もう流石に良いよね? (月ノ輪球磨《ʕ•ᴥ•ʔ》)
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1話 大脱走!…と言う程でも無いね

…不定期更新にする予定です…多分
感想などなどがあれば定期更新になるかも…モチベーション的に


…突然だがこの私、斎川早瀬《サイカワ ハヤセ》は今日、この鎮守府から脱走して自由になろうと思います

司令長官と言う責任ある立場にいるけど、最早そんな事は知ったこっちゃない

妖精さんが見えるだけで、一般人に軍で戦わせて、挙句偉い立場にする日本海軍が悪い

あと関係無いけど、どこぞの碇指令みたいなポーズをしていたら肘が痛くなって来た…

 

「何やってるのよ…」

「いや…何でもないよ白露」

 

私の隣の席で仕事をしている艦娘…それは私が鎮守府に配属されてからずっと一緒にいる秘書艦、白露

着任してから、もうかれこれ4年くらい経ってる…だから白露は改二

正直、私よりもスタイルが良い…何故だ

 

「いや、何でもないじゃなくて仕事してよ」

「4年も似たような仕事してるんだから、もう終わってるよ。てか、そう言う白露も大分ゆっくり仕事してるようだけど?」

「いやぁ…それは…その…」

 

白露は大抵、仕事の時間を引き延ばそうとする

私は早々に終わらせてゲームしたいんだけどなぁ…

まあ、お財布と携帯とかだけ持って今日の夜に脱走するけどね

4年間、本当にありがとう白露

そして、新しい司令官によろしく伝えてくれ

 

「早く終わらせて妹達と遊んでくれば良いじゃん」

「あの…妹達ずっとこの執務室に入り浸ってるんだけど」

「だから言ってるんだよ…外で遊べと…」

「提督さんを見てる方が面白いっぽい!」

 

これはdisってるな?

私はそんなに面白い顔してません、あえて言うなら吹雪ちゃん似です

…たまに吹雪ちゃんと間違われるのは何故なんだろうね

背丈か…身長か…チビで何が悪い

指揮に身長は関係無いのだ!

 

「私は面白い顔してません、あと提督さんじゃなくて司令長官です」

「同じっぽい!」

「同じじゃありません〜!ぽいぽいと大天使シグレエルくらい違います〜!」

「同じ犬っぽい!」

「…僕を巻き込んで犬扱いはおかしくないかい?」

 

いやまぁ…確かに2人とも犬っぽいけども

前にボール遊びしたし、フリスビーしたし、散歩したし…

全部普通なはずなのに、どうしてか変な想像が入るんだよね、この2人

ボール遊びとフリスビーは私が投げて2人が取りに行くとか、散歩だと2人が首輪〜とか

実際はそんな事は無く普通の散歩なんだけどね?

この2人が犬っぽいからそんな想像が混ざる事がある…あと大天使シグレエルにツッコミは無しですか

 

「それで、時雨や村雨達はどうして執務室に入り浸っているのかな」

「私はみんなここにいるからよ?」

「僕は夕立に連れてこられたから」

「春雨は?って言ってもいつも執務室のソファで寝てるから、寝るために来てるんだろうけどね」

 

執務室に自主的に来ているのは夕立と春雨、秘書艦の白露だけで、時雨は夕立の付き添い…村雨は違和感無く言ってたけど、みんな行ってたからってここに来る必要は無い

つまり、村雨は1人になりたくない…寂しがり屋なんだね

 

「時雨や村雨はともかく、夕立は執務室で騒がない…春雨は部屋で寝れば良いのに…」

「春雨って最早執務室のマスコット化してるんだよね…ここに来て寝すぎだよ…」

「夕立達が入り浸ってるのは、提督さんが出撃にも遠征にも出して無いからっぽい!」

 

出せる訳ないじゃん?

出撃は指揮を取らないといけないし、遠征も何かあった時に指揮を取らないといけない

流石に身近な子を見殺しにしてまで逃げる事は出来ないからさ…

 

「ほら、仕事も終わったでしょ?部屋に戻るか、外に遊びに行っておいで」

「終わってしまった…仕方ないか、みんな行くよ」

「春雨は?」

「寝かしておいて良いと思うよ」

 

白露達は春雨を執務室に置いて、部屋に戻って行く。

 

春雨も持って帰って欲しかったなぁ…

今後の作戦に支障が出かねないし

 

早瀬は脱出経路を予め用意していた為、脱出の準備をそそくさと終わらせて、辞表を書く。

 

正直、書く事なんか1つも無いんだけど…

まぁ素直に愚痴を並べて逃げちゃえば良いかな?

私は軍を退役する条件である功績を残す事を十分に満たしたと判断した為、退役させて頂きます

一般人に司令長官を任せるとかアホか!

…よし…辞表も書いたし逃げよ

 

「…司令官さん?」

「あぁ…春雨…起きたんだ、白露達は多分部屋だから戻ったら?」

「いえ…私はここにいますよ……」

 

また寝るのかい!

いや、すっごいビックリした…まさかあのタイミングで起きるとは

もしかして、監視?

無いな、監視なら寝てるとかおかしいし

さてと、工廠からさらば!

 

早瀬は脱出の為、工廠に向かい裏口の扉を開けて、海岸に向かう。

 

手漕ぎボート!

モーター使いたかったけど、音でバレるからね仕方ない

これで街まで逃げて、この街からもおさらばして山奥にでも住もうかな?

海はね…もう良いよ

綺麗だけどエイリアン紛いの深海棲艦が沢山いるからね

 

早瀬は夜闇をひたすら手漕ぎボートで進んで行き、近くの街の海岸で止めて、歩き始める。

 

「よーし!これで自由!さらば海軍!」

「それで?どこに行くのよ」

「それは…?」

 

私は確か1人でここまで来て、これからさらば海軍って事で逃亡しようとしてる訳だけど、今返事をしたのは誰だ?

なんか凄い聞き慣れた変えだったなぁ…幻聴だね

 

「こんばんわ早瀬」

「はは……こんばんは…白露」

 

幻聴じゃなかったよ…

 

「それでどこに行くのよ…私達を置いて」

「散歩だよ散歩…」

「さらば海軍とか言ってたのに?」

 

あぁ…これは無理ですね…

なんて言うと思ったかバカめ!正式に受理されるまで私には、艦娘への命令権が残っているのだ!

 

「全艦娘艤装凍結!さらば白露!私は自由に生きるんだ!」

「あっ!待てこら!艤装凍結して追いづらくするとか卑怯だ!」

「どうせ引き止めに来たんでしょ!私は止まらないからよ…お前達が止まらない限り、その先に私はいるぞ!」

「死亡フラグ立てて逃げるな!」

 

逃げろ逃げろ!

艤装凍結して艤装が使えなくなった白露と私だったら私の方が速い!追い付けるものなら追い付いてみろ!

 

「待ちなさいよ!」

「どうやって追ってきたのか知らないけど!待たないよ!」

「待ってよ早瀬!」

「ええぇ!?」

 

白露は泣きながら早瀬を止める。

 

「え、いや…その…」

「捕まえた」

「えぇ!?嘘泣きかよ!」

「早瀬はお人好しだからね…やっぱりかかった」

 

くっ…元々軍人だった訳じゃ無いから、非道な決断なんて出来ないだけだけど…お人好し…

 

「私は軍を辞めるんだぁぁ!!」

「どうしてそこまで…待遇良いのに」

「一般人には責任が重すぎるからだよ!人の命を救うとか私には出来ません!」

「ふ〜ん…なら良いんじゃ無い?」

 

おや?許された?

 

「ただし!私も連れてけ!」

「何で!?」

「4年も連れ添ったでしょ!」

「夫婦か!」

「カッコカリしてるじゃん?」

 

してるけど!してるけども!

アレって戦力強化じゃなかったの?まさかの百合ルートか!

いやまぁ…女で艦娘の司令官なんて百合ルートしか無いけども…

 

「歳下過ぎるでしょ…」

「いや早瀬何歳よ」

「98」

「嘘言うな!今年20でしょうが!」

「うぅ…仕方ない、白露を連れて行くしか…でも艦娘を連れて歩くってどうなの?流石に捕まるんじゃ…」

「私服なら大丈夫よ」

 

何が大丈夫なんだろう…

いやそもそもの話、白露って確か元々私と同じ一般人の子供で…私が着任した当時で12歳だったような…つまり、今は16か

16歳の女の子連れ歩いてる20…ギリギリ大丈夫か?

似た所が無いから姉妹には見えない…あと考えられるのは友達?

無いな

 

「まずにして夕立達どうするのさ」

「そうね…」

 

よし考え込んでるな?

ではさらばだ

 

早瀬は白露が考え事を始め、下を向いた瞬間少しづつ距離を取る。

そして、音を立てないように逃げる。

 

連れて行くにしろ、連れて行かないにしろ

私が危なくなるのは明白、4年間一緒に戦ってきたからこそ、ここは切り捨てよう

追手が来るだろうけど、軍が動き出した頃にはもう遅いって話さ

脱出後に身を寄せる場所も、もう決めてあるし

一時的にそこに身を寄せてから、山暮らしをしよう、そうしよう

 

早瀬が身を寄せる場所に選んだのは、町外れにある孤児院

そこは、早瀬が休みの日にお忍びで遊びに行っていた場所であり、唯一軍と関係の無い場所だったからだった。

車が無い以上、早瀬は仕方なく孤児院まで歩き、2時間程してから到着した。

 

「院長さん、遊びに来ましたよ〜」

「早瀬さん、こんにちわ。千夏ちゃんは多分今、部屋で勉強してると思うから、もう少し待って下さいね」

「…あの…なんで私が来る度に千夏ちゃんの話を?」

「あわよくば千夏ちゃんの里親になってくれないかな?とね」

「はは…は…院長さんはやはり油断ならねぇ」

 

それにしても千夏ちゃんの里親か…

千夏ちゃんは元艦娘の女の子で、今は戦争孤児って扱いになってる子

歳も12で白露の4つ下…私とは8つ下になる

艦娘をしていた時期は1年間で、かなりの重傷を負って艤装が使えなくなったから、解体されて今はただの女の子

司令官だった私が里親とか…運命は残酷だね

院長さんは知ってるはずなんだけどなぁ…

 

「早瀬さん!」

「千夏ちゃん、勉強は?」

「終わりました!」

 

千夏ちゃんは可愛いなぁ

どこぞのイッチバーンシスターズだと、こう言う雰囲気は出せないよね…

一番近いのが普段寝てるし

 

「それで早瀬さん!いつ里親になってくれますか?」

「おいクソ院長」

「酷いなぁ、もう決まりで良いだろう?1人養うことなんか余裕だろう?」

「養う金はあるけども…」

 

4年間一切使わないのに、無駄に高い賃金支払われていたからね

しかも、頑張って指揮してたから昇給もどんどんして今や貯金が億単位…

軍の上層部みたいに豪遊しないから、溜まりすぎたよね

まあ、階級的には私もその上層部に入るんだけど

 

院長は千夏に聞こえないように早瀬に言う。

 

「真面目な話、元艦娘の子が里子に出される事はほとんど無いんだ、艦娘が尋常じゃない力で戦ってきた事は周知の事実だから、怖がって誰ももらって行かない。だから私は理解のある早瀬さんに頼んでいるのです」

「頼まれた覚えはありませんが、元艦娘の子の待遇が悪いのは事実…分かってはいるんです…しかし、今の私はそれ以上に危険な存在です。千夏ちゃんに危険が迫る可能性もある」

「大丈夫です、早瀬さんなら何とかなります」

 

根拠が無いよ!?

院長さんは、いきなりおふざけモードに入るから対処に困る…

 

「とにかく、里親になるかは、ここに滞在する1週間で考えます。千夏ちゃんもそれで良いかな?」

「大丈夫です!必ずやご期待に応えて見せます!」

 

敬礼をするな…

あと、こんなやりとりを何処かで…いや待てよ?

元艦娘でしょ?

そしてこの感じ…吹雪

道理でずっと敬語だし、元気なわけだ…みんな大体そうだからね

私はそうじゃない吹雪も沢山見てきてるけどね

この子も、裏ではそっち側な気がする…

里親か……前向きに検討いたしますって事で良いかな…

1人なら…と言うか子供1人育てるのに4000万?だか2500万だかって言われてるから、貯金的に6人は余裕なんだけど…

6…いやな数字だ…千夏ちゃんを含めた後5人…この人数に心当たりがあり過ぎる…

 



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2話 呉鎮守府から実家は遠い

早くも感想が2件も…モチベーションが上がったので、第2話どうぞ!


そう言えば…ここの孤児院って誰かがもらわれていくのって見たこと無いけど、どうしてだろう?

町外れだかは人が来ないとか?院長に聞いてみようかな…

でもなぁ…真面目モードじゃないと適当にあしらわれそうなんだよなぁ…あの院長の特性はきっとムラッけだね

害悪め…

 

「何か不名誉な事を言われた気が…」

 

言ってないわ!

と言うか感じ取るなよ!

 

「言ってません」

「そうですか、それで何人貰っていきますか?」

「アンタそろそろふざけ過ぎだろ」

「いやはや、軍の上層部の1人ともなれば何人養えるのかと思いましてね…それに、ずっとここに居させるのも忍びないですしね」

 

急に真面目に成られると、結局対処に困るからやめてくれないかな

それはそうと…貯金的に働かないで養えるのは6人

働けばもう2人くらいだけど、ここの孤児院でもらわれていく子がいないと言う事は、何かしらあるんだろう

だから、ここは可哀想だからと同情して限界人数を養うのは得策じゃない……いや待てよ、そもそもなんで養う前提になってるの?

 

「やはり院長は恐ろしい人だ…」

「おや、バレましたか、ちゃっかり1人は確定みたいな言い回しをしたのを」

 

このタヌキめ

 

「1つ聞きたかったんですけど、ここの子供達ってもらわれていった事ってあるんですか?」

「一応ありますよ?軍にですけどね」

 

軍…艦娘か

孤児院の子なら身寄りがないから、いくらでも戦場に投入出来るってか

相変わらずふざけた思考してるな海軍

私もその1人だった訳だから人の事言えた立場では無いんだけどさ…

 

「はぁ…海軍はやはりダメだね」

「そうでも無いよ?私はそれで助かったしね」

 

おや?このパターン…昨日もあったなぁ…

 

「久しぶりだね真冬ちゃん」

「久しぶり、院長さん」

「いや大きくなったねぇ…早瀬さんよりも発育いいんじゃないかい?」

 

ふぅ…なるほど

白露がここから軍にもらわれていった子か…

逃げようか

 

早瀬は院長と話している白露にバレないように、窓から脱出し孤児院の屋根に登る。

 

「まさかだよ…ホント」

 

一般から来た子なのは知ってたけど、まさかここの子供だったとは…

それはそうと助かったって言ってたね?白露

アレはどう言う意味だったんだろう?

軍に無理矢理徴兵される事が、良いことのはずが無いし

考えられるのは、艦娘になった事で何かを得たとか?

 

「咄嗟に屋根に登ったけど、これからどうしよう…千夏ちゃんはもうもらって行こう…成り行きだし、期待させて突き放すのは可哀想すぎるし…」

「じゃあ私は?」

「急に出てくるな…心臓に悪い。それと置いてくよ?当たり前でしょ?」

「なんでよ!ケッコンしたじゃない!」

 

なんか会話が危ないよねこれ?

16歳と言う結婚可能な年齢ギリギリの子にケッコンしたじゃないって…私が最低のクズみたいな言い方…

いやまぁ…その通りなんですけどね?

 

「白露、真面目な話だけど私はもう海軍にいるつもりは無いし、軍役に着くつもりも無い。だから海軍の艦娘である白露と一緒にはいられないの、艦娘は軍事機密の塊だからね」

「そう言うと思って私も辞表を書いたのよ!」

「え!?艦娘に辞表とかあるの!?」

「無いわよ?」

「無いのかよ!じゃあその紙は本当に紙切れじゃない!」

 

いや本当に1番頭おかしいんじゃないかな?白露型の中で

ぽいぽいは頭おかしいと言うよりも頭が弱い、お馬鹿ちゃんだからね…そこが可愛い所でもある

だがテメェはダメだ白露…何のために書いたのか本当に分からない紙切れを用意しおって…

 

「そもそもなんで私と行きたいのさ」

「それは…その…」

「ほら!はっきり言いなさい!お母さんそんな子に育てた覚えありませんよ!」

「誰がお母さんだ!私に親はいないよ!」

「…そう…だったね」

「急にしんみりするんじゃないわよ!」

 

いやぁ…ふざけてればこの場を乗り切れると思ったけど、そうでも無さそうだね?

はて…どうしたものか

 

「とにかく!私は早瀬といたいの!」

「その理由を明確にして、明日までに原稿用紙300枚にまとめて来なさい、そうしたら連れて行ってあげなくも無いです」

「そこまでしてなくも無い程度なの!?」

 

だって解体されない限り白露は軍役だし…

 

「そんなに私を突き放したいの?」

「いやそんな事は……チッ」

「舌打ち!?」

「そうじゃないよ…団体様のご到着ってだけだよ。全く1人に対してわらわらわらわら、砂糖に群がる蟻かっての」

 

孤児院の周りに黒塗りの車が大量に止まる。

 

司令長官になるんじゃなかったなぁ…

流石におおごと過ぎる

 

「司令長官殿、お戻り下さい」

「嫌だと言ったら?」

「そこの艦娘を殺します」

 

あぁ…そう言う…

なるほどねぇ…なるほどなるほど

そう言う態度を取っちゃうんだぁ…ゴミめ

 

「はいはい、戻りますよ…」

「早瀬?」

「なんて言うと思ったか馬鹿め!くらえ!白露ミサイル!」

「ちょっ!?うわぁぁ!!」

 

早瀬は大本営の者達に白露を投げつけ、孤児院の屋根から逃走する。

 

一見見捨てたような態度こそ、白露が1番安全なルート…

人質としての価値が無く、戦力としての価値がある艦娘を殺す事は海軍にとって打撃にしかならない

逆に私が必死に白露を守ろうとすれば、人質としてかなりの効果を期待出来るが故に交渉材料にされる

それこそ白露が危ない目にあう…屋根から投げてすまん

 

「逃げたぞ!追え!」

 

全く私がただ逃げると思ったら大間違いだぞ

セカンドプランを立てない程、私は愚かでは無いよ

 

早瀬は屋根から飛び降りる動作だけをして、実は屋根にぶら下がり、追手が通り過ぎたのを確認してから屋根に戻る。

 

「白露も追って行ったか…馬鹿め」

 

早瀬は孤児院の中に入る。

 

「院長、予定変更だよ。私は今からここを出るよ」

「そうですか…千夏ちゃん、またね」

「お前本当に孤児院の院長かよ…」

 

この状況で里親探しとは孤児院の院長の鑑なのか、意地でも里親にしたいモンスターなのか分からないね

いやまぁ…里親になるけどさ?

 

「さよならです!院長さん」

「ちゃっかり荷物持たせては辺り、用意周到過ぎるな…アンタ」

「まぁ私が呼びましたからね」

「やっぱりかよ!どんだけ里親にしたいんだアンタ!?」

「ほら、追手が戻って来ますよ?」

「はぁ…千夏ちゃん行くよ」

「はい!」

 

ハハ…元気でよろしい

さてと…鎮守府に一旦戻って車を取りに行きましょうかね

流石に徒歩で12歳の子を連れ歩くのはね…

 

早瀬は千夏を肩車し鎮守府を目指し、鎮守府の車庫に到着する。

 

「鎮守府…懐かしいですねぇ」

「まあ、車庫によるだけだから、そんなにここにはいないけどね」

 

早瀬は自分の車に乗り込み、千夏を助手席に座らせる。

 

「いやさ…あえてツッコミをしないつもりだったんだけどさ…なんで既に後部座席に乗ってるのかな…イッチバーンシスターズ」

「白露がここに乗っていれば、司令官といられるって言っていたからね」

「わー私ってばモテモテだなー…って!そんな訳あるか!」

 

白露め!確かにこの車は白露型と出かける為に買った車だけども!

これを見越して買わせたのか!?

いや無いな…白露はそこまで賢くない…寧ろ頭の良さなら、ぽいぽいと対して変わらないレベル

つまり…大天使シグレエルは堕天使だったか…

 

「何が白露が…だよ。時雨の策略でしょうが」

「凄い!どうして分かったっぽい?」

「白露にそんな知能は無い、そして白露型で1番頭が良いのは時雨だよ」

「千夏ちゃん久しぶり」

「お久しぶりです!」

 

まあそうだよね

何気に白露型はみんな同期…つまり私の鎮守府の最古参組

白露と同期…しかも同じ孤児院の出…

迂闊だったか…色々と

 

「それで、白露は?」

「白露…良いやつだったよ」

「え?」

「死んだみたいに言うな!」

「あ痛」

 

いきなり車の扉が開き、現れた白露に頭を叩かれる。

 

…頭の良さとか関係無く、私の行く先々に現れるのはどう言う事さ

私の行動…白露にバレバレ過ぎない?

4年も一緒にいると行動を完全に読まれるくらいになるのか?そんな馬鹿な…

 

「やあ白露、今日も司令官を追い回してるのかい?司令官の事好き過ぎないかい?」

「そ、そんな事無いよ!?」

「そうなんですか?たまに孤児院に来て早瀬さんの…」

「千夏待って!」

「何でしょう?」

「それは内緒…」

「分かりました!」

 

私の…何?

まあ良いや

 

「はぁ…なんかもう良いや…色々と」

「それじゃあ行こうか」

「そうだね」

「私の時と反応が違う…ねぇ…なんで」

「怖い怖い怖い!光の無い目で顔近付けないで!」

 

そう言えば、千夏ちゃんの早瀬さん呼びってこのままなのかな?

いやさ?お母さんとかママとか変化を期待してる訳じゃ無いんだけど、せっかくね?義母だけど…と言うかそもそもの話親って年齢じゃないよね

この歳でここまでお金を持っているのがおかしい…うん

 

「あの…早瀬さん…呼び方ってこのままで…」

「千夏ちゃんの呼びやすい様に呼んだら良いよ?」

「お母さんって呼んだら良いんじゃないかしら?」

「黙ってろ村雨…1人だけ置いてくぞ…」

「ごめんなさい…」

 

素直でよろしい!

まあ、メンタル弱者の村雨には効くよね

それにしてもお母さん…か

そんな歳じゃないよ!?

と言いたいところなんだけど…同年代の友達にもう子供いる人がいるんだよなぁ…

当然だけど12歳とかじゃないよ?普通に考えて8歳の時の子供とか頭おかしいにも程があるでしょ?

 

「じゃあ…お母さん…」

「ふふっ…遠慮はしなくて良いよ。後ろのアホ共と違って、千夏ちゃんはしっかり家族だし」

「え〜私達は〜?」

 

いやぁ…もうさ?

海軍から逃げようって雰囲気ですら無くなってきてるよね?

私のせいか?そんなはずは…いや、白露達のせいだな…あと院長

 

「アンタ達は勝手に付いてきただけでしょうが」

「私は早瀬と一心団体なんだから!」

「同体でしょうが……そして、私と白露は最早腐れ縁でしょうが」

「早瀬は私の妻よ!」

「いやお前が夫かよ」

 

こういう時って普通自分が妻を自称するもんでしょうが

…そもそもケッコンカッコカリに妻とか夫とかって枠組みあるのかな?

司令官って男も女もいるけど、艦娘は女しかいないじゃん?

 

早瀬は車を運転しながら、白露達との会話を続ける。

 

「それで?どこに向かってるの?」

「私の実家…まあ親はもういないけどね」

「…」

「海外住みなんだよ…あの馬鹿親ども」

「いや死んでないのかよ!?今の流れはそう言う流れだったでしょ!」

「いやいや、私にとってはもう死んだも同然だよ……連絡無いし、連絡方法も知らないし挙句海外って事しか知らんわ」

 

どこの国に住んでるのかも分からないとかね…もうね

まあ…私の実家がそもそも極端な言い方したら海外だけどね…北海道だし

本州から海を隔ててるから、海の外の土地…遠いなぁ

 

早瀬は呉、広島から北海道まで車で向かう。




広島から北海道って頭おかしいくらい遠いですよね…行けなくも無いですけど


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3話 運転中

いやぁ…感想を書いて頂くのはモチベーションに大きく影響するので、良いですねぇ
高評価とかも良いですけど、感想って何か読んでいただいてる感があって本当に助かります!
まあ、私の小説は人を選び過ぎるので、高評価&低評価で大体半分ぐらいになるんですけどね


…このセカンドプランは失敗だったか?

北海道まで逃亡すれば、流石に追ってこないでしょ?って思ったから実家がある北海道に向かってるんだけど…

何せ遠い!

広島から北海道…しかも、謎の大家族状態

独身なんだけどなぁ…

 

「勝った!私の勝ちだよ時雨!」

「何を言っているんだい?僕のターンはまだ終わってないよ」

「でも、時雨の攻撃は…」

「速攻魔法バーサーカーソウル…」

「な!?」

「ドロー…モンスターカード」

「ちょっ!?待っ!?」

「ドロー、モンスターカード…ドロー、モンスターカード」

「いやどっから出した…そのカード」

「予め遊び道具は一式持ってきているよ」

 

遠足か!?

私って海軍から脱走した脱走兵なんだけどなぁ…

パーキングエリアで飲み物を買いに行った隙に遊び始めるとは…本当に緊張感ってものがまるで無い

 

「それじゃあ、トドメだよ。ドロー、モンスターカード」

「また負けたぁぁぁ!!」

「時雨には勝てないっぽい」

「はぁ…」

 

さて、情報収集しないと…

 

早瀬は車に付いているテレビをつけて、情報収集を開始する。

 

…いやぁ…ホント私って人気者だなぁ…

 

そこに映っていたのは、早瀬の鎮守府の艦娘と大本営の者であろう軍人の姿だった。

 

「呼びかけで早瀬が出て来るとでも思ってるのかね〜」

「そうだね、司令官はお人好しだけど置いて行くのは得意だからね、会って直接言わない限り動かないだろうね」

「酷い言われよう…私ってそんなに薄情じゃないよ?」

「薄情じゃない人間は、夫を屋根から投げ捨て無い」

「誰が夫だ…あとそれで良いのか」

 

このイッチバーンめ…

誰のせいで私の計画が破綻しかけてると思ってる…本当ならこんなはずじゃ…

白露含めた白露型に千夏ちゃんで実家に帰省とか…

 

「そう言えば、早瀬の実家ってどんな所?」

「あぁ…それは…千夏ちゃんいるし内緒。着いてからのお楽しみって事で…」

「千夏がいるから内緒!?どんなヤバイ所なのよ!?」

「そうだねぇ…色々と疲れる…かな」

 

私の実家…時代錯誤も甚だしいんだよなぁ…

あの馬鹿親の趣味で頭のおかしい感じになってるし

 

「あの…お母さん…」

「何かな千夏ちゃん?」

「お母さんは司令官さんだったんですか?」

「あれ?言ってなかったっけ?私は日本海軍の司令官達の統括と最前線維持をやっていた司令長官って役職だったんだよ。もう戻るつもりはないけどね」

 

給料に関しては文句のつけようも無いんだけど…さっき言った通り、各鎮守府の司令官達の統括をしていたから、多忙も多忙

書類の山で机が埋め尽くされる事がたまにあったりで、直接叱りに行ったりして、問題を起こさせ無いように尽力して…

それでいて最前線でひたすらに戦い続けないといけなかったから、書類の山と一緒に深海棲艦とも戦ってた…

ここで確認だけど、私は一般人上がりだよ?

 

「司令長官…」

「いきなり暗い顔してどうしたの?」

「い、いえ…艦娘をしている時に、司令官が司令長官の事を話していたので…」

 

司令官が私の事をねぇ…

それで何で暗い顔するのかな

 

「それで?」

「司令長官は死神だと…」

「へぇ〜私が死神ねぇ〜」

 

失礼な輩もいた者だね

私がまだ海軍にいたなら、即刻クビにしてやったのに

 

「そんな事言ってる奴ってまだいたんだ」

「知ってたんだね…白露」

「えっ…いや…」

「話せ」

「は、はい!…私達の鎮守府は最前線で数年戦い、他の最前線の鎮守府が轟沈を出しながらも海域攻略をしている中、一度たりとも轟沈者を出さずに、鉄底海域手前まで攻略したからです!」

 

普通、かなりの功績だと思うんだけどなぁ

轟沈無しで鉄底海域手前まで攻略だよ?

それでいて、しっかり休みも与えてたし、娯楽も取り入れていた

かなり艦娘達が住みやすい環境だったし…それが何で死神

 

「ここからは僕が話そうか。司令官は知っていると思うけど雪風は死神というあだ名が付いていたよね。アレとほとんど同じなんだ、どれだけ危険な海域でも、僕達の鎮守府の艦娘だけが轟沈者無しで帰還する…周りの寿命を奪って生き長らえる…そんな意味での死神だよ」

「ふざけた話だね…何よりも雪風が可哀想だ」

 

彼女はただ運が良いだけ

普通は轟沈してもおかしくない戦いでも、その持ち前の運で何とか切り抜ける

そんな頼もしい駆逐艦

それが雪風だ、決して周りから寿命を奪ってる訳じゃない

あと、私の所で轟沈者が出ていないのは、単純に他の鎮守府と違ってトライ&エラーでやってたから、危険になったら撤退を繰り返して

絶好のチャンスを作り出して、そこを攻める

他の所は資材消費を抑えたいのか何なのか知らないけど、艦娘を犠牲にしても一回で勝とうとするから、轟沈者を出して、攻略に遅れを出す

報われない…

 

「それで、まだ言ってる奴がいるのかって言うのはどう言う意味」

「それは、ある時期から司令官は死神とは呼ばれなくなったからさ」

「そりゃ良かった」

「そうでも無いよ、司令官は死神から鬼神と呼ばれ始めたからね」

 

え〜

何で私の知らない所で私のあだ名が変わっていくのさ〜しかも、艦娘関連のあだ名だし

 

「ほら、一時期一気に海域攻略を進めていただろう?あの時だね」

「アレって確か夏前だよね?アレは単純に夏休みを作り出そうと、過去の大戦時の沈没船から敵船を予測してそれに適した編成にして、それが大当たりしただけだよね?」

「そうだね。でも、他の鎮守府からは圧倒的な何かで海域を突破する鬼神に見えていたんだろうね」

 

私って味方の司令官達に怖がられてたのか…

一般人上がりだから、馬鹿にされてるのかと思ってたよ

ホント、まさかだよ

 

早瀬は北海道に向かう道を運転しながら、白露達から自分がどう思われていたかを聞きながら、ある疑問が頭をよぎる。

 

…なんで時雨達はそんな事を知ってるんだ?

 

「そう言えばだけど、時雨はどうしてそんな事を知ってるのさ」

「演習だよ。演習のお相手さんから話しかけられる事が多いんだ、大抵は司令長官の下にいて怖くないの〜なんて言うモノばかりだよ」

「とっても過ごし易かったのにね…執務室なんて特にお昼寝にうってつけでした」

「春雨ちゃんや…起きてたんかい!それと、寝るの好きだねぇ君」

 

いつからだったかなぁ…春雨が執務室のソファで寝るようになったのは…

う〜ん…まず、白露が白露型全員を私に紹介して春雨と会ったんだけど、その時はまだ緊張してるのか何なのか、ガチガチだったはず

それから……深夜の食堂で疲れて寝てる春雨を見つけて

うなされてたから執務室まで運んで…慰め程度だけど撫でて…

…その後で起きた春雨に…何か言ったはず

おっかしいなぁ

 

「司令官さんの近くは落ち着くんですよ…」

「いや、だからって寝過ぎでしょ…起きてるのを見かける方が少ないってどう言う事さ」

「それは、司令官が私専用の催眠電波を出してるから」

「そんな訳あるかい!それが本当なら何で今、会話しとんのじゃ!」

「それは…」

 

どうしこうなった…

と言うかさ?私の鎮守府の白露型でまともなのって、犬コンビだけじゃない?

長女はストーカーモドキ、三女は寂しがり、五女は私の近くでいつも寝てる

普通、長女はイッチバーンだし、三女は色魔、五女は真面目な子…おっかしいなぁ

何がダメだったんだろう…

 

「まあ良いか、可愛い寝顔を常に私に晒しているわけだからね。役得ってモノだよ」

「…///」

 

そこ恥ずかしがるのかよ!?

まさかアレなの?その事一切考えてなかったの!?

 

「ねぇ私は?」

「寝言は寝て言えストーカー」

「ストーカーじゃないよ!?妻を追いかけて来た可哀想な夫だよ!?」

「こんな事言ってるけど、春雨的にはアレなの姉で良いの?」

「そりゃあ…恥ずかしいよ」

「えっ!?」

「司令官さんに寝顔を見られるなんて///」

「そっちじゃねぇよ!?」

 

ダメだ…半分くらい寝てるよ春雨

まともな回答が返って来ない

はぁ…こんなに運転が長く感じたのは初めてだよ…早く着かないかな…

千夏ちゃんもいつのまにか寝てるし、こんな事考えてる間に春雨も寝てるし、白露は放心状態で固まってるし、時雨は夕立に首輪付けて遊ばない…夕立も喜ばない

村雨はなんで春雨のスカートに手を伸ばしてるのかな…あっ直してあげるのね…

 

「娘が寝てるから、静かにね」

「その手には乗らないよ!私が早瀬の夫!異論は認めない!指輪だってある!」

「ねぇ…知ってる?その指輪は妖精さんが作り出した非物質で、ケッコンカッコカリが解消されたら消えるんだよ」

「解消なんてしないよね!大丈夫だよね!」

「私の退役が確定したら、指輪も消えるんじゃない?」

「早瀬!戻るよ!」

「戻らないよ…」

 

私としても、白露とのケッコン解除は望む所じゃない

確かにストーカー気味だし、ヤンデレみたいな目をするし、イッチバーンって言わないけど、それでも4年間もずっと一緒に戦って来たわけだからね

嫌いなわけがない…最近なんかおかしい気がするけどね

 

「でも…」

「そもそも、私について来た時点で艦娘としても終わってるじゃん?そのレベル限界突破アイテムもそんなに効果のあるモノじゃなくなるさ」

「そうじゃないの!」

 

なんでかなぁ…白露だけ明らかに雰囲気と言うか…

他の白露型とは違う雰囲気がするんだよね〜

 

「この指輪は…」

「確かに白露はその指輪かなり大切にしていたね?お風呂に持って来た時にはコイツお湯に沈めてやろうか…って思ったくらいさ」

「それはイライラし過ぎじゃない!?」

 

まあ、指輪はこの際置いといて…よく考えたら、ここにいる白露型って最前線で問題なく戦える実力者で5人中4人が改二って言う即戦力達だよね?

海軍に返した方が良くない?

逃げた所で人類が滅亡しちゃ意味ないし、この即戦力達…どうしようかな…置いていっても意味が無いからなぁ…

 

「ねぇ時雨、提督さんが良くない事考えてるっぽい」

「…そうだね…僕達にとっては最悪な事を考えてそうだよ」

「私は帰らないよ!?でも…指輪ぁ…」

「そこの馬鹿姉は放って置いて何か対策を考えないとね」

 

…いくら堕天使シグレエルが頭良いと言っても、それは白露型の中での話

まともな読み合い、知略なら何枚も上手なんだよ

だから、時雨が思い付く程度の答えなら全てその上から潰す事も多分可能

時雨達が動き出す前に、こっちも何か考えておこう

…それはそうと、本人の前で作戦会議を始める辺り、やっぱり時雨もアホの子白露の妹だね

 

運転しながら時雨が出していく案を聞き、早瀬はある答えに行きたく。

 

…策じゃないじゃん…私の性格を利用したモノ…

もはや堕天使と言うか小悪魔シグレだね

対処法…無し

私に出来るのは、作戦を起こさせない事だけだね…どんな策も使う機会が無いと使えない、当たり前の事だよ

 




白露型の練度!
白露→175
時雨→99
村雨→99
夕立→99
春雨→99

ついで!
千夏ちゃん(吹雪)→12


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4話 計画通り…

まだ4話なのに感想が8件…モチベーションが上がる!
なんかレベルみたいですね?
感想を8件手に入れた!
モチベーションが上がった!
スキルポイントを3手に入れた!
的な感じで…


…私は今、初めて自分が追われている実感が湧いている

何故ならば!

そう!こう言う時の代名詞!検問だ!

 

「検問されてるけど、どうするの?」

「迂回」

 

正直な話、こんな事になるなんて計画に入ってなかったから、何も準備して来てない

だから、検問を抜けるすべが無い

千夏ちゃんがいるから、強行突破は出来ない…これで通行ルート全てで検問が張られてたら、詰みだね

まあ最悪、車は乗り捨てれば良いんだけど、距離がなぁ

 

「さて、どうしたものか」

「強行突破!」

「却下」

 

仕方ない、大幅に遅れが出るけど、どこかに潜んでやり過ごすかな

車中泊…したくないなぁ

ホテル…しかないかな…すぐに居場所がバレそうだし、逃げ場が無いからバレたら終わり

でも、千夏ちゃんいるしなぁ

仕方ない…ホテルに行くかぁ…バレないと良いなぁ

 

「仕方ないから、ホテルに行こうか」

「ホテル!ピンク色の…」

「はいみんな〜白露はここに置いてくから、お別れを言っておくんだよ〜」

「分かったっぽい!」

「夕立!?」

 

下らない事を言い合って

これだから、緊張感が消えていって遠足みたいになるんだ

はぁ…本当に追われてるんだけどなぁ…なんでイッチバーンシスターズはこんなに呑気なんだ

 

「白露型諸君…どうして君達はそんなに呑気なのかね?今って日本海軍という大きな組織に追われてるんだけど?」

「それは仕方ないっぽい!」

「一応…どうしてか聞こうか」

「提督さんがいるからっぽい!提督さんは魔王っぽい!」

「もう一回言ってみろポ犬、その耳引きちぎるからね」

「魔王は言い過ぎだとしても、司令官さんがいるって言うのは大きいと思うわよ?」

 

村雨…久し振りに声を聞いた様な…いや、気のせいか

 

「司令官さんって自分では気が付いていなかったけど、海軍全体から恐れられていたのよ?その理由は誰も司令官さんを知らなかったから」

「は?」

「司令官さんって演習でも司令官同士で顔を出さなかったでしょ?だから、司令官さんの残した結果だけが広まって海軍の一部の人間以外は、それこそ魔王とかって認識してたのよ」

「…それが何の関係があるのさ、君達が呑気な理由と」

「私達は司令官さんを知っているって事よ。私達は司令官さんの怖さを知っているからこそ、海軍なんかよりも断然に怖い!だから、海軍に追われた所でこっちにはもっと怖い人がいるのよって事」

 

わぁ…まさか長い付き合いで、しかもそれなりに親密な関係だと思ってたのに、めちゃくちゃ怖がられてるじゃん…

海軍なんかよりも断然って最早個人のレベルじゃないじゃん…範●勇★郎かっての

 

「白露…私って怖く無いよね」

「そ、そうね…」

 

白露はそうは言いながらも視線をあからさまに反らす。

 

「おい、視線を反らしてんじゃねぇぞ…売るぞテメェ」

「怖っ!?そう言う所だよ!?と言うか何でそう言う所にパイプがあるのさ!」

「無いよりはあった方が良いからに決まってるでしょ」

「国の人間だったのに法外な人達と知り合いなのね…」

「知り合いじゃない、その場所とやり方、その他諸々を知ってるだけ。それに、私は逐一報告する事はしない、私に関係無いからね」

 

白露型全員が早瀬を恐れる部分は、その出来ないよりは出来た方が良いという精神からくる、大量にある謎の情報である。

その為、早瀬は自分主義者であり、それと同時に仲間意識の強い動物の様な自分であった。

 

「院長さん…私のお母さんはとても怖い人のようです…」

「大丈夫、千夏ちゃんは私の家族になったからね、そんな異様な事はしないよ」

「…今、早瀬は千夏『は』って言ったよね…つまり私たちは」

「君達はあくまで部下や元部下、白露とはケッコンしてるけど、指輪が消えれば…部下に戻る」

「そんな!?」

 

全く、みんな酷いよね

4年も一緒に戦った来たのに、怖がるとか

しかも、住みやすい環境作りという、怖いとは無縁な事もしてたのに

 

早瀬は検問が行われていた場所から、かなり離れた場所のホテルに車を止め、部屋割りを決め始める。

 

「千夏ちゃんは私と同じ部屋ね」

「はい!」

「え〜私は?」

「白露は夕立と同じ部屋ね」

「えっ…」

 

私は知っている

夕立は川内の影に隠れているだけで、夜中にうるさい類の輩であると

だから、今夜白露は夕立に無理矢理遊びに付き合わされて寝ることは出来ない!

 

「それと、村雨と時雨が同じ部屋」

「ね、ねぇ…わ、私は?」

「1人に決まってるじゃん」

「そ、そんな…」

「嘘だよ春雨。春雨は私と千夏ちゃんと同じ部屋だから」

 

基本的に2人部屋なんだけど、春雨も千夏ちゃんも小さいからね

0.5人換算って事で良いかなって言うアレね

そして、何よりも私にとって無害だから

白露は何するか分かったもんじゃ無い、夕立は単純に千夏ちゃんが可哀想、時雨は策士だから何か布石を作られるかも知れない、村雨はあれで寂しがり屋だから面倒…なんて理由では無く

春雨が夜の廊下とかを怖がるから、私と一緒にいる必要がある

鎮守府にいる時も、何故か私の部屋で寝てたし

いやぁ…その辺は可愛いよね

 

「さて、部屋割りも決まったし。明日から本当に長丁場になるかも知れないから、今日はゆっくり寝なよ〜うるさかったら簀巻きにして天井に吊るす」

「だってさ夕立」

「ぽい〜」

 

みんな素直な良い子です

まあ、若干恐怖政治感あるけどね…なにせ怖がられてるんだから

私はいたって普通の人なんだけどなぁ

家が特殊で、妖精さんが見えてちょっと性格が悪いくらいでね

 

「それにしても、君達って本当の姉妹みたいに仲良いよね。あの孤児院の出って事は出生は違うんでしょ?」

「そうだね、全員が本当の姉妹って訳じゃ無いよ?でも、全員違うって訳でも無いんだ」

「へぇ〜じゃあ、時雨と夕立、白露と村雨、春雨が一人っ子だね」

「……当たりだよ」

 

よし、正解

 

「どうして分かったのかな…」

「簡単な事だよワトソン君」

「なんかムカつく」

「君達姉妹は一緒にいる事が多いけど、たまに全員行動じゃない時がある。その時、かなりの確率で同じメンバーで行動している、それが白露と村雨、時雨と夕立なんだよ、春雨は私の所にいる事が多過ぎて誰とも行動してないかったから、一人っ子予想だけどね」

 

あと、距離感が全員いる時と違う

何処と無く、ほかのメンバーよりも親密に見える事が多いんだよね

あの白露がお姉さんっぽい事をしていたり、時雨が夕立と一緒になって走り回ってたりね

 

「いやちょっと待って…司令官は執務室から出てこないじゃないか…どうして僕達が別行動してる時のメンバーを知っているんだい!?」

「……勘のいい艦娘は嫌いだよ」

「え、えぇ…」

 

まあ本当は、鎮守府の治安維持の為に鎮守府には死角を一切作らないように、隠して監視カメラが設置されてたんだよね

おかげさまで治安は良好、艦娘達の特色を知る事が出来たし

一石二鳥…

 

「それじゃ、部屋行こっか2人とも」

「うん」

「はい!」

「早瀬ぇぇ!!一緒の部屋が良いぃぃ!」

「白露が静かで小さくて、私に無害で一人っ子なら考え無くも無くもない」

「春雨ピンポイントじゃん!」

 

当たり前じゃん

白露型の中で1番可愛気があるんだからさ?

まあ、私の感性でしか無いんだけど、寝てる子って見てて可愛いよね

寝る子は育つって言うし、やっぱり寝る子は素晴らしい!

 

「さて…2人とも部屋に行くよ」

「はい」

「はい!」

 

早瀬は春雨と千夏を寝かしつけ、車に積んであった道具で行動を開始する。

 

そろそろ本当に良い時間ですし、始めようか

私は何も4年もただ愚直に功績を立てようとしてた訳じゃ無い、こう言う時の為に通信傍受やハッキングも出来るようにしてきた、だから今回は海軍の通信を傍受して検問位置を正確に予測出来るって訳さ

2人が寝てる間に、しっかり逃走の為の準備をしよう…白露型が揃うと緊張感が消えて、遠足みたいになるからね

こう言う時間は、私の逃亡にはかなり大切な時間であり、唯一白露型に邪魔されない時間

おのれ白露

 

『…て……早く…令官長官を見つけて、連れ戻さなければ…元帥の予測ではここを通るはずなんだが…』

『仕方あるまい、司令長官もかなりの切れ者だ。しかし、我々には大人しくここで検問するしか出来ないのだ』

『人員を増やすか?』

 

いや、この時期にこれ以上人員を増やす事は出来ない

司令長官まで上り詰めた人間が、適当に脱走するはずないじゃん?

この時期には、深海棲艦が活発に活動し始める時期

いわゆる大規模作戦決行時期なのさ、だから、こっちに人員を回せば戦線の維持が難しくなる

それに、私の鎮守府は後任がいない代わりに、命令無視を遵守させてあるから、ゴミが後任につかされても、言うこと聞かないで長門が指揮を取る

さて、そんなわけで人員は増やせないし、私の鎮守府も大丈夫

 

『いや、人員は増やせない。これが限界だ』

『大規模作戦か…』

『そうだ、だからこそ我々は司令長官に何としても戻って頂きたいのだ…』

 

嫌だっての

別に私がいなくても戦線維持はできるんだから

まあ、戦線を進める事は出来なくなってしまったけどね

しっかし有力な情報が人員を増やす事が出来ないって事しか無いなぁ

 

「司令官?」

 

ヤベ…

 

早瀬はヘッドホンを片耳だけ外して、春雨の方に向きを変える。

 

「何?」

「それ…」

「春雨は何も気にしなくても良いよ、安心して眠っていてよ」

「…でも」

 

『仕方ない、1週間後に配置を変更するぞ』

 

「大丈夫、今心配事が消えたから」

 

行動は1週間後、そのタイミングなら必ずどこかに穴が開く、全員が一気に行動するなら一瞬かも知れないけど、検問が全て消える

 

「それじゃ、トイレだよね」

「…うん」

 

まあ、この時間に春雨か起きてくるのは大抵はこの理由、たまに魘されて起きるんだけど、魘されて起きる時は大抵その前に私が気がつくから、今回は…ね?

 

「1人で行けるようにならないとダメだよ?艦娘は年齢がストップしてるんだから…解体されてから年齢が再スタートするんだからさ?私は確実に先に死んじゃうよ?」

「…話が重いよ」

「一応は軍人だった訳だからね」

 

それ以外にも、深海棲艦の動きの変化って言うのがね…

私は多分、かなり警戒されている

昨年の大規模作戦辺りから、他鎮守府と合同で作戦をする時に明らかに囮を置いて、鎮守府に直接攻撃しようとして来てたからね

まあ、私の鎮守府にお荷物はいないんで、鎮守府に残ってるメンバーでも撃退は容易って事で、大丈夫だったんだけど

問題は今、と言うよりもこれから何だよね

私達は北海道に渡る為に海を渡る

その時に襲撃されれば、他の乗客もろともかなり危険な状況になる

今はそこだけが心配だなぁ…

 

「それと、君達白露型にも仕事があるから、準備しておいてね」

「え?」

「全艦娘艤装凍結解除…艤装のメンテナンス…任せたからね」

「え、え?」

 

さて、元帥はなぜ私の権限をストップしないんだろう?

あの人は分からないんだよなぁ…




今後、元帥出てくるかもね!
予想付いていると思いますが、当然ながら堅苦しい厳格な人なんかじゃありません!


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5話 早瀬の本性

そろそろ辻褄合わせ的な事し始める時期…あと自分で始めておいてなんですけど、人の名前を考えるのって難しい
そして、1話につき3つくらいの感想が!素晴らしい!


潜伏1日目が終わり、今は2日目…

検問の配置に変化は無い…1週間とは言っていたけど、まさかピッタリのタイミングで配置を変えるつもりかな?

念の為に、無線の傍受だけじゃなく、春雨の艤装のソナーでも探知してもらって、配置を常に確認しているけど…ピッタリ1週間なら面倒だなぁ

その間に潜伏場所がバレたら終わり…強行突破…視野に入れておくか

 

「春雨ちゃんや、その調子でソナー頼んだよ。何か動きがあればいち早く私にね?」

「分かってますよ?これも司令官さんの為!頑張ります!」

 

よほど昨日は、良く眠れたらしい…私のベッドに入り込んできおって…

まぁ、それはさておき、寝ぼけてなければ、真面目な良い子なんだけどなぁ…寝ぼけてると、どうしてもちょっと子供っぽいと言うか、幼児っぽい感じになっちゃうから、仕事は頼めないんだよね…

 

「でも、どうして私なんですか?」

「…考えても見なよ、1つのことにしか集中出来ない白露には、こう言う仕事は出来ないし、時雨は時雨で機械オンチだからソナーが使えない、村雨はソナーを積んでない、夕立もあんな感じだから機械系等は艤装以外まともに使えない……そこで真面目で要領のいい春雨が抜擢されたって訳だよ…こう考えると君、優秀だねぇ」

「えへへへ♪」

 

こんな感じでデレてはいるけど、しっかり艤装のソナーが起動してる辺り、本当に要領の良さは白露型の中でピカイチ…

しっかし…白露や…アンタ…今のところ白露ミサイル以外の使い道が無いんだけど…もっと頑張りましょう…

 

「さて千夏ちゃん、昨日って何の勉強してたのかな?」

「物理学と生物学です!」

「…12歳?」

「12歳ですよ?」

 

12歳って言ったら小学6年生から中学1年生くらいだよね?

物理学と生物学ってそんな時期に勉強する教科だったかなぁ…違ったような気がするんだけどなぁ…

あの院長…千夏ちゃんをどうしたかったんだ…

 

「…そうだねぇ…私はその2つを教える事は出来ないから…指揮とか…どうかな?」

「司令官さん!?」

「指揮ですか?」

「そうそう…だけどその前に敬語は使う必要無いよ?親に敬語を使う子ってそんなにいないでしょ?」

 

身内に敬語を使われるのはねぇ…

なんか距離を取られてる気がして…

 

「えっと…うん」

「無理はしなくて良いけど、少しずつ…ね?」

「司令官さん…今更なんですが、私達ってどういう扱いなんですか?千夏ちゃんは司さんの娘さんになった訳ですし」

「春雨は娘に欲しいくらい優秀な部下で、白露は自称夫を名乗る部下で、時雨は小悪魔的な部下で、村雨は豆腐メンタルの部下で、夕立は犬」

「今も部下なんですね…」

「司令官の権限が残ってるからね」

 

真面目な話、多分私の司令官権限は無くならないと思う

脱走した当日中ならまだしも、2日目に入ってもう昼近く…それなのに司令官の権限が残っているって事は、元帥が裏で糸を引いている可能性が高い

そして…何故か元帥は私を気に入っていた…もうね…直接言われなくても分かるくらいの好待遇だったからね

じゃないと、民間人から司令長官になるまでが1年で済むはずがないからね

 

「ふむぅ…千夏ちゃん1人って言うのも可哀想だし…春雨も娘に…いやしかし…」

「私は構いません!」

「そうは言ってもね?…千夏ちゃんどう思う?春雨の事」

「えっと…沙耶ちゃんは孤児院で良く遊んでいたので、良いと思い…う」

 

沙耶…春雨の本名かな?

このタイミング的にそうだね

それにしても、まさか千夏ちゃんの方かOKが出るとは…

それと、敬語になりかけた事はあえて言わないよ、頑張って言わないようにしてるみたいだしね

 

「ただ…1つ問題が…」

「わかってるよ…白露だよね」

「絶対に騒ぎ始めますよ?」

「まあ最悪白露デコイに使うから良いけどね〜」

「白露デコイ!?」

 

そう!白露デコイとは!

白露に音の出るオモチャを付けてその辺の木に縛り付けてデコイにする作戦!

成功率はほぼ皆無な為、白露がただ置いていかれるだけになる可能性が大…最近うるさいからね

ここらでお灸を据える必要がある…頑張って歩きなさいって事さ

 

「それは流石に…」

「冗談だよ…そんな事したら私の大まかな位置を知らせるようなモノだし、大切な駒…じゃない部下が減ってしまうからね」

「駒!?」

「白露の扱いなんていつもそんな感じだったでしょ?だから今更だよ〜」

「確かにそうですね」

 

これで納得されてしまう辺り、白露って妹達に尊敬されてないよね

私といることが多くなると、必然的にネタキャラにされてしまうから、尊敬も何もない状態になる…つまりは私のせいか

 

「それで、指揮の勉強ってやりたいかな?私としては千夏ちゃん次第なんだけども」

「そうなんですか?」

 

慣れないよねそりゃあ

 

「司令官さんが勉強嫌いですからね」

「やりたい事だけやってたら、司令長官にさせられた民間人、そんな奴居るわけないだろ……私です」

「お母さんって怖い人じゃないん…だね」

「最初から怖い要素無かったと思うんだけど?」

「いえ…色々あったと思います」

 

…ふむ

確かにそれっぽい事を結構やってるけど…基本的に白露と村雨にじゃない?

千夏ちゃんは愚か、春雨にも酷い事はしていないし、時雨や夕立にもそんなに怖い事はやってないよね?

 

「白露はミサイルにするしデコイにもする…でも!それ以外では私は特にこれと言って酷い事はしていない!」

「いえ…今考えれば私に装備されている艤装ってソナーと電探じゃないですか…それも、出撃もしないのにいきなり変更されてそのままだったじゃないですか、この事を想定していたとしか考えられない行動ですよね?」

 

…いや別に全部想定していたわけじゃないけどね?元々、白露に邪魔されなければもう少し安全かつ完璧に逃亡出来たからね?

だから、今はセカンドプランだからね?

ここでお気づきだろう!そう!

セカンドプランという事は想定していたっていう事に!

まぁ…義娘が出来ました!とか想定できるはずがないよね

 

「想定はしていたけど、千夏ちゃんの存在は想定外…可愛い娘が出来ました!」

「外見的にはかなり似てますよね」

「そう!おかしくない?私って艦娘上がりどころか、ただの一般人だよ?それなのに司令官してる時ですら、元帥に言われたのは早瀬ちゃん艦娘の吹雪に似てない?ウケるだよ!?」

「元帥の口調おかしくないですか?」

「私に対してはこんなもんだよ」

 

それでいて天才的な発想と頭脳を持つとか意味が分からないよ

そして、数々の嫌がらせも忘れないぞ

暇なのか、逐一私の鎮守府に来て執務室に入り浸るし、めちゃくちゃ演習仕掛けてくるし、着払いで艦娘を郵送…非人道的にも程があるし、着払いされた本人は頑張って働かせて頂きます!ってちょっと頭がおかしい秋雲だったし

 

「まあとにかく、初見なら実の娘と疑わないレベルで似てるんだよ!」

「理不尽な怒りですね?」

「まあ、暇な時以外こんな事考える事無いけどね」

「司令官…暇な時しかありませんよね?」

「そうなんだよね〜」

 

この1週間…検問の動きの監視以外でやる事無いしなぁ

どうしようかな…

趣味とか無いし…いや、母親的何かをすれば暇が無くなるのか?

母親は忙しいって言うし

でも、千夏ちゃんって絶対に手のかからない子のパターンだから、結局暇なんだよなぁ

 

「白露姉さんと…」

「そうか!白露で遊べば良いのか!そうと決まれば、艦娘白露艤装強制稼働、強制稼働停止、強制稼働」

「お母さんは今なにしてるの?」

「多分、白露姉さんの体力をひたすらに削っているんだよ。艤装の強制稼働ってちょっと倦怠感があって、何回もやれば疲れて動けなくなるからね」

 

春雨もなんか軽いなぁ

まあ、ぐでんぐでんになってる白露を見るのは久し振りだからね〜

ぐでんぐでんの白露って結構面白いんだよ?

いつも騒がしいくせに、体力ゼロになって目が死んでて、未だに艤装の誤作動かなんかだと思ってるんだから

いやぁ…白露にも可愛いところあるよね〜そりゃあ

 

「司令官!」

「おぉ白露背負ってどした村雨や」

「また姉さんがグロッキーになっちゃったじゃない!」

「次はお前の番じゃ」

「え!?姉さんを引き渡すので勘弁してぇ?」

「手のひら返しが早い…流石は村雨…寂しがりやのくせに屑っぽいねぇ」

「屑じゃないわよ!?」

 

いやいや…一瞬で姉差し出した奴が何を言う

これも、私による英才教育の賜物!

少しづつ少しづつ屑っぽい事をするように洗脳…じゃない英才教育を施して来ただけはある

具合的には私のお遊びで被害を被ろうとした瞬間に、近くにいた姉妹を差し出すようにね?

 

「それじゃ、遠慮無く白露を〜」

「うっ…」

「ほら、くすぐっちゃうぞ〜」

 

早瀬はダウンしている白露ににじり寄って行き、脇を掴みひたすらにくすぐる。

 

「やっ…やめ…や…て…早…早瀬」

「ふっふっふ、やめて欲しければ三回バク宙して般若心経を暗唱しなさい」

「出来るかボケ!瀕死の相手になんて事やらせようとしてんよ!」

「元気じゃん」

「残り少ない体力振り絞ってんのよ!」

 

ならその残り少ない体力…削ぎ落としてあげよう

 

「まあ、くすぐりはやめないんですけどね」

「やめ…やめなさいよ!…くすぐり…ダメなのよ…」

「助かったわ」

「覚えてなさいよ…村雨ぇぇ!!」

「白露が覚えてられる程の余裕があれば良いね♪」

「い、いやぁぁぁ!!!」

 

その後…昼から日が暮れるまでの6時間超、早瀬は体力切れで動けない白露をくすぐり続けた…。

当然ながら、白露は魂が抜けたような顔になり、早瀬は終始悪魔のような表情だった。

村雨は、毎回こんなモノを見せられていた為、真っ先に姉妹を差し出すようになった…。

 

「あと…5日…果たして白露、君は生きていられるかな?」

「こ…こ…こへ…は…が、鬼嫁」

「ふむ…まだそんな事を言える余裕があるのか、艦娘は頑丈だなぁ♪」

「やめなよ…もう白露の体力はゼロだよ」

 

時雨が春雨からの通信で駆け付ける。

 

「やあ時雨、君も私主催の極楽ツアーに参加するかい?」

「その夫婦漫才に付き合うつもりは無いよ…あと、極楽なのは司令官だけじゃないか」

「当然」

「最近、大人しかったけどいつもの司令官さんですね〜」

「本当だよ…このまま大人しければ良かったのに」

 

最近、私が遊んでいなかったのは逃亡計画のプランを考えていたから

ホント沢山考えただけあって今の所、想定外の事態は殆ど起きて無い

ほぼ全てが想定内で計画通り!

いやぁ…248パターンも考えただけあるよ

まさに順調!

 

そして早瀬は夕食までの間に、またしても白露をくすぐり、白露は灰となった…。




名前確認!
白露→真冬『まふゆ』
時雨→???
村雨→???
夕立→???
春雨→沙耶『さや』

あと3人!


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6話 年齢確認良いですか?

小説書いてて、気が付いたら夜が明けてる…不思議ですねぇ


今日でようやく1週間…

計画通り…バレる気がしないのは良いんだけど…

暇なのは問題だよね…

もうね、暇すぎて白露が抜け殻になっちゃったよね

それにしても、この姉妹って中々にカオスだよね

自称夫とか小悪魔とか色魔の寂しがりとかね?

 

「…司令官さん…動きが…ありましたぁ」

「よし、行くか」

「準備は出来てるよ!」

「やっぱり春雨は有能だねぇ」

「無視!?」

 

通信の会話内容から、検問の位置は把握してる

この配置変更は一気に全ての箇所が変更されるタイプだから、検問の位置を変えるために移動する時間は検問が全て無くなる

そして、次の配置も計算済みで、その配置に移動するまでの時間は約1時間から1時間半

人員が少ないくせに範囲を広くし過ぎなんだよ

 

「何があるか分からないし急ぐよ。私が春雨をおぶっていくから、みんなは車に乗っててね」

「沙耶ちゃんは私が運ぶよ?」

「ありがとう、でも身長とか変わらないし、疲れるだろうから私が運ぶよ」

 

まぁ…私も言うほど身長ある方じゃ無いんだけどね

何しろ駆逐艦に間違われるんだから…

それでも千夏ちゃんよりはあるしね……と言うか、12歳に身長で負ける20歳ってねぇ…

 

「それにしても、今日はねむねむなんだねぇ〜春雨ちゃんは〜」

「今日は…」zzz

 

今日は…って何さ

今日は何なのさ、何があるのさ…

まぁ、春雨が眠そうなのはいつもの事だし、仕方ないかな?

て言うか、おんぶした直後に寝るかな普通?

 

早瀬はチェックアウトを済ませ、駐車場にある車に向かう。

 

…今更だけど、私達ってどんな風に見えてたんだろう

年齢がそこまで離れてるわけじゃないから、親子連れには見えないだろうし、かと言って似てるのは千夏ちゃんだけだから姉妹には見えないだろうし…

謎の女集団?

 

早瀬は車に乗り込み、春雨は後ろの席にいた白露に任せる。

 

「さて、行こうか」

「愛の逃避行だね!」

「またくすぐり倒してやろうか…それか、白露だけ自腹にしてやろうか」

「手持ちが無いんです!勘弁して下さい!」

 

手持ちも何も、アンタお金持って無いでしょ

だった給料出した事無いし、それ以前に誰も受け取らないんだもん

私の鎮守府の子達って、出かける時に私に外出届を出す時に私まで引っ張り出して、私が払うんだから…

まあ、頻度がそんなに多くないから、お金があり溢れてるんだけども

 

「白露は放って置いて、もうすぐ検問予測地に入るから、騒がないでね。窓ガラスがかなり暗くしてあるかな、中は見えないだろうけど、流石に騒いでたら丸分かりだから」

「ここで従わなかったら本気で始末されそう…」

「白露だけだよ」

「ぽい!」

「村雨ぇぇ…」

「白露…静かにね?」

 

静かにしてくれるのは嬉しいけど、問題は予測よりもかなり早めに検問が復活していた場合だなぁ

その時は、諦めて強行突破するしか無い…

強行突破と言うには、静かに抜けるけどね…その為の麻酔銃

あっ、春雨に麻酔銃は使ってないよ?

使って無いけどすっごい寝るだけだからね?

 

早瀬は車を走らせ、距離や予測地などから計算された時間以内に、検問エリアを抜ける。

 

「はぁ…ようやく抜けたぁ」

「これから何処に行くの?お母さん」

「そうだねぇ、車ごと北海道に運んで、それから私の実家に向かうって感じだよ」

「お母さんの家…私もそこに住むんだね」

「そうだね、きっと苦労はしないよ」

 

苦労はしないけど、気苦労はするだろうね…千夏ちゃんの性格ならね

それはともかく、今考えないといけないのは、深海側の動きと元帥本人の動き…

深海側は白露達になんとかしてもらうとして、問題は元帥…

私の予想では、わざわざ1週間もの間あそこに検問を置いたのは、元帥が私の先回りする為で、もう北海道に元帥は到着して私の実家に向かっているはず

このまま行けば、対面する羽目になる

だから、私が立てた作戦は既に先行しているであろう元帥を出し抜く

…それすら読まれてそうだけど、その時はその時でギャンブル要素でぶっ倒す!

 

「みんな艤装の準備を始めておいてね」

「なんで?」

「死にたく無いでしょ」

「え?これから私達死ぬかも知れないの!?」

「私の予測ではね」

 

来るタイミングは一度しかないから、タイミング予測は要らない

後は、白露達の準備が間に合って、かつあちらさんの編成が超強力じゃなければ問題は無いんだけど…

逃亡用に春雨にはソナーと電探しかついてないから、戦えるのが実質4人しかいない…しかも全員駆逐艦

これは腕の見せ所だね…

 

「あえて言っておくけど、死にたくなかったら命令無視とかしないでね?私だって死なせたくないから」

「いきなり話が重いね…」

「そうだね…君達にとってはここが最大の関門になるからね。そんな訳で、艤装のメンテナンスと戦闘の準備はしておいてね」

 

あぁ〜何来るか全くでは無いけど、予測つかないぃ

空母欲しいぃ…戦艦欲しいぃ…相手次第だけど潜水艦だけでハメ殺してぇ…

はぁ…こんな事考えてても仕方ないし、相手が姫クラスだった時の想定とかするかなぁ…まあ無いとは思うけどね?

人間1人に姫クラスが出張ってくるとか、おたく必死すぎやしないかい?って感じだし…

 

「それでさ、その死ぬかも知れない時って早く見積もっても、あと3日だから」

「意外と早い!?」

「まぁ、かなり頑張ってね?じゃないと私も死んじゃうし?て言うか最悪私だけ死んじゃうし」

「…早瀬だけ?」

「そう」

「そっか…じゃあ死んでも守らないとね」

「いや死ぬなって言ってんだろ…馬鹿か?馬鹿なのか?」

 

まぁ、私だけ死ぬパターンって私達が乗る船に、相手戦艦からの着弾観測射撃でピンポイントで撃ち抜かれて、ほかの乗客は救難ボートで逃げたらだけどね

 

「お母さんが何を考えているのか分からないよ…」

「そりゃそうだよ、早瀬と4年も一緒にいるけど、正確に何を考えているのか分かった事なんか無いもん。精々が行動パターンかな…」

「そうだね…司令官の考えている事は分からないのに、司令官は私達が何を考えているのか分かっているかのように行動してくるから、困ったものだね」

 

割と酷い事言われてる気がするのは私だけかな?

考えている事が分からないって当たり前じゃない?

考えている事が分かるなら、私の計画はこんな路線変更にはならなかったし、もっと非人道的な事も出来ただろうに…

非人道的な事がしたい訳じゃないけどさ?

 

「なんで死ぬかも知れないのかは、春雨を起こして聞いてよ。春雨には予め言ってあるから」

「あれ?…春雨には言ってあるの?…ねぇ…春雨…起きてるんでしょ?ねぇ…なんで秘密にしてたの?」

 

またか…ヤンデレメンヘラモード

いや春雨も起きてるだろうけど、そんな眼光で顔覗き込んでてたら起きるに起きれないでしょうが

 

早瀬は車のバックミラーから後ろの光景を覗き見る。

 

「それにしても、どうして今僕達に言ったんだい?春雨に言ったタイミングで言ってくれればもっと良い結果になったかも知れないのに」

「理由は2つ。1つは可能性が極々わずかだったから。もう1つはその可能性が今朝爆発的に上昇したから」

「今朝?」

「そう、今朝も海軍の通信を盗聴してたんだけど、どうやら敵の数が少ないらしいんだよ。それも明らかにでは無く、例年よりも少しだけね」

「それがどうして…」

「思い過ごしなら、それはそれで良いんだけど。もしもその少しだけいない深海棲艦がこっちに来てたらって可能性が、元々の憶測でしか無かった可能性だったのが、危険と判断出来るまでに増えたから」

 

春雨だけに言ってたのは、こうなった時の説明役だったんだけど…

今日に限って…ではないけどネムネムモードとは…

私もついてないね…

 

「ホント…いろんな所からモテモテだなー」

「棒読みじゃないか」

「まぁね、モテる所が間違ってるからね…敵ばっかりだし」

 

…海軍に追われてるのって、白露達がいるからって事じゃダメかな…

全員が練度MAXだし、1人は175だしさ?

海軍にとって、とてつもない損失な訳でしょ?だったら白露達差し出したら見逃してくれないかな?一般人上がり1人くらい別にいらないでしょ?

なんて思ったんだけど……流石にそんなに甘くないよね

 

「それで、相手はどんな艦っぽい?」

「知らないよ…あちらさんの情報なんてどこなら入手しろってのさ…」

「どんな奴でも、提督さんに危害を加えるなら血祭りにしてやるっぽい!」

「頼もしい限りだけど、自重しようかバトルジャンキー」

 

白露型と書いて個性豊かと読むんじゃないだろうか…

モブ的な感じの子がいない…どいつもこいつもキャラが濃いんだよ

…そう言えば白露型ってこの5人だけじゃないよね?どうしたんだろう?

 

「白露、他の妹達ってどうしたの?」

「五月雨とか?」

「そうそう」

「それはね…五月雨は間に合わなくて、海風は春雨に天井に吊るされて…」

「いや既におかしいでしょ」

「私も行きます!って騒がしかったから寝てた春雨に縛られて、天井に吊るされたままなんだよ、流石にもう助かってると思うけどね」

 

海風…あんまり関わり無かった気がするんだけどなぁ?

一緒に買い物行ったり、一緒にご飯食べたり、一緒に作戦指揮考えたり……意外と関わりあったわ…

 

「それで山風はそんな海風と大体同じなんだけど、騒がしかったわじゃなくて、春雨が扱いが面倒って事で天井に吊るして…」

 

あえて突っ込むまい…

山風に好かれてたのか私…執務室からあんまり出ないし、そんなにお世話とか出来てなかったんだけどなぁ

 

「涼風も海風同様に連れてけってうるさかったから、春雨にやられたよ」

「春雨って寝起きそんなに悪かったんだ…私見たことないなぁそんな春雨」

「私そんなに寝起き悪くありません!」

「おはよう」

「あ、おはようございます…じゃなくて…」

「早瀬がそんな春雨を見た事無いのも無理無いよね、春雨って元々一人っ子だから早瀬はお姉さんみたいな…もの…あれ?私は?」

「白露姉さんは…年上の友達みたいな感じですかね?」

 

私がお姉さんねぇ…

そう言えば春雨って何歳なんだろう?千夏ちゃんと孤児院で良く遊んでたって言ってたし、12から14くらいなのかな?

 

「春雨って何歳なの?」

「私ですか?11歳です」

「下なのかよ!」

「え、えぇ?」

「いや…千夏ちゃんより歳上だと思ってたから…」

「沙耶ちゃんは私より大人びてるから…」

 

千夏ちゃんが割と普通くらいだからかな?

…春雨…11か

最年長として、色々と気を付けないと…教育上良くない的な事とか…

もう手遅れか?手遅れですね…

 

「もうみんなの歳確認しようか…今後の扱いに関わる」

「それはそれでなんか嫌だなぁ…」

「早く言いなさい」

「は〜い…私が16で時雨が15、村雨も15で夕立が14…春雨が11だよ」

 

早く聞いておけば、本当の姉妹関係に気がつけたりかもなぁ…

1人だけ明らかに若いし…

うん…春雨だけ特別扱いで良いかな…元々一人っ子らしいし

頼られてるみたいだしね

……頼る…うっ頭が…



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7話 交渉

…今更気が付いたんですが、私って小説書くのに3時間かかってるんですが、今書いてる小説が11個なので、全部書こうとしたら33時間かかり、1日を超えてしまうんですよね…


よし!港着いたぁぁぁ!!

いやぁ…予想通り3日かかったよ〜

 

「やっとだよ〜…やっぱり本州は長いなぁ…北海道は広いけど」

「司令官さんの予測の日ですけど、本当に来るのでしょうか?」

「来ないで欲しいけどねぇ〜…多分なんだけどさ、春雨ちゃん…あの変な海からソナーと電探使ったら敵影が映ると思うよ…勿論、バレるからやらないでね」

「それでは…」

「春雨ちゃんは、武装を付けてないからみんなの目となってサポートに回ってね。かなり重大な役目だけど、気負いしないで頑張ってね〜頑張ったら、ご褒美に限度は私に可能な事なら叶えてあげるよ。勿論、白露達には内緒ね?」

「!、頑張ります!」

 

うむ…この反応からして何か欲しいモノでもあるのかな?

あんまり高い物じゃなければ良いんだけど…春雨ちゃんだし、どうせ安眠枕とかでしょ

それなら楽勝だね〜

 

早瀬は出航までの間に、自由行動を取り、わざとほかの白露型をばらけさせて、春雨と話す。

当然、千夏は早瀬と一緒にいる為、話は聞いていた。

 

「沙耶ちゃん、何が欲しいの?」

「内緒だよ、取らぬ狸の皮算用って言うし、ご褒美が確定してから話すよ」

「それなんてことわざなの?」

「千夏は文系ダメだったね…そうだなぁ…まだ手に入らないうちから、それをあてにしてあれこれと計画を立てることのたとえだよ」

「へぇ〜」

 

なんか学校って感じがする会話してるなぁ〜こう言うのって海軍に居たからか、なんか和むんだよね〜

私が学校に通ってた時の友達ってみんながみんな頭良かったから、こんな和む会話じゃなかったんだよなぁ…1人だけビジネス用語をひたすら使いまくる、なんちゃって意識高い系が居たのは面白かったけどね

何言ってるのか分からないのがまた良い

 

「そう言えば良かったんですか?自由行動の時間など設けて?」

「大丈夫だよ、予め言ってあるから。バレたら置いてくって」

「うわぁ…」

「あと、服買っておいでとも言ったかな、いつまでも艦娘の制服って訳にも行かないでしょ?」

「司令官さんはいつのまにか私服でしたしね…」

「まあね、車にはある程度生活出来る様に、色々と積んであったからね」

 

千夏ちゃんがいなかった場合、車中泊も視野に入れてたのが功をそうしたかな

 

「あっ私は」

「あぁ、大丈夫大丈夫、千夏ちゃんと春雨ちゃんのは私が買っておいたからね」

「え?その時に白露型全員の分を買っておけば良かったのでは?」

「それが無理なんだよ、服ってサイズとかあるでしょ?院長から千夏ちゃんの服のサイズとか予めメモを貰ってたから、千夏ちゃんの服はそのメモを参考にして買って、春雨ちゃんのは…睡眠中に抱き付いてきてたから、その時に大方の予想を立てて、千夏ちゃんの服からサイズを計算したから買えただけで、白露達のはサイズ全然分からないし、村雨とか発育良いから、貧相なボディしてる私が買いに行くと虚しくなるからね」

 

まぁ…白露達の服のサイズを聞けば良かったんだけど、面倒だし虚しくなるからね…

時雨にすら負けてるからね…白露、村雨、夕立は言わずもがな…

泣きたくなってきた…

歳下のあの子達の方が、私より歳上に見られると言う事実が虚しい

 

「さて、車はフェリーに乗せるから、車に忘れ物とかしないでね?取りに来れないから」

「司令官さん…そもそも私達の荷物って時雨姉さんが持って来たポーチの中にある遊び道具しか有りません」

「それもそっか」

 

あとは、奴らに気取られない様に作戦準備を始めましょうか

 

早瀬は車をフェリーに乗せ、気を引き締める。

 

意味なんか無いかも知れないけど、やらないよりはマシ…だと信じて…艦種ごとの対策でも考えようかな…

幸い狙いは私だし、相手の動きは予測しやすい

……軽空母主体なら良いんだけどなぁ…白露の装備が秋月砲2個に六連装酸素魚雷の脳筋装備だし、後のメンバーも秋月砲+魚雷か機雷だし…

空母系か潜水艦なら楽なんだけど…前者なら良いんだけど、後者の場合、被害が先に出ちゃいそうだからみんなには予め待機してもらうしか無い…これで無いでしょって感じで放置して、潜水艦だったら目も当てられないから…待機させるかぁ…

 

「春雨ちゃん、その四後期って通信も出来たよね?みんなに伝えてくれないかな、フェリーが出たら、艤装展開を出来る様にしていつでもフェリーから飛び降りて戦える様にしておいてってね」

「分かりました!」

 

良い返事、春雨ちゃんは従順だなぁ〜なんか犬みたいだよね

……白露型ってもしかして犬っぽい子の寄せ集めだったり…いや流石にそれは無いか

江風は犬って言うよりはキツネって感じだし…

キツネも犬系か…

 

「伝達終了しました」

「よし、それじゃあ安全確保の為に動こうかな〜」

「何をするつもりですか?」

「心配しなくて良いよ。春雨ちゃんは深海棲艦の方を任せたよ」

 

私は人間側の始末だけどね

 

早瀬は、千夏も春雨にそれぞれ発信機を気が付かれない様に付け、自由にさせる。

その後、早瀬は1人で海軍兵士の捜索を開始し、居そうな所を予測を立てる。

 

「…ビンゴ」

 

やっぱり私服姿で潜入してたか

ただ私服になっただけで、私の目を欺けると思ったら大間違いだ

海軍兵士がやりがちな行動とか、記憶の中にある憲兵の顔とかで判別出来るんだよ

 

早瀬は、検問を強行突破する様に使う予定だった麻酔銃で、潜入していた海軍兵士を眠らせる。

それも、複数人集まって情報共有していた為、一気に眠らせる。

 

さて…どう料理してやろうか

コンクリートで固めて沈めるか?

 

その時、眠らせた憲兵が指輪をしているのが目に入る。

 

既婚者……チッ

しょうがない…麻酔増やしてもっと眠っててもらおうか

全く…既婚者とか待ってる人がいる人間を逃亡者の追跡に使うなっての

追ってるのが元軍人なら尚更だよ

私じゃなかったら殺してたよ…私もつくづく甘い

 

「どうせコイツらだけじゃ無いだろうし…残りも全員やっちゃうか…」

 

早瀬は他に潜入している兵士を探すが、今度はどこを探しても見つからない。

 

…まさかアイツらだけ?

なるほど…本命はこっちじゃないって事か

なら良いや、今は自分の命ってね

 

早瀬は予め伝えておいた集合場所に向かう。

 

「早瀬遅い!」

「そうだねー」

「適当!?」

「春雨ちゃん、もう電探とソナー起動しておいて良いよ。何か反応があったらすぐに攻撃を仕掛ける、先手必勝だよ」

「はい!」

 

空母系と潜水艦ならラッキー、駆逐艦や軽巡なら普通ないしラッキー、戦艦は面倒、レ級や姫クラスなら最悪って感じかな…

恐らく近くでスタンバイしてるはず…距離を開け過ぎるとこっちが万全の状態に移行出来て、奇襲にならない

かと言って近過ぎると、奇襲に動く前に発見される

アイツらも馬鹿じゃないからねぇ…馬鹿ならなんの苦労も無かったのに…

 

「あと確認なんだけど、見つかってないよね…」

「見つかってないっぽい!」

「そうだね、案外バレないものだね」

「バレてはいたと思うよ…たださ…普通に考えて、夕立みたいな超有名な艦娘の場合は艦娘ってだけで避けたいと思うよ…」

 

これで話しかけるのは、頭の中お花畑のナンパ野郎か海軍の者くらいだよ…

まぁそれはさて置きだよね…今は深海側の動きの警戒をしないと…私1人のせいで死者が出るとか、その死者が可哀想だし…

ここはいっちょ、艦娘のイメージアップの為の糧になってもらおうか…相手次第では見せプレイとか出来そうだし

 

それから、早瀬達は出航までの間に甲板で海の方を見る。

 

「本当に来るのでしょうか?」

「…来ないで欲しいけど、私は頑張り過ぎて、アイツらに目の敵にされてるからなぁ…多分来ると思うんだよねぇ…」

「早瀬!こっちは準備万端だよ!」

 

白露の声と同時に船は出航のする。

 

さぁ…いつでも来いよ…

迎え撃つ準備は出来てる…まぁ…もう退役した(つもり)私に興味無くして帰ってくれるかも知れないから、春雨ちゃんに私の声をアイツらに伝えてもらうけどね

 

「司令官さん!反応ありました!」

 

やっぱり来たか…

 

「全艦出撃、春雨も前線に出ろ、君には私の声を中継してもらう」

「おぉ…早瀬がガチモードだ…」

「白露、早く行くよ」

「よし!いっちょやりますか!」

 

さて、敵の編成は…

姫クラスが2、後は随伴でヌ級1のロ級が4か…

ふざけんな!こちとら駆逐艦5隻の戦えるのが4隻しかいないんだぞ!

 

「貴様ラ…フッ…ヤハリ護衛ヲシテイタカ」

「護衛では…」

『あーあー、聞こえるかな?空母棲姫』

「…貴様」

『もう私は海軍を退役した身なんだ、もうアンタ達と戦うつもりは無いんだ、だから大人しく海軍を潰しに行ってもらえないかな?』

「艦娘マデ連レテ、何ヲ言ウカ」

『この子達は勝手に付いてきただけ…だから、ここは撤退して海軍の方に行ってよ…それでもやるって言うなら、それ相応の被害を覚悟してもらうけどね』

 

相手は空母棲姫と駆逐棲姫

幸いにも空母系にはめっぽう強い装備だから、この編成は最悪ではない

本気で壊滅させに行こうか

アイツが攻めて来るならだけどね

 

『さぁどうかな?』

「……」

 

何かを考えている?

アイツって結構頭良いタイプだから、今後の戦況とかを考慮してるのか?

 

「貴様ハ本当ニ軍ヲ退役シタノダナ?」

『そのつもりだよ』

「…ソウカ」

 

交渉…上手くいくか?いってくれ…

正直駆逐艦4隻で姫クラス2隻はキツすぎる…最悪1人か2人死ぬ…

上手くいってくれぇ…

 

「デハ貴様、我々ノ指揮ヲスルツモリハナイカ?」

『は?』

「えぇ!?」

 

敵にスカウトされるとは…

あっちに指揮官がいないのは何となく分かってたけども…

いやいや!まずにして何でわざわざ人類に敵対しないといけないんだ!?

 

「ナニ、スグニ決メル必要ハナイジックリト考エルガ良イ」

『私が人類を裏切るメリットが無いし、アンタ達の用が済めばすぐに始末できる様な事になる。つまり、メリットどころかデメリットしかない』

「確カニソウダ…ナラバ、コノ駆逐棲姫ヲヤロウ」

『…は?』

「エェェ!?」

「我々ノ勝利ノ為ダ、駆逐棲姫ニハ自爆用ノ爆弾ヲツケテオク、スイッチハオマエニクレテヤロウ」

『なるほどね…お互いに人質になるって事か…』

「チョット空母棲姫サン!?私ノ命ガアブナインデスケド!」

「言ッタデアロウ…我々ノ勝利ノ為ダ」

「ソ、ソンナ…」

 

いや…同情するよホント

て言うか、こんな感じ政略って戦国時代とかの戦略だよね?

娘を敵に嫁がせて、不可侵条約みたいな

 

「ソレト、良イ待遇モ約束シヨウ」

『ほう…』

「作戦時以外ハ自由ニシテクレテ構ワナイ、身ノ回リノ世話モ駆逐棲姫ガヤロウ」

『それと、私が指揮を取ってる事を海軍に絶対にバレない事、今後の私の行動の邪魔をしない事、今回の作戦は未参加、これなら受けてやっても良い』

 

元々、アイツらって人類滅亡が狙いじゃないし

どっちかと言うと、海大好きウーマンズだから、陸には基本的には攻めて来ない

陸型がいるけど、アイツらって海の奴らよりも温厚だし…敵対するまではだけど

 

「致シ方ナイカ、ソノ要求ヲ飲モウ」

『よし、じゃあ今は引いてくれ、それと駆逐棲姫をもらった、それに見合った事を1つ助言してあげるよ。状況不利になったら逃げる事を覚えなよ』

「敵前逃亡ナド…イヤ、分カッタ」

 

空母棲姫は駆逐棲姫を置いて、深海に帰って行く。

そして、駆逐棲姫は一旦海面に潜り船について行く。

 

「な、何だったんだ…あの深海棲艦…何もせずに帰っていったぞ」

「きっとあの司令官様がなんとかしてくれたのよ」

 

あぁ…分かってはいたけど、目立ってしまった

て言うか、まさかの出来事が多過ぎるぞ?

千夏ちゃんもそうだったけど、今度は駆逐棲艦だ?

そろそろ本当に不味い立場になって来た…引き受けちゃったし…

どうしよう…駆逐棲姫の自爆ボタンも投げ渡されたし…

 

「早瀬…良かったの?」

「…良いはないでしょ…戦いを避けられただけマシだけど…あのまま戦えば1人か2人死ぬ事になっただろうし…命大事に…ドラクエの基本だよ。…あぁもう!疲れた!」

「お疲れ様です」

 

人命にも被害無し、艦娘も怪我1つしていない…

状況だけ考えれば最善の結果…ただ、私の身が危険になっただけ…

はは…自己犠牲の精神…か

似合わないなぁ…

私ってもっとクズだと思ってたんだけどなぁ…いや、人類を見捨てたか…

 

早瀬は、中に入り長椅子に腰掛ける。

すると、春雨が隣に座り、そのまま早瀬の膝に頭を乗せて眠る。

 

…勝手に膝使うなよ




アイエェェ姫クラス、姫クラスナンデ!


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8話 人数オーバー

…あぁ…よく寝た

我ながら、何であんな面倒な選択をしたんだろう…

はぁ…やらかしたかなぁ

それはさておき…

 

「暑苦しいわ!」

「何でよ!」

 

早瀬が目覚めると、膝を使って寝ていた春雨は記憶していたが、その他の白露型まで早瀬に寄り添うように集まっていた。

 

「村雨はまだしも、時雨と夕立と白露は別に私のそばにいなくても大丈夫じゃない」

「怖がりで寂しがりな村雨は良くて、何で僕達はダメなんだい?」

「怖がりじゃないわよ…」

 

寂しがりは否定しないんだね

まあ…あんなんでも嘘を付ける性格じゃないから、そう言わざるを得ないんだろうけどね

可愛いかよお前

 

「別にダメじゃないけど、夕立とかはフェリーの中走り回っててもおかしくないじゃん?だから何でみんなしてここにいるのよって事よ」

「いくら夕立が子供でも、疲れて寝てる飼い主に迷惑をかけるほど、頭の悪い犬じゃないよ」

「子供じゃないっぽい!」

 

夕立は夕立で犬の方を否定しなさい

普通の子は子供って言われたら反論して尚且つ、犬の方も反論するでしょ

 

「犬の方は良いんだね」

「夕立は提督さんの為なら犬でも良いっぽい!むしろ提督さんの為の犬が良いっぽい!」

「従順なワンコだねぇ〜」

「わふぅ〜」

 

早瀬は夕立の頭を撫でる。

撫でられた夕立は、まるで犬かの様な反応で喜ぶ。

 

普通よりもキャラの濃い私の所の白露型も、可愛い所はちゃんとある…か

まぁ、年相応の女の子の可愛さでは無いんだけどね

 

「さて、そろそろ着く頃だし、準備しなよ」

「は〜い」

 

さて、深海棲艦の問題は取り敢えず保留になったし

後は元帥だなぁ…多分私の実家にもう着いてるだろうし

どうにかして……良いやドロップキックしてやれば

 

「そう言えばなんだけど、ほかのケッコン艦は良かったのかい?」

「…いや…アレは…」

「早瀬はあの子の事大好きだけど、頼る事が苦手だもんね」

「そうなんだよね〜…身の回りの世話とか進んでやってくれるのは良いんだけど、私が性格的に私頼られたいタイプだからね…」

「……そう…それなのに…早瀬はあの子とばかり遊んで…」

 

遊んでたわけじゃねぇよ

ただ、お互いがお互いに世話焼きしてたからそう見えただけで…

てか、名前呼んであげなよ…私は名前をあんまり呼ぶ方じゃないから、呼ばないけどね〜

 

「でも、白露とあの子にはしっかり共通点があるよね」

「そうかなぁ?」

「そうさ、だって2人ともヤンデレ気質の変態じゃないか」

「変態じゃないよ!?」

 

はは…そうなんだよね…

私のケッコン艦はどうしてこうも、そっちのルートに突入しちゃうのかなぁ…

1人違うけど

 

「でも、良く見逃してくれたね?あの子は白露よりも司令官にべったりだったじゃないか。執務室に行けば、90%くらいの確率で来てたしね」

「??」

「?…なんで首をかしげるんだい?」

「見逃されてないよ?」

「へ?」

 

むしろ、私が見逃してたと言うか、放置していた…

あの子は…ずっと

 

「ずっと君達の後ろから見ていたんだから」

「!!!???」

「嘘だよ…なにそのホラー展開、あの子はそこまでホラーチックな事しないよ、ただ白露よりも一緒にいた時間が短い代わりに、性格や波長が近いから行動が完全に予測されるんだよね…」

 

だから本当は元帥が、私の計画の最大の難関って意味で心配していたんじゃなくて

生死的な意味で元帥の心配をしていたんだよね…

勿論、最大の難関ではあるんだけど、私が考えつくって事はあの子にと考えつくって事

最早、私はあの子から逃げる事を諦めてるんだよ

しかし、まだ鎮守府にいる可能性もなきにしもあらず

 

「元帥…生きてるのかぁ…」

「お母さんのもう1人のケッコン艦ってそんなに危ない子なの?」

「危なくはない…献身的で優しくて、何でも1人でやってあげたくなる危なっかしい子ではあるけどね」

「じゃあ、何で元帥の心配をしてるの?」

「あの子と私の唯一の違いは、非情な決断が出来る所だからね……私の計画の中には、元帥を始末するって言うのもあったんだよ…私はそれを断念したんだけどね」

 

目的の為の非情な決断…私よりも司令官に向いた性格してるよね

…後任ってあの子でよくね?

