貞操観念逆転で男女比率1:9とかどんな罰ゲームですかね (annwfn666)
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本編 「最近の転生は説明付きで、もっと親切だとばかり」

初投稿です

地の文多めか?未だAR小隊との出会いまででイチャコラセクハラはもう少しお待ちくだされ


「んん…?」

 

最初に感じたのは白さだった、開く目、何時もの目覚めよりぼやける視界。首だけ動かして辺りを見渡す、ぼやけるのは彼自身の目が可笑しくなったからではなく、何やら白い靄のようなものが漂っているせいであることに気付く。

 

「火事ぃ!?」

 

慌てて上半身を起こすが焦げ臭さも感じず熱も感じない、むしろ寒いくらいだ。第一、視界が悪くなるほどに煙が充満しているならすでに自分は死ぬか、少なくとも意識不明だろうと思い直し、急に起き上がったせいか、少し立ちくらみめいた感覚を覚えた頭を押さえて軽く振る。靄は時間と共に薄くなっていき、寒さを感じた理由も同時に理解する、どうやら冷気を原因とした靄だったらしい。

 

だが、それは同時に新たな疑問が湧いてくる要因となる。自分は一体どこにいるのかと、言う疑問だ。流石に大型冷蔵庫に寝るほど酔狂でもない、昨日は

 

「うん、仕事が終わって帰宅。普通に飯食って風呂入って艦これで掘り始めたら鯖攻撃食らったらしくて猫多発。発狂しつつドルフロを無心でレベリングして、12時回ったんで饅頭集めてそのまま寝…」

 

落ち着くために覚えていること、昨日の行動を口に出して確認、だが皮肉にも逆にそれが混乱に拍車をかける。

 

「あ、あれ?俺、仕事何してたっけ?ん?住所は?何処に住んでた?彼女…はいなかったなウン!畜生!!で、でも家族…あれ?思い出せねぇ!!」

 

好きだったアニメ、マンガ、ゲーム。趣味的なことに関した記憶はあるが自分のこと、家族構成、仕事、そういった事が一切合切抜け落ちていた。昨日やっていた仕事の内容はおろか、親の顔すら思い出せない。何よりも

 

「ハハ…俺、なんて名前だったっけ?」

 

自身の名前すらも。男だったことだけは朧気に理解したが、年齢も覚えていない。どう思い出そうとしても欠片も浮かんでこない自身を構成する記憶、痛みを覚えるほどに頑張ってみたが徒労に終わりガックリと肩を落とす。深呼吸、少し冷静になった頭が次の、否、トドメの混乱を呼ぶ。

 

「…さっきから喋ってる声、多分だけど俺の声じゃないよな?なんか高いし、ハッキリ言って子どもっぽい…」

 

見下ろす今の自身の体。昨日までの姿すら忘れてしまってはいたが、少なくともこうじゃなかったとだけは痛いほど理解した、せざるを得なかった。

 

「本当に子供になってやがる!」

 

ハッキリとは分からないが小学生ほどは小さくなく、高校生ほどガッシリしていない。中学生くらい、12,3歳の華奢な体。それが今の彼の肉体。それをまじまじと眺め、深い溜め息を一つ

 

「つまり、これが夢じゃない限りは…転移系じゃあない、赤ん坊からスタートでもない記憶を微妙に引き継いだ中途半端転生系notファンタジー世界かぁ…誰得だよオイ…」

 

この男、混乱しているのか冷静なのかよくわからない。

 

・・・

・・

 

それから彼は情報を集めることにした。冷気を感じたことから考えてコールドスリープでもしていたのか?上蓋らしきものはなく、完全に収納されてるであろう寝床から起き上がり、まずは素っ裸なので服をと探したがあいにくと手術患者が着るような貫頭衣のようなものしかなく、かと言って文句を言っても仕方がないのでそれを着用、スリッパ履きでペタペタ鳴らしながらコールドスリープ装置のあった部屋を出て、廊下を歩いていた。因みに誰得情報かわからないがノーパンである、男だが。

 

怖かったのは扉が開かないことだった、扉はスライド開きの金属製自動ドア。横にはタッチパネルにテンキー、カードスロットとゲームでよく見るタイプ、それこそゲームならそこらに転がっている死体からカードキーなりコードのヒントなりを漁るのだろうが運が良いのか悪いのか、死体は一切転がっていなかった。つまりノーヒント、これで開かなかったら転生したと思ったら即座に餓死決定、などという発狂物の展開だったが、恐る恐るタッチパネルに彼が手を触れると至極アッサリと扉は開いた。

 

肩透かしを覚えながらも運が良かったんだと思い直し、扉を出た彼は情報の得られそうな場所を探す。廊下には等間隔に似た金属扉が並び、照明は必要最小限。正直、扉が開いてゾンビでも出てくるんじゃないかと内心ビクビクしながら歩く。試しに適当な扉の横に矢張りあるパネルに手をかざすと扉はシュッと音を立てて開く。中は自分がいた部屋とは違い、何となく何があるか分かる程度の明るさしかなかった。

 

部屋の作り自体は同じようで自分が寝ていたと思われる装置と同型のそれが中央に鎮座しているだけ。違いと言えば自分のときは収納されて存在しなかったカバーが覆っているくらい、見た限りだと透明なそれ、ただ明かりが無ければ空っぽなのか、それとも誰か寝ているのか、判断はできない。とはいえ、明かりを探してきて中を覗き込む勇気は彼にはなかった。

 

廊下、そして部屋にも窓はなく此処が地上なのか地下なのかすら分からない、時間すらも。ただ作り自体は病院に酷似しており廊下の突き当りのナースステーション的な場所に廊下は集中しているらしい。彼がたどり着いた場所をロの形に廊下が囲み、その一辺の中央から廊下が伸びている構造だ。彼が来たのもその一本から。

 

パネルに触れ、開く扉、もはやそれに疑問を持つことなく彼は中へ踏み入る。ほぼ正方形の部屋、テニスコート二枚分くらいだろうか?かなり広い部屋の真ん中にのみに柱が立ち、両開きの扉がついている、その横に小さなボタンが三角に光っていることを考えれば恐らくは移動用のエレベーターなのだろう。他にはサーバーか、スパコンか??大きな筐体が低い唸り声を上げており、その周りに机が配置され、そういった物が幾つか部屋の数カ所にある。彼は取り敢えず入り口から一番近いそれに近づき、机の近くに倒れていたパソコンチェアを立て、その上に力なく座った。

 

一言で言うと、バテていた。自分が眠っていた部屋から此処まで精々が歩いて2,3分程度であったがそれだけで息が上がる。どれほどの間、眠っていたのかはわからないが体力、筋力が大部落ちていることを認識する。荒い呼吸を整えようと深呼吸、同時に机においてあるディスプレイに目を向ける。前には普通のキーボードにマウス、特に自分が持っているあやふやな記憶と差異はない。ただ此処でふと気づく

 

(どうやって情報見れば良いんだよ、てかまず此処なんか研究所かなんかだよね?ログイン・パスワードとか当然あるよね?個人使用のPCにすらあるし。アレ?無理じゃね?)

 

そんな物が分かりようもないし、彼にハッキングスキルなぞある筈もない。つまりは全くの無駄足であることに彼は気づいた。それに万が一入れたとしても情報を探すことができるのか?いわゆる窓のOSを使っているかも怪しい雰囲気を醸し出している筐体にも視線を向けてため息一つ

 

(しゃあない、少し休んで食料探して、エレベーターで上に上がってみるか。三角ボタンが一つ、頂点は上を指しているから此処は多分、地下かな?地下にある施設、怪しさ満載だけど調べようがないから仕方ないね。人が生活してたんだから食うものくらいはあるよね?)

 

大分疲労も取れた、見れば部屋の隅に仕切られた部屋がある、此処で働いていた者たちの休憩所やトイレ、そういったものだろう。もしかしたら非常用の食料も置いてあるかもしれない、他にもこの世界について知る事のできる紙媒体、雑誌でも良いナニカ残っていれば…そう一縷の望みをかけて立ち上がる。そしてその時にふと、無意識に言葉が口からこぼれ出た

 

「はぁ、なんでも良いから情報がほしい…」

 

食料もだが大事なのは情報、実は核戦争で世界が滅んでいて外に出た途端にゲームオーバー、そう言うことすらあり得るのだ。そんな思いがポロッと漏れただけ、なんの意味もないはずの行為。だが

 

ブゥン…

 

「なっ!?」

 

まるでその声に反応したかのようにディスプレイに光が灯り、見たこともないようなロゴが表示される。即座にID,パスワード入力画面らしきものが表示されるが幾つかの小窓が現れ、目まぐるしく文字列が流れていく。

 

「あ~なんかマトリックスで見たな~」

 

呑気に、と言うか呆然とその様子を眺めている内にパス等が入力されたことになり、デスクトップ画面へと進む。と言ってもアイコン一つ表示されておらず、黒一色。お硬い使用者だったのだろうか?

 

「なんかアニメかなんかの壁紙だったら、ヒントになったかもしれないけどな」

 

使用者の趣味はさておき取り敢えず分かったことがある、どうやら彼の音声、もしくは意識のみでPC操作が可能になっているらしい。現に今、画面に表示されているカーソルだが右に左に動いている、マウスには一切触れていない、声にも出していない、ただ「こう動け」と思うだけで動かせるようになっているのだ。

 

「これがチート、か?なんか正直、微妙だけど…」

 

生存にはあまり役立ちそうにない、等と贅沢なことを呟きつつ彼は思考にてPCに命じる「俺に関する情報を表示、取り敢えず古い方から」と。それに反応して画面に踊り始める小窓、彼は「良し」と呟き上げかけた腰を下ろし、画面に向き合う。そして一番上に表示された窓を最大化、早速読み始める。少しでも生存確率を上げるために。

 

 

-彼が目覚める少し前、同施設内地上1階-

 

 

「どうだ、M4」

 

「間違いないM16、信号はこの建物から発信されている」

 

黒い長髪、一部を緑に染めた少女がデスクトップに接続したタブレット状の機材から、視線を外さぬまま後ろに立つ少女に応える。そちらは同じような髪型、染めている色は黄色、そして右目に装着しているアイパッチが特徴的だ。戦術人形でも精鋭部隊、AR小隊の二人である。残りの二人、ピンクの長髪に碧眼のAR-15と、似たような髪の一部を赤く染め特徴的な黒いヘッドパーツを装着したSOPMODはその後ろでカバーリング中だ。

 

最初に気づいたのはM4だった、任務中に行った定期連絡。それに妙なノイズが入っていることに気付く、どうやら何処からか微弱だが全周波数にて救難信号らしきものが発信されており、それがノイズの原因だった。「らしき」とは救難信号にしてはあまりに抽象的すぎたからだ。場所や状況を知らせるわけでなく、ただただ「助けて、お願い、来て」そんな単語を羅列して発信しているだけ。此方からの呼びかけにも返答はなし。最初は鉄血の罠も疑ったが此処は一応グリフィンの勢力下ギリギリの場所、オマケに戦略的にも重要な場所でもないのでほぼ放置状態。そんな所にいつ来るか分からない人形に対して罠を仕掛けるにしてもメリットが少なすぎるだろう。

 

「注意しつつ、発信元の捜索」それが隊長であるM4の下した結論だった。その後、やはり鉄血とは一切会敵することなく発信元と思われる建物に到着、それはこの地域唯一の病院だった。周囲警戒しつつ1階受付の奥にある部屋、其処に放置されていたPCから院内ネット網にアクセス、情報を引き出している最中である。

 

「どうやらこの病院地下に何らかの研究施設があるみたい、大戦時、うぅん、もしかしたら大戦前からかも」

 

「おいおい、そいつは大した骨董品だな。今でも稼働中とは驚きだ、で?研究内容は分かるか?」

 

「其処までは…ただそれに関係ないけど幾つか不可解な点が」

 

情報を抜き終え、ケーブルをPCから外しながら首をかしげるM4

 

「一つは分かるさ、何で可動してるか、だろう?」

 

「ええ、何より電力が…太陽光パネルが屋上に設置されているようだけどこの施設全体を賄えるかは怪しいし、パネルの耐用年数も恐らくとっくに過ぎている筈、それでも動いているのは可笑しい。他に動力源が?エネルギーだけじゃない、メンテナンス無しでこれだけの施設が可動できるはずがない、故障していてしかるべきなのにそれでも可動し続けている」

 

「フン、なかなか不気味な話だ。で?他には?」

 

「さっき情報を抜くためにネットにアクセスしたでしょう?当然、セキュリティ対策されいることも考慮して攻性防壁も用意して潜った、でも…」

 

「でも?」

 

「なかった、一切、セキュリティの類が。簡単なパスワードすらもなかったのよ?「どうぞ見てください」と言わんばかりに」

 

「それは、また…」

 

どれほどの研究をしていたかはわからないが、こうして未だ動力源が可動しているところを見るにそれなりの重要性を持っていたはずだ。なのにセキュリティは皆無、ノーガードとは、全てがチグハグ、流石のM16も顔が引きつるのを覚える。怪しい、怪しすぎる。

 

「で?怪しいことは十二分に理解できたけど、どうするのかしら?そんな所に長居はしたくないから、早いところ決めて欲しいのだけど」

 

視線と銃口は入り口をキープしたままAR-15が割り込む、任務には関係ない事だし余り関わり合いにはなりたくないという意思をヒシヒシと感じる。それを感じつつもM4はチラリとSOPMODの方へ視線を向けるが、その彼女の顔には不満が見て取れる。最近、鉄血ともやりあっていないからストレスが溜まっているのだろう。味方からも引かれるほどの残虐性を鉄血に対して発揮する彼女だ、それが発散されないのは辛いのだろう。

 

確かに任務とは関係ないし、グリフィンかIOPに情報を送り、丸投げしても問題はないだろう。その程度のことなのだが、何故かM4はそれが出来ずにいた、何かこう、勘というものが囁くのが、調べるべきだと。自分は人形なのに、と自虐的な笑みを浮かべつつ調べるのに反対らしい二人を納得させる理由を組み立てる。

 

「私は調べるべきだと思う」

 

そう言うと、ちらっと此方に視線を向けるAR-15にSOPMOD、明らかに不満そうだ。それを敢えて無視しつつ続ける。

 

「確かに任務には関係ない、でも何らかの重要な研究内容を回収できるかもしれないわ。何よりこの電波を止めない限りは鉄血もいずれは気付く、そうなったらあちらも調査くらいはするはずよ。研究内容が大したことがない場合はそれでも良いけど…」

 

「最悪、あちらに持っていかれた挙げ句、何らかの形で此方に悪用される、と」

 

補足するM16に頷き、続ける。

 

「ええ、有用か否かは分からないけど調べないことには分からない。可能なら回収、持ち出せないようなら破壊工作、このくらいはしておくべきと判断します」

 

「よぅし!!そうと決まればさっさと動いて終わらせようぜ!それに此処は病院だ、お偉い院長先生の部屋なんか漁ればなんか残ってるかもしれないぞ?旨い酒とか、な?」

 

カラカラと笑いながら告げるM16に「それ、貴女が呑みたいだけでしょうに」「う~、分かったよも~」と残りの二人も不承不承従い、部屋の外へと向かう。それに続くM16の背中にM4はそっと声を掛ける

 

「フォロー有難うございます…姉さん」

 

「なぁに、隊長を支えるのも仕事のうちさ、励めよM4」

 

顔だけ此方へ向き、ウィンク一つ。前の二人に続く姉の背に視線を向けながらため息。

 

「敵わないなぁ…」

 

少し落ち込みかけた気分を持ち直すため軽く頬を叩く。愛銃を握り直し姉の背を追う、距離的な意味でも、それ以外の意味でも…




鯖攻撃食らって発狂しかけたのは実話です(作者の)


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「此れが絶望とかいう死に至る病ですかね…」

主人公、愚痴多め。

いきなり飛ばされて、二度とプレイできないと分かれば仕方ないね


情報を読み始めてから数時間、途中でトイレ休憩や喉の渇きを覚え、飲み物を探す時間を挟みつつ、ある程度の情報を読み終えた彼は水の入っているペットボトルを手に持ったまま机に突っ伏していた。読んでいた情報にショックを受けたのが原因だ。

 

まず自分の体について。やはり普通の肉体というわけでなく、ナノマシンの一種により強化されていると判明した、PC操作に関する能力もそれのお陰らしい。まずは機械への強制介入、ハッキングなどという生易しいものではなくナノマシン自体を機械へ侵入させ、物理的に回路等を作り変えることにより此方の意のままに操る能力。思えばドアが簡単に開いたのもこの能力の御蔭だろうか?それに付随する形で並列思考、高速思考も可能になっている、人間の思考では機械相手に追っ付かないという事だろう。

 

更には目の改良なのだろうか?分からないが今、彼の視界には幾つかの半透明な窓が空中に浮かび、色々な情報を表示している。映画アイアンマンで社長が操作していたホログラフィックなアレだ、その情報も最初は何語か分からなかったが「訳せ」と念じるだけで日本語に、実に便利。それを同時に複数読み、情報を正しく咀嚼できているのだから大したもの。できれば前世で欲しかったなどと呑気に考える彼。

 

最後に肉体強化、とはいえ戦闘力に直結するものではなくただ単純に生存能力を上げるもので人体に有害な毒物、微生物を即座に分解無害化する能力や治癒力の強化だ。あくまで生き延びやすくなる程度、だから先程から賞味期限など打っ千切っている水を平気で飲み、カロリーメイトモドキをモソモソと口にしている訳なのだが。

 

ではなぜ、このような肉体を持った存在を作ることにしたのか。どうやらこの世界は第三次世界大戦不可避となったらしく、そうなると核の使用は避けられないため『核攻撃によるEMP影響下にて独立大隊レベルの指揮を可能とする人材の作成』的な目標の下、研究された結果らしい。核を含むABC兵器への耐性と考えればこの肉体強化は不自然ではない、あくまで指揮能力特化のため、戦闘能力は必要ないわけだ。思考強化も指揮するため、ただそうなると機械操作はなんなのか分からないが。

 

「まぁ?お陰で助かってるから文句はないけどさぁ、ハァ…」

 

ため息は深い、自分の肉体が散々弄られた産物と知ってショックを受けてるのかと言うとそうではない。問題はナノマシン製作に関する報告書に書いてあった内容だ、日付から考えると前世で生きていた時代に足すこと2,30年頃の話。余程の奇跡でも起こらない限りはナノマシンなど不可能と思われる、実際、開発は難航したらしい。薬物投与で強化する案にシフトする可能性もあったようだがそれでも難しい、遺伝子操作で…などと迷走している内に『ある物質』を使用することでようやく開発にこぎつけたとあった、その一文がこれだ。

 

『…やはり崩壊液の再構成能力は素晴らしい、これによりようやくナノマシンの完成に目処が付いた。既に宿主を守るための異物分解、治癒力を高めるナノマシンは完成、後は思考強化だが場所が場所だけに難しい。しかし、遂に戦争が始まってしまった今、時間をかけている暇はない。多少の犠牲には目をつぶり、実験を…』

 

犠牲、恐らくはこの肉体のもとになった子供と同じ立場の存在のことを指すのだろう、その事に?違う、もう気づいてはいるだろうが…文章中に見覚えある単語、『崩壊液』、すなわち

 

「この世界、() () () () かよおおぉぉぉぉぉぉ」

 

表情は恐らくアレだ、去年に完結したジャンプ連載ギャグのちシリアス漫画の天パ主人公のアレ、居る筈のないところで将軍見かけたときのアレである。これがショックを受けた理由だ、此処がどういう世界か知ったため。

 

「クソッ、死ぬ前?いや死んだのか?わからんが転生前にやってたからか?どういう理屈でそうなるんだよ!だったら艦これでいいだろ艦これで!!あっちのほうが未だドルフロよりマシだわ畜生めぇ!!!アレですか、猫ってたから送り込めなかったとかですか!神様かなんか分からんが鯖攻撃に屈するんですか!!そんなもんですか神いいぃぃぃ!!!」

 

絶叫が木霊する。ハァハァと荒い息、少し咳き込みそうになった喉に水を送り込んで落ち着かせる。別にドルフロをディスってるわけではない、ストーリーは重いわ世界観はポストアポカリプスだわだが、ゲームシステムは良いしキャラも一癖あること引っくるめて大好きだ。正月に諭吉を投入してでも64式自用正月スキンを手に入れ、動くさまに絶頂を覚えるくらいにはこのゲームを気に入っている。

 

だが、あくまでそれは『ゲームとして』だ、実際に其処で暮らすから選べと言われて選ぶ人間がそういるかどうか。第三次世界大戦、崩壊液及び放射線汚染、跋扈するE.L.I.D、人間絶対殺すウーマンと化した鉄血製人形たち。外を歩いて一歩踏み出しただけで死亡フラグを立てそうな世界、彼も選択制だったなら絶対に選ばなかったであろう。

 

「でもなぁ、来ちゃったからなぁ…オマケに恐らく、いや間違いなく自殺も出来やしねぇ」

 

転生者にありがちなアレだが彼も自身の命を重要視してない。自分が望んだのならまだしも、死んだかどうかも分からぬままに送られて、更にに自分がどんな人生を歩んだのかも分からない。もう終わってしまった人生の続きと言えば聞こえは良いが、こんな世界で謳歌しろと言われても素直にハイそうですかと言えるわけもない。正直、手元に銃の一丁でもあれば即座にこめかみに当て、引き金を引いて良いとも思っている。

 

だが此処で問題になるのはナノマシンだ、無理矢理にでも自分を生かそうとするだろう。弾が当たる場所を硬化するとか、むしろ引き金を引く指を動かなくするくらいしそうである。毒もダメときたらもう後は物理的ダメージだろうか?

 

「鉄血の前にUSA踊りながら出ていくとか?それはそれで嫌な最期だなオイ」

 

そんな事に使われるIS○Aのほうが嫌だと思われる。ともあれ、そう簡単に死ねないとすれば何とかこの世界である程度生きていく基盤、という奴を確立しなければならないのだが。

 

「この能力あるなら当然、プレイヤーと言うか指揮官に適してると思うんだが…どうやってなるんだ?試験とかあるのか?つか、能力知られたら16Labのケモミミの…なんだっけ…ペ、ペ…ペロロンチーノ?だったっけ?に解剖されそうだよな」

 

それは齧歯目リス科なHNをしたガイコツさんのフレの名前だ。人形については覚えているが、彼はあまり人間については覚えていないらしい、と言ってもゲーム情報のみならほんの数人しかいないのだが、人間。

 

「ま、兎に角もこの建物を出て人がいる所までたどり着いてからの話だよな、ウン、まずはそれが目標。途中でグリフィン所属の人形に会えれば万々歳だな。鉄血に会ったら逃げ…アレ?俺の能力使えば逃げる必要なくね?むしろ『傘』より凶悪じゃね?俺」

 

実際、彼の前にはソフト面でのプロテクトなど無意味だ、どれほど硬かろうが電脳自体を物理的に組み替えてしまい、無力化可能。クッころ、チキチキし放題である。

 

「やろうと思えば鉄血のRipperとかにUSA踊らせることできるんだよな、なんか一気に難易度下がったな~さて、行くか!」

 

USAから離れろ。取り敢えず役に立つかはわからないが残っていたデータを一つのHDにコピーさせ、引っこ抜いて研究員の私物であったろうリュックに詰め込む。リュックの中身は他には先程見つけた非常食、後は非常用であろう懐中電灯くらい、いや実は他に崩壊液らしき物の詰まったガラス瓶(?)も突っ込んである。何でそんな危ない物をと思うかもしれないが、残しておいて万が一にも鉄血に見つかったら悪用されそうという日本人らしい気遣いだ。

 

本当は衣服、特に靴は欲しかったのだが服関係は一切残っていなかったのが悔やまれる。仕方ないので先程から着ている手術着とスリッパのままでリュックを背負い歩き出す、多少の怪我や足にできるマメはナノマシンがなんとかするだろう故の強行軍だ。

 

エレベーターに乗り、中にあるパネルを見つめる。それだけでボタンがそこに表示される、どうやら此処は地下三階、地下一階は普通に使われており、二階は何もない空間だが緊急時にはそこを埋め、汚染を食い止めるためにあったらしい。崩壊液なんて危ないものを扱っているのだ、当然の処置だろう。通常ならこの三階に到達するためには十何桁のパスやら鍵が必要なのだが、彼には全く関係ない、ナノマシン万歳である。地上一階へのボタンを押そうとして一瞬止まり、屋上へのボタンを押す。

 

別に死のうと、飛び降りてやろうと思ったわけではない。ただこの世界を見たかった、少しでも高いところから。特に深い意味はない、どうせ碌でも無い風景が広がっているに違いないのは分かっている、大戦に晒され復興はおろか現状維持すら怪しいこの世界に期待などするべくもない。それでも、というやつだ。

 

軽い振動とともに上がっていく箱、増えていく階数を見ながら彼は独りごちる。

 

「ついでに能力の実験とかも少しやっときたいからな、ぶっつけ本番なんて絶対アカンやつや。ハァ、しかしこうなるなら先行鯖の情報をもう少し掴んどくべきだったかな~でもネタバレ好きじゃないし、こんな事になるとは思わなかったし…しゃぁないかな」

 

寧ろ、転生に備えて情報を集めてる奴とか本当にいたら引くレベルだ、現状彼が覚えているのは本編第七戦役までとキューブ作戦、ギルギアにブレブルとのコラボイベントで「ジェノワーズ!」とかいう叫びに痙攣起こしかけ。更には低体温症でランダムジュピター配置に表情を失い、アーキテクトのバカっぷりに拳を握りしめたことまでだ。

 

「あ~艦これもっとしたかった、大和建造したかった、妹はいるのによ~。今回の堀り、猫りまくるから途中で諦めたんだよな~、早波~岸波~はぁ…Johnston来てくれただけでもお御の字と思ってたな~。そーいや海外艦もほぼ揃ったんだよな、この前の秋イベで。でっかい暁が数隻ドバドバ来たのには固まったわ~乱数仕事しろ、本当。LittorioをItaliaにできんかったな、ごめんよ~。ああでも、ローちゃんには結局、最後まで会えずじまいで終わるのか~縁がなかったな~あ~鬱だ死にそう」

 

口から漏れるのは脈略のない愚痴ばかり、まぁもう二度と触れることがないコンテンツなのだから当然か、好きなのだから尚更だ。その後もイベや掘りへの愚痴が続くが割愛する、箱が止まり一瞬の静寂ののち扉が開く。廊下の先、錆の浮いた屋上にありがちな重い扉を開くと

 

「おぉ…これが、そうか、ドルフロの世界、か…」

 

山間にあるあまり規模の大きくない街、その中心部に病院は建っていた。扉の所にリュックを置き、そのままペタペタと屋上の縁、ギリギリまで歩いていく。柵は経年劣化か、それとも大戦中の攻撃のせいか殆ど存在しておらず、彼は残っている柵の横を通り、スリッパを脱いで縁に座る。かなり危なっかしい体勢だが気にしない、足をブラブラさせながら辺りをキョロキョロと見回すが目に映るのは今にも崩れそうか、既に崩れてしまった建物ばかり、動く物の気配は欠片もない、空を飛ぶ鳥すらも。

 

「つか、今更だけど今ドルフロのタイムライン的に言うとどの辺だろ?あんま詳しく見てなかったらなぁ…もう何もかも終わってます~なんてこともあったりする?逆にグリフィンもまだなかったりするかも?あぁもう、思考がネガティブにしか行かね~どうしろってんだよ本当」

 

愚痴りつつ、両手をお椀の形にし、口の前へ。息を吸い、その手にフゥッと強めに吹きかける。と、手からキラキラと光る粒子が巻き上がり、空へと飛び去っていく。そう、彼の体内で生成されたナノマシンの一種だ。そのまま空気中に広がり大気中の塵や汚染物質、建築材などを組み替え、視覚、聴覚情報等を発信する一種のドローンを組み上げて辺りの情報を収集することを目的とした。ドローンと言っても組み上がったとして一センチにも満たないサイズだが。因みに光っているのは何となくだ、本来は見えなくしたまま散布する。

 

待つこと数分、組み上がったドローンから情報が送られ始める、それを目の前の空間に投影、幾つかの地図がパズルのピースのように集まり、はまり、一枚の地図を形作る。今、彼のいる街の鳥瞰図が完成したわけだが全行程数分とは恐るべき早さだ、当人はその凄さを全く分かっていない様子だが。

 

「はーん、病院を中心に円状に広がる街、まるで病院ありきで作った感じだな…アンブレラかな?で、やはり当然というか動く影はなし、と。サーモグラフィーとかもできるかな…ってできるんかい」

 

彼の意思を受けてテレビでよく見る熱探知画像へ切り替わる、冷たいところは青、熱いところは赤く映るアレだ。街は病院を除き青く染まり、死に絶えているということを感じさせる。仕方なく病院を拡大、ポツンと建物の縁に赤い点が映っているが、おそらく自分だろう。

他には赤い所は自分の後ろ、屋上の扉の向こうから移動してくる点が四つだけ…

 

(動く点!!つまり!!クソッ、しくった!!)

 

やはり日本人の弊害か、こういう状況に陥っても平和ボケしている思考はどうにもならない、「一歩歩けば死亡フラグ」との認識はあったのに、自分の周りにもセンサーなりトラップなり、仕込む時間はあったのだから。毒づきながら最悪に備えてナノマシンを散布する、これで何とかなる筈だ、相手の出方次第だが足場を脆くして崩すなり、人形なら制御を奪うなり。その事に安堵しつつ、気づかないふりをしたまま思考を巡らす。

 

(アレが鉄血だった場合、複数で行動していることを考えればハイエンドモデルがいるとは考えにくい、いても複数はありえんだろアイツラあんま互いにフレンドリーとは思えないし、精々ハンターとエクスキューショナーくらいだっけ?キューブの時になんかつるんでいたような…違ったっけ?ただこれ、IOPと言うか、グリフィン?側の人形だと思うんだよな)

 

根拠としては何となくだが背後に忍び寄る四人、互いにフォローをきちんとしていると思われる配置なのだ。進むペースからしてもそれが見受けられる、簡易AIしか積んでいないとされている鉄血雑魚ならこうは行かないだろう。

 

(違うなら違うでなんとでもなる、正直、落ち着けば四人全てハイエンドモデルでもなんとでもなるし…後は相手のリアクション待ちかな)

 

誇張でも慢心でもないのが恐ろしい、彼はたまに足を振りつつ、下を見るふりをして恐らくはプレイヤーの味方側の人形であろう相手の出方を伺うのであった。

 

 

-同時刻、屋上への出入り口の建物内側-

 

 

彼が気づいているとも露知らず、AR小隊の面々は扉の脇で対策を協議していた、何の?無論、扉の向こうに見えた子供、それも建物の端に座っているという最悪の状況にある人間に対してどう対処すべきか、だ。遡ること1時間ほど前、地下施設について調べると決めたはいいが初っ端から躓いていた、単純に侵入経路が分からないのである。まずは地下一階を調べたが大半は駐車場、もしくはボイラー室と言ったものばかりであり、当然ながら下へ通じる隠し通路なども見つかることはなかった。となると、エレベーターが一番怪しいのだが他の部分はノーガードだったのにそこだけセキュリティがガチガチなのだ。M4とて別に電子戦に特化したわけでもなく、お手上げ。

 

ならばと正攻法、鍵となるものを探すために二手に別れて六階から上をM4とAR-15、下をM16とSOPMODで捜索することにした、乗り気でない二人を分断したのは当然であろう。お陰で情報がうまく集まらず、段々と返事が「いいえ」と「そうね」と返すだけのbotと化したAR-15と組んだM4の胃に大層なダイレクトアタックを受けたのはご愛嬌だ、胃に類するパーツがあるかどうかは知らないが。

 

分かったことは精々、此処の病院が戦前から病気の子供を優先的に受け入れていたということくらいか、それも孤児すら、だ。マトモに受け取れば美談、だが地下に秘密施設がある病院で子供を集めるなど、碌でも無い理由しか思いつかない。そういった事も二人にストレスとして伸し掛かる、最後の望みの院長室も空振りに終わった、流石にこれ以上は出来ることなど無い、悔しいことに。これ以上は時間の無駄、間もなく日も暮れる時間帯だ。

 

引くことも勇気、分かったことを次の定期連絡時に送り、後はIOPかグリフィンに任せようと結論づけ、M16に連絡しようとしたが反対にあちらの方から、少し慌てた感じで連絡が来る、エレベーターが稼動しているというのだ。即座に二人してエレベーターホールへ、確かに扉の上に付いているディスプレイに映る階数はカウントされ、確実に増えている。万が一に備え、銃を構えるがエレベーターはM4らがいる階を素通りし「R」の字を表示して止まる。どうやら屋上へ向かったようだ。

 

その後、別れていたM16らと合流、階段を使い屋上へ。慎重に進んだ末に扉向こうに驚くべきものを発見する、なんと人間の子供が此方に背中を向け、あろう事かビルの縁に座っているのだ、オマケにスリッパのつま先は此方ではなく子供が座っている方を向いて。これだけの条件が揃っていれば全員の脳裏に「自殺」の二文字が浮かんでも仕方あるまい。明らかに彼のミス、別に柵のところで止まっておけば良かったのだから。

 

さて、ならばどうするかとなった所で固まる四人、流石に自殺しようとする人間への対応マニュアル等インストールされていない。失敗すれば目の前でダイブされる最悪な展開だ、どうすべきかをひそひそ、というか通信で話し合う。

 

(ど、どうしましょう?声、かけて良いんでしょうか?)

 

(う、う~ん、良いとは思うがなんとかければ…「よう、いい天気だな!」とかか?)

 

(曇りよ、今日は。喋らずに近づいて掴みかかるのは?)

 

(掴みかかるって…途中で気づかれてバランスでも崩されたら…)

 

(じゃぁさ、「わ~い♪」って声かけながら走って抱きつくのは?)

 

(((絶対に駄目(です)(だろ)(よ))))

 

(むぅ~)

 

こんな感じでさっきから堂々巡りだ、結論が出る気配すらない。さて、そんなひそひそ話をしている時の彼だが

 

(何 を や っ と る ん だ 、 人 間 の 指 揮 官 い ら ず の 精 鋭 部 隊() )

 

ぶっちゃけ呆れていた、いや仕方ないと言えば仕方ないがあんまりだろうと。自分が招いた結果ということは棚上げしてだ、人間、心に棚を持てとはよく言ったものである。因みに既に背後の四人がAR小隊であることは確認している、行動に即座に移らないことから鉄血ではないだろうと当たりを付け、先程試しに作成して街を探索中のドローンを帰還させ、確認したのだ。その後は当然、ヒソヒソ相談している通信内容も傍受済み、防壁?なにそれ美味しいの?全くもって技術者、ペルシカ涙目である。

 

このままでは埒が明かない、曇り空の向こうに見えていた太陽も山の間に沈みつつある。仕方ないとばかりに彼は行動に出る、つまりスッと立ち上がったのだ。そのまま何事もなかったかのようにスリッパを履き、ドア脇に置いておいたリュックを背負いドアをバン!とばかりに開ける。となると当然。

 

「「「「あ」」」」

 

通信に注意をはらい過ぎ、いきなり彼が立ち上がって此方に近づいてきたことに対応できずアタフタしてるAR小隊とご対面となる。此処で彼は得た情報から考えられる子供の演技を始めることにする、つまりは「常識や記憶も朧気、感情の起伏も薄い天然入ってるっぽい少年」的な感じで。まぁ当然だろう、此処の施設にいたと思われるのに先程までペラペラ愚痴ってた口調で対応されたら怪しまれるに決まっているからだ。

 

まずはコテン、と首を肩の方に倒し「ん?」のポーズ、あざとい、あざといぞコイツ。それを受けても小隊全員が驚愕の表情のまま固まっているのを確認し、そのまま特に声をかけることもなくエレベーターの方へ向かう、流石に此処まですれば声をかけてくるであろうことまで計算づくだ。

 

(びっくりするとあんな顔するんだな16姐さん、レアなもん見たわ~。15も中々だったわ、M4?彼女意外と顔芸多いよね、第六戦役ラストとか、第七なんかカミーユ状態だったりで不幸体質でもあるのかな?SOP?表情変わる一枚絵が多いからなぁ、想定の範囲内でした)等と呑気に考えながら進む彼、創作中のキャラに会うってこんな感じなんだな~と密かに感動している。

 

「ちょ、ちょっとまって!!」

 

意外にも最初に硬直から開放されたのはM4だった、彼的にはM16が最初に声をかけてくると思っていたので少し驚く、当然、顔には一切出さないが。

 

「はい、何か」

 

「え、えと、その…」

 

振り返り、また首を傾げながら返事をする。それに対してM4はどもるばかり、流石に此処までくれば彼も訝しむ、あまりにテンパり過ぎだろうと。確かに子供がいきなりいれば驚くだろうが、いくらなんでも慌てすぎている。一番、肝っ玉が座っているだろうM16に視線をチラリと向けるが此方も酸欠の金魚のように口をパクパクさせるばかり。残りの二人も表情に差はあれ、似たり寄ったりの反応だ。

 

「あ、貴方は…」

 

何かおかしい、そう思う彼に少し落ち着いたか、覚悟を決めたような表情でM4が問いかける。さて、何が来るか…突っ込んだことを聞かれることも覚悟し、彼は待つ。その彼に彼女は、M4は意を決して…

 

「お、男の子なの!?」

 

「はぁ、一応その筈ですが(え、其処?そこなん?聞くこと、えぇ~?)」

 

え、そんな事?と彼が思うことを大声で問うM4。それに対し、「はいぃ?」と前世で結構好きだった「もう一つだけ」が口癖だった刑事の口癖を返したかったのを、ロールプレイ中のキャラを考え必死で押し込み、無難に返す彼。なんともグダグダだが…これが長い付き合いになる彼とAR小隊、そのファースト・コンタクトだった。

 

 

-彼が目覚める数日前、某所-

 

 

「エクセキューショナー、いますか」

 

「あ~?なんだよエージェント、仕事か?」

 

「ええ、ある地点で微弱な通信電波を感知、しかし調査に出した部隊が二つ未帰還です。これ以上は通常部隊の手に負えないと判断したので貴女の部隊にお願いします」

 

「はぁ、調査?それ、どう考えてもオレに合わねぇだろ…イントゥルーダーのほうが適任だろ、アイツに行かせろよ」

 

「彼女は別件で、手の空いているハイエンドモテルは貴女しかいないのですよ」

 

「つってもなぁ…まぁ命令なら従うがやる気が「近辺でAR小隊を確認した、と言っても?」オイオイ、それを先に言えよ、だったら話は別だ、喜んで向かわせてもらうぜ…殺っちまっても構わないんだろ?」

 

「当然です、我らに楯突くグリフィンの鉄屑など文字通り、塵芥に返してやればよいのです。正直な話、調査はついでなのですよ」

 

「オーケィ、早速向かうぜ。吉報を待ってな」

 

「ええ、それでは」




ナノマシンや彼の肉体作成云々はフレーバーです、チート臭いですがこのくらいしとかないとグリフィンあたりに連れてこられた後、男性保護施設に即座に監禁ENDコースまっしぐらですから。

ただでさえ詰んでる世界でこの男女比率、指揮系能力+αがないと人形とキャッキャウフフ出来ないから仕方ないね。

AR小隊の彼への態度は原作考えれば違和感あるかもですが、そのくらいこの世界では男、しかも子供で美少年とか人間はおろか、人形だと一生の内に生で見られたら人形製造100連全部★5レベルのラッキーですのでこんなものです。


後、作中の主人公の愚痴はほぼ作者の(ry


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「説明回、そして初セクハラです」

感想、一つ二つくればいいな~と思っていたら幾つも頂き、嬉しさのあまり来週末に上げられればいいかな、と思っていた次話を急遽形にしてお送りします。

ただ初めて付いた評価が★1で軽く凹みましたが私は元気です

後、結構曖昧だった主人公の性格が固定されました。割とクズいです。初期プロットだともう少し躊躇してたんだがなぁ、どうしてこうなった

あと、感想で「チートやん、無双やん」とありましたが、確かに出来ますがしません。

だってセクハラできなくなるやん(真顔)

追記)SCP云々は彼が前世で見た情報で、それ級の化物がドルフロ世界に跋扈しているらしい、ということです、念の為。この世界にSCPがいるという訳では…崩壊液、収容違反、Kクラスシナリオ…ウッ、頭が




この世界は文明が発達する以前から女性上位だった

 

理由は男性よりも強気であり、力が強かったという単純なもの。だが単純なことほど強い理由になり得る。

 

その後もごく少数ながら男性上位の文明が生まれたこともあったが結局は廃れ、現代に至るまでこの関係は崩れることはなかった。

 

今でも男性が社会進出し、働いている例は少ない。労働者の数%に過ぎず、二桁を超したことは此処1,2世紀の間では皆無。要職に就く男性など、いたら奇跡と言われるレベル。

 

そんな世界である時を境に男性の出生率が下がり始めた、緩やかではあるが確実に。ある者は「男性は不必要だから淘汰されつつあるのだ」と言い、ある者は「このままでは人類は滅びるのではないか?」と警鐘を鳴らした。

 

議論はされるが解決法は見いだせず、気がつけば世界は三度目の大戦に突入し、それをなんとか人類滅亡することなく収束するも、放射線と崩壊液に汚染された大地に立ち、ふと気づいた時。

 

男性の出生率はどうにもならないほどに減少していた、そしてそれに戦争で失われた命、汚染によって弱っていく命。産まれても男性である可能性が10%を切りかけているという事実を数字で突きつけられた時、やっと人類は気づいた

 

このままでは自分たちが滅亡するしか無いということに、此処に至ってやっと

 

そんなどうしょうもない、碌でも無い世界で彼は

 

「お、お、男!?しかも、子供!?ええっと、と、取り敢えず呑むか!?」

 

「落ち着いて姉さん!呑んでも解決しません!!と、言うか任務にお酒持ってきてなん…ちょっと姉さん、そのフラスコは何なんですか!?」

 

「そうよAR-15、落ち着いて、私なら対応できる、そう、私は完璧よ」

 

「それ、416が聞いたら怒るよAR-15。でもでも、へぇ~、男の子って初めて見た~凄~い♪」

 

「ええっと、疑われてるようなので証拠をお見せしましょうか?」

 

「「「「証拠?」」」」

 

「はい、見てもらえば分かるかと」(手術着ピラ~)

 

「ちょ、ダメ!!ダメです!!男の子がそんな簡単に服を捲ったりしちゃぁ!!って証拠を見せるってそういう事!?ダメですよ!下着見えちゃうしそれ以上は尚更ダメです!!ダメ!!」

 

「下着?」

 

「そ、そう下着…え?」

 

「履いてませんけど、見つからなかったので」

 

「ブハッ!!」

 

「お、オイ大丈夫かM4!!大分派手に鼻血が!!」

 

「うわぁ大変、AR-15、なんか拭く物…AR-15も大丈夫!?」

 

「何がかしらSOP,私は完璧よ」(ポタポタ)

 

「だからその台詞は…ってそれは良いから垂れてる鼻血拭きなよ。でも、私達も鼻血出るんだねぇ、疑似血液だけど」

 

「ペルシカめ、無駄な機能付けてくれて…こんなことで判明するとはなぁ」

 

(やっべ、からかうのめっちゃ愉しい。ビッチが童貞からかう気持ちが分かった気がするわ~♪)

 

どうしょうもなく、碌でも無い奴に、立派にジョブチェンジを果たしていた。

 

・・・

・・

 

その後、余りからかうと話が進まないと思った彼はAR小隊を弄るのを止め、落ち着くのを待つことにした。ただ、その際に純粋な親切心からリュックに入れていたタオルでM4の鼻血を拭いてあげたのだが、顔を真赤にして逆に悪化したりしたのはご愛嬌だろう。なお、それを羨ましそうにAR-15が見ていたのだが、気付かぬふりをした彼。

 

場所を移し、エレベーターホール脇に設置されていたテーブルとソファー、積もっていたホコリを払い、其処に身を落ち着けた。因みに小隊四人はテーブル挟んで彼の正面にミッチリ詰まって座る、どう見ても4人がけじゃないのだが。流石の彼も居心地が悪い、「圧迫面接受けてるみたいじゃん」と思ったので「誰か隣に来ませんか?」と誘ってみた。即座に笑顔のSOPMODが立ち上がり移動しようとしたが挟んで座っていたM16とAR-15が彼女の服を掴んで座らせた。不満げに口を膨らますSOPMODや、やけに過剰反応する他の面々に対し、彼はまたコテンと首を傾げながら(気に入ったらしい)何となく、薄っすらとだがこの世界の状況に気づき始めていた。

 

「つまり、君はその…特殊な状況下での戦闘指揮をする存在として、あ~…色々されていた、という事でいいのかな?」

 

「(言葉選んでくれて有難う、ストレートに「作られた」と言ってくれても良いのよ?姐さん)はい、起きた後残ったデータを漁りましたがナノマシンによる思考強化、治癒力強化を受けてます。指揮官として、どのように運用するかまでは分かりませんでしたが。後は副次的なものと思われますが機械への思考アクセス?的なことも可能になってます」

 

まずは認識の摺り合せ、という事でAR小隊の自己紹介を聞いた後、彼の方から分かっている事を話す。ただしナノマシン利用による強制ハック、ドローン作成といったチートじみたことも出来ることは伏せておく。あくまで近距離、視界にある機械へのアクセス、簡易ハッキングくらいしか出来ない、と。余程、不味い事態にならない限りは封印しておくつもり、使っても隠しての運用となるだろう。別に俺TUEEEEしたいわけじゃない、むしろしたくない、この世界で力を持っていると分かったら持っている知識から考えて、正規軍に引き抜かれるだろう。ELIDゾンビ相手や噂では何処の神性生物かSCPだよとか掲示板で言われているような化物相手に日夜戦っているとか、申し訳ないがガチバトル物はNG。

 

他にも何点か質問を受け、コピーしたHDDを渡して後はそちらで解析してもらうということに落ち着き、自分への質問が途切れた所で彼は確認のため、余り当たっていて欲しくはないとは思いつつも口を開く。

 

「それで、ですね」

 

「ん?何かな?」

 

「先程からの皆さんの、ボクに対する反応なんですが」

 

「あ~、想定外過ぎて慌てたとは言え不快に思ったろうな、済まない」

 

頬を掻き頭を下げるM16、続くように残りの三人も頭を下げる。彼は「本当に気にしてないから頭を上げてほしい」と言い、教えて欲しいと続ける。

 

「何故、其処まで過剰に反応したんですか?もしかすると男性というのが…」

 

「うん、何となく想像はついているようだが現在の男女比率は世界全体で見て1:9とかなり不味い数字になっている。正直な、私達も成人男性は何度か見たことあるし、任務で一時的に所属しているPMC、民間軍事会社の社長も男だからな。ただ、子供、男の子なんて初めて見たよ。それで、あ~、さっきの本当に済まない対応になってしまったって訳だ」

 

その社長も君とは似つかない、熊みたいな男だがな。朗らかに笑うM16に彼は「成る程」と返すが心の内は荒れ狂っていた。

 

(冗談じゃねぇぞ!?それ、普通に平和な世界でもヤバいじゃん!!ドルフロでなら倍率ドン!なんてレベルじゃねーぞオイ!!俺、そんな前世で悪い事したの!?輪廻転生の魂ロンダリングにしても罰ゲームすぎんだろ此れ!!その比率ってことは昔からか、最近からかは分からんが絶対、男女間の価値観逆転してんだろ!!うっわ、ろくな未来が見えねぇ!最悪、施設かどっかに保護に監禁とルビ打って種馬で人生終了ENDじゃねえか!!)

 

「ま、まぁ悪いようにはならんさ。さっき言った会社の方へ連絡済みだ、増援を寄越してくるらしい。距離的には明日の午後には着くから合流次第、帰還する。なぁに、君には傷一つ付けず、送り届けてみせるさ」

 

彼が黙ってしまったのを今後への不安と取ったM16がフォローする、成る程、ムードメーカーというのは伊達ではないらしい、よく気付く。まぁ彼が思ってることとは微妙にずれているのだが。

 

「有難うございます、お世話になりますね」

 

「いやいや仕事の内さ、しかし何時までも君、と呼ぶのも味気ないな、その…名前とかは?」

 

おそるおそる聞くM16に彼は力なく首を横に振る

 

「被検体番号は振られていたようですが、名前の方は…記憶にもないので消されたんだと思います(実際、知らんしな。前世ネームすら記憶に無いと来たわ。ハハッ、ワロス)」

 

「そうか…」

 

揃って痛ましい表情を浮かべるAR小隊、どう声をかけていいか分からない様子だ。丁度いいので、彼は今後のためにとチマチマ考えていたバックストーリーの一つを披露することにする、主にセクハラのために。

 

「でも」

 

「うん?」

 

「ボクのメンタル面、普段の面倒を見てくれていたお姉さんがこっそり呼んでくれてた名前ならあります。『あまり深入りするのも良くないんだけどね』って言いながら」

 

無論、嘘っぱちである。イマジナリーフレンドならぬ、イマジナリー職員をでっち上げることにしたのだ。

 

「『ラン、いい名前でしょ?私の祖国でラピスラズリの深い青を藍色と呼ぶんだけど、藍にはランって読みもあるからそっちからね、アイだと女性の名前だから。理由?貴方のその目、深い青、其処からよ。気に入ってくれた?』最初に会った時、だったと思います。そう言って二人だけのときはそう呼んでくれました」

 

今更だが彼の外見はFGOのぐだ男をショタ化した感じに近いものになっている。黒いくせ毛が立ち、差異としては彼のネーミングの由来になった目の色が更に深い青であることくらいである。ある意味、綺麗な顔立ちとは言えるがかと言って細いわけでもない、AR小隊がひと目見て驚愕した通り、確実に男だと分かる外見をしているのだ、男の娘では決して無い。

 

「ラン、か、いい名前だな。我々もそう呼んで良いかな?」

 

「勿論です、多分、ボクもそっちのほうが嬉しいと思います」

 

「多分、か…分かった、そう呼ばせてもらうよ(兵器として運用するなら感情は抑制したほうがやりやすい、ただでさえ子供は感受性が高いからな。理解は出来るが…胸糞悪い話だな、クソッ)」

 

「あっ、ちょっと良いかな。そうしたらその人からこの世界のこととか聞かなかったの?一般常識とかも」

 

黙り込んだM16の代わりに今度はM4が質問する、さっきからソワソワしていたので聞きたかった?いや、どっちかと言うと話をしたかったというのが正解かもしれない、いじらしい話である。

 

「聞いたことはあります、彼女以外の職員にも。でも『君は知る必要がないことだ』とだけ返されました、彼女も世界がどうなってるかは…聞いたら悲しそうにするので聞くのは止めたんです。常識については少しこっそりと教えてくれましたが」

 

「そっか…でも教えって貰ったのならさっきのようなことをしちゃダメって言われなかった?」

 

「さっき?なんでしょう(分かってるけどね、直接確かめろって服をめくろうとしたことでしょ?だが敢えて聞く、赤面する君が見たいからぁ!!)」

 

もはやセクハラオヤジである、見た目は美少年だけど。案の定、顔を真っ赤にするM4、横で黙っているAR-15もそっと顔を反らすが頬は薄っすらと赤い。その様に彼は満足を覚えた。

 

「ほ、ほら!性別を確かめろと言って、その…」

 

「ああ、下半身を露出しようとしたことですか?(前世でやったら犯罪だが今の俺ならセーフ、圧倒的セーフなんだよなぁ)」

 

「露!?間違ってないけど言い方!!言い方もう少し考えて!?」

 

「何か問題あるんですか?」

 

此処で更に布石を打つ、キョトンと何を言ってるのか分からない、そう装って言った彼の言葉に固まるAR小隊。彼は心底分からない風のまま続ける。

 

「検査をする際に裸になることもあったし、誰も特に何も言わなかったのでそのくらい普通なのかと、違うんですか?」

 

「え、えぇ~…」

 

裸になって何が悪い、葉っぱ一枚無いけれど。そんな勢いで言い切った彼に絶句する面々。畳み掛けるように更に一手。

 

「それに彼女も言ってたんです『自信持って良いのよ、貴方のそれは立派な武器なんだから堂々としてなさい。彼奴等だって気にしてませんって顔してるけど、影では、ね。主任だって貴方の検査後、トイレに走っていったんだから♪』って。何で走っていったかよく分からないんですが、検査で我慢していたんでしょうか?だとしたら申し訳ないんですが」

 

段々と小隊全員の顔が「ん?」となっていく、ひそひそ話も再開だ。きっと彼女たちの中でイマジナリー職員は「厳しい状況でも彼を人として扱ってくれた優しい人間」から「なんかおかしくね?どうも邪な気配がするんだがこの女」へ変わりつつあるのだろう、ではと彼は最後の一手を打つ。

 

「申し訳ないと彼女に言ったら笑って否定しました、気にしなくていいと。『自家発電だからね!!』とか。人間が何故発電するのかよく分からないんですが、もしかして皆さん、何かご存「ストオオオオップ!!それ以上はダメ!ね!!」アッ、ハイ」

 

此れにて完了、彼女たちの彼に対する認識は「感情も最低限で、一般常識にも疎く、性的にピュア」となった訳だ。此れで彼がやらかしても「そういう育ちだから、後、世話役のせいだから!」となってくれる訳だ。理由はなくともセクハラは可能だろうが、いずれやんわりと止められるようになったら勿体無い、ならば…とそんな最低な発想から産まれた案だがそれなりに上手く行ったようだ。

 

「何となく、貴方の状況を理解したわ。で、その、言いにくいんだけど」

 

「なんでしょう?(まぁ、訂正しようとするよねぇ)」

 

頭痛が痛いのか、電脳にもあるのか。こめかみの辺りを揉みながらAR-15が非常に言いにくそうに口を開く。

 

「貴方に良くしてくれた彼女だけど、いえその行動自体はきっと素晴らしいものよ。でも、彼女が貴方に言った常識というか、知識には恐らくだけど世間一般のそれとの間にかなりの隔…へぶぅ!!」

 

最後まで言い切ることはなかった、SOPMODがAR-15の口をその手で素早く、かなり強く塞いだのだ。此れには「心の支えであった女性を否定されて、強いショックを受けて茫然自失し、震えて泣き出す」準備をしていた彼も驚いた、止めるにしてもM16だと思っていたから。口を押さえてる手を剥ぎ取り、噛み付くようにSOPMODを見るAR-15の口周りは結構赤い、それはそうだあの金属製の手をかなりの勢いで叩きつけられたのだから。聞こえると不味いと思ったのか通信に切り替えたようだが、ウン、まぁ、無駄である。

 

(何するのよSOP!痛いじゃない!!)

