もしもイッセーが大変な変態だったら (天ノ羽々斬)
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旧校舎の変態
00.兵藤一誠※


 俺の名前は兵藤一誠。皆はイッセーと俺の事を呼ぶ。

 

 女子たちは日々俺の事を噂し、騒いでいる。

 

 ……この年になるまで、辛い日々だった。

 

 催眠術や刷り込みといった精神的な技術、邪魔な男をおっぱらったり女を押さえ込んだりする肉体的な技術。

 

 

 俺が五歳のときに合ったあのおっぱいのおっちゃんのお陰で俺の世界は一変した。

 

 

 ──乳を沢山揉む。

 

 つまり、沢山の女を抱き、経験しろ、と俺は都合よく解釈した。

 

 はっきり言うが、俺はブスとヤりたくはない。そうだろ? 見た目はそこまで気にしない。まぁ、美しければ美しいだけ良い。清楚なら清楚なだけ好ましい。

 

 実生活では清楚な女たちが俺の前では卑しく俺を求める性奴隷に成り下がる姿。

 

 

 ──ああ、想像しただけでぞくぞくする。

 

 

 どこぞのハゲとメガネが童貞がどうのと騒いでいるが、まぁ気にしない方がいい。

 

 今日が初の催眠術の発動日だ。

 

 なにせ俺に好きだと言ってきた女がいた。

 

 天野夕麻。くくっ、いい実験体だ、みてくれもいい。慎ましくも主張する胸、スレンダーで細い腰、ぷりりとした尻もたまらない。あの時たま見せるつり目もぞくぞくするねぇ。じっくりねっぷり調教して、彼女から牝奴隷第一号へと格上げしてやる。

 

「おいイッセー、次の授業はじまんぞ」

「……ん? ああ、わりぃ」

 

 まぁ、今は学生の身分だ。勉学にも精を出すさ。女共に精を注ぐ傍ら、な。くははは! まってろよ俺の女たちよ!!

 

 

 

 

 俺はまず初デートにさそい、少しだけ隷属させることにした。初っぱなから催眠術なんか使ってりゃあ面白味もなにもねぇからな。

 

 ちなみにだが、俺の両親は他界してる。んー、五年前だったか? 不運にも交通事故でな……。

 

 まぁ、多額の財産を残してくれてたから食っていけるわけだ。高校出たらさっさと就職したいものだ。そして山奥の大豪邸で裕福に暮らしながらも女を自由気ままに抱き続ける生活……いや、性活か。くく、ぞくぞくする。ああ、楽しみだ。

 

 お陰で料理スキルも上達した。それだけじゃねぇ、いわゆる『何度でも食べたくなる料理』ってやつらしい。これは友人談。

 

「イッセーくん、待った?」

「いや、今来たところさ──夕麻ちゃん」

 

 うむ、初々しそうな演技も上等だな。俺は恋……うむ、恋はしたことねぇな。

 

 うーん、恋、か……たぶんだが、あの赤い髪の女……リアスとかいったか。プライドの高そう面しててよぉ。落としがいはありそうだな。でもまぁ、今は時期じゃねぇ。

 

 今は目の前のこの女だ。天野夕麻……こいつを俺色に染め上げて俺以外見えなくさせてやるよ……くくくっ!

 

 

 夕麻ちゃんがトイレのために一旦席を離れた。……今のうちだな。

 

 俺は懐から小さな瓶を取り出すと、彼女の飲み物へと混入させる。回りは俺の行動なんざ見ちゃいない。

 これは無味無臭の媚薬だ。通販なんかでも簡単にてにはいるシロモンだ。こいつを飲ませてとりあえず発情させる。んで、俺は抱いて隷属させるって寸法だ。

 

 種類によっちゃあ効きにくい種類の人間もいるらしいが……大丈夫だろ。なんせそっち界隈では有名な『フォーリン製薬』のイチオシ品で、どんな種族でも、例え天使や悪魔でも発情させるとかいうすげー謳い文句だったしな。ちょっと値が(かさ)むが、必要経費故、仕方ない。

 

「ふぅ……」

 

 彼女は息を吐くと、躊躇い無く媚薬入りのアイスティーを飲んでいく。しかも飲み干した。

 

 くくっ、これで完璧だ。たしか効能のところによると、人間相手なら早くて二時間、遅くとも三時間後にはどんな種族も発情状態になるってはなしだ。すげぇな、さすがフォーリン製薬。

 

 世界を征服なんてちゃちな夢は要らん。女がほしい。女を抱くためだったら社長だろうが悪魔だろうがなんにだってなってやるぜ。くくくくっ!

 

「あ、次は服屋さん行く?」

「おう、いいぜ」

 

 服屋か。くく、服屋なら一時間ほど潰せるな。

 

 

 服屋やゲーセンを見て回り、あたりはすっかり暗くなってきた。

 

「はぁ………はぁ……」

 

 夕麻ちゃんは息を荒くして顔が赤い。

 

「どうかしたのか、大丈夫か? もし辛いなら何処かへ……」

 

 と、わざとらしく言葉をつまらせる。そりゃそうだ、ここはラブホ街が近い位置だからな。

 

「あ、べ、別に変な意味じゃないからな!?」

 

 取り合えずこうやって狼狽えておこう。

 

「……うん、わかった」

 

 ほら、返事した。

 

 

 おかしい。なにかがおかしい。私はぼうっとする頭で考えた。

 

 兵藤一誠。見た目は地味だけど気配りの聞く餓鬼。そして殺害対象、そのはずだった。

 

 

 その男に対して、私が欲情し始めたのは、日が落ち始めた頃だった。

 

 おかしい。なにかがおかしい。

 

 私はベッドに寝転がりながら欲にかられる。

 

 したい、したくない、したい、したい。

 

 調査の限りでは性交渉を一度もしたことがないと聞く。彼は顔を朱に染めつつもこちらの心配をしている。

 

 それが少し気にくわない。こんなに欲情してるのに、なにもしてこない、気づきやしないこのもどかしさに。この餓鬼が。

 

 頭がぼうっとする。したい、したい、したい、したい。

 

 それしか考えられなくなった頃、彼が心配そうな顔をする。

 

 

 そして──悪魔の囁きをする。

 

 

「本当に大丈夫? もし俺に何か出来ることがあるなら言ってくれよ。できる範囲なら()()()()するぞ?」

 

 それが引き金(トリガー)となった。

 

 私は彼の腕を掴むと、こう言う。ああ、自分が自分でないようだ。

 

「なら……一緒に寝て」

「……こうか?」

 

 彼がベッドに潜り込み、隣に寝る。

 

 彼から、雄の臭いがする。濃厚な雄の香り……たまらない。

 

「うん。そしたら――して?」

「え……なにを?」

「えっちできもちいーこと、して?」

 

 こんな甘えた声が出せるのかと自分でも驚いた。甘く、囁くような声だ。

 処女なんてとうに捨てていたのに。アザゼル様とシェムハザ様の寵愛を受けたいのに。

 まるで、恋人にささやくように、初めてを捧げるようにそう呟いていた。

 

「……っ、俺なんかで、よければ」

 

 彼は一瞬つまるものの、OKをした。

 

 彼に胸を揉みしだかれ、恥部に触れられ、掻き回され、そして彼のアレに貫かれ、はしたなく絶頂する。そして、彼の熱い精を膣で受け止める。

妄想だけで秘部は蜜を滴してクロッチを濡らす。ああ、今日は縞パンなんてはいてくるんじゃなかった。所詮、私は堕天使だ。快楽に勝てるはずがない。

 

 ──もう、我慢なんて、できない。

 

 彼は意を決すると、ゆっくりと私のお腹に手を回す。

 

「それじゃ、触る、ぞ」

 

 緊張した声色で彼が私の胸に手をあてがう。そして、私の胸をおっかなびっくりといった風に揉み始めた。

 

「んっ……」

 

 思わず声が出てしまう。しかし、彼はお構いなしといった風に胸を丁寧に揉んでいく。

 

「女の子のおっぱいってこんなに柔らかいんだ……」

 

 本当にこういったことは初めてなのか、感心したようにそういう。

 

 ──もっと、強く……!

 

 私がそう思考する寸前に、彼は私の服に手をいれ、ブラ越しに揉みしだいていく。

 

 段々と手つきが慣れたように動き始める。童貞にしては上手い方だな、と思う。

 

「ブラ、取るぞ」

 

 こちらが小さく頷くと、彼は私の上着を脱がせて、上着をベッドの脇に落とす。

 そして、左手を私の乳房にあてがい、右腕を後ろに回すと……

 カチンッ。私のブラのホックを片手ではずした。

 私は右を下にして寝ているので、必然的に私と向かい合っている彼は左手で乳房を揉みながら右手で操作している。

 彼の側へ、ブラの背中のホック部の片方を持ってくると、そのままするりと腕にそって動かした。

 すると、肩の帯とカップの部分も共に少し下がる。彼はホックから手を離し、肩ベルトへ右手を伸ばす。その間も忙しなく左手は執拗に胸のみを揉んでいる。

 ついにその左手も肩ホックに手を当てると、私の手を沿うようにブラを下ろす。

 すると、ブラは簡単にするりと私の腕から抜け落ちてしまう。そして私から取り上げたブラを上着と同じところへ落とす。

 私の乳房は彼の前へ露となった。そして、感じている証拠として、私の乳首は痛いくらいに固くなっていた。

 そして、彼は──その乳首へと、指を沈めた。

ずむっ、と指が沈む。

 

「ぃゃんっ……」

 

 思わず声が出てしまう。焦らされている? いや、彼は初めてなのだ、我慢だ。

 

「おおっ……」

 

 彼はまるで初めてテレビのスイッチを入れたかのような感嘆の声をあげる。

 そして、彼は丁寧に胸を揉み込み始めた。

 乳房を捏ね回し、乳首をすりすりと親指と人差し指の腹で転がす。

 その度に私は情けない小さな矯声をあげる。そして、執拗に胸のみを攻める。

 くりくりと乳首を指の腹で転がしたり、人差し指でかるくつついて、そのまま円を描くようにまわしてみたり。

 

 そして、彼に乳首を軽く摘ままれたとたん。

 

 痺れるような感覚と共に、一瞬、脳が快感で焼ききれるような感覚があった。

 

「んひぃぃい!?」

 

 もしかして、胸だけでイってしまったの? そんな……。

 そして、彼は正面から抱きつく。彼もいつのまにか服を脱ぎ、パンツのみになっていた。

 そして、その怒張の感覚をパンツごしに感じる。

 

 熱い。固い。

 

 ……もう、たまらなかった。

 私は熱に浮かされたように彼の怒張へと手を伸ばし、撫でるようにパンツごしに触れる。

 

「うくっ!?」

 

 唐突の快感にぴくりと体を反応させた彼。かわいい……と少し思った。

 

 そして、それをゆっくりとパンツの前開きの裂け目から取り出して、思った。

 

 デカい。馬並みと言っても遜色ないであろうレベルの巨根がそこにはあった。勃起のためへその辺りまで反り返ったそれは濃密な雄の臭いを放つ。

 それはまるで媚薬のように私の体を支配した。

――もう、とまらない。

 私は戸惑う彼のそれへと顔を近づけ、臭いを嗅ぐ。

――ああ、もう我慢なんてできないっ!

 

 私は慌てたようにそれをくわえ込む。

 あまりのサイズに私の小さな口では入りきらない。

 でも、私は飴でも舐めるかのように亀頭を舐める。

 

「っ!?」

 

 まるでおしゃぶりをくわえるようにそれに吸い付き、舐めている。多少の汗などまるで気にならない。

 私はじゅん、と女の部分が熱くなる。

 

 これが、私の、中に?

 

 普段ならありえないと拒んだだろう。だが、あいにく私は快楽に狂ってしまった状態。

 それだけで――私はもうとまらない。

 しゃぶりつつできるだけ大きく口をあけると、それの先端をくわえこんでみる。

 

「っく、それ、やば……」

 

彼は快感に悶えている。

 ……もう、私が我慢できない。

 

 私はちゅぽん、とわざと下品な音を出して彼の怒張から口を離すと、彼に向かって手を伸ばしながら、甘えるように、それでいて懇願するように言う。

 

 

「――きて。私と一緒に気持ちよくなろ?」

 

 

きっと今日の私はどうかしている。普段ならこんなこと絶対に言わない。きっと今日はどうかしているのだ。

 

「……わかった、じゃあゴムを――」

 

 彼がホテルの備え付けのコンドームを取り出そうとする。――待てない。

 

「いいよ。生でしても」

「っ、でも子供が――」

 

 私の頭のなかではすでに周期を思い出していた。

安全日だと、記憶が伝えた。

 

「――今日は、あかちゃんができない日だから。大丈夫だから。して。貴方とつながりたい」

「……わかった。行くぞ?」

 

 彼は私のスカートを脱がし、パンツも脱がしてしまう。

 そのクロッチは既に私の愛液でぐっしょりとしていた。

 彼は私の上に覆い被さる。

 

「……行くぞ」

 

 彼は亀頭を私の秘部へと押し当てる。

 そして、狙いを定め……

 

 

 ずん、と衝撃が来た。

 

 

「ああああああああっ!?!?!?」

 

 そのあまりの衝撃と快感に絶叫に近いあえぎ声をあげてしまう。軽くイッた。

 頭のなかでは星がチカチカしてなにがなんだか分からなくなる。

 

「血は出てねぇってことは……初めてじゃあないのか。ま、そんなもんだろな。動くぞ」

 

 彼はずずっ、と腰を引く。

 それだけで内蔵ごと引っ張られるような感覚に陥る。

 なんだ、これは?

 そして、ボディーブローをかませるようにずん、と降りる。

 そして、激しいストロークが始まった。

 

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あっ!!」

 

 私はもはやなにも考えられない。ただ、快感に身を任せていく。己の欲望に正直に。殺すのは明日でいいか。

 

「イきそうか?」

「あ、あ、あ、イク、イキそうなのっ!!!」

 

  彼は私の言葉を聞くと、抽挿をピタリとやめてしまう。

――なんで、なんでとめるの?