艦娘兼司令官とか何かカッコいいし

 

早瀬はおもむろに携帯電話を取り出し、何処かに電話をかける。

 

「…もしもし」

「あれ?早瀬が電話かける相手っていたの?」

「さあ?」

「私の後任になってくれない?…あ、ダメ…ゴメンね?」

「誰に電話していたんだい?」

「さっき話してた子だよ?」

「…ねぇ…早瀬」

 

何でこのタイミングでヤンデレモードに?

て言うか、何で私のケッコンは変なタイミングでヤンデレ化するん?

私はギャルゲーの主人公じゃないんだけど…

ヤンデレ系ヒロインしかいないギャルゲー…客層選び過ぎるだろ

 

「…早瀬…なんであの子と電話してるの?…私は早瀬の電話番号すら知らないのに」

「だって必要無いし、電話する程遠くいかないじゃんアンタ」

「それはあの子もそうだったでしょ!」

 

ヒステリックやね?

 

「いや、普通に考えてよ?白露携帯持ってないじゃん」

「あっ…」

 

しかも、結構前に出かけた時に「白露、携帯買わないの?」って聞いたら「早瀬とずっと近くにいるし、要らないよ?」って言ってたし

まあ2年くらい前の事だけどね

 

「僕は携帯電話持っているけど、司令官の電話番号は知らないよ?」

「そりゃそうだよ、教えてないもん。私が電話番号教えてるのは、あの子と春雨だけだし」

「またなの…春雨」

「え、いや、これは……」

 

春雨に電話番号を教えたのは、春雨が夜によく部屋に出没するから、話し相手にはなってあげるから、夜に部屋に出没するのはやめて!心臓に悪いからって感じで教えたからなんだよね

やはり白露型で一番可愛げがあるのは春雨だね…

 

「春雨は私の娘だ」

「火に油を注がないで下さい!?」

「…春雨…あとでゆっくり話そうか」

「沙耶ちゃんって娘だったっけ?」

「千夏ちゃん、司令官の冗談だよ」

「沙耶ちゃんが慌てながらも嬉しそうだったから、そうだったのかな〜って思ったんだよね」

 

嬉しそう…ねぇ

9歳差って実際どう思うんだろうね

私には身近にそんな人間居なかったから、分からないんだよなぁ…おばさん?それは悲しいなぁ…

 

「あの子しっかりしてるし受けてくれると思ったんだけどなぁ…」

「いや、多分あの鎮守府の艦娘で、例え司令官のお願いでも後任になる事を容認する人はいないよ。あの鎮守府では、司令官こそが司令官の座にいるべきであり、そこに自分が座るなんておこがましいにも程がある、そう考えると人ばかりだから」

 

おこがましいて…

私はどこぞの王かっての…それか傲慢な太陽の化身か…

て言うか、私って本当にあの鎮守府でどう思われてたのさ…王なの?王様なの?

しかも、討ち取ろうとする子がいなかった辺り、善性の王だよね?

執務室からあんまり出ない、誘われない限りゲームしてる司令官のどこにそんな魅力があったのか…

誘われれば行ってたから?チョロすぎるでしょ

 

「脱走してから、私の扱いについて分からない事が増えた気がする……て言うか、私ってそんなに好かれてた?呼ばれるのも基本秘書艦経由でだったし、苦手に思われてるのかな〜くらいにしか思ってなかったんだけど?」

「苦手も何も、司令官はあの鎮守府での神だったよ」

「神!?」

 

意味が分からん…

半分引きこもりで、子供くらいとしか話せないコミュ障司令官が神?

もしかしてうちの鎮守府の子ってお馬鹿ばかりだったの?そんな馬鹿な…

しっかり学校みたいな施設も作ってたんだけどなぁ…

意味無かった系?

 

「?…もしかして知らないのかい?」

「何が?」

「うちの鎮守府の子達って訳ありの子しかいなかったんだよ?」

「そんな馬鹿な」

「じゃあ聞くけど、建造した事あるのかい?全員他鎮守府から転属して来たはずだよ?僕達最初期勢以外はね」

 

 

…確かに建造…した事無いかも…

他の鎮守府からやたら転属してくるから、やった♪建造しなくて良いじゃん♪くらいにしか考えてなかったけど

訳ありの子が流されて来てただけだったのかい…

私の鎮守府の扱い酷くない?私知らなかったんだけど?4年も司令官してて1回も聞いた事無いんだけど?

 

「訳ありの子しかいない鎮守府…どう言う事さ」

「今思えば、最初の頃は民間人上がりの司令官への嫌がらせだったんだろうけど、後半はほとんど孤児院のような扱いだったと思うよ?転属拒否とかしてなかったからね」

「そもそも転属拒否とか出来たの?したかった訳じゃ無いけど、そんなシステム知らなかったんだけど?」

「司令官、意外とそう言う所のシステムを知らないんだね」

 

知る訳がないじゃん

士官学校に行ってた訳でもないし、マニュアルを渡されていた訳でもないし

司令官の友達がいる訳でもない

外からの情報が無いから、そういったシステムを知る機会がそもそも無かった…

いやぁ…やけにボロい鎮守府だなぁ?とは思ったけどね?

まさかの嫌がらせだったとは…知らなんだ

 

「でもさ?孤児院みたいな鎮守府なのになんで怖がられるのさ?」

「言ったじゃないか、訳ありの子しかいないって」

「聞いたけど、それがどうしたの?」

「はぁ…まさか本当に気が付いてなかったのかい?訳ありの子の中には艤装が最初から壊れてる子もいたって事さ。そんな事ばかりの鎮守府が凄い速度で海域開放をしていくんだよ?謎が多いどころか、恐怖だよ」

 

えぇ…個人差だと思ってたんだけど…

みんな違ってみんな良い的な感じかな〜とか勝手に思ってただけど…

確かに、航行速度が遅かったり、射撃精度が皆無だったりしたけど

航行速度が遅いなら、逆に重装にして一撃必殺くらいの秘密兵器とかにしたり、射撃精度が皆無なら射撃しないで物理攻撃すれば良いとか思ってアンカーとか持たせて、周りに援護させながら戦わせたりしてた…

あれってダメだった系?

 

「まぁそんな不良品と呼ばれる存在だって知ってても扱いは変わらなかったと思うけど、その子達からすれば、鎮守府を追い出されてたらい回しにされてやっと着いた鎮守府の司令官が全く気にしないで、戦い方の模索や、差別せずに住みやすい環境を作ってた訳だからね。人気も出るさ」

「ほえ〜…差別とかはする訳ないけど、住みやすい環境作りってそこまで人気出るかな?」

「単純に優しいとか、感情的な所も大きかったと思うよ?」

「そりゃあ、優しくもするでしょうよ。みんな、なんか元気無かったし、私的にもみんな俯いてる鎮守府より、和気藹々とした方が私が楽しいし」

「とにかく、司令官はあの鎮守府では神であり絶対的な存在なんだよ」

 

…脱走が悔やまれる情報を今渡すか…

はぁ…今頃怒ってるんだろうなぁ…みんな置いて逃げ出した訳だし

連れ戻されたら地獄だね…最悪殺されるんじゃない?

 

「変な心配してる所悪いんだけど、多分だけど僕達の鎮守府の子は司令官を恨みはしない、怒りもしないと思うよ」

「愛情は憎しみと表裏一体とか言うんだけど…」

「前にテレビに出ていた子達、戻って来てとは言っていたけど、あれは大本営の人がいる手前、言わざるを得なかっただけで内心、応援とかばかりだよ。夜に電話してたりするしね、僕」

 

マジか

夜中に見かける事が無いとは思ってたけど、鎮守府の子と電話してたのか

……あの子って、今ちゃんと鎮守府にいるのかな?

いる可能性は、私の予想ではかなり低いけど、もしかしたらって事もね?

 

「あの子って…」

「僕達が出たすぐ後くらいに、司令官の所に行く!って言って出て行ったらしいよ?今頃どこにいるんだろうね?」

 

さっき聞いておけば良かった…

艦娘1人で外歩かせるとか…ちょっとね…誘拐とか大丈夫かな…

知らない人について行ったりしてないかな…

外に出る時は必ず上官に外出届を出さないとダメだって言ってたんだけどなぁ…

白露型は全員悪い子だから仕方ないけどね

 

「あの子1人で大丈夫かな…」

「安心しなよ、1人じゃないから」

「余計安心出来ないよ!?まさか姉妹艦で移動してるの!?」

「そうだね」

 

早めに見つけないと…でもなぁ…

もう北海道着いたし…探すにも広過ぎるよなぁ…

場所聞くか?そもそも場所分かるのか?

 

早瀬がそんな事を考えている時に、早瀬の電話が鳴り響く。

 

「はい、もしもし」

『司令官!今どこ!?』

「…上官に外出届無しで出かけたんだ…君」

『え、いや…誰から…』

「しかも姉妹艦まで巻き込んで…私は悲しいよ」

『その…これは…』

 

馬鹿正直だから小芝居するだけで泣きそうな声になるのは変わり無し

案外大丈夫だったみたいだね、ちょっと安心

 

「はぁ…鎮守府に戻れる場所にいるのかい君」

『それは…出来なくもないけど…ちょっと遠いかなぁ…って』

 

はぁ…お金足りるかなぁ…

 

「函館のフェリー乗り場」

『分かったわ!』

 

そこで通話が終了する。

 

我ながらアホだなぁ…

自分勝手な部分が抜け切ってない…

しかも、働かないといけないかも…

 

「さて、ちょっと待つ事になったよ」

「ああ、やっぱりそうなったね。司令官ならそうすると思ったよ、自分勝手なくせに、騙して先に行くとか出来ない人だからね」

「うるさいよ…」

「アノ…」

 

そう言えば…いたね駆逐棲姫

…いや待てよ?駆逐棲姫って見た目あからさまに深海棲艦だよね?

結構有名な方の姫クラスだよね?不味いじゃん!

早く隠さないと!

 

「ちょっとこい」

「チョ、チョット!?」

 

早瀬は人気の無い物陰に駆逐棲姫を引っ張り込み、謎の帽子を脱がせ、麦わら帽子を深めに被らせて、服装も肌の露出を抑えるためにカーディガンを羽織らせ、車椅子に座らせてから膝掛けで足を隠す。

 

…ベルマークで交換した使い道無かった車椅子の使い道…こんな所でくるのは

車に積んで置いて正解だったよ…

 

「アノ…コレハ…」

「深海棲艦を連れ歩けるわけ無いだろ…はぁ…人数オーバーにも程があるよ全く…」

 

大家族(笑)…車…どうしようか

誰かの膝に誰かを乗っければいいか仕方ないし

 

早瀬は元の場所に戻り、もう1人のケッコン艦を待つ。




大体予想着くでしょうね…
ケッコン艦は3隻…ラストは誰でしょうねぇ〜


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9話 到着嫁艦

キャラが増える=会話が増える…会話多めになっていく…
頑張って会話よりも心情や状況を書いたら多分…10000文字行くのではなかろうか…


「流石に全員乗れないと思うんだけど…」

「確かに人数が多過ぎるね」

「車の免許持ってる人…いないよね…」

 

みんな免許取れる年齢じゃないし…

車ってそうそう買える物じゃないし

ホント…誰かが誰かを膝に乗せるしかないかな…小さい子も多少なりいるし

 

「白露…ここでお別れだね」

「置いてかせないよ!?」

「やっぱりダメか、仕方ない…後ろの席で膝乗せして乗ってね」

「そうなるね」

 

くぅぅ…運転手と車が欲しい…

むっちゃん助けてぇぇ…とは言っても、ここは北海道

そうそうに来れる距離じゃ…?

よく考えたら、出撃で海外にぽんぽん行ってるから、北海道って艦娘からしたら意外と近い?

 

「司令官!」

「は〜い、約束破り組が着いたから、行くよ」

「約束破り組…」

「やっと着いたみたいだね?君にしては司令官を見つけるのが遅かったじゃないか雷」

「仕方ないじゃない…司令官がこのタイミングでここにいるって事は途中で1週間くらい検問回避してたんでしょ?そんなの分からないわよ…」

 

十分、分かってんじゃん

やはり思考レベルは同じか…艦娘の思考レベルじゃないけど、この子の実年齢って何歳なんだろう…見た目相応なら天才児、私より上だと経験からなる状況予測って言う説明がつく…

何歳なんだ…見た目相応なら…10とか?

この際聞いてみようかな…

 

早瀬は車に乗り、目的地に出発してからその道のりで雷達、第六駆逐隊の年齢を聞いてみる事にした。

 

「失礼なんだけど…今雷って何歳なの?」

「え?…え〜と…」

 

これは見た目相応じゃない予感

てことは歳上かな〜

 

「20…」

「歳上だったの!?」

「さっきの反応で見た目相応じゃないと思ってたけど…まさか同い年とは…」

「え?そうなの?」

「え?知らなかったの?」

「正直…もっと下かな…と」

「…見た目か…年相応の身長じゃなくて悪かったね…」

「いや、言動が幼いと言うか…子供っぽいから」

 

…確かに普通20歳で外にも出ないでゲームばかり…子供とばかり遊んでるから、言動とそっちよりに…

 

「じゃあ、次は暁の番ね!私は21歳よ!」

「私も20だよ」

「電は19歳なのです!」

 

ん?この年齢配置…もしかして

 

「もしかして…本当の姉妹?」

「いや、本当の姉妹は暁と私、雷と電だよ」

「確かに雷と電は似てる、でも暁と響は似てないよね?」

「まあそうだね、私達はハーフなんだ。私の言動から分かると思うけど、日本とロシアのね」

 

ハーフ!

しかもロシアかぁ〜良いなぁ〜

勝手なイメージだけど、ロシアの人って綺麗な人多いよね

それはそうと、響がロシアの方の血が濃くて、暁は日本なのかな?やっぱり

 

「へぇ〜暁ってハーフでしかも早瀬より歳上だったんだ〜」

「だから言ってるじゃない!一人前のレディなんだから!」

「実年齢がレディでも、艦娘である以上、見た目に精神年齢が引っ張られて見た目相応の精神年齢になるから、暁はレディ(笑)なのは変わらないよ」

「どっちかと言うと、響の方がレディって感じがするよね?私も響みたいな大人に感じになりたいよ全く」

「司令官様はそのままで良いんだよ、司令官様はその人格のお陰で神としての座に行き着いたんだと思うよ」

 

…しれっと様付けしてるんだけど…私ってやっぱり神様みたいな扱いされてたんだね

そう言えば、何で姉妹艦の子達って私の呼び方が全然被らないんだろう?

白露は名前呼び、時雨は司令官呼び、村雨が司令官さん呼び、夕立は提督さん、春雨も司令官さん呼び…

暁型はどんな呼び方してるんだろ…さりげなく引き出すか

 

「暁はどう思う?」

「早瀬ちゃんは…」

「その呼び方するんじねぇ…白露の刑にするぞ」

「ひっ…」

「どんな刑か分からないけど…白露がこの反応…やめるわよ…早瀬」

「それなら許す」

 

ちゃん付けされると、元帥が頭をよぎるから嫌なんだよね

 

「それで?」

「私も早瀬はそのままの方が良いと思う、早瀬はこんな私達にも優しいから…」

「艤装不良なんだってね…ついさっき聞いたよ」

「ついさっきなの?まあ良いけど、私達暁型は全員が魚雷発射管が使えない…駆逐艦としての魚雷が使えないのは致命的なのに、早瀬はそんな私達を見捨てずに、魚雷を使わずに戦う方法を見つけてくれた…」

 

全員がアンカー持ってたから、魚雷使うのが難しいなら、それで相手をぶん殴っちゃえば?って言ったのは覚えてるよ

そしたら、案の定素晴らしい結果を残してくれた、だから駆逐艦の主戦力に暁型も含まれている

やはり物理攻撃に勝る攻撃は無い!

 

「それに、言えばちゃんと遊んでくれるし、住みやすい鎮守府にしてくれたわ」

「言わないと部屋から出なかったから、苦手に思われてるんじゃないかなって思ってたよ」

「そんなの有り得ないわ!早瀬は電の事も大切にしてくれたし!」

「あぁ〜電って艦娘になった時の艤装不良のせいで魚雷発射管以外にも、左目が見えてないんだよね?」

「そうなのです…だから、電だけ遠ざけられると思ってたのです…」

「それで最初隠してたんだ?」

「すぐバレたのです…」

「どれだけ努力を積んで、左目が見えなくても戦えるようにしても、必ず違和感が出るからね」

 

そんな電に関しては、やたらと避けられるから、嫌われてるんだろうなって思ってたんだよね…

今思えば、バレるのが怖かったんだろうね

19…いや当時は17か

17でも、怖がりなのは変わらないからね電ちゃんは

 

「それで、電も私はこのままの方が良いと思う?変える気は無いんだけど、やっぱり聞いておきたいからさ」

「電も早瀬様はこのままで良いと思うのです」

「どうして様付けしたがるかな…」

「そうだねぇ…私と電は司令官様に特に恩があるからだね」

 

電は分かったけど、響はあったかなぁ?

いつもクール系で感情が顔に出ないから、考えてる事が読みづらい

まあ、ほかの暁型に比べれば程度だけどね

響は響で慣れれば結構感情出るタイプなのが分かるし

 

「あれ?響は早瀬に恩なんてあるの?執務室にもそんなに来てなかったよね?」

「私は執務室に行かなかったんじゃないんだよ。私は司令官様から特別な艤装をもらってから、司令官様には鎮守府の警備を任されていたんだ」

「それってむしろ常に仕事を任されてうんざりするんじゃ?」

「いや、その特別な艤装、不可視の艤装のお陰で艤装展開してもバレない、だからみんなと遊んでいる途中にも警備が出来るんだ。そして何よりも私だけが司令官に特別任務をいただいていたんだよ」

「不可視の艤装…特別任務…響だけ…司令官、ズルイわ」

「あの任務の選定条件は、任務に私情を挟まない事だったんだよ。かなり重要な任務だったからね」

 

響は任務に私情を挟まないタイプだと思ってたんだけど…

その私情が忠誠心の塊でビックリだよホント…

 

「アノ…私モ座席デ良カッタノデショウカ…荷物トシテ扱ッテイタダイテモ」

「扱う訳ねぇでねぇか」

「何で田舎っぽい言葉…」

「…話ニ聞イテイタ方トコンナニモ違ウノデスネ…ナンダカ暖カイデス…」

「1つ教えてあげるよ…あまり他人の情報は鵜呑みにしない方が良い…その事で割と最近、私は傷付いた」

 

どいつもこいつも私の事を鬼だの悪魔だの言ってるからね

会ったこと無い人から何でそんなに嫌われないと行けないのさ!

おかしいでしょ!?

 

早瀬はそう思っていたが、実際は会ったことがある人間から拡散した情報なのだ。

その会ったことがある人間とは、問題を起こし早瀬が直接怒りに行った相手だ……その時の早瀬はとても機嫌が悪く、もう二度と同じ失敗をさせない様に、責め立てる…その時の形相が最早何人殺したのか分からない殺人鬼のような形相だった為、そんな話が広まったのだった。

 

「はぁ…これから駆逐棲姫の扱いどうしよ…」

「艦娘じゃないから部下って事にも出来ないからね」

「召使イヤ奴隷デ構イマセン」

「良いわけあるか…そんな人権侵害みたいな……ん?そもそも深海棲艦って人権あるの?人じゃなくね?…まぁいいや、とにかく非道な扱いはしない!」

 

人型生物に酷い事とか出来ないよ、そりょあ…

イ級とかロ級なら迷いなく殺せるんだけどなぁ…

 

「デ、デハ…私ハ…」

「車椅子の子を連れ歩いているのに、その子と何の接点も無いのは不味いんだよね…どうしようか…」

 

戸籍が無いから法的な処理は何も出来ないし…

かと言って無下には出来ないし…いいや、考えても答えは絶対に出ないし

 

「…娘って事します。異論は認めない、面倒だから」

「ム、娘!?」

「私と姉妹です!よろしくお願いね?」

「ア、ハイ…」

「早瀬…私達の子よ!」

「お前は後で白露の刑な…ホテルでの地獄を思い出せ」

「い、いやぁぁぁぁ!!」

 

自称夫の白露は膝の上に乗せた暁を抱きしめ、ガタガタ震え始める。

 

「指輪くれたのに…怖い」

「いやいや、アンタらが指輪よこせって言うから渡しただけだし…」

「それでもくれたじゃない!」

「嫌いじゃないからね」

「司令官様の嫌いなタイプっているのかい?」

「そりゃいるさ、艦娘の命を捨ててでも勝ちに行く戦い方をする人とかホント死ねば良いと思うよ……命を大切にしない奴は嫌いだ!死ね!」

「一瞬で矛盾しないでくれるかな」

 

こんな感じのネタを前に見たんだけど…何のネタだったかな…

分からないからいいか

…とは言え、ネタに走ったけど実際に艦娘の命を蔑ろにする人はいただけない…白露をミサイルしたりデコイしたろって?

愛ゆえだからいいの

 

「2人そろってここに来ちゃうと最後の1人が怒るよ?」

「大丈夫、優しいから」

「怒りはしなくても、悲しむんじゃないかい?」

「時雨はいつもそうやって私を困らせる…」

「…早瀬を困らせる?」

「…司令官を困らせる?」

「やめてくれないかな!?僕の命に関わるんだよ!?」

「司令官様を困らせてはいけない」

「早瀬様を困らせたらダメなのです」

 

雷に続いて、響と電が時雨の方に顔を向ける。

 

「司令官…お願いだからもう助けてよ…」

「…私…知らない…時雨…ガンバ」

「見捨てないで!?」

 

正直、白露の扱いすら面倒なのに雷も加わって、さらに響に電でしょ?

面倒通り越して無理でしょ…そう言えば、暁が静かだね?

どうしたんだろう?響とかが暴走したら止めるのが暁の役目なのに

 

早瀬はバックミラーに一瞬視線を向けて、後ろの席を確認する。

そこはまさに地獄絵図…時雨が白露、雷、響、電に睨まれ、膝に乗せている響に至っては、対面するように座りながら時雨を見ていた。

 

 

うわぁ…時雨可哀想

口は災いの元って言うけど、全くその通りだね

私の何気ない一言で1人の時雨が見るも無残に泣きっ面だよ

あ、そうそう暁だった

 

暁は白露の膝の上にいながら、眠っていた。

ついでに一番後ろの席で春雨も眠っていた…駆逐棲姫は大人しく座り、話を聞いていた。

 

「姫は…あ、長いから姫って呼ぶけど…姫は大人しいね?こんなカオスな状況なのに」

「聞イテイテ楽シイデスシ、ミラー越シニ早瀬サンガ笑ッテイタノデ、大丈夫ナンダロウト思ッタノデ、聞キ入ル事ニシマシタ」

「私笑ってた?」

「ハイ…?」

 

私は加虐趣味かも知れない…

時雨の泣きっ面で笑顔になるとか…素晴らしく危ない趣味だ…

直さないと…今後の計画には支障が出る事は無さそうだけど、私の評判が更に悪くなる恐れがある…相手ボコボコにして笑顔とか怖すぎる

 

早瀬は隣で眠る千夏、一番後ろの席にいる春雨、白露の膝の上にいる暁を見て、少しだけ癒されながらも車を走り進める。




練度確認
暁→99
響→99
雷→150
電→98

席順
千夏|早瀬
—————
電 |響 |暁
村雨|時雨|白露
———————
駆逐|雷 |春雨

車は8人乗りの車…そして今更気が付いた…この子達小さいから普通に膝乗せしなくても余裕説があるという事を…


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10話 鎮守府マーケット

不定期予定だったんですけどねぇ…
感想等々があるとやっぱりモチベーション違いますよね
そんな訳で記念すべき10話目!…だからと言って何があるわけでも無い…


北海道に到着してから、2日目

私はここで更に1つの問題に直面している…いや、大した問題では無いんだけど、精神的にと言うか…

後ろの席がやたらとうるせぇ!!

 

「だから早瀬は…」

「司令官様はこんな…」

「早瀬様は…」

 

今、絶賛私の話で盛り上がっている…

こう言うのって本人の前でやるかい?普通

しかもほとんど自慢話だし…いや確かに?それぞれと思い入れある子達ばっかりだし?思い出は多少なりあるけども

3時間も話続く?1人の人間を話題に3時間も話を続けられるものなの?

他鎮守府の提督達だったから、謎、怖い、やばいで終わりそうなものなのに…

どうしてここまで話を掘り下げられる…てか何でそんな事まで覚えてるのさ……あと…恥ずかしいからやめろ!?

 

「それ以上騒ぐと、一番後ろにいる寝起き悪魔に絞め落とされるよ」

「はっ!」

「寝起き悪魔?」

「そうそう、春雨ちゃんは寝起きすっごい悪いんだってさ?」

「悪く無いですよ!!」

「この話をすると大抵、一気に覚醒して否定入れてくるけどね」

 

見た目ほとんど同じ姫は、ほとんど寝ないのにね?

いや、夜はグッスリだよ?

なんかもうね…めっちゃ良い子…本当に深海棲艦?ってくらい良い子

買い出し手伝ってくれたりするし

白露達は騒がしいだけだけどね

 

「寝起き悪く無いんですよ…これも全部白露姉さんのせいです…」

「えっ…ちょっ」

 

春雨は丁度前の座席に座っている白露を締め落とす。

 

「雷さん…私って寝起き悪いと思いますか…」

「いやいやいやいやいや!大丈夫よ!普通よ普通…」

「雷さんも寝起き悪いと思うんですね…悪い人です…」

「ちょっ…いや…」

 

春雨は問答無用で体の小さい雷を絞め落とし、駆逐棲姫に預ける。

 

ふむ…私に被害が無い分、周りの座席の子が被害にあうのか

私の発言ってこの場においても、意外と大きな影響があるね…主に白露型の長女と次女に被害が出るけど

今回は暁型の三女もか

 

「春雨ちゃん怖えぇぇ…」

「これは…違うんですよぉ…」

 

どの辺が違うってんだ

一瞬だったろ…かなり慣れた手つきだったろ…前の席ならまだしも、抵抗すらさせずに隣の雷仕留めたろ

最早プロの域にいるよ

 

「そう言えば、今ってどこに向かってるのかしら?」

「私の実家」

「なら義父様と義母様にご挨拶しないと♪」

「いないよ…今頃どこぞの国に行ってたね。もう8年くらい会ってない」

 

今頃どこの国に居るんだろうね?

別に寂しい訳じゃ無いけど、このアホ共のおかげと言うかせいと言うかで寂しいなんて感情感じた事無いけど、娘置いて8年も連絡無しって意味が分からないだろ?

 

「私達の親も今頃どこにいるのかしらね…」

 

目覚めるの早いな白露…

 

「雷達は知らないけど、少なくとも白露達の親はお星様でしょ」

「酷い事言うね…」

「失ったモノばかり数えるな!今おぬしにあるモノはなんじゃ!」

「家族がいるよぉ!!」

「あ、そういうのいいんで」

「そっちがふってきたんでしょ!?」

 

白露はアレだよね…なんかスルメみたいだよね、いじればいじるほど面白みが出る

あと、姉妹達からも結構いじられるイッチバーンじゃないのにね

 

「だってさ?アンタの言う家族ってこの大家族(笑)の事でしょ?」

「早瀬の事よ!」

「ああもう面倒くせぇよ…死ねよ…」

「昨日、命大切にしない奴がどうとか言ってなかった!?」

「愛ある殺意だから良いんだよ」

「良かったわね?愛されてるわよ?」

 

君も早いね、雷

流石は限界突破艦ってか?…にしても司令官としての権限が未だに消えないのに、この大所帯…

この車が移動式鎮守府みたいだなぁ…駆逐艦しかいないけど

まぁ私がむっちゃん以外の駆逐艦以上の子達と、まともに話せないからなんだけどね?

そんなむっちゃんは艦娘時代を抜けば1番付き合い長いんだよね…幼馴染だし…何故だ何故同い年なのにあんなに大人に雰囲気が出せるんだ…

 

「はぁ…たっけてむっちゃん…」

「助けてほしいのは私なんだけど…あと、あのカタツムリのどこが良いのよ!」

「どの辺がカタツムリなんだ?お?言ってみろコラ…雨の日の田舎道のカエルにしてやるぞ?」

「田舎道のカエル?」

「白露、車で轢き殺すって司令官は言ってるんだよ」

「怖っ!?」

 

仮にも幼馴染だからね悪口は許さん

まあ、若干ヤンデレと言うか…いや、ヤンデレでは無いね

少々私を溺愛している節があるのが、たまに傷くらいかな

私追いかけて艦娘になるとか…自分の人生を私に左右され過ぎでしょ

まあ、それでもかな〜り優秀でしっかり者だからね…後任になってもらって晴れてサヨナラ出来ないものか…

………?なんだこのデジャヴ

 

「そうだ司令官、そろそろ自分の発言での影響力を考えて欲しいな」

「何かな、このメンバーの中で一番地味な時雨ちゃん」

「む、村雨だってこのメンバーでは地味じゃないか!」

「村雨は寂しがりと言うか唯一無二の可愛いキャラがあるから良いんだよ。それなのに時雨はこんなにも地味…可哀想に」

「可哀想に…」

「白露、今すぐその可哀想な人を見る目を辞めないと…あの事バラすよ」

「大変申し訳ありませんでした…今後一切この様な事が無いように誠心誠意、従事いたします…」

 

何の弱みを握られたらそうなるんだ…

何を隠している…いや待てよ?最近下着がよく…まさか

 

「それは私じゃない!」

「まだ何も言ってないよ」

「とにかく!それは私じゃなくて!雷よ!」

「なっ!?」

「そもそも犯人と、私の表情からその発想に至った時点でお前らグルだろ、そして仲間を生贄にしただろ、最低だな……時雨」

「僕!?」

 

遊べるうちに遊んでおかないとねぇ〜

そのうちマジの逃亡劇とかになったら、こんな茶番やってる場合じゃなくなってくるだろうし

 

「まさか時雨も…」

「あ、馬鹿っ…」

「今、『も』って言ったな?言ったね?仕方ない、こんな事はしたくなかったけど、折檻は免れないよ…むっちょんの」

「カタツムリなんか怖く無いわ!」

「むっちょんの怖さをまだ、この時の白露は知る由もなかった…」

「不吉だね」

 

もう仲間外れみたいだから、呼び立てちゃおうかな?

勝手にそのうち現れそうたけど…むっちゃん辺な所で真面目だからなぁ…多分まだ鎮守府だな

電話したらすぐ来そう…そうすれば、車分担出来て、警察沙汰という必要の無い危険も回避出来る…おや?利点しか無いぞ?

やはり心の友はむっちゃんだったか!

でも…これ以上人数を増やす訳には…色々と…会話増えちゃうしなぁ…お喋りするのが嫌な訳じゃ無いけどけど、姫の気苦労とかあるし…

むっちょんって深海棲艦嫌いなんだよね…あからさまに姫が嫌われたら、姫が可哀想だし

意外と利点意外もあったね

 

「むっちょん呼ぼうかな…」

「陸奥さん…良い人なんですけど…たまに怖いんだよ…」

「それも仕方ないさね、むっちゃん子供好きだし」

 

ロリコンとも言うけどね

 

「子供好き…同年代だと思うんですが…」

「見た目だよ見た目、小さくてチマチマしたのが好きなんだよむっちょんは……と言うか長門さんは大丈夫なの?あっちの方が危険だと思うんだけど?」

「長門さんは、駆逐艦全体で早瀬様の逆位置ってあだ名を付けたら、駆逐艦の前に姿を見せなくなったのです」

「私の逆位置…タロットカードみたいな言い方…」

 

そっか…長門さんはロリコンでありながら、そんなあだ名を付けられたからメンタルが死んだか…

戦艦にも慕われてたって事で良いのかな?

むっちょん以外の戦艦に会わないんだよね〜…いや、コロちゃんとは話してたか…なんか戦艦って感じしなかったんだよね

 

「陸奥さんって会うたびにお菓子をくれるのです。アレはどこで買ってたのです?」

「忘れてないかい?私給料だして無いよ…だから、基本買い物は私経由になる、それでむっちゃんはお菓子とか買った事が無いから、鎮守府内での店で材料買って作ったんだと思うよ?鎮守府内の店って私が選定したポイントで買い物だったし」

 

昔から器用だったし、公園とかで遊んでた子供にお菓子配ってたし…

多分作ったんだろうね

それにしても、私が作ったあのお店って使われてたのかな?

仕事をすればちゃんとはそれに見合ったポイント配ってたし、使わなければ溜まるだけだったはずなんだけど…

 

「あのお店ってみんな使ってた?」

「私は使って無いなぁ〜」

「僕は使ってたよ、お菓子とか実質無料で作れるのは大きいからね」

「時雨がたまに食べてたお菓子って自分で作ってたの!?」

「ポイント勿体ないからね」

 

白露はまあ分かってたけど、時雨は意外かも

あのお店って近隣の住民からのお裾分けだったり、元帥が送り付けてきた料理しろと言わんばかりの粉系の材料…小麦粉とか

そんなだから、確かにお菓子は私経由で買わないといけないけど…

むっちゃんと同じで作れたんだね?

 

「それで、村雨と夕立は?」

「私も使ってたわよ?お菓子もそうだけど、野菜とかも売ってたし、料理とか」

「やはり君は他の鎮守府の村雨と少し違うね…色っぽさと言うよりも鳳翔さんみたいな感じの雰囲気だよね…夕立は?」

「夕立も使ってたっぽい!」

「「「嘘!?」」」

 

マジか…夕立が使ってたとは…

オモチャもお菓子も売ってる訳じゃ無いのに、夕立が何を買うと言うんだ…ポイントは他にも使い道あるのに…

 

「みんな酷いっぽい…夕立もお料理くらい出来るっぽい…」

「超意外…」

「時雨に教えてもらってたっぽい」

「時雨は優秀…犬同士の絆か」

 

まさか夕立が料理出来たとは…

何作るんだろう…実家着いたら料理手伝わせよ

 

「時雨は優秀…夕立の意外性か…春雨は?」

「使って無いですね」

「だろうね」

「でしょうね」

「ほぼ毎日、一日中執務室のソファで寝てた人物が、鎮守府の敷地内ではあるけど、執務室から遠く離れた位置にあるあそこに行く訳無いよね」

 

でも確か、春雨って料理出来るよね

結構前に冗談で晩御飯作って来て〜って言ったら麻婆春雨作って来たから笑ったんだよね……自分から名前いじりしてくるとは…

…?材料どこから買ってきたんだ?

 

「春雨、前に料理作ってもらったけど材料どうしたの?」

「時雨姉さんにもらいました」

「お前優秀かよ!時雨!」

「僕は基本的にハイスペックなのさ!」

「コミュ障で身内くらいとしかつるまないボッチがよく言うよ」

「なんで褒めた直後に貶すかなこの司令官……あと、司令官には言われたく無いよ、特大のブーメランだよ」

 

分かってて言ってるからね

…さて、暁達は絶対に使って無い…何故なら、他の使い道で使い込んでたからね暁達は

しかも、なでなでとか凄い子供っぽい使い方してたし

いちいちせがまれるのも面倒だからとポイントにしたからかな?

 

「あ、そうそうもうすぐ着くから、準備しておいてね。姫は私を手伝ってね」

「ハイ!」

 

…深海棲艦も悪く無いかも知れん

恨みとか未練から成るって話だったけど、やっぱりその辺は人間と同じなんだろうね

きっと姫の周りは…ダメな大人が多かったんだろう…優しい人とかって言う可能性も無くは無いけど、即行で人質に出すような人達だし

多分、ダメな大人を見て育った反面教師の申し子だろうね



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11話 住む以前に都

さて…ラスボス元帥…

多分もう私の実家にいる…どうしようか

穏便に事を済ませられないかな…

 

「もうすぐ着くんだけど、多分元帥に先回りされてるんだよ。だから、ちょっと私が話付けてくるから、車で待っててね」

「私達も行くわ!」

「車から出たら、キツイ罰を与えます」

「…どんな罰か、分からないのが怖いね」

 

さて、行くか

 

早瀬は、実家から少し離れた場所に車を止め、歩いて実家に向かう。

 

「やぁ待ってたよ、全く予想通…り…じゃないね」

「大方アンタの予想ってのは、車で来て、尚且つ艦娘と一緒と言ったところだろう?」

「ふふふ…やはり君は面白い」

「うるせぇよ…年齢不詳性別不詳のモンスター」

「酷いなぁ…年齢不詳は良いけど性別不詳はおかしくないかな?私は女だよ?」

「嘘付け、女にはな?身体的特徴と言うものがあってだね?普通はそんなに真っ平らにならないんだよ」

「君は事あるごとに私のメンタルは破壊しにかかるね…」

 

いや性別不詳過ぎるだろ

もはや何も無いぞ…龍驤だとか瑞鶴だとか、そんなもんじゃ断じてねぇ

もっと真っ平らな…完璧な、まな板の片鱗を味わったぜ

 

「さて、帰りなさい」

「いやそうは言われてもね、君に軍に戻ってもらわないと、仕事が山積みになってしまうからね」

「知るかまな板」

「まな板…ま、まぁいい…とにかく、我々が勝つ為には君の力が必要なんだ」

「知るか洗濯板」

「…仕方ない、こうなれば強行手段だ」

「やれるものならやってやろ、ここをどこだと思ってる」

「君の家の門前だろう?」

「そう、そして、この家の防犯は親のせいで特殊なんだ…」

「なに?」

 

早瀬がその辺の石を拾い、門に投げる。

すると、門の外壁に小窓が現れ、機銃が現れる。

そして、その石を正確に撃ち抜きバラバラに砕く。

 

「今、アンタがいる位置から半歩でも後ろに下がれば防犯機能が作動する、そうなれば蜂の巣の完成だ」

「君の家怖過ぎないかい?」

「親の趣味だ、私のせいじゃない」

 

しかも、この門前だけでも、命に関わる防犯機能が8個ある

お前ら自分の仕事分かってんのか?ってずっと思ってたんだよね…

事あるごとに死にかける防犯設備、やろうと思えば、ここからでも元帥を始末できる

 

「さあ、その強行手段とやらをやってみれば良い、なんのトラップが作動するか知らないけどね」

「…しかし、君のいる位置は私の正面、そこからどうしようと言うんだね?」

「何もしない、ただ門から中に入るだけ」

「私がそれを…」

「私の半径1メートル以内に入るか、私の手動で機銃がアンタを撃ち抜くよ」

「殺人は不味いんじゃないかな?」

「…バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」

 

なんかのアニメで言ってたけど、これって正確にはバレなきゃ犯罪じゃないと言うよりも、犯罪もバレなきゃ罪には問われないって言った方が正しいと思ったのは私だけかな?

犯罪は犯罪だと思う、そして、現在進行形で犯罪行為まっしぐらな私です、はい

 

「君はやっぱり怖いねぇ…」

「そうですよ〜私は怖〜い魔女なんだよ〜」

「ふっ…ふざけ過ぎだろう」

「じゃあ真面目な話、私はまな板と戯れているほど、悲しい人生おくってないんだよ。だから、そこどいてくれないかな?てか帰ってくれないかな?まな板」

「だから、まな板まな板と…」

 

その時、元帥は何者か後ろから名状しがたいフライパンのような物で殴られて、気絶する。

 

「nice!」

「この方は一体どなたなのでしょうか…」

「気にしないで良いよ、この人はこの住所に送ってあげたら良いよ」

 

いやぁ、時間稼ぎして正解だったよ

防犯設備が作動したら、間違いなく様子を見に来るよね?

 

「ではその様に…」

「さてと、この後、小さい子達を連れてくるから、気にしないでね」

「分かりました」

 

さてと…みんなを連れてくるか

説明とかもしたいしね…説明する事多そう…考えるな、感じろ…じゃダメかな?

 

早瀬は車の場所まで戻り、車を走らせて門の中に入って行く。

 

「ねぇ…早瀬」

「なに」

「ここって早瀬の実家なんだよね?」

「そうだね」

「メッッッッチャデカくない!?」

「そうだね〜おっきいね〜」

 

どうせ、さっきの強行手段って隠れさせてた伏兵で取り囲むたかなんだろうけど、そもそも伏兵が出て来られる訳がないんだよね

今頃あの世か、感電してその辺に倒れてるだろうし

 

「全然話を聞いてないね…」

「そりゃあね〜まずは車をしまってから、ゆっくり説明したいし」

 

早瀬は車庫に車を停めて、ホールに全員を集める。

 

「さて、説明を始めるよ。口出ししたら締め落とすからね〜春雨が」

「しません!」

「じゃあまずは、この子達の説明なんだけど、この全体的に耳っぽい髪型してるのと、小さい4人組が艦娘。こっちの子と車椅子の子が私の子、分かったかな?」

「承りました」

「ツッコミ無し…プロだね」

 

いや…この人ただの天然+お馬鹿だから、ツッコミなんか出来ない

何故なら、私に普通に娘がいると思っているからだ

年齢考えて欲しい

 

「それで、この人達が…ここのメイドさん…馬鹿親の趣味で時代錯誤の賜物だよ」

「早瀬…もしかしてとてつもなくお金持ち?」

「そうだね、貯金が億単位だし」

「早瀬もそうだけど、早瀬の家の話だよ…」

「それもそうだよ、私の親は海外を飛び回っている医者夫婦、お金だけ家に入れて世界中を移動しまくってるから、現在地が分からない。そんでもって今でもイチャイチャイチャイチャ!ウザいったらありゃしねぇ!!」

「夫婦円満なのは良い事だよ?」

「度が過ぎてんだよあいつら!」

 

はぁ…落ち着こう

次は…なんだったか…あ、そうだ

 

早瀬は白露達全員に家の地図を渡す。

そう…地図だ…あまりに広い敷地のせいで、初めて来た者だと、地図が無いと迷う事がほぼ確定なのである。

 

「広過ぎ…」

「さて、その地図に確実の部屋も書いてあるでしょ?そこに荷物を置いて来なよ。ついでに、千夏ちゃんと姫は私と同じ部屋だからね」

「はい!」

「ハイ」

 

よし…ざっくりかつ端的に説明が終わった…

さてと、もうすぐお昼だし…お昼ご飯でも作ろうかな

 

「私も早瀬と同じ部屋が良い!」

「そんな白露の為にB3に白露って書いた、コンクリート造りで鉄格子に囲まれたひらけた部屋を用意したから、そこで寝泊まりすると良いよ」

「それを牢獄って言うんだよ!?」

「…司令官、準備が良過ぎないかい?」

「ここに来る前に電話は入れてあったかね」

 

さて…お昼は何にしようかな〜

サンドイッチ?簡単に作れるし、完成までも早い

そして何よりも!食パンはコスパ的に最高!

 

全員が部屋に向かったのを確認してから、早瀬は厨房に向かい、昼食を作ろうとする。

 

「お嬢様…我々でやりますので…」

「お嬢様言うな、早瀬とお呼び」

「それは…」

「それに、貴女達に任せたらやたらと豪勢な感じになっちゃうじゃん」

「お嬢様やその御息女様に半端な物は…」

「それにさ、私は仮にも母親な訳だからさ?自分で作らないとね?教育上良くない訳ですよ」

「お嬢様の母君は…」

「アレは例外…とにかく!私が作るから、夏帆さんは他の事を任せるよ…そうだねぇ…洗濯とかお願いしようかな?」

「分かりました!」

 

ちょろい…

さて、さっさとやっちゃうか、また他に口出しされる前にね

何でここのメイドさんは忠誠心と言う物を実装しているんだ…サボれるチャンスならサボっとけよ

 

早瀬は、そんな事を思いながらも食パンやらレタスなどの、サンドイッチの材料を出して全員分を作っていく。

 

……流石に多いな

ナニコレ…どこぞの食戟学校?意味分からないくらい作ってるんだけど…

私含めて11人、食パンの枚数は倍の22枚、市販の食パンが6枚入りでしょ?…約4袋分…

大家族って大変なんだね…ほとんど部下だけど

 

早瀬はそんな事を思いながらも、たったの3分で全てを作り上げてしまう。

 

「さて…真矢さん、持ってくの手伝ってくれないかな?」

「台車がありますので、そちらに」

「やはり面倒くさがりだね?ただ拒否はしないと」

「拒否など出来ようがありませんよ…我々は全員、就職難民ですし」

「探せばいくらでもありそうなモノだけどね?やっぱり深海棲艦のせい?」

「大方はそうなんですが、やはり我々の身の上でしょうね」

「…はぁ…やっぱり社会は腐ってるよね。身の上で就職難民になるって事は、戦争孤児ってやつでしょ?うちの艦娘の子達にも結構いたんだよね〜」

 

まずは白露型全員、それと暁型の下2人に千夏ちゃん

この子達の共通点、それは両親が軍人だと言う事

そして、クソみたいな作戦の立案で深海棲艦のデコイにされた人達だと言う事…司令長官になるまで気が付かなかったけど、一般海軍の軍人はよく、深海棲艦をそこにとどめる為のデコイにされる…

じゃないと、深海棲艦が進軍して来て陸まで進行してくると思っているから…全く腐ってる…

深海棲艦は海にしか興味が無い、陸に進行してくる事はまず無い

そして、アイツらは海にゴミを不法投棄したりする輩のせいで、海にくる人間をまとめて始末している

それを人類への侵攻だと勘違いした、海軍の上層部があれやこれやで作戦を立てて、無駄な死人を量産、その子供達が戦争孤児になり艦娘としての適正があれば艦娘に、無ければ戦争孤児としての侮蔑の人生

……深海棲艦よりもやっぱり人類の方が悪いよね

 

「戦争孤児の我々は斎川家に引き取られて、大変感謝しております」

「私はこれ以上、真矢さん達のような存在を作らない為に出来る事をするつもりだよ。だから、真矢さん達にはその障害となるモノから、私を守ってくれるかな?」

「仰せのままに…」

 

今私に出来る事…それは深海側の指揮を執り、人類…と言うよりはクソしょうもない海軍の上層部を壊滅させる事

どうせ内側からあそこを変える事は不可能に近い

ならば物理的に一度破壊して、次の上層部の動きを見てから、それが悪性なら何度でも破壊する

人は偉くなり過ぎると、傲慢になり人の事を考えられなくなる

だから、悪性に堕ちない人間が上層部には必要なんだ

私はどちらかと言うと悪性だからパスだけどね

 

「さて、ありがと。もう戻って良いよ」

「はい」

 

早瀬がそう言うと、真矢は一瞬にして姿を消す。

 

…ニンジャ?

 

「まぁいいや…」

 

早瀬は各部屋を周り、サンドイッチを渡して行く。

そして、自分の部屋に戻り、千夏と駆逐棲姫に渡して自分も食べ始める。

当然、全員が早瀬の部屋に集まり、昼食を摂る。

 

「さてと…むっちゃん呼ぶか」

「やっぱり呼ぶんだね…」

「むっちゃんが居れば、私の苦労が軽減するからね」

「まあ、これだけの人数いれば苦労も相当だしね」

「その苦労の源がアンタらなんだけどね」

 

早瀬は陸奥に電話をかける。

 

「今、実家なんだけど……あっもう準備出来てる…それじゃあ、またね〜むっちゃん」

「もう準備してたんだね…」

「流石むっちゃんだよ、そろそろ電話してくると思って準備してたんだってさ。流石は親友!」

「夫は私だ!」

「さてと、多分むっちゃんは海路使ってくるし、場所も知ってるか、今日中に来るだろうね」

 

自称夫は無視…古事記にもそう書かれている…

冗談はさておき、白露以外のケッコン艦って私の思考をトレースしてくるのは何でなんだろうね…

私ってそんなに考えてる事が顔に出ないと思ったんだけどなぁ

現に、さっき元帥に対面した状態でバレずに作戦を成功させたし

いやまぁ…雷は良いよ

でも、むっちゃんに至っては…もうね…あれ取ってで通じるくらいだからね…意味が分からない

試しにやったら通じたのがビックリだったよ…



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12話 蝦夷鎮守府(仮)

早瀬は昼食を済ませた後、千夏を駆逐棲姫に任せて、部屋にこもり今後の計画を立てる。

 

昨日の元帥の反応から、多分私の司令官権限は無くならないだろう…

一度凍結させてしまえば、もう元に戻す事は出来ない…凍結と言うよりも、削除のほうが近いか

まあそれは良い、問題は元帥が諦める気がしない事だ…

諦めてくれれば楽なんだろうけど、時雨の話からするに、私の鎮守府の子達は私の命令以外には従わない

そうなると、最前線を保つほどの戦力がある鎮守府がまるまる一個ダメになってしまう

それは、海軍にとって莫大な損失になる、だから私を連れ戻す必要がある…だから、今後もなんらかのコンタクトを試みるはず

はぁ…また最初から可能性全てを模索しないといけないなぁ…

こういう時の可能性って多過ぎるんだよね……いつも仕方ないから、確実に無いのを選択肢から消して行くんだけどね

今回で言えば、私の殺害かな?私が死ねばそれこそ大損害だからね

あそこまでの戦力を放棄すれば、海軍の考え方なら人類の滅亡クラスだしね

それで、同じ理由で私の司令官権限の削除…

まぁ正直な話、後者は別に必要無い、もう戻る気無いし

あとは……意外と可能性に満ちてるなぁ…この家に襲撃とかも視野に入れておかないといけないかな?

そうなれば、私には最強のカードがあるし、被害を最小限に抑えられるから良いけどね

私が深海側に完全につけば、海軍は間違いなく終わるからね

この交渉カードは、海軍にとってとてつもないリスクを伴うから、無下には出来ない

言ってみれば、最強の武器と防具、アイテムを全てラスボスに奪われたようなものだし

そうなると、アレだな?人質くらいしか手段が無くなってくる

生憎、私にとって人質に成り得るのが艦娘しか居ないから、向こうも下手な事が出来ない、私の声かけ1つで何人死ぬのか分からないからね

実際そんな事しないけど

 

「まぁ…こんなもんかな」

 

早瀬はあらゆる選択肢を紙に書いて整理する。

 

家の襲撃→海軍壊滅END

私の殺害→海軍壊滅ENDor海軍大打撃END

私の諦め→海軍壊滅ENDor海軍大打撃END

人質使用→海軍壊滅END

艦娘洗脳→海軍壊滅END

権限移動→艦娘が機能せずに海軍大打撃END

 

ふむ…これは酷い

まあそう差し向けたのは私なんだけど、ここまで見事に摘ませられるとはね

見事見事、完璧だよ

意図した訳じゃないけど、深海側にパイプを作っておいて正解だった

このおかげで、海軍の動きをほぼ100%潰す事が出来た

勝ち確ですな

海軍は大人しく大打撃か壊滅の道しか無い、馬鹿な海軍は一度滅んだら良いよ

 

「早瀬サン、コレハ…」

「海軍の未来だよ…君達のおかげで私は海軍に完全勝利できる」

 

早瀬は駆逐棲姫の頭を撫でて、冷たい笑みを浮かべる。

 

「ナ、何ダカ分カリマセンガ…ア、アリガトウゴザイマス」

「ごめんね、癖なんだ…勝ちが確定するとどうしてもね」

「ハ、ハイ」

 

駆逐棲姫は自分達がこの人と戦っている時に、きっとこの人はこんな笑みを浮かべていたのだろうと、背筋が凍る。

 

「時に姫?これは君達にも関係がある事なんだけど、絶対に相手に勝たせ無い方法って知ってるかな?」

「勝タセ無イ方法デスカ?…戦ワナイ事デショウカ?」

「ヒントは、この紙だよ」

 

早瀬は海軍の未来と称した紙を駆逐棲姫に見せる。

 

「???」

「ふふ…答えは相手の選択肢を全て消す事だよ。選択肢を失えば相手は動けない、動くと言う選択肢すら奪えば、後はどうとでもなるか、ね」

「デモ、コノ紙ニ書イテアル、私ノ殺害ハ負ケテイマセンカ?」

「いや、この場合は私も死ぬけど、海軍も勝てなくなる。だから、海軍は選べない。これが勝たせ無い方法…覚えておくと良いよ、ことごとく先読みし、相手の選択肢を全て奪えば、その相手は自分にとってただのオモチャだ…あの上司にでも試してみたら良いよ、きっと面白い」

 

その時、思いっきり早瀬は頭を叩かれる。

 

「いっ…たぁぁ…」

「小さい子になんて事教えてるのよ…無駄に天才な早瀬さん?」

「流石はむっちゃん…容赦無く人の頭をぶっ叩いて来やがる……てか、早くね?」

「言ったでしょ?準備は出来てるって」

「それにしても早くない?」

「ちょっとだけズルしたけどね」

 

…ズル?

 

「それで?この子達は?うちの鎮守府の子達じゃないわよね?」

「……私達の子よ」

「そう…なのね…まずは…性別の矛盾に気が付こう?」

「ちょっと乗ってくれるよね」

「貴女と真面目に向き合ってたら頭おかしくなりそうだからよ」

 

ひでぇ…

 

陸奥は千夏を膝に乗せて、ベッドに腰掛ける。

 

「え、えぇ?」

「しれっと膝に乗せていく…」

「それで?本当はこの子達は誰なの?」

「私『達』じゃなくて、私の子だよ?ここまでの道中で里親になったの……それで、そっちの車椅子の子は…す、捨て子」

「ス、捨テ子…」

 

そんなに間違いじゃないから許して…

真面目で誠実な良い子だけど、むっちゃんは深海棲艦嫌いなんだよ…

だから、あからさまに嫌われるのはね?

可哀想だから、これは…

 

「ふぅ〜ん」

「そうそう!さっき言ってたズルってなに?」

「…まあ良いわ。それで、どんなズルかって事よね?それは…」

 

陸奥がそこまで言いかけた瞬間…何かが早瀬に突撃する。

 

座ってる体制なのにお腹に何か突っ込んで来たぁぁ…

ぽんぽんイテェ…

 

「司令官さん!」

 

あや?この薄い水色は……

 

「海風…」

 

なるほど、自分の最高速度+海風に引っ張ってもらったって訳か…

でもここまで、早い事なんかあり得るのか?まだ3時間くらいしか経ってないんだけど?

 

「よう!司令官!会いたかったぞぉ!!」

「江風…と山風か」

「うん」

「あたいもいるぜ!」

「涼風…この流れなら五月雨もいると思ったんだけど…」

「廊下で転んでる…いつもの事」

「置いてってやるなよ…」

 

なるほどねぇ…春雨に絞め落とされて来れなかった白露型か…

また増えやがった!

えっと…これで11人+むっちゃん達で17人!

晩御飯は忙しいぜ!…って言ってる場合じゃない

流石に手伝ってもらわないと終わらない

 

「それにしても…むっちゃん嘘付いたね?」

「あら?バレたかしら?」

「当然…大方せがまれたんでしょ?連れてけってさ…この子達は私の居場所を知らないからね」

「流石は司令官さん!よく分かりましたね!」

「海風、なんかテンション高くない?」

「それだけ、早瀬の存在はあの鎮守府で大きいモノなのよ」

 

改めて思い知らされる私の存在…

半分引きこもりにどうして懐くのかねぇ…海風に関するエピソードなんかあったかなぁ?

あるな…うん…結構あるわ

 

「はぁ…全員ここの説明はむっちゃんにされてると思うから省くけど…ここに来るまでに深海棲艦に会わなかったかな?」

「電探に映りはしたけど、近寄って来なかったな?珍しい事もあるもんだなって海風姉と話してたんだ」

 

やっぱりか…話を聞いてやがるな?

駆逐棲姫を通して私の会話を聞いて、私の好感度を上げようってか

魂胆がバレバレなんだよ

そんな事しなくても、私はしっかり協力するっての

何の為の駆逐棲姫だと思ってんだ

 

「まぁ、ここに来ても特にやるべき事なんか無いからね?」

「司令官さんのお手伝いをさせていただきます!」

「お手伝いか……姫居るから要らないんだよなぁ…」

「えっと…この車椅子の子の事でしょうか?」

「そうだよ?」

 

あっ…普通は車椅子の子に手伝わせるって結構酷な事だよね…

でも、姫って海上でホバリングしてるし、地上でも多分出来るから、そんなに酷い事じゃない…

と言うか、姫に手伝ってもらわないと、姫がここに居る意味がなくなってから…人質としているだけで良いとは思わないからね

 

「車椅子の子よりも私の方が機動力があります!」

「私生活に機動力は必要ありません…そんなに急いでやる事なんか無いからね」

「で、でも…」

「それに、手伝ってもらうならむっちゃんの方が良い」

「陸奥さん…陸奥さん…うぅ〜ん…」

 

うちの鎮守府で一番有能なのはむっちゃんだったからね

戦闘面じゃなくて、生活面でね

何せ、むっちゃんのおかげで駆逐艦がほぼ常にキラキラ状態だったからね…そして、自分が作ったお菓子を食べる駆逐艦を見て、むっちゃんもキラキラすると言うね

自己完結するロリコン…良いロリコンっているんだけね…

 

「あぁ、でも平和ボケはしない方が良いよ?まだ私に司令官権限がある以上、あっちも諦めてないって事だから、戦う事もありえる」

「任せて下さい!」

 

それにしても…艦数と艦種が弱小鎮守府なのに練度がおかしい集団…

少数精鋭と言えば聞こえは良いけど、そもそも民間人が持ってて良い戦力じゃない

蝦夷鎮守府ってか…ここって近くに海無いけどね

 

「むっちゃん、ここでも食材はあるから、好きにお菓子を作って振る舞うと良いよ、ここには駆逐艦しかいないからね…ほとんど勝手に付いてきた子達だけど」

「今は、貴女を警戒しないといけないから、また後でね」

「司令官なんだけどなぁ〜」

「姫クラスの深海棲艦を連れ歩いている親友を警戒しないはずないでしょ?何を企んでるのかしら?」

 

バレてたか…

どうしよう…これ説明不可避だよね…

どう説明しても怒られそうなんだけど?どうすれば怒られないのか…

無理だな…

 

「何も企んでないよ…この子は人質だからね…私もだけど」

「どういうことかしら?」

「それはですねぇ…海軍を辞めたなら、我々の指揮を取らないかと言われて…その時フェリーに乗ってたし、戦闘になるのは避けないといけなかった…だから、その誘いに乗って、安心して協力関係を築く為に、お互いがお互いを人質としている…それがこの子と私、この子の自爆ボタンを私が待ってて、この子もいつでも私を殺せる位置にいる…そう言う事です。はい」

「ふ〜ん…」

 

ふ〜んって何!?なんか怖いんだけど…

開き直れば、この子良い子だし、安全そうだからただ可愛い子じゃん?

良くない?ちょっと移動が不便そうだけど

 

「貴女…やっぱり馬鹿でしょ」

「馬鹿とは酷いね…」

「前々から思ってたけど、基本的に貴女の思想には誰もついていけないわよ?」

「そんな事は無いと思うよ?誰も死なないなら、それに越した事は無いでしょ?」

「ええ、そうね。でもそれは、自分の命がかかってない場合よ、普通の人間は大抵自分の命がかかって来ると、思考が鈍って来るのよ。見捨てたり、蹴落としたりね」

「何でそんな事を?」

「みんながみんな、貴女みたいにノーリスクで問題を解決する術を思い付く訳じゃ無いからよ、特に命が関わると、まともな思考は出来ない事が多いのよ」

 

これだけ聞くと、私の思考がまともじゃないみたいな言い方じゃない?

フェリーの時だってフェリーに乗ってた大多数の命よりも、私1人の命の方が軽いに決まってるのにね?

みんな出来ないのかな?ひたすらに多い方を救い続ける

まさに正義の味方じゃない?悪を殺して、その他大勢を救う

私の場合は、私を殺して悪とその他大勢の争いを終息させる、この方が後々の被害も少なさそうだし

 

「はぁ…こんな人間についてきたらダメじゃない…深海の方が圧倒的に安全よ?」

「デモ、早瀬サンハ優シイデスシ…」

「このジゴロが…」

「同性なんだよなぁ…」

 

深海棲艦にすら同情するとか、私ってどんだけむっちゃんに危ないヤツだと思われてるの?

幼馴染だから?だからこそ私の危険性をしっかり理解してた?

私の危険性って何だよ!




練度確認
陸奥→175
五月雨→89
海風→99
山風→87
江風→99
涼風→88


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13話 我等が神の聖域に足を踏み入れて良いものか…

人数が増え過ぎて、私が保母さんみたいになって来ている…

私はあくまで、姫と千夏ちゃんの義母であり、白露型とは現状部下なのか何なのか分からない関係なんだけど…

 

「早瀬!遊ぼ!」

「私は忙しいから、妹達と遊んでなさい白露」

「妻が冷たいよ…」

「お前のような夫がいるか…」

 

コイツはいつまで夫のつもりでいるんだよ…

私は今、今後の身の振り方を紙に10回書いてむっちゃんに提出しないといけないんだから

何で私がこんな…

 

「何書いてるの?」

「もう自分の命を駒にしない、命を粗末にしない、小さい子には優しくするって紙に10回書いてる」

 

早瀬は光の無い目で普通に答える。

 

「子供か!しかも一番最初が一番重いわ!」

「でもむっちゃんに提出しないと、私のおやつが没収されちゃうんだよ?」

「いやだから子供か!」

 

いや私のおやつが没収されるのは一大事だよ?

あ、でも書いたらお菓子作ってくれるらしいし、何かラッキーだよね

 

「たまに早瀬の人格が分からないよ…」

「私はむっちゃんに不安定ってよく言われるよ?」

「あのカタツムリは私の妻になんて事を言う…」

「誰がカタツムリなのかしら?」

「そりゃ勿論、む……つ…さん」

 

白露の背後に笑顔の陸奥が現れる。

 

「白露のおやつは無しで良いわよね?」

「私は構わないわよ?」

「早瀬が言う事じゃ無いし、勘弁してください…」

 

むっちゃんは料理上手だから、今現在では料理系は基本的に任せたり手伝ってもらったりしてるんだよね…

だから、食べ物系は私かむっちゃんが管理してるから、兵糧攻めが容易にできる

つまりは、白露は下手な事が出来ないのさ!

 

「はい、書けたよ」

「…やっぱり字綺麗ねぇ早瀬」

「天才なんで!」

「そうだけど、自分で言うんじゃ無いわよ」

 

頭が赤い高校生みたいな事をね?言ってみたかった訳ですよ

 

「アノォ…」

「どうしたの?」

「私ハ本当ニ必要ナノデショウカ…」

「必要!超必要!私の心の癒し!」

「ソウ…ナンデスカ?」

「そりゃあね?シンプルに可愛いのって千夏ちゃんと姫くらいだし…」

「えぇ!私は!?」

「自称夫のどの辺が可愛いのかな?」

 

最早男を自称してるからね?あとめっちゃうるさいから

私だってこっちに来てから、たまに働いてるんだからね?

まぁ…長期で働くのはほぼ無理だから、仕方なく日雇いのバイトをね?

お金足りるのか分からないから今は…

 

「あらあら?私はどうなの?」

「むっちゃんは可愛いとかじゃなくて、何かエロいから」

「大人な雰囲気とかでも無いんだね…」

「エ、エロくは無いわよ!?」

 

なんで動揺してんだ…

まあ、むっちゃんに可愛いと言うのは何か勿体ないと言うかね?

どっちかと言うと綺麗系だし?それで、更に言うとエロい系だから

言葉の端々がエロい…うん…エロスね

 

「もう…おやつ、ここに置いておくから。たまには仕事以外で部屋から出なさいよ?」

 

陸奥はそう言って部屋から出て行く。

 

「そう言えば千夏ちゃんは?」

「ホールであのメイドさんと遊んでたよ?」

「ふ〜ん、誰かは分からないけど、ここのメイドさんは悪い人たちじゃないし、いいか」

 

悪い人では無いけど、お馬鹿な人と忠誠心がとてつもない人がいるんだけどね…真矢さんは後者ね

 

「ねえ、あの紙書き終わったなら遊ぼうよ」

「おやつ食べ終わってからね〜姫もいる?」

「ア、ハイ!」

「私も欲しい!」

「外に土あるよ?」

「それが4年連れ添った夫に言うことか!」

「むっちゃんとはトータルで16年一緒だけどね」

 

幼稚園から一緒なんだよね〜家が近かったから、小中も一緒で、高校は私が入った所にむっちゃんも入って来て、私は1年の途中から海軍に入れられて司令官になって、1年もしないうちにむっちゃんも艦娘陸奥としてうちの鎮守府に…長い付き合いだなぁ〜

 

「陸奥さんのそのあだ名っていつから呼んでるのよ…艦娘陸奥になったのって早瀬が司令官になってから1年もしない時よね?」

「幼稚園からだよ?」

「まだ艦娘陸奥じゃないでしょ…」

「ああぁ、そう言うことか、あれって別に陸奥だからむっちゃんじゃないんだよ?幼稚園の時から私が何かするたびにムッとしてプンスコしてた、むっちゃん」

 

幼稚園の時から、私はそんなに変わってない

変わってはいるけど、思考回路がそこまでね?昔から物覚えはかなり良かったし、出来ないよりは出来た方が良いって言う精神も昔からだから、幼稚園の時から年齢と合わない事をやってたっけ…

確か幼稚園でやってたのは……人体構造の理解だったかな?

よくむっちゃんが男子ちょっかい出されて泣いてたから、関節固めてそのまま…

 

「もっとマシなのは無かったのか…あと表現が暁みたいよ?」

「実際、幼稚園の時のむっちゃんにはこの表現で合ってると思うよ?」

「それはそれで暁が幼稚園児扱いされてるような…」

「暁は…電よりも子供みたいな時があるよね…」

 

そう言う意味では一番大人に感じなのは響だよね、その次に雷…はオカン

電は大人って感じでは無いけど、見た目相応って感じ

暁は見た目に引っ張られると言うより、最早逆行してんじゃないのか?ってくらい子供みたいな時がある

転んで泣きそうになってたり

 

早瀬は駆逐棲姫に陸奥が持って来たクッキーを食べさせながら、自分も食べ、白露にはちょっと遠くに投げて、犬のフリスビーのようにして遊ぶ。

 

「もう!食べ物で遊んだらダメなのよ!」

「確かにそうだよね…しかし、これで良い!」

「良くないよ!」

 

さて、次のバイトはどこにしようか…

まあ、家庭教師くらいしかまともに出来ない気がするけどね

高校の時にバイト何かしてなかったし、途中から海軍だし

 

「さて、むっちゃんにも言われたし…行くよ姫」

「ハイ!」

「相変わらず無視ですか…」

 

早瀬は駆逐棲姫の車椅子を押して、ホールを目指す。

 

何か…良い方法は無いだろうか…いやあるんだけどね?

あんまりやりたくないと言うか…苦労しないで稼ぐから、教育上完全に終わってるし、千夏ちゃんとかが手を出して良い世界じゃないし

どうしたものか…

 

「姫?白露売ったらどのくらいになると思う?」

「人身売買ノ相場ガ分カリマセン…」

「そこじゃない!仮にも親役の人が人身売買しようとしてるのを止めて!?」

「私モ人身売買ノ様ナモノデスシ、深海ニハソンナ考エ方ガ無カッタノデ…」

「深海は怖い所ね…」

 

それ以前に、艦娘が深海に行くなんて轟沈以外無いでしょうが

まずはそこに気が付いた方が良い…

 

《ハヤセ!ヒサシブリ!》

 

おや?確かに久し振りだけど、何で妖精さんがこんな所に?しかも私の事を知っているって事は、あの鎮守府の妖精さんだよね?

何でここに?

 

《ヒビキノギソウ二クッツイテキター》

 

なるほど…確かに響の艤装ならほぼずっと展開されてるから、くっついてくるにはうってつけだね

いやいや、その前にどうして付いてきたの?ここに資材は無いよ?

 

《ツイテキタカッタカラ!》

 

ふむ…私は妖精さんにも大好評と…

艦娘はまだしも、妖精さんには結構大変な事頼んでたりするから、かなり恨まれてるんじゃないかなと思ってたけど、君は楽しそうだね

 

《ハヤセハボウリョクフルワナイ、シゴトクレルカラ》

 

妖精さんに暴力か…考えた事も無かったなぁ…自分達の為に働いてくれているんだから、労いの心はあっても暴力はねぇ…

それと、仕事くれるって君達ってそんなに仕事好きなん?

普通働くのは嫌いだと思うんだけど?

 

《ハヤセノクレルシゴトハ、シンセンデタノシイ!》

 

まあ、艤装の修理とかも頼んでたけど、他にも建物の建造とか書類運びとか手伝ってもらってたね…

楽しいの?あれ?

なら、ここにも多少なり仕事はあるよ

 

《ワーイ♪》

 

「早瀬?って妖精さん?」

「響の艤装にくっついて来たんだってさ」

「へぇ〜1人や2人はいると思ってたけど、やっぱり来てたんだね」

「君達はどうしてそう言う事を私に隠そうとするのかね?」

「隠してたわけじゃない…て言うか、前に時雨が言ってたでしょ?あの鎮守府では早瀬は神同然の存在だって」

 

妖精さんも含めてたのか…

そこんところどうなの?

 

《ホカノチンジュフノ100バイタイグウガイイカラ、ミンナマンゾクシテ、シゴトシテタカラ、ソンナニマチガイジャナイ》

 

雇用主を神様に見立てるなんてウチくらいだよ…

私なんて実際の所、むっちゃんに命は大切にしなさいって言われるくらいには、思考回路がバグってるのに

むっちゃんは常識人だから、私よりもその辺は信用できるからね…

 

早瀬達はホールに到着し、陸奥や他の駆逐艦がいるのを確認する。

 

全員いるね…こんだけいるのにまとまって行動とは、微笑ましい限りだね…

 

「あら、案外早かったわね。もう2日は出てこないかと思ったわ」

「長すぎでしょ」

「実際、司令官様はそのくらい部屋に籠っているよ?私達はちょっとだけ寂しいよ」

「色々とやる事もあるからね」

 

海軍の動きを監視したり、バイト探したり、食材の残量をカメラで確認して表にしておくとか、監視カメラで敷地内を監視したりね?

 

「それに、部屋に入ってこれば良いのに」

「私達には基本的に司令官様の部屋に入る権利が無いんだよ…」

「権利?そんなの決めた事ないよ?」

「私達の共通認識なんだけど、司令官様の部屋に入れるのは親族やカッコカリ艦、秘書艦だけでその誰かが招き入れない限りは、自分達からあの聖域に足を踏み入れる事は無いよ」

 

聖域…じゃなくないか?

鎮守府にいた頃は、執務室と書いて聖域と読んでた訳?

どんな鎮守府だよ…ブラック鎮守府とかも結構見てきたけど、執務室に入って来ないのは怖がられてたりするのかな〜なんて思ってたよやっぱり

 

「あんまり騒がないなら、別にいつ入って来ても良いんだよ?その方が姫が退屈しないで良さそうだし」

「私ハ…別ニ…」

「さっき私は必要なのか〜なんて言ってたじゃん?つまりは暇なんでしょ?艦娘と遊ぶ機会なんて深海にいる限り絶対にないんだから、楽しんでおきなよ、何かされたらその子はお仕置きしてあげるからさ?」

「早瀬のお仕置きはシャレにならない…」

 

私のお仕置きなんて大した事無いと思うんだけどなぁ?

別に痛い事だってしないしね

ただ…艤装の強制展開と強制停止を連続させて、動けなくなった所に色々するだけだし

 

「じゃあ…行ってみようかな…私達の中に司令官様の親族をどうこうしようとする者はいないよ、例えそれが深海棲艦でもね」

「私だけ人間扱いされないのは、返っていじめじゃないかな?…」

 

早瀬は自分の部下である艦娘達からの扱いが、神という破格な扱いをされている事を最早別の意味で差別ではないかと思い始めていた…。



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14話 全部出来れば良いんですよ(^^)

…動いた

結局そうするんだ…しかし、どう動くのか分かってても、元帥の機転を効かせた発想は脅威だ…

それに、もう地の利は使えないと思うし

どうしよう…迎え撃つか?

でも、こっちにはロクな武器が無い…あるのは艦娘の兵装だけど、弾薬には限りがある

やっぱり、使うしか無いか……動きを封殺する最強のカードを…

 

「姫ちゃん…早速、深海側の司令官としての仕事になりそうだよ」

「エ?キュ、急ニドウシタノデスカ?」

「大本営が痺れを切らして、私達の所に艦娘を連れて出撃して来た。そんな訳で……聞いてんだろ空母棲姫、実際に攻撃しなくても良い、そっちの艦載機を全部北海道の上空に飛ばす準備をしてくれないか?」

「……了解シタ…ト言ッテイマス」

 

さて、後は…私のささやかなお遊びに向こうが乗ってくれるかどうかで、私の愉悦が決まる

どんな反応するかな〜元帥…あの飄々とした顔面を蒼白させてやる

 

早瀬はヒヒヒと笑い、早速何かを準備し始める。

 

「ねえ陸奥さん…」

「分かってるわ…アレは究極に面倒な時の早瀬ね…」

「だよね…」

「こうなった時の早瀬の性格は本当に最悪なのよね…人を陥れる事しか考えてない時もあったし」

 

むっちゃんも白露も散々な言い草だなぁ

私はただ、クソつまらない元帥との思考戦に花を飾り付けてあげようと思ってるだけなんだから

その結果で元帥の地位が揺らいでも関係無い、私が…私だけが楽しければそれで良い!

 

早瀬は机から何かを取り出してポケットに入れる。

 

「後は作戦決行される2日後を、待つだけ」

「酷い結果にならないと良いなぁ…」

「無理よ」

 

そう言えば、装備とかその艦の特性とか知らずにどうやって指揮を取れって言ってんだろアイツら

もしかしてその程度の頭しかないから、今まで大した事出来てなかったのでは?数の暴力だけでやってたのでは?

やはり無能か

 

「姫っちも出ますかい?」

「早瀬サンニ、オ任セシマス」

「そっかぁ〜じゃあ待機だね」

 

姫を使うくらいなら、伝家の宝刀白露ミサイルを使うわ

自分のせいだけど、車椅子の少女を戦わせるのは道徳的にダメな気がするんだよ

実際は、なんか気に入ったのかずっと姫が座ってるだけだけど、姫ってホバー移動だから、必要すら無いと思うんだけどね?

もうみんなにバレちゃったし

 

「その代わりに、白露ミサイルを使うわ」

「何で!?」

「説明しよう!白露ミサイルとは、白露改ニを敵に発射し、勝手に帰ってくる事を利用し、再度発射する卑劣な技だ!」

「説明はいいよ!あと自分で卑劣って言ってるじゃん!」

「だが!それで良い!」

「だから良くない!」

 

ただ、この技には最大にして唯一の弱点がある…それは深刻な威力不足

弾頭が生物(ナマモノ)だから鉄板の貫通すらほぼ無理

やはり白露デコイの方が良いか?

 

「まあ冗談はさて置き、真面目に言うと、この状況は勝ち確定ではあるんだけど、一番めんどくさいルートでもあるんだよね…あのクソ元帥は分かってて選んだな…いや、流石にそれはないか…私が深海側の指揮を取れる事を知らないといけないからね」

「はぁ…どっち側でもあるなら和平の道をあるじゃない…」

「引かぬ!媚びぬ!顧みぬ!我等にあるのは戦いのみぞ!」

「和平交渉が成立すれば、晴れて完全に海軍から退役出来るわよ、戦う相手がいなくなるからね」

「何をしている!和平交渉をするぞ!」

「…もう多重人格って言っても通じるんじゃないかしら」

 

和平…和平か

和平って何だ?海軍から退役出来るらしいけど…何だそりゃ

平和の反対だから…あっなるほど!

海軍を壊滅させれば、私は晴れて完全に海軍を退役できる!

 

「…言っておくけど、和平交渉って言うのは戦わないで、お互いに手を取り合う事よ」

「なんと!?そんな方法があるのか!」

「早瀬って世間知らずって言うか、頭の中が野蛮過ぎて平和にするって言う概念が抜けてるわよね」

「失礼な…平和にする方法くらい知ってるわ!」

「どうせ敵対する者全ての抹殺でしょうが」

 

やはりこやつ…やりおるな?

それにしても和平交渉か…普通に考えて無理じゃね?

人間の根本を変える事と同義だよ?それに、深海側も既にとてつもない数殺してるし、それらを無視して和平だ〜なんて、国民も軍の上層部も認めないんじゃないかな?

 

「そうでもしないと平和にはならんよ?むっちゃんだって深海棲艦が嫌いな部類でしょ?」

「エッ…」

「…そうだけど」

「私ハ出テ行ッタ方ガ良イノデショウカ…」

「貴女は良いのよ、どう言う訳か全く戦闘行動に移行しようとしないもの」

「シタクテモ出来マセンヨ……私ノ命ハ早瀬サンノ持ッテイルボタン1ツデ終ワッテシマイマスカラ」

「不意をついて殺して奪う事だって出来るはずよ?」

「親友になんて事言うんだ君は」

 

まあ、私くらいになれば?

そんな行動すら起こさせない方法をいくらでも実行出来るんだけどね〜

例えばボタンそのものと車椅子やあの帽子を改造して、敵意や殺意を感知した瞬間に作動する、ようにしたりね

 

「ソレモ出来マセン…」

「あらどうしてかしら」

「多分…ソノ前ニ殺サレテシマイマス…」

「…可能性が高いのがどうもね…」

「そろそろキレても良いかな?良いよね?よし皆殺しだ」

「落ち着いて早瀬!?」

「艤装をオーバーヒートさせて爆破させてれば艦娘は終わり…このボタンを押せば姫も終わる…ふふふふふ」

「まさかの展開!」

 

まあしないけどね

感情に身を任せるなんて、指揮官にあるまじき行為だし

…ただまあ…普通にキレて良い案件だと思うのは確かなんだけどね

姫の事を言ってるはずなのに、私をひたすらに殺そうとするとか

 

「これを見ても分かる通り、人類と深海棲艦の和平交渉は無理、ましてや人数が増えれば更に難しくなるんだから、可能性が見えないよね」

「お互いに妥協点を作ればいいじゃない」

「あのさ…親や友人、親しい人物を木っ端微塵にされたのに、いきなり国が和平を結びましたなんて、国民が認めると思うの?そこからは国内での争いになるよ?」

「それは…」

「例えばだけど、今私が姫に殺されたとして、そこから和平交渉をしようと思うのかな?」

「無理ね」

 

即答かよ

さっきまでの執着はどこ行ったんだよ

はぁ…確かに?平和に暮らせればみんなが幸せになるだろうさ

でも、目の前で親や親しい友人を木っ端微塵にされた人間が、その先で深海棲艦を恨むなって言うのは無理な話でしょ?

結果だけを見ていても、何も為すことは出来ない…人間の感情は難しいね

 

「平和にするって言う概念が無いなんて言ってたけど、私はそんな夢物語の結果を過程で考えたら、平和を何のリスクも無しに作るのは不可能だと思っただけなんだよ」

「…」

 

よし、黙らせた

今はそんな和平交渉よりも先に目先の危険を回避しないといけないんだよ

あと2日で艦娘を引き連れてやって来るアホ元帥を、深海棲艦の力を総動員して牽制する

戦う前から勝つのが最善だけど、戦う前から勝つには少々時間が足りない

まあ?私の勝ちは確定してるんだけどね!

 

「でも、和平交渉をしないと深海棲艦との戦争が終わらないのも事実なんだけどね」

 

恐らく向こうは無限湧きだろうし、こっちも人類という一番多い艦娘の素体でほぼ無限湧き…

第二次世界大戦よりも長くなるのは間違いない

ていうか、もう6年近くになるから間違いないと言うよりは、第二次世界大戦より長くなったって言う方が正しいんだけどね

どうやってこの戦争を終わらせるか、それが1番の困りどころ…

和平交渉が手っ取り早いのは手っ取り早いけど、成功率が多分一桁代なんだよね…

 

「アノ…早瀬サンガ、両方ノ頂点ニ立テバ良イノデハ…」

「それじゃ私が逃亡した意味無いじゃん…」

 

いや待てよ?

そもそも私は何で退役したかったのかを考えたら、あのクソ元帥が死ぬ程嫌いだったから…って言うのと条件達成したはずなのに退役が許可されなかったから

今の私が元帥の座を奪ってしまえば、戦争をコントロール出来るのでは無いだろうか?

 

「それこそ世界の終わりのような…」

「面白い、早速やってみようかな?私が元帥になれば、事実上艦娘と深海棲艦を指揮する事が出来る立場になる。そうなれば戦争をコントロールして、上手い具合に血が流れないように出来るかも知れない」

「早瀬が影の独裁者になるだけじゃない」

「でもこの方法くらいじゃないと、戦争は終わらないよ?てか戦争自体は終わらないけど、誰も死なない様に出来るよ?」

 

これにも問題はあるけどね

どうやって元帥になるのさ!って言う問題がね

わざと連れ戻されて、あのクソ元帥が要らない状態になれば、元帥は解雇されていってそのうち私になる

深海棲艦の指揮をすれば簡単に実現出来る…あれ?意外と現実的?

 

「どうするのよ…早瀬がやる気になっちゃったじゃない」

「スミマセン…」

「空母棲姫!さっきの艦載機の話は取り止めだ、これから私が元帥を討たせてやるから、しばしの間、命令を聞いてもらうよ」

「了解シタ…ト言ッテイマス」

 

それで良いのか…自分で言っておいてなんだけど、君達そんなにお馬鹿だったの?

頭の中がお花畑と言っても過言じゃないくらいには、ゆるゆるだろ

 

「せっかく逃亡したのになぁ〜」

「まあ?連れ戻されて処刑されても別にね?そうなれば私は深海側を勝たせるだけだし。乗りかかった舟だしね、向こうが戦線復帰させるつもりが無いなら、深海棲艦を指揮して大本営を壊滅させて、人類侵略を開始するだけ」

「あんな大きい組織に勝てるの?早瀬」

「余裕!あの程度の単細胞共に敗れる私では無い!現にここまで来る時に、ほとんど苦労しなかったでしょ?」

 

大規模作戦で、しかも後段作戦の1番敵が強い、忙しい時に逃亡すれば追う事は困難

実際、人員を大きく使えないし、逆探知されないようにこまめに接続し直したりで情報も筒抜け、そんな連中に出し抜かれるとかほぼあり得ない

元帥だけが危険だけどね

 

早瀬は、またしても計画を立て直し、本当の魔王の様な計画を立てる。

 

例え私が死んでも、あの元帥だけは陥れてみせる!

私の計画は完璧なんだから!

 

「変なことはしないでよ?」

「問題ない…統率者が1人になれば自ずと戦争は終わる」

「いやそうじゃなくて…」

「と言うのは冗談で…本当はさ、鎮守府のみんなにちょっと会いたくなっちゃっただけなんだよ。神扱いされてたって知った今、それを踏まえてあの鎮守府の子達を見れば、きっと面白い世界が広がっていると思うんだ」

「貴女…やっぱり不安定ね…」

「そうかな?私はやりたい事をやってるだけだよ?元帥を陥れたいって言うのと、鎮守府のみんなにもう一度会いたいって言うね」

 

元気してっかな?

あっそうだ、お土産買ってかないと〜何が良いかな〜

夕張にはメロン…これは譲れません…

後は〜うーちゃんに変なTシャツ買ってかないとね、クマ出没注意って書いてあるやつ

うーちゃんは熊じゃないのにね…その辺が面白い!

うさぎじゃねぇのかよ!ってなる

 

「陸奥さん、早瀬はのーてんきの極みだと思う」

「実際そうよ…昔から、根回しをし過ぎて物事か簡易的になり過ぎて、いつも危ない時とかに笑顔だったりするのよね…しかも、根回しが完璧過ぎて必ず危険な事が愉快な事になったり、完璧に回避したりするから、腹立たしいわよね」

「備えあれば憂いなし…何事も準備しておけば失敗しないものなのさ!」

 

まあ、ちょ〜っとだけ未来予測とかしないといけないけど、その辺はガンバ!って感じで

あのは、それを実現するだけの能力やカードかな?

これが出来れば乗り越えられたとか、もしこう言う資格があれば成功した〜とかね?

出来れば乗り越えられたなら、出来るようにすれば良いし〜

資格があれば成功したなら、資格をとってしまえばいい

簡単な事だよね?

 

早瀬はこう考えるが、実際そうもいかない事を陸奥は知っている。

みんながみんな、早瀬の様に何でも出来れば苦労しない。

陸奥は早瀬と共に歩んで来た今までの事もあり、そう常々思うのであった。



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15話 絶望

そろそろ、元帥の艦隊が陸路で来る…て言うか、ここの立地的に北海道の上陸してから陸路しか無いんだけどね

普通の艦娘には不便な事だろうね

私の艦隊はみんな白兵戦が出来ると言う、艦娘にあるまじき艦隊だから、物理で殴れるから

 

「まだかな〜平凡艦隊」

「貴女が平凡艦隊だと思ってても、日本海軍最強なのよ?」

「艦娘が強くても、結局はそれを使う者の力の差でどうとでもなるのさ!私と元帥って同じくらいだけど!」

「私達に勝ち目ないじゃない」

 

ただし、それは対等な勝負での話

私がそんな真っ当な手を使う訳ないじゃん?

実際に元帥に知恵比べで負けた事無いし〜…そのうち賭け事でひん剥いてやろうかな…あのまな板を拝見しないと性別が分かんないし

 

「むっちゃんは私が正面から正々堂々と戦うとでも思ってるのかな?」

「しないでしょうね……ただ、貴女の勝ち方は心臓に悪いのよ」

「そうかな?」

「平然と自分の命をかけないでくれるかしら?」

「それは…無理かな〜…考えても見なよ、命よりも大切なモノは無いって言う人もいるくらいなんだよ?そんなに大切なモノが、良い駒にならない訳ないじゃん?」

 

だから私は遊びにも命を賭ける

元帥が暇なのか私の鎮守府に出没する度に、命を賭けたゲームをして追い詰めて帰らせるとかやってたし

例えばロシアンルーレットとかね?

まあ、当然イカサマしてるけどね…必ず私が装填する役をやって、元帥がリボルバーの弾倉を回転させる、私はその音を聞いて弾薬がどの位置にあるのかを正確に当てる

それで、偶数の位置にあるか、奇数の位置にあるかで、順番決めの方法で絶対に勝てば、私の勝利は確定する

毎回ジャンケンだった、コイントスだったりランダムだけど、どれも勝ち方を知ってるから負けないし〜

こういう時に相手の仕草や表情、目線で思考を当てることが出来る技能は便利だよね〜

いやぁ〜やっぱりゲームって言うのは楽しいねぇ〜♪

 

「それに、私が命を賭けるのは勝利が確定してる時だけだよ〜」

「毎回賭けてるじゃない…」

「つまり、そう言う事だよ」

 

ゲームなら種目が決まった時点で私の勝ち

だから、命を簡単に賭ける事が出来る

負けないんだから、賭けたもん勝ちだよね?相手へのプレッシャーになるし

 

「全く…何のためにあんな紙書かせたのか、分からないわね…」

「おやつの為でしょ?」

「違うわよ!勝つと分かってても心臓に悪いから、辞めさせたかったのよ!」

 

長い付き合いだから、勝つのは分かってるのか…

なのに心臓に悪い…もしもの事を言ってるのかな?偶然なんて存在しないのにね?

偶然とは、複数の必然の結果

その必然を私が操作すれば、偶然に見える絶対的な勝ち方も出来る

コイントスも要は技術だから、その場の環境と力加減で表か裏かなんて操作可能だし〜

でも、心配されたって事は演出し過ぎたかな?

ギリギリの勝ち方とかもやってたし

 

「指揮官としては間違いなく海軍最強だろうけど…性格が破綻してるのよね…」

「性格破綻者とは…親友に酷いこと言うね?」

「親友じゃなくて、結婚相手よ?」

「ケッコンね」

 

むっちゃんの隠れ変態には困ったもんだよ

10年以上一緒に遊んで来た友達に、指輪を要求しますか普通

しかもさ?友達同士でのアクセサリーって訳じゃなくて、ケッコン相手として要求とかさ?変態の極みだよね?

幼馴染の異性なら分かる…漫画とかでも良くある展開だから

でも!同性に指輪を要求してあまつさえ結婚相手と言う!

好いてくれてるのは嬉しいけどさ?対象がおかしいよね?

てか同性に良くモテるなぁ〜私

異性には怖がられるのに…

 

「さて、そろそろ来るよ〜あとちょっとで負けちゃった演出しないといけないから、命令にはしたがってね。むっちゃんから全員に伝えておいてよ」

「分かったわ」

 

さてと…このあとちょっとで負けちゃった演出は、高練度艦…まあケッコン艦達が鍵となる

このケッコン艦達は、ほかの艦娘よりも高い能力を有している、だからあからさまに手加減するとバレてしまう

だから、ほかの子達は数に押された状態にして、高練度艦達は孤軍奮闘したけど、ギリギリの所で負けてしまったって言う、接戦の演出をするだけで、同時にあとちょっとで負けちゃった演出が出来る!

ここが腕の見せ所よ!