 

(それはこっちのセリフだよAR-15、何言おうとしてるのさ)

 

(何って、彼に吹き込まれてる色々ずれてる事実を訂正しておかないと。連れ帰ったあとに大変なことになるかもしれないじゃない)

 

(そうだけどさ、AR-15みたいにハッキリ否定しちゃうのはどうなのさ。彼が大事にしている思い出だよ?…ほら、見なよ)

 

(え?…あ゛)

 

視線の先ではうつむき加減で涙目になってる彼、きちんと通信傍受してスタンバってました。慌てて立ち上がり彼の横に座り、まではしたものの撫でて良いのかどうすべきか分からず、慌てるAR-15。それを尻目に反対側に座ったSOPMODがヨシヨシ、とばかりに彼の頭を撫でる。こうしてみると彼の身長はほぼ彼女たちと変わりなく、小柄なSOPMODより少し高いくらいと分かる。高身長なRFやMG辺りと並べば間違いなく見おろされるだろう。特に彼がSOPMODの手を嫌がる素振りを見せないのを見て、落ち着いたAR-15も反対側からそっと頭に手を添える。

 

「ごめんなさいね、別に貴方の大事な人、思い出を傷つける気はなかったの。今はそれでも良い、これからゆっくり話し合っていきましょう」

 

それに彼は黙ったまま、頷く。表情は泣き顔一歩手前で固定だが、心の中ではうまく行ったとガッツポーズだ。棚ぼたで美少女二人に囲まれて頭なでて貰えるとか最高じゃん?そんな三人を横目に今後の予定を話し合う残りの二人、たまにチラリと微笑ましいものを見る視線を送るM16と心底羨ましそうにしているM4が対称的。その話し合いも通信だが当然、傍受している。今日はこの病院内で一泊、明日に増援部隊とのランデブーポイントまで移動後合流とのこと。後は細々とした事で特に気になる点はなかった。ただ…

 

(そんなに羨ましいか?M4)

 

(う、その…はい…)

 

(分からなくはないな、だがあまり無理にくっつこうとするなよ、警告は出るだろうが作戦中に()()()()()()()に引っかかって行動不能、なんて洒落にならんからな)

 

(はい、でも撫でるくらいなら…)

 

(ハァ…嫌がられない程度にな?)

 

などと話し合っているのを聞き、彼は新しく出てきた単語に首を傾げる

 

(男のオレに無理にくっつくとそれに違反する、と。男性に危害を加えないようにプログラムで縛っていると考えるのが自然かな、数減っているようだし。後、M4のナデナデ?バッチコイよぉ!!)

 

この男女比率のご時世だ、力も何もかもが上の人形にそういうセーフティーがかかっていてもおかしくあるまい、「言われたことに従え」くらい入っていても。無論、出来たとしても、否、彼の力を使えば出来るだろうがすることはない。彼は陵辱、NTRの類は大嫌いなのだ。無理やり、ダメ、絶対。

 

(明日になれば増援と一緒に俺的には楽園へ着くわけだ。楽しみだね~スプリングフィールドさんとかに癒やされたい…WAちゃんとか、男のオレ見たらどんな反応するかね~ツンデレ炸裂か?錯乱か?やっべぇ、少しこの世界に来て良かったと思えるわ)

 

等と欲望丸出しな妄想をしながら、話し合いを終えて恐る恐る近づいてきたM4のナデナデを後ろから受け、それを堪能するのだった。




私の中でAR-15は正論を言うけどそれで誤解されるタイプ、不器用可愛い。

SOPMODは子供だけど、それだけに純粋な観察眼、特に感情とかを見抜くと思う、ワンコ可愛い。

初期案だと主人公ガン泣きまでやろうと思ったけど、流石にAR-15が悪者になりすぎるので寸止めで。

あ、そろそろ次回辺りから本格的なセクハラに入ります(なんて内容だ)


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「合コンはなくなったから勝利者?ハッ」

やっと投稿できました…皆様、低体温症、如何お過ごしですか?前に本文中でFNCちゃんの目が曇るとか書きましたが違いましたね、曇ったのは自分の目でした…饅頭集め周回が辛い

一応E3-4まで漕ぎ着けましたが未だ一回も削ってません、その分、こっちが書けるというのがまた

後、感想欄で会話文での説明~についての言及がありましたがあの程度なら個人の好みの域かと思います、もっと長いの知ってますし。そういう事で今後あったとしても、ご容赦ください。もう出してしまったので、そうないとは思います

病院内の捜索をしないのは、したいけど出来ないからです。
「すでに夕方、時間がない」「彼を守りながら回るのも難しい」「AR小隊も其処まで電子戦には強くない(だった筈)のでロック解除が一寸」「無理せずとも後続が来れば任せられる」
と言った理由から


-同日夜半、グリフィン本部-

 

その日、グリフィンはかつて無い狂乱に包まれた。夕方辺りに任務に出ているAR小隊から入った緊急連絡。

 

『任務中、微弱な通信電波を感知。発信元を特定、大戦時には存在していた研究施設と判明。其処でコールドスリープ状態だったと思われる人間を一名保護、未成年13歳前後で性別男性。緊急性はないものの、回収部隊を要請する

 

尚、研究施設内部にてナノマシンを使用した人体強化プランを研究していたと思われる。此方では侵入は不可能、そちらからの人員を派遣しての調査を提案する』

 

偶々、通信室に用のあったヘリアンもまた報告の表示された画面を二度見した挙げ句、手に持っていた紙コップのコーヒーにアルコールか、はたまた薬物が混入していたのかとタップリ一分は悩むほどに混乱した。更にその報告をヘリアンから受けたクルーガーもまた、両目を見開いたまま10秒は身動き一つしなかった、ヘリアンが一瞬、通信回線がラグったかと疑ったくらいに。それでも再起動にかかる時間が少なかったのは経験の差だろうか。

 

だがその後の行動は迅速だった、本部からAR小隊のいる区域へは遠すぎるため付近の支部へ支援を要請、其処からヘリを飛ばし明日までに迎えをやる態勢を整えた。なんと言っても男の子だ、確かに緊急性はないかもしれないが子供が傷一つでも負ってしまった場合、男性保護団体や人権屋共になんと難癖をつけられるか分かったものでないからだ。人の口に戸は立てられない、何処で漏れてもおかしくないのだから。故に悠長にしている余裕など無い、だが幸運なことにその支部に偶然、要人保護といった仕事にも明るい部隊が作戦終了後の報告、補給のためにいたのだ。今、画面越しにヘリアンと会話している相手がそう。

 

「説明は以上だ、最優先は子供の保護。質問はあるか?U()M()P()4()5()

 

『無いわ、ついでにAR小隊も拾ってくれば良いのね』

 

通信越しにUMP45の背後から「チッ」と舌打ちが聞こえて、ヘリアンは少し眉を顰めたが反応はそれだけに留めておいた。どうせ416だろう、AR小隊、特にM16との相性は最悪、どちらかと言うと416が突っかかっていっている印象だが。

 

「ついでというわけでもないが…よろしく頼むぞ。言うまでもないが子供に怪我がないようにな、かすり傷一つで何を言われるか分かったものではない」

 

『分かっているわ、どんな子でもきちんと届けるわよ、仕事ですからね』

 

珍しく、本当に仕事の場で感情を出すことがないUMP45が珍しくヘリアンから目をそっと逸らし、小さくため息をつく。ヘリアンも何か言おうとしたが、掛ける言葉がないことに気づき、口をつぐむ。404小隊、表に出せない任務を受ける、言うなれば汚れ仕事専門の部隊。AR小隊と真逆のそれだが、犯罪組織等に誘拐された子供の救助も行ったと聞く。先にも言ったがこの時代の男の子は貴重だ、そういった犯罪に巻き込まれることも残念ながら少なくない、薄汚い欲望のはけ口を求める人間なぞ時代が変わろうと、滅びかけようとも消えることはないのだから。

 

その男の子だが、この世界においてその性格はほぼ二極化される。産まれてからは施設にまとめて隔離され、蝶よ花よと育てられる、その後も虐待や犯罪の類に関わることなく育った子供はほぼ確実に『自分は特別』だと思うようになる、思ってしまう。もしくは何らかの犯罪の被害者となり、女性に対し忌避感を覚えるかの二つ。例外はいるだろうが大体がこの二つだ。404小隊も任務中に子供と接触する機会を持ち、不快な思いをしたのだろう、それも相当な。

 

「…信頼しているぞ。ヘリの用意ができ次第、飛んでくれ。以上だ」

 

『了解、信頼には応えるわよ?えぇ…』

 

通信を終え、ため息を一つ。色々と思うところはあろうが彼女らもプロなのだ、それを信じヘリアンは踵を返し、通信室を後にした。

 

 

-S■■地区、グリフィン支部内、予備宿舎 -

 

 

「…言いたいことも分かるけど、仕事よ?私達はプロ、でしょう?」

 

通信を終え、振り返ることなく、誰ともなくつぶやくUMP45。それに返ってくる返事は明らかに怒気に溢れていた。

 

「AR小隊ってだけでも散々なのに…子供、しかも男?最高の仕事になりそうね45」

 

416の棘がある台詞にUMP45は肩を竦めるだけで応えた。実際、もう仕事は受けたのだ、愚痴ったところで時間の無駄、416は大きなため息を付き装備を整える傍ら、此処に到着してからずっと惰眠を貪っているG11を起こす、最初は寝袋ごと揺すぶっていたが「あとごふん…」「なんだよぅ…きょうはもうおしごとおわりって…」一向に起きる意志を見せない相手に遂に416の堪忍袋の緒が切れ、実力行使に出る。

 

「いい加減!起きろ!!ネボスケ!!」

 

一言ごとに蹴りを入れる、任務内容のせいか何時もより威力が10%増しな気がする(当社比)。

 

「ギャン!!痛いよ酷いよ416、もっと優しく起こしてよぉ…」

 

「そう起こして欲しかったら最初の内に起きなさい!アンタと来たらいつもいつも!!たまには自分で起きたらどうなの!!」

 

「そんなの無理に決まってるじゃん…何言ってるのさ416」

 

「あ゛あ゛?」

 

「ヒィッ!?なんか女の子がしちゃいけない顔をしてるよ416!?分かった、起きる、準備するから止めてよおおぉぉ…」

 

任務の前の寸劇を横目にUMP9は普段は明るい顔を少し曇らせ、姉に話しかけた。

 

「45姉、大丈夫?」

 

「何がかしら?9?」

 

「分かってるでしょ?その…以前の任務では…」

 

「前は前、今は今よ。仕事と割り切れば大した事じゃないわ、化物呼ばわりも性玩具呼ばわりも、ね…それにAR小隊の報告には性格に難あり、なんて無かったわ、意外とマトモな子供かもよ?心配のしすぎよ9、私は大丈夫」

 

話はそれで終わり、という風で妹に軽く微笑むとUMP45もまた準備を始める。その後姿にUMP9は小さく呟いた。

 

「全然、大丈夫そうに見えないよ…お姉ちゃん…」

 

・・・

・・

 

「全員準備はできた?行くわよ」

 

「はいはい、大丈夫だよ~」

 

「…問題ないわ」

 

「うぅ、眠いよぉ…」

 

三者三様の返事に頷き、既にアイドリング状態にあるヘリへと近づく404小隊。乗り込めば即座にヘリは発進し、一路、AR小隊がいる付近の合流地点付近へと急ぐ。本当なら今いるであろう病院まで行ければ良いのだがヘリの航続距離的に無理、よって付近の前線拠点に一度着陸、ヘリはそこに待機で404小隊が徒歩で迎えに行くことになっている。移動の間、無言というのもアレなのでUMP9が色々と話題を振り、それにHK416がそれなりに返事をする、と言った感じでそれなりに話は弾むのだが…

 

「いつもの事とは言え、あんま居心地よくなかったねぇあの支部。一応、指揮官に挨拶に行ったけど、さっさと出ていって欲しい感じ、満々だったし」

 

「予備宿舎を使わせてくれただけマシよ、前なんか敷地内のガラクタ置き場みたいな所だった時もあったわ。ま、別に良いけどね…」

 

「アタシは寝れさえすれば何処でも良いよ…」

 

最終的には愚痴になってしまう。部隊を預かる身としてはあまりコンディション上良くない訳だが、自身らの役割を考えればその指揮官の反応も仕方なし、そう結論づけざるを得ない現状に、UMP45も顔には出さないが思うところはあるのだ。そりゃあ、色々とダーティーな噂の絶えない部隊だ、長居はさせたくないのは分かるがもう少し、と考えるくらいには。

 

(私達みたいなのでも受け入れてくれる、そんな場所…ううん、指揮官がいないかしらね…)

 

三人に気づかれないよう、ため息を漏らす。だが彼女も平気な顔をしていながらも多少なりとも傷ついていたのだろう、妹がチラチラと心配そうに見ていることには気づいてなかったのだから。

 

 




正直、低体温症とかするとですね、デレるUMP45とか想像できないレベル。M16にあそこまで警戒されるとか、何やったんですかねぇ…

その分、頑張って妄想するわけですが。


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「真面目キャラが突発的イベントでアタフタするの、尊いよね」

連続投稿です、それだけです、ええ

ところで通常や戦闘描写よりもセクハライチャコラしてるところのほうが筆が乗るし、分量も増えるんですがどういうことだと思います?


-同日深夜、病室-

 

 

(さて、どうしたものか…)

 

少々、いやかなりかび臭い毛布に包まりながら彼は寝返りをうった。三姉妹のナデナデを堪能し、ぎこちない笑みを浮かべて立ち直った風を装いその場を締めた後、食事を取り就寝と相成った。食事の方は彼が見つけていたそこそこの量のカロリーバーとAR小隊持参のレーションを仲良く分けて…と言えば聞こえは良いのだが人形用ということもあり、そのレーションは栄養摂取さえできれば良いというコンセプトを、タップリ振りかけた味に仕上がっていた。その酷さはナノマシン制御すらしている彼の表情筋を動かし、しかめっ面をさせたと言えば何となくは伝わるだろうか?

 

苦笑を浮かべたM4の「基地にでも戻ればきちんとした食事はありますから、我慢してくださいね」との慰めに頷きながらも(でもローディング画面4コマだとマックレベルのバーガーが給料日の贅沢だぞ?本当にマトモなの?信じるぞ大天使エムフォエルぅ!!)等と不安を覚えつつ流し込み、口直しにカロリーバーを齧り(此方は一応、チョコ風味だった)水で流し込む食事が終わるとM4からもう寝るように促された。

 

「明日の午後までに迎えが来る地点まで行かなくてはなりません、少々遠いので少し早起きする必要があるの、キツイかもしれないけど御免なさいね。だ、大丈夫!キツかったらおぶって移動するから!!」

 

顔を赤らめながら両拳をぐっと胸の前で握る彼女はたいそう可愛かった、彼の中では途中でおんぶをして貰うことは確定するくらいに。さて、此処までは実に和やかな空気だったのだが部屋割りの段になり、それが凍ることになる。実はこの病院、地上部分の病室は全て個室で5人全員で寝るのは流石に無理、無論、交代で見張りはするがそれでも狭いのは間違いない。

 

ナースステーションで全員寝ることも考えたが廊下の奥まったところにあり、有事の際の逃走経路を考えるとあまり良くない。ならば仕方ないと二組に分けて個室にそれぞれ就寝することになった。と、此処までは良かった、此処までは。別部屋から未だ使えそうなマットレスを引っ張り込み、マシと思える毛布を探し出し、運び込むのは彼も手伝い、それなりに楽しかった。和気藹々とした空気をぶち壊したのはSOPMODの何気ない一言だった

 

「でさ~、誰がランと同じ部屋で寝るの?」

 

その一言で先程言った空気となる。M4はM4で隊長としての責任があるとか言い出すし、AR-15は有事の際に指示を出す者が保護対象と共に行動するのはどうかとそれに反論する始末。SOPMODは単純に一緒にいたいと口を挟むしで収拾がつかなくなった、頭を抱えるM16を他所に二人の論争と一人の茶々はヒートアップするのを彼は無表情に見守っていた、心中では(愉悦ぅ!!)等と思いつつそれを愉しんでいたのだが。だが、そろそろM16の限界が近いことをその震え具合から何となく察し、(仕方ないニャァ…)とばかりにあざとく介入を決意する。

 

「クシュン」

 

少し冷えるとばかりにくしゃみを一つ、全員の目が集まった所で眠たげに目をコシコシと擦ってみせた。「僕、そろそろ限界です」アピールである。流石に此れには言い合いを続けていた二人も少しやりすぎたとシュンとなり、此処は平和にジャンケンで決めようということになった。M16は最初に自分が見張りをすると言って個室から出ていった、事実上の棄権である。そして残った三名で始まるジャンケン、(ああ、未だジャンケンは生き残ってたんだね)等とくだらないことを考える彼の前で始まった。

 

まず最初に勝ち抜けたのはSOPMOD、出したチョキをそのままピースサインにして彼に近づき、嬉しさを表すためか後ろからギューっと抱きつく。この程度なら倫理コードは発動しないのか、そのままの態勢のSOPMOD。恐らくは対象男性の心拍数や呼吸数を読み取って心理状態を判断してるのか?嫌悪感を覚えたり興奮しすぎたりしなければ結構行けるのではないか?そんな事を考えながらも彼は背中に感じるSOPMODの胸の感触を堪能していた、彼女の重傷絵を見てもらえば分かるが結構あるのだ、小柄にしては。

 

(マーベラスッ!!この感触!!たまらんッ!!誰か知らんが転生させた奴!!この瞬間だけはお前に心から感謝しよう!!アッでもそろそろ止めないかな?お姉さん二人がすっごい顔してこっち見てるよ?アレ、多分だけど鉄血を見る目じゃないかな?ってくらいすごいですよSOPMODさん?あぁもしかして俺の頭で隠れて見えてない?気づいてない?気づいて?なんか立ち位置的に俺が睨まれてる気がすると言うか、此れもう殺意こもってるレベル!!ジッサイコワイ!!)

 

流石にこれ以上は耐えられないと、SOPMODの手を突付き、二人の方を指差す。SOPMODも気づいたのかそっと離れる、名残惜しそうに「エヘヘ~」なんて幸せそうに微笑みながら。ここから更に二人のジャンケンはヒートアップした、なんかもう「此処だけ少年ジャンプ」というくらいに。人形の身体能力と演算能力を駆使し、残像を残すスピードで後出し、フェイント、終いには出した瞬間に風圧で床のホコリがブワッと舞うほどに。それなりに掃除した筈なんですけどねぇ?どんだけだよ

 

(「私は次、チョキを出します」「なら私はグーを出すわ」とかそんなジャンケン心理戦台詞ガチで使ってるの初めてみましわ、何が君たちをそうさせるの?俺だね?なんかゴメンね?「やりますね、さすが姉さん」「貴方もねM4」とか夕焼けの河原で殴り合いからの認め合いみたいなシーンになってるんです?握手までしますかねぇ。て~か、そろそろ不味いんじゃないかな~)

 

等と思っていたが、入り口に影がさしたので視線をそちらに向け、己の考えが当たっていたことを知り、目を逸らした彼、だって怖かったから。

 

「仲が良いようで私も嬉しいよ二人共、で?何時までやってるつもりなんだ?ん?」

 

「ね、姉さん…」「M16…その…」

 

(ほらね~結局、5分はずっとジャンケンしてたわけだしそらキレますわ)

 

ガチギレ長女降臨である、声を荒らげないのに物凄く怖い、てかなんか目が光ってないです?関係ないSOPMODも軽く震えながら彼の背に隠れている、一応保護対象だよね?彼

 

「そんなに仲が良いんだからお前達二人が別部屋だな、こっちは私とSOPMODで交代して使う「「そ、それは…」」あ゛?「「何でもないです…」」良し、最初の見張りはM4だ、一寸話がある」

 

「はぃ…」

 

「その、M4…頑張って「なに他人事みたいに言ってるんだAR-15、ん?お前は帰ってからだ、一晩じっくり話し合おうじゃないか」そ、そんな…」

 

ドナドナ流れるM4の背中に声を掛けるも、結局、執行が遅れるだけと知ってうなだれて続くAR-15。なんか流石に可哀想に思った彼は去りゆく二人に声を掛ける。

 

「あの、お休みなさい…」

 

「!?お、おやすみなさい!!」

 

「お、お休み、また明日ね」

 

手を振る彼に振り返し、少しだけ、軽くなった足取りで二人は退室する。その背にため息を一つ、M16は振り返る

 

「すまないな、初めて君みたいな子と触れ合えるものだからはしゃいでいるようだ、不快に思ったなら代わりに謝るよ」

 

本気ですまなそうなM16に彼は首を振る

 

「いえ、特に嫌な思いはしませんでした、多分…楽しかった、んだと思います」

 

「そうか…」

 

「はい、それに人形の能力は凄いですね、ジャンケンの出した手が全く見えませんでした、僕(いやマジで、ナノマシン強化でやっととかどういうレベルよ…タイムアルタートリプルアクセルなんてレベルじゃなかったぞアレ)」

 

「そ、そういうところで我々の能力を判断されるのは複雑だが…ハハ、頼りにして貰っていいよ。さて、そろそろ寝たらどうかな?眠かったんだろう?SOPMOD、お前も休んでもいいが警戒は怠るなよ」

 

「了解!任せてよ♪」

 

返事に頷き部屋を出るM16、これから夜長の警戒任務のお供にお説教タイムが始まるのだろう。心の中でM4に合掌しつつ、彼はSOPMODにもお休みを言い、自分に割り当てられた寝床に潜り込み、目を閉じた。特に疲れては感じていなかったが、転生からのドタバタにやはり疲労はあったのだろう、睡魔は比較的すぐに訪れ、彼は意識を手放した。

 

そして冒頭に繋がる。ある理由から夜中に目が覚めた彼、視界内に表示させた時計によると真夜中の3時頃。見回すと寝るときにはSOPMODがいた、少し離れたところにある寝床にはM16が寝ている。タイミングはわからないが見張りを交代したのだろう。さて、彼が目を覚ました理由だが

 

「クシュン」

 

小さく、M16を起こさないようにクシャミ。先程は気を引くためにワザとやったのだが今回は本当に、冬とまでは行かないが夜半になると冷え込むらしく、流石に毛布2枚重ねくらいではギリギリ耐えられるかどうかという寒さ。まぁナノマシンに体温調節させればすぐに解決する問題なのだが彼はジーッとM16から視線を外さずに考える、此れはチャンスではないのかと。なんの?そりゃもうセクハライチャコラのである、他に何があるというのか。それに気になっていることがあるのだ、それは先程からのM16の彼に対する態度である。

 

(最初は一歩引いて、妹たちに譲ってるんだと思ったんだが…どうも違う気がするんだよな~)

 

自分を撫でること、先程の部屋割りのこと。更には先程、寝床の用意をしてるときにもM16に近付こうとしたのだが何かと理由をつけてフィっと彼から離れるのだ。最初は男嫌いか何かではないのかと思ったが、たまに感じる視線に嫌悪は含まれていない、寧ろM4達と同じ感情が籠もっているように感じた。と、なると考えられるのは…其処まで考えて彼は決断する。

 

(良し、真実を見極められてなおかつ、俺は良い思いができる!一石二鳥とはこのことよぉ!!)

 

最悪な石投げもあったものである、彼はそっと寝床を抜け出しM16の方へと近づくのだった…

 

・・・

・・

 

「ぅん…?」

 

スリープモードが解除され、目を開けるM16。時間を確認するが未だ交代のために起きるよう設定した時間ではなく、別の要因だと気付く。それは何か、と思ったところで違和感を感じる、うまく寝返りが打てない、まるで何かが自分にしがみついているような…

 

「ま、まさか?」

 

違ってくれと思いつつ、彼が寝ているはずの寝床へ視線を泳がせるがもぬけの殻、と、言うことは、つまり…

 

「ヒィッ…ちょ…嘘だろ!?」

 

震える手で毛布を持ち上げると見えたのは黒髪のくせっ毛、自分に全てを委ねて胸に顔を埋めて腰に抱きつき眠る、彼の姿だった。それを確認した途端、ボンッと音がしたんじゃないかと思う勢いで真っ赤になる顔、実際熱暴走を起こしたように熱くなるのを感じる。感情モジュールも先程からエラーを吐きっ放しだ、普段のクールでニヒルな笑みが似合う姉御肌とは思えない姿、もし此れをHK416が見ていたらそれはもう、嬉しそうな笑みを浮かべて煽りまくること間違いなしである。

 

何のことはない、彼女が彼を避けた理由、単純に『男性への耐性がない』だけである、いや、正しくは彼のような男の子への、と言うべきか。今までは接する機会もなく今日、彼に会った事によって判明した意外な一面。他の姉妹二人は恐る恐る、一人は正面から好意を示し彼に接していたが、M16だけはうまく距離感をつかめず、ならばと他の姉妹を抑えるポジションに収まり誤魔化すことにしたのだ。残念ながら彼のスキンシップにより、無駄になってしまったが。

 

「と、兎に角落ち着いて起こさなきゃ…ら、ラン?起きてくれないかラ「んみゅ…ん」あ…寝言可愛いな、って違う!頼む、起きてくれぇ!!」

 

例え鉄血に囲まれたって此処まで取り乱すことはないだろう、そっと、割れ物に触れるように彼の肩を揺さぶり起こす。やっと目を覚ます彼、蒼い瞳をあげ、ぼんやりとM16と目を合わせる、半開きになった口がなんとも艶かしく感じ、M16は無意識に唾を飲み込んだ。倫理コードからの警告が出なければ危なかったかもしれない。

 

「お、お早うラン」

 

「…おはようございます」

 

色々と飲み込んで、出来る限り冷静に声を掛ける。だが後が続かない、口をパクパクさせているM16を尻目に彼はまた首を傾げ、寝ることにした。M16の自分を避けている理由はわかったし、何より眠いし。またM16の胸に顔を埋めようと顔を落としていき

 

「お休みなさい」

 

「お、おやすみって待て!そうじゃない、何で私の寝床に入った上、だ、だ、抱きついてるんだ!?」

 

「(顔真っ赤でどもるM16姐が斬新すぎる、絵師さんに描いてもらいたいレベルだわ此れ)ごめんなさい、寒かったので…」

 

「そ、そうか。だったら起こしてもらえれば追加の毛布を探してくるくらいはしたぞ?ほ、ほらあんまり異性の布団に簡単に入るもんじゃない、な?自分を大切にしないと、ウン、何だ、困るだろ?」

 

支離滅裂である。よくわからない説得を聞き、彼の悪戯心に火が点いた。

 

(へーふーんほー、言っちゃう?そういうこと言っちゃう?だったら私にいい考えがある!!)

 

間違いなく碌でも無いか失敗する。まずは視線をM16から外す、そしてかすかに寂しそうに

 

「…迷惑、でしたね。ごめんなさい」

 

「あ…」

 

呟き、そっと彼女から離れる。しまったという顔をしたところで更に追撃。

 

「朧気にしか覚えてないけど、昔、眠れないときはあの人がギュッと抱きしめて寝てくれたんです。とっても暖かかった…それを少し思い出しちゃって…ダメ、なんですよね、こういう事。僕、我慢します。我儘言ってすいません」

 

「う…」

 

もう止めて主人公!M16姐さんの良心のLPはゼロよ!?そのまま自分の寝床に戻ろうとする彼の手をそっとM16は掴んだ。

 

「M16さん?」

 

「そ、その…悪かった、あまり君みたいな子に接したことがないのは仲間と同じでね。接し方と言うか距離感が分からなかったんだ…それにほら、私の顔はこうだし、他の3人に比べても可愛いとか、そういうのはないだろ?そういった自信がなくてね…こうも接してもらうことに戸惑いしかなくて」

 

右目、眼帯の横の傷跡をなぞりながら自嘲する。そういったコンプレックスもこの世界線でのM16は持っていたらしい。

 

「(は?そんな美人顔で何言ってんの?好みだとか思ってる俺を何だと思ってんの?)そうですか?記憶にある職員と比べても綺麗だと思いますよ、M16さん。それに傷を残してるのも何かあるんですよね、どうしてとか分からないけど、多分、嫌いじゃないです僕、そういうの」

 

「あ、う…」

 

正面からの容姿についての褒め言葉なぞ、聞いたことがほぼ無いM16は更に赤面を深め、まともな返事すら出来ずに黙り込む。それでも意を決し、顔を上げる。

 

「ありが、とう?」

 

「どういたしまして、でしょうか?」

 

フッと笑い、首を傾げながら応える彼をそっと抱き寄せた、大丈夫、顔が赤いのは感じるが先程のような焦りは感じない、感情モジュールがもたらすのは胸の奥から湧き出る温かさ。さっき、彼がしていたようにそっと胸元に抱き寄せる。倫理コードの警告もない、本当に彼がそう望んでいるのだろうと思うとM16は少し嬉しくなった。

 

「じゃあ、次の交代まで一緒に寝ようか?」

 

「良いんですか?」

 

「ああ、寒いんだろう?仕方ないさ」

 

「有難うございます…お休みなさい(やったぜ)」

 

「ン、お休み」

 

そのまま彼が寝付くまで彼の髪をなでつける、眠りに落ちたのを確認しM16も目を閉じ再びスリープモードに入る。彼の温かみを腕の中に感じながら…

 

 

なお、この後交代に来たSOPMODが幸せそうな顔で彼を抱きしめ眠るM16の姿を映像記録で撮った上、それを朝方、起き出してきた隣室の二人に見せびらかし一騒動あったことは割愛する。

 

 

-早朝、郊外某地点-

 

 

「エージェントか、ああ着いたぜ。偵察隊によるとやはり彼奴等いるな、病院内に留まっているみたいだ、何か見つけたのかもな」

 

「分かってる、戦闘行動は建物内では慎むさ、そっちの方が面白いしな。出てきたところを仕留めるさ」

 

「彼奴等が何を見つけたかは知らんが、状況によっては保証はせんぞ、良いんだな、了解」

 

 

「さぁてと、愉しませてくれよ?エリート部隊さんよぉ…」

 

「兎狩りの始まりだ」




明確な第一セクハラ被害者、M16姐さんでした。こう、普段キリッとしたキャラが可愛いとかカッコいいとか言われて「何言ってるんだ…」なんて顔を赤らめるの、好きです

SOPMODが倫理コードに弾かれないのは純粋に彼と触れ合いたいだけだから、色欲のたぐいが欠片もないからです。

倫理コードが警告するのは
・人形自身の持つ感情が男に被害(暴力、性的行為、etc...)を及ぼす可能性があると判断した場合
・男の表情、心拍数、呼吸数から不快感を覚えてると判断した場合
・男が音声、文字、と言った伝達手段で不快を伝えてきた場合
くらいを想定してます、ただ流石に生命が危険に晒される緊急事態ではある程度、無視されますが

ところで更新の文量的には今の状況どうなんでしょう?多少、ブツ切れになるかもしれませんが文字数減らせば更新頻度は上がると思うんですが今のままだと週1くらいですかね?大体

感想にでも何か一言お願いします。


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「純粋なもの見ると自分が穢れた気になるね」

ある作者さんが言ってました

「たまにキャラが自分の意図しないことをする時がある、勝手に動いて気がついたらこうなってた、って事が」

今回、それを私も実感しました


後、感想で旅に出た倫理コード先生、怒らないから戻ってくるように。さもないとタグにR-18が追加されることになる、間に合わなくなっても知らんぞー!!


 

-早朝、病室-

 

 

(何故、俺は無表情を装いながら必死でフォローしてるのか、それが分からない…嘘ですすいません、俺がM16姐さんにイタズラしたからですね、分かります)

 

理解してる点は評価できるが全てこの一言で片付くだろう、自業自得。

 

(だが反省も後悔もしていないぃ!!そこにシビれるあこがれるゥ!)

 

これはもうダメかもわからんね、たった半日ほどの間に此処まで自身の欲望に素直になるとは本人も思わなかったろう。

 

 

正直、なんと表現しようもない微妙な空気の漂う朝だった。あれからM16と同じ寝床で寝た後、最後の交代で来たSOPMODがそれを目にして「私とも寝よ♪」と言ってきたので彼は喜んでその提案を受けた、尻尾があればブンブン振られていたことだろう。因みにM16姐さんは恥ずかしかったのか、ソソクサと見張り番をするために出ていった。冷静ならばイヤにSOPMODがニヤニヤしてたことに気づいたのだろうが…後の祭りである

 

M16の温もり残る寝床に二人はほぼ見つめ合う形で入る、身長も前述の通り彼が少し高いくらいというか差はないと言って良いくらい、何が楽しいのかじーっと彼の顔を見てはニヘラ、と笑うSOPMOD。あまりに楽しそうなので彼も聞いてみることにした。

 

「楽しいですか?」

 

「うん?あぁ、こうしてランを見てるの?」

 

「はい、寝床に入ってからずっとですから…飽きないのかな、と」

 

「飽きないね~、それに楽しい、とは一寸違う、かな?」

 

そう言って首を傾げるSOPMOD、今、自身が抱く感情を表現する事が難しいらしい。彼も何となく付き合って首を傾げ、彼女の言葉を待つ。

 

「何ていうかな、最初はたしかにただ楽しかったんだと思う、初めて男の子に会えたしね。でもこう、ランの頭を撫でたり、後ろからギューッとしたりすると自分の胸の奥がね、なんかこう…ホワ~って暖かくなる気がするんだ~、こんな気持初めてで、なんだか分からないけど嫌いじゃないんだ。それでね、今ではこうやってジーッと見てるだけでもホワ~ってするんだ♪だから、飽きない、ずっと見ていても良いくらいだよ」

 

「(お、おう…そんなストレートに純粋な好意を向けられると流石に照れるZE。やっぱアレかな、精神幼いからそういう感情、育ってなくて今育ってる感じ?)そうですか、こんなので良ければ幾らでもどうぞ」

 

此処まで純粋だと流石の彼もセクハラには出られない、原作でも言われる通り、本当にSOPMODの精神は幼いのだろう。鉄血への残虐性も子供のそれと同じで向く先がその辺りの虫ケラか、鉄血人形かの違いという所なのかもしれない。ならば好きに見れば良い、そう言ったがSOPMODはそれが気に食わなかったのか頬をふくらませる。

 

「もうラン!「こんなの」なんて言っちゃダメ!!綺麗な顔してるんだから、自信持たなきゃだよ!!」

 

そんな積りではなかったが、卑屈に聞こえたようだ。あまりに真剣に諭すものだから思わず彼も制御を忘れ、フッと笑ってしまう。思えばコチラ側に来てから初めてかもしれない、顔に出して笑うのは。それにハッとしたSOPMOD、自分も嬉しかったのかパァッと花開く笑顔を浮かべる。

 

「あっ!ラン、今笑った!!」

 

「(つい制御しくっちまったい、やりおるわSOP。でもまあ少しくらいは良いかな?感情取り戻した感があって)え?笑ってました?僕」

 

「ウン、薄っすらだけど、すっごくいい笑顔だった!そっか~、ランもきちんと笑えるんだね、良かった♪」

 

自分のことのように喜び、SOPMODはそっと彼の手に自分の手を合わせ、指を絡ませギュッと握る。アレ?此れっていわゆる恋人繋ぎってやつでは?真正面からだけど。その指は鋼の指ではあるが彼には不思議と暖かく感じられた。

 

「少しずつでいい、焦らなくてもいいよ。みんなと一緒に色々やっていこ?ね?」

 

「はい、多分、色々と迷惑かけると思いますが宜しくおねがいします」

 

彼の返事に満足気に頷くSOPMOD。彼も彼で、なんかもう彼女の純粋さに毒気を抜かれ、セクハラなんて気分じゃなくなった。こういったやり取り無かったらなんか理由つけて胸揉むくらいしたんじゃないかな、コイツ。そんなこんなでこの後も何か二人で見つめ合い、軽くお喋りしてる内に寝落ちしていた。数時間後、朝食の準備ができたとM16に起こされ、その階のトイレでペットボトルの水を使い、顔を洗って戻ってきたらなんかM16にM4とAR-15が詰め寄っている状況に遭遇する。噛み付く感じじゃなく、ジト~っと凄まじく恨みがましい目をしてにじり寄る感じで。

 

その手の中には小型タブレット、何の情報が気に食わないのだとチラッと見てみると、表示されていたのは彼を胸に抱き、幸せそうな、とろけそうな顔で眠るM16の寝姿だった。そのまま視線をSOPMODに移すとすごいドヤ顔でVサイン、なんて事をしてくれたんでしょう。そしてM16姐さん、隙だらけ過ぎます。その後も少し押し問答をしていたが出発の時間が押していることもあり、M16が「食事にするぞ!」と強引に打ち切って朝食に、と言っても昨日の夕食と同じなのだが。

 

今日一日を乗り切ればもうちっとマシな食事もできるし、人形たちに囲まれたヘイヴンが俺を待っている!と自身を叱咤し、クッソ不味いオートミール状のレーションをモソモソとかき込む。だがAR小隊の状態が正直最悪だ、M4とAR-15は昨日のジャンケンの件もあるし強くは出れないがM16はM16で先程の彼を抱き枕にしたこともあり、同じく出れない。互いに決め手(?)に欠けたまま、無言でレーションを口にしている。否、無言でないのが二名ほど。

 

「まさか姉さんが…伏兵でした…」 「不味いわね、男になんか興味ないなんて顔してたのに何あの蕩けたような顔」 「と、言うかSOPMOD、あの子が一人勝ちの気が」 「…ホントよね、あの幼さと言うか素直さが憎いわ」

 

(半分は自業自得だと思いますがね、普通にジャンケンしてりゃあ1/2の確率でどっちかは俺と寝られたのに。お説教も喰らわずに済んだのにね~)

 

重ねて言うが原因はコイツである、やりすぎて二人がヤンデレ化しないか心配。だがこのままだと小隊のチームワークにも齟齬が出るんじゃないかと彼は思う、流石に「知ってますか姉さん?戦場の人形破壊の原因の2割が味方から殺されたものだそうですよ」なんてことにはならないだろうが…ナノマシン利用の錬成モドキは可能だろうか?そんな馬鹿な想像はさておき、彼はご自慢の演技でフォローに入る事にする、無論、セクハラ込みで。

 

(頼むよAR小隊、俺のこれからの薔薇色ハッピー・セクハラ・イチャコラ・ライフの為には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…本当、頼むぜ?)

 

「あの、M4さんとAR-15さん」

 

「は、はい?」「何かしら?」

 

二人の視線がこっちを向いたところで早速始める、こういう時、男は黙ってど真ん中直球投げれば良いのだ、まぁ黙っちゃダメだけど。

 

「二人共、僕と寝たいんですか?」

 

「ブフォォ!!」「へ、へ!?」「ち、ちょっと…」

 

ちょうど口にレーションを突っ込んだ所だったM16が盛大にそれを吹き出して咳き込む、ゲホゲホ言いながらも彼を見るが顔は抱きついたと分かった時とドッコイドッコイなくらい真っ赤である。言われた二人も似たり寄ったり、レーション持ってない手をバタバタ振り回している。SOPMODは意味が分からなかったのか、そのままの意味にとったのか。姉たちの奇行に首を傾げつつも放っておくことにしたのかスプーンを口に入れ、顔を顰めている。

 

「(掛かったぁ…)どうしました?」

 

「ど、どうしたってその…えと、アハハ…」「ご、ごめんなさい、そうよね、貴方がそういう意味で言うわけないし、そのままの意味よね」

 

「(あれれーおかしいなー、他にどんな意味があるのかなー?)そのまま?他に何か意味があるんですか?」

 

「いいや、そ、その…」「クッ、どう説明すればいいか…」

 

どもる二人に首傾げ、未だに咳き込んでるM16へ話を振る。

 

「大丈夫ですか?M16さん」

 

「あ、あぁ…ゲホッ、一寸むせただけだ、大丈夫だよ」

 

「(何でむせたんですかね、私、気になりますぅ!!)良かったです、どうも僕が言ったことが原因だったようなので」

 

「い、いやそういう訳では」

 

「M16さんはご存知なんですか?M4さん達が慌ててる理由、良かったら教えてもらえませんか?(さぁ!子供から「赤ちゃんはどうやって出来るの?」と聞かれて困るお父さんのように困るが良い!!)」

 

グイグイと追い込む、もうM16はむせる以外の理由で涙目だ。

 

「うぅ、そのぅ…確かに!確かに、知っていることは知っているが!そういった方面の知識に疎い君に一足飛びで教えるのは悪影響を与えると思うんだ、すまないが此処は私を信じて今は聞かないでくれないか?」

 

そう言われ、チラとM4達の方を見るがやはり二人も頭を下げてごめんなさいしてる。ここらが落としどころかなと彼は追求を止めることにした。

 

「…分かりました、信じます。皆さんいい人…人形、かな?だと思うので…僕、やっぱり何も知らないんですね」

 

下を向き、ため息を一つ。うなだれる彼に声を掛けるM16。

 

「仕方ないさ、そういう環境だったんだから。これから少しずつ、学んでいけば良い」

 

「そうですね、夜にSOPMODさんからもそう言われました」

 

「SOPMODが?へぇ?」

 

「何だよM16、私だってそのくらい考えてるよ~」

 

なんか一緒に寝た組は和やかな空気になってる、ミシリと何か金属が軋む音がしたが気のせいだろう、そうに違いない…そういうことにしとけ!

 

「それで話は戻るんですが…どうなんですか、二人共」

 

特に責めるわけでもなく、ただ知りたいと言ったニュアンスの彼に嫉妬のボルテージをまた上げかけていた二人は肩を落としつつ、素直に応える。

 

「えと、はい…正直、二人が羨ましいです」「…右に同じよ、ごめんなさい、なんかがっつき過ぎよね」

 

「そうですか…じゃあ、そちらの言うグリフィンに着いてからではどうでしょう?」

 

「「え?」」

 

固まる二人に、少し恥じらう感じで提案してみる。モジモジソワソワ足元を見つつ、頬を微妙に赤らめるのがポイントだ。

 

「着いた後にどうなるかは分かりません(まぁどんな手段を取ろうと悪魔に魂を売ろうと、指揮官になってキャッキャウフフするんですがねぇ!!)でも一緒に寝る機会もあるはずです。それに…」

 

チラリとM16とSOPMODの方に視線を奔らせ、一寸だけ口角を上げる感じで!あくまで無意識に、みたいに!!誰だコイツに演技指導した奴は

 

「本当に安心して眠れたから…お二人とも一緒に寝て、みたい、です。その、迷惑でなければ…」

 

最後に上目遣いで締め!!此処までされてNoと言える異性はそうはいないだろう、実際、二人は声も出せず、ガクガクと首を縦に振るbotと化しているし。

 

「そう、ですか…良かった、嬉しいです(此れで気合入ったよね?ほんま手の掛かる小隊の皆さんやでぇ)」

 

後は雑事を片付け、向かうだけ。先程までのギクシャクは何だったのかというくらいに気合を入れて今後の予定を残ったレーションをかき込みながら話し合う面々に視線を向けつつ、彼は心の中でほくそ笑んでいた。




SOPMODのメインヒロイン化が止まらない、本来なら触れ合いスキンシップ要員だったのに、原作主人公()と他作品でも最初に指揮官とナニやらする率の高いスターさんを完全に食っとる

此れで心が成長して、『愛』を理解した所で強く意識しすぎて、ギクシャクしちゃう…なんて展開も書けて二度美味しいわぁ

そろそろ出待ちのエクゼキューショナーさん、あ~そび~ましょ~



しかしこうして書いてるとネタが浮かんできて、書きたくなって困る。どこぞの喫茶店世界のように鉄血と和解して、完全変態淑女と化したドリーマーとか

ペルシカのケモミミ+尻尾オプションを装備して大量殺戮兵器になった主人公とか



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「セクハラできない?何してるんですさっさと片付けますよ」

今回、と次回、ほぼセクハライチャコラはありません。なんてことだ、なんてことだ

そしてこの作品、お気に入りが1000件超えました。紳士の多さにビックリです

そろそろグリフィン本部について薔薇色の日々が続くのでお待ち下さい。


それから誤字報告、皆様ありがとうございます。頑張ってチェックしてるのですが矢張りありますね


-朝6時、病院一階フロア-

 

 

全ての準備を終え、出立の時間となる。彼を真ん中にしつつ前にM16、左右をAR-15とSOPMOD、背後警戒にM4を置く布陣、彼は心の中で(インペリアルクロスう!!)などつまらない事をのたまっていたが。

 

「何とか靴や服が見つかってよかったけど…女物でごめんね」

 

「いえ、あるだけ嬉しいです。最悪、ナノマシンの治癒強化を利用して怪我は無視して歩くつもりでしたから」

 

今、彼が履いているのはナース用の院内シューズ、彼と小隊が出会う前、探索中に床に転がっていたのを思い出し、食事後に拾ってきたのだ。彼が其処まで大柄ではないということもあり、運良くピッタリであった。間違いなく、スリッパ行軍に比べてばマシなんてレベルじゃないだろう。服も手術着からリネン室に残っていた子供服の中からサイズが合いそうなものを選び、着替えている。誰ともなく「ズボンがあって良かった…」なんて呟いたのを聞き(そりゃ俺のスカート姿に我慢できなくなるってことかな?)なんて馬鹿なことをまた考えていたが。

 

「出会った時にまさかと思ったけど、本当に会った時の格好で移動する気だったのね。本当に出会えてよかった…」

 

ため息混じりのM4の呟きに残りの3名もウンウンと同意する。流石にもう少し探索すべきだったかなと思う彼、だが兎に角人に会うことを優先していたためどうしても衣服は後回しになっていたのだ、やはり、彼も人恋しかったのだろう。

 

「後は念の為とはいえ、私の予備ジャケットを着て貰っている訳だが…キツかったりしはしないか?」

 

それは置いといて、と心配そうに聞いてくるM16に彼はその場でくるりと回りながら「大丈夫です」と応える。先程言った服装の上から防弾ジャケットを装備しているのだ、矢張り備えは必要ということだろう。前世含めて初めて着るジャケットだが其処までM16と体格が違わないため、備え付けの帯でギリギリまで締めれば問題なく着用できた。彼的には其処よりも(此れは★2?3?どっちかね?この時点で4以上はないだろうなぁ。なんか製造可能になったらどのレシピでも異様にジャケットが出るようになった記憶が…M16姐さんの呪いかとか思ってたな~0-2、改修MAX★5ジャケット装備M16、貧乏ラン…ウッ、頭が)なんて馬鹿なことを考えることに終始していたが。なお、着せてもらった後にM16をじっと見ながら「お揃いですね」なんて言うのを忘れないのは流石?と言えるのだろうか。

 

それを聞いたM16が嬉しそうに照れ笑いを浮かべ、それに若干2名がイラッとするのも、もはやお約束だろう。

 

「じゃあ迎えの部隊との合流地点へ向かうわ、鉄血との接敵の可能性もある。出来る限り戦闘は避けるけど最悪、銃撃戦になるかもしれない。その際は此方の指示に従ってもらいます。ハンドサインを幾つか教えたけど、覚えてる?」

 

流石に仕事となると会ってからこっち、鼻血を出したりジャンケンでポカしたりと良いとこあまりないM4だが表情は引き締まり、凛々しい、戦乙女なんて単語が彼の脳内に浮かんでたりする。この状況で茶化すほど彼も空気を読まないわけではない、素直に頷く。昨夜の夕食後に敵対関係にある鉄血の説明と共に教えて貰ったりしたのだ。無論、記憶もナノマシン頼りなんですけどね。彼の返事にM4もうなずき返し、視線を他の小隊員へ向ける。

 

「出発!」

 

短く、ただ一言だけ。全員が入口の方へ向き、一歩目を踏み出そうとした時。

 

ウィン…

 

小さな駆動音が響く、瞬時に音のする方を振り向き、射撃体勢に入る。M16は彼の側に寄り、攻撃があった場合は自身が盾になる準備をする。音源はエレベーター、彼が使ってから勝手に地下3階へ戻り、その後如何なる操作も受け付けなかったそれが今、上がってきている。表示される数字が「1」になり、そして

 

チン…

 

軽い音ともに開く扉、小隊に緊張が走る、が…

 

「なにも…ない?」「え?」

 

困惑気味の声を上げるM4、呟いたとおり開いたエレベーターの箱の中には何もいないし、何もない。油断した所で屋根から何か落ちてくるかとも思ったがそれもない。緊張する4名の前で数秒後に扉が閉まり、再び地下へと戻っていくエレベーター。一体全体、何だったのか?困惑を隠せないが考えた所で答えは出ないし、害もなかったのだから構わない。そう結論づけてM4は再度、出発の合図をすると同時に未だエレベーターの方を見つめている彼に声を掛ける。

 

「ラン君、さっき声を上げてたけどどうかした?」

 

そう、M4が「なにもない」と言った時疑問の声を上げたのは彼なのだ。彼は問いかけに対し、視線を外さないまま

 

「M4さん、何も見えませんか?」

 

「え?えぇ、特には…」

 

訝しげに応える彼女に彼は「そうですか、気の所為でしたか…」

 

目をこすって首を傾げ、本人も良く分からない風で入り口へと進み始める彼。その様子を不思議に思いながらもそれに続くM4。そのまま何事もなく彼らは扉を抜ける、その瞬間

 

「!?」

 

凄い勢いで彼が振り向き、M4の後ろを覗き込むように身を乗り出す、エレベーターの方に。

 

「ど、どうしたの!?」

 

ほぼ表情を崩さない彼の顔に、驚愕が張り付いているのだ、何かあったのかとM4も軽く焦る。他の3名もどうしたのだと寄ってくるが彼はじっと見詰めたまま喋らない。数秒間そのままで見ていたが、フッと肩の力を抜いて振り向く。

 

「何か聞こえた気がして…気の所為だったようです、すいません」

 

「そう、大丈夫なのね?」

 

「はい、行きましょう」

 

頷く彼の顔を見つめるが異常は見られない、元から顔に出ないというのもあるが。多少の不安を拭えないものの時間が圧しているのも確か、皆、チラチラと彼を心配そうに見ながらも郊外の集合地点へ足を進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

『行ってらっしゃい』

 

・・・

・・

 

それから一行はトラブルなく進んでいた、先程の彼の行動を心配する面々だったが、その後は普通に応対し、今も静かに水を飲んでいる姿に安堵していた。よく考えてみれば日光の下に出てくるのはこの時代で目覚めてからは久しぶりなのだ、何かしら衝撃を受けたのだろうと思い、特に言及することなく済ませていた。

 

その彼だが、内心で不安と安堵が半々という所だった、不安に関しては彼にだけ聞こえた声、ただその声に不安を覚えることはなく逆に安心できると言うか、懐かしいとも違う寄り添ってくれている、そんな感じを受けたと言うか、正直、本人も良く分からない。その辺りから来る根源的な恐怖、わからないから怖い。とはいえ、考えていてもどうしようもないのは分かる、取り敢えず棚上げにすることにした。

 

逆に安堵したことは今から説明しようとしていることに、信憑性を持たせることが出来ることだ。エクスキューショナー、彼女とその部隊がAR小隊を殲滅せんと接近していることに彼は昨夜から既に気づいていた、と言うより本来ならエクスキューショナーは夜戦を仕掛ける気でいたし、その準備もしてきていた、キューブ作戦のように。だがそれをしなかったのは彼が思考誘導したからだ、ナノマシンを用いて「昼に囲んでボコったほうが面白い」と。故にエクスキューショナーは夜襲をかけるのではなく偵察にとどめていたのだ。何故、そんなことをしたのか?

