オバロ未完集 (赤紫蘇 紫)
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おばます!

執筆開始21:04 2019/02/26
長くなりそうで続きを書き切れなさそうだったため、出だしだけ書いたのをアップ。


(あぁ、もう……。考えることが多すぎて、マジでパニックなんだけど!?そもそもさぁ、俺、普通の営業マンだった訳だし。威厳のある態度とか無理だってば!!)

 脳内でそう叫びつつ、モモンガは円卓の間で大きく溜息を吐く。もう肺など存在してはいないというのに。

「罅から出てきたモンスターを倒すと、新たなモンスターを召喚出来る、か……」

(まるっきりガチャだよなぁ、改めて考えてみても。データクリスタルに似た、謎の石を50個で一体召喚、か……)

 モモンガは、アイテムボックスから大量の石を取り出してみる。異形と化したことによって通常の成人男性よりも遥かに大きい掌の上には、山のようにこんもりと盛り上がった、謎の石がある。何十どころではない、何百ものそれを、モモンガは無造作に使用する。

(……モンスター以外にも、召喚出来たりしないのかなぁ。例えば、一番最後までインしていたヘロヘロさんとか。もし、ギルメンが召喚出来るのなら……俺、死ぬ気で石狩りに行くのに)

 中々にガチャが渋かったユグドラシルを思い出し、モモンガの廃課金の血が騒ぐ。(もう血など通っていないが)500円のガチャを100連回しても掠りもしなかったレアアイテムもあった。ボーナス全力投球で500連して漸く出た流れ星の指輪、なんて物もあった。(やまいこはワンコインで出したが)

 だが、レア物コレクターのモモンガは、一般市民なのにかなりの額をユグドラシルに貢いでいて……所謂高額課金者としてもギルドの内外に広く知られていた。……そんな彼が、ガチャと極めて似ているこの仕様に反応しない筈もないのだ。

(100連くらいぶん回せば、何か有用な物が出てきたりしないかなぁ……)

 そう思いつつ、モモンガは最初の時のように罅に向かって謎の石を翳した。すると、いつもなら複数のモンスターが出現する筈なのに、今回は一体も現れない。それどころか、今まで一度も見た事がないような、眩い虹色の光が辺りを埋め尽くす。

「!?何だ!?この光は!」

 思わず、一歩後退る。だが、何が起こっても良いように、視線は絶対に逸らさない。モモンガが眼窩の炎を強めて真正面を睨み付けていると……懐かしいシルエットが見えた。

「……え……?まさか、本当に……?」

 それは、モモンガが強く待ち望んでいた者。漆黒の毛に漆黒の立派な角。優雅なマントに、特徴的なハットとハーフサイズのペストマスク。戸惑ったような顔をした彼は、紛れもなくアインズ・ウール・ゴウンのメンバーの一人……大災厄の魔こと、ウルベルト・アレイン・オードルその人だった。

「……あれ?モモンガ、さん……?」

 現状を把握していない彼は、首を傾げながらモモンガを見つめていた。

 




最初に高火力のウルベルトさんが来たので二人で石を狩って次々と召喚→ギルメンが増えていくお話でした。(高火力の人の方が石狩り効率良さげだったので。広範囲魔法使えるし)
二番目にたっちさんかヘロヘロさんかぷにっと萌えさんかで悩んでたのです。ペロロンさんは三番目以降かなー、とか。
オバマスのリリースが嬉しくて、衝動的に書き始めたお話です。
……ちなみに、弊ナザリックには未だモモンガさんは来てません……orz


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深淵【パンドラズ・アクター】

私の中で、パンドラズ・アクターは深い闇を抱えております。そんな解釈で書いていましたが、書ききれない予感がしたので未完集へ……。
※NPCは創造主に似る、という仮説を採用しておりますので、つまりモモンガさんも……。
執筆22:47 2019/02/17


 ナザリックが、ユグドラシルとは違う世界へ転移したようだ、と父上にお聞きして。私自身、あの時とは違い自由を得たと気付いた瞬間。他のNPCの挙動が気になったのだ。

(……私は、父上の望むとおりに産まれ、生き、そして死ぬ物だと当たり前のように思っているが……他の方々も、そうなのだろうか……?)