 

「楽しそうね…」

「そりゃそうだよ、これも一種のストラテジーゲーム。しかも、私の勝ち負けがハッキリしてるし、勝つ為の作戦は完璧!物事が全て私の思った通りに動くのは爽快だよね♪」

「向こうは命の危機とかも感じてるはずなのよ?それなのに、最初から負ける気満々で、しかも接戦を演出されるんじゃ、元帥も形無しよね」

「いくら元帥が指揮能力で勝ち上がった人間でも、所詮は指揮能力。こう動いたから、次はこうするだろうなんて予測は、私相手じゃ遅過ぎる。私の予測は始まる前から相手の動きを封じて、選択肢を無くしてるから、戦いが始まる前から私の計略終わってるんだよ」

 

だからこそ、あの元帥の動きが気になってしかたがない

ほとんど出来る行動が無い現状で、あの人はどんな手を使ってどうやって私の罠掻い潜ろうとするのか、それが気になる

まあ、始まる前から勝ってる訳だから、全部無駄に終わるんだけど、何を予測してどんな行動をするのか

そして、それが完膚なきまでに封殺されたら、あの人はどんな表情をするのか

驚く?怒る?頭を抱える?絶望する?

さあ、どんな表情をするのか、見せてよ元帥…でも今回の作戦だと、元帥に自分が失敗した事に気が付かないなぁ…

そうだよ!ぶっ倒してから連れ戻されてあげれば良いんだよ!

 

「やっぱり、今回の貴女は性格が悪そうね…」

「えへへへ♪」

「褒めてないわよ」

「指揮する者にとっては性格悪いは褒め言葉なのです」

「なのです!」

 

どこから湧いてきた電よ…

 

「元帥さんの艦隊が見えてきたのです!」

「報告ご苦労、さ〜て直接相手した時の私を見せてあげるよ元帥」

 

助けを請え! 怯声をあげろ! 苦悶の海で溺れる時だ! それが、貴様らにとって唯一の救いである!

…なんてね

 

早瀬は自らも外に出て、戦況が見える位置にある木陰に腰掛ける。

 

10…11…12隻…連合艦隊かな?

通信装置も持ってきたし、あとは私が作り出した道筋を辿らせて、確実なる勝利としようか

ホント、元帥は良くも悪くも完璧な指揮能力だからね

正面戦闘すれば、私も勝てるか分からない

だけど、私は勝ちにはいかない、負けさせるだけ

それが結果的に勝利に繋がるだけ

 

「あ〜聞こえてるかな〜」

『聞こえてるよ早瀬』

「じゃあ早速、全員艤装解除」

『分かっ…え?』

「ほら早く」

『う、うん?』

 

元帥なら分かってるだらうけど、元帥の艦隊の子達にら分からないだろうね、私が艤装を解除させた意味が

 

「予め通常兵装は持たせてあるでしょ?それで、艦娘の腹部、鳩尾に撃ち込んで」

『でも艤装のバリアが…』

「何のための狙撃ライフルだと思ってるのさ、あの艤装バリアは意識していないと発動出来ない、だからこの距離から撃つんだよ」

 

当然、艤装バリアが無くても通常兵装じゃ致命傷は与えられない

それでもかなり強めに殴られたくらいの威力はある

まぁ、陣形を組ませる為だから、そこまで過剰な威力は必要ないしね

そもそもの話、私は全員殺して終わらせるつもりは無い

こんな深海棲艦相手でも無い戦闘で死んだら、艦娘には可哀想だしね

 

「それで、相手に何か動きはあった?」

『うん、第四警戒航行序列で先頭3隻は多分艤装バリアを準備してるかな』

「それは上々」

 

まあ艦娘の艤装じゃこの距離は届かない、戦艦がいないからね

陸上で戦う前提だから戦艦クラスの場合、重過ぎて動けないから連れて来られない

固定砲台って方法もあるけど、固定出来るモノが無い、威力が高過ぎて反動で固定装置が破壊されるからね

ここで艤装解除が活きてくる、相手はまだ艤装装置してて動きが鈍い

だけどこっちは艤装を取り外して機動力を最大まで上げている

機動力が上がってるから、相手は接近される事を警戒する…ただのブラフだから関係無いけどね〜

 

「狙撃終了、艦載機はただの民家に使うから海軍のイメージダウンに繋がるから空母もいないし、楽勝でしょ?」

『うん…なんか早瀬がやりたかった事が分かったかも…嬲り殺すつもりでしょ』

「当たり♪相手は初めての陸地戦でしかも、この距離から攻撃する術が無いから守りを固めてる。そして…私が深海側の指揮官でもある事も知らない、だからここに全員見せておくことで背後の守りが完全におざなりになって、いつでも壊滅出来る状態なんだよ」

『だからわざわざ、艤装を外させて元帥に機動力勝負に出たと思わせたかったんだね…後ろから破壊して、対処に回ってるうちに正面からも近接攻撃をする為に…』

「そうそう、まあちょっと違うんだけど…始まる前から私の勝ちは決まってたって事だよ。向こうには私の手の内が分からない上に、艤装不良艦娘たった十数人の艦娘しかいないと慢心していたからね」

 

だけど、ここですぐに壊滅させても面白くない

私の得意とする戦い方は負けさせる事…この戦い方は私の好きな戦い方じゃない

だから…私はここから私の好きな方法で潰す

元帥にはもう何も出来ない、守りを固めても、捨て身で突撃しても、もう意味は無い

 

「そこで春雨ちゃん〜君の出番だよ〜」

『何をすればよろしいでしょうか?』

「跳弾で後続の艦娘の子達の艤装の機関部を撃ち抜いて破壊して」

『私1人だと時間がかかりますが…』

「大丈夫、時間は幾らでもある」

 

春雨ちゃんは艤装の能力は並程度だけど、それ以外の数値に表す事の出来ない部分は十分に異常だよ

特に銃の扱いは私の鎮守府で1番高い、早撃ちの跳弾使いなんてやってられないでしょ?

ゴム弾なら12回壁や天井に跳弾させて、仕事をサボった白露の眉間にぶち当てるくらいだしね

実弾でも2回はいけるらしいけど、威力が足りなくなるから1回跳弾させて、艤装破壊をしてくれるはず

いつも寝てるのに、才能だけは姉妹1とは…寝る子は育つ…か

 

『それにしても、どうして後続の艦娘は艤装バリアの準備をしてないと思うの?』

「簡単だよ、この距離でしかも向こうから一方的に攻撃出来るんだから、艤装バリア…ていうか燃料を温存したいのさ。艤装に頼りきりの元帥の艦隊は燃料切れ=敗北確定。だから接近する為には正面の子がバリアを張って、その影に全員を隠す事がこの局面での最善手なんだよ」

 

まあ、その最善手ですら春雨ちゃん1人いるだけで、愚策に早変わりなんだけどね

てか、全員バリアを展開すれば全員燃料切れで負け確定、かと言ってバリアを温存しても先頭以外が艤装大破で負け確定

摘みなんだよね〜いや〜楽しいね♪

 

『9人は破壊しました、後の3人はバリアを張っていると思われます』

「お疲れ様、春雨ちゃん以外は狙撃を再開してバリアを解除出来ないように、撃ち続けて。春雨ちゃんは大活躍してくれたから、後で褒めてあげよう♪あとは、春雨ちゃんがやりたい事を可能な限りやってあげよう」

『ありがとうございます!』

 

よしよし……これで、燃料切れはほぼ確定

そして、燃料が切れた時…不運にも背後から深海棲艦の艦載機の襲撃を受けて、艦娘達は甚大なダメージを受けて、戦闘不能

さあ、ここからどうするのかな?元帥

何か秘策が無い限り、勝つ事は絶対に出来ないよ?秘策なんてさせないけどね

 

「むっちゃん、座った状態で艤装展開、着弾観測射撃」

『分かったわ』

 

燃料…一気に削ってあげるよ

長々と戦ってると、苦しみが長引いちゃうからね〜

私なりの優しさだよ、受け取ってね♪

 

『…2隻大破、残り1隻よ』

「了解、むっちゃんの仕事はこれで終わりだよ。お疲れ様」

『体痛いわぁ…』

 

地上じゃ戦艦が機能しないのは、元帥も分かってる

だから、むっちゃんは戦闘に参加しないとでも思ってたんだろうけど、そもそも移動しなければ、2、3発は撃てるんだよ

海軍である以上、そんな事試した事なかったみたいだけどね

さて、あと1隻……駆逐艦の子か

可哀想に、1人だけ取り残されちゃって…みんなを守らないとって言う責任感が膨れ上がり、それが不可能だと悟った時の絶望感を味わう事になるけど、強く生きてね

 

「空母棲姫…元帥の艦隊に航空爆撃開始」

『ヤハリ恐ロシイナ…貴様ハ…コンナ深手ヲ負ッタ者ニ、追撃ヲ仕掛ケルトハ…』

「戦場では当然の事、今回は殺す気が無いから全員重傷で済むけど……けど深海棲艦を沈める時は容赦してなかったでしょ?今回はまだ良心的だよ」

『恐ロシイ事ダ…』

 

それから数分してから、深海棲艦の艦載機が到着し爆撃を開始する。

そして、その光景を早瀬は双眼鏡で見届ける。

 

あぁ…良いよ元帥…とっても魅力的な絶望の表情だよ…

わざわざ元帥には何の被害も出ないように爆撃を指示したかいがあったよ♪まあ、被害が出るように指示して、痛がる顔を見るのも良かったんだけどね

 

爆撃が終わり、それを確認した早瀬は次の行動に出る。

 

「さて、爆撃で甚大な被害が出たあの子達にトドメを刺しに行こうか。死なないように、通常兵装のショットガンで艤装を完全破壊せよ」

『かなり酷い事してるって自覚はあるけど、早瀬のやる事だもん…やり遂げるよ!』

 

我ながら、どうしてこんなに人徳があるんだろうね?

私の戦い方ってどう見たって褒められた戦い方じゃないのにね?

だって、このトドメってあれだからね?体力が表記上1ってなってるけど実際は1.4くらい残ってる子達に0にならないように、0.5まで削れって言ってるんだからね?

それでも表記上では1のまま…タコ殴りも良いところだよ

それなのにどうして好かれているのか…私は私が不思議でならない…

 



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16話 陸奥の思い出(トラウマ)、時雨の罰

長く…なっちゃいましたね…
もうね…FE楽しすぎてやり過ぎてヤベってなって、いざ書き始めたらいつのまにか…
そんな訳でいつもの倍以上の文字数です!めちゃくちゃ長いです!


勝利!勝利!大勝利!

こっちの被害ゼロかつ相手を壊滅、私に正面から挑んだ時点で負けだよ

まあ、正面からしか選択肢は無かったんだけどね〜

この立地最強♪陸地!しかも山の頂上!麓も森で視界が悪い、なのに向こうが大人数で行動するから動きがバレバレ、それでいて別働隊を出そうとしても山の構造上、かなり遠回りで別働隊が機能するまでに本隊が壊滅しかねないから使えない

完璧!この事を考慮したとしか思えないくらいに完璧だよ♪

 

「さてと…投降しようかね」

「わざわざ壊滅させたのに、投降するんだね…」

「お帰り白露」

「愉悦!至高にして最高の愉悦で戦ってたからね」

 

早瀬はメイド達に「海軍に行ってくるね」と言って麓で壊滅している元帥の艦隊の前にやって来る。

 

絶景かな絶景かな

やっぱりどうせ勝つなら完膚なきまでに叩き潰して、こうして悲惨な状況になってるのは、勝った側としては壮観だね

 

「こんにちは、元帥」

「君か…」

 

ダメだ…まだ笑うな…

じゃなくて

 

「投降しに来ました」

「…やはり君は面白い、性格をしている…あえて叩き潰した上で投降してくるか…」

「もっと粘っても良いですけど、被害がこれ以上酷い事になりますよ?艦娘の子達も友達がこうなるのは嫌でしょ?」

「くっ…」

「ふふ…敵意のある目…そそるねぇ…捻り潰したくなる」

「ひっ…」

「早瀬様はときどき悪魔なのです」

 

神ときどき悪魔…か

私は自分で言うのも何だけど、悪魔一辺倒だと思う

 

「それじゃ、大本営に行きますよ〜ほら立って」

「投降する人間の態度じゃないが…君らしいな」

「私が勝ったからね」

 

死人に口なし…死んでないけど

さてさて、帰ったら軍法会議かな?

それならそれで構わないんだけど、内容次第では大本営を破壊(物理)しないといけないんだよね〜

これから海軍の為に励めよ的な感じだったら楽なのになぁ〜

 

早瀬は白露達共々、元帥が用意して来た護送車で大本営まで向かうのだが、案の定とてつもない距離な為、白露達は立ち歩き遊び始める。

 

むっちゃんがまともなのが救いだけど、白露達は年齢の割にやっぱり子供だよね…見た目に引っ張られるってマジなのかな?

じゃないと暁が説明つかない存在になるよね…あんな21歳いてたまるか

 

「貴女達一応投降したんですよね…」

「監視役でここを任された不運な元帥のところの神通さんや…正直投降の選択をしたのは…完全に煽りだからね。あとボロボロだけど、何かいい事でもあったのかい?」

「貴女がやったんじゃないですか!」

「早瀬…アニメのセリフを挟まないの」

「いやぁ、煽るには最適だと思ってね♪やったの私なのにわざわざ聞きにいくし、いい事でもあったのかい?は馬鹿にしてるとしか思えないでしょ?」

「貴女は身内以外には悪魔よね…」

「実際他の鎮守府から悪魔呼ばわりされてましたし?もう開き直ってやろうかなってね」

 

それにしても、元帥も可哀想な事するよね〜

手錠を付けたからと言って、大破してる神通に監視を任せるとは

やっぱり元帥は情報力が足りてない

こんな手錠いつでも外せるのにね

 

「一応言っておきますが、その手錠は一時的に貴女の司令官としての権限を封鎖します」

「これがねぇ〜」

 

神通が手錠の説明をしている間に、早瀬は手錠を外し、神通に見せる。

 

「え?あれ?ど、どうやって」

「この程度の拘束で私が捕らえられる訳ないじゃん。私を捕まえたければ、深海棲艦全部連れて総攻撃でもする事だね」

「それでも殺す事が出来ないってどう言う事よ早瀬」

「いやだってさ?あんな脳細胞死んでんじゃないの?みたいなやつらがいくら束になったところで対処に困るだけで全く強くないんだもん、あんなのに大破されて撤退とか…ウ〜ケ〜る〜って感じだよ私からしたら」

 

早瀬は手錠の輪の部分に指を入れて回しながら陸奥と神通と喋る。

そして、北海道から大本営までの道のりでずっと早瀬に話を聞かされ続け、大本営に到着した頃には神通は若干洗脳に近い状態になって来ていた。

 

「だからね?深海棲艦は性能の無駄遣いをしてるんだよ、あれだけのスペックがあるのに練度はだいたい1、それに陣形も適当、編成も適当、こんなお馬鹿な連中に負ける方がおかしいんだよ、ねぇ?神通」

「確かに…何でそんな者達に苦労していたのでしょう…負ける要素など何1つ無いと言うのに…」

「はぁ…ほどほどにしなさいよ早瀬」

「は〜い」

 

いやぁ、洗脳行為は楽しいよね

正確には、その矛盾点に気が付いて心が壊れていくのを想像する、実際に見るのが楽しいんだけど

この神通は、多分この先、深海棲艦に負けるたびにどうして勝てないのか、どうしてあの程度の連中に負けなければならないのかに苦悩する事になる

そして、話していた私が司令官である事から、指揮をしていた人間に当たるようになる

そこで自分が何をしているのかを悟った時、正気に戻った時、心が壊れ始める

ふふふふふ♪

 

「それじゃ、大本営に着いたみたいだし、降りようか」

 

早瀬達は車から降りて、白露達は別室に、早瀬は即刻軍法会議にかけられた。

 

「早瀬大丈夫かなぁ…」

「いざとなれば僕達で助け出そう」

「でも…誰が指揮するの?雷?早瀬と思考が近いみたいだし」

「私は無理よ…思考が近いのはあくまで普段の優しい司令官の時だけだもの…指揮をしてる時の司令官の思考は分からないわ…それに、早瀬は準備して相手を物理的にも精神的にも追い詰める戦い方をするじゃない?私にはそこまでの事出来ないわ」

「陸奥さんは?」

「やらないわ…早瀬に何されるか分かったものじゃないもの…」

 

陸奥の言葉にその場の全員が首を傾げて、分からないと言う表情をする。

 

「早瀬はアレで自分が一度でも手に入れた物を他の者に奪われる事を嫌う…だから、私達の指揮官と言う立場に他の者が勝手に入れば、何されるか分かったモノじゃないのよ…」

「そうな素振りあった?」

「貴女達が気付いてないだけよ…実際、私と早瀬が中学の頃かしらね…同じ学校の男子に私が絡まれた事があって、路地裏に連れて行かれそうになったんだけど、何故かその男子達が路地裏に引きずり込まれて、生々しい音がしたと思ったら、早瀬が出て来た事があったのよね…怖くて路地裏を覗く事はしなかったけどね。ただ…その男子達は4ヶ月学校を休んで、登校して来たと思ったら早瀬を見かけた途端に泡吹いて気絶したのよね…」

「何そのホラー…早瀬は何したんだろう…」

「神の怒りを買う事はしてはいけないのです」

 

それから直ぐにその男子達全員が転校したしね…

私はその引きずり込まれた人間が路地裏に引きずり込まれた恐怖で、その場に固まってたけど…普通は逃げた方が良かったわよね

ホント…何したのよ…中学生とは言え、4ヶ月も不登校にした挙句、見ただけで気絶させるなんて普通じゃないわよ…

 

「流石に陸奥さんにそんな事はしないと思うけどなぁ」

「そこまでの事はしなくても、必ず何かしらの事はされるわよ?私も前に酷い目にあったもの」

「え!?」

 

小学生の時に早瀬が滅多に怒らないから、怒らせてみたくて早瀬のおやつを隠して食べたって嘘ついた事があって

その時はちょっと残念そうにしてただけだったけど、その日の夜におやつ返すの忘れてたと思って夜にちょっと起きちゃった時に、身体の異変に気が付いて身体を起こそうとしたら、金属音がして身体が動かないと思ったら、四肢がベットと鎖と手錠で繋がれてて、暗くて見えないはずなのに、早瀬のあの口角が異常に吊り上がったような笑顔が頭にチラついて、咄嗟に机に置いたままにしてた早瀬のおやつの事を言って、早瀬の声と一緒に食べる音がしたと思ったら、手錠が全部いっぺんに外れて、早瀬は暗闇に消えていった…そして私は安心して寝ちゃって…朝起きなら床に早瀬が忘れて行ったであろう布とガムテープと電極が落ちてて、私は幼いながらに早瀬の物に手を出してはいけない事を悟ったのよね…まぁ、当時理科室で先生に危ないから触るなって言われてた機械があったらねぇ…

あの時は本当に身の毛もよだつ思いをしたわ…あとちょっと目覚めるのが遅かったら…

ホント思い出しただけで冷や汗かいて来たわ…

 

「ちょっと聞きたいかも」

「いやよ…トラウマなのよ…話したくないわ」

「トラウマ!?」

「だから、貴女達も気を付けなさいよ?早瀬のモノに絶対に手を出さない、もしも手を出してしまったならとてつもない恐怖が待っているわ」

「親友にも容赦無し…流石は早瀬」

 

そこなのよね…親友にもかかわらず、あれだけのこのをやったのよ?

見ず知らずの男子達は何をされたのか想像もつかない

しかも、かなり短い時間で路地裏から出て来て、あの夜の様な笑顔をしているのを一瞬だけど見えた…

その時点で、あの男子達が無事ではないと思ってたけど、まさか転校するとは…しかも、全く学校で問題にならなかったのも怖い所よね

 

「ただ…その時の事で早瀬の取り扱い説明書が出来たけどね」

「何それ!?」

「内容は簡単よ?」

 

陸奥は持っていた小さめのバッグから、小さい本の様なモノを取り出して白露に見せる。

そこには

1.早瀬の所有物を奪う行為は絶対厳禁

2.早瀬を怒らせようとしない

3.早瀬は基本的に親しくなればただ可愛い存在

4.早瀬は可愛い(重要)

5.早瀬は幼い(ここも重要)

6.おやつやお菓子をあげると途端に大人しくなる

7.早瀬を本気で敵に回したのなら、遺書を書け

と、書かれていた。

 

「半分ただの早瀬好きの思考じゃないの!」

「考えても見なさいよ…おやつ1つで直ぐにニコニコして近寄って来るのよ?可愛くて仕方ないじゃないの!」

「いや確かによく陸奥さんはお菓子を差し入れしてたけど…そんな理由だったんだ…」

「当たり前じゃない!あんな可愛い生き物そうそういないわよ!もしも例えるなら普段の早瀬は懐いている猫よ、近くに寄って来て甘えてくる猫なのよ!」

「こんなテンション高い陸奥さん見る機会もそうそうないよ…」

 

ただし…同時に熊の側面も合せ持つ…

自分の所有物には異常な執着を見せて、絶対に取り返そうとする熊にね

それでいてあの頭脳…人が死なないギリギリを攻めて来るし、証拠隠滅に人の弱味の入手、情報操作に口封じ…

やってる事は悪魔の所業……そんな状態でもおやつ1つで解決出来るのも可愛いのよね

 

「白露と雷はヤンデレ気質で、陸奥さんは…隠れて異常に溺愛…司令官様の近くには変態しかいないのかな」

「仕方ないさ、司令官は良くも悪くも愛されている存在、それは君達も分かっている事だろう?」

「当然だね、司令官様は艤装不良で差別の対象になっていた私達にも優しく、それでいてしっかり戦えるようにしてくれた、まさに慈愛の神だよ」

「その慈愛の神は、敵にとっては嬉々として四肢をバラバラにする惨虐な魔王だけどね」

 

あの二面性こそ、早瀬最大の特徴

どっちも演技などでは無く、どっちも早瀬の本質

だから私は、早瀬が多重人格なんじゃないか疑っていたし、不安定だとも思っていた

だけど、実際は何の変哲も無い子供

お菓子大好きで遊ぶ事も好き、そして自分の物を友達だろうと取られたくない

行動原理は子供なのに、高過ぎる頭脳と幼い故の残虐性が魔王たらしめている…

飼い慣らす事は簡単だけど、不意に気まぐれで死にかける…そんな感じかしら?

 

白露達を監視する為に部屋に配備されていた、元帥の艦隊の漣はそんな会話する白露達が信じられなかった。

何故なら、漣は一方的に痛めつけられた記憶しか無く、普段の早瀬を知らない為だった。

そんな事もあり、漣はある結論に辿り着く…あの人は元帥よりも数百倍怖い存在で、あの人の鎮守府ではかなり愛され、崇められ、可愛がられている謎の存在という結論になった。

 

「ねぇ、元帥のところの漣ちゃんも聞いてよ〜」

「話聞いてた限り、絶対に混ざりたく無いんですけど…」

「そう言わずにさ〜」

「そうは言っても、私からすればあの司令長官は悪魔ですよ…」

「違わないけど、それだけじゃないんだよ?早瀬は私の事をミサイルにしたり、置き去りにしようとするけど、優しいんだから」

「あの…馬鹿なんですか?馬鹿なんですよね?それを世間一般では優しいとは言いませんよ」

 

そうね…ミサイルにしたりデコイにしたりしようとするのは、優しさには見えないわよね…

 

「あの鎮守府の艦娘ってだけでなんか怖いんで、交代して良いですか?」

「良いよ?あっ、曙と交代してよ」

「何故にぼのたん?」

「元帥のところは早瀬が気に入りそうな性てるし、そろそろ早瀬が戻ってくるから」

「交代はしませんし出来ません!殺されてしまいます!」

 

仲間思いなのか自分勝手なのか分からない発言してるわねこの子

うちのところの曙は、世間一般の曙とは結構違うから、たしかに面白がりそうだけどね

うちの鎮守府に早瀬に悪態を吐く子とかいないから…

こんな普通の環境で育った曙が早瀬に面白がられて遊ばれたら、精神が崩壊するんじゃないかしら?

 

「賢明な判断だね、仮に曙に交代していれば、司令官よりも先にそこのポイヌにもみくちゃにされるところだったよ」

「もみくちゃにはしないっぽい!」

「イヌのところは反論しないんかい…ここのポイヌは少しおかしいぜ…」

「夕立は提督さんの愛犬っぽい!ワンコっぽい!」

「司令官は別に犬好きじゃないけどね」

「ぽい!?」

 

確か早瀬って変な動物が好きだったような…何だったかしら…

前に鎮守府に紛れ込んだ…駆逐イ級?…は、違う

駆逐イ級は早瀬がいじり過ぎてストレスで死んだんだったわ

何だったかしら…

あっ、熊とハシビロコウだわ

熊はむしろ、皮肉にしか感じないけど、ハシビロコウ…動かない鳥のどこに興味示したのかしら?

 

「前に司令官のパソコンを覗き見たら、熊の画像とハシビロコウの画像がたくさんあったよ。あと、熊のストラップとか持ってるんだ、ほら」

 

時雨は鎮守府から出た時に持って来ていたカバンから、小さいヌイグルミの様な熊のストラップを取り出して、夕立に見せる。

 

「つまり、提督さんは球磨さんが好きっぽい?」

「それとは違うよ」

「前に司令官と話してる時に言ってたけど、熊は何か自分と似てる性格してるからで、ハシビロコウは顔が面白かったらしいよ」

 

自覚あったのね…熊みたいな性格してるの

あと、さよなら時雨

 

夕立の方を向いて話している時雨の肩を村雨がとてつもない勢いで叩く。

 

「!…!」ペシペシペシペシペシ

「なんだい?村さ…め…」

 

時雨が振り返ると、鬼気迫る表情の村雨と、その後ろに笑顔の早瀬が立っていた。

 

「あっ…」

 

今貴女が早瀬の私物を持っているって事は、早瀬が置いてあった場所、しまってあった場所から持ち出したと言う事…

さよなら時雨…貴女の事は忘れないわ

 

早瀬は時雨に一歩また一歩と近付いて行き、村雨は逃げるように跳び退く。

 

「ち、違うんだ!これは…」

「うんうん、そうだよねあの時雨ちゃんが私の机から、私の私物を盗っていく訳ないもんね」

「そ、そうだよ、これは落ちていたんだ!廊下に!」

「私って滅多にそれを持ち出さないのに、何で廊下にあったんだろうね」

「そ、その滅多に無い持ち出した時に落としたのさ!」

「そんな訳ないだろ…ほら、行くよ〜」

 

早瀬は時雨の腕を掴み、そのままどこかに引きずっていく。

時雨も抵抗するが、早瀬の手は一切離れる気配がない。

 

「た、助けて白露!」

「私は何も見ていない、仮に時雨が魂の無い抜け殻になっても、私は何も見ていない、気が付いたらそうなっていた」

「助けてよ!?」

「時雨が悪いっぽい」

「そうだけどぉぉぉ…」

 

私はギリギリ助かったけど、それはあくまで私だった事と対処がおやつですぐに食べて満足して帰って行ったから…

今回は…助からないわね

殺されはしないと思うけど、どんな状態になって帰ってくるのか…

髪の毛が真っ白になって帰ってくるかも知らないわね

…知能が異常に高い野生の熊(みたいな人間)である早瀬の所有物に手を出すからよ…

 

時雨はそのまま、部屋から引っ張り出され、どこかの部屋に連れて行かれる。

 

「いやいや、助けなくて良かったんですか…姉妹でしょ」

「時雨?知らない子ですね」

「どんだけ貴女の所のご主人様は怖いんですか!」

「だってあの陸奥さんがトラウマなんだよ!?あの陸奥さんが!いつも主導権握ってる陸奥さんがトラウマだよ!?」

「それでも助けようとかさ…私までその対象にされる事きっと、時雨も望まないさ」

 

多分、白露も道連れくらいの感覚だったと思うわよ

最後すごい白露の事見てたし…可哀想に…

知らなかったとは言え、早瀬の物に手を出してしまった者の末路は、私には分からない

あの男子達に何があったのかも私には分からないしね

親が問題にしなかったって事は、親にまで根回ししたんでしょう…

遠回しに早瀬の所有物認定されてるのは嬉しい事なんだけどね…

 

「それにしても音も無く入って来た早瀬によく気が付いたわね?村雨」

「いえ…背後から凄い怖い感じがして…あっ…これはって思って時雨に伝えようとしたのよ、司令官さん自体の姿は1回も見えなかった…気が付いたらそこにいたのよ…」

 

私も経験あるわ…私の場合は現れたと言うよりも、消えたの方が正確だけど

あの夜…どうやって部屋から音も無く、気配も無く部屋からどうやって消えたのかしら?

向かいの家の犬が誰かが前を通ると吠える犬だったから、誰かが通れば分かるはずなのに、吠えなかったし、帰って行った時も吠えなかった…

本当にどうなっているのかしら…家には鍵もかけてたし、親もいたはずなのに…

 

「そんな馬鹿な…誰か見てた人いないの?」

 

白露が辺りを見渡して問いただす。

その結果、全員が首を横に振るのみだった。

 

「そんな…あっ、暁!貴女ここの扉の正面じゃない!」

「え…いや…」

 

何か見たのかしら?

 

「ちょっと眠くなって目を擦って、顔を上げたらもうそこにいたのよ…」

「早瀬は暗殺者だった?」

「もっと恐ろしい何かよ…」

 

暗殺とは誰にも気付かれずに殺して去る必要があるから、スマートに殺すけど、早瀬の場合は罰と愉悦でギリギリ死なないラインを攻めてくる

しかも、どこで知ったのか、個々人の限界をしっかりと把握してる節があるのよね

だから、演技して早めに終わらせようとしても、意味が無い

もう、狂気の拷問官よね

 

それから数分してから、早瀬は部屋に戻って来た。

その手には熊のストラップと時雨の髪飾りがあった。

 

「時雨…逝ったか」

「いやいや、死んで無いからね?私が時雨を殺すはず無いじゃん」

「じゃあその髪飾りは…」

「これ?危ないから取った」

「し、時雨は…どうなったの…」

 

白露のその一言で、早瀬は一瞬キョトンとした顔をした後に、ニヤリと笑う。

 

「気になる?」

「うっ…うん」

「大丈夫…外傷は無いよ」

 

…ん?

今、外傷『は』って言わなかったかしら?

 

そう言うと、早瀬はどこかの部屋から全く力の入っておらず、ぐでってとしていて、たまにビクっと跳ねる時雨を担いで部屋に戻ってくる。

 

「ね?外傷は無いしょ?」

「し、時雨ぇ…ねぇ…」

「ひ、ひはふゆ(し、白露)…」

 

あぁ…何と無く分かったわ…酷い有様ね。髪飾りは金属パーツがあったからかしら

そして、多分時雨…電極を口に突っ込まれたんでしょうね…しかも、人間なら即死するような高圧電流…

連れ込まれたのは工廠かしら…あそこなら工業用の機械があるし

艦娘になった事で耐久性が増して、死なずらくなったせいで…むごい

私も気を付けないと…

 

「ひ、ひへいはんにょもにょにや…へをはひはらはへはひょ…(し、司令官の物には…手を出したらダメだよ…)」

「何を言っているのか分からないけど…もうしちゃダメよ時雨」

 

それだけ言い残して時雨は気絶する。

 

「あれま…これから鎮守府に帰るのに気絶しちゃった。起こすか」

 

早瀬は時雨に手を伸ばす。

白露は時雨を抱き寄せ、守る。

 

「や、やめてあげて…時雨が悪かったから…許してあげて」

「酷いなぁ〜私がそんなに怒ってるとでも?」

「だって…」

「私が言った起こすかって言うのは、叩き起こすとかじゃなくて、体を起こすとかの意味だよ?」

「へ?」

「これ以上時雨に何かするつもりは無いよ。……十分楽しんだし」

 

今、最後本音が出たわね

でも、何気に初なんじゃ無いかしら?

艦娘で早瀬に罰を与えられた存在って

 

そうして、早瀬達はまた護送車に乗り込み、呉鎮守府に戻る。

 

「おや?神通はバケツを使ったんだね」

「えぇ…そうです」

「大本営は裕福だね〜羨ましいよ。うちにはバケツが1つも無いからね〜」

「それは、貴女が他の鎮守府に売ってるからでしょ」

「そうなんだけどね〜」

 

そんな下らない会話をしながら、陸奥は護送車内を見渡す。

 

珍しく白露がお姉ちゃんしてるわね…感電して気絶した時雨を膝枕

それを囲むようにして白露型が話してる…

暁型は…後ろの席で全員仲良く眠っているわね

…時雨…これで分かったかしらね

本当に、早瀬の所有物に手を出す事は、シャレにならないって事を…

それが例え、自分のモノでも御構い無し…手加減は望めない

軽度ではあるけど、アレも早瀬を敵に回す行為だしね

 

「あ、そうそう、千夏ちゃん。これあげるね」

「え?はい」

 

早瀬は持っていた熊のストラップを千夏に渡す。

 

早瀬が自分から自分の所有物を他人に渡した!?

 

「早瀬…そのストラップ」

「アレはね?元々千夏ちゃんに渡すつもりで買った物だったんだよ。だけど、大規模作戦やら海域攻略やら前線維持やらで忙しくて渡せずじまいだったし、無くしたと思ってたからさぁ…この機会にね。それに、あんな可愛い感じのやつ、私には似合わないよ」

「そんな事無いわ!」

「おっ…おぉ…」

 

今度熊の大きいヌイグルミとか買ってあげようかしら…

いや!ここは自分で作った方が良いわね!

作り方調べないといけないわね…誰か詳しく子いなかったかしら?

 

「そう言えば何ですが、その子艦娘じゃありませんよね?」

「そうだね」

「ではこの子は…」

「私の義理の娘、私が里親になった子だよ」

「里親…戦争孤児ですか」

「そう、しかもこの子は元艦娘、再起不能レベルの損傷をしたから、解体されて孤児になった子…」

「…すみませんが、それはおかしいです」

「?」

「我々艦娘に再起不能レベルの損傷はありません。部位欠損だろうと何だろうと沈まない限り、入渠すれば回復しますから」

 

確かにそうね…

うちにはそもそも艦娘になる前から、戦争で部位欠損した子とかいるからあまり違和感は感じてなかったけど、本来艦娘は入渠、もといバケツがあればどんな状態からでも回復する

再起不能レベルの損傷なんか起こりえない

 

「なるほど…そう言えばそうだったね…入渠施設なんか使った事無かったから忘れてたよ」

「早瀬…」

「あぁ…千夏ちゃんが元いた鎮守府は…ブラック鎮守府だ」

 

あぁ…その鎮守府終わったわね

所有物認定される前とは言え、早瀬のモノに嘘をつき切り捨てた

そして恐らくは何も知らない千夏ちゃんは、燃料切れになるまで出撃して、大破して帰って来た所を再起不能と言われて解体されたんでしょうね…

間違いなく、早瀬の怒りを買ったわね

 

「早速やる事が出来て良かったよ…」

「問題は起こさないでくださいよ?後処理は大本営なんですから」

「問題は起こらないよ」

 

また含みのある言い方を…

問題ある起こらない、つまりは問題は問題にしない限り問題にならないって事…

どれだけ非人道的だろうと、それに誰も気が付かなければ、問題ではない…か

早瀬はやっぱり悪魔ね

あの良い方だと、かなり割り込みが進んでるみたいだし

こんな短時間でどうなってるのよ

 

「でも、今は鎮守府に帰ってまずやる事がある」

「さっそく仕事?」

「仕事…では無いんだけどね…みんなに謝らないといけないから、勝手に1人で出て行こうとしたわけだし」

 

あら、ちょっとだけ成長してるのね

 

そうして、早瀬達は鎮守府に到着する。

そして、鎮守府の門の前には艦娘達が綺麗に整列し、敬礼をしていた。

 

「ねぇ…むっちゃん」

「なによ」

「このとてつもない罪悪感はどうしたらいい…」

「とりあえず謝っときなさい」

 

早瀬は全員に謝りながら鎮守府に戻って行き、執務室に入って行く。

その際、千夏が早瀬に手を引かれた状態だった為、艦娘達は不思議に思う。

 

「説明は私からするわね」

「おかえりなさい、陸奥さん!」

「ただいま、それであの子の事なんだけど、あの子は早瀬の義理の娘、早瀬が里親になった子よ」

「なんと!神の子!」

「里親って事は、神さんが引き取ったって事やん?つまり、人間から神の座に招かれた選ばれし子や!」

「おぉぉぉ!」

 

馬鹿な子しかいないのかしら…

 

それから、千夏は鎮守府全体で早瀬同様に崇められ始めた…。

しかし、千夏はそれを拒否し、鎮守府に遊びに来ている子供のように扱って欲しいと提案し、駆逐艦と共に遊ぶようになった。

 

…早瀬よりも千夏ちゃんの方が人間味あるんじゃかいかしら…

 

陸奥は千夏が駆逐艦達と遊ぶ光景を見て、そう思うのだった。




あ・と・が・き
「オ久シブリデス、司令官サン」
「おお!姫じゃん!どうしてここに?」
「アレカラ、イチ早クコチラニ移動シ、中ニ入ロウト工廠ニ車椅子デ入ッタ所、ピンクノ方ニ連レテ来テイタダキマシタ」
「明石…深海棲艦を車椅子だからって招き入れたのか…」
「司令官サンノ名前ヲ出シタラスグデシタ」
「またかよ!」


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17話 あれって高いのよ?

さて…私が、海軍に戻って大本営に与えられた業務はたった1つ

海軍の不利益にならない程度なら、何しても構わない

最早業務じゃなくない?

いや、不利益にならない程度って事は全く戦わなかったら不利益だし、そうでもないのかな?

 

「早瀬…たまには執務室から出ようよ…」

「出たよ?今朝」

「今朝…確かに朝来たらいなかったよね?どこ行ってたの?」

「お仕事だよ?」

 

その時、執務室に陸奥が勢い良く入ってくる。

 

「ちょっと!早速問題起こしたわね!」

「何の事かな?」

「とぼけるのは辞めなさい早瀬、おやつ抜きにするわよ」

「ごめんなさい」

「早い!隠す気ほぼ無いじゃん!」

 

だってね?

私が執務室から出ずに得られるお菓子だよ?

めちゃ大事だよ?

 

「それで陸奥さん、何があったの?」

「昨晩、ここから遠く離れた鎮守府の提督が、行方不明になったのよ」

「早瀬と何の関係が?」

「捜索の為に鎮守府を調べれば、ブラック鎮守府の証拠が大量に出て来たのよ。そして、これは私が調べたんだけど、千夏ちゃんが元々そこの出身だった…」

「早瀬…何したのさ」

 

私は正義執行しただけなんだけどなぁ〜♪

あと、これも司令長官の仕事の一環だし〜

 

「私は逮捕しただけだよ」

「??」

「丁度、地下牢があったから、そこに寝ている間に拘束して、額に水滴を一定間隔で落ちるようにして、帰って来たんだよ」

 

ただまぁ…あの地下室はあの提督しか知らないだろうけどね

多分、艦娘達を拷問する部屋、血の付いたノコギリあったし

そんな訳で、あの部屋の存在は鎮守府に知る者は多分いないから、あの提督が発見されるのは…いつになるんだろうね

 

「まあ、捜索してるからすぐ見つかるでしょ」

「ホントにそうかしら…貴女の事よ?絶対に何か仕掛けをしているはずよ」

「確かに、時雨の時より生ぬるいと言うか…ダメージすら無いじゃん?」

「ふふふ…さあね」

 

ちょ〜っと防音加工しただけだよ

元々、地下室の扉はあの提督のベッドの下にあったしカーペットもあったから、ベッドとカーペットを動かさないといけないし、開ける為には机の二重底に隠してあった鍵が必要だったしね

私は、良い子だからちゃんと元あった場合にしっかり戻して、補強してあげたけどね

地下室の扉に防音加工して、鍵を机の棚にあった二重底から、机を下から覗かないと見えない場所に鍵付きの小さな棚を増設して、そこに鍵を入れて、そこを開ける為の鍵は、執務室の窓の真下にある花壇に埋めた

私ってばやっさし〜♪

 

「早く見つかると良いわね…流石に死人が出そうな気がするわ」

「じゃあ掛けをしようか、何日で見つかると思う?私は3日」

「私はもう見つからないと思うなぁ〜」

「呑気な…2日かしらね…」

 

ブラック鎮守府の証拠が出た以上、大本営は地下室の存在を懸念する

だから、地下室自体は割とすぐに見つかると思う

だけど、あの提督が用心してたんだろうね、地下室の扉は分厚い金庫みたいな厚さしてたし

鍵を見つけるのは面倒だから、破壊しようにも分厚過ぎて時間がかかり過ぎる、何よりも鎮守府の再利用をする為には下手に破壊出来ない

まぁあの厚さなら元々音が通らないのでは?とは思ったけも念の為にね

 

「さてと…白露に部屋から出ろって言われたから、千夏ちゃんに会いに行こうかね…」

「結局、鎮守府内じゃん」

「敷地内だけど、今千夏ちゃんはグラウンドで綾波型達とドッチボールしてるよ?」

「何で知ってんの!?」

「どうやって指揮してると思ってるのさ、妖精さんと視覚を共有してるんだよ。無線だけでも良いんだけど、戦ってるの見たいし」

 

ただまぁ…情報量が多くてちょっと大変なんだけどね

それに、元々鎮守府内の監視はカメラとこの視覚共有でやってたからね

カメラはブラフだけだね

青葉辺りが何か、いかん記事を書こうとした時にカメラに映らないように行動するからね

私は青葉の妖精さんから、青葉を見てるから、おどおどして警戒しながら頑張ってる青葉を見るのは愉悦だよ

最後には私が直接驚かしに行くけどね

青葉は深夜に急に後ろに立って小さな声で話しかけると驚いて転がるように逃げていくから面白いんだよね

話しかける内容も、しっかりと『見てるからね』って伝えてるし

 

「私、初めて知ったんだけど…」

「嘘情報を信じ込ませるのは勝利の最短ルートだよ」

「仲間でしょうが」

「敵を騙すならまず味方から…結構役立ってるんだよ?侵入者とか結構発見出来たし」

「いたの!?」

「いたいた、最初の頃なんか3日に1回くらいの周期だったくらいだよ」

 

まあ、みんな同じ所に行ってしまったんだけどね

仲良くしてると良いなぁ

私相手に、死んでも良い人間なんか送って来たらダメだよ全く

死んでも誰も気が付かないなら、私は迷わず…ね?

 

「それも初耳なんだけど…」

「みんなが快適に暮らす為には必要の無い情報だからね、隠蔽しちゃった」

「全く…早く千夏ちゃんの所に行って来なさい」

「それじゃ行ってくるよ〜」

 

早瀬は軍服の上着を脱いでTシャツ姿でグラウンドに走って行く。

そのTシャツには…熊のイラストが描かれていた…。

 

「全くもう、投げ捨てないでほしいわ…たたむの私なんだから」

「やっぱり、普段の早瀬なら陸奥さんの方が強そうですね」

「変に刺激しなければ、人畜無害で人の為に行動できる、可愛くて優しい子だからね」

「やっぱり変態か」

「貴女も人の事言えないでしょ?隠し撮りしようとしてたみたいだし」

「げっ…」

「私に気付かれるって事は早瀬には全部バレてるわよ。時雨の二の舞にならなければ良いわね」

「気を付けます…」

 

私だって早瀬の写真は欲しいけど、早瀬が嫌がって一枚も写真が無いのよね…学生の頃の集合写真にも何故か1枚もしっかり写った写真が無いし

どうしたら撮らせてくれるのかしら?

スマホとかで写真撮らせてって言えば撮らせてくれないかしら…

絶対に無理だけど

 

「そう言えば姫は?」

「あの子も早瀬の子供って事でグラウンドの端の方から、いつも駆逐艦達が遊んでいるのを見ているわよ?車椅子で顔がよく見えないから、近寄り難いのか千夏ちゃんよりも相手にはされてないけど、怖がられたり、気味悪がられてはいないみたいよ」

「あっいた」

 

白露は執務室の窓からグラウンドを見て、駆逐棲姫の姿を確認する。

そして、駆逐艦とドッチボールをしている早瀬が目に留まり、絶句する。

 

「早瀬…大人気ないよそれは…」

「どうしたのかしら?」

「ほらあれ…」

「あぁ…」

 

陸奥がその様子を見てみると、早瀬は何やら味方の駆逐艦に指示を出してドッチボールをしていた。

そう、指揮をしていた。

 

「あのバカ…」

「人数が多いからと、ボールを増やしたのが最悪を招いたみたいだね」

 

早瀬の指揮で、1人また1人と数を着実に減らして行き、早瀬のチームが初期の外野メンバーしかいないにも関わらず、相手チーム…綾波のチームは残り1人の綾波だけとなっていた。

 

「綾波涙目だよ…」

「普段味方の分、敵になった時の絶望感よね」

「しかも、見てたらアレ絶対に綾波のチームの強い人から倒していって、最後に綾波だけ残したよね」

「鬼ね」

 

鬼神相手に心を折りに行くプレイング…やっぱり勝負事になると手加減を知らないわね

 

「あっ綾波が艤装使った!」

「切羽詰まってズルかしらね」

「絶対にボールを取る気みたいだけど…」

「まぁ…でしょうね」

 

早瀬は綾波が艤装を使った事で、艤装関係の使用が可能である事を許可し、自らも思いっきりズルを開始した。

それは、艤装の強制解除と強制展開を連続させる、いわゆる白露の刑である。

 

「それで、動けなくなった綾波にボールを緩く投げると…」

「遊びくらいなら、対等に戦ってくれるんだからズルしない方が勝ち目あるのよね」

「陸奥さんは早瀬に何かで勝った事あるんですか?」

「昔ビーチバレーでね…戦略が戦術に負けてなるものか!って言って負けていったわ」

「いや早瀬の戦略をねじ伏せるパワーってどう言う事ですか…」

「これでも運動神経と力はある方なのよ?ブロック貫通させてコートにねじ込むくらいわけ無いわよ」

「ここにも化け物が…」

「失礼しちゃうわ」

 

中学の修学旅行だったかしらね確か

早瀬も運動神経はかなり良いんだけど、私は早瀬の方向には絶対に打たなかったし、ブロック貫通させてコートギリギリにねじ込んでたら勝てたのよね

それでもギリギリだったんだけどね

 

「お?早瀬が姫の所に」

「駆逐艦達は鬼ごっこかしら?」

「私も行きたいなぁ」

「行けばいいじゃない」

「私は始末書を仕上げないとかの部屋から出られないんだよ…逃げたらそこで寝てる春雨に撃ち抜かれる」

「何したのよ」

「遊んでたら工廠の機械壊しちゃって…」

「普通始末書じゃすまないのよ?私は経理とかもやってるから、知ってるんだけど、あそこにある機械ってとてつもない金額するのよ?一個何千万単位くらいかしら」

 

まあ、その機械単体であってそれに付属する物も合わせると余裕で何億単位になるんだけどね…

変電設備だけで一体何億…ってくらいには高い

ケーブルとかも含まれるから…

 

「あわわわ…今更だけどとんでもない事を…」

「その辺は早瀬の優しさよ、むしろ心配されたんじゃないかしら?」

「そうだけど…」

 

早瀬はそう言う時にはお人好しが発動するんだから…

非道なお人好し…矛盾してそうでしてないのよね、早瀬の場合は

しかし…壊した機械ってなんの機械だったのかしら?

心配するような機械?そんなのあったかしら?

危ない機械は確かにあるけど、危ないの度合いが違うし…

 

「何の機械を壊したのよ」

「私は機械とか全く分からないけど、こんな三角にジグザグのマークがついてたよ?」

 

これって…

 

「大型発電機じゃないの!」

「ま、不味いのでは…」

「そりゃ不味いわよ、多分壊したのは複数ある内の1機だろうけど、この機械の電圧は艦娘すら感電死するのよ…どうりで早瀬が心配する訳だわ…あそこにある機械の中でトップクラスに危ないもの」

「でも時雨の時は…」

「あれは早瀬が電圧調整して絶対に死なないようにしてたから、心配はしていなかったはずよ。でも、今回貴女の事を心配したと言う事は…」

「死亡ラインだった…」

「そう言う事よ、自分の運に感謝しなさい。配電盤とかに当たってたら死んでたはずよ」

「ひ、ひぇぇ…」

 

それはどこぞの二番艦でしょうが…はぁ…道理で請求書が山のようにあると思ったわ…

あっそうだったわ…私は早瀬のおやつを作りに行かないと

あの笑顔のために!!



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18話 演習(準備)

流石に長くなり過ぎたので、前後編的な感じにしました!
なので!これが前編です!


今日も今日とて、白露がやらかした高額な請求書を書類をむっちゃんに押し付けて遊び…では無いか

これでも一応は仕事、しっかりとやっておきましょうかね

バケツの販売…

 

早瀬ほバケツ(高速修復材)を売る為に、各鎮守府の大破率とバケツの残量を参考に、大破率が高く、バケツが少ない鎮守府を割り出し、その鎮守府に直接向かい、そこの提督にバケツを販売する。

 

「やあ、横須賀の提督くん」

「し、司令長官!?お越しになるなら、一報を…」

「そんな事すれば、君は全て艦娘に任せて逃げるだろうが」

「そ、そんな事は…」

「それで、君がここの秘書艦かな瑞鶴」

「は、はい!」

 

相変わらずだね、ここの提督と艦娘は…

私を何だと思ってるのさ

悪魔か魔王か?どちらにしろ、失礼極まりないよね

 

「それで早速要件なんだが…ここ最近、大破率が高いようだね」

「す、すみません!私が至らないばかりに…」

「別に咎めに来た訳では無い…それで、瑞鶴は今の大破率が続けばどうなると思う」

「…高速修復材が不足し…ここを起点に深海棲艦の侵攻を許してしまうかと…」

 

瑞鶴ってこんなにかしこまった子だったかな?

もっとノリの軽いと言うか…元気と言うか…冗談で提督に爆撃するような子だった気がするんだけどなぁ?

まあ、話に聞いただけだから、実際はどうか知らないんだけどね

 

「そうだな…そこで、だ」

「か、解雇は勘弁した下さい!」

「私はその権限を有してはいるが、今回は解雇では無い、人の話を聞かんか馬鹿者。私はここの一回の出撃での大破率が50%を超えたから、高速修復材を低額で売りに来たのだ」

「え、え?」

 

まあそう言う反応するよね

バケツは、最前線の鎮守府のほとんどが不足している物、ましてや私の所は最前線中最前線、不足してるとでも思われてるんでしょ

使った事無いわ

何なら入渠施設がただの大浴場と化してるからね

 

「そうだなぁ…このくらいでどうだろうか」

 

早瀬はタブレットに販売可能なバケツの個数とその金額を表示する。

 

「1つ10円!?」

「遠征やら任務で少ないとは言え入手出来る物を、これ以上の価格にしてどうする…それに、100円だと全部買うとなると、この999個が99,900円もする…10万もその場で出せる人間はそうそういない」

「し、しかし、司令長官の鎮守府では…」

「こんな代物使った事無いわ」

「えぇぇ!?」

「提督さん…これは…」

「あ、あぁ…」

 

正直な話、これはお金儲けではあるんだけど、手元に残るくらいなら全部売りたいだけなんだよね…

それに、元値ゼロからの販売だから1つでも売れた時点で儲けになるからね、良い商売だよ

 

「全て買わせていただきます…」

「そうか、では後日ここに全て送ろう。その時にお金は払ってくれたら良いよ」

 

ん?口調崩れたか?

まあ良いや

 

「それと…瑞鶴」

「はい…」

「加賀と話すのが恥ずかしいからと、強く当たり過ぎると本当に嫌われるぞ」

「えっえぇぇ///」

 

私の観察眼を持ってすれば、造作も無いことよ!

て言うか、加賀と出撃したり、修練したり…データに残る物を見ただけでも、一緒にいる確率が高過ぎる

それでいて、門の外から見えた加賀と瑞鶴…と言うか瑞鶴は一方的にに加賀に突っかかってるように見えた

つまりそう言う事でしょ?

頼りになる先輩だからかな?それともお姉ちゃん感覚?

まあどっちでも良いけどね

 

「それじゃ、私は帰るよ」

「あ、ありがとうございました」

「もっと精進する事だね」

 

帰ろ帰ろ、お家に帰ろ…

何の歌だったかな…

 

早瀬は乗ってきたイ級の背中に乗り、鎮守府に帰って行く。

 

「君らが喋れないのは不便だね」

「…」

「私の言葉は通じてるみたいだけどね〜」

 

なんか硬いけど、普通の船より断然速いし、移動には便利だなぁ深海棲艦

それにしても、私はこれから何と戦えば良いんだろう?

元帥の地位を奪おうと思ったは、良いけど深海側の司令官にもなったから、戦う相手がいないなぁ?

 

「君らがテレパシーで姫クラスに繋がってるのは知ってるから、聞くんだけど、君達は海を汚されなければそれで良いんだよね?ならさ、元帥倒した後で和平交渉を持ち掛けない?元帥は海軍において最強の存在、元帥を倒せば大本営に勝てる見込みがある者はいない、多分不平等条約でも飲むと思うんだよ」

 

まっ…不平等条約を持ちかけるって言っても、一方的に深海側に有利な条約を持ち掛けても、そんなに人類が損をしないんだよね…

だってコイツらは、ただ海を守りたいだけ

海への不法投棄や、汚染水の垂れ流しとかの規制しか無いんだよね

別に領土が、欲しい訳じゃ無いだろうし

海の方が圧倒的に広いからね…領土なんか要らないよね

 

「…」

「返事は、鎮守府に帰ってから駆逐棲姫に聞くよ」

 

あ、そうだ

 

「帰ったら、名目上は出撃だけど、君達深海側と演習をする事にしたよ。君達はもう少し戦略を理解した方が良い、だから指揮官は空母棲姫がやって、どうすれば勝てるのかを模索して勝とうとしな。間違っても力押し、数の暴力なんて言う稚拙な戦略はしない事だよ、その程度の戦略ならいつも通り私に蹂躙されるからね」

 

司令官と言っても全て指示するのは、私としては好ましく無い

私無しで戦えないなんて、私にもしもの事があった時点で崩壊するからね

ましてや深海側は私が常に指揮出来る訳じゃ無い

戦っている場所が多過ぎるからね

だから、深海側に優秀な指揮官を育成する事で私の労力を軽減させて、更に私が深海側の指揮官である事をバレ無いように出来る

例えば、疑われていて私が元帥との目の前にいる状態で、深海側が私の指揮無しに元帥を圧倒すれば、私の疑いは晴れる

素晴らしい計画…私が疑われる状態になる事が多分無いけどね

 

早瀬はそのまま、鎮守府に戻り、執務室に向かう。

執務室には、山のような書類を書き続ける白露と、お茶をしている陸奥、部屋のソファで肩を寄せ合って眠る春雨と駆逐棲姫がいた。

 

姫…寝てるじゃん

いや…これは

 

早瀬は人差し指と中指を駆逐棲姫の瞼の上に当てる。

 

「寝たふりしてると、このお目々潰しちゃうよ」

「セ、先輩ノ命令デ仕方ナク!!」

「やっぱりか」

「お帰り早瀬」

「ただいま、むっちゃんは原因(白露)に全部書類を押し付けたんだね」

「そうなんだよ!酷くない?」

「むっちゃん…良い判断だよ。むっちゃんは白露の上司じゃないから、わざわざミスをかぶる必要が無いからね」

「それなら早瀬が私のミスをかぶってくれないかな!?」

「私の遊びに付き合ってくれたら良いよ」

「分かっ…やめておく」

 

危機察知能力…

逃げやがって

 

「さて空母棲姫、どうせ聞いてるだろうから言うよ、早速演習(蹂躙)を始めようか。編成は君の判断に任せる」

「…仕方ナイ…ト言ッテイマス」

「よしよし、私も編成を考えようかな〜。はい!むっちゃん編成メンバーのリスト!」

 

早瀬はタブレットにメンバーの表示し、陸奥に見せる。

 

「考えてあるじゃない…」

「編成を考えるのに1分も要らない、数秒あれば十分だと思うよ?」

「…まあ良いわ」

 

空母棲姫はどんな編成で来るかな〜

まあ、あのダメになったトマトみたいな脳みそじゃ、大した編成は組めてなさそうだけどね〜

だから、私の編成もそこまでガチガチに固めてはいない

むしろ、最近使ってあげられてなかった子達が中心…と言うか全員最近全く出撃してなかった子なんだよね…ほぼ全員練度MAXだし

それで、最近気が付いたんだけど、ここの子達って何故かみんな出撃したがるんだよね

みんな戦闘狂なのかな?って思った…

 

「準備出来タヨウデス」

「よし、それじゃあ、空母棲姫の指揮能力を見てあげようじゃないか」

 

早瀬は鎮守府正面海域に出撃させ、空母棲姫との演習を開始する。

そして、早瀬が編成した出撃メンバーは、旗艦を鈴谷、熊野、村雨、春雨、天龍、龍田の6人。

 

『なんで俺が旗艦じゃねぇんだよ!』

「旗艦やりたかった?でも今回やる作戦って、天龍には難しいんだよね…」

『天龍様に不可能はねぇ!』

「片腕無しで、どのくらい戦える?」

『ちょっ!?鈴谷に何させるつもり!?』

『仕方ねぇな、今回は譲ってやる』

『ねぇ!早瀬さん!?』

「今回鈴谷には、熊野と一緒に艦載機で牽制だけしてもらう。さっきの質問は自分の右肩から先を見たら分かるでしょ?」

『あっ、そう言う』

 

鈴谷は元々、ただの学生だった

だけど、修学旅行中に船が深海棲艦のはぐれ艦隊に遭遇して、船は当然襲われてクラスメイトは全員死亡、鈴谷は重傷を負ったものの、何とか生き残った…

そして、その時に右肩から先を失った…

艦娘になったのは、この国の問題…部分欠損していようと、艦娘の適正さえあれば艦娘に成らなければならない

病院で判明したらしいね…重巡鈴谷の適正がね

 

『それなら早く言ってよ〜もう片方も無くなっちゃうのかと思ったよ〜』

「私がそんな酷い指揮するはずないでしょうが、遊びならともかく、私は戦場に出す以上は絶対に傷付けさせないからね。ここに来てから戦場で負傷した人見た事ないでしょ?」

『冗談だよ♪早瀬さんはそう言う事しない人だもんね』

 

当然…ここに来る子達はみんな何かしらの問題を抱えてやって来る

そんな子達をこれ以上傷付けてどうするのさ

鈴谷みたいに既に戦火に焼かれ、片腕を失った子や視力を失った子達はみんな、望んで艦娘になった訳じゃない

だから、私はせめてもの救いとして、戦場では怪我1つさせずに生還させる

まあ、みんな問題を抱えて来るって言うのは最近知ったんだけどね

鈴谷みたいに分かりやすいタイプじゃない子とかもいるし

 

『何だよ!関係ないのかよ!』

「これは、君の為なんだよ?君はその艦娘の特性とかで視力が著しく低いんだから、前には出せないんだよ」

『でもよぉ…』

『わがまま言わないのぉ〜天龍ちゃん』

『仕方ねぇか…神の意向ってやつだしな…』

 

天龍お前もか…

て言うか、私の前で言う子が全然いないんだけどさ?

あの話って本当なのかな?こうして出撃とかでも全然聞いた事無いんだけど?

 

「それで熊野、村雨、春雨も準備はいいかな」

『大丈夫ですわ』

『大丈夫ですよぉ』

「大丈夫です!」

 

今日はお目覚めモードか、正直ネムネムしてても問題は無かったんだけどね

ネムネムしてても仕事はしっかりしてくれるからね

 

「さあ、始めよう。怪我一つ許さないからね」

『早瀬さんが指揮するならしたくても出来ないでしょ?』

「当然!勝手な事しようとしたら艤装を強制的に解除させて、帰還させるからね」

 

さてと…向こうの編成は〜…

 

早瀬は鈴谷の艤装の妖精さんと視覚を共有し、空母棲姫の編成を見る。

 

…はぁやっぱり、考えさせるよりも先に直接指導しないといけないかなぁ…考えが甘過ぎるよ

たまにむっちゃんが作る殺人シュークリームよりも甘いわ…いやそれは無いか…あれ、甘過ぎて気持ち悪くなっちゃうんだよね

 

空母棲姫が編成した艦隊は、ル級3隻、ヌ級2隻、ヲ級1隻の艦隊であった。

 

力押しはするなって言ったはずなんだけどなぁ…

これは、洗礼を与えないといけないかな

 

「鈴谷、予定変更」

『なになに?どうしたの?』

「見て分かる通り、向こうが力押しを選択したから、私は怒りました。完膚なきまでに叩き潰します。屈辱的かつ圧倒的に最後にしてやる」

『あれま〜敵さんは失敗したねぇ』

『ふふふ…怖』

『でも、どうしますの?』

「主砲を使わず、最初の立ち位置から一歩も動かずに全滅させる」

 

そして、この作戦の中核を担うのは当然春雨ちゃん

射撃の才能がある春雨ちゃんは、艦隊戦のようなある程度距離が離れた戦闘なら、砲弾を撃ち抜く事が出来る

ただ…村雨があんまり働けなくなっちゃったんだけどね

寂しがりやのくせに、得意とする戦い方がアンカーの鎖を掴んで振り回して、遠心力つけて相手に叩きつける…

村雨は多分艤装不良で魚雷発射と主砲が動かないから、色々提案して試させた結果、超野蛮な戦い方になっちゃいましたとさ…

ヤンデレじゃないのに、返り血で頬に血が付いてるのを見るとねぇ…

 

「村雨は今回、あんまりやる事ないかな」

『そう…残念ね…』

「普通は喜ぶ所だよ」

『私達の中に、戦わなくても良いって言われて嬉しがる子はいないのよ?』

「散々お前は戦えないって言われて来たからでしょ。知ってるよ、だけどさ?私は戦うな、とは言ってないんだよ?あんまりやる事無いだけで、やる事自体はあるんだよ。もしも、敵が近距離戦に移ったら、そのアンカーを相手の頭に叩きつけるとかね」

 

白露型のこの2人は性能が尖り過ぎてるから好きなんだけど、同時は使う所が限られ過ぎてあんまりつかってあげられなかった子なんだよね…

射撃精度が百発百中だけど威力が無い

近距離戦なら極悪な戦闘力だけど、遠距離攻撃を一切持たない

使いづらいんだよね…

春雨ちゃんに関しては、結構使える性能してるんだけどね



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19話 すずやん

後編スタート!
後書きに早瀬に関する小ネタのような、ツイッター関連のネタを見つけてので、よかったらやってみて下さい
端末で結果が変わりそうな気もしなくも無いですが


だから、この作戦には春雨ちゃんが絶対不可欠…

という事で…killing Time…

 

「鈴谷、熊野、艦載機を飛ばして制空権の確保をして」

『こっちは軽空母2隻なんだけど…』

「大丈夫、君達はその後の事に注意を向けておいてね」

 

制空権確保は重要

ただ、こっちは軽空母2隻って事以外にもハンデがある

それを緩和する為に、春雨ちゃんにも頑張ってもらう…て言うか、正直な話

春雨ちゃん1人で事足りるんだよね…

 

「いつも通り、春雨ちゃんは飛んで来る艦載機を残らず撃ち落としてね」

『はい!いつも通りですね!』

 

いやぁ…難しいとかすら言わないからね

普通なら無理な範囲だと思うんだよ流石に

残り物には福があると言うけどさぁ…

私は思うよ、艦娘の艤装不良は多分、何かの性能が尖った結果、それ以外がほとんど退化した結果だってね

春雨ちゃんに関して言えば、高角砲を二丁拳銃みたいに使って、艦載機を凄いスピードで落として行く子なんて、多分この子だけだし

 

『いやぁ〜やっぱり凄いねぇ〜春雨ちゃんは』

『本当に全部落としてしまうのね』

「今日も良い腕前だよ春雨。今度はヌ級とヲ級が艦載機を出したらもう撃ち落として良いからね」

『頑張ります!』

 

 

早撃ちのガンマン見たいな春雨ちゃん…面白い

さてさて、ここからはル級を調理しようかね〜

 

「さて、ここで軽巡双龍、ル級の足元に一斉射撃」

『当てなくて良いのか?』

『良いのよぉ〜天龍ちゃん』

「相変わらず察しの良い事だね〜龍田」

『主の意を汲んでこその信徒ですものぉ〜』

 

う〜ん…私が帰って来てから、あからさまになったのかな?

主よ…この身を捧げますって事なんだろうけど…自分の事を信徒って言い放って良いのかい?

私って仮に神だとしても、悪神だと思うんだけど?

性格だってお世辞にも良いとは言えないし

 

天龍、龍田はル級の足元に一斉射撃し、視界を遮り、波が立つ事で狙いを連れられなくする。

そして、春雨は次々とヌ級とヲ級が発艦させる艦載機を撃墜して行く。

 

…187…188…189…よし

 

「春雨ちゃん、もう空母狙わなくて良いよ」

『よろしいのですか?』

「大丈夫、もう艦載機は残ってないからね。だから、次はル級が撃った砲弾を出来るだけ空中で爆破させて」

『分かりました!』

 

春雨ちゃんには悪いけど、今回の局面では春雨ちゃんが刺さり過ぎてるんだよ…

エリートすらいないから、春雨ちゃんの火力でも砲弾を撃ち落とせるからね

ただまぁ…ル級の砲弾を全部撃ち落とす前に春雨ちゃんの弾薬が無くなるんだけどね

しか〜し、私はそれもしっかり考慮してあるのさ

軽巡双竜にル級の命中率を下げさせて、無駄撃ちさせてたのはまさにこの為、大体春雨ちゃんの弾薬が無くなるのと同時に向こうも弾切れになる

向こうは本当にどんな命令を出したらこんな、綺麗に私の狙った通りに進むんだろうね

 

「さて、まだ艦載機は残ってるよね?ここで全機発艦!熊野必殺!《とぉぉ↑おう↓》!」

『それ必殺技だったの!?』

『とぉぉ↑おう↓』

『しかもやるの!?』

 

いやぁ…いつ聞いても面白いよね

くまのんの奇声

 

「鈴谷は私の指示した通りに艦載機を発艦させて、爆撃タイミングもこちらで指示するから」

『任せて!やるよ!!』

「双竜射撃中止、春雨ちゃんは続行」

 

後はタイミングを待つだけ……よし

 

「発艦」

『いっくよ!!』

 

あと少し…

 

「鈴谷、艦載機の進路を右に3°」

『細かいけど、鈴谷はやれば出来る子なんですぅ!』

 

おぉ…本当に1回で調整した…凄い

さてさて、トドメを刺そうか

 

「爆撃開始3秒前…3…2…1…発射」

『いっけぇぇ!』

 

終了…

 

鈴谷が放った艦載機の先頭の機体が落とした爆撃が、ル級の砲身にピンポイントで入り、内部で爆発する。

 

これでル級達は射撃不可、空母組は艦載機無し

さあさあ、摘んだけど、どうする?

ル級の残弾が減って向こうが焦って狙いを定めるように指示をし、狙いを定め始めた直後に艦載機からの爆撃で砲身が全て爆発…春雨ちゃんと双竜の援護からの、くまのんがル級の体力を削って、鈴谷の爆撃でル級にトドメ…残るは艦載機無しの空母が3隻…

空母棲姫、どうするどうする♪どうせ何も出来ないけどね!

 

『空母はどうしますか?』

「これまで、何もしてない子がいるでしょ?」

『私はそう言われたから…』

「君には、最高に素敵なパーティーさせてあげるからさ♪夜戦の時間だよ」

『私は夕立じゃないのよ?でも…良いわ、村雨のちょっと良い所、見せたげる』

「さあ、思う存分に何も出来ないあの空母達をボコボコにしよう!当然、移動して殴って来て良いからね」

 

後は、村雨がその素晴らしい近接戦闘能力でヌ級とヲ級を殴り殺すだけ

今回もまた、相手を摘ませての完全勝利!

今度から執務室でUC流そうかな?

 

『ちょっと暴れ足りねぇな』

『そうねぇ』

「なら、君達も行っておいで、村雨と合わせて3人、残ってる空母も3人……ね?丁度いいでしょ?」

 

近接武器持ち3人が空母を斬殺、撲殺する絵面は何かいじめてるみたいで気が引けるなぁぁ〜

な〜んてね〜

戦場ではいじめも反則も無いんだよ〜だから存分に叩き潰そうじゃないか

 

その後、夜戦を迎え、村雨、天龍、龍田は何も出来ず逃げ惑う事しか出来ない空母3隻を撃破し、演習(蹂躙)が終了する。

 

「いやぁ〜快勝快勝」

「も〜村雨に酷い事させないでよね?最近、私の二の腕をつねるようになって来てるんだから」

「あぁ〜それ、私が指示した事だよ」

「何で!?早瀬が見てない所でやらせて何の意味があるの!?」

「村雨の事を思っての事だよ」

「私への配慮が著しく欠けてるんだけど!?」

 

白露は良いんだよ…

それもこれも、あの村雨の性格だから

あの子は、本当に最近気が付いたんだけど、結構めんどくさい性格しててさ

1人である事が嫌で、よく白露について歩いてんだけど…いやここまではただ可愛いんだけどさ?

ここからだよ…加虐体質だったんだよあの子

言い換えればドSかな?

1人になりたく無い、そして誰かといればその子をいじめたくなる

ね?めんどくさいでしょ?

だから私は、そんな村雨の為に白露ならつねったりしても大丈夫じゃない?白露は姉妹に甘いしって言っておいたんだよ

まあ実際、白露は村雨に何かを言った素振りは無い

村雨の口元が緩んでる事にでも気が付いたんでしょ

 

「あっ…春雨ちゃんへのご褒美忘れてた」

「無視…やっぱり私への扱いが酷い気がするんだけど…夫なのに…」

「別に最初のケッコン艦じゃないでしょアンタ」

「そうだけど…」

 

私のケッコン艦の順番はむっちゃん、白露、雷の順番

そして、ここに着任した順番は白露、むっちゃん、雷なんだよね〜

こう考えると、むっちゃん頑張ったねぇ?

わざわざ白露を追い抜いて親友にケッコン指輪を要求してくるその根性…ヤベェよ

 

「さてむっちゃん、姫を呼んできてくれない?」

「隣の部屋だったわよね?」

「そうそう、私の私室」

「…」

 

陸奥は隣の部屋、早瀬が寝泊まりする私室をノックし、駆逐棲姫を呼び、執務室まで連れて来る。

 

「お母さん、終わったの?」

「うん、終わったよ、完全勝利」

「先輩ガ大変落チ込ンデマシタカラ、相当圧勝ダッタンデショウネ」

「あの程度の采配で落ち込むとか……バカウケですわ!」

「ど畜生だね早瀬…」

「軽空母、軽巡、駆逐艦だけの艦隊に戦艦やら正規空母まで使ってボロ負けした空母棲姫さん!ねぇ、どんな気持ち?ねぇ、今どんな気持ち?」

「そこまで煽らなくても…」

「アッ、泣キナガラ通信ヲ切ラレマシタ」

 

ふふ…ふふふ…あはははは!!

メンタルヨワヨワやん!

たいそうな口調してる割にはメンタル弱過ぎるでしょ!

あはははは!イヒヒヒ!…死ぬぅぅ

 

「くく…くふっ…」

「容赦なさ過ぎるわよ、早瀬。オーバーキル過ぎるわ」

「どうせ勝つなら完膚なきまでにだよ」

 

それから少しして、鈴谷達が執務室に入ってくる。

 

「イェーイ♪勝った♪」

「イェーイ♪」

「テンション高いですわね」

「どうよどうよ、右腕の調子は!」

「いや〜絶好調だね〜って無いじゃん!」

「いやぁ良いよ、鈴谷のそういう所好きだよ」

「この2人っていつもこうなの?」

「そうね…いつもテンションが高いわ」

 

深海棲艦のせいで友達も身体の一部の失ったのに、それでも前を向いて気さくに喋り、それでいて深海棲艦を恨まない

この子は強い子だよ

普通の高校生とは比べようも無いほど、辛い想いをしているはずなのに、それでも鈴谷は進み続ける

立ち止まらず、しかして後ろを一切振り返らないわけじゃない

ちゃんと、クラスメイトの御墓参りには毎年行ってるからね

だけどさ、私を連れて行くのはおかしくないかい?

鈴谷がウチに着任して、最初の年に連れて行かれた御墓参りのときも、鈴谷はもう既にこんなんだったっけ…

確か…3年前だったかな?

 

———————————————————————————————

 

「ねぇ鈴谷、なんで私を鈴谷の御墓参りに連れて行くわけ?」

「良いから良いから♪」

 

鈴谷は海沿いにある、慰霊碑の前に立ち止まると、手を合わせる。

 

…ここは…確か学生が深海棲艦に襲われて沢山の死者を出した事件の…

なるほど、この子はその生き残りか

 

「みんな…私だけ生き残っちゃった…」

 

そりゃあ、1人だけ生き残っちゃったんだから罪悪感に押しつぶされそうにもなるか…

 

「しかもね…見てよ!私の右手無くなっちゃったんだよ?酷くない?」

「おい!テンションおかしいでしょ!?」

「しんみりするのなんて私らしく無いからさ、私は私らしく生きる。あっ、そうそう右手は無くなっちゃったし、海軍の人に艦娘にされちゃったし、私の右手を見ていろんな所にたらい回しにされたけど、その先でとっても良い人にあったんだ♪それで、この人が私の司令官、早瀬さんだよ♪早瀬さんって言っても私達と同年代なんだよ?凄くない?」

 

いやいや、結婚する時に親に紹介するアレかよ

私が反応に困るわ

何か?私は会ったことも無い人に、鈴谷の司令官になった早瀬ですって言えば良いのか?

気不味いわ!

 

「早瀬さんって凄いんだよ?たらい回しにされて、もう疲れちゃった…って思ってたら、執務室って所に連れてかれてお菓子くれてさ、その理由が「もう疲れちゃった…って顔してたから」だったんだよ?考えてる事一字一句同じでビックリしちゃってさ」

 

それにしてもよく喋るなぁこの子

ほかの子は大体来た時はテンション低いし、事あるごとに泣き出しちゃうしで凄いのに、この鈴谷は…

 

「しかも、そのお菓子がすっごく美味しいの!どこで買ったのか聞いたら「作った」って言われて更にビックリ!料理まで出来るの!同い年とは思えないくらい何でも出来るし、とにかく凄くて…」

 

いや喋り過ぎでしょ!?

この子のメンタル強過ぎない!?

もう立ち直ったとかって次元じゃないのこの子!

 

「それでね?みんな私のこの右手を見て、可哀想みたいな視線を向けるのに、早瀬さんはそんな同情の視線とか無くてさ、なんか…この人の所ならやっていけそうって思えてさ…」

 

同情の視線…か…実際そう言う目が1番こう言う子達を傷付けるのに、よくそんな事出来るよね?

可哀想だとは思うよ?でも、同情はしない

それが、事故だろうと何だろうと生きていれば十分幸運な事なんだから

むしろ、片腕が無くなるような事に巻き込まれて良く生きてたねって祝福してあげたくなるよ

 

「だからさ…私はみんなの分まで生きて、この人の元で頑張るよ。だから、同窓会には私だけしばらく欠席するよ。それじゃ、また来年来るからね」

 

同窓会…か

私って年齢的に高校2年だから、同窓会とか小学校と中学校しか無いわ

しかも、なんか怖がられてて多分呼ばれないし

 

「早瀬さん、行くよ♪」

「君は強い子だね」

 

早瀬は鈴谷の頭に手を置き、そう言って車の方に歩いて行く。

 

「…イヒヒ♪…鈴谷は褒められて伸びるタイプなんですぅ♪」

「そうかいそうかい、なら沢山褒めてあげるから、その分頑張ってよ?隻腕の鈴谷さん?」

「それ良いね♪いただき♪」

「良いんだ…でもそのノリは好きだよ」

 

———————————————————————————————

 

今思えば、本当に親に紹介するアレみたいなものだったんだろうね

私は、そんな意味の分からない事をする鈴谷が結構好きだったりするんだよね…




ツイッターでよく見かける診断で、あなたを三文字で表すとみたいな診断に早瀬と打ち込むと「悪魔王」と出て来て1人で笑ってましたw
あと、あなたに流れている血が神の血、悪魔の血、人間の血の比率みたいな診断では、悪魔100%だったり
モンスターになったらと言う診断では、体力、魔力、攻撃、防御、賢さ、素早さがMAXステータスの魔法生物で風属性の完璧な力を持つ魔法兵器と出たり…
所々で面白かったですw

画像もあるんですけど、挿絵としてアップロードとなると、ガイドラインに引っかかる事が受けあいなんですよね…

ついでに早瀬の名前でケッコンする艦はと言う診断結果は、霞でした。
未登場…出す予定はあるし、設定も決まってるので即登場も出来ます!
出して欲しいと言う声があれば出しますが、予定通りならもう少し先になりますね…


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20話 早瀬アンケート!(執務室内)

また長くなりましたw
はい前後編…夏休み中だから、出来た事


「それでさ!鈴谷超頑張ったからご褒美が欲しいなぁ〜」

「春雨ちゃんが先ね」

「は〜い」

 

忘れてた私が悪いんだけど、前の元帥戦の時に約束したご褒美をあげていなかったんだよ…

だから、先に春雨ちゃんの願いを聞かないとさ?

 

「それで春雨ちゃん、ご褒美は何が欲しいかな?私に可能な限りで叶えるよ」

「そ、それでは…今夜一緒に寝て欲しいなぁ…と」

「は、春雨!?」

「分かった、じゃあ今夜私の部屋に来てね〜駆逐艦寮まで行くと、途中で軽巡寮を通るから面倒なんだよ…忍者が」

「それは春雨もだろ?早瀬さん」

「いや、あの忍者は春雨ちゃんに弱いから大丈夫」

「そうなのか?」

 

かなり前だけど、私が夜遅くまで執務室で遊んでる時に…まあ例の如く忍者が騒ぎ始めたんだよ

だけど、数分してからいきなり忍者の声が聞こえなくなって、寝たのかな?なんて思ってたら春雨ちゃんが部屋に入って来て、いきなりしがみ付いて来たから、しょうがなく私室で一緒に寝たんだけど、今思えば、忍者が騒いで目が覚めてしまった春雨ちゃんが、ここに来る途中で忍者を絞め落としたから、声が聞こえなくなったんだろうね

それから、たまに騒ぎ始めた瞬間に声が止んだり、神通から最近早く部屋に帰ってくるようになったけど、すごく怯えて帰ってくるとか、なんとか

 

「次こそ鈴谷でしょ!」

「どんだけ欲しいんだよ…」

「いいからいいから♪それでさ、鈴谷にあれやらせてよ、秘書艦」

「なっ!?貴女」

「秘書艦?なんでまた」

「早瀬さんの秘書艦って陸奥さんと白露と雷ちゃんでしょ?」

「なんで私だけ呼び捨て…」

 

まあ確かに、ケッコン艦がずっと秘書艦やってるね

でも、秘書艦って着任した時に説明したけど、自己申告制なんだよ?

やりたいなら、仕事が始まる前に執務室に来て申請するだけ

だから、そう言う意味では秘書艦に1番なりやすいのって春雨ちゃんなんだよね〜私の私室でよく寝てるから

 

「でも、秘書艦って自己申告制だよ?」

「それが鈴谷がここに来る前に必ずケッコン艦の誰かがいるんだよねねぇ〜寮が遠いから全然まに合わなくてさ〜」

 

確か〜ここの艦娘寮って警備の関係で空母寮が1番遠い場所にあるんだったっけ?

それで、鈴谷と熊野は改二からコンバートして軽空母になって、そっちに移ったからかなり急いでも間に合わないって事か

朝メチャ早く起きて来ると言う思考は無いのか…

まあ、ここに来るまでに走っても10分以上余裕でかかるんだけどね

あそこだけ異常に遠いから

 

「みんな何時にここ来てたっけ?」

「私は4時かな?」

「私も大体同じくらいよ」

 

早っ…

コイツら馬鹿じゃねぇの?総員起こしが6時で執務開始が8時だよ?

4時間前に来てんのコイツら?

馬鹿だろ…コイツら絶対馬鹿だろ

 

「鈴谷も4時…は無理か」

「そうなんだよ!鈴谷が4時前にここに来ようとしたら、朝起きる時間が3時とか2時になっちゃうんだよ!殆ど寝れ無いじゃん?」

「確かに…私の方針的に睡眠不足を促進させるのは…無いなぁ」

「でしょ?」

「分かった、着任した時と同じで1週間でいいでしょ?」

「もうちょい長くても良いんだけど…仕方ないね、これ以上はワガママだし」

 

別にワガママでも良いと思うんだけどなぁ?

この鎮守府の子達はどうしてこうワガママ〜とかおねだり〜しないんだろ?

提督達が勝手に作ってた艦娘のランキングで、援交してそうランキング断トツの1位が鈴谷で私はめっちゃ驚いたくらいだよ?

援交してそうって事は、提督とかにやたらとおねだりしてみたりしてるって事じゃん?イメージだけど

私おねだりされた事無いよ?こう言うご褒美でもない限り、自分の欲しいものとか言わないんだよ、ここの子達

だから、鎮守府のあちこちにいる妖精さんに協力してもらって、何が欲しいのかを視覚や聴覚を共有して聞き出してたくらいだから、相当だよ?

ここの鈴谷はテンション高かったたり、ノリが良かったらするけど、私にお願いとかおねだりを全くしない、と言うかここの子達全員なんだけど、私に何かを買って欲しいとか言わないんだよね

給料出して無いのはそう言う事、自分から欲を出していかないと、どんどん奥手になっちゃうからね

 

「じゃあ、2週間秘書艦として頑張ってね」

「マジ!?やった♪」

「早瀬!?」

「アンタはもう十分でしょ白露、毎朝毎朝クソ早く起こしに来やがって…春雨ちゃんと入れ替わりの術を使うからな」

「勘弁してください…間違えて早瀬にやるみたいにやったら、絞め落とされてしまいます…」

 

コイツ毎朝、私の寝てるベッドにダイブして起こしに来るからね

だから、春雨ちゃんと入れ替わっておけば、寝起き春雨ちゃんに絞め落とされてthe end…

良いかもしれない

 

「とにかく、鈴谷は明日から2週間秘書艦になってもらうから、頑張りなよ。あと、8時までに来れば良いから、私は5時くらいから起きてるからさ」

「まっかせて〜♪鈴谷頑張るよ!」

「よし…あぁそれとさ、私が出て行ってから気になってた事があるんだけど、良いかな?ここにいる全員に聞きたいんだけど、私の事ってどう思われてるの?」

「は?早瀬さんは俺たちの神だぞ?」

「そうねぇ〜戦う事も満足に出来なかった私達に手を差し伸べてくれて、普通の艦娘のように扱ってくれる、そして誰一人として負傷すらさせない圧倒的に指揮能力、私達艦娘にとって神同然の存在かしらねぇ〜」

 

うん…分かってはいたけど、評価高過ぎるなぁ

でも流石に、この2人からこんな評価をされていたとは知らなんだ…

天龍は我先へと戦いたがる子だし、龍田はそんな天龍のストッパーだし、私と関わる機会もそんなに無いんだよね…私が部屋から出ないからだけど

それに、戦う事も満足に…か

それは完全に使う側が悪いと思うなぁ…艤装展開出来ない訳でもあるまいしさ?

この2人…特に天龍か…天龍は艦娘としての特性で左目が見えない、それに加えて艤装不良で右目の機能も低下して殆ど見えてない、そしてこれも艤装不良で速力が出ない、だからこの鎮守府では龍田と天龍は低速艦って事になっている

まあ、龍田もただ低速ってだけじゃなくて、魚雷が使えないって言うのもあるんだけど、意外とそう言う艤装不良は多いからね…

メジャーな艤装不良?って感じなんだよね

 

「鈴谷と熊野は?」

「う〜ん、みんな同じような事を言うと思うけど、早瀬さんだけが私達艤装不良や身体の一部を失った子達を受け入れて、積極的に着任させて、やる気を引き出してしっかりと戦えるようにしてくれて…たまに艤装不良を良い事に改造しちゃうし」

「仕方ないでしょ?鈴谷みたいに艦載機のリロードがやりづらいなら、改造してやり易くするべきでしょ?そもそも、見捨てたアイツらがとやかく言う資格は無いんだし、文句は言われないよ」

「いや、普通出来る事じゃないからね?ちょっとやりづらいなぁって思った次の日には、もうかなり使いやすく改造されてるんだからさ?」

 

鈴谷の艤装はクロスボウのタイプだから、どうしても次の矢を引くのが片手だと大変そうだったから、鈴谷は口で頑張って引いてたし

何から何まで自動化させたんだよね〜

矢を放ったら自動で次の矢を装填するようにしたり、艦載機を戻す時の飛行甲板も自立稼働させて、鈴谷の負担軽減とかね?

 

「だから、早瀬さんは私達の第二の親であり、神様なんだよ」

「私より年上が平然といるんだけどなぁ…」

「早瀬さんは精神的にお母さんって感じがするんだよ」

「それ分かります!」

「千夏ちゃん…君に関しては法的にも私の子供だからね〜」

 

それにしても…親…か

親と全く一緒に暮らして来なかった私が親の何を知っているんだろうね…一緒に食卓を囲んだ記憶も、休日に遠出してどこかに行ったみたいな記憶も無い

物心ついた頃にはもう、メイド達しかいなかったし

極々稀に帰って来て、どこの国かも分からない御土産を買ってくる…そんな親達だし

私は…親と言う存在が分からない…これで合ってるのか?

この子達の為に最善を尽くし、時には私自ら壁を設けて乗り越えさせる

強制せず、やる気を出させて自発的に超えさせる…

それが正解だったのだろうか…あまり愛されていた記憶が無いから、分からないなぁ…

 

「熊野…」

「そうですわね…やはり私達の第二の親と言うのは、みんなが思う事ですわ。ここにいる殆どの艦娘は、色々な所で差別をされたり暴力を振るわれたり、挙句見捨てられて鎮守府をたらい回しにされた子ばかり、そんな私達に寄り添い導いてくれる存在ですもの」

「親…か」

「親に何かあるのですか?」

「ごめんね、何も無いよ。そう…何もね」

「何も言ってなかったけど、早瀬の両親は早瀬が物心つく前から、家を空けていたから、早瀬もよく分かってないなよ」

「多分、私よりもむっちゃんの方が私の親と面識あるからね」

 

むっちゃんと話してる時に、最近私の親に会ったとか聞いてビックリする事がまあ多々あったんだよ…

私は、その時期に1回も会わなかったのにね…

 

「まあそんな訳だから、私は親と言う存在が分からない。私の感覚で言えば、君達は確かに大切に思い、今の私を形作るモノでは、あるんだけどね…」

「なんか聞いちゃいけない話題だったり…」

「いや、良いよ。親のように思われているなら、嬉しい限りだからね。たださ…神様って言うのは言い過ぎじゃない?」

「救いの手を差し伸べ、皆を導いてくれる…」

「ホント、そう言われると神々しく聞こえるけどさ…」

 

これは私の性格によるモノだし…なんともねぇ…

誰だって自分が大切にしているモノが壊れたり、傷付いたりするのはイヤでしょ?

だから、そうならないようにしてるだけなんだけどなぁ…

 

「村雨と春雨ちゃんには、前に似たような事を聞いたから良いとして…もう、鎮守府でアンケートしようかな…」

「絶対に高評価100%だよ♪」

「ポジティブだねぇ鈴谷は」

「3年もいて、1回も早瀬さんを悪く言う子に会った事ないもん」

 

3年も前から…いやいや、高校2年くらいの子供に母性を見出すのは如何なものかね?

逆に言えば、4年前…私が司令官になりたての頃の子達はどう思ってるんだろ?

高校1年に母性を見出すとは思えないから…その辺を中心に書いて周ろうかな?