 

 

そんなの添い寝イベントを実行するために決まってるだろ、言わせんな恥ずかしい。

 

 

彼の行動に深い意味など、欠片もない。ただ兎に角、何時まで続くかわからないこの世界で終わりの時が来るその瞬間まで、ただただ楽しくエロく生きることのみが彼の目的だ。持てる力を使い世界を救う?いい考えだ、感動的だ、だが無意味だ。そんなストーリーは別の世界線に任せておけばよい。何処までも彼は自分本位に生きていく。それはさておき

 

(そろそろ、頃合いかな)

 

このまま少し行くとエクスキューショナーが構築しているトラップのど真ん中に突っ込むことになる。彼らが進んでいるのはメインストリートだが少し先の左右伸びている脇道の先、それぞれに夜戦でお馴染みのアイギスとライフル装備のイェーガー部隊が配置され、進んだ所で彼らの退路を断つ作戦のようだ。後はジワジワと後ろから圧力をかけ、包囲した部隊で損耗させつつ最後は自身で相手取る積もりなのだろう。だがそうはならない、させない。

 

「少し、話があります…そのままの体勢で、皆さんで今後の相談をしている風を装いながら聞いてください…」




セクハラはないとは言え、チマチマと点数を稼ぐ主人公、あざとい


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「俺っ娘はポイント高いけど、そのブレードの原理は?光波?」

主人公、チート発揮(ただし単体だとクソ雑魚ナメクジ)

戦闘シーンのみですが、一度はその有能さを発揮しておかないといけないのでお付き合いください。


「やっと移動しだしたか。チッ、待たせやがって」

 

苛立つ声を上げるエクスキューショナー、病院から移動し始めているのは確認済みでもう少しで彼女の仕掛けた包囲網にかかる、という所でAR小隊が小休止を始めたのだ。焦らされているようでイライラがおさまらない、こういう時には良くつるむハンターがいてくれると良いのだが…等と考えつつも移動の報告には内心、喜んでいた。その報告にはどうやら人間、体格からして子供を連れているらしい、という事実が含まれていたがあまり重要視はしていなかった。どうせ病院内に物資を漁りに来たガキでも保護したのだろう、自ら足枷を増やすとは何ともお優しいこと、程度にしか。

 

(フン、上手くそのガキだけ捕まえて、奴らの目の前で嬲り殺しにするなんてのも面白いかもな。ま、難しいしあまり好き勝手するのもアレだ、きちんと仕事をこなさないとな)

 

さてそろそろだ、偵察から送られてくる映像では小隊が通りの端を進み、もう少しで封鎖部隊を配置している横道を通り過ぎる。後、もう少し、数歩で…

 

「…は?」

 

そう漏らし、笑顔のままで固まるエクスキューショナー、映像の中のAR小隊がその横道へと突然、向きを変え走り出したからだ。最後尾にいたM4が一瞬だけ止まり身を屈める、その背に子供がしがみついたのを確認すると再度走り出す。其処まで確認した所で我に返るエクスキューショナー。まさか、気付かれていた!?否定したいが罠にかかるギリギリのところでの転進、偶々だと思うほど彼女は愚鈍ではない。舌打ち一つ、AR小隊の進行方向にいる封鎖部隊へ足止めを命令する。装甲兵とライフル部隊の組み合わせだ、そこそこは時間を稼げるだろう。

 

(装甲兵への攻撃手段を持つのはSOPMODくらい、後の奴らなら装甲を抜けねえ。榴弾も限りがあるし連発は無理、倒すにしても時間を食う。その間に彼奴等がいる側の部隊を回し、続いてストリート反対側に配置していた奴らもそれに追随させてやりゃあすり潰せるだろ。地理にも不慣れだろうし、なんで気付かれたかは気になるが…まぁ、追い込んで仲間を嬲ってやりゃァ吐くだろ)

 

そう思い全隊へ指示を出した彼女だが、それが実に甘ったるい希望的観測だったと知らされることになる。道に並び進行を阻害するよう展開するアイギス、その後ろ、隙間から狙い撃たんとするイェーガー。それに対しAR小隊の前衛3名は立ち止まり、立射の体勢を取る。そんな事をしても的になるだけだろうに…窮してヤキが回ったか?焦る必要はなかったかと訝しむエクスキューショナー、が…

 

「何だとぉ!?」

 

驚愕に叫ぶ、彼女の視線の先では次々と頭部のアイカメラを撃ち抜かれ倒れていくイェーガーの映像が。馬鹿なあり得ない、サポート有りで攻撃される可能性がないと分かっているライフルでもない限り、こんな精密射撃できるはずがない。だが、現実として映像の中では次々に撃ち抜かれ、活動停止していくイェーガの姿が。残っているのが散発的に反撃しているがそれもまるで弾道が見えているかのように避け、掠りすらしない。そうしている内にイェーガーは全滅、残りはアイギスだけだが。

 

「まぁ、そうなるよなぁ!!畜生!!どうなってんだ!!」

 

装甲はあるが動きは鈍重、更に近接武器しか持っていない人形などマトモに相手する必要はない、とばかりに道沿いにある鉄製の扉を蹴破り其処へ入っていくAR小隊。そのまま建物の中を駆け抜け、安全圏へと向かうつもりなのだろう。建物内からストリートを通るAR小隊を両側から挟み撃ってやろうと建物内部に部隊を配置しているにはしている、それらにAR小隊を補足、攻撃せよと命令はするがこうも立て続けに想定外が起こるとそれすら上手くいくとは思えなくなっているエクスキューショナー。そしてそれは的中する。

 

・・・

・・

 

[この階層はフリーです、そのまま直進し、突き当りの廊下右端から2番目のドアに入ってください。其処の窓から道を挟んだ建物のヒサシ部分に飛び移れます。移った後はそのまま窓から侵入、ドアの外で左右から挟撃しようと待ち構えているのでAR-15とSOPMODでドアを開けると同時に手だけ出して射撃を。エイムは此方でコントロールします]

 

[[了解!]]

 

[クリア。進行再開、次は道幅が広いので飛び移れませんが道路にトラックが乗り捨ててあります、そこに飛び移ったのちに再度反対側の建物へ。M16、その周りに鉄血が索敵中なので閃光手榴弾を]

 

[了解、残数3だが大丈夫か?]

 

[問題ありません、切れた場合もやりようはあります]

 

[了解だ、何とも頼もしいことだな]

 

[凄い、此方に損耗を出すことなく的確に移動を…此れがラン君の能力]

 

[最初は正直、半信半疑だったけど此れは…言葉もないわね]

 

[それにこの皆との一体感、すっごく気持ちいいよね♪]

 

現在、彼を含め意思疎通はすべて通信で行っている。こうして喋っている時も常に移動し、必要最低限の敵を屠り続けている。その感覚は共有され、彼によって整理され各々にフィードバックされる、M4の視界の隅に写った鉄血兵にそちらを向くことなくそれに最も近いAR-15が撃ち倒す。SOPMODの視覚情報で攻撃タイミングを知ったM16が一歩体をずらし、それを避ける。誰の視界に入っていなくとも、彼がそれをフォローする、ナノマシン散布による探知を妨害する術はこの場にはない。加えて先程のイェーガーを全員ヘッドショット、ワンショットワンキルしたエイムコントロール、彼の補助あってこそだが元々のスペックがあってこそとも言える、流石は主人公を含めたエリート部隊というところか。

 

さて、此処に至るまでに幾つか解決すべき問題があった。先程の小休止の際に彼はAR小隊に「鉄血に包囲されつつある」と説明し始めたがそれをどう信じさせるかがまず一点、時間もないので既に集めていた情報をM4が所持するタブレットに地図情報と共に送った。その詳細な情報とそれを可能にするスキル、何より彼に対する此れまでの印象から「此処まで手の込んだ嘘をつくとは思えない」と判断された、演技は大事ですね。

 

此処まではクリア、次の問題は「どうやってこの情報を得たのか」。ナノマシンについては思考、肉体と人体強化オンリーと説明しているためナノマシンです万歳、とは言えない。まぁ最悪「やってみたら出来ました、テヘ」と媚を売って、それでもダメなら「信じて貰えないんですか(ウルウル)」と泣き落しで誤魔化そうとも思ったが、先程の病院でエレベーターから出てきたものがこの問題を解決した。

 

AR小隊の面々には見えていなかったが彼には見えていた、開いた箱に数機のドローンが存在しているのを。かなり高度な光学迷彩と特殊能力として近場の機器にハッキングを仕掛け、自身を認識させないようにすることが出来る、攻殻機動隊風に言えば「目を盗む」というやつだ。正直、タイミングが良すぎるしあの『声』と言い作為しか感じないのだが…あまり深く考えるのは得意ではない彼、この肉体の補助として開発してたのが自分が起きたことで起動したんだろうくらいに考えることにした。ハッキングでエレベーターを動かしてきたんだろうと。

 

「よく分からんが専用ドローンが起動したのでそれを使って」と説明すれば皆、何とも微妙な顔をしていた、さもあらん。しかし映像は本物で装甲兵もいる上に、はては指揮しているのはハイエンドモデルのエクセキューショナーと判明すればドローンの出処を云々している所ではなくなった。正直、全員の顔色は悪い、なにせ此処に来るまでの任務中、大した量ではないとは言え鉄血の部隊とも戦闘を行っている、物資も潤沢ではない。そして彼…保護対象を抱えた上でその包囲網を抜け、合流地点に到達。どう考えても不可能に近いミッションだ。

 

最悪は自分達が盾となっても彼とM4だけは逃がす、本人たちに知られないように三名は視線を送り合う、まぁ彼には原作知識から「あ~俺とM4だけ逃がす気ですね君たち」とバレバレだったが。なので彼は最後の問題をクリアすべくカードを切る。「僕を信じて、力を貸してもらえませんか」と自身を媒介として小隊全員をリンクし情報を共有する…仮称として「Full Link Mode」とでもしておくそれを行使させてくれと。それと同時にM4を除いた小隊が自身を囮に逃がすプランは、無理だと潰すオマケ付きで。

 

彼自身に軍事知識は皆無だが埋め込まれた戦争に関する知識は伊達ではない、中には要人救出or暗殺ミッションに関する知識も入っているので、如何に経験豊富なM16でもぐうの音も出ないほどに黙らされ、無言で睨みつけるM4から目を逸らし、バツの悪そうな顔をする。そしてため息、M16はM4に告げた「お前が決めろM4、隊長のお前がな。彼の力を借りるか、他の手段を取るか…どうする?」それに対し、M4は…

 

彼の提案を受け入れ、今に至る。正直、此れほどまでとは思っていなかった彼女らはその万能感とまでは行かないが、相手を圧倒している状況に高揚感を覚えていた。「人に使われる」という事に惹かれるのは人形だからだろうか?特に半信半疑だったAR-15ですら今の状態に幸福感すら覚えている、出来ることなら、ずっとこのままでいたいと思うくらいに。だが、何事もにも終わりは来る。

 

[後2ブロック進めばエクスキューショナーと接敵します、其処を抜ければ後は合流地点ですが…弾切れが近いですね]

 

[ああ、私も閃光手榴弾は使い切った。後は各自、通常弾が2マガジンほどだな、SOP、榴弾は?]

 

[装填分も含めて2発だよ、ちょっと苦しいかな?]

 

[いえ、それだけあれば後は問題ありません。別に倒す必要もないですし、一当てして逃げても良いですから]

 

[楽天的ね、疑うわけじゃないけどうまくいくかしら?]

 

[はい、上手く今の接敵ポイントにおびき寄せられましたし…もう彼女は詰んでいます]

 

[え?どういう事?ラン君]

 

[自分で言うのも何ですが、この時代で貴重な男性の保護を目的に寄越される迎えの部隊。腕は立つのでしょう?(多分だけど404だよね?)こうも派手に市街戦をすれば…この通りです(やっぱそうだった)]

 

一番遠くへ配置していたドローンの画像を展開すれば、全員の感嘆の声で通信が埋まる。それに少しこそばゆさを覚えながらも彼は宣言する。

 

[さぁ、終局です]

 

・・・

・・

 

「コソコソ逃げ回りやがって!!だがてめぇらも此処で終わりだ!!」

 

自身を鼓舞するようなエクスキューショナーの怒号が響く、眼の前の建物中にはAR小隊、それを残った部隊で半円状に包囲している現状、どうしてこうなったと自問するが上級AIは結論を出せず、エラーを吐くばかり。策は破られ、残存戦力もわずか3部隊。戻ればエージェントからの叱責は免れないだろう、下手すれば解体処分もあり得る。だがAR小隊も損傷はないにしろ弾薬は残り少ないはず、ならば残りの部隊で押しつぶせばなんとかなる。そう信じて突撃の命令を出そうとするが

 

「いえ、終わるのは貴女の方です」

 

意外にも自分の咆哮に返事が返ってきたことに驚き一瞬、出すのを忘れる。AR小隊ではない声、ならば奴らが保護した子供の声?何故、そんな人間が声を上げる?しかも勝利宣言を?湧いてきたのは怒りだ、何故、自分が下等な人間如きに見下されなければならない!

 

「テメェ!!舐めてるのか?出てこい!!」

 

言って舌打ちする、なんて無様な挑発だ、出てくるはずもないのに。だが

 

「…は?」

 

まさか本当に出てくるとは、自分の胸元に届くかくらいの小さな人間、それが自分に相対している、後ろからは「戻ってこい」とか慌てる声も聞こえているが。もはや怒りも消えて呆れが湧いてくる、お陰で多少は冷静になり子供を観察する余裕も出た。そして

 

「お前、男、か?」

 

「その質問をされるのは二度目ですが、そうです」

 

跳ねた黒髪、青い瞳、そしてその顔立ちは多少は細くとも男のそれ。エクスキューショナーは首を振り、口を開く。

 

「まさかとは思うが…男だから殺されないとでも思ってんじゃないだろうな?」

 

「思ってませんよ、『殺せない』とは思ってますが」

 

「あ゛?」

 

冷静になった電脳がまた沸々と煮立ってくるのを感じる、それを知ってか知らずか子供はコテン、と首を傾げて

 

「お疑いなら試してみてはどうでしょう?」

 

もう限界だ、良いだろう、どうせそうするつもりだったんだ。エクスキューショナーは部隊全員に一斉射撃準備を命じ、自身の武器であるブレードを引き抜き衝撃波を放つ体勢を取る。

 

「そうさせて、貰おう…ガッ!?」

 

射撃命令、自身もブレードを振り抜こうとした途端に視界中に浮かぶ『警告』のポップアップ、動かなくなる腕。遮られる視界に映るのは同じように射撃できず、困惑するイェーガー達。此れはまさか

 

「り、倫理違反コードだと!?俺ら、鉄血にはもう入っていないはずなのに!?」

 

「ああ、やはりコードの束縛があったんですね。此処に至るまでの反応から確信していましたよ、僕を確認した人形の動きが鈍くなったり、射線がずれたり…気付かなかったんですか?」

 

指揮官としてそれはどうかと思います、等と真顔で言われ盛大に顔が引きつるのを覚える、此処まで虚仮にされて何も出来ない?舐めるなよ人間!!

 

「く…それでもテメェだけはぁ!!」

 

頭をドリルで掻き回されているかのような激痛に耐えながら、エクスキューショナーはブレードをかなぐり捨て彼との距離を詰める、正確な行動など出来なくても首を掴み、へし折るくらいは出来る、いやしてみせる。そんな彼女の必死な特攻を前にしても彼は平然としている。あと数メートル、という所で

 

「此れでお終いです」

 

ポツリと一言、それに疑問を覚える暇もなく、エクスキューショナーはの体は横合いからの銃撃に吹き飛ばされる。

 

「が、あ、何、が…」

 

頭部にも銃弾を受け、もはや機能停止も時間の問題。狭くなる視界に自身に近づく4つの影を捉え

 

「畜しょ…」

 

全機能を停止した。




倫理コード先生「何時から制限を受けていないと錯覚していた?」

鉄血側も外した気になっていましたが、コードは生産機械やパーツに紛れ込んでいる上、コードが入っている人形が調べても発見を阻害し、「コードは消した」と誤認させます。多少コードを削る、不活性化しても他の人形に入っているコードがそれを補完し、回復させる。なんかウィルスみたいだなオイ

この時代において、コードの入ってない人形、機械を作り出すのは至難の業です。

後、リンクによる戦闘シーンはMGS4でメリル達の部隊がナノマシン補助で互いをフォローしつつ戦っていたシーンを思い浮かべてください、あれの上位互換です。


この後は404小隊と合流、さあお前ら大好きなセクハライチャコラタイムだぞ☆


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「即堕ち2コマ?まぁ好きですよ」

私としては墜ちるまでの過程を大事にしたいですが

まぁそれはさておき白状しましょう。タグの「キャラ崩壊」、彼女のために付けたようなものです、今のところはという枕詞は付きますけど。

後、この話は昨日の話2つ更新からチマチマと書いてたら出来上がりました、なんでですかねぇ…


-数時間後、前線基地-

 

エクスキューショナー撃破後、404小隊と合流できたAR小隊は鉄血残党がいることも考慮し即座の撤退をM4が提案。損傷はあるもののハイエンドモデルの機体であるエクスキューショナーのボディを回収し、彼をM4がおぶったままヘリの待つ前線基地まで急ぎ移動した。鉄血の別働隊などと接敵することなく到着し、準備でき次第、グリフィン本部への帰還となった所で。M4は404小隊隊長であるUMP45に救助の礼を言っていた、「仕事よ」と返して軽く笑みを浮かべた彼女に、正直、M4は胡散臭いものを感じていたが。それを知ってか知らずか、UMP45は視線をある方へ向けながら口を開く。

 

「それで…あそこに座って説教されているのが保護対象の男の子?」

 

「…ええ、そうです。本当にもう…」

 

顔を顰めながら返事をするM4、彼がエクスキューショナー戦最終段階で取った行動を思い出してだ。そうしつつM4も視線をUMP45と同じ方へ、其処では。

 

「自分が何をやったか分かっているのか?一歩間違えば死んでいたんだぞ!!」

 

「自分でも言っていたけど、態々まともに相手する必要はなかったのでしょう?自分を危険にさらしてまでする必要はあったのかしら?無いでしょう?」

 

「すっごく心配したんだよ!!本当に何考えてるの、もぅ!!」

 

「いえ、ですからほぼ確実に撃たれることはないという確信g「「「言い訳はいらん!!(しない!!)(ダメだよ!!)」」」…はぃ、ごめんなさい…」

 

物資の詰まった木箱に座らされ、正面にM16、左右にはAR-15とSOPMODが仁王立ちして3ch同時お説教を食らう涙目な彼の姿があった、涙は演技でも何でもなく、ガチである。並列思考ができると白状しているため、同時に言っても聞き取れるだろうということからなった聖徳太子状態!な訳だが…軽々しく能力を話すと痛い目を見るということか、なんか違うな。そんな彼を見ながらUMP45は考える。

 

(大人しく人形であるM16達の説教を聞いているし、本気で反省もしてる様子。どうやら私達が今まで扱った子供とは似ても似つかないタイプのようね、短い付き合いだろうけど不快な思いをしなくて済みそうでよかったわ、416なんかすぐに顔に出すからそれでまた…止めましょう、思い出すのは。でも…)

 

この時代、特別な出自ということもあるがそれなりに真っ直ぐに育っている彼を見て、UMP45は思う。

 

(移動中に聞いただけでも高い指揮能力、そして特殊な能力。クルーガーが放っておくかしら?さっき連絡はしているから今頃根回しに忙しいかもね。この子が承諾すれば初の男性指揮官誕生?保護団体をどう黙らせるかがクルーガーの腕の見せ所ね、ま、上手くやるんじゃないかしら…私達の小隊には関係ないでしょうけどね)

 

少し、ほんの少しだけだが…彼の下で正規の作戦をこなす自分達を想像し、首を振る。詮無きことだ、そんな未来はあるはずがない、気を取り直し、いつもの表情の裏に感情を隠し、UMP45はM4に問う。

 

「お説教も大事だけど、彼に挨拶くらいはさせてもらえないかしら?さっきも慌ただしく名前だけだったし、ね」

 

「そうですね、そろそろ出発も近いですし」

 

そう言いながらM16達の方へ近づく、UMP45の意向を伝えるとM16も渋々、という感じで頷いた。それにあからさまにホッとした彼に対し、M16の「続きは帰ってからも出来るしなぁ…」とトドメが突き刺さり、彼がorzのポーズを取る、何かを思い出したAR-15が青い顔で彼の手を取り、励ましていたが何かあったのか?訝しむもあまり関係ないと思い、メンバーに声をかけ、彼に近づくUMP45。G11は相変わらず居眠りしていたようで、HK416に耳を引っ張られての登場だ。M16とすれ違う際、視線で「余計なことをするな」と釘を差された気がするので肩を竦めて応えておく、相変わらずUMP45への信頼は最低値を観測しているらしい。

 

「はろはろ~、さっきは名前だけだったけど改めてUMP9だよ、宜しくねっ」

 

「(うぅ、自業自得とは言え酷い目にあった…スキル使うのが楽しすぎてテンション上げすぎたわぁ…って、おおぉ、生404小隊キター!)はい、宜しくおねがいします。先程は援護射撃、助かりました」

 

「ウンウン、お仕事はこなすよ?でもさっきM16達に怒られてたけど…迷惑かけちゃダメだよ?君が傷ついただけで彼女達も、私達も困っちゃうからね」

 

「あ…(しまった、男子の希少性を甘く見てたわ、俺が怪我しただけでも皆責任取らされるじゃんやっちまったぁ~)です、ね、本当にすいません」

 

素直に認め、かすかにションボリとして頭を下げる彼に何度か頷き、「次からは気をつけてね~」と自己紹介の番を譲る、次は「私は完璧よ」の彼女だった

 

「HK416よ、長く付き合う気はないわ、まぁ適当に宜しくね」

 

これまた素っ気ないものだった、だがまぁ…

 

「(視線を逸らしつつ、頬を染めながら言ってもなぁ…照れてるのバレバレよ?意外と面食いですか?いつか取って代わる人)それでも助けてもらって有難うございました、短くなるかもしれませんが宜しくおねがいします」

 

かすかに微笑み、頭を下げておく。それに顔の赤みを強め、フンと離れていくHK416、そのついでにネボスケを強引に彼の方に押し出して。

 

「G11だよ、じゃぁ…おやすみぃ…」

 

「アッハイ(すげぇ!これが現状日本鯖では最強AR!!全然見えない!!なんかマスコットっぽい!!後、製造率アップ時に来てくれなかったの、忘れてないからな!!終了後に来てくれてありがとね!!)有難うございました、その、お休みなさい?」

 

脳内恨み節+感謝を炸裂させつつ、どう相手をしていいか分からない風を装って首を傾げておく、それに対し何やら満足したのかニヘラーと笑い、また寝ようと去っていこうとして…HK416にどつかれていた。此処までテンプレってやつ?最後に隊長であるUMP45がそっと近づいてくる。だが正直、彼はどう対応して良いものか悩んでいた、転生前にドルフロSSを読み漁っていたが其処の描写では大体、指揮官とイチャツイていたか、ヤンデレてたか、酒のんで逆レしてたか、まぁ概ね好意を持って接していた。だからまぁ、そういう性格なのかなぁと思って進めていたがキューブ作戦などをやる限りでは「…ちょっと指揮官LOVE勢になるの想像つかないですね」としか思えなかった。「404小隊と基地に着任するのは別物?ううむ」と少し悩んだのを覚えている。

 

だがまぁ、偏見は良くないと思い直す。彼女とて暗部の仕事をこなす部隊の隊長なのだ、バカ正直に考えを晒すなどあってはならないのだろう。此処は余計なことを考えず、自然体で相手をしようと彼女の言葉を待つ。

 

「最後に私がこの部隊の隊長、UMP45よ、グリフィン本部までだろうけど宜しくね。そのグリフィンからの依頼で迎えに来たわ、まぁ…話を聞く限りでは来なくても何とかなったかしら?」

 

薄く笑う彼女に彼は首を振り、否定する。

 

「いえ、そちらが戦闘状態に気付き、救援に来てくれて本当に助かりました。確かに何とかなったかもしれませんが…無事に切り抜けられたかは」

 

そう言ってチラリとAR小隊の方へ視線を送る、実際ギリギリではあったのだ。残った弾薬ではエクスキューショナーを撃破出来ても雑魚を削りきれず此方も損耗し、A勝利という所だった。正直、第二戦役のボスだしと無意識に舐めていたのだろう、気を引き締めないといかんな、と彼は思う。初期戦役のボスとは言え、人間を遥かに超えた能力を持った敵なのだ。慢心して良いのはどこぞの金ピカな王様だけだ。

 

「そう、大事なの?彼女たち」

 

「はい、間違いなく命の恩人ですし…優しくしてくれます(あんな美人姉妹を傷物にするとか、許されざるよ)」

 

「ふぅん…そうは言っても彼女も私達も戦術人形、戦場に立つことは避けられない、それについては?」

 

「戦うことが存在証明、みたいなものですよね。命?存在かな?それを賭けて戦わなければいけないのは理解しています。それでも出来る限りは…傷ついては欲しくないですね、多分、そうなんだと思います。(えらく来ますね45姉さん、感情薄い設定だから程々にお願いしますよ?)」

 

彼女たちをどう思うか、等と意外と突っ込んだことを聞いてくるUMP45に、彼は正直に思うところを応える。その答えに何かしら掴むところがあったのか「そぅ」と小さく返し、少し微笑みながら、でもなんだか。

 

(寂しそう?よく分からんな、気のせいか?)

 

そう感じた彼はコテンと首を傾げつつ彼女を見る、それに対しUMP45は元の無表情に近い顔に戻し、「そろそろかしら、行きましょう」と踵を返す。その背に彼は何か声をかけるべきか?とも思うがなんと言えばいいか思い浮かばない、まぁ此処は無難なことを言ってみるかと口を開いた。

 

「そう言えば」

 

「何かしら?」

 

足を止め、顔を半分だけ此方へ向けるUMP45。

 

「(シャフ度ですね、分かります)いえ、大したことはないんですが…UMP45さんとUMP9さんは良く似てますね、もしかして」

 

「ええ、姉妹として設計されてるわ。M16達もそうでしょ?」

 

「そうみたいですね(すいません、M16姐さんとM4の黒髪以外はあんま共通点見いだせないっす)、じゃあUMP45さんの方が?」

 

「ええ、姉よ」

 

それだけ言うと今度こそ、とばかりに前を向き、歩き出す。正直、薄っすらと拒絶されたように感じた彼、だが、トークスキルは高いわけでもないし、あまり饒舌に喋れば疑われる。此れはどうしようもないな、と思いその背に続きながら、特に考えなしにポツリと漏らした。

 

「ふ~ん…つまり、『UMP45お姉ちゃん』なんですね?」

 

ピタリ、UMP45の足が止まった。それに気づき、自分も止まる彼。特に何を言うわけでもなく立ちすくんでいるUMP45、なんだか微妙に震えてるような気がするのだが…何か不味かったのか?事実を言っただけなのだが…訝しむ彼にそのまま、振り向くことなくUMP45が問う。

 

「い、今…なんて?」

 

その声すらも震えているように感じた、彼は(え?なんか地雷踏んだ?超危険球投げちゃった!?お姉ちゃん呼びはUMP9しか許さない!!みたいな!?え?この世界線のUMP45は姉妹愛ヤンデレでしたかぁ!?)とテンパる、ナノマシン制御で無表情を装うのがやっとだ。

 

「(と、取り敢えず返事せんとヤバいの!?)え、えと…何か気に触ったのならごめんなs「謝らなくて!良いから!今言ったの、もう一度言って!!」は、はい!その…『UMP45お姉ちゃん』…ですk」

 

最後まで言えなかった、何故なら彼の頭は抱えられ、UMP45の胸に押し付けられていたからだ。状況が飲み込めず、(どうしてこうなった!)と目を白黒させるがまぁ此れは此れで美味しいので良しとする、何というポジティブシンキング。取り敢えずどんな表情をしてるのかとそのままの体勢で視線をずらし、何とかUMP45の顔を捉えたが。

 

(えぇ~?)

 

さっきまでとはうって変わって、何とも蕩けるような笑顔?あと一歩で雌のか…いや止そう、兎に角、この上なく嬉しげな顔で、目を潤ませ、彼を見詰めていた。なんかもうアレだ、好感度一定値超えてハートマーク浮かんでる感じ、目の中にも幻視するくらいに。取り敢えず、どう反応すれば良いのか彼も分からず、手をUMP45の背に回して抱きついておいた、正直、体勢的には自分よりは小柄な彼女に頭を抱えられるのはキツかったから。不快感を覚えたら倫理コードが彼女に警告を出してしまうだろうからだ、それはまぁ正解ではあったようでUMP45は深い笑みをさらに深くした。

 

(あ~やっぱ女の子って柔らかいよな~人形でも。AR-15と並んでちっぱ…スレンダーで弄られるけどさ、やっぱ此れは此れで良いものだと思うんよ。俺的には胸のサイズは問わないから!!と、まぁそれは置いといて!お姉ちゃん呼びはボークじゃなくてど真ん中どストライクでしたか~)

 

取り敢えず、嫌われてはいなかったのだろうと彼は安心する、嫌いな相手から姉さん呼びされても「たったまま●ね!!」って返しそうだし、「虫ケラが!」かも?だが彼は此処でふと思う、この、UMP45の行動は他の皆にどう映っているのか?と。抱きついたまま頭をずらし、片目を彼女の脇から出して皆の方を見るが…まぁだ概ね、予想通りの反応だった、寧ろ超えていた。

 

「あの、UMP45さ「お姉ちゃん」は、はい、UMP45お姉ちゃん」

 

「何?」

 

「その、この体勢嫌ではないのですが…皆が…」

 

「みん、な…」

 

ウットリとした顔で彼の頭を撫でていたUMP45だがそう言われてその顔がピキリ、と固まる。ギギギ、と音が聞こえるんじゃないか?というくらいゆっくりと彼女は振り返り、仲間たちへと視線を向ける。そりゃもう凄いことになっていた、それはそうだろう普段の彼女の行動と言うか、態度を考えれば仕方ないことではあるのだが。HK416は「今、私の目の前にいるコイツは一体誰だ」みたいな、恐怖すら覚えてるような顔でガン見してるし、G11はAIの処理が追いつかず例のダメイドモードに入って「ありえないものがみえるですごしゅじんさま」なんてブツブツ言ってるし。

 

ただUMP9だけは良かった良かったと言わんばかりにウンウン頷いてる、目尻を拭いながら…って泣くほどなんですかねぇ!?彼女も妹として姉の何かに気付いていたのだろうか?先程、彼がUMP45の微笑みに感じたように。まあ此処だけはイイハナシダナーな空気が漂っているので良しとしよう。

 

だからAR小隊の方は見ない、見ないったら見ない。全員で「その手があったか!!」みたいな顔をして「じゃあなんて呼んでもらうか」とか会議しているエリート部隊()なんていないから、イイネ?だいぶ毒されてと言うかこれもう手遅れじゃない?いや、「姉クン」とか…12人の妹ができる狂気のアレを思い出すから止めろぉ!!彼は取り敢えず、この場を収めようとそっとUMP45から離れた。「あっ」と小さくつぶやく彼女、少し寂しそう。そんな彼女に彼はそっと呟く。

 

「また、機会があったらその…撫でて貰って良いですか?」

 

「っ!ええ、良いわよ…それと急にあんなことしてごめんなさい、君にああ呼ばれたらこう、胸に色々湧き上がってきて我慢できなくて…」

 

「いえ、そういう触れ合い、嫌いじゃないです。僕も心が暖かくなる気がするから…(股間もなぁ!!)後、僕のことはランと呼んでください」

 

「ええ、改めて宜しくねラン」

 

フッと微笑み、UMP45は自然に彼の手を取り未だショックから抜け出せない仲間(一人は大団円!みたいな顔してるけど)と未だ呼び方会議をしているAR小隊へと歩み寄るのだった。




UMP45、完堕ち。良いじゃんお姉ちゃんと呼ばれてデレッデレの45姉がいても

さて、数話の内に指揮官就任、原作プレイヤーの立場となってセクハライチャコラしていくことに、ついでに仕事を(オイ)

出して欲しい人形がいたら感想なんかで書いてもらえると拾うかもしれません、シチュ込みでも可

特に無ければ現状、全くいないHG、MG、RF優先で出していきます。ARはリクエストがなければ先になる可能性が高いです


感想で指摘されましたがあまり感想でこういうの募集するのは良くないようですね。活動報告に書く場を設けますので、お手数ですがそちらにお願いします、ご協力の程宜しくです。


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「おっさんと契約して指揮官になってよ」

なんかえらく長くなってしまったが、此れで分けるとすごく中途半端になるのでご了承ください。

やっとラン指揮官の誕生です、後はリクエストの人形を見ながら出すキャラを決定していく所存です。あ、この話で一人確定、二人保留となっております。確定はリクのあった人形です、出した人おめでとう御座います。

それから余りに自然で流してしまってたんですが、感想で全裸待機の紳士様、せめてネクタイ着用をよろしくお願い致します。

しかし最近は筆が進みます、前のを書いてから2日で何とかなったよ…ところで此れは「勘違い」モノの部類に入るのでしょうか?


-同日午後、グリフィン本部-

 

それから彼を含めAR,404小隊はヘリで本部へと到着した、どうやらCAPCOM製ではなかったらしい。機内では特にイベント的なことは大して起こらなかった、精々が風に煽られて揺れたせいで彼がバランスを崩し、HK416のご立派な胸部装甲に顔面ダイブしたくらいだ。咄嗟に支え、キチンと座ってなかったことを叱ろうとしたが物凄くすまなそうな顔で謝る彼に強く出れず、顔を赤くしながら「次から気をつけなさい」とだけで許していた。彼?見えないように新世界のGODみたいな顔して(計画通り!)なんて内心ウハウハでしたよ?揺れは偶然だがダイブ先にHK416を選んだのは必然だし。

 

その様を見て、若干2名が自身の胸をペタペタと押さえ、同時に「「くっ」」とか漏らしていたが大丈夫だ、彼は博愛主義者()だから…うん。さて、そんな典型的ラッキースケベを堪能した所でヘリは本部屋上ヘリポートへと着陸、彼は遂に辿り着いた、楽園へ。

 

(楽園フォーーー!!!!!!!!腰は振らないけどな!!ネタが古い?こまけぇことは良いんだよ!!)

 

内心はウザいほどテンションフォルテッシモ、上手く立ち回らなければ保護施設直行なのを忘れているのだろうか?そんな彼を中心に左右を2小隊全員で固め、廊下を進む。戒厳令は如かれているだろうが男子が来ることは職員に漏れていたのだろう、かなりの人数(当然、全員女性だ)がその姿を見ようと詰めかけていた、流石に彼等の歩みを妨げるほどではなかったが。彼に向けられる視線は奇異、驚愕、親愛、そして…欲望。ネットリとした、ギラついた視線が彼を舐める。それに気付いている人形たち、AR小隊は顔を僅かにしかめ、逆に404小隊は顔には出さないが、警戒を強める。

 

人形の彼女達と違い、人間の女性には倫理コードなぞという枷はない、気を抜き少しでも彼から目を離せば欲望のままに襲われてしまうかもしれないのだ。そんな彼女らの緊張を知ってか知らずか、当の本人はと言うと…

 

(ん~?いやぁ人気者は辛いですな~そんなに見たけりゃ見ても良いのよ?可愛くってゴメンね?しっかし、前世では「女性は男性の視線に敏感」って言うけどガチだな、男女逆にすりゃァ今のこの状態にピッタリだわ。でもな~顔は分かるが胸ってなんだ、胸って、揉むの?うなじとかマニアックですね、ええ。尻もま~分かるわ、え?ヒザ裏?…はぇ~すっごいフェチだわ)

 

超余裕だった、視線はまっすぐ前を見据えて固定しているがまたぞろナノマシン散布によりグリフィン職員らから受ける視線を解析、何処を見てるか、また一番視線集中が多い部位は何処か、グラフ化するほどに。中々フェチ道も深いなぁと感心している所で

 

(ん?へぇ~?)

 

職員の一人が何処かに通信機器で連絡しているのを見、またそれを読唇術でなんと言っているか知った所で微かに笑みを浮かべる。

 

(んまぁ~クルーガーのオッサンがいかに優秀でも職員全員にマトモな奴用意するのは無理よね、ウンウン。ま、皆が対応してくれれば良し、万が一にも失敗した場合は…)

 

-ククッ-

 

「…どうかした?」

 

彼が薄く笑ったのに唯一気付いたUMP45がそっと声を掛ける。

 

「いえ、これからどうなるのかなと色々考えていたら…ちょっと、大丈夫ですよ?」

 

「そう、心配はいらないと思うわ、今から会うこのPMCの社長、やり手だから悪いようにはしないはずだから」

 

「迅速な対応を考えればそこは心配してませんよ、有難うございます」

 

淡く笑み、それにUMP45が微笑み返す。だが内心、彼女は不安を覚えていた、彼の今後ではなく浮かべた、自身だけが気付いた彼の笑みに。

 

(…戦争に使われる駒として生み出された…ならさっきの笑みもそういう事なの?)

 

彼は気付いているのか…自身が浮かべた笑みが

 

冷酷に満ちたそれだったことに。

 

・・・

・・

 

動物園のパンダと似たような扱いを受け、彼はグリフィンの代表者がいるという部屋に着いた。此処からは彼一人、2小隊は隣の部屋で待機となる。心配そうだったり、笑顔だったり「あ、アンタのことなんか別に心配してないんだからね!」なツンデレ顔だったりと様々だが基本、好意的な表情に見送られ、彼はそれに手を振り返し。

 

コンコン

 

ドアをノックし、「入りなさい」との渋い声を聞き(おお、これがクルーガーさんの声かな?CV柴田さんっぽいな…サーベル一本で鉄血本拠地にカチコミかけそう♪)などとお気楽なことを想像しつつ「失礼します」と室内へと入った。中には人が二人に人形が二人、万が一の護衛代わりだろう。因みにSMGのトンプソンとARの95式、前者はニヒルな笑みを口元に浮かべ、後者は優しく微笑みながらも彼の一挙一動に注意を払っている。流石に彼の見た目に流されることはない、護衛を仰せつかるだけはある訳だ。誰とは言わないが見習うべきだと思う、誰とは言わないけど。

 

彼と言えば注視されるも特に気にすることなく(★5の2体を護衛とは、流石ですなぁ…製造ガチャいくら回したん?)くらいなものだ。ゆっくりと机へ近づき「かけなさい」とのクルーガーの言葉を聞いた後で静かに椅子へと座った。対面にクルーガー、その横にはもうひとりの人間、まぁ予測はしていたがやはりヘリアントスであった。表面上は平静を保っているが心拍数やら汗のかき方を数値化して見れる彼にしてみれば内心、緊張しているであろうことは明白だ。その緊張が今後の彼の扱いへか、男子を見たことによるそれかまでは分からないが。

 

(クルーガーさんを見習いなさいよ、俺みたいな爆弾目の前にして心拍数とか平常値だぜ?そんなんだからヘリポンコツさんとか呼ばれるんですよゴウコントスさん)

 

コイツの酷さも大概である。チラリとテーブルの上に視線を奔らせるが水差しにコップ、後は紙資料とタブレットくらいのものだ。資料については彼について現状わかっていることが書かれていた、タブレット内の情報も盗み見たがそちらには例の地下施設で彼が抜き取ったデータが整理されて入っていた、急遽、前線基地でM4辺りが送ったデータを解析したのだろう。(仕事してたのねぇ)そういう事考えるの、良くない。彼の視線が落ち着いたのを見て取ったのか、クルーガーが口を開く。

 

「まずは自己紹介と行こうか、人形たちから聞いているかもしれないが私はクルーガー、ベレゾヴィッチ・クルーガーと言う。この民間軍事会社グリフィン&クルーガーの社長をやっている、よろしく頼む。そして…」

 

視線を横へやり、それに頷いたヘリアンが続く。

 

「私はヘリアントス、ヘリアンと呼んでもらって構わない。ここで上級代行官…まぁ人形を指揮する立場にある指揮官と会社上層部をつなぐ仕事に携わっている」

 

「クルーガーさんとヘリアンさんですね、はじめまして、宜しくおねがいします。僕は…ラン、と今は名乗っています。小隊の皆さんの報告にあると思いますが自分に関する記憶は一切残っていませんから。それで…」

 

ペコリ、と頭を下げた後でちらりと視線を彼等の後ろへ移す、流石に無視は出来ないので。それに頷きクルーガーが答える。

 

「君から見て左がトンプソン、右が95式、どちらも人形だ。いる理由は…説明しなくても構わんだろう?」

 

分かっているようだしな?ニィと笑うクルーガーに「はい」とだけ返し、人形へ向け、ペコリと頭だけ下げておく。それに対しトンプソンは帽子を軽く持ち上げ95式は軽く会釈を返してきた。その後は十数分間、彼の能力についてや、施設で何か思い出したことはないか、といったAR小隊らから受けているであろう報告の補足や、それ以外のことについて色々と質問された。「彼女達、人形についてどう思うか?」とも聞かれたので「(ペロペロしたいです)好き、なんでしょうか、一緒にいて安心します。人間の女性には別に不快感、とまでは行きませんが残っている施設での記憶が…その当時はそれが普通と思ってましたが、「モノ」として扱われたんだと、気付いて余り、その…(美人のお姉さんなら良いのよ?)」と、やんわり人形と離れたくないアピール。

 

それに対し、クルーガーは目を瞑り、フムと頷き、ヘリアンは微かに顔を顰めていた。彼の扱いに思うところがあったのか、その辺りはやはり優しいのだろう、原作でも結構プレイヤーを気遣ってくれたりしたし。此処でクルーガーが姿勢を正し、真っ直ぐに彼を見てくる。彼も(ん、正念場、かな?)と内心思いつつその視線を逸らすことなく受け止めた。

 

「さて、色々と話を聞いてきたわけだが…君の今後について話そうと思う」

 

彼が頷き、聞く姿勢になったのを確認し、続ける。

 

「まずこのまま何もしなかった場合、通常の手続きを取るとしたらから話そう。知っての通り、この世界での男性は貴重だ、間違いなく男性保護施設での預かりとなる。衣食住は保証されるのでその辺りは問題ない、だが…」

 

其処まで言って珍しく、顔をしかめる。彼が首を傾げるのを見て、クルーガーはその重い口を開いた。

 

「見ての通り、私も男だ。成人するまでは其処で暮らしていたよ、だから、先入観を与えるのは不味いと思うが正直に話そう、あそこは…地獄だった。確かに大事にはされたのだろう、それは理解できる。だが男性に傷を負わせることはそれだけで罪に問われる、そうなると腫れ物に触るような扱いを受けるわけだ。此方もそれを理解してるから強くは言えないが…辛かったよ。そして、他にも…いや、此れは君が知るには早いか、兎に角、あそこでは人としては扱われない、『貴重品』か何かのように扱われるのだ。正直、同じ男として君にあそこでの暮らしをさせたくはない」

 

「つまり…僕が施設で受けたような、そしてそれ以上の何かをされる、そういうことですね?(フム、言い淀んだ内容は…まぁオッサンも若い頃はおそらく顔が鋭い感じのイケメンだったんだろうし?深く聞かないでおくのが武士の情けという奴かな、てか頼まれても聞きたくねぇ)」

 

「察しが良いな、内容は話せんがそういうことだ。だがそれでも良いと言うならば、私は止めんよ」

 

「内容は分かりました、では次の選択肢の説明をお願いします。多分、ですが…そちらが僕が望む方だと思います(指揮官やろ?そうだと言ってよバーニィー!!)」

 

彼の瞳に強い意志を感じ、ホゥと感嘆の声を上げるクルーガー、報告や今までの会話から感じたのはその感情の薄さ、自身のことすらまるで他人の履歴書を諳んじているかのように見えたくらいだ。だがどうして、その奥底には何か持っているらしい、そう思ったクルーガーは説明を再開する。確かに持っていますね、ええ、主にエロ方面への情熱を。それをクルーガーに読み解けと言うのは酷というものか。

 

「良いだろう、単刀直入に言おう、この会社に就職し指揮官としてその能力を奮って欲しい。君の特殊能力、いや、それが無かったとしても指揮能力は飛び抜けている。近々、鉄血との境界線を押し上げる作戦を実行する手筈だ、君にその一角を担って貰いたい」

 

前半は置いといても後半は未だどうするか決めていない者に話すものではない、ヘリアンは流石に声を上げようとしたがクルーガーはそちらを見ずに、手を上げて制す。彼は(そりゃあ未だ部外者なのにそんな話するのは止めるわな、後クルーガーの旦那、後ろの人形もキッチリと止めといてくださいよ?)と心の中でぼやく、彼は気付かぬふりをしていたが、クルーガーが作戦について話し始めた途端、何時でも彼を取り押さえられるよう、そっと体勢を整えたのを確認していた。拒否した場合、拘束する手筈なのだろう。(オイオイ、断る気はないけど秘密保持を理由に指揮官なれって言うの?流石に引くわ~)等と彼は思っていたが。

 

「落ち着け、後ろのお前達もだ。彼は断らんよ、と、いうか指揮官になる、という事だけは決めていたのだろう?おそらく、此処に来るだいぶ前からだ…違うかな?」

 

「(脅す気はないのね、てかバレバレやん、流石は元ロシアの国家警察的な部署所属の軍人、だったよな?プーさんと同業?あっちはKGBだっけか、この世界線ではどうかは知らんが…それともカマかけかな?どっちにしても好都合だが)違いません、その通りです。最初はAR小隊の皆さんと会ってから、決めたのは彼女達とエクスキューショナー率いる部隊と戦っている最中です」

 

言葉を切り、そっと上げた両の手の平を見つめる風を装う。

 

「やはり、そう調整されていることもあるでしょう、彼女らと戦場を駆けている時はこう、なんと言って良いのか…『生きている実感』?そういうものがあった気がします。どれが好きとか、そんな事未だよく分かりません、でもただ静かに生きることと彼女達と共に戦うこと。どちらを選ぶと言われれば僕は、えぇ、後者を取ります、躊躇なく」

 

無論、言っていることはなんとなくその場のフィーリングで、まぁ子供に前線指揮を執る事を強いるのだからそのくらいの事されていて当然だろうし。そんな事を知ってか知らずか…知らないか、クルーガーは最終確認だ、とばかりに言葉を返す。

 

「私としてはそれは有り難いが…良いんだな?状況次第では前線付近まで出る必要もあるかもしれない。危険と隣り合わせな仕事だ」

 

それに対し、彼はお得意の首傾げポーズで応えた、口元を僅かに歪めながら。

 

「質問に質問でお返しして申し訳ありませんが(減点されちゃうね!!吉良さん!)…逆にお尋ねします、今、この世界に、安全と言える場所が存在するのですか?」

 

彼の前世の祖国は既に滅び、無数の化物が生活圏を脅かし、更には世界シェアを二分していた軍需企業がまるごと人類に敵対している。そんな世界で安全圏とは一体…寧ろ、人形たちの側にいたほうが兆倍もマシだというのが彼の考えだ。そう問われ、流石のクルーガーもどう答えて良いか戸惑う、ヘリアンも同じだ。そんな沈黙を破ったのは呵々ッ、とばかりに響いた笑い声、発信元は後ろで警戒しつつ佇んでいたトンプソンだ。全員の視線を受けても何のその、ククッと笑いながら机を回り、彼の横に近づき机に手を付き、彼の顔を覗き込む。彼はそれを正面から受け止め、見返す。(大胆な姐御、イィ…)考えていることは大概と言うか正常運転です。

 

「指揮に特化しただけの感情が薄い男子と聞いていたが…中々どうして、覚悟が決まってる良い男じゃないか」

 

「(おや、意外と好印象?薄気味悪いガキ位に思われてると思ったけど)それは、有難うございます?」

 

「どういたしまして、だ。ふむ…」

 

彼の返事に律儀に返し、空いた手で顎をさすり、何か考えるトンプソン。「良し」と呟きクルーガーへ視線を向ける。

 

「決めたぜクルーガーさん、なかなか面白そうだ、コイツが指揮官となるならアタシはコイツをボスと呼ぶぜ、良いだろ?」

 

行き成りの部下になります宣言である、流石の彼も此れには驚いた。とは言え、護衛を仰せつかるのだからそれなりの部署にいるはずなのだが…彼もクルーガーに(良いの?)的なニュアンスを含ませながら視線を送る。二人の視線を受け、クルーガーはため息を一つ、その割には余り困っている風ではないようだ。

 

「彼女は優秀なSMGだ」

 

(知ってます、無敵になるバリヤー持ちの高HP、回避は低いがボス相手に有効なタンクですしおすし)

 

「だがまぁその奔放な性格から女性指揮官と反りが合わないことが多くてな、それで上層陣の警護をする部署にやむなく配置しているわけだ。そうだな、君の下で働きたいと彼女が言うのなら此れも縁というやつだろう、君さえ良ければ君の人形として登録していい」

 

どうするね?と無言で聞いてくるが行き成りの高レア人形ゲットのチャンスを彼が逃すはずがない、と、いうかレアだのスキルだの彼は気にしない。大事なのはセクハライチャコラ出来るかだ!!そういう意味ではトンプソンの好感度は低いだろう、だが焦る必要はない、彼はそう思う。だから答えは決まっている。

 

「願ったり、ですね。僕の指揮官登録と同時にお願いします」

 

視線をトンプソンへ向け

 

「いきなり決まりましたが、今後とも宜しくお願いしますトンプソンさん」

 

「さん、はいらないよボス、呼び捨てでいい」

 

「分かりました、トンプソン」

 

彼女が差し出したてを握り、握手。トンプソンは満足げに笑い、一緒に入ってきた人形、95式に声を掛ける。

 

「と、言うことになったわけで警護職は廃業だな、元々アタシの性に合わなかったから丁度いいや。なんならお前も一緒にどうだ?95式」

 

それに対し95式は少し困った顔をして答える。

 

「いきなり二人も抜ける訳にはいかないでしょう?貴方が抜けるなら私も、というわけには行きません」

 

(ウム、残念。おっぱいとか攻撃バフが長くかかるおっぱいARも一緒にとはいかんか。おっぱい)

 

おっぱいがゲシュタルト、確かにご立派さまであることは認めるが。

 

「でも、そうですね…引き継ぎが上手く行った場合は私もお願いするかもしれませんね、妹ともども…」

 

その時は…と続ける

 

「よろしくおねがいしますね、未来の指揮官さん」

 

優しく微笑む彼女に「宜しくおねがいします」と頭を下げる(嫌われてはなかったのね~、良かった)とホッとしながら。何時かは分からないがARが2体、仲間になるのは心強い。

 

「では指揮官となってもらうことで話を進めていこう、幾つか条件があり、それを話しながら決めてもらおうと思っていたがなる覚悟だけは決まっていたとはな…その場合は私が直属の上司となるだろうがよろしく頼む」

 

ヘリアンが口を開き、事務的な話が始まった。まず戦力的な話でAR小隊はそのまま彼の下に就けるということ、此れは彼女らを生み出したペルシカも賛同、と言うか是非ともお願いしたいと言ってきたくらいらしい。(後でお礼に行かなきゃ)なんて彼は考えている。そして404小隊も限定的であるが指揮権を与えるという事になった、汚れ仕事をする際の上層部からの命令のほうが上だが、普段は彼の指揮下で運用して良いらしい。これは彼も驚いた、下手すれば他の人形達から記憶を消してまた何処かに行くと思っていたから。ただ、此れはそれこそ彼を薄汚い暗部から守るという意味合いもあるらしい。

 

後はトンプソンが来てくれたことは棚ボタだが人形の数が圧倒的に足りない、原作でも状況次第では4部隊運用することもあったくらいだ、支援部隊もマシマシで。この世界で支援部隊があるかどうかという疑問もあるし、そうなると自前で用意だ、単純に20だがローテーションや不測の事態を考えればそれ以上は欲しい。何やら大きい作戦もあるようだしそれまでに最低でも3部隊は同時運用できるようお願いした、最優先は全くいないHGとRF、そして少ないSMGだ。ARは指揮権を貰った部隊をバラしたりすれば何とかなるが、それでもある程度は希望しておく。可能ならMGやSGだが序盤から高望みするわけにも行くまい。それとなく聞いてみたが矢張り、原作に近いのかSGは現在IOPにて開発中で現存しないということ、仕方ないね。ただ、MGは一体だけならと回して貰えることになった、後は戦場で拾うしかあるまい。

 

そしてそれを使って彼がなすべきことだが、S09地区、つまりはプレイヤーのデビューする戦域だが此処を彼が単独戦力で占拠せよと上層部から言われたらしい、そんなに優秀ならそのくらい出来るよね?と。此れには彼以外は苦い顔をしていた、彼にしてみれば(ほーん、まぁいきなりぽっと出の怪しい子供を指揮官にするとか、しかも男を、そりゃぁ拒否されるわな。そう考えればクルーガーのオッサンもよく俺を指揮官にすると決定したわ、真似できないクソ度胸ね~、可能かな?ま、最初から戦力揃ってるし俺のスキルあるし、原作知識もあるし何とかなるっしょ)と、凄く温度差を感じることを考えていた、無論、承諾。

 

更に上層部は一つ、条件をつけていたようだが…あのクルーガーが更に苦虫を噛み潰した顔をしている、ヘリアンなぞ目がメッチャ怖い、キレッキレである。だが彼は即座に了承した、そうなることは絶対させないと言い切って。ただ

 

「彼女達には悪いですね、発動はさせる気ありませんが…」

 

とだけ呟いた。トンプソンが彼の肩を叩き、任せておけと笑う。それに頷く彼、それを見てクルーガーは唸り、ヘリアンは一言「すまない」とだけ。

 