 はやく、はやく、イキたいのにっ!

 彼はゆっくりとずにずにとぺニスを馴染ませるように動かしているだけだ。まだ完全に埋まっていないそれは、不安感すら感じさせる。

 

「イキたいか?」

「うんっ、イキたいっ!」

 

 私は彼の問いにはしたなく答える。

 ――今日は、おかしくなってるから、仕方ないんだ。

 そう、考えたら少し心が休まった。

 

「なら、おねだしりしてみて?」

「――ッッ!」

 

 おねだりだと、ふざけるなと普段なら激昂していた。でも、今はおかしいから。

 

「イキたい、イカせてっ!!! 私のおまんこをその固くておっきいチンポでじゅぼじゅぽ抉って犯して濃い精子を私の()()に出してっ!!」

 

 絶頂はおろか、中出しすらを求めるような変態発言。

 とにかく、イカせてっ!

 

「いいぜ。お望み通り膣内射精(ナカダシ)してやるっ!」

 

 彼は――イッセー君は激しいストロークで私の膣内を犯す。激しく、荒々しく。

 

「あっ、あっ、んっ、あ、あ、あ、イク、イク、イクうっ!?」

 

もう、イキそう――そう思ったとき。

 

「――っ、出すぞっ!!」

 

――どびゅうううううううううううううううううううううううううっ!!!

 

私の膣内で彼のぺニスが暴れ、マグマのような精液を多量に吐き出す。

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

 

私もその快感の波にのまれ、同時に絶頂する。あまりの快感に世界が真っ白になってチカチカする。ただ――下半身の彼の存在だけしか感じなくなっていた。

あ、もう、だ、め……。

 

 

「ふぅ……」

 

思った以上に夕麻ちゃんがエロかったでござるの巻。

そして何より童貞を捨ててやった。途中から演技なんて出来てなかったけど……大丈夫か?

彼女は絶頂で気絶してしまい、精液がゴポゴポと恥部から出てきているのがなんともエロい。

射精特有の気だるさに身を任せながら、俺も眠りにつくことにした。

いやー、明日も休みで助かった。

あー、精液とか、流してねーや……ダメだ、眠い…

 

 

 

 

 

『……今代はなんともまぁ酷い』



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01.殺されて生かされて

 

朝日に眩しさを感じ目を覚ます。

――知らない天井だ、って当たり前か。

ラブホだしな、ここ。宿泊で借りといてよかったぜ。ちょっと値が張るが、まぁ必要経費だ。

しかし、気持ちよかったなぁ。やっぱオナニーなんかとは違うわ。

 

「うーん……ぁ?」

 

夕麻ちゃんが身を起こす。

 

「おはよ、夕麻ちゃん。大丈夫?」

「あー、大丈夫よ…………うん、大丈夫。お風呂入ってくる」

 

美しい裸体を惜しげもなく晒しながらしっかりとした足取りで風呂へ向かっていった。

……やることねぇし服でも畳んでおくか。

そういやぁ腹へったなぁ。結局晩飯食ってねぇしな……。女は食ったけどな!

……そういえばパンティとブラってどうやって畳むんだろうな。まぁ畳まずに服の上に乗せておくか。

 

 

私と入れ替わりでイッセー君は風呂場へと向かっていった。

シャー、とシャワーの音を聞いている。

……丁寧に服を畳んでおいてくれた。まぁ、礼ぐらいは言わなければな。でなれけば不自然だろう。

まだ、少し異物感がする。……さっさと着替えることにしよう。

無駄に丁寧にたたんであったのにムカついた。私より綺麗に畳めてる、人間の癖に。

そういえば、晩御飯食べてなかったっけ……。あ、でも食べられたのは……

あーもう! ナニ考えてるの私は!

私の任務は? 兵藤一誠の殺害。よし。

殺らなきゃね、ちゃんと。あの治癒のシスターのこともあるし。

―――殺したくなんてないけどなぁ……

……っ!?

え、私は今、何を考えた……?

……まだちょっと“おかしい”らしい。早く直さなければ。

 

 

太陽が黄色い、とはこの事だろう。

眠気はなく、むしろはっきりとしている。

夕麻ちゃんとは別れ、帰ってもなにもないので町を散策することに。

その時に変なチラシをもらった。「あなたの願い叶えます!」というもので、謳い文句がいくつも並べられていた。

胡散臭いなぁ、と思いつつ願いを考えてみる。

女――道具を使っても自力じゃなきゃだめだ。これは俺の『こだわり』のひとつだ。んー、これはないな。

金――まぁ今は困っていないがいずれは必要になるだろう、保留。

権力――確かに魅力的だが、女に関する『こだわり』に関わるので却下。

命――まぁ、永遠の命は夢のまた夢だな。確かに自身の死は怖いが、死んだら死んだでそこで終わりだと思うしな、却下。

うーん、あんまりないなぁ。性欲はあり得ないくらいだから女の子を一人未調整で用意してもらう、とかどうだろうか……うん、いいな。小生意気で反抗的な女子を快楽と論悦の海へ溺れさせて主従関係にするとか……やべぇ、興奮してきた。

思考の海に沈んでいて、気づけば日が傾きはじめていた。

暇なので近場の公園で少し遊ぶことにした。

 

 

「あ、いっせーおにーちゃん!」

「いっせーおにーちゃん!」

「おにーちゃん、なでなでしてー」

 

俺の回りには4~5才の女の子が三人ほどで俺を囲っていた。

 

「よしよし」

「うにゃー」

「あー、みーちゃんずるい! まりもして!」

「ん、よしよし」

「んふー」

 

俺は昔から何でか知らんけど女の子の子供にモテる。ハゲの守備範囲は中学一年からなので特に何も言われないが。

俺も女の子にちやほやされるのは悪い気はしないし、むしろ嬉しいので要望を聞いてやる。この間は十人くらいきたからかくれんぼしてあそんだっけ。

ちなみに俺の守備範囲は下が10、上は見てくれがよければいくらでも、だな。

えーと、黒髪ツインテールの松田真理(まつだ まり)ちゃんと、茶髪ゆるふわの元浜心咲(もとはま みさき)ちゃんと、黒髪ストレートの桐生七海(きりゅう ななみ)ちゃん。

彼女らは『駒王学園の三大変態』の妹である。

俺? 俺は『二大王子さま』ですが何か。クールの木場とヒートの俺、らしい。まぁ、行事とかすげぇ燃えてたしな、仕方無いが。

んで、あやとりとかゴムとびとかして遊んでいると。

 

「真理、迎えに来たぞ」

「すまないね、心咲を見ててくれて」

「悪いわねイッセー」

 

お迎えの変態三人組が来た。彼ら三人は例外なくシスコンである。特に桐生のやつは姉妹ということもあってか、猫可愛がりしているとか。

 

「いや、気にすんなって。ほら三人とも、お兄ちゃんとお姉ちゃんが来たぞ」

 

俺の言葉に三人が彼らのもとへ駆け寄る。

 

「にぃ、もう帰る?」

「おう、帰るぞ。サンキューなイッセー」

「ん。じゃーね、いっせーおにーちゃん!」

「おう、じゃあな」

 

松田兄妹はこちらに手を振ると、踵を返して帰宅していく。

 

「あにー、いこー」

「ああ。ほら心咲、いっせーおにーちゃんにありがとうは?」

「ありがとー!」

「僕からもありがとう」

「気にすんなって」

 

そして元浜兄妹も家路についた。

 

「ねーね、帰りますかー?」

「ええ、帰るわ。ありがとうね、イッセー」

「いっせーおにーちゃん、さようならですー」

「さようなら。気をつけてな」

 

桐生姉妹も帰路につく、と。

うーん、暇だなぁ……。

ちなみに三人組の妹は狙ってたりする。あぁ、十年後か楽しみすぎる身体だ。幼いうちから手を出して、じゃれあいや悪戯としてエロいことをしたりさせたりしてゆっくりと洗脳調教する。そしてそれが彼女達の中で常識になった時に正しい知識を与えられたとしても、その時はすでに堕ちている。ならばばその時彼女達は論悦の笑みを浮かべるとか……やべ、最高だ。

しかし、純粋に妹とか欲しいとも思う。従妹がいるらしいが、顔を一度も合わせたこともないしな。

うーん……はぁ。難しいなぁ。

……ん? なんだ、この違和感。空気が、変わった……?

次の瞬間、ざしゅ、と肉の切れる音がした。

……俺の腹には光を固めて作ったような細い槍が刺さっていた。

ごふ、と血を吐き出してしまう。

激痛過ぎて本当に痛いのかすらわからない。

……なんだ? 俺、悪いこと、したか……? ……してたな。彼女に媚薬盛ってヤりましたね。

……ああ、ここで死ぬのか? ……死ぬ? 俺が、死ぬ?

 

――嫌だ。まだ、死にたくない。

 

強い想いが炸裂する。生への欲求。ひたすら、死にたくないと思った。確かに死んだら死んだでそれはそれと思うが、こんな訳のわからないまま死ぬのはごめんだ!

――紅い。

俺の血か。地面に俺の血が染み込み、紅く染めている。

ああ、紅い……リアス・グレモリーの髪のようだ。

視界を紅が染めていく。

意識が遠退く寸前、声が聞こえた気がした。

 

「貴方ね、私を呼んだのは。――へぇ、成程……そういうことね。いいわ、助けてあげる」

 

 



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02.あくまで変態です

 

他人、所謂大衆的なイッセー――つまり俺の一般的評価と言えば「熱血」「優しい」となるだろう。

まぁ強ち間違いではない。自分がひとつの物事に熱を入れるタイプなのは自負している。そういう意味では「熱血」だ。

小学校の頃からそんな感じだったしな。んで、当時の足りねぇ頭で考えたわけよ。どうしたら女がよってくるかなーってさ。まぁ思い付かなかったんだけど。しかし俺の近くには偶然にも反面教師がいた。いや、松田元浜桐生じゃねーぞ? 名前は忘れたがオープン変態教師だったな。女の先生からも女子生徒からも嫌われてた。平然と下ネタをぶっぱしてたからな。あれ見て思ったわけだよ。ああ、あんなんじゃあ女はよってこないな、と。

それで、今は男が草食系が増えてるっていうし、そういうのを見ると『肉食系のチャンス』なわけだ。食ったもん勝ち的な。実際、野生においても、肉食系は特にメスは『征服される側』だからな。ドSとドMは表裏一体、的なあれ。分かりやすく言うと、『チ○ポなんかに絶対負けたりしない!』とか『この程度で屈服できると思うなよ!』みたいな台詞を吐くと大体が『チ○ポには勝てなかったよ』『御主人様ぁ……』みたいなパターンに入るだろ? あれと一緒だ。女ってのは多かれ少なかれ、本能的に屈服願望や隷属願望がある。まぁたまにそれから外れる奴もいるが。

自分がレイプされるというシチュエーションで自慰を一度は経験するだろう。そういうもんだと思う。

――まぁ、なんだ。俺は食虫植物みたいなもんだ。惑わされてる隙に飲み込み、もう抜け出せない。

――俺がこんな風にトチ狂った話を脳内で展開をするのは――

 

俺って死んだはずだよね、という話である。

誰が甦らせたのだろうか、それともこれは夢か。

――まぁ、とりあえず神様ではないことは間違いないな。俺、外道だし。

 

 

「容姿はまぁまぁ、背丈は高め、人当たりがよくて優しく、意外に熱血漢――うーん、普通? まぁ今どき珍しい、位はあるっす。いくら神器を宿しててもうちにはそこまで魅力的には見えないっすねー、レイナーレ様は見る目がないのかなぁ?」

「……さぁ? 私はミッテルトでもレイナーレ様でもないから」

「まぁねー……ん?」

「なに?」

「いやさ、なんでもないっすけど……なんか変っす」

「この男が? 特別変わったところは……」

「違うっす……そういう意味じゃないっす。……目」

「……目?」

「最近、似たような目をもつ男を見たっすよ。そう、あれは――若い頃のアザゼル様に似てるっす。レイナーレ様にその写真を見せてもらったっす」

「……熱心だこと。で、どんな目なの?」

「うーん、一言で表すならば、それはおそらく――」

 

――情欲にまみれた目、っすね。

 

 

「――であるからして」

 

ねみぃんだよなぁ、現国の楠木の授業。なんつーか、つまんねえ。授業に真面目に取り組みたいと思えない授業。あー、来年消えるなこいつ。今年来たばっかだけどな。

最近、太陽の光を疎ましく感じるようになった。それだけじゃねぇ、いつの間にか夜型の人間になってたらしい。というか、夜中だと妙にたぎる。深夜テンション、なんてレベルじゃねーな。明らかに人間以外、みたいな感じの脚力は出るし、ときたま幻聴が聞こえるしと。病気かな?

 

『おーい相棒ー』

 

ほらまた聞こえた。なんだろこれ。

 

『無視するな!』

 

まただ。あー、カスタードクリーム直飲みしてぇ……。

 

『いい加減無視すると泣くぞ』

泣け。

 

『ほんとに、ひぐっ、なくぞ』

 

いいぞもっとやれ。暇なんだ。

 

『うぇぇぇぇぇん! このおにちくぅぅぅ!』

 

失礼な――ん、待てよ。こいつ俺のこと鬼畜っていったよな?

まてまて俺は外には情報漏らしてねぇし家においてるエロ本も隷属ものや服従ものは避けてるし、催眠術関連の書籍は全部リラクゼーションを目的にしたものだし懐中時計だって普通――おいおまえ。どういうことだってばよ?

 

『うぇぇぇぇぇん……ひっく、ぇえええん』

 

ああ、取り敢えず話聞いてやるから泣き止め! いい加減にしないと脳内で犯すぞ!

 

『ひっく、はなし、きいてくれる……?』

 

今すぐじゃねーけどな。家帰ったら色々と教えてもらうぜ。だから今は黙ってろ。

 

『うん、わかった……』

 

よぉしいい子だ。

 

『えへへ……』

 

……ところでお前誰?

