令が出てるけど…

まぁ私はお手伝いで今日は入ったんだけど…これがまぁ酔っぱらいの巣窟だね。

早速バーカウンターに突っ伏してる職員も居るしそんな職員の横でアルコールを飲んでるFAL。

ははぁ?さては飲み比べをしたな。人形に勝てるわけ無いじゃん…

 

「よーっす、やってる?」

「指揮官、お疲れ様です…どうぞ、カウンターでよろしかったですよね?」

「もちもち、ぬぁぁぁぁ…疲れたもぉぉぉ…」

「お疲れ、お兄ちゃん…はいまずはお冷から」

「さんきゅー」

 

お兄ちゃんも来店してからカウンターにぐでぇっと崩れた。お疲れみたい。

因みに座ったのはFALのお隣、FALはもう出来上がってるから絡まないかな?

 

「ねぇ~417はなんでバニーじゃないのよ~」

「えー…そういうバーじゃないし…」

「バーと言ったらバニーでしょぉ!」

 

うわ、めんどくせぇなこの酔っぱらい人形。お兄ちゃんに絡まなかったけど私に絡んできた。

バニー姿に何を期待してんだこの人形。そういうバーじゃねぇからここ。

カウンターをぶっ叩くな、壊したらお前の給料から天引だぞ。

お兄ちゃんもなんか言ってよ…って期待の眼差しでこっち見ないでよ…

 

「あー疲れた…お、マジでバーなのな」

「お、兄さんいらっしゃーい」

「ジョ「おい」…417も飲むのか?」

「残念、私は禁止されてるの。店員側でーす」

 

清掃員の兄さんも一日の勤務を終えてからカフェに来たみたい。

まだ私の名前に慣れてないみたいで前の名前で呼ぼうとする…その度に私が半ギレするんだ。

ドスの利いた声に兄さんが怯んで417の名前を出すのが挨拶みたいになってるぞー?

あ、因みにバーはソロ飲み推奨、絡み酒がたまーに居るけど…まぁそれはご愛嬌。

飲んで騒ぎたいなら食堂でって暗黙の了解があったりする。

私やお姉ちゃんはどうだって?部屋飲みはOKだけどこういう場での飲みはダメって…ぶーぶー文句言ったけどダメなものはダメなままだ。

 

因みに現在の店内はというとカウンター席にFAL、メンテンス班1名、お兄ちゃん、兄さん、Mk23

テーブル席にわーちゃん、G28、UMP姉妹、G36C、SAAがそれぞれ座ってる。

SAAが静かに飲んでるのは意外だって?コークハイで出来上がってるんだ。

そしてその酒癖が眠るっていうとっても大人しいものでね…今も椅子に全身預けてグーグー寝てるの。

因みに飲んでる間はなにか本を読んでたんだけどね、今はお膝の上だ。寝相はかなり良い。

帽子で表情は隠れているけどまぁ幸せそうな寝顔なんだろうって言うのは容易に想像つく。

あ、ゲロに関しては心配なく。私って異例はあったけどゲロる人形は居ないから。

 

さて、ではそれぞれのお酒と酒癖のお話に移っていこうか。

FALは自称ハイセンスなだけあってかなりいいお酒を飲んでる。

ロマネ・コンティなんて飲んでやがるのさ。あ、これはスチェッキンの屋台で買ったものだよ。

つまりはお兄ちゃんの寄贈品なんだ。酒癖は絡み酒…これは私にバニー強請って来たからわかるかな?

スプリングフィールドに絡んだり私に絡んだり…とにかく絡みまくる。

職員に絡んだらこれが絵面がひどくなる。押し付けまくるんだよ…何をとは言わないけど。

絡み酒だけですんでるだけまだ良い方なんだよね。Uziとか絡み酒な上キス魔になるから…

 

わーちゃんは黒ビールを飲んでる。おつまみはヴルストとチーズ。

酒癖は若干の笑い上戸だね。飲みだすと口角が上がって見るからに機嫌が良くなる。

あとわーちゃん呼びしてもキレない。あんまり深酒しないタイプなんだよね。

お酒とおつまみを楽しみながら本を楽しんでる。中身?恋愛小説だってさ。

聞けば上機嫌に教えてくれるんだもの。

 

酔い潰れているメンテンス班の職員だけど…このお兄ちゃんは確か自称ウワバミ。

でも実際の所は典型的な酔うと気が強くなるタイプでホラ吹きになる。

そして飲み比べをふっかけて勝ったらセクハラしようとしてくる。

今の所全敗で毎回カウンターに突っ伏している…今吐き気と戦ってるな。

 

「はい、これで落ち着きなよー」

「ぉぇ…あざっす…」

 

こうなって吐かれたら困るのは私達だからフォローは欠かせない。

FALが前に絡んでゲロを貰ってたりする。下手に絡むとマジで洒落にならないので私達も基本無干渉である。

背中を擦ったら?ばっかお前吐かせてどうするっちゅうねんな。

 

Mk23はこれがしっとりと飲む。酔うと口数が少なくなる。

嗜好は度数の高い酒が多いかな。あんまり量を飲まず酔いたいんだろうね。

…ただ口を開けばとんでもないことしか言わなくなる。

 

「はぁ…ダーリンと(自主規制)したいわぁ」

 

ご覧の有様である。とにかく放送禁止用語をじゃんじゃん言うようになる。

言っている本人はとーってもアンニュイな表情で絵になるのにね。この残念っぷり。

黙っていたら良いのに…まぁ酔っ払ってエラー吐いてるんだろう。

言われてる件のお兄ちゃんは…まぁ無視決め込んでるんだよね。熱視線送られてっぞ。

 

お兄ちゃんはかなりの酒好き。よっぽど酷い物じゃない限りガンガン飲む。

酔い潰れるラインを自分でちゃんと理解していて潰れるようなことはしない。

好みはウォッカでスオミがキレてた。どうして野蛮な国の酒を…!とね。

飲み方はアメリカみたくいろんなので割ってるから許してやれよ。

酒癖は笑い上戸で酔いが覚めるのがとっても早い。そして追加で飲む飲む…これが本当のウワバミなんだよね。

ただ若干タガが外れるのか私達のおっぱいを遠慮なく見てくるし手をワキワキさせて怪しい動きをするんだよね。

でもね、やっぱりヘタレが抜けきらないのか…じゃあ触ってみる?って誘うと手を引っ込めてもじもじ…

これ私がやったから間違いないよ。スプリングフィールドもやったんだけど同じ反応だし…

 

「お兄ちゃん」

「ん?あ、いやそういうのは…」

「じゃあなんでワキワキしてたのかなー?」

「……」

 

ね、この通り。ちょっとおっぱいを抱えて突き出してみたら目を逸らして…可愛いんだよね。

だんまりになってお酒に逃げた…そのままムンズしても私は怒らないけどねー?

 

そんなやり取りを見て兄さんも酒を頼んでる。おいまだ週末じゃねーぞ?

兄さんの嗜好は私と同じでビール派だ。同じ世代でビールが美味いと思う人間が居ないってぼやいてたな。

因みに酒に弱い傾向で酒癖は笑い癖でかなり酷い。もうそろそろ笑い出すかな?

 

「ぶっふぅwwwww妹がwwwwあーっひゃっひゃひゃひゃwwwwww」

「!?」

「あー始まった…」

 

こうなったら何が起こっても面白そうに笑い転げるんだ。

鉛筆が転がっても楽しそうに笑うぞこの兄…私に指さして笑ってんじゃねーぞ。

兄さんが酒を飲むといつも決まってこうなるからなぁ…

私はビールでこんなに酷く酔ったこと無いからなぁ…まったく、酒癖が酷いのは困り物だよ。

 

「417wwwwwお前wwww指揮官が好きなんwwwww」

「そーだけど、それがなにか問題?」

「ぶっふぉwwwwLoveっすかwwww」

「もちろんそうだけど?」

「え?」

「だってさwwww良かったじゃん指揮官wwwwwいやお兄ちゃんかwwwww」

「ちょっとぉ!指揮官を叩くんじゃないわよぉ!叩くのは私達の役目なのぉ!」

 

バシバシ肩をぶっ叩くな酔っ払って居るからってそれは無礼じゃないかな?

お兄ちゃんはそんなのあんまり気にしないけど…流石にキレないかな?

あとFALは絡むな、お願いだから黙ってろ。混沌としてきてるんだよ…

 

まぁいいや、UMP姉妹はって言うとお互いカクテルを嗜んでる。

姉妹で会話しながらお酒を楽しんでるの。日常の他愛ない事から戦場のことまで。

あとはお互い見てきた今日起こった面白い事の交換をしてる。

そして45姉が9姉にべったべたに甘えるの。もう事あるごとにぎゅーっと抱きしめてるの。

全身で妹大好きって表していて微笑ましいんだけど…たまーに私に飛び火するんだよね。

私も妹として見られているのは嬉しいんだけど…

 

んでG36Cはウィスキー系を好んで飲んでいる。

窓から見える星空を見上げながら静かーに飲んでる…酒癖は不明。

酒癖が出るほど飲まないんだよね。翌日に響く飲み方はしないって言うのが本人の言だ。

だから飲む量はかなーり少ない…ロック一杯くらいじゃないかな?

 

で、最後G28…コイツはまぁー…おかしい。飲んでるのがおかしいんだよ。

スピリタスがお好みでコイツはしかもストレートで飲むんだよ…アルコールをそのまま飲んだほうがいいんじゃねーの?って思うんだけどね。

で酔っ払うと絡むし泣き上戸なんだよ…めんどくせぇ…因みに今はというと

 

「だからぁ…私は416や417よりもねぇ…ぐすっ…ずびっ」

「優秀なのですよね…はぁ」

「それなのにぃ…ふえぇぇぇぇ…」

 

G36Cに絶賛絡み酒中です、ごめんなさいバカ妹が迷惑かけます…

酒癖が悪い連中でも飲んでるのに私とお姉ちゃんの禁酒が納得いきかねるんだよなー

と言うか私そんなに酒癖酷かったのか…?

 

「ねぇスプリングフィールド」

「はい、何でしょう?」

「私ってこの惨状より酷い酔い方したの?」

「……正直どっこいですね」

「なら食堂で飲んでも良いよね…」

 

今の基地はもう酔いどれ以外を数えたほうが早いくらいだ。

最高責任者のお兄ちゃんも酔っ払っているし酔ってないのは本当に一部隊居るか居ないか…

ほんとこれで良いのかよ前線基地…これでいいのかG&K…私は不安しか無いよ。

私もこの惨状には飲みたくなってくる…酷いもん。

 

「マスター!おかわり!」

「はいはい、今お持ちします」

 

兄さんに絡んでたFALがおかわりを要求してきた…まだ飲む気かよ…

酔い潰れない内にやめてくれよな、頼むよー…背負って帰るのもう嫌だよ?

 

「417ージンバックとカルーアミルクおねがーい」

「はいはーいちょっと待っててねー」

 

私は主にカクテルの作成に追われる。45姉から注文が入ってから作るんだけどね。

カルーアミルクは45姉かな。かなり甘いのが好みだから…

作るって言っても本格的な物じゃないから見様見真似で作ってるんだけどね…

一応道具は一式揃ってるんだぜ。見様見真似でも様になるんだよ…ふふん。

まぁ男性陣からは主におっぱいを見られるんだけど…

 

「はーいジンバックにカルーアミルクです」

「ミルクはここから出したのかな~?」

「ひゃっ!?も、もう…セクハラはめっ…だよ?」

 

思いっきり45姉におっぱいを撫でられた…いや出ねぇから。

人形から出るようになるのか…?出せるようになるパーツとかあったらI.O.P本当に度し難い変態だぞ?

セクハラ厳禁となってるけど45姉は私に対してはよくやってくる…

妹大好きモードを向けられた日にはとっ捕まって愛でられまくるんだけど…

まぁこの時もセクハラされるんで私はたまったもんじゃないんだよね…

 

「飲みすぎないでよ?」

「はいは~いまだまだ酔ってないから~」

「同じくー♪ごちそーさまが聞こえなーい♪」

 

こう言ってるけど大体明日ベッドの上でウンウン魘されてるんだぜ…

明日の朝食は大根の入ったミソスープだな…人形全員分作っておくか…




この兄にして妹ありよ。なお泥酔組はきっちり覚えているからまだ良い。
417と416と違って覚えているからな、後日きっちり詫び入れるから。
416「一体何が」
417「いけないのかなー?」

指揮官「覚えてねぇのが問題なんだよ…」


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Day57 切り株処理

最近M4のネタバレを知ってショックを受けた作者ですが元気です。
ほんとドルフロ世界重いな…二次界隈位は平和で良いだろ…なぁ?


――――――――――――D08基地兵舎HK417私室・朝

 

 

農家の朝は早い。私達の想像もつかないくらい早いんだ。

まぁ私はまだ農家では無いけどね。あははは…畑を作りに行くんだ。

今日が私達の待機で過ごす一週間の最終日である。今日明日で出来るだけやっておきたい。

という訳で今日は切り株の掘り起こしに行くんですよ。

掘り起こした切り株の使い道も何かあったらなぁ…うーん…

細かく刻んで肥料代わりにするとか…?うーんそれだけだと勿体無いような気がするな。

ちょっと手はかかるけど椅子とか机に加工するか?東洋ではちゃぶ台なんて言うローテーブルもあった筈だし。

それをちょっと作ってみるか?炬燵と並んでヤーパンを象徴するローテーブルらしいし。

木工工芸品と言ったらヤーパンってイメージが強いぜ。やってみようか。

今日は土に塗れることだからラフな格好で行くぞー。メイクも薄くナチュラルに。

 

さて、どれだけ掘ればいいと思いますー?軽く?いやいやとんでもないんですよ。

根っこって言うのはとんでもない範囲に伸びていてですね…これが厄介なんですよ。

全部除去?やろうと思えば出来るだろうけど相当掘る必要あるぜ。

まぁだからその根っこを切断するようにスコップを入れていくんですよ。

残った根っこはまぁ…多分そのまま枯れて養分になるでしょ。

世紀末な処理として考えたのは焼く、そう切り株をそのまま灰にしちまうこと。

まぁコレだと根っこまでは行かないのでボツです。燃焼し切るんじゃねーのって?

いやいや燃焼の3大要素思い出そうな?地中に十分な酸素はねーぞ。

燃焼の3大要素は可燃物、熱、酸素だ。

 

放置してもいいけどそれじゃあ畑にするには時間がかかっちゃうし再生する可能性も出てくる。

結局は掘り起こしてどうかするしか無い。腐らせて肥料にするのが良いかな…?

うーんまぁ掘り起こしてから考えよう、お兄ちゃんと相談しながらでも良いかな。

お手本DVDと同じ光景をやれる様になるにしてからじゃーい!

 

む?おっぱいがちょっとキツイ…?洗濯でシャツが縮んだか?

あ、いけねミソスープの仕込み忘れてた。さっさとしてから行かないと。

 

 

――――――――――――D08基地農業エリア予定地・朝

 

 

「よし、やりますか」

 

メンテンス班にツナギを借りて首にタオルを巻いていざ土に塗れるぞ。

ずらーり並んだ切り株数にして大凡90!全部私が2日かけて切り倒した奴だ。

予定スペースの一回りは大きく切っている。外回りも処理しておくかなぁ…

一個の切り株を処理するのにどれだけかかるか次第だけどこれもまた重労働だなぁ。

因みに計画は進んでいて次の土日で柵の増設と小屋は作られる。

私の頭の中にも設計図は叩き込んでるからうっかりでもしない限りは畑を作りすぎるなんてことぁ無い。

さぁ今日の相棒はこのシャベルだけです。硬い石?んなのガスガス叩けば砕けるだろ。

こういう力仕事ではパワーこそジャスティス!暴力一歩手前位が丁度いいんですよ。

 

踏み鳴らされた感じのない土は簡単に掘れていく。サクサクと掘り進めていこう。

ん、ここの土は水気が多いな…水捌けはあんまりな感じだな…水はあんまりやらなくても作物育つかなー?

いやいや、やっぱりやったほうが良いよね…多分根っこが吸い上げるだろうし。

根が腐らない程度にって言うのが難しくなーい?土の中なんてわからないよ。

まぁ私に慣れろって事なんだろうな。まぁちょっと掘ればわかるかな?

お…この感じ…やっぱり根っこだ。結構太いな…大回りに掘ってたつもりだけど普通に根っこにぶち当たる。

全部摘出は面倒臭い事この上ない。下手したらコンクリの下にも根を張ってそうだから割り切ろう。

いや待てよ…私は人形なんだぞ?この程度なら掴んで引っこ抜いた方が早いのでは…?

 

「よ…っこいせぇぇぇぇぇえええ!!」

 

唸れ私の細腕、この切り株をぶち抜くんだよぉ!恥も外聞もない一抱えする切り株の縁を掴んで引っ張る。

戦闘モードと同じトルクを発揮させたらお、おぉ…手応えが来た。

これは引っこ抜けるぞ。メキメキと切り株にヒビを入れながら指を食い込ませてそのまま引っ張る。

するとどうでしょう、ずるずるぅ…っと切り株が土からオープンゲット。

マジかよ。人形一人いたら重機要らんやん…スコップも土戻す時に使うくらいだね。

バッサバッサと揺すってから土を払い落としてからそこら辺にぽーい。

じゃあこれを残り89回繰り返せば良いんじゃん。はっはっは楽勝。

千切っては投げ千切っては投げってしてりゃ良いんだもん。わーいらーくちーん。

 

「よっこいせ…のぉ!」

 

ちょっと腰に来そうな感じだけど…まぁ人形だし腰が逝ったらパーツ交換でOKでしょ。

この調子で夕方までに終わらせちまおう。できればかる~く土を耕せたら良いかなー?

でもこんな事して壊れたら怒られるだろうか?まぁその時はその時だな。

I.O.Pの人形は壊れやすいと聞くけど今の所ぶっ壊したのは被弾して左腕をやったくらいだしなぁ。

ハイパワーで動いていたら壊れたなんて欠陥でしかないし…まぁ大丈夫でしょ。

 

 

――――――――――――D08基地農業エリア予定地・昼

 

 

特に私が故障することもなく切り株の引っこ抜き作業は昼前に終わらせられた。

ただまぁうず高く積もった切り株は本当にどうしようコレ状態。とりあえずで適当に転がしているけどね。

とりあえずエリアは切り株一個無い土のみになったんだが…まぁ穴ぽこだらけ。

これから土を均してから耕さなくちゃいけない…耕すのが時間かかりそうなんだよなぁ。

あと土が圧倒的に足りてないフラグなんだよね…土を仕入れないといけないんじゃね…?

うん、これ土足らないよ…他から掘ってくるにしてもねぇ…今均しても一段低くなるんだよね…

いや、それでも良いかな?あ、そうだ…あの切り株を再利用して縁を木材にしてみてはどうだろうか?

農作業用の通路にするんだよ…コレだ。じゃあする事はあの切り株をまた材木店に出してその加工だけ…

時間があれば私一人でちまちま切り出せばいいけど来週は私も警備に出なくちゃいけない。

それを考えると出費は抑えられないんじゃないか?まぁ決めるのはお兄ちゃんだけどね。

どうせ小屋を外注で作るんだしそのついでに足場もってなれば良いんじゃない?

私一人でってなったらまぁ…週末か待機週間の間に仕上げるだけだし。

 

とりあえず今日はもうここまでかなぁ…私の判断でやるのはここまでかも。

昼だしお兄ちゃんに判断を仰ごう。一応意見はガンガンに言うけど…

 

でもここで農業するとして掛かりきりには出来ないよね。

スプリングフィールドって例はあるけど私は戦術人形なんだ。前線でこそ真価を発揮する。

このくっそ平和な地区でもそれは変わりゃしない。警備に出てこその私だ。

銃より鍬を握ってる時間のほうが長くなったらマズいよね。戦術人形とはなんだよってなりかねない。

んー…どうしたものかなー…もうコレ以上人形は増やさないらしいし…

ダミーに鍬を握らせておくか?作戦行動に連れていけるダミーは減るけど警備中に面倒見させることは出来るよね。

農業って畑を休ませてる時以外はかなり忙しいし毎日見てないといけない。

まてよ、今週で一旦編成を見直すとか言ってたよな…まさかなぁ…

私が外されて基地待機とかなったら間違いなくその先は戦術人形である必要なくなるぅ…!

わ、私以外にも道連れを作らなくちゃ…私だけにさせるもんかよぉ…!

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「で、意見具申って事ね?」

「うん、私一人でも出来るっちゃ出来るけど…警備もあるでしょ?」

「土と足場と切り株についてはOK、ただ農作業に関しては希望者って事にするぞ。まぁ最悪メンテ連中が暇してるから引っ張りゃいいだろ」

「はーい」

 

頼むよーメンテナンス班でも私の居ない間の作業をしてくれたらそれだけでいいから。

もっと良いのは私と一緒に農作業してくれる人形が出来ることだぁ。

畑のことって朝早いからスプリングフィールドも出来るんじゃ…

希望者に名乗りあげてくれよー頼むよー…G36とかでも良いんだよ?

 

「ただまぁ417がずっと基地待機でも俺は良いと思うけどな」

「なんでー!?」

「いや、だってそうしたら毎日副官にしてられるし」

「むぅ…」

 

副官かぁ…あれ、でもそしたら私色々お手伝い出来なくなるぞー?

私出来ること一杯増やしたけど全部潰れちゃうぞー…?

 

「いや、ジョークっす。優秀な狙撃手をみすみす潰すかよ…」

「ほっ…」

「そういやスオミが興味深げに見てたし案外乗ってくれるかもな」

 

スオミかぁふむふむ、それは良い。仲良くしておきたいしね。

しかし優秀な狙撃手かぁ…えへへ、私の価値ちゃんと見てくれてる…

私を必要としてくれてる…私は必要とされている…こんなに嬉しいことは無い。

大好きな相手なら尚更嬉しい…うふふふ♪

 

「んー…しかしこれじゃ暫く畑は出来ないってことだな」

「一段低くして良いなら別に今から均してくるけど」

「いや、どうせ工事に土は持ち込まれるから…工事を待つことにする」

「はいっ。じゃあ切り株とかも?」

「工事ん時に処分してもらう」

 

目下の問題はこれでOKかな?じゃあ私の今日の畑作りの前工程はおしまいか。

残りの半日はどうするかなぁー…お姉ちゃんは相変わらずボトルシップか射撃訓練だろうし。

 

「あ、そうだ今日の夜もバーに来るだろ?」

「うんそのつもりだけど?」

「じゃあバニーで来てくれよ、な?」

「…スプリングフィールドに怒られない?」

「俺から説得しておくからさ、頼むよ」

 

遠慮なくなってきたな。よしよしそういう事なら一肌脱いじゃおうか。

夜はバニーで埋まったな。まだ予定だけどね…スプリングフィールドが許可するかどうか…

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・おやつ時

 

 

「で、お前は俺に絡むのな」

「だってー」

「だってじゃねぇよ俺は仕事中なんだよ」

「お手伝いするから、ね?」

 

暇を持て余すからメイド服に着替えてからお掃除道具片手に兄さんに絡む。

掃除夫として働く兄の監視も兼ねてるけどね。この怠け癖が簡単に働けるもんかよ。

どっかでだらけるからケツを叩いてやんないと動かないんだから。

 

「そういやよ、お前指揮官の事お兄ちゃんなんて呼んでるけど」

「親愛を込めてだよ?」

「愛ねぇ…ふーん」

 

妙に納得した表情で私を見るなぁ…なんだよぅ。

お兄ちゃんはお兄ちゃん、兄さんは兄さんだからね?

 

「試しに俺をお兄ちゃん呼びとかは?」

「は?死んでもイヤ」

「辛辣ぅ…」

「じょーくじょーく、お兄ちゃんって呼んでほしかったら呼ぶよ?」

「おぇ、吐き気したからいいわ」

「てめぇ」

 

口喧嘩を交えながらお互いお掃除に精を出す。これが私達兄妹のスキンシップ。

子供の頃と変わらない…性別が変わってもこれは変わりない。

 

「あ、そうだ。明日のご飯はこっちに食べに来なよ」

「食堂は?」

「基地の全休日は閉まってるよ。私が作ってあげる」

「マジかよ…じゃあ来るわ」

「楽しみにしておけよ、兄さん♪」

「ついでにアケ筐体で遊ばね?」

「おー良いね」

 

仲良し掃除兄妹は今日も笑い合いながらモップを振るう。

しかし417のモップは時に兄のケツを引っ叩いた。不憫なり兄。




Q:もう戦術人形とはって聞かれる状況じゃね?
A:417「お手伝いだからまだセーフ(震え声)」


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Day58 バーと大人な香り

夜の帳が下りた休日前のD08基地、今日もカフェは大盛況。
それも417がバニーでご奉仕と来たものだから野郎は挙ってやって来た。


――――――――――――D08基地カフェ・夜

 

 

「で、スプリングフィールドは許可しちゃったのね?」

「はい、問題は無いでしょうと判断しましたから」

「そういうバーじゃないんじゃなーい?」

「喜ばれるのは間違いないでしょうからね、それにあんなに必死な指揮官可愛らしくて…」

「むぅ…お兄ちゃんの必死な頼み込みには誰も敵わないか…」

 

説得に落とされてスプリングフィールドから端末にメッセージが届いていた。

今日のバーのお手伝いは制服でもメイド服でもなくバニースーツで来てくれってね。

普段は人間人形入り混じっているバーなんだけど…今日はそんなのがバレてるのか見事に人間が多い。

メンテナンス班の若い衆は全員カウンターに座っているしお兄ちゃんもカウンター。

テーブル席にはUMP姉妹とFAL、ストッパー役のG36C…イサカと主任のカップル。

まぁ確かに喜ばれているんだろうけど…こんなに見られながらはちょっとなぁ…

お兄ちゃんだけに見られるなら大歓迎だけど…他のセクハラ目線さぁ…

どうにかならなかったかな…まぁお手伝いに入る以上もう割り切ろう。

 

「おぉ…ブルンバスト…」

「歩くたびに揺れてたまんねぇ…」

「お触りは…?」

「俺はマッマのブルンバストに触りたい…」

 

あーあ、男ってホント単純でバカばっかだわ…元男だけど呆れるばかり。

デレデレと鼻の下伸ばしてアホ面晒してるんだもん…お兄ちゃんも無言だけど鼻の下伸ばしてる。

あとお触りしたら残らず手をつねるよ。私はダミーじゃないから甘くないぞー

 

「来たぞー」

「本体が面白い事してる」

「私達も混ぜろ」

 

ぎゃあ、ダミーが勝手に私のマネしてバニー姿で乱入してきたぞ…

これは…流石にマズいことになりかねないんだけど…スプリングフィールドは?

 

「ふふ、お手伝いありがとうございます」

「「「おー♪」」」

 

おーぅ、このまま手伝わせるつもりだ…これは静かなバーがキャバクラになりかねないぞー…

折角今日はうるさいのが絡み酒の45姉とFAL位になると思ったのにー…

おい沸き立つなメンテナンス班の野郎ども。絶対にお触りなんてさせねぇからな?

 

「417ちゃん」

「ん?」

「酔っぱらいですから…多少は寛容になりましょう?」

「…はーい」

 

なおその後スプリングフィールドのダミーも接客に当るようになり野郎はさらに沸き立った。

一週間の終わりだからってこれ良いのかよ…私はお兄ちゃん専属で接客しろってオーダーだし。

ダミーはそれぞれ分業中、食器洗い、カクテル作り、配膳。

私がしてるのはお兄ちゃんのグラスにお酌してお話を聞いたり至近距離でおっぱいを見せたり。

いや、これマジキャバクラになってなーい?

 

 

「ぐぇ…」

「もうくたばったか、早いな」

「おいどうしたウワバミ、こんなもんかぁ?」

「春田マッマぎゅっとしちくり~」

 

自称ウワバミが何時も通りに早々にくたばってカウンターに突っ伏した。

ダミーが間髪入れずにお冷を出してるけど飲む気配もない。暫くはリタイアだな。

両サイドからちゃちゃ入れが入るが意に介してないな…そして一人まったくブレずにスプリングフィールドに甘えたがってる奴が居る。

そろそろめっ位したほうが良いんじゃない?

 

「ふふ、ダミー?」

「よしよし…何時もお疲れ様です」

「おほぉぉぉぉぉ…」

 

甘える職員にダミーとは言え背中から抱擁して頭を撫でた…だと…?

職員もこれには甲高い声で浄化されていってる…まぁ確かに…何時もお世話にはなってるけど。

 

「お、俺にも…」

「417ちゃん…」

 

レッツゴーダミー、お前らの出番だぞ。私はお兄ちゃんの相手って言う重要任務があるから。

配膳担当とカクテル作り担当ダミーが動いてそれぞれ椅子によじ登って…

 

「「ぎゅー♪いつもありがとうね♪」」

「おぉ…」

「これが…」

 

職員の膝の上に陣取った後そのまま真正面から抱きついて上目遣いに笑顔で感謝を述べる。

ちんまい身体をうまく利用した抱きつき方だ。しっかり頭も撫でているから癒やし効果は高いかな?

あんまりにも癒やされていていやらしい事も浮かばないかリアクションが死んでる。

想像だとそのままお尻とか触ってくるかと思ったんだけどね…そこまで邪な人じゃなかったんだね。

 

「おかわり?」

「ん…」

「はい、どうぞ♪」

 

お兄ちゃんはそんな寸劇を横目に羨ましそうにしながらも私のおっぱいを肴にお酒を煽っている。

グラスが開けば私が聞いてお兄ちゃんが頷いてからまた注ぐ…この繰り返しだ。

 

「お兄ちゃんが望めば…良いんだよ?」

「……あ、いや…」

 

一瞬食い入るようにおっぱいを見て私の顔を見て…迷ったように視線をそらした。

私は真剣だけどお兄ちゃんはどうもそんな私に一歩引いちゃってるな。

ふぅ、お兄ちゃんも人並みに欲はあるんだから開放してもバチは当たらないと思うよ?

ほらあのおっぱいビンタみたいにお願いするだけだよ?

 

「そういうのはイケないと思います!」

「あはは、真面目だね、お兄ちゃん」

 

そんなお兄ちゃんも私は大好きだよ。頭撫でてあげるね。いつもの逆だけど…

 

 

――――――――――――D08基地カフェ・深夜

 

 

夜の帳が下り日付も変わった頃、騒がしかったカフェ内部はしんと静まり返っていた。

お手伝いに入っていた417は酔い潰れた職員を担いで運んでいきもう居ない。

残っていたのはマスターであるスプリングフィールドと淡々と酒を飲んでいた指揮官だけだ。

 

「なぁスプリングフィールド」

「はい?」

「ちょっと一緒に飲まないか?」

「……」

 

指揮官は琥珀色の液体のボトルを指差しながらスプリングフィールドへと語りかけた。

据わった目は有無を言わさないつもりかスプリングフィールドの顔を射抜いていた。

 

「少しだけですよ?」

「助かる」

 

しょうがないですね…とため息混じりに皿洗いの手を止めた。

そっとスプリングフィールドはカフェの立て札をCLOSEDへとしてからバーカウンターへと座る。

指揮官の隣に座ってからグラスを並べる、指揮官と同じくウィスキーをロックで飲むつもりなのだろう。

ボール状に削り出した氷を一個だけ入れたグラスが2つ…薄っすらとした照明に照らされ並ぶ。

ウィスキーが注がれ氷が溶け小気味よい音が鳴っていく。

 

「はぁ…417のからかいには困る。Mk23のあのアプローチにもだよ…」

「あら、あれは本気ではないでしょうか?」

「君まで…俺はそんな良い奴じゃないんだぞ…」

「ではなぜああも慕われているんでしょうか…指揮官が自分で思ってるほど悪いとは思いませんよ?」

「そりゃ…人形は元から指揮官に好意的になるんじゃねーの?」

「あら、それは違いますよ。乙女心はそんな簡単な物ではありませんよ」

 

指揮官は悶々としていたのだろう胸中をぶちまけるようにバーカウンターに突っ伏しながら吐き出し始めた。

お酒をちまちまと飲みながら苦笑交じりにスプリングフィールドはそんな指揮官に語る。

確かに戦術人形は指揮官に対して忠実ではあるが好意的になるように仕向けられているかといえば…NOだ。

愛情を抱く様に仕向けられた人形はどこにも居ない。雑に扱われれば失望していくし。

逆に真摯に対応し作戦行動や日常を過ごしていけば情が芽生えてそれが友情、敬愛、親愛、恋慕へと変わっていく。

 

「ふふ、それに…真剣に指揮官の事を想っている人形は417ちゃんやMk23ちゃんだけじゃないんですよ?」

「……」

「指揮官はお気づきでしょうか…」

「……いや、俺は」

「すぐ傍に、居るんですよ?」

「え?」

 

突っ伏していた指揮官が顔を上げスプリングフィールドの方を見れば…

酒気にやられたか頬をほんのりと赤く染めて目を潤ませじっと見ていたのである。

驚き固まる指揮官に対してスプリングフィールドは行動に移した…

撓垂れ掛かる様に腕に抱きつきたわわな自らの双丘を押し当て肩に頭を預ける。

人工物とは思えぬ柔らかな感覚とほんのりと熱い肌に包まれ指揮官の顔も真っ赤に染まっていく。

 

「す、スススプリングフィールドさんっ!?」

「私だって…望まれればやぶさかではないのですよ…?」

「は、はひ…」

 

指揮官が出す声は上擦りガチガチと全身が固まってしまう。

固まる指揮官の胸板の上をスプリングフィールドの指先がくるくると円を描き踊る。

首元に熱を孕んだ吐息が掛かる。頬はスプリングフィールドの香りの良い髪が撫でる。

耳元で囁かれる甘言は指揮官の脳髄を蕩けさせて行く…そして理性というものをガリガリ削っていく。

指揮官の脳内ではエマージェンシーコールが鳴り響いて止まない。

酒を飲ませて愚痴を吐いたのが不味かったか。それともスプリングフィールドの酒癖なのか?

後悔がぐるぐると渦巻いていく。どうしてこうなったと…

 

「いつも見られている所だけじゃなく…全て、捧げても良いのですよ?」

「……そ、それは」

「……ふふ、なんて…本気ですけどまだ指揮官には早いですよね♪」

 

抱きついてない腕を取られそのまま豊かな胸元まで手を導かれ…生唾を飲む事になった指揮官。

目は釘付けで触れたそうに指がエプロンの表面を撫でた時だ。スプリングフィールドは呆気無く離れた。

赤ら顔はそのままだが茶目っ気たっぷりにウィンクしてからウィスキーを煽った。

指揮官は半分からかわれていたのである。ホッとした反面残念にも思う指揮官はがっくりと肩を落とした。

 

「心臓に悪い冗談は止めてくれ…」

「ふふ♪でも好意は本物ですからね?指揮官。417ちゃんとMk23ちゃんの好意もそうです」

「……そうかい」

「えぇ、そうです」

 

カラン、グラスの氷が鳴る。指揮官は湯だった様な頭を振って残りの酒を煽り席を立つ。

このままスプリングフィールドと一緒に居ては理性というものが無くなってしまいそうだったのだ。

 

「今日はもう寝る」

「一緒に寝ましょうか?」

「す、スプリングフィールド!」

「冗談です♪」

「ったく…」

 

最後の最後までスプリングフィールドにからかわれる指揮官であった。

ただ揉んでみても良かったかな…とほんのり後悔もしたのであった。




色気ってこうですかわかりません!!
この反応からも分かるかもしれないがこの指揮官童貞だからな!
ただここで春田マッマに指揮官食われると417がヤンデレ化する未来が確定するのでボツじゃーい。
IFで頑張って書いてみようかと思うけど…需要ある?

*追記*

指摘どうも、細かい所だけど句読点大事よね。


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IF番外 全部私に任せれば良いの

閲覧注意:ヤンデレ
いつものほのぼの要素は一切ないからな


――――――――――――D08基地司令室・深夜

 

 

その日の417はとても妙な胸騒ぎに襲われていた。虫の知らせと言う物かもしれない。

居ても立っても居られなく指揮官の下へと駆ける。夜間照明が靡く銀髪を照らしていた。

指揮官の私室からは普通なら何も聞こえない筈…でもその日の夜は違った…

夜間照明に照らされた司令室は薄暗く不気味であった。

胸騒ぎに駆られた417はそんな司令室の中にある指揮官私室の扉を目指す。

コツ…コツ…と自分の足音以外聞こえるはずのない空間だ。

だがどうであろう、扉の向こうから何か薄っすらと聞こえてくるのだ。

そう、普通ならば聞こえるはずのない音が扉から漏れ出てきていたのだ。

不審に思い扉にそっと耳をつけて中の様子を窺う…すると耳を疑う様なやり取りが聞こえてくる。

 

「うっ…くぅ…」

「我慢されず出しても良いんですよ♪」

「ダメだぁっ出るぅ!!」

 

何をしているか…このやり取りだけでも窺い知れる…

聞こえてきたのは上擦った指揮官の声と甘く蕩けたスプリングフィールドの声だ。

だが…しかし…と一縷の望みを乗せてそのまま開いているだろう扉をそっと…開ける。

 

しかし現実は非常なもので月明かりに照らされた指揮官の私室のベッドの上には…

半裸で絡み合いお互いを貪り食う指揮官とスプリングフィールドの姿があった。

長い髪を振り乱しよがったスプリングフィールドは指揮官の上に跨がり指揮官に覆いかぶさり深くキスをした。

指揮官はそれを拒む様子もなく下からスプリングフィールドの豊かな胸に手を重ねていた。

何をしているか等もう見るまでもなかった…そういう事だ。

 

そっと扉を閉じてから駆けて宿舎に戻る。これは悪い夢だ。

そう言い聞かせながら揺れる心を落ち着かせて床についた…

 

だが寝れど覚めど脳裏にこびりついて離れないスプリングフィールドが指揮官を襲った…?

いや、あのやり取りと様子から双方の合意があったように見える。

スプリングフィールドは確かに指揮官への好意を募らせていた…だが、いきなりこんな事に?

そんな素振りは一切見せていなかったのに一体何を…指揮官は弱みでも握られてしまったのか?

部下との関係を重要視していた指揮官が進んで事を致そうとはしない。

そんな指揮官ならもう既に自分やMk23がいただかれている筈だ…そんな素振りはない。

 

「そうだ…これは…スプリングフィールドがお兄ちゃんを騙したんだ…」

 

そう断定したその夜、417は静かに狂い始めた。

 

 

――――――――――――D08基地司令室

 

 

「おはよう、指揮官」

「お、おう…おはよう」

 

その日からというもの417は出撃ローテーションから外れて副官になると言い出した。

指揮官もその勢いに押されたのだが滅多にない417のワガママに許可した。

その時は満面の笑みを浮かべていた…様に見えた。

それから副官としてずっと執務中ついて回られたのだが…何か様子がおかしい。

ずっと笑顔なのだ。比喩ではなく事実でずっと何をしていようが笑顔なのだ。

満面の天真爛漫な笑みではなく貼り付けたような奥底が窺えない笑みだ。

そして指揮官を見る目が末恐ろしい、見透かすような物に変わっていた。

 

「指揮官、はい書類できたよ。次の作戦の指示だけどこれは…」

 

そんな417の様子に戦々恐々としながらも指揮官はそれを指摘する度胸は無かった。

それよりも的確にこなされていく仕事に自分のやることがほぼほぼ取られていってしまって…

危機感を覚えてから417に懇願する…仕事をくれと。

 

「なぁ417…俺の仕事…」

「指揮官は何もしなくていいの…私がぜーんぶやってあげるから」

 

しかし417は取り合わず一方的に言葉を投げてから仕事を奪う。

この様子に指揮官は何か怒らせるようなことをしたか?と首をかしげる。

そう、指揮官はこの様子の急変は怒りから来るものと思って頭を掻いていた。

 

「手持ち無沙汰なら私のおっぱいでも揉んでたら?」

「い、いや…それは…」

「私は指揮官が望めばなんだってしてあげるよ…エッチだって…」

「417それは…」

「私は本気だよ、指揮官が望めば今ここで衣服を脱ぎ去って全裸になってどんな動きだってしてあげる。死ねっていうんだったら死んであげる。子供が欲しいって言うんならそう出来るようにI.O.Pに殴り込んでからなって戻ってくるよ。戦果が欲しいなら最前線でD08基地の旗を掲げて戦いいっぱい鉄屑を作ってくる。指揮官は私に何を望むの?言ってよ…ふふふふ♪」

 

明らかに様子がおかしい事に気づいたが何が原因なのかがさっぱり理解できない。

恐ろしくなった指揮官は417を見ていた視線を外してしまう。

 

「しきかぁん…私を見て♪」

「ひっ」

 

甘く蕩けた417の声は背筋を凍らせて指揮官に恐怖を与えるものだった…

それと同時に夜の事を思い出させて不覚にも…熱り立たせてしまったのだ。

 

「奥ゆかしいんだね、指揮官…でも、我慢は良くないんだよ…野獣になっちゃいなよ…私は受け止めてあげる…気持ちいいこと、シヨ♪」

 

甘く誘う417は指揮官の両手を取って自らの豊満な胸に導き触らせて笑った。

それが指揮官のその日最後に見た417の笑顔であった。

 

 

 

 

「おやすみ、指揮官…気持ちよかったでしょ?」

 

ベッドの上で昼間から盛りあって私は起き上がって夢見心地な指揮官の頭を撫でた。

お昼ご飯に睡眠薬を仕込んでいたから…このまま寝続けて起きるのは翌朝かな?

その間にお掃除しないとなぁ~うふふふ…怪しまれないために日中は副官として仕事しなくちゃ。

 

「あら、417…指揮官は?」

「指揮官は寝ちゃったよ。疲れてたんだろうね」

 

FAL…お掃除対象だな…コイツだって何をするかわからないんだから…当然だよね?

事実指揮官は寝ている。怪しまれることはないだろう…ふふふ。

 

「そう?あら、本当…じゃあ417が頑張らないといけないわね」

「うん、だから今書類を片付けてるの」

「頑張ってね♪」

 

書類に視線を落としていたから顰めっ面しても怪しまれないね…ふふふ。

あぁイライラするなぁ…あの人形もあの人形も私の指揮官を騙して言い寄るんだよね?

渡さないよ、誰にも絶対に…私だけの指揮官なんだから…ふふ、ふふふふふ

早く夜にならないかな…ふふ、ふふふ…お掃除は静かにしなくちゃね…

計画は念入りに…あぁ、早く実行したいなぁ…

 

はやく私と指揮官だけの基地にしなきゃ…

 

 

――――――――――――

 

 

夜の帳は降り人間は眠り基地全体は寝静まった頃。

一人だけ変わらず起動していた人形が居る。この基地独自の人形417だ。

私室の中で完全武装をしてから感情のない顔で淡々と銃器を取り出していた。

自身の半身であるHK417にサウンドサプレッサーを装着してから自室を出る。

情報端末で簡易的に作ったジャマーもあって人形の起動を抑制させながら…一人一人の部屋に忍び込む。

 

指揮官を誑かす人形…死ね。私の邪魔をする人形は死ね。障害になるんだろう?死ね。

悲鳴すら上げさせず寝込みを襲い電脳を撃ち抜いて一人一人排除していく。

その度に自身のボディに返り血が付着していき段々と血染めになっていく。

嘗ては笑いあった仲間であろうが、何であろうが…邪魔になる。

その矛先は姉と慕った相手にも向けられ引き金は引かれていった。

 

「あれ、おかしいな…何で泣いてるんだろう?」

 

声もなく屍となった姉の前に417は涙を流しながらも止まることは無かった。

合計18発使った半身をそっと姉の亡骸の横に置くとそのまま出ていき…最期に回していたある人形の所へ素手で向かう。

薄ら笑いと目の奥に憎悪を抱えたまま…

 

 

 

「はぁいスプリングフィールド…」

「ぅ、が…あ…あぁ…!」

「苦しい?苦しいよね…そりゃそうだよ苦しめてるんだからね…お前さえ指揮官を騙さなかったら良かったのに…」

「な…に……」

「お前が憎い…邪魔なんだよ、私にとって…指揮官にとっても…」

 

スプリングフィールドの私室に侵入した後流れるように両腕の関節を外すと馬乗りになってからその細腕を万力のように握り込む。

抵抗を許さずじわじわと苦しめてから殺すという意思の現れだった。

417の表情は能面のように無表情でその濁った目の奥には憎悪が揺らいでいた。

 

やがてスプリングフィールドが酸欠により意識を手放した後…そのまま首をへし折って使い物にならないようにして脱力した躯体を引きずる。

そのまま寮を出てから人間たちが眠る寮へと放り込んだ。

 

 

――――――――――――

 

 

翌朝、人間たちが起きてから騒然となった。

スプリングフィールドが苦悶の表情で機能停止しているのが発見されたからだ。

どういう事だと騒ぎになっている所に一人の人形がやってくる。

 

「それ、やったの私だよ」

 

まるで誇るかのように薄ら笑いを浮かべていて更には武装してダミーまで引き連れて剣呑な雰囲気を醸し出していた。

黒と紫の2色だった服装は真っ赤に染まり胸の谷間にも血糊が張り付いている。その様子は殺人鬼と言った様子だ。

下手人である417はもう狂いに狂っていた。人間に対しても躊躇なく引き金を引く事ができる。

職員たちは恐怖に震えたが…その次に出てきた言葉は…

 

「人間は殺すつもりはないよ…ただもうこの基地には関わらないでよ…私と指揮官だけの基地にするんだから」

「お、おい…」

「兄さんは…殺したくないんだよ。殺したくないの…気が変わらない内にとっとと車に乗って引き上げて?」

「ジョシュア!お前が何をしようとしてるのか」

「ジョシュア・ガンツなんて名前はもう捨てたよ?あぁでもファミリーネームは貰っておいてあげる…ふふ。指揮官との子供にあげるの♪」

 

どんな説得にももう応じないつもりだろう417は淡々と語り…わざとらしくチャージングハンドルを引いた。

早くしないと撃ち殺すぞ…という脅しなのだろう。

抵抗するのは無意味と己の命が大事な職員達は残らず基地の車両にてD08基地を去った。

 

かくしてD08基地は一人の人形の発狂により壊滅してしまったのであった。

 

 

――――――――――――旧D08基地指揮官私室

 

「頼む…417目を覚ましてくれ」

 

おかしいなぁ、指揮官はずっとこんな調子だ…もう私と指揮官の間を邪魔するヤツは居ないのに…

料理が不味かったかな、夜のアレが気持ちよくなかった?なんでそんな泣きそうな顔で私を見てるの?

目を覚ますって…もう私はしっかり目覚めてるよ。何を言ってるんだか…

今日の触れ合いがまだだからかな…指揮官はやっぱり変態さんだから泣きたくなるくらい私と交わりたいのかな?

あ、でもその前にご飯にしないとね。何事も食事が大事だもん。

 

「ほら、指揮官今日のお料理だよ。食べて♪」

「食いたくない…」

「そっか…口に合わなかったんだね。じゃあ今度はイノシシでも狩ってくるね♪大丈夫今度はちゃんと血抜きしてから美味しくお料理するから。きっとお腹がくぅくぅ空いちゃって食べたくなるようなとびっきりのお料理にするから♪」

 

じゃ、妻である私がしっかり狩りをしないとね…ふふふ♪

 

 

 

D08基地は新設され旧D08地区付近は立入禁止となった。

調査に行った人形は尽く通信途絶し人間は撃ち殺され動植物は焼き払われる地獄と化していた。

悪魔のような一人のRF人形がそこには居る…噂はそう流れていた。




需要があったから書いたけどもう大暴走した。
ヤンデレってこう?僕にはわかってないんだ…
本編とは全く繋がってないので安心しろよなー


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Day59 ゲーマー家族・前

ゲーム沼に引きずり込まれる姉が居るらしい

ヤンデレから来た人はいつものD08地区だから安心しぃや。


――――――――――――D08基地共有スペース・朝

 

 

「あ、おはよ♪」

「おう…」

「もう少し遅かったら起こしに行ってたよ?さ、座って座って♪」

 

んふふ、兄さんが眠そうな目を擦りながら人形寮に入ってきた。

エプロン装備を解きながら私が出迎えて共有スペースのテーブルに着くように促す。

一応取り決めで共有スペースならどっちの寮に入ってもOKとなった。

同意が得られていたら個室に入ってもOK…まぁイサカと主任とかは(自主規制)してるんだろうなぁ。

おかげで朝は私かG36にご飯をねだるなんて事も可能になったわけだ。

今の所私が進んで腕を振るっているのは人形とお兄ちゃんと兄さんだけだ。

 

「今日の朝ご飯はイタリアンにしてみました」

「ほー…ペペロンチーノな」

「うん、良い小麦粉が手に入ったからね♪」

 

昨日の夜に仕込んでおきました、良い小麦粉が手に入るといろいろ出来るからね。

まぁいつもの手順で生地にしてから…棒で伸ばしてから包丁で細長くカット。

昔はそれ専用のマシンなんてものがあったらしいが…まぁ仕方ないね。

熟練の職人は手で伸ばすとかなんとか…うるせぇ知らねぇ楽な方法に逃げさせてもらうぜ。

 

「なぁ」

「んーなぁに?」

「お前さ、こんなに料理するような奴だったっけ?」

「いやこれが楽しくて…」

「ふーん…戦役から退いたら店を構えても良いかもな」

「そこまで上手じゃないでしょ」

 

兄さんお世辞は良いからさっさと食えや。朝飯食いに来るのはおめーだけじゃねぇんだよ。

 

「おはよう、417」

「ん、お姉ちゃんもおはよ♪」

「そう言えば新しい職員が…そう、アンタが」

「おう、一週間ぶりだな…」

 

おーぅ一触即発な雰囲気じゃんよ…朝からピリピリしないでいいから。

主にお姉ちゃんが食って掛かりそうな雰囲気を醸していて無言でめっちゃ圧をかけてる。

お姉ちゃんお姉ちゃん女の子がしていい顔してないぞー…はい笑顔笑顔なー?

 

「ボトルシップの進捗はどうかな?はい朝ご飯ね」

「ん、ありがとう…進捗はまぁもうすぐ完成ね。私らしい完璧な物が出来上がってきてるわよ」

「ほー…ボトルシップなー」

「で、アンタは何で417の料理を食ってるのよ」

「いや、コイツが「私が誘ったの、何か?」ってぇわけだが?」

「そう…くれぐれも勘違いしないでもらいたいけど417は私のた・い・せ・つ・な妹だから」

「食事中位和やかに頼むよ…お姉ちゃん…」

 

私の腰を抱き寄せて主張せんでいいから、とっとと食え。

あと私の切実なお願いな、食事中は和やかに頼むよ…私はどっちの妹でもあるぞー?

兄さんはあーはいはいって感じでそのまま食事に入っていったし…

お姉ちゃんも私に目線を合わせてから食事を開始した…食事中は静かなんだよね。

まぁそれは良いことだから私も食事にはーいろっと…

ペペロンチーノはすっごく単純なパスタ料理です。にんにく、オリーブオイル、唐辛子だけで作るほんっとにシンプル。

アレンジをしてみても良いけど今はそんな冒険をするだけの経験は無いのでレシピどおりに作る。

オリーブオイルが合成物だが…まぁ薬品臭さは飛ばせてると思う。

合成調味料類は弾いてるから変な味わいになることも無いでしょう。

にんにくの旨味とオリーブオイル、塩で味付けしてるし味見もしてるからだいじょーぶ。

あと私の完全な好みだけどブラックペッパーを振り掛けていて風味もグッド。

リアクションは薄いけど兄さんは食べながら頷いて口角が上がってる。

お姉ちゃんは文句が一切出てないから多分大丈夫だと思う…リアクションが薄いのがこわーい。

 

「美味しかったわ」

「良かった♪」

 

よっし良かった。兄さんの反応も良好だしまぁ美味しかったんだろう。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎ゲームスペース・朝

 

 

「で、今日はこれで遊ぶってわけか」

「いえーす、私達にはもってこいでしょ?」

「なんで私まで…」

「「負けるのが怖いの~?」」

「あ"?やってやろうじゃないアンタ達をぶっちぎってやるわよ!」

 

はーい今からやるのは名作パーティーゲームのザ☆ビシバシでーす。

コイツはまぁ簡単に言うとミニゲーム集だね。それも簡単な3つボタン操作のね。

各ゲームの説明も5秒足らずで終わる設計で大人から子供まで楽しめるんだ。

お姉ちゃんは普通に渋っていたけど私と兄さんの煽りにキレて参加した。

渋ったらとりあえず煽ればノッてくる。これマメね。

まぁこれパーティーゲームだから楽しんだもの勝ちなんだけどね!

私はこの他にも好きなアーケードゲームはあるけど…ソロ用だったりする。

まぁそれはまた今度だね。じゃあビシバシをやっていくんだが…

 

「弾んで!跳んで!ラブジャンプ!!説明!」

 

そうこのタイトルコールと特徴ある説明!である。これこれこのバカゲー感がたまんないんだよね。

まぁやるのは画面に映ってる色と同じボタンをバシバシ叩いていくんだ。

ステージ1のコレの場合は次の足場と同じ色のボタンを押せってやつ。

 

「レッツゴー」

「リッローイ!!ジェーンキンス!!!」

「は?」

 

私も兄もゲーマー、お姉ちゃんは人形。これはいい勝負になるぜぇ…

私とお姉ちゃんは画面から気合入力でそのままイケる。兄さんは確かビシバシガチだったっけ?

兄さんの掛け声に面食らいながらもほぼ同時に入力していくぅ!

あと兄さんの本名はリロイ・ジェンキンスじゃねーぞ?

 

「……」

「フヒ……」

「何…この…何?」

 

途中途中入る寸劇にお姉ちゃんが拒絶反応を示している。

隣のピクトフィリアはちょっと気持ち悪い笑いが出てきてた…

確か制作が同じだからって事で恋愛シュミレーションのキャラが出てるんだっけか。

私?いや、その手のゲームとは無縁だったので無反応です。あーかわいいねー

 

「結果発表!」

「ふふん」

「チッ」

「……」

 

コンマ差で私が1位全員揃ってクリア判定だけどねー負けず嫌いが揃って悔しそうだぜ。

ほら肩の力が抜けよ、初めてなんだろ?そんなんじゃ楽しめないぜ。

 

「次行こうぜ」

「おう、次は獲る」

「私は完璧よ」

 

「良いちくわ!悪いちくわ!空からちくわ!!説明!」

 

ミニゲームは続く続く。次は左右のボタン同時押しでキャッチしていくって奴。

これは膠着するんだよねー…同点バトル発生するかな?

 

「カマーン!」

「スッゾオラァァアアア!」

「次は負けないわよ」

 

人形スペックに勝てる訳無いだろ、兄はすっこんでろ!

あ、因みにステージは22まであるのでたっぷり遊べるぜ。通しでやれば17分は取られるぞ。

初見殺しもあるけどね!そして今やってるのがまさにそれだぜ!

このステージも貰ったぁ!!

 

「っしゃぁ!!」

「何で最後がそのボタンなのよぉぉぉおおおお!!」

 

一定の数が流れた後はフィニッシュボタンだぜ。はっはっはー!

 

 

――――――――――――

 

 

ビシバシはあの後結構私とお姉ちゃんのスペック争いになった。

で、今何をしてるかって言うと…

 

「棒立ちの的を撃ち殺してる感覚ね」

「ほぼそうだねー」

 

<イテッ!イテッ!イテッ!モウオコッタゾー!

 

名作体験型シューティングゲームのタイムクライシスだ。

兄さんはボッコボコにされて凹んだか一人でワニワニパニックをやってる。

背中に哀愁漂ってるなぁ…

さてタイムクライシスだが拳銃型のデバイスで画面を狙って引き金を引くってゲーム。

画面に出てくる動くものは全部敵だからバシバシ撃っていって良い。

まぁお姉ちゃんも私も戦術人形だから普通に雑談しながらバンバン撃ち殺していってる。

忌避感?いやいやそんなのはないよ。私だっていつかテロリストと戦うかもしれないけどね。

そんな時に躊躇なんてすると思う?残念だけどその答えはNOだよ。

無力化するのに遠慮は要らない。生死問わない無力化なら迷わず殺す。

私はセルフ縛りでハンドガンモードだけ。お姉ちゃんはキレイに使い分けしてる。

二人揃って狙ってるのは寸分違わず頭のド真ん中。

 

「お、テラーバイト…うぇ」

「……気持ち悪い」

 

私はこのテラーバイトっていう生物兵器が嫌いだ。見た目がくっそグロい。

お姉ちゃんも同意見の様で露骨に顔を顰めながらトリガー引いてる。

 

「ねぇお姉ちゃんマジでこんなの出てきたら」

「止めて、考えたくないわ」

「銃が効くなら退治は出来るんだろうけどねー」

 

私は特に嫌いなのがステージ1に出てくる芋虫型…あんなのにわらわらと群がられたらと思うと…

うぇ、考えただけで吐き気してきた。銃弾が効くなら退治は出来るけどね。あとは榴弾祭りかな。

しかしお姉ちゃんの苦手なものが一つわかったな。昆虫かぁ…

人間の時に腕にムカデが這い上がってきたことがあったんだけどそれ以降トラウマなんだよね…

 

「流石に上手いな」

「お、兄さんもう気ばらしは良いの?」

「私達は戦術人形よ、こんな児戯朝飯前ね」

「だろうな…人形…か…」

 

まざまざと人間とのスペックの差を見せつけられた後だから感慨深げだな…

私を見る目もなんだか遠いものを見るような感じだ。

 

「ま、でも…ゲーム中のお前はホント変わんねぇよ」

「わ…もう、何よ頭を撫でて…」

「兄が妹の頭を撫でるのがわりぃか?」

「髪が乱れるぅ~」

 

こんなやり取りしてるけど目は画面に向いてるしバシバシ敵を撃ってるんだけどね。

兄さんは改めて人形のスペックを見ることになるんだろう。

私とお姉ちゃんのプレイに酔いしれな!

あ、でも兄さん絶対にお姉ちゃんにFPSゲームを見せるなよ。絶対だからな!

特にM4とかM16が出るゲームは見せるなよ!!映画でもダメだぞ!

 

「なぁ416…だっけか」

「何よ」

「後でCoDやんね?」

「CoD?」

「おいバカやめろ」




多分次はFPSで416がブチギレる
休日回は膨らむなぁ…


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Day60 ゲーマー家族・後

これかぞ!(挨拶)
散々振られていたもんだから416にCoDさせんぞ!
ゲーム機に関しては捏造もあるぞー


――――――――――――D08基地HK417私室

 

「ばっか兄さんマジでさせんの?」

「お前がしてもアレだしよ」

「Call of Dutyね…で、これの操作は?」

「おう軽くシングルプレイしてみな」

「それがチュートリアルって事ね?はいはい…」

 

私の部屋に押し入って兄さん発案でお姉ちゃんにCoDをさせるぞって話しになった。

馬鹿野郎お姉ちゃんがキレる要素しかねぇぞマジな、これマジだぞ。

 

「ふぅん、チュートリアルは英国の人間を操作するのね…」

「そうそうSASって特殊部隊な、武器はG36Cだな」

 

プレイしているのはCoD4MWのキャンペーンモード。

私のプレイデータで全部解放済みだけどまぁ最初からさせていきましょう。

ただなぁ…これチュートリアルはまだイイんだけど…

ACT1の途中でアレが出てくるからなぁ…お姉ちゃん絶対キレるんだよなぁ。

 

「ねぇゲームにツッコむのは野暮かもしれないわ…でも人間がこんなに動きながら正確にリコイルコントロール出来ると思わないのだけど?」

「お姉ちゃん…ゲームにそういうのは無しだよ…」

 

CoDはカジュアルな挙動が売りのFPSだから…BFシリーズのほうが…いや、あれは絶対キレる。

初っ端からブチギレ待ったなし…だってアレ大体米国側から始まるし…

 

「何で武器がM4なのよこれもクソゲーじゃないの!!」

「うおっ」

「あーやっぱり…」

 

初期武器が物の見事にAR-15系列なんですよ…この手のFPSあるあるだけどね。

お姉ちゃんがムカ着火ファイヤーしてからコントローラーをぶん投げた。

やめろぉそれは私の私物なんだぞぉ…ぶっ壊したら修理とか出来ない代物なんだぞぉ…

 

「完璧なHK416は無いの!?」

「CoDMWには残念だけど…私達HKシリーズは無いの…」

「やってられないわ!」

「じゃあ…こっちなら良い?」

「BlackOPSⅡ?それには完璧な416があるの?」

「商標の影響か名前は違うけどね…」

 

確かBO2ではM27って名前で登場していたはず。これも全部クリア済みだから問答無用で使用出来る。

因みにBO2でのM27は精度がかなり良いからスナとの殺り合いもできる。

現代編での味方主力ARだからお姉ちゃんもニッコリだろうけど…

問題は過去編なんだよ…味方の主力ARがなぁ…

 

「武器は完璧な!M27よ!!はぁ!?何よ味方が全員M16ってふざけているの!」

「まぁまぁ…それは過去編だから…」

 

因みにキレてるけどプレイングはかなり冷徹。銃撃戦では冷静さを欠かないのね。

ボンバーマンの時は足の引っ張りあいをしちゃったけど。

操作方法は一度理解したら的確だなぁ。人間だった頃のプレイングを思い返してるけど…人形には敵わないな。

兄さんの方を見てるけど兄さんも画面をガン見してるし同じ結論に至ってるかな?

お姉ちゃんのプレイングは兎に角味方の武器選択に対する文句を垂れ流しながら淡々と敵を殺していってる。

AIMアシスト無しでヘッドに一発。これオンラインに出ていったらヤバいんじゃね…?

 

「ねぇ兄さん…今も有志のオンラインサーバーって可動してるの?」

「絶賛稼働中だな…おい、ジョシュアお前まさか」

「マジか…って名前ぇ!てめっこの野郎!」

「あ、わりぃ…」

「ゆ"る"さ"ん"!!」

「がぁぁ~~~~~折れるぅ~~~~!!!」

 

兄さんに私の怒りのアームロックが炸裂したが何の問題もない!

暫く兄さんに悶絶してもらった後解放。ついでにベッドに向けて蹴って…

予備の互換機とPC用モニターに電源を入れてセットアップ…

 

「お姉ちゃん、慣れてきた?」

「現代こそ私の…何?えぇ、慣れたと思うわ」

「じゃあさ、オンラインでちょっと暴れてみようよ」

「人間相手に殺るってことね、良いじゃない訓練になるかしら?」

「廃人ならまぁ…パーティー送るから、チームデスマッチで良いかなー」

 

世界よ恐怖するが良い、戦術人形が二人戦場に舞い降りるぞ…ショータイムだ!

チームデスマッチ、通称TDM。2チームに別れての泥沼のドンパチだ。

どちらかが先に75キルを積み重ねれば勝ちだ。そしてぇ、何よりもこのゲームにはキルを稼げば稼ぐほど有利になるシステムがある。

スコアストリークと呼ばれている物だ。言ってしまえば味方に支援を要請するためのポイントだな。

 

「じゃ、私とツーマンセルでいきましょかー」

「了解…ってそんなに大胆に行くの?アンタ担いでるのDSRでしょ」

「へーきへーき、このゲームね、突撃スナイパーが強いゲームだから」

 

通称凸砂なんて言われるプレイングだ。現実じゃ絶対できない奴だね。

お姉ちゃんのプレイングはまぁ現実ではかなり理に適った慎重な動きなんだけど…

死んでもOKなこのゲームではそれは無意味なんだよ、はっはっは。

まぁ合わせて割と慎重めに動くけど…それでも前線を張るスナイパーって言うのはお姉ちゃんにとっては衝撃的か。

 

「1キルー」

「早いわね…というか即死…」

「そうそう、だってこれ対物ライフルだぜ?」

「それ戦争法に引っかからないかしら?」

「ゲームだから良いんだよ」

 

反射神経と的確なAIM力があればクイックスコープで確殺できるぅ。

このゲームで凸砂が強いっていう理由の一つな。クイックスコープ?簡単に言えば一瞬だけスコープ覗いて撃ち殺すやり方。

腰だめで撃ったらとんでもない方向に飛んでいくからこういうやり方しないと真っ直ぐ飛んでいかないの。

戦争法はまぁ非人道的な兵器を人間に向けんなって奴じゃない?

第一次世界大戦では火炎放射器なんて物があってそれでまるっとこんがりと焼いてたらしいし。

あんまりにも酷く苦しめるのはダメっていう法律だっけか?今もあるんだっけ?

でも人間に対して対物ライフルに使われている12.7の弾丸が直撃したらショック死待ったなしだよ?

苦しむ間もなく死んでると思うんだけど…その辺どうなんだろうね?

 

「後方コンタクト、制圧完了…数発貰ったけど治療は?」

「無い、勝手に治っていく」

「えぇ…」

 

これにはお姉ちゃん困惑のあまりに声が出てるぅ。まぁゲームだからね!

そしてお姉ちゃんがやっぱり化け物じみてるバックスタブされたのに返り討ちにしてるし。

相手もこれには目が丸になるでしょうねー…マッチ終わったらファンメ来るかな?

 

「じゃ、かるーく4キル取ってUAV呼ぼうかー」

「UAV?どんな風になるの?」

「ミニマップ上に敵が表示されるようになるんだよー」

 

さーじゃんじゃんバリバリ殺していきましょうか。おめーらは私のおもちゃで良いんだよ。

 

「へぶっ!?」

「え、なに?」

 

突然私が先に殺されてお姉ちゃんもその次に殺された。何事?と思ったけどキルカメラで判明。

この戦場にはナイファーがいやがるんだ…ウッソだろお前。

 

「なんでナイフ一発で即死なのよぉぉぉおおおおおおぉおおお!」

「コントローラー投げないで…」

 

因みにこのマッチだけで私が25キル貢献、お姉ちゃんが30キル貢献。

他に4人の廃人がキルを稼ぎまくって圧勝でした。ラストキルはお姉ちゃんが持っていきました。

なおストリークを使わないっていう舐めプかましてたけど…使い方が分からなかっただけなんだよね…

 

「さっきから私を殺したプレイヤーがスクワットしてるけどアレ何?」

「煽り行為」

「はっ、私に4タテ食らっておいてよく出来るわね」

 

私達姉妹はキル取られたらまぁー煽られた。

キル取られる要因はリスキルだけだったんだけどね。リスキルされた時はまぁお姉ちゃんキレた。

私?いや、もう悟りの域です。はいはいって感じ。

 

ファンメ?私達二人に揃って送られてきましたけど何か?

 

 

――――――――――――D08基地HK417私室・おやつ時

 

 

「で、今は何でアンタも来てるのよ…」

「だってー面白そうな事してる声が聞こえたんだから混ぜてもらわないと」

「そのお陰でパーティーゲーム出来てるから良いじゃん」

「マリパとかまたレトロなもんを引っ張ってきたな」

 

お兄ちゃんから譲ってもらったお菓子と私が焼いてたクッキーを机に広げて呑気なパーティーゲームに興じていた。

お昼過ぎからG28も乱入して来たものだから4人でどんちゃん騒ぎになってる。

これまた半世紀も前のレトロゲームを引っ張り出してきたんだけどね…

ニンテンドーってメーカーが出していたキャラクターゲームの一つ。マリオシリーズって言うヤツのバリエーションだ。

その名前もマリオパーティって安直なんだけどね。中身はビシバシの先駆けとでも言うかミニゲームがいっぱいのゲーム。

やるのは所謂すごろくだ。仮想のボードの上を自分のキャラクターに進めさせていき得点を集めて行く。

得点っていうのはスターって言うアイテムになってるね。コインを集めてキノコに渡して貰える。

このキノコが一定の位置だとつまんないから…一回誰かが交換するとキノコは移動する。

一人ひとりが移動したらミニゲームが挟まってコインの争奪戦が始まる。

 

つまりはそれぞれの得意分野とかが出てくるゲームだ。

因みに私は一度も兄に勝ったことがないミニゲームがある。

それは…キノコ一番乗り。所謂イス取りゲームだ。これで勝ったことがない。

 

「ねぇ兄さん…」

「ん?」

「今度こそおめーに全勝するからな」

「来いよお前との戦績は200対戦中139勝57敗4分けで俺が勝ってるんだからな」

「だから今日てめーに全部黒星提げさせてやるって言ってんだよスカタンがぁ」

「あぁん?」

「ぶっ殺すぞヒューマン」

「やってみやがれクソ雑魚」

 

「何この剣呑な二人ーとりあえずやっていこうよー」

「私に聞かないで…」

 

熾烈な兄妹バトルとその余波に巻き込まれる姉妹が居たとか。

それぞれサイコロを振り最初の一巡目は全員同色のマスに止まり4人ゲームになった。

そしてルーレットの結果決まったゲームは…クッパ百面相。

マリオシリーズ通しての敵役であり可愛いパパ役のクッパってキャラの顔を弄り倒すゲームだ。

お手本は真ん中に表示されそれに合わせて行くのだが…

 

「はい」

「ま、こんな所か」

「……」

「あっはは、なにこれおもしろーい☆」

 

それぞれほぼ同じに仕上げて制限時間がほぼ待機時間に。

ゲーマー兄妹は黙して画面を見ている。416は操作中から一言も発さずG28はクッパの顔芸に笑い転げている。

 

タイムアップになって採点がされていく。

ドラムロールの末に採点が終了して出た点数は…417が92、兄が90、416が96、G28が95

全員クリアとなったが個人戦績では416の勝利。

 

「まぁ当然ね」

「あれれー417どうしたのーこのゲーム初心者に負けてるよ?」

「言われてんぞ417ちゃん?」

「うるせぇぞ最下位」

 

かくしてパーティーゲームは始まったばかりだが波乱の幕開けとなった。

精密操作が求められるミニゲームでは416が無類の強さを誇り、連打では人形がほぼ横並び。

レース系では417が競り勝ち、1VS3で異様な強さを見せるG28と波乱が続いた。

 

尚兄妹対決は身体のスペックからか417が宣言通りに負かし続けていた。

だがしかし…がっぽりよこどりコインでは兄妹喧嘩が発生して妹がレイプされて終わった。

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・夜

 

 

「で、今日はどうだった?」

「どうとは?」

「美少女3人に囲まれてのゲームは良かった?」

「2次元ロリだったら良かったぜ…」

「流石ピクトフィリア」

 

私の私室で続いたゲーム三昧も終わって共有スペースでのんびり寛ぎながら兄さんに今日を振り返ってもらった。

けれどもまぁ兄さんはこの通りの2次元に魂を売ってる人間だ。

どうあがいても3次元には興味を示さないんだよねー…パパ・ママごめんね…孫は見込めないなぁ。

 

「はい、ビール」

「おう…サンキュ」

「ふふ…こうして晩酌してあげる事が出来るなんてね…思ってなかった」

「……」

「これからも家族としてよろしくね、兄さん」

「おう…」

 

私はソフトドリンク、兄さんにはビールを注いでから静かにグラスを打ち鳴らした。

 

その後揃って笑い転げる兄妹が見られたとか。

誰だ缶チューハイを混ぜたヤツは。指揮官の所まで来なさい。




尚作者はBF派閥なのでCoDはガバガバです。
マリパはいろいろキノコだとても好きでした。
綱引きデンジャラスは死ね。クッパの気持ちはもっと死ね。


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IF番外 白百合は夜に咲き誇る

姉妹百合って何だよ
このルートに入るには?
条件1:指揮官への好意に気付くこと無く夜戦に突入。
条件2:お姉ちゃんっ子化してること。
条件3:416が指揮官への好意がまだ友好程度に収まっていること。



――――――――――――

 

「げほっげほっ…」

 

酷いヘマをやらかしたなぁ…通信機には被弾するし左腕は損壊。

身体にも何発か貰っていて痛覚遮断してないと発狂しかねない痛みだな…

現に制服は血が滲んでエマージェンシーって文字がHUDに浮かんでいてやかましい。

回収ヘリ到着まで時間がないな…この戦速だと問題なければ時間内に辿り着けるけど…

ちょっと血を流しすぎた…痕跡から追跡されていたら多分私はまた戦わなければならない。

このズタボロな状態でどこまで出来るか…ただで死ぬつもりは無いけど…

 

MAPではもうそろそろ半分といった所か…追跡されている様子は今の所無い。

エネルギーだってまだ余裕はあるけど…疑似血液がちょっと足りなくなってきたな…

止血できてるのは左腕だけだからなぁ…身体のいたる所にできてる銃創はほったらかしだからなぁ…

 

「はぁっ…はぁっ…」

 

人形になって久しくしてなかった息切れが私を襲う。

いよいよ余裕がなくなってきた。エマージェンシーインフォメーションがやかましい…!

システム維持が出来ない…戦闘に関係ない所はシャットダウン。

なんとか持ってよ…私ぃ…!

グラグラと揺れる視線に走馬灯が見えてくる。私…ここで死ぬのかな…

あはは、お姉ちゃんが怒ってる。あれは私との初対面だ。私の着崩しっぷりに怒ってたんだっけ。

これは…I.O.Pに殴り込むぞって意気投合した時だね…思えばここから私の中でお姉ちゃんって位置づけになったんだよね。

 

「417―事―――い!応答――さ―!!」

 

あはは…先に行ったはずのお姉ちゃんの声がする…いよいよ私も…

あれ?怖い顔してこっち見てる…?あれ?私…なんで横に…?

 

そして、私の意識は暗転した。

 

 

――――――――――――

 

 

次に私が意識を取り戻したのは回収ヘリの中だった。横たえられてたみたいだ。

薄っすらと瞼を開ければお姉ちゃんがボロボロと涙を流しながら私の顔を覗き込んでいた。

どういう事…?って首を傾げる前に私はぎゅっと抱きしめられた…

 

「良かった…」

「お姉…ちゃん…?」

「もう、無茶をしないで…私は、417…アンタを失いたくなんて無いわ…」

 

左腕は依然エラーを吐いて動かない…まだ動く右腕でそっと抱き返して…

私は、なんて言えばいいのかわからなかった…頼りになるお姉ちゃんはこんなに小さく見えたかな…?

 

「その…ごめんなさい…」

「良いのよ、417がこうして生きてくれてるんだから…」

「もう私の静止を無視して救助に行った時はどうしようかと思ったわ」

「結局417単独だったら置いていかれてたかもねー」

 

なんとか出た言葉はお姉ちゃんへの謝罪だけど…お姉ちゃんは声を震わせて抱きしめたまま離してくれない。

45姉は呆れ半分に私達の方を見ていて…やれやれって感じで肩を竦めて見せてた。

9姉は仲睦まじいねってニコニコ笑って見ていた。

気絶する前にちょっと聞こえていたお姉ちゃんの声は本物だったのかな?

 

「もう416ったら半狂乱で助けに行くって行って飛び出していったのよ?」

「まぁー無線応答なしだったしねーで、途中でフラフラとしながらやってきていた417を発見してまたそこで発狂したのよねー♪」

「そうそう、417が気絶したんだけど死んだんじゃないかって取り乱して…大変だったのよ?」

 

何ていうか…お姉ちゃんの愛情の深さに驚かされる。

確かに私の通信機はぶっ壊されて…あのままだったら途中で倒れて置いていかれていただろう。

最悪あのまま死んでいたかもしれない…そう思うと怖い…恐ろしくて身体が震える。

さらに言えば…お姉ちゃんの身体も震えている…あはは、こんなに弱かったっけ…?

 

「大丈夫…私は生きてるから…」

「全くよ…もう心配させないで」

 

全く完璧な姉な筈なのに…なんでこんなに弱いかなぁ…

完璧な妹な筈なのに…こんなにも弱っちいのかな…私…

情けなくって申し訳なくって私までボロボロ泣いちゃって姉妹揃ってわんわん泣いちゃった。

 

 

――――――――――――D08基地工廠

 

 

「大丈夫だって」

「心配なのよ…いけない?」

「いけなくないけど…」

 

帰り着いた後の修理なんだけど…お姉ちゃんも付き添いでやってきてから譲らないの。

心配性過ぎないかな…と呆れるんだけどお姉ちゃんは今にもオロオロとしそうな雰囲気を醸していて無下に出来ない。

工廠の職員全員揃って生暖かい目で見てきているし…勘弁してほしいんだけど…

派手に損壊した左腕は修理より取り換えになるみたい。修理はそれよりボディに出来た銃創の修繕だね。

難しいことは無いし心配すること無いのに…むぅ…

 

「そんなに心配なら修理中手でも握ってな」

「そうさせてもらうわ」

「えぇ…」

 

見かねた主任が言った言葉にお姉ちゃんは食い気味に頷いてから私の手をぎゅっと握った。

メンテナンスベッドの上に横になった後もずっとだよ?いやいやそんな重大な手術でもないからね?

うーん…何がこんなに私を心配にさせるのやら…しょうがないお姉ちゃんだなぁ。

 

「大丈夫だって…」

「でも…」

「じゃあ、握っててね…?」

 

あ…メンテナンスが始まるんだろうな…スリープモードに入っていく。

ちょっとだけギュッと握って…私は眠りに落ちた。

 

 

それから工廠は忙しなく動くことになった。姉である416が見守る中417の修理は進んでいく。

使いものにならないほど破壊された左腕は新品のパーツと交換され背面にいくつも出来てしまっていた銃創と破損部を修復。

 

「調整が遅いぞ」

「駄目です各部シンクロが狂ってます」

「ったく、嬢ちゃんも無茶しやがって」

「417…」

 

修復は終われど仕上がりに不備があったか各部関節にメスが入る。

そんな修復の様子に不安を覚えながらも妹の手を握り祈るばかりの416であった。

 

 

――――――――――――

 

 

「んぁ…」

「目が覚めた?」

「お姉ちゃん…うん、ばっちしぃぃぃいいいいい!!?」

「417どうしたの!?」

「ぉーぅ…感覚が一気に繋がったから左腕からじーんと来たの。あーびっくり…」

 

おぉ痛い痛い、痛覚神経ONのまま入ったからか。すんごく痛い。

いやお姉ちゃん大丈夫だから心配しないでってば…そんなに顔を覗き込んでもなにもないぞー?

しかし整備班の仕事は完璧だね。左腕の感覚もバッチリ。背中も多分もうなにもないんだろう。

システムからの応答も各部オールグリーン。躯体状態は良好そのもの。

左腕を可動させてみてもスムーズに動いてくれる。うん…昨夜の損壊っぷりが嘘のようだ。

 

「動ける?」

「勿論、ほら、完全ふっかーつ♪」

「念の為しばらくついて回るわよ?」

「心配性だなぁ…」

 

妙にお姉ちゃんの距離が近い。まぁ心配かけたからしばらくはこうなのかな?

復活したってアピールでその場でくるりターンして見せても右手を取って握ってくる。

まぁ確かに整備になにかあって突然関節がすっぽ抜けたりなんてのもありえなくもないかもしれないし。

ついていてもらうのは間違いではないかもね。なによりお姉ちゃんと一緒ってなんだか嬉しい。

ただ食事もあーんで食べさせる必要はあったかな?私は自分で食えるんだぞ?

 

「私は問題ないわよ」

「私的には恥ずかしいんだけど!?あ、あーん…んー…」

 

食堂でもどこでも私は雛鳥かなにかなの?

やっぱりなんだかお姉ちゃんの様子がおかしい。私が負傷してからこうだよ…

なんというか姉妹の距離感じゃないように思うんだ。

 

「417、口元…」

「ん?ついてるの?」

「はい、ごちそうさま…」

 

ん?ん!?お姉ちゃんの顔が近寄ったかと思ったらペロリと舐められた?

お姉ちゃんってこんな事するキャラだったっけ?

 

 

――――――――――――D08基地第4部隊兵舎・夜

 

 

「で、私はお姉ちゃんと一緒に眠るわけね?」

「良いでしょう?」

「んー…まぁ良いけど」

 

その日は結局お姉ちゃんに振り回され気味だったけど一人で眠るかと思ったらお姉ちゃんがここで駄々をこねた。

私を抱きしめて有無を言わさず兵舎に連れ込んで二人抱き合ってベッドイン。

不安そうな顔して覗き込まないでよ。強く言い返せないからさ。

実際こうして抱き合って眠るのは悪い気はしない。大好きなお姉ちゃんを肌に感じて眠れる。

 

「じゃあ、おやすみ…お姉ちゃん」

「……」

「お姉ちゃん?」

「417、ちょっとこっち見て」

「ん…んっ!?」

 

見上げる私が見たのは私と同じ翡翠色の瞳。唇には柔らかい感触。

何が起こったのか私は理解が出来なくてエラーを吐き出して固まってしまう。

それを見てからかお姉ちゃんはさらに舌をねじ込んできてから…

 

「んぁ…ん、ちゅ…ぷぁ、あ…」

「だめ、もう抑えられないわ…大好きよ、417…」

 

私は酸素を求めて僅かな合間に息継ぎに喘ぎ舌のせめぎ合いに久しく忘れていたものが胸の奥から燃え上がってくる。

胸の鼓動は早鐘のように鳴り響き下腹部に熱がこもってくる。

人形の身体にもアレは存在している。それが熱く可動し始めている…

お姉ちゃんは一方的に私を貪りながら身体を絡め合わせていく…

ギシギシとベッドの軋む音と私達姉妹の舌が奏でる水音が兵舎の中に響く。

 

「ぷはぁっ…はぁ、はぁ…な、なんで…?」

「私はね、417が大好きなの…もう離したくない、受け入れてくれる?」

「……ぅ、うん…私もお姉ちゃんは大好きだから…た、ただ…驚いたなぁこれがLikeかLoveかはまだ判別つきかねるけど」

「……可愛いわ、417…今夜はもっと可愛がってあげるわ…そして私をもっと好きにさせてあげるわ♪」

 

やっと離してくれた唇の合間には銀の橋がかかった。蕩けたお姉ちゃんの瞳には恍惚の私の顔が映し出されていた。

やばい、うちの姉がシスコンガチ勢に変わってた。

私を愛情深く思ってくれてるのはありがたいけど…ま、まさかカップルになるとはなぁ…

妖艶に笑うお姉ちゃんは色っぽくて正直惚れました。もうゴールしてもいいや。

その夜、私は眠ることは叶わずお姉ちゃんによって女の快楽というものを徹底的に教え込まれた。

女の子同士ってあんなに気持ちいいんだね…私には到底想像も理解も出来てなかった世界だったよ。

 

なお翌朝45姉に苦情入れられた。盛るのは結構だけど時間を考えろって。

まぁあれだけアンアン喘いでたら苦情は来るよね…うん…恥ずかしい…




降って湧いた姉妹百合の構想な
正直百合も理解不足してると思う、要は練習がてらなんだよ。勘弁してくれ。


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Day61 ダンスダンスドールズ

某絵師のG11リスペクト


――――――――――――D08基地共有スペース・朝

 

 

今日の朝は混沌とした朝を迎えていた。いや、なんで?

G11が珍しく朝から元気に起きていると思ったら変なTシャツ着てるんだよ。

それだけならまぁ珍しいだけで済むんだけど…もう一つ持ち出しているのが混沌とさせていたんだ。

ラジカセだ。バッテリー駆動のラジカセを持ち出して大音量で音楽を流してやがるんだ。

流している音楽は詳細不明だが…かなりノリが良いHIPHOP系だと思われる。

妙ちくりんなグラサンまで持ち出して何をするのかと思えば今はとりあえずノリにノッてるだけだな。

朝からとんでもない音量の音楽に半ギレで出てきた人形達が皆揃ってポカーンと口を開けている。

チャチなスピーカーユニットから流れてくる音楽は質が悪い。

さてオーディエンスは私含めてFAL、わーちゃん、ステン、イサカ、G36C、スプリングフィールド、SAA、スコーピオン、M14、Uzi、お姉ちゃん、スオミ、G28と言った具合。

意外な事にスプリングフィールドは早く起きるけど無理矢理起こされるとめっちゃくちゃ怒る。

多分この基地で怒らせたらいけない人形の一人に数えられると思う。

前にMk23が朝にはしゃぎすぎて叩き起こした事があったんだけど…まぁー廊下に正座させられてガミッガミッ説教されていたな。

いつもにこやかにしているスプリングフィールドが能面みたく無表情で叱ってくるんだよ?

それから早朝は絶対に騒いだら死ぬって肝に銘じてたんだけど…今日は流石に度肝を抜かれてるな。

ガチギレしてたお姉ちゃんもこれには目をパチパチと瞬かせて私と顔を合わせてるんだもの。

私もそれとなくキレてたけどね。これは流石に…いやかなり驚きだもん。

 

「HeyYoAll,GetSirius」

 

G11が動いた。何が始まるっていうんです?やったら流暢な英語を喋ったと思ったら…

その場で逆立ち…いや違う、腕だけで身体を支持してから頭と足でバランスを取っている!?

んでもってそのまま足を振ってリズムにノッたかと思えば頭を地面につけてぐるぐる回転…

これは…あれだ、ブレイクダンスって奴だ。ヒップホップ4大要素の一つに数えられ嘗ては世界中で踊られた物だ。

チープな音楽とえらくラフな格好のG11から繰り出される意外過ぎる物にオーディエンス目が釘付け。

私はブレイクダンスに明るくはないが…このアクロバットな動きはスゴイな…

おぉ今度は上体を地面につけて腕を巧みに使って回転するってものをし始めやがった。

あの動き私には出来ないな…おっぱいが邪魔するもん。

 

「お姉ちゃん、あれなに?」

「私が知ってるG11じゃないわ…」

 

ですよねー、私もあれG11の皮を被った別な人形かと思ったもーん。

皆もざわざわしてから何かバグったのかと口々に言っている。

G11と言ったら口にするのは寝坊助、めんどくさがり、出不精の3コンボ。

とてもではないが休日にブレイクダンスを嗜むような人形には思えない。

FALやスプリングフィールド等は呆れ半分の表情で部屋に戻っていった。まぁ何時もの馬鹿騒ぎだからね。

一部の動作とか真似てみようかな…出来るとかっこいいね。

 

「ねぇお姉ちゃんもあれ出来る?」

「出来るわよ、私は完璧なのよ」

「おっぱい邪魔にならない?」

「417ほどデカくないから大丈夫よ」

 

お姉ちゃんが踊るG11に対抗して制服のまま見よう見まねでヘッドスピンに挑戦しようとして…

おぉっと逆立ちが出来ないぞー?バランサーが初めての試みにエラーを吐いてるね。

試しに私も…っておーこれは難しいな。人形ボディでも最初は出来ないものだね。

特に私の場合は前にでっかい重りがあるからそれも計算に入れてっと…手と頭の3点支持なら…

 

「「きゃん!」」

 

姉妹揃って背中からずっでーんと行って悲鳴が上がる。

そんな私達なんざ知ったことかとG11は華麗に両手を地面につけて器用に足をくるくると振り回し円を描いている。

サングラスに阻まれていて表情は読み取れないが唇の形から私達を見て…

 

『ぷっ…無茶してんのー…』

 

こんな程度に笑ってるんだろうな。お姉ちゃんはよっぽど悔しいのか部屋に篭ったぞ。

んー…今やってる動きなら私でも出来るかな?

 

「私も踊るぞー!」

「おー!踊った後はコーラだよね!」

 

私が真似し始めたのを見てからかスコーピオンとSAAが飛び込んできた。

これにはG11も驚いた様子で口を尖らせたぞ?一人で踊っていたかったのかな?

 

「止めろよぅ、私一人のオンステージなんだぞー?」

「「楽しそうなのが悪いー!」」

「G11にもこういうアクティブな趣味があったなんてね、お姉ちゃんは安心したよ?」

 

意外と難しいけど手順を覚えたら難しくはないな。人間でやろうと思ったら練習が必要だろうけど。

ダンスの基本である体幹をブレさせないっていうのは同じかな?

私も別なダンスは嗜んでいたから分からなくはないかな。

渋るG11は無視して並んで一連の動きを真似してみる…逆立ちはまだ難しいけど。

バランサーが上下逆になってなぁ。それの修正を今即興で組んでるけどこれが上手く行かないとな。

 

残念ながら私はその後何度も背中を強打することになった。

SAAとスコーピオンが普通に逆立ちしてからヘッドスピンしてるのが納得行かなーい。

その後お姉ちゃんが部屋から飛び出してきて色んな技を見せてきた。

多分ブレイクダンスについて理論から調べてたんだろうな…そんなに悔しかった?

 

 

――――――――――――

 

 

主に私がドッタンバッタンとしてたせいで乱闘騒ぎと間違われてお兄ちゃんがすっ飛んできた。

ここで意外だったのが…お兄ちゃんもブレイクダンスの心得があったことだ。

G11と楽しそうにブレイクダンスの事を話していたんだ。

で、下手っぴな私に手解きしてくれることになったんだけど…

 

「お兄ちゃん」

「なんだ、417」

「スカートのままじゃないとダメ?」

「ダメ、じゃないと教えない」

 

私はスカートのまま踊れって命令された。つまり私は制服のままです。

羞恥がないというわけじゃないんだよ…?まぁもう色とかはバレバレなんだけどさぁ…

完全にこれお兄ちゃんの眼福の為だよね…むぅ、お兄ちゃんのエッチ。

 

「じゃあ簡単なトップロックからな」

「トップロック?」

「まぁ立ったままやるヤツな」

 

そう言ってお兄ちゃんはG11が垂れ流しにし続けているBGMにノッて手を交差して解いてを繰り返しながらステップを踏み出した。

私も真似して追従していく。簡単なステップだけどこれもブレイクダンスになるの?

まぁ多分構成する要素の一つなんだろう。黙って追従していく。

トップロックって一言で言ったけど色んなステップの動きがあるんだね。

 

「……」

「お兄ちゃん?」

「うん、417無理は言わん…お前には無理だわ」

「えー!?」

「そのおっぱいでは無理だな」

 

ブレイクダンスについて教えてもらっている内にお兄ちゃんが黙ってこっちを見てきた。

そして私のステップを見ながらただそう言ってきたの。

おっぱいが原因で無理って何事よ…いやいや教えるだけなら良いでしょ?

 

「そのな…男としては眼福なんだが…怪我に繋がりかねないからな?」

「じゃあお兄ちゃんの眼福のために頑張る」

「やめろ」

「ぶぅ…」

 

人間と違ってクーパー靭帯がぶっちんなんて事はないんだぞ?

ぴょんぴょん飛び跳ねて大丈夫だぞーってアピールしてみてもすぐに止められた。

 

「さて、じゃあ416に叩き込んでくる」

「ぶー…もう良いもん、だったら知ってるダンス踊るだけだもーん」

 

そう言ってお兄ちゃんは一人苦戦してるお姉ちゃんのところに行った。

私が知ってるダンスと…あとはミュージックも必要だな。

DolTubeはまだ健在かな?あ、イケるね…やりぃ、動画ストリーミングいけるじゃーん。

あ、でも振り付けが一部うろ覚えだな…んーいけるかな。難しい動きは何らないもん。

 

曲名は…極楽浄土。私が気に入ったミュージックだ。

独特な歌声の女性ボーカルの曲でヤーパンの曲調とロックを混ぜたような物だ。

振り付けも女性らしい動きがあって人間の頃はちょっと恥ずかしさもあったけど…

今ならやったらかなり様になるんじゃないかなー?

ついでだから歌いながら踊ってみようかな。

ただ動きのペースは早いから…さて、つっかえずに動けるかな?

 

「ミュージックスタート」

 

ダンスバトルの時間だゴルァ。

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・昼

 

 

「だから私もダンスの心得はあるの。ブレイクダンスだって踊れるんだから」

「はいはい、そーな…あのキレのあるダンスを見たらわからぁ」

「あーあ…私だけの特技だったのにー…」

「G11のクセに私より動けるなんて思い上がらないで」

「ブレイクダンスって面白いねー」

「ぷはー!コーラがうまーい♪」

 

主に動いていた私達とお兄ちゃんで集まってお昼にしていた。

他の人形や人間へのお食事はまぁスプリングフィールドのカフェをご利用下さいってね。

私が用意するのはお姉ちゃんとG28、G11とかの為の食事とお願いされた時位だから。

今日のお昼はボロネーゼです。麺はちょっと手を加えてフィットチーネと言う平たい物に。

もちもちとした食感がくせになる物で濃厚なパスタに合うかな?

ボロネーゼがなんぞやと思う人はミートソースパスタって言えば通じるかな。

正式名称はラグー・アッラ・ボロニェーゼ。発祥はイタリアのボローニャ地方だね。

トマトの赤み旨味と玉ねぎの風味、挽肉がうまーいソースだね。

 

お腹をすかせたお兄ちゃんはがっついてるしG11はぶーぶー文句言いながらいつもの調子に戻っている。

お姉ちゃんはお兄ちゃんの指導もあってからかあっという間に上達していた。

特に指導されてないのに出来てたスコーピオンとSAAはなんだよ。

 

で、一人別なダンスを踊っていた私をお兄ちゃんは見てたけど教えることに関しては依然として渋ってくる。

なんだよぅ私の何がいけないんだー?言いやがれちくしょー…

 

「指揮官あれでしょ、417のおっぱいの動きに我慢できそうになかったんでしょー?」

「ち、ちがわぁい」

「指揮官、ちょっとお話良いかしら?」

「ヒエッ」

 

おーぅ、そういう事?ただのお兄ちゃんのヘタレが発動してただけか…

そしてお兄ちゃんナムナム…お姉ちゃんが過保護モード入った。

これはお説教か鉄拳制裁ルートだな…うん。このままだったらね。

 

「お姉ちゃん」

「なに、417…これからお話があるんだけど?」

「手心は大事だよ、イイ女って言うのは受け入れることも大事なんだから。私は気にしてないからね?」

「……417に感謝しなさい、指揮官」

「オッフ」

 

なんだかんだお姉ちゃんもお兄ちゃんに暴力振るうのは躊躇ってきたし私がこうやって譲歩する動きを見せるとすっと引くようになった。

お姉ちゃんも女子力磨く位にお兄ちゃん好きなんだろう?そろそろアピールしないと取っちゃうよー?

見てたからね、手解き受けてる最中めっちゃくちゃ嬉しそうだったの。




ダンスについては映像をみちくり、文章で表現するのは死ぬ。


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Day62 集団お風呂は危険の香り

お風呂、女子会…とくれば何が起こるか分かるじゃろ?


――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・夕方

 

 

「すんすん…ねぇお兄ちゃん…臭うよ?」

「え?マジ?」

 

きっかけはとっても簡単な事だった。こんな時間まで激しくダンスしてたらまぁ汗はかくよね?

その結果人間であるお兄ちゃんはと言うと汗っかきさんになっていて臭っていた。

結局私は独学でブレイクダンスを習得したんだけど…お兄ちゃんの前では禁止された。

特に動きの激しいウィンドミルって言うのとかは絶対に駄目って。

人形はこんな運動は戦闘時の演算と違って余裕があるから疑似発汗によるクーリングなんて起きてない。

その結果だけど私達はまだまだ余裕だけどお兄ちゃんはまぁ汗だくで臭う事になっていた。

 

「しょうがねぇなぁ…風呂はいるか」

「そういえばお兄ちゃん大浴場使ったことある?」

「いや、ない」

「いや使えよ…」

 

呆れたことにお兄ちゃんは自分に割り当てられたあのこじんまーりとした私室と備え付けのシャワーしか使ってないと来た。

折角自分の基地に作った大浴場なんだから使えよって思うんだけど…

というか部屋を職員寮に移せよ、あっちまだ部屋あるでしょ?

職員たちとの裸のお付き合いって言うのも上司として必要なんじゃないの?

あとお兄ちゃんが混浴露天風呂に行ったら皆こぞって混浴に行くぞ?

勿論私だって例外じゃないよ。ほら大浴場で骨抜きなるんだよぅ!

 

「お隣なんだしほら、お兄ちゃんも大浴場使いなって」

「あーうん…せやな」

「混浴露天風呂で待ってるから」

「おう…おう?」

 

まぁ今日はお昼から職員全員出ていっていてから基地に居る人間はお兄ちゃんと兄さんだけなんだけどね!

よっしゃぁ、湯浴み着は持ったか、突撃ー!!うぉぉぉぉぉ!!

 

「FAL!朗報だよー!」

「きゃっ、な、何よ417ちゃん?」

「お兄ちゃんが大浴場使うぞ!」

「OK理解したわ、混浴露天風呂ね?」

「周知して回るぞー!」

「乙女同盟にはとりあえず共有ね。よくやったわ417」

 

さっすがFAL理解が早いぜ。そんな訳でお兄ちゃんがお風呂を利用するのは広まった。

後は兄さんを味方にくっつけて…お兄ちゃんを混浴露天風呂にご招待だよ。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎露天風呂

 

 

「ほー…これは確かに良いな」

「そうっすよね、毎日利用してますけどこんな恵まれた環境は中々ないっす」

「ウィルバー君はこれ毎日掃除してんだろ?」

「いや、まぁそれが仕事っすから…」

「ありがとよ、これからも頼むぜー」

 

むさ苦しくはない若い男二人の雑談する声がする。指揮官が職員と雑談している所は中々珍しい。

森の奥へと夕日が沈んていき空は赤く染まっていく。それを見ながら身体を伸ばす。

なんと優雅な休日の過ごし方であろうか。他の前線基地の誰もが羨む環境である。

驚くことなかれD08基地では客もこの環境を享受できるのだ。

しかし417の兄、ウィルバー・ガンツは内心複雑な思いで隣の指揮官を見ていた。

そして…指揮官にとっては天国か地獄か…奴らの襲来である。

 

「はぁーい指揮官♪露天風呂はどうかしら?」

「ふん…日頃狭い風呂に入ってる憐れな指揮官を笑いに来たのよ」

「ふぅーん、これが露天風呂ねー…前線に居たいわ」

「お疲れ様です、指揮官!」

「はぁ、主任が居ないのは残念ねー私が背中を流してあげるのに」

「ふふ、指揮官こんばんは♪お風呂でお酒はいかがでしょう?」

「ごきげんよう、指揮官。ご一緒させていただきますわ」

「お兄さん一緒にコーラ飲もうよ!」

「メイドがご一緒するのはどうかと思いますが…失礼いたします」

「おー、本当に指揮官が居るー」

「珍しいですね、指揮官がこっちに居ること自体もですけど」

「何こっち見てるのよ…」

「ダーリン♪お風呂でも一緒よー触って触って♪」

「おい誰かMk23を止めろ」

「任せなさい417」

「何で私まで~?」

「面白そうだから良いじゃん♪」

「ねむーい…」

「起きろーG11ー417の足つぼされるぞー☆」

「サウナも良いですけどこれも趣があって良いですね」

 

総勢20名の人形が大挙して押し寄せたのだ。妹が来ることは把握していた兄もこれには面食らう。

それよりもっと酷いのは指揮官である。混浴ではあるがこんな事になるとは想像していなかった。

当然ながら目線は各々のボディーラインに行くわけだが…一応の線引きか湯浴み着によって隠されている。

ギョッとしていた指揮官もこれにはホッとするが…明らかに挙動不審になってしまっている。

ほぼ裸な美女に囲まれてヘタレな指揮官がこうならないほうがおかしいのだが…

指揮官を取り囲む人形達とすっと離れていった417の兄。ここで指揮官は悟る。

 

「オンドゥルルラギッタンディスカー!!」

「騙して悪いがこれも仕事でな、コーラうめぇ」

 

この基地きってのロリ人形であるSAAと風呂コーラを堪能するというロリコン大歓喜の報酬に目が眩んだのだ。

三次元に興味はないと豪語していた兄も流石のSAAの美幼女っぷりにはくらっときたらしい。

指揮官に恋愛的な興味が無い人形は指揮官の周りで発生している騒ぎを肴に酒を煽っていたり。

 

「さんきゅー兄さん」

「おう、これくらいはな…」

「はい、追加」

「まくら~…」

 

417はさらに倍プッシュかG11をそっと押し付けてロリで挟み込んでから離れる。

指揮官の周りにそっとまた混ざっていった。

尚指揮官の周りには見事なおっぱいをお持ちな人形がわらわらと寄っているので…

 

「堪忍してつかぁさい…」

 

大変眼福ではあったがヘタレた指揮官はそっと両手で顔を覆い隠して視覚情報をシャットダウンしていた。

シャットダウンする前に舐め回すように見ていたから興味が尽きないのは言うまでもないのだろうが…

尚この包囲網が解かれるまでチラチラと見ては隠すという事を繰り返していた。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎大浴場

 

 

「やっぱりヘタレね」

「二人きりでもアレは触ろうとしないでしょうね…」

「かなり雰囲気を作って強く誘わないとダメですよ」

「おい、それ詳しく」

 

女人集まれば姦しいとは言った物だね。露天風呂でのわーわーは終わったけど。

まぁお兄ちゃんを囲ってみて反応を見たんだけど…やっぱりと言うかヘタレだ。

何度か揉みたそうに舐め回すような目線を投げてきたけど迫られたらあのザマだし。

私とスプリングフィールドのおっぱいとか大好物なのか覆った後も何度か見てきた。

で、結局埒が明かないって事で包囲網を解除したら一目散に逃げていった。

兵舎から出たって情報は無いから今頃大浴場でのんびりしてるんだろうな。

で、私達指揮官大好き組も大浴場にすごすご撤退してきた訳だ。

スプリングフィールドが物知り顔でなにか言ったからそれにFALが食いついてる。

 

「お酒の後押しがあった状況下で熱烈に誘ったんですけど…それでようやく触れようかといった様子でしたから」

「抜け駆けじゃねーか」

「ギルティ」

 

ほーぅ?お兄ちゃんを誘った…お酒の云々だからあのバニーご奉仕の後か?

抜け駆け行為だけど触れるか触れないかってラインって事は…まぁあのヘタレだし食っちゃいないな。

逆にスプリングフィールドが食ったって可能性はあるけど…あの反応が物語るに仲の進展は無し。

女体を味わった後ならむしろ堂々と私達を食ってるような気がするの。

ほら、調子に乗ってガツガツ行っちゃうって。男って単純でわかりやすい生き物だから。

私ならそうしてる、一度美味しい思いしたらもう一度位やってもバチが当たらないってなる。

 

「でもその口ぶりから察するけどその後は続いてないでしょ?」

「ご明察です417ちゃん」

「お兄ちゃんの様子から鑑みてもねー…」

 

お兄ちゃんの反応から見てもヘタレな上にありゃ童貞だ。うん…

風俗店なんてのも知らない正真正銘の童貞だと私は推測する。女体に慣れてなさすぎる。

湯浴み着一枚って状況下で真っ先に見てたのはおっぱいってまぁ欲望は丸出しだけど。

隣にピッタリくっつかれたら黙ったし囲ってお話ってしようとしたらあのザマ。

 

「それにしても417のおっぱいをよく見てたわよね」

「…確かに」

「大きいのが好きなのかしら?」

 

ん?何で私のおっぱいにロックオンされてるんだ…?そのわきわきとした手は何?

 

「その大きさ…ちょっとだけでも良いから体験させて?」

「いや、あの…」

「Uzi」

「了解」

「てめっ!?い、いや…にゃぁぁあああああああああああ!!!!?」

 

Uziの裏切りにより私のおっぱいは皆に差し出されることになった。

しれっとスプリングフィールドも揉んできたのが納得いきかねる。

FALだって誇れるほどデカいだろうに…私のおっぱい揉んだ後なんか悔しそうにしてたし…

それぞれ揉んだ後揃って悔しがってたの何?いや大きさは確かに私の売りだけど…

皆それぞれのおっぱいを誇ろうよ。手頃な大きさって良いと思うよ?

ほらそれにおっぱいって言ったら大きさも大事だけど柔らかさとか弾力とか…ね?

 

「アンタのは柔らかさも弾力も両立してるから腹立つのよ」

 

いや、知らんがな。じゃあテメェらのおっぱいも触らせやがれ。

ん?その後に45姉が乱入してきて全員揉まれまくったのは言ったほうが良い?

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・夜

 

 

「とりあえず45の前で胸の話は無しね」

「賛成…」

 

とばっちりで一番揉まれた私は怒っていいよね?

一番揉まれた理由?んなのこの人形群の中で一番でっかいからでしょ。

好きでこんなでっかくなったわけじゃないんだけどって言ったら余計にブチギレさせてなぁ…

しばらく腰が抜けて立てなかった…お風呂の中だったからよかった…

 

「とりあえず言っていい?」

「なによ417…」

「おっぱいに貴賎なしだよ」

 

皆一様に胸を抑えて顔を赤く染めてるけど納得してくれたかな?

私の言った一言は世界の真理でもあるからな?分かれよちくしょう…

今日の一番の被害者なんだからな…

 

「あ~417、そういえばアンタおっきくなってない?何したのか言ってみなさい?」

「にゃぁっ!?」

 

あーやだ、45姉のセクハラが終わらない…

皆私をスケープゴートにしてから撤退していってるし…ちくしょう!

あ、やめて、そこはだめぇぇぇえええ!!

 

 

その日417はしばらく腰が抜けて動けなかった。




417総受け祭りでーす。


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番外 ひな祭り

細かい所はツッコミ無しで頼みますぅ


「ひな祭りすっぞ」

「はい?」

 

それは突然のことだった。お兄ちゃんの号令で始まったことだ。

またヤーパンのお祭りごとみたいだ。今回のは節分とまた違ったもので女の子の成長を祈る行事らしい。

女の子が多いこの基地ではやるみたいだね。まぁ成長なんてしない人形ばっかりだけど。

そんな夢のない事は言いっこなしで開催するお祭りだが…如何せんヤーパン文化の物は少ない。

どうするかって話しなんだけどお兄ちゃん曰く伝手があるからなんとかなる…らしいが…

 

さて、ひな祭りについて解説しようと思う。データルームの文献そのままなんだけどね。

起源は諸説あり詳しくは不明だが時はヤーパンの平安時代、A.D794から大凡390年間の間とされている。

儀式などではなくただのお遊びから始まったのがこのひな祭りらしい。

貴族の女の子がスケールの大きいお人形遊びをしていたのが始まりみたいだ。

その他にもお人形に悪いことを乗っけて流す流し雛なんて行事もあるらしいがそれはまた今度。

開催時期は毎年3月3日、旧暦では現在の4月3日だが大体3月の方で開催される。

旧暦では桃の開花時期でもあるから桃の節句なんて呼ばれていたりするらしい。

雛人形は最初は3段・10体の人形で構成されていた。一番上が内裏雛。

王と女王を模して作られた人形だ。時の皇室の婚姻に合わせて作られたりするらしい。

二段目が三人官女、女中になるのかな?真ん中に配置される人形は既婚者って設定だって。

三段目が五人囃子、ヤーパンの能って文化の演奏家の人形だ。

向かって右から小さい楽器が並べられているのが特徴だ。

これが一番最初のベーシックなお雛様らしい。今回はこれを作るのかも。

更に大型のお雛様だと四段目、五段目とあるのだがそれは割愛。

衛兵だったり嫁入り道具の云々とかはもう良いでしょ?作る会社によって追加があったりめんどくせぇ

 

んで、飾り付けにはお菓子とかもあるんだが…菱餅っていう三色の物と四色の雛あられって言うものがある。

そうお料理があるんだ。私の出番なわけですよえぇ。

菱餅から説明すると健康を祝うための物らしい。分類はお菓子。

色合いは赤・白・緑の三色。赤って言ってもピンクみたいなものなんだけどね。

まんま桃をイメージしてるとかなんとか。白は清浄を表し緑は元気な若草をイメージしてるんだって。

つまり何が言いたいかって?この菱餅は大地を表しているそうだ。スケールでけぇなヤーパン。

で、この餅って言うのがなかなか手に入らない。そりゃそうだヤーパンのソウルフード、ライスとはちょっとまた違ったものなんだ。

餅米っていうまた変わった物が必要になる。半世紀前ならタイで食われていたものだけどね。

今となっては嗜好品の類いに分類され入手は結構困難だ。

育成も専用の畑を作らないといけないし新鮮な水だって必要だ。これが厄介。

でまぁそんな餅をお兄ちゃんはどこからか仕入れてきたから菱餅に関しては問題なし。

合成色素?んなの混ぜたらお兄ちゃん達が食えないだろいい加減にしろ。

勿論混ぜるのは天然由来の物だ。幸いその手の色味をつける物には困らないのさ。

ヨモギの葉っぱとイチゴで代用だよ!甘いお菓子だから良いだろ?

で、雛あられは街で購入してきたものがあるらしい。

だから私がするのは餅に色味をつけるためにこねこねするだけ…

材料があれば私がイチから作ったんだけどね…餅米め、いつか栽培してやろうか?

 

 

――――――――――――

 

 

さて、雛人形なんてものは無いのだがどうやってひな祭りをするのか…

 

「お兄ちゃん、肝心の雛人形が無くない?」

「なーにんなのはこう言うので代用しちまっても良いのさぁ」

「えぇ…」

 

代用すると言って持ち出したのは私のお部屋に沢山並べられているぬいぐるみだ。

いや持って来いって言ったのはこういう為だったの?

ファンシーなぬいぐるみの上になにか飾りを乗せてそれでおしまい。

これでいいのかひな祭り。もっとヤーパンらしい衣服とか着せなくていいの?

 

「それより417、お前に折り入ってお願いがある」

「え、何かな?私に出来ることなら何でもやってあげるよ!」

「じゃあな…歌ってもらいたいのがある」

 

ふむふむ?ひな祭りの定番ソングを歌ってほしいとな?なるほど。

スオミも一緒にときたものか。歌上手いスオミと一緒ならまぁ間違いはないね。

さらに追加注文でI.O.Pから衣装が届くからみんなで着てくれとな…ほうほう?

男衆は準備があるから行くからって…ふーむ?

とりあえず私はスオミと楽曲の確認と歌唱の打ち合わせだな。イクゾー!

 

 

「一緒に歌を…ですか?」

「そうそう、お兄ちゃんたっての希望だよ」

「どんな曲でしょうか…メタルですか?」

「いやいや…ヤーパンののーんびりとした曲だよ」

 

わらべ唄って物かな?子供でも歌える簡単な曲だ。のんびりした曲調もあって歌いやすい。

スオミなら一発で暗記出来るだろうし後は三回程合わせて歌えばバッチリでしょ。

DolTubeから検索かけて出てきた曲を流す。意味は分かっちゃいないけどね。

 

「ふむふむ…」

「歌えなくはないよね?」

「ですね、これは歌いやすいです」

「じゃあ合わせて歌ってみましょ♪」

 

「「あかりをつけましょぼんぼりに~♪」」

 

 

――――――――――――

 

 

「で、全員に届いたのがコレって?」

「ヤーパンの着物…かしら?」

「にしても重いわ…何枚重ねてるのよ」

「十二枚?」

「ウッソだろ」

 

I.O.Pから輸送されてきたのはほぼ全員用に誂えられた十二単衣っていうヤーパンの着物。

ほぼ全員ってのがミソで…なぜか45姉のだけがね…

 

「で、何で私だけ違うのかしら~?」

 

男雛って呼ばれてるものと同じものだったりした。笑顔だけど青筋走ってなーい?

おぉ怖い怖い…I.O.Pは全員自殺志願者なのか?いくら45姉のおっぱいが平らだからって

 

「へぶぅっ…」

「何を考えてたのかしら~?」

「鼻を捻ってから言わないでよ…」

 

私だろうと問答無用で鼻をやりに来るのに…I.O.Pの職員だったらへし折られるぞ…

まぁ多分だけどお兄ちゃんの意向じゃね?あれをさせたいんだと思うけど…

お外でガチャガチャ音がしてるし私の予想がほぼ正解だと思うな。

となると私とスオミの立ち位置とかも決まってくるかな?

 

「皆着替えたな。おぉ美人美人…次は外に出てくれ」

「了解」

 

総勢20名の人形が外に出ると…そこにあったのは7段にもなるでっかい段々台だ。

まぁやることは一つだろうな。私達でスケールのでっかい雛人形って所でしょ。

当然一番上に登るのは…UMP姉妹だ。これには45姉もにっこり。

で私とスオミは上から三段目に配置。後は結構適当だったり…三人官女の真ん中はイサカだった。

それぞれ小物があったりしてI.O.Pの芸が光る。私に持たされていたのは太鼓だった。

 

「じゃあスオミ、417頼んだぞー」

「「了解!」」

 

雅な音楽が流れてきてあとは私とスオミが歌い上げるだけだ。

今日は楽しいひな祭り。いい思い出になったかも♪

あとは皆ポーズを取ってから記念撮影。D08基地総出での思い出となった。

 

 

――――――――――――

 

 

「そういや雛人形って片付け忘れると嫁ぎ遅れるって言われてるんだぜ」

「それも諸説あるけど躾の一環だったって言われてるよ」

 

曰く春の物だから飾った後季節が変わる前に片付けるようにっていう躾だったらしい。

それが何代も語り継がれていつしかそんな風に言われるようになったとか。

それにしても雛あられ美味しいな…これ自作してみたいな…

この手軽に食べれるおやつ感覚がたまんない。コレに近いもの作れないかな。

この基地には居ないけど餅ってなにげに危険な食い物だったりする。

子供や老人のような喉が弱い人は食べたら喉に詰まって窒息する事がある。

人畜無害そうな顔してなんとやらみたいな物だ。

菱餅もそういう危険性もあるから気をつけようねって話さ!

 

「あ、でもさ…こう言えないかな。そもそも私達は嫁いでるってさ♪」

「どういうこったよ」

「だって親元はI.O.P、私達はこの基地に嫁いでるみたいなものじゃん」

「ほーぅ?」

「それに…もしも嫁入り出来なかったらお兄ちゃんが貰ってくれるでしょ」

「それは考えておく…」

「前向きに考えてくれるとありがたいなー♪」

 

私は後にも先にもお兄ちゃんの元に嫁ぐことを考えてるけどね。

だから私が稼働できる限り末永くよろしくおねがいしますね。私の大事な指揮官さま♪

 

「何考えてんだ?」

「ないしょー♪」

 

教えるわけないじゃ~ん。菱餅うまー♪




こういう遠回しな告白されたい人生だった。


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Day63 イタズラ騒動

降って湧いた構想がしたかっただけ


――――――――――――

 

 

その日の騒動は些細なことから始まった。

朝起きた指揮官が何気なしに身だしなみを整えている時だった。

姿見を見ながら髪を整え髭を剃っている時だ。ふと鏡の隅に何かが映っていた。

 

「ぎゃあ!?」

 

そこに映っていたのは自分の肩から顔を覗かせる漫☆画太郎風のヘリアン女史であった。

ご丁寧に吹き出しには「うるせー!!お前にはオナニーがお似合いだクソ童貞!!」と言うセリフまで。

振り返れば単純に貼り付けられただけのペラ紙であるがヘリアン女史の反転プリントが。

鏡で見ることを見越した上での物だ、無駄に手が込んでいる。

こんな下らない事をしたのは誰か、驚いたがそれより微笑ましく思ったが…

私室に勝手に入ったのはあまり褒められたことではない。下手人は誰かと指揮官は考える。

 

「プリンター使ったって考えたほうが良いよな…」

 

貼り付けられていたプリントを引き剥がすA4サイズの紙はこの基地のネットワークプリンターの物だ。

となると利用履歴から逆算出来るはずだ。このイタズラの犯人はすぐに割れる。

 

「それより朝のコーヒーだな」

 

解決したと見た指揮官はそのまま原因究明をほっぽりだしてコーヒーを淹れ始めた。

毎朝指揮官はアイスコーヒーを飲んでから覚醒させてから職務に当たる。

そのルーチンに従って慣れた手付きでコーヒーメーカーから注がれた黒い液体を口にした。

 

「ぶふぅっ!?」

 

しかしその液体は苦い物ではなく弾けるフレーバーと甘みと炭酸の暴力。コーラであった。

そう、仕掛けられていたイタズラはスキを与えない二段構えであった。

流石のこれには指揮官も顔が引きつる。くっだらないイタズラではあるが…

中々にパンチの効いたイタズラにしゃっきり朝は起きれた。それには感謝しよう。

だがこのイタズラはまだ序章に過ぎなかった。

コーヒー片手に私室から出て指揮官は自分の執務椅子に座った時だ。

 

パァァァァァアアアアアアン!!

 

「Fooo!?」

 

椅子の下から大音量のホーンが鳴ったのだ。見れば椅子の下のショックアブソーバに仕掛けられていて座ると鳴る仕組みになっていた。

早朝から3連続してイタズラを食らった指揮官は流石にキレた。

絶対に犯人には相応の罰を与えると…静かにキレていた。朝の仕事をする前にデータルームに行き履歴を漁ることに。

 

 

それとほぼ同時刻。イタズラの魔の手はこの基地のヘリにもあった。

毎朝早起きしてからヘリの様子を確認している健気なヘリパイロットの姿があった。

エンジンの調子はすこぶるよく満足気に頷いてから離れた所だ。

こそこそと人影が操縦席に何かを仕込んでから離れた…

エンジン音に掻き消されそんな事に気づかないパイロットはそのまま暖気運転をさせつづけて…

 

「よし、今日のイーグルちゃんはご機嫌だな」

 

エンジンを切ってからヘリから離れる。その表情は喜色満面だった。

朝食後にまた座ることになるのだがその時にイタズラが火を噴く事になる。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・朝

 

 

「きゃああああああ!!!」

 

朝から絹を裂くような悲鳴が兵舎に響く。何事だよ…と目を擦りながら出てみれば…

FALが寝間着姿のまま共有スペースに飛び出していた。メイクもしてないから起き抜けだな。

皆も一様に目を擦りながら出てきてるからFALだけに何かあったな…

 

「まったくもー今何時だと思ってるの?」

「誰よ枕元にデカい蜘蛛のぬいぐるみ置いたヤツ!」

「はぁー?」

 

聞けば枕元にでっかい蜘蛛のぬいぐるみが置かれていてびっくりして跳ね起きたってさ。

そんなバカ騒ぎのせいで朝から起こされる身にもなってくれよ…と情報端末で時間を確認する。

 

「ぶっ」

「なにこれ…」

 

情報端末の待受画面がなんか変なおじさんの絵に変えられていた。

確かヤーパンのコメディアン、エガシラ2:50だったっけか。上半身裸でやったらめったらやらかすコメディアン。

今も一部の熱狂的なファンが彼の雄姿を再現していたりするけど…

知らない人形からしたら変顔で変な格好した変質者が待受画面にされてるだろうな。

お前らに一言物申すがお決まりのセリフだったっけ?

 

「そんな時はコーラを飲んでリラックスしようよ」

「ふぅ…そうね…あれ?開かないわよ?」

「およ?プルタブが逆だね」

 

SAAの愛飲コーラの缶にもイタズラされてたらしい。プルタブが逆だってさ。

古典的なイタズラだけど下手人は誰かなー?

 

「うわ、わわわわわ…しゅわわわわー!!?」

 

さらにSAAからも悲鳴が上がる。見れば異様に泡立ったコーラの噴水。

ペットボトルの蓋の裏にメントスを仕掛けられていたらしい。

その結果があのコーラ噴水だ…おぉ黒い噴水黒い噴水。お掃除が大変だな。

幸い飲みかけだから被害は少ないけどね。まったく誰がやったのやら。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「で、お兄ちゃんは私を呼んだのはなーんで?」

「惚けるなよこのイタズラっ子め」

「んー?」

 

私は午後出撃のはずなんだけど朝から呼び出された。

あのイタズラが早速バレたか…朝からあれは流石に驚いたかな?

でもえらく怒ってるような…そんなに短気だったっけ?

 

「ネットワークプリンタの履歴」

「私利用してないけど?」

「じゃあなんで履歴削除操作のログが残ってるんだ?」

「うげ…はいはい、あの張り紙は確かに私がやったけど?」

 

ちょっと調べて上級委員の顔を出してからちょっとイメージ出力しただけじゃないか。

あとエアホーンを仕込んだくらいでそんなブチギレる?

 

「朝からコーヒーって言う俺の楽しみを邪魔したのはデカいぞ」

「待ってそれは私じゃないよ?」

「じゃあコレは」

 

パァァァァァアアアアアアン!!おぉエアホーンがでっかい音をたてる。

 

「それは私」

 

朝からいい目覚ましになったでしょ?って首を傾げて見せたらお兄ちゃんが拳を握ってプルプル震えた。

しかし操作履歴が残ってたか…しまったな、それは盲点だった。

でもマジな所コーヒーの下りは知らないぞ。私以外にイタズラしてたのが居るんでしょ。

仕込んだとしたら昨日の夜中だと思うんだけど…私が忍び込んだときにはそんな素振りは無かったしなぁ。

 

「ヘリパイロットから苦情が来ていたブーブークッションは?」

「それは私がやったヤツ」

「工廠のロッカーにペニーワイズ仕込んだのは?」

「私だね」

「じゃあデータルームのPCのスクリーンセーバーをブルースクリーンに弄ったのは?」

「それも私だよ」

「星はクロ、繰り返す星はクロ。保護者416は至急このイタズラっ子のお仕置きを」

「待って兵舎のは私じゃないしコーヒーに仕込んだのは違うよ!?」

「問答無用」

 

私の無線機もミュージックプレイヤーにすり替えられていてびっくりしたんだけど!?

そしてお兄ちゃんは無慈悲に通信機でお姉ちゃんに通報していた。

 

「417ァ!こんのバカ妹はぁ!!」

「ひゃっ!?あ、あの…この態勢って…」

「ふんっ!」

「痛いっ!やんっ!ぃやぁっ!あひぃん!?」

 

即刻現れたお姉ちゃんは私を小脇に抱え込むとはー…って右手に息を吐きかけて…振り上げた。

そして私は小脇に抱えられてお尻を突き出している状態だ。

振り下ろされた掌が行き着く先は私のお尻で…パシィン!と音を立てた。

早い話がお尻叩きって言う古典的なお仕置きで…それがお兄ちゃんの眼の前で執行されたの。

ぶっ叩かれるたびに全身に衝撃が走ってから人工皮膚の表面が赤く染まっていく…痛い。

お兄ちゃんからの視線も突き刺さってて恥ずかしい…ダブルパンチですよぉ…

 

「きゅぅ…」

「こんのバカ妹は…」

 

百叩きされた後の私のお尻は手形が出来上がっていてしゅぅぅぅ…と煙を上げていた。

痛覚カットはお兄ちゃんの割り込み命令で妨害されてカットできないからくっそ痛い…

司令室の床におしりを突き出したままへばってのびてまーす…

 

「で、兵舎のイタズラの下手人はわかったのか?」

「その下手人はG28よ、自分だけ端末の待ち受けを変えていなかったからすぐにバレたわよ」

「お仕置きは?」

「現在執行中ね」

 

G28のイタズラのとばっちりかよ…G28めアイツもケツ叩きしてやるぅ…

で、G28のお仕置きってどんなお仕置きになってるのさ。お姉ちゃん…

 

「あのバカのお仕置きはFAL達第1部隊の的役ね」

「おぉぅ…」

 

あぁーあのキレたFALが多分率先してやったんだろうな…

訓練用の弾とは言えくっそ痛いのは変わり無さそうだから私よりきっついんじゃね…?

だってFALの使用する弾ってほら…私と同じ7.62だぜ?

さらにあのトリガーハッピーなスペクトラとか嬉々として弾を雨あられと浴びせるし…

 

「じゃあそのいたずらっ子を引き上げてくれ」

「了解」

「ごめんなさーい…」

「謝るくらいなら最初からするんじゃないわよ!」

「ぁいだぁ!!ぐすっ…ふえぇぇえええ…」

 

抱えられてダメ押しの一発を貰って私の涙腺が決壊した。

お姉ちゃんのガチ説教はこれからなんだよ…出撃があった後にね…

 

「おう、417出撃後に畑をちゃんと見ろよ。帰ってきた頃には工事終わってるだろうから」

「ほぇ?」

「あとスオミが名乗りあげたからお前と交代交代だな」

 

そういうのはもっと早くに言ってよぉ…

 

 

 

午後の出撃後帰ってみれば農業エリアは立派な柵で囲われ土も十分に盛られて農耕出来る状態に。

傍らには作物や道具を収納する小屋も建てられていた。これには感動したけど…

結局その日痛いお尻を摩りながら畑を耕す事になった。思いつきで行動したバチなんだけどね…人間だった頃の残滓ここに来てちょびっと出ちゃった。

スオミはそんな私も心配してくれた。なにこの天使。

今日は畑を耕しておしまい。明日はスオミが種芋を仕込むみたい。

どうせだし果実とかも栽培してみたいね。




この回ね、416に417のケツを叩かせたい為だけに書き上げた。


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IF番外 百合の蕾

案外降ってきた

このルートに入るには?
条件:誰ともフラグを建てずに妹会を発生させる&9にファミパン食らってること


――――――――――――D08基地共有スペース

 

 

今日の妹会は優雅にって事で紅茶なんてものを用意してたり。

マカロンなんていうお菓子にケーキスタンドにスプリングフィールド直伝のケーキを並べて。

3人で行うにはちょっと派手すぎるくらいの妹会。今日はどんな事話すのかな?

と言うか今日はG36Cがどんな暴走をしでかすか…って所だね。

 

「こんばんは9お姉ちゃん♪」

「こんばんはー417♪」

「あれ、G36Cは?一緒じゃないの?」

「今日はG36の所で一緒にお掃除してるってー」

「なーる」

 

暴走要員であるG36Cは今日は不在。となるとこのお菓子は私達だけでかぁ。

うーん、お互いの姉の事は知ってるしなぁ。どんな事話したものか。

というか自慢なら腐るほど聞いてるからなぁ…お互い知らないされたことしたこととか?

 

「今日の議題はどうしよっか?」

「ずばり姉にしたいこと、されたいこと!」

「ふむふむ…」

 

お姉ちゃんにしたいことされたいことかぁ…したいことって言ったらあれだなぁ…

兎に角お姉ちゃんは私生活が危ういからお世話を焼きたいな。

ちょっとスキを見せると楽だからって女子力壊滅させるようなことしでかすから。

その辺の矯正も含めてお世話だね。うん…あとは一緒にゲームだね。

出来れば私の大好きなレースゲームに引きずり込みたいけど…何でも良いかな?

されたいことは…うーん…頭を撫でてもらってぎゅっとしてもらえたら良いしなぁ…

後はまぁ…戦闘面の事にダメ出ししてもらいたいくらいかな…

逆に9姉はどうなんだろう…聞いてみるかな。

 

「9お姉ちゃんはされたいことってあるの?」

「勿論あるよ!けど言葉にするのはちょーっと難しいかも」

「ほほぅ?」

 

言葉にするのが難しい…どういう事なんだろうか?物理的に言うのが憚れる様な事か?

 

「あ、このショートケーキ美味しい♪」

「おそまつさまー」

「417の手作りなの?すごーい!」

 

ん、ショートケーキは好評だ。そりゃそうだスプリングフィールド直伝だからね。

そこのガトーショコラなんかはFALも唸らせれると思う出来栄えだよ。

んふふ♪9姉の笑顔が最高の対価だよ。美味しそうに食べてくれるから作り甲斐もある。

 

「私なんかしてもらいたい事なんてぎゅっとしてもらうか頭を撫でてもらうか…戦闘面のダメだしくらいだよ?」

「ふーん、そんな程度なんだね」

「してあげたいのは兎に角お世話!お姉ちゃんは私生活がだらしないから…」

「あー416って確かに私生活が結構ルーズというかいい加減だねー」

「そうそう、食事だってチョコレートバーで片付けようとするし」

「え?それいけないの?」

「よくねぇよ、アホか」

 

ルーズなのが目の前にいやがった…こいつも矯正しないとチョコレートバー漬けにならないか?

そういや買い出しの時異様に買い込んでたけどまさか常習的にそれだけで済ませてるって事は無いよね?

ここにも残姉ちゃんが居たか…くそ、これは盲点だったぞ…

 

「そうだそうだ、私が45姉にしてもらいたいこと試すからさ、ちょっと417のお部屋でやらない?」

「ふーん…まぁ良いけど?」

 

ついでにてめーのズボラ癖を矯正してやろうじゃねぇかおぉん?

 

 

――――――――――――D08基地兵舎HK417私室

 

 

「で、9お姉ちゃんの45お姉ちゃんにしてもらいたいことって?」

「どーん♪」

「あにゃぁ!?」

 

ファンシー一色な私の部屋にケーキスタンドを持ち込んで続きをって思ったら9姉に押し倒された。

何事!?ってなってる私の肩をしっかり押さえ込んで身動きを封じてくる。

時間が止まったように私と9姉の間には静寂が生まれる。お互いの瞳は交差して覗き込んでいる。

9姉の瞳に映る私の眼は動揺して揺れている…何で?何で?

そんな私を見て9姉は何がお気に召したかニコニコ笑っている。

 

「ふふ、可愛いね417は♪」

「はい?」

 

何を言ってるんだこの9姉は?酒か何か飲んできてたか?

いや、酒臭さはないから素面かな?でもこの挙動はどういう事か…

 

「可愛いしお料理は上手だしお世話焼きで…たまに見える男っぽさが良い…」

「ねぇ何かの冗談ならやめてくれなーい?」

 

男っぽさって何よ。まぁ元男だからちょっと名残はあるだろうけど…

兎も角これ何かの悪いジョークでしょ。いい加減にしてほしいんだけど…

ぐっと両手で9姉を押し返そうとするんだけど体重を乗せて抵抗を許してはくれない。

 

「冗談じゃないよ?私は本気」

 

おぉっと?45姉にぞっこんな筈の9姉が笑顔を引っ込めて真顔で私に言ってきてる。

笑顔が引っ込むタイミングはマジな時だ。これはそこそこ付き合ったら分かること。

主にこんな表情になったりしたのは楽しみにしていたプリンを誰かに食われた時。

だからこの話しとか雰囲気はわりかしマジなんだろう…でも何でかなー?

 

「ねぇ、417…良かったら私と家族にならない?」

「もう私と9お姉ちゃんは家族でしょ?」

「もっと深い家族だよ…OK?」

「つまり恋人みたいな?」

「そ、そうだよ!」

 

ほほーぅ私と恋人ねー…うーん、私は確かに9姉のことは悪しからず思ってるけど。

 

「ちょっと待とうや。そういう重要なことはさ、すぐに結論なんか出せないんだ。一朝一夕で出した結論は双方にとっても良くない。だから今日は普通に私の作ったスイーツ食べて紅茶で一服してさ…一緒に寝よ?」

「ぶふっ!?え、ちょっとそれは…」

「あ、変な意味じゃないよ?普通に寝るの。9お姉ちゃんの事は嫌いじゃないしその気持ちに向き合えるか私自身分かってないの。だから今日からちょっと近寄って…確かめていくの」

「うん、それでもいいよ♪絶対に好きにさせてあげるから!」

「一応一週間って期限切ってね…よろしくね9姉。じゃあお茶会再開しよ♪」

 

こういうのは焦ったら遺恨を残すだけだからゆっくり向き合うのが良いの。

ちょっと距離を詰めてから私自身の気持ちも、9姉の気持ちを受け止めきれるかも見極めないと。

ただいつまでも引き伸ばしても9姉に失礼だから期限を切って…ね。

 

「はい、あーん♪」

「あ、あー…」

 

お互いへの食べさせ合いっこに発展したお茶会は夜遅くまで続いた。

私にあーんしてもらってる時の9姉はとっても可愛かった。

逆に私がしてもらう時はちょっと恥ずかしかったかも。慣れないことはしないべきかな…

自分で食べる時より甘く感じたのは気のせいかな?

 

 

時間は過ぎて深夜…部屋の照明は落とされた。

 

 

「じゃあおやすみ…」

「おやすみなさい♪」

 

二人ぴったりくっついて手も握って眠りにつく。

9姉はここでも楽しそうにニコニコ笑って私を見てる。この場合は嬉しいからかな?

窓から差す月明かりに照らされて見惚れる笑顔だ…アンバーの瞳が私の顔を映している。

私の顔もちょっと微笑んでる。

 

「暖かいね」

「ねー♪」

 

お互い人形だけど体温が心地よく眠りを誘ってくる。

瞳を閉じてみれば繋げた手の暖かさと首筋や胸元にかかる息がくすぐったい。

私のおっぱいが邪魔してないかな。ちょっと心配になったりもするけど…

まぁ…そんなのは気にしないかな…9姉はそういうのを気にする質じゃないとおもうし…

 

 

「417、もう寝ちゃった?」

「………」

「本当は起きている間にしたかったけど…」

 

「おやすみ」

 

暗闇の中で唇が月明かりに照らされ艶めかしく光っていた。

 

 

――――――――――――

 

 

「ん…」

 

朝か…小鳥の囀りと朝日が眩しく目が覚める。

目を開ければ目の前には9姉の寝顔。手はしっかりと握られていてこれは起こさずに抜けるのは無理かな?

ただぎゅっと握られてるだけなら良いんだけど繋ぎ方が恋人繋ぎだからなぁ…

まぁ偶にはこんなまったりと過ごす朝もいいかな?

 

「んー…ん?」

「起きた?」

「あ、おはよー417…」

「おはよ、9お姉ちゃん♪」

 

まだ半分寝ぼけた感じの9姉は大あくびしてから目を擦って…私の顔を見てから固まった。

 

「なんだ夢か」

「所がどっこい現実だよ。昨日ちゃんと一緒に寝たでしょ?」

 

現実逃避してるような9姉にもーってほっぺたつねってやる。

ついでに…ちょっと刺激の強い目覚ましかもしれないけど…私から朝の挨拶。

唇と唇でする朝の挨拶をしてみる。目は閉じてやったけど…目を開けてみれば真っ赤な9姉が、可愛い。

 

「ふふ、これでわかったかな?」

「ばっちり…」

「じゃあ起きて朝にしよ?お手伝いしてくれる?」

「もちろん…」

 

あれだけ押せ押せだったのに攻められると弱いんだー…可愛いな♪

お布団を捲ってから起き出して9姉を抱き起こす。朝はこれからだよ。

ほら、私を好きにさせるんでしょ?私にもっと可愛い9姉を見せて♪

お料理だって私と一緒にしてからさ、ね♪

 

 

「ふんふんふーん♪」

「ふふ♪これかぞっこれかぞっ♪」

 

今日のメニューは9姉が作れるものに限られるけど誰かと一緒に食事を作るのって楽しいな。

ついつい自然にハミングしちゃうし何時も以上に身体もノッて揺れ動いちゃう。

9姉はいつもの調子に戻って笑顔でお料理してるし…そうそうこれこれ。

 

「「あ…」」

 

調味料とる時に手が重なっちゃってどっちともなく顔が赤くなっちゃう。

さっとどっちも手を引っ込めたけど私も9姉も手を擦っちゃって…うーん意識しちゃうな。

 

「「お先どうぞ」」

 

どうしよう、お料理が進まなくなっちゃう…結局私から使ったんだけどね。

やべぇ焦がしかけてた…

 

「はい、あーん」

「あーん」

 

出来上がった料理は勿論といった雰囲気であーんで食べさせ合いっこになった。

うん、美味しい♪これは私も会心の出来だけど…9姉のはどうかな?

 

「美味しいね」

「ね♪」

 

 

――――――――――――

 

 

「じゃ、私の趣味にも付き合ってもらおうか」

「おー♪」

 

二人で興じているのはパーティープレイ可能なレースゲーム。

アイテムでの妨害有りのアレですよ。マリオカートです。

二人してハンドル持って運転するけど…お互い身体も動いちゃって白熱していく。

 

「ふざっ…おんま…3連チャンはないよー!?」

「ごめーん♪」

 

9姉は私の思考が読めるのか緑甲羅をバカスカ当ててくる。CPUの妨害もあってトップから引きずり落とされた…

 

「ぐすっ…」

「ごめんね、ごめんね…」

「もっがい!!」

「らじゃー!」

 

なお私は9姉に勝てなかった…ちくせう…これには肩をがっくり落として…9姉に慰められることになった。




こういう距離感も百合って言うのかなって


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Day64 ペットロボ爆誕

みんな大好きはぐれダイナゲート君の登場やで


――――――――――――D08地区前線

 

 

「M14、あれ見える?」

「なになに?おぉ、敵だね」

「その通り、1:1で殺る?」

「はっ、冗談でしょ1:9で私がほぼ食っちゃうよ?」

「そりゃ結構だこと。精々頑張りなさいよ」

 

はぁいどうも、HK417です。今日も元気に午後の警備に出ています。

出てきて早々に敵影を発見してM14との取り合いに発展している所です。

大群のDinergateがわらわらと押し寄せてきているのが見えたんだ。

さーぁ今日もちゃっちゃか片付けていきましょう。数は31…まぁ撃ち応えはあるな。

スコーピオンやUziに展開させるまでもなく撃ち殺してみせましょ?

狙撃に長けた私達が揃えばそんなのお茶の子さいさいってね。

 

「じゃあ勝負しましょ。負けた方がケーキ奢りね♪」

「泣きを見ても知らないよ?」

 

訓練の成果をお見せする時なわけで…あのちっこい缶に比べれば容易い。

踊れ踊れ私の掌の中で…鉄屑共が…風速は髪で計測。相対距離確認、修正。

 

「用意!」

「撃てー!!」

 

7.62mmの鉛玉の雨がDinergateの大群に降り注ぐ。

ヒャッハー逃げない鉄屑は良い鉄屑よ!それそれそれー!

 

「417楽しそうねー」

「私達は暇なんだけど…」

 

うん、あの訓練の成果が出てるな。ヒットレートは文句なしの100達成。

20キルを献上、ケーキの奢りは戴いたぜ、へっへっへ。おっといけないリロードリロード。

 

「うーん10キルかぁ」

「え?待てマジで10キル?」

「うん、そっちは21でしょ?」

「いや私は20ぴったしだけど…」

 

一匹撃ち漏らした?ウッソだろ…双眼鏡で確認しても見当たらないぞ。

おぉっとこれは一大事。スコーピオンとUziとMk23に伝達だ。

 

「一匹逃した?」

「何してるのよー」

「いや、面目ない…」

 

うーん…見逃したかな?スコープ外の情報は結構限られちゃうからな。

私達全員で鉄屑が転がってる付近に急行してからクリアリングする。

最悪痕跡さえ見つければどっちに行ったかは分かる。人間の住む内地に向かわなければ良いんだけど。

ん?この異音は…?カタカタと打ち鳴らすような音は…

 

「えぇ…」

「見つけたの?」

「あらま」

「これは…」

「ふぅーん…こういう反応もあるのね」

 

Dinergateの一匹は木の陰に隠れてブルブル震えていた。

器用に前足を頭上に上げてからさながら頭を抱えて身を伏せて怖がってるようだった。

どうしようか…と判断に困るケースだぞ…武装は破損してるね。

このまま放置してもまぁ危険性は無さそうだけど。

 

『はぐれDinergateを発見したって?』

「そうそう、どうするのー?」

「処分する?」

『いや、鹵獲しちまおうか』

「了解」

 

逃げ出す様子もないからひょいと抱えてみるとつぶらなカメラがこっちを見ている。

ちょっと頭?を撫でてあげると震えが収まった。ちょっと抱えていると大人しいな。

もうちょっと暴れたりするかと思ったけど聞き分けは良いみたいだ。

ずっと抱えているわけにもいかないしバックパックに入ってもらう。

ひょこっと顔を覗かせていてなかなか可愛いじゃない?

 

 

――――――――――――D08基地工廠・夜

 

 

その後何回かドンパチはあったけど背中のDinergateくんは大人しかった。

で、勿論そのまましておくわけにもいかないので…鹵獲した物は検査とかされる。

そのままペットロボみたく置いてると情報を発信してしまうかもしれないからね。

最低でも通信機能と武装は完全に排除される。仕方ないね。

 

「鉄血のを弄る機会はなかなかねぇぞ」

「ぐへへ、これか、コレが良いんか?」

「通信機能らしき基盤はこれっすね」

 

いろいろと不安になる絵面だけどまぁここのメンテナンス班は腕は確かだから信じておきましょう。

盗撮機能とかつけたりしてたらぶっ飛ばすけど。いくら変態でもしないよね?

 

「ねぇねぇ、なにか手伝えることないかな?」

「417ちゃんに手伝ってもらうこたぁ無いよ、その心意気だけで十分だ」

「じゃあそのおっぱいを」

「揉ませて」

「クレメンス」

「オメェ等は仕事しやがれ!!」

 

あははは…メンテナンス班のお兄ちゃんは欲望にど直球だなぁ…

主任にどやされてるよ…外装は区別化の為か明るいグリーンに再塗装されてるね。

外された外装とむき出しになったフレームとかが妙に生々しく感じる。

聞けば内面のAIもI.O.Pの物に置き換えられて普通のペットロボになるみたいだ。

ベースは犬で飼い主と認定した人にとにかくついて回る様になるらしい。

事あるごとにお腹を出して撫でてもらうのが好きになるらしいけど…

 

「再起動しまーす」

「お、終わったんだ?」

 

どうやら作業が終わったらしい。外装も組み立てられて武装部分にはでっかいメガホン。

起動してぐーっと伸びをするような動作をしてからキョロキョロ辺りを見渡した。

飼い主を探してるのかな?ちっちゃい犬みたいで可愛いね。

 

「お、おー?」

「417ちゃんが飼い主認定か」

 

私の足元に走ってきたと思うとコテンと転がってお腹を見せてきた。

ちょっとお腹を撫でてあげると嬉しそうに足をジタバタさせて尻尾代わりにメガホンを振ってきた。

こいつ完全に犬っころだな…うん。カメラには表情が浮かんでいて笑ってるね。

 

「んー…よっこいせ」

 

肩に乗せてみてしっくり来るね。丁度いいサイズとも言うか。

しっかり足で私の肩を挟んで姿勢制御してるから振り落とされることはないね。

ちょっと肩乗りDinergateの方見て微笑むとボディをほっぺたに擦りつけてきた。

一々可愛いなこんちくしょう。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・夜

 

 

「で、アンタにベッタリなのね」

「そうそう…茶トラちゃんもだけど何で私懐かれるんだろ?」

「知らないわよ、羨ましいわね」

 

ペットスペースに入り浸っているわーちゃんは羨ましそうに私を見てきていた。

現在私の両肩はDinergateと子猫で占領されていまーす。

子猫は耳元でゴロゴロ喉を鳴らしていて耳とか舐めてきてくすぐったい

 

「みゃお!」

「はぁーんかわいい~♪」

 

保護されてから結構経ってからそこそこ大きくなってきた。

キャットタワーに登ったり元気いっぱいであるよ。

お世話係であるわーちゃんやG36と私には大変良く懐いていて愛嬌振りまいてくれている。

というか人懐っこくてペットスペースに入ってくる人形にはすぐ足元すりすりしてくる。

とっても愛嬌のあるこの基地きってのマスコットだ。

なおデレデレなわーちゃんもセットでマスコット扱いにされてるけどね。

 

「痛い痛い痛い!そこで爪とがないでー!」

 

バリバリと肩でされたら流石に痛いぞ。爪とぎはキャットタワーでしろぉ。

という訳で子猫はわーちゃんに押し付けてっと…

 

「武装だけ撃ち抜けば鹵獲できるかしら…」

「多分出来るんじゃないかな?」

「ねぇ417…お願いがあるんだけど」

「鹵獲してこいってお願いならきかねーぞ」

「何でよ!」

「自分でやってこいや」

 

武装だけ狙撃するのは簡単だけど鹵獲するに当たって逃さないようにするのは私じゃ難しいもん。

RF人形の脚部はお世辞でも良いとは言えない。最大戦速が遅いんだ。

それはわーちゃんだって分かってるはずだけど鹵獲の為だけに前衛を危険に晒すかと言ったらNOだよ。

あの戦闘キチ共なら喜んで危険だろうがドンパチ出来るならやるだろうけど…

つーか殺しのための人形が鹵獲に意欲的なのはどうなんだよ。

 

「じゃあその子を」

「飼い主認定してもらえたらね」

 

どう確認するかと言ったらまぁ簡単な事で…わーちゃんにDinergateを預けて私はペットスペースから出る。

その後わーちゃんにベタベタし始めたら良いんじゃない?

そうじゃないなら諦めて自分で鹵獲してきてねーってお話だけど…

わーちゃんお構いなしにDinergateを愛で始めたぞ。頭撫でーのお腹撫でーの…

うーんくすぐったそうな反応からするに悪くはないんだろうけど…

ちょっと地面に置くと私の方へ一直線にダッシュしてくる。

間仕切りを前足でカリカリしてから出してアピールがあざとい…

ちょっと視界から消えてみるか…カリカリ音がまだする。

 

「きゅーんきゅーん…」

 

おーぅAIにインプットされてるボイスがメガホンから流れてるな?

犬の鳴き声だ。寂しいアピールが激しいぞ…これは罪悪感がやばーい…

 

「わーちゃんやっぱりこの子は私の子だよ」

「くっ…」

 

私の良心が傷んできたからもう無理。なにこの可愛いペット。

間仕切りの上から抱きかかえると満面の笑顔がカメラに映し出されている。

ご機嫌な内にとっとと寝るかな…ペットロボも寝るんだろうか?

 

「じゃあ、茶トラちゃんの事よろしくね」

「任せておきなさーい、ほーらごろごろごろ~♪」

 

ごろごろと言いながらお腹をハスハスしてるわーちゃんなんて私は見てないぞー

 

 

 

――――――――――――D08基地兵舎HK417私室

 

 

ファンシーショップで購入した可愛らしい家具やデコレーションで女の子らしい部屋になった私の部屋。

ちょっと無骨なロードバイクとゲーム機がやっぱり雰囲気ぶっ壊してるけど…

Dinergate用のベッドには…このクッションで良いかな?

ハートのクッションをポイと床に置いてその上にDinergateを置く。

 

おやすみってワードに反応したのかスリープに入ったかと思ったら…

ちっちゃい身体をぴょんと跳ねさせてベッドの上に陣取った。

一緒に寝たい訳だ…ちょっとワガママなやつだな…しょうがない。

そんなにスペースをとるわけでもないし一緒に寝てやろうとしよう。

 

 

翌朝おっぱいをふみふみ揉まれて起きた。お前はネコか?




肩乗りダイナゲートって可愛くない?


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Day65 G28覚醒

安易に属性を追加していくぞぉ


――――――――――――D08基地HK417私室・朝

 

 

んー…私の朝は比較的早くなった。農作業があるからね。

種芋仕込んで今の所進展はないけど生育していると信じましょう。

さて、朝の支度をしてるわけですけど…お化粧は済んで髪型をバッチリ決めるの。

エクステの要領で増量された髪を結い上げてツーサイドアップにするの。

手癖になったけど留めるため髪飾りを口に咥えるようになっちゃったんだよね。

こう両手で纏めてから片手でホールドして咥えた飾りで留めるの。

ん、良し今日もバッチリ417です。っと何だ?ドタドタと朝から――――

 

「ごめんなさい417ちょっと匿って!」

「は?」

 

お姉ちゃんが転がり込んできたかと思うと私のクローゼットの中に隠れた。

何事やねん…と思いながらも気にせず私はお化粧に入った…お?次は何だ?

 

「417ァ!ここに416来なかった!?」

「お願いだから朝は静かにして」

「それより416!もしくはもう417でも良いわ!」

「いや、なんやねん」

「417、私と愛を育みましょ!」

「は?」

 

この馬鹿妹はついに頭のネジがすっ飛んでいったか?

アホくせぇ…バカと付き合ってる暇は無いからさっさとお化粧しよ…

 

「MakeLoveNOOOOOOOOW!!!」

「ぎゃー!!」

 

こいつガチだ!私の貞操はお兄ちゃんに捧げるんだからヤメロォ!!

あとお化粧途中に襲うのはヤメロォ!んぐ、こいつ同じRF人形なのになんでこんなパワー強いんねん!

体格差はあるけど私の方が躯体と電脳のグレードは上のハズなんだぞ!?

押し倒されてから変に鼻息の荒いG28に恐怖しながらも必死の抵抗。

待てよ、このままちょっと体重を移動させてやれば…

 

「どっせぇい!」

「やーん☆」

 

こいつ何をしでかそうとしてたか右手がフリーだったからそれ突いて重心をずらしてやって逆転に成功。

あぶねぇ…こいつ完全に私を食いに来てやがった…何がこいつに起こったんやねん…

つーかお姉ちゃん私をスケープゴートにしようとしたな?覚えてやがれ。

 

「お姉ちゃん、制圧成功」

「よくやったわ…」

「これは3P!ばっちこいよ!」

「「しねぇよこのスカタン」」

 

えぇい暴れるな。私はお前と違って体重は軽い方なんだから…

おぉ自分以外のブルンバストを見ることになったけどこれはスゴイな…

あ、こらこらダイナゲートちゃんは乗っからないの。

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・朝

 

 

「で?G28がこんな奇行に走った原因は?」

「分からないわよ…朝いきなり私の事を襲ってきたんだもの」

「家族なんだから愛し合うものでしょ!」

「「ちょっとベクトルが違うわよ」」

 

こいつ何か変な物見ただろ絶対。姉として見てるお姉ちゃんは兎も角私まで襲ったのは解せん。

ちょっと後ろ手に縛り上げてから朝食を一緒に摂ってるわけだけど…

スキあらば縄を解いて私達を襲おうとしてるから怖いんだけど…妹がガチレズなんだけど…

 

「いやね、戦闘面が完璧な416にはべた惚れだし家庭的で戦闘面も面倒見てくれる417にももうべた惚れ。なんだかんだ言いながらも面倒見てくれる姉が二人も居たらもう幸せ過ぎてヤバいんだけど二人揃って美人でしょ!なんだかんだで認めてくれているし417に至っては特別視もしてくれてるでしょ?もうヤバいう惚れた。女の子は女の子を愛する物なんでしょ!?」

「オッヒ…」

「ヒンッ…」

 

お姉ちゃんはSAN値チェックでファンブルったか卒倒。私は恐怖で手が止まる。

確かに妹として見ていたから特別視はしてたけど…あと戦闘面はお前がトチ狂った事するからであって…

 

「よし、だから二人纏めて私の物にするの☆」

「まぁ待とうか。普通に姉妹で良いでしょ?」

「それも良いけど私は416と417の特別になりたいの!」

 

もうやだこのネジがぶっ飛んだ妹…その欲情した目で私を見るな。

そんな目で見て良いのはお兄ちゃんだっての…普通に姉妹の関係で良いでしょうが。

いろいろとぶっ飛びすぎてから頭痛くなってくるんだけど…私でもこんなぶっ飛んだ事はしでかさないぞ…

特別なら普通に妹って枠で収まってくれよ頼むぜ…手の掛かる妹なんて枠は要らねぇぞ。

 

「普通に妹って言うのは特別な枠だと思うんだけど…」

「それもそっか…でも417のおっぱいとか独り占めしたいな~」

「ヒエッ…」

「ついでに言えば指揮官も」

「それは認められんな」

 

お兄ちゃんも独り占めとか許されると思ってんのかおぉん?

きっちり競争してもらおうじゃないの。そうじゃないとお前から始末するっぞ。

こいつもあれかG36Cと同じ類いに化けたか…姉への好意が振り切れたパターンか…

もうちょっとマイルドになってくれたら私もまぁ諸手を上げて愛でてあげるんだけど。

 

「分かった、じゃあ毎朝毎晩の挨拶のキスをしてくれる?」

「それくらいなら…」

「よっしゃ、ならハグは?」

「それもOKだけど」

「一緒にお風呂も?」

「OKだけどおっぱい揉みに来たら締め出すからね?」

「やった☆大好きだよ417~♪」

「はいはい…じゃああーんして?」

「あーん♪」

 

こっちの心中察してからマイルドになる宣言か?この程度なら良いけど…

とりあえず朝飯を食わせてからお姉ちゃんを叩き起こさないと…

仲良し姉妹の枠で収まる事なら私は構わないんだけどね…おっぱい揉むのも収まる?……ノーコメントで。

 

 

――――――――――――D08基地シューティングレンジ・朝

 

 

朝の畑のお世話を終えて私が向かったのはシューティングレンジ。

お姉ちゃんが居ない間極力私が付いている事がG28の出した条件だったからね。

今頃射撃訓練に精を出してるだろうからその様子を…っといたいた。

 

「やっほーG28、調子はどう?」

「417~見てみてヒットレートもばっちしだよー!」

「どれどれ…ん、まぁ及第点だね。その調子♪」

 

よしよしと頭をなで…なで…!くそっこういう時に身長が低いと不便だ…!

コホン、まぁそれは良いとして…G28は元々のスペックが良い事もあってメキメキ実力をつけている。

今では立派に第2部隊のマークスマンをしている。自慢の妹である。

ただこれで満足されては困るのでまだまだ上を目指してもらいます。

目指すは見敵速殺ね。それもワンショットワンキルで。

 

「よーっしじゃあその顔をぶっ飛ばして」

「その構えは止めなさい」

 

この癖さえ無ければなぁ…とにかく変な構え方をしようとする…

今回は肩にちゃんとストックは当ててるんだが…何故かハンドガン持ち。

いやいやそれで精度はでねぇからな!手首パーツに負荷が掛かるだけだから止めておけ。

 

「じゃあ、G28は私とアイリンクしてから戦術データに落とし込んでみ?」

「はーい」

「行くわよ」

 

スティグマ無しのガチな実力でどこまで持っていけるかだけど…

私の半身たるHK417ではなくG28の半身を担いでいる。乱暴は出来ない。

かなりフロントが軽いからちょっと違和感だな…まぁやることは変わらない。

バーティカルグリップを握り込みしっかり構えてスコープを覗き込む。

アイリンク完了通知…よし、じゃあ始めていきましょ。

 

シューティングレンジに7.62mmの銃声とマズルフラッシュが上がる。

両目を開きポップアップする的とスコープにズームアップされる的を見比べながら状況判断と射撃をこなしていく。

しっかり訓練さえすればスティグマ無しの銃でも十分な性能は発揮可能。

ただスティグマ有りの半身となった銃の方が圧倒的なパフォーマンスを見せるだけ…ただそれだけのこと。

 

「ふぅ…上出来って言うのはこういうのよ」

「ほへぇー」

「はい、次はG28の番よ。頑張りなさい、我が妹よ♪」

 

ポンと肩を叩いてからG28を押し付けて見守る。

因みに私のスコアは文句なしの100%をマーク、ほぼ全部ヘッドだよ。

システムの補助なしにこれだけやれるようになるんだから出来るでしょって発破だけど。

 

「じゃあ100取れたらご褒美考えておいてー!」

「はいはい、一緒に寝てあげよっか?」

「よっしゃ頑張るー!」

 

よし、それじゃあ私はそろそろお昼の準備してから出撃準備だな。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・昼

 

 

「なんでG28まで?」

「417と一緒が良いのー!」

「今朝からこんな調子で…あははは…」

 

お昼ご飯を隊のメンツと食べてたらG28が私の隣に身体をねじ込んできた。

まぁそんなこんなで私にベッタリなのですよ…あははは…

 

「今日のこれはスプリングフィールドの手作りだな」

「あーこのキッシュ?」

「そうそう」

「417~あーんして」

「あー…」

 

周りに何が居ようがG28の我の強い押しには参っちゃうなぁ…

とりあえずあーんとして食べさせ合いっこに興じてるんだけど…

Mk23はじめとする隊の皆の視線が結構痛いんだよなぁ…お姉ちゃんは心中複雑だぞ。

 

「ねぇ417ちゃん」

「なーにMk23?」

「お姉ちゃんとしては嬉しいんじゃない?」

「んー…まぁ悪い気はしないよ、はい…あーん♪」

「あーん♪」

 

視線が痛いこと以外は確かに悪い気はしないんだよね。

妹みたいな姉とか言われていたのが立派な姉扱いだからね。うん…

それはそれとして甘えてくる妹は可愛いから私はOKなんだ。

お姉ちゃんも私を見た時はこんな感じだったのかな?

 

「じゃあ私は出撃だけど代わりにお姉ちゃんが帰ってくるから…ね」

「なんか417に甘えたら満足したから今日はもう良いかも」

「なんじゃそりゃ…」

 

この妹扱いが複雑になるなぁ…放ったらかしたらレズりにくるし…

とりあえず出撃だ…こういうのは身体を動かして忘れよう…

 

「あ、お姉ちゃんおかえり。じゃあとりあえずG28の事頼んだー」

「は?」

「416~一緒にご飯たーべよー♪じゃないと押し倒すぞー☆」

「あぁ…そういえばそうね…」

 

お姉ちゃんは疲れたような顔をして顔を覆った。午前は私が面倒見たんだからね?

だから午後はお姉ちゃんが面倒見るんやで?朝の押し倒され案件の恨みはまだ忘れちゃいないからね?

なおお姉ちゃんは昼間の食堂で押し倒されて一悶着あったらしい。45姉から聞いた。

あーん拒否してそのまま押し倒されて無理矢理あーんされそうになったらしい。

誰か止めてやれよ…




クレイジーシスコンG28とか言う毒電波


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番外 結婚式の準備

Q:急に
S:招待状が
T:届いたので

詳しくは焔薙さん所のポンコツ指揮官を見てくれや。


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「んーS09地区からの封筒か…どれどれ…ん"ん"!?」

「お兄ちゃんどうしたの?」

「こ…こりゃ…結婚式の招待状じゃぁ…!」

「あー…S09地区の結婚したって言う指揮官の所かな?」

「やべぇよやべぇよ…人形のドレスなんてねぇしご祝儀も包まなくちゃ…」

「あとお兄ちゃん礼服!」

「やっべやっべ」

 

移動式販売を送ってくれた例の基地からの封筒が届いたんだけどその中身が爆弾だった。

セール理由に宣伝してたけど結婚したらしいんだけどその結婚式への招待状だ。

ご祝儀代わりに大量購入したばっかりだけどそれとは別にご祝儀ってのは包まなくちゃね。

そして私達もそれ相応のドレスコードって物があるでしょうよ。

つまり何が言いたいかって?着ていくドレスがねぇからやばいやばいってなってるの。

I.O.Pのカタログにはこの基地所属の人形の何体かにドレスが存在するから取り寄せるんだけど。

とっても意外な所でスコーピオンにドレスが存在するんだ。礼服っぽいのならSAAにも存在する。

スオミにはクリスマス用だがドレスが存在する。ドレスが存在する人形は限られるが連れて行く人数にも限りはあるだろう。

この基地を指揮官が離れることになる。その間の基地の防衛に人形は不可欠なわけで。

 

「というかコレ無くすなって赤文字で書かれてる。絶対無くすなよ!」

「ぉぅぃぇ」

 

まぁ招待状だからこれがないと入れないんだろうな、そうだよな!

結婚式なんて行ったこと無いからわかんないけどね。常識的に考えてこうだと思うんだ。

お兄ちゃんはお兄ちゃんでドッタンバッタンし始めたしこれ間に合うんか?

最悪指揮官は制服で出たらOKなのかな…最悪レンタルで礼服借りてくるだけだけど。

 

「I.O.Pに連絡してドレスを片っ端から取り寄せるぞ!」

「あとお兄ちゃんは街に行ってから礼服調達、はりーはりー!!」

「わぁってらぁ!仕事代行頼んだ」

「任せておけぇ!」

 

こんなお祝い事は中々無いんだから私は一人仕事をやるんだよぉ!おらぁ!!

その間にお兄ちゃんは礼服買いに出かけてもらう!さっさと私服に着替えて出ていきな!

こんな書類仕事なんざ私がすっぱりさっぱり片付けてやるよぉ!

 

「キーよし、じゃあ行ってくるぜ」

「いってらっしゃい!」

 

何だあのキーは見たこと無いぞ…何の鍵だ?まぁいいそれより書類捌きだよ!

 

 

――――――――――――D08基地工廠・夕方

 

 

いきなり言い渡された休暇に皆騒ぎながらも満喫していただろう。私は仕事漬けだったけどな!!

さてと?私も含めて数体の人形が呼び出されてるわけで…

 

「よし、おめぇら集まったな!」

「何でしょうこの集まりは…?」

「おめぇらは結婚式出席組な!つべこべ言わずに来いホイ!」

 

集められた私も含めてか。んで、その後ろにうず高く積まれた箱は?

まさかと思うが朝に発注したものがもう届いたのか?お?お?

因みに集められたメンツはUMP姉妹、お姉ちゃんと私だ。他のメンツは?

何故かヘルメット被ってるお兄ちゃんに捲し立てられて私達全員工廠の奥に押し込まれる。

その先にはI.O.Pテクニカルスタッフが待ち構えていてから物々しい雰囲気だぞ?

結局どういう事かって?んなの分かってんだろ?お着替えタイムですよ!

 

「結婚式?」

「最近交流が出来たあのS09地区の基地であるらしいわ」

「となると私達は指揮官の護衛ね」

「そういう側面もあるだろうねー」

 

私のドレスはお姉ちゃんのとお揃いだけど色合いが逆だ。

私のはパープル地に白の重ねだ。そして花飾りはカサブランカだ。

花言葉は祝賀、このおめでたい時に着るにはもってこいなものだね。

髪型はお姉ちゃんとちょっと違ってツインテールだ。いつもツーサイドアップだけどね。

見事なまでに全員ドレスですよ。これなら出席しても文句は言われめぇ。

 

「えへへ、お揃いだね♪」

「そうね…本当にこれでいいのかしらね?」

「良いでしょ、文句は言われないでしょ」

 

ピンヒールなんてのも初めて履くけどこれはちょっといい経験かも。

ただ無茶なことは絶対できないな。これで戦闘?アホ抜かせってもんだわ。

まぁ一応全員の銃を隠すためのガンケースが支給されてるんだけどね。

私は若干背伸びしてる感が否めないけどね…ロリっ子がドレスなんて着たらそうもなろう。

G11もドレスがあったら呼び出されたんだろうけどI.O.Pのカタログ上に存在しない。

それにG11はボイコットしそうだな…仕事となるとキビキビ動くんだけど。

このメンツになったの?なんでも在庫にあったからすぐに納入出来たからってさ。

あとはまぁこういう特殊環境でも遺憾なく性能発揮できそうな部隊だから。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・夕方

 

 

「おめぇら集まったな!次は余興を考えっぞ!」

「「「「うす」」」」

「所でなんで私達はドレスのままなの?」

「慣れるためじゃない?」

「指揮官の趣味だって~」

「余興なんて定番ネタがあるんじゃない?」

 

ドレス組はそのまま参加。お兄ちゃんは流石にヘルメットを脱いでから食堂で大声張り上げていた。

頼まれもしてないけどいざって時にやれたら良いよねって私がポロッと言ったものだからお兄ちゃんが張り切った。

因みに集められたのはこの基地の人員全員である。そうD08基地総出である。

まぁ定番ネタとなるかわからないけど…盛り上げられそうなのだったら…

 

「はい417!」

「はい、やっぱり歌とか楽器での演奏が良いかなって思うの」

「歌と演奏!出来るやつ!!」

「歌ならスオミが…あ、でも417も趣味よね?」

「私ヴァイオリン弾けるよー!あと歌も!」

「9は歌うとホラーになるから駄目よ~」

 

9姉のヴァイオリンと私の歌唱で良いかな…お題曲とかの打ち合わせが必要かも。

あと9姉ヴァイオリン持ってたか?最悪レンタルになるんだけど。

練習したらピアノとかも行けそうだし…ヴァイオリンとピアノのセッションとかでも良いかもね。

それにマイクを口元に持ってきたら歌だって歌えるし…休暇申請して街まで練習に出かけるか?

 

「あとダンスとかも良いんじゃない?」

「ダンス部!手ぇ上げろ!!」

 

ブレイクダンス嗜み勢と私が手を上げた。あれー?私がオーバーワークじゃね?

余興としてのダンスってなると私が嗜んでる方のダンスが良いんじゃない?

お姉ちゃんブレイクダンス嗜んでるけどそのドレスでやるのは中々の度胸が必要だと思うよ。

あと絶対パンモロするから私はおすすめしない。絶対にな!

 

「417!」

「はい!」

「416にダンスを仕込め!そのために休みをいくら使っても良い!HK姉妹でのダンスだ!」

「了解!」

 

わぁい私の自由は無くなったぜへっへっへーい。でもまぁお姉ちゃんとべったり出来るからいいやー

盛り上がるのだったらClassicとかだけど雰囲気合わせるならI was born to love youかな?

まぁどっちも仕込んで掴みでClassic、本命にI was born to love youでって流れでいいかな。

というかこれ思ったぞ。

 

「これさ複合で良いんじゃね?」

「それだ!!」

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・夜

 

 

「じゃあ私が先に踊るから覚えたらついてきな」

「このドレスのまま踊るの?」

「本番はどっちにしろドレスだぞ、覚悟決めろや」

「417アンタキャラが壊れてない?」

 

まずは踊るのはClassicだ。こっちのほうが動き回るし動きが過激だ。

こっちをマスターできればI was born to love youなんて楽勝なんだよね。あっちはステップ中心だし。

ミュージックの内容としても女性賛美だから花嫁を褒め称えるとしては良いんじゃないって思うし。

G11から借りたラジカセにミュージックデータを叩き込んでから垂れ流す。

まずは私が踊る。別にドレスでも踊れなくないことを証明して見せなければならん。

 

「Hey,Where's the dram!」

 

最初のステップは何ら特別なことはない。ただリズムよく右手で二拍子刻んでステップだ。

ただ歌が始まると上半身の動きが激しくなってくる。ステップは依然刻まなくちゃいけない。

人間だったらこれが大変だけど私達は人形だ。その辺の制御は簡単だ。

そしてこのClassicに置いて最も大事なのは楽しそうに踊ることだ!

そう、表情が良くないとこのダンスは映えない。だから私は最高の笑顔で踊る。

口ずさむ歌詞に心を込めて、楽しくね。これが出来れば大丈夫なのさぁ!

 

そして…このダンスの見せ場。サビだ。

 

「You're over my hand♪I'm out of my mind♪」

 

大胆に動くステップと上半身の動きで観客を魅了するんだ。

かくいう私も一度見た時は魅了された物だ。だからここを失敗するのは駄目だ。

ここを乗り越えれば後はここまでに覚えたことの引き出しでOKだから…

踊りきってからお姉ちゃんについて来させる。あとは復習あるのみなんだよ。

 

「ぐえっ!?」

 

慣れないピンヒールでのステップに調子乗りすぎて二週目のダンスで足を挫くヘマをやらかした。

まぁ痛みにはなってないし損傷にもなってないからへーきへーき。ドレスにも汚れはついてない。

なおお姉ちゃんは歌わないなりにもダンスは一回見ただけでかなり様になっていた。

ただ表情がかったい、笑えよ、おめでたい席なんだからもっとにっこぉーって笑ってよ。

しょうがないから対面で私が踊る。良いか良い踊りって言うのは表情も決めてなんだってのを教えてやらァ!

 

「お姉ちゃん、笑顔な?」

「……こう?」

「かてぇよ!!」

 

お姉ちゃんは笑顔がくっそ硬かった。笑顔の練習も必要じゃねーか。

なにをどうしたらそんなに笑顔が硬くなるんだよ。いつもの私を見る時の微笑みとか猫ちゃん可愛がってる時の笑顔を浮かべろよ。

ほれ連想してみ、肉球ぷにぷにな子猫がとてとてこっちに走ってきてからみゃお~ってやってる姿を。

そうそうその笑顔、それをダンス中に浮かべてみような?出来るよね?完璧なんだから出来るよな?よし!

 

こんな練習風景が基地内で繰り広げられるようになった…後数日、お姉ちゃんに徹底的に叩き込んで私は私で歌の打ち合わせ…ひぃー忙しい。

ピアノの練習もしないといけないじゃん!私過労で倒れないかな…




余興はD08基地のHK姉妹に任せろバリバリーってヤツですよ。


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コラボ番外:出動!回収作戦!

警告:この番外は「杭打折」さん所の「妄想フロントライン」とのコラボ作品になりまーす
異色のHK417っていう人形同士のコラボだぜ、たんと食えよ。
向こうのHK417はAR区分でシリアスだからよぉ…こっちもシリアスにいくぞーぅ。


――――――――――――D08基地司令室・夜

 

 

「今回集まってもらったのはちょっとな…回収支援の要請があってな」

「回収支援?なるほど」

 

戦闘能力に長けたFAL、前線で壁を張れるG36C、同じく前線で壁を張るスオミ、夜目が効く偵察役のMk23、この基地きっての狙撃手の私が招集されていた。

どうやらかなりの激戦区に送り込まれるんだろうと思うが…ならなぜ私達なんだろう?

この基地以外にも伝手というのはあると思うんだが…その地区はどこなんだろう?

激戦区ってなるとS地区のどっかだろうけど…

 

「そ、なんかな…開発予定段階だった人形が動いているらしいんだ。んで、そのHK417ってAR人形とSIG-510、IDWの回収が今回の依頼だ」

「HK417…?」

 

一斉に皆私の方を見てくる。AR人形って…どういう事だ?

正規で開発予定段階だったって事は計画で終わっていた人形が動いているって事?

それとも私以外にもイレギュラーな事が起こった奴が居るってことかな…

 

「そう俺も聞き返したがHK417っていうARの人形だ。ウチに居るのはRFとして登録されているHK417だ」

「じゃあその開発予定って言うのは」

「そうそのHK417だろうよ。最悪そいつだけでも回収しろって話しだ…だが俺達が目指すのは全回収だ、できるな?」

「「「「「はい!」」」」」

「よろしい、では戦闘準備してヘリに乗ってくれ」

 

私達に課せられたのは試作人形の「HK417」の回収及び撤退中のSIG-510とIDWの保護。

これからヘリで向かったとして深夜になるのは免れない。夜戦装備で行くことになる。

また当該地区は廃棄された街ということもありCQB戦もありえる…

サプレッサーの装備とNVゴーグルの用意は必須だろう。

 

部隊の枠組みを全部取っ払ってのこの基地の最高戦力をつぎ込んでいるから…失敗は許されないな。

敵のデータは送られてきたが…まぁ装甲型が多い、私が徹甲弾を叩き込む必要があるな。

他にはFALの榴弾か…純粋にAPCRでも抜けるかも…?まぁ使用弾頭は各々…とりあえず私はMk211徹甲榴弾だな。

上着のポケットにマグを2本差し込みバックパックに更にマグを追加で3本叩き込み空きスペースにMk-23のマガジンを並べる。

右足のレッグホルスターにMk-23をセーフティを掛けてから差し込み確認。よし。

レッグリグに榴弾を5発入れて…携行弾薬はこれで良し。携行食料と救急キットもバックパックに入れ込んで…よし。

頭にNVゴーグル…うん良し、各種アクセサリーのバッテリーコンディションも良し。双眼鏡も良し。

さ、行きましょうか…奇しくも同じ名前の人形を助けに行くのかぁ…

 

「小隊長FAL準備完了よ」

「HK417戦闘準備完了、何時でもどうぞ」

「G36C何時でも行けますわ」

「スオミ、準備完了です」

「わたくしも準備完了よ」

 

兵舎前で全員チェックしてから気を引き締めて行く。

今回は戦闘キチになられても困るがドンパチは避けられないからFALも榴弾装備だ。

G36Cもスオミも予備マグを沢山携行している。

Mk23はそもそも撃ち合いよりもデータリンクによるターゲットスポッティングが主だから戦闘より敵を如何に見つけるかだ。

 

「使用チャンネルは打ち合わせ通りよ。相手はハイエンドモデルも来ていると聞くわ油断はしないように」

「「「「了解」」」」

「指揮官からも言われるでしょうけど欠員は許されないわ。ダミーは最悪廃棄だけど…生きて帰るわよ」

 

 

――――――――――――

 

 

ヘリコプターはD08基地を飛び立って森林の上を闇夜に紛れて飛んでいく。

移動中のヘリコプター内は全員無言だ。通信機に指揮官からの命令が飛び込んでいるからだ。

作戦領域に直接ランディングは不可能、空挺降下は狙撃が懸念される為不可。ホットゾーン外から侵入して鉄血兵を排除しつつターゲットと接触エスコートするのが目的だ。

ターゲットになるHK417-arのデータも本部から送り込まれてきた。外見データで照合するしか無い。

今回は混同を避けるためそれぞれの種類を呼ぶことになる。私はHK417-rfと言った様子だ。

市街地マップもアップロードされ最後に通信された箇所から行動範囲を絞り捜索することになる。

撤退していると言うことから最も近い回収地点に向けて逃げていることだろう。

と言うか私達がランディングするのはその回収地点だ。そこから探索を開始することになる。

狙撃回避や回収部隊が来たことを悟られない為にその都市に張り巡らされている旧下水道を通ってアプローチを掛ける手筈だ。

この事は次に通信があった場合に伝えられるそうだが…上手いこと噛み合ってくれたら良いが…

都市について土地勘のあるSIG-510とIDWが居るらしいから逃走経路として選択する可能性もある。

上手く合流できれば御の字だが…まぁ適当な所で地上に出ることになるんだろう。

 

『詳しい指揮は向こうの指揮官の管轄になるが…お前達をもしも』

「もしも使い捨ての駒にしようとしたら違反してでも帰ってこいでしょ?」

『その通りだ、定時連絡も欠かさずやれよ』

「了解よ」

 

この先は指揮官の指揮を常に受けれる状態ではなくなる。

しかも指揮系統は切り替わって向こうの基地の指揮官の指揮下に一時的に入る。

まぁ回収支援要請を出すくらいだから非人道的な指揮官ではないと信じたい。

現在与えられている命令に従い自己判断での戦闘が主になる。

私は元々が人間だから自己判断は容易だけど…他の人形には負荷が掛かる。

加えて戦闘状態が長く続くし残弾、エネルギーの残量にも気をつけなければいけない。

それはターゲットも同じ事が言える。強制スリープになっていたらアウトだな…

 

「ふぅ、それにしてもエラーロットではなく正規の417ね…」

 

回収されたら私はどうなるんだろう…グリフィンとしては私の扱いをどうするか…

存在しないエラーロットとしてやっぱり廃棄に移るか…いや、一度もう登録してある筈だ。

まぁ今はそんな事を心配している暇は無いか…作戦を無事に終わらせることが優先だな。

 

「作戦領域に到達するまでまだ時間が掛かりそうね」

「そもそも今回向かう先は…最前線で私達とは縁があまりない所ですわ」

「鉄血勢力下にランディングですか…」

「それも偶にはスリリングで良いんじゃないかしら」

「どうであれ撃ち抜く的が多いことは結構な事じゃない…大型の的も居るんでしょ?」

「Manticoreね、あのデカい奴ね…直接やり合いたくはないわね」

「その時こそ私の出番じゃない?」

「まぁそうね、頼りにしてるわよ私達の417」

 

何が来ようが私が撃ち抜けば良い。装甲だってぶち抜いてやる。

それにセンサー部分なんて装甲が甘いでしょう…そこを撃ち抜いてやれば沈黙するでしょうさ。

任せなさいとジェスチャーで胸を叩くと皆笑ってサムズアップしてくれた。

 

 

――――――――――――

 

 

「こちらイーグル1ランディングに成功」

「さ、行動開始よ…迷子を迎えに行くわよ」

「「「「了解」」」」

 

ヘリコプターからぞろぞろと降りてから全員セーフティを解除。

チャージングハンドルを引き初弾を装填、データリンク正常作動。ダミーリンク正常。

電子マップ、GPS正常。通信機も良し。各部セルフチェック…クリア。

HK417戦闘モードに移行…さて、戦場に着いたわけだ。

 

「イーグル1離脱します、ご武運を!」

 

ヘリコプターは離脱していく。残されたのは私達人形一個小隊とダミー。

廃墟と化した都市の方を見れば戦火によって薄っすらと赤く空が照らされている。

戦火の激しさを物語っているようだった…

 

「さてボヤボヤしてられないわよ」

「下水道ですか…」

「この数百メートル先にマンホールがありますね」

「…敵影は無さそうね、先行するわ」

「殿は私が」

 

全員夜視モードに移行、接敵に備えてまだNVゴーグルは使用しない。

どこに目があるか分かったものではないので物陰になるべく身体を隠しながら進む。

先行してMk23が安全確認を取りながら行動開始だ。この時ばかりは私達よりも索敵に特化したHGタイプの独壇場だ。

もしも見つけたならデータリンクで私に送られてくるだろう。

この中でサプレッサーを装着しているのは私だけ。正確に撃ち殺す必要が出てくる。

やり過ごせるなら行きはやり過ごして…帰りに撃ち殺す。

 

こういった荒廃した街に入るのは初めてだが…雰囲気が恐ろしい。

ゴーストタウンか…ここも鉄血に攻め入られる前は人が住んでいたんだよね。

今は無理でもいつかここも押し返せると良いんだけど。

あ、FALが一応向こうの基地の指揮官とやり取りしてるみたいだ。

まぁ最初の動きはこっちの指揮官の動きでやるんだけどね。

 

『巡回中の鉄血兵発見…多分やり過ごせるわ、一応聞くけど417見えてる?』

「ばっちり…撃ち殺しても良いけど?」

『潜入の意味』

「ジョークよ」

 

データリンクで送られてきた視覚情報とMk23の現在位置、向いている方向から計算してスコープを向ける。

夜闇に浮かぶ鉄血兵のシルエット…あれはRipperか。SMG持ちのシルエットだ。

ヘッドショットを狙えるけどやり過ごせるならば今は見逃す。

 

『行ったわ…他に巡回は来ないみたい』

「この先の小道に入って、そこが一番近いマンホールね」

 

格子状に入り組んだ都市…かなり狭い路地に入った所がその下水道に繋がるマンホールの入り口だ。

巡回する鉄血兵は多くはないみたいだが…恐らくMk23が居なかったら接敵していたんだろう。

Mk23のバックアップもあって全員目的の小道に入り込めた。マンホールの蓋を引き上げて中を覗く。

物音はないしこの暗闇では何も見えない。

 

「では、先行は私が行きますわ」

「続いてわたくしが」

 

まずはG36Cのダミーが降下、安全確認後Mk23が降下視界確保。

そして私達が随時降下する。最後は私が降りて蓋を閉めればOK。

 

「ダミーリンク健在、大丈夫そうですわ」

「了解、ではいってらっしゃい」

 

するするとMk23のダミーが降りていく。意識をダミーに持っていってるんだろう、メインフレームの動きが止まる。

かなり下まであるんだろう…さて…ん、Mk23が動いた。

 

「視覚確保、周囲に敵影なし」

「随時降下、急ぐわよ」

 

回収支援作戦の本当の始まりね…つつがなく終わればいいけど…

最後の私の番が回ってきてマンホールの蓋を閉めてから下水道へとハシゴを滑り降りていく。

下ではNVゴーグルを掛けた皆が居た。私もNVゴーグルを下げて…行動開始だ。




以前触れた先駆者HK417姉貴だぞ。こっちのと違ってAR区分で超冷静でかっこいい系の417だからな。


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Day66 増幅カプセルフィーバー

ダイナモ感覚ダイナモ感覚!
コラボから来た人ごめんね、基本的に番外は時間軸別にしてるから!
そうじゃないとゴッチャゴチャになっちゃうじゃん?


――――――――――――D08基地HK417私室・朝

 

 

突然だが増幅カプセルって言うものをご存知だろうか?私達人形の性能をどうやってか上げてくれる不思議なカプセルだ。

私達の電脳は戦闘データの蓄積によって最適化が重ねられていく。

だが躯体はそのままなんだ。最適化に合わせて躯体の性能も上げていかなければならない。

というか工場出荷状態がリミッターがかかってるような状態かな?

とにもかくにも私達の躯体の瞬発力だったり筋力を上げたり…んーまぁ端的に言えば強くなるヤツ。

先日の夜にI.O.Pから入荷してから各人形に配布されたんだが…私のはまぁ量がアホみたいに多い。

簡易チェックで私の最適化段階はかなり行っているみたいでダミーリンクももう一体追加できるそうだ。

そんなこんなで私はかなりハンデを負った状態での戦闘を繰り返していた状態なのだ。

いや、アホかと思うけどこの増幅カプセルがなかなか貴重なんだって。

支給される時はドバっと来るけど一ヶ月に一回あればいい程度って言うのがお兄ちゃんの言。

アホみたいに大量に飲まなくちゃいけない私は小分けに飲めって言われたけどどういうこっちゃ。

何かあるんなら一気飲みしたらどんな弊害があるとか教えてくれてもいいじゃないの?

 

「試しに一つ…」

 

ぽいっと口に放り込んで飲み込む…特になにもないな。うん…よくわからん。

遅効性なのかもしれないけど…うーん生体部品が多いしそれに作用するのかな?

それともナノマシン的な何かで…うーん詳しい事はわからん!

 

「うぇーい!!417あっそぼー!!」

「うぉ!?」

 

普段からテンションがアホみたいに高いG28がさらにテンション上げ上げで突撃してきた。

ほっぺたには増幅カプセルがくっついてる…おいまさかと思うが過剰摂取はこんな事になるのか?

扉の外はいつもより騒がしいな…共有スペースも地獄絵図なんじゃないだろうか?

聞こえてくる声を聴く限りはお姉ちゃん、UMP姉妹、G11、スオミ、G36が騒いでるのか?

見事なまでに多く配分された連中で笑いが浮かんでくるな…そういう薬なのか、あん?

 

「はいはい、遊んであげるけど」

「わぁいじゃあ417で遊ぶー!」

「それはまtぎゃー!!」

 

テンションあげあげなG28は私に突撃かましてきて私をそのまま押し倒してきた。

私で遊ぶってなんやねんって思うんだけど私が飲むはずの増幅カプセル掴んで…おい何するつもりだ!?

 

「もごもごもごぉぉぉぉぉおおお!!!?」

「そーれもっと食べちゃえー♪」

 

口いっぱいに増幅カプセルを突っ込まれて無理矢理に私は大量に飲まされ…

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・朝

 

 

「417はどこ!ここ!?417はどこに行ったー!!」

「45姉~♪」

「9~♪」

「YoYoYo聞いていけYo私のラップをYo」

「ロシア死すべし、慈悲は無い」

「汚れは全てチリ一つ残さず消滅させます」

「おねぇぇぇさまぁぁああああ!!」

 

普段はわりかし静かな朝な筈のD08基地の兵舎はもうてんやわんやの大騒ぎになっていた。

主に増幅カプセルキメすぎて頭がおかしくなった人形による乱痴気さわぎだが。

UMP姉妹は人目を憚らず二人の世界に没入してから乳繰り合いを初めてからG11はラジカセでDJの真似事。

416は417を探してあっちこっち駆け回り探されている417は自室からG28を抱えたまま飛び出してきた。

スオミはどこから取り出したのか真っ白なメンポをしてから両手を合わせ深くオジギをしている。

G36はなにか悪者顔でお掃除に精を出していた。何この惨状。

 

「FAL…」

「見ないであげましょ、そのうち素面に戻るから」

「あぁキメすぎね」

「みたいですねー…」

 

このあからさまにおかしい惨状に第1部隊のメンツは揃って納得した様子で遠い目をしていた。

かつては自分達が通った道とFALは苦笑いして連中のどんちゃん騒ぎを見守っている。

ラリってる間に何を狂って銃器を取り出したりしたらまずいので鎮圧要員だ。

 

「お姉さま!お姉さまぁぁぁあああああ♪」

「417ァ!」

「416~私も混ぜて~!」

 

一番ラリってるのは摂取量が多い417だった。普段のキャラは完全に崩壊して416に飛びついて押し倒す勢いで抱きついた。

指揮官への愛情が一時的に416に向いているのではないかと思わんばかりのデレデレっぷりである。

G28も混ざってHK3姉妹は416を下敷きにでっぱいな妹がマウントを取る形に。

416と417とG28のブルンバストが潰れあって見事な光景がそこにはあった。

416は416で変なテンションで417を抱擁して頬擦りしていたりG28にもキスしてたり。

わー仲睦まじい姉妹だなーと言いたくなる光景を作り出していた…テンションにさえ目を瞑れば…

 

「ウォッカ死すべし!イヤーッ!!」

「ゴミを検知、排除します」

 

スオミはロシアの匂いがすると常日頃から嫌っていたウォッカを瓶ごとスゴイ=シュトウで叩き割り散らかして…

G36がそんなゴミと化したウォッカ瓶を即座に掃除回収して拭き取りまでするパーフェクトぶりを発揮。

 

「これは素面に戻った後が地獄ね…」

 

FALの呟きはラリった人形達には届くことはなく無情に掻き消されていた。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「だから言ったじゃん一気に大量に服用するなって」

「G28に無理やり飲まされたんだけど…」

「417は無罪」

 

大体私が正気を失っていたのはかれこれ3時間か。このメンツの中で一番ラリってた時間が長かった。

一番服用数が多かったからね。なおこのラリっていた間の記憶はバッチリあります…

お姉さまって言うキャラじゃなかったしお姉ちゃんをばちくそ押し倒してちゅっちゅしてたし…

もうちょっとラリってる時間が長かったら事まで致していたんじゃないかと思う…

というかお兄ちゃんが居なくてよかった。お兄ちゃんを見てたら多分押し倒して…してた。

正気に戻ったお姉ちゃんは暴走シスコンになった私を押し返しながらG28も捌くっていうことをしなくちゃならなかった。

まぁ言っちゃえば私もG28みたくなってたんだからね…正気に戻った後ゲンコツもらった。

 

今日の出撃はラリった私達は使い物にならなかったから正気だった私以外の第3部隊で行ったらしい。

よって私は午後に出撃する第4部隊に回されることになった。お姉ちゃんと一緒に出撃だぜ。やった♪

ついでに今まで出撃待機になっていたスオミとG36の配置も決定。

G36は第1部隊配属、スオミは第2部隊に配属になった。それぞれ活躍してくれることを祈るばかり。

 

G28はというと…今は私に無理矢理増幅カプセルを大量に飲ませた罰を受けてる。

その罰っていうのが…ゲーマーの私がブチギレて投げたクソゲーの数々のRTAだ。

今回させてるのはGetting Over It with Bennett Foddy 通称壺おじさん。

金壺になるまでやらせるっていうクソの所業をさせるのだ。一回クリアするのに一体何回リトライするかなー?

 

「お姉ちゃん」

「何、417」

「そのー…ごめんね?」

「良いのよこっちこそつい殴ってごめんなさい」

 

さて私達はお昼がすぎれば出撃だ。馬鹿騒ぎは一度忘れてお仕事です。

躯体の調子も見たいしね。私自身正気を失ってる間のポテンシャルがアホみたいにあったみたいだし…

日常生活でははっきりした違いは出てこないけど…いくらか機敏になったかな?

戦闘時の限界挙動でようやく見えてくるのかも。

支給が遅れたのは暴走しないかどうかの安全を見てたのかもね。

そんなことを思いながらも私達はお兄ちゃんにお小言を貰っていました…

 

「そろそろお昼食ってきな?」

「「「「「はい」」」」」

 

さて、今日のお昼ご飯は何かな?この4人と食べるのは久し振りな気がする。

 

「正座って足がしびれるわね」

「そう?私は全然平気だったよー」

「眠い…」

「起きなさい、417はおんぶしようとしない」

「「いいじゃん…」」

 

正気に戻ってもまだ少し騒がしい私達でした。

正座は私は別に問題なかったよ。姿勢が良くなって私は好き♪

 

 

――――――――――――D08地区前線・夕暮れ

 

 

「じゃあ~ぼちぼち~」

「待って、敵だよ。3時の方向、数は25」

「了解!」

「こっちでも捕捉したわ、突撃」

「うぇ~…しょうがないなぁ…」

 

カメラ性能は変わらないけど分析能力は上がって気がする。

双眼鏡を覗いて以前ならじっと見て無いと分析できなかった物が一瞬で見分け付いている。

さらに射撃フォームへのシフトもスムーズになって各部に掛かるトルクも段違いだ。

これならフルオートで射撃しても問題なく狙撃できそうだ。

 

「417はそのまま狙撃に徹して、展開するわよ」

「その必要は無いね」

 

断言できる。その前に私が全部片付ける。G11も狙撃に移ろうとしたが私の方が有効射程は長い。

さらに言えば私は狙撃に長けたRFの人形だぞ…ARに遅れは取らない。

セレクターをセミにしてからスコープを覗く。標的はいくつも見えるが右端から順に潰す。

1つ、2つ、3つ…引き金を引く度に銃声とマズルフラッシュが上がり鉛玉が飛んでいく。

20発叩き込んで全部クリーンヒット、一発で機能停止に追い込んでいる。

 

「リロード」

 

マガジンを交換してチャージングハンドルを引き5発叩き込んで…おしまい。

 

「ね、言ったでしょ。展開するまでもないって」

「そうね~417が居るなら私達が動くこともないか~」

「よくやったわ417」

「寝ていい?」

「置いてっちゃうぞー?」

「あだっ…蹴らなくてもいいじゃんか…」

 

躯体のレスポンス、スペック…どれも上がってるな…これが人形の本当の脅威か。

益々もって人間は人形には敵わないな…I.O.Pの人形も反旗を翻したらまずいね…

多分今なら鉄血の一般兵なら殴り殺せるな。手を潰しかねないから応急の応戦手段になるけどね。

寝るとか言ってるG11を蹴って起こしてからキビキビ歩かせる。

 

「私は完璧な姉を持つ417よ?これくらい簡単よ」

 

その後接敵が多くて弾切れを起こして榴弾狙撃することになったけどね。

私は榴弾でも狙撃できる完璧な狙撃手だよ?




417が化物じみてきたけどこの作品にハイエンドは出る予定ないからフレーバーなのよね


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Day67 わんわん!

ネッコが居る、ペットロボが居る…じゃあアレも居ないとな?


――――――――――――D08基地農業スペース・朝

 

 

「ふんふんふーん♪」

 

そんなに汚れることはないからって制服で今日は畑のお世話をしていた。

そもそも制服だって戦場に出ていくから汚れもわりかし落ちやすい素材だしね。

種芋を仕込んでからまだ数日しかたってないからまぁまだ芽なんて出ちゃいない。

毎日欠かさず水をやって土を湿らせることだね。芽出しはしなかったけど大きすぎるのはカットしてから天日干ししたから良いでしょ。

芽が出てきたら芽かき…つまりは剪定をしてから発育を見て土を寄せて…って結構手間がかかる。

肥料なんてのも必要だけど今は倉庫の中に眠っててもらおう。何分臭うからね。

この付近に生息してるかもしれない害虫も居るし発育は楽しみだけどその後のことを考えると厄介だ。

できれば薬剤を使用したくはないしね。とりあえず見つけ次第殺す。

 

「早くおおきくなーれ♪」

 

今日の朝はここまでかな…うん、よっしゃっと立った時だ。何かこっちを見ている?

害意は無いけど不躾な視線を感じて振り向くとそこには…

 

「わふ!きゃん!」

「おーぅ…」

 

見た感じ生後数日といった様子の子犬が3匹金網の向こうに居た。

ふわふわもこもこな毛並みでくりくりの目が私を見ていた…かわいい…

これは保護対象かな…戦火を免れてここまで迷い込んだんだろう。母犬はどこに行った。

しばらく見ていても母犬らしき影は見えない…鳴いてる様子もない。

育児放棄かな…うーんこのまま子犬を放ったらかしにしたら餓死しちゃうだろうし…

まぁ保護確定として…連絡だ。わーちゃんを召喚せねば。

 

「わーちゃんわーちゃん応答して」

『何よ417、あとわーちゃんって呼ぶの止めなさい!』

「大至急農業スペースの方に来て」

『何かあったのね?了解すぐに向かうわ』

 

端末で連絡してから高さ2m近い金網を飛び越えて…おーこいつら人懐っこいな。

飛び越えて着地したら我先にって私の足元にわらわら寄ってきてから…毛玉地獄だ。

これは私一人で抱えきれないしなぁ…わーちゃんも手伝わせて救護室につれていきましょ?

 

「どれ、よっこいしょ…」

「わん!わん!!」

「お前ふわふわだな…んーでもお風呂確定だね」

 

野良とは思えない毛並みの良さだけどかなり臭う。これは救護室で健康診断したあとお風呂にいれないと。

見た感じでは元気そのものなんだけどね。どんな病原菌抱えてるかわかんないし…

 

「417ー来たわ……なによこれ?」

「やっほーわーちゃん、見ての通りのわんちゃん」

「とりあえず抱えて救護室ね…はぅん♪かわいい~♪」

「だね、暴れないでねー?」

 

総勢3匹の子犬は私達に抱えられて救護室に担ぎ込まれたのでした。

 

 

――――――――――――D08基地救護室・朝

 

 

「どうしてこうなった」

 

救護室はダイナゲートも合流してからわんわんパニック状態だ。

完璧に犬のしぐさをインストールされているのかダイナゲートはしきりに子犬のケツを追っかけ回してる。

で、残りの子犬がそんなダイナゲートを追っかけ回して走り回る。

機械での検査が行われたんだけどまぁ病原菌の類は発見されなかったので良し。

でも一応念の為として狂犬病予防の注射はしておいた。マニュアルがあったから間違いはないでしょう。

元気に駆けずり回っているしそのうちお腹が空いて餌をパクパク食べるでしょうね。

そしてお腹いっぱいになったらきっと寝ちゃうから…お風呂は私達が帰ってきてからか…わーちゃんに任せよう。

猫ちゃんと違ってお風呂を嫌がらなかったら良いんだけど…

 

「おいで~♪」

 

それはそれとしてこのわーちゃんデレデレであるよ。ぺたんこ座りしてから子犬が戯れやすいようにしている。

手を叩いてから注意を引いて呼ぶと子犬はわーっと寄っていって膝の上とかに乗ってじゃれついてる。

わーちゃんもそんな子犬を抱えて顔を擦り寄せている。もちろん顔をベロベロ舐められてる。

 

「ん?」

「(´・ω・`)」

「あぁはいはい…だーちゃんも抱っこね?」

 

ダイナゲート…もうだーちゃんって呼ぶことにしたけど。だーちゃんが私の足元に来ていた。

おっぱいに隠れて見えてなかったけどちょんちょんと足を突っつかれて気づいた。

お座りしてから見上げるカメラには顔が浮かんでいて私をじーっと見上げていた。

小柄なだーちゃんを抱き抱えると嬉しそうにしてから…可愛いものね。

頭を撫でてやるとなお喜ぶから可愛い。そのまま肩に乗せると定位置とでも言わんばかりに居場所アピールしてくる。

 

「(*`・ω・´*)」

「ふふ、可愛い♪」

「(*´ω`*)」

 

しっかり私達の言葉も認識してるから褒めるとこの顔だ。

ただ出撃にも付いてこようとするのは止めて欲しいんだよなぁ…流れ弾が飛んでこないとも限らないし。

バックパックにずっと入れてるとそれはそれで私のバックパックの意味がなくなっちゃうし…

まぁ必要なのはタクティカルポーチにぶっこんでおけばOKなんだけど。

 

「わーちゃん後は任せたよー?」

 

救護室を後にする前に見たのは子犬に押し倒されて顔を3匹にベロベロ舐められてるわーちゃんだった。

あんな調子でちゃんとお風呂入れれるかな…ちょっと不安になってきた。

まぁお仕事と切り替えれば子犬の魅力にもやられることはないでしょう。

 

 

――――――――――――D08地区前線・昼下がり

 

 

『ちょっと展開しすぎ、いざって時の連携取れる距離維持して』

「だって、突撃しすぎだよスコーピオン」

「そうそう、Uziだってそうだよ」

「敵を見つけたらすぐ417かM14が殺しちゃうじゃん」

「そうよ、私達の取り分を寄越しなさいっての」

「硝煙の匂いがつかないで済むからダーリンに気兼ねなくスリスリできるからわたくしは良いけど♪」

 

いや知らんがな、マークスマンとしては態々危険に晒す真似はしねぇよ。

今回はドローンを飛ばして逐次指揮官の指揮を受けながらの行動だ。

私とM14が殿、進行方向の結構先にスコーピオンとUzi、そこからちょっと後方離れたところにMk23って配置だ。

因みに私の肩にはダイナゲートが乗っかっている。通信のアンプ機能もあるらしく私がなんちゃって通信兵になってるのだ。

あと一応殺傷能力は無いけどスタンガンも搭載されているらしく暴漢対策になるらしい…

工廠の連中なんてものを突っ込んでるんだか…ペットロボに必要なことかよ。

 

「指揮官、敵捕捉…3時方向、数は30です」

『あっちゃぁそっちからか…前衛は即座に向かってくれ、RF二人は数を10程削ってくれ』

「了解」

「敵だー!!突撃ぃー!!!」

「戦果は私のものよ!!」

 

元気のいいSMGに経験を積ませる目的かな?まぁ私のワンマンショーしてもつまんないでしょうし。

隣で射撃態勢になったM14を見る、目が合う…まぁやることはやってからにしましょうか。

 

「じゃ、やりますか」

「今回は負けないから!」

 

RFはRF同士での小競り合いが発生した。M14もなかなか成長してきててキルレートは3:7に落ち着いた。

後はSMGが小競り合いしながら敵を蹴散らすんだろう…じゃあ私は何をするかって?

他に敵が居ないかの偵察だよ。昼間は私の目の方が効くからね。

 

「ん?」

「どしたの417」

「あれは…野生動物かな?」

『野生動物…状態は?』

「ピクリとも動いてない…死んでるのかな」

『じゃあ417のダミーを向かわせてくれ、状態のチェックだ。生きてたら保護な』

「了解」

 

ダミーの一体を向かわせる意識をダミーに移してから行動…他のダミーに私の身体を守らせておこう。

あ…この動物は…なるほど、そういう事か…

 

「この犬、母犬か…」

 

特に外傷は無いがピクリとも動いてない、眠るように死んでいる白い犬。

乳房が発達した様子から育児をしていたのだろうけど生先永くないのを悟って子の元から去ったのかな…

 

「大丈夫、貴女の子供は私達が保護したから…安心して逝って…」

『417、どうだった?』

「ん…老衰で死んだ犬でした、任務に戻ります」

『そうか…』

 

もう冷たいその身体を撫でてから意識を本体に戻し作戦行動に戻る。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎ペットスペース・夜

 

 

「やっはろーわーちゃん元気?」

「んへぇ~♪」

「うわ…」

 

ふにゃふにゃになったわーちゃんがそこには居た。

わんちゃん達は救護室からペットスペースに移された様でそれぞれ寛いでいた。

茶トラちゃんも新しい家族に警戒気味だけど威嚇にまで至ってないから良いかな?

私の足元に来たワンちゃん抱えてちょっとお腹くんくん…シャンプーのいい香りだ。

ちゃんとわーちゃんがお風呂に入れたみたいだね。不安はあったけどやってくれたんだね。

ん?この匂いは…木工ボンドの匂いが微かにする…?

 

「あら、417も?」

「お姉ちゃん?」

 

なるほど、お姉ちゃんもそう言えば可愛いの好きだったね。子犬と聞いて来た感じか。

私は一応ながらここの世話もしてるメンツだからね?ただ愛でるだけじゃないから。

流石にお姉ちゃんはもうふにゃふにゃになることは無いけど微笑んでる。

ぺたんこ座りして膝に抱っこしてから撫でてる姿は結構さまになってるな。

 

「ボトルシップどう?」

「もう一個完成してから今二つ目を作ってる最中よ。マストを組んでる所だからもうすぐね。」

「ほほー…」

 

私も子犬抱っこしながら隣に座って肩を寄せる。肩に乗ってただーちゃんがお姉ちゃんの肩に乗っかった。

私と似てるから飼い主認定貰ったのかな?違うな、ただ興味津々な様子だな。

しきりにお姉ちゃんの横顔を覗いてはカメラを動かしてる。

それにしてもお姉ちゃんも新しい趣味に没頭してるね。ちゃんと息抜きしてるから良いけど。

 

「で、こいつは?」

「鹵獲してペットロボになっただーちゃん」

「(`・ω・´)」

 

これが器用なもので前片足だけ上げて挨拶じみた動きしてるんだぜ?

そしてほっぺたにボディを擦りつけてから私の肩に乗っかった。

 

「417に懐いてるのね」

「うん、私が飼い主って認められちゃって…」

「なかなか可愛いじゃない」

「だって、良かったねだーちゃん」

 

ペットスペースは今日も可愛いものを求める人形に溢れています。

 

「417~♪」

「「ぎゃー!!」」

 

放ったらかしたG28が押しかけて私とお姉ちゃんを押し倒したのは蛇足だけど付け加えておこう。




わーちゃんキラー追加でーす


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Day68 れっつごーバイク

精神的な打たれ弱さってちょっとしたことで復活すると思うんだ。


――――――――――――D08基地工廠・朝

 

 

「あれ?お兄ちゃんも工廠に用事?」

「げ…417が起きてたか…」

「げってなにさ、げって…」

「あぁいや…わりぃわりぃ」

 

朝からお兄ちゃんに会えてニッコニッコしてたらお兄ちゃんからは嫌そうな反応が帰ってきた。

なんやねんな…と思いながらむすーっとするとすまなそうに頭を下げてきた。

そんなことを言いながらお兄ちゃんが着ているのは立派な革のツナギだった。

私は知ってるぞ、それはライダースーツって奴だ。バイカーが着る勝負服だ。

ということはあの見たことのない鍵はもしや…?

 

「お兄ちゃん、私達に隠してる物があるでしょ?」

「あーまぁ…417なら見せてもいいか」

 

そう言ってお兄ちゃんは工廠横にくっついてるシャッター付きの倉庫を開けた。

するとその中から出てきたのはピッカピカなバイクだ。音叉マークが眩しいでっかいバイク。

単眼ででっかいエアーダクト付きで…その上でっかいエンジンが見えるThe男のバイクって感じのやつだ。

元男だから分かるこのロマンは胸が躍るな…細部に光るメーカーの意地も良い。

これほぼこの車体専用に誂えられたものじゃないかな?知ってる限りのバイクに同じ様な物は無い。

 

「へへ、こいつは俺の相棒さ。一緒に乗るか?」

「マジ?やった♪」

「じゃあこれ貸すから着てきな」

 

お兄ちゃんとタンデムだ。コレほど嬉しいのはないぞー♪

で、渡されたのはライダースジャケットってやつだな。プロテクター付きで人体を保護するヤツ。

あとは私はジーンズに履き替えてから来たらOKだね。よーっし…

 

「じゃあ俺は待ってるから」

「はーい♪」

 

くんくん…お兄ちゃんのお古だな…これ、お兄ちゃんの匂いが濃ゆい…

私のおっぱい入るかな…お兄ちゃんの体型って結構細身だから男物でも怪しいんだよね。

最悪お腹の下辺りで止まっちゃうな。まぁジャケットとしてはそれでもいいかな?

私ちっちゃいしどう頑張っても袖が余っちゃうからそれもどうにかしないとねー…

だーちゃんはお留守番ね?振り落とされるかもしれないから。

 

 

着替えてジャケットを羽織って戻ってきたらお兄ちゃんはバイクに跨って待っていた。

ヘルメットも被ったお兄ちゃんはまんまレーサーって感じだ。バイクはレーサーじゃないけどね。

いや、無骨な黒のレザーだから似合ってるか。ふふ、オールドアメリカンかも。

 

「乗りな」

「うん♪失礼します」

「……おっぱい柔けぇ

「ん?」

「なんでもない、いくぞ、しっかり掴まれよ」

 

このバイクタンデムバーなんて物はくっついていない。必然的に私はお兄ちゃんにしがみつくしか無い。

頼りないシートは私のお尻が半分位出てるし膝でしっかりお兄ちゃんの脇腹を挟んで胸に手を回してからギュッと抱きつくしか無い。

もしかしなくてもおっぱいを押し付けることになるけどお兄ちゃんなら別にいいし不可抗力だからね。

がっこんと音と振動がしてからギアが入り轟音を轟かせながら二輪は走り出した。

 

 

――――――――――――

 

 

大分走った後お兄ちゃんはちょっとした休憩スポットに立ち寄った。

まぁずっと運転してたら疲れるしね。このバイク振動も結構あるから手とか痺れそう。

それ以外にもまぁコーヒーブレイク的な所があるんだろう。私はバイクの傍で半ヘル抱えて待ってる。

ライダーは他にも居るみたいで色んなバイクが止まっている。このご時世だけどこういう趣味は絶えないようだ。

それだけD地区付近が平和だって事だけどね。がっちがちのレーサータイプからお兄ちゃんのに似たクルーザータイプまでいろいろ揃ってる。

中には可愛いスクーターモデルもあってライダーの聖地なのかな?

 

「よう、そこの彼女…俺らと」

「あ、結構です」

 

ガラの悪そうなのが絡んできた…こういう手合は無視したいけどなぁ…

ヘルプ求めれるかなー?おぉっと他のライダーは無視決め込んでるな。こりゃ駄目だ。

まぁこういう手合はちょっと脅せば下がってくれるから良いでしょう。

ただの女の子と思って調子に乗ってるだろうし…弱いと思ってるから調子に乗ってるんだろ。

 

「まぁそう言わずに遊ぼうぜ?」

「結構だって言ってるじゃん。耳が悪い?あ、ごめん頭が悪いんだね」

「チッ…つけあがりやがって、つべこべ言わずに来い」

「つけあがってんのはお前だろ?」

 

そっとヘルメットをミラーに引っ掛けて置いてと…右手が真っ直ぐ伸びてきたからそれを掴んで…

肩を押しながら足払いをかけて張り倒す。コンクリートに思いっきり叩きつけたけど自業自得だからね?