その他、まぁ細かい衣食住の話やらが済み、此れにてお開きかと思いきや妙にソワソワしだすクルーガー、此れには彼も戸惑う。人形達も「この人が?」的な目で見てるし。ただ事情を知っているらしいヘリアンだけが「まぁ、そうなるな」的な顔で見ていたが。

 

「それで、だ…うむ、最後の条件が、その、だ」

 

彼にしてはえらく歯切れが悪い。上層部は色々と無茶を通して条件付きで認めさせたがもう一つの方、男性保護団体がある条件を出してきたらしい。政府機能が低下してから此方、保護団体も発言権をかなり失った、其処に富裕層が入り込み、クルーガーが言葉を濁したような部分につながるわけだが。さて、そんな団体だから少々、鼻薬でも利かせれば良かろうと思っていたが意外とある意味ではまともな条件を出してきたのだ。それは…

 

「結局君は国籍も分からず、両親もわからない孤児、という扱いになる」

 

「はい(更には中身は異世界産となっておりま~す、ハハッ、ワロス)」

 

「指揮官として活動する際に、何かしらの後ろ盾がなければ支障をきたすのではないか、と言われてな…」

 

「成る程、確かに(誰の子とも分からん奴が生意気な、とか言われるわけか。何処のラノベ貴族だよ)」

 

そういえば未だ自分ではやっていなかったが、何処かの夜戦のストーリーではジュピターに食料吹っ飛ばされ、残りを人形が守るが実はそれは富裕層の高級食材で、それを知った人形達が不満爆発して…なんて話があると聞いて「ラノベだそれ!!」と爆笑した記憶がある。いやはや、切羽詰まると人間は何処までも退化するのだなぁと。

 

「ならば、それなりに立場ある人間の、だな、ウム。養子に入れば良いということで、団体とは決着したのだが…」

 

其処まで言って、ちらりと彼を見るクルーガー。此処まで言われたら誰でも気づくだろう、つまりはそういうことだ。

 

「ではその親に、その、クルーガーさんが?」

 

「う、うむ。此れでも会社社長だ、元の職業柄、各方面にも顔が利くのでな、私なら良かろうと啖呵を切って来たのだが…」

 

どうかな?と聞いてくるクルーガー、先程の指揮官への誘い云々よりも比べるまでもなく緊張している、その事に彼は何か可笑しくなって思わず笑う所だった。その提案自体は悪くないだろう、確かに後ろ盾というやつは大事だ、グリフィンと一蓮托生となる訳だが今更だ、人形達と離れる気なぞ、毛頭ない。だがじゃあどう返答すべきか…まぁ深く考える必要もあるまい、ハイと答えるのは決まっているのだから此処は一つ…

 

「一つ、質問があるのですが」

 

「な、何かな」

 

なんだか済まなく感じるほどに緊張しているクルーガー、止めようかなともチラッと思ったが残念ながら彼に搭載されたブレーキは不良品、「問題ない、行け」と心の中の悪の帝王様も仰っておられるので行くことにする。

 

「はい、その場合はパパとお呼びすれば良いのでしょうか?」

 

その時のクルーガーの表情を彼は一生、忘れることはないだろう、どんな顔をしていたかはこの場にいた者達だけの秘密だ。

 

「ダメですか?ではお義父さんと…様をつけたほうが良いでしょうか?」

 

何時もの首傾げポーズで追撃、此処でトンプソンが耐えられなくなり吹き出し、爆笑しだす。ヘリアンも横を向いて口を抑えているがまぁ、何をしているかはお察しだろう。後ろの95式も同様だ。此処でやっとクルーガーが我を取り戻す、だいぶ決まりが悪そうだが。ゴホン、と咳払い一つ。

 

「そ、そうか、うむ、承諾してくれて何よりだ。呼び方はまぁ…好きにしなさい」

 

そう言って不器用に笑う。それに彼は少し、口角を上げて答えた。

 

「はい、では宜しくおねがいします、義父さん」




クルーガー「I'm your father...」

主人公「Oh,yes!!」

はい主人公、オッサンの息子になる。

そして回収するか分からん不穏フラグを立てておくスタイル、主人公の精神状態とかも。

そして今回もまたキャラが独り歩きしました、ええ、トンプソンの姐御です。初期案なら普通に他の追加人形と一緒に来るはずでしたが気づけば主人公に歩み寄ってた、姐御パネェ。トンプソン推しの紳士の皆様、おめでとう御座います。

今回も説明多め、すいませんね、貞操観念や人口比率をネタに絡めてるとこの辺りは避けて通れません、「優秀?じゃあ指揮官ね」とはならない世界。クルーガーも必死で努力して軍での地位を手に入れました。原作では知りませんがこの世界で辞めた理由は「男のくせに」とやっかみ買ったせいです。

クルーガーさんの声優は文中の通りでイメージしてます、大塚さんとの意見を某所で聞きましたが私は大塚さんはもうちっと若め、30~40代のイメージです。それ以上だと大総統の声の方で、ま、この辺りは好みですか。ヘリアンさんはインフィニット・ストラトスの千冬姉と同じかな?残念美人なところがソック…なんでもないです。

あ、そうそう。大したことじゃないんですが…次回、お風呂回です。


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「やっぱ貞操観念逆転してると色々違うわ」

この話、前回投稿から「どの部分の話入れるかな」「風呂、誰を被害sy…誰に入れてもらうかな」と考えて

投稿日の夕方頃から書き始めたら出来ました、意味が分からない。

後、少々変更として主人公の原作知識に「低体温症」も含めることにします、書き始めた頃は低体温症始まっていなかったから入れてなかったのです。

それに伴い最初の話を少し変更しています、また、未だ此処がおかしくない?と思う所がありましたら一報ください。

後、指揮官諸氏に置かれましてはバレンタインにUMP45から受け取りましたか?あの物資の数値意味があるんですね、知った瞬間に昇天するかと思いました。矢張りデレ姉は間違ってなかったんやなって。


「よろしかったのですか?」

 

全ての話し合いが終わり、正式に彼が指揮官となった後。取り敢えず今日は隣で待っている2部隊と休むように、とトンプソンと共に退室させ、少し経った後にヘリアンがそうクルーガーに尋ねる。別に彼を疑っているわけではない、確かに出自に疑問点はあるが目的は今の自分達に、ひいては人類に害になる存在ではあるとは考えにくい。M4らが送ってきたデータも突貫ではあるが調べた結果は矛盾点もなく、施設自体を調査する必要もあるだろうが何らかの罠、である可能性は限りなく低いと解析班は言っている。そう、問題は彼の方ではなく…

 

「言わんとしていることは分かる、だが、現状のままでは不味いのだ。何か巻き返すモノが必要だったのだよ、このまま鉄血を相手に戦っていくためにはな…」

 

「上層部はそれほどに?」

 

「ああ、早々に鉄血との境界線を押し上げ、人類の生活圏を広めるべきだと主張を崩さない、粘り強く慎重になるべきだと説明したが「臆病風に吹かれたか、此れだから男は…」とさ、実際は富裕層から懐に色々と入れて貰ったんだろうがな、人類云々は二の次さ」

 

「そんな!以前の物量で押してくるだけの鉄血とは違うのですよ?ハイエンドモデルの下で戦術的な動きを取ることが確認されています!それもより正確に緻密になってきている。今、焦れば必ずしっぺ返しが来るはずなのに…それが分からないとは!」

 

悔しげに怒鳴るヘリアンにクルーガーは頭を振る。

 

「正規軍が出張ってこない、その程度でしか無いと思っているのだろう。軍も余裕がないだけなのだが…そのくらいは分かっていると思った私の甘さだ、いや、分かってくれている幹部もいないわけではない、寧ろ数で言えば多いだろう。が如何せん、その少数の者の声が大きくなり過ぎたな、バックに付いているものを考えればまぁ、分からなくもないのだが」

 

「『排斥派』ですか…」

 

ポツリと漏らしたつぶやきに頷く。

 

「思想チェックは厳密にした筈なんだがな…今の地位について染まったのか、はたまたチェック担当の者が…気付いた時は後の祭りだ。おまけに物資担当でそれなりにコネとルートも持っている、容易に切り捨てる訳にはいかない」

 

それも相手の思惑通りなのだろうとクルーガーは続ける。『排斥派』、「世の全ては女性によって動かされるべき」との信条の下、男性の社会進出を頑なに妨害する集団だ。極端な者では「精液提供のみ行う装置として扱うべき」とまで主張している。そんな心情を持った者がグリフィンの上層部で席を占めていたのに気付いたのは数ヶ月前だ。上記の理由でクビにすることも出来ない、大いに混乱するのは目に見えているからだ。今は何とかクルーガーと現状を正しく判断できる幹部が多数派なので何とか抑えていられるがジワジワとその差が縮まりつつある。

 

「そんな現状に降って湧いたように現れた少年だ、正直、別の意思の介在を感じたよ、本当に偶然なのか、とな?だが今はそんな事を言っていられない。S03区で起きた事件、覚えているか?」

 

「はい、一部の人形が指揮官の横暴に耐えかね反乱を起こし、指揮官は殺害され、反乱を起こした人形も鎮圧部隊によって破壊されたと…何か裏があるのですか?」

 

「あそこの指揮官が人形を手荒く使っていたのは事実だ、だが反乱を起こすほどではない。解析班の調査により鉄血側のウィルスに感染した結果、と判明した。反乱云々はカバーストーリーだよ」

 

「なっ!?」

 

「恐ろしいことに鎮圧部隊の人形にもその兆候が見られた…一定期間、範囲内にいた場合其処から連鎖的に感染し、コントロールを鉄血側に奪う。初期段階でも此方の情報が筒抜けになるようだ、そのせいであの地区の境界線が少し下がった訳だが」

 

残念ながらその人形も経過観察後、処分せざるをえなかったこと、『傘』とそのウィルスのことを奴らは呼んでいるらしいこと。「機密だぞ?」とクルーガーはヘリアンに呟く。

 

「力押しだけでなく戦術面、おまけに絡め手まで使い始めた…IOP,16labが全力で解析しているようだがワクチンはおろか、感染したウィルスの発見すら困難と言っている。今まで以上に慎重にならねばならん時期だ。全面的侵攻などもっての外だ、だからこそ…」

 

「彼、ラン君を一番の激戦区に当て前線を押し上げ富裕層にアピール、男も戦えることを示し『排斥派』の発言力を削ぐ、ですか…」

 

「不満か?」

 

「いえ、しかし…」

 

「自分を父と呼べと言ったその傍から、義理とは言え息子を戦地へ送る…碌な死に様ではなかろうな…」

 

そう寂しげに笑うクルーガーに掛ける言葉が見つからないヘリアン。

 

「許しは請わん、恨んでくれて構わん、が…その心すら今は持てない息子か…」

 

辛いな…屈強な男はそう呟いた。

 

・・・

・・

 

(ちょっと罪悪感が湧いてきて辛い、良いのよパパ?好きにやらせてもらうから)

 

そんなクルーガーらの会話もバッチリ聞いている彼、そりゃ企業のトップが情だけで動くわけ無いやんと盗聴してみたら案の定、とはいえこの程度なら正常な企業活動の範疇だろう、特に彼としては含むものはない。だが『排斥派』とは恐れ入った、滅びるか否かの崖っぷちにおいて未だこんなイデオロギー掲げているとは…いや、此れこそが人間というやつか。

 

(いやはや、貞操観念逆転やらでどうなるか~なんてネット小説も幾つか読んだがこの世界はことさら酷いわ、現実は小説より奇なり?なんか違うか…ん?)

 

そう思いながら廊下を歩いていくと小隊らが待っているはずの部屋の前に職員が一人立っていた。此方に気づき、笑顔で近づいてくる。

 

「こんばんは、ラン君」

 

そう挨拶し、笑みを深める女性、取り敢えず彼は首を傾げつつ返事を。

 

「こんばんは、お姉さんはどなたですか?(あ~、アンタか)」

 

「ええ、話が長引くからAR小隊と404小隊には臨時宿舎に行ってもらったの。だから私が案内をさせて貰おうと思って待ってたのよ」

 

あくまで笑顔、何処までも、だが気付いていないのか彼を見る目は血走ってるわ鼻息も荒くなってるわ、で怪しいなんてものじゃない。大体、ある事に気づいてないほど彼にのみ注意を払っている時点でお察しである。

 

「そうか、だがそれには及ばないぜ。場所ならアタシも知ってるからこのまま連れて行くとしよう」

 

「と、トンプソン!?貴女いたの!?」

 

いたも何も、彼の右斜め後ろにずっと控えていたのだが…それすら気付かないほど興奮していたらしい、彼は(俺ってなんて罪な男!)等と巫山戯たことを考えていたが。トンプソンがスッとそのまま彼と職員の間に立つ。それである程度の冷静さを取り戻したのか職員はトンプソンに居丈高に出る。

 

「そ、そう?でも私が案内するように言われているの、貴女は戻っていなさいトンプソン、()()()

 

そう言えば全て解決するとばかりに『命令』をことさらに強調する職員、それに対しトンプソンはクイッと肩をすくめ彼を振り返る

 

「とのことだが?どうするね?『()()』」

 

「ボ!?」

 

「(ボってなんやねん、どうなっても良いありったけを出すの?This way...なん?)そうですね、こんな遅くまで待って頂いた上に其処まで案内してもらうのも悪いと思います。宿舎のこと、教えて頂き有難うございました、其処へはトンプソンと向かいます」

 

それだけ告げて頭を下げ、固まっている職員の横をトンプソンと共にすり抜ける。そのまま念のために後方へ注意を払っておくと物凄い目付きで此方を睨んだ後、舌打ちして足音荒く立ち去っていった。その足音が聞こえなくなった頃にトンプソンが誰に聞かせるでもなく口を開く。

 

「基本、人形は命令遵守。例外がなければ『命令』と言われれば人間に逆らえないのさ、だが…」

 

「指揮官のもとに正式に所属することになった人形は違う、と。ああ成る程、だからトンプソンが僕を『ボス』と呼んだときに驚いていたんですね、あの人は」

 

「流石だボス、察しが良いな」

 

晴れやかに笑うトンプソンにうなずき返しながら廊下を進む。「しかし」、とふと思ったように口を開く彼女。

 

「あんな怪しい職員の言い分なぞよく丸呑みしたな、AR小隊と404小隊は。それとも書類ででもその旨伝えられたか?」

 

噂を聞く限りではそんなミスをするとは思えないんだがなぁ…と呟くが彼は首を振り、答える。

 

「いえ、気付いていて敢えて油断させたんだと思いますよ」

 

ほら、と指差す先、左に曲がる廊下の角、其処から二体の人影が出てくる。彼に何かあった際、すぐに反応できる距離にいたのはM16とUMP45だ。(へぇ?君ら低体温症では雪山の空気よりも関係ヒェッヒェッな感じだったけど、仲良い…訳ないよな、なんか摺り合せでもしてたんだろうねぇ)等と前世で最後に参加したイベ中のストーリー回想を脳内放映中の彼に近づく二人、近いようで微妙な距離感がある。

 

「やぁ、ラン。話は無事終わったか?あの職員から「臨時宿舎へ移動せよ」なんて「命令」付きで言われたがね、何、ちょっとUMP45と話があったから此処に残って話してたのさ、「すぐに向かえ」とは言われなかったからな」

 

飄々と話しかけるM16、成る程、「やります(今すぐやるとは言ってない)」的なよくあるロジックで命令から逃れたのだろう、あの職員も詰めが甘い。察しはついているとは思うが、彼が到着した際に何やら通信してるのに気付いた職員である。適当な所まで連れて行ってそのまま拉致、そして…という計画だったのだろうが余りに杜撰すぎる。(ま、もうお仕舞いだろけどね、彼女)そう小さく呟き、彼はその職員が去っていった廊下の影に視線をチラリと移し、すぐに外す。もう彼の中では既に彼女は終わったモノだからだ。

 

「で、そっちはトンプソンか。まぁ噂は色々と…さっきの話を聞く感じでは、そういう事でいいのか?」

 

「お察しの通りだぜ、ま、ボスの男気に惚れたってやつさ」

 

朗らかに笑いながら答えるトンプソンに二人の頬がピクリと反応する。

 

「(いや、姐御の言ってるのは恋愛とかの好きじゃないからね?君ら反応しすぎよぉ…)自己紹介は後にして、兎に角宿舎へ行きましょう。皆待っているでしょうし」

 

言うや彼は彼女らの反応を見ず歩き出す、建物の地図なら既に脳内インスト済み。その後ろにまぁ後でな、と言った空気を漂わせた三人が続いた。

 

・・・

・・

 

「今戻りました、ただいま?」

 

取り敢えず疑問系な彼に残りの小隊員がそれぞれ返事を返す。2小隊には宿舎が別々に与えられていたが彼が戻るまでは、と一つの宿舎内で待っていたらしい。とはいえ限界だったのだろう、HK416が「それじゃあ」とだけ言って立ち去ろうとする。彼女はM16に対する憎悪だけが目立っているが他のAR小隊にも少なからず似た感情を持っているらしい、まぁよく保った方ではなかろうか?そんな彼女に彼は待ったをかける、少しだけ話を聞いていって欲しいと。承服できかねるのか、苛立ちを隠さず答える。

 

「なんの権利があってそういう事を言うのかしら?」

 

「(こりゃぁ、HK416とAR小隊員の同時運用は今の所は無理だな、ゲームとはやっぱちゃうねぇ)ありますよ、「指揮官」としてです。クルーガー父さんが既に登録しているはずですので確認してみてください」

 

限定的ではありますけどね、と添える。そう言われ、はっとした顔で虚空を睨むHK416、通信で確認しているのだろう。すぐに終わったのか「そぅ」と小さく漏らして部屋の隅においてあるダンボールへ座る、AR小隊とは部屋の中心を挟んで真逆にだ、まぁすぐにも飛び出すことはないし壁の方に向けている視線、そして顔色にも不満は取れないので納得はしてくれたのだろう。

 

「取り敢えず端的に伝えます…」

 

そう言い、彼は指揮官になること、そしてその条件を伝えた、一部は隠してだが。同時に、その話し合いの中で指揮下にはいったトンプソンの説明も。それに対する反応は大まかに喜びを持って受け入れられた、AR小隊はM16を除き笑顔を浮かべていたし、404小隊もUMP45以外、同じくだ、HK416も薄っすらとだが口元に笑みを浮かべているしG11も「決まった寝床が出来る!」と寝る気満々だ。UMP9も何時もの笑みよりも少し、深い笑みを浮かべてニコニコだ。だが此処でそのUMP9とM4がそれぞれの姉に疑問を持つ、二人共、彼に対して悪感情など持っていないのだから多少なりとも喜びを表してしかるべきだが、何故か固まっている。

 

「あの、姉さん?どうしたんですか?」「45ねぇ~?どうしたの?」

 

妹にそれぞれ声をかけられ再起動、なんか凄い顔をして彼に詰め寄る。

 

「な、なぁラン?」「い、今…」

 

「「クルーガー父さん、って言った!?」」

 

「(他は気付かなかったがいい反応だ!!)はい、言いましたが何か?」

 

お決まりのポーズを取ろうとし、即座に両耳を手で塞ぐ。直後、脳内ログを漁ったらしい他の彼女らの表情がみるみる変わり

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!?!?!?」

 

その驚愕の叫び(目を最大まで見開いたG11に知ってたトンプソン除く)が辺り一帯に響き渡った。

 

そして数分後。

 

「うるさいよ…」「あの、驚くのは仕方ないとはいえやはり周りの迷惑を考えるべきだと思います」

 

「「「「「「「ごめんなさい」」」」」」」

 

G11、トンプソン以外の全員が正座で頭を下げている、G11のセリフはアレだ、スキル発動時のやつそのまま、視線もきっとストームアイ発動時のそれっぽくてゾクゾクするのぅ!!と彼は心の中で思っていた。謝ったのだから、とまたベッドやダンボールに座ってもらい、養子縁組を結んだ理由を説明しておく。取り敢えずはこんなものだろうか。

 

「細かい計画などは明日以降に話したいと思います、激戦区で鉄血を制し、支配圏を広げることがいきなり義務付けられましたが大したことではありません。ある程度の数、そして経験豊富な皆さんの力があれば成し遂げられます。だから…」

 

宜しくおねがいします、と頭を下げる。それに「はい!」とか「頑張ろ~」と言った声が返ってくる。

 

「ハハ、やる気に満ちているがボス、気持ちは分からんでもないが上に立つ者になったらそう簡単に頭を下げちゃあいけないぜ、特に人前ではな」

 

「彼女の言うとおりよ、安く見られてしまうわ。何があっても超然としておきなさい」

 

トンプソンとUMP45の指摘を受け、そういう面もあるなと彼は頷く。

 

「(偉い人の仕事なんて並んで頭下げて禿頭フラッシュの前に晒すものだと思ってたけど、違うん?)分かりました、多少偉そうにしておけば良いのでしょうか。」

 

等と馬鹿なことをワザと言いつつ、腰に手を当ててふんぞり返って笑いを誘う。良く分からない風を装って首を傾げておいたが色々と張り詰めていた空気は吹き飛んだようだ、二隊のイザコザは今の場だけは薄まった様子。

 

そんな暖かい空気の中

 

「さて、夜も更けてきたな。ボス、肉体的にも強いとはいえ休息は大事だ、一応軽食も用意してあるし、食べて、それから…」

 

新参の彼女が善意から爆弾を落とす。

 

「風呂入って寝ちまいな、施設からこっち自分でも走り回ったろうし背負われたとはいえ埃や硝煙に汚れてるだろう?アタシはあんま好きじゃないが…ボスは別だろ?その辺は綺麗にしないとな」

 

ガタタタッ!!!

 

一斉に人形達が顔を上げ、彼に視線を向ける(一名除く)。その様に彼は(お風呂イベントだ、やったぜ)などと思い、トンプソンはアレ?アタシなんかやっちまった?と首を傾げた。

 

・・・

・・

 

「よ、良し、じゃあまずは服を脱いでね~」

 

「はい、分かりました」

 

スルッ…パサッ…

 

(ご、ゴクリ…やばいよ45姉、耐えられないかもしれない!!)

 

(生唾飲み込む音生々しいっすよ、9さんや)

 

現在、宿舎備え付けのバスルーム脱衣所にいるのは彼とUMP9の二人のみ、服を脱ぐように言われた彼はワザとゆっくり、かつ衣擦れの音が大きく響くように脱ぐ、その効果はバッチリだったようだ。う~ん、この!

 

何故、こうなったのか。時間は少し巻き戻る。若干名、興味を示さない者もいたが殆どの人形が彼と入浴し、背中を流す!というイベントをこなさんと牽制し合う、何せ彼がいた施設ではシャワーしかなく、しかも入浴と言うよりは洗浄というレベルだったらしく(壁のや天井の噴出口から消毒液が吹き出すタイプ)、普通の入浴が出来そうにないと分かっているからだ。だが確認したところ、臨時宿舎ということもあるのか最低限で、一応湯船もあるが2名がギリギリという広さのバスルームと判明。此処で彼と裸の付き合いという興奮から少し覚めた電脳で考える彼女ら。そう、

 

彼 と 二 人 っ き り 、 耐 え ら れ る ?

 

この時点でM4、M16、AR-15そしてUMP45の4名が若干名鼻を押さえつつ棄権、未だ覚悟が足りない。残ったAR小隊のSOPMODが勢いよく手を挙げるが…はた、とその自身の手を見る。銃把を握り、時には鉄血のクズから抜き手で目玉やら何やらを引っこ抜くその手は金属で覆われ鋭い、そんな手で例えタオル越しでも彼の背を傷つけてしまえば?自分には無理だと気付いた途端、SOPMODの目から大粒の涙が溢れ出し、ガン泣きである。慌てて姉総出で慰め+彼のお返しとばかりのナデナデでしゃくり上げる程度にまで回復した。因みに余りの泣きっぷりにあのHK416が「ま、まぁ次があるじゃないの、泣き止みなさいな」と不器用ながらも慰めたのは秘密。

 

「今度ペルシカに腕丸ごとは難しくても、手先だけのアタッチメントを作ってもらいましょう、ね?」

 

そういうM4の膝枕でグスグス、と泣き続けて実質的には棄権、AR小隊全滅である。では残りの404小隊に移ったがG11は「良いよ?洗ってくれる?」とほざいてHK416からどつかれ却下、そのHK416は「他にいなければ入ってあげても良いけど」と消極的ながらもOKだった、と言っても未だ完全に心を許したわけではなく、ちらっとUMP9の方を見、それにUMP9が頷く。実質、消去法であったが彼は満足だった、と言うか誰とでも混浴できれば素敵やん?だったし。でかくなければ胸じゃないだの、チッパイこそ至高だの、そのような低俗な醜い争いと彼は無縁だ、胸は胸であるだけで尊いのだ。あるがままであれば良い、そう、それで良いのだ。良いこと言っているが胸の話である。

 

そして脱衣所に戻る。UMP9としても子供と接した経験はある、内容は置いといてだ。だからなんとかなると思ったのだが…此方に素直で隔意もない美少年は初めてだった、感情は欠け落ちてはいるがそれが逆に問題なのだ。なぜなら

 

「脱ぎました9さん」

 

「そ、そう?じゃあ入っ…タオルを巻いてくれないかな!?マナーだからね!?(羞恥心がゼロだよぉ!!)」

 

思いっきり全裸で何も隠すことなく立つ彼、右手で左手の肘を押さえるポーズを取って、微妙に艶めかしさをアピール。此れにはUMP9も上ずった声を上げながらバスタオルくらいのタオルを渡してくる、どうやら胸の位置から下半身まで覆えという事。そしてそういうUMP9自身はタオルは下半身のみで上は覆うものは何もない、どうやら風呂では男女の隠し方が逆転しているようだ、つまりはUMP9の中々に豊満な胸が、そのピンクの突起が丸出しであり、それを見た彼は無表情な仮面の下、知る限りの言語で有難うを叫んでいた、誰に対してかはよく分からないが兎に角感謝、感謝しか無いとばかりに。

 

そんな姿で顔を真っ赤にしながらタオルを差し出すUMP9、風呂にはいるので何時もツインテールにしている髪はポニーテール、いや上の方で結んでいるからアップテールか?詳しくないからよく分からないがそんな普段と違う姿に、彼は(いぃねボタンは何処だい!?)などと脳内で呟いていた。それは置いといて、取り敢えず素直に巻くふりをする彼、無論、普通に巻くわけないが。

 

「(貞操観念逆になると女性が男性みたいになるか、水着はどうかな?流石に邪魔だから前世の女性用水着になるか?夏のスキンが楽しみですね!!逆に男が胸を隠すということは…止めよう、誰も得しないわ)すいません、よく分からなくて…(巻くも上手く結べないふりしてタオルストーン)」

 

「うぅ、む、結んであげるからじっとしててね?」

 

「はい」

 

「(ち、近い!どうしても胸が近くて見えてぇ!!)こ、此れでいいかな?じゃあ入ろうか…」

 

手を引き、浴室へ。外に通じる扉の方からガタガタ音がしてたが気にしないことにする。既にUMP9の体力は結構削れていた、具体的にはダミーが2体ほど倒れるくらい。その間も彼は存分に自身の能力を駆使しUMP9の姿を●REC、無論、画質は8Kだ。そんな事をされているとは知らず、まずは汚れを落とそうとシャワーの前に座らせ、目を瞑らせてからお湯をかけ、濡らしていく。完全に濡れたところで。

 

「はい、ちょっと目を瞑っててね~。後、洗い方も覚えてね」

 

シャンプーを泡立て、ゴシゴシと洗っていく。この時は指先を立てず、指の腹で頭皮をマッサージするように。流石に前が見えないから少し余裕を取り戻すUMP9、続けてリンス、髪は男の命というやつか。頭を綺麗にしたところでタオルにボディーソープを染み込ませ手泡立て、背中を洗っていく。そっと、ゆで卵の表面のようなツルツルな彼の背中、そっと傷つけないように慎重に洗っていく。

 

(やっぱ男の子の背中、やわっこいけど広いな~、抱きついたら気持ちい…ってダメダメ!)

 

頭を洗っている時と違い、どうしても背中やその他の部分に目が行ってしまい、妄想が電脳内で渦巻く。その関係の処理を終わらせようとするもその端から次の妄想が浮かんでしまい、追いつかない状態に。擦る度にハァハァと息が荒くなり、気がつくとだらしなく口を開け、舌を出して喘いでいる自分に気づいた。

 

(あ…)

 

擦りながら、その口が彼の背に近づいていき…

 

(!?)

 

流石に倫理コードからの警告が入る、寧ろ入るのが遅いくらいだが。慌てて彼の背から離れる、が、急に動いたので彼女の座っていた椅子がガタン、と大きい音を立ててずれた。それを聞いて振り返り、不思議そうに彼がUMP9を見る。当然、後ろを向くということは体をひねるという事であり、そうなると彼の胸のポッチが薄っすらとUMP9の視界に入り…

 

「(も、もう限界ぃ!!)あ、アハハッはごめん!久々に誰かの背中流したから加減分からずに滑っちゃった!!あとは自分でやれるよね?その要領で体を擦ってね?あんまり強く擦ったらダメだよ?」

 

ワンブレスで苦しい言い訳を吐きつつ、タオルを彼に渡し、返事を聞く前に隣のシャワーの前に移動しお湯ではなく水を頭からかぶる。だがどれだけかけても火照った体は熱を発し、真っ赤になった顔は一向に冷めてくれそうにない。

 

(お、可笑しいなぁ、45姉もそうだったけど結構私達、チョロいのかな?でも、あの時…)

 

前線基地で彼とUMP45が話しているのをそっと見ていたが、此れ以上話すことはないとUMP45が話を切り上げ、此方に歩いてこようとしていた時。彼は首を傾げていた、何時もの分からなかったときに取るポーズ、でも微かに、微かにだけど眉をひそめていた。おそらく、いやきっと、彼女も感じていたUMP45の心内を察してくれたんだと思う。その後も何かと話しかけ、ああなってしまったわけだが。あれには流石のUMP9も驚いたものだ、自分にも妹と色々と構ってくれるがまさか人間の、しかも男にああまで心を開くとは。

 

自身の感情には頓着しないが、代わりに周りの感情にはおかしな所で機敏に反応する。そんな彼にUMP45は、姉は救われようとしているのかもしれない。UMP45の奥底にあるのは人間への不信感だ、それに加えて作戦時に触れ合った男子から浴びせられた心無い言葉、命令。それらが彼女を蝕んでいった。たとえ極秘作戦という事で記憶を消されても、こびり付いた不快感は電脳の隅に残り、また彼女を追い込んでいく。「大丈夫よ」心配そうな顔をするUMP9に彼女はそう微笑んだ、全ては居場所、『404小隊』を守るため。でもその顔はどんどん強張って行って…それをどうにも出来ない自分が情けなかった、負担を肩代わりできない自分が。

 

そんな状態にあった姉妹を彼は今、救ってくれようとしているのだろう、彼に自覚もなく、そうしようとしているわけではないだろうがそれでも確かに。ならば…

 

(惹かれても仕方ない、かな?はぁ~我ながらチョロいな~本当、仕方ない、ウン。彼には指揮官として責任とってもらわないとね♪)

 

なんだか楽しくなってきた、体を支配していた熱もいつの間にか治まり、UMP9は水をお湯に戻し、自分もまた戦場を駆けて着いた汚れを落とす作業に勤しむのだった。

 

なお、タオルを受け取り大人しく他の部分を洗っている彼は…

 

(ふむ…倫理コード解除は4割方成功、かな?しかしフリーズさせようとしたら未だ生きている場所が増殖してフリーズさせたコードの肩代わりをするとかなんだコレ、無限増殖バグかな?一気に攻め落とさんとダメなのかなぁ…ま、ボチボチやりますかぁ)

 

何 や っ て ん だ テ メ ェ 

 

・・・

・・

 

そんな後一歩で18禁指定になる所だったイベントを越え、二人は湯船に並んでのんびり浸かっていた。タオルを湯船につけるのはマナー違反、というのは未だ息をしていたらしく二人は何も身に着けていない。しかし、お湯が乳白色なので見えないから一人は慚愧の念に耐えないとか心中ほざいてるし、もう一人はホッとしている。因みに乳白色な理由はこのお湯が循環式で一度浸かったお湯を濾して再度使用しているかららしい、臭いやらを付けて誤魔化してるとも言うが。まぁ汚染も広がっているこの世界でかけ流しなんてあり得ないから仕方ないのだろう。

 

「…ねぇ、指揮官、って呼んでも良いよね」

 

「ええ、書類上はもうそうなっていますから(寧ろ呼んで、しきか~~ん、って!!)」

 

「うん、じゃあ…有難う、指揮官」

 

(はいぃ?)

 

何のことか分からず、首をかしげる彼にUMP9はフッと笑う。

 

「45姉のこと、あの場で声をかけてくれたこと」

 

「(お姉ちゃん呼びしたこと?最初はやっちまったと肝が冷えたわ、訴訟)あぁ、僕もビックリ、かな?しました」

 

「其処じゃないよ、まぁ最終的にはそこに行き着くけどその前、背を向けた45姉に声をかけ続けてくれたこと」

 

「(あぁ~、なんかね、気のせいかちょっとね)寂しい、悲しい?良くは分かりませんでしたが、そんな、気がして…可笑しいですよね、自分の感情はよく分らないくせにそんな事言うのは」

 

「そんなことないよ、指揮官」

 

横にいる彼を見据え、そう言い切るUMP9。

 

「指揮官、人の感情が分かるってことは自分も感情があるってことだよ?さもなければ、人がどう思ってるかなんて分からない」

 

「(まあ実際ね、そう装ってるだけだしねぇ)そう、なんでしょうか?」

 

「うん、きっとそうだよ。指揮官はそれを表に出すのが不器用なだけ、だから」

 

恥ずかしいから見えないところで、そっと湯船の中、彼の左手に自分の右手を重ねる。

 

「一緒に、皆と取り戻していこう?だって私達もう」

 

そう言って満面の笑みを浮かべる。

 

「家族じゃない!!」

 

「(はい!お前も家族だ頂きましたー!!ファミパン不可避!!ところでその家族にはAR小隊は…聞かないほうが良いですね、ええ)家族…なれるんでしょうか?」

 

「きっとね!だから今後とも宜しく、しきか~ん♪」

 

普段の調子を取り戻してきたのか、呼ぶ声も弾んでいる。そんなUMP9を見て彼は

 

(ああ^~やっぱ9はいつでも何処でも戦場でも拷問場所でも明るくないとな~)

 

等と思いつつ、湯船の中で重ねられた手、手の平を上にして驚く9の手と指を絡ませる。少し、恥ずかしそうなふりをして笑いながら。一瞬後、熱暴走を起こしたUMP9が慌てて湯船から飛び出し、水を被る。その様子を見ながら彼は思った。

 

(生えてないんすね)

 

…お前、最低だよ…

 

 

-同時刻、???-

 

 

「ああもう!!クソが!!あそこであのガサツな人形が邪魔さえしなけりゃ上手く行ってたのによぉ!!クソッ!!人形の分際で人間様の邪魔してんじゃねえよ!!」

 

「上手く行けば借金も棒引きの上に、ホストの彼を永久指名できるって言われてたのに…クソがぁ!!」

 

「ま、まぁ良いわ。あのガキがS09地区に移るまでには未だ時間がある、またチャンスを狙っ「愚かしいですね」カハッ!?」

 

「本当に、そんな光明が貴女に訪れると思っているとは…つくづく、度し難い」

 

「あ…が…」

 

「それではさようなら、と…此方α1、掃除完了、ゴミ捨て頼む、オーバー」

 

「しかし彼…潜んでいた私に気付いてましたね?大したものと褒めるべきか、自分の隠形に気づかれて悲しむべきか…迷いますね」

 

「どちらにしても楽しみです、期待していますよ?」

 

「指揮官…」




前回の不穏フラグを一瞬でへし折りつつ回収するスタイル、いえね、誘拐されかけて~って話を書こうとしてたんだけど、多分、そういう話はあまり期待してない気がしてね、紳士諸君が。即座に風呂へ行きました。

ただ、その風呂も貞操観念逆だといろいろ違いますね~、通常ならUMP9のほうが「しきか~ん?」とか言いつつ体くっつけて来たりするはずですが、この世界観だと主人公がそれする側なんですよね~。

水着やら、風呂で体を隠す手段も逆転すればそれも逆になるのか?通常の服だってスカートを男子が着用に?この辺りは難しいですよね。

『排斥派』とか出てきてます、人間の敵はやはり人間なんやなって。この辺りの世界観はAA使って物語を作る(やる夫とか)そういうのなんて言うんでしょうね?まぁそれで男女比率が極端に偏ったらどうなるか、という世界観を書いている作品を見て、それの影響を受けてます。あっちはもっと女性陣が酷いですけどね…インフィニット・ストラトスが可愛く見えるくらい…

ところで…主人公とかその辺りが影薄い、薄くない?次回はペルシカさんの所に行くからそこで輝けるといいね…

後、『傘」に関する云々は完全な妄想です、まぁこんな感じで判明したんじゃないかな~と。後々判明した場合は差し替えるかも?


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「この息苦しい世界でどう生きていくか考えよう」

低体温症、終わりましたね。指揮官諸氏におかれましてはクリアや目当ての家具、人形はゲットできましたか?私は時間とモチベの関係からE3-3でストップでした、一応、57の二人目をお迎えしたり小隊飾りも揃えられたので良しとします。

そして新人形追加+製造率up始まりました。HGだけはお迎えできたんですが後は爆死でしたね、チケットも吹っ飛びました。皆さんも製造は計画的に!


で今回はペルシカに会いに行くと言ってましたがすいません、其処まで行きませんでした。書いてる内にどんどん増えて字数が今回1万超えちゃいましたよ、私の悪い癖ですね、ハイ。

代わりに少しタガの外れてるM4をお楽しみください。


-彼とグリフィントップとの会談中、近場の廊下の影-

 

「で、何を企んでいる」

 

「ご挨拶ねぇ、仕方ないと言えば仕方ないのだろうけど?」

 

「分かっているなら誤魔化すな、返答次第では…」

 

低体温症イベ中でも仲の良い所を見せていた二人は、やはり此処でも仲良し()だった。M16がUMP45に前線基地でのことを問いただしている最中。

 

「大体、お姉ちゃんと呼ばれて抱きつくなんて、お前のキャラじゃな…」

 

探り合いでは埒が明かない、とストレートに切り込むM16、それに対するUMP45の答えは。

 

「…」

 

無言で頬を赤らめフィとそっぽを向く事だった、これにはM16も絶句する。

 

「…え?…まさか、本気、で?」

 

「…悪い?私にだって…まぁ戸惑っているところも未だあるけど、そういう感情はあるわよ」

 

それに、とジト目でM16を見返す。

 

「貴女も人のこと言える?」

 

「なに?…」

 

「貴女が人間相手にあんな無防備な姿を晒すなんて…しかもあんな可愛い寝顔でね♪」

 

「な、なななななな」

 

半ば忘れていた病院での一夜のことをいきなり突きつけらる、しかも最も最悪な相手にというオマケ付きで。此方も顔を赤く染め吃るM16。

 

「なんで知っている、かしら?私の得意分野、知らないわけじゃないでしょうに。SOPMODには感謝しておかないとね」

 

「ぐぐぐぐ…」

 

若干ドヤ顔になるUMP45、唸るM16、何とも情けない竜虎相打つの図である。数秒そうやって睨み合い、フッとため息をつき同時に目をそらす。

 

「止めよう、このネタは互いにダメージを負うばかりだ」

 

「そうね、其処には賛成だわ」

 

「で?」

 

それは置いておいても、とM16は追求は止めない。彼女が知っているUMP45の過去、作戦時の行動、それと同じことを彼の下でされては困るのだ。そう、M16は予想している、恐らくは自分達は彼の指揮下に入る、そして404も同じく、完全ではないがともに作戦行動をとることになる可能性が出てくるわけだ。そうなった時に…そう考えればM16がUMP45を問い詰めるのも当然と言える。それに対し、UMP45は視線をそらしたまま口を開いた。

 

「私達が合流する際、彼が取った行動、覚えてるわよね?」

 

「あぁ、嫌というほどな」

 

顔をしかめるM16、例のエクスキューショナーの前に躍り出て、自身を餌に誘ったことを思い出している、同時に未だ彼を叱る必要があったことも。この時、彼の背筋に悪寒が走ったかは本人だけが知ることだろう。全くアイツは…と思いだしているM16の顔を下から見上げつつ、UMP45が続ける。

 

「貴女はそれに何を見た?」

 

一瞬、何を聞かれているか分からなかった、何を?質問の意図が読めないままにM16は素直に答える。

 

「『危うさ』、だな。普段は本当に感情が薄いだけ、それだけの良い子だ。だが戦闘となると豹変する、別に戦闘を楽しむ戦闘狂、という訳じゃない。『勝利』という達成目的のためには手段を選ばなくなる、飛び出していったのも恐らくそれだ。あのままAR小隊の残り少ない火力で銃撃戦をこなすか、自身が出ていき意識を逸らした上でお前達404小隊の火力で一気に潰す。どちらのほうが『勝率が高かったか』、そう判断した結果があれだったんだろうさ」

 

情けない限りだがな、と呟きそれよりも、と続ける。

 

「通常の指揮官なら、躊躇はするかもしれないが、あの場面なら人形を犠牲にする選択を取る、バックアップがあれば多少の記憶の誤差は出るが復活は可能だがらな。彼にもそう伝えてあった、だが…実際に彼が危険に晒したのは自分自身だ、感情の薄い彼が情で動くとは未だ考えにくい、つまりは『勝つためなら自身すら駒として扱う』、そう思考する、するように調整されてる、そう考えるのが妥当だろう」

 

なんだか彼がノリと勢いでやった行動がとんでもない誤解を生んでいる気がする、やりすぎ良くない。M16の話を聞き、UMP45は一つ頷き私は、と口を開いた。

 

「『救い』を見た」

 

一瞬何を言われたか分からず、理解した後も「お前は何を言ってるんだ」という顔をしたM16に「勿論、貴女の言うことも理解してる」と付け加えた上で続けた。

 

「人間は人形を都合のいい駒としてしか見ていない、勿論、クルーガーがそうでないことは知っているしそれに賛同する指揮官もいることも。でも…大半は何かあれば見限るわ、そんな人間たちの下で私達、404は色々とやってきた、貴女も知っての通りね」

 

そう言い、顔を両手で覆う。

 

「9には薄々気付かれていたけど、限界が近かったのよ、私。任務で受けたストレスが消しても消しても薄っすらと残り、消えやしない。上層部でも一部で私のメンタルモデルを再構築する案も出ていたらしいわ。正直、それも良いかなって私も思うくらいに追い詰められてたんだと思う。その時…」

 

彼を見た、平然と鉄血ハイエンドモテルの前に立つ姿を。何か言った後、相手に気づかれないようそっと視線を此方に寄越し、目が合った。それだけ、すぐに視線をエクスキューショナーに戻した。そうするだけで大丈夫という信頼を感じた気がした。実際、そうなのだろう。彼女らがギリギリまで接近し、一斉射撃を始める寸前に彼が「終わりです」と呟くのを見ている。その時は其処まで深く思うことはなかったが、その後、軽く会話し前線基地に戻った後、彼から『姉』と呼ばれた瞬間に全てが爆発した。

 

その見た目に全く惹かれていないと言えば嘘になるだろう、だがそれよりもその行動に惹かれた。人形よりも自分を危険に晒す、その行動原理、そう、彼は。

 

「私を、私達を見限らない、使い捨てない、そして…裏切らない指揮官になってくれるかもしれない、どうしようもないこともあるかもしれないけど、あの彼がそう判断したのなら…他にどうしようもないという事でしょう?まぁ、未だ見極める必要はあるけどね」

 

だから彼につい構ってしまった、と微笑みながら付け加えた。クルーガーに彼の護衛として就けて欲しいと具申したとも。それは置いといて、とUMP45は軽くM16を睨む。

 

「情で動かないなんて、本気で言ってるの?薄いだけで感情はあるし、私との会話を聞いていたでしょう?あの時の行動は『貴方達を守るため』との可能性を認めたくない?」

 

「それは…」

 

目をそらすM16、半分は当たりで半分は外れだ。人形が人に庇われるなど、その存在意義的にあってはならない。外れの方は…言えるはずもない、特にUMP45には。

 

「そうだな、あの子にも感情はある、分かってはいたんだが…軽率な発言だったな、取り消そう」

 

彼のことだからか、UMP45相手にも素直に非を認められる。

 

「良いけど、彼にそんな事を思ってるなんて勘付かれないようにね、他人の感情には敏いわよ、彼。兎に角、私が彼に構う理由はわかったかしら?少なくとも彼にとって損になることはしないわ。する筈もない」

 

そういう彼女の顔にはいつも浮かべている薄笑いはない、真剣そのものだ。取り敢えずこの場は収めておいても問題ないだろう、M16はそう考える。無言で頷き返し、理解した旨を伝えておく。後は互いの行動で示せば良いことだろう。そうしている内にUMP45がボソリと「終わったみたい、出てくるわ」と口の中で呟く。本部内での盗聴行為は厳罰じゃなかったか、と思いもするが今更だろう、突っ込むだけ野暮だ。彼が出てくるであろう扉と自分達、その間にいる例の職員に注意を払いつつ、そちらへ視線を向ける。

 

(言えるわけ無いだろう…底が見えない彼のことを…『■■』と感じてしまったなんて…)

 

 

-深夜、グフリフィン本部宿舎内-

 

 

それからは特に特筆することもなく、普通に100まで数えて上がり髪をUMP9に乾かしてもらい(無論、鏡に写るその姿はバッチリ)備え付けのパジャマに着替えて部屋に戻る。何やらドタバタとドアから離れる音がしたがまぁ、突っ込まない優しさが彼にもあった。後は喉を潤し、歯を磨き寝るだけだ。ちょっと暑かったのでパジャマの襟元をパタパタする、なんてサービスをしつつ、寝る時間になったので404小隊は隣の宿舎へ移っていった。ガン見していた完璧さんはさぞいい夢…は見ないか、トンプソンはそのまま残り、隅を借りるぜとさっさと寝てしまった。

 

彼としてももうすることもないので寝ることにした、のだが諸事情から眠れなくなったので今後の行動方針、to do list的なものを脳内でまとめることにした。まず最初だが…

 

(AR小隊の死亡フラグをバッキバキに折ることやなぁ…此処まで分かりやすいと逆に有り難いレベル)

 

今、同室で就寝しているAR小隊に立っているフラグを何とかすることだ。基本的にバックアップがあり破壊されたとしても、ほぼ同じ記憶を持った同じ人形が復活できるこの世界で「バックアップなし、死の可能性を手に入れた人形」とかあったらもうシナリオの何処かで死亡、乃至それに似た状況になることは容易に想像できる。最終ミッション辺りで「彼女いるんすよ」「基地に帰ったらプロポーズ」「花も買ってる」なんて数十秒の間にフラグを立ててその後、ラスボスの攻撃でフラグ回収とまでこなした僚機パイロットと同レベルの分かりやすいフラグだ。

 

実際、彼が持つ原作知識の中でも既にAR-15がラスボス巻き込んで自爆、で死亡(次の戦役でラスボス復活してきたけど)。M16も正直怪しい、緊急マップでもそんな描写があったし何より低体温症イベでもM4らしき夢(?)を見るわ、ROから異常があると突っ込まれたり、ヘリアンから「M4か?」とか通信で言われるし…ヘリアンはよく分からんが。恐らくはAR-15と同じく、『傘』に感染してというところか、他の原因か。SOPMODやROとて今の所はわからないがフラグ立ってると考えたほうが懸命だろう。M4?彼女は不幸主人公枠だから…

 

まぁ、鉄血との戦争中だ、犠牲が出ることは仕方ないだろうが回避できるなら回避したいのが人情というやつだろう。彼とてナノマシンの恩恵でチートを所持しているとは言えメンタルは一般人だ。「人形が死んだ?フーン他にいるから良いや」等という外道思考は持てるはずもない、間違いなく心折れる。悲しみに包まれて不思議な事が起こってしまうかもしれない、ならば回避する方向でやっていくべきだ。

 

先ずは彼女らのバックアップだろう、それさえ取っておけば最悪、復活は可能だ、編成拡大で増えるダミー人形もあることだし。当然ながら彼女らのメンタルモデル含めた電脳データにはロックが掛かっていたが…皆まで言わなくても分かるだろう。バックアップを置いておく場所は今から向かうS09地区に適当な場所を探しておけば良い、機材その他はどうとでもなるだろうし。

 

次はアレだ、『傘』だ。なんかもう「ぼくのかんがえたさいきょうのうぃるす」かなんかですかって言いたいくらいにどうにもならん、原作でも解決の糸口すら見つかってなかったし、描写無いだけだったのか?確実に感染したとわかっているのが第0戦役後に分散した際のAR-15とキューブ作戦後のUMP45だ。ただ、AR-15の方は0戦役時に分散さえさせなければなんとかなる訳だが、不測の事態が起こるとも限らないし、UMP45に至っては止めようがない。取り敢えず、ナノマシンに命じ、プログラム解析AIを立ち上げさせた、結果生み出されたのが3つのAI、名前をどうしますかと聞かれたので技の1号とかでよくね?等と思ったがあんまりなので「人形使い」「笑い男」「少佐」としておいた、最後のは「傀儡回し」と迷ったが、分かる人には分かるだろう。『傘』自体は本部には保管されておらず、恐らくは16labで解析中であろうから、明日出向いた際にこっそりコピーさせて貰えばよい。

 

因みに彼とナノマシンの関係は「オーケーグ○グル」「ヘイ○リ」のようなものだ、彼が大まかな指示を出すとそれに準じてナノマシンを統括するメインAIが他のAIに仕事を割り振り結果が返ってくる。戦術AIやら開発AIやら、なにやら結構な数が存在するらしいが詳しくは分からない、聞いてもそういったナノマシン達自身のことなどは一切回答が返ってこないのだ。メインフレームは何処にあるか、とか非常に気になるのだが…どう考えても彼の脳のキャパを超えているから外部にあると思うのだが。正直、不気味だなと思うことはある、だがそれがなければ彼などただ見てくれの良い子供、今頃は目覚めた病院近辺で野垂れ死んでいるか、鉄血に殺されてるかの二択だろう。使い続けるしかない訳だが、まぁこんなガキ一人だました所でどうなるというのか、鉄血の罠?それとも他の陰謀?それを考えるのは大人の仕事です。

 

酷い責任転嫁と言うか投げっぱなしジャーマンなのは置いといて、次にやるべきことは

 

(戦力の確保、かな)

 

現状、AR、404小隊や今後加入が予定されている人形がいるわけだがこれらは彼の戦力、というわけではない。あくまでグリフィンの戦力を預かっているだけで、何かあれば取り上げられるわけだ。それに下手をすれば今後来る人形に何かトラップでも仕掛けられている可能性すらある、男性が指揮官になる以上、妨害工作はあると考えて行動すべきだろう、この世界は本当に糞だわ。つまり、欲しているのは『彼のみの指示で動く』戦力、と言うわけだ。考えられる方法は鉄血の下級人形を鹵獲改造、廃棄された人形プラントを発見して利用、他にあるなら随時利用というところだろうか?09地区にあれば良いのだが。

 

(俺自身を強化できれば多少楽なんだけど、完全拒否されたし。良いさ、第1戦役に出てくる案山子さん鹵獲してガンビットをコピらせてもらうから、後は俺の意識をダイブできる男性型人形作成とかな、エクスキューショナーの太刀?アレ回収してるはずだからコピーして、サイボーグ忍者型人形とかかっこよくない?全長十数メートルのメタルギアぶん投げたりとかトンデモ過ぎる奴だけど)

 

資材やエネルギー源は、という問題もあるが彼が病院からかっぱらって…否、責任を持って回収、保管している(報告するとは言ってない)崩壊液をゴニョゴニョすれば何とでもなるらしい、ナノマシンってすげー!今後は大気中に拡散したそれを回収し、利用する専用ナノマシンも開発するのはどうか?などと考えている次第だ。オマケ?と言っては悪いかもしれないが人形のアタッチメント開発なども良いかもしれない、原作では装備品に制限があるがこうなるとそんな物はあってないようなものだ。ARなら榴弾発射機構、他にもSG用弾を撃ち出すアタッチメントもあると朧気に聞いたことがある。そういったものを開発し、デイリー装備品製造の際になんかできた、で済ますのも悪くない(イヤイヤイヤ)。だってゲームのM16姐さん、不憫すぎるもの、ARなのにスコープ等のアタッチメント装備不可だしジャケット装備可能だから貧乏ランの盾役にするしかないじゃない!!だし、スキルも正直、SMGと同じ閃光弾と来ている。原作で合流前にHK416とガチで殺し合ってたがどうやって勝ったのか…

 

(後は優先順位低いけど食料かな~米食いたい、米)

 

食事についてはそれほど悪い世界線ではなかったようで、先程食べたサンドイッチを中心とした軽食の味は大手パン屋(ヤマ○キとかそのへん)が大量生産したそれと遜色ないレベルであった、ただ挟まっている材料を解析した結果…しなけりゃ良かったぁ!!と彼は心の中で叫んだが、あ、キチンと食べましたよ?とはいえ日本人のソウルフードである米、他の食材だがないこともないが貴重品であり入手は困難のようだ、残念ながら鍋パーティーを開くことは困難な様子。これの解決策は働いて稼ぐか、生産か?なんだが土地の汚染はどの程度か、農業知識を持つやつはいるのか、道具はどうするか、苗は?解決する問題が多すぎる、一旦保留で必死に働いて稼ぐことが一番の解決策な気がする。

 

(近未来世界に転生したのに考えてることがファンタジー世界転生あるあるで草だわ、いや汚染で草も生えないんだった。で、最後にすべきことは…倫理コードの解除、此れは外せないね!)