 

『わたし、どらいぐ。よろしくね、いっせー』

 

おっ、おう……。




松田「俺の台詞取られた……」


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03.赤幼龍帝は守備範囲

俺の目の前には赤い幼女がいた。

まぁ、夢なのだが。

 

「まあなんだ、腰据えてじっくり話そうか。お前や俺がどんな存在なのかをな」

 

幼女――ドライグたんが言うには、俺は死んで悪魔になったらしい。

この世界には創作物のようなファンタジーワールドが広がっているそうだ。

ドラゴン、天使、悪魔、堕天使、神、仙人、妖怪、魔獣、エクソシスト、陰陽師、魔法使い、天人、仏――取り敢えず思い付くものを上げてみたが。こういうのもいるらしい。

意外や意外、俺が狙っているリアス・グレモリーだけでなく、一年のロリ少女の塔城小猫や三年の姫島朱乃に支取蒼那生徒会長、二年の木場祐斗や匙元士郎等も悪魔だという。

うーん、よく考えればグレモリーって悪魔だよな。確か、ソロモンの指輪で召喚される悪魔の一柱で、情愛を司る筈だ。んで、夕麻ちゃんは堕天使なんだと。

――なるほど、あの名器っぷりはそういう事か……。くく、烏を一匹飼ってみるのも悪くない。

 

「成る程な。で、お前が赤い龍、ウェールズの赤い龍ねぇ……」

「白いのとで『二天龍』と呼ばれていたぞ!」

 

むふー、と自慢気に無い胸を張るドライグたん。かわいい。

 

「ふーん、どんくらい強いんだ?」

「ある二匹を除けば最強だったと自負がある」

「『ある二匹』?」

「『黙示録の赤い龍』と『無限の蛇』だ」

「……ウロボロスと黙示録の龍か……」

「ああ。『無限の竜神』オーフィス、『真なる赤龍真帝』グレートレッド。あれは次元が違う」

 

そういやぁ天使で思い出したんだが。

 

「ナァ、フーリーって本当にいるのか?」

「いないぞ」

 

フーリーとは、イスラム教における天女(天使)のことである。

預言者ムハンマドによれば、「天国へ逝った男性は72人の処女ハーレムがつくれるよ! 処女食っても処女はふっかつするよ!」らしい。

 

「そっか……まぁ永遠の処女なんて俺的にはなしかな」

「そんな話より続けるぞ。俺は白いのと共に三大勢力……堕天使、悪魔、聖書の神に喧嘩を売ったのさ。『我等の誇り高き決闘を邪魔するな!』ってな」

 

ふーん、なるほどねぇ……

 

「で、なんで決闘なんかしてんだ?」

 

その言葉を聞くや否や、ドライグはぷるぷると怒りに震える。

 

「……あやつが悪いのだ、俺の宝を……っ! 俺の……俺のおやつを盗み食いしたのだっ!」

「……ハァ?」

 

思わずそう聞き返した俺は悪くない筈だ。

 

「ああ今思い出しても腹が立つ! 俺のあの日のおやつだったカスタードパイを……っ! 断りもなく食ったんだ! くそっ!」

 

地団駄を踏むドライグ。むきー、って感じでな。うむ、可愛らしい。喧嘩の内容も可愛らしい理由だ。

 

「しかもっ、あやつは『お前のだったのか?』と聞きいてきた! ちゃんと『これ私のだから食べないでね』って言ったのにもかかわらず! ふぅーっ、ふぅーっ」

「まぁ落ち着け、どうどう」

「ふにゃー……」

 

 ……はっ、つい頭を撫でてしまったが……まぁいいさ。俺の守備範囲内だしな。人間相手なら年齢的にブツを受け入れられるようにできてないから無理だけど……こいつは違う。くくく、見た目は犯罪レベルの幼女だが、実年齢はかなり違うはずだ。

 ドラゴンにも発情期というのがあるのかどうか分からないが……ちなみに人間は常時発情期です。

 

「……はっ! と、取り敢えず話を続けるぞ」

 

 ここら辺は割愛するが、ドライグは『神器』(セイクリッド・ギア)というものに封印された存在らしい。

 神器というのは、人間に宿る可能性の力らしい。

 槍を持つもの、剣を創るもの、火を吹くもの……。

 様々なモノがあるなかで、ドライグは超強力な中二臭い神器……『神滅具(ロンギヌス)』というらしい。

 形状は二又の紅い槍に違いない……と思っていたのだが、ドライグは赤い籠手らしい。きっと速さが足りないとか言い出すんだろ。

 

「と、いうことだ。解ったか?」

「大体な」

 

 しかしこの幼女プライドが高そうだなぁ。そうだ、こうして夢でしか出会えないのだから……

 

「どうせ夢なら起きるまで楽しみますかね。ほれほれ」

「うにゃー……」

 

 取り敢えずなで回す。

 

なでなで。

 

「うゆぁー」

 

なでなで。

 

「ふにゃー」

 

なでなでなで。

 

「ふゅ……んっ」

 

ん? 悶えて来たな。なでなで。

 

「んんっ……ふぅっ……」

 

吐く息にも熱が籠り、何となく体が火照っているような。

 

 

 

……おにちくな俺はここで止めて夢から覚めるぜ!

 

「……さて、そろそろ朝だな……じゃあなドライグ、また会おう」

「……ぇっ」

 

俺の言葉と共に、世界は光に包まれ――

 

 

 

 

『ニイサン、オキテクダサイ。アサデスヨ。チョウショク、ヨウイシテオキマシタ』

 

目覚ましと共に眼を覚ました。んー、今日もいい夢見れたぜ!

 

さぁて……人間じゃなくなったけど……俺、大丈夫?



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04.ドーナシークご退場

 

「くっく、よもやこんな極東の地で貴様のような存在にであうとは……」

「あ? うるさいよオマエ」

「グギャァァァ!?」

 

こうなった理由は、数刻前に遡る――。

 

 

「起立、礼。さようなら」

『さようなら!』

 

帰りのSHRも終わったので、これからバイトだ。まぁバイトといっても、単なるコンビニ店員だがな。

接客って案外、感情を押さえつける練習にもなるんだぜ? いつも笑顔で、スマイル。表情筋が鍛えられるので顔が引き締まるのだ。

 

まぁバイトも夜十一時には終わり、さっさと帰宅しようとした途中だ。

殺気を浴びせられた。背筋が凍るようだ。その殺気をたどってみれば、コートを着た変な男――なんだ男か、ツマンネェ。女だったら犯してペットにするのに。まぁ、俺ん家の財産では高校生二人を三年間養うので精一杯な程度の金額だが……。

 

「くっく、よもやこんな極東の地で貴様のような存在にであうとは……」

 

と、いいながら奴が黒翼を広げてきた。千切ってほしいんだな。

そして冒頭に戻る。

 

「あ? うるさいよオマエ」

「グギャァァァ!?」

 

奴の自慢気に広げていた翼をもいでやった。……なんだろうな、不快感はあるけど、その程度だ。というかよくこんなのもげたな俺。

多分だけど……

 

「よ、よくも私の、翼を!」

「だからうるさいよオマエ」

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ゛!?」

 

こいつを今、ここで殺しても何の感情も湧かないだろう。もう一個の翼ももいでやった。吐き気や罪悪感も湧かない。……異常だな、俺。まぁ人間やめてるから仕方ないのかもしれないが。

おいドライグ。こいつを殺し切るにはどうすりゃあいい?

 

『……そうだな、魔力はどうだ?』

 

魔力ぅ? ……ふむ、これだな。暖かい流れを感じる。

 

『相棒は才能があるみたいだな。今回は運が良い!』

 

俺の魔力の才能にふんす、と胸を張る幼女を幻視したが捨て置くことにした。

 

「こう、アニメとか漫画だと……こういう感じか?」

 

俺は手のひらに魔力を集めるイメージをする。

すると、手のひらに赤黒いオーラが集まり始め、それは球体を作り出す。

 

「なっ!? なんだその魔力は……や、闇……!?」

 

恐れおおのく堕天使を無視して、俺は魔力を変質させることに専念する。ただ魔力をぶつけてもむりだろうし、それに……異形殺しには炎だろ。

そう考えた途端、赤黒い塊は黒い炎へと変わっていた。へぇ、なるほど……明確なイメージさえあれば何でもできそうだな……。

とりあえずその炎を投げる。すると炎は炎弾となって奴に飛び、その躰を燃やしていく。

 

「がぁぁぁ……ぐぁぁぁ……や、灼ける……!? バカな、闇の魔力をもつ悪魔は既に……ぁぁぁ……」

 

みるみるうちにその黒炎は奴の躰を侵食し、そして――灰も残さず、骨まで燃え尽きてしまった。

……あるぇ?

 

『む……相棒は本来ならば宿さぬ“闇の魔力”を宿しているのだ。元来ならば純粋な闇の力はサマエル、闇の魔力は悪魔王サタンが宿すものなのだが……』

 

俺もサマエルとサタン位は知ってるぜ。イヴを誘惑して神の悪意を受けたっていう悪魔と、神に反逆した悪魔たちの王だろ?

 

『サマエルは悪魔というよりは堕天使だな』

 

うーん、やっぱりこういう伝承とかって表記が曖昧なんだよな……。

 

『ふむ、俺の記憶が正しければ悪魔王サタンの一族は滅亡した筈なんだがな。……一族揃って三大勢力との決戦前に祝い餅を喉に詰まらせて。そもそも子孫があまり残らなかったらしいしな。もしかしたら、相棒の遠い祖先がサタンなのかもしれん』

 

一族の滅亡理由しょぼっ! 喉に餅を詰まらせて死んだとかしょぼっ! ……ちなみにその初代? サタンって、どんなやつだっの?

 

『初代サタンは今で言うところのプレイボーイというか、ヤリ○ンというか。とにかく女を代わる代わる抱いていたらしい。初代アスモデウスがドン引きするレベルで』

 

……天文学的な数字とはいえ、あり得ないことじゃなくなってきたんですけど。

というか色欲の悪魔がドン引きするってどれだけだよ……

だが、俺の性欲の高さや闇の魔力、その他もろもろも説明がつく。

あー、やべ、ふらふらしてきた。

 

『いかんな、先程の戦闘で魔力を使い果たしたか……』

 

やべ、意識が……なくなっ――

 

 

「堕天使をやるなんて……でもあの魔力は? 兎に角住所を――」



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05.目覚め

 

『アナタ、アサデスヨ? ……キャ!? モウ、ショウガナイワネ』

 

んー、気持ちのいい朝だ。ダルいけど。

……ん? なんか腹の上に……?

掛け布を退かせばあら不思議。黒髪幼女が寝ていました。

……俺はいつからエロゲ主人公になったんだか……。

幼女は目を覚ますと、腹の上でちょこん、と座って。

 

「……ドライグ、久しい」

「お前誰だよ」

 

即座にそう返した俺は悪くない。

 

 

「我、オーフィス」

「俺は兵藤一誠だ」

 

この不法侵入幼女はかの無限の龍神だという。……この幼女が? 世の中理不尽だな……。

互いに自己紹介も終わったので取り合えず朝食を作ることにした。

 

「……何してる?」

「飯作ってる。悪魔にしろ人間にしろ、お前みたいな無限の存在じゃないからな。飯にありつけなきゃ一月で死んじまうのさ」

「……」

 

じぃ、と興味津々と見ているオーフィス。なんか無垢な子供みたいだな……。

 

「そういえば、どうしてお前は俺のとこへ来たんだ?」

 

オーフィスは、無表情で俺に告げる。

 

「我、故郷の次元の狭間に住み着いたグレートレッド倒して、静寂を得たい。でも一人では無理。だから仲間集め」

 

ホームシックかよ……なぁドライグたん。

 

『何だ? って、たん言うなッ!』

 

言うね。で、だ。ぶっちゃけるとグレートレッドってやつを倒すのにオーフィスが後何人欲しいんだ?

 

『…………2人位か?』

 

……それでも無理そうな気がするんだけど。

……あ、いいこと思い付いた……。

 

『いいことだと?』

 

ふっふっふ……俺に隷属させてやるぜ!

 

『どこがいいことだ! この、おにちく!』

 

誉め言葉です。

 

「ふぅん……なぁオーフィス。本当に静寂でいいのか?」

「……?」

 

首をかしげるオーフィス。無表情だが可愛いな。……この無表情を俺の剛直でアへ顔にするとか……くくっ……最高じゃねーか……。

 

「俺なら、静寂よりもイイコト、教えてやれるかもな」

「……! 静寂より……?」

 

おっ、食いついたな。

この子はホームシック、つまり心の拠り所が故郷な訳だ。その拠り所を俺にしてしまえばいい。目指すは我が家のマスコットだな。エロ可の。

カレンダーを見れば、今日は土曜日だった。

……なんてタイミングだ……恵まれてるな、俺。バイトのシフトも入ってないし……ここはひとつ、龍神幼女を堕とすとしますか。

 

「……ソーセージ、食うか?」

「ん」

 

……まぁ、その前に飯だ。

 

 

「どうだ、気持ちいいか?」

「ん……」

 

オーフィスはイッセーに、いわゆるおひざだっこされながら、頭を撫でられていた。

撫でられるたびに、胸の中に暖かいものが込み上げてくるのに驚いていた。

 

(我、この暖かいの、知らない)

 

孤独と虚無の感情しか知らなかったオーフィスは、この暖かさがわからかなかった。

しかし、彼女にもそれが心地よいことだけは判った。

イッセーは、ただただ撫でるだけだ。優しく頭をなで、時おり髪をすく。

ただソレだけなのに、オーフィスの心はどうしようもなく暖まった。この心地よさに、委ねていた。 イッセーの手は魔法の手なのではないか? と思ってしまうほどだった。

ほわん、という暖まった胸が、じん、と熱くなっているのに、オーフィスは気づいた。

コチ、コチと時計が時を刻む度に、胸のじんとした熱さが高まっていく。時計の針は、既に午前10時を指していた。

オーフィスはこの感覚に戸惑った。自分は頭を撫でられているだけなのに……と。頭もぼーっとして、良く分からない。

 

「オーフィス?」

 

イッセーの柔らかい声が心に染み渡る。

 

「気持ちいいか?」

「うん……」

「そっか」

 

イッセーは頭を撫でるのをやめると、お腹に手を回してお腹を撫で始めた。

 

(あ……)

 

ふと、オーフィスの視線に入ったものがあった。本だ。小説がベッド近くの机に無造作に置いてあったのだ。

タイトルには「愛に堕ちる」と書いてあり、どうやらドロドロの恋愛物小説らしい。

だが、オーフィスにとって内容はどうでも良く、「愛」という文字だけで十分だった。

 

(あい……愛)

 

愛しい、と思う気持ち。それがイッセーから伝わってくるような気がして。嬉しかった。

オーフィスとて、伊達に長生きしているわけではない。恋や愛の意味くらいわかる。だが、その感情が理解できないだけだった。

胸の熱さが、愛しさなのだと思った。そう思うと……少し、本当に少しだが――頬に朱が差した。

そして……ぽて、と力を抜き、彼に身体を任せたのだった。

 

「……オーフィス?」

 

彼が撫でるのを中断すると、そう問う。

 

(もっとしてほしい……)

 

すでにオーフィスは彼の虜だった。……いや、彼の手の虜、というべきか。

 

「ん……もっと」

「おうよ」

 

オーフィスはちょっとだけ、考えた。

 

(この後、狭間に帰れるだろうか?)