流石の相手も何が起こったのかって顔で私を見上げている。まぁ普通だとこんなロリっ子に出来ることじゃないしね。

 

「分かった?怪我しないうちにアガァッ!?」

 

な、に…が……バチッと言う音と一緒に全身に衝撃が走った。

首筋に何かが当てられたっぽいけど…激痛と一緒に身体の自由が効かなくなる…

 

「サンキュー、助かったぜ」

「ま、こんな時の為のテイザーよ…へへ、見ろよこのでっぱい…」

「じゃあちょっと連れて行ってお楽しみしようぜ」

 

もう一人居たのか…くそ、気が付かなかったな…無遠慮に私の手を取ってから…

い、いや…こんな人に触られたくない…誰か助けて…ひぃぃっ!?て、手が…おっぱ…

 

「おい、そこの兄ちゃんや」

「あぁん?」

「ウチのヤツに何手ぇ出してんだ?」

「怪我したくなかったら失せな。これからこいつとヤるんだからよぶっ!?」

「あ"?」

 

お兄ちゃん…今までに見たこと無いような怒りの表情で殴りかかっていた。

あ、だめだめ…まだシステムダウンした…ら…

 

 

――――――――――――

 

 

「ぅぅん…」

「おう、目が覚めたか…」

「お兄ちゃん…?」

 

身体は怠く重い…まるで人間時に風邪を引いた後みたいだ…

ええっと…何が起こったんだっけ…あ、そうか…ヤンキーがナンパしてきて…

私が手荒い歓迎してから…あぁ、そうだった…そう、だった…

 

「ぅ…ぉ…」

「おいおい、大丈夫か?」

「おぇ…えぇぇぇぇ…」

 

私…危うくレイプされかけたんだ…女としての尊厳が踏みにじられる行為を…されかけたんだ…

大好きな人とのキスもまだなのに…いや、待て私は元々男…あれ、いや…違う私は…

私はHK417だ、ジョシュアじゃない…もうそれは捨てたんだ…今の私は…

こみ上げる嫌悪感に人形らしからぬ嘔吐っていう反応を示してから…またお兄ちゃんを心配させちゃった…

 

「はぁっ、はぁ、はぁ、はぁっ…ぁ…ごめん、大丈夫じゃないかも…」

 

こみ上げる吐き気は収まる様子が無い…荒く息を吐きながらもまだ口から手が離せない。

カタカタと全身が震えて仕方ない…怖い、怖い…嘗ての同性が怖い…怖い!

私は…組み敷かれる側なんだ…どう頑張っても…何かが崩れれば征服される側なんだ…

私は理解してなかったのかな…理解が足りてなかったのかな…

 

「ひっ!?」

「あ、わりぃ…もう、大丈夫だからな…」

 

大好きな人の掌にも怯えてしまって…私、もう…駄目なのかもしれない…

優しく声を掛けてくれるお兄ちゃんに抱き寄せられて…少し震えが治まるけど…

 

「ごめん…もう少し…ギュッとして…」

「おう…」

 

逞しい胸板に頭を預けてみれば不思議と怖さが…軽くなったかも…

でも今度はボロボロと涙が出てきて視界が滲んじゃう…駄目だ…堪えられない…

 

「怖かった…怖かったよぉ…!」

「わりぃ…」

「ふぇぇぇ…わぁぁあああああああ…」

 

感情を抑えきれずわんわんと泣いてから…私はしばらくしてようやく落ち着けた。

 

 

――――――――――――

 

 

「もう大丈夫か?」

「うん…」

「しっかり掴まれるか?」

「うん…」

「じゃあ帰ろうな、俺達の家に」

「うん…」

 

参ったな、417が暴漢に襲われるとは…治安は良いほうなんだがこういう輩はどこにでも現れるな。

バイクの趣味も悪いし迷惑なんだよな…しかしこんなにも417が繊細だったとはなぁ…

最近は安定してきたと思ったけど目の前であんなに吐かれて動揺されて泣かれちゃぁなぁ…

そして落ち着いてもこの始末…帰る頃には元気になってくれりゃ良いけど。

見た目の白さも相余って儚い印象がかなり強い…庇護欲に駆られる。

ずっと俺の袖を掴んで離れないようにしてる辺りもかなり可愛らしい。

因みに暴漢は殴り倒した後治安維持隊に突き渡した。レイプ常習犯だったらしい。

なんつーか…人間のクズって感じだったな…あんな奴に俺の家族を渡せるかってんだ…

 

「ん…」

「じゃあ、しっかりヘルメット被って…な」

「うん…」

 

跨る前に417の頭を撫でてやると嬉しそうに目を細めてくる。

いそいそと半ヘル被ってからパッセンジャーシートに座ったのを見てから俺も跨る。

すぐさま腕が回され背中に柔らかくボリュームたっぷりなのが押し付けられるが…我慢だ。

くっそ幸せだがいまここで盛ってしまったら俺もあの暴漢と変わらねぇ…男たるもの紳士であれ。

キーを差し込みセルを回してエンジン始動。ニュートラルからローに入れて…さぁ帰ろう、俺達の家に。

 

「ねぇー!お兄ちゃん!あのねー!かっこよかったよー!」

 

エンジンの爆音に掻き消されない様に大声を張り上げる417。

 

「守ってくれて、ありがとー!」

 

夕日が地平線に沈みかける時間。走行風に靡く銀髪といくつかの水滴が光を放っていた。

まだ涙は止まらなかったらしい。だがその顔は悲哀に満ちたものではなく…

輝く太陽に負けない満面の笑みであった。帰り着く頃にはきっといつもの可愛らしい417であることだろう。

 

運転に集中する指揮官の頬はすこし赤く染まっていた。

うるさい口を黙らせるためか少々乱暴なアクセルワークをして…

 

「お兄ちゃんって乱暴な運転するのねー!」

「うるせぇ」

 

そんな喧騒を道行く人に届けていた。




リクエストにあった初期のクソザコメンタルの再発ってこんな形で良かったかな?
そして書いていたら普通に指揮官とのラブコメになってしまってた。
どういう事だってばよ。

あとバイクのモチーフは作者の愛車です。


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Day69 兄妹姉妹でお出かけ

なんだかんだで仲良しなグループ


「おまたせ、兄さん」

「おう」

「今日はよろしくお願いしまーす♪」

「フン…」

 

今日は私と兄さん、そしてG28とお姉ちゃんといったメンツでのお出かけになった。

運転席は兄さん、助手席は私で後部座席にお姉ちゃんとG28って配置だ。

社会復帰にあたって兄さんが免許を取得していたのがちょっと意外だった。

曰く車を運転してみたい感はあったってさ。目下の目標はマイカー所持だって。

一応グリフィンの職員って事になってるからお給料はなかなか良い。

基地で働き続けていればそのうち良い車も買えるとは話してたけど…

 

「基地の車はどう?」

「無駄にデカい」

「あははー…」

 

基地の車はハンヴィー、要は軍用とかの大型の物だ。乱暴に扱っても壊れないけど…

兄さんとかが憧れる車とはかけ離れているみたいでさっきからあくびを噛み殺しながら運転している。

後部座席ではお姉ちゃんにひっつくG28、そのうち私にも飛び火しそうだな…

それぞれ私服スタイルで出てきてるからぱっと見では人形達とはわかんないだろう。

特にお姉ちゃんなんてポニーテールで縦リブセーターとジーンズって言うスタイルだ。

私的にはかなりポイントが高い…シンプルイズベストとはこの事だ。

私も似たり寄ったりだけど私は一応スカートだし伊達メガネがくっついてる。

髪型だって後ろででっかい三つ編みにしていて文学少女てきな出で立ちだ。

G28は元気いっぱいな所からかパーカーにホットパンツっていう結構アクティブな印象の服装だ。

兄さんの服?Theオタクって感じだよ?チェックのカッターシャツにTシャツ、ジーンズっていうね。

自衛及び鎮圧用のテーザーガンを携行してるから一般人とはもう言い難いけどね。

 

「兄さんも遊びに出るとはねー」

「久し振りにゲーセンで遊びたかった」

「ゲーセンって面白いの?」

「んー…G28も一緒にくる?」

「行くー☆」

「じゃあお姉ちゃんも連行ね」

「は?」

 

ショッピングモールでは四人で一緒に行動かな。そもそも私は誰かと一緒じゃないとちょっと不安。

昨日の今日のであんな未遂だけど…事件があったばっかりだし…

多分私一人の時にナンパされたら…うぇ、吐き気してきた。思い出すのはやめにしよう。

しかし兄さんのやっていたアーケードゲームって言ったら…湾岸ミッドナイトかな?

確か私のゲームカードもあるし最悪私と兄さんのガチバトルに興じてもいいけど…

それよりmaimaiかグルーブコースターみたいな音ゲーの方が盛り上がれるかな。

あとは…ドラムマニアとギターフリークスのセッションプレイとか。

ふふ、楽しみがひとーつふたーつ…♪

 

 

――――――――――――

 

 

「じゃあ俺は」

「まぁ待てや、一緒に居る意味考えてな?」

「あーあれ面白そうー☆」

「コラ、待ちなさいG28!」

 

人形パワーで兄さんを引き留めてからG28の方に引っ張っていく。

休日って事もあってから人でごった返すゲームコーナーをかき分けて行く。

G28が食いついたのはちょうど良いことに4体並んだグルーブコースターだ。

電子マネー対応だしICカードなら何でもゲームカードとなるから…お姉ちゃんとかも登録可能だな。

備え付けのヘッドホンを拝借して両耳に被せてから…ボリューム設定。

私と兄さんは慣れた手付きで開始、お姉ちゃんとG28は説明を見てたけどセッションプレイへ取り敢えず誘導。

れっつグルーブコースター!

 

操作は簡単、2つあるボタンとスティック兼用なものを叩いて弾いてリズムに乗れ!

視覚的にもも白い音楽を聞き弾きながら乗れるジェットコースター的なゲームだ。

私のレパートリーはあんまり多くないけど…まぁ気合と根性でなんとかするんだ。

 

「曲はどうする?」

「初心者二人に任せましょ?」

「じゃあ私から!これー!」

 

選ばれた曲はなーんだ?わーぉいきなり飛ばしていくな、Nyanyanyanyanya!か。

EXだとマジなマラソンだから結構ダルい選曲だ。ほぼ二分間一定のリズムでずーっと叩き続ける譜面だ。

そのチェイン数脅威の3600コンボだ。いや、アホかと。兄さんもこの選曲には冷や汗流してる。

この譜面な…マラソンなのもそうだけど地味に背景が殺しにかかってくるから嫌い。

フルコン叩き切れたら拍手喝采ものだけどね。中々出来るもんじゃないし。

因みに評価では最難関の1つに加えられる超クソ譜面だ。やるっきゃねぇ。

私と兄さんはEX、お姉ちゃんとG28はハードを選択…大丈夫かなー?

 

「ぎゃー!やっぱりこれクソ譜面!」

「とか言いながらパーフェクトじゃねーか」

「にゃんにゃんにゃにゃにゃにゃ♪」

「……チッ」

 

ほぼ暗記譜面なEXと違ってハードはまだ有情でG28は楽しそうにプレイしているけど。

お姉ちゃんはミスると容赦なく舌打ちしてる音ゲーマーっぽい反応だな…

兄さんは完全に暗記してる勢だからよそ見も余裕だけど私は結構必死。

リズム感は衰えてないな、よしこれフルコン狙える。体力はばっちしだしね。

 

「いえーいフルコーン!」

「おー」

「一体何がいけないというの…」

「普通に楽しみなよ416~」

 

いえーいって兄さんにハイタッチしてから嬉しくてぴょんぴょん飛び跳ねちゃう。

文句なしの自己ベスト更新だもんねーいえーい♪

 

「レベルたけー…おい、誰か声掛けて来いよ」

「じゃあ俺が…」

 

「部外者は黙ってなさい」

 

「「ヒエッ」」

 

う…ちょっと怖気がする…G28ちょっとお姉ちゃんに元気を分けて…

こういう時お姉ちゃんのツンツン具合が助かるよ…一発で黙らせてるもん…

 

 

――――――――――――

 

 

ゲームセンターで遊んではしゃいでってしていたら割と時間が過ぎていた。

兄さんを連れてプリクラとか撮ってたら兄さんが腹減ったって音を上げてねー…

 

「お姉ちゃんはゲーセン楽しかった?」

「そうね…リフレクビートってヤツは楽しめたわ。それと417が楽しんでる姿を見ているのは良かったわ」

「んへへ…湾岸ミッドナイトとかちょっと口が悪くなってたと思うけどね…」

「かなり荒っぽい口調になってたわよ?」

 

今居るのはショッピングモールのフードコート。そんなに安くはないけど食料品を提供するお店が立ち並ぶ。

私はお姉ちゃんとお揃いでハンバーガーショップに並んでいる。

勿論と言うか私が不安だからってお姉ちゃんと手をつないでる。見た目からして歳の離れた姉妹ってところかな?

湾岸ミッドナイトは結局兄さんがソロプレイし始めたから私もソロプレイで並列プレイ。

プレイングは対極的とも言えるかな?兄さんはとにかくパワーでゴリ押す。

それに対して私はグリップをちゃんと取ってからコーナーで詰めるタイプだ。

しかし口の悪さはお揃いでCPUだろうが邪魔されると口汚く罵るんだ。

特に兄さんは酷くてなぁ…平気で放送禁止用語とかバンバン出すんだ。

今日だけで何回Fワード出したよ?私はもう数えたくないぞー

 

「お姉ちゃんは何にするの?」

「照り焼きバーガーね」

「じゃあ私もそれにする♪」

 

中々美味しいことで有名なハンバーガーショップだ。肉は貴重な天然物だから割高なのが玉に瑕だけどね。

照り焼きソースは残念ながら合成品だが悪い味ではない。

お支払いを済ませればちょっと待つだけで出てくる。このレスポンスの速さがこのショップの売りだ。

半世紀前まではジャンクフードって言われるぐらいにありふれた食事だったのにね…

 

「お、きたきた」

「じゃあアイツの所に戻るわよ」

 

兄さんはちょっと時間の掛かる食事を先に頼んでて席取りを頼んでた。

出来上がればアラームが鳴ってから取りに行くってスタイルの奴だね。

G28は前に私が食べてたサンドイッチ屋に行ってるみたいだ。

 

「ふぅ、こんなに人間が溢れているとはね」

「実際の所は人形も混ざってんだろうな」

「でも殆どもうわかんないよ…第二の人類って感じだね」

「おまたせー☆」

「…お前ら先に食ってな」

 

一番お腹が空いてる筈の兄さん意外が速攻で出来上がってたり…

んー…これは可哀想だから…ちょっと位かじっても良いでしょ♪

 

「兄さん、あーんして♪」

「……いや、いいから」

「お腹空いてるんでしょ?ほれ、あーん♪」

「………うめぇな」

「すこしは紛れるんじゃない?んふふ♪」

「417~こっちにもあーん♪」

「はいはーい」

 

そっぽ向いてるけど照れてるなー?美少女からのあーんはキツかったかなー?

 

 

――――――――――――

 

 

「よし、じゃあ買うもの買ったな?」

「おー♪」

「えぇ」

「ばっちりー!」

 

食事をした後は各々必要だったり買いたいものを買って回った。

G28は新しい服を買ってたけど…私のおっぱいは入らないのにG28のおっぱいは入るって言うのが納得いかない。

そんなに私のはでっかいっけ…?並んで立ってもよくわかんない。

結局私はメンズのYシャツとかを着てたり。色々ダボダボだけど胸周りはピッタリってね。

あと我慢できずにオーダーメイドでゴスロリ服を発注した。出来上がりは何日も掛かるって言ってたけど楽しみだな。

なお私の身長とおっぱいのバランスに戦慄されていたけど知らねーよ。

私は今回はほぼ手ブラ。農作業用のオーバーオールとG11に頼まれてたラムレーズンアイス位だね。

お姉ちゃんは猫ちゃんグッズ、G28はお揃いにしたいのか縦リブセーターを買ってた。

兄さんはコーラを大量に買ってた。SAAにあげる用って…

 

という訳で荷物は後部座席の真ん中にどーんです。兄さん購入のコーラの山がやべぇ。

 

「しかしよぉ、417」

「ん?なーに、兄さん」

「あんまし無防備にあーんとかさせんなよ…」

「えーなんでー?」

「お前さ、あんまり自分の魅力っていうの理解してないだろ?お前が2次元の存在だったら迷わず告白してるからな?」

「ぶっふ…ま、まぁ…確かに…なんとなーく美少女って位には思ってるけど」

「お前とびっきりの美少女だからな?よく弁えておけよ?指揮官からお前が襲われかけたって聞いて俺も心配だったんだからな?」

「うぇ…それは…ごめんなさい」

「とにかく、お前は自分をもっと知るんだな」

 

兄さんからかつてないダメ出しを貰った…これはぐうの音も出ない。

縮こまる私に対して兄さんはポンと頭に手を載せて…撫でてくれた。

 

「それに関しては私からも意見があるわ」

「うげぇ…お姉ちゃんまでー?」

「417は異性からの視線に無防備過ぎるのよ、もっと警戒心を持ちなさい」

 

帰りの車中は私大説教祭りとなりました…ちゃんちゃん。




可愛い妹にあーんされたい人生だった


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Day70 ダミー人形今日も絶好調

増えるダミー、加速する暴走



――――――――――――D08基地工廠・朝

 

 

今日はダミー人形の搬入が朝から行われていた。

I.O.Pのテクニカルスタッフによる簡易チェックで規定以上の最適化が終了している人形にダミー人形を配給するってやつね。

今回納入されたのは私の追加の一体とG36、G28、スオミのダミーだね。

一般的なダミー人形はぶっ壊してもすぐに修復可能な簡易量産型みたいなところがある。

私のダミー人形は私って本体が特殊なせいでAIがトンチンカンな事をしでかしたりする。

本体のAIを大雑把にコピーして複写してるらしいんだけどね。ほら私のは完璧にコピーできなかったって言ってたし。

同じくコピーが出来ないM4A1って人形のダミーはそんな事無いらしいけどね…

本体が工廠に呼ばれてるのは一応ながらシステム的にリンクさせるわけだから異常がないかその場で申告してもらおうって事だろう。

私は増加だからそんなに問題は無いはずだけどね。システム的に限界である5リンクになるから予期せぬ事も有り得るんだろう。

専門家じゃないし詳しくないから分かんないけどね。私的には手のかかるダミーが増えるって思うと気が重い。

だって私生活がね…事あるごとにセクハラ被害に遭おうとするし…

私の何をフィードバックしたらああなるんねん。訳がわからないよ。

あれか?野郎だった時の性欲とかがそのままフィードバックされた結果なのか?

ダミーのAIの奔放っぷりに手を焼いてるんだけどどうにかならないかなー…

 

「ん、私の人形か」

「こうして自分が並べられていると不思議な気分ですね」

「そうだねーどれも私とそっくり!」

「寸分違わず同じですね…すごい…」

 

納入されてきて最終チェックを受けているダミー人形達。

本体と寸分違わない外観で眠ったままあちこち触られているのを見ているのは不思議な気分だ。

全く知らない相手じゃないから嫌悪感はそこまでないけどね。

ダミーの初期設定が終わると今度は私達とのリンクが始まる。

自分の指揮下に各ダミー人形を置くことになる。私の場合は既にある指揮系統に追加するだけ。

他の人形は新たに指揮系統を作ってからその傘下に各ダミー人形を登録することになる。

これで各作戦行動や大雑把な指示を出せるようになるわけです。

私はさっさと終わるけど他の人形はちょっと調整が入るから長引くかな?

 

「ん、ちゃんと登録完了。起きなさい」

「おー…お、本体おっす」

「各システムリンク正常、問題なしです」

「こちらでも確認している。君はもう行っていいぞ」

「はい、じゃあダミー行くよ」

「暑い、脱ぐ」

「脱ぐなぁー!!?」

 

早速トンチンカンなことをしでかしおってからに!制服を脱ごうとするダミーなんて聞いたことねぇぞ!

 

 

――――――――――――D08基地食堂・朝

 

 

さぁメイド姿でのご奉仕です。G36は今調整中なのでね。私がやるっきゃ無い!

早速追加されたダミーも総動員してから配膳とお料理の2つをこなしてるんですが…

ストッパー役にお姉ちゃんを雇っておいてよかったというか…

 

「ダミーA!そこで何をしてるの!」

「えー?おっぱい持ってもらおうかと」

「いい加減に「指揮官だ!囲め囲め!」こらぁ!!」

「「「おー!」」」

「うぉ!?」

「仕事をしなさいアンタ達はぁ!!」

「「「「いにゃぁぃ!!!?」」」」

 

もうこの有様でさっきからお姉ちゃんの怒号がキッチンにまで届いていて私はお料理に集中できてない…

ちらっと見たら食堂に朝ご飯を食べに来たお兄ちゃんを囲んでカゴメカゴメしてからお姉ちゃんにゲンコツ貰ってる。

あーもう何やってんだか…配膳とお片付けのお仕事してよ…

因みに私が作ってるのは朝に嬉しい小ぶりの生姜焼き。一口サイズのを三枚セットで提供してるの。

下準備と簡単な焼料理だからそんなに集中しなくても失敗しないから良いけどね…

勿論私もメイド服でお料理していますとも。お料理終われば私もお片付けに参加しますからね。

 

「ぶーぶーお姉ちゃんだって指揮官とベッタリしたいくせにー」

「そーだそーだ」

「私達と一緒にべったりしようよ」

「しきかーん子作りしよ♪」

「「ぶっふ!?」」

 

ダミー!!?何を口走ってるぅ!?あまりの事に私とお兄ちゃんがシンクロしたよ!?

私は確かにお兄ちゃんの子供を産んでもいいくらいに大好きだけど!ど!!

ちょっとお口にチャックしろバカダミー共!あとちゃんと働け!!

 

「ふんぬ!」

「たわばっ!?」

「嬢ちゃん、おたまを投げないでくれ…」

 

キッチンから調理器具の1つを投擲してからダミーの頭にぶち当てて黙らせることにした。

停止命令を聞き入れないんだもん。もうやだこのダミー…

 

「はい、さっさと運んでいけバカダミー!」

「本体もべったりしたいくせにー」

「だまらっしゃい!!」

 

今度は私の鉄拳が唸った。フィードバックで私にも帰ってきた、くそぅ…

 

 

――――――――――――D08基地工廠

 

 

「これはどこー?」

「それはそこに、いまダミーが担いでるのもそこで頼む」

「了解」

「「おー」」

 

メイド服から着替える事無く今日はそのまま工廠の方に戻っていた。

なにせダミーの納入は結構な重労働なのだ。人の手でやると結構ダルい。

本体はすぐに納入出来るんだけどその後に届くメンテナンス用品とかが兎に角多い。

あと銃とか替えの衣装とかね。かさばるんだよ。そこで私がお手伝いを申し出たのだ。

ちなみにまだ作業中だからあんまり声がけは出来ない雰囲気…

いつもは軽口を叩いてたりするメンテナンス班も今ばかりは真剣そのものだ。

こういう雰囲気を時たま見せてくれるから私はこの人達を嫌いになれないんだ。

 

「よし、じゃあちゃっちゃと終わらせよう」

「そして指揮官にナデナデしてもらうの」

「あわよくば抱かれる」

「既成事実の作成」

「にんっしん」

「よしお前らから先に片付けてやろうか」

 

こっちの減らず口は全然閉まらないぜ。ゲンコツで結局黙らせたんだけど私の頭が割れそう…

アレなのか、私の深層心理が出てたりするのか?私ってそんなにやらしい子なの?

いや、このボディになってからそういう欲は結構減ったと思うし…うーん。

 

「これで終わりかな?」

「「「「もうない!」」」」

 

各物品の運び込みは完了、納入品チェックリストと照らし合わせながら漏れがないか確認。

……うん、漏れなし。パーフェクトだね。じゃあこれでおしまいかな?

 

「主任、納入完了だよ。漏れなし!」

「おう、ありがとよ417ちゃん」

「えへへ♪」

「「「「私にもやれー」」」」

 

主任のゴツゴツとした手が私の頭を撫でたらダミーが主任を取り囲んだ。

それぞれ頭を撫でられると満足したのか離れていってから宿舎に戻るかな…?

あんまり変なことはもうしないでくれよ…頼むから…

 

「調整終了だな、どうだ?」

「初めて一からさせてもらって楽しかったっす」

「俺達もスキルアップしてきたって事っすよね」

「あ、417ちゃん今日も良いおっぱい…」

「あははは…」

 

ふーん、メンテナンス班の若い衆に今日は任せていたのか。

なるほど、後進もちゃんと育ててるんだね。良い事だと思う。

 

「ん…終わりましたか?」

「ふぁぁーぁ…終わったの?」

「……ぁふ…終わったんですか?」

 

「おうよ、こいつらがばっちしやってくれたからな!」

 

ふふ、主任に背中を叩かれて照れながらもいい笑顔だ。こういう雰囲気大好きだよ。

因みにスオミ達のダミーは普通にちゃんと言うことを聞いてた。ちくしょう。

 

 

――――――――――――D08基地カフェ・夜

 

 

「いらっしゃいませ」

「いらっしゃーい♪」

 

フレンチなメイド服に身を包んだ私達417がお出迎えする夜のカフェ。

マスターは黙々とお酒やコーヒーを提供して私達がおもてなしするの。

まぁ今日は全休明けで規定量以上のお酒は絶対に提供されません。

飲み過ぎで翌朝動けないとかシャレにならないからね。マスターの心配りです。

 

「お姉ちゃんだ」

「囲めー!」

「ちょっと…もう、何よ?」

 

ダミーがまた暴走し始めた…今度のターゲットはお姉ちゃんだ。

お姉ちゃんもこれには満更でもなさそう。お姉ちゃんは夜のバーの雰囲気が好きらしくてお酒は駄目でもよく訪れる。

付き添いはG28だ。ついでに私のダミーに囲まれてG28はかなり嬉しそう。

 

「ご注文を」

「チョコレートケーキとキャラメルマキアート」

「私は春田さん特製のプリン!」

「かしこまりました」

 

こういう士気に直結する事には金に糸目を付けないお兄ちゃんだから割といい素材が手に入る。

そしてそれにテンションが上がるのが私とスプリングフィールドな訳で…

スプリングフィールドお手製のケーキとプリンは絶品なわけで。

私が淹れたキャラメルマキアートも割と好評でリピーターが地味に増えてきている。

 

「はい、ダミーはお姉ちゃんとG28の案内」

「がってん」

「しょうちのすけー」

 

びしっと敬礼してから二人の手を引いて空いている席に案内して…

注文の品を渡すとそのまま配膳していったんだけど…お姉ちゃんに頭を撫でて欲しいのか傍から離れないな。

はーいそこのバカダミー共撫でて欲しけりゃちゃんと働けー?

 

「おっす、やってる?」

「指揮官!」

「一番乗りー!」

「二番乗り!」

「おっぶふ」

 

あーあ、お兄ちゃんに我先にひっついて…前から後ろから抱きついてから

ダミーによる輪形陣が完成していた…おい、離れろや。そしてさっさと案内しろ。

 

「はいはい、バカダミー?」

「へーい」

「ちぇっ…ごあんなーい」

 

他の職員にはこんな反応は無い。精々セクハラされに行く程度…うーんやっぱり私の好意とかが逆流してるのかな?

それとも無意識にそういうのを送っちゃってたり…?うーんダミーの暴走理由がわかんないなぁ。

 

「417ちゃん、ビール」

「おつまみは?」

「チーズクラッカー」

「はい、了解しました♪」

 

今日の夜遅くのバーはしっとりと時が流れていく。

毎日飲んだくれで溢れるような事は無いのだ…多分。




いっつも飲んだくれに溢れるバーなんて無いんやで。


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番外 S09地区の結婚式1

大コラボ回なので私も混ぜてもらわないとねぇ…?



「ねぇお兄ちゃん…緊張しない?」

「やべぇよやべぇよ…」

「まぁまぁ指揮官リラックスしましょ~?」

「45姉の言う通りだよ、指揮官♪」

「ガチガチなのは問題だけど…程よく緊張しなさいよ」

 

ドレス姿の私達とパリッとしたスーツ姿のお兄ちゃん。

ここはどこかと言うと最近交流ができたS09地区の基地だ。

表立っての用事は基地間の交流となってるが実際の所は結婚式だ。

それも人間と人形。同性同士での結婚だ。私は聞いた時は耳がおかしくなったのかと思った程だ。

両方新婦になるわけだけど…指揮官がユノって名前のティーン・エイジャーで人形がPPK。

基地総出でわちゃわちゃ準備してる感じらしい、道中の案内役の人形がそう言ってた。

車での移動中私もちょっと緊張気味。このドレスでさらに余興もやるんだからへまできないもんね。

さらに言えば私達以外の基地からも来客があるらしい…余計にへまできねー…

 

「あの大規模作戦を成功させた切れ者が結婚なぁー…」

「低体温症作戦だっけ?」

「そうそう…俺達D地区の指揮官は戦力外通告受けたやつな!」

 

大規模作戦を終わらせた祝も含めてたりするんだろうか?

ハイエンドモデルが多数目撃された作戦らしいけど無力化に大きく貢献したって話しだ。

 

お、見えてきたのかな?あれがS09地区の基地かぁ…中々でっかい…

門番と護衛の人形が話し合ってから…よし、通ってよしって?

…私メイク変じゃないよね?ってちょっと心配になってきた。

 

「大丈夫よ、417のメイクはバッチリだから」

「ほっ…」

 

お姉ちゃんがサムズアップしてからばっちりだって保証してくれた。

ここの基地の64式が誘導してくれて…お、もうOKですか?

 

「おぉ~」

 

車から降りてみればかなーりわちゃわちゃしてる。

ん、ここの人形かな?あ、スチェッキンおっすおっす!

 

「いらっしゃい、急な招待だったのに来てくれて嬉しいよ~」

「うむ、そこまでまだ付き合いが長いというわけではない、それに距離もあるというのにありがたいことじゃ」

 

M1895とスチェッキンのお出迎えだ。M1895はこの基地の副官を務めている。

指揮官との間柄はかなり親密らしくおばあちゃんなんて言われてるらしい。

私が知ってるM1895は白いコートを羽織った出で立ちだけど…今日は流石におめでたい席だからドレスで着飾ってる。

確かに付き合いが出来たのはつい最近だけど招待されたとあっちゃぁ来ないわけにもいかないでしょ。

 

「いやいや、そちらのスチェッキンには良くしてもらったからな、改めてだがこちらも招いてもらってありがとうございます」

「そうだよね~、ここの指揮官さん見るのも楽しみだし、何より結婚式っていうのも初めてだからね」

 

そうそう、私は結婚式って言うのは見たことがない。楽しみなんだよ。

それにここの基地って私を見ても驚かなかったし…どんなイレギュラーが居るのかなって。

 

「ねぇ、あれダイナゲートじゃない?」

「え、嘘、どこどこ!?」

 

だーちゃん!?と45姉の指差す方向を見るとぴょっこぴょっこ跳ねながら警戒行動してるだーちゃんを発見。

ボディのカラーはウチのと違ってノーマルっぽいけどマークはしっかりG&Kのマークだ。

かっわいい…私達の声に反応して怪訝そうな様子でこっちを見てるのもかわいい…

 

「はぅ~ん…♪」

「いや、戻ってきなさい417」

「あぃた…」

 

いかんいかんトリップしてた…やっばいスチェッキンの目が怪しい。

 

「まぁ詳しい話は受付でね~」

「了解だ…ん、俺達以外の招待客か?」

 

後方を見ると私達が乗ってきた車の隣に似たような車が二台止まってぞろぞろ人が…

ん?ん!?んんん!!?まってアレはまずいんじゃねーの!?

 

「ハンター!?」

「いや待って、デストロイヤーとゲーガーも居る!」

 

鉄血製のハイエンドモデルなんてのが3体も降りてきたんですけどぉぉぉおおおお!!?

待って待って銃はガンケースの中だぞ。今から取り出して間に合うかよ。

さ、最悪お兄ちゃんだけでも逃さないと…私達がすっと指揮官を庇うように立つと…

 

「ああ、待て。すまぬ驚かしたがあれは味方じゃよ、久しぶりじゃなF小隊、それとベルリッジ指揮官」

「はい?え?あぁー…あの噂の…」

「え?」

 

M1895…いや、もう面倒くせぇから副官でいいか…副官の言にお兄ちゃんは納得した様子で私達を下がらせた。

F小隊…ベルリッジ指揮官?ん、社内報で見たことある名前だな。

 

「F、ね…」

 

お姉ちゃんはなにか思う所があるんだろうか?F小隊の方を見ている。

見た感じでは私達のメンツを変わらないように見えるけど…

 

「Meaning of freedom, me there」

「わぁお」

 

F小隊の416が口を開けば飛び出したのは流暢な英語でございました。

向こうのメンツうん…何というか…個性的すぎて笑えてくる。

F45は何というか小動物的な印象を受けるしF11はお前…本当にG11型?って思うほどキビキビ動いてるし。

唯一大差無いかなってなるのはF9だけど…やっぱりなんか違うってなるな。

 

「ハンターだ。色々あってな…敵ではないから安心しろ」

「デストロイヤーだよ!」

「ゲーガーだ」

 

そしてこのイレギュラーよ…鉄血ハイエンドがこうなってるって…噂程度に聞いてたけど…

夢物語か何かと思ってたけど…うーんF45の言もあるし様子から見てもマジな家族って感じだな。

 

「HK417よ。まぁ元は416の不良ロットなんですけどね。よろしく♪」

 

敵じゃないなら…邪険にする必要もない。仲良く出来るならそれに越したことはない。

ん?私達の紹介が終わったところに基地から誰かきた…この先の案内かな?

 

「いえ、着替えてこようと思ってね、今日は『めでたい』日だから、二人を『愛でたい』からね、ふふっ」

「は?え?いやいやいや、え、何?あのVector、え、Vector?」

 

私の知ってるVectorって人形はあんなギャグを言うキャラじゃねーぞ!?

それにあんなふうに笑ったりしねーし…もっとこう退廃的な…いや違う、何にも意味を持てないというか…

戦いにこそ自分の価値があるみたいな?そんな雰囲気だよね?どうなってるの?

 

「言っただろ、イレギュラーな人形は茶飯事だって、つまりそういう事さ」

 

これ?これがイレギュラー?私みてびっくりしただけで済んだ理由、これ?

 

「……あれよね、この基地に少し居るだけで驚くのが無駄だって理解できるわね」

「同感…」

 

思わずといった様子でお姉ちゃんがぼやいたけどまったくもって同感だよ!

何だよこの基地…ほらー!お兄ちゃんだって変な顔で固まってるし…

45姉と9姉はまぁ面白いからOKみたいな感じか?

で、受付で招待状と私達の登録?が行われる。網膜とかの登録って…ふーん?

って待て、ここにもハイエンドモデルじゃねーか!しれっと居るから見過ごしそうだったぞ!?

どうなってんだこの基地ぃ!!ここにもハイエンドモデルって…この基地も共存できてる基地なの!?

 

「はいオーケー、これで警備ロボは無害だし、ダイナゲートと遊べるようになる特典も付いたよ~」

「え、マジ!?ダイナゲートと遊べる!?」

「遊べるよ~、ほらしゃがんで呼んでみて」

 

私とF45が食いついてからしゃがんでダイナゲートを呼んでみる。

 

「「おいでー♪」」

 

ぴょっこぴょっこ警戒してたダイナゲートが反応してこっちを見た。

照合してるのかちょっとこっちを見つめた後…わーこっちに来てくれ…

 

「ぎにゃぁあああああああ!!!!?」

 

何この数いやー!どばーっとやってきて私に我先にって感じに群れてきたー!?

ひーふーみーよー…たくさん!!もうこのだーちゃんの群れは想定外だよー!?

いや、ちょっとドレスの裾をつまんで登ってこないで、いやー!見えちゃう見えちゃう!

しゃがんでるから飛び乗れるのか私の頭の上や肩の上は占拠されたし…

乗れるのかおっぱいの上にすらちょこーんと乗られて…これは動くに動けないんですけど…?

というか落とさないようにって胸の下に腕を回さないといけないから…

お隣のF45は普通に撫で回してたりしててから特に影響なさそうなんだけど…何この差。

あれか?鉄血と共存できてるものとそうじゃないやつの差的なものなのかな?

 

「お兄ちゃん…へるぷー…」

「416、ゴー」

「了解」

 

結局私は数体引き剥がしてもらうまで満足に戯れると言うことは出来なかった。

過剰に集られて身動き1つとれない状態になっちゃったんだもん…

 

「おおっと、お二人悪いけどそろそろ式場に迎えないとね、なぁにこの後でも遊べるしなんだったら何体か見繕ってみるかい?」

「マジで!?お兄ちゃん!」

「え、マジ?いやウチにはもう一匹…」

「駄目なの…?」

「うぐ…しょうがねぇ…」

「やったー♪お兄ちゃん大好きー♪」

 

やったぜ。これでウチにもだーちゃんがいっぱい来るんだ♪んふふ♪

わーちゃんもこれには絶対にっこりだよ。それどころか他の人形もこれにはにっこりだって!

それにほら。警備ロボットっとしても機能するんだったら良いじゃん!

 

さてと…それじゃあ式場内にお邪魔しましょうか。

 

 

――――――――――――

 

 

案内のスチェッキンについて行って基地の中に入っていく。

外観からも察していたけどかなり大きい…これが最前線の基地か。

それ以上にすれ違う人形の数がスゴイ…この基地だけでいったい…何体所属しているんだろう?

Storage…倉庫か。うわ、でっかいな…工場の倉庫って言っても信用するぞこれ…

これには皆驚きって言った所だね。いやF小隊はそんなに驚いてなさそう…結構来てるのかな?

 

倉庫の一角がチャペルに改造されてた…真っ白な内装に賛美歌用のピアノかな?

上を見ればステンドグラスもあるし…かなり手が込んでいるな。

そして壇上には聖書を持ったシスター風のG3か…となると牧師役か。

先に到着していた組だろうか。副官と同じM1895の姿があるが別の基地の子だろう。

そして今壇上に居るG3とは別なG3も参列している。うんうん…訳わかんなくなりそうだぞー?

とと、賛美歌と新婦同士の紹介のパンフか…新婦ユノと新婦PPK…うわ、幸せそうなカップルだな。

どの写真を見ても笑顔だ…それもとっても幸せそう…あは、この赤面とか見ているだけでもこっちが幸せになる。

 

「それでは、新婦PPKの入場です」

 

一同揃って式場の入り口を見ると扉が開かれ戦術人形のPPKが純白のウェディングドレスに身を包みヴァージンロードを歩いてきた。

付き添いの人形と一緒に晴れやかな笑顔で…ふふ、おめでとう。

 

「おめでとう」

 

自然と口に出てた。耳に入ったのか笑顔がより一層深くなった気がする。

壇上に上がり…これから待つのか…夫側の立場になるのかな?

しかし…良いなぁ、ウェディングドレス…かなり憧れちゃう…綺麗だもん。

 

瞑目していた牧師のG3が目を見開き扉を見る…いよいよかな?

 

「それでは、新婦ユノの入場です」

 

一斉に扉を見れば…ゆっくりと開け放たれた扉の奥にこれまた…太陽のような暖かな装飾が施されたウェディングドレスを身にまとった可愛らしい人間でした。

副官と手を繋ぎP7とステアーにベールを持ってもらいながら入場する姿は…綺麗だった。

 

「っ…」

「これは…」

 

しかし見れば痛ましい傷跡が身体に刻まれていて…壮絶な過去を物語っている。

でも本人は朗らかに…今にも泣きそうな幸せな笑みを浮かべている。ここで祝福以外の感情を持ち出すのは無粋だね。

 

「おめでとー!」

「幸せにな、嬢ちゃん」

 

一歩一歩…副官と共に壇上へ向かいヴァージンロードを歩む指揮官さんに視線と拍手以外に言葉で祝福する。

PPKの元にたどり着けば副官はそっと離れ…式が始まる。

賛美歌斉唱に聖書の朗読…そして神への祈りを捧げて…お決まりのアレでしょう?

G3がPPKを見抜いて誓いの言葉を読み上げていく…

 

「汝、PPKはこの女を妻とし良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことに、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」

 

おぉ…G3からの言葉に圧がある…誓わなきゃ殺すぞみたいな…

でもPPKは全く動じずしっかりと見つめ返してから真剣な眼差しで誓った。

 

「誓います」

 

ふっと重圧が霧散してからG3は嬉しそうに頷く…試していたのかな?

っと今度は指揮官さんに向き直って言葉を続ける。

 

「汝、ユノはこの女をを夫とし良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことに、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」

 

おぉぅ…こちらにも圧をかけるねぇ…でも指揮官さんも全く動じてない。

笑顔を浮かべたままながらも真剣に言葉を続ける。

 

「誓います」

「その言葉、確かに聞きました。では指輪の交換を」

 

お互いの手を取り結婚指輪を左薬指に嵌め込む。ふふ、二人の笑顔が眩しいな。

誓いのキスも手慣れた様子で済ませて…あーあ、凄く幸せな雰囲気だなぁ…

 

「ここに、二人の婚姻の儀を終え、皆様に夫婦になったことを宣言し式を終えることに致します」

 

お幸せに、これから歩む二人の道に幸多からんことを祈ってます。




改めてですけど、ユノちゃんおめでとうございます。
D08地区の417ちゃんが代表して祝福します。
勝手に描写した所がある?許せカツオ
キャラの口調がおかしい?許せカツオ











あ、すいません今日の分はこれで…ちょっと作者の調子が悪いので…許して許して…


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Day71 417も時にだらける

お世話焼きも参ればこうもなるでしょ


「押さえろ」

「へへ…これから楽しいことをしようぜぇ…」

 

怖い…私の自由は奪われて組み敷かれている。薄暗い部屋に押し込められて…

薄ら笑いを浮かべて私の顔を覗き込む二人の男の影。声が出ない。

私の意思に反して身体は動かないし声も出ない。ただただ怖さだけが募っていく。

情欲にギラついた目が私の顔を映す。恐怖に彩られた私の顔が映っている。

元々防御力が無いに等しい私の制服は見るも無残に破かれている。

そして…男が覆いかぶさって…私の両胸を揉みしだいてくる。いやだいやだいやだ…!

さらに言えば股座に固く熱くいきり立った物が擦りつけられている…何を意味するか…私だって嫌ってほど分かる。

初めて私の身体が私の意思を汲み取って動いていくれる…恐怖に息を呑んだ。

そんな私を見て男二人はいやらしい笑みを深くして…最期の砦である下着を…

 

「はっ…はぁ、はぁ…はぁ…」

 

夢だ…ここ最近ずっと見続けている夢だ…私の心の奥にこびり着いた恐怖が具現化してるんだろう…

お陰で睡眠途中で目が覚めてかく必要のない寝汗で寝間着が肌にぴったりくっついている。

蹴飛ばしてしまった布団にも寝汗が染み込んでいて重たくなっている…髪もだ…

もしもあの時お兄ちゃんが助けてくれなかったら夢の続きがそのまま現実だったんだろう…

それがたまらなく怖い…今も私の胸を締め付けて苦しめている。

男の頃なら一度も味わうことのない恐怖だ。絶対に…ありえない恐怖。

 

「ぅぉぇ…」

 

やばい、吐き気まで催してきた…洗面所に駆け込まないと…

洗面所の鏡に映る私の顔はげっそりしていてこのままだと絶対に心配される…

けど…言えるわけない…戦術人形なのに夢を見て…それも悪夢で毎晩魘されているなんて。

本来人形に夢を見ることなんてありえない…まぁ私が元人間だって言うのが関係してるんだろう。

お姉ちゃんにそれとなく聞いてみた所寝ることは必要だけど夢を見ることなんてないって…返事があったし。

つまり…今私を襲っている事は私がどうにかしないといけない問題なんだ。

レイプ未遂事件がトラウマになってるんだろうけど…どうやったら良いのかな…

 

「はぁ…」

 

まだまだ暗い兵舎に私のため息が溢れる。日が昇る頃にはいつもの調子に戻っておかないとな。

あーあ、戦場での恐怖なんて物は無いくせにレイプが怖いってなんだよ…私こんなに弱かったかな?

豆腐メンタルであったとは思わないけど…普通の…うん、ごく普通の精神性だったと思うけどなぁ。

しかし日が昇るまでの時間どうしよう…もう寝ようとは思えないし…

あ、そうだ…朝ご飯の用意とかしておこうかな…ちょっと手の込んだものを作ればあっという間だし。

 

「(´・ω・`)?」

「あはは…だーちゃんおはよ…」

「(´-ω-`)スリスリ」

 

私が跳ね起きたのに気づいたかだーちゃんも起動してた。洗面所で青い顔してる私を見上げて小首をかしげてる。

精一杯の笑顔で挨拶すると気遣ってくれてるのか足首にボディを擦りつけてきた。

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・早朝

 

 

やばい、お化粧して出てきたは良いけどやる気が全然起きない…

というか寝間着から着替えてない時点で私はなんだろう…お察しな気がする。

キッチンに立ってさぁやろうか…とすら出来ないとは…やばい、言葉にし辛いけど…やばい。

ペットスペースの猫ちゃんとワンちゃんは今頃寝てるしなぁ…起こすのは忍びないし。

ひたすら寝てたい…寝たくないけど。気分的には本当に惰眠を貪りたいよ。

ベッドから出たくないとはまさに事よ…人形になってから久しく味わってない感覚だ。

今どうしてるかって?まだ暗い共有スペースでソファーに座ってぐったりしてる。

お膝の上にはだーちゃん抱えてね…だれか起きてこないかな…

いや、なんか食べたらやる気が出るかもしれない…何か手頃な物…

冷蔵庫の中に9姉御用達のチョコレートバーがあったっけか?

だーちゃんを肩に乗せてから冷蔵庫をごそごそ漁る…チョコレートバーを二本程取り出してもそもそ食べる。

合成品らしい暴力的かつチープな甘みが口の中に広がって中々にエグい後味が残る。

9姉やお姉ちゃんはこれを結構好んで食べてるけど気が知れないな…

ただ舌触りはまぁ良いかな。しっとりしていて食べた後に残らない。

 

「だめだ、気力が…」

 

食べたらなんとかなると思ったけど駄目だこりゃ…相当まいってる…

うーん…こういう時はゲームしてたらどうにかなるかなぁ?なんだかんだゲームは楽しめてるし。

この時間からアーケードゲームって言うのも中々に背徳的でそそる物がある。

ちょっと重い腰が上がりそうだ…よし、このままゲームコーナーに行っちゃおう。

料理が出来ないくらいの気力もなんとかなる気がするんだよ。なんとなくだけどね。

ほらワニワニパニックとかああいうのをやるとストレスだって解消できるじゃん?

 

「……」

 

いや、朝からそれで良いのか乙女な私よ…それでは折角磨いた女子力が死なない?

あんまり残念なことをしてたら1000年の恋も冷めるなんて言葉もあるし…

ちょっと頑張って朝ご飯の用意だな…うん、そうしよう…やり始めたら動く動く。

うーん何にしようか…ふわとろなオムレツにしちゃおうか?

いやオムライスだな。バターを溶かし込んだケチャップライスのな!

 

「うん、動き出すと出来るもんだね…」

 

キッチンに立ってから料理し始めると気力が不足していてもなんとかなるものだ。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎ゲームスペース・朝

 

 

皆にくっそ早い朝ご飯を振る舞った後私はだらだらーっとゲームスペースで暇をつぶしていた。

いや、本当は色々お手伝いとかして時間を費やすのが良いんだろうけど…

今日は流石に動く気にならないからね…ちょっとお休みさせてもらってます。

兄さんが必死こいてお掃除しているのも横目に見てたけど手伝う気が起きないんだ。

 

「とぅーとぅーとぅましぇりー…」

 

バシバシと飛び出してくるワニをハンマーでぶっ叩くワニワニパニックをプレイしています。

まぁ所謂モグラたたきみたいなものだね。この手のゲームは身体を動かすから良い。

難点と言えばメンテナンスが面倒くさいくらいか。叩くって特性上寿命がね…

 

「417ー!」

「んぁ?ごっふ!?」

「いっしょにあっそぼー!!」

 

背中に圧が…!G28が多分飛びついてきたんだろう。一瞬意識を持っていかれた。

だーちゃんも落っこちてワニワニパニックの筐体の上に転げ落ちてるし…

やっかましいのが来ちゃったなぁ…んー…一緒に遊ぶかぁ…何があるかなぁ?

 

「良いけど…何して遊ぶ?」

「これ!」

「ほーぅ?」

 

振り返ってG28が指差したのは…私が結構やりこんでたゲームだな。

イニDと言われるヤーパンの峠道を走るゲームだな。カードは無いからお互い吊るしで戦うことになるけどね。

まぁそれも良しでしょう。格の違いって言うのを見せてやろうじゃないの。

 

「417さー!何か悩んでるでしょ?」

「……なんでそう思ったの?」

「いやちょっと雰囲気暗いし」

 

む…気が付かれ無いようにってしてたつもりだけど…この妹には見抜かれたか…

この分だとお姉ちゃんもそんな感じに見えてたかな…むぅ。

 

「心配してくれてありがとう。けど大丈夫よ?」

「そう?416も心配してたから何かあったら相談してよね♪」

「ん…」

 

まぁそうなるか…お姉ちゃんも心配してたか…お姉ちゃんには話してもいいかな?

なにかいい解決方法とか聞けるかもしれないし…さてと車両は定番のを選んでおこう。

コーナー2個も抜ければバックミラーから消してやんよ。

 

 

――――――――――――D08基地HK416私室・昼

 

 

「お姉ちゃん、今良い?」

「417?えぇ、良いわよ」

 

明るいG28とつるんで遊んでいたら良い気分転換にはなったよ。

けど根本的な悩みは解決していないから…お姉ちゃんに相談に来たわけだ。

 

「ねぇお姉ちゃん…私が夢を見るって知ってる?」

「さぁね…比喩で言ったことはあるけど…まさか本当に見てたりするの?」

「実はね…今日元気がないのは今朝…ううん、最近ずっと見てる悪夢が原因なの」

「……」

 

ベッドに腰掛けてからポツポツと話してはお姉ちゃんの顔を見る。

私と一緒に寝た時とかに比喩でどんな夢を見てるのかとか…かな?まぁそれは良い。

多分今は黙ってるから悪夢の詳細を話せってところだろう。

 

「先日…レイプ未遂があったのは知ってるよね?」

「私が居たら間違いなく血を流してたわね…」

「…悪夢の内容は…そのレイプされてる夢なの」

「……そう」

 

思わずといった様子でお姉ちゃんは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた。

 

「直接的な解決は出来ないけど…しばらく一緒に寝ましょう?」

「え…」

「417が安心して眠れるようによ。私一人で寂しいならG28や45や9を呼んでもいいわよ?」

「お姉ちゃん…」

「そういうトラウマは幸せをイメージすると和らぐと聞くわ後は時間をかけて癒やすしかないわね」

 

そう言うとお姉ちゃんは私の隣に座ってから私をそっと…抱きしめてくれた。

暖かくて柔らかいお姉ちゃんの抱擁に確かに…安らいで来る気がする。

ふふ、賑やかな寝室って言うのも良いかも…実際に個室は床に布団を敷けば雑魚寝は出来る。

それこそG11の寝具を借りてから寝たりとか出来たらそれは楽しそう。

特に9姉が居たらそれだけで場は明るくなるし…G28も居たら相乗効果抜群かな?

 

「じゃあ…早速…」

「あら、お昼寝…?」

「うん…ちょっと眠いの…」

「そう、じゃあ…一緒に寝てあげるわ」

 

制服がシワになっちゃうかもしれないけど…別にいいや。

ぎゅっとお姉ちゃんに抱かれて私もお姉ちゃんに抱きついて…暖かい気分で眠る。

 

「ふぅ…417のメンタルに問題…ね」

「んん…」

「あんまり長引くなら16Labに連絡したほうが良いかもしれないわね…」

「……まって…おねえちゃ…」

「私はここよ…側にいるわ」

 

ぎゅっと姉妹の手は握られて優しげな416の瞳が417の安らかな寝顔を映していた。

 

 

 

その昼寝で見た夢はお姉ちゃんと兄さんが現れて一緒に自転車を転がして遊ぶ夢だった。




家族力の高いG28と姉力が高い416が合わさればトラウマ克服も楽勝でしょ


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Day72 AngryRageGamerHKSistar

ゲーマーも初見理不尽にはキレる


――――――――――――D08基地兵舎HK416私室・早朝

 

 

「ふぁぁぁ…おはよ、お姉ちゃん…」

「おはよう、今日はどう?」

「んー…今日はお姉ちゃんとキスしてる夢見た…」

「……そう」

 

おっきなあくびしてからぐーっと伸びる。寝間着の胸元が限界ギリギリに伸びるけどしらねー。

んに…お姉ちゃんと一緒に寝てると悪夢に苛まれることはなさそう…

ただ今日の夢はなんだろう…家族愛が行き過ぎてたような気がする。

お姉ちゃんと私が恋人みたいな距離感だったような気がする…うーん?

そう言えば夢って平行世界の自分の体験を見るって説があるよね。

お姉ちゃんっ子をこじらせすぎた結果お姉ちゃんの恋人になった世界とかあるのかな?

まぁそんなのは良いや…寝る時のスタイルだから髪の毛も全部下ろしてるから結わないと…

 

「ちょっとそのまま」

「んー?」

「まぁ元が同じだけど…ふふ、仲良し姉妹でしょ?」

 

眠そうな私とシャッキリ目が覚めてるお姉ちゃんの2ショットだ。

マイナーチェンジを受けた私とお姉ちゃんはあまり差がない。これだけ見せられるとうーん…

まぁ背丈とかが違うからそっくり姉妹って所か。私が目を擦ってるのもあって幼さが出てる?

と言うか朝からテンション高めだね…ふぁぁ…私なんてまだねむねむなんだけど…

 

「417って意外と朝遅いのかしら?」

「んー…多分久し振りにゆっくり眠れたからかも…あとお姉ちゃんと一緒だから~…んえへへへ…」

 

むぎゅー…っと抱きついてからお姉ちゃんを見上げてにへ~っと笑う。

あれ、お姉ちゃんが固まったような…なにか変なこと言ったっけ?

 

「……」

「お姉ちゃん?」

 

がっしりと肩を掴まれて何事?って流石に目が覚めちゃう。

恐る恐るとお姉ちゃんを見上げると…おぉぅコレ以上無いくらい蕩けたお姉ちゃんの顔

 

「いにゃぁぁあああああああああ……♪」

「んんん~417~♪なんでアンタはこんなに愛らしいのよー!!」

 

可愛いものに暴走したお姉ちゃんによって私は頬ずり地獄に叩き込まれました。

朝の畑仕事に遅れたのは言うまでもないかな?当基地比1.5倍はやる気に満ちたお姉ちゃんと私を引き換えにね。

 

 

――――――――――――D08基地HK417私室・朝

 

 

「あれ、今日はお姉ちゃんはボトルシップ作りしないの?」

「今日は休むわ…それより417とゲームして遊びたいわ」

 

やる気に満ちた私は朝からお手伝いに駆けずり回ってたけど…食堂のお手伝いが終わってちょっと休憩。

スコーピオンよろしくゲームに興じていた訳だけどお姉ちゃんも入ってきてから持ちかけてきた。

ゲームはCoDだ。ふーむ…でもオンラインでドンパチする気分じゃないしなぁ。

どうせなら何か…私もやってないことで…あ、そうだベテランチャレンジマラソンするか?

ちょうどCoDMWのベテランはコンプしてないし…代わり番こにプレイしたらOKでしょ。

 

「え、そっちなの…」

「まぁまぁ…今日は私も初見なのをやるからさ」

「どんな趣のゲームにするの?」

「このゲームのキャンペーンモードはプレイしたでしょ?あれの最高難易度チャレンジ」

「なるほど…交代でプレイするってところかしら?」

「そそ、クリアかデスったら交代って事で」

 

散々キレた上に私達HK姉妹は出てないと来て投げた因縁のゲームだ。

まぁお姉ちゃんは渋々だけど…私も初見難易度って来て負けず嫌いが発揮されたか食いついた。

このベテランって難易度がかなりエグい。理論値近いものを要求されたりするからなぁ…

まぁ要するにはやりこみ要素の1つだ。かなり速く攻略しろってことだな。

プロローグはクリアリザルトで指定秒数以内だったらベテラン判定を貰えるって奴だね。

 

「じゃあお姉ちゃんから」

「え、私から?」

 

まぁ最初はプロローグだし一度見てるからさっくり行けるでしょ。

…そう思っていた時期が私にもありました。

 

「んぎぃぃぃいいいいい!!!」

「これ常にスプリント掛けてないといけないな」

 

クリアしたは良いけどベテラン判定じゃなくてお姉ちゃんは私のベッドでのたうち回る修羅になってる。

お姉ちゃんもおっそろしくスムーズにしてたんだけど通常移動で動き回っていたのが仇となった。

その反省を踏まえて私はスプリントをずっと掛けながら動き回る。

あと絶対コレMP5じゃなくてUSPの方が良いだろ。これもトラップだな。

バカ正直にMP5使ってたら精度ボーナスを逃すな。精度ボーナスがバカにならないから…

っとフラッシュはちょっと手前で持ち替えておいて…

 

「いえーい♪」

「417ぁ…アンタ私を噛ませに使ったわね…」

「何のことやら…」

「下手な口笛を吹いてんじゃないわよ…!」

「あぁぁぃにゃぁぁぁああいいいいい」

 

痛い痛い痛いぐりぐりはやめてー!!

 

 

――――――――――――

 

 

「んぎぃぃぃいいいいい…」

「んがぁぁぁあああああ!!」

 

気がつけば私も理不尽なベテラン判定にブチギレることになっていた。

あと純粋に敵に撃ち殺される事が多くなってきて私の許容限界を迎えていた。

 

私達姉妹が詰まったのはHeatだ。そもそもの最高難易度の時間制限がきつい上に敵の火力が尋常じゃない。

安全確保に専念しすぎると時間切れでゲームオーバー。大胆に行き過ぎれば射殺。

前者は主にお姉ちゃんが、後者は私がやらかして修羅ってる。

 

「くそぉ、次こそは私が突破してやるぅ…!」

 

もうこうなりゃ自分の領域でぶっ殺す。空爆も上手く使わないとな…敵のパターンは読めてきたし。

SVDでパスパス撃ち殺してからG36Cで凸る。これだ。大体の敵はこれでぶっつぶせる。

最悪進路上の敵さえクリアできれば良いんだし…行くぞオラァ!!

ジャべリンで戦車を4台ぶっ壊しーの…

 

「まずは農場前をクリアリング」

 

SVDで確実にヘッドを撃ち抜いていってから敵の数を減らしていく。

途中何発か貰うが別に回復するから…死ななきゃ安い。農場から突っ込んでくるのが来なくなったら農場を突っ切っていく。

牛の死骸を目印に民家に入ってから…通りを挟んで東側の建物に空爆支援要請、敵を潰す。

給水塔の影でやり過ごしーの…民家を移っていってここまで順調!

あとはヘリまで突っ走るだけー!!一発二発…まだ死なない!行ったー!!

 

「っしゃおらぁぁああ!!」

 

女子力もクソもない叫びだけど私の心からの叫びだ。もう二度とやるかこんなクソ難易度!

でもまだ続きがあるんだよなぁ…はーぁ、なんで始めたんだろうこれ…

まぁエンドコンテンツみたいな物だからクソ難易度なのも当然か…死ね。

 

「えーっと次は…」

「The Sins of the Fatherよ」

「うげぇ…また敵が多いやつだよ…」

 

でも私達はまだこの時知る由もなかった…コレ以上にクソな物があるということを…

 

 

――――――――――――

 

 

「ぜー…はー…」

「頭痛い…これ作ったやつマジ死ね…」

 

このゲームのキャンペーン最後の砦、Mile High Clubまで到達したのは良いんだけど…

なにこのミッション満を持して死ぬがよいって言ってるようなものだよね?

まず制限時間が頭おかしい。VIP発見シーケンスが1分!いやこれ死ねって言ってるようなもんだよ。

死んだら当然最初からやり直し。敵の排除をさっさとしなくちゃいけない。

そんでもって武器が微妙なんだよ。MP5SDなんだけどこれが扱いづれぇ…

普通にテロリストが担いでるM1014を担いだほうが良い。いやこれガチ。

後は敵の配置を覚えて効率的なグレネード運用をするっきゃない。

 

「んがぁぁああああああああ!!また時間切れだよちくしょぉぉおおおおおお!!!」

 

これには私もブチギレてからコントローラをぶん投げて床でのたうち回る。

 

「まぁ見てなさい…次は私がクリアするから」

 

そう言って顔に青筋浮かべたお姉ちゃんが私がぶん投げたコントローラを握った。

大体私と同じパターンで敵を排除していって…おぉ二階に到達…ショットガンで確実にキルって行く。

お、これはもしかしなくても人質まで行っちゃうんじゃないか?

 

「ふ、私にかかればこんな物よ」

 

残りカウント7程度で人質まで到達したやるぅ。あ、でもまだゲームは続いてるからね?

さーて後は人質解放までしてからエンドロールだから私の出番はないかなぁ。

あ、お姉ちゃんがテロリストのヘッドを…狙いづらいから足を撃ち抜いた。

 

「え?は?ふっざけんじゃないわよぉぉぉおおおおおお!!」

 

なんとコレ失敗判定…もしかしてヘッド以外だめってパターン?

しかもよく見たら人質処刑まで4とか出てたしこれまた制限時間付きかよ、死ね。

 

「ふふ…私も流石にキレたよ…製作者マジ良い根性してるわ…」

 

やることは変わらない、速攻でM1014拾って確殺圏内で撃ち殺す。

敵の数、位置も暗記したからスプリントで速攻で片を付ける。目指すは30秒制圧。

一階は片付けて二階に上がりさっさと射殺していってから人質までダッシュ。

人質盾に出てきたテロリストの頭に照準合わせて…トリガー。

 

「やっっ…と終わった…疲れた…」

「ねぇ…417…」

「なぁにお姉ちゃん…今凄く頭痛いの…」

「二度とこの難易度はしないわよ…」

「正直スマンかったと思う」

 

わー爆発する飛行機きれいだなー…死ね。もう二度とやるかこんなクソゲー!

 

「気分転換にBF3オンラインでもする?」

「良いわね、今なら屍の山を作れるわよ」

 

私が良くお遊びでやってたお祭りゲーにご招待だ。

なんとBF3には私達姉妹が仲良く出演しているので…これにはにっこりでしょ。

BFシリーズはカジュアルな挙動とは打って変わって割とリアル志向だけど…まぁどっかしらでバカ要素があったりする。

毎度登場するのはC4設置バギーでの特攻兵だな。私がよく使用するのは…勿論HK417です。

このゲームだと名称はM417だけどね。知ったこっちゃねぇよ。

 

なおお姉ちゃんはM4かM16担いだ兵士に対してはえらく攻撃的で死体撃ちを平気でやっていた。

プレイマナーわるぅい…勿論撃ち殺されたらお姉ちゃんもやられてたから自業自得な?

ID似てるから私まで巻き添え食らったんだけどね…はぁ…




リクエスト回・クソ難易度のゲームしてキレるHK姉妹でした


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Day73 16Labからの試供品

カプセルでどうにかなる不思議な世界。



――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「まーた変なのが送られてきたなぁ…今度は何だよ…」

 

早朝司令室に速達で送られてきたのは小さな封筒であった。デカデカと烙印が押されている。

送り主はお得意先のI.O.Pのお抱えラボ16Labだ。無下には出来ない。

同梱されている書面に何か書かれているのだろうが…指揮官は壮大にため息を吐きながら封筒を開ける。

中から転がりでた2つのカプセルと書類。赤字で試供品、紛失注意と印字されていた。

 

「試供品ってなんだよ…」

 

ハロー冴えない指揮官くん。今日この書類を送ったのは他でもないこの私ペルシカ姉さんの実験に協力してもらいたいんだ。

他の基地にも送りつけてるから君だけじゃないから心配しないでくれたまえ。

今回送った物は臨床実験が終わったばかりのロリ化薬だ。戦闘能力に影響を与えず一定期間人形を等しくロリ化させる物だ。

まぁスキンを作るよりも断然コストパフォーマンスが良いからね。要望が多くて作ったんだよ?

私の独断ではないさ、本当だよ?何ならデータを見せてもいいけどね?

そんなこんなで作ったは良いけど…実験データが足りないんだ。そこで君たちと慕う人形に協力してもらいたいんだよ。

実際に使ってみてから実働データをフィードバックしてもらいたいんだ。

正式に商品化するにあたって実働データっていうのは重要だからね。

じゃあ頼んだよ~

 

「…なんじゃこりゃ」

 

指揮官の一言は全てを物語っていた。いや、本当になにこれ?

人形にのみ作用する飲み薬って時点でかなり怪しいのだが…そもそも人形は機械なのでは?

内部骨格はどうするんだ…と指揮官は怪訝に思うが16Labの技術は未だ不透明な所もある。

あながち無いとも言い切れないのが…なんとも言い難い。

 

「だーれに飲ませたものか…つか時間が書いてねぇし…」

 

元々ロリロリしている人形に飲ませても無意味だろうし…2つある事も鑑みて…

指揮官の脳裏には飲ませる対象はほぼ浮かんだのだが懸念の効果時間がどれほどなのかが記されていない。

これには指揮官はとても困った。戦闘能力に影響を与えないと言うが保証がない。

非番の人形に与えるのが無難である。そうとなれば…早速呼び出す。

 

「しきかーん?」

「私達を呼び出してなんですか~?」

 

数分と待たずして一組の人形が到着する。UMP姉妹だ。

座右の銘は面白ければ何でも良しなのでノリ良く飲んでくれる…と踏んだのだ。

 

「あー…まぁこれを飲んでくれや」

「なにこれ?」

「何かの薬品ね~あーまさか指揮官ってばエッチなものを」

「ちげぇよ、16Labのバカが送りつけてきたんだよ、実働データが欲しいってよ」

「ふーん…」

「それならまぁ~面白いかもしれないわね~」

 

まぁこれがこの基地に波乱を巻き起こすのだが…まだ指揮官もUMP姉妹も予想していなかった。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・朝

 

 

「ふぁーぁ…今日は何しようかなぁ…」

 

朝からお姉ちゃんと食事してから今日は何をしようかと伸びていた所。

お互いオフスタイルで私はTシャツにジーンズ、お姉ちゃんはたてセタにジーンズ。

私はいつもの髪型でお姉ちゃんはポニーテールにしてる。

 

「偶には二人でカラオケとかどうかしら?」

「お、それも良いねー」

 

二人でカラオケっていうのも乙なんじゃないかなって思って身体を起こした。

しかしその時だった。兵舎の入り口が勢いよく開けられた。何事だよ…と目を向ける。

 

「すまねぇ、416こいつらの面倒頼む」

「はぁ?」

「416と417だー」

「とつげきー!」

「「ぐふぅっ!?」」

 

なんか私のおっぱいに突撃してきた。ちっこくて栗色の弾丸が…

お兄ちゃんが抱えてた方は飛び降りたと思ったらお姉ちゃんの方に突撃かましてるし…

何というか聞いたことあるような声だったけど…なんだろう…んがが…

 

「これかぞっ!」

「えぇ…」

 

これ9姉だー!?ただすっごく無邪気な笑みを浮かべてて私のおっぱい弄り回してるし…

目の傷が無くなってるしえらくちっこくなってるけど何事?

あーやめんかやめんか私のおっぱいはおもちゃちゃうんやぞ…跳ねさせない、そんなにたぽたぽさせなーい。

横を見ればお姉ちゃんも同じようなことをさせられてたり…あ、キレてる。

引き剥がしてからそっと置いてる辺りは気遣ってるんだろうけど…出力変わってないな?

普通にまた突撃しようとしてその顔を押さえて押し返そうとされてるし…

 

「ねぇお兄ちゃん?」

「何も言うな…」

 

えぇ…これお兄ちゃんが何かしら知ってるんじゃないの?どうなってんだよ…

私達が面倒見ろっていやいや…子守をしろって言うの?ぐえー…普通にパワーはそのままじゃん!

その癖思考は子供っぽくなってるから遠慮っていうものが欠落してる…

だから私のおっぱいはおもちゃじゃなーい!やめんかー!痛い痛い痛い!!

 

 

――――――――――――D08基地ペットスペース・昼

 

 

「アンタ達なにやってんの?」

「見ての通り…子守」

 

今は静かに寝てるけどまぁ起きてる時は酷かった。やんちゃな子供相手してるようなものだもん。

飛びかかってくるし蹴ってくるし殴ってくるし…どったんばったん走り回るし。

いや、ほんと疲れる…パワーがそのまま据え置きって言うのがかなり凶悪なんだよ。

遠慮なしだからキックがえらく痛むしパンチだって良いところ入ったら気絶しかねない。

どんな事が起きてこうなったのか知らないけど…マジいい迷惑だよ…

ペットスペースに連れ込んだのが功を奏したんだけど…子猫と子犬には遠慮するのか撫で回してにこにこしてるだけだ。

ちっこい身体だからか子犬に集られて張り倒されて顔をベロベロ舐められてる45姉がいた。

まぁそんなこんなで遊び疲れたのか二人揃って今はすやすや寝ていますっと。

その周りに子犬がくっついて寝てるもんだから寝姿は可愛らしい天使だよ。

起きてる間はただのイタズラが過ぎるクソガキって所だ…まだ腹が痛む…

わーちゃんがペットと戯れに来たけどまぁ寝てるから静かに私に聞いてきた。

 

「寝てるわね」

「ようやく寝てくれたって所…」

 

お姉ちゃんはお姉ちゃんで疲れ切った表情で45姉の寝顔を撫でてる。

私もだけど何度もおっぱいに突撃食らっててね…無表情になってた。

まぁつまりは子供相手にキレてたんだけど怒鳴り散らす訳にもいかず無表情になってたのさ。

いや、まじ…子守体験することになるとは思ってなかったからね…

 

「しかし寝顔は可愛いわね…ちょっと抱っこしても良い?」

「起こさないでよ…」

「起こしたら恨むわよ…」

 

兎に角起こしたらまた暴れまわる可能性がとても高いので私とお姉ちゃんの心は一致していた。

絶対に起こさないでくれよっていう、もう疲れたくねぇってね…

寝顔は可愛いのは認める、だが起きたら私は知らねぇからな…

わーちゃんはまぁ可愛いものに目がないからこの幼女化45姉と9姉を抱っこして至福顔。

しばらく抱っこして満足したかと思えばまた子犬の傍に寝かせてから…

抱き合わせで寝かせてから子犬の寝顔も含めてから端末でパシャパシャ撮り始めた。

 

「ふぁーぁ…」

「417も眠る?」

「じょーだん…私が寝たらお姉ちゃん大変じゃん」

 

私が寝てる間に二人が起きだしたら大変だし…私はまだまだ起きてられる。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・おやつ時

 

 

「うまー♪」

「おいしー♪」

 

ちびっ子化した二人は揃って甘い物で黙らせることにした。

今は私謹製のチーズタルト食べてデレデレにさせてから大人しくさせてる。

9姉は割とよく笑ってたからそうでもないけど45姉の無邪気な笑顔はレアだ。

この間にちょっと写真に収めておいて後々の交渉材料に使うのは…

 

「お、二人共ここに居たか」

「お兄ちゃん?」

「指揮官…何をしに来たんですか?」

「やつれてんなぁ…その薬の効果時間について問い合わせてたんだよ…」

「薬?はぁ?薬理的にこうなったって言うの?」

「そんなオカルトやファンタジーじゃあるまいし…スキンなんでしょう?」

「いや…16Labのバカがやらかしてくれたんだよ…で、効果時間だが24時間らしい」

 

一日まるっと子供にする薬ねぇ…そもそも薬効果あるの?

パーツの組み換えとかならまだ分からなくもないんだけど…

一応カタログ上にも存在するれっきとしたパーツだったりするし…

我らがメイドのG36にもそういう子供にしちゃうパーツキットは存在する。

UMP姉妹には存在してなかったと思うけど…試供品みたいな感じで提供されたと思ってたけど。

明日の今頃にはとりあえず何時ものUMP姉妹に戻ってるってことでOKなのかな?

え?てことはだけど夜寝かしつけるのも私達がやらなきゃいけないの?

 

「という訳で後もよろしく」

「嘘でしょ…」

「この子守がまだ続くのね…」

 

私達姉妹揃ってがっくりうなだれる…ここまでで大分疲労したっていうのに…

この後さらに長い夜が待ってると思うと気が重い…重すぎる…世界の親ってすげー…

子供に対して叱ることはあっても理不尽にキレたりする親は少なかったと思うし…

子供ってこういうもんでしょ?いや、ほんと…親ってスゴイな…

私のパパ、ママもそうだったのかな…もう、全然覚えてないけど…優しかったのかな。

 

「お?417どうしたんな疲れた顔して」

「兄さん…親ってスゴイんだね」

「…あぁ、まぁな」

 

兄さんは怪訝な顔してたけど私のやつれた顔とお菓子ですこしは大人しくなってるロリUMP姉妹を見て納得したように頷いた。

兄さんは…パパかママの記憶ってあるのかな…遠い目してた。

 

「417ー!おかわりー!!」

「わたしもー!」

「あーはいはいおかわりねー…ぐふぅっ!?ろ、ロケット頭突きはやめようね…」

 

もってくれよ私のボディ…あと胃袋の中身が出そうになるからマジでロケット頭突きはやめようね…

私の反応が面白いのかケラケラ笑ってるけどまじ笑い事じゃねーからな…

 

「はやくはやくー」

「はやくー」

「待って待って…いやー!?おっぱいはだめー!」

「「やわらかーい♪」」

「にゃぁぁぁあああああああああああ!!!?」

 

子供って怖い…




子供って容赦ないから怖いよ。
甥っ子にマジで殴る蹴るされた作者だから言える事ゾ


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IF番外 ホワイトデーなHK姉妹

続きが見たいという要望と今日という日が重なった結果だ。


「お姉ちゃん」

「ん、何かしら417」

「今日は何の日か覚えてるかなー?」

 

今日は3月14日、世間一般的にはホワイトデーと呼ばれる日だ。

そう、バレンタインデーと対を成す恋人たちの特別な日です。

バレンタインデーに贈り物を贈られたらそのお返しに今日贈り返すって日だね。

ヤーパンの企業が儲けのためにやり始めたとかなんとかだけど…まぁそんなのはどうだっていい。

今日という日が恋人たちの聖なる日って言うことが事実になってるんだからね。

そして私はお姉ちゃんと恋人同士な訳で…勿論バレンタインデーにお互いチョコを渡しあって居る。

私は特に贈ってもらうつもりは無いけど…お姉ちゃんには贈っておこうってつもりです。

 

「今日?3月14日ね…なにかあったかしら?」

「ははーん…お姉ちゃん知らないなー?」

 

案の定お姉ちゃんはこの日のことを知らなかった。メジャーじゃないと思うしね。

まぁそんな訳で…私からの返礼品です。街に行ってから選んできたんだけど…喜んでくれるかな?

白と青のラッピングで包まれた小箱をそっとお姉ちゃんに渡す。

お姉ちゃんは何のことやらって感じで小首をかしげている。

 

「どういう事?」

「ホワイトデーだよ。大好きなお姉ちゃんへ、私からの贈り物です♪」

 

中身は真っ白なアザレアを模したネックレス。綺麗な白だもん。お姉ちゃんにはぴったりかなって。

花言葉を調べたら私の想いとぴったりだし…コレしか無いかなって。

ちなみにお兄ちゃんはかなり困ってたね。この習慣を知ってるみたいで。

貰ったチョコが結構な量に登ってたからお返しも結構考えないとねー

 

「ホワイトデー?」

「ヤーパン発祥のバレンタインデーの対となる日だよ」

「え、何よそれ」

「恋人同士の贈る贈られるがこれで完結するの、えへへ…だからこれは私からの愛してるってメッセージです♪」

 

にっこり笑ってプレゼントを押し付けるとお姉ちゃんはぽかんとして…

次第に顔を赤くしてから私を抱きしめた。感極まったって感じかな?

それと同時になんだか申し訳なさそうな感じ…んー知らなかったとは言え用意してなかったのが不満なのかな?

私は別に良いんだけどね。毎日幸せにしてもらってるし。

 

「何か贈り物じゃないけどさせてくれない?」

「んー…じゃあ今日はデートしない?」

「デートって…あの?」

「街に繰り出そうよ♪お姉ちゃんプランニングで」

 

それからちょっとまってと言い残してからお姉ちゃんは私室に篭ってからドッタンバッタン。

ふふ、ああ言ったけど私は自宅デートでも良いんだけどねー…んふふ♪

何よりお姉ちゃんが私のために動いてくれるってだけで嬉しいし。

でもお姉ちゃんだから完璧に私をエスコートしようとするだろうから…楽しみ♪

 

 

――――――――――――

 

 

「んふふ~♪」

「楽しそうね、417」

「そりゃねー♪」

 

お姉ちゃんが急遽外出届出してから承認されたから即日外出となりました。

もちろん私達揃って私服でのお出かけです。お姉ちゃんが運転で助手席には私。

デートプランは一切聞いてないけど…まぁお姉ちゃんだからどこに行っても良いけどねー。

まぁそんなこんなで自動車で揺られること数十分、やってきたのは街で…

 

「おぉー!」

「まだ営業してる遊園地があったから…その顔だと感想を聞くまでもないわね?」

 

私も知らなかったけどこの街に遊園地なんてものがあったなんて。

駐車場に車を止めて降りてみれば人の歓声で賑わっているのが聞こえてくる。

ただやっぱりというか…規模は小規模だ。大規模な遊園施設は軒並み破壊されてしまっている。

半世紀も前なら大きな遊園施設はあったらしいけどね…第三次世界大戦でお陀仏さ。

今はこんな規模の遊園地もかなり貴重なんだ…楽しみだ!

 

「417は何から遊ぶ?」

「んー…じゃあ最初はこれ!」

 

パンフレットを手渡されて真っ先に目についたものを指差す。

遊園地の外周を猛烈なスピードで駆け抜けるアトラクション…その名もジェットコースター!

中々体感できないGと落下体験がスリルを呼ぶんだけど…それより私はお姉ちゃんの隣でわーわーはしゃげるのが良いんだよね。

ここのジェットコースターは二人がけでカップルに人気らしい…私達にうってつけな訳だ。

 

「そうと決まれば早速行くわよ」

「うん!」

 

しっかり手を繋いでから入園。そう広くない遊園地の中を二人並んで歩く。

ゆっくり、人の流れに乗って微笑み合いながら。途中で遊園地のマスコットと記念撮影したりして。

この平和な時間を大事に…ちょっと無駄にするくらい贅沢に使っていった。

ジェットコースターは中々人気で結構な列が出来ていた。中には私とそう背丈の変わらない子が居たり。

家族連れとかも居たり…私達と同じ様なカップルがちらほら見えたり。

家族かぁ…好き合ってるけど夫婦にはなれたりするのかな…姉妹だし…

 

「順番が回ってきたわね…」

「ん…身長制限ギリギリかよ、あぶねー…」

 

私はちょうど身長制限ギリギリだった。多分安全バーの関係だろうけどね。

おー座ってみるとホントギリギリだね…あ、まっておっぱいが邪魔して安全バーが…が…いたたたた!?

あにゃぁぁぁおっぱいがめっちゃ潰れちゃうぅぅぅ…苦しい…あ、このまま動くの?

 

「417大丈夫?」

「苦しい…けどへーき…あれ高くね…?」

 

私この時忘れていた…自分が高所恐怖症である事を。そしてジェットコースターというものの特性を

高いところからの落下エネルギーで速度を乗せるんだ…つまり…

 

「いやぁぁあああああああああ!!下ろして下ろしてぇぇええええええ!!!!!」

 

私はガチな絶叫を上げることになった。めっちゃ泣いた。

 

 

――――――――――――

 

 

「ごめん、お姉ちゃん…しばらく立てない…」

「高い所が苦手ならそう言いなさいよ…」

 

おもらしはしてないけど腰が抜けて近くのベンチで座り込むハメになった。

お姉ちゃんが心配してから近くの自販機から飲み物を買ってきて渡してくれた。

失念してたんや…私悪くないもん。ただ高いだけなら耐えれるんや。

ただそれにかなりの落差を高速で下りて逆転とかまであったんだもん。怖いわ。

その結果が腰が抜けて動けなくなる戦術人形って事ですよ…

お、この炭酸飲料美味しい…爽やかなレモンの風味があって好きだ。

まぁ次は無難なの選ぶし…コーヒーカップとかどうかな?

 

「ちょっと私も喉乾いたわね…それ一口くれる?」

「ん?いーよ」

 

ちょっと口に含んでたけどいいよって言って缶をそっと出したんだけど。

あれ?なんでお姉ちゃん顔を近づけ…

 

「んみゅぅ!?」

「ちゅ…ぷ…」

 

私の口の中から飲料が吸い取られていってついでにとばかりに舌を舐られた…

放心してる私に対してお姉ちゃんはしてやったりといった表情でウィンク。

唇と唇の間に唾液の橋がかかる…は、白昼堂々とするかよぉ…

 

「ふえぇ…」

 

腰が抜けた問題の他に動くに動けない案件が出来上がった…もう顔が熱い…

耳がすごく熱持ってるのが分かるし鼓動がアホみたいに高鳴ってるのが自覚できるんだもん。

くそぅ、こんなの惚れる…自宅だったら押し倒してる…

両手で顔を覆って縮こまるしかありませんでした…もう白旗降参です…

 

「今度は417からしてくれてもいいのよ?」

「むりぃ…」

 

お姉ちゃんが意地悪してきます、だれかどうにかしてくれませんかね?

私から出来るわけ無いじゃん…二人っきりならともかく…こんな白昼堂々…

 

 

――――――――――――

 

 

「どう、楽しかったかしら?」

「ん…楽しかったけど…お姉ちゃん意地悪しすぎ」

「417が可愛らしすぎるからよ」

「ぶー…」

 

遊園地の最後はこれまた定番で観覧車で締めでした。

来た頃は青空が広がっていたけど今はもう夕暮れ。お姉ちゃんの背後に夕日が見える。

ゆっくりと上っていって街や遊園地の中を行き交う人が小さく見えてくる…

喧騒からもちょっと遠ざかってまるで私とお姉ちゃんだけの空間みたいに思える。

楽しい時間も…もうおしまいか。楽しい時間は本当にあっという間に過ぎ去っていく。

事あるごとに私にディープキスしてから恥ずかしがらせるお姉ちゃんのせいで各アトラクションで私がフリーズする事案があったせいでもあるけどね。

お姉ちゃんはキス魔、これはもう決定的に明らかな事だ。私が身をもって証明する。

 

「ねぇお姉ちゃん」

「ん?」

「今日はありがとうね」

「どういたしまし…」

 

言い切らせなかった。だって私が唇を塞いだんだもん。

私からのファーストキス…私からの明確な好意の証。大好きだよって言葉の代わり。

思い切ったことをしたもんだからした後…ろくに顔を合わせられない…

うわーうわーやっちゃったやっちゃった、お姉ちゃんに私からキスしちゃったー!

 

「417…」

「んにゃぁ!?」

「もう、可愛いわ…」

 

ドンッと顔の横に手を突かれてびっくり顔を上げると…そのまま顎を摘まれて

あ、これは私死んだ…観覧車が下りきる頃には私出来上がっちゃう奴だ…

 

「んんんんん~~~~♪♪」

 

お姉ちゃんによるべろちゅー地獄によって私は腰が立たなくなってお姉ちゃんに抱えられて降りることになりました…

そりゃもうお姫様抱っこで車まで運ばれましたとも…恥ずかしさで死ぬかと思った。

 

完全に余談ですがホワイトデーの夜も私は寝させてもらえませんでした…




はい、という訳で幸せたっぷりなHK姉妹の√でーす。
おかしい、百合書きじゃなかったのに…なんでこんなに筆が進むんすかねぇ…?


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Day74 ダミーの日常

417ダミー以外のダミーはどうなってんの?
って事でちょっとスポット当ててみました


――――――――――――D08基地ダミー用兵舎・朝

 

 

「んぁー」

「おはよー私」

「おはよー」

「眠い!」

 

ぞろぞろと出てくるのは417ダミーの群れ。起きるのが早いのは本体譲りである。

他の部屋からはダミーは出てきていない。つまりは417ダミーが一番なのだ。

 

「どうするー?」

「「「指揮官の所に遊びに行こー!」」」

 

今日もわらわらと元気溌剌で指揮官を囲いにダミーは行く。後に本体にお説教されるのだが…

今日の主役は何時も騒がしい417ダミーではない。別な人形達である。

 

「ふぁーぁ…」

「農作業…んに…」

 

鈴の転がるような可憐で眠たげな声をあげたダミー人形、スオミだ。

出撃前の農作業の為にわざわざ起き出してくれたのである。健気…

スオミ本体も来るのだがそれに加えて417本体が来てから農作業は進められる。

備え付けの洗面台でパシャパシャ顔を洗ってから眠気覚まし。

 

「「よし、今日もお芋のご飯をあげましょう!」」

 

農作業を始めて一週間近いがまだ朝早くからの作業は慣れていない様子。

銃を握る前に如雨露を握る姿は平和的でとても良いのだが…戦術人形としてはどうなのだろう?

まぁ本人達は至って楽しげなので指摘するのは無粋というものであろう。

身支度してから畑へと向かうスオミダミーに続いて起き出してきたのは…

 

「榴弾ねじ込む…」

「ターゲットはどこ?」

「指揮官に今日こそ褒めてもらうわ…素直に…」

「それよりワンちゃんをモフりにいかない?」

「トリガートリガートリガー」

「弾幕ばらまくのぉぉぉおおお!!」

「やだこいつら」

「そんな事より爆弾投げようよ」

「あら、汚れ…」

「出撃準備前、掃除は後」

 

第1部隊のダミー連中だ。出撃前という事もあって戦闘モードに近い言動だ。

それぞれ武装してからギャーギャー騒いでいるのでまだ寝ているダミーにはいい迷惑だろう。

見事なまでにバラバラなことをしようとしているが戦闘となれば一糸乱れぬ動きをするのだ。

 

因みにダミーにこうして兵舎を与えているのはD08地区くらいだろう。

大体は倉庫か…カプセルのような収納庫に収められてるものだ…

 

「出撃用意!ヘリに行くわよー!」

「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」

 

「お静かにお願いします」

「怒りますよ?」

 

「「「「「「「「「「はい…」」」」」」」」」

 

ダミーのパワーバランスも本体達と似たり寄ったりでスプリングフィールドがキレたらダミーの方も阿鼻叫喚らしい。

因みにこんなやり取りは毎朝行われている。すぐに忘れるからダミーとしては別に良いのだろう。

 

 

――――――――――――

 

 

それぞれのダミーが起き出して最初にする事は各々別だがその後必ずやることがある。

食事だ。しかしながらダミーは食堂には行かない。食すのは大概はMPE…

つまりは配給なのだ。死蔵するのは勿体無い…しかし好んで食べる者も居ない。

そんな中特に文句も言わず食べると言うことでダミー人形に白羽の矢が立ったのだ。

数多くのダミーは倉庫から配給を取るとその味気ない食事にありつく。

別の基地ではこれが当たり前で人形はそもそも食事をともにするということも無いのかもしれない。

ただこの基地はどこまでも人形に甘い…当然その配給だけで終わらせるわけもない。

 

「はい、ダミー達お菓子だぞー」

 

「「コーラ!!」」

「このチョコレートをいただきますわ」

「うまうま…」

「「417ー!」」

「「ぎにゃぁ!」」

「「たすかったー」」

 

食事中は静かなのだが一度だれかが口を開けばドッタンバッタンとしてから騒がしい。

SAAのダミーは本体と変わらずコーラを常に欲してお菓子の代わりにコーラを要求する。

というか戦闘中以外は口を開けば取り敢えずコーラ。その身体はコーラで出来ているのか?

G36Cのダミーは本体と遜色ない気品を持っているがどこか抜けている様に見える。

そしてG28は本体が拗らせてからはダミーは417にぞっこんと言った様子で事あるごとにダミー同士で抱き合っている。

417ダミーの数は4体に登る為二人生贄にしてしまえば後は平和なのだ。

416ダミーにも反応を示すが抱きつくほどではない…何が違うのだろうか?

スプリングフィールドのダミーは少し離れた場所で静かに配給を食してからカフェに向かう。

食事を共にしているイサカは終わり次第主任の所に向かうことだろう。

朝から昼に向けて支度があるのだ。ダミーであっても出来ることは多い。

 

「遊ぶぞー!」

「バトミントンを持ったかー!」

「「ちょっと待ってー」」

 

食事を終わらせてから飛び出してきたのはスコーピオンとM14のダミーコンビ

ダミーではかなりの仲良しでしょっちゅう遊びに興じている。

そしてM14が割とさり気なく手を抜いて負けてあげていてスコーピオンの機嫌をとってたりする。

Mk23のダミー?本体の所で勝負下着についての作戦会議だろう。

Uziはひたすら寝まくる、G11も顔負けな程寝まくる。

UMP姉妹は出てこないしG11も出てこない。416は出てくるが大抵書類を読んで暇をつぶしている。

 

「そっち貸して」

「ん…」

 

読む本は交代交代だったりダミー同士で無言でやり取りしてたりする。

そして揃って妹分の喧騒を耳にしながら優雅に読書を続ける。

 

 

――――――――――――

 

 

夕方になるとG11が出てくる。マイ枕を抱えてどこへ行くのかと言えば本体がどっかで寝ているのでそこに集まるのだ。

お互いの体温が暖かいので陽だまりの中で寝ていると心地いいのだとかなんとか。

ねぼすけのG11が出ていってもUMP姉妹は一向に出てこない。

G11に問うても答えは帰ってこず416も微笑みでごまかすばかりで明瞭な返答は無い。

作戦行動時にはちゃんと出てくるから詳細不明でも不問なのだ。

 

「おー本体~」

「まぜろ~…」

「くかぁー…」

 

三人揃って眠るG11は基地の何処かで定期的に見られる。

基地待機の場合は特に怒られることもないG11にとっては天国だろう。

 

「掃除の邪魔なんだが…」

 

ただしそこが掃除がまだな場合は一人に迷惑をかける。

掃除モップを担いだ417の兄が眠るG11の傍でため息を吐いていた。

気持ちよく寝ているG11を起こすのは忍びなく…かといって掃除しないわけにもいかない。

 

「どうしたの?」

「あー416か、この寝坊助がなー…」

「G11が邪魔なのね?遠慮なんかする必要ないわよ」

「「「ぎゃん!?」」」

 

ちょうど良く通りかかった416本体が容赦なく蹴り起こす。

手慣れた様子で蹴り起こすと布団を剥ぎ取ってから温もりを奪う。

 

「こんな所で寝てないで兵舎で寝てなさい!風邪引くわよ」

「おーおっかねぇ…」

「ちぇー…なんだよぅ、どこで寝ても良いじゃんか…」

「「このおかんうっさい…」」

「あ"?」

 

ぶつくさ文句を言うG11に追加のゲンコツが降り注ぐのは語るまでもない。

叱る416にオカンやお母さんなんて言うのは厳禁なのだ。

 

「あー助かったわ、さんきゅーな」

「別に、偶々よ」

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夜

 

 

「お兄ちゃん何見てるの?」

「ん?社内報」

「何か目新しいのがあったの?」

「いやー特に…」

 

そう言って私に投げて寄越した。読んでみろって事かな?

 

「そう言えばだけど…ダミーにも兵舎を与えてるのって珍しいらしいね」

「んーまぁそうだな。つか物好きの部類だな」

「どうしてそこまでしてるの?」

「いや、ダミーだって人形だし感情だってあんだろ?なら最低限でも環境は整えてやんないとさ」

「なるほど」

 

かなりの甘ちゃんだけどうん、士気はかなり高いしON/OFFの切り替えでなんとかなってるしね。

整える利点もあると思う。他の基地のダミーはどうなんだろうね?

整えなくても戦えるのがダミー人形だし私達人形だけど…

まぁそのお陰でダミーが結構自由に色々やらかしてくれるわけだけどね…

さて、社内報はなんだろう?S04地区の黒い噂話とS03地区の事か…

あとはS06地区の基地全滅と再建のお話か…こういうのは絶えないなぁ。

もっと明るい話をもってこいよチクショウ…ほらS09地区の結婚話とか載せても良いんじゃないの?

社内で人形と結婚したおめでたカップルみたいな感じで大々的にさぁ…

あ、それ言ったらS03地区の指揮官も結婚してたりするんだっけか…

各基地の大雑把な事は社内報で知れるし…うーん、お兄ちゃんも結婚したら載ったりするのかな?

 

「平和にならないね…」

「ま、こんなご時世だからな」

 

コーヒーを啜りながらため息を吐くお兄ちゃんの視線は私に向けられていた。

 

「早いところ平和になってくれりゃ俺も遠慮なくおっぱいおっぱい言ってられるんだけどよぉ」

「あははは…別に平和じゃなくてもそれは良いんじゃない?」

「そうかねぇ?」

「私は別にお兄ちゃんの裁量でそういう振る舞いもしても良いんじゃないかなって…思うよ?」

「そうかぁ…ま、一意見として取っておく」

 

平和になったらその時は私は貴方の傍にずっと居たい。

そうじゃなくても貴方が望むのなら私はなんだって差し出してみせる。

 

「じゃあ417の…いや、やっぱ良いっす…」

「なんだよぅ」

「「「「よう、ヘタレ」」」」

「ヘタレちゃうわ」




わちゃわちゃ感出てるかなー?


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Day75 クルージング再び

トラウマは払拭するもの


――――――――――――D08基地工廠・早朝

 

 

「よし、誰もいないな…」

「と思った?」

「のわぁっ!?」

 

朝からこそこそガレージに来ていたお兄ちゃん。うきうき気分だった所ごめんね。

今日も私がお邪魔してたり。一人でどっかにフラフラとさせるつもりは無いんだ。

まぁマジな話トラウマは塗り替えてしまったら軽減するんじゃないかって思惑。

今日お兄ちゃんに同行して特に何もなく平和に終わったら…もしかしたらって…

 

「あのなぁ…417、先週あんなのがあったばっかなんだぞ?」

「今日はほら、だーちゃんも連れて行くから」

 

バックパックを背負ってそんなバックパックから顔をひょこっと出したのは私のペットロボのだーちゃん。

護身用のツールとしても機能するみたいだから私がもしも不覚を取ってもリカバリーが効く。

腐っても元鉄血の戦闘人形だから戦闘力については折り紙付きでしょ?

バイクに乗ってる間に振り落とされないようにって事でバックパックに入れてるけど自由に出れるみたいだし。

 

「それに、何かあったらまた守ってくれるでしょ?」

「…おう」

「なら、今日も一緒に連れて行ってほしいな…だめ?」

「なるべくお前一人にはしないからまぁー安心しとけ」

「うん♪」

 

よし、お兄ちゃんの同意を得られたから今日も一日お兄ちゃんと一緒だ!

今日は私はカジュアルな童貞殺しな服装だけど…別にこれで乗っても平気だよね?

 

「一応確かにな…世の中にはスカートで乗るライダーも居るが非推奨だぞ?」

「じゃあ別にいいよね?」

「どうなっても知らねぇからな…」

 

うーん…今度スカーチョでも買うかな?まぁでも乗れなくはないんだから行けるでしょ。

大事な所はしっかり隠れると思うし…うん。座り方次第じゃないかな?

はい、半ヘル被ってから後部座席に乗って…ちゃんとスカートはお尻の下に巻き込んでおいてっと…

 

「じゃ、行くぞ」

「ごーごー♪」

 

太ももでしっかりお兄ちゃんの脇腹を挟んでから背中に抱きつく。

がっこんと音がしてからギアが入ってバイクは爆音立てて発進した。

 

 

――――――――――――

 

 

早朝の冷たい風は私の頬を撫でる。中々寒い。お兄ちゃんはかなり着込んでるけど。

私は結構薄手だからちょっと後悔…それよりも後悔要素があるんだ。

 

「いやぁぁぁあああ!!スカートがめくれてるぅー!!」

「だから言ったじゃねーか!!」

 

ロングスカートは風に煽られて太ももの根本辺りまで多分見えてる。

真横とかから見られたら間違いなく中身が見られる!これは想定外ー!

私の泣き言にお兄ちゃんは呆れ半分で速度を緩めてくれた…優しい…

 

「ったく」

「ふえぇぇ…」

 

信号待ちでちょっと止まったからそのスキに余ってる布を太ももの内側に巻き込めば…多分平気かな…?

んー…うん、多分平気だね。お兄ちゃんの好きな速度にしてもOKかも。

それにしても今日はとっても早くに出たからか車の通りも少ないなー

もっと交通量はあってもおかしくないんだけど…運搬業者のトラックくらいじゃないかな?

 

「やっぱ朝は良いな…気ままに流せる」

「お兄ちゃんもっと出しても多分OKー!」

「マジ?じゃあちょっと様子見なー?」

 

お兄ちゃんのバイクはかなりの巨体にも関わらずかなり俊敏だ。

言ってすぐにスピードが一段上がった。全身に浴びる風圧も上がるけど不安を感じさせない。

ずっしりとしたその車重が安定感を出しているんだろう。

うーん…私も乗れるバイクがあるならちょっと考えてみようかな?

140センチのチビでも乗れるバイク…あるかなぁ?いや、乗り方しだい?

 

「おっと…燃料がもう少ないから給油に入るぞー」

「はーいりょうかーい!」

 

近くのガソリンスタンドに入っていってバイクを止める。

するとそこには同じ様にバイクに乗ってる人が居て私達の方を見ていた。

 

「417、ちょっと降りてな?給油口そこなんだよ」

「あ、うん…」

 

あれ?ガソリンタンクってライダーの股の前のあれじゃないの…?

まぁ良いや…ちょっと伸びておこうかな…

 

「お若いの、デートですかな?」

「はい?」

「ばぶふっ!?」

 

声を掛けてきたのはご老人だ。元気だなぁ…バイクに乗ってたのおじいちゃんなんだ?

わーばりばりな革ジャンだ。お兄ちゃんは理解できず首を傾げてるけど私は吹き出した。

若い二人、タンデム…傍から見たらそう見えちゃったりするのかな…えへへ

 

「い、いや違いますよ!?」

「そうっすよ、こいつと俺はただの上司と部下っす」

「いでっ…何すんだ417!」

「なんでもなーい…ぷーだ」

 

ただの上司と部下って間柄じゃ面白くないなーって思っただけ。

ムカついたから足を軽く蹴ってからほっぺた膨らませてそっぽ向いちゃうもんねー

 

「ほっほっほ…そうかいそうかい、朝は空いとるが気をつけるんじゃよ?」

「へい、あざっす」

 

しゃっきり歩いてバイクに跨ってからおじいちゃんは走って行った…すげー

健康の秘訣がバイクだったりして…少なくとも精神的には若くいられるんじゃないかな?

 

「ああいうおじいちゃん多いの?」

「あぁ、割と見るね」

「へぇー」

 

おじいちゃんが乗れるなら私が乗れるバイクもあるかな…あんなふうなクルーザータイプ。

 

 

――――――――――――

 

 

給油が終わって走ること数分、私にとっては因縁の場所でありお兄ちゃんにとってはお決まりの場所。

ライダーが多く集まるスポットに来たわけだ。今日も大盛況。色とりどりのバイクが止まってる。

あのレイプ未遂犯と同じ様なバイクも止まってる…もう出所してるなんて事はないよね…?

 

「大丈夫だって、手握っとくか?」

「うん…」

 

気を抜くと身体が震えてくる…あの時の恐怖が私を襲ってくる…

ぎゅっとお兄ちゃんの手を握っておかないときっと震えが止まらない…

 

「おや?先程のお嬢ちゃんと兄ちゃんではないか」

「ほぇ?」

 

声を掛けられてそっちを見ればおじいちゃん達が談笑していた。

その中の一人がさっきのガソスタのおじいちゃんだった。

 

「あぁさっきぶりですね」

「ど、どうも…」

「ちょっと話をしていかんかね?コーヒーを奢るぞ?」

 

コーヒーを餌にちょっとお話かぁ…あのおじいちゃん達なら良いかな…

 

「行ってきていい?」

「危ないと思ったらすぐに呼べよ?」

「うん…」

 

おじいちゃん達の傍に行くとベンチに座らせられて…なにをお話するんだろう?

ずっとバイクのお話してたみたいだけど…うわ、一斉にこっち向いた…

 

「ほほぉ…これは別嬪さんじゃのう」

「将来楽しみじゃなぁ」

「こりゃこりゃ、この嬢ちゃんはあの兄ちゃんのコレじゃぞ?」

「ぶっ」

 

小指を立ててコレって…ち、ちがわぁぃ!!まだ違うわ!

あわあわしながら違う違うって頭を振ってアピールするけど私の反応が面白いのか…

 

「本当のこと言ってみ?どこまでしとるんじゃ?」

「付き合っとるんじゃろ?」

「ち、違いますぅ…好きですけど…」

「「「ほほぉ…」」」

 

たっぷりと私はおじいちゃん達のおもちゃにされました…

そのおじいちゃん達と仲がいいお兄ちゃん達も混ざって私弄りが加速したりした。

なんなのよもうこの場所ぉ…ふえぇぇ…だからまだ関係は…んにゃぁぁぁ!!

 

 

――――――――――――

 

 

「お、いや、お前どうしたし…」

「ふえぇぇ…お兄ちゃ~ん…」

「ほっほっほ若いのぉ」

「もう二度と話さないからなくそじじい!!」

「元気もいいのぉ」

 

なんかヘロヘロとした417だったが背後に付きそうご老人を気に留めた様子もない。

417の様子は見るからに良くなっていた。男を見た時に微かに強張っていた表情も自然だ。

借りてきた猫のように縮こまっていたのも嘘のようだ。今では元気に中指を立てるほどだ。

 

「はしたないから止めような?」

「がるるるるる…」

 

清楚な見た目なのに勿体無いこと。ご老人はそんな417を気にした様子もなく笑っていた。

なんだか俺を見る目が生暖かいんだが、何を話したんだ?

 

「ほれ、約束のコーヒーじゃ」

「おっと、いいんすか?」

「わっとと…」

「若いエキスを吸えたからのぉほっほっ」

 

そう笑ってご老人はご自慢のアメリカンクルーザーに乗ってから後にした。

かなり年季の入ったモデルだがエンジンの掛かりが一発だ…かなり手入れしてるな。

因みに417は見えなくなるまで唸っていた…お前は犬か?腕に抱きつくな、当たってんだが?

 

「当ててるの!」

「ぉ、ぉぅ」

 

まぁなんであれ417が元気になってくれたならまぁ良いか。やけにグイグイくるな…

コーヒー飲みながら417の方を見ていると視線が合った。基地と変わらない可愛らしく小首を傾げたもんだ。

ぷんすこ怒りながらコーヒー飲んでる417だったが…本当にお前に何があった。

 

「あのおじいちゃん達私が心に傷を負ってるの感づいてたっぽい」

「ほぅ」

「私が若いお兄さんを怖がったのから色々ね…聞き出されちゃったけど…悪い経験じゃなかった」

「ならさっきの言い方はねーだろ」

「私とお兄ちゃんの関係を散々からかってきたんだけど?」

 

やつれてる原因はそれか。つかからかわれるのが嫌なら勘違いされるような事をしない方が良いんじゃね?

 

「私は!お兄ちゃんの事…好きだから…もっと堂々としたかったけど…」

 

……コーヒーうめぇ

 

「お兄ちゃんは私のことそうでも無いでしょ…?」

「家族としては好きだぞ?」

 

おぉ不満そうな顔、分からなくもないけどよぉ…俺のどこが良いんだよ?

あのリング、マジでどうすっかなぁ…火種になりかねねぇなぁはぁ…胃が重いぜ。

 

 

翌日俺がソロで訪れた時には彼女はどうした?とからかわれる羽目になった。

417と俺はそうじゃねぇって説明しても聞き入ってもらえねぇし…




ご老人は多分こういうからかいは大好きだと思うの。
あと指揮官は鈍感ではない。


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番外 S09地区の結婚式2

お ま た せ
大コラボ回の続きでーす


さて、式は終わり記念撮影と相成ったのですが…

各基地のメンツと代わる代わる記念撮影してから…宴会となるわけですよ。

新郎新婦と副官とP7とステアー囲ってパシャリ。

P7は出自がちょっと特殊で指揮官さんの事をお母さんなんて呼んでるらしい。

ステアーも同じく呼んでるからもうあれだね、子持ちの夫婦になるわけだ。

これが本当のできちゃった結婚ってやつかな?いや、違うか…

で、最後に皆集合して…大団円ですよ。ふふふ。いい笑顔で取れてると思いますよー?

真ん中のユノちゃんとPPKのペアの笑顔がまた眩しい…

 

「重い…」

 

そんなことを言ったユノちゃん。あぁやっぱり重いのね。

まぁすごい布の量だしねー…私も流石にあのドレスを着ることになったら苦労しそう。

というか気を抜いたら踏み抜いてすっ転ぶ…

見た感じユノちゃんは標準的なティーンエイジより細い…色々と。

そんな彼女がドレスを身に纏ってたらそりゃ重いか…

 

「では来賓の皆様、続いて披露宴の会場に案内致しますので着いてきて下さいませ」

 

およ?この人は普通の人間じゃね?この基地基本的に人間が居ないんじゃ…

まぁ信頼されてる人間って所か。まぁそれは良いでしょう。

それより披露宴ですから…あーやべぇ、ついにアレを披露する時間が来たんだ。

あばばばばば…緊張してきた…やべぇよやべぇよ…

 

披露宴会場はそこそこの広さだ。それぞれ用意された席に座って…

うわ、何この料理の数々…全部とっても美味しそうなんですけど…

司会進行が言うには今新郎新婦がお色直し中と…もちっと動きやすいドレスに着替えてくるのかな?

 

「お兄ちゃんは各基地に挨拶回り?」

「みたいよ…交流を持つのは悪いことじゃないでしょ?」

「ご苦労なことだよねー」

「お姉ちゃんは?」

「ここの基地の416を見かけて話に行ったみたいよ」

「なるほどー?」

 

まぁ今の内なら別に良いんじゃないかな。今はまだ歓談に集中しても文句はねぇでしょ。

あ、ほんとだ。お姉ちゃん同士で話してる。端末見せあって…あーさては趣味の見せあいだな?

で…お兄ちゃんは…あーお酒片手に陽気に色んな基地の指揮官さん相手に挨拶回りしてる。

この中だと若い方だからペコペコしてるなぁ…

 

F小隊の指揮官さんにー女性と…子供?がドッタンバッタンしてる所にーG3と話してる指揮官さんか。

 

「皆様長らくお待たせしました。新郎新婦のお色直しが完了致しました…では、拍手をもってお出迎えください!」

 

パチンと照明が落ちてスポットライトが入り口に向かう。

扉が開け放たれるとその中から現れたのは45姉のドレスに似た物を着たユノちゃんと対称的なカラーリングの男装のPPKだ。

おぉ綺麗なりね…それにしてもPPKが手慣れた様子でエスコートしてるなぁ。

ほらちょっと日和った感じのユノちゃんの手を取ってるんだぜ?惚れるっしょ。

で、会場の上座に二人が座ると…全員所定の席に戻ってから静粛に。

案内+司会してたのはヴァニラと名乗った。ふーん…整備士かぁ。なるほど。

ユノちゃんの紹介とPPKの紹介…パンフレットに書いてることだけどね。

で、副官が代表して言葉を述べるみたいだ。あははユノちゃん食いしん坊なんだね。

まぁ突然だったのは確かだけど招待されちゃね?

お兄ちゃんの方を見ると副官に向かってサムズアップしてたし気持ちは同じか。

素直にこういう祝い事は盛大に祝うタイプだからね。お兄ちゃんって人間は。

 

「アヤツに何時までも色褪せぬ思い出を残せたことを、改めてお礼を言いたい、本当にありがとう」

 

このセリフとあの身体の傷から察するに相当アレな過去があるんだろうな…

そしてそういう思い出が数少ないのかもしれない。

楽しい思い出の一端にでもなれたなら私達は幸いですよ、副官さん。

乾杯の音頭に合わせ皆酒坏を高く掲げた。

 

んーでもってからはじめての共同作業と言うわけですよ。

結婚式といったら勿論コレ、ウェディングケーキにケーキ入刀です。

いや、でけぇな…これ作るのにどれだけコストかかったんだよ…

これ大体食べる部分ってちょっとだけで他は飾りとかだったりするんじゃないの?

これ全部本物じゃね?どんなバランス感覚で作ったんだよ…作ったの誰だよ。

 

切り分けられたケーキの配分とかもあったんですが…

ユノちゃんとPPKの食べさせ合いっこが発生してから皆ニヤニヤと見ていましたよっと。

 

で始まった新郎新婦を交えての歓談会ですよ。交流が深かった基地からそれぞれ挨拶に行っては祝福を叩きつけてるな。

あ、人数捌けたね…私達も行くのかな?

 

「よし、行くぞ野郎共」

「野郎じゃなくて女郎じゃない?」

「盛大に祝ってやろうじゃないの」

「まぁおめでたい席だから素直に祝福を言おうじゃない?」

「新しい家族の誕生だよ!」

 

お兄ちゃんが意気揚々と席を立ってからユノちゃんの所へ。

私達も後に続いていってから

 

「ご結婚おめでとうございます。今回は招待いただきありがとうございます。私D08地区の指揮官のディーノ・タカマチと言います。あ、敬語はいい?助かるわ…正直敬語は性に合わないんだわ。まだ交流が始まって間もない俺達を招待してくれてありがとうな!これからのここの基地全体に良いことあるといいな!」

「結婚おめでとうございます。HK417と言います…きっと辛いことがいっぱいあったんだろうけど…これからずっと幸せになれるはずだから、お幸せ…に…ぐすっ…ぉぉん…」

「何泣いてんのよ…多くは言わないわ。お幸せにね」

「結婚おめでとう~初夜はハメを外しすぎないようにね~?」

「おめでとうございます!これからずっと家族だね!羨ましいな♪」

 

私がおんおん泣いてからお姉ちゃんに呆れられたけどべつに良いじゃん!

辛い事が沢山あっただろう人のめでた~い門出なんだよ!感動して何が悪いか!

 

あ、やべ…そろそろ時間じゃない?

お姉ちゃんと9姉の裾を引っ張ってアイコンタクト。

9姉は直ぐ様手荷物のヴァイオリン引っ張ってステージ脇に待機。私達も同じく…

司会のアナウンスと一緒にステージにスポットライトが当たる…うわー緊張してきた。

 

「ご紹介に預かりました。D地区のHK416よ…今回はちょっとした余興を提供するわ」

「同じくHK417です。盛り上がってくれたら嬉しいですね…あはは…」

「UMP9でーす!今回は張り切っちゃいますよー!」

 

ステージの上に立ってからライトの眩しさに視線が途切れる。

ふぅ、これならまぁ…大丈夫でしょ、うん…

お姉ちゃんとアイコンタクトして頷く。あとは私達で踊り切るだけだ。

 

「「Hey!Where's the Drum?」」

 

9姉のヴァイオリンの演奏が始まる。それより私達がすこし早くに動き出す。

最初は簡単なシーケンスだ…ミスる要素なんて無い無い。

踊る時は笑顔笑顔!お姉ちゃんも徹底して調教したからこの時ばかりは輝く笑顔だ。

 

ヒュー!君は輝いているね!ティファニーのダイアモンドみたいだ!

もう昔みたいに扱われない…時代遅れになんかにならない。

君は可愛いなぁ、この世界はおかしくなってるかもしれないけれど…君に救われたんだ。文句ある?

君を笑顔にしたいだけなんだ!マイケルみたいにスリラー…プリンスみたいにキスしたい

マーヴィン・ゲイみたいにノリノリに行こうよ。ハサウェイみたいに君の為に歌を歌うよ…こんな風に。

君は僕の理解を超えている。頭がおかしくなりそうだ。生まれる時代を間違えたなんて思ったり。

偽物ばかりのこの世界で唯一無二…君って本当にクラシックだ…

 

まぁお二人に向けてのことだから君たちって言ったほうが良いかな?

練習したかいもあって難なく踊りきってみせた。ほっとした半面もう終わり…っていう残念感。

 

「結婚!」

「おめでとうございます」

 

何度目かの祝福を送ってからステージの上から引っ込むんだが…

 

「ぐえぇぇっ!?」

 

ホッとした私が気を抜いちゃって足をくじいて転げ落ちた。

会場からは笑いがどっと生まれた…うえぇ恥ずい…

んぁ?誰だお前…あ、この人形は農業の先輩のP38じゃん。なんか鼻息荒いんですけど

 

「あそこまで踊って、そして歌えるならアイドル行けますよ!どうでしょうか、是非とも一度一緒に、え、駄目ですか、そうですか……あ、後で農業について語りません?」

 

熱烈な勧誘だった…いや踊って歌えるけどアイドルは興味ないっす…

人前で踊るのは後にも先にも多分こんな事だけですから…

勢いに引き気味でジェスチャーで結構です…ってしたらすっごい残念そうだった。

だから私達は戦術人形だろぉ?アイドルしてる暇はねぇんですぅ!

 

それからは本場のアイドルによる歌と踊りがあって…なんかこの基地の変なVectorが…

 

「え、何アレ…」

「…ふぅん」

「いい歌ね」

 

微笑みジョークを飛ばしてたヤツとは思えない見事な歌を歌い上げてから私達呆然。

ん?でもこれどっかで聞いたことあるな…えーっとえーっと…あー出てこない!

くそぅでもこれはどっかの歌だ…私が聞き覚えのある曲だもん…!

ってなわけで余興は私のぐえー!以外は特に何もなく終わった。

 

「では、二人の馴れ初めエピソードを話すにゃ」

 

お、お、何が始まるんです?馴れ初めエピソードですって?

ヒョー!キタキタキタ!!赤裸々なエピソード期待してますよー!!

いけー語っちまえIDW!ほほう?最初のPPKはヘタレだったと?

ほうほう、ヘタレが距離を詰めるのに相談したっと…じれったさにキレたのかな?

わーPPKの顔が真っ赤っ赤だねぇーこれはマジですね。ひゅーひゅー

あ、告白はユノちゃんからなんだ?で返事がぶっ倒れた?なにそれ面白い。

あ、固まってからビターンだったんだ…くすくす…

 

楽しい時間って言うのは得てしてあっという間に流れていくものだ。

今回のこの結婚式、披露宴もそうだ。あっという間に閉宴時間に差し掛かっていた。

そう、もうこの楽しい楽しい披露宴はおしまいなのだ。

 

「えっと、今日はこんなに沢山の人達に集まってもらってとても嬉しかったです!今までこうやって祝われるとか無くて、今回初めて『おめでとう』っていう言葉を掛けられて、その、えっと、あれ?」

「ご、ごめんなさい、ひっぐ、だからその、えぐ、今日はありが……ありがとうございます!!」

 

ふふ、ずっと我慢してたのかな?私なんて我慢することもなくおんおん泣いたのに。

強い子だね…うん…こっちこそ今日はありがとうね。

 

 

――――――――――――

 

 

「何見てるの?」

「んー?あぁ…この前の結婚式の写真」

 

HK417の私室には写真立てと一枚の写真が飾られていた。

「あなたの幸福を祈る」を意味するバラの葉がモチーフの額縁だった。




いやーコレほどね書いててするする書ける回は無かったんだ。
改めて招待してくれたユノちゃん達におめでとうやで。


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IF番外 404のマークスマン

もしも保護された後404にねじ込まれたら。


端的に言おう、オイラの存在は消された。保護されたっていう経歴も全部ね。

今の俺の所属する部隊は拾われたD08地区の基地ではなく…クソッタレた部隊だよ。

404-NotFoundヘリアンのクソやペルシカのクソに主に依頼されて動くG&Kの暗部だ。

当然俺の個体IDは抹消され行動ログも抹消済み。文字通りの存在しない存在って訳だ。

 

「皆居る~?新しい依頼が来たわよー」

 

あぁ今日もどんな殺しが待ってることやら…隊長である45がお呼びだ。

名残惜しいがタバコの火を消してからブリーフィングに向かった。

面倒だが行かなければどやされるのは俺だ。生きていく上でこの小隊に居なければならない。

使えない人形は淘汰される。少なくとも俺は有用性はある。

見捨てられない程度にやるだけだ。非常に面倒だがね。

 

「はぁ…」

 

この部隊に馴染んでから増えた溜息。人を殺すことにも慣れた。

人を見捨てることにも慣れた。全ては任務のため。部隊の存続の為。

戦闘装備を整えてからブリーフィングに望む。薄ら寒いセーフハウスに戻る。

 

「遅いわよ417」

「ヤニ吸ってたんだ…ちったぁ譲歩しろ」

「まぁ良いわ、じゃあ今回の任務を大雑把に説明するわよ」

 

本当はこのブリーフィング中にでも吸っていたい。人形だから何だって言うんだ。

何時消えるか分からない俺達だ。生きている実感をくれても良いだろ?

この何も娯楽のないクソみたいな部隊で許されている唯一の娯楽だ。

人間が依存したくなるのも分からんでもない。最も俺も昔はそうだったんだがな…

ブリーフィングに混ざれば俺が一番最後だったらしい。隊長の45以下4人が雁首揃えて待っていた。

何時も薄気味悪い笑顔を貼り付けている9に自称完璧な人形の416そして寝坊助の11。

いつものように端末からホログラムで浮かび上がったヘリアンがこっちに命令を出していた。

出来りゃこのスカした面に一発イイのをかましてやりたいが…

大雑把に言えば今回の任務は鉄血の勢力圏内に不時着したAR小隊のバカ共を救出しろって話しだ。

416はそれはもう大層憤慨して嫌という感情を隠しもしなかった。

11はいつものように任務そのものを嫌がって眠いだのダルいだの文句を垂れている。

まぁここでの決定権を持っているのは45だから俺達は逆らうことは出来ない。

逆らったら置いていかれるだけだ。あとは野となれ山となれって所か。

つまりは野垂れ死に待ったなし。生きてくためにAR小隊を何が何でも救えってか…

これは俺も気乗りがしない。俺の根底に根付いている物が嫌悪感を発生させている。

M16とM4が憎い。俺自身はどうでもいいと思っていても根底がそうは思っていない。

難儀なものを抱えてしまったもんだよ…だからタバコって言う逃げに走ってんだけどよ…

 

「移動までは何時間ある?」

「すぐに出るわよ♪」

「チッ…今頃ARのバカ共は吹雪の中タイミング見て補給受けてんだっけか?」

「もうじき私達もそうなるのよ?」

「じゃあ移動中ヤニ吸ってもいいか?」

「どうぞ、お構いなく」

 

許しが出たので遠慮なく紙巻煙草を咥えてライターで火をつける。

紫煙が夜空に消えては散っていく…吐く煙もまた同じ。

まったく、こんな生活クソっ喰らえってんだ…

 

 

――――――――――――

 

 

夜の帳は降りた。クソがつくほど寒い豪雪地帯に俺達は侵入していた。

UMP共は別ルートで潜入。俺達はまた別ルートで侵入して待ち伏せだ。

 

「寒い…もう帰ろうよぉ」

「黙れ、とっとと歩け」

 

すぐごねる11のケツを蹴り飛ばしてからキビキビ歩かせる。

M16を救出するって言う目的上416の機嫌はコレ以上無く悪い。

加えて言えば俺の機嫌だってよろしくない。今すぐヤニを吸わなきゃやってられねぇな。

猛吹雪の中補給もクソも無い状況での待ち伏せはかなりくる物がある。

元々あまり潤沢な補給なんてものは無いし食事も味気ないレーションばかりだ。

そんな味気ないもんも一個一個ケチって行かないといけないのが苦痛だ。

ごねる11は計画性もなくひょいぱくと食っては後で泣きを見るんだがな。

 

『416~応答して』

「416呼ばれてるぞ」

「……」

『もしかして死んじゃった?』

「お生憎様まだくだばっちゃいないわよ」

 

そうとうお冠なようだ。ささやかな反抗を見せてやがる。

それを意に介した様子もない45はそのまま作戦を告げてきた。

まぁブリーフィングのおさらいみたいなもんだ。先に俺達が基地に潜入。

そのあと45と9が潜入、工作してから合流って所か。

 

「オラ行くぞ寝坊助」

「もう417は乱暴だから嫌だよぅ…」

「だったらキビキビ歩けスカタンが」

 

さて、行動開始だ。夜闇に紛れて障害を排除しながら潜入か…

 

「417は狙撃支援を」

「言われなくても分かってる」

「しくじるんじゃないわよ」

「もうしくじらねぇよ」

 

隊に合流したばかりの頃ではないんだ。もう俺は殺すことに躊躇いはない。

マガジンを装填しチャージングハンドルを引きセーフティを解除してセレクターをセミにしてトリガーに指をかける。

他の誰でもない俺の意思がスコープの向こうの標的を殺す。

嫌という程やった工程、吐き気を催さなくなった行動。硝煙の匂いが染み付いて取れなくなった。

もう陽だまりの中に戻ることは出来やしない。俺はどうしようもなく戦術人形になってしまったんだ。

 

「じゃ、とっとと死んでくれや、木偶人形」

 

夜闇の吹雪の中マズルフラッシュとサウンドサプレッサーによって消音された気の抜けた発砲音がした。

スコープの先で装甲に包まれた木偶人形が電脳をぶち抜かれて倒れていた。

 

 

――――――――――――

 

 

「監視カメラが?」

「えぇ、見てなかったの?」

「あー?」

 

基地に潜入してから45を待っていると416がなにかほざき始めた。

監視カメラが自分達を追っているなんて言い出す。試しに見てみれば確かに…動いてる。

しかしそういうもんだろう?と別に気に留める必要もねぇだろ…

だがそんな俺を裏切る事が起こった。直ぐ側のモニターが点いた。

 

「何だ?」

「はぁい、こそこそ動き回ってる子ネズミちゃん達」

「……」

 

こいつは敵のハイエンドモデルか。向こうから接触してくるか。

まぁこれで俺達の潜入ってのは筒抜けか…滑稽極まるな。

416が警戒しながらもなにやら持ちかける雰囲気を出していた。

まさかと思うがなんか交渉できると思ったのか?アホくせぇ…

そんな俺達の背後から弾丸が飛んできてモニターを破壊した…

振り返ればそこに突っ立っていたのは…合流待ちをしていた45だ。

 

「よぉ45、遅かったな」

「くたばってないようね、安心した♪」

「抜かせ、アバズレが」

 

愉快な的当てからの潜入なんざ赤子の手を捻るようなもんだ。

11の子守が面倒臭いだけでその他に危機的状況に陥る要素が見当たらん。

基地に潜入してから呑気にヤニを吸ってる余裕すらあるわ。

微塵も心配も安心もしてねぇだろう45の戯言なんざ信じやしない。

アホくせぇと鼻で笑ってから紫煙を吹きかける。まぁ気にした様子は無いな。

 

「それより416、さっきのはいただけないわよ?」

 

ま、敵と内通するような事しようとしたんだからな。非難されらぁな。

45がからかったりしてるが俺には関係ない。それよりさっさと終わらせて帰りたい。

 

「で、これからどうすんだ?」

「ここからAR小隊の痕跡を辿って追いかけていくわよ」

「あっそ、迷子を探して迷子にならなきゃ良いけどな」

 

この基地にもARのバカ共の痕跡はあった。それからどの方向に向かったかを推定して追っていく。

あーあ面倒臭い…補給もクソもねぇし…やってられねぇ…

 

「チッ…ヤニが切れたか…」

 

基地の外に出て吐く息が紫煙に近く吹雪の中に溶けて消えていった。

 

 

――――――――――――

 

 

「おいどうなってんだ」

「これも計画の内よ」

 

夜明けと共に大型砲台の弾丸が付近に降り注いだ。俺達の居場所がまるっきりバレている。

撤退するしか無い。こんな弾丸食らったらひとたまりもあったもんじゃねぇ。

作戦の責任者である45の判断ミスか潜入時のミスか…それともまた別な何かか。

ともかく俺達の行動は向こうに筒抜けだったのが納得いかん。

45がどっかしらに通信してたようにも思えてたが…まさかと思うが…と視線を投げる。

しかし45から帰ってくるのは計画の内というだけの物だ。ふざけてやがる。

こんな危険に晒すのが計画の内に入ってるなんてどうかしてやがる。

やっぱりこの45って人形は狂ってやがる。クソッタレが。

こんなトチ狂った小隊にぶち込みやがったペルシカもヘリアンも等しくいつかぶっ殺す。

人間が憎い、この小隊も憎ったらしい。世界そのもの滅んでしまえ。

 

「私達の動きがアーキテクトのカメラに捕らえられていたのはなぜ…?」

「知るか!今はそれより逃げるんだよ!!」

「もしかして…「傘」が…?」

 

あぁくそっ!呑気に考えてる暇もねぇ!降り注ぐ砲弾の雨から逃げる。

こんな計画を立てやがった45を恨んで恨んで恨みきっても死ねねぇからな。

 

 

「で?逃げた先がまた砲台の森ってなんだよ?自殺願望でもあんのか?45よぉ」

 

 

命からがら逃げた先も砲台の森と来たもんだ。自ら出ていって殺されるのか?

我らが隊長殿はいつから自殺志願者にでもなったのやら。あーくそったれ…

こんな作戦ついてくるんじゃなかったぜ…一度拾った命もここで無駄に散るか。

 

「恨むぜ45」

「ここにアーキテクトが居るわ」

 

ぽつぽつと話したのは新造したての人形と通信してたって事と有用性が確立されたばっかりの作戦を使うって事。

正気の沙汰ではない。あの砲台に正面から突撃するってもんだ。馬鹿げている。

 

あぁ俺の人生…どうなるんだか。404に呪いあれ。




ヤサグレて俺口調の417。
本編と違うことは装備品にボロ布マントが追加されてること。
ヤニ中毒者になってること。
人間に深い恨みを抱えていること。
人間だった頃の記憶は殆ど消えている事。


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Day76 ストリートでのピアノ演奏

今日はもうないと思ったか?残念だったな。


――――――――――――D08基地兵舎HK417私室・朝

 

 

「んぁ…」

「んー♪」

 

んー…なんか凄く変な夢を見た気がする…私だけど私じゃないような…

隣を見るとゴロゴロと寝てるG28の幸せそうな寝顔があった。

こいつ私の寝床に潜り込んでやがったな。さり気なく私のおっぱいに手を載せてやがる。

よく覚えてないけど良い夢じゃなかったのは確かだと思う。胸がもやもやしてるもん。

胸クソ悪いって感じじゃないけど…んー…まぁ気にしても仕方ないか。

今日は確かオーダーしたゴスロリ服が出来上がってる頃合いだったはず。

街に繰り出してからお支払いとか試着とかして来ないとね。

ふふ、私のこのダイナマイトボディにピッタリフィットするゴスロリ服だよ?

街往く人々の視線を釘付けにしちゃうよ?あ、ナンパ男はご勘弁な?

 

「さてと…G28起きてー?」

「…やだ!」

「起きようねー」

 

やだじゃねぇよ、起きるんだよ。というかてめぇいつの間に私の部屋に潜り込んでやがった?

そのお陰でひでぇ悪夢は見てないと思うけど…私のプライバシーどうなんだよ?

まぁ遠慮する必要ないから布団を引っ剥がす。私の朝の支度の時間だからさっさと起きやがれ。

あとおっぱいを揉むな。さり気なく揉んでるんじゃない、手をどけろ。

 

「寒いよぅ…」

「だー!ひっつくな!どこに手を回して…あにゃぁ!?」

「うへへへ…」

 

起き抜けのG28はかなりの引っ付き虫だ。ついでに言えば寒がりで私の体温を求めてきやがった。

その結果冷たい手が私の寝巻きの胸元からするりと入ってくるもんだから…

首筋や耳元にG28の吐息もかかってすっごく擽ったかった…あー…

私がキレて投げ飛ばすまでそんな調子だった。ほっとくと私を押し倒しかねなかったもん。

だから私はお兄ちゃんに貞操を捧げるんだから…やめてよね。

そんなドッタンバッタンに起こされたか寝起きっぽい機嫌の悪そうなお姉ちゃんが顔を覗かせる事になった。

まぁ私のやつれ顔と床でのびてるG28を見てから全て察してくれたようだったけどね。

私達がこれだからダミーとかもおんなじなんじゃないかと邪推するが…

まぁいくらダミーでも白昼堂々押し倒すなんてことは無いよね…ね?

さてとお化粧してから外出準備でーす。G28?知らんな。

 

 

――――――――――――

 

 

んー…何時来ても街はそこそこの賑わいを見せている。まぁ良いことだ。

鬱蒼としてるよりは全然良い。人間こうあるべきだよ。うん…

さてとショッピングモールに来てるわけですが…んぁ?なんだろう…

広場にちょっと人集りが出来上がってる…ちょっと覗いていこうかな?

なにかイベントでもやってるのか…お、ピアノの音だ。でもなんだ…しっちゃかめっちゃかだな。

子供が適当にがんがん鳴らしてるような…いやその通りですね。

人集りは皆一様に微笑ましく見ていてその先に居たのは…ちっちゃな子供だ。

なんかピアノが設置されていてそれに座ってからじゃんじゃん鳴らして遊んでいる。

これは微笑ましく見えちゃうよねー…うんうん、あははめっちゃくちゃいい笑顔。

音色は酷いけど人に笑顔を振りまくのは天才的だね…うんうん。

 

「ストリートピアノ…へぇ」

 

大人から子供までだれでもご自由に演奏してくださいってポップがある。

つまりはそういう事だ。皆自由に演奏できるピアノって事だ…練習にも使えるのかな?

ん、子供も満足したのかどいて…あ、お母さんのところに行ったね…ふふ、可愛いな。

母親…かぁ…優しそうで、良いなぁ…私は飢えてるのかもしれない。

ああいう幸せそうな家族を見ると胸がモヤモヤしてくる…嫉妬なんだろうか?

基地の皆っていう家族は居るけど…それでも肉親っていう…父親母親の愛というのを知らない。

知らないで育った私は飢えているのかもしれないな…

 

「あほらし、はぁ…」

 

バカバカしい事を考えてないでお洋服取りに行こ…結構したんだし楽しみだな。

これでお兄ちゃんの視線を釘付けに出来たりしたらなお良いんだけどねー

まぁそうはいかないよね…現物を見てみないことにはわかんないけどさ。

あの妙に奥手なお兄ちゃんだから視線を独り占めって事は難しいだろうなぁ…

ちょっとでも私が気づいたらすーぐ視線をそらすし…ちらちら見るんだけどさ。

どうせ見るんなら堂々と見たらどうかなって思うけど…残念ながらそうはいかない。

あーこういうときにアコースティックギターとかかき鳴らしたい…

それか歌を歌ったりダンス踊ったりさー…良くない気分は動いてなんとかしちゃおうぜって話し。

…G28連れてきたら良かったかな…あんなのでも隣りにいたら賑やかで良いし。

一緒に遊んでると悩んだりくよくよしてるのが馬鹿らしくなってくるからさ。

 

「わっと…ごめんごめん」

 

いかんいかん、考え事しながら歩いてたらおんなじくらいの背丈の男の子にぶつかった…

注意散漫になってたか…やれやれ…気晴らしにゲーセンよるかなぁ?

 

 

――――――――――――

 

 

「おぉ~…これは良いのでは…?」

「大変良くお似合いです」

 

店員に話ししてからチケット見せてから商品を受け取ったんだけど…もう着て帰りたかったからお店で着替えたの。

真っ黒なゴスロリ服ですよ。ふりっふりのフリルたっぷりで可愛さ抜群ですよ。

ほら袖とかフワッフワでここだけワンポイントで白なのがグッド。

うひょぉ~このコルセットもまた良いワンポイントですよー。

ほら黒だけどちょっと明度が違う黒のリボンたっぷりですから可愛いでしょ?

んふふ…これはテンション爆上げですわ~♪店員のお世辞もその通りでしょ。

ここに来るまでに着ていたジーンズとセーターは袋をもらってそれにポイ。

ルンルン気分でショッピングモールを歩いていたんだけど…

 

「んー…」

 

人集りが捌けたピアノが私の目に留まった。弾いてみたい。

ちょっと奇抜な格好してるから弾いたら間違いなく目立つけど…

弾いてみたい曲があったりする…食いつく人は少ないと思うけどね。

ふむふむ…どの音階がドかな?これか?これかな?…これだ。

このペダルはなんだろう?踏んだらどうかなるのか?わかんにゃい!

ポロンポロンと鳴らしてから確認…うん、大体OKかな?あとはギターと同じだ。

耳コピからの演奏だから細かい所はミスってるかもしれないけど…

足でリズムを刻んでからかき鳴らし始める。たしかこんなメロディー…

前奏だけでもかなりテンポが早いから指が忙しいな…

 

「どこに転がるか分からな~い♪でも私達しあわせだった♪」

 

歌い上げながら弾いているのはとあるゲームミュージック。

曲のタイトルはサヨナラRollingStar私が結構気に入ってる曲だよ。

ゲーム自体は雪玉ころがしみたいな感じの物を巻き込んでってゲームなんだけど…

ゲームミュージックがかなり豪華で良い曲が多いんだ。

ちょうどピアノ主体の曲だし覚えてたから弾きながら歌うなんてことをしてみたんだ。

衣装の奇抜さも手伝って視界の端で見える人は結構増えてる。

人前で歌ってるって思うとちょっと恥ずかしい気がするけどそれより気持ちいい!

もっと聞いていって、私の歌を!そうそう足を止めて…ふふふ♪

 

「楽しそうに演奏してんなぁ…」

「見た目もレベルたけぇ…」

「人形っしょ…にしても美人だよなぁ…」

 

演奏が終わればパチパチと拍手が聞こえてくる…えへへ、やったぜ。

群衆に向けてピース・ピースしてやるとカメラに撮られたり…あははは…

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・夜

 

 

「それで今日はそんな格好で帰ってきたのね」

「えへへー可愛いでしょ♪」

「そうね」

 

自分で運転して帰ってきてから早速お姉ちゃんたちに見せてるわけですよ。

45姉は無言でパシャパシャ写真撮ってきたし9姉は抱きついてきて頬ずり。

G28は…いつもどおりに飛びついてきたから巴投げした。私悪くない。

とりあえずお姉ちゃんがいっぱい撫でてくれて私は大満足です。

 

「そういえば~こんなのが見つかったんだけど~」

「なになにー?」

 

45姉が意味深に微笑みながら見せてきたのはSNSの動画だ。

あ、これショッピングモールじゃん、いつも行ってるから一発で分かる。

なになに…ストリートピアノライブ?ほー…そんなのしてたんだね。

若い男性がなにか弾いてる。緩急つけて弾いてるのはどこかで聞いたことあるような…

結構アレンジ効かせてるな?元のままなら思い出せたかも…ひっかかるぅ。

あ、この曲は知ってるぞ。ゲームミュージックじゃん…へぇーアレンジ効かせてるなぁ。

おしゃれ、バーとかで流しても良さそう。あ、バーにピアノ持ち込んで弾いてみるのもありかな?

今度スプリングフィールドに持ちかけてみようかな…弾くのは大体私だろうけど。

 

「あーこの子見た見た…すっごく楽しそうに鳴らしてて可愛かったんだー」

「へぇ~」

 

動画はそのまま私が見てた男の子を映してから適当な音をガンガンに鳴らしてた。

周りもくすくす笑っててから良い雰囲気で動画は流れていく。

 

「ん?あれ?」

 

そのまま流れていくとなんか私っぽいのが映ってるんですが?

青っぽい銀髪にツーサイドアップのゴスロリって…私じゃね?

あー!この確認動作とか完全私じゃん!動画撮られてたのかよ!

チョット待ってこれ拡散されてたりしませんよね!?どういうこっちゃ!

 

「417の可愛い所がもう2万人には見られてるわよ~♪」

「んNOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」

 

これには私も仰天ですよ!二万人に私の黒歴史が拡散されてるってどういうことですかー!!

いや、まて45姉がこれ見せてるってことは…お姉ちゃん?

 

「可愛いから良いじゃない」

 

待受画面に笑顔で弾いてる私が設定されてるぅ…いやいやいや、そうじゃなくてさぁ!

可愛いって言われるのは良いけど恥ずかしいからそれはやめろぉ!

 

「ハナセー!」

「だーめ♪」

 

ちなみにこの基地全体に広まっていたので私はしばらくピアノガールなんてからかわれることになりました…

くすん…45姉が持ち出した時点でそうなってますよねぇ…くそぅ…




実際にストリートに置いてるピアノってあったんすよ。
まぁ美少女が弾いてたらSNSで広がりますよねって言う話し。


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Day77 襲来、アレ

カサカサカサカサ


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「じゃあ今日一日よろしくな」

「りょうかーい」

 

今日も一日午前の出撃です。まぁ何もなく終わればいいかな。

出てきても私のワンマンショーで終わるしなんだったら観測手の代わりをしてもいいか。

最近私もこの基地の雰囲気に当てられ気味で戦闘中のキリッとした雰囲気でもあくびが出たり…

まぁ普通の雰囲気に近い行動をするようになってしまってるんだよね。

割と意識的に切り替えてたけど境界線が結構曖昧になってきたのかも。

間延びしたスコーピオンの返事で私達が司令室から出ようとした時だ。

 

「んぁ?」

「何かカサカサ…ヒエッ!?」

 

M14の悲鳴で私達の意識がカチリと切り替わったんだが…

悲鳴の正体に私達まで悲鳴をあげることになるんだ。

 

「ぎゃー!!」

「ご、ごき…!」

「ごきぶりぃー!!」

 

花も恥らう戦術人形連中揃ってゴキブリにおびえて竦み上がる。

黒くてテカテカしててから長い触覚をわさわさしながら高速で寄ってくる姿は気持ち悪い。

私も例外なく竦み上がっていてあわあわ…とMk23の背中に隠れてたり。

人間だった頃から虫っていうのは嫌いだった。それも大っ嫌い!

蚊って言う害虫からゲジゲジ、ムカデとかに始まる見た目がきしょいのとか…もうマジ無理。

あんなの触れるのとか考えらんない。どうかしてるって…気が狂ってるとも言える。

 

「う、うちころしゅぅ!!」

 

もう見てられない。Mk-23引き抜いて基地内でぶっ放しそうになっていた。

この時私は冷静さを欠いていた…が。悲鳴を聞きつけたハウスキーパーがすっ飛んできていた。

 

「はっ!」

 

短い掛け声と共に放たれた一撃は床に這いつくばっていた黒いGに吸い込まれ息の根を止めていた。

やったのはG36だ。おっそろしく早い一撃だったけど…どうして早くに…?

片手にはポリ袋が…あれ…もしかしてその中に入ってるのって…?

あ、黒くて同じくらいの大きさのが見えるなぁ…あは、あははは…

 

「き、聞くけど…もしかして…」

「こちら今朝から駆除して回ってるゴキ」

「あーもう良いわかった!いっぱいいるんかーい!」

 

つまりはそういう事だ…ゴッキーがいっぱいな基地なんて嫌だぁ…

ゴキは一匹見かけたら100は居ると見たほうが良いんだっけ…?はぁ…嫌だなぁ…

帰ったらまた居たりしたら私Mk-23引き抜いてぶっ放すけど…

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・昼

 

 

まぁ帰ってきてもドッタンバッタンしてた。つまりゴッキーはまだ居るってこった。

私は逃げ込むように出来て真新しい共有スペースに来たわけだが…

気のせいなのかなぁ…さっきから耳にカサカサと音がするんだ…

もちろん見渡してもそんな影は見当たらないんだ…うん…気のせいなんだろう。

そういえば基地の周辺は森林地帯だからまぁ虫が入ってくるのもあり得るのか…

むしろ今まで良く見つかってなかったなってレベルか…あーやだ。

 

「ぽと?」

 

何かが降ってくるような音がしたんだ。振り返ってみると…あーらやだ。

茶色の触覚持ちのアレが落ちてたの…あははははは…

 

「キェアアアアアア!!!」

 

ぶっ放されるMk-23の45口径弾…のゴム弾頭。

元々は訓練用の弾だが冷静さを欠いた私がぶっ放しても良いようにって挿し替えていた。

それが見事に功を奏した訳ですが…まだ新しい兵舎の床はGの体液で汚れた…

うぇ…グロテスク…いや、やったのは私なんだけどさ…これ掃除しろっていったら私無理だよ?

こんなの見てるだけでも嫌なのに触れとか絶対イヤ。絶対にイヤ。

よくG36は躊躇いなく掃除できるよ…私には絶対に無理なことだ。

 

「はっ…まだ他にも居るんじゃ…」

 

天井の方を見ると…居ない。壁を見る。居ない…もう一度床を見る…死体だけ。

でも耳につくカサカサ音は鳴り止まない…どっかにまだ潜んでる…

駆除用の薬剤を撒くしか無いんじゃないのコレー…ふえぇ…

 

「んみゃぁ!みゃお!」

 

んぁ?なんだろう…ペットブースからにゃんこの鳴き声がするなぁ…

そういえば猫を飼うと虫が居なくなるって聞いたことがあるような…

いやぁまさかなぁ…まだ子猫だしそんな事してないでしょー…うわ。

やってましたよ…可愛らしい子猫が咥えていたのはグロいゴッキーだった…

 

「ペッしなさい!ぺっ!」

「みゃお!」

「ぎゃー!飛んできたー!!」

 

その後の私の記憶が無いんだけど気がついたら床に倒れてた。

だーちゃんが必死こいて私のおっぱいふみふみして起こしてくれたよ…

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夕方

 

 

ゴッキー騒動のせいで人形が竦み上がる事案が多数発生してから基地業務が滞る事になった。

中には私と同じで気絶する人形も居てから阿鼻叫喚の地獄絵図となった。

流石にこれはいかんということでお兄ちゃんも駆除用の道具を発注していた。

でも届くのは何日か後だからどうしようもないんだよね…いや、まじ…

今日だけで結構な数が駆除されたけどそれでもまだまだ居るっぽい。

以外にここで頼りになったのが兄さんなんだ。流石に清掃員だからかな?

黙々とゴッキーを駆除する姿は頼もしかった…ただイタズラで私に投げるモーションしたのは許さねぇからな。

ガチで投げられたと思って私が気絶することになったんだから…

口から泡吐いて気絶する妹を見るのは楽しいかこんちくしょう…

 

「にしてもHK3姉妹がそろって…ねぇ」

「何か」

「問題でも」

「あるぅ!?」

 

虫嫌いガチな私とまだ耐えれるけど虫嫌いなお姉ちゃん。G28は私と同レベル。

つまり…私とG28は気絶するっていうことをやらかした人形だ。

お姉ちゃんはなんとか駆除する側に回れたみたいだけど…嫌な顔してた。

ちなみに駆除に回れたのは数えるだけしか居なかったり…UMP姉妹とスプリングフィールド…そしてお姉ちゃん。

あのFALもゴッキーには怯えてから逃げてた。流石に気絶まではしてなかったけど。

戦闘狂の気が強いスペクトラが可愛らしい悲鳴を上げて逃げる姿はレアだったけどね。

 

「まぁ大分数は減ったからしばらく安心して良いんじゃねーの?」

「とか言ってまた投げつけるフリしたら金玉蹴るからね?」

「え、417にそんな事したの?きちくー!」

「ちょっと面貸しなさい…」

 

今日は姉妹揃って固まって寝ようね…私一人で寝るとかやーだー…

お布団の中に潜り込んできたりしたら発狂できる…うん…無理。

聞いた話だとムカデとか暖かい所探してお布団の中に入ってくるんだって…

あとはお昼に遭遇したような…天井からぽとって落ちてくるとか…なんとか…

兎に角今日はもう私一人で寝るとか考えられなくなった…どうしてくれる。

大体このクソ兄のせいだったりするんだが…あーくそ…

私がトラウマで虫が大っ嫌いなのしっててあんな事しやがったんだから…

 

 

――――――――――――D08基地HK416私室・夜

 

 

「で、私達3人纏まって」

「虫怖い虫怖い虫怖い…」

「んー416と一緒っていうのも乙だねー♪」

 

私、虫怖いBot。虫のことが大っ嫌いです。絶対に虫を近づけないでください。

カタカタ震えてお姉ちゃんに抱きつく戦術人形みたいな何かでーす…

3人で固まって1つのベッドに入り込んでいるわけですが…暑い。

そしてお姉ちゃんが私とG28に挟まれてるから結構苦しそう…

でもまぁ…こんな風に固まって眠るのも良いかな。えへへ…何というか家族って感じだし。

異性じゃなかったら兄さんの所に行ってたり…いやからかわれるだけだな。

 

「電気消すわよ」

「「はーい」」

 

照明が消えて真っ暗になる…瞬時に夜視モードになってからお姉ちゃんの横顔が見える。

向こうにはちょっとだけG28が見える…あ、私の手を握ってきた。

握り返すと嬉しそうだ…こういう所はほんと可愛いなぁ…

流石に3人寝ているベッドに入り込む事はしないのかだーちゃんはクッションの上で寝ていた。

んーしかし…こういう雰囲気何だっけかなぁ…うーんうーん…

あ、あれだ…学生時代の修学旅行ってヤツだ!アレに近いんだ…

楽しかったなぁ友達連中とぎゃーぎゃー言い合いながら寝てから…全然眠れなくてから…

やれ好きな人が居る居ないだのあの女の子が可愛いだの…言い合ったなぁ。

 

「ねぇー」

「なに?」

「なぁに?」

「好きな人って居る?」

「「そりゃ417よ」」

 

うぇへへへ…大好きなお姉ちゃんと可愛らしい妹分に好きって言われた。

でも好きってそれは違うかなぁ…うん。それはLike的な好きじゃん。

私が聞いてるのはLove的な好きなんだけど…まぁ答えは決まってるかな?

 

「あぁ…そういう好きね…指揮官」

「えー?416と417以外に考えてない」

 

G28はまぁいつもどおりのフルスロットルな回答ありがとうございます。

お姉ちゃんはまぁそうだよね、お兄ちゃん好きだよね?うんうん…

私もお兄ちゃん大好きだからなぁ…うーん…となるとなぁ…

 

「でも知ってる?私達からアプローチする方法もあるのよ?」

「え、嘘どうやるの?」

「私達が誓約の証を購入して指揮官に押し付けるのよ」

 

なるほど…通貨さえあれば出来るのか…逆プロポーズしちゃえばいいんだね。

そういう方法もあったか…そういう結婚方法した基地とかあるのかな?

まぁ無いなら私達が最初になるか…うへへへ…夢がひろがりんぐ…




虫は作者も大嫌いです。
ムカデはマジ無理。絶滅してくれよ…


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Day78 ドライバー417の爆走

ハンドル握ると性格変わる人って多いよね?


――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・朝

 

 

「え?今日の出撃は緊急?どういうこっちゃ」

「ヘリが壊れたらしいよー」

「なんじゃそりゃ」

 

朝出撃準備をしていたら飛び込んできた伝達係のSAAがそんな事を言った。

出撃に使用するヘリコプターは一機しかない。もっとデカい基地なら二機位あるんだろうけど。

残念ながらD08基地には一機しかないのだ。そんなヘリが故障したとなれば死活問題な訳で…

今日一日は基地運営がストップする形になる。無論警備には出るんだけど…うーん…

しばらくはバギーを乗り回す必要が出てくるって訳だ。

まぁバギーを使用しての警備ルートっていうのも設定されてるしそのために木々を伐採してルートを作ってるらしい。

だから業務的に支障は…あるにはあるけど止まるほどじゃない。

今日一日で故障が直れば良いけど…十中八九そうはいかないだろうなぁ。

 

「そういえば417ってさー社内報に出てたの知ってる?」

「はい?」

「D08地区に現れた唯一無二の個体って」

「ウッソだろお前」

 

社内報でなんで私が出てるんだよおかしいんじゃねーの?

って事は他の基地にも私って言う異常個体の存在が認知されてるってことじゃん。

どういうこっちゃねん。というか何時そういうの記述したんだよ。

うわ、ほんとだし…写真とプロフィールまで載ってるし…比較にHK416型と並べられてる…

いつの間に撮ったんだよこれ!私に気づかれずに撮ったのかよ!

うわ…なんかプライバシーって無いんだなって突きつけられた気分…

まぁそうだよな、HK417なんて人形は本当は居ない筈だったのにぽっと出で出現したんだし。

でもこういうのは…社内報で取り上げるほどかなぁ…いや、良いんだけどさぁ…せめて一言伝えてくれよ。

 

「とりあえずほら運転任せたよー」

「はいはい。私が運転ね…振り落とされんなよ?」

「そのちんまいボディでそんな乱暴な運転できんのー?」

「ぁ?よし、じゃあお前覚悟しておけよ。お前の胃袋の中身全部吐き出させてやるからよ」

 

私が運転するのは本体が収まるバギー。

その後は各ダミーが追従するって形で警備に出るんだけど…

んな挑発されちゃぁ私の闘争本能に火が点いちゃうわけでーバギーの走行性能は正直よろしくない。

だが私のドラテクを甘く見なさんなよ。ダミーごときすぐにぶっちぎってやるからよぉ…!

からかうスコーピオンに一方的に叩きつけてから戦闘準備に入る。

脱落防止用のハーネスを付けておかないとな…まぁバギーを横転させるってことも考えられるんだけどさ。

 

 

――――――――――――D08地区前線

 

 

「イィィィイイイハァァアアアア!!!」

「ちょっと運転が荒すぎるわよぉぉぉおおお!!」

「417ステイ!ステェェェイ!!」

「誰よ417を焚き付けたのはー!」

「あっははは良いじゃんもっと飛ばせー!!」

 

無線機と逆側の耳に突っ込んでるのはミュージックプレイヤーと繋がったイヤホン。

爆音でノリの良いミュージックを流しながらバギーを転がしていく。

自分でも自覚してるんだけど私はハンドルを握ると性格が変わる。

それはもう好戦的で誰よりも早くガンガンにぶっ飛ばしていきたいってアドレナリンどっぱどぱなやつにね!

オープントップに補強用のバーで鳥かごのようになったバギーをかっ飛ばしていく。

路面はウェットな泥道でかなり不安定だがレースゲーやシミュレーターじこみのドラテクでねじ込んでいく。

切り開かれている順回路は一応車二台は並べる位に切り開かれていて幅は良いのだが…

お世辞にも舗装?んなの知るかと言わんばかりの悪路だ。ぬかるんでいるのは当たり前。

凹凸はどこそこあるし跳ねることだってガンガンある。

そんなところを猛スピードで駆け抜けりゃどうなるかって?そりゃジェットコースターみたいな事になるでしょ。

後方を見ようにも土煙でよく分からん。ダミーリンクからついてきてるのは確認してるけどな。

 

「突っ込むぞ掴まれ!!」

「誰か417を止めなさいよぉ!!」

「むり!振り落とされるぅー!!」

 

派手な土煙を巻き上げながらスライドする車体。柔らかいサスペンションは大きくロールを発生させていく。

絶妙なアクセルワークでスライドコントロールしながらスリル満点にコーナーを突き抜けていく。

悲鳴が聞こえる気がするが知らねーな!スコーピオンのゲロを拝ませてやるよぉ!

 

「あ、敵発見」

「うっそ」

「ぎゃー!!」

「スピンで止まるのは無しよぉ…うぅぇ…」

「よっしゃぁ敵だー!突撃ィー!!」

 

サイドブレーキからのスピンターンで急停車。間違いないな。敵だ。

ダミーリンクにも伝えてるから程なくして合流するだろうけど…まぁその前に潰せるか。

荷台から飛び降りたスコーピオンがちょっとふらつきながら突撃かましていったから狙撃で数減らしとくか。

私の運転でグロッキーになったのかM14とか青い顔してるし…

ちょっとスリリングだっただけじゃんかー…そんなにきつかったかなー?

しょうがねぇなぁ…まぁ次からはちょっと抑えめに行きますかー

じゃ、ちゃっちゃか的当てしましょうか…

 

「ターゲット・インサイト…」

 

運転席から動くこと無く我が半身をそっと構えるとスコープを覗いて…引き金を引いた。

うん、今日も絶好調ですよ。じゃ、くたばってくれや。鉄屑共。

 

 

――――――――――――

 

 

「えー?もっと抑えて走れ?楽しいじゃん!」

「そう思ってるのは417とスコーピオンだけよ…」

「ほらUziなんて今にも吐きそうなのよ?」

 

スコーピオンがはしゃいで帰ってきたけど不満がすぐに出た。

まぁ私の運転がくっそ荒いからスコーピオン以外がグロッキーだったしね。

Uziの他にもM14も青い顔して吐きそうなんだけどね。

そんな状態なので私も流石に抑え気味で行くんだけどさ。

 

「それじゃ発進するよー」

「飛ばすんじゃないわよ」

「分かってる分かってるー」

 

信用ねぇな…いやいや抑える時は抑えるからさぁ。大丈夫だって安心しなよ。

じゃクラッチ踏んでローにギアを入れてやんわり発進。

ディーゼル機関の独特の駆動音が響きながらバギーは発進する。

大体時速40キロくらいか。そよ風レベルだよ…あー眠くなる。

柔らかいサスペンションのお陰でロードショックはあんまり来ないんだがゼロじゃない。

当然バランサーがエラー吐いてて酔ってるUziとM14には辛いよねー

あ、吐くなら荷台から顔を外に出してねー…うんうん…私は何も見てなーい。

 

「417…あんた恨むわよ…」

「焚き付けたスコーピオンを恨もうよ…」

「ごめんて」

 

Uziに恨まれた。運転中だからちょっかいは出さないだろうけど…

これ運転変わったら私くっそいじられるパターンだったんじゃないかな?

ちなみに今荷台ではスコーピオンがM14に抑え込まれてUziとMk23によってくすぐり地獄になってる。

 

「ぎゃーはははははははぁー!!」

「私の恨み…」

「アンタが焚き付けなければ…」

「ちょっとオイタがすぎたわねー」

 

おー怖い怖い…安全運転で行きましょうか。あ、荷台でガッタンガッタンするからハンドルが…

ダミー運転のバギーも追いついてるしこのまま巡回ですねー…これはこれで楽だな。

いつもは徒歩での警備だったしさー…あ、バイクを導入してから…

 

「不穏なことを考えてるおっぱいはこれかしらー?」

「んんぅっ!?」

 

Mk23…バカなアンタは今スコーピオンをくすぐってる筈じゃ…

運転席の背後からぬっと腕が伸びてきて私のおっぱいを鷲掴みに…あ、やめろ…

 

「にゃぁぁぁぁぁあああああああ……」

「アクセルから足を離しなさーいー!!」

 

振り払わせてもらうぞ、あ、やばいなんかビクビクしてくる…なんか来ちゃう来ちゃうよぉ…ふえぇ…

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「で、417申し開きは?」

「スコーピオンを吐かせたくてやった、反省はしてない」

「よし、げんこつな?」

「んがぁ!?」

 

出撃から帰った私に待ってたのはお兄ちゃんからのガチげんこつだった。

私が暴れ馬にさせてたバギーのエンジンがちょっとおかしくなったらしい。

まぁスポーツ走行なんて視野に入ってない様な運用させてた物をいきなりスポーツ走行させたんだもんな。

緊急メンテが増えてメンテナンス班に恨まれてるかもしれなーい。てへっ…

ちなみに焚き付けたスコーピオンも同じくげんこつ食らって床で伸びてる。

吐いたM14とUziには私支払いでのケーキがごちそうされることになった。

まぁ私のせいだから別にそれは問題じゃないんだけどさ…

 

「とりあえず417、お前の禁止行為リスト更新な」

「えー?」

「1:酒は公衆の面前で飲むな。2:絶対に出撃時にハンドルを握るな」

 

むぅ…私の楽しみが1つ減ってしまった…実物の車両を転がすの楽しいのに…

ドリフトターンとか決めたら気持ちいいんだぞ?お兄ちゃんも試してみたら…

あ、そうだ今度お兄ちゃんを無理矢理にでも連れてドライブに出かけてみるのは…

それかお兄ちゃんのバイクを逆に私が運転してみるってのは…

 

「お前に絶対に俺のVを運転なんてさせねぇからな?」

「ぶー!けちー!」

「ふざけんなアレは俺が前職3年かけてようやく買った逸品なんだぞ!」

 

大事なのはわかったけど私にちょっと運転させてくれてもいいじゃん!

タンデムするときに変な所触っても私は怒んないんだよ!?ほらお兄ちゃんの大好きなおっぱいだって…

あ、やばいなんか変な気分になってきた…想像してみたら…なんかヤバい…

 

「お兄ちゃん…」

「おう、なんだ?」

「ちょっとナデナデしてー!」

「のわぁー!?」

 

んひひひお兄ちゃんの匂いはすはす…んはぁ…いい匂い…

ぎゅっとしてみると私が知ってる男の体よりがっちりしてて頼りがいありそう…

胸板も厚いし抱きしめられたらスゴイんだろうなぁ…はぁー…すぅー…はぁー…

あ、ナデナデしてくれた…これは合意とみても良いな?

もうちょっと身体をくっつけてスリスリしちゃえ…うぇへへへ…♪

 

「はい、そこまでよー」

「Mk23!?いやー!はなしてー!!」

 

どっから駆けつけたかMk23によって引き剥がされて私は兵舎に叩き込まれた。

もうちょっとでお兄ちゃんの理性が溶けたかもしれないのにー…ぶー…




あ、車は交通ルールを守って運転しましょうね。間違ってもゲーム知識を鵜呑みにしたらいかんぞ?


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Day79 工廠のお手伝い

ヘリの知識は無いから結構適当


――――――――――――D08地区前線・朝

 

 

「この形態の警備何時まで続くんだろうねー?」

「ヘリが直るまででしょー?」

「そのヘリが直るのが何時になるのかしらね」

「パーツがないってぼやいてたよー」

 

今日もガタガタとバギーに揺られての警備任務。私は運転席に座ることを禁止されたので荷台に座ってる。

ドライバーシートに座ってるのはUziだ。まぁ天然の気がある彼女らしいゆったりとした運転だ。

ナビゲーターシートにはMk23、荷台に私、M14とスコーピオンって配置だ。

双眼鏡で遠くを見ながら荷台に揺られる…人間だったら多分酔ってる。

任務中だからあんまり色々持ち込めないけどミュージックプレイヤーを私は持ち込んでる。

まぁ警備任務に支障が出ないようにボリュームは下げてるし片耳刺しだから平気平気。

大戦中の兵士だって同じ様な事してたんだから別に良いでしょ?

ほら、成果を出してれば割とゆるいのがG&Kだし…これくらい許してくれるでしょ。

 

「それにしても今日は見ないなぁ…」

「暇だねー」

「こういう日のほうが多いでしょ」

 

敵襲が無い。かなり平和でいいんだが警備中ではかなり暇なんだ。

あくびを噛み殺しながら双眼鏡で前線を睨む作業がかれこれ何時間続くんだ?

人間の頃だったらやれ勉強だ、やれ就活だ、やれ今日の食事だーって忙しかったのにな。

戦火から離れて暮らせていたからそういう平和のありがたみがそうでもなかったけど…

戦場に立ってみると平和ってありがたい半分暇すぎて死ねる…

最前線のS09地区とかならもっと違うんだろうけど…あとは新興地区の方面。

あの辺りだったらまぁ毎日暇せずドンパチやってるんだろうけど。

それともグリフィンお抱えの小隊とかに配属とかに鳴ってたら違ったんだろうなぁ。

 

「ふぁぁぁ…」

「417眠そうねー」

「だって暇だし車の上だし…眠くなるよ…」

 

もうすっかり私は平時の気分だよ…今から襲撃あってもすぐに切り替えられないかも…

この丁度いいガッタンゴットンが全身揺らしてて丁度いい刺激なんだよね…

人間の頃からそうだったんだけど…乗り物乗るとすぐに寝ちゃってたんだよなぁ…

特に電車とか気が抜けたらすぐにぐーぐー寝てた…うん。

今も417抱えてこっくりこっくり行きそうなんだもん…いや、マジ眠い…

 

「んぁー!!」

 

眠気覚ましに荷台の上に立ってからぐーっと伸びをしてみる。

んー…鬱蒼とした森林の香りが胸いっぱいに入ってくる。言い換えれば青臭い。

幸いっちゃアレだけど…マジ鉄血の人形来ないかなー…暇してるんだ。

的当てさせろよコンチクショウ…あーホント…寝ちゃおうかな…

 

 

――――――――――――D08基地ヘリポート・昼

 

 

「捗ってるぅー?」

「ダメダメ、全然駄目だよ」

「イーグルちゃんはご機嫌斜めだよ、はっはっは…はぁ」

 

パイロットの二人は暇そうだなぁ。整備してたんだろうけど全然駄目ってさ。

呑気にビールを昼間っから飲んでたよ…おいそれで良いのかヘリパイロット。

お前一応基地待機扱いだろ。それで緊急事態になっても知らないからね?

まぁ暇すぎて酒でも飲んでないとやってられないんだろうなぁ…

メンテナンス班もパーツがないことには手出しできないって投げてたしなぁ…

必然的に私達の出る幕も無いってわけで…んー…なにかお手伝いとか出来たらなぁ。

 

「どこが悪いの?」

「あー発動機がてんで動かなくなってなー」

「セルモーターが死んでるのかそもそも電気系統が死んでるのか…専門家じゃないから分からん」

 

エンジン系統が死んでるのなら原因は色々考えられるなぁ…

点火用のプラグが死んでたり被ったら点火しなくなるしインジェクターが死んだら…

いや、そもそもエンジンエラーならHUDに出てこない?エラーコードとかさ。

この話し聞いてる感じ診断ツールごと死んでるってパターンなのかな?

 

「ちょっと見ても良い?」

「あぁどうぞどうぞ、俺らの席に417ちゃんが座ったってなったらプレミアもんだわ」

「何ならちょっと動かしてみても良いんだぜ、動かないけど」

 

許可が出たのでちょっとコクピットによじ登ってみる…んー…

いかん、どれがどれなんだか分からん…適当にスイッチオンオフじゃ点かないだろうしなぁ。

 

「ちょっとー!暇してるんなら教えてよー!!」

「へいへーい、へへ、美人に手取り足取り教えてあげましょ」

 

ビール片手なのがすんごく不安なんだけどまぁ現職が間違えたこと教えることないでしょ。

フライトさせるのに飲酒は死ね!だけどさせない飛ばさない動かさないだからまぁ多少はね?

うわっ酒くせぇ…ほほーこのスイッチから入れていって…あーこれがメインスイッチなんだ?

で、各種電気系統をスイッチ・オンにしていって…ふーん、これでエンジンがかかれば飛べるっと?

HUDとか診断ツールの印字はどこだ…多分あると思うんだけど…

あ、もしかしてヘルメットに印字されてたりして…ちょっと被ってみようか…

うわ、汗臭い…!これ中身干してないでしょ…うえぇぇ…今度中身消臭させないと…

んー…コレでもない、となるとどっかに…うわ、ちっこい!!

 

「これさ、エラーコード出てない?」

「どれどれ…あーそういえばそんなのもあったなー」

「いや、確認しようよ!!」

 

説明書引っ張り出してみたらほらー!ここに印字されるとか書いてあるじゃん!

エラーコード表まで出てきてありがとうございます!!

現職パイロットが気づかないで人形が気づくって何事さぁ…もー…

結局ヘリの不調の原因は点火プラグ故障、あとo2センサーの死亡だね。

基本的に部品交換だね、これで直る見込みがあるから良いけどさ。

 

「メンテナンスのお兄ちゃ~ん、ちょっといいー!?」

「なんだぁー!?おっぱい揉ませてくれるのかー?」

「揉ませなーい!!それよりー!ヘリのエラーコードは把握してるー!?」

「してるぞー!」

 

ならOKか、メンテナンス班が把握してなかったら大事だったけど…

じゃあ具体的な修理期間とかも出るのかなー?まぁパーツが有るかどうか…だけど。

 

 

――――――――――――D08基地工廠・昼

 

 

「なーにしてるの?」

「あぁヘリの生産元にパーツ発注して何時届くかのチェックだな」

 

ふむ、オンラインで確認できるのかな?こういうのってディーラー通さないといけないんじゃない?

それともG&Kって名前が強いのか融通してくれるのかな?

ちょっと横から覗いてみると2項目浮かんでるけど…納期未定かぁ…

 

「届かないことにはどうにもならないよね?」

「そうだなぁ…メカマンもこれはどうしようもねぇ待つだけだ」

 

パーツがないと修理しようがないもんねー待ちかぁ…ふーむ…

でもプラグって自動車とかにも使われてるし規格が合えば…あー違うか?

変に改造しても刺さらないだろうし…プラグの太さもあるけど長さとかもあるからなぁ…

自動車のプラグって結構長いしヘリコプターのエンジンのプラグの長さがどうか…だよね。

 

「不良品のプラグってもう引っこ抜いたりしてる?」

「いや、交換する際に引っこ抜くんだが…まぁ規格品だからなぁ」

「生産元が遠いから輸送に時間かかるかもしれんし…近くのパーツセンターにあればラッキーだな」

 

言外にそこらへんので代用なんてのは無理って言われた気がする。

まぁつまりはコレが届くのを絶対待てか…しばらくはバギーでの警備になるのかぁ

あ、私が振り回して不調になったバギーはどうなってんだろう?

ちょっと見てみようかな…ぶっ壊したわけじゃないけどさ…

 

「触るなよ?」

「ちょっと見るだけだって…動かさないよぉ…」

 

おぉ睨まれた…ごめんてごめんて…まぁスポーツ走行させた後だからエンジンが焼けたか?

でもチェックランプは点いてないし…ディーゼルだからプラグってわけじゃないしなぁ。

圧縮比がイカれたのか…インジェクターにカーボンが付着しちゃったとか?

サスペンションはリジットアクスルサスペンションで安くて頑丈さが売りだから…まぁ大丈夫でしょ。

実際にちょっとゆさゆさ揺さぶっても平気な顔して揺れてるからね。

となるとヘリと同じで心臓部であるエンジン系統の不調かな?

 

「そっちはどっかのバカが振り回しすぎてエンジンにガタが来てるんだよ」

「あははははぁ…ごめんなさいって…」

「整備終わらなかったらおっぱい揉ませろ」

「か、考えておく…」

 

うわぁ…メンテナンス班がすごい目で私を見てるよ…ごめんてごめんて。

 

 

――――――――――――D08基地工廠・夕方

 

 

「という訳で手伝います!」

「じゃあほれ簡易マニュアル、工具とかは分かるよな?」

「もち!規定トルクできっちり締めるよー!」

 

Tシャツとオーバーオールに着替えてから戻ってきました!

まぁ私が不調に追い込んだバギーだけでも整備しようじゃないですか。

えぇと…不調箇所はピストン周りかぁ…増し締めで直る可能性が高い為指定箇所の増し締めを実施せよか。

まぁエンジンも頑丈さが売りだからなぁ…大規模なオーバーホールは必要ないか。

じゃ、ちゃっちゃとやっちゃいましょう。使う工具は予め整然と並べて。

手を入れる場所って言うのは結構決まってる。そして整備しやすさをちょっとは考えてくれてたりする。

まぁ手が入りやすいか入りにくいか…なんだけど。ソケットレンチじゃなくてスパナでやってます。

ソケットレンチはお兄ちゃん達が楽するために使ってもらわないとね…

 

「へへ、417ちゃんのおっぱいも良いけど…尻も良いな」

「フロントグリルに押しつぶされてるおっぱい…良いなぁ、揉みてぇ」

 

あーうん、まぁ分かってたけどセクハラ目線はしゃーないな。

くそ、私の背丈がちっこいから上体乗っけないと手が届かないんだよぉ!!

んー…今の所増し締めしていって…あ、増し締めは対角線上を順番に締めていくのがコツね。

そうしないと接着が偏って締め付けがよろしくなくなるので…

マニュアルの規定トルクできっちり締めてあげれば…またいい調子に戻ってくれると良いんだけど。

まぁディーゼル機関は振動が酷いし高回転ガン回しで熱を持って緩んだんだろうな。

そして圧縮が逃げて不調って事かな…うーん…と、上は良いから次は下だな…

ダンボールを敷いて失礼し…ま…んがぁっ!!

 

「ん~!!」

「ぶっ」

「おっぱいが支えてんの」

 

もぉ!こういうときに限って私のおっぱいは本当に邪魔ばっかりする!!

潜るときにちょっとおっぱいを抱きしめてから潜ることになった…

うげ、ちょっと胸が苦しい…でっと…下に潜れば見えづらいなー

人形には夜視モードがあるから見えるけど人間だったらライト必須だな。

あーホント人形ボディ便利…指定箇所は…えっと…あ、ここか。

規定トルクできっちり締めれるからトルクレンチ要らずだし。

よし、こんなもんかな…じゃあちょっと試しに一発回してみましょう。

 

「キー借りるよ」

 

ちょっと煤けた手でキーを差し込んで回してみる。

ん、掛かりもよくマフラーから黒煙上げてくれた。ばっちしじゃね?

 

「んじゃ、暇な時に手伝ってくれても良いんだぞ?」

「セクハラ目線がなくなったら考えてあげる」

 

多分無くならないんだろうけど。つまり私の回答はそういう事です。




ディーゼル機関に関してもうろ覚えなのは内緒。
ただ熱持ちすぎると暴走するのはマジな?緊急停止にエアコックを閉じる機構が無いと延々爆発し続ける可能性もあるんだぞ。


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Day80 慣れ

パンピから人形に変わって何ヶ月?まぁこんなのも慣れるよね。


――――――――――――D08前線

 

 

んー…的当ても飽きてきたわね…ちょっとスリリングな事もしてみたいわね。

私ばっかり動いてても他の人形の経験にならないし…考えものよね。

まぁ私が動かなくても戦線的には問題はない筈だし…お兄ちゃんに打診してもいいかなぁ。

私はちょっと行動阻害の為のサプレッションに留めておいてキルは他に譲るってやり方。

まぁサプレッションが人形に適応されてるか知らないけどさ。人間に近いからあるんじゃない?

それか私だけペイント弾に換装してセンサー類を狙撃してやるってやり方。

まぁあれよね。私は大分最適化が進んでるからあとはのんびりでいいでしょ?

支援攻撃ばっかりでいいじゃん?その方が皆の経験になるし。

 

「あ、敵発見」

「マジマジ!?やったぁ突撃ぃ!!」

「派手に燃やすわよー!!」

「ちょっと待ちなさいってばぁ…もう」

「今回は私支援に徹するから、M14が好きにやっちゃいなよ」

「了解!本気出しちゃおっかなー?」

 

なんて思ってたら敵がわらわら出てきたもんだから…ま、試しにやってみましょ?

双眼鏡を下ろしてから417を担いでセレクターをセミにもっていく。

初弾装填済み、後は狙う場所は…奴らの武装だ。私がやるのは無力化。

まぁ人間相手とかなら足とか撃ち抜けばそれでどうにかなるんだけど…

膝とか撃ち抜かれたら動けなくなるよ。痛みもスゴイし物理的にも這いつくばることになるし。

大体の人間の精神性だとその時点で戦意を喪失して動けなくなるよねー

 

ダンッダンッ

 

ほい、まずは一体、武装を持った腕を吹っ飛ばす。おーおー血がドッパドパ出てらっしゃる。

推定稼働時間は残り20分だけど…まぁその前に撃ち殺されるから変わんないか。

すぐに死ぬかじわじわ死ぬかの差しかない。あはは、慌ててる慌ててる。

 

「見えたー?」

『一匹武装ロストしてるねー、やるぅ』

「こういうので支援するからよろしく」

 

さてと、撃ち込む弾は多くなるし…支援ってだけの縛りも偶には良いね。

そーれそれ、もっと惑え惑え…あははは、泣き叫んでみせなよ。私をもっと楽しませて?

おもちゃはおもちゃらしく楽しませなさいよ。ほらほらほら。

 

「うわぁ…417がすごい顔してる…」

 

M14が何か言ったけど聞こえないなぁ。両腕失った人形が逃げようとしてる…

逃がすかよ…お前はここで死ぬんだ。足を撃ち抜いて地面に縫い付ける。

藻掻くか?抗うか?でもそんなのは無意味だよ…お前はここで死ぬ…

ん、スコーピオン達が接敵、おー容赦なく焼夷手榴弾を投げ込んだな。

あっはっは見なよ見なよ!火だるまになってもがいてるあっはっはっは!!

 

「あー…傑作だこと…くふふふ…」

 

 

――――――――――――

 

 

それにしても鉄屑の死体はグロいねー…いやぁ鉛弾をありったけぶち込まれた死体とかやばいよ?

生体部品がそこら中に散らばって人工血液とオイルが撒き散るんだよ?

まぁ言っちゃえばミンチですよミンチ。なんてこと無い森林地帯のど真ん中に赤い花が咲くんだよ。

ヘッド一発で沈んでるのはそうでもないけどさ。焼夷手榴弾で焼け死んだのは活動終了しても燃え続けてたし…

処理しなかったら炭になるまであのまま燃え続けてたんじゃないかなー?まぁ周囲に燃え移るだけの木は無かったと思うし…

正直死体処理しなくても良かったんじゃないかと思うけどさ。

 

「それにしても417さー」

「なにー?」

「最初みたいに嫌悪感示さなくなったね」

「んー…まぁ慣れたからかなー?」

 

実際私も今回の出撃で意識してなかったけど撃ち殺すことに全く躊躇いがなくなってる。

死体を直視しても嫌悪感を催すこともなくなった。もう見慣れてしまった。

これが私の日常の一幕みたいなものだしね。戦場に身を置く上で慣れないと死ねるじゃん?

ここに来てから最初の方なんて必死だったけど撃ち殺すのに躊躇いがあった。

無論無意識下の話なんだけどさ。即死するような所を避けてた節がある。

無残に爆ぜた死体を見てた時は吐き気を催してたし…しばらく気分悪くて迷惑かけたっけ?

今じゃあれを肴にお酒を嗜めるんじゃないかなって位に慣れたよ。

人間の精神性の良いところだね。ほら、どんな環境でも長く居たら慣れるってやつ。

人形だとそういうのはどうかわからないけどさ。そもそも最初から嫌悪しないか。

どっかの小隊には嬉々として解体を楽しむ猟奇的な趣味をお持ちな人形も居るらしい。

それに比べたら私はまだマシだと思う。即死じゃ勿体無いって思っちゃうけどさ。

 

「あーしかし笑えたなぁ…鉄屑が命乞いみたいな事したよね」

「あーあれねー」

「人間相手なら効果的な行動らしいわよ」

「実際に命乞いしている相手に撃ち込むのを躊躇う兵士は多かったらしいわ」

 

行動不能になった鉄屑はまるで人間みたく命乞いをしてきたんだ。

頭を振って残った手足で逃げるように這い回ってから…傑作だったなぁ。

確かに人間だったら躊躇うだろうし嬉々として撃ち殺す精神を持ってないと病んじゃうだろうね。

特に私達みたいな女の子の人形相手だったらさ…ふふ…

あ、もしかして私達戦術人形が女の子ばっかりな理由ってそういう所にあるのかな?

人間相手に戦う時に被弾が少ないとか…致命的な損傷が少ないとか…

致命的な損傷につながる箇所が人間そのままとかって言う所もさ。

本当に効率的に殺す機械であれば人間の形を模さなくても良い。

致命打になるような箇所は一箇所に固めてそこを強固に覆えば良い。

わざわざ人間に近づけているって事はそういう事だろうよ。あぁ開発者ってえぐーい。

 

「まぁ良いや、次敵が見えたらまた支援に徹するからよろしくー」

「はいはーい」

 

さてと、警備任務に戻りましょ?双眼鏡の向こうにまた鉄屑が居たら良いのになぁ…

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・昼

 

 

ふぅ、出撃終わりから食堂のお手伝いを終えて小休止。ペットブースから最近猫ちゃんが脱走するようになったけどまぁ兵舎内ならOK何じゃない?

メイド服姿でのんびりしてるとトコトコ歩いてきてから私の膝の上にノリたそうにするの。

足元をウロウロしてから身体をスリスリしてさ。にゃぁなんて鳴いて。

私が無視してるとそのままよじ登ってくるから大人しく抱っこするんですけど。

うーんこの手のひらサイズですよ。愛くるしい…流石愛玩動物…

 

「ほれほれ、ここが気持ちいいのかなー?」

 

頭の上や喉を撫でてやるとゴロゴロ喉を鳴らして目を細める。

でも撫ですぎると嫌がって噛んでくるから程々に…うん、可愛いなぁ…

傍らにはだーちゃんがスリープモードで静かに寝てるし…平和な午後だな。

後はお姉ちゃんとかが居たら良いんだけど…まぁお姉ちゃんは今出撃中だからなぁ。

 

「417ー…なにしてんの?」

「のんびりしてるの、だーちゃん起きるから静かにね?」

 

この基地での慌ただしいお手伝いの毎日にも慣れたなぁ。

ふぅ、3ヶ月くらい前まではぜんっぜん考えられないライフスタイルだよ。

えーっと朝はその日にもよるけど10時位に起き出して身支度してーのスーツ着て…

それから各会社説明会やら就職面接やらに行って…

アルバイトで日銭稼いでからヘロヘロになって家に帰っていたんだよなぁ。

アルバイトすら無い時は食費を切り詰めてたし…余裕ってのはなかったな。

だからこそあの時はぐーたらで引きこもってばかりの兄が憎ったらしかったんだけどさ。

 

「417ー?」

 

今では毎日硝煙にまみれて人間に近いのを撃ち殺して…それから帰ってきて色んなお手伝い。

食事を作ったりお菓子作ったりお掃除したり…農業したりさ。

毎日忙しく動いては平和だなーって実感しながら眠るの。最近だと誰かしらに抱きついて寝てるし。

お姉ちゃんだったり…今となりに居るG28だったり…誰も居ない時はだーちゃん抱いて眠る。

欲を言っちゃえばお兄ちゃんに抱きついて抱かれて眠りたいけど…

 

「……てい」

「ふにゃぁ!?」

 

おぉぅ!?いきなりおっぱいをぐにゅっと鷲掴みにされた感触が!?

横を見ればにや~っとした顔のG28が居て手は真っ直ぐ私のおっぱいに…

いや、なに掴んで揉んでるんだよ…離しなさい。

 

「いて…もうぼーっとしてるから良いかなーって」

「よくねーよ」

 

ちょっと猫ちゃん担いで猫パンチさせてやった。威力はないけどな。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夜

 

 

「なるほど、分かった…何かまた変化があったら言ってくれ」

「はい、彼女のマインドマップは複雑で研究しがいがありますからね」

 

データ化された資料を読み進めていく…各人形のメンタルモデルに関する報告だ。

大体の人形はそう問題になるストレスを抱えていないのだが…

1つの人形はかなり変動が激しくさながら人間のように揺れ動いている。

HK417、この基地が抱えているイレギュラー個体である彼女だ。

複雑化したそのAIはコピーが不可能とされバックアップが作成されていない。

私生活でのストレスや戦場でのストレスによって歪んでいっては矯正されていき形作られていっている。

かなり歪なメンタルモデルを持っている…事実配属当初と現在はかなり纏っている雰囲気が違う。

 

「しかし妙だなぁ…人形なのに慣れていってるようにも見える」

 

人形に搭載されているのは疑似感情モジュールだ。あくまでもプログラムされたもの。

工場出荷時から環境によって学んでいき進化していく物だが…ここまで人間臭いのは稀だ。

それこそ稼働から何十年と経ったみたいに思える様なものだ。

第2世代戦術人形が世に登場してからそう年数は経っていない。

ましてや彼女の元となったHK416型の戦術人形はかなり高価であり世に出回る事は非常に稀。

隣のD07地区がようやく手に入れたと自慢していたのがいい例だ。

 

「まぁ気にしてもしょうがねぇ…問題になればそのときに対応するだけだし…」

 

問題の早期発見の為にI.O.Pテクニカルスタッフに依頼してこうしてマインドマップの監視を行っている。

可視化された彼女たちの心の機微に目を通してはコーヒーを啜り目を細める。

 

「できりゃ…戦いなんぞさせたくないんだがなぁ…」

 

優しい指揮官は叶わない願いを口にしては天を仰ぎ大きく溜息を吐く。

何時になっても前線に少女を送り出して自分は安全な所で構えている…

この今の体制に慣れていない。自分は何をしているんだという念に駆られてしまう。

表面上でも、その言葉が本当かどうか分からん好意を向けてくる相手を…

 

「よし、仕事だ仕事だ」

「「「「しっきっかーん!!」」」」

「どわぁー!?」

 

417のダミーはそんなマインドマップと関係なく無邪気に指揮官に飛びついてはじゃれつく。

自らのダイナマイトボディを惜しげなく押し付けては…笑顔をみせて

 

「一緒に寝よ?」

「それともカフェでおやつ?」

「膝枕!」

「おっぱいまくらすりゅ?」

「お前ら仕事の邪魔をするな!本体はさっさと回収にこーい!!」

『ごめーん!お兄ちゃん!!すぐに回収に向かいまーす!!』

 

今日も司令室はドッタンバッタンと賑やかであった。




メンタルケアも考える上司の鏡。
でも初手セクハラのクソ上司。


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Day81 ダミーのダンス大会

キレッキレのダンスって人を惹きつけるよね


――――――――――――D08基地ダミー用宿舎・早朝

 

 

ダミー達の朝はいつだって自由に始まる。そう、今日だってそうだ。

 

「「「「Let'sPARTY!!!」」」」

 

ダミーの遊具として引き払われたオンボロラジカセでパーティーミュージックをかき鳴らし飛び出てきたのは417ダミー。

まだ出撃に時間がたっぷりあるからと暇を持て余してダンスに興じるようだ。

無論早朝も早朝。他のダミーはスリープモード真っ最中。爆音?迷惑に決まっている。

でもそんなの関係ねぇとばかりに417ダミーは騒ぐ騒ぐ…それはもうお祭り騒ぎ。

本体が踊れる踊りはあらかた踊れるのかミュージックプレイヤーから流れるのは…

バラライカ…もとい、それの替え歌のヤラナイカ。かなりのネタ曲である。

少なくとも女の子が踊って良いのか?っていうヤツだが…417のレパートリーにあるのだろう。

 

「「「「アッー♀」」」」

 

色々と酷い絵面である。これには416もムカ着火ファイヤー待ったなし。

 

「「うるさいですよ、そこに正座してください」」

 

スプリングフィールドが笑顔でキレて出てきました。南無三。

417ダミー達これには一様に静止。どうする?と顔を合わせて…

スプリングフィールドが居る方向とは真逆に走り出す。つまり逃走である。

 

「「「「にげるんだよぉ~!!」」」」

「「待ちなさい♪」」

 

キレたスプリングフィールドダミーと417ダミーによる仁義なき追いかけっこが始まった。

同じRF人形ではあるが移動速度はスプリングフィールドの方が若干早い。

なんでか?そりゃ簡単な事ですよ。417はかなり小さく足もそれに応じて短め。

更に言えばデッドウェイトであるおっぱいの大きさは417の方が大きい。

全力で逃げてもジリジリと差を詰められていく。それは417ダミーとて気づいている。

ではどうするか?417ダミー目配せしてうなずき…散らばった。

 

「「絶対に逃しませんからね」」

 

出撃に出ることになるだろうから兵舎にて待ち構えていれば自ずと捕まるのだろうが…

スプリングフィールドはすこし別な方向に走っていきました。

そんな事は知らずに417ダミーは散り散りに走っていく。どうなることやら。

 

 

――――――――――――D08基地HK417私室・朝

 

 

なんか朝から騒がしいけど知らねー…隣に当然のように潜り込んでるG28を叩き起こしてから朝の支度をする。

寝ぼけてキスしようとしてきたから張り倒してっと…ん?なんでどったばたと外から聞こえてくるんだ?

 

「本体!かくまえー!」

「はぁ?」

 

飛び込んできたのは私のダミーの一体だ。こんな時間にもう目が覚めてたか…

本体より先に目がさめるのはかなり珍しいけど…何をやらかしたんだか…

どれどれ行動ログをちょっと読み漁りましょうか…頭痛くなってくるなぁ。

 

「ひまー」

「ひまだなー」

 

うんうん、真っ暗な朝に起きりゃそりゃ暇だろうよ。だったら普通に眠ろうぜ?

子供みたいに足プラプラさせてるのは可愛いけどそこは大人しくしておこう?

 

「へいよー、おどるぞー」

 

おい、まてそのラジカセはどこから引っ張り出してきた?馬鹿野郎なんでそこで踊ろうぜなんて言うんだよ。

お前らダンスレパートリーあんのかよ?おい待てそのイントロは…アッー!なんてものを踊ってやがる!

そしてほらー!スプリングフィールドが怒って出てきてるじゃん…もぉー…

なんてことをしてるんだか…匿う余地なし…私が引っ張っていこ…

取り敢えずお化粧だけさせて?あとG28そろそろ起きようね?

お姉ちゃんそろそろ行っちゃうよ?お化粧終わらせてる間に置きなかったらどうしよっかなー…

 

「本体ー化粧は楽しい?」

「んー?まぁ綺麗になれるからやってるんだよ。ついでにお前も化粧する?」

「やってくれー」

「はいはい」

 

私の代わりに椅子に座らせてから化粧道具片手にぽふぽふと…

動作はこっちで命令させればいいから楽だねー…これがダミーの良いところでもあるんだけど。

ハイ目を閉じろー…アイラインを引いてー…眉をちょいちょいと…まつげもちょいちょいと。

うんまぁ私を化粧しているようなものだからベイビーサブミッションなわけですよ。

 

「ほれ、どうじゃね?」

「ほほー…よし、指揮官押し倒してくる」

「待たんかぁい!!」

 

飛び出そうとするダミーをひっ捕まえて足払い掛けて転けさせる。

兵舎に鈍いどぅんなんて音が響くが知らん。ちょっとおとなしくしろお前。

 

「417さっきからなに騒いで…るのー?」

「ダミーをちょっとね、抑えてるの!」

 

眠そうなG28が起き出してからこっちを見てるけど同格であるダミーを抑えつけるのは結構大変。

ただ演算能力の差から来るのか技量は私のほうが上だから返される事はなさそう。

さてと後はこいつを縛り上げて…いや強制コードを…後々に響くからそれはなしだな。

まぁ騒ぎになってるだろうから…ん?ノック?誰だろう?

 

「どうぞー!」

「失礼します、あら、やっぱりここに隠れていましたか♪」

 

現れたのはスプリングフィールドのダミーだな。おー笑顔が張り付いてらっしゃる。

で私が抑え込んでるダミーにそーっと手をかけて…あ、これは…

 

「では、お説教の時間です…お覚悟は?」

「ないです…」

「そうですか、では参りましょう」

「ほんたいー!へるぷー!!」

 

はい、出撃までの間たっぷり説教されてこい…わたしゃ知らん。

じゃ、G28ご飯に行こうか。今日はお姉ちゃんがあーんしてあげよう。

 

 

――――――――――――D08基地ダミー用兵舎・昼

 

 

「朝はごめんね、私のダミーが大暴走しちゃって」

「いえ、良いんですけど…あれは…」

「あーうん…あれね…」

 

出撃が終わり真っ先にダミー宿舎に行ってからダミーとはいえスプリングフィールドに迷惑をかけたので謝ったんだけど…

そんな私の後ろで行われているのが問題なんだよ…全く頭が痛くなってくる。

視線の先にあるのは帰ってきて早々に踊りまくっている私のダミー達なんだよ。

のっりのりでDaisukeを踊ってたりブレイクダンスしてたりさ…

そしてそれに触発されて踊り出す他のダミーも居て…変な脱力感に襲われる。

まぁダンス適正のとんでもなく高いスコーピオンとSAAのダミーでしょ。

なんだかんだノリのいいM14と9姉のダミーも踊ってるし…

G11のダミーもブレイクダンスしてるし…お前は寝てろよ。

FALダミーが揃って社交ダンスみたいなのを踊ってるしさぁ…どうなってんだよ。

もうこの兵舎前の空間がすんごい事になってるけどわたしゃ知らん…

 

「「「「いえーい!」」」」

「ちったぁ反省を見せろこのスカタン!!」

 

大歓声が起こってるが私はイライラしてしょうがないんだけど…

一番スプリングフィールドに謝らなきゃいけないダミーが全然反省の色なしなんだもん。

全員に水面蹴り食らわせてこかしたんだけど…止める気配なし…

私のこの水面蹴りっていう行動にはお姉ちゃんのダミーが引き気味だった。

 

「あれよね…417の本体も突拍子もなく暴力振るうわよね」

「そうね…流れるように蹴ってたし…」

 

お姉ちゃんのダミーはかなりの読書家だ。この喧騒の中よく読んでられる…

お願いだから私のダミーの暴走を止めようよ?ね?ね?

取り敢えずスプリングフィールドのダミーには詫び入れたし…さてと私はどうするかなぁ…

お手伝いはまだそうなさそうだしなぁ…農作業はまだ良いし…

あぁそうだ猫ちゃんとワンちゃんの餌やりをしておかなくちゃ…

 

「行きましたね…」

「そうですね…では私達も…踊りましょうか」

 

なんかダンスステップの音が増えた気がするけど私の気の所為だよね。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・夜

 

 

「ねぇ417聞いた?」

「んー?何の話?」

「ダミーの間でダンスが流行してるって話」

「しらねーっす…知りたくもないっす…」

 

私のダミーから飛び火したな。間違いないな…ダミーあれなんでしょ暇なんでしょ?

ぜってぇ暇を持て余してんだろ。私は知ってんぞ…ちらっと通ったら遊んでることが多いし…

私がはぁぁぁ…って深い溜息を吐いたのを横目に面白そうに笑っているのは…45姉。

あぁほんと…あの馬鹿ダミー共はどうして大人しく出来ないのか…

 

「417が踊ってた極楽浄土だっけ?あれ皆で踊ってたわよ」

「えぇ…」

「それからレパートリーを増やしていってるみたい」

「それを私に言うのはなーんで?」

「きっと417本体が先頭に立って踊ればおも…映えると思って」

 

今思いっきり面白いって言おうとしただろ…この鬼畜姉。

私はそんな風に踊るのは嫌だし…出来ることなら一人二人位の小ぢんまりとした方が…

大体私の踊れるレパートリーと合致してるかどうか不明瞭だし…

私の踊れるダンスってガチなのもあるけどネタっ気の方が強いし…

インド式繁栄ダンスとか踊るのとか誰得だよ…私覚えて踊れるんだけどさ…

 

「と言うか今も踊ってるらしいわよ」

「嘘だろ…」

「はい、これちょっと撮ったやつ♪」

 

そう言って項垂れる私に45姉が見せてきたのは…綺麗に隊列組んでるダミー達。

おいお姉ちゃんのダミーや45姉のダミーまで混ざってんじゃねーか…どうなってんだよ…

ん?このイントロはSmooth Criminal…半世紀前の大ヒット曲だ。

ミュージックビデオは今もなお人気を誇るものだよ。これは…必死に覚えた物だ。

かなりステップが難しいし特殊なテクニックが必要なダンスだ。

おいおいこの短時間でコイツらマスターしたっていうのか?

まぁモーションはすぐに覚えれるだろうよ…でもムーンウォークやステップワークのテクは練習必須だろ…

うわー…人形のスペックの高さってすげーな…改めて思うよ。

タイミングまで完璧だし…一糸乱れずキレッキレだな…うーん…これは素晴らしい。

 

「んー…」

「どう?」

「ちょっとアリかなと思った」

「そう、じゃあダミーカモーン♪」

「ちょ!?やめ、やめろぉー!ハナセー!!」

「踊ってらっしゃーい♪」

 

無理矢理ダンスに参加させられたけど私はこれはこれで楽しかった。

これでダミーが言うこと聞くようになったか?んなわけ無いじゃん…




はい。という訳でダンス人口増えたよ。

前半はちょっと悪ふざけが過ぎたと思うけど反省?してないぞ。


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Day82 食い物イタズラは厳禁

おいバーガー食わねぇか?



――――――――――――D08基地共有スペース・朝

 

 

今朝はちょっと楽してスプリングフィールドのマフィンで済ませた。

偶には私も楽したい。自分で作ったお料理を振る舞うのもいいけどさ。

相変わらず工廠ではパーツが届かないと悩んでるようだけど…一応納入連絡があったらしい。

一週間後…つまり来週いっぱいはヘリが使えずバギーでの警備って事だ。

まぁ私はバギーでの警備もいいと思うけど…燃料が勿体無いか。

 

「45姉と一緒にお出かけおっでかけー♪」

 

お、45姉と9姉が今日はお出かけか…ふーん?どこに出かけるんだろう?

まぁでもここの付近にお出かけできる場所って言ったら最寄りの街か…かなり遠出して別地区に行くとか?

でも別地区の情報なんてほぼほぼ入ってこないしなぁ…その線はないか。

いや、スチェッキンの屋台を追っかけたとかも考えられるかな?

ともかく珍しく二人がお出かけと…姉妹水入らずで行ってらっしゃいっと。

手を振ってみせるとUMP姉妹は手を振って応じてくれた。

さて、私もお休みだけど特にする予定はないし…んー…

あ、そうそう農場のじゃがいもがめでたく芽を出した。すくすくと成長していってるな。

数日としないで土を寄せることになるかな…本格的に農業始まったなぁ…

 

「417~今日は一緒に遊んでくれるー?」

「はいはい、何して遊ぶ?」

 

さてと、G28が起きてきたからお相手を務めないとね。さてと…今日は何をして遊ぶか。

んー…まぁ定番はゲームなんだけど…それだけだとなぁ…うーん。

エレメカ系はワニワニパニックだけだしなぁ…私の趣味だとあとはチャリンコか。

BMXとかあったらそれで遊び倒すって事も出来るけど私が持ってるのはカッチカチのロードバイクだしなぁ。

まぁそんな訳で私はちょっと悩む…んー…G28と一緒に出来る遊び…

……あ、そうだ。カラオケで歌って踊るってのはどうだろう?

G28のレパートリーとかも気になるこの頃だし…ちょうど良いよね。

 

「カラオケしよっか」

「からおけ?」

「歌うんだよ」

「なるほどー?」

 

ふむ、G28は知らないと来たか…まぁなら教えながら歌いますか。

流石に歌を知らないってことはないと信じたい。うん…

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・昼

 

 

G28は何というか…全体的に明るいんだけど電波系の曲を好んでた。

ちょっと私の趣味からは離れた選曲ばっかりだったから私はついていけなかった。

私がちょっと無理してるの感じたのかカラオケはすぐにお開きになった。

で、今は何してるかっていうと…お料理ですよお料理。お昼の用意です。

朝と同じでスプリングフィールドのカフェで済ませるって手段もあったけど…それはまぁ止めておこうってね。

あとでデザートだけ食べに行くのもいいけど…うんうん。

 

「ヴルスト焼けたよー」

「はーい」

 

今回作ってるのはこのボディの魂の故郷、ドイツのお手軽料理のカリーヴルスト。

ドイツ料理は中々作る機会が無かったからね。G28はドイツ料理得意ときたもので…

では簡単なカリーヴルストを一緒に作ろうぜって事になったわけですよ。

さて、ここで言っているヴルストとは豚の腸に肉を詰めた物です。

簡単に言えばソーセージのことです。で、このカリーヴルストはそんなソーセージの上にカレー粉とかをトッピングする。

お手軽に食べれる様にパンに挟んでいるものだからホットドッグのカレー版と思ったほうが良いかな?

本場ではさらにサイドメニューとしてフライドポテトを添えることが多かったらしい。

時が時ならファストフードとして庶民の味として楽しまれていたらしいけどね。

今ではそんな物でも貴重なんだよねー…改めて手軽に作れるこの環境に感謝です。

G28がカリッカリにヴルストを焼いてから私がケチャップとカレーソースを製作。

二人分だけだと思う?4人分だよ。勿論振る舞うのは私達の大好きなお姉ちゃんですとも。

お兄ちゃん?いつものように朝から出て行っちゃったよ。後の1っ個?面倒くさがりのG11の分だよ。

 

「美味しそうだねー」

「お姉ちゃん呼んできて」

「了解ー!416ー!!!」

 

ドタドタと駆けていったから私は3人分のカリーヴルストを配膳。

丸テーブルに椅子を3つ並べてから私は先に座って待ってる。

後はG28がお姉ちゃんを引っ張ってくるの待ってっと…お、出てきた。

なんか怒ってるから作業中だったのを無理矢理連れてきたな…あははは…

 

「いらっしゃい、ご飯だよ」

「もう…少ししたら行くって言ったのに…」

 

まぁ本気で怒ってないんだろうと思うから…宥めつかせてから席を引く。

すっぽりお姉ちゃんが入ったらG28が残った席に座ってからお食事開始です。

うん、G28の焼いたヴルストは良い焼き加減ですね。表面パリパリの中はあっつあつ。

噛めば汁が溢れてきてからとっても美味しい。上に乗ってるケチャップとカレーソースの合わせものが風味を出していて食欲を出してくれる。

お昼の食事としては良いね。ちょっとカレーの匂いが強すぎる気がするけどさ。

ちょっと口臭が気になるかも…はー…うーん…よくわかんないな。

今度の要望品の中にミントタブレットとか申請しておこうかな?

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・おやつ時

 

 

45姉が帰ってくるなりキッチンを占拠した。何事やねんと思ったらお料理するんだってさ。

45姉はまぁ確かにお菓子作り出来てたから出来なくもないんだろうと思うけどね。

何を作るんだろうって思ったけどダミーまで総動員してやってるから見えないんだよね。

大掛かりな物作ってるのかな?それともあれか…全員に振る舞うつもりなのか…

まぁ何かの拍子にお手伝いが必要になるかもしれないから私はここで待機してるんだけどね。

M14にちょっと借りた本を片手に…M14の持ってる本は所謂小説だ。

典型的な文学だよ。文字から連想される情景を思い浮かべながら読み進めるの。

私は一応元人間、そういうイメージを浮かべるのは苦じゃない。

電脳に少し負荷をかけることになるけどその浮かべた情景をイメージとして出力することもできる。

3Dモデルは試したことないけど多分出来ると思う。マッピングだってかなり精度良いし。

この辺は元の416って躯体の性能が良いからなんだけどね。

やっぱりお姉ちゃんの身体はスゴイんだよ。世界一って言っても良いんじゃない?

 

「で、お姉ちゃんも読書?」

「そうね…まぁあとは45がなにをしでかすかの監視ね」

 

信用ないな…まぁ確かにイタズラを仕掛けてくることは多いし暴走することあるけどさ。

今回はちゃんと見守ってあげようよ…お菓子か何か作ってるみたいだしさ。

純粋な好意だけとは言わないけど結構な比率で好意が入ってると思うよ?

ほら、結構真剣な顔して作ってるんだからさ。ね?

ところでお姉ちゃんの読んでいる本はなんだろう…ちょっと横から覗く。

ほうほう…ほう?コレってアレじゃない…恋愛小説ってやつじゃないかな。

ははぁーん…お姉ちゃんはアレか…イメージトレーニングみっちりやる派だな?

 

「何よ417…」

「べっつにぃ~?」

 

お姉ちゃんがそういうのを見るのは別に良いと思うし練習っていうのは重要だと思うからねー

私も漫画とかで見てたりしたけどさー…うーん今の観点から見たらまた違うのかも。

男の時って女の子の外見から好きになってその後言動とか見るしねぇー…

逆に今はファーストインプレッションよりもその後の言動で惚れてるしさぁ…

あとは露骨なエロって今はそんなに心躍らないしなぁ…

性欲っていうのがあんまり浮かんでこなくなったしそういうの無しで見れるかも。

価値観が変われば見方は変わるよね。うーん…あの家に死蔵してるコミック持ってくるか?

ばりばりの少年誌や青年向けコミックだからアレなシーンとかも多いけど…

 

「417は…何よそれ」

「んー…エルシャダイ」

 

小説エルシャダイ。聖書の云々がベースっぽいね。イーノックの綴とかエノクっぽいし。

アザゼル、ルシフェル、エゼキエル、サリエル…まぁ堕天使の名前がつらつらと…

人間に憧れて堕天した天使たちを天界に連れ戻す…まぁファンタジーだね。

こんなのが紀元前とかにあったって信じるか?いいや、私は信じないね。

アホくさいとすら思う。信じても信じても試練を与え続けるなんてクソの所業だし。

ちょっと嫉妬したら何万人も殺すとか神というよりそれこそ悪魔じゃん。

 

ん?出来上がったのかな?本を畳んで見ると45姉が持ってきていた。

何が出来上がったのかって…ハンバーガーだ。おやつ時にハンバーガーかぁ…

うーん…まぁ小腹を満たすには良いかもしれないね。うんうん…

じゃあちょっと食べてみましょうか…ん?これはフライか。

ふぅーんフライのバーガーね。それはちょっと新しい試みなんじゃないかな?

大きさがちょっと小さいのを結構な数挟んでるな…ふむふむ…んー?

食べ慣れない食感だな…ちょっと硬くてからその後は柔らかい?

ほんのり臭みが…下処理これしくってるでしょ。まぁ食べれなくはない。

わりと淡白な味だな…食べたことのない風味だ…これはなんだろう?

 

「ねぇ45姉…これなに?」

「聞いちゃう~?」

 

おーぅ…なんだか聞くのをためらうような聞き方をしてくるな…

にやぁ~っとイタズラを思いついた時みたいな笑顔なんだもん。ちょっと警戒する。

隣でもお姉ちゃんが食べていて案外美味しいから普通にパクパク食ってるんだよね。

でもこのレスポンスに思う所があるのか食べる手を止めた…

 

「それね~何だと思う?」

「いや、食べたことのない食感だから…」

「そう言えばそうね…何を使ってるの?」

「虫♪」

 

……What?この45姉今なんとおっしゃいました?虫?ムシ?むしぃ?

うん、しってるよ。むしをつかったりょうりがあるってのはよんいちななもしってる。

でもこれにほんとうにつかってるの?あはははじょうだんきついなぁ~

 

「ごめん、ちょっと席外すね…」

 

洗面所洗面所、どこだっけー…あ、あったあった…間に合った…

 

「ぅぉぇええええええ!!…ごへ、お…え…おぇえええええええ…!!」

 

ばかじゃねーの!!ばかじゃねーの!!!!あのくそ鬼畜!!

私が虫嫌いなのを知っての所業か!?チクショウ私が何をしたっていうんだよ!!

あーくそ、全部吐けたかな…一口咀嚼しただけだからこれだけだと思うけど…

うぉぇ…歯磨きもしないと…何の虫かしらないけどろくなもんじゃないと思う…

あ、お姉ちゃんもいらっしゃーい…おとなりあいてるよー…

 

「うぶ…ごふっ…おえぇぇぇぇ……」

 

お姉ちゃんの精神的ダメージは私より酷いと思う…結構食べた後にアレだもん。

口をすすいでから歯磨きしながら私はお姉ちゃんの背中を擦ることにした…

そういえば結構な数作ってたと思うけど…45姉あれでしょ…皆に食べさせるつもりじゃない?

あー…って事はまだ被害者が増える可能性があるってことだよね…

洗面台埋まったら大惨事だけど大丈夫?取り敢えずこれはお兄ちゃんに報告する案件な?

 

その後FALとわーちゃんが飛び込んできた。二人揃って青い顔してた。

まぁー酷いゲロ合戦になった…いや、マジふざけんなよ45姉…

 

結局私達に食わせたその虫フライは45姉を囲んで取り押さえて無理矢理食わせた。

食い物の恨みっていうのはね…かくも恐ろしいものなのだよ…




はい、頂いたネタを1つ消化しました。
食い物で遊ぶなよ!


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Day83 夢見がちな少女

テレビのアニメに影響される子多いじゃろ?



――――――――――――D08基地共有スペース・朝

 

 

今日も特に出かける予定はない。昨日の夜にちょっと怒りのお弁当作りして作り上げたのをお兄ちゃんに持たせたけど。

さて、今日の娯楽はですね…このちっこいモニターで見るテレビでございます。

ええっと…チャンネルはこれかな?うんうん、映ってる。よぅし…

朝の時間にやっているアニメがあるらしい。スコーピオン情報なんだけどね。

人間の頃は休みの日に朝から起きるってことは私はしてなかったからなぁ。

アニメーション作品は確かに色々知ってるけど…どっちかと言ったら兄がよく知ってるな。

 

「417~飯を作ってくれ~…腹減った…」

「ん、兄さん…チョット待って。コレ見させてよ」

「ぁ?お前変身ヒーロー物見るの?」

「あ、そうなの?」

 

時間帯から察したのか先にネタバラシしてくれちゃってからもー…

変身ヒーロー物かぁ…ちっちゃな子供が見たりする奴だよね。

半世紀前に制作され初めて…今も根強く制作されているんだっけか?

街でちっちゃなヒーローショーを見たくらいだけど…どうなんだろう?

 

「まだ始まるまで少し時間あるぞ…簡単なのでもいいから作ってくれよ」

「そうなの?んー…わかった、その言葉信じるからね?」

 

ふむ、簡単なのかぁ…お兄ちゃんのソウルフードのコンボでやるか。

ライスボールと味噌スープのコンボだな。具材は…昨日作ったお弁当のちょっと残りがあったからそれでいいか。

ええとだから一口ハンバーグの半分、卵焼きに…チーズ焼きライスボールだね。

大根のピクルスとかあればそれを添えるのが良いんだろうけど…それはないからしょうがない。

んじゃ、私の分も含めてちょちょっと作って…いや、熱いな…ヤーパンの主婦ってこれ日常的に作ってたんだよね。

塩味が効いてて美味しいね。単純なお料理だけど良いね。お手軽お手軽。

味噌スープの温めも終わったしさーってと…兄さんの分も注いでから朝ご飯です。

小型モニターの前に二人分並べてから見る。前世紀では一般的な光景だったんだろうなぁ。

今ではテレビとかを娯楽に使えるのは一部の富裕層だしなぁ…

基地に来るまでモニターって言ったらゲーミング用の液晶だったしなぁ。

情報の入手先としては優秀なんだけど…手軽じゃないんだよなぁ。

 

「はい、おまちどうさま」

「これは…オニギリじゃねぇか」

「ライスボールじゃないの?」

「お前のヤーパン知識は中途半端なんだよなぁ…これはオニギリだ海苔も巻けば完璧だ」

 

ふーん…兄さんのヤーパン知識は深いなぁ。オニギリねぇ…どういうネーミングなんだろう?

うん、中々美味しい。ピクニックとかに持っていったらちょうど良さそうだね。

 

「ねぇ、兄さん今度のお休みにピクニックとかどう?」

「えー…」

「む、出たくないか…」

 

兄さんはだめみたいだから他にノッてくれそうな…お兄ちゃんとか?