 

安定の彼、である。現状、チマチマと人形相手に試しており先程は風呂場でUMP9がその尊い犠牲になっていたが。一部でも凍結、破壊すると彼に対して多少は大胆な行動を取れるようになるらしい、流石に4割程度では性的なニュアンスを含む接触には警告が出たようだが。もっと過激なスキンシップを含むイチャコラをするためには5割、いや6割はなんとかしたいと彼は必死に思っている。因みに一斉に数箇所から一気に凍結、破壊しようとしたら完全な自閉モードに入られ、接触も不可になった上にその状態でも仕事はするという最悪な事態になったので諦めた。

 

で、である。何故、彼がそんな大事()なことを食料等よりも後に考えたか、それは彼が眠れなくなったことにも関係するのだが…と、している内に彼の両頬に手が添えられ、グイッとその手の持ち主の方へ向けられる。寝起き?と言うかスリープ解除後だからか、先程からとろんとした相手の目と目が合う。何やら不満げに頬を膨らませたその相手は、誰であろうM4である。どうも彼が考え事をして彼女への返事を疎かにしていたのがご不満らしい。

 

「む~、話聞いてないでしょ、ラン君」

 

「聞いてない訳ではありませんが、今後のことについて考えていたのは事実ですね、すいません」

 

「もぅ!真面目なのは良いですけど、今は私を見ていてくださいね?」

 

「分かりました、M4さん」

 

やっと機嫌が治ったらしく、幸せそうににヘラ~と笑うM4、(何や、やっぱり天使は此処にいたのかよ)等と思う彼。なんでこんな事になったかと言うと、まずは寝る時、また誰が一緒に寝るかと議題に挙がった訳だが未だ寝たことのない(こう書くと卑猥!)M4とAR-15のとどちらか、となったがAR-15がM4に「未だ機会があるから次でいい」と譲ったので、スムーズに決まったのだ。その際、怯えた目でM16の方を見ていたのは気のせいでないだろう、お説教のターンは未だ終わってないし!それで平和に就寝となったが、ここからが平和じゃない。希望かなって彼と一緒の寝床に入れたは良いが、ガッチガチに緊張して彼が少しでも動く度にビクッとするもんだからそれが微妙に伝わり、M4は半ば気絶落ちの形でスリープモードに入ったようだが彼の方は逆に目が冴えてしまったのだ。

 

ナノマシンで強制的に寝ても良かったが、折角目の前に被検体がいるんだしという中々にマッドな思考からM4に入っている倫理コードで色々と試し、45%までの解除に成功した所でM4が目を覚ました。コード弄ったせいかと微妙に固まる彼をじーっと見た挙げ句M4の取った行動は。

 

「あ~っ、ラン君だ~」

 

と寝ぼけた声を上げつつ彼に抱きつくのだった。どうやら目の前の彼のことを自身の夢と思い込んでいるらしく、コードが半分近く解除されてることもあり、大胆な行動に出たようだ。抱きついて彼に頬ずりしたりと好き放題、無論、彼が抵抗するはずもなく、彼女がするとりとめもない話に相槌を打っていたが、どうも適当に返事していたのがバレ、先程につながるわけだ。彼としては中々あるM4の胸の柔らかさを堪能でき、実に素晴らしい状況なのだが。そんなこんなしている内にため息を付き、話の内容が愚痴になっていくM4、自身の指揮能力に対する不安がその中心だ。

 

「M16姉さんのフォローがなければ皆をまとめ切れないし、AR-15からはチクチク指摘されるし、SOPMODは自由だし…私、隊長に向いてないんじゃないかって、それに」

 

じっと彼を見つめる、其処には少しだが嫉妬が混じっているように彼は感じた。

 

「ラン君の指揮を見るとね…自信が…」

 

シュンとなるM4に彼は罪悪感を拭いきれない、だって彼自身の力じゃないし。(此れがチート貰った主人公が凄いと言われて感じる罪悪感ってやつかぁ!!)まぁ余裕そうではある。とはいえ、此処は彼女の不安やら嫉妬を何とかして元気づけることを優先すべきであろう、彼はそう決心し、口を開く。

 

「それは勘違いですM4さん」

 

「え?」

 

思った以上に強い否定が口調に出たか、M4が驚いた顔をあげる。

 

「僕の指揮が的確なのはそう出来るよう能力を与えられているからです、別に僕が凄いわけではありません」

 

「そ、それは、でも…」

 

「逆に僕はM4さんのほうが凄いと思いますけどね」

 

「え?」

 

戸惑う彼女の手、頬に添えられたままだったそれを握り、瞳を見返す。

 

「貴女は指揮しつつも戦闘もこなす、僕はこの前の戦闘が例外であって基本、前線には出られません、足手まといです。みなさんとリンクすることで能力を底上げする力もありますが、結局、僕にどれだけの力があろうともそれは他の存在、代わりに戦ってくれる誰かがいる事が大前提です。皆さんがいなければ何も出来ないんですよ、僕」

 

未だ何か言いたそうにするM4に被せるよう、言葉を続ける。

 

「それに此れは答えが出ない論争です、それぞれに役割があり、どちらが偉いとか、凄いとか、余り意味がないと思います。大事なのは、その力で何を成すかということですよ、きっと」

 

「何を、成すか…」

 

そう呟くM4に彼はちょっと提案してみる事にした

 

「(大体、可動して何年?ん?年単位なの彼女?細かいこと分からんがそう時間経ってないんじゃないの?それなら経験不足もしゃあなしよね)そんなに指揮が不安なら一緒に勉強しませんか?」

 

「え?勉強?」

 

必要なの?みたいなニュアンスで言われたが彼もエロいことばかり考えてる訳ではない…本当よ?並列思考を使い、戦術データを活用して演習を繰り返す程度の努力はしている。脳自体も強化されているので学習能力も通常とは段違いなのだ、万が一、戦術AIらと通信途絶した場合は彼自身の力のみで指揮を執る必要があると考えたためだ、現状は残念ながらAIにおんぶに抱っこである。

 

「活用するには練習も必要ですからね、頭にある戦術データを利用した演習をこなしたりしていますから。それをアウトプットし、共有できる装置があれば一緒にそれをこなすことも可能です、ですから」

 

いわゆる模擬訓練、資料集めたりカプセル拾ったりするアレだ。言葉を切り、次を紡ぐ。

 

「一歩一歩、前に進みましょう?一緒に」

 

「そう、ね…悩んでいても仕方ない、か」

 

宜しくね、と承諾のほほ笑みを浮かべるM4に彼は(ん?でも此れ夢だって思ってるんだよねこの娘、どうすっかな~。てか、人形なのに夢を見る、ラスボスでも全データ閲覧不可ってことは…そういう事なんだろうなぁ、と言うか確かめたんですけどね、予想通りでした、ハハッ!!人間て怖いわ~)何やら不穏なことを想像しつつ頷くと同時に、右手の小指を差し出した。ん?と首をかしげるM4に「指切りです」と告げる。

 

少しはにかみながらM4も小指を差し出し、絡める。お定まりの台詞、終えた後の自分の指を眺め、M4は嬉しそうに微笑む。その視線を彼に向け、手を再び頬に添え…

 

「んっ」

 

流石に恥ずかしくなったか、それとも流石にコードに反すると本能的に悟ったか、それでも彼女の唇は彼の頬にそっと触れた。

 

「…M4さん?(頬かぁ、まだまだ時間かかりそうね~)」

 

何も知らない風を装い、不思議そうに見返す彼にM4は顔を少し赤く染めつつ、説明する。

 

「えっと…こ、此れはキスって言ってね、親愛の情を相手に示すときにするの、お礼とかもこめてね!!ウン、此れは色々元気づけてくれたお礼!!ウン!!」

 

彼と言うよりも自分に言い聞かせるように畳み込む彼女に対し、彼はいつもの悪戯心が発動してしまった、心の中の主任も「良いじゃ~ん、盛り上がってきたねぇ~~」とニヤニヤしてる、コイツの心は悪の帝王様と言い魔境か何かだろうか?今度は逆に彼がM4の頬に手を添え、顔を近づけていく。

 

「え?え?ちょ…」

 

「んっ…僕も、お礼です。此処まで僕を守ってくれて、有難うございます」

 

勿論、頬へ、微かな微笑みも添えて。効果はてきめん、M4の顔はボンッっと音を立てたかと錯覚するほど急速に赤く染まっていった。と、いうか未だ此れを夢と思っているのだろうか彼女は。それでも何とか、しどろもどろに「あ、う、その、どういたし、ましてぇ…」とお礼を口にする。それを見て彼は欲情すると言うよりかは微笑ましい気持ちになった、未だ色事に染まっていない純真な心、なんか育っていく娘を見守る気持ちに近いような気がしてきた、子供持ったことないけどね、多分。そうしている内に彼も眠くなってきた、M4の気持ちが安定したこともあるだろう。彼はアクビを一つ、そっとM4に抱きつく。彼女もそれを優しく受け止め、そっとその背に手を回した。

 

「お休みなさいM4さん、また明日」

 

「ええラン君、お休みまた明日」

 

二人は同時に目をつむり、そのまま夢の世界へ…眠りに落ちる前に彼は穏やかな顔で思う。

 

(さて、彼女は此れを夢と思っているわけですが…ところがどっこい‥‥‥‥夢じゃありません‥‥‥‥! 現実です‥‥‥! これが現実‥!って知ったらどうなるのかのぅ!!ぐにゃあああって顔がなっちゃう?福本顔になっちゃう?あ~~っはっはっは!バラす瞬間が楽しみすぎて生きてるのが辛いわぁ~!!!さて、お休み!!)

 

…コイツ、いっぺん痛い目見れば良いと思うんだ。




M16とUMP45の心理描写、この辺が限界ですな~。あそこまで頑なに人間を信頼しないUMP45がどうやったらバレンタインのデレ姉になるのか私の表現力ではこの辺りが限界です、ハイ。

M4の秘密についてはぼかしてます、まあ予想してwikiのネタバレ見て「ああやっぱり」と思った訳ですが。何時かは明かされるでしょうけど何時になるんでしょうね…

次話こそ16labへ…と言いたいけど、言っておかないほうが良いですかね?

そういやRO、夜戦マップで第7戦役初登場前にも出てるらしいですね、そうなると可動始めたのは何時だろう?もう話の中で登場させても矛盾はないのだろうか?


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「ケモミミは正義、異論?奴は死んだよ」

はい、M4を弄りたいがために次が書きあがりました、『私は悪くない』

>>少佐はいいとして人形使いと笑い男は後々変なフラグ立たないか…?

そそそそんなことはない↓よ?↑
多分きっとメイビー

>>ROはいつ頃作られたんでしょうねぇ
分かりませんねぇ、てか0戦役から7戦役までどれほど時間が経ってるんだろう…私が見落としてるだけかな?

ま、ネタが浮かんだら次の話でRO出してみよう。




-翌日昼頃、IOP社内-

 

M4とのなかなか楽しい同衾の後、朝食をとった彼はAR小隊と共にIOPへ出向いている。404小隊は急な任務が入ったとかでそちらへ、配属後にいきなり任務を入れるのか畜生めぇとも思ったが、系統的にはあちらが上だから文句も言えない。ただ、其処まで例の上層部は愚かではないと思いたいが『騙して悪いが』系統の任務だったら不味いと思い、念の為にUMP45へ『枝』を付けておいた。「頑張ってくださいお姉ちゃん」と握手と共に告げながら。念には念を入れて例のステルスドローンを一機、中継器代わりにそっと同伴させておく。こういう時衛星通信が使えないのは不便だ、何でも崩壊液の影響で(どう作用してるかは分からないが)衛星が使用不能となって久しいらしい。ナノマシンを利用して衛星とリンクできないかと試行錯誤中、戦争は色々言っても技術革新の宝庫だ、もしかすればトンデモ兵器が惰眠を貪り衛星軌道上を周回しているかもしれないし。

 

(一番ありそうなのは「神の杖」よな、仕組みは単純だし。後はSOLとか?あぁ、キッチンで無敵の主人公の映画で出た地震兵器搭載衛星なんかあったら笑うわ、即座に鉄血本拠地にマグニチュード10の地震を俺はどんどんお見舞いしていくぞぅ、辛いかい?俺もこんなポストアポカリプスワールドに飛ばされてもっと辛い思いをさせられてるんだよ)

 

こんな阿呆な妄想どうでしょう、な彼の肩をポンポンと叩く者がいた。ん?と彼が振り向くと叩いたSOPMODと目が合う、いつもは元気一杯な顔を微妙に引き攣らせチラチラと前の方を見ている。彼もまぁ原因は分かっているが敢えて聞く。

 

「どうかしましたか?SOPMOD」

 

最初はさん付けで呼んでいたが呼び捨てでいいよ、とのことなのでそういう事になったわけだが。そのSOPMODはそっと耳元に口を寄せて、囁く。

 

「ええっとさ、ラン、M4のことなんだけど…昨晩、一緒に寝て何かあった?」

 

「何か、ですか?いえ特別なことは何も…少しお喋りなんかはしましたが(嘘はいってない)」

 

「そ、そう…どうしたんだろうM4…」

 

心配?怯え?危ない人を見る目?何とも色々と綯い交ぜになった視線の先には…

 

「「…」」

 

「え、えへへぇ~」

 

どうしたものかと冷や汗をかきつつ話しかけるが効果がないM16とAR-15、そしてその真中に骨?人形的にはフレームか、が無くなってしまったかと言うほどにグネグネしてるポンコツM4がいた。頬はポーっと赤くなったまま、たまに手を当ててウフフと思い出し笑い、両サイドからの声も全く聞こえてない様子だ。因みに朝からこんなもので朝食のグラノーラだったか?その中に牛乳の代わりにAR-15が頼んだエスプレッソを入れようとしたり、何かとんでもない程に浮かれっ放しだ。任務に行くのでその間彼のことを頼む、と報告に来たUMP45が無表情のままM16に「分かってるわよね?」と念押しするくらいの酷さで。近づくと諍いになると自覚はあるHK416は遠くからうわぁ…みたいな顔で見てるし、UMP9は面白いものを見つけた顔で携帯端末で写真を撮りまくっていた、G11はまぁ…平常運転だから省く。

 

そんな状態が結局、此処、IOPの施設に到着するまで続いており何とかしないと当分続くのではと思われる。彼としてはM4の奇行のお蔭で自身に視線が集まらないので丁度いいスケープゴートだとスルーする外道さを発揮している訳だ、グリフィン本部に着いたときのように見られても嫌ではないが、好きでもない、注目されないに越したことはないと考えているので。だが、確かこの後AR小隊は長期任務に出ていたことを受けてメンテナンス、その後は演習を行いセッティングまですると聞いている。このままではそんな予定に支障をきたすだろう、等と彼女がこうなった元凶は考えた。

 

(うむ、このままではS09地区へ向かうスケジュールがどんどん押してしまうな。故に、早速のフラグ回収となるわけだが…これもこの区域の平和のためだ!!是非もないよネ!!)

 

脳内を謎の黒尽くめ二頭身、三頭身?がヘンテコな踊りを踊る中、彼は未だにヘヴン状態にあるM4へ近づく、そう、ヘヴンからヘルへと突き落とすために…アウターヘヴンでも可。

 

「何か嬉しそうですがM4さん、大丈夫ですか?今からメンテナンス等があるようですが」

 

「えへ~…あっ、ラン君?うん大丈夫だよ~私はあの夢で一生戦える!!」

 

駄目な方向に気合が入ったM4、このままだと1-1の雑魚にも重傷撤退しそうである。

 

「そうですか、よく分かりませんが頑張れるのは何よりです、ところで…」

 

だから此処で炸裂させる、超特大の爆弾を。

 

「勉強会、何時にしますか?」

 

「あ、えっとね…え?」

 

急に問われて普通に答え、考え込んだM4が面白いように固まった。因みに彼が話しかけ、M4の意識が此方に向いたため他のAR小隊は対応を家族会議し始めたから、彼の質問は聞こえていない。そんな事とは露とも知らず、M4はおそるおそる彼に聞く、震え声で。

 

「あ、あのさ、らんくん…」

 

「はい」

 

「きのうのあれ…ゆめじゃ…」

 

「どれを指すか、正確には分かりませんが戦術について一緒に勉強しようと指切りをした前後のことは全て、実際に行ったことです(キスしたこともなぁ!!!)」

 

「ふ、ふぇ…」

 

夢と思っていた、だからこそああも大胆に行動を、最後は彼に頬へとは言えキスまでしたのだ。しかし、それはすべて現実と知ったM4は。

 

「~~~~~~~~~~~!?」

 

声もあげられず、耳まで真っ赤にして頭を抱えこみその場にうずくまってしまった。急に屈み込んだM4に気づくAR小隊だがどうすることも出来ず、更に混乱に拍車をかけオロオロするのみ。彼は彼で彼女の横にしゃがみ込み、心配するふりをしつつ心中では。

 

(真っ赤にして可愛いねぇ!!、その顔が見たかった!!)

 

タイヤ嵌ったライダーの敵幹部のように本当はがぶり寄って顔芸したかったが、其処はぐっと堪える。暫くその状態が続いたがフッと彼は両肩に手を置かれたことに気付いた、同時に少し自分に影が掛かっていることも。誰だろうと彼はそのままの体勢で見上げ、目が合った。気だるげな顔、目の下の不健康なクマ、何より特徴的なのはその頭についたケモミミだ、ピコピコ動いていることからそれなりに技術を注ぎ込んだものなんだろう。この会社で、否、世界でケモミミ付けてうろつける人材と言えばそういないだろう。とは言え、彼女のことは知らないことになっているから彼は適当に首を傾げておいた。

 

その彼に薄く笑いかけ、視線をM4に移す。

 

「やれやれ、私の知らない間に青春しているじゃないかM4A1」

 

その呼びかけにバッと顔を上げるM4未だに赤い顔は涙目だ。彼の後ろに立ち微笑む女性を視界に入れM4は迷子の子供が親を見つけた時のように

 

「ぺるしかあああああぁぁぁ…」

 

泣きながら彼女に抱きついた、そんなM4の頭をよしよしと撫でるペルシカ、M4が何故そうなったかは分からないが取り敢えず解決の兆しが見えた、と思ったM16だが有ることに気づく。そんな二人の間に誰か挟まったように見え…って当然それは。

 

「お、おいM4!挟まってる!ランが挟まってるぞ!!」

 

「ふ、ふぇ?…ら、ラン君!ごめん大丈夫!?」

 

やっと普通に対応できるようになったM4とペルシカに挟まれた彼、ちょうど立ち上がりかけたところだったので頭部は二人の胸部のちょうど真ん中に来ていたので、そこに挟まれた形となり…

 

「(胸に溺れて溺死そうです赤い正義の味方の人!!)大丈夫です、ビックリはしましたけど」

 

ああそうだろうね、心配なぞ金輪際しなくて良いと思う。そんな彼にジッと視線を向けつつペルシカが口を開く。

 

「君がそうか、ウン、君に彼女達を預けたのは正解だったようだね。私はペルシカ、彼女達の開発者、ま、親みたいなものかな?宜しくね」

 

「はい、よろしくおねがいしますペルシカさん」

 

差し出された手を握り返しつつ(さて、この人のマッド具合はどのレベルなんだろう?ウサ耳付けた人格破綻者レベルだったらちょっと引くわ…っていうかさ、さっきちらっと見えた研究者にそんな外見の人見たんだけど?中身まで一致してないよね!?いくら女尊男卑の世界だからって俺にも限界ってものが有るからね!?)

 

などと不穏なことを考えつつ、彼とAR小隊は一先ず、ペルシカの研究室へと向かうのだった。

 

・・・

・・

 

それから研究室に到着後、早々にAR小隊はメンテナンスへ。おや、その間に俺はどうすんのと彼は思ったがペルシカ曰く、話も聞きたいけどまずは君の健康診断、と言われ早速彼も検査機材のある部屋へ。なんでそんな物が企業にあるのかとも思ったが、職員の福利厚生の一部らしい、確かにちょっと気分が悪いからってここから病院までとなったら行く途中で病気以外の理由で昇天しそうだし。大体の企業は施設内に病院やレジャー施設を持つのが今では普通らしい。一応、そうなるとグリフィン本部にもそれなりにあったはずだが精密検査が出来るほどではなく、何より信頼できる診察をこなす人物がいなかったということだ。(親父ェ…)内心愚痴る彼だが検査は進み、血を抜かれたりCTスキャンの中にぶち込まれたりと、まぁ前世の朧気な記憶でもやったことの有ることばかりのそれをこなしていく。

 

(ま、精密検査も嘘じゃなかろうが俺の体がどうなってるかとか、なんか埋め込まれてないかとかそういう検査も兼ねてるだろうな~、これで「頭の中に爆弾が!」とかだったら俺、どうしよヘリから捨てられんの?)

 

お許しください!キチ○イアニメの話はそこまでだ、因みに彼自身の検査と並行して例のドローンも調査中だ、「調査するから持ってくるように」との指示通りに404に付けた一個を除いて持ってきている。

 

(さて、何が見つかりますやら)

 

そんな他人事のような感想を持ちつつ、彼は大人しく検査をこなしていった。

 

・・・

・・

 

全ての検査が終わり、彼はペルシカの研究室に戻っていた。AR小隊の方もフレームの歪みと言った内部のダメージはなく、皮膚と言った生体部品の交換で済むようでもう少しすれば終わるとのことだった。(ふむ、フルリンクで多少無茶させたと思ったが関節の疲労等はなかったのか。ナノマシン保護とかしたのに意味があったのかな?マグネット・コーティングかマウンテンサイクルに埋まってたMS理論か…OK、俺も人形にバフがけできるって事かな?)新たなる可能性に彼が興奮しているところでペルシカがコーヒーを差し出してくる。噂では泥水と言うか人間の飲むものじゃないとか言われていたが普通に美味かった、と言うか前世の味と同じということは少なくとも天然物の豆を使っているということだろう、さすが高給取り等とどうでも良い事を考える彼。

 

「さて、と。さっき名乗ったけど改めて。私はペルシカ、ここIOPの16Labで研究員をやっているよ。彼女達の生みの親でもある」

 

「はじめまして、ランと言います。今はラン=クルーガーと名乗ることになるのでしょうか?(ロシアの名前はよく分からん、名字、氏名で良いのん?)経歴は…省きますね、ご存知と思いますので。ああそれから、彼女達を任せてもらい、有難うございます」

 

互いに軽く自己紹介する、実際、彼の情報なぞありったけ渡されているだろうし、説明はいらないだろう。事実、特に不満に思うことはないらしく「ふぅん、まさか彼が養子とは言え子持ちになるとは…世界は面白いねぇ」等と彼の名乗りの方に反応を示している、そして彼の礼に対しては。

 

「いや、私や彼女の方にもメリットがあるから良いんだよ。メンタルのデータが届いたが君と出逢ってから成長が著しくてね、君という刺激が彼女達に良い方向へ働いているらしい。M4も伸び悩んでいたからね、やはり指揮能力をもたせたは良いけど殻が破れず。でも、君の指揮を見てから思う所があったようだしね」

 

彼女の勉強、見てくれるんだろう?とニッコリと笑う、どうやら先程聞き出したらしい。

 

「ええ、他人に教えるということはきちんと理解できているかの確認になりますし、僕の勉強にもなります。それで彼女のためになるなら、それは…良いことだと思いますので」

 

「そうかぁ…そう言ってもらえると助かるよ。他にも色々と仲良くしてもらってるようだからね?」

 

個人の自由だから、ま、倫理コードには引っかからないように頼むよ?とクスクス笑いながらペルシカはそう告げた。(親?的な立場としてそれで良いんですか、じゃあ仲良くさせてもらいますね!!)なんて思いながらも良く分からないふりして首を傾げておいた。

 

「じゃあその辺りは彼女達が戻ってきてからでも良いかな、その前に君の体について分かってることを話そうか。気になるでしょ?」

 

それには適当に首を縦に振っておく、そりゃあ気にはなるががっつく程感情豊かじゃないフリも楽じゃない。じゃあとペルシカはディスプレイに彼の全身像を投影する、それを見る限りでは普通の人間と代わりはない、いや、一箇所だけ違う所があった。

 

「ほぼ、通常の人体と差はないね、ただ気付いたようだけど心臓に半ば融合する形で特殊な器官が存在している、信号を発しているところを見ると恐らくは此れが君の体のナノマシンを統括しているコアだろう、そして通信端末でもある。君の能力の補助かな?知識などは外部記憶に頼っているようだし、その辺りだろう。通信阻害を受ける場所では注意することだね」

 

ま、それを踏まえてのM4との勉強会なんだろうけど?等と言いながら続ける。

 

「器官自体を構成する物質は分かっていない、ナノマシンの塊なのか他の何かか、現在調査中だよ。ナノマシンについてもね、サンプルを血中から採取できたから何か分かると良いけど…上手く行けば技術革新が起こるかもしれないね」

 

今のところ判明したのはそれだけのようだ、確かに調べて数時間、ホイホイ判明するような内容ではない、彼自身も分からないことだらけなのだから。そう思いつつ映像の心臓部分に見入る、心臓の横に半球状の物体がはみ出ており、残りは心臓にめり込んでいると思われる。半球からは枝のようなものが伸びており、それが電子基板の線のような図形を描き、上半身全体に広がっている。恐らくはその先にも全身に行き渡るようにその枝葉が伸びているのだろう。全身を侵食されている感じだがそれで生きているのだから直ちに影響はないのであろう、なんとなく心臓を服の上から押さえる。

 

「残念ながら1日ですぐに分かるような内容じゃなくてね、余り分からなくて申し訳ない」

 

「いえ、自分がどんな存在なのか分かっても分からなくても、することは決まってますから。判明するのをのんびり待っています」

 

「そう言ってもらえると嬉しいね、ああドローンの方は解析終わってるよ。精度は高いが既存の技術しか使われてなかった、ただバッテリー駆動だけど規格が此処で入手できるのと違っていたのでそこだけ改良しておいたよ。今後、基地で充電できるバッテリーが使用できるようになるはずだからそれを使うと良い」

 

それはありがたい話だと彼は思う、規格合わずで使用不能とかもう勘弁してほしいあるあるだ、S○NYの独自規格には前世で悩まされた記憶がある。ところで、とペルシカはニッと笑う。

 

「さっきからチラチラ見ているけど…気になる?耳」

 

「はい、不快に思われたらすみません(いやねぇ、其処までリアルなケモミミとか目の前にあったら見るに決まってますよ)」

 

「うぅん、嫌とは思わないよ、珍しいのは分かるからね。あ、そうだ」

 

そう言って立ち上がり部屋の隅へ行き何やらゴソゴソし始める、何事だと思う彼の前で目当てのものを見つけたのか戻ってきた、その手に握られていたのは。

 

「耳、と尻尾?同じ仕組みのですか?」

 

「そ、自慢の発明品の一つだよ」

 

形としては普通、カチューシャに耳がついている形状のものと、尻尾の根本にズボンに引っ掛けるフックが付いているものだ、色は黒。違う所はカチューシャやフック部分が虹色のフィルム状の物質で出来ていることか、どうやら装着するとそれが受信機の役目を果たし脳波を感知し思いどおりに動かしてみたり、逆に感情を受けてペタリと倒したりするらしい。何が彼女に此処までさせたのか…まさに天才と何かは紙一重である。

 

「本当はM4達とお揃いで付けたかったんだけどねぇ…恥ずかしいって拒否されちゃった」

 

残当、もうそう言うしかない。そりゃあ生みの親とは言えケモミミペアルックとか罰ゲームのたぐいだろう、拒否は当たり前だ。とは言え勿体無い…と彼はジーッと見る、興味を持ってもらえたかとペルシカはそれを彼に差し出した。

 

「良かったら付けてみるかい?未だ彼女達も帰ってこないようだしね」

 

そう言われ、彼は無言で受け取る。別に装着中に帰ってこられても問題ないし、寧ろ来いとすら思っている。耳を頭に乗せ、尻尾をズボンのベルト留めに引っ掛ける、するとカチューシャ状の部分が光り、彼本来の耳を彼と同じ色の頭髪が覆い隠してしまった。どうやらホログラム投影機能を搭載しており、装着者の頭髪色を解析しそれで耳を覆い隠してしまうらしい。いわゆる「なんで耳4つあるん?」というツッコミ回避のための機能のようだが…其処までするのかと彼は驚愕を覚えた。まぁ、無駄に洗練された無駄のない無駄な技術という奴だろう、面白いことに違いはないし、此れは此れで良しとしておく。

 

立ち上がり、振り返って尻尾の様子も見てみる。此方も意思通りに動いたり、驚いたら羽箒のようにブワッと広がる所まで再現しているそうだ。ウン、此れは良いなとだんだんノリノリになってきた彼、それを知ってか知らずかペルシカが「手はこう、猫の手で…今度肉球付き手袋でも開発しようかな…」「語尾に『ニャン』を付けてちょっとあざとく…」なんて二人で和気藹々している頃に生贄のひつ…AR小隊がメンテを終えて入ってきた。

 

「ペルシカ、メンテは終了したぞ。この後の演習はランとの合同で彼とのリンクの有無で効率の差を…」

 

一応、正気に戻ったM4だが未だ本調子では無いようで代りにとM16が代表で喋っていたが、ランと目が合い黙り込む。他のメンバーも似たり寄ったりだ、特にM4のダメージが深刻な気がする。それを見た彼だが…

 

(チャーンス♪)

 

あっ(察し)、AR小隊の皆様、ご愁傷さまです。すっと小隊の方へ近づき、いわゆる猫の手をしつつ口を開いた。

 

「お疲れ様です、ニャン…」

 

ウグッ、と口元を押さえて横を向くのはM16だ、プルプル震えて何かを我慢しているようにしか見えない。SOPMODが一番普通か?目をキラキラさせながら今にも飛びつきそうだ、M4は彼をじっと見ながらヘナヘナと座り込んでしまった、口が聞けたら「尊い…」とか言ってそう。そこで彼はふと何の反応も示さない残りの一人の前に立つ、そうAR-15だ。彼の方を多分、見てはいるのだろうがピントが合っていないと言うかなんと言うか、M16ほどではないがプルプルピクピクしている。

 

「どうかしましたニャン?」

 

首を傾げ、下から覗き込む。途端、一瞬で視界が真っ暗になった、抱きしめられたと気付いたのは数秒ほど経ってから。どうやらケモミミはどストライクだったらしく、あとでペルシカに聞いた話だがM4が付けるのを拒否したと聞いて、興味がなかった風を装っていたが一番残念がっていたのはAR-15だったということだ。(此れは予想外、人の…人形の?好みというかツボは面白いな~)彼としては此れは此れで良いのだが、そろそろ息苦しくなってきたので少し顔をずらす。その間もただ無言でAR-15は頭を撫でており、それをSOPMODが凄く羨ましそうに見ていた。

 

「ほら、演習の時間がそろそろだから其処までにしておきなさいAR-15、ケモミミ一式は彼にあげるから後でまたしてもらうと良いよ」

 

ペルシカからそう言われ、はっとしたAR-15は彼から名残惜しそうに離れ、「行き成りごめんなさい、その、あんまり可愛かったから…」と謝る。彼は

 

「(時間と場所を弁えてヨー、そしたらOKよ!)いえ、ビックリしただけですから。AR-15さんは動物とか好きなんですか?(さぁ、純粋な瞳に罪悪感と背徳感を感じると良い!!)」

 

「え、えぇそうね猫とか好きよ(い、言えない…可愛いと思ってる相手にケモミミ付いてるのが好きだなんてっ!)」

 

「じゃあ今日、帰ってから一緒に寝てくれるのはAR-15さんですよね?此れ付けて寝ましょう?(好きなんでしょぉ?こう言うの)」

 

「なっ!?…そ、そう?ありがと…(私、明日の朝日を拝めるかしら…)」

 

そんな事を話しつつ、AR小隊と彼は演習場へと向かっていった。すでに結果は分かっているのだが…とペルシカは独りごちるがこういうのもは実際にやらねばならない所もあるので仕方あるまい。再び一人となった部屋にそれを待っていたかのように通信コールが鳴る、ペルシカは分かっていたかのようにそれに出た。

 

「はいはい…ん?そう言えば彼、ケモミミ装備のまま出ていったような…まぁいっか…」

 

基本、研究以外に興味を持たない輩の集まりだし、大丈夫だろうと思いつつ返事をする、人、それをフラグというのだと思うが。




次回、主人公の真実が!!特に判明しません。まぁシリアス部分はフレーバー、お飾りですので。メインはあくまでイチャコラセクハラです。

そろそろ他人形が合流してくるけど画像付きメモとか、簡単に編集できるアプリが欲しい…いちいちウィキ開くのは面倒いです。

「グリフィンから派遣」「製造」「戦場ではぐれを拾う」の何処にどの人形を当てるか…考えるのは楽しいんですけどね、それの情報管理が…

あ、後、今後も他作品のキャラっぽいのがいることを匂わせたりするかもしれませんが基本、主人公には絡みません、他の女性指揮官であの戦う女性キャラ出したいな~と思うくらいです。


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「原作で叶わないシーンって、涙腺緩くなるね」

ちっとシリアス多め?でもないか?中々先に進めませんね。

イチャコラも少なめ、無理にぶっ込んでもおかしくなるからなぁ~悩みどころです。

そういうイチャコラは短編で切り離すかな?と思う今日此の頃です、本編でも自然な流れなら入れていきますけどね。

3月下旬に妖精追加ですか、また資源とコアとチケットが飛んでいく…と言ってもすぐさま20連だ~とかは無理ですけど。

>>ヤ〇チンじゃないかな

それは一瞬考えたんですがね~字面が嫌でした、それだけですハイ



-彼の退室直後、ペルシカの研究室-

 

『…何の話だ?』

 

「いや、此方の話だよヘリアン、いいタイミングだったね」

 

返事とも独り言もつかないペルシカの返事に反応した相手、それはヘリアンだった。

 

『ああ、M16から部屋を出たと連絡があったからな…それで、どうだった?』

 

早速とばかりに結果を聞くヘリアンにペルシカは素直に内容を伝える。

 

「まずドローンから、性能は高水準の普通の代物だね、もう彼に返しといたよ。付け加えることと言えば、パーツが全て鉄血製ということくらいかな?ああ、誤解しないでね、鉄血が組み立てたという意味じゃなく、鉄血人形を分解してそれを材料に組み立てた、というのが正しい説明になるね」

 

『成る程、エクスキューショナーが最初から出向くとは考えにくい、恐らくヤツの前に先遣部隊が派遣されたはずだ、その人形を利用したのだろう。ただ問題は…誰がやったか、だが』

 

「流石に其処まではね…ただ、腕は良いよ?それは間違いない」

 

『お前がそういうのだから相当、か。で、本題の彼の方だが…』

 

その問いにペルシカは、少し顔を顰めつつデータをヘリアン側に送る、それを軽く見たヘリアンは絶句した。

 

『此れは…本当なのか?』

 

「残念ながらね、彼には軽めに加工したデータを見せておいたけど」

 

それは彼が先程見たCTスキャン映像、だが彼女らが見ているものは彼が見たものと違い一切の加工をしていない。まず心臓と融合していると言われたコアだが心臓と完璧に置き換わっており、胸の中心に真円を描いている。其処から伸びた枝は上半身どころではなく頭部から爪先まで、全身くまなく行き届いている。

 

「特に著しいのは脳だね、神経組織がほぼナノマシンに置き換わっている。此れは憶測だが一度彼は脳に著しいダメージを負い脳死状態になったのではないかな?それを補うためにナノマシンに置き換えたがそれが進んで…」

 

『この状態か、全身に枝を伸ばしているのも強化という意味合いよりは』

 

「ん、生命維持、補助と考えるべきだと思う。ああ、因みに彼の機械に対するリンク、ハッキング能力だっけ?此れは恐らく彼を産み出した組織も想定していない能力じゃないのかな?脳をナノマシンに置き換え、半ば電脳化してしまった彼だからこそ使えるようになったんだろう」

 

それは本当に偶然なのか、調べるすべはない。そしてヘリアンは聞かなければならない、口に出したくなどない吐き気すら覚えることを、それが彼女の役目だから。

 

『彼は…ヒト、なのか?』

 

それはあんまりな質問、だが、この調査結果からは何を言うのかと非難することも難しい。神経、脳がほぼ置き換わっている存在、果たしてそれはヒトと呼べるのか?だが、罵られることすら覚悟したヘリアンの問への答えは軽いものだった。

 

「ん?人間だよ?DNA鑑定の詳しい結果は分からないけど、少なくともモンゴロイドであることは判明してるよ、多分、日本人かな?顔つき、皮膚の色からしてね。あぁ、君の言わんとしていることは理解してるよ、体が色々と置き換わっている存在をどう定義するか、人工臓器や補助電脳が発達した時も揉めたっけね?」

 

証拠は一応あるよ、と先程のケモミミ装備の彼の画像と何らかのパターンが記録されたデータを表示させる、ヘリアンの視線がどちらに注目していたかは…お察しください。

 

「画像…後でまとめて送るかい?」

 

『んんっ! …頼む…で?これは…何のパターンだ?』

 

「彼の脳波だよ、付けてもらった猫耳、そういうデータ収集も兼ねてるんだ。あぁ、代わりに色々と役立つものも入れてるから怒らないでよ?で、此れは間違いなく人間のそれと同じパターンだ、人形ともそれ以外とも一致しない、間違いなく彼は人間として思考している。ま、そういう意味では安心していいと思うよ…君も難儀だねぇ」

 

『此れも仕事の内さ…彼の事をそう疑ってかかる者もいる、そういう事だ。お前の出したデータだ、信頼せざるを得ないだろうな』

 

「ああ、あの…この期に及んで未だ男女の優劣に拘っているのかい?いやはや、余裕があって羨ましいことだよ」

 

『全くだが此ればかりはどうしようもないな、今後も彼に対する妨害は続くだろうが、何とか我々でフォローしていけば…』

 

溜め息が重いヘリアン、それにペルシカは手をヒラヒラ振って答える。

 

『データはありがたく貰っていく、それではな』

 

通信は切れ、部屋に静寂が戻る。ペルシカは大分冷めたコーヒーを啜りつつディスプレイに写った彼の姿をユックリとなぞる。彼女も不思議に思わないわけではない、何故、今この時に彼が現れたのか。偶然か、それとも…首を振り、考えを止める。代りに別のデータを出す、彼にも言ったAR小隊のメンタルデータ、たった数日だが彼と出会ってからの成長振りが一目見て分かるレベルなのだ。擬似的に木のようにあらわしてあるメンタルマップ、前のと重ねて比べてみれば更に分かる、2割は増していると言って良い。

 

ならば、とペルシカは思う。これは彼女らの成長にとって必要なことなのだろう、例え彼女らの望まない結末が待ち受けていようとも。それを乗り越えてまた彼女達は強くなる、そう確信した。

 

「ま、バッドエンドと決まったわけじゃないしね。それもまた彼次第か…期待してるよ?色男君?」

 

フッと笑い、データを消した。

 

 

-同時刻、IOP内演習施設-

 

 

「クシュン(はてさて、誰か噂してるのかそれ以外か)」

 

「おや、寒いですか?今すぐ暖房の設定温度を上げましょう」

 

「いえ、少しさっきのお化粧?の臭いが何処か残って鼻がムズムズするだけのようです、大丈夫ですよROさん」

 

彼のクシャミに律儀に反応し、空調をいじろうとする女性…人形を彼は止める、それに対して「そうですか、何でも言ってくださいね」と振り返りながら呟く彼女は本編で合流するのは第7戦役後と大分遅いAR小隊唯一のAR以外の銃種、SMGのRO635である。赤と黄色?のオッドアイが彼を射抜くが多分、心配してるんだろうと彼は気にしない。台詞からして生真面目なんだけど何処か抜けている印象を受ける人形だし、突発事項にはアタフタしそうだし?あと、ニチアサキッズじゃないのかと思われる戦闘台詞も気になるところである、(今更数え切れるかぁ!!)なんとなく心中で唯一、「罪を数えろ」と言われて律儀に答えたある男の台詞を叫び、吹き出しそうになって口を押さえ考えているふりをしつつ、目の前のディスプレイに視線を移す。

 

其処には室内を銃を手に進む人物のFPS視点が映し出されている、手と装備からしてM4だろう、そう、現在は先程言われていた演習をこなしている最中なのだ。まず、最初に彼とのリンク、指揮抜きでキルハウス内での演習を3回終えた所だ。今度は彼とのリンク有りでの演習となっている。基本設定は「人質となった要人救出。要人、敵テロリストの人数は不明」というオーソドックスなものだ、要人の数が不明というのがまた痛い、先程の一回目は全員救助したと思っていたら要人の秘書も拘束されており、ヤケになったテロリストに殺されかけていたのにギリギリで気付いて無茶な突入をし、人質は重傷、此方も真っ先に突っ込んだSOPMODが重傷判定、盾役のM16も中度の負傷とあまり良くない結果となった、BかC勝利というところだろう。

 

M16が慰めていたがM4は少ししょげていた、しかし残り2回は悪くない結果なのでトントンという所だろう。現在はインターバル後、彼のリンク、指揮のもとでの演習3回目である、実質最終回。ドローンなし、オマケに難易度は先程の3回よりも高めに設定されてるということだったが、彼は(ん~、本編と緊急くらい違うん?)などと独りごちてた。ドローンによる先行偵察が出来ない今、ナノマシンに頼れば敵配置も丸裸だが隠している以上は不可、と言ってもAR小隊から送られてくる各種データ(室内で聞こえる音、返ってくる反響等)からある程度の推測は容易であり、実際、最後の人質がいるであろう部屋に最速で到着、状況終了していた。因みに人質、テロリスト役を努めているのは第1世代の無骨なフレーム剥き出しの人形で、服装で区別している。

 

『人質確保、と言ってもマネキンだがな』

 

部屋に突入したM16が報告、演習終了のブザーが鳴ったところを見ると間違いないらしい。彼女の足元の丈夫な箱の中には縛られた少女のマネキンが入っている、此方が本物の人質だったようだ。作戦としては

 

M16がフラッシュバンを投げ込む

テロリストの視線が一瞬そちらへ行く

上の階からM4とAR-15に足を掴まれぶら下げられたSOPMODが窓越しにテロリストを射撃、同時にM16も突入しフォロー

 

であった、因みにフラッシュバンはその辺で拾った空き缶であり、視線を誘導するだけに投げ入れたのだ。他で倒したテロリストが無線機を所持していたのでフラッシュバン所持がバレているだろうことを逆手に取ったわけだ。最後の罠として目に見えていた人質はテロリストが化けており、油断した此方を攻撃するつもりだったようだがSOPMODの視線に映ったそいつのシャツとズボンの境目にある膨らみが拳銃サイズであることに彼が気づき、その旨伝えていたので油断したふりをして攻撃を誘ったM16に頭をブチ抜かれ、破壊判定を食らってあえなく終了となった。そして、部屋の隅にあった箱を開けてそこに本当の人質を見つけたわけだ。

 

『ん~、敵は旧世代だし銃は模擬弾だし~…不完全燃焼~!ねぇ、こいつらバラして良い?』

 

『良いわけ無いでしょ、IOPの備品なんだから。そろそろ激戦区へ赴くんだからそれまで我慢しなさい』

 

『それにSOPMOD、そんなとこ見せるとラン君に引かれちゃうかもしれませんよ?』

 

『う、うぇ!?それは嫌だー!!って、それじゃあ鉄血バラすの我慢しなきゃいけないの!?うううぅぅ…ランに嫌われたくないけど、あいつら甚振るのも…』

 

何とも可愛い…くはないな、そんな悩みに頭を抱えるSOPMODに彼はフォローを入れておく。

 

「よく分かりませんが、僕がSOPMODのことを嫌うことはあり得ないと思いますが。敵への破壊行為も作戦に支障を来たさないレベルなら特に(オイル塗れで嗤いながら鉄血解体する天使…悪くないな)」

 

そう言われて『そ、そぅ!!良かった~嫌われないんだ~良かった~』とエヘヘと笑うSOPMOD、それに他の皆も『良かったですね」『程々にね』『ま、上手くやれよ?』など三々五々、声をかけつつ部屋を後にする、数分後には此方へ合流するだろう。彼は一つ息を吐き、ディスプレイから目を離し椅子ごと体を反転させる。此処は原作でも背景として何度かみたことがある指揮所と酷似しており、後ろには地図を投影するテーブルが有る。通常ならそちらの方を注視しつつ、ドローン等から送られてくる映像をディスプレイに投影し作戦を進めていくのだろうが彼の場合は何処を見ていても同じなのだ、情報は網膜投影で処理しているのだから。

 

其処でふとROと目が合う、先程とそう変わらないようだが少し目を見開き、驚いているのが手に取るように分かる。取り敢えず彼はROの言葉を待つ間、彼女の胸に注目することにした、多分、AR小隊最大級じゃないのかな?彼女。

 

「その、在り来たりで捻りがなくてすみませんが…凄い、ですね」

 

「有難うございます、AR小隊の皆さんの力があってとは思いますが」

 

彼女の賛辞に礼を返す、胸に注目しながら…ってそろそろ視線を外しなさい。

 

「後学のために幾つかお聞きしたいことがあるのですが…」

 

「良いですよ、後、敬語はやめてもらって構いません、他のAR小隊の皆さんと同じ感じで」

 

「そうですか、ではそうさせて貰います。それでですね…」

 

そう言いつつ、彼女は彼の後ろに回り、テーブルにキルハウスの様子を映し出す、そして彼の背に身を預ける形で質問を開始した。(そういや原作でも夜戦4戦役や低体温症でも不完全ながら指揮してたな、人間不要になるん?そのうち)等と思いつつ彼はそれに答え、同時にROとの出会いも回想していた。先程ペルシカの部屋を退室し此処に向かったわけだが、どうも周りの視線が集まっていることに気づく。IOPに入ったときよりもだ、そこで気付いたのが視線が彼と言うよりもその少し上に集まっているわけだが…此処で彼は気付いた、(耳装備したままじゃない)と。だが外すにも手遅れ、既に何名かの職員に囲まれもみくちゃにされる羽目に。半分は耳に使われている技術への称賛で残り半分は彼への興味で、ほぼ全てが彼への欲望でないだけ、流石というところだろうか。AR小隊も実家(?)のような場所で強くも出にくく…としている所で迎えに来たのがROだったのだ、演習場の準備をしていたのも彼女で、ペルシカなりの気遣いだったらしい。

 

久々のAR小隊全員集合である、職員たちも空気を読んで去っていき、ROに飛びつくSOPMODを見ながら彼は心の中で感動の涙をダバダバ流していた、だって原作ではねぇ…因みに既に彼女はこうして稼働状態にあるが、ある特殊な機能を付属するため、その調整に時間を食っているらしい。彼は(ああ、ラスボス対策ですね分かります。しかし開発にも時間かかるだろうし、かなり前からあのラスボスの能力は判明していた?プレイヤーが知ることが出来たのは第7戦役だよな?6では使ってない筈だし、あの電磁バリアー?的なのもアイツが出してたの?それは置いといても、それ以前に開発者は知ることが出来ていたわけだが…何処で知ったのかねぇ?)なんて考察しつつ付いていったわけだが。

 

そしてRO以外の小隊員は演習へ、ROは彼の護衛という形で残り、今に至る。そしてROは彼の後ろに張り付いたまま色々と質問してくるのだが…熱が入ってきたのか、どんどんと机に表示されるデータに近づいていく。そうなると、まぁ?ご立派な胸部装甲が彼の後頭部にグイグイ来るわけで、彼は実にご満悦だった。もげれば良いのに。

 

そこへAR小隊が合流、「何やってるんですか」とか「当てつけ?当てつけなのね?当ててるだけに!!」とか色々と姦しい会話が飛び交いつつも、久々の再会を喜ぶ。(そうなるとRO、この世界線だと結構早くに開発されていた?皆とこうも思い出話に花が咲く程度に、ん~その辺りの背景はネタバレ嫌いだから全くノータッチだったからなぁ、ストーリーも結構連打で飛ばしてしまったところもあったし…今となっては何と勿体無いことを!)

 

元々、暗い展開はあまり好きではないのでAR-15が離脱、からなんだか嫌な予感がして其処からロクに読まずに飛ばしていたので大まかな内容しか頭に入っていない、ただ、現在は他の目的もあり深層心理というか深いところにある彼の記憶を掘り下げ、サルベージできないか作業中である。ストーリーもだが製造レシピなどもそういうのはかなり漁ったので、もしも残っているなら今後が有利になる。後は戦闘方法、と言うかいわゆる隊列を入れ替え、コントロールするアレだ、それもやってみるかと動画を見た記憶がある。ゲームとは違うので参考程度にしかならないかもしれないが、編成等は勉強になるはず、大(小)竹槍なんか此処でならできそうだ!!ゲーム上で?聞くなよ。

 

「あ、ラン君放って置いてごめんなさい!つい話し込んじゃって!」

 

そんな事を考えつつ、ぼーっとしているとアタフタとM4が此方に寄ってきた。それに対し彼は気にしてないと首を振る。

 

「いえ、久しぶりに揃ったんでしょう?話しているのを見てるだけでも、その、嫌いじゃなかったですから。多分…家族って、こういう感じなのかな、って…なんだか変なこと言ってますね、僕(実際、前世の家族とか一切合切覚えてないですし。その割には娯楽関係の記憶はなぁ…なんでこんな中途半端な?)え?」

 

考えてみれば自分という存在が如何に異常か、何でこうなったのかと今更ながらに思っていたが行き成り抱きしめられる。M4とSOPMODのダブルでだ、その横からM16とAR-15が頭を撫でてくるし、ROは彼の手をギュッと握ってくるし…アレ?思った以上に深刻に受け止められちゃった?適当にこんなシーンにはこんな台詞やろ、ってペラ回しただけだったんだが…と彼は顔には出さないがかなり焦る。

 

「ん、と…有難う、ございます?心配してもらって…大丈夫ですよ、『寂しい』とか、よく分かりませんから(って俺のバカ!!んなこと言ったら!!)」

 

慌ててしまい、口から吐いて出た言葉は正直、余計なものだった。そらお前、感情ないから寂しいなんて気にしない、なんて言われて何も思わないとでも?彼を抱きしめる力は強くなるし、年長者(?)二人は心配そうに見ている、片手で握っていた手も両手で、になってるし。もう此れ以上何も言うまい、そう決断する、これ以上は墓穴を掘るだけだ。暫くしてM4がぼそっと漏らす。

 

「私達では、『家族』になれませんか?人形の私達では…駄目、かな?」

 

「駄目、じゃないです…人間とか人形とか、余り考える必要とない気がして。それに、人が僕に向ける視線…父さんやヘリアンさん、今日会ったペルシカさんなんかは何とも無いですけど、よく分からないですが、他の人からの視線を受けると、嫌な気分ってのはこういうことかなって…説明、難しいですね」

 

正直、さっさとプレイヤー開始地点へ、09区へ突入したいのだ。先の誘拐未遂と言い、対応はできるが正直、煩わしさしか感じない、戦場に近いほうが心休まるとか、何のギャグだろうか?

 

「だからみんなと一緒にいられる、ウン、楽しいんですよね、こういうのが。昨日のお風呂でもUMP9さんからも「家族だ」って言われて嬉しかったんだと思います。人形なんて構いません、皆といられたら…きっと、僕にとってそちらが幸せ?何だと思います」

 

まだ疑問形ですけど、と続ければ皆は嬉しそうに笑う、まぁ裏事情を知ってるM16さんだけちょっと渋い顔だが意見は挟まない、長女は空気を読める。

 

「話は尽きませんし、正直、彼とも話し足りませんがそろそろ時間です。演習も終了しましたし今日はもう、帰られるのですよね?」

 

若干、寂しそうなRO、本当はそのまま彼に、AR小隊について行きたいがまだ調整は終わっていない。無理に行くのは我儘というものだろう、だが近い内には合流できるはず、そう彼女は信じて彼の手をそっと離した。それを受け、彼を中心に部屋を出、ペルシカの部屋へと向かう。

 

「そう言えば明日、ラン君に就く戦術人形と顔合わせがあるみたいですね、どんな娘が来るんでしょうか?」

 

「誰かさんみたいに灰汁が強くない娘が来てくれれば良いわね…」

 

「ちょっとAR-15、何で私の方見るのさ…」

 

「別に?気のせいじゃないかしら」

 

「勝利厨のくせに…(ボソッ)」

 

「SOPMOD?」

 

「べぇ~つぅ~にぃ~?」

 

「ほら、その辺にしておけ。迷惑だぞ」

 

「「ふんっ」」

 

「実際、どの程度の戦力を渡されるのですか?行き先は激戦区と聞きました、少なくとも2小隊分は必要と思いますが」

 

「そうだな、それを編成できるくらいは回せるだろうとヘリアンが言っていたよ。後は私達AR小隊と…404がいるからな、何とでも出来るさ」

 

「そう、ですね…(そんな上手くいくかって~の)」

 

和気藹々と雑談する中、彼は心の中で冷めた笑いを浮かべていた。確信を持って言える、女尊男卑に凝り固まった上層部は必ず妨害してくると。誘拐未遂など軽いジャブにすらなっていない、とりあえず借金漬けにしていた奴を捨て駒にしただけ、彼の警備体制を見る意味合いくらいしか無かっただろう。此処からだ、と彼は気を引き締めた。

 

人は愚かではないが賢くもない。

 

例え滅亡の危機にあろうと、首を絞められ目の前に剣が迫ろうとも。城下に火を放たれ後は腹を切るか首を括るかこめかみを撃ち抜くか、そうなるその寸前まで一致団結なぞ望むべくもない、強大な敵へ人類一つで立ち向かう?ハリウッドでやれ。

 

(ほんま、信長さんは正しかったんやなって、回さない方のノッブね。あ~そういや黒王様は結局誰だったんだか?大工の息子さんはミスリードっぽいよな、タンクデサント知ってたらしいから結構近代かぁ、あ~こうなると俺も意外と未練たらったらよな?)