 

そう考えて、ふるりと少し身震いをした。

たかたか数時間の出来事――といっても、オーフィスにはもっと永い時間のように感じたのだが、ともかくソレだけの時間で感情が芽生えてしまった。

オーフィスには、イッセーから離れることがただただ怖かった。愛と共に、恐怖の感情も生まれた。

 

(我は、イッセーが……愛しい。愛しいのに、怖い)

 

オーフィスの感情は幼い。だがそれと同時に知識は大人以上だ。

だからこそ、イッセーとの別れも容易に理解できた。幼き心で考え、大人びた知識が少し歪んだ答えを弾き出す。

 

「考えなくていい。今は、俺に身を委ねて」

 

オーフィスは、イッセーの言葉に委ねた。その優しい毒に身を委ねる。

とくん、と心臓が熱く脈打つのを感じながら……。

 




うーん、堕ちるの早かったかな?オーフィスといちゃいちゃしたいです。
でも俺的にはオーフィスはこのくらいちょろいと思う。
何が言いたいかって、合法ロリサイコー。


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06.木場ちゃん

 

「……?」

 

首をかしげるオーフィス。

今日は月曜日であり、学校へ行かなければならない。学生としての本文を忘れてエロいことをするなど言語道断である。

しかし――この龍神幼女がそれを許さなかった。

 

「我、イッセーと一緒」

 

……いや、依存しすぎだろ!? 確かに昨日一昨日と本気で可愛がったけどさ。

いや、可愛がったといっても勿論エロい意味ではない。一緒に風呂入ったり一緒の布団で寝たり、食卓を共にしたり頭とかお腹とかお尻撫でてたりしただけだしな(セクハラ)。

うーん……あ。いいこと思い付いた。

 

「オーフィス、ちっこくなれるか? このくらいに」

 

俺は机の上においてあるねん○ろいどを指差して言う。

するとオーフィスはこくりと頷くと、

 

「えい」

「おお……」

 

本当にね○どろいどサイズ――ってか二頭身!?

兎に角オーフィスを頭の上に乗せる。

 

「取り合えず、オーラとか力を抑えてろよ」

「なぜ?」

「俺の学園には悪魔がいるからな。お前が見つかったら大変だ」

「分かった、どのくらい抑えればいい?」

 

どのくらい……うーむ……

 

「……下級悪魔より下くらい」

「分かった」

 

……素直なのはいいことだ。

 

「あと、外出たらここに隠れとけよ。あの学園には普通の人間もいるからな」

 

俺はブレザーの内ポケットを指す。

 

「ん」

 

オーフィスは頭からぴょん、と飛び降りるとブレザーの内ポケットに入る。

 

「よし、行くぞ!」

「おー……」

 

……大丈夫か?

 

 

心配は杞憂に終わった。……授業中にツンツン腹筋をつついて遊んでくるからちょっとくすぐったかったけど。

 

「兵藤、次の授業ってなんだっけ」

「英Ⅱ。昼休みなんだからさっさと予習すませろよ」

「おう」

 

そんな会話を友人としていると。

 

『キャー!』

 

ほう、木場が来たか。

 

『キバ? ああ、悪魔か』

 

おう。どうもそうらしいな。

木場祐斗。この学園の『二大王子さま』の一人だ。もう一人? 俺だよ!

ちなみにファンレターは来てもラブレターは来た試しがない。

しかしなぁ、木場祐斗『くん』、か。

俺にはどうにも男というには不確定要素が大きすぎる。

28日周期で体調が悪くなりがちだし、着替えをした姿をだれも見たことがないらしいし、そもそも肩が男にしては細すぎる。胸板の筋肉の付き方も不自然だし……。

ん? なんで俺が木場の事をこんな調べ上げたかって? いや、入学時点でのライバル候補を一応調べたんだ。そしたらこんな気になる情報があってな。中学は敵うんぬんの前に、知識を詰め込むので精一杯だったしな。

 

「兵藤一誠くんはいるかい?」

「よんだか?」

 

俺と木場の揃い踏みに女子たちは黄色い声を上げる。

 

「みて、木場くんと兵藤くんよ!」

「いつみても二人とも格好いいわ……」

「そうよね奥さん」

「ふへへ、兵藤くん×木場くん……木場くんの総受け……ふひひっ」

「いやいや、兵藤くんの誘い受けもまた……」

 

あの腐ってるのは……成る程。中村と安藤はなし、と。

 

「いや、ちょっと放課後に用があってね」

 

普段なら断るだろうが……ふむ。

 

「いいぜ。放課後にこいよ木場」

「ふふ、わかってる」

 

爽やか笑顔を浮かべながら、木場は去っていった。

 

「っかぁー、今日もお茶が旨い!」

「お前変なところでそういうのあるよな」

「なにいってんだよ元浜。日本食はジャパニーズソウルだろ」

「……変態と天才は紙一重?」

「よーしいい度胸だ表出ろ」

「ごめんなさいでした」

「よろしい」

 

 

「……我、もうでてもいい?」

「まだ待ってろ」

「ん」

 

放課後、誰もいない教室。木場はまだか?

 

「おまたせ」

「遅い」

「ごめんごめん、部長にちょっとね。さあ行こうか」

 

二人しかいない廊下を歩く。

 

「……なぁ木場」

「ん? なにかな?」

 

……よし、カマかけてみるか。

 

「木場ってさぁ、女の子みたいだよな」

「ッ、やだなぁ兵藤くん。冗談はよしてよ」

 

……こりゃ黒だな。よし、一気に攻めるべし、っと。

 

「冗談じゃないさ。実際お前かわいいし」

「か、かわっ!?」

 

お、真っ赤になってら。完全に黒とみた。おそらく「かっこいい」と誉められることはあっても「かわいい」って評価はあまり受けてないんだろうな。こいつを女としてみれば、この真っ赤に染まった照れ顔は実際かわいい。

 

「実はお前って女だろ?」

「……うぅ……み、皆には内緒にしてよ?」

 

お、以外と高い声だ。うむ、こういうのをギャップ萌えって言うんだよな。

学園の王子さまは実はお姫様で、毎晩俺に可愛がられてよがる……うん、最高。

 

「ま、その代わりに何かして貰おうかな。悪魔なら等価交換、ってな」

「! 気づいたのかい? 自分が悪魔だって」

「まあな……」

「へぇ……あ、着いたよ。僕が先に入るから、後からね?」

「へぇへぇ。部長とやらによろしくな、木場ちゃん♪」

「もう、からかわないでよ」

 

実名は『木場優美』かな? まぁなんでもいいや。

俺はノックをすると、扉を開いた。



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07.外堀が埋められていく(※サタン的な意味で)

 

扉を開ければ、そこには美少女達がいた。

一年、塔城小猫。

二年、木場祐斗ちゃん(笑)。

三年、リアス・グレモリー&姫島朱乃。

……なにこのハーレム。全員攻略対象なんですけど。

下座のソファーに腰を下ろす俺。

もひもひと羊羮をほおばる小猫ちゃんに癒されつつも、リアス・グレモリーと姫島朱乃の乳へと目を向ける。もちろん、視線は顔をみたまま……うむ、でかい。

 

「はじめまして、兵藤一誠君」

 

リアス・グレモリー……彼女たちはどうせ俺の女にする予定なので心の中で呼び捨てをすることにする。

リアスは俺に視線を向けるとにこりと微笑む。

 

「私たちオカルト研究部は貴方を歓迎するわ。――悪魔としてね?」

「ええ、よろしくお願いします」

 

皆の背中に一対の翼が生えると共に……ばさり、と俺の背中に2対の悪魔の翼が生えた。

……ん? 二対? 二対四枚……!? へぁっ!?

 

「あらあら……」

「……どういうこと?」

 

……これがホントの瓢箪から駒だな……うん。

 

 

「粗茶ですが、どうぞ」

「かたじけない」

 

紅茶を音をたてずに、少し飲む。

……ふむ、ストレート……これはダージリンだな。舌がやけどしない程度の暖かさと程よい濃さ……淹れ手の心遣いが伺える。朱乃はそういうのが得意そうだな。

悪魔についての解説をつらつらと並べるリアス。ふむ……成程成程。

 

「成程。つまり先ずはビラ配りですか」

「そうよ。まずは下積みからね」

「なんか人間みたいですね」

「そうね。私達グレモリーはどちらかというと人間よりだから」

 

情愛を司るグレモリーは、身内には特別情愛を注ぐ。他の悪魔は人間に対して友好的な者は少なく、道具程度にしか思っていない悪魔もいるという。

 

「そういう意味では『大魔王サタン』は人間に偏見を持っていない『悪魔の模範』だったらしいわ。堕としても騙すな、が信条だとか」

 

堕としても騙すな、か。成程、俺の信条ともぴったり合う。……どんどん外堀が埋められていく感じが……。

 

「さて、私から改めて自己紹介をするわね。私が主のリアス・グレモリーよ。よろしくね」

「ええ、よろしくお願いします、部長」

 

次は朱乃が口を開く。

 

「うふふ、姫島朱乃ですわ、よろしく」

「よろしくお願いします、姫島先輩」

 

次は……小猫か。

 

「……塔城小猫です」

「よろしく、塔城さん」

 

最後は……祐斗か。

 

「木場祐斗改め、木場優美です。よろしく」

「よろしくな、木場ちゃん」

「あはは、だから木場ちゃんはやめてってば」

「やだね」

 

祐斗改め、優美。よし覚えた。

 

「さぁ、兵藤君……いえ、これから仲間なのだからイッセーと呼ばせてもらうわ。イッセー、これがビラと地図用の端末ね」

 

……ふむ、最近のスマホに似ているな。

 

 

「しっかり捕まってろよ」

「ん」

 

夜、頭にミニオーフィスをのせ、しゃーこしゃーことチャリをこぐ。

ふ、筋トレを欠かさない俺にとってこの程度楽勝楽勝……。

にしても悪魔の恩恵すげぇな。自動翻訳と身体能力の劇的向上。

上級悪魔になれば悪魔の駒(イービル・ピース)なるアイテムで下僕を増やせるのだとか。

……俺、勝ち組じゃね?

ちなみに俺が転生したばかりなのに翼二対なのは不明。リアスたちがゆっくり調べるんだとか。

 

「イッセー、急ぐ」

「分かったから毛を抜くな。撫でてやんないぞ」

「っ!? わかった、やめる」

「よしよし、いい子だ」

 

勿論、飴と鞭を忘れずに。

 

 

「ドーナシークが殺られた?」

「例の兵藤一誠にやられたみたいです。エクソシストの調査によると、ここには上級悪魔がいるみたいです」

「……上級悪魔……」

「名前は『リアス・グレモリー』。グレモリーといえば、大戦時に多大な魔力を駆使していたと聞きます。……レイナーレ様、有り得ないとは思いますケド、一応逃走用のルートだけは確保しておきましょう。ドーナシークがなりたての下級悪魔程度に負けるとは思えませんし……」

「……そうね。最後の手段として考えておくわ。で、例のシスターはいつ届くのかしら?」

「情報によればあと一週間程かかるそうです」

「……エクソシスト達に今後は悪魔狩りを控えさせなさい。あの戦闘狂一人だけで十分よ。もしリアス・グレモリーとかち合ったら切り捨てなさい」

「はっ!」

 

 

「あー疲れた……」

「んー……」

 

オーフィスをひたすら撫でる。癒されるわー……。

時折臀部を撫でるが、反応は薄い。ぴくりと肩を震わすだけだ。クロッチ部も湿りすらしねぇし……うーん、どうしたものか……。

ふと、オーフィスが本を良く読んでいるのを思い出す。

俺が料理や洗濯をするときだけは大人しく本を読んでいる。なんでも、今の常識を見たいんだとか。……ん?