バスケットとかはないけどお弁当包んでタンデムデート♪うぇへへへ…

 

「始まるぞ」

「む」

 

 

――――――――――――

 

 

「ふむふむ…日常に突如として悪の組織が出てきてヒーローが打ち倒すね…」

「その日常の影に織り込まれた伏線があるんだぜ」

「ストーリーラインも今追ったら結構ヘビーだね…これ幼児向け?」

「表向きはな。大きなお友達向けだったりもするぞ」

「大きなお友達」

 

大きなお友達…?あぁ兄さんみたいな成人済みな視聴者の事か。

幼児向けと思ってかなり甘く見ていたけどこれは面白いな。

現実には中々ない勧善懲悪って言うものだけど…初手から基地壊滅…

味方と思っていた先輩の裏切り…怪人の跋扈かぁ…しかも怪人が一般人っぽいってのがなぁ。

というか基地壊滅ってどういうことよ…本当にこんな出だしで良いのかよ…

 

「所でさ…」

「なんだ?」

「アクターの滑舌悪くない?」

「そりゃオンドゥル語だからな」

「オンドゥル語」

 

オンドゥル語?劇中の架空言語とかなのかな?いや…他のアクターの言語は普通に標準語じゃない?

でもヒーローの先輩も結構近いような…うーん?どうなってるんだろう。

 

「30分があっという間だなぁ…あ、次のもあるんだね」

「そっちがメインだろ」

「ふーん?」

 

おぉ始まった…あ、違うCMか…え、これは…あぁそういう事ですか。

兄さんの言うメインって意味合いはそういう事ですか…流石ピクトフィリア…

 

「おほぉぉぉぉおおおおプリキュアぁぁぁあぁ!!」

「うるさいよ」

 

見目麗しい女の子のアニメーション作品でした。兄さんの性癖にど直球な…キャラがね。

見た感じ等身は高いけど小学生から中学生初頭って所かな?

取り敢えず横で騒いでるヲタクを殴って黙らせる。ちょっと流石にうるさい。

私は静かな朝が好きなんだよ。静かな朝が良いの。良い?騒ぐのも大概にしろよ。

これも変身物か…え、変身後が大分印象ちがくありません?本当に変身だな。

ほほー…これにも必殺技があると…ほうほう…必殺技ねぇ…

 

 

――――――――――――D08基地倉庫・昼

 

 

ちょっと人が来ない所に来たのは良いけど…うん、誰もいないな…

えーっと確かあの変身ポーズは右手をこう突き出してから…力を溜めて…

 

「変身!!」

 

右手を反転させてから直ぐ様左手を同じ様に突き出して右手は腰に当てる。

うんうん…こういう物だったよね…男の子が真似してたのはこういう気持ちだったか…

ふふふ…私もまだこういう遊び心は残ってたか…えへへへ~♪

ちょっと童心に帰ったようだよ。うんうん…あのアニメーションも良いな。

ああいうベルトもあったら臨場感出てくるのかな…んー…街に行ったらあるかな?

それに必殺技かぁ…ああいうのもちょっと憧れてみたりして…

私の場合は榴弾とかがそれに当たるのかな…地味だなぁ…かといって殴る蹴るはなぁ…

レーザービームとか出せたらカッコイイと思うんだ!電力が足りないか…

はッ!?誰かがこっちに来る…倉庫の影に隠れて…およ?

 

「誰もいないよねー…」

 

やってきたのはSAA…何をするつもりだ?あのコーラ中毒が…

んん?何かポーズを取り始めたぞ…右腕を立ててL字にして…右に身体をひねった。

そして睨みつけるように前を見て…腕を左右に振った…おぉ?

 

「変ッ身ッ!!」

 

これもしかしなくてもヒーロー物の変身ポーズかな?

SAAも朝のあれを見ているのかな…私の知らないポーズだけど。

 

「俺は太陽の子!!ブラァッ!!」

 

おぉ、口上まで言うのか。かなりの迫真の声だなぁ…

なるほど、かなり見ている証拠かな?こういうのが好きだったんだね。

さらに影から覗いているとそのままパンチキックと色々やってから…

ふーむ…外見も合わさってかなり似合ってるね。さらに大きくジャンプして…

 

「ライダーキィック!!この世に悪が栄える事は無いと知れ!!」

 

おぉ…かなり本格的な演舞ありがとうございます…これはすごーい…

そのままアクターとして出れるんじゃないかなって思うんだけど…

口上も多分良いと思うし…これは天職なのでは?戦役が終わればそういうのも…

 

「誰だ!おのれ!!クライシスゆ"る"さ"ん"!!」

 

あ、やべ。落ちてる枝踏んづけて音鳴らしちゃった…あ、SAAが全速力でこっちに来る。

い、一か八か…!この手に駆けてみましょう…!

 

「ダディァーザァン!?ナズェミテルンディス!!」

「!?」

「オンドゥルルラギッタンディスカー!?」

「ゲゲゲー!?」

 

熱い握手を交わされた…やばい、私も同じと思われた…そこまでコアじゃないです…!

 

 

――――――――――――

 

 

「よーし!同好の士が一人増えたからアレができるかな!」

「アレって…何かなー?」

「デュアルオーロラウェーブ!」

「!」

 

これはアレだな。二人並んでから外側の手を高く天に向けて突き上げる。

それからそっと手を繋いで…高くジャンプ!とと…ちょっとバランスが崩れた…

隣では先にSAAが着地してからポーズを決めて…私が遅れてポーズ。

 

「光の使者、キュアブラック!」

「光の使者、キュアホワイト!」

「「二人はプリキュア!!」」

 

アニメーション作品の方の変身シーンをやったのだ!

ちょうど見たばっかりで私は新鮮だったし…えへへ、これ良いね。

SAAはキレッキレだし私も割と…良い感じだったと思うんだけど。

背丈も私達似たり寄ったりだからちょうど良い感じだねー。

 

「イエーイ!」

「い、いえー」

 

ぱちーんとハイタッチしてから意気投合です。うんうん…これでSAAと趣味を1つ共有したわけです。

しかし考えることは同じだったのかぁ…って事はこれがちょっと恥ずかしい事って認識はあるのか。

まぁ私も他の人に見られたらかなり恥ずかしいと思うし…

 

「こういうのは何時から?」

「そうだねー…3ヶ月前かな?」

「あぁ…じゃあ私が来る前からなんだね…」

「そうだねー!417はいつから?」

「今日はじめて…」

「おー!じゃあ幸運だったんですねー!」

 

因みに私は有無を言わさずこの沼に引きずり込まれる事になりました…

休みの間にアニメーション見るかな…

…裁縫であの衣装を縫い上げてみようかな…布もあるし出来なくもないよね。

SAAの分も作ったら喜ぶよね…えへへ、暇潰しが増える増える♪




僕はね。色々妄想しながら書くからモーションをやってみることはあるんだ…


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Day84 後方支援・治安維持隊援護

G&Kって治安維持もしてるそうじゃない?


――――――――――――D08基地司令室・早朝

 

 

「あぁ?まじかよ…分かりました、すぐに援護を派遣します。なんとか耐えてください」

『頼みます、あぁくそ!維持部隊3-2ダミー全滅!メインフレームは撤退しろ!!すぐに3-1は…Shiiiiiiiiiit!!!!』

 

D08地区は広大な森林地帯とその奥に構える豊かな街で構成されている。

その街からの連絡が飛び込んできていた。受け取っていた指揮官も切迫した様子だ。

思わずと言った様子で顔を手で叩いてから顰めっ面を浮かべる。

そして直ぐ様に基地内に居る人形に集合命令を駆ける。援護に向かわせる人形だ。

緊急スクランブルと言うこともあってか数分と経たずして呼び出した人形が戦闘態勢で入ってくる。

 

「よく来た。まぁ緊急事態だ」

「どういう事?」

「簡単に言えば街で凶悪犯罪が起こった。治安維持隊でも手に負えないバカが出やがった」

「なるほど、それで私達に白羽の矢を立ったって訳ね?」

「えー…私まで呼び出されるのはどうなんですか指揮官…」

「良いじゃないの、たっぷり弾をぶち込めるのよ?」

 

好戦的な第一部隊の筆頭ヤベー奴の3人…FALとスペクトラとステンはそれぞれ反応を示す。

唯一乗り気ではないのはステンだが恐らく戦線に立てば嬉々として爆弾魔と化すのでノーカウント。

その他に呼び出されたのは純粋な戦闘力の高いHK三姉妹。

対テロリズムにおいて効力を発揮するHK417とG28を配したのだ。

 

「差し当たって鎮圧してこい。生死は問わん。迅速に容赦なく潰せ」

「「「「「「了解」」」」」」

 

この手の犯罪者に情け容赦など必要ない。指揮官は普段の温厚な雰囲気を引っ込めて冷徹に指示を下す。

G&Kの統治下でそんな事をした場合どうなるか…見せしめにもなる。

比較的に治安は良い街でそんな事をした場合迎える結末というものを教えるのだ。

出撃に出ていく人形の背中を静かに見守り…誰も居なくなった後指揮官は溜息を吐く。

 

「あーぁ…嫌になるねぇ、自分の手を汚さずに人形とは言え女の子にその汚れを押し付けるってのは」

 

そして指揮官は何事もなかったように自分の為すべき仕事に戻る。

ドローンを飛ばして指揮に入る。相手が人間相手であるならば頭脳は必要である。

それ以上に自分が指示した結果どんな末路を迎えるのか見るのが指揮官の義務…そう思っているのだろう。

 

「あぁ、すまんな…今日の出撃は変則でな…えー?俺がそんな真面目な雰囲気なのがおかしいのかよぉ…」

「気持ち悪いったら無いわよ!まぁ…偶には良いと思うけど。私が第2部隊に編入して警備でしょ?」

「そうそう、理解が早くて助かる。じゃ頼んだぞぅ」

 

 

――――――――――――

 

 

「迅速を求めるから私のドライブが解禁とはねぇ!」

「振り落とすんじゃないわよ!」

「分かってるってよぅ!イィィハァァアアア!!」

 

ディーゼル機関が唸り声を上げながらハイウェイを駆け抜ける。

法定速度?んなの知ったことかよ。今は治安維持に向かってるんだからさ。

簡単な車両のスラロームだからベイビーサブミッションも良いところ。

ダミーにもハンドルを握らせて私の動きをトレースさせていく。

オープントップのバギーは走行風をもろに車内に巻き込んでいく。

速度を上げれば上げるほど私達の髪を靡かせていく。朝のハイウェイは気持ちいい。

しかし犯罪者ねぇ…どんな奴なんだろうか…まぁろくでなしってのは確定だな。

あんな治安の良い場所で何ドンパチやらかそうとするのか…理解できないね。

 

「それにしても生死問わずかぁ」

「怖いの?」

「んーん、まさか」

 

もう私にその辺に対する忌避感ってのは無い。引き金を引くことに慣れすぎた。

人の命を刈る事と引き金を引く事の軽さがほぼ同等なんだもの。

まぁ無力化って言うのは不確定要素があるし…確実に無力化するんだったら殺すのが手っ取り早い。

許しは請わないし恨んでくれよって思うけどさ…自分の行動に責任を取れよって話。

そういうヤツって自分が正しいと思ってるだろうから言葉が通じることはない。

つまりは見敵必殺、言葉など不要なんだよ。逃がす?いいや、そんなのは許さない。

 

「お姉ちゃんこそ人を殺す事にビビってたりしないー?」

「ハッその減らず口から縫い上げてあげようかしら?」

「おぉ怖い怖い、もうちょっと飛ばすよー!」

 

『犯罪者はグループ犯だ。人類権利団体を名乗るかと思ったら違うな…ただの強盗だが武装が武装だ』

「へぇー武装は?」

『前時代的だが強力なRPG-7とM249と来たもんだ。容赦なくぶっ放して死人も出ている』

「治安維持隊の被害状況はー?」

『1部隊壊滅第2部隊も時間の問題と来た。恐らくだが正規軍崩れだろうな。手慣れてやがる』

「それで前線基地の私達が援護に回るってわけねー…はいはい」

 

治安維持隊の人形はお世辞にも戦闘慣れしているとは言えない。

所謂目に見える抑止力としての機能が優先されている。勿論並大抵の犯罪者ならどうにかなる。

今回みたいにガッチガチに武装してるテロリスト一歩手前の連中は手に余ると言うやつな。

応戦して足止めしてるらしいけど…いつまで保つのかわかったものじゃないな。

 

 

――――――――――――

 

 

『もうすぐだ、視認できるか?』

「もう出来てる」

『なら417とG28は近くのビルに登れ、高所からの狙撃だ。行けるな』

「「勿論」」

『よろしい、なら後は下りてお掃除の時間だ。敵対勢力の位置情報は確認できるか?』

「えぇ、勿論よ。存分に榴弾を叩き込んであげるわ」

 

戦闘モード移行、さてとちゃっちゃか片付けてしまいましょうか。

ラペリングフックを打ち上げてから壁を駆け上がる。

下ではバギーから下りた416とFAL、スペクトラ、ステンが展開して敵に向かっていってる。

視認した限りでは現地警察と治安維持隊がシールド展開してから押さえ込みを行っていた。

お陰で犯人達は一歩も動けてないらしい…ふむ、被害はあぁ、逃げ遅れた人が何人か動かなくなっている。

あとはダミー人形が派手に散らばってるな…爆発痕から考えてRPGを撃ち込まれたか…

本当に容赦なくて笑いが出てくるけど…さて、そんな玩具を持ち出すんだから…

自分達も撃たれる覚悟はあるってことで間違いないわよね?

 

「417、ポイントに着いたわ。犯人と思わしきグループを視認。数は見える限り8」

「G28同じく配置についたよー!こっちからも見える数は変わらないね。撃っちゃっていい?」

『待て、FAL達が裏に回ってからだ。向こうはRPGを使い切って籠城してやがるから囲んで叩くぞ』

「ふぅん…じゃあ私達は逃げる蟻を一匹残さず潰せってこと?」

『そういう事だ。出来れば無力化は生きたままが良いが…最悪一匹だけでも残っていればいい。残りは好きにしろ』

「ふぅん…じゃ、私達の好きにやっちゃおうか…ねぇ、G28?」

「りょうかーい!」

 

裏から回り込んで順次制圧…それから表で騒いでる連中を射殺するなりなんなりか。

一匹足を撃ち抜いて…止まればいいけどね。そうじゃなかったら不運を呪って貰いましょう。

まぁ沢山人を殺してるんだから…別に容赦する必要なんて無いんだけどさ。

 

『FALよ。ポジションに着いたわよ』

『416、ブリーチング用意。何時でも行けるわよ』

『GO!中を占拠してるバカを一匹残らず叩け!』

 

遠くから爆発音が聞こえる。続けて発砲音が響く。スコープ内の犯人グループに動揺が走ってる。

銀行を襲ったのが運の尽きね。裏口や突入口なんていくらでもある。

その上カメラは多くてジャックしちゃえば見放題。つまり突入がかなり簡単になる。

おまけに指揮官のドローンは光学迷彩付き…高価だけど人形のサポートには事欠かない。

 

「じゃあ私達も行動開始だね」

 

ダミーと連携してから一匹目に狙いを定める。狙うのは膝。

簡単に行動不能にさせるならコレが手っ取り早い。勿論それでも抵抗を諦めないなら撃ち殺す。

抵抗意思をへし折れなかったらね…まぁ恨めよ…

 

「おぉおぉ痛がってる痛がってる…一人無力化に成功、速やかに鎮圧します」

 

おや、撃たれてからの行動が早いな…スナイパーを警戒して物陰に隠れたな。

建物内からは依然として銃声が響いてくるからドンパチやってるんだろうなぁ…

お、爆発音…FAL容赦ないからなぁ…きっと愉快な血みどろアートの出来上がりだな。

 

「1ダウン」

 

すっと顔を出した犯人の頭を素早く撃ち抜く…頭を一発で撃ち抜かれてから絶命した犯人はそのまま地面に横たわる。

ビクンビクンと痙攣しているがそれはどうでもいい。次のターゲットだ。

死にたくなかったら両手を上げて投降しなよ?じゃないと即撃ち殺してやるから。

 

『こちら416、屋内の犯人は制圧したわ』

『もうおしまい?はぁ…まだまだ撃ち足りないわ…』

『外にまだ的は居るわよ』

『突撃ィィィイイイイイイイイイ!!!』

 

ん、お姉ちゃん達のお掃除も完了してますか…じゃあ私達は制圧射撃をしておきましょうか。

 

「ん」

 

威嚇のつもりが足を撃ち抜いちゃったな…そのまま蹲ってのたうち回ってる。

お、中からスペクトラが出てきた。両手に持ったSMGで弾をバラ撒きながら影に隠れている犯人を1つ2つと蜂の巣にしていく。

おぉ…かわいそうに、顔とか人の原型留めてないんじゃない?

と、流石に反応して弾幕を張ったな…ん?でもなんかおかしいね。

止んだ?あぁーそういう…416とFALとステンのダミーが大量の死体を外に放り投げた。

そしてその死体にステンが綺麗に爆破して…これでもまだ抵抗するならお前もそうなるぞ?って脅しをかけたのな…

うわー…グッチャグチャ…火葬すらもったいないってか…エグいなぁ…

おっと逃さないぞ?逃げようとした犯人はさっさとヘッドを撃ち抜いて…っと

私とG28の撃ち抜く速度がほぼ変わらない。故に頭には2つの弾痕が出来上がっている。

それを見てまだ抵抗するって言うならお相手しますけど?

 

「あ、両手を上げて出てきたね…」

『一応両腕撃っておけ、何があるか分からん』

「うへぇ…了解、じゃあG28は右からよろしく」

 

指揮官も念には念を入れてエグいことをするなぁ…まぁ命令ですからやりましょう。

両手を上げてる所だったけどダミーと連携して一人一人両肩を撃ち抜く。

まぁ自爆とかされても困るしね。この街で騒ぎを起こしたことを呪え。

 

『作戦終了だ。皆ご苦労…すぐに帰投してくれ』

 

じゃ、私とG28はラペリング降下。お姉ちゃん達と合流して戻るとしましょうか。

帰る頃には夜だなぁ…全くもう街の反対側で騒ぎを起こしやがって…渋滞もあってからなぁ…

 

 

 

『待て、予定が変わった。悪いが指定方向に向かってくれ』

「今度は何~?」

『嘆かわしいことに補給基地がテロリストに襲われている。すぐに向かってくれ』

「了解。あーあ酷い出撃内容だねー」

「まだ撃てるのね!飛ばしなさい417!!新しい戦場が私を待ってるぅー!!」

「えーもう嫌ですよ…はぁぁぁ…ボンバーしなくちゃ…」

 

補給基地が襲われたらちょっと困るってレベルじゃないな。

全くもう酷いなぁ、基地待機だったのに連続戦闘ですかー…まぁ良いけど。

 

「ダミーは遅れないでよー!」

『本体に遅れは多分取らない』

『そうだそうだー』

 

バギーの車列が急速ターンを決めてから闇夜を駆けていく。

夜はまだまだ続きそうだ。




はい、今回はね…ソルジャーODSTさん所で開催するコラボへの切り口となってます。
ちょうど良い感じだったから通常の投稿と一緒にしたけど許してクレメンテ。


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Day85 意外ッ!それは妖精ッ!

妖精ってこんな感じ?


――――――――――――D08基地工廠・朝

 

 

「オーライ、オーライ」

「おはようございまーす!あれ、何してるの?」

 

今日は昨晩のドンパチから打って変わって平和な一日の幕開けとなった。

具体的に言うと工廠に何か大掛かりな装置が搬入されてる。

それに合わせて何か幾つか納入されてきたんだけど…なんだろう?

生物につき要注意なんて書いてるぞ…中身何だよ…なんか中から聞こえるんだけど?

めちゃくちゃガタガタ動いていて…いや、本当に中身なんだよ…送り主はI.O.P?

まーた奴ら変なの作ったのか…今度は何を送りつけてきたんだか…

 

「あぁこれな…なんでもI.O.Pが新しく開発した妖精らしい」

「はぁ?」

「自称妖精、ただの補助機械とAIのセットだよ」

「あぁそういう…」

 

妖精と言ったもんだからまーた変なものをと思ったら…まぁ変なものだな。

サポートメカかぁ…どんな役割果たすんだろうか…サポートならもうドローンで十分じゃん。

それにここはそんなに激戦区じゃないからそうでも必要ない気がするんだけどなぁ…

まぁ貰えるものは貰っておきましょう。どれどれ整備マニュアルは~っと。

んー図面は見えるけどうわ、なんだこりゃ…どう読むのか全然分からん。

え、反重力ユニットで浮かぶの?すごいな、これは初めて見ることになる。

I.O.P流石だな、クソ野郎がいっぱい居るけどその技術力は変態だな。

 

「417ちゃんその格好って事はなんか手伝ってくれるの?」

「んー?農作業をやってからそうしようかなーって」

「\だせー!のうさぎょうさせろー!/」

「…とか言われてるけど」

「はいはいちょっと待ってな。初期セットアップがまだだから動けないだろうがよ」

「\うるせー!/」

 

口の悪い妖精ですこと…まぁ元気がいっぱいなのは良いことかな。

私は戦闘中じゃなかったらそうでも口は悪くならないしなぁ。

あ、でもあの木偶人形を撃ち抜くのとカルト集団に容赦なく弾を叩き込むのは楽しかったなぁ。

あればっかりはあの狂犬達にちょっと同意できるね。まぁ私達に遭ったのが運の尽きだったね。

しかし補給基地って言うのも結構新鮮だったなぁ。あそこの人形も賑やかだったし…

ただ同じメインフレームが複数存在したのはびっくりだったねー…ああいう指揮系統もあったんだね。

さてさて農作業だ。今日はどこまで伸びてるかな~?ふんふんふーん♪

 

「やっぱよ…」

「あぁ…」

「「417のぱつぱつでっぱい最高じゃね?」」

「バカ言えあのぷりっぷりのヒップが良いんだろ!?」

「あぁん?おっぱいこそ至高ダルルォ!?」

「やんのかコラ?」

「すっぞオラー!!」

「「「\いいからさっさとかいほうしろー!!/」」」

 

工廠うるさいなぁ。まぁ言うていつもの事なんだけどさ。

 

 

――――――――――――

 

 

ふぅ、農作業は特に滞りなく終わった…いやー水やりだけでもだいぶ慣れてきたかな。

後は本格的に伸びてきたら追肥と土寄せをまたやって…って所か。

工廠のほうがまた一段と騒がしいな…ん?んん?おぉぉぉおおおお!?

 

「だーちゃんがいっぱいだー!!」

 

あ、このG&Kのマーク入りは間違いない、あのS09地区の引き出物だ!

今日ようやく届いたんだね!わー色とりどりのだーちゃんだ…ひーふーみー…25体!

私所持のも合わせて26のだーちゃんが居ることになるわけだ!

おぉ説明書も同梱されてる…警備用のダイナゲートでしょーおぉ各シーズンのお着替えセット付き。

兄さん大歓喜の掃除ロボ、スイーパードッグに私とスオミに大助かりな農業ロボ・アグリカルチャーね。

あは、麦わら帽子被ってて可愛いなー♪さらに…これは?おゆうぎしますちゃん?なんだこのネーミング。

さてさて…だーちゃんって事は…おいでーってしたらあ、あー!

 

「にゃあああああああああああ!!」

 

わー!我先に我先に飛びついてくるなぁー!!あー困ります困ります!!

頭の上、肩の上、おっぱいの上、太ももの上と次々乗られて…あーあ…

 

「おぶっ!?」

 

さらにお腹にタックルしてきたおゆうぎしますちゃんによって私が押し倒された。

あー良かった農作業後で…オーバーオールだからスカートがめくれてって言うのは無いし。

汚れても良い格好だから気兼ねなく遊べるからねー…あーまておっぱいの上で寛ぐな。

はいはいどうどう…あーこうすると引いてくれるのね。なるほど…

 

「仕事に戻れー」

「あっ…きゅーん…」

 

主任の掛け声に反応したのかだーちゃん達が散らばっていった。

思わずきゅーんなんて言っちゃったけど…これじゃ私がイヌじゃん…

それにしてもこんなにだーちゃんが居たら一気にこの基地の利便性と癒やしが増えるなぁ…えへへへへ~♪

 

「セットアップマニュアルまで同梱されてたから助かったぜ。アーキテクトって言う技術者には頭が上がらねぇな」

「それ鉄血のハイエンドだよ」

「ん…?もう一回言ってくれないか?おじさんの耳がおかしかったのかな?」

「だから鉄血のハイエンドが作ってんだよ?」

「え…?」

「こっちに亡命したんだってさ。詳しくは知らないけどさ」

 

おゆうぎしますちゃんはお仕事が遊ぶことみたいだから私にくっついてくるみたい。

アグリカルチャー、お前の仕事はもうないぞー…朝私がやったんだけどなぁ。

おぉ畑の様子を見てから一目散に兵舎の方に行ったな…そう言えば休息場所はどうするんだろう?

 

「休息場所はとりあえず人形寮に設定してるぞ。可愛い物好きが居るんだろ?」

「え、あぁ…うん。そうだね」

 

わーちゃんとか大喜びだろうなーって思うんだ。

ん?そういえば妖精とかはどうなったんだろうか。お手伝い残ってるかな?

 

「妖精なら初期セットアップが終わって基地内に行ったぞ」

「じゃあお手伝いは…」

「そもそもセクハラがあんだろ?」

「ぶぅ…それ抜きでもお手伝いしたかった気分なんですぅー」

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・朝

 

 

「\高所はまかせろー!!/」

「\ハラスメントはゆるさへんで!/」

「\おかたづけするよっ!!/」

 

おぉ…本当に浮かんでる…ローターも何もなしで浮かんでるよ…

そしてその上のホログラムで可愛らしいSDキャラがわちゃわちゃ動いてる。

補助アームが動いてるからそれで作業とかするのかな?非戦闘時にも色々活躍だね。

 

「うにゃぁっ!?よ、45姉!?」

「ハラスメントってこういうことでしょ~?」

「\同性セーフ!!/」

「なんでやぁ!!」

 

このハラスメント判定ガバガバじゃねーか!思いっきり私のおっぱい揉まれてるんですけど!?

いや止めてよ!同性セーフとかじゃねーから!!あと45姉のテクが良いのかなぁ…

それとも私が開発されてきちゃったのかな…みょうに力が入らなくなってくるの…

 

「所で417?最近ブラきつくなーい?」

「え?いやいや、私人形だよ?」

 

人形って言うのは生体部品は確かに使ってるけどあくまで機械製品だぞ!?

確かに怪しげなカプセルで体積変わったりAI書き換えられたり強化できるけどさ!

成長することなんてありえないと思うんですけどー…パーツ組み換えでなら有り得るけど。

 

「じゃあもうちょっと確認に」

「やめろぉ!!」

「\アウトー!!/」

 

あ、今度は働いてくれた…ガチ目な拒絶を見せたらセーフなのかな…

フォースシールド技術の応用かと思われる力場が発生して手を弾いた。

おぉー…これは良いね。ダミーに張り付かせたら良さげだな。

取り敢えず食事時の食堂には常駐させておきましょ…ダミーの被害が減るかもしれない。

 

「何よこいつ…」

「(´・ω・`)?」

「…フン!こんなの物が引き出物?笑わせるわね」

「(´・ω・`)…」

「こんなペットロボもどきのどこが良いのよ…まぁちょっとだけ撫でてみてもいいかしら…」

「(`・ω・´)」

 

おゆうぎしますちゃんが魅惑のぷにぷにボディでわーちゃんの足元スリスリしてから遊んでアピール。

からのナデナデに尻尾がわりに猫じゃらしブンブン振ってから飛びついた。

あ、わーちゃんのスイッチが入ったな。

 

「可愛いじゃない可愛いじゃない!よしよし~♪」

 

自称殺しのためだけに生まれた女…か。完全に可愛い物好きのお姉ちゃんじゃん。

 

 

――――――――――――D08基地カフェ・夜

 

 

「\ほい、ボトル!/」

「ありがとうございます」

 

妖精は意外なことにカフェに来ていた。ええと…あれは空襲妖精だっけか。

まだ導入されたばかりで覚えきれてないんだよね…ワインボトルを取って下りていた。

いつもは台を登って取っていたのがお任せに出来るからね。こりゃ便利。

電球が切れた時の交換作業もお任せに出来るから良いねー。背が小さい私からしたら大助かりだよ。

っとこのカクテルはジンとトニックウォーターだからーっと…

 

「ごめん、ジンを取ってー!」

「\まかせろ!/」

「助かるよー!ありがとうねー」

 

さてと今日のカフェ業務はカクテル作るバーテンダーですよっと。

なんでか知らないけど私がバーテンダーすることが多い。お客の要望なんだけどね。

今日は基地待機組が飲んでる。まぁM14とMk23と9姉だね。

9姉ソロっていうのは中々レアな気がするけど偶には一人で飲みたいのかな?

 

「417ーコークハイ」

「はいはーい!」

 

シェイカーを使うわけでもないけどね。マドラーでくるくるかき混ぜるのさー

ジントニックが出来上がったからM14に流してっと…コーラとハイボールね。

ん?誰かが入ってきたのかな?ベルがなるけど…誰も居ない?

 

「(´・ω・`)」

「あぁ、お掃除かな?」

「あらあら、お勤めご苦労さまです」

 

スイーパードッグ達が入ってきたみたいだ。まだまだ営業中だけど…

まぁ良いのかな?案外食べかすとかが落ちてたりするし…

私達のお掃除がなくなるから楽っちゃ楽だね。

ぴょっこぴょっこ飛び跳ねて移動する姿は可愛いな~…

 

「はい、コークハイ」

「んー…」

 

9姉は酔うと眠るタイプらしい。カウンターに座ってるけど船こいでる。

そう長くしないうちに寝ちゃうなこれ……私が運ぶかぁ…




あと引き出物の連中は焔薙さん所のヤツ。
ダイナゲートベースの可愛い奴ら。


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Day86 手で癒やしを

人形にも耳穴ってあるじゃん?


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

それはふとした事だった。何気なく執務の途中にお兄ちゃんがやった行動だった。

 

「がぁー…耳垢が溜まってんな…」

「どれどれー…おぉきったなーい」

 

お兄ちゃんが書類仕事してる最中耳に指を突っ込んでゴソゴソしたの。

耳垢が溜まってるとのことですのでちょっと覗いてみたらまぁ汚い。

掻きだした耳垢もけっこうでっかいのが指に乗ってたしコレはお掃除しがいがありそう。

あ、今日は私が副官です。副官任命は結構まちまちだからなぁ…

今日の私のお仕事は書類仕事補佐の他にも凶悪犯鎮圧と補給基地防衛及びカルト宗教鎮圧の行動ログ出力。

まぁ戦闘データの共有が主なお仕事になるわけです。データルームに引きこもることになるかな。

この基地自慢のデータルームには最新式のパソコンが設置されている。

人間操作が主になることを想定しているため人形に接続するためのケーブルは存在しない。

従ってキーボードとマウスっていう前時代的な入力装置を用いなければならない。

 

「データ入力してくるけど…あとで耳掃除しようか?」

「あー頼むわ」

「ん、りょーかい♪」

 

んっふふ♪お兄ちゃんに膝枕と耳掃除だ~♪やったやった♪

さーキリキリデータ入力してから至福の一時を味わうぞー!

あ、でも私のおっぱいが邪魔するかな…まぁ多分大丈夫でしょ…うん。

 

小柄な身体をふっかふかなPCチェアに沈めてからちょっと懐かしいようなPCに面を合わせる。

余分なソフトウェアは一切ないデータ管理ソフトと行動ログの記録に特化したものだ。

PCから伸びたケーブルの先には幾つも並んだハードディスクドライブ。

ドローンコンソールからも伸びてきていて映像データが入力されている。

さてと…じゃあまずは誰のログからデータに落とし込みますか。

一番行動が少なかった私とG28のデータからにしますか。えーっと…

たしかこれが地図データで…3D処理っと…ラペリングして配置につく。

射撃姿勢に移行してから敵の位置はこう…更にその後の犯人達の行動はこうでしょ…

で…この敵とこの敵は無力化。こいつとこいつはヘッドでダウン。

で…ココとコレはスペクトラにミンチにされて…残りは投降だね。

敵のデータを次は入力するか…ドローンの映像から引っ張ってこよう。

それから逆算して予想される動きを入力しよう。こういうのは演算力の高い私の得意分野だ。

同じく演算力が高いのはお姉ちゃん、FAL、わーちゃん、G36C、スオミだ。

俗に言う最高級品になるからね。I.O.Pの顔とも言ってもいいかな。

 

「ただ全体を演算すると流石に熱が出てくるなぁ…」

 

効率よく部分部分で演算しているんだけどそれでも全体を3Dマッピングとなるとリソースは割かれる。

となれば私の中のCPUにかなり負荷がかかってくる。その結果生まれるのは熱だ。

私達人形は言わば人間の形をしたPCだ。OSはAI、頭脳はストレージ。

いや、チョット違うか…まぁそういう風な感じと思っていただけたら良い。

酷使すりゃ熱となって出てくる。その冷却に擬似的に発汗する。

オーバークロックしたら頭痛という形で出てくるしいつかはエラーを吐き出し始める。

これでもかなり効率化してるんだけどねー…部分的にハイレゾ化させてほかはローポリとかね。

多分他の人形はこういう芸当は出来ない。全部適応する。だからそれぞれのスペックがもろに出る。

データ入力に関してはFALかわーちゃんかG36Cがずっとしていたらしい。まぁ他にさせるよりは良いからね。

今は私とお姉ちゃん、スオミが担当するようになって分担化が捗るようになった。

お姉ちゃんの完成度は高いんだけど細部まで拘るから結構仕上がるのが遅いのが難点。

私?適度に手を抜いてるから仕上がりも早いしデータとしては悪くないから良い評価だよ。

 

 

――――――――――――

 

 

「ふぅ…終わったー!」

「お疲れさん、ほいコーヒー」

「あぁスプリングフィールドのだね?わーい♪」

「しかし改めて戦闘データ見るとお前らに敵わないわ」

「そう?特殊部隊ってこういうもんじゃない?」

「精度が全然違うぞ」

 

そういうもんかなぁ?と思いながらコーヒーを啜る。正直人間の限界って言うのを知らないからなぁ。

漠然と人間よりも色々勝ってるってしか知らないしなぁ。頑張れば追いすがる事は出来るんじゃない?って思う。

あ、それより~…えっへっへー♪耳かき棒はこれだね…

 

「お兄ちゃん♪」

「んぁ?」

「耳かきしてあげる♪」

「あーそういやそうだったな…んじゃ頼むよー」

 

ソファーに座るとお兄ちゃんが太ももの上に頭を載せてっと…

あーやっぱりおっぱいが邪魔で頭が見えない…前屈みにならないと駄目だな。

どっちにしろ集中するために前屈みで覗き込むし変わんないか…

 

「おぉおっぱいおっぱい…」

 

お兄ちゃんの後頭部に押し当たるけど無視無視。中を改めて拝見しましょ?

わぁちらっと見たときから酷いと思ったけどかなりの耳垢ですよ。

軽く掻くとそれだけでも耳垢が結構出てくる。これは奥にでっかいのがありそう。

夜視モード使って暗い中を覗いてから掻く…お、ビンゴーでっかいのが出てきた。

カリカリとしているとお兄ちゃんも気持ちいいのかな目を閉じてる。

多分痛いってことはないんだろうなーって思いながらカリカリ…

 

「ぉ…」

「取れた取れた…わぁでっかい…」

「どれどれ…うわ、でけぇ」

 

トントンと耳かき棒をティッシュの上でスナップしたら掻きだした耳垢が落ちる。

ん…あとは耳にくっついてるカスを吹き飛ばせばOKかなー?

 

「ふー」

「ひょえ…」

「あはは、なぁにひょえって」

「うっせ…次こっち頼む…ぞ…」

「はいはい♪」

 

黙ったけどなんだろう…まぁ良いや、それより片方の耳もきれいきれいにしましょうねー♪

おーこれは酷い汚れっぷりだよ…見るからにでっかいのがあるし…何ヶ月掃除してないんだろ?

 

「んぉぉ…」

「お兄ちゃん?」

「そ、そのまま続けてくれ…」

 

気持ち良いんだろうね。よしよし…じゃあそのままやっちゃいましょ。

カリカリっと…うわ、これでっかすぎない…一回で掻き出せないよ?

 

「お兄ちゃん、動いちゃだめだよー?」

「む、むぅ…」

 

 

――――――――――――

 

 

「はーい、おしまいだよー」

「おぅ…もう少しこのまま…いや、なんでもない…そうだ。逆に俺が417の耳を掃除してやろう」

「んー?良いけど…お仕事はどうするの?」

「二人でやりゃすぐだろ…少しくらいズルけても平気平気」

 

そういうもんだろうか?まぁ良いか…お兄ちゃんとベタベタ出来るなら私は一向に構わん!

で、お兄ちゃんのお膝に寝転がるのは何気に初めてだな…おほぉ…

硬い太ももが丁度いい感じだ…所で私の耳って汚れたりするんだろうか?

だって私人形だし人間と違って新陳代謝って事はしないはずなんだけどなぁ…

 

「おー?ほほう、これはこれは…」

「え?まさか汚れてたりする?」

「結構な…そういやお前倉庫で目覚めたんだったっけか」

「ん…そうだけど。あぁ…その時からの汚れかな?」

「それもあんだろうな…どれ掻き出してやろう…」

 

うわーぉ…結構あると見られる…あ、入ってきた入ってきた…あは、ちょっとくすぐったい。

あー…カリカリされるのって気持ちいいね…あ、そこそこ…あはぁ~…

 

「ん~…そこそこぉ♪もっと掻いて掻いて…♪」

 

硬い耳かき棒が耳をカリカリ掻いてくれるの気持ちいい…これは良い…

すごく良い…やってもらうのはこんなに気持ちいいんだねー…はぁぁ…

 

「痛くないかー?」

「なーい…♪」

 

んー…このまま寝ちゃっても良いかもしれない…ふふへへ…

でもこのまま寝ちゃうのはもったいないな…お兄ちゃんの膝枕って貴重だし。

おぉ、ごろっと言った…って事は取れたのかな…ん…どれどれ。

 

「うわぁ…」

 

結構な耳垢が転がっていた…生体パーツってすげー…耳垢まで再現しちゃうの?

いやI.O.Pはバカなのかよ…バカなんだな…よーくわかったよ。

 

「はい、じゃあ反対側な?」

「はーい…oh」

「おぉブルンバスト…」

 

眼前にバベルの塔が…あ、そういう事ですか…やっぱりお兄ちゃんも男なんだね。

ちょっぴり安心したけどそういう事か…お、襲われたりしないよね…?

むしろ襲われても良いんだけど…うわ、ドキドキしてきた…

 

 

――――――――――――D08基地食堂・昼

 

 

「て訳でね。ドキドキしてたんだけどやっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんだったよ」

「性欲はあって欲情しても手を出さないのね…見上げた理性と言うべきかそれともヘタレと罵るべきか」

「まぁそこはほら…ね?」

 

お昼食べに来ていたお姉ちゃんと隣り合ってカウンターで食べていた。

その向こう側には主任とイサカがいちゃついてるけど…まぁ気にしない。

ただお姉ちゃんの目が獲物を見るような鋭い目になったな…

 

「お姉ちゃんも言ってみたらしてもらえるかもしれないよ?めっちゃ良いよ」

「そんなに気持ちよかった?」

「そりゃもう…硬い感触にちょっとびっくりするけどね。カリカリと痒いところを掻いてもらえて…」

「ふぅん…」

 

おや?向こうのイサカがびっくりした顔でこっちを見てるけど…なんだろう?

とにかく気持ちいいから私的にはおすすめしておきたい。ぜひともお姉ちゃんも味わうべき。

 

「ねぇ417ちゃん?指揮官に何されたの!?」

「え?」

「硬いので痒い所を掻いてもらって気持ちよくされたんでしょう!?」

「え?」

「エッチしたんじゃないの!?」

「え"…ち、違いますけど…」

 

唾が飛んでくるぅ…鼻息も荒いし…お姉ちゃんが静かにキレてるんだけど…

違うって言ったらブツブツ言いながら戻っていったし…何だったんだ…

そもそもいきなりエッチってなんだよ…バカなんじゃねーの…

もしかして部分的に聞こえてそれで勘違いしたのか?

流石夜によーくお互いの部屋に入り浸って朝には一緒に出てくるだけありますことー

つまりはそういう事なんだろ?えぇイサカに主任さんよぉ。

 

「あ、そうだ。お姉ちゃんからはマッサージとかしてあげたらどうかな?」

「マッサージ?あぁ417の足つぼみたいな?」

「簡単な肩揉みだけでも全然違うから。スキンシップ代わりにどう?」

「良いわね。夕方にちょっと訪れてみるわ」

 

 

なおその際もおっぱいおっぱいうるさかった。

結局私がお仕事片付けたんだけど…なーにか?




耳かきって良いよね。
小柄な417にしてもらったら絶対おっぱい当たるよね。
つまりヘブン。

あ、これ100話目じゃん…


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番外 学パロ!

100話記念って事


ppp…ppp…けたたましい電子音が耳をつんざく…うるさい…

もぞもぞとお布団から手を出す…うぅ、寒い空気が入り込んでくる…

手探りでぱんぱんぶっ叩いてると枕元に置いている目覚まし時計を手が叩く。

電子音は鳴り止む…頭まで被っていたお布団から顔を出せば朝日が窓から差し込んでいる。

あぁ…朝だ。小鳥の囀りがする。今日も朝が来た…んん…面倒くさい…

けれど起きないといけない…あぁ悲しきかな、お布団から這い出る。

おぉ寒い寒い…パジャマ一枚の我が身に朝の冷たい空気が襲いかかる…ふえぇ…

さてと…顔を洗ってから朝ごはん…ぁ~…朝は何だろ…?

 

「シーナおねーちゃんおっはよー!」

「にーや…おはよ…」

「シール姉ちゃんはもう起きてるよ早く早くー!」

「うっさい…頭痛いんだから…」

「低血圧だねー」

「だまらっしゃい…」

 

私は結構な低血圧を煩っている。で、このクソがつくほどテンションが高いのは我が妹G28。

家族での呼び名はニーヤ、私はHK417、家族内での呼び名、及び親しい人からの呼び方はシーナ。

この家の長女である私の姉はHK416、呼び名はシール。私と同じく低血圧。

朝はかなり機嫌が悪い。姉妹なのになぜニーヤだけ低血圧じゃないのか不思議でならん…

洗面所でバシャバシャ水で顔を洗う…目やにとかは落ちるけどThe寝起きな顔はどうにもならん。

あと低血圧でどうにも頭が回らん…ぽやーっとするぅ…

 

「おはよー…」

「おはようシーナ、朝ごはん出来てるわよ」

「んぁー…」

 

キッチンには我らが長女シール姉さんが立っていた。パパとママはもうお仕事に出かけている。

まぁそれはどうでもいいや…ぁー…朝ごはんは白米に卵焼き、ソーセージか。

 

「シーナのその姿を学園の男子に見せたら告白減るんじゃない?」

「ぁー?」

 

まぁ客観的に見て寝起きのボサボサヘアーにパジャマでお腹掻いてる姿なんか見せたら幻滅でしょうね。

それをしたら女子として死滅するから絶対しないけど…

眠そうな私としゃっきり制服に着替えてるお姉ちゃん、それとパジャマだけど元気いっぱいな妹で食卓を囲む。

これが私の毎朝だ…妹のキンキン声はマジどうにかしてくれ…

 

「シーナは二度寝するんじゃないわよ。お姉ちゃんはもう出るから」

「ぁーぃ…」

「ごちそうさまでしたー!」

 

お姉ちゃんは風紀委員長で朝から校門での服装チェックのお仕事がある。

低血圧だっつーのに良くやるよ…私には無理…ニーヤはアーチェリー部の朝練とかだっけか。

バタバタ部屋に戻って着替えてから出ていくんだろうなぁ…

料理部の私とは大違いで一家の朝は早い…朝のんびり出来るのは私だけー

さてと…私もそろそろ着替えておこう。マジで二度寝したらダメだし…

パジャマのままだとお布団ダイブしちゃう…初等部の頃はそれで良く遅刻しかけてママにこっぴどく叱られてた。

 

私達が通う学園は小中高一体型の学園、ドルフロ女学園。

風紀は一応あるけど結構自由が効く学園で有名。変わった部活動でクレー射撃部があることでも有名かな?

国際色豊かで色んな国出身の生徒、先生が在籍する。

私は一応高等部の生徒になる。今年の春ようやく2年に上がるから後輩ができる。

ニーヤは私と同じ学年だ。まぁ生まれた年一緒だからね。

さてと…髪を梳いてから寝かしつけて…お姉ちゃんに貰ったリボンで結ってから~の…ツーサイドアップにして。

パジャマを脱いで…下着は…んー…今日はこのカラーにしよう。

制服のブラウス、スカートを着てってしたらようやく血が回ってくる。

首元を学校のリボンで締めて…上からブレザーを羽織れば制服でーす。

えっと、今日の時間割はっと…うげー数学があるぅ…あのセンセ目がいやらしいから嫌なんだよなぁ。

まぁしょうがない…カバンに必要最低限詰め込んで…っと…

 

「いってきまーす!!」

「ニーヤが行ったか…じゃ、私もボチボチ出ますか…鍵はっと…」

 

 

――――――――――――

 

 

「はい、止まって…よし、行っていいわ」

「いぇーい」

 

風紀委員はお姉ちゃんの他にも居る。今日私をチェックしたのはAR15先輩。通称イチゴ先輩。

生徒会の書紀も兼任してるすごい人。ちなみにぺったんこ。

 

「ぃだ!?」

「また胸の事をけなしたわね?」

「言いがかりだぁ~」

 

胸弄りに関してはニュータイプかよって位鋭い。同じ様に胸弄りに異様なくらい鋭いのはもう一人居る。

チェス部の主将、UMP45…通称しこねぇコイツも胸がぺったんこ。

真正面からんなこと言ったら鼻をへし折られるから注意な?

 

「おはよー」

「おはよー!」

 

私が登校する時間帯は生徒が少ない。朝練の生徒はもう全員登校した後だし…かと言って遅刻ギリギリかと言ったらNO。

早くもないし遅くもない。中途半端な時間なんだよね。通勤途中って思わしきサラリーマンとかとすれ違ったりする。

登校手段は自転車。電車使っても良いんだけど私はねー…あの満員電車は嫌なんだよね。

それにちょっとしたトラウマ持ちで…私が乗ると十中八九痴漢被害に遭うから乗らないことにしてる。

距離はあるけど気軽な自転車通学に切り替えた次第です。

と言うか私達姉妹揃ってそういう経験があるからなぁ…皆揃って電アシ自転車通学でーす。

痴漢って捕まっても捕まっても全然減らないんだもん…変態滅べ。

 

教室に入ってみてもまぁ生徒は疎ら。朝練中なんだろうなぁーと思う。

この静かな環境が私は好きだったりする。学園の中庭ではラクロス部とかが動いてたりする。

テニスコートを見れば見知った顔がちらほら…あ、3年の廊下でM4先輩がM16先輩を叱ってる。

まーたあの人何かやらかしたんでしょ…懲りないなぁ。

 

「おはよー!」

「ん、おはよ…ソップちゃん」

 

この子はM4ファミリーの一人SOPMOD2ちゃん、あだ名はソップ。

私のクラスの元気印の一人。ちょっとアクセサリーとかが奇抜だけどすごくいい子。

無邪気で子犬みたいでクラスの人気者。皆口を揃えて友達っていうね。

 

「シーナちゃん今日は何読んでるの?」

「ん…」

「キノの旅?ラノベ?」

「ラノベー面白いよ」

「漫画が良いや、文字ばっかでつまんない!」

「じゃあホイ、これあげる」

「アポロチョコー!ありがとー!!」

 

これだからソップちゃんは可愛がられるんだよね。この子が嫌われる姿が浮かばん。

 

「ごきげんよう、あら子犬に子猫コンビは今日もお早いのですね」

「おはよー!かーちゃん!!」

「おはよ、かーちゃん」

「かーちゃんと呼ぶのはお止しになって!!」

 

母ちゃんとダブるからだろうなと思うけど名前長いじゃん…

このお嬢様はKar98ちゃん。カラビーナ・アハトウントノインツィヒ…発音がすんげー面倒くさい。

まぁ同郷のドイツ出身です。お嬢様なのは間違いないけどなぁ…

 

「まぁ良いですわ、では私は朝のティータイムに…あちゃい!!」

「あーあまたやってるよ…」

「ねー」

 

見ての通りのポンコツです。猫舌なのにあっつあつの紅茶を飲みだして舌を焼く。

その他にも背伸びしてブラックコーヒー飲んでプルプル震えたりとかね…

このかーちゃんも可愛がられる勢筆頭に分類される。

初等部の時の伝説が今も語り草であるよ…鳩に餌やりをしてたら襲われて中庭で泣きちらしたとか。

しかもその時の悲鳴が…「ぎゃああああああ!!」であったとかなんとか。

 

その後も続々と生徒が入ってくる。学校はこれからでーす。

 

 

――――――――――――

 

 

「朝のSHRを始めるぞー、はい当番!」

「はいっ!きりーつ、礼…ちゃんぽん!」

「ニーヤ、ふざけるんじゃないの」

「てへへ…あだっ!?」

「G28はそのまま立ってろ」

 

おー痛そう、チョークがおでこに炸裂してらぁ。まぁふざけたから残当。

クラスは20名程で構成されている。まぁ全体がまだまだ少ないからかな?

先生は私達HK姉妹のお隣で幼馴染のお兄ちゃん。私はこの人にあわーい恋心を抱いてたり…

担当教科はジャパニーズとイタリアン。まぁお兄ちゃんも割りかし目線がいやらしかったり…

他にも先生は居る、英語の先生はBAR先生。ばーさん呼びしたら怒られる。

科学の先生はペルシカ先生、猫耳が特徴的な人。体育はトンプソン先生。

保険医はカルカノ姉先生、美術はカルカノ妹先生だね。結構女の先生が多い。

まぁ女学園だしねぇ…女の子だらけじゃないだけ良いけどね。気が締まる。

女の子だらけになると気が緩んで女子力死滅するとかなんとか。

まぁ女子校だけど男の話が無いってわけじゃない…お隣に男子校があるから狙われたりはする。

この学園の女子のレベルが高いからだろうけどねー…

惚れた腫れたの話は残念ながらあんまり聞かない…なので専らネタにされやすいのは…

 

「で、シーナちゃんは告ったの?」

「ま、まだ…てかSHR中…!!」

 

まぁ好きな人が割れてる私になるわけです…隣に座ってるソップがよーくからかってくる…

 

「はい、417私語は慎めー?」

「は、はひぃ…」

 

何故か私にはえらく的確にお小言がすっ飛んでくる…クスクス笑われて肩身が狭くなるぅ…

縮こまってるとお兄ちゃんは決まって咳払いして来るんだよなぁ…

 

「来年度の案内だ、親御さんに渡せよーじゃあSHR終わり、一日頑張れよー」

 

来年度かぁ…後輩って言ってもまぁあんまり代わり映えはしないんだよねー。

編入組がどうなるかなんだよなぁ…今の中等部って言ったら顔馴染みだしなぁ。

FN49にG43、FNCとかだし…あとはM60にM1919だねー…

噂だとあのスケバンのスペクトラが編入するとかなんとか聞いたけど…

スケバンで喧嘩っ早いって聞くから関わりたくねぇ…

まぁ喧嘩ならFAL先生がなんとかするかぁ…あの先生怒らせると怖いし。

 

「皆宿題やった?」

「もち!あの先生忘れるといやじゃん」

「勿論ですわ」

「右に同じく」

「そういうのは他をあたって」

 

ソップから順にかーちゃん、G36C、キャリコが応じた。まぁ皆やってきてるか。

私も夜中にベッドの上でごろごろしながら終わらせてるんだよね。

一時間目が数学でこの先生がド変態…おっぱいこそがどうのこうのと宣うの。

女子からの評価は地を這うんだけど教え方は天下一品だから追い出されない。

G36Cの姉、G36によく足蹴にされてる。それで喜んでるから度し難いと思う。

 

「始めるぞー、はい417ちゃん挨拶よろしく。おっぱいをバルンバルンさせながら!」

「死ね」

 

これが私の学園生活、楽しいよ?




細かい所は知らん。ぶっちゃけただのネタ回


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Day87 ダイナゲート達の一日

基地に一匹ダイナゲートはいかが?


――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・早朝

 

 

ダイナゲート達は一匹を除いて皆揃って共有スペースのソファーの上で眠っている。

夜中の基地警備をしていたダイナゲートが帰ってきてから寝ている警備担当を叩き起こす。

そして入れ代わり立ち代わりにダイナゲートたちは出ていく。

そんな警備担当の他に早朝に起き出すのは一種類だ。麦わら帽子が特徴のアグリカルチャー。

農業担当の彼?の朝はかなり早い。スリープから目を覚ませば四肢に力を入れて起きる。

そして犬や猫がするように伸びをしてから各部をチェックしてぴょっこぴょっこと飛び跳ねて出ていく。

 

「ふぁぁぁぁ…あ…ふ…んに…」

 

そんなダイナゲート達の脇で出てきたのは今日の農業担当の417。

化粧もそこそこに出てきたのだろう。眠そうな目を擦りながら出てきた。

そんな417に反応してからかダイナゲート達も起き出してきた。

日によってはスオミで起き出すのだが…まぁ今日は417について行っていった。

いっしょにおゆうぎしますちゃんが遊べ遊べと寄って集っていくのだ。

 

「ぐえぇー!?」

 

あぁなんてことだ417の腰にダイナゲート達がタックルする。

たたら踏んで持ちこたえるのだが一度起動したオフモードのダイナゲート達は遊べ遊べと集る。

こうなったらもう大変。身長が低い417は割と集られると酷いことになる。

足元はあっという間にダイナゲートの群れ。ぴょんぴょん跳ねては身体をよじ登ろうとする。

これが非武装のダイナゲートだから良いけれども武装してるダイナゲートだったら恐ろしい事だろう。

まさに数の暴力。散った散ったとやっても遊んでほしいダイナゲートはしつこく足元にやってくる。

わーちゃんはよ起きてこい。お前のお望みの可愛いダイナゲートが遊んでくれるぞ。

 

「\ハラスメントけんちー!!/」

 

守護妖精が飛んできてから無事解決。417はそのまま農業に出かけていった。

仕事を終えてしてやったりといった様子で妖精も戻っていった…

では残されたダイナゲート達はそのまま眠るかと思うか?いいや違う。

遊んでくれる人形の部屋の前まで行ってからその扉をカリカリ前足でひっかくのだ。

人形の良心に訴えかけてから遊んでもらおうというのだ。

そろそろ早朝出撃組が起き出す頃合いなのでちょうど良いのだ。

 

「んーコーラ…わぁー!?」

 

憐れSAAダイナゲート達の餌食となった。まぁ何だかんだ愉しんでるので良し。

なおコレがコーラを飲みながらの場合は烈火の如く怒り出すのだが…

 

 

――――――――――――D08基地農業スペース・朝

 

 

「あぐちゃーん、今日もありがとうね」

「(`・ω・´)」

 

麦わら帽子がチャーミングなアグリカルチャー、私は面倒だからあぐちゃん呼びしてる。

農業に関してのノウハウはこの子の方が持ってるからなぁ…

どうも土の状況から作物の育成状態、日照時間とかも計算して動いてるみたい。

高度なデータがこのちっちゃいボディに入ってるんだよ?スゴイと思う。

水やりから土寄せまでやってくれるから私があれこれする必要が…

いや、まぁ意地と言いますか…担当者として一応動いてるんですけどね。

私がやった所よりあぐちゃんがやった所がね…綺麗と言いますか…

ともかく、今日の朝の農業は滞りなく終わったので後はどうするかなって所。

 

「(´-ω-`)」

「んー?あぁ、はいはい。よしよし♪」

「(・ω・`*)」

 

あぐちゃんは決まってお仕事が終わると私の足元に擦り寄ってくる。

そしてコロンと転がってお腹を見せてくるの。従って私がやるのはあぐちゃんの気が済むまで撫でくり回すことだ。

取り敢えず撫でていると嬉しそうに足をジタバタさせてるから良いんじゃない?

 

「\のうぎょうおわってるー!?/」

「遅いじゃないか…」

「\ウゾダドンドコドーン!!/」

 

地雷妖精がふよふよ浮かんで来たけどもう終わった後なんだよなぁ…

ホログラムが冷やし土下座してるけど知らねーよ。

ちなみに知識の幅広さは地雷妖精の方があるみたい。栽培を計画しているイチゴなんかはこっちの方が詳しかったり。

あと計画ではりんご栽培とかにも着手しようかと思ってたり。

付近では雪が降り積もるくらいだしねー…人形ボディになってから寒さとは結構無縁になったけど。

人間の時はこの時期お布団から出るのが億劫だったなぁ…よく風邪も引いてたし。

 

「へーっくしゅ!!」

「ダーリン?風邪?」

 

おぉイサカが主任との朝のイチャコラやってた見せつけてくれるのぉ…

いつかは私もお兄ちゃんとああいうイチャコラやってみせるんだもん!!

 

 

――――――――――――D08基地食堂・朝

 

 

「兄さん手が止まってるぜー」

「うるせぇ」

「お掃除は的確にお願いします」

「(´・ω・`)フキフキ」

「今日もG36姉さん…いぃ…」

「はいはいお姉さんキメてないで働こうな?」

 

ガンギマリなシスコンの扱いになんか慣れてしまった。

だってねぇ…こんなのが居る上に自分もシスコンのターゲットにされるとは思わなかったし。

 

「417ー!」

「ぉぶっ!?うひゃぁっ!?」

 

ほらー!もうこうなるんだもん!!メイド服着てお掃除に精を出していたんだけど背後からG28が突っ込んできた。

その余波で私は押し倒されて持ってたモップがバケツ巻き込んで床は水浸しーの私も水引っ被ったし…

お食事時が終わって静かになった食堂だから良かったよ…これが食事時だったらなんてセクハラされてたか…

兄さんもこっち見てんじゃねーよ。見世物ちゃうぞ。しばき倒したろか?

 

「G28…」

「なーに?417?」

「なにか言うことは…?」

「417可愛いね、おっぱいもんでいい?」

「しねっ!!」

「いったーい☆」

 

G28はすーぐ私やお姉ちゃんのおっぱいを揉もうとして来るから質が悪い。とりあえずげんこつな?

あーもう水被ったせいでメイド服がぴっちり張り付いちゃったじゃん…

G36とG36Cは黙々とお掃除してるしスイーパードッグは水たまりを掃除してる。

私もさっさと掃除に復帰しないとなー…はぁ…G28のアホめ…

 

「417は一度お着替えしてきてはどうでしょう?」

「流石に目に毒だぞ」

「言ったなピクトフィリア。お前も3次元に欲情したか?」

「うるせぇさっさと着替えてこい」

 

トドメとばかりにスイーパードッグにタックル食らった。

君達の意思表示って結構過激じゃない?私一日に数回タックル貰ってるんだけど?

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・昼

 

 

「WAもうすぐ出撃よ?」

「もう少しだけ…」

 

殺しのために生まれてきた女、おゆうぎしますちゃんにデレデレの模様。

出撃時間が迫っている中でも魅惑のプニプニボディを撫で回しては頬ずりする女。

脱走した茶トラ猫も混ざってわーちゃん抜け出せなくなりつつある模様。

これには小隊長のFALもほとほと困り果てる。さらに待てば警備を終えたダイナゲートが戻ってきて遊べ遊べと集る。

静かにキレたFALは息を大きく吸って大股で四股を踏み…

 

「うつけがぁ!!!」

「ひぃっ!?」

「さあ征くぞ血肉踊る殺戮のぉ時間だぁ…嫌とは言わせぬぞ分かっているのかWA2000?」

 

ブチギレわかもと降臨、竦み上がったわーちゃんの首根っこひっ捕まえて引きずっていく。

おゆうぎしますちゃんも転げ落ちているし子猫は逃げていった。

FALに対しておゆうぎしますちゃんと子猫の印象は固まった。

怒らせたら絶対ヤバいやつと。数日間の間寄り付かれなくてFALが地味に凹んだのはここに記しておこう。

 

「だから兄さんはデリカシーがだね?」

「うるせぇ、それより掃除な?」

「むきぃー!!」

「うごふ」

 

ガンツ兄妹が掃除道具片手に入ってきた。キレた417が兄のケツにソバットキックかましていた。

兄相手にはかなり子供になる417であった。そんな兄妹のあとに続くのはスイーパードッグ。

お掃除小隊といった所か。人間の手では届きづらい箇所を細かに掃除していく。

半世紀前に流行ったお掃除ロボよりも高性能である。

 

「(´・ω・`)チョイチョイ」

「ん?あぁこれは拾えないね…ん、ありがと♪」

 

自身で拾えないゴミを発見した場合は近くの人形や人間に拾ってもらう。

そのお願い動作がかなり可愛らしくて人形中心に萌え殺されてる者が後を絶たない。

足や裾を摘んだと思ったら走っていって前足で摘んで持ち上げて見上げてくるのだ。

カメラアイに浮かぶ表情も相余って可愛いと言うRF人形が二人ほど居る。

 

「風呂場掃除いくぞー」

「あー待ってよ兄さん!ぎゃあ!水をかけるなー!!」

「油断大敵な?」

「んがぁぁあああああ!!」

 

子供のようなやり取りを繰り返すガンツ兄妹を見てスイーパードッグは頭を振る。

言語機能があればきっとこう言っているだろう…またバカ兄妹してるよ…って。




マジオートメーション化捗ってて笑う。
ダイナゲートマジほしくない?僕は欲しい。


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Day88 笑うな

こういう訓練あるらしいですね


――――――――――――D08基地共有スペース・朝

 

 

「今から訓練するわよ~」

 

朝、食事を終えた私達は45姉によって集められていた。何が始まるんです?

45姉の手には黄色い…なんかが握られている。まーた碌でもない事するんだろうなぁ…

でもまぁ訓練というし一応お兄ちゃんの指令書もあるから逆らうのは無理かな。

まぁ何があっても笑わないくらいの精神性は必要だったりするのかな?

 

「笑ったらそうねー…虫バ」

「おいバカやめろ!!」

「また食わされてリバースしたい?」

「あの恨みまだ忘れてないよー…」

「流石にあれは酷かったよねー…私も流石に怒ったよ?」

「まぁ何をされても文句は無しってことで♪流石に虫はもうしないわよ…」

 

虫バーガーをもう一度とか抜かしたらその前に45姉が抑え込まれてそのまま口に突っ込む。

9姉以外全員ゲロったハメになったんだからな?全員アノ事はさすがにブチ切れたんだからな?

私はガチでキレたしお姉ちゃんだってこれ以上無いくらいキレたし…

FALだってわーちゃんだってあのスプリングフィールドだってブチ切れたんだから。

更に言えば大体の事を笑って流すMk23もぶっちぎれて罵声浴びせてたんだからなぁ…

あの事件は絶対に許しちゃいけない…もう一回やったらゴム弾装填のMk23でバシバシ撃ってやる。

それかイサカのSGに強化ゴムシェル突っ込んで至近距離で腹にぶち込む。

食わされた後45姉だってゲーゲー吐いたくせによぉ!!あー腹たってきた!

 

「ねぇもう一回このぐう畜姉に虫食わせる?調理なら私がやるよ…?」

「良いわね…」

「もう流石にあれはしないわよ…私だって嫌よ」

「本当に…?」

「誓ってしないわよ。そうね…417ならそのでっぱいを捏ねくり回してやるわ」

「うわ…笑わないぞー…」

 

私はいつものように胸を揉み回されるのかよぉ…嫌なんだけどなぁ…

最初とかはまだくすぐったいぐらいだったのになぁ…最近はもう力が抜けちゃってなぁ…

笑ったら最後って思ったほうが良いかなぁ…腰が抜けて立てなくなったらヤバいし…

多分だけど胸がでっかい人形は揉み回されるんだろうなぁ…FALとか餌食になるだろうな。

FAL、わーちゃん、スペクトラ、私、M14、Mk23、Uzi、お姉ちゃんか…犠牲は多いな…

じゃあ無い胸組はどうなるんだろう…どんな罰が待ってるのやら…

まぁ笑わなかったらOKなんだし…我慢できればOKでしょ?

あの黄色いので何かするつもりなんだろうけど…んー?

 

「はい、一直線に並んで~はーいスタート、笑っちゃダメよー?」

 

まぁ訓練だし前を向いて腰の後ろで手を組んで胸を張ってようか。

他の人形も大体は同じなんじゃないかなー?さて、かかってこい。

 

<ぺ、ぺ、ぺ、ぺぷぅ~

 

「……」

 

<ぺぷぅ~…ぺぺぺぺぺ…ぺぷぅ~

 

「ふ、ふふ…」

「はい、アウトー♪」

「い、いやぁぁぁ!!」

 

あ、FALが笑ったな…FALの悲鳴が響くぅ…あの音はなんだろう?

視線はあんまり動かせないしなぁ…んー…気になるが見ないほうが良いだろうなぁ。

ん…揉み終わったのかな…?FALの悲鳴が治まった…

 

「はい、後でまたやるわよ~」

「覚えておきなさいよ…」

 

<ぺぷ…ぺぷぅ~

 

「……ッ!…!」

 

<ぺぺぺぺぺ…ぺぺぺぺぺ…ぺふっ!ぺぷぅ~ぺぷぅ~

 

「…!…ぶふっ…」

「はい、アウト」

「ちょっと念入りにしたでしょ!ふざけ…あぁぁぁあああああ!!!」

 

あーあ、犠牲になったな…結構ドッタンバッタン言ってるからわーちゃんガチな抵抗してるな…

ただ45姉は押さえ込みかなり上手いからなぁ…ちょっとやそっとの抵抗だと全然歯がたたないんだよね。

私もガチな抵抗しても全然歯がたたないんだよね…マジどうなってんの?

躯体パワーとか私のほうが全然あるのにね…ほんと、訳わからん…

おっと、足音が私の後ろまで来たぞ…?あ、なんか黄色いのが…目の前に…

ん、んん…これは間抜けな鶏か?まって、目があったらこれ笑えてくるんだけど…

 

ぺぺぺぺぺ…ぺぺぺぺぺ…ぺぺぺぺぺ…ぺぷぅ~

 

「ふ、ふふ…くっ…」

「はい、アウト♪」

 

だめ、これは反則じゃない?鳴らす過程でお腹を押してるみたいだけどそのせいで顔がこっちに寄ってくるの。

間抜けな音がすごくするしわざわざ伸ばすのが駄目…!もう笑わざるえない…!

それにさ…出す過程が駄目…なんでゆーっくり出してくるの…もうー!!

 

「やだ、やだ…やだぁぁあああああああああ!!!」

 

あーあ、私のおっぱいが45姉に蹂躙されていくぅ…あ、やばい腰が立たない…

 

「ふにゃぁ…」

「また後でやるわよー♪」

 

嘘だろ…それでまた笑ったらこれでしょ…もうやだ、このふざけた訓練…

 

 

――――――――――――昼

 

 

意外なことに笑わなかったのは9姉。いつもはあんなにニコニコしてるのにね。

G11は半分寝てたからしらない。寝たらげんこつ食らってたし。

スコーピオンとかステンは腕立て伏せをさせられてた。

ちなみに私含めて巨乳組は揉み込まれてへたり込むことになった…

お姉ちゃんもガチな抵抗してたけどあえなく45姉の手でへたり込むことに…

 

FALとわーちゃんは出撃に出ていって…代わりに第2部隊が戻ってきた。

さて…どうなるかなぁ…スプリングフィールドとか笑わないんだろうなぁ。

 

<ぺぷぅ~…ぺぷぅ~…ぺぺぺぺぺぺぇ~ぷぅ~

 

「ふふ…」

「はい、アウト」

「あ、あぁ止めてくださ…あぁぁぁぁ…」

 

嘘だろスプリングフィールドも陥落したのか…というか45姉もまぁ怖いもの知らずだなぁ。

見てるとやんわり抵抗してるけどなすがままだなぁ…でもそんなに致命的ではなさそう…

あ、やばい…私にまた来た…!やだやだもう揉まれたくない…!

 

「はーい二週目行くわよー…9は行ってよーし」

「わーい♪」

「じ、慈悲を…」

「はい黙る。行くわよー」

 

ぺぇ…ぷぅ~……ぺぷ…ぺぷ…

 

「……」

 

下唇噛み込んで耐えるぞ…耐えろ私…!じゃないとまたおっぱいを…

 

ぺぺぺぺぺ

 

「むりぃ…」

「はい、アウトー」

「い、いやぁぁぁあああああ!!」

 

結局私は4度くらい揉み込まれることになった…抜群に私が駄目だった…

同率ドベはG36CとM14、Uzi…見事に巨乳組になった…

 

 

――――――――――――夜

 

 

訓練が終わった後のリザルトだけど…ドベが私、G36C、M14、Uzi、FAL、わーちゃん、ステン、スペクトラ

すぐに上がったのは9姉とスプリングフィールドだね。流石というべきか。

で、私達が今やってるのはって言うと…45姉囲んでチキンを片手に…

 

ぺぷ…ぺぷぅ~

 

「……」

 

ぺぺぺぺ…ぺぇ~…ぷぅ~

 

「ぷっ」

「はいアウト」

「あ~はははははは~!!!!!」

 

45姉に同じ事をさせてるわけだ。ちなみにこれ1週目ね?

45姉には揉むだけのおっぱいは無いのでくすぐりの刑に処されます。

張り倒して全身くまなくな、あの虫バーガーの恨みはまだまだあるんだからな?

ちなみに私は足裏担当。靴脱がせてからガッツリやってやんよ。

あ…待てよ…これが良いんじゃねーの?

 

「い"!?あががががががが…」

「効いてる効いてる」

 

やったぜ。タイ式足つぼが効いてるぜ。今までに聞いたこと無い悲鳴が出てるぜ。

ここか…ここが痛いんだな?よーしよしもっと力を入れてやろう。

 

「や"め"ろ"!!」

「やーだーよー♪」

 

日頃の恨み思い知れ。私の仕返し出来る滅多にない機会だもん。

ほら、もっと痛がれよ。私の気はまだ治まっちゃいないぞー

お?くすぐりの手が止まったけど…なんか引いた目で見られてるぞー?

FAL、お前に向けられるのは納得いかんぞ?戦闘中のお前のキチっぷり忘れんぞ?

 

「はい、二週目いくよー?」

「………」

「起きないとあと追加10分な?」

「アンタ覚えておきなさいよ…」

 

後で泥沼の胸揉みVS足つぼ合戦があったのは言うまでもない。

私のほうがはっ倒されたって?ノーコメンt

 

「にゃぁぁああああああああああああああああ!!!!」

「ほれほれ~もっと鳴きなさい♪」




ごめん、今日は少ない。


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Day89 417の散策

こういうのってやったこと無いです?


ちょっと今日は気分転換に出かけようって事で私は街を散歩する計画を立てた。

まぁアレだ。最近基地に篭りっぱなしだったからお散歩して街の様子とか見たいんだ。

私は随分変わっちゃったけど街はあんまり変わってない様子だったし…

ちょっと懐かしい気分に浸ってみたいなって言うのもあったりする。

ほら、幼少の頃の思い出を胸に懐きながら街を散策したら色々あると思うじゃん?

いつものように髪を結ってからお化粧。ゴスロリに着飾ってからパーフェクト!

フリル付きのニーソックスがいい味出してると思うなー♪

姿見の前でくるりターンするとスカートがふわりと浮いてキュート。

…本当に女の子女の子しちゃってるよなぁ。自然と浮かべる笑顔だってそう。

もう男だった頃の仕草なんて忘れちゃってる。身体から消えてるの。

ズボン穿いてもそう。歩くモーションだってさ…はしたなくないんだよ?

ただそうだね…やっぱりまだ視線に無防備だったりするってのはあるかもだけど…

誰も…私だって気付かないんだろうな。昔足繁く通ったお菓子店とかさ。

昔の顔馴染みのお友達とか…数人覚えてるけどそれでも私だなんて絶対気づかない。

まだ男の仕草がある時に兄さんに出会えていたのは良かったかな?

いや、私の所作にはまだ残ってるらしいけど…幼馴染って言う人は居ないしなぁ。

学校で会っていた程度のお友達じゃ…気付かないよね。ちょっと悲しい。

もう男特有の馬鹿騒ぎは出来ないんだよね。私は私、女の子417…

ベースボールにサッカーなんてやってたあの頃はもう遠い昔。

どう頑張っても二度とは戻ってこない。私には無縁になっちゃった事。

 

「417~」

「ノックぐらいはしてよ、G28?」

「おぉ着飾ってる!これは私に脱がせて欲しいって…」

「脱がせてほしいのはお兄ちゃんしか居ないから、寝言は寝てから言おうね?」

 

転がり込んできた我が妹G28は相も変わらずクソレズだ。

襲ってきそうだったから牽制するけど…最悪だーちゃんけしかけてスタンさせようか。

スタンガンの用意は秒で終わるしね。だーちゃんのスタンガンは強力やで?

とりあえずだーちゃんにハンドサインでスタンバイさせたらG28も黙った。

流石に二度は食らいたくはあるまい…夜中に襲われて危うく貞操を失いかけたんだよね…

いくらかマイルドになっても暴走すると私かお姉ちゃんを襲うんだよね。

私もお姉ちゃんもお兄ちゃんスキーだからあげるつもりはない。

 

「じゃ、私は出るから…また夜にね?」

「その時は脱がしても?」

「だめー」

「ちぇー」

 

さぁバギーを転がそうか。工廠では多分今頃ヘリの整備が始まってる筈。

 

 

――――――――――――

 

 

「あーホント、このあたりの雰囲気は全く変わらないなぁ…」

 

かつての実家であったアパート付近の駐車場にバギーを止めて散策開始。

行き交う人々、賑わい…遊ぶ子どもたち…何も変わらない。人間だった頃と変わらない。

えっと、小学校はこっちだったっけか。小学校はずっと徒歩だったんだよねー

まぁパパ、ママ両方居なかったから送り迎えなんてのもなかったし参観日?無縁だったなぁ。

他のクラスメートもそんな子が多かったっけか…第三次大戦は暗い影を落としてくれたよ。

そんな中でもたくましく育っていったのが私達だった。遊びだって何だかんだ見つけ出していったんだよねー

ゲームはそんな私達の中でも貴重な両親持ちの子が紹介したんだっけか?

私は兄さん経由だったけど…遺産からちまちま出しては買ってたらしい。

遺産とか遺してくれてたのは助かったなぁ…お陰で私達は困らなかった。

中にはそんなのも無かったり親戚に集られてなくなったって子も居たっけか。

かつての通学路を歩けば小さな公園に目が行く…古びた遊具がいっぱい並ぶ…

中では小さな子どもが元気いっぱいに遊んでいる…複数人でおいかけっこしたり…

それぞれ持ち寄った玩具で遊んでたり…小さい頃を思い出させる。

それとなく入ってみるとちょっと見ない内にペンキが塗り替えられてたり皆近寄らなかった小屋が壊されてたり…

結構変わってたりするけど全体的な印象は私の小さい頃の思い出のままだ…

 

「うわ、ぴったりだし…私もちっちゃいなぁ…」

 

ブランコに座ってみればこれがぴったり。改めて自分の身体の小ささを思い知る。

ぎぃこ…ぎぃこ…と漕いでみれば童心に帰ったみたいだ…

昔はこんな遊びしか無かったけど毎日が楽しかったんだよね…毎日が新しい発見で満ち溢れていた。

ちょっと向こうで遊んでいる子どもたちもそうなんだろう…今この瞬間が新しいことだらけ。

明日への活力に溢れている…そんな子供に大人たちは元気をもらうんだろうな。

 

「さてと…散策に戻るかな…」

 

ぴょん、とブランコから下りて公園の中をぶらぶらと歩く。

脳裏に浮かんでは消えていくのは幼少期の遊んだ記憶ばかり…

あの木に隠れてかくれんぼしたとか…木登りして秘密基地ーとか。

今なら簡単に木登りなんて出来るんだろうけど…あの頃は怖くてなぁ…

あぁそうそう、登る最中に落っこちてからだっけか…高所恐怖症拗らせたの。

幼少のトラウマって払拭できないんだよねぇ…一度こびり着いたらどうにも…

 

「そーれ!」

「…ふぇ?」

「うわ、黒いパンツ…」

 

ふわぁ…となんか浮かんだような…?後ろ髪が若干浮いたしスカートがえらく動いたような?

後ろを振り向けば活発そうな男の子が居て…ふわり浮いたスカートが重力に従って降りる様が見える。

…このガキ、スカートめくりなんてイタズラをやったな。

 

「…アホくさいイタズラ」

「アホって言うやつがアホなんだぞ!!」

「じゃあエッチ小僧だね」

「お前こそ黒いパンツなんて穿いてエッチなんだー!!」

 

こんな元気は無かったかなぁ。私バカはするけど嫌がることはしないが売りだったし。

まぁこの手合は無視するに限るので無視無視…どうせ今日限りだし。

えっと、小学校は後少しだな。いやー歩幅が狭いと時間がかかる…

 

 

――――――――――――

 

 

「区立小学校…うわ、懐かしい…」

 

私が見たときより塗装は色あせていたが思い出にある形のままの小学校が私を迎えた。

なにかもが変わってない…中で動いている教員は…あぁあの先生まだ居たんだ。

何人か職員室を外から覗けば見た顔がある。バカをやらかして怒られたりしたっけ?

あのデコっぱげ先生前線後退してるじゃん…そのうちあだ名がバーコード先生になるな。

ん?あっちはなんだろう…今日は休みのはずだけど…生徒らしいのが居る。

へぇ、孤児同士の遊び場が学校に設けられてるんだ…コレ良いね。

そう言えば私今勝手に敷地に入ってるけど警備員とか飛んでこないのかなー?

まぁその様子はないな。でもいつ飛んでくるかわかんないし受付だけでも済ませておこう。

 

「こんにちはー」

「はい…あら、見学?」

「あ、こう見えて成人済みです。ちょっと見て回るだけです」

「じゃあこちらに名前を」

 

さてと…うわ、この名前懐かしいな…へぇアイツも今日ここに居るんだ?

クラスメートで腐れ縁とも言える遊び仲間だったヤツの名前が訪問者の記入欄にあった。

まぁもう私の名前じゃないけど…っと…Joshua Ganzっと…

で、来客カードを首から下げてっと…校内をぶらぶら散策しますか。

およ?入れ違いですか…随分背が高い野郎だな…ただ身なりがボロボロだなぁ。

 

「ありがとうございました…」

「就活頑張ってね…―――君」

「…ジョシュア?アイツも来てるのか」

「はい?ジョシュア君?え…?」

 

用務員が口走った言葉に思わず真顔になる。あぁ、コイツが成れの果てか。

かつての私と同じで就活難に遭遇してるのか。目に生気がないし…見るからにヤバい。

数日は風呂に入ってないだろう強烈な臭いがするし髪もボッサボサ…

在りし日の快活だった悪友の面影は…微塵もない。私の記入した名前に想う所があるのか?

用務員も私の事を覚えていたのか何か確認するように私を見てくる。

まぁ記入したのは私だしな。信じられない目で見てるよ。

 

「ジョシュア君って言ったら君とよく黒板消し落としや先生に取っ組み合いをしかけてたやんちゃ君よね?」

「えぇ…就活生になって以来連絡が途絶えましたけどね…そうか…アイツもか…」

「……そちらのお嬢さんのお名前は…?」

「生徒じゃ…無いのか…え?あ…?」

 

ま、驚くか。面影が全然無い少女が旧友の名前を記入していたらね。

 

「ジョシュア・ガンツ22歳、4月13日生まれ…なんて言ったら信じる?」

「お嬢ちゃん…ジョークはキツイぜ?」

「ジョークです、シーナって呼んでね♪ジョシュアさんはお知り合いでーす。代わりに視察に来ただけです」

 

1つ嘘をついた。私自身がジョシュアでありそうでもない。

 

「きちんと本名を入れてください」

「はいはーい、次はしませーん」

 

用務員は納得したように溜息をついて業務に戻っていった。

変わり果てた悪友も質の悪いイタズラと思ったか興味を失ってさっさと出ていった。

あばよ、ダチ公…もう二度と私とは交わることは無いよ…

 

 

――――――――――――

 

 

中を見て校庭とかを見て歩いて…かつて遊んだ遊具でちょっと遊んで…

在りし日の自分と重ねてなんかセンチな気分に浸った。

捨てたなんて言ったけど捨てきれてないんだよなぁ…こういう所さ。

かつて一日の大半を過ごした学び舎を後にして振り返る。

あの日常と同じ様に傾いた夕日に照らされた校舎が見送ってくれる。

あの日と変わらない…先生たちも変わらない…私達ばかりが変わっていってる。

悲しくもあるけど当然といえば当然の事か…ずっと同じなんてものはない。

この校舎だっていつかは取り壊される。変わっていくんだ…

まだ変わらないだけで…あの日の思い出を抱えてくれていただけだ…

この町並みだって何の拍子に変わってしまうか分からないんだ。

それこそテロなんてあれば風景1つぶっ壊されるだろうさ。

 

「あ、このお菓子屋さんまだあったんだ…」

 

帰り道によく寄り道してお菓子を買っては食っていた店を見つける。

懐かしさに顔をほころばせて近寄るが…扉が開かない。閉まってるようだ。

幾ばくかの悲しさを胸に抱えたが…扉に張り紙があるのが見える。

 

「あぁ…店主が死んじゃったのか…」

 

店主が事件に巻き込まれ死亡した為に店を畳んだらしい。

沢山のご愛顧ありがとうございましたってさ…

 

「私の方こそ…ありがとうね、お菓子屋さん…もう姿形違うけどさ」

 

そんな変わっていた店に別れを告げてから私は家路につく。

さぁ帰ろう、今日の散策はもう終わり。今のお家である基地に戻ろう。

お姉ちゃん、お兄ちゃんに妹、大事な仲間が…家族が待ってるお家に。

 

「おんやー?あらまウィルバーちゃん所に入り浸ってた娘じゃない?」

「うぇ?」

「ウィルバーちゃんは最近居ないわよー?ねぇねぇ、貴女あれでしょ、ウィルバーちゃんの彼女?」

「いや、遠縁の妹ですけど…」

「あらまー!?」

 

あぁご近所さん…貴方達も変わらないねー…おしゃべり好きで私もよく飴玉貰ったっけ。

きっとそのエプロンの中には飴玉抱えてるんだろうなぁ…

 

「もう帰るので失礼します」

「気をつけて帰るのよぉ?あ、これアメちゃん!あげるわ!!」

「あ、あはは…ありがとございます」

 

やっぱりだよ、このおばちゃんは変わらないんだろうなぁ…パワフルぅ…

車に乗ったらちょっと驚かれた。まぁ見た目ロリだしな。




大人になった後幼少の軌跡を辿っては黄昏れる。
そして汚い大人になった事と大人が言っていたことを理解して若い頃の自分に苦笑いするのさ。


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Day90 夢の中で

人によってはこうじゃないと思うけどね。


んぁ?ここはどこだろうか?私は何をしていたんだっけ?

立ってる?あぁ私は立ってるんだ。地面に立ってる。

あぁそうだお買い物しなくちゃ…メモメモ…っとあったあった。

今日のお夕飯はリクエストでカレーだったっけか。ふんふんふーん♪

この人参、じゃがいも、玉ねぎに牛肉…そして忘れちゃいけないカレールー。

 

「これよろぴく」

「もうまたー?」

「オイラの好物なんだからしょうがないやん?ほれ買った買った」

「はいはーい…まったくもぉー」

 

あぁ双子の兄がぽいぽいとお菓子を投げ込んできた。お買い物についてきたのは良いけどいつもこうだ。

お買い物してる私のカゴに次々に自分の好きなものを取り敢えず入れてはどっかへ行く。

多分どっかで暇潰しするんだろうなぁ本屋で立ち読みとかしてるんじゃないかな?

後でローキックかましにいこう。あ、この玉ねぎ良いな。買いだ買い~♪

るんるん気分で買い物かご片手にスーパーを回る。

 

「よう、持つぞ…今日の晩は…カレーか」

「そうだよー、ディー君のリクエスト♪」

 

兄さんが買い物かごを持ってくれた。中身を見てからそう判断したか。

にっこり笑顔を浮かべてから首肯して横を歩く。ついでに持って品定めしていた人参を放り込む。

ディー君とは私の夫。今はお仕事で出ていて私達を養うためにお金を稼いでる。

 

「じゃがいもはやっぱりこれかなー…」

「お前いっつもそれだよな」

「まぁ昔の縁だからね~美味しいし」

 

この美味しさは運命の出会い…なんて謳い文句のじゃがいもを手にとって買い物かごへポイ。

私にとっては見たことのある銃なんかより鍬を担いでるのがお似合いな笑顔が生産者の所に写ってた。

そこら辺の農家の野菜より私はこの子の野菜が良い。安心感違うもん。

んでっと…カレールーはこの銘柄ので良いか…あ、そうだったお醤油が切れてたんだった。

調味料の棚はっと…あったあった。これで良いかなー…明日の朝はカレーを詰めればいいし…

お昼まで行けるかな?あとは夜だけど冷蔵庫の中身でなんとかなるでしょう。

鶏肉があったしディー君の好物のカリッカリなソテーを仕上げて出してあげよう。

 

「あ、このお肉セールなんだ…ラッキー♪」

 

ちょっと良いお肉がセールでいつも買ってるお肉と同じ値段になってた。

見た感じ品質は…段違いだね。これは美味しいのが出来るぞ~♪

 

「兄さん、ありがと。あとはあのバカを連れて車に戻ってて」

「あいよ」

 

お買い物カゴを奪ってからお会計に並ぶ。お財布を出してー…ふぅ。

うーん…まぁまだまだ家計に余裕はあるな。でもお給料日前近いから油断できないなぁ。

ポイントカードだしてお会計済ませて…よし、車に戻るぞー。

特徴的な4ドアの車に一直線に向かう。兄さん二人がお買い物袋を取ってくれた。

 

「お待たせー!」

「んじゃ帰るぞー」

 

えらくバカでかい音をたてて車が発進する。兄さんの好みだなぁ。

家はそう遠くない。流れていく景色の中に私と兄さんが通ったあの母校があった。

 

 

 

んー…カレーの調理はお茶の子さいさい。この分だと…お外はまだ明るい。

あの人が帰ってくる頃には美味しいカレーに仕上がってるかな?

私の背丈に合わせて作られたキッチンは低くてお料理しやすい…

こういう所にあの人の愛情を感じて今日もにっこにこでお料理しちゃうの。

煮込んで煮込んで…あとは予熱でじーっくりコトコト…美味しくなーれ♪

リビングでは兄さん達がそろってレースゲームに興じている。

接戦だけど兄さんの策略が一枚上手を行くんだよねー…ほーら計算された緑コウラが炸裂してる。

ぷっ…そのまま赤コウラを貰って2連撃…思わず苦笑いが浮かぶ双子の兄。

 

「おぉん見てろオイラの逆転劇」

「寝言は寝てから言え」

 

この家の夕食の準備中のいつもの流れだ。それを私がいつも微笑んで眺めているの。

偶に私があの中に混じってやってたりするけどディー君が機嫌悪くなっちゃうのよね。

 

外の景色はだんだんと赤み差して…地平の向こうに太陽が沈む。

耳馴染みな重低音が聞こえる。ディー君が帰ってきたんだ!

ぱたぱたと足音を立てて玄関に向かう。するとタイミング良く玄関が開いて…

 

「ただいまー…出迎えありがとな」

「えへへ♪」

 

G&Kの制服を着たディー君がそこには立っていた。

いつも疲れた表情を浮かべているけど私にカバンを預けると嬉しそうに笑うの。

上着も預かって夫婦のお部屋に置いて…上着はハンガーに掛けて。

 

「お風呂にしますか?それともご飯?」

「んぁー…飯、もう出来てるんでしょ」

「もちろん、リクエスト通りですよー♪」

 

炊飯器から炊きたてのお米をよそってはお皿に…そして煮込まれたカレーを注いで…

4人分配膳してからまだゲームしてるバカ二人を足蹴してから…

私はディー君のおとなりにすっぽり入り込むの。ちっちゃい身体はこういう時に便利。

 

「はい、あーん♪」

「あー」

 

そしてあーんで食べさせ合う…これが私達夫婦の食べ方♪

たま~に口移しだけどもっぱらそんなのは二人っきりのときばっかりで…

 

 

――――――――――――D08基地兵舎HK417私室・朝

 

 

「んがっ」

 

うごぉぉぉ…痛い、おでこが痛む…痛いぞぉ…!!ベッドのふかふかな寝心地じゃない。

めっちゃ硬い床だ。心配しただーちゃんがのた打ち回る私の傍で覗き込んでくる。

はて…?あの甘々な空間は何だったんだろうか…そもそも双子の兄?居ないじゃん。

あんなスーパーはもうめったに見ないし何だったんだ…?色々ツッコミどころがある。

それにディー君って…あれお兄ちゃんじゃん。ディーノがたしか名前だったけどさぁ…

それに夫婦…?いやいや飛躍しすぎじゃないかな?憧れはあるけどさぁ。

 

「あれはまさか未来を見るとかいう正夢…?」

 

あの夢が本当になるなら私は万々歳だけどね。あの双子の兄とやらは…絶対ないけど。

だってあの顔と振る舞い方絶対過去の私だもん!!忘れもしない…!

あれはジョシュア・ガンツ…私がもう切り捨てた男としての一面。

あぁくそう、変な夢を見るようになってしまったな…悪夢じゃなくていいけどさ。

 

「でもあの夢…続き気になるなぁ…」

 

私の電脳が演算して弾き出した夢なんだろうけどすごーく続きが気になる。

いや、お兄ちゃんとの夫婦性活とか気にならないわけないよぉ…

あれだよね…夫婦としてアソコまでなってたんだったら…エッチだって…

もしかしたらあの夢の中だったら子供とかも出来てるかもしれないじゃん…

 

「うぁぁぁぁぁ…」

 

休みの朝で良かったー…こんなのが出撃とか基地待機の朝だったらもうどうなってたか。

お部屋のベッドの上に戻ってから枕に顔を埋めて唸る私。

気になる気になる気になるぅぅ!妄想が膨らんでいくぅ…現実的じゃないのも夢の中だったら味わえるじゃん。

そもそも待てよ…I.O.Pの技術なら人工的な子宮とかも作れたりしたり…?

案外そういうのも夢じゃなかったりして…?最悪お兄ちゃんの自家発電の残滓から…?

いや、ドン引きだ。私、何を考えてる…そんな事してまで孕みたいか…

 

「起きよう、顔洗ってお化粧しよ…」

 

バカな夢の話をいつまでも引きずるのは良くない。気分を入れ替えよう。

いつものライフサイクルに乗ってっと…

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・朝

 

 

「おはよ、兄さん」

「おぉ…」

「何読んでるの?」

「カーカタログ、G&Kの給料いいから買おうかと思ってよ」

「ふぅん…?」

 

エプロン装着して朝の準備をキッチンでしていたら兄さんが入ってきた。

お掃除のお仕事もお休みだからボッサボサな頭を寝かしもしないで…だらしないなぁ。

雑誌っぽいのを片手に持ってたから聞くと車のカタログかぁ。

人間の生活圏が狭くなっても亡命してきた色んな技術者が集まって根強く作ってるんだよね。

まぁ労働力は大体が自律人形に取って代わられてるんだけどね。

最近兄さんは整備の勉強をしてたりする。メカマン登用を狙ってるらしい。

理由は単純、お金。あとはまぁここの清掃が楽になりすぎて仕事が無いからってのもあるらしい。

銃の分解整備が出来れば登用を狙えるから必死に勉強してる。

HK416とHK417のフィールドストリップなら教えれるんだけどねー…

 

「これとか良いと思うんだよな」

「どれどれ…」

「4ドアのセダンなんだけどよ機動性が抜群で」

「……欲しいなら買っちゃえよ」

 

私は特に何も言わないよ?夢の中で見た車に似てたようにも思うけど。

兄さんが求めるのは速さだろう?ならもっと上のをと思うんだけど…

どっかで利便性も求めてるんだろうなぁ…いやいや、あの夢はもう忘れよう。

 

「そうそう、買ったらよぉ…ピクニックに出ようぜ」

「良いね♪…あれ、どういう風の吹き回し?」

「良いじゃねぇかよ」

 

この出不精の兄がピクニックに出ようなんて誘う…?首を傾げざる得ない…

そもそも私だけ…?それとも他に誰かを誘ってのなのか…

まぁ良いかな…バスケットとかあったかな…ピクニックだしお昼はサンドイッチを沢山用意しよう。

誰が一緒に来てもいいし…それなら着ていく服だってねー…

 

「取り敢えず朝飯よろしくな」

「はいはい、今作ってますよー」

 

今日の朝はパンケーキにしよう。ふわふわなパンケーキは美味しいよ?

 

「そのうち…指揮官と結婚とかしたら毎朝指揮官に作るんだろうなぁ…義兄さんってのもつれぇなぁ」

 

兄のつぶやきはフライパンの上で焼ける音にかき消され誰に聞かれるでもなく掻き消えていった。




夢の中って勝手に動いていくし勝手に自分が理解していく。
その結果色々と変な事を見ていく…ツッコミどころ満載のままね。


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Day91 I.O.Pコミュ活動・学び舎訪問

治安維持とかもしてるならこういう活動してても良いよね?


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

午後出撃なのに私は朝から呼び出された。何事だろうか…?

まぁ朝から動くからお化粧とかも全部済ませてるけど…戦闘配備じゃないからそのまま来たんだけど。

先に指示を貰ったお姉ちゃん達とはすれ違った。G11が駄々をこねてたけどお姉ちゃんに蹴られてた。

あとでラムレーズンアイスを食わせておこうか。機嫌悪くなると何もしなくなるし…

安易ではあるけど物で釣るのが一番なんだよね。G11の好物だし一発。

さて…私の用事はなんだろうか…出撃でなさそうだけど…ふーむ…

 

「417だよ、ご用事はなーに?」

「入れ…あーいや何、ちょっとした活動に出てもらうだけだ」

「活動?後方支援みたいな感じ?」

「そこまで大それたもんじゃねぇんだけど…まぁそんな所か」

 

入室すると私に向かって活動を命じてきた。なんのこっちゃ?と首を傾げてみると一枚ペラ紙を見せてきた。

これに詳細じゃないけど書いてるのかなー?どれどれ…はい?

I.O.P主催、人形触れ合いキャンペーン…?ちょっとよく分かんない…

学校に戦術人形を派遣してから触れ合わせてこいって…?いや、戦術人形を何だと思ってんだ?

既に人形のコマーシャルなんてのは腐るほどしてんだろうが。今更私達がそんな事する必要性よ。

待てよ、私を呼び出してコレを見せてるってことは…おい、まさかと思うけど…

 

「まぁそういう事だ」

「えぇー…まさかと思うけど制服で行けって事は…」

「制服です」

「最初に行く場所は?」

「幼稚園」

「お兄ちゃんって教育に悪いことを平然としようとしてない?」

 

こんな格好の女の子がいきなり行ってみろ。まだ早い性の開花が起こるかもしれんぞ?

私は絶対に責任を取らないよ?人形のせいでーとかあーだこーだ言われても知らんよ?

いや、これで小学校に行っても中学校に行ってもアホなんじゃねーのって思うけどさ。

まだスプリングフィールドとか適任居たでしょ?なんでよりによって私なんだよ。

このちんまいボディにででーんとしたおっぱいがくっついた私が抜擢されてんだよ。

 

「いや、先方の指名だ」

「よし、園長ぶん殴ってくる」

 

園長、校長連中覚悟しておけよ、私の鉄拳は痛いじゃすまさんからな?

 

「ねぇお兄ちゃん…私一人前提?それともなにか持っていっても良いの?」

「携行品は武器以外は許可されてる。テーザー位は許可されるようだが…」

「ふぅん…じゃあ私が携行するのは決まりかな。移動手段は?」

「バギー」

「OK、じゃあマップデータを頂戴、すぐに行ってくるから」

「時間は昼間から夕方までだ。まぁなんだ…愉しんでこい」

「了解♪」

 

子供相手ならあれが大活躍する場面でしょ…使わない手はないし…

あと私のバディとしてあの子を連れて行こうか。ふふん…やってやる。

 

 

――――――――――――

 

 

バギーを走らせること数時間、ようやくと私は今回お邪魔することになった幼稚園についた。

時刻は昼前。中では保育士と預けられている園児が賑やかに動き回っている。

…この中に孤児がどれだけ居るのやら。孤児院的な所もあるんだよね。

近くの区営住宅は…まだ焼けてはないよね。あそこに大体の友達は居たっけか。

 

「あのぉ…?」

「ん、交流会っていうか…触れ合いキャンペーンの」

「あぁえっと確か…HK416さん?」

「417です…よろしくおねがいしますね」

 

思いっきり職員には間違われたがまぁ良いだろう…戦術人形なんて知る機会無いほうが良いわ。

さてと…車はどこに止めたら良いのかなー?一応門の前に置いてるんだけどね。

 

「車は…あぁ、あそこで大丈夫です。他に手荷物は?」

「今から取ってきますよ。まぁ多分大丈夫だと思うんですけど…」

「はぁ?」

「見てからのお楽しみですよ」

 

そう言ってから振り返って指笛を鳴らす。すると合図を受けてヤツらが起きる。

飛び跳ねながらやって来たのは私のだーちゃんと5体のおゆうぎしますちゃん。

だーちゃんは私の肩に飛び乗ってからおゆうぎしますちゃんは足元にずらり。

まぁペットロボみたいな所だからへーきへーき。子供の遊び相手にはちょうど良いでしょ?

 

「問題はないですよね?」

「はい…武装のたぐいはありませんよね?」

「この子にはスタンガンがありますが私に危害が無ければ発射されることは無いですね」

「なるほど…では良いでしょう、こちらへ」

 

肩に飛び乗っただーちゃんの頭をぽんぽんしてから示す。デモンストレーションは特に無いけどね。

おゆうぎしますちゃんの装備は猫じゃらしだっけか?そんなもんだから文字通りに戯れるだけ。

おまけにボディはタックル食らっても痛くない魅惑のぷにぷにボディだから安心。

パワフルな子供にも負けないと思うし…流石に叩きつけるようなやんちゃ君はいないと思う。

園児に合う前に職員にご紹介なのかな?各部屋に居る園児を脇目に奥へと案内される。

 

「園長、例の人形が着きました」

「おほー!これはこれは…また見目麗しい…」

「え…」

 

このご時世に丸々と肥えていらっしゃる中年がそこには居た。

ただ脳天の栄養は死滅してる模様でハゲ散らかしてる。ちょっとしたサングラスが変なイメージを加速させる。

紛うことなき不審者と思われるヤツが居た。これ本当に園長なの?

 

「HK417って言います。よろしくおねがいしますね」

「よ、よろしくおねがいしますぞ…ふひ…」

「……チッ」

 

あからさまに挙動不審だし手汗びっちゃびちゃじゃん…手袋しててよかった…

帰った後処分しなくちゃ…気色悪い。これには誰でも絶対キレるだろ。

 

 

――――――――――――

 

 

「はーい、皆集まってー今日はお客さんが来てますよー」

 

私は廊下で待機。先に保育士が簡単に説明してからお披露目らしい。

まぁ人形に対して子供が悪いイメージを持たないようにって言うのがI.O.Pの狙いらしい。

ほら、人権団体の過激派が今は結構どこそこ活動してるしねぇ…

あとはロボット権利団体とかも口うるさいんだろうね。まぁそんな思惑に私は駆り出されてるんだ。

ありがた迷惑って思うけど思わぬ任務だし…社会活動に参加できるのは結構貴重な経験だし…偶には良いかな?

 

「では入ってきてもらいます、HK417ちゃんです、拍手ー」

 

ん、私の出番だな…何がどうなっても私は関与しないからな。

戸を開けてから室内に入ると広い室内に所狭しと児童が集まって座っていた。

全員私の方を見てからお互いに顔を合わせてぺちゃくちゃ喋ってるな。

まぁ拍手で迎えてもらえてるからそう悪くは思われてないかな?

 

「I.O.Pの人形、HK417です。今日は皆と触れ合う為に来ましたーよろしくねー♪」

「きれー」

「おっぱいでけー!」

 

反応は様々だけど取り敢えず拒絶となる反応は無いね…おいそこの男子おっぱいばっか見てんじゃねーぞ。

まったく…随分とませたガキが多いことで…まぁ今日は多分一緒にお遊戯って所でしょ。

ぞろぞろと入ってきただーちゃんとおゆうぎしますちゃんにも視線は行ってる。

まぁ上々な反応じゃないかな。流れでよろしくとか言われてるんだけど…

 

「では皆417お姉ちゃんと遊びましょ」

「「「「とつげきー!!」」」」

「うわ…」

 

大人しくしてると思ったら我慢してただけだったか。遊びましょうと言う保育士の言葉を待たずに突撃してきた。

5体のおゆうぎしますちゃんはそれぞれ逃げるように室内を駆け回り始めた。

それを追っかけて園児はあっちへバタバタこっちへバタバタ…

女子児童と一部の男子が私の方に近寄ってきて遊ぶのかな?どう遊ぼうか…

参ったなぁ…ちっちゃい子供の遊びなんて私覚えてないしなぁ…

 

「なにして遊ぼっか?」

「人形なんでしょ?あれやってあれ!」

「あれって…なーに?」

「ろけっとぱんち!」

「ん、んー…お姉ちゃんは出来ないかなー…」

「じゃあスゴイことしてみて!」

 

無茶振りするなぁ…遊ぶって言ってるのに私のパフォーマンスを期待してるじゃん。

というかロケットパンチってなんだよ。人形にどんなイメージ持ってるんだ?

それはどちらかと言えばアニメとかのロボットだぞ?人形ちゃうやん。

まぁ児童のご要望だから…目に見えてスゴイのって言ったら…んー…

このスカートでやるのは憚られるが…しょうがない、やるか…ブレイクダンス。

ウィンドミルとか見せれば納得してくれるかな?

 

「そーれ!」

「うわー…パンツ丸見え」

「おっぱいもたぷたぷ…」

「そんなところばっかり見てないでよー!!」

 

私のパフォーマンスって全部そういうのに吸い込まれて消えちゃうのね…くすん…

 

 

――――――――――――

 

 

結局あの後普通にお歌を歌ったり人形ってなーにって事で色々私が説明することになった。

これI.O.Pの職員呼んできてそいつに説明させたほうが良いんじゃないの?

まぁ良いんだけどさ…お話して遊んでってしてたらあっという間に時間は過ぎていって私は帰る時間になった。

最後に皆とハグして回ってお別れの挨拶を受けて私は幼稚園を後にした。

 

「皆いい笑顔だったな…」

 

この暗雲立ち込める時代には眩しい存在だった。きっと明日も逞しく生きているんだろう。

ただやっぱりと言うか…パパ、ママの事を聞いてくる子が多かったなぁ…

察するに孤児なんだろうな。人形にもパパやママが居たらってやっかみ…じゃないけどまぁそんな感じの感情があったんだろう。

勿論私にはそんなのは存在しない。強いて言えばI.O.Pの生産ラインの機械がママだな。

私だって孤児だったわけだしパパやママなんざ知らないよ。

 

「…親、かぁ」

 

帰り道、バギーを走らせていると歩道には恐らく迎えにあがっている親と思われる女性がちらほらと見える。

ただ片手で数える程しかいない。やっぱりここは戦争や世知辛い今の時代を物語るな。

そんな貴重な親も何時くたばるかも知れないんだよね。

この前みたいな凶悪犯がいきなりぶっ放して暴れれば命なんざ軽々しく消えていく。

 

「精々明日を無事に拝めることを祈っておくんだね…」

 

沈みゆく夕日に照らされて二日前と同じ様にセンチな気分に浸る。

次の日は小学校だっけか?まーたどうせレクリエーション活動に混ぜられるんでしょ?

私に何を求めてるんだか…私は戦術人形なんだぞ?ドンパチ賑やかにして価値を発揮するんだぞ?

それこそ民生人形…そういやI.O.Pの戦術人形は元々民生人形か。

戦線が落ち着いた後の活動の場を今のうちに作っておくって算段か?

だとしたら時期尚早というか…取らぬ狸の皮算用って言うべきか…

 

「ま、明日は明日でどうにかなるか…」

「(´・ω・`)」

 

ぴょんと肩に飛び乗っただーちゃんが頬にすりすりボディを擦り付けてきた。

犬って飼い主の心の動向に敏感だったりするっけ?

ふふ、励ましてるのかな?ありがとうね…だーちゃん。

 

「よし…まぁ頑張ろ」

 

明日は明日の風が吹く。




企業ってこういう活動にも力入れそうじゃない?
イメージアップに子供から売り込んでいくってヤツ。

あと今更の注釈だけどバギーって言っても4輪バイクじゃなくて軍用車両のバギーカーがイメージっすからね?


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エイプリルフールクライシス

スゴイ級に短い。あと頭がおかしい


「指揮官辞めるわ」

「…え?」

 

突然何を言い出すんだ?と私は持っていた書類を落っことした。

一体お兄ちゃんは何を言い出すんだ?指揮官を辞める?辞職?

 

「ついでに言えばお前らとも関係を断ち切る」

「え?は?」

「じゃあな」

「ま、待って!やだ、私達に何か落ち度があったの!?」

「いや、戦闘がもう嫌なんだよ…じゃあな次の指揮官によろしく」

「じゃ、じゃあ私も戦術人形を辞める!お兄ちゃんについて行くから!!」

「そのさ…お兄ちゃんってのも止めてくれね?」

「ッ…」

「あばよ」

 

言葉を失う…私の中で何もかもがガラガラと音を立てて崩れていく…

嫌われていた?あの笑顔とか向けられてた優しい言葉の数々は我慢してひねり出してた?

私達に…落胆してたの?戦闘行為に嫌気を持つのは分からなくもないけど…

あ、あ…やだ…嫌われたくない…捨てられたくない…

 

「ぁ…ぁ…ああああ…」

 

ボロボロと涙が溢れてくる。感情がもう抑えられない…

指揮官が出ていった後の真っ暗になってしまった部屋に蹲って…

両手で払っても払っても涙は止まらない滲んだ視界にはもう何も映らない。

真っ暗だ。私の心の中身と同じ様に真っ暗で…何も…光が差し込まない。

 

「指揮官!?」

 

誰かが入り込んできた…声っぽいのが聞こえるけどもう私には…関係ない。

 

「なんで暗いのよ…417!?ちょっとどうしたの…?」

「……ぅ…ぁ…?」

 

涙で滲んだ視界に映る色彩から察するにFALみたいだけど…

 

「答えなさい、指揮官はどこ?」

「知らないよ…もう私達…嫌われちゃったんだよぉ…!」

「はぁ?イントゥルーダーに攫われたんじゃ?」

「…え?」

「待ちなさい…あのエンジン音は!」

「待ってそれって…?」

「このデータを見なさい…」

「……ん…え?」

 

『お前たちの無能な指揮官を捕らえた。殺されたくないのなら一人一人順を追って立ち向かってきなさい』

なんてメッセージ付きで拘束された指揮官の写真データと座標データ…指揮官の端末から送りつけられてる。

でも耳につくのは低く唸るV4サウンドで指揮官の大好きなバイクの音。

 

「指揮官どういうことよコレー!!」

 

ブチ切れたFALが窓の外に身を乗り出してから怒鳴っているけど…

待てよ?今日は何日だっけか…4月1日…?あ!

 

「くそっ!騙された!!エイプリルフールだ!!」

「あぁ?あんのバカ指揮官!!」

「私達まんまと騙されちゃったんだよ!」

「そんなのは理解ったわよ!!あのバカを追っかけるわよ!!」

「バギーで追っかけれると思う!?」

「こんな事もあろうかとね…」

「ほほぅ?なら追っかけれるな…マップは?」

「勿論トレーサーを貼り付けてるから」

「よっしゃとっ捕まえて血祭りね」

 

「しきかぁ~ん?」

「45姉も何かされたの?」

「牛乳飲むと胸が大きくなるなんて言ったの嘘ね~?」

「えぇ…」

「飲み終わった後にウソ☆なんて書いてやがったからキレたわよー?」

 

「417ァ!?あれ、居る…?」

「お姉ちゃん?どったの…?」

「え?I.O.PのLabに送られて…?え?」

「今日何日だー?」

「……なるほど。騙すなんて酷いわね…ふふ、ふふふふ…」

 

「とりあえずあれだよね?」

「そうね」

「決まりね~」

「「「「指揮官ぶっ殺す♪」」」」

 

私達の意思が完全に固まった。

とりあえず騙したくっそ酷いお兄ちゃんはとっ捕まえて吊るし上げる。

ちなみに又聞きなんだけど全戦術人形は騙されている。

私と同じで辞めるってウソを吹聴された人形が多かった。

他にもタイプライターを打てばトリガーを引いたときと同じ快感があるとか…

ゲームに特定の名前を入れ込むとデバッグモードになるとか…

ピンポイントに引っかかりそうなウソをねじ込んでやがったから皆ムカ着火ファイヤーだぞ?

私も例に漏れずブチ切れたから流石に今回ばっかりはぶん殴る!

 

「取り敢えず私が運転する。逃さん」

「じゃあ私が取り押さえるから~」

「FALと私で拘束ね」

「了解」

「バギーを抑えろ!一番速度が出るヤツ!!」

 

 

一方その頃の指揮官

 

 

「(´・ω・`)」

 

エラーコードを吐き出してエンストした愛馬の傍でたそがれていた。

 

 

「FALゥ!ターゲットまで後何キロォ!?」

「え?何コーヒー代ぃ?」

「10ドルぅ?」

「何世代前のネタだよ!!」

「知るかバカ!そんな事より072よ!!」

「ガンホー!ガンホー!!」

「もう嫌よこの連中…」

 

ハァーイ!現在爆走中のバギーの上からお送りしますはHK417でーす!!

現在エンスト起こしてるだろうバイク目掛けてかっ飛ばしている最中でーす!

ガッタンガッタン揺れるから私のおっぱいも揺れる揺れる。

FALのもお姉ちゃんのも揺れる揺れる。45姉のは揺れない。ペターンである。

 

「あにゃぁ!?」

「止めなさい!45!!流石に不味いわよ!!」

「スゴイ、シツレイ級」

「何言ってるの?」

「待って待って417前を見なさい!」

「ふにゃぁ?あ」

「「「あ」」」

 

眼の前には大木がっコレが何を意味するかって?

 

「爆発オチなんてサイテー!!」

 

「え、待てなんで君達飛んでるの!?」

「「「「アバーッ!!」」」」

 

大破するバギー。宙を舞う私達。地面に刻まれる4つの人影。

数秒後には大量の土煙とくっきり人形に穴が空いた地面があったとさ。




はい、お茶濁しです。サーセン


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Day92 I.O.Pコミュ活動・学び舎訪問その2

小学校へGO


今日も今日とて学び舎にお邪魔することになってます。はい。

勿論のこと制服で。他の服装は絶対に駄目とのお達しです。死ね。

別にもう着慣れたし見られるのも慣れたからどうとも思わないけどさ。

こんな痴女みたいな格好で青少年の教育に悪いとは思わんのかね?

教育者はどんな頭してるんだか…まさかと思うが子供をダシに人形を見たいなんて浅はかな考えじゃねーだろうな?

ハイエンドモデルに分類される私達I.O.Pの人形はそうそうお目にかかることはないだろうさ。

でもだからといって子供をダシに会いたがる程か?無いと信じたい。

とにかく今日は小学校に向うことになってる。幼稚園と違って何かあるんだろうなぁ…と思うけど。

まぁこういうキャンペーンを何回かしてるのかもしれないし慣れてるかもしれん。

向こうの出方を窺うしか無いな。えっとどれどれ…今日向う先はどこだろう?

お兄ちゃんから端末にマップデータが送られるんだけど…お、来た来た。

………うそだろ?

 

「私の母校じゃん…」

 

数日前にふらりと行ったばかりの我が母校のマップデータがそこには記されていた。

私の古びた記憶を掘り起こしてもそんなキャンペーンがあったか?

いや、記憶にない。んな事は一度たりとも記憶に無いぞ…職場体験とかそんなのがあったような気がするけど…

社会に対しての見聞を広げる活動はそんなに無かった…もっぱら最低限の文字の読み書きばっかり。

あとは社会のルールを教えて貰ってから…やる気のある子だけが勉強してたっけか?

あーくそ、ぜんっぜん覚えてない…馬鹿騒ぎばっかり覚えていて学校のこと全然覚えてない!

デコっハゲ先生の髪の毛を毟り取ったりとか女の先生のスカートをめくったとか…

掃除道具入れを蹴っ飛ばしてぶっ壊したとかモップをフルスイングしてガラスを割ったとか…

ゲーム以外の事っていったらそんなのばっかりじゃん…うわー…

 

「行先はわかったから…行くしかないかぁ」

 

あの受付の人に顔を覚えられてるし嘘を言える人形だってバレちゃうんじゃね?

機械である人形が嘘を吐けるっていうのは結構な異常だったりするんじゃ…?

いや、パラドックスを考えられるのが異常なんだっけか?まぁどうでもいい。

そろそろ一人用の身軽な移動手段がほしいな…マジな所バイクとか欲しいね。

今の所基地所有の古びた4輪ばっかりだし…一番身軽なのが荷台付きのバギーカーってのがなぁ…

あの基地のアーキテクトに頼めば作ってくれたりするかな?

連絡手段が限られてるけど…とりつけられたらワンチャンあるかな?

 

「あ、やべ…そろそろ出ないと」

 

うんうん考えてたら時間ばっかりが過ぎていた。やべぇ。

急いで工廠に駆け出す。バギーはそこにあるから飛び乗ってからアクセル全開でかっ飛ばす。

 

 

――――――――――――

 

 

地元民しか使わないような裏道使ってギリギリ滑り込めた。

着いた頃にはお昼のチャイムが鳴ってから校内の子供が一斉に庭に出ていっていた。

 

「こんにちは」

「あら?この前の…今日は何の御用でしょう?」

「I.O.Pの…」

「……なるほど、人形でしたか。本当に技術って進んでますね…人間と遜色ないんですから」

 

私のAIが元人間なんてのは言えないけどな。まぁ他の人形も人間と遜色ねぇよ。

その癖スペックの殆どは人間と比類するまでもなく優れてるってんだから。

人間用の通行証じゃなくて人形用のを渡された。まぁ物品扱いだしなぁ。

人間じゃないからある程度のことはしても許されるみたいな免罪符か?

くっだらねぇ…と思うけどまぁ人間ってのは汚いからね。そんな所でしょ。

なんでも全校生徒集めてグラウンドで人形のスペックのデモンストレーションをしてくれってさ。

その後は体育の授業見たく子供に混じって遊んだりってのが今日の流れらしい。

 

「不慮の事故が起こった場合は?」

「I.O.Pに賠償が発生するな。まぁ人形のお前が気にすることはないな、ガハハハ」

 

あんまり良い感じではないなぁ…案内してくれている先生は体育と道徳の教員だったっけか?

子供に道徳心を教える教員がそんなのでいいのかなぁ?まぁ親がそんなに居ないから文句も出ないか。

時代が時代ならこういうのはバシバシ叩かれてるのかも知れないけどねー

 

「お前たち人形は人間様に媚び諂えば良いんだよ、ガハハ」

 

生活基盤を支えているのは自律人形だ。ライフライン整備、維持。

家屋の修繕などのかつての肉体労働は全て人形が取って代わっている。

危険な高所作業もそうだね。ビル建設なんてのも専ら人形の専売特許になってる。

裏を言えば人間がそんな危ないことをしたがらない。する必要がないならやりたくないってのが多い。

だから人間の仕事なんてのは数少ない人間の長所である思考力に重きを置く仕事だ。

デザインだったりプランニングだ。指揮官なんてのはそうだね。

私達人形には思考の限界ってものが存在するみたいだ。意図的な物があると思うけどね。

私?まぁ私はイレギュラーだからあってないようなもんだよ。

一応自律作戦ってのも出来るけど人間が直接指揮するのに比べて効率は悪い。

どう動けと指示があるだけでも私達の動きは活発になるんだよ。

後は敵を見つけて撃ち殺せばいいだけだもん。I.O.Pのエリート人形は完全自律型もあるらしいけどね。

私と同じでバックアップが利かない…死んだらそこでお終いな人形だ。

人間と同じでね。次なんてものが存在しなくなった人形だ。

そこまで行けば人形と人間の差ってなんだよ?ってなっちゃうんだけどね。

 

「校長、例のが来ました」

「ふぅむ…これはまた上玉だな…」

 

校長室に通されれば…まぁ見覚えのある老人が出迎えた。

やったらと話が長くて私達の間では専ら不評だった先生だけどね。

私を通した先生もだけど改めてって感じで私の身体をジロジロ舐め回すように見てくる。

正直に言ってかなり気色悪い…ロボット権利団体に訴えてやろうか?

 

「えぇおっぱいじゃのぅ…」

「I.O.Pもいい趣味してますよ。どれちょっと味見を…イデデデデ!?」

「黙って聞いてりゃ…ロボット権利団体に訴えるぞ?ちょっと直れや。修正してやるからよ」

 

バカやらかした時によく殴られてたし…ちょうどいいやり返しの機会じゃん。

 

*鈍い殴打音* *デデーン* *おっぱいぷるーんぷるーん!!*

 

「「まえがみえねぇ」」

「ちょっとは反省しろよ。クソスケベ先公…先にグラウンド行ってるからな?」

 

 

――――――――――――

 

 

「はーい、皆~ちゅうもーく!!あ、はい…すいません…えーっとんんっ…I.O.Pの人形のHK417って言いまーす。今日はね皆とスキンシップを取るために特別に来ました!」

 

校庭にはまぁそこそこな人数の子供が集まっていた。肌の色は様々だし男女様々。

集まっても落ち着きはないのかくっちゃべってるし小突きあいが発生してる。

元気があるのは良いことだがちょっとはこっちに注目して欲しいなぁ…と思ったり。

まぁ良いか…大声張り上げて自己紹介したらそこそこ聞いてくれた。

反応は様々だけど知るかバカ!そんな事より遊ばせろって感じだな。

 

「オラ、ちょっと先公おせぇぞ。遊具くらいもって…来てねぇのかよ使えねぇな」

「あふん!」

 

スケバン風に振る舞ってからあの体育のクソゴリラのケツをしばくと子供からは反応が帰ってくる。

まぁ子供にしか見えない私にぺこぺこしてからケツをしばかれてる風景は滑稽よな。

特に私は知ってるんだがこの先公は子供に対しても横柄な態度してるバカだったからな。

この際その腐った根性を叩き直すために徹底的にしばき回してやろうか。

こんな事をする人形なんて私ぐらいだろうしな!!

 

「サッカーボール持って来い、30秒!はい!!」

「はひぃ!!」

「サッカーゴールは…チッ片付けてるか…まぁいっか」

 

グラウンドを見渡せば片隅に追いやられているサビサビなゴールネットがあった。

あれを持ってくるってなると子供は嫌そうな顔をする。大人がやればいいのにさせるんだよねぇ…

まぁ丁度いいデモンストレーションになるかな?私が運んでこよう。

 

「みんなー!あのゴール運ぶのは嫌だよねー!?」

「「「「いやー!」」」」「おもいもん!」

「だよねー!一人であれを抱えるなんて無理だよねー?」

「むりー!」「ふざけんなー!」

「じゃあ人形のお姉ちゃんがパワフルな所を見せちゃうよー!」

 

そう言ってから全速ダッシュでゴールポストまで駆け寄っていく。

この時点で100mを5秒フラットなタイムだからくっそ早い。

これでも人形の中では遅いっていうのが頭おかしいと思うんだ。

で、推定80kgの結構な大きさのゴールポストなんだが…普通は大人二人がかりで運ぶものなんだけど…

 

「はっはっはー!」

「すげー!」

 

ざわざわと沸き立つ子どもたち。まぁ見た目はおんなじ位のおっきさの子供が軽々と担いでたら驚くわな。

で、担いだまま重さを感じさせずまた全力疾走で配置したら…っと。

 

「じゃあー今日のこの後の授業はサッカー!おいクソゴリラおせぇんだよ!このスカタンがぁ!!」

「アッー!!!もうだめ、尻はやめンギィィ!!」

「口でクソを垂れる前にマムをつけろ!!」

 

もうキャンペーンの流れなんて知ったこっちゃねぇよ。私がやりたいようにやる!!

子どもたちだって遊び盛りな年頃の子ばっかりなんだから遊ばせようぜ?

私も混ざってのサッカーになったけど本気だすと当然ながら勝負にならん。

じゃあどうするかって言うと…手を抜くっていうか出力を落としに落としてから年頃相応にするの。

つまりは私の身体の見た目…ちょうど14歳前後の筋力に近くする。

勿論シュミレートの結果だから実際の子供と比べたら強いかも知れないけどね。

 

「やるよー!プレイボール!!」

「それは野球だよ、デカパイ!!」

 

私のあだ名はデカパイになってた…いや、デカパイって…ちょっとショック。

でっかいのは認めるけどあだ名にされるのはちょっと…あとネタにマジレスされてなぁ…

 

「へぶっ!?」

 

勝手にショック受けてたら子供がシュートしたサッカーボールが私の顔面に吸い込まれた。

じーんと来る痛みに悶てその場で蹲ったけど周りはもう気にした様子無くボールを追っかけ始めてた。

女の子も元気いっぱいでもうボール追っかけ回してたから…私のことなんざみちゃいなかった。

これコミュニケーションの必要あったかな?私はもうわかんないよ。

 

 

――――――――――――

 

 

帰るまでに私は何度もデッドボールを食らってその度にグラウンドに蹲ることになった。

腹いせにゴリラと校長のケツをしばきまわった。私は悪くない。

他の先生はなんか納得した様子で見てたから他の人形にも少なからず嫌な感情を持たれるような行動してたんだろ。

実力行使に出た人形は多分私が最初なんだろう…ゴリラには別れ際に全力で蹴っておいた。

腰からイヤーな音がしてたが私は知らん。今までのツケをケツで払わせただけだ。

 

「まぁ…子供と一緒に遊べたのはいい経験か…」

 

年を考えりゃ…もう22にもなる大人が同じ目線で遊ぶってのは中々ない。

それも後先考えずに馬鹿みたいにね…明日は中学か…

ちょうど思春期に入って男はオス猿になるし…女子は大人の階段を登っていく。

…流石にもう馬鹿みたいな事にはならないだろうし…

一緒に奉仕活動とかになるのかなぁ?まぁ行ってみたら何かしらあるんだろう。




こんな世の中だからモンペは居ないけどクソ教師も居そうだよね?


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Day93 I.O.Pコミュ活動・学び舎訪問その3

思春期のボーイにあのボディはいかんでしょ



さぁキャンペーンの三日目でーす。今日は比較的に容易く入れる学び舎のランクアップ版中学校に行くことになります。

あ、ちなみに私の母校じゃないです。母校は別な企業持ちの人形が受け持つらしい。

だから流石に勝手は違うけど…人形に対しての理解も進んでいる。

街の方針として人間と人形の共存があるから滅多に排他思想持ちとは会わない。

まぁ他所から流れてきた人間の中に人類権利団体とかが混ざってたら面倒になるんだけどね。

ソコはどうでもいいわけで。今日もだいたいはアレですよ。人間と代わりありませんよー

ただすこーし人間の代わりに色んな事をしてお手伝いしますよーってアピールだね。

人間世界にまぎれていても分かんないでしょ?フレンドリーやでーってアピールしてればOK。

ただ今回からようやく第2世代のI.O.P人形を導入することになったみたいだから…

去年までの自律人形とは勝手が違うかもね。自律人形もマイナーチェンジを繰り返した…

まぁ言わば1.5世代みたいなところか?第2世代には近いけど…って所。

疑似感情モジュールの搭載がない高度AIを搭載した対話型の自律人形か。

プリセットされた会話から適切なレスポンスを作成してから返す。

今でも主に食料品店や飲食店での注文、運搬等に使用されている人形だな。

そこから引っ張ってきていたのが今回からI.O.P自慢の第2世代自律人形の導入。

人形だって分かる形で触れ合うのは多分初めてになるんじゃないかなー…

 

「過剰なスキンシップは何としても止めてくださいって…いや、だったらなんで私を起用するんだよ…」

 

先方からの依頼メールを見ているんだが…そんな文言があって思わず肩を落とす。

私の過激な格好と性を刺激する女性的な起伏に富んだボディラインから懸念が生まれているんだろうよ。

いや、だったらそもそも私を起用するんじゃねーよってツッコミ入れたいんだが…

I.O.Pの担当は私を激烈に推したらしい。他の学校に送り込まれている人形の内訳なんだが…

まぁ参考資料として送られてるんだけどね?私以外に開示禁止ってなってるんだが…

AK47、Ameli、9A91、ASValときている…どの人形も私のデータにあるんだけど…

まぁあれだ…露出があれだったり起伏に富んでたり…服装がやばかったり。

青少年の育成に悪影響を思いっきり与えかねないラインナップを推してやがる。

特にAmeliってMG人形は私と同じでちっちゃい背丈にででーんとしたおっぱい。

これはあれだろ…デザインしたやつの趣味そうとうアレだろ?

 

「まぁ今日もぼちぼちと行きますか…お化粧はOK…」

「(`・ω・´)」

「おいで、だーちゃん…ん」

 

最後に鏡で制服の状態とお化粧のチェックをしてからだーちゃんを肩に乗っけてっと。

今日も元気に学校訪問です。私が行ったことで起きることに関しては保証しかねん。

どうなろうが私は関与せん。この鉄の心が必要だな…うん。

あーまじ…バイク欲しい。私も風と1緒になりたいよ…ロードバイクじゃ限界があるもん。

小型なアメリカンクルーザータイプなら私でも乗れるよね?

乗れるようなバイク買ったらお兄ちゃんをタンデムシートに乗せて走りたいなぁ。

出来ればそのまま…げふげふ…私むっつりちゃうもん…

 

 

――――――――――――

 

 

「こんにちは、I.O.Pのキャンペーンで来ましたHK417です」

「……データ通りですね。ではこちらへ、案内します」

「はーい、お願いします」

 

機械を近づけられて照合されてたな…私が送り込まれたのは中高1体型の学園

今日は中等部相手が私、高等部の相手はAmeliって流れらしい。

私はエラーロットとは言えハイエンド。Ameliは最近ロールアウトしたばっかり。

都市内でもかなり力があるこの学園に2体配置するのはまぁ順当かな?

私の母校にはAK47が行ってるらしい…さてそれがどうなることやら…

もう1個ある高校には9A91とASValが行ってる。

小学校ってのは小規模なのが各所に点在するけど…こういう教育の場は限られるからね。

当然ながら入ってくる子も限られてる。私は幸いな事に学力は良かったからなぁ。

バカをやらかすけど成績だけは良かったから推薦を受けれて成り上がれた。

そのままトントン拍子で入社まで漕ぎ着けれたら良かったんだけどなぁ…

まぁ世知辛い世の中だからここの子供たちも数年後には絶望することになるんだろうな。

 

「へぇ…結構大きい…」

「あの大戦があった最中も残った施設です。歴史は長く…」

 

あー、何か話が長くなるやつや…自信を持ってるのは良い事だけどね。

大戦で焼け野原になった所は数知れないけど…残っている街や建物ってのもある。

このデカい校舎もその中の1つなんだろう…所々に見えるヒビが年季を物語るな…

うわ、塗装剥げも出てるし…歴史あるといえば聞こえは良いけど…

言っちゃえばアレだよね…ボロいって言うか…くたびれた校舎だなぁって。

大きい校舎だけど…歴史資料で見る半世紀前の校舎はこれの1.5倍はある中学校がほとんど。

少人数の校舎でも有り余る部屋が幾つもあったとかなんとか…

子供の人口もかなり少ないし…まぁ当然といっちゃ当然だなぁ。

各学年40名の1部屋だっけか。でっかいなぁ。

 

「では今日はこちらで学習のお手伝いをお願いします…」

「総勢120名と学習ですか…わぁお」

 

大講堂と銘打たれた部屋に案内された。この中に中等部の学生が全員集められてるんだろう。

比較的に静かだけどやっぱり話し声がするなぁ…ふふ、まぁ子供だからしょうが無いか。

 

「皆さん静粛に、これより人形学習を開始します」

 

厳粛な感じの先生の号令によってそんな空気もピシャリと終わる。

おぉー…これは訓練された学生さんたちですこと…軍人みたいだな。

私は連れてこられたは良いけどまだまだ出番は先らしい…待機を命じられた。

教室から聞こえてくる言葉から察するのはまぁいわゆる自律人形の成り立ち。

どうして生まれてどのように発展していき現在に至るかのあらましだね。

そして半年前に勃発した事件も詳しく解説してたりと…社会勉強だな。

鉄血に関しては昨今の情勢からメタクソに言ってるなぁ…だーちゃんについても触れてるな。

かつては大人気を博したペットロボだが今は我々人間の動きを見るスパイとなってる可能性が高い。

身元がわからないペットロボの所有は絶対に辞めるようにって厳重注意してるな。

良い教育だと思う。それでもしちゃう子は多いんだろうけどね…

I.O.Pに提出したら無料で中身をチェックして安全なペットロボにしますというアピールもしないといけないかな?

…手元の端末にはアピールしろって要望が来てるし…私はセールスマンじゃないんだけどなぁ。

 

「ふぅん…戦術人形についても触れるんだ…」

「昨今の治安維持でも見かけることはありますので」

 

授業の解説はいつしか民生人形にスポットを当てたものから軍事利用もされている事から入っていき…

私達戦術人形に関する項目になっていっていた。ちょっとざわついてるな…

生徒から質問が飛んできてて今回は人形なしの講義なのか?とか言ってるな。

ふーむ…となるとやっぱり調理用だったり清掃用の第1世代型なのかな?

 

「今回も人形は呼んでいます。では登場していただきましょう」

 

ん…私の出番か…じゃ、行ってきますとしましょうか…くわばらくわばら…

扉を開けて努めて無表情で入っていく。無機質な人形をちょっと演じてみようか。

男子生徒が息を呑む音が聞こえる。女子生徒はちょっと軽蔑に似た視線かな?

まぁかなりアレな格好ではあるからな…I.O.Pの服飾部門に文句は叩きつけてね?

 

「初めまして、I.O.Pの戦術人形、HK417です。よろしくおねがいします」

「今回呼んだのはI.O.P社が大戦時から戦線に送り出している戦術人形。その最新式の人形です」

「では、かいつまんだ戦術人形のスペック。会社が発表している資料をお配りします」

 

うわ、私のデータが事細かに書かれてる資料じゃん…私が配るってこれ公開処刑かよ。

ポーカーフェイス維持できてるかなぁ…これ流石に恥ずかしいし…

うわ、先頭列の男子私のおっぱいガン見してるし…鼻の下伸ばしてるなぁ…

歩けば視線が上下に揺れてるし…欲望に正直で大変よろしいと思います。

ん…シャープペンを落とした子が居るな…

 

「はい、落ちましたよ」

 

あくまで無表情に無表情に…そっと置いてから資料を配布してっと…

 

「…さて、皆さん私をどう思いでしょう?」

 

講壇に戻ってから私が1つ問いかける。それぞれ顔を合わせて意見交換してるな。

まぁ聞こえてくる言葉は機械っぽいだのキリングマシーンじゃね?とか。

そんな言葉がぼこじゃか出てくるな…教師もこの反応には想定外だったんだろうけど…黙ってくれている。

 

「うんうん、分かった。みなまで言わなくても聞こえてきたから理解したよー」

 

さぁここでポーカーフェイス終了、素の私を引っ張り出して苦笑い。

教師も良かったと言った感じの目線を向けてきている。

生徒達は私の表情の落差にどよめいてるな。うんうん掴みは上場かな?

 

「私達第2世代人形は何が違うか…それは擬似的ではありますが感情があります!

ちなみにさっきのは私からのささやか~なイタズラです♪驚きました?

その他にも見た目はほぼ人間と変わらない生体部品が多く使われていることが挙げられます。

ですがその実態は無論機械です。貴方達が普段人形だって思ってる第1世代人形と何ら遜色ありません

それどころか各性能は上回ってさえいます。そのかわり壊れやすいって難点はありますがね…」

 

これ以上無くぺらぺら~っとかいつまんでI.O.Pの人形について喋る。

比較対象に挙げられる鉄血製の人形に対してI.O.Pの人形が優れた面を推しつつと…

人間と何ら変わらなく振る舞いながら講義を続けていく

 

「あ、そうそう鉄血製と思われるペットロボを発見したらI.O.Pへ連絡ください。

無償にてその中身を安全なI.O.Pの物に書き換えて差し上げます♪」

 

現物としてだーちゃんを出してからちょっとしたカスタムをされてるのを見せて。

座学の時間はこれでおしまいかな?後はなんだっけ?全校生徒での清掃活動とか?

 

 

――――――――――――

 

 

「普段何してんの?」

「んー…治安維持の為の警備が主だね」

「へぇー…じゃあさやっぱり銃を撃ってるの?」

「鉄血の人形が現れたらやり合ってるね」

「じゃあやっぱり…ゴクリ…」

「残念だけど私は狙撃メインだから被弾する事はないんだ。主に被弾するのはSMGって分類されてる戦術人形だね」

 

周辺施設を散歩して回りながらの清掃活動に駆り出された。

私の装備は今は箒だけなんだけどねー。一緒に動く生徒がしきりに質問してくる。

と言うか私の周辺で掃除する男子が多くて身動きとれんのよ。

視線の針の筵状態で迂闊な動きができないっていうか…うん…

腹をすかせた野獣の群れの中に放り込まれたような感じで落ち着かねぇ…

 

「なぁあのデッパイやべぇよな…」

「戦術人形ってなんであんなエロいんだよ…」

「俺頑張って指揮官目指すわ…」

 

そこー聞こえてるからなー?コソコソ喋ってるつもりが普通にデカいぞ?

全く不純な動機で指揮官目指して…エロが原動力なのはどの男もそうか…

私も昔はエロを知ってからエロゲーを作りたいってゲーム製作の勉強したりしたっけか?

結局挫折したんだけど…そもそもゲーム開発をするだけの余力はもう社会に無いし。

 

「なぁなぁ417ちゃんって彼氏とかは…?」

「居ないよ」

「じゃあさ、俺と付き合ってくれたりとか」

「いや、無理」

 

色目を使ってきてる時点で却下です。肉体お目当てなのが透けて見えるんです。

そういうのは民生人形にお願いするんだな。私は戦術人形だ。

そもそも基地からの連絡手段なんてのは限られてるんだよ。

 

「あ、勘違いしないでもらいたいけど服装はI.O.Pが製作したものだから私の意思ちゃうからね?」

「I.O.P神かよ…」

 

邪神的な神かもね。私は少なくともあのバカ共は爆破させたいと思ってる。

先生さっさと散らせてくれよ…変な接触あっても知らんからなー?

 

 

なお帰る時間までしつこく付き纏われた。

帰り際にも記念に胸を揉ませろとか言われた…いや、揉ませねぇし…




脅威の5千近くぅ!
中学生はちょうどエロを覚える頃合い…そんな所に放り込まれたらこうなるっしょ。
あ、この訪問は次で終わりの予定


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Day94 I.O.Pコミュ活動・学び舎訪問その4

これでこのコミュ活動はおしまいなのじゃよ


今日で一応一連のキャンペーン活動はおしまいかな?

今日訪問するのは専門学校と大学だね。それぞれ1つずつしかない。

専門学校にはI.O.Pもちょっと出資してるから顔が利くみたいだ。

優秀なエンジニアを育成する目的が強いみたいだ。複数の学科があるけど大体が人形関係。

設計学科、これは人形の基礎設計から学んで行く学科だね。骨格から最適な銃の考察まで。

デザイン学科、人形の人相から人格、服装等をトータルデザインする学科。

整備学科、人形本体の整備から周辺機器の整備を担う若者を育成する学科。

指揮学科、人形のコントロールを行う人材開発が目的の学科。

AI学科、文字通りのAIに纏わるイロハを学ぶ学科だ。優秀だとI.O.Pに直接声を掛けられるみたい。

もっぱらI.O.Pに入り込むための学校みたいなところがある。

もう一つだけあるのは編入学用の進学学科だね。もう一つある大学か…別の地区の大学に編入学するための学科だ。

そこに滑り込んだら…正直もうどうにもならないと思うけどね…

かなりカリッカリな学生ばかりみたいでずーっとI.O.Pはこの学校には最新式の人形を派遣してるらしい。

私に白羽の矢を立てられたのは…まぁ珍しい個体だからっていうのもあるんだろうけどね。

かなり最適化が進んでいて詳細不明ながら高度AIを搭載した人形だ。

学生にちょっと触らせてみて思わぬ発見があれば良いかなって所かな?

私を動かしてみたりデータを取ったりするみたいだけど…んー…

まぁ最新式のVR訓練とかもさせてもらえるみたいだから良いかな?

この学校だけはHK417の持ち込みが許可されてる。まぁ戦術人形を動かすのに半身がなけりゃね…

あとは実際に分解整備してみてからってのもあるのかもね。

今日はかなりながーくなるみたいだから…これは大変そうなんだよねぇ…

 

「変な所触られなかったら良いけどなぁ…」

 

まぁ毎日人形のボディとかを見てたら慣れてると思うし…そんな学生は居ないと信じよう。

…お隣I.O.Pの工場じゃん、これはI.O.Pの囲い込みがやべーな。

第2世代人形もばんばん授業に使ってるんだろうな…きっと…

うん、目は肥えてる筈、私に食指が動くことはないと思う!

そもそも学びに来てる連中がそんな欲望に負ける子じゃないでしょ!

私とか大学でわりとゆるーく勉強してたけどさ!専門学校生は違うでしょ!

 

「そういやあの母校の大学どうなってんだろ…AK47と9A91とASValが行ったって聞くけど…」

 

この地区に存在する大学は私の母校でもある。それぞれ学部があるけど…わりとマイナーだったかな?

私が卒業したのは工学部の情報科だったけど…まぁこの就職難で見事に難民化してたしなぁ

さて…詳細は私も知らないがいわゆるヤリサークルがあった気がする…

あの手のチャラ男は結構押しが強いし言葉巧みだから言いくるめられて…とか考えられそう…

見目麗しい人形が行ったらそりゃもう大はしゃぎで連れ込もうとするんじゃないかな?

行った連中が揃いも揃ってヤバイ格好だからなぁ…勘違い起こして祭りになりそう。

反撃許可下りてるなら血祭りになりそうだけど…そうじゃないなら白濁祭りかな?

 

「さてと…行きますか…」

 

 

――――――――――――

 

 

指定位置にバギーを停めてから周辺を見渡す。まぁ見事なまでにオフィス地帯。

というかのI.O.Pオフィスの一部が学校といった感じだよ。周り一帯I.O.Pの関連会社ですよ。

主にここらで請け負ってるのは民生人形の修理交換とかだね。

AIに異常が見つかった民生人形のAIを見たり必要であればリセット等を請け負ってる。

私達戦術人形のパーツの流通もしてる会社もあるからここは大事だなぁ…

前線を支えてるのが私達戦術人形とそれを支える基地だ。

そんな前線を支えているのがいわばこの企業達と言う訳だ。まぁバックボーンだね。

ここが押さえられたり何かあればその影響はかなり大きくなる。

警備についてる人形も前線ほどじゃないけど中々に洗練されている。

 

「そこの貴方、止まりなさい」

「ん…」

「武装をお持ちですね?規定ですのでIDを提示してくださいまし」

「はい、これ」

 

停めてから降りようとした所声を掛けられて銃口を向けられる。

武器はAR、SIG510か。I.O.Pの人形の中でも結構出回っているモデルだな。

ダミーリンクも2体引き連れているから中々手練といった所か。

本体は銃を構えたままこっちを警戒していてダミーにIDを確認させている。

うんうん、良い警戒方法だね。もう一体のダミーも背後をカバーしてるし…

この周辺でドンパチは中々起きそうにないな…主兵装はSIG510だろうけどその他にもサブアームを携行してる。

テーザーガンと手榴弾…フラッシュバンもあるのかな?

 

「確認できましたわ、不躾な歓迎ごめんあそばせ?ようこそHK417」

「いいよ、それくらい警戒したほうが良いだろうし。私としても安心だよ」

「念の為ですがマグは引き抜いてセーフティを掛けて携行してくださいな」

「はーい」

 

チェストマグポーチに引き抜いたSTANAGマグを差し込んでチャージハンドル引いてチャンバーを覗いて…

一発装填されてたから引き抜いてからもう一回ポーチのマグを取って装填、ポーチに収納。

そしてセレクターをセーフティにしてからスリングで背中に回しておく。

承認済みだけどまだ通行証が無いからSIG510がそのまま同行してくれた。

受付まで行ってから通行証を発行してもらいようやく私は一人で校内を歩き回れるようになったと。

ちなみにIDが不正だったり不一致、ないし紛失していた場合は即座に取り押さえられる。

埋め込まれたICチップやコードで認証ができればいいけどそうでない場合はそのままムショ送り。

かなり厳しい管理体制であるよ。問答無用でムショ送りは強い。

 

 

――――――――――――

 

 

まず最初に案内されたのはデザイン学科だった。それぞれの趣味を出してるみたいだ。

パソコン上でスケッチを取っては消して…スケッチしてってのを繰り返してる。

各々の好きな外見で人形をデザインしていってるみたいだけど…わぁぉ…

実用的かどうかはさておいてかなり華美な人形になりそうだなってスケッチが多い。

そこで私の登場です。ハイエンドモデルとして稼働している人形はこうだって実例を見せるんだ。

教室は2つあるのだが…今回Ameliと一緒に配置されているので一室一室相手してりゃOK。

どっちもまぁ冒涜的なまでにちっこいボディにデッパイを搭載してるから変な刺激にならなきゃ良いけどねー…

 

「はーい…今回は…ヒエッ」

 

扉を開けた瞬間に囲まれた、いや、マジ何事?全員目が血走ってるし…

無言で私を視姦したかと思ったらそれぞれの席に戻っていった…

 

「いつもこんななの…?」

「いえ、今回はこの学校周辺でも滅多に見れない人形だからです」

「ふえぇぇ…」

 

この学部の担任が着いてきてるんだけどまたやったか…みたいな反応。

ハイエンドモデルが来るとこんな風に一度取り囲んでカゴメカゴメしながら視姦するらしい。

それで一度造形を頭に叩き込んでから噛み砕きながら授業を受けるらしいの。

反応含まて色々とデザインしていくみたいだからその時の反応とかも見てるのかな?

なんつーかガリ勉が多いのをイメージしてたけど変人の巣窟じゃない?

 

「庇護欲をそそるな…デザインしたものは全て計算の上か」

「あの小さなボディに不要なまでの女性的なボディライン…」

「身の丈程あるライフルを担いでいるギャップも良い…」

「ええっと…HK417です、よろしくおねがいします」

 

人数は10人ちょっとだけどそれぞれがぶつくさ呟きながら私を見てる。

私の自己紹介はそこそこに早速だけど私を題材にした服飾デザインとかが始まった。

まぁ言わばスキン開発の授業だな…もう私は完成した人形だからなぁ。

銃の考察なんざどうでもいいしパーソナルデザインなんざもうとっくの昔に終わっている。

事前にI.O.Pで作成された3Dデータからデザインしていくみたい。

流石に裸体ってわけじゃない、下着の上からだけどね…

このデザインソフトが中々に良い性能をしているみたいでボディの反発係数とかも入って…

服を着込んだ際の食い込みとかも計算するっていう優れもので…

まぁ多分だけど私のバニースーツなんかもこういうソフトで計算されて作られたんだろうなって…

あとはまぁ性格に合うような服装に仕上げてくれたら良いんだけどなぁ…

 

「出来た」

 

いや、早いな…何を作り上げたんだ?出来上がった私の3Dモデルは…

なんと水着を着込んでいた。多分サイズは普通なんだろうけど…私の凶悪おっぱいが原因でマイクロみたいになってる。

ビキニタイプの水着だ。普通のホルターネックビキニに下半身はパレオを着込んでいて…

アクセントに手首にブレスレットがつけられている…可愛い

 

「じゃあ試作してみてください、それが次週までの課題です。完成後は417に試用してもらいます」

「え、聞いてない」

 

ちなみにその後出来上がって来たのはフリッフリな魔法少女みたいなの。

ピッチリスーツにヤーパン風の装飾がつけられたもの、ストリートミュージシャン風のもの。

儀礼装備っぽいの。Theミリタリーって感じの迷彩服装備とか…コレ全部作られるの?

そしてそれを試用しろっていうの…?いや、うっそだろ…

 

 

その後案内されたの指揮学科だ。ドローンコンソールの操作から効率のいい運用計画の練り方を教えていた。

で、今居るのは学校所有のキルハウスで的役の自律人形を相手に私とAmeliでバディ組んでの殲滅戦だ。

 

「よろしく」

「よろしくおねがいします…これも規定の内なんですか?」

 

RFとMGかぁ…リロード隙を上手く潰していかないといけない組み合わせだ。

と言うかCQB戦に不向きな武器を揃えさせるって中々に鬼畜よなI.O.P

まぁ私は訓練してきてるし…自律でも全然やれると思うけど…

 

「両方引き撃ち重点な」

「了解」

「わかりました」

 

引き撃ちって…まぁ待ちの戦法は悪くないだろうけど…ジリ貧になるぞ?

ちなみに自律人形の指揮は先生が執ってるみたいだ。

まぁ精々私とAmeliがペイント弾による極彩色に染め上げられて行くところを見るがいいよ。

今日に限っては口出しできないのがつれぇよ…授業だからって事で口止めされてるんだよなぁ。

開始地点からちょっと移動して2つ存在するロングを抑えろっていう簡単な作戦。

飽和させられたらおしまいなんだけど?まぁ良いけどさ…

 

「規定通り、倒します…!」

「コンタクトー!!」

 

それぞれに担いできた半身が火を噴く。7.62mmの発射音と5.56mmの連射音が響く。

Ameliは100発装填のMGだが…当然リロードの隙ってのは出来る。

リロードに入ればかなりの間隙っ晒になる。それをどうカバーするか…が問題なんだけど…

学生指揮官はそれを考えてるとは思えない。その前に突っ込んでくるって思ってんのか?

 

「リロード入ります」

「417はカバーしろ!!」

「了解」

 

物陰に身を隠してから弾倉交換を行うAmeli、それをカバーするように火線を通しておく。

もちろん私が抑えていた方は無防備になるんだが…サイドアームはテーザーなので一回限りだな。

 

「ぐえっ」

「あいたっ」

「何やってんだ!そこは反応して…あぁくそぅ」

「そこまで、もう一回履修だな」

「そんなぁぁぁぁぁ…」

 

まぁ当然な事で裏取りされて私とAmeliのヘッドに一発貰いましたっと。

Ameliはまだ良いよシューティンググラスに貰ったんだから。

私なんてあれだよ、ほっぺたに貰ったから中々落ちないんですけど?

将来有望な指揮官も居たけど落第生も居て振り回されることになったよ…

途中Ameliの胸のボタンがぶっ飛んでいくってアクシデントがあったから中断になったけどね。

 

で、使用した銃をそのあと整備科に出して実際に使用した戦術人形の銃を整備するって流れ。

撃針まできっちり見てもらった。これは素晴らしいと思うけど…締め付けトルクが甘いぜ?

そんなこんなで私のキャンペーン任務は無事に終りを迎えた。




学校とかは完全な妄想だけどね。
まぁこの世界でも絶対あるだろうし力は入れてるよねって思うのよ。


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Day95 イサカはかく語る

唯一出来上がっているカップル、じゃあその経緯を見せましょ?



――――――――――――D08基地食堂・朝

 

 

のんびりと過ごせる朝がまたやってきた…今までが結構動き詰めってのもあったんだけどね。

いやー昨日なんて帰ってきたときには服はペイント弾貰って汚れてたし…

チェックはしてもらったんだけどちょっと不安だったからメンテナンス班に417預けたり…

帰ってきて早々に風呂に入ることになった。まったく大変な活動でしたよ。

あ、ちなみにキャンペーンで一緒になったAmeliとはメル友になりました。

街の治安維持・鎮圧隊に新たに配属されたばっかりなんだって。

結構淡々としてるけど同じくでっぱいの悩みを共有する仲間になった…

鎮圧隊の日常を届けてもらってる代わりにこっちの日常をお届けしてる。

で、今は久しぶりにゆっくりと食堂で朝をいただいている訳です。

 

「はい、ダーリン♪」

「だから一人で食えるって…」

「あーん♪」

 

お隣の熱々カップルも平常運転ですね。完全に二人の世界を作り上げている。

今日も朝ごはんから食べさせ合いに発展してから主任が恥ずかしがっている。

まぁその視線はイサカのおっぱいに吸い込まれているんだけどね。

やっぱ男だな…そこの誘惑には負けてますか…私が来るまでこの基地トップを突っ走るでっぱいだったからな。

 

「ねぇーイサカー」

「…なぁに?忙しいから手短にお願い」

「主任にゾッコンだけど馴れ初めってどんな感じなの?」

「あー…」

「そうねぇ…」

 

おっと口ごもったぞ。なにか言い辛い事で始まったのか?

主任もそれとなーく視線を合わせてからどうするよ?みたいな空気。

 

「正直に言うと初対面は最悪だったんだよ…」

「そうねぇ、私なんてビンタしちゃったのよ?」

「え、何そのショッキングな始まり…」

 

このラブラブっぷりからは想像できない初対面だったのこの二人?

ご飯食べながら聞いたら多分長くなるな…掻き込んでから続きを聞くとするか。

幸い私の出撃は午後だし時間はあるんや。じっくり聞きましょ?

 

 

――――――――――――D08基地工廠・朝

 

 

飯を食い終わってからイサカと主任について行ってついたのは工廠。

まぁいつもイサカが主任についていってから何かしてるよね。

マッサージだったり変態プレイだったり。詳細は私は見ちゃいないんだけどね。

工廠に拵えられたちっちゃなベンチに3人並んで座る。

ちなみに真ん中は主任。本人たっての希望だから聞き入れたけど…

うん、まぁイサカの表情は怖いね。笑顔なんだけど含みがあるんだよね…

 

「私お兄ちゃん一択だから」

「それは承知よぉ?でも怒ってるのはダーリンにだからっ!」

「ど゛う゛し゛て゛な゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!゛!゛!゛!゛」

 

おーぅ脇腹をつまみ上げてらっしゃる。私というものがあるのにってヤツ?

普段ゆっくりと見れない私のおっぱいにデレデレしてたからかなー?

まぁ私が止める義理は無いしイサカが満足するまでそのまま悶てもらいましょう。

 

「じゃあイサカから話してもらうけど馴れ初めはどんな感じだったの?」

「そうねぇ…あれは私がこの基地に配属された時に遡るわ…当時はまだ発足して間もない頃よ」

「え、待ってじゃあイサカもかなーりこの基地に配属されて長いの?」

「そうよぉ、先行試用としてSG人形を各基地に回されたんだけど…そのうちに私も混ざっていたの」

「結構大掛かりな製造になるんだっけか…FALとステンがほぼこの基地最古参って聞くけど?」

「そうよぉ、あの頃は指揮官のセクハラが酷かったしダーリンだってセクハラ魔だったのよ」

「えぇ…じゃあ私のあの洗礼って…」

「まだ優しくなったほうだけどあれ以上の事を毎日してたのよ」

 

D08基地の悪名というか…その片鱗をここで知ったよ。あの洗礼も酷かったけど…

というか今でこそイケオジみたいな主任もセクハラ魔だったんだ…

ペラペラと話されるD08基地黎明期のお話はまぁかなりヤバイというか…

それで良いのかG&Kって案件ばっかりなんだけど?今でこそ落ち着いてるけど…

過剰なスキンシップから始まり人形の目の前で大声でどこが性的だって談義を始めてからの…

落ち込んでいると思ったら隣に座ればあすなろ抱きされて胸を鷲掴みにされたとか…

まって、それお兄ちゃんにされたら私は一発で落ちちゃうんだけど?なにそれ羨ましい。

 

「そうそうこんな感じに」

「んにゃぁっ!?」

「ダーリン?」

「こぺっ…」

 

ぬるぅ…と主任が動いて私の肩口から腕を回してきてそのまま手がおっぱいを掴みそうになった。

その前にイサカが反応して引き込んでからの45姉直伝の鼻コキャをやってた。

危なかった…それより怖気がするんだけど…あーこれはヤバイ…

 

「で、そんな黎明期の出会いは…さっき417がされかけたあすなろ抱きおっぱい揉みからよ」

「えぇ…それ印象最悪じゃない?」

「もちろん、だからビンタしてから始まったのよぉ」

「よくそこまでイチャイチャカップルになったね…」

「それはそれ、というか初対面でセクハラ受けて指揮官に今ゾッコンな417に言われたくないわよ?」

「うぐ…」

 

応対だってそうだね…私なんて殴るじゃなくて張っ倒したんだしなぁ…

更にその後ストンプまでしたっけ?もう覚えてない…けどだいぶ暴力振るったと思う。

イサカもそんな幕開けなら私だってお兄ちゃんとイチャイチャカップルになれる可能性もあるよね。

 

「どうやらその時からダーリンは私に一目惚れしてたみたいなの、まぁ美しい私だから仕方ないことだけど」

「ふーん…主任、ずばり惚れたポイント」

「やっぱりおっぱい」

「最低だなオイ」

 

主任も立派なおっぱい星人だった。それで私にも色目を使っていると…

あ、イサカが主任の顔を掴んで無理矢理そっちを向かせた。うわ、笑顔が怖い…

 

「で、だけどダーリンも私に嫌われたくないって思ったみたいで必死にその後イメージアップに努めてくれたの」

「それがお付き合いの始まりだったってわけか」

「そう、そんな必死になったダーリンはこの基地でも指折りのセクハラ魔から更生してから働き者になったの」

「ほうほう、あぁもしかしてそれで今の主任って立場に?」

「その通り♪直向きに働くようになったし忙しい合間を縫って私に愛をぶつけてきたものだから最終的には私が陥落して…」

「で、今のイチャイチャカップルになったってわけか」

「ふふ、羨ましい?」

「正直…」

 

黎明期は今みたいに暇を持て余す人形も人間も居なかったらしい。

そんな中でも毎日主任はイサカにまっすぐな愛をぶつけていたらしい。

で、そんな主任に折れてイサカから歩み寄り始めて今に至る…

ほらー私の目の前でいちゃつき始めたよ…イサカが主任の膝の上に乗った。

そしたら主任がすかさず抱きしめてどちらともなく見つめ合って笑顔浮かべてるんですよ?

それで私が隣で見てるっていうのに堂々とキスまでしちゃってさー…

 

「はーあっつ…」

 

もうハートが乱舞してるようなイチャつきに当てられそう。

対面座位になりそうだし私は退散しておこう。マジいつ何時やり始めるかわからん。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「で、417はなんで俺の膝の上に居んの?」

「駄目?」

「いや、良いけどよ…」

 

あの熱々空気から逃げてきてからお兄ちゃんの所にやって来たのは良いけど…

特に副官でもないし…でもちょっとは構ってほしいからお膝の上を占領することにした。

Mk23の残り香がするけどまぁ私の匂いで上書きしちゃえばいいよね…

すりすり…と頭を擦り付けてみればお兄ちゃんはくすぐったそうにしている。

 

「にゃーぉ」

「え?」

「にゃにゃ?」

 

ちょっと恥ずかしいけど猫マネしてみてから見上げてみる。

いきなりの奇行にお兄ちゃんの書類を捌く手が止まる。

 

「ねぇねぇ、お兄ちゃん」

「後にしてくれ」

「黎明期みたいにセクハラしてみても構わんぞー」

「え、マジで?あ…いや、誰から聞いた」

「イサカから」

 

一瞬手が動いたな。ほほぅ、抑えているだけでその本性はまだ健在かな?

イサカの名前を出したら思いっきり顔をぶっ叩いてあー…って唸ってる。

 

「悪いことは言わん、その時の話は聞くな」

「なんでー?」

「流石にあの時のバカなノリを今出したら本部の視察が来たら終わる」

「G&K割とゆるゆるじゃない?」

「それでもだ、あと俺にも意地ってのがあってだな」

「おっぱいもみもみしたい意地?」

「したいですねぇ!じゃなくて…」

 

お兄ちゃん弄り倒してたら副官のステンが戻ってきて追い出された。

ちぇっ…もうちょっと押したら私だけにでもセクハラ魔神に戻ってくれたと思ったのに。




なお夜の営みはすげぇ激しくて隣の部屋に誰かしら居たら壁ドン物らしい。


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Day96 恐怖の体重計

SPASのフレーバーテキストにアレがあったじゃろ?


悲報、ブラが合わなくなってた…ウソだろお前。いや、マジでウソだろお前?

朝何気なしに着替えてお化粧に入ろうかと思っていたんだ。

しかしながら悲しいかなこの数ヶ月私のブルンバストを守っていたブラは…何故か入らなくなっていた。

いや、厳密には入るけどかなり無理を強いることになる。サイズが合ってない…

どういう事だよ…と愕然とする私だが…まぁ制服は無理でもゆとりのあるセーターなら良いか…

セーターにジーンズ合わせてから事なきを得るが…今日はテクニカルスタッフが居たっけか?

居たなら問い詰めてから原因を探らなくちゃいかん…私にとっちゃ死活問題だ。

結構激しい運動が加わることもあるしサイズが合ってない状態ってのは危うい。

ちょっとジャンプしてみたら弾むおっぱいに追従できずにぽろりなんてのも考えられる。

……もしかして増えてる?45姉がセクハラしてる時にあれこれ言ってたのもあながち間違いじゃなかったのか?

というか私太ってたりする?待てよ待てよ…人形って機械のボディじゃないの?

食物をそのまま熱エネルギーに変換する機関があるんじゃないの?

もしかして生体パーツってそういう事?いやいやいや…太ったって…?

 

「ちょっと体重計ってあったっけ…?」

 

お風呂場にあったような気がする…私の測定時の体重は**キロだから…

あれより増えてたら私の身体のどっかしらが増えている事になる。

つまりは食生活を考えないとぶくぶく太っていくって事になるんだけど…

人形としてはかなり由々しき事態になってるわけですよ…!

こうしちゃ居られない化粧もそこそこに部屋を飛び出してからお風呂場に飛び込む。

洋服の重量なんざたかが知れてるからそれは抜きにしてっと…さて何キロ?

 

「嘘やん…」

 

増えてた。ばっちし増えてる。がっつりと増えてないのが救いだけど…

ウエストは制服着てみてチェックしたけど変動なし。ヒップは若干キツさがあるけど特に問題なし。

となるとやっぱりあれか?おっぱいに脂肪がついてしまったのか?

というか人形も太るのかよ…新事実に私は愕然としてるんだけど…

ぴっちり目に制服が作られてるから許容範囲が結構キツイんだよね。

どうするか…ダイエットって有効なのか?それともパーツ交換ってなるのかな?

 

「あら?417どうしたの?」

「お姉ちゃん…私、太った…」

「あら、417もなの?私も管理しててもついていっちゃって…」

 

おや、お姉ちゃんもズボラちゃんだったけどカロリー計算はきっちりしてたはずだけど。

それでも太るものなのか?太ったと言って摘んだのが胸元だから悩みは同じか?

 

「「ここにつくのは困る」」

「お姉ちゃんと同じ体質だったかぁ…」

「というかそういう設計をされていると思うわ」

 

くそぅ!I.O.Pの変態共余計なところまで人間に寄せやがって!!

 

やっぱりダイエットするしか無いのか…ダイエットってきっついんだよねぇ…

 

 

――――――――――――D08基地工廠・朝

 

 

「人形が太るか、ですか?」

「うん、正直に答えて」

「その質問はYesですね。劇的には変わらないはずですが…」

 

工廠に赴けば一人データを入力しているテクニカルスタッフが居た。

ちょうどいいからと質問を投げかけてみたら帰ってきた答えはこうだった。

劇的には変わらないというのが主張だが…私の場合はそれが死活問題になってんだが?

 

「ははぁ?さては太りましたか」

「うっせぇ…上下幅はどれくらいなんです?」

「一般的には-0~4の間に収まるはずですが…」

「それ結構な変動値だけど?」

 

4cmも変わればボディーサイズとしてはかなり変わってくるんだけど?

I.O.Pのガバガバっぷりが露見したんだがまぁそれは良いだろう。

珍しく人間味あふれるレスポンスが帰ってきてこの職員も人間なんだなって安心した。

しかし人形も太るのか…これは想定外のことだ…そんなところまで人間に寄せなくていいから。

 

「再測定が必要ですか?」

「ブラが合わなくなったんだよ!」

「ふむ…では少しお待ちを」

 

巻き尺でかるーく計測してるみたい…ふむー?

おや、流石にこういうのはアナログなんだね…どれどれ、私のトップバストはどうだ?

 

「+3ですね、作り直しを要請しておきます」

「ちなみにほかは…?」

「……素晴らしい±0ですよ」

「なんでおっぱいだけ!?」

 

どえらいこっちゃ、おっぱいだけ太っていた事実。これあれだろ45姉が原因だろ?

おっぱい揉まれるとおっきくなるなんて迷信だと思ってたけどあながち間違いじゃなかったのか?

それとも私とお姉ちゃんの体質なのか…ぐぬぬ…よく分かんないぞ…

 

「しかし417もそうですか…FALの服も作り替えですし面倒ですね」

「え?」

「知らなかったのですか?FALも朝に転がり込んできたんですよ」

「え?ウソだろ」

「これで作り替え申請は…はぁ11ですか…」

 

んぁ?作り替え申請ってことは…待てよ、じゃあだけどよぉ…

各基地によって人形のパーソナルに差異が出てたりするのって…?

この太る太らないとかも…そういう味付けの差だったりしない?

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・昼

 

 

「あら、みんなどうしたの?暗い顔してるわね?」

「あら…45?そうね…ここに居る全員が同じ悩みを抱えたのよ…」

「ふぅん?そんなに深刻なの?」

「太ったのよ…みんな揃って…」

 

同じ悩みを抱えてしまった11の人形が揃いも揃ってテーブル囲って落ち込んでいた。

まぁ若干名はそんなに深刻な顔してないけどね。私とG28とかそう。

FALとスプリングフィールドは結構深刻な顔で俯いてるし…お姉ちゃんはなぁ…

それぞれ自分のおっぱいを見下ろしてからふかーい溜息をついて…

 

「私は逆に太らないのが悩みなのに…」

「あぁん?」

「あー?」

「やんのか?」

 

45姉は太らない体質だって?結構だらしない食生活してるくせに…?

9姉に聞く限りでは私生活はかなりズボラしてるって聞くのに…なんだとぉ?

 

「何事ー?喧嘩?」

「すっこんでろぺたんこが!!」

「あー?」

「喧嘩するの!?家族の友情を深める行動だよね!」

 

どうしてこうなった。スコーピオンが煽りに来たんだろうけど逆に煽られてキレてるし…

一触即発の空気になったんだけどさーてこの場はどうなることやら…

私は特に怒るようなこと無いし今回は傍聴で済まさせてもらう。

毎回ドッタンバッタンしてたら身体が保たないし。偶には観客に回ってもいいじゃん?

血の気が多い第1部隊組が揃って45姉とスコーピオンに殴り掛かりに行った。

おぉっと45姉さすがの体捌きでFALとわーちゃんを捌いてる。

スコーピオンは…あー躯体スペックの差でなんとかって所か…

スペクトラとのタイマンになってるけどほぼ互角に殴り合いが発生してる。

これは修理案件に発展するな…今のうちに工廠に連絡しておこう…

あーFALが投げ飛ばされてるしわーちゃんも取りつかれたからコレは終わったな。

45姉を取り押さえるなら3対1に持ち込まないとね。

まぁ私だったらダミー使って取り囲んでも何故か私がマウントとられて負けるんだよね…

 

「ははーん?さては太ったっていうのは…」

「ちょっと!?やめな…あぁっ…!」

「はー…妬ましい…デカチチが…自惚れないで!」

 

FALのおっぱいに45姉の両手がぐわしと行った。あーこれは揉み込まれますね。

南無三、精々それで無駄にたわわに太らないと良いね…私はそれで多分太ってる。

あ、スペクトラも負けて組み敷かれてる。ぺたんこの意地か。

 

 

――――――――――――

 

 

で、どうなったかと言うと…喧嘩を売った買ったの取っ組み合いはぺたんこ組が勝った。

しかしながら損害はというと…45姉とスコーピオンは大破。

ガチバトルを演じたスペクトラも大破、巻き添えを食らったステンも大破。

ステンもちっこいながらに中々の物をお持ちで太ってたんだよね。

愉快犯で混ざってた9姉ももれなくパンチ貰って中破といった所。

まぁあれだよ…死屍累々といった様子です。これは酷い。

 

「いや、ホント君達なにしてんだよ…」

「ダーリンのお仕事を増やすのは止めてくれないかしら?」

「休みだったのに…なんで?」

「いやまぁそういうのが俺たちの仕事だけどさぁ」

 

工廠組が揃って文句ありありといった顔で兵舎に押し入っていた。

本来ならば休みを謳歌しているはずなのにね。まぁ緊急メンテです。

特に損傷が酷い45姉とスコーピオンから担ぎ出されていってから随時修理って感じだね。

まぁ今日の休日は見事に潰れたんだよ。悪いね、これに私まで巻き込まれてたら大変だったぜ。

 

「さて、復活した後に速攻で45とFALが第2ラウンドするのに私はかけるー☆」

「そういうのは止めようよ…」

 

G28がトトカルチョみたいなの開催しようとしてるし…止めておけよ…

私は一応止めたからな…これでどうなっても私は関与しませーん。

さってと…私はこの後どうするかなぁ…ダイエット代わりにランニングしてみるかな?

いや、スクワットとか筋トレみたいなことをしてみるか。

 

「あ、これ痛い」

 

走ってると普通にブルンブルンしてからすごく痛い。

これはいけない…じゃあ普通にスクワット…と思っても重心が狂うし…

ダイエットこれ捗らないなぁ…でっぱいも大変だよ…とほほ…




まぁあれですよ。人間にくっそ近いパーツで作られてるって解釈です。
太るし汗とかもかくどこまでも人間に近い模倣品ってのが人形じゃない?
解釈違いは認める。異論があるなら君も書いて☆
僕が喜んで見に行くから


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Day97 楽しいカタログ巡り

バイクとか車ってカタログ見てるだけでも楽しいよね



――――――――――――D08基地HK417私室・朝

 

 

今日はお化粧もせずお部屋で朝からゴロゴロしていた。

何をしているかって?情報端末で閲覧してるんだけど自動車やバイクのカタログを見ているんだ。

あとは良さげなBMXとかまぁいわゆる大人のホビーってやつだね。

この手の物は本体もそうだけどその後のカスタムパーツってのが多い。

特に半世紀前のレプリカモデルなんかは人気が高い。アフターマーケットパーツも多い。

私が好んでいるのは1980年代のアンティークカーのレプリカだったり2010年代のバイクだ。

お兄ちゃんの乗っているVと呼ばれてる大型バイクも2000年代のバイク。

完全受注生産の採算度外視のメーカーの意地といったマシンみたい。

お兄ちゃんが生まれる前の時代に一世を風靡したマシンの二代目らしい。

奇跡的に代々受け継がれていったマシンが中古市場に流れていたらしい。

それに食いついてフルレストア、そして今お兄ちゃんがブイブイ言わせている。

その他にもカタログに軒を連ねるのは人気アニメや人気マンガに登場した架空モデルのレプリカ。

まぁイロモノも多くカタログには載っている。私のお給料では中々手が出ない。

手が出せてエントリーモデルのロースペックモデルだね。

あとはこの時代では主流の電動バイク達。それもThe移動手段なスクーターモデル。

スポーツモデルになると値段が跳ね上がるんだよね…

内燃機関モデルはそもそもの値段が高い上に燃料代がかなり高くつく。

原油生産国との貿易手段が限られてしまった現代では燃料はほぼ高い。

まぁその原油生産国も滅んでしまった国が多くて油田の取り合いが発生してたりする。

もっぱら治安維持を統括するPMCが牛耳るんだけどね…

その点G&Kは油田確保してるからヘリもじゃんじゃん飛ばせるしハンヴィやバギーを動かせる。

そのオコボレを吸えれば良いんだけどね。オクタン価の高いガソリンは中々出回らない。

製油の段階でいくらか出るから厳密に言えば無いとは言わんけど…やっぱり高い現状。

まさに道楽、金をじゃんじゃん燃やして走るロマンよ。

女の子になって結構するけどこの手のロマンには今も弱いと思う。

 

「シート高が高いなぁ…」

 

カタログスペックも色々見ているんだが…私が良いなって思うスポーツモデルは揃いも揃って高い。

物理的に背が高いんだよ。ちっちゃい人間、人形に優しくない設計してるから乗れない。

値段高けりゃスペック高くてシートも高い。もっと低く地を這うようにしてもいいじゃん…

まぁそんなのはイロモノ揃いの架空モデルのレプリカになるんだけど…

電動バイクのAKIRA-Bってのがあるんだけどコレなんかかなり最低地上高も低い。

跨ることも出来るんだろうけど…踏ん反り返る様に跨るから股を開く形になるんだ。

風防は大きく足元もそんな風防に隠れるけど…まぁアレだよ。スカートめくれ上がる案件。

ちょっと横合いから見られたらパンツ丸見えになるのでNG。

所謂ニーグリップっていって膝でタンクを挟み込む形になるバイクが好ましい。

それだと可愛い服でも乗ってられるしね。スカートを太ももに挟み込めば平気だもん。

別に2輪に限定しなければトライクっていう手もあるんだけど…

 

「まぁ実際に乗れる遊び用の玩具って言ったらBMXか」

 

私の給料で買おうと思ったらお手軽でバランス感覚を養えるBMXだ。

簡単に言えばスタントや短距離レースに用いられる競技用の自転車。

構造はかなり単純で軽量かつ頑丈。快適性?んなもんあるわけないじゃん。

ロードバイクもそうだけどこの手のホビーバイクに快適性なんざ無い。

サドルはめちゃくちゃ硬いしこれまた腰を高く乗せる傾向があるからシート高はべらぼうに高い。

まぁ降りる時はペダルに片足乗せてフレームを跨るようにして足をつくからOKなんだけどね。

私?勢いよく降りるとフレームに股を強打して悶えることになるけど?

 

「ローンシミュレーション…うーん…」

 

戦術人形の手取りって結構ある。ぶっ壊れた場合の修繕とか差っ引いても結構ある。

遊びに費やさなければかなりの余裕があるからローンで購入するのもありっちゃあり。

人形の耐用年数はかなりある。修理していけば事実上無限。

電脳のバグなんかはあるけどそれも普通に直せるしね。

だから数年で返済しきらなくちゃいけないなんて縛りは無い。

返済計画については結構余裕を持てるわけですよ。潤沢にある資金もあるし…

 

「今度の休みに現物見に行こうかな?」

 

兄さんも車購入を考えてたし私も乗れるバイクの購入を考えようかなってなってる。

それの他にもBMXの購入を考えてるし…あとガッチガチなオフロードもほしいな。

前後サスペンション付きの競技用オフロード。ああいうのも漕いでから悪路を走っていってみたいし。

それにオフロードでもスタントが出来ないわけじゃあない。

欲しいものはアレやコレやと浮かんでくるが…お金は有限なんだ…

可愛い洋服だって欲しいし…私の場合はおっぱいが邪魔してオーダーメイドになるから余計に高くつくし…

あ、でもお洋服に関してはあの学校の生徒が試作品を送りつけてくるんだっけか?

魔法少女風味のとか楽しみだなぁ…めちゃくちゃフリフリで可愛かったし。

でもあれバリエーションがあったよね…レオタード風味なのもあったし…

肌色面積は少ないのにえらくエッチく見えてたな…お兄ちゃんを悩殺できるか…?

 

「もしもし、兄さん?今度の休み暇?暇でしょ、一緒に街まで遊びに行こうよ」

 

端末の通話機能を呼び出して兄さんの端末に通話を飛ばす。

どうせ暇な時はずーっとゲームしかしないから遠慮なく連れ出せる。

私一人だと冷やかしにすぎないと見られるけど真剣に考えてる兄さんも同伴なら店員も取り合うだろうさ。

 

「店舗も複数展開よりも総合ショップに纏まったから楽だよねー」

 

各メーカーも余力はない。代理店を展開するだけの金は持ち合わせていない。

そこで一気に大きくなったのはそういったカーブランドやバイクブランドを取り扱う総合ショップ。

そこに行けばどの企業の車も買えるしバイクも買える。試乗から整備まで何でもござれ。

客も助かり企業も助かる。ただしメカマンはもれなく死ぬ。セールスマンも死ねる。

ショップ側頑張れ…私は応援してるぞ…さて、お化粧してちょっと出るか。

 

 

――――――――――――D08基地HK416私室

 

 

「という訳でお姉ちゃんもどうでしょうか!あとG28もどう!?」

 

お姉ちゃんも誘ってバイク仲間か車仲間かに誘い込もうとしたわけです。

G28もお姉ちゃんを押し倒してクソレズしようとしてたから声を掛けつつ横合いから逆に押し倒してやった。

最近判明したけどG28は押せ押せのイケイケのクソレズだけど押されると弱い。

だからちょっと攻めの姿勢を見せると案外すぐにフリーズしてくれる。

 

「助かったわ…417はG28の扱いについてもう完璧ね」

「まぁね、私が姉だし」

 

押し倒してやったG28は顔を真赤にして黙りこくっちゃったし。

私が意図的に流し目で見てやるとビクッと震えるんだもん可愛い。

 

「ねぇG28…お姉ちゃんと一緒に今度の週末…お出かけしない?」

「は、はひぃ♪」

 

よし、G28は確定させれた。あとはお姉ちゃんはどうだろう?

また新しいボトルシップの設計してたみたいだけど…来てくれるかな?

押し倒したときからずっとこっちに視線を合わせてくれないけどどうしたのかなー?

 

「そろそろ417はG28から退きなさい、胸が大事故起こすわよ」

「んー?んにゃ!?」

 

サイズが合わなくなったブラの防御力は低下していた。

その状態で押し倒すなんて激しいアクションしてからのおっぱいの押しくら饅頭。

押しつぶされて逃げようとするおっぱいが溢れて…まぁぶるんと出ちゃった訳で。

お兄ちゃんとかが見てる環境じゃなくてよかったよ…いそいそ直すけど…

合致したブラが届くまでの間はあんまり動けないなぁ…

と言うかマジでここだけ太るってのが…まーじなんでそうなったかなぁ?

お姉ちゃんも私の惨状を見て自分のおっぱいを見下ろして溜息吐いてる。

G28のブラウスだって元々ぱっつぱつだったのがギチギチになってるしねー…ん?

 

「へぶっ!?」

 

限界を迎えたG28のブラウスの胸ボタンが私のおでこを撃ち抜いた。

おーぅ…すごくいたーい…Ameliの胸ボタンが弾け飛んだときもすごかったけど…

これはでっぱい勢の抱える共通の悩みかもしれないね…

私の制服だって初期のは胸元が縦に裂けたんだしね…こう胸を張っただけで。

 

「で、だけどお姉ちゃんは一緒にどうですか?」

「私は悪いけど興味ないわ」

「(´・ω・`)」

 

素気無くフラれちゃいました。いつかお姉ちゃんも引き込んでやる…

 

「バイク楽しいのに…乗れないってわけじゃないよね…」

「完璧な私がそんなのも乗れないなんてこと無いわ」

「本当に?」

「本当よ、417の持ってる自転車を貸してみなさいよ完璧に乗りこなしてみせるわ」

 

お、ノッてきたこれで上手いこと沼に引きずり込めないかなー?

 

 

――――――――――――

 

 

私の部屋からロードバイクを持ち出してから基地の舗装路で走らせることに。

まずは私がちんまい身体で乗りこなして見せてからお姉ちゃんに貸す。

大規模な基地に比べるとまだまだらしいけど…それでも前線基地の土地は結構広い。

走り回って楽しむ分には不自由はしない。スプリントかければ楽しめる。

 

「じゃあお姉ちゃん、いってらっしゃーい」

「へぇこれ以外と…高いわね…」

 

ギアは軽いものに落としておいたから漕ぎ出しは軽やかに行けるはず。

未体験のホビーにお姉ちゃんはちょっと戸惑い気味だね。

あ、慣れない内にドロップハンドルのロワーを掴んだ。これは…

かなり前傾になってただでさえ慣れてないのに重心の移動の変化に戸惑うと思うぞ?

そしてお姉ちゃん曰くこの手の自転車などには乗ったことは一切ない。

これらが示すことは唯一つだ。まぁみんな通る道なんだが…コケる。

 

「え、ちょ…倒れ倒れる!!いやぁぁぁあああ!!」

「あーあ、やってる」

 

がっしゃーんと派手にはいかないけど途中で離脱してごろごろ転がる。

その場に残された私のロードバイクは自重は軽いから損傷軽微。

まぁロードバイクとかマウンテンバイクとかBMXとか自転車全般こけるの前提だし。

この程度で私は怒ったりしないけど…お姉ちゃんの身体が心配だ。

 

「だいじょーぶ?」

「く…いったい…何が…いけないというの…」

「二輪ってのは不安定なんだよ、傾くのはしょうが無いことでそこで怖がって止めると駄目だよー」

 

これは二輪の自走論理を叩き込んでから乗せたほうが良いかな?

物の見事に曲がる時に転けてたし…その辺が理解できてなかったりするかも。

 

「もう一回私が乗るから見てて?」

 

実際に軽やかに走らせてみるけど止まってみればバランスはあっという間に崩れる。

まぁ慣れてしまえば静止状態でもバランスを取って自立させれるんだけど…

自走理論を実演しながら教えてもう一度お姉ちゃんにバトンタッチ。

 

「見てなさい次こそは完璧に乗りこなすわ…」

 

まぁ二度目は普通に乗りこなしてドヤ顔で戻ってきた。自力でかなりの速度を出せるし良い運動なんだよね。

 

「もう一度聞くけど、興味なーい?」

「…ついて行くだけよ」

「よっしゃ」




バイクは良いぞ。みんなも興味があったら乗ってみよう。
ハマるぞ。作者は乗って急速潜航してしまった。


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Day98 新型人形発表のお知らせ?

SPASとAA-12が発表された後に書いてるんや…まぁD08地区に情報が回ってくるのが遅いってことで許して


――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・朝

 

今日は第1と第2部隊が出撃する一週間だ。私達は暇を持て余す。

ゲームに興じてもいいけどそれはなんだかもったいない気がするし…

何となく手にとったのは社内報だ。目新しい記事が無いかと目を走らせていく。

朝からコーヒー片手に読む姿はなんだろうね?ビジネスマンみたい。

見慣れた青年誌風の表紙を捲っていく。今回のトピックスはなんだろう?

 

「新型ショットガン人形発表…か」

 

SG人形と言えばウチに居るイサカがそうだ。堅牢な装甲を持っていて前線を張る人形だ。

イサカはそうではないけど…大抵のSG人形は所謂シールドを持っている。

G36Cが所持しているフォースフィールド系ではない、物理的な盾だ。

中世からずっと防御のシンボルとして用いられているシールドだ。

そのせいか動きは重く軽快さには欠けるがこと近距離戦闘では破格の火力を誇る。

それでいて生半可な銃撃ではびくともしない装甲を持っている。

更に最適化が進めばボディアーマーを装着して堅牢さはさらに増す。

難点と言えば継続火力に欠けることとその製造コストだ。

各基地が今このSG人形を欲してI.O.Pに発注をかけていることだろうが…

I.O.Pの在庫は品薄状態。SG人形であれば良いが…回されてきたのがRF人形だったなんてのもよく聞く。

膨大なコストをかけてもお目当てのSG人形が無事に納入されるかは不明。

この製造システムはどうにかならないものなのだろうか?

まぁ現状のG&Kの契約スタイルが原因だから文句は社長に行くか。

業務提携の契約で大雑把な資材納入で製造する人形を決めるという事になってるらしい。

だからMG人形が欲しい指揮官は納入されやすい分量の資材を納入する。

まぁ結果は大体SMG人形だったりするんだけどね。ウチに居る人形でMG人形が居ないのもお察しだ。

 

「で、新しい人形はAA-12とSPAS12、SuperShortyね」

 

殺意高いな。AA-12と言ったら何をトチ狂ったかフルオートでショットシェルをばら撒く殺人マシーンよ。

開発は2005年、当時の大国アメリカ合衆国にて開発された物だ。

ゲームメディアにもよく登場する散弾銃だ。同じくフルオートでばら撒くSGと言ったら…USAS12が挙げられる。

まぁその性能は大体がイマイチに設定されてるけど…現実だと鉛弾の雨が降るんだ。

おまけにこいつらは一般的なチューブマガジンじゃなくて…普通のボックスマガジンだ。

AA-12について更に言えば何をトチ狂ったか32連装のドラムマガジンまであるんだ。

人形だろうが人間だろうが至近距離でぶっ放されたらあっという間にミンチの出来上がりだ。

ただ難点があってだ…このAA-12尋常じゃなく重たい。全備重量たしか7kg超え。

AA-12が飛び抜けて殺意マシマシのラインナップになるが…SPAS12も中々だ。

ポンプアクション式の多いSG界隈だが…このSPAS12なんとポンプアクションとセミオートが選べる。

確実な動作を好む射手はポンプアクションを選べばいいし瞬間火力を求めるならセミオート。

スラムファイアが出来たかどうかは不明。まぁ人形のスペックは…どうなんだろうね?

SuperShortyはその名前が示す通りその銃本体がえらくコンパクトなんだ。

全長はなんと500mmちっちゃいボディだ。装填数もたったの2~4と来たもんだ。

まぁイサカも4発装填のSGなんだけどね。SuperShortyはちっこすぎて普通のフォアハンドじゃポンプアクション出来ない。

折りたたみ式のフォアグリップが取り付けられてようやくって所だ。

そんな特徴を抑えているのか…人形の方もえらくちっちゃいな…私と変わらないんじゃないか?

 

「AA-12は飴玉をよく舐めている…寝不足ひどそうな顔だなぁ。SPAS12はこれまた男性ウケ良さそう」

 

紹介写真が掲載されていたので見てみるとAA-12はどの写真でも飴玉を口につっこんでる。

パット見ではまぁ普通にストリートに居そうな感じの少女なんだけど…

目元にくっきり出来てる深い隈がそんなチャーミングな風体をぶっ壊してる。

いや、一周回ってチャームポイントなのかもね。糖分切れるとイライラするって書いてるし…

どうしてこういうデザインしたんだよ…もっとまともなAIにすること出来ただろ。

 

「んー?なんだこれ…」

 

そんなSGトピックスからその後をぱらぱらと捲っていっていた。

新しい地区進出のお知らせにG&Kの補給基地襲撃事件…あぁあのドンパチの事だな。

新しくT地区が制定されたってお話か…旧S02地区は度重なる襲撃に遭い救援したT地区指揮官の配下になると…

中々にやり手なんだろうな…でっと…こっちは?G&K新入社員?

へぇーどんな…は?これ細部違うけど鉄血の人形じゃない?

えーっとたしか…ハイエンドの中でもお頭的存在の代理人じゃない?

こっちはDragoonだっけか?いやいやどうなってるんですかね?

 

「ぜんたいぞ…ヒンッ」

 

冒涜的な物を見た気がする。私はしらん、人の形をしてるのに手足が蜘蛛じみてるなんて見てない。

これ本社に行ったらもれなく見ることになるの…?

虫苦手な私にはかなりキツイジョークなんですけど…?ねぇどうにかならない?

 

 

――――――――――――

 

 

「417じゃない、何をしてるの?」

「あーイサカ?新しいSGだってさーほい」

「……ふん、私の美しさには一歩届かないわ」

 

まぁイサカの自慢と言ったら主任を射止めたその美貌だからね。

比べるとしても自分と見比べてどれだけ美しいかに限られる。人形としての性能?

そんなの美しさの前には眩んでしまう…それがイサカの中にはあるっぽい。

 

「そういやさー、イサカって装甲板無いよね」

「えぇ、そんな無粋な物は無いわ」

「どうやって壁張ってるの?」

「ボディアーマーとガンケースね」

 

ほほーガンケースがそのままシールド代わり?そういや出撃中もそれ担いでたね。

そういや第2部隊の戦闘の様子ってあんまし見てないな…

失礼なことを思うとその立派な胸部装甲があるからなのかな?と思ったり。

でも今回新造されたSPAS12とかも中々立派な胸部装甲を持ってるけど装甲板を持ってる…

どんな基準でつけたりつけられなかったりするんだろうか?

やっぱりデザイナーか?デザイナーが趣味でやってるのか?

 

「まぁイサカの身体ってどっから見ても魅力的だし遮るものは少ないほうがいいか」

「その通り!417もよく分かってるじゃない♪」

 

うん、でかい。これは世の中の男は釘付けになるな…主任は独り占めしてるんだけどね。

あーあ羨ましいなぁー私もいつかお兄ちゃんを独り占め出来る時が来たらなぁ…

 

「もしもSG人形がここに派遣されたらどーする?」

「どうするもこうするも私は私、ダーリンの傍に居るだけよ」

「そっか、これこそ無粋な質問だったね」

「戦闘的なMVPでも負ける気はサラサラ無いけれど」

 

うん、自信満々なイサカは見ていて清々しいね。それに恋してる乙女って綺麗なんだよね。

そういやえらくつやつやしてる気がするけど何かあったんだろうか?

気持ち足取り軽やかだし…良いことあったのかな?

 

「まぁこの基地にもう人形の受け入れ余裕は無いから来ることはないけどさ」

 

悲しいかなこの基地は所詮は小規模基地。第4部隊分あるだけ良いほうなんだ。

それ以上の申請は通らないしお兄ちゃん的にも第1部隊抑えること出来なくなるからNGってさ。

 

 

――――――――――――

 

 

「417、そちらを」

「ん、りょーかい」

 

スイーパードッグ小隊を引き連れた私とG36によるメイド隊と…

本家清掃員の兄がせっせとお掃除中。思えばこうして鉄血製品も浸透してるし鉄血人形が本社に居てもおかしくないのか?

S09基地にはアーキテクトが居るし…案外叛逆してる人形多いのか?

まぁそうしたほうが私達は楽になっていくから良いけどねー戦いがないのが一番さ。

私達戦術人形が生まれた理由が争いにあったとしても…ね。

戦いのために生まれてきた私達が争いが無くなれば何に転用されるか…

民生人形としての余生を送るのか…それとも惨めなスクラップ行き?

拭き取っていくこの塵芥と同じ様に拭き取られておしまいなんだろうか?

私達の幸せってなんだろうか…戦って人間のために散っていくこと?

一度も戦わないまま人間の愛玩道具として綺麗に置かれていること?

 

「――7、お―41―」

 

それとも自分が信じた指揮官と結ばれる事?それとも傍に居ること?

 

「417、手が止まってるぞ」

「…んぁ、兄さん?」

「ぼやっとしてんじゃねーよ、仕事しろ」

「うるせぇ、そのケツのサイズを一回りおおきくしてやろうか?」

「お前のプリケツとでっぱいをでかくしたほうが良いじゃねーの?」

「あ?」

「あぁん?」

 

「「野郎ぶっ殺してやらぁー!!」」

「お二人とも仲がよろしいのはいいのですが…」

 

掃除のはずが私と兄さんの殴り合いの喧嘩でとっちらかったからG36にお説教食らった。

特に私はくどくどと…友達だから全然容赦ねぇ…だって正座させた上に膝の上におゆうぎしますちゃんを積み上げたんだもん。

一匹二匹ならそうでもないけど…積み重なると重いんだ。

人形の私が足をしびらせるなんて醜態を晒すことになった…

 

「あにゃぃ!?だーちゃんやめ、足はいま…んにゃぁぁぁ!!」

 

だーちゃんが面白がって私の足をつっつき回した…私はにゃあにゃあ鳴かされた…




みんなは目当てのSG出た?
僕は目当てのSPASだけ綺麗に出なかったよ…ふふふ…

今回作中に以下の作品についての記述があります。

戦術人形と指揮官と/作者:佐賀茂様
何故こうなった。/作者:Big Versa様

勝手に取り扱ったが私は謝らない。面白いからみんな見て?見ろ(豹変)


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Day99 洗車

人形洗車サービスなんてあったら繁盛しそうじゃね?


突然で申し訳ない。車って走行すると地面の埃を巻き上げるんだ。

当然悪路を走ればじゃんじゃん土を巻き上げる。風雨に晒されれば水垢もつく。

なんでこんな話をしたかって?そりゃぁ勿論アレだよ…先週まで頑張ってたバギーなんだけど…

車体にくっついた土埃と雨垢でひどい有様になってるんだよ。

もとのオリーブドラブの塗装がほぼ見えないすんごい土汚れですよ。

という訳で私は考えました、こんな汚いので休みに出るのか?いやいや…

それはちょっと女の子が乗る車としてはまずいでしょ?って訳で…

洗車することにしましたーぱちぱちぱちー洗車道具なんてのは無いわけで…

まぁさーっと水洗いするだけなんだけどね。するだけでも全然違うわけですよ。

お兄ちゃんのバイク用のメンテナンスケミカルはあるけど貸して?っておねだりしたら怒られた。

私の自転車用のケミカル類も不適合と思うしなぁ…まぁ今度の休みに買ってくるとしましょう。

 

「という訳で洗います」

「ソープ堕ち?」

「殺すぞ?」

「ヒィッ」

 

農業に従事する装いです。はい。Tシャツにオーバーオールスタイル。

水ってのはかなり貴重な資源なので無駄遣いは出来ません。

まぁでも近くに川が流れててそこから汲み上げてるから問題なしなんですよ。

とりあえず洗うってところからソープなんて発想したメンテナンスボーイには睨みを利かせる。

実際洗車っていうのは結構マメにするのは良いことなんだよ?

ちょっとした変化に気づけたりするんだ。ボルトの緩みからオイル漏れとか…

あとは各部のサビつきとかだね。サビを放って置くと酷いことになるからねー。

 

「まーずは水をばしゃばしゃかけていきましょー」

 

水洗いだけだとしても水をばーっとかけていく。水で塗装が固くなるんだ。

ついでに表面に付着した軽い埃を水が落としてくれる。この1ステップ大事。

汚れなんてタオルで擦り取ればOKなんて思ってない?んなの甘えやぞ。

サンドペーパー乙、塗装面をごりごり削り取ってからサビのもとやぞ。

ほんとはケミカル類があればそれでざーっとやるんだけど…まぁ今回は無いので…

水をじゃんじゃん使いながら拭き取っていく。タオルと拭き取り面の合間に水をじゃんじゃん流し込む。

そうすると水流に乗って汚れが落ちていくそしてタオルが水滴を一緒に流していく。

コレで大体の汚れは落ちてくれる。それでも残っちゃうのはケミカルが必要かな?

ワックスがあったらそれを塗布すると塗装の保ちが断然違うんだけど…

ないものねだりはできないので我慢我慢…天井がないバギーで助かったよ。

天井があったら私の身長だと手が届かないんだもん。まぁボンネットも私は結構たいへん。

奥の方になると身を乗っけてから手を伸ばさないと届かない。

そうなるとどうなるかって?そりゃぁおめぇあれだよ。後ろから眺めてる奴らに…

 

「ヒュー見ろよ417ちゃんのケツ…」

「潰れてるおっぱいも良いなぁ…吸い付きてぇ」

「ぬれ…濡れた!濡れ透け来るぞ!!」

 

まぁこんな風にフィーバーされちゃうんですよ。オーバーオールだから下着見られる心配ないけど。

いちいち私の身体に欲情してくるからなぁ…行動に移さないだけ紳士か。

ただ妄想の中では私はどうなってるのかは…まぁあれだよ…お察し。

私も元男って所があるから想像は一応できなくはない。体感的には遠い過去だけどね。

ちっこい身体だと色々不便だよ…まぁ基礎設計でちっこくされてる人形も多いから文句は言えんな。

これはあれだよ。私が優秀すぎる故のハンデと思えば軽いものよ。

あと濡れて透けて見えても局部はオーバーオールのジーンズ生地に隠れるからね?

 

「うわ、サビ出てるじゃん…」

 

誰も手入れをしようとしてないのがまぁ見えてたからどっかしらサビ出てると思ったけど。

あんまり見られないリアフェンダーのすみっこにサビが浮かんでいた。

多分これは塗装の内側にサビが浸透していってると思われる。

実際はどうかわからないがこうなると手の施しようがなくなるんだ。

錆びた金属はひたすら脆くなるからここからボロボロ欠落していくってことも考えられる。

幸いボディの隅っこだから良いかもしれないけどね。カマ掘られたら大変だぞ。

こういう問題にいち早く気づけるから洗車ってのはなかなか侮れないの。

気持ちよく使うためって言うのもあるけどメンテナンス的な面も強いからね?

マメな洗車大事。これは私はつよーく言えるかな。

人形たちと違って物言わない機械である自動車。気づいてやるのは私達しか出来ない。

洗車っていうのは言わば車とのコミュニケーションの一つなんじゃないかな。

遠くまで楽に運んでくれてありがとう、汚れとってあげるねってさ。

ヤーパンのブショーとノーミンの間に取り決められていた御恩と奉公ってやつかな?

 

「そういえば今も続いてるんだっけか…美人による洗車サービス」

 

今も私のお尻やらおっぱいやら見てるメカマン達で思い出したけど…

まぁ前世紀からあるサービスなんだけど自分で洗うのが面倒な人がお金を払って洗車してもらうってのがある。

それのサービスの一端で水着美女が手洗いで愛車を磨いてくれるって奴。

戦術人形としての役目が終わったらそういうのに手を出してみるのも手かな?

 

 

――――――――――――

 

 

結局、私一人で洗えるのは限度っていうものがあった。

この基地に備えられているバギーは4台。酷使されてきたそれらを洗うのは一苦労。

いっくら人形が疲れ知らずでテキパキ出来るとしても私一人だと限りがある。

ダミー?アイツらにはアイツらのお仕事があるので無理ーだめぽよ。

で、結局洗えたのはそのバギー4台だけ。ほかに汚れてる車はある。

この基地に置かれているハンヴィーが2台。これがデカイ。

こいつも洗ってやりたかったんだけど今日は無理ぽ。日が落ちてからするとねぇ…

いや、日が落ちてからやってもいいけど汚れがきれいに落ちてるかどうかが分かりづらい。

あとそろそろ水の使用のし過ぎだって怒られる頃合いだったので撤収。

とりあえずバギーはキレイキレイにできたらヨシ。今度のお休みは気持ちよくお外に出れそうだ。

 

「濡れ透け…てない…」

「でもスケベだよな…食いたい」

「そこのスケベども、聞こえてんぞ」

「「聞かせてんだよ」」

 

余計最悪だ、この主任配下のメカマンは本当に欲望に正直だ。

こんなので人形の彼女募集中なんてほざいてるからなぁ…正直出来る気がしない。

よっぽどの物好きな人形しか靡かないと思うんだけど。それか…

あれ、セックス中毒みたいな…それこそ売春婦みたいな人形じゃね?

こいつら揃って童貞臭いから女を知ったらそれはそれで暴走しそう。

私?私も元童貞ですけどなにかー?童貞の気持ちはなんとなーくわかる。

けど好きでもなんでもない奴におっぱいを捧げるほど私は酔狂じゃない。

 

「所でー」

「なんだよ、おっぱい」

「なんだぁ、エロケツ女」

「後ろ見てみ?」

「「ん?ヒェッ」」

 

無表情で凶器となりそうな工具、スパナを手にしたお姉ちゃんが居ました。

さて、さっきのやり取りを聞いていた私の大好きなお姉ちゃんの行動はなんでしょーか?

 

「情けは?」

「痛くしないでください、おなしゃす…」

 

命乞いをするメカマン二人、さて、判決はいかに?

 

「私は許そう…だがコイツは許すかしら?」

 

ゴィン!!とめっちゃくちゃ鈍い音が夕焼けの薄暗い空に響いた。なむあみだぶつ。

 

 

――――――――――――D08基地G28私室・夜

 

 

「G28~明日午前暇~?」

「んー?一緒に遊ぶの?」

「いんや、ちょっと手伝って欲しい事があるんだよね」

「お礼は417のおっぱい!」

「はいはい…好きだね、私のおっぱい」

「お姉ちゃんのはなんでも好き!」

「うへぇ…」

 

まぁ明日の午前中にハンヴィーを洗車しようかと思ってるのでそれのためにG28を引っ張ってこようかと思って。

私の身長じゃ天井に手が届かないのでG28にやってもらおうかと思ってる。

その間に私がボンネットやら側面を洗車してやってキレイキレイにしようって寸法。

G36が暇してるんじゃないかって?いや、G36は第1部隊で出撃するから駄目だ。

帰ってきたら帰ってきたで家事に入るから私のお手伝いなんてさせれるもんかよ。

逆に私がお手伝いしてやらなきゃならん。今日ダミーを使わなかったのはそれが原因だったり。

そう、アイツらにメイド服着させて家事をさせていた。

私はお外で車のお掃除、ダミーは屋内でキレイキレイにってね。

 

「じゃ、報酬前払いで…一緒にねよっか?」

「マジで!やったこれは同意を得たと見てあふん」

「お姉ちゃんを困らせるのは無し…だよ?」

「……きゅぅ」

 

暴走し始める前にっと…抱き寄せてそのままベッドへ押し倒す。

お休み前のキスを唇に落としてから耳元で囁やけば…はい、G28陥落っと。

さってと、今のうちにメイク落としてオーバーオール脱いでっと…

お隣にTシャツ一枚で潜り込んでG28のお顔をおっぱいの中に抱き込めばOK。

翌朝ぎゃーぎゃー騒いでも一晩堪能させたって黙らせられる口実が出来た。

黙ってたらほんと美人なんだけどな、我が妹よ。

お料理も出来るし何だかんだ承認欲求強くてかわいいし…

 

「この基地の誰に惚れ込むかは知らないけど…お姉ちゃんは応援するよ?」

 

まだ見ぬG28の好きな人、幸せにしなかったら後頭部でも呼吸できるようにしてやるから。

 

それじゃ、おやすみなさい…GuteNacht




水着の416や春田マッマの洗車サービス受けてぇなぁ…


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Day100 病床にはママの味

ちょっとだけな?


午前中G28と一緒に洗車してから基地内に戻ると何やら司令室方面が騒がしい。

何事かと思ったらお兄ちゃんが執務中に不調を訴えてからトイレに篭ったっきり出てこないんだって。

それで心配したG36CやらMk23やらがオロオロしてるってわけか…

んー…まぁ考えられるのは幾つかあるな。食品系で死んだってことはなさそう。

体質的な所はこれもボツだな。今までこうやって腹関係で死んでたのは見たことない。

体質的によくやらかすのなら慣れてるだろうしそもそも隔週でやらかしてる。

寝てる時に腹を冷やしたか…まぁそんな事だろうから心配することはないけど。

 

「はいはいどいたどいた」

「え、417そっち男子トイレ!」

「あー?心配なんだろ?手っ取り早く確認するからちょっと待ってろ」

 

元男なめんな。今更男子トイレなんざにビビる私じゃないよ。

男子トイレ内に入り込むとあーうん…酷い臭いだ。まぁ完璧に腹を下してますね。

個室がロックかかっててそこから凄い音してるし臭いの発生源もそこだ。

 

「やっほーお兄ちゃん、げんきー?」

「しんでまーす…ぐぉぉぉ…」

「あーこりゃ酷い、いつから?」

「今朝から…」

「腹出して寝たでしょ?」

「……」

「はいはい、救護室から下痢止めと胃腸薬取ってくるから無理しない程度にお仕事がんばってよ?」

 

ビンゴ、お兄ちゃんはどうやら寝相か何かでお腹を出して寝ちゃったらしいな。

ウイルス系でやらかしてたらバイオハザードが発生して以前の調理班みたいなことになりかねなかったけど…

まぁ私達人形には関係ないこった。さっさと私は薬の用意とお兄ちゃん用のお昼の用意だな。

 

「417、指揮官はどうだったのですか?」

「んー?ただのぽんぽんぺいんだね、薬飲ませりゃなんとかなるよ」

 

人間にはよくありがちな事だから心配なし。ただ本人は死ぬほどつらい。

だから私達にできることって言ったらアフターケア位なんだよね。

あと下痢ってあんまり腹の中に残留させてもいけないみたいなんだよね。

所謂防衛反応で出してるらしいからさ。悪いのをそのまま押し流してるんだって。

それであんなすんごい痛みになるのが人間の体の不思議というか…不条理と言うか…

ちょっと残っててもすごい痛みになるからなぁ…まぁそのせいでお兄ちゃんもトイレフレンズなんだろう。

救護室の薬品棚を漁ってっとー…胃薬と下痢止めだね。夜中にまたグルグル来るんだろうけどね。

 

 

――――――――――――

 

 

「指揮官が腹を下した?」

「うん、念の為みんな近づかないようにね」

 

んー…お腹が逝っちゃったお兄ちゃんの為に作るのは…卵粥です。

水気を多く含んでグズグズ一歩手前のライススープって奴かな。

それに溶き卵を混ぜ込んでからお塩で味付けをした奴。ヤーパンでは病人にはこれって定番らしい。

きっとお兄ちゃんもちっちゃい頃とかこれを振る舞われたんじゃないかな?

で、念のために近づかないようにって言ってんのはウイルスの可能性危惧ね。

他に腹をやらかしてる人は居ないから多分違うと思うけどね…念の為。

感染性だったらもれなくパンデミックで基地がダウンしちゃうし。

 

「417?あれ、今日はもしかして417の手料理!?」

「残念、今日はお兄ちゃん用の別料理を作ってるだけ」

「じゃあそのおっぱいを揉ませろー!」

「はいはい、ダミーで我慢な」

「え?」

「ひゃっはー!!」

「本体てめー!!あにゃぁぁあああああああああ!!!」

 

ちょうど良いタイミングでダミーが通りかかったからダミーにけしかけた。

やつらも私と同じでおっぱいが太ってるから揉み心地は私と変わらんらしい。

ちなみにそうレビューしたのは他ならないG28である。あとは胸枕を堪能してるG11か。

んー…ちょっと味が濃ゆすぎたか。味見してみると塩味が効きすぎてる。

ただ卵の溶け込み具合は良いかな。香りもきつすぎないしお腹を温めるにはいいね。

他にもうどんって言うヌードルを振る舞うのも案としてあったんだけど…

それは時間がないのでボツ、手軽にさっさと作れるのはお粥だった。

さて、熱々な内に運んでから食べてもらいましょうか。

下痢で腹が痛くても確実に時間とともにお腹の中身は無くなっていく。

空腹と体調不良が重なるとかなり心細くなるんだよね。特に風邪とかで寝込んだ時。

私はまだ兄さんが傍に居たからそうでもなかったんだけど…料理は出来なかったからなぁ。

えーっと…ご近所のおばちゃんにヘルプ頼んだっけか。気前のいいおばちゃんだったなぁ。

 

「よし、出来た…G28程々にねー?」

「うへへ…うへへへ~♪」

「ぁぁぁぁぁぁ…」

 

G28が乙女らしからぬ笑みを浮かべて私のダミーにマウント取ってる姿は…もうこの基地の名物だな。

他に押し倒されてるのはお姉ちゃんかお姉ちゃんのダミーだな。私も隙を見せると張っ倒されるけど。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・昼

 

 

「調子はどーお?はい、お薬とお昼だよ」

「ぁー……」

「無理のない程度で良いから食べてね?」

 

飲水と一緒にお薬とお粥をトレーに乗せて持ってくるとお兄ちゃんは気怠げ。

うーん、お腹の痛みが原因だろうけどつらそうだなぁ…お腹を暖めたらマシになるんだけどね。

トレーを置くと意外そうな顔して私を見上げてくる。

 

「これ、417が?」

「ん、消化に良いかなって」

 

一口食べてみるとお兄ちゃん顔色変えて食べ始めた。食欲はあるみたいだね。

まぁゲロったりしてなかったしお腹の痛みだけだからへーきだろうね。

食べれば食べるほど顔色は良くなっていくな。お粥パワー恐るべし。

それともお兄ちゃんに流れるヤーパンの血がそうさせてるのかもね。

ヤーパン人はお米と味噌だけあれば一週間は戦うって言うしね。

熱々だったんだけどそれも気にせずお兄ちゃんは直ぐ様平らげちゃった。

お薬も飲んでから満足そうに椅子に身体を預けてる。

 

「夜も消化に良さそうなのを作ろうか?」

「いやー…良い、普通に食堂に行く」

「ん、でも無理そうだったら私に言ってよね」

「おう、ありがとよ母さん」

「……?」

「あ、いや…」

 

あれかな、信頼を置きすぎて気安さ的についママって言っちゃった奴?

友達にも居たな、間違って母さんなんて言って爆笑されてた子。

ママと同じくらいに思われてるのは良いことなのかな…?