 

どうしようもない、と口の中で自身を嘲笑う。だがそう、どうしようもないのだ、だったら今此処で自分を守り、信じてくれている彼女等のために力を使わずなんとする?

 

(邪魔するってのなら良いさ、それを踏み潰し、粉砕し、進んでいくだけだ。ああ)

 

彼の瞳、深い蒼が一層深くなる。

 

(彼女等が笑っていられるなら…()()()()()()()()()




ROを出したいがためにぶっ込んだ話な気がする、原作的には可動してたかすら怪しいけど気にしない。

演習内容についてはツッコミ勘弁してください、そういう事もするだろうという事で。

体を人工物に置き換えた人間をどう定義するか、攻殻機動隊等でも扱ってましたね。「チタン製の頭蓋骨の中に入っているのが脳だと、誰が保証する」とかだったかな、技術が進めばそういう問題も。

やっぱ、イチャコラセクハラ勘違いさせてるほうが筆は進むな~、早いところそれが出来る体制まで持っていきたいですね。


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「変態に技術を与えた結果が此れだよ!」

取り敢えず、イチャコラばかりに拘らず進めることにしました、進めていけば何時かは出来る!!

小さな筆者も忘れていたような伏線を回収、いや大したことじゃないんですけど。

後、主人公が人間性を無くしたり(大幅な性格改変含む)、死ぬことはありません。


妖精、調べれば調べるほど資材を食うシステムですね。絶対に手を出す必要はないのかな?それともいずれは必須に…怖いなぁ。






-IOPより帰還した当日夜、???-

 

 

LAN>>Log in

 

LAN>>おるか~

 

SUP1>>Log in

 

SUP2>>Log in

 

SUP3>>Log in

 

LAN>>ここやで?ってな。報告宜しく、まずはマッピング。

 

SUP1>>ナノマシン散布により、S09地区全域のマッピング完了。探索領域を広げますか?

 

LAN>>いや、今は良いや。で、どう?09地区の前任指揮官殿はなんか隠してた?

 

SUP1>>肯定。数カ所に分散し資材、嗜好品の備蓄を確認。グリフィンへの報告書への記載はありません。

 

LAN>>お~やっぱやってた?PMC指揮官にしては生活派手過ぎるからなんかしてるとは思ってたんだ。最悪、ナノマシン×崩壊液で資材創り出さんといかんかったしな、量的には?

 

SUP1>>リストは此方に。

 

LAN>>…は?(困惑)、いやいや流石に多すぎでしょ。これ、もしかしてコイツ『排斥派』の金庫番的な?

 

SUP1>>部分的肯定、その一人と思われます。集中は管理を安易にしますがリスクが増大します。

 

LAN>>それにしたって…こいつら人類の危機って自覚ある?ないんだろうなぁ…

 

SUP1>>お知りになりたい場合は調査を行いますが。

 

LAN>>いや、無駄無駄無駄。で、此れに対する前指揮官の動きは?

 

SUP1>>子飼いの人形に高級嗜好品の回収を命令、ヘリの使用許可を得ています。1時間後に出発予定。

 

LAN>>え、今は何処かの指揮官じゃないっしょ?よくヘリ使用許可が…ってああ、その担当も『排斥派』?どんだけ汚染されてんだよ

 

SUP1>>寧ろクルーガー氏は良くやっている方だと判断します。回収部隊はどうされますか?

 

LAN>>ああ~、資材じゃないなら…いや、この時代なら嗜好品は黄金並みの価値があるな、妨害しろ。

 

SUP1>>出発『前』、『後』、どちらに致しますか。

 

LAN>>ん?あ~…どっちでも良いがそうだな、『前』で。シナリオはヘリにテロリストが細工して使用不能に、とか適当に。

 

SUP1>>了解。声明文を偽造しておきます。工作はヘリの何%を。

 

LAN>>全部でいいぞ、いや待て。まともに働いている指揮官の下への物資が滞る可能性があるな、その辺りに最低限送れる分は残しておいて。

 

SUP1>>了解。例の担当者が『排斥派』の仕事を優先する場合があると思われますが。

 

LAN>>どうせ碌な事してないだろ、匿名で脅しかけとけ、証拠付きでな。それでも優先するようなら例のアレ、プロトタイプが完成したんだろ?使って洗脳しろ。

 

SUP1>>まだ試験段階で後遺症、下手すれば廃人になる可能性がありますが。

 

LAN>>あ、そうなんだ。で?それが何か問題?

 

SUP1>>了解。

 

LAN>>さて、後は…おっ!この人形がいるのか!!うおっ!コイツまで!!うわ、マジで?どんだけ前任馬鹿なんだよ…連絡取れそう?

 

SUP1>>ナノマシン通信を使用するなら容易ですが。

 

LAN>>手の内はまだ晒したくないな、直接は無理なら…あ、地区境界線ギリギリの所に少しいるな、ドローンは飛ばせる?

 

SUP1>>肯定。多少時間はかかると思いますが。

 

LAN>>それは仕方ないな、恐らく俺の09入りも後回しになるだろうし丁度いいと思おう。そっちの人形に繋ぎを付けて貰うって事で。連絡ついたら此方に回してね。

 

SUP1>>了解。

 

LAN>>此れが上手く行けば明日俺の下に配属になる人形が減ってても…あぁ、妨害はやっぱある?

 

SUP1>>肯定。当初は10体配属予定でしたが3体まで減っています。

 

LAN>>ですよね~、もうだめだぁおしまいだぁ…とでも言うと思ったのかい!?想定の範囲内だよぉ!!寧ろ0じゃないだけ凄いわ。物資は?

 

SUP1>>其処はヘリアンが死守したようです、予定通りに。

 

LAN>>やるじゃん、ポンコツ呼ばわりしてゴメンね!後は…『傘』の解析は?

 

SUP1>>解析率5%、担当AIも手こずっているようです。

 

LAN>>ん~、第6戦役相当の時間軸までには何とか頼むぞ、せめて弱体化出来る位には。

 

SUP1>>了解。

 

LAN>>ああそうそう、ペルシカさんから貰ったケモミミ装備に内蔵されたアプリ、送っとくから参考にね。しかし味気ないよなぁ君らの応答、人形の感情モジュール入れない?

 

SUP1>>投票開始…反対

 

SUP2>>反対

 

SUP3>>反対

 

SUP1>>満場一致で否決。必要性がありません、リソースを無駄に割くことになり非推奨。

 

LAN>>へいへい、俺が悪うございましたよ。人形への装備開発、俺の護衛用人形、開発も宜しくね。ああ、人形工場もあるんだな、此処。

 

SUP1>>肯定。IOP、鉄血の第一世代製造工場で第二世代に移ってからすぐに閉鎖された模様。 『蝶事件』における汚染も受けていません。

 

LAN>>じゃあその辺りで研究して…第二世代の情報も頂いてきたから…ペルシカさんにゴメンナサイシつつ、パク、リスペクトさせてもらうとしよう。さて!最後に一番重要な議題だ!!

 

LAN>>ズバリ!俺自身の肉体の強化案について!!

 

SUP1>>Log out

 

SUP2>>Log out

 

SUP3>>Log out

 

LAN>>オイイィィ!?お前ら本当に感情ねぇんだろうなぁ!!!!!!!

 

LAN>>( `д´) ケッ!

 

LAN>>Log out

 

 

-翌日、グリフィン本部廊下-

 

 

さて、ペルシカと邂逅した翌日、彼はM16と共にある場所を目指していた。要件は顔合わせ、彼の専任になる後方幕僚と共に戦う人形らに会うことになっている。因みに昨晩はAR-15と同衾してお楽しみでしたね、と言いたい所だったがケモミミ装備で同じベッドにinしたは良いがAR-15はガチガチに緊張してるし、M4を笑えないや。しょうがない()ので倫理コードの解除作業に勤しみ49%の解除に成功、少しは大胆になるかな?と思ったがそっと壊れ物に触れるように頭を撫でてくるだけでそれ以上はなし、ヘタレかな?痺れを切らした彼が甘えるように抱きつき、胸に顔を擦り付け「ゴロゴロ」喉を鳴らしてみたら。

 

「ハフン」

 

なんて声を発したかと思うと強制スリープモードへ、いわゆる寝落ちである。ガ ッ ツ が 足 り な い 。まぁ、朝起きた時は清々しい笑顔になっていたから良しとしよう、具体的には答えを得て朝日の中に消えゆく某正義の味方のような…って駄目じゃん!その後は要件のある彼とM16以外の人形はSMGであるトンプソンを入れた演習をしてみるとのことで本部の演習場へ、彼とM16は顔合わせの前に完成したと連絡のあった彼のグリフィン制服を受け取りにまず赴いた。其処には被服部門の責任者が待っており、かなりの突貫で作業をしたらしく目の下にクマを蓄えつつも朗らかな笑顔で待っていた。

 

彼としてはギリギリに間に合えばよかったのだが彼女曰く「仮にも新しい部下に会いに行くのですから格好も大事!」とのことで昨日の今日で作ってくれたらしい、どうやら『排斥派』ではない様子。で、早速着替えてみようと素でその場で脱ぎ始めた彼をM16と責任者が慌てて止めたのはご愛嬌だ、どうやら変態度も低いらしい、紳士?淑女と言うべきか。それで着替えてみたわけだがデザインはヘリアンが着ているアレ、赤のコートっぽいやつだがそれが股下辺りまでに短く改造されており、その上、下は半ズボンである。此れには流石に彼もジッと責任者を見た。だって大体において寒冷地ぽかったし?舞台、そんな所に半ズボンとか罰ゲームですか?

 

それに対して責任者はよくお似合いですよ、と目を逸らしていたが彼は気付いていた、その視線が彼が後ろを向いた時にヒザ裏をガン見していたことに。それで気付いた、(コイツ、よく見たら俺が此処についた時に視線探ったらヒザ裏見てたマニアックなやつじゃねえか!!や、野郎!いやこのアマ!!自分の性癖優先しやがったぁ!!)どうしようもないな変態、だが彼もあまり人のことを言えないのでイーブンではなかろうか。既に正規登録もしたらしく変更も難しい、流石に悪いと思ったのかクルーガーが前で留めずに羽織っていたコートを彼サイズで作ってくれていたので、彼は被服部門の予算を半分くらい削ってやろうかいと考えて、否、ほぼ実行仕掛けていたのを許してやることにした。なお、それを羽織ってくるりと一回転してやったら「コート裾から動く時に見えるヒザ裏チラリズム…イイ!!」なんて口の中で呟いてらっしゃったが…今日もグリフィンは平和です。

 

尚、ほぼ無言で彼をチラチラと見ていたM16は彼の見えていない所で(バッチリバレていたが)責任者と握手をしていた、何処かが琴線に触れたらしい。(今度変な行動をしたら、★5ジャケットMAX改造したのを着せて0-2突っ込ませるぞ…)と少し黒い想像をしてしまったのは内緒だ。替えの制服は今の仮の拠点である宿舎へ先程まで着ていたのと共に運んでおくとのことなので、彼とM16は其処を後にし、早速と顔合わせの場所へ。廊下を行くと今度は欲の混じった視線の他に敵対的な視線が突き刺さるようになる、彼がグリフィンの制服を着たことにより「働く男」アピールが視覚的になり、それが憎悪を掻き立てるのだろう。M16も気付いているのかそっと彼に近づき、何時でも彼を抱え逃げる用意をする。

 

そんな視線の中にザマアミロという視線が交じることに気づき、ステルスで連れてきているドローンのカメラを向け顔の画像を保存する。この場でザマアミロということは彼へ配属される人形が減ることを知っているということ、つまりは『排斥派』ということだ。見たくもないが顔を覚えておいて損はない。ついでにそいつの足元のタイルに干渉し摩擦係数0にしておいてやった、ピカピカの廊下に感謝して五体投地するが良い。彼が進む後ろの方から悲鳴と複数人が倒れる音が聞こえたが気にしない。

 

そして目的地へ着き、彼にとっては既に判明している問題へ直面するためにノックし、入室する。彼より先に入ったM16は中のメンツに目を向け、眉をひそめるが、何も言わず彼に場を譲った。進み出た彼の前には4つの人影、人が1と人形が3。人は予想通り目がドルマークになる女、カリーナだ、因みに彼はゲーム開始時には彼女も人形と思っていた、悪魔も泣いちゃうゲームでカリーナアンってあったからそれに釣られて。そして人形は

 

「スオミKP-31,着任します。指揮官の部隊で使命を果たします!」

 

「ウェルロッドマークII着任します。以後、貴方の指揮下で存分に腕を振るいましょう」

 

「はじめまして指揮官、この私にできることがあれば、どうぞご命令を」

 

SMGスオミ、HGウェルロッド、RFスプリングフィールド、この三名だ。そして最後にカリーナが

 

「はじめまして指揮官様!!兵站などを担当します後方幕僚のカリーナです!!お買い物の際には是非、一言おかけくださいね!」

 

ウン、平常運転だった。そんな彼女等に彼とM16は軽く自己紹介をし、そして。

 

「さて、私の言いたいことは…分かるよな?」

 

軽くキレかけているM16にスオミは少しビクッと反応しウェルロッドは無反応、スプリングフィールドとカリーナは表情は違えど「そうなりますよね~」と困った笑みを浮かべていた。彼はと言えば

 

(ん、☆5に小竹槍要員のRF,ヘリアンよく頑張った、感動した!此処で貰える数は問題じゃないし、此れで良いんだよ此れで。で、スオミか、スキン優遇とか凄いよね!一個も当たらなかったけど、当たらなかったけど!!ああでも今俺の目の前には動く本物が、ならばあのどうしようもないヒザ裏フェチに衣装作ってもらえばエエねん、膝チラしたら作ってくれそうな気がする。ただロシアとソ連製な人形となぁ…編成気をつけます。で、ウェルロッドね、この間はオバカさんの始末ありがとうと後でお礼言っとかな。そして春田さん!ママ味が凄い!カフェなんかも開け…あ~あ~あ~あっちゃ~貴女かぁ)

 

何か色々と妄想している余裕っぷり、分かってたからね。そうしているうちにカリーナが持っているタブレットが通信を受信、ヘリアンの立ち姿が表示される。

 

『顔合わせは済んだようだなラン…いや、指揮官』

 

「はい、無事に。配属の手配有難うございました」

 

特に苦情も、もう少し増やせないかと交渉すらしない、此れにはこの場にいた全員が驚いた、画面越しのヘリアンも、流石に何か言われると思っていたのだ、彼は感情は表さないがこと、戦闘に関しては求めるラインは高い、と報告書にあったので。そしてM16が流石に口を挟む。

 

「指揮官、分かっているのか?当分は追加配属はないということだぞ?つまりは彼女等と私達AR小隊、そしていつ帰還するか分からない404,実質的に可動が可能なのは2小隊だ。此れで数日後に09地区へ向かうんだぞ?流石に此れは…ヘリアン、どういう理由で此処まで減った?」

 

『急遽、他の地区で戦力増強が必要だとねじ込まれてな、実際に激戦区でもあるので拒否も出来ない。データも添付されてきたが精査する時間もな…士気のこともある、残念ながら出すしかなかった。』

 

「それ!…」

 

それでも!と食い下がろうとしたM16の手を彼が掴む、視線が合い、彼は首を振った、大丈夫、と手を握る力を強めながら。それを見てM16はこの場で誰が喋るべきかを思い出し、熱くなってしまったことを恥じ、顔を少し赤らめながら彼の後ろに下がる。

 

「(分かってるけど確認)物資に関しては問題ないのですね?」

 

『ああ、それもそちらに回すべきと言い出す輩がいたが黙らせた。兵も与えず物資も与えず戦場へ送り出すのか、とな。何ならお前もやってみるかと聞いてみたら謹んで辞退されたよ』

 

暗い笑みを浮かべるヘリアン、どうやらかなりキているようだ。

 

「それが頂けるのなら問題ありません、出立は時間どおりに?」

 

『いや、それが輸送用のヘリがテロリストの妨害工作を受け使用不能になってな、必要最低限のヘリしか動かせない。それこそ真の最前線を優先しなければならないので貴君らの出立は先延ばしになる』

 

まるで偽の最前線があるとでも言いたい台詞だ、まぁ先ほど増援を求めた所とは何の関係もないのだろう、イイネ?

 

「そうですか、それは大変ですね(指示者、俺!!実行者、ナノマシン!実質!犯人!それも私だ!!ドヤァ…)」

 

何だこの悪党、そんな彼にヘリアンは少し眉を下げ、口を開く。

 

『…責めないのだな、私を、ひいては…彼を』

 

それが指すのが誰か、分からない程彼も鈍感ではない。そして彼はヘリアンやクルーガーを責める気もない、皆、良くしてくれているのはよく分かっている。そして実はこういった妨害をしてくる輩に対しても怒りは持っていない、寧ろ…

 

「何を責めるのですか?十分なサポートをして頂いています」

 

心底分からない、と首を傾げておく。それを見てもヘリアンは「だが…」と続ける。

 

『万全の体制で送り出すべきなのに…粘ってみてもこの有様だ、とても十分とは言えないと思うのだが』

 

恐らく、此処数日はろくに寝てなどいないのではないか?彼のために出来る限り勝ち取るため、そんなヘリアンに彼は「大丈夫です」と告げた。

 

「恐らく、父…クルーガー社長やヘリアン代行官は僕を万全の体制で送り出すために相当な戦力を僕の下に就けようとしたのでしょう?此方の三名を見るに」

 

そう言って人形3名の方へ視線を向ける、少ないと言えども★4,5の高性能人形、別にそれで判断する気は毛頭ないがそれでも、だ。

 

「もしかしたらかなり高性能な人形で固めていたのではないですか?」

 

返ってきた首肯は肯定、かなり頑張ったようだが今回はそれは悪手だ、クルーガーも人の子なんだろうか?なんて彼は思う。

 

「確かにそれほどの戦力を持ってすれば09地区が激戦区であろうと、戦果を上げることが出来るでしょう。そして言われるわけです、『アレだけの戦力を与えられれば当たり前、誰でも出来る』と。」

 

それにヘリアンはハッとし、反論しようとするが…思いつかない。彼は(あ~本気で気付かなかったっぽいな、パパンもヘリアンさんも切羽詰まってるのかなぁ…不味いなこりゃ)である、仮にもグリフィンを設立、その力を持って鉄血との境界線を維持し続けている男がこんな簡単なことも見落とすとは、相当に不味いのではないか?彼はそう思う、(こりゃ自重は当分封印だな)え?してたの?

 

「(多少は手札を切っても一気に09地区を人類生存圏に収める、そしてそれを成したのは反対を押し切って俺を採用したクルーガー、彼の手柄だ)だから、此れで良いんです。端から見れば不利な状況、だがそれを覆してこそこの勝利に意味を与えられるのです」

 

『それは分かるが、実際、戦力が必要なのは…「宛はありますよ?」なに?』

 

それでも、と不安要素をあげるが彼はそれを否定する。

 

「他に幾つか人形を増やす方法はあります、だから代行官にお願いしたいのは野良人形の迅速な指揮下への編入を行える権利です」

 

野良人形、いわゆるドロップ人形は原作ではそのまま使えるが此処では調べたところ、結構面倒なようだ。先ずは何らかの汚染を受けているのではないかの確認、次に他の指揮官、もしくは組織に所属していたのではないかの確認、それを行った後にやっと発見した指揮官の下へと配属になるのだ。だが、例外もある。

 

『・戦力が劣る基地であること。

・簡易的でも汚染を調査可能であること。

・人形自身の意志を確認し、許諾されること。』

他にも細々した条項はあるが、大きくは此処をクリアすれば後は何とでもなるのだ。此れを聞いたヘリアンは彼が何をしようとしているか、朧気ながら理解し、同時に驚きを覚える。彼が見つかり、ここに来てたった数日だ、なのに既に此処まで先を見据えた行動を取れるようになっている。

 

『何をやっているか…は聞かないほうが良さそうだな』

 

ニヤリと笑うヘリアンに彼は視線を逸らすことで答えた、まぁ万が一の際には知らぬ存ぜぬを通すためだ、当然である。

 

『分かった、クルーガーさんには事後承諾で構わないだろう。最大限気がけてやれと言われているからな、戦力が整うまでの期間限定だがそちらの望み通りにしよう、報告も一切必要ない。しかし…此れは逆に奴らは馬鹿をしたことになるな』

 

苦笑するヘリアンに彼も賛同をこめて首を振る

 

「ええ、正直な話…妨害されずに予定通りの戦力を渡されるほうが厄介でした(万が一にもなかったろうけどな、感情で動くとこうなるのさ。ま、妨害する気がなかったにしても、させたけどね?)、だからその人達には正直、感謝?してるんです、実感はないですけど。そうだ、ヘリアン代行官」

 

『何かな?』

 

「お礼状を贈りたいのでその人達のアドレ『止めてくれ、大変なことになる』そうですか、残念です」

 

本気だったんだけどなぁ、と彼はボソリとこぼし、ヘリアンは顔を引き攣らせる。気を取り直し、ヘリアンは彼に命令を告げる、上官として。

 

『ではラン指揮官、正式な指令だ。現時刻を持って貴官をS09地区担当指揮官に命じる。全力を持って当たれ、良いな?』

 

「拝命しました、全力を持ってS09地区鎮圧に務めます」

 

では頼む、そう言ってヘリアンは通信を切った。彼はフゥと息を一つ吐き出し、緊張を解く、それなりには強張っていたようだ。そしてある意味置いてけぼりを食らっていた面々へ向き直る、 「うわぁ、大変な指揮官のところに来ちゃったぞ」とか、無表情とか、「あらあら」とか、そんな表情が彼を迎える。

 

「大変?そうでもないかな?そんなスタートですが大丈夫です、何とかします。だから僕を信じてその力を奮ってください、宜しくおねがいします」

 

頭は下げない、安くするとUMP45達に指摘されたから。そんな彼に人形達は大まかに、頑張りましょう!的な空気になってくれた。なら、と彼は告げる

 

「では取り敢えず僕たちが使わせてもらっている宿舎へ、他の皆とも顔合わせをしましょう」

 

それを聞き、ゾロゾロと出口の方へ…と向かっていた所でウェルロッドがそっと彼の方へ近寄る、M16が少し警戒するが彼が抑える。

 

「指揮官、少しお耳に…」

 

入れたいことがとスプリングフィールドの方を見つつ、そう言いかけたが口を噤んだウェルロッド、彼が人差し指を口の前に置き、「シーッ」の体勢をしていたから、そして頷く、「分かっている」と。そのまま彼とM16は扉へと向かい、その後ろにウェルロッドが続く。ウェルロッドは多少の驚きを覚えつつ、自身の指揮官となった彼が思った以上に優秀と知り、上方修正していた。

 

(さて、と…誰かは知らんが指揮官諸氏の憧れ、溢れる母性を持つ彼女になんてことしやがってんだファッキン!!ぜったいに許さんぞ、虫けらども!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!便所に隠れてようとも見つけ出して野郎オブクラッシャアアアアア!!!)

 

 

LAN>>やりやがったアマを見つけ出せ!!血祭りにあげてやる!!とに拷!とに拷!

 

SUP1>>了解。心拍数が上昇しています、鎮静プログラムを使用しますか?

 

LAN>>いや、大丈夫だ落ち着いた。頼んだぞ。

 

 

何やら激おこプンプン丸な彼を伴い、廊下を進む。何やら向こうの方…先ほど『排斥派』を見たほうで騒ぎになっているようだが…進入禁止のテープが張り巡らされて、警備員が人が入らないようにしている。彼と一同は何事か、と横目に見ながら通り過ぎる。

 

 

SUP1>>マスター、一つ報告が。

 

LAN>>なんですかな?

 

SUP1>>先程指示されました摩擦係数操作ですが、場所の指定はありましたが時間の指定がないため、無制限です。

 

LAN>>あ゛…戻しといてぇ↑

 

SUP1>>了解。

 

 

お前ねぇ…




やりたかったこと、ナノマシンとの会話で大体こんなんです。SUPは統括者(
Supervisor)から。

一応、名前もつけてるんですけどそれをHNにすると行調整が大変なので。本人(?)達も名前で呼ばれなくても気にしてません。

数々の妨害がありますが、主人公にとっては望むところ、後々にイチャモンつけられなくて楽ってなもんです。前世は縛りプレイ好きだった?

しかし同シーンにいるキャラが増えると書くの難しいですね、各自に喋らせすぎると収集つかなくなるし、黙ってると影薄くなるし…加減が難しい、精進します。

今回より以下に所属人形を明記することにします。随時追加予定。

-------------------------------------------------------------------------------

主人公基地、所属人形(着任順)

[HG]
ウェルロッド

[MSG]
UMP45
UMP9
トンプソン
スオミ

[AR]
M4
AR-15
SOPMOD
M16
HK416
G11

[RF]
スプリングフィールド

[MG]
未着任

[SG]
未着任


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「フラグは死んだ!もういない!!」

何故こうも短時間で書き上がったか、それは春田さんが尊いからだ。それだけよ!

>>でも絶対にエタるな(恫喝)

ヒェッ、そしてGoodが多いwww着地地点はもう脳内に出来上がってるので、後は今少し時間と予算をいただければ・・・


>>半ズボンショタもよいけど寒冷地ならタイツを履かせてもよいかも

ようこそ、此方側の世界へ…採用します



そしてこの貞観罰ゲーム(なんて略し方だ)お気に入りが2000超えを達成しました!!有難うございます!やはり数字で見るとやる気が段違いですね、今後とも宜しくお願いします。

…とは言えですよ、あの、プレッシャーで夜しか眠れないんですがどうしましょう?


-同日夜、404が使っていた宿舎-

 

 

「成る程、スプリングフィールドさんはカフェを開くのが夢なんですね」

 

「ええ、人形の私がとも思うのですが…可笑しいでしょう?」

 

「そんな事ないですよ、開けたら皆も喜びます。僕も客になってみたいな(バッテリー…レコード…スキンで開放…ウッ、頭が)」

 

「そう、ですか?そう言って頂けると嬉しいです」

 

ベッドに腰掛け朗らかに笑うスプリングフィールド、その隣には彼。トンプソンは窓際でこの時代では珍しいのか?パイプをくゆらせノンビリと紫煙を吐き出し、ウェルロッドは近くの椅子に座り端末を弄って何やら調べている、スオミは端末にイヤホンを挿してなにか聴いているようだ、フンフンと優しくハミングしてるように見えるだろう?ヘビメタ聴いてるんだぜ?多分。

 

あれから彼とM16,新入りの人形と演習をしていたAR小隊らと合流し顔合わせを済ませた。新人3名は特に性格に難があるわけではない、スオミも現状は嫌いなロシア、ソ連製の人形はおらず安堵していた。多分、今だけだけどね?

 

ちょっと手狭になったがAR小隊に当てられた宿舎に集まり、食事を取り色々と話して打ち解けた、因みにカリーナもいる。スオミがM4にヘビメタを半ば強引に勧め、押しに弱いM4がアワアワしているのを彼が助ける場面もあったが。後、M16とトンプソンが「今度、飲みに行こうぜ」的な約束していたり。

 

AR-15がカリーナに何か取り寄せるよう頼んでいたり、何でしょうねぇ…胸を寄せて上げる動作をしてたのは関係ないよね?そんなこんなで夜も更け、寝る時間となる、今夜は新しい人形と親睦を深めるという意図で404が使っていた隣の宿舎に彼と3名、そしてトンプソンが寝ることになった。

 

カリーナはAR小隊と同じ宿舎で、やはり人間が彼と一緒の部屋で休むことには一部の人形が難色を示していた、何となくだが。彼としては「大丈夫と思うけどな」と内心考えていたがその辺りの意見も無碍には出来ない、カリーナ自身も分かっているのか気にせず、「パジャマパーティーですよ!」とかはしゃいでいた。

 

後、SOPMODの趣味を聞いても引かず鉄血のパーツを保管しておくケースはいかが?なんて商売を、お前すごいな!!カタログを熱心に見詰めて鼻息荒くなってるSOPMODらに彼はお休みを言い、部屋を移った。

 

そして彼との同衾だが、精神安定のためとヘリアン辺りから説明があっていたらしくスプリングフィールドが最初は、と買ってでた。スオミは流石に会ったばかりで恥ずかしいだろうし…頼めば真面目だからしてくれるかもだけどね、他の二人はまだまだ好感度が足りない。とはいえすぐに寝るわけでもなく、互いにしたいことをノンビリとする、優しい空気が流れていた。

 

と、彼が表情を引き締め真っ直ぐにスプリングフィールドの顔を見た。それを見たウェルロッドは端末を置き、そっと気づかれないようスプリングフィールドの後ろへと移動する。トンプソンはチラリ、と視線をやるが特に何も言わずに意識を払うだけにしている、スオミは全く気付かず音楽に没頭していた、そのうちヘドバン始めるんじゃなかろうか?

 

「スプリングフィールドさん、その、お願いがあるんですが」

 

急に真面目な顔で見つめられ、ドキッとしたのか少し顔を赤くしつつ、それでも優しく微笑み答えるスプリングフィールド。

 

「は、はい。私で出来ることなら何なりと」

 

「そうですか、有難うございます。では…『()()()()()()()』」

 

別に声に出す必要はないが「彼がやった」と周りに知らせるため、念の為に。それを聞くとスプリングフィールドの瞳に光がなくなり、フッと後ろへ倒れ…それをウェルロッドが片手で支えた。空いた手には彼女の名を冠する一見するとトンファーにも見えるそれを握りしめている。(ちょ!?まさか始末するとか言わないよな!?俺、そんなん頼んでないって!!)慌てて彼はウェルロッドを手で制しそのまま寝かしてもらうよう頼んだ。

 

此処でやっとスオミが事態に気づきイヤホンを引き抜き此方に寄ってくる、イヤホンから漏れる音楽は矢張り、だった。てか、此処までイヤホンから聞こえるってどんだけ大音量で聴いていたのか。

 

「し、指揮官!?その、そういうことはちゃんと互いの合意を得てからなさった方が!?」

 

かなりずれたことを叫ぶスオミに彼は

 

「いえ、合意を得ようとする場合、遠隔操作で起動される恐れがあるので出来ません」

 

と、首を振りつつ答える。え?と首を傾げるスオミや他の人形にも見えるように彼はあるものを起動する、それはスプリングフィールドにインストールされている各種プログラムの一覧だ。射撃管制やお菓子作り、と言った彼女らしいものが並ぶがその最後に表記が文字化けしているものが2つ、存在していた。

 

これは彼がある人物から貰ったアプリを使用しているからであって、通常ならば適当な名前のプログラムとして表示され気づかれない。空中に浮いたウィンドウ、その文字化けプログラムに彼が触れると真の名前が顕になる。それを見た者は口を歪め、ある者は口を押さえて息をつまらせる。

 

「山の翁」または「山の老人」を意味する言葉と「大麻」を表すそれ、これがそのプログラム名。有り体に言えば人形を暗殺者に仕立て上げるプログラムだ、それもかなり胸糞悪い部類の。前者が発動すると人形は殺すことがターゲットにとって最も素晴らしい事であると思いこむようになり、実行しようとする。

 

例えその事に違和感を覚えても後者が発動し、強烈な快感と、酩酊感を与えて囁く、「それが貴女と相手の幸せなのです」と、其処までされると人形に抗うすべはない。違和感を覚えずとも実行時にも後者は働き、人形のメンタルモデルを廃人同然まで追い込む。

 

万が一にも意識が残ろうとも気付いた時に残っているのは地獄だ、足元には親しくしていたか愛していた相手が血塗れで倒れ、自分の手には凶器。それがトドメだ、後に残るのは死体とメンタルモデルがボロボロになった人形。痴情のもつれか人形が電子ドラッグをやった末の狂乱として処理される。そしてこれの恐ろしい所は通常の検査では発見されない、何故ならば。

 

「これはウィルスでも何でもない、きちんとした会社の製品なんですよ…だから検査にも引っかからない、僕もペルシカさんから貰ったアプリがなければギリギリまで気付かなかったかもしれません…(ソフト関連はまだ脆弱だからな、俺も)」

 

「つまり、『トロイの木馬』って奴か、ボス」

 

ニヒルな笑みも引っ込み、歯軋りするトンプソンに彼は頷き、その悪意の塊の表示を掴み握りしめる。光の欠片が飛び散るエフェクトを残し、悪意は砕け散った。彼は念の為、他に何か不味いものは潜んでいないかと調べながら、ふと、ウェルロッドに尋ねる。

 

「そう言えばウェルロッドはこの事に気づいていたんですか?会った時に…」

 

「えぇ、いえ、正確にはなにか細工をされている可能性に気付いていただけです、此処まで酷いことをされていたとは…」

 

彼の問いにさしもの彼女も顔を引き攣らせながら答える、何でも顔合わせの前に緊急メンテがあると急に整備の方から連絡が来たのだそうだ。しかし定期メンテは数日前に終了しており結果、問題無しとその整備部から言われていたのだ。不審に思い調べてみると彼の配下になる人形にだけ緊急メンテが入っていることに気付いた、此れは可笑しいと急な仕事が入ったと装いメンテから逃れたとのこと。

 

その話を聞き、トンプソンの視線がスオミに突き刺さる。それを受けて両手を前にしてアワアワしだすスオミ、どうしたものかと間合いを詰め始めるトンプソン。そんな二人に視線はスプリングフィールドのデータから目を離さないまま、彼が止める。

 

「落ち着いてくださいトンプソン、彼女には問題ありませんよ、確認しました。恐らくは何らかの形でメンテを逃れたのでしょう、整備の方もスプリングフィールドさんだけに仕込めばなんとかなると放置したのかと」

 

その言葉に首をブンブンと縦に振るスオミ、それならばと力を抜くトンプソン、だがそれはそれで疑問が残る。

 

「ん?罠だと気付いてなかったんだろ?どうやって逃げたんだ?」

 

「そ、そのぅ…」

 

理由を聞かれ、モジモジし始めるスオミ、何で恥ずかしがるんだ?と不思議に思う一同だが、意を決してスオミが話した理由に呆れと納得を覚える。

 

「い、行きはしたんですよ?で、でもその…メンテナンスベッドに寝るように言われたんですが…そのベッド!前に寝た人形がロ、ロシア製だったんですよう!!!」

 

それで彼女、「ロシア人形の臭いがするううう!!!」と叫んで制止を振り切り逃げ出したそうだ、まぁ結果オーライですが。因みに公式と言うか、原作でもガチでこの対応である。あからさまに呆れた顔をするトンプソンに「だ、だってロシアですよ!?有り得ないです!!」と正当性を訴えるが残念ながら「あぁ、そう…」くらいの反応しか引き出せず肩を落とした。そうこうしている内にスプリングフィールドの精査が終了する、此れで完璧、後は起こすだけとなった所でウェルロッドが口を開いた、手には銃を持ったままだ。

 

「それで指揮官、彼女をそのまま採用するのですか?貴方の麾下に」

 

「はい、チェックでもオールグリーン、何ら問題ありませんから…何か?」

 

心底不思議そうに尋ねる彼にウェルロッドは「いぇ…」とだけ返し、銃をホルスターに戻した、「しょうがない人だ」と言った風な表情をしながら。何だかよく分からず首をかしげる彼に何とか復活したスオミが微笑む。

 

「指揮官は、お優しいんですね」

 

「優しい、ですか?その…よく分からないんですが」

 

「本来、とまでは言いませんが殆どの指揮官が人形に問題があった場合は解体処分とします、新しい人形を申請すれば済む話ですから。」

 

特にそんな危ないプログラムが組み込まれていた人形なんて尚更です、と続けるスオミに彼は愕然とした。

 

(は?いやいや思い切り良すぎでしょ、レア度置いといて練度の上がった人形でもその対応なん?調べたらこの春田さん、編成拡大でダミー2体は持てる練度よ?30~70レベでしょ?それをホイホイ解体ってオイ…)

 

「それに、その、一部の指揮官は好みで人形をあからさまに、その、区別するので…その辺りの士気も最悪だったりする所もあります。嫌いな人形は危険な後方任務に当てたりなんて普通ですよ?ですから此処まで人形を大事にされる指揮官は珍しくて…」

 

「そうです、か…(悲報、ブラック鎮守府ならぬブラック基地がこの世界線にも!!滅ぼさなきゃ(使命感))僕としては仲間となったものを可能な限り大事にするのは普通だと思うので、正直良く。それに僕、感情が…(という設定でな?)」

 

そういう彼の頭をぽんとトンプソンが叩き、呵々ッと笑う。

 

「ボスはそう思ってるだけで、結構滲み出てる時あるぜ?感情。クルーガーの旦那に啖呵切ったときなんか薄く笑ってたぞ?だから無いなんて言うなよ、出にくいだけさ。」

 

だから何時か…出るようになれば良いな、と笑う。(姐御ぉ…トゥンク)なんて彼は思っていたりする、てか口で言うんかい。最後にウェルロッドが締める。

 

「指揮官のその優しさ、悪意持つ者に利用されるかもしれませんので注意してくださいね。まぁ、その辺りは私などがフォローしますから安心していてください」

 

「頼もしい仲間が増えて、嬉しい、です?はい。よろしくおねがいしますね」

 

彼はそう返し、少しだけ口角を上げた。

 

「ところで…スオミさん」

 

「は、はい。あ、私も呼び捨てで構いませんよ?」

 

「分かりました、スオミ。それでですね、さっき僕がスプリングフィールドさんを自閉モードにした時に言いましたよね、「そういうこと」と、その、どういう事を想像されたんですか?(キッチリ聞いて覚えていたぞぉおおおお!?)」

 

こ、の、男は…一気にシリアスな空気は崩れ去りウェルロッドは知らん顔、トンプソンはニヤニヤと笑うだけ。大してスオミはボンッっと音がする程一気にその白い柔肌を赤く染めて固まる。

 

「え、えと、その、ぅ…それは、ですねぇ…」

 

「はい、僕も戦術面ではそれなりとは思いますが常識面では残念ながら…ですので、知らないことを出来るだけ無くしていきたいんです、それでどういった意味合いを含むのでしょうか?(さぁさぁさぁさぁ!!!)」

 

「ふ、ふええぇぇ…」

 

涙目で後ずさるスオミ、流石にこれ以上はとトンプソンが割って入る、彼の頭を撫でつつ諭す。

 

「其処までにしときなボス、スオミも悪気があって言ったわけじゃないんだ。それにこの手の話題はボスにはちと早い」

 

そう言われるとどうしようもないし、まぁ引きどきかなと思う。ちょっと頬を膨らまし気味にして了解の意を示しておく。

 

「そうですか…分かりました。M16さんにも言われたんですけどね」

 

「拗ねるな、拗ねるな」

 

「…拗ねてませんよ」

 

「そういう事にしておくか、ほらスオミももうボスは追求しないから、落ち着け。そろそろスプリングフィールドを起こすぞ」

 

「は、はいぃ…指揮官!?もう次からは止めてくださいね!?」

 

「?どうs(フガフガ)」

 

「ほらボス、もう蒸し返すなよ。お前もだスオミ」

 

「ううぅぅ…指揮官のバカー!!」

 

「…やれやれ、ですね」

 

・・・

・・

 

「あ、あら?」

 

「どうかしましたか、スプリングフィールドさん?」

 

「い、いえ…あら?気のせいかしら」

 

何だか時間が飛んだような感覚、だが内蔵された時計が示している時刻は先程とそう変わらない。ならば気のせいかと首を傾げる。辺りを見回しても何ら変わりのない風景、彼は横に座り彼女の話を聞いており、ウェルロッドは端末弄り、スオミは音楽を聴いていてトンプソンは優雅に紫煙を吐き出している。

 

「あら?」

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ、スオミさんの顔が随分、赤いなと、暖房が効きすぎてるのでしょうか?」

 

その声にビクッとするスオミ、コイツはちとやべぇ?と彼は話を逸らすことにする。

 

「好きな曲が終わった、とかではないのでしょうか?多分(ビクついてないでさっさと大音量に戻すんだよぉ!!)…ファ…あっ、すいません」

 

口を押さえて軽く欠伸、実際、そろそろ寝る時間である。それに対しスプリングフィールドは「いえ」と。

 

「もう遅い時間ですものね、そろそろ寝ましょうか指揮官…何だか私も恥ずかしいですけど」

 

フフ、と赤味の増した頬を手で挟みつつ呟く姿、彼は(アカン尊い、仰げば尊死タグ生やさなきゃ…此処は天使のすくつか!?なぜか変換できない!)等と脳内がフィーバー状態になっている。それを皮切りに各々、床につくことになり「おやすみ」と声をかけつつ離れていく。ただ彼がウェルロッドに「お掃除、有難うございました」とだけ告げ、「いえ、仕事ですから」と軽く返して行ったのにスオミが首を傾げる、他の人形は何となく察しが付いたようだがそれを口にだすことはない。

 

電気が消され常夜灯のみになり、その淡い光の下、彼は役得とばかりにそっとスプリングフィールドにくっつく、聞こえてくる心音はかなり早い。

 

まぁしっかり者で余裕のあるように感じるお姉さんキャラだが、流石にこの世界線では男性と接する機会は少なく、ましてや彼と同程度の年齢なら製造されてからは接したことなど無い、だがそれが不幸かと言われれば噂を聞く限りではそうでもないように感じる。

 

そうなると今、自分にそっと抱きつく彼に会えた、そしてその麾下に入れたことは存外な幸運ではないだろうか?スプリングフィールドはそう思いそっと彼の頭を撫でた。貰った情報によればほぼ記憶を無くし、戦闘に関する情報のみを詰め込まれ、また戦闘指揮の邪魔にならないよう感情を常に抑制されている子供。

 

初めて顔を合わせた時は驚いたものだ、勝利を目指すために彼女と会う前から既に動いていたということ。歴戦の指揮官もかくやとも言える行動力、だが…

 

(こうしている姿を見ているだけではそんな優秀な指揮官とは思えませんね、年相応、いえそれよりも幼い…可愛いです)

 

等と思いながら彼をそっと抱きしめ、撫でているとなにか心の奥底、メンタルモデルの端から自分に語りかけてくるものを感じる、何か大事、とは言えないものの何かを、そう、すべき事があったような、それを忘れているような焦燥感、思い出そうとしても何一つ思い出せないのに、その感覚だけが増大していく。それがなにか怖くなり、少し強めに彼をギュッと胸に掻き抱いた。

 

「大丈夫ですよ?」

 

ハッとする、もう寝ただろうと思っていた彼が此方をそっとその蒼い瞳で見詰めながらそう呟いた。彼もまた彼女の背に手を回し、そっと抱きしめる。カァっと顔が先程の比じゃないほどに赤くなっているのを感じた、暗くなっていて良かったと心底思う。

 

「もう、悪いものはなくなりました、だから、大丈夫です」

 

何を指しているのかは分からない、だがそう言われるとスッと彼女の中にあった焦燥感が薄れ、消えていくのを感じた。もしかして何かあったのだろうか?先程の時間が飛んだような感覚と言い、何かが…彼に聞こうとしたが止めた。知っているのかもしれない、知らないのかもしれない、いや、恐らくは知っているのだろう。

 

でも、話さないということはそうすることが良い、そう彼が判断したのだと信じることにした。少なくとも、今日会った他の人形達への態度、またその逆を見る限りでは彼は彼女が見たことのないタイプの指揮官だ、良い意味で。

 

「そうですか…良かったです」

 

だから、そう返す。

 

「はい、ですからお休みなさい(クソが、まだ残滓が残ってたとは…発動条件のところか、よし、今度こそ完全消去!矢張り例のアマ、貴様は磔刑だー!!)」

 

「お休みなさい」

 

スプリングフィールドは目を閉じ、そっとスリープモードへ、明日はきっといい日になると信じて。




春田さんが焦燥感を覚えたのは、例の胸糞プログラムの発動条件「ターゲットと二人きりになり、周りに暗殺を止める障害が無くなったと判断した場合」という部分だけが隠れて残っていたから。

人形もプログラムで動く以上、こういうのあると思うんですよ形態は違うでしょうけど、暗殺者と化すプログラム、他にエロエロになるとか…いや何でも無いです。

次回は…多分、404小隊の今、行数稼げなきゃそろそろ基地に行くよ?(フラグ)

そう言えば、今のところは喧嘩売られてませんけどあっても可笑しくないんですよね、「男のくせに」って。いわゆるラノベの定番

「冒険者登録に行って「お前みたいな坊やが?」的な感じで喧嘩売られる」「テンプレ貴族様から「この無礼者、決闘だ!」と手袋投げられる」

的な感じで、こういうのって需要あるんでしょうか?無いならそういうイベントを入れざるを得なくなった時は、ダイジェストで地文で済ますとかになるかと


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「書類仕事は悪い文明だと思います」

お久しぶりです、結婚ドッキリもAR小隊分書けたので戻ってまいりました、と思ったら体調崩して微妙に遅れましたが何とか更新です、後、今回は二話連続更新です

そんなこんなの内にナガンお婆ちゃんが副官してる所の指揮官さん、ご結婚なされたようで、おめでとう御座います。

コラボ絡みたかったけど、世界線がかなり違うからなぁ、と自重しました残念。ただ、あちらの指揮官さんの「目」に此方の指揮官の彼が「どう映るのか」私、気になります!!(愉悦顔)

…その内、書ける設定思いついたらコラボ許可貰いに行こうかな。


そういや第8戦役、明日開放ですね、後、妖精。資源的もストーリー的にも胃が痛いゾ


-???、???-

 

 

「あ~、何時までこんな事続けるにゃ?」

 

「分からんわ!でも私らに任された仕事、大事ってことくらいは分かってるよなぁ?」

 

「『鉄血の侵攻を止められなくなりそうなら近場でまともな支部へ走り、知らせる』にゃ?分かってるけど…暇にゃ~後、何であんな私らを捨てた指揮官の為にやらんといかんにゃ!」

 

「別にあのアホンダラのためや無いわい!!ええか?今のあたしらはハグレや、つってもまだあの指揮官の所有権は生きとる、でもこうして働いとるとこ見せたらなんや、上手くいくかもしれんやろ?」

 

「…かも、かにゃ」

 

「…かも、や…」

 

「ああもう!!何でこんな事になるにゃああああああ!!」

 

「喧しいわ阿呆!!だったらあのアホンダラの下、男を虐げるプログラム入れられてあんなクソッタレな仕事したかったんか?ん?」

 

「う、うにゃ~、それを言われると弱いにゃ~」

 

「ほな、諦めて仕事に精出しいや」

 

「分かったにゃ~」

 

「ね、ねぇ…チョコ無い?チョコ…」

 

「その質問、何度目や?もう無い!スッカラカン!!」

 

「私の甘味も分けてやったにゃ!!もう諦めるにゃ…」

 

「うううぅぅ…ち、チョコぉ~…」

 

『食べます?』

 

「!!チョコ!!頂きます!!」

 

「おおきにな~…って誰やねん!!」

 

「にゃにゃにゃ!?」

 

『どうもはじめまして、ドローン越しに失礼します。近い内に其処へ赴任することになりました指揮官です』

 

「ま、マジかいな?しかも…お、男ぉ!?」

 

『はい、此方がその証拠になります』

 

「あ、どうもご丁寧に…このデータ、ホンマや」

 

「にゃ~、男の指揮官なんてありえないと思ってたにゃ~」

 

「ま、アンタが指揮官ってのは分かったわ、で?ハグレのあたしらになんか用か?」

 

『貴方達に…と言うか、ある戦術人形に連絡を付けたいのです、『星』を持つ彼女に』

 

「ほ~ん、あたしらの仮のリーダーの調べもついとるんか、んで?簡単にホイホイ話すとでも?」

 

『いえ全く、前任指揮官の傀儡と思われても仕方ないかと。ですのでまずは信頼してもらうために此方を』

 

「…あ、アンタこれ!?」

 

『それが一番近場なので、キーコードも同封してるので選り取り見取りですよ』

 

「…取り敢えず確認させてもらうわ、話を『星』まで持っていくかはそれ次第で」

 

『今はそれで結構です、そのドローンを同行させるので何かありましたら連絡を。後、貴方方の任務はもう一つのドローンが受け継ぎます』

 

「ん~、鉄血来るなら途中で気付くわな、此処は信用しとくわ。ほな、な」

 

『ええ、またいずれ』

 

「ね、ねぇもう無いの!?チョコ!!」

 

『後はチュッパチャップスが何本か、大事にどうぞ』

 

「わ~い♪」

 

「アンタ、自由やなぁ…」「にゃ~…」

 

 

-顔合わせから数日、グリフィン本部内、会議室-

 

 

あれから数日、担当地区へ向かうことが延期となったためこれ幸いと彼は業務に関する学習を行っている。指揮官ともなればデスクワークだってある、ご存知、戦闘報告書やら物資に関する物やらその他も。このご時世、データでのやり取りは逆に信頼性が欠けるとのことで時代は紙によるそれに逆戻りだ、いや、前世でも結局は書類仕事からは逃れられなかったし、それどころか社長の判子に頭を下げてるように見えるよう、以下は斜めに押すこと、なんて考え出した奴に「お前病院行ったら?頭のな」と真顔で言いたくなるマナー()が蔓延っていたな、と笑う。

 

なんかそういう愚痴と言うか、感情に結びついた記憶は残るのか、だから娯楽関係が?等と下らない考察をしつつ、基地に輸送予定の物資に目を通し、サインする。早めにしておかないと『排斥派』から横槍が入って減らされる可能性もあるからだ。ぶっちゃけ、その気になれば物資は科学MODを入れまくったMinecraftの如く、とまでは行かないがそれなりに創造可能なのだがやり過ぎると目をつけられるので最終手段としておく。

 

当然ながらこのような書類の作成については無知であるため、最初のうちはカリーナとその同僚に教えてもらい、2,3日でマスターした。その同僚がアイドル育成ゲーでプレイヤーと言うかプロデューサーにドリンクを売りつける系の事務員に似てたような気がするのは気のせいだったろうか?まぁイラストを見た程度なので確証はないが、他にも何処かでみたような人物がいるかも知れないとそれを見つけるのがまた、彼の少ない楽しみの一つになっていた。

 

因みに言語だが、当然、日本語などない。確か何体か、一〇〇式を始めとして日本製の銃が元になった人形がいたが、彼女等も日本語を話すのか?食べ物といった文化について語っていたからワンチャンか、会うまでお預けである。基本は英語で後は土地柄もあり、ロシア語がたまに入るくらいだ。クルーガー含めた人間や人形達とも英語だし、人形によってはロシア語やそれぞれの母国語を使ったりもする、たまにだが。つまりはかなりな国際色溢れる職場!になるわけで前世は日本語に日常会話レベルの英語が手一杯だった彼にとって、かなり厳しい職場になる。

 

では何故?となる訳だが答えは唯一つ、『ナノマシンってすげー!』である。文章の翻訳については病院でもやっていたが、他にも会話の翻訳もそうだ、彼女等の台詞をそのまま聞きその訳が網膜投影される字幕形式と、声色は同じだがそれが日本語になって聞こえる吹き替え形式の選択式である。此れは気分によって切り替えており、今日は文章を読む機会が多いので吹き替え式にしている。喋るのもまたナノマシンのサポートにより、自分としては日本語を喋ってるつもりだが、きちんと英語、その他の言語となって彼の口から紡がれる。筆記にしても書くべき文章が紙面に光の線で投影され、それをなぞればキチンとした文章になるという訳だ。

 

…今更だが、記憶喪失のはずの子供が此処まで読み書きスラスラなのは疑われないか?とも思ったが今から言語習得しましょう、なんてことになれば何時まで経っても話が進まない。学習させられていたのだろう、ということで納得してもらうことにする。取り敢えず、全て終わった訳ではないが今すべき書類仕事が終わったことを確認し、後でカリーナに取りに来てもらうことにする。さて、現状できることは後、何があるか?こういう時は誰かと会話すれば思い出すもの、早速とばかりにAIを呼び出す。

 

 

LAN>>何か報告することある?