いいこと思い付いた。

えーとたしか……これこれ。ある本をこれみよがしにと机の上におく。

 

「オーフィス、今から俺洗濯機回してくるから待ってな」

「……ん」

 

ちなみにおいた本のジャンルは純愛エロリ系のウ=ス異本だったりする。あのウ=ス異本、文庫本だし厚いけどな。さて、どうなってるか見物だな……。一応女性器はついてるみたいだし、ヤる分には問題ないんだけど、濡れないとヤれないよなぁ。俺、でかいしさ。

あれ以降夕麻とも音信不通だし……溜まってんなぁ。

 



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08.龍神さまと※

 

迂闊だった、とオーフィスは思った。

オーフィスはイッセーが机に置いていった本を読み終えていた。

彼が狙って選んだのかは知らないが、男の心情やなにやらが描かれていた。

つまり、男の性欲の話である。これだけ聞けば知識が多いオーフィスは察することができた。

(……我、イッセーに迷惑かけてる。だから……)

だから、こういうことで恩返しをしなければ。

オーフィスはそう思い、立ち上がる。

(……性交、興味ある)

なにより、彼女も性交に興味を抱いていた。無論、恥ずかしいことなのは分かっている彼女は頬を朱に染めた。

小説と同じように秘部に手を触れると、心なしか濡れているような気がした。

 

 

 

「オーフィス、いい子にしてたか?」

「ん」

「よしよし」

 

また頭を撫でられる。彼女の心に心地よさが染み渡る。

彼女の視線は下半身の怒張へと向けられていた。

 

「お風呂。汗、流す」

「ん? ああ、そういやぁちょっと汗臭いな。一緒に入るか?」

 

彼女は小さくほくそ笑むと、こくりと頷いた。彼女の表情を一言で表すなら――『計画通り』と言ったところか。

 

 

「オーフィス……?」

 

彼女は風呂に入り、体を洗ってもらい、流してもらい。

彼も体を洗い終わったのだが。

 

「……」

 

彼女は穴が開くほど彼の怒張を観察していた。反り返った怒張はひどく苦しそうで。

 

「……我、イッセーに感謝してる。イッセー、暖かい心をくれた」

「そうか」

「だから、我、イッセーに恩返ししたい」

 

彼女はそう言うと、彼の怒張を顔に近づける。

 

「大き、い?」

「まぁ人並み以上ではあるが……」

 

彼女の顔と怒張のサイズ差は少ない。むしろ怒張の方が大きいのではないかと勘違いしてしまうほどだ。

オーフィスはそれを小さな手で撫でる。優しく、優しく。

 

「うくっ!?」

「い、いたかった!?」

 

オーフィスは泣きそうな声でそういう。実際のところ、見た目のギャップと小さなふにふにのおててが怒張を撫でているというシチュと、溜まっているためか敏感になっているために、感じているだけなのだが。

 

「いや、大丈夫だ。気持ちよすぎてビックリしただけだ」

「気持ち、いい?」

「おう、気持ちいいぞ」

 

よかった、とほっとすると、彼女はふたたびぎこちない手つきで彼の怒張を撫でる。

鈴口から先走りが少しだけ出てくるのを確認した彼女は、その鈴口へ、自らの口を近づける。

そして、大きく口を開ける。これならいけると踏んだオーフィスは、その先っぽを――ぱくり、と口に含んだ。撫でるのもやめない。

そして、ちろちろと小さな下で舐め始めた。

 

「くっ……気持ちいいぞ、オーフィス……」

 

頭を撫でられると、もっとしてあげたくなった。

少しずつ彼の怒張を口に送り込んでいき、そして――彼の怒張が、喉の入り口へと到達した。

 

「んぶ……」

 

彼女にとって呼吸などあってないようなものだ。呼吸を長時間停止する程度、なんのことはないのだ。なんだかんだいっても、彼女は龍神なのだから。

その口に含んだ怒張を、つつつ、と出し、またゆっくりと口に含む。

それを人はフェラチオ、と呼ぶのだが彼女の知ったことではない。

彼女の涎と彼の先走りが混じりあい、口の中はぐちゃぐちゃになって牡の臭いが充満する。

彼もまた、限界が近づいてきた。更なる快感を求めて彼女の頭をつかみ、腰を振りはじめた。

 

「んぶ、んぐっ……」

 

彼女は別段苦しさを感じるわけではない。むしろ、快感を感じるほどだった――否、快感を感じていた。

少しずつではあるが、秘部から、愛液が零れ始めていた。

ほぼ本能的に秘部へと手を伸ばした彼女は、そこを優しく愛撫する。

 

「んっ、んっ、んっ、んっ、んぐ、んぶ、んぶ、んんんん!!」

「ぐ、出る!」

 

彼の怒張が一際深く口内を穿ち、喉の更に奥へと進む。そして、胃に直接精液を流し込まれた。彼女の口へ、彼の怒張がほとんど埋まっている状態だった。

 

「んんんんんんっっ♪」

 

彼女は流し込まれた精液を楽しんでいた。びくびくと口内を犯す怒張の存在を楽しんで、感じていた。

オーフィスは怒張のカリのあたりまで口を動かす。まだ射精は続けられていて、彼の精液が舌を犯す。

独特の臭いと味に、彼女は少し目を細める。

知識として精液が苦いものと知っていたオーフィスだが、彼の精液は不思議と苦さは感じなかった。それどころか癖になりそうな味であった。

彼の射精がようやく終わるのを知ると、オーフィスはちぅちぅと尿道に残っている精液を抜く。俗に言うお掃除フェラであった。もちろん全部飲み干すと、彼女は彼の怒張を解放した。

 

「ん……気持ち、よかった?」

「ああ、すごく気持ちよかったぞ」

 

また、頭を撫でられた。

じゅくり、と女が疼くような気がした。

 

「よかった……」

 

オーフィスはほっとしていた。彼女の力は強い。故に、激しくしすぎてしまうとイッセーが壊れてしまうのでは、死んでしまうのではないかと思ったからだ。

 

「じゃあ、今度は俺が気持ち良くしてやるよ」

 

彼がそう言うと、オーフィスをひょい、と持ち上げ、風呂に入る。そして、彼女の胸を撫で始めた。

 

「んっ」

 

ほぼ無いに等しい胸だが、楽しみようはある。乳首をいじってやればいい。

親指と人差し指の腹でつまみ、くりくりと転がすように動かす。

 

「ん……んふっ……」

 

先程のフェラで高まっていた彼女は胸も快楽器官へと変貌していた。

 

「んっ……あっ……」

「気持ちいいか?」

「ん……気持ち、いい」

 

彼は右手をす、と秘部へと手を伸ばす。

今はちょうど彼女を後ろから抱き締めるような体制だ。背中を預けられる、この体制がオーフィスは好きだった。

くちり、と秘部へと中指の腹で触れる。

そして、その孔へ、ずにりと指を沈める。

 

「んあっ!」

「気持ちいいんだな……」

 

ずぷずぷと中指だけを動かすと、かなりスムーズに動く。これ幸いにとイッセーは人差し指を追加し、膣の入り口を解す。

 

「んっ、あっ、あ、んひぃ!? あ、わ、我……きもちいい……!」

「そうか」

 

ぐちゅぐちゅと激しく右手の指を動かす。もう既に三本目の指をくわえこんでいた。

そして――

 

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、んくぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

彼女はびくびくと痙攣し、絶頂に至ったことを体で示していた。

 

「あ……」

 

彼女は快感で溺れる瞳で彼の怒張を見た。それだけでとぷりと愛液が流れ出し風呂と混ざる。

ほしい。

あれが、ここに、ほしい。

そんな思考で頭がいっぱいになった。

 

「欲しいか?」

「ほしい……イッセー、ちょうだい」

「ああ」

 

彼はオーフィスの秘部へてをあてがったまま、くぱりと入り口を広げる。彼女を怒張の上へ持ってくると、つぷ、と先っぽだけをくっつける。

 

「あっ……」

 

ずん、とオーフィスの肉体に、それは沈んだ。

背面座位、とよばれる体位だった。

 

「んぉぉぉぁぁぁっ!?」

「……っ」

 

一撃で軽くイってしまった彼女。

お構いなしにイッセーは腰を振る。背面座位という性質上、あまり腰を振ることはできないが、それ以上に彼女の狭さで快感を感じていた。

ちなみに、彼女に処女膜というのは存在していない。処女膜で守る必要がないからである。

とんとんと、子宮の入り口を叩く度にオーフィスは快感に狂った。もう彼なしの生活なんて考えられなかった。

 

「あっあっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ああっ、んぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♪♪♪」

「ぐっ……」

 

彼ももう限界だったが、こらえる。

 

「オーフィス、どうだ? まだ狭間に帰りたいか?」

「んぁぁっ! 我、故郷なんかもうどうでもいいっ♪イッセー以外、要らないのぉぉぉぉ♪」

 

(俺以外要らんと来たか。こりゃ完全に出来上がってるな)

 

ならば、とイッセーは隷属の禊を打ち込む。

 

「なら、俺の女になれ! 俺のモノになれ、オーフィス」

「はぃぃぃ♪」

 

きゅぅぅ、と嬉しさで一層膣が絞まった。彼の所有物となることさえ、快感へと変換された。

 

「ぐ……オーフィス、出すぞ!」

「んほぉぉぉぉぉおお!?」

 

びゅるるるるるぅぅ、と彼の鈴口から精液の奔流彼女の子宮を、膣内を犯す。ぐりん、と彼女の瞳が瞼に隠れかける。淫らな、しかしどこか美しさも感じられるアへ顔を晒していた。

 

「あっ……」

 

幸せな快感のあまり、オーフィスは気絶してしまう。

 

「ふぅ……こりゃ、前途多難かもしれんな……」

 

彼は彼女から怒張を抜く。彼女の秘部からは精液と愛液が混じりあったものが溢れ、風呂を汚した。

 



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09.朝フェラって素敵。※

凌辱はもっと素敵。



 

翌日。射精後のような程よい倦怠感と共に目が覚める。

……ん? 妙に下半身、というかアレがぬめってるような……

 

「イッセー、おはよう」

「おう。なにやってんだ?」

 

ひょこり、と股の間からオーフィスの顔が。

 

「……苦しそうだったから」

 

肉棒にかくれるようにそう言うオーフィス。くそ、いちいちドストライク過ぎるんだよこの龍神は! 朝フェラとか初心者の癖にレベル高すぎる……。いや、俺の言えたあれじゃないけど。

 

「……ありがとな」

 

時計は……ふむ、まだ四時か。

 

「じゃあ、俺もお礼に、いっぱい気持ちよくしてやるよ」

「……♪」

 

言葉こそ発しなかったが、発情した牝の顔をして頬を緩ませていた。

 

 

女とは常に変動するものだ、とは俺の持論だ。感情、友情、愛情、機嫌、態度、流行。それ以外にも、だが。そういった表面的なものは特に変動する。

その日の体調や天気等ですら機嫌が変わる事が多い。雨、暑い、体調が悪い、生理。そういうときは大抵機嫌が悪いのだ。無論、個人差もある。

しかし、信念とかそういう「根っこ」は逆に停滞的で、動かすのは難しい。

 

「ん……ふぁ……」

 

胸をさすってやれば、オーフィスが心地よさそうに喘ぐ。幼いながらも妖艷さを孕んだ喘ぎだ。

上記の持論的に言えば俺はオーフィスにとって「根っこ」になりつつあるようだ。依存と言っても過言ではないだろうな。

胸にある小さな乳首を指の腹で軽く転がしてやると、擽ったそうに身じろぎする。

頭を撫でると、気持ち良さそうに目を細める。

時おり軽く秘部を掠めるように撫でれば、快感でぴくりと体を震わせる。

……しかしまぁ、グショグショなのにスジマンなんだよなぁ。犯罪臭が半端無い。まぁだからこそいいんだけども。準備万端と踏んだ俺はオーフィスを抱えて、すじまんに怒張をあてがう。このまま挿入すれば背面座位の形になるだろう。

 

「あ……」

「ほしいか?」

「ん……」

 

その返事を肯定ととった俺はずにずにと亀頭と秘部の入り口をあわせるようにする。

その行動でとぷり、と愛液が溢れる。

 

「力抜けよ」

「ん……ぁぁぁぁああっ!!」

 

ずん、とオーフィスを下ろした。一気に子宮口まで到達したそれはオーフィスの膣内を容赦なく荒らす。

そのまま、オーフィスをオナホのようにずんずんと動かす。

 

「あ゛っ、ん゛お゛お゛っ!」

 

獣のような喘ぎ声をあげ、快感でアへ顔になって涙を流すオーフィスを見て、ニヤリ、と思わず笑みを浮かべてしまう。

ぐりん、とオーフィスの向きを変えて、背面座位から対面座位へ。

ストロークを続ける。子宮口をノックするたびに、オーフィスは涎をたらし快感に狂う。

――ああ、可愛いなぁもう。

思わず抽送を緩めてオーフィスとキスを交わす。

 

「ん゛っ? んんん、んっ……♪」

 

キスされたオーフィスは一瞬驚くものも、すぐに快感と悦びでうっとりと目を細めて、キスを堪能していた。

……ぐっ。

 

「オーフィス、くっ……そろそろ出すぞ」

 

キスをやめてそう告げると、歓喜の表情を見せるオーフィス。

 

「ん……我に、いっぱい、いいよ♪」

 

……ああ、なんでこの龍神さまはいちいち可愛いんだよ!

思わずふたたびストロークを激しくする。荒々しく。

 

「ん゛っ゛ん゛っ゛お゛お゛っ゛お゛っ゛お゛っ゛っっ!!」

 

激しいストロークで俺の射精が近いと感知したのか、ただでさえキツい膣内が更に搾り取らんと締め付ける。無理、もう耐えられない――

 

「ぐ……出るっ!」

 

俺の快感が頂点に達した瞬間、尿道を熱いものが駆け抜け、それが放出された。

ものすごい量の精液が、彼女の膣を、子宮を白く染めていく。

 

「ん゛ぉぉおおおおっ♪」

 

俺の射精に合わせて快感で絶頂し……オーフィスは幸せそうなアへ顔で気絶してしまった。

ぴくぴくと時おり痙攣しているオーフィスだか……射精が止まってない。

うーん、まだ出るか。

……ふぅ。やっと止まった。

俺はオーフィスの秘部からアレを抜く。彼女の秘部からは、精液と愛液が混ざった液体が少量溢れ、ベットを汚すが、それだけで。残った精液を食ってしまったかのようにぴったりと幼い秘裂は閉じていた。

……いつかオーフィスに妖精オナホやってもらうことにしよう。

 

 

ちなみに学校には遅刻しなかった、とだけ追記しておく。というかオーフィスの復活が予想以上に早かった。

 

 

「楽しそうでなによりだな」

「我の特等席」

 

むふー、と頭の上で胸を張っているであろうミニ龍神。和むなぁ。

学校も部活もバイトも終えて、やることもないので夜道を散歩中。バイト中に服の中でもぞもぞされたときは肝を冷やしたぜ。

……ん? ありゃなんだ?