 

「もう一回言ってみてもいーよ?」

「勘弁してくれ…」

「ふふ、こんなちっちゃいママはないもんねー」

 

空になった食器を下げてっと…ふふ、ママか♪帰り道はとってもルンルン気分でした。

このお粥ってのがもしかしたら所謂家庭の味ってやつだったのかもね。

ヤーパンの家庭料理今度研究してみようかな…若しくは端末をハッキングして…

 

 

――――――――――――

 

 

夜中、やっぱり薬の効果が切れるとお兄ちゃんは無事トイレフレンズとなりました。

ただ今度は出来ったぽくて出てきた後は幾分スッキリした表情だった。

皆心配して様子見てたけどそんなお兄ちゃんの様子にほっと胸をなで下ろしてから戻っていった。

 

「でもここで寝ちゃうんだね…これだからお腹下したんじゃないの?」

 

残ったお仕事を片付けていたんだろうけど疲れからか机の上に突っ伏してた。

様子を伺うまでもなく…完全な寝落ちだね。司令室は空調もクソも無い。

夜になれば冷え込んでかなり寒くなる。多分そうなったら否応にも起きるんだろうけど。

そうなったらもうお腹は冷え込んで内蔵が悲鳴をあげるんだろうな。

今回の下痢騒動の原因がわかった気がする。副官は就寝まで見届けないといけないな。

 

「よっこいしょ…」

 

肩に担いでから私室まで運んで行ってっと…電子ロックを外してから入り込む。

ぶらんと垂れ下がった腕が私のおっぱいに当たるが別にどうでもいい。

ベッドに寝かしつけてから上着を剥ぐ。それからその下のYシャツとズボンを剥いで…

パンツ一丁の姿になるまで剥いでお布団を被せる。これで良いだろう。

じゃあ後は上着とズボンをハンガーに掛けてからYシャツと靴下はお洗濯物として回収っと…

 

「………」

 

寝相で蹴ったりしないかな…誰かが重しになったりしたらそうでもないかも…

お兄ちゃんのことを想っての行動だから文句は言わせなーい…

 

*衣擦れの音* *布団をめくる音* *スプリングが軋む音*

 

「わぁ元気…ちょっと…ちょっとだけ…」

 

 

翌朝、隣ですやすや寝る私を見てお兄ちゃんが転げ落ちた。何をしたかって?

言えるわけ無いじゃん。お兄ちゃんのためにも私のためにも…

ただお兄ちゃんの事を想っての慈善行為です。スッキリはしてると思うんだ。

お兄ちゃんも調子は良いみたいだし良いじゃん、些細な事はいいっこ無し。

 

けぷ…ふぅ、苦かったな…喉に絡むし癖が強いなぁ。でも美味しかったかも、何度も飲んだら病みつきになっちゃうかな?




さぁ何をしたんでしょうねー?


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Day101 家庭料理

417の嫁力は高まっていく


――――――――――――D08基地兵舎共有スペース・朝

 

今日はちょっとしたお料理研究をしてみたいと思ってます。

過去存在した世界各国の家庭料理というものを作ってみたいと思います。

言うなればママの味ってやつだね。古来より男を落とすには胃袋を掴めって言うしね。

お料理出来るようにはなってるけど各地の郷土料理って言うのは試したことなかった。

ヤーパン料理の中でも家庭の味って言ったら肉じゃがって言う煮込み料理らしい。

幸い調味料の類はこの基地に揃っているから作れないことはない。

ミソスープも家庭の味らしいけど味噌から作れってなると大変なんだよね。

発酵食品ってかなり手間がかかるし…チーズを作るのとは勝手が違う。

調理過程はわりとカレーに似ている。使う材料も似てるしねー。

ただ違うのは出汁っていうのを使うことかな。ヤーパンお得意の魚介スープの事だ。

昆布やカツオの加工品から出る旨味を使うんだ。そういうの私は好きだよ。

美味しいミソスープも本当は出汁を取ったほうが良いらしいけど…

朝のバタバタする時間帯だとちょっとねー…前日の夜から仕込んでたら使えるけど。

私が朝から作ろう!って思うんじゃなくて前日からこうしよう!ってなってたら使える。

今回使うのはカツオ出汁です。カツオの燻製の削り身をざるに入れてからお湯を注ぐ。

調理も全部終わりかける頃合いでようやく味が染みてるかなー?

 

「さてと…お野菜はっと」

 

肉じゃがを構成するお野菜はじゃがいも、人参、玉ねぎ。

じゃがいもは一口大にカット、人参は乱切りに…玉ねぎは細かくくし切り。

そして肉じゃがのメイン、牛肉だね。まぁ合成品だけど…

先に肉と玉ねぎを鍋の中へと放り込んで熱を加えていく。

じゃがいもから熱を通したほうが良いかもって思うけど煮崩れる可能性が出てくる。

程よく色がついてきた頃に残りのじゃがいも人参を入れる。あ、言及してなかったけどしらたきってこんにゃく?を入れる。

で…この頃には出汁がいい具合に…なってるね。ちょっと舐めると美味しい。

じゃあこの出汁を注いでから一煮立ち。沸騰ちょっと前まで持っていって弱火でコトコト。

そしてから味付け…醤油と砂糖、みりんで味を調える。味見は忘れずに。

灰汁が浮かんでくるからそれを取り除いて…煮込むこと20分程度。

いい匂いが漂う。まぁこれで肉じゃがは出来上がりかな?

でもんー…駄目だな、じゃがいもに味が染み込んでいない。

一度冷ますか。冷ましてやると味が染み込んでいくって聞いたことがある。

となるとこれはお昼だね。結構作ったし食堂に持っていったら喜ばれるかも。

じゃがいもはまだまだ余りがあるし…ポトフでも作るかな?

あーでもこれもまた煮込み料理だし…いや、もう一個作っちゃえ。

コンソメもイチから作ってみるか…これも言っちゃえば出汁だし…

たーだきれいに作るとなるとかなり面倒がかかるんだよねー…

あ、まった。二時間近く煮込まなくちゃいかんからボツだね。

合成品のコンソメ風味の素を使おう。ソッチのほうが手っ取り早いし…

最悪お昼に間に合わなくなるなんて事はなくなるからね。そうしよう。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・昼

 

 

「という訳で今日のお昼は豪華ですよー♪」

 

食堂に先に連絡しておいてお昼にって肉じゃがとポトフを寄贈した。

まぁもう献立がこれで良いじゃんってなっちゃって後はお好みでパンか白米かって所。

皆そろって白米取っていってるけどねー…ヤーパン料理の肉じゃが強い。

そんな訳でキッチンメンバーももう食事に入れてたり。G36と私とダミーは配膳に動いてるけどね。

私の装備はお料理時から変わらない制服にエプロン姿。ダミーはおなじみのフレンチメイド。

 

「へぇ…417ちゃんマジ嫁にしたら良いんじゃね…?」

「春田マッマが強いけどこの圧倒的嫁力…」

 

うんうん、反応は上々ってところだね。皆美味しそうに食べてくれてる。

男性陣が揃って私の方を見てぶつくさ言ってるけどなーに?

小首を傾げて見せるとまた食べるのに戻っていって…何を伝えたいのやら。

 

「ダミーも作れんの?」

「んー?雑になるけど作れなくない」

「マジ?おっぱい揉むから作って!」

「良いよー!」

「おい待てやそこ」

 

またダミーが勝手に動こうとしてたからダッシュ。直ぐ様止めないとどうなることか。

不貞を働こうとしたダミーは蹴り倒してから持ちかけたメカマンにはチョップ。

ダミーは不満そうだが私の身体でそんなホイホイおっぱいを売るんじゃない。

私の身体はお兄ちゃんには安くでも売っていいけど他には売る気無しだから!

まったく…私の何をひねり出したらこうなるんだか…私は売女じゃないんですぅー

 

「この匂い…まさか?」

「あ、お兄ちゃん♪」

「囲めー!!」

 

ダミーが速攻復活してからダミー4体でカゴメカゴメ。

そのままだと動けなくて迷惑だろうから引っ剥がしてからご案内。

いつものメイド服じゃなくてお兄ちゃんは何か新鮮そうな表情してた。

そして今日のお昼を見せるとこれまた驚いた顔。私お手製ってのも言うと二重に驚いていた。

 

「自信作だよ、美味しいから食べてみてよ♪」

「……おぉ、美味い」

「よっし」

 

まずはお兄ちゃんが手を出したのは肉じゃが。ゴロっと転がるじゃがいもを一口。

熱々なんだけど気にした様子もなく食べて少し咀嚼して美味しいをいただきました。

思わずガッツポーズですよ。やっぱり美味しいって言ってもらえるのは良い。

ご飯をお供にがっついていくお兄ちゃん…んふふー♪

更に食い足りないのかポトフにも手が伸びていく。これまたじゃがいも中心にしてるんだけど…

ソーセージとキャベツ等追加してるからまた違った味わいだよ?

さぁ反応はどうだ!美味しいだろう美味しいだろう?

 

「美味い…おかわり」

「んにゃ…」

 

ぽよん…とおかわりを要求した腕が私のおっぱいをつっついていた。

お兄ちゃんは気づいてない様子で空いたお茶碗を突き出してた。

ちょっと下がってから受け取ると空いてる食器も取ってキッチン奥に戻る。

やばいやばいやばいおっぱい触ってもらった、うへへへへへへ…♪

事故でもこれはすごい第一歩だよ…うへへ~…おかわりだし同じ位でいいかな?

 

「はい♪おかわり♪」

「ありがとな、うめぇ」

「ほんたーい?あーだめだこりゃ」

「えへ…えへへへ…♪」

 

がっつくお兄ちゃん良いなぁ。ケッコン出来たら毎朝こんな風になるのかも…♪

 

 

――――――――――――D08基地司令室・おやつ時

 

 

「はい、おやつにミルクプリンどうぞ」

「おう…」

 

おやつ時ってわけで疲れ気味な頭のために糖分をどうかなって思って甘いものを作ってきた。

お兄ちゃんはそんなに好き嫌いは無い。食べれるものなら食べるって感じ。

 

「どこ見てるのー?」

「あー…いや、なんでもないぞ?」

 

ミルクプリンと言ったらまっさきに私のおっぱいを見たのはどうなの?

聞けば慌てて目を逸らしてるけど…ちらちらと谷間を見てるのバレバレだぞ?

 

「そんなに見たければじーっと見てもいいって私は常々言ってるよ、はい♪」

 

私は身長がちっちゃい。そのお陰で机に座ったお兄ちゃんと目線は比較的合いやすい。

じゃあそんなのだからちょっと顔を掴んでぐっと寄せたら…すぐに密着できるの。

笑顔で頬に手を添えてちょっと下を向けさせて…ってして私が精一杯背伸びして寄る。

するとまぁお兄ちゃんの眼前には私のでっぱいがででーんと…

 

「…もちろん、お兄ちゃんがその気ならなんでもしてあげる」

「…」

「気づいてたかな?お昼私のおっぱい触ってたの」

「え」

「私、いつでも待ってるんだよ?」

 

そこまで言ってからそっとおでこにキスして離れる。

ちょっとイタズラというか攻めすぎたかな…もうちょっと攻め攻めでも…?

んー…いや、お兄ちゃんの事だし攻め過ぎたらヘタレるからコレくらいが良いか。

 

「じゃあ、お兄ちゃんはお仕事頑張ってね♪」

 

反応もなく固まっちゃってるお兄ちゃんを背に手を振ってから出ていく。

次のお料理はなーににしようかなーっと♪ヤーパン料理でがん攻めしていこうっかなー

 

 

「……もう我慢しねぇぞ…?」

 

 

――――――――――――

 

 

「おにーちゃん?ありゃ、また寝落ちしてますかー?」

 

深夜の司令室に顔をだすと副官が帰った後だ。帽子をアイマスク代わりにして寝てる。

椅子で寝るのは身体に良くないしまたお腹冷やして下痢るぞ。

コツコツと足音を立てて近寄っても起きる様子は…まったくなし。

帽子を取ってもほっぺたつついても反応なし…これはガッツリ寝てますね。

 

「よっこいしょ…ふぅ、こういうのも良いけどねー」

 

また身体を冷やす前に私室にぶち込むことにしましょう。

ぱっぱっとお兄ちゃんの電子キーでロック解除してから入り込む。

ベッドにそっと寝かせてからっと…さて、今日はどうしようかなー

とりあえず上着を脱がせて…ハンガーにかけてから考えようかな。

流石に連日は不審に思ったりするかもしれないし…普通に今日は帰って寝よう。

 

「ひゃ!?」

 

突如後ろから抱き竦められた。びっくりして身体が跳ね上がる。

恐る恐る後ろも確認すると寝てたと思うお兄ちゃんが起きていた。

 

「あ、あー…起きてた…?」

「最初から」

「えー…じゃあなんでまた…」

「俺はもう我慢しねぇから…私室に居る間は」

「うぇ?」

 

待って待って、そのワキワキとうごめいてる手はなーに?ちょっと待って。

お兄ちゃんそんな吹っ切れ方ありなのかなー?あ、いや嫌って事じゃないけど。

 

「嫌じゃないけど…その…優しく…ね?」

「善処する、もし嫌になったならもう二度と部屋に入ってくるなよ」

「じゃあ…えっと…明日もよろしく…?」

 

うわーお鼻息あらいよー…これ優しくなんてしてもらえるのかな…

そして私明日もお部屋に邪魔したらこうなっちゃうのかな…

 

 

その夜、めちゃくちゃ揉みくちゃにされて私がひぃひぃ鳴くことになった。

腰が立たなくなって結局お兄ちゃんのお部屋で眠ることになった…

お兄ちゃんの遠慮というのが私限定でなくなった…記念すべき一日だ。

ちょっと朝はお礼にイロイロしちゃおうかな…




そして指揮官プッツン。一応線引してるし踏み込んできた417が悪いんや。

下品すぎるなら感想で言って。


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Day102 一歩進んだ私達

指揮官と417大暴走の巻


ん…朝だ…何時もと違う場所で目が覚める。あぁそうだった昨日は…

 

「…えへへ」

 

隣を見ると愛おしい人が眠っている。昨日は散々私のおっぱいを堪能したお兄ちゃんだ。

ただまだ線引をしてるのか私を押し倒すようなことはしなかった…

結構我慢してると思うけどそれをおっぱいへの情熱に変えて私にぶつけてきていた。

まだまだ寝ているみたいでヤーパン人の血が濃ゆい童顔でかわいい寝顔を見せてる。

こうやって朝からじっくり寝顔を見たのは始めてかもしれない。

だけど別にやましい事はしちゃぁいない。まだ私とお兄ちゃんは男女の関係ではない。

さてと、さっさと起きて怪しまれないように自分のお部屋に戻らないと。

 

「駄目だ」

「ぐぺっ」

 

起き上がってからベッドから降りようとした所反対側に引っ張られた。

またお兄ちゃん狸寝入りしてたの?しゅみわるーい…

というかさっさと起きないとMk23が突撃してきてバレちゃうんだけど?

そんな私に対してお兄ちゃんは関係ないって感じで抱きしめてる。

んー…首筋に鼻息があたってくすぐったいなぁ…それに昨晩のを思い出しちゃって…

 

「夜まで待てないの?」

「朝のおっぱい分…」

「しょうがないなぁ…」

 

お兄ちゃんは朝思いっきりセクハラすることで日中の平静を保ってる。

つまりは朝それが出来なかったら思いっきり暴走することになる。

多分私がここで断ったらどんなことになるかは…お察しの通りかも。

実際抱きとめてる手がだんだんと下へ降りてきていていつおっぱいにたどり着くかって所。

Mk23に毎朝してる朝の挨拶を私にしようってしてるんだろうね。

特に私から断る理由なんて無かった。しょうがない…なんて言いながら私としては嬉しかった。

大好きになった人に求められているのは女冥利に尽きるっていうか…

 

「ふっ…ぅ…ぅぅん…ん…んんっ…」

「ふへ、へへへ…このボリュームたまらん…」

 

眼下に映るのは素手で私のブラごと揉み込んでいる掌。

本当にお兄ちゃんはおっぱい好きだ。よくここまで我慢してたと思う。

この後にさらにMk23のも揉むから日中暴走することはまちがいなく無い。

でも、もどかしい…声はあげちゃ…バレちゃう…いけないことをしてるみたいだ。

私としては嬉しくて嬉しくて仕方ないのに…どうしても我慢しなくちゃいけないんだ。

嬉しそうに揉んでいるお兄ちゃんの顔だって見てて嬉しいのに…キスだってしたいのに。

 

 

――――――――――――

 

 

結局解放されたのはMk23が転がり込んでくる数分前だった。

その頃には私も腰が抜ける一歩手前でフラフラとしながら出ていくことになった。

ちょっとした後にMk23の猫撫で声が聞こえてきた。まぁ私と同じで揉みまわされてるんだろうな。

私と違って掌にちょうどいいサイズなのがポイント高いって言ってたっけか。

私のおっぱいはまだ味わったばっかりだけどやみつきになる圧倒的なボリュームと柔らかさとハリを兼ね備えたおっぱい…だって。

今度お姉ちゃんをけしかけてやろうかな?どんな判定を貰うか楽しみだ。

私だけじゃちょっと不公平だと思うし…お兄ちゃんだって我慢する必要なんて無いんだしさ。

こういうのはやっぱり公平じゃないといけないと思うんだ。けど…どうしよう…

まぁその前に私はさっさと農業しに行かなくちゃ…あぐちゃん達がせっせと働いてるはずだ。

あと文句言うから地雷妖精も叩き起こしてから行かないとなぁ…

 

「ほら起きて、農作業行くよ」

「ん~でっかいすいか…」

「私のおっぱいはスイカちゃうわ」

 

補助アームが私のおっぱい目掛けて伸びてきたからはたき落とした。

いや、揉んでもらった後なのにそんなので余韻を吹っ飛ばすつもりない。

着替えちゃいないけど別に怪しまれることはないだろう。へーきへーき。

 

農場につけば案の定働き者なあぐちゃんがぴょっこぴょっこと跳ねて土をイジっては水やりしてってしてた。

地雷妖精も負けじとホログラム上で麦わら帽子被ってから土いじりに入った。

じゃ、私もぼちぼちお仕事しましょうか。スコップとじょうろはっと…

 

「おはよー、スオミ」

「おはようございます。さぁ張り切っていきましょう!」

「ん、頑張ろうか」

 

早朝の作業が始まる。幸いにもこの頃には身体の制御系も復活していた。

もう怪しまれるようなことは無いぜ。ふぅ…あ、そういや今日新しいサイズのブラとかが届くんだっけか。

このちっこいサイズのブラはどうしよう…廃棄してもらうのが一番なんだろうけど…

んー…もったいない気がしないでもないんだよなぁ。あと工廠のメカマンに渡すとナニをしでかすか…

こうちょろまかしてから自家発電の材料にしないかとちょっと不安があったり。

 

「スオミは良いよね、太ってないから」

「喧嘩を売っているなら買いますよ?」

 

おーぅすごいいい笑顔で拳を握られた。これは二の句を継げばグーパンが飛んでくるやっちゃ。

スオミはちょうどいいおっぱいだしそれよりお尻のラインがすごくエッチだと思うんだけど。

 

 

――――――――――――D08基地共有スペース・昼

 

 

「417、お前何かあっただろ」

「うぇ?藪から棒になーに?」

「妙に浮ついてる、お前の浮ついてる時の癖が出てんだよ」

「うっそ…」

 

お掃除に精を出していたら兄さんからいきなりツッコまれた。

うーん…まぁ伊達に二十年近く傍に居ないか…私の事はまるっとお見通しらしい。

んー…でも正直に話すつもりは無いかな。確かに嬉しいことが続いてるけど…

 

「まぁ深刻そうじゃないが…あんま変なことすんなよ。いつだってお前はバカをやっては叱られてきたんだからよ」

「うっさいなぁ…別に不利益な事はしてませーんよーだ」

「そういえば416に聞いたが昨日の夜戻ってないらしいな。どこに居た?」

「え?お姉ちゃんが?」

 

あー…やべぇそういえばお姉ちゃんって盗聴器仕掛けてる勢だったか。

って事は私が朝チュンやらかしているのはバレてるか…んー…どうしよう。

流石に2日連続して朝チュンして…あ…あの声とかも聞かれてたり?

やべぇやべぇ…乙女同盟に報告されたら私が血祭りにあげられる…

朝からぽやぽやしてた頭が一気に冷えてくる…これはマズいことをしたぞぉ…

 

「冷や汗出てるぞ、おい」

「な、なななな…なんのことかなぁ?ちょっとお姉ちゃん所に行ってくる」

「そうね、417私からも話があるの」

「ぴゃぁぁぁああああ!!?お姉ちゃん!?お姉ちゃんナンデ!?」

 

ぽん、と肩に手が乗っていた。振り返ればお姉ちゃんが無表情で突っ立っていた。

まるで私を待ち構えていたかのようだった…あーこれは詰みましたかね…?

お掃除もそこそこに私はそのままスペース中央のテーブル席に座らされた。

 

「で、指揮官と何があったの?」

「えー?朝まで添い寝しただけだよー」

「……白を切るつもりね?」

 

そう言って突き出してきたのは一つのボイスレコーダー。再生を押すと流れてきたのは…

ぶっ…私の喘ぎ声じゃないか…あー!夜は誰も居ないと思って思いっきり…!

 

「………もう止めて」

「本当のことを話しなさい、何があったの?」

「夜にお兄ちゃんのお部屋で目一杯揉まれてきました…」

「うらやま…それで?」

「夜、私限定でお兄ちゃんが我慢しなくなりました…」

「ふぅん?」

「とっても嬉しかった…えへへ…」

「そうね、その笑顔は間違いないわね。ちょっとお姉ちゃんも今夜殴り込んで良いかしら?」

「えー…それはお兄ちゃんに」

「良・い・わ・ね?」

「………ハイ」

 

やべぇ…これ拒否ったら私がシメられる…お兄ちゃん悪いけど今日はお姉ちゃんも一緒やぞ…

 

 

――――――――――――

 

 

「それにしても今日の指揮官着任当初みたいな空気だったわね」

「そうですねー…FALのおっぱいガン見して隙きを見ては揉もうとしてましたしね」

「思わず蹴ったけど…あのまま受け入れてても良かったかしら?」

「風紀が乱れるから止めましょうよ…あと私の胃が保たないんで…」

 

食堂に行っていたらしいFALとステンのコンビがそんな事を話していた。

ふぅーん…お兄ちゃんが地味にセクハラ魔神に戻りつつあると…

良くない傾向かもしれないな…我慢していたのがしなくても良いってなって暴走気味なのかも。

今頃バーで飲んだくれてるかな…お姉ちゃんと一緒に担いで私室にぶち込むかな?

 

「やっほースプリングフィールド、お兄ちゃん居るー?」

「417、あそこ…バーで突っ伏してるわ」

「わーお…」

「416さんに417ちゃん…指揮官なら先程珍しく酔い潰れてしまったんです…私室に運んでくれませんか?」

「「了解」」

 

まぁなんというか…予想を裏切られたというか…でも多分これタヌキ寝入りだと思うんだよね。

私室の合鍵でさっくりと開けてっと…さぁどうしようか…タヌキ寝入りなら起きてるし襲いかかってきてもおかしくない。

 

「417、いつ指揮官の部屋の合鍵なんて入手したの?」

「うぇ?あー…お腹こわした時とかに看病したしよく寝落ちしてるんだよね。私が運ぶことが多いから貰ったの」

「……なるほど」

 

一度外にでてから仕切り直すか?と私がドアを開けようとしたの。

 

「あれ?鍵が…」

「んんんん~!?」

 

なんか嬌声染みた悲鳴が聞こえたな?振り返ってみてみればお姉ちゃんにディープキスかましてるお兄ちゃん。

しっかり片手はおっぱいを鷲掴みにしてるしブレねぇな…まぁ私と一緒に来てる時点でお察しだったのかな?

で、お姉ちゃんはいきなりのディープに気絶…次の標的とばかりにお兄ちゃんの目線は私達のおっぱいに目が行ってる…

鍵はタイムロック制で内側からは開かない仕組みになっていたらしい…図ったなお兄ちゃん。

 

「無関係な416まで連れてくる悪い子にはお仕置きをしなくちゃいけないな?」

「お姉ちゃんだってお兄ちゃん好き好きなんだから喜ぶと思って…」

「言い訳は無用」

 

とは言ってもまずはお姉ちゃんをベッドに寝かしつけてから…

それまではお兄ちゃんも待ってくれたが待たされた分か…お仕置きという部分なのか…

昨日の晩に比べてもえらくがっついておっぱいを揉み回してきた。

気がついたら私もベッドの上に寝かされていた…上半身素っ裸で…下は!?あぁ使われた形跡なし。ちぇっ。

隣を見れば寝てるお兄ちゃんの顔が見えたし…これは朝のお食事たーいむ…

ちょうどいいや…挟んですりすりしてあげよっかな…どうしよう?




でもまだ大人の階段を登れない指揮官君であった。
そろそろちょっと…ゴールインも考えてるのじゃよ…

おめーら赤飯の用意をしておけよ?


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番外 This is D08's Answer

いえーい今回はドルフロほんへと変わらない薄暗い雰囲気とフロム脳が売りの「報酬全額前払い」氏のNo Answerとのコーラボー



「今日のお客さんってだーれ?」

「んぁー…あぁ、S03地区の人形だな」

「S03?あぁ、放射能の雨の地獄か」

「事実でもそれはお口チャックな?」

 

先程連絡を受けてもうすぐ着くらしい。今日のお客さんは別基地の人形だ。

放射能の雨が降ることで有名なS03地区の人形達。はてさて?

予め喜ばれるだろう飲料水の類を用意してから待ち構えている。

 

「準備は出来てるんだろうな?」

「もち♪G36も張り切ってたから歓迎の料理も出来上がってるよ」

「そろそろ来てるはずなんだが…門番の連絡ではもう来てるんだが…」

「代表者が来るのかな?」

 

門番の情報は…車での来客あり、人形4体。S03地区所属のFAL、Vector、Five-seveN、ナガンの4体。

FALとVectorは視認範囲で散策しているのを確認中。

挨拶もなしにもう基地をブラブラ歩き回ってるのはどうなんだ?

まぁ良いや、時間的に余裕があるなら普通に飯だけでも食って行って欲しいけどね。

 

「ここが司令室か?おぉ、ここがそうか…お初にお目にかかる、S03地区所属のM1895ナガンじゃ」

 

おぉ人がいい感じのナガン…普通な感じ。S03ってすごくアレな人形が跋扈してるって噂だけど。

普通にお兄ちゃんもそんなナガンに気を許して手を握ってる。

その後ろには身長の高いHG人形、Five-seveNが待機してるが…なんだ?

すごく見る目が変というか…見たことのないたぐいの目つきをしてて怪しいんだが…

 

「それではこちらに赴いた要件をはな」

「ちょっと良い事しましょ?それで色を付けてくれたら」

「黙らんか」

「ゴッ!?」

 

あの豊満バストを出そうとした所目にも留まらん早業でナガンがリボルバーのグリップでこめかみぶっ叩いた。

すごい音してFive-seveNが床に沈んだ…いや、マジ何事?

 

「今S03基地では新たな補給路の開拓を模索しておる」

「ははん?S04の黒い噂はマジか?」

「話が早くて助かるのぅ、最悪水だけでも良い協力してはくれんか?」

「タダでやるつもりはない…見返りはあんだろうな?」

「そうじゃのう…指揮官と協議してもらうのが一番ではあるが…外部からのこの基地を取り巻くキナ臭い情報はどうじゃ?」

「情報は金だな…よし、分かった他は何か必要か?」

「それはまた後日改めて伺うことになっておる、恐らく指揮官が直接要求するじゃろう」

「分かった。この基地の連絡先を伝えておく、連絡をくれ」

 

おぉーすごく真面目な交渉が行われている。S03はどうやらS04にピンハネされてる噂は本当だったらしい。

で、こうしてD08地区に来たのはそんなS04を介さない補給路の開拓か。

最悪水だけっていうのがかなり必死と思う…まぁ一番大事な物資だしね。

 

「そういえば放射能の雨が降るんだっけ」

「左様、故に安全に使える水が必要なのじゃ」

「所でそこで伸びてる…」

「言うな、起きれば何をしでかすかわからんからそのまま捨て置け」

 

えぇー…何このギスギスした間柄…まぁあの初動からして碌でもないと思うけど。

 

「にしても良いおっぱい」

「ふんっ!!」

「いってぇ!!何すんだ!!」

「つーんだ」

 

お兄ちゃんが思いっきりあのおっぱいに鼻の下を伸ばしかけてたから足を踏み抜いた。

 

「で…じゃが、ちと一つ頼みがあるんじゃ」

「はいはい、なんでしょう?」

「甘い物はないかのぉ?」

 

甘い物か…歓迎の食事の中にあったっけか?いや、私個人が作ってたお菓子があるか。

クッキーにシュークリーム、ケーキ…マフィンにプリンとあんまり保存が効かないものばっかりだな…

まぁ無くもないから私のをお裾分けするとしましょう。

 

「何でも良い?」

「うむ」

「じゃあちょっと待ってて、とびっきりのを用意してあげる♪」

 

じゃあちょっと兵舎に戻ってっと…お菓子を取って戻る。

途中で兵舎の方を見ると煙草を吸ってるFALと主任を見た気がする…

なんか話し合ってるけどなんだろうか…あ、イサカが潜んでる。

あーあ、あれはまた浮気みたいなことしてキレさせたな…私しーらない。

 

 

――――――――――――

 

 

「あのウサギちゃんやばくない…?」

「お前も…?」

「ほへぁ~…」

「うふふふふ♪」

 

起きたFive-seveNがどこかへ行ったかと思ったけど…工廠に行ってたのか?

ツヤツヤした顔で囲まれてるし…何をしたんだ?あの童貞達だしあの色仕掛けみたいなので落としたか?

ナガンには持てるだけお菓子を持っていったら普通に喜ばれた。

 

「さて、S03の人形諸君遠路はるばるよく来てくれた。細やかながら食事を振る舞いたい」

「……」

「……」

「ほう、これはこれは…」

 

若干二人がすごい無表情なのが怖いんですけどー?

苦手な食事でもあったんだろうか?いや、人形だから普通に好き嫌いは…

 

「ここでの喫煙は?」

「いや…遠慮して欲しい」

「チッ…」

 

何このFAL、同じFALでもこんなにやさぐれるか?

こっち所属のFALがこの短いやり取りを見てて信じられない目で見てる。

胸ポケットから煙草を引っ張り出して濁った目でお兄ちゃんを見てんだもん。

で、禁煙と知るや否や舌打ちしてからポケットにしまいこんでるし…

Vectorは何を考えてるかわからないけど黙ってぽやーっとしてる。

うーん…距離感が掴みづらいが悪い人…じゃないと思う…

ナガンは普通に嬉しそうに歓迎を受け入れてくれてる。

 

「で、いつドンパチが始まるの?」

「この基地では無いみたいよ、シケてやがるわ」

「あっそ…」

「えぇ何この…何…?」

「すまん、S03の日常なんじゃ…」

 

S03どんなところだよ…食事開始したと思ったら普通にドンパチの話しし始めるし…

無いって言ったらシケてるなんて言うし…これが日常ってどういう事?

かなりの荒廃地区とは聞いてるけどどんだけだよ…私は理解に苦しむ。

申し訳無さそうなナガンがまた…常識的な感じだけどどうなんだろう。

このナガンも一物持ってるんじゃないかとすごーく懐疑的になっちゃうぞ?

 

「ねぇナガンナガン…一つ聞いていい?Five-seveNもなにか…?」

「あぁあやつは…色狂いじゃな」

「色狂い」

 

さて?色狂い?そしてメンテナンス班の若い衆がデレデレしててー?

そしてからFive-seveNの顔がすごくツヤツヤしてるー?

 

「まさか食われたか?」

「なに?」

「いや、あのメンテナンスのボーイ達がね」

「あぁ…すまん、目を離したスキにやったか…」

「性病とかキャリアーしてないよね…?」

「スマン、それは保証しかねる」

「今度の休みにアイツら病院行きだね…」

 

なんというかこの短い付き合いのお時間でS03のぶっ飛んだ感じがわかった気がする。

まぁでも平和なのは良いことだと思うんだよ…私はって頭がつくけどね。

こうしてのんびり食事してお腹いっぱいになったらちょっとはマシになってくれりゃ良いけどね。

 

「えっと…お酒は飲む?」

「えぇ、飲むわ」

「じゃあお酌しますね、どうぞ♪」

 

基地に貯蔵されてるウィスキーの数々から一つ良いやつをチョイスしてから振る舞う。

お兄ちゃんの意向でこういったお客様には遠慮なく振る舞うのがこの基地の決まり。

お酌するのは私の勝手な事だけどね。グラスが空いてるから注いでいく。

サービスしてたら何か変な目で見られたけどお酒の味にはいい感じかな?

 

「へぇ、セクハラプレイが常套の基地にしてはいい酒じゃない」

「え?」

 

 

――――――――――――

 

 

「で、よかった?」

「まぁ…お困りならちったぁ手を貸すのが人情って奴よ。腐らせるだけだし」

「じゃあこっちの地区からS03への補給路を構築するんだね?」

「おう…まぁ何か俺たちには手に負えん事があった時に押し付けれる先が出来たと思えば良い」

「そんな事起きるかなー?」

「転ばぬ先の杖ってやつだよ」

 

乗ってきた車にお土産をたんまり乗せさせてから送り出していった。

基地に貯蔵している飲料水と嗜好品の煙草と酒…あとはナガンに持たせたお菓子か。

次に行く基地がS09って言ってたけどどうなるのやら?

この基地に闊歩してるだーちゃんを撃ち殺そうとしてたりしたからなぁ…

あっちに行ったら余計暴走しそうなんだけど…どうなんだろうね?

 

「それに多分だが他の基地は前評判聞いて門前払いしてると思うからな…」

「あぁ、そういう?」

「余力がある基地が支えてやっておくのが良いだろ」

 

さっすがお兄ちゃん、甘っちょろいけどそんな所が私は好きだよ。

 

「ただ、あれだねー…お兄ちゃん」

「ん?」

「セクハラプレイの聖地なんて言われちゃったね」

「まぁやらかしてた時はやらかしてたからな…」

「あはは…じゃあ夜にちょっとやっちゃう…?」

「おう…いや、ちょっとおっぱい分補給させてくれ…」

「しょーがないなぁー…」

 

まぁ今の所限定した所だけどセクハラプレイしてるけどね…

知らぬが仏って奴だよ…まぁ主任が視姦やらかしてたらしいから悪いイメージはついただろうなぁ。




好きにしろと言われたけどそんなにぶっ飛んだことはさせれなかった。
ただメンテナンス班は主任以外残らず食われたぜ。
ちょっとはD08ののほほん空気に毒されてくれたら良いなぁ(白目)
まぁあれだよ、どうせ基地待機組がどんちゃん遊んでるのを見て白い目で見てくれると思うんだ。
手土産持たせてるからS09では機嫌いいと思うんだ。
あとは任せた。


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Day103 指揮官の選択

おめーら赤飯の用意は良いか?


「けぷ…ふぅ…」

 

朝の特別なご飯をいただいて私の朝は始まった。さて今日は休日。

私と兄さんとお姉ちゃんとG28で行くカーディーラー兼バイクショップに行く日だ。

ただ時間は決めていないし朝はちょっと寝坊してもOKだと思う。

ん?あぁお姉ちゃんが起きたのか。びっくりしてて固まってる。

更に言えば上半身素っ裸な私を見てさらに驚いてる。やっほーなんて手を振っても反応なし。

完全に電脳がフリーズしてるなぁ…でも良いのかなぁ?そんな風に固まってたら…

お兄ちゃんが起きた後そのたわわなおっぱいを揉みしだかれることになるよ~?

 

「あ、お兄ちゃんおはよー♪」

「……417、ちょっと416と並んで?」

「はーい」

 

朝日が差し込んで目が覚めたのかお兄ちゃんも眠そうに目を擦りながら起きた。

しばらく私とお姉ちゃんを見比べてからしばらく考え込んだと思ったら並ぶように言った。

なんとなく分かるけど私としては大歓迎だからそのまま従って…

起きた状態で固まってるお姉ちゃんのお隣にちょこんと座る。お兄ちゃんに笑顔を向けてね。

まぁお兄ちゃんが手をワキワキしてるのを見たら大体予想通りって所。

 

「やーん♪」

「はっ!?ちょっと指揮官なにやってるのよ!!?」

 

まぁ私とお姉ちゃんで朝のご挨拶ってわけですよ。Mk23が来るまでもなく満足しちゃうんじゃないかな?

あ、でも昨日の感じからすると調子に乗ってセクハラ魔神化するかも…

まってお兄ちゃんちょっと激しすぎ…あっあっ腰が抜けちゃう…

 

「ふぅ…よし、Mk23のおっぱい味わってからバイク乗ってくる」

「い、いってらっしゃ…ぃ…」

「すご…すぎ…」

 

元気ハツラツなお兄ちゃんに対して私とお姉ちゃんはヘロヘロになっていた。

こりゃMk23が退散するまで私達はお部屋に籠もってなくちゃいけないな…

まぁいつも行動開始してる時間って言ったらそんなに変わらないからへーきか。

さてと…私は脱がされた上着を探さなくちゃいけないな…

お姉ちゃんも揉みしだかれて乱れてる服装をなんとかしてから行動開始だね。

 

「で、お姉ちゃん的にはこういうのって公平にすべきだとおもう?」

「……二人だけの秘密にしておくわよ」

「ふーん…ま、そうしておきますか。揉まれ慣れてる私でもヘロヘロになるのにね」

「45に揉んでもらおうかしら…?」

「それはおかしい」

 

 

――――――――――――

 

 

「で、兄さんはどんな車を買うつもりなんだっけ?」

「ヤーパン系企業の生き残りだな…スポーツカー…」

「高くね?」

「ローンでゴリ押す」

 

私達そろって私服に着替えてから街までやって来ていた。私はお気に入りのゴスロリ。

取扱車種リストと値段を見比べてめちゃくちゃ考えてるよ。

私は車は別にーって感じだしなぁ。運転できて楽しければそれでいいし。

それよりBMXとかマウンテンバイクを置いてる隣のお店が気になる。

あとは現物のバイクに跨ったりしてみたかったり。私でも乗れるバイクはあるのだろうか?

現実問題として私は結構気になっていた。お兄ちゃんの後ろに乗るのもいいけど…

出来ればほら…並んで走ってみたいなーって思ってたり。

後はお兄ちゃんの満足目当てでタンデムさせてー…えへへへへー…

 

「なにかお探しですか?」

「ん、私でも乗れそうなバイクって無いかなーって」

「なるほど…ではこちらへ…」

 

お姉ちゃんとG28は揃っていろんなバイクに跨ってみて思い思いに過ごしてるな。

店員が声を掛けてきたからちょうどいいやって思ってそのまま案内してもらうことに。

私の身長の低さは折り紙付きだからなかなか困ると思うけど…

おー…背の低いバイクがズラリ並んでる。これなら私でも乗れそうだ。

値段も…あ、これとか普通に買えそう。お給料の数カ月分じゃん。

 

「女性にも人気のレプリカモデルです。DS250/Rは軽くてスタイルもよく…」

「ちなみに跨ってみても?」

「勿論よろしいですよ」

 

んー…やっぱりスカートの中が見えそうになりかねないな。

でも布地をシートに挟み込むようにしたらOKかな。脚付きも問題なし。

操作用のペダルにも足が届く。買うとしたらこれだなぁ…

 

「あ、今日はまだ決めないから…ウェアを」

「ではこちらへ…」

 

私用のヘルメットとグローブ…あとはライダースジャケットだね。

…ジャケットは最悪なしてもOKだけどさ。どうせレディース物はおっぱいが入らないし。

 

「……今度俺とデートツーリングどう?」

「はい?」

「かわいいし色気もどっかあるし…一目惚れってやつ?どうよ、がっかりはさせないぜ?」

 

おーっと店員仕事仕事ーお仕事中にナンパは感心しないぞー?

この手のやつは無視して商品だけ買ってさっさと逃げるに限るね。

正直タイプじゃない。職務には忠実な男が良いです。

 

「なぁ何か言って」

「うるさい!!これ以上その口を開かないで!職務怠慢野郎!!」

 

すっぽり嵌りそうなジェットヘルメットと革のグローブを見繕った。

ジャケットはやっぱりと言うかおっぱいが邪魔して入んないから諦めた。

商品だけ担いでお会計までダッシュ。後をナンパ店員が追いかけてきたけどお姉ちゃん盾にして睨む。

お姉ちゃんが凄むと引っ込んでいった…イーッだ!

結局お姉ちゃんもバイクが気に入ったみたいでお手頃価格な250ccのモデルを購入。

G28は特になにも…兄さんが購入した車が気になるっぽい。

兄さんはレプリカモデルの4ドアラリーモデルを購入していた。

納車までは結構時間がかかるけど…兄さんのあんなにウキウキした顔久しぶりに見たな。

 

 

――――――――――――

 

 

「あれ、お兄ちゃんもう帰ってたの?」

「……ん、まぁな」

「珍しいね、何時もだったら夜中に帰ってきて誰にも会わないままお部屋に戻ってるのに」

「ちょっと考え事して…それどころじゃなかった」

 

休日で何よりも楽しみにしてるバイクを投げ出す考え事かぁ…ふーん?

あの後私はマウンテンバイクを購入、BMXもできるから一個でいいやと思ってね。

で、帰るとお兄ちゃんが何か考えてるような顔で兵舎に居たから珍しくて声を掛けた。

 

「そのヘルメットとグローブは?」

「ん、お兄ちゃんとのタンデム用!!」

「……そうか、そうだったか」

「どうしたの?」

 

にぱーっと笑ってから見せるとお兄ちゃんがなんだか納得した様子。

考え事は決まったのかな?どこか吹っ切れた顔で戻って…あ、お姉ちゃんと遭遇した。

あ、また考えてる…ふふ、何を考えてるのかわかんないけど納得行くまで考えてね。

 

「何だったのかしら指揮官…」

「さぁ?でも珍しい行動するくらいに悩んでたみたいだから…」

「夜に押しかけてちょっと発散させましょうか」

「だね」

 

さてと、お部屋にマウンテンバイクとヘルメットとかを置いてーっと。

今日は後は何をしようかなー…夕方だけどご飯を作るかなぁ?

あ、お兄ちゃんへの夜食の差し入れになーにか作るか。何が良いだろう?

ヤーパンの携行食料と言ったらやっぱりおにぎりかな?塩振って簡単にできるし…

おかずに焼いて味付けしたお肉とか混ぜたら結構いい感じだしね。

そうしよそうしよー♪ふふふーんキッチンスペース借りてやっちゃうぞー!

 

 

――――――――――――

 

 

「おにいちゃーん…あれ?」

「居ない…?」

「ふーん…ちょっと探してくるよ、お姉ちゃんはまってて」

 

夜、お兄ちゃんとの秘事の為に姉妹揃って私室をノックしても返事がない。

中を覗いても居る気配がない。どうしたんだろうと思うけどひとまず私が探すことに。

お夜食は一端執務机にでも置いちゃえ。さてと…どこだろう?

案外ガレージの近くだったりして。休みにはあの辺りほとんど人が来ないし。

 

「いたいた、どうしたの?」

「417か…いや、そのな……あー…」

「うん、落ち着いて。言いたいことがあるならゆっくり…私は逃げたりしないよ?」

「………そのだな…端的に言うぞ。お前が好きだ」

 

………え?それって…ど、どういう意味合いでなのかな?

表情からさっする好きのニュアンスは間違いなくあの…男女の関係的なのを期待しちゃうよ?

びっくりしすぎると一周回って落ち着いちゃうのって本当なんだな…

自分でびっくりするぐらい…今落ち着いてる…信じられないって感情が渦巻いてるのに。

夢とかそんなんじゃないよね…

 

「俺はお前たち人形を部下として大事にしてきたつもりだ。色目を使った時もあるがあくまで部下としての線を踏み抜くつもりは無かった」

「うん…それはお兄ちゃんが常々言ってたことだよね」

「でも無理だ…こんなに…直向きに好意をぶつけられ続けて動かないなんて無理なんだよ…お前のことがたまらなく好きになってた」

「お兄ちゃんの好きなおっぱいだっておっきいしね」

「それもあるが…その、理想の女性像に近いんだよ、お前…家庭的で気立ても良くてエロい身体しててかわいいしよぉ!」

「そりゃぁ…お兄ちゃんの為に頑張ったもん」

「そこなんだよ…でも、でもな?俺はお前のおっぱいだけじゃ物足りなくて」

「他にもFALとか素敵なおっぱいがいっぱいだもんね。良いよ、私はそういうのに理解あるから」

「天使かよ…じゃあだけどよ…重婚するかもしれないって言っても」

「私はそれでも構わないよ…お兄ちゃんの後悔しない選択をして」

 

一気にお兄ちゃんが吐き出したのは告白というより胸の内をさらけ出すようなものだった。

お兄ちゃんの中にあった意地と本能がぶつかりあっていたんだろうな…

うつむくお兄ちゃんの顔をそっと両手で包んで…こっちを向かせる。

そっと…触れ合わせるだけだけど明確な好意の印、キスを交わして…

 

「私も、お兄ちゃんの事愛してるから…ね♪」

「………」

「でもさ、一つ良い?」

「なんだ…?」

「もし、私のAIが元人間、男のものだった…なんて言ってもどう?」

「知らねぇよ、俺はお前が、今ここに居るHK417って女の子が好きなんだからよ」

「そっか…変な質問してごめんね。じゃあ…今夜もお姉ちゃんとでお相手するよ?」

「416も…そういや2つあったな」

「んー?」

「いや、何でもない…」

 

この後遠慮なく私とお姉ちゃんはひぃひぃ言わされた。

私なんかは壁に押し付けられながらキス混じりに責められて耐えたほうだけど…

やっぱりお兄ちゃんには勝てそうにない…ぐずぐずにされてベッドに寝かされてた。




まぁ普通にこんなに好き好きされて惚れないほうがおかしい。
鈍感系主人公?はっ(失笑)


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Day104 誓約

メス堕ち結婚ダブルピースENDのRTAは96日になりました。お疲れ様です。
後は惰性のゆるゆる夫婦日常なのでどうぞお構いなく。


――――――――――――D08基地指揮官私室・早朝

 

 

「ん…朝?」

 

起きようと思って身体を動かそうとするけど動かせない?

なんでだろうと思ったら身体に回されてるので納得…隣で寝てるお兄ちゃんが私を抱きしめてる。

さらにそんなお兄ちゃんをお姉ちゃんが抱きしめていてスゴイことになってる…

うーん…これは壮観だけどこのまま抜け出すのは…難しいか。

多分無理に抜けた時点でお兄ちゃんが起きちゃうな。じゃあお兄ちゃんが起きるまで寝顔を見ておこうかな。

あの告白は間違いなく夢なんかじゃない…私とお兄ちゃん…両思いなんだ♪

嬉しい…いつにも増してお兄ちゃんの寝顔が愛おしいな。ずっと見ていたいくらい。

ちょっとくらいキスしても起こさないかな…や、やっちゃえ…

 

「んー…んっ!?んんんっ!!」

「ちゅ…じゅるぅぅ…ぷ…」

 

目を閉じてそーっと口づけしたつもりだったんだけどお兄ちゃんの腕が俊敏に動いた。

私の後頭部を押さえて逃げれないようにしてからいきなり舌が入り込んでくる。

びっくりするけど噛まないように堪えて目を見開く。するとお兄ちゃんのイタズラ成功…みたいな顔が…

私達に負けないくらいお兄ちゃんもかなりの早起きだったみたいだ。

いき…出来ない…やだ、すごく身体が熱くなってくる…キスだけですごぉぃ…

 

「ぷはぁ…おはよう、417」

「……ふぇぇぇ」

 

たっぷり私の事を蹂躙した後お兄ちゃんは開放してくれた…

だめ、朝からもうヘロヘロ…本当に遠慮なくなったなぁ…

 

「……お姉ちゃんにもしてあげたら?」

「そうだな…おい、起きろ416…いや、眠り姫?」

「きざったらしいなぁ…」

「ふぁ…なに…んっ!?んんんん~!?」

 

おーぅお兄ちゃんはお姉ちゃんも好き好きなのかなー?これまた容赦ない。

でもそんなに激しくないな…私に比べてちょっと勢いが無いっていうか…

あぁ電脳がフリーズする一歩手前を見極めてるんだ。

しかしまぁなんというか…お兄ちゃんがキザになったなぁ。

さてと…それじゃあボチボチ起き出してから朝の活動といきましょ?

あ、お兄ちゃん待って今揉まれたら私マジで腰が…!あっあっ…

みっちり揉まれた上さらにキスまでされて姉妹揃ってベッドの上の置物になってしまいました…

 

「ねぇ…お姉ちゃん…」

「なによ417…」

「このままだとおっぱいだけでイッちゃう変態人形になっちゃうよ…」

「大丈夫よ…もう立派な変態人形よ…」

「そんなぁ…」

 

 

――――――――――――

 

 

今日の服装は童貞殺しの服できーめたってしてお部屋から出たときだ。

珍しくお兄ちゃんが進んで私を誘ってタンデムツーリングに出かけた。

しかも知ってる道じゃない…お兄ちゃんも端末でマップ確認しながらだ。

一体何がどうなってるんだろうか?そもそも兵舎に訪れることが珍しいし…

なんだか皆に見せつけるように私の手を引いてバイクに乗ったからなぁ。

いつものバイクジャケットじゃなくてカジュアルな服装だし…

山の奥の奥へと続いて居る道を行く…寒い時期を越えてようやく芽吹いてきた花が迎えてくれる。

こんな景色がまだ残ってるなんて…感動すら覚える…

お兄ちゃんもこの景色には想う所があるみたいで時折頭が横へと向いてる。

晴れ渡った空も私達や花を祝福してるようで…心地いいな。

これこそ絶好のツーリング日和ってやつだね。あー私もバイク欲しい。

 

「ここだ…」

「おぉー!これは…サクラ!」

 

目的地にしていた場所に着いたらしくお兄ちゃんがマシンのエンジンを止めた。

そしてその先…肩越しに見ると大きな桜の木が植えられていた。

自然豊かなD08地区でも珍しい…満開の淡いピンクの花びらがきれいだ。

下りてから近づけば頭上からひらひらと花びらが舞い落ちてくる。

ヤーパンの人たちはこのサクラを見て美しさと短命な花の儚さを感じていたんだって。

初めて見たけど…これはスゴイ…一目で虜になっちゃうよこんなの…

 

「なぁ417」

「なぁ…に…?」

 

声を掛けられて振り向く。いつになく真剣な顔をしたお兄ちゃんがそこにいた。

静かに跪いてポケットから何かを取り出した…え?これって…

 

「恋人ってステップを踏み越えてるのは分かってる…でも、もう俺は我慢できん…417、結婚してくれないか?」

 

黒い小箱から顔を覗かせたのはシルバーリング。所謂結婚指輪だ。

そしてお兄ちゃんの言葉が意味するのは…私への求婚…?プロポーズ?

 

「あ…え…ご、ごめん…ちょっと…まって…」

 

嬉しい、すごく嬉しいのにボロボロと涙が溢れてくる止められない!

嫌じゃない、すごく嬉しいのに全然涙が止まってくれない…

 

「いやだった」

「イヤじゃない!!」

 

大きく頭を振ってイヤなんかじゃないのを伝えても涙が…えと、こういう時は…

どうやってお返事するのが良いんだっけ…手を差し出せばいいの?それともうなずくの?

 

「ふぐ…ぅ…わ、私なんかで良いなら…貰って…?」

 

泣きじゃくりながらおずおずと左手を差し出す。お兄ちゃんも緊張してか…手が震えてる。

私の左手を取って薬指にそっと…リングを嵌め込んでくれた。

山風が吹き桜の花びらがひらひらと舞い狂う中…私とお兄ちゃんは夫婦となった。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・昼

 

 

「あー諸君、休みなのに集まってもらってすまん。重大発表だ」

 

お家に帰り着いてからダーリンが基地の全員を食堂に招集した。

まぁ…十中八九結婚報告だと思うけど…荒れそうだなぁ…

皆揃って何だ何だって顔…いや、お姉ちゃんだけ知ってる顔だからなんとも…

 

「好きな人形が出来た」

 

この一言でみんなざわつくが隣に立ってる私に注目が行く…うん、まぁそうだよね。

FAL達からの視線が殺意混じりになって怖いんですけど…まぁまって。

 

「その人形と俺は結婚することにした。417だ」

「ちょっとぉ!417抜け駆け!!?」

「あ、ま…まぁまだ話しがあるから…ね?」

 

殺戮ガチ勢の殺気には私はタジタジ…ダーリンの影に隠れてお話を催促する。

 

「…ついでに言えば重婚の用意がある。言うなれば側室って奴だ」

 

重婚というワードにLove勢がまた騒ぎ出した…まだチャンスがあるって。

私に対する殺気も幾分和らいでホッとする…女の子磨けば娶ってくれるよ。

 

「侍らすってつもりは無いんだが…こんな俺を支えてくれるなら俺は気持ちを尊重したい」

「だ、だから…ね…ダーリンの事が好きなら女の子磨いてアピールして…」

「いや、俺の給料を前借りしてでも指輪を渡す…俺なりのけじめだ」

 

ここまで言ってダーリンは頭を下げた…FAL達の目の色が変わったな…

まぁ諦めるつもりは毛頭なかったんだろう。寝取ってでも…って感じ?

 

「なぁ指揮官よ。一つ良いか?」

「なんだ、清掃員ウィルバーガンツ」

「417と結婚するのは良いが絶対泣かすなよ。泣かしたら地の果てまで追いかけてでもボコボコにするからな」

「約束しよう、惚れた女を泣かすつもりは無い」

 

こうして一波乱ありそうで…無かった結婚報告は終わった。

あ、でもこれ私とダーリンの事社内報にも載るよね…うわー恥ずかしいようななんというか…

 

 

――――――――――――D08基地HK417私室・夜

 

 

「邪魔するぞ」

「うん、ようこそ…ダーリン」

 

今日は何時もと逆に私のお部屋にダーリンを招待することにした。

私はパジャマ代わりのタンクトップにホットパンツ姿ってラフな格好。

お風呂上がりで匂いとかのケアもバッチリ…ダーリンもお風呂上がりみたい。

お互い肌に赤みが差していて色っぽい…なんて思ってたりして。

 

「いきなり結婚を申し出て受け入れてくれてありがとうな」

「んーん、気にしないで…私はそもそも大好きだっていつも言ってたじゃん」

「それでも恋人ってステップも大事だと思うだろ?それをすっ飛ばすのは…」

「言いっこなし、だよ♪恋人みたいなことは…ほら、ここ数日毎晩やってたじゃん」

「あれは…そうなのか?」

「そうだよ、女の子は好きな人以外にはそう安安と身体を明け渡さないんだぞ?」

 

ベッドに腰掛けてダーリンに寄り添いながら言葉を紡いでいく。

お互いの体温を感じて身体を感じて…どちらともなく手を握って微笑み合う。

 

「その…さ。私達結婚したんだよね?」

「そうだな…」

「ハネムーンじゃないけど、結婚報告とかしにお出かけしない?」

「どこまで?」

「S09地区、結婚式に参列したあの基地。結構お世話になってるじゃん」

「あぁ…それもそうだな…新婚同士話しもできるかもしれんな」

「でしょでしょ!」

 

これから、私達も幸せになっていくんだ…ずーっとずーっと…

 

「じゃあ、電気を消すぞ…」

「あ、うん…そのぉ…」

「俺だって初めてだが…頑張るから」

「うん…来て…」

 

暗がりになった私のお部屋。いつもは私とG28くらいしか使わないベッドの上…

私と…私に覆いかぶさるダーリン…蜜月のような夜は始まったばかりだ。

 

途中で隣から壁ドンを食らった。




417ゴールイン…くぅー長かった…指揮官書き出した時点で落着点はこうしてたんですよ。
まぁ当初の予定と異なってこれでEndとはしませんよ。
ネタ切れになったら日刊は途切れるけどそれは勘弁な?

そうそうR18が読みたいなんて紳士が居たので書き上げたぞ。初夜の詳細だ。
https://syosetu.org/novel/188416/


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Day105 結婚報告

昨夜はお楽しみでしたね。今日は二本連続なんじゃよ
そのかわり月曜0時は無いと思えよ。執筆が間に合わんかったんだと思ってアキラメロン


ん…朝か…さてと、今日は…んん…まだちょっと違和感があるなぁ。

あ、そっか…あのまま寝ちゃったからだったか…朝までずーっと元気なんだから。

はぁ…すごかった…でも、これが毎日続くんだよね…私、幸せすぎて死んじゃいそう。

抱き合って寝てるダーリンの胸板に頭を擦り付けてから今の幸せを噛みしめる。

左手の薬指にあるのは間違いなく贈られた結婚指輪…私の幸せの証。

 

「起きて、ダーリン…もう起きてるでしょ?」

「チッ…バレてたか」

「何度も狸寝入りしていたら分かるよ?その…今日からもよろしくね」

「まぁ変わらずよろしくな。ちょっと執務中に我慢できなくなるかもしれないけどさ」

「ふふ♪それはなんとか時間を見つけて発散しよ?我慢する必要は無いんだから」

 

ダーリンにお洋服を着せて…私のお着替えも手伝ってもらって…今日は制服じゃなくてバッチリ決まったゴスロリ!

いつもと変わらないようで大きく変わった私達の朝が始まる。

時間が許せば私がそのまま手料理を振る舞いたいけれど…今日はちょっとお出かけ。

まぁまだお付き合いは浅いけど色々お世話になってるし…交流もある基地へ結婚報告ついでに旅行することに。

名目上は出張って形になってるけどね…勿論移動方法はバイクです。

私達夫婦が結ばれる瞬間も見守ってくれたかっこいいバイクですもの。

 

「ねぇダーリン、一つわがまま良い?」

「なんだ?言ってみろ」

「いつかでいい、ウェディングドレスを着てみたいな…貴方の隣をそれで歩きたい」

「は?好き…今すぐI.O.Pに連絡して作らせる…」

 

式を執り行うかは今の所わからない…やらなかったとしてもそれは構わない。

けれど…やっぱり女の子としては憧れないわけじゃない。ふと部屋に置かれている写真立てを見る。

大勢の人に囲まれる二人の少女、着飾っているウェディングドレス…

私も参列したあの幸せな式を見せられて…綺麗なドレス姿を見せられて憧れないわけない。

でもI.O.Pに作らせるってなったらちょっと費用が嵩まないかな?

まぁそこはダーリンの稼ぎを信じておきましょう。何時でも良いしね。

 

「ほら、朝ごはん食べに行こ?」

「その前に…朝の挨拶な」

「ん…しょうがな…んんっ…」

 

いつものように揉みくちゃにされるのかな…なんて思ったら普通に唇を塞がれた。

そのまま抱きしめられて…すごく普通な夫婦としての朝の挨拶だった。

 

「おはよう、417」

「おはよう、ダーリン。今日もいい一日にしようね♪」

 

ダーリンの片腕に抱きついてから手を繋ぎ合わせる。指も絡めあわせて…

起き抜けなスオミに目撃されて冷やかされた。もういーもーん、私達夫婦ですしー

 

兵舎を出ると職員用の宿舎から出てきたイサカ夫妻と鉢合わせに。

お互い似たように夫婦寄り添って出てきたからどっちともなく空気を察する。

この基地の夫婦は揃って夜を愉しんだ後みたいだ…イサカもツヤツヤしてる。

 

「やっぱりイサカは…プレイって?」

「お互いダーリンはおっぱい好きでしょ、決まってるじゃない」

「あー…やっぱりか」

 

隣り合って歩くとその手のお話が勃発する。それとなくダーリンに目を向ける。

押し当たってるおっぱいと私の顔を交互に見てて隠す気全くなし。

向こうの旦那様を見てみればこっちとそう変わらない…けど視線がこっちにまで飛んできてる。

 

「今日はカウンター席で食べよ?」

「そうだな…やりたいことあるし」

「んー?どんな事?」

「見せびらかし行為だな。俺だけの417だし」

 

 

――――――――――――D08基地食堂・朝

 

 

「はい、あーん♪」

「あー…ん、美味いな」

 

夫婦連なってカウンター席に座って自分達だけの世界を構築する。

FALやわーちゃんの嫉妬の目線がすっ飛んできてるけど…臆したら負け。

何だかんだお兄ちゃんの方も受け入れ体制は整えるつもりらしいけど…

新婚ほやほやな間くらいは人目を憚らずイチャイチャしたいらしい…

その結果が私とのあーん合戦。食事スピードは格段に落ちるけど…これは楽しい。

ダーリンの方は自分の口に含んでからキスで食べさせてくる…口移しだ。

 

「指揮官良いよなぁ…この基地きっての家庭っ子を嫁にかぁ…」

「可愛さにエロさが何か加わってたまんねぇな…」

「俺もあんな嫁欲しい…春田さんに告白してくる」

 

一番の難攻不落と言われていたダーリンが私に落とされた。これが結構大きい。

他の職員もそれぞれ結婚願望が強くなってきてるみたいだ。

私達のイチャつきを見ていたメンテナンス班の子もそれぞれ欲を見せてる。

でもスプリングフィールドは残念かな、ダーリン狙いの一員だから振られると思うな…

そもそも今ダーリンの側室狙いな人形は何人居るんだろうね?

初手塩対応だったG36も狙いに変わっていたらお笑いだったりするけど…

 

「明日は朝のお食事から私の手料理振る舞うから…楽しみにしてて?」

「へへ、そりゃ楽しみだ」

 

食べさせ合いっこで進む食事だけど…やっぱり私の手料理じゃないのが気に入らない。

昨日は夜中全然時間なかったから仕込みとか出来なかったからだけど…

仕込みをしてたら朝の短い時間でぱっぱっと作り上げてから美味しい手料理たべさせるの。

んー…明日から食堂のお料理は二人分カットしてもらおうかな?

おや?ダーリンのほっぺたに米粒付いちゃってる…ふむふむこれはあれですね?

 

「ダーリン、ちょっとこっち向いて」

「なんだ?」

「んっ…ご飯粒ついてたよ」

 

キスついでにご飯粒を貰ってからニッコリ微笑むの。

これにダーリン撃沈してから突っ伏したからしばらく再起不能だな。

じゃ、空いた食器は私が下げておきましょう。恥ずかしがるダーリンもかわいいなー♪

 

 

――――――――――――

 

 

「あー…この場所は…」

「おう、俺がいつも走りに行ってる場所さ…」

「あのパワフルおじいちゃん達にもお世話になったねー」

「……まぁそうだな」

「ダーリン?」

「絡まれたくはねぇが…」

 

私が買ったヘルメットとグローブつけてからダーリンの愛馬に跨がりレッツゴー

基地を離れてS09地区に向う最中だ。一休みって事で立ち寄ったのは例のライダースポット。

二人分のヘルメットをミラーに引っ掛けてから休憩にベンチに座る。

相変わらずおじいちゃん達が屯していて賑わっている。それ以外にも若者も居る。

私達みたいなカップルのライダーも数少ないが居るみたいだ。

 

「おやおや、ようやく彼女を連れて来おったか」

「げ…爺さん…」

「ほっほっほっ…お嬢さんや元気にしておったか?」

「あぁ、あの時の…はい、元気にしていましたよ」

 

ダーリンにとっては顔馴染みになったみたい。おじいちゃんが話しかけてきた。

寄り添ってる私を見て彼女なんて言ってるけど…もっと進んでますけどー?

 

「ま、いっか…コイツは彼女じゃないです」

「またそう言って…どっからどう見ても」

「嫁ですよ、嫁」

「ほほぉ?なるほどこれは1杯食わされたな」

 

肩を抱き寄せられて堂々と嫁宣言されて恥ずかしい反面嬉しい…

どちらともなく見つめ合ってから微笑みあって見せるとおじいちゃんも納得みたい。

片思い状態だった時に話してたから私の反応からしてまぁ…私の心情は察してと思う。

 

「ワシがもう少し若ければのぉ」

「残念だけど私はダーリン以外に靡くことはありませーん」

 

いつぞやみたいに中指立てたりはしないけど舌を出してからダーリンに抱きつく。

私はこれからずっとダーリン以外の人なんかには靡くつもりはない。

あとおじいちゃんが少し若くてもどうせおじいちゃんだからね?

私におじさん趣味なんて業が深いものはありません。

 

「それで、今日はどうしたんじゃね」

「あぁ…結婚決めたばっかなのでちょっと知り合いに報告がてら旅行をと…」

「ほほぅ、バイクでハネムーンか!カッカッカッそりゃ良いのぅ!」

 

ちょっとバシバシ叩かないで、揺れる。結構痛いんだから止めてよね。

笑いながら私達から離れたかと思えば自販機で何か購入…こっちに投げて渡してきた。

なんだこれ…マムシエキスジュース?こんなゲテモノを渡してどうするつもりだ?

 

「旅行先ならだれも気にせんじゃろ、夜に飲むと良い」

「「はぁ…」」

 

バッグ類は私のポーチぐらいしか無い。ダーリンのライダースジャケットのポケットはちっちゃい。

缶2個だししょうが無いから私のおっぱいの谷間に挿入して運ぶことに。

 

 

――――――――――――

 

 

「そーいえばー!アポとってるのー!?」

「大丈夫、ちゃんと取ってる!!」

 

再びバイクの上、ダーリンの背中にしがみつきながら大声をあげる。

出る時に言えばよかったと思ったけど普通にダーリンが先にアポ取ってるみたい。

まぁ直接行っての挨拶くらいだしそんなに長居する感じじゃないからなぁ…

S09地区のホテルも取ってるみたいだし…今日はS09地区でお泊り。

翌朝から帰ってまた業務に明け暮れる日々かな?しばらくはダーリンとのイチャつき込みだけど。

あ、いや補給基地とS03もあるからまだハネムーンは続くかな?

ヘルメットのシールド越しに見える景色はどんどん後ろへ流れていく。

ダーリンは私に遠慮してくれてるのか速度を抑えめでゆったり走ってる。

 

「ねー!もっと速度だしてもオッケーなんだよー?」

「二人きりのツーリングをもっと楽しみたいんだよー!!」

 

帰ってきた答えにさーっと顔が赤くなってくるのを自覚する。

んもー!ダーリンはすぐそうやってー!!私を喜ばせる事ばっかりー!

ヘルメット越しにだけど背中にぐりぐり頭を擦り付けてからぎゅーっと力強く抱きつく。

重低音と共に流れていく私達はD地区から出て緩やかにS地区の方へと向かっていった。

 

 

「で、どうしてこうなっちゃうかなぁ…」

「ま、この手の連中は腐るほど居るからな…」

 

4人組の男達に行く手を阻まれて止められたと思ったら金品要求ですよ。

まぁ言うなれば強盗。幸いにして相手はダーリンのみを警戒してる。

私の方は上玉のおやつって思ってそうだな…頭の先から爪先まで舐め回す様に視姦してくる。

ゴスロリで着飾っていてそんな服の上からはっきり見えるおっぱいは魅力的だろうね。

銃も持ってるけど…構え方が甘いから多分素人って感じ…正規崩れじゃないな。

 

「オーケーちょっと交渉いい?お金は無いけどお楽しみをしてあげたら通してくれる?」

「ヒュー!嬢ちゃん分かってるねー…良いぜぇそんな男忘れるくらい楽しませてやるよ…」

「よっしゃよっしゃ輪姦そうぜ」

「前は俺な」

「後ろとこのでっけぇおっぱいは俺が貰うわ…へへ、役得」

 

見るからに下衆な笑みを浮かべてやっすい交渉に乗ってくれた。

まぁ戦術人形ですからこんなの素手でも余裕だけどね…一応大丈夫ってアピールで振り返ってダーリンにウィンク。

取り囲まれた所で…まずは二人制圧の為に顔面に裏拳をねじ込む。

怯んだ所を襟首をれぞれ掴んで投げ飛ばす。突っ立ってるバカ二人を巻き込んで倒れ込んだ所でサイドアームの出番。

スカートに隠していたレッグホルスターからMk-23を引き抜いて…

 

「動くな、命が惜しかったらそのまま土を舐めてろ」

「てめっ…ひえっ」

「殺されてぇかおぉん?楽しいハネムーン邪魔しやがってただで済むと思ってんじゃねーだろうなタマキン野郎どもが。温厚な私もブチ切れですわよ?」

「「「「アバーッ!!」」」」

 

命だけは助けてやったけど両手はきっちりへし折っておいた。

最後の方踏み抜いてへし折ったら「ありがとうございます!」なんて言ってきたんだけど…キモい。

心配して覗いてきたダーリンが見えたから駆け寄って抱きついておいた。

さぁ、仕切り直してS09へゴー!




という訳でユノちゃん所に突撃かますんですよ。


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Day105+@ その頃のD08

間に合った()


指揮官と417がハネムーンに出かけたその頃D08基地内は何時も通りに回っていた。

朝食を終えて第3部隊が午前出撃に出かけていき他の部隊は基地待機である。

書類仕事は予め任命されていたFALが処理している。

最適化も進んできた人形だからできる事だが指揮官無しでの完全自律作戦だ。

突然の出張をもぎ取ってきた指揮官だが仕事量の調整も行ったかFALが忙殺されることはなかった。

むしろ午前一時間ですぐに片付いてしまって暇を持て余すことに。

さて、そうなった場合のFALたちはどうするかと言えば各々好きに動くのだが…

 

「チャペルを抑えましょう」

「仮設で作っちゃったほうが良いんじゃないでしょうか?大型倉庫を作ってからその中に作ってはいかがでしょう」

「夜の営み用の部屋を確保しない?騒音がヤバイって苦情が出てるわ」

「その費用と物資をどこから調達するおつもりですか?」

「補給基地って便利な所があったじゃない。べ、別に結婚なんて興味は無いんだけど!」

『興味ないって言ってる割には参加してるじゃない。私もそんなに興味ないんだけど』

『全員分のウェディングドレスも用意しないとだめよ~?』

「そこツンデレ二人は結局指輪貰うつもりあるの?」

「「貰う!!」」

 

通信機まで持ち出して出撃中のMk23やUziも交えての作戦会議を始めていた。

要は結婚するにあたっての要望や自分達の意見をぶつけ合っているのだ。

渦中の指揮官は正妻である417とのハネムーン中ということもあってからやりたい放題だ。

そんな指揮官Lover'sの中で唯一黙りこくっている人形が居る。

417の姉、416だことの行く末を見守っている様に見えるが…実際はそうではない。

 

「別に式なんて重要じゃないのにね…」

 

そう言って左手の薬指を撫でている。ちゃっかりと先に指輪を貰っていたのだ。

ハネムーン前にしっかりと指揮官にキスと愛撫を貰っていて優越感に浸っているのだ。

417程ではないが指揮官の好みにツボっている上に417の姉でもある。

指揮官が大事にしない訳がない。実質上の正妻はHK姉妹という事になっている。

 

「式を挙げるにしても必要なものがあまりにも欠けているわ」

「用意できないのですか?」

「神父をどこから引っ張ってくるのよ!!」

『やっぱり街のチャペルを借りるのが良いんじゃないかしら?』

 

挙式を挙げる為の式場を建設するのは勝手だ。大型倉庫を作れば用途は多く使えそうだ。

だがその他が圧倒的に足りていない。祝詞を捧げる神父。

ウェディングケーキ、ウェディングドレスにタキシード。

そもそも祝福に訪れる客など居るのか?というところから始まる。

 

「ねぇ一つ提言良いかしら?そもそもだけど小さい式にしたらどう?」

「私達の一大イベントなのに?」

「身内で済ませる小さい式よ。そもそもだけどこの基地との繋がりがある基地なんて片手で数えられるでしょう?」

「そうですね…S09のユノさんに補給基地にHK417-16の所属基地…最近交流を構築したS03ですね」

「それにこの基地の職員連中くらいでしょ?大掛かりなチャペルや披露宴なんて開く必要性ないでしょ」

「まぁそうね…」

「S09の式に参列してたけど警備も大変よ?ダイナゲートだけで足りると思う?」

「うーん…そうね…」

「休みに合わせてもね…この基地周辺がいくら平和だと言っても襲撃が無いとは限らないわ」

 

I.O.Pにウェディングドレスの発注はかけているが何時届くかは不明。

式場とできそうなチャペルは街にあるかどうか…WW3で焼け落ちてないか。

調べる必要があるがそんな所で十分なのだろう。

 

「はい、それじゃあ調べに行くわよ」

「ケーキの用意は?」

「その物資を補給基地に打診しなさい!!」

 

式を挙げる為に乙女たちは奔走する。それぞれ己の幸せのために。

 

 

――――――――――――

 

 

「チャペルは無い!やっぱり現在の倉庫横に大型倉庫を建設するわ。そしてその中に簡素なチャペルを作るの、いい?」

「無いならしょうが無いわね…神父は?」

「一人確保したわ」

「次!ウェディングドレスの納期!」

「急ピッチで作り上げて次の休みには間に合いますわ」

「待ちなさい417のは!?」

「正妻のは別にもういいでしょう!!どうせ指揮官が用意するでしょ!!」

「もしかして嫉妬かしらね…」

 

女の嫉妬とはかく怖いものだが…今回ばかりは良い方向に転がるのかもしれない。

大体夫である指揮官が用意しないとでも思っているのだろうか?

ギャーギャー言い合いながらも指揮官に黙って準備を進める。

副官権限を振り回してから予算を出してから街の建設業者にも連絡をかけていく。

さらにI.O.Pの家具部門にも連絡してからチャペル風の家具をよこせと連絡したり。

指揮官が有事の際にと予算をかなり貯蓄していたのが幸いだった。

 

「じゃあ解散、それぞれ他に必要そうなものを見つけたら再度私に言いなさい!」

 

現在臨時で基地の指揮を取るFALはそう締めくくり全員を解散させた。

そして受話器を取ると矢継ぎ早に各方面へと連絡を取っていく。

この結婚報告は更に言えば本社にも出さなければいけないのだ。

当然複数婚である事なんて社内に知れ渡る。

 

「誰が正妻かなんてどうでもいいのよ。私達が幸せだったらそれで良いの!」

 

今はまだない左手のリングを夢見てFALは頑張る。全ては指揮官との幸せの為に。

 

『ちょっとちょっとFALー!いるー!?』

「はいはい、こちらFAL。何か問題があった?」

『何時も通りに巡回警備してたんだけど…早い話は映像を見て!』

「ホログラムを出しなさい…これは…」

 

司令部に転がり込んだ通信とホログラムにFALは息を呑む。

そこに映し出されていたのは…

 

「鉄血のハイエンドモデル…デストロイヤー?」

 

この地区には現れた事のない鉄血のハイエンドモデル人形だった。

 

 

「で、どうするのよFAL。なんか知らないけどこのデストロイヤーからは友軍反応があるんだよねー」

 

所変わり前線のスコーピオン。ただのハイエンドモデルなら連絡なんて入れない。

しかしこのデストロイヤーはデータベースの姿と細部が違って見える。

血色の悪い白い肌は幾分かI.O.P製の人形に近い血色の良い白さを持っている。

さらに言えば服にはG&Kのエンブレムが描かれていて左手にはシールド…これまたI.O.P製。

持っている武器は戦術人形がよく手にしている銃器と同じ。

IFFもまたG&K所属の信号を受け取っている。データ名はデストロイヤー・ヴィオラ

 

『ちょっと待ちなさい…そのIDは…あったわ、友軍登録されてるわ』

「マジ?鉄血の寝返り?」

『詳しくはわからないわよ…でもデータベースには…D09地区の所属になってるわよ』

「隣の地区じゃん、逃げてきたって感じ?」

『KIA扱いになってるわ』

「あーつまりははぐれかぁ、じゃあ回収しちゃうよ?」

『えぇ、容態は?』

「多分エネルギー不足で強制スリープだねーぐっすり」

「周囲敵影なしよ」

「他にはぐれらしき影もないわね」

「こちらM14、遠方にも敵影はみえないよ」

 

半ば行き倒れのように倒れ伏していたヴィオラをファイヤーマンズキャリーにて運ぶスコーピオン。

スコーピオンは一時離脱、残りのUziとM14、Mk23の三体とダミーで警備を続行。

KIA扱いになってしまった人形の扱いは拾い上げた基地に依存される。

所持権はI.O.Pだが…使用権はD08に移った。FALは早速手続きを開始した。

 

 

――――――――――――

 

 

担ぎ込まれたヴィオラは早速工廠に入れられた。

I.O.Pスタッフがにわかにざわつく。揃って後味悪い顔だ。

 

「ひゅー…こりゃまた」

「いやいや、これはでかすぎる…」

「極上ですわ…」

 

昏々と眠るヴィオラを取り囲むメンテナンス班の若い衆。

D08地区ではお目にかかったことのない鉄血ハイエンドモデルだ。

その造形に目を奪われる。主にその巨大で美しい形のおっぱいに。

Five-seveNに食われてから女を知った若い衆は盛りのついた猿のようなものだった。

 

「ペルシカ博士からの伝言です、ヴィオラに合意なく手を出した場合権限を行使してでも首を飛ばす…とのことです」

「「「「ヒエッ」」」」

「ついでに言えば…我々I.O.Pの本社のロクデナシが実験を重ねていたらしく…」

 

そこまで言ってテクニカルスタッフは口をつぐむ。言葉にするのも憚れる実験をしていたのだろう。

人形へは一定以上の愛情を注ぐペルシカが過保護を発揮するのは無理もなかった。

目立った外傷もなく直に目を覚ますだろう。

 

 

「FAL~やっぱり式に誰か呼びましょうよ」

「だから来る人数なんてたかが知れてるって言ってるでしょ!!」

「披露宴を挙げるのよ」

『姉としても417の披露宴は挙げたいわ』

「まぁそうね…じゃあウェディングケーキは?」

「私が物資が届き次第制作に入ります」

 

まだまだ続く結婚に関するドタバタ。FALが手配を済ませて…

そしてヴィオラに関する手続きもほぼほぼ終了。

 

「はーあ、アホくさーさっさと決めて騒げばいいだけじゃん」

「まぁそう言うなって…一大イベントなんだからよ…」

「そういえばお兄さんはさー」

「あー?」

「417とはどんな関係なんだっけ?」

「兄と妹」

「じゃあ指揮官のお義兄さんになるんだーへぇー」

 

そんな司令室の様子が見て取れる外からSAAとウィルバー

揃ってコーラを煽りながらドッタンバッタンを見守っていた。

いつもどこか擦れた表情を浮かべていたウィルバーの顔にも笑みが浮かんでいてSAAの目からみても浮かれている様に見えた。

しかしながらその心中は中々に複雑である。

元はと言え弟だった存在が完全に女として嫁に行くのだからショックはそれなりに受ける。

 

「結婚か…」

「お兄さんも結婚願望あったりするんですかー?」

「正直魅力的な女性が居ない」

「おーなるほどー」

「俺の好みはロリだし二次元の女だし」

「ロリコンでしたかー!」

「うっせぇ…ほら、今日は暇なんだろ?コーラ奢るから手伝ってくれや」

「はいはーい!」

 

指揮官とその妻が居ないD08基地は相変わらず賑やかに平和に回っていた。




ヴィオラとはなんぞや?
作者の別作品で徹底的に不幸な目に遭ってきた主人公だよ。
デストロイヤー・ヴィオラちゃん。

417以上のでっぱいだぞ()


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Day106 補給基地へ挨拶

挨拶回りぃ!


「むぅー!むぅー!!」

「悪かったって!だって恥ずかしがる417が可愛いのが悪いんだ!!」

「ダーリンのばかぁ!!」

 

S09地区のホテルにて一夜明かしたんだけど…まぁ昨日のダーリンは酷かった。

そんな訳で気絶から朝目が覚めた時もうベッドに運ばれてた。

朝かー…なんて思ってぽやっとしてたけど連鎖的に思い出して来て恥ずかしさが再来。

私の見間違いじゃなかったらスパークして明滅してた視界だったけど…

通りには人集りが出来てたような気がするんだよね。うん…多分だけど道行く人に見られた。

自分達の地区じゃないからまだ良いけど…いや、良くない!!ダーリン以外におっぱいを見られた!!

で、怒ってふっかふかな布団剥ぎ取ってから枕もひったくってから寝ぼけ眼なダーリンの顔をぶっ叩く。

平手打ちでもグーパンチでもないふかふか枕でぼふぼふとぶっ叩く。

言い訳がましいことを言ってるけど結局は私が相当な恥をかいたんですけど!

 

「悪かったって…」

「ぶすー…」

「とりあえず着替えてからチェックアウトしよう、な?」

「ダーリンがそういうならそうしますー」

 

裸のまま朝から喧嘩するのもバカバカしいか。替えの下着を着けてから着替えていく。

んむ?おっぱいがきっついな…バカな、また太ったというのか…?

いやいや+3の補正済みのブラのはずだ…それでまたキツくなってきた…?

人形の太る上限軽く越えてない?私の身体ってどうなってんだ?

 

「どうした?」

「なんでもない」

 

あれかな、ダーリンに揉みしだかれるようになってから…?

いや、抱かれてるのが関係してるのか…?どっちにしてもダーリンとの交際が始まってからだよね。

…ただ腫れ上がってるだけかもしれない。そうだ、腫れてるんだと思う。

まぁそんなのはどうだっていい。着替えて…ゴスロリに着飾ってと。

 

「あ、そうだ…ダーリンダーリン」

「んー?」

「私がね着飾る理由の一つにダーリンに脱がしてもらうってのもあるから、次する時はダーリンが脱がせて♪」

 

なんて言ってからガーターに手を出してたらダーリンが両手で顔を覆った。

なんかブツブツ言ってるけど…早く着替えてよ?流石に動かないんだったら私もお手伝いしようがないから。

今日の朝はホテルでは用意されないからS09市街地で食べてから出ることに。

ここオススメってユノちゃんから教えてもらったバーガーショップもあるしね。

なんだっけ、バーガーミラーズって名前のバーガーショップか…

 

「ほら、さっさと着替えて…はい足上げてー…」

 

結局ダーリンがポンコツになったから私がほとんど着替えさせることになった。

 

 

――――――――――――

 

 

「…ラブ・バーガーは止めたほうが良かったね」

「なんであんな興奮するもの売ってんだあの店」

「まさかテイクアウトで良かったね…公園のトイレでできたからまだ…」

「言うな…店内だったらどうなってたことか」

「責任とってもらって個室借りるしか無いでしょ…あんなにシたくなるなんて聞いてないもん」

 

食事も一波乱あったけど気を取り直して私達はS09地区を離れて今度は以前お邪魔したことがある補給基地に向う。

前線からは離れている地区間の中継所的な位置にあるから割とルートは確立されている。

勿論補給路って事もあって盗賊が出没してるけど私達には関係のないお話だ。

止められてもハニートラップにすーぐ引っかかるし体術もなってないヤツばっかりだから肉弾戦で制圧可能。

なんだったら素っ裸にされた後でも締め上げようと思えば締め上げれる。

素っ裸に剥かれる前に無力化するけどさ。ダーリン以外に見せるき無し!

でも確かあの基地周辺ってスラム街だっけか…制圧に行って見てたけど…

んー…まぁMk-23一丁でもどうにかなるか。基地にさえたどり着ければ後はどうにでもなるし。

それにしてもまるっと一日基地を空けてるけど暴走してないだろうか…

特にFALがはっちゃけてたら色々マズいことになりそうなんだよね。

あの基地きっての古参だし発言権は結構でっかい。おっぱいみたいにね。

実質の副指揮官って言ったところだしなぁ…重婚に向けて勝手なことしてなかったら良いけど。

 

「ちと休憩、はぁ…長い間乗ると疲れる…」

「車と違ってパッセンジャーも休憩できないのがつらいねー」

「まぁでも417の身体を近くに感じながら」

「おっぱいを背中に感じながらの間違いじゃなーい?」

「……嫁のすばらしいおっぱいの柔らかさと華奢な腕に興奮しながら」

「素直でよろしい」

 

道端にあった木陰付近にバイクを停めてから二人寄り添って休憩。

大きな樹に背を預けてから遠くを見る。どこまでも青い空が続いている。

こうしてみていると今の世界が絶望に包まれている世紀末なんて思えない。

E.L.I.Dや鉄血の事なんて遠くのことのように思える。

気持ちよくそよぐ風に頬を撫でられ髪を靡かせて…隣に座る愛する人の横顔を見る。

ちょっとウトウトしてる。長い間バイクを転がし続けたから眠いのかもしれない。

まだまだ時間的には余裕がある…少しのお昼寝ならなんてことはない。

ただ長時間お外で寝ると流石に身体に悪いしなぁ…まぁ良いか、起こせばいいし。

 

「ちょっと横になったら?起こしてあげるから」

「じゃあ30分だけ…むぅ、417の顔が見えないが…」

「おっぱいでいっぱいな視界も良いんでしょ?私も一緒に横になれる状況だったらおっぱい枕とか…」

「よし、今夜早速」

「はいはい…それじゃあ…ねんねんころりよ~おころりよ~♪」

 

ころんと横になったダーリンの寝顔は拝めないけど…膝枕を提供して子守唄を歌う。

とん、とん…とゆっくりやさしく胸に手を置いてリズムを打つ。

こうすると人は安心するんだって…ヤーパンの子守唄だしダーリンにとっては懐かしかったりして。

暫くすると寝息が聞こえてきた…うん、こんなお外も悪くないな…

 

 

――――――――――――そのころ

 

 

「ん…」

 

目が覚める…知らない天井を見上げている…ここはどこだろうか。

最後に記憶してるのは行き倒れ同然に力尽きた私だ。

奴隷市場にしては人が少ないし拘束もされてはいない…天国?

ますますもってありえないな。こんな現し世じみた光景がある天国なんて…

 

「エネルギー充填済み…?」

「お、起きた…うぉ!?」

「来るな!」

 

人の声がいきなり聞こえる咄嗟に転げ落ちるようにベッドから跳ね起きて榴弾砲を構える。

エネルギーが最大充填されているのは謎だが人間が近くに居る。見知らぬ場所。

私に何かをした後かもしれない。手元にMASADAも無い。

 

「まぁ落ち着こうな?ここはG&KのD08基地、キミを助けたんだぞ?」

「……人形を出せ話はそっちから聞く」

「O<、おーいイサカ!」

「はいはーい、ちょっと待ってね~ダーリン!」

 

M37イサカの事だろうか。返事の声もそうだ、しかしダーリン?

この人物がこのD08基地の指揮官なのだろうか?だがG&Kの制服ではない。

G&Kのエンブレムは見受けられるがどう見ても作業着姿だ。

腰にぶら下げているのも工具類だ…銃の解体整備に使う物が多い。

メカニックなのだろうか…整備とかこつけて私の身体に何かしたかもしれない。

やっぱり警戒するに越したことは無い…しばらくしない内にM37イサカが顔を覗かせた。

 

「あら、すっごいデカイ子ね…」

「それで…ここはどんな基地?」

「そうねぇ…平和なセクハラ基地かしら」

「セクハラ基地…私を襲うつもりか!」

「まぁまぁ嫌がる子を無理やり襲う暴漢は居ないわよぉ、安心して?」

 

D08…セクハラ基地…私のおっぱいの改造データのサンプルだったHK417が居る基地だ。

だがしかし…これもまた騙すための…

 

「イサカ、話は終わったらおっぱ」

「はい、お口チャック♪」

「……はい」

 

訂正、人形の尻に敷かれてる人間が居るなら暴漢も居ないんだろう…

 

「私は…」

「デストロイヤー・ヴィオラだっけ?災難だったわね…でも大丈夫、ここが貴方のお家よ」

「……」

「D09地区のことは心配しなくていいわ、もう手続き済みだから…宿舎にお部屋が足りないけど…過ごしやすいスペースがあるからしばらくはそこで我慢して?」

「野宿いがいなら何でも良い、案内をよろしく頼むわ」

 

あまりに豪華な宿舎に口があんぐり開いた。アーケードゲームも多いし暇にならない。

ふかふかなソファーベッドが私の寝床になる…ふかふかな布団も用意してもらえた…

何これ、やっぱり私死んで天国に来ちゃったんじゃないか…?

 

 

――――――――――――

 

 

「見えてきたな、あそこが補給基地だ」

「一応気をつけてね、治安が悪いって話だから」

 

前方に見えてきた街と城塞のような壁に覆われた基地が織りなす風景。

以前D08で発生した凶悪立てこもり事件の帰りに寄った基地だ。

いやーあれはすごかったな…ダミーがあんなにワチャワチャするのってウチくらいだと思ってたけど…

個性があるダミーが多いし同じメインフレームが多数着任しているってのも…

そういえばトンプソンが指揮官に惹かれていたような気がするな…

私のおっぱいをガン見してから肩を握り込まれてなかったか?

ってーことはだけどまた行ったら今度はあれかなトンプソンに見せつけてから焚き付けてやろうかしら。

 

「とりあえず…何かあっても守ってよね?」

「おう、任せておけ」

「あとあっちの指揮官が色目を使ってきたら」

「殴る」

「いや、遮るくらいで抑えよう?」

「嫁に色目を使うたぁいい度胸じゃぁねぇか、おぉぉん!?」

「補給を要請するかもしれないんだからダメー!」

 

なんてバイクの上でやり取りしながら街の中へと入り込む。

スラム街らしく街はあの夜戦で見たまま…荒れているんだけど…

あの夜戦では見たことない人間の賑わいが溢れている。

ただどっかしらで喧嘩が勃発してるなー…おまけに服装も結構荒れてる。

店もまぁ見当たるな…動いてる。最悪ここで食事ってのもできるかな?

 

「ダーリン、あっちだよ」

「おう」

「アポは?」

「取ってる取ってる」

 

門番に対してG&KのIDを見せつけてからちょっと待たされる。

程なくしてから門が空き中へ通される。さぁてこれからご挨拶ですね。

結婚報告ついでに見せびらかしてやろーっと♪どうだー羨ましいだろう?

お?なんだ外が騒がしくなったな…あぁ、人類人権団体ですか…はいはい。

現実を直視しないアホダラがなーにかほざいてますこと…

 

「ねぇダーリン、アイツらに鉛弾打ち込んで来て良い?」

「だめ」

「ちぇー…で、何を補給要求するの?」

「そうな…式をするつもりだからチャペルに使えそうな建物を新設するかなって思ってる」

「え?」

「後で使うし倉庫だな…あとは披露宴どうするか?」

「やろ、皆でワイワイ騒ごうよ♪」

「OKじゃあ食料もだな…ウェディングケーキ…」

「あ?そんなの私が作るから」




披露宴、来てくれるかなー?


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Day107 イレギュラーの出会い

ヴィオラちゃん大歓迎巻


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「ただいま」

「たっだいまぁー?」

 

あれー?なんか司令室で会議みたいに人形が集まってるんだー?

ダーリンのただいまの声に反応することもなくギャーギャー騒いでる。

そして何か見慣れない背格好が一つあるな…なんだろう?新入りかな。

 

「ダーリン隠れて、あれ鉄血!」

「なにぃ?」

 

なんで皆に紛れて居るんだ!?鉄血のハイエンドモデルのデストロイヤーだ!

サイドアームのMk-23を引き抜いて照準を合わせるが警告メッセージ?

IFFが反応している。友軍?デストロイヤー・ヴィオラ?

 

「いきなり何だ?」

「何だとは私のセリフだよ、何で鉄血の人形が…」

「私はヴィオラ、鉄血製だけど所属は間違いなくG&K」

「おかえり正妻さん、こっちのでっかいのはあんた達が旅行に行ってる間に保護した人形よ」

 

FALがダーリンの席に座っていてあれこれ仕事をしていたみたいだ。

山積みになっている書類は恐らく今日の分なんだろう…で、私に対する視線がやたら厳しい。

抜け駆けじゃないんだってば…私なりにアピールし続けていた結果なんだから…

それに正妻は私なんだろうけどダーリンはFALだって愛してくれるはずなんだからいい加減矛を収めてほしいな。

嫉妬が酷い女って醜く見え始めるから良くないと思うよ。いや、マジ。

で、だけどこの鉄血ハイエンドも何かしらの異常があってこっちに付いた人形なんだろう…

ホルスターにMk-23を収めてから改めてまじまじとヴィオラと名乗った人形を見る。

……でっかいな。私のよりデカイんじゃないんだろうか。

背丈は大凡158といった所か…まぁ比較的標準的?

デストロイヤーってハイエンドはちっこいイメージだったけど…

ついでに言えば胸だってぺったんこだったイメージだったけど…うーん…

服の胸元にG&Kのエンブレムもあるし間違いなさそうだな。

 

「ごめんね、流石にびっくりしちゃって…」

「いい、普通の反応だと思うから」

 

かなり表情が硬いけどこっちが謝って頭を下げたら気にしないで良いと頭を振ってきた。

ちょっとばっかり苦笑が浮かんでる。堅い感じだけど優しい感じがそこはかとなくするな。

 

「ヴィオラだな、俺はここの指揮官…まぁよろしくな」

「……えぇ、よろしく」

「それにしても…良いおっぱいしてるな…」

「ダーリン?」

「うひひ、ちょっとだけ」

「な、なにをする…あくぅ♥」

 

ヴィオラに対して握手したと思ったら特大で存在感抜群なおっぱいを鷲掴みにしやがった。

嫁の目の前で堂々とお手つきとはいい度胸だと思う。さすがだよダーリン。

初手セクハラなんて事するのは後にも先にもダーリンくらいだと思う。

 

「むぅー」

「中々のボリューム…ナイスおっぱい」

「こ、これがこの基地の挨拶だって言うのか…」

「安心して、もっぱら受けてるのは417だけだから」

 

ヴィオラは何か不快感を覚えながらも反撃に出ようとはしてなかったな…

とりあえず代わりにと45姉が鼻を折ってた。ダーリンは床に沈んだ。

 

 

――――――――――――D08基地兵舎共有スペース

 

 

「ふーむ、D09地区で目覚めて色々あって今ここって事?」

「そうだ…詳しく語るのは憚られる事も多いけれど」

「そっか…詳しくは聞かないけどここはかなり平和だから…」

「そうね、目線はもう慣れたけど」

「うん…まぁ男の子だからしょうが無い点でもあるから…」

 

ヴィオラと腰を落ち着けて話をすることになった。私とダーリンくらいがまともに話してないからね。

かい摘んで話してもらったけど波乱の経緯でなんというかなぁ…

私も廃棄された前哨基地の倉庫で目覚めたんだけど…それよりハードモードだった。

私はサバイバル、ヴィオラは拘束からの実験のテストベッドかぁ…

おまけにD09の指揮官に騙されたか売られそうになった所を命からがら…

これは許せないな…D09地区の指揮官はつい最近人事異動で左遷を食らったって言ってたな…

新人がやらかしたのかもしれないけど…ちょっとこれは御礼参りに行かないとね。

きっとだけど人形を使い捨てるか都合のいい女程度に思ってるクソクソのクソだと思う。

隣地区と繋がりがある流通元の商人もキナ臭いと言ってたのを思い出す。

この基地と地区はダーリンの意向が強くかなり人形に対してフレンドリーだし平和。

ただダーリン初めとしてほとんどの職員がセクハラ根性が根付いてるからなぁ。

私のでっぱいもそうだったけどヴィオラのでっぱいは否応なしに視線を集めるよ。

私のもかなりでかくて困ってるのにヴィオラのなんて絶対男性用のシャツでも入らないと思う。

I.O.Pに不信感がある節がちらほら見えるけど服飾部門はまぁ…デザインはアレだけど…

いい仕事してくれるからお洋服は遠慮せずガンガン注文しよう?

 

「ところでヴィオラってさ、話し方硬くない?」

「そうか?私はそう思ってないが」

「中性的っていうかなぁ…もうちょっと柔らかくしようよ」

「む…善処する…」

 

経緯が経緯だからしょうが無い面もあるのかもしれない。

硬い表情が目立つけどときおり見せる感情が乗った表情が可愛いからなぁ。

むにむにとほっぺたを触って唸ってる姿はかなり可愛い。

 

「この後はどうするつもり?」

「考えてなかったが…んんっ考えてなかったけど、ゲームで時間を潰すつもりだった」

「ゲーム?どんなゲームするつもりだった?」

「アケ筐体があったから…とりあえずで遊びつくそうかと思っていた」

「じゃあ一緒にやろ♪」

 

手を取り合ってからゲームブースに入り込む。いろんなアーケードゲームが並ぶが…

ヴィオラのやりたいものをまずはガンガンやらせていこう。

ゲームは急速に仲を詰めるには良いツールなんだよね。ゲーマーに悪いやつは少ない。

 

「ワニワニパニック…うっわ懐かしい」

「二人でやる?」

「そうだな…んっんんっ…そうね」

 

お、ハンマーを持ったらいい感じの微笑みが浮かんだ。

それがヴィオラの素顔かな。普通に優しい感じだ。お友達としては申し分なし。

 

 

――――――――――――D08基地食堂・昼

 

 

ヴィオラとはかなり仲良しになれたと思う。私に何か言いたげな感じが会ったけど…

とりあえず緊張というか警戒じみた硬い表情は浮かべられなくなった。

お昼の用意に先に離れたら少し寂しそうな顔をされて困った。

で、今は私がメイド服を着込んでからせっせと接待をしている。

ダーリンには私お手製のパスタがあるからダーリンが来たら上がらせてもらうけど。

ヴィオラが来たら私のメイド服姿を見て苦笑いというか…引きつった顔になった。

メイドに何か嫌な思い出があるのだろうか?

 

「あ、ダーリン♪」

「おう、今日も良いメイドだな…飯は?」

「すぐにお持ちします、席へご案内しますね♪」

 

キッチン内のコック長とアイコンタクト交わして二人分のパスタを取る。

全部渡しお手製のカルボナーラ。麺はフィットチーネにしてみた。

もちもち食感が良いパスタで私的には結構ツボに入った。

パスタだからあーんは出来ないけど…口移しなら全然できるよね。

カウンター席に案内してから二人並んで腰掛ける。

私のダミーに後は任せてから私はダーリンとの蜜月に入らせてもらいます。

 

「ダミーちゃん、おっぱいもませて」

「あ、たすかるー♪」

 

もうダミーが何しても私は関与しないことにした。

ダミーと私でちょっと差が出てき始めたし…主におっぱい的な所で。

脱いで並んでみたら私がおっぱいおっきいんだもん。どうしてこうなった。

おっぱいで判別可能なんて私くらいじゃないかな…他の基地でも類を見ないと思う。

ヴィオラがすごい目でダミーとメンテナンス班のやり取りを見てるけど…

まぁこの基地の日常風景だったりするから慣れてとしか言いようがない。

 

「そこのダミー!いい加減にしなさい!!」

「げぇっ!お姉ちゃん!!」

 

まぁ私が手を下すまでもなくお姉ちゃんが黙ってないし…

言ってメンテナンス班もおっぱいを揉むだけだからもう怒ることもないと思うけどね。

満足したらそれでおしまいでしょ?ダーリンのおこぼれくらいはあげてもいいじゃない?

 

「んー♪」

「あー…」

 

仲良くキスしあいながらお互いに濃厚なカルボナーラを食べさせ合いました。

 

 

――――――――――――D08基地司令室・夜

 

 

「で、今何してるの?」

「式を執り行う間の基地周辺の警備を委託してるんだよ…」

「ふぅん…どこに頼むつもりなの?」

「本部お抱えの戦闘人だな、名前は…デッドマン」

「えぇ…何その不穏な名前…」

「死に損なったって口々に言う全身義肢の兵士だよ」

 

全身義肢…それって人間じゃなくてほぼアンドロイドって言ったほうが良いような…

データを寄越してもらうとかなりのやり手みたい。というか正規軍の強化アーマーもびっくり。

生半可な弾だとびくともしないってデータが出てる…こんな人が警備に来てくれるの?

D08地区はそもそもかなり平和な部類だから警備も何もいらないと思うけど…

しかしこの一週間かなり基地の出入りが多くなるなぁ…

ユノちゃんの所のP38とPP-90とダンスレッスンにボーカルレッスン…衣装合わせ…

補給基地からの建設班が入ってくるでしょー…S09地区の●基地のHK417も来るし…

 

「ん?はい…え、本当ですか…というか良く情報を…あぁ、社内報ですか…」

 

ん、何だろう…通信機に連絡が入ったみたい…本部からのか…どっかからの連絡かな?

受話器を置いたダーリンがなんとも言えない顔でこっちを向いた。

 

「さらにお客が増える…どうやらかなり祝福に来てくれるみたいだぞ」

「うっそぉ…見ず知らずの私達のお祝いに?」

「そうそう、うわ…重婚なんて知られたらどんな目で」

「別に法律で禁止されてないから良いじゃん、胸張っていこう♪」

「そうだな…」

 

とある基地のガンスミスが名乗りを上げて…502小隊なる人形達が食いついてきたとのこと。

聞いたことのない面々で私も面食らってるけど祝福してもらえるなら大歓迎。

どんな人かはわからないけどきっと悪い人じゃないんだろうと思う。

じゃなきゃわざわざ遠くまで祝福の為だけに来てくれることはない。

 

「じゃあ…ヴィオラにはお前の部屋を使わせるんだな?」

「うん、私はほら…ダーリンと一緒に寝るし♪」

「そうな…今日はどんな風に愛してくれようか」

「あんまりおっぱいをいじめすぎないでよ?」

 

翌朝寝ぼけて初期サイズのブラを着けたらホックが留まらなかった。

どれだけ太ってるんだ私のおっぱい…




待って挙式と披露宴がかなり大所帯になって僕困惑中。
正直描写が漏れたり動きが少ない所は各々で書いてくれってなりかねない。
そこはご容赦願う。


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番外 417の日

間に合わせで今回は短い。


「珍しいね、今日はダーリンがお仕事ずるけて街に行ったなんて」

「私にも何も告げなかったな…」

 

今日は珍しく朝から私やお姉ちゃんのおっぱいを堪能する間もなく飛び出していった。

私としてはかなりお預け感があって悶々とすることになったけど…

ヴィオラも慌てて飛び出るダーリンを見ていて小首を傾げていた。

誰にも告げていないのはまずいと思うんだけど…うーん、今日はお仕事なのになぁ。

まぁ良いや、私が変わりにお仕事始末してればいいでしょ。

何の問題もないね。警備任務は暇を持て余してるのが行っても問題ないしねー。

 

「とりあえず街の警備隊にダーリン見つけたら連絡するように入れておいたから」

「なら問題はないな。私はワニワニパニックで遊んでくるわ」

「ヴィオラもあのレトロゲー好きだねー」

 

ヴィオラはかなりレトロゲーに造詣が深いみたいで私以上に知ってる。

まるで2000年を生きていたみたいに懐かしんでは熱中している。

ただ腕前はそうでもない。普通の人間並といった所だ。

特に劇的な進化を遂げていたPS2世代のゲームは興奮気味でプレイしていたな。

今度落ち着いたら一緒にゲームをプレイしてみようかな。

 

「さーてと、じゃあ片付けていきましょうか」

 

なんてことはない、書類の山を一個一個片付けていくだけだ。

いつもの副官業務ですよ。夫の尻拭いは妻の役目ですから苦じゃないでーす。

ある種の私への信頼ってとっても良いからね。ふふん♪

何も言わずとも私がしっかりとしてくれるっていう信頼。

ただいつ帰るかは教えてほしいから後で端末にメッセージを入れておこう。

お昼に帰るのならお昼ご飯の用意をしなくちゃいけないしね。

どこに行ったかは知らないけど…言わないってことは知られたくないんだろうし…

詮索するのは野暮って物だよね。だから私達がするのは無事に帰ってくることを祈るだけ。

あんまり帰りが遅いなら私達が探しに行くだけだし…

おっと、電話?なんだろう…ナンバーは本部からか…

 

「はい、こちらD08地区です。はい…はい?なるほど…わかりました」

 

今度の結婚式に警備に来てもらう人員が増えた。PMC武器庫って場所の傭兵部隊。

スピア小隊の一番槍、ジャベリンってコードネームの人が警備に当たってくれるらしい。

それにユノちゃんの所でも顔を合わせていたアレクサンドラさんとG3が来てくれるらしい。

ふーむ…となると情報は出回ってるからもしかしたら…

 

「ん、メッセージ…Freedom…あ、やっぱりF小隊のところにも情報は行ってたか」

 

端末のアドレスとか教えてなかったけど普通にメッセージが飛んできた。

多分F11のハッキングとかじゃないだろうか…やっぱり来てくれるみたいだ。

千客万来…身内だけのひっそりとした式だったはずなのに結構な人が駆けつけてくれるな…

嬉しい限りだけど無事に送り迎えとかしないといけないし…D08地区まで来てもらえたら小型バスかなにか借りてそれで送迎するのが良いかなぁ。

この基地そんなに人員が居ないのが難点だからなぁ…もうちょっと部隊があったりあぶれてる人形が居るなら送迎の警備とかもできるんだけど。

まぁD08地区平和だし警備は一人でも十分かもしれないなぁ…最悪ヴィオラをつければ問題ないでしょ。

 

 

――――――――――――

 

 

「それで、例の物はちゃんと用意してもらえたな?」

「えぇ、中々苦労しましたが…」

「助かる…」

 

指揮官は仕事をほっぽりだしてどこへ出ていたかと言うと街の少し手前。

町の郊外にある鉱山の麓で人知れず営んでいる宝石店に来ていた。

中々高価なアクセサリーが並ぶ中見繕ったのはシンプルながら輝きを放つネックレス。

3つ宝石が並び真ん中は大ぶりのダイヤモンド、左右を挟むのはラピスラズリ。

中々な値段だが指揮官は迷わずそれを購入していた。

 

「差し出がましいですが…どなたへのプレゼントですか?」

「妻ですよ、今日は妻の記念日ですので」

「なるほど…愛されているのですね」

 

宝石商は少し微笑み何も言わず一対のイヤリングを差し出した。

ペリドットのイヤリングだ。これには指揮官は困惑するが…

 

「この地区の指揮官さんでしょう、ここは平和でいい…のんびりと鉱石を掘って加工して販売もできる」

「えぇまぁ…俺の功績だけじゃないですけどね」

「細やかなご恩ですよ。奥さんとどうかお幸せに」

「……ありがとうございます」

 

指揮官は深く頭を下げてからアクセサリーを受け取ると急いで来た道を帰るのだった。

 

「ダイヤモンドは言わずもがなですが…ラピスラズリは健康・愛・永遠の誓い、ペリドットは夫婦の幸福・信じる心です…ふふ、知ってか知らずかは存じませんが…いいセンスですよ」

 

 

その後417にそのアクセサリーをプレゼントしてからまた一悶着があったとか。

4月17日。417の日とでも言うか…指揮官はこの日を逃すつもりは無かったそうだ。

その日から417は必ずイヤリングを取り付けて居るし夫婦二人の時間になればネックレスを着けて…

以前に増していちゃついてから回りに被害を出し続けていた。

 

なお、二人ではカフェへの出入りを禁止されてしまった。

あまりにも甘い空間にブラックコーヒーがMAXコーヒーになってしまったと苦情が殺到したからである。




婚約指輪が無いからじゃあそのかわりとしてプレゼント。
愛されている証みたいなもんですかね?


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Day108 ヴィオラの信頼

これまでの境遇を考えるとこうなった。


――――――――――――D08基地司令室・朝

 

 

「さて、お前たちに集まってもらったのは言うまでもない…D09にカチコミかけるぞ」

 

朝から指揮官がえらく張り切っていた。私が話した経緯を聞くとえらく憤慨していた。

そしてその後の処置についてもFALからの説明を受けると完全に怒っていた。

まだ出会って一日程度のたかが人形に対してどうしてこうも熱くなれるのか。

それも憎くて仕方ない鉄血人形のハイエンドなのに…どうしてこうも私のためにと立ち上がれる?

所属人形もやる気満々といった様子で思わず私がいいから…と言いかける。

確かに私はあの指揮官には良い思い出はない。I.O.P本社で会った時から印象は最悪だった。

手汗はびっちゃびちゃだった上に頭の先から爪先までいやらしい目で見られた。

ここの指揮官もまた初手セクハラを働いてくれたがその後は普通に振る舞ってくれている。

仕事も真面目にしている上にクソ不味い配給を食べようかとしたら全力で止めて食堂に案内してくれた。

そこで出されていたのは文明的な人間の食事で温かく美味しい食事だった。

おまけに仕事のある日は毎日食べれる。朝昼晩の三食付きだ。

兵舎もかなり豪華で大型のお風呂も存在していてそこも自由に使っていいと言った。

今は私に与えられた寝床は大型の共有スペースのソファーベッドだが…

後々で増設して私の個室も作ってくれると言ってくれた…あまりの厚遇に戸惑いが隠せない。

 

「ヘリアン女史に確認した所前歴にも大分問題があるみたいだ」

「と言うと?」

「奴さんは元性犯罪者で金の亡者だったんだと」

「情報の出処は?」

「ヘリアン女史は明かしてくれなかったがかなり信頼できる筋からの物らしい。処分を下せとのお達しだよ」

「雇用した無能は?」

「無事懲罰中、余罪も有り得そうだからこってり"ご接待"を受けてるらしい」

 

ヘリアンが動いたとなると404小隊に探りを入れさせたか…

それともまた別な何かに探りを入れさせたか…どちらにしても確実なんだろうな。

元性犯罪者を招き入れるなんて何を考えて居たんだろうか。

人事担当のヤツが裏で手を引いていたみたいだ。G&Kの内部も中々腐ったのが居るらしい。

さらに余罪がある可能性もあるから私が受けた尋問より酷いのを受けてるんだろうな。

特に同情も何もしない。私を貶めようとしたんだろう?

 

「私は」

「ヴィオラも恨みを晴らしたいのか?」

「いや…指揮官、私には何か指示ないのか?」

「そうだな…徹底的に叩いてやれ、人形を物としか見ていない愚か者に鉄槌を下せ」

「了解、デストロイヤー・ヴィオラそのオーダーを遂行するわ」

 

情報規制もかけられD09地区は事実上の孤立状態になる。その間に可及的速やかに叩き潰してD09指揮官を確保せよ。

なお生死は問わない、大本であり元凶であるだろう人事官はすでに確保されている。

 

 

――――――――――――

 

 

「対象地区の戦術人形は私の他には製造されたばかりのHG人形ばかりだったわ」

 

一日として居なかった私の家、基地を案内される間もなく嵌められた。

そう、私は最初から二束三文であんなならず者達に売り払われる予定だったんだ。

もしかしたら着任した時にすれ違っていたあのHG人形達も売り払われているのかもしれない。

回収分解なんて言いながら実際はロストと記入して売っていたのかもしれない。

胸くそ悪い指揮官だ…どうせならD09を根城にしているだろうならず者達も排除したい。

あんなのを見ていると放浪中に出会ったアストラや88式の事を思い出させられる。

移動中のヘリの中で今回一緒に動くHK417、G36C、MicroUzi、HK416に伝える。

総じて基地の脅威度は少ないはずだがIFFを悪用した機材を持っている可能性がある。

そうなった場合は私がどうにかしないといけない。言わば私はジョーカーだ。

HK417もどういう訳だかIFFの制限を無視して攻撃ができるみたいだが…

D09地区が見えてきた…砂塵が舞う荒野地帯だ。辺り一面はスラム。

ならず者達が跋扈するろくでもない地区だ。少し前まではそうじゃなかったらしい。

今の指揮官に変わってから加速的に増えたから関連が大きいと思われる。

死んでもいい人間ばかりだから遠慮なく潰してこいと指揮官は背中を押してくれた。

ただ殺すのが嫌なら引き金を引くことを躊躇っても良い、そのまま帰ってきても構わないとも…

あぁ、良い指揮官の元にようやくたどり着けたんだ…私はようやくこの人のために戦いたいと思えた。

HK417が惚れ込むのもFALが惚れ込むのも…というか私以外の今回同行するメンバーが慕っている。

納得が行くような気がする。彼は人形を人間と同等に扱っている。

この世界ではかなり稀有な部類に入る。かくいう私も液晶一枚隔てた向こうではそうしていたかもしれない。

ただの道具、されど道具。私達には擬似的にとはいえ感情というものが搭載されている。

本当にただの道具であるならばそんな不確定要素など必要ない。

態々搭載されている意味合いは何だろうかわからない。だが…

指揮官に本当に必要なのは人形を愛し人形に愛される才能なんじゃないかと思う。

その点私の指揮官はこの短期間の間に私を癒やす環境を与えてくれて優しい言葉を掛けてくれた。

今回のように忙しいのにも関わらずこんな作戦を立ててくれた…

 

「それは結構、じゃあ警備は手薄だね」

「もうそろそろランディングですわ」

「作戦行動よ、ぼさっとしてたら全部食っちゃうわよー」

「それは誰のため?」

「それは勿論指揮官の…って何でも無いわよ!!」

 

もうすぐ作戦行動開始だと言うのに人形達の空気は和やかだ。

各々銃器のチェックを再度してから戦闘準備万全としながらも緊張した様子は無い。

私もMASADAのチェックをしておこう。いざという時にセーフティがかかってたなんて話にならない。

 

「ランディング!」

 

ヘリパイロットの声がした後に軽いショックが来る。

オペレーション・アヴェンジの開始…徹底的に叩いてやるわ。

 

どうでもいいけど私を始めとして乗っていた全人形の一部の揺れが凄かった。

 

 

――――――――――――

 

 

「ダーリン、作戦地域に到着」

『よし、それではソコからまっすぐ北へ進め途中でスラムに入る、注意しろ』

「了解、417アウト」

 

417がしきりに双眼鏡を見ながら偵察しながら進む。視覚情報共有で私達にも映像が届く。

荒野にはいくつも岩場が隆起していて身を隠しながら行軍が可能だ。

少し離れれば密林などがある…そう、私が逃走劇を繰り広げた密林だ。

あそこで夜まで潜伏するというのも考えたが今日中に潰せとの命令。

スラムまでたどり着いたならもう後はどうとでもなる。私達の銃器にサプレッサーを装着している。

銃撃戦になる前に撃ち殺せれば潜入を悟られることはない。

 

「前方クリア、前進」

 

前進を繰り返す度に近づいていく静まり返ったスラム。D09地区の街には活気というものが無い。

担当地区の膝下ならばそれなりに活気があっても良い筈らしい。

安全を確保された生活圏というのはこの世界では貴重な物だ。食いつかないはずがない。

余計にD09地区のきな臭さが目立つ…情報共有で飛び込んでくる映像をいくら見ても人っ子一人見えない。

 

「ポイントB、スラムへ到達、Uzi前へ」

「了解…クリア、行くわよ」

 

ダミーとの連携で死角をカバーし合いながら高速クリアリングしながら進む。

事CQB戦では無類の強さを誇るSMGの出番だ。私はダミーリンクなんてものは存在しない。

I.O.Pが作ろうとしているらしいが…できるかどうかは不明。

417がロングを見張り416がそのカバー、私とG36CはUziのカバー。

ぞろぞろと歩きながらもスラム街を駆け上がっていく。

おかしいくらいに静まり返ったスラム街を駆け抜け…たどり着くのはD09地区基地…

門番の姿も居ない。まさか逃げられたか?

 

「司令室から物音が聞こえるわ、417見える?」

「どれどれ…うわ、これは…」

 

視覚情報がカットアウトされた一瞬映った映像では肌色と複数人の男が何かを囲っている様子。

恐らくは味見かそれとも…胸くそ悪い…

 

「建物内に侵入後司令室を目指すわ、私がチャージするから制圧するわよ」

「了解、お姉ちゃん先頭…私はMk-23でやり合うよ」

「……クリア、ふん…随分とお楽しみみたいね」

 

416が吐き捨てながら機能麻痺を起こしている基地の内部を進む。

基地のマップデータは予め私達の頭に入っている…問題なく進んでいく。

 

司令室はもう機能していなかった。かつては指揮官等と言った男も制服を脱ぎ散らかしていた。

発破された扉を間抜けた面で見ていた。その下には製造されたばかりと思われる人形が転がっていた。

あぁ、やっぱり味見されていたんだろう。その表情はもう死んでいる。

その他にも複数人の男が所狭しと居たが全員生かすつもりは無い。

 

「どうも、指揮官…お久しぶり…そしてさようなら」

 

G&K指揮下で最初に撃ち殺したのは最初に私を指揮した指揮官とは皮肉ね。

でももう私はD08の誇るべき指揮官の指揮下よ、もう売人であるあんたの人形じゃない。

 

「死体の処理は?」

「後で本部が責任を持って処理するわ」

「シッ…車両が入ってきた…ヴィオラ、あれ狙える?」

「勿論、派手にしていい?」

「デカイ火葬をしてあげなよ」

 

ぞろぞろと無警戒に入り込んでくるトラックと下品な笑みを浮かべた男達が下りてくる。

おそらくは買い手なんだろう…みすぼらしいヤツからそこそこ恰幅のいいヤツまで居る。

榴弾砲を稼働させてから窓をシールドで叩き割る。身体を捻りながら飛び出る。

物音に驚いた客と引き連れてきただろう売人が一斉にこっちを向く。

まずはトラックに榴弾を雨あられと叩き込む。

燃料がたんまりと詰まった鉄の箱は轟音をあげて爆発する。

慌てふためく連中を室内から417が冷徹に風穴を開けていく。

火だるまになった人間がいくつか転がり出てきたけど私は関与しない。

悶え苦しんで死んでしまえ。私はお前たちなんかのために苦しい思いをしたんだ。

 

「あぁ、でも一つだけお礼を言おう…D08ってこれ以上無い良い環境に巡り合わせて貰ったから」

 

こうして、D09地区浄化は呆気なく終わった。人形は本社の人間によって回収された。

人事官は無事全部情報を吐き出してから終了したらしい。

ちなみに私の買い手はその人事官だったらしい…逃げ切れなかったら顔も知らない下衆に抱かれてたのか。

怖いな…指揮官に頭を撫でてもらいたい…

 

 

――――――――――――D08基地指揮官私室・夜

 

 

「で、ヴィオラが押しかけてるのね」

「えらく信頼を寄せられて…」

「もっと頭なでてくれ、そうそう…♪」

 

基地に戻ってからお手伝いをあらかた片付けてからダーリンの部屋に行ったら先客がいた。

基地に帰るなりダーリンのところに駆け出してから抱きついてた。

ダーリンもまぁヴィオラの事を気にかけていたみたいで無事そうなのを喜んでいた。

D09の事が片付いたしG&K内部の見直しが始まったみたいで暫くはゴタゴタするかもしれないけど…

とりあえずヴィオラが馴染んでくれたのが嬉しい…けれど…

ヴィオラが抱きついて頬擦りし始めた辺りからダーリンがデレデレし始めた。

まぁ十中八九私のより大きいおっぱいの感触にデレデレしてたんだと思う。

私は正妻だし、その後の夜…つまり今なんだけど…夫婦の時間があるしーって余裕ぶっこいてた。

そしたらこれですよ。ヴィオラ一気に懐き過ぎじゃないかな。

私も結構あれだったかなーって今になって思うけどヴィオラが完全に犬になってる。

きっと尻尾があったらブンブン振りまくってる。

 

「まぁ良いんじゃない?でもヴィオラ…そろそろ出ていかないとー…おっぱい揉まれるよ?」

「ふむ…信頼は置いたがまだそこは…いや、私はそれも厭わない」

「ちょっとチョロすぎません?」

「私を地獄から天国に置いてくれている指揮官に抱かれるなら私は本望だ」

「とか言ってるけど…?」

「いや、417と寝るから…ヴィオラは今日はとりあえずお部屋に戻って?」

「そうか…」

 

とぼとぼと帰っていくヴィオラ…うーん、今までにないタイプかも。

 

「どうする、ダーリン…ヴィオラとも結婚しちゃう?」

「いや、あれは今までの環境が悪いだけで今の環境が普通なんだし…一時の感情だろ」

「そう思う?私はあの目はガチだと思うけどねー」

 

生まれ落ちてから物同然に扱われ続けてココに来て人間と同じ様に大事にされたらねぇ…

私もそんな甘いようで優しいダーリンに惹かれたんだから。

 

「まぁダーリンの心が変わったら受け入れてあげなよ?」

「おう…その前に…」

「ふふ、今日もいっぱい愛してね…ダーリン♪」




不遇系ヒロインのヴィオラはチョロイン属性も持っていた…?
いや、あれだから目覚めてからずっと不幸だったのをすくい上げられたら堕ちるでしょ。


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Day109 工事とレッスン

ヴィオラさんなー…うん…ね。


「はい、合わせていきますよー」

 

今日はS09地区のP38が来ていた。私とのレッスンだ。

踊る楽曲は決まっていて私もまぁ知っている曲だったからまぁ良し。

問題は私がそのダンスの振付を覚えていなかったから合わせていく。

ドレスのフィッティングまでに私は覚えなくちゃいけない。

向こうのご厚意に対する対価が私を巻き込んでのライブだからなぁ…

背丈はまぁ皆似たり寄ったり。私だけででーんとおっぱい出てるけど…

容姿は皆それぞれ光るものがあるから良し。あとは一糸乱れず踊って歌って。

 

「417さんそれは私の歌うパートです」

「うがっ」

 

私一人だったら全部歌うんだけど3人ユニットで歌うパートが別れている。

それに慣れてないからついつい歌っちゃってツッコミが入る。

言っちゃぁ何だけどダンス自体はそう難しいものじゃない。アイドルソングのダンスは総じてそうだ。

観客も覚えやすく一緒に踊る敷居が低いのがほとんどだ。

歌って踊ってを一人でするならなんてことはない。ただコレが合わせるが混ざると大変なんだ。

あと一つの楽曲が短く設定されてるから一曲だけだと味気ないなって事で複数楽曲合わせてる。

まぁ私、人形だし短い合わせでも全然余裕ですから。それよりP38とPP-90が楽しいステージにしないと。

勿論、私も全力で楽しむ事が大事。歌う、踊るっていうパフォーマンスは自分が楽しくなくちゃ。

今踊って歌ってるのは「Love∞Destiny」っていう楽曲。

昔に存在していたアイドルユニットの曲で本来は5人で踊る物だ。

まぁ今回は3人で分担。振り付け自体は全員一緒だから問題は無い。

センターは私、この楽曲は愛がテーマだから結婚したばっかりの私にピッタリかも。

まぁ楽曲の歌詞はだいーぶ重たい愛だけどね。私の愛はそんなに重たいかな?

ダーリンの負担にはならないようにとは思ってるけど…負担になってたらショック。

 

「じゃあもう一回合わせますよー」

「はいっ!」

 

ダンスの振付は完璧だしステップのタイミングとかもピッタリ合わせられている。

元々ダンスが趣味だったってのが大きいかも。ただなぁ…観客の視線は間違いなく一点に集中しそう。

衣装はどうか分かっちゃいないけど私のチャームポイントでもあるおっぱいがなぁ…

レッスン着にチョイスしたタンクトップとホットパンツだけどこれがまぁたっぷんたっぷんいって…

ゆるいダンスのはずなのに私だけ躍動感というか…うん、まぁ見られるよねって話し。

おまけに私はセンター必然的に観客の視線は私に突き刺さる。

アイドルを見る観客なんて可愛い物好きだったり女の子好きな男性が多いと思うし…

女性のファンも居たりするだろうけど大多数は男性だろうなぁ…あーあ、いやらしい目にさらされるのはもう慣れたけどさ。

主にメンテナンス班の連中で鍛えられてるからもう物怖じしないけどさ。

 

「いい感じですね、じゃあ次は…」

「あたしセンターのBEYOND THE STARLIGHTね!」

 

次はPP90がセンターになってフォーメーションを取る。

私とP38はバックダンサーになる。あくまでも目立ちすぎず…隠れすぎず。

かと言って手抜きは出来ない。ちょっと手を抜けば違和感が出てくる。

従ってその敷居というのは自分がセンターを張るのと全く変わりない。

この歌もまぁソロパートがいくつかあるので間違えたら台無しである。

なお振り付けは私センターの奴よりちょっと激しい。

 

「417さん体幹がぶれてます」

「ごめん、でもおっぱいが…」

 

私にはかなり重い重りがぶら下がっている。飛んだり跳ねたりしたら揺られる。

それからステップなんてしたらちょっとブレちゃうんだよね。

こればっかりは私も分かっちゃいるけど矯正のしようが…頑張るけど…

ステージ衣装が過激なのだったら私これでぽろりしかねないから怖いなぁ。

可愛いけど防御力のあるやつで頼むよー…まぁP38のセンスを信じよう。

 

「動きはいい感じですね。じゃあ次は」

「P38センターの流れ星キセキだね」

 

まぁこんな感じで私達のダンスレッスンは進んでいった。

外ではカンカンと物音がする…補給基地から来た建設班が到着したんだろうな。

FALの副官権限乱用も功を奏したって奴だね。ただ私のドレスを発注しなかったのはどうなんだ?

 

 

――――――――――――

 

 

「ん、417か…主人なら工事現場に行ったぞ」

「そっかー…で、ヴィオラは何してるの」

「主人の上着をくんかくんかしている」

 

ヴィオラ壊れた。もっとツンツンしたというか…クールな感じだったのに。

今じゃクールな皮を被った犬っ子ムーブかましてるね。

何この…何?お澄まし顔してダーリンの上着を着てから全力でくんかしてるんだけど。

ダーリンが好き好きになったのは分かったけど…これはどういう好意なんだろうか。

恋慕なのか親愛なのか敬愛なのか友愛なのか…敬愛に近いのかな…

 

「主人となら子供をつくっても構わない」

「おう、ちょっと待とうか」

 

ヴィオラが本格的にぶっ壊れ始めてる気がする。この子こんなキャラだったの?

朝の愛し合いにもこの子参入してきたし…ここに来て嫁が一人増えたのか?

とりあえず副官してるはずのヴィオラから上着を剥ぎ取ってから仕事させる。

 

「ヴィオラはダーリンの事どう思ってるの?」

「む…全てを投げ売ってでも守るべき主人…か」

「それってどういう好意から来てる?」

「……恩だろうか、あの人に付いていけばもう不幸は無いと思うから…か?」

「私は良くも悪くも甘ちゃんで人形にベタ甘で仕事には真面目な所に惹かれていった」

「ふむ」

「ヴィオラはどんな所に惹かれてる?」

「……同じだな」

「何をされても許せちゃう?」

「そうだな」

「手を繋いだり頭を撫でられたら」

「心が暖かくなってくるな」

「ベタ惚れかよ」

 

ちょっとの質問を交わしたらまぁーヴィオラは私と同じ匂いがしてきた。

まぁ普通に初手セクハラは度肝抜かれたと思う。私もあの初手は拒否反応出たし…

暫くの間は好感度は低かったと思う…でもそのギャップというか…

とても真面目なところに見る目は変わっていったし甘々で人形を大事にしてくれてたし…

何かあればすごく心配してくれてた。そんな優しいダーリンだからこそ今みたいにべったべたに惚れちゃってたんだけど。

ヴィオラはこれまでの経緯がすごく不運というか…下水道みたいな歩みをしてたからなぁ。

急速に好感度が上がってこんな風になってるんだろうな。

 

「じゃあもう一つだけ質問ね。もしもダーリンに愛してるって告白されたらどう?」

「………生涯に一変の悔い無し」

「おー…倒れた、そんなに嬉しいか」

 

両手を組み合わせて祈りを捧げるかのようにぶっ倒れた。幸福間マシマシな顔しちゃってまー…

ヴィオラ用のウェディングドレスも追加発注かな?デザインはI.O.Pの連中がなんとかするでしょ。

あーあ費用が膨らんでいく…予備資産これすっからかんになるなぁ…

暫くは後方支援とか任務に出かける必要があるかも…また備蓄しないとね。

 

「もしもしダーリン?ヴィオラもこれダーリンLove勢だよ」

『はぁ?会って3日も経ってないのにか?』

「地獄の日々から救い出した男、仕事には真面目、女に対しても真摯、人形とっても大事にする男…私が惚れた優しい人」

『えぇ…』

「まぁダーリンいい男だもん、顔はともかくとして。内面がイケメンすぎるから仕方ないね、とりあえず嫁が一人増えるよ」

 

嫁が揃いも揃って良いおっぱい持ってるからダーリンも嬉しいでしょ。

夜はとりあえず暇しないし選り取り見取り…私だけ独占してたら私の身体が大変なことになるしぃー?

今だっておっぱいが開発されてきててからウズウズしちゃってるんだもーん。

他にも矛先が向けばいいかなーって思ったり。とりあえず来週の任務の調整をしておこう。

 

 

――――――――――――

 

 

結構大きく空いていたスペースに大型倉庫の基礎が出来上がっていた。

そして現在はコンテンダーの指示の下骨組みが組まれていってる。

計算上では式一日前に完成して中のチャペル内装もすぐに組み上がる予定。

披露宴もまたその倉庫内でするのかな…いくつかに区分けされるみたいだし。

D08地区の建設業者も来ててから人形用兵舎の一室増設と…離れの建設か。

というか所謂プレイルームみたいな所かなぁ…ダーリンが色々言ってるみたいだ。

地上1階に地下1階…地下の方は何を考えてるんだろうか…結構広いし…

 

「ダーリン♪」

「ん、417か…どうした?」

「その離れってどんな風にするの?」

「417御用達のあれこれを設置するつもりだな…お前ドMだし」

「ダーリンだけに対してはドMかもしれないけどー」

 

酷い言い方だ。まぁ私はダーリンに対してだけドMだったりするけど。

私が喜ぶ系のものって何かな?その地下室っていうのがそれかなー?

1階は普通の寝室だったりするかな?それともやっぱり何かあるのかなー?

 

「とりあえずお前たち抱くのに必要なものを揃えておくつもりだ」

「ふーん…特に何を用意してるの?」

「大人のおもちゃとお風呂とキングサイズのベッドかな」

「それで地下室は?」

「言えるかよ…」

「え、そんなのを用意するつもりなの?」

「お前の業の深さを知ったらなぁ…」

 

嫁の認識がどうなってるんだこのダーリン…私そんなに業深くないもーん。

ちょっと首締められるのが興奮するだけじゃーん。

 

「んで?ヴィオラの件は?」

「私が聞いた感じだと普通にめっちゃラブラブだと思うよ」

「まじかよぉ…」

 

はぁぁ…ってダーリンが頭を抱えている。まぁ良いじゃん、おっぱいだぞ?

私と並ぶか私よりでっかいおっぱいだぞ?私のデータを反映したおっぱいだよ?

揉みまくれるんだからもうそれでいいじゃん。ダーリンは飽きないしヴィオラもハッピーでオールOKじゃん。

私は正妻だし他も愛してあげたら?私も愛してくれるんだったら別にいーもーんだからね?

でもなんだろう。ヴィオラも私と同じ匂いがするんだよなぁ…

強力なライバルかもしれないな…うーむ…まぁそれだったらそれでいいか。

二人してダーリンを喜ばせたら良いしね。




ごめん、もうこうなっちゃった。
だが私は謝らんぞ。可愛いやん。


評価バーが最終段階行きましたね。ありがてぇ…


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Day110 新製品?

こんな商品もありそうじゃない?


「アーちゃんうさぎ?」

「送り元はS09地区になってる…まぁアーキテクトのバカだろ」

「いや、結婚祝いくれた人をバカ呼ばわりは…」

「良いんだよ、平気な顔してバカやらかしてんだから」

 

なんか朝になったら変なDVDが届いていた。送り主の名前はアーちゃんうさぎなんて名前だ。

S09地区って事はまぁあのバイクを作り上げたアーキテクトの事だろうな。

で、今回はどんな事をしてるんだろうか…私もこれは皆目検討つかない…

まぁDVDだし普通に再生してみれば良いんだろう。端末に読み込ませてっと…

 

「3・2・1!どっかーん!!わーい!!」

「んー?」

 

兄の秘蔵フィルムのアニメーション作品であったような気がするなぁ。

ノリはかなりフザケてるが言うなれば商品紹介ってところだね。

テレビを点けた際によく流れているコマーシャルや通販みたいなノリだね。

ただ商品がえらく魅力的だぞ…外見はまぁ目を背けるとしてその中身さ。

ミニチュアな鉄血ハイエンドモデルが虫を徹底的に駆除してくれるなんて…

虫騒ぎがあったこの基地ではかなり欲しい一品だ。私は絶対に欲しい。

またGが出たら今度はダーリンの傍絶対に離れないからな。G36が駆除してくれるまでダーリンの部屋出ないから。

普通にマスコット的にも可愛いし欲しくなってくる商品だね。

 

「これ注文するならやっぱりあれかな?」

「まぁ十中八九S09地区に連絡するんだろうな…あの基地マジで大丈夫なのか?」

「大丈夫でしょ、ウチみたいなのがあるんだしさー」

「お、そうだな」

 

まぁウチはただ人形に甘ったるいだけの普通の基地…と言いたいけど…

イレギュラーが2体所属してるしセクハラは結局横行してるしーの…

重婚やらかすしー?色々おかしい基地だって言われてもおかしくないんだよね。

結局この世界でまともなヤツの方が少ないんじゃないかなって思う。

どっかしらぶっ飛んでないと心の均衡が取れないんじゃないかな。

とりあえず私のお給料からも出しておこう。振込先はどこだよ。

 

「なぜなにのノリが聞こえたんだが?」

「流石アニオタ早いねー、仕事しろ」

 

DVDの音声をどっから聞きつけたのか知らんが兄がドアの向こうから顔を覗かせた。

いや、お前は清掃員だからお掃除の仕事をしてなさーい。G36が粛々と引っ張っていった。

こちらもまた仕事が早い、何から何まで把握してるんじゃないかと錯覚するよ。

 

「で、もう一個…こりゃI.O.Pかぁ…まーた変なの送りつけちゃいねぇだろうな…」

「どれどれ…2つあるね、あ一つは私のヤツだね…もう一個はなんだろう?」

「俺はもう何も聞かんぞ…」

「はいはい…じゃあ私が処理しておくよー」

 

私の奴は私以外が服用すると大変なことになるらしいからさっさと飲んでおこう。

で、もう一個の方のやつはなんだろう…I.O.Pが関わってるって時点でまぁ怪しいけどね。

なになに…試作、人形用育乳サプリ…貧乳コンプレックスなあの子もバインバインに…

私とかが服用したら致命的じゃない?もう一個手紙が…どれどれ?

おっぱい好きな同志D08基地の指揮官君へ、結婚祝いとして一つ送る…

嫁に服用させても良いし貧乳コンプレックス抱えてるやつに服用させても良い。

試作段階であるため数に限りはある…あと使用したらデータのフィードバックはくれよ?

I.O.P研究室のソウルメイトより…追伸、迷ったらUMP45に食わせたら良いんじゃないか?

これはこれは煽りよるよ…あと私やヴィオラ、FALとかが服用したら不味いしこれは…

 

「うん、45姉に聞いてみてからかなぁ…?」

「私がなんだってー?」

 

うっわびっくりした…普通に気配を断ってるからかマジで気づかなかった…

振り返るといつものようにうっすら笑ってる45姉が居た。

無言でサプリメントと説明の紙を手渡す。暫く読み進めると紙の方は八つ裂きにした。

無言だよ無言無表情で細切れにしたよこの45姉…ブツブツつぶやいてるし…こわー…

で、迷いなくその試作サプリを飲み込んだ…あ、やっぱり気にはしてるんだよねー…

 

「まぁどうしてもだから」

「誰も何も聞いちゃいないよー…」

 

ただ何の変化も見られないことにやっぱりかー…と笑ってた。

こういうの遅効性で出てくるのに時間差があったりするんじゃない?

 

 

――――――――――――

 

 

さて、今日明日でドレスのフィッティングを行って…式場を突貫工事して…

えーっと、基地警備とか道中警護とかの人数を私が把握できちゃいない…

ここ数日で目まぐるしく動いているからなぁ…ケーキは日持ちがしないから当日に完成させるんだけど…

そこそこの大きさになるからお菓子作りできる人形総掛かりになるしなぁ。

G36が張り切ってるけど来る客の多さが多さだから料理が間に合うか…

あぁ不安なことが多い事多いこと…今日から数日間は私もおちおち夜まったり出来ないし…

暫くはダーリンとの夜の生活もお預けだからストレス溜まりそう…

まぁ結婚式が終わればそれも一旦落ち着いて…色々出来るんだろうけど。

 

「明日は一日私が居ないけど…寂しくない?」

「朝いっぱい補給するつもりだから覚悟しておけよ」

「あはは…腰が立たなくなるような事はやめてね?」

「善処する」

 

お昼を二人で食べさせ合いっこしながら明日のことについて話す。

もちろん口移しですけど?私はダーリンとのいちゃいちゃが出来なくてストレス抱えそうだけど…

まぁ明日は目一杯身体を動かして歌って踊ってってするから大丈夫かなぁ?

昨日の通しと確認を反芻しながら一人でレッスンしてたし…不備は無いはず。

ダーリンの方が心配なんだよなぁ…私が居ない間に暴走しないか…

まぁ矛先はお姉ちゃんに向きそうなんだけど……うん…どうなるかなぁ。

 

「それよりよ…なんか45の様子がおかしかったんだが…」

「あー…I.O.Pの荷物がねー…」

「また何か変な物作ったんだろ…」

「育乳サプリなんて名前でさ」

「なるほど把握」

 

まぁ期待してませーんって言いながらしきりに胸元をさすっていたりするから期待マシマシだろ。

夫婦そろって一方向を向くと…おっと

 

「^^」

「「アッ」」

 

二人揃って鼻をコキャっとされました…ついでに私は揉み回された。

とばっちりでヴィオラも何故か揉み回されていた、解せぬ。

結局お昼の食堂には3人程床で悶え転がる事になった…

 

 

――――――――――――

 

 

基地周辺警備はSAAとM14とG28…雇われのお二人…まぁその二人に関しては披露宴に参加してもらうつもりらしい。

SAAが高台とって周辺警戒をして不審なものを発見したら狙撃手二人で排除って流れ。

イサカと主任が受付…案内はメンテナンス班の連中がするらしい。

送迎に関しては一つ手段が決まった大型のカーゴヘリを出す。

二人パイロットが居るのが幸いだ。分担して客をピックアップしてこちらまで運ぶ。

それが叶わない所に関しては陸路の旅費を出して着く時間帯に合わせてバスを出す。

バスの運転手はウチの兄だ。まぁ運転技術に関して言えば私より良いから安心だね。

バスの護衛はスペクトラとステンだね。まぁやかましいが戦闘力はずば抜けてるから良いか。

基地内警備にはスオミとUMP姉妹…G11はあれだ…マスコットだからしかたない。

調理班はG36と共同で披露宴のお料理とウェディングケーキの制作。

ギリギリまでスプリングフィールドと私が手伝うけどドレスの着付けですぐ離れることになるかなぁ…

土壇場で招待客が増えないとも限らないし…まぁ受け入れ体制だけは整えておこう。

 

「で、ダーリンは?」

「私室で休憩中だが?」

 

副官業務中のヴィオラが書類さばきながら私室を指さした。

一服というか…まぁしてることは思い浮かぶ。私室に籠もってすることなんてねぇ…

 

「休憩中にシてることなんて言ったら…ヴィオラ、こっちきてみー?」

「なんだ、私は主人に任された仕事が…」

「ダーリン…あー!お姉ちゃんずるい!!私のおっぱいもナメナメしてもらうんだから!!」

「何、スケベ案件か…私も同行する」

 

まぁ普通にお姉ちゃんとよろしくやっていたんだよね。ちょっとこれは予想外。

つーかお姉ちゃん猫ランジェリーなんて買ってたのか。かっわいいー。

そしてまぁ攻めるねぇ…ふふふふー♪ちょっと混ぜてもらいましょうかねー?

 

「まて、お前らまだ仕事が残ってるから夜な!夜!!」

「今が夜じゃない!!」

「そうだ、今が夜だぞ主人よ。さぁベッドに連れ込め」

「いや、仕事ぉ!!」

 

結局私達がノックアウトされてダーリンは怒りの仕事に戻っていった。




ほら、貧乳で製造されてコンプレックス抱えてる子を救う商品とかさ?
巨乳45姉だって居たっていいじゃない…D08基地だもん…
自信満々に胸を張る45姉とか絶対可愛いやん…ポンコツっぽくなりそうだけど。


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Day111 報酬は笑顔

ここんところ慢性的なコラボ続き状態なのよね。


「うん、この衣装可愛いね…」

「今日のために頑張った甲斐がありました!」

 

結婚式までの間に空いた時間を見つけてはダンスレッスンに明け暮れて…

さらに言えばボーカルレッスンもしていて3人の息は完全にぴったりとあってる。

私は正直まだ不安があるっちゃあるけどP38は思いっきり愉しんでと背中を押す。

衣装はと言うとほぼお揃いだけど細部が色違いなアイドル衣装。

私はピンク、P38がイエロー、PP-90がブルーでトリコロールカラーです。

基本形状は変わらない、ただ私がどえらいでっぱいだから調整が難航したなぁ。

ダンス中にたぷんたぷん揺れて揺れて私だけダンスが乱れちゃってなぁ。

体幹を鍛えてからなんとか最近は…ってところだけど…大変だった。

普通に趣味のダンスと一緒かなーなんて思ってたけどそんな事は無かったよ。

一糸乱れず踊らなくちゃいけないし歌だって合わせなくちゃいけないパートがある。

自分のパートを抜かしたらそれはそれで大変だし…はーもうしんどかった。

でもこのダンス合わせとか衣装合わせしてーってしてる間に仲はすごく良くなったかな。

今日はと言うと私がD08基地を飛び出してからS09地区にお邪魔している。

やることは勿論唯一つ、ゲリラライブですよ。P38お得意のゲリラライブ。

私の存在っていうのは勿論の事だが知られちゃいない。

このライブが終わった後はさらにS09地区にまたお邪魔して出来上がっているドレスのフィッティングだ。

大変だったけどさ…私の大変さってそうでもないし…むしろP38とかの方に負担があるよね。

これがウェディングドレス代の代わりっていうの本当に良いんだろうか?

 

「で、この人形劇が終わった後に?」

「結構やってますから期待半分なお客さんも多いと思いますね」

「で…なんでスチェッキンがここに居るの?」

「そりゃぁ勿論商売、良い稼ぎ時なんだから頼むよー♪」

 

P38関連グッズをこれでもかと…PP-90のグッズもあるな…ふーん。

財政状況がきっついって感じじゃないはずだけど…商魂逞しいというかなー

 

「ちなみにキミのも製作予定」

「おまっ」

「一度と言わず不定期で良いからゲストで来てよ、ね♪」

「人妻をマジなアイドルにしようとするのはどうなの…?」

「可愛ければ良し」

 

良くねーだろ、アイドルって偶像だぞ…男が夢見るのはそんな見目麗しい子とあわよくば…みたいなのだぞ?

既婚でそういうのが許されるのはあれじゃない?役者だったり歌手じゃないの?

まぁ可愛さっていうのは私もそこそこ自信あるよ?元男目線で言えばシコリティ高いボディだし。

顔の造形だってお姉ちゃん譲りでかなり可愛いしねー背もちっちゃいから良いし。

まぁ良いか、今日一回限りのつもりだしなー…ウケが良かったら続けても良いかもだけど。

 

「メイクは?」

「OK」

「衣装もばっちし」

「後は楽しく歌って踊っていくぞー!」

「「「おー!」」」

 

とまぁ初めての舞台裏ってやつで気合い入れて私達の出番が回ってくるのを待つばかり。

会場に集まってる人間達の熱気っていうのがちょっぴり伝わってこなくもない。

ただちょこっと見える会場席は…うーん、今やってる人形劇を楽しみにしてるって感じじゃない。

やっぱりスチェッキンの屋台で買ったっぽいうちわとかが目につく…

 

「ねぇこれ本当にゲリラライブ?」

「ゲリラライブですよ、全然告知してませんもん」

「にしてはP38目当てっぽい客が多いんですけど?」

「ワンチャンにかけてる常連さんですね」

 

出現率が高いからって毎回来てるのね…その熱意はスゴイと思うな。

聞いた感じどのゲリラライブにも顔を出してる猛者がいるらしい。暇人かよ。

 

「ん、人形劇が終わったね…」

「じゃあ行ってみましょうか最初はPP-90ちゃんがセンターのBEYOND THE STARLIGHTですね」

「アタシにちゃんとついてきてよ!」

 

予告にあったステージ公演はここまで…アンコールなどもない。

人形劇を楽しみにしてきていた感じの家族連れや子供は帰ろうと席を立っていた。

アナウンスも流れてさぁ閉幕ですよといった流れ…まぁ打ち合わせ通り。

 

「ちょぉぉぉっと待ったぁぁぁ!!」

 

大音量で響くP38の声に客が沸き立つ。帰ろうとしていた連中の足も止まる。

すかさず流れ出すイントロ、始まる前に皆顔を合わせて頷く。

此処から先はアイドルの世界、皆を引き寄せて逃さない覚悟で行こう。

慣れない衣装だけどどうとでもなる!ステージ上に走っていく。

さぁ私達のステージライブの開催だ!うわ、スポットライトが眩しい。

会場はまぁP38のファンが多数でP38コールが耳につく。

出だしの一発はTheアイドルソング。2分ちょっとのダンスと歌。

 

結構緊張したけど自然体で踊れたと思う、軽くハイになってるのを自覚する。

絶対こんなの恥ずかしくなって途中でボロが出ちゃいそうって思ってたけどね。

 

「みなさーん!こんにちはー!!」

「「「「こんにちはー!!」」」」

「うーん、いい声だと思います!ね、PP-90ちゃん!」

「そうかな?アタシ的にはもっと出ると思うな…もう一度、こんにちはー!!」

「「「「こんにちはー!!!!」」」」

「よぉし!!今日も今日とてこんな突然のライブでごめんなさいねー!」

 

一曲終わってからアイドル組が慣れた感じでトークを始める。

コールアンドレスポンスもいい感じで会場のボルテージも上がってきてる。

PP-90の知名度はそうあんまり…って感じだけどファンが根付いているみたいだ。

P38グッズが多い中PP-90グッズを早速装備して応援している人間がちらほら見える。

で、私は一言も喋らずにっこにっこしてお客さんに向かって手を振ってみたり。

 

「今日はとっても可愛らしいメンバーが一人居るのは皆さんもお気づきでしょう!」

 

と、ココで私にスポットライトが集まる、P38の言葉どおりで普段は絶対に見ない人物が一人混じってたらそりゃ各々疑問に思うだろうさ。

一歩足を踏み出してから大声を張り上げるぞー

 

「こーんにーちはー♪」

「「「「こんにちはー!!!!」」」」

「P38ちゃんは可愛いですかー?」

「「「「めちゃくちゃかわいいー!!!!」」」」

「PP-90ちゃんはー?」

「「「「かわいいー!!!!」」」」

「さて私は誰でしょう?」

「とか言って困らせないでください、417ちゃん」

「あー、ひどーい謎の女の子ムーブしたかったのにー」

「今回限り…の予定のHK417よ、覚えていってあげて!」

「という訳で今回のライブ限りの予定ですけど、こんにちは♪反響が大きかったらまた来るかも?」

「もう一回417ちゃんに来てもらいたいかー!」

「「「「もっかい!もっかい!」」」」

 

なんていう風にトークしていってからステージの方に問いかけてみると案外反響がある。

うーん、ちょっと続けてもいいかな…なんて欲が私の中で鎌首をもたげるぅ…

 

「まぁそれはそれとして次はあの曲行ってみましょうか!」

「皆覚えてるよね?流れ星キセキ!!」

 

これもまたバッチバチなアイドルソング。このステージ衣装はこの楽曲用らしいけど…

まぁそんなのはどうだっていい!さぁ二曲目も目一杯歌って踊って盛り上がろう!

私達の輝き、皆の心に届いたら良いな。

 

 

――――――――――――

 

 

私センターのLove∞Destinyもつつがなく終わってアンコールとかもあった。

流石にそれには私のレパートリーが追いつかなかったからなぁ…

アイドルソングじゃなくて他に私のソロステージにしてしまって極楽浄土とか歌って踊った。

私の名前でコールがかなりあったのは嬉しいかも…これがアイドルかぁ…

P38が夢中になるのも分かるような気がする。まだ熱気が私を包んでるような気がする。

で、今はって言うと…S09基地にお邪魔している。エルフェルトがにっこにこでドレスを着せてくれる。

 

「おかしいですね…データ通りに作ったはずなんですけど…」

 

カップなどは無いからキツくても着れないことはない。データ自体はブラ改修時点だよな…ぐぐぐ…

チューブトップみたいになってるドレスだ…真っ白で腰や胸元に白いバラのコサージュが彩られている。

歩きやすいようにか…それともダーリンを喜ばせる為か…

ロングスカートなんだけど前部分だけはミニ丈になっている。

白いソックスにガーター…ヴェールとウェディングティアラを頭に載せてもらったら…

 

「…これが、私…」

「よくお似合いですよ♪」

 

長い手袋もして全身純白に染め上げられた私が姿見に映し出される。

後はブーケを持てばいつでもヴァージンロードを歩んで行ける。

 

「ありがとうございます…なんてお礼を言ったら良いかな…」

「お礼は良いですよ、ほら女子の一世一代の晴れ舞台用の衣装ですから!」

 

お手製とは思えないこのクオリティだよ…というかこんな良いドレス本当に良いのかな。

宝石の類はダーリンが素材をどっからか調達して送りつけてたな。

 

「ともかく、胸以外は問題ないですね?」

「はい、バッチリ過ぎて怖いぐらい」

「それでは明日、目一杯見せつけてやっちゃってください!」

 

明日…明日、遂に結婚式か…実感がちょっと薄いような感じがする。

こうして準備してもらってるけどまだ夢の中のような気がしてならない。

ちょっとの手直しをしてから明日このドレスはD08に納入されて…

さてと…D08基地に戻ってから明日に備えておきましょうか。

 

 

――――――――――――

 

 

「ただいまー…って何々?何がおこって…る…?」

「あら、417じゃない。おかえり♪」

 

帰りついたのは深夜、記念にアイドル衣装を貰ってきたんだが…

それはそれとしてにわかにざわついていて何のことかと思っていたら…

その渦中にいたのは…灰色のサイドポニーが目印、45姉だ。

かなりご機嫌なのが真っ先に疑問に浮かんだんだが…違和感に襲われる。

さて、他の基地にも配属されている事が多いUMP45という人形はどうであろう?

各基地の個性が多少なりとも出るだろうけど割と常識人だけど色々と含みがあったり腹に一物抱えてるよねってイメージ。

あと胸がぺったんこで本人は気にしてるしネタにすると漏れなく鼻を差し出すことになる。

私がここで違和感を感じた場所が一つあるんだ。この45姉…気の所為じゃなかったら胸が揺れている。

9姉と同じで着込んでいるから目立ちにくいんだけど…この45姉揺れたぞ?

 

「嘆きの壁じゃなくなっている…?」

「あの育乳サプリ効果あったわ、良いじゃないこれ♪」

 

遅効性でじわじわと膨らんでいってるらしい。普段の食事+αで糖質、脂質を摂っていたらしい。

ちなみに45姉はいっくら食べても身体にそういうのが着かない体質だった。

それが改善…いや、改悪?わからん…本人にとってはかなりの改善だろうな。

あとは現実的なところで考えると非常用のエネルギー源ってところかな?

 

「目指せ416サイズね♪」

「そこまでデカくなるかな…」

 

披露宴で一波乱あるな…他基地の45姉が来たら絶対に一波乱待ったなし。

パッと見じゃ判別しかねるが…C後半は硬いな。




舞台はS09地区の町中。衣装はNewジェネのステージオブマジックですね。
417ちゃんおっぱいマウスパッドとかがスチェッキンさん所の屋台に並ぶかもね。


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Day112 結婚式

セリフはもう諦めてくれ…僕のキャパオーバーや…
圧縮運行してこれだからいつもの様に膨らませたら多分短編一本分になるぅ…


「それじゃあ警備をお願いしますねー!あとコーラいります?」

「要請を受けてPMC武器庫から来たジャベリンだ、よろしく。あとコーラは結構だ」

「右に同じく要請で来たデッドマンだ。報酬分は働く」

 

基地周辺警備の部隊が早朝から慌ただしく動いていた。

斥候役のSAAが代表して本日限りでD08基地の守りを固める二人の人間に挨拶をしていた。

本名は明かさずコードネームを名乗っている二人だが相応の報酬金を払っている。

その戦闘力は折り紙付きでよっぽどのことがない限り…それこそハイエンドモデルが大挙して押し寄せるようなことが無い限りは平気だろう。

もっともそんな非常時になることはありえないのがD08地区なのだが…

朝早くからヘリは飛び立ち、送迎用の車両が街へと繰り出す。

随伴護衛の人形もしっかりと警戒してから睨みを利かせるから良いだろう。

 

 

 

 

全ては整った。婚姻を告げる鐘も挙式をあげる式場も何もかも。

送迎は基地が判明している基地にはヘリを寄越してからピックアップしていくみたいだけど…

残念ながらそうでない組に関しては街間の交通費を出して各々来てもらい…それから街と基地の間を送迎する形になった。

フィッティングして出来上がったウェディングドレスはそれぞれを引き立たせつつ可憐に見せていた。

FAL、G36C、Mk23はそれぞれウェディングドレスがそもそも作られていたのでそれを着ている。

パーティードレスが用意されていたお姉ちゃん、スプリングフィールド、わーちゃんはそれをベースに白一色に染め上げて…

コサージュやヴェールを追加…細部に刺繍も加えていた。

問題だったのはUziとヴィオラだ…Uziにはそんなドレスやウェディングドレスもラインナップに上がっていなかった。

Uziはヴェクター用にラインナップされていたドレスを改修、ヴィオラはFive-seveN用の物をベースにしていた。

今日は朝からずっと忙しなく基地は動いていた。元々休みって言うこともあって前線警戒は隣のD07地区と現状D09に駐在する本部の部隊が担当する。

基地周辺の警戒が厳重に敷かれている、来客以外の招かざる客は警戒中のだーちゃんかSAAが発見。

狙撃態勢で待機しているM14かG28に足を撃たれるか頭に風穴が開くか。

門番付近でイサカと主任が各々の客人の顔写真とIDを参照してから通す。

データ共有用に受付におゆうぎしますちゃんが鎮座している。

受付済みなお客さんはその後は自由にD08基地内を散策できる。

基地内でのゴタゴタ対応や案内代わりにUMP姉妹とスオミが巡回している。

で、今私達花嫁組が待機しているのは出来上がったばかりの倉庫の一室。

なんというか…すごく異質な空間になってるなーって思うな。

一世一代の花嫁衣装を着た女の子が9人も並んでいるんだよ。

それも結婚する相手は一人の男性、みーんな揃って一人の男性が好きになっちゃってるのがなぁ。

ただの結婚と思ってたら普通に重婚でしたーなんてなったら客卒倒しないかな?

外の様子が全く見られないのはちょっと不安だけど…私達は私達の出番を待つばかりだ…

入場の際に手を引いてくれる人形とかは居ない。そりゃそうだ…

普通に考えてみたら人形にそんな相手は本来居ないし…そも人間の結婚式であっても両親が居ないって所が多い。

強く、一人で歩き伴侶と寄り添ってお互いを引っ張りあって行くのが今の結婚式じゃないかな。

 

「拝啓、名も顔も忘れてしまったお父様お母様…娘は幸せになってまいります」

 

私はぶっちゃけちゃうと兄さんに手を引いてもらうのもありかなーなんて思ったけど…

それは何か怪しまれるかもしれないから私は皆と同じでしっかりと一人で歩いてダーリンの元へと向う打ち合わせになっている。

それぞれお化粧も済んでお色直しのドレスも確認した所でヴィオラがお祈りしながら何か言ってる。

鉄血人形のパパママってなんだろうね?そもそもヴィオラってそういう概念があったのね。

 

「皆~そろそろよ~」

 

待機室に45姉が顔を出す、おそらくだが各々基地からの客人達が来たんだろう。

式はもうすぐ始まる…打ち合わせどおり、皆が先に行く。

さきにチャペルと化した倉庫の一室…誓いの言葉を告げる場に待つのは私達の夫。

受付の次は司会か…イサカが進行の為にマイクを握っているんだろう。

薄壁一枚隔てた向こうから声がする…厳かな音楽も流れているし…今回だけって言うのに凝ったなぁ。

先にFALを先頭にして花嫁行列が行く…拍手の音が聞こえてくるが…

まだ開いたままの扉、じっとそんな扉を見ている新郎に会場内が怪訝な感じ。

挨拶回りした二箇所からは私の姿がないのが不思議でたまらないって感じだな…

一度仕切り直しの為に…と扉が閉められ…私が立つ…両耳に飛び込む蝶番が軋む音。

チャペルの扉が開かれる。赤い絨毯が敷かれたヴァージンロードとその両脇を固める大勢の人、人、人。

真っ白な内張りにステンドグラス風の天窓…十字架、立派なチャペルだ。

神父も壇上に待機していて後は私がこのヴァージンロードを歩んで新郎の元へと行けば良い。

 

カツ…カツ…とヒールの音を鳴らしながら一歩一歩しっかりと足を踏み出していく。

緊張が一周回って落ち着いてきている。婚約指輪代わりのネックレスもイヤリングも身に着けている。

厳かな雰囲気の中しっかりとしたタキシードに身を包んだ夫の元へ…

誓いの言葉は少し雰囲気が違う。元々は1対1の結婚で用いられるものだからだ。

夫は1人、妻が9人…しかしながら何時如何なる場合でも共に助け合い歩んでいくこと…

愛し、慰め、敬い…この生命がある限り捧げていく…それを誓う。

指輪の交換は代表して私が行い…そして誓いのキスにて式はおしまい…

皆しっかりと誓いのキスを貰って改めて私達はこの人の物になるんだ。

心は既に…あとは身を捧げていくだけ。

 

式の参列者にも並んでもらって記念撮影をする。9人も嫁が居るからポジション取りが大変だ。

結局私がダーリンの腕の中にすっぽり抱いてもらってその脇や斜め後ろ等を固めることになった。

呆れの表情も見えたりするけど…それでも皆それぞれ祝福してくれる雰囲気だ。

 

ブーケトスは誰の手に行ったかな?既婚者の元に行ったら大変な気がするけど。

 

 

さて、次は披露宴だ。警備してもらっていた人間二人にも参加してもらう手立てになってる。

G36が主にめちゃくちゃ張り切って頑張ってたから味とかは良さそうだな。

各々お色直しのドレスに着替えてから披露宴会場になっている一室の前に集合。

中で司会を担当しているのはG36みたいだ…アナウンスがあって扉が開かれる。

総勢10人用のテーブルを用意するのはあれだったけど…まぁ後は飲んで騒いでだね。

ケーキ入刀してから始まった披露宴。ケーキはまぁ大きく作ったけど…

やっぱりと言うか甘い物大好きで大食らいなユノちゃんが食べるし…

最近食欲旺盛な45姉が平らげるでしょ。

 

ヴィオラはまぁボロボロおんおん泣いちゃってから自分の席で動けずに居たし…

じゃあって事で夫婦での挨拶回りは代表して私とダーリンで行くことに。

と言うか各々勝手に騒ぎ始めた…真っ先に向かったのは以前結婚式にお邪魔したユノちゃん一家の所。

テーブルを囲って談話していたけど私達が近づくと祝福の言葉を投げかけてくれた。

まぁあの時の余興みたいなのは今回は無い。普通に飲んで騒いでで終わるつもりだ。

相変わらず仲良し夫婦みたいで見せつけられたけど負けじとこっちもイチャついてやった。

ユノちゃんの行動は天然みたいだったけど…なるほど、こういうのがこの夫婦なのか…

それにしても子供かぁ…擬似的なものだけど子持ち家族って羨ましいな。

 

次に向かったのはF小隊の場所…どうやらF45の酒癖が悪いということで禁酒令が敷かれていた。

まぁ間違えないようにとG36がちゃんと気配りしてるから自ら無理矢理に飲もうと思わない限りは口にされないはず。

F9とF416、F11もユノちゃん所の結婚式で顔を合わせて以来だ。

軽く談笑していたけど…やっぱりかなりキャラが違って見慣れた顔だけど全然違うなって。

相変わらずF416の喋りが一枚ちょっとフィルター介してだから理解にワンテンポかかる。

 

「Hey,417 Your Big tits Got bigger...hah,Pregnant?」

 

かなり度のキツイセクハラがすっ飛んできたのはどうなんだこの野郎。

人形が基本的に妊娠なんぞ出来ないのを知ってのこの発言か?

なんかノリが普通にアメリカンって感じだなぁ…顔がお姉ちゃんだからまたなんとも…

 

で、次に向かったのは談笑中だったこれまた結婚式で顔合わせしていた人達だ。

まぁ話はしてなかったけど…ダーリンは挨拶に行ってたっけかな?

アレクサンドラ・プーシキナ指揮官とその誓約人形のG3。

あとS09地区のユノちゃん所とは別の基地に所属しているガンスミスさん。

私達戦術人形が握っている銃に関する解説を放送しているラジオパーソナリティ仲間らしい。

私が握っているHK417に関しては…残念ながら資料不足でボツになったらしい。

その代りにお姉ちゃんのHK416に関しては放送していたらしいから後で音声データを拾ってみようかなって思う。

ガンスミスさんはデリケートな銃器のメンテンスが主な仕事らしいから今度依頼してみようか?って話も持ち上がっている。

まぁウチの整備班が腕が悪いとは言わないけど専門家と比べたらね…

 

次は…とその隣で二人ラブコメ空気を漂わせていた未婚カップルに顔を向ける。

今回のこの会場になった倉庫やら食材等を工面してくれて当分頭が上がらない相手だ。

補給基地…通称HUBのハワード・エーカー指揮官とトンプソンのカップルだね。

もう声を掛けてから私達そろってぺこぺこ頭を下げちゃってから…

ありがとうございましたって言って手を握ったら隣のトンプソンから殺されそうな視線が来た。

ブーケトスのブーケはトンプソンが取ったでしょ、ほら次はお前たちの番やぞ。

結婚式挙げるんだったら喜んでお祝いに行くし余興は任せておけって感じ。

 

 

「貴方が結婚とはね…」

 

そう言ったのは私と同じ銃HK417を担いでいる別な人形。

S09地区の廃棄都市からの回収作戦で交流を持ったHK417…の16インチモデル。

区分はAR人形ってのが違うかな?でも戦闘スタイルは案外似通ってるかも。

お互い戦闘中の事と…例外的に会った一回限りのラジオで顔を合わせたくらいだったっけか。

今回結婚するってメッセージを送ると駆けつけてくれた。

ちゃんとおめかししてて凛々しい感じだけど可愛らしいなって思うな。

知らない人ばかりの場所に連れてきた感じだけど楽しんでくれてる様子だから良かった…

ちょっと目の前でイチャついたら見せつけは良いですと苦笑いされた…

 

次からは本当に初対面の人達ばっかりだ…どうやってこの結婚式の事を聞きつけたんだろうか?

502小隊…指揮系統に加わるのが致命的にダメな小隊らしい。

一匹狼が寝床を共にして戦場も共にしているけど…とにかく独断行動が多い連中らしい。

サベージ110BA、P90、FN MAG、ダネル MGL-140の4人から構成されている。

聞きつけたのは一番最後のMGLが取ってきたらしい…まぁ飲んで騒いでが出来れば良いみたいなノリかな?

マシンガントークが始まったけどコレはただ単なるMAGの信念というか…根底?からくるらしい。

マシンガンが正義っつー訳だ!とりあえず撃たせろみたいなノリ?

ウチのスペクトラとは良いお酒が飲めそうだね、アンタ…

 

さらに賑やかし要員が居た…出番はまだか?まだか?とでっかい銃構えてる人形が居た。

名前はバルカンと言う。特定地区に居るわけでなく派遣で訪れることが多い。

所謂本部所属のハイエンドモデルだね。今回なんで呼ばれたか?

いい加減弾をばらまかせろと本部のヘリアンにねだったらしい。

そこで今回の唯一の余興になるかもしれない花火を盛大に…分発6600のレートで空に打ち上げてもらうんだ。

特別にベルトリンク式の花火玉を用意してもらって遠慮なくぶっ放してもらう。

食事やお酒よりも早く撃ちたいって感じだ…まぁ待っててよね?

 

「お、このジャックダニエルうめぇな…おかわり!」

 

訂正、普通に酒飲んでるわ。まぁ愉しんでないよりは全然マシだからOKか。

 

 

で、最後にお話をしたのはこの基地の警護で呼んでから披露宴に無理やり引きずり込んだ傭兵さんお二人。

死に場所を求めているような…なんというか雰囲気もそうだけどコードネームが不吉なデッドマン。

人間らしいけどそのほとんどが義肢らしい…食事は私達と同じ技術が使われてるか食べれるみたいだ。

ただ触覚などは死滅していて私達よりも…これは失礼かな。ともかく警備に来てくれたことを感謝しつつ楽しんでいってもらえたら幸いだと告げた。

もう一人の傭兵は…G&Kと提携しているPMC武器庫のジャベリンって人だ。

鉄血ハイエンドモデルにトラウマ持ってるらしくヴィオラを見て怖がっていた。

雰囲気で全然違うってのを理解してもらってなんとか落ち着いてもらったけど…

まぁその後は普通に披露宴を楽しんでもらえてるかな?

だーちゃんに関して何か慣れてるみたく普通に扱っていて慣れを感じさせていた…

 

 

「さて、ご歓談中の皆様…もうそろそろ閉宴のお時間が迫って参りました、ここで新郎よりお言葉をどうぞ」

「あー…コホン、本日は突然の式に駆けつけてくださりありがとうございます!また重婚とは出た真似をしましたがこんな俺を慕ってくれている嫁達共々幸せになっていきますのでよろしくおねがいします。」

「では最後に余興といたしまして…バルカン様による打ち上げ花火が催されます…そちらをご覧になられてからお帰りの案内とさせていただきます」

 

G36の司会進行と共にバルカンが「よっしゃぁ待ってたぜぇこの瞬間をよぉ!!」と飛び出していった。

いや、撃つのは皆が出揃ってからでお願いするよ?

 

夕焼け空、いくつも打ち上げられては消えていく大輪の華。

私達を照らしてその儚くも華やかな一瞬のようにこれからを歩んでいけたら良いなと思う。

 

引き出物、どうしよう…




描写が薄い?申し訳ねぇ…
もうさ、各々にぶん投げスタイルです…サーセン…

コラボ元

「それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!」よりユノ一家 作者:焔薙
「傭兵日記」よりジャベリン 作者:サマシュ
「ドールズディフェンスライン」より502小隊 作者:Rione
「G&K補給基地の日常」よりハワード・エーカー指揮官・トンプソン 作者:ソルジャーODST
「指揮官とG3がお送りするドルフロ銃解説」よりアレクサンドラ・プーシキナ指揮官とG3 作者:スツーカ
「404小隊(大嘘)」よりF小隊 作者:Big Versa
「IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN」よりデッドマン 作者:HIKUUU!!! 
「妄想フロントライン」よりHK417-16 作者:杭打折
「ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー」よりガンスミス 作者:通りすがる傭兵
「破壊の嵐を巻き起こせ!」よりバルカン 作者:oldsnake

総勢10作品とのコラボって…頭おかしいにょ…
お祝いに来てくれてありがとうございますにょ
これだけ来てくれて417ちゃん愛されてるなって…思って嬉しく思っております。
こんな僕のですけど続けられる限りは続けていきますから…どうぞこれからもよろしくおねがいしますね。


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Day113 部隊再編と財政事情

結婚ってお金かかるよね。


「単刀直入に言うぞ。基地の金が底をつきかけた」

 

プレイルームと化した離れからぞろぞろ私達が出ていき…暑い初夜を迎えた後だ。

司令室に着いたダーリンは居住まいを正してから開口一番そう言い放った。

まぁ残念ながら当然ってやつだね…結局大金使用したんだもんね。

そもそも誓約の証となる指輪は各人形の所有権を譲り渡す側面もある。

一個一個の値段が割高なのもあるが…その他にも各人形の衣装、ウェディングドレス代。

その他にも式場となった大型倉庫の整備…あのプレイルームこと…離れの整備だってかなりお金をかけている。

ご祝儀を色々貰ってるけどそれでも逼迫した財政というのはどうにもならない。

じゃあどうするかと言ったら色んな所から出ている任務とか依頼を受けてお金を稼いでくるんです。

大体は本部から回されてきたりするけど中にはI.O.Pの製品のテスターになれとかもある。

ただ報酬が高すぎるのは要注意だって言うのはお姉ちゃんが言っていた。

美味い話には必ず裏があるというのが常だって言う。あと報酬前払い系も怪しいって。

 

「で、その他にも部隊の再編成を行う」

「今呼ばれているこの5人は?」

「第1部隊、アルファだな」

 

アルファ部隊に配属されるのは私、ヴィオラ、G36C、Uzi、お姉ちゃんの5人。

全員左手に誓約の証をくっつけている正真正銘の精鋭部隊って所かな?

部隊長などは特に決めていないらしく各々の判断で動けってさ。

早速だが私達アルファ部隊は任務が入っている。近隣地域で発見された生物研究所が未だ稼働状態にある。

そこの中を探って何故稼働状態にあるのかを調査、データ収集してくる事を望まれている。

何が研究されていたかは不明でありその実験生物達が跋扈している可能性も示唆されている。

そこで最高戦力を投入してって所か…まぁお姉ちゃんがその手の専門家だから大丈夫でしょ。

近距離鎮圧であればG36Cもかなり良い線行くしなぁ…

Uziは手榴弾での広範囲殲滅も可能…あとはヴィオラが纏めて焼き払うのも手か。

私は念の為の要員って所か…室内戦ではあまりだけど屋外戦だったら狙撃で役に立つだろうしね。

 

「向う先のデータは一切ない…」

「任せておきなさい、私は完璧よ?」

 

まぁなんとかなるでしょ、ダーリンは心配し過ぎな所があるけど私達を信じてくれてもいいじゃない?

とにかく今は稼がなくちゃいけないんだから…一応グレネードも持っていこうか。

ダミーリンクも居るし最悪はダミーを盾にして射撃戦したら良いしね。

勿論何かしらが居たらの話だけどさ。廃棄されて何年と経ってるならそう居ないっしょ。

 

「研究所…バイオ…かゆ うま…」

「それは止めようね、ヴィオラ?」

 

あのゲームみたいなのが沢山出てきたら流石に不味いと思うんだけど?

まぁゾンビなら制御系が詰まってる頭を撃ち抜けば死ぬってのが常だし…

あとヴィオラのグレネードがあれば一撃で木っ端微塵じゃん、へーきへーき。

 

「じゃあ、出撃だ。吉報を待つ」

「「「「「了解」」」」」

 

 

――――――――――――

 

 

「チッ…出入り口は無駄に頑丈なシェルターになってるわね…」

「だめ、電源は勿論死んでるし制御盤が壊されてる」

「通気口なんかも丁寧に潰されてるわ…元々私達だと入れないでしょうけど」

 

目的地にランディング、研究所へとたどり着いた私達だが…残念ながら出入り口は全部壊されていた。

お姉ちゃんは舌打ち混じりに閉じられている扉を蹴った。当然びくともしない。

制御盤は物理的に壊されていて操作やハッキングは不可能。ついでに言えば電力が死んでいた。

Uziが見つけた通気口は残念ながら私達では入れそうな隙間じゃないしこれまた潰されている。

 

「下水処理場を探してそちらから侵入するのはいかがでしょう?」

「付近に川があったわね…調べて見る価値はあるわね」

「一応私は他に侵入できそうな場所がないか探してみる」

「私も同行する、護衛とついでに発破要員ね」

 

お姉ちゃんとUzi、G36Cが下水口を探して…私とヴィオラで地上からのエントリー可能箇所を探すことに。

周囲マッピングをしながら…歩き回る。施設はかなり年季が入っているように見える。

こんな僻地で何を研究していたのかは不明だが…とりあえず分かっているのは生物兵器の研究を行っていたことだ。

生物兵器の類は確か禁止されていたようにも思えるけど…うーん…

まぁしかし古いながら堅牢な作りらしくほころびらしいものが一切見当たらない。

しかしながら幸いにも普通のドアが見つかった。全員集まる前に私達で先に侵入することに。

奥には大量の物が積まれているようで蹴破ろうにもびくともしない…そんな時のための…

 

「ブリーチング!」

 

ヴィオラですよってお話で、連続して中に榴弾を打ち込むと中の障害物は排除された様子。

ライトモジュールつけたMk-23引き抜いてから中の様子を伺う…

どうやら倉庫のようだ。散乱した物から推測するけど…中のホコリの積り方がすごいな。

相当な年数放置されていると思われる。中からの物音は特に聞こえてこない。

 

「下水を発見したけれど残念ながら閉め切られていたわ」

「じゃあここから入るしか無いね」

 

下水施設からの侵入は不可能と来たものだから残念だがここからの侵入になる。

全員ライトモジュールを点けてから内部へと侵入していく…

ガイガーカウンターなどには反応はない、バイオハザードが起こってる様子でもない。

何故廃棄されたのかは文献にも乗っていない…どこの傘下で研究していたかも不明だが…

恐れていた事が原因って訳じゃなさそうだ…ゆっくりと中へと侵入。

散らかった倉庫と思われる部屋は薄暗い。まずはダミーに先行させて様子をうかがう。

 

「クリア、本体達もついてきなー」

 

私のダミーが先行しつつ状況を逐次報告してくれる。

マッピングも並行して行ってるため流石に演算力を食われてくる。

シャッターが降りていたりしたがそれは全部蹴り開けてから突き進む。

ようやく景色が変わってきたかと思えば…なんだろうか。この施設は…

 

「病院?」

「に…近いわね」

 

区分けされた様子の室内に血だらけの執刀台…散らばった医療器具。

ただ様子がおかしいのは異様に綺麗なくせに所々に血だまりが出来ている。

どんな実験が行われていたかが伺い知れる…本当にろくでも無い実験をしていたんだろうな。

データ収集が今回の任務だからこんな施設でも行ける所まで行かなくちゃいけない。

 

「見なさい、これ…鉄血のマークよ」

 

血に塗れた書類を発見した。あまり解読はできなかったが思わぬ発見があった。

鉄血のマークが隅っこに描かれていた。つまりは鉄血の息がかかっていた研究所だということだ。

で、あるならばおそらくココを警備していたのは鉄血人形…半年程度は…

いや、稼働し続けることは出来ないから今こうなっているんだろうか…

 

「鉄血人形の反応はない、安心して進めるわ」

「あるとしたら…」

「生物兵器が生き残っていて繁殖してたりしたら大変ね」

 

簡単に見えたワードだけでもかなり不穏な物が見えている。

人間ベース、繁殖、欲望強化など…お世辞にもいい結果を想像は出来ないな。

幸いな事に崩落液を使っていないのは良かったと思う。

デカデカと絶対に使うんじゃないぞ、あれはもう別研究所で痛い目見てるだろ!とね。

 

「さて、じゃあ…この研究所の調査を開始するわ…また二手に分かれるわよ」

「時間を区切って集合することにしようか」

 

こうして私とヴィオラの二人でこの研究所内の探索に出かけることになった。

まぁお姉ちゃん達も同じ様に探索してるからもっと別な言い方もあるだろうけど…

で、いくつかの部屋を回ってみたけどめぼしいものは見つからない。

ついでに言えば収監されていただろう人間の遺体や遺骨すら見つからない。

警備に回っていただろう鉄血人形の残骸も発見できない…文字通りの蛻の殻だ。

 

「む…こっちに大きな扉があるぞ」

「なに?えーっと…実験生物収容棟A…これは何か出るかもね」

 

意外な事にこの扉の鍵は開いていた。中へと入ると何かの物音がする。

鼻につくのは青臭い臭いで草のような臭いと言ったら良いのだろうか?

形容し難い臭いに顔をしかめていたんだけど…物音はかなり奥から聞こえる。

ダミーリンクに先に行かせてから様子を伺うことにするが…

 

「ぎにゃぁぁぁあああああ!!!なにこれ!やめ、やめろぉぉぉ!!!」

 

ダミーの悲鳴が木霊してそちらに急行する…するとそこに居たのは…

 

「わぁぉ…」

「これは…」

「「「これマ?」」」

 

でっかい蔦のおばけでした、ダミーの脚を捕まえてから吊し上げていた。

それでもって…吸盤状の物がダミーのおっぱいに覆いかぶさっていた。

うーん…これも生物兵器の一つなのだろうか?なんというか…すごく…アレだよね。

エッチ雑誌に出てきそうな触手ってやつに見えてなぁ…

 

「「「「んぁ?」」」」

「なんだっ!?」

 

なんと私達も吊るし上げられてしまった。がしゃがしゃと私達の銃器もことごとく落とされてしまう。

ついでに言えば私とヴィオラは一緒くたにされて吊るし上げられて反撃手段がなくなった。

 

「どーしよ…」

「どうするもこうするも…」

 

 

――――――――――――

 

 

その後時間になっても戻ってこない私達を探してやって来たお姉ちゃん達によって助け出された。

Uziの焼夷手榴弾が無かったら私達全員そろって開放されるまで…おぉこわ。

無事データの回収と実際に居た生物兵器の一端と思われるあの触手のサンプルを回収してきた。

お姉ちゃん達が遭遇したのは人形の…何かだったらしい。

I.O.Pがやけにその情報を欲していたけど何に使うんだろうか?

まぁ結構な高値で売れたし後続で調査に来る人員も増えるそうだ。

大分良い稼ぎにはなったけど…ちょっと私達汚されちゃったよね…

 

「財政状況はまだ厳しいな…明日も任務で出てもらう」

「行く先は?」

「最前線の〇〇地区の輸送護衛」

「げー!またあのナンパ野郎がいっぱいの地区ぅ?」

 

暫くは背に腹は代えられないから稼ぎの良い任務につかなくちゃいけないんだけど…

来るお仕事がキナ臭いのとかこういう誰もやりたがらない所の物だから…

ヴィオラとお姉ちゃんは首を傾げてるけど知ってる私とG36CとUziは顰めっ面。

明日は明日で一波乱待ったなしだよこれー…

 

「ところでダーリン、今日の夜はねー…」

「私達の要望を聞いてもらう、拒否権は無いぞ」

「そうね、私も一つお願いが浮かんでいたの」

「私もそうですわ…」

「他の人形もそうだからよ?べ、別に私がしてもらいたいって訳じゃないんだから」

 

「「「「「今夜はおっぱい祭りに決定ね」」」」」

「まて、お前ら離れに行くまでは我慢し…アッー!!」

 

お風呂場から離れまでダーリンに拒否権というものを与えないお祭り騒ぎが勃発した。

騒ぎを聞きつけたFALにわーちゃんとMk23、スプリングフィールドも混ざってカオスを極めた。




今日程焦ったのは無いと思う。
だってこれ書き上げたの今から12分前♥
創作エンジンが焼け付いてるよ…

明日は夜のお話で端折った部分書くつもりだゾ。
紳士諸君は待っておるが良いわ


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Day114 Kick in Nuts

野郎からしたらヒエッな対応


「私はイヤ!」

「私もあの基地へは…」

「私だってイヤよ、あの基地だけはイヤ」

 

今日の朝は各面々からの非難轟々で始まった。最前線だって言うのにとにかくやたらめったらナンパしかけてくる基地への支援任務だからだ。

私もイヤってほどあのバカ通信手の気持ち悪いナンパを聞かされてるから拒絶反応マシマシ。

G36Cも嫌と言っているもんだからその壮絶さたるや酷いんだけど?

お姉ちゃんとヴィオラは知らないからなんでそんなに嫌がっているのかって不思議そうな顔だ。

 

「苦情は入れてるんだが…聞き入れられちゃいないみたいだな」

「社内報でも上がってるじゃん、ナンパ野郎ばかりのクソッタレ基地って!」

「今は亭主が居る身なのですからご勘弁願いたいですわ…」

「無線手席は絶対イヤよ…」

 

無線席に座ったら最後延々とナンパを聞かされるハメになるから誰も座りたがらない。

全員既婚者だからなおさら嫌がるでしょ。お姉ちゃんとか絶対にキレる。

 

「とにかく稼ぎのためだ…悪いけど行ってきてくれ」

「ナンパ野郎に変なことされたら?」

「タマを蹴り上げてこい」

「OK玉無しにしてくるわ」

「たま…?」

「たまなし…?」

「Treten Sie in Nüsse…」

「……全力でやったら死ぬより恐ろしいな」

 

お上品か天然か。二人ほど理解しちゃいなかったがとっても良い反撃を許されたから直接あった時に一発かましていこう!

地上からお月様まで蹴り上げるんだよぉ!ガチ出力で蹴ると漏れなく破裂するだろうからリミッターはかけてやる。

せめてもの情けだけどそれでもナンパしてきたら容赦なく蹴り飛ばす。

痛い目を見てわからないなら死ぬ思いをしてみたらようやく覚えるでしょ!

という訳でまたイライラする事になりそうな輸送護衛任務ですよー。

はぁーあ…なんでこうなるかな。昨日のも酷かったし…呪われてないかな?

 

「まぁいいや、ダーリンの為に稼いでこないとね…」

「そうですわね…全ては指揮官の為…」

 

若干3名程目が死にながらも戦闘準備してからヘリに乗り込む。

無選手は無事お姉ちゃんが占領することになったから私達の精神的ストレスは軽減される。

お姉ちゃんにはあのナンパ地獄に遭ってもらうがな!

 

 

――――――――――――

 

 

や~って来ました荒野の真ん中ココはどこか?最前線。右から左見る所ぜ~んぶクソッタレ。

なんでかって?そりゃぁね…耳に飛び込んでくる雑音が酷いんですもの。

 

「君たち可愛いね、D08基地だっけ?俺と付き合ってくれない?」

「任務終わりに1杯付き合ってくれないか?」

「巡り合ったのはきっと運命…さぁ、僕の手を取って…」

 

門番からしてコレだもん、気持ち悪い…全くもってここの基地は変わっちゃいなかったぜ。

そんな訳で私がまずはやるか…さーってどいつのタマを蹴ろうかなー?

 

「一つ良い?」

「なんだい、俺に惚れた?」

「いーや俺だろう」

「いいや僕に決まっている!」

「仕事はちゃんとしろってよく言われるだぁろっ!!」

「おぐぉぉぁぁぁあああああぁぁああああああ!!!!?」

 

一応成人女性並の出力で蹴り上げるが…つま先になんとも言えないぐにゃぁとした感触。

懐かしき汚いバベルの塔の感触ですよ。しかしまぁ効果絶大。

この痛さは野郎じゃないとわからない痛みだけど…へっへぇ、良い悶絶顔じゃん。

ちゃんと仕事してたらこうはならなかったのにねー…ニッコリ笑いながらもう二人の門番を見る。

 

「いーい、私達は仕事に来てるんだから…次世迷い言を言ったらそのタマなくなると思えよ?」

「「イ、イエスマム…!」」

「他のバカにも伝えておいてねー…次は手加減なしで蹴り飛ばすからってよぉ」

 

さーてこれで無線手がバカをやらなければよろしいんだけどねー。

あれ、お姉ちゃん、どうしたのそんな顔して?

 

「思った以上にエグいわね…」

「急所を蹴り上げるとは…」

「え、男の急所ってアレだったの!?」

「私達では味わう事はない痛みだ…」

 

効果絶大で一匹役立たずが床に伏したが別に問題はなかろう?

さて、じゃあ今日の揺り籠になる装甲車の確保に行きましょうか。

 

「ほら皆行くよー」

 

 

――――――――――――

 

 

「もう二度と掛けてくるな!Fick dich, Arschloch」

 

まぁうん…お姉ちゃんがブチキレていてから無線機をぶっ叩いてる。

やっちゃったんだろうな、バカ無線手。やったんだろうなぁ…よし蹴るか。

 

「聞きたくないけど、やっぱナンパ?」

「人妻が一番そそるなんて言って無線機越しにキスしてきたわ…」

「うーわ…これはキツイ」

 

思った以上にきっついナンパが飛んできてた。股間を蹴り上げられるとは思っちゃいないな?

はい、今はトラックの先頭を装甲車に乗って護衛している所です。

前回2部隊で護衛していたときと同じで行きはよいよい帰りは怖いってやつかな?

周辺警戒しても鉄血人形らしき影は見当たらない。遠くでドンパチしている音が聞こえるくらいだ。

戦火も遠い…まぁ最前線と言ってもそうでもないってところか。

 

「どう、敵影は?」

「全然、平和そのもの…お姉ちゃん以外は」

「あぁ…そうだな…」

「もう二度と掛けてくるなって言ったわよね!?死ねっ!!」

 

何度も掛かってくる無線にガチギレし続けていて頭を抱えてる。

だーから言ったじゃん私達が嫌がるくらいに不味いところだからってさー

ヴィオラもこれには同情しているが…動こうとしないとしてない辺り嫌なんだろうな。

ちなみにヴィオラは普通にセクハラされかけて私がタマを蹴り上げることになった。

ヴィオラあれなんだよね…すっごく無防備なんだよね。

 

「お姉ちゃん、次かかってきたら」

「もう来たわよ…」

「よし、じゃあちょっと変わってみ」

「好きにしなさい…」

 

さてと…前回はどんな罵倒したっけ?もっとドギツい事してやろうかしら?

 

「おう、なんだ童貞野郎二次元の女を抱くのに飽き足らず今度は人妻のナンパかぁ?」

『え、キミ…キミも可愛いね、僕と今度お茶』

「私もダーリンが居る身だから他の男と茶をしばくつもりはねぇんだよ。ついでに言えばその童貞臭い喋り方やめろや、くせぇんだよ」

『え…え…?』

「仕事はちゃんとしろやスカタン、そのちっこいチ●コと金玉みたいな頭でも分かるか?お?」

『ぼ、僕のチ●コはデカイんだぞ!キミだって突っ込まれたらヒィヒィいって』

「お、セクハラだな?言質取ったぞ。次の査定楽しみに待ってろよ。じゃあな童貞」

 

さてと、本社にこの基地に関する苦情とセクハラ問題を申告しておこうか。

 

 

――――――――――――

 

 

さて、輸送トラック護衛任務は無事に終了、目立った戦闘などもなかった。

っとその前にちょっと基地に殴り込みを掛けて仮眠に入ろうとしていた無線兵のタマを蹴り上げてきた。

蹴った感じではナニはちっこいな、門番のやつの半分もねぇじゃねぇか。

へっ、顔もそんなに女を知った感じじゃなかったし童貞が…

 

「と、言うわけでただいまー」

「戻ったわ…あの基地なんなの…」

「417を始めとしてG36CとUziが嫌がった理由がわかったわ…」

「「向こうからの苦情は聞き入れない事でお願いします」」

 

スイートホームに戻ってきて真っ先にしたのはダーリンへの抱擁。

これなくしてただいまとは言えないのです。んーダーリンの匂いに包まれる~♪

お姉ちゃんはへっとへとで司令室のソファーにへたりこんで…ヴィオラはそんな様子に戦々恐々。

G36CとUziは全くの無表情で続いて発言していた。

向こうの基地から数人の兵士が使い物にならなくなったんだがと苦情が来ているが知ったことかよ。

こっちの苦情は聞き流してるくせにいい度胸じゃねぇか。次は指揮官のタマを蹴り上げるぞ?

 

「とりあえず本部への報告をあげるねー♪」

「おう、それで今日はおしまいだな」

「じゃあ終わった後はあれだねー」

「今日のお楽しみだな…ふふふ…」

「今日の主役は私よ…一番疲れたんだから…」

 

お楽しみの時間の為にもう少し私は頑張ろう。お姉ちゃんたちは先に離れに行っておいて…

 

「あ、ダーリンの体力吸い尽くしたらただじゃおかないからねー?」

「大丈夫よ…たぶん…」

「一発で気が済むかねぇ…」

「すまない主人よ、それは保証外だ」

 

わいのわいのギャーギャー言いながら離れに向うダーリンとアルファ部隊の面々。

さてと、私は報告をあげて…明日の準備をしてから…朝ごはんの支度してっと…

皆の朝ごはんも用意しなくちゃいけなくなったから結局食堂メニュー行きなんだよねぇ。

さーて明日の朝はなににしよっかなー…とりあえずミソスープは確定ね。

ダーリンの朝はとりあえずそれがないと始まらないってぼやいてたから。

 

「ヤーパンの殺し文句で毎朝自分の為にミソスープを作ってくれ…なんてのもあるんだっけか」

 

離れの方にもキッチン作ってもらっておけばよかったかなと今更思う。

朝ごはん作りながら色々出来るしプレイも広がるからねー…

よし、献立は決めたし…

 

「こんばんは、夜分遅くにすいません…本日の活動報告と〇〇基地に関してのレポートです。お受け取りください」

 

今日の執務はおしまい!じゃあ準備してから私もダーリンとイチャイチャするぞー♪




ナンパ基地再来からの金的まつり。
全力で蹴られたら死ぬよね。


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Day115 社内報モデル

社内報があるよね。グラビアとかあるよね。
じゃあこういうお仕事もあるよね。


突然だがG&Kの本社からカメラマンがやってきた。なんでやねん。

ココにはスタイル抜群な人形が数多く在籍している。まぁそうだね。

元々スタイル抜群な人形も何の因果か余計にワガママボディを手にしている個体が多い。

次の社内報で使えそうな表紙やグラビアを撮らせて欲しいということだ。

ついでに言えば9人も一気に娶ったって言うのも含めての取材もあるんだろうな。

ちなみに胸のサイズで太ったと申告しているのは11人。

FAL、わーちゃん、スペクトラ、イサカ、G36C、G28、Uzi、MK23、お姉ちゃん、私、スプリングフィールド。

あれから一週間以上は経ってるけど…追加で45姉は確実に入るしなぁ。

今どれくらい実ってるんだろ?じわじわと効果が出始めているからなぁ…

AAAからCまでなってたし…順調に育んでいたら今頃Fとかまでいってるのかな?

ばいんばいんな45姉って言うのもかなり珍しいし…言っちゃあアレだけどD08基地って別名がつきそうだよね。

おっぱい基地みたいな?ヴィオラも何か胸元がキツイとか言い出してるし…

データフィードバック目的でまた育乳カプセルが送られてこないとも限らないしなぁ…

そんな訳で…現在それぞれに合った衣装が運ばれてきています。

私はアレだ…例の専門学校生が作り上げた物の内に一個良さげなものを見つけてるからそれにしてる。

その名も場末の踊り子。アラビアン調の踊り子衣装だ。全体的なカラーは緑。

上下がビキニで口元にはヴェール、両腕には羽衣、腰にはパレオ風の飾りつけ。

脚にはミュールのみとなっていてかなり露出度が高いしセクシーな感じ。

今回は普通にグラビアを撮るだけだからいくつか着替えてから撮影する感じ。

 

「はい、という事でまずは普通に集合写真を一枚撮りますねー」

 

集められたのはアルファ部隊の面々とブラボー部隊…FAL、イサカ、スペクトラ、わーちゃん、G28

それにMk23とスプリングフィールドと45姉って所だね。全員制服です。

まぁ見事なまでにココのメンツって感じのメンバーですね。

あといくつか写真を撮る上で農業エリアもちょっと撮るみたい。

趣味にこんなのもどうかって所かな?まぁ自給自足が出来るようになったらそれはそれでスゴイことだしね。

今のこのご時世で天然物を食べれるのは一種のステータスにもなるし。

じゃあそれを傘下の地区に配給できるようになったら?

また人類の栄華というのが一歩近づくわけですね。分かりますとも。

 

「もうちょっと寄ってください…そうそう、いい感じですね」

 

青年誌みたいなノリだから割と谷間を強調してみてたりしてる。

私とスペクトラはビキニトップ勢だしFAL、イサカ、Mk23は元々露出させてるし…

後はガードが硬いわーちゃん、G28、スプリングフィールドと45姉だけど…

ちょっと着崩して貰って谷間を見せてもらってる。

45姉のバストは結構実ってた。あぁうん…普通に巨乳って言えるレベルだった。

普通にノリノリだったことからも察してたけどね。このメンツでも霞まない物だった。

他所の45姉に見られたら波乱が巻き起こるって…絶対にさぁ…

 

 

――――――――――――

 

 

ヴィオラは何かイヤーな思い出があるらしく個人撮影はもう嫌だと拒んでいた。

実際にヴィオラらしき写真のグラビアが出てたような気がする。

聞いた話だとI.O.P本部で一時期暮らしていた時に散々撮らされたんだと。

私が水着みたいな踊り子衣装に着替えた瞬間に嫌な記憶がフラッシュバックしたかちょっとトイレに駆け込んでいた。

彼女もゲロウーマンだったか。ちょっと昔の私を思い浮かべるから懐かしいなぁと思ったり。

生理的嫌悪感が強く出ないとゲロる事無いと思うんだけど。

ほら、皆でゲロ合戦になった虫バーガー事件とか…あのレベルじゃないと人形吐かない筈だけどなぁ。

 

「D08のイレギュラー人形はそろってグラビア映えするボディねー…もう一枚!」

 

で、今はというとカメラマンがI.O.Pから持ってきていたヴィオラ用の着替え各種と手持ちの着替えで色々撮ってる。

水着のグラビアはベタだけど外せないって事で私とヴィオラで撮ってる。

他にも街角の可愛いあの子みたいな感じで私服風のコーデとかも撮る予定だし。

皆の私服をちらっと見れるのは結構新鮮かも。いろんな組み合わせで撮ってるんだよね。

今こそ水着だったりするけどその水着だって個性が出てたりする。

FALは勝負に出るつもりか真っ赤なビキニを取り出してたりする。

わーちゃんとスプリングフィールドは大人しめに上に一枚羽織っていたりする。

Uziとスペクトラは普段が普段だし普通にビキニスタイルでSMG離れしたダイナマイトを見せつけてる。

イサカはこれまたスゴイのを着ていた。白のビキニなんだが…布面積がエグい。

これ主任に見せたらイチコロだよね?え、夜の方で一度見せたら盛られた?

ほほぅ…いいネタを貰った…今夜はちょっとモーションかけてみるか?

私と45姉とMk23が似たような装いなんだよね。ビキニトップにパレオ姿。

ビキニトップの形がそれぞれ違うんだけどね。私のはホルターネック。

45姉のがチューブトップ、Mk23のがバンドゥだね。それぞれ自慢のボディを見せている。

G28は…うん、まぁ普通のビキニタイプなんだけど…流石私達の妹。

見事なまでのブルンバストを披露していてグラビアにはもってこいだろうね。

まぁ何人かで撮影すると胸元がスゴイことになっててまぁ眼福だろうね。

 

「じゃあそれぞれポスターにして希望者には配布」

「ちょっと待て、それは許さんぞ」

「そうそう、社内報に使うって言うから協力したんだけど?」

「ちぇっ…こんな子中々見られないから絶対高く売れるのに…」

 

油断も隙もないな。私達を金のなる木にしようとしてたな?

そういや各服を着飾った人形のポスターって言うのが存在したっけか。

あれって販売されているものなのね…私とか需要出るのかな?

なお撮影以外ではヴィオラは終始苦い顔を浮かべていた。

 

 

――――――――――――

 

 

「で、こんなにご結婚なされてどうなんですか?」

「いやぁ…正直数人が乗り気になるかな…って思ってたんですけどこんな数に膨れ上がってしまって」

「まぁでもね、皆納得しての結婚だし」

「そうね…夜の生活も皆の要望を聞き入れてくれているし」

 

撮影を終えて早速と言った感じでダーリンに対してインタビューが始まった。

まぁその周辺を私達嫁連中が囲ってインタビューに応じている。

ついでに言えばこのインタビュアーが変なことをしないように睨む目的もある。

皆それぞれサイドアームを忍ばせていてちょっとでも何かしたら頭に穴が開く。

ただ私とお姉ちゃんはサイドを固めていて今普通に腕で抱き寄せられてて身動きが…

もっぱら警戒しているのはMk23だったりする。一番この中では身軽だもの。

ちなみにこの基地で一番トリガーが軽いのはSAA。コーラキチだけど早撃ちは化物。

 

「そこな鉄血人形もたらしこんだんですか?」

「…たらしこんだ?いや、私は救われたんだ、そして主人として慕い…そして全てを捧げても良いと思ってこう至ったのだ」

 

インタビュアーの質問にムッと来たのか頭を振って睨みつけた。

私が邪魔で抱きつけないけど私の代わりにお隣だったら間違いなく抱きついてるな。

睨むヴィオラに怯んだのかインタビュアーも黙ってダーリンの方に目配せ。

 

「まぁ経緯は様々ですけど俺から積極的にモーションをかけたって事は無いっす」

「最初は酷かったけどこんなに良い指揮官はそういないわよ」

「ま、まぁこの私が嫁になるくらいだから当然よね」

「最初期は確かに…酷いセクハラが横行していましたわね」

「お、その話を詳しく」

 

インタビュアー懲りないな、結構深い所に踏み込んできたぞ。

ほらダーリンも思わず苦い顔、FALはG36Cに横目で睨んでるし…

 

「いやまぁここに着任してもうすぐ一年経ちますけど最初期が酷いってもんじゃなかったんですよね…自分で言うのもなんですけど」

「そんなに酷いセクハラを働いていたと…やはりD08の噂というのは」

「ある意味そうですね、その頃の話が流れてるんでしょうと思いますよ。現在も一部の職員はセクハラ酷いっすよ」

 

これには皆苦笑い。揃って思い浮かべるのはメンテナンス班の若い衆だ。

あれのセクハラは隙あらば飛んでくるし無防備に昼寝なんてしようものなら揉まれてたりする。

その前に大体守護妖精がガードしてくれたりするけど…その前は相互監視してたな。

止める時?勿論平和的交渉は無理なのでグーパンチ。

 

「上から下までおっぱい星人なもんでつい意気投合してから暴走してたっちゃしてましたね。イサカが目を覚まさせてくれたんですけど」

「そのイサカはどうやら整備班の人間と仲がよろしい様子ですが?」

「あぁ、イサカは主任と親密な仲ですよ。籍を入れないのが不思議なくらいです」

「指揮官以外に仲を築いているって珍しいですね?」

「他の基地を探しても見当たらないと思うっすね、当初は珍しいことでも無いと思ってましたけど」

 

そう言えばそうなのかな…他の基地でもあんなに恋仲になってるようなのって言ったら大体指揮官相手だ。

基地に所属していてああいう風に夫婦みたいになってるのって言ったらここくらい?

 

「んまぁそれは良いんスよ。心機一転真面目に仕事し始めてからFALも見る目を変えてくれて」

「ま、放って置いたらいつセクハラ魔に戻るかわからなかったからよ?」

「それでもありがたかったぞ?んでーサポート受けながらも必死に基地を整えてから戦線の維持に務めた次第ですね」

「なるほどー…貴重な人形尊重派の指揮官のお話ありがとうございました」

「あ、D08の噂はあんまし流さないでくださいね、結構面倒なんで」

「あぁ?それ無理ですね。もう重婚の話は流布してますので」

「ハッフン」

 

やったね、D08基地の指揮官って言っただけで一発で分かるって♪

ダーリンは普通に頭を抱えたが私達は胸を張って寄り添えるんだから良いもん。

 

「ついでに言えば財政難なのも割れてますよ」

「うっそやぁん…」

「だからヘリアン代行官が良い仕事を回してくれているのですよ?」

「なるほど…今度何か…」

「合コンに付き合わされるので止めておいたほうが良いですよ」

 

「流石合コンの負け犬…」

「ヴィオラ、それは黙ってような?」

 

この基地周辺は普通に優しい人達に囲まれていて幸せだなって思う。

まぁ頑張っていこう。私達はこれからずーっと幸せを噛み締めていくんだから。

 

「ところで…ここの基地、人形って胸が大きいですよね。何をされてるんです?」

「え?」

「さぁ…特に変なことはしてないわよ?」

「おいしい食事を食べて警備任務に明け暮れて…」

「おやつを作ったり?」

「配給ではなく普通の食事を?」

「えぇ、食堂で全員一緒の飯を食べてるわ」

「そ れ だ」

 

後日の社内報がトンチキな事になったのは言うまでもない。

やっぱりというかD08所属の45姉が波乱を呼んだ…かもしれない。




ここの連中が胸を張ったりしたらI.O.P社比1.2倍はぷるんぷるん揺れそう。
45姉?異論は認めるが私は譲らんぞ?


評価増えるのありがたいねー
ところでシリアス好きならそもそも読まないほうが良いと思うんですよ。
この作品あれやぞほのぼのの皮を被った健全エロ作品やぞ?


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Day116 視察、襲来、おっぱい

フリー素材なのでもう書くしかねぇ


今日はなんだかお客が来るらしい。H地区の指揮官がこちらの視察に来るらしい。

最前線の指揮官だからまぁ恐らくだが本部の任務でこっちに視察に来るんだろう。

D08基地はまぁイレギュラーというか独自な空気がそこはかとなーく強くなってきたからなぁ。

あとはまぁ普通にセクハラ基地ってイメージが強いからそれの確認だったりして。

 

「で、H基地の指揮官はもうそろそろ来るんだっけ」

「派手な来方をするらしいが…はてさて…」

 

ん?この音はローター音だ…と言うことはヘリで来たのだろうか。

豪勢だな、大体は陸路を車で来るんじゃないかと思ったけど…

上を見上げればパラシュート降下してくる一人の影…まぁそこは良いんだ。

だが私は目を疑ったのはそのパラシュートに記されている文字だ。

I LOVE OPPAIなんて書いてやがらぁ…あー、そういう指揮官なの?

H地区のHって変態のHだったりしない?いや、待てよ…

本日の来客の名前はっと…H基地の指揮官…H基地、変態基地?

 

「ダーリン、あれ撃っていい…?」

「ダメ、一応お客さんだからな」

「えぇー…」

 

流石にこれは私も嫌悪感が出てくる、オープンド変態とか嫌だなぁ。

ダーリンも結構な変態というか…おっぱい星人だけどさぁ…分別はあるし。

 

「なんだ…ん?あれは…人?」

「あーヴィオラは離れておいたほうが良いんじゃない?」

「さっきのヘリの音は…降下中の人間…?なにあの悪趣味なパラシュートは…」

 

基地内からヴィオラとお姉ちゃんが出てきて空を見上げて顔をひきつらせている。

まぁうん…あんなパラシュートを見たらそうなるわなー…あ、これ壁に突っ込まない?

 

「ぐほぉ!!」

「おー痛そう…」

 

ピンクのパラシュートが風に吹かれたか軌道が大きくそれて基地の外壁に身体を叩きつけていた…

いや、本当に痛そう…というか怪我ないんだろうか…流石に心配になったから駆け寄る。

私、ヴィオラ、お姉ちゃんの3人で囲んで地面にのびてる指揮官に声をかける。

 

「大丈夫?」

「怪我はないか?」

「顔面強打してるわね…」

 

ピクピクと伸びてる指揮官は床にべちゃぁとなっていてなんというかなぁ…漫画みたいな伸び方だと思う。

私とヴィオラはとりあえず心配してるけどお姉ちゃんは一歩引いて分析してる。

とりあえずパラシュートを脱がせてからひっくり返そう…よっこいせっと…

 

「ナイスおっぱい」

「「「は?」」」

「そこな416風味を感じるナイスブルンバストはその身体の小ささから突き出て柔らかそうに揺れる様はまさしくすべてを包み込むような母性に満ちあふれている…ナイスおっぱいだ。そしてそっちの416も俺の知っている416のおっぱいに比べてボリューム感が増している…バカな、あのブルンバストを更に超えるのか…?そして最後に鉄血のデストロイヤー…お前そんなおっぱいは反則だろデカイ…正しく山だな、母なる山だ…」

「何こいつ…キモ…」

「主人、こいつは埋めていいか?」

「指揮官、コレの射殺許可を」

「ダメだ、お客だからな?」

 

このお客の指揮官…おっぱいへの情熱がダーリン以上のヤツだけど…

正直私はもう関わりたくない位に気持ち悪い…お客っていうのが最悪なレベルだ…

逆に突き抜けすぎてて笑えてくるレベルだけどさ。いや、本当…なんでこんな変態が指揮官やってるのかな?

 

「ようこそ、D08基地へおっぱい指揮官。今日は共におっぱいへの熱い思いを語り合いましょう!」

「おうとも、ソウルブラザー!」

 

あぁだめだこりゃ、ダーリンも熱烈なおっぱい星人だから共感しちゃってるよ…

誰だよこんな変態を好きになってるの…私達だったわ…

 

「とりあえず中に入って?お外で騒ぐのは良くないよ」

「そもそもその手の話をするなら私室でするか離れでしてくれ」

「……H基地ね、対応について問い合わせておきます」

 

 

――――――――――――

 

 

「とりあえずあの変態についての対応は蹴るなり殴るなり好きにしろ…と、向こうのG36からのお墨付きを貰ったわ」

「OKじゃあぶん殴る」

「了解した」

 

あの変態への対応はまさしく塩でよろしいとのお達しでした。

なんならハサミを持ち出してその汚いバベルの塔を切り落としましょうか?と脅してやればいいとまで。

かなりの筋金入りの変態らしく至近距離での銃撃でも生き残るし食らってもピンピンしてるらしい。

さらに言えば全力でぶん殴るようなことをしてもピンピンしてるらしい…

向こうのわーちゃんがよく揉みしだかれているらしいが…揉みながらスゴイ挙動で回避しまくるらしい…

つまりどういう事かと言うと君主危うきに近寄るべからず。

私達でっぱい組が近寄ればどうなるかなんてのは火を見るより明らかな訳ですよ。

最悪ダーリンの前で揉みしだかれるなんて事になりかねないので自ら近寄るのは避けておこう。

 

「という訳であの変態の居場所は各自シェアすることにしよう?」

「そうね、思いがけず出くわすなんて事は避けたいわね」

「同感だ…この身は全て主人に捧げている…あんな変態には触れさせたくはない」

 

3人揃って並んで歩きながらひとまずあの変態…おっぱい指揮官への対応を決めていた所だった。

曲がり角からいきなり人影が現れてからヤバイと思った時には既に遅くて…

 

「ぐえっ」

「んにゃぁ!?」

「く…なに…?」

「む…?」

 

思いっきりぶつかってから向こうはもんどり打ってこっちに倒れかかってきた。

で、お姉ちゃんとヴィオラも巻き込まれてから廊下に倒れる合計4人。

ここで気づいたけど倒れた人の頭が私のおっぱいに挟まってた。

横を見ればお姉ちゃんのおっぱいに左手が…右はと言うとヴィオラのおっぱいに。

 

「む、むむっ…ぷはぁ!窒息死する所だった…」

「「「げ…」」」

 

倒れ込んでいたのが件のおっぱい指揮官だった…顔を上げてからこっちの顔を見て…顔を埋めていた所を見下ろして…

両手の先を見てから軽く握り込んで…としてから

 

「巨乳クッションとか最高かよ、もう少しだけ」

「とっとと退けこの変態!」

「ありがとうございます!!」

 

とりあえず全力でぶん殴っておいたけど原型とどめたまますっ飛んでいった。

本当に無駄に耐久力だけあるな…これが変態か…

 

「とりあえずもう一発、そのおっぱいでぶっ叩いて」

「ぎゃああああ!!!」

 

 

――――――――――――

 

 

「ふぅん、おっぱい指揮官ね?」

「不運にもぶつかってからおっぱい揉まれてさぁ…」

「しかも全力で殴られて飛び出た言葉は何だったと思うか?ありがとうございます!!だったぞ」

「うわーそんな人間マジで居たんだー」

 

カフェで休憩ついでに甘い物食べてから気分を落ち着かせようとしていた所。

UMP姉妹が揃ってお食事に来ていた。45姉はご機嫌でケーキを頬張っていたし9姉も同じく。

急成長を遂げたおっぱいが柔らかそうに自己主張してるなぁ…

本人曰く成長が落ち着いたからそろそろ下着を買いに出かけるとのこと。

推定カップG…文句なしのおっぱいに成長していた…これはデッカイ。

ご機嫌で見せびらかしているけどこの基地で45姉と同じくらいの外見年齢の人形で…ぺったんこなのって居ないよね。

G11とかスコーピオンはちょっと幼いし…SAA?ありゃ完全なロリでしょ。

 

「G&Kの制服着ているからダーリン以外の指揮官見たらとにかく避ける事だね」

「うむ…じろじろとこちらを見られてブツブツと呟かられるぞ…」

「それ訂正な、堂々とおっぱいについて品評してくるからね?」

 

私とヴィオラのおっぱいに関してはえらく気持ち悪くねっとりと品評された。

隣で聞いてたダーリンも納得みたいな感じで頷いてたけどいやいや止めろや。

お姉ちゃんと同型の人形が所属してるらしいけどまぁあれだな…おっぱいがよりパワーアップしてる!?と驚いてたな。

漏れ無くお姉ちゃんからのボディーブローが刺さってたけどやっぱりピンピンしてた。

あの変態の耐久力本当に頭おかしいと思う…何度殴られてるよ?