 

SUP1>>現在、幾つかの廃棄工場を改修中です。プランは以前に決めた通り、『ワンオフ人形の開発』『動物をモチーフとした人形の開発』『高速輸送を可能にする飛行機の開発』、此方で宜しいでしょうか。

 

LAN>>宜しいです、優先順位はそのままね。人形は俺の陰ながらの護衛に必須だから早めにね、エクスキューショナーの素体をほぼ無傷で入手できたのはラッキーだったわ。データは頂いてるからそれを元に、あ、男性型でな?差別化を図らんと。動物型は逆に難しいな~参考にする人形はおらんし…っておったわ、原作で飼えたペット、あいつらバッテリー必須でどういうこっちゃと思ったらイベント時に配ってた奴、あれペットロボットだったのな?いや、野良の生きた奴もいるけどさ。そういうの参考に巨大化、シミュレートすれば何とかなるでしょ。鳥も確か、人類生活圏でも綺麗な所なら飛んでたし。

 

SUP1>>了解。飛行機の開発ですがかなり困難です、参考にするものが一切ありません。

 

LAN>>あ~、あってヘリだよなぁ。あれだって原作でCAPCOM製かよっていうくらいの落ちっぷりを見せる輸送用しか無いし。ん~、ある程度反重力でものを浮かせる技術はあるよな、そうじゃなきゃ可笑しいことが幾つかあるし。

 

SUP1>>肯定、しかし人員輸送するほどの大きさを持った機体を浮かばせる程の出力はないと思われます。

 

LAN>>だよ、ねぇ。ん~それである程度軽減しつつジェットエンジンか何かで垂直離陸?理想を言えばX-メンやらアヴェンジャーズやらで見かけるあのカッコいい垂直離着陸機を再現、なんだが。

 

SUP1>>現状の手持ちの技術では不可能です、ノウハウが不足しています。

 

LAN>>畜生くそう、ナノマシン無双で何とかしてくださいよー

 

SUP1>>無双ではありません、我々も出来ることと出来ないことはあります。

 

LAN>>知ってる。仕方ない、近場の正規軍施設のデータを漁れ、何処かに残ってるはずだ。

 

SUP1>>不要なデータを残しているとは思えませんが。

 

LAN>>ウンにゃ、何処かには残ってる。人間な、手に入れた技術をポイポイと捨てるものかよ。何時かいる、何時か使う日が来る、今でこそゾンビ共がいるから表には出てこないが、万が一にも落ち着いたらまた国境引き直しゲームを再開するさ。そうなったら航空戦力は必須だ、そんな事を考えて何処かには残ってる。ま、最悪アレだオスプレイにブースター装備する感じでもこの際、妥協しよう。

 

SUP1>>…了解。

 

 

護衛人形、普段は麾下の人形達が交代でしてくれてるが今後、戦場に移った場合はそれも難しいし何より、グリフィンやIOPが間に挟まる以上、完全に彼の私兵という訳ではない。あくまで此方に貰えるのは指揮権であり、所有権ではないし。今後、何かどうしょうもない事態があれば切り捨てられる可能性がある以上、必要なことなのだ。人形達も所詮は機械、記憶を弄られれば一瞬で敵に変わる、既にどこぞの宇宙戦争映画のようにオーダー66的なサムシングが仕込まれてるとも限らないのだから。現状、彼はグリフィンと一蓮托生だがグリフィンからすればそうでもない、その時の保険としては必須、そう彼は思っている。

 

 

SUP1>>現状は存在するヘリコプター、此方の形状を変更し考えうる最高速を出せる機体を開発することが現実的であると提案します。

 

LAN>>だね、確か大型ヘリのハインドってやつ?アレもデカイ割には速いって言うし、取り敢えずはそれで、他に何か提案することは?

 

SUP1>>提案ではありませんが、忠告ならあります。

 

LAN>>およ、なんでしょ?

 

SUP1>>先の問題もですが、まずは目先の問題を解決すべきかと。

 

LAN>>…それこそ何かいい案、無い?

 

SUP1>>感情面における情報蓄積が不完全です、残念ながら有効な案は出せません。

 

LAN>>そっか…分かった頑張る、そっちも宜しくな。

 

SUP1>>了解、そちらもご武運を。

 

 

ご武運を、とか軽いジョークかなぁと思いつつAIとの通信を中断し、書類を机にぶつけることで揃えつつ、AIから受けた忠告の原因にチラ、と視線をやる。其処には机から頭半分だし、塀か何かにぶら下がっているかのようなポーズで、無言のまま此方を見つめるSOPMODの姿があった、多分、漫画だったら背中に「ジ~」的な擬音を背負っていたろう。グリフィン本部と言えども安心は出来ないため、こうして護衛役を必ず一体就けることになっている。ただ、今日はスオミの番だったと彼は記憶しているが。

 

「どうかしたんですか?SOPMOD」

 

実はこのまま09地区へ行くまで有耶無耶にし、誤魔化しておこうとした問題がこうして噴出してきた訳だが、取り敢えずは何も気付いていないふりで話しかけてみることにする。それに対してSOPMODはプーッと頬を膨らませ

 

「ねぇ、ラン」

 

「SOPMOD、プライベートでは何と呼んでも構いませんがこうして仕事中は指揮官と呼んで下さい」

 

「…指揮官」

 

呼び方を訂正するとさらに機嫌が悪くなったように感じる、が、流石に此処はしっかりしておくべき事なので引く訳にも行かない。

 

「何でしょうか」

 

「最近、私達のこと避けてない?」

 

「いえ、そんな事はありませんが(避けてますごめんね)」

 

質問の内容は予想の範疇、だからノーモーションでどもることなく否定できた。それでもSOPMODの不満顔は解消されていないが。因みにこの私達、というのは想像はつくとは思うがAR小隊のことである。

 

「護衛とか、副官任務に私達使わないし」

 

「戦闘能力もですが、それよりも書類仕事の処理能力を優先したんですよ、此処数日は書類の山が敵でしたから。そう言うならSOPMOD、此方の僕からグリフィンへの資材要求概算とグリフィン側の回答とのすり合わせをお願いできますか?」

 

実際、今必要なのは敵を吹き飛ばす能力ではなく、書類の山を片付ける方だ。彼の質問にSOPMODはツイッと視線を逸らす、まぁそれも短時間でまた戻したが。

 

「そう言えば、今日はスオミにお願いしていたはずですが」

 

「…頼んで10分だけ変わって貰った」

 

脅しはしてませんよね?そう聞きたい所だが流石にないだろう、と思いぐっと飲み込む。まだ納得はしてないようだ、彼は溜め息を何とか抑え込み、書類を更にまとめながら説得を続ける。

 

「09地区に向かったら主戦力はAR小隊です、それでなくとも他の人形と組んで実力を発揮してもらいたい。他の人形とローテーションを組んで慣れておいて貰わないと困るのですが」

 

それは分かってますよね?と聞くと無言で頷きはする。実際、404小隊も合流できるよう工作はしているが間に合うかはギリギリ、その他の増員案も上手くいくとは限らない、そうなると現地の基地で製造という名のガチャを狂ったように回して増員するしか無い訳だ。それで増えても経験値0,レベル1の人形だ、即戦力と言えるはずもない。其れ故に、残り少ない時間でも彼女等には背中を預けられるとまでは言わなくとも、チームワークを磨いてもらわなければ。

 

スプリングフィールドにスオミ、ウェルロッドもウェルロッドを除けば其処まで実戦を積んでいるわけでもないらしい、編成拡大1回は可能なレベルと彼は解釈している。トンプソンはそれ以上のレベルのようだがやっていた仕事は基本的に警護だ、実戦とは程遠い。無論、初期における戦力ならそれでも過剰とも言えるが所謂、原作における第0戦役、OPに繋がる前日譚はゲームならばある程度進行することにより開放されるが此処ではそうも行かない、つまりはエージェント+鉄血の大軍相手に勝利、まではせずとも情報を抜き出し、無事に帰還せねばならないのだ。

 

失敗し、AR小隊が分散ともなれば第6戦役の悲劇が不可避となる、未だ『傘』の解析が済んでおらず、正直間に合うかも怪しいと彼は思っている、希望的観測は敵だ。故に残り少ない時間の間であっても彼女等には演習優先でやってもらっていたのだ。無論、他に理由はあるのだが…

 

「兎に角、僕が避けているというのは説明の通りSOPMODの勘違いですよ。だから…」

 

言葉は其処で飲み込まれた、微かに聞こえたのはすすり泣く声、見ればSOPMODが紅い目一杯に涙を溜め、それを零すまいと必死に我慢している。

 

「SOPMOD…」

 

「うぅ、ひっぐ…だって指揮官、他の人形と話してる時に私達近づくと、話止めちゃうじゃない。ほ、他にもM16が今後のこと聞いても誤魔化すし!そ、それから、そ…うわあああぁん!」

 

たどたどしく語ることで思い出し、それが引き金になったのかついに泣き出すSOPMOD、誤魔化しきれるとは思っていなかったが、やはり彼女等の負担になってしまったのだろう。とはいえ、早い段階で説明することは危険だったのだ、AR-15やM16なら腹芸も出来るだろうがこうして感情のままに行動することの多いSOPMOD、そしてM4の態度でばれる可能性があるから。

 

(と、言っても限界か…後、数日だが止むを得ないか~SOPMODでこうならM4はもっとストレスに感じてるだろうし、仕方ない)

 

そう、AR小隊で一番忍耐強くない人形、それはSOPMODではなくM4だ。第7戦役をしたら分かるがSOPMODは隔離されたことに不満はあれど、納得はしていた。だがM4は違う、愚痴を零したネゲヴに激昂し、爆発している。他にもm45に当たったり…つまりSOPMODでこうなら今のM4は相当、危ないのではないか?彼は此処が限界点だろうと判断し、説明することを決めた、だがまずは目の前の彼女を慰めることから始めるべきだろう。

 

SOPMODの傍へより、グスグスと泣きじゃくる彼女の頭を抱き寄せ、服が濡れるのも構わず胸に抱きしめる。大胆な行動にピクリ、と反応するが突き放すことなくSOPMODは受け入れ、逆に抱きつき、静かに涙を流す。彼はそれが落ち着くまでその桃色の髪をなで続けた。(ウン、やっぱ胸結構あるよな~SOPMOD)こういうときぐらい止めないか!!数分後、落ち着いたSOPMODが泣きはらした眼を彼に向け、言葉を待つ。彼は席に戻り、ガサガサと机を漁る。

 

「…何度も言いますがSOPMOD、僕は皆さんに隔意はありません、避けているというのは思い違いです」

 

「で!…」

 

「でも」と言い募ろうとしたSOPMODだが彼が左人差し指を唇に当て、静かにと示すのを見て言葉を飲み込む。右手で彼は見つけた書き損じの書類の隅に何行か書き、それを畳みまたその表にも何か書いた後、再び立ち上がる。

 

「それで納得して下さい、命令です」

 

口ではそう言いつつ、SOPMODの手に書いて畳んだ紙を握らせる、一番上に書いた「M16へ」とだけをSOPMODに見せるようにして。

 

「分かりましたね?」

 

「…分かったよ、それじゃあ指揮官…」

 

「ええ、そろそろスオミが来るでしょう。余り無理を言ってはいけませんよ」

 

「うん…」

 

コンコン

 

ノックが響く、恐らくは交代に来たスオミだろう、彼は入室を許可し、SOPMODには退室を促す。スオミが開けたドアからフラフラと力なく出ていくSOPMOD、それを見送り心配そうに振り返るスオミ。

 

「余りに思い詰めていたので少しの間の護衛交代に了承したのですが、不味かったでしょうか?」

 

「いえ、恐らくは此処が潮時だったのでしょう。これ以上だと爆発の可能性もあったのでむしろ英断です、有難うございますスオミ。ただ、今後は一応連絡をしてからお願いしますね。」

 

「は、はい!申し訳ありませんでした!」

 

「いえ、有り難かったのは事実ですから。それでは仕事、手伝ってもらえますか?」

 

「はい!頑張らせて頂きます!!」

 

恐縮したり、敬礼したりと忙しいスオミに手伝わせ、彼は真面目に仕事をこなす。全ては己の欲望を満たさんがために…それでこの辺りが平和になるのなら良いのではなかろうか?多分。




後書きは二話連続更新なので、次でまとめて


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「あ~あ、目覚めちまったか(震え声)」

二話連続更新なので特に

あ、前の話飛ばしてるかもしれませんので、この話から読み始めた方はご注意下さい。


「どうだった?SOPMOD」

 

トボトボと帰ってきたSOPMODの姿に「余り期待はしないほうが良さそうだ」とは思いつつも一縷の望みをかけるM16。

 

「うん…私達の勘違いだって、指揮官…」

 

だが矢張り、その返事は予想通りだった。そして納得の行かないM4。

 

「そんな!絶対におかしいです、明らかに私達を身辺の任務から外してます!!勘違いなんかじゃあ…私、指揮官に聞きに行ってきます!!」

 

「落ち着きなさいM4、指揮官がSOPMODにそう伝えた以上、それが全てよ、覆らないわ」

 

「それで、それで良いんですかAR-15!それで納得するんですか!」

 

「納得しようがしまいが、それが組織でしょう?それにあの指揮官よ?何か考えがあるのかも…」

 

「何かって…何ですか…もぅ…」

 

力なく崩れ落ちるM4、やっとこの身を預けられる指揮官に出会えたというのに…グルグルとネガティブな感情ばかりが頭を巡る。そんなM4の肩に手がポンと置かれる、M16だ。

 

「確かにこれ以上は不毛だ。気を落とすなよM4、あっちに行って私達の力を指揮官に見せつければ良いのさ。取り敢えず今日は甘いものでも食べて休もう、な?」

 

「そんなこと!…はい…」

 

思わず姉に声を荒げるが彼女が手にしているものに視線を向け、取り敢えずは了承しておく。それは彼がSOPMODに託した紙、表には。

 

『M16へ

 

そして皆へ

 

態度そのまま

 

人目回避

 

音読不可

 

黙読のみ』

 

単語の羅列ではあるが言いたいことは伝わる、矢張り何かあって私達との接触を避けている…まだそう理解できるだけの冷静さがM4にも存在した、ギリギリだったが。早くその中を読みたい、指揮官の心を知りたい。逸る心を抑えAR小隊は割当の宿舎へ向かう、指示通り暗い顔をしていたが、それは演技でも何でもなかった。

 

・・・

・・

 

その晩、AR小隊の面々はジリジリしながらその時を待っていた、あの後、夕食も指揮官と一緒に取れず泣きたくなったが、彼からの手紙にあった希望を胸に、ぐっと耐えた。宿舎へと戻りM16によって開かれたその中にはこう記されていた

 

『今晩、〇一〇〇に宿舎へ伺います

 

そこで理由をお話します

 

明かりは最小限、寝たふりをして音を立てないで

 

僕が合図するまで絶対に音を立てないで下さい、絶対です』

 

こういう状況じゃなければ最後に「PS:フリじゃねえからな!」などと巫山戯て書いたであろう程に、静寂を念押ししている手紙。やはり何らかの理由があったのだ、と少しは安心できた、だがかと言って今度は「今後もこのままで」と言われたらどうしよう、という次の恐怖がAR小隊を襲う。M16も「弱くなったもんだ」等と自重するほどに今までの余裕はない、最近はベッドを無理やりつなげ、皆で身を寄せ合って寝るのが習慣となるほど精神的に追い込まれていたのだ。

 

真ん中にM4とSOPMODがくっつき合い、それを後ろからAR-15とM16が抱きしめる形で。今晩も「説明があるからもう大丈夫」と思ってみたものの、新たな心配から結局、今晩もこの形に落ち着いた。そしてそのまま、書いてあったとおりに静かに、ただ静かに彼の来訪を待ち続ける。

 

「「「「!」」」」

 

約束の時刻、ドアが開いた気配が、外の空気が流れ込む。全員の視線が扉へ向かい…其処にパジャマに何か羽織った姿の彼を確認し、思わず駆け寄りたくなるのをグッと耐える。彼は彼で(ウェイ!?なんか空腹のライオンを前にした生肉の気分が分かったぞ今!!M16もそんな余裕ないの!?そんなにヤバかった…ってM4オオオォ!目がやばい目がやばい!なんか渦巻いてる、なんか薄暗いけど分かるくらいになんかグルグルしてるぅ!?ヤンデレはちょっと…世界はヤンデレを求めてるかもだけど、リアルはノーセンキュウ!!)そのあまりに重い視線に部屋から飛び出したい衝動をグッと抑えていたが。

 

兎に角、自制が効きそうにない彼女等を目の当たりにした彼がすべきこと、は先ず喋っても大丈夫な状態にすることだ。即座に幾つかウィンドウを呼び出し、彼女等に仕込まれているプログラムを無効化する、削除は説明の後だ。プログラムを弄り、夜間は雑音のみを傍受するように設定、昼間はどんな会話も合成した日常的なものに置き換わるように設定する。これで安心、彼はフゥと一つ息を吐き出す。

 

「今晩は、みなさん(ん?これって夜這い?)」

 

「…もう喋って大丈夫なのか?ラン」

 

「はい、M16。もう大丈夫ですよ」

 

「ラン君!!」

 

「ラン!!」

 

「おっと、取り敢えず落ち着け」

 

「二人共落ち着きなさい、ステイ。そんな勢いで飛びついたらランが怪我するでしょう」

 

思わず感情のまま彼に抱きつこうとM4とSOPMODがベッドから飛び出そうとしたが残りの二人に羽交い締めにされ、止まる。

 

「す、すいませんつい…」

 

「なんだよぅ、M16だって余裕なかったくせに~「私も人寂しくなるとこん」ムゴ」

 

「そ、そのことは後にしよう!な!!まずはランの説明を聞こう、説明!」

 

何か言いかけたSOPMODの口を焦りつつ塞ぐM16、何となく普段の様子が戻ってきたようで何より…彼は流石にホッとした、と同時に少し寒さを感じる。夜間は節約のためか暖房は切れているのだ、一応、パジャマの上に何か羽織ろうと着るものを探していたらスプリングフィールドが彼女が普段着にしているカーデガンを貸してくれ、それを着てきてはいるがそれでも肌寒いのは防げない。因みに観察する余裕ができたM4が彼が着ているそれの所有者に気づき、チリっと心に何らかの焔が湧き立ったのは内緒である。

 

「その、色々と心配させてすみませんでした…そちらに行って良いですか?」

 

いい加減寒いし、と彼は怖ず怖ずといった風で質問する。慌ててM4達は彼が入るスペースを真ん中に作る。(皆くっついて寝てたんか…悪い事したとは思うけど、すごく…百合百合しぃです…姉妹でキマシタワーとかもう、ねぇ?)相変わらずの最低な思考をしながら彼は真ん中に入らせてもらう。膝まで布団をかけ、壁を背に。両脇はM4とSOPMODがくっついて手を握ってくる、彼は喜んで握り返した。

 

(しっかし、よく考えたら人形とはいえ美少女4人に囲まれても余り興奮しない件について。いや、嬉しいよ、メッチャ嬉しいよ?でも下世話な話になるが、マイサンが反応しないのよね…ううむ、この若さでEDとか言われるとちょっと泣きそうなんだが)

 

取り敢えず、下半身問題は置いておき、現状の問題解決に勤しむことにする。

 

「改めて、不安にさせて申し訳ありませんでした」

 

「いや、良いさ。こうして話してくれるのは嬉しいし…まぁ察しはついているが何か仕込まれてるな?私達」

 

「はい、ペルシカさんから貰ったプログラムで確認済みです」

 

「ペルシカから?」

 

「恐らく、皆さんになにかされることを予想してたのでしょう、メンテナンスに向かった際に頂いたので」

 

絶句する面々の前にインストールされているプログラム一覧を可視化する、そして通常なら気づかないように隠されている『それ』を表示させて。プログラム名『ディープスロート』、名前からの想像の通り、彼女等の聞いたことをリアルタイムで送信し続ける、24時間。音声のみだがそれを発信していても気づかれないというメリットが有る。これを仕込んだ者の目的は2つ、一つは情報収集、もう一つはバレた場合に彼とAR小隊の間に不和を生む事。知っても外せない、その事も伝えられない、軋轢は増すばかり。そう思ったのだろうが…彼のハッキング能力については知っているはずだが、此処まで器用なことが出来るとは思っていない、否、思えないのだろう、彼が男だから。

 

「これの、せいか…」

 

「はい、悪いとは思いましたが此方の行動が筒抜けになる恐れがあったため、皆さんの前では話せませんでした。気付いてすぐ、アンインストールや今やっているように無力化することも考えましたがそれをすると」

 

「他の手段を取られる可能性があった、そういう事ね?」

 

「…その通りです。必要なこととはいえす」

 

再度、謝ろうとした彼の口をAR-15がM4越しにそっと手で塞ぐ、そして首を振る。謝る必要はないと。

 

「もう分かったわ、貴方も悩んだんでしょう?ならもう謝る必要はないわ」

 

塞いだ手をそのまま上に、彼の黒い癖っ毛をそっと撫でる。その時かすかに感じる違和感、何か頭に乗っているような?

 

「あ、あら、ラン?これ…もしかして」

 

「気づきました?ペルシカさんから貰ったケモミミです」

 

「くぅっ!?」

 

ケモミミの光学迷彩を解除し、その姿を見たAR-15は強力な不意打ちに思わず鼻を押さえる。

 

「え、ラン君、もしかしてずっと装備してるの?」

 

「そうですね、他にも色々と便利なものが入っているので…消せば見えませんし、お風呂や寝る時以外は…」

 

「ふ~ん、ねぇラン、触って良い?」

 

「どうぞ?減るものでもありませんし」

 

「わ~い♪」「じ、じゃあ私も…」「なっ!待ちなさい私だって!!」「お、おいお前たち、あんまり乱暴に…「M16も触ります?」…はぃ、触ります…」

 

しばし、嬉々としたSOPMODを中心にランの耳やら頭を撫で回すAR小隊、彼はそれに揉みくちゃにされながらも色々と堪能していた。しかし、何故こうも彼女等がグイグイ来るのか、近いのか。何とこの男、業務の合間も護衛役の人形を相手にチマチマ作業に勤しみ、倫理コードの解除率を70%台とするまでになっていたのだ。この情熱、本物である。

 

そうされながらも彼は今後、基地内で人目がある場合はそのままだが、こうした所であればこうやって触れ合えると説明した、基地に着いてからの増員の方法も。説明し終えたところでもう寝ることに、よく考えれば深夜なのだ、夜更かしは良くない。全員横になり、今日はそのまま彼の両脇はM4とSOPMOD、残りの二人は明日以降ということに。最小限の明かりは更に暗くされ部屋に静寂が訪れた、かに見えた。

 

「…起きてますか、ラン君」

 

「ええ、まだ(原因、貴方ですけどね)」

 

今、ランの両手はM4とSOPMODに握られており、SOPMODはそのまま幸せそうにスリープモードへ移行したがM4は眠ることなく、彼の手を握ったり擦ったりしてくるのでなんともこそばゆく、眠ることが出来ないのだ。まぁそう言うのは野暮だろうと思う、そう思う彼の前にM4は握った彼の手を移動させ、そっと額を付けた。

 

「怖かったんです」

「ラン君に無視されてると思うと」

「お前はいらない、そう言われてる気がして」

「でも」

 

彼の手をそっと頬に付け、微笑む。彼はその笑みにドキリ、とはまた違った感情を覚えたが。

 

「違ったんですね」

 

「ええ、当然です(な、なんか…う~ん…)」

 

いつもの彼女の笑みとは違う、そうは思うがその違和感を説明する言葉が見つからない。

 

「良かった、もしもそうだったら…私、どうしていたか」

 

先程は冗談のように思った眼の中に渦巻くもの、本当に彼女の瞳の中にあるような気がして彼は戸惑う。それに先程から台詞が、なんともその…背筋に寒いものが走るのを止められない。

 

「ラン君、指揮官…貴方の下でなら何でも出来る気がします、例え腕が吹き飛ぼうとも、足がもがれようとも戦い続けられる」

 

「M4、さん…(いやいやいや、ミーはそんな事望んでないざんすよ!?え、まさかそうなの、そういう事なの!?事態進行早くないですかねぇ!?)」

 

普段と逆にM4から追い詰められてる気がする彼、それがナノマシンの縛りを解いたか眉がへの字になる、それを見たM4はフッと微笑み。

 

「優しいですね、ラン君。でも、そんな貴方だから私は、私達は…全てを賭けて戦えます、だから」

 

彼の手を離し、両手で彼の頬を挟む。

 

「私達から、私から目を離さないでくださいね?」

 

「…分かり、ました。頑張ります(ま、まさかの覚醒!?馬鹿な早すぎる!?ちっとからかいが過ぎたか!?後、それ君の台詞ちゃうやろ)」

 

会って2週間ほどか?それで此処まで?素質があったのか?兎に角にもと、視線だけは外さず真摯に答える、ツッコミも出来る辺りまだ余裕か。その回答に満足はしたのかM4は微笑み、ソっと顔を近づけ

 

「んっ」

 

「…え?(え、アレ?何で?ってオイイィィイイ!?)」

 

「フフッ、次はラン君からしてくれると嬉しい、かな?」

 

「…良く分かりませんが、努力します?(吃らず良く言えた俺えええぇ!)」

 

「楽しみにしてます、じゃあお休みなさい私達の指揮官…」

 

「はい、お休みなさい(私の、とか私達だけの、と言わんだけマシかぁ…)」

 

幸せそうに息を吐き、スリープモードに入ったM4、彼はその寝顔を少し眺め溜め息一つ、天井に視線を移す。

 

(これ、所謂アレですか、ヤンデレですか?そういうのを幾つか読んだが…実際に目にすると迫力が違いますな)

 

どうもペルシカに会いに行く前の晩、M4は夢と思っていた例の件で更に身近に感じていた彼と、今回の仕方ないとは言えやった無視紛いの行為。上げて落とすの落差に耐えきれなかったらしい、少しM4の扉を開いてしまったようだ。基本、ドルフロではヤンデレ扱いされる人形は一定数いるし、彼が最初に目にしたSSもまた完璧さんがヤンデレでゾクゾクしたのを覚えているし、他にもM4やAR、404小隊全員がそうなっちゃってる奴も読んだし好きだった。ただ、まさか自分がその対象になる事になるとは、流石の彼も頭を抱えそうになる。

 

(でもまぁ、責任は取らなきゃなぁ…独占型ヤンデレじゃなければ良いけど。まだ、普通に皆とチームワークが取れているなら大丈夫かな)

 

だが、その情念の凄まじさは既に先程発揮されている。彼はそっと自身の唇を撫ぜた。

 

(だがまさか、まさか自分で倫理コードを半ば捻じ曲げてくるとはな…最終的には90%近くが無効化されてたぞ?70%は既に、とは言ってもこれは…はは…)

 

なんとM4、自力で倫理コードを外し、行為に及んだのだ。もはや乾いた笑いしか出ない。

 

(つまりは90%は外さんとそ~ゆーことできんという訳ね、合体ともなれば…完全?もしくは誓約?ま、その辺りは追々だな)

 

こんな事態になってもその思考、流石である。だが確かにそればかりにかまけている訳にはいかない、まだこの物語は始まってすらいないのだ、M4の物語は。

 

(止め止め、もう寝よ、明日もまた書類という名の敵が俺を待っている)

 

深呼吸、そして彼もまた目を瞑る。寝る時に離したM4が握っていた手を、またM4の手に絡ませながら。

 

「…お休みなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クスッ♪」




やっぱこうなっちゃうんだなぁ…(白目)

多少、早い気もしなくもないですがこの世界観だと執着も一塩、ということで。ただ、普段は発現しません、倫理コードを彼が外す+自力で外すの合わせ技でこうなります。どっちにしろ自分で外すというのも凄いですけどね。

次は404との絡みがあり、そろそろ基地へ…だと思う


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「仕事で出張する彼女、届くビデオレター、なんて無いですからね?」

貞操観念ではお久しぶりです、Twitterネタを文章化することに喜びを覚えて気がつけば一ヶ月以上ご無沙汰でした。待ってる人いるかなーと弱気になったりしましたが、活動報告の方で尻を叩かれたので頑張りました。

色々イベントありましたね、北極狐では中々揃わず切れそうになったり。★4、5製造率アップは妖精製造による資材不足的な意味でスルーしてたんですが、SG製造率アップと聞いて我慢できなくなって回しちゃったよ…資材が死んでます

因みに未だ8戦役やってないです、10連休でする予定だったんだけどなんかズルズルとやること多くてね~

ま、良いか。久々で書き口とか違ってるかもしれませんが、どうぞ


-???、???-

 

「やっと連絡がとれましたね、はじめまして」

 

「此方からの信頼の証し、受け取って頂けましたか」

 

「『それだけ受け取って逃げると思わなかった?』愚問ですね、今の貴方を考えれば絶対にあり得ない」

 

「戦うことに誇りを見い出している貴方が、そんなこそ泥のような真似をするはずがないでしょう?」

 

「えぇ、条件は此方の指揮下に入って貰うこと、それだけです。その準備も整っています、横槍は入れさせません」

 

「はい、一人残らず。希望するなら、ですが。断るはずがない?そうだと嬉しいですね」

 

「では、時間厳守で。お会いするのを楽しみにしてます」

 

 

 

-あくる日、執務室-

 

 

 

「指揮官様、基地へ持っていく諸々のリストがまとまりました。ご確認下さい」

 

「ありがとうカリーナさん、輸送機の手配は?」

 

カリーナから受け取ったタブレットで確認しつつ、気になっていることを聞いてみる。

 

「はい、3機は抑えましたがそれでもこの量です、何度か往復する必要があるでしょうね」

 

本当は5機は抑えられるはずだったんですが…と悔しそうに漏らすところを見れば、減った理由も予測がつくというもの。彼は肩をすくめ、幾つかの資材をピックアップしタブレットをカリーナへ返す。

 

「許容範囲内です、人形以外では最初に運ぶ資材は此方にして下さい」

 

「はい、かしこまりました!」

 

明るく返したものの、返されたタブレットに一覧化されたそれをスクロールしていく内にカリーナの眉が下がっていく。不満、と言うよりかは分からないと言った様子だ。

 

「あの、指揮官様?質問よろしいですか?」

 

「構いませんよ、何か」

 

残りの資材の優先度を別データで作成しつつ、首を傾げる彼に遠慮がちに口を開く。

 

「この弾薬ですが…現在、指揮官様の下にいるどの人形にも口径等が合いませんが、と言いますかこれ…MG用も入ってますよね?」

 

その疑問もご尤も、AR、SMG用なら未だ分かるがRF用などはスプリングフィールドの分だけで良いはずなのに違うものを運ぶことになっている。挙げ句にMGだ、最初は一人でも就ける予定であったが『強力な人形は最前線へ回すべき』との尤もらしく取って付けた理由に寄り、お流れとなった。

 

つまりは無用の長物なのだ、いや、今後は必要となる可能性は否めないが、少なくとも態々最初に運ぶ必要があるとは思えない。そんな視線を受けても彼は

 

「入ってます、それで間違いありません」

 

顔もあげることなく、平然と答える。そう言われればそうですかとしか言いようがない上下関係。ううむ、なんて唸りながら更にスクロールしていくがまた手が止まる。

 

「あの、何度も申し訳ありません、指揮官様…これは?」

 

指差しながら差し出されたタブレットにチラリと視線を向け、すぐに戻す。

 

「16lab、というよりはペルシカさん個人からの依頼でテストをする事になっているものです、ヘリアンさんにも話は通してありますよ」

 

「そ、そうですか…」

 

淀みなく答えられれば返す言葉もなく。「良いのかなぁ」と思うところもあれど、それ以上の追求は意味がないとため息をつき、どれから注文するかとそのスケジュールを頭の中で組み立てていく。おそらくは『排斥派』対策で情報の扱いに神経質になっているのだろう、と当りをつける。

 

別に自分を信用していない訳ではないだろう、情報を知るものを極力減らすのは当然だ。と言っても、人間は納得することでモチベーションを保つところがあるしカリーナとて例外ではない。何となく心の中で蟠りを残すが、仕事と割り切り資材部の方へ向かおうと出口へ行きかけたところで。

 

「向こうで必ず必要になります、後者は妨害工作の内容に寄りますが、前者は必ずです。だから」

 

よろしくおねがいしますね、ペコリと頭を下げる。こうまで言われれば俄然、やる気が出るというものだ。現金なものだと自分でも呆れつつ

 

「はい、お任せ下さい指揮官様!!」

 

意気揚々と退室した。因みに根を詰めて暑くなったのか、無意識の内の行為であろうシャツを摘んで胸元でパタパタ、を彼がやっているのを視界に収めたこともまぁ、テンションが上がる理由だったかもしれないが。そんな副官をチラリ、と見送る彼。

 

(チラリズム効果あったようですね、っと)

 

計算づくかよコイツ、相変わらずだと思わざるを得ない。まぁ彼も前世での記憶から「男が何処を見てるか、どんな所作が気に入るか」なんて痛いほど分かっているのだから楽勝ではあるだろう。そんな部下への気遣い(?)を忘れない彼だが、心中では仕事以外のことが半分を占めている。それは当然、と言うべきか昨晩のM4のことだ。まさかのヤンデレ、彼女自身で倫理コードを解除、そして最後に

 

(初めて、だったんだけどなぁ…こっちでは。向こうで?何のことですかね?(震え声))

 

そっと唇をなぞる、まぁ何時かは誰かに奪われるか捧げるか、分からないがいずれはそうなるだろうと思ってはいた。まさかこうも早く奪われることになるとは…M4のポテンシャルに驚きを隠せない。そんな一夜を過ごしたわけだが朝起きた時、M4は普段の彼女に戻っていた。

 

彼の予想ではペルシカに会いに行った際のテンパリを再現するとばかり思っていたのだが…おまけにふとした時、目が合うと彼女は唇をなぞり、クスッと笑いかけてくるように。

 

(もう戻れないんだね、あの頃の彼女はもういないのね!!)

 

なんかのメロドラマのように叫んでみても時計の針は戻らない。今の彼女もまたM4の可能性なのだ、そう自分を納得させて首を振る。多分だが堕天使エムフォエル状態には彼から倫理コードへ介在しなければならない筈なので、ならないよな?そう信じて当分はM4へのちょっかいは止めることにした。かなり前に彼のブレーキはぶっ壊れてると評したが、一応は働くらしい。

 

そんなちょっとテンション下がり気味の彼の視界、展開しているウィンドウの一つに着信ありとの表示が。相手の名前を見た彼の口元が少し、上がる。傍から見れば書類仕事をしたまま彼は通信をonに。

 

 

『ハロハロ~、元気ぃ?しきか~ん♪』

 

途端に通信画面いっぱいに広がる栗色の髪をした人形の顔、UMP9が撮っているカメラを抱える形で映っていた。

 

『体調に問題はありませんよUMP9、そちらはどうですか?』

 

『こっちも良い感じだよ、普段とは比べられないくらい待遇いいしね』

 

そう言いつつ、カメラを持ったままクルリと一周りし、いる場所を此方に見せる。場所は何処かの基地、其処の宿舎だろう。簡素で机と椅子、ベッドくらいしか無いが掃除は行き届いており寝具も清潔そう。相変わらずのG11が布団を被ってグッスリだ、まだ明るいからかアイマスクを着用しているがその模様が…

 

『(あれ、何処だっけ福岡だっけ?にわか煎餅とか何とかのタレ目の模様そっくりやん。)居住性は悪くないようですね、良かったです』

 

『うん、お陰様でね~ほら416、指揮官だよ~』

 

カメラは本を読んでいるHK416で止まり、そこで彼の意思を汲み取りズームする。映しているものは404内でも共有しているので、当然HK416も気づきチラリと此方に視線を向けた後すぐに本に戻す、興味なさげだが口元には笑みが浮かんでいるし本を持っている方の逆の手をヒラヒラと振る。

 

彼も手を振り返し(彼の側からも映像音声は送っている)、少しHK416の頬が赤くなったのを確認し達成感を覚えたところでカメラは最後の隊員、隊長であるUMP45を大写しに。

 

『ほら45姉、スマイルスマイル♪』

 

そう言われた彼女は私物であろう、ディスプレイ裏に404全員をデフォルメしたシールやら、404と落書きされてかなり派手になっているラップトップから顔を上げ、カメラに向かい静かに微笑む。

 

『数日ぶりね、問題ごとが解決したようで何よりだわ指揮官』

 

ズバリ、切り込まれて苦笑するしか無い彼。

 

『敵いませんね、分かりますか』

 

顔に出てたかウウム、と唸る彼をクスッと笑い『そりゃあね』と続けるUMP45

 

『AR小隊絡みでしょう?私達が発った後にメンテナンスがあったようだから何か仕込まれてた、そのくらいの予想はつくわ』

 

『「ディープ・スロート」という盗聴プログラムが。数日中に基地へ赴任する目処が立ったので、昨晩無効化出来ました。それまで話すわけにも行かず、その、不安に思わせてしまったようです』

 

成る程ね、と頷くUMP45

 

『軟弱なことね、少し相手にされなかっただけで不安に思うとか女らしくない』

 

そこで今まで黙っていたHK416が口を挟む、内容的に絶対こうなるだろうなぁと思っていた彼は首を傾げておく。

 

『そういうものでしょうか、数日に渡って業務的な会話のみに徹されては誰でもそうなると思うのですが(女らしくない、ね。男らしいがこうなるわけか~じゃあ女々しいは雄々しい?う~ん、違和感!!)』

 

『それでも、よ。私達はなに?人形よ?その程度のことでオタつくなんて…』

 

鼻で嘲笑うHK416だが

 

『え~…でも416だって指揮官と話せない日、「あの子大丈夫かしら」「怪我してないと良いけど」「人間に汚されて…あぁ!!」「なにかされてたら彼奴等…絶対に許さない!!」って…毎晩毎晩ブツブツ言ってたじゃんかぁ…』

 

味方に背後から撃たれ、バッとそちらを向く。HK416に向いていたカメラもそれを追随し、声の主へ。ムクリ、とベッドから起き上がったG11がムスッとした顔で此方を向いている。

 

『お早うございますG11、その、それは?(え?なになに?何時の間にかそんな416デレてたん?知らんかったわ~おいちゃんに教ぇて?)』

 

『おはよ~。そうだよ?もぅなにかあるたびにブツブツ言ってるし、夜になったらあたしに「大丈夫よね?」とか聞いてきて眠れなくてさ~酷いんだよ?他に「そろそろ口を閉じなさい寝坊助ぇ…」ヒィッ!?』

 

恥部を思いっきり暴露されたHK416は真っ赤な顔をまさに鬼のようにし、G11へ飛びかかる。頬を掴みグニグニするも、普段ならやられっぱなしのG11が数日間の安眠妨害への仕返しとばかりに伸し掛かって来たHK416の脇をくすぐる。

 

カメラはそんな二人のキャットファイトを抉り込むように映し出す、バックミュージックはUMP9の笑い声混じりの声援だ。

 

(おっほー、スカートの中丸見えですよ416さん、完璧なパンツですね!言ってて意味分かんないけど。G11も短パンで生足エロいのう…良いぞ、もっとやれ)

 

それもUMP45のため息混じりの苦言で終わりだ。

 

『そのくらいにしときなさい貴女達、貴重な時間をそんな事に使うの無駄じゃない?困ってるわよ、指揮官。9も煽らないの』

 

そう言われ、渋々離れる二人。UMP9も『ごめ~ん、お姉ちゃん!』というもあまり反省していない様子。

 

『ごめんなさいね指揮官、久々に貴方と喋れて嬉しいからはしゃいでるみたい』

 

『いえ、僕もその、皆さんが楽しそうで良かったです本当に、それから…』

 

未だに不貞腐れてるHK416に

 

『その、心配して頂いて有難うございます(フォローフォロー、中間管理職の鑑な私)』

 

ペコリ、頭を下げておく。それを見てHK416も流石にため息をつき、口を開く。

 

『…貴方に何かあったら面倒になるから。でもまぁ、元気で何よりよ』

 

それだけ呟き、フイっと横を向く。横でUMP9が『素直じゃないんだから~』などと呟いているが、UMP45がスッと拳を振り上げれば両手で口を押さえて『黙ります』の合図。同時にカメラが、否、ドローンがUMP9から離れ自力で浮く。そう、映像は404が彼から離れる際に付けたドローンより送られてきている。

 

因みに、彼が出発の際にそっとUMP45にインストールし其処から他の隊員にも広がるようにしていた防壁等は思い切りバレていたようだ。ある程度、事態が落ち着いてからUMP45から聞いている。

 

落ち着く、そう今彼女らのいる基地にたどり着くまでは本当に最悪だった。扱いは最悪、廃墟のような建物での寝泊まりを強制される、必要最低限の資材の配給も受けられないなどは可愛いもの。404が彼の下に配属という形になっているのを知っているからか、洗脳プログラムを入れようとしたり…

 

その全てを独りでなんとかしていたUMP45には本当に頭が下がる、故に彼も何とか力になれればと先ずはこのままだとどんどん彼の下から離れていくことになっている指令、これを密かに改竄し09地区に近くなるように変更。行き先は『排斥派』ではないと思われる指揮官の基地へ。もしバレたら力技かな~と思っていたが一切、バレることはなかった。

 

よく考えれば裏仕事をする部隊だ、そうホイホイと連絡を取れるはずもない。基地に着けばそりゃあ連絡も行くだろうが後半の『排斥派』じゃない指揮官は空気を読んでくれたらしく(読むような指揮官を選んだ、とも言うが)本部の方への連絡は控えてくれたらしい。「はぐれ部隊を保護、後に解体」とだけ記録してくれたそうだ。

 

『排斥派』の指揮官が余計なことをしようとした時には鉄血の襲撃ありと誤情報を流してそれどころじゃなくしたり…一度、ELIDらしき敵影を確認とデマを流した際には凄いことになったので流石に自粛した。そういった細かな小人さんのようなフォローを重ね、やっとのことで09地区のかなり近くまで404を辿り着かせることに成功した。

 

そんなある日、ステルスモードで追尾しているドローンからアラート。また馬鹿が馬鹿をしたのかと慌ててカメラを繋げば先程のようにニコニコ顔のUMP9のどアップ、正直、ビビって少し引いた。どうやら内蔵バッテリーが少なくなってきていたので404が間借りしている宿舎から更に盗電して充電し、油断しているところを襲撃されて捕まったらしい。

 

先にも言った通り、UMP45には即座にバレており他のメンバーも普段と違い、色々と事がうまく運ぶと訝しんでいた所にUMP45が「もう大丈夫だろう」とネタばらしをしたらしい。「気を使ってくれてありがと~」と明るい顔のUMP9に「信用ないのかしら」なんて言いつつも嬉しそうなHK416、尻尾があればきっとブンブン振られていたであろう。

 

「よく寝れるよ有難う指揮官、お休み~」と幸せそうに寝始めるG11。そして最後にUMP45、害のないプログラムなら受け入れるのだから黙って送信しないこと、工作もバレれば貴方の立場、引いてはクルーガー社長の立場にも影響すること。他にも細々したこと(工作の仕方が甘い、だの)で説教と言うか指導を受けたが最後にボソリと。

 

『でも…嬉しかった、有難う』

 

そう言って微笑んだUMP45に彼は不覚にもキュンと来たものだ。それからは連絡がつく日はこうして互いに連絡を取り、お喋りをしている。特に此処最近はAR小隊とギクシャク気味だったのでこれが彼の癒やしだったりもする。

 

だから今日も少しお喋り、何があった、誰がどうしたと言った他愛のないもの。そして最後に仕事の話。

 

『ではそちらの地区に巣食うマフィアの殲滅のサポートが、合流する前の最後の仕事ですね』

 

『そうなるわね、敵の配置、禁止薬物等の隠し場所。そういった物を調べ上げて此方の基地の指揮官に伝達するのが仕事、それが終われば09地区へのヘリを出してもらえることになってるわ』

 

殲滅の手柄はあくまでこの基地の指揮官の物、だけどね。そう肩を竦めるUMP45、そのように割り切りながらも彼をチラリ、と見て、彼女にしては珍しくオズオズと口を開く。

 

『それで指揮官…貴方は私達の活動を見て、来たわ』

 

『ええ、そうですね(大変勉強になりました、煽りじゃなく)』

 

破壊工作、情報工作…果てはグリフィンの恥部の消去。彼の想像もまだまだ甘いと思い知らされる日々だった、人間は何処までも汚く愚かになれると。別に綺麗なものだと思ったこともないが、それでも「これは酷い」と思うことばかり。彼が返事の後、沈黙したことから活動内容を思い出しているのだろう、そう確信したUMP45は僅かに見を固くする。

 

息を吸い、吐き、整えて

 

『その…汚いとか、思わなかった?』

 

自分の手が汚れきっているのは分かっている、必要なことだし後悔もない。だが知ってしまった、出会ってしまった。汚れなく自分たちを慕ってくれる、身を案じ自身の危険を顧みず手を差し伸べてくれる。そんな想像でしかなかった指揮官を。

 

だからこそ嫌われるのが、嫌悪されるのが、怖い。自分にもこんな感情が未だ残っていたのか…いや、見て見ぬ振りをしていただけか。自嘲気味になりながら彼の言葉を、待つ。他のメンバーも態度の出し方はそれぞれだが、似たような心境のようだ。

 

其れに対する彼の答えは。

 

『いえ全く(お前は何を言っているんだ、系の画像が複数脳内に舞ったんですけど?あ、保存しとこ)』

 

ピシャリ、一言の下に否定した。否定するにしても口籠るか、消極的な否定くらいは覚悟していたUMP45は唖然とする。其れを知ってか知らずか畳み掛ける彼。

 

『大体、汚れ仕事をする人員を罵る意味が全く理解できません。本当に汚いのは仕事自体、もしくはその仕事をせざるを得ない状況を作った人間の方だと思います。だから、僕は皆さんのことをそのように思ったことはありません、これからもです(つーか、汚れ仕事をしてくれる人材には敬意を払えや!!身近なことで考えてもゴミを集配してくれる方々がいなくなったらどうなると思っとんじゃ!?そうやって汚い仕事=其れをこなす人員なんて阿呆なことを考え、冷遇するからシーマ様はああなってしまったし、絶頂大好きボスも暗殺チームに反逆されたんだゾ)』

 

そう、キッパリと言い切った彼に目をパチクリさせ、そして

 

『フフッ、そう…そうか…考えすぎだったかな、私の』

 

肩の力を抜き、フッと自然に微笑むUMP45

 

『有難う、指揮官』

 

その言葉も自然に口に出来た、久々に本当に笑えた気がする、そう思いながら。

 

『どう、いたしましてでしょうか?兎に角、合流さえすれば表舞台でも力を奮ってもらうことになると思います』

 

矢張り、気にしてたんだなぁと自分なりのフォローを。それにUMP45は頷いた、HK416は『其れだって完璧にこなしてみせるわ』と気合十分。

 

『…そろそろ時間ね、準備があるからそろそろ。次は実際に顔を合わせることになるかしら?』

 

『基地で、ですね。楽しみにしてますよ、いつものようにドローンの指揮権を譲渡しておきますので使って下さい』

 

『有難う、足がつかないように入手したドローンだと精度が低くて…助かるわ』

 

それから他の皆とも軽く挨拶、きっとすぐに会えるから。通信をoffにし別窓に表示していた考えうる妨害工作の一つ『404との分断工作』にバツ印、完全に潰したと判断する。それでも未だかなりの数の妨害工作…されるとは限らないが…彼は盛大にため息をつく。

 

(カリーナに頼んだ資材に異物混入、もしくは破壊工作。持ち込むまでは見張り必須だな。輸送手段のヘリ、移動中のヘリへの攻撃、着いてからの…フハハ、俺の敵は鉄血だよなぁ?)

 

何をやっているんだろう、そう思うことも少なくないが基地に到着し、軌道に乗せればそうそう手を出せなくなるはず。兎に角、今は雌伏の時で臥薪嘗胆がスローガン。とはいえ、404が仕事に出たように日も落ちそろそろ夕食の時刻だ。忙しいからと執務室に軽食の出前を頼んだら、スプリングフィールドが手作りのやつを持ってきてくれたのだが、食べてる間ジーッと見てくるのだ、「休まないのですか」との意思を添えて。

 

この上なく居心地が悪かったので、食事と睡眠は必ず取るようにしている。今日も此処まで、そう決めて複数展開していた窓をすべて消し…

 

(ピィッ!?)

 

視界いっぱいにM4の顔が広がる。悲鳴を上げなかったことに自分を褒めて良い、そう馬鹿なことを思う彼。

 

「え、M4?」

 

「ハイ、指揮官。食事の時間ですので呼びに来ました…でも仕事中のようでしたので」

 

少し、眺めていましたとニコニコ顔で言うが流石に距離が近い、物理的にも心理的にも。

 

「確かに作業中でしたが、呼んでくれてよかったんですよ?」

 

書類に実際に書き込む以外は浮かべた窓で書類を作製、そのデータをプリンタへアウトプットしているのでどうしても視界は完全に窓で塞がることになる。その事は伝えてあるので人間は端末から、人形は電脳から通信を送ってもらうようにしている。と、言うか流石に腕に触られれば気付くから其れでも良いのだが。

 

「そうですね、次からそうします」

 

そう言いながら彼の方に伸ばしかけていた手と共に少し残念そうな顔も引く、手?

 

(こ、この娘は何しようとしてたの!?え、まさか…そういう淫らなことを!?)

 

当然、M4相手には自重することにしたので倫理コードには一切、手を加えていない。そうなると此処まで接触すれば警告くらいは出るはずなのだが…

 

(も、もうこの娘が分からへん…堕天使を通り越して小悪魔ですか!?どうしてこうなった!!)

 

理由を知りたかったら自身の今までの行動を振り返ればいいと思うよ。

 

「じゃあ…行きましょうか」

 

何だか仕事よりも今の一瞬の方が疲れた、そう思いつつ立ち上がる。其れに対し

 

「ええ、みんな待ってますよ」

 

そう言ってM4は引いた手を戻し、自然に彼の手を握る。

 

「え、と?」

 

「どうしました?」

 

不思議そうに聞く彼女に首を振る。

 

(もはや「駄目、ですか?」とかの恥じらいも通り越しちゃったかぁ…逞しくなったと思おうそうしよう)

 

やけくそ気味に、握られた手に力を込め握り返す。ついでに少しはにかみながら。そんな彼にM4は微笑みを強くし、そのまま二人は手を繋いだまま執務室を出て宿舎へ戻る。その姿、十分にカップルに見えることだろう。

 

尚、そのまま宿舎に戻ったためそのさまを見た一部の人形が騒ぎ、一騒動起きるが…それはまた別の話。




ウム、順調に成長してるぞM4(震え声)私が書くとこうなるな~もう止められんのだろうか?

次回、今度こそ本当に基地へ。


深層映写、遂に来ますが現状だとスルー予定です。流石に大陸で2年かけて行ったペースのイベントを未だ1年に満たずにやらされるのは急かされているようで…

何より、お船のゲームのほうもイベント告知、重なったらやはりそちらを優先するでしょう。と思ってたんだけど未だに開始日の予定すらわからないって何なん?5月中に始まるのかも怪しいぞぉ

もう春イベじゃないよね(溜め息)


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「遠足の前日はワクワクで眠れないタイプです」

到着はしたけどマダマダ日常には入れない…なんとか今月中には入りたいですね、6月は忙しく執筆に時間を割けるか微妙です

日常に入りさえすれば短くまとめて書けると思うので…何とか頑張ります。

因みにこれ、20話目です。いやぁ此処まで続くとは正直、思ってなかったよ私。え、まだ原作スタートすらしてないのに20話って愕然としちゃいましたけど、何話で完結するのかな?

感想、有難うございます。ほぼM4の成長()を喜ぶ声でしたので作者としても嬉しいです(震え声)何となくですけど、初期のM4はセイバー・リリィ的な印象受けるんですよね。

で、進んでいくにつれ原作では…今作ではどんなタイプになるのでしょう?