 

「ねえ白露、最古参勢って何人くらいいたっけ…」

「そうだねぇ…私達白露型の春雨までの5人と朝潮、睦月、川内さん、瑞鳳…かな」

「…確かにそのメンバーだね。何となく覚えているよ」

「あれ?陸奥さんは違うの?」

「むっちゃんは鈴谷のちょっと前くらいに来たんだよ」

「へぇ〜意外」

「そうよ?だから凄い練度上がるの頑張ったんだから」

 

ホント頑張り過ぎでしょ…

まあ良いよ…今は最古参のそのメンバーからどう思われているか気になるし

 

「さっきはすっ飛ばしたけど、改めて聞くわ…村雨はどう思ってた?」

「その当時は、歳の近いお姉さんかしらね…今は鈴谷さんの言うようにお母さんって感じがするけど」

「…春雨ちゃんは」

「確かに、その当時はそんな感じでしたね。やっぱり最近はお母さんって感じですが」

 

何があった…その当時から1年までの間に何があったらそんな進化をするんだよ

 

「早瀬には悪い…悪くは無いか。ただ、最古参のメンバーも多分そう思っている子は多いと思うよ?」

「そうなの?じゃあ仕方なく聞くけど白露は?」

「やっぱり扱いが雑!?…まあ良いけどさ…確かに当時はそんなイメージだったよ?ただケッコンシステムが発表されてから、早瀬がその人数を3人に設けた時から、どうしても勝ち取りたくなった…だから、今は嫁や!」

「あっそ。時雨とかにはどう思われてるんだろうなぁ〜つい最近やっちゃったからなぁ〜」

「あれ〜無視〜いやもう慣れてきたけどさ」

 

早瀬は、初めて執務室の放送機器を使い、白露が言った最古参メンバーを執務室に集める。

 

駆逐艦はそんなイメージかも知れないけど、少なくとも川内は軽巡だし瑞鳳も軽空母…いや駆逐艦と変わらないか

なんか思考がそれっぽい

 

「司令官様!御用でしょうか!」

「朝潮ちゃん?硬いよ?」

「なになに?夜戦?」

「今お昼だよ?」

 

うむ、白露型以外はこのメンバーか…

優劣とかあんまり付けないから、来た順番とかあんまり気にした事無かったなぁ

ケッコン艦くらいは気にしてはいたけどね

 

「ねえ白露、このメンバーってやっぱり」

「時雨は分かったんだね」

「私も分かってたよ?」

「瑞鳳…このメンバーって何か分かったの?私全然分かんないや〜」

 

川内はね…ちょっとお馬鹿と言うか…天然っぽい所があるからね

 

「もう、この鎮守府創設メンバーでしょ?」

「?…あっホントだ!」

 

今思えば、最初から艤装不良の子達がまわされてたんだね

朝潮は右目失明、左手の欠損、主砲の装備不可、睦月は資材消費の増加、左足の麻痺、川内は主砲と水上機が使えなくて、瑞鳳は艦戦と艦攻以外装備出来ない

白露型で言えば、白露は左目の失明と左半身の微弱ではあるけど麻痺

時雨は対空値と索敵値、対潜値がゼロ

村雨は主砲と魚雷の装備不可

夕立は逆に主砲と魚雷しか装備出来ない

春雨ちゃんは駆逐艦の華型である夜戦が出来ない…あの暗闇で動き回ったりするのが怖くて動けなくなるらしいよ?てか艤装が停止しちゃう

ホント、大本営は私とこの子達をなんだと思ってるのさ

 




朝潮の失明は潰れている為であり、艤装不良ではありません。
その為、髪で片目隠しに…歴戦感がありますね


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21話 早瀬アンケート!(鎮守府内)

「それで、この最古参メンバーに集まってもらったのは、私のイメージ調査だよ」

「司令官様のイメージ…ですか?」

「そうそう、私の事を神様だとか思ってる子が多いとか聞いたからさ」

 

正直、川内と瑞鳳が1番気になってるんだよね

この2人は一応駆逐艦じゃないから

 

「早瀬さんが神様…多いっていうか、最古参以降のメンバーは全員だと思うよ?」

「そう、だから最古参メンバーを集めたんだよ。ここにいる春雨ちゃんとかに聞いたら、歳の近いお姉さんから親に昇格してたからね」

「へぇ〜」

 

この反応はどっちだ?

 

「って早瀬は仕事どうしたの?」

「あぁ、昨日出撃してたのは知ってるでしょ?それで夜戦まで行ったから、指揮する片手間に全部終わらせた」

「相変わらず仕事に集中はしないんだね」

「まあ、手こずる相手に会った事無いって言うのもあるんだけどね〜みんな優秀で助かるよ」

「早瀬だけだよ?私達の事を優秀だと思うのは、自分達でさえいろんな所が劣っていると思ってるからね〜」

 

そうなのかな?

前にも思ったけど、艤装不良の子達ってみんな特異な性能してるから、むしろ強いと思ってるんだけどなぁ?

視力が低下したり失明してる子は耳が異常に良いし、主砲が使えない子は逆に雷装値が異常に高いし

魚雷が使えなければ火力が高い、時雨みたいに補助系が全部ダメだと戦闘面でとてつもない働きをする

春雨ちゃんみたいなタイプだと、昼戦なら戦艦や正規空母より活躍するし

特に空母の装備不可系の子達が凄くて、搭載数が増えてるんだよね

しかも微量どころじゃないからね?

瑞鳳の本来の搭載数は57だけど、ここの瑞鳳は82…ね?強いしょ?

本当に正規空母並みの働きするから

 

「それで、朝潮は私の事をどう思ってるかな?」

「司令官様は…恐れながら…家族だと…」

「恐る必要は無いよ、私だってそんな特別な存在じゃないからね。艦娘の適正を持たないただの人間さ。だから、もう少し緩くね?」

「はい!」

 

朝潮は敬礼をしてビシッとする。

 

ダメだこりゃ…

 

「睦月はどお?」

「確かにみんなが言うように神様って感じは確かにあるけど、何よりもお母さんって感じがするかな〜睦月には両親がいないからさ〜」

「なるほどね…そう言うタイプもあるのか」

 

睦月は戦争孤児と言うよりも育児放棄による、捨て子

施設で育って、病気して病院に行って艦娘適正が判明して、艦娘に…

だったかな

 

「さて、問題の川内は?」

「問題ってなにさ〜いいけどさぁ。それで司令官のイメージだったね。司令官は私にとっては聖母的な感じかな?夜戦だ〜って騒いでも怒らないし」

「怒りはしないよ私は、それも君の持ち味だからね。ただ春雨ちゃんに絞め落とされるから気を付けなよ?」

「いやぁ〜夜に会う春雨ちゃんってホント怖い…」

 

そうなの?

私の所に来る辺り、めっちゃ可愛いと思うんだけどなぁ〜

て言うか、多分あれだよね?暗い所が怖い春雨ちゃんって夜中にいきなり川内が現れたら咄嗟に絞め落としてるんだと思うんだよね

ほら、ビックリしたらいきなり攻撃してくる子みたいな感じ

 

「さて、瑞鳳は?」

「お姉ちゃん!」

「うん、どストレート…理由聞いても良いかな?」

「早瀬は私を子供扱いするけどさ、なんかそれも心地いいと言うか…何となくお姉ちゃんって感じがする撫で方するからさ」

「いやね、小さくて可愛いからね」

「あと、身長にそんなに差がないから」

「おかしいよね?何でこんなに成長出来ないんだろうね?」

「早瀬はそのままで良いのよ?そのまま小さくて、元気でニコニコしていれば」

「うっせえロリコン」

「YesロリータNoタッチ…基本よね」

 

親友をロリ扱いするのはおかしいと思う

これでも身長120あるわ…あるよね?

 

「ロリコンは放っておいて、最古参メンバーはイメージもマチマチ…」

「呼んだのに僕達をスルーするのは酷いじゃないか」

「だって大体予想出来るんだもん…」

「夕立だけじゃないか」

「ぽい!?」

 

どうせ飼い主でしょ?知ったんだよ

時雨も飼い主でしょ?同じイヌ科だもんね

 

「一応聞くけど、時雨はどう思ってるの?」

「釈然としないけど…そうだねぇ。司令官はやっぱりお母さんかな…最近本気で怒られてますますそう思ったよ」

「理由は」

「完全に僕が悪かったし犯罪行為だから、大本営に引き渡される可能性だってあった訳だけど、司令官は私を怒って罰を与えてそれで許してくれたからね。あれは千夏へのプレゼントだったんだろう?本当に最低な事をしたと思っているよ…」

 

みんなが親みたいって言うから、その例えで言うけど

自分の子供のイタズラが極論犯罪になるからって警察に突き出す?普通

例えば、娘が自分の化粧品を勝手に使ってしまったからって警察に突き出す?突き出さないでしょ?そう言う事だよ

 

「一応夕立にも聞くけど…どお?」

「飼い主っぽい!」

「だろうね」

 

いつぞやに私の犬になりたいとか何とか言ってたし

いやぁ…冗談の範疇でワンコ扱いするのは良いけどさ、ガチで私の犬になろうとするのはね…

真面目な話、夕立は私にとって姪っ子くらいの感覚なんだよね…存在しないけど姪っ子

 

「理由は?」

「提督さんはお散歩に付き合ってくれたり、おやつをくれたりするからっぽい!」

 

犬みたいな感じに聞こえるけど、実際は夜間警備をしている夕立が、本当にお仕事してるのか気になってついて行ったり、連れ出されたりしてるだけだし

おやつをあげてるって言うのも、私が暇で作ったお菓子の処理を、手伝ってもらってただけなんだけどなぁ…

 

「聞いてみた感じ…意外と家族的な感じなんだね…まぁ…それなら良いかな」

「早瀬は神様扱いがイヤなの?」

「イヤでは無いけど、私はそんな大層な者じゃないんだよ。実際、私の戦略や戦法は相手からしたら最悪の一言だし、何よりも私って性格悪いでしょ?」

「早瀬は性格が悪いって言うか、何があっても勝とうとするから、早瀬なりに1番勝てる方法を選んでたり、選ばせたりしてるからでしょ?私は知ってるんだよ?早瀬って案外鎮守府で動物飼ってない?」

「いや〜知らないな〜」

「ぽい!ぽいぽい!」

「人間の言語を話そうよ」

 

鎮守府で飼ってるって言うよりも、迷い込んだ猫とかと遊んでるだけなんだけどなぁ

全部野良だし、ここにとどまっている訳じゃないから、飼ってるとは違うと思う…

て言うか、仮に飼ってたとして性格が悪くない理由にはならなくない?

相手を追い詰めて行動を摘ませるやり方をするってだけで性格悪そうな印象を受けると思うんだけど?

 

「この調子だと、鎮守府全体ではどう思われてるんだか…」

「神様じゃない?」

「私を頼りにしてくれるのは、良いんだけどさ?依存傾向はいかんと思うよ」

「その辺は大丈夫だと思うよ?ちゃんとそこは理解してるから」

「なら良いや」

「良いの!?」

 

私だって神様って呼ばれて嬉しくない訳じゃないしね

私が懸念していた、私への依存を避けたかっただけなんだよ

依存され過ぎると、私が自分の命を駒に使えなくなっちゃうからね

せっかく最強の駒があるのに使えないなんて勿体無いでしょ?

 

「せっかくだし、鎮守府アンケートでも作って廊下に目安箱みたいな感じで設置しようかな」

「早瀬が設置するものだったら投票率100%になるだろうなぁ。規模が違うとは言え、議員選挙以上の投票率だね」

「ホント、私は同性にしか好感を得られないなぁ…」

「同性しかここにいないからね」

 

はぁ…別にモテたい訳じゃないけど

同性にモテ過ぎるのもどうかと思うんだよ…この場合モテるとも違う気がするけどね

信仰だし

 

「それじゃ、投票箱作るからさ、集計は手伝ってね。白露」

「あれ〜私だけ〜」

「白露はこの鎮守府随一のネタキャラだからね」

「私もみんなと同じで万全なタイプじゃないんだけどなぁ〜」

「発言のせいだね。私の夫発言がそれを助長している…それがイヤなら控える事だよ」

「だが、断る!」

「じゃあネタキャラとして頑張れ」

「仕方あるまい…」

 

早瀬は艦娘達がそれぞれの部屋に行ったり、遊び行ってから目安箱と答案用紙を作り、食堂の掲示板にその報告を書き、1週間まつ事にした。

 

「お母さんって本当にお母さんだったんだね」

「みたいだね、私ってお母さんって言う歳でも無いよね?」

「精神的だから良いと思うよ?鳳翔さんもそうでしょ?」

「確かに」

 

鳳翔さんって確かそんなに歳行って無いはず…

チラッと聞いたけど、確か私と大して変わらなかったはず

聞いてみようかな…

さてと…千夏ちゃんを愛でるとしようか

1週間は待たないといけないし、鈴谷が秘書艦になるけど

そんな事は知らぬ、千夏ちゃん最強なんじゃい

 

早瀬は千夏を膝に乗せて、とりあえず撫でる。

 

「お母さんは撫でるの好きだね」

「まあ他にやる事無いし、私がやりたいだけだから」

「私は結構これ好き…」

 

ほのぼの空間なんじゃぁぁ…

 

千夏を早瀬が撫でる光景を見て、陸奥が部屋の隅で悶えるのだった。

 

あの変態はどうしたのかな

今日はあの変態が秘書艦なのになぁ〜

仕事が終わってるからやる事無いのは分かるけどさ、写真撮ろうとするのはやめなさい…私が今何も出来ないのを良い事に…

とでも言うと思ったか馬鹿め!

 

早瀬は千夏を撫でている手とは逆の手でペンを掴み、陸奥が写真を撮ろうとした瞬間にカメラのレンズに投げ付け、カメラを破壊する。

 

「写真は撮らせん」

「なんでよ!良いじゃない!」

「私の情報を残すという事は今後弱点を増やす事に繋がる、いつどこから情報が漏れるか分からないし」

「警戒し過ぎよ!ロリッ…じゃない似た者親子の写真とか良いじゃない」

 

コイツ…ロリッ子家族って言おうとしたな?

千夏ちゃんはともかく、私はお前と同い年だぞ?

前にも思ったけど同い年をロリッ子認定するのは頭おかしいだろ

 

「行っておくが…私はロリじゃない!合法ロリだ!」

「お母さん、そこじゃない」

「いやね…もうね諦めたんだよ。何年経っても私の事をロリッ子扱いしやがる、このど変態が悪い」

 

18越えれば合法…実際はただのチビだ…ふっ…クソが

 



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22話 たった1つのシンプルな答えだ…テメェは私を怒らせた

「早瀬さん、その書類取ってぇ」

「はいよ」

 

今現在、鈴谷と仕事中…なんだけどさ

実はもう仕事自体はもう終わってるんだよね

だから、今やってるのは鈴谷提案による、仕事ごっこ

鈴谷に渡した書類はスケッチブックだよ

 

「…ねぇ、これ楽しい?」

「…飽きた」

「だよね」

「もう!早瀬さん仕事早過ぎたすぐ終わっちゃったから仕事全然出来なかったよ!」

「仕事したいとは…この社畜め」

「早瀬さんとお仕事がしたいんですぅ〜」

 

何だコイツ…

私は仕事に集中とかしたくないんですけど

う〜ん、かと言ってやる事も無いんだけどなぁ…

目安箱……もう全員投書したかなぁ…まさかだよね

まだ設置から2日目くらいしか経ってないんだよ…これで全員入ってたら狂気だよ…

 

「鈴谷ぁ〜やる事無いね〜」

「目安箱見に行こうとよ」

「まだ全員投書して無いでしょ…」

「そのパソコンで投票見れるんでしょ?」

「そうだけどさ〜仕方ないか…」

 

早瀬は一応、現在の投票率をパソコンで確認する。

予め、目安箱の投票口に用紙が通過すると、カウントされるようにしてあった。

そして、パソコンの画面には既に100%の文字が表示されていた…。

 

ここの子達の投票スピードが早過ぎる…

 

「鈴谷…うちの子達って暇なの?」

「忠誠心の為せる業だよね」

「てか鈴谷はいつ投書したのさ」

「来る前だよ?ついでに用紙には昨日の夜書いたよ」

「クソ…こんな時に白露がいねぇ…何故だ」

「逃げたね」

 

はぁ…自分で提案しておいて何だけど

私の鎮守府の艦娘ってかなりいるんだけど…余裕で100オーバーなんだけど…

可哀想だとは思わんのか、鎮守府たらい回しとか

この人で無し!

 

「さあ、集計手伝ってもらうぞ鈴谷ぁぁ…」

「ちょっと待ってね、熊野と三隈と球磨さんと筑摩さん呼ぶから」

「君の交友関係は何でアニマルしかいないんだい?てか全部熊だし」

「卯月ちゃんとか雪風ちゃんもいるけど、こう言うの向いてなさそうだしさ」

「結局動物系じゃないか」

 

夕立とかも動物系の艦娘だけど、意外と書類仕事出来るんだよねあの子

着任してから1週間の間しか秘書艦じゃなかったけど、白露より仕事出来たよあの子

 

「まあ良いけど、これが早く終わるなら何でも」

「じゃあ呼ぶね」

 

鈴谷は執務室の窓の方に歩いて行き、立ち止まる。

 

…何やってるん?

 

すると、鈴谷は窓を開けて大きく息を吸って、熊野達の名前を叫ぶ…。

 

いやホント何やってるん?アホなの?

…って言うほどアホでも無いんだよなぁ…あのメンバーの共通点は何も熊系ってだけじゃない

全員が艤装不良で視覚に異常が出た子達…だから、聴覚が逆に強化されてめちゃくちゃ耳が良い

そんな訳でここから名前を叫ぶだけで、鎮守府の敷地内どころか、敷地外でもある程度聞こえている…と思う

正直な話、めちゃくちゃ耳が良いのは知ってるんだけど、体感した事がある訳じゃないから、どのくらい聞こえているのか分からない

私の予想よりも耳が良いかも知れないし、もう少し普通に近いかも知れない…普通は無いな

 

「聞こえてはいるだろうけどさ?来るの?」

「来る来る、絶対に来るよ」

「随分と自身あるね」

「発信源がここだからね」

 

ん〜?

発信源?今発信源って言った?

えっ?あの子達ってそんなに耳良いの?マジで?

 

それから数分が経過すると、鈴谷が呼んだ球磨達が全員集まった。

 

「呼んだクマ?」

「うん…呼んだっちゃあ呼んだけど…今のでよく聞こえたね君たち」

「球磨達は耳が良いクマ、どこにいても聞き逃さないクマ」

「それで…この投書の集計を手伝って欲しいんだよ…」

「鎮守府に関する事のアンケートってやつクマ?」

「そうそう、私に対する要望、鎮守府に作って欲しい施設とか色々選択肢作ったから、結構バラけると思うんだよね。だから手伝って欲しいんだよ」

「任せるクマ!」

 

うん…やっぱりこのグループの長は球磨か…

…何か忘れてるような

何だったかなぁ…結構大事な事だったような?職業的に大事な事だったはず…

 

早瀬と艦娘達はそこそこ多い投書を整理していき、その分け方は早瀬が設定した3枠、早瀬に求める事、鎮守府に求める事、苦情のどれか一つに記入させると言うモノだった為、どの枠に記入したかで分ける事にした。

 

「…これ、球磨達は必要だったクマ?」

「う〜ん、正直な話、ここまで偏るとは思わなかったよ…」

 

まさか100%私に求める事になるなんて思わなかったよ…

ここまでの流れで、そこそこ私に求める事が増えるとは思ってたけどさ

100%…ここの子達…マジだ

 

「て言うか、球磨達もここに入れてるじゃん」

「仕方ないクマ、この鎮守府の重要度を考えると絶対にこうなるクマ」

「そうですわ、ここの鎮守府の艦娘はみんな、貴女の事が最優先なだけに、求める事もあるのですわ」

「そうだねぇ早瀬さんって、あんまり執務室から出てこないからね〜」

 

だって私は駆逐艦と軽巡の半分くらいとしかまともに話せないからさぁ…

着任時とかはかなり頑張って話をしたりしてたけど、やっぱり怖いんだよね…みんなむっちゃんくらい喋りやすければ良いんだけど、加賀とか考えている事は分かるんだけど、考えている事の割に表情が変わらないからさぁ…

まあ、私がこんな事思ってるなんて、誰も分からないだろうけどね

演技は大得意だから…演技は偽物の情報を周りに与える行為だから頑張ってマスターして表情にも出さないようにも出来るけど、流石に私が楽しくないからあんまりやらない

ただ、怖がるのは可哀想だから絶対にやるけどね

 

「はぁ…苦手克服か」

「あれ?早瀬さんに苦手なんかあったの?」

「あるよそりゃあ…私だって人間だし、苦手もあれば嫌いな事もある、怒りもするし泣き…泣く?」

 

あれ?私の記憶の中に泣いた記憶が無い…

あれあれ?こんな所でおかしな点が出て来てしまったぞ?

 

「早瀬さんの涙かぁ…見てみたい気もするけど…早瀬さんが泣くような状況にはしたく無いなぁ」

「私が泣く…か…私を泣かせる事が出来るとしたら、私が君達を殺してしまった時…かな」

「それじゃあ、一生来ないクマね」

「凄い自信だね」

「早瀬が私達を殺す事なんか無いクマ」

「根拠無しかい…まあ無いけどね。戦場では死亡は愚か怪我すらさせないからね」

「捨て艦作戦とかやらされたら私達は死んじゃうね」

 

捨て艦作戦なんか絶対にやらねぇ

あんな非効率的な方法をする奴の気が知れないよ

ん?捨て艦…捨て艦?あっ!

今日って大本営で会議あるじゃん!

 

「鈴谷!今から大本営に行くよ!会議ある!」

「間に合うの?」

「間に合うよ?ただ、早めに行きたいんだよ」

「そっかじゃあ行こうか」

 

早瀬は出撃ドックに向かい、鈴谷に艤装を展開させる。

 

「なんで艤装なの?船とかで行けば良いのに」

「だって遅いもん」

「島風ちゃんみたいな事を言ってるじゃん…って早瀬さんはどうするのさ」

「そりゃ勿論…」

 

早瀬は鈴谷を屈ませて、肩に乗る。

その結果、鈴谷に肩車をしてもらう感じになる。

 

「おおこれは…」

「さあ出撃だ!」

「鈴谷、いっくよー♪」

 

早瀬は鈴谷に肩車されて、大本営までの道を進む。

 

前に他の鎮守府に行った時は姫に頼んでイ級で移動してみたけど、やっぱりこっちの方が良いなぁ

固くないからね

あと、気を使ってくれてるのか、あんまり水がとばないように滑走してくれてるし

にしても、白露って今日どこに行ったんだろう?

いつもは秘書艦になろうとしなくても、執務室には来るから、大抵はいるんだけどなぁ?

姉妹達と出掛けてるのか?いや、外出届はもらって無いから違うか

妖精さんの視界から探すか?

 

早瀬は妖精さんと視界を共有し、白露を探す。

そして、発見した。

 

ここは…白露の部屋かな?

でも暗いなぁ…白露の声は聞こえるからいるのは確かなんだけど…

 

『待って!それはシャレにならないから!』

『うふふふ…大丈夫よ。白露姉さんは頑丈だもの』

『いやいやいやいや!それペンチでしょ!何するつもりさ!』

『あら、見えないのにどうして分かるのかしら?』

『そんなカチカチ音が鳴る物なんか他に無いでしょ!ちょっ…待っ…いやぁぁぁぁ!!』

 

何も…見なかったZE☆

なんか村雨が覚醒してなかったかな?ふむふむ

とうとう、白露への執着が限界に達したか…まあ本人が楽しいならそれで良いかな…

相手が白露じゃなかったら…村雨も分かってるはずだよね

 

「早瀬さん?どうしたの?」

「いや、何でもないよ。村雨が危ない綱渡りをしてただけ」

「へぇ〜村雨ちゃんってあの白露にずっとついて歩いてるツインテールの子だよね?」

「そうそう」

 

隠れ寂しがり屋でドSの村雨にとって、白露は唯一の肉親だから懐いているのは当然、だけど愛情表現は加虐趣味からくる痛み…

迷惑極まりないね、村雨は賢い子だから本気で嫌がっていれば、やめると思うから、白露も多分本気で嫌がってはいない…と言うよりは、なかなか欲を見せない村雨の唯一の欲求だから受け入れてると言うべきかな?

まあどちらにしても、村雨は白露と一緒にいられて幸せだろうさ

 

「そう言えば、今日って白露もいなかったけど、陸奥さんもいなかったよね?」

「あぁ…むっちゃんは長門とショッピングだよ。何でも長門の私服が絶望的にダサいらしいよ?私も駆逐艦って書かれたTシャツを着てるのを妖精さんの視界から見たことあるし」

「そんなTシャツあるんだ…作ったのかな?」

「多分ね」

 

あの姉妹はロリコン姉妹だからなぁ…むっちゃんはお菓子やらで駆逐艦に人気があるけど、長門は単純に気難しそうって言うのと、お菓子とか作れる訳じゃないから、人気が無い…むしろ賢い子からはキモがられてる

作戦中は凛々しいんだけどなぁ…あと、私を見る目もキモい…

それをむっちゃんが見つけて、引きずってどこかに行くのもお約束だよ

 

「そろそろ着くよ、早瀬さん」

「はぁ…会議出たくねぇ…」

「海軍に所属してる以上、仕方ないよ」

「また脱出してやろうか…」

「う〜ん…早瀬さんのやりたいようにしてもらった方が良いんだけど、私は寂しいかな…」

「冗談だよ…帰って来て、みんながホッとしたような顔が一瞬見えたからね」

 

脱出はしないのは、今の私の目的が元帥の座だからね

全く…優秀過ぎると脱走兵でも、司令長官に戻れるんだね

完全に元帥の職権乱用だけどね

そして、元帥は思いもしないだろうね、自分が職権乱用してまで戻した人材にその座を奪われるなんてね

 

早瀬と鈴谷は大本営の建物に入って行く。

 

はぁ…前回の会議っていつだったっけ…

何回か面倒過ぎて会議の議題を会議前に解決させて、大本営に提出して、会議を潰してたから…もう2年くらい会議になんか出てないなぁ…

 

早瀬は会議室に入り、席に着き座席を反転させる。

鈴谷は早瀬の後ろに立っていたので、早瀬は鈴谷の方を見る形になる。

 

「ねぇ鈴谷、この帽子被ってここに座っててくれない?」

「ちゃんと会議に出ないとダメだよ?あと、体格でバレちゃうじゃん」

「そうなんだよね〜」

 

ボディラインと身長がまるで違うからなぁ…

 

その時、どこかの鎮守府の提督が会議に入ってくる。

 

「何で子供がこんな所にいるんだ?それに、その艦娘は…」

「て、提督さん、あの人は…」

「ここは大人として、しっかり注意しないといけないね」

 

そうして、その提督は早瀬に向かって歩いて来る。

 

「君、ここは遊び場じゃないよ」

「遊びに来た訳じゃない」

「それでも、今から会議があるんだ、だから親御さんの所に行きなさい」

 

コイツ…自分の直属の上司の事も知らんのか

はぁ…こればっかりは私も悪いか…2年も参加してなかったしね

顔を知られていないのも無理は無いか

 

「て、提督さん!その人は他鎮守府の司令官です…」

「何?…では、その艦娘は君の指揮で…」

「そんな訳無いでしょ!早瀬さんの指揮は完璧なんだから!」

「いや鈴谷がキレるんか〜い…侮辱されたの私なんだけどなぁ…怒るタイミング逃したし」

「では、何故そんな事になっている!その子供の指揮に不備があったからでは無いか!」

 

まさか…コイツ新人か?

艦娘の選定条件を知らないのか?艦娘とは民間人にその適正があれば、どんな者であろうと強制的に艦娘にされる

そして、それが怪我人だろうが病弱な人だろうと関係無い

艦娘に成れば、艦娘になってからの怪我は入渠で完治するし、病弱な人も艦娘にしてしまえば、ある程度は戦えるから、本人の意思を無視して艦娘にする

海軍の闇の部分に他ならない

だから、コイツは艦娘の出来方を知らない、建造も艤装を作ってるだけで、艦娘本人は民間人から引っ張って来た者達だと言う事も知らないんだろうな

 

「はぁ…鈴谷」

「うぅ…だって」

「ここは寛容にならないといけない所だよ。この人は海軍がどんな所か知らない新人なんだから」

「確かに私は新人だが、そんな無茶な指揮はしない!」

 

まだそんな事言ってたのか

 

鈴谷とその提督が口論になっている所に、元帥やほかの大将や新人がが部屋に入ってくる。

早瀬は元帥に目線を向ける。

 

「あっ…」

 

あっ…じゃねぇよ

どうせコイツ雇ったのもお前だろうが

 

その間も鈴谷と提督の口論は続きお互いに、ヒートアップして来ていた。

 

「そもそも!何でそんな状態で艦娘を続けている!足手纏…」

 

その瞬間、その場の空気が凍り付く。

 

「なぁ…何て言おうとした…言ってみろよ」

「あ、いや…」

 

そしてどんどん場の空気は、重く、冷たく、肌を刺すような感覚に苛まれる…。

 

「なぁ…言ってみろっつってんだよ」

「あ、足手纏いに…しか…」

「おい元帥、殉職者1名だ」

「なっ!?」

「ま、待ちたまえ!」

「あ?こんなボンクラを採用したテメェの不手際だろうが…」

「ボンクラだと…」

「提督さん!その人は司令長官様だよ!」

「何!?」

 

コイツの秘書艦は知ってるんだな

全く、艦娘より上司やらの事を知らないとは、海軍も終わってるな

 

「まあ何にせよ、コイツはクビにするぞ」

「それは…そこを何とかならんか」

「…そうだなぁ…元帥に言われたからには、何とかしてやらなくも無いが…そうだ、コイツはうちの鈴谷が足手纏いになると言ったな。ならば、演習で私に勝つ事が出来ればクビは無かった事にしてやろう。当然私は鈴谷1人だ」

「なっ!?」

「仕方あるまい…君、万全の準備をして早瀬くんと演習をした前…そして、後悔すると良い」

「私とて提督、艦娘1人には負けませんよ!」

 

そう言うのを慢心って言うんだよ

そもそも、新人と言う時点で練度は最下層だし、まともな指揮能力があるはずもない

6対1だろうが、指揮と練度で圧倒的格上である私に勝てるわけが無いだろうが

だから、この演習は元帥なりの見せしめ、練度だけ、指揮だけではどうにもならない壁がある事を見せつける為のデモンストレーション

 

早瀬と提督は演習場に向かい、お互いの出撃ドックに向かう。

 

「…」

「何で黙りこくってんのさ」

「早瀬さんが怒ってるの始めてみた…めっちゃ怖かった…死ぬかと思った…」

「ふっ…私だって怒ることはあるって言ったでしょ?」

「そうだけど…」

「それに、今回の事は何も鈴谷だけの事じゃない。私の鎮守府にいるみんなに当てはまる事だ…私にとって許してはならない事なんだよ、これは」

「うん…」

「さあ、鈴谷の力を見せつけてやろう。蹂躙だ」

 

そうして演習は開始される。



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23話 鎮守府最強

さあ、テメェが足手纏いだと判断した子が、がどれほどの存在だったか思い知らせてやるよ

今回ばかりは手加減も遊びも無しだ…本気で相手してやるよ雑魚が

 

「鈴谷、敵艦隊にそこまま突っ込んで、正面から通り抜けて。最高速なら正面からでも抜けられるから」

『?まあ良いや』

 

相手の編成は秘書艦だった夕立を主軸に、赤城と加賀で制空権を取って金剛が火力を出し、時雨と夕立、島風で夜戦でも火力を出せるようにする編成…

新人らしいな…だからこそ、扱い易い

 

『あれ?凄い避けやすいよ??』

 

そう、相手の陣形が複縦陣のせいで、正面から来る最高速度の鈴谷を斜めに狙うしかなくなる

しかも、単騎運用だから狙いが一点に集中するから、尚更避けやすいし間を抜ける事で味方同士の誤射を狙う事が出来るし、そうでなくてもおいそれと撃てなくなる

そして、そこまで接近されれば正規空母は機能出来ず…赤城、加賀の弓タイプだと速射で鈴谷に勝てない

 

「後列の赤城、加賀と並んだ瞬間に反転して、赤城と加賀に艦載機を飛ばして爆撃、即回収」

『りょ〜かい!』

 

コイツは陣形やら艦種にこだわり過ぎている、確かに戦艦や正規空母は優秀だろう

だけど、使い所がまるでなってない

単騎運用を相手に正規空母や戦艦を選択することが既に愚行なんだよ

何故なら、どちらも遠距離タイプの艦種、遠距離で戦えばかなり強いだろうさ

でも、近距離となると途端に弱くなる

 

『直撃確認したよ!』

 

これであの2人は中破して、艦載機は使えない

 

「それじゃあ、艦爆を上空に飛ばして、10分したら爆撃開始されるようにして」

『了解だよ』

 

鈴谷は上空に艦爆を飛ばし、艦載機はどんどんと空高く登って行く。

 

さて、トドメの準備は整ったし、後は盤面を操作して綺麗に片付けるだけ…

 

「それじゃあ、次は金剛を片付けるよ」

『それはわかったけど、どうやって?戦艦だし固いと思うよ?』

「問題無い、離れ過ぎないようにスピードをあの艦隊に合わせて、それから急ブレーキからの艦載機を全機発艦させて金剛を集中攻撃」

 

鈴谷は早瀬の言う通り、一度敵艦隊とスピードを合わせて急ブレーキをかける。

すると、鈴谷を狙った砲弾は的外れな方向に飛んでいき、全員が隙だらけの状態になる。

 

戦艦だろうが、駆逐艦だろうが普通は1発撃ったら後隙が出来る

そして、相手の装備が見た限り駆逐艦が主砲1と魚雷2だから、1番早く撃てる駆逐艦が連射できなくなってる

春雨ちゃんは、二丁持ちして後隙を埋めるように連射してるから、主砲が2つないと連射は不可能

だから、鈴谷はそこそこの時間完全に自由に行動できる

そこで全機発艦と言う1番時間がかかるけど、1番ダメージを出せる攻撃をする

ここで空母組を先に潰したおかげで、艦載機をほとんど落とされずに金剛を狙える

 

「どう?」

『やったよ♪大破轟沈判定♪』

「よくやったね、次はまともに艦載機を使えなくなった空母を仕留めちゃおうか」

『楽勝だねぇ♪』

 

向こうはどう思ってるのか知らないけど、私がやってるのは戦略ゲームのような作戦を立てて、その通りにやる訳じゃない

格闘ゲーム感覚なんだよ、後隙を狙い一度目の攻撃から次の攻撃に繋げてコンボして艦隊を破壊して行く

単騎運用ならこの方が圧倒的に勝ち易い、まあ相手の指揮レベルと練度が最下層レベルだからって事もあるけどね

 

鈴谷は金剛を全機発艦させた艦載機達を今度は赤城と加賀に向かわせ、この2隻を大破轟沈判定にする。

 

「さて、鈴谷右舷60°に全速力」

『そっちには何も無いよ?』

「良いから良いから、鈴谷はその方向に進むだけで良いからさ」

『んん??まあいっか早瀬さんの作戦だし』

 

早瀬はヘッドホンを外し、予め持ってきておいたお菓子を食べ始める。

 

もっと甘い方が良かったかも…ちょっと物足りない…

 

その時、演習場で爆発が起こり、敵艦隊が壊滅する。

それは、10分前に上空に発艦させた艦爆から落とされた爆撃であった。

 

終わったか…まぁ…相手を摘ませる戦い方は、あくまで私の趣味

本気で倒すなら、そんな無駄な事はしない

面白味に欠けるからあんまりやりたくないんだけどね、ただの作業になっちゃうからさ

 

「さて…元帥、答えは決まったな」

「これも仕方あるまい…」

「そ、そんな…」

「今回の事は、完全に君に非がある…仕方のない事だよ」

「待って欲しい…です!提督さんはちょっとお馬鹿なだけっぽい!」

 

矯正してたのにもどっちゃってるじゃねぇか…

 

「しかしなぁ…」

「良いよ、今回の事は水に流してやるよ」

「良いのか」

 

この子が必死に助けようとするなら、悪い人間ではないんだろうからね

それでもしも、ブラック鎮守府に走るなら…金属製の牛に閉じ込めて、肉まんにしてやる

 

「ああ、今回はその子に免じてね…次は無いけどね」

「よ、良かったっぽいぃぃ…」

「君はやはり艦娘に甘いな」

「うっせぇよ洗濯板」

「デコボコではないか!?」

「凹凸が出来て良かったね」

「ぐぬぬ」

 

まな板から昇格したと思うよ

 

「夕立…あの人は本当に司令長官なのか?元帥が全く反論しないし怒りもしないぞ…」

「司令長官は歴代最高の指揮能力を持つ方っぽい…元帥よりも強いっぽい」

「何で夕立はそんな事を知っているのだ?」

「知らない方がおかしいっぽい…過去1度たりとも敗北どころか、損傷すら無いっぽい…最早伝説っぽい」

「そんな方だったのか…」

「あと…何人も存在ごと消されたって噂があるっぽい」

 

んんん???

何人も存在ごと消された??

誰だそんな噂を流したのは…まるで私が裏の世界の住人のような言い草じゃないかぁぁ…

 

「はぁ…会議の議題…何だったかな元帥」

「どうせ忘れていたのだろう君は」

「そうだよ、あんまり興味無いからね」

「やはり面白い性格をしている……会議の議題は次の元帥の事だ」

 

へぇ〜世代交代ねぇ〜

アンタ何年元帥やってたのさ…私が着任した時点で元帥だったよね?

アンタ何歳なんだよ…

 

「そこでだ、次の元帥はその力で決める……としたかったのだが…普通にやれば君がなるのは確定なんだよね…」

「そのまま勝ってもつまらないから、手加減してあげるよ〜」

「我々を舐めているのか!」

「当然」

 

実力主義の元帥の部下って事は元帥よりも弱いって事だよ?

私に勝てる訳が無いじゃん

実際、私以外で元帥に勝った人間がいないらしいからね

とりあえず、1週間以上先にして欲しい…雑魚戦何回もやるのって面倒だし

 

「貴様ぁ…」

「まあ手加減の私に勝てると良いね。それじゃ元帥、私は帰るよ」

「君は会議が何か分かってるのかね…」

「下らない話し合いでしょ?私はどうでも良いんだよ」

 

早瀬はそう言って鎮守府に帰ろうとする。

 

「早瀬さん、手加減なんかして良いの?」

「いいのいいの、私が相手と同じ6対6でやって負けるとかまず無いからね…私とまともに戦えるなら、あの元帥の下な訳がないんだよ」

 

あぁ…どんな手加減しよう?艦数を減らすか?

いや、それじゃあ普通過ぎる

う〜ん…何かの統一編成とか面白いかな?それはそれでどんな統一編成が良いだろうか…

白露型統一が良いかもって思ったけど、そんな事するくらいなら、春雨ちゃんで弾薬6発縛りとかの方が面白味があるから却下…

陽炎型縛り…これも春雨ちゃんみたいに、やたらと強い3番艦ちゃんがいるから却下

以外に狙って手加減するのは難しいなぁ…いや、手加減と言うか手加減とエンターテインメントを同時並行する事が難しい…

あっ!良い事思い付いた!見た目じゃ分からないけど、遠距離攻撃が使えない縛りをしよう!

うちの鎮守府には、村雨以外にも、主砲も魚雷も機雷も機銃も使えないと言う艦娘としては致命的に見える子が何人かいる

突然村雨は選出確定…そしてエンターテイメントの伝道師である陽炎型最強の3番艦ちゃんも選出確定にしようか

あとは……正直な話、半分ガチ編成になるんだよね…

確かに誰一人として艤装の武器を使えない……だけど、全部使えないからこそ、火力、雷装、対潜、対空のステータス以外の全てのステータスが爆上がりしてるんだよね…

具体的には耐久、装甲、回避、索敵、運…そして物理攻撃と言う謎ステータスが約4倍くらいになってる

だから硬い当たらない、どこいてもバレる、しかし何も出来ないなんて子達、それがデータ上の彼女達

物理攻撃はデータに表記されないし、普通艦娘に接近攻撃させる司令官は無能…だけど、物理攻撃と機動力が高いなら、殴りに行った方が強い

だから、私はそんな子達で遊ぶ

強いのに使ってあげられて無い子達だし

 

「手加減決まった?」

「うん、主砲、魚雷、機雷、機銃…全ての攻撃艤装を使わずに倒す」

「それってうちの鎮守府では、手加減にならなくない?」

「向こうからしたら、舐められてるとしか思えないから良いの」

「それもそうだけどさ?村雨ちゃんと黒潮ちゃんだけで全部倒せそうなのに、6隻も使うの?」

「6人使うと、戦隊モノみたいでカッコいいから」

「理由が早瀬さんらしいね」

「たださあ…鈴谷も知ってると思うけど、この艤装不良ってめちゃくちゃレアな艤装不良なんだよね…」

「そうだね、うちにもあんまりいな……6人ピッタリじゃない?」

「そう、これ今思ったけど、手加減どころか虐殺になる」

 

ただ、これ以上に相手を煽れて面白い編成が今回ばかりは無い……無いんだけどなぁ…

いやさ、村雨や黒潮よりも異常に尖った性能をしてる子が1人だけいるんだよね…

その子はハタから見れば、本当に運が悪くて可哀想な子だけど

私から見れば、その子が戦い易い環境さえ作ってしまえば、うちの鎮守府で最強…

攻撃艤装が全て使えず、生まれつき聴力が無く、当然そんな事になってるから運はゼロ

ただし…素殴りが高く視力が良すぎる、今日球磨達の例からして、視力の範囲は電探なんかよりも広いと思う、ここまで聞けばめちゃくちゃ強そうでしょ?

だけど、この子の素晴らしい所はそんな戦闘面では無い!

生まれつき耳が聞こえないって事は喋る事が出来ない、正確には喋る事が困難なんだよ

だから、物静かでずっとこっちを見つめてくるし、無言で付いてくる

それが非常に可愛いのだ!

正直な話、何故か鎮守府での遭遇率が低いのが残念なほど可愛い

私の趣味でしかないんだけどさ?喋らないけど人懐っこい子とか非常に良いと思うんだよ

まあ、喋らないだけで意思疎通は出来るんだけどね

 

「…早瀬さん、あの子も出すの?」

「出てくれるならね」

「出ると思うよ…」

「あの子に関しては私が一方的に可愛がってるだけだから、どう思われているのか分からないんだよね」

「早瀬さんが自主的に構ってるのって、あの子と千夏ちゃんだけじゃない?鈴谷は寂しいな〜」

「構って欲しいの?ならば褒めてやろう!今日の演習、割と無茶な指揮をしたのに、よく無傷で勝利してくれたね」

 

早瀬は肩車された状態で、鈴谷の頭を撫でくりまわす。

 

鈴谷の髪ってツヤツヤやね?とりーとめんと?

その辺は全部むっちゃんがやってくれてるから分からないんだよなぁ…

全部任せてるのってやっぱりダメかな?

でも、自分でやろうとしたら、むっちゃんが断固拒否して来やがるから自分で出来ないんだよ

むっちゃんは親友を何だと思ってるんだろうね?同い年だし、上司なのにやたらと私の事を子供扱いする

遠回しに若いアピールか?まぁ、どうせいつもの奇行だろうけどね



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24話 早瀬の正体

早瀬と鈴谷は鎮守府に到着し、元帥の座に就く為の演習について、食堂の掲示板に書く。

 

さあ、この子達が足手纏いでは無いと言う事を完璧に、文句のつけようも無いほど完璧に証明してやろう…

賢い人間は今日の演習で鈴谷が普通に強いと言う事が分かったはず

でも、それを感じ取る事が出来ない圧倒的に格下には私の指揮だの運だのと文句をつけたがる

だからこそ、次の演習では彼女達自身の力が最も目立つ方法で勝つ

勿論戦略とかちゃんと私も仕事するけど、ハタから見たら戦略を立てているように見えない様にするよ

 

「ねぇ早瀬、本当にあの子を使うの?耳が聞こえないのに、いつもどうやって指示をしていたのよ…」

「それは、むっちゃんにも教えられないなぁ」

「そうよね…いつも教えてくれないものね」

「それじゃあ鈴谷には教えてくれる?」

「教えない」

 

教えるはずが無い

これは私が海軍に引き込まれた理由でもあるんだから

そして、私とあの子との唯一の秘密だからね

秘密の共有…なんか良いでしょ?

 

「そんな事よりさ、むっちゃんは今日、長門とショッピングじゃなかったの?」

「ちゃんと行ってきたわよ?そもそも、私と長門が出かけたから、何時間経ってると思ってるのよ」

「確かに」

 

むっちゃんの外出届は始業とほぼ同時で、今は3時くらい…割と長くない?

約7時間もショッピングしてたの?何をそんなに買って……いや、待てよ?

給料出して無いよね?どうやってショッピングしてたんだ!?

 

「どうやってショッピングしてたん…」

「私と長門は売り手よ?」

「あっそ…ショッピングさせてた訳か」

「そうよ、お小遣い稼ぎね」

「言ってくれれば給料だすよ?」

「良いのよ、元々艦娘に給料なんて制度無いもの。そうなると、その給料は早瀬のポケットマネーから支払われる、そんなのここの艦娘は望まないわ」

 

そんなものかねぇ〜

私は別に良いんだけどなぁ〜まあ、自己申告しないと出さないけどね

もっと私を頼って良いのよ?

3番目のケッコン艦を思い出させるセリフだなぁ

あの子とは思考とかが割と似てるけど、致命的に相性が良くないと思うんだよ

前にも思ったけど、どっちも頼られたい派だからね

 

「さてと」

「あら?どこに行くのかしら?」

「人探し」

「あぁ…あの子は運が無いものね…運悪く道に迷ったり、運悪く早瀬から遠ざかって行く」

「そうなんだよね〜こっちから探しに行っても、大抵遭遇出来ないからさ、探さないとほぼ確実に遭遇出来ない…私の運の見せ所よ!」

「運であの子に勝てるわけ無いじゃない…」

 

 

どうやって探そうか?追い込み漁みたいな感じでしらみつぶしに探せば会えそうかな?

これは運とか関係無いし

 

早瀬は執務室から出る。

 

「鈴谷も行くよ!秘書艦だからね」

「休んでても良いんだよ?」

「余裕余裕!」

「倒れたらベッドに拘束するからね」

「大丈夫大丈…え?拘束されるの?」

 

無理はさせない、これ必定

そう言えば白露はどうなったかな?もう7時間も経ってるし、解放されたかな?

 

早瀬は廊下を歩きながら、白露の様子を確認する。

 

『も、もう…勘弁してよ…村雨ぇ…』

『うふふふ♪ダメよ♪』

『そ、そんなぁ…助けて早瀬ぇ…』

 

う〜ん…まだ続いてたか

あと、私に助けを求めても無意味だよ?そもそもの話、村雨にそれをさせ始めたの私だし

 

『あら、司令官さんに助けを求めるなんて、悪い姉さんね…』

『あ、いや!!アアァァァァァ!!』

『良いわ♪良い声よ姉さん♪』

 

うん、そろそろ止めた方がいいか?

司令官には艦娘の強制停止権限と言うものがあってだね…いや、まだ見てようか

面白いし

 

『指を千切るなんて酷いよ…村雨ぇ…』

『姉さんは回復力が異常に高いじゃない、すぐに生えてくるわよ♪』

『そう言う事じゃないよ!…とてつもない痛いし、そこら中血だらけになるし…』

『片付けはちゃんとやるわ♪痛いのは…我慢してね♪』

『いやぁぁぁぁ!!』

『うふふ♪フフフフフフフフ…アハハハハ♪』

 

随分とカオスな事になっておるな

しかしまぁ…指を千切り取るのはやり過ぎだね。そんな訳で、おいたが過ぎる子には、罰を与えないといけないね

駆逐艦村雨、強制停止

 

村雨は急に力無くその場に倒れる。

 

『!?…あら…司令官さんに怒られちゃった…』

『は、早瀬!?見てるの!?』

 

見てても反応はしてあげないよ

 

『左手薬指には何もしてないのに…何がダメだったのかしら…』

『十分やり過ぎだよ!?再生するからって足の指とか全部千切るとか姉にする行動じゃないよ!?』

『姉さんがいい反応するから仕方なかったのよ』

 

私はサディストじゃないからその辺は分からないけど、痛がってる子って良いのかな?

どの辺が良いんだろう?

罰も兼ねて試してみようかな?

駆逐艦村雨、艤装展開、フルスロットル

 

『あ、あら?ちょちょ待っ……っ!!』

『なになに!?』

 

艤装の強制展開と急稼働でエンジンに過大かつ一瞬で負荷をかける

すると、艤装が身体能力の1つである艦娘にも当然過大かつ一瞬で負荷がかかる

罰でもない限り、使わないし、口外していい情報でもない

これは、私がやったように、遠隔で艦娘を痛めつける事が出来る行為、悪意を持ってやれば殺す事もそう難しくない

だから、この事を知っているのは艦娘の艤装について調べ上げた人間だけが知る情報

この鎮守府では周知の事実だけどね

 

『時雨よりは…マシだろうけど…キツイわぁ…』

『待って気絶しないで!せめて拘束を解いてから気絶して!誰かぁぁぁ助けてぇぇ!!!』

 

シラネ

 

早瀬は目的の子を探す為に、潜水艦寮に向かう。

 

いるとは思えないけど、ゴーヤに聞けばどこにいるか分かるでしょ

ゴーヤに教育係を任せてるし

まぁ…ゴーヤと一緒に行動してて、ゴーヤすら見つからないなんて事になりそうな気がするけどね

かと言って、あの方法で探すのはなぁ…

 

「鈴谷、なんでこんなに私はあの子に会う機会が少ないんだろう…前に会ったのも3ヶ月前だよ?同じ鎮守府にいるはずなんだけどなぁ…」

「そう言えば、早瀬さんが帰って来た時は、寝坊してあの列にはいなかったんだっけ?」

「らしいね。ゴーヤ曰くふて寝してたらしいよ?私が出て行ったのでら」

「まぁ、あの子はみんなとちょっとだけ早瀬さんへの感情が違うからね〜」

「そうなの?」

「多分だけどね。直接聞いた訳じゃないから、確証は無いけど、あの子は早瀬さんの事神様扱いしてないよ」

 

まあ、そんな気はしてたよ

他の子達みたいに、鎮守府に入ってくるのを躊躇って入って来ないなんて事は無いからね

前に会った時も執務室に普通に入って来たし

それで、ゴーヤも一緒に行動してるから、どこぞのロリコンが姉妹揃って大喜びしてたよ…

まあ、長門型姉妹だけどね

長門は次の作戦の旗艦だったから、執務室にいたから、狙ってた訳じゃないにしても、運が良いロリコンだよ…

 

「多分、あの子は…いやどうなのか知らないけど、瑞鳳ちゃんタイプかお母さん認定タイプだと思うなぁ」

「瑞鳳タイプ…姉ちゃんってやつか…どうなんだろう?聞いてみよ」

「あの子聞こえてないし、喋らなくない?」

「そうだよ?」

「じゃあどうやって…あっ、陸奥さんにも教えられない秘密の手段か」

「そういう事」

「早瀬さんとあの子が一緒にいるのは見たことあるけど、何かしてた素振り無かったはず…」

 

見て分かれば秘密にはしてないよ

そして、絶対に海軍にバレてはいけない…元帥にはバレたけど、あの人が気付けたのは私と同じで艦娘やら妖精さんについて、ひたすらに調べ上げたからだし

まあ、海軍の凡夫供には一生気が付けないだろうけどね

今の海軍には、馬鹿と偽善者ばかりだからね

具体的に言うと、艦娘を使い捨てて海域攻略する奴と、人間扱いし過ぎる奴

前者は説明の必要すら無い…後者は戦場でも人間扱いするのがダメ

確かに彼女達は人間だろう、だけどそれは日常生活の中であって、戦場では立派な兵器だ

私達司令官達は戦場に出ている彼女達よりも、後の事を考えて作戦を立てないといけない

そんな時に、戦場で艦娘達を人間扱いして、彼女達のしたい様にさせれば返って彼女達を危険に晒す

戦場に立つ者は人間であってはならないんだよ

戦場に立つ者は鬼や悪魔、兵器でなければならない

私達が悪魔であり、彼女達は悪魔の兵器

そんな関係が1番良い…ただし、悪魔が小者であってはならないけどね

おっと、脱線してしまった

とにかく、そんな奴らに私の秘密は知られてはならないのさ

 

「ゴーヤぁ…いるかい?」

「いるよ」

 

おや?珍しい

 

「どうせ、ろーに会いに来たんでしょ?知ってるでち…」

「そう卑屈になるなよ、でっち」

「そこまで『でち』って言ってないよ…」

「知ってる」

「…」

 

ぐはっ!?

 

早瀬が呂500の方を向くと、呂500は早瀬に突撃して抱き着き、早瀬は部屋の外に吹き飛ばされ、壁に叩き付けられる。

 

「早瀬さん!?」

「あ〜あ…やっぱりこうなったでち」

「え?」

「鈴谷さんは知ってるでしょ?ろーは、司令官が出て行ってからふて寝するくらいだよ?戻って来て大喜びなんだよ」

「いや、でも…あれ普通死なない?」

「大丈夫でち、司令官は完璧に受け身をとってたよ」

 

受け身をとっていなかったら即死だった…なんてね

ろーちゃんもしっかり手加減してくれてるからね、頭突き以外はそんなにダメージが無かったよ

頭突きはめっちゃ痛かったけどね

やっぱり怒ってる?

 

「久しぶりろーちゃん、相変わらずカワユイのう♪」

「それにしてもゴーヤちゃん、よく部屋にいたね?」

「まあ言いたい事は分かるでち。ろーと一緒にいると必然的に司令官に会う機会が絶望的に少なくなるからね…今回はあの掲示板を見てから、ろーを部屋から出さないようにしてたんだよ。司令官の事だから久しぶりに会いに来ると思ったからね」

「へぇ〜当たりだね」

 

ふん!どうせ普段の私は分かり易いですよ!

指揮をしてれば私の思考に誰もついて来られないくせに!

はぁ…まあ良いや

 

『さてろーちゃん、次の演習に出てもらいたいんだけど、出てくれるかな?』

『演習?出るよ♪』

 

早瀬は一言も口を開かずに呂500と会話を始める。

 

いやぁ…ホント便利

妖精さんと視覚や聴覚を共有出来る事は、司令官達の中ではそこそこ知られている事だけど…

妖精さんと脳を共有することで、妖精さんから能力を借りる事が出来る事は、私を除けば元帥しか知らない

まあ当然、誰にでも出来る事じゃない

元帥は出来なかったらしいしね

だから、そこから私はかなり研究して1つの結果に行き着いた

それは、私が生まれつき妖精さんが見えたと言う事

普通妖精さんが見える人間は後天的に見えるようになる、理由は様々だけど、必ず死にかけてるらしいよ?

私はそんな経験無いし、幼少期からずっと居て当たり前の存在だったから、それを聞いた時ビックリしたよ

そして、妖精さんに聞けば、『早瀬は私達と少し違うだけで、ほとんど同じ存在』らしいし

そんな訳で多分、私だけがこんな事を出来るんだろうね

まあ…次の日頭痛で死にたくなるけどね…もうね…頭蓋骨開かれてスタンガン突っ込まれてるんじゃないかってくらい頭が痛くなってベッドから出られなくなる

ろーちゃんと話す為ならやむなしだけどね!

 

『次やる演習は何日も連続してやるから、決勝戦以外でろーちゃんとお話し出来ないけど、決勝戦では1番目立つようにしてあげるよ』

『ろーちゃん頑張るですって♪』

『決勝戦だけだけど、頑張ってね最強ちゃん』

 

ろーちゃんは武器は愚か、実は装備が何1つつける事が出来ない

魚雷もドラム缶も何も装備出来ない、だから実質的に装備スロットがゼロと同じ

その代わりに、ただただそのほかの部分が超強い

潜水艦なのに異常に高い耐久と装甲、そして回避

生まれつきなのに視力が上がってるって事は艤装不良でも聴力の低下か何かを引いた程の低い運…はほとんど関係無いくらいの回避性能

ホント強そうに聞こえるけど、実際指揮すれば分かるけど、夜戦突入した時点で負けが確定するからね

私が死ぬからね…頭痛で何も出来なくなる

そして、ろーちゃんだけが魚雷や機雷の音が聞こえないから、私が指示しないといけないし、そんな事じゃ間に合わない

高い回避は視力から来る、正面からの攻撃にしか適応していない

つまり、真上や真横、背面とか死角に成り得る場所からの攻撃は避けられない

そして何よりも、この子のトラウマが足を引っ張っている…

この子は海外艦だけど、派遣された訳じゃない…漂着したんだよ

多分、向こうの司令官には扱いきれなかったんだろうね、作戦中に置いて行った…それをこの子は理解してしまったから、海で私があの妖精さんの力が解除されたらパニックを起こすんだよ…

それが判明したのは、演習中で勝ったから解除したらパニック起こして溺れかけたんだよ…

だから、しっかりと帰ってくるまで解除してはならない

そんな訳で夜戦に入ったら、みんながろーちゃんのパニックをどうにかしなくちゃいけなくなって、負け確定

潜水艦なのに、夜戦に突入出来ない…だいぶキツイ

ろーちゃんはどうあがいても接近戦しか出来ないから、昼戦じゃあ近付いた時点でバレて機雷を回避不可能な距離で投げられてお終いに成りかねない

ホント…強いところはすごい強いけど、弱いところは本当に弱い

ピーキーにも程がある…それだけに出撃には出せない

出撃だと、何日も経過するからね

まあ、正確には私がダメになるんだけどね

 

『トラウマ…克服しようね?』

『うぅ…難しいですって』

『まあ…そうだよね…結構酷い目にあってる訳だし…そうそう克服出来そうにないよね…』

『うぅ…早瀬ちゃんが言うなら…頑張ってみる…』

『ふふ…良い子』

 

早瀬は呂500の頭を撫でる。

 

「やっぱり会話なんかしてないよね?」

「司令官はやっぱり神様でち…会話出来ない子と平然と意思疎通してるでち」

「そうだね〜ろーちゃんの反応からして、早瀬さんが何か言ったのは確定なのに、聞こえない…天の声的な?」

 

案外合ってるんだよなぁ…勘がいい子だよ鈴谷は…



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25話 指輪争奪戦1日目

久しぶりにろーちゃんに会って、話をしたら…

寄生されました…なんてね、おんぶみたいな状態でしがみついてて離れないだけ

ホント困った…

 

「離れなくなっちゃったね?」

「困ってはいるけど、可愛いから許す」

「ホント好きだねぇ?なんで指輪を渡して無いの?ろーちゃんって練度MAXだよね?」

「指輪かぁ…」

「ほらさ?着任した時点でケッコン艦が決まってて、早瀬さんとケッコン出来ない子達がいるわけじゃん?だから、もう一回何かやって決めない?」

「私とケッコンだ?メリット無いよ〜白露見てみなさいよ」

「メリットとかじゃないの!形のある絆が欲しいの!」

 

鈴谷が大袈裟に指輪アピールを、ジェスチャーしてみたりしている。

 

なんか何年も付き合った恋人みたいな事言ってるけど、私にとってケッコンカッコカリはただ、艦娘達の競争を見て愉悦に浸るだけの行為だったんだけどなぁ…

そんな形のある絆とか言う感じじゃなかったし、多分むっちゃんは気が付いてるしね

 

『指輪…』

『ろーちゃんも欲しかったりするの?』

『うん』

 

マジか

そもそも、ケッコン指輪って形ある物じゃないのに…

妖精さんの力の結晶のような物だから、私が司令官を辞めた時点で、消失する物だよ?……多分

 

「ろーちゃんも指輪を欲しがってるんだけど…」

「おぉ!それじゃあ!」

「はぁ…1週間以内、今日中に何か考えて実施するよ」

「やった♪」

 

どうしよ…ズルして妖精さんの力をトレースしてる今のうちに、私が作っちゃおうかな…

買ったら結構良い値段するんだよね…あれ…でもなぁ

仕方ない…買うしか無いか

 

『鈴谷さんはどうして喜んでるの?』

『指輪争奪戦、実施することにしたから…指輪を手に入れるチャンスが出来たからだよ…』

『ろーちゃんも参加します!』

『うん、頑張ってね…あと、離れてくれない?隣歩くとかじゃダメなの?』

『ダメですって!』

 

ダメなのかい…

まあ、良いけどさ

それよりも今は、何で指輪争奪にするかを考えないといけない

明日は私が動けないからね

 

早瀬達は執務室に戻る。

 

「ただいまむっちゃん」

「あら?普通に会えたのね」

「ゴーヤが引き止めてたらしいよ?そして、そのゴーヤは部屋でお休みですわい」

「それで?ここに戻ってくるって事は何かあるのかしら?」

「指輪争奪戦を実施します…今回も三個でね」

「そうなの…私達以外にも増えるのね」

「鈴谷とかろーちゃんが欲しがるからね…」

 

…ふむ…今回は練度の到達順で出来ないからなぁ…

前回って何年前だ?…もう結構経ってるからほとんど練度MAXの子だし

今回はMAX艦以外も対象に入れてあげようか、その方が面白そうだし

よし決めた!

 

「指輪争奪戦は私から指輪を誰よりも早く奪った子にあげるよ。つまりは、私対みんなの鬼ごっこだよ」

「だいぶ不利なやり方をするのね?」

「本当に不利かな…それじゃあ…」

 

早瀬は館内放送をつける。

 

「今から1週間の間、私から指輪を奪ってみせた者には、ケッコンカッコカリの許可を出す!練度が上限に達していない者も対象なので、頑張ってみてくれ!それじゃあ、鬼ごっこ開始!」

 

早瀬は館内放送のスイッチを切り、呂500を引き剥がしてソファに座らせる。

 

「あら?逃げないのかしら?」

「なんで?」

「え?今鬼ごっこって言ったでしょ?」

「どっちが鬼かは言ってないよ?」

「え?」

 

それと同時に鈴谷が早瀬に飛びかかる。

 

「1番先に鈴谷が奪うよ!」

 

早瀬は鈴谷の手を平然と掴み、ソファの近くにあったテーブルに一本背負いで叩きつける。

 

「かはっ…!」

「私が鬼だよ」

「やっぱり、逃げる側にはならないのね…」

「当然、子供から逃げる親なんかいないでしょ?」

「普通はそうだけど…身近で知ってるのよね…そんな親」

「マジか」

 

最低だなその親

 

「さて、一撃ダウンなんかしないよね?鈴谷…私はその程度でダウンするようには育ててないよ」

「そ、そうは言ってもさぁ……メチャクチャ痛いんですけど…」

「私は例え鈴谷の様な境遇の子にも手加減はしないよ。それじゃあ選抜の意味が無いからね」

「ちょっとくらい手加減してくれたって…」

「これでも、全力じゃないでしょ?ただ技術と力で鈴谷を投げ飛ばしただけ。それとも戦略や戦術を使って欲しい?」

「うぅ…」

 

それに誰にも指輪を渡すつもりが無いわけじゃない

まぁ、指輪は私の私物だけどね

本物のケッコン指輪は後で購入するよ…だって3人とは言っても3人も合格者が出るとは限らないから

 

「手加減はしないけど、全力も出さないからさ。頑張りなよ鈴谷」

「うぅ…早瀬さんの隙を突くとか…」

「さて、そろそろかな」

 

早瀬はおもむろに扉の方に歩いて行く。

そして、早瀬が扉の前に到着すると同時に、扉が開き、海風が飛び込んで来る。

 

「指輪を奪っ…あっ」

「出直して来なさい」

 

早瀬は海風の顔を掴み、床に叩きつける。

 

「脳震盪で動けないでしょ?ただの人間でも、飛び込んで来た艦娘を床に叩きつけて脳震盪させるくらいは出来るんだよ」

「本当に鬼ね…小さい女の子にやる行動じゃないわね…」

「艦娘百何十人対人間一人だよ?いいでしょ、少しくらい」

「う〜ん…確かに…」

 

非力な人間が、権限無しに艦娘を倒す…

これは、深海棲艦も頑張れば倒せるのでは?

 

早瀬は部屋の隅で大人しくしていた駆逐棲姫に視線を向ける。

 

「さてと…鬼ごっこを楽しもうか…みんなの再教育も兼ねてね」

「おかしな話よね、人間が物理的に戦闘教育なんかしてるんだから…」

「何もおかしな事は無いよ、みんな元々は人間、だから戦い方を人間が教えてもおかしくないんだよ」

 

どこに行こうか…どこに隠れよう…

 

早瀬は再教育などと言ってはいたが、実は結構焦っていた。

何故なら呂500との会話で、次の日には完全に行動不能になってしまう為だった。

その為、今は完全に行動不能になる前に隠れて、次の日をやり過ごさなければならなかったのだ。

 

工廠…はダメだし…入渠…もダメ

誰かの部屋…も無し

意外と隠れる場所無いな…仕方ない、一日だけ全力でやらせてもらおうか?

いや、自室にこもるか…どうせ、耳が良い子達にはバレるんだし

指輪は…一応隠し持っておくか…抵抗なんか出来ないけどね

 

「続々と来るだろうし、今日は遊ぼうか…ろーちゃん」

 

執務室のソファに座らせた呂500が、早瀬のすぐ後ろまで歩いて来ていた。

しかし、飛びかかってくる訳ではなく、ただ立っていた。

そして、足にしがみ付く。

 

「…」

「あらあら」

「ろーちゃんだと投げ飛ばさないんだね…」

「ろーちゃんは理由が違ったからね」

 

しかし…困ったなぁ…

ろーちゃんがこの状態だと移動出来ないなぁ…

 

「やっぱり早瀬さんって、ろーちゃんと千夏ちゃんには甘いと思うよ…鈴谷だったら投げ飛ばされてたでしょ」

 

そんなことは無い…

千夏ちゃんや、今のろーちゃんには害意と言うか、立ち向かうとかって言う意思か無いからね

千夏ちゃんは今、部屋で私が教えた指揮系統の勉強中、ろーちゃんはこうして足にしがみ付いている…

 

「さて、海風は残念だったね〜医務室行きで〜す」

「う、うぅ…」

「むっちゃん任せた!」

「はいはい、分かってるわよ…既に指輪をもらってる私達は、そう言う役割りよね…」

 

次は…金剛辺りかな…なら、ヘッドホンをしてっと

 

早瀬の予想通り、次に執務室に到着したのは金剛であった。

当然ながら、金剛も部屋に飛び込んで来る。

早瀬は金剛が部屋に入って来た瞬間に、金剛に何かを投げ渡す。

 

「はい♪プレゼント♪」

「!?」

 

早瀬が金剛に投げ渡した物は、閃光手榴弾…。

大きな音と光で金剛と巻き添えで鈴谷が視覚と聴覚を失う。

呂500は予め早瀬が金剛とは自分を挟んで対面になるように位置を調整し、光を防ぎ、音は元々聞こえていない。

 

「なんで鈴谷までぇぇ…」

「眩しいデース…」

 

さてと、テーブルにもう一個置いて…さよなら〜

 

早瀬は執務室のテーブルにもう1つ時限式の閃光手榴弾を置き、呂500を抱えて部屋から出て、扉を閉める。

早瀬が部屋から出て、少ししてから執務室でもう一度音と光が発生し、金剛と鈴谷は連続して動きを封じられる。

 

『さて、ろーちゃんは指輪欲しいのかい?』

『欲しいけど、まだろーちゃんにはお仕事があるんですって!』

『お仕事…何も指示して無いんだけどなぁ…まあろーちゃんがそう言うなら、頑張ってね』

『頑張る!』

 

仕事か…何をする気か知らないけど、ろーちゃんの事だし、可愛らしい事なんだろうね〜

 

「あ、司令官様」

「やあ響…」

「逃げているって感じじゃないね…やっぱり司令官様が鬼か」

「分かってるじゃないか」

「だけど、今はろーちゃんを抱えている、つまり私にも勝機はあるね」

「私を舐めるなよ〜」

 

今は右手にろーちゃんを抱えているけどさ…そんな事今更なんのハンデにもならないんだよ

鈴谷に近接戦闘を教えていたのを誰だと思ってる

私は鈴谷に近接戦闘を教える際に、右手を一切使わないで戦えるように自らも訓練してたんだよ

だから、ろーちゃんをあえて右手で抱えてるんだよ

 

「…いや、やめておこう」

「逃す訳ないじゃん♪」

「だよね…」

 

早瀬は、呂500を抱えたまま響に向かって行き、そのまま通り過ぎる。

 

「それじゃあね〜」

「え?…あっ!」

 

嘘だよね〜そりゃあ

いくらなんでも艦娘と正面から戦って勝てる訳ないじゃん?

まあ、善戦くらいは出来るけだろうけど、それで終わり

後のことを考えると、戦わない方が利口だよ

 

早瀬は少し、鎮守府を周りながら自室を目指す。

 

バレないようにステルスするのが思いのほか楽しい…

ろーちゃんは静かだから、全然ステルス出来るし、不意をついて絞め落としたり、気絶させた子をバレないところに隠したり、バレたらバレたで閃光手榴弾をついったり、麻酔弾を使って眠らせたり…

超楽しい!

とは言え…もうすぐで自室についてしまう…

あと1人…あと1人くらい出てない!

 

「もう!早瀬さんどこ行ったのさ!」

 

おお?鈴谷じゃないですか

これはこれは…運が無いね

 

早瀬は鈴谷が辺りを見渡して、早瀬を探して振り返ったところに閃光手榴弾を目の前に投げる。

 

「はいおかわりね」

「なんでまたぁぁ!!??」

 

ふむふむ…あっろーちゃん…

 

早瀬は呂500の方に視線を向けると、抱えられた状態で目を押さえていた。

 

『ご、ごめんねろーちゃん…』

『目、目が…真っ白ですって…』

『すぐに治るから…ごめんね?』

 

早瀬は自室の前に着く。

 

いやぁ〜楽しかった♪

執務室の隣にあるのに、わざわざ鎮守府を周って遊んで良かったよ♪

 

早瀬がそんな事を思っていると、呂500からタップされる。

 

『どしたの?』

『ろーちゃんはここでさよならですって』

『?…まあ良いけど、こんな所で何かあるの?』

『お仕事があるんですって!』

『あぁ、さっき言ってたやつか』

 

早瀬は呂500を扉の前で下ろして、早瀬は部屋に入って行く。

 

何だったんだろう?

ろーちゃんの仕事?まあ良いや…今は、近いうちに来る地獄を絶える…じゃない耐えるために少しでも寝ておこう…



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26話 指輪争奪戦2日目

現状、同時平行が一切出来ていないので、一本化しようか考え中…正直、忙し過ぎて小説を何本も書いている余裕が…


…村雨から解放されて、廊下を歩いていたら早瀬が指輪争奪戦の鬼ごっこを開始…私は何をすれば良いんだろう?

陸奥さんの所にでも行こうかな?執務室にいれば良いけど…

 

白露は陸奥を探しに執務室に向かう。

 

「あら♪白露姉さん♪」

「げっ…村雨…今度は好きにさせないからね」

「大丈夫よ、私も今は忙しいの…司令官さんの指輪争奪戦に乗り遅れちゃったから…」

「まあ頑張ってよ、今回のルールだと鬼ごっこって言ってたけど、多分早瀬が鬼だよ」

「私達は艦娘よ?」

「早瀬は神だよ」

「それもそうね」

 

これで話が解決する事について…早瀬はなんて思うだろうか…

神様だからね、仕方ないねで済まされてしまう

実際、ここにいる子達の戦闘教育の教官も早瀬だから普通に戦っても勝てるんだろうけど、早瀬なら正面戦闘とかしないんだろうなぁ

きっとステルス楽しい!とか言って背後から絞め落としたり、気絶した子を隠したりしてるんだろうなぁ…

巻き添え食わないようにしないと…

 

「まあ頑張ってらっしゃい」

「えぇ、行ってくるわ」

 

村雨がどこかに行ったのを見送ってから、白露は執務室に到着する。

 

…早瀬の部屋の前が凄い事に…なんだあれ

 

そこには、大量の艦娘が気絶し倒れていた。

 

「陸奥さん、あれ何?」

「あぁ、あれはね、見ての通りろーちゃんの仕業よ」

「いやそれは分かってるんだけどさ?理由よ理由」

「さあ?あの子と会話出来るのは早瀬だけだもの。ああそれと、今は早瀬の部屋に近づかない方が良いわよ?ろーちゃんに叩き潰されるわよ」

「見境い無しなのね…」

「こっちの声が届かないからね、物理的に」

 

おお怖い怖い

ろーちゃんも私の回復力は知ってるから、多分手加減してくれないんだろうなぁ…絶対腹貫かれるよ…

ろーちゃんは不便な所が多い分、迫撃戦ではここで1番強いからね…

艦隊戦になれば、倒す手段はいくらでもあるんだけど

 

「あとさ、千夏はどこ行ったの?」

「今は自分の部屋で早瀬が教えた指揮系統の勉強をしてるんじゃないかしら?かなり熱心に取り組んでたわよ?」

「それいいの?」

「良くはないでしょうけど、少なくとも新人や中堅クラスの司令官達よりも指揮が出来るでしょうね」

 

千夏はどこに向かっているのか…あと、早瀬は千夏をどうしたいのか…

早瀬の処世術なんか身に付いたら、千夏は苦労するだろうなぁ…

完全に能力不足だもん

千夏は優秀だけど、所詮は優秀止まりでその先が無い

早瀬みたいな規格外の処世術は規格外にしか意味を成さない…

 

そんな時、扉の向こうを千夏が歩いて行くのが見えた。

その行き先は早瀬の部屋、そう呂500が待ち構えている早瀬の部屋である。

 

ヤバっ!?

千夏に何かあると、私がどうなるか分かんない!

耳が聞こえない、ろーちゃんを叱るはずないし、千夏がそんな事を知るはずもない

となると、やつあたりで私が被害を受ける!

 

「ちょっと千夏!?」

 

白露の声はとうに遅く、千夏は既に早瀬の部屋の前まで行ってしまった。

そして、ある音が白露には聞こえた。

 

ガチャ

 

…ガチャ?

扉が開いた?ろーちゃんは?千夏はどうなったの?

?????

 

白露は執務室から顔を出して、早瀬の部屋の方に目を向ける。

そこには、千夏が部屋に入って行く光景と、呂500が素通りさせている光景だった。

 

え?通っていいの?

じゃあ…

 

白露も早瀬の部屋に近づく。

すると、およそ小さい子の細腕とは思えない速度と重さの拳が白露の胴体を貫く。

 

「いやなんでさ!?」

「…」

「そうだよね、聞こえないよね…」

 

呂500は拳を抜き、元の位置に戻る。

 

あぁ…ホントに痛い…

私がギャグ漫画キャラみたいなほぼ不死身ボディしてなかったら死んでるからね…それか喰種

まぁ…それを分かっててやったんだろうけど

 

白露は執務室に戻る。

 

「あら、思ったよりも派手に殺られたわね」

「変な変換された気がするけど、まあ良いよ…このくらいじゃ死なないし…それよりも服に穴が空いた事の方が問題だよ」

「大丈夫よ、ちゃんと変えは置いてあるから」

「なんであるのかはあえて聞くまい…」

 

どうせこうなると思ってたんでしょ…早瀬と同じで性格悪いんだから…

ていうか、村雨は大丈夫かな?

私みたいな事にはならないとは思うけど…

今のろーちゃんは結構危険なんだよなぁ…多分だけど守ってるんだと思うけどね

一瞬、千夏が部屋の扉を開けた時、早瀬が呻き声あげてたし

ろーちゃんと会話した次の日は決まってああなるからなぁ…それで、ろーちゃん自身は早瀬が動かなくなった原因だから、守っていると…

結局私にどうしろって言うのよ

 

「今日って結局なんかやるの?」

「ろーちゃん攻略でもやってみれば良いんじゃないかしら?」

「私が何回死ぬと思ってるのさ…艦娘同士なのに、一撃で身体に風穴空いたからね?基本スペックが違い過ぎでしょ」

「まあ、ここの子達はみんなそんな感じでしょ?白露も目が悪くなってる代わりに耳が良くなってるんでしょ?」

「悪くじゃなくて、左目が失明してるんだよ。あと左半身麻痺…違和感程度だけどさ」

「それでも、耳が凄く良くなってるじゃない…そしてその耳の良さを使って早瀬のあんな事やこんな事を盗み聞いてるんでしょ、羨ましい」

「アンタやっぱり変態だろ…それに、早瀬の部屋は厳重に防音加工されてて何も聞こえないんだよ」

 

早瀬の部屋はホント厳重…何も聞こえやしない…壁に耳を当てても聞こえない…妖精さんの技術総動員かよってくらい聞こえない

あと、入れてくれない…何回言っても、ゲームで勝ったら入れてあげると言いつつ、やってる事はただのイジメ…

前にやったゲームはポーカー…当然ボロ負け…

ロイヤルストレートフラッシュ出されて負けた…絶対にイカサマなのにイカサマが見破れなくて負け…

前の前はブラックジャック…ぽんぽん21出されて負け…これもイカサマが分からなくて負け…

要するに、入れさせる気がまるで無い!なのに千夏はすんなり入れたよね!?やっぱり娘になったから!?夫はダメなの!?

そう言えば…ろーちゃんも入れてたような…何か基準があるのかな?

 

「そう言えば陸奥さんは早瀬の部屋に入った事ある?」

「無いわよ。実家の方なら入れてくれたんだけどね…」

「千夏とろーちゃんだけが入った事がある部屋…すごく気になる!」

「ろーちゃんは話せないし、千夏ちゃんも話してくれない…何があるのかしらね…」

 

———————————————————————————————

 

うぅ…あ、頭が…

 

「…お母さん大丈夫?」

「千夏ちゃん…だ、大丈夫じゃ無いかも…」

 

脳が溶けそう…頭の中が熱いし痛い…

全く頭が働かないし、頭使ったら痛みが酷くなる…

 

早瀬は自分のベッドで頭を抱えて悶える。

 

何が妖精さんとほぼ同じだ……ろーちゃんとお話しする度にこうなってたらいつか私…死ぬんじゃないかな…

これは…死ぬな…死んじゃうなぁ…

あぁ眠りたいのに…眠れない

 

「千夏ちゃん…私が死んだら予め作っておいた千夏ちゃんの口座に6億…プラス生命保険…8桁」

「不吉な事言わないで!」

「はは…」

 

正直冗談でも無いんだよね…これ、原因不明だし…

これのお薬が欲しいよ…助けてろーちゃん…むっちゃん

脳が溶ける〜…

 

「ほ、本当に大丈夫?」

「千夏ちゃん…むっちゃんの所に連れ…て行って…」

「陸奥さんは…さっき執務室に居た!」

 

千夏は、早瀬を背負い、部屋の扉まで歩いて行く。

しかし、いくら早瀬の体格が年齢とは不相応に小さいとは言え、千夏では身長などが足りずに、早瀬の足を引きずってしまう。

 

「うぐぐ…」

「無理はしなくても…良いよ…」

 

あぁ…なんか…意識が飛びそう…

今なら…眠れるかも知れない…凄い眠く…

いやこれ多分寝たらダメなやつだ…ホントに死ぬ

 

部屋の扉を開ける。

すると、呂500は何も言わず(言えない)に、早瀬の肩に手を回し、千夏の手伝いをする。

 

「ありがと、ろーちゃん」

「…♪」

 

いくら耳が聞こえないからと言って、意思疎通が不可能なわけではない。

千夏が先ほどしたように、簡単な単語ならば多少の読唇術で通じるのだ。

しかし、文章や早口は通じない為、しっかりと会話する為にはやはり早瀬のように妖精の力で脳波で会話する必要がある。

そして、呂500が脳波とは言え、普通に会話出来る理由は、早瀬が1年かけて覚えさせた為だ…早瀬の再起不能時間を除けば半年ほどであるのだが…。

 

「陸奥さん!」

「あら?」

「やあ…むっちゃん…」

「相変わらず酷い有様ね」

「はは…は」

「とは言え…放ってはおけないわよね…流石に」

 

いつもむっちゃんは何をしてくれていたんだっけ…

何かしてくれたような気がする…でも思い出せないな…

 

「それじゃ、おやすみ早瀬」

 

陸奥は手刀で早瀬を眠らせる。

 

「え、えぇ!?」

「起きているから苦しむ、なら寝かせてしまえば良いじゃない?だからいつもこうしてるのよ、早瀬には内緒だけどね……バレたら戻った時に何されるか分かったものじゃないもの…」

 

陸奥が早瀬をほぼ強制的に眠らせてからも、艦娘達が執務室に押し寄せて来る。

そして、それを呂500が確実に気絶させて行く。

流石に戦艦クラスともなると、気絶させるのが苦労するのか…かなり遠くまで体当たりで吹き飛ばす…見た目こそ小さい子供に体当たりされているようなのだが、その威力はとてつもなく高い…武蔵や大和が100メートル近くある長い廊下を端から端まで吹き飛ぶ程に…。

 

「雷は?」

「雷は響を慰めてるわ。早瀬に嘘つかれて、逃げられたかららしいわよ?」

「早瀬が嘘をつくなんていつもの事じゃない、響ってそんなにメンタル弱かったのね」

「早瀬から限定ではあるけど、そんなにメンタルが強い方では無いわよ、雷もそうだけど暁型の子達はみんな豆腐メンタルと言って差し支えないわ」

 

暁型が早瀬逃亡の際、1週間以上遅れて到着した理由は、早瀬が1週間ホテルに居た事の他にも、最初の何日か鎮守府で早瀬に置いていかれた事について、へこんでいた事もあるのだ。

しかし、早瀬からの電話で早瀬に会いに行く事を決断し、鎮守府を出てやっと到着していたのだ…。

 

「む、陸奥さん…酷い」

「仕方ないじゃない?」

「…ろーちゃん…やっちゃって…」

「…」

 

呂500は臨戦体制に入る。

 

「いやいやいや!仕方なかったのよ!こうしないと早瀬が余計に…」

 

陸奥は焦って早口になってしまい、呂500に通じず、容赦無く蹴り飛ばされる。

しかも、ほかの艦娘達の様に気絶狙いでは無く、明らかに攻撃狙いの胴体蹴り…陸奥は部屋の外に吹き飛ばされる。

 

「よ、幼女の蹴り…凄く良い…でも脇腹全部と左腕…肺に骨が…早瀬が起きないと入渠は出来ない…これ…死ぬんじゃ…」

「普通に考えて、ろーちゃんの前でそんな事するからだよ…タイミング考えようよ」

「…」

 

呂500は陸奥に追撃を仕掛けるが、拳は陸奥の正面に立っていた白露を貫き、陸奥の顔の少し前で止まる。

千夏が呂500に抱きつき、止めていた。

呂500が千夏の方を向く。

 

「ダメ…やり過ぎ」

「…」

 

呂500はションボリとして、執務室のソファの方に歩いて行き、そこで寝かされている早瀬に抱き付いて眠り始める。

 

「千夏ちゃん…ありがとう…助かったわ」

「私が助かってないんだけど!?また貫かれたんだけど!?と言うか、こんなにこの力使ったの初めてで知らなかったけど、心臓すら再生するの!?」

 

白露の超回復力は全て、白露の艤装由来の物である為、艤装が直接破壊されない限り、ほぼ不死である。

しかし、この回復力は艤装不良によって出来た副産物であるという事は、当然ステータスがかなり低い。

むしろ、練度が175にも関わらず、通常の白露の練度20状態とほぼ同じステータス…そして、早瀬の指揮では一切傷付かない。

これが何を意味するか、それは……ただ耳が良い練度20の白露である…。

 

「その……回復力は私が今欲しいわよ…」

「普通艦娘の回復力って入渠しないとゼロだもんね?」

「真冬ちゃん(白露)って不死身になったの?へぇ〜」

「不死身に近いからってろーちゃんけしかけるとかやめてね、めちゃくちゃ痛いから…」

「でも、これを見る限り、真冬って凄く弱いね?」

「…そうだね…早瀬の指揮じゃ私はただの雑魚だね…」

 

千夏は早瀬から渡されていたタブレットには、早瀬の鎮守府の全員のデータと普通の艦娘のデータ、各鎮守府の艦娘の全データ、各鎮守府の提督の全データなど…あらゆる情報が詰まっていた…。

その為、この白露と通常の白露の同じ練度の同じ改装段階の状態を見比べて、そのような結果に至ったのだ。



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27話 指輪争奪戦3日目

この艦のステータスやらの詳細が見たいと言う場合、感想の欄に書いていただければ、書きます
そして、感想でのステータス詳細1人目は金剛でした、やったね
一応改二丙なんですよね…ゲームだと先制雷撃とかで退場して終わりそうなステータスしてますが、まぁ…攻撃出来れば…凄く活躍しそうですね


ふわぁ…眠い…

しかしまぁ…状況を見る限り…ろーちゃんが守ってくれてたんだろうなぁ

何かご褒美…これで良いやぁ…

 

早瀬はポケットに入れていた小袋から指輪を取り出して、呂500に着けてあげる…そして、また眠る。

 

あぁ…眠い

 

その後、早瀬が起きたのは2時間後。

時刻は6時で、まだ呂500が眠っていたので、総員起こしの時間という事もあり、起こす。

そして、起きた呂500は指に違和感を感じ、指を見れば指輪が着いていた事に驚く。

 

「!!」

「ご褒美…ありがと、ろーちゃん」

 

呂500は喋りこそしないが、全身で喜びを表現し、早瀬はほっこりしていると、扉が開く。

早瀬はそこに、また手榴弾のような何かを投げる。

 

「ちょっ!?私は関係なっ…」

 

部屋に入って来たのは白露だった。

そして、早瀬が投げた手榴弾のような物は白露の目の前で小さな爆発を起こす。

 

「あ、あれ?痛くない?」

「当然、それは特別性のマタタビ爆弾…妖精印だから効果は絶大…今日一日…頑張ってね」

「は?」

 

早瀬がそう言うと、廊下の方から何かが大量に白露目掛けて迫ってくる…。

それは、鎮守府に勝手に住み着いた野良猫…約40匹。

 

「あ痛!?ちょっと噛まないでぇぇぇ!!」

「あはははは♪」

 

早瀬は猫から逃げて行く白露を見て笑う…。

 

まぁここの子達は規則正しい生活を心がけさせてるから、みんな基本的に消灯と共に眠り、総員起こしで起きる

白露は目覚めてから、全力疾走でここに来るから、タイミングは時計を見れば1発…そして、扉を開くタイミングであのオモチャを使って終わり

効果抜群の威力…猫好きなら大喜びだろうけど、めっちゃ猫達がメロメロで噛み付いて来るから、超痛い

白露って猫好きだったかな?どうだったけなぁ〜

 

「ゴーヤに見せて来な」

 

早瀬はわざとゆっくり口を動かして、呂500に分かるように話しかけて、頭を撫でる。

呂500はゴーヤの部屋に走って行くのを見送ると、執務室の椅子に座る。

 

ふぅ…足速いなぁ

さてさて、指輪は残り2個…誰が手にするのか、それとも誰も手に入れる事が出来ないのか…

しかしまぁ、ここから指輪購入してろーちゃんに渡すくらいなら、あの指輪をケッコン指輪に作り変えて貰おう

妖精さんなら余裕でしょ

よし、そうしよう、次から指輪を手にした者の指輪をケッコン指輪に作り変えようか

 

「白露の様子でも覗いて暇つぶしでもしようか…」

 

早瀬は視覚を妖精さんと共有し、白露の様子を覗く。

 

『うおぉぉぉ!!超追いかけて来るぅぅぅ!!どいて時雨ぇぇ!!』

『え?』

 

白露は時雨を通り過ぎて、逃げる。

 

『猫!待って白露!』

 

…時雨は白露を追う大量の猫を追いかける。

 

いや時雨って猫好きだったのかい…アンタ犬でしょうが

 

『待てるかぁぁぁ!!春雨もどいてぇぇ!!』

『ヒッ…ね、猫!ひゃぁぁ!』

 

春雨は白露から逃亡…ではなく、後ろから来る大量の猫から逃げる。

 

春雨ちゃんは猫にトラウマでもあるのかな?

しかしまぁ、こうして見ると…この子達も普通に子供だよね

普通に笑って、普通に遊ぶ深海棲艦が現れなければ、この子達も普通に暮らせていたのかな…

 

「ねぇ姫、君達が現れなければ、艦娘は生まれなかったと思うかな」

「…ドウデショウネ…私ヲ見テモラエバ分カル様ニ、私達モ艦娘カラ出来テマスカラネ…」

「なるほどね〜ニワトリが先か卵が先かって事か…」

 

もしも艦娘が先だった場合、彼女達を生み出したのは間違い無く海軍で、あの元帥って事になる

しかも、深海棲艦がいない世界で艦娘を生み出したのなら、それは確実に兵器として使う為に生み出した事にね

だけど、あの元帥にそれをする必要なんか無かったはず…何で女の元帥が女の子達を兵器にしようとする?って話

胸か?胸が洗濯板だから八つ当たりか?

まさかね、そんな事で女の子達を兵器にとかもはや馬鹿すぎるでしょ?

 

「それはそうと、姫は苦手なモノとかあるの?」

「猫デスカネ…」

「君もか…」

 

それにしても、この白露達の姿…カオスだよね…

五女が先頭で猫から逃げて、猫に追われる長女、猫を追いかける次女でしょ?どう言う事よ

 

「ねぇ〜」ニャーン♪

 

早瀬はどこから出したのか、野良猫の1匹を膝の上に乗せて撫でる。

 

「ネ、猫!」

「はい、プレゼント」

 

早瀬は車椅子に座る駆逐棲姫の膝の上に先ほどの、マタタビ手榴弾を乗せる。

駆逐棲姫は慌ててその爆弾をどこかに投げようとする。

 

「おっと、動かさない方が良いよ?ほら、その手榴弾のピン…糸が付いてるでしょ?」

 

早瀬は駆逐棲姫に手榴弾を投げ渡し、その手榴弾のピンから出る糸は早瀬が握っている。

 

「オ、オ願イシマス…」

「何を?」

「助ケテ…」

「どうしようかな〜君がその手榴弾に触れた時点でピンを抜いちゃうから〜君はその手榴弾に触れなければ良いよ♪」

 

早瀬は糸を引き、ピンから早瀬の手元まで一直線になる様に、抜けないギリギリの力加減で人を引っ張る。

 

「ハァ…ハァ…ハァ」

「切羽詰まりすぎでしょ」

「ソ、ソンナ事ハ…」

「あぁ、言い忘れてたけど、その手榴弾って電子制御システムも付いててさ〜ほら扉の下の方に小さいスイッチが見えるでしょ?アレを押しても爆発するんだよ♪面白いでしょ?誰かがあの扉を勢い良く開けたら…ね?」

「ヒュー…ヒュー…」

 

おっと…いけないいけない

前にイ級だけど、遊び過ぎて殺しちゃったんだった…

姫をストレスで殺しちゃったら、もったい…じゃない可哀想だからね〜

だけど…やっぱり私は悪くない

だってこの爆弾を起爆するのは私じゃないんだから

 

その時、金剛が部屋に勢い良く飛び込んで来る。

…勢い良く…そう、扉が勢い良く開かれてしまったのだ。

 

「ア、アァ…アアァ!」

「あらま〜運が無かったね♪」

 

マタタビ手榴弾は爆発し、駆逐棲姫はマタタビ手榴弾に被爆しまう…当然、駆逐棲姫にも猫が大量に押し寄せる。

 

「イヤァァァァァ!!」

 

駆逐棲姫は執務室を飛び出して、猫から逃げる。

 

「バイバ〜イ」

「な、何だったのデース?」

「さあね〜イヒヒヒ♪」

「絶対に早瀬ネ…」

「違うよ?キッカケは私だけど、結果を出したのは君だよ?金剛」

「??…あっ」

 

金剛は扉に小さなボタンを発見する。

 

「君が勢い良く扉を開けたから、あの子は苦手な生き物に追いかけ回されてるんだよ?」

「いや、このスイッチも早瀬の仕業デショ…」

 

まあそうなんだけどね〜

さてと、金剛をどうしてくれようか?