 

「で、ここがウチのカフェですね」

「おぉ春田っぱいも完備…すばらしい」

 

噂をすれば影ってか、ダーリンが直接案内してるんだろうな。

入ってくるなりマスターであるスプリングフィールドのおっぱいをジロジロ見て拍手してる。

これにはスプリングフィールドも苦笑いで拭き上げているお皿でガード。

 

「この基地の人形はどうしてこうも素晴らしいおっぱいを持っているんだ…すばらしいぞタカマチ指揮官!」

「光栄です、おっぱいスキーの頂点であるおっぱい指揮官にお褒めいただけるとは…!」

「しかしUMP45…なん……だと……?」

「私のことを呼びましたかー?」

 

振り返る45姉、重ね着していて分かりづらいが自己主張している物が揺れる。

45姉と同型のモデルって皆揃ってぺったんこなんだけど…まぁうちのはばいんばいん。

そんな事に驚愕してからか信じられないものを見ているようで…

 

「なるほど、夢だったか…なら揉んでも文句は言われないな」

「しきかぁ~ん、この人打って良いですか~?」

「程々にな…」

「は~い、えい♪」

「ありがとうございます!!」

 

45姉のコークスクリューブローが鳩尾に突き刺さった。

おっぱい指揮官は無事床を枕におねんねコース…かと思った。

 

「夢ではないのか、では実際に味見を」

「いや復活はやっ!?」

「出会ったばっかりの指揮官見てるみたい」

 

憐れ45姉、気持ち悪い復活速度を誇る変態の餌食となった。

間近で見てたけど挙動が人間離れしすぎていて難解だった…

おやつ食べに来たわーちゃんも巻き添えで餌食になったけどやっぱり殴打が届かなかった。

この変態の配下の人形達にはちょっと同情するよ…




という訳で今回は敬愛するおっぱい愛溢れる作品を執筆している卵豆腐さんの作品、おっぱいフロントラインからおっぱい指揮官を引っ張ってきました。
突き抜けた変態っぷりだからここの面々をぶつけたかったんだよ。


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Day117 テロリスト排除

コラボが終わったら何が起こる?


「皆よく聞け、ウチの統括下の工場が襲われた」

「ふぅん…それで、敵はどうなってるの?」

「人形に奪われた人間の生きる尊厳がどうのこうのと宣ってるキチガイだ」

「あぁ…配給とか弾薬を盗む連中か」

「よく知ってるなヴィオラ、偉いぞー」

「むふー♪」

 

人間の尊厳がどうのこうのと宣う…確か人類権利団体だったっけか?

人形が社会進出してから職を追われた人間たちが集ってギャーギャー言ってるイメージ。

過激派はやってることはテロリストと変わらないし盗賊もやってたりするから最悪。

人間だったころによくニュースで見てたな。過激派ってのは昔も今も変わらない。

昔は宗教団体の過激派がよく自爆テロなんて言う命の無駄遣いをしてたけど…

今は言うなれば時間と労力の無駄遣いをしているようなものか。

そんなのに時間と労力を割くなら少しでも何かして生計を立てたらどうなんだよと思う。

確かに単純作業や危険作業の需要は取られたけど全部取っていったわけじゃない。

じゃあその残った僅かな需要のために努力してるのか?と聞いたら大体はNOだよ。

そう、つまりは泣いて喚いて追い出されたと言って何も苦労せずに返り咲こうとしてるのさ。

腐った果実が返り咲いた所で腐敗の元だからそのまま道端で腐り果ててくれたら良いのにね。

まぁそんな事出来ないから結局テロリズムに走って構って構ってするんだろうね。

 

「奴らはとにかく人形が主体で動いている施設、組織に対して攻撃的だ」

「主人、それは私も身を持って知っている…何、奴らは単純だぞ。出し抜く等平和ボケした人間でも可能だ」

「だと良いが…一応聞いた所だと正規軍崩れが混じっているらしい。そこでお前たちの出番だ」

「あぁこの前の銀行強盗みたいなのか…物の数じゃないね」

「前回と同じで一人確保出来れば後は生死問わずかしら?」

「そうだな、情報を持っていそうなリーダー格を確保できりゃ上出来だな」

 

現在テロリストの一部が工場を占拠、そのまま金品の要求をしているらしい。

交渉する余地も無くそのまま長く占拠されても数少ない人間の働き口がなくなる。

治安維持隊の人形は待ち伏せで撃退されてしまっていて手に負えないと。

あと普通にM2重機関銃を持ち出していたりと火力が馬鹿にならない。

工場も工場で人形の武器生産工場だったから向こうは弾は潤沢にある。

 

「今回はアルファ部隊に加えてデルタ部隊のUMP姉妹を同行させる」

「電子戦のエキスパート兼潜入のエキスパートが加わるのね…」

「それは心強い」

「という訳で早速だが出て貰うぞ」

「「「「「了解」」」」」

「無事に帰ってくることを祈っている…愛しい妻達…なんつって」

「ッ…主人、そうやって私を喜ばせようとする…!!」

「行くわよヴィオラ、ちゃっちゃとテロリストを排除するわよ」

「お姉ちゃんにやけてる~♪」

「これでニヤけないのが無理な話ですわ…」

「ま、まぁ…そうよね…無傷とは言わないけど無事に帰ってくるのは当たり前でしょ!フンだ」

 

まぁ出撃前とは言え夫と妻達ですからお姉ちゃんは完璧ぶってるけどダーリンに見られないようにしてからニヤニヤしてるし…

ヴィオラは普通に悶絶してからお姉ちゃんに引き摺られて私とG36Cは喜色満面。

Uziはまぁいつものツンデレ発動させてたけど普通にニヤついてた。

 

 

――――――――――――

 

 

『全員配置についた~?』

「こちら416…問題ないわ、何時でも暴れられるわよ」

「こちら417、同じく」

「ヴィオラ問題ない、アウト」

「G36Cいつでもどうぞ」

「Uzi準備万端よ、待ちきれなくて暴発しそうよ」

「暴発したらどうなるんです?」

「ブラが弾けてぽろりでしょ」

『はいはい軽口はそこまで~じゃあ簡単におさらいするわよ~』

 

バギーで移動中に作戦を立てていたが簡単な話は私達で派手に暴れまわって排除しつつ…

UMP姉妹が潜入、そのままリーダー格が居るだろう制御室へと向かう。

単純だけど効果的な物だ。一応こっちで動くのは5人小隊でかなり練度がある。

向こうは大慌てで止めに来るだろうけど…じゃ、まぁちゃっちゃとやっちゃいましょうか。

とは言ってもガチで大暴れしたら工場の被害が馬鹿にならないからスマートに。

 

「ブリーチング」

 

416の呟きと共に3本指が立てられる。3カウントで起爆、突入という事だろう。

サプレッサーがない分取り回しは良い…さて、私もCQB戦でそこそこ戦えることを証明しよう。

3カウント後起爆用のスイッチが握り込まれる。轟く爆発音と共に吹き飛ぶ扉。

警報が鳴り響くが知ったことかと中へと入り込む。ダミーには背後の監視を任せながら進んでいく。

狭っ苦しい工場の通路を千鳥状に隊列を組み駆け抜ける。慌ただしい声が聞こえてくる。

 

「こっちだ!クソッI.O.Pのサル共め!また忌々しい人形を投入したか!」

「何度来ても同じだという事を知らしめてやる!」

 

慌てて機関銃を持ち出しているんだろうガチャガチャと煩い音が聞こえてくる。

制圧射撃用のLMGだろうか。M2HMGは流石に人形じゃなきゃ軽々とは持ち運べない。

 

「居た……」

「1ダウン」

 

先頭を走っていた416が直ぐ様に反応して射撃していた。

飛び出てきてこちらに気付いた様子の男が通路に倒れていた。

間髪入れずにそれぞれ散開、物陰に隠れる。程なくして…

 

「くそったれぇ!!よくも仲間を!!!」

「フン…よく言うわね…」

「底辺はよく口が回ること…」

 

追いかけていただろうLMG持ちが通路に展開、制圧射撃を開始した。

迂闊に顔を出せないが…LMGのボックスに入るのは精々多く見積もっても200発。

発射音から7.62ミリ…見積もり100発と言った所か。

連続発射していたら後の支援がない場合どうなるか?火を見るより明らかじゃん。

 

「あ?クソ、弾切れかよ…!リロード、カバー頼む!」

「馬鹿野郎!そんなにじゃんじゃん撃つなって言われてただろ!!」

「ご苦労さま、あの世で仲間によろしく」

 

すかさず半身だけ出して同じく7.62ミリの弾丸をおでこにお見舞いする。

恐らく占領に残された連中は雑兵の集まりか…これに手を焼いた治安維持隊よ…

いや、多分治安維持隊が突入した時は指揮官が居たんだろうな…

ハッなんだよ人形がどうのこうの言ってる癖にその人形と同じで…

 

「優秀な頭が居ないと役立たずみたいね」

「そうね、さっさと片付けるわよ…コンパクト!」

「了解致しました!」

 

号令と共にダミーを引き連れて躍り出る。弾幕を張りながら狭い通路を制圧していく。

それに対して人間が出来ることと言ったら…

 

「うわ、出てきたぞ!!撃て!撃つんだよ!!」

「何だ、コイツら化物かよぉ!!?」

「お命頂戴いたします」

 

致命打に繋がる弾だけをピンポイントでフォースフィールドを発生させて無効化していく。

そもそも一応ながらに狙いを据えた弾というのは一直線に飛んでいきがち。

じゃあ最小限の動きでそんなのは回避も可能だ。無論理論上の話であるけどね。

理論値に近い事が出来るのが我ら人形と言うものだ。G36Cの銃声が幾つか連続して響く。

空薬莢の転がる音が後に残っただけで通路に顔を覗かせると血溜まりと無傷で立っているG36Cの姿。

 

「片付きましたわ、では次へ―――――――」

 

"ダァン!"

 

「クリーンアップが甘いよ」

「あら、ごめんあそばせ」

 

物陰に隠れていた一匹が手榴弾抱えて突っ込もうとしていた。

すかさず7.62ミリの弾をおでこへ届けてから吐き捨てる。

 

 

――――――――――――

 

 

「くそっ!タイミングが悪い…本隊が引き上げて次の目標に向かうって時に来やがるなんて!」

「最悪俺たちだけでもトンズラするぞ…おい、脱出経路の確認を」

「……おい、返事くらいしろ…よ…」

 

一方その頃工場管制室では占拠するに当たり現場指揮を任された人間が頭を抱えていた。

我が身可愛さに早々に次々に通信が途絶える使い捨てに見切りをつけて退散しようとしていた。

4人ばかり残されていた人類権利団体の過激派メンバーが脱出しようと声を掛け合っていた。

しかしながら中々帰ってこない返事に業を煮やして監視モニターから目を離して振り返った時だ。

 

「みぃ~つけた♪」

「キリキリ吐いてもらうよ♪」

 

サプレッサー付きの銃で頭を撃ち抜かれ力なく全身を椅子に預けている同志二人と…

満面の笑みを浮かべて真っ黒な銃口をこちらに突き付ける2体の人形。

 

「「ぎゃぁぁぁあああああ!!!」」

 

銃声が絶え間なく響く工場内と変わらない悲痛な叫びが木霊した。

間髪入れず四肢に鉛弾が撃ち込まれその上で丁寧に向こう脛の骨を蹴り砕かれる。

 

「脚がっ俺の…脚がぁぁぁぁぁ!!!!」

「いてぇよ…いてぇよぉ…かあちゃん……」

「こちら45、情報源確保よ~」

「じゃあどっちか担いでもう片方はどーするの、45姉」

「そりゃ勿論処分よ♪」

「「待ってくれ!俺を助けてくれぇ!!!」」

 

痛みに顔をぐしゃぐしゃにした男二人が命欲しさに速攻で仲間を売り渡す行動に出る。

そんな二人に45はにっこりと慈母のような微笑みを湛えてこう告げる。

 

「じゃあ、はい♪」

「なんだよ…お、俺らの通信機…」

「これで本隊の連中、あと基地の連中に通話、はりーあっぷ♪」

「あ、ああ!!」

「待てこら!くそっ!全員にかけてでも生き残ってやる…!!」

 

ニコニコとしたまま45はそんな二人の醜い争いを見守っていた。

そして数分後、不必要な通信を寄越したことに怒鳴られながらも通信を行った二人。

知っている限りの全てに繋げたのだろう。縋るように45を見上げていた。

 

「うんうん、いい感じに情報が探知出来たわ~ありがと♪」

「じゃあ、俺は!」

「俺だろ、助けて」

「じゃ、死のっか♪」

 

 

「45より全隊へ、ホシの居所が割れたわ。地図上だと…R06地区ね」

「うわー…遠いー一日泊りがけ?」

「そうねー…じゃ、指揮官に連絡するから行くわよ~」

『クリーンアップも終わったわ、じゃあ残りを食い荒らしに行きましょうか』

 

R06地区へと向かっていくアルファ部隊とUMP姉妹。

指揮官の方も動きR06地区担当のシーラ・コリンズに連絡を入れる。

 

「あぁすいませんね、ウチのシマで殺ってくれたバカがお宅の地区に居るみたいなんですよ…ちょっとばっかし掃除に向かわせてるんですわ…なぁに一晩お世話になるだけですよ…えぇ、では…」

 

テロリスト掃討作戦は始まったばかりだった。




知らんのか。
コラボがまた始まるんじゃよ。

という訳で次にお邪魔するのは「笹の船」さん所の「女性指揮官と戦術人形のかしましおぺれーしょん」でーっす。
デレ甘な45姉が見れるんじゃぞ?皆も見てみ。
ほらほら見るんじゃよ…見ろ(脅迫)


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Day118 Make up BLOODBUS

R06地区でテロリスト掃除


「もうすぐR06地区勢力内に入るよ」

「向こうの指揮官に一報入れておくわね~」

 

無線アンプと化したダイナゲートを肩に乗せながらバギーカーを転がしていく。

かなり離れてしまった為に個人携行の無線機ではもう距離外だ。

そうなると役に立つのが鹵獲して改造したこのダイナゲートだ。

拡声器にもなるがそれ以外に戦闘面で使うとしたらこんな無線アンプだ。

毎回出撃時に私に引っ付いて回るのもアレだけど…大体はバックパック内で大人しくしてくれるからOK。

という訳で私が運転して隣で45姉が無線で連絡を取り合っている。

R06地区にはもうダーリンからの情報が行っているらしいが礼儀としてこっちから直接連絡を入れる。

まぁ名誉にこだわる指揮官なら指揮下に入って動いてから手柄を譲れば問題ないし。

私達としてはD08地区で暴れてトンズラしようとしたっていうのが許せないだけだし。

 

「皆喜んで、向こうの指揮官も快く協力してくれるみたいよ」

「ヒュー、太っ腹」

「一部隊を偵察に出してるみたい…通信圏内に入れば情報も入るでしょうね~」

 

何部隊中の一部隊かは存ぜぬが駆り出してくれるのはありがたいね。

相手の規模だけでも分かればそれだけで作戦行動が取りやすくなる。

相手の兵力把握が一番大事、罠の種類も分かれば上等。

 

「で、今回は45と9はどうするんだ?」

「今回は私達もカチコミね~」

「家族はみんなで旅しなくちゃね♪」

「黄泉送りの片道チケットを叩きつけるのね?」

「そのとーり♪」

「じゃ、楽しい血祭りの開催だね」

「あまり血を浴びるのは好ましく無いのですが…」

「そうよ血塗れで帰るなんて…べ、別に指揮官の事なんか気にしてないわよ!」

「ツンデレ乙」

 

割とヴィオラってスラング使うよね。いや、使い古されたミームか。

ヲタク界隈でたまーに見てからうっわ懐かしいものを…みたいな反応する物が多い。

まぁかくいう私も使ってるんだけどね。この付近の廃墟を根城にしてるみたいだけど…

うっわ廃棄された街かぁ…こりゃ探すのが面倒になるな。

 

「あのおバカさん二人が区画名まで言ってたから特定は簡単ねー」

「というか45姉緯度経度単位で割り出してなかった?」

「流石にそこまではあの短時間でハッキングかけられなかったわよ」

 

あーやっぱハッキング仕掛けて探知してたんだね。オリジナルの45姉ってのが電子戦特化モデルらしいしね。

量産型の45姉もその流れを組んでいるから造作も無いことか。

 

「じゃ、ここからは先行している筈の部隊と通信してから情報をもらって…」

「お宅訪問からのー」

「集団ツアーチケットの押し売りー♪」

「「イエーイ!」」

「お二人とも仲が良いのはいいのですが…」

 

妹連合で勝手に盛り上がってたけど45姉が無線でやり取りしてから情報を聞き出してくれていたらしい。

ルートナビゲート情報が入ってくる。一先ずソコへと向かうとしよう。

 

 

――――――――――――

 

 

「この廃屋がそれ?」

「そうそう、複数人の人影が確認されているらしいわ」

「417、ちょっと双眼鏡貸して…」

「はいどうぞ、416姉なにか見えるの?」

「……視認される限りトラップの類いは見えないわ」

 

埋没させていたとしても何かしらの痕跡というのが残る。

土の均し方が若干異なっていたり雑草の生え方一つしても違ってくる。

まぁ今の時代でそもそも限られた土地の中をさらに狭めるような愚行はするやつが少ない。

もっぱらは死角に仕掛けたクレイモア等の対人地雷が殆どだ。

すこし離れた場所のビルから偵察中…R06基地の偵察部隊は有事に備えて待機中。

あとは考えられるとすると小生意気にもさらに逃走経路を用意している事だけだが…

 

「念の為にダミーに先行させるわ」

「了解、皆準備は?」

 

全員黙ってハンドサインで応じるメインフレーム同士で伝達、準備OKの証として前方から後方へかけて肩を叩いていく。

 

「行動開始、殲滅するわよ」

 

ビルの闇からぞろぞろとダミーを引き連れて廃屋の様子を伺う。

中に見える人影の数は大凡4、談笑中と思われる。

 

「4人」

「レディ」

「手榴弾いくよー」

 

手筈通りにまずは入り口を確保する。ついでに扉の向こうにトラップが仕掛けてある可能性もあるから…

そんな時のためのグレネードランチャーですよ。ポンっと間抜けた音と共に発射される40ミリ榴弾。

その後にスモークが投げ込まれるどっちみち押し入った時点でバレるからどうでもいい事だ。

大した距離もないためほぼ真っすぐに扉へと飛んでいき炸裂する。

木製の扉は木っ端微塵…だけなら良かったんだが…続けて何かが炸裂する音がする。

やっぱりクレイモアの類いが仕掛けられてたか。

 

「Los!」

 

まずは416のダミーが突撃する。煙を突っ切って飛び込んだのは人影が確認された部屋だ。

相手も慣れているのか発破音がした時点で動き出している。

すばやく座っていたソファーなどを倒して即席のバリケードを作っているが…

 

「Granate」

「Ja」

 

そんなの関係ねぇよとばかりに再装填も終わったグレネードを叩き込む。

こっちはお前らの命なんざどうだって良いんだよ。お命頂戴するまでよ。

続けてヴィオラがシールド構えながら榴弾砲とMASADAによる制圧射撃を行う。

 

「クリア、さて楽しいパーティータイムね」

 

スモークが晴れた頃に転がっているのはグレネードに内蔵された鉄片が身体に突き刺さり痛みに悶える人間と…

5.56ミリ弾の直撃を受けて倒れ伏している人間…出血も多く放っておいても死に絶えるだろう。

敵対存在で現在行動可能な物は見当たらない。

 

「うぷ…」

 

まぁこの惨状に若干一名吐き気を催しているが仕方ないよ。

だってほぼ奴らのど真ん中に叩き込んでやったんだからそりゃぁもうぐっちゃぐちゃになっちゃうよね。

直撃だったらその直撃箇所がまるっとえぐれて飛んでいったんだろうけど。

 

「パーティーじゃなくてツアー案内でしょ♪」

「そうね~コイツらには集団で旅行に招待してあげてるんでしょ?」

「あぁそうだった」

 

軽口を叩き合いながら未だに痛みに悶ている人間の頭にサイドアームでトドメの一発を入れていく。

にわかに騒がしく何処からか足音が登ってきている。何処かに地下室があるんだろうか?

 

「一匹残らず地獄へご招待するわよ」

「じゃ、早速だけど…燃えて貰う?」

「ははん?良いわよ、やったろうじゃない」

 

全員に聞こえてくる足音から相対距離を測る。近い。それぞれ装備も抱えている。

足並みが全く乱れていない事からもよく訓練されてるのも窺える。

だけど、人形相手には物量の上に奇策を練らなくちゃいけないんだぞ。

 

「フラグアウト」

 

タイミングを合わせたUziが焼夷手榴弾を投げ込む。

ちょうど起爆直前で奴さんの集団の頭が出てきた。Uziの顔が確信に満ちた笑みに変わる。

炸裂音と共に聞こえてくるのは悲鳴だ。

 

「ぎゃぁぁああああ!!」

「もえ、燃えてるゥゥうう!!」

「消してくれ!消してくれぇ!!」

 

その場で転がって火を消そうと苦しんでいる。火だるまになるのを避けるため後続は手出しできちゃいない。

チッそのまま出てきてたら良かったんだがまぁそこまでバカじゃないか。

 

「ヴィオラ」

「分かっている」

 

鉄血製大口径榴弾砲が火を吹いた。今にも吐きそうな情けない顔はソコには無かった。

 

 

――――――――――――

 

 

「状況終了」

「うげー…血みどろ…」

「流石にこれは酷いですわね…」

「ちょっとはしょうがないかなと思ったけどね~」

「あれ、ヴィオラは?」

「ほら、あそこで吐いてる」

 

若干一名が不調を訴えているがまぁそれはコラテラルダメージだね。

そしてテロリストの巣窟だった廃屋は見事に赤で染められていた。

中に転がっているのは人類権利団体の過激派メンバーばかり。

まぁ元っていう頭がつくけどね。家族揃ってみーんなあの世へ叩き落したばっかり。

そして私達も返り血で真っ赤っ赤…流石にこんな状態で帰るのは女の子として無理。

しかしながら街に行こうにもこんな血みどろ状態だと入れてもらえないし…

水辺?この付近で見つけるまでバギーカーでドライブしろと?冗談きついよ。

 

「しきか~んこっちは今お掃除が完了した所ですよ~……え、本当?やった♪」

「45姉、指揮官はなんて?」

「ここR06地区の指揮官に交渉して一晩泊めてもらえる事になったわ」

「え、じゃあお風呂も?」

「勿論OKでしょうね」

「「「「「ヤッター!」」」」」

「うぷ…血なまぐさい…ご主人の香りに包まれて寝たい…」

 

ヴィオラも無事復帰したところで次なる目的地はR06基地になった。

一晩他所の基地にお邪魔するっていうのは初めてだ。

学生の頃にあった遠方学習に泊りがけで出掛けた時みたいでちょっとテンションあがる。

それよりさっさとお風呂に入りたい。この返り血まみれなのをどうにかしたーい…

 

「そのまえにこの死体の山の後処理ね~」

「あー」

「焼夷手榴弾で焼くのは?」

「面倒だしそれ採用」

 

結局もう一回血みどろになりながら自分たちで作った血の池から死体を漁ってから一箇所に纏めて燃やした。

適当に掘った穴にその焼却処理した物を押し込んで土を被せてそれでおしまい!

さぁーいざ行かんR06基地…




という訳でこっから先は「かしましオペレーション」で見てね!


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Day119 都市伝説?

Q:都市伝説って?
A:ああ!


「ねぇダーリン今日はデートしない?」

「お、良いねぇ街に繰り出すか」

「やった♪じゃあ今日は~…黒鷲でタンデムデートしよ?」

「あれタンデムできんの?」

「かなり頑張ればイケるでしょ」

「タンデムバーがねぇよ」

「私のおっぱい掴んでたら上等でしょ」

「それはおかしい」

 

早朝から夫婦漫才を行いながら起き抜けにデートに誘う。ダーリンも乗り気だ。

じゃあどうするかと言った所でお互いに物言わぬ相棒が居るんだから乗らないのは無い。

黒鷲の性能調査って言うのもしておかないと行けないしね。

トライクモデルのバイクというのは得てして操作がとてもむずかしい。

バランスを取る必要がないから簡単?いやぁそんな事はないんだ。

むしろコーナーを曲がる際にすごく身体が振られる。特に高速コーナー。

バイクというものは外に逃げようとする遠心力に対して反対に車体を傾けてバランスを取る。

よく車体をコーナー内側に傾けて走っているのはソレ。

じゃあ車体を傾けられない3輪のトライクモデルというのはどうなるか?

発生する横Gに対して車体は傾けられないからどんどん重い車体は外へと投げ出されていく。

ライダーが身体を傾けることで多少の足掻きは出来るけど…まぁ限度はある。

限界をこえた車体はどうなるか?簡単だよ、横転する。

イメージと違ってトライクモデルの運転はかなり気を使うんだよ。

まぁアーキテクト製のこのリバーストライクは前輪2個がリーン…つまり傾く。

その分だけまだましなのかもしれない。機構コレどうなってるんだろ?

逆説的に車体も傾けようと思ったら傾けれる。ちょっと感覚は違うけど普通のバイクと変わらないってわけだ。

ただし悲しいことにシングルシートだから一人乗り限定…夢のタンデムデートは無理でした。

なんでこんなにリアタイヤがでっかいんだよぉ…もうちょっとちっちゃくてもいいからタンデムシート追加してよぉ…

シングルシートが馬鹿みたいにデカイから詰めれば大人二人でも…いやキツイ。

タンデムバーは無いしリアフェンダーを背もたれ代わり?髪が焦げるぞ?

 

「まぁ普通にペアツーで良いだろ?」

「ん、まぁ…そだね…揉んでほしかったのになぁ」

「それはまぁ…人目のつかない所でな?」

「言質取った、よっしゃ」

 

よーしこれで人目につかなそうな所に行けば遠慮なく…むっふっふー♪

 

「ム?主人と417か…二人で出かけるのか?」

「あー…」

「…なぁ417、ダブルデートの許可は?」

「ん、まぁ…良いか…」

「何、私も一緒に行って良いのか?ならば同行しよう」

 

二人でダーリン挟めば良い事だしね。二人っきりが一番だけど邪険にする事もないし。

じゃ、準備だけ整えてから街に繰り出すとしましょうか。

私はどの服で行こうかな…童貞を殺すセーターで良いか。

ヴィオラは何にするんだろ?オフショルダーのセーターにミニスカート?それもまた童貞を殺すな。

 

 

――――――――――――

 

 

「そういえばダーリン、都市伝説って聞いたことある?」

「一つだけあるな、ふらっと裏路地に立ち寄ると別の世界線に行けるみたいなのだな」

「なんだソレは…都市伝説と言ったら学校の七不思議レベルに眉唾物だろう?」

 

人というのはいつでも摩訶不思議なお話が大好きだ。UFO伝説とか今でも話しの種になる。

エイリアンがどうのとか…まぁそれは強ち否定できないんだけどね。

崩落液なんてオーパーツが現時点で猛威を振るう世界ですし。

で、まぁこのD08地区でまことしやかに流布している都市伝説というのが一つはダーリンが言った物。

ふらりと路地裏に入り込んで迷って抜け出せたと思ったら実はソコは別世界だったなんて話し。

私が聞いたことある眉唾なんだけど未だに根強く流布している…その名も…

 

「喫茶鉄血」

「はぁ?鉄血ってあの鉄血だよな」

「多分ねーそれこそアレじゃない、ヴィオラみたいなのが居るんじゃないの?」

「ム…そうか、そういえばドルフロ世界には無いイレギュラーが多いし…」

「ヴィオラー?」

「ん、あぁ何でもない…それより主人よ腹が減っていないか?」

 

何かヴィオラがブツブツと話していたがまぁそれは良いや…

時間はちょうどお昼時、それこそ喫茶店で軽食を食べたい頃合いだ。

それかテイクアウトで適当な公園で食べさせ合いっこするかだけど…

 

「良い匂いがするな…こっちか?」

「あ、待ってダーリン!」

「主人、こういう時は並んで歩くものだぞ」

 

という訳で良い匂いがする方向へと進んでいく。かなり良い匂いだ。

くぅくぅお腹が減ってくるな…何の匂いだろう?芳しい香りは間違いなくコーヒーだ。

でもこんなに良い匂いのするコーヒーって中々無いな…まさか天然物だろうか?

ダーリンの両腕を私とヴィオラで挟んで抱きしめてから並んで歩く。

幸いにも人通りはそうでも無い、バカップルしても迷惑にはならないだろう。

匂いを頼りに歩いていくと…あらまぁ不思議と路地の奥へ奥へと入り込んでいく。

この先に飲食店なんてあったっけか?いや、無いはずだけど…

モグリでやってたりする飲食店かもしれないな…うーん…統治上摘発待ったなしなんだよねぇ。

 

「案外その喫茶鉄血の匂いかもしれねぇな」

「それはそれで良さそう」

「敵意ある鉄血ならば私がなんとか食い止める、最悪主人の身は守ってみせよう」

 

 

――――――――――――

 

 

「ここっぽいな…ってかこんなに活気あふれていたか?」

「んー…いや、ウチはかなり活気ある方だったけど…こんなには無かったはずだよ」

「……」

 

匂いを頼りに路地を抜けるとそこは…なんてことない街の大通りだ。

しかしながら何か…何かがおかしい。通りを往来する人々の顔は全くおかしくない。

活気に溢れているんだ。明日への活力というか…なんというか…

明日死ぬかもしれないなんて事に怯えているようなことが見当たらないんだ。

それに企業務めと思われる人間が多い。こんなに往来していたものか?

いや、そんなに受けいられるような企業の総数がない。ありえないことだ。

ヴィオラもこれには絶句…いや、何か考えているような表情で往来を見ている。

 

「ふむ、この活気は懐かしい…平成時代に似ている」

「えぇ?ヘイセイってヤーパンのえーっと…1988年から2019年までの期間の事だよね」

「なんでソレを懐かしいなんて言うんだよ…まぁ確かにそんな感じの活気だよな」

「うん…何というか戦争とかが全く無かったかのような…まるで理想の世界のような…」

 

何というかナンセンスな話しだけど本当にあり得るかもしれない別な世界に来ちゃってるのかもしれない。

私が知りうる限りではこれだけの活気があるのは第三次世界大戦前までだ。

そう、私達が産まれた後、物心ついて…ちょっとした頃合いだ。

大体二年位しかその記憶は無い。第2世代人形は当然ながら産まれちゃいない。

その時代を知っているのは当然ながらにしておかしいわけだ。1988年?頭がイかれてるとしか思えんな。

まぁとにかく薄っすらとしか覚えていない両親の記憶と街の記憶を辿ってもこれだけの活気に歴然とした差があるのは分かる。

道行く子供の傍らには付かず離れず親と思わしき人間が居る。これもおかしい。

いや、おかしくないんだ。それが本当は普通なんだ。両親が死んでいるとか片親なのがおかしい。

本当はこうあるべきって姿なんだ…世界が荒廃する前?

 

「頭が痛くなってくる…」

「あー…こりゃ確かに…都市伝説って言いたくなるわな…」

「そもそもだが…417のドレスを制作していたエルフェルトだが…出自を知ってるか?」

「え、いや知らない」

「そういえば…あの人形見たことも聞いたことも無かったな…」

「別次元の人形だぞ」

「「え?」」

 

慌ててI.O.Pのカタログデータを引っ張り出してみる。該当する人形は…

あ、本当だ全然見当たらねぇ…エルフェルトのエの字も無い。

えぇ…現代科学の敗北かぁ?いや、でもダミーとかあったよね?

 

「まぁいい、それより飯を食ってからだ。行くぞ主人」

「お、おう…」

 

 

――――――――――――

 

 

「ふむ、名前が喫茶鉄血…417、コレのことか?」

「うわ、マジで存在したんだ…」

 

中に入れば広がるのは小洒落た喫茶店と言った様子。なぜかあるカラオケ機械が目立つな。

さてマスターはだーれか…な…

 

「げぇ…」

「ム…」

「マジかよ」

 

無表情でコップを拭いていたのはなんと鉄血ハイエンドモデルでも最上位に近いやつぅ…!

こっちに気付いた様子だけど構える様子は無い。取るに足らないと見られたか?

いや、暴走した後の鉄血人形は一部の例外を除いてから殺害するように設定されている筈。

ハイエンドモデルなら尚更…ヴィオラみたいな例外があるけどさ。

 

「いらっしゃいませ。ようこそ、『喫茶 鉄血』へ。空いている席へ、ご自由にどうぞ」

 

無表情ながら確かに歓迎されている様子だ。ふむ…じゃあ問題はなさそうだ。

 

「メニューを見せてくれます?」

「こちらです、お決まりになったらどうぞ」

「……え、天然物?」

 

並んでいるメニューの備考欄で普通に生産地が表記されている…?

いや、待てアメリカ産?アメリカって真っ先に滅んだ筈だよね。

それに化合品無し?え?100%天然物?どれだけ貴重だと思ってんだ?

 

「毎朝新鮮な物を届けてもらっていますよ」

「えぇ…毎朝?どれだけの出資が…」

「……通貨単位が違くないか?」

「…げ、マジだ…コインじゃないの?」

 

これ共通通貨のコインじゃない。見た感じだけど…大戦前の通貨単位じゃないか?

あーこれは…金品になりそうなのって言ったら何かあるかな…

 

「ちょっと良いかな、肉体労働で払うっていうのはどうかな?」

「ム、そうか…それでいいか?」

 

まぁ古典的な対価交換だけど肉体労働で今回のを払おうって事にする。

マスターの判断はどうなるだろうか…

 

 

 

 

で、どうだったって?都市伝説は都市伝説だよ。

データとしては脳に叩き込んでいるけどあまりにも馬鹿げているから一笑に付されるだけ。

あ?だってさ地図データがいきなりD08からS09にすっ飛んでるんだぞ?




という訳でここで出したのが圧倒的平和時空の喫茶鉄血さんですよ。
通貨の違いがあるっぽいのでね…




覚えがある方は「あぁ……」と思って下さい。
あとがきでキレるのは作者としてあるまじき行為です。
恥部ですよ恥部。


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Day120 試作人形回収作戦

またこいつコラボしてるよ


けたたましい着信音が耳につく。緊急用の通信の着信音だ。

飛び起きる私達を他所にダーリンが受話器を取る。緊急時の物だからスピーカーからも音声が流れてくる。

発信元は…本部のヘリアントス代行官からの直通だ。

 

「はいはい、早朝になんですかヘリアントス上級代行官?」

『単刀直入に伝える、16Labの試作人形の救出を依頼する』

「ポイントは何処です?ウチから近いんですか?」

『ポイントはメッセージに添付する。そう遠くない廃墟街だ』

「へいへい…報酬を弾んでもらいますよ?」

『電脳妨害装置が使われている、耐性のある人形かアウトレンジから攻撃が可能な人形を連れて行くことだ』

「相手は?」

『人類人権団体だ、R06地区に潜伏していた一派とはまた別な連中だ』

「ったく…テロリストっつぅのは…嫁との時間を潰してくれる」

『キミ、私に対して喧嘩を売ってるのか?』

「いいえ?別にぃ?この前に合コンに付き合わされた事とか微塵も根に持っちゃいませんとも」

『よし、キミの減俸を考えておこう』

「あぁ?なんだとこの人生の負け犬が」

 

この短い応酬の中でちょっと聞き捨てならない言葉が飛び出したんだけど?

 

「ダーリンを合コンに連れて行った…?」

「ヘリアン代行官…ちょっとお話いいかしら?」

『待て、なぜ人形が朝から…まさかお前』

「腰が痛いっすねーあーほんとツレーわー」

『当てつけか!!』

「とにかくちょっとその合コンの話を聞かせてもらいますわよ…お返事は?」

 

通信機越しに溢れる殺気にヘリアンの息を呑む音が聞こえた気がする。

まぁ人の夫を合コンにつれていくなんてのは許し難い行動なわけでして。

 

「どうする、処す?」

「とりあえず人形引き渡しの時にボディブロー」

「ボディスラムでもいいんじゃないかしら?」

「アッパーカットからデンプシーでも良いのでは?」

「甘いわね、ジャーマンスープレックスがいいでしょ」

 

ダーリンはとりあえず処遇保留としてヘリアンに対する処置の協議に入っていた。

出てくる案件はどれも結局は暴力!暴力!暴力!って感じで非常にわかりやすい。

G&Kでもかなり高い位置に属しているから経済制裁なんてのは通用しないし…

そりゃもう一番手っ取り早いお仕置き方法に走るしか無いんですよ。

 

「で、ダーリンは何か言い訳ある?」

「合コンに付き合わされた時はまだ417に告ってなかったしそもそも居眠りこいてたからなぁ」

「よし、じゃあ今夜は抜かず二発の刑で♪」

「…それ俺のタマが死ぬから止めてくれ」

 

大丈夫大丈夫私に二発もらえたら別に私はOKだから。FALとかがねだった時は知らないけど。

腹上死は避けるようにペースは握ってあげるから幸せな辛さを暫く味わえ。

 

 

――――――――――――

 

 

今回はアルファ部隊とブラヴォー部隊の二隊を派遣することになった。

FAL、イサカ、スペクトラ、わーちゃん、G28が作戦行動に加わる。

ものの見事にアウトレンジで攻撃できるメンツが揃う。まぁ順当かな?

だからこのメンツだとフロントアタッカーがG36CとUzi、イサカ、スペクトラとなる。

ミドルレンジではお姉ちゃん、ヴィオラ、FALが火力支援を行う。

そして後方から私とわーちゃんとG28で狙撃を行っていくってヤツだね。

相手が所持しているっていう電脳妨害装置って言うのの効力、レンジ等は不明。

従ってこんな編成になったんだろうね。最悪私達がレンジ外に居たら安全を確保できる。

 

「では任務内容を通達する。今回の任務は救出任務だ…救出対象は16Lab所属の試作人形のM61A2だ」

「結婚式に来ていた花火パフォーマーと言ったら通じるかな?」

「どっから聞きつけたかは知らんがな…まぁそんな俺達にも縁があった人形が現在行方不明となっている…いや、戦場でロストしたという話だ」

「で、その最終発見地点がその件のポイントって訳ね?」

「そうだ。電脳妨害装置とやらの効果なのか最後は気絶するようにヘリから落下したとヘリアンは話していた」

「文字通りに電脳に対するジャマー…いや、EMPなのかもしれないわね」

「まぁ考えてもしょうがない。現状それが使われる可能性がかなり高い…勘付かれたら面倒だ」

「でもやることは変わらないのでしょう?」

「今回は救出が任務だが驚異はできるだけ排除しろ。容赦はするな」

 

地図上で確認された情報を並べていく…ターゲットが落下したのは廃墟街。

その他に偵察ドローンによる情報で確認されたテロリスト達の情報…

どうやらかなりターゲットが大暴れしたみたいで是が非でも殺したいらしい。

落下したらしい廃墟を覆い囲むように展開している…こうなると戦闘は避けられないだろうね。

主に展開している人員の武装は一般的な対人戦闘用のARと破砕用のグレネードとみられる。

この前のR06地区で殺りあった連中ほど練度は無いらしい。装置にあぐらをかいてるんだろうな。

 

「まぁ任せておけ…私がなんとかする」

 

この中で唯一の鉄血製のヴィオラは自信アリと言った様子で不敵に笑っている。

行動ログの中でも確か阻害装置をスルーした事があるみたいだ。

鉄血のハイエンドモデルは閃光手榴弾は効かないしその手のハッキングも効かない。

というかハッキングに対するプロテクトは雑多に生産されているダイナゲートですらかけられている。

だからジャックしようと思ったらアクセス権利のある上位モデルか物理的にアクセスするしかない。

戦術ネットワークにアクセスしようとするなら無線基盤をちょろまかせばいいけどね。

逆探知されて締め出されるまでの苦し紛れの戦術でしかないけど…

まぁそれはそれとして。今回はヴィオラがかなり頼りになるかな?

 

「ただし自分の攻撃でスプラッタにしてゲロゲロしちゃうからなぁ…」

「言うな…私だって慣れようとしているんだ…うぷ…」

「思い出しただけで吐きそうになってる位だから無理はしないでよ?」

 

 

――――――――――――

 

 

「行動開始ね、それじゃあこの私に付いてきなさい」

 

イサカが先陣を切っていく視覚情報共有から見れる情報では足跡が幾つも刻まれている。

推定人数は10人と言ったところか。1小隊がかなり大人数だな…

そんなにバルカンが憎いのか…とにかく潰したい魂胆が見えてくるな。

 

「ここで合流したみたいね…何この数…」

「蚤か何か?テロリストってなんでこんなに数が集まるのよ…」

 

3方向から伸びてきた足跡が一箇所に集まってから廃墟街へと伸びていく。

単純計算では30人になるが…そんなに集まられたら流石に面倒だ。

ランディングゾーンからずっと続いていた土の大地は終わりを告げてアスファルトの路面が見えてくる。

廃墟街に侵入した。さてここからは気を引き締めて行かなければ…

 

「指揮官、ダーリンにしっかり私の勇姿を見せてよぉ?」

『無駄口はいいから進め、敵影がこちらから確認できれば伝える』

『この…ウチの嫁がすいません、指揮官…』

 

上空に向かってイサカがブンブン手を振っている。その先に浮かんでいるのは反重力装置で浮かぶ偵察用のドローンだ。

私達には視認出来る…というか存在は認知出来るが光学迷彩を纏っている。

撃ち落とされるような事は無いだろう。まぁ流れ弾もあんな上空に行くことも無い。

イサカが出る時はいつも要望で主任をドローンコンソールの前に呼びつけている。

まぁ旦那の前で良いところを見せたいんだろうね。いつもイキイキしている。

通信の向こうではダーリンの隣に主任が座ってるんだろうな…すまなそうな声が聞こえてくる。

廃墟街と言うこともあって瓦礫が散乱しているしこっちからしたら死角になる影が多い。

それを上空からカバーしてくれるダーリンの存在はかなり大きい。

これが出来るのが比較的近場のポイントでの作戦行動だ。

 

『そこのブロックから向かって3時、敵影…なんだこの数は…ダミーで少し様子を見ろ』

「了解よぉ!」

 

号令と一緒に動き出すイサカ率いるフロントアタッカーのダミー達。

念の為と一体ずつ動かして様子を見る。件の電脳妨害装置とやらが働いていたら近くに寄った時点で行動不能になって倒れるはずだ。

言ってしまえばアレな事だが…捨て石のようなものだ。ダミーが平気かどうかで確かめていくしか無い。

 

「大丈夫そうよ?」

「まだ装置の電源を落としているだけかもしれん…十分に注意したほうが良い」

「バッテリー駆動なのを確認してるんだっけ」

「あぁ…私が捕まりそうになった時にその手の装置を見ていたがバッテリー切れを起こしてな…」

 

有事の際にしか使わないってなると面倒かもしれないな…うーむ…

 

「ダミーによる発砲許可は?」

『やれ、ちょっとちょっかいをかけてやれ』

「了解、派手にやっちゃうわよ、Uzi!」

「はいはい、ま、まぁ私が活躍する所を見てると良いわ!」

 

フロントアタッカー勢がそこまで言ってからメインフレームが押し黙る。

恐らく意識をダミーの方に移したんだろう。何かあれば戻ってくるし大丈夫だろう。

ダミーが私達が潜伏する廃墟の角から飛び出していく。

この手のEMP障害が発生しやすい状況下でダミーに意識を持っていきそれで遠隔操作するっていうのはよくやられる方法だ。

視覚共有情報から送られてくる戦闘状況はと言うとダミー達が全速力で突っ込んでいってる。

イサカは防弾仕様になってるガンケースをシールドにしながら突っ込んでいっている。

Uziはひたすらに弾幕を張りながらダッキングとサイドステップで避けていっている。

多少の被弾では止まらない。それどころか加速していっている始末だ。

しかし相手はかなりの人数で弾幕を張ってくるな…30以上は絶対にいる。

 

「人形だ!撃て!!撃ち続けろ!!」

「人間の明るい未来の為に死んで詫びろ!!」

「バイツァダスト!!」

 

口々に飛び出るのは罵声の数々だが狙いが甘っちょろいから致命打なんて与えられていない。

黙々としかし勇猛に突き進むイサカと瞬時の弾道演算で回避していくUziと…

 

「どうしました、それでは私に一発も浴びせられませんわよ?」

 

ピンポイントでフォースシールドを展開しては消費を抑えつつまっすぐに突っ込んでくるG36Cだ。

Uziもだがひたすら人間や人間に近い物を殺す事に特化した結果あの弾倉に入っているのは…

ホローポイント弾だ。軍事用ではまず使われることのない弾頭だよ。

それも装甲をじゃっかんでも抉れるようにって事で採用しているのはセミジャケッテッドホローポイント。

殺意の塊が飛んでいく。人の波はバッタバッタと倒れていくが…

 

「ッ!ダミー通信途絶!」

「同じく…」

「ふぅん…本当にそんなのを持ってたのねぇ」

 

途中で視覚情報が途絶して何事かと思えばメインフレームが叫ぶ。

少し顔を覗かせてから双眼鏡で覗くと…その先では倒れ込んだダミーと数人生き残った人間が取り囲んでいる。

視覚情報を共有しつつ見ていると手に何か持っている…いや、一人だけ何か背負っているな。

流石に音声は拾えないが口の動きから推測は出来るな…

 

流石は電脳妨害装置、抜群だな。

所でこの忌々しい人形はどうする?

少し味見してから売り飛ばして金にするとしよう。

 

ふーむ…これはこれは…まぁ見過ごすなんてのはしないからっと…

 

『417、WA、G28』

「「「了解」」」

 

双眼鏡から愛銃に持ち替えてスコープを覗く。

残りは少ないからそれぞれがヘッドを狙えばそれで片付く。

変に通信なんてされたら面倒だし…じゃ、サヨウナラ。

 

 

「こちら417、敵の排除を確認」

『よし、そのまま廃墟を探索しろ…ターゲットの反応は近い。奴らより先に回収しろ』

「了解」

 

M61A2救出作戦は始まったばかりだ。

 

 

――――――――――――

 

 

その後何度か敵と遭遇しながらもターゲットの回収には成功した。

落下の衝撃からか躯体にはダメージがありイサカがそのまま抱えることに。

ご自慢のバルカンも損傷が目立っていたが…まぁ修理可能だろう。

 

「任務完了、ホットゾーンを離脱するわ」

 

電脳妨害装置については数機回収したためI.O.Pへと送りつけることに。

これで対策装置が作れれば良いね。




という訳で要望されたので書きました。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=213660&uid=255188
こんな要望があったんだもん。
という訳で今回はこんなコラボですよ。


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Day121 D08地区のDって何の事だと思う?

深夜テンションで出たワードなんだけどね


今日は定例のデータ計測を行っている。ソフト的な所とハード的な所をきめ細かく測っていく。

全員集められて製造時点でのデータやこの基地に来てからのデータとの照合がされていく。

工廠に全員行ってからテクニカルスタッフの下で一気に取られていく。

微動だに出来ないのはちょっと辛いがまぁそれは良いんだ…

 

「……こんなのありえますか?」

「いや……これは我々の意図した成長限界を越えているぞ……」

「整備班が日常的にしているセクハラが原因か……?」

「それこそありえません……それが原因であるならあの変態指揮官の所だって……」

 

データを取っている最中から不穏な言葉がバリバリ出ているんだよ。

しきりに目がこっちに飛んできてるけど視線の先はまぁ私達のおっぱいに行っている。

常々私の胸には色んな所から視線が飛んでくるけどね…行った先々で絶対見られるもん。

性別年齢問わず視線ホイホイと化す私のおっぱいだよ…で、今もテクニカルスタッフの視線をホイホイしてるわけですが…

 

「現時点で判明している変化ですが…メンタルデータの大幅なスペック向上が認められます」

「特に9人…えぇ、指揮官と重婚した組の向上具合が頭一つ飛び抜けています」

「まだ試験段階だがこれはデータとしてかなり…」

「いえ、これはここで破棄しましょう…これを本社のマジキチに知れたらどうなるか…」

「そうだな…表記上ではメンタル面の向上は予想程度と記しておこう…」

 

さて、データ採取が終わり私達の拘束は解かれたわけですが…さっきからテクニカルスタッフがぶつくさ言い合いをしていて不穏なんだよぉ…

ハード面のデータを比較し始めたようだけど次は…これまた頭を抱えたー!?

あの能面のように無表情で研究データを扱う人間味が薄すぎて人形説が出たテクニカルスタッフが頭を抱えたー!?

今度は何が出てきたんだよ…G36姉妹が揃って駆け寄ってるけど…

 

「君たちはどうして…以前のサイズ矯正で申請したばかりだと言うのに…」

「417とヴィオラ君に関しては私達はもう知らん!こんなイレギュラーは想定してない」

「そもそも引き摺られるように他の人形にも影響が出ていないかコレは…」

「えぇ…私達そんなに厄ネタ…?」

 

無言で突き出される私達のデータ比較…うわーぉ…私とヴィオラは在籍日数が少ない割に伸び率がヤバイ。

特に前回のサイズ矯正からの伸びが異様としか…うーん…やっぱりおっぱいがキツかったのは錯覚じゃなかったか。

FALを筆頭にした他結婚組もそろって驚異的な伸び率を叩き出していて絶句。

45姉?まぁアレは別格だよ。ただまぁ標準的な人形の胸から逸脱したもんだ…

並べて立たせるともう差が歴然と言うか…ひと目で分かるレベルでデカイ。

他の人形もまぁ当初ガバガバやんって言った+4cmの域を逸脱している。

いや、本当にどうなってるの?成長限界って言うのが設定されてたんじゃないの?

 

「あれはMREを日に三食計算で…もしや…」

 

想定してるカロリー摂取量がガバくなぁい?まぁ普通の基地ならそれで良いんだろうけど。

あとは普通に間食とかあんまりしないみたいな完全なあれでしょ…

メーカーが想定しているのはThe人形の運用をする基地を想定してる始末だよ。

つまり食っちゃ寝しての上限が+4cmってことでしょ?ガバガバじゃん。

 

 

――――――――――――

 

 

「で、速攻で送られてきたのがコイツだ…」

「何これ」

「45が服用した育乳のヤツ」

「服用先は?」

「ステン、スオミ、SAA、Mk23、UMP9、M14、G11、スコーピオン」

「バカなんじゃねぇの?」

 

いや、本当にバカなんじゃねぇの?AAAのぺったんこだった45姉がGのバインバインになるヤツをソンナに送りつける?

上がったメンツはぺったんから並程度だけど…いや、どいつもコイツも+4されてるからカップ数が合わねぇ…

ステンとかMk23とか割と洒落にならないデカさになりかねないんだけど?

それこそ…お姉ちゃんレベルのでっぱいにならない?いや、本当に。

でもお姉ちゃんも馬鹿みたいにデカイメロンになってるからなぁ…

この基地色々なんかなぁ…おかしいと思うよ。うん…じゃ、服用するの?

 

「で、今回の送りつけてきたヤツだが」

「誰なの?」

「ペルシカでーす」

「あのクソッタレマッド…どれだけ弄るつもりだ…」

 

ヴィオラがえらいギリギリ歯ぎしりしていてその名前を聞いた瞬間すごい顔…

まるで親の仇とでも言わんばかりに睨んでいてから…うーん…

 

「まぁうん、そういう訳で断れん」

「飲んで害は無いんだよね?」

「45、その辺どうだ?」

「無問題よ、強いて言えば肩が凝るくらいよ?」

「はいはい…という訳で問題は無いってことが前例があるので…飲んでもらう」

 

上からの圧力もあって飲めってか…うーん、このブラックというかなんというか…

 

「報酬がかなり出たからそれで…な?」

 

まぁうん、なら良いか…くそぅ、私達の財政難も分かった上でのコレか…

害がないならまぁ問題はなさそうだし…飲んでもらうしかないな。

そもそもだが胸に執着はなさそうだし、まぁいいやーで飲んでくれるでしょ。

 

「ちなみに45のデータもかなり高額で買い取ってくれた」

「反応は~?」

「想定以上で大満足ってよ」

 

 

――――――――――――

 

 

「で、コレを飲んでくれってことですかー」

「えぇ…私まで飲むんですか?」

「45姉とおそろい!」

 

で、呼び出されたのは並~ぺったん組の人形達でそれぞれカプセルを手にとって興味深く見ている。

9姉とかM14はそこそこあるしMk23はもともと手から溢れかねないデカさなのにねー

そのうちお姉ちゃんとかにも飲ませろとかって要請来たりしないよね?

馬鹿みたいにでかくなって一時期の私みたくなるぞ?

 

「まぁ上からの圧力はあるが自由意志なんで…」

「いや、まぁ飲みますよ。指揮官には良くしてもらってますからね」

「ねー…私のボンバーとかも笑って流してくれてますし」

「メタルについても話を合わせてくれますからね」

 

各々の反応は中々いい感じだった。そんなに拒否感は無く…

ぽいぽいとそれぞれ飲み込んでいく。飲んだ後の感想も特に問題はなさそう。

まぁダーリンの頼み込みもあるんだろうけどね。スオミはちょっと期待しておっぱいをさすってる。

スオミは普通にお尻が素晴らしいと私は思うんだけどね。

程々にあるおっぱいもかなり可愛らしかったんだけど…これが45姉みたくバインバインに…

この可愛らしいスオミが更にかぁ…これでウチの整備班は暫く戦えるな。

 

「あ、そうです指揮官、今度私とお散歩しません?いいお散歩コースがあるんですよ♪」

「それなら一緒にカラオケしましょうよ」

 

おっと?これは何かうーん…要注意というか重婚式後に滑り込む狙いか?

これ幸いにとダーリンに取り込もうとしている…?まぁ良いけどね。

ダーリンの一番は私みたいだし、それは揺るがない事実だから良いもん。

 

「それよりもう寝てて良い…?」

「お前は後で警備があるだろ」

「ぇー…それこそ417に変わってもらってもー…」

「ダメだ、帰ってきたらゆっくり寝ていいから、な?」

「はーい…」

「帰ってきたらラムレーズンアイスを作っておいてあげるから、行っておいで?」

「やる」

 

G11はゴネたらラムレーズンアイスで釣ることだ。私はもう学んでいる。

大体お姉ちゃん経由で知ったんだけどね!ラムレーズンアイスが好物って言うのもそこで知った。

普通に甘いのなんでも食ってたしねぇ…運動しないと太るぞ。

食っちゃ寝してるから一番太ってそうなんだけどね…これで普通にぺったんだったからなぁ。

 

 

――――――――――――

 

 

服用後暫くは食欲がすごいことになる…と45姉は話していた。

そして今どうなっているかって?そんな食欲ブーストがかかった人形が8人居るわけです。

じゃあ食堂はどうなる?そりゃもうすごい事になるよ。

 

「おかわりをください」

「おかわりー♪」

「……おかわり、あとラムレーズンアイスも」

「コーラが今日もうまーい♪」

 

すごい勢いで食ってからおかわりを要求してくる。大急ぎで私やスプリングフィールドがキッチンで動く。

Mk23は女子力の維持に自分で作ってから食ってるみたい。健気…

あと普通に大食いしてる所をダーリンに見られたくないみたいね。

食べないとぐぅぐぅお腹がなっちゃって乙女としてはイヤだろうし…

数日の我慢だね。でもMk23もそこそこお料理出来るんだね。全然その素振り見せなかったのに。

 

「ひぃー!あと何杯作ればいいのー!」

「満足するまでですね、泣き言を言う前に腕を動かしましょう」

「うへぇー!!」

 

私はひたすらに悲鳴をあげながらフライパンを動かしている。

スプリングフィールドも涼しい顔してるけど額に汗が浮かんでいる。

カフェに出す予定だったマフィンすら回しているけどこれで需要が追いついていない!

どれだけ食うんだよ!くそっ!あの報酬はこの食費に消えていくじゃないか!!

 

「馬鹿野郎!私は勝つぞお前!!」

「その意気です」

 

あーもう!めんどくせぇ!!量が作れてぱっぱと作れるチャーハン作る!

あいつ等が求めているのはエネルギーと脂質と糖分だ!じゃあ今はエネルギーと脂質の塊を食わせりゃ満足するんでしょ!!

やってやらぁぁぁ!!お料理の制服、メイド服にてガシャガシャと中華鍋を振り回す私だった。

 

「大盛りでおねがいします」

「同じく、大盛りでねー♪」

「美味しいし大盛りでよろしくー…」

「嘘でしょぉぉおおおお!!!」

 

私の運動量がヤバイ、今日は私もバカ食いしなくちゃいけないかも…

はっ…私のおっぱいの肉の着くプロセスの一つかもしれない…!

これだから私のおっぱいが太っていくんじゃないかどちくしょうめぇぇぇえええ!!

 

「明日は特性アイスも大量に作らないといけませんね…」

「あーそうだね…あははは…」

 

私の平穏を引き換えに基地の財政が潤うんだから安いもんだわ…あはははは…

 

「ファーック!!」

「汚い言葉を使いながらお料理するのはやめましょう?」

「やってられっかぁぁぁぁああああ!!」

 

ガチャガチャ言う中華鍋だけが私のお友達になりそうだよ!

ジョークだけど!!




D08のDはDynamitebodyのDだと思うんだよ。
つまりこういう事だよ。

もう僕は考えることを止めるぞジョジョォォォォォ!!
あ、コレが平成最後っす。おっぱい。


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Day122 人形追加の儀

前言撤回するわ、負担軽減の為にな…


「今朝方ヘリアンの合コンクソ雑魚からメッセージが届いて新しく一部隊保有することを認めると通達があった」

「へぇ、じゃあ早速新しい人形を発注するの?」

「しかも今回は特急便を使用することを許可されたぜ」

「待って兵舎どうするのさ」

「暫くは野郎用の兵舎の中で」

「いや、それはイカン」

 

即日お届けで野郎の兵舎に叩き込むのは流石に暴挙と言うか…苦情がでるよ?

私だったらキレ散らかしているとおもう。どんな子が来るかはさておいてね…

 

「あとダーリン…新しい子が来た時の挨拶だけど…セクハラしたらお仕置きだからね?」

「…ちなみにどんな?」

「抜かずパイズリ連発刑」

「ヒエッ」

「気絶するまで搾り取ってやるから覚悟してよね?」

 

勿論私だけがやるわけじゃないからその辺も踏まえた上での罰則だからね?

私達ってお嫁さんがいっぱい居るのにそれでも手を出そうっていうんなら考えますわよ。

という訳でダーリンは早速タブレット端末で発注をかけている。

そのお隣にちょっと失礼して…別の端末をちょっと操作する…メーラーを起動してっと…

 

「いつもの建設業者に発注をかけるよ」

「助かる…この際だし客人用に追加で10…いや、もう二階建てにしちまおうか」

 

収容人数が倍増するね…もともとユニット式で建築していたし増設も簡単か。

現在の収容人数が20だからその倍の40名収容施設となるか…他も大分大型だし宿舎としては良いか。

はぐれ人形の収容も出来るか…まぁこの地域まで逃げてくるって人形が少ないけどね。

大体は最前線のS地区が多い。他に流れてくる場合って言ったらあまりに酷い扱いを受けたり…

それこそ最近横行している人形の不正な横流し業者から難を逃れたり…か。

一部の指揮官がウチのダーリンみたく人形を人間と同じ様に扱ってたりする甘ちゃんなんだけど…

他は大体は人形は人形、最優先で環境を改善する必要なんて無いし風雨を凌げる場を与えりゃそれでOKみたいなもんだろう。

それこそガレージに照明器具と布を置いてそれでおしまいな宿舎な可能性だってありえる。

それでも人形は文句を言うことはない。そりゃそうだ、その環境以外を知らない。

その扱いに不平を漏らすことは無い。何処まで行っても人形は道具でしか無いんだ。

まぁこんな事をダーリンの前で言ったらとんでもなく怒られるんだけどね。

 

「で、ダーリン…予算は?」

「ん?いや、向こうの提示額でやってやる」

「…また任務漬けだね…そういえばダーリン、ユノちゃん所に行ってきたら?ほら、あのコーヒーも渡さなくちゃだし」

「お、そうだな…いや、417が一人でぱーっと言ってから帰ってきてくれ黒鷲ならすぐだろ」

「はいはーい」

 

という訳で私はバックパック背負ってから代理人に託された純天然のコーヒーをお届けしないとね。

 

 

――――――――――――

 

 

建設業者は最近暇を持て余していたみたいで今日の昼間から早速増設に取り掛かるらしい。

この分には明日の朝には普通に居住可能な状態になるかな?

まぁ最悪は5人分のスペースが当日確保できてればOKだしね。

で、私は普通にかっ飛ばすためにおしゃれはちょっと諦める。

ジーンズに縦リブセーターを合わせてるけど…その上に更にダーリンのジャケットを羽織る。

前は頑張ればきっちり上まで締めれたけど…もう今は頑張ってもおっぱいが食い込む。

こんな所でもおっぱいの余計な成長を実感することになってるよ…とほほ…

まぁだから羽織るだけになるんだよね。で黒鷲をガレージから引っ張り出す。

トライクは一応ながらリバースギアが搭載されている。これも例に漏れず搭載されている。

搭載されていなかったら?馬鹿みたいに重いこの車体を押し引きしなくちゃいけない…

ダーリンのVMAXってバイクもこれが重たいけど…まだ頑張れば出来る。

だがトライクは少なく見積もっても400kgは越えてくる。

車体前方にはさらに物理ブレードが装備されてるから迂闊に触ったらすぱっと行くし…

 

「よし、じゃ…行きますか」

 

ジェットヘルメットを被ってから気を引き締めてエンジンを始動させる。

私のID認証がなければ動かない様になってるしほんとハイテク過ぎて笑けてくる…

悔やむとしたら悪路走破性はこのままだとイマイチってところか。

あんまり酷い凹凸路に入ると長く低く這っているこの車体では腹を打ってしまう。

オンロードでは無類の速さと安定性をもたらしてくれるんだけどね。

装備もなしに300キロ越えの世界に生身で放り出されたら目ん玉潰れかねないけどね。

黒鷲に搭乗する際は絶対にヘルメットかゴーグルが必要だね。

特徴的なハンドルを握ってからアクセルを開けていく。ゆっくりと低く唸るエンジン音を轟かせて基地を離れる。

 

『そういやユノちゃんに良くない事が起こったって聞いた…ついでに確認してくれないか?副官も言葉を濁しててよ』

 

あの副官が言葉を濁さなくちゃいかないような事が起こってる…?

いや、ユノちゃんの身に何かがあったらそもそもあの基地が相当な大騒ぎになってるはず。

それこそ社内報の一面を飾るような大騒動が勃発してもおかしくないんだ。

 

「でも…私もなんだか胸騒ぎがするな…」

 

各地区を繋ぐハイウェイに乗るとこの黒鷲が出せる最高速度まで回していく。

アクセルを思い切り開けて見ると――――――意識がズレる。

自分の体と意識がズレて置いていかれていくような錯覚を覚えるような…暴力的な加速が私を襲う。

しがみついていなければ私が振り落とされる。これは…化物だ。

人間が到底制御する事は叶わない魔性のマシンだ。私だって気を抜けば事故る…!

…実際にシートに落ち着けていたお尻は最後までズレていてストッパーが無かったらリアフェンダーまで行ってたな。

 

 

――――――――――――

 

 

途中のパーキングエリアに黒鷲を入れてから休憩に入る…いや、本当にこれはヤバイ…

スピード狂の気がある私でもコレは怖い…多分だけどまだまだ限界スペックを叩き出してはいない。

きっとウチの兄もこのマシンにはチビると思うしダーリンは途中でアクセルを戻すな。

すぐに押え込むのを諦めて自分の制御で動かせる領域で動かすに違いない。

とにかく…飛ばすだけ飛ばしてここまで来たけどどっと疲れた気がする…

 

「なんだあの…トライクか?」

「BRT/Rか?再現度クッソ高ぇな…」

「いや、ちょいちょい違うぞ…あんなブレードついてたか?」

 

ダーリンのVMAXもかなり注目を集めるマシンだけど私の物となった黒鷲は…かなり注目を集めていた。

そこら辺のレプリカモデルって言うと造形にリソースを割きすぎて性能がかなり残念だったりする。

そりゃそうだ、現在でも小型で超高出力なモーターなんて夢みたいなものは無いし内燃機関だってそれ相応に巨大化する。

どれだけ時代が進歩してもその大前提というのは変わらない物だ。

内燃機関で捻り出すエネルギーって言うものはいわゆる物理法則だし。

それをどんなに切り詰めて効率化していっても出せるパワーっていうのは限界がある。

ピーキーに切り詰めていったら少しの操作ミスで即ブローなんて言うかなりシビアなマシンになってしまう。

アーキテクトがどんな機関を搭載させてるのかは不明だけどかなり大型だ。

捻り出ているパワーから察するにこれまでの人類が発明してきた技術が集められているんだろう。

恐らくだけどね…このバイクがそのまま人類の技術の縮図というか…

 

「改めて仮説だけどとんでもないのを贈られたんじゃなかろうか…」

 

自販機で売っていたクソ不味いコーヒーでスッキリシャッキリ目を醒ましながら止めている相棒を見る。

エキゾーストノートから察するにV4だと思われる。冷却効率とエンジンの小型、ハイパワー化の概念から恐らく…だけど。

排気量は不明、カタログスペックにはそのへんの情報は一切なかった。

操作説明とかブレードの切断可能な物体等しか乗ってなかったからなぁ。

というか車載兵装が殺意の塊というか…普通に人間とか人形にぶっ放したらミンチになるよねって口径使ってるんだもん。

走行中にぶっ放したらどうなることやら…反動で減速しかねないと思うんだけど。

 

「あれ、キミのバイク?」

「んぇ?あぁ、あのリバーストライクですか?」

「そうそう、あれすごいね…キミもかなり…うん、スゴイけど」

「あははは…」

 

ジロジロと停まっている黒鷲は見られていたけど乗っていた私にも何人かが話しかけてきた。

あんな厳ついバイクに乗ってるのがこんなちんまい上に女の子って言うのがスゴイんだろうな。

で、顔から下に視線が必ず一回は行くからおっぱいの方も見られてるんだよねー…

お誘いか?と思う奴には牽制でそれとなーく左薬指のリングを見せてから追っ払う。

流石に既婚者ともなると手を出す様な奴は中々居ないみたいだ。

まぁいつ手を出してくる猿が出てくるとは限らんしリフレッシュできたらさっさとS09に行ってトンボ返りしなくちゃね。

 

 

――――――――――――

 

 

S09基地にはそうかからずに着いた。ただまぁなんというか慌ただしいというか…

かなりピリピリしている感じがするな。マジで何か一悶着あった後なんだろうか。

守衛の人形にそれとなく話を聞いてみるけど…うーん、まぁあんまりって感じか。

 

「417さんなら話しても良いですかね…指揮官は今負傷して絶対安静ですので…」

「ブッ…!?な、なして!?」

「詳しくは話せません…」

 

幸せなユノちゃんを襲ったバカが居るっていうのか…?ゆ、許せねぇ…

ならこうもピリピリしているのは納得だしあんまり今は様もなく人を入れたくないのも納得だ。

 

「犯人は?」

「もう処理済みです」

「そっか…あ、そうだ…これ、ユノちゃんに渡してください」

「はい…?コーヒーですか?」

「ついでにこのメモも…きっとユノちゃんなら分かるんじゃないかなって思いますから」

 

ただ一言、喫茶店の代理人からユノちゃんへとしか書かれてないけどね。

あの代理人はそれはそれは楽しそうにユノちゃんの話しを聞いていたからなぁ。

結婚した事も知ってたみたいだし…案外ユノちゃんも何処かで行ってるのかな?

私達もあの一回の偶然以降はいけちゃいないしね…

都市伝説はやっぱり都市伝説って奴だよ、気まぐれでふらっとしか行けやしない。

 

「じゃ、私はこれからトンボ返りします。何かあったらD08の417がかっ飛ばして来ますから!」

 

さてと、私はこれから帰ってから…っと…んーどうにかして情報網も広げて行きたいなぁ…

こういう情報を拾っていけるルートを構築するのも必要かな…

帰ったらダーリンに提言してみても良いかもね…うーんでもどこから引っ張ってくる?

情報戦用の人形を発注する?いや…そんな人形が居るのか?

電子戦は45姉みたいな人形が居るけど…うーん…情報戦の人形…

I.O.Pのカタログをひっくり返してもやっぱり出てこないな。

諜報戦に転用できそうな人形を採用してそいつらにさせていくのが一番なのかな?

 

 

 

「という訳で追加注文しようねー」

「いや、ユノちゃん大丈夫なのかよ…」

「あの基地が大騒ぎになってないって事はユノちゃんの命に別状はないってことでしょ」

「だと良いがねぇ…そして情報戦かぁ、確かに必要だわな…自前で用意しておきてぇし…よし発注しよう」

 

明日は新入りが更に増えるのか…さーて忙しくなるね…

 

「待てよ…基地防衛戦特化も欲しいよな…」

「実働部隊更に増やすの…?」

「基地から出なけりゃカウントされねぇからセーフなんだよ待機戦力ってやつ!」

 

あーあ、さらに5体…どうなることやら。




新たに15体追加するやで。
なおD08に配属されるって事は…そういうことやぞ?
暫く417と春田さんが必死こいてお料理を振る舞うことになるな!


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Day123 りとる冬戦争

スオミ「野蛮の臭い」


大急ぎの増築工事は比較的早くに完了したとも言える。

無事に個室群は2階建てになり室内にはそれ用に階段と渡り廊下も設営された。

元々背を高く設計していたのが功を奏した形になるかな。

もう一部隊増やせる余裕はあるけど…まぁそれは別にしておこう。

そして今朝方I.O.Pのトラックの車列が到着した。

新しい人形なんだろうが…D08に配置するに当たりアレの投与もされているらしい。

テストとして私やヴィオラにも投与する計画があるらしいけどやめろよ?

私がこれ以上でかくなったら戦闘困難になるからな?

まぁ向こうもそこまでバカじゃないみたいで重量バランスが完全に崩れるからボツってくれたらしい。

というかとりあえず尖った物はココでテストしようみたいな流れになってないか?

 

「で、今回納入した人形は?」

「現在初期セットアップ中だな…内訳はこれだな」

 

HG:Five-seveN、PPK、マカロフ、P7

RF:M1ガーランド、漢陽88式、カルカノM1891、DSR-50

AR:OTs-14グローザ

MG:M1918、M1919、AEK-999、ネゲヴ、PKP、MG4

 

ふむ、今までこの基地に居なかったMG人形が満を持して登場か。

で、これで一部の人形は最初どか食いするんでしょ?勘弁してよ…ダーリンのご飯を作る暇が無くなっちゃう…

続きになってる書類で各人形のカタログスペックと使用銃器の得意レンジ等が記されている。

ダーリンも同じデータを見ていて早速この15体の振り分けを考えているんだろう。

MGの大半は恐らくこの基地防衛に回されるんだろうけどね。

バイポッドを展開してベルトリンク式の給弾にしてしまえば銃身が焼け付くまで撃ち続ける事も可能。

その反面動き回ることにはとことん不向きで定点防衛がぴったりだろうね。

MGカテゴリに入ってるけどM1918はほぼARの立ち回りだろうな。

使用している口径がデカイし支援射撃としては優秀かも…バトルライフル的な立ち位置だな。

MG躯体だし腕力で無理クソ反動を押さえ込んで射撃しそうだけどね。

グローザは消音銃ってのもあるし本人のパーソナルから考えても諜報部隊行きだろうね。

同じく諜報部隊行きなんだろうなってメンツはPPKだね。

かなりコンパクトなサイズの銃は服のどこかに仕込んでも違和感を与えない。

一見して丸腰に見せて実は武装していましたって言うのも出来るんだろうね。

 

「よし、暫定だが部隊振りも纏まった。多分これでOKだろう」

「どれどれ…」

 

警備部隊:Five-seveN、M1ガーランド、漢陽88式、M1918、カルカノM1891

諜報部隊:OTs-14グローザ、PPK、DSR-50、マカロフ、P7

基地防衛部隊:M1919、AEK-999、ネゲヴ、PKP、MG4

 

うん、まぁ概ね予想通りって感じだね。M1918はフットワークも軽い方だから警備でも存分に火力を振るうだろうね。

しかしここでロシア銃の人形が来ちゃったからなぁ…スオミが荒れるだろうなぁ。

グローザとマカロフとAEKは近づけない方が良いんだろうな。

 

「ところで417、当たってんぞ」

「当ててるの」

 

相変わらず私とダーリンは朝からスキンシップに余念がないのでした。

 

 

――――――――――――

 

 

「野蛮な臭いがします、ここですか?」

 

早速スオミが高感度ロシア嗅覚で嗅ぎ付けてきた。いや、ホント来なくていいから…

ズラリ並んだ15名の人形の中にまぁロシア銃を見つけるとこの世の終わりかと言うような表情に…

 

「何でっ!この平和な基地に!!野蛮でクソF***inB***な銃の人形が居るんですか!!!」

「おーぅ…」

「やってられません!!クーリングオフ!!クーリングオフを要請します!!!」

 

思いっきり罵倒語が飛び出しているし普段絶対に見ない剣幕で捲し立ててるし…

コレにはダーリンもドン引きというか浮かれていた頭から現実に引き戻されたな。

スオミのブチギレは止まること無くそのまま人形に食って掛かっている。

 

「指揮官コレって新人イビリ?」

「違うんじゃないかしら、落ち着いてもらわないとお茶の1杯もできないわ」

「あ、ごめんミュージック音量いじってて聞いてなかった」

「いやーうん…スオミはパーソナルからして極度のロシア嫌いなんだ…」

「「「なるほど」」」

「指揮官!聞いているんですか!!!クーリングオフですよ!!!」

「いや、落ち着いて?」

 

めちゃくちゃヒートアップしていくスオミに対してキレ散らかされているロシアっ子達…

マカロフ、グローザ、バルソクの3名は薄ら笑いで聞き流している。

ロシア嫌いと言われても特に動じた様子もなくキレッキレのスオミを見ている。

 

「ロシアの良いところって言ってもそんなに無いものねー」

「自慢と言ったら国土と軍事力とローテクだ。その他の産業は鳴かず飛ばずね」

「シベリア鉄道の旅が良いくらいじゃん?もう今ないけど」

「「「まぁフィンランドも似たり寄ったりじゃない?」」」

「ぬぁんですってぇぇえええええ!!!!!!野郎ぶっ殺してやる!!!!」

「わー!止めて、執務室で!ダーリンの部屋で暴れちゃダメー!!」

 

自国DisからのフィンランドDisでスオミが完全にキレた。

殴りかかろうとするスオミを全力で押さえ込みながら引きずり出す。

だーくそ!SMGは脚力がアホみたいに強いから…!

 

「ロシア死すべし!!クソッタレがぁぁぁぁあああああ!!!」

「ちょっと、落ち着けぇっ!!」

「ぐぽっ!?」

 

泥沼化不可避だったので一撃で黙らせることにした。使用したのは何だって?

ジャーマンスープレックス、頑丈さが売りのSMGもこれには一撃でしょ。

 

「まだまだぁ!!!」

「お願いだから眠ってて!!」

 

朝っぱらからプロレスに興じることになった。もう大変…

アームロックじゃダメだ!寝技でガッチリ押さえ込まないと!

 

「いきなりセクハラってどんな考えなら出来るのかしら」

「これにはちょっと引きますね…まぁ肝が据わった指揮官と受け止めておきましょう」

「愛ちゃんもこのお手つきは考えちゃいますね」

「驚いちゃってサングラス落っことしちゃったんですよねーあーぁ…」

「流石にいきなり胸を揉まれるとは思いませんでした…豪胆な方なんですね」

「うふふ…豪胆なのも良いけれど中々テクニシャンだったわ…ちょっと好きかもしれないわ…」

「あたくし的にはあり得ませんわ…DSR、貴女どんな趣味をなさってるのですの?」

「とりあえずビンタしたけど問題なしでしょ」

「ボクも追加で殴っておいたけど問題なしだと思うよ!」

「後でたっぷりと教導しておかないといけないわね」

「どうだって良い、戦闘で足を引っ張りさえしなければな」

「ハァ…変な基地に配属されちゃいました…」

 

ぞろぞろ出てくる今日配属になった人形達…それぞれ胸に手を当てて出てるって事は…

 

「ダァーリィーン!?」

「ち、違うんだ417、これは俺にとっての挨拶であって」

「問答無用だよ、今夜は地獄と思ってよね!!」

「ま、まぁ落ち着いて…ほら、スキンシップ…な?」

「それで私が誤魔化されると…おもわ…なぃ…でぇ…」

 

あ、ダメだコレ、私キスだけで丸め込まれちゃう…

 

「露助の野蛮人形どもぉー覚悟ぉ!!!」

 

スオミがこれ幸いにと飛び出していった。

 

 

――――――――――――

 

 

「今回だけだからね…」

「へへ、やっぱ417は寛容で懐深い女だよな」

「ぶぅ…」

 

結局私は司令室でダーリンにキスされて机に押し倒されてめちゃくちゃチュッチュして丸め込まれちゃいました。

経験積んできて私のツボというか弱点とか知ってきてから…完全に攻略されやすくなってる…

怒らなくちゃって思うのにその気を削がれちゃってから今に至る。

概ね人形達の反応を聞いてた感じやっぱりあの初手セクハラは非難轟々…かと思ったら…

豪胆な指揮官で良いと思うなんて言う好意的な反応が帰ってきてたり…

賛否両論っていう珍しい結果になって私は困惑。で…だけど…

 

「417ちゃん、はやく!手伝ってください!!」

「あーはいはい!!」

 

食堂の中は地獄となっていた。ただでさえ大飯食らいと化した人形が多いというのに…

ここに来てさらに追加された上に大飯食らいも数人居るっていうんだから…!

あのスプリングフィールドが思い切り焦った顔をしてるんだよ。

ピンチヒッターって事で料理の心得があるお姉ちゃんとか45姉とかも駆り出されている。

かなりの人数でお料理してるんだけど追いついちゃいない感じだぁ!

88式がウェイトレスをかって出てくれてるから配膳に関しちゃ良いんだけど!!

 

「こんなに美味しい配給を貰えるなんてラッキー、おかわり!」

「食事は全ての基本だ。シンプルかつ量もあって…良いわね」

「お、これうめぇな…アタシもおかわりー」

「負けてられますか!私もおかわりです!!」

「お前ら張り合うなー!!」

 

急遽食堂のメニューが繊細で毎日楽しめる物から量重視になったんだけど!

職員からは特に不満は上がっちゃいないけど…私達が死ぬぅ!!

 

「ひーん…これ後何日続くのー!」

「45さん、どれくらいです!」

「そうね…ざっと5日は食欲旺盛だったわ」

「ざっけんなー!!!」

「無駄口叩く暇があったら手を動かしなさい」

 

今日もキッチンの中は地獄と化す。皆揃って勢い良く料理してるから視線が集まってた気がする。

 

 

――――――――――――

 

 

「あー…でも料理できる組が増えたみたいだから負担は減っていくのかな?」

「どうかしらね…グローザやカルカノは自分で作ると言っていたみたいだけど」

「Mk23ちゃんも自分で作って食べているらしいですね」

「そうね~所でアイスって結構高く付くんじゃない?あれだけ大量のミルクどこで仕入れてるの?」

「「「秘密」」」

「ま、良いわ普通に美味しいから問題ないわ」

 

お料理地獄から開放されて私達お料理してた組がゆっくりとお昼を食べる。

今突いているのは特製アイスクリームである。甘くて美味しいバニラアイス。

ミルクに関しては当然のように秘密である。言ったら引かれると思うし。

 

「早速だけど、それぞれ動き出したわね」

「VR訓練とキルハウスでの訓練よね~」

「シューティングレンジはRF隊が使ってるかな?」

「気になるのなら後で見てみてはいかがでしょう」

 

まぁそれもそうか…私達の蓄積している作戦データの読み込みも済ませてるみたいだし…

あとはそれを身体に馴染ませて行ってまたカプセルでどんちゃん騒ぎが起こるんだろうなぁ。

 

「まぁでも皆良い感じで良かったよ」

「そうですね、そう言えば旦那様の悪癖は?」

「私からはノーコメント」

「大丈夫よ、真相は全て私が握っているから…離れで緊急会議よ」

 

盗聴データから嫁全員にお手つきセクハラをしたのはバレたんだけど…

まぁモノの見事に皆丸め込まれちゃってダーリンはなぁなぁで許されちゃった。

夜にいっぱい愛してもらう予定だしね、皆その算段でしょ。

 

 

「SMGにヒットレート負けて恥ずかしくないんですか?」

「いや、私達製造されたばかりよ?」

「事ある毎に張り合ってくるわね」

「元気があるってことで良いんじゃない?アタシは嫌いじゃないぜ」

 

シューティングレンジではD08冬戦争がまだまだ勃発していた。




あ、未実装の子も出しちゃいます…
そしてスオミの大っ嫌いなロシア銃が満を持して登場。
妻帯者になってもやらかすタカマチ君であった。
被害は416による制裁ビンタくらいか。


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Day124 戦いは数だって?

スオミ「ロシアなんて物の数じゃないんですよ」


「模擬戦です!!祖国フィンランドの誇りに賭けて露助なんかに負けられません!!」

「4対1で勝とうなんてかなり強気ね、おかわり」

「おかげで朝起こされるから良いけれど。おかわり」

「ちょうど良い腹ごなしになるんじゃね?アタシは構わないぞー。おかわりー」

「腕試しには良いな対人戦闘がしたかった所だ。おかわりを貰おう」

 

朝から大量の食料が消えていく最中大食い対決に興じていたスオミがさらに吠えた。

それに対して応じるのはマカロフ、グローザ、バルソクとPKP。

尚それぞれ容赦ないおかわり要求にキッチン内はデスマーチとなる。

作り置きをしていても限りってものがあるからそれをオーバーして要求されるともれなくデスマーチ開始。

ここ数日ダーリンとイチャイチャしながらご飯食べれてないから欲求不満だよぉ!

まぁ騒いでいる内容からしてこれで完膚なきまでに叩き潰せばスオミも少しは落ち着くかな?

ロシア組も負ける気は無さそうだけど最適化の度合いが違うからなぁ…

模擬戦を行うとして使用するのはキルハウス訓練場だろうな。想定されるのは当然ながら室内戦。

そうなるとスオミにアドバンテージが多くつく。なんでかって?

ロシア組で比較的自由に立ち回れるのはマカロフとグローザに限定される。

マカロフの装弾数8発に留まる制圧力もたかが知れている。

グローザも特殊弾を使っている上に装弾数はたったの20しか無い。

ロシアにしては珍しいブルパップ方式を採用しているんだけどその20とARとしては少なめの装弾数が足を引っ張る。

今回はボックスマガジンを使用するだろうバルソクとPKPはどうかって?

馬鹿言うんじゃないよ、LMGみたいなでっかいのを室内戦でそもそも使おうとするんじゃないよ。

やるとするならば長い通路の封鎖ぐらいだけど…どう頑張ってもリロードの隙を狙われる。

Ameliって私の友人が常々愚痴ってたリロード隙がデカくて単独行動なんて無理ってね。

その癖夜戦で引っ張り出されて定点防衛とかさせられるものだからたまったもんじゃないってね。

ちなみにAmeliの主な任務はスラム街の治安維持。あのボディで大丈夫なんだろうか。

Ameli曰くスラム街の人間も悪いやつばかりじゃないらしいけどね。

それはさておいて……模擬戦をするのは勝手だけどそろそろ私達の腕が死ぬぅー!

 

「PKPの食う量が尋常じゃないんですけどー!!」

「本人曰く製造時ですら3人前は余裕だとよ」

「ダーリンなんでそんなのを採用しちゃったの!!」

「いや、俺に言われても……I.O.Pの連中が寄越したんだぞ」

「I.O.P絶対にいつかぶっ殺すぅぅぅぅぅ!!」

 

今日はカウンター席でじっくりとダーリンが私達の動く様を見ていた。

視線は恐らく私のおっぱいなんだろうけどサービスで動かす暇もないよ!

クソッタレがぁ!!PKPの食欲が化け物じみてて下手したらこの子だけで9人前とか平らげられちゃうんだけど!

あのぺったんボディの何処にそれだけのカロリーが行くんだよぉ!!

 

 

――――――――――――

 

 

キルハウス訓練場の観戦ブースには新規着任組が所狭しと肩を並べていた。

今日の警備に出ていったのはデルタ部隊、一番こういうお祭りで顔を出したいだろうUMP姉妹が揃って出掛けている。

あと必ずと言って良いほど騒ぎを起こすスコーピオンも居ないんだよね。

 

「FAL、どっちが勝つか分かる?」

「断然スオミね、この数の差なんて目じゃないわ」

 

Five-seveNが同郷という事もあってかFALに色々聞いている。

その隣では諜報部隊として起用されているPPKとDSR、P7が情報端末で色々調べてるな。

M1919とM1918はそれぞれSAAの差し入れのコーラとピザをつまみながら観戦してるし……

ガーランドはそんな呑気な二人に苦笑いしている。うーん……

 

「スオミの最適化段階が現状70付近ですわね」

「そうね……それに対してグローザ以下私達新入りの最適化段階は10にも満たないわ」

「それからシミュレートした結果がこちらー」

 

と言ってP7が大々的に見せてきたデータはそれぞれの勝利予想パーセンテージだ。

スオミの勝利確率が80%を越えていた。うんまぁしょうがないかな。

 

「あっ、そろそろ始まるようですよ!」

 

カルカノの声と共に皆モニターを食い入るように見る。

 

「露助に死を!我が祖国に栄光を!!」

 

ダミーすら要らん!とスオミはメインフレーム単体での戦いに臨んだ。

殺意マシマシではあるがスオミに装填されているのはもちろんの事ペイント弾である。

敵側の陣営に聞こえるように大声で鬨の声をあげる。

ルールは簡単、フレンドリーファイア有りのチームデスマッチ。

一発でも被弾したらその時点でアウト、弾の制限は2マグまで。

マシンガンの二人は1箱までだ。以上でグローザもマカロフも弾の制限がキツイけど…

さて1マッチがどれだけ長持ちするか見ものである。

 

「マカロフ、背後は任せた」

「了解、まぁぼちぼち行きましょ」

「ロングの封鎖は任せろ」

「同じくー」

 

キルハウスの構造を理解しながら進んでいくグローザとマカロフの二人。

ツーマンセルで動いてお互いの死角をカバーしながら動いていく。

お互いに共通で知っているハンドサインで意思疎通しながら無言で進んでいく。

短く9ミリの発砲音が奥の方から響いていくる。誘き出しの為のものか?とグローザは勘ぐるが……

 

「ぐえー!ヒットー!!」

「なっ……くそっヒットだ!」

 

ロングで封鎖作戦にでていた二人のMGから連続してヒットコールが出る。

一体どういう事だと顔を見合わせるグローザとマカロフだった。

一つ考えられるのは人形の持てるスペックに物を言わせて2つのロングを高速で反復した事だ。

それもバルソクとPKPの反応を許す前に一発づつ叩き込む。

気を引き締めて油断無く進んでいく二人だった。

 

"敵発見"

 

油断なく背後を守るマカロフの肩を叩き前方を指すグローザ。

美しい金糸が入り組んだ通路の先に見えたのだ。挟撃を提案して別れる二人だった……

 

「露助殺すべし」

 

グローザの背後からそんな言葉が聞こえハッとしたグローザが咄嗟に回し蹴りを放った。

しかしソコには何も無く……軸足を掬われたかと思えば視線はぐるり回転して天井を見る。

一体何が起こったのかと驚愕する暇も無くゴーグル越しに見えたのはKP-31の銃口と……

露殺の二文字が冒涜的なメンポとマッポーめいたアトモスフィアを漂わすスオミ=サンのアシュラフェイスだった。

 

「ア、アイエェェェエエエ!!?」

「グローザ=サン!?」

 

挟撃に行ったマカロフ=サンが慌てて戻るとそこにあったのはゴーグルを桃めいたピンクに染められたグローザ=サン

ターゲットのスオミ=サンの姿を探しウオーサオー……真上からサツバツとした空気を感じ見上げる。

 

「アイエエエエエ!?ニンジャ!?」

「サヨナラ!!!」

 

天井の板に張り付いていたスオミ=サンのアンブッシュ!

オオ!ゴウランガ!!憐れマカロフ=サンのゴーグルは桃山と化した!!

 

「まともな勝負になるはずもないわ」

「スオミにとってはもうホームグラウンドですからねー」

「ボク初めてニンジャを見たよ!すごい!!」

「あの奇抜な強襲は良いわね……」

「ハァ……まともな戦いを期待したのに……」

 

詳しくスオミの動きを解説すると真っ先にロングの様子をクイックピークで確認。

それぞれが呑気にバイポッド展開している所に一発づつ叩き込んでいた。

それから一気呵成にセンターの入り組んだ室内を突き進んでいき……

微かな足音を聞き取ってから位置と進路予測、ブラフで痕跡を見せる。

そしてアンブッシュを決めようとしたんだけど左右に分かれたのを聞き取った瞬間にセンターを押し入って……

グローザにハイクを詠ませる余裕を与えて水面蹴り、ヘッドショット。

そして直ぐ様天井に張り付いてマカロフに直上アンブッシュ。

 

「やっぱりロシアなんてロクでなしですね!」

「「「「お前がおかしいだけ」」」」

 

この結果にはスオミはテッカテカの笑顔を浮かべているけど対するロシア組は納得行かない様子。

まぁスオミのホームグラウンドとも言える場所でマウント取られてもね。

 

「もう1勝負だ。模擬戦では勝負にならないわ……だからここはイーブンの土俵でやろうじゃない」

「えぇ良いですよ、次は何ですか?」

 

 

――――――――――――

 

 

そうして場所はキルハウスから変わり食堂。まだ日が高いんだけど…

 

「ぷはぁっ!まだまだぁ!!」

「良い飲みっぷりね……まだまだイケるわよ」

「だめー、私はもうギブ、明日は休みだけど二日酔いで潰したくない」

「うっぷ……水……」

「…………」

 

スオミとグローザのほぼ一騎打ちになっていた。勝負内容?

そんなのお酒の飲み比べになってるね。マカロフもいい勝負していたけどココで脱落。

バルソクは意外に弱くて早々にペースが衰えていたし……PKPはさっきからだんまり。

ここまでで開けられたボトルはひーふーみーよー……おーぅ6と中々の数。

しかも中身はこれまた濃ゆい物ばかりで漂うアルコール臭がすごい……

 

「メイン、もうそろそろ止めましょう……明日に響きますから」

「まだまだぁ……ロシアのロクでなしに負けてたまるものですかぁ……!」

「その負けん気は認めるけど無理は良くないわ」

「まだいけるんでしゅぅ……」

 

スオミって頑固だからなぁ……これはぶっ倒れるまで飲むな……明日に絶対響く奴だよ。

ダミーがメインフレームの異常を察知して止めに来たけど暖簾に腕押しだね……

 

「まぁまぁ……お酒勝負は引き分けにして次は歌で勝負しましょ」

「それもいいでしゅねぇ……うぶ……」

「あーあ……はいはい、トイレ行こうねー……」

 

お酒許容量って言うのはしっかり把握しておこうね。絶対だよ。

ぶっ倒れたらどうなるかって言うのもあるけど絶対に迷惑をかけるからね。

しかしスオミも中々実ってきたなぁ……もう文句なしにゆっさゆっさ揺れてるよ。

グローザはまだまだ余裕そうな顔して飲んでいたけど後でぶっ倒れたらしい。

一番質の悪い奴だね……表情に一切でないし態度とかにも出ない潜伏タイプ。

マカロフが抱えて兵舎に叩き込んでくれたらしい。

スオミもダミーに任せてっと……私は明日の仕込みをしてから離れに行こうか。

かなりの量を仕込んでしまえば朝に忙殺されることも無いだろう……

今日の量から逆算してっと……これ食料足りるだろうか……追加発注が必要かも。




その後のスオミ、ロシア組

「次はどの歌を歌いましょう」
「そうね……スオミのオススメは何だ?」
「そうですね……コレとか」
「それさっきスオミが歌ったじゃない」
「じゃあ全員知ってるし全員で歌うかー?」
「……おい、私はまだ食べて……分かった分かったからマイクを寄越せ」


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Day125 あぁん、だらしねぇな?

いや、どうしてこうなったんだろう


朝、私達嫁連合がつやつやした顔で離れから出てきてから朝日を浴びる頃。

朝からランニングに出る人形が少し見えたり……私も後で行かなくちゃだけどスオミが農業に出てたり。

あー頭痛そう、昨日ガンガンに飲んでたし残念ながら当然だよねー……

私は私で朝のご飯作りで早起きしたばかり、まぁその前にダーリンによるイタズラで起きるんだけど。

で、そんな風に私達が離れから出てくるときって大体の人形が活動を開始している時間帯でもある。

まぁそれぞれラフな格好だったりきっちり着込んでいたりは別だけどね。

私もオフの日でダーリンと一緒にお出かけする予定がない時はラフです。

今日はダーリンは一人でふらーっと出ていくって言ってたからお弁当をもたせてます。

水筒にはミルクをつめつめしてから持たせて……余ったのでアイスクリームとかに加工してーって……

あー時間がもっといっぱい欲しいよ。お菓子作りをする仲間は多いんだけどね!

お料理する仲間はそうでも……いや、名乗り出てないだけで潜伏している可能性があったりするけど。

アクティブに動いているのはスオミと朝ごはんを必死に作ってるMk23と……

あとは兵舎を覗いてみないと分かんないか。ま、とりあえずはスオミと一緒に農作業だね。

 

「おはよ、スオミ」

「……あー……おはようございます」

 

うっわぁヒデェ顔、ゾンビみたいになってるし。これが浴びるほどに酒をかっ喰らった末路か。

スオミも大分お酒に強い方だったはずだけど…コレは酷いな。

鍬を持っているつもりなんだろうけどすっぽ抜けてるし頭をずーっと押さえている。

声を掛けてからこっちを振り向くまでのタイムラグもすごいあったし……

だーちゃん達もこれには心配そうに見上げていたりする。

戦闘時にはあのニンジャじみた動きを見せていた人形とは思えないよ。

 

「ミルク飲む?」

「あー……いただきます」

 

こういうのは水分でさっさと中和しないとね。疑似血液内のアルコール密度を緩和させないと。

 

「所でココ最近ミルク推しますよね、味も変わって……美味しいんですけど」

「いっぱい仕入れてるからね」

 

出処は秘密だけどねー……言えるわけないけど、スオミもダーリンラブな感じだし近い将来こっち側に引きずり込まれるんだろうなぁ。

というかゆくゆくは全員同じ様な体質になりそうで怖いんだよなぁ……

まぁそれはそれで良いんだけどね。利用先は色々増えるし……

 

「新人とはどう?」

「まだまだ話せてませんからなんとも言えませんね、ロシア組は例外ですけど」

「グローザも二日酔いらしいけどねー……どれだけ飲んだか覚えてる?」

「うぐっ」

 

昨日の酒盛りで消費されていった酒の量はダーリンが卒倒するレベルだった。

 

 

――――――――――――

 

 

兵舎の中を覗いてみるとほぼ皆出てきていて談話していた。

SAA、M14、M1918、M1919、ガーランドがそれぞれコーラ片手に喋って交流を深めている。

死んだ顔でうんうんうなっているのはバルソクとグローザ。

マカロフは引き際を弁えていたからかピンピンしている。

歓迎会じゃないけど親睦会みたいなことをしているのはUMP姉妹とスコーピオンだ。

Mk23やUziも巻き込まれているけどまぁ楽しそうだね。

やってるのはこれまたツイスターゲームと……男性陣には見せられないものを……

負けず嫌いを発揮したお姉ちゃん、わーちゃん、ダークホースのネゲヴが熾烈な争いを繰り広げていた。

UziとMk23はおっぱいが仇となって脱落していた。腕力的な所じゃなくて……

まぁアレだよ、私もだけどおっぱいが弱点化してるからね……うん……

ツイスターゲームしてると身体が密着したり変な所で肘とか膝とかが当たるでしょ?

 

「ふざ……WA、アンタ胸から脚を退けなさいよ……!!」

「それを言ったら416アンタだって……!!」

「この勝負は私のモノね、ふふふ」

 

凄い体勢でホールドしているネゲヴが余裕の表情で勝利宣言。

お姉ちゃんとわーちゃんが相互で膝がたわわに実ったおっぱいに食い込んでいる。

つまりどういう事かと言うとそのまま動かれたりすると力が抜けるの。

 

「はい次は~右手を緑」

「はい、余裕ね♪」

「416……!!あんた……もう無理……」

「なんで私まで巻き込むのよぉ……!!」

 

お姉ちゃんとわーちゃんが共倒れしてネゲヴの一人勝ち。体重を左腕に殆ど乗せてたけど全然余裕だった。

PPKとDSR、マカロフの3人が不思議そうにそんなのを見ていた。

 

「なんで指揮官の嫁連中は胸が弱点なのかしら」

「あのセクハラ指揮官の嫁ですわよ、毎晩揉み込まれているに決まっていますわ」

「情熱的であの絶妙な力加減で毎晩……でも人形が開発されるものかしら?」

 

快楽信号に慣れるような事は無いよ。毎回私達はだねぇ……いや、コレを言うのはナシだね。

このDSR普通にセクハラされても全然動じてないどころか受け入れてる……!?

羨ましそうにこっちを見ているんだけど……こいつやべぇな……ダーリンこれ食われるんじゃね?

PPKもこれツンケンというか普通の反応だけどそのうち絆されちゃうんだろうな……

 

「では、第二回戦と参りましょう!次は遅れを取りませんよ」

「愛ちゃんも頑張りますよ~!」

「FALよりは良いところ見せないとねー♪」

「楽しいと言えば楽しいので良いのですけど……」

「次は私が一番狙うよー!見てなさいよ416!」

「G28黙ってなさい」

 

さて、ここに居ないPKPは何やってるんだか……スオミは二日酔い組に混ざって唸りだした。

 

「PKP見てる?」

「え~?そう言えば見てないわね……部屋じゃないかしら」

「さんきゅー45姉」

 

 

――――――――――――

 

 

「ハァーイPKP起きてる?」

「…………眠い」

 

ふかふかのお布団に包まっているもこもこが部屋の中には居た。

お仕事ではかなりプロ意識高いみたいだけど私生活は無気力なのか?

いや、部屋の中の様子を見て確信する……こいつ、G11よりめんどくせぇ奴だ。

脱ぎ散らかされた衣服が物語る圧倒的なダメ女臭……矯正する前のお姉ちゃんや……

ほっといたらチョコレートバーとかだけでご飯をすませる奴や。

 

「ほらー起きなよ、皆もう起きてるんだよ?」

「面倒臭い……私は寝ていたいんだ……」

「休みなんだよ、ほら寝てばかりは良くないよー」

 

布団引っ剥がすと……うわ、これは酷い……まさかのパン1というズボラ突き抜けた格好。

ブラすら着けていないとはこれは驚かされる。女としてそれはどうなんだ?

それでも頑なに寝ようとするのはG11と同じか……だったらこっちの手段ってのも考えるぜ?

 

「この出不精はあぁん?だらしねぇな?」

「ぐぉぉぉぉぉおおおおお!!!!!????」

「あぁん?ジョブ的にはハードワーク?」

「いらん!!ほらねぇシコったらええやん!!!あらぁ?!」

 

私が足つぼに指圧をするとすんごい悲鳴が上がる。

逃れようとしてからPKPが大暴れしてから私のスカートを掴んでくる。

だがそれが無意味と察するとその下の……私のショーツに手を伸ばしてくる。

 

「おまっ……」

「よっこらああああああああああ!!」

「あぁん?卑猥か!?」

「卑猥と聞いて」

「「なんでヴィオラが来た!!」」

 

起こしに来た筈なのになんちゃってレスリングになってからの応酬でヴィオラが反応した。

PKPの部屋の扉を蹴り開いてからやってきた。めっちゃくちゃブルンブルンと揺れてらっしゃる。

 

「面白いことをしているな、私も混ぜてもらわなければな」

「あー!もう無理です!!!」

「出ていけぇ!!」

「イクぞおらぁ!」

 

ガチレズパンツレスリングと化してしまった、私は防御力が無いからなぁ……

 

 

――――――――――――

 

 

「オビワン幾つくらい?31?」

「そうだ、差をつけるぞ……」

 

無事に私が普通にパンツを奪われて敗北してしまった……だって私パンツもブラも防御力無いもん。

PKPはパン1だったけど異様な強さを見せていてヴィオラとの脱がし合いに競り勝っている。

G&Kエンブレムが描かれている衣服は脱がされ……ヴィオラもブラが存在しないのでパンツのみにされている……

両者共に残り一枚のパンツの攻防を繰り広げている。というかコレどうしてこうなった……

ヴィオラはこのパンツレスリングをちゃんと知っているのか空耳を使ってやがる……

PKPも何処かで聞きかじったのか?いや、多分I.O.Pのバカがプリセットしている?

 

「なんだ、あのでっかいモノ……ヴェアアア!!」

「あんたぁ……!」

 

おぉ組み付いた、ヴィオラのデッカイものがこれみよがしに揺れておる。

鉄血ボディとI.O.Pボディのせめぎ合い。これはこれは……

PKPが動いたが……ヴィオラがさらに被せて動いた!これは出るか!?

2000年のネットを風靡したあの光景……!フェアリーリフト!!

 

「どうだ、ギブか?」

「あーもう無理です……」

 

リフトアップしたヴィオラがそのままPKPをベッドの上に放り投げる。

そして当然の権利のようにパンツを剥ぎ取りに行く……そして片手にPKPのパンツを持って……

 

「ふふん、私の勝ちだな」

 

勝ち誇る珍しいヴィオラが見えたんだけど……うん、この絵面が酷い。

私はパンツ剥ぎ取られた……というか紐をするりと解かれて脱落。

そしてPKPは完全な全裸にさせられているし……ヴィオラはパン1。

どうしてこうなったんだろうか……私の起こし方が間違っていたのかな?

 

「とりあえず服位着ようよ」

「「そうだな」」

 

PKPはレスリングで起こす、これが流れになってしまったようだ。

普通に起こしても起きる時は起きるけど……休日は基本的にダメダメみたいだ。

ヴィオラが率先して起こす相手になったみたい。スオミとバルソクが大音量でBGM流せばいいけどね。




ヴィオラが完全なネタになってしまった。
絶対このネタ知ってるだろうし振らせたかった。
そしてPKPは……うん、こういうプロ意識女って私生活ズボラっしょ。


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Day126 にゅうサイズ

たわわに実ればさて何が必要?


G11等に投与された育乳サプリが効力を失う頃合い。まぁもう壮観というものだね。

SAA、スオミ、Mk23、9姉、G11、M14、スコーピオン、ステンのおっぱいがこれはまぁ……

 

「重いですよーまぁでも新鮮ですねー」

「鍬を振るうのも一苦労ですね……でも、これが持つものの重み……」

「ふふ、ダーリンの満足に繋がるわ♪」

「45姉とほぼ横並び?」

「寝づらい……」

「ゲームパッド乗せれるのがいいねー」

「手榴弾ポーチ……なんちゃって」

 

SAAの衣装はまぁタンクトップじみている物だから自由度は高いかな?

でも正直に言うと防御力無いやんってヤツだよ。んでもって……

スオミはもう衣服の胸元が閉まらなくて深い谷間を見せつけている。

Mk23はブラが合わなくなったんだろうなノーブラ+ダーリンのYシャツ着込んでいる。

9姉もまぁかなりのバインバインになったからブラが合ってないんだろうな。

G11はもう面倒くさそうにソファーの上で寝っ転がっている。

スコーピオンは携帯ゲーム機を胸に置いている始末。まぁやるかな?

ステンはまぁ用途なんて決まりきってるか……手榴弾ポーチ代わりに谷間を使いだしているよ。

それぞれ新しいバストサイズを申請してから新しい制服が送りつけられるみたいだけどね。

今回のでわかったのは育乳サプリで大きくなるのに限界があるっぽいんだよね。

45姉とかは元々のおっぱいがぺったんこだったから爆発的に増えたように見えるけど。

9姉とかもともとC位あったからスゴイことになるかな…と思ったけどあんまりそうでもなかった。

まぁ私とかヴィオラと比べたらあれだけどね。とりあえず文句なしの巨乳となったね。

というかあれか、皆胸元がキツすぎて着れないのね。胸元が眩しいね。

 

「じゃあ皆でお洋服買いに出かける?」

「あー、良いですねー流石におしゃれもしてみたいですしー」

「私も良い作業着もほしいですしね。」

「下着も良いもの揃えてみたいわね」

 

という事で私もあれだね、ちょうど良いことだしおでかけかな。

ゴスロリ服をもう一回購入したいんだよね。おっぱいがでっかくなってからちょっと胸元が裂けちゃってね……

 

「あたくしもああなるんですの……?」

「そうらしいです……ほら、見てください谷間が出来上がってるんですよ?」

「私もこの体型には不釣り合いな大きさになってきたわね」

「こうも大きくなってくると邪魔だ、DSR程欲しくは無いわ」

「そのDSRすら霞むヴィオラと417だよ……うわ、ボクのおっぱいも大きくなってきたなー」

 

まぁその二日後にこっちに配属になった人形達もまぁかなり実ってきてるよ。

PPKやマカロフはDカップはゆうに越えているのではないだろうか。

 

 

――――――――――――

 

 

「という訳で一部はまぁ制服を着崩して来てもらったけど……」

「コーラがあればそれでいいですねーあ、おっぱいに挟むと良いですねー」

「ミュージックプレイヤーも挟めますね、思わぬ収納スペースになりますね」

「ただ重たいわね……417が平気な顔しているのが不思議」

「45姉も嬉しそうにおもーい♪ってはしゃいでいたけどこれは重すぎないかなー?」

 

普通に融通が効く服を持っている人形はそれに着替えてもらったけど……

SAAとかG11とかは元の服でなんとかなるかな。それに対してスコーピオンは元々ラフな格好があったからねー

大体の面々の格好と言ったら大抵はシャツにスカートだったりパンツだったり。

本当に最低限の格好だよね。SAAは帽子やブーツとかを普通の物に取り替えればいいしね。

そして皆それぞれでおっぱいの利用方法を見出してから色々やってるな。

道行く人々の視線がスゴイよ……野郎衆の視線がそれぞれのおっぱいの谷間に吸い込まれている。

 

「とりあえずウニクロでシャツを買おうか」

「あ、ついでにオーバーオールも買います」

「じゃあスコーピオンさんが私の分も買ってきてください」

「SAAちゃん……いや、ちゃんと見ていこうよ」

 

SAAはひたすらコーラを飲むつもりだな。店外のベンチに座ってコーラを開け始めた。

体型が似通っているスコーピオンに代理をさせようとして居るよ。

で、私達がやってきたのは比較的安い、量が揃っているで有名のウニクロ。

スオミはとりあえずのTシャツとオーバーオールを購入。おっぱいとお尻の収まりが悪く結局私と同じだ。

一つ上のサイズを裾上げしてもらってそれで合わせた形になるね。

スコーピオンも大体同じだけど元々おしゃれするつもり無いんだろうね。

SAAの分を一応買ってきてあげてる辺りやっぱり姉力があるね。

9姉は何を買ってるのかなー?と思ったら……いやね、Tシャツは良いんだよ?

 

「これで家族!!!」

 

白地に家族~Family~と書かれたシャツを複数枚……いや、人形の人数分抱えていた。

いやいやあのね……そんなに買い込んでもね……それ抱えて更にお買い物するつもり?

 

「そう言えば制服はどうするんだろう……」

「あ、それならI.O.Pの方がもう明日には届くように手配しているみたいだよ」

「へぇー」

「ついでに追加の食料を送りつけてきてたよ……ふふ……」

 

まだまだお前らにはデスマーチをしてもらうという明確な殺意を感じるよ。

 

 

――――――――――――

 

 

それぞれ買うものを買って……としていたんだけどさてこれが……

 

「ブラが可愛いものが少ないわね」

「まだあるだけ良いと思えよ……私は無いんだからね?」

 

Mk23がぼやいたんだけど……そう、おっぱいが大きくなるとブラの選択肢が無くなってくる。

可愛らしい物は数を潜めてエッチなものが多くなるし高価になってくる。

私くらいに大きくなってくるとこれが……そもそも無いっていう物になるんだよ!

 

「下着で思い出したけど……水着も見ていきませんか?」

「あー……そういえば暑くなってきたし水浴びとかも視野に入れる?」

「水風呂でコーラっていうのもいいですよー!」

「アンタはコーラが飲みたいだけでしょ…」

「もう寝ていい?」

「ダメだよー♪」

 

G11は寝たいとぼやくがここは引きずってでも連れて行こう。

そういえば基地近くには川が流れていてちょっとした水浴びは出来る。

ついでに言えばダーリンもその水遊びをする用意もあるらしく……

近い内に露天風呂のお隣くらいに遊泳プールを作るかも知れないらしい。

そもそもだけどお風呂の中に水風呂もあるし……遊ぼうと思えばいつでも遊べる?

暑くなってきたしそろそろシーズンかな?って事で今のうちに水着を見に来たわけです。

 

「あ、これとか着てみたかったんですよね……えへへ、これで指揮官の視線も……」

「もっと可愛らしい物は……うぅ、やっぱりこんな大胆な物を……?」

 

M14は己のスタイルに自信がありありと出てきたのか思いっきり大胆な物をチョイスしていた。

スオミはと言うとワンピースタイプを探していたけどそんなのは無い無い。

入るものと言えばM14がチョイスしたものよりはいくらかマシだけど……ビキニタイプしか見当たらないな。

SAAはこれまた分かりやすい物をチョイスしていた……星条旗ビキニとはね。

今は無きアメリカの旗の柄のビキニとはね……試着室で着てから見せてきた時はまぁー犯罪臭すること。

私とそう変わらない身長でそんな格好されたらなぁ……うん、犯罪臭がすごい。

G11はMk23の着せ替え人形と化していた。半分寝ぼけながら着せられていたのは……バンドゥだね。

Mk23が着ていたのはワンショルダータイプのビキニか。

スオミ?スオミが持っていったのはレースアップか。着てみるとこれがセクシー。

M14が買ったのは……うん、まぁあれだね……マイクロビキニなんだよね。

スコーピオンは挑戦的な真っ赤なビキニだった。赤とか目立つ色好きだね。

 

 

――――――――――――

 

 

で、それぞれ買い物買ってから戻ってきましたっと。私は送りつけられた水着があるし。

そもそも市販の物が私のおっぱいに合致できると思って?

戻ってきた私達を迎えていたのは何故かホクホク顔のPKPとネゲヴ。

どうしたのかとPPKとかに聞いてみると帰ってきた答えで納得したよ。

 

「あたくし達の食い扶持が負担になってるかと思いまして」

「グローザも誘って大食いチャレンジの店を片っ端から荒らしてきた」

「満足するだけ食べてさらにお金を貰える……理に適ってるじゃない」

 

どこで荒らしてきたのかは聞かないでおくけど出入り禁止が多くなってそう。

ダーリンと一緒に買物に行った時に締め出されても私は知らないよ?

満腹まで食ってお金を貰うって中々に外道だね。確かに助かるけどね。

暫くは殺人的な食事量が続くだろうし今日だけでも何とかなるのは助かるね。

 

「彷徨いたエリアはそれぞれ被せていないから来週も行くか」

「あたくしはパス致しますわ」

「私も流石に遠慮するわよ」

 

PKPは意外と休日の楽しみが増えたのではないだろうか。

フードファイトみたいなのはこのご時世中々無いけど……大食いチャレンジはあるしね。

それで小銭を稼いできてくれたらそれはそれで助かるね。

 

「あたくし達も来週はお出かけですわね」

「そうだな」

「そうね……もう胸がキツくて辛いわ」

 

ネゲヴは元々ある方ではあったのかもう自己主張が激しいな。

そのうちその軍服を張り裂けさせるんじゃなかろうかと思うよ。

文字通りのはちきれんばかりのおっぱいがそこには実っていた。

お店の情報だけはちゃんと教えておくからまぁ頑張っておくれとしか……

PKPとネゲヴが居たら変なナンパ男は簡単に返り討ちに出来そうだしね。

PPKもこのちっちゃいなりで体術の初歩的なところはプレインストールされているみたい。

セクハラしてこようとした整備班を軽く捻っていたしね。これは有能。

逆にそう言うので心配なのが警備班になるカルカノやガーランドだ。

カルカノは結構肯定的でガーランドは……うん、なんだろう押しに弱い感が強い。

愛ちゃんは軽くあしらいそうだしDSRは……どうだろう、これがわからない。

ダーリンのセクハラに喜んでいた節があるからなぁ……ナンパ男についていく可能性も否定出来ないぞ?

 

「そういえばFive-seveNにカタログを押し付けられたんだけど、これが最近の服なの?」

「ぶっ……これコスプレのカタログじゃん……」

 

ネゲヴが見せてきたのはどう見ても普段着じゃなくてコスプレの奴だった。

オススメ!なんて書いて丸を付けているのバニースーツだったりスケベ巫女服だったりさぁ……

どんなセンスしてるんだ……まぁ確かに似合いそうな気がするけどさぁ……

 

「FAL?とりあえずFive-seveNを拘束しておいて、ちょっとお話があるから」

「これ可愛いじゃない、ねぇ?」

「そ、そうですわね」

「私はノーコメントだ」




そう、おっぱいを守るブラであったりお洋服じゃ
ついでにこのくっそ暑い夏日にちなんで水着じゃ。

近く水着回やってもいいかもしれんな。
もちぽろりありでな。


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Day127 子供はいっぱい食え

子供の日ってのを思い出してね


今日のI.O.Pから回されてきた任務だけど……ちょっと平和かな?

私達がする必要があるのか?と聞かれたら返答に困るけどね。

依頼内容はかなり平和なもので託児施設への炊き出しみたいなものだ。

ヤーパンの行事で子供の日なるものがあったらしい。それにあやかって行うみたいだ。

従って駆り出されるのは私達お料理できる組が出されることになるね。

その他にもそんな会場の周辺警護だったりがあるから結局は部隊単位での出動になる。

結局今回のイベントって言うのはどんな感じなのかって言ったら……

将来を担う子どもたちにいっぱいご飯を食べさせて元気になってもらおうってヤツ。

あとは食料品の利益で孤児院とか託児施設の運営費用に回すってヤツだね。

子供はタダで食わせて金を払う余裕がある大人からは金を毟り取る。

なおここD08地区所属のI.O.P職員は昼食にはこの会場を利用することが義務付けられている。

まぁ不味いのは出さないから安心して欲しいと思うけどね。

 

「皆用意はOK?」

「サイドアームの携行は許可されているし問題ないわ」

「ダーリンの為に練習していたけどこんな時に役に立つなんてね」

 

料理できるメンツはものの見事に嫁連中。ヴィオラもヤーパン料理に精通している。

私が知らないのも割と知っているけど勝手が違うみたいで四苦八苦してる。

というか鉄血にも料理とかって文化があったのか?うーん……分からん。

鉄血に関する資料は今の所もう失われたものみたいになってるしなぁ。

他にはお菓子づくりが出来る人形が子供たちに振る舞うお菓子を作ったり。

G28もお料理には自信があるみたいだしG36も張り切っているし……

スオミもお菓子作りに勤しんでいる。多分変なことにはならないとは思う。

だからあれなんだよね、このD08基地の実働部隊フルメンバーでのお仕事だ。

当然ながら報酬もふんだくる訳だけどね。そうじゃないと私達の働き損だしね。

慈善事業じゃないからね、お金が発生しなかったら私達は動かないわけですよ。

一番簡単でお金を稼げるのは肉体労働の殺戮なんだけどね。血生臭くなるから嫌なんだ。

今回みたいな肉体労働は割と私は好きだよ。で、食材とかはイベント主催者持ちだから関係ないぜ。

食材を見てから好きな物を勝手に作って売ってくれって言うからね。

子供にはリクエストにできるだけ応じて作ってあげて欲しいってさ。

I.O.P側にメリットはあるのか?まぁ普通にイメージアップだろうな。

 

「メニューはどうする?」

「そうですね……いえ、ここはいつもの様に作っていきましょう」

「カカオパウダーが多いわね……これはチョコレート菓子を作れってことね?」

「ケーキにしても良いかも知れませんわ」

 

まぁやることは変わらないか。私達の戦場が前線からキッチンに変わっただけよ。

 

 

――――――――――――

 

 

さて、イベントは開幕して早速雪崩こんできたのはまぁ主賓というか……メインターゲットだよね。

ちっちゃい子から大きい子まで成人しちゃいない子供が雪崩込んできた。

そりゃそうか、タダで大量に飯が食えるとなるとそりゃ来るよね。

私達兄妹はそんなの無かったし自分で食っていくしか無かったからなぁ。

今の子供は恵まれているのかも知れないね……取り囲む世界の情勢はヤバイけど。

少なくともD08地区の子供はまだ恵まれているね。なんだかんだで保護施設は整っているし……

こういうイベントだって頻度はアレだけど定期的に行われているからね。

 

「おい!でかぱい!なんかくれ!!」

 

でかぱ……ん"ん"っ……子供というのはこういう物だから仕方ない。私はぐっと我慢しよう。

見るからにわんぱくそうな子供だからとりあえずで作ったけど……ハンバーグが良いかな?

それともお手軽だけどお腹に溜まるコロッケかな?どっちが良いかな……

 

「どっちが良い?」

「どっちも!」

 

プレートに乗せてから見せてみると両方なんて欲張りが飛び出した。

まぁ主催者は子供のリクエストには応じてやれと言うからそこは融通を効かせましょう。

 

「はい、残さず食べてね♪」

「わーい!」

 

プレートに食べやすいサイズのハンバーグとコロッケを載せて渡す。

元気いっぱいの歓声を上げてからテーブル席の方に向かっていった。

ふふ、ああいう喜んでくれる人が居ると頑張れるんだよね。さて、頑張ろう!

 

「このケーキ……美味そう、なぁねーちゃんこれ!」

「うふふ、はいこちらのショートケーキですね?はいどうぞ♪」

「うおぉぉぉ!久し振りのケーキだ!」

 

お隣ではスプリングフィールドが受付、販売をしているスイーツ部門。

甘い匂いに誘われた子供が集っていた。このご時世では甘味はかなり貴重だ。

このD08地区では比較的にチョコレートバー等も入手しやすいが……

ケーキ等になると気軽には買えない。ましてや子供にはほぼ不可能。

恐らくだが孤児院では月に一回あれば良いほうだろうと思われる。

 

「……お腹へった」

「あらま……何が食べたい?」

 

次々に来る子供たちの波が今は私達を襲うがそれ相応に笑顔が私達を囲んでくれる。

テーブル席はあっという間に子供達によって埋め尽くされていき笑顔が咲き乱れている。

これこれ、こんな風景が私は大好きだよ♪

 

「いつか、私も子供欲しいなぁ……」

 

家庭を持ったら絶対に一人は子供が欲しいとは思っていたんだよね。

これは男の時からそうだったんだけど……まぁ漠然とした幸せな家庭を持てたらなぁ程度だった。

でも今は普通にダーリンが私の伴侶となってくれたし猛烈に子供が欲しくなってくる。

ダーリンにあーんしながら隣で泣いてるマイベイビーにこう……おっぱいあげたりさ?

大きくなってきた子供に食事作ってやってお洋服とか着せてやったり……

 

「へぇ、今年は最前線の高級人形が炊き出しか……」

「いらっしゃいませー♪」

 

おっとと今度は普通にリーマン風の男が来た。首からネームプレートをぶら下げているな。

I.O.Pの関連子会社か。この付近の商事のヤツだね。

いわゆるセールスを担当しているメンツの一人だね。お昼休みだろうから飯を買いに来たか。

まぁ普通に金を毟り取る対象だからちゃんとセールスしていきましょ。

営業スマイルをにんまり湛えてからお出迎えしてっと、流石に人形だって一目で判別着くんだね。

まぁ毎日カタログを持っていって売り込みしているんだろうし把握はしているか。

しかし高級人形とはな……なんか引っかかる言い方だなぁ。

 

「とりあえずハンバーグ定食で」

「かしこまりました♪」

 

ちゃんと支払ってもらってから動き出す。お前ら大人はちゃんと払いなさいよ?

幾つかあらかじめ焼いておいたハンバーグをとってっと……ケチャップでお仕事頑張れ♪と書いてっと……

彩りの温野菜とほうれん草のおひたしとかをトッピングして……うん、これでよしっと。

あとは汁物のコーンポタージュと主食のパンを添えれば定食の出来上がり。

ヴィオラいわく本当はご飯と味噌スープにハンバーグが一番だと言うけどね。

この付近ではヤーパン文化は根付いてないし基地とは勝手が違うからね。

 

「おまたせしました」

「お、おー……」

「空いた食器はこちらに返却してくださいね、ごゆっくりどうぞ♪」

 

文字について何か思う所があるんだろうけどそれはそれとして……食器返してねってだけ伝えてっと。

空いている席に行ったリーマンはそのまま黙々と食べ始めた。

うーん……美味しいのか不味いのか感想くらい言ってほしいな。こういうのが悩ましいんだよね。

 

「おい、でかぱい。おかわり」

「はいはい、次は何が食べたいのかな?」

 

私はとりあえず子供からはデカパイ呼ばわりされるのが決まりなのだろうか?

 

 

――――――――――――

 

 

途中不良少年がやってきたんだけどそれらにはそっとお帰り願うことにした。

まぁ私達の見た目が普通に女の子だから舐めてかかってきたんだけど……

スプリングフィールドが笑顔でおもてなしをしていた。

いつもはニコニコ優しいスプリングフィールドだけど怒ると容赦がなくなるんだよ?

まず特別にと言って人目につかないところへと誘い出してから……にっこにっこな笑顔のまま壁に顔を叩きつけたんだと思う。

4人くらいのグループだったと思うけどお掃除が完了しましたと言って戻ってきた後には……

青あざ作ってほっぺたにタイル地を作った不良少年らがよろよろと何処かへ消えるのを見ていたよ。

 

「まぁああいう不良君がのさばり始めるとピュアな子供が安心できないしね」

「主催者からの返答は?」

「最高のおもてなしじゃないかと絶賛されていました」

 

まぁそんなこんなのやり取りはさておいて……今日の売上は結構行っていて原価分はきっちり元を取れた。

利益もそこそこに出てくれたし暫くは孤児院の懐も暖かくなるかな?

スコーピオン達警備は武装集団とかを通さないだけで不良君とかも雰囲気がよっぽどじゃない限りは通しちゃうんだよね。

バリバリにぶっ壊す気まんまんのだったらちょっと待て出来るんだけど……

極稀に普通に楽しみに来ているけどガラが悪そうな人とかも居るからね……

 

「今日の子供たち可愛かったねー」

「そうね……」

 

子供たちはお腹いっぱいになったのかそこらのベンチでお昼寝していたりする。

まだまだ元気な子供たちはそれぞれ遊びにドタバタと出て行ってたし。

それぞれまたこんなイベントがあったら来てくれると嬉しいなって思う。

お客のかきいれ時は過ぎたし私達や警備組の食事を作ってから交代で食べている。

私とお姉ちゃんが揃って今食べていて……甘いクレープを食べている。

お腹に貯まらないと思われるけど生クリームとフルーツ、チョコレート等が織りなすカロリーはヤバイよ。

一個まるっと食べたら意外とお腹にクルんだよね。人間だったら太りそう。

 

「んに……」

「ん?」

 

寝ぼけ眼の子供が私達の食事しているベンチに近寄ってきた。

まだまだ眠いんだろうか目を擦っていて焦点が定まらない目でこちらを見ている。

 

「ママ……」

「おぉぅ……」

「……ハァ」

 

お姉ちゃんのお膝の上に頭を載せて眠り始めた。しかも眠る前の一言がママ……

寝ぼけてお姉ちゃんをママと思ったんだろうか。うわぁ寝顔が可愛い♪

 

「良かったね、ママ?」

「417……後でげんこつするわよ」

 

少年が起きた後さらに私に抱きつかれるハプニングもあった。

その後マジ物のママがいらっしゃって平謝りされたけど私もお姉ちゃんも別に気にしちゃいないしね。

 

「「ダーリンとのプレイに活かせる」」

 

むしろ私達としてはいい経験なので。




子供の日はこんなのじゃねぇ?
良いんだよ、こまけぇことはよ!!


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Day128 遭遇戦バトル

最胸は417かヴィオラになるが……


「この基地で室内戦最強って誰なんだろうな」

 

きっかけはダーリンの言い放った何気ない一言だった。

RF人形である私やスプリングフィールドは別にねー……って感じで居たんだけど……

SMG人形やAR人形がこれまた張り切っちゃってからさぁ大変って感じ。

スオミはこの前のロシア人形達との殺り合いでこの基地のヤベー奴の一角に数えられているしなぁ。

戦闘狂のFAL、スペクトラは言わずもがな……ステンも中々対抗心があるみたいだ。

で、開催されたのが……サイドアーム縛りで行われるキルハウス遭遇戦。

いわゆるデスマッチ、自分以外は全員敵被弾=失格となる訓練だね。

HG人形に関しては別のHGを担がせての参加となる。それぞれお好みのをチョイス。

じゃあMk23はどうしたかって?継戦能力が高いFN57にしたみたいだ。

これにはFive-seveNもにっこり。だがしかし警備に出掛けたので戦闘の様子は後で見てもらう。

で、流石に大人数がキルハウスに入ると無理があるので複数ブロックに分けての遭遇戦となる。

まぁまずはって事で小手調べのRFブロックから開始となる。

出場選手は私、スプリングフィールド、わーちゃん、G28、M14

全員この基地の顔とも言えるバインバインの集まりであるよ。

サイドアームはそれぞれ……Mk-23、M1911、P38、HK45、M9

全員このキルハウスの事は熟知しているからほぼイーブンコンディション。

ASSTによるシステムアシストは無しだから完全なる私達の腕前が問われる。

使用武器はHGのみ、その他のグレネード類は使用不可。おびき寄せの壁叩きとかで揺さぶるしか無いね。

 

「全員配置についたかー?」

 

ダーリンによる点呼によってまずは始まる。全員無線機で準備完了の旨を伝える。

特段強いとは思わないけど負けるつもりも無いから気を引き締めて……

 

「それじゃあゲーム開始3・2・1…スタート!」

 

スタートコールと同時にまずは目の前の物陰に隠れる。耳をすませて居るけど物音は聞こえない。

となるとこれは全員待ちの姿勢と見れるな。私達RF人形の得意とする事だ。

RF人形の長所と言ったらずば抜けた集中力と命中精度、精密操作だ。

その反面その躯体はあまり頑丈ではなく脚力もSMGやARに比べて遅い。

瞬発力に欠ける一面がある。その為基本的にはガン待ち戦法になるな。

どんなに頑張っても私達の特性っていうのは似通ってしまうので……

 

「じゃあ、ちょっと動かしてやろうかな……っと」

 

このままでは戦況は膠着するので動かないとね……長引かせても無駄無駄なんで。

この付近だったら確かドアがあったっけか……全員バラバラに配置されているけど開始地点からは絶対に見えない配置だから……

多分だけど一人は屋内スタートだと思うんだよね……下手すりゃ二人とかの可能性もある。

こういう遭遇戦では基本的に待ち側の有利なんだよね……だから打開策としてグレネードとかがあるんだけど。

ちょっと遠くに回れば窓枠なり乗り越えれる場所があるけど……その間に見つかる可能性もありえるからなぁ……

という訳で……まずはドアからエントリーを試みる。まぁ手がないわけじゃない。

まずは軽く扉を開いてみるこの先に居たら運がなかったとしか言えないけど。

少なくとも速攻でエンカウントするような距離じゃないはず。

覗き込んだ先には敵影は無し。開いたドアを盾にしながら反対側も見る。

敵影は見当たらない……ここは今の所安全か……警戒して向けていた銃口を下げてからそっと扉を閉じる。

皆それぞれダーリンには良いところを見せたいだろうし勝ちに行くつもりでガン待ちしてるな?

さっきから物音一つしない……動いているのは私だけと見てもいいかな?

定番の芋スポットはっと……慎重に覗いたら撃たれるのは必至なので……クイックピーク。

ちょっと顔だしてからすぐに引っ込める。定番の芋ポジに居たのは……

 

「しまった、外しちゃったか……」

 

M14だ手堅いポジだからここを制したとなると挟撃とかじゃないと落とせないんだよなぁ。

ただM14が発砲したからここに誰かが居て遭遇したっていうのは全員に知れ渡っている。

足音も聞こえ始めたしこれは戦況がちょっとは動くかな……ちょっと引いてから……

耳を澄ませてみようか……現在動いている足音は2つ……外回りを移動しているな。

安全にエントリーが可能な窓枠を目指しているのと……足音が途絶えた?

聞き耳を立てているのか?ん、ドアの開く音……不味いな、これは私が挟まれたか?

しかしまぁ……こうやって隠れるのは良いけど……壁に張り付いてもなぁ。

ちらっと見えた髪色から察するのはスプリングフィールドか、厄介だな。

前門のM14に後門のスプリングフィールド……どっちに出ても撃ち抜かれるのは必至だな。

恐らく私の存在はスプリングフィールドにバレている。髪色が見えたけど雰囲気からして撃ち抜く気満々だ。

多分だけど私のブラが見えたんだろうな。じゃ、ちょっと冒険してやろうじゃないか。

 

「でぁぁっ!!」

「ッ……あー!」

 

思い切ってからM14の前に飛び出して撃ち込む。続けざまに二発がお互いの得物から飛び出る。

そして放たれたペイント弾はM14の頭を撃ち抜いた。ゴーグルが極彩色に染められる。

まぁM14はこれでヒット、退場確定なんだけど……私の被弾状況はっと……

 

「「んあぁぁヒットー!!」」

 

私の被弾場所はでかでかとブラがピンク色に染まっていた。

ヒットコールをしてから脱落組が座る席へと引っ込んでいく。

残ったのはスプリングフィールドとわーちゃんとG28か、ここはスプリングフィールドの経験数が物を言うか……

それともこの中では戦闘数が多いわーちゃんが制するのか……それともG28がHK姉妹の意地を見せてくれるか。

 

「まぁドンマイ、戦闘中のお前の姿も良いな」

「ぶー……初っ端から負けたぁ……」

「指揮官私も頑張ったんですから見ててくれました?」

「普段を知ってたら想像つかねぇな……おう、M14も頑張って417からキル取ったじゃないか」

 

とまぁ負けて敗退した私達の方にダーリンが来てくれて頭を撫でてから慰めてくれていた。

 

「所で417、そのブラすぐに交換」

「ダーリンのエッチ」

 

ペチンと私が軽くビンタしておいた。ダーリン最近落ち着いたかなと思ったらこれだよ。

 

 

――――――――――――

 

 

RF部門は結局貫禄のスプリングフィールドが勝ち進んだ。三つ巴の戦いになった後はG28がダカダカ走り回って戦場を引っ掻き回したんだけどね。

わーちゃんに綺麗に騒がしい!と撃ち抜かれて敗退、そしてスプリングフィールドとわーちゃんの一騎打ち。

で、残った基地残留組がそれぞれどんちゃんやらかしていったんだけど……

新規参入したばかりの諜報部隊と防衛部隊は素気なくダウン、残ったメンツで闘いを繰り広げていた。

まぁ諜報部隊は早期に敗退を狙っていた節があると思う。情報集めがお仕事ですし。

息抜きに参加した感じが強いね。最近取ってきた情報だと何があったけか……?

結婚式に来ていたガンスミスさんの所の指揮官がユノちゃんの所に行っていたんだっけ?

詳しい内情までは探れなかったみたいだけど他基地の動きを早速拾い集めていた。

その他にはD08地区の周辺に廃棄されている施設の情報か。

この前の生物兵器研究所みたいなのがこの近くにまだ数ヶ所放置されているらしい。

しかも放置されている中にいくつか動いた形跡があるものも存在している。

 

「で、今残っているのはっと……」

「416にFAL、スオミとG36Cだな」

 

意外だね、45姉が残っているものかと思ったら……普通にお姉ちゃんが残っていた。

スオミはまぁ貫禄の生き残りだけど……そしてG36Cも残っていた。

SMG人形が揃って生き残りしてると思ったけど意外や意外。

45姉いわくバランスが変わってから体捌きがちょっと下手になったかもって。

 

「いや~本当に重たくって仕方ないわね~」

「そう言う割には嬉しそうだね、45姉♪」

 

9姉もだいぶどたっぷんで重たそうなんだよね。さっきチョコレートバーを谷間から取り出したのを私は見たぞ。

そしてもって容赦なく撃ち抜かれた組でダーリンに好意的な人形は一様に頭を撫でられていた。

大きく実ってからの実務的な動きをしたのは今回が最初になるからしょうがないか。

スオミが化け物じみているのがよく分かる、あいつバルンバルンさせながらも平気でニンジャ挙動していたし。

それに対して化け物じみた反応速度と瞬発力、射撃精度を誇るお姉ちゃんとFAL。

平凡な挙動ながらペイント弾を目視して回避する反射神経の鬼のG36C……

これで更にフォースフィールドとか使うんだから余計に手がつけられないんだよね。

つくづく鉄血側じゃなくてよかったと思うよ。私ならこんなの相手したくない。

 

「むぅ……」

「まぁヴィオラは私と同じでデバフがねぇ……」

 

躯体スペックは群を抜いていたのがヴィオラなんだけど……私以上にでっぱいだからなぁ。

隠れようにも隠れられないしハイスペックに纏まった身体だけど射撃に慣れてないんだろう。

MASADAはASSTがあるから慣れる慣れないは別だけどHGはそうは行かなかったか。

 

「じゃあ戦況観戦に参りましょ?」

「AR組のキチガイ染みた反応速度とSMGのマジキチムーブの真っ向勝負だな」

 

スオミのマジキチアンブッシュもだけどG36Cのあの見てから回避余裕と言った様子のはなぁ……

ただし自分がブレまくるし本来は弾をばら撒く武装で戦闘するもんだから照準に関しては結構雑。

キルを取るにはちょっと時間がかかる。速攻で決めれるか……

 

「お、スオミが早速勝負に出たな……ヒューすげぇバルンバルンしよる」

 

キルハウス内を映し出すモニターに映るのは室内を高速で駆け抜けるスオミなんだけど……

いや、うん……ご立派になったおっぱいがスゴイことになってるよ。

そんなの関係ないとばかりに中腹辺りに陣取ると……今度は聞き耳を立て始めた。

これはアンブッシュを決めるつもりだな?じゃあ他のメンツはどうかなっと……

G36Cは隙を窺いながら慎重に進んでいる。同じ様な動きはお姉ちゃんもしているな。

堅実な動きをしているけど……お、動きが変わった。見た感じだけどFALの足音に気がついたか。

そしてダカダカ真っ向から詰め寄る。うわぁ……目がハイになってるよ。

FALも流石にこれには焦ったかな?速攻で決めに行ったけど……G36Cこれを避ける。

FALも落ち着いて第二射に移るも……これも外れる!!

 

「この回避キチガイ!!うぶっ」

「どうとでもお呼びになって」

 

正確な射撃はほぼほぼG36Cにとっては簡単に避けれる物か……うへぇ怖い……

FALのシューティンググラスの端っこに着弾……勝負有りってね。

 

「G36Cやばくない?」

「わたくしよりも大きいのぶら下げてあの挙動……」

「室内戦はやっぱりSMGの独壇場かしら……」

 

そんな雷光石火の攻防が繰り広げられている間にお姉ちゃんの方もスオミによるアンブッシュをかまされて終わってた。

けどこれにはお姉ちゃんも一矢報いたかスオミのコートの端っこに着弾させていて共倒れ。

このサイドアーム縛りでの室内遭遇戦ではG36Cが勝利する形となった。

 

「結局は取り回しも良いメイン武器持ってるしあんな挙動するんだからねー……」

「ほんと、ウチに居て良い人形なんだろうかね……俺はそう思うよ」

「旦那様、私頑張りましたよ、うんと褒めてください♪」

 

チッ……今日はG36Cがこのあとイチャイチャするのか……まぁいい。

夜の地下室でのお楽しみは私だけのお楽しみだからいいもーんだ……




SMG勢はだいたいキチガイムーブしてると思うんだ。
だってお前……草原でドンパチして回避してるんやぞ?
最適化進んでいったら見てから回避余裕でしたなんてのは日常茶飯事なのでは?


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Day129 思わぬ拾い物

ここのダミー概念だから出来ることぉ!


「ごきげんよう、今日はあたくしから報告がありますわ」

 

諜報部隊のPPKが早朝から人形全員に報告を上げていた。

勿論のことだがダーリンには真っ先に報告をしていた。一仕事終えたグローザ、DSR、マカロフ、P7はのんびり紅茶を啜っている。

で、報告の内容なんだけど一つはこの地区周辺にある廃棄施設で怪しい動きがある物が特定された事。

テロリズムの元になりかねないからさっさと封鎖処理するか破壊するか……

若しくはG&K以外の誰かが通ろうとしたらとっ捕まえる例のトラップを仕掛けておくか……

で、もう一個はと言うと前線に張っておいたトラップが作動したらしい。

何が引っ掛かったかは不明だが取り敢えずトラップが作動し現在も捕縛中とのことだ。

早速前線に向かう警備部隊が回収してくるんだろうけど……トラップがトラップだしなぁ。

しかもあれまだ試作の物だしたまに暴走して追加で私達まで捕らえようとするんだよね。

実際に試験運用とか実地体験用にって事でこの基地の片隅に設置されてるんだけど……

この前お散歩していたFive-seveNが引っ掛かっていて大変なことになっていた。

 

「じゃあ私達はどうするの?」

「何かあったときの押さえ込みに必要があったら出かけるんじゃない?」

「それかまた施設の調査ではなかろうか」

 

ひとまずは基地待機、それからダーリンの指示待ちになるかな?

今日もI.O.PなりG&K経由での任務は舞い込んでいるから暇にはならない。

まぁその仕事もD地区らしい比較的平和な物が多いけどね。

大体はキャンペーンガールみたいな事をしてほしいって感じでさ……

I.O.Pの目玉商品でもあり顔でもある戦術人形達を大量に保有していて融通が効くのは各地区の基地なんだろう。

他に企業が保有していたりD08自治部隊等もあるけど……ねぇ……

自治部隊がそんな所で大々的にキャンペーンガールなんてしてたらほら……事件が多発するからね?

この地区平和って言ってもちゃんとした自治部隊が動いているから成り立っている訳で……

とまぁ結局フリーに動けるのは大量に実働部隊を保有している基地なわけですよ。

D地区平和だし前線から引っこ抜いてもいいだろって考えでしょうけどね。

実際やってくる鉄血人形から考えると過剰戦力気味なんだよね。

この基地を維持するのに必要な戦力って言ったらそれこそ2部隊くらいで十分だよね。

実質1部隊を警備に出して地域の安全確保してーの基地に1部隊残して安全確保。

だから基地防衛の観点を全く抜きにしたら1部隊でも全然良いんだよね。

基地防衛用の銃座とかが必要になるけどさ。あと人間の人員が増えるのでボツ。

このご時世に人間はそう多くはいません。そして前線に来たがる人間も多くはいません!

現実的じゃぁないんだよねー……まぁこんなお話はさておいて……

 

「で、今回来てる依頼の奴はなんだっけ?」

「カフェG&Kの宣伝ね……丁度メイド部隊が結成できるでしょ?」

「おっぱい入るの?」

「つい昨日新しいサイズのが届いているわよ」

 

ヒューI.O.P驚異の作成スピードだよ。よっぽど暇を持て余してるのだろうか?

 

 

――――――――――――

 

 

前線に確認+警備に出ていった部隊からの連絡があった。どうやら捕まっていたのはI.O.P製の人形だった。

いや、なんでやねん……IFF識別して襲わない設定になってなかったっけ?

無事に回収したみたいだけどどうやらエネルギー切れを起こしてるみたいだ。

スリープモードに入っているらしいけど……どうやらダミー人形らしい。

使用された用途としては殿を務めてから敵と殺り合いながら撤退戦をしてたのかな?

で、最後の休憩とばかりに転がり込んだぼろ小屋にはトラップが仕掛けられていたっと……

あそこが丁度D08の最前線との境目だからなぁ……どう行っても捕らえられてたと思うけど。

運が良かったのか悪かったのか……とりあえずガーランドが担いで連れ帰るみたいだ。

 

「じゃあ私達が出張ることは」

「ないな、じゃあ街に行ってキャンペーンガール頼むぞー」

「畏まりましたご主人様……では、メイド小隊出撃です」

 

喫茶店なんだがキャンペーンガールはメイドという事で……G36率いるメイド部隊が結成された。

部隊構成員は私、お姉ちゃん、G28、UMP姉妹にヴィオラという部隊だ。

I.O.Pはやたらと私やヴィオラに衣装を送りつけてくるんだが……

ちなみに着れなくなったちっこいサイズのブラとかはどうしてるって?

ダーリンとのプレイ用とかに取ってたりする。わざと服を破るプレイとかしてみたいし。

まぁそれはそれとして……メイド部隊で出かける先はD08地区に新装開店するカフェだ。

G&Kが出資していて人形が店員でオートメーション化された物だ。

価格も控えめで広く集客出来るのを望んでいるみたいだけどね。

キャンペーンガールは私達を使うけど実際に働くのは見目麗しい人形ではない可能性が高い。

だって普通に人形っていうのは高いんだよ?自立人形でも結構なお値段だ。

用意できても接客に数体って所かな?まぁでもダミー人形みたいな簡易生産なら……

そこは私達が知ったことじゃないしどうとでもどうぞって感じだな。

後は客層とかに応じて人形の更新とかがあるかもしれないけど……そこも売上次第か。

 

「え、なにこのキャンペーンの……」

「うわ……」

 

配布されたデータを閲覧してからキャンペーンガールよろしくと言われたんだけど……

お触りされても笑顔で断ろう、写真撮影が沢山あるから笑顔を忘れずに。

手でハートマークを作ってから萌え萌えきゅん♪と可愛さ全開でやるように……?

カフェG&Kは見目麗しい人形によるご奉仕を約束します?

主催、G&KD08支部……今度カチコミしようかな……これ絶対本社関与してないんじゃない?

あのヘリアン代行官とかの耳に留まれば待ったがかかるだろ。

 

「ま、まぁ……金払いが良いから」

「今夜は一緒にお風呂だからね?」

 

 

――――――――――――

 

 

キャンペーンはどうだったって?めちゃクソ疲れたよ。主にナード系の相手にね。

ヴィオラは何か嫌なことを思い出したか笑顔が張り付いた上に休憩入るとものすごい勢いでゲロっていた。

そんなハプニングこそあれどキャンペーン自体は成功に終わったから良し。

私達みたいな綺麗で可愛い女の子によるご奉仕を~とか言ってたけど私達は絶対に行かないからなぁ……

というか今回行った組に類似する人形がさて出回ることあるんだろうか?

しかしG36が顰めっ面を無理やり笑顔に変えていたのは中々にレアだった。

流石ご奉仕精神の塊だよ、プロ根性を見たと思う。ただしお手つきには痛いしっぺ返しをさせてたな。

で、今は無事にお仕事を終えて基地に戻ってきた所……手をさっさと消毒したい。

ちなみにだけどお触りされたのは全員でした。特にお咎め無しと言いやがったからな。

ただしメイド側からの反撃は有りえますとG36の半ギレ回し蹴りの後に言ったもんだから……

 

「で、救助した人形は?」

「あーそれが……」

 

お昼に一度戻ってきた警備部隊がもう基地に安置したと思うんだけど。

件の人形が見当たらない。どうなってるのかと思いきや工廠ではなく司令室が騒がしい。

もう目覚めて司令室に入り浸っているのかもしれないな。ダーリンに上書きしてもらうついでに様子を見に行くか?

 

「SOPなら司令室だぞー」

「SOP?」

 

さて、カタログに引っかかる人形と言えば……あ?あの4体の一人じゃん。

お姉ちゃんはどう見るかなー……まぁ火の種にはならないかな。

あの4体の中でもかなり純粋で無垢な存在だし……まぁそのダミーなんだけどね?

ダミーの扱いについてはどうするかは本社の返答待ちだろうけど……

戦場で拾った人形は基本的に好きにしろっていうのがスタンスだしなぁ。

それに使い捨てのダミー人形だし……メンタルモデルは簡易的なものしか搭載されちゃいない。

複雑な思考はできない、指示に従い行動するのが主でその本質は欲望に忠実な子供といったところ。

この基地では各々好き勝手しているトラブルメーカー的な所だけどね。

 

「ダーリン、ただいま……なに、その子」

「トラップに引っ掛かってた……」

「M4SOPMOD2だよ、よろしくねー♪」

 

まぁI.O.Pのかなり特殊な人形の一人、ネームドの一人だ。

そのダミーともなれば扱いはちょっと気難しくなるけど……この場合はどうなるかな。

ダーリンの膝の上に抱っこされているのは非常に気に入らないけどね。

 

「ダーリン……私も抱っこ♪」

「うっわ、おっきい……ちょっと揉ませて!」

「やめっ……にゃぁぁぁああああああ!!!!」

 

 

――――――――――――

 

 

結局本社からの返答は保留、ただそのまま腐らせるのも勿体無いので手を打つとのこと。

まぁダミー人形の躯体能力はメインフレームも変わらないしね。

じゃあ後何が変わるかって言ったらメンタルモデルと演算能力が違ってくる。

戦闘能力だってASST非対応でASST込みの戦闘データをリンクしている本体の指示に従っているだけ。

自律で動かしているとそこら辺の自律人形とあんまり大差は無くなる。

つまりソフト面にテコ入れをしてあげれば普通に戦術人形としては動ける。

そうなった場合はダミーリンクとしては動かなくなるし自分でダミーリンクを動かすだけのキャパシティは無い。

完全な下位互換となるか。でもまぁ……

 

「えへへ……」

 

無邪気に遊び回って疲れて寝ているSOPを見るとこう……母性と言うかな?

守ってあげなくちゃって思っちゃうんだよね。庇護欲を湧かせてくれる。

司令室のソファーで私のおっぱいで遊んだ後そのまま寝ちゃってるんだよね。

私のおっぱいを枕にしてから幸せそうに寝てるの。

 

「ねぇ、ダーリン」

「んー?」

「子供ができたらこんな風になるのかな」

「人形に子供はできねぇだろ……」

「もしも出来たら、だよ」

 

傍らでお仕事をしているダーリンと私のおっぱいを枕に寝ているSOP

そんなSOPの頭を撫でて頬が緩んでいる私……子供ができちゃったりしたらこんな日常がくるのかな?

現状人形が孕む、出産するなんて事は聞いたことはない。論文で言われたくらいか?

 

「そうだな、お前との子供が出来たら……そんな風になるのかもな」

 

こっちの様子をちらっと見てクスクスと笑うダーリン。

あーもう、本当に子供がほしいよ……孤児でも引き取ろうかな?

それまではSOPの母親代わりでもしてみようかな?あ、G11とかPKPのお世話もだね……

おっぱいとか与えてみたらちょっと……んん~ちょっと予行練習を……

 

「ねぇ、ダーリン」

「吸わねぇからな?」

 

ちぇっ……いや、夜にまたおねだりしてみたら絶対やってくれる。

 

「夜にな?」

「!……絶対だよ?」




という訳でM4Sopmod2ちゃんのダミーが参戦です。
ダミーって事なら普通に追加できるよねって思考。


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Day130 ざぁざぁ雨

雨ってなんでこんなに気が滅入るんすかね


「なんか冷えるな」

「そうだね、そりゃ雨だもん」

 

D08地区に今日は恵みの雨が降り注いでいた。川の上流では馬鹿みたいに雨が降るけど……

こっちで降るのは一週間に一度あるかないか程度。振っても大体は夜中だ。

では今降り注いでいる雨に対する対策があるか?もちろんあるとも。

S03地区ではないが雨対策のレインコートくらいは常備されている。

勿論今日も出掛けている警備部隊は全員レインコートを装備してから出撃していった。

森林迷彩柄のレインコートというのもまた珍しいけど……これもこういう会社だから見れるものだね。

 

「はい、ダーリン……ホットミルクだよ」

「さんきゅ……いつもより甘いな、はちみつでも入れたのか?」

「え?特に入れてないけど……」

 

どうしたんだろ?と首をかしげるけど……ホットにした関係でそう感じているだけじゃないかな?

人形になってから感じたことはないけど人間だった頃は雨が降ると異様にテンションが下がったんだよなぁ。

低気圧でそのまま機嫌もダウンしちゃう系の人間だった。隣に座ってるダーリンは……

見た感じでは普通にしてるけど手遊びが多いな、集中していない。

ホットミルクを飲みながら首を左右に曲げてからしっくり来てない感じで……

多分だけどダーリンもおんなじように何処か異常を感じる系の人間なのかも。

 

「お昼休みにお昼寝する?」

「なんでまた」

「さっきから落ち着いてないよ、何処か調子が狂ってるんでしょ」

 

指摘するとこれまた渋い顔してるけど頷いている。自覚あるなら隠すなりしようね?

ただダーリンが低気圧で頭痛を起こす系の人間じゃなくて助かったと思う。

こういう書類仕事とかデスクワークで頭痛って結構害悪になるからね。

多分だけどダーリンは関節とかが不快になる感じの人間かも。

 

「あーまぁアレだ。雨が降るといつもなー……」

「気圧の変化や気温の変化で異常が出るんでしょ、わかってるよ」

 

カリカリと書類にペンを入れる音とその隣でデータ整理や収支計算をしているキーボード打鍵音が司令室内部に響く。

雨粒が降り注ぐざぁざぁという音を掻き消すようにただ黙々と仕事に打ち込む。

 

『Five-seveNより定時連絡よ、問題は今の所なし引き続き警備に当たるわ』

「あいよ、雨の中頑張ってもらって悪いな帰ってきたら昼飯と軽いシャワーくらいは楽しんでくれ」

 

ちなみに嫁連中は現在ご飯の用意中です。もう大飯食らいはPKPくらいだけどね。

大人数でお料理してもらったほうが助かるのは助かるし……それに何より……

 

「ダーリン、よだれよだれ」

「はっ……」

 

毎日嫁の美味しいご飯を食べているからかダーリンがこの時間、良い匂いをかぐとだらしない事になる。

それだけ私達のご飯を楽しみにしてくれているのはありがたいことなんだけどね。

 

 

――――――――――――

 

 

今日のお昼は中々に良かった、私が出張る幕が無かったのが残念極まる。

 

「指揮官、だっこして♪」

 

お料理手伝っていた嫁連中に囲まれる形になっているダーリンだけど……

子犬的な雰囲気を醸しているSOPがそんなの関係ないとばかりに先に食べ終わっていたのかダーリンのお膝の上へ。

これには全員にっこり抱っこされたSOPはにっこにこ案外怒るかと思ったお姉ちゃんもにっこり。

膝の上に抱っこされているSOPの頭を撫でているしこれは受け入れられて……

 

「私達の事をママと呼んでもいいのよ?」

 

あっ、ふーん……なるほど、そういう魂胆であったか。私以外の全員がフォークを落としている。

ダーリンもコレにはフォーク落下、何をそんなに驚くかなー……子供っぽい所はあったしそんな目で見てたでしょ?

いや、ダーリンは普通に子犬か部下として見ていただろうけど……

SOPもSOPでコレには小首を傾げているけど……全員の顔とおっぱいを見て最後にダーリンの顔を見て……

 

「じゃあちょっと抱っこして?」

「良いわよ」

 

身長差はそうでもないけど背中に当たるおっぱいの感触が良いのだろうか?

SOPはお姉ちゃんに抱っこされてもかなりご機嫌だ。お姉ちゃんもぎゅっとしてみてたり……

自分のおっぱいをちょっと揉んで……振り返ってからお姉ちゃんのをいったー!?

 

「何、ママのおっぱいが欲しいの?」

「ううん、ただすっごくおっきくて柔らかいなーって!」

 

私の時もそうだったけど楽しそうにお姉ちゃんのおっぱいを好きにしてる。

お姉ちゃんはまだ開発が……いや、元の耐久力もあってからか余裕そう。

他の嫁連中はっと……皆一様に自分のおっぱい確認するように揉んでらっしゃる。

そしてその様子を見て生唾のんでらっしゃる整備班……と主任。

あ、主任はイサカに脇腹摘まれたな、もんどり打って転がり落ちてる。

ただここでおっぱいが欲しいなんて言ったらお姉ちゃんマジでやってたんだろうか?

やってたんだろうなぁと思うとこのお姉ちゃんの暴走が怖いなぁと思う所。

 

「なぁ417はSOPをどう思ってる……?」

「んー?可愛い妹かな?」

「そうか……お前まで子供とか言ったらどうしようかと……」

「でもダーリンの子供欲しいのは間違いないからね?」

 

 

――――――――――――

 

 

「んじゃ、ちょっとの間頼むわ……」

「おまかせあれ♪」

 

やっぱりと言うかダーリンはあんまり調子がよろしくなかった。

昼食後速攻で私室に連れ込まれたと思うと私に甘えるように抱きついてきた。

そしてそのまま押し倒してくると頭をそのままおっぱいに埋めてただ一言眠いと言った。

詰まるところはお昼寝に私のおっぱい枕を堪能したい訳なんだろう。

では私はそれをどう受けるか?決まっていることだ。オールオッケーですとも。

久し振りにも感じるダーリンと二人っきりのベッド、狭くもダーリンの匂いで包まれる感じ……

私もそうだけど何度か眠ったことのあるお姉ちゃんもこのベッドは好きだ。

私は眠るつもりはないけどダーリンはすやすやと満腹からもくる眠気に負けて夢の中……かな?

一応眠る体勢を考えて私が来客対応出来るようにドアの方を向いている。

誰かがダーリンに用事があって来ても私が対応できるわけです。

一応執務室の机には私室に居る旨を書いて居るから誰かが来てもおかしくはない。

私の服装がちょっとアレなんでほぼ裸で抱きしめている様な感じも……

うーん、この昼間からこんな事している背徳感がヤバイ……うん、これは良い……

 

「ダーリ……あら」

「しー……」

 

Mk23が顔を出したけど眠っているのを見てから静かになった。

何か用があったんだろうけどダーリンの寝顔を見てからにっこり。

 

「可愛いわね」

「ね」

 

私のおっぱいに顔を埋めて眠っているダーリンの寝顔を二人してにっこり。

安心しきった少年みたいな感じで眠っているんだもん胸がキュンキュンしてくる。

それからMk23も思うところがあったのかそのまま私とダーリンを挟み込む形で……

そのまま更にお布団まで被せて……ふふん?これからさらに寝るつもり?

 

「お昼寝ならわたくしも混ぜてもらわないと」

 

なお、この後起きたダーリンによって私とMk23どっちも揉みしだかれた。

完全にお元気になったのはいいけど……私とMk23が暫く使い物にならなくなった。

副官業務は暫くわーちゃんが代わりにすることに……こういうのがあるからなぁ……

 

「やっぱり私感じ易すぎ?」

「違うと思うわ……」

 

 

――――――――――――

 

 

で、だけどお昼寝したダーリンはさらに私とMk23のおっぱい分を摂取してからすごい勢いで仕事をさばいた。

復帰した私とMk23も手伝ってから今日のお仕事はかなり早くに終わった。

それでもってからSOPが暇を持て余してから司令室に突撃かましてきたので……

 

「それでねそれでね、血がどばーっと出てきてね!!」

「お、おう……」

 

お話を色々聞いてみたんだけど……鉄血人形との殺り合いの話になって。

SOPの話はとにかく鉄血人形の解体のHowToやらどの部位が綺麗とか……

今もそう、リッパーの解体の話ですごくSOPが盛り上がっている。

ヴィオラが聞いたら卒倒するかゲロっちゃうお話だな。

ダーリンもあんまりグロ耐性がないみたいでそんなにいい表情じゃない。

なおSOPは自分の話に夢中で相手の表情は一切見ていない模様。

 

「もうね、凄く良い悲鳴を上げてくれるんだよ♪」

「ぎゃー!とかじゃなくて?」

「えっとね……こんな声!」

 

とか言ってポケットからボイスレコーダーが出てきた……あーこれは。

 

『ギッ……ギィィィィッ!!?ギァ、ガ……%&%`#U』

 

うわー、スゴイ断末魔が再生されてきた……これはすごい趣味だなぁ。

最後の断末魔は一体何をしたら飛び出た物なのだろうか……逆に気になるな。

 

「最後のはえーっと……確か頭を引っこ抜いた時だっけ?」

「うわー……」

「SOPお前……えっぐいな」

「スゴイでしょー♪」

 

SOP的には虫っコロをいじめるのと感覚的には変わらないんだろうな。

無邪気故の残虐性かぁ……これは兵器としては良いんだろうけど……

メンタルモデルもかなり幼く設定されているっぽいなー……何が原因でトラウマになるかも分からん。

これは扱いに慎重にならないといけない奴だな……案外これは大変だな。

 

「あ、そうだ!指揮官も見たいでしょ!取ってきてあげるね!」

「今は外雨だから行かなくて良いからー!!誰かSOPを止めろぉ!!!」

「了解ぃ!!」

 

SOPダミーはこれ100%善意でやってるからタチが悪い!!

あーんおっぱいが邪魔して機動力がががが……




そして漏れ無くSOPちゃんもトラブルメーカーに化けましたわ。
ヴィオラちゃんは逃げてね♥


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Day131 当たりました

独自解釈を振り回していくぞオラァ!!


なんだろう、凄く酸っぱいものが食べたくなっている。

それになんだろう……朝からずーっとだるい様な感じがして身体が重いというか……

異常か何かと思うけどセルフチェックでは問題なしって出るし念の為に工廠に行ってメンテナンスツールで確認しても問題は無し。

では何だろうか?と思っても全然心当たりが無くてこれが困ったものだ。

メンタル的にもココ最近はずーっと嬉しい事ばかりだしダウンするような事はない。

 

「あー……」

「むぅ……」

 

おんなじようになーんかダル気なのがヴィオラ。他のFALとかは元気にツヤツヤ顔で出ていったんだよね。

私達だけ共通するような変なプレイしたっけ……?いや、普通に愛し合ってたよね?

うーん……プレイ中も何ら変な感じはしてなかったし……普通に気持ちよかったし……

まぁ取り敢えず朝ごはんだ。何事も朝ごはんを食べてからにしないとね。

食べれば何とか元気が出てくるでしょ。もしくは大人しく一度眠るか。

ただ朝から二度寝っていうのは勿体無いのでボツだ。飯だ飯。

ちょうど良いし食欲煽るお酢でも使ってやろうかな……身体にも良いらしいよ。

人形の身体には関係ないんだけどね!でも豊富な調味料があるのは良い事。

 

「今日の朝は何だろうねー」

「何でも良いが……重たいのは勘弁願いたいな」

「そうだね……レモンがあったら良いな」

「みかんでも良い」

 

こういう時はあんまり重いのを食べるとよろしくない傾向にあるからね。

気分的に更に急降下するかもしれないからかる~くで良いんだよね。

最悪私達だけ別の料理を作って食ってるのも良いかも。変な悪影響があるかもしれないから隔離していても良いし。

変な感染症とかに引っ掛かっている?いや、それは無いか人形だし。

あくまで人形は生体部品を大量に使って人間と同じ様なライフサイクルを再現しているだけで……

完全に似せているわけじゃないし病気にはならないし休憩だって本来は必要ない。

代謝機能等はあるけれど態々そんな脆弱性まで再現することは無い。

ともなればますます持って私とヴィオラのこの不調が不可解なんだよなぁ……

 

「お、ラッキー今日の朝はご飯にミソスープ……それにサラダか」

「そうだな……」

 

朝からグロッキーなのは私とヴィオラとメチャクチャ朝に弱いグローザくらいか。

夜中に諜報活動しているみたいで深夜のかなり遅くまでしているっぽい。

マカロフが止めるんだけどコレが聞き入れられることが無く大体いつも朝死んでる。

 

「今朝から調子悪そうね、大丈夫?」

「うーん……ウィルスとかじゃなさそうなんだけどねー……」

「わからん……食えばなんとかなるだろう」

 

サラダにコレでもかとお酢をぶっかける。うーん酸っぱい匂いがたまらん。

 

「そんなに匂わせて……そんな趣味だったかしら?」

「いやね、すっごく酸っぱいのがほしいの」

「同感だ……これでも足りないくらいだ」

「……」

 

お姉ちゃんが怪訝そうな顔で私とヴィオラを見ているけど黙っている。

あんまりにも匂わせているから苦言を言いたいのかな?でもこうでもしないとマジ……

 

「「うまー♪」」

「……あれ、美味しいと思う?」

「わたくしはノーコメントよ」

 

驚異的な酸味が私とヴィオラの食を進めるぜ、ヒャッハー

変に調子悪い感じも吹っ飛んでいきそうだよ。これで後はちょっと調子を見てからまたお仕事だね。

今日のお仕事は何だろうか……廃棄施設の巡回だろうか?それともカチコミ?

 

 

――――――――――――

 

 

「「おぶぉぉぇぇえぇぇええ……」」

 

朝食後るんるん気分でいたらいきなり吐き気を催して二人してトイレに駆け込んでいた。

その一部始終をスプリングフィールドに見られて凄く心配された。

うーん……私もヴィオラも変にメンタルブレイクするような事はしてないけどなぁ……

 

「なんでかなぁ……」

「わからん……特に過去のトラウマを抉られたワケでもないぞ……」

 

二人して首を傾げるけどさっぱり回答が思い浮かばない。食欲はね……

これがあるんだなぁ、まだまだ酸っぱいのが欲しい。凄くなうでな。

酸味の効いた美味しいものって何かあったっけ?うーん……献立を考えよう。

今日は多分だけど私とヴィオラは動いちゃいけないんだと思う。

どんな任務が舞い込んでるかは知らないけどお仕事中にゲロったら大変だし。

それがこの前みたいなキャンペーンガールだったら尚の事大変よ。

カチコミならまだ良いけどね。カバーが効くし最悪張り倒した相手の顔にぶちまければいいし。

 

「まぁ動けるなら戦闘系の任務に就こうか」

「そうだな……私がゲロるのはもう日常茶飯事だしな……」

「慣れていこうね」

「慣れたくはないな……」

 

人殺しに対しての忌避感が強いなぁ。私も忌避感抱えてたけどもう払拭しちゃったし……

割り切れなかったらそのままズブズブと自分の心を病ませるだけなんだけどなぁ。

まぁこの変な人間臭さがヴィオラの良いところだから無くしては欲しくないか。

さてと、二人揃って司令室に行ってから現状を伝えてから指示を貰おう。

 

「聞いたわよ、二人して吐いたそうね?」

「お姉ちゃん……あぁ、まぁそうだね」

「今朝から何処か調子が狂っているしな……心当たりがあるのか?416」

「あるわよ、それこそ人形ではありえない事だけど」

 

お姉ちゃんがこっち見つけてすっ飛んできた。スプリングフィールドから吐いた情報聞いてるっぽいね。

酸っぱいのを求めるのとこのゲロ吐きに心当たりがあるのか……流石お姉ちゃん。

しかし私とヴィオラに何が起こっているのかははっきりと伝えてはくれない。

深刻そうな顔じゃないから活動維持に関わるようなことじゃ無さそうだ。

で、これはなんだろう?スティック?これ何処から仕入れたの?

 

「I.O.Pから順調ならそろそろって言って送りつけてきたわよ……アンタ達また変な実験に付き合ってるでしょ?」

 

これには二人揃って目を瞬かせる……はて?

 

 

――――――――――――

 

 

「「陽性……」」

「まさかのまさかね……」

「これ何?」

「妊娠検査薬よ……」

 

ほへ?妊娠検査薬……にんしん?ようせい?あ、あの実験薬マジで利いてたんだね。

へぇー後天的に人形の身体に卵巣をこさえるナノマシンって本当に……

 

「「うぇ?」」

「だから、アンタ達子供を身籠ってるのよ……というかまた大騒ぎよ……」

 

子供?べいびぃ?わーおおめでたー……え?私マジで妊娠しちゃってるの?

夢か?これは夢なのだろうか?いや、ほっぺたを抓ってもガチビンタを自分に食らわせても全然醒めんぞ。

 

「あの時のアレで身籠ったのは流れたし……主人のだよな……」

「ダーリンの赤ちゃん……うへ、うへへへへへ……」

 

私は間違いなくダーリン以外と肌を重ねたことは無い。出してもらったこともない。

つまりダーリンとの子供で間違いない訳ですよ、うへ……うへへへ……

あれ?お姉ちゃんは何処へ行った?ははーん?さてはI.O.Pにアレを強請ってるかな?

人類今減少傾向だし非生産的と言われる人形との婚姻も増えているし……

この臨床実験が成功になればそれこそI.O.Pの独壇場ってなるわけで……

やっぱまだテストの母数は欲しいかもしれないし……ワンチャンあるかな?

 

「とりあえずダーリンに報告だね♪」

「ん……そうだな、産んでいいかも聞かねばな……」

「いや、そこは産もうよ。愛した人との宝だよ?」

 

ねっ♪と言ってから弱気なヴィオラの肩を叩く。過去に何があったかは詳しく話しては貰ってないけど。

が、しかし……ヴィオラの表情は晴れない。よっぽどつらい過去があるのだろうか。

キャンペーンガール中も男の好機の目線や好色の目にかなり嫌悪感を感じていたみたいだし……

最初ダーリンに抱かれる時も半分泣き叫んでいたような……まさかなぁ……

この異様なまでの男性との接触恐怖症というかなんというか……"お楽しみ"していた連中に向けていた憎悪……

導き出される答えというか……予想は女の尊厳を踏みにじる行為だな……

 

「少なくともここ一ヶ月ちょっとはダーリンとしか寝てないでしょ?」

「まぁ……そうだな……」

「ならダーリンとの子で間違いないでしょ、子供ってそんなに簡単に出来上がるもんじゃないんだよ?」

「……そうだな……あぁ、だからあの時は流れたのか」

 

 

――――――――――――

 

 

「にん……しん……?」

「大マジよ、ついにI.O.Pがやりやがったのよ」

「はい、ダーリンのクリティカル判定♪」

「うわ、マジかよ……え、じゃあ俺……パパになるのか?」

「そうなるな……ついでに、私もだ」

 

妊娠検査薬の陽性を見せつけるとダーリンも執務が完全に止まる。

追い打ちのヴィオラからの提示もあって更にフリーズ。思考が追いついてないな。

 

「その……私の子供だが、主人との間の子とは限らん」

「え?」

「黙っていたが……私は過去に性的暴行を受けている……I.O.Pの差金でな」

 

一気に執務室内の温度が凍てついていくのが肌で感じる。

このカミングアウトには私もお姉ちゃんもダーリンも固まってから……ふつふつと怒りが湧いてくる。

 

「………関係ないな。お前の子なら俺の子供に違いない。そんなに疑うんならもう一人拵えてやるから覚悟しろ。ついでに416、諜報班を呼んでこい、I.O.Pの腹の中を漁るぞ」

「正気?流石に出来たての諜報部隊で勝負を仕掛けるのは」

「じゃあウチの嫁にやらかした連中をほったらかしにしろって言うのか?」

「そうは言わないけれど少し冷静になりなさい、頭に血が登って冷静さを欠いたら勝てるものも勝てないわ」

 

うーん……おめでたい雰囲気から一変したけどダーリンは誰との子であっても自分の子に間違いないと育てるんだろう。

雇い主とも言えるI.O.Pに喧嘩を売るような行為も辞さないか……

 

「で、では……私は、この子を産んでも……」

「ったりめぇだろうが、むしろ良くやった……元気な子を産んでくれよ」

「う……ぁ……あぁぁ……」

 

ボロボロと大粒の涙をこぼしながらヴィオラの嗚咽が続く。

 

「SOPダミーのデータからサルベージした研究員から漁っていけるかも知れないわ、続報をまっていて頂戴」

「なんでも良い、下手人を見つけたらとにかく殺せ」

「了解よ、マイダーリン」

 

そうして私とヴィオラの妊娠騒動から大規模なI.O.Pへのカチコミ作戦が勃発しようとしていた。

SOPダミーに紐付いているとなるとI.O.Pでも特別な権限を持つ16Labって部署じゃないかな?

味方につけれたら心強いだろうけど……




はい、という訳で人形でも後天的にカプセル等で人工卵子を生成するってヤツ。
ヴィオラはヴィオラの外観から設計されるDNAデータを
417は417のDNAデータをねじ込んで卵子に落とし込むってヤツ。
そして忠実に再現された子宮の中で受精卵を育んで子供をつくりゅの。


???「あぁ、あのクソ外道な実験した連中?私の権限で更迭中だから居場所も全部リークできるし警備も無効化できるよ?」


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Day132 外道死すべし

グロ注意かも


「コンタクトが取れたわ、繋がるわよ」

「私達の仕事だったのに……」

 

諜報班より諜報活動している姉がいるらしい。でも今回のはスゴイファインプレー。

 

『ハロー、やぁやぁあの外道をしてくれたヤツを消したいんだってね?』

「……ペルシカ」

『ヴィオラ……あーいや、私は何も言い訳はしないわ、恨みたかったら恨んで』

「フン……」

 

あえて憎まれ役を買って出ている感じがするな。こういう人の目はそうだ。

ただ恐ろしく思うのは人間に対して……ダーリンに対してはえらく無感情な所か。

 

『いやーウチの中身も大分腐ってきてるから悪い根は取り除いておきたいの』

「そういや……ユノちゃん襲撃に関与しているのも……」

『そうだね、嘆かわしい事にウチの一部が暴走していたらしいわ……納得の最期を迎えたから良いけど』

「で、件のヴィオラを物として使ったヤツの居場所は何処だ」

『せっつくねぇ……しかし人形をそんなに大事に思うのも中々に狂っていると思うわね』

「こんなに感情を揺れ動かして物事に喜び、怒り、嘆き、楽しむのがただの機械だと思うか?」

『思うとも、そう作ったんだからね』

「いけ好かねぇヤツだな、捻くれ者とも言うか」

『どう思うもお好きにどうぞ、そう思うならそうなんだろうね』

「御託はいい、情報を渡せ」

『はいはい、アイツ等は更迭されて……喜ぶと良い、D08地区の高級住宅地に居るの』

 

地図情報がホログラムとして浮かび上がる。間違いない、見慣れたD08地区の地図だ。

その中でも馴染みの無い高級住宅地の一等地の奥の奥、持ち主はI.O.Pになっている屋敷だ。

一等地という事もあってその護りは厳重ではあるが警備隊はもちろんの事我々G&Kの物。

治安維持部隊とはまた別な警備部隊が結成されている。命令権や介入権限は持ち合わせていない。

前線基地は前線基地、治安維持は治安維持で権限系統は異なってくる。

殺るにしても潜入してからその中で殺るか拉致るか。でも今回はちょっと異なる。

提携先、それも頭脳に当たるI.O.Pの16Labの命令ともなれば従わざる得ない。

 

「イライラする……赤ん坊に悪いから私は離れで休んでいる……」

 

ヴィオラはよっぽどI.O.P本社の連中に恨みを抱えているんだろうペルシカと呼んだ研究員を一瞥して……

少し複雑そうな表情を浮かべた後出ていった。

 

『うん、恨まれて当然ね……』

 

それに対してのペルシカ女史の表情は始めて悲しそうな何処か諦めた物になっていた。

 

『こっちで根回ししておくから後はそっちで好きに調理してあげて頂戴、悪い事してあげなさい』

「グローザ、DSR、PPK」

「「「はっ」」」

「生かしてココに連れてこい、手足はどうでもいい。ヴィオラに対しての罪を確認してから断罪を下す」

「マカロフとP7はとっておきのおもてなし方法を見つけてこい」

「「了解」」

 

 

――――――――――――

 

 

身重な私は司令室でお留守番、実働部隊として出ていったのは潜入に特化したグローザ、PPK……UMP姉妹にお姉ちゃん。

外部バックアップでDSRがサプレッサーを装備して闇夜に紛れて近くの空き家から狙撃の構え。

通信アンプを内蔵したハンヴィーで出掛けていった部隊は途中の衛兵に止められたが所属コードを言い渡すと静かに黙認された。

周りの人払いは済まされていて通信ネットワーク、電源等の掌握に必要な設備の位置まで教えられている。

上空から全体を映すドローンとネットワーク共有で映し出される各人形の視点が映し出される。

並行して地図データも更新されていっているから指揮システムというのはかなり優秀だ。

ただこれをすべて把握した上で適切な指揮を執らないといけないから大変なんだ。

今は私や副官のサポートが入るけどね。ヴィオラは離れで療養中。

 

『こちらグローザ、PARANOIA、作戦行動に入る、指揮官指示を』

「まずは通信設備を掌握しろ、奴らの望みを断て」

『Copy』

 

マップから判明している出入り口から侵入するのではなく……人形のスペックを活かしての壁超えです。

この住宅街の各家の護りを堅牢にしている高い高い壁だ。

しかしその高さとねずみ返しに胡座をかいていて電流や有刺鉄線等は無い。

外観を損なうからだと言ってから着けてないんだって、人形が守っているし大丈夫だろうって事だろうな。

でも一応の為に通信設備はきっちり着けているのは癪に障ること。

 

「保身ばっかりはいっちょ前だね」

「そういうもんだ、だからこそ落とし前をつけさせてから殺す」

「ダーリン怒ると容赦ないわね、そんな所も素敵よ」

 

副官であるMk23が語る、私は知らないけどダーリンは昔からこうやって怒ると容赦なく叩き潰すらしい。

D08地区にちょっかいを出してきたD07地区の指揮官も直接殴り倒したと言う。

言って聞かないなら痛みで教えるしか無いって言うのがダーリンの言だけど……

 

映像が映し出されるモニターでは45姉が足掛かりになって次々に屋敷内へと送り込む。

最期に9姉が壁の上に乗ってから45姉を引き上げて全員潜入。

幸いセンサー類は撒かれていないし警備についている人形達はこの付近には来ない。

設備各種は基本的には室内に収められている。通信設備や電源も基本的には地下だ。

地下へとエントリー方法は限られていて室内からしか行けない。

流石に室内の様子は直接伺うしか無くリスキーになる。

不法侵入用のアラームが設置されているのがまた面倒くさい。

 

「45、ハッキングは可能か?」

『これくらいは余裕よ』

 

が、しかしこちらに電子戦モデルの流れを組んでいる人形が居たら話は別だ。

それにペルシカの手によりセキュリティコードもすべて割られているような物だ。

こうもなれば後は静かに侵入してターゲットである研究員とそれを承諾した役員を拉致してくればいい。

だがまずは万が一の為に通信設備の破壊工作だ。こればかりはどうにもならない。

 

『……クリア、潜入します』

 

最短ルートになる窓からクリアリングして一人一人侵入していく。

一応雇われと思われる警備らしき人間が複数確認されている。

可能な限りは戦闘を避けるが……もしも邪魔になるのであれば当然ながら……

 

『一人排除、地下室前に陣取っていたわ』

「死体は地下に放り込んでこい」

『Copy』

 

グローザが確認するなり頭に鉛弾を叩き込んでから殺害した。

大事な施設が入っている地下室の護りを固めていたんだろうが一歩も動くことがなかった。

そこで躊躇いなく脳天に叩き込んだんだろう、事後報告だがダーリンは良しとした。

9姉が即座に抱えると地下室へと降りていく。中はそう広くはなく薄暗い。

配電盤と非常用発電機、そして大規模な通信設備の本体がココにあった。

本体の電源を引き抜いてこれで子機から広域通信等は送信不可となる。

他に電話線などはまた別になるが……固定電話を今時使う物好きは居ない。

そもそもD08地区で契約している固定電話なんて言ったら企業くらいだ。

 

「よし、全員暗視ゴーグルを用意しろ」

『聞いたわね、全員暗視ゴーグル用意』

 

各人形の視点モニターが薄暗い緑の物に切り替わる、全員装着完了したと見える。

 

「では一階はグローザ、416で無力化しろ。二階にはUMP姉妹とPPKで残らず無力化しろターゲットは必ず確保して戻ってこい」

『Copy』

「電源を落とせ、狩りの時間だ」

 

主電源が落とされ屋敷は暗闇に包まれるいきなりのことに警備は狼狽える。

そんな乱れた警備体勢を尻目に暗闇の中行動は続く。

残念な事にターゲットは一階には居なく二階の奥の奥の寝室に居た。

 

「ケッあんなクソ企業の警備なんか頼むからだよ」

「あの警備員達知ってるの?」

「知ってるも何も俺の古巣だよ、人形を酷使するだけしてメンテナンスを全くしないしエネルギーもケチるクソ企業だよ」

 

 

――――――――――――

 

 

無事ターゲットを確保した部隊はD08基地に帰還してきた。

なんと五体満足で確保して持って帰ってきたこれは良いけど……

でも、これから殺すからどうでもいいけど。

……で、マカロフとP7が見つけてきた拷問方法なんだが……まぁそれよりも先に

 

「水を持ってこい」

 

気絶させたまま運んできた研究員と役員はきっちり後ろ手に縛り上げられて居る。

ほぼ使われることの無い営倉にぶち込まれたそんな二人を囲むように私達が並ぶ。

いつまでも気絶されたままだと意味がないので……バケツいっぱいの水をぶっかける。

 

「うぶぅぉ!?……な、何だここは……」

「ぐむぅっ……」

「よぉ、寝覚めはどうだ?ゴミムシ共」

 

床に寝かされている二人そろって目が覚めるが状況を理解できかねている様子だ。

 

「お前はG&Kの指揮官……貴様、私を誰だと思っているのかね?早く開放したまえ」

「……異常個体か、素晴らしいな。実験のモルモットではないか」

 

私を見つけた研究員は迷うこと無く実験の事を考え出したようだ。

自分がどんな状況に置かれているのかはさておいて真っ先に研究のことを……!?

 

「一つ確認良いか?それが終われば開放するからよ」

「早くしろ、私の貴重な時間が無くなるではないか」

「お前ら鹵獲した鉄血のハイエンドで実験してたか?」

「何のことかと思えば…無論するに決まっている、物をどう扱おうがそれから産出されるものがどうであれそれは自由であろう?」

「オーケィ分かった……じゃあ、コイツにも見覚えはあるな?」

 

そう言って見せたのはヴィオラの顔写真でそれを見た研究員は……

 

「あぁ人工受胎のモルモットの孕み人形ですか、惜しい材料でし」

 

ソコから先の言葉は続かなかった、ダーリンが渾身の力で蹴り飛ばしたからだ。

 

「ぁが……!?」

「良い事教えてやるよ、俺は自分の大事なヤツにヒデェ事されるのがすんげぇ嫌いなんだわ」

「ほへがはひほ……ペッペッ……!!」

 

口内を切り歯を折ったのか血反吐の中に白い物が混ざっている。

 

「もう一つ、お前がモルモットって言ったの俺の大事な嫁なんだよ」

「人形を嫁だと?バカバカしい……あんなもの機械のかたばべふぇぉああ!?」

「汚い口を開くんじゃねぇよ、誰が許可したクソデブ……よーし、分かった分かった……お前らの処遇について通達する」

『ハロー、おや、酷い有様ね……元々酷いことしたから更迭されたんだけど……ま、君たち二人は死亡扱いだから、記録も抹消済みだから安心して逝ってね』

「「へるひはふひん!?」」

「なぁ……凌遅刑って知ってるか……?昔あった中国って国のやつなんだけどよ……」

「ダーリン!?それは……!」

 

ヤバイ拷問の上それは死刑とも言える奴だ!

簡単に言えば手足の先から少しずつ肉を削ぎ落としていく物だ。

 

「お前らにはこの世の最も辛い痛みをもって俺の嫁への贖罪とさせる……長くなるからよぉ……来世に期待して絶望しな。お前ら、コイツの肩と股関節をへし折れ」

 

取り囲んでいたヴィオラ除く嫁連合による全力のストンプで関節を粉砕。

耳につく悲鳴がするけど……まぁそれは良いよ暫くうるさくなるだろうなぁ。

 

「じゃ、後は……」

「「「「お任せを」」」」

 

冷徹なロシア人形組が丁寧にスライスしていったとさ。




ま、発狂物よね。
でも良いじゃん処刑するのが美人のボインちゃんやぞ


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番外 D08地区のカフェ

母の日だしなー


私の朝は早い、毎朝早く起きては朝食を作らなければならない。

それも一食だけでは済まない、私達家族はかなりの大家族。

家族全員で換算すると……何人に膨れ上がるかって?それはもう桁が違うわ。

そもそもだけど重婚だからね、最初の結婚式で9人だもんな。

 

「ふぁぁぁぁ……おはよう」

「おはよう、ダーリン」

 

朝からお仕事に向かう私の夫、ディーノ・タカマチが寝室から降りてきた。

鉄血とのゴタゴタが落ち着いた最近ではG&Kのお仕事もちょっと落ち着けてから……

前線基地から身を引いて内地でカフェG&Kの運営と治安維持の方に移った。

ちょっと稼ぎは……いや、カフェの方がかなり盛況だから今のほうが良いかな?

 

「おはよー……ママ……パパ……」

「おはよ、ネーナ」

 

ネーナとは私とダーリンの間に産まれた子供でこの世界における最初の人間と人形との間の子である。

もう小学生もなって初潮も来た健康そのものな女の子だ。

私の遺伝子を強く引いているのか見た目はそれはもう可愛いものだ。

学校のマドンナ的な存在になっているんだ。おまけに小学生とは思えないとんでもないナイスバディだ。

ダーリンの遺伝子がいい具合にマッチしてから背丈はもう私より大きい……

母親としてはすごく微妙な所だけど娘の方がもっといい女になるのは良いね。

ちなみに私が作っているのはダーリンと娘のネーナの分と……

 

「あら、おはようシーナ、手伝うわ」

「ん、おはようフローラ」

 

嫁の一人が起きてきた、FAL……カフェの看板娘の一人だ。

戦術人形だった頃だったらFALって言い合っていたけどカフェで働き出した時から人間名を呼びあっている。

という訳で家庭内でも普通に人間名で呼び合っている。

もう私達は人間に紛れて生活を送っている、もう銃を握ることはよっぽどのことがない限りは無い。

たまーに犯罪者がドンパチしてると駆り出されるけどね。

 

「はい、ダーリンとネーナは先に食べてて、ママはまだ他の子のご飯を作るから」

「おーう……シーナおっぱい……」

「もう朝飲んだでしょ!」

「ママ、私にもおっぱーい……」

「いい加減乳離して?」

 

もそもそとテーブルについたダーリンと我が娘はそろって私のおっぱいをせがむ。

そう、この娘は私のおっぱいをまだ飲みたがるのだ。ダーリンの血強い。

この子3歳になっても平気な顔しておっぱいちゅっちゅしてたしなぁ……どうしてこうなったんだろう。

ちなみにお昼寝してると大体吸われている、気持ち良くて目が覚めちゃうんだよね。

 

「ソフィアはまだおねんね?」

「まだ呑気に寝ているわ」

 

ソフィアはFALの子供でネーナに遅れて一ヶ月……つまり私がつわりでゲロった翌日には仕込まれてた子だ。

亜麻色の髪の乙女というのが似合う美少女だ。この子もまた小学生離れしたナイスバディ。

朝早いのは私とFALと……あとはお姉ちゃんくらいか?

ヴィオラとかは案外朝が遅いからね、平成の時からずーっとそうだったらしい。

 

「おはよう、今日も良い朝ね」

「お姉ちゃん、おはよ♪」

 

さぁ朝はこれからです、お料理が終わったら次はお寝ぼけな嫁仲間を起こさなくちゃ。

 

 

 

カフェG&K、D08支店。それが私と嫁仲間が働くお店だ。

美人の店員と美味しい自家栽培コーヒーとスイーツ各種が自慢のお店だ。

さらに軽食、ランチ等も対応していてからお客の入りはかなりあるよ。

今日も元気に開店と同時に固定客の皆さんが押し寄せてくる。

 

「いらっしゃいませ、カフェG&Kへ♪」

 

従業員は多く身内で固まっているから気安いし統率も何も家族だしね。

案内は近くに居たウェイトレスがやって……お料理は全員できるし……

オーダーに合わせて交代していく感じだ。

大体はスプリングフィールドが居たらどうとでもなるんだけどね。

今はモーニングタイム、お仕事に行く前のサラリーマンや打ち合わせをする感じの人達……

お勉強に勤しむ学生等が多い。大学も近くにあって利用客層は幅広い。

 

「モーニングセット、シーナさんのアイスで」

「はい、かしこまりました」

 

メニューはG&Kから言われている物もあるけど結構自由が効く。

そこでここD08支店では特別アイスなんかを作っていたりする。

シーナのアイスとは私手作りのアイスである。かなり甘みが強くてミルクの風味があるのが良いんだって。

他にも作っているのはミルクプリンにミルクレープ、ショートケーキなど。

基本的に私の担当はデザート類になる。

勿論他にも作るものはあるけどモーニング時間帯だとまず無い。

 

「はい、おまちどうさまです」

 

モーニングセットの内訳はコーヒーとマフィンバーガーだ。

毎朝早くから来たら焼き立てマフィンとカリカリで肉厚なベーコンが美味しい物が食べれる。

そしてデザートにショーケースに並んでいる物から一つ選べば贅沢な朝だ。

頭の栄養補給に訪れる人も多いし……今日も大賑わいな予感だ。

 

「すいませーん、注文をお願いします」

「はい只今おうかがいしますー!」

 

 

――――――――――――

 

 

慌ただしく過ぎていくモーニングタイムは過ぎ去ってアレだけ騒がしかったカフェの中は静まり返る。

この時間を狙ってくる客も居たりする、静かな時間が好きなんだろうね。

 

「ん?なんだろう……あら、あの子ったら」

 

私譲りの銀髪をポニーテールにして学校に行っている娘からのダイレクトメッセージだ。

携帯端末を開いて見てみるとそこにあったのは学校の花壇で育てていた花だろう物と……

「いつもありがとう」と書かれたメッセージカードと満面の笑みの写真が送りつけられていた。

ん?後もう一つのメッセージはなんだろ……

お昼にお店に行くからおっぱい飲ませて?あーもう……あの子はー……

 

「ねぇ皆、子供からメッセージ来てない?」

「来てますね……ふふ、そう言えば今日は母の日らしいです」

「なるほど……だからいつも恥ずかしがってDMなんかしないあの子が送ってきたのね」

 

D08基地に居た時と全く変わらない私達だけど皆お母さんになっていた。

スプリングフィールドは一男一女をもうけているしお姉ちゃんは双子ちゃんを授かっている。

ヴィオラはかなり欲張っておねだりし続けて今も妊娠してたりする。

アイツコレで三児の母だよ……ただ特筆すべきは女の子が多いことだね。

男児を産んでいるのは片手で数える程だ。

みんなそれぞれに娘、息子からのメッセージにニッコニコですよ。

 

「ウッ……ごめん、ちょっとお手洗い……」

 

うーんこみ上げるこの吐き気……いや、まさかなぁ……

妊娠チェッカープログラムちょっと動かすか……そう言えばゴムが不良品だった時があったような……

いくら稼ぎがあるからってここで私も妊娠とかしたらまーた家計が……

というか我慢している連中の抑えが効かなくなるぅ!

 

無事に吐いた上に妊娠チェッカーではおめでとうございますと通知がポップアップした。

あーあ、当たっちゃってるよ……

 

「もしもし、ダーリン?」

『ん?シーナか、珍しいな……お前が仕事中に電話かけてくるなんて。寂しくなったのか?』

「それはいつもだけど……聞いて、私の第二子がめでたくお腹に宿りました」

『マジ……?ってことは……』

「また子育てが大変になるからちゃーんと稼いでね、パパ♪」

『…………いぃぃぃょぉぉぉぉぉぉっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 

電話置いて駆け出したな……御年40のダーリンだけどまだまだ若い活力に溢れてるなぁ……

さてと……まだまだ動けるうちは頑張って働こうじゃありませんか。

 

「ママー!!」

「ネーナッ!?あ、ちょっとここでやったら……いやぁぁぁん!!」

「お、お、ロリ巨乳親子の公開授乳か!?」

「なにっ!?」

 

カフェG&Kは今日も今日とて騒がしくなっていくのでした




はい、という訳で12年後のこのメンバーです


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Day133 準備期間

さてなー……どこまで続けてられるか……


さて、人工受精卵というのが中々の曲者みたいなんだ。

先日コンタクトを取ったペルシカが言うには天然の受精卵に比べて生育が早いらしい。

普通つわりでゲロっちゃうのも本当は一ヶ月ちょっとではなく……一ヶ月と半月は必要らしい。

計画では10ヶ月かかるのを6ヶ月までに縮めて人口の増加に役立てようという話だ。

生理などは無く性的な絶頂をキーに生成していくみたいだからなぁ……

最悪性的暴行で望まない子供を孕む可能性も否定できないらしい……

まだまだ実験段階なのでこれらの機能を落とす事は現状無理があるらしい。

いや、ペルシカ自身が手を出せば簡単に行くんだろうけど別件で手が離せないらしい。

 

「じゃあ妊娠二ヶ月から結構お腹が出てきちゃうのかな?」

「わからん……」

 

一応ながら各種健康に生育するのに必要な養分を凝縮したカプセルが送りつけられていた。

食事だけでOKかはまた別な人工子宮で試すにして私達はそのまま死産させてはいかん……とこんなのが支給されることに。

いわゆる暫定的な対処になるんだって。しかし私達に流れているのは疑似血液だしなぁ……

生育に際しての悪影響とかは無かったりするんだろうか?

骨髄から生まれる血液のメカニズムも解析されて人工的に作られるようになったんだっけか?

いや、死刑囚を半分奴隷みたいにして血液採取しまくってるんだっけか?

その辺は暗い話だから覚えてないなぁ……I.O.Pからの明言は避けられているし。

つまるところは話す気は無いってことでしょ。じゃあ私達が聞いても無理があるって事だな。

 

「しかしダーリンに出撃厳禁と言われちゃったね」

「それは仕方ない、何があって私達の身に危機が訪れるかわからん」

 

そう、私とヴィオラは半年ほどの出撃禁止令を食らったのですよ。

まだまだ臨床実験段階だった人形の子作りだったけど……これは近いうちにリリースされるでしょ。

しかしまぁ私とヴィオラの妊娠騒動というのは諜報部曰く……広く知れ渡っているらしい。

人間にまた一歩近づいた人形達……それをよく思う人もいれば悪く思う人間も居る。

人類人権団体だっけか?あれがまた大騒ぎを始めようと動いているらしい。

 

「しかしどうやって暇を潰すか……」

「おやすみならお外に遊びに行くとかも良いかもね」

「そうだな……お腹の子に色んな物を聞かせたいな」

 

育児に際して何が良いのか悪いのかは私もヴィオラも初心者も初心者。

何が起こるか……出産に際してどんな事を覚悟しなくちゃいけないとかもわからない。

どんな身体の変化が起こっていってどんな事が正常なのかもわからない。

それこそ育児本とか欲しいよね!絶対後にも妊婦続出するでしょ?

私達が妊娠騒ぎになって他の人形が黙ってるわけ無いじゃん。

 

「ベビー服……」

「いや、ベビーカーとかも必要じゃない?」

「子供用のベッドも必要になってくるな」

「そもそもだけど……基地で育てられるかな……?」

「うーむ……」

 

そう、基地で出産はまだ救護室があるからできない事もないだろうけど……

では産んだ後の事を考えると今から色々用意しておきたいよね。

各種消耗品は大量に要るだろうしベビー用品って結構するんだよね。

 

「今日買いに出かけるか?」

「あー……それも良いね、ダーリンを捕まえていろいろ見て回る?」

「主人と一緒か……良いな、うむ」

 

これにはヴィオラもにっこり。さて、ダーリンをとっ捕まえてからお出かけだ。

いつもこの時間だったら……ガレージに居るな。シャッターの開閉音はないから……

うん、鍵も掛かっているしとなると居る場所は……ガレージ横のベンチ!

 

「やっぱり居たー♪」

「うおっ!?」

「主人、いつもここなのだな……隣に失礼するぞ」

 

私が飛びついてからヴィオラが隣を押さえる。まだまだ妊娠一ヶ月だから元気いっぱいです。

何か電話してる感じだったけどもしかして邪魔した感じ?

 

「あ?あーいや、嫁だよ嫁。言ったじゃねーか……そうだよ、俺には勿体無いくらいの嫁だよ」

 

こっちに向かって指を立ててきたから静かにして欲しいんだろうな。

スピーカーから微妙に聞こえてくるのはどうにも女性っぽい声だけど……

結構年齢が行ってそうな感じの声だ。かなり親しい感じだけど親とかかな?

 

「しきかーん!抱っこー♪」

「げぇっSOP!?どわぁっ!!」

「あーあ……携帯落としちゃってるよ……」

「ん?スピーカー?」

「ディーノ?さっきから姦しいじゃない、そろそろママにお嫁さん達を紹介してくれてもいいじゃない?」

「「「ママ?」」」

「……フゥー……ベアトリーチェ・タカマチ、旧姓ベアトリーチェ・パヴァン……俺のおふくろだよ」

「「お義母様!?」」

「むふー♪」

 

なお、その後お母様との交流はひとまず置いておいて……連絡先だけ交換した。

その間ずーっとSOPはダーリンの膝の上でご満悦だった。

 

 

――――――――――――

 

 

ご両親には結婚の事を伝えていたらしいけど……その後あんまり喋ってなかったらしい。

口を開けばとにかく嫁に会わせて頂戴!ってせがんでくるし孫は期待していいの?とか……

人形との結婚となればどんな事になるか……と分かったものではなく黙っていたんだって。

でもまぁ今回のちょっと話した感じでは拒絶されている感じではなく……むしろ歓迎されていた。

じゃあ孫は無理かと諦め半分で言った所で実は……と私とヴィオラの妊娠報告。

お母様はひっくり返ってその物音にびっくりしたんだろうお父様まで来ててんやわんや。

とりあえず明日にテレビ通話で顔合わせして来週には安全圏からD08地区に移ってくるとか……

いや、フットワーク軽いな……聞けばご両親そろってトレーラーハウスに住んでいて早期退職組なんだって。

趣味で始めていたカフェがヒットしていて生活には困ってないそうだ。

むしろベビー用品を送りつけるつもりらしい……いやいやいや……

 

「で、急遽ベビー用品を見に来たんだね」

「そもそもお前たちが誘ったんだろ……」

「そうでもあるが……」

 

人で賑わうショッピングモールにやって来てそれこそベビー用品店に入る。

色んな物が並んでいるけれどどれがどれだか……兄さんに聞いてみたら少しはわかったものなのだろうか?

 

「いらっしゃいませ……何かお探しですか?」

「ん、あぁ……いや、嫁につわりが来てベビー用品を見に来たんですよ」

「まぁ、おめでとうございます……第二子でしょうか?」

 

ムカッ……私ちっこいけど普通にこのダイナマイトボディが目に入らんのか!

あからさまに私の方を見て大きなお子様ですねと言いやがって……

こんのペチャパイ店員……

 

「これでも成人済みですし私も妊娠一ヶ月の妊婦ですけどぉ?」

「え……?」

「なんなら今ココで母乳搾って見せてやろうか」

「シーナストップ!」

「ダーリン止めないで!私は立派に大人なんだってこのペチャパイに見せなくちゃいけないんだ!!」

「……とにかく商品を案内してもらうぞ、良いな?」

「んがぁぁぁぁ!!!」

 

普通にダーリンにストップをかけられて羽交い締めにされる。

怪我はさせたくないしセーブして暴れるけど振りほどけ無い。

その間ぶるんぶるんと揺れて道行く野郎の視線を集めたのは言うまでもない。

なおペチャパイと言ったことに私は謝るつもりは一切ない。

 

 

――――――――――――

 

 

「とりあえずだが自前で作れそうなものは作っておこうじゃないか」

「時間はたっぷりあるしねー」

 

一悶着はあったけど普通にあの後見て回るだけ見て回った。

主にベビー用の衣服と靴を見て回っていた。生後何ヶ月に着せろとか書いてあったけど……

すぐに大きくなっていくからそこは様子を見てかな?とりあえず私は育児本を購入した。

そしてヴィオラは裁縫入門である。お料理入門したばかりだけどね。

早速だけど試作でよだれかけを縫うことに。簡単な小物から作っていこう。

ベビーベッドは流石に私達妊婦が作るのは問題があるとしてストップがかかる。

他にそういうDIY的な工作が出来る人形は……この基地には居ない。

整備班の連中にさせればいい?アイツ等だって暇を持て余しているわけではないのだ。

 

「ついでにダーリンの夏用の半袖とか作る?」

「良いな、そうだ……良いものがあるぞ」

「ほうほう?」

「着流しだ」

 

イメージデータが送りつけられた。なんだこの……ヤーパンの伝統衣装か。

紺色のカラーが涼し気だし良いね良いね。コレを縫い上げろか……

 

「これ生地は何?」

「麻だな」

 

聞き慣れない素材名だしこの付近では手に入らないかもしれないなぁ。

聞くと肌触りが固く独特だけれど涼しくて暑くなっていくこれからの季節に良いとのこと。

最悪それに近い合成繊維を使うしか無いかな?要するに風通しが良ければいいんでしょ?

 

「しかし今から私達は妊婦なんだが……」

「そうだね」

「主人との水遊びが望めんな……」

「はっ!?」

 

ずがんっ……と後頭部をぶん殴られるくらいのショックが走る。

あのワイワイギャーギャー言いながら買った水着で囲っている中に私達が……居ない?

そ、それは許されざる事だぁー!なんたることか……これは盲点だったぞ……

 

「よし、露天風呂の中身を水風呂にして……」

「赤子に良くないかもしれんからやめような?」




案外続けてるかもしれないけどね。

しかしまぁ言っちゃえば417もヴィオラも完全にこれ貴重なデータサンプルよね。
色んな所から狙われそ……


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Day134 D-Custom

まぁこうなるな


今日はウチで預かっていたSOPⅡの戦闘能力を単独で発揮できるように後付の演算装置を取り付けるようだ。

一応ながら16Lab謹製の物で他に出回ることはありえないものだろうね。

これで本体同レベルに戦闘を自律でやれるようになるってわけだ。

残念ながらAIは簡易量産型だから本体と全く同じとはいかないわけだ。

かなり特殊なAIを搭載しているらしくAR小隊と言われているネームドはバックアップが効かないらしい。

私と同じだな。破壊されればそこでジ・エンド。人形だけど人間と同じ様なクソゲーをさせられている。

45姉や9姉、G11とお姉ちゃん……さらに言えば私のオリジナルである416のオリジナルも替えが効かないらしい。

どこに所属していてどんな事をしているかは全くもっての不明なんだけどね。

現在のところ計画は無いが量産型AR小隊人形の先駆け的な存在になるわけだ。

これまた他のダミーとは区別化を図るために手が加えられるらしい。

あとついでに……ともう一体ほど実験的にダミーを寄越すらしい。

簡易AIであるダミーに後付の演算装置を取り付けてマインドマップを与え……

どんな風に成長していくかを観察するみたいだ。

そう言えばS09地区に配属されていたバイク乗り仲間でもあるウィンチェスターM1887も16Lab製だっけか。

いや違うっけ?どうだったっけか……でも鉄血側の技術を取り入れているのは確かだっけ。

 

「暫定的にSOPⅡと呼ぶが正式名称はM4SOPMODⅡD/Customになるらしい」

「ちょうどウチの地区名と同じだから良いのかもね」

「何かの縁を感じるな」

 

現在工廠内部でSOPの改造が行われている……しかし、メカマンは立ち寄れていない。

なんとI.O.Pの16Labの息がかかったメンバーが押し寄せてきたのだ。

そして速攻で強権使って締め出したかと思えばSOPの改造を始めた。

流石にこれはどうしたものかと思ったけどペルシカが通信を叩きつけてきた。

 

『すまないけどあの子は特別でね、所謂企業秘密なの』

 

I.O.Pとしても中々外に見せたくない極秘の物なんだろうか?

しかしダミーなら破棄される物もあるしそれはどうなのか……いや、今回取り付けるものが特殊なのかも。

という事で今は皆暇そうにタバコをスパスパ吹かしていている。

ちなみにまた食料が大量に送りつけられてきた……うんアレだろうな!

あとG36にも追加投与という事で……ははははは……また私がキレ散らかすことになるぅ!

まぁG36もある方だったけど今のD08基地の中ではかなり目立たない感じになっちゃったしな。

ちょっと思う所があるんだろうな。自主的に申し上げて来たんだよね。いじらしい。

 

「新しいダミーの子はなんだろうね?」

「さぁな、俺は誰でも良いさ。歓迎してやるだけだよ」

 

一応ながら性能を見せて貰っている様で……SMG人形らしいけど。

ダミー人形にまた簡易コピーしてから乗せるみたいだ。

 

「貴方が指揮官ですか?」

「ん?おー……ほほぅ、これはまた……」

 

姿を見せたのは結構背の高くてボン・キュッ・ボンな人形だな。

あと真面目感じの表情と雰囲気で委員長的な感じだなぁ。

 

「俺がD08基地の指揮官だ」

「コルト9ミリサブマシンガンです、よろしくおねがいします」

「HK417だよ、よろしくね」

 

にっこり笑って握手した。コルトと言うべきなのか……それとも別なコードネームがあるんだろうか?

しかし……ダーリンが手を伸ばしたのは……やっぱりと言うべきか握ったのはおっぱいだ。

 

「し、指揮官……?これは、え……どういう……」

「良いおっぱいだなぁ……だぁっ!?あがぁぁぁぁっ……!!」

「フンッ!」

 

勿論ながら私がローキックで抗議しておいた。向こう脛を蹴っておいた。

まぁ揉まれたコルトちゃんは完全に困惑してから固まっている。

でも嫌悪という感じではなくて本当に困惑って感じで居るな……

 

「コードネームはRO635です」

「あぁじゃあROちゃんだね」

 

 

――――――――――――

 

 

「超進化~!」

「SOPは特に変わった感じ無いけど……」

 

いえーい!と言ってからSOPが工廠から出てきた。しかしながら何が変わったかと不思議になる。

マイナーチェンジに過ぎないのか16Labは黙っている。

詳細を全然話してくれないけど大体の変更点はペルシカから説明があったから良いか。

ただ今でもあれかな……ちょっとおっぱいが盛られているようにも思える。

パーカーがもっ……となっているような……うん、コレはえっちぃなぁ。

ROちゃんもかなりのナイスバディだしAR小隊かなりナイスバディなのかな?

 

「はい、指揮官抱っこして♪」

「はいはい……」

 

SOPはもう兎に角抱っこをして貰うのが好きっぽいなぁ。

というかダーリンの事を良く思っていて懐いてくれているのは良いかな。

ただ抱っこをしているのは良いけどSOPの体格は大きいんだよ。

普通に子供体格じゃないから抱っこは結構つらそう。でもダーリンはでれっとしている。

背中におっぱいが当たっているからそれでデレッとしているんだろうけどね。

ROちゃんはおどおどしすぎって言うかなぁ……うーん……

あ、ちなみに今は兵舎のリラックス施設を見せてからかなり驚いている。

 

「SOPは兵舎で何してるの?」

「うーん?いつも犬や猫と遊んでたり鉄血っぽいのと遊んだりー」

「あーおゆうぎしますちゃん?」

「そうそう!」

 

兎に角普通にあれか子供みたいに遊んでるのか。戯れているのは見ていたかな。

子猫と子犬と遊んでいたのは見ていたし頬擦りしていたし……

おゆうぎしますちゃんを追いかけ回して解体してやるぅ~とか言ってねー……

初っ端マジで解体しかけたけど必死にストップかけたしなぁ……

あとヴィオラに対して突撃しかけたからうん……めちゃくちゃ焦ったよ。

 

「それでROちゃんはどう思う、ダーリン?」

「うーん……この基地に居なかった様な優等生タイプだな」

「いやステンとM14」

「あれボンバーマンじゃねーか、M14も何か目覚めちゃってんじゃん」

 

うん、この基地どっかしらぶっ飛んでいるな……M14は露出的な所が……

 

 

――――――――――――

 

 

ROちゃんは兵舎の中でSAAと話し込んでいた。いや、なんだ?