 

「ううー……ここどこっすかー……」

 

ほう、迷える涙目金髪の美少女……

 

『ふむ、アレは堕天使だな』

 

ふぅん。そんなことより迷える美少女には鬼畜の手を!

 

『そんな標語あってたまるか!』

 

うるさいドライグたん。

 

『ふん! (寸止めしておいて……)

 

ふぅ……。

 

「あー、お嬢さん。こんな夜分にどうされました?」

「……うぅ、道に迷っちゃったっす」

 

……ふむ、悪魔と気づいていないのか不安で気にしてられないのか。行幸行幸。

 

「……って、その頭のなんすか?」

「可愛いだろ?」

「いや、可愛いっすけど……!? あ、お前、悪魔……!」

 

チッ。和ませたのが失敗だったか。

 

「ああ、悪魔だな。まぁそんなことはどうでもいい」

「どうでもよくないっす!」

 

飛び退いて臨戦態勢に入る彼女。ふぅむ、芳しくない状況だな。

 

「いや、そんなことは重要じゃない。美少女が困っているのだからな」

「美少女って……そりゃ、そうかもっすけど」

 

……ふむ。オーフィスを頭から下ろして胸ポケットに突っ込む。

 

「ここでおとなしくしてろよ」

「ん……」

「いい子だ」

 

よし。

 

「俺はここらを管理してるリアス・グレモリーに仕える悪魔だ……が、美少女の為だ。堕天使の君にいいことを教えよう」

「……」

「聞くか聞かないかは君の自由だが……リアス・グレモリーは、彼女は強力な悪魔だ。下級堕天使の程度なら簡単に消し飛ばせるほどの力を有している。まさに天才だ」

 

だから、と続ける。

 

「何を企んでいるかは知らないが、あまりうろちょろしないほうがいいぞ」

「……何を企んでいるっす?」

 

ふむ、確かに悪魔は利己的だからな……。

 

「そうだな、ふむ。俺は美少女と知り合いになれた上に恩も売れた。美少女に死なれたらそりゃ胸が痛むからね」

 

嘘ではないし、事実だ。好みの美少女に目の前で死なれたらヤれなかったという苦しみで胸が痛むからな。

 

『下種というか外道だな』

 

誉め言葉だ。さかってる獣みたいにひんひん啼かせてやろうか?

 

『ばぁーか』

 

ふむ。困ったな。幼女に嫌われた事はないからどう対応すればいいのかわからん。

 

「じゃあな、堕天使ちゃん」

「ちょ!」

 

俺は堕天使ちゃんを無視する形で猛ダッシュして逃げた。

……布石は上々、か。



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10.初契約

 

契約、それは悪魔にとって仕事であり死活問題である。

今回は小猫の代役として魔方陣で飛ぶそうだ。

と、その前に。

 

「貴方にはどうやら神器(セイクリッド・ギア)があるようね」

 

ということで、神器を解放することに。

強いものをイメージしろ、ねぇ。

うーん……。オーフィス、はなんか違うしなぁ。

じゃあ、あれの真似でもするか。

 

想像(イメージ)するのは、常に最強の自分だ……!」

 

思わずそう呟くと、左腕が赤く輝き――籠手になっていた。

 

『……ふむ、第一段階の覚醒完了だ。今の時点では龍の手(トゥワイス・クリティカル)と変わらない。精々二度の倍加が精一杯だろう』

 

龍の手ぅ? ああ、それも神器なのか。

そして、朱乃に眷属の証を刻んでもらい、魔方陣で跳ぶことに。

光が晴れると。

 

「あ、あれ? 小猫ちゃんじゃないのかい?」

 

――第一声は、男の落胆の声だった。

 

「すいません、契約が重なってしまったようで。なので私が代わりに――って森沢さんじゃないっすか」

「そう言うキミこそ一誠くんじゃないか」

 

森沢さんは俺のバイト先の先輩だ。まぁ、いい人だ。

 

「なんだい? 悪魔だったのかい?」

「いえ――一週間ほど前から悪魔になりました新人ですよ」

「成る程。いやしかし残念だ。この服を小猫ちゃんに着てもらって――」

 

ああ、これは『暑宮アキヒシリーズ』の――短門キユの服だったったか?

たしかにこれなら小猫に似合いそうだ。お姫様だっことかしたい――

 

「――お姫様だっこされたかったのにッ!」

「いやお前がされるのかよッ!」

 

思わず突っ込んだ俺は悪くない。

 

 

「いやーすまない、取り乱して」

 

数分後、正気に戻った森沢さん。

 

「じゃあ、別の契約にしてみましょうか」

「そうだね、うーん……金持ちとかは?」

 

金持ちか。えーと、契約内容をスマホ擬き――面倒なのでスマホと呼ぶ。

スマホに契約内容を入力する。

えーと、対価は――うおっ。

 

「えー、対価は命ですね。天から金が降り注いで、それに押し潰されて死にます」

「そ、そんな殺生な!?」

「『天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず。されど、人は同価値ではない』。――悪魔の格言のひとつです」

 

ぐぬぬ顔で唸る森沢さん。かわいくない。

 

「じゃ、じゃあ、ハーレムは?」

 

ほう、そう来たか。なになに……これはひどい。

 

「えー……こちらはもっと酷いですね。聞きます?」

 

俺の言葉に顔をひきつらせぴくぴくしてる森沢さん。

 

「い、いちおう聞いておこう」

「そうですか。――美女、美少女、微笑女を視界にいれただけで死にます」

「もっとひどいじゃないか……しかも微笑女って微笑んでる女の子だから美少女とは限らないじゃないか……」

 

かくりと項垂れる森沢さん。

 

「まぁまぁ。妥協案を考えましょう?」

「……ありがとう一誠君」

 

結局、森沢さんは五万円と寿命二ヶ月を交換したのだった。

 

 

「はじめてで契約をとるなんて中々筋がいいじゃないの。よく頑張ったわね」

 

と、リアスから労いの言葉をもらう。

うーん、まだまだ「かわいい弟分」って感じだな。ま、悪魔なんだ、焦ることはない。

悪魔は万年生きる。死ななければ、人間としては永遠に等しい時を生きるのだ。

――オーフィスにとっては、一瞬の出来事なのかもしれないが、な。

まぁその辺は仕方ないか。どうにもならないしな。

俺はのんびりと家路についた。

 

――あ、そういえばあの美少女堕天使ちゃんに道教えてなかったっけ?

まぁいいや。

 

 

「うぅー……」

「ほらミッテルト、泣かないの」

「怖かったっすー……あっ!」

「あら、どうしたの?」

「兵藤一誠と遭遇したっす! なんでも、リアス・グレモリーは強いから逃げろだとか」

「……今報告が入ったわ。噂によるとリアス・グレモリーはバアルの消滅を有しているそうよ」

「っ!! じ、じゃあ兵藤一誠の言っていたことは……」

「そう、彼の言っていることは恐らく真実ね。……そうとわかればさっさとこんな町から逃げましょう。いくら昇進が近くても私たちでは上級悪魔を相手にするには分が悪すぎる」

「では、近日中に届く、と言うシスターはどうされますか?」

「放っておきなさい。悪魔の区画なのよ? そのうち消されるだけでしょう。私たちの任務は人間の赤龍帝を殺すこと。それが達成された上、死ぬかもしれない危険がともなう。……チャンスなら、また巡ってくるわ。その間に少しでも強くなっていないと、上級堕天使は名乗れないわ。いい?」

「「レイナーレ様の仰せの通りに――」」

「わかったら、したくなさい。(……わたしは、こんなことをして……。一誠くん、貴方は何者なの……?)」

 




俺は九重ちゃんとらぶらぶえっちするのを書くまでは、エタれんのだ!そう、決して!


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11.美少女拾いました

 

「あぅぅ……」

 

 

目の前に金髪美少女が降臨しました。

 

 

ここに至るまでの説明をしよう。俺の次の契約者であるミルたんなる謎生物を魔法使いにしろという契約をした。そしたら殆ど対価無しで美少女になっちまった。悪魔の契約の力ってすげー、なんでも、男を女にできるんだと。

で、テンションMAXになったミルたんは俺と共に「ミルキースパイラル7オルタナティブ」なるアニメを夜通し見続けるはめになったのだが。ヤってもよかったが契約前のあの姿を知ってるので萎えた。でもアニメは面白かったけど。

そしてミルたんのマンションから去り、帰宅途中の公園付近だ。

 

「あうっ!」

 

ずっこけて縞パンがモロ見えありがとうございます!

そして冒頭に戻る。

 

「ああ、これも神の試練なのでしょうか?」

 

……なんだこの子、よくよく見ればシスターさんじゃないか。

 

「もし、そこのお嬢さん。お困りですかな?」

 

シスターを堕とすとか最高だよな!

 

『このド外道ッ!』

 

誉め言葉です。

 

 

はなしによると、この美少女はアーシア・アルジェントという名前。今日付けで駒王の教会に赴任となっているそうだが……。

 

「ふむ、変だな。ここの教会は数年前に廃れて誰も来なくなっていた筈だ」

 

幼馴染みが礼拝に行ってた記憶がある。けど、数年前にはもう誰もいないって話だし……。

 

「えっ!? そうなのですか!?」

「ああ。一応、確認してみよう」

 

そして、教会。

教会ははっきりいってもぬけの殻……というか、教会にある十字架という十字架全てが破壊され、聖域としての効力を失っていた。

 

「ああ、そんな、なんと酷いことを……」

 

かなしみにくれるアーシア。ふむ、別に美少女を拾っても構わないよな。金ならあるし。この間スクラッチくじが偶然当たってな。100万という臨時収入もゲットできた。オーフィス曰く「我の加護のお陰」らしいのだが……。

 

「……アーシア。これからどうするんだ?」

「……実は、もう帰るところがありません。この教会に来るように命じられたのですが……」

 

悪魔とは甘言を言うのだよ。そう、弱味に漬け込むのが悪魔の本懐だ。最も、契約で嘘は絶対につかない。Give and Take、公平にだ。

まぁ、軽く手コキくらいはしてもらおう。どうもこのシスターさんは『訳あり』っぽいしな。

それに夕麻ちゃんにも連絡つかないし。

よし、拾おう。

 

「もしよければ俺の家に来ないか?」

 

俺は嘘はつかない。絶対にだ。

 

 

「ここがイッセーさんのおうちですか……」

「ああ」

 

アーシアを家にあげる。最初のうちは抵抗していたけど更に攻め続けたら大人しくなったので連れてきた。……字面的になんかアレだが特に深い意味はない。

 

「……誰?」

 

今日は珍しく留守番してたオーフィスがそういう。

 

「私はアーシア・アルジェントと申します」

「我、オーフィス」

 

互いに自己紹介もすんだようなので家にあげる。

すると、魔方陣が。

たぶんリアスだろう。シスターを家に連れ込んでるんだし。

 

「フィー、縮んでこっちこい」

「ん」

 

フィーというのはオーフィスの愛称だ。最近考えた。オーフィスは頷くと俺の方へ飛んできて、頭の上へ。

そして――リアスが魔方陣から現れた。

しかめ面で。

 

「イッセー? あなたは何をしているの?」

 

よし、こうしよう。

 

「神器持ちの美少女を拾っただけです。……別陣営に確保される前にこちらで眷属にしてしまうべきかと」

 

左手がね、疼くんだよ。こいつぁ匂う、神器の匂いがぷんぷんするぜぇーーッ!! ってな。

オーフィスの一連から目を白黒させているアーシアが印象に残っていた。

 

 

「ええっ!? イッセーさんが悪魔!?」

 

アーシアはなんというか、優しい子だ。そういうところをつけこまれて騙されそうだな。純粋というか。フィーに近いところがある。

 

「そうよ、私も彼も悪魔。貴女は見たところシスターのようだけど……何故あの廃教会へ?」

「実は……」

 

アーシアの話をさくっと纏めると、上司の堕天使に呼び出されたんだと。そこで、何らかの儀式を執り行う予定だったとか。しかしその廃教会には堕天使どころかはぐれ悪魔祓い(エクソシスト)の一人もいなかった。

 

「つまり、貴女は今居場所がないのね。堕天使に身を堕としているかしら?」

「いえ、今回の事で正式に堕天使の方へ登録するという話だったので……」

「ちなみに貴女の宿しているものは?」

「これです」

 

彼女の両手の中指には十字架をかたどった指輪がされていた。

 

聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)……超レア神器じゃない」

 

ドライグによると、この聖母の微笑という神器は人間や悪魔や天使、堕天使をも癒すことのできる神器なんだとか。

すげぇなこれ。

 

「……なら、私の眷属にならない? 行く当てが無いのでしょう?」

「わ、私が悪魔に……?」

「嫌ならやめてもいいわ」

 

言外に「眷属にならなきゃ保護はしないよ」って言ってるようなもんだからな。二択のようで、実質一択だ。

それに……彼女は教会には戻れないだろうし。悪魔や堕天使をも癒してしまう神器なんて、信仰に支障が出るだろうし。

しかし、胸にぶら下げてる十字架が彼女が未だ神を信仰している証拠であった。

 

「え、えっと、その……」

「すぐでなくてもいいわ。悩みなさい」

 

リアスはそういうと、俺の方へ向きにこりと微笑み。

 

「貴方がつれてきたのだから、きちんと面倒見るのよ?」

 

そんな犬を拾ってきたみたいな感覚で言われても……。

 

「わかりました。ただ、彼女が眷属になった時は、彼女の生活費とかの工面をお願いしますね」

「わかったわ」

 

なぁに、彼女が悪魔になりたがればいいんだろう? 容易い。



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12.アーシア攻略計画※

(^q^)


 

アーシアを預かった俺が為すべき事は、アーシアが悪魔になるように仕向ければいい。

 