 

早瀬はわざとらしく、特殊な手榴弾を机に並べ始める。

 

「次はどれが良い?」

「もう食らわないネ!さあ!指輪を下さいネ!」

 

下さいなのかよ…よこせとかじゃないのかよ

でもまぁ〜

 

「じゃあゲームをしようか?私に勝てば指輪をあげるよ」

「受けて立つデース!」

 

勝ったぁ…計画通り…!

なんてネ〜流石に金剛にもチャンスのある勝負にしないとね〜

 

「それじゃあ、この実弾入りのロシアンルーレットをしようか」

「ロシアンルーレット!?」

「そうそう、実弾とは言え艦娘である金剛には致命傷どころか強めに殴られた程度だろうけど、私は即死する。さぁ、始めようか」

「それじゃあ早瀬が危ないヨ!?」

「ははは…命とは守るモノにあらず、賭けるモノである。さて、このホローポイント弾を装填して、スタートだよ」

 

早瀬は机からリボルバータイプのマグナムを取り出し、ホローポイント弾を2発装填する。

 

「ちょっと早瀬!?弾が多いヨ!?」

「誰も1発とは言ってないよ?それじゃあルール説明、普通のロシアンルーレットと同様に交互に撃って行って実弾を引いた方の負け。ただし、1度だけ何発分か指定してスキップ出来る。それじゃあ行くよ」

「あれ?これからに私が勝っても…」

「大丈夫、私は負けないからさ?」

 

このロシアンルーレットでの勝ち負けは指輪を獲得するか、させないかで、このリボルバーは6発装填、二分の一で実弾のロシアンルーレット…

私が実弾を引いた時点で即死亡

私を死なせないためには、自分が引くしかない

でもそれじゃあ指輪の獲得は出来ない、いや金剛が勝っても私の死亡で獲得出来ない

普通の方法じゃあ私の勝ち筋しか存在しない…金剛はこのトリックに気が付けるかな?

 

「勝っても負けても指輪が貰えないロシアンルーレット…どうしたら良いネ…」

「それじゃあ始めようか」

 

早瀬はリボルバーを自ら手に取り、何のためらいも無く引き金を引く。

そして、実弾は発射されずに早瀬はクリア。

 

「さあ次だよ」

「うっ…どっちヨ…次はどっち」

 

二分の一だからね、次が実弾である可能性もあるから、考えるよね?次が実弾ならスキップしなければならない

あっ…もう一つ言い忘れてた

 

「弾が無くなるまで続くからね?ただし、私が1発でも当てたら負けでいいよ」

「それ以上続かないデショ…」

 

普通はね〜

 

「ス、スキップしないヨ」

「そう?じゃあどうぞ?」

 

金剛はためらいながらも引き金を引く。

すると、大きな音と共は実弾が発射される。

 

「い、痛いネ…」

「残り1発、続けようか」

「うぅ…」

 

装填する時、2人とも目隠しをして適当に装填したから、どこに2発目が入っているのか分からない状態…

でも無いんだよね〜

回す時の音で実弾の位置を把握する事が出来れば、実弾は絶対に引かない、もしくは確実に引く事が出来る

ここに金剛が指輪を手に入れるチャンスがあるよ

まあ、今回は勝たせてもらうけどね

 

「私の番か〜それじゃあスキップ4発」

「4発!?」

「そう、4発…なら私も2発スキップネ!」

「おお?攻めるねぇ」

「4発スキップして、私が焦って1発スキップして当てさせる気な事はお見通しダヨ!」

 

金剛は自信満々に引き金を引く。

すると、実弾が発射させる…。

 

「ふふふふ…金剛の負け」

「うぅ…痛いしボロ負けダヨ…どこにあるのか早瀬なら分かってると思ってスキップしたらはめられたネ…」

「また明日頑張ってね、また明日来ればもう一度このゲームをしようじゃないか…その時勝てると良いネ〜」

 

そう言えば、金剛以外入って来ないなぁ?

予想ではもっとごった返すと思ったんだけどなぁ?

 

早瀬が扉の方に視線を向けると、確かに扉の隙間から何人か中を覗いているのだが、入ってくる気配が無い。

早瀬はその艦娘達の視線の先にいつのまにか戻って来ていた呂500がソファで指輪を眺めているのを発見した。

 

ホントいつのまに…ちょっと遊びに集中し過ぎたかな?

まあいいけど、ろーちゃんがまさかのストッパーになるとは…昨日何が有ったんだろう?

むっちゃんが入渠申請出してたし…何があった…

 

早瀬は白露の事を見ながら、書類を整理していた為、一応仕事も終わっていた…。

 

ろーちゃんが抑止力になり得る何かがあったと思うんだけど…何だろう?



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28話 指輪争奪戦4日目

今登場している全キャラの詳細を書こう!と思ったら、結構な艦娘の数が微妙に出てて、長くなり過ぎる…
なので、やっぱり要望があればと言う事にしました…

評価欄に色が!6に!普通!
これからも頑張って行きます!


とうとう半分を切った訳だけど…今指輪を持っているのは、ご褒美としてあげた、ろーちゃんだけ…

惜しかったのは金剛かな?まあ挑んで来たのが金剛だけだったって言うのもあるんだけどね

リボルバーも同じのあげたから、次までにもうちょっとマシな戦略を立ててくる事を祈るよ

 

「おはよう早瀬」

「久しぶりむっちゃん」

「…2日ぶりね」

「いやぁ〜入渠施設なんて初めて使ったかも知れないよ〜」

「そうでしょうね」

 

さてと…今日は何の問題も抱えていないから、返り討ち狙いに行こうかな〜

白露型の弱点や暁型の弱点、ここの艦娘達の弱点を完璧に把握しているからこそ、人間でも艦娘を一方的に倒す事が出来る

まぁ…その子によっては面倒だから無視する事もあるけどね〜

 

「あら、ろーちゃんに指輪あげたのね」

「ご褒美だよ、ご褒美」

「あぁ…確かにとてつもない働きをしていたわね…」

 

白露とかに聞いても教えてくれないし、何があったんだろう?

それに、むっちゃんが大破(重傷)になったって事は指輪は関係無いかも知れない…いや、むっちゃんが入渠して日は私が眠っていた日でもあるから…

寝ている私に何かしようとした?むっちゃんはヤバイ奴に昇格だな…

 

「な、何よその顔」

「いえ、何でもありません千智さん」

「何で敬語!?しかも名前!?何か誤解してるわよ絶対に!」

「いえ大丈夫ですよ、何も誤解なんかしていませんから」

「その敬語を辞めて!?凄く傷付くから!?死にたくなるから!?」

「メンタルよわよわなむっちゃんキュート」

「むらっけが酷い!?」

 

いやぁ〜あれだよ、ギャップ萌え?だったっけ?

その辺全然分からないけど、まあ可愛い気があるよね

 

早瀬は椅子から立ち上がり、廊下に歩いて行く。

 

「あら、どこに行くのかしら?」

「素敵なパーティーしましょ♪的な事だよ」

「自ら倒しに行くのね…」

 

早瀬は廊下を進みながら、誰に指輪が渡るのか本気で考察を立てていた。

 

1つ目はろーちゃんに渡り、残りは2つ

みんな頑張ってるようだから、あまり情報が無いとは言え、第1候補は今のところ金剛かな

ろーちゃんに臆せずに執務室に残り、ゲームを受けた…まあ結果は惨敗だけどね

それでも、今のところ1番2つ目の指輪に近いのは金剛かな〜

鈴谷にも期待だけどね、秘書艦だからいつも執務室にいるけど、何やら作戦を立てているみたいだから、期待値は高め

すぐに行動に起こさない辺り、準備が必要でシミュレーションをしている、もしくはまだ作戦が完璧では無いから実行しない

どちらにせよ、確実性は金剛よりも高そうだね

まあ、間に合えば良いけどね

 

「見つけたぞ!早瀬!」

「げっ…ロリコン型戦艦1番艦!長門!」

「ロリコン型などでは無い!」

「うっさいわビックリセブンが!」

「くっ…早瀬からの暴言…良…じゃない、指輪を渡してもらうぞ!」

「きゃー助けてーロリコンが出たー」

「なっ!?」

 

早瀬がそう叫ぶと、どこからともなく陸奥が現れ、鉄拳制裁し持ち帰って行く。

 

長門の処理は面倒だから、むっちゃんに任せるに限るよね

いつもすごい速度で現れて長門を沈めて持ち帰って行く様は最早、プロの域…

たまにあきつ丸が連行して行くけどね

 

「よし、悪(へんたい)は去った…」

「やっと見つけた!早瀬!」

「やあ白露、猫と戯れるのはやめたのかい?」

「あれは早瀬が仕向けたんでしょ!?」

「癒されるから良いじゃん」

「癒されてたのは時雨だけだよ!」

 

犬っぽいのに猫好きとはね〜

時雨とやはり女の子か、ボクっ娘って何処と無くボーイッシュな感じがしてたから、なんか意外なんだよね〜皐月を除く

 

「それじゃあ、YOUは何しに私の所へ?」

「当然!やり返しだぁ!猫をくらえ!」

 

白露は猫を早瀬に飛ばす。

 

「おっと危ない、生き物は大切にしないとダメだよ?可哀想でしょ?」

「私も可哀想だよ!」

「頭が?」

「違うよ!」

 

それにしても大人しいね?

そんなに大人しいから、白露に捕まって投げられるんだよ?

 

早瀬はその猫を抱え、その猫を白露の顔の近くまで持って行く。

 

「おかしいなぁ…もっと暴れると思ったのに…って何?」

「ニャーン♪」

「可愛いなチクショウ!」

 

そんな事を言っていると、いきなり白露はその猫に顔を引っ掻かれる。

 

「痛っ!?」

「ニャンコを投げた罰だよ」

「うぐぐ…」

 

白露意外の命は基本的に一瞬で途絶えるモノ、粗末に扱ってはならない

だから私は、儚くも脆い命を感謝と殺意を持って丁寧に終わらせる

それが私の仕事であり、愉悦!

 

「それじゃ、ニャンコ返すね」

「わっ!ちょっ!?」

 

早瀬が猫を白露に返すと、途端に暴れ始め白露はひたすらに引っ掻かれてしまう…。

 

大人しい子だけど、投げられたら怒るさ

こんな大人しい子なら普通に飼いたいなぁ〜でも、ここって猫とか飼って良いのかな?

うーちゃんとかウサギって事で、鎮守府では既に動物を飼っている!

だからあの子を飼おう、そうしよう

 

「ほら、こっちおいで」

「ニャン!」

「う、うへぇ…」

 

猫は早瀬の肩に飛び乗り、頭の上まで行ってリラックスした体制になる。

 

ちょっとだけ重いけど、まぁ可愛いし、いっか

 

「はい、白露にはこれをあげるよ」

「な、何これ…」

「何だと思う?」

「は、発信機…」

「せぇ〜か〜い…じゃあ、その親機はどこにあると思う?」

「はぁ…はぁ…む、村雨」

「せぇ〜か〜い」

「白露姉さん…見つけたわよ♪いっしょに来てもらうわよ♪」

「ひ、ひゃぁぁ…」

 

今回、指輪を諦めてもらう代わりに司令官権限で3日間だけ、白露の身体を何でも好きにして良い権利を村雨に渡した

当然これだけじゃ村雨は納得しないだろう、だからもう1つだけ村雨にはあるものを渡してある

それは、村雨にとって今回諦めるに値するモノ…これも3日間だけだけど、私への命令権

つまるところ、私の命さえも明け渡したってわけさ

白露の所有権を譲渡するんだ、ケッコン相手である私も同義って事さ

白露だけとはならないよ

 

「し、司令官は…リ、リストカット…なんて…」

「分かったよ♪そう言う約束だからね♪だけど、もっと面白くしようか♪」

「え?ちょっと待っ…」

 

早瀬はナイフを取り出し、首筋を切りつける。

そして、真っ赤な鮮血が床に滴る。

 

「じょ、冗談の…」

「ふふ、ふふふふ」

「早瀬!早瀬!!」

 

ああ痛い…意識が朦朧として来た…

頭がボーっとする…視界が霞む…あはは

走馬灯…は見えないや

ふふふふふ…そりゃそうか……

 

早瀬はその場に倒れ、意識を失う。

 

———————————————————————————————

 

早瀬が目覚めた場所は医務室であった。

 

やっぱりね

私は生還する、それはあの場所、あのメンバーなら確実だと私は確信していた

そして今、私の確信は現実となった♪

やっぱり、思ったように物事が運ばれるのは面白いね♪

 

「もう!心臓に悪いのでやめて下さい!私達の命よりもまず、自分の命を大切にしてくださらないと…」

「ごめんね?そう言う約束だったからさぁ?」

「そんな……もう!村雨ちゃん!早瀬さんはこう言う人なんだから、冗談でも行ってはいけないのよ!この人を失えば私達は…」

「まあまあ古鷹、早瀬さんの事だ完璧に白露と古鷹のやる事を知っててやったぜ?あれ」

「加古も分かってるでしゃ!?私の治療には白露ちゃんほどの万能力

は無いんだよ!?」

「それも見越してだろうさ、なんたって医務室の目の前で首を切るとかあからさまだろう?」

 

加古は頭が回るなぁ

そこまで分かってるなら、そこの泣きそうな可愛い可愛いツインテちゃんを慰めてあげなよ、ねぇ?

 

「私…私は…」

「それにしても村雨…惜しかったねぇ♪もう少しで私を殺す事が出来たのに、場所が悪かったね♪」

「私はそんな!ただ……冗談で…」

「口は災いの元、発言には気をつける事だよ。一度言ってしまった事はもう元には戻らない、言って良い事と悪い事、言っても良い場所、ダメな場所、しっかりと見極めてから発言するんだ…分かったかい?」

「はい…」

 

私は案外詐欺師の才能が有るのかも知れない

口は災いの元?私はそんな事一度も考えた事なんか無い

ただ、こうして泣きそうな村雨が見たかっただけ、命をかけた愉悦

スリリングかつエキサイトな愉悦、命を賭けなければ味わえない圧倒的な愉悦!

最高にハイってやつだぁ♪

どこぞの吸血鬼みたいだなぁ〜?

 

ベッドで横になっている早瀬の身体の上に猫が跳び乗り、顔を舐める。

 

「君もいたね、かわゆいのう♪」

「もう!早瀬!冗談でやって良い事と悪い事があるよ!この事が鎮守府中に知れ渡ったら、村雨がどうなるか分かってるの!?」

「ふふふ、私はいつだって本気だよ。本気で愉悦を求め、本気で達成させる。君達には出来るかい?命を賭けた最強の愉悦が」

「やらないよ!と言うかさせないよ!」

「はぁ…そんなんじゃまだまだ愉悦主義者の道は遠いぞ?」

「愉悦主義者を目指して無いよ!」

 

おやおや?激おこやね?

激おこ白露…不思議と全く怖くねぇ…

どこまで行っても白露はネタキャラだからかな?

とは言え…心配されたと見て間違いは無さそうだね

次からは気を付けた方が良さそうだね…自重はしないけど

 

「さて村雨、ちょっとこっちにおいで」

「ちょっ、早瀬…村雨をどうするつもり!?」

「どうもしないさ」

 

早瀬は村雨を近くに寄せて、抱きしめる。

 

あぁぁ〜ツインテがふわふわしてる〜

 

「大丈夫、私は死なないし、君はここで責められる事もない」

「早瀬に分かる事じゃ…」

「分かるんだよ、それがここのルールだからね」

「あぁ…最近は更にそのルールが強くなって来てたっけ…」

 

ここには、数は少ないけど、ルールがある

ありきたりだけどさ、仲間同士の本気の喧嘩や責め合いを禁止する

友達同士でのいざこざは私が嫌だからね

破るならば、私が制裁するし

 

「…いつまで村雨を抱きしめてるさ」

「ツインテがふわふわしてるんじゃぁぁ…」

「やっぱりそう言う事か!」

「ふふ…」

「村雨も笑ってる場合か!?離しなさい!」

「確かに、村雨か嫌がるなら離さないとね…」

「なら!」

「だが、断る!」

「アニメのセリフでしょうが!って言うか言ってみたかっただけでしょ!」

 

バレたか…

いやぁ〜村雨って改ニになってからツインテに耳っぽいのがついたから、ちょっと触ってみたかったんだよね〜

夕立とか時雨も耳っぽいのがついてるけど、村雨はツインテにある

それが不思議でさ?あれどうなってるんだろ?って思ってた訳だよ

それで、触ってみたらふわふわでした!

 

「何気に白露型って早瀬さんに構われてるよな?」

「そうだね…」

「お?加古ちゃんも構って欲しいのかな?」

「そりゃ…まぁ…早瀬さんって私がサボってる時にしか現れないからなぁ」

「私がそんなに怪我するタイプじゃないからね」

「それで良いんですよ」

「そうだけどさ…そう言えば、2人は指輪良いの?」

「私はこれ以上練度を上げるのは難しいので」←練度65

「私は古鷹の手伝いがあるし、医務室担当が練度解放してどうする?って話だからな」←練度89

 

指輪だけ持っててもって事か…

ふむふむ、そう言うのもあるか…じゃあこの鎮守府で案外指輪を持っていてもって子がそこそこいるかな?

調理場担当とか、この医務室担当、工廠担当とか…

 

「それじゃ、私はこれで…」

「無茶はしないで下さいよ?」

「しないしない、した事無い」

「…怪しいですね」

 

最初から生還が確定してる時に、無茶みたいに見える事をするだけだよ

実際は安全が確定してるから、無茶では無い!

 



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29話 指輪争奪戦5日目

ちょっと恒例のタイトルアンケート!
やりたいだけなんですけどね


あと2日…元帥の称号を略奪する演習トーナメントの開催日と、指輪争奪戦の終了日…

私が渡さないと誰も指輪を手に入れられない子しかいないのかな…

育成が甘かったかな…相手のペースに巻き込まれないとか、自分のペースに引き込んでとか、やむなしならば実力行使とか…

そこそこ教えてはいたんだけどなぁ……君達には失望したよ

時雨を思い出すセリフだよね

 

「ねぇ早瀬さん」

「どしたのすずやん」

「ちょっとこれ持っててくれない?」

「何これ?」

「それはね…スタン爆弾だよ」

「ぐっ…!!」

 

しまった…ちょい油断してた…

どうしよ…こりゃ動けないぞ…死なないし、気絶しないギリギリの電圧…しかもその電圧は体格にも依存するから、私の身体情報を集めてたか…

こりゃ参ったなぁ…

 

「力でも、頭でも早瀬さんには勝てないからね…」

「ぐっ…ぐぐ…」

「だから、騙す事にしたんだよ。早瀬さんが1番油断している時間、始業から5分間…」

 

あちゃー…この4日間でそこまで調べてたか〜…

面倒だなぁ…感電させるって事は自分も感電しないように準備してるだろうし…これは指輪取られたかな?

 

「だから、指輪もらって行くね」

 

仕方ない…裏技になるけど…

やるしか無いね…このまま負けるのは、鈴谷のこれからの成長に関わる

今の鈴谷は油断し過ぎている、相手が動かなくなったからって油断するのは、甘いんだよ

あと、気絶させれば良かったのにね

 

早瀬は呂500と会話する時と同様に、1番近い妖精さんと脳を共有し、妖精さんの力を一部使用出来るようにし、鈴谷に対象を絞り、脳波をめちゃくちゃに乱す

 

「な!?…な、何これ…頭がくらくらする」

「はぁ…よし、麻痺も切れたね。惜しかったね、油断して悠長にお喋りしてるからだよ」

「うぅ…」

 

まあ、次の日完全にまた動けなくなるけどね…

だけど、鈴谷はこれでまた1つ成長出来る、油断、慢心は自分のためにならない

てな訳で…形勢逆転

 

「さぁ〜て、覚悟はいいかなぁ〜鈴谷ちゃ〜ん」

「い、いやぁ…」

「ふふふ」

 

早瀬は脳波を乱され、まともに動く事が出来ない鈴谷に近づいて行く。

そして、目の前で止まると、右手を伸ばし頭に手を置く。

 

「ヒッ…」

「くふっ…ふふ、あははは♪鈴谷おっかしい♪何もしないよ」

「へ?」

「それから、戦略で行って惜しかったご褒美にそれあげるよ」

「え?」

 

鈴谷の頭の上に指輪の箱が乗せられていた。

 

「え、え?」

「そんじゃ、良かったね〜」

 

早瀬は執務室から出て、潜水艦寮に向かう。

 

どうせ明日ダウンするなら、ろーちゃんとお話しするしか無いよね♪

 

早瀬はスキップ気味に潜水艦寮に行き、潜水艦寮の廊下を進む。

 

「あれ?早瀬さんだ…珍しい」

「おや?イムヤじゃん、どしたの」

「こっちのセリフですよ…執務室にから出てくるなんて珍しいですね」

「そうかい?最近は良く部屋から出てるよ?」

「そうなんですね…」

 

うちのイムヤはどうして敬語なんだろう?

他の鎮守府では、普通にタメ口だったりするのを見かけた…って言うか、執務室でそこの提督と話している時に入って来た事があったんだよね〜

提督もイムヤもその瞬間顔が真っ青になってたけど何でやろ?

 

「そう言えばさ、イムヤってテレビゲームとかソシャゲとか好きでしょ?」

「はい、それがどうかしたんですか?」

「いや、ちょっとリアルの方を面白くしてあげようと思ってね」

「は、はぁ?」

 

早瀬は呂500と会話する時と全く同じようにイムヤにも話しかける。

 

『それがこれだよ』

「!!??」

『この念話みたいな感じがゲームやアニメっぽいでしょ?』

「ど、どうやって!?」

『妖精さんがいるでしょ?妖精さんと会話する時、艦娘達は普通に聞こえるだろうけど、あれって人間が聞いたら聞き取りづらいんだよ。それで、その理由なんだけどさ、妖精さんの声は艦娘には頭の中に直接話しかけてるんだよ、口も一緒に動いてるから気が付かないけどね』

「でもどうして早瀬さんが…」

『これは司令官秘奥義、妖精トレース…みたいな感じ』

 

まあ、司令官秘奥義と言うよりは私限定のデメリット込みの妖精モードなんだよね〜

 

『これでろーちゃんと会話してたんだよ?結構有用でしょ?』

「確かに…」

『た〜ださ〜、これって実は危ない事にも使えてさ〜』

「え?」

『言ってみれば脳波に干渉して会話してるわけだからさ?相手の脳波は乱す事も出来るし〜限度を間違えば脳を破壊する事も出来ちゃうんだよね〜』

「えっえ、え??」

『そんな訳で…君には消えてもらう』

「ヒッ…」

 

イムヤはその場で気絶して倒れてしまう。

 

ありゃ?やり過ぎたか?

ちょっと脅かそうと思ったんだけど〜意外とメンタル弱いんだね?

気を付けないと……間違って壊しちゃ可哀想だからね

 

早瀬はイムヤを背負い、ゴーヤの部屋を目指す。

 

「イムヤどうしようか?」

「部屋に返してくるでち…」

「おお、でっちじゃん」

「でっちじゃないよ…」

 

イムヤの部屋か…面倒だからゴーヤの部屋に置いてこ

潜水艦寮だし、廊下よりは全然マシでしょ

 

「…」

「今日はろーちゃんとお出かけかい?」

「違うでち…指輪をすごい見せて来て面倒になって逃げて来たら付いて来たでち…」

「じゃあ、ろーちゃんもらって行って良いよね♪」

「そうして欲しいでち…あと、仕事よこせ…」

「働かせ過ぎは良くないからさ〜」

「いや…今は暇で仕方ないでち…クルーズ無限耐久も嫌だけど、無職も嫌でち…」

「ふ〜ん…じゃあ、護衛任務をやらない?」

「やるでち」

 

即決か…熟練された社畜には困ったものだね…

これでも潜水艦で1番出撃と演習に出てるんだけどなぁ…

それも、いつもは3日に一回は出撃とかね?私の鎮守府では多い方なんだよ?

完全に出撃がローテーションだからね?戦い方が基本的に誰でも変わらない汎用特化?した戦略するから同じ子を頻繁に出す必要が無いんだけだけど…ゴーヤがやたらと出たがるんだよね…

元々いた鎮守府がブラック鎮守府だったからなんだろうけどさ?

私的にはのんびりやりたいんだけどさぁ〜ここ最前線だし、仕方ないよね〜

まぁ、私は向こうの指揮官でもあるんだけどね

 

「私は訳あって明日一切動けないんだよ、だからゴーヤには私の部屋の前でみんなから私を守って欲しいわけ」

「あぁ…前にろーが自主的にやってたやつでちか…まあ良いよ、やる」

 

よし、これで明日の私の安全が保障された

ゴーヤは戦場に出る回数が多い分、めちゃくちゃ強い

ただし、基本スペックが低いからろーちゃんとか、金剛とか超パワーには劣る

本人もそれは理解してるから、真っ向勝負はしない

どっちかと言うと、私と同じタイプ…て言うか、本当に同じタイプ

相手を追い詰めて、打つ手を無くして完封するような戦い方をするから、実戦向き

まあ、ろーちゃんは策を使っても力任せにぶっ壊されるから、話にならないんだけどね…

規模にもよるけど

私がろーちゃんを相手にするなら、毒殺だろうね…何しても正面から破壊されるなら、状態異常に頼るしかない

そんな事にならなければ良いけど…

 

「そう言えばゴーヤは指輪とか興味無いの?」

「無い訳じゃ無いでち…ただ、それはゴーヤが持ってちゃいけない物なんでち…」

「なんでさ」

「それは仮にも結婚指輪、ゴーヤみたいな代わりがいくらでもいる、その他大勢の者には勿体無い物なんでち…」

「はぁ…その他大勢の者ねぇ…ゴーヤはお馬鹿だねぇ。私が、ゴーヤをその他大勢の者みたいな扱いした事があったかな?それなら、私は謝るよ」

 

早瀬はイムヤを置き、ゴーヤに頭を下げる。

 

「あ、頭を上げるでち!待つでち、ろー」

「…」

 

ゴーヤは呂500の扱いに慣れている為、しっかりとゆっくり口を動かし、呂500の動きを止める。

 

「分かったよ…早瀬さんにそんな扱いを受けた事は無いし、ゴーヤの意思を尊重してくれているでち」

「だよね。この鎮守府にその他大勢の者とかいないと思うよ、ここにいるのはみんな、普通になれなかった子達だよ?私も含めてね」

 

私はむっちゃん意外の友達できた事無いし

何より、学生時代に話しかけられた事が、最早先生からすら無い…

授業中に当てられないし、プリント運びとか、掃除とか、普通少しくらい会話があっても良い時にも話しかけられた事が無い

生徒の中で1番扱いが酷かったのは私なんだよね…別に1人だけ仕事を押し付けられたりとかは無かったよ?むしろ私が参加しようとしたら、他の子がねじ込んで来た事すらあったからね…もしかして私って影薄い?

そして、ここでも…あんまり人間扱いされないし

 

「それで?指輪狙わないの?」

「狙わないでち」

「あれ?」

「単純にゴーヤには必要無いんでち、絆とかは所詮は心の持ちよう、結局は性能の向上面…でもゴーヤは指輪をもらって練度解放されても、やる事が一切変わらないし、出来る事も増えないんでち」

 

ゴーヤと私の戦い方と言うか、戦いに関する考え方がほぼ同じだから、指輪を完全に強化アイテムとしか見てないんだよね…

だから、指輪を貰ってもほとんど変化が無いゴーヤは、必要性を感じてはいないけど、最初に言ってた通り、貰えるなら貰いたいタイプ

 

「そっか…それじゃあ明日の護衛お願いね?」

「任せるでち、全員医務室か入渠施設行きにしてやるでち」

「がんばってね〜」

 

古鷹と加古が大忙しになるかも知れないけど、普段そんなに仕事無いからね〜

この機会に多忙になってもらうじゃないか

仕事無い時、加古は寝てるし古鷹は薬品の在庫確認やら機材のチェックとかして暇を潰して、とうとうやる事が完全になくなったら加古と添い寝してるからね

どんだけ仕事が無いかわかるよね〜

 

『さて、ろーちゃん遊ぼうか』

『何をするんですって?』

『なんでも良いよ?鬼ごっこだったり、トランプだったりなんでもね』

『う〜ん…鬼ごっこですって!』

『勝てそうだから?』

『はい♪』

 

確かに体力勝負や力比べなら勝ち目は無いけど、鬼ごっこにはルールがあるからね…

タッチされてはいけない=手のひらで触れられてはいけない

だったら別に逃げる必要は無い

必要なのは回避だからね

 

『それじゃあ鬼を決めようか、ジャンケンでね。あとメンバーも適当に集めないと』

『でっち!』

『それもそうか』

『でっちはジャンケンが強いんですって!』

 

ゴーヤはジャンケンが強い…う〜ん

それってろーちゃんの運がゼロと言う破格の不運だからじゃ…1以下の運だからね

ほぼ運勝負のジャンケンじゃ勝てないよね…

 

早瀬はその後、潜水艦を集め、鬼ごっこを始めると呂500のジャンケンが弱過ぎて、鬼になり早瀬以外がそっこうで捕まっていく中、早瀬だけが呂500の動きを完全に読み、至近距離で避け続ける

 

早い分、小回りがあんまり効いてないね

避けやすい…避けやすいんだけど…体力だね…うん

 

「もう…無理…」

「いや、そこまで避けられる方がおかしいでち…30分もほとんど場所を変えずに避け続けられるのはおかしいでち」

「すごいのね!」

『勝ったんですって!』

『はは…』

 

まあ、最初からろーちゃんが勝つ事は確定してたんだけどね

何せ、逃げる側に勝利条件が無いからさ

 

「それじゃ、明日の護衛は任せたよ…」

「完璧に遂行するでち」

 

明日…はぁ…

頭痛…どうしようかな…いつも死に目にあうんだよなぁ…

…うん、たまには…頭痛でも頑張ってみようかな…ゴーヤの護衛もある事だし



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30話 指輪争奪戦6日目

わ〜い今日から学校だぁ……投稿ペース…大丈夫かな…


…頑張ってみようとは思ったけど…これ、立てるのか?

 

「ハヤセ…ゴメンネ」

「はは…なんで妖精さんが謝るのさ…自業自得…だよ」

「ソノズツウハ、スグニデモナオセルンダケド、ハヤセガマタキケンニナルンダ…」

 

そんな方法が…あるのか?

 

「ソモソモソノズツウハ、ジコシュウフクナンダヨ…」

 

自己修復…だって?

まさかこれは…頭痛じゃない?いや頭痛には違いない…だけど

脳を共有した事で、脳が妖精さんに近付いてしまったから、人間に戻る際に異常な痛みを伴いながら…修復している

目や耳の時にならないのは……情報量か…

 

「君の言いたい事…分かったよ…」

「ヤッタラダメダヨ…シンジャウヨ」

「はは…話が重いなぁ…」

 

この痛みを消す方法は簡単…また脳を共有してしまえばいい…

そうすれば痛みは消える…だけど、妖精が非物理の存在だから…妖精化が進めば肉体が滅びる…つまり死ぬって事か…

ふふふふふ……限界…狙うか

 

『これで確かに消えたね』

『ダメだよ!本当に死んじゃうよ!』

『やっぱり、普通に聞こえるようになるんだね』

『早く解除しないと!』

『限界を知らなければ、どの程度これが使えるのか見定めるには、情報量が足りないんだよ。だから、これからの戦略の為にもここで見定める必要があるんだよ』

『戻れなくなるんだよ!』

 

戻れなくなる……確かに、妖精さんに近付けば近付くほど、治癒能力が必要なくなって行き、戻る為の治癒力が無くなって戻れなくなるって事か

ただなぁ…その限界値も知りたいんだよなぁ…どの程度の時間で治癒力が無くなっていくのか、身体に支障が出始めるのか

私の予想では、支障が出た瞬間に何かあると思うんだよね〜

 

『大丈夫、私は君達や艦娘達、私を必要する者の為だけの存在、こんな所で死ぬ事は出来ない、だけどこのまま、知らない事があるのは私が気に食わない。それに、これはコピーじゃなくて共有、私の思考も見えていたんじゃないかい?』

『そうだけど…早瀬は自分の事を軽く考え過ぎだよ…命は使い勝手の良い駒じゃないよ…』

『確かに君達の命はそうだろう…だけどね、司令官…ひいては上に立つ者の命は駒なんだよ、下の者に可能性を与え、その可能性に向けて成長させる、それだけが上に立つ者の存在価値なんだよ。ほら、教師って仕事があるでしょ?あれと同じさ、かつては下の者…生徒だった者も教師へと成長し、また下の者を育てる為の存在になる。生徒を育てない教師に存在価値は無いだろう?つまり、私は君達を育てる為に、私の命を使う…それが仕事であり、存在価値』

『早瀬は教師じゃないでしょ…』

『それは例えだよ、私は司令官であり、ここの子達の教育者だ…あの子達は汎用性に欠けてしまった為に、世間から見捨てられた子達…そんな子達にも可能性はある、むしろ普通の子よりも可能性に満ちている。だから、私はその可能性を昇華させてあげるんだよ』

 

まぁ…その結果が、神様扱い…人間扱いされなる原因になったんだけどね…

上に立つ者の命とは下の者の命を糧に生き残るような事をしてはいけない、上に立つ…つまりは下の者よりも早く滅びるんだから

下の者の命の方が可能性があって、未来があれば、上に立つ者の命は駒にして然りなのさ

…始まったね

 

『…さっきまで何とも無くなってたのに、全身に痛みが出始めたね』

『!』

『はは…良いねぇ…1つ分かったよ…軋むような痛みでは無く、熱いとか削られるような痛み…つまりは壊して作り変えるのでは無く、削って足す…徐々にしか変化が無いって事か』

『もう解いた方が良い!今解けば頭痛も無く解除出来る!』

『…そうだね、もう少し待って見たかったけど、これ以上は本当に不味そうだ…』

 

早瀬は脳の共有を解除する。

そこである事に気が付いてしまう…。

 

あれぇぇ〜おかしいなぁ〜…私の視界ってこんなに低かったかなぁ…

さっきまでベッドに寝転がってたから気が付かなかったけど…

身長縮んでるね…うん

妖精さんは小さいからな〜仕方ないか〜…はぁ…

むっちゃんに弄られる…

 

「確かに頭痛は無くなってるし、どこも痛くないし、どこかに麻痺があるとかも無いけど……身長が小さくなるとは…これ何歳くらいだ?」

「ダカラ言ッタダヨ…」

「まあ、死んで無いから良いか」

「良クナイヨ!」

 

…ん?

さっきよりも多少聞き取りやすいような…妖精さんに近付いた恩恵(?)かな

もしかしたら、他にも出来る事が増えてるかも知れないね

いや、今はそれよりも私自身の身体の事だね…

ふむぅ…何歳だ?いや…何才だ?

前までが大体、背の低い中学生くらいだったよね?

今は…良くて小学校中学年、妥当な線で言えば小学校低学年くらいか…

はぁ…なんか私自身もここの子達みたいになって来たなぁ…

物理的にやりづらくなった事が増えて、さっき見たな特殊な事がやりやすくなったって感じかな…

まぁ、思考は前までと同じだから、大して変わらないか

私は司令官だし

 

「そう言えばさ?君達って今やりたい事とかってあるの?」

「無イデスヨ?今ノ私達ハ、早瀬ヲ守ル事ヲ頑張ル事ニシマシタ。私達ノ事ヲ想ッテノ事デモ、自分ノセイデ大切ナ存在ガ消エルノハ虚シイデスカラ」

 

確かにそう言う考え方もあるね…

自分の為に死んでくれてラッキーとか思われてたら幸いだなぁ、とか思ってたんだけどね?

私はその方が自分の命に価値があったと思えるんだけど…みんなは違うのかね?

 

早瀬が妖精さんと話していると、部屋に千夏が入ってくる。

 

「お母さん大丈…夫」

「やっぱり身長抜かれてたか…」

「ど、ど、どうしてそんな事に!!??」

「あえて言うなら…人体の不思議かな…」

「説明になってないよ!?」

 

千夏の叫ぶ声で、隣の部屋にいる陸奥や白露も部屋に入ってくる。

 

「千夏ちゃん?どうかした…の」

「…早瀬の隠し子?」

「適当な事言ってんじゃねぇぞ、ネタキャラが」

「うん、この当たりの強さ…早瀬だね」

 

はぁ…集まって来ちゃったか…

あぁ…面倒

 

「は、早瀬…貴女」

「はは…ちょっとやり過ぎちゃったかな?」

「さ、更に可愛くなったじゃない!私を殺す気なのね!萌え殺す気なのね!」

「あは♪もう死んでおけば良いよ♪」

「幼女の罵倒…尊みが深い…」

 

陸奥はその場に崩れ落ちる。

 

はぁ…もつ本当に1回死んでやり直せよ…親友の同性に欲情してんじゃねぇぞ

あと、勝手に部屋に入って来てんじゃねぇ

 

「はぁ…ゴーヤ、職務怠慢だぞ〜」

「排除対象にケッコン艦も含まれるのは想定外でち」

「次から気をつけようね、私が入室許可を出してるのは千夏ちゃんだけなんだから」

「ろーは違うんでち?」

「入室許可は出してない、私がたまに部屋に招き入れる事があるだけ」

 

さてと…人体スペックが下がったから、指輪を物理的に奪われる可能性が上がってしまった…

ちょっと本気で対処しないとダメかな…うちの子達に大人の厳しさを教えてあげよう…今の私はマジ幼女状態なんですけどね!ハッハッハ…はぁ

 

「それじゃ、今からでも…」

「うん、任せた」

「え?」

 

アレは艦娘の白露、私の幼馴染でケッコン艦のむっちゃんと私に部屋に入って来て、変わり果てた司令官の姿を目撃した

司令官に夢中になっていた白露は、背後から近づいて来るゴーヤに気付かなかった!

白露はゴーヤに顎を打ち抜かれ、目が覚めたら…

花壇に埋められていた!……とかあったら面白いのに

 

「白露とむっちゃんどうするの?ゴーヤ」

「陸奥さんは長門さんに任せて、白露は花壇に埋めてくるでち」

「やはりゴーヤも私に近い感性を持つ愉悦主義者か!」

「白露は埋めるでち、もしくは村雨に与えるでち」

「それも良いねぇ」

「それより!お母さんその姿どうするの?」

 

ちゃっかり千夏ちゃんも私に染まって来たね?

白露が花壇に埋められるか、拷問紛いの事をされそうになってるのにそれよりで済ませるからね

同じ孤児院のお姉さんなんだけどなぁ、白露って

 

「どうすると言ってもねぇ?お母さんは小さくなりました…じゃダメかな?」

「ダメじゃ無いけど…」

「じゃあ良いじゃん、私のケッコン指輪を欲しがる艦娘全員がロリコンの変態って事で」

「じゃあ…良いか」

「うんうん、良いんだよ」

 

どうせ私が変わるわけじゃないしね〜

ただ、1つだけいい事がある

それは、どう考えても吹雪と間違える余地が無い事だ!

しかも日振にも似てない!

なんかさ?髪型の問題で全然雰囲気が違うんだよ

まあ結構前から髪型は吹雪似ですら無いんだけどね?

何せ切るのが面倒だから伸ばしてたら、邪魔になってどうしたもんか?ってなった時に、意外と長いのに髪を束ねてる子いたかなってなって

出てきたのが、電な訳よ

だから、髪型は電に最初やってもらってやり方覚えて自分でやってるから……ん?

髪の毛を茶髪にしたら後ろ姿が電にしか見えなくなるんじゃ…しかも身長が近くなってるんだけど…

電は喜びそうだけど…

 

「千夏ちゃん、ちょっと私を後ろから見てくれないかな…」

「?…うん」

 

私の予想だと…セーラー服着たら完全に電…早急に何とかせねばいかんのかも知れない

 

「そう言う事かぁ〜凄く電ちゃんに似てる!」

「やっぱりか…もういっそセーラー服着て茶髪にしてやろうか…」

「紛らわしくなるね?」

「髪型変えようかな…」

 

かと言って、束ねた髪型…考えるのが面倒だから艦娘の髪型をしてたけど…自分で考える?いや、面倒だよ流石に…

いいや…このままで

電リスペクトって事で…実際は電の髪型っ後ろが若干ぐちゃってなってるから、そこは私は修正してるんだけどね〜

あと、たまに出撃する時に寝坊して来て半分寝てる電の髪型をやってたりするから、その時だけ電の髪型がちょっと違うんだよね…

オリジナル化してるのかな?これって

 

「最早髪の毛真っ白にしようかな〜」

「白髪とか銀髪の艦娘って結構いるよ?」

「ここまでチビな子はいねぇ……と思ったけど、響がいたわ」

「髪型そのままで銀髪にしたら、新しい艦娘みたい…」

「よし!それで行こう!」

「こだわりとかは…」

「無い!むしろ変えたい!気分転換したい!手入れはむっちゃんがやるから私関係ないからね!」

 

とは言え…明日が指輪争奪戦最終日にして、演習トーナメント開催日

素手で殴り倒してやろう!

ろーちゃんの晴れ舞台を整える簡単なお仕事…

脳の共有をもっと持続出来れば良かったんだけどね?

2日目に使ってある程度時間が経ったら妖精化するから、最悪死ぬ…言うか、時間的に30秒くらいしか無償じゃない

30秒で指示すれば良いんだろうけど、再発動までの頭痛で指揮が出来ない…困ったもんだよね



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31話 指輪争奪戦最終日+α

投稿時間ミスったぁ…


今日が最終日、指輪は残り1つ誰が手にするのかね〜

あっ…そう言えば髪の色を銀髪にしてみたよ〜髪解いたら響っぽくて笑ったよ〜

 

「新生早瀬ちゃん見参!」

「え?厄災早瀬様?」

「白露の耳はパンの耳〜…どんな耳してんじゃ」

「実際、小さくなっても中身変わってないから、厄災でも間違ってないじゃん」

「厄災の力見せてやろうか」

「結構です!」

 

早瀬が白露と会話していると、扉が勢い良く開かれる。

それと同時に、白露が謎の爆発を起こす。

 

「なっ…これは…」

「マタタビC4爆弾、白露の背中に付けておいた」

「クッソォォォ!!!」

 

白露はまたしても猫に追い回されながら部屋から出て行く。

 

「またデスカ?」

「そう、まただよ」

「…小さくなったとは聞いてたけど、銀髪になってるとは聞いてないヨ」

「イメチェンだよ、小さくなったからね」

「そうデスカ…さあ!今度こそ勝ちますヨ!」

「そのいきだよ、その勢いで私の命を奪ってしまおう」

「…そうなんですよネ」

 

どうやら勝つ為の方法は分かったけど、指輪の入手は分からないみたいだね

まあ、最終日だから大大大ヒントをあげようかな

ゲーム中にだけどね〜あと、これで金剛が気が付かなかったら私死んじゃうなぁ〜

金剛が物分かりのいい子だと信じてるよ

 

「さて、始めようか」

 

早瀬は前回同様にリボルバータイプのマグナムに2人とも目隠しをして適当に2発装填し、弾倉を回転させる。

 

「じゃあ私から」

 

まあ最初は普通に弾丸じゃ無いんだけどね

 

「次だよ金剛」

「早瀬は悪趣味デス…」

「神様は悪趣味くらいが丁度いいんだよ」

「…最悪デスヨ」

 

金剛もクリアし、早瀬に回す。

 

まあ、2発あるんだし1発くらい、金剛に当てても良いんだけど、もう当たらないだろうし、ちょっと遊ぶか

 

次の早瀬も難無くクリアし、金剛に渡る。

 

「スキップですヨ…2発」

「了解」

 

やっぱり分かってたか

じゃあ、そろそろ勝負をかけに行こうか

 

「私もスキップ2発」

「うぅ…やっぱり…え?」

「はい、次だよ」

「え、えぇ?」

 

金剛は弾丸を引き当て、ダメージを受ける。

 

「やっぱり結構痛いネ…今はそれよりも…」

「次は私だね♪」

 

そう、次の弾倉には弾丸が入っている

このまま行けば私の死亡で私の負け、だから金剛は相手のいない指輪を手に入れる

そうなれば、実質金剛の負け

さあどうする?勝者のいない死のルートを進むかな?

 

早瀬は銃口をこめかみに当てる。

そして、口角が釣り上がる。

 

「ダメ!」

 

バンッ!

 

執務室に2回目の銃声が鳴り響く。

しかし、早瀬に銃弾が当たる事はなく、壁に弾丸がめり込んでいた。

 

「あ、危なかったネ…」

「なにはともあれ、正解だよ金剛」

 

そう、このルールに相手が撃つのを妨害してはいけないなんてルールは無い

だから、金剛が本当に指輪を手に入れる為には、私が銃弾を撃つタイミングで私の射撃を妨害する事

撃った時点で私の負け

だから私が死ぬ事無く、金剛は指輪を手に入れる事が出来る

 

「心臓に悪いネ…」

「古鷹にも言われた」

「本当に勘弁して欲しいヨ…」

「はっはっは、嫌だ」

「知ってますヨ…」

 

さてと…おとかたの予想通り、鈴谷と金剛になったね

他の子達は、私のダウン中が狙い目だと思って突撃して来て、ゴーヤやろーちゃんに撃退されて、機を逃してたね〜

まあ、さっさと報告して終了だね

 

『最後の指輪が渡ったので、指輪争奪戦終了!』

「最後!?」

「そうそう、ろーちゃんは知ってるだろうけど、2つ目は鈴谷だよ。あの子は私を追い詰めて見せたからね」

「うへぇ…危なかったネ」

 

さて…指輪も全部渡した事だし…って言うか、結局奪えた子はいなかったね

ご褒美であげた子が2人、最後が大大大ヒント込みの攻略…

まあ…私が甘かっただけなんだけどね

 

「さて、演習トーナメント開催日だし…見に来る?」

「う〜ん…ここの外に行くのは…」

「引きこもりか…それとも、前にいた鎮守府の提督がいるかも知れないから?」

「…そうですネ」

「ふふふ、その悩みは下らないよ?今の君達は他鎮守府の子達よりも強いんだから、悩む必要は無い、むしろ見返すチャンスだと思っときなよ。場合によっては出してあげるよ」

「うぅ…」

「何なら、適当に誘って見ていれば良いよ、私は誰にも負けないし」

「誘ってみるヨ…」

 

毎回編成を変えるのも面白いかも知れない

今回は元帥を決める為の演習だから、元帥がいない

だったら、煽りながらでも勝ててしまいそうなんだよね…前に会議モドキに行った時、まともそうなのが1人もいなかったし

人は見た目によらないとは言うけどね

 

「それじゃ、見に来るなら大本営でね〜。心配は要らないからね?どうせすぐに君達の事を蔑む事を出来なくしてやるから♪」

「なにをする気ネ?」

「まあ見に来れば分かるよ」

 

早瀬は、その日の秘書艦である鈴谷と近接戦闘しか出来ない艦娘達と共に、大本営に向かう。

 

「は〜い、全員いるかな〜」

「遠足みたいな事言ってるね?早瀬さんが1番小さいのに」

「うっせぇ、合法ロリ舐めんなよ?これでも、指揮能力高めなんだぞ?」

「知ってるよ、うちの鎮守府のみんながそれを知っている。負けどころか、ダメージすら受けた事ないし♪」

 

演習メンバーは、村雨、ろーちゃん、黒潮、朧、鬼怒、武蔵…

正直な話、ろーちゃんと武蔵に関しては、威力が高過ぎて一撃大破どころか大怪我必死なんだよね…

ろーちゃんは言わずもがな、武蔵も深海棲艦を文字通り殴り倒してたし

 

「武蔵は手加減頑張ってね、本気でやってシールド貫通して大怪我とか恐怖だから」

「うむ…やれるだけやってみよう」

「絶対だからな?あと、今回は気まぐれで編成まるまる変わる可能性があるから、そのつもりでね〜」

「あら?白露姉さん1人とか?」

「白露に限らず、単騎はするかもね〜ろーちゃん単騎とか」

「その時の相手は可哀想ね」

 

そりゃそうだ

他の子達は手加減なり、常識的なパワーだったりするけど、ろーちゃんに関しては、手加減が出来ないし、パワーがあり過ぎる

だから、ろーちゃん単騎は完全に抹殺用編成

やたらと悪く言ってくるとか、馬鹿にした奴は艦隊もろとも破壊してやる

 

大本営に到着して、まず早瀬は思うのだった…。

 

目線が違うと新鮮味があるなぁ〜

まあ、見た目がほとんど艦娘だから、周りから見たら私は謎の存在なんだろうな…こんな子供が司令官だとは思わないだろうし

どっちかと言う、艦娘の駆逐艦だし…もしくは海防艦

ただ、誰もこんな艦娘は知らない、だっていないし

はぁ…周りの視線がキモい

 

「君、ここは遊ぶところじゃないよ。ほら、君達もこんな子供を連れこまない」

「はぁ…またか」

 

いや、今の姿ならそう思うのは無理も無い事は私も自覚してるよ

たださぁ…せめて艦娘かどうかの確認くらいして欲しかった…艦娘じゃ無いけど

 

「私は司令官です」

「では軍服はどうした」

「着れると思うのか、背丈を見ようよ、こんなサイズの軍服なんかコスプレと大して変わらないでしょうが」

「だからと言って、何故セーラー服を着ている…」

「艦娘っぽくない?」

「見えなくもないが…そんな艦娘は見た事無いぞ」

「あくまでぽいだからね、とりあえず通してくれない?上着だけなら持って来てるから」

 

予想は出来てたからね

軍服にはバッジ?みたいなのとか付いてるし、階級とかも分かるでしょ

 

「拝見します…!司令長官殿!失礼しました!」

「君は物分かりが良いんだね…」

 

大本営にも頭の硬い奴しかいないわけじゃないあのは知ってるけど、多いんだよね

私の背丈、見た目で子供扱いして、結局突っかかってくる輩がそこそこいるんだよ

その度に、私が……まぁ…うん

 

「早瀬さんってもう早瀬ちゃんだよね〜」

「私はあんまりその呼び方好きじゃないんだけどなぁ…ろーちゃんはそう呼んでるけど」

「じゃあ鈴谷も…」

「ダメ、私の事は響と呼びなさい」

「それはおかしいよ早瀬さん」

 

いやぁ、小さくなったからには遊びたいじゃん?

とは言っても、見た目が見た目だからなぁ…

 

早瀬達は演習場に向かい、そこにいた元帥からトーナメントのルールを聞く……ふりをして居眠りしていた。

そして、そんな居眠りしている早瀬の髪型で変えて遊ぶ鈴谷や黒潮達。

 

「まあ、分かってはいたが、早瀬ちゃんの所は自由奔放だねえ」

「本当に何故あのような者が、司令長官と言うポストに就いているのか、理解出来ません」

「仕方あるまい…前任の司令長官が行方不明になり過ぎて実力主義にしたら、あやつになってしまったのだ」

「行方不明…そんなに多くなるものでしょうか…」

「さあ…な」

 

早瀬は結局、ルール説明が完全に終了してから目覚め対戦表に目を向ける。

 

…なんだ、決勝戦は元帥固定なんだ

なら、本気で殺しに行っても良さそうだな

だから、決勝戦は本気でやろうか…久し振りの本気海域攻略みたいでちょっとだけ、やる気出て来たわ

 

「鈴谷…決勝戦は本気でやる事にしたよ」

「元帥だからでしょ?分かってるよ」

「だから、決勝戦の編成はろーちゃん、むっちゃん、金剛、瑞鳳、川内、武蔵でやる…」

「酷…」

「だって私元帥嫌いだもん〜」

「わざわざ艦隊もろとも消し炭にしなくても…」

「どうせ引退試合だ、最後に盛大に消してやる」

 

反撃の余地も無く、行動の余地すら無い…圧倒的な絶望をくれてやる…

アイツは本当に嫌いだ…

まあ、決勝戦まで遊ぶとしようか

決勝戦メンバーは後で呼ぼうか…初戦私だし

 

「ねえねえ早瀬さん、初戦の相手って前の会議の時の人じゃない?」

「あぁ〜鈴谷1人で余裕だった新人か」

「あら、それなら、私だけで余裕じゃないかしら?鈴谷さんよりも強いもの私」

「おお、言うねぇ…村雨ちゃん」

 

はぁ…なんでみんな好戦的なんだろうなぁ…私はこれと言ってそう言う育成してなかった気がするんだけどなぁ…

 

「1人で十分なのは確かだろうけど、それは前と何も変わっていないならの話であって、あの新人が目覚ましい進歩をしているならば、1人でやるのは時間がかかるんだよ」

「負けるとは言わないんだね…」

「君達の敗北=私の死亡…そのくらいの気概でやってるからね私」

「うわぁ…私達責任重大だぁ…」

「いやいや、責任重大なのは私だよ、みんなと自分の命をかけて戦ってんだから」

 

実際この子達、艦娘は元々大戦中の戦艦の力を引き継ぐ子達

そんな大戦中において指揮官の采配ミスは即ち死を意味する

なんだってその戦艦に指揮官も乗ってて、采配ミスで船が沈めば指揮官も死ぬんだから

なら、この子達艦娘の死とは同時に指揮官の死も同じであってもおかしくはない

演習では死なないけどね

 

「まあ、初戦だし気楽に行こう」

「しかし…相手には悪いが、私達全員で相手するのは大人気なくはないか?」

「プライドズタズタにするなら、また鈴谷1人で蹂躙するだけだから、今回は私のリハビリも兼ねてるんだよ。最近ほとんど単騎攻略だったしね〜…何よりもたかだか有象無象の弱者相手に大人気ないとか、感情を向ける気にもならないんだよ」

「やはり貴女は少し周りとは違うな」

 

何が違うんだろうね…

己の強さを誇示するこのトーナメント方式の演習において、一回一回の勝利なんて意味は無い

優勝しないと意味が無いんだよ

だから、雑魚1人に勝っても何も思わない

道端の小石を踏んだ事をいちいち気にする人間がいるかい?って話だよ

いないよ…よし小石踏もう!やったぁ踏めた!なんて人間見たこと無いだろ

 




何気に早瀬の細かいビジュアルの明記って初めてかも知れない
早瀬のステータスでも作ろうかな?


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32話 私は死なんよ

はぁ…めんどくさい

さっさと元帥倒して終わらせたい…

なんでいちいちモブ狩りしないといけないんだよ…

 

「はぁ…」

「めんどくさそうだね?」

「当たり前じゃん…だって」

 

早瀬が視線を向ける先には、艦隊メンバーが演習場にいるにはいるのだが、武蔵以外の全員がのんびりとくつろぎ、武蔵が新人の艦隊を正面から破壊して行く光景だった。

 

「武蔵じゃ、この程度の相手だと私の指揮が必要無いから、私が暇なんだよ」

「あの人好戦的だし、早瀬さんのやり方に忠実に1発もダメージ受けないように立ち回ってるからね〜」

「みんなこうなら、私は司令官辞めるよ」

「それは困るなぁ…」

「普通はその方が良いんだけどなぁ…みんながみんなあそこまで独立して動けるなら、私の指揮は必要無い、指令が無い分早く動けるからその方が強いし」

 

頼られたいタイプではあるんだけど…頼られ過ぎるのは、育成上良くないのも理解している…私に依存すると私がいない時に動けない的

そんなのはこの子達の強さには繋がらない

さじ加減が難しいなぁ…

 

「でもさ?あれやり過ぎじゃない?」

「知らない…武蔵が楽しいなら、もうそれで良いよ…うちの武蔵は弾薬消費しないし」

「撃てないからね」

 

今回の編成だと、みんな弾薬消費しないんだけどね

と言うか、燃料しか消費しない…鋼材は入渠と言うほぼしない行為でしか使わないし、ボーキサイトも弾薬同様に消費しないし

みんな低燃費だなぁ〜燃料はごっそり減るけど

 

「村雨…暇なら参加して来なよ」

『怪我したく無いからいいわ…周りが見えてないのよ武蔵さん…司令官さんの言う事は聞くのに…』

「そりゃ困った…」

 

その時、演習場の方から何かが飛んでくる音が聞こえる。

 

あぁ…マズイ…

 

それは、武蔵が敵の砲弾を受け流した為にこちらに飛んで来た砲弾であった。

武蔵はその事に気が付かずに、未だに戦闘を続けていた。

 

死んだか?いや、この角度と風向き…

死にはしないな…うん

ただ…大怪我するかも知れないなぁ…ヤダなぁ

 

そんな悠長な事を考えていると、砲弾は早瀬のすぐ近くに着弾し、爆発を起こす。

 

「早瀬さん!武蔵さん!ちゃんと方向確認して!」

『なっ…しまった!』

「しまったじゃない!」

「うるさいよ…鈴谷…死んじゃいねぇよ…クッソいてぇけどな」

「…なんか荒れてる?」

「はぁ…まさかの自体だよ…覚えてろ武蔵」

『罰なら甘んじて受けよう…』

 

砲弾が飛んで来て怪我するのはまあ良いよ、想定の範囲内ではあるよ

たださぁ…私の回復力、治癒力に問題があったんだよ…

血がドバドバ出てる場所はまあ普通に血が止まらないけどさ…ほんの少し切った…擦りむいた以下の傷すら治る気配が無い…

この身体になって治癒力もほとんど無くなったって事か…

これは…死ぬかもなぁ…

はは♪案外私を殺すのはみんなかも知れないね♪

 

「早く古鷹さん呼んで!早瀬さん!目を開けて!」

 

はぁ…珍しく焦る鈴谷の声が聞こえる

私も大概運が無い…初戦から砲撃もらって怪我の治りが著しく低いなんてね

眠いなぁ…さっきまで寝てたからかな…

まあ、運は無いけど悪運だけはあるから、大丈夫でしょ…

…あと、真面目な話…鎮守府からここまでの距離と私が死ぬまでのおおよその時間を考えると…余裕で間に合うから何の心配もしてないんだよね…

 

———————————————————————————————-

 

早瀬が爆発してから30分後、古鷹が到着し、早瀬の治療を開始する。

 

「どうしてこんな…」

「こりゃひでぇな…」

「大丈夫だよね…」

「指輪光ってるみたいだから、まだ生きてるし、死なせません」

「それにしてもなぁ…怪我の治りがおかしいぞ?」

「そうだね…白露ちゃんとは真逆みたいな…治りが遅過ぎる…もしかして艦娘にしか私の治療は効果が…」

「いやいや、前に村雨のあれで治る事は分かってたろ?」

 

演習の方では、村雨や他の艦娘達も加勢し、速攻で全員を物理的に大破させて戻ってくる。

そして、治療は続き、1時間後に処置は終了した。

 

「なんか…このギリギリの治療すらも見透かされてそうだね…」

「だろうなぁ…それにしても、なんか小さくない?」

「加古さん…今更!?」

「いやぁ〜最初は見間違いかなぁ〜とか思っててさ」

「多分、この身体になったのと、治りが遅過ぎたのは関係あると思う…」

「まあ、それしか当てがないし」

 

はい、正解…

目覚めてみれば、お通夜モードですか?死んだらんわ

かと言って、目を開けないでもう少し聞いてたら面白い事に…

 

早瀬が狸寝入りを決行しようとした瞬間、何かが早瀬の上に飛び乗って来る。

 

ぐっはっ!?

な、なんだ!?

 

「…」

「やめぇ〜や…死ぬわ…ろーちゃん」

「起きてたなら早く目を開けてくれない!?心臓に悪いんですけど!」

「悪運は強いからね〜村雨しかり武蔵しかりね」

「うぅ…」

「すまない…」

 

武蔵のお仕置きはまた今度として…

どうしようか…流石に動けないぞ?…ていうか拘束されてるように見えるんだけど、なんでかな?

悪い事してないんだけどなぁ…何かしたのかな?

いや、今回は何もしてないはず…観戦して爆発しただけ…爆発したのがダメだったのかな?

いやいや、爆発は私のせいじゃないし

なんでだ?

 

「あの…この拘束は一体…」

「放っておいたら死んでしまいそうだったので…」

「死ぬかい!本当に死にそうだったら回避するわ!」

「今回の事も死なないと分かってましたね…」

「分かってたさ!鎮守府からの距離、古鷹の速力、外傷レベル、全て込みで考えれば余裕で間に合うのはことはね!」

「私が仮に来なかったらどうするつもりだったんですか…」

「来なかったら死んでただろうね、だけど古鷹は来るだろう?」

「行きますけど…」

「じゃあ良いじゃん、だから拘束解いて?」

「ダメです」

「なんでさァァァァァ!!!」

 

力が弱過ぎるから拘束を無理矢理解く事が出来ないし、縄抜けなんか脱臼必須クラスの痛い事はしたくない…

どうしよう…古鷹は強情だからなぁ…どうしたら解いてくれるかなぁ…

お願いしてみるか?むっちゃんとかにしか効かなそうだけど…

 

「ねぇ、拘束解いて、お願い♪」

「ダ、ダメです」

「だよね〜」

 

ふむ…どうしようかな…

どうすれば…

泣き叫んでみるか?プライドなんか知るか精神…ていうか、よくよく考えたら私にプライドなんか無かったわ♪

でもなぁ…泣き叫ぶってどうやってやるんだ?

結局どうすればいいか分かんないや

 

「どうしたら話してくれる?泣き叫んで良い?」

「やめて下さい…いたたまれない気持ちになります…あと、鎮守府に帰るまで解きません」

「演習どうするのさ!」

「拘束されてても出来ますよね?」

「出来ません!」

「喋るだけじゃないですか!」

「モチベーション大事!ていうか、あと3時間くれたら拘束して良いから!それまで解けぇぇ!」

 

3時で勝ち上がって来る奴の予想から、行動予測、作戦まで全部立てればそれでもう私が何もする必要が無くなる!

だから3時で全てを片付ける!

まあ、機を見て痛いけど脱出するけどね…元帥相手に流石に通じなさそうだからね

 

「3時間…」

「ね?いいでしょ?」

「ダメです」

「なんでじぁぁ!」

「逃げますよね」

「逃げないわ!」

 

信用がない…絶望的に信用が無いよ…

こうなれば、仕方ないから縄抜けでもしようか…この際、痛みなんかね…治りが遅いけど大事かな…

 

早瀬は関節を外し、間を作り拘束から解放される。

 

「あっ!」

「さらばだ!」

 

いてぇぇ!!…プランプランしてるよ…あとで無理矢理ハメればいいか

今はどこに行こうかを考えよう…

大本営で鬼ごっこか…

本当に子供みたいになって来たな…20歳なんだけどなぁ…

身長は110センチ行くか行かないかくらいだから、大体小1か、幼稚園児だな…嘘だろ…

再確認して突きつけられる絶望!響よりチビじゃねぇか!

しかも私は艦娘じゃ無いんだぞ!?ここから成長なんか望めないんだぞ!?

はぁ…おチビは辛いよ…今まで以上に高い棚に手が届かなくなったし、歩幅が小さくなったから足が遅い、筋力低下したから重い物も持ち上げられない、小さくなった分代謝が上がって眠くなりやすいしで、いい事が見当たらない

治癒力も下がってるし…

 

「次の演習は多分1日後だから、それまで自由にして良いよ〜!」

「待ってください!逃げないでください!」

「嫌です!足の回転速度を上げれば逃げられるのだ!」

 

めっちゃ疲れるけどね

あと、今更だけど更に司令長官としての威厳が無くなったよね

I☆GE☆N!って叫びたくなるよね〜ここまで威厳が無い姿だと…

 

「はぁ…はぁ…体力が無い!」

 

早瀬は逃亡の末に、とうとう古鷹に追い詰められてしまう。

 

体力は無いし、追いつかれたし、追い詰められたし!

仕方あるまい!こうなれば利用できるモノは全て利用してやろう!

 

「もう逃がしませんよ!」

「た…」

「た?」

「助けておじさん!」

「ええ!?」

 

早瀬は近場にいた憲兵の1人に助けを乞う…。

当然ながら、子供らしく、そして必死そうに…。

 

「君は…艦娘だね。こんな子供を追い詰めて何をしている」

「あ、いや…これは…」

「とにかく、君は君の司令官の下に帰りなさい」

「だから…その…はい…」

 

古鷹は肩を落としながら、加古や村雨の場所に帰って行く。

 

「さて…君はどこの子か…な…」

 

憲兵は振り返る直前にその場に倒れてしまう。

それは早瀬が後ろから、麻酔銃で眠らせた為であった。

 

「はい、ご苦労さん、大変役に立ったよ君」

 

さてと……子役にも向いてるかも知れない

なんてね

人間1人騙すなんて、朝飯前だっての♪

 

早瀬は憲兵を置いて、大本営の医務室に向かう…。

 

…肩入れないとな…っ!

やっぱり痛い…

 

鈍い音をさせながら、早瀬は肩を無理矢理ハメてから医務室に向かい、入って行く。

 

「あれ?お嬢ちゃん、どこから来たの?」

「あのね、一緒にお母さんが忙しいからっ医務室ってところに行って、怪我を治してもらいなさいって言われたから、1人で来たの♪」

「こんな子供を置いて…お嬢ちゃん怪我してるの?」

「これ♪」

 

早瀬は服を持ち上げて、身体を見せる。

そこには血の付いた包帯で覆われていた。

 

「なっ!?こんな大怪我…ちょっとそこのベッドで横になっててくれるかな?私はちょっと他の人を呼んでくるから」

「分かった♪」

 

医務室にいた女医が部屋を出て行き、他の医師を呼びに行くのを確認し、早瀬はベッドに腰掛ける。

 

チョロい…

案外この身体にも使い道がありそうだね

油断させたり、騙し討ちをしたり

案外戦略的には良い結果なのかも知れないね…生活面がほぼ死んだけど…

 

「ゴホッ!……はぁ…吐血か…内臓へのダメージも相当だったんだろうね…それにさっき走ったのが悪影響だったか…」

 

早瀬は近くにあったタオルで口から流れる血と手に付いた血を拭き取り、包帯を外していく。

 

新しいのに変えた方が良いよね…

血が付いた包帯とか、戦時中かよ…

 

早瀬は医務室の棚をよじ登り、包帯を見つけ、巻いていく。

 

古鷹に介護士、看護師、医師の免許を取らせた時に私も覚えておいて良かった…

こういう時自分で出来るのは良いねぇ…

とは言え…貧血…横になろう…ダメだ立ってられない…あぁ…床がヒンヤリしていた気持ちいい…

 

早瀬は貧血でその場に倒れ込む。

その結果、医務室に血だらけの幼女が倒れているという光景が出来上がってしまう…。



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33話 タイミングを失った

…えっと…何がどうなったんだっけ

あぁ…そうだ…貧血で倒れたんだ…やっぱり、出血し過ぎてたか…

頭がぼーっとする…だけど、ちょっとずつ思い出して来た

子供のふりして遊んでて、包帯を変えてたら貧血で倒れたんだ

 

「目が覚めたみたいだね」

 

医務室の女医か…ここはどうすればいいのかな?

子供のふりを続行した方が良さそうだけど…仕方ないか

 

「気分はどお?」

「頭がぼーっとする…」

「寝起きだからね」

 

それもそうか…寝起きだもんね

てか、これはどう言う状況だ?

医者だと思われる人しかいねぇ…なんか大事になってる?

 

「もう少しゆっくりしていてね」

「うん…」

 

とは言ったものの…ちょっと話を聞く限り、この身体が少しおかしいだとか聞こえるんだよね…

自分でも分かってるけどさ…治癒力がほとんど無くて、年齢不相応の体格…正常な点を探す方が難しいよね

 

「しかし…このデータ…」

「確かに見た事はあるんですが…それがもし正しかったとしても、結局不自然ですよ」

「そうだなぁ」

 

データ的にはこの身体の役30〜40%くらいは妖精化してますからね…

そもそも人類から逸脱しつつある…妖精さんに近いという位置から、半分妖精くらいまで進行してる…解剖対象になったりしないよね?

そうなったら、このボロボロの身体引きずって逃げるからな

 

「君のお母さんについて、聞いて良いかな」

「ダメ」

「どうしてかな?」

 

適当に言っただけで、なにも考えてないからです…

なんて言えるかよ…本当の親の事だってよく覚えてないってのに空想なんか出来るか

 

「よ、妖精さんだから…」

 

無理があるだろ…苦し紛れ過ぎるし意味が分からん

 

「なるほど…」

 

何がなるほどなの!?今ので何を理解したの!?

どう考えても嘘だろ!隠す気すら感じないレベルの嘘だろ!

え?まさか本当に妖精さんと人間のハーフだとでも思ってんの!?バカじゃないの!?

 

「見つけましたよ!早瀬さん!」

 

うげっ…古鷹登場か…

どうしようかな…この人達に子供の演技しちゃったから、変な事しづらいぞぉ…

仕方ない…記憶喪失の幼児退行という事で片付けるか!

これが1番面白そうだし楽!成功するとは思えないけどね…

 

「えっと…お姉ちゃん誰?」

「え、え?えぇ??」

 

嘘だろ…お前もこの苦し紛れ過ぎる嘘に引っかかるのかよ!

私は悲しいよ!そんなにチョロい子だったの!?

お人好しにも程があるだろ!さっきまでの信用の無さはどうした!

 

「君は古鷹だね、この子の事を知っているみたいだけど」

「あ、はい…この人は私達の司令官でして…」

「この子が…司令官?冗談では無く?」

「はい…本当です…」

 

今のうちに逃げてやろうか…

嘘がバレそうだ…

 

「お姉さん、ありがとうね。私は行くよ♪」

「あっ、ちょっと待って」

「バイバ〜イ」

 

よし、逃亡成功…古鷹は何やら女医とおはなし中のようだし、これからどこに行こうか?

まだ若干身体が重いけど、さっきよりはマシだし…

あっそうだ♪古鷹にわざと見つかって連れ戻されて、鈴谷とかの反応を見よう♪

きっと素の反応が見れるはず!普段どう思われているのかちょっと気になるし…

 

早瀬は古鷹にわざと見つかるように行動し、タイミングを見計らって目の前を通り過ぎてみる。

 

「見つけましたよ!」

「さっきのお姉ちゃん♪」

「うぅ…なんか調子が狂います…」

「お姉ちゃん大丈夫?」

「はぅ…」

 

もしかして古鷹もロリコンか?

ロリコンなのか?しかし!

なんか古鷹なら良いかな〜なんて思えるのが不思議だよね〜

むっちゃんとか白露だと何されるか分かったもんじゃない

雷はオカンしてそうだから、特にね?

 

「と、とにかく、みんなのところに戻りますよ」

「は〜い♪」

 

さて…引き時を見失ってしまったが…どうしようかな

 

早瀬は古鷹に手を引かれて、鈴谷達が待つ部屋に連れて行かれる。

 

「古鷹さんやっと捕まえたんですか?」

「いや…それが…」

「片腕のお姉ちゃんはお名前なんて言うの?」

「は?」

「いつのまにか…はい…」

「ねぇねぇ?なんて言うの?」

 

空気をあえて読まない事でそれっぽく見える!

策略家だからね!演技くらい訳ないのさ!……て言うか、自分でもしっかり来すぎて困ってるんだよね…

これが見た目に引っ張られるという事か…厄介な

 

「えっと…鈴谷だよ」

「私は……あれ?」

「早瀬ですよ、斎川早瀬」

「さいかわはやせ…分かった♪」

 

名前とか苗字で呼ばれ過ぎると、どっちかを忘れがちになるんだよね〜

苗字とか特に私は呼ばれないからさ〜

 

「ねぇ、本当に…記憶が無いの?」

「記憶あるよ?私は斎川早瀬!」

「さっき聞いてたよね…」

「医務室に行く前からは覚えてるけど…あれ?その前は何をしてたんだろう?」

「厄介だね…」

「本当ですね…」

「「可愛い…」」

 

ダメだコイツら…私のビジュアルってそんなに良かったかなぁ…

平々凡々だった気がするんだけどなぁ…

いや、吹雪に間違われる事があったから、少なくとも吹雪レベルには可愛いはずだ!

うちの吹雪はカッコイイ系だけどね〜見た目は可愛いのに…

 

「古鷹?この早瀬さんどうするんだよ」

「どうするって言われても…記憶が戻るまで私が預かるしか…」

「いやいや!ここはケッコン艦である鈴谷が預かるし!」

 

私の為に争わないで!

…なんてね

 

「ねぇ?どの子のところに行きたい?」

「早瀬さんが決めてよ、鈴谷のところでしょ?」

「私はね〜…この人♪」

 

早瀬が走っていったのは…黒潮のところであった…。

 

「いやいやいや!おかしいって!なんでこのタイミングで!?」

「美味しそうだった♪」

「美味しそう!?」

 

面倒事になりそうだからと、なりを潜めても私は逃がさんぞ!

陽炎とかぬいぬいの反応も見たいし

 

「黒潮ちゃん…見損なったよ」

「なんでや!ウチ悪くないやろ!」

「だってズルいじゃないですか!」

「ただの嫉妬やないか!」

「黒潮って言うの?黒潮ちゃん♪ふふふ♪」

「やめて!?今はやめて!?頼むからやめて!?」

「い〜や♪」

 

意外に楽しい…しがらみなど忘れて、ずっとこうしているのも良いのかも知れない…

…いやいやいやいや!ダメだ!

歳を考えろ!20歳だぞ!?

20歳で甘え倒すとか無理だろ!痛過ぎるだろ!

まあ…もう少し遊んでも…良いよね?

 

「ホント…頼むて…せめて古鷹さん達を何とかしてぇや…」

「分かった♪」

「お?」

「古鷹さん、鈴谷さん、バイバ〜イ♪」

「「ぐはっ」」

「違う!?トドメやない!」

 

早瀬がその場のメンバーで遊んでいると…早瀬にとって最悪の2人が到着する。

 

「早瀬が子供になったと聞いて飛んできたわ!」

「うむ!」

 

ビックリセブン…だと…

どうする…どうしよう…どうしたら!

むっちゃんやらながもんは面倒極まりないぞ!?

 

「私…この人達嫌い」

「「ぐっはぁっ!!」」

「即死やんけ!」

「黒潮ちゃんの方が良い!」

「「ごふっ!」」

「気持ち悪いよ!」

「「ヒュー…ヒュー…」」

「やめたれぇや…死ぬで?」

「嫌!この人達嫌い!」

「もう息しとらんから…」

 

早瀬に滅多打ちにされ、古鷹に治療されるビックリセブン…。

 

「いつもみたいな感じじゃないから…これは…キツイわね」

「そ、そんなに…そんなに…へんなオーラが出ているのか…」

 

早瀬は黒潮の後ろに隠れる。

 

おお怖い怖い…黒潮が何気に1番安全まであるよ…

て言うか…傷開いたかも…めっちゃ痛い…

叫ぶもんじゃないね…この身体になってから更にロリコンに拒絶反応が…

 

「ほ、ほら…おやつあるわよ〜…」

「わ〜い♪」

「なっ!?」

 

むっちゃんのおやつだ♪

久しぶりだから嬉しいなぁ♪…ん?

…いかんいかん…思考すらそっちに寄ってきてるじゃないか!

 

そんな事を考えながらも、早瀬は陸奥が持ってきたおやつに手を伸ばす。

 

「やっぱり早瀬ね…」

「斎川早瀬!」

「フルネームでしょ…」

「最カワ早瀬!」

「そうね!その通りね!」

 

適当にふざけてみたけど、それで良いのかビックリセブン

助けてコロラド…このビックリセブンを何とかして〜助けてビッグセブン!

 

「あまり無茶をさせてはダメですよ!今の早瀬さんはボロボロなんです!」

「ゴホッ…大丈夫!ゴホッゴホッ!」

「どの辺が大丈夫なの!?」

 

傷の治りが遅過ぎて傷が開き易い…

つまり、超死に易い!味方からの誤爆で死にかねない!

てか、戦艦とかに抱きしめられただけで死ぬんじゃないかな?割れ物になってしまった司令官…

 

早瀬は吐血をしながら、胸を押さえる。

 

「ど、どうしたのよ!?」

「事故で大怪我を負い、回復力が大幅に低下しているようで、ほとんど治りません…これでもかなり治療して、通常なら完治してるはずなんですけどね…」

 

あぁ…もう!

この身体やっぱり不便!傷が全然塞がらない!

 

「あと、何故か記憶喪失と幼児退行しています」

「何故か?」

「はい…いつのまにか…」

「何があったのかしら…」

 

まあ何もなかったんなけどね…

何もなかったけど、今日のあの一回のダメージから古鷹のハイスペック治療を受けてなお傷が開いて何回も死にかけるとか…

妖精さんには回復力が無いのか?

 

「吐血してるけど、ホントに大丈夫なのよね?」

「大丈夫な訳ないじゃないですか…さっきから無茶ばかりして傷が何回も開いた事か…そのせいで血痕残して歩いてるんですから…」

「お、大人しくしてなさいよ?」

「おやつ…」

「うっ…」

「ダメですよ」

「分かってるわよ…でも…」

 

おやつ欲しかったなぁ…何か買おう…

お腹空いた…お財布…血は付いてないね…

後で購買行こう…

 

「この子…引き取っちゃダメかしら…」

「今の早瀬さんが引き取り手に選んだのは黒潮ちゃんですよ…」

「へぇ〜」

「みんな忘れかけてたのに今言います!?」

 

実際、黒潮が1番この姿だと安心するんだよね〜

完全に無害だからね

むっちゃんはロリコンだし、白露はアレだし、雷は今いないし、鈴谷も部屋の隅で体育座りしてるし、金剛は今いないし、ろーちゃんは今の私にちょっと何かしたら即死しかねないし

 

「…」

「な、なに?」

「…」

「??」

「幼女が2人…至福の光景だな」

 

今ろーちゃんと会話する事は出来ない…なんて言いたいのか分からない…

表情が豊かだけど、今は首傾げてるし…どっちの反応なのか分からない、バレたのか、それ以外なのか…

あと、ながもんは絶対にしばく

 

「えっと…貴女の名前はなんて言うの?」

「…」

 

まあ、話せないからね…

仕方ない…抱きしめてみるか

抱きしめ返されて死亡したら知らん

 

早瀬は首を傾げている呂500を何となくで抱きしめてみる…。

その結果、陸奥と長門が死んだ…。



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34話 小さくても最強の司令官と呼ばれています(嘘)

…演習…どうしよう

1日で何回も古鷹の治療…と言うか最早蘇生に近い性能の治療を受けて、怪我自体は何とかなってるけど…

今の幼児退行&記憶喪失状態だと思われている私が指揮して良いのかな?

 

「演習…どうするか」

「長門がしなさいよ」

「そんな事できるか…ここの指揮では誰もダメージが許されん…私には無理だ」

「私やる♪」

「いや…しかし…」

「良いじゃない、早瀬がやるなら戻った時に文句言わないだろうし」

「ふむ…」

 

ミスなんかするかよ

こちとら向こうの指揮、艦娘のステータス、癖、使う艦娘の偏り、好む作戦や編成、艦娘達のコンディション

あらゆるデータをかき集めてるからね…そこから、今回やりそうな事を割り出して、実戦、実際の行動から更に次の行動予測、最初から向こうの手の内がほとんど分かってる状態で負けることなんか無い

 

「大丈夫だもん!私負けないもん!」

「そうか…仕方あるまい」

「うん♪」

 

さてと…今回の相手は早くも大将…強そうに聞こえるけど、実際は元帥以下のモブその1程度の存在

ドラマとかのエキストラ、会話パターンが1つしかないNPC、背景の影…こんか程度かな

 

「編成はどうするのだ?」

「うんとねぇ〜陸奥さんと長門さん!」

「…だけか?」

「うん♪」

 

ここで昨日までと同じ編成にすると、怪しまれる可能性があるので注意が必要…なんてね〜

そして、向こうは完全にこっちを馬鹿にしてる人間、容赦なんかしない

かと言って相手を追い詰めるやり方は、またバレる可能性があるから今回は正攻法で普通に狩る

読み勝ちが理想だね

 

長門と陸奥は演習場に向かい、艤装を展開する。

 

『しかし…演習に出るのは久しぶりだな』

『演習だと、早瀬は遊ぶものね…私達戦艦は基本使わないのよね…』

「じゃあ行くよ〜♪」

『さて、行くぞ』

『ええ』

 

むっちゃんはほとんどデメリットが無い改造艦娘だから、私的には最強だと思うんだけど、単純なパワーとスピードならやっぱりろーちゃんが強いから2番手止まりだけど、それでも強い

唯一あるデメリットは私が気を付ければ良いだけの話だしね

だって、むっちゃんのデメリットは武装疲労値という特別なデメリットがある

まあ使えば消費される、当たり前の事だけど、むっちゃんの場合は使用回数があるって事

だから、戦闘中に攻撃出来る回数が決まっている

その分、艤装の性能が他より高いけどね…火力や射程とかね

 

「陸奥さんは〜あの雲に発射♪」

『えぇ』

 

陸奥の砲撃は敵旗艦に直撃する。

 

「やった♪当たった♪」

『嘘でしょ…』

 

嘘なもんかよ

ちょうど良い場所に雲があって助かったよ

むっちゃんの火力、射程なら開始位置から旗艦なら狙えるんだよ

当然向こうが特攻型の指揮をするなら、後ろを通過するけど、あの大将はセオリー通りにやる正統派な指揮をする

だから、初期位置から艦載機で制空権を取りに来る…そこに不意打ちで砲撃したって訳よ

完全に読み勝ちだね

そして、旗艦が大破したからどう転んでも私の勝ち

逃げ回っても良いんだけど、長門もいる事だし…

全滅狙って行こうか

 

「じゃあ〜次はね〜…」

 

向こうの勝ち筋はこっちの全滅のみ

だから、空母のいないこの編成相手ならば制空権をごり押しで狙うしか無い

その隙…狩らせてもらう

 

「長門さんが、そこから発射♪」

『了解した』

 

向こうだって同じ位置にいる事は危険だと分かっただろうから、直進してくる

ここで旋回しないと分かる理由も複数あるから、長門にその場で砲撃をさせる

それで、その理由なんだけど、まず1つ目はあの大将の癖

あの大将は焦ると特攻に近い采配をする、つまりは死なば諸共…旧日本軍じゃねぇんだからって思うんだけど、まあ癖だしね

次に、旋回するメリットが無いという事

射程で負けてる以上、旋回と言う行動は相手が自分の射程に入るまでを遅らせる行為、その間に動きを読まれて撃たれ放題になる可能性が十分にある、だから向こうは直進して自分の攻撃が届く範囲に敵を入れる必要がある

一方的に殴られない為に、せざるを得ないからね

最後に、艦隊戦では基本的に直進なんて行動を選ばない為に、動きが読まれづらいから

読まれない為に直進するも、そもそもの話、それしか選択肢が無い

だから、読まれづらくしたところで、それをするしか無いからバレている

こんな感じで、向こうの動きを読んで、その場射撃をした訳

 

『…命中確認』

「おお!また当たった♪」

 

読まれないと思ってるから、咄嗟に出来る行動が限られる

回避は間に合わないし、戦艦の火力をバリアで防ごうにも長門型は火力が高い

防げるはずも無く大破…良い流れだよ

あと4隻

 

「えっと〜陸奥さんは敵に向けて三式弾?を撃って♪」

『分かったわ』

 

もう後が無いから、ここは意地でも制空権を取りに来るだろう

だけど、艦載機の発射にはある問題がある…

それは、1発撃ってから分裂するという事、つまりは撃ってから艦載機になるまでにラグがある

そして、むっちゃんに指示したタイミングで三式弾を撃つと…

分裂と同時に三式弾が炸裂する

よって、広がりきる前に三式弾が命中して全機撃墜出来る

まあ、まだ向こうには空母が一隻残ってるから、その子を中破もしくは大破させた時点で、向こうは諦めるだろうね…

大将の残り戦力は、正規空母1隻、重巡2隻、駆逐1隻

最初に大破させたのは、戦艦2隻…昼戦と夜戦の両立編成

こっちが火力ゴリ押しだとでも思ったのかねぇ〜夜まで耐久すれば勝機が無くも無いけど、耐久なんかさせないよ

いや待てよ?…良い事思い付いた♪

 

「2人とも後ろに走りながら発射♪」

『指揮は相変わらず意味が分からんが…』

『説明が無い分余計にね…』

 

説明なんかしたら、怪しまれるでしょうが!

こちとらヤケになったんじゃ!

タイミング見失って戻れなくなっちゃってさ!

 

陸奥と長門は後退し、その後退中に敵がいた方向に砲撃をする。

その長門の砲弾は、見事に先頭にいた駆逐艦に命中し、陸奥の砲弾はその後ろにいた重巡1隻に命中する。

 

これであとは2隻

重巡と正規空母だけ…

さて、ここで重巡が落とされたら…夜戦はどうなるんだろうね

 

『どうなっている…』

『さあね…』

 

理解など間に合わんよ!

天光満る処に我は在り、黄泉の門開く処に汝在り、出でよ神の雷!イン◯ィグネ●ション!…なんてね魔法なんか使えませーん

魔法なんか使えたらとっくに使ってるよね〜

妖精さんがいるなら、魔法だって…なくも無いのかな?

半分くらい妖精さんになった私にも魔法が!…ないか

 

「長門さんと陸奥さんで右に一斉発射♪」

『どうして右なのか分からんが…まあ良い』

『いくわよ』

 

私にある唯一の魔法!それは未来視である!

この采配は!敵が正面は危険過ぎると、仕方なく右に旋回すると言う未来を見て撃つ!

……まぁ…本当は可能性が高い方に撃っただけで、確証なんか無いんだけどね

あの大将が右利きであると言う事と、左右どちらかを選ぶ場合、あの大将は右を選ぶとか、統計的なデータを元に撃っただけだからね

確証なんかあるはずがない

 

しかし、長門の砲弾が進行方向に着弾し、移動を止め、陸奥の砲弾が射程が長い分高い位置にあった事もあり、ヘッドショットとなり重巡は大破してしまう。

 

「おお♪」

『本当に何がなんだか…だな』

『そうね…』

 

結局、相手を追い詰める形になったけど、これは普通に考えて狙ってやったとは考え難いからセーフ

確率が50%に見える所を撃ち抜いたり、相手が直進と言う愚策になりやすい行動を裏の裏をかいて見たり…

普通なら予測出来るようなモノじゃない予測を当ててるから、狙ってやったようには見えないのさ!

流石に命中させ過ぎた感はあるけどね…

 

「全弾発射ー♪」

『…気にし過ぎか?』

 

別にヤケになった訳じゃない、なる訳がない

ここで全弾発射した後、仮に正規空母を仕留め切れなかった場合…夜戦で弾がないウチの艦娘はどうやって相手を倒すのか…

それは当然、物理的に殴る

つまり、2人で1人をボコ殴りにする事になるんだよ

弱い者イジメみたいだけど、向こうは元々6隻いたんだし、何よりも全弾発射して倒し切れなかっただけなんだから仕方ないよね♪

 

『中破…仕留め切れなかったか…』

『これは夜戦ね…』

 

目論見通りだっての

正確に当て続けたから弾薬は大量の余ってるから、狙い無しでもそこそこダメージは期待出来るんだよ

ただ…そこそこであって、向こうの練度が高いなら大破まではいかない

まあ、あとは物理的に殴るだけだから、寝るとしますか〜

ホント、夜になったら眠くなるの何とかならんのかねぇ〜夜勤無理じゃん、夜間警備も無理じゃん…仕事ですら困りだよ

 

夜戦が開始される。

 

「スー…スー…」

『寝息しか聞こえないな』

『時間も時間だしね』

『我々もやる事をやって帰るぞ…早瀬に寝顔を見るために!』

『せめて緊張感を持ちなさいよ…』

 

結局、夜戦で相手を物理的に殴り艤装を破壊し、演習終了。

物理的に殴るなど、本来の艦隊戦では無い事と、既に勝ち目が無くなっていた事もあり、大将は完全に諦めていた。

 

「小さくなっても…と言うか、幼くなっても指揮能力に変動無しか…」

「いやぁ驚いちゃったよね〜」

「早瀬…今の状態は問題無いのかしら…」

「少なくとも、以前よりも小さくなっている時点で正常な状態ではないだろうな」

「そうだけど…」

 

結局、早瀬の演技に誰一人として気がつく事なくその日を終える。

実は早瀬の演技に誰も気が付けなかったのには、理由があった…。

それは、以前から早瀬がロリっ子扱いされると反発していたからだった。

その為、全員が早瀬は子供扱いされる事が嫌いなのだと思い、演技しているという可能性を、無意識に除外していたのだ…実際は早瀬にそんな感情は無く、子供扱いと言うよりも、ロリっ子扱いが嫌なだけで子供扱いは仕方ないと思っていた。

早瀬曰く、私はロリっ子じゃねぇ!合法ロリだ!20歳舐めんな!…らしい…。

そのまま、朝を迎え、早瀬は何故か医務室のベッドで目が覚めた。

 

演習用の指揮官室で寝たはずなんだけどなぁ…

何故に医務室…怪我人じゃな…くはないか

そう言えば重傷患者だったね

 

早瀬は医務室から出て、廊下を見渡し誰もいないことを確認してから、再度脱走する。

 

誰もいないのが悪い

小さい子から目を離したらダメなんだぜ☆

駆逐艦の子達を見ているとたまに思うんだよね…何やらかすのか分かったもんじゃない…

 

「脱走してもやる事がねぇ…仕方ない…他鎮守府の艦娘でも見に行こうかな…どうせ私の姿を知ってる人間なんかほとんどいないんだし…」

 

早瀬はそのまま、他鎮守府の控え室の辺りまで行く。



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35話 いつ戻ればいい?