 私は、父上に創造された。被造物で、忠実な僕だ。ナザリックの誰よりも父上を敬愛し、彼の方の幸せの為に尽力する。それが、私の存在意義なのだ。

 父上が望んでいるのは、他の至高の方々の帰還。父上と同格の方々を、転移前からずっと渇望していた。それは、他の誰も知らない事実。私だけが知っている、真実。父上は、至高の方々が徐々にお隠れになった際に、私へ皆様のお姿を取れるように、と設定をされた。そのお陰で、私は父上のお心を慰める事が出来たのだ。父上を含む、至高の四十一人と呼ばれる方々、全ての姿に変身できるナザリック唯一の存在。それが、私だ。ユグドラシルでは喋る事は出来ず……ただ、父上の話を聞くだけだったけれど。今は、父上の望むように答えを返す事が出来、より父上の望みを深く叶えられるようになったのだ。

 そんな私は、恐らく誰よりも父上を深く知っていると言っても過言ではないだろう。創造主である父上の表層意識は読み取る事は出来ないけれど……それでも、今までの長い年月の会話の蓄積がある。至高の御方がお隠れになる度に、父上は此所に来て私に変身出来る姿を追加した。そして、その御方に関する思い出話をして下さっていた。時には、動画を見せて下さったりもした。"オフ会"という集まりの動画も見せて下さったが……そこに映っていたのは、人間種ばかりで。だけど、それでも私にはそれが父上と至高の方々なのだと理解出来た。何故人間種になられているのかは不明だったが、アインズ・ウール・ゴウンには偉大な魔法詠唱者が何人もいらっしゃる。確か、悪魔の支配者であらせられるウルベルト・アレイン・オードル様は人化魔法も操っていらっしゃったと記憶している。それに、大錬金術師のタブラ・スマラグディナ様も各種薬剤を開発していらっしゃった筈だ。だから、私には想像もつかないような遠大な計画の一環で皆様は人化して集まっていらっしゃったのだ、と解釈した。

 皆様の人間種のお姿は、ナザリックにいらっしゃる時のお姿とは似ても似つかないが……それでも、言動の端々からも御本人だと分かった。だから私は、父上を喜ばせる事が出来るよう、その全てを記憶する。喋り方の癖や、動き方。視線の向け方など、ナザリックでは見る事が出来ない沢山の情報を動画から仕入れた。そして、脳内で皆様の動きをトレースする。何度か繰り返すと、違和感無く行えるようになった。ユグドラシルでは実際に動いたりは出来なかったから、この能力が役に立ったのは此方へ来てからの事だ。

 私が父上の望むように姿を変え、望むように喋ると、父上はいたく喜んで下さった。そうして、必ず私を労って下さった。私は、父上の被造物だからそんな事をなさらなくても良いのに。……本当に、父上は寛大でお優しい方だと改めて思った。

 

 

 

 宝物殿の外に出る事が許されてから。私は、NPCたちの意識調査を行った。対象者にはそうと悟られぬよう、単なる雑談のような感じで。父上が仰っていた、"他者に好感を持たれるよう演じろ"という御言葉の通り、本来の私よりも控えめで他者を立てるように配慮しながら。その結果、全く問題は起こらず。驚く程スムーズに調査は完了した。

 ……そして。女性守護者の一部が危険だと判明したのだ。

(……。何故、あのような考えに至るのか……。私には、全く理解が出来ませんが。可能な限り彼女たちの思考をトレースしないといけませんね。そうでなければ、彼女たちはいつか父上に害を為すかもしれませんから)




微妙に千年の孤独とリンクするようなシリアスになる予定でした。
モモンガさんがパンドラズ・アクターに言った台詞は同人誌版黒山羊さんに出て来る物です。


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