リアスは他の悪魔に比べると人間に対して少々、いやかなり甘い。だから、無理矢理や洗脳というのを嫌う(たち)だ。だから、俺も正攻法でなければならないだろう。薬品などを使った精神制御や絶望に堕として犯すとかは今回は使えない。現状ではリアスを封殺なんか出来ないからな。俺の実力的にも。だから、今回は正攻法。

 

アーシアの純粋さや能力、それに盲信ともとれる信仰心。ここから導き出されるのは脆さ。信仰にすがらなければ生きていけないような人種だ。

 

……つまるところ、だ。俺を彼女の中の大切な存在に格上げしてやればいい。そう、聖書の神に向けられている信仰を俺にすげ替えてしまえばいい。

 

そうすればこちらからアクションをとらずとも彼女は悪魔になることを望むだろう。そうときまれば早速作戦開始だ。

 

「あ、イッセーさん! 今日からお世話になります! ふ、不束者ですがよろしくお願いします!」

「アーシア、それは嫁入りの言葉だろ……」

「あうっ!?」

 

ちなみにアーシア、イタリア語で会話している。

 

 

アーシアの攻略はぶっちゃけるとフィーよりも楽だろう。彼女は知識もないし純粋だ。故に騙されやすい……というか騙しやすい。

オーフィスはなまじ知識があったために合体まで持ち込めたのだが……今回は合体まで持ち込むのは無理かなぁ。眷属になってから考えよう。

アーシアへ行うアクションをいくつか用意してある。

 

「イッセーさん、本当にいいんですか?」

「ああ。アーシアも女の子だろう? いつもシスター服じゃあ可哀想だしな」

「……ありがとうございます!」

 

ぎゅー、と服を抱き締めるアーシア。シワになるからやめなさい。

うん、可愛らしい。なんというか汚したくなるな……っとと、こういうことを考えてると陵辱してしまうかもしれんから控えないとな。

女性にはプレゼント。鉄板だが効果は抜群だ。ついでにただで貰ってしまったという無意識の罪悪感つきで。

あまり焦っても仕方ないのだが、今回は一週間という短い期間だ。少しは焦りもする。

なんやかんやとしているうちに昼食の時間になってしまった。

 

「美味しいれふぅ……」

 

アーシアにあげたのはハンバーグだ。女を攻めるにはまず胃袋を攻めよ……ん? なんか違うな。

デミグラスソースはネットで購入した調理酒を使ってちょい本格的に仕上げてみた。付け合わせはニンジンのグラッセとブロッコリーの茹でただけのものだ。もちろん主食はパン。いわゆるバターロールってやつだ。これは市販のもの。

ハンバーグはもちろん手捏ねだ。中学の頃は知識収集してその知識を実践するという謎趣味があって、その影響だろう。

余談ではあるが彼女が食事する前にお祈りを捧げようとしたので

 

「郷に入れば郷に従え。日本式の食事前の挨拶にしてくれないか?」

 

と、いただきますを強要してみた。美少女に強要とかそそるな……おおっと思考がまたダークサイドに……。

風呂入ったらフィーに抜いてもらおう。でなければアーシアをレイプしてしまいそうだ。

アーシアをレイプ……。

 

『いぎぃ!? 痛いです、やめてください……! どうして、優しいイッセーさんがこんなことを……あぁ……』

 

そして快感に溺れ始め…………いかんいかん、余計なこと考えたら無駄に妄想してしまった……自重せねば。

 

 

 

風呂場でも散々な目にあった。

 

「これがお風呂ですか……」

「ああ。頭洗うよ」

 

……アーシアは誘ってんの? なぁこれ誘ってんの? なんで平気で風呂入ってくるわけ!?

いくらなんでも無防備過ぎるだろ! 犯すぞ! ……おっと本音が。

 

「ん、我も一緒」

「オーフィスちゃんも一緒ですね!」

 

さらにフィーの追い討ち。

……鋼の精神を宿す俺が負けるはずがあるか! 理性よ、押さえつけろ!

俺の頭のなかでは小悪魔と大悪魔が俺をそそのかしていた。

 

『さっさと犯しちゃおう、隷属だよ隷属ぅ』

 

と、小悪魔がささやき、

 

『いや、あえてここは普通に惚れさせて後から『我慢できないんだ』的に陵辱するべきだ。自然と和姦になる』

 

と、大悪魔が呟く。つーか大悪魔てめぇ黒っ。腹黒っ。いや、俺が言えたことじゃねぇけどさ。全面的に同意するけどさ大悪魔よ。

 

『成る程……勉強になります先輩!』

 

小悪魔テメェだまってろ。

 

 

なんかかんやあって夜。アーシアには敢えて別の部屋を用意した。いわゆるゲストルームだ。母さんの使ってたベッドだけどな。……ちょっと縁起悪いから買い直すか。しかし寝間着すら持ってなかったので俺のYシャツ貸しといた。所謂『彼シャツ』というやつだ。めちゃくちゃ犯したかったが我慢した。

フィーは今日も俺の寝床だ。セミダブルで正解だったな、過去の俺よくやった。

 

「ん……んむぅ♪」

 

フィーのやつ、ここんとこヤりっぱなしの為か、舌技が上手くなってやがる。

じゅぷじゅぷと淫らな音を鳴らしながら俺の怒張をその小さな口で愛撫する。フィーはフェラが大層気に入ったらしい。

無論一日中どぎまぎさせられた俺は溜まっていたので、すぐに射精したい衝動に刈られる。

 

「フィー、そろそろ出すぞ」

「んんっ♪んふ、んっんっんっんっ♪」

 

その言葉を聞いて頬を緩ませ、ストロークのスピードを上げる。勿論耐えきれるはずもなく、俺はフィーの頭を掴んで奥深くまで怒張を捻り込む。

 

「んぶっ!」

「ぐっ! 」

 

そして、何かが遡上する感覚と共に俺の怒張が一瞬震え。

 

「ん♪んんっ♪」

 

フィーの淫らな表情がとどめとなり、鈴口から止めどなく精液を吐き出した。

びゅるる、とでも擬音が付きそうな勢いで射精を続ける俺。フィーはその吐き出された精液を味わうようにこくこくと飲み込んでいた。

ようやく射精がとまると、フィーは一旦口から怒張を解放する。少々力を失っていたそれには尿道に少し精液が残っている。

「ん……もったい、ない」

それをフィーはちぅちぅと吸出し、さらに怒張付近に付着している精液をぺろぺろとなめとり出した。

それを全部舐めきると、小さな赤い舌が、ぺろりと唇を舐めた。

……オーフィスはどうやら無自覚の精液ドランカーのようだな。くそ、エロいッ!

俺はさっさとパンツを脱ぐ。

そしたら、フィーの小さな胸を揉む。龍神故に成長しきったその胸は慎ましい。壁と言っても差し支えないかもしれない。だがそれがいい。乳首を優しく攻めてやるとびくびくと体を震えさせ息を荒げる。

ちなみにこのフィーとのまぐわいは決して性欲処理と愛を育むだけではない。勿論体を重ねるたびにフィーをいとおしく感じるのは確かだが、今回はアーシアの攻略も兼ねている。

ドアをわざと半開きにして覗けるようにしてあるのだ。アーシアがいくらシスターであるためにそういう知識がないのであっても、肉体は、本能は違う。いくら性から隔離されていても……否。隔離されているからこそ、そういったものに肉体が貪欲なのだと予想する。いくら聖女とて、人間なのだ。ちょっと後押ししてやればヤれる。信仰を壊さず、歪めてやればいい。打ち砕く必要性はない。彼女は人の温もりを求めているから……。

そう、ぞんぶんに人の温もりを与えてやれば、離れられなくなる。一度手にしたものは手放し難いというものだ。

「あっ、んくぅぅぅぅ♪」

おっと、思考を飛ばしてたらいつの間にかオーフィスがイってた。うーん、悪い癖だな。

フィーの秘部に触れると、案の上。濡れそぼってひくひくと疼き、求めているように見えた。

フィーをうつ伏せにするとパンツを脱がす。そして、そのまま挿入した。

「ぐっ……」

体位が違えば感覚も違う。後背位の一種、つぶし駒掛けと呼ばれるものに近い体位だった。

「あんっ、あ、あ、っんぁあ……ふぁ♪」

く、こっちだと締め付けかたが違って……ぐ、搾られちまいそうだ。

猿のように激しく交わるそれは、ジャンクセックスと呼ばれるものだ。AVやエロゲだと大体がこのジャンクセックスにあたる。ジャンクセックスは男性には好まれるが女性にはあまり好まれない。

むしろ、延々と愛撫し続けたりキスをし続けたりと、ゆったりとしたほうが気持ちいいらしい。

まぁ、目の前のフィーはどちらかというと激しい方が好きなようだ。無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)なんていう存在だから多少の無理も効く。……今度黒い首輪でも買ってこよう。絶対似合う。

「あぁぁぁあ、イッセー、きもち、いい?」

「ああ、きもち、いいぞっ!」

「ん♪」

気持ちいいという旨を伝えれば嬉しそうに微笑む少女。くそ、可愛いっ!

その可愛さと気持ちよさで快感の階段を昇って行く。

がくがくと腰を振る俺はまるで猿のようだな。

「っ、フィー、中に出すぞ!」

「んぁ! いいよ♪イッセー、の、せーし、出して♪」

……その可愛らしい反応にもう色々と限界だった。

 

「ぐ、っ!」

「んぁぁぁぁぁああああ♪」

 

びくびくと快感で痙攣している彼女へと容赦なく精を吐き出す。

 

「ああ、イッセー、気持ち、よかった……」

 

フィーはそう言うとくたりと気絶してしまう。すぐにすぅすぅと寝息が聞こえてきた。

 

「……はは」

 

くそぉ、可愛い奴。

 

「おやすみ」

 

オーフィスに軽くキスをすると、シーツやらフィーやらなんやらを洗うために風呂へ向かった。




(^q^)
(^q^)
(^q^)
(^p^)<ロリ美味しいです
(^q^)
(^q^)
(^q^)
(^q^)


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13.考える聖女

 

アーシア居候三日目。もひもひと夕飯を食べるアーシアをよそに考え込むイッセー。

(……ここ三日間で信頼は得られたようだな。少なくとも好意の感情を得ることができている……どうにかして悪魔の道に引きずり込むには俺にもっと依存させなければならないな。催眠は……あくまで最終手段にしよう。悪魔だけに)

イッセーにはイッセーなりの『信念』があった。イッセーは非常に選り好みが激しいタイプである。

たとえみてくれが良くても、他人と交わる可能性のあるビッチや性格がダメならば彼のお眼鏡には引っ掛からない。性格がいくら良くてもみてくれが最低ラインを越えていなければいけない。

そのかわり、上記二つを満たしていればロリだろうが熟女だろうが人外だろうが落ちてくる系ヒロインだろうがお構い無し。

イッセーの『お眼鏡』という門は、横に広いくせに縦に狭い。そういう意味ではアーシアやリアス達オカ研はお眼鏡にかなっていると言える。

ヤり捨てるのであれば見てくれしか気にしないし催眠でパパっとねかせてヤるのだが、これからハーレムの一員として加える予定であるとなると話が違ってくる。

それはイッセーの信念にある。それは一度関係を持ったら極力責任をもって面倒を見ることにするというものだ。オーフィスが良い例だ。

それにイッセーは非常に独占欲が強く、女性を束縛する面がある。一度自分の女にすると決めたのに他人に奪われたらそれはもう憤怒の形相で相手を血祭りにあげるだろう。

(うーん、なんとか吊り橋効果的にころっと堕ちてくれないかなぁ。まぁ、そんな都合の良いこと起こるわけがないか)

“手段は選ばない”のに“嘘はつかない”。少々矛盾した思考ではあるが、それが彼の信念なのだ。

その時、携帯電話がぶるぶると震える。

(……リアスから? なんだろう)

メールにはこう書かれていた。

“はぐれ悪魔討伐依頼がきたのですぐに部室に集合すること”

(……ほう)

イッセーはメールをすぐに返信する。すると、その返事もすぐに返ってきた。

(よし)

「アーシア、行くぞ」

「ふぇ?」

頬にソースがついているアーシアはすっとんきょうな声をあげた。

 

 

「来たわね」

俺たちは部室に到着する。

アーシアと眷属の皆が挨拶しているなか、俺はリアスに質問をする。木場ちゃんもとい優美は少々渋い顔をしていたが、アーシアの純粋さに毒気を抜かれていた。

「部長、はぐれ悪魔とはなんですか?」

「良い質問ね。はぐれ悪魔とは、主を殺したり主の元から逃げたりした悪魔のことよ。冥界の政府からは極力捕縛するようにとの通達が来ているのだけど、今回のはぐれ悪魔“バイサー”は力に飲まれて主を殺した、と資料にあるわ。なので今回は“討伐”とされているわ」

「成る程、わかりました」

成る程……。文字通りはぐれなわけか。経験値が高そうだな。一万くらいくれると俺的にも助かるんだが、なんか今回のはぐれ悪魔は弱そうだなぁ。

「部長、いきますわよ」

「ええ」

 

 

「……このあたりね」

廃工場ともとれるこの場所に、はぐれ悪魔バイサーが潜んでいるとか。

「……血の臭い」

小猫がそう言う。……うん、確かに血の臭いがするが……薄い。

「近くに死体があるみたいです。しかも、新しい……」

小猫の言葉は最もだ。ここらへんは少々臭う。

「実践形式ということで、二人に優美達の力を見てもらうわ。先ずは駒の特性を――」

駒の特性か。

その瞬間、濃密な殺気がばら蒔かれる。

「んん? 旨そうな匂いがするぞ? 不味そうな臭いもするぞ? 甘いのかな? 苦いのかな?」

闇から出てきたのは、上半身が裸の女性、下半身が獣という異形だった。

俺たちよりもよっぽと悪魔らしい姿だ。アーシアはヒッ、と短い悲鳴をあげて俺の背中に隠れる。

「はぐれ悪魔バイサー。私の管轄下に逃げ込んだのが運のつきね。大公の命により、消し飛ばしてあげるわ」

「こざかしいぃぃぃぃ! 小娘ごときがぁぁぁ! その紅の髪のように、おまえの身を鮮血で染め上げてやるわぁぁぁぁ!」

リアスを認識したとたんに殺気を膨らませるバイサー。なんだ?