さあ!到着しました控え室!

中を覗いて見ましょう!さて、どんな光景が広がっているのでしょうか!

百合百合しい光景ならば遠慮したい!

 

早瀬は控え室の扉を開け、違和感に気がつく。

 

…一瞬で静かになった

扉を開けるまでは、中の話し声やらが少しは聞こえていたんだけど…

まあ良いか

 

早瀬は開けた扉から中を覗いて見る。

 

「だ、誰?」

「斎川早瀬だよ?」

「いや知らないよ…」

 

そりゃそうだ

 

「はぁ…ビックリした…この時間に提督が来たのかと思った…」

「提督だと何でビックリするの?」

 

こう言う事を平然と聞けるのは、子供の特権だよね〜

空気読めない加減が特権とは一体…

 

「う〜ん、君なら良いか…うちの提督はさ、酷い奴でさ…まあ言ってみればブラック鎮守府ってやつなんだよ…って分からないか」

「うんん…分かるよ…」

 

まさかだね

まさかこんな所で遭遇する事になるとはね…大本営はやっぱり管理が雑だな

自分の管轄下でブラック鎮守府があっても気が付かないとはね

これは、正義の味方早瀬さんの出番だな!

全部ぶっ壊したろか!

 

「ブラック鎮守府は悪い人の鎮守府って言ってた…悪い人はお仕置きしないといけないんだよね」

「はは…お仕置きねぇ…表現が可愛いね君」

 

お仕置き(処刑)だけどね

私のお仕置きは命に関わるよ…今度の奴は…どうしてくれようか

この姿だと、油断させるのは簡単だから騙し討ちは簡単…だけどそれじゃあ寛容すぎる

もっと惨たらしく、悲惨に絶望的に痛めつけないと…

牛に閉じ込めて蒸し焼きにするか…串焼きにするか…う〜ん

お腹空いてきたなぁ…

 

「そう言えば君はどこの誰なの?」

「私は…内緒だけど、呉鎮守府の司令官にして司令長官なのだ!」

「面白い冗談だね」

「冗談じゃないもん!」

 

まあ普通信じないよね

部屋に入って来た幼稚園児だか小学校低学年だか分かんない幼女がいきなり司令長官だとか言って、信じる奴は馬鹿だと思うよ私も

 

「ねえねえ、貴女達はどこの鎮守府なの?」

「私達は…ラバウルかな」

 

ラバウル?

あぁ〜アイツか

アイツなら私の姿を知ってるよな〜

アイツは私の姿や思想、正体を知っている、故にアイツにとって私は恐怖の対象でしかない

出世欲に飲まれた下衆を、上司として処罰しようじゃないか

てか、この姿の事も会議にいたから知ってるし、存分にやってやろうか

被害状況によっては……行方不明者が増えるだけ

 

「今、貴女達の提督はどこに?」

「まだ寝てるんじゃないかな…寝ててくれた方が良いよ…ホント」

 

確か提督達の控え室は〜

うん、覚えてる

それじゃ、寝起きドッキリと洒落込もうか!

 

「ありがと♪」

「あっ、どこに行く気?」

「ちょっとね〜♪」

 

早瀬は提督達の控え室に向かい、ラバウルの提督が寝ているベッドの横に立つ。

 

おはようございまーす

突然ですが…その命をいただきに参りましたー

…心臓に穴開けて、殺してやろうか

 

早瀬はラバウルの提督に乗っかり、胸の辺りにナイフを立てる。

 

「…誰だ…そこにいるのは…」

「寝ぼけてんじゃねぇぞ」

「!!??」

「おはよう、ラバウルの提督」

「し、司令長官!」

「おっと、動くなよ…身体を少しでも起こせば、このナイフが身体に挿入される事になるよ」

「な、なぜ」

「心当たりはないかい?ならば、仕方ないからヒントをあげよう、君の指揮、艦娘、重労働」

「ブ、ブラック鎮守府…」

「正解だ。なんだよ、ちゃんと心当たりがあるじゃないか」

 

早瀬はナイフを少しずつ、ラバウル提督の心臓に進めて行く。

 

「ただまあ…直属の部下である君には私としては、チャンスを与えたいとも思っている、どうかな?」

「は、はい!」

「良い返事だ。君がこれからの人生、艦娘の命を尊重し完璧に指揮をするならば、命は助けようと思う」

「し、しかし!我々は貴女のように誰一人傷付けずに勝利など!」

「だれが勝利しろなんて言った…私は完璧な指揮と言ったんだ、その時の完璧が勝利と決まっている訳がないだろう。私の言う完璧とは効率の話だ、艦娘一人失う事でどれだけの時間を無駄にすると思っている…だから、君は艦娘の人命を優先しろという事だ」

「そ、それで助かるならば…」

 

元々、コイツはブラック鎮守府なんかしていなかった…

私の管轄下においてブラック鎮守府をする事は、行方不明になりたいと同義だからね

つまり、コイツにそれが効率が良いなんか言った馬鹿がいる

それが、軍の上層部なのかただの友人なのかは知らんが、私の目の届く範囲で艦娘の命を蔑ろにするやつは許さん

 

「それじゃ、艦娘達のところに行って謝ろうか…彼女達も人間だ、感情があるんだよ」

「はい…」

 

早瀬の後ろにラバウル提督が連れて行かれるかのようについて行き、先程の控え室に入る。

 

「!」

 

艦娘達はラバウル提督が部屋に入って来た瞬間に、敬礼をする。

 

「ただいま♪みんなの提督さんがお話ししたいんだって♪」

「え?」

 

ラバウル提督は、早瀬の変貌ぶりに驚きを隠せないでいた…。

早瀬はその場で振り返り、口元で人差し指を立て、口角を釣り上げ、悪魔のような笑みを向ける。

そして、ラバウル提督の後ろに回り込む。

 

「…みんな…すまなかった…」

「ん?何がかな?」

「うっ…」

 

早瀬はラバウル提督の背中にナイフを当てていた…。

 

「私は今までの所業を反省、これから君達の命や生活を優先する事を誓おう…」

「んん?」

「誓います」

 

早瀬はラバウル提督のズボンにナイフを抜き身で入れる。

 

「!!??」

「だってさ?どうかな?悪い人が良い人になったよ♪あとは、みんなで話してね♪」

 

早瀬は部屋から出て行き、鼻歌交じりに廊下をスキップする。

 

いやぁ〜良い事したなぁ〜

ブラック鎮守府が平和に1つ無くなったね〜

最初は殺してやろうかと思ったけど、物分かりが良くて助かったよ♪

この服は私の奴じゃないから血を付けたくなかったんだよね…私が着て来たやつは爆発しちゃったから、今着てるのは古鷹の制服…の白い上着

あの小さめの上着がピッタリなんて…そんな馬鹿な…

いやむしろ、ちょっと大きいか…

 

「ああ!早瀬見つけた!」

「ん?」

 

白露…私が幼女スタイルしているのを知らないよね…

まあ、私のやる事は変わらないけどね

 

「お姉ちゃんだあれ?」

「え?あ、え?ええ?えっ…え?」

「大丈夫?」

「は、え?っえ?」

 

ショートしてないか?

白露の脳みそは低スペックパソコン…今はさながら、10年前のパソコンでFF1◯を起動してるような感じかな…

動きゃしねぇ

 

「はっ!好きぃ!」

「?うん♪」

「反応無し!?」

 

白露は完全に脳がショートし、その場に倒れてしまう。

 

ありゃりゃ

気絶しちゃった

 

早瀬は白露を何とか背負い、医務室に運ぼうとするが…。

 

体格差!

この貧弱な身体じゃ、白露をおんぶして運ぶのは難しいぞ!?

クッソぉ…返して!返してよ!僕の身体!

…なんかカゲ◯ロを思い出したよ…コ◯ハかよ

 

「あっやっと見つけましたよ!」

「古鷹お姉ちゃん♪」

「うっ…って白露ちゃん!?」

「白露って言うの?廊下で話しかけられて、いきなり倒れちゃったの」

 

ホント…いつ戻れば良いんだろ…

タイミングを失って、もう2日目なんですが?

 

「何となく理解しました…」

「?」

 

なんか、本気で子役でも目指してみようかな…

未だに誰も気が付かないし

こんなに長く子供のふりしてたのは初めてだけど…気が付けるはずも無いか…気が付けるなら、私は今ここにはいないしね

 

「ねぇねぇ?どうして白露ちゃんは気絶しちゃったの?」

「それは…気分が悪かったんだよ…」

「へぇ〜」

 

陽炎とか来ないかな…そうすれば黒潮にべったりになるのに…

白露で妥協するべきか…

まあ、黒潮や古鷹はなんか落ち着く部類の子達だから、安全

ただ問題はその周囲…むっちゃんは嫉妬の塊と化し、長門は御構い無しに突っ込んで来る

私はふわふわの黒潮で和むんだ!…なんか黒潮ってふわふわやねん

いろいろと

 

白露は古鷹が背負い、早瀬は古鷹に手を引かれて控え室に行く。

部屋に入ると、他のメンバーがホッとしたような表情になる。

 

「早瀬さん見つかったんだね…良かったぁぁ…」

「白露ちゃんを拾ったよ♪」

「どうやら、早瀬さんに会いに来たようです」

「じゃあなんで……いや、なんか分かったわ」

 

まあ想像出来るよね

私が幼女の真似事なんかしてたらね

さてと…次の演習はどうしようか…記憶喪失(嘘)だから何か共通点があるとダメ…

仕方ない…ふざけた編成に見える編成にしよう

そうすれば、まだ騙せる…

私はどうしたいんだ…

 

「そう言えば、演習はどうする?」

「また早瀬さんに決めてもらうしか…」

「編成?編成はね…」

 

どうしよ…

ふざけた編成にしようとは決めたけど、内容までは決めてなかったんだよね…

面倒だから、当初の予定通りの編成にしちゃおうか…物理殴り編成

 

「元々どんな編成になる予定だったたの?」

「多分、村雨ちゃん達だよ?」

「じゃあ、それで行こう!」

「考えるの面倒になったんですね…」

 

そうだよ!

私だって人間…人間?

20歳で身長やらあらゆる面が子供化した私は人間か?…まぁいいや

とにかく、私だって面倒になる事くらいある

…妖精化したならもう少し便利になったところが多くても良くないか?

 

「相手ってどこ?」

「ラバウルだったはずです」

 

おお?何という幸運!

丁度いいじゃん、ブラック鎮守府からついさっき通常に戻した所の力量が分かるじゃん

ブラック鎮守府なんかやってたんだから、それなりに強いんだろ?

効率を求めてたんだから

 

「ラバウル…」

「そんなに凄い所じゃなかった気がするよ?」

「最近は特に成績が芳しくなかったはずですね」

 

それでブラック鎮守府か…

まあ、結局改善なんか出来るわけないよね

効率か非効率か分からないような奴だし

これは、簡単に叩き潰せそうだな〜

 

「それじゃ、早瀬さんを探しに行ったみんなを呼んで来るよ〜、あと演習メンバーは演習にね」

「頑張ってね…」

 

あそこを叩き潰したところで、私のこの状態がどうにかなる訳じゃないし、どうしたものかな…

妖精化を進めるか、現状維持かのどっちかになるけど

結局のところ、死ぬか現状維持…選択肢は無いね

はぁ…もう少し何か恩恵があればなぁ…

 

「適当に通信入れといたから、早瀬さんは指揮官室にね」

「分かった…」

「やっぱり元気無いですね」

「そうだね…何があったんだろ?」

 

はぁ…ため息しかでねぇよ…

まだ試してなかった事…妖精さんとの一部共有…そういえばやってなかったな…

次の演習でろーちゃんをフル活用してみようかな…

まあ…その後で誤魔化せば何とかなるでしょ…



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36話 殺戮の天使

ちょっと重め…ちょっとね


さてと…指揮官室行こうかな…

 

早瀬は、古鷹や鈴谷が早瀬を探しに行った艦娘達を呼びに行くのを見送ってから、指揮官に向かう。

しかし…いきなり視界が真っ暗になり、早瀬はどこかに連れ去られてしまう。

 

まあ…大体分かってたけどさ〜

こんな子供だよ?連れ去って身代金とか余裕だよね…

大本営内で来るとは思わなかったけど

 

頭に被せられた布が取られると、そこはどこかの倉庫だった。

 

「司令長官…」

「えっと…確か…横須賀の…」

「ええ、そうですよ」

「一応聞くけど、何でこんな事を?」

 

まあ、身代金じゃなさそうだし、単純に嫉妬やら恨みでしょ

その辺は多いからね

 

「分かっているくせに…私は司令長官と言うポスト、いやその先にある元帥のポストに着く為に、貴女が邪魔なんですよ」

「じゃあ殺せば良かったじゃん、なんで誘拐?ロリコンなの?」

「そんな余裕がいつまで続きますかね…」

 

余裕でしかねぇよ

私がどうやって司令長官に着いたと思ってんだ…

 

「そもそも、貴女は最初からおかしかった、どうしてたった1年で司令長官にまで上り詰める事が出来たんです!我々が10年たってもただの提督であると言うのに!どうせ、上官に体を売って上り詰めたのでしょうが…」

「勝手な事言わないでほしいなぁ〜…体なんか売ってないよ〜処女だよ?私」

 

まあ、体は売って無いけど、普通の方法で着いた訳でもないけどね

 

「そんな事信じられるか…」

「何なら見る?まあ見たいなんて言えばロリコン確定だけどね!」

「もういい…死ねよ」

 

はぁ…しょうがない

殺すか

 

早瀬は横須賀提督の振り下ろして来たナイフを、少し避けてロープを切る。

 

「自由にしてくれてありがとう♪」

「チッ」

 

私が司令長官に着けた本当の理由…か

 

再度襲いかかって来た横須賀提督のナイフを手のひらで受け止め、そのまま、手首を捻りナイフを奪い取る。

そして、手のひらを貫通しているナイフを抜き取り、刃の方を持つ。

 

「私が司令長官になれた理由を知りたがってたね…教えてあげるよ…それは…」

 

早瀬はナイフを投げ、横須賀提督の眉間に突き刺し、絶命させる。

 

「暗殺だよ」

 

誰も今の元帥について疑問に思わなかったのだろうか?

なぜ女性で元帥に地位に立ち続けてると思う

ただ優秀だったから?違う

そこから引きずり降ろそうとする者がいなくなったからだ…

それが4年前…私は着任早々に元帥から直接命令を受けた…その時に渡されたのは海軍上層部のリスト

そのリストで◯印がつけてある人物を殺す事…それが私の最初の任務

あの女は本当にクズだったな…今思えば、私なら1回で終わらずに全員始末出来る事を分かってたんだろう…

当初の私は、元帥からの直接の命令で仕方なく、これが海軍の闇か…なんて思いながら殺して周った…当然最初は戸惑ったし、失敗もした…死にかけたし…まあ2回目で問題修正して何事も無くなった…その時に子供のふりとかもやってたんだよね…

まあそんなこんなで、1年で殺し終わり、気が付けば司令長官にされていた…

その時に色々と実験体にもされたっけね…なんの実験だったのかは知らないけどさ…

死んでないって事は失敗でも無かったんだろう…

…いや待てよ?あの実験ってもしかして…妖精化の実験だったんじゃないか?

妖精さんは海軍にとって万能とも言える存在、それが意のままに操る事が出来れば、あらゆる面で最強…

じゃあ、実験はある意味では成功していた訳だ…現に私はかなり遅れてはいるけど、妖精化してる

しかも、どんどん感情の起伏が激しく…子供みたいになって行っている…

あの実験は、私の妖精化が始まった時点で効果が出るモノだった訳だ…元帥は知らなかったみたいだけどね

はぁ…やっぱり元帥は嫌いだ…私に殺しをやらせて、挙句人体実験で自分の駒にしようとしてたとはね…

まっ、元帥への制裁はまたにして、今は演習だけどさ

……殺しになれちゃったな…最悪

 

早瀬は死体に重りを付けて、海に沈め、血痕を綺麗に拭き取り消毒、消臭をして、ナイフは死体と一緒に海底に…。

そうしてから、早瀬は指揮官室に向かう。

 

全く…殺しなんかさせるなよな…殺し合いになれば、私は容赦無く殺して、行方不明にしちゃうんだから…

 

「あれ?早瀬さん遅くない?」

「ちょっとゴミ捨てに行ってたの♪」

「ふ〜ん、さっ始めようよ」

「うん♪」

 

ラバウル…私の八つ当たりの対象になってもらうけど、恨まないでね♪

ちょっとイライラしてるんだ

 

『あーあー…ろーちゃん聞こえますかー』

『あれ?早瀬ちゃん?』

『おお!通じた♪』

『今って…あれ?』

 

それは混乱するよね

幼児化してるはずの私が、平然と特殊技能を使ってるんだから

まあ、たまたま使えるようになったって事にしておけばいいか

 

『今回のろーちゃんには、頑張ってもらいます!6人出てるけど、ろーちゃん1人と同じだよ♪』

『うん、それは良いけど…どうやってこの方法を?』

『なんか出来た♪』

 

さあ、八つ当たりの開始だ…向こうの艦娘には悪いけど、最高の恐怖に飲まれるといい…

 

『ろーちゃん、旗艦の子を海に引きずり込んで攻撃♪』

『まあいっか…行きます!がるる〜』

 

可愛いね〜やっぱり

ただし、やってる事は悪魔そのものたけどね〜させてるの私だけど

 

呂500は急速接近し、相手の旗艦を海に引きずり込み、一撃で大破、気絶させ、海上に浮かべる。

 

『そのまま、時計回りに移動しながら近くにいる人みんな沈めちゃえ♪』

 

艦娘が最も恐怖するのは、沈没…轟沈だ

つまり、艤装状態で水上艦が海中に沈められるのは、艦娘にとって最も恐る事…

て言うか、艦の記憶が最も恐る事なんだよ

だから、この方法は悪魔の所業であり、それが可能なろーちゃんが最強なんだよ

 

呂500は早瀬の指示通り、時計回りをしながら、近くに来た艦娘を次々と海中に沈め、大破させてから気絶させて海面に浮上させる。

 

いや〜こんな事してるから怖がられるんだろうね〜

ろーちゃんに指示した時計回りって言うのは、相手のレーダーが時計回りで探知するタイプのレーダーだったから、レーダーに映らないように高速で時計回りさせて、沈めていたんだよ

相手にとっては本当に恐怖だろうね〜

レーダーに映らないナニカに次々と海中に引きずり込まれて、大破した仲間が浮かんでくる

視界に私の艦隊が見えているから尚更ね…メンバーが何人もいるし、攻撃もして来ないのに、何故か仲間は沈んで行く

…廃墟探索の若者にも似たような事やったけど、気絶したんだよね〜

カメラ撮影してたから、カメラに映らないように、1人また1人と気絶させて、廃墟の外に置いてくる

最後の1人になった時点で足を掴めば終わり

恐怖で気絶しました〜

そこから、これは使える!と思ってこんな作戦立てたから、順序は逆かな?

 

『あと1人ですって♪』

『そのままいっけ〜♪』

 

さてと…一応演技はしてみたけど…どうだろうか…

バレても別にいいんだけどね?だってタイミング失って私からはどうすれば良いのか分かんないし

むしろ気付いて?

 

「今までに無いエグい倒したしたね…」

「そうなの?下から攻撃したら強いな〜って思ったんだけど…」

「正直、ほとんどの艦娘がトラウマものだよ…鈴谷もあれはごめんかな…」

 

知ってるよ…だからやった

悪魔とか魔王とか言われるからね、もう開き直ってやろうかと思ってさ

それと、やってみたかったって言うのもある

それにしてもさ?

ろーちゃんにバレても、ろーちゃんって他の人に伝える術が無くね?

結局バレなくね?

 

「後は任せたよ鈴谷さん♪」

「あっちょっとどこ行くの!?」

 

早瀬は指揮官室を出て、工廠に向かう。

 

あそこなら妖精さんがいるはず!

今は無性に妖精さんに会いたい!

よく考えたら、自分の鎮守府では妖精さんがいっぱいいるけど、大本営に来てからは妖精さんに会っていない!

他所の妖精さんに会ってみたいと思っていたんだよね〜うちの鎮守府だと、みんな素直な良い子ばっかりだからさ〜

ちょっとくらい、やんちゃな子とか、悪い子とか見てみたい訳よ

あと、見た目が好き…コレに尽きる

 

「あれ?何で子供がこんなところに?」

「お姉さんは艦娘さんですか?」

 

まあどうみても明石なんですけどね

キャラ作りは必須、変な所で綻びを作ってはいけない…このくせをなんとかしないもいつまでたっても戻れない気がする

 

「そうですよ?明石と言います」

「斎川早瀬だよ♪」

「早瀬ちゃんですね。それで、早瀬ちゃんはどうしてこんなところに?」

「妖精さんに会いに来たの♪」

「それは…あまり人前で言わない方が良いですよ?海軍に入れられてしまいますからね」

「私はもう海軍の子なのです!」

「?それはどう言う…」

「司令官です!」

「こんな子供にまで…」

 

まあ元帥がクソなのは、近しい人間なら知ってて当然か

それよりも!妖精さんはどこかな〜

 

「妖精さんはどこ?」

「向こうで作業してますよ?」

「わ〜い♪」

「危ないですって!」

 

まあ、幼稚園児モドキがいたらそりゃそうなるよね

何せ、幼児は成人よりも頭の比率が大きいから、バランスを取りづらく転びやすい、だから周りの大人は気にかける

ただ、私は知識を持っているから、そのバランスの取り方も分かる訳で、何の心配も必要無いんだよ

知識以外の所は軒並み幼女化してるけどね…

感情の起伏とか…

 

『こんにちわ!』

『おや?何でこっち会話が…いや…ただの人間じゃないんだね』

『そうだよ♪半分くらい妖精さんだよ♪』

『凄いね、僕達妖精は人間に聞こえるように話しかけても、聞き取らづらいのに、僕達に合わせる事が出来るなんて……それが出来る人間が多ければ、僕達も失敗しないんだけどね…』

『そっちも聞き取りづらいんだね?』

『そうなんだよ…だから、人間達の願いは上手く叶えてあげられない…羅針盤の子達が1番顕著だよ』

『ああ〜またそれた〜とかってよく聞くやつだね?』

『そう、それだよ』

 

なるほど…私は聴覚やらの共有で多少は意思疎通がしやすくなってたから、ほとんど無かったんだね

デメリットが無ければ、もっとコレを使った方が良かったみたいだね…

 

『私ももっとコレを使った方が良いみたい』

『使ってなかったのかい?』

『次の日頭が凄く痛くなるんだ…うちの鎮守府の妖精さんはコレを使うと脳が妖精さんに変化していって、それを人間に戻す為に治癒してそれが原因でなってるって言ってた』

『なるほど…君は僕達と脳を共有する事でコレを可能にしてた訳か…しかし…やっぱり君は凄いね、そんな事が出来る人間は初めて見た』

『私だけらしいよ?』

 

…ボクっ娘の妖精さん

うん…良いね

凄く良い…持って帰りたくなるよ

 

『明石が不思議そうに見ているけど、やっぱり妖精にしか聞こえないのかい?』

『違うよ?私が指定すれば艦娘なら1人だけ、この状態で話せる。鎮守府の子に耳が聞こえないから話せない子がいるんだけど、その子とお話しする時に使ってたんだ』

『耳の聞こえない艦娘…もしかして呉鎮守府の子かい?…でもあそこに人間がいるなんて聞いた事がないなぁ…』

 

嘘でしょ?司令官いるよ?

あっ…もしかして私って人間の判定から抜けてる?嘘だろ!!?

妖精さんの界隈で私ってどんな扱いされてるわけ!?

人間からは悪魔や魔王なんて扱いされてるし…もしかして、そっち系?

 

『神がいるとは聞いた事があるよ?妖精はみんなどれだけ離れていても、会話が出来るからね、みんな友達なんだ』

『神じゃないんだけどなぁ……多分それ私だよ』

『なるほど…半信半疑だったけど、納得したよ』

『何を?』

『僕達は信仰心なんて持ち合わせて無くてね、だから神と言う表現は普通しないんだ。だけど、君に会って理解したよ、確かに君は僕達にとって神に値する存在だよ』

『大げさだよ?』

『そうでもないさ、これにはしっかりとした理由があるんだ。まず、さっきも言ったけど僕達に信仰心は無い、だけど神のイメージはあるんだそれが、全能性…君は妖精と一部を共有出来るから、人間でありながら妖精の出来る事も出来てしまうから、僕達がもつ弱点も克服したと言えるんだ』

 

妖精さんの弱点…

 

『僕達は艦娘の心の集合体、艦娘がいなければ僕達は存在出来ないし、負の感情からは僕達は生まれない。だから、艦娘の有無を問わずに力を使える君は全能性だと言える』

『デメリットもあるんだけど…』

『安いものだよ?君が僕達をもっと理解すれば、君はさらに全能性になる……改修とか自分でした事は無いかい?』

『あっ…確かにあるよ』

『やっぱりか…君は人間とは少し考え方が違うみたいだね。ここの人間の一部は僕達を全く知ろうとしない、怖がっているのさ、僕達の力を』

『知れば怖くないのに…』

『ふふ…その通りだね』

 

…つい素で話してたけど…

内面まで幼児かして来て無いか?

マズイか?いや、この際仕方ないか

 

早瀬は妖精さんと沢山会話をし、明石が不思議そうにそれを眺めると言う光景が、2時間ほど続いた。

明石から見れば、見知らぬ幼女が妖精さんと見つめ合っているだけなのである。



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37話 意志の狂気

そう言えば、金剛と古鷹と加古のステータスなどを感想で書いた時に、鈴谷の時にはあった艦娘になる前の事を書き忘れると言う始末…
もう番外編作った方が楽なのでは?と思い始めてます…
無駄に今出て来てる艦娘のエピソードとか全部あるのでね

そして、今日テストなのに勉強してねぇ…ヤバイ!
まあ、これが投稿された頃には1日目が終わってるんですけどね


いやぁ…妖精さんとは不思議な存在だなぁ

何故にこうも可愛いのか…見てて飽きないよ

あのちょこちょこ動いて働いてる姿がまた愛らしい…沢山仕事与えたくなる…疲れない程度で

 

「さっきから何をやっているんですか?」

「妖精さんを見てるの♪」

「妖精さんって工廠ではそんなに珍しく存在じゃないと思うんですけど…」

「可愛いから良いんだよ♪」

「楽しいなら良いです…」

 

お仕事してるのは可愛いんだけど、これなんの仕事してるんだろ?

大本営の工廠の仕事とか分からないんだよね〜

これ何やってるんだろ?明石に聞いてみようかな?

 

「明石さん、妖精さん達はなんの仕事をしてるの?」

「艤装の製作と修理ですね、最近は修理が多過ぎてビックリしますけどね…演習トーナメントで確実に全艦大破させる凄い人がいるみたいで…」

 

ああ〜なんかその人知ってるかも知れないな〜

 

「それも、それも浮力関係だけ残して全部壊してるみたいで、倒すのが大変なんですよね〜…」

 

多分私だ…いや、ほぼ100%私だ!

 

「大変だけど…凄く興味深い上に楽しいですけどね!」

 

なるほど…明石とは基本こう言う人だった…

うちの鎮守府には、海外艦とかもいるけど…ごく一部の通常艦がいないんだよね…

海外艦は派遣されて来た子達で、通常艦は艤装不良系だから放っておいても着任するから、放っておいたら、ほとんどの艦娘がいるな〜と思ってたけど、実は吹雪とかいないからね?

だからこそ、なんで間違えられるのか謎だったんだよね…

幻覚でも見てたのかな?って思うよね

 

「これからもっと増えるからがんばってね♪」

「まだ負けていないようですし、そうでしょうね。元帥が止められるかどうかでしょうか」

 

無理無理、たかだか元帥に私は止められない

あの人は優秀だけど、歩みを止めた敗北者だからね

進化を辞め、進歩を諦めた人間は朽ちるのみ…あの人は、ある一定から学ぶ事を辞めた、これで十分だとしたんだろうね

そんなものは存在しないのにね

人間に十分成長したなんて事は無い

人間が完全に成長したと言う状態は、極論言えば全ての人間に、どうしようもない事以外で全ての事で勝利した時

完全な頂点かつ、越えることがほぼ100%出来ない存在になる事

無理だよね?

 

「元帥の艦隊の艤装を修理にまわしてあげるよ♪それじゃあね」

「はい、それでは…ってえ?」

 

早瀬は工廠を出て、屋上に行く。

 

はぁ…お腹空いたけど、お財布は今古鷹が預かってる…

子供だから、お金を持たせてくれないんだよ…こんな所で弊害が出るとはね

中身はしっかり20歳だからね?友達なんてむっちゃん以外いなかったから、普通かどうかは知らないけどね

何か持ってなかったかな……あっ…上着のポケットに飴入ってた

久しぶりのおやつだぁぁ…

 

早瀬は屋上にある、ベンチで飴を舐めながら、下でやっている演習を眺める。

 

これ何味なんだろ?青リンゴか…好きな味だ♪

さてと、トーナメントってだけあって演習三昧だね〜

片や軽量編成で夜戦重視、片や重量編成で昼戦重視…バランスは無いのんだね…

まあ難しいのは分かるけどさ、どっちも火力不足になりかねないなからね

その選択肢を選ぶだけの力量が無いのか、無知なのか知らないけど、普通の艦娘ならバランス取るのは楽なはずなんだけどなぁ?

私だったら、金剛とビス子、赤城とサラトガ、白露と夕立

雷装持ち全艦ズ、夜戦でも攻撃可能な艦載機が詰める空母、火力と雷装が高めの駆逐艦

まあ、私の鎮守府だとそうもいかないんだけどね〜

白露が雷装も火力も無いし

 

「何を見ているのかな、お嬢ちゃん」

「あれを見てたの…みんな下手くそなんだね…」

「おいおい…ありゃ大将同士じゃないか…」

 

大将同士であの程度…確かに普通は相手の編成を調べ上げるなんて事はしない

そうなれば、自分が思う1番強い編成で行くくらいしか、選択肢は無い

まあ、彼らなりに読みをしてはいたんだろうけど、その程度の読みじゃ確実な勝利などあり得ない

やっぱり、元帥以外の性能はショボいのかな?大本営の人達って…

私も本来なら、大本営所属なんだけど、ここ嫌いだしそれならあそこにいた方が楽しい…

てか、いつ辞めさせてくれるん?

散々やったよ?前線も押し上げたよ?何が足りないの?

 

「どっちも下手くそか…なら、お嬢ちゃんはどっちが勝つと思う?」

「考えるまでも無いでしょ?重量編成の方だよ」

「まあ…あの場合そうだろうな…夜戦までもたないだろうし」

 

そう言えばこの人誰だろ?

大本営所属の人だろうけど、ここにあんまり来ないから誰か知らないんだよね…

小さい女の子に話しかけてくる変態かな?

いや、普通に考えて小さい子供が飴舐めながら屋上のベンチに一人でで座ってたら、話しかけるのは心配した人、変態、子供くらいにしか構ってもらえない可哀想な人のどれかか…

この人は可哀想な人な気がする

 

「おじさん可哀想な人?」

「か、可哀想……はは…は」

 

あぁ…コイツマジな方で可哀想な人だ…

仕方ない…

 

「可哀想なおじさんに、私が構ってあげよう♪」

「はは…そうしてくれ…」

「え〜まず、職業と経歴を…」

「面接!?どこでそんなもの覚えてきたんだ、お嬢ちゃん!?」

「テレビでやってた」

 

本当は遊びでやってたんだよね〜

白露とかにやって、適当に落として秘書艦交代的なね〜

ケッコン艦で唯一雑な扱いされる白露も可哀想な人?

 

「まあ、いいか…そう言えば名前はいいのかい?」

「どうせおじさんとしか呼ばないからね」

「酷いなおい!」

「名前で呼んだら、犯罪みたいじゃない?」

「確かに…」

 

別に憲兵にこの人が捕まろうと知った事では無いんだけどね

その騒ぎで自由時間が失われるのは嫌だ

 

「…それで、職業と経歴言った方がいいのかな?」

「いや、いいよ。よく考えたらどうでも良かった」

「そりゃそうだ…」

 

あ〜お腹空いた

飴は美味しいけど、お腹が空くのは抑えられないよね…

おじさんは買ってくれるかな…

 

「おじさん…お腹空いた」

「それじゃ、食堂行くか?」

「おお、買ってくれるの?」

「そうだな、その代わりお兄さんってのは…」

「おっさんとどっちが良い♪」

「おじさんで…」

 

おっさんと呼ばれた方が喜ぶ人種がいるらしい…

何コンなのかロリ何なのかは謎である…

 

早瀬は見知らぬ軍人に連れられて、大本営の食堂に向かう。

 

もしかしなくても犯罪臭がする

これ大丈夫だろうか?今は髪が白いから、親子にも見えないよね

艦娘に見えるか?この人軍服だし

響だよ。不死鳥の通り名もあるよ…響ではないね

早瀬だよ…魔王の通り名もあるよ…嬉しくねぇ…

 

「何食べるんだ?お子様ランチか?」

「ここでスカート下ろしても良いんだよ?」

「やめて下さい…捕まってしまいます…私が」

「う〜ん…どうしようかな…」

 

何頼んでも残しそうなんだよね…

なんでこんなに量が多いんだ…軍だからか?

無難にオムライスとかも良いんだけど、カレーにしようかな

秘書艦が鈴谷だし

カレーウーマン鈴谷…どうして隻腕なのにあんなに料理が出来るのか…やりづらくないのかな?

 

「カレーにする♪」

「量多いぞ?」

「残りはおじさんにあげる♪スプーンも一緒が良い♪」

「いや…遠慮しておくよ…あとが怖すぎる」

 

やっぱりロリコンの危ない人では無いみたいだね

ロリコンなら受け取ったと思うよ

私は間接キスとか気にする人じゃないから、別にどうとも思わないんだけどね

白露とむっちゃんが凄く気にするよ

 

早瀬がカレーを頼み、見知らぬ軍人は早瀬が残す事を考慮して、少し少ないものを頼む。

 

う〜ん…鈴谷の方が美味いかな

何気に鈴谷って普段調理場担当だったりするんだよね〜

それにしても、多い…あんまり残したくは無いんだけどなぁ…

 

「やっぱり食べきれないだろ?」

「うん…残りあげる」

「そうかい、ご馳走さん」

「ご馳走様。私この後やる事があるから、じゃあね」

「またなお嬢ちゃん」

 

早瀬は食堂から出て、自分達の控え室を覗く。

 

だれかいるかな?

自由時間って扱いのはずだし、みんな出かけてると思うんだけど…

 

早瀬が部屋を覗くと、そこには何故か全員いた…。

 

「あっ、早瀬さん」

「鈴谷さん?どうしてこの部屋に?」

「どうしてって早瀬さん帰って来た時に誰もいないと、可哀想でしょ?」

 

可哀想ってなんだよ

子供じゃないんだから1人で部屋で待つくらい出来るわ!

…子供のふりしてたんだった…

 

「それと、次が準々決勝だから早瀬さんはどうするのかな〜ってね」

「どうもしないよ?面白いのが良い」

「要望が難し過ぎるんだけど…」

 

そう言えば前回は、実質ろーちゃん単騎だったよね?

じゃあさ〜新規指輪組単騎していこうよ

準々決勝は鈴谷単騎、準決勝は金剛単騎だね

鈴谷はまだ良いけど、金剛単騎…威力がレギュレーション違反にならないか不安になるレベルなんだよね…

過去の功績を出して行くと、やってる事はほぼサポートなんだよね〜

どこぞの吸引力が変わらないただ一つの掃除機の2隻撃沈させて、他のむっちゃんとかが、姫を落とすとかね?

ダイソンが見るも無残な姿になったのは良い思い出…ではないけどね

ただのグロだよ…私グロとか無理…気持ち悪くなっちゃうんだよね…

血とかは平気なんだけどねぇ…

 

「鈴谷さん1人が良いよ♪」

「鈴谷1人…やっぱり早瀬さんって事なのかな…」

「また私達は出番が無いよね…」

 

村雨や…これは仕方ないんだよ…

そのまま物理殴り達でやると、演技がバレる可能性があるし

ここまで来ると、もうただの意地だよ

バレるまで隠し通す!タイミングを失った者の末路だよね…

そう言えば、金剛はどこにいるんだろ?

どこかにいると思うんだけど…いざとなれば指輪で場所探知すれば良いか

なんで、指輪にそんな機能つけたんだろ?

 

「頑張ってね♪」

「頑張るのは早瀬さんだよ、鈴谷は早瀬さんの言う通りにやるだけなんだから」

 

その、言われた事をやるのをしっかりと出来るのが凄いんだよ…

結構無理難題を言ってるつもりなんだけどなぁ…すり抜けとか、ピンポイント狙いとか…

みんなどんな心境でそれを実現させてんのか分からない…

確かに、無理難題ではあるけど、みんなのスペック的に不可能では無いけどさ?

それでも、完璧なパフォーマンスをしないといけないはずなのに…

やっぱり、私はそれやれば勝てるけど、難しい指示だからみんなを信じる事しか出来ない…指揮に安定は無いんだよね…

 

「だから、また勝たせてね♪早瀬さん」

「鈴谷さんが失敗しなければ負けないよ?」

「大丈夫、私達の中に早瀬さんの指揮で失敗する子は誰一人として存在しないんだから…早瀬さんの指揮で失敗する=死を意味する。それがあの鎮守府での艦娘達の決まりなんだよ」

 

怖いわ…みんなの意志が強過ぎる…

私の指揮に何があるってのさ…誰が言っても同じだろ…

全員ヤンデレ説?怖すぎね?

みんなにとって私って本当に神か?

神って拝むものであって、何をしてくれる存在でも無いんだよ?

みんな…もう少し正しい認識をしようよ…私はただの半妖だよ…

半妖ってなんだよ…



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38話 人外魔境

番外編を作ろうか、今回も感想で書いて欲しい場合に書くかは、感想の欄で…言っていただければ…(毎回感想を頂いてるのに感想を求めるカス)


みんなが答えてくれるなら、私も確実な勝利で示そう…

それが、私に出来る唯一の返礼である…

なんてね〜騎士王みたいなセリフだよね〜

決して青王では無い!

 

「鈴谷さん、本当に大丈夫?無理してない?」

「してないよ?私達は早瀬さんの為に何としても勝たないといけないんだよ」

「やっぱり無理してるよね…他の人に頼もうかな…」

「いやぁぁ鈴谷にやらせてよぉぉぉ…」

 

鈴谷は早瀬にすがりながら、必死にうったえかける。

 

いや、怖い怖い怖い!

幼女にすがりつくなよ女子高生!体格差で超怖いわ!背骨折られそうだわ!

いや!心を強く保つんだ!涙なんか見せてはならない!

少しでも弱い心を見せれば、身体に持っていかれる!

泣き出してしまう!

こんな時は殺して来た提督達の事を考えよう……うん、だいぶ落ち着いて来た

殺り過ぎて心が平坦になる…人としてゴミだよね…珍しく自己嫌悪するよ…

しかし…この状況が改めて見てしまうと本当に怖い

状況確認するんじゃなかった…

 

「ふぇ…」

「!」

 

早瀬の姿を見て、鈴谷はすぐさま早瀬から離れる。

 

「も、もうワガママ言わないから!ね?」

「泣いてない…」

「何も言ってないよ」

「ねぇ…鈴谷さん…なにをやっているのかな…ねぇ?」

「げっ…白露ちゃん…このタイミングで起きるとか…」

 

白露は半泣き状態の早瀬と、近くに立っている鈴谷を光の無い目で見る。

 

…ヤンデレモードか

危ないけど、面倒事になるよりはマシか…

 

『駆逐艦白露、機能停止』

 

早瀬は誰にも聞こえように、誰にも繋げずに脳波に乗せて白露を停止させる。

白露はまた気絶する。

 

「なんだったの?」

「今のは…」

 

むっちゃんには流石にバレたかな?

結構使ってた手だし、バレてもおかしくは無いよね…

 

「早瀬…貴女…無意識に権限を使ったのね」

 

んん??

バレてないぞ?

 

「??」

「無意識だから、分かるはずないわね」

 

無意識では無いよ?無意識で発動するようは不確定な権限じゃないよ?

まあ、発動条件がなんでも良いから艤装へのアクセスだから、今の発言無しでアクセスの場合は、妖精さんと脳を共有した時に使える脳波…と言うよりも、妖精さん達が遠距離でも会話出来るあの能力の事だけどね

しかも、最近その事を知ったし

今までは、よく分からずに使ってたんだよね…

 

「それで?次のメンバーはどうするのかしら?」

「鈴谷さん…」

「やっぱり、そうなのね…鈴谷、次から気を付けなさいよ…雷までいたら手が付けられないわよ」

「ごめんなさい…」

 

うん…今後も気を付けよう…

しっかしこの身体…これからもこうなのかな?

精神が大人でも、肉体が子供なのか見た目に引っ張られてるのか分からないけど、感情で身体に影響が出るのはなんとかならないのか?

いや待てよ?これって妖精さんの特徴なんじゃ…

妖精さんってみんな子供って言うか、思った事やら感情をすぐに表に出す…あれは出すのでは無くて出ていた

…つまりは、妖精さん自体が産まれたてという事、能力や知識を持ってるだけの子供という事か…

じゃあ…今の私は…実験の影響もあるだろうけど、妖精さんの能力を多少なり得た代わりに、子供化した…

ただし、妖精さんは肉体的な成長をしないから、子供のまま…永遠の幼さ……人によっては喜びそうだけど…

流石に不便だよ…

しかも、ここから成長しない理由が消滅したからとか…まあ、多少なり妖精さんの力を得たって事は、明日くる頭痛も軽減されてるはずだよね

 

「鈴谷には罰として、カレー作ってもらうから!」

「罰にはならないよ?」

「いいの!」

 

怒った真似とか、悲しんだ真似なら出来るんだけどね〜

どうしても泣き真似は無理なんだよね〜あれだけがどうしても苦手なんだよ…

だけど、今なら記憶の想起で泣き真似も出来そうだ

まあ、真似じゃなくなるけど…ただ泣いてるだけだよね…

使い所がない事を祈るよ…虚しくなっちゃう…

てか本当にいつ戻ろう…出来心で子供の真似なんか始めたけど、戻る事を考えるの忘れてた…

私も案外ポンコツだなぁ〜…人間らしくて良いけどね

 

「司令官さん…白露姉さんを借りて良いかしら?」

「?…うん、良いよ?でもなんで?」

「ちょっと遊んでもらおうと思って…」

 

遊んでもらう(虐めてあげる)…

ドSの妹をもって、白露は可哀想だね〜

キッカケは私だけどね

まあ、白露なら力ずくで脱出が出来るのにしないんだから、妹想いだよね〜

 

村雨は白露を背負って村雨のベッドに連れて行く。

 

…いかがわしく見えるのは私だけかな?

村雨がそう言うタイプだから、どうしてもね…

 

「村雨ちゃんがベッドに誰かを連れ込むと、いかがわしいよね」

「いかがわしいって何?」

「え?…えっと…エッチな感じって事かなぁ…なんて」

「エッチな感じって何?」

「助けて古鷹さん!」

 

子供の知識欲、探究心?は時折大人を困らせるものだよね〜

困るの知っててやってるけどね〜

 

「せ、性教育を施しましょう!」

「アンタもダメだぁぁ!!」

「古鷹もこれでそう言う時の対処下手くそだからな〜」

「加古はどうするのよ…」

「まあ見てなって」

 

加古は自信ありげだけど、うちにこんな質問するような子いたかな?

 

「気になるなら、混ざって来なよ♪」

 

お前はあんな殺伐とした空間に子供を投入するのか!?

普通なら教育上最悪だぞ!?

 

「うん♪行ってくる♪」

「加古!?」

「加古さん!?」

 

しかし!ここで行かないと不自然!行かざるを得ない…

グロいんだよなぁ…大抵

前に覗いた時は、大きいペンチで爪どころか指ごとやってたし…

うおぉぉ!行きたくないぃぃぃ!

 

早瀬は表情を変えずに村雨のベッドのカーテンを出来るだけ動かさずに中に入る。

 

「ど、どうして司令官さんが…」

「加古さんがここに来れば、いかがわしい事って言うのが分かるって言ってたから♪」

「加古さん…」

 

まあ、村雨と如月は雰囲気だけで初心なんだよね〜

だから、いざそう言う雰囲気になると赤面していたりする…

特に村雨は雰囲気だけで、内心1人になる事が嫌でな寂しがりやで、白露にだけドS…だから、たまにそう言う雰囲気作りをして赤面させるのが楽しかったりする…困らせるのは楽しいぜ!

ただし荒潮はダメだ…食われそうになる

 

「いかがわしいって何?何をするの?」

「え…いや…その…」

「じゃあ、エッチな事って何?鈴谷さんが言ってたの」

「え!?え、えっと…そ、そうよ!一緒に寝る事よ!」

 

上手く誤魔化したな?

間違いでは無いけど、適当な答えでも無い

しか〜し、村雨がこのタイミングで想像しているのは間違い無くソッチ系の事

つまり…

 

「じゃあ、一緒に寝よ♪村雨ちゃん♪」

「えぇぇ!!??」

 

当然、睡眠の方だけどね

村雨は見ての通り髪がふわふわなのだ!だから、寝心地が良い

白露が珍しく遠征に出てると、夜に私の部屋に来るからね〜

 

「もう夜だし♪」

「あ、あの…まだ早いと言うか…その…」

「白露ちゃんがもう寝てるよ?」

「ん?あっ…」

 

やっと気が付いたか

自分の思ってたのと、私が思っていた事の違いに

いやぁ〜楽しい!

 

村雨は早瀬との想像の違いに気が付き恥ずかしくなり、顔を隠して枕に顔を埋める。

 

「おやすみ村雨ちゃん♪」

「うぅ〜…」

 

早瀬は、わざと村雨と白露の間に入り眠る。

 

———————————————————————————————

 

日が昇り、早瀬が起きると既に2人はいなかった…。

 

2時間程前

 

「んん〜…あれ?動けない…」

 

村雨が視線を落とし、体の方を見ると早瀬が抱きついていた。

 

「あぁ…確か…うぅ…」

 

村雨は昨晩の出来事を思い出し、再び恥ずかしくなる。

そこに、白露が起きる。

 

「村雨…アンタ…」

「白露姉さん…あっ…これは違うのよ!?」

「村雨…久々に…キレちまったよ」

「で、でも司令官さんが起きちゃうから…今は…」

「羨ましいのよ!なんで!?なんで妹達だけぇぇぇ…」

 

基本的に早瀬が一緒に寝ている事があるのは、春雨を筆頭に村雨、時雨と夕立が同時で挙句、暁型がいる。

そして、暁型がいると言う事は雷もいると言う事、同じ駆逐艦でケッコン艦である雷が早瀬と寝ていたりすると言うのに、白露はとてつもなくタイミングが合わないのだ。

早瀬がそもそも寝なかったり、寝たと思ったら私室に鍵がかかっていて入れなかったり、村雨が離してくれなかったりと、常にタイミングが合わなかったのだ。

 

「お、起きちゃうから、司令官さん起きそうになると危険なのよ!」

「私の知らない早瀬…」

「ダメだから!起こさないで!?」

 

早瀬は基本的に艦娘よりも起きるのが早いのだが、一緒に寝ている際に早瀬よりも早く起きて、しかも抱きつかれている場合、抜け出そうとすると、気絶させられるか、関節をキメられる。

村雨は後者であり、最初以降は早瀬よりも早く起きた場合は、早瀬が起きるまで動かないようにしていたのだった。

 

「うぅ…」

「!」

「お?」

 

早瀬は寝返りをうち、白露の手を掴むと思い切り身体に寄せて、関節をキメる。

しかも、体制的に顔をベッドに押し付けられる形になる為、叫ぶ事が出来ずに、暴れようとしても、完璧にキマっており、動けない。

 

「!!っ…!」

「わ、私は言ったわよ…」

 

寝相なのか疑わしい程、完璧に関節がキマっており、そのまま…。

 

ポキッ

 

「っ!!!!!!」

「肩抜かれたわね…可愛いわ」

「た、たす……っ!!」

 

早瀬はどんどん体の方に引く為、関節が抜けた白露にとっては常に激痛に苛まれていた。

 

「そろそろ…」

 

村雨は早瀬の手元に枕を近付ける。

すると、早瀬は枕に掴み変え、丸くなる。

 

「ほら、医務室行くわよ…」

「いっ!…優しく!優しくね!?」

 

そして、現在

 

誰もいない…また誰もいないの?

私って案外放っておかれるんだけど…

物心ついた時からだから、慣れてて寂しく無いけど、寝た時は一緒にいたよね?起こしてくれても良くない?

司令官だよ?寝坊だよ?今8時だよ?

 

「仕方ない…ここに来てからの1日1食生活にも飽きて来たし、朝ごはん行こ…」

 

早瀬が村雨のベッドから出て、食堂に向かう最中、陸奥に出会う。

 

「あら?珍しいわね早瀬」

「陸奥さん…」

「朝ごはん?それなら一緒に行きましょ?」

「うん…」

 

あぁ…眠い

この身体の影響なのか、ただの寝坊なのか分かんないけど、グッスリだったね〜そのおかげで今も眠いけど

 

早瀬が陸奥と共に食堂に向かい、朝ごはんを注文する。

 

朝は割と少ないんだね?

朝からあの量は無理だからかな?

 

早瀬が注文している最中、食堂内の提督達がヒソヒソと早瀬の事を話していた。

 

「あんな子供が、あの人外魔境の司令官で司令長官とはな…」

「本当にな…どうしてあんな一方的な戦いになるのか、あの姿からは分からんな…」

「それも、艦娘も艤装不良持ちの役立たず供のはずなのに、動きが化け物じみていたり…あの子供こそが1番の化け物なのかも知らんな…」

「違いない」

 

ちげぇよ馬鹿供

あの子達は役立たずじゃねぇんだよ

あの高スペックを活かしきれないお前達が役立たずなんだよ

指揮官が艦娘の持ち味や強みを活かしきれないでどうするんだよ、お前らは片腕だろうが、耐久が低かろうが、装備が出来なかろうが、あの子達の強い面を掘り出し、磨き上げ、その子に合った指揮をする為の努力を怠っただけだろうが

 

「陸奥さん…私って化け物かな…」

「そうね、貴女は間違いなく化け物の部類よ」

「そっか…」

 

早瀬が見て分かるレベルで落ち込んだ為、陸奥は慌ててフォローをする。

 

「誤解しないでね?ちゃんと良い意味でよ?あの鎮守府は貴女がいなければ、本当に役立たずの集団になっていたのよ。あそこに行き着いた子達は、一部の例外を除けばみんな傷心状態で戦う気力も無く、最悪自殺しかねないような子達だっていた。金剛がそうね」

 

え?金剛?

なんで、金剛?最初から割と元気な子だった気がするんだけど?

 

「他にも、そんな子達がいたのに今では全員が貴女の為に、完璧な戦いを出来るように、強くなって、その先の指輪を求めて日々鍛えて更に強くなる。だから、良くも悪くもあの鎮守府は貴女の為だけに動き、貴女の為だけに戦う、そんな子達よ」

 

やっぱりあの子達おかしいよ

私にそんな価値はありません!ただの人殺しです!



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39話 ヒントがヒントになり得なかった…

タイトルアンケートで何気にタイトル変更無しが良いのかな?って感じですね〜



みんなの忠誠心?がもはや怖いんですけど…

ていうか金剛ってそんなメンタルヨワヨワ状態でうちに来てたの?

最初からあの感じだった気がするんだけどなぁ…鈴谷と同じで

 

「コンゴって誰?」

「コンゴっ…ふっ…ふふ…コンゴじゃなくて金剛よ…」

 

前に噛んでコングって行ったことがあるんだよね〜

その時に、普通は金剛だと訂正しないといけないのにうっかり本名口走ったりしてたっけね

てか、思考と現実じゃほぼ別人みたいになってるけど、私は大丈夫なのだろうか?色々と

 

「金剛?」

「そう、金剛」

 

早瀬と陸奥は朝食を食べながら、そんな話をしていた…。

 

それにしても…今日が準々決勝だけど、金剛はどこにいるんだろ?

来てないのかな?

それならそれで良いんだけどさ?

 

「金剛はどこにいるの?」

「え?……さあね」

 

陸奥が一瞬視線は早瀬から反らしてから、少し笑いながらに言う。

 

ん?むっちゃん何か知ってるな?

しかし…むっちゃんって案外天然だよね…隠してるつもりで、あからさまに過ぎるからね

嘘下手くそだし

まあ、むっちゃんがこんな反応するって事は、多分いるんだろうね

なら良いや

最後の演習の時に全館内放送で呼び出すだけだし

 

「そう言えば、今日は鈴谷1人みたいだけど、どうするのかしら?」

「前にろーちゃん1人だけでやったから、今度は同じ指輪付けてる人が良いなぁ〜って思ったの」

「私じゃダメなの?」

「陸奥さんはダメ」

「えっダメなの?」

 

即答で却下され、若干ショックを受けていた。

 

一応軍人なのにそんなに表情に出して良いのかな…

もう少し隠す努力をした方が良いと私は思うんだけどなぁ

私を見習うと良い!

3日以上経ってるのに未だにバレない所為で本当に困ってるんだからな!

かと言って自分からバラすのはなんか嫌だしね

 

「なんでダメなのか聞いて良い?」

「陸奥さんはまだだから」

「まだ?」

「うん、陸奥は今じゃないの」

 

さっき思い付いたけど、元帥相手の時にケッコン艦全員でやる時に、むっちゃんを使う事にしたんだよね〜

丁度6人だし

 

「不思議な事言うわね…何かあるのかしら…」

「とにかく今じゃないの」

「じゃあ、その時が来るまで待ってるわね」

「うん♪」

 

元帥を私の持てる最高戦力でねじ伏せる

今回は地の利は無いし、仕掛けも出来ない

だから今回こそ、正々堂々やらないといけない

勝てないわけじゃないけど、読み負けた瞬間に圧倒的に不利になる

ドクズのくせに性能だけは良いんだよなぁ…元帥

本当いつ殺してやろうか…

 

「それじゃあ、準決勝は順番的に金剛かしらね」

「金剛も指輪してるの?」

「やっぱり、覚えてないのね…」

 

バッチリ覚えてますよ?はい

ロシアンルーレットで勝ったから指輪を贈呈された金剛だよね?

 

「まあ良いわ、そのうち思い出すでしょ。それよりも次の演習よ」

「次も勝つよ♪」

 

いかに運勝ちしたように見せるかなんだけど…前回のアレは結構攻めたよね…なんでバレなかったんだろ…

相手艦のレーダータイプだったり、作戦だったり完璧に運勝ちじゃないのになんでなん?

おかしいやろ…もしかしてみんな気が付いた上で無視してるん?酷ない?

 

「更に幼くなっても指揮能力は健在なのよね…とは言っても早瀬の幼い頃もこんなじゃなかったから、正確には違うけどね」

 

あぁ〜…そう言う事か…

幼児化しても指揮能力が下がってないと思われた訳か…

私の指揮は記憶によるものなんだから、記憶喪失=指揮能力も喪失するに決まってるのに、どうして気が付かない…

お馬鹿なの?

いつか訓練した方が良いかもしれない…

こんなんじゃ直ぐに騙されそうだよ…

 

2人は朝食を終えて、指揮官室に向かう。

 

「今回の相手は、早瀬がいなければ優勝候補だったらしいわよ?気をつけてね」

「今は違うの?」

「言ったでしょ?貴女がいなければって…つまり、貴女がいると……そう言う事よ」

 

なるほどねぇ〜

階級は大将だけど、ほかの大将よりは強いって事か

確かに戦績は良かったっけ?

まあ、他大将に比べればなんだけどさ…

ただ言えるのは、本当に効率良く戦える人だって言う事、轟沈者もいない事から、1人犠牲にしてもここには勝つなんて方法を取らずに、全員生き残らせて育成の時間を省く事が出来る人

苦戦…するかな?

指揮の傾向とパターン、好む編成や陣形、主力メンバー、控えのメンバーやら調べ上げてる以上、負ける気はしないけどね

 

2人は指揮官室に到着し、カメラで出撃ドッグを見る。

そこには準備万端の鈴谷がいた。

 

朝から元気な事だね〜

やる気に満ち溢れるのは良いんだけどさ?もっと気楽にやればいいのに

みんなが失敗しないなら、私が失敗しなければ負けないんだからさ?

それに私失敗しないので…

 

「鈴谷さ〜ん準備はいいですか〜?」

『バッチリだよ!』

 

さて、今回は蹂躙とはいかないかも知れないし、ちょっとは警戒でもしてみようかな?

 

早瀬は演習が開始された瞬間に鈴谷を直進させる。

 

なんてね〜

向こうの最初の行動なんか、海軍の軍人である以上は固定だから警戒の必要なんか無いんだよね〜

みんな艦載機飛ばそうとするからね

 

「鈴谷さん、飛行機を相手の人達の後ろに行くように大回りですっごく低く飛ばして♪」

『分かったよ!』

 

相手が軽空母だからって上ばかり見ててもダメだって事さね

そして何よりも、これはただのドッキリ戦法だから面白い!

いつ艦載機に気がつくのかとか、気がついた後にどんな事をするのか、面白い事は尽きないよね

ただし、対空電探を持って来られるとバレやすくなるんだけど、向こうの人は軽空母1隻だからって慢心しちゃって、電探持って来て無いんだよね〜

電探無くても、正規空母の搭載数でゴリ押せるからって理由でね

そろそろ、学習しようよ

私が1隻編成してるなら、大抵ロクなこと考えてないからね?本気でやる気も無いし

 

「相手の人達が見えたら、急ブレーキしてその場に待機して、飛行機を相手に向けて飛ばして」

『今度は直接だね!』

 

相手を大破させられれば上々だけど、結局は最初に撃った方のカモフラージュ

だから、これで別に倒せなくても良いんだよ、倒せるはずないし、本命はまた別だから……ん?

そう言えば、ここで本気で指揮して気付いてもらう事が出来るのでは?

そうと決まれば!

 

「艦載機を飛ばしたら、後退しながら残りの艦載機も飛ばして全て撃ち尽くしたら敵に向かって進撃」

『お、おお?忘れちゃいそうだから、逐一聞くね?』

「大丈夫、鈴谷さんなら覚えていられる」

 

鈴谷ならこの指揮は確実に覚えていられる…いや、覚えている

このやり方は鈴谷を使うにあたって高確率で使っていた戦法

しかも、本来は単騎では無く、艦隊戦をする時にやる事を全て鈴谷1人にやってもらうから、いやでも体が覚えている

とんでもない回数やらせたしね

 

鈴谷は早瀬のたった一度の発言を全て聞き返す事無くこなして行く。

 

『あれ?全部出来た?』

「鈴谷さんなら出来るって言ったでしょ?それに、次にやる事も分かってるんじゃない?」

『でも…違ったらいけないし』

「そうだね、じゃあ言うよ。敵艦隊を正面をすり抜けて、正面から来る艦載機で敵艦隊を攻撃」

『うん、分かった』

 

艦娘は艦である以上、その場で反転して走行を開始する事が出来ない

だから、すり抜けられると急速旋回しないといけない

そしてら急速旋回すると速度が落ちて艦載機の速度が体感的に早く感じて、避けづらくなる

何よりも車とかでもそうだけど、急カーブしてる最中に下手に避けようとしたらバランスを崩して転倒する

だから、急カーブ中に急ブレーキして、反射神経で艦載機の攻撃を避けないといけない

まあ、私が飛ばしたのは艦爆だから、その場で避けたら爆弾に当たらなくても、爆発は避けられなくなるから、飛んできた爆弾を掴んで投げ返すしか対処法はない

そんな事はろーちゃんレベルの規格外にしか出来ないよ

 

早瀬の目論見通り、敵艦隊は鈴谷の攻撃を避ける事が出来ずに背後から大量に艦爆を食らい、敵艦隊が大破もしくは中破まで損害を出す。

 

実はさ〜鈴谷には内緒だけど、最初に飛ばした艦爆以外ほとんど彩雲とか艦戦だったんだよね〜

ホントに囮としての役割しか無かったんだよ〜

まあ、相手からしたから制空権取りに来たと思うだろうから、艦載機無駄撃ちしてくれる

その所為で、背後からの艦爆を対象する為の艦載機を撃ち出せ無かったわけですよ〜

弓は連射出来ないからね〜

やっぱり、相手がオーソドックスに一航戦使ってくると楽勝だよね〜

まともに戦えば強いけど

 

「残りは殴っちゃえ♪」

『艦載機残ってるよ?回収したから』

「良いの♪艦載機を使わない事に意味があるんだよ♪」

 

ここもヒントポイントね

完全に遊びだし、ゲームで言う所のエモートアクションクリアみたいな感じ

モ◯ハンのシャドウ討伐とかね

 

『まあ良いや、早瀬さんの事だし、何かあるんでしょう』

 

ねぇよ!?

ただの遊びだよ!?慢心だよ!?

これでもいけるんじゃね?的な感じで手を抜いてるだけだよ?

なんでさぁぁ…

せっかく頑張ったのに…鈍感めぇ…

なんか違う気がする…

まともなのは僕だけか!……これも違う

 

結局、早瀬の指示で鈴谷は壊滅寸前の敵艦隊を殴り倒し、完全勝利を収めた…。

さらに対して早瀬はふて腐れていた。

 

なんでぇ…なんでじゃぁ…なんで気が付かんのじゃぁ…

明らかに子供の考える事じゃなかったじゃろ…

 

「勝ったのにふて腐れてるわね…子供は不思議ね」

 

ウチからしたら、アンタらの方が不思議じゃ…

はぁ…どうしたらこの子らは気が付くんじゃ…

 

「むっちゃん…」

「!どうしたのかしら!」

「おやつ…」

「そう言えば最近使ってなかったわね……ちょっと待ってて!厨房借りてくるから!」

 

お〜い、どこ行くね〜ん

ワシはおやつとしかゆ〜とらんぞ〜

 

「まあいっか」

 

早瀬は控え室に戻り、ベッドの方に歩いて行く。

そして、適当にベッドのカーテンを開ける。

 

「あっ…」

「コンゴ?」

「コンゴじゃないヨ!?金剛デース!」

「コンゴー」

「分かりづらいやつネ…」

 

まあ良いや…寝よ

 

早瀬はそのベッドに上がり、横になる。

 

「は、早瀬さん?」

「眠いの…」

「そ、そうですカ…ではごゆっくりネ…」

 

金剛がベッドからそっと出ようとした時、服の袖を早瀬に掴まれ、逃げられなくなってしまう。

 

「寝てる…摘んだネ」

 



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40話 クレイジーダイアモンド(妹)

あぁ…眠い

クソ…眠い…

 

「早瀬さ〜ん…そろそろ起きて欲しいヨ〜…」

「嫌ぁ…」

「可愛いけど、私にとっては命の危機なんだヨ…」

 

艤装不良により、防御面が非常に貧弱な金剛にとって、寝相によるダメージですらかなり危険なのだ…。

 

「大丈夫…大丈夫…」

「助けて榛名ァ…」

「お呼びでしょうか!」

「!!?」

 

金剛のふいな発言でいきなり榛名が現れる…。

 

「それで、何ですか?」

「早瀬さんが…」

「あぁ〜…金剛お姉様…代わってくれますか?」

「嫌だヨ」

「ならいいじゃないですか」

「早瀬さんの手を離して欲しいんだヨ…」

「私がこの小さい手に触れると早瀬さんが穢れてしまいます」

「無表情で言う事じゃないヨ…」

 

うぅ…ん…榛名?

榛名…榛名…榛名?榛名!?

 

早瀬はすぐに目覚める。

 

「おはようございます」

「お、おはよう…」

「殺さないで欲しいヨ…」

「殺さないヨ?」

「早瀬さん、語尾をカタカナ字幕にしないで下さい紛らわしいです」

 

字幕?字幕って何?いや字幕は分かるんだけどね?

何で今字幕?

 

「そう言えば、比叡お姉様や霧島も来てますよ」

 

話を反らしやがった…

 

「私は1人で来たはずなんだけどネェ…」

「お姉様スメルを辿ってきました」

 

お姉様スメル…

ただ匂いで追ってきた変態妹じゃないか…もしかして実妹の子達ってシスコンの変態しかいないの?

村雨もドSで白露の事虐めたくて仕方ない子、榛名は金剛の匂いでとんでもない距離を追ってくるワンコ系変態妹

……もしかして響達もシスコンの変態なんて事は!…あるのかな?

 

「榛名…榛名さんで合ってますか?」

「え?そうですけど…知ってますよね?」

「うんん…分からないの…何も思い出せないの」

 

さあ、違和感に気が付け!

最初の殺さないヨ?発言の違和感に気が付け!

知り合いじゃないとあんな煽りみたいな対応する奴いねぇから!

 

「そ、そうですか…私にあんな事やこんな事をしたのに…忘れてしまったんですね…」

「…ごめんね」

「冗談です、そんな事早瀬さんはした事ありませんよ……しかし、本当のようですね」

 

ファァァ!気が付けや!

姉の事しか頭に無いのかぁぁぁ!気付けや!

このシスコン!ナイスバディ!脳筋!

 

「金剛に榛名さん…」

「…ん?」

「金剛お姉様だけ呼び捨てですね」

「陸奥さんが金剛って言ってた」

 

そうだむっちゃん!

おやつ!

作ってくるって言ってたけど、どのくらい寝てたんだろ?

早く来ないかな〜

 

「陸奥さんが言ったカラ?」

「うん♪コンゴー」

「聞いた感じは合ってるんですどネ…」

 

そう言えば、中国で金剛って言ったらキングコングらしいよ?

ただまぁ…キングコングとは呼べないよね…流石に

 

「コングお姉様…」

「榛名!?」

「榛名は大丈夫です」

「意味がわからないヨ!?」

 

まあ榛名は大丈夫だろうさ…そりゃあね

しっかし…次は金剛単騎するつもりだったから助かったよ

大艦巨砲主義って訳じゃ無いけど、金剛はホント火力高くて使い勝手が悪いけど楽しいんだよね〜

本当にゲーム感覚だけど、ただ置けば強いって言うキャラよりも性能が尖り過ぎて使いづらいくらいが私は好きなんだよね〜

金剛がまさにそれだよね〜火力はうちの鎮守府で1番高い、それこそ攻撃面だけなら、ろーちゃんよりも高い

だけど、耐久性能が低くて射程が駆逐艦レベルしかないから、他の戦艦と同じ使い方をすれば間違い無く弱い

戦艦の強みは高い耐久と射程から来る火力だからね

だけど、金剛は敵の攻撃を耐えて攻撃なんか出来ないし、相手の射程外から攻撃する事も出来ない

頑張って近づくしかないけど、そこが楽しいんだよね〜

金剛だけが、どんな相手でも気を使って戦わないといけないからさ〜

 

「コンゴー…次の演習…良い?」

「早瀬さんの為なら何だってやってやりマース!」

「榛名達は…」

「コンゴーの戦いを見てて♪」

「榛名も出たいです…」

「ダメだヨ、たまにある見せ場なんだからネ!…単騎運用がマイブームみたいネ」

 

まあ確かに、私は演習でしか単騎運用はしないし、そもそも演習でもあんまり単騎運用する方じゃない

最近はちょっと遊びたかったのと、普段やらない事をしなくちゃならなかったから…それで普段やらないのが単騎運用しか無かった訳で…

と言うか、変にこだわってそんな事してたから全然バレずに3日以上子供のふりをするハメになったんだけどね…

むっちゃん辺りは気が付いてもバラさないだろうし、案外お馬鹿だから気が付かないし…

そう言う意味じゃ1番期待出来るのは金剛なんだよね…これで結構賢いし…あとは雷

雷は逆に一発バレしそうなんだよね…

…そして、多分みんなにバラさない…そこからの貞操の危機…

閉じ込められそう…

 

「見せ場ってほどでも無いよ?ずっと簡単に勝ってきちゃったから、次も多分強くないし」

「それでも、早瀬さんを独り占め出来る唯一の時間ですしネ〜」

 

まあ金剛は特にそうだけどもさ…集中しないと被弾しかねないし…

 

早瀬はちゃっかり金剛の膝に座り、次の演習の相手を予想し、どちらが勝っても大丈夫なように、両者のこれまでの編成パターンと今までの編成パターン、艦娘の練度から予測される作戦、提督の性格、思想、癖を思い出しある程度の準備をしていた。

 

どっちが勝っても、負ける気はしないけど、ノーダメージが難しい方がいるんだよね…

小さいダメージをチマチマ入れて、堅実に戦うタイプ…

金剛にとっては、その小さいダメージすら致命傷とは言わなくても、そこそこ良いダメージになっちゃうからね…

作戦を立てるなら、間違い無くこっちの奴を対策しよう…

もしも、こっちの奴じゃなければ、直前でも対処出来る

もう片方は超パワーキャラだからね〜

スマ◯ラで言う、ガ◯ン…一撃が重過ぎるけど、後隙や機動力に欠けるから、うちの子達だと簡単に対処出来る

なんなら、私の指示がいらない

 

「それにしても、早瀬さん小さくなりましたね?」

「そうなの?元々大きかったの?」

「いえ、元々小さかったですよ?それが更に小さくなりました」

 

榛名…君は私に精神攻撃をしなければ気が済まないのかい?

チビで何が悪い!

チビにだって需要はあるんだぞ!ロリコンがほとんどだけどね!

そう言う堅実にやる方はロリコンだったような…

堅実にって結構良さげに言ってみたけど、実際は昼戦じゃチマチマ攻撃する事しか出来ない駆逐艦しか使わないんだよね〜

もう、あの人が艤装不良の駆逐艦引き取れば良いと思うのは私だけかな?

 

「それと、なんか幼くなりましたね」

 

ん?んん?

まさか今まで、ただの記憶喪失だと思っていたのか!?

おかしいでしょ!別人だわ!

別人では無いか…

 

「榛名、違うヨ?それも記憶喪失と一緒になった幼児退行なんだヨ」

「なるほど、そう言う事でしたか…では、私の膝の上に移動させても良いですか?」

「嫌」

「漢字1文字で断られました…榛名は大丈夫です」

 

なら良いじゃん…

て言うか、金剛型の金剛以外はみんなちょっと危ないんだよね…

初対面で拉致られそうになったし…そして、榛名は自称小さいもの好き…

最初の挨拶で小さいものが好きです、所有物になってくれませんか?なんて言ってきたからね?

比叡と霧島はまだマシだけど、それでも危ないけどね

精神的に…

 

「早瀬、出来た…って出て来たのね金剛」

「見つかってしまったネ…」

「なんで隠れてたの?」

「えっと…」

「おおかた、怖がって隠れてたら、変化した早瀬を隠れて見ていたくなったんでしょ…」

「…間違ってはいないヨ」

 

なんで私を見ていたくなったのさ…

こんなガキ見てても面白くないでしょうに…

うちの子達はよくわかんないなぁ

 

「それより、おやつよ早瀬」

「わ〜い♪」

 

1週間ぶりくらいのおやつだぁ〜♪

正確には古鷹の上着に入ってた飴があるけどね

これは…アップルパイ…マジか

と言うか!オーブンあったのかよ!何作るんだよ!ここ海軍だろ!?

 

「随分と手が込んでるネ…」

「陸奥さんは、早瀬さんガチ勢ですからね」

「1番付き合い長いだけよ」

 

艦娘になって追っかけて来た奴が何言ってんだ…

しかし…あの時点で、むっちゃんが艦娘になってなかったら…

う〜ん…

 

「いやいや鎮守府では、ほぼ毎日お菓子を作ってるんですから十分ガチ勢ですよ…保護者みたいですね」

 

親友だよ!保護者じゃねぇ!

 

「ふふ…保護者…ふふふ」

 

陸奥がニヤケているのを、早瀬は最大限嫌そうな顔を向ける。

 

「なんかこうなってから初めて見る嫌そうな顔!可愛いわ!」

「保護者は嫌…親嫌い…」

 

さあ!セカンドヒント!

記憶喪失者が何で親を嫌がる!身体が覚えてるなんて事は無いぞ?

何せ、文字通り何も思い出無いからな!

殴られた〜とか、閉じ込められた〜とか虐待されてた訳でも無いしね

 

「早瀬さんが親嫌い?」

「初めて聞いたネ」

 

しまったぁぁぁ!みんなに話した事ほとんど無いから、つたわらねぇ!

いや!まだだ!記憶喪失者が特定の人物を覚えているのはおかしい!そうだろ!

 

「早瀬の両親は、早瀬と全く会おうとしないのよ。だから、好感を得る方が難しいのよ」

「早瀬さんの両親はどうして…こんな可愛いのに」

「そう言う事じゃ無いヨ…榛名」

 

あのさ?金剛達はまだ良いよ

だけどさ?むっちゃん…お前は気が付けや!

不自然に思わんのか!

 

「愛されずに育ってどうして、私達の事を愛してくれて…」

「?…早瀬は別に鎮守府の艦娘達を愛しているわけではないわよ?」

「じゃないとあんなに鎮守府ごと改造なんて…」

「早瀬は単純に全員を所有物、自分のモノとして扱っているのよ。そして、早瀬は自分のモノをか〜な〜り、大切にするから、あそこまでやってたのよ」

「間違ってはいないだけに…所有物ですか…」

「まあ、抵抗があるのは分かるわ。でもね…最早そんなのどうでも良いのよ。ちょっと執着心が強いだけで、常に気にかけてくれてるんだから、可愛いものでしょ?……人間が何人消えたか分からないけどね…」

「えっ…」

 

私はただ、自分のモノを害する存在に対して、罰を与えただけ

前にもこんな事があったけど、誰だって自分のモノを勝手に壊されたり、傷つけられたり、取られたら怒るでしょ?

それに、人は対処にならないけど、器物損壊罪や窃盗罪とかあるでしょ?だから、人のモノに手を出してはいけないんだよ

子供でも知ってる常識が、どうして大人になると分からなくなるんだろうね…

 

「き、消えた?」

「そうよ?だから、貴女達はみんな早瀬に異常に大切されてるのよ……白露はちょっと雑だけどね」

 

陸奥がそんな話をしていると、控え室の扉が開き、古鷹や加古などのメンバーが戻って来る。

 

「珍しくわね?どこに行ってたのかしら?」

「演習場で他鎮守府の観戦です。当初の予定で編成が組まれていないので、不完全燃焼というか…不燃と言うか」

「そもそも貴女は戦場に出る事が無いでしょ?」

「やっぱり、艦娘だからなんでしょうね…みんなを見てたらちょっと出たくなって来てしまって…」

「古鷹はまあ、仕方ないって言っても村雨達は不完全燃焼に違いないからなぁ…私は寝てたいから良いんだけどね」

「なら、帰ったら鎮守府内で演習しましょうか…早瀬次第だけど」

 

鎮守府内で演習かぁ…

良いかも知れないね

入渠施設が全く使わないような感じになってるから、これを期に全員のレベルアップと気分転換に演習をしようか

楽しそうだからね



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41話 盲信者

アップルパイ美味い!

…のは良いんだけど……こう見回してみると、結構集まったねぇ

初期編成組6人、雷以外のケッコン艦5人、医務室組2人、クレイジーダイアモンドシスターズ3人の計16+x人…

あと何人か増えそう…って言うか雷を呼ばないといけない以上、ふえるのは確定

 

「まだ戻らないの?早瀬さん」

「ショック療法でもやってみれば?」

 

おお!そのタイミングで演技をやめれば万事解決じゃないか!

さあやるが良い!

 

「じゃあ誰がやる?」

 

鈴谷のその一言で全員が目をそらす。

 

だよね〜

出来ないよね〜

なんか分かってたよ…

 

「仕方ないわね、私がやるわ」

 

陸奥が自ら名乗りを上げて、テーブルでアップルパイを食べている早瀬に手を伸ばす。

 

明らかにダメージ的なショック療法じゃないよね…

明らかに首よりも下の方…だいたい胸辺りだよね…

はぁ…

 

早瀬は陸奥の手を掴みテーブルに置いて、持っていたフォークを振りかぶって振り下ろす。

当然当てずに、指と指の間に刺さっていた。

 

「いや」

「はい…」

「女の子でも、触っちゃダメだよ?……抜けなくなっちゃった…抜いて?」

 

早瀬はテーブルに突き刺したフォークを引っ張ってみたものの、早瀬の力では抜けなかった。

 

「はい…」

 

陸奥はテーブルに刺さったフォークを抜いて、洗ってから早瀬に返す。

 

「小さくなっても早瀬さんだね〜当てない辺り」

「そこですか?」

「白露ちゃんだと刺されてたかも知れないけどね」

「いや…多分私も刺されないと思う」

 

うん、私は白露でも流石に刺さないよ

基本的に本当に痛い事になるのはやらないからね、デコイとか言ってはいたけど、やってないしね

白露ミサイルも確実に白露が着地出来るようにしてたし

だから、あのタイミングで刺すことはしないかな〜

相手が誰であれね

何よりも、人の肉を刺した感覚は好きじゃないんだよ

 

「それにしても、結構危ない事しましたね?どこでそんな事を?」

「テレビでやってた♪テレビでは真っ赤になってたけどね」

「うへぇ…」

 

さて…お遊びはこれくらいにして、明日の準備…

もとい、ヒントを考えましょうかね〜…

 

早瀬はアップルパイを食べ終わってから、演習結果を見て明確な作戦を立て始める。

 

…これは…堅実に戦う方が勝つのは分かってた

だけど、ここで駆逐艦以外を使ってくるとはね

このタイミングで出してきたって事は、心理戦をしようとしているのか、余裕が無くなったか…

多分前者だけどね…これまでの戦績を見る限り、余裕が無くなったようには思えない

私相手に心理戦とはね〜しかも、編成を組みづらくする効果を狙ってかな?

まあ、その程度の心理戦で私に勝てると思ったら大間違いだよ

データ量が違うんだよ

在籍している艦の練度を考えれば、一目瞭然だけど、完全に即席

急いで練度を上げて実戦投入したに過ぎないレベル

そこから導き出されるのは、駆逐艦以外でまとも実戦投入出来るのは、このガンビア・ベイだけ

だから編成も駆逐艦5隻とガンビア・ベイ

そして、駆逐艦は夕立、時雨、綾波、秋月、響…

昼戦火力も期待出来る夕立と綾波、夜戦ではそこに時雨が入り、対空の秋月に対潜の響…そして、制空権のガンビア・ベイか

割と火力よりにはしてるけど、詰みパターンを極力減らしてかつ、火力も取れる編成…

なかなか自分の腕に自信があるんだろうね…火力枠が多いって言うのは…

 

「この人、駆逐艦以外も使えたんだね」

「あら、鈴谷はその人を知ってたの?」

「まあね、結構駆逐艦編成で有名だから」

 

それにしても…ヒントになる良い方法を思い付いたよ♪

凄く私らしくて、金剛なら分かりやすい良い方法をね♪

 

「軽空母1隻入ってるだけとは言え、他に駆逐艦以外が出てこないとも限らなくなったね」

「そうねぇ…」

 

いや…向こうの戦法は基本的に昼戦は耐えて夜戦でキメに行く事だし、あの鎮守府に着任した時期から、何人練度MAXに出来るのかを逆算して、出すとギリギリ6人

駆逐艦で99が5人と100が1人

そして軽空母の練度が60…これもギリギリ可能な範囲の練度だから、かなり効率的に練度を上げてたんだろうね

そのせいで、他に実戦で使える練度の艦娘がいない事を露見してしまってるけどね

そもそも、1隻しか入れていない辺り、ただのブラフとして入れたけど、練度を99で統一出来なかった事で、即席で育成を進めたのがバレバレ

だから、次の編成も駆逐艦5隻、軽空母1隻

もしくはら駆逐艦6隻

 

「編成は金剛1人から変えないのかしら?」

「変えないよ?変えたら意味が無いから」

 

まあ、欲を言えば利根を入れたいんだけど…

戦闘向きじゃないんだよね〜うちの利根って

 

「じゃあ明日は私1人デスネ!」

「そうだよ♪」

「本当に大丈夫かしら…」

 

正直な話、かなりストイックに効率重視してるみたいだから、これまでの連中よりは強いんだよね…

しかも、効率を重視して轟沈艦もいない

指揮能力はそこそこあるみたいだね

負ける気はしないけどね〜

あの人も海軍の中では新人の部類だからね〜経験値が違うんですわ〜

それに、あの編成で出来る奇襲もあらかた予測出来るから、奇襲作戦も意味を成さないし

 

「今日はどうするのかしら?」

「ろーちゃんと…」

 

ん?ろーちゃん?

…そう言えばめっちゃ最近私ってろーちゃんと話してたよね?

頭痛…あったかな?

無い、私の記憶では頭痛にはなってない

克服したか?

まあ、どうせこの身体になった影響でそこは大丈夫になったんだろうけどさ?

かなり有益な効果あるじゃん♪

それ以外はほぼ死んでるけどね〜

 

「ろーちゃんと鬼ごっこしてくる♪」

「一瞬で鬼が変わりそうネ…」

「そうでも無かったわよ?早瀬はろーちゃんの動きを読んで逃げずにタッチされてなかったし」

 

そのあとすぐに体力が切れてダウンしたけどね〜

あと、クレイジーダイアモンドシスターズの視線が怖いんですが?

何でずっとこっち見てる訳?

 

「早瀬さん…榛名も参加しても良いですか?」

「良いよ♪」

 

拒否は出来ない…ただの純粋な幼女があの質問に対して即答で拒否など出来るはずが無い…

キャラ設定を完全にミスったぜ☆

もっと残虐なキャラの方が楽だった…違和感凄いからね

長く続かない、それが楽

1番やりやすいやつを選択してしまったが為に、バレずに終わらない…どうすれば良いんだ

 

『ろーちゃん!鬼ごっこしよ♪』

『2人で?』

『榛名さん達もやるみたいだよ?』

『ふ〜ん…やるですって♪』

 

この身体でどこまでやれるか不明だが…やるぞ!

 

結局、早瀬がほぼ癖でカモフラージュの為に始めた鬼ごっこのメンバーは、早瀬、呂500、榛名、霧島、比叡、白露となった。

 

「黒潮はやらないの?」

「ウチは白露さんみたいに頑丈じゃないんよ…普通に死ぬわ」

「鬼ごっこって死人が出る遊びだったかな…」

 

ふむ…しかし…今回は私が鬼にあえて立候補していこうじゃないか

いつもは逃げる側で体力が切れて、ろーちゃんに捕まるから負けてしまうけど

私が鬼になれば、負けは無い!

誰も捕まえられないなんて事は無いはず!

負けっぱなしは性に合わねぇよなぁ!

そして、ヒントモリモリのチャンスタイムだぜ!

 

「私が鬼やる♪」

「大丈夫?」

「大丈夫♪全員捕まえちゃうんだから♪」

 

大人気ないけど、いたいけな艦娘達には戦略の大切さを再認識してもらうとしようか

 

「10秒数えるから逃げてね♪」

「…」

 

参加メンバーのほとんどが逃げる中、呂500はその場に残る。

 

私と同じ事をしようって事かな?

ろーちゃんは可愛いなぁ♪

その作戦には少しだけ欠点があるんだよ、まずは体力の限界

そして…鬼が相手にしない事だよ

 

早瀬は呂500を無視して、10秒経ってから他メンバーを追いかける。

 

さてと、今逃げているメンバーは全員が脳筋とお馬鹿

頭脳系が1人たりともいない

ただの遊びにだって、私は大人気なく本気で作戦や戦略を使って捕まえるよ

まあ、流石に無限に鬼が追い続けるのはズルいから、制限時間があるけどね

 

「さあ、面白おかしく逃げ惑えよ♪」

 

制限時間30分以内に、全員まとめて捕まえる。

当然、その中にはろーちゃんも含まれる

さあ、制限時間をいっぱい使って綺麗に終わらせよう♪

 

早瀬は鬼ごっこにも関わらず、歩いて移動を開始する。

そして、参加メンバーの前に現れる。

 

「ヤバっ…」

「やあ白露ちゃん♪」

 

白露はその場でUターンして逃げる。

 

そうそう、その調子その調子♪

 

早瀬は、白露と同じように早道を使いながら、全員の前に現れて、少しずつ…誘導して行く。

 

大本営の構造と、逃げた方向から予測されるルート、性格や無意識に選び易い道を算出して、そのルートを塞ぎ、迂回させる

タイミングを調整すれば、全員の行き先をコントロールする事なんか、私にとっては造作も無い

そして…タイミング調整によって生まれた何もしなくて良い時間をトラップに使えば…

全員まとめて捕まえられる

雷がいたら、こうも上手くは行かなかっただろうね

 

そして、全員が1箇所に集められてしまう。

 

「あれ…これって…」

「はい…完全にやられましたね…」

 

早瀬が全員を集めた位置…それは開始位置…呂500がいる位置であった。

 

「!」

「あはは♪」

「これは……」

「はい…摘みですね…」

 

早瀬がスイッチを押すと、すごい勢いで何かが全員を一網打尽に拘束する。

 

「熱っ!?」

 

形状記憶合金…熱…まあ変態点以上の温度で元の形に戻る金属

こんなふざけた事してる場所でも、軍事施設

科学的な素材はいくらでもある

 

「熱い!何これ!?」

「火傷はしないでしょ?」

「しないけど!」

 

勿論、ただ戻るだけでは意味が無いから、勝手に特殊な加工をしてあるけどね…

いやぁ〜大変だった

ろーちゃんは耳が聞こえない代わりに、目が良いから視界内に入ったらバレちゃう

だから、バレずにあの場所に仕掛けをして、その仕掛けに使う形状記憶合金の回収、加工…

ホント大変だったよ〜大体10分くらいかな?

あっ…そうそう、特殊な加工って言うのは、正確には金属の方じゃなくて、仕掛けの方になんだけどさ?

金属を一瞬で超高熱に晒す

実際はお湯程度で十分なんだけど、超高熱にする事で、冷めるまで形状が戻り続ける事で、拘束し続ける

まあ、大気で一気に冷めるから、火傷はしないし、拘束時間も長くない

さっさとタッチして終わりだよ

 

「うぅ…まさか小さい早瀬にもこんなに…」

 

そうだ!怪しめ!

おかしい事に気が付け!

 

「流石早瀬!」

 

あははは…やっぱりか!

君達は怪しむと言う事をしないのか!

私だからか!?私だから疑わないのか!?

盲信し過ぎだろ!?



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42話 ロリコンという名の紳士だよ!(恐らく)

あぁ…みんなからの信用(盲信)が凄すぎてバレない

疑う事すらされない…

もう雷を呼んだ方が良いのか?

呼びたくねぇ…私と思考が近い以上…雷の行動は簡単に想像出来る…

私なら、絶対にその場を更にややこしくして反応を見る…面白いからね

 

「指揮官室に行くわよ?」

「うん」

 

さて…とうとう準決勝…

相手は多分駆逐艦5隻と軽空母ガンビー

そして、こっちは耐久性能皆無の金剛1人

負ける気がしないのね〜♪…にゃしぃの真似してもしょうがないか

 

「本当に編成大丈夫なの?」

「大丈夫♪私は早瀬だから♪」

 

もうね、意味が分からなくなって来たよ…

そりゃそうだとしか言いようが無いでしょ?

てか、この状態ってみんなからどう思われてるわけ?

 

「気を付けなさいよ?」

「大丈夫、神様だもん♪」

「ふっ…そうね」

 

もう適当に言ったけど、それで良いのか?

ツッコミ無しなの?

自分で言うのか…とか

どこで聞いた…とか

 

控え室にノックの音が鳴り、陸奥が応対する。

 

「司令長官殿!此度の演習では、我々が勝たせていただきます!」

「頑張ってね〜♪」

「他人事みたいに…」

「いえ、構いませんよ。実際、我々や他の大将等は司令長官殿に比べたら格下も格下ですからね」

 

あのさ?

君もツッコまないの?