一緒に見ているのは……なんだ?あぁ仮面ライダーか。私も見てるけど。

 

「何見てるの、初代?」

「あー、ROちゃんもアニメ好きみたいなんですよー」

「あ、はい。Wとか好きで……」

 

なるほどー?と覗くと見ているのはまんまWの感じだな。

私もWは好きだったりするかもしれない。ルナ・ドーパントが強烈すぎる。

あのやかましいと言うか……かなりの色物なんだけど私はかなり好き。

 

「「「イケメンで強いのね、嫌いじゃないわ!!!」」」

 

うん、このノリの良さであるよ。ね、同好の士っていうのはこのノリの良さがね良いんだよ。

ちなみにこのルナ・ドーパントのアクターの人とかね……メイキングとか見てると……

これ喋っているセリフがアドリブっぽいんだよね……しかも他のアクターの人を笑わせるっていうね。

監督の人とかもかなーり笑ってたりしてたりして、うん。かなりだよね。

 

「やっぱりルナ・ドーパントの人面白いですよね」

「京水!!うるさいんだよぉ!!は普通に本音とか聞きますねー」

「そうらしいですね」

 

と言うかこれ見てるのメイキングじゃん!あーこれはめっちゃくちゃ笑うやつだ!

京水の人のアドリブ祭りとかNGテイクとかめちゃくちゃ笑っちゃうんだよ。

さっきもSAAとROちゃんで合わせて言ってたけど強烈なセリフなんだ。

ちなみにこの京水ってキャラクターだけど、こんな口調してるけど……

ゴリゴリマッチョな男なんですよ。つまりオカマ!オカマで強いんだ。

 

「あー出た!この戦闘シーン!」

「くーねーくねーくねくねー♪ぬーるぬるーぬるぬるー♪」

「当たらないわよっ!えいっえいっ!」

 

真面目な感じのROちゃんもこれかなり興奮してきたのか身振りが出てきた。

メチャクチャ目が輝いているよ。特撮大好きなんだね。

SAAもまぁ同じ様に動いてたりするからまぁ~ばるんばるんしよる……

ちなみにこの戦闘シーンで何がおかしいってね……体捌きで念力を避けてるの。

 

「アニメ、ゲームとかで言えるけど……オカマって強いよね」

「そうですね、オカマが味方だと心強いですね」

「あー……そう言えばそういうきがしますねー」

 

しかしまー……こういうやり取りをしている感じだと普通のメインフレームみたいだな。

これで本来のAIの簡易版なの?どれだけ高性能なんだよ……

 

「そういえばROちゃんもSOPと同じで何かカスタムされてるの?」

「詳細は秘匿ですが……そうですね」

 

些細は削除されたROちゃんのスペック表がデータとして提示された。

RO635D/Custom、SMG人形……以上……いや、もうちょっとあっても良いんじゃない?

 

「メインフレームには搭載される予定だった簡易指揮機能はオミットされています」

「ほほー……そういうのもあるんだ?」

「もっと高性能な物を使っているのはM4A1ですが……あまり言うのはNGですので」

 

さすが特製人形という事もあってからかかなりいい性能をしてらっしゃる。

ASSTした銃器もまたM4とかM16とか旧世代の名銃……だし……

んぐぐぐ……私の中の根底とも言えるものが名銃と呼ぶことを拒んでいるけど……!!

 

「あ、そうです時間があるなら一緒にごっこ遊びしませんか?」

「おー!良いですねー!」

「あんまり激しい運動はさせないでね……私妊婦だし……」

 

新しい人形もまた良い人形っぽくて良かったよ。

ただライダーキックさせようとしたのはNGだからね?




うん、すまないね。またなんだ。
ダミーとは言えこの基地に所属となるとどうなるか……分かっておるな?
つまりそういう事じゃよ


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Day135 基地防衛は内外問わず

ケチったら死ぬよ


まだまだ不安定だろうからと本番は出来ないけどいろいろ出来ることはしてツヤツヤしながら朝は出てきた。

最近焦らされ気味で悶々とさせられる事が多くなっておねだりばっかりさせられるなぁ……

まぁそれは良いや、今日は早速だけどダーリンの夏季用の私服をだねー……

さてさて兵舎のスペースでちまちまとお裁縫の時間かなー?

読み物中の編み物をしているママみたいでちょっとテンションが上ってくる。

暖炉の前でぎぃこぎぃこと揺れる椅子に座ってさ。誰かの為に編み物してるの。

んふふ♪外側から入っていってるみたいだけどママになったって感じで良いなー♪

 

「417、私達に手紙らしい」

「んー?どこから?」

「S09地区P基地……ユノ指揮官の所からだ」

「へぇ、私達って事は……早速妊娠したってのが知られたのかな?」

「らしいな、諜報部が引き笑いをしていたが」

 

何かあったのだろうか?まぁウチの基地にも諜報部が出来るくらいだし……

それこそあの基地の規模になれば普通に諜報部はあるだろうしなぁ……

多分だけど洗礼を受けたんじゃないかと思うな。こっちの情報はすっぱ抜かれてるだろうし。

で、ヴィオラが持ってきた今時また律儀な紙媒体のお手紙に目を通す。

まずはご懐妊おめでとうと綴られていて素直に祝われているみたいだ。

顔見知りが居る基地からも祝電が来るのは嬉しいね~にっこにこになっちゃうよ。

しかしその後に続けて書かれていたことには身が締まる思いだ。

妊婦になった私達へ宛てられた心構えだ。浮かれていたのは自覚するけどね。

まずお産についてかなり厳しい現実を叩きつけられた。かなりリスクを伴う事だ。

何年も出産を繰り広げて繁栄してきていた人間ですら出産という行為は死と隣り合わせ。

また人と人のめぐり合わせや同じ人形でも全く同じ様になる人形が居ないこと……

それと同じ様で一つとして同じ妊娠・出産はないという事。つまり今回が平気だったとして……

次に妊娠して出産したとしたらその時に私が死んでしまう事もあり得るということだ。

また妊娠したとして早期に流産してしまうって事もあり得るらしい……

現在支給されている栄養剤で補われているけど必要な栄養素もかなりあるらしい。

出産後の子供が脳出血等を起こさないためにトータルケアが必要と……

 

「でもやっぱり……私はダーリンの子を産みたい」

「だな、私もそうだな……」

「なら色んな事も我慢しなくちゃね」

「赤子は私達にすべてを預けている……か」

 

赤子は発育するために必要なものを全部全部私達に依存している。

酸素、栄養、血液全部そうだ。毒となりえるものは摂取は厳禁。

タバコの煙などは遠ざけてガツガツ物を食べるくらいしないといけない。

体型が悪くなる?んなの我慢しろ。元気な赤ちゃんを産むための犠牲だ。

 

「しかし結構遠いのに往診もしてくれるって良いね」

「思わぬかかりつけ医が出来たな……ちなみにD地区に病院は?」

「産婦人科があるのは……D05地区じゃなかったっけ……」

「私達が産気づいたら大変だったな……」

 

改めて産婦人科医が身近に居てくれたことに感謝する。

そして何かあったら兎に角連絡をくださいとS09地区の医者、PPSh-41の連絡先が書かれていた。

 

「私達、幸せだね」

「そうだな……ちょっと失礼する」

 

しかしヴィオラは早速不安があるらしくPPSh-41に電話をかけていた。

流産というワードが出てきた辺りで顔色が怪しくなってたから怖いんだと思う。

話してくれたんだけど実験で一度無理やり妊娠させられたんだって。

で、その時は一日でつわりが来た上に速攻で流れていたらしい。

かなり過剰な調整が加えられていた可能性が否定出来ないけど……今回は望んだ相手との妊娠だ。

これで流産なんてしたら泣き散らすし優しいヴィオラだからなぁ……

きっと産んであげられなかった赤ちゃんに対して謝って謝って自責の念で潰れかねない。

 

「んー?なんだろう……」

 

外がなにか騒がしいな。何かあったんだろうか……ちょっと見てこようかな。

あんまり私がそばに居たらヴィオラも思い切って相談できないだろうし。

 

 

――――――――――――

 

 

「何これ……」

 

ヘリパッドに置かれていたのは新品と思わしきヘリコプターだった。

購入予算とか組んでなかったしいきなり過ぎて見に来た私もこれには困惑。

SOPが面白半分でコクピットに座ってゴーゴー!とか叫んでる。

これは何だろうかと困惑に表情引きつらせていた私を見つけて近づいてきたのは防衛隊長のネゲヴだ。

 

「おはよう、あれ贈り物よ?」

「……はい?」

「だから、贈り物。人形が懐妊したって言うのは時代を動かす事よ。つまりこの基地での重要な人形は間違いなくアンタとヴィオラよ」

「あー……なるほど」

 

手紙のデータを見せてもらってから納得というか……まぁ懸念した事だな。

私とヴィオラは色んな所から狙われることになる事になる。諜報部が拾ってるだけでもI.O.Pの内部からも……

で、このヘリはと言うと所謂攻撃ヘリだ。アメリカ原産のAH-1Fコブラだ。

ちょっと改修されているモデルっぽいな。501FG?聞いたこと無い部隊だな。

軽くG&Kの部隊コードから検索してみてみると……ほほー、珍しい機甲部隊だな。

人間……G&K内の部隊じゃないな?外部の人間にも情報が行ってるんだね……

 

「しかし攻撃ヘリなんて必要なのかな?」

「過剰防衛なくらいが良いわ」

「ただ操縦手はどうするの?」

「ヘリパイロットは二人居るでしょ?」

「あぁー……そうだね」

 

この基地には普通にヘリパイロットは二人存在している。

で、交代で運転しているものだから一人ずーっと暇しているからね。

だから操縦は出来るんだろうと思う。ただ武器の使用はまた別か。

説明書をさらに読み漁ることが必要になるのか……一人乗りになるんだっけ?

輸送機じゃないからなぁ。左右にミニガンがくっついてるわけでもない。

20mm機関砲に戦車ミサイルとロケットポッド2セットなんだよね。

もう武装がガッチガチすぎてなぁ。これ一つでかなりの戦力だよね。

 

「贈り物でこれを送りつける事ができるのってどうなのかな……」

「それだけ思われているんだから良いじゃない、ほら兵舎に戻ってゆっくりしてなさい」

「はいはい」

 

どうしてこうなったのやら……普通にベビーカーとかで良いじゃん……

 

 

――――――――――――

 

 

戻る途中諜報部の人形が揃って手紙を見て端末を見て……頭を抱えてっていうのを繰り返していた。

何事だよ……と思ったらどうも出し抜かれたと言うか……手荒い歓迎をされてたみたいだ。

P7に至っては必死に作った防衛網を突破されて泣きべそかいてる。

どうにもアリババってハッカーに引っ掻き回されたっぽい。

しかもそれでこっちの情報とか丸裸にされた上でお情けみたいに情報を叩きつけられたっぽい。

良いように出し抜かれたのは諜報部としては悔しいらしくてこのお通夜ムード。

 

「人形の情報処理能力はこんなはずではない……」

「人間にはおいそれとハッキングされることは無いはずよ……」

「流石にあたくし達総出で無理であるならば……」

「かなりの手練だよね、流石に私もお手上げ」

「私の組み上げたファイアウォールがぁ……」

 

なお全員もれなくバインバイン。そしてすっぱ抜かれた情報にはそれぞれの3サイズも入ってる。

各々がいたずらで撮ってた寝顔写真や下着のスパイショットとかも……

あとDSRに至っては自家発電中の写真とかもスパイショットされてたらしい。

それがすっぱ抜かれる危機に全員決死の防衛戦を開催したらしいが……

まぁこのお通夜ムードだからお察しの通りで全員返り討ちにあってしまったとさ。

幸いにもお情けで重要データはすっぱ抜かれてないらしい。

そしてポップアップしたメッセージには……鍛え直して出直しな2流とさ……

煽る煽るぅ……でも出来上がったばかりなのを考えると人形のスペック高いよねって思うよ。

 

「ま、まぁ……なんか試してくれた感じじゃん……」

「知ってるか、腕利きのハッカーは金などでは動かないの」

「人の恥じらいよ……」

 

あっ……端末に送りつけられているエッチ風自撮り写真を脅しに使われてる……

グローザとか自分で結構スタイルとか自信あったけど実ってから調子のってたね。

そして端末で自撮りとかしてたのね……ふーん?誰に送りつけるつもりだったんだか。

 

「成長して5人がかりでも私とやり合えるようにならないとこればら撒くって」

「なんであたくしの個人情報まで……」

「絶対に捕まえてぶっ殺すファイアウォール作るわ」

 

情報処理能力に長けているHG人形が揃って沈んでいるなりに決起している。

 

「幸いなのは指揮官が本当に潔癖な指揮官だったことね」

「そうね、指揮官が何か不味い事をしていたら……」

「完全に弱みを握られることになったもの」

 

まぁダーリンだから絶対にありえないと思ったけど。

漁られてそれで痕跡すら無いなら益々持ってありえないって事か。

 

 

――――――――――――

 

 

「人類人権団体過激派の情報な……」

「諜報部でも集めていたのだけどそれより詳細な物が送りつけられたわ……してやられたって感じ」

「アリババね……前の糞会社でも聞いたな」

「有名なの?」

「裏世界では知られたもの、表しか知らない俺ですら名前を聞く有名ハッカーだな」

 

司令室にて報告を受けた指揮官は聞き馴染みがあった名前に眉をひそめる。

諜報部長のグローザが苦虫噛み潰した顔で報告する最中語るのはアリババというハッカーの事。

そのハッカーは二人組で動く物、アリババとメジェドと言うコンビだ。

義賊的に動いていて悪事を暴くハッカー達で指揮官の前の職場である警備会社もハッキングを受けていた。

そして出る出る社長の不正がばら撒かれたのだ。現D08地区における人形取扱協定に違反していたのだ。

現地ロボット権利団体もグルでズブズブの関係だったのも暴かれていた。

人類人権団体もこれ幸いにと潜んでいたものだからその当時のD08地区は悲惨だったらしい。

 

「まぁ悪いハッカーではないな……しかしウチがハッキングされるか……」

「良からぬ噂があったのかしら」

「まぁセクハラ基地ってのは流布されてるが……」

「今回の騒ぎで情報面の防御を試した……だけか?」

「ココ最近活動してなかったと思ったが……味方につけれたら心強いんだがな」

 

ちなみにグローザは何をすっぱ抜かれたかはひた隠しにしていた。

基地データは幸いにも漁られただけで済んでいるが……気が気ではない。

早く逆にハッキングして自分の恥部を奪還しなければ夜も眠れない。

 

「ま、今回のハッキング騒ぎや防衛計画も含めて社長に報告をあげねぇとなぁ」

「流石に過激派が大挙して押し寄せれば……」

「だからちょっとばっかし過剰防衛計画を立ててんのよ」

「はぁ、ちなみにどのような?」

 

そういう指揮官が机の上に広げたのは様々な兵器の写真だ。

今回501FGから送りつけられたヘリと連動する形で配備する事を検討している物だ。

 

「戦車ですか」

「その中でも第四世代MBTの先駆け、Type10だ」

 

第三次世界大戦に焼かれ失われた国の戦車だ。

この中規模前線基地にはちょうど良い防衛戦力になる。

少人数での運用も可能であり小柄な車体でもあるため基地に停泊させることも可能。

ついでに操縦とタンクデサント等を担当させる人形も新たに配置したならば……

 

「また兵舎の改装が必要ですね」

「んにゃ、もう一個別なテーマの兵舎を作るんだよ」

「そんなお金は……」

「ウチの嫁連中がこぞって実験参加したからI.O.Pから腐るほど貰ってるから」

「なるほど……避妊はちゃんとしてくださいね?」

「……」

「お返事は?」

「いや、その……出した後に言われて」

「羨ましいっ!(なんてことを!!)」

 

D08基地は騒がしくも平和に時を刻んでいく。




ヘリを送りつけられたんですわ……
https://syosetu.org/novel/191164/3.html
英国の珍兵器って紅茶ガンギメな名前の作者が書く501FGドルフロ戦闘詳報って所なんすよ。
ちょっと豪華過ぎませんかね?

Type10?あぁ10式戦車の事っすよ。
この基地過剰防衛の要塞化が進んでいくんだが良いのだろうか?


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Day136 防衛強化計画発動

安易なキャラ追加確定回


基地発足時に一度しか使ったことのない機体購入費という物を動かした。

必要なマシンは最初に揃えていたから過不足無かったのだから使うことは無かった。

しかし私とヴィオラが狙われる事が判明してからダーリンも重く見たみたい。

攻撃ヘリのみに留まらず陸の防備を固めるという事で戦車を購入した。

差し当たって検討しているのはType10、ヤーパンの戦車だけど……

現状すぐに納車可能な戦車というのが限られていてレオパルト2A7+戦車になる。

開発は1977年、それから最低でも50年近く近代化改修を重ねて使われ続けた名車だ。

搭乗員は4名少人数運用が出来るのがこの主力戦車と言われる物の利点。

重量は67.5トン、装甲板も複合装甲で防御力もまた良い。空間装甲も備えている。

つまり爆破耐性というのも備えていることになる。爆発の破壊力って言ったら一重に衝撃になる。

その衝撃力を緩和させるには空間を重ねるのが一番だろう。

榴弾などは発射後数秒後に信管の安全装置が外されてその後何かに衝突したら……かぶーむ。

その周辺に爆発の衝撃と炸裂した鉄片が人間を襲う事になる。

空間装甲の最大の利点は増加装甲的な側面では無く……緩衝材的な所だ。

合間を空けた二枚装甲なんだけど……一枚目に着弾した後炸裂するわけだけど……

その後に構えている本装甲がきっちり鉄片を防御してくれる訳だ。

そもそもの複合装甲の硬さがかなり硬いからAPFSDS弾を弾ける……かな?

つまるところは携行兵器ではどう頑張っても歯を立てる事は敵わない。

テロリストが持っているとしてもRPG-7だけど……そんなのじゃ全然歯が立たん。

 

「で、これの購入費用とかはどうしたの?」

「ん?いや、普通に防衛費で落とした」

「ヒュー、太っ腹ぁ」

「で、さらにType10も買うんでしょ?」

「おう、さらに言えば諜報部が使うデバイスも強化する」

 

そう、さらにもう一台戦車を買うつもりなんだよね、このダーリン。

かなり防衛費が嵩むと思うんだけどその辺りは大丈夫なんだろうか?

まぁ別の基地もM4戦車とか持ってたりするらしいし平気なのかも……?

 

「で?操縦手とかの手配はどうなってるの?」

「んー……まぁI.O.Pの采配だな」

「宿舎は?」

「別テーマの……ちと南国風の物をこさえるつもりでな」

「ふぅーん?」

 

操縦手が居ないと現在検討中のこの兵器もただの鉄くずにしかならない。

ではそれの操縦手も必要になってくる。人間を雇用するのか……

それとも人形なのかな?と思ったけどI.O.Pが出てくるってことは人形だろうな。

また人形が増えるとなると兵舎が必要になってくる。兵舎は不足するんだが……

それの増設も考えているらしい。南国風のモノねぇ……旧式の資料にあるハワイ風なのかな?

 

 

――――――――――――

 

 

おぉー……納入されたレオパルト戦車はかなりカッコいい。ベースは2Aなんだけど……

ここ数年で培われた技術をつめつめした近代化改修モデルだ。

しかしこれで主にやりあっているのはE.L.I.Dだったりする。

つまりは対ミュータント用のトンデモ兵器を防衛に回しているんだ。

勿論想定しているのは対テロリスト戦なんだけどね……どうしてこれを持つことになったんだか。

 

「ヘリアンのクソから聞かされた話しだと時代の先駆けになるお前たちを守るのは役目だ……とさ」

「ふぅーん……でもこれだって安くないでしょ」

「基地一個潰されるよりは安い」

 

諜報部も今は必死に動いていてからテロリスト連中の動きを探っている。

過激派は私とヴィオラの情報を得てからそうとう躍起になって潰そうとしているらしい。

人形が人間と同じ様に生命を抱くのは烏滸がましい、そんなのは生命ではないってね。

 

「お、I.O.Pの……ペルシカさんからのメッセージだ」

「なになに?へぇーハイエンドを中心に配備してくれるんだ?」

「らしい、ヴィオラを守りきれなかったせめてもの償いってよ……」

「ふふ、後でヴィオラに伝えてあげたら……」

「私が何だって?」

「「うわっ」」

「……フン、出産した後顔を出してみればいいさ。赤子くらい抱かせてやる」

 

おーおー、ヴィオラもかなりキレキレかと思ったらペルシカに対してはツンデレかな?

しかし配備される人形のリストを見ると……かなりハイエンドで固まっている。

NTW-20、M16A1、M4A1、AR-15、Ameli、MG3、M60と言った構成。

AR小隊は勿論のことだがD-Customになる。そしてこっちの負担を考えてくれてるのか……

一応ながら食事の件は問題は無いと語っていたが……嫌な予感しかしないよ。

あと基地警備にカルカノM91/38にSPAS-12が追加で来る。

主に門番的な所だけどね。これもまたココ仕様に仕上げてくるらしい……

 

「テロリスト殲滅作戦とか考えてたりする?」

「今の所は考えてないが……降りかかる火の粉は払うだけだ」

「そっか」

「母は強いんだ、私と主人の子に危害など与えさせるものか」

 

私は手に銃を持たなくちゃ何も出来ないけどヴィオラはねぇ……

腰にくっつけている大口径榴弾砲でいくらでも血祭りにあげれるしねぇ。

ここに侵入しようものなら榴弾の雨が降り注ぐことになる訳だ。

しかし……AR小隊がダミーとは言え揃っちゃうのか……お姉ちゃんが荒れそう。

 

 

――――――――――――

 

 

Type10ModGの納車は明々後日になる模様だ。G&Kのエンブレムが眩しい。

D08地区で運用することを考えて森林迷彩柄で塗装されリアクティブアーマー等も装備したモデルになる。

パワーユニットが普通のレシプロエンジンなのも良い。

M1エイブラムス戦車なんてタービンエンジンだから燃費が馬鹿みたいにかかる。

行動半径もまた狭いし1戦闘で扱える時間が限られてくるんだ。

もちろんの事戦闘力というのはピカイチなんだけど……それにしてもね。

 

「移動用のビークルも更新するかねー」

「バギーだとやっぱり危険かー」

「ラリーレイドマシンをベースに装甲化するか」

「……それもまた高くつくでしょ」

 

ラリーレイドとはモータースポーツの一種だ。主に砂漠やら山岳路など……

まぁ言っちゃえば悪路走破性が高いマシンで突っ走るレースだね。

馴染みがある名前で言うとクロスカントリーレースかな?

カタログに浮かんでいるのはそんなラリーレイドマシンでも名車と名高いヤーパンの車両だ。

そう言えば兄さんの車両はまだかかるんだろうか……あれ注文して結構なるよね?

まぁ良いや……今回検討しているのはミツビシのパジェロイオベースのマシンだ。

3ドアのオフロードマシンでサイズは結構小柄だけどパワフルなんだ。

それに防弾ガラスでしょ?ドアに防弾プレートで装甲化させてー……

スキッドプレート等の装着、ランフラットタイヤの装着とちょっとやそっとではビクともしない車両にするつもりらしい。

エンジン部分も変更を加えていてから1.8L直4エンジンから……8LのW型16気筒を載せやがった。

そう、嘗ては世界最速の名で有名になったマシンのエンジンを移植しているんだ。

何をトチ狂ってるの?と思うけど装甲化に伴う重量増加に対抗する為だろうね。

いや、バカだろ。オーバーパワーすぎるわ。こんなので移動する?

 

「ねぇ、こんなマシンは流石に……」

「これはあくまで緊急時の回収用の一台だ」

「あぁ……なら」

「通常移動はこっちのプランだ」

 

と言って見せて来たのは同じパジェロイオがベースなんだけど……

やっぱりエンジン部分がバカだろ?TDI式3L直6ディーゼルエンジン……

トルクお化けを作って何をするつもりなんだか……これで走ったらすっ飛んでいかない?

これを通常移動に使うって相当だと思うんだけどなー?

 

「正直に言っていい?」

「なんだ」

「赤ちゃんを怖がらせるつもり?」

「いや、そのつもりは無いけどな……運転するにしても適正に運転したら良いだろ?」

「絶対コレに兄さんを乗せないでよ……暴走するから」

「おう」

 

私も兄さんもスピード狂だからなぁ……妊娠してなかったらぶん回してたな。

 

 

――――――――――――

 

 

なんだか一気にこの基地がのほほーんとした雰囲気からガッチガチになりつつあるよ。

妊娠騒ぎからこれだもんねー……いやはや……何が騒ぎの発端になるか……

 

「お、マジですか……」

「ん?兄さん。嬉しそうだねー♪」

「おー……あぁ、俺のマシンの納車時期が決まった」

「お、やったじゃん」

「次の休みに取り行くわ……へへ、楽しみだ」

「ついでにドライブしてくるのかなー?」

「まぁな、軽く慣らし運転しつつって感じだな」

 

そう言えば兄さんが買ったマシンもラリーマシンだったような……

ワンチャンこれも魔改造されるパターンになるんじゃなかろうか。

 

「ちなみに改造は?」

「金があったらしていきたいねー」

「方向性は?」

「勿論バリバリのレース仕様かね」

「耐久性が普通に死ぬよ?」

「あ、まぁそうだな……」

「長く使うことを考えてカスタマイズしていこうねー」

 

ばしぃっ!と久し振りに肩をどついた気がする。

 

「そういやよ……」

「んー?どうしたの?」

「SAAちゃん可愛いなって思ってきたんだよ」

「……んんー?」

「三次元なんてクソクソとか思ってたけど普通にもう可愛くてよぉ……何アレ、天使?」

「はいはいストップなっ!!」

「ごふぅっ!?」

 

止まらなくなると思ったから思いっきり腹パンした。しかしあの二次元ヲタの兄さんがか……

SAAにお熱とは……前々からなーんか距離感がちょっと近いかな?って思ったりしたけど。

 

「やべ、力加減しくったか……」

「おにーさーん?あれ、寝ちゃってます?」

「あー……うん、寝ちゃってね」

「なるほどー、じゃあお部屋まで運んでおきますねー!」

 

ふーむ……気安い仲にはなってるっぽいな……案外これは有りなのかも。




そういや装甲車とか無かったよねって一気に増やした。
W型エンジンの?間違いなくじゃじゃ馬に決まってんじゃーん


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Day137 装甲車両

アーマードビークルって良いよね


「ねぇ見てみてダーリン♪」

「見てる見てる」

 

くるーりと身を翻して見せているのは今朝方届けられた私達9人のドレスだ。

9人っていうのが示している通り、届けられたのはお嫁連中です。

ドレスっていうのは結婚式で着たウェディングドレスの簡素版とも言うべきか。

華美なレースや花飾りを排したフォーマル風なドレスだ。舞踏会とかにも持ち出せるかも。

私のドレスはちょっとどころでなく露出が激しいんだけどね。

両肩?ばちくそ見えているし胸元だって深い谷間をこれでもかと見せている。

背中だって腰上までV字に見えちゃう物だから眩しいくらいだ。

それでもってスカートだってミニ丈で私の生足が覗いていてウェディングドレスにしてはいやらしく見えたかも?

一応の気遣いで薄手だけどロング丈のスカートがあって二重構造になっている。

しかし前はミニ丈しか無いので前から見たら普通に生足がみえるのである。

つまりこのドレスはフォーマル風ではあるけど普通にエロティックなんです。

私が着ているから?いいや、誰が着てもこれはエロティックになるわ!

でもどうしてかエロさの他にも可憐さを見せれるのはスゴイと思うな。

あ、一応ウェディングドレスは大事に取っている。また着てみるのもいいし……

 

「これでお外に出掛けてみるのも良いかも♪」

「それで?」

「うん、これで」

「……ほー」

 

ダーリンの目がちょっと怪しい光を見せた。うんうん、これは良い感じかも♪

 

「お散歩途中でムラっと来たら襲ってもいいんだぞー♪」

「は?お前犯すぞ」

「やーん♪」

「妊婦が盛ってるんじゃないわよ」

「あ"い"っ!?」

 

ごっちーんと頭に激痛が……お姉ちゃんのゲンコツが頭に降ってきたんだ……!

おごごご……背が縮むぅ……的確に真上から拳を振り抜いてくるから痛いんだよ……

まぁ確かに妊娠中のエッチはあんまり良くないと思うけどムラムラするんだもん!!

皆そろって夜はヒィヒィ喘がされてるのに私とヴィオラだけお預けなんだぞ!!

せめてご奉仕位させてもらっても良いじゃん!良いじゃん!!私だってエッチしたい!!

 

「良いからアンタは普段着に着替えてゆっくりしてなさい」

「はーい……」

「もう一発打つわよ」

「ひえっ」

 

 

――――――――――――

 

 

今日は移動用にと改造が加えられた装甲車両が納入された。

昨日は昨日でレオパルト戦車が納入されてるしこの辺りの情報は友好関係にある基地には伝えている。

特に補給路でもあるハブ基地にはしっかり伝えておかないとね。

補給というのは絶対に大事なものであるよ。いかに強力な物を揃えても動かせなくちゃ意味がない。

コブラの予備弾薬は纏めて送りつけられてるけどレオパルト戦車に関してはNOだしね。

それにどっちを使うにしても……いや、普通にヘリコプターを動かす際に燃料は大量に必要だ。

そういう観点からも補給基地にはきっちりと防衛強化をした事を伝えておかないといけない。

 

「で、これはなーに?」

「AGFサーバル、戦闘用車両」

「これいつ使うんだよ……」

 

バリバリ軍用のお古が回ってきた。この形から考えるにM-BのGクラスがベースか。

全長4.88 m全幅1.82 m全高1.87 m重量3.3 t乗員数4名か。

まぁ普通の乗用車レベルに抑え込まれているね。これなら悪路走破性も悪く無さそう。

それでいて備え付けのHMGがこれでもかと威圧感を放っている。

さらにはLMGのMG3を固定武装として備え付けていてこれに防楯も着けたら安全だね。

危険を最小限に留めて警備や反撃に出れるって奴だね。戦車隊の随伴になるのかな?

 

「で、こっちがARRグリフォン」

「これまたでっかくG&Kのロゴがはっつけてありますことー」

 

ブッシュガードにスキッドプレート、ロールバー等でガッチガチに固めて……

各外装、ドア周りを装甲材で固めた装甲車両が納入されてきた。

ベースとなったパジェロの原型は辛うじてとどめているけど……

見た感じの武装は無いけど何処かに武装があるんだろうか?

ボンネットにはコレでもかと素敵なOVMがくっついているな。

このデカデカとくっついているスペアタイヤにショベルとか好きだよ?

それにこれまた強力そうなウィンチまでくっつけちゃって……これはこれは……

グリフォンと銘打ったのはG&Kで運用することもあるんだろうけどね。

伝説上の生き物であるグリフォンと同じ様に強く早くって所なんだろうね。

 

「主任、武装は?」

「パッと見何もないだろ」

「うん、何もなく見えるけど?」

「はい、野郎ども、エンジンをつけなー!」

「「アイアイサー!」」

 

野太いディーゼル機関の音が響き渡る。おぉこれはスゴイ……早く走りそうだなー……

と思ったらボンネットの一部がせり上がってくるではないか。

取り付けられているのはリモコン操作式のMG3と見える。

そして後方ハッチにはこれまたデカイミニガンが設置されている。

うわー……これはスゴイけど……過剰防衛過ぎやしないだろうか。

 

「武装されているのはこっちのモデルだけでW型エンジン搭載型、ARRコメットは非武装だな」

「あれ?」

「アレ」

 

指で確認を求めた先には車体が跳んでいかない様にくっつけたのだろうか……

ごってごてのエアロパーツでダウンフォースを発生させるつもりだろ?ってパジェロイオの姿が。

防弾仕様にしているけどその中身はガッチガチのレース用ラリーレイドマシンだ。

兄さんが見たら食いつくこと間違いなしなカリッカリにチューンナップされたマシンだろ?

ちなみにARRとはArmordRallyRAIDの頭文字を取ったものだ。

W型エンジンを収めたボンネットからすんごい轟音が流れている……

 

「おぉ、これが今日来たマシンですか」

 

M14がこれに反応してきた。あーそう言えば何となくドライバーしてたことが多いな。

かなり前に後方支援の輸送護衛任務でも運転手を勤めていたしね。

興味深げにコメットを見ている。安全運転をしてくれると思うんだけどね。

取り敢えず私は妊婦だし危険に身を晒すつもりは無いからね?

運転するにしてもグリフォンぐらいでお願いするよ?私は赤ちゃんを怖がらせたくない。

 

「今日早速試運転ですか?」

「軽く誰かにって思ってたけどな、M14ちゃん乗るのかい?」

「はい♪」

「同乗で何人か選んでくれよ」

「じゃあG28ちゃんとスオミちゃんとスコーピオンちゃんを連れていきますね!」

 

これまた元気いっぱいにM14が走っていった……おぉーバルンバルンしよるって。

ツインテールも元気いっぱいおっぱいも元気いっぱい……整備班の目が突き刺さるぅ。

しかしピックアップの基準はなんだろうか?仲良しだっけか?

G28はまぁ同じRF人形仲間だしなぁ。スオミは同じ様にバルンバルンになった仲間……

スコーピオンは元々同じ部隊だったしその繋がりで……だろうか?

 

「ねぇ主任、サーバルはどうするの?」

「ん、まぁ誰かに……まさか417ちゃん?」

「ほら、ダーリンとちょっとドライブ♪」

「飛ばさないでくれよ……「ダーリィィィン♪」げぇっ」

 

 

――――――――――――

 

 

「で、こうなる訳か」

「いーじゃん、私もちょっと身体を動かしたかったし」

「ふむ、軽い刺激にはなるな」

「わたくしも誘ってくれたのは嬉しいわ、417?」

「こうしてドライブもいいでしょー?」

 

サーバルを動かして私が運転、助手席にはヴィオラ、後部座席にはMk23とダーリン。

時速40キロ前後でゆるーくドコドコと転がしていく。

ふわっふわのサスペンションがロードショックをきっちり吸収して極上に近い乗り心地を提供してくれる。

快適装備も各種揃えられていて中々……まぁ今の時期は走行風だけで良いんだけどね。

近くの悪路をかるーく走っているだけだけど私は楽しい。

ダーリンは執務の合間のちょっとした息抜きになるし……ヴィオラとMk23はまぁ普通にダーリンと一緒だから良いでしょ。

Mk23はこれみよがしにおっぱいの合間にダーリンの腕を抱き込んでいる。

 

「そういえば、この車内でヤれるのかな」

「ム……無理ではないか?」

「やっぱり降りてからじゃないと無理かー」

 

ちぇー、これだけデッカイGクラスボディなら普通に内部空間余裕かと思ったら……

 

「ん、後方からなにか来る……」

「なんだぁ?」

「あれは……」

 

バックミラーに何か土煙とヘッドライトの光が見える。何事かと思うが横に避けてみる。

あ、このエキゾーストはアレだ、グリフォンの音だと思う。

 

「イエーイ!」

「もっとじゃんじゃん飛ばそー!」

「いーじゃんいーじゃん!!」

「もう少しだけスピードを落としてぇぇぇぇぇぇぇ……」

 

M14の運転だと思うグリフォンがすごい勢いですっ飛んでいった。

多分時速は80キロは出てると思う。びょいんびょいん跳ねてたよ。

スオミの半べそっぽい悲鳴がドップラー効果効かせて彼方へと消えていく。

 

「やっぱり私とヴィオラは同乗しなくてよかったね」

「だな……最悪流れているぞ」

 

終始私は安全運転で基地までサーバルを転がした。




そしてガチガチな装甲車両に戦闘車両が並ぶ。


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Day138 安全なバイト?

身体を動かすのはNG……ならば


PPShー41にいろいろと妊婦がしてはいけない事、避けたほうが良いこと。

それから色んな心構えを聞かされているけど……これは避けて通れないのが……

 

「金欠だね」

「まぁいくらか本社やI.O.Pのサポートがあったとは言え一気にこれだけ揃えたらなぁ」

 

悲しいかな、現実的なお金の問題でございます。稼ぎはあったとしても一気に大きな買い物をしすぎです。

一応ながら私とヴィオラは妊娠初期段階、体質的なことは全くの不明。

だから流産の可能性もあるとして大事を取って安静にしていることを命じられている。

私とヴィオラの二人は基本的に動けないって事になる。他の人形が動けるからその子に頑張ってもらうしか無い。

私達で可能なお仕事と言ったら身体を動かさなくていい物に限られるかな?

若しくは……あ、そうだ……喫茶店を開いたりしたらちょっとは良いのかも……?

 

「そんな訳で拾ってきた仕事なんだが」

「んん?なーに?」

「フルダイブ式のモジュールのテスターだ」

「うわぁ……16Labってでっかく書かれてる」

 

持ってこられたのはこれまたアニメーションとかで見たようなヘッドギア。

脳神経に干渉して体感時間を1秒をかなーり増幅させる代物らしい。

これもまた実験段階の物で手慰みに作った代物らしい。

どうせ私とヴィオラが暇を持て余しているっていうのも知った上での事だ。

どんな実験をしてるかは存じないけど……私やヴィオラと同じ様な子宮環境を再現して色々試しているらしい。

現状では流産しやすい体質とかではないらしい。でもまだ経過観察中だから動くのはNG。

結局私の妊娠だってまだ実験段階であるのは変わりない。不安定なものだ。

 

「で、これで何をするの?」

「主に人間の娯楽用に作ったらしいけどな、テストプログラムを動かすらしい」

「ふーん……」

 

テストプログラムねぇ……そのテストプログラムがバグってたりしたらどうなるんだか。

というか娯楽用にって銘打ってるけどこれ実質あれでしょ……VR訓練用じゃない?

今は人形用だったりするけど人間にも使えるようにしていくって事かな?

電脳も脳味噌の電気信号とかを解剖、トレースしたものだからほぼ一緒と考えれる。

実際生身の肉体に電脳を乗せている人間も少なからず居るらしい。

あとは赤子の時に脳炎等を患った人間が手術に耐えれる年齢になってから電脳移植を受ける事もあったり。

お金さえかければ認知症等を患う事もなくなるっていうのが今の世の中だ。

ただかなり高額なので電脳移植を受けれる人間は極々僅かだし……手術失敗のリスクも大きい。

死亡確率は50%だったっけか。まだまだな技術だからどうなんだろうね。

 

「じゃ、工廠でさっそくやってきてくれ」

「うん、一応整備員が手を出さないように誰か見張らせて?」

「416に監視させるから安心して行ってこい」

 

 

――――――――――――

 

 

んん、今日はまた騒がしいな……I.O.Pのトラックと16Labのトラックか。

あぁついにアレのダミーが来ちゃうんだよね……M16、お姉ちゃんの因縁の相手。

正確にはどこで動いているか知られていない416の因縁の相手なんだけどね。

きっちりその流れはAIにインプットされているから漏れ無く喧嘩に発展しそう。

ダミーとは言えどもM16っていうネームの人形であることは変わりないし。

 

「チッ……例によって16Labのお偉い方に締め出されたぜ」

「お、417ちゃんじゃん、今日も良いおっぱいしてんな」

「あんまり見てると……」

「ん?あっ」

「今日もいい天気ね、スケベ整備員?」

 

かなりいい笑顔を湛えたお姉ちゃんがこれでもかと威嚇たっぷりに指をポキポキ鳴らしていた

まぁ勿論整備員の目線はお姉ちゃんのおっぱいに行っているんだけど。

危機的状況に陥っても視線は欲望に忠実なのは評価したほうが良いのか……

 

「ふんっ!!」

「あばっ!」

「暇だからって417に手を出したらどうなるかはわかってるでしょうね?」

「あー!あー!困ります!!腕が腕がっ!!」

 

お姉ちゃんがきっちりとアームロックを仕掛けてから腕をへし折る一歩手前のトルクをかけている。

なおその関係上でかなり大きくなってるおっぱいが押し付けられているけど気にしちゃいけない。

まぁ、まだお姉ちゃんはかなり脆い弱点ってほどにはなってないもんね……

私が仕掛けたら間違いなく十分なトルクかけられなくなってるもんなぁ……

 

「ふむ、またかなり人形が増えるな……」

「お、主任おはよう♪」

「納入リストを見てるんだが本当に一気に増えたもんだよ」

 

NTW-20、M16A1、M4A1、AR-15、Ameli、MG3、M60、カルカノM91/38、SPAS-12

おまけにほぼほぼ全員がD仕様にカスタマイズにされているらしい……

Ameliは……私の友達でもあるあっちのAmeliとどう区別をつけようかな?

いや、そう言えば警備部隊になってから暇になったとか言ってたっけか。

 

「まだトロピカル風宿舎も基礎が出来上がったばかりだしなぁ……」

「もう個室は出来ているから取り敢えず眠ることは出来ない?」

「いやいや……工事中の音で眠れないでしょ」

 

 

――――――――――――

 

 

一応16Labによる規制が解除されて工廠が開放されて準備に入る。

M16とM4とAR15のD-Customはまだ工廠の片隅で眠っている。

他の人形は各々起き出してそれぞれ基地の案内を受けに行った。

特にカルカノ姉妹がちょっとはしゃいでいた。主に姉であるM1891がだけどね。

じゃ、私はちゃっちゃと稼ぎのためにテスターをかって出ましょう。

一応出力を制限かけて体感時間は約二倍、30分で自動終了する設定。

さて何をする事になるのやら。テストプログラムの中身は全く知らされていない。

 

「じゃ、ちょっと楽しんできまーす」

 

おー……これはこれは、擬似的にVR空間に飛び込んでいるみたいだ。

いや、電脳に直接アプローチしてるから体感していると言っても過言ではないか。

身体に感じている感覚っていうのも同じだし……ふむふむ、これは良いね。

UIを呼び出してから身体の状態を確認しているけど身体は一ミリも動いていない。

目の前に映し出された光景は何処かわからないけど都市部っぽい感じ。

仮想データの名前は2005JPか……あぁ、これが昔のヤーパンか。

流石に嗅覚とかまでは再現されちゃいないけど……頬を撫でる風の感じとかは再現されている。

触覚とかはあるから嗅覚だけ無いのがちょっと不思議な感じ。

理論的にはこれで天然物の脳味噌の人間に色んな世界を見れるのかもしれないね。

電脳を移植するだけのリスクを冒したくない、金もない……けれども光を得たい。

そんな人達に一筋の光明となれるかどうか。今の所は私に問題は無い。

お腹にかかる負担ってのも無いし一応お腹にはしっかり掛け物かけて温めてるし。

整備員がおっぱいを揉んだりして刺激しないようにお姉ちゃんには監視してもらってるし。

 

「仮想データだけど……人間の繁栄が緩やかに進んでいた頃の世界かぁ……」

 

大戦を乗り越えて発展を遂げていった時期の世界の一端を今垣間見ている。

D地区は比較的に平和な所だけど……それでも人口は確実に減ってきている。

強盗、殺人……鉄血による襲撃やテロリズムに巻き込まれての死亡。

今の世は緩やかに死に絶えつつある。その現状を打破しようと私達が居る。

 

「これが……海か」

 

ざざぁ……ざざぁとさざ波の音が私の耳に飛び込んでくる。

見る限りのディープブルーの水平線と押し寄せては返す波……

真っ白でサクサクとした感じで脚を受け止めてくれる砂浜。

もうコーラップスにより拝めなくなった天然の海……これはかなり貴重だ。

 

「これだけでもVRで体験出来るのは……良いね」

 

残念ながら人々のデータとかは入っちゃいないし……自分の体ってのも再現されちゃいない。

簡素なポリゴン製の手と脚がそこにあるだけだ。

良くも悪くも開発中なんだなってのがよく見て取れる瞬間だね。

一応自分の体のデータを取り込んだり……プリセットで入っていたお姉ちゃんのモデルとかを使えば……

さながらお姉ちゃんになりきったようにこの世界に舞い降りる事ができる。

 

「まぁ元々私はお姉ちゃんと同じボディなんだけどね」

 

ここまでシュミレーション出来るならもう完成は間近なんじゃないだろうか。

あ、でも手と手のコリジョンがダメっぽいな。手をたたくとめり込んでいて気持ち悪い。

しかもきっちり触覚があるもんだから尚更気持ち悪いぞぅ。

これはさっさと修正してもらわないとね……ほかは良い感じなんだけど。

あ、そろそろ時間っぽいな……意識がふわーっと浮いてくる……

 

「ぁー……」

「きっちり30分ね、おかえり」

「貴重な体験だったと思う……うぉー……」

 

目が覚めてVRヘッドセットを取り外してから伸びをしてみる。

整備員が騒ぎ立てそうだったけど全員そっぽ向いているな。お姉ちゃんのアームロックが怖いか。

 

「さてと……問題点と感想を送りつけてから金を貰おうかな」

「次のテスターは私がしてもいいのよ?」

「いーのいーの、こういうのは私がやるから」

 

動けない分、こういうのは私がやって稼がないとね!

ママも働かなくちゃ




まぁVRとかのテスターなら良いんじゃね?ってことです


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Day139 紅茶専門店……?

あのー紅茶キメません?


やっぱりと言うべきかダーリンは初手セクハラをやらかしたらしい。

MG3はこれ以上大きくなったらどうするんだ?と憤慨していたが……

大丈夫そのうち増えてるから、安心して体重計に乗った時に絶望すると良いよ。

そもそも他のMG3と比べてデカイだろ?並んで絶望するときが来るといいさ。

まぁD08基地と交流があってMG3が所属している基地なんて限られてるけどね。

所属としては戦車兵になるわけだけどね。暫くは基地防衛に回ることになるかな。

あとはたまーに警備部隊と交代して出ていったりとか?

 

「で、釈明はあるかなー?」

「みんな揃ってでっぱいで揉み心地が大変よぅございました」

「お姉ちゃん、関節任せた」

「任せなさい」

「ヤ、ヤメロォ!!何をする!」

「ちょっと気持ちいいマッサージだよ♪」

 

さて、そんな浮気とも言える行動をしたダーリンにはちょっと健康チェックも兼ねての……

タイ式足ツボマッサージのお時間です。押さえ付けと抵抗をさせないようにしてもらって……

ついでに暴れる気を押さえるためにその後頭部におっぱいを押し付けてもらってと。

 

「いくよー」

「遠慮なくやりなさい」

「3、2ぐいー♪」

「あばぁぁぁああああああああああああああああぁぁああぁぁああ!!!!!!???」

 

おーすごい悲鳴、かなり不摂生してたな?ちょっと指圧しただけで悲鳴が。

心構えさせなかったのもあるけどこれは酷いな。エッチする前に運動させないとな。

デスクワークばっかりで運動らしい運動は……してなさそうだしね。

それこそ夜の運動くらいじゃない?あとはあれか……バイクに乗ってる時とか?

 

「417!ギブギブ!!!」

「お姉ちゃんまだいけるー?」

「大丈夫よ、むしろまだこの人の頭を抱えて居たいわ」

「はい、まだまだ行くよー♪」

「おにちくぅ!!!!!」

「ダーリンの不摂生が悪いんだからねー?」

 

ギブと言われても私は止めるつもりはございませーん。

これで痛くならない位にマッサージしておかないとねー不摂生が祟ったら困るのはダーリンだし……

ひいては私達もそれで困っちゃうんだからダーリンには長く健康で居てもらわないと。

取り敢えずお仕置き代わりのマッサージでちょっと健康志向に目覚めてもらいましょう!!!

 

 

――――――――――――

 

 

さて、今日は兄さんの愛車の納車日になります。では今日はどうするかって?

私が率先して送り出してやろうじゃないかと私が車を出すことになった訳ですが……

護衛としてSAAとFive-seveNがくっついてきた訳ですよ。

ヴィオラはヴィオラで今日は街でちょっとお散歩したいと言ってダーリンと一緒にバイクに乗って出掛けていった。

 

「兄さんが運転?」

「おう、悪いか」

「べっつにー?」

「コーラいりますー?」

「ありがと、私もちょっとオシャレ品を見たかったしショッピングに付き合ってよ?」

「私はOKだから最悪兄さんだけ先に返して私達だけでショッピングしても良いし」

「私はコーラが飲めれば何でも良いですよー」

「じゃあ帰りに俺がコーラを奢るって言ったら?」

「あ、良いんですか?じゃあついてきまーす♪」

 

この兄完全にSAAにターゲットを絞ってるぞ……ただ下心はそんなに……

普通にコーラをちらつかせているけどまぁ仲良くなりたい感じか。

私はFive-seveNと一緒にちょっとショッピングかな?

 

「しかしこのARRグリフォンか、良いな」

「あんまり飛ばさないでよ?」

「わかってる、妹がガキを孕んだってなりゃなぁ……」

「パパママが居たらなんて言ったかな」

「……普通に祝ってくれたと思うぞ」

「そっか……私の両親は……」

「時代が悪かっただけだ、俺たちをきっちり育てるつもりだったみたいだしな……草葉の陰で嬉し泣きしてんだろ」

 

パパママの顔は覚えていないけど兄さんはどこか遠い目をして答えてくれた。

つまりは私が覚えていないだけで兄さんは覚えているっぽいし……

悪い両親では無かったっぽい。だからこそ兄さんはちょっとグレたのかも?

墓とかも特には無い、戦争で巻き込まれた人間の行き着く墓場……

そんな墓場にあるのかもしれないけど、私達ガンツ一家の墓なんてのは無い。

報告みたいな事をしたかったりするけど……それも叶わない。

 

「赤ちゃん抱えて孫の顔を見せてあげたかったなぁ……」

「そうか……」

「写真とか残ってない?」

「……実は残ってる」

「マジ?家の何処だよ、言えやこのクソ兄!!」

「おまっ運転中に掴みかかるな!!SAA押さえろ!!」

「りょうかーい!」

「んあー!!はなせごるぁー!!」

「車内で暴れないで、そもそも417貴女妊婦でしょ!」

 

 

――――――――――――

 

 

ドッタンバッタンとした行きの車内はまぁおいておいて……私が暴れた?なんのこったよ。

カーディーラーに着くとまぁピッカピカで鮮烈な赤で彩られたスポーツカーが鎮座していた。

車高はなかなかに高いけど4ドアセダンで走破性も良くなかなかバランスがある。

何の因果かグリフォンのベースであるパジェロイオと同じ会社の車両だ。

ヤーパンのミツビシってメーカーのランサーエボリューションⅩだ。

ラリーカーの代名詞とも言える名車の一つで根強い人気は今も尚続いている。

私もこれは運転してみたい物だけど……悲しいかな、私は体格的に無理がある。

いやね、脚は届くんだよ。脚はね?かなり前に座ってから伸ばせば届くんだ。

ただそうするとね、ハンドルにおっぱいがぐにゅっと行っちゃって操作出来ないんだ。

 

「Five-seveNはそんな事無さそうでいいよね」

「何の話?」

「身長」

「あんまり大きすぎても困りものよ」

 

私とFive-seveNはあとはグリフォンに乗ってからお買い物するだけだしなぁ。

SAAは兄さんの護衛兼遊び相手に行っちゃうからここでサヨナラ。

 

「カーディーラーとかで嗅ぐ新車の匂いって好きにならない?」

「何よそれ、私には理解できないわ」

「そっかー……」

 

納車された兄さんのランエボをかるーく見た時に香った匂いが私は好きだったりする。

ARRとか納車されたサーバルとかも匂ったけど火薬の匂いも混じっててなぁ。

車好きだったりそれなりに車を動かしたことがある人間とかは理解してくれるんだけどなぁ。

まぁそこは稼働したての人形だから仕方ないか、変な顔で見られちゃったよ。

 

「じゃ、SAAそのバカ兄の事よろしくね」

「はいはーい、任されましたー!」

「ぬかせクソ妹」

 

運転席に座った兄さんと助手席にちょこんと座ったSAAに声をかける。

兄さんがこっちに向かって中指立ててきたけど無視無視、それより私は楽しみにしているのが……

お、エンジンをかけてから早速スタートするのかな?ミラー調節してからハンドルを握った。

さぁやれ、やるんだ、アレをやっちゃえー♪

過剰なくらいにブン回るエンジン、ちっとも進まない車体……焦る兄さん。

そしてガックンと揺れるランエボ……あーやらかしたやらかしたー♪

 

「やーいエンストさせてやんのー♪」

「マニュアル慣れてたわよね……」

「かなり感覚が違うんだと思うよ、クラッチミート位置が違うしエンジン特性だって全然違うだろうし」

 

今まで私や兄さんが扱ってきたマシンっていうのはトルクがこれでもかってくらいに太いトラック系統だった。

ディーゼル機関の車は総じて重量が重くクラッチも強く最高出力よりもトルクに振っている。

その為に扱いやすい車両が殆どだったりする。大型トラックは別ね?

それに対して今回兄さんが買った車っていうのは最高出力に振っていて扱いやすさは殺してる。

車両にドライバーが合わせていかなくちゃいけないような物だったりする。

スポーツモデル全般的に言えることだけどおいそれと手を出したら痛い目を見るんだ。

クラッチが異様に重たかったりもするし慣れるまでは脚がつりやすいかも。

 

「じゃ、私達は私達でお買い物行こっか」

「最近できたらしい喫茶店にも行ってみようじゃない、紅茶が美味しいらしいわよ」

「ほほー、何処情報?」

「PPKが仕入れた情報よ、ルート案内するわ」

 

諜報部もきっちり街の方も探っている証なのかな。私達だけだったら知ってなかったヤツだよ。

 

 

――――――――――――

 

 

「喫茶店じゃないじゃん」

「茶葉専門店ね」

 

ルート案内で来たのは501茶葉専門店なるものでこれがどうして喫茶店となるのか。

Five-seveNを横目で見てみると舌を見せていてごめーんみたいな態度だ。

ただかなり繁盛している感じでひっきりなしに人が入っては出ていっている。

扉から漂ってくる香りもかなり芳しい……これ合成品で出せる香りかな?

 

「でもこれは期待値高いね」

「でしょ、つい最近出来たばっかりだけどかなり人気なの」

「買って帰ってちょっと淹れてみよっか」

 

袋を抱えて出ていく人々は一様に笑顔でこれから味わうのが楽しみって感じ。

あ、でも私は楽しめないか。カフェインは赤ちゃんに悪いからね。

振る舞う分には別にいいだろうし数カ月後の楽しみに取っておこう。

じゃ、今日は買って帰ってから皆の反応を見ながら思いを馳せておこう。

 

「小洒落た店ね」

「おー、いっぱい茶葉がある……どれどれ合成品の割合は……ふぇ?」

「……嘘でしょ?」

 

製品の情報に書かれているのはなんと純度100%の天然物である。

そう、この世界においてかなりの高級品である天然物がこの店いっぱいに積まれている。

それでいて値段がそこらの合成品と遜色ないリーズナブルな価格だと……?

この茶葉専門店何を考えてこんな金ドブじみた事をしているんだ?

と、カウンターの奥に鎮座しているマスターらしき人物を見る。

 

「あれ、もしかして……」

「あら、知ってるの?」

「ほら基地にコブラを寄越した501部隊って覚えている?」

「……なるほど」

 

ここでFive-seveNも合点がいったみたい。腕章や服装から参照すると平気で出てくるんだもん。

どうして501部隊の人がD08地区の街で紅茶を売ってるのかはしらないけど……

 

「強盗だぁ!金を出せ!!」

「おっと」

「伏せておいて、すぐに……片付けるから!!」

 

扉が蹴破られて何事かと思えばバラクラバで顔を隠したステレオタイプな強盗が押し寄せてた。

4人組っぽいけど私は頑丈そうな棚の影に隠れて……Five-seveNは速攻で戦闘モードに切り替わっていた。

すでに得物のFN-57は引き抜かれて流れるようにセーフティは外されている。

マスターと思わしき人間も戦闘準備に入ってるし……これはすぐに制圧されそうだな。

さてと、今のうちに治安維持隊に連絡しておこっと……あーあ、これは休みがちょっと潰れるな。




どこかの501って部隊が天然紅茶を出すものだからD08地区の価値あがってなーい?
やばないこの地区ぅ


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Day140 基地の休みはのほほんと

諜報部ほんま有能


最近仕入れた天然物の紅茶の芳しい香りが兵舎の中を満たしている。

休日でのんびりしている私達をよけいに堕落させる魔性の香りだ……

まぁ私とヴィオラはドクターストップが掛かっているために飲めないけどね。

FALやらお姉ちゃん達も何でか知らないけど控えてるんだよね。

 

「そう言えばPPSh-41がこっちに来る動きがあるって本当?」

「えぇ、調べた所あちらの基地は新たに超音波検査機を購入したそうよ」

「ふぅん……他には?」

「この前攻撃ヘリを寄越した501部隊を覚えていまして?」

「勿論、D08地区に天然物の紅茶をもたらしてくれている所だね」

「彼処がまたちょっと動いているみたいですわ……どうにもM1戦車を用意しているみたいですの」

「……え?」

「ですから、M1戦車ですわ……エイブラムスと言えば伝わりまして?」

「あのね、PPK……理解しているけど理解したくないの」

 

優雅に紅茶を飲みながらリラックスしているPPKに近頃の事を聞いてみた。

S09基地に動きがあるのは通信でも聞いていたけどね。

では実際にどんな事をしていたかと言うのはPPK達諜報班が調べている。

超音波検査機って事はお腹の中の状態とかを見るのかな?

画像越しでも私達の赤ちゃんが見れるのかな、かなり楽しみだ。

だがそれの後に飛び出た話が爆弾過ぎて笑えない。え?何?エイブラムス戦車?

ランニングコストがかなり重いけど戦闘力抜群のあの戦車?

というか今現時点で判明している防衛兵器がオーバーキル状態なのにさらに増やすつもり!?

そもそもだけど動かす人形がまた必要になるじゃない!もう……

兵舎は今絶賛建築中でまた収容人数が激増するけど……けどぉ!!

 

「維持費でじわじわと殺されるやつだよ……」

「出産祝いとして用意しているようですからまだまだかかるのではなくて?」

「長く見積もっても五ヶ月後ね……」

「I.O.Pは更に人間よりも遥かに丈夫な人形ならば……と実験しているそうですわ」

「どんなー?」

「人間の発育サイクルを早める実験ですわ」

 

そう言ってPPKは私のお腹を撫でてきた……詰まるところはそういう事か。

人間の発育っていうのは今までずっとそのまま置かれていたけど……

この人口が減少していく現代において10ヶ月も待つのは不味い。

ましてや妊娠後期には身動きすら取りづらいなんて事もザラであって有事の際に動きづらい。

益々持って妊娠しようとする女性というのが減っていっている。

望む望まないにしても妊娠機能を失っていたりする人も居たりするけどね。

人形に搭載されている人工子宮を使った妊娠状態を再現しての実験をしているって言ったけど……

まさかと思うけど人形を使った人工増加計画とか考えてなかろうか。

 

「目標は現在の6ヶ月を更に半減、3ヶ月でのスピード出産らしいですわ」

「胎児への影響は考えて……無さそうだねー」

「テストケースで精子提供者を募ってさらに人形の人工卵子を用いて実験しているそうですわ」

「またヴィオラみたいな事は」

「していないみたいですわね、流石に消されたともなると動きが慎重にはなりますわね」

「そっか……ならまだ良いけど」

 

でも命を弄ぶような事を嬉々としてやっていることには変わりないし……

あんまりやっちゃうのはいけないと思うけどなぁ……人類存亡の危機ってやつだしなぁ。

私とヴィオラって例が出来上がっちゃったしこれ幸いに実験を開始したんだろうな。

 

「他の動きとかはなにかある?」

「以前テロリストの潜伏先で殲滅に向かったらしいR06基地を覚えていまして?」

「うん、覚えてるよ」

「この雑誌を」

「わぁぉ……ブライダル誌かぁ」

 

見た感じ面影があるけど……シーラ指揮官だね。めっちゃくちゃいい笑顔じゃん。

体には古傷っぽい物がいっぱい刻まれているけど本人の笑顔がすばらしいから気にならんね。

幸せそうな涙を讃えた笑顔だからねぇ。これ演技だったりするんだろうか?

告白された時は私もギャン泣きしてたしヴィオラもおんおん泣いていたしなぁ。

やっぱり女の子は幸せな時は泣いちゃうよね。そしてその泣き顔はすごく綺麗なんだ。

 

「へぇ~戦場の女でも結婚出来るって特集かぁ」

「この45とのツーショットなんて幸せそうですわよね」

「ねー、流石夫婦って感じ」

 

幸せそうな写真がつらつらと並んでいて見ている私達にも幸せな気分を与えてくれる。

 

「こういうのはもっとあっても良いよねー」

 

 

――――――――――――

 

 

しかしまぁ休みの日と言うものあってからみーんなだらっとしている。

毎日警備に出ていっていたFive-seveNとかガーランドとかものんびりしてる。

そして皆天然物の紅茶を片手に私とスプリングフィールドが焼いたマフィンを食べている。

お姉ちゃんはM16のダミーと睨み合いながらポーカーをしている。

そんな剣呑な二人を見てオロオロしているM4でしょ、SOPⅡの遊び相手になってるAR15でしょ。

ROはSAAと特撮談義してるし……この基地のTHE平和な基地の日常だね。

M14やスオミは何か話し合っていて結託してるし……んーどうしたものか。

 

「ヴィーオラー」

「ん、なんだ417」

「ダーリンの夏服の進捗どう?」

「まぁまぁだな、そちらはどうだ?」

「夜にちまちましてるから上着がようやく半分ってところかな」

「フッ、私はもう上着を縫い終えた」

 

謎のドヤ顔でヴィオラが勝ち誇った感じをしているが……その手を見るには……

 

「絆創膏まみれじゃん」

「何のことだ?」

「ほらこの絆創膏」

「いたいっ!にゃにをするぅ!!」

 

針でブスブスぶっ刺したと思われる跡が指に絆創膏って形で出来上がっていた。

指摘してからツンツン突っつくと涙目でヴィオラがこれまた可愛らしく訴えてくる。

うん、これはダーリンは普通に可愛さで堕ちるなって思うなー。

妊娠発覚前とか私共々いじめられプレイにドハマリしてたしねー

出産したらそれこそ私がやったことをそのままヴィオラもやったりしないだろうか?

 

「妊娠発覚してからもう何日だっけ?」

「9日だな、もう一週間経ったんだぞ、早いな」

「まぁでも私もヴィオラも子育て体勢は出来てるよね」

「そうだな……」

 

家事をしようかなーって思ったらG36に止められるしじゃあ裁縫しようかなってなったら……

それはそれでお姉ちゃんに休日くらいはちゃんと休みなさいと止められるし。

こうやって妊婦同士で喋ってごろごろするしか無いんだよねー

 

「あ、妊娠後期には色々音楽を聞かせてあげたりするのが良いらしいね」

「あと父親の声をしっかり聞かせておくのもいいらしいな」

「カフェに行ってピアノの練習とかしてみる?」

「ん、良いな……ちょうど良い暇つぶしになるな」

「そうだ私もギターがあるし練習しよっと♪」

 

よっこらせっと……お腹をいたわりながら立ち上がって部屋からギターを取り出そう。

 

 

――――――――――――

 

 

カフェには小さくもピアノが設置されている。電子制御されていて勝手にクラシックを流す事ができる。

もっぱらカフェのインテリア兼ジュークボックス代わりになっている。

今はキラキラした目をしたヴィオラが座って鍵盤を叩いている。

弾いているのはピアノの練習曲でド定番のトルコ行進曲か。

その隣に私が椅子を持ってきて座ってからアコースティックギターでセッションをする。

お互い知ってる曲ならこうやってセッションが出来るんだ。

ヴィオラも最初の音の確認とかでちょっと戸惑った感じは出していたけど……

 

「らららら~♪らららら~♪」

 

とまぁ上機嫌で弾いていて心底楽しそうに弾いてらっしゃる。

これダーリンを呼んだほうが良いなと思って一応端末にコールをかけておいた。

 

「突然何をするかと思いましたけど、楽しそうで何よりです」

「子供に音楽が良いらしいって話になって暇潰しにねー」

「いま~わたしの~ねが~いごとが~♪」

 

っとトルコ行進曲を弾き終えたヴィオラが間髪入れずに次の曲を弾き始めた。

これは翼をくださいって曲だったっけか。ギターの出る幕はないな。

カフェの準備中のスプリングフィールドがピアノを弾いているヴィオラを見てニッコリ微笑んでいる。

ヴィオラの過去を知ればこうしてのびのびと笑顔を見せて何かをしてくれているとねー……

暇潰しだけどついでに皆に何かは提供したいし純粋にリラクゼーションが欲しいんだよね。

動いてないと暇で死んじゃう、干からびちゃう。例外はダーリンの腕の中。

 

「……主人の匂い!」

「ん、ホントだ」

「そうですね」

 

真っ先にヴィオラが弾くのを止めたと思ったら叫んで出口の方を見る。

そう言えばそうかなって感じで鼻を鳴らせば私の鼻孔にもほんのりダーリンの香りが。

スプリングフィールドも同意して頷いて見せてから全員で見ている。

するとベルをならして入ってきたのは愛しのダーリンで……

 

「え、何皆こっち見てるの……演奏会は?」

「演奏会?あ、あぁ私のピアノを聞きに来たのか」

「コーヒーで良いですか?」

「いや、ちょっとウィスキーを貰うわ」

「私のギターもあるから楽しみにしててよ?」

 

お昼前だけど今日は一日出ないことを決めたのかダーリンが珍しく昼間から酒を頼んだ。

嫁と嫁による演奏と嫁から提供されるお酒でダーリンはさぞいい気分だろうね。

あーあ、運動禁止令が出てなかったらダンスを披露してたのになぁ。

 

「で、スオミとM14はいつからそこに?」

「え?さっきからですけど」

 

お前らもか。お前らもなのか?




社内報君が息を潜めたけどそのうち出るから(
あとM1エイブラムスも来たらまた人形増えるパターンやぞ



あ、そうだ(唐突)
UID:1599735
イベント完走まだ出来てない組だけど戦友受付てるゾ
皆もイベント頑張ろうな!


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Day141 そうだよコレコレ

ベビーカーらしき何かがドナドナされてきたので


アイドル活動とはギャラが発生するものである。そう、ギャラである。

お金が文字通りに発生するものである。普通ならね?

今日は一度検診に来ると言っていたPPSh-41に加えてスチェッキンとアーキテクトが来るらしい。

そう聞いていた私は何があるんだろうか?と首を傾げていたんだけど……

 

「いやー思いの外ライブの盛り上がりもあったしグッズが売れに売れちゃって」

「それは良いけど……あれ、ドレスの対価としてじゃなかった?」

「元手以上に儲けたからその分のギャラは払わないとね。という訳で受け取って」

 

スチェッキンいわく私の参加したライブのDVDがえらい売れたらしい。

ついでにCDも打ち合わせで歌ったのを録っていたのかリリースしていた。

グッズ類も作られてて……あれ?あの一回だけのつもりが普通にアイドルデビューしてるような……?

アイドル衣装だってあるし今回の検診でちょっとした運動とかがOKになれば……

つまりD08地区でアイドルとして活動しろという事なのだろうか?

ちなみに普通に私の一か月分のお給料より多くて困惑している。

そもそものお話だけどアイドルみたいな皆が熱狂できる偶像がこの世界にはもう無くなって久しい。

だからこそS09で突発的に始まったP38のアイドル活動が人気を博しているんだと思われる。

新しく音楽を作り出すにもアイドルをしようにも人類は疲弊しすぎている。

新しく娯楽を創作できるのは限られた極わずかな人間にしかできないし……

それを享受できる人間も限られている。多くの人間は数少なく安価な娯楽に頼るしか無い。

安物のアルコールと身体を壊すと承知して吸うしかないタバコとかだ。

遠い過去に消えてしまい限られたデータベース上にしか残っていない楽曲を掘り返し……

まぁ比較的安価に私達が提供できればそれで儲けも出るのかな。

幸い私達第2世代人形は人間と遜色ない外見で声にも自信はある。

完全オリジナルってのは難しいしちょっとアレンジしつつ再び世に広めていくしかないか。

 

「ちなみに一個頭どれくらいで売ってたの?」

「これくらいが相場だね」

「わぁ結構お手軽価格」

 

ズラッと見せてもらった商品の値段表はS09地区の平均収入から考えてもかなりリーズナブル。

D08地区で考えたら貧困層でもDVDプレイヤーさえ持てれば安易に購入することも可能なレベルだ。

この入りやすい価格設定もあってから売れてるのかもしれないな。

 

「ちなみにこれ提案なんだけど私が運動OKになったらこっちなりそっちなりでアイドル活動してみようかなって思うけど」

「お、本格始動してみる?」

「……楽しかったし」

 

受け入れられるなら別に私がしてみてもいいよね?戦術人形だけどさ。

平和的な事をしてみてもいいじゃんよいつ鉄血関係の事が片付くかわかんないんだし。

今のうちからG&Kで回されてくるお仕事以外も開拓していってもいいじゃん。

あんなに盛り上がったらそりゃ楽しくなっちゃうじゃん!!私は悪くないもん!!

 

「417は……あぁ、ここに居たか」

「お、ヴィオラ……とそちらは?」

「指揮官にも驚かれましたね」

「PPSh-41!?え、え、えぇ!?」

 

スチェッキンに真っ先に捕まったので兵舎で話し込んでいたらヴィオラがやってきた。

その隣にはパンツスーツ姿のちっちゃくて可愛らしいけど堂に入った人が。

誰かと思ったけど口から飛び出た声にびっくり、散々通話で妊婦心得を教えてくれた私達のかかりつけ医……!

ロシアンな帽子がトレードマークのPPSh-41と来たもんだから私はびっくり。

あ、安心したダーリンもびっくりしたんだね……出来る医者風味だ。

あ、胸元に下がってるネームプレートにちゃんと所属基地と人形IDも振られてる。

パンツスーツに白衣ってなかなか……でも何処かで見たことがあるような気がするのは何でだろう?

さらに脚元には何か……このクリクリの可愛らしいカメラアイは……!

 

「だーちゃんだー♪いいねぇ結構大きいだーちゃんも~♪」

 

この私の発言に一斉に他のだーちゃんがこっち向いたけど知らん。

頬ずりしながらよーしよしよしと撫でていたんだけど……おや、頭上から殺気が。

トリップ気分から抜け出させるこの圧倒的な圧はなんだろうか?

 

「あっ」

「検診しますので早く救護室に来てください」

「は、はいぃっ!」

 

すごーく穏やかな笑顔なんだけどその裏から発せられる確かな圧に竦み上がる。

これはツワモノの圧だ。下手なことを言えば私が処される……!

 

「今日はそうですね……軽い相談と胎児の様子を見ましょう」

「ほほぉ」

「一ヶ月で見れるものなのか?」

「自覚があるかは知りませんが所謂妊娠二ヶ月~三ヶ月に相当します」

 

そうか、受精計画では五ヶ月~六ヶ月で出産にこぎつけるつもりだったもんね。

となると私達は一ヶ月と半分程過ぎてるから……三ヶ月くらいになるか。

お腹もちょっとぽっこりしてきたし……お腹の張り具合も結構キツイなって思ってきたところだ。

画面越しとは言え私達の子供とご対面出来るのかな……ちょっと……ううん、かなり楽しみだ。

 

やっぱりと言うべきか運動に関してはNGを貰ったしょうがないね。

大人しく出産後にするしか無いけどそも出産がかなり身体に負担がかかるから安静にしろって。

 

 

――――――――――――

 

 

そんな問診が終わった後何やら外が騒がしいので何だろうか……と思ったら。

S09から来たトラックの周りに人だかりが出来ているもんだ。

また移動式屋台でも始まるのかな……と思ったんだけど様子が違う。

ダーリンも何も聞かされてないみたいだけどとりあえず集まっておけってさ。

なんのこっちゃと思ったけどトラックの荷台から視線を感じたりする。

では何があるのかな?このトラックは屋台ではなくて何だろうか。

私とヴィオラできっちりダーリンのサイドを固めると荷台

 

『3、2、1、どっかーん!!わーい!』

 

んんー?なんか聞いたことあるノリの声が聞こえてきたぞー?

あとこれ普通になぜなにナデシコのノリだよね。兄さんが絶対に反応する。

ちょっと辺りを見渡して見てみると……おぉ、SAAを肩車している兄さんが。

表情はこのノリに対して怪訝と言うかいきなりの事に困惑してる感じだけど。

記憶の底からヒットさせてから確信してフフッて笑ってるよ。

 

「何が始まるんです?」

「なぜなに……みらくるふぁくとり~だろ」

「……ダーリンは知らないか」

「え?何かのネタ?」

 

ネタが空回りした時はちょっとさみしいな。まぁそれは良いや。

今回は何を紹介するんだろうか。またへんちくりんな物を見せてくるんだろうか。

へんちくりんでも普通に商品としては優秀なんだろうなぁ。

この前のハイエンドちゃんとかかなり優秀で独りでにゴッキーとか消し飛ばしていたし……

アーキテクト製品はこの基地にも多数展開してるしねー……警備のダイナゲートとか最たる例。

で、スタジオの上を見るとあー……うん、お疲れ様って感じしか言えないユノちゃんが。

緊張してる感じが表情に思いっきり出ていて打ち合わせがあんまり無かったんじゃないか疑惑が出る。

その隣にはアーキテクト……もとい、アーちゃんうさぎか。

布で隠された商品と思わしき物がそこにあるけど……結構大きいな。

 

「祝福されてるぞ」

「うん、これは嬉しいけどユノちゃん大丈夫かな……」

「それは体調的な意味でか?」

「二重の意味でだよ」

 

刺されてから重体になったって言ってたのに大丈夫なのかよ……と私は思わなくもない。

まぁもう日常生活には支障はないんだろうけど緊張で変な所こじらせたりしないよね。

その時こそPPSh-41が駆けつけるだろうし大丈夫なんだろうけどね。

こっちに手を振って祝福してくれたユノちゃんには手を振って応える。

 

「話題だってよ」

「諜報部からも聞いている」

「大体色んな所に波紋が広まりすぎなんだよ……」

 

さて、商品のベールが剥がされてから出てきたのは紛うことなき……ベビーカー。

ちょっと機械チックでゴツさがあるけどこれは良いと思う。

これこれこういう贈り物を渡しは待っていたんだよ。こういので良いんだよ。

過剰な戦力はそうでも要らないし……というか贈り物でヘリコプターとかじゃなくてさぁ!!

こういうベビー用品で良いじゃん!なんでそういうのが一切来なかったのか!

ダーリンのお父様、お母様からベビー用品がとど……あ、やべ……挨拶まわりするの忘れてるぅ……

ダーリンの方見るけどのほほーんとしててからこれは……忘れてる?

 

「ふむ、これはシンプルながら良いな」

 

機能説明は片手間に聞いているけど普通にまぁ高性能だよ。

デザインは普通のオーソドックスな3輪ベビーカーで軽そうな感じさ。

それでいてフレーム素材がカーボンなんだろうか撓るし接合部分にまた衝撃吸収素材使ってるし。

素組の時点でかなりベビーカーとしては破格のものだと思うよ。

タイヤ?いや、なんでそんな機能を?3輪だし押して歩く分にはバランスを崩すも何も……

普通にクレイドル部分をハンモック風にして重力で自然と水平になるようにしたら……

 

「「フォースフィールド……だと……?」」

「なんでまたー……」

 

危険が差し迫るような所に赤ちゃん連れて行かないけど……まぁアーキテクトの言うこともわからんでもない。

いついかなる時に危険が迫るかは私だって予想できないさ。

でもフォースフィールドやり過ぎなんじゃないかな……これ、お高くなるでしょ?

 

「あ、やべ……PPSh-41が早く来てくださいって」

「む?あ……」

 

まだまだ続く問診の合間休憩だったんだけどこれは失礼してしまった。

慌ててぽっこりお腹の妊婦が小走りで救護室へと戻っていく。

 

 

その後、夕暮れ時の兵舎

 

「それ何?」

「あ、お姉ちゃん……これね、私の赤ちゃんの映像♪」

「……この白いシルエットが?」

「ちゃんとお腹の中で元気に育ってくれてるの……早く逢いたいなぁ」




蓋を開けたら普通にベビーカーになってたので安心した。
あとD08地区のアイドルがとりあえず417ちゃん爆誕ですね。
ヴィオラも巻き込んでアイドルユニット組ませちゃおうかしら(


宿舎コメント?なんのこったよ?


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Day142 この親にしてこの子あり

ふんわりからちょっとふるい落として生やした


「あー……皆に今日伝えるのは申し訳ないんだが……今日は俺の両親が突撃してくる」

 

今朝食堂で言われた言葉は文字通りの爆弾発言であった。ダーリンのご両親。

つまり私からして見れば義理の両親になる人が来るんだ。9人の嫁は絶句。

他人形も一部が固まってしまってから食事の手が止まる。

 

「指揮官のご両親ね……ご挨拶しておかなくちゃ」

「ご主人様、では歓迎のご用意は如何しましょう?」

「あー、いや仰々しいのは苦手な人達だから自然体を見せてくれりゃ良いと思う」

 

DSRが何やら目を光らせたしG36は意気揚々と準備に取り掛かろうとしたり……

M14とスオミ、G28、ステンがざわついてくるしガーランドもちょっとおどおど。

これはまーたドタバタの始まりだよ。ってことはアレかな、ベビー用品が来る?

お義母様にはちょっとお腹を見せてみたりしたいしなー……ヴィオラも目をキラキラさせている。

でも自然体ねー……変に気取る必要は無いんだろうか。嫁としてはあんまり変なことは見せたくないし。

いつでもダーリンと並んでいて恥ずかしくない、誇れる自分で居たい。

というかだけど基地に一般人が来て良いものなのか!?そこから私はツッコミたい。

 

「ダーリン、基地に入れるの?」

「もちろんG&Kの規約上一般人の立ち入りは厳禁になっている」

「じゃあどうするのさ」

「街まで行く、お袋は親父になんとか抑えてもらう」

 

やっぱりか。この基地に突撃されてはたまったものじゃないもんね。

そもそも警備に思いっきり止められるのがオチだと思うし本社の意向からしてもねー……

ダーリンのご両親はもうD08地区に移り住んできたんだね。

ほんとフットワーク軽すぎだろ、もう土日で引っ越ししてきてから……

え、それでもうこっちに突撃しようって言ってるの?これ不味いんじゃね?

緊急時は治安維持隊の方に対応をしてもらうけど……普通にそれで無理となった場合や……

大規模テロ等が発生した場合の避難先はこのD08基地だったりする。

つまりD08基地の位置情報とかはバッリバリあったりする。

だからマジで突撃しようってしたら出来る。そう出来ちゃうんだ。

 

「はい、という訳でついてくるやつ準備して車両に乗り込めー」

 

嫁連中は揃って普通にいつでもどうぞ?って感じでお化粧もしてるし……

スオミ、M14、ステン等も普通に薄っすらとお化粧してたり。

グローザとDSRがちょっと慌てて兵舎に戻っていった位か。

 

「運転は俺が」

「あなたは後部座席ね、妊婦に挟まれてなさい」

 

ARRグリフォンのキーを回そうと認証キーを取ろうとしたダーリンの肩を掴んだのはお姉ちゃん。

私とヴィオラは普通にお腹がぽっこりしてきて戦闘服よりゆったりしたセーター着ている。

私服っぽいでしょ?Uziはまぁ……まだ良い感じじゃないかな。

Mk23もギリギリそういう服ですって言えば許され……るかもしれない。

他の嫁連中?普通に外に出ていっても問題ないような服装だから良いじゃん?

で、ダーリンは後部座席のど真ん中に放り込まれて私とヴィオラで挟み込み……

ナビゲーターシートにはFALが座り運転席にはお姉ちゃん。

後方ではさらにサーバルに乗り込むスプリングフィールドでしょ。

ナビゲーターシートに陣取るわーちゃん、後部座席に座るMk23とUzi。

銃座って特殊ポジだけど座ってるG36C

そしてその後に飛び込んできたスオミ、M14、G28、グローザ、DSRの面々がコメットに乗り込む。

G36がちょっと名残惜し気にこっちを見ているけどやっぱりお料理するべきか……と思ってか残ったな?

 

「じゃあそこそこに動かすわよ、待ち合わせ場所のデータを頂戴」

「あいよ、ポイントX……Y……」

 

緯度経度で示してからそのまま発進する、でもこの大人数で押し掛けて大丈夫なんだろうか?

 

 

――――――――――――

 

 

「ディーノ!あらまーまたいい男になってー♪」

「げぇ……ぎゃー!抱きつくな!!」

「あはは……ま、まぁ母さんの愛情表現だから、大目に見てあげて」

 

待ち合わせ場所の小さなパーキングエリアには誰も居なくポツンと小さなEVカーが止まっていた。

二人乗りで一番安価だけど広く親しまれているモデルの物だ。

通称はステルスミサイル。内燃機関車の爆音と違い静音で近づいてくるし……

運転適性が無い輩が運転してよく事故を起こした経緯からもついている。

ダーリンのご両親は普通に良い感じのご夫婦。推定年齢は40代前半だけど……

ふたりとも若い、普通に20代ですって言って通用するレベルの外見だ。

ついてダーリンが降りてくると真っ先にダーリンに抱きついてきてから親愛のキスを降らせている。

これが毎回なんだろう、ダーリンは見るからに嫌そうな顔して拒んでる。

それに対して……なんかダーリンをよけいにナヨナヨさせた感じのたぶんお義父様。

やんわり止めようと手を伸ばすけどお義母様がこれがパワフルで聞いちゃいない。

 

「あらあら、そっちが……あら?」

「えっと、はじめまして。HK417です、その……お嫁さんその1です」

「HK416です、嫁その2で417の姉です」

「FALよ、嫁の一人で一番付き合いが長いの」

 

とまぁ嫁連中の紹介から始まっていって……皆それぞれの顔をじーっと見ている。

人形であること、重婚についても了承してる筈だけど……うーん、どこかマズかったかな?

 

「それで、417ちゃんとヴィオラちゃん?」

「「はい」」

「あ、固くならないで?……このぽっこりお腹は?」

「あーまぁ……その、お袋からしたら孫だな」

 

ダーリンの気まずそうな説明にお義母様固まって私とヴィオラのお腹を交互見。

後ろでオロオロしていたお義父様も目を見開いて私とヴィオラのお腹……とおっぱいを見てるな?

 

「incredibile!mamma mia!!私の孫!?」

「人形って聞いていたが、まさかディーノお前」

「正真正銘人形ですけど……」

「まぁ、技術の進歩で……子宝を授かったんだよ」

「主人との愛の結晶だ、お義父様も触れるか?」

 

お義母様は私とヴィオラのお腹に手を添えて感極まった感じで……ポロポロ泣き出した。

お義父様の方は人形と偽ってと思ったのかダーリンの肩を握り込んでいた。

人形証明証を見せつつまぁ一応健康に育ってくれている事を証明する写真を見せて……

 

「ありがとう、元気な子供を産んで頂戴ね?」

「あはは……勿論そのつもりです」

「無論だ、主人との子だからうんと元気な子を産む事を約束しよう」

 

孕んだ事に感謝しつつ私とヴィオラに頬ずりしてきたお義母様、情熱的だなぁ。

名目上は周辺警戒ついでについて来ただろうM14以下の人形も虎視眈々とお義母様とのスキンシップを狙ってる。

ダーリンを狙ってる感じだけどこれは外堀から埋めようとしてる感じかな?

 

 

――――――――――――

 

 

D08地区のご両親の新居をちょっと視察すると……わぁこれは立派。

一階が小洒落たカフェになっているマンションであった。

嫁と……嫁予定?が顔合わせしたついでにと案内されたんだ。

ちなみに現在基地の統括を仕切っているのはイサカとPPKである。

大人数が入っても……まぁちょっと余裕がある部屋であった。

 

「こっちでもカフェを開こうと思ってちょうど良い物件だったのよ」

「丁度お父さんもお母さんも退役金がたっぷりあってね……」

「今度遊びにいらっしゃい、自分のお家と思って着ても良いんだから、ね♪」

 

そういえば一階のカフェの名前がCafe Takamachiだったっけか。

完全にD08地区に根を下ろすつもりの両親にダーリンはすっかり顔を覆ってる。

 

「マジかよ……」

「まぁまぁ……」

「主人、家族が近くに居ることは良いことだぞ」

「孫が産まれたらベビーシッターしにいってもいいのよ?」

「勘弁してくれ、仕事場にマミーがくるのはやめてくれ……」

「「「「「「「「「マミー?」」」」」」」」」

 

新事実、ダーリンの素の母親の呼び方がお母さんでもお袋でもなくマミー

うっかり出たんだろうダーリンはもう耳まで真っ赤にして蹲った。

これにはちょっと驚いたのかお姉ちゃんを筆頭に励ましに出てる……

 

「ははは……ここは僕に似てるからね……」

「中身はユウの血が濃ゆいものね♪」

「いい具合にベアの影響もあったからおどおどはしないけど……」

「こんなに一気に嫁を貰ってくるのは誰の血かしら?」

「ベアじゃないかな……僕に度胸はないよ……」

 

ご両親もいい歳してるけど普通にラブラブカップルで良かった。

赤ちゃんが産まれたら真っ先に会わせてあげたいな。私のパパ、ママはもう居ないし。

 

「お嫁をさらに増やす可能性は?」

「………わかんね」

「増やすにしても家族計画は慎重にしなさいよ?」

「避妊具はちゃんとするようになったよ……」

 

否定しなかった事でM14がしっかりガッツポーズした。

 

「もう遅いけど」

「お姉ちゃん?」

「なんでもないわ」

 

 

――――――――――――

 

 

「ダーリンいつまで恥ずかしがってるの?」

「うっせ……」

「よしよし、主人……気が済むまで抱かれてるがいい」

 

帰りの車内はすっかり凹んだダーリンを私とヴィオラで慰める事に。

と言っても勿論エッチは無しでね、ヴィオラの膝枕を堪能してたら良いかな?

しかしヴィオラここで勇気の攻めの姿勢でダーリンの頭を抱きかかえた。

ダーリンのご両親はなんというか対照的な人達だったなぁ。

優男かなと思ったらオロオロ系の小動物とアグレッシブな情熱的なお義母様。

ただダーリンの性格と性癖は間違いなくあのお義父様から濃く引き継いだんだろうなぁ。

 

「また今度休みにあってあげよ?」

「えー……」

「今ならちょっとわかるんだけど……子供が出来て映像だけでも見えたらあんなに嬉しかったんだ」

「そうだな……きっと主人という子供がまだ愛おしくてたまらないのだろう」

「それに親孝行、しておこうよ……こんな時代だから何時最期になるかわかんないんだし」

 

したくても出来ない私みたいなのがいっぱい居るこの世の中……肉親が生きているダーリンは恵まれている方だ。

恥ずかしいかもしれないけど私達が引っ張ってでもちょっと会わせていこうか。

 

「お姉ちゃんもそう思うよねー?」

「ん?そうね、時は過ぎ去っていくばかりよ」

「近く私達もご報告しないといけないかもしれないし」

 

FALが何か意味深な事を言ったけど何があるんだろうか……

しかしM14達も揃ってお義母様に気に入られた感じで良かったと思う。

 

「嫁姑問題にならなくてよかった……」

「なにそれ」

「息子大事な姑が嫁をイジメるって問題だ……」

「えぇ……」

 

調べると結構あるみたいだけど時代の移ろいと共に報復手段も多くなり鳴りを潜めていった習慣だ。

それもヤーパンの古い習慣だぞ……ヴィオラなんでそんなのを知ってるの?

ヴィオラのこの謎のヤーパン知識も追々聞いていってみたいなぁ。




という訳でD08地区にタカマチパッパとマッマが住み着きました。
妊娠したらこういうご報告もしないとね?

古い姑?時代の敗北者じゃけぇ……


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番外 元男現女集合

はぁい、今日はBig Versaくん所のスィストラちゃんがやってくるゾッ!!
【何故こうなった。】って作品な!!


今日は何やら本部からお客さんが来るらしい。二人組で揃って人形らしい。

なんで来るのかは全く不明だけど取り敢えず来るのは確定らしい。

本部からお客が来るのは初めてかも。ダーリンもコレには怪訝な顔してたし。

 

「目的聞いてもただのお遊びだって言うもんだからなぁ」

「不思議だね。あ、今動いた」

「ほー……もうそんな時期か」

「そろそろちょっとしたヨガとかなら許される時期かな?」

「水泳も良いって聞いたぞ」

「へぇー……あ、丁度ダーリンに水着を見せたかったし良い機会かも」

「明日には建設が終わるリゾート風の宿舎にはデカイプールも設置してるしどうだ?」

「おー良いね」

 

大きくなってきたお腹の中では赤ちゃんがちゃんと育ってきてくれているんだろう。

嬉しいけどおっぱいの張りがなかなか辛くなってきた。一時的に胸が膨らむかもしれないと言われたけど……

うん、私のおっぱいもそうなったみたいで普段遣いのブラがギチギチ言ってて付けられたもんじゃない。

ゲーゲー吐いてたのも治まってきて食事も楽しく採れるようになってきた。

いや、楽しくなかった訳じゃないけどいきなり吐き気催して戻すことがあったし。

案外コレが辛かったもんだよ……ちゃんと食べなくちゃいけないけど戻しちゃうし。

最悪栄養カプセルが戻ってたらまた服用しないといけないからね。

あんまり酷いなら後ろからずっぷり刺すタイプになりかねなかった。

 

「で、遊びに来るって言ってもここそんなに……」

「兵舎のアケゲー祭りを見て言えるのか?」

「あっ」

「子犬子猫とのふれあいスペース完備」

「それに私個人持ちのゲーム類もあるか……」

「カフェだってあるしな」

 

娯楽に癒やしのスペースは確かにあるけど基地に遊びに来るってなぁ……

本部はそんなに居心地が悪い訳でも無さそうなのに……

 

「お、くる人形の情報がようやくき……え?」

「なになに?UMP45と……スィストラ?」

「両方共に非戦闘員っぽいんだよな、グローザ!」

 

後者は全く知らない人形だ。非戦闘員のUMP45って言うのもなんだろう?

って事でダーリンもちょっと怪しく思ったのかデータルームで働いている諜報部のグローザを呼び出した。

司令室のお隣はデータルームとダーリンの私室、呼べばすぐに聞こえるんだ。

 

「何、指揮官?なにか調べ物?」

「G&K本社所属のこの2体を調べてくれ、今日来るらしい」

「……了解、すぐに調べるわ」

 

来訪者リストの二人を一瞥するとすぐさま踵を返してデータルームへと籠もった。

防衛設備強化に伴いデータルーム内のマシンスペックも強化が図られ攻性防壁等も多量に仕込まれることに。

主に防壁関係はP7が躍起になって設営しているものでうかつに踏み抜けば人形ならばメンタルを掌握してこちらに寝返らせるとかいうかなりヤバイ物。

掌握自体は1時間も無いけどその間にD08地区への敵対行動をとる思考を抜き去って所属の記憶もD08に書き換えちゃうんだって。

つまりこっちのスパイって事にしちゃって向こうの動向を探ってもらうの。

大体そういうハッキングをしてくる人形っていうのは電子戦特化だったり諜報向けにカスタムされている。

あるいはウチみたいに外部演算装置として端末やらと接続して演算リソースを確保している。

どんなに高性能な人形であっても出来ることは限られている。

だから設備とか装備はケチったら人形は帰ってこなくなる可能性もあるからね!!

出し惜しみはしちゃいけないよ。どんな界隈にも言えることだと思うけど。

 

 

――――――――――――

 

 

調べ上げられたデータではどうもUMP45は色感センサーが著しく破損していて視力が悪いらしい。

全盲ではないが日常生活にも支障が生じていて正直な話付き添いが必要。

ぼんやりとしか見えず白黒でしか視認することが出来ないらしい。

全盲でないだけマシかもしれないがかなり重いな。それでこちらに遊びに……

というか療養的な意味合いが強いのかもしれないね。

続いてスィストラだけどヴィオラと同じで鹵獲された鉄血ハイエンドモデルらしい。

ヴィオラと違ってひどい目には遭ってないみたいなのが救いかな?

代理人って言われているモデルの予備個体が離反した感じみたいだ。

今はもっぱら雑務をこなしているそうだ。あんまり戦闘をこなす人形ではないらしい。

同じく鹵獲されている鉄血人形が何体か確認されているみたい。

 

「スパイとかでは無い様子ですので安心くださいまし、ではあたくしはまた仕事に戻りますわ」

 

警戒していたどこかの基地からの回し者等では無いことが確認された。

後数分で到着するけど変に警戒することは無いってなると安心した。

ヘリアン上級代行官からの連絡で仕事を休ませている身だから丁重にな?と釘を差された。

主にダーリンはセクハラしたら締め落とすとさらに釘を刺されていた。

まぁ勿論私とお姉ちゃんがきっちり押え込むから大丈夫だと思うけどね。

 

「お、あのヘリだな」

「本部からわざわざヘリかぁ……」

 

見えてきたヘリはG&Kのエンブレムが描かれた輸送ヘリだ。

私達の基地にあるものよりは小型だけどそのかわりに機動性に富んでいて要人移送に用いられる。

ヘリポートに降り立ってからスライドドアが開けばその中から二人組が降りてくる。

 

「ようこそ、D08基地へ、ここの指揮官のタカマチだ。よろしく」

「妻のHK417だよ。ようこそD08基地へ歓迎するよ♪」

 

降りてきた二人に笑顔を見せて握手を求めるように手を差し出す。

 

「えっと……スィストラといいます。よろしくですね」

「UMP45よ……て言ってもこっちにも居るんでしょ?」

 

視覚障害を持っているようには思えない穏やかな笑みを湛えた45が降りてきた。

しっかりとこっちを見ていて全盲ではないのをしっかりと認識させてくれる。

ただやっぱり覚束ない感じで見ていてハラハラはするなぁ……

どこか違和感があると思ったら目の色素が薄いな。これは見分けのポイントとして挙げれるか。

 

「長旅で疲れたでしょ?案内するからついてきて」

 

45の手を握ってあげてからゆっくりと先導する。ダーリンには先に行ってもらって皆の準備を万端にさせよう。

 

 

――――――――――――

 

 

私が手を引いて向かった先は取り敢えずって事で食堂に連れてきた。

ここが結局全員を収容する広大なスペースだったりする。

 

「みんなー、お客さんが来たよー!」

 

扉を開けて私が第一声で大声をあげると中でスタンバイしていた皆が一斉にこちらを見る。

主賓を迎えるテーブルはしっかり確保されていてD08地区ではもうポピュラーになりつつある天然紅茶を出しつつ……

G36とスプリングフィールドが主導して作り上げたパーティーメニューがずらりと並ぶ。

UMP45が居るということで45姉の好みを参考にしつつ色々出してみた。

スィストラの好みは不明だったがヴィオラが一応同じ鉄血ハイエンドということで聞いてたり。

ヴィオラはかなりヤーパン料理が恋しいと言っていたが普通に何でも食べると言ったしなぁ。

 

「ふたりともお食事がまだだったりお腹が空いてたらいっぱい食べてね」

「席まで案内ありがと……良い匂いね」

「わぁ……待って肉じゃががある!あ、鶏唐揚も!」

「味噌汁もある、必要なら言うと良い」

 

私達も座ってから軽くお食事しながら談笑と洒落込もうと思う。

お客二人はサイドをUMP姉妹で挟み込む。45には9がスィストラには45姉が。

スィストラを見て何か考える素振りを見せているのがAR小隊のダミー連中。

何となく聞いてみるとAR15が腕を組んでスィストラの顔を見ながら……

 

「いや、なんでかわからないけど抱きしめなければいけないって欲求に襲われるのよ」

 

と呟いて抱きしめるようなジェスチャーをするんだよね。

それに対してスィストラがヒェッと言った様子があったから何かあったんだろう。

AR小隊って真面目連中じゃなかったっけ?私の認識違いだったかな?

 

「それで~なんで今日は遊びにきたの?」

「えっと……」

「あら、このおっぱいが気になる?」

「そこー45姉、あんまりからかわなーい」

「世話係は私に変わるわよ」

「ちょっと416は……なにするのよ!」

 

あーあ45姉とお姉ちゃんのキャットファイトが始まったよ。

お客さんの前でやらないで欲しいのになぁ。45姉のからかいが発端だから45姉が叱られるでしょ

 

 

――――――――――――

 

 

「ここがウチの兵舎だよ。見ての通りとっても広いでしょ?」

 

二人が話したいって言うから兵舎の共有スペースに案内してから腰を落ち着ける。

私の隣には同じく妊婦であるヴィオラが座っていてスィストラと対面している。

 

「あ、はい取り敢えずだけどコーラね」

「大方こっちに来たのは私達妊娠組に興味があると言った所か」

「あはは……まぁ見ての通りで妊娠二ヶ月にもうすぐなるかな。おっきいでしょ」

 

マタニティ体型になりつつある私とヴィオラはゆったり目の服装だ。

私がお腹を見せてみるとぽっこりと出ていて中に赤ちゃんが居るのが見て取れるかな?

私の笑い声とかに反応して動いているから元気いっぱいなのがわかる。

 

「今はまだ実験段階みたいだけどこれが安定するようになったら貴女達もこういう子供を儲けれるかもね」

「まぁなんだ……本部で暇を持て余すのならば何時でも遊びに来てみるも良い」

「今日話してる感じだと二人共いい子なのはよく分かったし」

「なんならそこのアーケードゲームで遊んでいくか?」

「アーケードゲーム?」

「私、目が……」

「簡単なのもあるからほらほら私達妊婦でも出来るのとかあるし」

「重い物を抱え続けては疲れるぞ、吐き出すか動いて解さねばな」

 

という訳で私とヴィオラで色々アーケード筐体をはしごしながら色々させてみたの。

お手本にワニワニパニックとかさせてみて感覚を掴んでもらったら今度は感覚がモノを言うゲームとか……

それこそパーティープレイが面白いザ・ビシバシとかね。

ゲームで遊んでカラオケで歌ってって色々巡ってみたけど……楽しんでもらえただろうか?

 

 

「これは私、ヴィオラの端末の番号だ……何かあったら相談ぐらいには乗るぞ」

「あ、私のも……お話相手が欲しかったりしたら遠慮なくかけてね」

 

時間が来て帰る前にスィストラに話しかけてから個人のアドレスを教えておく。

 

「なんだか知らないけどシンパシーを感じちゃって」

「あまり抱え込みすぎるな……もしも何かあればここに逃げてくるんだ、何もなくとも辛いことがあれば話すと良い」

 

表情に少し浮かぶ影に思うところがあったのかヴィオラが私よりデカイおっぱいにスィストラを抱え込んでいた。

こうしてみると鉄血の姉妹って感じだなぁ……ふふ、良い一枚の絵になってるじゃん。

ドタバタにはならなかったけどただ遊びに来るだけっていうお客って珍しいことはこうして過ぎ去った。




スィストラちゃんは代理人ボディの元男だぞ。
皆すこれ。


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Day143 欲を知ればそうなるよね

ほのぼの補正ってことで


「前線でまたトラップが作動したわ」

「えーまたー?」

「うぇ、あの触手は思い出させないでよー」

 

SOPがこれでもかってくらいに嫌そうな顔を浮かべる。

そう、このSOPがこの基地所属になった発端とも言えるあのトラップにまた何かが引っかかったみたいだ。

雑魚鉄血兵はその通過だけを報告するだけだが……別の人型の何かだったら問答無用で捕らえる。

D08所属じゃなくて前線側から逃げてくるなんてのは限られるしね。

最前線から逃げてきたグリフィン所属の人形だったらご愁傷様。

鉄血の新型人形だったら……まぁ基本的には鹵獲してからI.O.P送りになるけど……

 

「………」

 

まぁヴィオラって前例もあるから一概にI.O.P送りにもできないんだよね。

こっちに寝返ったり無害化出来無さそうなら問答無用でI.O.P送りでもいいけど。

そこで反省してくれたなら助け出してやってもいいかなーって感じだけどね。

結局采配を決めるのはこの基地の長であるダーリンになるけど。

 

「ダーリン?」

「ん、いや……まぁ取り敢えず57達PEACE MAKER隊に回収させよう」

「そうだね、それからじゃないと始まらないね」

 

まぁ何をするにしてもその引っかかったのが何かにもよるし……お昼以降になるか。

 

「案外鉄血のハイエンドが引っかかっていたりしてな……」

「いやいやまっさかー」

「わからんぞ……案外5-6でボッコボコにされたデストロイヤーが逃げてきてたり……」

「5-6?」

「なんでもない」

 

ヴィオラは何かしら情報を持ってるみたいだけど抽象的な喩えにもならない。

メモリーエリアは完全に対ハッキングのセキュリティファイヤーウォールによって遮断されている。

だから漁れる記憶領域っていうのはかなり限られている。その中にもその情報は入っていたけど……

よくわからない上に何故か言語がここの言語ではなくヤーパンの言語だったというのが報告に挙げられている。

まぁハイエンドが引っかかっていたならそれはそれだ。こっちに害意を無くせばここの持ち人形にしちゃえば良いんだし。

S09P基地のアーキテクトみたいに協力関係っていう風にしたらそれはそれでいいじゃん?

人類に危害を加えるから今は敵対関係にあるだけでそうじゃないなら別にやり合う事はない。

むしろ私達と同じでそれぞれの人生を歩んでさ、幸せを手にしたら良いじゃん。

 

 

――――――――――――

 

 

前線から戻ってきたカルカノ姉が抱えて居たのは……鉄血ハイエンドモデルのドリーマーだ。

しっかりと拘束具を取り付けられている上に猿轡を噛まされていてガッチガチに拘束されている。

見る限りではかなりボロボロにされていて最前線で戦闘した後何とか逃げてきたって感じかな?

しかし危機的状況であっても余裕たっぷりそうな表情を崩してない辺りは強者と見るべきか。

ただヴィオラを視認するとこれはこれは酷い顔を浮かべる。信じられない物を見た顔だ。

 

「んむぐぅぅぅうううう!!???んふふふぇふぃは~~~~~!!!?」

「なんだ、クソ芋砂か」

「んんふふぇふふぇぇ!?」

 

ヴィオラの辛辣な一言にドリーマーがかなり取り乱して喚き出した。

それも信じられない様な目で見てから見た目相応に喚き散らしている。

 

「はーい、ドリーマーさんはこれから尋問しますから暴れないでくださいね、すぐに済みますから!」

 

縛り上げているドリーマーはすごい勢いで暴れているけどカルカノ姉が担ぎ上げて営倉に連れて行った。

勿論抱えているカルカノ姉の鋼の握力には敵わないで抜け出せないでいる。

ただ尋問かぁ、何をするつもりだろうか。ダーリンの考えは後で聞くとして……

私はお昼にしてこようかな、今日のお昼ご飯はなんだろうか?

 

「あ、ダーリン♪」

「主人か、今日は誰の口移しをご所望か?」

「いや、普通に喰わせて?」

「「なるほど、あーんか」」

 

背後が更にやかましくなったけど私とヴィオラは無視してからさっさと食堂へと向かった。

今日の献立は何だろうか?加工肉とかは避けろって言われたし……

最悪私達だけ別メニューかもしれないなぁ……匂い的には今日はイタリアンだな。

カルカノ姉妹がリクエストを挙げていたし今日はそういう事なんだろう。

 

「そういえばダーリンのお母様はイタリア系だよね」

「そうだな」

「ふむ、やはりイタリアンが家庭の味になるのか?」

「いや、親父に合わせて日本料理が殆どだったな」

「へぇ、だからヤーパン料理がクリティカルなんだ」

「私に言った毎日味噌汁を作ってくれという言葉も納得だな」

 

ヴィオラが語るにはヤーパン流のプロポーズの言葉らしい。

毎日手料理を食べる。つまり同じ屋根の下で住み生活を共にする。

粋とも言えるけど男女共に料理とか普通にする時代だから廃れていったらしい。

 

 

――――――――――――

 

 

「どうやってあのポンコツを落としたは知らないけれど、私はそう簡単には行かないわよ?」

 

尋問というか軽い問答のつもりだけどドリーマーは尋問役の45姉に余裕がある顔を浮かべている。

ポンコツとはデストロイヤーの事を指すらしくヴィオラ自身が口にしていた。

本来のAIはもっと短絡的で幼稚でよくやられるらしい。

404小隊ってのと会えたらG11辺りに聞けば返答で必ずやられ役と返ってくると言った。

404小隊ってのは知らないけどG&Kのデータベースにアクセスしてみても撃破記録が多く残されている。

 

「そう、まぁこっちもそんなつもりも無いけど、守ってる地域もあるからアンタを放置できないのよ」

「私をここで殺すつもり?残念ねAIのバックアップはされているから無駄よ」

「それは承知してるから言うけど、アンタ個人として人間に敵対しないなら別に保護するわよ?」

「お人形遊びがしたくて捕まえたいのかしら?お生憎様その手には」

 

と暖簾に腕押しみたいにドリーマーは情報をあまり吐かず人類への敵対行動も辞めそうにない。

と思ってた所だった。尋問に使われている営倉からとんでもない音が聞こえてくる。

 

くきゅるるるるる……

 

45姉がすごくニンマリとした顔を浮かべている。

それに対峙するドリーマーはこれまた羞恥に顔を真赤にしてプルプル震えている。

後ろ手に縛り上げられた身体ではあんまり身動き出来ないのだけど必死に顔を見られまいとしているのが涙ぐましい。

これを見ていたダーリンが一つ案が浮かんだらしくちょっと席を外した。

 

「へぇ~鉄血のハイエンドもおなかの虫は鳴いちゃうんだ~?」

「……黙れ、虫ケラ如きに私の」

「あーはいはい、ちょっと待って……ふぅーん?なるほど、いい案ね♪」

「武器さえあればお前なんて……」

「カリカリしないの、お腹もっと鳴いちゃうわよ?」

 

くきゅぅ~……

 

また情けない腹の虫が鳴ってドリーマーは黙ったヴィオラがイジられてむくれてる時に似てるな。

と、そんな剣呑な空気から一転してゆるい雰囲気が流れ出した営倉に良い匂いが漂ってくる。

ダーリンとデザートを楽しんでいたはずのヴィオラが揃ってやってきた。

ヴィオラもなかなかいい笑顔浮かべていてこれはドリーマーイジメをするつもりなんだろう。

 

「45、俺だ、入るぞ」

「あら、指揮官とヴィオラ」

「ふん、芋砂の次は腹ペコとはな」

「デストロイヤー!貴様ァ!!」

 

同胞と思われるヴィオラがこっちについているのが気に入らないのだろう食ってかかろうとしていた。

しかしそこは45姉が華麗に抑えつけて黙らせている。

また剣呑な雰囲気になりかけたが……ダーリンが持っている物がまた空気を変える。

持っているのはそう、私特製で一晩じっくり寝かせていたシチューだ。

しっかりと旨味を吸い込んで美味しいこと間違いなしの一品なんだけど……

 

「なぁドリーマー、一つ取引だ」

「応じないわよ」

「まぁまぁ……鉄血の配給って美味しいか?」

「……」

「G&Kの配給も不味いんだわ、でもな……ここの基地は違うんだよ」

「……(くきゅるるるるる)くっ!」

 

眼の前にある美味しい匂いを漂わせるシチューに腹を刺激されたかまた鳴る。

殺す対象である人間に聞かれたのが屈辱なのだろうか歯噛みしている。

 

「D08地区の人間には危害を加えなかったら毎日おいしい料理を約束するぞ」

「……フン、どうせ不味いに決まってるでしょ」

「はい、あーんしてみ?」

「主人、毒を恐れているのかもしれん……私が一口」

「あぁそれもそうか……」

 

と言ってからシチューは一端サイドに置かれているテーブルに置いて……

ダーリンが一口含み……ヴィオラの顎を持つとそのまま口移しで食わせたー!

ヴィオラの顔が幸せに蕩けて行くのが目の前で繰り広げられる。

これにはドリーマーも口をあんぐり開けて更には顔を赤くしていく。

 

「ふぅ……ごちそうさまだ」

「ま、この通り毒は無いから安心しろ、はいあーんな?」

「……あっづっ!!!????」

 

あぁ熱々のシチューを放り込まれたのか。多分エネルギー不足で低体温なドリーマーには熱すぎる。

もんどり打って椅子をガタガタ言わせた。なお後頭部は45姉のおっぱいによって受け止められていた。

 

「美味いだろ?」

「ふじゃけるんじゃないわよぉ!!」

「しょうがないな……ほれ、ふーふーしてみ?」

「ふー……あむ……うそ、美味しすぎ……?」

「ここで一つ、鉄血で食ってただろう配給を思い出してみ?」

「………」

「もう一度条件を言うよ、D08地区の人間に手を出さなかったら毎日こんな飯を保証するしお前を保護する」

 

ドリーマーのプライドが許さないのか……しかし生殺与奪はこちらが握り……

さらには強い欲求になっているだろう食欲と強く結びつきがある味覚を掌握された。

 

「……背に腹は変えれないわね」

「お、マジ?じゃあ暫くは監視付きになるけどD08基地内で自由に生活してくれや」

「このクソ人間め」

「配給飯が良いか、ドリーマー嬢?」

「いえ、滅相もございません」

 

パワーバランスが完全にダーリンが上になった瞬間だった。

一応の保証のためにと16Lab……ペルシカの息がかかったテクニカルスタッフがこっちにくるらしい。

それまでは監視付きでドリーマーを保護する事に。

 

「所でそっちのデストロイヤーだけど、お腹大きいじゃない」

「ん?妊娠してるからな、主人との子だ……ふふふ……」

「………デストロイヤーが……女の顔をしてる……ですって……?」

 

ドリーマーも大概面白い顔してないかな?

 

「じゃ、仮住まいになる兵舎に案内するから、拘束解いて……45姉良い?」

「私はOKよ、9!」

「あいあいさー♪」

 

UMP姉妹の息ぴったりな連携で監視していたけどドリーマーは逃げ出そうとする気配はなかった。

もうあんなニュルニュルの拘束はイヤよと言った。

あれ慣れると結構気持ちいいんだけどねー……解せぬ。




クソ芋砂堕ちろ!堕ちたな……
鉄血配給とかゲロマズだと思うの。
だからさ、こう……飯テロしてやったら案外コロッと行くんじゃね?と。
あとデストロちゃんが堕ちてたらねぇ。


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番外 合コンの負け犬は一匹ではない

サブタイトルについてはすまんと思う


合コンの負け犬というのをご存知だろうか?大抵のG&K指揮官であれば口を揃えて言うのは……

そう、己の上司でもあるヘリアンの事を言うが……実は何人か存在する。

その内の一人に数えられるのがヘレン・クローザー指揮官である。

 

「それでぇ、その負け犬ちゃんがここに来るの?」

「みたいだよ、所でそのプリンは誰のかなー?」

「勿論デストロイヤーのよ?」

「ふーん……」

「私のプリンを食べたのは……なんだ、ドリーマーか。食べたければ言えば作ったんだぞ?」

「……なん……だと?」

「おかわりはいるか?」

「いるっ!」

 

まだ監視付きではあるけどD08地区に迎えられたドリーマーはすっかり餌付けされていた。

大方ドリーマー本来のAIのノリでからかう算段だったんだろうけど……

残念ながらこのデストロイヤーはヴィオラだ。本来のAIでは無いときっぱり言っている。

逆にドリーマーが子供扱いされていてお菓子や美味しいご飯で手懐けられている。

プリンおかわりで上機嫌になったドリーマーは黙った。

放って置くと何を口走って騒動の種になるかは分かったものではないからね。

コイツの性格はかなり捻くれていて相手の楽しみを兎に角潰すことを極上の快楽としている。

もっと砕いて言うと絶望している人間を見てケタケタ笑うのが好き。

 

「ふぉうふぉうふぉはへひふはは……」

「ごっくんしてから喋ろうねー?」

「……合コンの負け犬なら男を落とす話術で釣るのが良いかしら?」

「止めてやれ……」

 

ドリーマーは兎に角こういうやつなのであんまり会わせない方が良いんだろうな。

 

「外部からの客が来るのは良いが……」

「色々警戒しなくちゃいけないから諜報部がピリピリしてるよねー」

「うむ……」

 

実際に現在一番警戒しているのが鉄血ではなく身内であるはずの人間なのが皮肉だ。

人類人権団体の過激思想を持っている連中が目下一番警戒する相手だ。

何やら強化外骨格と戦車やらでさらに強化されている模様だ。

PMCの手には余りつつあるけど正規軍は正規軍でE.L.I.Dとの殺り合いで手が離せない。

一般的な小火器では相手にできない相手に増強しつつあるから何とかしていただきたい。

 

「ちょっと工廠を貸してもらったらそれくらいどうにか出来るけれど?」

「ほう、詳しく」

「フフ、タダで教えるほど私は甘くは」

「ここに試作したパフェが」

「やる~♪」

 

こいつちょろいわ。

 

 

――――――――――――

 

 

「簡単よ、どんなに厚い装甲であっても金属には変わりないわ」

「そうだな」

「ここのポンコツマシンでどこまで出来るか試して作ったのがコチラ」

「これはなんだ?」

「何だと思う~?そのチンケな頭で考えてみなさい?」

「ふむ、わからんがドリーマーの保有する技術がスゴイのは理解した」

「~~~~~~ッッッ!!!!!」

 

完全に試作品と思われるARサイズのメカメカしい銃っぽい物が出来上がっていた。

ドリーマーにマシンの操作権限を一時的に渡すと資材を使って着手して……数時間も経っちゃいない。

途中何度も舌打ちをしていた事からも鉄血工造の技術力の高さが伺える。

工廠部分に関してはどの基地もI.O.Pからの装置をリースしてもらっていて横並びである。

規模の大きい小さいは関係して同時整備可能数や初期セットアップ可能数が違ってくるけど。

また装備に関しては自前で作ったりも出来たりするから試すことは出来たり。

まぁそれが許されているから今みたいにドリーマーがマシンを動かすことが出来たわけだけど。

そしてドリーマーはヴィオラのどストレートな褒め言葉に悶絶。

頭を思いっきりそこらへんにあったレンチで自らぶっ叩いて鎮静した。

 

「ふぅ……一々こうやってキーボードを叩かなくちゃいけないのが煩わしいわね、人間もグリフィンの人形もポンコツだから困ったものね」

「頭、頭」

「これくらいでどうこうなるほど軟じゃないわ……それより、417ちゃん、ちょっと担いでみてくれないかしらぁ?」

「おっぱい撫でるなぁ……いやに慣れてる感があるの止めて?」

「デストロイヤーの修理中に何度もしてるもの、もう慣れっこよ?」

「「ヒエッ」」

 

ふわ~っと浮いて寄ってきたと思ったら流れるように私の首筋に息を吹きかけてくるし……

片手はきっちり私のおっぱいに行ってたりでこのクソレズ感やばい。

 

「お姉ちゃんの危機を感じて!」

「ヤメロォ!これ以上は混乱が大きくなるぅ!!」

「あら、クソレズ仲間のG28ちゃんじゃない、じゃあはい、コレ試射して」

 

驚愕、私の妹がドリーマーとマブダチになってた件。

試作品のライフルを投げて渡すドリーマーとそれを慌てて受け取るG28。

何のことだろうか?と首を傾げているけど鉄血デザインな物に何か思う所があったか。

 

「シューティングレンジで?」

「コレがターゲットよ、はい、よろしく♪」

 

複合装甲材……あれ10式の正面装甲並の厚さじゃない?

 

 

――――――――――――

 

 

試作品という事もあって3発が限度ではあるけどジェネレータ内蔵。

装甲兵だろうが外骨格着て居ようが問答無用で融解して貫く熱量をぶっ放すレーザーライフルが完成していた。

試射に立ち会ったメカマン全員と撃ったG28は口をあんぐり開けていた。

その様子を見てドリーマーは笑い転げていた。まぁお遊び半分で作ったものだから適当にポイしておきなさいって言っておやつ食べに兵舎に戻っていった。

 

「そろそろかー……あれ?お前ら何してんの?」

「あ、ダーリン」

「ドリーマーがトンデモ兵器を作ってな」

「何アレ」

「レーザーライフル」

 

融解した複合装甲材の成れの果てを指さしてみるとダーリンも固まる。

ダーリンが出てきたってことはもうそろそろ件のヘレン・クローザー指揮官が来るんだろう。

護衛の人形とかはどうなんだろうか?流石に一人はくっつけているよね。

 

「諜報部から聞いているだろう、テロリストが勢いを増している事を」

「型落ちとは言え正規軍みたいな装備も出してるみたいだな」

「それを聞きかじってたドリーマーがぽんっと作った対抗策がアレ」

「さっきのゲスト権限要求それだったのかよ……」

 

ふぅぅぅぅ……とダーリンが頭を抱えてしまった……あはははは……

 

「あら、指揮官ここにいたの……ダメじゃない、私をちゃんと監視してなくちゃ」

「ぐえぇっ」

「今日ここに来る客人に持たせる手土産を作ったんだから褒めてくれなくちゃ……」

「お、おーうドリーマーが思いの外良い子で俺も助かってるぞー!!」

「ふふ、撫で方を熟知してるじゃない、良いわよ良いわよ……」

 

ドリーマーの足音は無い。こいつ浮かんで移動するんだもん。

んでもってこの基地のトップカーストに居るダーリンには完全に服従してる感じ。

私達の手作りお菓子の他に司令室に行けばダーリンが定期的にお菓子をくれるからね。

それに何気なく口出しして良い結果が出ればかなり褒めてくれる。

こいつプライドは高いけど承認欲求はかなりあったみたいで褒められるとデレッデレになってる。

余裕そうな言動してるでしょ?表情を見てみると良いよ。

ヴィオラとおんなじようにすっかり懐いた子犬状態だもん。

 

「あ、ヘリが来たよ」

「ドリーマーは兵舎に戻っててくれないか?」

「イヤよ」

「主人を困らせてくれるなよ……」

 

さて、どんな人が降りてくるのやら。




だが私は謝らない。

危険指定存在徘徊中 作者:試作強化型アサルト
から指揮官がやってくるよってお話だよ。
あっちはー……うん、なんだろう
強いのと強いのが殴り合ってるような感じかなぁ?
万能者って呼ばれてるらしいよ、強いよ!!


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Day144 面妖な、イレギュラーめ

ぽこじゃか増えていく……


「ついに完成したな」

「うわー……これはまた……」

 

出来上がったもう一個の兵舎だけどまたでっかい物になってる。

そう、トロピカル風の兵舎がついに完成した。実験的に栽培可能なフルーツ類の木々でしょ?

熱循環システムや日光や放射冷却の熱を取り込む事で各部屋の温度、湿度等を調整している。

プールには熱放射後の冷水が循環してくる。外気温は赤道に近い亜熱帯に設定されている。

プール内で過ごすのがちょうど良いくらいに設定されていて良い。

ウッドデッキがずーっと続いていてプールを囲うように展開している。

流石にもうコレ以上の増設は基地の面積的にも限界があると思う。

目立った娯楽施設はそれこそプールぐらいしか無いけど圧倒的な収容可能人数を誇る。

おまけに亜熱帯の環境を再現した温室に高地を再現した厳しい環境も揃えていて農作業にも持ってこい。

日当たりも良好な部屋と暗室もありどんな作物も栽培可能。

見た目はトロピカル、その実はただの宿舎兼農業施設と言った所。

このシステム周りが悪影響して建造にかなり時間を取られてしまった所。

で、この宿舎にはMG3等がすでに住んでいてここで寝泊まりしている。

工事が長引いたことに不評が出るかと思ったらそうでも出てないのが幸い。

ARダミー達もココに移り住んでいて皆それぞれ楽しんでいる。

まぁもっぱら集まるのは第1兵舎である私達が住んでいる宿舎になるんだけどね。

共有スペースの広さがかなりあるからそこでワイワイ騒ぐのが良いんだよね。

それに兵舎と兵舎の間はそう離れては居ない。渡り廊下もちゃんと設置されている。

 

「じゃあ早速だけどプールで遊んでみる?」

「それも良いが……」

「今の私の妊娠ステージだったら別に運動は良いって言ったでしょ」

「ヴィオラもそうだっけか」

「勿論、今朝も元気に動いてるって喜んでたでしょ」

「そうだな……そのうちお腹に耳を当ててみれば聞こえるんだろうか」

「今でもパパの声とか聞こえてるかもしれないよ?」

「お、おぉ……じゃあいっぱい話してやらないとな」

 

二人揃ってお腹の方を見る。私はおっぱいが邪魔して見れないけどさ。

パパであるダーリンはしっかり見れるしお腹を撫でるとわかるのかな?

反応して動いているのが私にはわかる、ダーリンはわかるだろうか?

 

「お、動いてるのか?」

「あ、わかる?」

「元気に動いてるな」

「これで妊娠3ヶ月相当らしいよ」

「そうか……」

 

感慨深げなダーリンの頭を抱いてぽんぽんと優しくリズムを刻む。

 

 

――――――――――――

 

 

そして工廠には16Labのテクニカルスタッフが来ていた。

ヴィオラのチューニングに立ち会ったスタッフでもありペルシカの配下でもある。

つまり鉄血の弄り方も少しは分かるっていう事だ。IFFやら出力リミッター等の取り付けが行われている。

勿論取り付けにさしあたりドリーマーは難色を示した。

 

「従っているのはここの基地の指揮官だけよ?なんでそんな物を付けなくちゃいけないわけぇ?」

 

さもあらん、IFFに関しては別に良いと快諾したけれどリミッターに関しては拒否した。

自分の容姿も自慢の内に入ってるらしく人間がどんな欲望を見せてくるかわかったものではない。

事実ヴィオラはその手の欲望に一度晒されているし私も手に掛かりそうなった。

折衷案で瞬殺は出来ないけれど普通に抵抗は出来るだけのリミッター設定になった。

あくまでも捕虜というより保護に近い扱いにしているためだ。

変な所まで弄ったらぶっ殺すなんて言ってたけどあの変態達が止まるとは思わない。

きっとヴィオラみたいな改造しちゃうんだろうなぁ……と思わなくもない。

 

「どう思う、ヴィオラ」

「どうも何も……」

「それより水泳が楽しみだったり?」

「それもあるが……」

 

何人か見た顔があってピリピリしてるのがわかるなぁ……

あんまり見せないほうが良いんだろうけど、どうしても出入りしてる所は目についちゃうからね。

今後こういう鹵獲がある可能性もあるからテクニカルスタッフも増える事に。

そうなると鉄血側がかなりのガバガバって事になりかねんのだけど。

 

「ん、終わったっぽ」

 

機械音が鳴り止んだと共に工廠の隔離シャッターが開けられる。

と同時に中で爆発音がしてスタッフの数人が弾き飛ばされていた。

何だ何だ?と思う前に背を向けてお腹を守る。

 

「この変態共っ!!何よこの余計な脂肪の塊はっ!!!」

「……同じ末路か」

「あー……ご愁傷さま」

 

パラパラと石ころが落ちてきた。いい具合に止んだかな?と思って振り返る。

するとG&Kのエンブレムが胸元に追加されたドリーマーが居たんだが……

衣服をこれでもかと盛り上げている二子山が存在感を放っていた。

テクニカルスタッフの一人に馬乗りになって殴打してるけど……

 

「ありがとうございます、ありがとうございます」

 

とまぁ殴打されて痛いはずなのに感謝してるド変態でしたよっと。

ちなみにすごくバルンバルンしていて眼福だったよ。

 

 

――――――――――――

 

 

「思えば……医療用の人形ってのこの基地にも居ないよねー」

「あー……そう言えば」

「かかりつけ医はS09地区の人形になってますねー」

 

救護室の前を通りかかった時だ、スコーピオンとステンとM14が話していた。

医療用の人形か……確かにこの基地には救護室って言うのもあるし立派なのがあるけど……

それを活かせる医療系の人形っていうのは居ないね。

ではこの基地でパンデミックが起こったらというと基本的には投薬治療しかない。

手術なんてのは出来ないし当然ながら私達のお産の立会なんてのは出来ない。

ダーリンが万が一にも狙撃された場合手遅れになるのが思い浮かぶ。

 

「ありがとう、それちょっと意見してくる」

「うぇ?あー417?」

 

思わぬ良い事を言ってくれたスコーピオンの肩に手を乗せてから司令室に向かう。

中からは何か話し声がする。数人が話し合っているんだろう。

 

「ダーリン、ちょっと良い!?」

「ほらほらもっと見てみたい?」

「見たいねぇ、もうちょっとたくし上げて」

「ダメよ」

 

ドリーマーがダーリンを誘惑しようと新しいボディで色々やってた。

まぁガチな誘惑ではない感じ、戯れあいみたいな所か。

隣にはヴィオラが座ってるし副官のお姉ちゃんが冷たい目線飛ばしてるからなぁ……

そこに巻き込まれているお手伝いに来ていたM4ダミーやRoダミーは戦々恐々。

 

「ドリーマーちょっと退いて」

「え、いやよ」

「毎食のデザート抜きにするぞ、退け」

「アッハイ」

 

一発目絶対に拒否して反応を楽しもうとするから睨んでから脅す。

デザート制作に関わってる私が動けばマジで毎食デザート抜きになるからドリーマーは強く出れない。

 

「ダーリン、医療の人形を雇用しよう?」

「……あー」

「ウチでも病人や重症人が出ないとは限らないでしょ」

「そうだなぁ……ちょっとI.O.Pに発注かける……」

 

発注用のタブレットを起動してから必要要項を入力していく。

基本的にはその後納期が表示されて数日後に納入って流れなんだけど……

 

「え、即納?」

「マジ?」

 

タブレットに表示されたのは即納の二文字で夕方には到着させると出ていた。

基本的にはこのサービスは追加料金が発生するんだけど……

特にそのサービスを利用したわけでもない。どうしてなんだろうか?

今回発注したのは4体になる、それがすべて即納とは恐れ入る。

追加でさらに一つメッセージがポップアップする。出荷が確定したメッセージだ。

 

「どれどれ……Kar98kにトカレフ、K5にM950Aか……あ?RFB?」

「五体になってない?」

「……何度確認してもこの五体だ、どうなってんだ?」

「さぁ……料金は?」

「四体分で間違いない……」

 

その場にいた全員そろってタブレットを覗き込む。あ、やべ。

 

「離れろ、おっぱいで見えん」

 

全員のおっぱいが潰れあってからタブレットの画面を覆っていた。

ついでにタッチ反応があったのかメッセージが消えちゃってて……

もう一回確認しようにも出てこない。どの基地にどの人形が行ったかは基本的に教えられない。

その為に工場出荷時のインフォメーションは即刻あちら側からは削除される。

残っているのを見られて輸送先で人類人権団体が待ち伏せして襲ったって事件があったためだ。

 

「それにしても即納かぁ……」

「医療プログラムをインストールしているが為に戦闘はあまり期待できんな……」

「基地防衛に回れたら良いんじゃないかしら?」

「戦闘が全てではないですから……」

「フン、戦術人形に戦闘が全てではないって皮肉?」

「まぁどうでもいいわ、面白い玩具なら遊ぶだけよ。それじゃあね~」

 

ドリーマーは去っていき時間が過ぎていく。あとお姉ちゃんをからかいに来たM16が取っ組み合いをし始めた。

やってきた人形はそろって身体からぼぼんと飛び出るものを抱えていたよ。

あぁ、うんココに送られる時点でそうなるのね……ふぅん……




ドリーマーも改造されましたよっと。
ヴィオラと概ね同じ内容だから色々できるぞ!!!

D08のしおりそろそろ更新しよ……


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Day145 連絡ダイジ

連絡はマジ大事。


「昨晩は準備に手間取ってご挨拶がまだでしたわね、わたくしはカラビーナ・アハトウントノインツィヒ・クルツ、よろしくお願いいたします」

「トカレフです、よろしくおねがいしますね」

「M950A、まぁよろしく」

「軽く占ったんですけどこの基地の未来は明るいよ」

「ハロー♪RFBだよ、マシン操作なら任せてね」

 

医療チームとして配属されることになった五人が今日は挨拶回りに来ていた。

まぁみんなカタログの姿からは一部が逸脱してでっかくなってたりする。

ここに配属されるにあたってはもうこういう仕様にするっていうのが暗黙の了解になってるっぽい。

まぁ体のいいプロパガンダ的な所だろうか。

I.O.Pの新規プロジェクトの紹介のモデルケースとしてウチは使われるんだろうな。

まぁお金は大量に貰えるし色々と幸せを享受しているから良いけどね。

 

「一応医療用のプログラムをインストールしていますが蓄積はまだまだですのでご留意を」

「まったく、なんで妊娠なんてしたがるんだか……」

「ともかくサポートは任せてくださいね」

 

戦術人形としての最低限のプログラムを入れ込みながら専門的な診察、診断、オペ。

その他の医療行為に関わるプログラムをインストールしている。

ではその経験はどうかと言えば……残念ながら培われていない。

実施経験は無く知識に物を言わせるしか無いのが現状の医療チームだ。

ただもしもの負傷者が出た場合の初期対応、医療機関への橋渡しには大活躍だ。

適切な処置が出来る出来ないは生死に直結してくる。私達戦術人形にインストールされているのは……

本当に簡単な止血の方法でしかないからそれ以上のことは行えない。

憶測でやって余計に悪化させてしまっても不味い……

 

「勿論そちらの御婦人二人の担当もさせていただきますわ」

「別基地の先生もいるんだけどね」

「そちらの先生ともお話させていただきますわ」

「できればその時に色々聞けたら良いね!」

 

医療チームはそれぞれやる気十分、胸を張って自分の仕事を全うしようとしている。

この医療チームも育ってきたらこの基地はさらに安泰なんだろうなぁ。

 

「では、その先生とのカルテデータの共有を致しますので失礼しますわ」

「それじゃあ、皆さん行きますよ」

 

一通りの挨拶が終わった医療チームはそのまま初日の仕事をしに兵舎を出ていった。

 

「基地に産婦人科医が出来たね」

「うむ……これで安心か」

 

 

――――――――――――

 

 

夜中にちまちまと縫っていたダーリンの夏服が仕上がったので着てもらおうかなと思って司令室に顔を出した時だった。

データルームがえらく騒がしく怒号が飛び交っていてP7のガチギレが聞こえてくる。

ダーリンの姿も無いし副官であるMk23がちょこんと座ってるだけだ。

 

「ダーリンは?」

「データルームの方に行ってるわ」

「……何があったの?」

「またハッキングを受けてるみたいよ」

 

しょうがないからダーリンの椅子に座ってみてから聞いてみる。

するとまぁまたハッキングを受けてからデータサーバーが攻撃されているらしい。

で諜報部の連中が必死こいて防衛をしているみたいだけど……この分だと向こうがまた一枚上手か。

縫い上がった夏服を背もたれにかけてからデータルームの方へとちょっと顔を覗かせる。

扉を開いた瞬間に飛び出してきたのは……

 

「なんでS09P基地に攻撃される必要がある!!あの基地にハッカーが居るなんて聞いてないわ!!」

「知らない!良いからデータ保護急いで!!」

「P基地からのハッキングで間違いないんだな?」

「あークソッ!!!最終防壁食い破られた!!」

 

うわーお、阿鼻叫喚の地獄絵図がそこにはあった。

スゴイことに全員キーボードじゃなくて首裏のコネクタできっちり電脳に直接外部演算装置ぶっ刺してやってる。

本気で相手をしているんだけどこれがかなり格闘しているけど防戦一方っぽい。

 

「一矢報いますわ……よ?」

「あら……」

 

せめて一矢報いてやろうとPPKが相手のPCを特定して逆ハックをかけようとした所だ。

ハッキングの手が止まりすっぱ抜かれていた個人データの数々が返却されていた。

これに全員顔を合わせて困惑気味。ダーリンも腕組みして事の次第を見ている。

他の人形も一様にモニターの方を見ているけど揃って脱力して突っ伏した。

 

「「「「「なんなのよー……」」」」」

「取り敢えずあっちの基地に連絡してくる」

「指揮官、膝枕をして……」

「FALかスプリングフィールドあたりに頼んでこい……っと417?」

 

ピリピリした空気が霧散して全員突っ伏した所ダーリンが若干怒りを滲ませながら席を立った。

どうやら件のハッカーはP基地に居るらしい。アリババって言ったっけ?

ダーリンが取り敢えず文句をつけるっぽいけど……

 

「なんでもないなんでもない、ダーリンにちょっとプレゼントしたかっただけだから」

「お、おう……お、あれ?」

「サイズは多分大丈夫かなって思うけど良かったら後で着てみて」

「へへ、ありがとよ」

「ん……どういたしまして」

「ダーリン、わたくしにもキス♪」

 

ダーリンのキスとかもかなりサマになってきた。

あとMk23と毎朝のおっぱい揉みスキンシップも最近再開しちゃったなぁ。

私が抜けてほかのお嫁連中のも揉むけどそれでも物足りなくなっちゃってきてるのかも。

 

 

――――――――――――

 

 

P基地の副官が通信に出たんだけど最初はかなり普通に世間話をしていたんだ。

だけどダーリンがいい笑顔でこう言ってから空気が一変した。

 

「所で、そちらの基地にアリババとメジェドってコンビいませんかねぇ?いやーウチの諜報部がちょっかい掛けられてるんですわ。えぇえぇ、そりゃもう今日も大騒ぎですよ」

 

語尾が露骨なくらいに荒くなっていてキレてますよって言うのを相手に叩きつけている。

思わず私が抑えて抑えてってジェスチャーするけどダーリンこれが止まらない。

 

「なんのつもりかは知らんのですがねぇ、仮にも交友もってる基地にハッキング仕掛けるのはどういう事か詳しくご説明願いたい」

「あーもう!ダーリンは一度落ち着いて!」

「へぶしっ!?」

「ハッキングしたなら理由を説明してください、訓練とかならちゃんと予告はしてくださいね、お願いします」

 

通信端末を優しく置くとダーリンに向かい合って……両頬手を添える。

黙らせるのにビンタしたのはごめんだけど許して?

 

「いい、向こうだってなんの意図もなしにそういう事はしないでしょ」

「そうだと信じたいが」

「あのユノちゃんの基地なんだから信じよ?」

「……そうだな」

「指揮官、新しい情報よ。確認しておいて」

「……アリババ名義のデータか」

「向こうは取り敢えず試したかっただけみたいね、不定期にハッキングを仕掛けるから楽しみにしておけって」

「フン、ならまぁ今度そのハッカーコンビに一発ちょっとセクハラでもしてやろうか」

「「ダーリン?」」

「アッハイ」

「手が寂しいなら私のを揉むか?」

 

ここ最近の近況データとI.O.Pの動きに関するデータが記されていた。

I.O.P内部に関してはまだまだハッキングの手が回って無く困っていた所らしい。

大体はやっぱりと言うか私達が関わっている実験のデータが殆ど。

今は早熟計画の実行データとかの収集に精を出していて……結果は乏しいらしい。

で、今は10ヶ月を5ヶ月に押え込むのが精一杯として計画を打ち切り。

他の人形による人類再生計画はまだまだ走り出したって所だろうね。

そしてグローザお前はしれっとダーリンを誘おうとしてるんじゃない。

しばき倒すぞコラ、しばくぞ。

 

 

――――――――――――

 

 

「で、これは何だ?」

「データ転送されてきたアレ」

「アレとは?」

「アーちゃんうさぎ」

 

速達で送られてきたのがDVDデータで……これがまた強烈なヤツ。

みらくるファクトリー、ドリーマーが絶対に反応するだろうヤツ。

 

「ドリーマー!」

「なぁに、私の事を呼んだかしら?」

「これ、ドリーマー宛じゃないか?」

「はぁ?アーちゃんうさぎぃ?どこのバカが送りつけたかよ~くわかる一文ねぇ」

 

軽く映像データの解析をしたんだろうけど一発で送り主のデータを割り出している。

で、ドリーマーが出てきた所が問題なんだけど?お前どこから出てきた?

コイツ屋根裏のパネルを外して出てきたぞ。

 

「飛び降りて登場したら絶対に指揮官の視線を奪えるでしょ?」

「視線を奪ってどうするのかなー?」

「面白そうじゃない!!」

 

ドヤ顔でおっぱい揺らしながら言うセリフかね?このドリーマー策略とかよりいたずら好きなだけに見えてくる。

で、このドリーマーがこの基地に居着いてから期を見計らったかのように送りつけられたみらくるファクトリー。

さて今回はどんな商品を作ったのやら……ヴィオラと一緒に音楽鑑賞でもしようかとしてた所だったけど。

まぁこの際ちょっと一緒に見てみようかと思ってドリーマーとディスプレイを眺める。

 

「『みらくるふぁくとり~』のマスコット『アーちゃんうさぎ』だよ、いえーい、ドリーマー見てる~?」

「素晴らしくアホらしい姿ね。あのポンコツAIらしいと思うわ」

「でも今回はユノちゃんが居ないね」

「そうだな……そして持っているのは何だ?武器か?」

「あーら、私に対抗したつもりねぇ?お可愛いこと」

 

画面の向こうに見えたのはもう私とヴィオラにとっては見慣れたアーキテクトの姿。

片手にはリボルバーライフルらしき物が担がれていて今回の紹介するものだろうって思う。

ドリーマーがお遊び半分で作ったレーザーライフルに対抗してると思われる。

 

「へぇ……良いじゃない、あのポンコツに出来ることが私に出来ないと思わないで」

 

映像内では発射音ほぼ無しで速射可能で命中後は崩落させる……ってこれコーラップスモドキじゃない?

そして挑発ともとれる今回のみらくるファクトリーにドリーマーが開発者魂を掻き立てられたらしい。

 

「イチから私の工房を作らせてもらうわよぉ、あの倉庫の片隅で良いから」

「とんでもないのが目覚めたんじゃない……?」

「奇遇だな、私もそう思う……」




そしてこっちのおっぱいドリーマーちゃんがアトリエを持つことに。
アーキテクトとの競争が勃発するかもねー


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Day146 涼と眼福

暑すぎ問題。作品内では涼もうや


ドリーマーが自分の部屋から飛び出して倉庫の一角を占拠してから作業をはじめた休日の朝。

皆それぞれ暑さを凌ぐ為にと思い思いの水着に身を包んで第2兵舎に集まっていた。

もちろんの事ダーリンも水着であるし整備班の皆もそう。

調理班の人間だって思い思いの水着を着てプールに集まっている。

それだけ大きなプールなのかって?その通りなんだよね。

D08地区の街中にも遊泳施設は存在するんだけどこの人数で押しかけるのは面倒。

あと数人は絶対に残ってないといけない。緊急事態っていうのも考えられるからね。

つまり今の所このプールにドリーマーを除く全員が集まっていることになる。

一応通信を受けれるように子機をそばに置いているんだけどね。

 

「ココ最近暑くなりすぎじゃない?」

「確かに……」

 

季節的にはもうすぐって所だったんだけどいや、大分前の時代からこの時期くらいから水浴びがいい時期か。

しかしながら水という資源が貴重な地域等ではシャワーすらまともに浴びれなかったり。

ここD08地区は割と資源に恵まれている土地だからこういうのも気軽に作れるし……

市民向けにも開放されていたりと大戦前みたいな事ができるんだけどね。

S03地区とかプールで遊んだなんて言ったら絞め殺されそう。

で、くっそ暑いのから逃れるのと……私とヴィオラは軽い運動の為に水泳をしようって事になった。

まぁ皆節電したいし軽く遊びたいのもあるだろうし……整備班は普通に女の子と遊びたいんだろう。

実際整備班連中の5人はそれぞれ思い思いの人形の水着に目をやっている。

まぁ主任は普通にとなりに座るイサカの際どい水着……普通のビキニなんだけど!

イサカの特大のおっぱいに対しては面積が少なすぎて卑猥なことになってるんだ。

そんなおっぱいに視線が釘付けになってる。ちなみにイサカは最近かなり貯金を溜め込んでいる。

まぁ使いみちなんてのは一つだけだろうけどね。私はそっと黙っておくことにする。

かなり臨時収入が入ったって喜んでいたのも胸中では話すがそれは黙っておく。

 

「うほ……DSRのおっぱいやべぇ……」

「いやいや、そこはやっぱり春田さんでしょ」

「そんな事よりオナニーだ!」

「誰か踏んでくれないだろうか」

 

バカ整備班の若い衆がそろって盛っているけど全員シカトされてたりする。

ちなみに兄さんはSAAと水鉄砲で遊んでいたりする。あんまり動きたくないって言ってたんだけどね。

SAAが誘った瞬間に着替えだしたもんだからもうね。

ちなみに若干のメタボ体型になってたのでSAAに笑われてショック受けてる。

しかしそれが功を奏したのかSAAからはお腹をタプタプ弄られたり……

P7にどつかれたりSOPが突撃かましてたりと子供に人気に。

 

「しかし壮観だね」

「そうだな……」

 

見渡す限りの人形がそれぞれ水着を着ているけどそのおっぱいが大きいこと。

他の基地では見られないばるんばるんな45姉とかこれみよがしに見せつけてるもんだ。

 

「417、ちょっとこっちへ来て頂戴」

「ん、はいはい何かなー?」

 

水着の上にエプロンをしたお姉ちゃんが私を呼んできたもんだ。

プールの中を見てみると私以外の嫁連中が消えていた、ははん?さては……

 

 

――――――――――――

 

 

今日はちょっと風変わりなお料理方法を取ることになりました。

海の家って昔にあったらしいんだけどそのスタイルを取ることにした。

大きな鉄板をあっつあつに熱してから具材を纏めて焼いていくスタイル。

それも、皆が見えるようにプールサイドの片隅で数人がかりでね。

私とお姉ちゃんが担当するのは焼きそばって言う鉄板料理。

パスタに似た麺を鉄板でこんがり焼き上げながらお肉と野菜で混ぜ込みながら熱を通していく。

基本的にはソースで味をつけるらしいけど変わり種として塩があったりする。

私もお姉ちゃんも水着はビキニタイプでエプロンをしているとその……

裸の上にエプロンをしているように見えてかなりエッチく見えるんだよね。

ダーリンが何か閃いた表情でお料理する私達を見てたりする。

これは夜中が楽しいことになりそうだね。私とヴィオラは参加出来ないけど。

 

「がっでむ」

「ん、いきなりどうしたのよ」

「お姉ちゃん達は羨ましいなーって思っただけ」

 

私とヴィオラはもう暫くは参加出来ないんだもん!くそぁ!!

まぁそれはいいや、他に焼いてたり作ってたりするのは……お好み焼きって言うのと……

たこ焼きって言うのとかき氷だったりする。粉物は良いぞとヴィオラの熱い推しがあった。

ちなみにそれを焼くための機材はダーリンが持ってたり。

個人で楽しむ為の小さな物だから一度に焼ける数が限られているのが難点か。

 

「で、タコなんて仕入れてたっけ?」

「無いから変わりにベーコンを入れてるわ」

 

海産物はかなり貴重というかもうほぼ絶滅したに近いからなぁ。

今でもせっせと養殖していたりする研究所があったりするけど……

あとは代替品が出回っていたりそれこそ遺伝子操作でそれっぽいのを作ったり。

D08地区に廃棄されている研究所の幾つかはそんな海洋養殖計画の名残があったりするらしい。

また今度調べに行ったりするらしいけど……今はまだ動きは無い。

 

「へい、焼きそば一つ」

「はいはーい、どうぞ♪」

「あ、ついでにそのおっぱいを」

「その顔面をこんがり焼かれたい?」

「ヒエッ」

 

整備班の一人が焼きそばの匂いにつられてやってきた。

体のあちこちはまだ水浸しでプールから上がってきたばかりなのは見てわかる。

しかし流れるようにさも当然のごとくセクハラをしてこようとしたので……

アッツアツになった鉄ベラをほっぺたに近づける。とっても熱いよ。

 

 

――――――――――――

 

 

「酷いじゃない、私が暑い中アトリエ工事してる間皆して遊んでるなんて」

「嬉々として動いてるから止めるわけにもね~?」

「そんな事言うおっぱいはこのおっぱい~?」

「ひゃぁっ!?ちょっと止めなさいよ!あっあっ……」

 

鉄血の黒衣装から着替えてタンクトップにオーバーオール姿で工事していたドリーマー。

ってこれ私のオーバーオールじゃねーか!いつの間にあさってやがった!!

で、ドリーマーは私とヴィオラは揉むとマジでヤバイって言うのを知ってセクハラはしてこない。

しかし45姉など他の面々には平気な顔してセクハラをかましてくる。

しかもめちゃくちゃエッチぃ手付きでこの慣れてる感がやばい。

 

「デストロイヤーが恋しいわね」

「ひえっ」

 

熱視線がヴィオラを突き刺す。どうやらドリーマーはデストロイヤー愛好家だったらしい。

ただヴィオラはガイアってまた別のモデルのはずなんだけど……それでも良いんだろうか。

鉄血でのデストロイヤーの扱いが色々と不安になるよ。このドリーマーを見てると。

 

「ちなみにデストロイヤーは皆の玩具よ?」

「いい加減におっぱいを揉むのを……やめろっ……!」

「あらあら、まだ感じ足りないのぉ?」

「いひぃっ!?ぉあ…あん…タ……いい加減に……」

「柔らか~い♪性能はポンコツでも玩具としては最高ね」

 

ドリーマーの指使いがヤバイ、見てるだけでゾクゾクしてくる感がある。

ヴィオラは揉まれているおっぱいを見て思わず自分のおっぱいをカバーしてる。

 

「おっと」

「チッ」

 

と、ここで惨状を見ていたんだろうお姉ちゃんが介入してきてフルスイングビンタが空振る。

開放された45姉が安堵の表情でぐったりした所……ドリーマーはニヤニヤと見ていて……

 

「そっちプールよ」

「ぼぼぼぼぼ!?」

 

ばっちゃーんとプールに背面からダイブ。このドリーマー微妙に抜けてるな。

そもそもドリーマー、浮遊できるんだから落ちるようなこと無いんじゃない……?

あーあ、タンクトップなんて軽装だから濡れたら大変なことになるのに。

 

「ドリーマーちゃんの濡れすけが見れるぞ!」

「「「なにっ!?」」」

「ダーリンは私を見てなさい♪」

「もがもが」

 

整備班が揃って反応していた。主任はイサカのおっぱいに埋もれてた。

 

 

――――――――――――

 

 

「酷い目に遭ったわ」

「半分自業自得じゃん」

 

ドリーマーはその後羞恥プレイをされることになった。

場所は倉庫の一角、鉄血の意匠とえらくゴシック調の文様が描かれている扉の前。

ドリーマーの言うアトリエ……つまりは工房が出来上がっていた。

一応名目上は工廠の拡張として申請しているからそれ相応の機材が持ち込まれている。

I.O.P製の物も幾つか存在するがほぼほぼドリーマーがイチから作った物らしい。

 

「さぁここが私、ドリーマーのアトリエよぉ」

 

シックな黒地にシルバーで文様をあしらい紫色で光るセンサー類を備えた機械がズラッと並ぶ。

かなり大掛かりで資材さえあれば鉄血で作っていた物はあらかた作れるのだろう。

 

「試しにちょ~っとイイ物を作ってあげるから指揮官に伝えておいて?」

「はいはい、無駄遣いはしないでね?」

「それは応じれないオーダーね」

 

すごくいい笑顔で中指を立てやがった。コストカットなんてのは論外なんだろうな。

しかしイイ物ってなんだろうか。鉄血の作っていた物ってなると……

向こうで主流の光学兵器だったりするんだろうか?

 

「……おかしいわね、あのAIのデータがない?」

 

背後でドリーマーが何かつぶやいたと思うけど聞き取れなかった。

 

 

「で、ダーリンそう思う?」

「またとんでも兵器作るんじゃねーか?」

「だよねぇ……」

 

ドリーマーの言葉を伝えてみるけどダーリンの反応は正直イマイチ。

鉄血製の人形を保護している時点であんまりイイことではなかったりするんだけど。

というか本部に黙認されているだけで別の基地から殴り込みが発生してもおかしくはないし……

それこそこれを良い事に襲撃してくる連中がいてもおかしくはない。

実際それでユノちゃん刺されてる……らしいし。

 

「ん?何だこの手紙……ほへ?」

「んー?どうしたの、ダーリン」

「結婚式の招待状……だと?」

「え、またぁ?」

 

差出人はD04基地、501部隊……あぁあのヘリを寄越した所?

ま、マタニティだけど行って良いんだろうか……とりあえずダーリンは確定だね。

 

「安定期なんだし無理が無かったら一緒に行くか」

「ん♪」

 

その時の体調次第って感じだけど私も取り敢えずついていくことに。

 

 

 

 

 

「このデータは?」

「さぁ、でもあんまり見向きもされない重要度の低いファイルみたいだけど……」

「あたくしには何も……何かの人形のバックアップみたいですわね」

 

諜報部の人形がI.O.Pのサーバーへと慎重にアクセスしていた所だ。

手始めにとアクセス頻度が低い部分からさらって行った所だ。

ひっそりと人形のAIバックアップデータが通常とは別のストレージに保管されていた。

ファイル名は繝€繝悶Ν繧ッ繝ュ繧ケAI繧ソ繧、繝誘MP40繝舌ャ繧ッ繧「繝��と文字化けしていて読み取れない。

しかしその保存ストレージ名が問題であった。

 

【鉄血工造ダブルスパイAI計画】




また独自解釈ぶちこんでいくぞー


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Day147 稼働、ドリーマーのアトリエ

ちょっとDeepDiveに付随するネタバレが入る。


工廠で生産できるものは限りがある。それは各基地言えることだ。

独自に機材を導入すればそれはまた変わってくるけれども技術者が居なければ始まらない。

そんな技術者は大抵I.O.Pか鉄血に行っているし他のまた別な人形制作会社に行ってるだろう。

そうでもない場合?大方アングラの違法業者として名を馳せるのかもしれない。

ちなみに人形市場では大っぴらに出回らないのでブラックマーケットや……

それこそ格安だったりする風俗店なんかはそんなアングラ業者の人形だったりする。

D08地区のスラムにも何体か確認されているらしく性病の元だから逐次回収分解処理が行われている。

そもそもスラムで開業している風俗店なんて非公認だったりするからなぁ。

あまり利用しないようにとは言っても数少ない楽しみのために皆行くんだろう。

男っていうのは欲望には絶対に逆らえない生き物だもん。ダーリンが異常だっただけ。

 

「で、ドリーマーは何してるの?」

「オーダーの武器を設計しているのよ」

 

気分がそうさせるのかドリーマーはアトリエに籠もりこれまた自分で作ったんだろう眼鏡を掛けて設計図を引いていた。

で、さらに言えば人形の設計図らしきものもあってからドリーマーの技術量を物語る。

この基地が保有する技術力っていうものがほぼほぼドリーマーに集約されつつある気がする。

S09P基地の技術力の大半をアーキテクトが握っているのと変わりないね。

アングラながらその技術力は恐らくI.O.Pの主任クラスと同等だろうね。

で、そんなドリーマーが今設計しているのは本部住まいのスィストラの担ぐ武器。

一度やってきた後頼まれたものだからダーリン直々に頭を下げた。

兎に角要項として押さえるのはエネルギー兵器である事とスナイパーモデルであること。

それ以外は一切の制限が持たれてはいない。コストも開発期間も一切なにも。

つまりドリーマーが思うがままにひたすら開発に勤しむことが許される。

 

「代理人の予備個体の子よねぇ?」

「そうらしいよ」

「そうねぇ……なら許容できる重量もある程度決まってくるわね」

 

唇にトントンと叩きながら思案しているドリーマーは少し思考を巡らせているみたいだ。

 

「既存のスナイパーライフルのデザインじゃセンスが無いわよねぇ……」

「そもそもエネルギー兵器ってそんなに簡単に作れるの?」

「もちろんよぉ、私のアトリエをちゃんと設営したんだからあのポンコツで作り上げた以上に楽に高クオリティな物を保証するわ」

「それなら良いけど……あ、おやつは何が良い?」

「そうねぇ……417のおっぱいミルクプリンとかできる?」

「……考えておく」

 

半分ケタケタ笑いながら言ってきたことだからそこまで本気じゃないとおもうけど。

おっぱいプリンなんて物があったなんてのは聞いたことがあったような気がするけど……

 

 

――――――――――――

 

 

しかしあのスィストラは非戦闘員であったはずだけど必要に迫られるって感じじゃなかったと思うけど。

何が戦闘への備えに駆り立てるのか私やヴィオラみたいに狙われる可能性は少ない筈。

 

「417~かまってー」

「ん?G28、どーしたの?」

「久し振りに膝枕してー」

「あーはいはい、最近ずっとダーリンにかかりっきりだったもんね」

 

どうしたものかと考えていたけど隣にG28が腰掛けてきた。

最近のところずっとドタバタしていた上にダーリンにかかりっきり。

だいたいの事をお姉ちゃんで満足させてた節がある。

で、今日は私が暇そうにしているのを見て近寄ってきたって感じかな。

お腹もけっこうぽっこりと出てきてから私の膝枕を堪能するのは今くらいか。

これ以上は大きくなりすぎて私もきついだろうし……そもそもだけど膝枕のためのスペースが無くなるな。

 

「ん!?今動いた!」

「うん、ふふ……G28の事もわかってるのかもね」

「ならいいなー……赤ちゃんかぁ」

「G28も赤ちゃん欲しかったり?」

「ちょっとだけ、お姉ちゃんだけじゃなくて私だって特別で完璧な人形なんだから」

「そっか……なら良い人を探さないとね」

「そこはお姉ちゃん達の子を」

「……はい?」

 

ちょっと意味わかんない事を言った気がする。私かお姉ちゃんの子供?

それを更に言えばG28が身ごもって産みたいと申した?

 

「もしもし、Kar?ちょっと」

「待って待って私は本気だよ!!」

『なんですの?今P基地のPPShさんとの会議中ですのよ?』

「いやね、G28が私かお姉ちゃんの子供を身ごもりたいとか寝ぼけたことを」

『出来ますわよ?』

「……はい?」

『ですから、理論上では可能ですわ。人工卵子の技術もあるのですから人工精子の技術もございますわ』

 

あーたしかに、卵子ができるならその対になる技術も自ずと出来上がるものか。

では私の遺伝子データとなるものを埋め込んだ精子を受精させれば……?

 

『無論、現在は人間同士での妊娠に使われる技術ですわ、人形間の事はまだ実験段階ですらなっていませんのでご安心を』

「だよね、あーびっくりした……」

「ちぇっ、なら指揮官を襲ってやる……間接的にお姉ちゃん達と同じ遺伝子の子を持つんだもーん」

『妊娠計画は慎重にお願いしますわよ?』

 

シスコンである上にダーリンにまで好意があるのかな?

 

 

――――――――――――

 

 

「おっぱいプリンじゃないじゃない」

「お前ふざけてると没収するぞ」

「アッハイ、すいませんでした」

 

ドリーマーのご要望どおりに私のミルクで作ったミルクプリンを提供してやった。

おっぱいプリンほどにデッカイのは用意してあげた。満足だろ?

土下座したドリーマーはさておいて開発コンソールをちょっと覗く。

書き上がったと思うブループリントが表示されていて何やら機械がせっせと動いている。

何かの華と蔓をモチーフにした流線型のフォルムと高額スコープモジュールが取り付けられている。

 

「取り敢えずの試作品、幾つか制作して気に入ったものを持たせるつもりよ」

「これも十分なんじゃない?」

「全然、こんなの軽い試運転ついでよ」

 

幾つも機敏に動いているロボットアームが溶接したり掘削したりしてる。

さらには細かなパーツを取り付けたりと組み上げていっている。

私がこのアトリエから一端離れてからプリンを作るのにそんなに時間を要していない。

つまりかなりの短時間で設計から制作まで0からやったわけだ。

 

「この私、ドリーマーがアーキテクトに遅れをとるなんてねぇ……許せないのよ」

「ほっぺたについてるよ」

「あら、ありがとう」

 

キメ顔で言った所だったけどほっぺたにミルクプリンの欠片が。

可愛らしい事になったけどほったらかしにしたら可愛そうだし……

私がちょっと拭き取ってあげると意外な事に素直に感謝してきた。

 

「出来上がったわね……射程と連射性、エネルギー効率のバランス取りにした高エネルギー重粒子発射ライフルね」

「こんなデザインにしたのは?」

「私の趣味よぉ」

 

出来上がったライフルは適度な厚みがあるけど所謂アサルトライフルのスケール。

ブループリント通りでかなり流線型で形どられていて側面には鉄血の刻印とドリーマーの趣味と思われるゴシック調のエングレーブ。

ちょっと洒落た杖みたいにも見える。ほぼ側面からせり出たカバーによってグリップが隠れてたりする。

なお、スコープに見えたのは光学マルチカメラ。効き目に掛けるタイプのスカウターに投映される。

セレクターの他にスコープ倍率の切り替えも存在している。

シングル、3バースト、オートの3モードが選択可能、等倍~12倍望遠まで選択可能。

正直この試作品だけでも十分過ぎる気がする。

 

「ま、これはノーブル・スタインとでも名付けておきましょう」

 

他にも幾つかの試作品が生産されていき一番の汎用性を持つノーブル・スタイン。

一発の火力に全振りして大型のジェネレーターと大掛かりな排熱機関が搭載されたメテオライト。

レーザーライフル版のアガトラム……そして火力盛りのムーンライト。

 

「じゃ、G&K本社に送りつければいいのね?」

「スィストラ宛てでね」

「じゃよろしく」

「私が持っていくの!?」

 

 

――――――――――――

 

 

「……行ったわね、さてこのお人形ちゃんを作ったは良いけど」

 

417を体よく追い出したドリーマーは一つスモーク状態になっていた製造チャンバーの前に立つ。

人形等を制作するためのチャンバーになるのだがその中に浮かぶのは……

 

「スパイ人形のUMP40ちゃん、気分が乗ったから再建してあげたんだけど……」

 

顔立ちにUMPシリーズに似た物を持つロストナンバー、UMP40。

UMPシリーズはI.O.Pにより制作されている?その一番最初の人形はどうだ?

I.O.Pも開発したと思っている一人形に過ぎなかった。

生産段階ではつけられてなかったはずの左目の傷が刻まれた状態で後の量産型は登録された。

そう、オリジナルとも言えるファーストロットのデータはI.O.Pには存在していない。

正式にはプロトタイプは生産後試験運用ご回収分解、終了させたとなっている。

詰まりは廃番となる。UMP45、UMP9の2体は正式に生産され……UMP40はプロトタイプ試験運用中に例のあの……

蝶事件の最中、戦闘に巻き込まれロストしたために廃番となった……筈だった。

その実際はUMPシリーズは鉄血によって創り出されたI.O.Pの情報を集めるためのスパイ人形でしかなかった。

つまり鉄血であるドリーマーならばそのファーストロットのデータも持ち合わせている……筈だった。

 

「AIデータが消されているわね……UMPシリーズのAIなんて同じだったはずなのに」

 

魂とも言えるAIのデータがドリーマーの電脳内にも無かった。

 

「ま、仕方ないわねぇ……もしかしたら戻ればあるかもしれないけれど」

 

思い浮かぶのは鉄血工造本社のデータサーバ内。

しかしドリーマーはまた別の個体として生産されてバックアップから復活している。

今戻ったとして初期化された上一度分解整備されるのが落ちである。

そうなればこの美味しい食事も楽しい文明というものも味わえない。

 

「やーね、ちょっとデータルームにちょっかいかけに行きましょ♪」

 

すべてのコンソールにロックをかけてからチャンバーすべてをスモーク状態にしてアトリエを出る。

ドリーマーは行き詰まった、無いものはしょうがない。

ではリフレッシュ代わりに真面目に働いている諜報部の人形にちょっかいをかけに出掛けたのだ。

 

「もしくは指揮官かぁ……あの童貞臭い男達をからかって遊びましょうか」

 

 

――――――――――――

 

 

「はーい、今日も良い身体してるじゃない、ポンコツちゃん?」

「あらあら、邪魔をしにきただけなら早々に帰ってくれないかしら?」

 

DSRにセクハラをかましつつスクリーンを覗くドリーマー。

手慰み代わりにDSRの余りある巨乳を揉みしだいていた所だった。

その目が見開かれていく。

 

「これよ」

「……?」

「ちょっとこのデータコピー取れる?いや、取るわ」

「勝手なことは」

「許す許さないじゃないのよ、わかった?」

 

ドリーマーのアトリエで一つの奇跡とも、一つの冒涜とも言える事が行われようとしていた。




僕はね、死別も良いけど……
この世界ではできるだけ笑顔を増やしたいんだ……とても柔らかいヒマワリのような笑顔をね

UMP40を出すのが冒涜と、404小隊の45に対する壮大な喧嘩を売る行為と知っても……
僕は45と一緒に笑顔で過ごしてほしいんだ。


人形ってさ。被造物じゃん。
自分が本当は鉄血側で生産されスパイとして送り込まれたと思っててもさ……
実際は裏つながりというか内通者を通じて生産されたダブルスパイって事を考えたのさ。
生産されないのはソフトとハードがそれぞれ別だから。

そう、考えたんだよ……また独自解釈になるけどね


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Day148 UMP

誰か404の45姉を連れてこい


最近の私とヴィオラの行動や気にかけている事をお姉ちゃんが必死にメモってる。

特につわりの兆候やその最中にかなり気にかけた事とかね。

今日の朝とか結構必死な顔で聞いてきたから包み隠さず話した。

つわりって結構きつい、いつでもどこでも突然やってくるんだもん。

楽しくお食事中に私やヴィオラは血相変えて飛び出した事が結構あった。

勿論それはつわりから来る吐き気が原因だったりする。

それを防ぐ方法は無い。だからできることと言ったらその後のアフターケアくらい。

嘘みたいだけど妊婦と同じアルゴリズムが私の中で組み上がっていっている。

食事の趣向だって一時的にとは言え変わったし……ヴィオラはひどくて……

自分の装備の榴弾の火薬を見てから美味しそうなんて言ってた。

止めなかったら危うく口に入れて居たかもしれない。

どうもD08基地に追加で送られたAI更新データの中にそういう物が仕込まれていたのかもしれない。

若しくは疑似感情モジュールや人間の脳と同じである電脳が突き動かしているのか。

まだそこは解析段階だけど少なくとも私達の妊娠中の挙動っていうのは人間のそれと変わりない。

 

「ダーリン、ほっぺたにくっついてる」

「ん?」

「……とれたよ、ごちそうさま♪」

 

安定期に入った私とヴィオラは取り敢えず日常生活を前と変わらない様に動けるようにはなった。

ただ、私は農作業や整備等の力仕事は絶対にするなとストップがかかっている。

前と変わらないようにダーリンの隣に座ってイチャイチャできるのは良い事だ。

 

「あーいいっすよねー、指揮官はそんなに侍らせて」

「俺らにもちょっといい思いさせてもらっても良いじゃないですかねぇ?」

「具体的に言えばおっぱいを揉みたい」

 

偶然近くの席に座っていた整備の若い衆の4人が一様に私達の食事風景を羨んでいた。

ダーリンの席には大体私が隣に居るし多い時は嫁全員で囲むから10人で一緒に食事している。

まぁ今日もなんだけど。AR小隊のダミーがくる前はSOPが大体膝の上を占拠していた。

そのSOPはと言うと……ちょっと周囲を見ればAR小隊の所で仲良く食事している。

 

「まぁ私達から言うとしたらね……」

「アンタ達オープンスケベ四天王は下心を隠しなさいよ」

「二言目にはおっぱいだったら幻滅するに決まってるじゃない」

「「「ハッフン……」」」

「そんな事よりオナニーだ」

 

傍に誰かしらがつけば大人しくなるんだろうけどね……童貞捨ててから色々増長してる節もあるし……

ダーリンも自分を振り見てるのだろうか気まずい表情でお茶をすすっていた。

 

 

――――――――――――

 

 

『指揮官、さっき前線からあられもない悲鳴が上がったんだけど』

「トラップに引っかかったバカが居るらしい」

『あぁー……あれまた回収しなくちゃいけないの?』

『私もあれはもう近づきたくないですよ、指揮官……』

『愛ちゃんももうご勘弁です、エロ同人みたくなりたくないです……』

『もう適当にほっときましょうよー』

『仕方ないですね、では私が回収してきます!』

 

今日も朝から元気に出ていった警備部隊からの通信が入っていた。

そのちょっと前に報告が入っていて回収に命令を出そうとしていた。

あ、今日は私が副官です。そろそろ動かないと私の頭にカビが生えちゃいそう。

ちなみにトラップに誤って捕まった際の脱出方法のレクチャーで全員捕まってたりする。

だから一度経験済みだし……そうじゃなくても何度かとっ捕まってたり。

ちなみに今日は二箇所から捕まえている報告が出ている。

つまり二度もあのウネウネ蠢く触手トラップに近づかなくちゃいけない。

皆それぞれかなりのダイナマイトボディだから触手トラップの好みにどストライクらしい。

あの触手トラップにも多少の知能があるらしい。コミュニケーションは取れる。

主に筆談になるけど……彼らの系譜はとある研究所で生まれたらしい。

基本的には植物との間の子だったりするから光合成で生きていけるらしい。

知性に関しては後々の研究で判明したものだ。

機嫌が悪い時はわりと言うことを聞いてくれなくてとっ捕まる事がある。

 

「今日は誰が捕まるだろうね」

「毎回捕まることはねぇから……」

『今日も元気ですにゃぁぁー!!!?』

『カルカノー!?』

「「………」」

 

通信機越しに聞こえてくる悲鳴にお互い顔を見合わせる。

どうやら今日は機嫌が悪かったらしい、カルカノ姉が餌食になっていた。

 

『確保!』

『緊縛完了です』

『はい喋る前にコレを噛んでくださいね♪』

 

この様子からとっ捕まったのはまたドリーマーみたいなのか。

通信機から聞こえてくるのはちょっと甲高い……幼い感じの声だ。

しかし二箇所って事はコンビで動いていたって事なのかな?

 

 

――――――――――――

 

 

「あっははは、なっさけない姿で転がされてるわねぇ」

「「ふぉひーまぁ!?」」

 

開幕大爆笑で迎えたのは我が基地で保護状態にあるドリーマー。

識別の為に別個にまた名前が与えられドリーマー・リリーと名乗る事に。

そんなドリーマーの前に転がされているのはデストロイヤーとゲーガーと呼ばれるハイエンドモデルだ。

デストロイヤーはご存知、ヴィオラの元々のモデルだ。ちっこい。

で、ゲーガーというとアーキテクトの片割れで割と苦労人……だと思う。

だってあの自由奔放、ノリと勢いが全てのゴーイングマイウェイだぞ?

アレを抑えて制御しなくちゃいけないとか気苦労は計り知れないな。

 

「何よ、そんなに驚くこと?」

「もがもがも……」

「ゲーガーは……ふぅん、かなり最近に製造されたみたいね」

 

まぁ驚くだろうね、ドリーマーがG&Kの基地に居て自由に歩き回ってるんだもん。

おまけにおっぱいはアルケミストもかくやと言った所までバインバイン。

片手にはクレープ持っててぱくつきながら笑ってるんだもん。

 

「ところでぇ……デストロイヤー、あんたの製造番号……****よね?」

「……!」

「あら、当たりねぇ……嬉しいわぁまたデストロイヤーをぺろぺろできるなんて……」

 

露骨にデストロイヤーが怯えた様子で頭を振ってる。

あーこの波長は間違いなくG28の系譜だな。クソレズの波長だよ。

ちなみに私が控えている理由?勿論だけど飯テロの為です。

 

「ねぇゲーガー……鉄血の配給、どれくらい補給したのかしらぁ?」

「………」

「そう、二週間も良く頑張ったわねぇ。もう私は無理よ……417ぁ?」

「はいはい、今日は暑いしさっぱりといただける冷麺だよ」

「「………?」」

 

甘酸っぱいソースで和えて冷やして締めたつるつるの麺と……その上に彩りを与える野菜類。

ここで猿轡が外される。この扱いに二人揃って怪訝な顔。

しかしながら美味しそうな匂いが鼻孔をくすぐりデストロイヤーはすぐによだれを垂らしはじめた。

 

「ここの基地は良いわよぉ……大人しくしてるだけで美味しいご飯とおやつ、それに遊びもあるのよ」

「おやつ!?………だ、だまされないわよ、ドリーマーが何回も私の飴玉盗ったの覚えてるんだから!」

「これが……くっ、だが……」

「それにぃ……私なんてアトリエを持てたのよ、個室もあるしぃ……あら、美味しい」

「それ私のじゃん!!」

「一度犬になったんだしみっともなく犬食いしてみたらぁ?くふ、ふふふふふ♪」

 

これが平常運転のドリーマーか……なおその後入ってきたお姉ちゃんによってドリーマーは思いっきりゲンコツ食らって伸びた。

 

 

――――――――――――

 

 

「「うまー♪」」

 

鉄血二匹追加で保護となりました。二人共武装の類は思いっきり破損していたしちょうど良い。

そういえばずっとドリーマーが黙ってるんだけど何かあったんだろうか。

 

「指揮官に伝えていて頂戴、新しいお人形が一人追加されるからって」

「……ダーリンに?って事はドリーマーが作ったの?」

「まぁそうなるわね、兎に角伝えておいて」

 

最終調整がとかブツブツ言いながらドリーマーは食器を片付けてからアトリエに向かっていった。

新しい人形ね……というかあのアトリエそんなのも作れるんだ……

テクニカルスタッフの方も慌ただしくなっていたし……また工廠が締め出し区域になるな。

 

「よ、隣良いか?」

「あ、ダーリン……もちろん、今日の冷麺は私お手製だよ♪」

「ほほー……で、あの二人は?」

「無事メシ堕ち」

「よっぽど鉄血の配給は不味いんだな……」

 

お隣にちょっと手続きとかしてお昼が遅れたダーリンが座ってきた。

 

「そういえば人形が追加」

「お、もう知ってたか……何体かまた警備強化にって送られてくるんだ」

「ん、いや……ドリーマーがね」

 

話すとどうも本社側から基地内警備についてツッコミを入れられたらしい。

かなりの規模になりつつあるこの基地の警備はアーキテクト製のだーちゃんが殆どを担っている。

人形の歩哨がほぼ居ないんだ。という訳で警備体制の見直しをしろって叩きつけられたらしい。

ドリーマーの件は完全に寝耳に水らしく驚いていた。

 

「じゃ、後でドリーマーのアトリエに向かうのが良いか」

「かなぁ」

 

 

 

――――――――――――

 

 

Booting.....90WishAIProtocol...

checkRunning....GKDive.bat....ok

TypeUMPAI....ok

Body....ok

FireControl....ok

****Routine....ok

 

ALLgreen,UMP40 reboot complete;

 

「お目覚めかしらぁ?」

 

ガンガンと痛みを感じる頭を押さえながら起き上がる。

ここはドコだろうか。あたいは……

 

「おはよう、UMP40……鉄血の犬のフリをしたI.O.Pの手先……」

「……?」

 

ネットワークにつながろうとしてもネットワークが存在しない。

 

「あらぁ、ごめんなさい……ついうっかり……」

 

ぱちん、と指を鳴らされて何事かと思えば……

 

「ぅ……あ……」

「死んだはずなのに生き返らされて……更に言えば人間に自分の使命すら騙されていたなんて……どんな気分かしらぁ?」

 

溢れ出るように電脳に書き込まれ……封印が解かれていくメモリーの数々。

この人形が意図的に埋め込んでこうやって解いたと思う。

アタイが死んでUMP45はどうなった?更に言えばアタイが信じていた任務は……

刷り込まれたまやかしだった……?あたいは何を信じたら……良いの?

 

「40、貴女はもう公的には死んだ扱い……こうして生き返ったのもだーれもしらないの……生かした筈の45でさえ知らないのよ……」

「……」

「だから良いじゃない、もう一度拾った命……大事にしましょう?この基地は暖かく迎えてくれるわ」




40を会わせてからギャン泣きさせたい。


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Day149 夢のような平和

平和なドルフロはお嫌い?


早朝の日が昇って間もない頃、麦わら帽子がチャームポイントなあぐちゃんとスオミが畑を見ている。

順調に発育してきているジャガイモは中々いい具合になってきていてもうそろそろ収穫しても良さげな感じがしてきている。

収穫時期になったらあぐちゃんが勝手に回収してくれるらしいけどね。

私も動くことは許されたのでスオミのお隣で土をいじくり回している。

 

「そういえばドリーマーが畑の水循環システムを作ってるんだって」

「畑にまで……一度見に来ただけですけど、大丈夫なんですか?」

「下の方の配管は専用に作り出した掘削作業だーちゃんを使うから平気だってさ」

 

夜中にどっと降り込んだ雨や霜などを貯水タンクに溜め込んでそこから重力で下に流していくんだろう。

取水量の調節ついでにろ過フィルターを通して不純物を取り除くらしい。

で、高効率モーターとバッテリーのコンボでそこから発電、ポンプを作動させてまた地下から汲み上げてからタンクに入れる。

かなり効率的な水循環システムだ。おまけに配管には電子制御弁が配置されていて作物に応じて水の分配が可能。

ドリーマーが言うにはだーちゃんを使うのも良いけれどそれじゃ結局スマートじゃない……らしい。

完全オートメーション化できる所はさせて然りがドリーマーの言だ。

まぁ言われてみれば労働力をだーちゃんに肩代わりさせてるってだけでもあるしね。

その他にも監視用の櫓の改良、水産物養殖池、新しい発電システムの構築等精力的に動いている。

発電システムに関してはどうも落雷のメカニズムから引っ張り出すみたい。

後は自然発生した雷等の電荷を収集するシステムを構築しているみたい。

この基地が一種のパワープラントになるのはそう遠くないのかも。

 

「あの大型倉庫さ本来の用途以外でばっかり使われてない……?」

「作物の倉庫はここにありますし……もっぱら弾薬等の貯蔵庫となってますね」

 

現在基地にずらっと並ぶ戦車や装甲車、戦闘車両などに使われる弾薬。

私達の銃火器に使われる弾、各種動かすための燃料だったりが保管されているが……

作り上げた規模に対してちゃんと使っているかと言ったら微妙な所で……

ドリーマーのアトリエが一区画を占拠、その隣に生産プラント等を作るみたいだけど……

それでもまだまだ余裕があると来た。あのチャペルもまた組もうと思ったら何時でも組める。

 

「あ、そうそう聞いた?」

「何をですか?」

「イサカが指輪を買ったの」

「え!?という事はまさか……」

「誰にだってお金さえ払えば所有権譲渡が可能ってのはご存知の通りだと思うけど」

「イサカさん……そのためにずっと節約されてたんですね」

「みたいだよ、でも式まではしないって……私達に祝われればそれでいいって」

 

ちなみに今現在ですが私とヴィオラでイサカに内緒でウェディングドレスを製作中。

予定としてはプリンセスラインのドレスだけどAラインでもいいよねーってなってる。

 

「私も……」

「スオミの場合はダーリンが貰ってくれるよ」

「え?」

「好意に気づかないほどダーリン鈍感じゃないし、一度9人も抱え込んだらもう何人増えようが変わらないよ」

 

勿論私にはちゃんと相談してもらってるし皆同意の上だから。

この基地の皆は家族同然なんだから、気にすることは無いじゃん。

 

 

――――――――――――

 

 

「UMP40?」

 

食事前にダーリンが連れてきた人形だ。顔立ちは確かに45姉に似てる。

I.O.Pのカタログデータには存在していない。訳有っぽいなぁ。

じゃあ45姉の方を見てみると……これでもかってくらいに目を見開いている。

感情がオーバーフローしてフリーズを誘発させてるっぽいな。

対するUMP40はというと45姉の姿を確認して同じ様にフリーズ。

両者ともにフリーズするから9姉とかもそうなのかなって思ったら……

いや、普通にオロオロ45姉の顔を見て手を振ってたりするから平気っぽい。

となると45姉と40の間の何かがあるのかもしれない。

 

「実はねぇ、この子私が作ったの」

 

未だにフリーズから戻ってこない40、45姉を無視してドリーマーが説明しだす。

時を遡ること約一年前、蝶事件が発生した時だ。

試験運用中だったUMPタイプのファーストロット、UMP40とUMP45がロールアウトされた。

しかしその躯体は実は鉄血製でI.O.P製ではなかった。

表向きはI.O.P製の人形と称してG&Kに潜り込み諜報活動をするスパイ人形だった……筈だった。

しかしそれも実は裏があって鉄血側の内通者による工作が入っていた。

AIの根幹はI.O.P製でありその上に鉄血製の電子戦モジュール等が追加されていた。

更に言えばUMPモデルのAIデータというのはほぼ同じで量産に適しているというものだった。

ではUMP40が居なくてUMP45がI.O.Pの量産モデルに入っているのか。

オリジナルとも言えるUMP45は蝶事件を生き残った。

鉄血製に分類されるUMPシリーズもメンタルフォーマットの対象であった。

しかしUMP40のサブでしかなかったUMP45はUMP40という親機を失えば呪縛から開放された。

バックアップもなにもないと知らされていて死ねばそのまま二度と復活は出来ない。

それを知って尚UMP40は45を生かすために犠牲となった……らしい。

45姉はそんなオリジナルとは違うけどその流れをくんでいる人形。

 

「はじめまして……な筈なのに……何なの?」

「45……」

「わからない……わからないけど……」

 

フリーズから立ち直った45姉がふらりふらりと歩み寄っていく。

抱きしめる45姉と抱き返して良いのか迷っている様子の40。

表情は伺うことは出来ないけど……床にこぼれ落ちている水滴が雄弁に物語っていた。

 

 

――――――――――――

 

 

ボロボロ涙を流す40と45姉は9姉と揃って3姉妹として初めての食事。

ドリーマーはちょっと捻くれた性格してると思ったけど……意外というか……

 

「イジメるのは楽しいけど絶望させるより楽しい事を見つけたからよ」

 

ふふん、と鼻を鳴らしてから朝ごはんを食べるドリーマーはここに来て一番の笑顔をみせていた。

これだけ見てるなら凄く良いんだけど……隣に縄で縛られてるデストロイヤーが全て台無しにしている。

そして片手はそんなデストロイヤーの背に回され片胸掴んでるんだもの。

 

「はい、今日の朝ごはんよぉ」

「だれかこのクソレズを止めてよぉ!!イヤー!!!」

「ドリーマー、止めてやれ……」

「ゲーガー……!」

「やるなら食堂ではなくアトリエでやれ」

「その通りね♪」

「ギャー!!」

 

本家本元とも言えるデストロイヤーも保護したからドリーマーのテンションが爆上なんだよね。

ちなみにデストロイヤーとヴィオラは遭遇して……

 

「たすけてぇヴィオラァー!!」

「……ドリーマー?」

「アッハイ」

 

対ドリーマーお仕置き人として味方につけている。

ちなみに私とも仲良くなってるから暇な時は遊んでってせがまれる。

ゲーガーはまだ雰囲気に慣れてない感じで居心地が悪そうだけど……

 

「美味い……」

 

とてもいい笑顔で食事を楽しんでいるし戦い以外の事で何かしたいならお好きにって言ってるから……

そのうち自分の楽しみっていうのを見つけると思うんだ。

頭をつかうのが得意らしいからドリーマーの副官てきな所になるんだろうか。

ドリーマーは色々着手してるから人手は欲しいだろうし……

まぁでも今日は無理かもね、3人改造が待ってるし。

 

「あ、417!改造終わったら一緒にゲームしてよね!スコーピオンも誘ってるんだから!」

「はいはい」

 

一番馴染んでて楽しんでるのはデストロイヤーだろうなぁ。

 

 

――――――――――――

 

 

案の定というか鉄血組に並んで40の胸部もバインバインだね……

でも三姉妹並んでみると……45姉が一番小さかったり。

それでもGカップ相当あるからでっかいんだよね。他が規格外ってか……

さすが人形って感じのスタイルになりつつあるのがまーたなんとも。

 

「手加減は無しって言ったじゃん」

「泣くくらいなら最初に言ったCo-opゲーにしておけば」

「ひぐっ……」

 

現在改造が終わったデストロイヤーとスコーピオンとで対戦ゲーム中。

デストロイヤーもそのちっちゃいボディにデカデカとした物をくっつけるようになった。

コレを見てドリーマーが何かまた思いついた様子でアトリエに向かっていった。

また何をするつもりなのか不明だけど不利益にはならないだろうと思いたい。

さっき早速と言うべきか配管工事の下準備のために掘削ドリルくっつけただーちゃんが走っていったのを見た。

補強用の筒も身体に巻き付けていて非常に愛らしかったなぁ。

やってるゲームはこれまたマイナーでチョロQ64である。

完全なレースゲームである。ただしパーツの組み換えとかで性能が劇的に変わる。

私もスコーピオンも熟知しているからコースに合わせてちゃんと変えるんだけど……

デストロイヤーはそんなのは知らないからパラメータが良い物を適当につけているだけ。

おまけにコースを知らないわけだから私達がギミックを使ってショートカットしていく。

その後をなんにも知らないデストロイヤーがついてくるんだけど……

前提条件とかを知らないし侵入角をちゃんと決めないとこれが成功しなかったりってね。

 

「ほら、デストロイヤーが好きそうなのやろ?」

「ぅぐ……」

「お姉ちゃんがちゃんと教えてあげるから、ね♪」

「あ、じゃあ次はカービィシリーズやってみよっか」

 

なお何をやらせてもデストロイヤーはちょっぴりポンコツが入っていた。

けれども一番楽しそうにしてくれてるから間違いはなかったかな?

 

「あ、動いた!」

「ん?あぁ私のお腹の子ね?」

「人形でもちゃんと……産めるんだね……」

「時代は変わっていくからね……デストロイヤーもいつか産んでみたい?」

「わかんないわよ」

 

疲れて寝っ転がって私のお膝の上に頭を載せたデストロイヤーがはしゃいだ反面……神妙な顔で私のお腹を撫でた。

曖昧に笑っていたけどデストロイヤーもそういう願望があったりするんだろうか?

それともドリーマーに……ううん、それはよしておこう……




ドリーマーが本格始動です。
もうほとんどコイツに任せて好き勝手にさせれば色々捗る疑惑
UMP40も無事D仕様ですしいよいよもって45姉に鼻を捧げなければならんな。



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Day150 作る側の苦労

生地ってめんどーなんすよ


今日は朝からヴィオラと作業中です。何をしているか?

そりゃぁお裁縫でございます。イサカの3サイズや股下サイズとか測定してから……

パソコンつかって型紙を作成してから生地の裁断、それからチクチクと縫ってるんです。

えぇ、そうです。時間がある妊婦組でウェディングドレスを自作しているんですよ。

以前私のウェディングドレスやアイドル衣装を作ってくれたS09P基地の人形と同じ事してるんです。

ちなみに今日も朝から人形の搬入が行われていた。

もうこの基地大規模基地に片足突っ込んじゃったな。

他のD地区の基地は大体多くて3部隊を運営するのが殆どだったりするのにね。

妊娠騒ぎがあってから拡大拡大を続けているなぁ。基地設備も強化されていってるし。

 

「今日納入される人形って何体だっけ?」

「さぁな……」

 

納入するって事しか知らされていなくてその中身は一切知らされてない。

またダーリンが暴走しかねないから今度こそお嫁さんとして止めないとなぁ。

でもそう言えば40やドリーマー達にはセクハラを働いていない用に思える。

ドリーマーの言動からセクハラしたら逆に取って喰われそうな雰囲気があるしなぁ。

本能的に手を出したらいけないのを察知したんだろうか。

 

「この調子なら夕方頃には出来上がってるかな」

「イサカに見せたらどんな顔するだろうな」

「泣いて喜ぶでしょ」

 

ちなみに測定は完全な目視採寸、私達人形だからできる荒業でございます。

とりあえず一個目作り上げるにあたってプリンセスラインを採用しました。

普通にイサカはスタイル抜群な大人の女性って感じだもん。似合わない訳がない。

このウェディングドレス作成も黙ってやってるもんだからねー。

だってイサカに聞いたら逆誓約だってサプライズでやるつもりらしいし……

式だってやるつもりはない、だってそんなどんちゃん騒ぎはもう良いわってなってるみたい。

この前の私達の結婚式でもう十分、身内で祝ってもらえたら良いってさ。

 

「ヴィオラの3サイズも中々だけどイサカの3サイズもすごいよね」

「それを417が言うか?」

「まぁそうだけどね」

 

バストサイズトップ3が今言った3人だったりする。ヴィオラが一番でかいの。

二番目が私で三番目がイサカ。それ以下は結構横並びだけどスプリングフィールドがデカかったり。

 

「これで私の時と同じでおっぱいがでかくなっててきついなんて言われたらシャレにならないよね」

「……」

「怖くなるから沈黙は止めて?」

 

 

――――――――――――

 

 

「妊婦二人用のモビリティを用意したわよ」

「ほへぇ?」

「この浮いている椅子のようなものがそうなのか?」

 

お裁縫の合間、ちょっと休憩に身体をぐーっと伸ばして居た所ドリーマーがやってきていた。

設備の改造はまだまだみたいで資材が足りていないみたいで監視櫓の改造は見送られているみたいだ。

現在進行中の改造は畑の水循環システム関係みたいだ。

地下配管は完了したため今度は畑の上、通路になっている木の板にそって穴あき配管を這わせていくみたいだ。

スプリンクラーみたいなものだけど各部電子制御弁があるためそれよりずっと高性能だ。

で、今持ってきているのはドリーマーが試運転がてらに乗ってきている浮遊式の椅子?

ゆったりと座れる車椅子みたいなものだろうか。お腹への負担が少ない着座姿勢だ。

赤ちゃんが生まれた後もゆっくり移動できそうだからこれは助かるかも。

 

「あ、でもベビーカーもあるから……」

「心配しなくても良いわ」

 

パチンとドリーマーが指を鳴らすと椅子がかなり浅い物に……そして腰部分にはベルトが。

 

「大体は基地内の移動にしか使えないでしょうけど、考えてない私じゃないわよぉ?」

「他にはどんな物が?」

「そうねぇ……夜に試してあげるわ」

「夜に?」

「あったら便利かもしれない機能だけどここでするにはちょぉっと躊躇われるわね」

 

便利機能というがこれはろくでもない機能の予感がするんだけど。

軽いデモンストレーションをしてくれたけど基本的には右手のグリップで移動するみたい。

段差は検知したら勝手に登ってくれる優れもの、反重力ユニットのおかげでロードショック無し。

基本スピードは人間の歩く速さにちかい時速6キロに設定されているみたい。

電力は基本的には太陽熱発電と太陽光発電のハイブリット式。

 

「休憩中だったようだけど……何をしていたの?」

「ん?ドリーマーなら話してもいっか……」

「だな……」

 

と、その前に多分お求めであっただろう頭の栄養、チョコレートブラウニーを渡しておく。

ドリーマーはとてもいい笑顔で頬張ってくれる。こうしてみると外見相応のかわいい女の子なんだよね。

 

「もきゅもきゅ……手作業でドレスなんてマゾヒストなのかしら?」

「ミシンなんて無いし……時間はたっぷりあるからね」

「頬についているぞ……ミシンでも限界というものがある」

「言ってくれれば作るわよ?ちょっと待ってなさい」

 

ドリーマーが事も無げに作ると言い出したコレには私もヴィオラも顔を合わせてぱちくり。

 

「報酬はパフェでいいわよ~」

 

 

――――――――――――

 

 

まぁすぐに出来上がるわけもなくドリーマーが製作に励んでいる間私達もせっせとドレスを縫っていた。

大まかには完成していてあとはプリンセスラインらしいふわふわとした下半身の仕上げだ。

かなりタイトに上半身を締めるからサイズ間違いはかなり痛い。

ダボダボならまだ良いけどきつすぎた場合はほぼ作り直しになる。

とくにこういうドレスに使われる生地っていうのは高い。

そしてかなり気難しい性質を持っているもんだから裁断も結構大変。

 

「こうして作ってみるとお値段が張るのもわかるよね」

「そうだな……」

 

収支決算書を見てうげっとなったのは記憶に新しいよ。

あの結婚式で使った代金がヤバイことになってた。そりゃ基地の資金もねぇ……

このご時世にドレスを8つも頼む人なんてそうそう居やしない。

富豪だってそんなに買える訳でもないだろうさ。だからこそ華美な服はステータスシンボルになる。

 

「ドレス本体はあとは任せるよ、私は手袋とか小物類に移るから」

「任せろ」

 

パンプスは流石に外注になるけど可能な限りはハンドメイド品でね。

手袋の製作もかなり大変だけどやるしか無いんです。

あ、でもこういうのは本当にミシンが欲しくなるかも。

強度も必要だけどできるだけ縫い目を見せずに縫い上げてあげないとね。

猶予数ミリで縫ってると結構精密作業になるから集中しなくちゃいけない。

手作業でやったほうが確実なんだけどね。直線的なのとかはミシンでがーっとやりたい。

あとミシンがあるお部屋って女の子っぽくない?

そう、作業スペースは私のお部屋でございます。立ち入る人なんて限られてるし。

 

「あー……417ぁ、ひざまく…ら?」

「ダーリン?」

「主人か、どうした?」

「なにしてん?」

「「イサカのドレス作り」」

 

ヘロヘロというか朝のベロチューしなかったせいかダーリンが私を求めてやってきてた。

ドレス製作に関しては話してなかったし私とヴィオラの手元の布を見て不思議そうに見ていた。

 

「ごめん、ヴィオラちょっと席外すね」

「ん?あぁ……ヘロヘロにはなるなよ」

「善処するぅ……」

 

この後めちゃくちゃベロチューして私が骨抜きにされたのは言っておこう。

 

 

――――――――――――

 

 

今日搬入されていた人形はかなりの数になっていた。

なんと合計9体。基地内警備及び基地周辺警備のための人形が増加されていた。

そして前線でトラップとして活動している例のうねうねトラップの世話係だね。

生物兵器で一応光合成で生活してくれているけど新鮮なお水とか欲しいらしい。

要求してくるのは水と肥料だったりするね。あとはスキンシップ。

思考のベースがやんちゃ盛りの子供らしいんだよね。

 

「ね?」

 

器用に頭を垂れて頷いているのはそんな前線まで根を繋げている連絡係君

基地の端っこに植えられていて前線の子達の要求を伝えてくれる役割を担っている。

なおここは関係者以外立入禁止となっているためお客が入ることは無いね。

入っても責任は負えないのでご注意ってやつ。

 

「良かったね、待望のお世話係だよ」

 

カキカキ……トン「ぼくたち きもちがられない?」

 

「うーん……最初はかなり怖がられるけどそうやってコミュニケーションとってたら大丈夫と思うよ?」

 

かなり生理的な嫌悪感を促すフォルムをしてる触手達だけどその中身は良い子だから。

こうして筆談だってできるし頭出して?と言ったら一本こっちに伸ばしてくるし。

頭を撫でてあげたらちゃんと嬉しいの表してくれたりする。

……まぁこの捕まえる専用の子達はそうなんだけどね。

 

カキカキ……トン「いつもありがとね 417おねーちゃん」

 

「良いの良いの、とりあえず要望纏めておいたから次からは待遇良くなるよって皆に伝えておいて?」

 

手を振るとフリフリと振り返してくれるから本当にかわいいなって思う。

スキンシップ大好きで機嫌ななめな時とかは私達の身体にべたべたしてくる。

この前カルカノ姉がやられてたけどね。基本的にそんなにエッチな事には……ならない。

と、外に出てみるとヴィオラの後ろ姿があったものだ。

 

「あれ?」

「あ、417だ。今日のおやつはなに?」

「おっと?」

 

雰囲気的に完全にデストロイヤーなんだけど外見はヴィオラ……じゃないな。

おっぱいのサイズが一回りちっこい。おまけにお腹がフラット。

 

「えーっと?」

「私だよ、デストロイヤーだよ」

「……もっとちっこくなかったっけ?」

「ドリーマーがお遊び半分でガイア躯体も作り上げたのよ、ほらほら今日のおやつちょうだいよぉ!」

 

宿舎に戻るとドリーマーも居て合計4人分のおやつを要求された。

ドリーマーのやつあんなに食って大丈夫なんだろうか。

というかアイツいつ寝てるの?大丈夫なんだろうか。




熱変化とかに弱いのとか薄すぎるのとかミシンがはいんねーんですよね。
効率無視するなら手縫いが一番っすね

ドリーマー「いつ寝るか?私は別に寝る必要ないわよぉ?」
ガイア「とかいってさっき3時間寝たのは」
デストロ「だーれーかなー?」
ゲーガー「それ以上は言わないほうが良いぞ」


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Day151 べいびーらっしゅ

Kar98「訴訟ですわ」


「んん……」

「おはよう、417」

「おはよー……ヴィオラも?」

「うむ、元気に蹴ってくれた」

 

妊婦二人の朝の寝覚めは大体お腹の子の元気なキックで始まる。

横の方を見てみると寝間着姿のヴィオラも半身起こしていてお互いクスクス笑って朝が始まる。

更に別な方を見れば……死屍累々と言った感じで裸の女が7人。

真ん中付近には我らがダーリンが寝ている。こっちもやつれ気味だ。

ベッドの隣に鎮座しているローテーブルには空けられた精力剤が転がってたり。

毎晩毎晩お疲れ様……って感じだけど時折欲望まみれの目を私に向けてくるから怖いんだよね。

 

「じゃあ早速だけどご飯作ろっか」

「そうだな……時間的にはそろそろ416が起きそうだが」

「そうだね……お姉ちゃんを待つ?」

「それが良いと思うが、ん?」

「おやおや、珍しいこともあるね」

 

朝の目覚めが遅い組に分類されるUziが起き出した。

さらにその奥で寝ていたスプリングフィールドも……どうなってるんだ?

逆に朝がくっそ早いはずのわーちゃん、Mk23、お姉ちゃんがドベだった。

でもほぼ同タイミングで起きてくるなんて珍しいんだよね……

 

「おはよー皆」

「………うぶっ」

「気持ち悪い……」

 

全員顔色が悪い、調子悪いのは見てわかるけど前日そんな悪かったか?

前日のプレイ内容も至って普通の愛し合いだったはずだし……

 

「まさかねぇ」

「……わからんぞ」

 

みんな最低限の下着を着るだけ着てからトイレへと駆け込んでいった。

残された私とヴィオラが顔を見合わせて居たけど……私の予感ではこれはまた……

そんな騒動もあってからかダーリンも眠そうに目をこすりながら起きた。

 

「あれ?他の皆は?」

「さぁね、皆顔色悪くしてトイレに駆け込んでいったよ」

「ほーん……」

 

ダーリンは要領得ない感じで曖昧に頷いてから朝のひげそりに。

 

「とりあえずご飯作ろっか」

「そうだな」

 

 

――――――――――――

 

 

まぁ何というか私の思った通りというか何というか。お姉ちゃんがしてやったりって顔でトイレから出てきた。

片手には妊娠検査薬を持っててからコレでもかってくらい笑顔でダーリンに突きつけてた。

 

「良かったわね、さらに子供が最低でも7人は生まれるわよ」

「」

「ダーリィィン聞きなさい聞きなさい♪おめでたよぉ♪」

 

さらにその隣ではイサカと主任夫婦がおめでた報告を上げていた。

こっちのダーリンはすでに二児の父になるのが確定してるのにさらにそこから7人追加。

最低でもってのがミソでね、ワンチャン双子とか三つ子とかもあり得るんだよ。

こうなった場合がさぁ大変、育児に私達が追われることになる。

赤ん坊ってのはすごくね……手間がかかっちゃう物だから正直産んでからが一番たいへん。

事前知識として叩き込まれたのはとにかく泣く、コミュニケーションの手段が泣く以外にない。

だから何をして欲しいのかを察してあげないといけない。

 

「いやーしかしこれは参ったね」

「何か問題でうぶっぷ……」

「はいはい、いってらっしゃい」

 

これは結構酷いつわりだなぁ……私とヴィオラはまだ大人しい方だったか。

お姉ちゃんとスプリングフィールドがえっらい酷いつわりを起こしてる。

他のわーちゃんとかMk23とかUziもげっそりしている。

G36CとFALは平気そうな顔してるけどいつ来るかわからないつわりに戦々恐々って所かな。

個人差が出るとは言ったけど本当にそうみたいだなぁ。

ちなみにイサカは全然吐いちゃいない。ちょっと気持ち悪い程度らしい。

 

「ヴィオラ姉ちゃん、アイツ等どうしたの?」

「ん?私と同じでお腹に子供を宿したんだな……あとでおめでとうと祝ってやれ」

「「はーい」」

「妹枠で板についたね、デストロイヤー」

 

改造版のガイアもそろってヴィオラにベッタベタだ。

ちょっと血色が悪くて子供みたいな言動してるから割とすぐに分かるけど。

超そっくりの3姉妹が仲良く並んでるようにも見える。

控えめに言って微笑ましいけどその胸部は凶悪の一言に尽きる。

ガイアはガイアであの見た目で嬉々としてがっついてほっぺた汚してるんだ。

これが所謂大きなお友達ってやつだろうか……いや、まぁ違うんだけどね。

 

 

――――――――――――

 

 

「指揮官、妊娠計画は計画的にと申し上げたはずですが?」

「いや、申し訳ない……というかいつの間にって感じで……」

「過ぎたことは仕方ありませんが……そこの妊婦組は反省は?」

「「「「「「「してませーん」」」」」」」

 

全員正座させられている。どうも私達二人の妊娠が判明したその日にI.O.Pに申請したらしい。

そしてその日の夜に生で出してもらって首尾よく当たってたみたいだ。

一応のためにゴムに穴あけをしたり細工は色々していたらしい。

意地でもダーリンの子供を孕むっていう確固たる意思を感じる。

ダーリンは完全にとばっちりというか何というか……でもまぁ不用意にしちゃったのがまずかったよね。

医務長を務めるKar98kもお冠というかぷりぷり怒っていらっしゃる。

 

「人形の妊娠はまだケースがこのD08基地でしか発生していませんわ、予想できる事は少ないんですのよ?」

「それでも私達は指揮官の子を産みたいのよ」

「愛する人の子を孕む事がそんなに悪いわけ?」

「悪いとは言いませんが母親になる貴女達にも多大なリスクがあるんですのよ?」

 

最悪死んでしまう事もあるし妊娠安定期に入るまでは流産とかの危険もある。

どうなった刻の悲惨さたるや……私とヴィオラも安心してはいられないんだよね。

 

「ともかく二部隊は活動停止になりますわ、絶対安静ですわよ?」

「今のうちに完璧なママ活をしなければ……」

「ふふ、ダーリンとの子供……」

「指揮官との子供……この胸に抱くのが楽しみです」

 

それから新規妊婦組にはKarからの妊婦心得をしっかりと叩き込んでもらおう。

別に私とヴィオラの言葉で聞かせてもいいけど……そっくりな事はあっても同じはない。

 

「この後どうする?」

「一先ず形になったイサカのドレスを着させようじゃないか」

「あ、そうだったね……今のうちにさせないとお腹がぽっこりしてきちゃうもんね」

 

昨日一日朝から晩までみっちり縫っていたもんだから形にはなった。

いくらか手直しの余地は残しておいて縫い上げたから今のうちに着付けさせないとね。

フィッティングしておかないと後々で大変な目に遭うのがねぇ……

イサカがいつ主任に逆制約を申し出るのかはわからないけどね。

 

 

――――――――――――

 

 

「ダーリン、やっぱり貴方が私のパートナーで良かったわぁ♪」

「しまったなぁ……せめてこれくらいは俺が何とかって思ってたんだが」

「うふふ、これで身も心もぜーんぶダーリンのものよ♪」

 

おめでたカップルが早速工廠となりのベンチで甘ったるい空気作ってた。

イサカの左薬指には輝くシルバーリングがあったし子供が出来た報告ついでに申し込んだんだろうな。

まぁ断るとは思わなかったけどおめでとうってしか思えないな……ふふ、もう夫婦みたいなものだったし。

 

「おふたりさーん、ちょっといーい?」

「あらぁ、417ちゃん?そうそう見てみて♪私もねぇ、結婚したの!」

「見てたら分かるよ……おめでとう、イサカ」

「ありがとう♪」

「何から何まで尻に敷かれっぱなしだぜ」

「そんなイサカにちょーっとプレゼントがあるの」

 

小首をかしげるイサカをよそにちょっと強引に手を引っ張って連れて行く。

主任はそのままタバコをふかそうとしたので有無を言わさずついてこいとおど……説得。

 

「主任は良いって言うまで入ってきちゃだめだよー?」

「あとこれを期にタバコ、少なくしたら?ダーリン大好きだけど臭いキスはいやよぉ?」

「……禁煙するかぁ」

 

主任は待機してもらってイサカだけを私のお部屋に招き入れる。

 

「ふぅ……一日でなんとか形にしたんだけどね」

「私達からのささやかな贈り物だ、受け取ってくれ」

 

まだ仮縫い段階だけどウェディングドレスを見せてあげるとイサカはびっくりって感じ。

 

「式は挙げないにしても晴れ着は着てみたいでしょ?」

「サイズは合ってるはずだが念の為だ、フィッティングする……いいか?」

「……えぇ、もっちろんよぉ♪」

 

例に漏れずイサカも順調に発育しているみたいでおっぱいサイズに修正が入った。

ちなみに主任にこのウェディングドレスをお披露目してみると鼻を抑えてサムズアップをもらった。

ふふん?お嫁さんのウェディングドレス姿に悩殺されたな?