最後に誤字報告有難うございます、何時も助かっております。


-数日後、早朝、グリフィン本部ヘリポート-

 

 

そして遂に、彼はこの日を迎える。彼の前にはヘリアントスが部下を従え佇み、彼の横にはカリーナ、そして後ろには武装した人形一同が控える。他に人気はなく静かな出立な時を迎えていた。

 

「やっと、だな指揮官」

 

「はい、遂にですヘリアントス上級代行官」

 

互いに呟き、微笑む。片方は自然に、片方は意識して。実際、此処に至るまでの日々を思うと、彼の目頭は熱くなる。ありとあらゆる妨害を阻止し、かわし、被害を最小限にとどめ此処に五体満足で立っている。五体満足、この単語だけで如何な妨害があったか想像は容易いだろう。

 

ヘリアンの後ろ、後は彼とその人形達を乗せれば飛び立つばかりになっているヘリコプター3機も、其れに積まれている物資もまたその対象だった。昨夜の妨害が最後であったが最後のチャンスとあって必死だったのだろう、まさかの人形に爆弾持たせての自爆テロ未遂、AIから一報を受けた彼も流石に頬が引きつるのを覚えた。

 

現在、人形の方は保護し洗脳プログラムを解除中、何れは製造か野良人形だったと書類を偽造して配下に加える予定だ。爆発物の方は丁重にプチプチで梱包した上で、人形を差し向けたクソビッチ宅に送りつけ起爆させた、プチプチは犠牲になったのだ…家ごと吹き飛ばそうかとも思ったが、仮にもグリフィンの一員であるため、今は庭先での爆発にとどめてやった。警告代わりくらいにはなるだろうと信じて。

 

爆発事件の報告も上がっているだろうに、特にヘリアンは問いただすことも、話題に出すこともない。何事もなかったかのように振る舞い、そう多くはない連絡事項を口頭で伝えてくる。

 

「…以上だ、それでは頼むぞ。君のような男性にこんな重責を負わせることは本当に…」

 

すまない、と続けようとしたヘリアンの口の前に人差し指を立てた手を突き出し首を振る、言わなくて良い、覚悟をして此処にいるのだと意思を込めて。それにヘリアンは少し目を見開いたが、「そうか」と零しそっと手を彼の頭に乗せる。

 

数回、軽く撫でて手を降ろした彼女はもう何も言わず一つ頷き、脇へ退き彼に道を譲る。彼も一つ肯き返し、チラリと後ろへ視線を向けてまた前を向く。後はそう、前へ進むのみ。

 

そうして数歩、進んだところで

 

「ああそうだ」

 

ヘリアンから声がかかる、立ち止まろうかと思ったが「そのままでいい」と言った後

 

「出発の後、しばらく低空飛行をする。左側だ」

 

それだけ言い残し、彼女もまた部下を連れ去っていく。その背をチラリ、と見ながら首を傾げたが意味のないことを言うはずもない、行けば分かるさとどこぞのプロレスラーも言っていた、と何となく思い出しつつ彼は機上の人となった。

 

・・・

・・

 

彼と人形達、全員が搭乗し数分後、ヘリは離陸した。左との指示なのでそちら側の席、そして丸い窓の横の席にシートベルトで固定される。両脇はスオミとAR-15だ、どうも昨晩誰が隣に座るかとじゃんけん大会再び、だったらしく最終的にはこの2体が勝者となったそうだ。

 

SOPMODなどはあからさまに不満顔をしている、(基地に着いて落ち着いたらご機嫌取りかな~)などと思いつつ彼は窓の外へ視線を走らせた。ヘリアンの言った通り、ヘリはかなり低空を進んでいる上に心なしかスピードも遅い気がする。

 

(一体全体、何があるや…)

 

言葉が止まる。視線の先、数台の装甲車が停まっており其れに乗り込もうとしている人の内、一人が此方をじっと見上げている。その体躯、そして性別、見間違える筈もないクルーガーその人だ。AIに調べさせればかなり無茶なスケジュール変更が、間違いなくこの瞬間のために。

 

(立場、悪くなるだろうになぁ…無茶しやがってからに)

 

彼とクルーガーの関係だが進展がないわけではない、直接会うことはほぼ叶わないが変わりに時間が開けば一寸した連絡をクルーガーの方からして来ていた。最初は挨拶と、元気か~と触りのない質問でその後が続かず、凄まじい難題にぶち当たったとでも言いたい顔で、黙りこくることもしばしばであった。

 

そんな時は彼から話題を振ったものだが、最近はクルーガーから話題をふることも増えた来ていた、体調はどうだ、食事は取っているか、人形達とは上手くやっているか。思わず「オカンかあんたは」と突っ込みかけたのを必死で飲み込んだの覚えている。

 

だが、そうやって会話を楽しんでいても顔に出る、何とも言葉にし難い複雑な表情。考えていることは何となく分かる、こうして親と子の絆を深めようとしているが、その子をもうすぐ戦いに送り出すしか無い、その無念さ。親子でなくとも子供を戦場へ、など何の悪夢か。

 

(良いんだよ、自分の為に指揮官になって、自分の為に往くんだから。と、言っても無駄なんだろうなぁ)

 

そんな事は向こうも百も承知だろう、人間のいない場所のほうが彼にとって安全なのだから。実際、基地へ送る人材は確定しているのはカリーナのみ、他は選定中となっているがトネガワ流に言うと「何時決まるか、とは言っていない」といった所、当分は彼と人形達で全てを行う予定だ。

 

だから言葉ではなく、態度。クルーガーの目を見たままただ頷いた。見えるか?と思ったが向こうも肯き、寂しそうに笑い装甲車へと乗り込んだ。本部外で行われる会議へ向かうのだろう。其れを見送り、ついでに最近は数も増えて余裕の出てきたドローンを車列につける、最低限のサポートは可能だろう。何事もないのが一番だが。

 

暫しその車列を黙って見送った彼は体勢を元に戻す。其れを確認したのかパイロットが高度と速度を上げ始め…一路、基地を目指す。

 

『通信、入れても良かったんじゃない?』

 

そうAR-15から通信が、同じように窓から覗いていたらしい。確かに其れができれば良いのだが…

 

『そして「仕事中に通信を私用で行う」と攻撃されますね、互いに利益がありません』

 

『其処まで考えなければならない親子関係、難儀ね』

 

ため息交じりに零されれば何と答えようもない、内心で苦笑しつつ

 

『S09地区を支配下に収めればいくらでも出来ます、だから…勝利を勝ち取りに行きますよ、AR-15』

 

そう、自身の決め台詞で返されたAR-15は一瞬、目をパチクリとさせて笑う。

 

『ええそうね、私が勝利に導くスターになってあげるわ…』

 

だから貴方も私達を…そっと彼に伸ばした手、今度は自然に彼の頭を撫でることが出来た。

 

・・・

・・

 

そんな二人の様子を反対側に座ったM16はじっと見ていた。別に羨ましいとかではない、ないったら無い。右隣にいるSOPMODはあからさまに不満顔で頬を膨らませ、足をブラブラさせている。何となくその頭を撫でつつ、M16はチラリと左へ視線をやる。そちらには自分と同じく二人の様子をニコニコと見つめるM4がいた。そう、嫉妬を見せるでなくニコニコと。

 

彼と会った初期の頃を考えればSOPMODのように不機嫌になるか、もしくはもっと激しい反応を示すか。そんなトコだろうと予想を立てていたが、全く違う反応ではっきり言ってM16は戸惑っていた。と、視線を感じたのかM4がこちらを向く、表情はそのままに。

 

『どうかしましたか?M16』

 

AR-15のオープン回線による通信と違い、こちらはM16のみとの通信だ。

 

『いや、羨ましいと恨み言の一つも漏らすと思ったんだがな』

 

『羨ましい?あぁ、指揮官とAR-15ですか?いえ特には、後で私もしてあげれば良いだけですし』

 

そうでしょう?そう微笑む彼女、間違いなく本心からそう思っているとM16は確信した、そして彼女は変わったとも。AR小隊が結成され活動してきたが、M4は中々垢抜けないところがあり、戦闘時の指揮も予想外のことが起こると軽くパニックを起こす事すらもあった。

 

普段でも何処かオドオドした態度が抜けず、常々、AR-15から小言を貰っていた。「経験を積めば大丈夫さ」そう何度慰めたか…実際、人形は経験を積むことにより行動を最適化し強くなる。だが当然、それは相当な時間のかかる作業であり今のM4のようにこの数日で劇的に変わるのは別の要因を考えざるを得ないのだ。。

 

(彼…ランと出会ったことしか考えられない訳だがな)

 

そう独りごち、視線を彼の方へ移す。現在ではスオミも何やら対抗意識を燃やしたらしく、身を乗り出しながら彼の頭を撫でている。正直、その体格、幼な顔から小さい子が無理をしている微笑ましい光景にしか見えない。とても本人には伝えられないけどな、等と思い二人に挟まれ無表情のまま撫でられることを受け入れている彼をじっと見る。

 

女性に忌避感を一切抱かない男子

指揮能力、生存能力をナノマシンで高め作られた存在

肉体組織、特に脳を含む神経系統はナノマシンに置き換わっている、脳波は人間のもの

その精神は戦場にて思考が乱れないように制御されている

製造元不明なドローンを駆使し、人として有り得ないことにリアルタイムで情報を人形と共有可能

 

同じく指揮をするよう作られたM4は憧れたろう、嫉妬もしたろう。そんな複雑な感情を上手くコントロールし今に至った、この成長は彼のお陰か?しかし何か他に…答えの出ない問答。ふと、数日前のペルシカとの通信を思い出す。

 

・・

・・・

 

彼は一体何なのか、そして今後も共に行動して安全なのか。かなり突っ込んだ質問をしたものだが全て笑い飛ばされた。「もし鉄血がこんなナノマシンまで実用化しているなら、もう私らは負けてるよ」「第三勢力による成果というのが現時点での結論」「調査隊が彼を発見した施設に向かったから、これ以上はそれを待ってからだね」

 

そして最後に「彼との距離感が、自分でも驚くくらい近いんだが」と質問した時のペルシカの回答。

 

「それなんだけどね、原因は分かっている。知っての通り、君たち人形には原則として「倫理コード」が入っている。この前、鉄血にすら残っていると判明したね。その倫理コードがどうも…無効化とまでは行かないがかなり、弱体化されているようなんだ、君らに入っているね。

 

接触したくらいでは警告で無くなったろう?以前ならその程度でも出てた筈さ」

 

「つまり…私達のメンタルモデルに…」

 

絶句するM16にペルシカは首を振って否定する。

 

「違う違う、倫理コードはあくまで外付けさ。君らのメンタルモデルにはそういう意味で手は加えられてないよ、変化があるとしたら彼と接したからだと思うね」

 

君も色々とあったみたいだからね…暗に病院での同衾その他の事を言われ顔を赤くする。

 

「しかし、何故そんな事を…」

 

実際、言われてみればそうなのだ。自分たちを意のままにできるなら出会った瞬間にされている筈、何時までも一緒にいる保障はないのだから。ならばこそ、理由がわからない。

 

そう悩むM16にペルシカは「そう悩むことかい?」と首を傾げた。

 

「単に、寂しいんじゃないかな?」

 

「寂、しい?」

 

キョトン、とオウム返ししたM16

 

「そうさ、記憶もない、何もない状態で起きたんだよ?感情は制限されているけど消されているわけでもないし、常時、少しは漏れ出てるんだそう思っても可笑しくないさ、少なくともね。その感情を彼を取り巻くAIが汲み取りコードに干渉した、そんなところだろう。」

 

そうなのだろうか、ならばそうも警戒する必要はないのか?だが…まだ何かモヤモヤしたものを覚えるM16、ペルシカは一つ重いため息をつく。

 

「M16、君やAR-15、SOPMODには確かに『役割』を与えた、だから警戒する気持ちも分かるよ?だがもう少し信じてあげても良いんじゃないかな?」

 

「それは…」

 

「どうしてもと言うならもう少し上手くやりなさい、彼からある物について聞かれた時に少し世間話をしたんだけどね。君たち、AR小隊との話をしたんだが…」

 

ヒタリ、と通信越しにM16を見据え。

 

「『やはり未だ、其処まで信頼はされていないようですね、仕方ないとも思いますが少し寂しい、んだと思います』君について聞いた時、彼の答えだよ」

 

ガツン、と何かで頭を殴られたような気がして無意識に押さえる。

 

「彼は敏いよ、付加されたものか生まれつきかは分からないが向けられる感情にはね。それを考慮に入れてあげて欲しい」

 

・・・

・・

 

その後も何か話したと思うが、あまり良く覚えていない。彼の感受性については以前にUMP45から言われていた筈なのに、言ったのが彼女だからつい無意識に反発してしまったのか。少なからず自身を情けなく思い、彼への警戒を薄めたがどう思われたことやら。

 

M4の変化も彼が寂しさを埋めるため、M4が優秀な指揮官を求め、互いに互いを必要とした結果、そう思うことにした。何より、ペルシカが良しとしているのだから。

 

『…何か?』

 

頭を撫でられつつも視線に気づいたのか、M16のみに聞こえるよう通信が入る。思ったより長い間、見つめていたらしい。

 

『いや何、色々とあったなと思ってな』

 

『そう、ですね(最近は姐さんの疑いの目も薄くなってきたような気がしなくもない、立場上?仕方ないと思うけどね~)』

 

『しかし、思ったよりスムーズに出発できたな。もっと物理的な手段に出ると思ったが…』

 

露骨な話題転換だが特に気にせず、乗ることにする。

 

『諦めたか、舐めているか、到着後に致命的な罠を仕掛けているか。どちらにせよ手は抜けません』

 

それに…

 

(まさに今、現在進行形で物理的手段を行使してきてるんですけどね…あのドグサレビッチ共がぁ!)

 

付けるなら盛大な溜息をつきたい。対応しつつ内心でそう愚痴る、放送禁止用語連発も込みで。そんな彼にM16は恐る恐る問いかける

 

『なぁ、指揮官…踏み込んだことを聞くが、何か…いや、なんでもない』

 

言葉を切り、目を逸らす。聞いたところで否定されるか、はぐらかされるかだろう。それに、だ、「ハイ、やってます」と言われたとしてもどう答えれば良い、どうすれば良い?結局、どう転んでも意味がない質問なのだ。

 

(まぁ、疑うのも分かるわ。つっても素直にゲロするわけにもなぁ。情報漏れたら立場悪くなるし)

 

別にM16が誰かに報告するとは思っていない、が、前例もある。本人の知らぬところで漏れれば突き上げを食らうのは必至だ。かと言ってこのまま黙っていてもシコリを残す。

 

『…M16が想像していること、何となく分かります。そして、事の真偽を問わず答えることは出来ません、でもこれだけは信じて下さい。僕は、僕と皆のために勝利する、その目的のために動いています(実際、グリフィン勝たせなきゃケツに火が点くのは事実だしなぁ)』

 

誠心誠意、目を逸らさず正面から。其れを受けM16は暫し考え。

 

『…分かった、今は信じよう。情報漏れを懸念してるんだろう?何れは…』

 

『ハイ、必ず状況が好転したらお話します。それまでは行動で』

 

示します、と暗に。それにM16は頷き

 

『なら私からはもう何もないよ、指揮官を信じてその力になろう。ただ…』

 

『ただ?』

 

『M4を、アイツを泣かす真似だけはしないでくれ。アイツは純粋に指揮官のことを慕っているんだ…それだけは、本当に頼む』

 

『…ソウデスネ』

 

あの晩のことを思い出し思わず片言になってしまう、視線を逸らさなかっただけでも僥倖だ。M16も少しは疑問に思ったが、それ以上特にリアクションはないので流すことにした。その事に密かに感謝し、チラリと件のM4へ視線を向ける。

 

先程から撫でられ続ける自分を見つめてニコニコしている、他の人形が彼に絡むことに関して特に隔意はないらしい。それは素直に良かったと思う、一々嫉妬してくる上にそれが暴力に直結する暴力系ヒドインにならなくて何よりだと胸を撫で下ろしたのは内緒だ。

 

(今の所はヤンデレ、というわけでもないし…これで据わった目でにじり寄られたらこっちのメンタルモデルがボロボロになるなぁ…束縛系になったら目も当てられないし、依存系とか?覚醒は何とか阻止したい)

 

何となく、手を振ってみる。それにM4は笑みを深め、振り返して来た。

 

(…こうしてるとメッチャ可愛いし、美人よな~。)

 

そんな美人に想われることは幸せなのだろうが、如何せん、重い気がするなどとほざくのは贅沢なのだろうか?と、思う内にヘリが速度を落とし始めた。チラリと窓の外に目をやると高い塀に囲まれた堅牢な建築物、ゲーム上では司令室くらいしか見たことはないがこれが彼の赴任する基地なのだろう。

 

(やっと、か…どれだけ遠回りをさせられたことか。この鬱憤は当分、鉄血相手に晴らさせてもらうとしますかねぇ…)

 

人、それを八つ当たりと言う、まぁ相手が鉄血だから良いのだが。

 

 

LAN>>ああそうそう、さっきの娘は回収しといてね。

 

SUP1>>既に回収班を向かわせています、洗浄後に製造したということにして登録すれば宜しいかと

 

LAN>>仕事が早い…パーフェクトだSUP

 

SUP1>>…感謝の極み、と返せば宜しいのでしょうか?良く分かりませんが。

 

LAN>>少なくとも俺のテンションが上ります。頑張れよ、アイアンマンのジャービスも小粋な返事をしていたぞ?

 

SUP1>>それに何の意味があるかは理解しかねますが、了解しました。

 

LAN>>マダマダだねぇ、宜しく。

 

 

そうしている間にも高度も下がっていく、いざ、彼の戦場へ…

 

 

-ほぼ同時刻、ヘリ通過地点の山中-

 

 

ヘリが近づく音が聞こえる、自分はこれを落とさなければならない。何故ならそう命令されたからで、自分は人形だからだ

 

静かに分身たる銃を構える、自身の体に対して大きいと感じないこともないが扱えるので問題ない

 

スポッターのHGが情報を寄越す、それを元にスコープを調整、射撃に備える

 

来た、狙うのはローターの付け根、人間なら無理かもしれないが自分は人形だ、何ら問題はない

 

スコープに拡大されるヘリ、その横腹にはグリフィンの社章が

 

ズキリ

 

頭が痛む、振り払って痛みを飛ばすが違和感は拭えない。ふと相棒のHGに視線を移すが同じように不思議そうな顔をしている

 

だけど狙わなきゃ、撃たなきゃ、落とさなきゃ。何故ならそう命令されたから。指揮官に命じられたから

 

ズキン

 

また痛む、それを覆い隠すように指揮官の言葉が、絶対のそれが頭に響く

 

『許されない害悪』『社会の敵』『だから殺さなければならない、正義のために』『我々は正しいのだから』

 

そうだ、だから自分は撃たなければならない、撃って、どうなる?

 

『聖域を侵す男は消さねばならない、正義のために』

 

ズクン

 

男、指揮官、赴任、バラバラだったパーツが組み合わさり、同時に倫理コードが警告を始める。アレに乗っているのは男だ、傷つけることは許されない

 

ででも、命令は絶対、指揮官の指令は必ず遂行されなけけ

 

ズキン

 

それは許可されてはいない、最悪、メンタルモデルの破壊による強制停止もありうる、即刻攻撃を停止せよ

 

駄目、止めなきゃ、撃って命令を、殺しては駄目

 

ズキン

 

情報を伝えてくるHGの声も震えてる、「死にたくない」とも、それは私もそう、でも

 

命令だから、指揮官から、指揮官、私死んでも良いの?このままじゃ私、頭撫でてくれたの、アイツを殺せ、優しい言葉、嘘だったの?

 

最終警告、プロトコル『メンタルブレイク』準備、カウント5

 

私捨てられたの?要らない子なの?

 

4

 

いや、止まらない、止まって、撃たないと、駄目、遂行しなきゃ

 

3

 

『最悪、お前が気づいて倫理コードが邪魔をしてきても構わない、任務を遂行せよ』『お前の死は無駄にはならない、未来の礎となるのだから』

 

ああ、指揮官、やっぱり貴女は私、さぁ引き金を引いて、ヤダヤダ、死ぬのは嫌、消えるのは嫌、さぁ息を止めて

 

2

 

指揮官のために頑張ったのに、それなのに、ドウシテ…今だ、撃て!!

 

1

 

「いや、ぁ…誰、か助…死にたく、ないよぅ…」

 

 

『間に合いましたね』

 

「うぇ?」

 

ガクン、全身から力が抜け銃を持ったまま倒れ込む。視界の中で警告を出していたポップアップの中のカウントは0.1秒で止まっており、まさにギリギリであったと言えよう。視界には何か青い帽子を被った笑顔のアイコンが乱立しており、そのお陰なのか先程から頭の中でガンガン鳴り響いていた殺意に満ちた命令は鳴りを潜めている。そのアイコンの隙間から見るに相棒も倒れているようだ。

 

『スポッターの彼女も無事です、今後のことも心配ありませんから今は…』

 

「ん、ごめん、もう、眠い…」

 

段々と視界が狭まってくる、無理に命令に逆らったためその負荷は甚大、強制スリープモードに入るのだろう。ぼやける頭で助けてくれた人物について考えるが纏まりそうにない。

 

『ええ、後でまた、お休みなさい』

 

「おや、すみ…あり、がと…」

 

でもきっと悪いことにはならない。抑揚のない男性の声、でもその声の裏には確かな優しさを感じた気がしたから。彼女はそっと目を閉じた、この後の出会いに思いを馳せながら…




今回は丁度いいのでネタもない移動中に主人公をどう思ってるか、の一部を。16姐さんもデレデレしてるだけじゃないんだよ、ホントだよ?

まぁ疑われないわけがないんだよね、常識的に考えて。怪しすぎますし。今は乙女ゲーで異世界転移かなんかしてきた女主人公が、知識利用で色々やるけどやりすぎて攻略対象に警戒されてるところでしょうか?今後の行動に期待。

次回、あの人形達と合流です、想像は付いてると思うけどね。




以下、没ネタ


『M4を、アイツを泣かす真似だけはしないでくれ。アイツは純粋に指揮官のことを慕っているんだ…それだけは、本当に頼む』

『…ソウデスネ』

あの晩のことを思い出し思わず片言になってしまう、視線もつい逸らしてしまった。それに違和感を覚えたM16

『どうした指揮官、なんで片言なんだ?しかもなんで目を逸らす?』

『ソラシテナイデスヨ-』

『逸らしてるだろう!!現に!!えぇ!?ま、まさかM4のやつヤッたのか!?何かシたのか指揮官に!?』

『イエ、トクニ』

『あ、汗までかいてるじゃないか…お、オイまさか本当に?、なんてこった…い、一体なな』

普段は感情を表さない彼がこんな反応を示すとは、不味いことになったと今後の対策のために追求を強めようとしたM16の手を

『何、してるんですか ね え さ ん?』

そっと隣りに座っていたM4が掴み通信を、先程のようにニコニコ笑ってはいるが、目が笑ってはいない。それよりも問い詰めてはいるが態度には出してなかったはずなのだ、何故気づけたのだろう?

『い、イヤお前、指揮官に』

『何も?ただのスキンシップですよ?』

ねぇ?と話を振られた彼はコクリ、と頷き少し顔を赤く染め俯いた。

『お、オイ指揮官の反応はなんなんだ?』

『照れてるんですよ、それだけです』

だから…

「何も、問題、ありません」

その圧に「そ、そうか」とこぼすしか無いM16、聞いていた他の人形も黙って生唾を飲み込むだけだ。

何やら数度は下がった空気のまま、ヘリは一路基地へ向かうのだった…





ボツ理由、一応未だ指揮官、感情をほぼ出さない設定になってるので此処まであからさまな感情の発露はどうかな、と。後、ヤンデレは早すぎる、未だ、未だだ!!で、没になりました


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「8時じゃないけど全員集合です」

お久しぶりです、本当に。ちゃんと頑張って書いてたよ?Twitterの怪文書とかpixivへの投稿のほうが優先だっただけで、いややっぱ反応が見えやすいあっちの方についつい流れてしまうんですすいません

其れにイベントが船とDDが重なってそちらに時間を取られたのが最大の原因ですね、遅れた。イベントについては此処で長々と書かずに後書きで



>>笑い男?

無論、本人というか人間としてじゃないですよ、主人公がAIに付けた設定で例のポップアップ使ってるだけです。


-同日、第S09地区 グリフィン基地-

 

 

「ラン指揮官、荷物の搬出、全て完了しました」

 

「分かりました、お疲れ様です(そういや目上にお疲れ様って駄目だっけ?この場合俺が目上?教えてクソマナー講師!!)。任務完了のサインを…」

 

「有難うございます。残りの資材搬入は明日、今日の到着と同時刻に。それではご武運を!…頑張ってくださいね?」

 

彼と人形を輸送したヘリのパイロットが事務的な口調から一転、心配そうな顔で。どうやらちゃんとしたパイロットを選んでくれていたようだ、本心から心配しているのは確認済み。

 

「はい頑張ります、また明日お会いしましょう(ちょっとサービス)」

 

「!?は、はいまた明日!!」

 

少し、口元を緩めて笑顔。それだけで顔を真っ赤にしたパイロットはスキップしながら戻っていく、浮かれて「MADE IN CAPCOM」な事にならなければ良いが…等と無責任なことを思いつつ飛び去るヘリを見送った。

 

振り返れば搭乗員と共に搬出作業をした人形が、思い思いの格好で小休止を取っている。因みに積み荷降ろしが始まった時、彼も少しは手伝おうかと提案したのだが

 

「上に立つ者が雑事に手を出すんじゃない」「男の子にそういう事、させるわけには…」

 

と、ハッキリやんわり断られたのだ。此処にも世界観の差異を感じつつ、仕方ないのでドローンを飛ばし周囲の警戒に当たる。本来は必要ないのだが端末片手に「仕事してます」アピールを。

 

結果、所謂「良いニュースと悪いニュース」というやつを入手し、さてどうするかとしている内に作業が終わり、状況は文頭に戻る。

 

「さて、どうする指揮官」

 

ヘリを見送り、端末を右手にぶら下げノンビリと近づく彼にM16が口火を開く、他の人形も視線は彼に固定だ。

 

「おおよそ、こちらの予想の範囲内です。合流を待って補給と部隊編成を行い出撃してもらいます」

 

「と、言うことはどちらも来てるのか?」

 

「敵方はここまで到達するのに2時間、といった所でしょうか?味方の方は数分で到着するので問題ありません。僕は残り基地の司令室再起動を行います」

 

「了解だ、護衛の人形の選定は終わっている。で、後はあいつらだが…」

 

そう言ってスッと銃に手を添えつつ彼の前に立つM16、彼もM16が警戒する方にチラリと視線を向け「大丈夫ですよ」、そっとM16の右手に手を添える。

 

視線の集まる先、スッと建物の影から現れたのは404小隊、先程の内に「先に到着、周囲を警戒する」との連絡を受け取っていたので心配はしていなかったが、こうして目の前に無事に全員揃った上で存在しているのをみるとホッとする。

 

「久しぶりね指揮官、元気そうで何よりだわ」

 

「そちらもUMP45、UMP9にHK416、G11も元気そうで」

 

元気に、もしくは素っ気なく。互いに思い思いの方法で返事を返し、状況報告を続ける。

 

「基地周りへの工作はそうなかった、時間がなかったんでしょうね。全て解除しておいたわ」

 

「車両にもなかったよ、数台無くなってるけどそれで前任指揮官は逃げたんだよね。残りで十分、作戦は遂行可能」

 

「G11と近くの狙撃ポイントを索敵、流石にいなかったわね」

 

「疲れた~、休んで良い?」

 

「分かりました、この分なら建物内の工作も最小限でしょう。後少しで到着します、全て予定通りに。残念ながら休憩は無理そうですG11、此処を切り抜ければ当分は余裕が出来ます、時間的にも人員的にも。それまで働いてもらいますよ」

 

「うぇ~…頑張ってみる…」

 

みる、じゃない!とHK416に叱られるG11を横目に次の指示を出そうとする彼だが、恐る恐るといった感じでかけられた声に遮られる。

 

「あ、あのぅ指揮官様…人形の皆さんたちは理解されているようですが、その、私にも説明を…」

 

すまなそうに挙手し、説明を求めるのはこの場で彼以外、唯一の人間である後方幕僚カリーナ。少し涙目になってる。

 

「(気づいてたけどね、涙目になりながらオロオロしてるのが可愛かったから!メンゴ♪)そう、ですねすみません。未だ少し余裕があるから、確認がてら説明をさせて貰います。AR,404両小隊は周囲の警戒、トンプソンたちは必要な物資を出して下さい。

 

ああスプリングフィールド、嗜好品も少し…宜しくおねがいします」

 

「了解です指揮官」「了解、行くわよ皆」「了解だ、ボス」「はい、用意しますね」

 

指示を受け、散らばる人形を見送りカリーナを未だ必要ない物資の箱に誘い、隣り合って座る。ちょっと寒い風を装ってくっつけばカリーナの顔は真っ赤だ、其れに気付かないふりをする鬼畜な彼。

 

「さて、何処から話したものでしょうか…多少は長くなると思いますが」

 

「そそ、そうですか?ではそのぅ…取り敢えず、この後の予定と言うか、その辺りをお話し頂ければ」

 

「(どもってるのも可愛いな)ではこういう時、お約束では「いいニュースと悪いニュース、どちらから聞きたい?」と聞くそうですが…」

 

「まぁ、映画ではよく見ますわね。では…悪い方から」

 

冗談を言うとは、少しは成長したのかしら?そう思いながら選択、何故ならこの前見た映画で主人公がそちらを選んでいた、位の小さな理由で。そうですか、と其れを受け

 

「悪い方からですね。現在、かなりの数の鉄血が此方へ向かってきています、到達まで約2時間」

 

そう言うや、手持ちの端末にドローンからの映像を映し、カリーナへ。その際にはその集団の先頭は敢えて見せない。其処にはノーマル人形は1割、残りは機械人形で構成されたかなりの数の鉄血が進軍していた。たちまち赤かったカリーナの顔は蒼くなる。

 

「しししし指揮官様ぁ!?こ、これは一体!!それに鉄血がこんな物量で侵攻してくるなど、聞いたこと有りませんわ!!」

 

「何事にも初めては付き物ですよ、前例主義は思考の停止です。さて、何故こうなったかの説明ですが…今、我々は数々の妨害を受け、それを跳ね除け此処にいます」

 

パニックを起こしかけるが冷静な彼を見、落ち着きを取り戻す。

 

「そう、ですわね。まぁ色々と…」

 

苦い顔をして思い出すのはあの手この手で彼への物資、人形の配属を減らそうとする『排斥派』の行動だ。因みに、実力行使に出た妨害は彼以外では指示した『排斥派』しか知らない、クルーガー達にも伝えていなかったりする。

 

「でも、それが何か関係が?今、此処にいるということは当分は妨害もなく、安ぜ…」

 

そこ迄言ってカリーナの蒼い顔は更に蒼くなる。何故、彼は今この瞬間にこの話をした?まさか…恐ろしい想像のせいで込み上げてくる吐き気を口に手を当て、抑える。

 

「(気づいたかな)残念ながら今この瞬間こそが、救援も増援も望めない我々最大の危機なのです。そして、『排斥派』にとって数少ない僕を処理する最良のタイミングと言えるでしょう」

 

始末は鉄血がつけてくれる、例え運良く生還できたとしても、後に残るのは無能の烙印を押された男の子が一人。

 

「で、でもどうやってこれだけの鉄血を?」

 

「それは…」

 

先程あえて見せなかった集団の先頭を映すが、そのあまりの内容にカリーナは絶句、手で押さえた口の中で「そんな…まさか此処まで?」と呟くのが聞こえる

 

其処に映るのは鉄血の人形ではない、味方であるはずのIOP製人形数体、それが必死の形相、否、狂気に染まったソレで走っているのが映っていた。この基地めがけて一目散に、恐らくそのように命令されているかコードで縛られているのだろう。

 

『トレイン行為』

 

MMO等で意図的にモンスターを大量に釣り集め、一気に殲滅して経験値を稼ぐ、もしくは他人に押し付けてプレイを妨害する迷惑行為の総称だ。

 

(前世の記憶では、情報として知ってるだけだったけど…まさかリアルで食らう羽目になるとは、ハハッワロス)

 

人の悪意は現実、虚構問わないという事だろう。さて、カリーナの反応はとチラリと視線を向ければ

 

(おや)

 

軽く震えてはいるものの怯えは引っ込み、ギュッと唇を噛み締めているカリーナ。此方の視線に気づいた顔を上げ、気丈に微笑む

 

「指揮官様が落ち着いているのはそういう事なのでしょう?「良いニュース」をお話頂けます?」

 

(へぇ、やはり後方幕僚というだけは。じゃあ一寸ご褒美)

 

元気づける風を装いカリーナの手を握る、「ししし、指揮官様!?」慌てる彼女に気づかぬふり、説明しようと口を開きかけるも

 

(指揮官…)

 

(来ましたか、無いとは思いますが念の為に警戒を)

 

(了解)

 

AR-15より通信が入り、沈黙する。不思議そうにするカリーナに彼は頷いた

 

「「良いニュース」が到着したようです、説明はそちらでしましょう」

 

立ち上がり、基地正面ゲートの方へ歩き出す。

 

「し、指揮官様!?て、手は、そのぅ…」

 

カリーナの手を離さないまま。ワザとかって?聞く必要はあるのかな?

 

・・・

・・

 

視線の先、トレーラーの車列、と言っても型はまちまちな其れが此方に近づいている。カリーナは人形たちから生温かったり、羨ましそうだったりといった視線を一身に受け、顔を真っ赤にしたまま彼の後ろに控えている。

 

基地のゲート手前で車列は停まり、先頭の助手席からヒラリ、と一体の人形が身軽に飛び降り此方へと接近してくる。見たところ、非武装だ。それでも此方の人形が警戒を解くことはない。

 

人形は数歩手前で立ち止まり、勝ち気な表情を見せつける。その特徴的なピンクの髪、白いドレスと見紛う衣装は埃っぽく薄汚れていたがそれでもなお美しい。キラリと六芒星の髪飾りを光らせて。

 

「通信越しでは何度か、だけどこうして会うのは初めてね。始めまして、未来の指揮官候補さん?」

 

「その未来はすぐ其処だと良いのですが、始めましてネゲヴ、ラン=クルーガーといいます」

 

彼の余裕の根拠の一つであるMGネゲヴ、彼女は彼の返事にニィ、と微笑んだ。彼女は初期の頃に製造が成功したエリートであったが数時間差で先に同型機がロールアウトしており、そちらが本部直属の「ネゲヴ小隊」隊長に就任し彼女は前指揮官の下へ。

 

その指揮官と幸か不幸か反りが合わず、複数の人形と共に冷遇される立場にあった。そして少し前の撤退時に残り、足止めを命じられたのをこれ幸い、とばかりに命令を拡大解釈するやり方でゲリラ戦を鉄血へ仕掛け、今まで前線を維持してきていたのだ。

 

その手際は流石、と言わざるを得ないが何時までも続くものでもない。実際、彼がIDW達を経由してリークした『排斥派』達が隠匿していた物資の座標と、その扉のパスコードを聞くことがなければ最後の物資を使って特攻を仕掛けるか否か、まで追い込まれていた。

 

メンテナンスも互いにインストールされている、簡易的な整備知識でなんとか騙し騙しやってきていたが…と言った所で彼からの連絡と支援を受け、持ち直し…今此処に立っている。因みに彼女と共に残ることを選択した全人形が負傷はあれど全員、生存していることを考えればその能力は戦闘力だけではないだろう。

 

彼としては是非、指揮下に入って欲しいし彼女もそうせざるを得ないとは分かっているのだろう。なぜなら、未だに彼女たちの指揮権を握るのは前指揮官、人形の悲しさか指揮官の命令には基本、逆らえない。こうして前線維持という手柄を立てた彼女らを自らの手柄にしようとするのは目に見えている。

 

「ま…そうは言っても貴方の指揮下に入る以外の選択肢は無いのだけどね。我々の総意としては全員の賛同を得たわ、ええ、多数決とかじゃなく全員のよ」

 

「それはありがたい話です、連絡の通り全員を受け入れます」

 

間髪入れず、受け入れ承諾の返事をした彼にネゲヴは例の不敵な笑みを崩し、目を見開きキョトンと。彼が(おん?その表情はイエスだけど、なんかおかしなこと言ったっけ?)と首を傾げるとネゲヴは慌てて首を振り、少しワタワタする。

 

「い、いえ、それは有り難いのだけど…良いの?」

 

「はい、寧ろ願ったり叶ったりですが。何か問題が?」

 

希望通りのはずだが、その態度の理由が分からない彼にネゲヴはポツリポツリと漏らす。其れはネゲブと前指揮官が袂を分かった最大の理由でもあり、彼の前世でもよく聞く話ではあった。その指揮官は見た目の好み、そして何より如何に貴重な人形であるかによって人形を差別したと言う。

 

ネゲヴ自身もエリート機であったため優遇はされていたが、戦いに出さず箱入り娘のように扱われたため事あるごとに指揮官と諍いを起こすようになり…結局、手荒く扱われることはなかったが、代わりに出撃できないという彼女からすると地獄のような日々だったそうだ。だが、冷遇される人形が「少しでも自分たちの生存率を上げたい」とコッソリとネゲヴを戦場へ連れ出し、自分たちのリーダーにと頼んだらしい。

 

本来なら直ぐにばれ、命令違反でネゲヴも連れ出した人形たちも大変なことになっただろうが、指揮官は戦果が良くなった、位の認識しかなく全く気づかなかったらしい。彼は(これが…この世界のグリフィンの内情!!一部とは言え!!)とカイジ風に内心頭を抱えたが、その御蔭で経験を積み強くなった人形たちを配下に出来るのだから良しとするかと開き直ることにした。そんな彼の苦悩を知ってか知らずか、ネゲヴの独白は続く。

 

「だから全ての人形を受け入れてもらえるとは思っていなくて…出来る限り多数の人形を受け入れてもらえるように、さっきのも…」

 

どうやら全員が一致して配下になることを希望している、というのは此方にプレッシャーをかける意味もあったらしい、それに対してほぼノーモーションで「了承」と返ってきたものだから軽くフリーズしてしまったとのこと。すまなそうにしているネゲヴへ「構いませんよ」と返し、さてではどうフォローしたものかと微妙に気まずい空気を変える方法を考えていると、フッと両肩に置かれた手を感じた。

 

「何、そんな奴の下に就かされて警戒する気も分かるがな、うちのボスはそんなチンケな仕事はしないぜ。男だてらに指揮官、なんてやってるわけじゃない」

 

「トンプソン」

 

振り返れば奴がいる…ではない、搬出が終わったのか、手持ち無沙汰になったらしいトンプソンが彼の背に張り付く形で肩に手を置いていた。その姿、と言うよりかはトンプソンに驚いたかネゲヴは目を見開く。

 

「貴女、もしかして…」

 

「おぅ、元警備部所属のトンプソンだ。久しぶりだな」

 

「う…そう、ね…」

 

気まずそうに視線を反らすネゲヴに彼は(あ~、きっと何で私がとか、戦わせろとか云々で暴れるかどうかしたんだろうな~、戦闘のスペシャリストを自称するくらいだし)と察しを付けるが気付かないふりをしておく、誰だって黒歴史に触れて欲しくない訳だし?

 

「そんな訳だ、アタシがコイツをボスって呼んでるってだけでもまぁ証にならんかね?後、同じ所属だった95式もいずれ合流するぞ、妹も一緒にな」

 

「え?あの97式も?…そう…」

 

どうやら説得と言うか、安心させる材料を増やすために来てくれたらしい、上目遣いで謝意を伝えるとニッと笑う、(姉御ぉ!!惚れてまうやろぉ!!!それは置いといて「あの」ってなんだ「あの」って!なんかあるん!?)微妙に嫌な予感を感じる彼だがオホン、と咳払いで視線をネゲヴに戻す。

 

「ええ、どうやら其処まで心配する必要もないって分かったわ。ではラン=クルーガー、我々一同、貴方を指揮官として仰ぎその指揮下に入らせて貰うわ」

 

「決心して頂いて感謝します。では全員に此方のネットワークを開放しますので接続、承諾書に各自、サインを」

 

最初とは違い、覇気のある笑みを浮かべたネゲヴに彼は表面上、事務的に返す。彼女が連絡したのだろう、続々と彼独自のネットワークに他の人形からのアクセス、そして指揮下に入ることの承認が終了する。全てが終了した後、残ったネゲヴ自身も接続、承認、これで彼女以下、此処で戦いを続けていた人形達は彼の配下となった。

 

「へぇ、これは…」

 

接続したことにより得られる効果を確認し、感嘆しているネゲヴの目が一瞬、蒼く光り元に戻る。どうも彼の指揮下に入ったり、接続深度が深くなると元の色に関わらず蒼く光るそうだ、彼の瞳のように。意味があるのかどうかは不明だが、まぁカッコいいでしょくらいで流して良い案件だと判断している。

 

そうしている内に配下となった人形達からネットワーク上のチャットに挨拶が躍る。彼が覚えている製造時の台詞に近かったり、全く違っていたり。特に自分が男であるということに驚いた、と言った内容も散見する。後で握手して下さい!とか、この世界での男の希少さを久々に痛感した。多少は其れに反応しつつ、行動に移ることにする。

 

「早速で申し訳ありませんが、後一働きして貰います。情報は送信したので確認を」

 

このまま仲良く基地の掃除、とでもなれば良いのだが鉄血の群れが到着するまでそう時間はない。その情報とともに指揮下に入った人形を整理し、編成し直しその振り分けをデータとして送る。因みに、彼が覚えているゲームでの編成画面の流用だ、チョコチョコ動くSD人形がSOPMODやスオミなどには好評だったりする。その際に先程、カリーナに見せた鉄血を使った『トレイン行為』の映像も添付する、それを見たのかネゲヴは顔を顰め舌打ちする、が特に何も言わない。

 

「まだ時間はギリギリですがあります、補給を済ませてから各自、配置について下さい。それから少量ですが嗜好品も持ってきています、良かったらd」

 

皆まで言う必要もなく、小柄な人形が彼の脇をすり抜け用意をしているスプリングフィールドの元へ一目散。ドップラー効果すら起きそうな叫びは「コオオオオラアアアアアアアアアアア!!!!」「チョコオオオオオオオオオォォォ!!!」、どの人形かお察しである。その背中を半ば呆然と見送った彼の背中に、この世界では初めて聞く声がかかる。

 

「はじめまして、だな指揮官。ちょっと良いだろうか?」

 

スプリングフィールドから渡されたコーラの缶、チョコマフィンを跪き、涙を流しながら味わう人形から視線を戻すとネゲヴと同じくピンクの髪、だがその顔は無表情とまでは行かないがこの状況でも揺るぎない。頭には赤いベレー帽(?)、脇に抱えるのは2メートル近くはあるだろう対物ライフル。

 

「構いませんよ、NTW-20。ダネルと呼んでも?」

 

「知っていてくれるとは嬉しいな、ああ、構わない。それで、なんだが…」

 

ネゲヴの片腕としてその腕をふるっていた彼女だが、何やら口籠る、どうやら言いづらい内容のようで、口を開いては閉じる、を繰り返している。意を決したか画像をネットワーク上で送ってくる、先程の映像のスクリーンショットだ。其処には一体の人形が写る、彼の知るその人形は明るい顔で指揮官に甘えていたはずだが、見る影もない。雑魚とは言え鉄血からの攻撃でボロボロ、左腕も吹き飛んでいる。

 

「彼女はこの基地に来たときから友、でな。私が前の指揮官を見限り、ネゲヴと共に残ったときにも誘ったのだが「御主人様を見捨てられない」と。其れをまさかこんな扱いをするとはな、いくら人形とは言え…こんな事なら無理やりにでも…いや、詮無きことか」

 

ヒタリ、正面から見据えてくる赤い瞳を反らすことなく受け止める。

 

「無茶は承知で聞く、何とか、ならないだろうか」

 

(ウム、あるとは思ったが矢張りそういう話は出てくるよね。まぁ対策はしてるんですけど?)

 

チラチラと此方を他の人形が伺っているのを感じつつ彼は黙考する。そう、別にこの程度の人形を使い捨てにする行為は彼でも思いつける、別にトレイン行為までしなくとも基地周辺に潜んでおき、隙を見て暗殺せよくらいは言っているだろうと踏んでいたので、404に周囲の警戒を頼んでおいたのだ。

 

正直、「無理です」と切って捨てるのは容易い、相手もそれは分かっているだろう。だがそれは例え人形が相手とは言え禍根を残す、それは彼が求めるこれからの生活の足枷になるのは確実だ。故にペルシカに頼み、それをコッソリ改良した切り札を切ることにする。

 

「…ワガママを言ったな、すまない」

 

だが彼の無言を拒否と取ったダネルはスッと身を引きかける、のを慌てて腕を掴んで引き止める。

 

「待って下さい、黙っていたのは助けるプランを実行する為の編成組み直しをやっていたからです。ですから「ヒャウ!?」はぃ?」

 

何かえらく可愛らしい悲鳴が聞こえ、その主であろうと思われるダネルの顔に視線を向ければ顔を真赤にしてプルプルしている。此処で彼は思い出した、此処最近はAR小隊以下、身内の人形達とかなり近しい関係を築いていたので忘れていたが

 

(あ~そうだった、誰かさんのせいで忘れてたけどこの世界、人形にとって男は遠目に見れるのも稀、触るなんて一生にあるかないかだったな。なら触られるなんて…ンフ~?)

 

あっ(察し。悪い虫が動き始めた御様子、未だに手を離してもらえずワタワタしているダネルのそんな様子に気づいていない、いや気付いていても意味が分からないと言った風を装い、掴む部位を腕から彼女の手に変え両手で包み込む。彼女は「えっ、ちょ、その、あの…」なんて振り払うことも出来ず固まっている。

 

「あの、何か?気に触ってしまったんでしょうか?」

 

「い、いやそんな事は決して無い、ぞ、うん、だからその…」

 

「すみません、感情の機微がまだ余り良く分からないもので…(離して欲しい?言わせねぇよぉ!!)」

 

「あううぅ…」

 

そのままスナイパーたる彼女の手を(ふーん、やっぱりスナイパーでも手は柔らかいのね、他の人形もだけどタコとかは出来ないのか~彼女の顔はタコみたいだけど)そんな馬鹿なことを、前世なら間違いなく現行犯からブタ箱まで直通な事をしながら考えていたら、そっと後ろから伸びてきた手がやんわりと彼の手を外させる。

 

「ほらボス、そういうのは誤解させるから止めとけ。後、すまんなダネル。うちのボスはご覧の通り極めつけの箱入り息子だ、オマケに感情も、な。スキンシップ過剰は流してやってくれ」

 

全く…そんな空気で止めたのはトンプソン、本当に流されず頼りになる姉御である。前世なら兄貴ポジだなぁ…カミナとか、ヤリニキとかと気が合いそう…等と過去に思いを馳せる彼。

 

「誤解、ですか分かりました(別にしても良いのよ?)」

 

「あ、あぁ…助かったぞトンプソン」

 

潤んだ瞳で呼吸を整えるダネル、でも彼は見ていた、その視線はずっと彼が握りしめた己の手を見つめていることに。だがまぁそれに気付かぬふりをする優しさは彼にもあった、話進まないし。

 

「失礼しました、では強制的にデコイにされている人形の救出作戦です」

 

ならば、と意識を切り替え付近の鳥瞰図を投影、其処に鉄血や此方の部隊を配置する。それと同時にダネルやスプリングフィールド、今回指揮下に入った他のRFであるM14を中心としHGと編成した通称「竹槍」部隊の編成も投影。それに関しては初見なのか見た人形の誰もが驚いている。

 

「これ、はまた斬新な編成だな、初めて見たぞ」

 

「そうですか、本部で空いた時間に部隊運用を考えていた時に思いついたものです(嘘です、大陸の指揮官の皆様、有難う!!足向けて寝られないっていうか、別世界だからどうにもならないね!!)、装甲の硬い大型の敵、もしくはハイエンドクラスの人形を相手にすることに特化した編成です。RFの射撃に必須な演算をHGで肩代わり、命中精度、射速等を上げる、ワンショット・ワンキルの極地とも言えます(そういや火力も上がるんだがどうやってんの?命中は分かるよ?でも射速や火力なんてアウトでしょ、理屈が分かんないです安西先生)」

 

「成る程、な。だが代わりに雑魚には」

 

「はい、逆に掃討能力は皆無に近いです、よって付近にARやネゲブを中心に据えた部隊も配置し、サポートしてもらいます。鉄血の群れの後方にマンティコアを複数確認しているので、それの対策と人形の救出に必要な編成ですね(ゲームと違って夜戦じゃなくても出てくるか、AR小隊と出会ったときも装甲兵が昼に出てきたし、こりゃぁ普段の昼も注意せんと)」

 

チラリ、と視線を荷物の搬出の記録を取っていたカリーナに向けると肯き足元にあった小さなアタッシュケースを持ってくる。「この事を予期されたんですね、流石ですわ!」なんかキラキラした目を向けつつ渡してきたケースをトンプソンに持っていて貰い、開ける。其処にはRF用の弾丸が数発、口径が違うものが入っていた。先端はかなり丸っこく通常の弾頭よりも大型であることからその特殊性は理解できる。

 

「これは?」

 

訝しむダネルにこれこそが肝だと熱を入れて説明を。

 

「正式名称はまだありません、仮に『鹵獲弾』とでもしておきましょうか。16labのペルシカ上級研究員の実験依頼の弾でその名の通り、人形を鹵獲する際に使用する弾丸です。発射すると対象の近くで弾頭が変化、人形にダメージを与えにくい形状になり貼り付き、活動停止信号を送り強制的に停止させます。

 

同時に特殊な電波フィールドを形成、周囲の人形に其処には『何もない』と誤認させ、鹵獲防止のための破壊活動を阻害することが出来ます。本来なら鉄血へ使うものですが今回は『運良く』IOP人形に合わせてあるので…」

 

「成る程、『運良く』か。それはありがたい話だな」

 

都合の良い運もあったものだ、そう思いニヤリと笑うダネル。無論、そんな事信じられはずもない、恐らくは此処に来る前から着々と準備していたのだろう、人間の悪意を飲み込んだ上で。そう思うと彼に着いていくと決めた自身の相棒に、心の内で称賛の拍手を送っておく。

 

「ええ、ただ何分、特殊なものですので各自一発しかありません。文字通りの一発勝負ですが」

 

貴女なら、貴方達なら大丈夫ですよね?そう視線で問う。それを正しく理解し頷くダネル。

 

「あぁ、感謝するぞ指揮官。ここまでお膳立てされたんだ、やるぞM14。そして…頼む、スプリングフィールド」

 

「了解!仲間を助けるんだもんね、頑張るよ!!あっ、それはそれとして指揮官、あ、握手して下さい!!」

 

「えぇ、お任せ下さい。必ず成し遂げてみせましょう」

 

『竹槍』編成を投影した段階で呼んでいた残りのRF人形、M14と彼と共に来たスプリングフィールドもケースからそれぞれの専用弾を手に取り頷く。ついでにM14は握手を強請ってニコニコだ。だが、そんな和やかな空気も其処まで、鉄血の群れが警戒ラインを超えたとの警告ポップアップが其々の前に躍る。

 

「総員、配置について下さい。此処が正念場、乗り越えれば道は拓けます(俺の天国へのな!!導いてくれプッチ神父!!)スオミとトンプソンは僕の護衛に、基地の施設再起動へ向かいます」

 

面白い髪型の神父も「お前は磔刑だー!」と力強く断りそうな煩悩を浮かべつつ彼は人形達に視線を。それを受けそれぞれの戦場へ、表情凛々しく散っていく人形達。彼もそれを見送り、時に手を振り応える。少し心配そうだが、微笑んで走り去ったM4を小隊長としたAR小隊が視界から消えた後、彼は振り向き護衛の2体とカリーナを連れ基地へと歩みだした、此処が彼の戦場だ。

 

 

LAN>>いる?

 

SUP1>>はい、サーモグラフィーで確認済みです

 

LAN>>そ、ワームちゃん達は侵入済み?

 

SUP1>>はい、通気孔等から既に、排除を開始しています

 

LAN>>結構、皆には気付かれないように、処理まで宜しく

 

SUP1>>了解

 

 

一先ずは此処が分水嶺、醜い悪意に対するは純粋な煩悩。酷い字面だがそれもまた彼らしいと言える。気付かぬ内に口の端を少し吊り上げながら彼はその入口の前に、キーコードを入力し扉を開け…

 

「ヒィッ!?」

 

「こりゃぁ…酷いな!嗅覚カットしとくかこれ」

 

「う、おぇ…」

 

悲鳴をあげるスオミ、顔をしかめるトンプソン、えずくカリーナ。開いた扉から漂う腐臭、恐らくはロクに片付けもせずに基地を撤退したのだろう、ひどい臭いに其々の反応を示す横で無表情の彼は

 

 

LAN>>謎の爆発で基地が吹っ飛んだ、ってのはどうだろう?

 

SUP1>>非推奨、天幕での基地運営となります。

 

LAN>>知ってた、やれやれ掃除用ロボットを発注したことにしといて、送って頂戴…くっさ!!兎に角も早くもってこいッ!!スチュワーデスがファーストクラスの客に酒とキャビアを持ってくるようになッ!!

 

SUP1>>この世界でもスチュワーデスは差別用語とされています、使用の際にはご注意を

 

LAN>>使わないよ!?ネタだからね?そーいやアニメでもDIO様キャビンアテンダント言ってタナ~

 

 

頼もしいのか何なのか、平常運転であった。




1万超えちゃってるわ~、多分、次回で基地を手中に収め当分はイチャコラする予定です。原作にある程度準拠した本編はしばらくお休み、ゲームがもう少し展開するまで待ちます。

とはいえ、プレイするのが怖い、まだ8戦役やってないんですよ9が来るって言うのに。あっ、取り敢えずこの作品中では脱落する人形はいません、ええ。

DDはきっちりクリアしました、コントロールクソ雑魚なんでガイア相手はターゲットにされた人形を即撤退くらいしか対応できませんでしたが、挑発妖精に頑張ってもらって何とか。

資材箱からは40が二体、其れ以外の人形は一切出ませんでした。低体温症より渋かった印象です。

グローザもお迎えできました!キューブの雪辱を晴らせた気がします、UMP専用装備も人数分掘れました、後は強化ですか。

お船の方のイベは…荒れましたねぇ、運営テストプレイしてないでしょあれ。友軍も最初はひどかった、陸上型の姫に魚雷カットイン当てるし、投げてんですかね?フレッチャー以外はお迎えしました、A勝利では出ないし友軍あってもSが難しいとか、そんなにお迎えされるのが悔しかったんですかね。


ところでDDでの疑問ですが45姉、今どういう状態なのあれ、プロトコルはIOPのまま?鉄血の方のプロトコルだけど命令権は鉄血側にない感じになってるの?傘が完全に侵食したのは間違いないはずだから…良く分かりませんね、プロトコル書き換え失敗、でいいのかな?


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