明らかにただの幼女だろうが…

ただの幼女が司令長官と言う位置にいる事に関してツッコミを入れようよ…

あと、かたいよ…

 

「そこで…我々が勝つ事が出来たのなら…司令長官を撫でさせていただけないでしょうか!」

 

ダメだなコイツ

やっぱりちょっとおかしいのかも知れない…いや、まだただの子供好きと言う可能性もある…

しかしまぁ…撫でられるのが嫌いなわけではない…

拒否する理由も特にないか…いざとなれば…ね?

 

「良いよ♪」

「早瀬!?」

「私は損な事無いし♪私は負けないからね♪」

 

それにさ…今回は…本当に正確が悪い戦法を使うしね

しかも、こう言うタイプ…艦娘を大切にし過ぎるタイプには効く戦法…言ってみればトラウマをえぐりにえぐる事

いやらしい戦法では無く、性格が悪い戦法

ある程度知識がある人間なら、この編成を見るだけで性格の悪さが露見する

だがそれで良い!

私は天使でも神でも無い、どちらかと言うと悪魔や悪神の方だからね

 

提督と早瀬はそれぞれの指揮官室に向かい、演習開始までに作戦会議の時間を設けられる。

 

準決勝ってだけあってなんか手が込んで来たね

私は始まる前から準備が終わってるから、やる事無いけどね〜

つまり…おやつタイムと言うことだな!

 

「分かってるわよ、リンゴのコンポートよ」

「おお、またリンゴだ♪」

「貴女リンゴ好きだっけ?」

「好きだよ?」

 

まあ、基本的にフルーツ系等とかが好き

だから、チョコとかクッキーとかよりも、アップルパイとかの方が好きなんだよね〜

あと、お餅

お餅が好き!きな粉とか色々出来るし、美味しい!

砂糖醤油の味が好き

カロリーヤバイけどね

そう言えば、この身体ってそう言う変化はあるのかな?

 

「明日は何が良いかしら?予め聞いておくわ」

「お餅!」

「餅好きねぇ…あれ結構作るの大変なのよね」

「別にカットフルーツとかでも良いよ?」

「流石にそれは…」

 

何気にこの会話自体、バレてもおかしく無い会話のはずなんだけど…

もうド直球なヒントじゃないと怪しまれる事すらない事は、もう分かったよ…

て言うか、もう記憶がありましたなんて言っても、逆に信じてもらえなさそう…

事態は思ったよりも深刻なのかも知れない

多分、泣きそうになってたのが完全にね…アレがマズかった…

普段涙なんか流さないから、アレで完全か幼児退行とかを信じ切ってるんだろうなぁ…

 

「良いわ、餅でもなんでも作ってあげるわよ」

「わ〜い♪」

 

早瀬はリンゴのコンポートを食べながら、演習開始まで待つ。

その頃金剛は緊張していた。

 

「大丈夫…私なら行ける…そう行ける…」

「大丈夫だよ?金剛のやる事を出来るだけ簡単にしたから♪」

「でも…不意に一撃もらえば、早瀬さんの鎮守府で初の被弾が私と言う事になってしまいマース…」

「大丈夫だって♪誰も傷つかない」

 

病は気からとか言うし、精神面さえ何とかすれば、案外どうとでもなるものなのさ

どれだけ気の遠くなる作業も、気持ちの持ちようや考え方で楽になったりするのと同じ

だから、そんなのに当たる訳ないじゃん?ふざけてるの?くらいが丁度いいんだよ

 

「それに、これは私の……?なんて言おうとしたんだろ?」

 

もうね、徐々に戻って行く的な展開にしてやろうと思い始めましたとさ〜

気付いてもらうのは諦めた…

鈍感系主人公に恋するヒロインの心境?

ちょっと違う気がするけど、まあ何で気が付かない!って感じになるのは同じだよね

 

「…これは私の命もかけられている…でしょ」

「うん…多分そうだね」

「口癖…いえ、早瀬が常に戦いにおいてかけているものが命だからね…」

「責任重大過ぎマスヨ…」

「そんな事は無いよ?言い方は悪いけど、コンゴーは私の言う事をやるだけで、自動的に勝てるんだからね。だから、この場合は自分の命を自分で守る形になるんだよ♪だから、気兼ねなくやろうよ♪」

 

多分、司令官1軽い命だよね私

普通は自分を守らせるけど、自分から自分を殺っちゃうからね

 

私も死にたくは無いから、舐めプしてても勝てるようにはしてるからね〜

て言うか、今回は流石に舐めプは無理…

 

「そろそろ始まるわよ」

「事実上の決勝戦だから頑張ろう!」

「やってやりますネ!」

 

とは言っても、あの提督は行動のバリエーションがほとんど無いから、行動が読みやすいけど、不意に行動を変えたら読めなくなるんだよね…

だから、楽とは言えないんだよね…

実際、この提督の駆逐艦オンリー編成に慢心して、軽空母1隻とは言え、不意を突かれて敗北したし

別に弱い奴じゃないんだよね…

それと、もうほとんど演技してないんだけど、これどうなんだろ?

バレないかな?バレるよね?

自分で思い出して行くような演出プラス、演技をほとんどしなくなる事による、キャラブレてね?現象でバレさせる作戦

 

「相手は…あら……駆逐艦ゼロ」

「ふふふ…ふふふふ♪」

 

唯一の勝ち筋を正確に狙ってくる…やっぱりお前…

雑魚じゃないね

だけど、唯一の勝ち筋は…最大の失敗にもなりかねないよ

練度が全体で200も無い

それに、対策してなかった訳ないじゃん♪

危険になる可能性全てを警戒しないとね♪

編成に結局ガンビーちゃんがいるなら問題なし

それに、ここに来て練度無視の戦艦と空母編成…実は対策込みでも難しいなぁ…

私の望む勝ち方をするのはだけどね

 

「コンゴー、射程が勝てないから普通に近づくよ」

『大丈夫ネ!むしろ楽になったネ!』

 

そうなんだよね〜ウチにまともな艦娘は1人もいない

全員が弱点増える代わりに性能が上がったり、変な能力が増えたりする人外魔境

金剛はその中でも更に異端なんだよ

デメリットが大き過ぎる代わりに、火力性能は超絶の破格

そのせいで普通の砲弾はまず撃てない…砲弾が高過ぎる火力で爆散して散弾銃になる

そのせいで射程が短と言うか、もはや極短なんだよね

三式弾必要ないけどね

て言うか、タイミングさえ合わせられれば砲弾だろうと破壊する火力がある

攻撃こそ最大の防御とはよく言ったものだよね

 

「防御タイミングはこっちが指示するから、全速力で接近」

『いつも通りですネ!』

 

そう、いつも通りなんだよ

そこでだ…記憶喪失してるはずの人間が何故いつも通りの行動が出来ると思う?

記憶喪失じゃないからです

はい、気がつけ!

 

『なんかいつもよりも楽な気がしマース♪』

 

だろうね〜今はそっちだよね〜

うん、いい事だよ

作戦中に余所見しない良い子だよホント…

あと、もう一つの意味でそうだろうね

いつもは練度MAX、もしくは練度解放のケッコン艦相手だし

今は練度が平均30のただの奇襲型…作戦は良いけど、君がそれを使うには提督歴が短過ぎたね

ついでに、予想での駆逐艦5隻と軽空母の作戦は完全に待ちの構えだったんだよね〜

射程がほとんど同じだからね

 

「なんか拍子抜けね」

「いや、まだだよ……こう言う事してくるんだから、まだある」

 

編成が奇襲型で装備が汎用な訳が無いからね

だから装備は…戦艦対策の徹甲弾からの着弾観測射撃

こっちの編成を読む事くらい、あの提督は出来る

だから、ここまで堅実に勝つ事が出来たんだ

 

「相手の装備は恐らく徹甲弾からの着弾観測射撃だから、もういつでも撃てるように準備してて」

『分かりましたネ!』

「そして…あと5秒後」

『5秒なら楽勝ネ!』

 

こう言う戦闘において、5秒とはかなり長い

レースゲームで1秒が長い事や、格闘ゲームで0.何秒を競うのと同じ

長過ぎる

だから、わざわざ私は金剛よりも向こうの艦隊を見ている…

やり方は防御重視だけど、金剛だと仕方ないんだよね…

読みにも限界があるし、読みだけで何とかなるデメリットでもない

こう言うところがハラハラして結構好きなんだよね…金剛は

 

「陸奥さん、コンゴーが防御射撃してから、5分数えておいて」

「分かったわ」

 

金剛の砲身は4つ、そして1回目の射撃から2回目までに、その高過ぎる火力から5分のリキャストが必要になる

だから、射撃タイミングをかなり厳選して撃たないと、射撃不可の時間が長く生まれてしまう

その間防御不可な上に攻撃も不可なんて不味いんだよ

 

「早瀬、一応聞くけど…勝算はあるの?」

「あるよ100%」

「あら、かなりの自信ね」

「うん、もう終わりまでは見えてるから」

 

こう言う相手が確定してて、準備時間がある場合、どんな択も想定する事が出来る

この行動をすると次に出来る行動はコレとかを、その相手の性格や編成で割り出す

当然これも読みではあるけど、普通の読み…その場の雰囲気だけで読むよりも準備しておいた方が確立が高いのは当然でしょ?

だから、向こうが未だに艦載機を出していない事からも予測出来るけど

砲撃と艦載機の同時攻撃をする気である可能性が高い

それは、確かに戦艦単騎には有効だろうさ

連射は元々出来ないから、同時攻撃に弱い

だけど、金剛は普通じゃないからね

1回の攻撃でまとめて弾き返せる

そして、攻撃すると言う事は当然隙が生まれる

金剛は砲身1つだけしか撃って無いから、向こうよりは隙がない

接近し放題だろう?

 

早瀬は、金剛が敵艦隊の砲撃と艦載機の攻撃をまとめて弾き返すのを見てから、次の行動を考える…。

 

攻めて来るか、一旦引くか…

どっちだろうね…



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43話 チェックメイト

一斉攻撃を防がれた事は、向こうにとっては予想外だろうね

そもそも、向こうはこっちの艦娘に普通の艦娘がいない事は知っているが、どんなデメリットとメリットがあるかなんか知らないからね

て言うか、金剛はダメージさえ受けなければ火力が姫クラスを超える

まあ、金剛の火力に耐えられる砲弾を作ればの話だけどね…

威力が拡散してるから、今はまだ至近距離なら戦艦姫クラスレベル

向こうからしたら、ただメチャクチャな火力した金剛なんだろうね

病弱、低耐久、射程極短…弱点だらけなんだけどね

 

「あら、特攻してくるのね」

「う〜ん…」

 

特攻…特攻してくる意味なんかあるのか?

低練度とは言え、戦艦や空母は射程で有利を取れる

向こうが射程で有利がある事を知らなくとも、近寄る必要は無い…

なら何で接近して来る?

鈴谷の時みたいに、空母だから近接戦が弱いから接近するなら分かる

でも、金剛は戦艦

近寄れば単純に受けるダメージが上がる

…あぁ…そう言う事か…

いや、良い判断だと思うよ

間違ってるけどね

多分向こうは金剛のデメリットを考えてないから、高耐久、高火力のチート戦艦だと思ってるから、近付いて至近距離から砲撃して、6人で高耐久を貫こうと考えた訳だ…

やっぱり情報の優劣だけで、戦局は大きく傾くね…

 

「コンゴー、勝ったよ」

『早いデスネ?』

「向こうはコンゴーの弱点を知らないから接近して、高耐久を貫こうとしてる。コンゴーって超低耐久だから、耐久戦する方が辛いのにね」

『なら私は…』

「近づき過ぎずに攻撃してまとめて終わりだよ」

 

艦隊戦って陣形を組むと言う事からまとまって行動する

それに対して金剛の攻撃は高火力範囲攻撃

一網打尽にする事なんか容易い

まあ、一撃貰えば大破確定なんだけどね…

 

「…3分経過よ」

「意外と早いね〜」

 

これなら4発も攻撃出来る状態で至近距離戦が始まりそうだね

…ん?至近距離戦?

あっ!マズイ!

 

「コンゴー!ちょっと待っ…」

 

早瀬か言い終わる前に至近距離戦が始まり、金剛は射程に入った瞬間に砲撃する。

そして、相手は接近を続けてい為、更に至近距離戦になり、相手は異常に高い距離で金剛の砲撃を受けてしまう。

砲撃を受けた相手艦娘達の半数が海面を跳ねて吹き飛ばされる。

 

私とした事が…

うっかりしていた…

金剛を使っていた為に金剛を気にし過ぎた…相手の動きを見るのを特攻してきた時点で辞めてしまっていた…

これ…向こう大丈夫かな…沈みはしないけど…

 

「コンゴー…次はもっと離れようね…」

『分かったネ…』

 

これは…本来の目的は諦めた方が良さそうだね…

本来はガンビーちゃんだけ残して、史実再現して性格の悪さを露見させてバレないかな〜なんて思ってたけど、相手があんな作戦をとってる以上、まとめて倒してしまいそう…

仕方ないか…

 

「残りは後衛の空母組のみ…ちょっとやり過ぎた感が…」

『負けでは無いから良いんだヨ』

「そうだけどさ…」

 

痛々しいと言うか…向こうの心配をしないといけないのがね…

 

「さて、こうなればやり過ぎないように殲滅しよう」

『了解ですネ!』

 

私が指揮を失敗するなんて…

しかも初歩的なミス…配慮を失敗するなんて…

もっと全体を見ないといけないね…

せっかく脳の共有にデメリットが無くなったんだから、もっと効率的に活用して今後、こんなミスは無くさないと…

これがもしも、演習じゃなければ…私のSAN値が一気に0になるし…

何よりも、金剛を思考停止のただの兵器にしない為にも…

艦娘は艦娘と言う思考を兼ね備えた兵器じゃないといけないから…

少なくとも戦場ではね

 

「はぁ…」

「別に失敗した訳じゃないのよ?落ち込む必要は無いわよ?」

「それでも…かなり危ない指揮をしちゃった…」

「戦場では、殺害を躊躇してはいけないのよ?」

「相手は敵じゃないから、少しくらい躊躇はして欲しいよ…殺害は…」

 

私もそうだけど、むっちゃんも大概野蛮な思考してるよね

確かに?戦場では躊躇なんかしてたら相手に撃たれる

でもさ…今は戦場は戦場でも模擬戦…

殺害しちゃいけない場面…

もっと金剛と向こうの艦娘との位置が近ければ…最悪の場合…

多少運が良かったと考えるべきかな…

かなり重いダメージを負っただろうけど、死ぬ程では演習じゃ出せない

演習と言う環境に救われたね…情けない

はぁ…思考を切り替えよう

いちいち後悔してても、先には進めない

今は演習の事を考えようか

 

「コンゴー…作戦変更」

『どうしますカ?』

「向こうはもう空母しかいない、だから距離をとって艦載機を発艦させて時間を稼ぎながら全滅させて、向こうの艦載機を無くそう…その後でトドメを刺せばいいよ」

『分かったネ!』

 

最悪、夜戦に移行しても海面を撃って余波で中破やら大破させれば問題無いし

むしろ、防御射撃に巻き込まれて大惨事にならないだけ、距離を取るのは向こうにとっても良い事だよね…

実際は希望を見せてから絶望に叩き落とす最悪の手だけど…

 

金剛は距離を取りながら、相手が艦載機で追撃して来たのを、引き寄せて爆撃などを全て落として行く。

 

リキャスト時間の管理さえすれば、向こうからは金剛の弱点は見えない

5分に1回しか攻撃出来ないとは言っても、砲身は4つある訳だし、単純に時間を最大限に稼ぎ続ければ、約1分に1回攻撃出来てるから、向こうからは連射してこないだけのようにしか見えない

まあ、そのリキャスト時間の管理が中々に難しいんだけどね

相手が金剛の弱点をしっかりと理解していたら、対策なんか簡単で仕方ないから…

約1分に1回攻撃出来るけど、逆に言えば最速でも約1分に1回しか攻撃できないという事

金剛の低耐久なら、艦載機を小出しにして砲身を1分以内に全て使い切らせて、後は砲身が回復する前に全機発艦して撃破…

だから、金剛の弱点は絶対に相手に知られてはいけない

私のノーダメージ主義の約7割が金剛の為なんだよね…金剛がただ火力が高くて射程が短いと思わせる為に、全員をノーダメージにする

そうすれば、金剛が脆い事に誰も気が付かない

それこそ、金剛が主力にいられる理由

弱点が広まれば、対策が簡単な金剛は使えなくなってしまうからね

 

『あとどのくらいあるネ…』

「34」

『34機デスネ、分かったネ!』

「よく数えてたわね…」

「残りが分からないと、こんな事しないよ」

 

相手の練度か改である事はほぼ確定

改装しない理由が無い以上、ほぼ確定だけど…奇襲の為の編成だから完全に確定はしないんだよね…

まあ、改だとした時の数値で、全体の残り搭載数を出してるから最悪それまで待てば良い向こうは空母しか残って無いから、夜戦に入るわけには行かないからね

急いで撃破する為に、出し惜しみは出来ない

私も夜戦までやるつもりは無いから、この昼戦で終わらせる

 

『これで全部ネ!』

「砲身は2つ残ってるね、なら2つ同時に向こうの足元に撃って」

『了解しましたネ!』

 

チェックメイトってやつだ

意外とこの言葉好きなんだよね〜

将棋の王手と違って、これは勝った事が確定した宣言だからね〜

王手とチェックが同じような意味だったはずだし

 

「早瀬…貴女戻ってるわね」

「はぁ…やっとか」

「いつからなのかしら?」

「当ててみ?」

「そうね……金剛が相手を吹き飛ばした直後かしら?」

「残念、ハズレ」

「…じゃあいつなのよ」

「最初からだよ、私は幼児退行も記憶喪失にもなってない」

「はぁ!?」

「気付かないむっちゃんが悪い」

 

親友なんだから気が付いても良いよね?

仮にも10年以上一緒にいたわけだし

 

「貴女ねぇ…」

「しっかりとヒントは出してたよ?最後の方だけだけどね」

「そんなのいつ…あっ…」

「思い返せばいくらでもあるでしょ?私が記憶喪失なら知り得ない情報を平然と口にしてたんだから」

「これは…悔しいわね」

「それでも、むっちゃんが1番速かったけどね」

「そう…最速タイムが4日以上なんてね…貴女本気出し過ぎよ…」

「本気でやったら一生バレないよ…今回の事で実感した」

 

仮に私が1番最初のように子供のような口調で常に生活していれば、口調から戻っていないと判断してバレないし、ヒント無しだとむっちゃんすら気が付けない

後は雷がどういう反応をするかによるかな

 

「全く…そう言えば、鈴谷に抱きつかれてた時、泣きそうになってたけど、アレも演技?」

「演技…だったら良かったんだけどね…」

「どういう事かしら?」

「この身体になってから、見た目と同じく中身も幼児化してるんだよ…だから、感情的になり易いし、恐怖心も強く感じる。例えば体格差とかね…」

「不便な身体になったわね」

「ホントだよ…」

 

まあ、便利になった事も、多分同じくらいあるんだろうけどね

脳の共有によるデメリット消滅、不老になる

あと、これは多分なんだけど、カロリー摂取が不可能になってて太らないし、カロリー摂取が出来ないと言う事は、何かを食べた時にエネルギーを取り出すだけで、その中身である栄養素やらが消滅してる事になるから、毒に完全な耐性が出来た

最後のやつは証明出来ないけどね

仮に毒を受けた場合、治癒力がほとんど無いこの身体じゃ、確実に死ぬからね…

 

「明日のおやつな抜きね…」

「えぇぇ……良いもん!鈴谷に作ってもらうもん!」

「え?あの子お菓子とか作れたの?カレーばっかり作ってたから知らなかったわ…」

「いや、知らない」

「適当なのね……それにしても…」

 

陸奥は人知れず葛藤していた…。

仮に鈴谷がお菓子類を作れたとして、もしもそっちの方が味が良かった場合、自分が秘書艦でいる必要が無くなる=早瀬との時間がほぼ皆無になる。

しかし、ここで早瀬を甘やかして良いのだろうか…。

そんな事を考え、葛藤していると、指揮官室に鈴谷や他のメンバーが入ってくる。

 

「聞こえたよ!最初から演技だったんだね!」

「うん、そうだよ」

「酷い!せめて鈴谷に教えてくれても…」

「唐突だけど鈴谷ってお菓子とか作れたりする?」

「ホントに唐突だね…まあ作れなくも無いけど…なに?陸奥さんは降板?」

「さあね?でも明日作ってくれないんだって、だから鈴谷って料理上手だから出来たりしないかな〜ってね?」

「料理上手…うへへ」

 

嬉しそうなのは何よりなんだけどさ?

鈴谷って褒めて伸びるタイプと言う割には、根腐りしそうなタイプにも感じるんだよね…

まあ、成果は出してるなら、本当なんだろうけど…

現状がこんな感じだからね…

 

「分かったよ、明日は鈴谷が…」

「待ちなさい、貴女にこの座は譲らないわよ」

「自分から言ったんじゃ無いんですか?ねぇ?」

 

煽りは多分私のせいだな、うん

 

早瀬は小さい事(当人からするとかなりの事)でいがみ合う2人を横目にポケットから飴玉を出して舐める。



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44話 親権獲得定期

私は今…いつぞやのと同じようにどこぞの碇司令のようなポーズで飴を舐めてるんだけど…

やっぱりこの姿勢は肘が痛くなるね

 

「それで…明日はどっちがおやつを作ってくれるの?」

「鈴谷が作るよ♪陸奥さんは隠居してなよ♪」

「人を老人みたいに…私が老人なら同年代の早瀬も老人になるのよ」

「早瀬さんは永遠の幼女だよ!」

「幼女じゃねぇよ馬鹿野郎」

「確かに早瀬は幼女ね…」

「幼女じゃねぇって言ってんだろ」

「当然だし♪」

「無視かよ」

 

はぁ…この時間が無駄になってるから、次の元帥戦と言うただの余興の準備をしようかな〜

どうせ、ここまで来た人間を確実に元帥にされるよなぁ〜

まあ、それが目的ではあったんだけどもさ?

いざその立場になって来ると、面倒さが出て来るよ

仕事ってなにがあるんだろ…あの人ってクズだから仕事してたのかも分からないけど、もしも仕事をしてたならかなり暇なはず…

もしかして、元帥って海軍全体の指揮をするだけで、大規模作戦中じゃない限り暇なのかな?

 

「早瀬早瀬、時雨はダメなの?」

「時雨?時雨も得意なんだよね」

「うんうん、かなり上手だよ」

「帰ったらお願いしてみようかな?」

「確実に喜ぶよ」

 

普通そこは多分とか、きっととか使うんじゃないの?

確実にって…

みんな私を餌付けしたいのか…訳が分からんぞ

最悪自分で作れるから、完全にみんなの味が自分の作るやつより好きなだけなんだよね

みんなの方が料理が上手だからね〜

私も料理がんばってみようかな…今の身長じゃキッチンが高過ぎて背伸びしても顔がキッチンの上に出ないから現実的じゃないんだよね…

かと言って、足場を使うのはなんか負けた気がする…

側から見ると親の手伝いをする子供に見えなくもないね…

 

「早瀬も料理したら?出来るんでしょ?」

「白露…村雨行き」

「なんで!?」

「…私が罰扱いされてる事はどうしてなのかしら…」

 

そのうち白露の事バラバラにしそうだなぁ

まあ、白露なら艤装が大破状態じゃなければほとんど外傷では死なないけどね〜

性能として知ってるけど、実際バラバラにした事は無いから実際どの程度なのかは分からないけ…

ただまぁ…耐久性能じゃ白露は間違い無くチートキャラだよね

HPが0にならない上に常に超速回復し続ける…艤装無しの方が強いのはご愛嬌

 

「なんで怒られなきゃいけないのよ…」

「司令官さんがキッチンに立った姿を想像すれば分かるんじゃない?」

「あぁ〜…そう言う事か…」

「白露と村雨は仲良くろーちゃんと腕相撲でもしてもらおうかな…」

「白露姉さんはともかく、私はシャレにならないわよ!?白露姉さんだけで許して下さい…」

「一瞬で姉を切り捨てる妹…私の妹達ってどうしてこうも…」

 

白露の扱いが雑なのは鎮守府共通だろうが…

私のせいかも知れないけどね…私が雑い扱いしてるから

まあ何にせよ白露ってなんとな〜く雑い扱いが丁度いい気がしてねぇ〜

 

「全く、早瀬が私の事を雑に扱うから…」

「なら、丁重に大切に慎重に扱ってほしいのかい?」

「いや、それはない…けど、もう少し構って欲しいかな」

「う〜ん…昔むっちゃんに「貴女は構い過ぎて直ぐに壊すから、気を付けなさいよ?」って言われた事があるけど、良いかな?」

「うわぁ…内側から壊されそう…」

 

その時も当然ながら、別に殴ったりとかの身体的外傷で壊した訳じゃないよ?

だから、白露が言った事はあながち間違いでも無い

確か…そう言われたのは…小学生の頃だったかな?

入学初日にいきなり男子に声かけられて、遊んだりしてたら面白かったから、色々と…ホント色々とやったら、その男子が不登校からの転校したんだよね〜

その日から、私は学年全員から関わったらヤバイ奴って事になってボッチになりましたとさ〜

しかも、中学ではその噂でボッチ、高校ではその男子がたまたま同じ学校になってたから、声かけたら気絶しちゃって、それならまた何をしたのか分からないけど、近寄ったらダメな奴って事でボッチ化したんだよね…

だから、遊ぶ相手はむっちゃんだけと…

何がダメだったんだろ?

体育の授業の鬼ごっこで、逃げずに至近距離で回避し続けたから?

ドッチボールで相手側にいるのにパスして、投げて来たボールをキャッチし続けたから?

それとも、反応が面白いからってわざとラッキースケベを演出したから?

 

早瀬がやっていた行為は、完全に全てが公開処刑そのものであった…。

クラス全員が見ている中で、時間いっぱいまで近くにいる女子を捕まえる事が出来ず、何度もパスされているのにアウトに出来ず、男子から貧弱な奴と言う扱いを受け、挙句にバスケットボールなどでのラッキースケベ演出により、女子からのヘイトが溜まる…。

早瀬は意図していなかったが、かなり心に来るモノであり、必ず全員が見ている場所だった事も災いしていたのだ。

 

「私が気に入った子はみんな壊れちゃうの」

「なんか凄い怖い事言ってる…しかも、その理論だと私達は全員無事だから、別に気に入られてはいないと言う事に…」

「むっちゃんから誰かに固執する事を禁止されてるからね〜気に入ってても何も出来ないんだよ」

「早瀬は司令官でしょ…」

 

むっちゃんは唯一の友達だからね…

それはそうと、よくよく考えたらむっちゃんってメンタル異常に強くないかな?

むっちゃんともかなり遊んだ記憶があるけど、何も変化がないんだよね〜

 

早瀬は陸奥にも同じような感じで遊んでいた事がある。

当然ながら、ラッキースケベ演出はしていないものの、かなり遊んでいた事がある。

しかし、当時から陸奥にあったのは……外に出さないだけで、既にそこそこの変態性を兼ね備えていた。

当時の早瀬は…やはり、同年代と比べるとかなり小さかった…。

 

「それはそうと、次は元帥が相手なんでしょ?」

「そうだよ」

「編成はどうするの?一筋縄ではいかないでしょ?」

「編成はもう決まってるよ…白露、むっちゃん、雷、ろーちゃん、鈴谷、金剛だよ」

「ケッコン艦全員の編成?」

「そう」

 

ただケッコン艦全員詰めただけじゃないよ?

駆逐艦2隻で相手の潜水艦対策と夜戦火力強化

戦艦2隻で近距離と遠距離をカバー

ろーちゃんが相手の駆逐艦、軽巡、軽空母の動きを封殺

鈴谷で索敵、あわよくば制空権確保

割と理に適ってるんだよねこの編成はね

まあ、金剛を瑞鳳にした方が安定はするんだけどね

金剛は安定とは最も遠い存在だから仕方ないんだけどさ

 

「もしかして……こういう時の為に最初から決めてた?」

「決めてはいなかったよ」

 

だけど、何も考えてなかった訳でも無いんだ

ろーちゃんにあげた時点で、どう言う編成だと良いだろうか?とかは考えてたから、鈴谷や金剛には惜しかったり、ヒントをあげてご褒美として渡したんだよ

最古参組が案外引き気味と言うか、周りほど必死では無かったのが驚きだったけどね

 

「決めてはいなかったけど、ほんの少し誘導したかな」

「なんか不正の匂いがする」

「不正なんかしてないよ?条件を緩くしただけだし」

「……まあ、良いや。それにしても、私を出すなんて珍しいね?私って火力とかそんなに無いよ?」

「肉壁…」

「えっ!?」

「冗談だよ、私がそんな事する訳ないじゃん。白露は正直完全にブラフとして出てもらうんだよ」

「ブラフ?」

「うん、本来の白露は高スペックだし、向こうはこっちが艤装不良の子しかいない事を知ってるけど、どんな性能に尖っているのか知らない、だから低スペックで戦闘能力雑魚の白露は警戒されるだけ警戒されて結局何もしないで演習が終わるぜ!」

「なるほど…つまりいるだけで最強って事だな!」

 

うん、お馬鹿…

かなり適当なこと言ってたけど、本当は白露も自覚してない特殊なステータスが存在するんだよ

全パラメーターが減少するかわりにほぼ不死になるのが、白露の艤装不良では無い

艤装不良は私が全員分調べて、私が口頭で伝えてるから、本当の艤装不良とは違う結果を話した子も、何人かいるんだよね

その中でも、白露は特に異色のステータスがある

それが、単騎時の攻撃性能強化

単騎なら間違い無く駆逐艦最強…本人には教えてないけど、物理性能から艤装性能まで向上する

ただまぁ…物理性能はろーちゃんより少し下、艤装火力は金剛の半分より少し高いくらい

全くもって…皮肉な能力だよ

白露は鎮守府にとって、いわゆるマスコットのような親しみやすい、新しく来る子達の面倒とかを見てる完全な艦娘の中のリーダー

でも、その性能は1人の時にしかフルに発揮する事が出来ない

だから、今回のこの編成は最後には白露以外を撤退させて、白露単騎にする

それまでに、相手を限界まで疲弊させる

倒し切ろうとすると、流石にこっちも被弾しかねない

それで疲弊させるだけ疲弊させて、最後に白露が全部倒す

私と同時に着任した、この鎮守府で最も長く一緒に戦ってきた子…

白露は私にとって……

 

「白露…貴女馬鹿にされてるわよ」

「何を!?」

「してないしてないしたことない」

「嘘だ!馬鹿め!って言われた事あるよ!」

「そんな事あったかな〜」

 

まあ、何にせよ

条件次第では弱点がほとんどない最強クラスの存在

それが白露だ

まあ、元々私は単騎運用するタイプじゃないし、何より白露をあんまり出撃させないからね

私の奥の手、秘密兵器、リーサルウェポン何でも良いけど、そんな存在なんだよ

普段はネタキャラ扱いだけどね

 

「とにかく、白露は次の演習でもしかしたら役目が出来るってことだけ覚えててよ」

「もしかしたらって事は普通なら役目すら無いって事だよね…」

「あるよ〜?私の心の安定の為とか」

「私が心の安定…えへへ」

 

チョロい

白露はお馬鹿だなぁ〜

お馬鹿だから親しみ易いんだけどね

 

「チョロいわね」

「チョロいね〜」

「白露姉さん…チョロいわ」

「チョロく無い!」

「そうだね〜白露はチョロく無いね〜」

「そうだよ!」

 

この言い方自体が既に子供に言うみたいな言い方をしている事に気が付かない辺りね?

 

「そう言えば、おやつの件どうなったの?」

「あぁ〜…ローテーション制になったかな…」

「なんか嫌そうだね」

「早瀬さん独り占めチャンスが…」

 

あら強欲

私は誰のものにもならないわ!

 

「今日は鈴谷で…羊羹にしようかな」

「わ〜い♪鈴谷の家の子になる♪」

「親権獲得…」

「そんなの許さないわよ」

 

餅しかり、羊羹しかり洋菓子よりも和菓子の方が好みの早瀬であった…。



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45話 決戦前日

元帥…引退する人間が何で参戦して来るのか意味が分からない…

て言うか、あのフルフラットまな板女が何考えてんのか何て知りたくも無い

それにしても…羊羹美味しい♪

 

「羊羹ってどうやって作るの?」

「早瀬さんは知らないのか…じゃあ内緒♪」

「なんで?」

「自分で作れるようになっちゃうから、鈴谷が要らなくなるでしょ?」

 

作れるようになっても味には差が出ると思うんだけどなぁ…

私は作れても、別に料理が上手いわけじゃないからね

良くて中の上

 

「私の立場が…唯一の地位が…音を立てて崩れていく…」

 

別に地位じゃないだろ…

私を餌付けする事を地位とか立場とか言うなよ…

私はそんな天然記念物とか貴重な動物じゃないからね?ただの半妖だからね?

半妖は珍しいか…

ここで間違えるなよ!?半妖って言っても半分妖怪では無いからな!

半分妖精だからな!

 

「鈴谷の勝利だね♪」

「己鈴谷…貴女は私が…」

 

1人だけテンションおかしいけど、むっちゃんは私のおやつにどんだけ思い入れあったんだよ

怖いよその思考

 

「ねえ早瀬〜私にも何か無いの〜?夫なのに何もしてないんだよ」

「夫じゃねぇだろ白露、鏡見て来いよ。男に見えたならその眼球抉り抜いてやるから」

「怖いよ!?しかし!早瀬の為なら森羅万象、唯我独尊、津々浦々、花鳥風月、風花雪月、一宿一飯何でもやるよ!」

「適当に四文字熟語並べてんじゃねぇよ…今調べて来いよ。酷い事になってるから」

 

私の為ならあらゆる現象、自分がだけが優れていると自負し、小さな港から海洋まで全て、美しい自然や風景、美しい自然や風景(中国語)、ちょっとした恩義も忘れない、何でもやるよ!

ね?意味が分からないでしょ?

まあ、艦娘だから津々浦々はまだ分からなくも無いんだけどね

しかし…唯我独尊と風花雪月、一宿一飯は酷いなぁ…

 

「村雨…君の姉は馬鹿だね〜」

「そこが可愛いんじゃない!」

「君も大概だけどね村雨」

「そうかしら?」

「そうだよ、だからこんなもんを付けられる」

 

早瀬は村雨の服の襟のような部分の下に手を入れる。

 

「なっ!?」

 

そして、早瀬がそこから取り出したのは…。

盗聴器だった。

早瀬はそれを破壊して窓から捨てる。

 

「全く、情報収集頑張るのは良いけどさ〜私にその程度の策が通じるわけ無いじゃん。もっとも〜っと頭を使いなよ元帥」

「一体いつ…」

「いつでも付けられるでしょ、お風呂や就寝時間、1分以上あれば盗聴器1つ付けるくらい余裕にも程がある」

「司令官さん…良く気が付きましたね…」

「生憎、ただの人間じゃないんでね」

 

脳の共有のデメリットが消えた事を知ってからは、常に片耳と片目を共有状態にしてあるからね

盗聴器から出る極々微細な機械音やら、盗聴している元帥の姿を見る事が出来るんだから、わざわざ作戦に関しては適当な事しか言ってなかったんだよ

敵を騙すならまず味方から

こういう時が一番しっくり来る言葉だよね

 

「自分で気が付かない村雨も大概お馬鹿な可愛い子だよ」

「幼女が幼女を口説いてるわ…どこに需要があるのよ…私ね」

「お前もう黙ってろよ…一度暴走したらしばらく暴走しやがって…」

 

あと、村雨は幼女って感じしないだろ

駆逐艦でもかなり成長してる部類じゃん

私よりも…当然前の私ね

今の私と比べたら駆逐艦って部類だけで、私より成長してる判定になるわ…

そう考えると、今の私って海防艦…

 

「村雨はお馬鹿だなぁ〜自分で気が付こうよ」

「白露姉さんには言われたくないわよ」

「でも白露は多分気が付いたよ?」

「えっ!?」

「ふふん♪」

 

白露は本当の初期艦って事もあって、勝手が分からなかったから、変な事いっぱい教えたんだよね…

それこそ、盗聴器やら発信機の技術やその対策、対人格闘術、射撃技術…

この射撃技術は当然、ハンドガンとかの通常兵器ね

まあ、春雨ちゃんが異常に上手かったから隠れてるけど、通常兵器の扱いなら実は1番上手かったりするんだよ

春雨ちゃんは射撃精度だけで、白露は射撃精度を含めた手榴弾やC4、グレネードランチャーとかの爆発物も使える

実は結構本人性能は高いんだよ軍人としてだけどね

 

「白露はうちの鎮守府で1番そう言う系の技術があるんだよ」

「早瀬に勝てる事が見当たらないんだけど…」

「艦娘の中では、だからね。私は艦娘じゃないからカウントしてない」

 

教え子が自分を超えるのは教育者として、喜ばしい事って聞くけど、私は誰であろうと負けるのは性に合わないから、日々知識を付ける

負けたいと思う人もそんなにいないでしょ?

…そう言えば雷を呼ばないとなぁ

 

「鎮守府で早瀬に何かで勝てる子っているのかな?」

「全員体力で勝てるでしょ」

「艦娘だからね。そうじゃなくて、技術的な何かだよ」

「鈴谷とかむっちゃんが料理で勝てるよ」

「う〜ん…なんて言えば…あっ!軍事的とか戦闘で使える技術!」

「軍事的、戦闘術…」

 

射撃技術は含まれないのかな?

含まれるなら春雨ちゃんがトップだよ?

まあ、対人格闘、爆発物、指揮…とか色々と艦娘の子達に負ける気がしない部分もあるけどね

しかし、ここは適当にあしらっておくか

 

「人が踏みそうな場所に的確にバナナの皮を置く技術」

「どの辺が軍事的!?」

「気持ち軍事的」

「適当!」

 

人に言えない事ばっかりだからね〜

スパイや暗殺はね

しかも、軍事的と言うか人間側の内部事情関係だし

 

「とにかく、私はそこまで大した存在じゃないよ」

「いえ…早瀬がうちの鎮守府で最も優っている事があるわ…」

「指揮能力かな?」

「可愛さ!」

「まだ暴走中だったか…」

 

コイツ一回絞め落とした方が良い気がする…

どう言う感性してるのか未だによく分からない…小さい事のどこが良いんだよ…

視線合わせるのも一苦労だから、結構戦艦の子達と視線を合わせないし

会話する時は仕方ないけど、指揮中とかは大抵秘書艦の子は後ろにいるから、受け答えだけして画面から視線を外さない

いちいち振り返って、上向くと首痛くなるんだよね…

 

「むっちゃん、雷呼んで…明日の演習のメンバーだから」

「人使い荒いわね…」

「まあ私がやっても良いんだけどね」

「いや、私がやるわ」

 

何なんだよ

はぁ…盗聴までして勝ちに来る辺り、お遊びとは行かなそうだな…

まあ、情報を一切与えてないから問題は無いし

何なら適当な事言ってたから、虚偽の情報を与えた事になる

まあ、あからさまに嘘だから関係無いようなもんだけどね

 

「明日…もし負けたらどうなるんだろ?次の元帥を決めるトーナメントなんでしょ?でも決勝戦がシードで元帥だから、負けたら…」

「鈴谷…前から言ってるけど、負けたら終わりだよ?主に私が」

「死のうとしないでほしいなぁ…」

「誰が元帥の為に死んでやるものかよ、負けたら死ぬけど、負ける気は無いし、負ける気もしない」

 

私と元帥は確かに、指揮能力にほとんど差がないよ?

でもさ、例えば全く同じ人間が2人いたとして、それがぶつかり合う

すると、どっちが先に死ぬと思う?

それは、強力な武器や防具、濃密な経験を有している方だ

つまり、同じ人間がいた時に差を作るのはそれに付随する別の物

私にとってはこの尖に尖った性能の子達

そして、みんなを最大限、かつ最高のパフォーマンスを引き出す指揮

本来の最善がここでの最善では無い

私の鎮守府は脆い…折る事は簡単

でも、全ては使いよう

まさに刀

側面から打てば簡単に折れるが、側面から打出さなければ高い斬れ味が約束される

向こうの艦娘も確かに強い

でもそれは所詮はただの刀、私の扱う刀は全てを両断するが簡単に折れる刀

使い方次第で強くなるのは一体どっちかな

 

「凄い自身…元帥は強いんでしょ?」

「うん、元帥は強い。だけど、その部下の問題だよ。元帥の部下よりも、私の部下の方が優秀なのさ」

 

お前が不必要と切り捨てた存在に、どれだけの価値があるのか

その身に刻み込んでやるよ

弱い艦娘はいない、強い艦娘がいるだけってことを知るが良い

 

「まあ、いつも通り気楽に私の指示をこなしてくれたら良いよ」

 

…それでも、普通に勝つつもりは無い

私は、そこまで純粋に勝ちに行くほど、良い人じゃない

向こうの子達には悪いけど、トラウマを刻むレベルで叩き潰す

自分達に運がなかったって事で納得して欲しいな

と言うか、元帥の艦娘に任命させるって言う幸運があったんだから、元帥の天敵に蹂躙されるって言う不幸があってもバチは当たらないと思うなぁ

そんな訳で、明日の演習までに…

 

「お部屋で話しててもつまんないから、海防艦早瀬!出撃!あっ、羊羹ご馳走さま♪」

「早瀬さん!?」

「海防艦…ありね」

 

迂闊な発言はむっちゃんの暴走を招きそうだなぁ…気をつけなくちゃ

 

早瀬は控え室から出て、どこかへ走り去って行く。

 

———————————————————————————————

 

「それじゃ、私は雷を呼んでくるわ」

「正常に戻るの早いですね〜陸奥さん」

「切り替えを速くしないと早瀬とは付き合ってられないわ」

「確かにそうですね…あと、護衛とか良いんですか?」

「良いのよ…早瀬は艤装込みでも私達よりも強いわよ」

「え!?」

 

早瀬さんって人間だよね!?

さっきは冗談で海防艦って言ってたけど、あくまで冗談だし、海防艦が戦艦よりも力が強い事なんか…

 

陸奥の一言で、鈴谷は頭をフル回転させ、どうして艤装込みの艦娘よりも強いと陸奥が言ったのか考える。

 

「単純な事だけど、早瀬は私達の戦闘の師匠だよ?鈴谷さんも射撃やら片手で出来る護身術とか習ったでしょ?」

「習ったけど…あの時は艤装無しだったし…」

「自惚れだね。早瀬相手に艤装込みにしても勝てるはずないでしょ、早瀬はあの格好で身体中に武器を隠し持ってるし、意外と力強いし、こっちが戦闘態勢に入る前に関節を複数外されるよ」

「やけに詳しいね、白露ちゃん」

「はは…は…前に早瀬のおやつ盗み食いしようとしたら、あっという間に…その…気が付いたら床に倒れてて立てなくなっててさ…」

 

時雨ちゃんの事を聞いてるから知ってるけど、自分の持ち物に対しての執着…

過激だなぁ…時雨ちゃんのやつはまあ仕方ないとは思うけどね

普通に泥棒だし、千夏ちゃんへのプレゼントだったんでしょ?

まぁ、時雨ちゃんには同情するけどね

 

「鈴谷さんも気をつけてなよ…早瀬はちょっと怒らせるだけでも怖いよ…」

「知ってる」

 

前の会議の時の激おこモードを見てるからね…

あれは怖かったなぁ…殺気だけで殺されるかと思ったし、体感だけど周りの温度すら変わったような感じすらしたし…

 

「あと、姉妹と喧嘩もあんまりしない方がいいよ?早瀬はどんな理由でも大抵両成敗だから」

「えっ…喧嘩するだけでそんな事…」

「流石に関節外されたりはしないけど……あえて言うなら萌え殺されるかな…うん」

「は?」

「本気で怒ってはいないからか、小さい子がプンスコしてるようにしか見えないんだよ……あれは人が死ぬね」

 

そう言えば白露ちゃんもそっち側だったね…

て言うか、初期ケッコン組って全員こんな感じだよね…それと同時にめちゃくちゃ強い

陸奥さんと雷ちゃんは戦闘面で、白露ちゃんは…耐久とか

戦闘面では弱いはずなのに、たま〜に戦闘でめちゃくちゃな性能になってる時があるけど、アレは何だったんだろ?

リミッターでもあるのかな?

 



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46話 艤装不良の再確認

…演習開始1時間前だけど…早瀬が帰って来ない!

寝坊だとしても遅過ぎるから、遊びに行ってる事になるけど、演習を忘れるとも思えない

どこ言ったぁ…早瀬ぇ…

 

「何で私が来るといつもいないのかしら?」

「嫌われてるんじゃない…雷と早瀬は似てるからね…同族嫌悪だよきっと」

「そんなわけ無いでしょ?早瀬はみんな平等に接してくれる神様よ?」

「今の早瀬は神は神でも死神だよ…動き1つ1つが私と陸奥さんの心臓を締め付ける…」

「ただの萌え死でしょ?」

「可愛いは正義…故に大量虐殺すらその可愛さでやってのける…」

「そんな馬鹿な…」

 

それにしてもどこ言ったんだろ…

 

白露や雷、演習メンバーは一応指揮官室に集まっていた。

そして、各自が自由にその場で過ごす。

白露と雷がおしゃべりをし、陸奥は金剛に栄養サプリを渡して健康維持の手伝いをし、鈴谷は呂500を観察し、呂500が何を伝えたいのかを考えると言う遊びをしている。

当然ながら、全く分からなかったようだ。

 

「そう言えば、私と早瀬って似てるのかしら?」

「本質的なところがね…尽くすタイプ、目的の為なら過程をすっ飛ばす事、合法ロリ」

「美魔女もビックリの見た目と実年齢の差よね」

「見た目が良くて12、最低6…実年齢は20…最大でマイナス14歳とか対象が40代とかならわかるけど、20で見た目マイナス14歳は意味が分からないよ」

 

私もいつかそうなるのかな…

見た目16のまま、20歳超えるんだろうか…あと4年…戦争が続くのかな…

早瀬ならすぐ終わらせそう…と言うか、よく考えたら早瀬って深海側の指揮官としての側面もあるから、戦争の長さって早瀬のさじ加減なんじゃ…

 

「…白露は早瀬が何か隠してるって感じした事ある?」

「なくも無いけど…それがどうかしたの?」

「いえ、何か白露や私、他にも鈴谷さん…後は分からないけど、少なくとも私を含めた3人には何か隠してるわ」

「え?私達に関する隠し事?いつも何かしら隠し事してるからそれかと思った」

「気付いてなかったの?」

 

全く気が付かなかった…

やっぱり雷は早瀬の行動に敏感だなぁ

それにしても隠し事かぁ〜…私達艦娘に隠し事ってなると、艤装関係かな?

私、雷、鈴谷さんの艤装についての隠し事…よくわからないなぁ

私の艤装は回復力に全振りされてる代わりにほぼ全てのステータスが下がってる

雷は主砲火力が高い代わりに魚雷発射管が使えない

鈴谷さんは……艤装不良…片腕欠損だけじゃないの?艤装不良なんてあったかな?

ますます分からなくなって来た…

鈴谷さんのは聞けばいいかな?艤装不良の有無なら知ってるだろうし

 

「鈴谷さん」

「ん?なに?」

「鈴谷さんの艤装不良ってなに?」

「鈴谷の艤装不良はね〜…ズバリ!左目と左耳だよ♪」

「楽しそうに言う事じゃないような…」

「いやぁ〜それがさ〜私にとって結構得な事があるんだよ♪」

「得?悪い事しか無いような気がするけど?」

「いやいや、まぁ…まずさ、目が艤装不良で見えなくなったらどうなる?」

「目が見えなくなったら耳が良くなる」

「そう、じゃあ耳が聞こえなくなったら?」

「それは目が良くなる」

「そうそう、じゃあ両方悪くなったら?」

「え?」

 

両方?……両方だと…

残った片目と片方の耳が良くなる?

 

「片目と残った耳が良くなる?」

「残念ハズレ〜♪正解は嗅覚と味覚が強化されるでした♪」

 

鼻と口?

あっ確かにその2つはどちらが低下しても強化されない

でも、それが強化されて何があるんだろ?

 

「分かんないって顔だね?」

「そりゃまあね、戦場は火薬の匂いが濃すぎて鼻は使えないし、味覚も戦場じゃ使えないから」

「確かに戦場じゃ使えた試しが無いけどさ〜、私生活の方で役立ってるんだよ♪ほら、鈴谷はどこ担当になってる?」

「調理場…あっ、そうか」

「そうそう、早瀬さんに美味しいご飯を作ってあげられるのさ!」

「…そう言う…」

 

早瀬は知ってて調理場担当に…流石…

全員の艤装不良を正確に把握してるだけあるよね…

て言うか、左目と左耳が使えないのに良くあんなに戦えてたね!

私も片目が見えないから分かるけど、これって結構不安になるし、怖い

見えない方から何が飛んで来るのか分かったもんじゃないからね

しかも鈴谷さんは左耳もだから左側が完全に死角になる

私が気が付かなかったって事は、相手として戦ってた提督達も気が付かなかったんだろうなぁ…

早瀬は隠すのが上手い…

金剛さんの弱点も、鈴谷さんの弱点も、ろーちゃんの弱点も…全部相手に執拗に攻められた事がない

誰も気が付かなかった証拠…如何に強い所だけを見せていたのか分かるなぁ…私には無理だ…そんな芸当

 

「それはそうと、白露ちゃんが知らないのは驚いたよ。早瀬さんと一緒にいる事が多いのに」

「早瀬は艤装不良に関しては、何の情報も持ってない子には話さないんだよ…自分から話して周りに知れ渡った子や、誰かが気付いて聞いてみたら当たってたとか、既に知られてる子は普通に話すけどね」

「へぇ〜確かに私も全員の艤装不良は知らないわ〜」

「実は妹の中にも艤装不良が分からない子がいたり…」

「え?それホント?」

「うん…実は春雨の艤装不良を知らないんだよね…」

「意外!」

「よく考えたら、春雨の艤装不良知らなかったんだよね…」

 

あの射撃は才能であって艤装不良じゃないからなぁ…

艤装性能も並程度だから、ステータス系の艤装不良じゃないのは確かだし、あの眠気も単純に元々寝る子だったからだし…

じゃあ視覚や聴覚なのかな?

でも、視覚なら片目だけ視線が合わなかったりするけど、そんな感じも無いし、遠くから話しかけても普通に反応したから、片耳って言うのも…う〜ん?

艤装不良が見当たらないんだけど?

 

「艤装不良が見当たらない…」

「鈴谷も考えてみたけど、春雨ちゃんって普通だよね…」

「うん…」

 

早瀬が上手く隠してるなら、早瀬が凄過ぎる事を再確認するけど…

本当に艤装不良あるの?

電話して聞いてみるか?そもそも起きてるのか?

良いや、一応かけてみよう

 

白露は春雨のスマホに電話をかける。

そして、白露の予想とは裏腹にたったの2コールで春雨は電話に出る。

 

『もしもし…』

「白露だよ〜って元気無いね?どうしたの?」

『司令官さんがいない…』

 

一緒にいすぎたからか…早瀬がいないと寝れ無いのかな?

不安になると寝れ無いらしいし、前に夜に私が遠征に出てる時に早瀬の部屋まで行って一緒に寝たらしいし……一緒に…今はいいや

 

「それで聞きたいんだけど、春雨の艤装不良って何?」

『え?』

「よく考えたら知らなくてさ」

『私の艤装不良は臓器不全だよ』

「臓器不全!?」

『うん、片肺の機能停止、肝臓の機能停止、胃の機能低下…最後にたまにだけど心臓が一瞬止まっちゃうの』

「重過ぎる!」

 

え?常に酸素不足、アルコール分解不可、消化不全…

それにたまに心臓が止まる!?

 

『艤装を出してる間は治るんだけど、常に艤装を出しておくわけにはいかないから…』

「早瀬はどうして戦場に…いや、逆か…」

『うん、司令官さんは明らかに私が何も出来ない局面じゃない限り、戦場に出してくれてたんだよ。戦場だと艤装を出してられるから』

「普段大丈夫なの…」

『うん大丈夫』

 

まさか臓器不全なんて…

他にもいるのかな…そんな重い艤装不全を抱えた子…

最近じゃ、艦娘手術の技術力が向上して艤装不全すらほとんど見なくなったけど、たまたま艦娘になってたまたま臓器不全になんてなったら…生きてるのが辛くなりそう…

 

「ん?臓器不全だと何が強化されるの?」

『艤装を出してる間だけ、心臓の鼓動を速くして、全身をフル稼働させたり、集中力がすごく上がったりするのを切り替えられる能力が身につく』

「何それ…強そう」

『実際強いと思うよ?砲弾もゆっくりに見えるし』

 

妹が…妹が私よりも遥かに強いよ…

時雨や夕立も私よりも強いし…長女とは…

 

白露が長女について考え始めると、指揮官室の扉が開き早瀬が入ってくる。

 

———————————————————————————————

 

「海防艦早瀬!帰投しました!」

「早瀬、遅いわよ」

「いやぁ〜めちゃくちゃ備えて来たからね〜」

 

ん?白露が珍しく元気なさげ?

 

「どした白露」

「私って長女なのに姉妹の中で最弱だなぁ…ってね」

 

白露が最弱ねぇ…

教えてないからだけど、単騎になった瞬間駆逐艦の中で1番強くなるんだけどなぁ

まあ、白露の姉妹はみんな強いからそう思うのも仕方ないかな

時雨は高い頭脳に高い運があるってだけで強いし、夕立も火力が馬鹿げてるし、春雨も戦場では本人性能が爆上がりするし

改白露型の子達も何だかんだで強いし

 

「白露は弱く無いよ」

「でも…」

「全く、らしく無いね〜その足りない頭で何考えたって答えが出るわけないじゃん?」

「んだとこら!」

「ほら、元気でた」

「ぐぬぬ…」

 

白露はテンション高い方が良い

 

「それじゃあ、白露が強いという事を証明しようか」

「どうやって…」

「この後の演習さ!元帥の艦隊を白露が壊滅させる!」

「いやいやいや!無理でしょ!」

「ほう、私には不可能だって?…言ってくれるじゃないか」

「そうじゃないけど!」

「まあすぐに分かるさ。それじゃあ!演習を開始するよ!」

 

演習メンバーは出撃ドッグに向かい、艤装を出していつでも出撃出来るようにする。

 

今の白露なら…知っても大丈夫でしょ

白露は何だかんだで強い子だし

て言うかホントに強い子だし

 

そうして、元帥との演習…。

決勝戦が始まる。

 

「さあ、蹂躙だ!海軍最高と名高い元帥の艦隊を完膚無きまでに破壊する!」

『前の逃亡の時といい…相手が元帥のなると狂気じみてくるよね…早瀬』

「これが落ち着いていられるかよ!私怨だが、アレは私の身体で人体実験してたクソ女だ!今更だが、この機にブチ殺す!」

『口も悪くなる…』

「アハハ、アハハハハハ♪」

『ダメだこりゃ…いつもの遊びが無さそう…向こうには同情しないといけ無さそう…てか、ホントに二重人格なんじゃないの…』

 

…早瀬が、昨日から今日に至るまでの長い間、何をしていたかと言うと…。

元帥の艦娘全員のあらゆるデータを集めに集め、癖や装備経歴は勿論、これまでの経歴、艦娘になる前、交友関係、本当に全てのデータを全員分集めていたのだ…。

 

個人情報?知るかボケ!

悪用しなければ良いのさ、そう悪用しなければね〜

め大丈夫大丈夫♪私は悪用しないからさぁ〜

ちょっと、ホントにちょっと艤装をバラバラにするのに使うだけだからさぁ〜♪

 

早瀬と共に指揮官室にいる村雨、終始悪寒が止まらなかったと言う…。

早瀬はいつぞやの様に、口角を吊り上げ狂気じみた笑みを浮かべていた。

その瞳は右目だけが、エメラルド色に光っていた。



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47話 飴とビームサーベル

最近…と言うよりも、この小さい身体になってから、妖精さんの力を使い過ぎる…いや、同調率を上げ過ぎると見た目に変化が出る事に気が付いた

その変化と言うのが、目の色だ

本来私は黒色、今はカラコンで青白っぽい色を入れている

それが、妖精さんとの同調率を上げ過ぎると、カラコン貫通して目の色がエメラルドグリーン…綺麗な緑色になる

そして、妖精さんに近付いたからエメラルドグリーンになってるとは思えない

なぜなら、妖精さんの目の色がエメラルドグリーンではないからだ

そこで、何故色が変わるのかを私なりに考え、結論を出すと…元帥の実験

それしか思い当たるものが無かった

結局、あの実験が何の実験だったのかは分からない

ただの妖精化の実験ならこんな事にはならないはず、しかし現実に目の色は変化している

つまり、あの実験は妖精化では無かった事になる

ではどんな実験だったのか…無理矢理結論を出すとすれば、アレは妖精さんの力を使い、妖精の上位種、精霊…まあ仮称なんだが、それを作ろうとした可能性がある

人工精霊を作る実験、理由は不明だし結果も不明

そのうち、何か起こるのだろうか…

いや、もうデメリットは起こってるか……解除した時に気が付いたけど、視力と聴力にかなり片寄りが出てたんだよね…

ずっと妖精さんと共有してた方や目や耳が、途端に悪くなってた

まあ、妖精さんと共有してる間は見えるから良いんだけどね

 

「し、司令官さん?」

「何かな♪村雨ちゃん♪」

「その目…」

「あぁ〜♪気にしない気にしない♪」

 

私もよく分かってないし

まあ、効果があるとすれば、いつもよりも圧倒的に性能が良い

具体的には1度に繋げられる妖精さんの視界が多い

まるで大量のモニターを見ているかのように、あらゆる場所にいる妖精や艤装妖精の視界が映し出されている

それに加えて、耳も共有して同調率も高いから、大量のモニターに音が付いているような状況

聞き分けるのが大変だけど、もはや慣れたもんだよ

色々な音の中で、必要な音だけを聞き分ける

かなり難しいけど、完璧な勝ち筋さ

 

「それじゃ、本格的に始めよう。むっちゃん、上方向に80度で砲撃してから、45度に修正してもう一度砲撃」

『分かったわ』

 

今回は2発目を牽制の攻撃にして、最初に撃った砲撃が本命になる攻撃を放つ

向こうは砲撃音が時間差で二回聞こえるから、その場にいれば間違いなく着弾、かと言って横移動するのはリスクが高い

この最序盤で1隻以上失うのは痛すぎる為に、横移動と言う艦隊戦においてセオリーと言っても良い行動は取れない

まあ50%と言う高確率に賭けるのはリスキーだから、正面直進する

ここまでは向こうも可能性として入れている

だから、元帥は少し直進してから艦隊を3人3人に分けて両サイドに旋回させて、一点にまた集める

ここで分ける理由は、それまで読まれると一気にほとんど落とされるから、出来るだけ被害を最小限にする為に分ける

だけど、私は横方向には動かしてない

かつ、撃ったのはむっちゃんだから高く上がり過ぎて落ちてくるのも遅い

つまり、最集結したタイミングで砲撃が降ってくる

 

早瀬の目論見通り、元帥は少し直進してから艦隊を分けて両サイドに旋回して最集結の動きをする。

 

それで、私が80度と指示した理由…それは、艦隊の後方

空母組を空母の射程に入れる前に撃墜する

 

そして、着弾と同時に元帥の空母が大破判定を受ける。

 

「読み過ぎたね♪旋回しないでまっすぐ直進すれば当たらなかったのに♪」

『次はどうするの?』

「向こうは空母を失って、焦るほど軟弱な精神してないからね…」

 

さて…次はどんな行動に出るのかな

選択肢が多過ぎて絞り切れないなぁ…

 

「残りは4隻、戦艦と駆逐艦…ここは全員を上手く使っていこうか♪」

『陸奥さんが3分の1を倒しちゃったけどね…』

『私は悪くないわよ』

「まあまあ。それじゃ白露は魚雷を投げて、雷がそれを撃ち抜いて」

『?なんで?』

「良いから良いから」

 

白露が単騎になったら性能が上がるのと同じように、雷にも特殊な能力がある

それは、味方を攻撃することで、その高い火力と同じ数値の雷装が発生すると言うもの…

味方を攻撃するなんて方法が必要になる性質上、使えたもんじゃないけど、この条件には1つだけ抜け穴がある

それは、発射前の魚雷が味方判定のままだと言うこと、だから白露の魚雷を撃ち抜いて雷を強化

ただし、制限時間が3秒

 

『撃ち抜いたよ』

「そしたら、真正面に魚雷を全弾発射」

『でも、私は魚雷発射管が…』

「大丈夫、今なら撃てる」

『…うん』

 

雷は半信半疑のまま、真正面に魚雷を全弾発射の行動をする。

すると、雷の予想に反して魚雷は発射される。

 

『あ、あれ?』

 

当然雷装が発生するなら、夜戦の時に使った方が利益が出る

だけど、この魚雷を撃つ事で、爆発音が発生して砲撃と錯覚させる事が出来る

だから、戦艦からの砲撃…上方向を警戒する

だけど、実際は駆逐艦からの下方向からの魚雷

魚雷が接近すれば、普通に気がつくだろうけど、反応が遅れるから問題無し

撃破とは行かなくても、通常のハイパー北上様レベルの雷装から放たれる魚雷だから、中破にはしてくれるはず

 

『暁型の艤装不良は雷装0だったんじゃ…』

「勝ったら教えてあげるよ」

『それ、普通は敵キャラが言うセリフだよね…』

 

仕方ないよね…

ここから先は、時間がないんだから

 

「気にしない気にしない。それより次だよ」

『どうするのかしら?』

「せっかく6隻編成なんだから、しっかり使おうと思ってね」

『具体的には?』

「そうだねぇ〜…漫画の合体技みたいな事をしようか」

『え?』

 

艦隊戦と言う名目上、敵と適切な距離をとって撃ち合うのが基本だけど、うちの鎮守府には、ろーちゃんと言う物理で殴る系の潜水艦がいる

だから、基本が適応されない

そんな訳で!うちのウルトラハイパーパワーウーマン2人による瞬殺を見せてあげよう!

元帥や向こうの子達はビックリするんだろうなぁ♪

 

『ろーちゃん、12メートル前方に移動して後ろから大きな波が来たら、突撃して1人を撃破しようか』

『分かりましたって♪』

 

ろーちゃんの速力なら、レーダーの索敵より速く移動出来るから、レーダーの回転方向さえ分かれば、それに合わせてレーダーに映らないように移動出来る

だけど、正面から突っ込めば流石にレーダーに映ってしまう

ならどうすればいいか…それは、速力をブーストすれば良い

そして、その役は金剛

 

「金剛、ろーちゃんがいた場所に砲撃」

『!?』

「大丈夫、既にろーちゃんは移動してある」

『なら大丈夫デスね〜でも、どうしてデス?』

「 合体技さ!」

 

金剛は呂500のいた場所に主砲4つによる最大火力砲撃をする。

呂500はその大きな衝撃で発生した大きな波に乗り、最大船速で敵の艦隊に接近し、元帥側の戦艦を殴り飛ばす。

しかも、海上に出た瞬間に殴り、慣性でそのまま呂500も吹き飛んで行き、その場には戦艦が1人いきなり吹き飛んで撃破された状況になった。

 

ソナーを装備してても探知不可能な速度!

それを可能にするのが、ろーちゃんと金剛なのさ!まあ、距離調整の問題で各自でやられると困るんだけどね…

 

『ひえぇ〜凄い…』

『比叡デス?』

『違います…』

 

さてと…残りは戦艦1人と中破駆逐艦が2隻

どうしたものか

あの、何もしてないのは〜

…白露か

じゃあ、白露にはボッチになってもらいましょうか

 

「白露以外撤退」

『えっ!?』

『分かったわ』

『えっ、ちょっと待って!?』

 

残り3隻とは言え、通常スペックが普通の駆逐艦よりも弱い白露が、単騎でやるのは難しいにも程がある

でも、単騎の白露が通常の駆逐艦よりも弱いとは限らないのさ

 

『ろーちゃんも、戻り次第撤退ね』

『分かりましたって♪』

『最後は白露が全部片付けるから、観戦でもしてなよ』

 

ろーちゃんを使うと、作戦やら戦略なんて力任せに壊せてしまうからね…

指揮官としては、ちょっと抵抗あるんだよね〜強い過ぎる

耳が聞こえないから回避指示を出すくらいしかやる事無いし

 

「それじゃあ白露、頑張ろうか」

『酷いよ早瀬…低スペックなのに私…』

「君は低スペックでは無いよ、私の鎮守府に弱い子は1人としていないんだから」

『そうは言っても…』

 

現に弱点補完さえすれば、みんな性能が尖ってるから1人1人が最強になり得るんだよね…

 

早瀬は手元にある、ステータス画面を見て、白露のステータスが上昇しているのを確認してから、作戦を開始する。

 

「白露、君の自由に戦ってみなよ♪きっと素敵な事が起こるから♪」

『素敵な事…ねぇ…早瀬らしく無い言い回し…』

「そうかな?」

 

何にせよ、白露は知ることになる

自分が鎮守府最弱では無い事を、足手纏いになるような者では無い事を

 

白露は早瀬の言う通りに、自由に敵に接近し戦闘を開始する。

その速力は既に、島風をはるかに凌ぐ速力であった。

 

今の白露は、うちの子達の中でトップクラス…

いや、トップだね

ろーちゃんは接近するしか攻撃手段が無い、金剛は射程と防御が弱い

だけど、白露は射程も重巡レベルにはあるし

耐久性は言うまでも無いよね?ほぼ不死

ただまぁ、ろーちゃんには至近距離では勝てないし、金剛に火力で勝つ事も出来ない

バランスが良いんだよ

単純に強いって感じでうちの鎮守府では完全に珍しいタイプなんだよ

 

「どうかな?」

『なんか不思議な感じがする…』

「だよね、今の君は駆逐艦な軽巡なんかよりも遥かに超える性能だよ」

『今日は何が何だかだよ…帰ったら教えてもらうからね』

「無傷で帰れたらね」

『丸投げしておいて酷いなぁ…』

「だって戦艦1隻と手負いの駆逐艦2隻程度、白露なら余裕でしょ?」

『まあ……そうだけど』

 

実際、艦隊戦の白露でもこの程度の相手なら、苦戦すらしない

何故なら、白露の本来の戦い方が私と同じ手法

摘ませる事

威力が低くても、艤装の駆動部や機関部に命中させれば良いだけ

白露は春雨程じゃないにしても、射撃能力がかなり高い

私が直に教えたのは白露だけだったりするしね〜

ほかの子は白露からね

 

白露はいつも通り、戦艦の背後に回り込み駆動部を撃つ。

すると駆動部はおろか、艤装そのものを破壊し大破させる。

 

『うひぁ…凄い』

「自画自賛とは…」

『いやいや!いつもと比べたらそう思うでしょ!』

「まあね〜存分に楽しみなよ〜相手は元帥の艦隊だし、思う存分にやりなよ♪満足するまで耐えてくれるはずだよ♪」

『はは…じゃあ、心置きなくやらせてもらおうかな』

 

白露は火力が上がったにも関わらず、相手に足や背中の機関部を集中的に狙い、大破ではあるが轟沈判定では無い戦艦と駆逐艦だけが残る。

 

…白露って元々こんな戦法取る子だったかな?

う〜ん…私のせい…かな?

戦法なんて私とほとんど同じだし…

 

「さっさと終わらせてあげなよ〜…流石は白露!ゲスい!」

『いやいやいや!早瀬と同じ戦法だよね!?』

「さぁ?何のことやら」

『もういいよ!さっさと終わらせるからね!』

 

白露は通信を切ってから、速射で残り3人をヘッドショットし、撃破する。

 

私と同じやり方する白露可愛い♪

そこまでして同じが良いのかねぇ〜

4年も一緒に戦ってこれば、私の悪い場所も沢山知ってるはずなんだけどなぁ…

例えば、いざ罰を与える時は手加減なしだとかね

自覚はしてる

まあ、飴とムチって事でね?

ムチと言うよりビームサーベルな気がするけどね〜

 



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48話 概念の司令官

今までそこまで気にしてませんでしたが……評価が欲しい!
流石に低評価ばっかり着くと…あれなんですがね…


完全勝利

お膳立てしたとは言え、白露の性能を存分に発揮しての勝利

兼ねてからやってみたかった合体技も出来たし、雷の艤装もフル活用出来たし、私としては満足

もっとぐちゃぐちゃにしてやりたかったけど、むっちゃんの砲撃が思いの外、火力が出過ぎて…

 

「さて…逃げるか」

 

白露達からの追求とか面倒だしね

 

早瀬が席から立つと、途端に早瀬は拘束される。

 

「ん〜?何のつもりかな〜?村雨ちゃ〜ん?」

「逃がしませんよ?」

「白露自由権を…」

「今回は流石にその提案には乗れません」

「何でさ…」

「またどこかに行ってしまうような気がしたので…」

「そんな重い話じゃないよ!?」

 

早くしないと…

 

早瀬が何とか逃げようとしていると、指揮官室の扉が開く。

 

「早瀬!」

「オワタ…」

「アレはどう言う事なの!雷の雷装!私の艤装性能!」

「知りたい?」

「そりゃそうだよ!」

 

話す必要が無いから話してなかったんだけどなぁ…

白露を単騎にしたくないし、雷の雷装も味方撃ちだし…まあ発射前の魚雷も判定だけど

 

「仕方ない…」

「そうそう、観念して話して…」

「逃げるか」

「えっ!?」

 

早瀬は縛られた状態で、ポケットから閃光手榴弾を出して足元に転がす。

 

「またデス!?」

 

大きな音と光で全員が怯んでいる間に、関節を外し、縄に隙間を作り脱出してから肩をはめる。

 

いってぇ…

やっぱりいてぇ…

 

早瀬が指揮官室から脱出し、別の指揮官室…。

元帥の部屋に向かう。

 

「おい!元帥!」

「なんだい?」

「なんだい?じゃねぇぇんだよぉぉ!!」

「お、おお?なんでそんなに怒ってるのかな…訳が分からないんだが…あと、元帥は君だよ」

「うっせぇんだよ!ボケナスが!」

「この子どんどん口が悪くなる…」

 

結局いろんな予想を立てたけど、あの人体実験に関しても答えは出てないし、なぜ私の鎮守府にウザいくらい顔出してたのかも分からない

それに、自分を引きずり落とそうとした奴らを全員殺した後に私を切り捨てなかったのかも分からないし、私の家の門前で射殺しなかった理由も分からない!

自分の闇の部分を知る者は消しておいた方が良いはずなのに…

 

「さあ!話せ!」

「何を!?」

「私にした実験!鎮守府に顔を出していた理由!私を切り捨てなかった理由!私を殺さなかった理由!」

「多いね!?」

「話せ!」

「いやぁ…その…」

 

早瀬は無言で背負っていた軍服に付いていた軍刀を抜く…。

 

「ちょっ!?もう私一般人!軍人が一般人を斬り殺すのは問題があると思うよ!?」

「問題は問題にしない限り、問題にはならない」

「話す!話すから軍刀をしまえ!」

「チッ!さっさと話せよグズが!」

「口悪過ぎるでしょ!?…はぁ…君にしていた実験は…」

 

あの人体実験は、精霊化(仮)の実験だと予想を立てたけど…

実際はどうなのかな…

 

「君が私に甘えるように、思考の改竄をしようとして失敗したんだよ…」

「は?え、え?は?」

「君の鎮守府に頻繁に顔を出してた理由は、君に会いに行っていただけ。君を仕事を終わった後も切り捨てなかったのは、最初の実験で甘えてくれるようにならないかな?って思ってたから。君を殺さなかった理由は、殺せなかったから…」

「は?」

「まあ、要するにだ…君が欲しかったのさ」

「…」

 

早瀬は元帥の秘書艦である大淀の方を向く。

 

「もうコイツ殺そうぜ」

「私もそう思っていたところです」

「いや酷くないかい?」

「酷かねぇよ」

「友達すらいないから司令長官様のところに行っていたのかと思えば、とんでなくしょうもない理由でしたね」

「大淀くんの言葉の端々に悪意を感じる…」

 

私が欲しかった?洗脳しようとして失敗した?

じゃあこの妖精化の異常強化は何なんだよ

それに、私の周りにはロリコンしかいないのか!

 

「まず、君は自分の容姿がとても愛らしい事を自覚した方が良い」

「意味がわかんないよ」

「司令長官様が愛らしいのは同意しますが、洗脳しようとするのは同意しかねます」

「どうしてだろうね…元帥が言うと変態チックに聞こえるよに、大淀が言うと褒め言葉に聞こえるよ…」

「今からでも私の子供にならないか!」

「その頭カチ割って脳味噌を掃除機で吸い出してやろうか」

「恐ろしい事言うね…」

 

謎は全て解けたけど…

残ったのはこの妖精化の謎…

この異常強化は一体なんなんだ…

 

早瀬は無言で振り返り、その部屋から出る。

 

私の容姿…か…

こんなバケモノのどこが良いんだろうね…

目の色が変わる、見た目が変わる、思考が幼児化する…

それに、もう人間とも妖精とも言えない、ただのバケモノだし

 

早瀬が廊下を浮かない顔で歩いていると、肩を掴まれる。

 

「よう、嬢ちゃん」

「ああ、ロリコンのおじさん」

「酷!?ってどうした?浮かない顔して」

「私にも色々あるんだよ」

「そうか?それで、どこ行こうとしてたんだ?」

「屋上」

「好きだねぇ屋上」

 

まあ、あそこは晴れていれば居心地が良いし、演習場が見えるし

就任式までの時間も暇を潰せるしね

それに、私が何者なのかを考えるのにもうってつけだし

 

「おじさんはどうしたの?」

「俺か?俺は新しく元帥になる人みたいに強くなる為に、色々と勉強をな…不甲斐ない話、顔も知らないしどんな人なのかも分からないが、あの強さは俺にとって圧倒的だったんだ」

「ふ〜ん…やめたほうが良いよ…おじさんには向いてない」

「やってみなきゃ分からないだろ?」

「じゃあ聞くけど、艦娘を兵器扱い出来る?」

「彼女達は人間だ。だから、俺は…」

「そう言うところだよ…おじさんは優しすぎる」

「おい!それはどう言う…」

 

早瀬はその提督の事を無視して屋上に向かう。

 

あの提督には私のような強さは無理だ…

私生活なら人間扱いは当然だけど、戦場にまでそれを持ち込む様じゃ、いざという時に判断が遅れる、最善の手を打つ事が出来なくなる

だから、あの優しさは提督には向いていない

大破進軍を優先するよりはマシだけど

それでも、あの優しさは戦場では彼女達の為にはならない

彼女達を全員生還させるには、時には非道さも必要なんだよ

……私のこんな所を知ってか知らずか、電が敵も救いたいとか言わないんだよね…ウチの鎮守府はイッチバーンを失った白露や、速さとかどうでもいい島風、敵を容赦無く滅殺する電とかなんか違う子達ばっかりだなぁ…

全部私のせいかな?

 

「はぁ…もういっそ死んでやろうか…」

「死なせないよ!」

「よく場所が分かったね鈴谷…」

 

早瀬が振り返らずに、ベンチに座ったまま言う。

 

「早瀬さんは死なせないよ」

「大丈夫、冗談だよ」

 

鈴谷は早瀬の正面まで歩いて来る。

そして、仁王立ちをする。

 

「どうしたのさ…早瀬さん」

「いや、私のせいで人生を狂わされた人間や終わらせられた人間、気を使わせてしまった艦娘や本来の形から変えられてしまった艦娘はどのくらいいるのか…なんて考えてただけで、別に死のうとは思ってないよ」

「それなら良いけど……ん?早瀬さん」

「ん?どした」

 

鈴谷は早瀬に顔を近づけて、早瀬の顔を凝視する。

 

「早瀬さん…その目見えてる?」

「見えてるよ〜」

「…見えてないでしょ」

 

…なんで分かったんだろ

元帥戦が終わった後で、妖精さんとの共有を解除したらいきなり左目が真っ暗になったからビックリしたけど、能力を使い過ぎたんだろうね

加えて言うなら左耳も聞こえてない

これも、妖精さんとの同調率が高過ぎる状態で使ってたせいだね

 

「鈴谷は分かるんだよ?その目は私もよく知っている目だよ」

「…なるほど、自分と同じ目だから気が付いたって事か」

「鈴谷も左目が見えないからね」

 

ふむ…これからはバレない様にしないと…

また余計な心配させるのも忍びないし

 

「あと、耳も聞こえてないよね?片方…どっちかは流石に分かんないけど」

「そんな事まで分かるのか〜…」

「会話に一瞬だけどラグがあるからね」

 

片耳で聞くと聞き取りづらい、だから一瞬頭の中で何を言ったのか考える時間が発生してから話し始めるから、その一瞬のラグでバレたか…

流石に鋭いね

 

「まあ鈴谷とお揃いって事でさ?聞こえないのも左耳だし」

「全然嬉しくない…」

「まあそう言わないでさ、完全に見えない訳じゃないんだ。こうすれば見えるからさ」

 

早瀬は妖精さんと左目を共有する。

その際、やはり目の色はエメラルドグリーンに変わる。

 

同調率が全く調整出来ないから、確実に色が変わっちゃうけど…

まあ、いいかな…

これと言って、色が変わったからって不便は無いし

 

「なんで色が変わるの?」

「さあ?」

「…なんか危ないんじゃ」

「まあ、失明したし聞こえなくなったけど、右目と右耳が残ってるし」

「結構危ないじゃん!」

「今までも使ってたのに、なんでかね〜?」

 

十中八九、妖精化の影響だろうけどね〜

もしかして熟練度的な感じで使えば使うほど性能が向上して、人間から離れていくのかな?

その結果、人間の部分である視力や聴力が消えて行き、逆に妖精の目に変わった…

妖精さんの視点なんだろうか?あれは

 

「あまり危ない事はしないでほしいな…」

「大丈夫、私は死なないから」

「そうじゃないんだけどなぁ…」

 

生きてさえいれば良いと思うんだけどね?

あと、このまま妖精化が進むと、私を殺せるのが本当にみんなになるんだよね…

妖精さんは、あくまで概念的な存在

そして、妖精さんが生命活動に必要なのは心…その鎮守府の楽しい、嬉しいなどの正の感情

だから、そのうち私が完全に妖精さんの性質を受け継いだ時、私は自ら死ぬ事が出来なくなる

その代わりに、あの鎮守府に誰もいなくなれば死ぬ…

正確にはみんなが私の存在を放棄するだけで消える存在になる

その事に気が付ける子は果たしているのだろうか…

まあ、みんなが寿命で死んだ時、私も消えるんだろうね

それまでに、私を必要とする存在が現れなければ…

 

「早瀬さんが鈴谷達の為にやってくれている行動でも、早瀬さんが危なくなる様なら、鈴谷達は望まない。鈴谷達は早瀬さんの為にある、あの鎮守府の子達のほとんどが、もう帰る場所が無い子達なんだよ…だから早瀬さんの所が鈴谷達の帰る場所…だから傷付いて欲しく無いんだよ…」

「そうは言ってもね…もう、止められないんだよね…」

「え?」

「あぁ、勘違いしないで欲しいんだけど私はもうどこにも行かないし、死なない」

 

正確には死ねない

 

「ただ…そうだね…鈴谷にだけ教えてあげようか。私の変化に最初に気が付いた訳だしね」

「な、なに…」

「私のこの身体…小さくなった原因は妖精化した事にあるんだ」

「え?」

「そして、人間の部分か消え始めてる。その最初の変化が身体で、次が感情、そして機能だよ」

「早瀬さんは妖精さんになるの!?」

「正確には、妖精さんの力を使える幼女になる…と言うべきかな。身体がこの状態から変化しないという事はね」

 

鈴谷がみんなに話すかも知れないけど、私がいちいち説明する手間が省けるからいっか…

自分でもよく分かって無い事が多過ぎて、正確な説明が出来ないけど、今分かる確かな事だけでも私がそのうち、人間では無くなる

そして……海上に出られるかも知れない♪

応急女神の妖精さんが海上に立っているのを見た事があるから、妖精さんは海上に立つ事が出来るという事!

そのうちみんなと一緒に海に出られるかも知れないね〜♪

 

「ん?妖精さんって…死ぬっけ?」

「死なないよ?」

「だよね…じゃあ早瀬さんは…死ぬ事が出来なくなるっていう事?」

「いや、死ぬ事は出来る。ただ、私がそれをする事は無い」

 

それは、全員を解体してあの鎮守府からみんなを消す事…

でもそれは私には出来ない

艤装不良というのは、艦娘手術の失敗から成る症状の様なもの

だから、解体した後も残る

そうなると、鈴谷や朝潮みたいに部位欠損してる子達もそうだけど、1番は春雨ちゃん…

臓器不全が残ったまま、艤装がなくなると、あの症状を緩和する方法を一生失ってしまう

それに、一瞬とは言え、心臓が止まるのは苦しいはずだ…

そんな子達を無責任に解体する事は出来ない…

…と言うのも、過去に艤装不良の子が解体された事案があるんだ

その子の艤装不良は、春雨と同じ臓器不全

ただし、心臓はなんとも無いけど、代わりに胃や腸の機能が停止していた

艦娘であった時は、艤装の補給さえすれば、食事すら必要が無かった

でも、解体された後、艤装不良だけが残り……あとは、言わなくても分かるよね

 

「みんなに話しても良いけど、私として出来るだけ話さないで欲しいかな」

「うん…秘密にするよ…」

「ふふ…良い子だね」

 

 




あ・と・が・き
鈴谷「早瀬さんが妖精さんか〜…」
早瀬「どうかした?」
鈴谷「いやぁ〜なんの妖精さんになるのかな〜ってね?妖精さんって種類があるじゃん?」
早瀬「多分、工廠妖精かな」
鈴谷「なんで?」
早瀬「実は工作艦早瀬って言う軍艦が存在したから」
鈴谷「そうなの!?」


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49話 私の可能性

早瀬は、就任式まで屋上で鈴谷と話した。

早瀬に関する事、お菓子の事、艤装不良の事。

色々な事を話してから、就任式の準備が終わり、早瀬は呼び出される。

 

「さてと…有象無象の反応でも見に行きましょうかね〜」

「有象無象って…」

「それじゃ、またね」

「頑張ってね!」

「なにを…」

 

早瀬は屋上を後にし、就任式の会場に向かう。

そこには、既に設営が完成され、人が集まっていた。

 

早すぎるだろ

就任式はあと1時間後だぞ…

元帥就任がそんなに見たいか…そう言えば、演説を用意しておけとか言ってたな…

演説なんて、大それた事じゃないけど、もう考えてあるんだよね〜

今の態勢をガラリと変える

 

早瀬は舞台脇にある椅子に座って、仮眠を取る事にした。

 

そう言えば、妖精さんも寝るんだね

妖精さんの視界が真っ暗な所があるし、そこからは寝息が聞こえるし

妖精さんって不思議…

 

結局、妖精さんの視覚と聴覚で大本営中を見て、暇をつぶす事になってしまう。

そんな事を1時間続けて、就任式が開始される。

 

始まったか…

 

「今回、私が辞任するにあたって、次の元帥を選定する演習を行った。その優勝者、次の元帥になる、斎川早瀬。壇上に上がりたまえ」

 

うっせぇんだよ変態が

 

「はい」

 

早瀬が壇上に上がると、会場にざわめきが広がる。

 

だろうな

こんな幼女にしか見えない謎生物が壇上に上がってこればね

 

「演説を…」

「はい…新しく元帥に就任した早瀬です…」

 

改まるのも面倒になって来たな…

もう良いや…

 

「…私は、今の海軍の態勢を変える。親の七光りってだけで地位に就いている無能は私の海軍には必要無い、己の地位は己の手で掴み取れ!昇進したくば上の階級の者を打ち倒し、その地位を奪って見せよ!…その中には、当然元帥の座も含められる。頑張りたまえよ、元帥の座が欲しければ私を倒す事だ」

 

早瀬はそれだけ言い、演説を終了させる。

そして、就任式が終わる。

 

「…君はやはり破天荒な事をするね…」

「どうせ誰も私を倒せないからね」

「そうだろうね…君が戦いにかけてるモノが、他の者とは次元が違うからね…地位と命じゃ、重さが違い過ぎる」

「自分の艦隊の敗北=死なんて、昔から決まってる事だからね…いつの時代も、自分の戦力が負ければ自分も死ぬしかない…戦国時代が顕著かな?」

「はは…」

 

さてと…終戦に向けて準備を進めようか

私は両方の司令官

人類側、深海側、両方の司令官である私なら終戦させる事を最も簡単にさせる事が出来る立場にある

まあ、色々と忙しくなるだろうが、その合間を縫ってやろうか

 

早瀬は自分の鎮守府のメンバーの所に戻り、帰る事にする。

 

「さて帰ろうか」

「随分とすごい事したね…」

「みんなの頑張り次第だね〜」

「まあ、早瀬さんがわざわざ負ける采配はしないだろうし、不安は無いよ」

「相変わらず私への信頼が重いぜぇ…」

 

さて…1週間でどのくらい演習するかな〜

全部手加減無しの本気で叩き潰してやろうか?

それとも、遊びで単騎運用にしようか?

はたまた、見るからにふざけてる編成で遊ぼうか?

まあ、何にせよ負ける気はしないけどね〜

 

「そう言えば、春雨が寂しがってたよ?」

「そっか、なら早く帰らないとね」

「やっぱり私とは扱いが違うと思うんだよなぁ…」

「それは、ほら…サンドバッグとトートバッグくらいの差だよ」

「使い方すら違うじゃん!?」

 

実際、扱い違うし

そもそも、春雨ちゃんを大切にするのは当然でしょ?

あの子の身体の事を考えればね

まあ言ってみれば…

我慢しなさい!お姉さんでしょ!ってやつだね

私は別に親じゃ無いけど

 

「それとも、白露は春雨を適当に扱えと言うのかな?あの子の身体についてはもう知ってるんでしょ?」

「うっ…それは…」

「まあ、白露も微量の麻痺やら失明はしてるから、そこまで差別はしないけどね……オモチャにはするけど」

「最後のセリフさえなければ…」

「白露姉さん…それはワガママよ…司令官さんの方から構ってもらえるのは、珍しいのよ?」

 

そんな事…な…くもないね

私は基本的に部屋から出ないからね

それで、その場にいる子で遊ぶ事が多い、それがたまたま白露だったってだけの気もするんだけど…

て言うか、いつも思うんだよ……どうしてウチの子達は、私に好感を持ってはいるのに、部屋に来ないんだろ…

それが不思議で仕方ない

前に、部屋に入って来ないのは入って良いのか分からないとか何とか言ってたような気がするけど、悩む必要無くない?

私は司令官だよ?

神様じゃないんだよ?

もっと遊ぼうよ……ん?…いや…今のはおかしい…

私は子供か…

 

早瀬達は鎮守府に帰る。

 

———————————————————————————————

 

久しぶりの鎮守府だぁ…

そう言えばあの猫元気かな?

 

早瀬が鎮守府に帰り、執務室の扉を開けると、何かが早瀬に飛び込んで来て、早瀬は吹き飛ばされる。

 

グエッ…

 

「一体何が……ピンク…春雨ちゃんか…って寝てる…」

「この1週間くらいそんなに寝れて無いみたいだからね」

「なんでさ…」

「それだけ、春雨には早瀬が必要なんだよ」

 

私1人いないだけで眠れなくなるとか…

春雨ちゃんは今後大丈夫なのかな…

今の私は今後どうなるのか分からないのに

 

「それで、春雨ちゃんどけてくれないかな?体格差で起き上がれないんだけど…」

「そうしたいのは山々なんだけど…春雨が離さないんだよね〜」

「はぁ…むっちゃん…私ごとベッドに運んでくれないかな」

「分かったわ……幼女祭りか…」

 

今、ボソッと変な事言ったな…

まあ、現状むっちゃんしか私ごと春雨ちゃんを運べる人材がいないから仕方ないよね…

白露とむっちゃん以外は、鎮守府に帰って来てから、お休みって事で先に部屋に帰したから、むっちゃんを頼らざるを得ない…

もう少し自重というものを身に付けて欲しいよ

 

「早瀬…軽くなったわね」

「春雨ちゃん込みで何で私の体重が分かるのかな…」

「健康診断の管理を手伝ってたからね、知っていて当然よ」

「いや…そうじゃ無くて…何で持った感覚で分かるんだって話し」

「勘よ?春雨ちゃんの体重と早瀬の前の体重から考えたら、随分と軽くなったなって思っただけよ」

 

軽く…か

そりゃそうか

実際、私の体積が減ってるからね

てか、むっちゃん力強いな…流石は戦艦…

いや、前から力は強かったか…

 

陸奥は早瀬の部屋のベッドに、早瀬と春雨を寝かせて、近くにあった椅子に座る。

 

「そう言えば、聞いたわよ早瀬。貴女妖精化してるんだってね」

「鈴谷…」

「安心しなさい、ケッコン艦だけよ。おいそれと広めて良い事じゃないもの」

「まあ、良いけどさ…」

「ホントに大丈夫なのよね…」

「正直な話、分かんない…」

「…今は祈るしか無さそうね」

 

祈る…か

私はそんな不確定な事に頼る気は無い

さっさと解明して、自己改造してやる

まあ、死にそうならだけどね

 

「それじゃ、明日から忙しくなるかも知れないから、今はゆっくり休みなさい」

「そうせざるを得ないよね…これは」

 

陸奥は部屋から出てどこかに行く。

早瀬は、陸奥が出て行ったのを確認し、左目を妖精と同調させ、鎮守府の様子を観察する。

 

元帥になったからって私が変わるわけじゃない

この鎮守府でやりたい事は全てやらせてもらうよ…

…次は道場でも建ててみようかな?