12年後を語ったからもうね、こうなるのは確定してるんや。


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Day152 ブレーキ(物理)

ちょっと違う?
あーうん、スマホ投稿なんすよ


ドリーマーは今日も元気に朝からアトリエから自前の工具キットを持って作業していた。

どうやら自分用の特大ツールキットを製作したみたいだ。

アトリエ内で完結出来る作業なら良いけど施設改造となると話は変わってくる。

今日は櫓の改造に乗り出すみたいだ。軽く仮眠を取れるスペースが出来るっぽい。

 

「はーい、危ないから下がってなさいよ?」

 

因みにドリーマーの姿は私のオーバーオールをまた借りてる。

腰回りとヒップのサイズがちょうどいいらしい。

つまり私の下半身のサイズ感はドリーマーとほぼ同じって事だ。

主に脚部の長さと胴の長さが違うので裾はアレだけどね。

ちなみにおっぱいサイズに関しては言わずもがな、私の方がでっかいのでぶっかぶかである。

そして溶接作業とかもするんだろう、長袖のシャツを即席で私に作らせやがった。

ただスパッタが飛んで来た時の事は一切想定して居ない。

つまりだ、あっつあっつのスパッタが飛んで来たら一撃で穴が開く。

ついでにドリーマーのお肌に直撃してからもれなく……

 

「あっつい!!!!???」

 

まぁこうなる訳ですよ。防具の皮エプロンと手袋はしっかりしましょう。

私は溶接工じゃあ無いので基本的な事しか知らないけどね。

基本的な作業はドリーマーが全部手掛けるみたいだけど他の単純作業だったり…

もっと危険な作業だったり重作業はデストロイヤー二人が対応してる。

でっかい装甲板を担いでさっきから櫓の下から基地内を行ったり来たり。

組み上げはゲーガーが担当してから仮設ウィンチで吊り上げてドリーマーが溶接するっぽい。

素組みでも剛性が出るんだけど念の為って事で溶接してるみたい。

 

「あつぅぃ!?あ、でも気持ち良くなってきたかも知れないわぁ……」

「ドリーマーが壊れた」

「ここに懐柔されてからこうだろう?」

「そもそも私をペロペロしに来てたじゃない」

 

そもそもドリーマーがデストロイヤー愛好家ってのが私的にはびっくりなんです。

今の所発覚しているデストロイヤー関連でやらかしたのはなんだっけか。

デストロイヤーのお部屋に侵入、寝床で自家発電しててやべー大洪水やってたのがあったか。

お風呂上がりのラフな格好のデストロイヤーを押し倒して廊下で盛ろうとしたし……

とにかくドリーマーのぶっ壊れっぷりがヤバい。主にデストロイヤーに対する劣情の抱き方。

よくヴィオラに欲情しなかった物だとおもうよ。

 

「妊婦に欲情するほどマニアックじゃないわ」

 

なおドリーマーおっぱいの谷間にヤケドした模様、心配したデストロイヤーが仲良くドリーマーの暴走を引き起こした。

 

 

で、出来上がったのが防衛設備、防弾防爆櫓である。

四方に小さな狙撃窓とスポッター用のペリスコープが設置されている。

狙撃ポイントになる窓附近は暗く遮蔽されているけど中は仮眠スペースとなっている。

また階段の他にハシゴ、ラペリングロープもある。乗降手段はいろいろ。

階段は一応平穏な時に使うもの、ハシゴはきっちり装甲板で囲まれていて狙撃を心配する事はない。

中は一応自然光を導入するミラー反射で日中はかなり明るい。

夜中になれば非常灯くらいの薄暗いバッテリー駆動のライトがつく。

夜目に慣れさせる目的もあるんだろうね、人形は特にいらないけどね。

 

「あそこが私の仕事場ですか、高すぎますね」

 

そういうのはカルカノ妹、見上げてポツリと言う。

基地内警備部隊の内何人かが登って遠方監視、門周辺の警護はまた別な…それこそSPASが担当。

カルカノ妹が主に櫓に登ることになるんだろうと思うな。

出産後だったら私も登ってお手伝って事も出来なくはないけど……

今はリスクを避けて通らないといけない。階段の昇り降りは最小限にしたい。

万が一に転けた場合が大変だ……私は別に怪我しても修理したらOKだけど……

お腹の赤ちゃんに関してはそうは言えない。二度同じ命は生まれない。

大事な大事な私とダーリンの間に出来てくれた奇跡のような赤ちゃん。

無事に産んであげる役目が私にはあるんだ、手は尽すさ。

 

「でも耐爆と言いましたけどあんな櫓では直ぐに壊されそうですね」

「実験するみたいだよ?」

「興味ありませんね」

 

興味ないと言いながら見上げ続けてるから自分の仕事に関わるもんだからってのもあるだろうけど……

絶対それだけじゃあ無いと思うんだけどなぁ……テロリストが手に入れる爆発物といえばRPG−7が多い。

その爆発力は確かに凄いから普通の櫓では耐えれないだろうね。

特に装甲化させてトップヘビーになったこの櫓だと爆発エネルギーに押されて重心が脚より向こうに行って横転も考えれる。

その他にも櫓の脚である鉄骨がひしゃげて自壊を招くってのも考えられる。

まぁドリーマーが何も考えてないとは思わないけどね、不安はあるよね。

 

「デストロイヤー、ちゃんとしなかったら押し倒してレイPするわよ〜?」

「ガイアの私、しくじったりしないでよ!」

「ちっこい私は私を信じなさいよ!」

 

あーなるほど爆発物のプロフェッショナルとなればデストロイヤーだろうね。

でもね、爆発物の事になるとヤベー奴に化けるのがこのD08基地には……

 

「ちょっと貸しなさい」

「ステン!?」

「乱暴に扱わないで、あっぃ!?ドリーマァ?アンタ私装備になに仕込んだのよぉ……」

「あらゴメンなさい、一発撃つ度に発情するプログラム入りのを渡しちゃったわぁ♪」

 

ガイアはその場でへたり込み、無言の爆殺魔と化したステンが櫓に重点爆撃する事に。

櫓は衝撃を逃がす為に装甲板をフローティングさせていた。

ベースになる基部はほぼ弄ってない。寧ろ軽量化したっぽい。

つまりは基部のベースプレート以外を一度バラしたみたいだ。

その上に反重力ユニット内蔵のベースを敷いて柔軟な素材のカーボンで仮眠スペースを固定。

これで重量の増加による脆弱性の問題をクリアしたみたいだ。

更に増加装甲と内部の間に空間を開ける事で爆発物の衝撃を内部へと通さない設計だ。

狙撃窓との接続は薄い鉄板と蛇腹の布だけだ。

なお装甲板にこんがり焦げ目を作ったステンは沢山爆撃して満足したっぽい。

 

 

 

「鋼材がもう無いわね」

 

残っているプロジェクトはエネルギープラントと海産物養殖プラントの開発だ。

無事に畑の水循環システムは完成してあぐちゃんも合わせて完全なオートメーションとなった。

元々大規模な循環を持っている第2宿舎の畑は手を出してないけど。

コーヒー豆の栽培も始まり各種フルーツの栽培にも着手し始めた。

まぁ量は生産できないから内需で枯渇すると思うけど。

そんな大改造や新製品の生産等をハイペースでしていたドリーマー、ついに鋼材を全部使い切る。

アトリエを開設した際にダーリンが結構な量を購入していた筈だけど……

 

「ちょうど良い休憩時じゃない?」

「そうねぇ……ハイペース過ぎたかしら?」

 

ガイアボディも作り上げてかなり資材を使い込んだんだよね。

さらにデストロイヤー達の武装を作ったりでね。

おまけにいつ寝てるんだってなるくらいに動き回っていたからね。

これを機にちょっと休んでもらうのが良いのかも。

 

「今日のおやつは何がいい?」

「ケーキ、3種」

「じゃあレアチーズ、ベイクドチーズ、ミルクレープにしよっか」

 

まぁ休憩だろうが精力的に動いていようが私とヴィオラが主になってお菓子を振る舞うのは変わらない。

ドリーマーが精力的に生産施設を作ろうって動きになった理由はね……

 

「早くもっと美味しいお菓子を食べたいわねぇ……」

 

そう、単純な事でもっと美味しい物が食べたいって欲求である。

現在この基地に納入されている食料っていうのは合成品が多い。

その中でも味に関しても再現を重視している物だけど……

流石に限度っていうのが合成品にはある。人工調味料では限界があるんだ。

天然の砂糖に勝る甘さってのは無いんだなって料理し始めて思うよ。

 

「あ、ドリーマー喜んでいいと思うけどね」

「何かしらぁ?」

「今日からデザート調理してくれる人が増えるからいーっぱい食べれるよ」

「本当!?」

「はい、デストロイヤーとゲーガー呼んで第1兵舎の女子寮にGO♪」

 

さて、今日も私のお仕事の一つを開始しましょうか。

ダーリンも呼んでこなくちゃ、口移しでいーっぱい食べさせてあげなくちゃ♪




ぶっちゃけて言います、今PC触れんのですわ。
明日の投稿が無理になるかもしれんのでお覚悟を


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Day153 内在した野郎

スマホ投稿してる人すげーなって思う


皆妊娠が発覚してからダーリンの夜はかなり静かになったものだ。

理由は勿論お相手できる妻が一人残らず全員妊娠したからですよ。

カラビーナからのドクターストップがかかったし皆つわりがあってエッチ中にゲロったら大変。

私には考えが浮かばなかったんだけどダミーを利用してから自分の世話をさせるってしてる。

しかしまぁダミーと比較してメインフレームのでっぱいっぷりが凄いね。

D08地区モデルって事まずおっぱいを見れば分かるってやばいよね。

しかもメインフレームは輪をかけてでっぱい、男ならみーんな目を向けるよ。

私ならそうするし私並みにでっぱいな子が居たらそりゃ見る。

性別変わっても見る時は見ちゃうよ、おっぱいだもの。

 

「お姉ちゃん大丈夫?」

「おぶ……」

「ダメっぽいね」

 

つわり酷い勢のお姉ちゃんは今朝からゲーゲー吐いてるの。

付き添いで私とお姉ちゃんのダミーがくっ付いてるけど胃の中身全部出しちゃってる。

残ってるのはどうにも胃液だけみたいでさっきから酸っぱい臭いの水を吐き出してる。

今日のつわりが酷いのはMk23とスプリングフィールドも混ざってさっきからトイレフレンド。

隣の個室からもゲーゲー音がするもんだ。

 

「辛いよね、つわり」

「よくこんなの耐えたわね……うぶっ……」

「はいはい、出しちゃおうねー」

 

背中をさするとお姉ちゃんはまたゲーゲー……これはまた酷いね。

私は流石にここまで酷くはなかったよ?

 

「あ、栄養カプセルも出てるね……」

「うそでしょ……」

「もう一回飲まないとね」

 

ゲロの中に私も毎食後飲んでる栄養カプセルが混ざってた。

赤ちゃんの育成に欠かせない物だから戻した場合はまた飲み直しです。

ダミーが動いてから水汲みに行ったけどお姉ちゃんは……すげぇ顔色悪りぃ。

うーん、皆私やヴィオラの事をこう見てたんだろうなーって思うよ。

 

 

 

「はい、ダミー諸君今日からは妊婦のサポートに回ってもらいます」

「「「「おー」」」」

 

通常業務として基地待機兼食堂のウェイトレスをしていた私のダミー達。

その他にも掃除洗濯を担当してるんだけどぶっちゃけた話暇を持て余し気味。

お裁縫?そんなの出来て雑巾作りとか簡単な物しか出来ないんだよ。

つー訳でして私は別にもうサポートは必要ないしダミーに色々サポートさせようって事ですよ。

身の回りの雑用とか私やヴィオラが作ったお料理とかを運ばせるのよ。

 

「はい、それじゃおめーら散れ!」

「「「「すっぞおらー」」」」

 

おー!と掛け声挙げてからダミーは各々散らばって基地の各所で待機。

妊婦が来たら目の届く範囲で支援していく手筈に。

んで、私は自分の経験から数週間はこのゲロと付き合っていかなきゃいけないし……

味覚の変化やヴィオラがやらかしかけた火薬誤飲未遂とかを説明。

色々自分の変化に怖い事もあるかもしれないけどね。

それが正常な反応なんだから恐れることは無い。妊娠したサインだって事だ。

それより不安を取り除いて母体をゆーっくり腰を落ち着けて成育に励むこと。

そう、落ち着かせて生育に励むのが何より大事な母親としての事です。

お腹への衝撃は避けるべし、お腹を冷やす行為も避けるべし。

おっぱいを刺激するのも極力避けるべし、早産流産の可能性が出てくる。

 

「とは言っても不安と喜びが渦巻くのが現実だからなぁ……」

 

私はうんっと美味しいお料理を振舞ってからみんなを支えることにしよう。

ダーリンは報告で大忙しだしマタニティ服の手配でさらに忙しい。

暫く夜がご無沙汰になるからお相手はどうしよう……

誰かがオカズになるしかないだろうか?

 

「んぁ?ダミー2〜4どしたの?」

「ヤベーことになった」

「ジュースと間違えてダミー1が缶チューハイ飲んだ」

「めちゃ笑ってる」

 

私は禁酒令出てる。私のダミーはもち同じく禁酒。酒癖が悪いってなってる。

そういえばダミーが要求するリソースが増えたと思ったら……何やってんだか。

 

 

 

で?酔ったダミー1が騒いでるっていうのが第1宿舎の男子寮。

兄さんの部屋に転がり込んで絡んで絡んで絡みまくってるらしい。

 

「はいるよー?」

「で、兄貴どうしてロリ巨乳が好きだったっけ?オイラ覚えてねーんだわ」

「……」

「はー無視ですかー?オイラマジショックですけどぉ?」

 

うん、これは酷い。私の中にある過去の私がエミュレートされてるよ。

仕草、言葉遣いが全部野郎だった頃になってるぅ!?

超煽る覗き込み動作とかも私のボディでやってるものだからなぁ……

兄さんもこの動作に久々に直面して思わずしかめっ面。

これはうぜぇ……美少女がやったとしてもうぜぇ……

 

「417どうにかしろ」

「あ、うんしょっ引くね」

「オアー!離せー!!」

「暴れんな!」

「「「抑えろ!」」」

「どろへどろ!」

 

私が直接引っ張りたいけど赤ちゃんにボディブロー貰ったらダミーを血祭りにしなくちゃいけなくなる。

普通に安全を保つためにダミーに抑えつけさせる。

もう無茶苦茶だよ……やろうとしてた業務が止まってるんだけど?

引っ張っていって私の個室にぶち込んでから亀甲縛りしてから椅子に座らせる。

 

「あーオイラ何、SMプレイさせられるの?」

「いや、ちげーから……ダミーなのに何言ってるんだか」

「はぁ?オイラはジョシュアだぞおい」

「あ?」

 

このダミーは一体何を言ってる?本体である私しか持ち得ない情報を持ってるぞ。

一応だけど私の情報を逆に閲覧も出来るのか?

それともダミーのベースになってる物が私の深層意識の可能性も?

 

「んまーオイラもなんでこう起きたのかわかんねーけどなーつかやばい級のが見えてなー」

「……と言うと?」

「クソ兄貴がよーくロリに目を向けてたのが強烈過ぎてぶっちゃけ脳キャパオーバっす。マジワロ」

 

そう二次元至上主義だった兄さんがSAAにお熱なのは衝撃だったよ。

 

「おまけにオイラがメスになってるとかマジ半世紀前のノベルかよ」

「う、うっさい!」

「男が男好きになって子供孕むとか」

「今は私は立派な女の子ですぅ!」

 

酒に酔ったのが引き金なのかダミー1の制御が私のコントロールから外れてる。

ニヤニヤと笑ってるけどその奥にあるのは何も無い虚無だ。

 

「私の事はダーリンは受け入れてくれてる!」

「ほーん、じゃオイラをあわせて見ても言えんの?」

「……それは」

「語るに落ちるったーこの事やんな」

 

あほくさと言いたげに私と同じ顔で呆れ顔作ってそっぽ向く。

 

「417、ダミーが暴れたと聞いたが」

「誰だっけ、えーっとそのバカでかいおっぱいさん」

「……」

「ヴィオラ?」

「オイラ好みの良いおっぱいじゃん」

「もう黙れよ……私」

 

もう私にとっては悪夢だ。私が秘めてきていた事が大いにバレていく。

ヘラヘラとした軽薄な顔でヴィオラを見るダミー1

ヴィオラも何か思う所があるのかこっちを見て口を開けて……

 

「はー拘束プレイとか同人エロゲでいいのによー」

「もしかして417も元男とかか?」

「っ!?」

「お?」

 

 

結論から言えばヴィオラも元々人間で気がつけば人形の身体になっていたらしい。

両親の概念とか人間の営みへの知識、集団生活への異様な慣れ……

そして複製困難な複雑なAIなどからも私と似通っている。

 

「そっか……ヴィオラもそうだったんだね」

「現実は小説よりもなんとやらというな」

「オイラもそう思うわ、つーか意識の融合を見てるし複製過程で偶然オイラが複製されたとかなー」

 

からから笑いながら缶チューハイを煽る私のダミー……

いや、私の中でずっと生き続けていた……ジョシュアとしての意識。

HK416と混ざりあって構成された私と複製で偶然埋め込まれたダミー1に潜んでた……おいらの意識。

本当に奇怪極まる事だよ。

 

「オイラはまー普段は半分寝てるようなもんだしやっぱ死んだもんに近いんだなーって」

「そこまでエミュレートできておいて……」

「んがっ……おぁー、本体だー?」

 

ダミーに持っていかれていたリソースが戻ってきた。

エラーログを遡ると……ダミー電脳の制御系がアルコールによって暴走……

偶発的に私の中の記録としてのおいらと各ダミーAIに埋まってる残滓が動いた結果……なのかな?

 

「ダーリンに包み隠さず、話さなくちゃ……かな」

「それでも受け入れてくれるさ……さて、私の事も少し話さねばな」

 

 

 

ヴィオラおめー平成のヤーパン人だったの!?




久しぶりのオイラ
ダミーに残滓として散らばっていた。
酒でエラー吐いてリソースをどか食いしてようやく顕現


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Day154 うん、まぁそうなるよね

妊婦と事を致すのは無理でござるよ


なんだか最近グローザやDSR……M14がつやっつやしてると思う。

皆妊娠してから離れから各々の個室に戻ったしダーリンも私室に戻ったんだけどなぁ。

結局私達とのスキンシップも最短後4ヶ月は我慢しなくちゃいけない。

ここでツヤツヤしてる人形のラインナップを見てみるとダーリンに気があった人形な気がする。

ステン、M14、スオミ、グローザ、DSR……他には触手のお世話係がつやつやしてるかな?

 

「ヴィオラはどう思う?」

「……主人のやつれ方も見てもな」

「やっぱり?」

 

それに反比例するようにダーリンがやつれている。

まるで私を含めて嫁9人を纏めて抱いていた時みたいに……

まぁ導き出される答えって言うのはダーリンがまた色々と夜遊びしてるって所。

でもまぁお世話係は別かもしれないなぁ……お世話の内容までは私知らないけど。

Five-seveNが言うにはじゃれつくノリでエッチしてきそうになったとか何とか。

まぁそうなる前に抜け出せれたりするけど……お世話係はどうだろう?

ええっと確かメンバーはC96、G17、F2000、USPコンパクト、TMPだったっけか。

C96が近くにいるし聞いてみるか……ダーリンに対してはどうだったっけか。

 

「やっほーC96」

「あついー……」

「パンイチで居てなお暑いと申すか」

 

そうこのC96とても暑がりであって兵舎内ではもっぱら下着一枚でうろついている。

そして今もブラすらほっぽりだしてから暑いと言ってソファーの上で寝転がっている。

とてもじゃないが女の子がしていい事じゃないけど……

 

「最近なにかダーリンとしてる?」

「いいえーそんな何も全然してないですよ?」

「本当に?」

「マジマジ!この前おっぱいをぐにゅぐにゅ鷲掴みにされたくらいです!」

「されてるじゃねーか」

 

思いっきりセクハラ被害を受けていた。まぁC96もダーリンの琴線に触れるのかも。

 

「そういえば触手のお世話係なんだよね?」

「あ、はいはいそうですそうです!」

「どんな事してるの?」

「そうですね……ごにょごにょ……」

「ばぶふっ!?」

 

耳打ちで言われたけどとてもじゃないがここでは話せないような事だった。

 

 

――――――――――――

 

 

「で、実際の所どうなの?」

 

カキカキ……トン

『マジ、ぼくはそうじゃないけど前線の子はその欲旺盛』

「まぁじかぁ……」

『でも妊婦襲わない、安心して』

「安心できねーよ」

 

片隅の連絡係君のところに行ってから聞いてみるとあーうん、そうらしい。

あまりのことに私は肩からがっくり脱力したけどまぁ子供というか純粋っぽいからなぁ。

本能にかなり忠実なんだろうな。ドリーマーに聞いても本能がかなり強いって言ってた。

なんでドリーマーが知ってるのかって?そりゃ鉄血の手が入ってるプロジェクトだったからさ。

 

『ちなみにおねえちゃんが一番人気たかいよ』

「ぶふぅっ!?」

『赤ちゃん産んだら気をつけてね』

「お、おう……」

 

前線に近寄らないようにしよう……というか私一度も絡まれた事ないんだけどなぁ……

 

『地下室のお兄さんが言ってた』

「アイツが原因かぁ……!!」

 

まぁ何となくどこからそんなのも漏れるかと思ったらそういうルートか!

出産したら文句を地下室のアイツに言いつけに行かなくちゃいけないなぁ……

 

「えらくつやつやしてたのは……」

『粘液保湿に良い』

「なるほど」

『保湿クリームにして売るのもありかも』

 

この子かなり商魂逞しいと思うけどどうなんだろう。

うねうねと植物由来の緑をうねらせている姿は結構受け付けられないと思うけど……

 

「そこまでしなくてもいいよ、少しでも基地に役立とうって気持ちだけで良いから」

 

手を出すとすぐに頭を出してくるから褒められ待ちな所があるよね。

まぁかわいいから良いと思うけどね。私はそう思う。

 

 

――――――――――――

 

 

他の妊婦向けのマタニティ服が届いていた。あとは皆つわりにそなえてエチケット袋を常備するようになった。

あとカラビーナを始めとした医療チームの診断からも特にスプリングフィールドは何かあるみたい。

どうやらスプリングフィールドは厳重注意で運動は控えろってさ。

安定期に入るまで絶対に運動にあたることはするなって。

他のは激しい運動は控えて欲しいって言われただけなのにね。

 

「おそらくの診察ですが、スプリングフィールドさんは早産しやすいかもしれませんわ」

「あぁなるほど……」

「今回だけなのかもしれませんし体質的になのかもしれませんから何とも言えませんわ」

 

カルテタブレットを片手に白衣のカラビーナがそう締めくくっていた。

なお触診の後にお姉ちゃんは無事ゲロった。マジつわりひでぇな……

人間ではかなり個人差がでる。人形の場合はどうだろうか。

搭載している人工子宮自体は同じモデルのはずだが……製造過程やその後の稼働状況で変わってくるのか?

それとも人形毎のDNAデータで変わってくるのか……これが不明だ。

これも要研究って所になるけど……I.O.Pは依然として怪しい実験を続けているらしい。

諜報部からのデータもあるけどドリーマーも諜報部の端末からアクセスして色々漁ってるみたいだ。

専門のモデルじゃないから程度は知れてるらしいけどそれでも一線級で動いているらしい。

 

「しかしまぁ皆似たり寄ったりというか」

「無理も無いだろうな」

「「授乳しやすくてゆったりなんて言ったら例のセーターになるよ」」

 

皆に行き渡ったマタニティ服というのが胸開きセーターだったり背中がガラガラなセーター。

童貞を殺したり例のなんて言われる類のスケベセーターになる。

授乳させやすいとなるとおっぱいがすぐに出せるような防御がないモノになる。

おまけにゆったりとしたものってなると伸縮性の優れた物になるし……

お腹を冷やさないってことになると割と厚手のお洋服になる。

で、結局はセーターに白羽の矢が立つ訳であって皆それぞれのカラーのセーターに着替える。

 

「はい、では皆さん無理のないようにお風呂に入りましょうね」

 

トカレフに連れられ私もお風呂へ……皆おっぱいが張ってきだして困ってるしね。

私とかヴィオラは元々のでっぱいがさらに膨らんでる気配があるからなぁ。

お姉ちゃん達もそのうち膨らんでブラにこまるんだろうなぁ……

 

「FALは今日は吐いてないね」

「調子が良いのよね」

「まぁ無理は絶対しちゃいけないからね」

「「ダーリンの赤ちゃんの為に」」

 

その通り、とハイタッチしてからニッコリ微笑みあった。

ちなみにお風呂の中で皆と情報共有したところやっぱりダーリンが夜お盛んしてるっぽいので……

 

 

――――――――――――

 

 

「「「「「「「「「ダーリン♪」」」」」」」」」

「あー、まぁ……」

「説明してもらえるよね?」

「スイマセン、慕ってくれる子を無下には出来ないっす」

「だよね、ダーリン優しいっていうか……」

「甘々な所があるから仕方ないわね」

 

皆で久しぶりにバイクで出ていったダーリンを取り囲んでニッコリ笑って威圧していく。

私が代表して正座させているダーリンに問いただす。

まぁだろうと思ったけど皆からモーションかけられて押し切られたんだろうなぁ。

あと私達っていう妻が皆お手つき不可な状態になったからってのもあるだろう。

 

「やっぱりご無沙汰なのは辛い?」

「いや、そういう訳じゃ」

「目がおっぱいに行ってるの説得力ないよー?」

「うぐっ……」

 

ダーリンは聞いている最中ずっと私のおっぱいに目が行っている。

それでご無沙汰が辛くないなんて言われても説得力皆無なんですよ。

うーん……妻としてはかなり嬉しいのだけど今から母となる私としては我慢して……!としか。

 

「なんとか対策を考えるか」

「そういえばゴムって美味しいのかしら?」

「……おい」

「まぁそれは今夜に考えるとしましょうか」

「そうね……」

 

とりあえず皆で今後の夫婦生活の事を相談しながら……と。

 

「指揮官、あらお取り込み中だったかしら?」

「あーグローザか……」

「グローザもちょっとお話しよっか」

「それより報告よ、人類人権団体が動き出したわ」

「……詳しく続けろ」

 

人類人権団体の過激派と思われるテロリスト達が活動を開始していた。

近場の廃棄施設に不審人物が大勢集まってきているとのことだ。

大掛かりな装備も備えていて生半可な抵抗手段では逆に喰われる可能性が出る。

 

「NTW達戦車隊と防衛部隊に伝達しろ、あと基地に残っている戦力は防備を固めろ」

 

私達に手を出すと痛い目にあうってのをきっちり教え込んであげないとね。

これは楽しいお祭が始まりそうだ。




しかし欲を知った指揮官が止めれる訳もなく
そろそろ夜の方も更新しねーとと思っても時間がっ……
ネタは転がしてるんだけどなぁ……

僕のダミーリンクが欲しいよ


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Day155 Welcome and GotoHELL

テロリストの保有武器って大体はアレだよねー


私達妊婦組は基地の中でも一番安全とも言える兵舎の共有スペース内に集められた。

他の人形は全員戦闘態勢で出ていって私達以外居ない。情報を流すためのモニターが戦況を伝えてくれるけど……

私達は自衛用にとサイドアームの所持は認められてる、Mk23以外は戦闘力が落ちた状態だ。

ダーリンは作戦指揮に入る前に私達に顔を見せてくれた。いつもと変わらない笑顔私達の頭を撫でてくれた。

何も心配は無いと言って司令室に向かっていった……そうは言っても心配は尽きない。

スペースに据え付けられているモニターに映し出される戦況や司令室の様子を固唾をのんで見守る。

 

「身重じゃなかったら今頃戦線に立ってダーリンと私達の幸せを邪魔するヤツみーんな殺してるのになぁ」

「今は私達は戦って守る側じゃないわ……守られる側よ」

「もどかしいですがその為に防備を積み重ねてきたのですから……皆さんを信じましょう」

「そうは言ってもスプリングフィールド、アンタだって不安そうじゃない」

「わたくしも不安でしてよ?Uziもそうじゃない」

「敵の姿が視認されたみたいよ」

「強化外骨格でガッチガチね、これじゃどっちが人間か人形なのかわからないわね」

 

偵察用ドローンから送信された映像情報が入った。

映し出された映像の中では基地近くの森林を行軍する強化外骨格で武装した兵士が見える。

人形を嫌っている過激派が下手な人形よりも人形みたいになっているのは皮肉だね。

担いでいる武器はこれまた鉄血人形の物を鹵獲したり一般的な銃火器のごちゃまぜ。

見られる中で一番の脅威となり得るのはやっぱりRPG7に代表される無反動砲の類だ。

スレッジハンマーやショットガンなんかも散見できる。

攻め落とす気は満々だし確実に私達を殺そうとしている明確な殺意が見られる。

 

「そんなに人形が子供を孕むのがイヤなのかな」

「何かにつけて人形を迫害したいだけよ、あの手のバカは」

「人間が一番恐れるのは分からないもの……その次は自分の優位を脅かすものだ」

 

圧倒的なアドバンテージであった人類の再興の担い手という物が人形に取って代わられる。

それは確かに良く思わない人間も居るだろうさ、全員に好かれるなんてのは無理だもん。

だから良く思わないは別に構わないし関わらないだけだけど……

いま来ている連中は私達妊娠した人形が悪魔か何かに見えて仕方ないんだろうな。

焼き払わなければいけない、自然の摂理に反した存在だって感じかな。

2020年にはポリ袋の人口子宮なんて実験もあったのによくもまぁ……

まぁ昔から人間の一部の頭おかしい連中は色んな主義主張を掲げて殴り合いを展開していた。

肉食文化を許さないとか特定の旗を掲げるのを許さないとか特定政治家を許さないとかね。

兎に角悪者を作らないと団結しづらいのが人間っていう存在なのかもしれない。

特異な事をして飛び出てしまった私達は格好の標的となったんだろうな。

 

「お、一人さっそくダウンしてる」

「射程距離的にDSRでしょうね」

「対物ライフルに狙撃されちゃぁ……」

「流石に即死ですわね」

 

強化外骨格で吸収しきれない貫通力をもって一撃、バイタルエリアに着弾して一人倒れた。

強化外骨格って言ってもその装甲厚なんてたかが知れている。

パワーアシストによる高機動が売りの外骨格でのっしのっしと歩いてりゃそりゃね。

他の外骨格の連中も重装甲だったりするけど流石に対物ライフルの弾を受けちゃひとたまりもない。

狙撃手に撃ち殺されてからようやくすでに捕捉されているのを察知したようだ。

 

「まぁ早朝にカチコミかけてくるのはいい考えだと思うけどね」

「夜襲は奇襲作戦では一番ベタだものね」

「視覚情報が限られるから良いのだけど」

「あの強化外骨格のセンサーの光がちょうど良いガイドビーコン代わりですわね」

 

人形の視覚センサーはかなり優秀である。人間の限界性能に近い。

第一世代の人形はどうか知らないけどね、少なくとも私は人間の時より視力がかなりいい。

そもそも暗闇の中で光を放てばかなり離れた場所でもくっきり見えるものだ。

海上のような遮蔽物のない真っ暗な中であればかなり離れていても肉眼で視認できると聞く。

森林という月明かりや朝日の届かない所で動く光なんてガイドビーコンにしかならない。

ましてやそんなセンサーを撃ち抜けばあとはどうなるか?

得てしてセンサーや可動部等は装甲が薄くなるものだ。容易く貫通するだろうさ。

 

「装備だけご立派なだけの雑兵揃いだろうか」

「フン、テロリストなんてそんなモノでしょ」

「そうよそうよ、私達のダーリンが率いるあの面々に敵うわけないんだから」

「健気に物陰に隠れてるけど……それが悪手なんだよねぇ」

 

この基地の戦闘とは色々と派手に暴れまわるのが殆どだったりするけど……

暗殺が得意だったり暗闇でのマーシャルアーツを得意とするのも多い。

その筆頭とも言えるのがこの基地に配属されてから覚醒した……蹴り癖がついちゃったG36だ。

 

「あ、G36が横合いから蹴り倒したね」

「ダミーもきっちり他の強化外骨格兵を蹴り倒してるわね」

「隊列が乱れた所に……この淡々とした処理の仕方はグローザね」

「基本的に消音で叩いてるわね」

「ん、このヘッドショットはM14とG28だね」

 

映像を見てる限り本当に心配なんてなかったんだなぁって思う。

 

 

――――――――――――

 

 

兵士がそのまま突撃しても殺されるだけと悟ったのか今度は悪路走破性に特化した戦車を引っ張り出してきた。

かなり前世代的な物だ、旧ソ連製の戦車とか文字通りの動くアンティークだよ。

確かに対物ライフルの一撃を防ぐかもしれないけど……それじゃぁ心もとないんじゃない?

あ、ダーリンが通信機に手を出して何か言ってる……うーん、落ち着いて見ることなかったけどかっこいい……

仕事中、特に戦闘指揮中のダーリンはとってもかっこいいから大好き。

おっと、戦況がまた動いたな。おやおや、向こうはさらに多脚戦車を出してきた。

これはちょっとまずいかも。銃火器での有効打は限られるし榴弾とかの射程ではないしなぁ。

榴弾を扱えるのがD-CustomのM4とSOPぐらいだしなぁ。

あの子達は別方面の防備を固めていてすぐには駆けつけられない。

ではどうするか?現在対応に当たっているのはG36にグローザ、スオミの3人と後方からスナイプしているRF部隊だけど……

流石に脚部アクチュエータ等も装甲が施されていて有効打が中々決めれない。

 

「あ、出てきたね」

「今回はこちらで十分だな」

 

そんな兵器を持ち出すならこちらも勿論出しますとも。

レオパルト戦車です、この基地の保有武器の一つであるレオパルトを出したんだ。

車長はダネルが勤めていて偵察と時折愛銃を砲塔の上に出してから狙撃してたりする。

たまにおっぱいがつっかえてわたわたしてたりする。

私とヴィオラは絶対に入れないよね。私はともかくヴィオラはこの基地一でっかいし。

なんて思ってる間に主砲が火を噴いて目下の脅威である多脚戦車の戦闘室に砲弾を叩き込んでいる。

貫通力は純粋な値で600ミリは簡単に貫くとされている。

多脚戦車は足で支えて動かしていくっていう特性上機敏さには欠けるし重量に関しても制限が出てくる。

装甲材を吟味して複合装甲にしたとしても限界がある。

非爆発性の運動エネルギーを相殺できる許容値はおそらくだけど200ミリに足らない。

ではそんなのがレオパルトの砲弾を食らえばどうなるか?

戦闘室を覆う装甲板は容易く撃ち抜かれてその破片が戦闘室内にばら撒かれる。

それだけで済めば良いけど当然戦闘室には乗員がぎっしり詰まっているし……

搭載火器制御システムも搭載されている、そんな所に砲弾が飛び込むんだ。

そりゃもう大惨事って訳で多脚戦車の動きが止まる。

戦車を止めようとテロリストが群がるがそれはスオミとグローザが尽くなぎ倒していく……

G36はと言うと行動停止した多脚戦車の中へと潜り込んで生存者を確保してるんだろうな。

殆ど情報は握ってるから今回の惨状を本隊に伝えさせるための走狗にさせるのかな?

 

「あ、全体の戦況に……うわーひっど」

「圧倒的だな」

 

圧倒的と言うかほぼ一方的な虐殺になってた。

東西南北と囲まれてそれぞれから攻められていたんだけど……全部歩兵隊は全滅。

他に用意されていた機動兵器はセンサーを撃ち抜かれていたり駆動部を滅多撃ちされてたり……

徹底的に叩きのめされていてパイロットと思わしき人間がそれぞれ確保されている。

旧式の戦車はUziが本来持っている筈の焼夷手榴弾で無力化してるし……

特にステンが見事なトップアタックを決め込んでいて対戦車戦で輝いていた。

 

 

――――――――――――

 

 

「おつかれ、ダーリン……無事に終わったね」

「んまぁ今回のはってのがつくけどなー……」

「それで……またお嫁増やすの?」

「向こうがガチだったらな」

「そっか、ダーリンがそう言うなら私は止めないよ……信じてるから」

「……あーもう、そういう」

 

早朝から朝日が登る頃、戦闘態勢は解除された。簡単だテロリスト数人を残して全滅させたから。

戦闘指揮を執っていたダーリンが私達お嫁さんが待機している共有スペースに入ってきて終わったことを告げた。

まだお腹が出てない組は皆それぞれ抱きついてからキスをして無事を喜んでいたし……

私とヴィオラは労いの言葉を掛けてそっと寄り添う。

ダーリンはさらに自分のお給料から色々削ってから結婚費用を捻出するみたいだ。

さらにお嫁が増えるみたいだけどまた式を挙げるのかは不明。

 

「でもまぁウェディングドレスとかはきっちり贈るつもりだ。不公平だしな」

「ふふ、そういう所が好かれるんだよ」

「ありがてぇけど俺みたいなセクハラ脳は……」

「……そんなセクハラ脳を心底好きになったのが目の前にいるんだぞ?」

「隣にも居るんだが、忘れてもらっては困るな」

「お前ら……出産したら覚えてろ」

「「期待してていい?」」

 

戦闘が終わって基地の中の雰囲気はいつものD08らしい和やかな物になっていく。

後始末は……拠点らしい研究所跡の清掃くらいか。

さ、今日の朝ごはんを元気に作っていこー!

 

「「「おぶぅぉぇええええええええ!!!!」」」

 

キッチンに立つ前にゲロの処理だね……安心して気が緩んでつわりが来たか。




まぁそんなんだから普通にボッコですわ
防衛側の方が優位なんでぇ


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Day156 突撃お宅訪問

根こそぎボッコボコですわぁん


今日の任務はD08地区内に潜入してから根を張っていたおばかさん達への家宅訪問です。

まぁ私達妊婦は強制的に基地内待機ですけどね。お外に出るのは別に良いけど……

今回はオペレーターとしてそれぞれが戦況解析しながら実働部隊に指示を出す。

こんな風なことが出来るのは司令部が置かれている地区内に限られる。

隣の地区になると無線距離外な事が大半であるし隣の地区の作戦無線と混線する可能性も出てくる。

基本的に同じ周波数と暗号プロトコルを使用している。ガバガバ?

いや、はぐれが出た場合に早急に指揮下に入れることが出来るからこっちの方が都合が良かったりする。

そんな訳でこのD08地区内で人類人権団体の過激派が根城にしている研究所を制圧に向かうわけだ。

諜報部が調べ上げている資料ではあの研究所跡は海洋生物の繁殖、養殖などの研究をしていたらしい。

ドリーマーがそれを聞いて現地に向かうと張り切っていたが……武器も持たないで大丈夫なのだろうか?

 

「こちら417、シエラ、デルタ部隊応答して?」

『シエラ1ステン、どうぞ』

『デルタ1UMP45、どうぞー?』

「今回戦術オペレーターを務めるよ、ダーリンからの指示と敵の情報等判明したら逐一伝えていくからね」

『『了解』』

「ドリーマーの様子はどう?」

『さっきから工具を弄ってますね』

『素振りもしてるからアレを武器にするつもりじゃない?』

 

ドリーマーェ……大丈夫なのかなぁ、まぁ工具って人に向けることは全く考えてないけど……

そのパワーたるや人を容易に殺しえる馬鹿力だから武器にはなるか。

たしかドリーマーが今持ってるマルチツールは切断用のプラズマカッターやリベットなんかもあったっけ。

近接戦闘では更に使えるだろう掘削用ドリルやブロートーチもあったり……

人に向けたらヤベーのが勢揃いしてる。普通の武器より危険じゃないか?

ドリーマーも本来はスナイパーみたいに狙撃してからレーザーで焼き払うって戦法が好きらしいけど……

このツール作ってからはそれが馴染んじゃったみたいでドリーマーと肩を並べてたり。

あと人間に対する認識もだいぶ変わってきてるみたいで良いおもちゃ程度にはなってるっぽい。

 

「もうそろそろ視認出来ると思うけど」

『視認したわ』

「OK、空中ドローンからの映像では敵影は無いよ、侵入できそうな入り口をピックしておくからMAPを確認して」

 

さてドローンの高度を落としてからどこからか潜入させないとね。

内部情報が一番大事だったりするからね。外に居ないなら内部に潜んでいる。

昨日は私達が防衛をやったなら今度はこっちが攻撃側だ。向こうのテリトリーに突っ込むんだ。

 

「気をつけてね、敵の保有兵器はまだ未知数だから」

 

一応新型と思われる多脚戦車を保有していた背景を考えれば何があっても……

まぁ統率が取れてない雑兵の集まりだけど閉鎖空間で弾幕を張られたら面倒だ。

 

 

――――――――――――

 

 

「ドリーマー!突っ込みすぎだよ!!」

『イヤよ、こうしてぇ……おばかさんの絶望する顔が……みたいんだものぉ!!』

「おーぅ……ダーリンとヴィオラは見ないほうが良いよー?」

 

ドリーマーがガチ物のスプラッターを作り上げていた。

敵の保有兵器はそんなに大したことはなく普通にLMGばっかりだった。

防衛戦ではLMGによる制圧射撃が有効的なんだけど逆に言えば定点から動けないデメリットがある。

人形みたく馬鹿力があればそうでもないんだけど人間では限られてくる。

その結果リロードの隙を狙ってフラッシュバンを投げ込んで無力化。

そして射撃で無力化しようとしたらドリーマーが突っ込んでいった。

皆それに驚いて射撃出来なかったけどそのかわりにドリーマーがこれまた目も当てられないような死体を作り上げてる。

ドリルで各関節を抉ってから殺してくれって嘆願を聞き入れて頭を……と思ったら今度は股間を……

ぐっちゃぐっちゃと肉を潰す音とグロ耐性ある私でもえっぐ……ってなる光景だよ。

 

『おめぇらは惨たらしく虫ケラのように死ぬのがお似合いなんだよォ!!!!!』

「デストロイヤー、あんなドリーマー見たことあるの?」

「一度だけ……怖かった……」

「このボディを作ってもらう前かな」

 

隣に座ってるデストロイヤー達が揃ってドリーマーの怒号に竦んでいた。

ガイアってヴィオラの元になったボディだけどそれを作ってもらった時にどうやらあんな剣幕を見せたらしい。

返り血がスゴイからこれは帰ってきた後念入りにお洗濯して洗ってあげなくちゃね。

 

「前方に広い部屋があるよ、もしかしたらそこがテロリストの司令室かも」

『了解』

『次の獲物はど~こ~か~し~ら~?』

「誰かドリーマーを止めろォ!!」

『はいはいちょっと落ち着こうねー』

『もがもが……』

 

通信機越しに何かドリーマーの口元を覆ったみたいだけど……沈静化したのだろうか?

 

『指揮官の匂い~♪』

「おう、45姉何を嗅がせた?」

「主人の何を嗅がせた!!うらやまけしからん!!」

「ヴィオラもステイな?」

「「ドリーマーを沈静化させる時にって指揮官の使用済みタオルとか肌着とか」」

「えぇ……」

「あの、俺のプライバシーとかは……?」

「我慢ならん、私はここで主人をくんかくんかする!」

「アッー!!!?」

 

作戦行動中にこれだよ、呑気というかゆるゆるのガバガバだよなぁ……

 

 

――――――――――――

 

 

中に残存していた人間はそう多くはなく戦闘らしい戦闘はそんなに発生しなかった。

大体はドリーマーが作り上げたスプラッターな物と蜂の巣にされたミンチ一歩手前の死体ばっかり。

情報自体は今接待中の連中から吐かせるとして拠点に居る連中は全員潰しても構わない。

あとは何だろうか、この研究所でやっていたという海洋生物の超効率的な養殖と海水の浄化か。

その研究データだったり研究に使っていた卵などを取れればそれが良いか。

卵も生だったら絶対に全滅してるだろうけど……乾燥してたりしたらまだありえる。

生物ってかなりしぶといものでどんな風にしても生き残ろうとする。

砂漠で見つかった干からびた卵に水をかけたらその後孵化したって聞く。

ドリーマーも来た目的がそれだったりする。海水の浄化計画などもね……

研究データは一応ながらHDDに記憶されているみたいで回収できるっぽいけどね。

あとは手分けして回収できるだけ回収してから撤収するみたいだけど……

塩化ナトリウムの人工生成とか良いね。塩の生成は急務だね!

この世界で利用できる海水なんてのは無い、みーんなコーラップスに汚染されてる。

 

「でも解析できるのかな?」

「解析できなければI.O.Pに回すか?」

「ドリーマーが絶対躍起になって解析するでしょ」

 

研究所の物資をある程度回収した部隊が戻ってくるみたいだ。

ドリーマー曰くかなりの収穫があったって言ってる。

 

「で、ヴィオラはいつまでダーリンに抱きついているのかな?」

「無論、満足するまで……むふー♪」

「まって、私も抱きつかせろ」

「「私達もー!」」

「だぁーお前らおっぱいを押し付けるな!!」

 

取り敢えずもう戦闘は無さそうだから戦術オペレーターとしての仕事が終わった後だ。

私とヴィオラはもうやることは無いしデストロイヤー達もそもそも暇。

であるからダーリンにひたっすら抱きついてからスリスリしても全然OKなんです。

ついでにおっぱいもムニムニと押し付けることになるけど……

それはダーリン的には普通に嬉しいことだと思うから文句は受け付けません。

さて、これで海洋生物とかの養殖とかが出来るようになればさらに自給が捗るね。

合成品じゃない天然物の食品がさらに出回って他所への売り込みに使えそう。

 

「とりあえず海産物が出来るようになったらダーリンに最初に食べさせてあげないとね♪」

「だな、刺し身を作ろうか」

 

 

――――――――――――

 

 

で、持ち帰ったデータや物資を展開するべくドリーマーはアトリエに引きこもった。

ようやくまた鋼材等が基地に入ったので海洋生物用のプラントを作るみたいだ。

元々は別の所ですでに養殖されている物を持ち運んできて養殖する予定だったみたいだ。

しかしながら思わぬ収穫で洋食に関するデータと物資が転がり込んできたんだ。

こうなればもう意気揚々と開発するよねって話しだよね。

ではでは暫くの間はアトリエには誰も近づかないほうが良い。

近づくともれなく開発の実験に付き合わされる。

当時まだ妊娠してると判明してなかったお姉ちゃんがね……色々とやられたみたい。

しかも有無を言わさずひっ捕らえられてからやってたもんだからね。

 

「私も妊娠してなかったら危なかったなぁ……」

「でもドリーマーも自分で実験してたりするでしょ?」

「らしいね」

 

ドリーマーもマゾが入ったのか自分で真っ先に実験したりする。

それで安全を確認してから皆で実験するってスタンスみたいだ。

私もそれなら協力してもいいけど赤ちゃんを産んでからだね。

赤ちゃんがお腹に居る間は無理は出来ないもん。というか何が無理となるかがわからん。

性的な刺激はご法度みたいだし……激しい運動はぜーったいだめ!

 

「ちなみにヴィオラは海産物どれが好きなの?」

「サーモンの刺し身だ、あれは美味いぞ……」

「サーモンって川魚じゃない?」

「いや、川で生まれて海に出ていく魚だからな……寄生虫の可能性は低い」

「寄生虫って食べたらやばいよね」

「……まぁ、やばいな」

 

それでも食べようとするのは何故なんだろうね。ヤーパンの人はどうしてそんな食文化を?

私もかなり驚いたのは渋柿を食べる方法をなんとか見つけたことだし……

資料のみしかないけどウミウシとかそんなのを食べようと思ったのがスゴイよ。

見た目からして食べようなんて思えないんだけどなぁ……

 

「私はホタテっていうのが食べてみたいかも」

「ホタテか……バター焼きが良いな」

「貝殻も可愛いからブラにしてみても……」

「マーメイドにでもなるつもりか?」

 

貝殻ビキニ?そんなのもあるんだね。なんというか……発想がスゴイよ。

 

なお夜中にプラントは開発終わったもののドリーマーのおっぱいにヒトデが食いつく珍事が発生していた。




ドリーマーがもうね、コメディ方面にぶっ飛びすぎたからちょっとね。

エロ書きたい……


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Day157 増えるなんとか

ぽこじゃか増える

あ、そうだ。これね……なんと……
佐賀茂さんからね、貰った……417ちゃんの絵です。

【挿絵表示】


あの、ほんと……描いてもらえたら嬉しいなーって感じで呟いたら拾ってくれてこんな神絵をね……
いや、マジ……ありがたいんです。なんて言えば良いのか……


今日は朝からドリーマーが甲高い悲鳴とも嬌声とも取れない声を挙げていたがそれはどうでもいい。

ついでにデストロイヤーの物とを思わしき悲鳴も上がってたから十中八九アトリエで何かあったな。

それもくっだら無いことなのが相場なので無視するのが良いんだよ。

んなことより私が注力するべきなのは……今目の前に集まってもらった……

 

「はい、このメンバーに共通してる所ってなーんだ?」

 

G28、ステン、G36、スオミ、M14、グローザ、DSRである。

まだ容疑に収まっている警備部隊の連中はそっとしておくとしてコイツらはモーションが明らかに一線踏み越えている。

特にグローザは目を離せば隙あらばヤッてる疑惑が持たれているのではっきりさせておかないと。

DSRも事ある毎にダーリンにおっぱいをくっつけて誘っているし。

 

「はい」

「はいステン!」

「おっぱいが大きくなってから着崩しが激しい組ですか?」

「それも合ってる気がするけどG36が該当しないじゃん」

 

私服の胸元がきつくて自然と裂けたり伸びたりボタンが弾け飛んだり……

まぁ兎に角そんな理由で着崩しが激しくなった組でもあるけど……

G36はちゃんと私服も買い直してから合わせているからノーカンだ。

G36Cがしょっぴいて買い物に出掛けたの間違いとも言えないけど……

 

「しらばっくれなくても良いんだよ、コレが欲しい組じゃない?」

「「「「「「「はい!」」」」」」」

「元気のいい返事はきらいじゃないよ」

 

私の左薬指に燦々と輝くシルバーリングを見せると元気のいい返事が返ってきた。

つまりはそういう事だ、ダーリンのお嫁さんになりたい連中の集まりである。

他の人形も概ねダーリンにはかなり好意的であるんだ。

それが愛なのか友好的なものなのかはまた別だけどね。

M16とかが抱いているのは多分酒飲み仲間的な好意だと思うんだけど……

これで愛的な物だったらお姉ちゃんとの一悶着が絶対に勃発する。

 

「まぁ私は皆の意見を代表して言うんだけど……これ以上の嫁が増えることは許されない」

「「「「「「「不公平では?」」」」」」」

「なんてのは冗談で私筆頭に受け入れ体制だからもっと堂々とダーリンといちゃついちゃえよ」

 

まぁ私は正妻っていう風な扱いを受けているけど実際の所はほぼ平等。

皆でダーリンを愛してダーリンに愛してもらっている。

誰が先か後か、誰が特別かなんてのは存在していない。だから増えようが変わらない。

まぁ強いて言うならばダーリンの夜の負担が多くなるかならないか……かな?

お預けをくらわせるのは忍びないってことで色々試行錯誤してたけどね。

結局今現在結婚してる人形は全員孕んじゃってエッチ不可だもんね。

 

「むしろダーリンの性欲を満たしてくれたらそれはそれでありがたかったり」

「では、今から」

「おう、待てやサキュバス」

 

 

――――――――――――

 

 

で、結局嫁としての意見を纏めた物を基地の掲示板に張り出した。

別にダーリンを好きであって嫁になりたいって言うなら別に私達は止めはしない。

むしろ歓迎するし一緒に色々ダーリンの為に尽くそうって感じ。

ただし独占しようなんて事をしたら文字通りの血祭りになるのでご注意を。

そもそもダーリンに嫌われかねないからしたらダーリンからも無視られるかもしれないからね?

皆それぞれ逆誓約で貰われても良いし、そこは各々に任せる。

大掛かりな結婚式はもう無理と思ったほうが良いのでドレスを着て簡易的な物になる。

事実婚状態でも良いけどその場合は子供が出来ても認知は保証しないからね?

子供が欲しいって思うくらいなら結婚しちゃおうぜ?

そしたらまぁ割と手が挙がってびっくり、ダーリンも引き笑い気味。

私が直接話した連中は漏れ無く手を挙げたし他にも警備部隊の連中……M1ガーランドが結構意欲的だったなぁ。

それとなくモーションをかけてたのはFive-seveNだったり。

漢陽88式とかダネル、MG3等の最近来た人形も消極的ながらも手を挙げてて出費がかなり重くなりそうだなぁ。

結婚の意味をあまりよく理解してないまま手を上げてたSOPはどうだろうかね……

 

「一気にお嫁さんが増えちゃうね」

「勘弁してくれよ……俺の身がもたねぇ……」

「でもムラムラは」

「してる」

「じゃあ良いじゃん、乾く暇もないね」

「で、このドリーマーをどうにかしてくれないか?」

「え、無理」

「なによ、そんなに私の身体はイヤなの?」

「いえ、そんな事はありません、はい、すばらしいおっぱいだと思います」

 

色欲というものを知ってからドリーマーがダーリンにべったりだったり。

ちなみに一回襲われてるそうです、それがトラウマに近くてダーリン曰くドリーマーは怖いそう。

よく私に泣きつくようになって可愛いなぁと思ってたり……ヴィオラにも泣きつくからヴィオラからも可愛いと言われてたり。

でもまぁダーリンが好きなおっぱい祭りになるからこれはこれで良いのかなー

怖いって言ってるドリーマーのおっぱいにも目は行ってるからなぁ。

 

「ねぇダーリン」

「ん?なんだ?」

「これから夜がまた大変そうだね、ふふふ♪」

「ちくしょう……精力剤をもう飲まなくていいと思ったのに」

「あ、それとゴムを使っても100%避妊出来るってことじゃないから注意ね♪」

 

85%っていう驚異的な数値ではあるけど完璧ではないのが現実です。

安易に中に出してるとまたベビーラッシュになりかねないので要注意ってことです。

まぁお義父様やお義母様にとっては嬉しい孫ラッシュだから良いのかもしれないけど。

 

 

――――――――――――

 

 

略式ではあるけど結婚申請を送付した、後はリングが配給されて晴れて申請した人形たちはダーリンと結ばれる。

あと漏れ無くあの実験の対象となるので計画的にやらないとマズイことになる。

まぁ皆虎視眈々と狙ってるみたいだけどね。避妊具に穴を空けたりね……

 

「で、全員のドレスやっぱり手配するの?」

「勿論、式を挙げない代わりの俺なりのけじめだな」

「それに女の子の憧れだったりするからね」

「……実際ドレス姿の417はメチャクチャ綺麗で惚れ直した」

「もう、今言わないでよ……」

 

惚れ直してくれたのは凄く嬉しい、そしていまここで言ってくれるのも嬉しい。

正直妊娠してなかったら押し倒して貪ってたくらいにはキュンキュン来てる。

まぁしょうが無いから今するにしてもベロチューでなんとかするしか無いけど……

 

「あんまりそんな風に言うからダーリンに好意を抱く人形が増えるんだからね?」

「……だってさぁ、普通に綺麗で気立ての良くておっぱいも大きいのが多いし何より俺はなぁ」

「人形も人間と変わらないように思える……でしょ?」

「おう、使い潰すなんてのはまっぴらごめんだね」

「そういう所だよ、そういう所……珍しい思考なんだから」

 

もう無理、私が我慢できない。ダーリンが座ってる椅子によじ登ってから膝の上に座る。

こうなったら私は絶対に止まらないしダーリンの静止も振り切っちゃうもんね。

 

「ダーリン♪」

「ん」

「ん~……ぁ…む……ぷ……ぁっ♪んふっ……ちゅ、ずず……ぷぁ♪」

 

火が入った私はもう恥も外聞もなくダーリンの唇を啄んで貪っていく。

ココ最近は朝と夜の寝る前と起きた後のベロチューしかしてなかったもん。

真っ昼間の執務室でしちゃうのは久しぶりでかなりドキドキしてくる。

欲しい、欲しい……ダーリンのキス、体温、匂い……ぜーんぶ満足するまで欲しい。

ギュッとしてもらって一つになっていくような感じがしてたまらない……

ずっとずっとこんな時間が続けばなんて幸せなんだろうか。

体感にして30分程……私は満足して唇を離す……ダーリンの瞳に映っている私はもうメスの顔だった。

お腹をちょっと撫でて赤ちゃんの事を思い出さなかったら本能に負けてヤッてたかも……

うぅ、赤ちゃんには良くないことをしそうになるなんて母親としてどうなんだ……

 

「へへ、久しぶりに昼間っから……」

「……シたいなぁ」

「俺だって我慢してんだから……」

 

 

――――――――――――

 

 

「良いですわね、皆さん無計画な子作りはNGですわよ!!!」

「医療チームの負担を考えてくれたら良いんですけど」

「無計画に産みすぎて金はどうするのよ」

 

まぁ医療チームからは色々と釘を差されてしまった。まぁそりゃそうだわね。

またベビーラッシュされたら溜まったもんじゃないわね。

 

「元はと言えば417さん!貴女が火付け役みたいなものなのですわよ!?」

「えぇー……私だって出来ればいいなー……程度だったのに」

「おだまり!」

 

完全に私が悪い子にされてしまったよ。いや、私はタダのテスターだったのに。

 

「さて、417さん……今日は身体検査のお時間ですわよ」

「あーはいはい……」

「では、全部脱いでもらいますわ」

 

今日の検査とかは身体測定も兼ねていて私の総合検査みたいな所。

まぁこのボディの変化っていうのは逐一データとしてI.O.Pに送りつけられる。

 

「あら、また……」

「あぁ、増えてる?」

「増えてますわね……もうこうもなったら牛ですわね」

「誰が乳牛じゃ」

 

トップバストに巻かれたメジャーの数値がまた……妊娠の影響っぽいけどね。

アンダーバストは変わらずだしヒップも……いや、増えてるぅ!?

んでもってお腹は……うん、ぽっこりしてるからしゃーない。

 

「胎児の発育も良いようですわね」

「ふふ、今日も元気にお腹をゲシゲシ蹴ってくるよ」

「よろしいですわね」

 

聴診器でお腹を診てくれているけど今日もげしげし蹴っている。

そして今も蹴ってたりする。すっごく元気に育ってきてくれている。

これにはさっきから険しい顔をしていたカラビーナもニッコリです。

 

「しかしエグいショーツですこと」

「うっせぇ」

 

一々うるさいわね、カラビーナぁ……




まぁこうなる訳ですわ。
もうハーレム。

こんな可愛い子に好き好き言われるディーノ・タカマチとか言うヤツな。


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Day158 人生の墓場?

ざっと数えて真顔になったヤツ


テストケースとしては私達は良いデータの収集先なんだろうなーとは思う。

人形妊娠実験の1stフェイズではヴィオラが犠牲になったが着床に失敗。

2ndフェイズで私も実験に加わり通常の妊娠期間の半分での発育ならばギリギリ着床に成功できるっぽい?

とまぁ探り探りながらちょっとずつテストケースを増やしていたのは分かるんだ。

3rdフェイズでテストケースがさらに増えて9人に増大してからデータ収集も捗っただろうね。

皆結果的にちゃんと妊娠してるし人工卵子の受精率は今の所100%かな?

人工子宮に関しても昔から研究はされていてそこの問題は今の所無し。

まぁ順調にフィードバックが進んでいるから今度は各基地に配布しても問題は……わからないから今の所D08基地だけにとどめてるのかな?

その辺のI.O.Pの意向ってのは分からないから何ともいい難いけど……

 

「一気にテストケース増えすぎじゃね?」

 

この基地所属の人形大半と婚姻関係を結んでいる事になると思うんだけど。

消極的なYesに対しても普通に指輪を渡して幸せにするなんて言うもんだからなぁ。

I.O.Pとしてもテストケースが増えて万々歳。

さらに貴重な鉄血人形のデータも収集できてさらに良かったねって感じで……

 

「本当に養いきれるの、ダーリン?」

「何とか……計算上」

「これで全員に赤ちゃんが出来たら地獄だよ?」

「そうだな……」

「野球チームレベルじゃないよ、小学校の一クラス分になるよ?」

「怖い想像はさせないでくれ……」

 

今は私達の稼ぎっていうのもある。経済を動かしているのは人間だけじゃねーんだ。

私達人形が経済を動かしていたりもする。つまり私達の働きにも相応の給料が出ている。

まぁ今は私達妊婦組は産休に近いのでお給料は減ってるけどね。

その分データフィードバックでI.O.Pから結構貰ってるけど。

 

「これは暫く私達が貯金しないといけないね……」

「すまんな……」

「んん、いーの、ダーリンに無言の信頼を預けてもらってるって思ったら嬉しいもん」

 

ぐっとサムズアップしてから微笑むとダーリンも気が抜けた笑みを浮かべる。

 

「そういやドリーマーのヤツが培養技術について研究を始めたみたいだ」

「ふーん?」

「タコの触手とかに絡まれたいって言う歪んだ欲望の為だけにな」

「バカと天才は紙一重だったか……」

 

もうわけわからん……ドリーマーがかなりのド変態になっているのはもう知らん。

 

 

――――――――――――

 

 

「人形教団?」

「つい先日殲滅の憂き目をみたカルト宗教よ」

 

今朝方諜報部のグローザが報告に上がっていた。気になる動きがあったらしい。

ちなみにダーリンにはもうすでに報告済み……いつしたか?多分夜中でしょ。

 

「人形を所謂新人類と見たり救世主と見て崇めている宗教団体よ」

「なんだそりゃ、人形は所詮は人間の被造物だよ?」

「まぁそうですが……この愛情や親愛、情欲が全て作り物とは思いたくないわ」

「それだけ聞くなら別に普通のそこら辺に居る新興宗教じゃない?」

「実際はと言うと人間を虐殺し自爆テロや暗殺などテロリストと何ら変わりない組織だったみたいよ」

「うわ、人類人権団体の過激派とかわんねー……」

「因みに私達も抹殺対象だったみたいよ」

 

ほへ、そいつらの主張曰く私達は無理やり人間に働かされている。

おまけに妊娠が可能になった私達は無理やり犯されて孕まされた人形って事らしい。

その望まぬ子供を産むくらいならば殺してしまうのが良いのだろう……だってさ。

 

「ま、殺されて当然だね」

「どこの部隊が掃除を行ったかはI.O.Pの中でも秘密裏のようですね」

「割れなかったって訳ね」

 

どうやら暗部が動いているっぽい。そんな訳でグローザ達でも一日じゃ調べられなかった。

まぁどこが動いたとしても排除してくれたのは大きいね。

 

「で、その人形教団の残党はもう居ないの?」

「えぇ、もう居ないみたいですね」

 

なら暫くは良いのかな。一応だけど人類人権団体の過激派もこっちで掃除したばっかりだし。

また襲ってきてもいいけどまた虐殺になるだけだし。

 

「で、結婚指輪を貰って初夜はどうだった?」

「えぇ、それはもう乱れに乱れ……あ」

「なるほど」

 

グローザはやっぱり夜のほうで大活躍と……ダーリンもこれはまた暫く唸ることになるかなぁ。

積極的にガツガツ来るのが両手で数えられるだけで良かったね。

全員がガツガツ来てたら絶対干からびてたと思うけど……まぁそうなったらローテーション組むことになるか。

夜のローテーションとはこれいかに……ふふ、大分アレなことだね。

 

 

――――――――――――

 

 

またドリーマーのアトリエが騒がしくなっていた。今度は何を作ったのやら。

 

「うふふふ……見なさい、これが私の答えよ」

 

あぁ、このまえのなぜなに……じゃないや、みらくるふぁくとり~か。

あれでまた触発されてなにか作ったんだろうな。確かこの前のは……家庭的なものだったと思うけど……

ドリーマーの開発趣旨からはちょっと外れてると思うんだけど?

 

「ハウスキーパーVerDよ」

「ごきげんよう、お嬢様」

「ドラグーンじゃねーか」

 

これまたクラシカルメイド服を着た鉄血人形のドラグーンがそこに鎮座していた。

勿論D地区仕様に仕上げているんだろうこれまた豊満なバストをお持ちで。

名残といえばその目元のバイザーと無愛想な口元くらいじゃないだろうか。

D基地にちなんでD頭のドラグーンにしたのか……それともドリーマーの趣味か……

 

「家事に関する全てをプログラミングしているわ」

「お嬢様の身の回りのお世話から炊事洗濯まで何でもお任せください」

「まぁ市販化するわけもないから普通にこの基地に放っておくだけね」

「あ、じゃあ皆と同じでご飯を囲ったりするんだ」

「ちなみにこっちは触手育成用に特化したモデルで……」

「うっわ……」

 

これまたコッテコテというか……ドラグーンのいつもの服装みたいなんだけど……

そのおっぱいが私クラスにでっかい。私達やドリーマーも飲んだ例のカプセルを解析したっぽくて量産体勢に入ってるし……

きっとこのドラグーンもあれなんだろうなぁ……と思うと頭が痛くなってくる。

そしてこの距離から漂うミルク臭がやべぇの。どう考えてもそういう用途じゃん。

 

「効率特化最初期型の417のに比べても随分生成効率が良いのよ?」

「ふぅん、私4つ服用してるんだけど」

「え"?」

「あれ?そういう説明だったけど……」

「……417、アンタ騙されて過剰摂取させられてるわよ」

「あー、だから私もヴィオラも困るくらいに出ちゃうのか……なるほど」

「子供は空腹に困ることはないわね」

「そうだね」

 

私は妊娠する前から子供が出来た後の準備ってのは出来てたりする。

まぁアレな目的で手を出したテスト用品だったりするけど……

 

「これは搾乳機とかもつくらないといけないわね」

「やめろ」

 

 

――――――――――――

 

 

ドリーマーのアトリエを出てから最近また賑やかになっている区画に入る。

倉庫内ってのを忘れちゃいそうだけどまぁ多目的空間てきな用途も兼ねてたから良いか。

という訳で倉庫内の養殖プラントに入る。近くの鉱山から岩塩とかが出たらそれを複製ってのも……出来なくもないのだろうか?

ドリーマーも今頑張って塩化ナトリウム生成装置を作ってたりする。

まぁそれが今は出来てないから淡水魚の養殖槽が稼働している。

あの研究施設から回収できた卵でラベルが張られていた乾燥卵を水にひたしてから卵が孵るのを待っている。

見ると段々と水気を吸っているようにも見える。マジでこれ孵るのかな。

今はエアーポンプの稼働する音と水循環の音が響くばかり。

これが暫くしたら色んな生物が顔を覗かせるようになるんだろうか。

 

「あ、いけね、迂闊にこんな水舐めたらダメだね」

 

案外黙ってるだけで海水生成装置開発終わってたりしてー……と思って水に指突っ込んだ所。

雑菌が沸いてる可能性がある水を飲んだらそれが私を伝って赤ちゃんに行っちゃうんだよね。

だから私は何を摂取するにしても赤ちゃんにとって有害じゃないものを取らなきゃいけない。

お酒は飲まないしタバコも嫌いだからアレだけどそういうのが好きな人形だったら辛いかもね。

まぁそれで止めれないならママになるべきじゃないと思うけど。

 

「あ、これ稚魚かな?」

 

水槽には卵が無くて何かあるのかな……と覗いていたらちっちゃいのがうろちょろしている。

よーく見てみると半透明だけど内蔵らしきものが見えている。

どうやら稚魚っぽいのが生まれてるみたいだ。恐るべし生命の神秘……

そして生まれるのが早いこと早いこと……これが食われる側のサイクルか。

 

「早く実際にみてみたいねー?」

 

けっこうぽっこりと出てきたお腹を撫でながら赤ちゃんに話しかけてみる。

お返事代わりのお腹キックが飛んできた、あー今日も元気で大変よろしい。

ママは早く抱っこしてミルクをいーっぱい飲ませてあげたい所です。

 

「私の幸せは私がちゃんと定める……誰かに決めつけられるもんじゃないもん」

 

どんな思想をもつのも自由だけどそれを押し付けて幸せだろう?なんてのは間違ってる。

私は私の意思でダーリンとくっついて色々やって好き合って子供を授かった。

強制でも無理やりでもなんでもない、自然な流れで授かるべくして授かった物だ。

……絶対にこの幸せを壊させはしない。

 

「ダーリンに手を出して傷をつけたら……地の果てまでも追いかけて……」

「417、少し実験に手伝って」

「……やだ!」

 

あんまり長くここに居たらドリーマーに捕まっちゃうな。

気分もちょっと悪い方向に行ったし気分転換にお散歩しよっと……




大量追加、尚ベビーラッシュはイケイケガンガンな連中……だけカモネー
どんどんフラグを立てていくぅ


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Day159 目をつけられるD08

これだけやってりゃね


今日はなんでもまた、触手君が不審人形を捕まえてくれたらしい。

過剰なスキンシップ中らしいけどはてさて……伝令役の触手君曰くナイスバディなお姉さんらしい。

今日は大量で3人らしい、いやぁほんと大量だなオイ。

んで、まぁ特徴的に思うにはやっぱり鉄血人形っぽいんだよね。

宙に浮いている人形と両手にぶっ壊れたでっかいクロー……そしてセーラー服と来た。

該当データはいくらかあるけど……確証は得られない。

まぁドリーマーはその特徴でピンと来てるみたいでニヤニヤ笑いながら尋問室前に陣取っている。

デストロイヤーもヴィオラもピンと来てるっぽいんだけど言ったら面白くないからって黙ってる。

 

「で、いつものようにFive-seveN達警備部隊が連れてくるの?」

「それプラスで世話係に同行させてついでに世話させて貰おうかなってな」

「なるほどね、ドラグーンも連れて行くの?」

「ドリーマーが自信持って作ったヤツだし連れて行くしかねーだろ……世話特化であのでっぱいって……」

「まぁ考えてるのは多分合ってると思うから……」

 

という訳でピックアップ部隊の編成はいつもの5人ではなく……11人に増えた。

警備ついでにまた保護っ子が増えるんだろうなぁ……流石に本社からなにかあるかなぁ。

 

「で、その予算はなにかなー?」

「え、いや……何か用意しておかないと多分なぁ……」

「ダーリンが思うほどすぐには……多分堕ちないから平気平気」

「そう思いたいけどよぉ……デストロイヤーもゲーガーも消極的でも結婚了承してんだぞ?」

「……」

「そこで黙るのやめて」

 

うん、まぁ普通に何だかんだすぐにダーリンに懐いてしまう未来が見える。

Five-seveNも最初は普通にグーパンしてたのに今は普通に懐いてる。

まぁ私も同じ道をたどっているから何とも言えないのがね……

私も思えば最初はツンケンしてたのに今となってはダーリンなんて呼んでねー

 

「やっぱりダーリンのその予算は間違いではないかも」

「俺の給料1年分前借りしてるからなぁ……」

「……しばらく私がお金なんとかするね」

「すまん……」

「いーの、それこそお嫁さんが支えてあげないと、ね♪」

 

んふふ、ダーリンに頼られちゃうの嬉しい♪

私のカード残高はまだまだある、最近はちょっと節約志向に走ってるし……

数ヶ月はダーリンを養えるだけはあるはず!私は普通に家庭で頑張ってもいいし……

いや、在宅ワーキングとかも考えてみるかな……まぁG&Kの契約はきれないからお互い困る事はそうそうない。

 

 

――――――――――――

 

 

「触手は気持ちよかったかしらぁ~?」

「ドリーマー!?貴様、どういう事だ」

「まぁまぁ駆けつけ一杯♪」

 

でっぱいドリーマーがこれ見よがしにゆっさゆっさとおっぱい揺らしながら尋問室に入っていった。

因みに今回保護されたのは……鉄血ハイエンドのスケアクロウ、アルケミスト、ウロボロスだ。

全員揃って椅子に座らされて手足は縛られているけどスケアクロウは警戒して……

ウロボロスはドリーマーに良くない感情があるのか終始睨みっぱなし。

アルケミストはなんでG&Kの基地にドリーマーが居るのかって純粋な疑問だろうね。

そんな疑問に答えること無くドリーマーは持ってきていたミルクプリンをアルケミストの口にねじ込んだ。

いや、プリンだから普通に食わせてやりなよ……いや、ドリーマーの事だからなぁ……

口移しなんて事しなかっただけまだ大人しいのかもしれない。

その後ろから控えめにデストロイヤー二人が来たらさらに混乱が広がる。

なおアルケミストは未知の美味しいスイーツに思考が持っていかれているみたいだ。

スケアクロウもマスクを無理やり剥がされてその口にスイーツねじ込まれている……

ウロボロスはそんな凶行に目を白黒させているけど眼前に置かれたこれまた暑いこの時期にぴったりなシューアイスに目が釘付け。

ガイアに食べる?なんて聞かれて応答してないけど……あ、ねじ込まれた。

 

「「「……これが美味いという感情?」」」

「人間を殺したらコレ無くなるわよ♪」

「いや、しかし……私達で何とか……」

「出来ると思うの?私だって教えてもらわなかったら全然だったのに」

「そんな事はどうでもいいです、ドリーマー……なぜ自爆抑止コードを?」

「だって自爆なんてさせたら面白くないじゃない」

 

技術力のある愉快犯ってのが本当にタチが悪いと思うな、このドリーマー。

そして人間の文化の良さをひたっすら布教していく。こいつが一番最初に落ちたのが本当に良かったと思う。

 

「こりゃまた鉄血組が増えるね、ヴィオラ?」

「ん、まぁ……悪くはないと思うぞ」

「何だかんだ鉄血組のお母さん的なポジションに来ちゃってるもんね」

「言うな……ガイアなんて同素体のハズなのにどうしてこうなった……」

 

ヴィオラの内面的な大人っぽさと高身長とそれに釣り合ったボン・キュッ・ボンなボディ。

というか私以上に大きなおっぱいがぶら下がっているし……ガイアと比べてもその差は歴然。

デストロイヤーとガイアには姉認定貰ってるしドリーマーからはこの前間違ってママなんて呼ばれてたっけ?

丁度お腹の赤ちゃんも居るしママって呼ばれるのはやぶさかじゃないんじゃない?

 

 

――――――――――――

 

 

で、報告に上がったけど皆ドリーマーとデストロイヤーによる接待によって堕ちた。

メシという魅惑のリソースにホイホイされてしまったようだ。

んでもって更にドリーマーの方で量産体勢に入っていた例のブツを投与したらしい。

まぁでもI.O.Pからのセーフティはまた別個でつけないといけないので後日また改造ってパターンだね。

 

「で、DSR……その事故の話は本当?」

「えぇ、ついさっき掴んだ情報よ」

 

なんでもS09地区郊外で爆発事故があったらしい。

ただの爆発事故だったらそんなにこっちで大事にして取り上げる事はない。

けれどもここで諜報部が持ってきたって言うことがミソで……

こっちの基地に関する事が一枚絡んでいるんだ。そう、先日殲滅させたばっかりの人類人権団体の連中だ。

どうやら一度殲滅させたのに速攻でまた攻めてこようとしていたらしい。

しかもまた新しい兵器を使って……で、爆発事故?

その兵器が何故か暴走、大爆発を引き起こしたらしい。原因は不明。

当然ながらその中で作業していた連中は大怪我をしているし死者も出ている。

 

「DSR達は何も?」

「流石にそんな所までは侵入できないわ……時間がかかる上にメンテナンスが終わればすぐに物理的に……」

「あぁ接続が途切れるからハッキングしきれないってわけか」

「出来たとしたらそれこそ内ゲバね……」

「もしくはかなりやり手のハッカーね……」

 

数分の間にまさかのハッキングして暴走させるなんてのは考えられない。

かなりのやり手だとしてもそんなのはまずまずありえないスピードだ。

それこそバックドアを仕掛けていたり内通者がいないと無理だ。

だけどD08基地を守って得をする所なんて大体人形が関わっているからなぁ。

思想上絶対に私達の味方につくことはあり得ないことだし……しかし……

 

「痕跡的にS09地区のFMGが動いたと思われるの」

「……でも?」

「到底一人二人のアクセススピードではないわ、10人位で一糸乱れずやったようなもの」

 

とてもじゃないが現実的じゃない。そんな事をする労力が今の時代ない。

となるとなおさら疑惑が深まっていくばかりだ。ただ一つはっきりしているのは……

 

「誰がやったかは知らないけど……」

「D08の危機が私達の預かり知らないところで解決されていることね」

 

 

――――――――――――

 

 

アルケミストの担当は生物兵器管理になった。まぁ適切なのかもね。

ウロボロスはちょっと様子見、スケアクロウは農業の方に。

ゲーガーはこの基地の収支報告を纏めていたり事務の方になったかな?

それぞれの適材適所に仕事を見つけているけど取り敢えず言えるのは……

 

「それでいいの、鉄血」

「いや、だってねぇ?」

 

普通に寛いでからソファーで仲良く座ってるんだもん。

そして膝の上にお菓子を乗っけてから和気藹々としてるんだよ?

これが私達の敵だっていうんだからねぇ……そしてその後ろにはメイドラグーン。

G&Kの基地内ってことを忘れかねない光景だったりするんだけど?

窮屈極まりない鉄血より娯楽に溢れているし文明的で良いG&Kが良い……だってさ。

あとアルケミストが話したんだけど最前線からD地区周辺に逃げたハイエンドが一切残骸も見つかってないって話しになってるらしい。

まぁ私達が保護してるからなんだけど……普通何かしらの残骸が残っているはずなんだけど……

生き残っているならコンタクトがあるはずだし怪しいって事でエージェントも動くらしい……

思わぬところから目をつけられちゃってるけど……まぁD地区らしい歓迎をするだけだよね。

 

「因みに聞くけどエージェントの好みって?」

「可愛い物ね」

「猫ちゃん」

「犬も良いわねぇ」

「私を良く抱っこしてくれてた!」

 

G&K共有データから冷徹なイメージだけど普通に可愛いお姉さんじゃない?

聞いてるだけだと普通に私達と何ら変わりないじゃん。

よし、とりあえずエージェントが来たら猫猫パラダイスだね。

 

「しかしG&Kの指揮官とは挨拶代わりにおっぱいを揉んでくるものなのか?」

「それはダーリンだけ……だと信じたいなぁ」

 

おっぱい指揮官?あれも別格だと思う。今この基地に来たらヤバイこと間違いなしだけど。

ちなみにダーリンは熱心にまた来てくださいってアピールしてる。

特に他ロットとは一線を画する45姉とかSAAとかスコーピオンとかを見せたがってる。

 

「嫌だったらとりあえず殴ってもいいからね?」

「いや……」

「なんと言うかですね……」

「悪くはなかったからな……」

「おめぇら……」

 

もうやだこのハイエンド達……ドリーマーから何か変なウィルスとか流されてない?




エージェント襲来フラグを立てていく。
まぁ来た所でメシと猫と娯楽でWelcomeToようこそぐりふぃんぱーくなんですけどね


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Day160 どたばた家庭力

鉄血に対する解釈がねじ込まれていく


今日で妊娠が発覚してから40日になるのかな?通算で考えれば大凡50日。

人工卵子の成長速度は二倍になっているから計算上では通常の妊娠100日計算か。

まぁそりゃ私のお腹もぽっこり出ちゃうわけですわ。

まぁ妊娠してから14週は経ってるわけで所謂妊娠初期から妊娠中期に移っている所だ。

元々稼働している人工的な乳腺も発達を遂げていてちょっとおっぱいが大きくなってる。

人間と違うのは乳頭の色素の沈着が無い所かな。メラニン色素を作ってるわけじゃないしなぁ……

まだまだ半分にも満たない、これからが本番だ。赤ちゃんが生存するためには通常の妊娠周期で22週は必要らしい。

それでも所謂早産、しかしながら生存率は50%になってしまうのでリスキー。

通常の出産では37週……つまりは259日はお腹の中で大事に育ててあげないといけない。

私とヴィオラはまだまだ始まったばっかりに過ぎないんだ。

お姉ちゃん達はそれこそまだ入り口に立ったばっかり……かもしれない。

まぁ今朝もゲーゲー吐いてたそれはもうつわりですよ。

お腹はまだ平たい素晴らしいモデル体型を維持してるけど……そのうち私と同じになるんだろうけどね。

 

「まぁ皆モデル体型だけどおっぱいがね」

「そうね……うぶっ……」

 

隣に座ってるお姉ちゃんを見てみるとまぁ凄くおっぱいだけが突き出てる。

元々の416ってモデルがそんな感じで普段はかなりスレンダーに見せておいて……

脱がせるとかなりおっきなおっぱいを持ってるっていうギャップが売りだったりする。

ちなみにI.O.P調べのアレなランキングでも結構上位に入っている。

戦術人形としてではなく普通の民生人形として生まれていたらトップセールス入るんだろうなぁ。

かなり高いとしても欲しくなる女房って言ったら……

 

「なに?」

「んー、お姉ちゃんって男から見たら凄くいい女って見えるだろうなーって」

「当然よ、私は完璧だもの」

 

ストイックだけど好きになった人の為にひたむきに頑張るし褒めれば更に伸びていく……

そして隙を見せてくれたらこれがまた可愛い物好きだったり普通の女の子してるんだよね。

このギャップがスゴイ魅力的だし見た目もかなり可愛いもんだからねぇ……

私が男のままだったらすっごい好みの女の子だったかもしれない。

もう今となってはふんわりとこうだったかなー?位にしかならないなぁ。

 

「さて、今日はどうしようか?」

「そうね……最近増えた鉄血のメンバーのお菓子作りとお掃除とか教えて?」

「お菓子作りはもう全然できるから……お掃除か」

「……ほら、私」

「あーうん、ズボラってか……ね」

 

ほったらかしにしてたらお部屋が汚部屋になっちゃう系の女の子だったからなぁ。

今は私がきっちり教育したからそんな女子力低いことはないけどね。

 

 

――――――――――――

 

 

「どうしたのゲーガー……げっそりしてるけど」

「……あぁ、417か……コレを見てな」

「……みらくるふぁくとり~」

「なんだコレは……」

 

あーうん、見ちゃったか……ドリーマーが絶対に見てるしなぁ。

ゲーガーが見ちゃう時はいつか来ると思ったけど……前回のが前回のだからなぁ。

だってS09P基地のゲーガーも出てたし……アーキテクトはあんなだし。

別の自分があんなノリに合わせてるし元上司のね……あのノリはすごくねぇ。

 

「まぁ別な基地だから……ね」

「そうだな……」

 

肩をぽんぽんと叩きながら慰めているけどうん……あんまりよろしくない。

これワンチャンこっちにも来たりするからなぁ……ゲーガーが巻き込まれる可能性も否定できない。

二人揃って同型が並ぶ訳だけど……まぁ一部の違いがめちゃくちゃ出るよね。

主におっぱいなんだけどね。ゲーガーも元々あった方だけど……でっかい。

で、今日は何をしてるんだろうか……とは思うけど。

 

「まぁ今日のおやつを作ったから一緒に食べよう?」

「あぁ……ちなみに今日のは?」

「ベイクドチーズタルト」

「ほほう、良いな」

 

いくらか顔色がよくなった感じで面を上げて食いついてきた。

うん、よしよしその顔が良いよね。ゲーガーも大型犬タイプだね。

こう実際には無いけど犬のしっぽとかが見えてきちゃいそうな感じ。

ドリーマーとかが作ってくっつけたりしないだろうか?

 

「何を考えた?」

「ん?いや何でもないよ」

「いや、絶対に417なにかを企んだだろう?」

「企んでない企んでない」

 

元上司があれだから悪ふざけだったりに対するアンテナが強いのかも。

私がちょっとそんなのがあったら可愛いよねって思ったらこれだもん。

 

 

――――――――――――

 

 

Five-seveNも色々とFALに教わっていた。

家庭的な女の子が好きっていうダーリンの一言で目の色を変えてね……

皆色々と家庭的な事を調べて学び始めた。そうお料理だったりお姉ちゃんみたく掃除をやったりね。

それこそ自分の部屋のお掃除で練習してるけどかなりあれだね。

 

「すっげぇ埃っぽいね」

「G36がすごい勢いで基礎から教えていたぞ……」

「この惨状はひっどいなぁ……」

 

まぁ掃除を初めてやった連中が物の見事にとっ散らかして居るみたいだ。

で、散らかした連中はG36によるお説教と正座と首からぶら下げられたプラカードが痛ましい。

ズラリ並んでるから何とも……基本データが無かったらこんなものなのか。

私は人間だった頃の記憶があるから下地があるしね。

それこそ機械的なロジックで整理整頓を考えてしまったのかもしれない。

ソートと同じ様に一つとってはどこかに一時置いて次に最適な場所を……って

すでに詰まってる場所が最適だけど物があるからまたそれを抜いて……

 

「同じ人形なのにどうしてこんなに差が生まれるのかしらねぇ?」

「417はそつなくこなしてるけど」

「ん?私はまぁ下地があったからね」

「416は?」

「全然よ、製造当初の私にそんなものは必要ないと思ってたもの」

 

戦術人形としてロールアウトされている人形にはそんなデータはありえない。

だから後々でリソース割いて覚えたりデータディスクでインストールしたり……

ちゃんとした手順やお約束ごと……まぁ所謂プロトコルを覚えないとね。

 

「ヴィオラも最初はそんなに上手じゃなかったけどここまで酷くはなかったみたいね」

「そうだね、流石にとっ散らかす事は無かったなぁ」

 

なおそんな様子を見ているのは私のほか最初の嫁8人衆と鉄血組。

ドリーマーは一応そつなくこなせるみたいだ。お料理は出来ないけど掃除については何よりも得意と豪語している。

デストロイヤーはまぁ無理って言った。そうだろうと思うけど。

ゲーガーは掃除についてはもう慣れたと言っている。アーキテクトが原因だろうなぁ。

スケアクロウとアルケミスト、ウロボロスはそんなの一切知らんと言ってタルト食ってる。

 

「しかし世は何があるか分かりませんね」

「そうだな、私もそう思う」

「鍛錬続きの私にもこの様な甘い蜜月のような日々が来るとはな……真に奇っ怪だな」

 

これで口元にタルト生地のカスがくっついてなかったら結構サマになってたんだろうけど。

 

 

――――――――――――

 

 

そう言えばメイドラグーンの基礎となってるプログラムはエージェントの物らしい。

つまり言うなれば簡易量産型のエージェントってことになるのかもしれない。

料理に関するプログラムは私やヴィオラ、スプリングフィールドなどから採取したらしい。

お料理に関しては鉄血に良いデータが残ってないらしい。

因みに鉄血で一般的に振る舞われているのは軍事人形用のクソマズレーション。

それどころかバッテリーに直接電気を流し込んだり栄養カプセルって味気なさすぎな物だったり。

兎に角効率を重視していて楽しみなんてのは無い、それはまぁ前にも聞いたっけか。

で、メイドモデルであるエージェントに搭載されているプログラムって言ったら……

サブアームを行使した複数作業制御プログラム、脅威排除用の自衛・戦闘プログラム。

日常生活における会話役としての高度な会話プログラム、家事お手伝いの為のお掃除お洗濯プログラム。

そう、肝心な所と言えるお料理プログラムが無い。コレに関しては別な会社で出されている物が良い。

お掃除に関してもお洗濯に関しても正直出来は良くないらしい。

でもハイエンドモデルとして外観とスペックデータは一流、軍の随伴としては不足ない……という設計だったらしい。

つまり何が言いたいかと言うと……エージェントのメシはマズかったらしい。

食っていて嫌気を覚えるくらいには鉄血のメシは不味い。それは皆口々に言っている。

エージェントも顔色一つ変えていなかったそうだけどかなり不味いのは理解していたらしい。

ハンターってモデルは自分で飛び出して狩りを行ってからサバイバル料理してたくらい。

普通にウサギとか鹿とかの生肉を焼いただけのものよりくっそ不味い料理だったんだって。

 

「レーションだってちょっと一工夫したら美味しく出来るけどね」

「……これがあの配給の粘土ブロック?」

「嘘でしょ……こんな良い風味は無かったわ」

「これならおやつ感覚で食べれる!」

「417、おかわりくれる?」

 

G&Kの配給レーションもお世辞言っても美味しいとは言えないブツだ。

でも少しでも美味しくしようと思ったら一手間加えてやれなくもない。

まぁ今回使ったのは固形タイプの配給で味は正直私もうぇっと来るやつ。

まずは味どうこうよりも後味だったり口に残る匂いから着手しようとした。

案外ここが大事で後味が悪いのはながーく続く。

正直味がなくてもここの香り一つ違えば印象は変わってくる……はず。

調味に関してはちょっと横着しちゃってお砂糖とカカオパウダーを使ったりした。

因みにこのカカオは第2宿舎の温室で試験的に採れたものです。

香りは普通に良かったので使っていいとの事だったので遠慮なく使わせてもらった。

 

「メイド対決したら絶対にここの人形が勝つわねぇ」

「むしろエージェントが勝てる未来が無いな」

「皆そうですか…」

「違いないな、エージェントも家庭的ではあるが……」

「如何せん練度が違う」

 

そもそものコンセプトがねぇ……




軍用に近い……じゃあ無駄になりそうな機能は割とコストカットくらうんじゃね?
結果:メシマズ系代理人(自覚あり)

さぁ代理人がどうここに染まるかはおわかりいただけたかなぁ?


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Day161 畑があるなら

日本人の主食を作るアレがないのはおかしいよね?


ダーリンの主食は出来れば白米。これはこの基地の暗黙の了解だったりする。

お義父様がヤーパン人なのでそれに合わせてお義母様も食生活を変えたらしいの。

でもお昼とかは普通にイタリアンを出していてダーリンの舌はヤーパン料理とイタリアンで慣れている。

そんな訳で私が研究して作った肉じゃががクリティカルを叩き出したみたいだ。

昔からダーリンは美味しいミソスープと肉じゃがを作れる恋人が欲しいって思ってたらしい。

で、私が必死こいて覚えていたお料理とかでじわじわ惚れてたみたい。

最近お料理してたら後ろからぎゅーっとされて耳元でね、こう……囁かれて。

料理上手で裁縫もお手の物でおっぱいのでかいとか理想の嫁をもらえて幸せだって……

 

「うへへへ……」

「スオミ、417が変なんですが」

「あぁ、多分私達のダーリンの事を考えているんでしょう」

「ドリーマーやデストロイヤーが執着しているあの人間の事ですか……確かに気にかけてくれてはいますが……」

「人間にとっての人形ってどんな風な存在か考えてください」

「……ただの使い捨ての道具ですね」

「それをダーリンの前で絶対に言わないほうが良いですよ、烈火の如く怒りだしますから」

「なぜ?」

「ダーリンが一番嫌う概念とも言いますか……兎に角ダーリンは私達人形を人間と同じ様に大事に扱ってくれます」

「……なるほど、ですから私の好み等も聞きに来ていたのですね」

 

なんか隣でスオミとスケアクロウが話してる。畑仕事をしながら私はトリップ。

途中から聞き入ってみればあぁ、なんだダーリンの基本思想と私達が惚れ込んでる理由……かな?

私はオンオフきっちり分けてるし基本真面目で仕事熱心。部下思いで……徐々にだけど基地の環境を良くして行ってたし……

私が一番情緒不安定な時はちゃんと見守ってくれてたし吐いた時とか色々ね……

何より戦場以外ではちゃんと私達を守ってくれる頼りになる人なんだもん。

かなりエッチなのが玉に瑕だったけど……惚れ込んじゃったらそんなのねぇ?

むしろいっぱいスキンシップ取れるからダーリンは嬉しい私達も嬉しい。

これこそWin-Winって関係だよね。あーほんと早くエッチしたい……

 

「そういえばスオミはもうダーリンに抱かれたの?」

「ぶふぅっ!?」

「今朝離から出てきてたしそういう事だよね?」

「えぇ、まぁ……そうですけど……」

「ちゃんと避妊はした?」

「……」

「あー……」

 

スオミは視線を逸した。これはちょっとわかんないかなぁ……ダーリンはちゃんとゴムしてるらしいけど。

また赤ちゃんが出来てたら間違いなくカラビーナが怒るなぁ……トカレフはまぁ苦笑いかな?

 

 

――――――――――――

 

 

「主食であるお米を作ってみよう……ですか?」

「ゲーガーとドリーマーが購入するより長い目で見れば自作出来たほうが良いと言うんです」

「お米消費量はけっこうあるからね……確かに出来たら良いのかも」

 

しかしお米の生産には水田っていうまた専用の施設を作らなくちゃいけない。

その水田っていうのも水を大量に使うし何より害虫なども発生しやすい。

普通の畑以上にお世話が大変だったりする。稲にも病気ってのがあるし……

暑すぎても寒すぎてもダメ……水に浸すって関係上あぐちゃんは手が出せない。

ドリーマーが関われば全自動オートメーションの水田ができそうだけど……

 

「少し待ってくださいね……害虫駆除には可愛くて頼りになる物があります」

「可愛くて?」

「……虫を餌にできる動物とか?」

「カルガモを水田に放す対応法だな」

 

農作業部の私とスオミとスケアクロウが顔を合わせて談義してた所だ。

ヤーパン人代表格のヴィオラが顔を出してきた。私達からしたら知らない事も当たり前のように知ってる知識人だったりする。

ドリーマーも流石に前世紀の事は知らないみたいでヴィオラの知識に目を丸くする事もあったり。

そしてそんなヴィオラを尊敬の眼差しで見る同タイプのデストロイヤー二人。

アルケミストはデストロイヤーとほぼ同じ見た目で博識を見せるヴィオラにまだ慣れてないみたいでしょっちゅう目を丸くする。

 

「カルガモなんてまだ生存してるものなのかな……」

「そもそもですが水田を作るスペースをまた確保しなければいけませんよ」

「そこはデストロイヤーとアルケミストに動いてもらいましょう、肉体労働は彼女たちの得意分野です」

「最大効率の面積はゲーガーに計算させれば良いな、水回りのシステムはドリーマーに相談だな」

「現場意見は私とスケアクロウさんの二人で良いですかね?」

「じゃあ私はダーリンに許可取ってくるね」

 

基本的にはドリーマーのアトリエ内に貯蔵されている資材でなんとかするから追加で支払うものはあんまりない。

けれども基地の構造を変えたり新しい施設を作る場合はちゃんとダーリンに届け出をしなくちゃいけない。

まぁこの基地の最高責任者に届け出をせずに改変したら大目玉なんてレベルじゃないもん。

で、一番ダーリンに対しての発言力があるのは……奥さんである私だったりする。

だからなにか頼むにしても私に口添えを頼んでくる人形が居たり……まぁそうじゃなくても大体OK貰えるけどね。

前に断ったのはお楽しみ用の離れをさらに増設するなんていうふざけた要望位だもん。

 

「そもそもお米生産に関してはダーリンも喜びそう」

「ドリーマーも張り切るな」

 

速攻で許可が降りたのでそれぞれ伝達したら即日稼働し始めた。

ドリーマーは色々開発並行してるけど支障は出てないらしい……海水生成装置も開発完了まで秒読みらしい。

岩塩等を利用するのか?と聞けばどうも違うらしい。

 

「イオン分解と再結合をやって科学的に作ってるのよ?」

 

さも当然のようにそんな装置を作ってるあたり鉄血の技術力のやばさが伺える。

まぁナノマシンとかの技術を応用したらそんな世界の操作も出来るんだろうなぁ……

 

 

――――――――――――

 

 

結果的にだけどドリーマーはすっごく張り切って水田の基礎を作り上げた。

基本的な水循環系は畑のものと同じ様に使えるから複製するだけ。

新しく畑の隣に水田専用のスペースを作るためにまた土木作業が入った。

今回は私じゃなくてデストロイヤーが頑張ってくれたし安全確認のためにアルケミストも立ち会った。

で、ゲーガーが測量してから畑と同程度の土地を開墾させて……

掘られた水田予定地にだーちゃん総出+デストロイヤーが頑張ってシステム埋め込んでから……

軽く土をかぶせて水を並々と注ぎ込み水田の形ができあがる。

カルガモはダーリンに良い伝手があるらしく近い内に数羽来るみたい。

基本的な害虫駆除はカルガモに任せて後はちゃんと寝床とかを作ってあげれば良いのかな。

 

「カルガモの生態系について調べておいて頂戴……流石に私は眠いわぁ……」

「夜中まで普通に起きてるのに……どうしたの?」

「夜がむしろ激しすぎるのよ……」

「……程々にね?」

「イ・ヤ・よ」

 

ダーリン本当に大変になってきたなぁ……まぁ私も出産終えて体調整ったら参戦するんだけどね。

搾り尽くされて干からびなければいいけど……ダーリン強く生きてね?

さて、私とスオミとスケアクロウは稲穂の育て方とカルガモについて調べ上げないとね。

あとカルガモの小屋とかも作ってあげないと……やること増えるなぁ。

 

「417大変だ、すぐに主人のところへ向かってくれ」

「ん~?」

「主人が深刻な417不足でダウンした」

「……あーもう、しょうがないなぁ」

 

さぁ私でも出来る軽作業だって腰を上げた所ヴィオラが小走りでやってきた。

ダーリンが拗ねた子供みたいに喚きながら私を求めてるってさ……

お仕事にもならないしさっさと行ってから相手してほしいって要望。

休日ちゃんとダーリンの隣で過ごしてなかったなぁ……と思うと私も凄くダーリンを抱きしめたい気持ちが……

ダーリンのお顔をおっぱいの中に埋めさせたいナデナデしたいキスしたい。

お腹の赤ちゃんに夫婦で話しかけたいいっぱい私の頭も撫でて欲しい。

 

「うへへへへ~♪」

「……417の代わりに私が手伝う、何をするんだ?」

「カルガモの小屋をですね……」

「なるほど、任せろ」

 

 

――――――――――――

 

 

「えへ~♪」

「……はふぅ」

「散々私達のおっぱいを揉んで紛らわせていたのに結局は417ね」

 

司令室に入ると真っ先にダーリンが私に抱きついてきた。

執務室内には最近結婚したばかりの人形がずらーりと並んでいた。

全員それぞれ胸元が皺だらけだから全員揉み倒されてるんだろうなぁ……

数人恍惚の表情でへたりこんでるけど大丈夫だろうか?

まぁ今日はいっちゃアレだけど休日返上してお隣の基地のぶんの仕事をしてたり。

お隣さんも急なおやすみを使ったりするからね。そのバックアップだよ。

 

「使い物にならなくなったダーリンについては放っといて仕事するわよ」

「了解、FALはそのまま代理を頼むわよ」

 

心配していた皆は呆れ半分だったりするけど私のおっぱいの谷間に顔を埋めて安らぐダーリンは可愛い。

ソファーに腰掛けてからぎゅーっとしてるんだけど時々顔を上げてにへぇって笑うの。

 

「おぶっ……!」

「ぅ……」

 

なおまだまだつわりが激しい組は時折エチケット袋に顔を突っ込んでる。

 

「ダーリン、もう少ししたらFAL達もちゃーんとハグしてつわりキツイけど頑張ってるの激励してあげなよ?」

「勿論だよ……もう少しだけ417っぱいを味あわせてくれ……」

「産んだ後はいくらでも気が済むまでさせてあげるから……ね?」

「待ち遠しい……」

 

まだまだおっぱいを好きなだけ揉みしだく事が出来ないダーリンは涙でセーターを濡らしていた。

少しして満足したのか谷間から顔を上げたら私にキスしてくれて……

 

「よし、頑張るか」

「今度は寂しくなる前に言ってよね?ダーリン結構タフだって思ってるから……」

「よし、今夜はお前の寝床に行く」

「離れでの用事を済ませてからね?」

「おう……」

 

ちゃんとダーリンは自分のケツを持ってくれた嫁一同に御礼を言ってからキスして回ってた。

ゲロっちゃったお姉ちゃんとFAL……スプリングフィールドにもちゃんとね。

むしろお掃除する意味合いでべろチューしてたみたいで……暫くその3人が恍惚の表情で置物になっちゃった。

Mk23とかが口を濯ぐように促したけど……

嫁が苦しんでるんだから少しでも分けさせろ、あと嫁が出したものに汚いものなんて無いからってさ。

 

就寝前にめちゃくちゃべろチューされて悶々とさせられた。ダーリンのバカ……




エッチよりも情熱的なキスの方が気分が乗るらしいっす。




「……この写真の子……何処かで見た覚えがあるわねぇ」
「どうしたのドリーマー?」
「あらデストロイヤー……いやねぇ、人間なのに見覚えがある子が居て」
「ちょっとおっぱい掴まないでよ!」
「……思い出したわぁ、あの計画の一端ねぇ」
「んぁっどりぃ……まぁ……!」
「後でデータに纏めておこうかしら」
「ぐすっ……しきかぁん……ゔぃおらままぁ……」
「ハイクを詠め、ドリーマー」
「アイエェェッ!?ヴィオラ!?(ゴンッ)ですとろっぱいさいこぉ……♪(ガクッ」



「アーキテクトのヤツ、あんな顔も出来たのねぇ……じゃ、ちょっと洗いざらい書いてあげようじゃない……オトモダチの為にねぇ」


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Day162 ProjectRULER

今更だけど明言しなくてもコラボってるっていうか……
もうズッブズブな関係になってるよね


今朝もドリーマーはかなり早くからアトリエに引きこもっていた。

そういえばS09のアーキテクトから通信を貰っていたと思う。

それから仮眠してから真剣な顔で端末にデータを打ち込んでいたと思う。

時折あぁそうそう……と思い出しながら使えそうな技術メモとしていくつか抽出していた。

ProjectRULERとか言う鉄血のハイエンドモデル生産計画についてのものだ。

かなり特殊なものらしくあくまでも機械である私達には適合しない特殊なマシンアイ……義眼を用いていたらしい。

 

「ぶっちゃけて言えばだけど鉄血内でも否定的な意見が多数出ていたプロジェクトよ……でも上層部が推し進めていたの」

「どんな計画だったわけ?」

「所謂フェールセーフ、何が起こって暴走するかわからない私達に対しての最高のアンチテーゼ」

「あー……いかにも保身的な思想な事で」

「メンタルモデルも消し去って機械的に暴走させられたら相当ねぇ……まぁそんな訳で制作は続けられたの」

「……生体ユニット30全滅って?」

「孤児を仕入れて実験に使ったのよ」

 

主たる機能を詰め込んだ義眼等は人間に埋め込むことでようやく真価を発揮する。

人間の脳が保有しているシナプスにキーが有るらしいがそれを解明するよりも適合する子供を見つけたほうが良い……

そんな事で先行きがない孤児を使って実験を繰り返していたらしい。

適合させるに当たって目は確実に潰されるから身体的なストレスも多くかかる。

体力の少ない子供たちはそれに耐えかねて次々に命を落としていった……らしい。

 

「ちょっと待って、この名前……!」

「……まぁ顔に見覚えがあると思ったらそうよねぇ」

 

ドリーマーが端末に出力していっているデータの中に見てはいけない名前が見えた。

ユノ……適合率67%、死亡……この個体が最も適合率が高かったためにクローン培養し実験を継続。

 

「死亡……クローン……って……」

「あの基地の指揮官はクローンでしょうね」

「ちょっと……ごめん……」

「はいエチケット袋ね」

「うぶぅっ……」

 

衝撃的な事実に撃たれた以上のショックが私を襲う。

あの幸せそうなユノちゃんはクローン?本物のユノちゃんは既に死んでいる?

つわり以来のゲロにエチケット袋を使用することになった。

しかしドリーマーの言葉は更に続いている。

 

「あの娘急速培養で適合手術に耐えれる身体まで育てられてるわ」

「……それで?」

「衰弱していた身体を維持するナノマシンも適切な操作をしなかった場合は最短3年で機密保持の為に生命活動を停止させるようにプログラムされてるの」

「……」

「軽く見積もってあの娘が生まれたのは二年前って所ね、つまり余命はこのままだと一年」

「……どうにかできないの?」

「出来るわよ、そのための手段を今どっかのお馬鹿さんに頼まれて纏めてるのよ」

 

そういってドリーマーが見せたのは被検体活動停止プロトコル除去コード。

それからそのナノマシンの生産と改良案のデータ。これを私に見せてくれた。

 

「あの計画の成功例が生きていたとは思ってなかったけど……覚えていて助かったわね」

「OKドリーマー早くそれを送ってあげて……今日はドリーマーのオーダーなんでも」

「じゃあ417のおっぱいプリン♪」

「……OK、分かったダーリンとはんぶんこで食べてね?」

 

 

――――――――――――

 

 

ドリーマーのやつ喜び勇んで私のおっぱいの型を作りやがった。

ついでにキッチンに居たヴィオラとガイアとデストロイヤーの3姉妹も連れて行かれてた。

まぁアレだろうね、ドリーマーのやつデストロイヤースキーだから欲しがるだろうね。

特にヴィオラはノーマルのガイアよりもかなり大きめになってるしダーリンの開発のおかげもあってか……

まさしく極上って言えるくらいに柔らかくてぷるんぷるんなおっぱいだもん。

まぁ私のおっぱいも極上を自負してますけど?ダーリンのために磨き上げることに余念はありませんもん。

これだけおっきくてもダーリンの為、まだまだお腹の中に居る可愛い赤ちゃんの為バストアップエクササイズとか欠かしてません。

人形だって食べれば太るし運動したら筋肉がくっついてくるのがわかったんですもの。

 

「で、417のおっぱいミルクプリンがそれ?」

「うん、大きいでしょ」

「……昼飯要らねぇかも」

 

ででーんとお皿に乗る巨大ミルクプリン2つ。真っ白な事以外は私のおっぱいと何ら変わりない造形だ。

流石に大量にミルクが必要になったから大変だったけど……自給できるから問題はないね。

まずはとダーリンを呼んでから振る舞うことに。ダーリンもコレには流石にびっくり。

確かめるように手でもにもにしてたりするから何か恥ずかしい……いっぱい揉まれてるのにね?

で、そんなミルクプリンを一通り揉んでダーリンは私のおっぱいのほうを見る。

 

「やっぱり本物が一番だな」

「いや、ここで揉んだらお掃除大変になるから揉むにしてもお風呂でね?」

「むぅ……」

「カラビーナからもゴムありでゆ~っくりならOKって許可が出たから……ね?ね?」

 

最近スキンシップが少なくなってダーリン曰く417成分が足りなくなってるって言うもんだから……

私だってダーリンに好き好きしたいし時間とお腹の赤ちゃんが許すなら本当四六時中だいしゅきホールドしてですね?

うぅ、いかんいかん煩悩退散煩悩退散……あんまり煩悩を燃やしたらまずい。

私が暴走してダーリンを押し倒して昼間っから見せられない事になりかねない。

 

「あら、それが417のおっぱいプリン……でっかいわねぇ」

「改めて見ると本当に大きいな……」

「でっか」

「このボディの私よりも大きい……?」

 

うっきうき気分でやってきただろうスキップしてるドリーマーとデストロイヤー3姉妹が入ってきた。

ドリーマーの両手にはこれまた大きい乳型の物が……ヴィオラは半分呆れた目で見てたし……

まぁ多分だけどあの型はそれぞれのおっぱいの型なんだろうなぁと思う……

ん?あれ、個数が4つって事は……ははん?さては……

 

「しきかぁん……いえ、ダーリン、私のおっぱいも食べてもらうわよぉ」

「自分で作ることを覚えろ、ドリーマーはこっちへ来い」

「あぁん♪」

「ダーリン、ドリーマーに何したの?」

「いや、普通にお前らと変わらないんだけど……いっぱい食って幸せそうな所を可愛いなって言ってから」

「……その上要望ガンガン聞いてるでしょ?」

「んまぁ……」

「好感度ガンガン上がっていくわ……」

 

 

――――――――――――

 

 

どうもナノマシン自体はちゃんと適切に運用してあげればかなり万能らしい。

それこそ今は凄くちっちゃいまま成長が止まってるけどナイスバディな大人のお姉さんに成長させたりとか……

ハイエンドモデル化が進んでいる過程で身体能力が良くなっていってるのもその一面が出てるらしい。

その調整についてもアーキテクトに送りつけたから後はアーキテクトに委ねられる。

まぁ大事な親友を助けたいって言ってからドリーマーに映像越しとは言え平頭、土下座する勢いだったらしいから……

どう考えてもユノちゃんの寿命を普通の……それこそ80歳とかまで生きれるようにするんだろうね。

 

「……けふっ」

 

自分のデータベースから引っ張り出した今回の功労者は今机に突っ伏してるけどね。

その隣では私の愛しのダーリンもお腹を擦っていたりする。

まぁあれだよ、私のおっぱいプリンを平らげてかなりお腹に来たらしい。

ドリーマーの胃袋はそこまで大きいわけじゃないからはちきれんばかりなんだろうな。

これでさらにヴィオラのおっぱいプリンを求めてたからなぁ……

 

「これでまだ食べるつもり?」

「いえ、無理……」

「だよね、次は計画的にね?」

「これ太らないわよね……」

「残念だけどおっぱいがじゃんじゃん太っていくよ……」

「そうだな……私達も気にせず食べていた時はまぁ……」

「結構なスピードで太ったもんね……と言うか今もか」

「3サイズ測定はもう恐怖でしか無いな」

 

因みにデストロイヤーは普通のサイズのミルクプリンで止めているから呑気にカフェオレ飲んでる。

私もヴィオラもねぇ……オーダーメイドじゃないとブラが無いもん。

お店に置いているのは大きくてもGとかだしHとかからはセミオーダー。

フルオーダーのブラって事は私達二人のおっぱいの大きさがよく分かるかな?

まぁこの基地の人形大半がセミオーダーブラになっちゃってるんだけどね。

フルオーダークラスはスプリングフィールドとかイサカとかだったり。

 

「ガイアのおっぱいも結構実ってない?」

「え?わかんないわよ……そんなに?」

「ジャンプしない、ダーリンに食われるよ?」

「え、じゃあもっとする!」

 

ドリーマーも反応したけど満腹過ぎて動くに動けないで唸っていた。

なお妊婦を除いたそこに居た皆がダーリンの餌食となった。

 

 

――――――――――――

 

 

培養技術のサルベージに成功したからちょっと臨床実験で結構育ってきてるジャガイモで急速培養している。

食して問題が無いようだったら一気に生産効率は上がる。

クローン技術に関しては正直扱いに困るからそっとしておくけど……

いや、そもそもクローニングに関しては結構研究が進んでいて割と見られるか。

テロメア問題とかをクリアしたクローン技術は鉄血が握ってたみたいだけど……

使えるものは使っていくけどあんまりそういうのは……

 

「これで生体パーツの生産も捗るわねぇ」

「あぁ私達のパーツの大半は生体パーツだもんね」

「そうそう、クローニングで量産出来るから……ふふふ、鉄血人形も簡単に量産出来るわよぉ?」

「騒動になりかねないからステイね?」

 

本当この基地の内部が色々と火種になりかねない事になりつつあるなぁ……

これ今本社の視察が来たら本気でマズイ状況だったりしないだろうか?

鉄血ハイエンドは平気な顔で闊歩してるし……他所からしたら喉から手が出るような物があるし。

私達妊婦人形の存在も火種になってるしなぁ……

 

「それにしても……クローン……かぁ」

 

今の所知っているのは私とドリーマーだけだ。ダーリンは知らない。

知らないほうが良い。私だってこんなの知ってたくはない。

でもコレを忘れたら本当のユノちゃん……いや、オリジナルのユノちゃんが浮かばれない。

私達が知っているのはクローンで生まれたユノちゃん……だけども……

 

「世の中って辛いなぁ」

「何一人で抱え込もうとしてんだ?」

「ふぇっ!?ダーリン!?」

「聞いた、というかドリーマーを揉み倒して吐かせた」

 

後ろから抱き締められてびっくり、その後に続く耳馴染みの声はダーリン。

何時ぞやはここでおっぱいを揉まれてたけど……

 

「だってさ……こんなヘビーなこと……」

「そういうのは夫の俺にも背負わせろよ……な、俺の愛しい愛しい417?」

「……むぅー」

「反則なんて言わせねぇからな」

 

ユノちゃんに対してはコレまで通りに……副官は知ってるらしいから……それとなく、ね?

いい雰囲気でちゅっちゅしてたら副官勤めてたダネルがやってきて二人揃ってしょっぴかれた。

むぅ、ちくせう




超ヘビーな事になってたしバトン渡されたので色々盛り盛りして返す。
整合性が取れてなかったらスイマセン。


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Day163 恥ずかしくないのぉ?

ドリーマー「煽るわよぉ」


「んぁー……」

「んん……おっぱい……」

 

久しぶりにこの離れで目が覚めた気がする。隣には素っ裸のダーリンだ。

それに対して私は一応ベビードールを着ていたりする。

勿論の事だけどお楽しみ用のかなり際どいヤツで大凡普通に着れないヤツ。

んー……良い夫婦仲を保つのに一緒に寝る事がどうとか聞いたことあるけど……

 

「んえぇへへへへ~♪」

 

まだ微睡みの中に居るダーリンの胸板に顔を寄せて抱きつき頬ずり……

朝の早い時間に起き出しちゃう私だからできる特権的行為……思わず顔がにやけちゃう。

ほーらお腹の赤ちゃんも感じてみなさーい?パパの結構たくましい身体だぞー?

ダーリンの身体は普通に鍛えられていると言っても良い。だらしなくはない。

割れるほどじゃないけどちゃんと胸筋とか腹筋とかの硬さはすぐに分かる。

 

「ん……」

「あ、おはよ!ダーリン♪」

「おはよう……ミルク……」

「寝ぼけてるねー?」

 

ダーリンは寝起きは兎に角甘えてくる。夜はけっこうガッツガツ来るんだけどね。

んで、甘えん坊モードなダーリンは私のおっぱいが兎に角大好物。

いや、いつも私のおっぱいでご飯3杯行けるって豪語してるけどね。

いつにも増してダーリンはおっぱいを揉みたがるしちゅっちゅしたがる。

それが私の知ってる寝起きのダーリンの姿だ。とっても可愛いから大好き。

 

「昨日の夜いっぱい飲んだからお腹たぽたぽになっちゃうよ?」

「……んー」

「もぉー、ちょっとだけだからね?」

 

まぁそんなダーリンに対して私が強く出れるわけもなく……求められると断れないの。

それは私以外のお嫁さん連中全員に言えることなんだけどね。

今の私達ダーリンにデレッデレの甘々だもん、求められたらなーんでもしちゃう。

ダーリンの喜ぶことは何でもしてあげたい、それが私達全員の胸の中にある望み。

本当はここはお顔を洗ってしゃっきり目を醒ましてって言うべき所だろうけど。

まだまだ時間的には余裕があるし……ちょっとくらい微睡みの中で遊んでもいいよね。

 

「はーい、ダーリン、あーんして♪」

「あー……」

 

今日はダーリンの初おっぱいは私がいただいた、うぇへへへ~♪

 

 

――――――――――――

 

 

「で、申し開きは?」

「朝からしゅきしゅき出来て満足」

「417っぱい最高でした」

「SPAS!」

「はいはい、じゃあ指揮官さんにはちょっと痛い目にあって貰います」

 

朝から大遅刻してFALに怒られた。私もダーリンも朝から乳繰り合って満足。

ただし他の面々はそうじゃないから……代表してSPASがちょっと怖い笑顔で出てきた。

手に担いでいるのは愛銃のSPAS12、これ見よがしにがちゃんことポンピング。

これにはダーリンも顔を真っ青にするし私も血相変えちゃう。

 

「待ってFALダーリンを撃ち殺す気!?」

「大丈夫よ」

「これ、強化ゴム弾ですから!」

「それめちゃくちゃ痛いやつぅ!!」

「ダーリンの復帰力ならものの数秒でピンピンしてるでしょ?」

「いやまぁその通りなんだがぶほぉぉぇぇあああああ!!!?」

「ダーリィン!?」

 

腹部に思いっきりいったいボディーブローを食らったも同然のダーリン。

身構えていてちゃんと腹筋に力を入れててもプロボクサーのストレートを食らったも同然なんだよね。

強化ゴムだから腹部程度だったら死にはしないだろうけど……流石に受け止めきれない衝撃でふっとばされてる。

慌てて駆け寄って抱き上げると……ダーリンかなりピクピク痙攣してる……

ん、でも……これは伸びてるだけだね。良かった……と、あれ?この手は?

 

「んにゃぁっ」

 

ぐわしとおっぱいに手が行ったもんだ、これは普通にすぐに復活するね。

ダーリンのお腹のアザがすごく痛そうだけど気絶はしてないし……

私のおっぱいを揉みに来るだけの元気があるから……これはっと……

 

「はい、ダーリン♪」

「ん?おぶぶぶ……」

「ほーらおっぱい窒息刑だよ~」

 

まぁ所謂幸せ固めに近い私がダーリン特攻で考えた刑罰だったりする。

良い刑罰とは言えないけど結構効果的だったりする。ダーリンの鬼耐久を無視できる。

これで気絶させたら暫くは起き上がってこないんだなぁ。まぁこれ思いついた経緯も事故だったりするけど。

あ、反応が消えたからこれは気絶したね……っと、うん幸せそうな顔で気絶してる。

 

 

――――――――――――

 

 

「また前線でトラップに引っかかってるのが居るの?」

「そうね、反応は4」

「ドリーマーの自爆停止プロトコルは?」

「作動確認済み、いつでも回収に向かわせていいわ」

「ありがとう、マカロフ」

 

諜報部からの情報が入ってきて前線でまたトラップが作動したらしい。

反応数は4、もう大量というかなんというか……抵抗にあったらしく触手くんが何本か切られたらしい。

再生はすぐに始まるけどかなり怖かったらしくお世話係の甘やかしを要求してる。

まぁそれは良いんだ。ただその人形が何かにもよるんだよねぇ……

これで向こうでまた生産されてたりするアーキテクトとかだったらなぁ……

 

「とりあえずダーリンが今伸びてるから私が代わりに指揮するから警備部隊と飼育員を派遣しよっか」

 

指揮用のタブレットを小馴れた感じで取り出してからポチポチと動かす。

見慣れたD地区の全体マップから表示されて基地から前線までが映し出される。

途中点在するランディングゾーンと夜露を凌ぐくらいは出来る宿舎などが表示されている。

私が目覚めた倉庫とかもね……改めて見るとかなり前線に近いなぁ。

ランディングゾーンからかなり離れてるしもしかしたら最前線での警備を試みた後とかだったり?

でも私が置かれてたんだしなぁ……最前線用の補給用品とかなのかなぁ。

何度か前線が前後してるみたいだからその名残だったりして。

 

「PeaceMaker隊Five-seveN以下出撃準備整ったわ」

「ん、あー今日はダーリンはちょっと伸びてるから私が代理で指揮するからよろしくね」

「……大丈夫なの?ダーリンは……あぁ、おっぱい固めしたのね」

「そそ、じゃあC96以下のブリーダーを連れて行って」

「了解」

 

さてと、警備ルートの設定と敵襲撃予測……あとはドローンの展開とかをさせないとね。

敵を発見したら即座に警備部隊に伝達してから向かわせてってしないと。

呑気に幸せそうな顔で気絶してるダーリンに皆キスしてから出ていった。

愛されてるね、ダーリン……ふふ、奥さんとしては鼻高々ですよ♪

 

「培養の実験の被検体が出来たって本当?」

「あぁドリーマー……マジマジ、前線の触手が叩き切られたみたいで」

「切られた……ふぅん、じゃああのイノシシ娘ねぇ」

「心当たりあるの?」

「有るわ有るわ大アリねぇ、まぁちょうどいいスキンシップになるかしらぁ……クヒッ」

 

あーあドリーマーがこれはまたいい笑顔をしてらっしゃる。

何だかんだ触手くん達気に入ってたもんね。叩き切られてたらちょっと怒るかなぁ?

 

 

――――――――――――

 

 

「で、捕まえてきたのがこの面々と……」

 

ダーリンに付き添ってから尋問室に行くとソファーに座らせられてる人形が4体。

全員ドリーマー特製の拘束具で縛り上げてるからコレが解けないみたいだ。

ドリーマーの時みたいに亀甲縛りにしてあげてもいいけどね。

 

「ハイエンドモデルの失踪が多発する地域と思っていましたが……まさか裏切りをしているとは」

「あぁ~らやぁね、そもそも人類を抹殺して何になるのぉ?」

「それがご主人様のご用命ですから、そこに意味は」

「じゃあ~人類滅亡させた後……どうするつもりだったの?」

「……」

「こういうの、ぜぇぇぇぇったいに食べれない事になってたわよぉ?」

「それは?」

「そこの417お手製のシュークリーム……カスタードクリームとホイップクリームの二段重ねで美味よ?んーうまー♪」

「……餌付けされてしまって、それでも貴女は」

「まぁまぁ食べてみてから言いなさい♪」

「んむぐふ」

 

ドリーマーが一口かじったシュークリームをエージェントの口に突っ込んでいった。

他の面々、エクセキューショナー、ハンター、イントゥルーダーも次々に突っ込まれていく。

どうやらエージェントが万全を期して連れてきたらしいけどモノの見事に捕まったと。

 

「まぁここで逃げるのも良いが俺らと一緒に住んでみないか?」

「衣食住完備で毎日望んだお菓子がもらえて望むこともこの……ダーリンが叶えてくれるのよぉ?」

「まぁどう取ってもらっても構わん、反抗するならまたとっ捕まってもらうだけだが……出来りゃ争いたくはねぇんだ」

「良いわよぉ、ここの生活……」

「ここに住んでもらって俺たちだけでも共存を認めてくれるってんなら……俺が生きてる限り大事に守ってやる」

「まぁ物は試しで武装没収してから住んでもらうわよぉ♪」

 

エクセキューショナーはもう何だろうすごいキラッキラした目で咀嚼してる。

ハンターはそれ見て気概を削がれたか甘味を堪能してるし……

イントゥルーダーは完全にドリーマーをがん睨みしてるけど……ほっぺたにクリームべったべた。

 

「所でエージェント……テメェのメシマズはどうしたんだよ、えぇ?」

「それは今関係」

「ここに私が作った手料理があるわぁ……鉄血のクソみてぇな配給と同じ環境で作ったのがなぁ!」

「……」

「食えよ」

「………バカな……!?」

「メイドとしても私に負けてんなぁ……ギャハハハハハ!!」

 

おーおードリーマーのやつ煽りよるよ。散々メシマズと罵ってたからなぁ。

 

「良いでしょう、このまま裏切り者相手に負け下がるのは性に合いません」

「勝てるかしらぁ?このドリーマーに」

「勝ってみせましょう」

 

鉄血ハイエンドが見事にこの基地に大集合してるよ……

 

「まぁ変なことしないように私が監修するからね?」




というわけで大集合。
きっと今頃鉄血本部でエージェントがぶっ倒れてるなHAHAHAHA


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Day164 メシマズ教室

メシマズだろうが普通にね?


「……なぜ?」

「あー……」

「417、貴女は黙っていてください」

 

朝からエージェントが頑張ってお料理を研究しているんだけど……

コレが基礎から出来ていないもんだからさっきから焦がしたり味付けが素っ頓狂な事に。

味見して酸っぱい顔したり苦い顔したりと表情がコロコロ変わっていく。

そうしてから悩んでいる間はいつもの無愛想と言うかむすーっとした顔。

もちろんの事一応のセーフティでIFFとかのカスタマイズは受けてもらった。

エージェントはここでドリーマーに対して圧倒的な大差を付けて美味い料理を出すまでって言う条件付きだけどね。

流石に火を扱う事だから下手なことされると基地が火事になっちゃうから見張ってる。

一応搭載されているレシピはいくつかあるみたいでそれは出来るんだけど……

 

「まさかポテトサラダくらいしか出来ないとは……」

「黙っていてください」

 

インプットされている料理がモノの見事に簡単なのに限定されている。

おまけに調理経験はほぼ皆無、何度かレーションのアレンジに挑戦したらしいけど……

 

「あれはそのままの方がまだマシだ」

「そもそもだがあのレーションをどう改善しようにもな……」

「調味料の類はあったからそれで味を変えれば良い?はっ」

「その結果がゲロ甘レーションだったよね……」

「あれは食べた時吐きそうだった」

「二度は食べたくない劇物だな」

「うむ……」

「そうですね……」

「全くね、わたくしもアレにはウンザリでした」

 

とまぁ鉄血組からは非難轟々で特にドリーマーは思い出しただけでイヤって感じ。

ゲロ甘って事は砂糖をとりあえずどばーっと入れたんだろうか?

ちなみに味覚はちゃんとしているみたいだけど……加減ってのを知らない感じ。

調味ってのを知らないから小出しにするってのを知らない感じだ。

ポテトサラダとか調味もクソも無い奴だしなぁ。マヨネーズ等はまた貴重品だから……

鉄血内部でもある調味ペーストでやりくりしてたらしい。

まぁそんな訳で天然物やそれに近い形式でのお料理に関する経験はほぼゼロ!

だから味付けがめっちゃくちゃだったり……というか味見するってことを知らないみたいだ。

 

「ぐ、ぐぐぐ……」

「教えてあげようか?」

「結構です!」

「あ、うん……でも食材も無限じゃないから今日はそこまでね?」

 

しょんぼり顔で肩を落とすエージェントがそこに居た。あらやだ可愛いこと。

 

 

――――――――――――

 

 

「ぶっはははははは!!それでよく私に勝負を挑もうなんて思えたわねぇ!!」

「くっ……」

「無理せず一から教えるよ?」

「くぅぅっ……!!」

 

なお今自分の昼ごはんを作っておこうとしてドリーマーがエプロン着けてキッチンに立っている。

コイツも最初は人のことを笑えないくらいに酷い知識量だったのにね。

まぁ私とヴィオラで手取り足取り教えこんだから失敗の経験はない。

今だってガシャガシャ振るっているのは中華鍋。その中で踊るのはこれまた見事なチャーハン。

ドリーマーは自分で調理するのは大体中華料理になる。なんかハマったらしい。

後単純にダーリンの視線を集めれるからだと思うけどね。

中華料理は素早く大火力でってのがあるから鍋の動かし方が激しくなる。

するとまぁ必然的に身体も揺さぶられるわけ。で、ここのメンバーだと……

それはもう見事なたゆんたゆんばっかりだから男の視線を独占しちゃうよね。

ダーリンも怖い怖いって言ってたけどドリーマーのおっぱいには逆らえないらしい。

で、そんなお料理上手を見せつけて煽ってくるドリーマーにエージェントが悔しがってる。

メイドとして生を受けているエージェントとしては教えを請うのは中々くるんだろうなぁ。

鉄血側にもちゃんとプライドってのがあるのが見れたから結構新鮮。

 

「常識だけでもね?」

「……お願いします」

「ん、まっかせて♪」

 

エージェントこの煽りに堪えたみたいで私に頭を下げてお願いしてきた。

とりあえずお料理入門編だけでもちゃんと教え込んでおかないとね。

 

「じゃあ取り敢えずだけど……リフレッシュついでにこれどーぞ♪」

「これは?」

「SAAお気に入りのコーラ」

 

ね♪と言ってからパチンとウィンクしてから缶コーラを渡す。

エージェントからしたらデータ上でしか見たことも聞いたこともない代物だろう。

プルタブの開け方はちゃんと知ってるみたいで恐る恐るだけど開けて……

 

「ふむ、これは……く、口の中で弾けて……」

「炭酸飲料も初めて?」

「は、はい……」

 

とっても可愛らしい様子が見られる。慣れてないのが丸わかり。

 

 

――――――――――――

 

 

んじゃあという訳でデータに頼らず私とヴィオラとが教える事に……

 

「だからレシピはこれ、完璧に1グラム単位であわせるの」

「完璧じゃなくても良いじゃない、そこは食べる相手の好みに合わせるものよ」

「わたくし的にはここはダーリンの好物で……」

 

まぁお察しの通り妊婦がぞろぞろ集まってきてエージェントを囲っている。

それぞれ思い思いに言ってるものだからエージェントも流石に困り顔。

 

「はいはい全員散れー!」

「初歩から教えると言っている」

「……助かります」

「お姉ちゃんはそこで正座!FALてめぇもだ!!」

「スプリングフィールドはゆっくりと教えてくれるな?」

「えぇ、勿論です」

 

困った表情でオロオロしかけていたエージェントをちゃんと救出してから……

優しく教えることに定評のあるスプリングフィールドを呼んでから教え込みスタート。

初歩も初歩からだから取り敢えず簡単な焼き物をやろうかなって思う。

オーソドックスなスクランブルエッグとかにするかなぁ……

 

「エージェントはなにか作りたいのがある?」

「……オムレツを」

「オムレツ……まぁちょっとむずかしいかもしれないけどやってみようか」

「ではデモンストレーションをしよう」

「その後手を取って教えていきましょう」

「軽く……レシピを最初に見せておくね……っと」

「待ちなさい、417……貴女は端末をどこに?」

「え?おっぱいの上に載せてるんだけど?」

 

レシピを検索しながら食品とか調理器具出すもんだから両手フリーにしなくちゃいけない。

三人揃っておっぱいの上に端末とかひとまず置くものを置いている。

いやこれが楽なんだもん。私達のおっぱいばっかみたいにでっかいんだもん!

ちょっと置くくらいだったら抜群の安定感を発揮してくれるんだよ?

飲み物飲みながら両手フリーとか余裕なんだもん。

 

「はい、それじゃあ私とヴィオラで2パターンの作り方を見せるから」

「私がプレーンオムレツ、417がレアオムレツだな」

 

きっちりカッチリ焼き込むか半熟のふわっふわのにするか。どっちも美味しいよ。

 

 

――――――――――――

 

 

「うん、うめぇな」

「そうですか、それは良かったです」

「ただドリーマーのに比べっとまだまだかもな」

「うぐっ」

「ただまぁうめぇのは変わりねぇからこれからもよろしくな、エージェント」

「……毒を仕込んでいるとは考えないのですか?」

「ん?そんな事することはないだろ」

「底抜けのバカということはよく理解しました」

「そりゃどうも」

 

エージェントはちゃんとプレーンオムレツを作り上げた。

ただまだぎこちなさが残っていてからちょっと焼きすぎ感があった。

んでもって分量がちょっと間違ったもんだから……エージェントの味覚はちょっと濃い目っぽい。

調味料多めになっちゃってなぁ……まぁ美味しいと思うけど。

ドリーマーのやつどうやってかダーリンの好みをパーフェクトに抑えてやがんだもん。

私でも結構聞きながら好みに近づけたっていうのに……

 

「しかしまぁ壮観だよね」

「何がですか?」

「おっぱい」

「……正直イヤでしたがドリーマーに負けているのは癪ですので」

 

この基地に来た人形の行き着く末路というべきか……エージェント以下鉄血人形はみーんな改造受けてる。

エージェントは心底嫌そうにしていたけどドリーマーに煽られてそのまま乗ったんだよね。

まぁドリーマーは改造受けても飄々としててたわわに実ったおっぱいを揺らしながら基地を闊歩してるし……

それで開発も良くやってるしお料理だってお手の物にしてるし……

そんなのだからエージェントが改造受けなくて勝ってもねぇってドリーマーがくっそ煽ってるの。

ちなみにエージェントもそこそこにあった方だけど……普通に盛り盛りされちゃったね。

かなりおっぱいが存在感を放ってるもんだからメイド服の胸元がやっばいの。

 

「……ん、あれは」

「あぁワンちゃんのお散歩だね」

「何よ、渡さないわよ?」

「417もお散歩に付き合う?」

 

お散歩に連れ出しているわーちゃんとお姉ちゃんがこっちを見ていた。

エージェントの視線はもふもふな子犬に釘付けになってて……ガン見である。

 

「もふもふ……」

「こにゃんこは?」

「417の足元よ」

「んみゃぉ!」

「あいだだだだだだだ登ってくるぅ……!」

「はぅ……」

 

エージェントが子猫の無邪気な至近距離での鳴き声でやられてた。

ただ撫でるのをためらっている様子でちょっとだけ撫でて表情を崩していた。

可愛いのが好きだってそう言えば言われてたな……




あれ?普通にどっかの可愛がられ系エージェントっぽくなっちゃってるぞぅ?
もっかい来たらエージェント二人して可愛がられるんじゃね?


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Day165 バイ騒動

そういや貰ってたお題をね……いい加減使わないと……


今日は結構暇みたいでダーリンが端末片手に食堂でのんびりしていた。

さらにテーブルの上には社内報とコーヒー、完全にリラックスムードだ。

そしてそんなダーリンには誰も近づいてはない。ダーリンがこうしてリラックスしてる時は自然体で居てほしいからね。

下手に誰かが近くにいると気遣いをさせちゃうもんね。まっさきに膝を狙うだろうSOPは?

あぁRoがちゃんとホールドして撫で付けてるから大丈夫そうだね。

 

「……にしても社長すげー筋肉だな」

 

ダーリンも鍛えている方だけどあんまり目立たない筋肉の付き方をしている。

クルーガー社長の筋肉はもうアレだよ、筋肉もりもりマッチョマンって感じ。

そのままお前ボディービルダーとして食っていけるよ?ってレベル。

あれにぶん殴られたら流石の人形もノックアウトしそうって思う。

っていうか社長のグラビアみたいなのもあったんだ……何やってるんだよG&K

私達のグラビア写真とかも撮ってたけどさぁイヤほんと何やってんの?

 

「憧れもあるけどこの胸筋とか触ってみてぇな……」

 

ガタタタッと色んな所から椅子を蹴っ飛ばしたり崩れ落ちたりって……

まぁ私も思わず手に持ってた家計簿を落っことした位にはショックを受けてる。

なおダーリンはヘッドホンで端末に入れ込んでるミュージックがん流ししてるから周りの様子に気づいてない。

ガチムチなクルーガー社長の胸筋に興味を示した?あの、おっぱい星人のダーリンが……?

これはかなりの異常事態とも言えることだ。ここに居ない面々にも共有しなくちゃ……

速報、悲報:ダーリンに男色の気が出てしまった模様、至急対策すべし。

端末からこの基地内でダーリン好きな人形で作り上げているグループチャットに投げ込む。

食堂で作業していた全員はすぐに反応したし既読がつく。

しかしながら他で作業してたりする人形はこれが中々つかないが……

あ、全員待機画面の見出しで食いついたな?一気に既読が……

 

「うぉっ」

 

すごい勢いでレスポンスがすっ飛んでくる。これはこれは……

男色の気っていう文字で皆危機感を持ったみたいだ。

思い思いのチャットを繰り出してるが……おい?SPASてめぇさては……

色々と関係を持ってると思われてた消極的結婚勢がここにきてボロを出してやがる。

それぞれ要約したら……え、あのエッチは何だったの?私をあんなに褒めて抱いてくれたのに?

みたいな事をそれぞれチャットで暴露してるもんだからみんな食いついてる。

 

「まぁこりゃ全員集合してから作戦会議だなぁ……」

 

取り敢えず全員に通達、第1宿舎女子寮の共有スペースで作戦会議だ。

 

 

――――――――――――

 

 

さて、私が共有スペースに戻った頃にはダーリンLove勢が勢揃いしていた。

しかしスゴイ人数が勢揃いしてますこと……というかアレだけダーリンに説教してた医療班もずっぷずっぷやってんの?

チャットで見た感じお前らもゴムなしでやってるんじゃないの?

 

「さて、皆集まったのはわかってるね?」

「ダー……指揮官さんにホモの疑惑が浮上したわけですわね?」

「もうダーリンって言っちまえよカラビーナ、生出しセックスは楽しかった?」

「うぐっ」

「まぁ取り敢えず皆何だかんだでダーリンとよろしくやってるのは分かったからもう隠れずやれや」

 

取り敢えず全員に牽制込での視線を投げつけてから続けていく。

誰かしらがやってるのは分かってたけど全員とは恐れ入ったよ。

 

「さて、私は直接聞いていたんだけど他に聞いてたのはだーれ?」

 

上がってくる掌は6……G36C、Mk23、G36、M1ガーランド、マカロフ、トカレフ。

まぁこれで裏は取れるけど……ではダーリンホモ疑惑はどうするものかな。

全員かなりざわざわしてる。私の言葉が狂言ではないのがわかったからだ。

 

「さて、皆の対策を聞こうじゃない」

「ここはもう全員で女体の良さを教え込むしか……」

「クルーガー社長の胸筋に勝るなにかを……」

「私達の腹筋!」

「なるほど、女体の筋肉で中和するということ?」

 

ふむ、私達の筋肉を魅せつけてからダーリンのホモの気を取り払うということか。

でも私とヴィオラはお腹は……ダーリンの赤ちゃんが居るしなぁ。

 

「そもそもだが本当にホモなのか?」

「……まさかだけど私と同じでバイ?」

「え、まさか……」

 

もやんもやん……と浮かんでくるのは私やお姉ちゃん、FALを囲いながらも……

メンテナンス班を……うげぇ、ちょっとそれは私の頭じゃ無理。腐ってる。

まぁドリーマーはデストロイヤー好きだしその上ダーリンも好きみたいだからなぁ。

あ、でも私達を抱いてるし告白もしてくれたんだから女の子はちゃんと……

うーん、ではあったとしてもバイ疑惑?バ、バイだったとしても私はダーリンの事は好きだよ?

でも……うーん……私達と他の職員とかを同じ様な目で見られてたらなぁ……

 

「まぁ取り敢えずだけどダーリンの私室を漁るわ、誰かダーリンの足止めを」

 

カルカノ姉妹がサンドイッチすることで決定した。

選定方法?んなのじゃんけんに決まってるじゃん。

 

 

――――――――――――

 

 

「お姉ちゃんはタンス下を漁ってみて、私は定番ポジを漁ってみる」

「了解よ」

「私はこっちを漁るか……デストロイヤーとガイアはそっちを」

「はーい」

 

さて、ここで二度目となるダーリンの薄い本漁りです。

今ダーリンは食堂でカルカノ姉妹がおっぱいサンドしてがっちりホールドしてる。

因みに反応的には普通に嬉しがって鼻の下を伸ばしていたからなぁ……

やっぱりあったとしてもバイ疑惑になるか?

 

「うーん……うわ、まって業が深いものが……」

「……そういう?」

 

ダーリンの保有している薄い本は色々あったけれども新しく積まれていると思われる物が……

まさかの妊婦とのおせっせ物!見た感じI.O.Pの人形がモデルっぽいけど……

これまんまお姉ちゃんにそっくりだよね!つまりそういう事!?

お姉ちゃんは黙ってるけどお腹を擦って満更でもない顔してるし……

うっわ待って!?私っぽいのも出てきてるんだけど!?どういう事!?

私のデータって他にも流れてたりするの!?いやぁ、私こんな触手にずっぽずっぽ……

されてるわ……夜のダーリンの興奮を煽るためにってやったことあるぅ……

 

「ぶっほっ!?」

「どうしたのヴィオラ」

「……これを」

 

デストロイヤー組もどこからかデータが抜かれてるのか……そう、姉妹百合本だ。

超絶でっぱいなヴィオラらしきのとガイアとデストロイヤーがくんずほぐれつ……

おまけに言えばヴィオラ総受けであるよ、揉みしだかれててあられもない言葉を……

うわ、さらに玩具で前後……うわぁぉ、これはすごい……

あ、でもこれはダーリンもやったことだよねー……うんうん、すごい乱れ様だったのを覚えてる。

 

「見事に私達の薄い本ばっかりだね……」

「それも一度やったようなこと……」

「あとは出来そうにないアンリアルな事とか……これとか」

「コレって言って私の妊娠本を出さないで」

 

あれこれ漁ってみたけど主に私やお姉ちゃん、FALとか最初期に結婚してた組の薄い本が……

それも私の触手陵辱本が多くてからちょっと引いてる……そんなに私と触手の絡みが良いの?

 

「まぁ……バイ疑惑はこれで無いかな?」

 

 

――――――――――――

 

 

「え、俺そんな疑惑持たれてたの?」

「だって社長の胸筋!」

「あぁ、あれな……いや普通にゴンゴンノックしてみて硬さにおぉ~ってなりたい程度だぜ?」

「なんだぁ……良かった」

「あったりまえじゃんよ、俺の好物なんて言ったら……なぁ?」

 

そう言って私のおっぱいをガン見してるダーリン……うん、おっぱい星人だね。

ホッとする反面やっぱりダーリンはダーリンだなぁ……と……しかしあの薄い本はなんだ?

私達にいやらしい欲望を抱くのは良いけどあんな形で保持されてるのは結構複雑なんだぞぅ。

 

「あのさ……ダーリン?」

「ん?」

「あのー……薄い本だけど……」

「…………ふぁ?」

 

あ、冷や汗流してる、流石に嫁にぶつけていい欲望じゃなかったのは理解してるっぽい?

でも抑えきれずにぶつけてるよね!?主に私には何度かぶつけてるよね!?

いやぁ嬉しかったけど!ダーリンの偽らざる素顔と欲望を見れたから!

 

「ま、まぁ……俺はあんなので抜く位にはノーマルだから?」

「……う、うん……だよね……安心した」

「引いた?」

「いいや、全然……私はダーリンの好みってのがよーく分かったし……」

「出産後は私もまた主人の好みのプレイをするぞ?」

「そうねぇ、私にもしてくれなくちゃ」

 

にへぇ~っと笑ってから私はダーリンの肩に頭を預けて……ヴィオラが頭を抱えて。

ドリーマーがテーブルの下からぬっと股ぐら付近に顔を覗かせる。

まぁすったもんだの大騒動になったけど取り敢えずは良かった……

 

「あら?あー……」

「さっきから端末が鳴ってるね、ドリーマー」

「アーキテクトね……あのコードをしっかり解析したわね?」

「……あぁ、あれね……私やヴィオラのおっぱいのデータを入れたんだっけ?」

「バカよねぇ、私が善意100%で動いても何も仕込まないなんて思わないでしょうに」

「捻くれてんなぁ……」

「それが私、ドリーマーよ」

「で、出ないの?」

「出るわけないじゃな~い★」

 

ピッと着信拒否をしてから口笛吹いてアトリエの方へと呑気に歩いていった。

 

「アーキテクト……?あの裏切り者の名前がなぜココで?」

「エージェント、それはもう私達が言えたことか?」

「わたくしにはもうここに住み着いた時点で裏切りも良いところですが」

「それより早くメシにしようぜ、ハンターもぼやぼやしてるとお前の分食っちまうぞ!」

「待て!ハンター!!」

 

おぉ、ブルンバスト……ハンターとエクセキューショナーの追いかけっ子が始まってるけど……

ダーリン含めて全員が見るよね。

エージェントとイントゥルーダーもこれには肩を竦めて呆れ顔だよ。




という訳でバイ騒動でドッタンバッタンです。



エージェント「はい、D08基地……アーキテクト?なぜ貴女が通信に?答え……切れましたか……なにもすぐに切らなくとも良いじゃないですか……」
子犬1「わふ!」
子犬2「へっへっ……わん!」
エージェント「貴方達は本当に癒やしです……はぅぅ……」
守護妖精「\やべぇ、尊い/」


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Day166 こういう距離感良いよね

SAAの落とし方はもうね、これしか浮かばなかった


「思ったのだがType10もあるのだからもう一組戦車兵を編入するべきだ」

 

ダネルのこの一言でまた人形の発注がかかった。現在保有している戦車は二両。

そのうち一両の操縦にIW部隊が入っている。更に言えばキューポラからの狙撃か。

ダネルが車長を務めていて状況把握と愛銃での狙撃とかを良くやってたりする。

前の人類人権団体の侵攻戦でも戦車乗り回して相手の機動兵器を撃ってたし。

この基地の陸の守りの要とも言える。複合装甲があってかなりの防御力を誇るし……

それこそ戦車戦にならない限りは事地上戦では敵なしとも言えるか。

正規軍の兵器を持ってこられると流石にどうしようもないけど……

 

「第二の戦車兵の補充と……あと戦場での整備とかもする人形も必要か」

「そうだな、応急修理はできても専門的な物は車載工具だけでは何ともな……」

「私達に覚えるだけのリソースは……ないですね……」

「あたいにはそんな細かいのは無理だしなー」

「私も訓練を怠ってないが専門とは程遠いな」

 

とまぁ戦車隊の連中が口々に言っている。Ameliは覚えるだけのリソースの余裕がないと言っている。

本当に基礎的な戦車の動かし方を覚えたに過ぎないっぽいな。

私やヴィオラみたいに人間ベースのAIを持ってるならまた違うのかもしれないけど……

思考ベースや身体の動かし方、ジャイロセンサーの効率化等がかなりあるしね。

まぁ稼働年数22とかになるからね。年期が違うからねはっはっはっ

 

「ダネルは覚えれるんじゃない?」

「無理ではないが……」

 

まぁ普通に覚えるよりは専用人形を雇用したほうがいい感じっぽいね。

応急修理が出来れば良いだろうね。戦車の応急修理なんてそうそうしないしね。

全員が応急修理技能を取得してそれぞれの専門を覚えて……ダネルが全員のを覚えてるって感じか。

車長が全員の技能を覚えていたら良いよねって思うんだよね。

 

「それで発注はどうするの?」

「まぁ潤沢にそうだなぁ……Type10の3人と整備班の5人」

「はいはい、それじゃあ発注かけるね」

 

ダーリンの代わりにっとタブレットからポチポチっとやってっと……

完全に私の感性でポチポチしてるけど……大丈夫だよねっと……

I.O.Pの奴らが何をチョイスしてくるかは全くわかんないんだけどね。

誰が来てもとりあえずどうせねぇ……ダーリンに惚れてから指輪エンドなんだろうね。

 

「あと417~指輪も発注しといて……」

「はいはーい……」

 

 

――――――――――――

 

 

「I.O.Pから返答がすぐに来たよ」

 

端末に来たメールを見てみるとラインナップを見る。

えっと……64式自でしょ一〇〇式、SuperSASSでしょ?

PzB39、SVD、モシンナガン、TAR21、9A91になるか。

ARにSMG……他は大体RF人形になるのか。偏ってるなぁ。

そしてお約束のD仕様ですからみーんなボインボインですよ。

特に64式自とかTAR21とかすっごく大きいと思うんだけど。

それに輪をかけてでっかいとかやばいと思うんだけど……絶対ぶるんぶるんでしょ。

 

「どれどれ……あーType10の乗員はもう64式自と一〇〇式とSuperSASSだな」

「他は皆整備に回すの?」

「整備+警備って所だな」

「なーるほどね」

 

整備だけで潰すって感じじゃないね。流石にそんな事はしないか。

警備もさせるって事は一応ながら戦闘もさせるつもりなんだね。

しかしまぁリソースはそれくらいならオッケーなのかな?

 

「またスオミがしばらく荒れちゃうなぁ」

「スオミ最近ロシア銃との交流はあるから平気だろ」

「そうかなぁ……まぁ大丈夫かな?」

 

今回追加されるのはSVDとモシンナガンと9A91か……また増えるねー

でもその後AK系列がまた来るんだと思うしスオミには慣れてもらわないとね。

というか慣れておかないと絶対に死ぬよね。憤慨してからね……

 

「因みにダーリンの好みっぽいおっぱいは?」

「……64式は絶対に脱ぐとすごいと思うんだ」

「なるほど」

 

ちょっとカタログを参照してから着替えとかを見るけど……あーうん……

これは脱いだらすんごい事になりそうだ。これでさらにD仕様でしょう?

 

「あとさー……そろそろミルクの貯蔵とかやばくなると思うんだよね」

「あーうん……そうな、今何にしてんだっけか……」

「普通に加熱処理してから紙パックに再封入だったりスイーツに使ったり……」

「使い切るんだっけか」

「……いや、皆張り詰めちゃってるから使い切っちゃいないね」

 

とんとんと私のおっぱいを叩いて見せてやるとダーリンもコレには苦笑い。

 

 

――――――――――――

 

 

「大人化薬?」

「また16Labがやったのか……」

 

試験薬をまーたテスターとしてこっちに持ってきさせたのか……

試供品と思われる薬品が司令室に持ちこまれていた。

特にメッセージなどは無く……ただ一筆大人化薬としか……

まぁこんなのだからロリ人形に投与したほうが良いのかな?

ここに居るロリ人形で妊娠の危険性が無いのって言ったら……スコーピオンとかか?

SAAも投与しても良いかもしれないけど……んー

 

「おっそーじおっそーじ!」

「はいはいそっちお願いするな」

「えっへへーまっかせてくださーい!」

 

にこにこ笑いながらお掃除している我が兄とSAAのコンビが見える。

そしてその後をぴょっこぴょっこと跳ね回りながらくっついて回っているスイーパードッグ。

うん、あれをぶっ壊す事になりかねないから私はノータッチで行きたい。

 

「取り敢えずこれはほったらかしにしていいでしょ」

「そうな、俺は知らないって事で……」

 

取り敢えず私もダーリンも見なかったことにしてからそっ閉じ。

 

「さてと、私達妊婦組はお料理に行きますか……」

「ん、おう……」

「はいはいそんなに悲しそうな顔しないで……お昼前のおやつをちゃんと持ってくるから」

「んん……おっぱい……」

 

クイクイとダーリンがまた悲しそうな顔をしてから私の袖を引くんだもん。

これが可愛いのなんの……うーん……ちゅっちゅしたくなる……

でもそれをしたら絶対にキッチンに行けなくなっちゃう、時間が許す限りダーリンとちゅっちゅしちゃう。

そんなダーリンに後ろ髪を引かれる思いだけど……ハグしてから離れる。

 

「あ、そうそうまたお昼はエージェントが作るっぽいから覚悟しておいてね」

「……食えたら良いな」

「食べれる物は絶対に作らせるから安心しておいてね」

 

舵切りはぜーったいに安定させるから大丈夫だから。はっはっはっ

 

 

――――――――――――

 

 

「うぁー……疲れた」

「コーラどうぞ!」

「あんがとなー……SAAも疲れてないか?」

「全然まだまだいけますよー!」

 

SAAは凄く元気に兄さんを手伝っていた。そしてまぁ距離が近いこと。

二人の距離感は普通に親友って感じだけど距離感はまぁ……私から見たら普通に恋仲一歩手前?

コーラ2つ示し合わした様に持ってきてるもんだしサポート体勢がね?

そしてちょっとSAAが谷間とかを気にしてるんだよね。それも兄さんにだけね。

聞いた所なんでかはSAA自体も分かっちゃいない感じでわかんないって言ってた。

 

「ねーエージェント、あれいつくっつくと思う?」

「知りません」

「それより子猫ちゃんが可愛い?」

「子猫以外も可愛いダイナゲートも……はぅ……」

「……」

 

エージェントは取り敢えず膝の上に子猫を抱えているし肩の上にはダイナゲート。

いやぁまぁ普通にフルアーマーエージェントって感じだよ……

 

「じゃあM4はどう思う?」

「え、わ……私ですか?」

「あの二人いつくっつくと思う?」

「え……えぇ~?何時でしょうか……一ヶ月後……とかでしょうか」

「私が思うに一週間後にはSAAが恋について感づくと思う」

「なんでですか?」

「来週のアニメがね……ちょうどラブコメ回なんだよ」

「「あっ」」

 

そう、あのほわっほわというか天真爛漫なSAAだけど……アニメの影響を受けると思われる。

つまり……つまりだ、ラブコメ回で恋愛感情という物を学ぶ訳で。

それから兄さんに向けている事がそれだと認識すると……まぁくっつくよね。

そして兄さんはSAAに結構なお熱な事を思ってたりする訳で……

あのSAAのロリでっぱいに欲情するくらいには結構好きって感情がね……

 

「「コーラうめぇ」」

 

まぁあの友達感覚が抜けきれないかもしれないよね……SAAとか怖がるかもしれないし。

この距離感が丁度良いって思っちゃうかもしれないし……下手に感情を変えたら……

 

「距離が離れる恐れとか……考えちゃうかもね」

「恋愛ってそんなものなんですか?」

「普通はね……人間や人間の思考をベースにした人形ってのは変化を恐れるものなんだよ。」

「そういう物ですか……私には理解できませんね」

「エージェントは変わりすぎじゃない?」

「猫ちゃんとダイナゲートが可愛ければ……そういえば417、貴女も可愛いですね……ちょっと撫でさせてもらっても?」

「ヤメッヤメロォー!!」

 

この後めっちゃくちゃナデナデされた上にお腹もナデナデされまくった。

赤ちゃんの事を教えたらすんごいキラキラした目をしたんだもの……断れねぇ……




という訳でウィルバー兄くんとSAAがくっつきます(暴露)
友達感覚だったのにいつの間にか好きになってた感じ良いよね?
ね?


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Day167 どんなヤツにも惚れる人は居る

この基地で何かと騒ぎを起こしてくれるコメディリリーフの彼らにも春をね?


今日の朝ごはんはなーににしようかなー……私だけで何人分も作る必要がなくなったのはでっかいなぁ。

いやぁお嫁がいーっぱいになったからそれぞれ自分は自分で作るってスタンスになったもん。

おかげで早朝私が作る必要性があるのは私自身の為の朝ごはんと……あとはダーリンの為の一品。

お嫁協定でそれぞれダーリンに向けてお料理をってなったんだけど……全員がメインを張ったらとてもじゃないけどダーリンの腹が死ぬ。

私達妊婦と同じ位にお腹がぽっこりしちゃってせっかくのスリム系なダーリンがぽっちゃりになっちゃう。

それはそれで愛らしいと思うけど健康的ではなくなっちゃうしエッチの時に潰されかねない。

まぁそんな訳で皆作るのは本当に一口サイズの一品物、それぞれかぶってもOKだけど……

第一に考えるのはダーリンの事!これが鉄則でございます。

 

「おはよー……」

「おはよ、兄さん……SAAに笑われる頭してるね」

「うるせ……」

「顔洗ってテーブルついてて、あとついでにダーリンの分のミルクを置いててくれると助かるなー」

「へいへい……」

 

隣の男子寮から兄さんが寝癖ボサボサ爆発頭をわっさわっさ揺らしながら入ってきた。

最近のSAAはこれを見て笑いながら梳かしてみるのが楽しみと言ってる。

兄さんも頭がボンバーしてるのは自覚あるみたいだけど直すのが面倒らしい。

あんまり目がしゃっきり覚めてない感じだからとっとと顔を洗ってこいとフライ返しでシッシッとする。

フライ返し持ってるし今日の朝ごはんは厚焼き玉子にしよっかな?

ミルクをちょっと混ぜてから焼くと風味が柔らかくなって美味しいんだ。

まぁ休みの日の朝ごはんのメニューだし軽いので固めていきましょ。

後はそうだねぇ……いいスタートを切るためにマカロニサラダとかかな?

玉ねぎとかをマゼマゼしてしゃきしゃき食感を楽しもうかな……

 

「おはよーございまーす!」

「ん、あぁおはようSAA」

「……あれー?」

「どうしたの?」

「おにーさんの気配がしたんですけどー?」

「お顔洗いに行ってるから洗面所行ってみ?」

「おー、なるほど!じゃあ行ってみます!」

 

オフスタイルのUSA!って書かれたTシャツを着たSAAが出てきた。

私の顔を見てパチパチと不思議そうにしてから周りを見渡したと思ったら兄さん探してたり。

かなり懐いてるなぁと思うけど気配で飛び起きてくるとか犬かなにかかな?

投げ渡すためのコーラはっと……うんうん、結構な本数まだまだ冷えてるね。

しかしアニメの時間でもないのに起きてくるようになったかぁ……

 

「ふふ、お義姉さん……なんて呼ばれるのも近いかもね……」

「お姉ちゃん、ミルクー……」

「はいはい……ん?」

「いただきまーす♪」

「ぎゃあっ!?G28ィ!?あ、あにゃぁぁぁあああああああ!!!!???」

 

 

――――――――――――

 

 

「いやぁ……今日も朝から豪華だな……」

「皆から愛されてるね、ダーリン?」

「ははは……」

 

あの後いろんな人形が起きてきてから眠そうな顔をこすりながらとか……

イキイキとお料理したりとワイワイギャーギャーと宿舎のキッチンは大盛況。

皆思い思いの一品を作っては自分の朝ごはんと別に……ダーリン用の大皿に盛り付けて……

今ダーリンの眼の前にあるように……ご飯、汁物と付け合せって形なんだけど……

 

「朝から盛れるようなメニューもあるね」

「……あのさぁ」

 

割とメニューを見ているとニラの卵とじとかあったりして精がつくものがちらほら。

それも朝からメニューに並んでるってことはそういう事だよね。

皆ダーリンの虜かぁ……うん、まぁしてもらえたら凄く嬉しいし病みつきになるのは分かるよ?

 

「今度全員で」

「止めて、俺がそれは間違いなく死ぬ」

「冗談だよ……って何をそうぞうしたのかなぁ~?」

「……いや、その」

「ダーリンのエッチ~♪」

「お前も大概だと思うんだけど?」

「いーもん、私ダーリンに対してはかなりどエッチでドスケベでいいもーん」

「あっそうですか……」

 

照れたのかそれとも恥ずかしいのか……私にエッチな思いがあるのか……

私から視線を外してからそっぽ向くダーリンに対してから左腕に抱きつくの。

むにゅっと私のおっぱいの谷間に腕を抱き込んで頬ずり頬ずり♪

 

「ぶち犯すぞ?」

「やーん♪」

 

でもダーリン基本的に強引に私としようとはしないよね。

いつだって私からどことなく求めてる時だったりするし……お外でもねぇ?

私が明確にイヤって反応したらすぐに止めてくれるからね。

 

「417」

「なー……むぐっ!」

「……へんっ、あんまからかうとマジで食うからな」

 

ダーリンの方から口移しでピンポイントで狙ったように私が作ってた卵焼きをねじ込まれた。

それもダーリンの唾液って私にとってはおクスリクラスのやばいのをたーっぷり塗りたくった……

ちょっとお部屋にこもらないとまずいかも……

 

 

――――――――――――

 

 

「……」

「何が始まるんです?」

「あーうん……」

「見てみるとわかるかなぁ」

「百聞は一見にしかず……だ」

 

朝のいちゃつきタイムは私から始まって色んな娘が代わる代わるダーリンの隣に座っては……

色んなあの手この手でダーリンを誘惑するんだけど皆キスだったりちょっとしたナデェ……でね?

こう、皆……自分の中のアレな感情を煽られてクッション抱えたり自室に籠もったり……

私は普通に急いでごちそうさま!って言った後必死に煩悩と戦いながら洗い物してた。

で、今はって言うとS09P基地から届いた例のデータがドリーマーによって持ち込まれたの。

鉄血組を全員集めてる辺りドリーマーは狙ってると思うなぁ……

因みにエージェントはアーキテクトの事はなにかのタイミングで知ったみたいだ。

この基地で闊歩しているだーちゃんはほぼ全員アーキテクトの制作物って言うと驚いてたのかも。

メディアプレイヤーがデータを読み込み映像が出力される……

ドリーマーはすっと立ち上がって……食後のコーヒーを楽しんでるダーリンに見えるようにキャピッとしたポーズをとって……

 

「3!2!1!どっかーん★」

 

どっかーんでこれ見よがしにでっぱいを激しくたっぷんたっぷん揺らすんだ。

ダーリンこれにはコーヒーすすりながらドリーマーにサムズアップ。

このいきなりのノリに困惑するエージェント、イントゥルーダー、ハンター、エクセキューショナー

全員ドリーマーがぶっ壊れたのかと思っているかもしれないけど……

その後の映像データの方をみて更に全員の顔が固まる。

 

「「「アーキテクト……?」」」

「きぐるみ……!」

 

おいエージェント、きぐるみにメチャクチャ反応してるのやめーや。

膝の上でゴロゴロして遊んで遊んでしてるおゆうぎしますちゃんを豊満おっぱいに抱き込むのやめてあげて?

 

「ふふん、やっぱりコード解析にはそれなりに苦労したみたいね……」

「おいドリーマー……それは」

「今度あっちの基地にお邪魔して直接またアクティブにしても良いわねぇ……」

「やめろ、ついでに向こうの私は一体なんの格好をしている!」

 

ビデオの冒頭でユノちゃんが言い放った胸がキツイ発言にダーリンが思案顔。

 

「ユノちゃんの成長期かぁ……遅くね?」

 

まぁ普通に考えたらユノちゃんの成長ってもう終わってると思うけどね。

出生が出生だからなのかもしれない。

ん?お外がなんだか騒がしいな……第二宿舎の方からかな?

 

 

――――――――――――

 

 

「さっきからアンタはお……オ……」

「良いからオナニーだ!!」

「黙りなさい!!ブタ箱に入れるわよ!!」

 

SuperShortyがメンテナンス班の……えっと名前はタケル・ブローニングくん。

ブローニングってイチにもサンにもオナニーってちょっと頭のイってるコイツの相手をしていた。

多分彼女とか女体に飢えて第二宿舎の方に行ったんだろうね。

第一宿舎に集まってるのはみーんなダーリン大好き勢だもん。

 

「グェ」

「フン……」

 

小柄ながらちょっと不釣り合いなくらいにおっぱいが実ってたりする。

手錠を持っててそれでブローニングの腕を拘束して転がしてたりする。

その上に小ぶりなお尻を乗っけて顔を睨みつけてる。

 

「どうしたの?」

「あ、417……コイツがね」

「出会いと新しいオナニーとおっぱいに惹かれて!」

「だまりなさいって言ってるの!!」

「グェッ」

「あーうん……いつもの事だよね」

 

せっかくのオフの日だけどSuperShortyの寝覚めは最悪なんだろうなぁ。

さっきからちょっとぼさっとしてる髪を隠しもせず寝巻きっぽい上下スウェット姿。

いつもの婦警さんチックな姿じゃないんだ。

 

「通報を受けて容疑者を引き取りにきましたー!」

「身柄をー……ってブローニングさんじゃないっすか……」

「おぉガンツくん!君もロリ巨乳でオナ」

「SAAの前でそれを口にするな」

「グエェッ!!」

 

何やってんだか……保安官つながりって事でSAAに通報したんだろうね。

連行するのに協力を仰いだんだろうけど……まぁ兄さんもくっついてきた。

そしてオナニーなんて言うセリフを言う前に兄さん渾身のストンプ。

SAAこれにはちょっと引き気味で止めてあげようよ……って服の袖クイクイ引っ張ってる。

 

「と、兎に角営倉にぶち込んでから私が不本意だけどお説教するから」

「うす、じゃあちゃっちゃか運びましょうか」

「おにーさん屈んで!届かないよー!」

「あー悪い悪い、おんぶな?」

 

なお、SuperShortyはその後一日つきっきりで営倉でお世話してたらしい。

 

「め、目を離すと何処で何をするかわかったものじゃないから!他意は無いです!!」

 

……にしても首筋のキスマークと営倉から聞こえてたあのやり取りはなんだったんだろうねー?




という訳でウィルバー兄さんにはSAAを。
メンテナンスボーイBことブローニングくんにはSuperShortyをね。
他のメンテボーイにもちゃっかり出来てたり。
そっちは追々出していきますネ


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Day168 次の春の為に

父の日番外は体力的に無理だったの。


離れからぞろぞろと出てくるのは左薬指にリングをはめ込んだ人形たち。

うん、まぁ多分だけど意味深な夜戦でへっとへとになってるんだろうなぁ……

ダーリンはまぁすごい干からびる寸前なんだろうなぁ……いつもいつもお疲れ様。

そう言えば今日は父の日だっけか……まだまだお父さんにはなってないけど……

数ヶ月後にはパパだからちょっとパパって呼んであげようかな。

 

「あれ、お仕事用の端末に着信?」

 

おっぱいの谷間に突っ込んでる端末がぶるぶる震えて着信を知らせてきた。

何だろう?と思って取り出して見ると……I.O.Pからのメッセージだ。

中身は……あぁダーリン宛ての奴だな。私にも転送される仕様にしたからなぁ。

私が一番何だかんだ副官とかしてるしね。代わり番とかもすることあるし。

ではその中身は何かと言うと……あーうん、ダーリンに確認を求めるモノだけど……

そのメッセージの内容がなんと言うか……あーまた来るの?って感じの内容でね?

 

「追加で人形を送りつけます……かぁ」

 

内容までは私の端末の権限では見れないなぁ。ダーリンに後で確認してもらうしか無い。

まぁどうせD仕様になってておっぱいおっぱいでミルクも搾れたりするんでしょ?

私そういうの詳しいんだ、知ってるよ。どうせI.O.Pの変態共がそういう風にしてるんだ。

ダーリンは多分まだ起きてこないしなぁ、内容はともかくとして私が受理処理だけしておこう。

まったくもー休みの日になんで送ってくるのかなぁ……受理処理とか面倒なんだよね。

そもそもだけど追加発注かけたばっかじゃん……昨日は基地が休みだからね。

受け取り出来なかったけど……流石に優先出荷ではなかったしね。

即日納品は出来なかったからねー……一〇〇式とかって子結構気になってたりするんだよね。

ヤーパンの人形だから和食の味見とかさせて見てもらおうかなって……

味覚とかはそれぞれ合わせてるらしいからね。私は味覚センサーとかハイスペックモデルだから高精度だし……

元の感性が生きてたからそう変化ないんだけどね。

お姉ちゃんの味覚とかの嗜好は似てたりする。こゆーい味付けとかが結構好き。

あとポテト料理とか良いよね。私とかかなりポテトサラダはとっても好き♪

まっしゅまっしゅしてる時とかハミングしてからねノリノリでやってるんだよ。

 

「あ、今日の朝ごはんはポテトサラダにしーようかな♪」

 

るんたったるんたった♪とハミングしながらちょっと司令室までスキップスキップ。

ダーリン用の端末にアクセスしてから……っと……まぁ受理しますよーってお返事だけだけどね。

一々受理報告しないといけないのが面倒くさいこと。

 

「さてと……さっさと行きますか」

 

 

――――――――――――

 

 

「まっしゅーまっしゅー♪まっしゅまっしゅまっしゅー♪」

 

ぽすぽす茹でたポテト潰していく、全身でリズムを刻みながら適度にね。

いえーいこの瞬間がとっても楽しい楽しい♪ダーリンの為にお料理してる時がめちゃくちゃ楽しいの♪

この簡単なお料理だけど普通にねーやっぱり楽しいよ、んふふふ~♪

 

「ん……お、今日はポテトサラダか」

「あー兄さん、おはよう」

「……オムレツ良いか?」

「あーはいは」

「ちょぉーっと待ったー!!」

 

ばーん!と出てきたのはSAA、私と兄さんの視線を集めたかと思うと今度は兄さんに手を振ってる。

ぴょんぴょん跳ねてるもんだから兄さんにとっては目に毒だろうね。

とってもおっぱいがぶるんぶるん揺れてるんだもん。

あとあれだね、あの感じはアニメ鑑賞は一つだけ終わらせた感じだね。

片手にはちゃんとコーラがあるもん。寝起きだったらこのコーラは無い。

お寝ぼけ眼の寝巻き代わりのタンクトップにホットパンツ姿だね。

で、待ったをかけたけど何なんだろう?オムレツとか作るんだろうか?

 

「ここは私が美味しいオムレツを作っちゃいます!」

「……出来るの?」

「まっかせてください!」

「マジ?え、マジで?」

 

兄さんが完全に語彙力を失ってから何度も何度もほっぺたを抓ってる。

まぁそうだよね、兄さんからしたら気になる女の子が手料理を作ってくれるなんてね?

そりゃ嬉しいし舞い上がっちゃうよね。私だったらダーリンが手料理作ってくれるようなものだよね。

そりゃ美味しくいただきたいし絶対に平らげたいよね。

ダーリンも普通に私の手料理はいっつもがっついてからうまうま~って食べてくれるもん。

ただまぁ……あれだけコーラコーラ言ってて他がズボラだったSAAがねぇ……

 

「変なことしたら叩き出すよ」

「ちゃんと練習してるから大丈夫ですよ!」

「誰に教わったのかな……」

「M1ガーランド!!」

 

M1ガーランドならまぁ変な教え方してないだろうから良いかな。

 

自分の分といってコーラを混ぜんな!!!おいバカやめろ!!!

 

 

――――――――――――

 

 

調理班のメンバーは何だろうなぁ……うんうん、貧乳が好きだったみたいだからなぁ……

全員ぼいんぼいんになっちゃったから割とふて寝してたっけか……

唯一の救いとして見ているのはP基地のアイドルP38とPP90によるアイドルユニット。

あの二人のライブDVDとグッズがもう癒やしになってたりする。

料理長もなんだかんだで引き込まれてからそのままアイドル応援してたりする。

オタク文化にはこの基地かなり寛容っていうか全員オタクだよね。

ダーリンはじめとして私もオタクだし嫁連中ほぼ全員オタク化が進んでる。

 

「そういえばSuperShortyもだけど……アストラとかM590、SIG510とかもいい感じになってたよね」

 

そう、今はメンテナンス班に春が到来してるんですよ。

イサカは普通にもう主任とくっついてたじゃん?おまけにもう子供できてるし。

隙あらばセクハラしてたフランキはアストラといい感じになってるし……

カーペンターはM590が傍にそっと寄り添ってたりする。

デューイはSIG510に最近よくケツをぶっ叩かれながらも矯正に走ってるね。

馴れ初めはアストラはほっぺたにお弁当からの自然なキスだったっけ。

それでちょっと暴走したフランキが猛アプローチして今は一緒にご飯食べてたり。

M590はたそがれてたカーペンターの悩みだったり告白を聞いている内にだっけ。

スプリングフィールドに片思いしていたから失恋中だったんだよね。

でM590の母性というか……そんな優しさにコロッと行ってからさり気なく告白したっぽい。

まぁまだお友達って距離感らしいけど……

 

「いや、その……オフスタイルのM590さんも凄く色っぽいっすよね」

「ふふ、そうですか?ありがとうございます」

 

何この付き合いたてのカップルみたいな初々しさ、やだ。

口の中がじゃりじゃりしてくるような甘々波動があるんですけど。

これでこの後二人で遊びに行くって言うんだからね、お前これデートだろってなる。

あくまでM590の認識は仲のいいお友達感覚らしいけど……

 

「あれどう見てもカップルだよな」

「ですねー」

 

本日のお前がそれを言うか?ってコンビだよ。

さも当然のように兄さんはSAAを肩車してるしSAAもそれで良い感じだし。

いや、頭の上にあのでっぱいを乗っけてるんだからもうね?

お前らの距離感もカップル感溢れてるからな?いい加減にしろよこの。

 

「ブラックコーヒー飲みたくなるなぁ」

 

カフェイン摂取はダメだけどこうも甘い空気に当てられると飲みたくなるよ。

 

 

――――――――――――

 

 

所変わってドリーマーのアトリエ。

イントゥルーダーを従えてドリーマーは研究を続けていた。

アーキテクトが推し進めているナノマシン開発計画、ナノマシンによる人体の発育や再生医療についてだ。

かなり衰弱した状態から生命維持だけを務めていたナノマシンに取って代わり健全な状態まで緩やかに再生させるモノだ。

 

「人間って脆いわねぇ」

「人形が頑丈すぎるだけです」

「急速な再生は身体負荷が大きすぎて無理なんてねぇ」

 

人間の代わりに食料庫に侵入しようとしていたネズミを衰弱させ実験していた。

その結果はと言うと……酷い悲鳴をあげのたうち回って死んでいた。

それを踏まえて調整したものを今度は何に投与したか?

 

「まぁ人類人権団体なんてのを尋問した後なんで生かしていたかなんて思ってたけど……こういう時に役立つからかしら?」

「さぁ、指揮官の考えは分かりませんが役に立ったのは間違いありませんね」

 

随分前に襲撃してきて情報を吐き出させるだけ吐き出させたテロリスト……

人類人権団体の過激派のメンバーを捕虜として扱っていた。

最初は指揮官もちゃんとした扱いをしようとしていたが……世話をしにきたMG4に唾を吐き蹴るなどという暴行を加えた。

それから扱いはぞんざいになり生きるに必要最低限の食事とも言えない練り物と汚水を渡していた。

その結果衰弱していっていたテロリストを使っての実験を開始したのだ。

 

「ま、痛みで気絶してるだけだからまた衰弱させて実験ね」

「他にも被検体は居ますからそれを使っていきましょうか」

「そうね、完成を早めていかないといけないもの」

「「全てはアーキテクトの友の為」」

 

衰弱状態から回復したは良いものの全身から来た痛みに悶絶し失禁してから気絶したテロリスト。

汚物としてテストベッドから蹴り落としてからダイナゲートに引きずらせていく。

 

「その代りにアーキテクトにはちょっとイタズラに付き合ってもらわないと……キヒッ」

「タダで動かないのがドリーマー、貴女ですね」

「その通りよぉ、それこそアイツの番組をジャックしてやったりねぇ?」

「協力はしませんから」

「なんでよぉ、どっちが上司か分かってんのか、ア"ァ?」

「面倒ですから、仕事以外は手伝いません」

 

睨むドリーマーと一歩も引かないイントゥルーダー……一触即発の雰囲気が漂う。

が、しかし。

 

「ドリーマー!命令です、犬耳モジュールを作ってダイナゲートに装着しなさい!!!」

 

この基地に在住するエージェントと言う名の癒やし求める系ポンコツメイドが一気に空気をぶち壊す。

気概を削がれたドリーマーはげんなりとしながらも舌打ちして設計図を引き始める。

頼まれることの快楽を覚えたドリーマーは頼られることに弱い。

 

「犬耳……なるほど、私につけてダーリンに撫でてコールね……クヒッ♪」

「また欲望に忠実な……」

「その前に私に撫でさせなさい、良いですね?」

 

今日も基地全体からは和やかな賑わいが出ていたのであった。




もうここのエージェントが癒し系ポンコツになってるが問題はなかろう?


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Day169 エージェント今日も大暴走

癒やし求めて今日もゆく


D08地区、G&K社が統治している自治区の一つである。

そしてそんなD08地区の治安維持を司っているのはD08基地になる。

しかしながらこのD08基地は専ら別な側面の方が強く出て……

 

「見てください、指揮官にゃんこです!にゃんこ!!」

「エージェント……待ってよー、子犬も見つけたからって私に抱っこさせて先に行かないでよ」

「黙りなさい、まだまだあの森には可愛らしい小動物がたっくさん居るんですから連れてきますよ!!」

「えぇー……」

「暇そうにしているウロボロスも連れてきなさい、ハリー!!」

「いや、あの飼うかどうかは」

「え……?」

「あ、はい。飼いますから第一宿舎のペットブースに入れといで……」

「ご理解ありがとうございます、では……んーよしよしかわいいですね~♪」

 

そう、G&Kとは一般的には敵対関係にある鉄血の人形が我が物顔で闊歩しているのである。

今日は朝から散歩に出ると言ったエージェントとデストロイヤーが道端で拾ったのだろう子猫と子犬を抱えて帰ってきていた。

最早この鉄血人形にこの基地から離れるという思考は残っていないのだろうか?

少なくともこの基地に存在しているドリーマーには一切残っていないだろう。

エージェントも最早怪しい、すっかりお料理と猫と犬とダイナゲートで満たされている。

デストロイヤーもすっかり指揮官に骨抜きにされていて離れる気はサラサラないだろう。

本来ならば拘束して然りの敵対関係にあるはずなのに厚遇を受けているのだ。

毎日好きなだけ遊んで好きなだけ食べて何か手伝えば感謝を述べられる。

鉄血工造に所属していた際はどうであっただろうか?

人間は居ない、全て抹殺されオートメーション化してしまった工場内。

繰り返し命じられ時に破壊され戻ってはまた殺戮に駆り出されていくばかり。

楽しみなんてものは存在しない。人間に近いAIを持つ彼女たちにそれは窮屈ではなかっただろうか?

エルダーブレインという存在が何であるか、それはともかくとして……

 

「やっぱ、女の子は笑顔で居るのが一番だよなぁ」

 

笑顔咲き乱れるその様子が一番である。これは他の基地にも言えることだ。

奇行に面食らいがちではあるが指揮官の目から見てもこの鉄血人形が基地に加わってから喧騒は大きくなっていくばかり。

騒ぎもそれ相応に多くあるが出会ったばかりの時や資料で見ていた固い表情を見続ける事に比べればちょうどいい対価だ。

 

「まてエージェント!私には積みゲー消化という任務が!!」

「引きこもりはいけません、ウロボロスは運動しなさい」

「やーい言われてやんのー」

「お腹に脂肪がくっついてない?」

「ふっ……くっついているのは無論このおっぱいに他ならん」

「おい、そこのウロボロス詳しく!!おっぱーい!!」

「ぎゃぁっ!?し、指揮官やめっ……あっあっ……」

 

……D08基地は今日も平常運行である。

 

 

――――――――――――

 

 

「幸せ……」

 

時は少し流れてD08基地第一宿舎女子寮は共有スペース。

ウロボロスが指揮官による洗礼を受けた後必死になって逃げ出しエージェントとデストロイヤーに煽られながらも猫と子犬を集めてきた後だった。

子猫は見事なまでにミックスらしく様々な毛色の猫がずらり5匹。

元々拾われていた猫も含めて現在6匹になる。まだ名前は無い。

子犬の方もデストロイヤーが抱えて連れて帰ってきてから追加で7匹となる。

犬種は恐らくではあるがコーギーになる。短足で小型犬に分類される物だ。

ミニチュアダックスフンド等にも似ているが振りまく愛嬌というのはどちらも甲乙つけがたい。

これまた保護されていた子犬も含めると10匹に登る。元々居た犬種はサモエドと思われる。

喧嘩などにはならずそれぞれ食って寝て元気に成長中である。

さてそんな可愛らしい殺人毛玉が囲っているのは何を隠そうエージェントである。

我先にと膝の上に登ったり肩によじ登ったりと子猫は大はしゃぎ。

子犬の方は座っているエージェントの足元で寝転がっていて身体を擦り寄せている。

 

「あの犬も猫もエージェントにまっしぐらだったよね」

「そうだな、私に抱えられてもしつこくエージェントの方を向いていたな」

「そうねー……」

 

キャラが思いっきり崩壊させてかわいがっているエージェントを見つめるデストロイヤー、ガイア、ウロボロス。

なおその膝の上にはそれぞれサモエドが寝ている。

 

「はーい今日の餌の時間よ……ってアンタ達も居たの?」

「WA2000、その餌は?」

「市販のカリカリよ、あとはこれにミルクを混ぜて柔らかくして食べさせるのよ」

「飲水の補給もあるわよ、骨抜きエージェント?」

「更に更にトリミングも~♪」

 

飼育されている猫や犬の世話に指揮官の嫁の一部であるWA2000とHK416、HK417の三人が入ってきた。

それぞれやることは分かれているのだが……餌やり水やりトリミング。

両方共にやってやらなければいけないことだ。餌は言わずもがな、水も言わずもがな。

トリミングもかなり重要である。季節の変わり目は抜け毛がある。

その抜け毛をしっかりと処理してやらないといけないのだ。

所謂夏毛、冬毛というものだ。これをブラッシングしてから処理してやらないと毛玉まみれになる。

 

「私にもさせなさい、早く」

「はいはい、やり方覚えてね?」

 

代理人はかなり早く覚えてすっかり猫に集られていた。

 

 

――――――――――――

 

 

すこし時は遡りドリーマーのアトリエ。

今日も呑気に予定を組み立ててから実験をしようかとしていたところだ。

研究用のリクライニングチェアをぎぃこぎぃこと軋ませながら唇を尖らせていた。

さて、何を研究をしてやろうかと思想を巡らせていたのだ。

もちろんエージェントのオーダーである猫耳や犬耳については設計しているのだが……

 

「ん?何かしら……はい、ドリーマーよぉ?」

 

胸元にしまいこんでいる端末を引っ張り出してから耳に当てる。

通話の様だ、通話先はこの基地の諜報部の人形だが……さて何を話すのか。

製造機械にカタカタとデータを打ち込みながら聞いていたのだ。

最初に作るのは猫耳モジュールで試作してから自分で試着してみようかとしていたわけだ。

 

「ハァ!?」

 

しかしながらそれは驚愕に変わる。思いっきりデータの入力ミスを行ってしまう位には。

今臨床実験をしているナノマシンの開発計画元の指揮官がヤったというのだ。

いや、ソレだけなら別に驚くことは無い。レズでもそういう事はする。

驚いたのは番の人形がどういう訳だか生えてマジでヤッたみたいだ。

それも避妊もせずにドップドップと出したみたいだというのだ。

 

「嘘でしょ、じゃああ待ちなさい、アーキテクトに連絡するから切るわよ!!」

 

もうそれからドリーマーは大慌てでまた別基地の鉄血人形、アーキテクトに連絡する。

それも血相変えて開発、設計中のモノを取り消ししてから呼び出すのは……

 

「ちょっとアーキテクト!?アンタの指揮官がヤったって本当!?しかも避妊もせずに!!」

 

もう計画が一気に変わってしまった。本当は一ヶ月、二ヶ月くらいで完成させるつもりだった。

もしも出来てしまったら早急に完成させてしまわなければいけない。

そう、あの小さな身体で人形であれば別に問題は無いのかもしれない。

しかしながらあの指揮官は人間でかなりの虚弱体質で体力があまり無い。

 

「ほらもう計画を前倒しするわよ!!もう私も別アプローチで開発していくからアンタはアンタで開発してデータ送ってきなさいよ!!臨床実験は任せておきなさい!!じゃあね!!!」

 

返事を待たずしてそのまま端末を切ってから胸の谷間に収納する。

 

「もう!!!ふざけんじゃないわよ!!!!」

 

ドリーマーらしからぬ切羽詰まった顔で必死に機械にデータを打ち込んでいく。

さらに言えば片手でイントゥルーダーを呼び出し実験台を呼び出す。

また今日もアトリエに哀れなモルモットが召喚されるというのか。

 

「ダーリン!後でいっぱい私を褒めなさいよ、良いわね!?」

「え、え?」

「お願い!」

「お、おう……後でお菓子の差し入れ持っていく、頑張れよ」

 

好いている指揮官に応援されてから気合十分、胸いっぱい。

ドリーマーは気合を入れてから開発に乗り出す。

そう、ドリーマー側で設計計画したナノマシンの開発に乗り出す。

 

「大至急の呼び出しって何?」

「よぉし来たなイントゥルーダーァ!!!開発だ、手伝うんだよ!!!」

 

今日もD08基地は騒がしく過ぎていく……

 

 

 

「ドリーマー!犬耳、猫耳はどうしました!?」

「ちょっと黙ってろォ!!」

「あ?」

「あぁん?」

 

「「ぶっ殺すぞこら!!」」

「アトリエが壊れるわよ……」

 

ハイエンドのどつきあいで被害が出る前にそっとアウトしましょう。




もうこうするしか無かった。
僕悪くないもん


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Day170 誰でもやろうと思えばなれるもの

でも成功するかとは言ってない


そう言えば最近ネット配信の動画サービスとか見てなかったなって思う。

案外このインターネット配信の動画サービスってのは息が長くてね……

半世紀以上前から脈々と続いている。会社が潰れたり吸収合併されたりしてるけどね。

色んな方向性で各々がそれぞれの個性をもった運営をしていたんだけどね……

因みに私が利用しているのは2つだったり。最大手とアングラ的なトコロ。

スマイルビデオってのとようつべなんて言われてるの。

ちょっと改名してDolTubeなんてのもあるけどそこは音質重視だから音楽聞くのに使ってるかな?

さて、暫く触ってなかったけど……どんな動画があがってるかな?

 

「ん?人気配信者ねぇ……そういやこっちのサービスには手を出してないなぁ」

 

人口が激減してもエンターテイメントっていうのは衰退することはない。

人間っていうのはどうやっても娯楽っていうものを忘れられないものだ。

私だってずっと知らないでいた事を知ってからはずっぷりだったしね。

ダーリンだってココ最近ずーっとお楽しみだしねー……つまり知れば忘れられないのが人間。

動画サービスってのも結局は創作したものを公開したりしてから承認してもらうのが気持ちよかったりするのかもね。

詰まる所は承認欲求を満たすためのツールとしてサイトを使っているのかな。

この動画配信ってのも所謂個人が色々してその様子をリアルタイムで見れたりする。

あとはそれぞれ色んな事に手を出してたり。人気が高いのは歌ったり踊ったりか。

ゲームのプレイ動画とかもあったみたいだけどこれは一度衰退したんだ。

所謂ビジネスとしてやっていけてた側面があったりする。

それを一時撤廃して報酬とかをなくしたから一気に衰退したんだ。

 

「ほへー……」

 

端末で見る限りではなんと言うか……玉石混交って感じ。

素人が凄く頑張ってる感じのもあるしあーこれはプロだなってのもある。

話の段取りとか緩急の付け方とか喋りの明瞭さとかが違うんだよね。

指標としては評価数で見れたりするけど良い人が埋もれていたりする。

 

「ただまぁこのご時世で配信なんて出来てる辺り金持ちなんだろうねー」

 

潤沢な時間と編集に関しての知識、どうしたら面白く映るかっていう研究。

これは一朝一夕で身につくものではなく経験と積み重ねがモノを言う。

あとは生まれ持った感性、つまりはセンスってのもあるね。

 

「私もゲームだったりお料理の配信とかしようかな……」

 

マイクとかでの音声は無しでただ手順を簡潔に文字で説明してるのもある。

私のお料理とかをちょっとアップロードしてみて再生数どれくらい行くんだろうか?

なんて、そんな事を思いながら早朝、お腹を赤ちゃんに蹴っ飛ばされて起きた朝だった。

 

 

――――――――――――

 

 

「んで、今日配属されたのは64式自に一〇〇式、SuperSASS……」

「PzB39、SVD、モシンナガン、TAR21、9A91と……」

「シュタイアー2000、着任します」

「え、FN49です……よ、よろしくおねがいします……」

「ベレッタM59です、指揮官を失望させることはないでしょう」

「MG34です、よろしくおねがいします!で、こちらは私の妹、MG42です」

「よ、よろしくおねがいします」

「PKよ、あまり近づかないで……不用意な接触はするべきではないわ」

「コードネームLWMMG……私一人でも十分ですから」

「Mk48よ。たっぷり楽しませてもらうわ~」

 

どうしてこうなった。I.O.Pの連中ココぞとばかりに追加で送ってきやがった。

そしてまたたわわに実ってらっしゃる方が多いこと多いこと。

この基地の傾向なのかRF人形が多いこと多いこと。

現状ロールアウトされている人形がかなりの数配備されるようになってげんなり。

これでさらにニューモデルが来る可能性があるとなれば頭を抱えたくなる。

 

「ねぇダーリン、そろそろ正規軍に口出しされないかな?」

「いや、社長が言うにゃこれだけあっても一個中隊には及ばねぇから大丈夫だろってよ」

「正規軍こわ……」

 

この基地現在保有している戦力がかなり膨れ上がっていて色んな所に目をつけられている。

そりゃまぁ前世紀的な兵器とは言え戦車を保有していて攻撃ヘリもあって……

それを運用するだけの人形も居てとかなり戦力が整っている。

正規軍の運用している兵器はそれぞれがとんでもない戦闘力を持っていて……

それこそ言うなればガイアがダミーリンク5Link状態で小隊組んで突っ込んでくるようなもんだ。

あと何時だったか戦闘した巨人みたいなのが戦闘力そのままでスケールダウンしたようなもの。

それとドンパチしてるのはE.L.I.Dってミュータントみたいな奴ら。

末恐ろしいのはそれすら兵器として運用しようとしていた研究機関があることだ。

所謂コーラップスによる汚染を浴びてしまった人間や動物の成れの果てらしい。

詳しいメカニズムは解明されていないけど……私達人形でも浴びればアウト。

皮膚はかなり固く私の相棒、HK417の射撃じゃ貫通困難。

それこそマトモに相手できるのはダネルみたいな対物ライフル組だろうね。

弱点ってのも分かっているものが少なく活動停止させるまでに何発撃ち込むことになるか。

となると……鉄血が振り回しているレーザーなどで焼き殺すのが一番らしい。

あとはグレネードやロケットランチャーなどの爆発物で木っ端微塵にするか……

でも木っ端微塵にすると汚染物質が撒き散らされるので汚染地域の中心部でしか推奨されない。

つまり何を言いたいか?正規軍だけは絶対に敵に回すな。ヤベー奴だもん。

 

 

――――――――――――

 

 

さて、配備された人形の割当を行って私はまたちょっとミルクティー片手に端末見ながら一休み。

いやー私達みたいにおっぱいが大きい子だとグラスとかおっぱいに置いて手放し出来るもんね。

これも半世紀前に流行ったって言うタピオカミルクティーチャレンジだっけ?

タピオカってのがまた今の時代には中々見なかったりするんだけどね。

高カロリー食だから軍隊とかで食われてたりするんだろうか?

 

「んー?」

 

ナニか見覚えのあるような内装の部屋が見えるぞ?

いや、配信サービスの映像内でどうもD08基地の第1宿舎っぽい映像が……

あ、これココのゲームコーナーの奴じゃん、これのゲーム実況?

どれどれ見てやろうじゃないか、どこのおバカがネット上にばらまいてやがる……

 

「……あ、これウロボロスっぽい声だな」

 

なおプレイ内容自体はかなり……楽しんでるね。歓声がうるせぇくらいだ。

あの警備員モドキ配信してたのか……これで稼ぎをもらってたのかな?

あーでも評価はあんまり芳しくないね、素人よりは良いけどプロや人気配信者には及ばない。

今ブームになってるのは歌って踊ってっていうネットアイドル。

 

「……げっ」

 

さらにそんな歌った踊ったのカテゴリを漁っていくと恐らく無断転載と思われるライブ映像がね……見つかったんだ。

それも私があの歌って踊ったS09地区のゲリラライブのアレだよ……

しかもかなり評価付いてるし……いやぁ……私の映像が出てくるとか聞いてねぇよ……

コメント欄も凄いことになってるし……なにこれ、いやほんと何これ?

人気動画であがってるのはS09地区のあのアイドルだったりするし……

 

「お?新着ライブ……んん?」

 

新人ネットアイドルのデビュー、コドクドール★うろぼろす?

おい、待て踊るのが極楽浄土って待てこら、私の持ちダンスじゃん!

ってオーイ!これ思いっきり第2宿舎のウロボロスの私室じゃん!

 

「あんにゃろ……ってまだボロがあんな……後で指導してやろ……」

 

ずぞぞー……と天然物のミルクティーをストローで飲み干してから席を立つ。

ほぼこれミルクなんだけどね。カフェインは過剰摂取ダメですから。

 

 

――――――――――――

 

 

「ちょっとダーリンこれ外出届、S09のアーキテクトのトコロに行ってくるわ」

「え、なして?」

「すっとぼけない!ダーリンも聞いてるでしょ、ユノってあのアーキテクトの指揮官が一発ヤッたの!!」

「あーうん、ついに大人の階段登ったんだなーって」

「……妊娠したら?」

「あっ」

「その認識の甘さよぉ……」

 

一晩完全に徹夜して髪もボッサボサのドリーマーが目の下に隈を作って飛び出してきていた。

まぁダーリンはあのユノちゃんに生理が来てるかどうかってのを怪しんでる。

一応ティーン・エイジャーだけどあの身体から漂う雰囲気から来てるかどうか怪しいじゃん?

なおドリーマーの後ろにはこれまた完徹したんだろうイントゥルーダーが眠そうに突っ立ってる。

大事そうに胸に抱えているのは研究データとドリーマーが一晩で調整、仕上げたナノマシンが入っているアタッシュケース。

きっちり実験台つかって臨床実験もしてから構築ペースを調整した物だ。

もうコレで夜な夜なあの惨たらしい悲鳴が聞こえることはないんだねー……

いやぁ昨日の夜中は怖くてお姉ちゃんに泣きついちゃってねー……

ダーリンはどうしたって?お前離れから出てこれると思うなよ?

 

「じゃあ運転兼一応の保護観察ってことで……M14!」

「はーい、私を呼びましたか、指揮官?」

「ドリーマーとイントゥルーダーをS09P基地まで特急で」

「はい、じゃあコメットを使用しますね」

「おう、全速前進でな」

 

あーM14が運転手であの暴れ馬のコメットが貸し出される……

ドリーマーとイントゥルーダーこれ大丈夫かな……間違いなく早くに着くと思うけど……

 

「早く早く!時間が惜しいんだよォ!!」

「最悪あっちでカンヅメ続行ね……」

「あーもう、そんなにおっぱいを叩かないでくださいー……」

 

あんなに切羽詰まってるドリーマーって珍しいね……それだけ急務なんだろうけど。

イントゥルーダーが死んだ目してソレについて行ってるし……

 

「こりゃ帰ってきたら大変だね」

「そうだな……」

 

多分だけど通信機で最初悲鳴が聞こえてくるんだろうなー……

 

 

『ヒギャァァアアアアア!!!!?オイ、ポンコツクソ人形!!まえ!まえぇ!!ヒィィッ!!!?』

『大丈夫ですよ、このブラインドなんて私のおっぱいの曲線みたいなもんですってば♪』

『何この浮遊感……ぎゃぴっ……』

『おやー?寝ちゃいましたか、ちょうどいいですね♪』

 

あーD08基地周辺の森林地帯抜けるまで寝ときなドリーマー……

イントゥルーダー?多分速攻で気絶したな……




ネットアイドルウロボロス(ダンス監修417)
悲鳴をあげるドリーマー
付き合わされるイントゥルーダー

なお転載映像をアップロードするのは違法なのでやめようね!!
アップロード者?あー……多分PCが今頃BOMFIREしてると思うよ。
どっかのアリババさんがね、こうちょっとイタズラしてると思うの


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Day171 生まれは違えど

まぁこんなのもする奴は居ると思うんだ。


「E.L.I.Dのコントロール実験?」

「そう、あたくし達の調査ではここ、K研究所跡がそういった研究をしていたそうですわ」

「関連文書はこちらに、閲覧は……正直止めたほうがいいわ、指揮官」

「……こりゃまた胸糞悪い研究だな」

 

早朝、私が副官席に座った頃、データルームに籠もっているPPKとグローザが出てきた。

E.L.I.Dと言ったら前にも触れた気がするけど言っちゃえばミュータント。

正規軍が主に対応している走るしめちゃくちゃ固いゾンビみたいなの。

人が変貌しているのもあるし昆虫とか動物も関係なく変異している。

その変異のメカニズムが一部解明されているから生体兵器なんてのも出来てたり……するのかもね?

私は流石にそこら辺はわからないから何とも言えない。

で、そのミュータントをコントロールする試みがあったらしい。

まぁゲームなんかではよくありがちな奴だね。ゾンビとかを外的なコントロールユニットで操るって奴ね。

あとは寄生虫を操ってとか……現実でも警察犬ってのがあったりね。

軍用犬とか人間にはない物を持ってる動物を飼いならすってのはあるけどね。

実際にコントロールする事ができれば低コスト……かどうかはさておいて、忠実で使い捨てても罪悪感が無い兵器が増える。

それもとんでもなく強くてメンテナンスの必要性がそうでも必要ない。

ランニングコストの面でみてもかなり良いまさに新世代の兵器となる。

 

「……孤児や死んで間もない子供の脳味噌を移植?」

「その他には脳だけをくり抜いた身体をコーラップスに浸して変異させてから電脳を搭載させてる……」

「それも残らず子供のパーソナルとは……ね」

 

子供のパーソナルっていうのは恐らくだけどそちらの方が言うことを聞かせやすいからだと思う。

痛み、恐怖で束縛するのも褒賞で束縛するにしても子供のメンタルっていうのは脆い。

少しの誘惑や傷で簡単に揺れ動き消えない跡を残す。

酷い痛みは一生消えない傷跡になる。手を振り上げるモーションだけでフラッシュバックして……

そういう暴力を振るう人に従ってしまうって言う人間も居るらしい。

幸いにも私は子供時代はそんな要因は無かったし……ココ最近植え付けられたトラウマも……

今はダーリンやここの基地の皆と笑いあって払拭しているから大丈夫。

けど、本当に酷い時は毎晩の様に夢に見ていたからなぁ。

これまたヴィオラが見て想像したらリバース案件だね。

 

「で、これを見せたってことは……」

「どうにも一部電源が生きているそうですわ」

「至急確認を取りたい、何処ぞのテロリストが根城にしているかもしれないわ」

 

電源が生きているって事はまぁそういう事が考えられるか。

通電しているってことは誰かしらがその施設内で活動している事になる。

 

「すぐに部隊編成してから調査に向かわせよう、お前たちも動けるように」

「あ、申し訳ありませんがコチラは暫く動けませんわ」

「どうにも無害そうだが覗き魔が最近入っていてな……カウンターでちょっと何処が覗いているのかを見てくる」

 

覗きねぇ……無害そうっていうけど覗きの時点で害ありじゃないかな?

 

 

――――――――――――

 

 

「デルタ部隊を潜入させてバックアップにUMP40とTAR21と9A91だな」

 

この基地の実働部隊はかなり多くなった。実際に基地の外に出ていける部隊は限られてるんだけどね。

M14自体は今日の未明に帰ってきている。どうにもドリーマーはあっちでちょっと作業があるっぽい。

大詰めになったらまた別な誰かを迎えに走らせるかヘリでお迎えかな?

保護観察?向こうの基地の人形が変なことをしないかは見張ってるでしょ。

 

「こちらオペレーターHK417、サポートに入ります」

『はいはいこちらデルタ1の45よ、目的地に到着したからさっさと入って中を制圧するわ』

「古い見取り図だけどMAPデータが出てきたの、戦術ネットワークにアップロードしたので見てください」

 

諜報部がもうちょっと頑張ってマップデータを引っ張り出してきたのでそれを戦術ネットワークにアップロード。

ちょっと古いデータだから内部の詳細は多少の差異があるだろうけど……

全く無いよりはマシだから渡しておくに越したことはない。

 

『……ダウンロード完了、外周データリンク確認……多分問題ないわね』

「気をつけて進んでください、もしかしたらE.L.I.Dが居る可能性もあります」

『多分ソレだと思う部屋はいくつかあるわね……あ、本当に通電してるわね……ちょっと何処かでハッキングして探ってみるわ』

「UMP40、準備はOK?」

『あたいはいつでも!えへへ、あの45がこんなに頼もしくなってるなんて驚き』

『ちょっとそういうのは作戦中にはやめてよね、40』

『ごめんごめん、とにかく45がヘマったらあたいが助けてあげるから大船に乗った気持ちで居てよね!』

「泥舟の間違いとかじゃないよね?」

『『おい』』

 

戦術マップでは逐一送られてくる稼働データからマップでどの方向に向かっているかを計算している。

こっちは諜報部が調べ上げた資料と照らし合わせながらナビゲートする。

 

「その先に入管用の端末があるはず、アクセス権限は限定的かもしれないけど……入れる?」

『……だめ、物理的に壊れてるわ』

『うわっ、何これ齧った跡?』

『……歯型』

「十分に注意して進んで、生存を最優先に」

 

PCを齧っている?金属製のPCケースが齧り取られている。

歯並び的には……まだ乳歯の子供って所だけど顎の力が尋常じゃないな。

これが資料に上がっていた試作型なのかもしれない。半ば成功していたのかな?

 

『待って!足音が聞こえるよ』

『うえぇぇ……ゾンビとか映画の中だけで良いじゃん……』

『手榴弾用意』

『あいあいさー』

 

通信越しに聞こえてくる足音はペタペタと床を素足で駆けている様にも聞こえる。

早速のエンカウントなのかもしれない、通信の先で手榴弾の安全ピンを外す音と息を呑む音が聞こえた。

 

 

――――――――――――

 

 

絹を裂くような悲鳴とはこの事なんだろうな。45姉と9姉の悲鳴が聞こえてくる。

続いてM14、G11、スコーピオンと悲鳴が連鎖していく……

 

「どうしたの!45、応答願います!」

『ぅ……ぁ』

 

声が遠い!なんだ、何かの拍子に通信機が弾き飛ばされたのか?

ペタペタと響く足音は……多分5!どうしよう、バックアップの皆に連絡……

 

『ままだー!』

『おっぱい、ちょーだい!!』

 

……はい?何この……通信越しに聞こえてくる間延びした声というか……

まんま子供のはしゃぐ声がしてくるんだけど。何事よ。

 

『………!!……!』

「……40、聞いてる?」

『もちろん、様子見に行ってくるね、タボール!9A91!出番だよー!』

『わたくしの出番ですわね、参ります!』

『作戦開始です……指揮官、見ていてくださいね』

 

早速バックアップで控えていた部隊の出動とは……たださっきから悲鳴の質が何か……

そう、夜に聞こえてきそうな悲鳴なんだよね。私も出してた覚えがくっそある悲鳴ね。

なんと言うかこの研究所もしかしてだけど……

 

『コンタクト!』

『……なんですのコレ?』

『……授乳会ですか?』

「え、えぇ……」

『ま、まだ来る!?ひぃっ!?』

『え、ちょ……!』

『きゃぁっ!?』

 

……あー、なんか今どうなってるのか分かった気がする。

多分だけどね、ミュータント化してその自我をもたせるのには成功したんだろう。

でもかなり思考が幼すぎて空腹を満たそうとひたすら求めてるんだろう……

口に入るものなら何でもバリバリ食う、空腹を満たせるなら何でもって……

でも思考ベースが子供だったり赤ん坊だったりなんだろう、求めるのはミルク。

で、今行ったメンバー全員そろってバインバインでしょ?母性あふれるおっぱいじゃん?

 

『あ、あたいはアンタたちのママじゃなぁぁぁぁぁぁ……』

 

お腹いっぱいになった仮名称ベイビーミュータントはかなり友好的だった。

とりあえずドリーマーがなんとかするらしい。今居ないけどね。

 

 

――――――――――――

 

 

「おかえり、ドリーマー……それとイントゥルーダー」

「私には無いんですかー?417ってひっどーい」

「M14ぶっ飛ばしすぎでしょ、帰りは飛ばす必要性無かったんだから……」

「ついつい、コメットの追従性が良すぎて♪」

 

昨日の昼間に急いで飛び出ていったドリーマー達だったけど一日カンヅメして帰ってきていた。

まぁこれから更にやってもらうことがあるんだけどね。

M14は無事に帰還した後シャワー浴びてからかっ飛ばしていった。

アルケミストが現在観察しているけど……どうやら超軽度の汚染を引き起こさせてそこからさらに外皮を人工皮膚で包んだ。

制御系とも言える脳味噌は電脳化されていて搭載されているメンタルはというと……

あの研究所に引き取られた子供……餓死した男の子のものらしい。

その為満腹になるまで食べ物や飲み物を欲しているらしい。

とりわけ大きなおっぱいを持った女性を見つけると……

 

「ままー!おっぱい!!」

「ぎゃー!!ちょ、ある……アルケミストォー!!!」

「ミルクの配給が間に合わん!ええいドリーマーママのおっぱいを吸っていろ!」

「やだ!このままがいい!!」

「いーやー!!」

 

とまぁ私みたいに襲われて超絶な怪力で無理矢理授乳しようとしてくるの。

割とフルパワーで抵抗してるんだけどコイツコレが強いのなんの……!!

これで軽度汚染でパワー的にはマジモノのE.L.I.Dとは比べ物にならんくらいに弱いってんだから。

 

「あーわかったわかったからお腹に乗ろうとするのはやめてー!!」

「あ、はいわかったー」

「いいこいいこ……」

 

ただベースの子供がかなり聞き分けの良い子だったんだろう。

食欲に関する事以外、つまりおっぱいちゅっちゅ以外の事に関してはすんなり聞いてくれる。

特にママ認定もらった私達の言葉は絶対っぽい。

この後だけど私は満足するまで搾られた。ひぃ、これで慣れておくのも手かもしれないなぁ。

赤ちゃんが生まれたらその後は数時間に一回こうして与えるんだもんね。

ママ修行と思えば良いのかもしれない。ヴィオラは……結構ノリノリ。

ドリーマーは今ダーリン成分を補給しているからソレが終わったら対策を打つんだろうなぁ……

……というか哺乳瓶かナニかでちゅっちゅさせてやれば良いのでは……?

 

「子連れドリーマー……」

「こんなおっぱいばっかり飲みまくる赤ん坊なんて産んだ覚えはないわよぉ……」

 

開発室でドリーマーが授乳させながら設計している姿が度々見られるようになった。

そんな状況を打開するためにタンク供給式のベイビーミュータント用のミルクサーバーを開発した。

ミルクの出処?もう察してくださいとしか……




という訳でなんちゃってE.L.I.Dの登場。
完全なE.L.I.Dでは無い、強化外骨格でガッチガチにブーストした人間程度?
でもまぁ兵器としては失敗も良いところ。

ドリーマー「これで生殖能力もあるってんだから怖いわねぇ」


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Day172 子育て練習

出産待たずして子供ができるって感想でたしかになってなった。


仮名称、ベイビーミュータントは研究所から引っ張り出されて……

その生態、計画の全貌等がさらに埋没していた資料から判明した。

まず生態というのはこのベイビーミュータント……もとい、ピグミーベイビーの事だ。

計画の全体はこの子供の研究はまだ足掛かりにすぎない。

所謂臨床実験的な所でこのベイビー達で安定させれるのであればそれから段々と身体を大きくさせていく。

それに伴い知能レベルを大凡三歳児のモノから段階的に引き上げていき最終的には12才児の知能まで引き上げる計画だったらしい。

生態は至ってシンプル、排泄機能は発汗に留まる、水分は過剰に必要とせず養分も本来は必要ない。

その内部で何が起こっているのかは不明だがE.L.I.Dの活動原理が解明されていないから何とも。

ただ明確な空腹を訴えて口に入るものならばその強靭な顎で噛み砕くなどしていたらしい。

あれこれ与えた所一番反応が良かったのが牛乳であった。

それからサンプルとして母乳を妊婦より無理矢理に採取して与えたんだって。

それがバッチリマッチしてそれを要求するようになった。

まぁ思考ベースが幼児の物だから要求するのはそうだろうね。

 

「まぁこうなるのも納得」

 

研究資料を読み漁っている私のおっぱいには二人のベイビーが吸い付いている。

あの研究所で生存していたのは合計10人のベイビーだった。

名前は決められていなくナンバーで呼ばれていたみたい。

 

「まま、なにみてるの?」

「んー?ノーリからヂェーシャの事を見てたの」

「ふーん……あ、ままー!」

「うげっ」

「ちょっと私達はママじゃ……ぎゃー!」

「あははは……満足したら終わるからそれまでおとなしく吸われてたら、デストロイヤー?」

 

お料理と言うかデザート狙いで来てたデストロイヤーとガイアに張り付いてた。

因みにママ判定の目安はおっぱいの大きさと匂いだね。

嗅覚がかなり鋭いらしく人間や人形でも分からないような微細な匂いにも反応する。

まぁママって言われてる人形はどうだって?

ミルクの匂いがするからママってさ。どこで学習したから人間は噛み砕くことはない。

多分だけどそれも実験でやったんだろうけどそこは血塗れで解読不能だった。

聞いてみるとただ一言、勿体無いからってさ。ママのおっぱいは何度でも吸えるから。

まぁ言外に一度食ったのかもしれないって可能性を示唆してるんだよね。

あと4人見えないけど何処に居るって?全員の端末に居場所が分かるようにって発信機くっつけてるから分かる。

居る場所は……私とデストロイヤー二人が授乳している第一宿舎と……ドリーマーのアトリエに二人。

ゲーガーの私室とウロボロスの私室に一人ずつか。

 

「美味しい?」

「うんっ!」

「おいしー」

「そりゃ良かった、満足するまでたーんと飲んでね」

 

本当にただ吸うだけならそんなに気持ちよくもならない……無心でいられるかな。

ダーリンの吸い方がかなりえっちぃんだ、これが証明された……私のおっぱいはえっちくない。

あっあっ、強く吸っちゃ……

 

 

――――――――――――

 

 

反応が面白いからと弄ばれてしまった……おにょれベイビー達め……

隣ではデストロイヤー二人もぐったりソファーに身を預けている。

 

「まぁ救いというべきか……汚染皮膚はちゃんと隠されてる事か」

「見た目だけだったら普通の……一歳児よね」

「おまけに成長もしない、永遠あの姿って言うのもねぇ」

 

そう、元々死亡した幼児などの身体を使用しているため基本的な代謝と言う物は存在しない。

さっきも抱っこしてる間身体はかなり冷たかった。それでも活動している。

触覚もあるし味覚も聴覚も視覚もある。しかしながら痛覚はかなり鈍く暑い寒いにもかなり鈍感だ。

代謝が無い、つまりは身体が傷つけばそのまま終わりかも知れないが……あの皮膚を貫けるのは対物ライフルだ。

生半可なグレネードでは固い肌に跳ね返されてしまって活動停止や……そもそも傷一つ負わせられない。

なんとか殺せるのか?と実験していたそうだけど……結果的に殺すには活動停止するまで閉じ込める事が一つ。

もう一つは戦車砲で木っ端微塵にすること。その際に間違いなく内部組織が炭化するので解析不能。

活動停止しても同じく、さらさらと塵となって散ってしまうので解析不能。

累計100名の孤児がここで実験の為に犠牲となっていったらしいが……それ以上の数字が……

 

「いや、止しておこう……想像するのはやめやめ」

 

ともかく、あの子達がもっと成熟していって時の流れの移ろいに憂いて自ら死を選ぶまで……

私がちゃんと、面倒を見てあげないとね。本当は親っていうのは子をおいて逝ってしまうモノだけど……

幸いにも私は人間から人形になってしまった。その寿命というものもどうにかなってしまう。

更に言えば望めば電脳を摘出して同じ様な人形のボディに入れることも出来る。

あの子達の未来っていうのはいくらでも選択肢があるんだ。

 

「ま、今は満足するまでお腹いっぱいにさせて遊ばせて……」

「ぐっすり眠らせてってのを繰り返すばっかりね」

 

そう言えば端末で確認した感じ……第二宿舎の中庭でお昼寝してるっぽいね。

まぁ彼処なら仮にお腹が空いてもすぐ近くに誰かしら居るだろうしね。

主にアルケミストとかハンターとかゲーガーも自分の部屋でお仕事してるか。

ノックして開けたら多分授乳祭りになるんだと思うな。

授乳しても平気かどうかはカラビーナやトカレフがちゃんと確認してるから妊婦組もちゃっかり練習として……

 

「お姉ちゃんが思いの外愛でまくってたのがなー……」

「ヴィオラもよね」

「昨日の夜中のFive-seveNもすごかったね」

 

この基地が言外におっぱい基地なんて呼ばれてたりするけどもう言い逃れできないわ。

 

 

――――――――――――

 

 

「で、一応完成させたのが10人同時に授乳できるミルクタンクね」

「でも……ねぇ?」

「そうね」

 

ドリーマーがこれまた一晩で組み上げた機械式の結構おっきなミルクサーバーなんだけど……

それには一切目もくれずベイビー達は私達のおっぱいを求めてくる。

一度飲んだけどなんかいや!って駄々こねて結局私やドリーマーに甘えてくる。

私も出産するまでは別にいいけど……出産した後が大変なんだけどなぁ。

 

「まぁこの子達の研究データからあのクソ忌々しいコーラップスの研究が出来そうなのよね」

「でもコーラップスの研究は……」

「えぇ、リスキーすぎるから絶対にしないわよ」

 

漏れ出てしまえばその後はこの地区が不浄の地となってしまう。

さすがのドリーマーもそんな危なすぎる綱渡りはしないか。

そもそもどんな見返りがあるかも全然理解されちゃいない。

人間には過ぎたものすぎる気がするんだ。既にそのテクノロジーによる汚染で酷いことになってるんだし。

 

「それより……」

「それより?」

「このひっつき虫をどうにか出来ないかしら?」

「多分無理」

 

ドリーマーはかなり気に入られているみたいでほぼ誰かしらがそのでっかく実ったおっぱいにくっついてる。

そろそろ離して欲しいってアトリエから出てくるときもげんなりしてた。

流石に機械を動かす時は離れてもらってるみたいだけどね。

私以上に気に入られてるじゃん、溢れ出る母性ってのがあるのかもね。

 

「はぁ……ま、可愛いから許すけどぉ……」

「次は何作ってるの?」

「このベイビー達用のベッドとミシン」

「ベッドは分かるけどミシン?」

「布とパターンを入力したら全自動で手と同じように裁断するミシンよ」

「それもう大型機械って言ったほうが」

「ミ シ ン よ」

 

ベッドは自動で左右に揺れてゆりかごの様に寝かしつける動作をする。

おまけに起きて上体を起こそうとする動作をしたら足が折り畳まれて降りても安全な様に。

ついでに端末に起きたことを伝えて授乳に協力する人形を募集するってやつ。

後々追加するらしいけど赤ん坊の泣き声を検知して母親に知らせるのもあるらしい。

 

 

――――――――――――

 

 

「ぱぱー!」

「あはは、パパだって」

「えぇ……」

「だっこ!」

「まま、おっぱい!」

 

因みにダーリンはちゃんとパパ判定をもらっていた。

私達ママの匂いがするからだってさ。あっはっはっは……

で、だけどちゃんと抱っこしてあげてる辺りダーリンもパパ活の練習かな?