天龍や木曽みたいに剣を使う子とか、龍田や叢雲みたいに槍を使う子達が、訓練するのにうってつけの場所として良さそう

他には何が良いかな?

娯楽……これは、明日以降に艦娘に対する法制度を改正しないといけないなぁ…

艦娘や海軍関連なら今の時代、元帥の権限1つで変える事が出来てしまうからね

建物を作るよりも、給料制度作って街に遊びに行く理由を作ってあげる方が良さそうだし

…私の仕事が増えまくりそうだなぁ…

こう言う事すると、必ず艦娘への給料を渡さずに横領する輩が出るから、逐一私が監査しないといけないし

何よりも、一般人の艦娘への考え方…意識改革が必要になりそう…

特に、私の鎮守府の子は見た目で差別されてもおかしくは無い子達がそれなりにいる

はぁ…あのクソ元帥…面倒だからやってなかったなぁ…

…そもそも、どこから艦娘達の給料を出すか…とかもあるんだよね

こう見えて、軍だった資金難だし

正確には軍人の人件費やら設備の維持費を差し引いて、予備として使えるお金が少ないだけだけどね

…今はとにかく、艦娘達全員の給料…それだけを頑張ろうか

 

早瀬は元帥としての仕事に関する事、自分の鎮守府で作りたい物などを考え、案を出して行き可能性があるものから、頭の中で形にしていく。

そんな事を4時間程続け、外は暗くなり夜になる。

 

「うぅ…んん…」

「おや?お目覚めかな?もう夜だけど」

「司令官さん…」

「離してくれるかな?」

「ダメです…」

 

こう言う局面になると、何故いつも拒否られるのか…

 

「司令官さんにくっついていると……身体の調子が良いんです…」

「そんな馬鹿…な…」

 

いや、待てよ?

今の私は、多分8分の7くらい妖精さんと同じ組織構造してるから…妖精さんとしての効果も勿論ある

もしかして……

 

早瀬は脳を同調させ、春雨のバイタルデータをチェックする。

すると、驚くことに艤装不良による臓器不全が解消されていた。

 

やっぱりか…

私は言ってみれば万能タイプの妖精さん

今回は艤装としての役割を担う事で、春雨ちゃんの艤装不良である、艤装の装着時以外の臓器不全が、艤装の装着判定になって解消された…

当然、私が接触している間だけだろうけどね

 

「どうやら、本当みたいだね…」

「はい…艤装を付けている時みたいに…少しも苦しく無いです…」

 

まあ、私は艤装では無いからスペックの向上こそ無いけど、デメリットの解消は出来たか…

これは良い発見をした

今は艤装の装着時のみデメリットが解除される子は春雨ちゃんしかいないけど、今後もしかしたらそう言う子が増えるかも知れない

そうなれば……ん?

私がただの生命維持装置にならないか?

あぁ…凄く調べたくなってきた…私本人にその効果があるのか、私の細胞にその効果があるのか…

それとも、私のパーツに既にその効果があるのか…

自分で自分を解剖したくなるのは初めてだなぁ…

しかし…素体が私しかいない以上、失敗が出来ない

どうしたものか…細胞の実験くらいは出来るか?

そもそも、これは艤装の装着判定なのか?

艤装不良のデメリットの解除と言う可能性は無いのか?

あぁ試したい…

……だけど、今は春雨ちゃんを寝かせてあげたほうが良いかな…ほとんど寝れていなかったみたいだし

 

早瀬は、寝ぼけている春雨を再び寝かし付け、自分も眠る。



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50話 熊野さんだー

記念すべき50話目!
またしてもこれと言って何があるわけでも無いんですよね〜


朝を迎え、早瀬が目覚めると春雨は未だに早瀬を掴んだまま、眠っていた。

 

「そろそろ起きて欲しいなぁ〜…」

「スー…スー…」

「ふむ、起きる気配無し」

 

可哀想だけど、無理矢理脱出しようか…

 

早瀬は、春雨の手を外して脱出を図る。

しかし、思いの外、力が強く脱出に時間がかかってしまった。

 

やっぱり非力だな…私

 

「さてと…」

 

何しようか…

何しようかっていうか、何しようとしてたんだっけ…

う〜ん?

何か大切な事だったような…そうでも無かったような…

ダメだ思い出せない

まぁ…そのうち思い出すでしょ

 

早瀬は春雨を自分のベッドに寝かせたまま、自室から出て執務室に行く。

 

「まだ誰も来てないね」

 

じゃあ、仕事を終わらせるか

さっさと仕事を終わらせて、遊ぼ遊ぼ

とは言え…何故に仕事がそんなに無いのか…

元帥になったし、昨日の発言で演習申請がいっぱい来てもおかしくないんだけど…

あれ?

 

早瀬はとりあえず椅子に座る。

 

しかし…そろそろ深海側の指揮も始めないとなぁ〜

そう言えば姫はどこ行った?

いつもこの部屋にいるのに…どこ行ったんだろ?

お出かけ?いや、一応深海棲艦だからお出かけとは考え難い

う〜ん…寝坊かな?

ん?車椅子はあるぞ?何故に?

 

早瀬がその短い足を振りながら椅子に座っていると、不意に何かが足に当たる。

 

ん?

おや?

 

早瀬が机の下に視線を向けると、駆逐棲姫が机の下で眠っていた。

 

自分の部屋…あるはずなんだけどなぁ

ていうか、しっかり部屋あげたよね?

何でここで寝てるの?机の下だよ?床だよ?

不思議な所で寝てるね…春雨ちゃんと言い、姫と言い、寝るの好きだねぇ

私は睡眠の時間が何故か勿体無く感じて長時間寝ないようにしてるのに…

とは言え、姫どうしようか?

このまま床で眠らせておくのはなぁ、かと言って私の腕力じゃ運べないし…

何とか車椅子に乗せて、ソファまで運ぶか

 

早瀬は何とか駆逐棲姫を机の下から引っ張り出して、車椅子に乗せる。

そして、執務室のソファまで運び、ソファに寝かせる。

 

「う〜ん…司令官の仕事じゃないような…まあいっか」

 

さて、少ない仕事を終わらせて、久しぶりに1人で外出でもしようかな〜

元帥になっても何にも変わらないとは…これいかに

いやまぁ…やりたい事はいくらでもあるんだけどね?

でも、そのやりたい事をやり始めると鎮守府に帰れなくなっちゃうし…

大本営で寝泊りする事になる

だから、今日はお休みって事で

 

早瀬は机の上に置いてある、数少ない書類を片付けて、私服を引っ張り出してくるものの…

物の見事にサイズが合わず、しょうがなく持っていた中で1番サイズが小さいパーカーと短パンにキャップと言う、女子力皆無ファッションで自ら外出届を書いて、門の警備員に渡す。

 

「おや?1人とは珍しいですね」

「たまにはね〜…それに、むっちゃんとか連れて行くと服とか買えないし」

「あはは…察してしまいますな」

「でしょ?かと言って、この姿だとお使いに見られるのもまたね…まあ、そこは何とかするさ」

「それでは、いってらっしゃいませ」

 

うちの門の警備員は良い人だなぁ〜

姿とか変わっても、扱いが変わらないし

ただ… 良い人なんだけも、おもんねぇ…

あれだよ、女の人が言う良い人って言うのはどうでも良い人ってやつと似てる感じだよ

良い人だけど面白くない

 

早瀬は車に乗り、速度メーターの上に妖精さんに立っててもらい、視覚を同調させて運転する。

低身長過ぎて、アクセルやブレーキを踏むと顔がハンドルよりも上に出ないのだ。

 

今、この車を側から見たら運転手がいないのに走ってるゴーストカーだよね…

しっかし…これってどうなんだろ?法的に

別に前が見えない訳じゃないし、アクセルとブレーキにもギリギリ足届いてるし

まあ、何はともあれ妖精さん様々だよね

 

早瀬は大きなショッピングモールに車を停める。

そして、それまでの道中での早瀬の車は、ゴーストドライバーとして、呉鎮守府周辺で都市伝説となった…。

 

「さてと、まずは服を買わないと」

 

早瀬はショッピングモールに入り、子供服が売っている店を探す。

 

悲しきかな…大人用の服を着るとブカブカだから、大人から子供になってしまった!みたいになるんだよね…って…あの後ろ姿、骨格に体格、声紋、髪色、髪質、髪型…

 

早瀬はその人物の所に歩いて行き、服を掴む。

 

「おばさん♪斎川早瀬って人知ってる?」

「えっ…」

「ねぇねぇ、どうなの?」

「…」

「だんまりですか…娘の顔忘れちゃうなんて酷い母親だね…ねぇ?バカマミー」

 

その女性は、即座に振り向くや否や、走って逃亡する。

 

へぇ〜…逃げるんだ…

……なんで…なんでなの…

 

『妖精さん、アレを捕まえる…手伝って?』

『うん♪分かった♪』

 

なんで…どうして私から逃げるの…

私は…何もしていないのに…

何がいけなかったんだろう… 物心ついた頃からほとんど顔を合わせる事が無かった…

そんなのどうしようもないじゃん…

私はどうすれば良いのさ…

 

———————————————————————————————

 

早瀬が母親を追いかけている時、鎮守府では…ちょっとしたパニックになっていた。

主に、一緒に寝ていた春雨と、起きたら別の場所に移動されていた駆逐棲姫が春雨とは別の意味で混乱していた。

 

「春雨、落ち着きなよ?早瀬の事だからどっかに隠れてるんでしょ」

「そんなの分からないよ…」

「春雨ちゃん、早瀬の事は心配するだけ無駄になるわよ?ああ見えて、普通に強いのよ?私達が1番良く知ってるはずよ?」

「違うんです…今回は…誰も司令官さんを追ってないんです…だから、どこかに行ってしまったら…」

「あぁ〜…それは…」

 

これで司令官さんがどこかに行ってしまったら…私のせいですよね…

私が帰って来た司令官さんを吹き飛ばしたから…

 

「そう言えば姫はさっきから何で首を傾げてるの?」

「イエ…ナンデ私ヲソファマデ運ンダンデショウ?私ハ深海棲艦デスヨ?忘レテルノデショウカ?」

「違うわよ…早瀬はかなり単純なのよ?その子が好きか嫌いか、それだけなのよ。だから、貴女は早瀬から少なからず好感を持たれてるって事よ」

「…ナルホド…」

 

私はどうすれば…司令官さんを探すなんて事…

 

「あっ、そうそう早瀬を探すのは簡単だよ?」

「えっ?」

「まあ、探すのはと言うよりまたいなくなったのか、出かけてるのかはって話だけどね」

「ど、どうやって!」

「門の警備員さんに外出届を出してると外出で、出してなくて海から出たなら脱走だよ…って春雨?」

 

春雨は鎮守府の門まで既に走り去っていて、白露は置いていかれる形になっていた。

 

「あんまり無理はしない方が…って言っても聞かないよね」

「そうね、春雨ちゃんは純粋な意味で早瀬大好きっ子だしね」

「ちょっと悪意がある言い方…しかもブーメランだからね」

「自覚してるわ。私も白露も、完全に世間一般的には普通じゃないもの」

「自覚してるなら治しなよ」

「それはお互い様ね」

「「…うん…無理」」

 

———————————————————————————————

 

春雨は鎮守府の門に着き、警備員の人に急いで尋ねる。

 

「警備員さん!司令官さんは来ましたか!」

「司令官殿は来ましたよ?たまには1人で買い物だとか」

 

1人…

護衛なしに…

 

春雨は早瀬が外出である事に安堵すると同時に、自分が探しに行きたい衝動に駆られる。

しかし、春雨は早瀬から1人で外出する事を硬く禁じられていた。

その理由は、春雨が艤装無しではとても虚弱であるからだ…早瀬曰く「艦娘は艤装が無い場合は、ほとんどただの人と変わらない。当然、電気や熱、冷気や病気には強いのだが、車に轢かれるなどの物理的な現象には無力。しかも、春雨は心臓が一瞬だけたまに止まる、それが仮に車が突っ込んで来ている瞬間、曲がり角で急に車が飛び出して来た瞬間だったら、避ける事が出来ずに死んでしまう。だから、春雨は絶対に1人で外出してはいけないよ。必ず誰かと一緒に行動するんだ、それも重巡以上の子達とね」と言う事らしい。

駆逐艦や軽巡が対象外なのは、見た目的に問題事が起きた時に対処が遅れる可能性が高いからだ。

 

探しに行きたい…でも…

司令官さんに1人で外出する事は許されていない…

重巡以上…鈴谷さんに頼んでみようかな…

 

春雨は鈴谷を探しに鎮守府の中に戻り、執務室に向かう。

鈴谷が重巡寮にいるとは思えなかったからだ。

そして、鈴谷は執務室に向かう事が比較的多い為である。

 

「あっ、春雨戻って来た」

「どうだったかしら?」

「たまには1人で買い物らしいです…それで、探しに行こうと思ったんですが、私は1人で鎮守府から出られないので…」

「そこで私が…」

「鈴谷さん来ませんでしたか?」

「えぇ…私じゃないの…」

「陸奥さんはちょっと…」

「あははは、避けられてやんの♪」

 

どうやら来てないみたい…

じゃあ重巡寮…ん?

鈴谷さんって…軽空母だ!

危なかった…重巡寮に行っても鈴谷さんいないじゃん

てことは、鈴谷さんは空母寮?遠い…

 

「何で鈴谷…」

「鈴谷さんはフレンドリーだからね〜あと、雰囲気が早瀬に近い」

「早瀬の雰囲気ってその時々でしょ…」

「その中の1つに近いって事だよ」

「…」

 

陸奥さんは…なんか…怖いと言うか…

身の毛もよだつと言うか…

とにかく敵って感じがして…

 

春雨は早瀬と一緒にいる事が多いと言うこともあり、その人の本質を見抜くとはいかなくとも、感じ取る事は出来る。

その為、陸奥のロリコンとしての本質に謎の嫌悪感があり、出来るだけ一緒に行動する事を躊躇っていた。

 

「それと、鈴谷さんなら多分寝てるよ?」

「え?」

「鈴谷さんって軽空母で寮が1番遠いのに秘書艦狙いで超早起きしてるから、休みの日はいっつもお昼くらいまで寝てるんだよ」

「それじゃあ…」

「ああ、起こしたら可哀想とか思わなくても良いよ?本人がまたお昼まで寝ちゃったぁぁっていつも言ってるし、同室の熊野さんは基本起きない鈴谷さんが悪いって事で起こさないから、起こす人がいないんだよ…ってまたかよ」

 

春雨はまたしても白露の話を聞くや否や、空母寮に走って行ってしまった為、白露が放心状態の陸奥と一緒に放置される形になる。

 

今は、8時30分…

起こすには良い時間…かな?

うん、ちょっと寝坊気味だけ、お昼よりは良いはず

 

春雨は執務室から1番遠い、空母寮に向かう。

そして、空母寮に着いてから鈴谷の部屋を探す。

 

「見つけた」

 

鈴谷の部屋は、鈴谷と熊野が後から空母系になった関係で、空母寮の中でも1番執務室から遠い位置にあった。

春雨は部屋の扉をノックする。

 

「どなたですの?」

 

春雨がノックすぐ後で、熊野が扉を開ける。

 

「駆逐艦春雨です!」

「あら、どうしましたの?」

「私1人では外出出来ないので、鈴谷さんに付き添いを頼みたくて…」

「鈴谷は今寝てますわよ?」

「知ってます」

「あら、じゃあ起こして来ますわ」

 

熊野は部屋の中に入って行き、春雨は部屋の入り口で待つ。

 

起こす…

鈴谷さんって寝起きはどんな感じなんでしょう?

機嫌悪かったらどうしよう…

 

春雨がそんな事を考えている時、部屋の奥の方から鈴谷の悲鳴が聞こえる。

 

「ギャァアア!」

「えっ!?」

 

そして、帯電した熊野が戻ってくる。

 

「もう少しで準備が終わりますわ、またちょっとだけ待ってね」

「口調…」

「あっ…」

 

キャラ作り?

キャラ作らない方が良いのに…なんか優しいお姉さんって感じがした

でも、何で帯電して…

 

「お待たせ!春雨ちゃん!」

「寝起きで元気ですね?」

「寝惚けてられないよアレは…」

「おほん…早く行きなさい」

「もう少し手加減してくれたって…」

「普通に起こしてた起きない貴女が悪いのですわ」

「ごめんって…」

 

もしかして熊野さんの艤装不良って…

 

春雨は鈴谷におんぶされて外出届を提出しに門へ向かう。

 

何でおんぶされてるんでしょう?



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51話 親とか関係ねぇから

「鈴谷は車を持ってないから、バスを使うよ!」

「お金…」

「大丈夫♪お金は任せてよ♪」

 

お給料って無かったはずだけど…

鈴谷さんはどこからお金を…

 

「どうしてお金を?」

「あぁ〜…それは…御年玉…かな」

「お正月にもらうあれですか?」

「うん…」

「確かに御年玉はみんな貰ってますが、流石にそんなに長持ちするものじゃありませんよ?買い物とかしないんですか?」

「しないわけじゃないんだけど……早瀬さんの悪ノリから…」

 

早瀬は、鈴谷に対して完全に悪ふざけで、周りとは明らかに異常にあげていた…。

例えば、熊野や他の姉妹が何千円という、本当に子供にあげる程度なのに対して、鈴谷にだけは何万円である…。

それも、毎年増えて行くと言う…。

この年の御年玉は何百万円と言う破格なものだった。

それをもらった鈴谷の顔は固まり、目からは光が消えていた。

周りに言えるはずもない金額である上に、消費する事も困難、その為鈴谷なりに散財してはいるものの、1年で使い切らずに、来年に持ち越しになり、桁が変わる…。

早瀬曰く「鈴谷はいつもがんばってるからね〜…今年はどんな面白い顔してるかな♪イヒヒ♪」…と言う事らしい。

 

「ま、まぁ!とにかく鈴谷に任せてよ!」

「は、はい!」

 

鈴谷さんはきっと節約家なんですね〜

でも、司令官さんの悪ノリ…どういう事なのでしょうか?

あっ、司令官さんもお金の消費に困ってましたから、鈴谷さんだけとってもいっぱい渡して反応を見て遊んでいるのでしょう

なんか想像出来ますね…

 

鈴谷と春雨はバスに乗り、ショッピングモールに向かう。

早瀬が行くなら、そこくらいしか行く場所が無い事と、そもそも早瀬がああいう人が多い場所に好んで行くからである。

 

「それにしても、1人で買い物とかね〜」

「そうですね…」

「早瀬さんって何買うんだろ?いっつも鎮守府に建物建てたり、自腹で間宮スイーツ食べてたり、これまた自腹で鳳翔さんの所で晩御飯食べてたり…食べてばっかり…」

 

司令官さんは食べるのが好きなのに、どうして体重が変化しないのでしょう?

いつ抱きついても体格がほとんど変わらないんでよね…

ダイエットしてるようにも見えませんし、太りづらい体質?

でも…それでもあそこまで変化しないのは…どうしてなんでしょう?

 

「早瀬さんは太らなくて良いよね〜好きなものを好きなだけ食べても太らないんだよ?ズルくない?」

「私はそんなに食べないので…」

「いや私もそんなに食べないよ!?」

「あっ、いや、そうじゃなくて…私は胃の機能が低下してるので、沢山食べても消化出来ないんですよ」

「春雨ちゃんの艤装不良か〜初めて知った」

「そんなに話してませんからね…」

 

司令官さんには「気を使われたく無かったらそんなに言わない方が良いよ?まあ、気を使わない子も結構いるんだけどね〜白露とか最近来た鈴谷とか」って昔言われたので、この2人にしか言ってないんですよね…

他にもいるなら、司令官さんに聞いておきたいな…

 

「それで?メリットの方は?」

「身体強化です。反射神経だったり、集中力がすごく上がります」

「良いなぁ〜鈴谷もそんなメリットあったらもっと活躍出来たのになぁ…」

「臓器不全は辛いですよ?」

「でも、艤装出しては間は治ってるんでしょ?」

 

何で分かったんだろ?

鈴谷さんって意外と鋭い…

 

「治りますね…」

「でしょ?普段辛くても、早瀬さんの役に立てるなら何だって良いよ」

「そうですね」

 

2人が一般からかけ離れた忠誠心で会話をしている頃…

 

———————————————————————————————

 

「さあ、何で逃げたのか…教えて?ねぇ?お母さん」

 

母親を捕獲して、屋上の柵に縛りつけていた。

 

「…」

「だんまりか…」

 

別に愛されている何て思った事は無いけど…この分だと、嫌悪や恐怖の感情を持たれてるのかもね…

母親に嫌われ、怖がられる……それは…悲しい…のかな

ふふ…私も人の子か…しょうもない

 

「じゃあ、質問を変えようか。海外住みのお母さんが何でここに、日本にいるのかな」

「…」

 

目も合わせてくれない…か

そっちがそうしていると…私は悲しいよやっぱり…

両親には、怒りや悲しみ、渇望…色んな感情があったっけね…

そんなのさっきまで忘れてたよ

でも、今はこのまま殺してしまおうかとも考えてしまっている…

早く口を開いて欲しいな…さもないと殺してしまいそうだよ…

…ん?

春雨ちゃんに鈴谷?

 

早瀬は妖精と目を同調させて、ショッピングモールの近くまで春雨と鈴谷が来ているのを発見する。

 

何でこんな所に…私を探しに来たのかな?

まあ、それは後でもいいか

今は…

 

「ちょっとは口を開いてくれないかな…」

「!」

 

何を驚いて……?

あぁ…そう言う事か…また…またか

感情コントロールが出来ないのはこの身体のデメリットだな…

 

平坦な口調で言い続けていた早瀬の目から涙が流れていた。

 

「チッ…またか…」

「は、早瀬…」

「何かな…」

「ご、ごめんなさい…」

 

謝罪なんか要らないんだけどなぁ…

私が欲しいのは理由、最初からいなかった、帰って来ても顔を見せなかった理由だよ…

 

「謝罪は要らない…早く話して」

「えぇ…私達は…貴女を…」

 

幼少期の私が何をしたのかは知らないけど、どうせ怖がられてたんだろ…

 

「貴女を愛していた…だから、海外での勤務が多い私達は知人に貴女を任せた…当時の海軍元帥の女性よ」

 

は?愛していた?だれが?だれを?

それに、知人に任せた?当時の海軍元帥?それってアイツだろうが

私はアイツに世話された事なんかないぞ

 

「下手な嘘だね…当時の海軍元帥…前の元帥に私は世話された事なんか無い、強いて言うなら海軍に入れられ、洗脳されかけたくらいか

「は?何やってんのよアイツ」

 

私の周りにまともな人は1人たりともいないらしい…

ロリコンだのクズだの…

はぁ…もうこんな人類滅ぼしてやろうか…丁度深海棲艦の指揮権があるんだから…

 

「何やってるも何も、お前達が指示した事だろう」

「私達は本当に!アイツの所為で…」

「仮に本当だとして、何故帰って来たタイミングで顔を出さなかった?それが良い証拠だろう」

「それは……帰ってる最中に比奈ちゃんに会って…早瀬が…」

「私がどうした…」

「怒ってるって…」

「逃げてんじゃねぇよ」

「ごめんなさい…」

 

むっちゃんが何言ったのか知らないけど、何で親に怖がられなくちゃいけない

てか、娘から物理的に逃げるなよ

バラバラにしちゃうぞ…

 

「はぁ…もう…良いよ…」

「そ、それじゃあ」

「私も悪魔じゃないからね…」

 

早瀬はさも当たり前のように、サプレッサー付きハンドガンを取り出し、拘束具を破壊する。

 

はぁ…私と甘い…いや、これが普通なのか?

ほぼ育児放棄の人間を許すのは普通なのか?う〜ん…

分からない

 

「まずさ…お前等は何の仕事してんだよ。海外勤務としか知らないんだけど」

「それも言っておくように言ったのに……私達は海外を基本に艦娘の軍医をしているのよ」

 

艦娘の軍医…普通は入渠だけで回復するのに軍医が必要なのか?

 

「艤装不良と呼ばれる手術失敗者の治療をやっているのよ。海外では特にその傾向が多くて、しかも、的として使いすてにする傾向が強いから、治して周っているのよ」

「艤装不良…か」

 

心当たりがあり過ぎるなぁ

しっかし、やっぱり海外はそんな感じなのか…

ろーちゃんの一件で分かってはいたけど、酷い有様ね

まあ、そのおかげでウチには意味の分からない性能の子が所属(仮)してるんだけどね

あっ、そうだ妖精さんに、私が普通か聞こうと一瞬思ったんだった

 

『妖精さん、私は普通かな?』

『早瀬は異常だよ?』

『言い方もっと無かったの?』

『普通じゃないよ』

『…まあそうなるよね』

 

普通じゃないのか…

つまり、私を含めて私の周りには変な奴しかいないと言うことになる!

 

「はぁ…もう良いや…今更、あんた等親に何の期待も無い」

 

多分ね…

 

「前の元帥もいないしね」

「アイツもう元帥じゃないの?」

「そうだね、今の元帥は私だ。17年前から海軍元帥が事実上の日本最高権力者だから、もう心配の必要も無い、あんた等は心置きなく海外にでも行くがいいよ」

「…でもやっぱり心配ではあるのよ…だってさっき…」

「はぁ、アレはこの身体になった影響であって、別に私があんた等を求めていたわけではないよ」

 

こんなのは適当な言い訳かな…

多少なり、私の中でそんな感情がないと、涙なんかでない…

全くもって不便な身体だ…自らの意思でコントロール出来ないなんてね…

心を捨てれば、多少なりコントロールし易そうだけど…そんな事もしたくは無い…困ったねぇ

 

「でも…」

「…食い下がってくるね」

「これでも親なの、心配くらいするわ」

 

親…ねぇ

私には産みの親はいても、育ての親はいないので、実質親がいないと言う事で良いと思うんだよ

 

「それで、なんでここにいた」

「…海外での仕事が減って日本に帰って来て、次の勤務先に着任するまでに何か買い物でもって…」

 

海外でも艤装不良は減って来たって事か…

それでいて、使い捨てが無くならないから必然的に艤装不良の子がほとんど死んで、仕事が無くなって帰って来たと…

日本にも仕事何か無いんだけどね

日本はその辺の技術は進歩してるから、艤装不良なんか極々稀になってるからね

 

「ついでにお父さんも一緒よ」

「聞いてねぇよ」

「勤務先は呉鎮守府よ」

「来るんじゃねぇよ」

「えっ?」

 

そこの司令官の事くらい調べておけよ…

 

「私は今、海軍の元帥にして呉鎮守府の司令官だ」

「元帥は大本営で…」

「あそこの子達を他の人間に任せられる訳がないだろ」

「…とにかく、明日着任するからよろしくね?早瀬」

「仕事があると良いね…」

 

全員治ったとして、指揮の方法を変えないといけないのは面倒だなぁ…

まあ出来ない訳じゃ無いから良いんだけど、正直な話、艤装不良の治療=救いとは限らない子達がそこそこいるんだよね…

それが、部位欠損の子達

…順序が逆か?部位欠損してたから艤装不良になったって言うべきか

部位欠損していると、五体満足の人間とは艦娘手術の方法が異なる

だから、通常の方法で艦娘手術をすると、艤装不良になる、そして性能が大幅に偏る…その結果返って良い結果になっている

腕とかが無い代わりに艤装性能の一部がすごく高い

つまりは部位欠損している子の艤装不良を治すと、ただ不便な身体になる

良い事も確かにあるんだけど、割りに合わないんだよね

 

「あと、下手な事はするなよ」

「これでも医者です、本人の意思は尊重するわ」

 

当然だ…

もし強行するなら、ここで秘密裏に始末する…

親とかは関係無い…コイツ等よりあの子達の方が…

 

「…殺意を感じる…」

「あぁ…もし強行するようなら、ここで殺しておくつもりだったからね」

「親なのに…」

「関係ねぇよ…」

 

 



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52話 艤装不良は最強の武器 ※ただし諸刃

さて…これからどうするか…

これで、はいさようならとは行かないだろうし…

かと言って、このまま買い物続行しようとすると、付いて来そうだし…

私物買うときは1人が良いんだけどなぁ…

何というか…見た目的に服なんか買おうとしたら、着せ替え人形にされるのは目に見えてるんだよ

実際、むっちゃんには学生時代にやられたし

そういえば、むっちゃんって何で呼ばれ方が人によって違うんだろ?

私はあだ名だけど、何か名前の方で呼ばれてるはずなのに、人によって違うんだよね…私はたま〜に本名で呼ぶけど、お母さんはあだ名?なのかな?

まあ名前風に呼んでるよね…猫かな?

 

「早瀬、元帥がどうしてショッピングモールに?」

「元帥が買い物して悪いか」

「いや…忙しいとか…」

「忙しくなるようにしたはずだったんだけどね…」

 

本当なら、今頃演習の申請書の山と格闘してるはずだったんだけど…

全く来てない…

元帥の地位って誰も要らない系?

海軍を管理するにあたって、いろんな提督の情報を集めやすいと思ったんだけどなぁ…

 

「何を買いに来たのかしら?」

「アンタに言う必要があるのか…」

「…お、親だから?」

「親ねぇ…軽く10年以上放置してた人間が、親ねぇ…」

「本当ならアイツが…」

「それでも、アンタが放置してたのには変わらないだろ」

「ごめんなさい…で、でも!これからは…」

「今更だね。もう私にはアンタ等は必要無いっての…歳考えろ…私はアンタの遺伝子のせいで未だにロリッ子扱いされるわ…」

 

お母さんの方が私のこの、チビの遺伝子なんだよね…

だから、ロリババアとはまさにこの事と言わんばかりに、見た目が若い

とは言え、40代で見た目が女子高生くらいか?ロリでは無いね

私なんて20歳で小学生だったぞ…成長期なんかとっくに終わってたから、これからの成長も望めないのに…

女性としては、お母さんこそ望んだ姿なんだろうね…コイツ人間じゃないだろ…

 

「いいじゃない、可愛いわよ」

「…これでも、もう少しだけ大きかったんだけどね」

「妖精化でもしたのかしら?」

 

コイツ知ってるのか

 

「そうだね」

「尚更良かったわね。外国ではその研究をして失敗してたわよ?」

 

モルモット定期かな?

自分の身は自分で守るけどね

 

「へぇ〜…」

「あんまり嬉しそうじゃないわね」

「当たり前だ!この身体見て分からんか!小さ過ぎるんだよ!」

 

それなりに身長がある奴には分かるまい…

自動販売機に背伸びしてと届かず、通りすがりの人に押してもらって、子供扱いされる屈辱を!

身長に比例して足も短いから、走るのが遅いから逃亡と言う行為が実質出来ない、そのせいで暗殺の時に関係者皆殺しにしなくちゃいけなかったんだぞ!?SPとかね!

それに、もう20歳なのにロリッ子扱いされる屈辱を知らない!

 

「かなり大切にされるわよ?」

「その反面狙われやすいんだよ!」

 

かなり前にこうして1人で買い物しようとしたら、誘拐された事があるんだからな!?小さくなる前だから、尚更な!

その時も皆殺し安定だったけど……まあとにかく!

低身長で得する事と損する事の割合が偏り過ぎてんだよ!

 

早瀬と早瀬母はショッピングモール内を歩きながら、そんな会話を続ける。

店員からは、姉妹に見られたとか…。

 

「早瀬、貴女元帥なのに護衛は付けないのね」

「あの子達に人間の活け造りでも見せろってのか…」

「…普通そんな事にはならないはずよ」

 

もうね…私が仮に旅館の板前だったら超ベテランくらいには活け造りを作ってるからね…人間だけど

……やり方は簡単!

まず、誘拐犯に気付かれずにロープから抜け出します

その次に、絞め落としてからナイフで解体します!

終了!

…生きたまま身体を切り裂く訳だから、大抵はショック死やら失血死して終わるんだけどね

私は手加減とかうまく出来ないんだから、誘拐とか勘弁して欲しいよ

あの元帥…舞衣で良いか…舞衣のせいでとっさに危なくなると…まぁ…やってしまう癖が付いてて、私も制御なんか出来ないんだよ…癖だから

私自身結構困ってる…直ぐにSAN値がピンチになるよ…

 

「それで、妖精化ってどんな感じなのかしら」

「さっきから随分と馴れ馴れしくな…」

「母親ですもの」

「ハハオヤカッコカリ」

「違うわよ!私は確かに…」

「DNA上ではね」

 

早くお母さんを何とかしないと…鈴谷達が近い…

いや、間に合わないな…

今すぐにお母さんを気絶させて、近場に隠そうにもここはショッピングモール、人が多過ぎるから騒ぎになる

…仕方ない…十中八九後が大変になるけど…やるしかない

短時間なら問題無いでしょ…

 

早瀬は脳を妖精と同調させ、付近にいる春雨に繋げて艤装スペックをトレースし走って逃げる。

 

「あっ早瀬…ってはや!」

 

初めてやるから失敗する可能性もあったし、最悪目の時と同じように使えなくなる可能性があったけど、これなら大丈夫みたいだね

それにしても……艦娘って凄いなぁ…

いや、この感じは多分春雨の艤装状態…身体能力も上がった春雨状態なんだろうね…

 

———————————————————————————————

 

早瀬が春雨の艤装をトレースした瞬間、春雨は自分の変化に気が付いた。

 

「!」

「ん?どしたの春雨ちゃん」

「艤装を出してないのに、臓器不全が消えました」

「どう言う事?」

「分かりません…でも、この感じは…司令官さんといるような…」

 

早瀬が春雨の艤装をトレースした事で、春雨が艤装を出した扱いになり、艤装不良による臓器不全が消失していた。

 

「早瀬さんが何かしたのかな?」

「司令官権限と言う感じではありませんし、あれは命令権限ですので…」

「う〜ん?」

 

早瀬さんが妖精化で何かやったのかな?

でも、妖精さんの力でどうやったら春雨ちゃんの臓器不全を治す事なんか出来るのかな?

また鈴谷達の知らない事をやってるしぃ…早瀬さんは謎が多いなぁ…

流石は謎多き幼女…

 

春雨と鈴谷が不思議がっていると、正面から早瀬母が現れる。

そして、早瀬母はすぐさま艦娘だと気が付いた。

 

「貴女達、艦娘ね?」

「そうだけど…誰ですか?」

「えっと、私は斎川理沙《りさ》、艤装不良を治療する海軍の軍医よ」

「斎川…軍…」

 

早瀬さんのお姉さんとか?

お姉さんなんて聞いたこと無いけどなぁ…

 

「艤装不良を治す…ですか」

「ええ、艤装不良は死亡率を上げてしまう危険なモノだから、治して救っているのよ」

「…そんなはずはありません」

「え?」

「そうだね〜春雨ちゃんの言う通りだね。鈴谷達は被弾すらした事無いしね」

「え、えぇ?」

 

まあ、確実に早瀬さんの良い所だけを使うやり方で、鈴谷達は活かされているんだろうけどね

早瀬さんのやり方ってホント凄いよね〜

相手からしたら、弱点が無い無敵の存在に見えてしまうんだから

それだけに、鈴谷達は早瀬さんの完璧な指揮に、期待に応える事に必死になったんだよね〜

みんな運動とか頑張ったり、柔軟運動とかして早瀬さんの期待に応えられるように…あと、たま〜に褒めてくれるから、それ狙いって言うのもあるね

 

「艤装不良とは私達とって最強の武器です」

「確かに他の性能は上がるけど、それを差し引いてもかなり不便なはずよ…」

「それは、使ってる人が弱いだけです」

「そんっ…えぇ?」

 

JKみたいな人が、小さい女の子に言い負かされてる…

なんかこの光景面白いなぁ〜

 

「現に私達は被弾した事すらありませんし、これからもしないでしょう」

「いやまぁ…正確には被弾した事無いって言うよりは、今のところに着任してからは無いって方が正しいんだけどね〜」

「負けないならまだしも…被弾すら無いなんて…」

「まあ、うちの司令官がその辺の提督達に劣る訳ないよね〜」

「艤装不良は死亡率を上げるはずなのに…どうなってるのかしら…」

「司令官さんは言ってました。艤装不良は不慮の事故じゃない、むしろ性能が向上するから当たり。それにダメージを食らわなければデメリットなんて関係ない…と」

 

普通に考えると、当たり前の事なんだけどね〜

当たり前にして1番難しい事

ダメージを食らわない、それが誰にでも出来れば、誰も苦労しないよね〜

 

「え、えぇ?…う〜ん…」

「ですので、私達は貴女に救われる必要はありません」

「本人の意思は尊重するけど…」

「それはそれとして、貴女は早瀬さんのお姉さん?ですか?」

「早瀬?早瀬を知っているの?」

「ええ、まあ」

「私は早瀬の母です」

 

はは…ハハ…母?

母ってお母さんって事だよね?

おかしくない?早瀬さんってあんなでも20歳だよね?

そのお母さんって低く見積もっても、40とか39とかじゃない?

あっ、分かった

早瀬さんはこの人の遺伝子であんなに愛らしい感じになってるんだ…

ああ〜なるほどねぇ〜

 

「早瀬となどんな関係なのかしら?」

「普通に考えて、早瀬さんのところの艦娘だよね?」

「早瀬がそんなに強いなんて…」

「貴女が司令官さんの事を深く知るはずがありませんもんね…早瀬さんの物心つく前からほとんど一緒にいなかったんですから」

「うっ…なんでその事を…」

「陸奥さんに聞いたのと、早瀬さんの実家には貴女と早瀬さんの写真すらありませんでしたから」

 

春雨ちゃんって早瀬さんについて行った組だったっけ…

良いなぁ〜鈴谷も行ってみたいなぁ〜何処にあるんだろ?

 

「実家って…北海道よ!?」

「それが何か」

「どうやって…」

「司令官さんが連れて行ってくれました」

 

ついて行ったんだよね?

連れて行ってもらった訳じゃないよね?

もしかして春雨ちゃん、ちょっとお怒り?

 

「早瀬が…」

「まあ、そう言う事で鈴谷達は早瀬さん探しに行くからさよなら〜」

「さっきまで一緒にいたのに、急に凄い速さでどこかに行っちゃったのよね…」

 

凄い速さ?

早瀬さんって小さくなって足が短くなったから、足遅くなったはずだよね?んんん?

 

「それっていつですか」

「本当にさっきよ?」

 

そう言えば、早瀬さんって妖精さんと身体の一部を共有して、艦娘とリンク出来たよね?

もしかして、艤装までトレース出来るの?

早瀬さんが春雨ちゃんの艤装を使ってる扱いになって、春雨ちゃんの艤装不良のデメリットが治った…

春雨ちゃんの艤装不良って艤装を出していれば治るらしいし

 

「あっ」

「今度はどうしたの?」

「艤装不良のデメリットが戻りました」

「ふむ…」

 

今、早瀬さんが艤装のトレースを解除したのかな?

 

———————————————————————————————

 

その頃早瀬は…

 

「うぐっ…」

 

ちゃんとデメリットもあった訳か…

くっ…息苦しくなったし、高い周期で心臓が多分止まってる……

これはマズイ…非常にマズイ

どう見たって春雨ちゃんの艤装不良のデメリット…しかも悪化してる状態…

早く解除しないとこれは…死ぬ…

どうやったら解除されるんだこれ…

逃げたは良いけど、鈴谷達からと離れ過ぎたせいで鈴谷で上書きが出来ない…

上書きされる保証も無いけど、少なくとも今の私には鈴谷の艤装不良のデメリットは意味が無い

上書きされれば当たり、されなければ……最悪死ぬかな…

窒息…もしくは心臓関係か…

これは失敗か…

鈴谷がもう少しだけ…あと…10メートルこっちに近付いてくれれば……

ふふふ…この状態…私はあと何分もつのかな?

 

早瀬は、全くと行って良いほど使われないショッピングモールの階段に座りながら、状況の割に楽観的な事を考えていた。



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53話 早瀬の危機

…鈴谷ぁ…そっちじゃない…逆だよ…

本気でマズイぞ!?

ヤバイヤバイヤバイ!マジで死ぬ!片肺の半分の機能かつ心臓が数分おきに一瞬停止なんてあと何分生きられるんだ!?

…はぁ……最近千夏ちゃんに会えてなかったなぁ…

こんなんじゃ…私もあの親達と変わらないね……いや、いきなり死んだんじゃ…アイツら…以下……か…

 

早瀬はそのまま目をゆっくり閉じる。

 

自滅とは…なんとも……私らしい…

 

———————————————————————————————

 

「……ねえ、鈴谷ちゃん…」

「何ですか…あとちゃん付けしないで下さい」

「春雨ちゃんから、すご〜く敵意を向けられてるんでけど…」

「貴女が早瀬さんを放置してたからですよ〜」

 

春雨ちゃんって確か、孤児院の出だよね?

それってさ、言い方が悪いけど、親に捨てられたとか、親が先に死んだとか…

要は親に置いていかれた子達な訳じゃん?

春雨ちゃんは自分が最も慕う者…早瀬さんの事を10年以上もの間放置した事が許せないんだろうね

でも、そんな人でも早瀬さんの肉親、下手な事は出来ないから、こうして敵意だけむき出しにしてるんだろうなぁ…

分からなくもないけど…もっと敵意は隠そうよ?

早瀬さんなんて、嬉しいとか楽しい以外の感情が全く読み取れないんだから、早瀬さんを見習おうよ…

早瀬さんはやり過ぎかな…やっぱり

 

「私は放置なんて…」

 

春雨からの敵意がますます強くなる。

 

「下手な事言わない方が良いですよぉ〜…そのうち、春雨ちゃんに闇討ちされますよ?」

「本当なのよ…当時の元帥に任せたのに、ソイツがぁ…」

「自分の子を他人に任せるなんて論外です…連れて行く事だって出来たはずです」

「戦場病棟のような場所に連れて行きたくなかったのよ…早瀬にはもっと自由に…命のやり取りからは離れて生きさせたかった…」

 

本当だったら、司令官とかって命のやりとりをする仕事じゃないよね?

敵に基地内まで攻められない限り、絶対にしない仕事だよ?

ある意味では願い通りなんだろうけど…早瀬さん自身が、私達に命を賭けてくれている…

いつ死んでもおかしくない鈴谷達の為に命まで賭けてくれる事は、本来なら嫌なんだろうけど

鈴谷達みたいな、酷い扱いをされ続けて来た子達は、命という自分にとって1番大事なものを賭けてくれる事は、凄く嬉しい

それだけに、鈴谷達に失敗は許されない

早瀬さんなら笑って許してくれるだろう…でも、鈴谷達がそれを容認出来ない…

早瀬さんは…鈴谷達に甘過ぎるよ…

まあ、いざ怒られたらシャレにならないのは時雨ちゃんでよく分かったけどね…

 

「はぁ……早瀬に嫌われてると…お父さん悲しむなぁ…」

「早瀬さんのお父さんってどんな人なんですか?」

「そうだねぇ〜…あの人は、早瀬の事大好きなのよね〜…ただ、あの人私よりもかなり忙しい人だから、この十何年間ずっと帰れなかったのよ?だからあの人一回だけ逃亡を図ったのよ?」

 

うわぁ…なんか聞いた事あるフレーズが聞こえたぁ…

やっぱり早瀬さんはこの人達の子だわぁ…

見た目が若すぎるし、逃げちゃうし…

それにしても、娘に会う為に逃亡を図ったとか…相当に娘大好きだね…

しかし!世のパパさんは娘に嫌われやすい!まあ昔はなんだけどね

今は意外とママさんより好かれてたりするらしいよ?

 

「それで、そのお父さんは?」

「まだ海外よ。ギリギリまで仕事なのよ?あの人ったらまた逃げようとしたのよ?」

「まだその人のほうが私は良いです」

「春雨ちゃん…早瀬のお母さん嫌い過ぎない?」

「はい、嫌いです」

「珍しく嫌われて、珍しく断言されましたね。良かったですね〜レアですよ?」

「そんなレアは要らないわよ…」

 

しかし〜春雨ちゃんの基準が分かんない…

なんでそのお父さんの方が良いのかな?

いや、何となくわかったわ…面白いからだ…完全に早瀬さんの影響が出てるなぁ…

小さい子達は影響を受けやすいってよく言うけど、早瀬さんの影響を受けると面白ければ良いって子が増えるよね…

それって良いのかな?

 

「それと、私は明日早瀬の鎮守府に軍医として着任するわ。言い忘れてたわね」

「いいえ、貴女はいりません。呉鎮守府には軍医が既にいます」

「あぁ〜そう言えば、古鷹さんって介護士兼看護師兼医師だったね」

「何その医療系をとりあえず使えるみたいな子…」

「早瀬さんが、全部覚えさせたんだよね〜まあ、医師免許は無いから実質ってだけなんだけどね」

「それって犯罪行為なんじゃ…」

「違うよ?古鷹さんの治療は、本当に魔法みたいな感じで高速修復剤や入渠施設の効果を生き物に使えるんですよ」

 

その代わり、攻撃性能が全部ゼロどころかマイナスと言っていいんだよね〜

古鷹さんって艤装無しだとすっっごい非力なの

前に、白露ちゃんを捕まえようとして、力負けしてたし…

白露ちゃんだからね?白露って艤装不良で結構非力だからね?

それなのに力負けしてたって事は、艤装無しだと介護も看護も難しいんだよ

それなのに、頑張るよね〜

ほとんど仕事無いけど

 

「それって完全に戦闘能力が消えてるわよね…」

「はい、それでも改二ですよ?」

「…どう言う事よ」

 

ホントだよね〜?

 

「…鈴谷さん…司令官さんが…見つかりません」

「逃げたって言ってたけど、多分…この感じだと…完全にやられたね…多分だけど、早瀬さんは人混みを使って急速旋回したね…だから、早瀬さんのお母さんが来た方向…逆方向だよ…」

 

こんな事に本気出さなくても…

それにしても早瀬さん…大丈夫かな…

最近になって妖精さんの力を使うと必ず早瀬さんに被害が出てたよね?性能上がってたけど

目を使えば見えなくなり、耳を使えば聞こえなくなる…

春雨ちゃんの艤装を使ったとすれば……何が起こるのか分かんない…

えぇ〜…艤装のトレースでしょ?

う〜ん…艤装の特色を使えるようになるんでしょ?身体能力は上がる……あっ…マズイ…本気でマズイかも知れない!

春雨ちゃんの艤装には艤装発動中は性能向上してるけど、解除された瞬間には艤装不良が!

それも、早瀬さんの場合はブーストされて発動するから、集中力や反射神経が人外レベルになって、艤装不良…臓器不全も当然ブーストされる……悪い方向にブーストされるはずだから…肺の機能が更に落ちて呼吸困難、胃の機能も落ちて消化をしなくなる…そして、心臓…

これは…どっちでも結果は同じだけど…止まる周期か止まっている時間…どっちにしても、肺と合わせて考えれば…

もう時間が無いかも知れない!

 

「春雨ちゃん!早く探そう!艤装を使っても構わないよ!」

「艤装をこんなところで…」

「早瀬さんが死ぬかも知れない!」

「!ど、どうしてですか!」

「急がないと本当にマズイから後!春雨ちゃんの艤装不良が再発してから何分たった!」

「5分です…」

 

5分…5分ってどうなんだ…

いや、今は急ぐしか無い!

 

「早瀬さんのお母さんが来た方向を探すよ!」

「では、別れて探し…」

「いや、別れて探して間に合わなくなったら元も子もない」

 

早瀬さんも気が付いているはず…

上書き出来るのは知らないけど、確実に鈴谷がいないと何もする事が出来ないんだから…

それに、早瀬さんは動けないと思う

酸素が足りないんだから、力なんか入るはずがないんだから

 

「辺りを探すよ!」

「は、はい!」

 

鈴谷が早瀬の危機に気が付き、全力で急いで捜索を開始する。

———————————————————————————————

 

あぁ…もう5分…まだ生きてる…

ふふふ…意外と私もしぶといじゃないか…

 

「お母さん?」

「この声は……千夏ちゃん?」

 

早瀬は千夏の声を聞き、目を開く。

 

「どうしたの?顔色が悪いよ?」

「ちょっとヘマして……死にかけてる…」

「えっ!な、何とかしないと!」

 

そう言えば……千夏ちゃんって元々艦娘だよね…

行けるのかな…いや、やるしかない

運が良ければ、デメリットは上書きされて消える

運が悪ければ何も起こらずに死ぬ

…いや、何も起こらない事は無い

解体されたとは言え…艦娘手術を受けた子…完全に艤装システムを取り去る事は出来ない

何故なら…解体とは、艤装を解体しただけで…本人に埋め込まれた艤装システムの根幹は取り去る事が出来ないのだから…

 

「千夏ちゃん…ごめんね…」

「そんな!縁起でもない事…」

「違う違う……こういう事だよ…」

 

早瀬は脳を妖精さんと同調させ、千夏に接続する。

そして、微弱な艤装システムをトレースする。

その直後、春雨の艤装不良のデメリットは解除される。

 

「!」

「…マジで危なかった」

「お、お母さん…何を…」

「千夏ちゃんの艤装システムをトレースして、死にそうになってた原因を強制的に消したんだよ。それで、千夏ちゃんの方に何があるのか分からなかったから、先に謝っておいたって訳…不甲斐ない事この上ない…」

「よ、良かったぁ…」

 

ん?落ち着いたから気が付いてしまったけど、なんでここに千夏ちゃんがいるん?

んん??なんで?

 

「ちょっと聞きたいんだけど…千夏ちゃんはなんでここに?」

「時雨ちゃんとか海風ちゃんと遊びに来たんだよ?」

「なかなかに意外と珍しいタイプの組み合わせだね」

 

姉妹なのに、時雨と海風ってほとんど一緒にいるのを見ないんだよね〜

どっちも白露といるのは見るんだけど、この2人となると見ない

全然見ない

千夏ちゃんの人選は面白いなぁ〜

 

「それで?その2人は?」

「ペットショップだと思うよ?それを見に来たんだよ」

「飼う事は軍の施設だから出来ないけど、そこなら見る事自体は問題無いからね」

「お母さんは猫飼ってなかったっけ?」

「あれは野良猫。鎮守府に住み着いてたから、飼うって言ってただけなんだよ?まあ、猫くらいなら飼ってもバレなさそうだけどね〜」

 

早瀬と千夏が話していると、鈴谷達が現れる。

 

「早瀬さん!」

 

この様子だと、私の状態に気が付いたみたいだね

まあ、千夏ちゃんのおかげで助かったんだけど…

やっぱり鈴谷は賢いなぁ…ちょっと遅かったんだけどさぁ

いやぁ…実験は鎮守府でやるに限るね…

 

「あれ?千夏ちゃん?」

「千夏…どうしてここに?」

「買い物って言うか、犬とか見に来たんだぁ」

「そうなんだ…って鈴谷さん、説明してください」

「なんとかなったみたいだから分かったよ」

 

鈴谷は春雨に早瀬に何があったのかを、早瀬に確認しながら説明を始める。



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54話 時雨ちゃんだー

それにしても…動物かぁ…

今思えば、艦娘の中にはペットみたいな子が既にいるよね?

ぽいぽいとか、とっきーとか、タマとか

あとは〜…春雨ちゃんかな

なんか私的にはめっちゃ懐いてる寝る事好きの犬って感じがする

あと、ぜかましがウサギっぽい!

前にウサギは寂しいと死んじゃうんだよ!って言ってた

まあ、その割には友達と一緒にいるのすら見た事無いよ?って言ったらゴファって感じでぶっ倒れたんだよね〜

 

「お母さん…」

「どうしたの?」

「えっと…その…」

「何か飼いたいとか?」

「うん…熊さん…」

「ふ〜ん、熊さんかぁ〜…ん?熊さん?」

 

今、聞き違いじゃ無ければ熊って言ったよね?

ペットショップに行こうおしてたんだよね?

なんで熊が出て来たのかなぁ…前に熊のストラップをあげたけどさぁ…

実際の熊ってあんなテディベアみたいな感じじゃないでしょ…

 

「ここペットショップだよ?熊なんて売ってないし、普通は飼う動物ですら無いよ…」

「え?いないの?」

「いないよ!?しかも前にあげたストラップみたいな生き物じゃないからね!?」

「そうなんだ……でも、お母さんなら!」

「いやいや!私をなんだと思ってるの!?熊を飼うとか面倒極まりないんだけど!?」

「早瀬さん…出来ないとは言わないんだね」

 

出来ない訳がないけどさ?アレって飼うとなると面倒だし

都道府県知事に許可を取らないといけないし、食費がマッハだし、遊び相手にされて殺されそうだし

面倒過ぎる…

 

「と言うか、飼うなら捕獲よりも購入した方が早いし、なによりも許可取るのが面倒だし費用がやばい」

「なんだかんだで早瀬さんが、あの鎮守府で1番強いから、今更熊くらいなんとかなるって」

「なんで肯定側なのか知らないけど…いくら私でも熊と戦ったら死んじゃうからね」

「なんで素手で倒そうとしてるの!?」

 

熊を無傷で捕獲するために必要な麻酔の量が多いし、結局敵対だから懐かれない…

まあそもそも、大人になった熊なんて捕獲してなんになるって話だろ

 

「まあ、何にせよ熊は飼える動物じゃないんだよ」

「…普通に話してるけど…早瀬…貴女娘なんていたの!?」

「いて悪いか、千夏ちゃん最強に可愛いからな、熊の実物見たことないくらい無知だからな」

「そうじゃなくて!貴女何歳よ!」

「20だけど?」

「この子どう見ても12とか11とかでしょ!?」

 

そりゃ驚くか?

8歳の頃の子供とかあり得ないからね

私の身体はどうなってんだ、あと夫は誰だよ

 

《私は早瀬の夫だからね!》

 

いかん…幻聴が聞こえる…

 

「私はお母さんの娘だよ?」

「千夏ちゃんって案外お馬鹿だよね…鈴谷的には説明を求めているように感じるなぁ…」

「そっか、私はお母さんに孤児院から貰われた子供だよ。そして、元艦娘でもう艤装は出せないよ…」

 

出せなくても、腰辺りに艤装システムの名残りはある

そして、私はそれに救われた…

……あの時千夏ちゃんって時雨と海風と来たって言ってたよね…今、あの子達2人だけ…で…

やっぱり何処にでもいるんだな…こういう輩は…

はぁ…また事後処理が面倒な事になりそうだ…

 

早瀬の雰囲気がいきなり変わり、その場の全員がすくみ上る。

そして、その中でただ1人だけがその感覚を知っていた。

鈴谷だけが…その殺意を知っていたのだ。

 

「は、早瀬さ…!」

 

鈴谷が早瀬に話しかけようとした瞬間、早瀬の眼光が鈴谷を捉える。

そして、早瀬が視界を反らすと同時に、早瀬の髪の毛先の色が鈴谷と同じ色に変わると同時に、早瀬はその場から消える。

 

鈴谷の艤装を借りるよ…

大丈夫…鈴谷の艤装不良は私には関係無いから…

 

早瀬は鈴谷の艤装をトレースし、階段で下方向…。

出口の方に向かう。

 

待っていてね…直ぐに…殺してあげるから♪

 

早瀬はデパートから出て、少し離れた場所にある倉庫群の中に向かい、その倉庫の扉から音を立てずに侵入する。

 

———————————————————————————————

 

早瀬がそんな行動を起こす数分前…

 

時雨、海風両名は誘拐されていた…。

それも、犯人は艦娘だと分かった上で誘拐し、そして海外に売りさばく…そんな連中だった。

 

「それにしても、毎回毎回コイツら艦娘は馬鹿だなぁ」

「そうですね、少数で行動すれば狙われるのは当然なのに、未だに外出してる艦娘は少数名で行動する…そろそろ対策してもおかしくないのに、その気配すら無いとは…艦娘も海軍も案外マヌケですね」

「お前らは勘違いをしているぞ、艦娘はともかく海軍は馬鹿じゃない。だが、対策しないのは艦娘個人など、どうでも良いからだ。足りなくなれば足すだけだからな」

 

時雨と海風を拘束した犯人達は、2人を車のトランクに詰めて、最も近い倉庫群に向かう。

 

「海風…」

「何ですか…」

「これから、僕達はどうなるんだろうね…」

「話によれば…海外に売られるらしいですね…」

「何とか脱出しようにも…この狭さじゃ艤装は出せないし、僕達は艤装で人間を傷付ける事が出来ない…慣れているね…この犯人は…」

「こんな事なら…もっと司令官に抱きついておけば良かった…」

「…司令官か…望み薄だよね…僕達があそこにいた事なんか、司令官は知らないはず…あとは、千夏は大丈夫だろうか…」

「この人達が組織じゃなければ大丈夫ですよ、きっと」

 

2人がそう話していると、車は止まり少ししてからトランクが開けられる。

そして、2人は担がれて倉庫の中に連れて行かれる。

 

「お前らは、何も言わないんだな。助けてだの、お前らなんかだのとな」

「行って何になるって話だよ」

「分かってるじゃねぇか、お前らが何を言おうと、お前らの未来は変わらない」

 

2人は倉庫の奥に放り投げられる。

その時、海風は倉庫内に音が一つ増えている事に気がつく。

 

———————————————————————————————

 

…私は個人的に姉妹艦達の中で順位を付けている…

陽炎型なら黒潮が1番だとか、白露型なら限定的になら白露だとか…

そう…白露は限定的であって…その例外を除く白露型の最強は…時雨だ…確かに春雨は強いだけど、それはあくまで本人性能

艤装性能なら時雨が1番殺傷力がある

しかし、当然時雨にも弱点がある

それは海上では使いづらいって事だけ

 

早瀬は鈴谷の艤装状態を解除して、すぐさま時雨の艤装をトレースし、時雨の艤装を強制起動させる。

 

ただ…艤装不良が怖いなぁ…

即死しないかなぁ…悪化した状態で発動する訳だから…時雨のタイプの艤装不良は…

いや、解除せずに直接海風の艤装で上書きすれば良いか

人数が人数だから、私1人でやるには難しいんだよね…だから、艤装を使わないと言う手が無いのがなぁ…

私は1対多数は苦手なんだよ…

 

「時雨さん…何かいます…」

「そうみたいだね…ただ…この感じは非常にマズイ…」

 

時雨は耳が良い訳でも、嗅覚が良い訳でも無いが、身に覚えのある痛みの記憶が想起されていた。

それは……電撃。

 

「マズイって何が…」

 

海風が時雨に聞き返した時…。

倉庫内の電気が全て落ちる。

 

時雨の艤装不良は帯電。

当然艤装を出してるだけで帯電はしないけど、艤装の出力をある一定まで上がると、スパークする。

そして、デメリットは艤装を解除した後に自分がその電気に晒されるという事…

それこそ帯電、良くも悪くも高火力かつ最速

…この強化状態で艤装不良なんて食らったら一瞬で感電死すらありえるのがねぇ…

力には代償が付きものってか?

 

「なんだ!何があった!」

「分かりません!」

 

1人…また1人と…最速で活け造りにしてやるよ…

ナイフに電気通して斬れば、傷口が焼けて血は出ない

私のSAN値は保たれる

 

犯人達の1人が電気のスイッチに近づくと、早瀬はその男の首をはねる。

そして、かなり大きめにバチバチと言う電気の音が響く。

 

時雨め…これは全く全力だして無かったな?

強化されてるとは言え、威力が全然違うじゃかいか

まあいい、今は時雨に何かを言う場合じゃない

さっさと始末してやろう

時雨とお話しするのはその後だ

 

「誰だ!どこにいる!」

「クソ!」

 

犯人の1人が銃を取り出し、海風を人質にする。

 

「少しでも何か…」

 

最後まで言い終わる前に、その犯人の首が落ちる。

 

こう言う局面になった時には、自分の命は諦める事だよ

どう転んでも生き残る事は出来ない

だから、人質はすぐさま殺すのが正解だよ

そっちの方が相手にダメージを与えられるんだから

まあ、させないけどね

 

「クソ!クソ!クソ!!」

 

最後の男がハンドガンを取り出し、時雨を撃とうとする。

 

流石に弾丸を弾くのは身体スペックが足りないか…

でも…その弾丸って金属じゃないか?

この感じなら…当たらねぇよ

 

男はハンドガンを乱射する。

早瀬は時雨とその男の間に入り、艤装スペックをフル稼動させる。

すると、大きな光と音が発生し、弾丸の軌道が反れていく。

 

…時雨や海風には1発も当たらなかったね…良かった…

成功だね…最高出力なら弾丸の軌道も反らす事が出来る

ただ…ちょっと距離が近過ぎたかな…

 

早瀬は持っていたナイフを男の首をはねる。

 

早瀬は全員殺し終わり、死体を1箇所に集める。

 

…人の死体…灰に出来るほどの電力出せるのかな?

熊野さんだーは確実にいけるけど、時雨はどうなんだろう?

やるだけやって出来なければ、しっかりと始末するか

 

早瀬は最高出力で死体を電気で燃やす。

すると数分で、その死体は灰に変わる。

 

うん…やっぱり全力出してなかったね

 

早瀬はその後で、倉庫の電気をつける。

 

「大丈夫?怪我とかない?2人とも」

 

艤装無しじゃ、艦娘は普通の人間だからね…

撃たれれば死ぬし、殴られても怪我したり死んだりする

だから、艤装無しの艦娘は非常に貧弱なんだよ

 

「司令官!」

「ん?何かな?」

「血が!」

「ああこれか、さっき見てたと思うけど、弾丸を反らした時に距離調整を失敗してね脇腹に1発もらっちゃった」

 

さてと…海風の艤装で上書きしないと…

このまま解除するとほぼ間違いなく、私が灰になる…

海風の艤装不良は比較的安全だし…さっさと切り替えようか

 

早瀬は時雨から海風に艤装を切り替えて、時雨のデメリットを強制解除する。

その際、髪の毛先が鈴谷の時と同様に海風の色に変わる。

 

「何がどうなっているのか分からないけど…早く治療しないと!」

「そうだなぁ…弾丸は貫通してるけど、このままじゃ失血死するかな〜」

「どうしてそんなに余裕なんですか!」

「痛いのも死にかけるのも慣れてるからかな」

 

早瀬は傷口に触れる。

 

この出血なら〜…う〜ん?

この分なら〜30分くらいかな〜失血死まで

 

「ど、どうしよう」

「はは♪2人は戦闘員なんだから、治療は分からないでしょ?」

「それでも治さないと!」

「大丈夫だって♪」

 

30分間傷口は塞がらないけど、古鷹呼べば何とかなるからね

 

「古鷹に電話してくれないかな?」

「古鷹さんですね!分かりました!」

 

相変わらず弾丸って痛いなぁ〜

何年振りだろ?

3年振りかな?

それにしても…アイツらはリスク管理ってものが出来ないのかね〜

艦娘を誘拐だとかすると、普通に死刑になるくらいの重罪なのにね?

まあ、軍の最高機密の集合体だし

一般には艦娘が一般人から成ってるのも機密だし

そんな存在を誘拐とか〜もうね〜…高く売れても割に合わないんだよ

一回でもバレたら死刑確定なんだからやめておけば良いのに

正確には、秘密裏に消されるという方が正しいんだけどね

これだけはあのクソ元帥と考えが一致してたんだよね〜



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55話 ニャーン

「どうしてまた無茶をするんですか!」

 

…分かってた…分かってたけどさ

めっさ怒られるのは分かってたけどさぁ…

またしても…縛られるとは…

 

早瀬は古鷹に鎮守府に強制送還され、ベッドに拘束されながら治療されている。

 

「せめて拘束を解除して欲しい…」

「ダメです。今度こそ逃しません」

 

いや…前はロープだったのに…

なんで今回は…四肢を手錠でベッドの足に固定されて、尚且つベルトで更に固定されなくちゃいけないんだ!

腕に2個ずつ!足に2個ずつ!胴体にも2個ずつ!しかも首にまで付けて、頭も固定するか普通!

 

「ぐぬぬぬ!」

「完治するまで拘束は解きませんし、解かせません」

「こんなのストレスで死ぬわ!」

「あなたの命を救いたい…あなたの命を奪ってでも」

「それは違う白衣の天使だろうが!拘束を解けぇぇぇ!!」

「今度こそは、許しません」

 

何でじゃ!何で時雨達を助けに行ったのに私が捕まってんだ!

しかも自分の鎮守府の看護婦に!

妖精さんの力を使おうにも、鈴谷が私の事を話した所為で半径10メートル以内に艦娘が1人足りともいないし、古鷹の艤装はトレースしてもこの拘束は破壊出来ない!

それを見越して、古鷹は治療に専念できるって訳だ…

助けてぇ…助けてよ…

いや治療じゃなくて

 

「古鷹ぁ…拘束解いてよぉ…」

「嘘泣きしてもダメです」

「だよね…」

「早瀬さんが泣く時は、分かりやすいですから」

「ははは…私は嘘泣きが下手くそだからね…」

 

これがど〜しても出来ない…

昔から泣いた事なんて無かったのに、なんで今になって…

もはや幼児退行とは別に何か起こってるのかな?

…なんでだ?

 

「解放してくれたら何でもするからぁ…解放してよ…」

「………………ダメです」

「めっちゃ悩んだな?私をどうするつもりだったんだよ…」

 

これが白露やむっちゃんなら乗ってくるのに…

白露はともかく、むっちゃんには何されるか分かったもんじゃないけどね…

貞操の危機すらあり得る

普段は良い親友なんだけどなぁ…ふとした時に暴走するんだよね…

その状態のむっちゃんはある意味では、私にとって1番の強敵

貞操を奪おうとする最大の強敵なのだ!

……ん?

ちょっと待って?……今の私って防御するすべ…無くない?

今むっちゃんに襲撃されたら洒落にならないぞ!?

 

「ふ、古鷹!拘束は解かなくても良い!私を1人にしないで!」

「きゅ、急にどうしたんですか?」

「私による私存亡の危機なんだよ!」

「なんだか分かりませんが、早瀬さんを1人にしなければ良いんですね?それなら、大丈夫です。治療が終わるまで離れる事はありません」

 

これで一安心…じゃない!

古鷹じゃむっちゃんを無力化出来ない!

そして、よく考えたらこの拘束が艤装をトレースして破壊出来るのかも分からない!

時雨か熊野が近くに来てくれれば助かるけど、絶対に来ない!

…近いうちにむっちゃんに食べられそう…それは…流石に

 

「あと、治療は…急いで欲しい」

「当たり前です。早瀬さんが慣れているとはいえ、痛くないはずがありませんから。自分達の慕う人が苦しんでいるのは、見過ごせませんから」

「うん良い子だね…拘束しなければ」

「拘束しないと逃げるので」

「逃げないからさ?絶対に逃げないから?逃げたら私の身体を好きにいじって良いからさ?ね?良いでしょ?」

「ダメです!もし逃げたら傷の治りが更に遅くなって跡が残っちゃうんですよ!」

「別に良いじゃん…」

「良くありません!私が嫌なんです!」

 

大切にされてるのはさ?良いんだけどさ?

ウチの子達って何かとやり過ぎなんだよ…

他の鎮守府に遊びたいっぽいって言ってガチファイトに発展する子はいないし、目覚ましスパークする子もいないし、司令官を拘束して治療する子もいない

ましてや、司令官を襲おうとする子なんて聞いたこと無い!

まあ?ガチファイトになったところで、全部私が教えたものなんだから私が負けるはずもなく

目覚ましスパークも今回の一件で、極限まで手加減してるのが分かったから、まあ許そう…ただ、電圧上げてくるならまた口に電極ぶち込んでやる

拘束されようと、その気になれば司令官権限で古鷹の自由を奪えば拘束を解かせることが出来る…やりたくないからやらないけど

そして…私を襲おうとするならば、自らの艤装で果てるが良い!

 

「治療完了以外だったら何したら拘束解いてくれる?」

「私に早瀬さんを下さい…なんて冗だ…」

「良いだろう、この拘束が解かれるならば、致し方あるまい」

「あの、いや…冗だ…」

「さあ好きにするが良い!いたぶるのよ良し!舐るのも良し!犯すのも良し!貴様の好きなようにするが良い!」

「そんな事大声で言わないで下さい!私が大変な目に…」

 

早瀬がそう叫んでいると、廊下の方からドタドタと複数の走る音が聞こえて来る。

そして、医務室の扉が勢い良く開かれ、扉は外れて壁に叩きつけられる。

 

「早瀬をいたぶるだの舐るだの犯すだの!いくら古鷹さんでも許さないよ!」

「そうクマ!球磨達の神である早瀬さんに何かしようとするのは、いくら古鷹でも許されない事クマ!」

「違うの!これは…」

「そうだぞ!舐めたり…」

「長門さん!…はっ!しまった!」

 

そう、私がああ叫んだ理由は…

長門だ

長門の艤装は単純パワー型艤装であり、視覚に艤装不良がある為に耳が良い

だから、私は声に出して叫び、長門を呼び寄せた

そして、艤装トレースのデメリットである艤装不良は1時間で消えるのは海風の艤装から把握済み!

私の勝ちだ!古鷹ぁぁ!!

 

早瀬は拘束を破壊し、ベッドから飛び起きる……事は出来ず、飛び起きようとして床に落ちる。

 

「グエェ…」

「そうでした、その首の拘束具だけは特別製です。いくら早瀬さんが艤装の力をトレースしようと絶対に破壊出来ません。本当は早瀬さんの服を脱がせて拘束して、逃げられなくしたかったんですが、流石に怒られそうだったんですよね…」

 

怒りゃしないけど…こんなチンチクリンボディなんてロリコンしか喜ばないしね?

まあ、実はそっちの方が楽だったんだけどね…

服なんて古鷹から強奪すれば良かったからね…

だけど、実際に使われたのはこの異常に頑丈な首輪……首輪?

……ニャーン♪…やってる場合か…

 

「それ以上近づいたらぶん殴るからな長門」

「何故私だけなんだ!」

「お前が1番危険だからだ!」

「早く全員出て行って下さい!こんな状態じゃ治療が出来ません!傷が開いて早瀬さん死んでも良いんですか!」

 

…死ぬかよ!

…なんて言えるような状態じゃないんだよね〜

傷の治りが異常に遅いから、傷が全然塞がらない

古鷹の力で何とかなってるけど、普通なら30分間傷が塞がらずに失血死する…

だから、あながち間違いでも無いんだよ

 

「わ、分かった…」

「半径10メートルに近付く事も許しません!」

 

部屋に入って来たメンバーは、古鷹に全員外に出される。

 

「助けて〜…助けて〜」

「助けてって…治療してるじゃないですか」

「ニャーン…ニャーン…」

「急にどうしたんですか…」

「飼い猫みたいだなぁ…って」

「飼い猫っ…飼われているのは私達なんですが…」

「飼ってないし…そう言えば姫どこ行った?前にもこんな事行ったけど」

「お呼びですか?」

 

駆逐棲姫は早瀬が拘束されているベッドの脇からヒョコっと頭を出す。

 

うわっ!なんでそこにいるの!?

目を使ってなかったから超ビックリしたし…

頭の上に私が飼うとか言った野良猫が乗ってるし

 

「?…姫ってそんなに流暢に話せたっけ?」

「流石に慣れました…もう陸にいる時間の方が長いので」

「…もしかして深海棲艦になって間もなかった?」

「そうですね…早瀬さんに会ったのは深海棲艦になって2週間目です」

 

おぉ…ガチのロリやんけ…

 

「あっ!この首の拘束具の鎖を切って♪」

「分かりました」

「あっ」

 

駆逐棲姫は早瀬の首に付けられた拘束具の鎖を素手で引き千切る。

 

やっぱり幼くとも姫クラス

パワーは艦娘の比じゃないね

 

「んん〜…やっと拘束無くなったぁ…さあ、治療に専念しなよ」

「逃げないんですか?」

「逃げたら身体を差し出さないといけないからね」

「本気だったんですか?」

「当然。さて、治療が終わるまで姫は私と遊ぼうか」

 

とは言っても運動系は出来ない

何しようかな?将棋とかチェス、オセロや囲碁…

いやなんでここにあるんだ?

まあ良いや

 

「早瀬さんの為に陸奥さんが置いて行きました」

「アイツ私を舐めてんのか…狙ったようにボードゲームしか無いし、姫相手にボードゲームなんかしたらイジメ必至だろうが」

「大丈夫です!千夏ちゃんとたくさんオセロをしました!」

「ふむ、じゃあオセロをしようか」

 

早瀬はベッドの上にうつ伏せになり、ベッド脇から頭を出している駆逐棲姫の前にオセロのセットを置く。

 

「それじゃあ、先攻後攻はそっちが決めて良いよ」

「いくら早瀬さんでも負けませんよ、早瀬さんが鎮守府にいない間、ずっと千夏ちゃんとオセロを頑張ってましたから!」

「はは…期待しておくよ」

 

ただなぁ…遊びだとはいえ

相手は千夏ちゃん…指揮に関しては教えてあげてるから、鎮守府の子よりはマシだけど…正直本気でやったら話にならないんだよね…

慢心とか抜きにしても…負ける気がしない

どうしたものか…手加減なんて出来ないんだけど…

 

早瀬と駆逐棲姫はオセロを開始する。

 

「良い感じです!」

「そ、そうだね…」

 

わざと負けるような手を打たないとまともに勝負にならない…

いや、こうなれば考えなければ良いんだ!

置けるところに置いていけば、純粋に良い勝負になるはず!

 

早瀬と駆逐棲姫はオセロを続ける。

その結果…。

 

クソぉ…全然負けない…

もうこれで13連勝…

私には思考を放棄する事は出来ない…つまり、負けない

負けられない

 

「どうして…」

「う〜ん…仕方ない…次は本気でやろうか…そして、終わりにしよう」

「えっ…」

「君達を一方的に蹂躙していた者の力を知るが良い…」

「えっ?え?」

 

早瀬は最後と称して、オセロを開始する。

 

「それじゃあ…好きに色を決めなよ」

「うぅ…嫌な予感しかしません…」

「まあ、君はある意味素質があるよ」

「うっ…し、白で…」

「それじゃあ私が先攻だね」

 

最後のオセロが開始される。

そして、数十秒後…。

 

「2人でオセロですか?って綺麗な形に揃える遊びじゃありませんよ?」

「あの……普通に負けました…」

「2人合わせて9手で終わりだよ…普通なら狙っても出来るものじゃないんだけどね」

「早瀬さん、手加減してあげないとダメですよ?」

「手加減して何回かやっても一回たりとも負けられなかったんだよ…だから、最後くらいは本気でやってやろうと思ったんだよ」

「だからって…ひし形になりますか…」

 

ホント…今までの傾向から出来るとは思ってたけど…

いやまぁ…子供同士なら楽しめるだろうさ…

ただ…私は子供じゃないんだよね…



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56話 司令官で遊ぶな

傷も塞がって、古鷹に許可も出たし

仕事をするか♪

……なんて、張り切ってたんだけどさぁ…

みんな元帥の地位って要らない訳?

誰も申請して来ないって事はそう言う事だよね?

何で前よりも申請減ってるの?

 

「白露…申請書勝手に捨ててないよね?」

「捨てる訳ないでしょ…捨てたら私が解体されちゃうよ…」

「そうだよねぇ…何で来ないのかな?」

「前の元帥って他者の追従を許さない程圧倒的に強かったからかな?早瀬は呆気なく倒したけどね」

「まあ、アレは7割ズルだしね〜」

「そのズルすら普通の人は出来ないよ…」

 

う〜ん…書類すら全然無いって事は元帥って深海棲艦が動かない限り暇?

いや、まぁ…全然無いとは言っても山が1つ出来るくらいはあるんだけどね

私の想像ではこの3倍以上を想像してたからさぁ…

 

「それはそうとさ……何で猫耳付けてんの…」

「何となく」

「何となくで装備するようなもんじゃないでしょ…」

「いやさぁ〜最近猫の真似事はしたらさ、古鷹がくれたんだよね」

「古鷹さん…」

 

まあ、それからむっちゃんから肉球の手袋をもらって

セットで付けてたら、今度は鈴谷が面白がって妖精さんから尻尾をもらって来て、雷が「まだ足りないわ!」って言って猫の足みたいな靴をもらってセット装備してるんだよね

それに加えて、私が真っ白なワンピースなんて着てるから全身真っ白

だから、今現在では、謎の猫コスプレ状態なんだよね

 

「その手袋で何でペン掴めるのよ」

「分かりづらいけど、ちゃんと五本指なんだよコレ」

「何でそんな便利仕様なのさ…」

 

早瀬が書類を片付け、白露は猫に警戒され頭に噛み付かれている。

そして、白露は早瀬が着けている尻尾が動いている上にペンを持って書類を書いている事に気が付き二度見する。

 

「!?何で動いてんの!?」

「これって妖精さんが完全にお遊びで作った物でさ、感情とかで動くんだよ」

「その無駄仕様は何なのよ…」

「ついでに言うと、古鷹がくれたこの耳もそうだよ」

 

早瀬はそう言って、猫耳を動かす。

 

「何でそんなの着けてんのさ…」

「装備解除不可だから」

「何その呪いの装備…」

「しかも正確に言えば、もらったんじゃなくて着けられた…だからね。当然お仕置きはしたよ」

「みんなに何をした!」

「フハハハ、貴様も同じ所に送ってやろう」

 

早瀬は無表情かつ棒読みでそう言う。

 

「それで?みんなは?」

「同じ部屋に閉じ込めて、小窓だけ開けて部屋の中に例のマタタビ爆弾の強化版を炸裂させた」

「うわぁ…」

「小窓から野良猫が山のようになだれ込んで来て、スリスリされてカミカミされる…まあ、古鷹だけ全く相手されてないけどね」

 

古鷹は無類の猫好きだから自分から近寄って行って構い過ぎて猫が逃げ始めて、全猫から逃げられて部屋の隅で体育座りしてるよ

他の子達は、猫に揉みくちゃにされてカミカミされてるんだけどね

 

「どうせ古鷹さんが猫に構い過ぎて逃げられたんでしょ」

「そうだよ。ついでにその部屋ってこの部屋の真下の部屋だよ」

「へぇ〜…」

「そして、仕事放棄してる秘書艦も没シュートです」

「へ?」

 

早瀬は手元にあるボタンを押して、逃げようとて、扉の方に行った白露の足元が開き下の部屋に落ちる。

 

「ふん…秘書艦席ごと落としたら下にいる子達が危ないでしょうが、少し考えれば分かる事だろうに」

「お母さん?」

「ん?何?」

 

千夏が部屋の扉を開けて入ってくる。

 

「仕事は…って終わってる」

「まあね〜こんなちっこい身体してても作業スピードが落ちる訳じゃ無いからね」

「そっか……それでさ!コレあげるね♪」

「鈴…」

 

完全に遊ばれてる…

しかし…千夏ちゃんからの物を拒否するのはなぁ…

 

「う、うん…ありがと」

「それと、明石さんから預かって来たよ」

 

明石…

 

千夏が持って来たそれは、何やら大きめの機械で、台車の上に乗っていた。

 

「コレは何?」

「それは、簡単に言えばこの外れない耳やら尻尾を取るための装置だよ」

「それ取っちゃうの?」

「千夏ちゃんこそ嫌じゃない?親がこんな訳の分からない物付けてるんだよ?痛すぎるでしょ?」

「?そんな感じはしないよ?」

 

…見た目か

しっかし、妖精さんも随分な事してくれるじゃないか…

こんな物作って艦娘達に適当に渡してくれちゃって…そのせいで今の私がそこそこ可哀想な事になってんだぞ…

取れない上に見た目があざといと言うか、親が着けるコスプレ衣装じゃねぇ

そもそも親がコスプレをするもんじゃねぇなぁ…

 

「もう少し着けてたら?」

「何でさ…」

「可愛いから?」

「親に可愛い…か…しかし!私が嫌なのでとる!」

「えぇ〜…仕方ないか…それで、その機械でなんでその耳や尻尾が取れるの?」

「この機械は、妖精さんを休眠状態する音波をだす機械……まあ、妖精さんが大好きな音ですぐに眠くなるだけなんだけどね」

「それって危ないんじゃ…」

「いや、この機械の射程って精々が1メートルくらいしか無いから、鎮守府全体を停止出来ない。だから、そこまで危険な物でも無いんだよ」

 

早瀬はそう言って、その機械に近付いて行き、機械の電源を入れて起動させる。

…起動して、音波が出た瞬間、早瀬はその場に倒れる。

 

「お母さん!?」

 

千夏が早瀬に駆け寄ると…早瀬は眠っていた。

 

「あれ?寝てる」

 

そう、この機械は妖精さんを休眠状態にする。

そして、早瀬は最早半分以上が妖精と同じ構造になって来ていた。

それが何を意味するのか…それは、早瀬と妖精さんと同じで休眠状態になるという事だ。

 

「ベッドまで運ばないと!」

 

千夏は自分よりも小さくなった早瀬をおんぶし、早瀬の部屋のベッドに寝かせる。

 

「コレでよし…あれ?妖精さん?」

 

早瀬をベッドに寝かせてからすぐに、妖精さんが早瀬のすぐ近くに沢山現れ、早瀬の上で眠り始める。

 

「妖精さんの事だから…分かんないけど、眠かったのかな?」

 

千夏はそんな疑問を持ちながらも、早瀬のベッドに登り、早瀬の隣で横になる。

 

———————————————————————————————

 

早瀬や妖精さん、千夏が眠りについた頃…。

 

「何で私だけ…」

「良いじゃない!噛まれないんだから!」

「猫さんに噛まれるのもまたいいんですよ…」

「あっそうだ!」

 

白露は部屋の隅で体育座りしている古鷹の近くに移動する。

すると、猫達は白露から離れる。

 

「やっぱり!古鷹さんに近付くと猫が寄って来ない!」

「白露ちゃん…追い討ちして楽しい?」

「なるほど、じゃあみんな古鷹さんの周りに集まるわよ!」

 

雷の合図で全員が古鷹の近くに移動すると、猫達は古鷹の手の届かない範囲で、ゴロゴロしたり猫同士で絡み合ったりしている。

 

「みんな酷いですよ…」

「ごめんって」

「それにしても、ここからどうやって出ましょう?壁や扉、窓を壊したら早瀬にもっとキツイお仕置きされる可能性があるし…」

「早瀬は上の部屋なんでしょ?謝れば許してくれるんじゃないかしら」

「…それが、早瀬は多分今寝てるよ…」

 

白露はこの部屋に落とされてからも、早瀬の音を聞き続けていた。

その為、早瀬が妖精休眠装置を起動した途端に倒れ、寝始めたのも聞いていた。

 

「早くないかしら!?まだお昼前よ!?」

「ここには早瀬の事を知ってる人しかいないから言うけど、早瀬は妖精休眠装置を起動させて、あの耳や尻尾を取ろうとしたんだと思うんだけど…早瀬も半分以上妖精だから寝ちゃったんだと思う…そして、千夏がベッドまで連れて行って、今は一緒に寝てるよ」

「なんとかして出られないかしら?」

「時雨なら開けられると思うよ」

「なんで?」

「時雨は早瀬からピッキングを教えられているから…」

「えっ時雨ちゃんそんなこと出来るの!?」

 

早瀬は主に白露型に変な知識を教え込む事が多く、時雨にはピッキングを教えていた。

白露には射撃や護身術や武道系の戦闘重視。

時雨にはピッキングを始めとした、爆弾政策やらの工作系。

村雨には爪剥ぎや、指ごとちぎるなどの拷問系。

夕立には武術、ナイフ、抜刀術、受け身などの完全な近接戦闘重視。

春雨にはハンドガン、アサルトライフル、ショットガン、サブマシンガン、手榴弾などの中遠距離重視。

改白露も海風だけが早瀬から応急治療やらの治療系を習っていたりする。

 

「時雨は凄いんだよ〜…私が頑丈だからって休日に寝坊したらスパーキングしてくるんだ〜…しかも考えてる事がバレまくるから、生体電気すら感じ取ってんじゃないかって最近思ってる」

「流石にそれは無いと思うよ白露ちゃん…」

「それよりも、ここから出る事よ」

「この部屋の扉壊したら何されるかな?」

「安全に脱出は諦めたんだね…」

 

白露はおもむろに携帯しているハンドガンを構える。

 

「当てられるの?」

「当然…だけど、早瀬が対策してないとも考え難いんだよね…」

「なんか凄い硬そうよね」

「最悪の場合、発砲と同時に部屋が爆発とか…」

「それは猫がいるから、大丈夫よ」

「まあ、成るように成るでしょ」

 

白露がトリガーに指をかけると、部屋の天井の隅から機銃が現れ、白露はそこから発射された麻酔銃で眠らされる。

 

「まあそうなるわよね」

「これってどうしたら出られるのかしら?」

「早瀬さん寝ちゃってるなら、誰かに助けてもらうとか?」

「スマホもしっかり没収されてるのよね…」

「小窓から呼んでみる?」

「ここ3階なのよね…」

「耳が良い子達は聞こえるだろうけど、早瀬からのお仕置きだって言うことも分かるから、助けてくれるかは半々ね」

 

雷はそんな会話をしている間に、白露を猫の方に押して猫の山を築き上げる。

 

「電なら助けてくれるわ」

「でも、電は耳が良い子じゃないはずよ?」

「そうなんだよね…」

 

白露が猫に噛まれたり、擦り寄られたりしているのを尻目に脱出方法を考える陸奥達。

その中で1人だけ揉みくちゃにされる白露を眺めるだけの古鷹であった…。



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57話 両親着任

…はっ!

寝てた…妖精さんを眠らせるなら、私も眠らされるか…

しかし困ったぞ…って!今日着任じゃないか!

マズイ!今は完全に猫だぞ!いや猫では無いけど猫装備一式付けてるんだけど…

 

早瀬は仕方なく、一階にあるホールに向かう。

その際、早瀬は上からフード付きのパーカーに長めのスカートで耳や尻尾を隠す…しかし、手袋と靴は丸見えである。

それでも、時間が無い為、今日着任である軍医2人を迎える為、一階に向かわねばならなかった…。

 

「司令官さん?どうしてそんな…」

「気にしないで…」

 

そして、正午になり門前から連絡が入る。

 

『軍医2名到着しました』

「うん…通してくれ…」

 

幸い、私は感情コントロールが何かない限りは完璧だから、耳をペタンって出来るし、尻尾もこの長めのスカートから出ないようにも出来る…

ただ…アイツらを前にして感情を乱さないように出来るだろうか…

昨日お母さんに会った時点で完全に感情は乱れっぱなしだったし…

 

「はぁ…」

「そんなに嫌なら、追い返しては…」

「そんな事出来ないよ…」

 

海外から来てるし、実家に帰そうにも遠い…

 

早瀬がフードをかぶり、頭を隠した状態で軍医2人がホールに入ってくる。

1人は女子高生の様にしか見えない若い見た目の女性。

また1人も若々しいのだが、まさしくダンディなカッコいい男性というイメージの男性だった。

 

「斎川綾子《アヤコ》ならびに斎川秀明《ヒデアキ》両名到着しました!」

「…任せた春雨ちゃん」

「えっ…えぇ…長旅ご苦労様です…楽にして下さい」

「早瀬ぇ!会いたかったぞ!」

「…」

 

父親が早瀬に向かって来るが、早瀬はそれを避け顎を正確に打ち抜く。

そして、父親はそこに倒れる。

 

「容赦無いですね…」

「殺してないから容赦はしている」

「あ〜あ…やっぱりこうなったわね」

「躾けておけよ…」

「司令官さん、犬じゃないですよ?」

 

分かってはいるけど…

どうしてもね

 

「あと、どうしてフードを被ってるのかしら?」

「何だっていいでしょ…」

「でも…」

「うっさいなぁ!なんだって良いだろ!」

 

あっヤベっ…

 

怒りをあらわにした事で、耳と尻尾が立ってしまう。

 

「耳?」

「うぅぅ…ふん!」

 

早瀬は猫の手袋をした状態で母親の顎も正確に打ち抜き気絶させる。

 

「一撃必殺ねこぱんち…」

「どうするんですかこれ…」

「医務室にでも入れておけば良いでしょ」

「私1人では無理なので、戦艦の人を呼んで来ますね」

「あっ、ちょっ…」

 

どうしよ…

戦艦の子達とはそんなに話せる人がいないぞ…

単純にデカくて怖いんだよ…怖い子とかはいないのは知ってるんだけど…

この姿だと、尚更そういうところが顕著になるから、多分まともに話せないよ…

 

春雨は、近場で見つけた伊勢と日向を呼んで来た。

 

「呼んで来ました」

「…うん」

「それじゃ、ちゃちゃっと運んじゃおうか」

「そうだな」

 

無理だって…話せないって…

伊勢はともかく日向がどうしても…ね

フレンドリーな子ならまだ接しやすいんだけど…やっぱり、人見知りは治したいなぁ…

 

「早瀬さんって全然喋らないよね?」

「そうですか?」

「確かにあまり話した記憶は無いな…それでも、あの人は我等を拾ってくれた大恩人だ気にする事でもあるまい」

「司令官さんが皆さんとあまり