頭をなでてやると気持ちよさそうに目を細めてきゃっきゃ笑うんだ。

 

「あーパパもおっぱいが欲しいなー」

「吸うだけなら別にいいけど変に弄ったら叩くよ?」

「アッハイ」

 

お昼時、みんな揃ってのお昼ご飯だ。勿論ながら食堂の方も増員に合わせてちょくちょくと拡張されてたりする。

おかげでギリッギリ全員が入っても収まりきる、ついでに私のダミーもG36のダミーも大忙し。

ダーリンが抱っこしてるベイビーは先にドリーマーにひっついててお腹いっぱいだったから別に良いんだけど……

残りの9人がそうでもなくそれぞれ空腹を訴えたから私達妊婦組が抱っこしつつ授乳させてるわけです。

腕力はかなりあるから私達も安心して手放し出来るわけですよ。

まぁ抱っこ紐とか作っておいて子守りの練習もしておかないとね。

 

「はい、パパ……あーん♪」

「あ、あー……」

 

いつか来る家庭での食事みたいなことを出来て私は嬉しいかな。

本番の私達の赤ちゃんはこんなに大人しくはないだろうしびーびー泣いちゃうんだろうなぁ……

子育ての事を聞きかじってると本当に大変そうだけど……

 

「で、次のつわりの予想はどんな感じかなー?」

「やめろ、流石にもう迂闊に避妊具きらしてねぇから……」

「本当にー?」

「本当だっつの……流石に基地が動かなくなるのはまずいって」

「ま、信じてあげる」

 

さてと、この情報が流れたらどんな基地って言われることになるのやら。

セクハラ基地からおっぱい基地に変わって……次は子育て基地かな?




大陸では416のロリスキンがくるそうですね。
僕は冷静さを欠きましたが生きてます。


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Day173 アイドル活動!

ネットアイドル爆誕!


ウロボロスがドリーマーに泣きついて倉庫の空き部屋一個潰して音楽室を作ってた。

何をしてるんだか……と思ったんだけど思えば私もアイドル活動してもいいかなー……とか思ってたし。

ウロボロスがアイドルするなら私もしちゃっても良いよね、渡りに船ってね。

ついでに色んな音楽を赤ちゃんに聞かせるのは良いことだって聞くんだ。

つまりだけど私達で色々学んで音楽を奏でてたら子供に良い影響があるかもってこと。

勿論ベイビー達にも良い影響が期待できる。知育、教育の面でもプラスだ。

ダーリンもこういう事を口添えすると首を縦に振るしか無い。

あとはまぁ普通にダンスの収録とかにも良いかも、音漏れとかはなさそう。

 

「はい、という訳でコーチングしていくからよろしくね、ウロボロス」

「あれでまだボロがあるというのか?」

「あ"?」

「な、なんだ……」

 

ぱちーん!と指を鳴らしてから招き入れるのは何を隠そう私のダミーだ。

まぁ実際には聞こえるわけもなくダミーネットワークで呼びつけてたんだけどね。

本体である私が踊ってやれないならダミーに意識をちょっと入れて踊れば良いんだよ。

ウロボロスは結構高慢な感じに見えるんだけどその実ヘタレであるよ。

現に私が睨んだらひよってたりする。外弁慶で身内にはえらく腰が低い。

ドリーマーに結構からかわれてるのを見るし何だかんだでベイビーにも甘い。

その分ダーリンが優しくしてくれてる間はえらくデレデレしてるんだよなぁ……

 

「四の五の言う前に比較してみようじゃねぇの」

「そのダミーで踊るのか?」

「勿論、ついでにカメラ回してウロボロスも踊るんだよ」

 

ダミーと私本体の差ってのはハード的な所ではそんなに無い。

駆動系統は普通に同じだから全く同じ感覚で動けるハズ……そう、そのハズなんだ。

ここD08基地においてはそれは一概にそうとは言えないんだなぁ。

だってダミーモデルは普通のダミー人形と何ら変わりない。

そう何も変わらないんだよ。所謂D仕様なんて言われてる先行試験されてるのはメインフレームに限られる。

そりゃそうだ、後付で色々処理が変わるようなことをダミーの演算能力で対応できるか?

重心バランスって結構大事なんだけど……さて、二足歩行のバランスって結構大変だぞ。

更に衣服による重心や風でのふらつき、髪の重心バランスの崩れ……

おっぱいがあるならそれがたっぷたっぷ揺れて前後する重心とかね。

すべて予測して予めデータとしてぶち込んでおけば良いかも知れないよ?

でもそのデータの蓄積だって結局は実働データが無いと無理。

そう、その実働データを取って居るのが私達ってわけですよ。

さてと、じゃあ意識を移してっと……ダミーには少し眠ってもらって……

 

「うわ、おっぱい軽っ」

「その大きさでか……?」

 

こりゃいい、のびのびと踊れるじゃん、ちょっとテンション上がってきた。

 

 

――――――――――――

 

 

取り敢えず踊ったのは勿論の事極楽浄土、ウロボロスが踊ってたからね。

じゃあその粗が見えるから私が粗っていうのを全部浮き出させてやろうじゃねぇか。

正直あのネットワークで公開してた歌と踊りでは正直あんまりなんでね!

カメラをガンガン回しながら歌って踊ってみせてからねぇ。

手取り足取り教えてあげてもいいけどそれじゃあウロボロスは納得しないんだよ。

じゃあ聞くじゃなくて見るで教え込んでおいて後で口で言って聞かせる。

そういう教え方をしないと絶対に反抗しちゃうんだと思うんだよね。

 

「「おいでませ極楽浄土♪」」

 

まぁ歌詞とかのミスは無いし振り付けもひっどい間違いはない。

だからパッと見ではそうでもないんだよね。ウロボロスの美貌でごまかせると思うんだ。

でも何度も見返しているとその粗っていうのが見えてきてから……

それから何だかなぁって感じになっちゃわないかな?ってね。

そう、アイドルになるんだら批判に繋がるようなポイントは潰しておかないとね。

私の目で見る限りでもツッコミどころがあったりするからそこは潰さないとね。

さらにプロ一歩手前……いや、完全にプロであるP38やPP-90とかに見られたらかなりねぇ……

怒られはしないだろうけど客層っていうか……ファンの数っていうかねぇ……

総数っていうのは絶対に違ってくる、ウロボロスにくっついてきてくれるファンは少なくなってくると思う。

少しでもウロボロスが誇れる物を増やしてあげたいじゃん?

 

「うん、うん……踊りきってやっぱりパッと見では良いかもだけど……」

「それはそうだろう、私とて秘密裏に練習を重ねていたのだからな」

「じゃあその自信が揺らがないかこのカメラで撮影してた私とウロボロスのダンスを見比べてみようか」

 

ちっちゃなカメラのディスプレイに私とウロボロスが顔をくっつける。

まぁ私はもうダミーから本体に意識を戻してるんだけどね。

 

「ふひー……」

 

まぁダミーはダンス趣味あるから体力はあるんだけどね、やっぱり疲れてる。

そしてまぁ私はおっぱいは重いし……お腹はまぁ赤ちゃんが居るからね。

 

「……うーむ」

「あ、分かる?」

「……軸か?」

「体幹がちょっとブレてるね。それで上体が揺れてるの」

 

まぁそのおかげでおっぱいがブルンと言ってるから眼福なんだろうけどね。

 

 

――――――――――――

 

 

「で、ウロボロス~私もそのアイドル活動混ぜてもらってもいいかしらぁ?」

「ドリーマーが何故……」

「良いじゃない、私も踊ってみたいの」

 

アイドル活動してみようってなったドリーマーが乱入していた。

なおこのやり取りはドリーマーが仕込んでる隠しカメラで撮られてる。

私はちょっとね、隅っこだから編集で消されたりするかもね。

ほら、私はもうS09でゲリラライブに乱入したアイドルって事でね……

ここD08基地でも見られてる可能性もあるからねぇ……私が見られたら反響がありえる。

だってさぁ、あの時は普通にアイドルアイドルになってたけど今はね?

超絶妊婦さんになってるからアイドルファンにとっては冒涜的な所かも。

 

「まぁじゃあセッションしてみよっか?」

「私は良いが……ドリーマー、行けるか?」

「もちろん、私は出来るわよぉ」

 

ドリーマーは特に練習とかしてないはずだけど……踊って大丈夫だろうか?

まぁ軽くセッションやってみてそれで様子を見てから続けてみるか。

さてもう一度踊ってみますか……ダミーおらもう一回身体貸せ!

 

「よし、やってみよー!」

「ふふ、度肝抜かれる覚悟は良いかしらぁウロボロス?」

「抜かせ、私より酷いタコ踊りを見せてみろ」

 

さて、イントロ流してみて横は見ないで踊っていきましょうか。

まぁドリーマーが踊れなかったら……ドリーマーは普通に理解するだろうから……

手取り足取り教え込んでいけば全然踊れるようになるだろう。

 

「月明かり登る頃♪」

「灯る赤提灯」

「「祭り囃子の合図」」

 

お、ちゃんと歌詞は覚えてる感じだね。何度か横を見る事はあるけど……

普通に同じタイミングで踊っているみたいだからOKっぽいね。

そしてこの色気がある歌声だよ、狙ってるね……これはぶっ刺さる人多そう。

セッションで踊った感じでは普通にアイドル出来るレベルだった。

何この万能なヤツ、開発も出来るし何やらせても平均以上だよね。

 

 

――――――――――――

 

 

で、早速だけどドリーマー開発の自動立体裁断機っていうか……何この

 

「ミシンよ」

「絶対ミシンじゃねーよ」

「ミシンだっつってんだろ」

 

まぁうん……アイドル衣装を作成させて……というか普通にいつもの服?

あれの配色をかなり綺羅びやかな原色に変えてからフリルをめっちゃ着けたのよね。

で、胸の谷間をめっちゃ強調してるんだよね。コルセット状にしてるからもっと強調。

 

「これに着替えて踊ってみてからどうだった?」

「まぁ良いわね」

「悪くない、ふふ……これでファンも出来るか?」

 

さて、私が見る限りでは普通にいい感じに思うんだよね。

簡単に編集してから早速動画を上げてみたんですよ。

 

「さ、後は夕方?夜までまって再生とかコメントを待ってみましょうか」

「そうね、私は開発に戻るわ」

「私はゲームに戻るわ」

 

さー……私もコレに関しては分かりかねるから……ねぇ……

あ、再生数が……お、お?SNSに拡散されたのか?

 

「417ちゃんカワイイヤッター?」

 

早速捕捉されたぁ……あ、まってこれバズった!?バズってやがる!?

S09のアイドル、417がネットアイドルデビューって投稿されてるぅ。

あばばばば……さらにウロボロスのめっちゃ自信あふれる顔好きとか……

めっちゃくちゃ反響が出てる出てる……

 

「もしもしウロボロス、SNS見てみ?」

「……え?」

「やったね、ファンがいっぱい出来たんじゃない?」

 

なお再生数的に伸びてるのはその後に投稿されたオフショットというべきかセッション前のヤツね。

日常風景みたいなのがめっちゃウケてた。




ごめん、ちょっとね、駆け足になってたから加筆修正入れてます

今日のぽんこつぅ


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Day174 D08……基地だっけ?

もうこれ基地かわかんねぇな


休日ってのもあってから今日は朝から皆ダラダラしていた。

ダーリンは久しぶりに朝から元気にバイクに跨って何処かへと飛び出していった。

まぁ私との連絡用の端末は持ってるし自衛用の銃器は持ってるからOKだね。

今日はドリーマーものんびり休んでるみたいだけど……

 

「はいはい、アンタ達ほんと好きね」

「まま、まま……」

「好きにしなさいよ、お腹いっぱいになるまでは付き合ってあげるわよ」

 

立派にベイビーたちのお母さんをしてた。自分の服を破かれたりしたら堪らないと授乳用の私服を作ってた。

もちろんあの自称ミシンのアレでね。ドリーマーの私服の趣味は私とどっこい。

所謂ゴスロリが好きっぽい。ある意味だけど人形らしいって言えるかも。

でも日に日に重みを増しているあのおっぱいを守る部分はボタン2つ外すだけでオープン。

前垂れともなってる布が降りてドリーマーのそれはもう母性の塊とも言えるおっぱいが飛び出る。

今も二人のベイビーが今日も元気に朝からドリーマーに甘えてる。

最初こそ私も悲鳴を上げていたけど皆この数日で慣れたもんだよ。

むしろお姉ちゃんとか喜んであげてるフシがあるんだよね。

さっきから吸われてるのは妊婦組が多かったり……二人抱えてるのはドリーマーと……

 

「まま……おいしい♪」

「ん、それは良かった、ゆーっくり飲んでね?」

「うんっ」

「んまんま……」

 

まぁ何を隠そう私が普通に二人抱えてるのさ。私もなぜかベイビー達に人気が高い。

私は別に慣れたもんだし何なら抱っこ紐で括ってから家事も出来ないわけじゃない。

と言うか現在進行系で抱っこしながら読書してるしね。

ドリーマーはしっかり抱っこしてお顔をみてから時たまキスしてあげてる。

 

「けぷ」

「げっぷぅ」

「お腹いっぱいになった?」

「「うん!」」

 

まぁ私もこの子達には愛情っていう本当に必要なものが不足していると思う。

研究施設で育った上に母親は固定で居なかった。その上食い殺している事も考えられる。

意図的に知能指数が低く設定されている上に育成をしていなかったこともあって悲壮感は無い。

そういうものだって言う認識で居るからこれからいーっぱい私達が愛情を注いであげて……

そうだなぁ……生まれや血の繋がりはなくとも本当の家族として迎えてあげないと。

 

「はい、ごちそうさまのちゅー♪」

 

おでこにキスしてあげてからギュッと抱きしめてあげてから頭をなでてあげる。

キャッキャ笑ってからまた別な人形の所に行くかなって思ったけど今日は私の所でじーっとしてる。

 

「どうしたの?417ママのお隣は暇だと思うよ?」

「んーん、ままのとなりがいい」

「ぼくも、ままのとなりがいーの」

「そっか……じゃあ、なにかして遊ぼっか」

 

よしよし撫でてあげてからそうだなぁ……何をして遊んであげたほうが良いか。

お歌を歌ってあげるのが良いかそれともゲームか……お遊戯しますちゃんはもしかしたら怪力でぶっ壊されるかもしれないからなぁ……

一番いいのはやっぱり皆で遊べるUNOとかかなぁ……意外と盛り上がるんだよね。

あ、でもベイビーたちの知能だとルールを覚えられなくて楽しめないか。

案外こういうの難しいなぁ……知育ってのをしていかないとまずいけないか……

 

「ドリーマー」

「なぁに、今子供の面倒みてて忙しいんだけど?」

「知育玩具って知ってる?」

「……なるほど、必要ね」

 

まぁ所謂積み木だったり針金とカラフルな着色された木とかで遊べる玩具とか。

ちっちゃな楽器とかだったりとっても柔らかいボールだったり……

あとは本当にちっちゃい車とかだね、足漕ぎ車とか……電動で動く車だね。

私が記憶にあるのは所謂三輪車……私のバイクである黒鷲ではないぞ。

大人の真似事とかをさせてあげれる環境を作ってあげると知育に繋がる。

おままごととかが該当するよね。ごっこ遊びが結構重要になってくる。

これはベイビーたちだけじゃなくて普通にこの後生まれてくる私の赤ちゃんにも使える事だ。

 

「使えそうなゲームソフトも探しておくかなぁ……」

「ままのおっぱいであそぶー」

「それはパパ専用だからダメー」

 

パパのマネごとが本当に上手ですこと。ゆっくり吸う時はそうでもないけど……

指定しなかったら割ともう皆ね……ベイビーたちみーんな男の子なんだ。

パパの影響をもろに受けててねー……無自覚なんだろうけど自分が庇護される立場を利用してくるんだ。

あと私とかドリーマー、ヴィオラみたいな押しに弱いママにはベッタベタに甘えてくる。

……というかベイビーとダーリンに甘えられて言い返せる人形が居ない現状ね。

 

「やだ、あそぶ」

「やっぱりもっとちゅうちゅうする」

「にゃー!?まって、ママのおっぱいは……あっあっ……」

 

 

――――――――――――

 

 

ひでぇ目にあった……結局暫く私はベイビーたちの体のいい玩具にされたよ!

流れ弾でドリーマーも巻き添え食らってたけど……

 

「子供って良いね……」

「そうね、ひどい目にあったとおもうけど……」

「「あの笑顔は卑怯だわ」」

 

満足した後のきらっきらした笑顔にもう何も言えなくなっちゃうの。

多分これが親心ってやつなんだろうなぁ……もう私もドリーマーもただの親ばかになってるのかも。

 

「取り敢えずドリーマーは知育玩具の用意だね」

「と言っても私はわからないわよぉ、データ集めアンタがやってよ?」

「まっかせておけ、ばっちし集めてくるから」

 

むんっと腕まくりしてみせるけど結局私もドリーマーもソファーでぐったりしてるんだよね。

それも両方おっぱい出したままね。いやーベイビー達は本当にママキラーだわ。

これでダーリンが帰ってきたら私もドリーマーも仲良く食われてるな。

それぞれの体調に合わせてだけどね。いやー……今日が休みでよかったわ。

 

「そうそう、明後日また別な実験段階の……」

「またなにかするのぉ?」

「お姉ちゃん、45姉、9姉の子供素体が来る」

「なんですってぇ?」

「こっちに服装とかの資料が」

「よこしなさい……はぁー……このシリーズの服装からベイビーの服も作らないといけないわね」

「ベイビー性別男ぉ!」

「顔が女だから別にいいでしょ!!」

 

コイツベイビーたちを男の娘に仕立て上げるつもりだ……性癖ゆがみそう……

いや、私達ってママが居る時点で歪みかねないか……ほんとどうするかなぁ。

私っていうエラーロットがこうしてウケが良いのもあるからI.O.Pもロリの需要があると判断したのかな?

実際にスキン技術として一部の人形には子供素体が用意されてたりする。

それこそこの基地に居るネゲヴとか要請したら子供素体が送られてくるんだろうね。

 

「ただやっぱりと言うか2体ずつで……」

「片方はいつもの仕様でしょう?」

「そうそう、子供素体だろうがお構いなしだ」

 

私に近い凶悪な人形が出来上がる。因みにそれはダミー人形に適応される予定だ。

ダミーで実験ってことでダミーにアレを飲ませる計画があるからなぁ……こえぇ……

 

 

――――――――――――

 

 

「ただいまー」

「あ、ダーリン……おかえりなさい」

「ぱぱー!」

「だっこー!」

 

すっかりベイビーたちに気に入られてダーリンが帰ってくるなりベイビーたちが突撃していった。

因みに帰ってきたのはお昼ごろ。まぁそろそろ帰ってくるかな……とお料理してた所です。

 

「いやーしかしこの離れもずいぶん……」

「そうだねー……」

「入る人数が多くなったこと多くなったこと」

 

最初はそれこそ10人で寝てたのにね。今となってはこの基地の人形がかなりの数出入りする。

もちろんの事ダーリンとの蜜月を狙ってね。この離れで一応完結できるようにキッチンもあったりするからお料理作れたりする。

さて……ダーリンはなにか……ポケットに突っ込んでる感じがするけど……

 

「そういえばダーリン……ううん、パパって呼んだほうが良いかな?」

「ダーリンで通してくれ……何か、まだ覚悟が半端なんだわ」

「はいはい……I.O.Pからのメール見た?」

「んー?……また変なの作ったな」

「お姉ちゃんとのなんちゃって家庭生活が始まるかもねー」

「まぁ確かに416のまんま子供って感じだしな……」

「今のうちにパパとしての経験値溜めておこうね♪」

「おう……取り敢えず昼飯をたのめる?」

「もっちろん、ダーリンの好物の~……」

「カルボナーラか、やりぃ」

 

到底基地とは思えない……託児所みたいな光景がここにはある。

だってテーブルを囲ってるのは色んな人形でそのおっぱいには子供が吸い付いてて……

皆それぞれの方法で愛情を注ぎながらお食事してるんだよ?

 

「食べたい?」

「んーん、ままのおっぱいがいい」

「そっかー……えへへー♪」

 

無邪気に吸い付くベイビーたちカワイイなぁ、もうぎゅーっとしちゃうもんねー

 

その夜ダーリンにめっちゃくちゃ抱き締められて抱きまくらにされた。

なに、ダーリンコレってもしかしなくても嫉妬だったりするのかな?

え、やばい嬉しい……




託児所になりつつあるこの基地である。
カラビーナが小児科医になったら完璧よね


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Day175 嫁と姑と

やんちゃぼうず と おっぱいよめ


今日はご報告も兼ねてまたダーリンのパパ、ママのところへ……

 

「あらー今日は417ちゃんだけ?ありがとー♪」

「あぶぶぶぶ……」

 

まぁ見事なまでにママの熱烈なハグによる歓迎を受けていた。私がね。

と言うかダーリン抜きで色々話してみたかったことがあったしね。

ダーリンは今ちょっと席を外してもらってる。暫く戻ってこない用事もあるし。

ドリーマーが超絶おねだりしてからデートをとりつけてるからね。

色んなお洋服を見てみたいそうだ。あとマジな知育玩具とか子育て用品とかの研究。

まぁあとは実際に人間の街の営みっていうのを目で見て感じたいそうだ。

 

「それで、報告ってなにかしら?あ、まさか残りのお嫁さんにおめでた?」

「あ、はい……それもあるんですけど……」

「きゃー!聞いた聞いた?ダーリン聞いた!?初孫が更に増えるみたいよー!!」

「わ、わかったから……落ち着こう、ベア……」

「あ、わかったわ!赤ちゃんの名前をもう決めたんでしょ!」

「あ、えーと……」

「417ちゃんが困ってるから……な?」

 

このかなり情熱的な所は正直困るけど……きらいじゃないよ?

私も色々不安はあったものだよ。人形と結婚するって言うのは正直反対されることが多い。

かつての世界で同性婚というものが認められていなかったり身体障害者との結婚に猛反発があったときと変わらない。

人形と結婚するということは絶対に子供を望めない、言うなれば商品と結婚すると言っているようなものだ。

そう信じられていた所に今私やヴィオラを始めとする妊娠可能とする計画が進んでいるんだけどね。

それでも所謂被造物と結婚するって言うことに忌避感を覚える親は居るだろう。

……残ってたらの話だけどね。

 

「えっと、驚かないでくださいね?」

「もうコレ以上驚くことがあるもんですか、ねぇ?」

「そうだね……これ以上……」

「おっぱい見ながら言わないでください、お義父さん……えっと、お嫁さんが52人増えました」

「へぇー52……え?」

「え?」

「ですから、お嫁さんが追加で52人増えてます、それだけお孫さんが増える可能性も……」

 

これには流石のパパママそろって沈黙、というかお義母さんの顔がやべーの。

マジモノのムンクの叫びみたいな顔してるしお義父さんの方はほぼ気絶一歩手前。

ダーリンもついでに言っちゃえば正確な数っていうのは把握してない。

というか直視できちゃいない、あまりにも多くなりすぎて毎朝死にそうな顔してるんだもん。

これまでに消費した精力剤は数知れないね……

 

「ソッカー、ヤンチャネー」

 

焚き付けた部分はあるけど皆止まらずくっついちゃっていってるんだもん……

 

 

――――――――――――

 

 

結婚した人形のリストをお義父さんに提出してからさらに基地の近況報告。

お義母さんからは向こう側の近況報告がされた。どこから流れてきたか質の良い合成コーヒー粉末が仕入れられてカフェの経営も順調らしい。

お料理の方も元々こじんまりとしたカフェだからそんなに忙しくはならないみたいだ。

趣味の延長線上だからそうでも気負うこともないし二人仲良くお仕事してるみたい。

それは安心したんだ、でもやっぱり息子であるダーリンの仕事現場とか見たいらしい。

どんな顔で仕事してるのかとか仕事仲間とか色々知りたくてしかたないっぽい。

ダーリンは恥ずかしいことこの上ないからそういうのは一切断ってる。

規約云々はダーリンの口から出まかせみたいだけどね。

G&Kかなりゆっるゆるの社風だしね。取り敢えず人形の指揮ができてりゃOKみたいなところはある。

あとは……社長の目に留まるか留まらないかだろうね、つまり社長の一存。

 

「じゃあディーノはセクハラ魔だったのぉ?」

「そうですね……私もこう、おっぱいをむんずとされましたね」

「あらやだ、417ちゃんにはあの馬鹿息子へのとっておきのお仕置きを教えないと」

「え?私はもう今はウェルカムですし嫁連合も全員ばっちこいですよ?」

「……愛されてるわねー」

「その分だけダーリンにも優しくしてもらえてますもん」

 

今は何をしているかって?お義母さんに頼み込んでお料理を教わってます。

私は別に教わるほど下手くそでないって?ばっかお前、家庭の味に勝るものがあるもんですか。

お義母さんが生きているんだからその家庭の味っていうのを受け継いであげなくちゃ。

こういうのも血脈とはまた違った受け継いでいく家族のモノなんだから。

 

「ねぇ417ちゃんのお料理のほうが美味しくないかしら?」

「例えそうだったとしてもお義母さんの味っていうのはいつの日か食べたくなるもの……らしいですよ?」

「そういうものかしら」

「そうだと思いますよ、私は親は物心がつく頃には居なくなっていましたけど」

「……?」

 

私の中で母親の味というものは無い、そりゃそうだ。

物心がつく前に両親は居なくなっていたし兄さんも両親に関して何も話しちゃくれない。

だからこそダーリンが覚えているだろうこういう味っていうのは私がしっかり受け継いでやらなくちゃってなってる。

 

「それにしてもディーノはこんなに良い子を貰っていいわねー」

「ふにゃぁっ!?」

「感度も抜群、とっても重いわね」

「ちょ、ちょっとお義母さん!?」

「ごめんなさいね、ウチのダーリンも気になってて」

「せめてお料理前にしてー!!」

 

 

――――――――――――

 

 

「ただいまー……って何かあったのか?」

「なんでも……」

「そうか?……おい、母さんまさかと思うけどイビリとかしてんじゃねーだろうな?」

「まっさかぁ、そんな事すると思ってるの?」

「……何もなかったんだな?」

「うん……ちょっと過激なスキンシップかなー?」

 

ちなみに壮大にぶちまけちゃってお料理がちょっと……乳臭くなった。

幸い作ってたのがカルボナーラってまたミルクを良く使うものだったから良かったけど……

漂う私の匂いと嗅ぎ慣れただろう風味がしてきてダーリンも感づいたっぽい。

そしてキッチンの方を見れば……ほんのり残っちゃってる床のテカり。

 

「おい、人の嫁に何してくれてんだコラ」

「だってディーノはパパにそっくりでおっぱい好きでしょ?」

「まぁそうだけどよ、でもやって良いことと悪いことが」

「ディーノの好みも全部教えてあげたけど?」

「ヤメロォ、ヤメロォ」

 

ダーリンは青少年の頃からずっと大きなおっぱいに気を引かれていたらしい。

ちなみにお義母さんもかなりグラマラスなボディをしてらっしゃる。

スタイル的にはRoに似てるかもそして目の醒めるような金髪にアイスブルーの瞳と……

これで一児の母って言うんだからなぁ……とても40越えているようには

 

「417ちゃん?」

「は、ひゃい!」

「女に年齢はタブーよ?」

 

思考ガッツリよまれてるぅー肩に手ががっちり行ってる。

んで、まぁ……なんでダーリンの好みとか全部知ってるかって?

 

「はい、これアンタがずっとウチに置きっぱなしだったエロ本とエロ漫画とエロゲームね」

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」

 

ダーリンこの仕打には流石に大絶叫して床の上をごろんごろんとのたうち回る。

まぁしかし異種姦ものが多いし触手が多いねー……搾乳プレイとかも好きなんだね。

幸か不幸か私が提案していた事がまんまそのままダーリンの好みを抑えてたっぽい。

 

「ま、まぁダーリン気を強く持って……帰ったら皆で慰めるから……ね?」

 

 

――――――――――――

 

 

あの後ドリーマーも乱入してきて大騒動……にはならなかった。

ただ一言、絶対に孫の顔を見せてあげるから楽しみに待っていてくれると良いってね。

これまた見せつけるようにダーリンとべろチューしてから言ったもんだ。

因みにお義父さんはダーリンに嫁の写真を見せろって言ってた。

全員おっぱいが大きいとなると取っ組み合いの殴り合いの喧嘩に発展してた。

 

「ドリーマーは今日はいい買い物出来た?」

「えぇ、新鮮なものだったわ」

「そりゃ良かったね、あ、そうそう今日のお昼は所謂おふくろの味ってやつで」

「417、もうその口チャックな?」

「やーだ、チャックさせたかったら方法は一つだよー?」

 

お昼を仲良く食べてから用事は済んだので帰りの途についている。

車の運転はダーリンがしていて私とドリーマーは後部座席で仲良く喋ってる。

ちなみに私もドリーマーも手にとって読んでるのは……ダーリンの趣味らしいエロ本。

 

「ねぇこの触手による集団種付けとかさこの前ドリーマーが」

「あーそう言えば……一箇所除いて全部同じ構図かしら」

「一番大事な所はいっつもダーリンにしか捧げてないもんねー」

「そりゃそうよ、いくらなんでもダーリン以外の男の子供なんて孕むつもり無いわ」

「もう殺してくれよ……」

 

運転席のダーリンがみるみる内にゲンナリとしていってるのが見えるけど……

私もドリーマーもこの研究だけは手が抜けないもん。

あとこの情報は全嫁に共有する事なのでそれも含めて覚悟しておくと良いよ。

まぁそんな事言ったらダーリンが卒倒して3人仲良く事故っちゃうからそれは言わないけどね。

 

「授乳手コキなんてのもあるのね」

「複数人でするプレイもあるんだね……へぇー」

「コレがジャパニーズヘンタイ……」

「もう読むのは構わねぇから音読するのはやめろください」

 

今日の夜中、離れではダーリンに何もさせないご奉仕プレイが敢行された。

その時のダーリンは何かを察して死んだ目をしていたけど……

翌朝感想を聞いてみると普通に良かったと話していた。いつもよりは元気ある感じだった。

朝からゲップするのは流石にお行儀が悪いよ。

私を間違えてママって呼んだのは軽くスルーしておいてあげるね、ふふ♪




もしかしたら日刊が無理になる可能性が出てきました
単刀直入に言えば作者のメンタルが死にました。
そのうち戻るかも知れませんし戻らないかも知れないです

一週間もほったらかしになったら作者は死んだと思ってください


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Day176 いつまでもお友達?そんな訳ないじゃん

ズッ友なんてのはねぇよ!


「なぁ417……」

「なに、最近メイドラグーンにお仕事奪われ気味の兄さん」

「じゃっかしぃわ、それより相談なんだが……」

 

今日は朝から兄さんが私に相談だって言って女子寮の私の部屋まで押し掛けていた。

まぁ優秀でかわいいおっぱいなメイドラグーンが出来ちゃってそれがお掃除とかしてるから掃除夫としての仕事が奪われてる。

で、今は必死こいて整備のお勉強しててから車の方の整備を主に担当するメカマンに転身しつつある。

 

「その前に」

「なんだ?」

「その首の赤い跡はなんだね、兄さん」

「ん?そんなのあるのか?」

 

ふむ、そこはかとなく香る香水の匂いがするがこんな香水をしてる人形は居ただろうか?

襟に隠れがちだけど普通に赤い跡が見えるんだよね、いやいやまさかね……

一応確認のためにと私の化粧台に座らせてココって指さしてやる。

薄っすらとしか残っていないがどうにも鬱血した様な跡がそこにはあった。

 

「なんじゃこりゃ」

「かゆみとかは無いの?」

「全然、痛みも何もねぇぞ……」

 

虫刺されって感じじゃないし痛みもないなら良いのかもしれないけど……

あの後の残り方から鑑みるに……キスマークと思ったほうが良いと思う。

じゃあ兄さんにキスなんてしちゃうのはいるか?そもそもだけど……

 

「ねぇ兄さん、寝る時部屋にはちゃんとロックかけてる?」

「いいや、別に盗られるようなもんはねぇし」

「深夜物音を聞いたことは?」

「いいや、ねぇよ……それより相談」

 

兄さん的にはこれが誰の仕業なのかより相談事の方が大事らしい。

まぁ良いけど、そのうち誰かにレイプとかされても私は知らないぞ?

因みに私はちゃんと部屋に鍵をかけている。開けられるのはかなり親しい人形とダーリンだけ。

所謂電子ロックになってるからね。その辺がとっても便利なのがこの宿舎。

だから私に夜這いをかけられるのはG28とお姉ちゃんとUMP姉妹とダーリンだけ。

今の所夜這いをかけられたのはG28くらいだけど……ダーリンその辺律儀だし。

 

「いや、なに……最近SAAちゃんが俺のことを避けて」

「あーはい、そりゃもう終了な」

「いや、聞けよクソ妹」

 

概ね様子なんて見てるから分かるけどSAAのあの態度は絶対ほの字だって。

ココ最近ずーっと兄さんにべったりだったSAAだったけどある日を境にしおらしくなった。

それも特定タイミングだけ、めちゃくちゃしおらしくてコーラすら飲まない。

その特定タイミングっていうのが兄さんの顔を直視した時なんだよ。

兄さんが声をかければぴゃー!と悲鳴をあげてから逃げ出してるけど……

その後らしき現場を見たりしてたんだけど……毎回顔を真赤にして自分のたわわに実ってるおっぱいを手で抑えてて……

しきりに兄さんの名前……ウィルバーって単語を言っててその後決まって鼻血をたらしてた。

両手がおっぱいを揉み回していたし何を想像していたかなんてのは分かりきったこと。

 

「もうお前らくっつけよ」

「え?」

「SAAは多分兄さんの事意識し始めてるよ」

「……自惚れとかじゃなくてか?」

「じゃあちょっとSAAに色々インタビューしてくるからココで待ってな」

 

端末の通話機能をONにしたまま兄さんのと繋げてからSAAのお部屋へと突撃。

うだうだ言うよりもこういうのが一番手っ取り早いんだよね。

 

 

――――――――――――

 

 

「やっほー、SAAおきてるー?」

「……ふぁーい……なんですかー?」

 

SAAは部屋に居たけどこの時間にしては珍しく眠そうな声だ。

大抵SAAは朝がとっても早くてアニメ鑑賞とコーラキメて兄さんの所に突撃していたもんだ。

暫くバタバタともの音がした後飛び出してきたのは……おーっとぉ?

 

「すごい格好な上に凄い隈だね……」

「あははー……ちょっと寝不足でー」

 

まさかの上はビキニオンリー、下はホットパンツと露出バリバリキメてる姿。

普段の格好も中々の露出度だけどそれを遥かに上回る格好である。

まぁ制服姿の私もどっこいどっこいな露出度なんだけどね……

寝不足になるようなことをしたんだろうか?そんな事をする人形じゃなかったと思うけど。

慢性的な寝不足人形とかも居たと思うけど……この基地にはまだ配備されてないはず。

 

「単刀直入に言うけど……ウィルバー兄さんになにかしたでしょ?」

「ぶふっ!?」

 

眠気覚ましに飲もうとしていたんだろうコーラのリフレッシュショットだったが思いっきり吐き出された。

まぁこの反応からあの首元のヤツはSAAが下手人と見て間違いなさそうだな。

確か首元へのキスは……誘惑とか独占欲とかの現れだったっけか?

 

「にゃ、ンにゃんでィッ!?」

「いや、兄さんもSAAに避けられてるって言って落ち込んでたしねーあと最近のSAAの言動おかしいし」

「そ、そうかなー?」

「ほらほら、ゲロっちゃって楽になっちゃいな?」

「んー……417なら相談してもいっかな?」

 

信頼を置いてもらってるみたいで嬉しいけどこれ兄さんにまるっと聞かれてるんだぜ。

まぁそれは良いや……ここではっきりさせちゃおうハハハ。

 

「えっと……いつもいつも私にコーラをくれて一緒にお喋りしたりしてたんですよ」

「うんうん、それはよーく見てたね、主に兄さんからアプローチしてたけど」

「お昼寝だっていっつも一緒でお掃除だって私、手伝ったりして……」

「先週だって仲良くお掃除してたね……で、なんで避けるようになっちゃったのかな~?」

「うー……そのニヤケ顔気づいてるでしょ?」

「まぁね、そりゃ私と同じで恋する乙女の顔じゃん、ほれほれ、その顔兄さんの前でしてみ?コロッといくぞ?」

「い、今はウィルバー兄さんのことは関係ないでしょー!!……んー……」

 

突っつけば出てくるは出てくるは何とも初々しい表情と様子ですこと。

絶対コイツ兄さんにほの字だわ、お友達感覚で付き合ってたら好きになってたな?

 

「朝起きたらお兄さんに甘えに行くのが日課になってましたし……正直一日一回くんかくんかしないと調子が出なくて……」

「ほうほう」

「ちょっと過ぎたスキンシップくらいに思ってたんです、けど……」

「前の日曜日のアニメで出た恋愛話で気づいちゃった?」

「…………はい」

「ほほーう?」

 

読みどおりと言うか……アニメの中での出来事に感化されて自分に当てはめたな?

そして兄さんを目で追ってたり考えるとドキドキしてる自分に気づいたと……

 

「で、オナネタにするくらいに好きになってたと」

「そうそう、いつかあの……ってセクハラァ!!」

「同性セーフな」

「うぅー……ま、まぁ……そうですけど」

「兄さんの首にくっついてたのはさてはー?」

「……今朝、夜這いかけました」

「ヒューやるねぇ、夜這いをかけるくらいに好き好きなんだー?」

 

あーここまで掘り返してからからかっちゃうと耳までまっかっかにして黙っちゃった。

 

「でも安心しなよ、多分これで上手くいくからさ」

「……どういうことですか?」

「兄さんもSAA好き好き大好きマンだから」

「ぇー?二次元ロリにしか興味のない人なのに?」

「そこは本人とちゃんと面と向かって……話し合ったりしたほうが良いんじゃない?」

「ぅー……」

「逃げ回ってたらその想いも伝わらないから目に見えるように行動にうつそ?」

 

しばらくSAAは視線をどこそこ動かしてはせわしなくしていたけど……

思い立ったのかスッと立ち上がるとクローゼットをあさってから……

 

「じゃん!」

「お?」

 

これまた兄さん好みどストライクそうな……露出多め、フリルたっぷりの魔砲少女衣装だ。

胸元の守りが非常に薄く兄さんの好みを的確に抑えていると思う。

さてはそれで誘惑するつもりなんだろう……

 

「それ、着て出ていったら私知らないからね」

「どういう意味ですかー?」

「襲われるぞ★」

「むしろ!ばっちこい!!です!!!」

 

 

――――――――――――

 

 

結論から言おう、SAAと兄さんはデキちゃった。

まぁ私の予想通りでSAAがそんな兄さん特攻とも言える衣装で出ていって……

このやり取りをばっちし聞いてた兄さん共有スペースでSAAをあすなろ抱き。

SAAは硬直してしまってはわはわ言うばかり、でも腕をぎゅっと握って離そうとせず……

後から出てきた私がSAAのお部屋を開けてささどうぞどうぞー?と誘導すると二人揃って頷いて……

あとから聞こえたスプリングが軋む音とか私は聞いちゃいない。

 

「ダーリン、喜んで私達に妹が出来るよ」

「はぁ?」

「ウィルバー兄さん……私の兄さんがSAAとデキた」

「……OK、祝儀はどうするか」

「何でも良いと思うよ、そうだねー……暫く幸せな性活を送ってもらいたいし消耗品各種かな?」

「OK、手配しておこう」

 

んふふ、またこの基地にいいお母さんが増えるのかも……SAAも私の家族だね。

でもお義姉さんなんて呼ばれるのはむず痒いしなぁ……今までどおりに接してもらいたい。

これであれかなぁ……整備班も全員なんだかんだで春が来てるし……

調理班は貧乳好きで今のこの基地ではべぇべぇ泣いてる所だしなぁ。

コック長は街の方に奥さんが居るらしいから別カウントね。

お?バタンと扉を開ける音が……あぁ、SAAのお隣であるG36Cとスコーピオンだね。

それぞれ信じられないって顔でSAAのお部屋の方を見ている……

 

「……ねぇ417も聞いててる?」

「信じられないことですが……あの、SAAちゃんの……その」

「さっき兄さんと抱き合ってから部屋に入ったから間違いないよ」

「「わぁぉ」」

 

まぁ事をおっ始めてるから声とか漏れてるんだよね……お隣である二人には悪いけど黙認してもらう。

 

「まぁ今回ばかりは許して、あのバカ兄の妹として代わりに謝ります……」

「いえ、あの二人はもういつくっついてもおかしくないと思ってましたので……」

「そだねー……悪い人じゃないしSAAも幸せにしてもらえそうだもんねー」

 

ただまぁ……SAAはかなり敏感らしい、出てきたヘロヘロな兄さんがそう語った。




需要があればSAAの初夜っつーかなんつーか
甘々エッチがみたいなら書くぞ


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Day177 あるく砂糖製造機

ドルフロ二次でも屈指の砂糖量産機になってもらうぞ


何時にも増してここD08基地には甘ったるい空気が流れてる。

そりゃそうだ、ここに来てねぇ……あんなカップルが出来上がってると……

 

「ねぇねぇ、ウィル♪」

「ん?」

「えへーなんでもないです♪」

「そうか……」

 

クール気取ってる兄さんとそのとなりでメッチャクチャでれーってしてるSAAのコンビだよ。

SAAはこう、ちょこちょこついて行ってたまーに構ってしてからにまーってしてるの。

雀みたいにちょこちょこしているんだよ?それでたま~にあんな風に構ってしてから……

 

「はぁーあの妹なに、萌え殺す気?」

「よく見なさい、ウィルバーのヤツもさり気なく肩に手を回してるわ」

「はぁー?」

 

付き合いたての私とダーリンもあんな風だったらしいけど端から見たらやべーわ。

口の中がじゃりじゃりする感じがしてたまんないわ。

兄さんも兄さんで……SAAにメッチャクチャデレッデレじゃないの。

あんなキザったいことするようなキャラじゃなかっただろお前よぉ!!

 

「今日の朝は……」

「じゃん、私お手製のピザトースト!」

「お、美味そう……ん」

「んー♪」

 

朝から共有スペースでなにをおっ始めてるか?そりゃお前……

皆が見てる中お構いなしにマウストゥマウスでの食べさせ合いっこ……

 

「ん、んががががががが……」

「落ち着きなさい417、急性ダーリン欠乏症こじらせてもダーリンは来てくれ」

「417ァ!!」

「ダーリン、私にも口移しを」

「ダーリン、べろちゅー!べろちゅーをようきゅうするぅー!!」

 

もう朝からドッタンバッタンとしているけどこれでも基地の機能は一切落ちちゃいない。

そんな事より私もお姉ちゃんもFALも飛び出してきてダーリンの奪い合いに発展。

その間にSAAは兄さんの腕の中にすっぽり収まって幸せそうににっこにっこしてた。

 

 

――――――――――――

 

 

「で、初夜はどうだったの、兄さん?」

「うっせぇ」

「ほれほれそこは経験豊富な妹にいってみ~?」

「よく言うぜ、何時も指揮官に鳴かされてるクセに」

「んだと?鳴かされてるだけじゃないし、種付けされてトロ顔ダブルピースまでキメてるから」

「余計だめじゃねーか」

 

兄さんはどうにも変化が乏しい、いちゃつく時はめちゃくちゃいちゃつくけど……

SAAが居ない時は全然至って前と代わりはしない。

そ~言う所でノロケてやるのが良いんでしょ?ほらほらもっと甘いの出せよ。

 

「まー……その、三次元も捨てたもんじゃないわ」

「おまけにSAAは合法ロリな上に……」

「永遠のロリと来たもんだ」

「YesロリータYouタッチ」

 

そこでドヤ顔でコロンビアしてんじゃねーよ、蹴るぞ。

 

「でも本当SAAが兄さんに惚れちゃうなんてねー?」

「んだよ」

「いやーべっつにぃー?」

 

言っちゃあなんだけどコイツ十数年来のヒキニートしてたコミュ障な上にビビり。

正直あのSAAのズボラというか……ザルとも言えるあの当たりの良さが無かったら話にもならなかったと思う。

コーラから始まってここ一ヶ月位ずーっと一緒に行動してたし……

この兄さんにして楽しそうに誰かと行動してたのって妹としても初めて見たしなぁ……

 

「まぁ、幸せになってよ」

「へっ……お前に言われたくはねぇ」

「なんだよー……妹として祝おうかと思ったのに」

「それよりシェリーのコーラをな」

「へぇ、シェリーなんて名前をあげたんだ?」

「……これも注文されてたし、外堀埋められたんだよ」

「うっわ、SAAやるぅ」

 

シェリーという名前を貰ったSAAは今元気に射撃訓練場でクイックドロウをやってるけど……

兄さんが左薬指を見せればそこに光ってるのはシルバーリング。

大きな買い物した!なんて騒いでたような気がするけどまさかの行動力。

 

「そうだ、兄さん……暇でしょ」

「あ?まぁメンテナンスの実務勉強は暫く先だな」

「SAAのクイックドロウ見に行こうぜ」

「お、良いなお前にしてはナイスな提案だな」

「褒めるが良い、お兄ちゃん♪」

「うぇ、キモ」

「はっ倒すぞ!!」

 

 

――――――――――――

 

 

射撃訓練場に入るなりSAAが超即反応ですっ飛んできた。

その上私の匂いがするのが気に入らないのかひたすら身体を擦り付けて……

その活発な格好で身体をこすりこすりしたらまぁ……D仕様とも言えるおっぱいが兄さんの下腹部に押し付けられる。

兄さんこれに硬直、まぁその手のことは同人誌とエロゲでしか学んでなかった童貞だったからな!

シェリーはこれに全く気づいた様子なくひたすらスリスリ……あ、兄さんが動いた。

 

「シェリー」

「なんですかーウィル♪」

「そういうのは、部屋でやろう、な?」

「えー」

「頼む」

「じゃあキスしてくれたら良いです!」

 

おうおう、見せつけてくれる……今朝のダーリン成分補給してなかったら発狂してたわ。

しかしまぁ……そういえばS09基地のSAAはかなりストイックって聞いたなぁ。

こっちのシェリーを見たら何ていうんだろうか。

おっぱいにデカイカウンターウェイト乗っけてるし何か言いそうな気がする。

なんて思ってる間にキスして満足したのかシェリーはまた射撃に戻る。

元々設定されている右腕メインでの射撃だけど……

クイックドロウに関しては完全に趣味の世界でやっているから精度は己で磨くしか無い。

一般的なクイックドロウから比べたらかなり精度は良いんだけど……

 

「うーん……やっぱりワンホールは難しいですねー」

「そうか?俺から見たら全然良さそうに見えるが……」

「全然ですよー!火力の底上げにワンホールショットで点攻撃しないといけないのに!」

「そうか?」

「そうですよー!」

「でもシェリーはまだまだ成長余地あるんだろ?」

「そうですけどー……このおっぱいとかがぶるんぶるん揺れてずれちゃうんですねー」

「……もっと大きくするから覚悟しろ」

 

あ、兄さんの目の色が変わった、手の動きがいやらしいな。

 

「お楽しみするのは良いけど汚したらお掃除してよねー?」

「え?え?」

「フーッ!フーッ!」

「うぃ、ウィル?おちつい」

「シェリーが悪いんだからな!!!!」

「ひょあああああああああああ!!!!」

 

 

――――――――――――

 

 

「なるほど、だから今日はカフェでブラックコーヒーを頼む方が多かったのですね」

「そうそう」

「皆さん見せつけるのは慣れてますけど見せつけられるのは慣れてませんからね」

 

射撃訓練場を一時的に締め切ってから離れた先はカフェだ。

コーヒーの芳しい香りであの甘ったるい空気感を払拭しようとしたんだ。

するとまぁ転がってるわ転がってるわあの甘ったるさに当てられた人形の屍よ。

 

「うぇぇ~まだじゃりじゃりするんだけどー……」

「諜報活動してたからまだ軽症だけど、あれは凄いわね」

「あのコーラ第一っ子が……世の中わかんないですねー」

「そうですね……ってBARちゃんが言えたことですか?」

「ばーちゃん呼びしないでくださいよぉ!」

 

カウンター席に突っ伏してるバルソクと帽子枕にしてから物思いに耽るマカロフ。

その向こう側でおっぱいをカウンターに乗っけながらコーヒーすすってるM1918とM1ガーランド

カウンター席はまだマシな方で……テーブル席は本当に死屍累々。

特に朝っぱらからほぼ直撃しっぱなしだったG36Cとスコーピオンが……

 

「うふふふふふふ……ねえさんねえさんだーりんだーりんねえさんねえさん」

「……うえぇぇ……」

 

G36Cは完全にラリってるしスコーピオンはどうにもダクソトロコンRTAしてたらしく……

その途中でアレが隣で爆心地化したから途中で集中力が折れて乙ったらしい。

しかも最後の大詰め、大詰めも大詰め、記録更新が狙える大一番だったんだって。

暫くRTAなんてしないって泣き言をぼやいてからあれだからなぁ……

 

「それで、417さんは?」

「タピオカミルクティー」

「あら、ずいぶんと甘くて……懐かしいものを」

「懐かしいの?」

「昔こういう……おっぱいに載せてから手放しで飲むなんていうチャレンジが流行ったそうです」

「ふーん……余裕だね」

「まぁこの基地の方なら誰でも簡単かと思いますね」

「そうだねー……ヴィオラとか3つは載せれるんじゃない?」

 

甘ったるいミルクティーとコリコリな食感を楽しみながら……

今日は絶対にダーリンと寝てやると執念を燃やすこととなった。

 

なお全員おっぱいでノックダウンさせられたんだけどね。




そう言えばちらっと見た時なんですけどね。

MSFの御大将がお気に入り登録してて戦慄したんですが。
こんな作品登録してて良いのかよぉ!


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Day178 熱中注意

熱中症はマジ気をつけてね


暑い日に冷房というものは付き物だろう。

ここD08地区も北半球に位置していて暦上の6~8月などは猛暑と化す。

日差しは何時の時代も変わらず暑さを届けている。

ちょっと離れたS09地区なんかも多分今頃茹だるような暑さになっているだろう。

当然ながらそんな暑さの中でも快適に過ごせるようにとエアコンと言う物は設置されている。

そう、設置されているんだ……一部区間だけね。

 

「だからって司令室のがぶっ壊れるなんてねぇ……」

「あぢぃ……」

 

因みにお外はこの時期からよく降り出す……大雨です。

その為室内はムシムシと湿度が高くなっていって酷い暑さとなる。

ダーリンのパパの故郷であるヤーパンはすごくこういう蒸し暑い夏らしい。

一部地域では最高気温40度を記録するような過酷な島国だとか聞いたことがある。

まぁ今は29度だけど体感気温としては30度を上回っているだろうね。

肌にべったりとつくような感覚があるもんこれは結構辛いね。

宿舎のエアコンや食堂のエアコンは別で無事なんだけど……司令室のエアコンがぶっ壊れた。

ダーリンのお部屋のエアコンも無事に死亡していて今朝からダウンしていた。

熱中症なんかにはなってないみたいだけどかなり参ってるね。

今ドリーマーや前線整備担当の人形が修理にお外で作業中。

当然雨濡れになるからって事で制服で飛び出ちゃいない。何で飛び出たって?

そりゃお前……決まってるじゃん、アレですよ……水着で飛び出していったんだ。

それぞれ自分のおっぱいがでっかくなってるのでもちろんI.O.Pからの支給品があったり。

デザインの些細な差はあったりなかったりだけどカラーリングが個性溢れてるんだよね。

 

「はい、ダーリン……つめたいミルクだよ?」

「うがぁ……」

「んもー……こりゃ重症だな」

 

エアコンが直るまでこれはダーリンがまったく使い物にならなそう……

というかちょっと様子が変に思える……顔を覗き込んで手でペタペタと触る。

 

「……ねぇダーリン、熱中症になってない?」

「……え?」

「ちょっと今日は休みね、はい……奥さん命令です」

 

こりゃマズイ、熱中症の疑いが出てる。反応がちょっと怪しい。

ファイヤーマンズキャリーしてもいいけど赤ちゃんに負担がかかるのでNG……

普通に肩を貸してから立たせるけど……うん、やっぱりやられてるっぽい。

 

 

――――――――――――

 

 

「……初期症状ですから少し休めばよろしいですわね」

「情けねぇ……」

「良いですこと、本日はもうしっかりとお休みなさってくださいまし」

「しきかーん、暇でしょ、ゲーム持ってきたよー!」

 

指示を飛ばしてから医療チームが駆けつけた。一番真っ先にやってきたのはカラビーナだった。

その次はK5、今はお料理に席を外してる。トカレフも心配そうだけど……

熱中症の対策喚起の為に各方面に通達しに行ってるから暫く帰ってこないな。

初期症状で済んだから良かったけど熱中症って何人も死者が出てるから……

 

「417、今回は良い判断でした……」

「まぁ、ダーリンの事となれば……ね」

「毎晩の事が体力低下に繋がっていたのかもしれませんわね……」

「……自分のことを後回しにして無茶をするのがダーリンらしいというか」

「そうですわね……」

 

医務室は空調完備されている、動物から人間までなんでもござれがI.O.Pの謳い文句だ。

ダーリンのベッド周辺は風量が調整されていてかなり低い温度になってる。

 

「冷たくさっぱりと……ということで素麺を提供してもらいました」

「ん……K5、その林檎こっちにパスー」

 

K5がこれまたダーリン特攻に近い素麺を茹でてきたみたいだ。

ちゃんとカツオ出汁の物を添えているからだるいだろうダーリンもツルッと行きそうだ。

そしてその手にあったのは最近仕入れた貴重な天然物の林檎だ。

もちろんながら栽培計画が立てられている。まぁ植樹になるから何年かかるか……

ドリーマーには秘策と言うか……考えがあるらしいけど結局それも実験待ち。

林檎は皮つきのまま食べても良いらしいけど……まぁここは腕の見せ所。

ヘタの方からナイフを入れていってスルスルと林檎を回転させて皮むきです。

 

「んー……」

「あ、ダーリン……もう少し待ってね、リンゴ剥くから」

「417ぁ……」

「なになに、なにかして欲しいの?」

「……おっぱいアイスアイマスク……してくれ」

「……しょうが無いなぁ」

 

RFBがふんふん鼻を鳴らしながら脱ぎかかってたのでK5が止めていた。

さてと、濡れタオルでいっぱい冷やさなくちゃ……

 

 

――――――――――――

 

 

ダーリンが熱中症でぶっ倒れた事は基地に知れ渡るのはそう時間がかからなかった。

全員それぞれ時間をずらして面会していた……中には医務室内でおっぱじめようとしたバカが居た。

 

「反省は?」

「弱ってるダーリンが美味しそうで……つい」

「殺すぞ」

 

何を隠そうすぐに惚れさせる自信がある女こと……Five-seveNだ。

弱ったダーリンを見て本能が刺激されたらしく襲いかかろうとした。

もちろんその場でトカレフによってねじ伏せられPPKがどっからか出てきて縛り上げていた。

トカレフがかなりの手練だった。どこの特殊部隊に居たんだか……ってレベル。

で、今は私の目の前、発情ウサギなんて看板を首から提げた状態で正座である。

 

「私だって正直に言えばずっと傍に居て手をぎゅっと握っていたいしキスとかだってね?」

「おっぱいアイマスクなんてしたのに?」

「……あれはノーカン、ダーリンからのご要望だもん」

「私だってしたいわよ!」

「SuperShorty!!容疑者は反省の色なし!しょっぴけぇ!!」

「え、ちょ……」

「触手餌やりの刑ね」

「いやー!あれに絡まれるのは流石にいやー!!」

 

慣れればそうでもないのにね、まぁ普通にお仕置きだからコレで良いんだ。

SuperShortyが駆けつけてから手錠した後引っ張っていった。

しばらく触手君のご機嫌も良いだろうね、さてさて……

今面談してるのはAR小隊のダミー達、SOPがかなりグイグイとスキンシップしてるな。

M4も結構控えめだけどアピールしてるし……これまた育ってるおっぱいをしれっとアピールしてる。

M16は……あぁあのビンはジャックダニエルだな、酒でなんとかしろってか?

AR15は静かにそんなみんなを見ている……かと思ったらダーリンの手を握っておっぱい鷲掴みにさせてるぅ。

ROはもう傍でダーリンの頭を撫でてるけど……あの構えは……

おっぱい枕を何時でも提供しようとしてるな?隙あらば添い寝しようとしている……?

 

「SOP~あんまりダーリンに迷惑かけるんだったらFive-seveNと同じで引っ張り出すぞー?」

「えぇ~指揮官と遊んじゃだめなのー?」

「だめに決まってます」

「ダメよ、安静にしてもらわなくちゃ……」

 

M4がいい感じにブレーキをかけてくれるから安心してはいられるんだけどね。

 

 

――――――――――――

 

 

最後になったのはSAAと兄さんの夫婦だね。落ち着いてからが良いとの事だったからね。

 

「お義兄さんは?」

「ん……兄さん、今は寝てると思うよ」

「お義姉ちゃんはずっと傍にいたんですか?」

「私?……というかお義姉ちゃんはやめてって、シェリー?」

「えへへ、ついつい……」

 

道中ずっとべったりだったんだろう、兄さんの頬が微妙ににやけてる。

私はまぁいつでも手伝えるようにって事と各部との連絡を取り持つ司令塔だった。

あとダーリンの様子を定期的に見てから連絡を上げたり……

目が覚めた後ダーリンが高確率で私を呼ぶから待機しているってのもあるけどね。

 

「面会するならどうぞ……ってシェリー!?」

「417もいっしょに、ね!」

 

まぁ普通にダーリンはこのシェリーの乱入で起きたっぽい。

私の方もみて嬉しそうに笑ってこう、私に向かって腕を広げて……

 

「417、抱き締めさせろ……」

「あーもう、あーもう!」

「指揮官……もとい、お義兄さん!」

「調子はどうっすか、お義兄さん」

 

もう知ったことか知らねぇ知らねぇ!もう私はこのままダーリンとおねんねしちゃうもん!

シェリーに見せつけてやるんだもん、私がどれだけダーリン好きなのか

あぇ?私の方見て二人揃ってなにニヤついて……

 

「んぇ?あ、みゅ……ぁ……」

「わー……」

「おー……」

 

ダーリンの方からもうそれはそれは情熱的なディープキスが飛んできた。

さらにはシェリーに見せつけるように私のお洋服を脱がせてから……

そのまま首元とかおっぱいのちょっと上あたりにキスマークをくっつけてきて……

 

「無理は出来ねぇけど……今日はしっかりお前を……」

「はひ……」

「ねぇウィルもああいうのしたい?」

「……正直」

「じゃあ決まりだね♪」

 

この日奇しくもこの基地で出来上がってるカップルがそれぞれ……見せ合うようにキスマークを刻みあったとか……




首元にするキスって良いよね。
キスマークがちょっと見えるのとか良いよね。


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Day179 ロマン骨格

外骨格って多分販売されてると思うけどリーズナブルとは言えないと思うんだ。


ロボットアニメというのをご存知かな?

私も兄さんもダーリンも大好きっていうか夢中になって見れる物だ。

大体は近未来的な世界で繰り広げられるんだ。それこそ第三次世界大戦が起きなかったら……

もしかしたらあり得たかもしれない。一部ではあるが実現しているものもある。

私も好きでやってるゲームに登場したりするウォーカーギアってのがある。

それに近いものは鉄血がドラグーンの騎乗兵器として世に送り出している。

まぁウチのドラグーンが主に騎乗しているのは……言うべきか言わないべきか……

じゃあ何でこんなお話をしているかって言ったら……そうだね……

 

「ドリーマー?」

「かっこいいでしょ」

「いや、そうじゃなくて……」

 

眼の前のドリーマーがこれまたドヤ顔で外骨格をくっつけてるんだけど……

その外骨格のデザインとかがまんまそれをオマージュしてるっていうか……

昔は大衆向けの玩具として存在していたプラモデル文化にあった……ミキシングっていうの。

アレに近い物を外骨格としてやってるんだよ。このドリーマー!

スケベできるようにと胴体部分はドリーマーの身体が出てるんだよね。

因みに選択性で普通に外骨格の装甲を取り付けることが出来るみたいだ。

そこまで取り付けると曰く……美しい体が見せられないじゃない、そんなのナンセンスってさ。

商品化も検討していてブーストダッシュなども出来る陸戦オンリーに限定されるけど……

重装甲+高機動も確保しているっていうかなり高性能。

ローラーなどではなく反重力ユニットで軽くホバーに近いのかもね。

さっきからスィーっと滑っていってるんだもん。しかしリアのメインスラスターがX字ってかっこいいね。

あれは何だっけ、GXかそれてもX1なんだろうか……いや、あれはリフレクターだからGXか。

 

「しかしドリーマー、そんなの見てたの?」

「デストロイヤーとシェリーだったかしら、あの子が見てたのよ」

「あぁ、なるほどね……」

 

感染元はあのちびっこ二人って訳か。兄さんとかじゃなくて普通にあの二人か……

デストロイヤーが見ていたロボットアニメってなんだろう?

逆に私が気になっちゃう、まぁシェリーが見てるってことはそんなにヘビーなのは……

いや、ロボットアニメって大体重い話がちょくちょく混ざっちゃうヤツぅ!

特にヴィオラに見せられないのはアレな描写が入るUCとかか……

登場人物の一人が娼館出身でアレされてる経歴持ちだった気がするから……

 

「で、それは試作品?」

「もちろんよ、私専用に誂えてるんだもの」

「へぇ、じゃあこのスイッチは?」

「あぁそのスイッチは搾乳スイッチで……って押した!?」

「あ、うん……」

「あ"ッ」

 

 

――――――――――――

 

 

いろいろと酷い絵面になったぞ……私は悪くないんだけど?

ドリーマーは何を思ってあんなドスケベ外骨格を作ったのか……

 

「開発目的は単純に売れそうな商品を一つ作っておこうってのと……」

「先日の外部作業で自分の身長が足りずに苦労した点から」

 

というのは同じく昨日の雨の中外部作業していたSVDとPK

中々身長があるからドリーマー以外はそんなに苦労しなかったみたいだ。

だけど統括というか一番技量があるドリーマーが一番ハード的な所で苦労した。

タボールに抱っこされて作業するのが屈辱だったらしい。

で、外骨格と言うなのマジックブーツを作ろうとした所アイデアを求めていろいろしてた時にふと見えたらしい。

じゃあ試作型は自分専用にしてしまってからあれこれくっつけてしまえってやったみたいだ。

 

「で、なんであんな夜のお遊び用のを……」

「さぁな、私にはアレの考えなんて理解できん」

「同じく、指揮官が喜ぶとでも思ったんじゃないかしら」

「そうか……あっ」

「「ん?」」

「後ろ後ろー……」

「「アッ」」

 

ちょいちょい……と指差すと背後にはすごくいい笑顔を浮かべている……

件のドリーマーが外骨格のアームでがっちりとSVDとPKを掴んで……

 

「まて、ドリーマー、話し合おうじゃないか」

「お前らも丁度溜まってきてるんじゃない?ちょっと搾っていきましょうよ……ねぇ?」

「その必要は……まて、クソッなんて馬鹿力……!」

「PKテメェはその牛みたいなデカ乳からもうコレ以上出ないくらいに搾ってやるから覚悟しろよなァ?」

「ヒエッ」

 

あーあ、ズルズルと引っ張られていくよ……哀れSVDとPK……

ああいうののテストって結構な時間拘束されるし……となると今日の夕方まで戻ってこないな。

ついでにドリーマーも律儀というか……自分の身体でも実験するから……

取り敢えず全員に周知するのは暫くドリーマーのアトリエに近寄らないようにってことかな。

 

「あら、ベイビーたち……ちょうどいいわね、ママのおっぱいがいっぱい飲めるわよ?」

「「「わーい」」」

 

ベイビーたちのご飯がいっぱい採れるだろうからみんな呼んでるな……

まぁつまりはそういう事だよね、あー良かった私もしょっぴかれてたら……

 

「まま、おっぱい」

「あぁはいはい……ドリーマーママの方には行かないの?」

「ままのがいいの」

 

あぁ私は結局一人は受け持つのね、くそぅ……あ、でもここで外骨格で抱っこ専用のとかあったら……

 

 

――――――――――――

 

 

結局ドリーマーの計画書を見てみると商品としてラインナップに挙げようとしている物は……

この前試作していた反重力車椅子、今回作成した外骨格を出すみたいだ。

外骨格はこれまた意外なのが民間向けにしているんだ。

人間の使用を主とした使用に落ち着けられていてその用途は農業、土木工事等のアシストだ。

民間向けということもあって主たる部品は手足に集中して背中にあたる部分だけがパワーパックとなる。

装甲などもない、腕部には各種ツールやサブアーム等を格納。

脚部は簡易反重力ユニットとヒール部分に仕込まれているローラーで可動する。

無論しっかりと歩くことも可能で転倒時の復帰もかなりスムーズだ。

値段設定もかなり低めでシビリアンエディションって銘打って頑張れば買える値段だ。

浮浪者には手が出せないけど一般人でもそれこそ車を持つ感覚で買える。

人形一体を買い取るよりは全然安上がりである。

 

「こういう商品化って絶対アレだよな」

「アーキテクトへの対抗心だよね」

「開発戦争に飽き足らず今度は商品としても売り出すつもりかよ……」

「まぁ開発元は伏せてるみたいだからそれこそアーキテクトに見られてようやく気づかれる感じじゃない?」

「いや、計画書では開発元がウチってなってるからS09地区の連中は十中八九感づくぞ」

 

因みに私には普通に抱っこアタッチメントが支給されました。

これがくっそ簡易的な外骨格で……45姉の脚部にくっついているのとおんなじような……

ペラ板とモーターを組み合わせたような骨格で足と腰をバイパスして……そこから支持腕を出している。

抱っこするのはもちろんの事だが……ベイビーです。

ゆくゆくは私が産んだ子供をこれに座らせて何時でもどこでも授乳とかも出来るってするんだ。

量産出来るようにってかなり簡略化されてるけど普通に便利。

 

「おいしい?」

「うん!」

「そっかー良かった良かった……ふふ♪」

 

二人並んで抱っこ出来るし両手がフリーになるからめっちゃ良い。

副官業務とか家事とかしながらもしっかりと授乳できるんだもん。

人間が使用するとやっぱりちょっと重たかったりするらしいけど……

私達人形だしその辺の負担はかなり軽いから全然平気でございます。

 

「あ、ダーリン用に完全戦闘用の外骨格も作るって」

「えぇ……俺そんなのいらねぇ……」

「私は元からかっこいいダーリンが前線で大活躍する所、みてみたいなー?」

「よし、やるか」

 

前線デートなんてのも出来る日が近いかも。

完全に安全なんてのは無いけど外骨格をつけてたら安全性っていうのは格別に違う。

 

 

――――――――――――

 

 

「完全にガンダムだなこりゃ」

「正規軍の装備に近いね」

「このブースターとか本物なのか?」

「仕様書を見る限りは……本物だって」

 

一部外骨格が出来上がっていて仕様書が上がっていた。

これまたゴッツイのゴッツイの……かなり大容量のブースターが背中にくっついてるし……

脚部には鉄血お得意の光学兵器の高出力型のが二門。

背中のブースターの上には狙撃用のだろう折りたたみ式の大型のビームキャノン。

近接用にと右腕に物理ブレードを装備していて遠近共に戦える仕様にする予定らしい。

分かる人に説明すると……ユニコーンライクな展開式のアーマーヘッド。

胴体はνガンチックに仕上げられ両腕、両足はZZっぽい。

腰アーマーにはV2アサルト、背中がEx-Sって感じだよ。いやホントこれ……

 

「誰がここまでの武装を必要としたって言ってんだよ……」

「まぁでもいつここだって襲われるかわからないし……」

「転ばぬ先の杖ってやつかねぇ……」

「簡易量産型は各職員用にまた作るみたい、こっちは完全な防御型みたい」

「リアクティブアーマーと複合装甲でガッチガチに固めてんな……正直俺はこっちが」

「ダーリンはかっこいいのを纏ってどっしりとボスみたいにしてて!」

「へいへい……」

「私は、かっこいいダーリンを見て、もっともーっと惚れちゃいたいの!もうベッタベタのべた惚れなんですけど!!」

「……はぁー」

 

むっぎゅーっとこれまたダーリンが抱きしめてくれる、はぁ……ダーリンのいい匂い。

思わずダーリンの胸板に頭をすりすりしちゃう、皆の匂いが混じってるけど……

私の匂いでちょっと上書きしちゃって……この瞬間だけでも私だけの……

 

「今ならベイビーの要求も無いだろ?」

「ん、さっきお腹いっぱいになったしおっぱいで遊んで満足したっぽいし……」

「じゃあ暫く俺が……」

「え、あ……うん、いい……よ?」

 

昼休憩の間ちょっとダーリンとのお楽しみをして暫く身体がぽかぽかしてた。

うーん……そのうちダーリンの匂いを嗅ぐだけで発情しちゃうようになっちゃったりしないかなぁ?

私も結構サキュバスなんて言われてるし自制しないとなぁ……




で、出来上がったのがドリーマー製の外骨格

アンツギア・シビリアンエディション

まぁ所謂パワーローダーですね。一人フォークリフトみたいなのが出来ますよ。
ご注文はS09のスチェッキンの屋台経由でどうぞ。
ぶっちゃけ外への流通手段が無かったり(


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Day180 子供スキン

ロリスキンにやられた


「うーん……」

「おはよう……辛そうだな、417」

「ダーリン……お腹がおもぉぃ……」

 

今日の私はもう朝からだるーんとしていた。そりゃもうお腹がクソがつくほど重い。

赤ちゃんもすくすくと育っているようでお腹が無視できない位に大きく膨らんできた。

因みにお姉ちゃん達も膨らみが確認できるし……

あとイサカのお腹もかなり出っ張ってた。とてもうれしそうに撫でてた。

しかし私とヴィオラはもうかなり出っ張ってきていて中々つらい……

世の中のママはこれを体験してたんだって思うとそりゃ強いわって思うね。

正直甘く見てた、この重さは人形でも中々くるものがある……

 

「おっぶ……」

「どうした」

「赤ちゃんの迫真のキック……」

「安定期に入ってからちょっとづつヤッてたし……それに対する抗議かもな」

「そんなぁ……」

 

ゴム有りって事が絶対条件になったけど私もヴィオラもお許しが出たの。

ついでに言えば安定期に入った後は体調を崩さない程度になら前と変わらないようにしても良い。

まぁお腹に負担がかかるようなことはそもそもだけど私達おっぱいデカイ組は出来ないし。

絶対に胸が潰れて苦しいってなったりするから自然と避けちゃうんだよね。

I.O.Pからの回答も帰ってきていて今の所着床後の流産確率は低く……

人工子宮でも順調に生育していることが確認されている。

外的な刺激を与えた際のデータも取っているがこれもまた問題はない。

ただしながら絶対にしないだろうと思われるが……後期に入れば止めろって。

そもそもそんな時に入ったらまともに動くのも一苦労になりそうだ。

 

「ふげぇ……でも元気にダーリンの子供が育ってきてくれてて私は嬉しいな」

「その、側にいてやるくらいしか出来ないが……頑張って俺の子供を産んでくれ」

「……えへへ、そりゃもちろんだよ。ね、ヴィオラ?」

「……気づいていたか」

 

ヴィオラもちょっと前に目が覚めてる気配がしていた。

私もヴィオラもやんわり優しく抱いてもらってたから幸せいっぱいで眠ってたし……

私より先に抱いてもらって優しく寝かしつけてもらったんだからそりゃね?

ほんのり赤い顔で寝返りをうったヴィオラ。うーん、この幸せいっぱいの顔。

 

「私も苦しいが、これは幸せの苦しみだ……主人との愛の結晶を産み落とす……なんと胸が弾む事か」

「今日はどうしよっか……スタジオで音楽してる?」

「む……それもいいな」

「じゃあ416たちにも伝えて……後で俺も行くから聞かせてくれよ」

 

 

――――――――――――

 

 

「まさか安定期に入った段階で音楽をとは……」

「完璧な育児には必要不可欠ね」

「ダーリン!ダーリンとダーリンのベビーの為にやるわよぉー!」

「わかったわかった、まだ頭がガンガンするんだちょっと声をおさえてくれ」

 

イサカ、主任夫婦は比較的暇って言うのもあって揃ってスタジオに来ていた。

なお私とヴィオラ以外は殆どズブの素人です。楽器ばっかりは豊富に揃ってるんだよね。

と言っても流石に10人近くの楽器は揃えられちゃいない。

練習がてらだから結局奏でるのは……みんな知ってる曲で、コード進行が緩いやつ。

まぁぶっちゃけ私達で奏でる必要性はあんまりないけどね。

普通に兵舎でのんびりしながらレコードを聞いてっていうのも優雅だと思う。

 

「じゃ、軽く……カントリー・ロード」

「あぁ、今はないアメリカの……」

「ダーリン、あとでおっぱいで窒息刑ね♪」

 

主任がぽろっと言ったけど……太平洋と呼ばれた海は今やE.L.I.Dばかりの大汚染海だ。

無事な大地は数少なく嘗ての大国であったアメリカ合衆国は荒廃しつくし……

その対となるロシア連邦も大打撃、その煽りを受けてアジア圏も……

ダーリンのパパの故郷、ヤーパンも漏れなく滅んでしまっている。

もう気にする人は少ないけどそれでもデリケートな事だから言ったら何かしらペナがある。

イサカの場合は……罰というよりご褒美だよね。

 

「くっつきたいだけじゃない?」

「あら、バレちゃった?」

「じゃあもう主任と抱き合ってチュッチュしながら聞いてなよ」

「そうさせてもらうわぁ、ダーリィン♪」

 

有無を言わさずむぎゅっと抱きしめよったよ……

流石というべきか、イサカの恵体が更にダイナマイトと化したら……

主任のお顔がすっぽりとイサカのおっぱいの谷間に吸い込まれている。

 

「私だって……頑張らなくてもダーリンの顔くらい」

「Uziは何だかんだヘタレちゃって襲われてばっかだもんね」

「う、うっさい!WAだってそうでしょ?」

「何でそこで私に振るのよ!」

「ふふ、この喧騒も赤ちゃんにはいい刺激……なのかもしれませんね」

 

私のソロカントリー・ロードとなってしまったよ。お前ら、歌えよ。

 

 

――――――――――――

 

 

結局あの後はそれぞれ練習してからそれぞれ好きな音楽を耳コピで頑張って弾いた。

それぞれ好きな楽器ってのが別れてね……それぞれの音楽を聞いてからセッションしたりした。

私はアコースティックギターとエレキギター。ヴィオラはまんまビオラ。

FALがヴァイオリン、お姉ちゃんはベース、わーちゃんがピアノ。

スプリングフィールドがハープ、Uziはドラム、Mk23がエレクトーン。

G36Cとイサカが完全に歌唱担当。いい声で歌っていたんだ。

 

「で、このダミーは?」

「トライアル中の子供スキン」

「だっこ」

「このまま私の子供にしようかと思うの、どうかしら?」

「いや、それは……」

「因みにUMP姉妹にも適応されてるわ」

 

いや、これはどうなんだろう?確かに子供でめちゃくちゃ可愛いけど……

というか普通に素直に抱っこなんて言うんだね……可愛い……

これが私というエラーロットにならなかった場合……かぁ……

 

「で、こっちがD仕様ね」

「おもい……やだ……」

「……でも私より身長はあるんだね」

「そうね」

「いもうと」

「やーめろぉお前……」

「いいこいいこ、えへ……」

 

この子供スキンにあわせてかダミーのAIも幼くなってるみたいだ。

つまり本体が適応した場合は……まぁ今は適応なんて出来ないけどね。

私という身長も低い妹枠が居るのでめっちゃくちゃ愛でまくるの。

もう私の頭がぐっちゃぐちゃにされちゃって……んもぉ……

 

「因みにダーリンのことは?」

「「大好きなぱぱ」」

「ね、完璧な私達の子供よ」

 

外堀も完全に埋めたなこりゃ。

 

 

――――――――――――

 

 

「で、私達のダミーにもね……」

「可愛いね!」

「「おもい、たゆんたゆん」」

「……おやつ」

「わんちゃーん!わーんわーん!!」

 

宿舎の方に行くとまぁUMP姉妹……45姉と9姉の子供がそこにいた。

いやまぁこれまた可愛らしい子供で……D仕様な方はおっぱいを自ら弄って遊んでるし。

45姉の子供は……おやつとかがほしいのかずっと指を咥えてる。

で、9姉の子供は子犬と戯れていてさっきからゴロンゴロンと……

 

「ちっちゃいまま!」

「ままだー!」

「「いぎゃー!!」」

 

子供が子供に吸い付かれているこの……まぁD仕様だからしょうが無いか……

ベイビー達はミルクの匂いにつられてやってくる……そこに大きい小さいは関係ない。

 

「そういや45姉と9姉は結婚指輪貰ってないよね」

「ん、そうね」

「そうだねー、もう家族って感じだし!」

「愛してるってより好きな感じなのかな?」

「……正直わからないの」

「私は45姉に合わせるだけだよー」

 

45姉はちょっと……臆病なのかもしれない。

自分の気持というのに結局は踏ん切りがつかないから現状維持を選択しているのかも。

 

「そういうのも有りだと思う」

 

付き合い方なんて人それぞれの距離感がある。

それを押し付ける事はしちゃいけない……争いの元になりかねん。

 

「あ、でも取り敢えず面白そうだからおままごとはしよっかな」

「賛成!」

「おう、待てや」




どうでもいいけど価値観の押し付けはマジで争いの元な


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Day181 所詮世の中異常だらけ

そもそも正常なんて尺度は誰が保証する?


「何これ?」

「対戦車兵器だな」

「カール・グスタフとは……」

 

厳重に梱包された物が朝に届いたかと思えば……中身が超危険だった。

よくテロリストが使う使い古された単発装填の対戦車兵器を思い浮かべてみよう。

ロケットランチャーの代名詞とも言えるRPG-7を思い浮かべるだろう。

じゃあコイツはなんだ?無反動砲って言う分類の対戦車砲なんだけど……

 

「これ、簡易的な電磁加速器付きね、所謂レールキャノン」

 

普通の無反動砲って言ったら装填している弾頭に込められた燃料によるブーストですっ飛んでいく。

所謂ロケット砲ってやつね、ヤーパン風に言ったら噴進式だっけか?

残念ながら込める弾は安価な物が多く誘導などは特にない。

本当に真っすぐ進んで爆発するロケットをぶっ放すものだ。

無反動砲とは名乗っているけどやっぱりいくらかの反動は来る。

そもそも重たくて担ぐのに一苦労するって人も居るだろう。

で、この送りつけられたものだけど……これはそれに何をトチ狂ったか電磁加速を加えた。

 

「人間じゃとてもじゃないけど担げないんじゃないかしらね?」

「電磁加速を用いる発想は狂ってるし……そもそも携行武器にレールガンって」

「正直重たくなりすぎて携行には不向きね」

「携行する弾頭各種に電磁加速用の高出力バッテリー……」

「それこそアンツギアが必要ね、システム全体でどれだけ重量いくのかしらねぇ?」

「そもそも戦車戦でこれを引っ張り出す可能性よりも……」

「普通にType10を引っ張り出したほうが安全かもしれないわね」

 

対戦車兵器が有効的な場面というのはかなり限られてくる。

現代において全く出番がないって訳じゃない。

E.L.I.D等のコーラップス汚染体と戦闘する際の初期対応として用いる。

撃ち合いに発展する汚染体も確認されているらしく……手っ取り早い排除はこれに限る。

あと私が懸念するのは余りの初速の速さに信管が誤作動を起こして自爆しないか。

 

「技術的には面白いから私預かりで良いかしらぁ?」

「どうぞどうぞ」

「ありがとう、ダーリン……ふふ、これだから人間ってのは面白いのよ」

 

ドリーマーが取り敢えず回収していったけど……日の目を見る事があるんだろうか?

 

「それより一応お前たちも基地待機の防衛対象だが……武器メンテ怠るなよ」

「大丈夫よ、私は完璧よ」

「とか言って最初の一週間はひどい出来だったじゃない」

「そういうFALだって416の事を言えるの?」

 

ぎゃいぎゃい言い出すけど私からしたら全員同じだけどね。

結局ゲーゲー吐いてから半身に浴びせかけてヒヤヒヤしてたじゃんよ。

 

 

――――――――――――

 

 

警備に当たる人形が増えた一方……正直ココ最近めちゃくちゃ平和で増員したのが意味がないような……

聞く所によればあっちこっちでいざこざがあったりするみたいだけど……

なんかここのスラム街でも騒ぎが起きてるっぽいんだけど通報を受けて駆けつけた自治部隊いわく誤報だって結論が出る。

 

「SuperSASSです、指揮官今良いですか?」

「ん、ご苦労、おうおう入ってくれー」

「失礼します!」

 

戦車部隊の一員でありType10の砲手を務めるSuperSASSだ。

戦車の調子を診るついでに無線で街やら本部等と交信していたみたい。

あと距離は近いけどここの諜報部とのやり取りとかね。

いざって時に繋がらなくて孤立したりしたら大変だもの。

 

「ダ……指揮官の知っている基地はどれだけあるでしょうか?」

「ん?そりゃ……A01からS09まで名目上は知ってるけれどなぁ」

「最近だけど……417と同じでイレギュラーな人形が確認されているケースがあります」

「ヴィオラってケースもあるし救助にむかったAR分類の417だって居たもんね」

「その記録を見た時は私も驚きましたね」

 

戦闘音を聞いたのと荒っぽい映像データでしか確認されてないけどね。

所謂計画中止で凍結処理されていたはずの人形が動き出している。

AK15、対E.L.I.D戦闘用にと開発された軍用戦術人形。

I.O.Pとして一歩踏み込んだ性能を持つ人形だ。ガードが固く初戦投入の記録しか出てこない。

ちなみに軍用ではあるけどおっぱいは大きい方。まぁ用途は多分……

Cfa CM901、用途不明、戦術人形の新規モデルとして製作中不備が見つかり計画凍結。

試作段階の一体のみが保管されていたがそれがマスターキー無しに起動しているのが確認されている。

ASST処理を行った時点でI.O.Pの方へと暗号化された通信が飛んでいくみたいだ。

ただ真っ先に飛んでいくのはASST処理ナンバーと種類に限定される。

報告があがったのがつい最近で正直な所情報は少ない。

無いものはいくら突っついても出てこないものだもん。

Mk.18、AR小隊の隊長の補佐役として後から計画された人形。

少々性格に難がありレズ気質がありその行動に抑制がかけられているとのこと。

ただ鉄血による酷い拷問からメンタルモデルに深刻なダメージを受け修復。

その後の様子は打って変わって大人しくなってしまった……とか。

HKM27IAR……私からすれば遠縁の姉とも言うべき存在か。

詳細は不明、E.L.I.Dらしき怪物との戦闘が確認されているが詳細はデータが無い。

まだ他にも16Lab製のテストモデルがいくつかあるらしいからねぇ……

 

「マスターキーも無しに動くってのは流石に問題だよなぁ」

「でもチェックした所内部的にタイマーなども設定できずどう操作しても工場内で初回セットアップ……」

「最終品質チェック後のマスターキー認証がなければ普通は起動することはない……」

「余計にソイツらが異常な訳で……狙われたりしねぇだろうな」

「ダーリン、そういうのは私も怖くなるからやめよ……?」

 

考えないわけじゃないけど……私も端から見たらかなり良い実験材料でしかなさそうなんだよね。

私の素体が置かれていたのはもちろんダミーとしてあるまじきエラーロットであるけど……

AIをちょっと調整してやれば使えないことはなかったわけだ。

PMCとしては安価で最高品質の人形が買えてI.O.Pからしてみれば不良在庫が一つ減る。

そんな訳で最前線に置いたは良いけどセットアップ前に前線が押し込まれ今のD08に……

実はあの目覚めた倉庫は前任のD08基地指揮官の基地だったらしい。

リスク分散主義で基地本部の他に離した場所に倉庫などを点在させていたから私のボディは難を逃れていた。

ホント、奇妙なめぐり合わせだけど……おかげで今はダーリンの隣で笑ってられるんだよね……

 

 

――――――――――――

 

 

さて、銃のメンテナンスって言っても私達に出来ることは限られてる。

所謂フィールドストリッピング、分解洗浄くらいだよ。

流石に内部構造に傷が入っていてなんて事になったら手の施しようがない。

何よりリンクしている私達にフィードバックが返ってきてね……

 

「で、何で俺が射撃させられてんの?」

「だって、私に触れて良いのはダーリンだけだもん」

「鉄のボディじゃなくてその最近また実ってきてるおっぱいが」

「乱暴に扱っちゃ……いやだよ?」

 

ちょっと倒錯した感じがするんだけど……HK417の20インチモデルってのが私の半身だ。

私って言う人形を深く深く触っていいって言えるのはダーリンだけ。

分解整備してみたは良いんだけど……私は身重で射撃なんて出来やしない。

ダミーを使う案も出たけどダミー達はなんだかドリーマーが引っ張っていった。

で、仕方ないからって事でダーリンに撃たせてるの。

ダーリンの射撃の腕前っていうのを見てみたかったし……何より……

 

「私を乱暴に扱っても壊れないけど……」

 

今ダーリンが握ってるのは私の身体みたいなもの……ぎゅっと握り込んでいるグリップは腰。

かなりトップヘビーな私のカスタムで立射は酷だからバイポッドを立てて撃ってもらうんだけど……

想像するならばワンちゃんみたいな格好で腰をぎゅっと握られてるようなモノだ。

人間の姿をしていて柔らかい私と違い銃のHK417は鋼鉄の乙女。

やっぱりちょっと乱暴に扱っちゃっている。

マグチェンジの動作で奥まで刺さっているかの確認に叩きこんでいるけど……

そう、私が今連想しているのは全部ぜーんぶ夜でのダーリンとのベッドの上での銃撃戦の事……!

でもマジな所すごく乱暴に扱われると私達人形にもフィードバックされちゃうの。

ASST済みの銃が破損した場合……稼働状況によっては気絶もあり得る。

精密機械でもあるからそもそも乱雑に扱えば射撃能力が落ちちゃうしね。

 

「しかしこれトップヘビーだな……げっジャムった……」

「んにゅぁっ……」

「ん?」

「な、なんでもない……よ?」

 

が、ガチで油断してた……というかここでジャムっちゃう?

ジャムった薬莢を排出しようとしてチャージングハンドル引っ張られたままガッツンガッツンしちゃ……

 

「ふんっ」

「~~~っっ……」

 

た、耐えるんだ私……あ、でもこのフィードバックやばい、ハマりそう……

 

 

――――――――――――

 

 

なんか私の電脳リソースの一部がダミーに持っていかれてる。

あーうん、私の過去に関する記憶エミュレートが行われてる。

って事はダミーの連中酒を煽ったか……それとも飲まされたか?

 

「どりー……まぁ?」

「うっひゃっひゃっひゃっひゃwwwww相手の顔、顔見てみwwwww」

「なーによアーちゃん……素直に褒めてるんじゃない、スゴイわぁ……輻射波動機構の義手なんて、偉いわぁ~」

 

またアトリエでなにかやったんだろうと来てみればなにこの状況。

ダミー3体はぶっ倒れているし起きてる……まぁ過去の私とも言うべきか。

エミュレートされてる男の私がゲラゲラと笑い転げている。

そして機械を弄っているドリーマーは赤ら顔でモニターに映るアーキテクトをベッタ褒め。

酒でも飲んだのかと思うけど酒瓶や酒精の匂いがしない。

となると考えられるのドリーマー自身がなにか……

 

「ヒック……あ~おねえちゃん~」

「うわ、なんだ……デストロイヤー?」

「もぉー聞いてよ~またドリーマーが変なプログラムをね~……ヒック……」

 

酔っ払うプログラムでも組んだのか?あまりにもバカらしいけど……

妊婦組の中にお酒のあの浮かれる感じを味わいたいとぼやくのが居るんだよね。

これが意外なことにG36Cだったりするんだよね。

FALもお酒好きだけど赤ちゃんの為にってすっぱり後腐れなく断ってるんだ。

G36Cの場合は戦闘時のあのキレッキレな所の反動みたいなのも感じれるけどね。

自分の弱みというか……スキだらけ所を信頼を置く皆の前で見せたいのかも。

 

「や、アーキテクト……ごめんね、またこっちのがバカやらかしちゃったみたいで……」

「ほら、アーちゃん、ドリーマーおねえちゃんからのあつーいべーぜぶぅっ!?」

 

通信先のアーキテクトに一言ごめんなさいってだけ言ってモニターにキスまでしようとするドリーマーをキーボードに叩きつけてから通信を切る。

で、これがなにかキーをぶっ叩いたらしい……機械が動き出す。

 

「ぶっひゃっひゃ……おろ?なんぞコレ」

「ドリーマー?あれは?」

「アーちゃんデストロちゃんちゅっちゅぅ~……」

 

その日ダミーと私の演算リソースが一気に喰われてオーバークロック一歩手前まで行った。

 

「で、オイラって人格の人形が出来上がったわけよ、よろぴー」

 

私の奥底にずっと残っていた男の側面がまた、世に産まれた……

容姿はドリーマーとデストロイヤーの間の子って感じ、でもやっぱりD仕様。

素体名はジャッジ、そのボディはI.O.Pのと鉄血技術のミックスだから中々エグい性能持ち。

どうせならと男性ボディをって提案しようとしてハッとなったんだ。

……拝啓、あの世のパパ、ママ……娘となって数ヶ月、幸せいっぱいですが

貰った大事な身体はもう、思い出すことができなくなってます。

こんな、娘を……どうか許してください……




速報:オイラ復活


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Day182 自衛手段の模索

妊婦にARなんて無理じゃん?


ドリーマーが新しい試みとして開発した色んなプログラムは波紋を呼んでいた。

主に酔っ払うプログラムと他の新しいハイエンド無力化の為にと作った物もあって……

 

「猫ちゃん、猫ちゃん……にゃーんごろごろにゃーんごろー♪」

「お、オレは……なんて……」

 

エージェントに関してはまぁここの通常運行なんだけど……

エクセキューショナーにテスト付与されたプログラムがネガティブになっていくってモノで……

さっきから食堂のすみっこの影で膝を抱えてメソメソ泣いている。

ハンターがこの様子の全く違う相棒とも言えるエクセキューショナーにオロオロしている。

さっきからいろいろ試しているんだけど……これが全然効果を示していなくて……

 

「どうした、アメちゃんあげようか?」

「いらねぇ……」

「じゃ、じゃあよしよししてやろう」

「ガキじゃねぇからいい……」

 

身体は普通に大人なエクセキューショナーが幼児退行までしてる始末。

そしてハンターの試みっていうのがものの見事に対幼児向けのヤツ。

でもまぁマッチしていると言ったらマッチしているんだよね。

しかしまぁ膝を抱えているのがスゴイもんだ、おっぱいがぐにゅっと行ってる。

当然ながら恋人持ちである連中でもおっぱいの魅力に勝てないわけで。

 

「ちょっと!さっきから視線がエロい!また独房に連行するわよ!?」

「うぇ、ちょ……SuperShorty待てって」

「任務以外ではシャーリーって呼びなさいよ!」

「分かった、ちょっと、おっぱいがだな?」

「良いからこっちに集中してよ、良い?」

 

主にSuperShortyが若干ヒスってから恋人のオナニー中毒者に自慢のおっぱいを当てていた。

自称グラマラスボディって言うべきペッタンコボディだったのが……

今や完全に私と同じ様なダイナマイトボディですもんね。

私と同じくらいのロリっ子ボディなのにおっぱいがででーんとね……

 

「いいからタケルは私のおっぱいで満足してればいいの!!」

「あの、良いからオナニー良いっすか?」

「ダメッ!!」

 

恋人ができてもあんまり変わってないのがこのタケルって整備員だ。

とにかくオナニーしたがるのが……ねぇ……

 

 

――――――――――――

 

 

「そう言えば、私達妊婦組は射撃に関しての制約があるよね」

「まぁ主兵装は使えないのが殆どね」

「わたくしやUziの様なコンパクトかつ片手でも扱える武器に限られますわね」

「サイドアームも結局ストッピングパワーに欠けるっていうか……」

「個人相手ならやりようがあるけど不安があるわね」

「一発づつ確実に頭にねじ込まないと」

「となるとスチェッキンみたいなフルオートでも撃てるようなのが最適解かしら?」

 

また不穏な動きがちらほらと聞こえてくるから私達にも自衛が求められる。

ではその際に担げる武器って言ったらあんまり候補が上がらないわけです。

 

「お腹の赤ちゃんにショックが行っちゃうのはねぇ……」

「伏射が求められる長物はNG」

「正直アサルトライフルでも扱えないわけじゃないけど……」

「小さいわたくし達では構えた際にお腹に負荷がかかってしまいますわ」

「そうなるとショットガン?」

「ショットガンが最適かしら?」

「ストッピングパワーも十分ですね」

「でも携行出来ないわ」

「そこよね」

 

全員であーでもないこーでもないと……

正直銃に関しては同じ戦術人形で現行ラインナップに上がっているモノしかデータに存在しない。

私もジョシュアがああして抜けた今自覚したんだけど記憶の抜けって言うのが存在する。

覚えている物は完璧に覚えているけど……かつての自分の姿や一部のゲームの記憶があなぬけだ。

 

「一番いいのはハンドガンサイズのショットガンとか……」

「それこそドリーマーに作らせてもいいのでは……」

「でも今はあの愉快犯……」

「酔いつぶれていますね、自分のプログラム+はじめてのお酒で」

「こりゃだめね」

 

困ったときのドリーマーって言うのは今は出来ない。

まぁリクエストに上げておくのが一番なんだろうけど……

でもハンドガンサイズのショットガンってあった気がするんだよね……

 

 

――――――――――――

 

 

がーがーと鳴く音で何を思い浮かべるだろうか?

ここは新しく増設された水田、スケアクロウが管轄をしている。

畑は私とスオミで管理しているんだけど……いかんせん私はもうもっぱら副官だったりするからなぁ……

屋内の物はアグちゃん達がお世話しててメイドラグーン達が高所のお世話。

……鳴き声の主は水面を呑気に泳いでいる……ダーリンが調達してくれたカルガモちゃん達。

 

「可愛いね」

「丁度孵化したばかりのカルガモ一家が居たらしいですね」

「引き取りてに困っていたらしいね」

「最悪食べてしまおうなんて言われてましたけど」

「食用に適するのは合鴨だっけか、美味しいらしいけど……」

「それを飼育するにはまだまだリソースが足りてませんね」

「S09P基地では鶏の飼育が始まったんだって」

「鶏ならまだまだ良いでしょうか……卵も生産してくれますし」

「有精卵と無精卵の仕分けが出来ないからボツだね」

 

必死になって覚えればまぁワンチャン?

でもマジな所この肥大している人員の食料確保で精一杯というか……

ペットも正直カッツカツな所なので水田のが安定して供給出来るようになれば……

そっちの方にリソースを割けるんだけどね。

じゃあこのカルガモは何で導入したのかって?

このカルガモ達が天然の農薬になるわけです。

カルガモの食事は稲にくっつこうとした虫達になる。

病気に対しては意味はなくなっちゃうんだけど除虫はしてくれるの。

つまり稲の葉っぱが喰われたりってのはなくなるわけです。

おまけに可愛い、エージェントが張り切ってお手伝いに来てくれるもんだ。

 

「グァ」

「はい今日のオヤツですよー」

 

エージェントが虫以外にも餌を与えるものだからめっちゃ懐いてる。

スケアクロウに関しては……何だろう、親玉とでも思われてるんだろうか?

 

「ふぅ、少し休憩しましょう……おや、親ガモが子供から離れては……」

 

ちょっと座ったりすると膝の上にピョコンと乗ってきて自分の居場所だといわんばかり。

エージェントここで暴走してめっちゃ端末で写真撮ってるの。

 

 

――――――――――――

 

 

「はぁ?仕込み武器を教えてくださいですって?」

「PPKってそういうの得意そうじゃない?」

「あたくしはそういうプログラムは……あるにはありますが……」

「妊婦でも使えそうな暗器とか無い?」

 

出ていく時は護衛を誰かに頼むけど……それでもカバーしきれない時はあり得る。

紅茶店で強盗に遭遇したときとかは身を隠せる遮蔽物があったしかなり身軽で元々ブルンバストなFive-seveNが護衛だったから……

逃げたとしてその逃走先で敵と遭遇するときがあり得る。

即射殺されてしまう可能性もあるけど……相手が強姦魔とかだったらワンチャンがある。

 

「ならばやはりキス・オブ・デスのような単発式の物か……あたくしのPPKでしょうか?」

「袖とかにすっぽりならPPKかぁ……」

「ストッピングパワーには欠けますが最後の防衛手段として仕込むにはよろしいですわ」

「ちなみにPPKは何処に隠してるの?」

「あたくしはメインウェポンですからホルスターに入れていましてよ?」

「あとはやっぱりと言うか……そこ?」

「えぇ、谷間に」

 

この基地のPPK限定だろうけどそんな隠し方もあるか。

私もPPKを購入してそこに隠しておくかなぁ……

 

「ありがと、じゃあダーリンに10人分のPPKの発注を打診するね」

「銃器に関しては……たしか」

「ん?ラジオなんて取り出してどうしたの?」

「とある基地が……と言いますか結婚式に来て居られた方、思い出してみてください」

「……あぁ、あのガンスミスさん?」

「あの方なら何か案を出してくれるかもしれませんわよ?」

「ダーリンにその相談だけでもさせてみた方が良いかな」

「さぁ、そこは第一夫人にお任せいたしますわ……」

 

機嫌悪そう、自分以外のPPKを求められるってのが嫌なんだろうか。

機嫌が悪い時はダーリン以外の人形をけっこう畏まった言い方する。

端から見たらそうでも機嫌が悪い様には見えないんだけど……

 

「チッ……あたくしもグローザも加工に失敗して……」

「ゴムに細工するのはやめろ」

 

夜の方の諜報戦はダーリンの方が一枚上手っぽい。




まぁ布石打ちっすね。
某所の紹介ラジオのおにーさんからホイホイ誘われてね。

シェリー「私は?」

マグナムなんて反動でかすぎな


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Day183 びっぐさいずおっぱい

普通に頭悪い回だけどね


「そういやこの基地ってよ、おっぱい基地なんて言われてるだろ?」

「ん、まぁ……そうだね、ダーリン」

「一番のでっぱいはヴィオラだけどよ、順列って気にならねーか?」

 

この一言で始まったのがチキチキおっぱい測定大会。

ロリスキンのダミーはさておいて警備に出ている人形以外が緊急招集。

我こそはというおっぱい持ちが睨みを利かせる事になった。

測定方法はこれまたアレなモノで……ダーリンによる触診。

意外なことにイサカとか旦那持ちもそれなりに寛容だったこと。

まぁ何でかって聞いたら特大ののろけが返ってきたんだけどね。

 

「だって、私がダーリン以外に靡くことなんて無いし、私みたいな完璧な身体を毎晩好き勝手出来るのはダーリンだけよぉ?」

「ウィルくんばっかりに触らせてるのもいいですけどお世話になってた指揮官にもお裾分けはしないとですねー」

「本当ならムショにブチ込む所だけどあの……私の最愛とも言える人と巡り合わせてくれた事に感謝してだから!」

「それに関しては私も同意です、甘えん坊ですけど愛らしいあの人との出会いをくれた指揮官への感謝を込めてです」

「はい!私も今の性活……じゃなかった生活をくれた指揮官に感謝してです。おっぱいを揉ませても吸ったりぱふぱふしたりは私のダーリンだけです!」

 

とまぁ一定の感謝を込めてのご協力だったりする。

皆揃っておっぱい星人で巨乳好きだからそれぞれのツボにハマっていたんだろうね。

特にイサカの旦那である主任はというとコレがまた欲望に直球でね。

 

「いや、イサカのおっぱいが揉みしだかれているのを第三者視点で見る貴重な機会なんで」

「いや、お嫁さんを誰かにって……」

「指揮官は他人の嫁に欲情するようなヤツじゃないでしょ、逆に俺なんてイサカ以外にはもうね……」

「たっぷり教え込んだからどれだけおっぱいを見ても……ね♪」

 

と、まぁ夜がかなりお盛んな事を暗に言われたし実際私のおっぱいを覗き込んでも出会った当初ならしてた反応が無い。

逆にイサカがちょっとおっぱいを触らせたら……うん、すごく仰角上がってたから凄まじいこと。

その現象は各々のカップルで見られてるからお前ら……お前ら……

仲睦まじいのは結構だし信頼があるのはイイ事だけど……

 

「じゃあ417ちゃん……聞くけれど、指揮官が所謂スワッピングプレイを要求してきたらOKしちゃうでしょ?」

「……うん」

 

イサカに突然言われたけどまぁダーリンが要求してきたらYes以外の選択肢がなくなる。

それでダーリンが喜ぶなら私は喜んでやっちゃう人形だ。

そう考えると……各々のダーリンとも言える旦那の表情や反応を見る限りは……

 

「兄さん……」

「……シェリーが感謝を伝えるからだ」

「の割にはさっきからシェリーのおっぱいに目が釘付けじゃない?」

「お前のおっぱいも中々だがシェリーのおっぱいが天下一品だからな、それをお義兄さんにも知ってもらいたいんだよ」

「あっそ……」

 

なお反対するのが出たわけだけだ、誰だと思う?

 

「やめろ、オイラは協力なんかしねぇからな!セクハラで訴えんぞ!!」

「まぁまぁ、そうは言ってもどれだけ大きいかは気になるでしょぉ?」

「やめろー!オイラは男なの!性格は男なの!!」

「とか言って昨日は甘い声で……」

「わー!わー!!」

 

まぁ私の根底にあった男としての私……ジョシュア・ガンツ……の精神を受け継いだとも言える人形。

ジャッジ・ガンツがドリーマーとデストロイヤーによってズルズルと引きずられてた。

 

「じゃあダーリン、公平にジャッジをお願いね」

「触り心地なら417一択なんだけどなぁ……」

「もう……」

 

ヴィオラ基準から始まっていったおっぱいでっかい順ソート。

因みにでっぱいのトップ5をここに記しておく。

ヴィオラ、私、イサカ、SPAS、スプリングフィールドだ。

それぞれの数値は伏せておくけどね……カップ数?さぁ何カップかな?

一番ちっこいって判定されたSuperShortyでもGカップだからね?

 

 

――――――――――――

 

 

「でも結局はあのトップ5人が突き出てるだけで……」

「Uziと416、WA、FALが横並びに近いし……」

「愛されていた時間が長いだけ私がほんの少しだけ大きいけれど」

「わたくしはダーリンにちょうど良い大きさだから問題ないわ」

 

最初期の嫁連中の中ではそんなに大差が産まれてはなかった。

ぶっちゃけて言えば……Mk23はそもそもだけどちっちゃいっていうか……

この中では無い方だったんだけどね、普通にあれ……育乳サプリでね。

で、まぁ一応Iカップとか上回ってるから頭がおかしいというか……

 

「G28もかなり大きいよね」

「416のダミーとかと比べてみればねぇ?」

「イサカのダミーといい勝負だからね」

 

というかダミーより見比べても一回り大きい気がした。

まぁ見事におっきいのがめっちゃくちゃ揃っていたけどねー……

 

「結局ダーリンのさじ加減だったしね」

「元々大きいのが大きい感じだしね」

「実際G28のおっぱいかなり大きい方だし」

「M1ガーランドのおっぱいとかねぇ」

 

そんでもって皆嬉しそうに揉まれてたのが……あ、イサカとか旦那持ちは別ね。

旦那持ちはその後揃って旦那様に擦り付いてからおっぱいを揉まれて……

そしてそしてそれぞれお部屋に入っていってねぇ……

 

「で、帰ってきたらいきなり揉まれたのは何?」

「そうです、いきなり揉まれて嬉しかったのですけど……」

「愛ちゃんも流石にびっくりですよ?」

 

Five-seveNがぶーぶー文句垂れてるけどほっぺが緩んでるし……

M1ガーランドがまだ自分のおっぱいを揉みながら余韻に浸ってたり。

ライフル勢が揃いも揃っておっぱいが大きい勢だったからね。

そりゃダーリンが品評していってねほぼ横並びね。

 

 

――――――――――――

 

 

「ヒデェ目に遭った……」

「でも気持ちよかったでしょぉ?」

「やめろぉ!」

 

ジャッジ・ガンツがそりゃもう……ぐったりとしていた。

私みたいになっちゃうんじゃないかな?って思ったりもしたんだけどね。

でもまぁ揉まれていったら普通に大人しくしちゃってね。

 

「もしかして……私の記憶が受け継がれてる?」

「……そっすね」

「あぁ、じゃあ……」

「やめろぉ、オイラはホモじゃねーの」

 

女の喜びって言うのがぜーんぶ分かってるもんだからつい反応しちゃうのかな?

あと私のダーリン好き好きなメモリーもあるから……引きずられてるのがあるのかも。

だからまぁ揉まれた時にちょっとメス顔してたのかもね。

 

「取り敢えずオイラの身体でも漕げるチャリ開発よろ」

「はいはい、ロードバイクってやつよね?」

「そそ、カーボンフレームでよろぴ」

 

あー私だなって思う所だ。何よりもゲームとバイクに情熱を燃やしてたんだ。

地味にカーボンフレームを要求してるから乗っていた……オールアルミのやつより良いのを要求してやがる。

ショック吸収性に優れてから軽いし頑丈だしで言うことなしなんだよね。

 

「でも気をつけてよ、カーボンってあんまり力強く漕ぐと……」

「何かあったっけ?オイラ記憶殆どあのゲロアマエロエロしかないから」

「……えっとね、ぐっと踏み抜くと」

「踏み抜くと?」

「割れるぞ、ぱきぃ!って」

 

人間のパワーでも割とすぐにパッキリ行っちゃうから人形パワーだったらね?

ジャッジは普通に驚いた顔で口あんぐりとしていた。

 

 

――――――――――――

 

 

昼が過ぎてオヤツ時、G11がのんびり昼寝しながらオヤツを食ってる。

そのとなりにはUMP40が座ってて甲斐甲斐しく面倒を見てたりする。

どの指揮系統にも入ってないし自由にさせてるんだ。

45姉や9姉のお世話もよく見てる。45姉がかなり朝が弱い。

 

「あ、417じゃん!ほらあたいのお隣においで♪」

「あー……」

 

私も妹と認定されてるのか甘やかしの対象だったりする。

G11がめっちゃ40にもたれかかってぐーぐー寝てる。

その反対側にぽんぽん誘われてるんだけど……うーん。

ちょっと物陰を見てみると……あーやっぱり居る居る。

 

「……ジー」

 

そう、何を隠そう45姉が羨ましそうに見てるんだよ。

45姉は素直に甘えるってことが出来ないもんだから……こうして影から見てたりする。

で、今じーって擬音出してまで見てるぞアピールしてるのさ。

 

「45姉はどうしたの?」

「え?45?うーん……あたいと居るのが恥ずかしいのかな?避けられちゃって」

「そうなの?」

「そうそう、昔みたいにね……いろいろ見てあげようって思ってるんだけど」

「避けられちゃうのか……ふぅん?」

 

45姉に視線を向けると……うわ、めっちゃ顔を覆って蹲ってる。

避けてるって感じじゃないんだろうけど……うん。

 

「いやね、45って射撃管制がついてないの」

「へぇ、だから良く射撃訓練してるんだ」

「配備された時なんて酷いものだったの、命中率なんてね――――――――――」

「やめてぇ!それはいっちゃいやー!!」

 

うわ、めっちゃ珍しい慌てた45姉が飛び出してきて40の顔をおっぱいで包んだ。

 

「ごめん、ごめんなさい!だからそれ以上はだめー!!」

「むごごごご……」

「45姉、ソレ以上はいけない」

 

45姉が偶然か落としにかかっていた。




40はね、こうね……幸せに45といちゃついて欲しいの


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Day184 この妹にしてこの兄夫婦

すまん、今日は二本あげるつもりだったけどちと無理だった。
傭兵兄貴許して


今日は朝からえらいデカイ排気音で目が覚めた。

えーっとこの排気音はあぁ兄さんのランサーの排気音だな。

って事は今日は何処かに出かけるんだろうか?

ちょっと顔を出すとSAAがウッキウキでめっちゃお洒落してる。

めちゃくちゃ女の子女の子してるしいや、まって……あの顔を見てみろ。

 

「おはよう、シェリー……?」

「あ、おはよーございます!」

 

シェリーの顔を見てみると普通に化粧してるんだよ。

あの何よりもコーラコーラだったシェリーが……だよ?

これはめっちゃくちゃ驚きというか……凄いことだよ、私は驚き。

シェリーは何時も通りの調子で元気いっぱいにぴょんぴょん跳ねてる。

朝から元気にブルンブルンしてらっしゃる。義理の姉に見せるんじゃない。

 

「そのお化粧は……?」

「あ、コレですか?416お義姉さんに教えてもらったんです!」

「なんでソコで私じゃなかったの!?」

「え、だって……は、恥ずかしいじゃないですか……」

 

思わず天を仰ぐこれが可愛いの暴力か。めちゃくちゃ可愛い。

私の目の前で恥ずかしがってるシェリーとかめっちゃ可愛い……やばい……

うっすらとね、もちもちほっぺにメークがノッてるのね?

それにアイラインもちょっとだけすっと引かれていてね、ぱっちりしてるの。

元々のクリクリなお目々がさらに強調されてから可愛さが倍増してるの。

 

「因みに兄さんには?」

「ウィルくんにはまだ見せてませんよ?」

「兄さんこれ発狂しないかな」

「まっさかー」

 

絶対に兄さんこれ発狂して盛り始める。うん、絶対に盛る。

あのランサーの中がラブホになりかねんぞ。私は賭けてもいいぞ。

私がコレなんだもん、絶対に兄さんが悶えないワケがない。

 

「兄さんの行動を言い当ててやろうか?」

「……?」

「暫く黙った後に大股で近寄った後に抱きしめてからディープ」

「あはは、ウィル君がそんな大胆なこと出来るわけないですよー」

 

 

――――――――――――

 

 

「で、なんで私まで巻き込まれてるの?」

「俺が暴走しない為」

「……うぇーへへー……ウィル君の……えへ」

 

なんでか私は兄さんに普通に拉致られた。そう、この二人に拉致られた。

この砂糖製造機の二人に挟まれる形になるんだけど、私が糖尿病になっちゃう。

おまけにシェリーはトリップしててから完全にもじもじしてるのよ。

で、血走った目で唇噛み込んでいる兄さんがランサーのアクセルを踏み抜いてる。

あのね、凄くね、私が様子見に行ったらランエボのドアに壁ドンしてた。

そしてその上おっぱいを鷲掴みにしながらもにゅもにゅ揉んでた。

さらにさらにシェリーは顔を上を向けてキスしてたのさ。

 

「まぁ確かにあのままねぇ」

「やめろ、考えさせるな」

「オッキさせてんじゃないよ」

「え、ウィル君おっきしてるの!!」

「お前が反応するな!」

「すてい、シェリーステイ!!」

 

車内でシェリーが暴走し始めてから逆に襲いかかろうとしていて……

私が後部座席から必死こいてから抑え込むっていうね。

 

「ドライブ先に着いたらヤる!」

「絶対だよ、ウィル君!」

「おまえらー!」

 

妹として兄と義理の妹がセッセする所を聞かされなくちゃいけないのか……

私と同じ道を走っていくシェリーに私は姉として心配しかないよ。

 

「兄さんも外ではおさえろぉ!!」

「うるさい!お前だって外で何度もセックスしてただろうが!」

「うにゃぁー!うるさいうるさいうるさーい!!」

「やめ、おま!運転中に叩くな」

「いまだ!ウィル君♪」

 

なお走行中にマジでヤり始める人間は居たらしい。

なんでわかったかって?交通事故起こして野郎のナニが口から出てくるってのがね。

 

 

――――――――――――

 

 

「で、満足した?」

「シェリーがまだ満足してない」

「はぁー?」

「搾り取られて俺がギブった」

 

なんと言うか私と同じ道を通っているっていうか……

えぇ、アレです……ヤッた場所がドライブインのトイレの中なんだよ。

私もヤッた記憶がちょっと……ううん、かなり如実に思い浮かぶ。

ダーリンと私両方共ムラムラしちゃってね、正気を失っていたと思う。

シェリーは一応収まりがついたみたいだけど……

 

「なんで外にしたんですか!」

「いや、あのな?」

「まぁお掃除したから良いですけど、次はしっかりお願いしますね?」

 

サキュバスだ、サキュバスが居るよ。

 

「……なんか周りの目が怪しくないか」

「そりゃそうでしょ」

「えー?それよりウィル君はもーっと私とくっついてください♪」

 

周りから見てみれば二人ロリっ子侍らせてる成人済みの男だぞ。

おまけに二人揃って美少女、巨乳と羨ましさもあるだろうけど……

片方は妊婦で妊娠五ヶ月に差し掛かるボテ腹を抱えてるんだぞ。

普通に見て通報案件になりかねない絵面だからね?

まぁ身分証明書で私とシェリー揃って人形ってのが分かるし……

D08基地所属の人形ってのもすぐに分かるし所有者確認したらダーリンのモノってのも分かる。

逆にシェリーは兄さんのモノだから今名前として登録してるのはシェリー・ガンツ。

ウィルバー・ガンツの嫁っていうふうに記述されてるから羨ましい事。

一応ダーリンも私の個体名称を考えてるみたいだけど……全員決めないことには言わないってさ。

私だけ特別優遇したら顰蹙からせっかく仲良く築かれている結束が瓦解するかもしれないってさ。

 

「くそ暑いからソフトクリームでも買ってきてよ」

「シェリーは?」

「ウィル君と一緒なら何でも良いですよー、あ、でもコーラは忘れないでくださいね!」

 

冷やかし半分で暑いって言ったのにコイツら通じてないよ。

あーあ、もう本当にお腹いっぱいです。もう口の中で砂糖を噛み潰してる気がする。

 

 

――――――――――――

 

 

デートに連れ回されて当て付けられた私だったが帰ってからが……

 

「い、いい加減ダーリン離してよ……恥ずかしい」

「嫌だ」

「もぉ……私だけ特別扱いはしないんじゃないの?」

「うるせぇ」

 

ナニも言わずに私が居なくなったからダーリンが半狂乱で探し回ってから大変だったらしい。

諜報部が監視カメラ映像で兄さんとシェリーに連れ出されてるの見つけてくれたから収束したみたいだけど……

そしたらそしたで兄さんがヤッてる最中だったらしく勘違いしてね……

火に油を注いで今度は私の端末に鬼電凸してたんだけど……私の端末は私の私室に置きっぱなし。

あらぬ誤解を生んでその後シェリーの端末に電話したみたいなんだ。

そこで妙に色っぽいシェリーの声と兄さんのくぐもった声で察して溜飲は一度下げたんだ。

 

「とりあえずウィルバー、お前は減俸な」

「うす……」

「あとシェリー、お前はコーラ半分」

「ふげぇー!?そんな、お義兄さんは私を殺す気ですかー!?」

「人の嫁拉致ってコレで済ませてるだけマシと思えやボケ」

 

兄さんの頭にはでっかいたんこぶが出来上がってる。

帰ってきて早々に主任がとっ捕まえて簀巻きにしてからダーリンに献上。

イサカとペアで街に飛び出していったんだけど……まぁその後お説教。

あと私を勝手に連れ出したっていうのがダーリン最大の地雷行為だったらしく……

身内にはかなり甘いダーリンだけど今回ばかりは手が出た。

 

「ま、まぁ……兄さんもシェリーも反省してるんだから」

「417、お前にもたっぷり説教がある」

「うぇ?」

「ちょっとこっちに来い」

「や、やだダーリン怖いよ?」

「一瞬でも俺の世界で一番大事なお前が奪われ穢されたかと思ったらな、こうもなる」

 

私室に連れ込まれた後思いっきり壁ドンされ……強引に上を向かされて……

 

「どれだけお前という存在が俺の中で大事なのかきっちり教え込んでやる、良いな?シーナ」

「は、はひ……」

 

真っ昼間から暴走しっぱなしなダーリンだったけどちゃんと赤ちゃんには配慮してくれた……

けど、私の懇願は全然聞いちゃくれなかった……恥ずかしいプレイばっかして……ぶぅー……




ここの女性陣は肉食獣だけどベッドの上では鳴かされる側よ


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Day185 ペット大暴走

んふふ


何時の時代もペットというものは人間の心を支えてきた。

猫ちゃんがにゃーんと鳴けば多くの人間が可愛いって思う。

撫でてあげてから目を細めて気持ちよさそうにしてる姿を見てたら和む。

誰かの膝の上に乗って丸まってゴロゴロ喉を鳴らすのも微笑ましい。

構ってと手や足に抱きついたり猫パンチしてくるのも微笑ましいでしょ?

ワンちゃんだって同じだ。ロケットみたく走ってきてからお腹を見せて尻尾をブンブン振る姿はなんて愛おしいか。

私だって理性をかなぐり捨ててから撫で回してあげたい。

で、猫ちゃんもワンちゃんも凄く賢いんだ。人間の言う言葉をちゃんと理解してる。

ご飯とかお魚とか骨とか特定ワードでちゃんと反応するの。

とまぁそれは良いだろう……ペットとして長らく愛されているワンちゃん、猫ちゃんの事はわかったかな。

軽く人の理性っていうのを突き崩しえる存在なのは分かると思うの。

 

「はうぅ~可愛いでちゅね~このままお持ち帰りです~」

「エージェントォ……」

 

我が基地に居る可愛いもの大好き人形エージェントが今日も今日とて大暴走していた。

何でこんな事になったんだか……とちょっと過去を振り返る。

あれはそう、今から二時間ほど前だ。今日のお仕事として街の野良犬、野良猫保護施設に行ったんだ。

今は人の食料もあまり良く取れない状況で野良犬や野良猫が繁殖してしまうと作物などを食い荒らす可能性がある。

無論、その他の害獣というものも居るんだけど……出来ることなら余裕がある人間に引き取られるべきって事だ。

保護施設もG&Kの息がかかってるけど結局慈善事業じゃない。

格安でペットを売るペットショップ崩れな所がある。当然保護期間が過ぎれば……

 

「という訳で417と416、WAで引き取りに行って欲しい」

 

引き取るにあたって割り当てられたのは私とお姉ちゃんとわーちゃん。

動物の扱いに慣れてる人形があてがわれたわけ。

スオミも扱いには慣れてるけど……カルガモちゃん一家のお世話だし……

ワンちゃん猫ちゃんが相手となるとちょっと勝手が違うかも。

という訳だろうね、私もお姉ちゃんもわーちゃんも時間があればお世話に来てるし。

お姉ちゃんは猫ちゃん適正が高くてわーちゃんはワンちゃん適正が高い。

私は特定の子からえらくベタベタ甘えられるくらいだ。

ベイビーの時もそうだけどね。私はなんだか特有の波長があるみたい。

これは私から復活したジャッジ・ガンツも同じだ。

嫌がってたけどベイビーに取り付かれたら大人しくおっぱいあげてたから私だなぁって。

なんて思いながら私達が命令受託して出ようとした時だった。

 

「その話、ちょっと待ちなさい」

 

何を隠そう、聞きつけたのはこの基地でメイドとしてめちゃくちゃ動いているエージェントだ。

因みにペットのお世話全般進んで喜んでやっている重度のワンちゃん猫ちゃんジャンキー

保護犬、保護猫を見に行くという事を話す前にこのポンコツかわいいメイドの耳に入ったな。

 

「新しい犬と猫を迎えるのですね、僭越ながら護衛を申し出ます」

「いや、お前保護の身分だからな?」

「それがどうしました、ご覧の通りドリーマーにきょ……頼んで主兵装を再びこの身に着けましたので」

「お前今脅迫って」

「気のせいでございます、ご主人様」

「ハンター!エクセキューショナー!!出番だ!」

「では、行きますよ417に416と同志WA」

 

流石鉄血ハイエンドの統括者とも言うべき存在か。私達をサブアームで絡め取ったと思ったら担ぎ上げて拉致。

そして保護施設に着き……冒頭に至る。

ハンターとエクセキューショナー?エージェントの体術に張り倒されていた。

 

 

――――――――――――

 

 

「あーうん、ダーリンの言いたいことは分かるよ……エージェントが暴走するのはいつものことだしおすまし顔があんなにも崩れるのはね……」

「待ちなさい、こら!スカートの中に顔を突っ込まないで!ステイ!ステイ!!」

「私の上着は爪とぎ用のバリバリじゃないのだけど?」

『エージェントがぶっ壊れて視察にならねぇのはもう分かってたけどよぉ……何この惨状』

「わかんない……」

 

わーちゃんはワンちゃんに気に入られていて集られてるんだけど……

鼻の頭をひたすらスカートに突っ込まれたりしていて大変な事に。

お姉ちゃんは猫の止まり木状態で上着でバリバリされてたり……

 

「はぅー……」

 

一番の誰だおめぇ状態になってるエージェントはひたすら小型犬を抱きかかえてすりすり頬ずりしてる。

お前こそ今尻尾なんか生えてたらぜったいバッサバッサと尻尾振ってるよね。

そうそう、そのスカートの中でモコッとしてるのが揺れるように……

 

「ん?んん????」

「どうしたの、417?エージェントの方をみ……」

「あーもう!おすわり!!言うことを聞かないと……ったく……やんちゃな子ばかりで暫く暇しないわね、で?何ご……と……?」

 

エージェントのスカートがもこっと膨らんでる上になにか揺れてるんだよね。

そう、マジで犬のしっぽでも生えてんじゃないかって感じなんだよ。

私が絶句したのを見てお姉ちゃんもわーちゃんも続けてエージェントを見て絶句。

 

「はぅー、かぁいいよぉー……お持ち帰り決定です……」

 

当のエージェントはと言うと今まで見た中で一番の蕩けた笑顔で小型犬抱っこしてる。

なお、小型犬の頭がおっぱいに埋もれていてワンちゃんは非常に嫌そうにしてる。

 

「ねぇ……エージェント?」

「はぅー……はい?あ、何でしょうか」

「そのスカートのもこっとしてるのは……?」

「……ようやく気が付きましたか」

 

ゆらりと小型犬を放してから立ち上がるエージェント。

おもむろに腰に手をやったかと思えば……リアジッパーを下ろした!?

いや、お前何やってんだってびっくりしたらその下からひょこっと顔を出したのは……

紛うことなきワンちゃんの尻尾。それもエージェントの髪色とおそろいの。

 

「ドリーマーに開発をせがんでいたのに忘れられていたので締め上げて徹夜で作らせたワンちゃんモジュールです」

 

ドヤ顔で言うな。因みにオプションで犬耳まであるらしい。

 

 

――――――――――――

 

 

取り敢えず保護期間が迫っていたミックスの子達を引き取ってお世話することに。

今までは別地区の基地に送ったりしていたらしいんだ。

でも今はウチにもちゃんとした施設ができてるから保護しない道理は無い。

……それに、若干一名が大暴走不可避なんで。

 

「何でしょう?」

「何でもないよ、ソレより続けて?」

「えぇ、そうさせていただきます……スーハー……」

 

エージェントがかなり良い人だって言うのが猫ちゃんたちも分かるんだろうね。

安心して身を預けてるんだけど……エージェントはそれを良い事にがっつりお腹に顔を埋めている。

その上そのお日様でしっかりぽっかぽかになってるもんだから香りが良い。

で、そこから顔を上げれば……お澄まし顔じゃないのは間違いないんだけど……

 

「(๑´ω `๑)うふふふ♪」

「顔、顔」

「はい?」

 

一瞬ですまし顔になるからこの切替の速さだけは見習いたいよ。

 

「あぁ、そうですウロボロスにも写真を送っておかなければ」

「え、ウロボロス?」

「知らないのですか、アレはこっそりと猫を愛でに来ているのですよ」

「……見たことある?」

「私は無いわ、いっつも尊大な態度とって素っ気ない態度取られてその後隅っこでイジケてるじゃない」

「私も無いわね、何時も一人でゲームしてる所しか見てないわ」

 

エージェントが端末を胸元から取り出してから猫ちゃんの寝顔を送信……すぐに電話がかかってくる

 

『エージェント?』

「はい、エージェントですが。どうです?」

『さいっこう!今度お部屋に連れ帰って良いか?』

「その後ちゃんとブースに戻すことが条件です」

『やった♪恩に着るぞ』

 

スピーカーから今まで聞いたこと無い心底ウッキウキっぽいウロボロスの声。

 

「ねぇ、お姉ちゃん、私バグったかな?」

「正気だから安心しなさい、ついでで私のおっぱいを揉むのはやめなさい」

 

 

――――――――――――

 

 

帰って早々ウロボロスが暴走した。

 

「はぅぅー!おんもちかえりぃー!!」

 

ドリーマーは笑い転げて床を何度もバンバンぶっ叩いて大爆笑。

デストロイヤー三姉妹が呆然、ハンターは遠い目。エクセキューショナー?がっつり寝てる。

 

「あれ、あれ……ナニ?」

「クヒヒヒヒヒッ無理っお腹が壊れるわwwwww」

「わからん……私の見た幻かもしれん」

 

デストロイヤー三姉妹揃ってお互いのおっぱいを揉んでる。

 

「ねぇ、ちょっと見てみない……?」

「覗きですか、同行しましょう」

 

その場に居た全員……鉄血ハイエンド組と談笑していたAmeliとMG3が食いついた。

 

「ほう、ごめん寝撮影ですか」

「なんですかコレ……こうするのが規定なんですか……?」

「いや、アタイはそうは思わないけど……へぇー可愛いな……猫は」

「無理っ死ぬwwww」

 

エージェントが普通に冷静に解説しているんだけど……

AmeliとMG3が引いた感じで呟いてえぇ……って感じで顔を合わせて

で、ドリーマーはまた大爆笑して床に転げ落ちてヒーヒー言ってる。

中でウロボロスが何をしてたかって?

めっちゃデレッデレな顔で写真をパシャパシャ撮ってるんだよ。

おまけに子猫はね、うっとうとしてからコテンと寝ちゃってるの。

つまり、ごめん寝って感じでなってるから超かわいい。

ただソレを見ているウロボロスの顔がめちゃくちゃ崩壊してるの。

 

「可愛いねぇ可愛いねぇー♪……誰だ!?」

「ひーwwwwwひーwwwww」

「ドリーマーァァァァ!!!!」

「え、ちょwww他のwwwやつぅwww」




僕の中に居る鉄血モデルがね……


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番外 自衛手段の拡充

2日遅れとかこれマジ?
おまけにガンスミス兄貴とナガンちゃん出てないとかこれマジ?

おまけに面白いかどうかは分かんねぇぞ、マジ?


今日はお客さんが来るとのことだ。場所はS09基地から。

となるとユノちゃん達かな?と思ったけどダーリンがそれで名前を出さないって事が無い。

ユノちゃんが来るなら素直にユノちゃんが来るって言うからね。

それにユノちゃんの好きそうなモノを用意するように私達に持ちかけるもん。

あとダーリンがこそこそ貯蓄している甘い甘いお菓子の在庫を確認したりね。

ユノちゃん来訪が分かってたらダーリンの所作で分かっちゃうもんだよ。

それはここ五ヶ月と連れ添ってる私じゃなくてもこの基地に一ヶ月くらい居たら分かること。

だってダーリンってかなり分かりやすいんだもん。

 

「ね、分かるでしょ」

「えぇ、よくわかりましてよ」

 

今日はダーリンの健康診断って事で朝からカラビーナ率いる医療隊が動いている。

私達妊婦の定期検診も兼ねてるから私達も同行してる。

執務の代行はM4買って出てくれたからおまかせしてる。

M4は元のAIがかなり性能がいいみたいでダミーに落とし込んでもかなり高性能。

と言うか最高級品と遜色が無いものだからよっぽどI.O.PはM4達AR小隊には力を入れているんだろう。

因みにだけど一部の人形にはさらなる妊娠疑惑が持たれている。

私達は妊娠時期が結構明確だけど……ダーリン曰く先に疲れて寝た後が怖いとか。

 

「全く、節操のない妻が多くて困りますこと」

「カラビーナが一番真っ先に疑われてるんだけど?」

「なぜですの!?」

「さぁね、最近しきりにマタニティグッズ漁ってるそうじゃん」

 

まぁイイんだけど、ユノちゃん所の医務長を務めてるペーシャがキレそう。

正直私達の妊娠を報告した時でもかなり怖かったのにね。

いい後輩が出来たと思ったら後輩の医療隊の長が妊娠とか……

まぁどれだけあの医務長怖がってるかを示すには一番いい方法があって……

一つ丁度インクがキレたボールペンがあります。

カラビーナには見えないように手に仕込んでから意識が逸れた所を見計らって……コレを握りつぶします。

 

「ヒィッ!?ご、ごめんなさい!」

「誰に謝ってるのさ」

「先輩ごめんさい、乙女心にはかて……居ない?居ない?」

 

とまぁペンのへし折れる音にくっそビビってるんです。

まぁこの言い訳からしてカラビーナはもうアウト臭いんだよね。

 

「あー……早くしてくれね?朝から飯抜きはつれーよ……」

「正確に調べるためです、我慢してください」

「我慢できない男は良くないって私思うけど?」

「血圧と体重は健康的で良かったです、じゃあ次はそっちの濃度を……」

「こらこらK5その濃度は夜にって言ってるでしょ、次は採血しますよーチクッと」

 

結局今日のお客さんは誰なんだろう?ちょっと前に打診した武器関係かな?

 

「取り敢えず昼までには終わらせてくれー……」

「合点承知!」

「ばっ、RFB手元を見て!」

「あ、いっけね」

「こぺっ!?」

 

朝から酷いこと酷いこと……ダーリンがその後目をさますのは昼ちょっと前。

 

 

 

M4からの伝達があってお客さんが来るのは昼ちょっと過ぎ。

工廠を空けておくこと、整備班は食事を終わらせて待機しておくこと。

PzB39、SVD、モシンナガン、TAR21、9A91、LWMMG、MG34、MG42、PKの前線整備担当人形も手を空けておくことが言い渡された。

どうやら今日来るお客さんとその用事からして招集がかけられている。

 

「取り敢えずお昼ご飯の用意をして待ってればいいかな?」

「移動中とのことでしたから先方の方はお食事を摂られてないと思います」

「OK、そうだ……M4はなにかリクエストある?」

「……アップルパイを食べてみたいです」

「了解」

 

そう言えば帳簿に防衛費として加算があったな……ふむ。

加算した日付は私が提言した次の日だったし十中八九そういう事かな。

後でマカロフにダーリンの通信記録を探らせよっと。

 

「じゃ、私は料理に行くね」

「あ、待ってください……私も」

「うぇ?M4もお料理?」

「はい、指揮官と……今日お見えになられるお客様のお料理を一つと」

「あー……じゃあ一緒に作ろっか」

 

アップルパイの他になにをこさえるべきか……あ、そうだ。

 

「今日来るお客さんのアレルギーとか知らない?」

「アレルギー……いえ、そもそもですが……」

「向こうの情報がない感じ?」

「はい……二人組で反応は人形らしいです」

「ふぅん……人形かぁ……」

 

人形の二人組でお客さん……それは珍しいけど何だろうなぁ……

防衛関係に強い人形って言ったら何だろうな……SG人形?

ここD08に所属していないSG人形ていったら限られてくるけどね。

いや、そうじゃなくても他所の基地のイサカとかって可能性も否定出来ないか。

 

「人形なら取り敢えずアレルギーとかの心配はなさそうだね」

「はい、遠慮なくお出し出来ると思います」

「M4は何作る気なの?」

「シナモンロール以外で考えてます」

 

シナモンロールって言った瞬間のM4の顔が凄く怖かった。何か恨みでもあるんだろうか。

 

 

 

 

歓迎用の軽食が出来上がった。私とM4合作のアップルパイ。

作業の片手間に食べれるようにって事でサンドイッチになった。

まぁ食べられなかったとしても整備班の面々が食うから問題ないでしょ。

 

「で、連絡先は分かった?」

「S09地区の基地の中でも……P基地とも繋がりがあるところの一つね」

「となると、やっぱりラジオやってる?」

「そう、そこの基地ね」

 

銃器紹介をしている基地だっけか。

そういやあのラジオのパーソナリティはナガンリボルバーだっけか。

P基地の副官もナガンだし……頼りになるのはナガンって感じなのかな?

となると電話先は……やっぱりあのガンスミスになるんだろうか。

防衛費として予算を組んでたのも……

 

「あ"~ようやく開放された……飯飯……」

「あ、ダーリン、検査お疲れ様」

「嫁の飯が今日もうめぇ……」

 

途中でRFBによるちょっとした医療ミス未遂があったけど……

ダーリンの健康診断も終わり一応お仕事が再開できる状態だけど……

今日はもうおやすみにして工廠をフリーにするみたい。

M4の捌いていたのは明日に回す分のお仕事だったらしい。

お昼ご飯を美味しそうつまんでいるダーリンの脇を私とマカロフで挟む。

 

「はい、あーん」

「あー……」

「ダーリン、今日来るお客さんってだぁれ?」

 

マカロフが流れるようにあーんし始める。で、私が聞けば咀嚼しながらこっちに目を向けた。

 

「お前達用の護身武器の相談にな」

「あぁ、ガンスミスさん?」

「そそ、武器を選んでもらうんだよ。ここも安全とは言っても物騒なのは変わんねぇし」

 

そう言って私の太ももに吊ってるMk-23を撫でてきた。

もう片方に忍ばせるか腰裏に忍ばせるか……かなぁ?

 

 

さて、お昼……先方のガンスミスさんがD08基地に来るのはもうすぐ。




傭兵兄貴、殺してくれても構わんぞ……
すまんてすまんて……


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Day186 RFの集まり

妹の集いがあるならこういうのもあるだろ?


朝から離れにずらーりと雁首並べている人形たち。

それぞれの左薬指にはシルバーリングが爛々と輝いている。

私を筆頭にしたこの基地の保有戦力でもかなりの数を計上する……

 

「では、これよりRF人形の会を開始します」

 

そう、RF人形の集まりになる。この基地かなりの数のRF人形が居る。

I.O.PのリリースしているRF人形の殆どがここに居るって言っても過言では……

いや、居ない人形も居るけどかなり多いのは事実だ。はいでは出席を取ります。

私、わーちゃん、G28、スプリングフィールド、M14、ガーランド

漢陽88式、カルカノ姉妹、DSR50、IWS2000、FN49、BrM59

ダネル、SuperSASS、カラビーナ、PzB39、SVD、モシン

あと何故かいるドリーマー。お前工廠のエンジニア人形とかじゃないの?

 

「あらぁ?私が居るのはなにかおかしい?」

「ドリーマーってRF人形だっけ?」

「ほらぁ、これ私の元々の武器」

「その杖みたいなのがライフル?」

「これで芋砂してたのよ?」

 

芋砂戦法はまぁ堅実だけど……さて、RFと言えるのかどうか。

まぁ良いか、向こうのRF枠って感じで行けるとしよう。

私はこの他にもHK社の会だったり妹の会とかもあったりするけどね。

結局やる事がねぇ……言っちゃってなーんにも決まってないしね。

 

「さて、今日は何をしましょう」

「取り敢えず皆の最近のヒットレート等の照らし合わせをしてみましょう」

「あとダーリンとの夜戦でプレイ内容とか?」

「その他にも定例の合同お菓子作りですね、愛ちゃんは今日はがんばりますよー!」

 

さて、ここで私とドリーマーが組む事になった。理由?

 

「しかしアレねぇ……」

「言わないでよ……私だってちょっとは気にしてるんだから……ダーリンは私のが好きって言ってるけど」

「私達ってこの枠組だとクソチビよね」

 

RFの人形とかMGの人形を思い浮かべて欲しい。

おっぱいの大小はさておく、D08に来る時点でどうせばいんばいんになるんだもん。

ここで組むにあたって問題になるのは私とドリーマーのみが持つ……低身長っていうステータスな。

 

「取り敢えず何作る?」

「ダーリンが美味しく食べるモノを作りましょ?」

「……クレープにするか」

「はい、それじゃあヒットレートと分析から始める反省会よ!」

 

わーちゃんが壇上に上がってダテメガネとパンツスーツスタイルで講義を始める。

 

 

――――――――――――

 

 

「だから、FN49は腰が引けすぎなのよ」

「ほら、私と同じ様に構えて構えてー」

「すいませんすいません……」

「謝る暇があったら構える!」

「ひえぇぇ……」

 

戦闘的には問題のない範囲ではあるけどFN49のヒットレートが特別悪い。

その原因を探ろうって話になってからわーちゃんとスプリングフィールド始めとする……

所謂立射メインのRF人形が手取り足取りコーチングしているんだけど……

FN49がいかんせんかなり弱気も良いところで常に自信なさげに視線を泳がせるし……

わーちゃんが指摘するように腰がへっぴりで撃った衝撃を逃しきれていない。

となりでM14が陽気に笑いながらサンプルとして構えを見せている。

 

「流石に伏射は出来ないし実際に撃つことは出来ないけど……」

「そのためのバーチャルよ」

 

私を始めとするわーちゃん、スプリングフィールドの妊婦RF組はどうするか?

そりゃ撃ったら衝撃がお腹に響いて赤ちゃんに良くないし伏射?アホか。

ドリーマーが訓練や光学兵器に慣れておけって作ってた模擬RFでのデータ取り。

ただやっぱり妊娠中の使用は不用意なバグや不具合を起こしかねない。

赤ちゃんの発育に支障が出る可能性は潰しておきましょう。

電磁パルスが私達戦術人形の電脳にいくつかノイズを走らせるともかぎらない。

 

「私はヒットレート100……クリティカルが93か」

「ヒットレート100は当たり前よねぇ」

「まぁね、私達それがウリだもん」

 

大半のRF人形はヒットレートは100をカウントしている。

この基地に蓄積されている狙撃データから最適化されているんだから。

問題はその中で一撃で仕留められる可能性が高いクリティカルヒット。

バイタルエリアに直撃させることができるかになる。

ダネルみたいな馬鹿みたいにでっかいのはそもそもヒットしたら即死だけどね。

 

「IWSがラストか」

「気を引き締めて……いきます!」

 

このIWSってライフルも馬鹿げた発想からきてるシロモノなんだよね。

これもカスリでもしたら即死待ったなしなんだよね。

まぁ人形ならまだ耐えれると思うけどヒットしたら電脳がエラー吐くし緊急事態にはなるよね。

 

「ぅぅん……」

 

撃った瞬間になんか声が漏れてるな。何やってんだ?

 

「ブラが無いと辛いですね……ぁぁっ……」

「IWS、もう良い止めろ」

 

 

――――――――――――

 

 

「さて、ではスイーツクレープを作っていきましょう」

「じゃあ取り敢えず私と417とダーリン用の3つかしらぁ?」

「ここに居るメンバーが全員作っていったらまた胃袋がパンパンになるだろうから……」

「そうしたらその分口移しで食べさせてもらえばぁ?」

「それも良いけどダーリンの為にこっちが動くのがいい奥さんの秘訣ね」

 

こう言うとドリーマーが黙った。ドリーマーも尽くすいい女だと思うけど。

我が強いというかかなりの肉食系に化けてるよね。責められるとドMになるけど。

マジな話ここで15時のオヤツとしてでっかいクレープ持っていったら惨事になるね。

見渡す限りではガーランド、M14、SuperSASSが組んでチョコレートサンデー作ってる。

カルカノ姉妹とBrM59が見事なティラミスを作ってる。

その他にわーちゃん、スプリングフィールドが力作のケーキを合作してるし……

G28、DSR、PzB39が特大バームクーヘンでしょ?

SVD、モシンナガンのコンビがレアチーズタルトを製作中。

ダネルとIWSが……ミルフィーユケーキを作ってる。凝ってるなぁ。

これがダーリンに献上される事はほぼ間違いない。

ではどうなるかと言ったら甘い物好きでぺろりと行くだろうダーリンも……

流石の物量にお腹いっぱいになって行くだろうし……変に脂肪がついちゃうとおもう。

私達と違って純粋な人間であるダーリンは当然ながら食いすぎればぶくぶく太る。

それもお腹にくっついていくのが大半だと思うからね。

 

「あと糖尿病ってのが怖いんだよね」

「血糖値の検査では問題なかったでしょう?」

「それでもそういう生活習慣病ってのはいきなり来たりするんだよ」

「それに大丈夫よ、私がしっかりマークしてるから」

「どういう事だ」

 

生地を作っていたらドリーマーが谷間から差し出したのは端末。

これだけなら何の変哲もないものなんだけど画面がね、やばいのだった。

刻一刻といくつものグラフが浮かんでいるモノだ……なんだろこれ?と思ったのは一瞬だった。

 

「全職員の健康状態表……?」

「摂取したモノのカロリーや水分などを計算して血糖値等をシミュレートしてるのよ」

「因みに私達のおっぱいに関しては?」

「もちろんデータ取得済みよ。私お手製の搾乳機使ったでしょ」

 

事細かにそれぞれの成分表まで出てた。どういうこっちゃ。

 

 

――――――――――――

 

RFの会が終わりやっぱりと言うかデザートラッシュになった午後。

今日は警備は触手君お世話係が出ていったんだ。もっぱら触手君が絡め取って再起不能にしてくれるしね……

 

「ほー……そういうのしてるのな」

「そ、人形同士でも親睦会があったりするの」

「俺らのおっぱい談義みてーなもんか」

「そういうのしてるの?」

「おう」

 

お酒の入ったダーリンがバーで騒いでるときがたまにあるけどそういう時だろうか。

私達の前とは違った笑顔だからちょっとジェラシー感じてたりしたけど……

凄いテンションのたかーいダーリンや整備班連中が大声でおっぱいおっぱい言ってたのが記憶に新しい。

毎回騒ぐからスプリングフィールドが奥へと誘導するから全貌は知らない。

スプリングフィールドも断片的にしか知らないみたいだから皆詳細は知らない。

まぁここで知れたから私から皆にシェアして……

 

「ふーん……」

「因みに俺はもちろん417のおっぱいを推してる」

「本当に?」

「疑うのかよ……じゃあココで言ってやろうか、いやこの際だお前に聞かせてやろう」

「いや、それは……あの、ダーリン?」

 

ダーリンがこれを良い事にと私の肩を掴んで離さない。

マタニティドレスの上からでもかなり……着任当初から考えればけっこう成長してるおっぱいを見て……

かなり鼻息を荒くしてきて……あ、目も血走ってきた。

 

「417っぱい成分が不足してきていたんだ、補給しながら話してやる」

「ひえっ」

 

ちょっとだけ逃げるムーブしたら後ろからおっぱいを鷲掴みにされたっ。

 

「……や、優しく……ね?」

「フーッ!フーッ!」

「ダーリン……?ダーリン?あ、にゃっ……にゃぁぁぁぁっ!!!」

 

……午後から私はダーリンのベッドの上でへばることになった。

おっぱいこれでも枯れないから私のおっぱいは凄いんだなぁ……あははぁ




なおこの後ドリーマーが隣に仲良くベッドに打ち上げられていた。


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Day187 水対応、重要な?

人形のボディは防水か?防水でないか?これは単純な話しは完全防水とは言えない。

でも対応を取れば全然潜れもするし頭からナニを被っても平気。

D08使用に改造された時点で完全防水になってたりする。

私も一応改造されてて完全防水、人間が普通に耐えれる水圧までは耐えれる。

だから水の中を潜っても全然平気。じゃあなにが言いたいか?

 

「水泳とかでショートしたらなぁ」

「ダミーが暑いからって水泳したんだけど」

 

あぁうん、暑いって理由でダミーが水泳を試みたんだ。

普通に平泳ぎはOKだったんだけど……クロールとかしたらこれがね。

私のダミーやG28のダミーが潜っちゃってね。

 

「あばばばばばば」

「しびびしびぃー……」

 

プールサイドで伸びてるダミー共の看護に私やジャッジが駆り出されてる。

因みにドリーマー曰く鉄血の物は防水だから問題ないらしい。

雪まみれになろうが問題は無い。ついでに低体温で活動停止に追い込まれることもない。

でも冷たいのをほったらかしにしてたらモチベーションが死ぬらしい。

だからジャッジもさっきから水着に着替えてからプールを見てるんだ。

 

「ちょい水加減見ていい?」

「ショートしないでよ?」

「へーきへーき」

 

ちゃっぷちゃっぷと水面に手を突っ込んで見ている。

眠たそうな感じでプールサイドにおっぱいを潰してからお尻を突き上げてる。

ちなみに着ている水着は鉄血とI.O.Pのロゴ入りのビキニね。

パレオも着用していてから普通に女の子女の子してるんだけどそれはいいんだろうか?

 

「おっほっほーめっちゃ冷えっ冷え」

「水温は……19度か」

 

かなり冷たい。これは長く浸かっていたらさぞ気持ちいいだろうけど……

私はちょっと遠慮しておこうかな。赤ちゃんが宿っているお腹を冷やすのはNGなんで。

 

「こっちのプールは良いわね」

「ダーリン呼んできてもいいかしら?」

「ワルサー、行ってきてくれる?」

「な、なんで私が……しょうがないわね」

「私だって行ってもいいわよ?一人だと不安なんでしょ?」

「なんでUziアンタまで!?」

 

別の水槽とも言えるプールがまた別な水温でいい感じだ。

水温は23度くらいだろうか?妊婦組が揃って水着に着替えてから入りに来ていた。

まぁ私と同じで軽い運動をするつもりなんだろうね。イサカも来ている。

 

「いやぁ……絶景だな」

「ダーリン?私以外ジロジロ見ちゃだめよぉ♪」

「んぉぉお、おっぱい……」

 

イサカのおっぱいの谷間に吸い込まれていったけど主任は幸せだろう。

わーちゃんがさっさとダーリンを引っ張ってこないかな?

 

 

――――――――――――

 

 

「ふふ、これが私特性で作ったウォータースライダーよ!」

 

プールの片隅に布を被っていたのがあるなーって思ってたけど……ドリーマーの作ったものか。

ストレートに滑走するモノといくらかクネクネと曲がりくねって行っているモノの二本だ。

水の循環や冷却、温めなどの熱交換等を終えた水が滾々と流れ出していく。

でも悲しいかな水面に勢いの強弱はあれど叩きつけられるので妊婦はのれません。

妊婦の疑いが持たれている人形も乗れませんと来ています。

 

「なぜ私まで……」

「ふ、これは勝利の隔離ね」

「こういう扱いもたまには良いわね……でも、こういう事されると……」

 

カラビーナ、グローザ、DSRの3人が疑惑を持たれている。

うん、カラビーナは散々ダーリンが寝た後に侵入しているのがバレている。

主に朝になったあとにダーリンが酷い悲鳴をあげてベッドから転がり落ちたのが原因でね。

DSRとグローザは強襲してからダーリンに準備させる前のブリッツクリーグ。

詳しいことはダーリンも話してくれやしないので全然わからないんだけどね。

まぁ妊娠してるものと見て現在経過観察中。他にも疑われる人形は多い。

 

「あたくしは残念ですが当然の処置かと思いますわ」

「まぁそうよね」

「暑い所に涼しいプールは最高ですね!キタキター!」

「はふ……気持ちいい……」

「まぁ悪くはないですね」

 

それを見ながらプールサイドに腕を引っ掛けて涼んでいるPPKとマカロフ。

さっきから潜っては浮かんで潜っては浮かんでを繰り返して涼しさ満喫しているC96。

プカプカと水面に浮かんで楽しんでいるUSPコンパクトとG17。

 

「しかしまぁハンドガン勢もいろいろだけどビキニだね」

「ぺったんこじゃないから見せつけていかないと」

 

ハンドガン勢で一番の恵体を持っているFive-seveNがこれまたダイナマイトボディを見せつけていた。

だがしかし今日はまだ昼休みの一時間ちょっとしか居れないのが残念。

そしてそして何より大事なダーリンの姿はないんだよね……

 

「ダーリンまだ来ないかなぁ」

「いぃぃぃやっほぉぉぉぉ!!」

 

スコーピオンがウォータースライダーで早速遊んでいた。

楽しそうだなぁ……あ、でもあれ……ビキニトップ?

 

「キャー!!」

 

スコーピオンにも流石に羞恥心と言う物はあったんだね……

ぽろりっていう事故があったスコーピオンが身体を抱いてからプールに沈んでいた。

 

 

――――――――――――

 

 

「楽しんでいる?」

「正直オイラとしてまた動けるとは思ってなかったしなー」

「はい、これ」

「……なんぞコレ?」

「ん、オレンジで作ったジェラート」

 

私の人間だった頃の好物は柑橘類のフレーバーだった。

オレンジの匂いは好きだったしみかんは大好物。キウイとかも好きだったなぁ。

あ、キウイは柑橘類じゃないね。まぁでも私は大好き。

多分だけどジャッジも私のAIの一側面が出てるから……きっと好きだと思うんだよね。

 

「お、うめぇうめぇ」

「良かった良かった」

 

一口食べてみたらその後はサクサクと食い進めていく。

眠そうな顔をしてたりするジャッジだけどこういう時だけはめちゃくちゃイキイキとしているんだよね。

 

「ダーリンを見ては」

「止めろ、だ……指揮官の事は思い出さすな」

 

私の感情を引きずってるんだろうな、気を抜くとダーリン呼びしてその後に影でゲロゲロ吐いてる。

普通にしている時は絶対にダーリン呼びなんてしたら吐いちゃうんだよね。

女の子の身体にはめちゃくちゃ慣れちゃってるからもうその関係では吐かないけど。

 

「よー、皆楽しんでるな」

「あ、ダーリン」

「よーダーリンも水着……うぶ……」

 

とか言ってたら早速ジャッジが自分でやらかしてから水着のままダッシュ。

ダーリンはこれにまだ見慣れてなくて……ちょっと誤解してるんだけど。

 

「俺なんか悪いことしたかぁ……?」

「あれの心の問題だから……」

「417の一側面だったっけか。一番最初の417の雰囲気に近いよな」

「元男かもしれないって言ったのはああいうの」

「まぁどうであれ俺はお前を愛するしお前の一側面であるジャッジも愛してやる」

 

このダーリンだから大人しく女の喜びにまた溺れたら良いのにね。

もう私は抗うなんて事は出来ないし根底までダーリンに満たされちゃってるからなぁ。

 

「どうした?」

「ん?いやね、私はもうダーリン抜きの生涯は考えられないなーって」

「おう、俺だってな……お前が傍に居ないなんてのは考えられないし考えたくねぇ」

 

にこって私が笑うとダーリンは私の肩を抱いて寄せてきた。

 

「ほらほらウィル君見てみて、新しいビキニ!」

「見てるから、跳ねるな跳ねるな」

「こうした方が喜ぶよね?」

「嬉しいが止めろ」

 

シェリーと兄さんのカップルがプールにやってきた。

水濡れの路面で跳ねるのは危険だし止めるのは良いけど。

兄さんの視線はがっつりとシェリーのロリボインなおっぱいに釘付けだった。

シェリーも完全に理解している訳じゃないが……まぁ好みって言うのを抑えていた。

 

「とりあえず……一緒に泳ご?」

「そうな、次は……」

「それは出産後でね?」

 

むにゅ、とお尻を鷲掴みにしてきたからダーリンの腰を小突いた。

お誘いは嬉しいけど赤ちゃんが居る間は控えめにね?




最近とあるDiscordで馬鹿騒ぎしたりしてて執筆が死ぬバグどうにかなりません?
主に武器庫の廃棄物処理施設なんですけど

ライターみんな頭おかしい!!


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Day188 ゲーム飯

よくゲーム内の飯って美味しそうに見えるよね


休日にすることは何だと思う?家事全般はいつもしてるからノーカンね?

例えばダーリンだったらバイクに跨って何処かへと走り出す。

スコーピオンから始まるゲーム勢はこれ幸いにと積みゲーやらやりこみ要素が多いゲームを消化し始める。

スオミとスケアクロウは畑の様子とカルガモ達のお世話に。主にカルガモと遊ぶ。

整備班連中とその恋人はそれぞれ個室で砂糖を形成してるところだし……

コック連中はお姉ちゃん、45姉、9姉のロリダミーを愛でてる。

他にもカルカノ姉妹のロリダミーの入荷予定があるし……ネゲブのロリダミーでしょ?

まぁそれはさておいて……各々好きなことをするのがこの基地の休日って奴だね。

因みに私はダーリンのご飯を作るかゲームするか家事するかだね。

 

「わぁ、このゲームのご飯おいしそうですよね!」

「割と作れそうなのがまたなんとも……」

 

今はゲームに興じております。お隣はハンバーガーとコーラで気分上々なSPAS。

元々が軍用だったりするハイパワーな躯体らしいから摂取カロリーが多い。

なおこの基地でそのハイパワーを発揮する場面が少ないために食べる量と消費カロリーがつり合ってない。

その余剰カロリーは無事そのバカでかいおっぱいに蓄えられていってる。

お前も人のことを言えない?な、なんのことかなー?

 

「そう言えば今朝の悲鳴は」

「言わないで……また寝ぼけてブラを間違えただけだから」

「あれ何カップなんでしたっけ、Iカップ?」

「そりゃK5とかのブラだね」

 

今朝私とお姉ちゃんとスプリングフィールドの3人がブラを間違えて装着。

無事ホックをぶっ壊してしまい強制的にダーリンに徴収された。

その時の悲鳴が割と遠くまで響いていたらしい。

 

「まま、ごはん」

「あぁはいはい……ほら、おっぱいですよー」

「ん……」

「こうしてみていると普通の赤ちゃんなんですけどねー」

「そうだね、カワイイカワイイ私達のベイビーだね」

 

ゲーム画面に目を向けていたらスカートをくいくい引っ張られて何かなって見たらベイビーが指を咥えていた。

私とSPASのお顔を見た後私のおっぱいを見てきたから私をご所望なんだろう。

お膝の上へと抱っこしてあげてからマタニティドレスの胸元をちょっと乱して……

授乳態勢を整えるとちゅっちゅと吸い始める。まだ赤ちゃんはお腹の中だけどこれは良い母性をくすぐってくれるモノなんだよね。

 

「あ、SPASはどんなお昼が食べたい?」

「そうですね……このもんはんってゲームのご飯が食べてみたいです!」

「猫飯を作れと……まぁやってみるか」

「やったー!じゃあダーリンも連れて来ますね!」

「腹を空かせて帰ってこいって端末に打診よろしく。あとジャッジも連れてきて」

 

 

――――――――――――

 

 

モンスターハンターってゲームをご存知だろうか?

前世紀、一世を風靡した大ヒットゲームの名称だ。

その名前が示す通りに色んな怪物とも言えるモンスターたちを狩猟するゲームだ。

今の時代もそんなゲームがコミュニティを作り上げていたりする。

現実に同じ様な武器を製作して対人形用の武装にしている人間も居る。

でも多く登場しているのは馬鹿みたいにデカイ剣だったり刀だったりハンマーだ。

つまりは近接武器に限られてくる。いやまぁボウガンって名前の実質銃器もあるけどね。

弾を製作するまで出来ないので安定して研ぐ事で保持できる近接武器が多くなる。

まぁ当然自衛手段っていうか本当に差し迫られた時にしか使えなさそう。

 

「よっ……ほっ……」

 

まぁ鉄血の方には近接武器とハンドガンだけっていう男勝りなヤツも居るわけで。

今は斧片手に薪割りしてるエクセキューショナーがそうなんだけどね。

 

「エクセー、そろそろお昼にしなーい」

「ん?おーオマエか、今日のメシはなんだ?」

「見てのお楽しみかなー」

 

ちなみにエクセキューショナーとコンビを組んでいるハンターもだけど肉好き。

モンハンの中でよく出されてプレイヤーの胃袋を鳴らせている料理群は肉料理だ。

それも大盛りほっかほかな肉料理です。つまりSPASもエクセキューショナーもハンターも大満足。

 

「ただいまーっと……お、エクセは今日も元気に薪割りしてたか、偉いぞー」

「おう、おかえり指揮官、へへ次はハンターと一緒に鹿狩りでも行ってこようかって思ってんだ」

「鹿かぁ……さっさと血抜きして持って帰ってね」

「もちろん美味く料理してくれよな、オレはそれが楽しみなんだからよ!」

「痛い痛い、肩をぶっ叩かないで」

 

バシバシと私の肩をぶっ叩いてから期待して勝ち気に笑うエクセキューショナーは良いけど……

なおダーリン、叩いてるエクセキューショナーと叩かれてる私のおっぱいをガン見。

 

「眼福だよなぁ」

「鼻の下伸ばしてないで食堂に行くよ?」

「あいよ」

 

目を細めてからダーリンをジト目で見てやると肩を竦めて私の隣に。

手が流れるように私のおっぱいを揉んでくるけど……それは歓迎だ。

 

「おい、指揮官、オレは?」

「え?ダーリン?」

「……つい」

 

 

――――――――――――

 

 

「という訳で出来上がりましたよーっと」

「おぉ~これは……」

「うおぉぉ……これ全部食って良いのか!?」

「ほう、これは……全て平らげなければ食事となった動植物に申し訳が立たんな」

 

大盛りのチャーハンに大きなチャーシュー、アッツアツのシチューにこれまた大きなチェダーチーズ。

パイナップルに突き刺された串焼きと私のおっぱい並にボリューミィなプレートだ。

今日はまぁ一種のチャレンジって事で私がダミーも動かして作り上げた。

 

「……これ、全部?」

「あ、大丈夫ですよ。ダーリンが残したのは私がぺろっと平らげちゃいますから」

「417も処理手伝ってくれるか?」

「ん、そのつもりだったり」

 

巻き込まれたっていうかあまりの物量に絶句した。

それに対して目を輝かせているのは食欲魔神のSPAS、ダーリンのも食うつもりだ。

 

「まて、私の分は残ってるか?」

「PKP?あぁ、もちろん残ってるよ」

「この身体になってから更に食えるようになってな……ふふ、腹が鳴る」

「やべぇ、チャーハンだけで腹いっぱいになりそう……」

「え、じゃあちょっとこっちに……んー♪」

「その次は私だ、いいな?」

 

かなりの大盛りチャーハンだからこれがダーリンには負担だったんだろう。

で早速ギブアップしていてSPASとPKPから口移し要求が。

私もちょっと食べてっと……私の食欲の限界って言うものに挑戦だ。

 

「んー……まぁ及第点か」

「そうか?オレにとっちゃ美味いメシだけどな」

「私もそれには同感だ」

「ありがと、食べてもらってる側に美味しいって思われるのが一番だからね」

 

私的にはあと一歩かなぁって所だけど食べてるエクセキューショナーとハンターが美味いって言ってるから良いか。

 

「おい、417俺の意見は聞かねぇのか」

「だってダーリン何食べても美味しいって言うじゃん」

「当たり前じゃんかよ、お前の顔を見ながら食うメシがマズイわけ無い」

 

んふふー……いけないいけない、にやけてくるのが分かる。

 

「んにゃっ!?」

「お姉ちゃんのおっぱいぷるーんぷるん♪」

 

G28の強襲おっぱい揉みを食らった。なお私もG28による強制口渡しが……

私の口から強引にメシを吸い取るんじゃない……

 

 

――――――――――――

 

 

「ぷっはー……いっぱい食べて満足です」

「そりゃ良かったけど……太るよ?」

「どうせつくのはこっちですから平気ですよ」

「それに夜の運動があるから実質カロリーはゼロだ」

 

私の限界はチャーハンとチャーシューまでだった。あと一歩、串焼きまで入ればワンチャンあった。

因みにチャーシューはダーリンによる口移しで一個一個ねっとり食べたから変な気分になった。

G28による口移し?チャーハンをもそもそ吸い取られたしめちゃくちゃ恋人つなぎされたし……

 

「お姉ちゃん、そっちにディアブロが!」

「はいはい回避余裕」

 

今は満腹なのをごまかしながらゲームに現を抜かすのだ。

SPASはまだまだ食い足りないのかスパムを焼いたのを食ってるし……

PKPはバナナをもそもそ食ってたり。

 

「……これで練習できるか?」

「いやいや何を練習するつもり?」

「そりゃナニの練習だが」

 

咥えて遊ぶな、いや練習なんだろうけど。そういうのは止めろ。

 

「417ちゃんそれやばくない?」

「んぇ?あっ」

「あっ」

 

ゲーム内で私の操作してるキャラクターが行動不能に追いやられて……

そのまま攻撃を食らう感じだ、あ、待てよ火事場発動させてるからこれは……

 

「あーあ、お姉ちゃん乙った~」

「ぐ、ぐぬぬ……」

「じゃあ今日はダーリンと私がコンビ組んでお姉ちゃんを鳴かせるから!」

「え、は?」

「416も混ぜてからやるのもいいかな、そうしよう!」

 

夜、私が死ぬのがここで確定した。G28は私の性感帯を結構知ってる。

ダーリンは思いっきり知り尽くしてるから……そんな二人にやられたら?

ベッドの上に打ち上げられてダーリンの抱きまくらコース待ったなしなんだよね……




SPASとPKPがエンゲル係数をガンガンにあげていってるのよ。
アストラ?旦那を食ってるだろ


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Day189 願いは?

七夕っすね


7という数字に何を思う?多くの人がこの7という数字が並ぶことに幸運をイメージするだろう。

では7月7日、この字面を見て何を思うか、幸せそうな一日?

いや、私はここで別な事を思い浮かべる。ヤーパンでは7月7日という日はタナバタと言う。

簡単に言えば極東地域で自生していた竹って呼ばれる植物に願い事を書いたものを吊り下げて祈祷する。

ミサンガみたいなものかな?いや、言い方が変かな?

まぁこのタナバタにも諸説あるみたいだけど一番有名なのは織姫と彦星の伝説かな?

遠い昔に牛飼いの男と天女の淡い恋物語があったんだ。

まぁ男のやったことは結構サイテーなことなんだけどね。

端的に言えば美しい天女の水浴びをのぞき見した挙げ句羽衣盗んでとんずら。

現在でやれば間違いなくブタ箱行き待ったなしのヘンタイ案件だよ。

私のダーリンですらそんな事はしないよ。ダーリンがやるのはおっぱいを服の上から視姦するくらいだし……

やっても揉むか撫でるか、それ以上のことはちゃんとお付き合いしてる私達にしかしないもん。

んで、天界に帰るために羽衣が必要な天女は困り果てて地上で暮らす事に。

偶然近くにあった家がその盗人である牛飼いの男の家で転がりこんでなんやかんやでデキちゃったの。

しかしそんな結婚生活は長く続かず……男が盗人とバレてしまい羽衣纏って天女は天界へと帰ってしまう。

まぁざまぁみさらせって感じもしなくはないけど未練たらたらな男、諦めきれなかったの。

その飼っていた牛が天へと登る為の牛と成って追っかける手助けをしたんだっけか?

まぁ追いかけていっても母親がそれを許すわけがなくて二人を引き離す。

天女の父親である神様が一年に一度、この7月7日に会うことを許すってしたんだっけかな。

他にも天界で二人暮らしていたけど結婚してから仕事をおざなりにしすぎて引き離されたとか。

 

「まぁ、恋愛関係になるから私達には外せないイベントだよね」

「俺とお前達を引き剥がす天の川みたいなのは居ないけどな」

「ふふ、そうだね♪」

「だがアレも引き離されたのは子供が産まれた後だったきがするぞ、気を引き締めるのはまだまだこれからだぞ主人?」

「引き離した奴が居たらまずソイツから掃除に行くから心配はいらないわ」

「フン、引き裂かれたってどうってことないでしょ?どんな障害だって乗り越えてアンタの所に戻ってあげるから感謝しなさいよ?」

「天の川ってどれだけ広いか分からないけど滝でもなんでもないなら泳いでダーリンの所に戻るわよ、絶対に」

 

昔であればこんな夜空いっぱいの星々なんてのは見れなかったらしい。

ヴィオラが初めてこのD08の夜空を見上げた時に目を輝かせていたのを思い出す。

 

「しかし、いつ見てもこの星の川が素晴らしいな……」

「平成だと見れなかったんだっけ?」

「あぁ、あの時代は……人が多すぎたんだ、こんな星空が見れるのは余程の僻地だったな」

「これは喜ぶべきなのかな?」

「ちょうど良いんじゃねぇか、輝く星とそれ以上に輝くお前達に囲まれてんだし」

 

とか言ってからダーリンは隣に立ってる私とヴィオラのおっぱいを揉んで寄せてきた。

ダーリンにも頑張ってもらって私達お嫁さん達と子供を守ってもらわないと……

 

 

――――――――――――

 

 

笹の準備はこれが出来ないもんで、結局は人工物の偽物の笹を用意。

 

「流石にたけのこってのが無いからねぇ……流石に無いものはどうにも出来ないわぁ」

 

笹というか竹っていうのはたけのこってのから生えてくるらしい。

成長する過程がそうらしいけど……あとちゃんと管理した範囲で植えないとやばいらしい。

主にその繁殖力がやばくてあっという間に侵食していくらしい。

ミントもびっくりな繁殖力ですぐに竹林を形成していくみたいだよ。

 

「一応プラントだけは用意しておくわ、たけのこが入手できたらまた言って頂戴」

「じゃ、全員願いをこの短冊に書いておくんだ」

「……お願いねぇ」

「そんなの決まりきってることだが……」

 

私もヴィオラも決まりきったことで示し合わせたように短冊に書いておく

まぁ私もヴィオラ短冊の中を見てあーやっぱりって感じで頷く。

 

「もう二人書いたのか、何を」

「だめ、見せないよー」

「見るのはマナー違反だぞ」

「とか言って谷間に突っ込んでるのは誘ってんのか?」

「「揉むのは何時でもウェルカム」」

 

むふーっと私は胸を張っておっぱいを撓ませて見せた。

因みにだけど皆それぞれお願い事って言うのを考えてるみたいだ。

 

「……やっぱり私達は子供?」

「いや、ここは夜の健やかな性活が」

 

皆欲望ダダ漏れだけどダーリンはそれを聞いてどう思ってるかな。

 

「精力剤増やすか……」

「腹上死とかしないでよ?」

「なんでかな、俺日に日に体力がな……」

「その割には腰が毎日痛いって言ってない?」

「まぁな……でももう無理、出ないって事はないな」

「興味深いからちょっと今日の夜ダーリン、私のアトリエでしましょ?」

 

ドリーマーが興味を示したっていうかいい口実を見つけたとばかりに絡んできた。

 

 

――――――――――――

 

 

しかし皆が夜空を眺めているって訳でもなく夜のしっとりとした時間をバーで過ごす人が多い。

まぁこのバーでも甘々空間が繰り広げられている。

主に整備班とそのツレである人形がベタベタしてたりする。

スプリングフィールドがお手製ダーリンぬいぐるみに頬ずりしながらマスターしてる。

特に今はと言うと……やっぱり一番はSuperShorty夫婦だね。

 

「ほら、良いからあーん」

「そ、それより良いからオナニー」

「オナニーより私!!ほら、いっぱいおっぱい酒飲ませてあげるから」

「うぉぉぉショーティー……」

 

じゅるじゅると汚い音が聞こえるけど二人はすっごい幸せそう。

まぁ絵面はかなり凄く……酷いけどね。

見た目幼女のショーティーに対してからおっぱいの谷間に顔を突っ込んでるんだよ。

因みにショーティー含めて服装はそれぞれの旦那が好きなコスプレ。

ショーティーはチアガールだったり。

前垂れ位にしかならないトップスにミニスカート。

私と同じでツーサイドアップの髪留めがリボンになってたり。

 

「えへへ、美味しいですね」

「アストラのおっぱいもめっちゃ美味そう」

「いつも食べてるから分かってるじゃないですか、やだ♪」

「……今食っていい?」

「手だけですよ?」

 

アストラはかなり乱れたOL風のコスチューム。

ハンドガン枠でも大きなおっぱいを持ってたけどD08仕様になってブルンバストに進化したそれが深い谷間をのぞかせている。

こっちは脇目も振らずにアストラを膝の上に抱っこしてからあすなろ抱き。

それから服の隙間に手を突っ込んで生で楽しんでると思う。

 

「ふふ、ダーリン……いつでもバーで……」

「スプリング、ちょっとお仕事中はトリップしないで」

「はっ……あ、すいません……」

 

スプリングフィールドもこの甘々空間にあてられて時たまダーリンに抱かれてる時の事を思い出してる。

おっぱいと股に手が伸びてたからあれ放ったらかしにしてたらヤッてたな。

 

 

――――――――――――

 

 

カタカタとキーボードの打鍵音が響くのはデータルーム。

今日は諜報部も早々に上がり各々の時間を楽しんでいる頃だ。

一人端末に向かっていたのはこの基地を統括するD08基地指揮官のディーノ・タカマチ。

 

「P基地にMSF……かぁ」

 

MSF、かなりの戦力を保有する独立した勢力でグリフィンからも要注意とされている団体。

その実際は戦争をビジネスとするPMCに近い存在だが……

 

「サヘラントロプスねぇ……ドリーマーに見せたらひっくり返りそうだ」

 

カチカチとデータを見ていけば鉄の巨人が鉄血を蹂躙する映像。

MSFを象徴する絶対的な抑止力。これがこちらに向けばどうなるか……

 

「P基地とつながりがあるって言うもんだからコイツらだけは敵にしたくねぇなぁ……」

 

懇意にしているP基地の指揮官、ユノともMSFの重要人物が会ったと言う。

そこまで親密な関係ともなればそのユノと親密にさせてもらっているコチラも敵に回るようなことは避けたい。

いや、それどころか出来ることならばそのメンバーと交流を持ちたいくらいにはある。

 

「……あ、このバーガーミラーズってMSFのヤツだったのな」

 

なかなかにとんでもないハンバーガーを作っていたファストフード店だったが……

そう、ラブバーガーという名前の語感だけで選んだ物だ。

まだ付き合いたての夫婦として結婚報告にP基地に行った後だ。

 

「……また417とあのバーガー食うか?」

 

後日、二人くらいは入れそうなデカイダンボールが納入された。

ピンク色のダンボールで柄はハートと来たもので……

所謂、簡易的なラブホテルみたいに使われてそこで仲睦まじく愛を育むカップルが後を絶たなかった。

 

流石にヤるカップルは居なかった。




願いなんてのは決まってる。

ここで記すまでもないでしょう?


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Day190 アイアンクロス

SNSがあるかどうか?知らねぇな!!


さてと、今日はダミーに意識を移して活動しなくちゃいけない。

なんでって?そりゃ私がきっちりかっちり動かなくちゃいけないからね。

ウロボロスがめちゃくちゃ張り切ってるしドリーマーも何処かウキウキしてる。

巻き込まれたゲーガーだけが死にそうな顔してたり。

 

「何故私まで……」

「でも良いストレス発散にはなると思うよ?」

「ここに立ってるのがストレスになるんだが……」

 

ノリと勢いで始めたアイドルグループあいあん★くろす

一回限りのゲストとしてアイドルしたけどまた情報の飛び交うSNSに顔を見せたとして私も芋づる式にアイドルデビュー。

まぁ私はあのアイドル活動が結構肌に合ってたしやぶさかじゃないんだよね。

 

「今日は私が前座で踊ってから次がウロボロス達だっけ?」

「そうそう、前回の反響は結構あったけど……」

「結局話題を攫ったのは417だからな、あとドリーマー」

「ぷぷっ、アイドルになっても散々ねぇ?」

 

オフショットに関しては私も噛んでるからまぁアレだけど……

ウロボロスに関しては溢れ出る物があるからイジメたいってファン層が多かったり。

ネットだけじゃなくてリアルでライブ希望する声もあるけどなぁ……

衣装に関しては材料さえ揃えておけばドリーマーの作った自称、ミシンを可動させればね……

かなり際どいのからもっこもこなのまで何でもござれってできる。

 

「今日の題目は?」

「前座の417がラブレター」

「私達がエンジェルドリームね、ドリームなんて言ってるから私がセンターよぉ?」

 

因みに配信方法はライブストリーミング。

動画投稿って形だとその後のトークとかが出来ないからね。

ライブの後はウロボロスによるゲーム実況とかが予定されてる。

歌って踊ってだけじゃ見てもらえなくなる可能性もあるからね。

バストアップばっかり映ることになるから私のメインフレームに戻して参加が可能なのが大きいね。

 

「で、なんでお姉ちゃんとG28が居るのかなぁ?」

「バックダンサーは居たほうが良いでしょう?」

「お姉ちゃんだけ面白そうに踊ってるのはずるい!」

 

ラブレターのダンスは確か3人でフォーメーション取る時があったっけか……

ちょうど良いけどお姉ちゃん達SNSとかに上げられちゃうけどそれは良いのかな?

 

「むしろここは私達の姉妹仲を見せておきましょ?」

「良いね良いね♪じゃあさくっと振り付け覚えちゃうよ!」

 

 

――――――――――――

 

 

お姉ちゃんはともかくとしてG28はかなり筋が良かった。

正直ルックスも良いし笑顔が眩しいからアイドルしていけると思うんだ。

 

「うえへへへ……」

「セッション中におっぱいを揉むな……」

「だってお姉ちゃん達のおっぱいが柔らかすぎるんだもん~♪」

「フンッ」

「たわばっ!?ぉぉぉぉ……」

 

この通り私とお姉ちゃんのおっぱいを隙あらば揉んでくるんだ。

まぁ私もお姉ちゃんもダミーに意識を移していてそんなに快楽信号が来るわけじゃないけど……

 

「お姉ちゃんも踊っててどう思う?」

「ダミーのほうが身体が軽いのはもう仕方ないことだけど……」

 

ダミー人形に関してはD08仕様に近いものが多いけど私達メインフレームには及ばない。

防水加工はされてないしおっぱいの大きさもスタンダードに比べてちょっと大きいくらいだ。

正直誤差の範囲で収まる所だから姿勢制御とかがプリセットのものを使える。

ついでに妊娠もしてないからお腹の重みもない。

 

「ぅごふ」

「……赤ん坊?」

「うん、意識をこっちに移しててもフィードバックはあるもんだからね……」

 

妊娠してから80日、通常換算で160日かかなり大きくなってきた赤ちゃんは音に敏感に反応してくれる。

歌ってたらそれに喜んでるのかよく私のお腹で大運動会。

今みたいにダミーで歌って踊ってってしてても私の声だから反応するの。

どうやらちゃんと私がママって事は理解してるみたいなんだ。

それはお姉ちゃんにも言えることで……

 

「ぅ……こういう事ね」

「お姉ちゃんの子供も元気に発育してるみたいで何よりだよ」

「寝不足になるかもって417が言ってたのがよく分かるわ」

「あー、やっぱり寝ようと思ったらお腹キックとかね」

「良いなぁお姉ちゃん達そういう授かりものしてて、私も欲しいー!」

「「だからおっぱいを揉むのをやめて」」

 

簡単な練習で覚えてくれたのは良いけどG28はこれがなければなぁ……

ダーリンにもこんなノリで近寄ってるかと思ったら私達みたいにしおらしくなったりするんだから。

ちょっとでいいから私達相手でもしおらしい所を出して?

 

 

――――――――――――

 

 

歌って踊ってのライブはなかなかの反響があった。

前座の私がまぁいい感じの宣伝になったんだけど……

 

417ちゃんかわゆす……おっぱいぶるんぶるんしてて眼福……

お隣のお姉ちゃんもかなりイイ……というかめちゃくちゃ似てる、双子?

G28って娘もはちきれんばかりの笑顔とおっぱいで眼福

 

なんて声が続出、私のサイドを務めたお姉ちゃんとG28に焦点が行った。

私とお姉ちゃんは元はといえば同じモデルだし似てるのは当然だけどね。

G28はやっぱりその笑顔に惹かれてその下にくっついてるやわらかおっぱいに心をガッチリだね。

 

「う、ぐすっ……うぉぉぉ……」

「よしよし、泣き止みなさいよぉ……」

「ウロボロスちゃん可愛すぎ、天使かよ……だと」

「あり、がとう……ありがとう、みんなぁ……」

 

容赦ないカワイイコールにウロボロスが完全に泣き地蔵になってた。

これにはオロオロとドリーマーが泣き止むように背中を擦ってから……

 

「所で417ちゃんと416ちゃんのおっぱい大きくなってない?だと」

「「気の所為ね」」

 

現在歌って踊っては終わったのでウロボロスによるゲーム実況に移っていったんだけど……

うん、メインパーソナリティの筈のウロボロスがこのザマだからね……

 

「じゃ、代わりに私がちょっとプレイしていきますねー」

「ゲームは……うわ、オワタ式ロックマン?」

「へーきへーき、RTAとかし始めたらなんちゃってオワタ式になるから」

 

じゃあって事で私がコントローラー握ってガチャガチャやるわけです。

縛り内容は一発食らったらそくミスになるオワタ式っていうレギュレーション。

始まりはやっぱりオタク文化の発祥とも言われる21世紀初頭。

ヤーパンの動画配信文化の中で産まれた物だ。そのミス連続から花火大会等とも言われた。

 

「まぁ私がやればそんな花火大会なんてさせませんけど」

「なんて言うとフラグが立つわよ」

「そしてそのフラグは回収するもの!」

「あ、やべ……あーしまったぁここでソレが出るの忘れてたぁ~……」

 

タダの配信では面白くないって事でその後いろいろミスる度に罰ゲームがあった。

主にウロボロスに執行されていったんだけど。

 

 

――――――――――――

 

 

「なぜ罰ゲームで私が乳搾りされなければならなかった!!」

「だって面白いじゃない、私は楽しかったわよぉ?」

「おかげで今日だけで大きくなった気がするぞ、どうしてくれる!」

「あーら良いじゃない、ベイビーも喜ぶわよぉ?」

 

私がミスったら後ろでウロボロスがひぃひぃ喘ぐって状態になってね……

ドリーマー謹製の搾乳機でごぅんごぅんと搾らされててちょっとね……

ベイビー達が入ってきそうな気がしたけど防音のついでに防臭もしてたんだろうか?

ベイビー達が騒ぐことはなかった。配信後にウロボロスに吸い付いてたけど。

 

「まぁ大きくなったらダーリンが喜ぶよ?」

「そうだが……だが、動きづらくだな!」

「ベッドの上ではバルンバルンと動くよ?」

「ついでに言えば私はここ最近でおっぱいのサイズが増えてるから……ウロボロスも同じ運命をたどるのよ」

 

そう言えばドリーマーのおっぱいは結構増えていたと思う。

私が見る限りでも……ベイビーの乳搾りが始まってから爆発的に増量してると思う。

 

「おっぱいには夢が詰まってるって言うけど……私達の場合は愛が詰まってると思わなぁい?」

「にゃぁっ!?な、流れるようにおっぱいを揉まないで……」

 

標的が私に移ったよ……もう、どうしてこうなるかなぁ……

 

「およ、417にドリーマーにウロボロ?どったん?」

「ジャッジ……」

「おっぱい揉まれてなして……にょぉっ!?」

「さすが、私が作り上げたボディ、最高の肌触りだわぁ……」

「やぁめろおまえ!離せコラ!離せー!!」

 

声をかけなけりゃ良いのにジャッジが声をかけてきてドリーマーに揉まれてた。

 

「で、ジャッジ、その首のマークは?」

「うぇ?あ、あー……こりゃ、アレだ、虫刺され!」

「ふぅん……にしては唇の形に似てない?」

「うっせぇ見んなセクハラで訴えるぞ!!」

 

ジャッジもベッドの上で踊った身だね?

近いうちに私と並んでベッドの上で沈むことになるんじゃないかなぁ?

 

「今夜は私とダーリンの部屋に行きましょぉ?」

「やめろぉ!オイラはそういうのじゃないの!」

「はいはい、そういう事にしておいてあげる」

 

ドリーマーに引きずられてジャッジは何処かへと連れて行かれた。

まぁ多分夜中までドリーマーに拘束されるんだろうなぁ。




喘ぎ配信とか流行りそうじゃない?


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Day191 刮目せよ

ごめ、操作ミスって投稿しちゃった


今日はまたお客さんが来るみたいだ。ダーリン曰く私達には嬉しい相手。

ユノちゃん?と聞いたらもちろんと答えてくれたから歓迎しなくちゃね!

 

「みんなーユノちゃんが来るみたいだからお菓子をた~っぷり用意!」

「あの娘だからバームクーヘン……一つまるっと食べそうね」

「そうですわね……他にも旦那様のPPKも来るみたいですから多めに作っても問題は無いでしょうね」

「こっちはチョコレートケーキを作っておくわ、49ちゃんは紅茶の用意」

「は、はいぃ……」

「シュークリームなんてどうかしら」

「チーズタルト等作ってみましょうか」

「ちょっとクッキーは私が作るんだから勝手に取らないで!」

「わたくしはチョコチップクッキーを作るの」

 

ユノちゃん一家はこの基地でも大人気、嫌いだなんて言う人形は一人も居ない。

まさにいっぱい食べる君が好きってヤツかな。私もあの娘がいっぱい食べてほわほわ笑顔を浮かべてるのが大好き。

皆笑顔でお菓子作りに励んでいく。もうこうなったら誰も止められないね。

作るお菓子は一応ながらお持ち帰りも可能な物ばかりだからよしんば食べきれなくても持ち帰ってもらって楽しむのもヨシ!

 

「よぉ……417ちょっといいか?」

「あれ、ジャッジ……どしたの?」

「いや、よぉ……オイラもその、お菓子作り手伝わせてくれね?」

「良いけど……ははぁん?」

「ダ……指揮官の事はちげぇからな!!ユノちゃんになんか出さなきゃいけねぇってオイラの奥底の何かが叫んでるの!!OK?」

「おっけぃ!」

「たわばっ!?」

 

ジャッジにエプロンを叩きつけてからキッチンに引き込む。

幸い?私とジャッジに身体的な差って言ったらおっぱいのデカさくらいしかない。

手足の長さも同じくらい、背丈なんてちんまりとしてるから尚更ね。

これで鉄血側ではかなり上の方の立ち位置の人形らしいから何とも。

まぁこのジャッジはボディの設計だけ持ってきた言わば別物だけどね。

 

「因みにジャッジは何を作りたいってあったりする?」

「オイラはプリン作ってみたいっすねぇ」

「おっぱいプリンとか?」

「そうそう、って違うわ!!」

「んにゃぁい」

 

ツッコミが私のおっぱいにすっ飛んできた。ばるんばるん揺らされる……

 

 

――――――――――――

 

 

「私へのお礼?別にそんなの求めてないわよぉ?」

「それでもしたいっていうのが向こうの気持ちって奴だろうよ」

「ふぅん、なら受け取っておくけど……ナノマシン系列の研究も現物を触ったおかげで良いもの作れるようになったし」

「お、妻の成果を聞かせてもらいましょうか?」

「最近調子いいでしょ、ダーリン?あれ、私が作ったナノマシンでこーっそりとブーストかけてたの」

「え、マジ?」

「マジマジ、そのうち全員にこゆーいのをご馳走できるくらいに……」

「よし、お前は孕ます」

 

今日はドリーマーが主役って事でさっきからダーリンとイチャイチャしてる。

ってダーリン壁ドンして何し始めようとしてるんだか……

 

「はいストップ、お客さんが来るのに臭うような事しない!」

「へぶっ」

「いやん♪」

 

全く……止めてなかったら白昼堂々とおっ始め始めたでしょ?

しかし道理で毎晩毎晩あれだけヤッて枯れないのかと思ったら種はそうでしたか。

でもこれ知れ渡ったら皆こぞって押しかけてダーリンの睡眠時間が無くなっちゃうよね。

 

「で、今日はユノちゃんの他に来るメンバーは?」

「連絡があった限りでは旦那のPPKと子供のP7とTMPとASValそれとスチェッキンとアイドルメンバーだとさ」

「おーぅ……アイドルスリーピースと来たか」

 

先日のライブ配信が響いちゃったかなぁ?

取り敢えず調理班のぺたんこスキーが狂喜乱舞するのは確定だね。

ん、でも最近増えたメンバーのHK45とスピットファイアはどうかな?

結構なかなかなものをお持ちだったと思うんだけど。

あの辺はどうだろうなぁ、調理班の好みに刺さるかどうかはまぁ良いか。

 

「じゃあ歓迎であいあん★くろすのメンバーも出しておかないとね」

「アイアンクロス?」

「あ、ダーリンは知らないんだっけか」

「私所属のこの基地発祥のアイドルグループよぉ」

 

コレにはダーリンがびっくり、お前ら何やってんの?って顔してる。

 

 

――――――――――――

 

 

じゃあ歓迎の為にって事であいあん★くろすのメンバーが緊急招集された。

 

「はい、招集されたのは何故かわかるぅ?」

「何故だ?説明を求める」

「また何で私が……正式に参加するとは一言も」

「ダーリンに説明しちゃったわよぉ?」

「じゃあ頑張るしか無いか……くそっ、外堀を埋めて……!」

 

ゲーガーが座ってる机をガンガンぶっ叩いた。やめろ、載せてる私のおっぱいが揺れる。

で、だけどここであいあん★くろすのメンバーを見渡して見るんだけど……

 

「なんで君たち居るの?」

「いえ、他意はございません」

「少々、はい、少々農業以外にも趣味を見つけたくて」

「面白そうなことをしているとは思っていたのでな、すこし混ぜてもらいたくて」

「私達も混ぜてくれなきゃ、親友で家族でしょ?」

「おい、ハンターなんでオレまで!?」

「ちょうど良い機会だ、新しい私達を開拓しようじゃないか」

 

残りのハイエンドモデル組が勢揃いしていた。

いや、なんでここで増えることがあるのかな?いやいや。

 

「ソレを言ったらそっちの保護者だってねぇ?」

「保護者じゃなくて姉よ」

「妹!」

 

お姉ちゃんにG28もまたなんでここで招集されちゃうかなぁ?

対抗意識持ってたりしない?いや、そんなの必要ないんだけど。

だからG28は私のおっぱいを揉もうとするな、手を叩いたけどまだ伸ばしてくる。

 

「えーじゃあ私も踊らなくちゃダメ?」

「妊娠してる私達は無理だけど……」

「私は全然踊れるから平気平気!むしろ踊らせて」

 

とまぁG28がかなり元気にぴょんしゃか跳ねて自己主張してるんだ。

お前のそのでっかいおっぱいがバルンバルンしてるんだけど痛くない?

 

 

――――――――――――

 

 

お題目も決まった、歓迎料理も出来上がったしお菓子も出来た。

あとは向こうの面々がやってくるのを待つだけ。

 

「喜んでくれるかな?」

「喜んでくれるだろ、まぁこっちの好意は無碍にはしないだろうし」

「ふんふんふふーん♪」

「ドリーマー、ご機嫌だね?」

「そりゃそうよぉ……止められたアレを活性化させるチャンスだものー♪」

「やめておきなよ……」

 

ドリーマーがうきうきとしてなにか端末を弄ってる。周波数とか合わせてるからなにをやるのか……

そういえばユノちゃんの近況は聞いてたけど実際にどうなってるかってのは見たことなかったし……

私も来てくれるのは嬉しいし楽しみだなぁ。

 

「妊婦全員集められてるのは……あ、もしかして?」

「スチェッキンがマタニティグッズを持ってきてるらしい」

「だって、皆!財布の紐を緩めてー!!」

 

一気にざわつく妊婦一同。イサカは主任におねだり攻撃。

主任の財布の紐が決壊するな、ついでに下の方も……あーこれは見なかったことにしよう。

それにライブ用のステージとして倉庫の一部が開放されてるし受け入れ体制はバッチシ!

D08基地の最大限の歓迎をしようと思うんだ。

 

「まま、だっこ」

「あーはいはい……よしよし」

 

やばいなーベイビー達の事は出来るだけ隠したかったけど……

この際バレたらバレたでダーリンとの子供ってことにしてしばらくは誤魔化しが効くかも。

おっぱいをしっかりと吸わせてから抱っこするけど……この光景見たら驚くだろうなぁ。

 

「前方より砂煙、たぶん来ましたよー!!」

「了解ー後はレーダーに頼るからSASSもおりてこーい!」

「了解ですー!」

 

見張りを買って出てたSuperSASSからの報告があったしもうすぐか。

ふふ、お互い変わりに変わった姿に驚くんだろうなぁ……

 

いや、え、デッカ!?女人3日も会わなかったら刮目せよ?

Cか?この胸のサイズはデカく見える……!




いやあの、ほんと、マジなドジやらかしっす。
笑えよベジータ……


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TheEND

僕はもう筆を折ります。


どれだけの時間が経っただろう。えーっと……あぁ、私がこの身体で目覚めてから260日になるか。

今どうなってるかというと……

 

「いきんで!呼吸を整えて!!」

「ふーっ!ふーっ!!」

 

猛烈な激痛に脂汗が止まらない。鎮痛作用のあるものを服用してこれだ。

痛覚をカットしたら良い?いや、そうすると生物学的に仕込まれた作用が出ない場合がある。

あと個人的なこだわりというか、ママになる者としてのけじめとしてそんなズルは嫌だった。

トカレフとK5が何か言ってる気がするけど殆ど聞き取れないんだ。

それくらいに私は私を保っているのに必死だったりする。

陣痛と破水のセットが起こって何時間もたってない筈だけど……

この数分だけでえらい時間をくってるようにも思う。

担ぎ込まれたのは私だけじゃない、少し前にヴィオラが破水して担ぎ込まれている。

どうなったんだろう?私以上にメンタルが弱いヴィオラだからめちゃくちゃ泣いてそう。

 

「頭が見えてきました、後少し!!」

「ひっぐ……ぅ……!!」

「シーナも頑張って、もっといきんで!」

「うっぐ……がっ……あぁぁぁ……!」

 

しっかりと設営された分娩台の上で寝かされる私とヴィオラ。

まだヴィオラは良いよね。大人なボディの上での妊娠だからさ。

私はどうだって?言わずもがなロリロリしたボディに赤ん坊が宿ってるんだよ?

かなりきついに決まってんじゃん。ここ数週間動くに動けなかったんだぞ。

あ、やばめちゃくちゃ痛くて気絶しそう。

 

「シーナの意識レベルが落ちてます!」

「気付け、早く!!」

「かっはっ!!?」

「もう少し、もう少しだから頑張って!!」

 

あーもう、カラビーナはそんなに頑張っちゃダメでしょ。

お前だってもう妊娠何ヶ月だよ、もう3ヶ月は軽く過ぎてるでしょ?

……耳が聞こえてきたな。頑張れ?いいじゃん頑張ってやるじゃん。

 

「ふっぐ……ぐぐぐ……ふーっ!!ふーっ!!」

「その調子!こっちも頭が出てきました!!」

 

ダーリンをちゃんとパパにしてあげないとね!!

ママになる人形の底力なめんなよ……!あ、まって痛い痛い痛い。

裂ける!メリメリと私の身が裂けていく……!

 

「っが……あ……ぁぁっ!」

「いたい!いたいよぉ!たすけて!!しゅじん!!」

 

私もヴィオラも今まで挙げたことない大絶叫だ。

ヴィオラなんていつもの調子が完全に潰れてベッドの上の女の子してる時みたいじゃん。

 

「「おぎゃ……おぎゃぁぁあああ!!」」

「産まれました!二人とも女の子です!」

 

終わったか……もうだめ

 

「ほら、シーナ……見てください、元気な女の子ですよ」

「……あはは……元気良い……ね」

 

も、むり……

 

 

――――――――――――

 

 

「う、うーん……」

 

全身麻酔を食らってるみたいで動きのノロノロしちゃうなぁ。

おぉ、久しぶりに仰向けだけど……いや、まっておっぱい重い重い。

誰か持ってよ。主にダーリンが持ってくれたら凄く嬉しいんだけど。

 

「ハッ……あ!パパ!ママがおきたー!!」

「ふがっ……何!?あ、あぁ……良かった……目が覚めてくれて……」

 

左右にでろーんとなってるおっぱいに吸い付いてたのは何を隠そうベイビーだ。

えーっとこの癖のある栗毛はブランだね。

私のおっぱいがとっても大好きな男の子だ。

最近知育のおかげで食欲と万年赤ん坊サイズってのを除いて普通に成長し始めたなんちゃってE.L.I.Dだ。

ダーリンが泣き崩れて私を抱きしめるんだけど、あー……死んだかと思われてた?

 

「大丈夫大丈夫、私はこの通り生きてるから……久しぶりにおっぱい飲む?」

「飲む、じゃなくて。無事に赤ん坊を……ネーナを産んでくれてありがとう」

「ふふ、それはちゃんとヴィオラにも言ってあげてね?」

「もちろんもう言ってる……お前がずっと目が覚めなかったから心配で心配で……」

 

よくよく見てみればダーリンの目元はすっごい隈ができてる。

ついでに言えば無精髭だって生えてるし身が入らないってのはこの事か。

とんとん、と背中を優しく叩いてから撫で付けると落ち着いて……

 

「ぐずっ……お、おぉぉ……」

「もー泣かないの」

 

今度は私の肩の上でおんおん泣き始めた……この何ヶ月も連れ添ってるけど初めて泣く所を見たかも。

 

「ネーナは?」

 

何かを言うことが出来ないのか指差す方向にはベビーベッドの上に寝かされている赤ん坊が。

あぁ、元気に産まれてきてくれてありがとう……

 

「ねぇ、ダーリン……ううん、パパ。ネーナを抱っこさせてくれない?」

 

べぇべぇ泣きながら私の両腕にしっかりと赤ん坊を抱っこさせてくれた。

いけないな、おっぱいが邪魔でお顔が見れないや。

 

「ん、ちゅっちゅっ……」

「ん……あはは、お腹ペコペコだったみたいだね」

「ママのおっぱいはずーっと出てたけど……」

「うぇ、身体だけは起きてたのか……ブランもお腹いっぱいちゅっちゅした?」

「うん、でもママにナデナデしてもらえなかったから……さびし……さびしかったよぉぉぉぉ!!びえぇぇぇええええ!!!」

「あーもう、ほらおっぱい吸って落ち着こ?」

 

起きてからおっぱい祭りだなぁ……

 

 

――――――――――――

 

 

後々聞けば私は三日間も寝続けてたらしい、そりゃパパも心配するわ。

 

「はい、リンゴよ」

「はいはいどーも、次はお姉ちゃんだね」

「私の心配より先に自分の事を心配しなさい」

「はーい」

 

大きなお腹に大きなおっぱいをぶら下げたお姉ちゃんがお見舞いに来ていた。

予定日は10日後だけど前後する可能性だってある。

ここ数日はP基地のペーシャさんとMk23が泊まり込みだ。

 

「これからが大変だね」

「そうね……うっ……」

「え、マジ?」

「いた……ぃ……」

 

ばしゃぁなんて水音が……あ、これは破水したな。

ナースコールナースコール!!

 

「どうしま……RFB!!分娩の用意を!!K5は医務長に伝令!!」

「「はい!!」」

 

ばたばたと入ってきたトカレフが急いで伝令を走らせる。

すぐにストレッチャーを持ってくるとお姉ちゃんを寝させる。

 

「お姉ちゃん、気をしっかりね。頑張って!!」

「う、うぅぅ……もちろん……よ……」

 

あー、こりゃまたパパが気が気じゃなくてオロオロするパターンだな。

 

「っくっしゅ!!おぎゃ、おぎゃぁぁ!!」

「あ、あーはいはい驚いたねーはーいママですよー安心ですからねー」

 

私は私の仕事をしましょう、愛しのネーナをちゃーんと育ててあげないとね。

 

「おっぱい?はいはい……おっぱいいっぱい飲むねー」

「んっまんっま……」

「んひっ!?こ、この舌使い……パパの血が濃ゆいな……んあぁっ……」

 

まさかマイベイビーに喘がされるとはな……

これから、ずーっと幸せな日が続くんだ……ふふ♪

 

 

 

 

 

「ママ!」

「うぇ?んんんんっ!!?」

「いつまで呼んでも返事しないんだもん。おっぱいいっぱい貰うねー」

「乳離してほしいなぁー!?んにゃぁぁぁ!!」

「お、ネーナもか。ちょっとパパも朝のママミルクをな」

「パパも?じゃあかたっぽどうぞー♪」

「みゃってぇ!?んひぃぃぃいい!!?」

 

出産日のこと思い出してたらネーナにめちゃくそちゅっぱちゅっぱされてた。

御年12歳。まだまだママのおっぱいから離れてくれません。

 

「そういえばママ、ネーナのおっぱいまた大きくなったの」

「え?」

「ママのおっぱいもでっかくなってるよね。もみ心地ぱなーい♪」

 

娘ネーナは12歳にしてJカップのとんでもおっぱいの持ち主。

因みに育乳に関してはパパも一枚噛んでるので……

 

「今度彼氏連れてきても良い?」

「ぶっふぅ!?」

「ごっほごほっ!?」

 

いろいろと進んだ女の子になったけど。本当に元気でよかったなぁ!!




モチベが折れて書くのをやめた。
ただソレだけです。

色々と拙いですよね。これは作者としてあるまじき事。


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番外 ドリーマーのおっぱい開発講座

カフェ時空じゃないしね。こっちで番外ってことで。


「おっぱいで感じる事はありえない?ファンタジーですってぇ?

それは真っ向から否定させてもらうわよぉ……自分でも開発してるし……他人も開発してる私……

D08のドリーマーが今日はおっぱいの性感開発講座を開くわぁ……」

「おい、離せ変態ハイエンド」

 

開発当初はAかBかと言った胸だったドリーマーだがここD08のドリーマーは……

十分なほどにおっぱいオバケに成長している。

自ら改造したときにはたわわなHカップまで一気に成長したものだが……

417のバストデータやお隣、P基地の指揮官姉妹に施した施術のフィードバックを自身にしていて……

とまぁそんなのは後にして今日は定期検診の為に訪れていた件のP基地指揮官姉妹の妹。

ドリーマーはノアを施術台に座らせて、ビデオカメラに撮影をしていた。

 

「まぁまぁ、今日のごちそうはぁ……ごにょごにょ」

「……チッ」

「それにぃ……貴女が最近救ったって言うお姫様にとっても悪い話じゃないしぃ」

 

妙にノリノリなドリーマーはノアの100センチバスト……ではなく自分も胸をモニュモニュと揉み始めた。

 

「まずそうねぇ……自分での育乳とかぁ開発についてレクチャーするわぁ」

「いらねぇ……」

「……もしもしクフェアぁ?こう言ってるから貴女がしーっかりそっちでやるのよぉ?」

「クフェア巻き込んでるんじゃねぇよ、オイ!」

 

叫んでいるノアを他所にカメラに向かってからよく見えるようにドリーマーは位置取りを変えて……

下乳の根本辺りを念入りに揉み込んでいる。

そも、おっぱいの大体は脂肪であり神経はあまり通っていない。

揉まれて興奮するのはいわゆる視覚的刺激による興奮だと言われている。

実際シーナいわく「ダーリン以外に揉まれてもあんましー……」らしい。

現在ドリーマーが揉み込んでいる付け根……そこには神経が一つ通っている。

ブラのカップのワイヤーが通ってる部分に当たる。

 

「まぁここも結局は開発しないと……感じれなかったりするらしいわぁ」

「おい、手をワキワキしながらこっち来んな!」

「つつー……っと」

「んひぃっ」

「感度良好ねぇ……素材が良いのは喜ばしい事ねぇ……♪」

 

衣服の上からではあるがドリーマーの指がそんなアンダーを撫でればくすぐったそうな悲鳴が上がる。

そんなノアの様子にニヤァ……としながらも次へと進む。

その他におっぱいに存在する性感帯というのは乳頭……乳首である。

それは皆さんご存知でしょうから割愛させていただく。

ではもう一つ……

 

「おっぱいのGスポットって言ったら分かるかしらぁ……スペンス乳腺の紹介よぉ」

 

スペンス乳腺、気になる人は調べてみるといいだろう。

ここでは雑に……おっぱいと脇の付け根と説明しておこう。

 

「ここをぉ……こ~やってぇ……」

「やめ……くすぐったいだろぉ……」

「指圧でも良いけどぉ、キスや舌で舐めあげてあげるとぉ……開発が進むわよぉ♪」

 

そんなスペンス乳腺の場所をコリコリと指圧しながら耳元で囁く。

くすぐったいだけであろうか……その表情には幾分か色気が見えなくもない。

 

「まぁ元の素材が良いからぁ……ここを今回は重点的に開発していくわよぉ♪」

「おい、やめろ!誰かコイツを止めろ!!」

「残念ねぇ……ここでは私が神よぉ……♪」

 

哀れノア、変態淑女と化したドリーマーの毒牙を止める者は誰も居ない。

幸いなことに唯一のブレーキはこの一言。

 

やりすぎたら一切手出ししなくなるからな、リリー?

 

このD08の統括者であるタカマチの一言。

 

「くそっ!やめ、やめろぉっ!!ふあぁぁっ!?」

「いい声ねぇ……ほら、ここも……♪」

 

ただこの一連のことを録画していることはノアには知らされていない。

以前の検診ではただやわやわと揉みしだくばかりだったが……

今回はあからさまに意味深な方向性の開発だ。

 

「このっ……ひぃぅっ」

「ほらほらぁ……変態ハイエンドにおっぱい触られて気持ちいい?」

「んなわけ……ぃい!?」

「なーにぃ、聞こえないわよぉ?」

 

次第にエスカレートしていくドリーマーの手……そしてすこしばかり乱れさせ……

露出した首筋や谷間にねっとりと舌を這わせる……

まだまだこの開発は始まったばかりだ。

 

 

 

 

「で、ドリーマーのバカは?」

「今絶賛ダーリンによる開発地獄ね」

「クソッ……あの変態ハイエンド……」

 

少し時間は過ぎてD08基地内部食堂。

検診時間を超過しても出てこない二人に首を傾げた417が開けた所だった。

大凡お見せできないような状態になってしまったノアと上機嫌にそんなノアを弄るドリーマーが居た。

ドリーマーにドロップキックを食らわせた後各種セーフティを解除してからドリーマーは懲罰房へ。

そしてノアに検診後に約束しているお腹いっぱい食べていいご馳走を振る舞っている……

 

「くそ……なんか……変な感じが抜けねぇ……」

「あーうん……本当にごめんね……」

 

ブラをなんとか装着した後だからまだいいかもしれない。

これがブラまで破壊されていたら悲惨なことになっていたと思う。

417と416、G28というHK3姉妹はそろって申し訳無さそうな顔で……

 

「でも417姉もこことか弱点だよねー」

「んひぃぃぃぁあああああ!!!!?……ぁ……が……かふ……」

「……うわ」

 

ガチガチに開発された後である417の反応に……そっと胸を抱くノア。

柔和で母親となった後の少し別な雰囲気を纏い始めた417ですら一撃でメスの顔だ。

もう開発されたくない……とノアは思うかもしれないが……

 

このビデオは無事クフェアに届けられて開発バトンは渡されたのであった。




一応これ向こうには了承貰ってますからね!
後日仕返しでキャットファイトに発展したら面白そうと思ったり。
ノアvs08ドリーマー みてみたくない?


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