「雑魚ほど洒落た台詞を吐くものね。――優美」

「はい部長」

優美の姿が一瞬ぶれる。すると――

 

斬っ!

 

「ぎゃぁぁぁ!? わ、私の腕がぁぁあ!」

一瞬で右腕を切り落としたらしい。

「彼女の駒は『騎士(ナイト)』。その特性はあの素早さよ。剣の腕もあいまって、眷属最速の騎士となるわ」

しかしいつの間にあんな御立派な剣なんざ持ってたんだ?

「次は小猫」

「……」

小猫がバイサーへと突撃する。

「小虫めぇ! 踏み潰してくれる!」

やつの巨大な足が小猫を踏みつける。おいおい

、不味くないか?

「あぁ、小猫ちゃんが!?」

悲鳴に近い声をあげるアーシア。

「心配しなくても良いわ。彼女の駒は『戦車(ルーク)』。その特性は、強い防御力と――」

ぐぐぐ、とバイサーの巨体が持ち上がる。あんなちっこい体にあんなパワーが秘められているのか……しかも余裕そうだ。

「馬鹿げたまでの攻撃力。あの程度では小猫は止められないわ」

小猫は完全にバイサーを持ち上げると。

「……ぶっとべ」

空中へ放り投げてしまう。すげぇ。アーシアもその怪力に驚いていた。

「ぐぁぁ!? くそぉぉ……ん? シスターがいるじゃないか」

バイサーはようやくアーシアを見つけて舌なめずりするが……

稲光と轟音が響く。

上空から、雷が落ちたのだ。室内なのに。

「ぐわぁぁぁ!?」

「あらあら、余所見はよくありませんわね」

……朱乃、ドSなんだな。加虐……さでずむだっけか。

ねちねちと死なない程度の雷を落とす。死なない程度の雷、という表現もアレだけどね。

「朱乃の駒は『女王』(クイーン)。『兵士』以外の駒の特性をあわせ持つ最強の副部長よ。そして極度のサディスト」

あまいな。俺なら皮を剥いで再生、皮を剥いで再生、指を関節ごとにゆっくりぬいてから再生……っとと、思考を飛ばしすぎたな。アーシアはがくがく震えてる。

……すこし畳み掛けるか。

「アーシア。悪魔にも人間にも悪いやつといいやつがいる。……俺は心配なんだ、人間であるアーシアがこんな町ですんでたら殺されてしまいそうで」

「イッセーさん……」

……嬉しさ半分罪悪感半分ってところだな。よし、このまま一気に行くか。

「なぁ、アーシア。俺たちと同じ悪魔に、なってくれないか? 部長は優しいし、信用できる人だ。それに……君が死にゆくのを看取れる自信はないよ……」

隠し玉もだした。よし、これでなんとか……。

「えっ……」

困惑するアーシアを確認してからちらりと横をみる。黒こげのはぐれがリアスに消し飛ばされていたところだ。

「……この話はまた今度にしよう」

 

 

「イッセーさん、さっきの話しはどういう事ですか?」

帰った来てすぐ、そう聞かれた。俺は丁寧に答える。

「アーシアは知らないかもしれないが、悪魔は一万年生きる。長い時間を生きた悪魔にとっては、人間の生まれてから死ぬまでの時間なんて、一瞬に等しいそうだ」

「……それじゃあ……」

アーシアは暗い顔をする。

「そうだアーシア。君が年老いて死んでしまっても、俺は生き続ける」

そしてハハ、と乾いた笑みを思わず浮かべてしまった。

「せっかく仲良くなれたのにな……言葉にすると辛いや」

……いや、本当に。

だってこんな美少女と仲良くできるなんてなかなかないぜ? 俺は食虫植物みたいな男だし。

基本動かないけど近づいてきたら喰う(性的な意味で)からな!

どうせなら長い時間、一緒にいたいと思うじゃないか。

「イッセーさん、私!」

「おおっと、速急に決める必要はない。まだまだ時間はある。アーシア、君が選ぶんだ。アーシアが決めるんだ。そこに俺の意思は関係ない」

敢えてそう言うことによって彼女の気を引かせる『押してダメなら引いてみよ』作戦。

「……」

アーシアが押し黙って考えているのを見てから、俺はリビングへと向かう。

――すげぇの見ちまったからな。今日は。もう、寝るか。既に俺の布団で寝てるフィーを抱き枕代わりにして。

 



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14.悩める聖女※

(天´・ω・`)ごめんな、アーシアとのえっちはまだなんだ。


アーシアが家に来てから四日目、朝。

「あ、んくぅぅぅぅう♪」

聞き覚えのある幼い矯声と射精後の気だるさで目を覚ます。

「おはよう、フィー」

「あ、イッセー、おはよ、うぅぅ♪」

かくかくと体を上下させながら淫らなダンスを俺の腰上で披露する。幼いため、少しぽこりといつもより腹が膨れているのが印象的で背徳感を覚える。

あーあー、ベットシーツが愛液でぐっしょりじゃねーか……ま、今日洗うつもりだったしいいか。……俺ってば、自分の女に甘いのかな。意外な発見点だ。

「それで? なんでやってんだ?」

「んぁっ、わかんない、なんか、したくなったのぉぉぉぁぁぁぁっ♪」

そう言いながら忙しなく揺すれる少女にいとおしさを覚えた。

「ああもう、可愛い奴め!」

「んにゃぁぁぁぁあ♪」

さっさと済ませて朝食作ってしまおう。やれやれだぜ……。ま、こういうところも可愛いんだけどな。

 

 

「んじゃ、いってきます」

「ん。いってら」

「学校頑張ってください!」

イッセーが扉を閉めると、アーシアとオーフィスの二人きりになる。

ちなみにだが、オーフィスにも料理くらい作れる。魔法や魔術を使っているのか、ふわふわと浮かんで作っているのをアーシアは何度か目撃している。

オーフィスは知識こそあれど無益な知識として使わず埃を被っていた。が、イッセーと暮らしだしてからそういった知識が役に立つ事を彼女は知った。

知識のみで実践がないだけなので、数回こなせば鼻唄混じりでふわとろオムライスから本格フルコースまでなんでもござれ。

そんな風に腕を振るえばイッセーが頭を撫でて誉めて可愛がってといいこと尽くし。

故に暇な時間は読書をしているわけだ。最近の愛読書は『時間短縮術―プロが教える家事の時間短縮!― 著:紅い館の冥土さん』だ。

これによりオーフィスによる掃除洗濯の時間が格段に縮小し、調理時間の調整までお手のものになるだろう。

普段なら拙いとはいえアーシアも手伝うのだが、今日に限ってはいない。

テーブルを高速で拭きながら疑問に思ったオーフィスだが、アーシアが家事を手伝わなくても問題はないので、武器ははたき、盾は雑巾、兜は三角斤、鎧はエプロンという装備に変更した。

夏場に出てきてすばしっこくて黒光りしてて光が苦手でたまに飛ぶ三億年前からの強者に立ち向かうため、家庭的な龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィスは今日も戦う。暗き、冷たき蔵の下で……。

 

要するに冷蔵庫の下でG相手に小型化して無双するだけなのだが。服はともかくなぜはたきと雑巾まで小型化しているのかというと、そういう仕様だ。それ以来、奴等もオーフィスを恐れてシャバに出てこれなくなったという。

 

そんなオーフィスはさておき部屋に籠って考え事をしているアーシアはというと、悩んでいた。

もちろん命題は「悪魔になるか否か」。

悪魔になればイッセーとずっといっしょ。でも、それは背信行為なのでは? と。

しかし教会からは異端として放り出されたわけだし、でも信仰は捨てられない。

あーでもないこーでもないと思考するも、彼女は答えを出すことができていない。

(ああ神よ、これも試練なのですか?)

いるかどうかも怪しい神に祈るアーシア。

(こうして祈ることも、聖書を読むこともできなくなるのですよね……で、でもでも、イッセーさんのあんな悲しい表情……うううう!)

イッセーの変態思考など露知らず、真剣に悩むアーシア。

それに……。

(イッセーさんと一緒じゃないのは、嫌です……あぁ、でも神の教えに反してしま……あれ?)

神の教え。神の教えには、「悪魔になるな」というものは無かった。神がいるなら転生システム等を認めるはずがない。

なのに何故?

(……神は悪魔に惑わされるなという教えは残されましたけど、悪魔になるなという教えは……どうして?)

アーシアは疑問が湧いてしまった。湧いてしまった疑問は次の疑問を呼ぶ。

(神の教えは司教様や司祭様が教えてくださいました。でも、それは本当に正しいのでしょうか……?)

疑問は疑問を呼び、さらにアーシアを追い詰める。

アーシアは『頼る』ことを知らない。

だから、がんじがらめになってしまっていた。

アーシアは『妥協』することを知らない。

だから、うんうんと唸りながら考え続ける。

全ては、無知故に――。

そして彼女は気づいていない。路頭に迷うところだったのを救ってくれた一誠(外道紳士)が、自分にとってとても大きな存在になっているということに。

彼女は知らない、教会を追われた身である彼女には選択肢はもう残されていないということに。

彼女は知るよしもない、一誠による甘い誘惑に傾いているのを。

 

堕ちた少女が再び堕ちるのは――

 

 

「ぶい」

――少なくとも龍神様がGを殲滅する時間よりは長いであろう。

 

 



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15.聖女の堕ちる日※


自慰行為は、キリスト教においては背信行為とされている。




熱い。

 

躰が熱い。

 

心も熱い。

 

すべてが熱い。

 

どうしてこうなったんだろう。

 

その事を、ぼんやりと思い返していた。

 

 

イッセーさんのおうちに居候を始めて五日目。

今日も学校があったイッセーさんは何かを堪えるような顔をしています。私はきちんと考えなくてはならないことがあるのですが……イッセーさんが苦しそうなほうが心配です……。

「イッセーさん、おかえりなさい! 苦しそうですけど大丈夫ですか?」

私が声をかけるとイッセーさんは、一瞬だけ。

一瞬だけ、獲物を狙う鷹のようなギラついた視線になりますが、すぐに戻っていつもの優しいイッセーさんになります。

「大丈夫。ちょっと疲れがたまってるだけだからさ。ちょっくら寝るよ。フィー!」

「何?」

イッセーさんがオーフィスちゃんを呼びます。すると、ぼそぼそと何かを耳打ちします。

「わかった。我、頑張る」

……はぅ、気になりますぅ!

いかにもふらふらといった体でイッセーさんは自分の部屋へと帰っていきました。

「オーフィスちゃん、さっきイッセーさんと何をお話ししてたんですか?」

私は思わず聞いてしまいます。すると、オーフィスちゃんは無表情のまま答えます。

「ん。知りたければ我がイッセーの部屋に入ったあとに覗けばいい」

オーフィスちゃんはそういうと洗濯物を抱えて洗濯場へと向かっていきました。

……ちょっとだけなら、いいですよね?

いそいそと洗い終わって乾いた衣服を抱えてベランダへと向かうオーフィスちゃん。……あれ? さっき洗濯場へもっていったのと同じのような……?

「ゆめがあすをよんでいるー♪」

上機嫌でオーフィスちゃんはコンロの掃除をしていました。

……超スピードとか催眠術だとかそういうものじゃ、ないですよね。あからさまに人知を越えた動きですよね!?

 

 

オーフィスちゃんが階段を上っていくのを見届けた私は、こっそり後をついていくことに。……うう、悪いことをしているみたいで変な感じです……。

私が階段を上っていく途中から声が聞こえます。

「イッセー、大丈夫?」

「……わりぃ、大丈夫じゃなさそうだ」

っ、やっぱり無理をなさってたんですね!?

しかし次の発言で疲労ではないということをわからされてしまう。

「部長に昼休みに呼び出されて抱き枕になってたんだがな……あの人真っ裸で寝るもんだから……何度セックスしてえと思ったか。耐えた俺を誉めてほしいくらいだ」

……部長って、あの紅い髪の人ですよね。裸で……それに、せ、性交だなんて……うう、不純です。

で、でも、聖職者じゃない男の人はエッチなことが好きだから油断するなと孤児院のシスターに教わりましたし……

「ん。よしよし」

「……狙ってんのか?」

「?」

「はぁ……ったく」

私は階段で足を停める。

今なら、まだ間に合う。引き返せ。

理性が警鐘のようにそう告げる。

本能が、先へ進めと足を動かす。

気がつけば、イッセーさんの部屋の前に立っていた。ドアが少し開いている。

覗くな。引き返せないぞ。

理性が警告する。

覗け。己の思うがままに。

本能が惑わす。

 

結局私は、覗いてしまった。

 

 

 

「ん……」

淫らな水音が響く。

オーフィスは彼の怒張を口いっぱいに頬張って懸命に彼を気持ちよくさせようと頭を上下させる。

そんな懸命な姿がいとおしく感じたのか、彼は頭を撫でる。

そして、その行為を見つめる双瞳。アーシアだ。

扉の影から覗いていた彼女は酷く狼狽えた。

何をしているのかは理解できていないようだが、本能は淫らな行為だと知っている。

(あぁ……)

男性器すら見たことないような生娘……いや、性の知識関連はゼロに等しい彼女。その性の知識は小学生の方が知っているといっても過言ではないだろう。

躰が火照る。まるで灼熱に()かれているかのように。

淫らな水音が、彼と彼女を刺激する。

「くっ……出すぞっ!」

「ん♪」

一誠がそう言うと、彼はふるりと躰を震わせる。

刹那、牡の臭いが部屋中に溢れた。

「んっ……んっ……」

男性器に顔を埋めて美味しそうに精液を味わうオーフィス。

その顔は快楽に堕ちた女の顔。酷くいとおしそうに彼の精液を口のなかで受け止め、味わい、嚥下していく。

その牡の臭いは微かに部屋の外へもれ、アーシアの鼻腔へと届く。

(ああ、からだが……熱い)

その臭いは無垢な少女を発情させるには充分だった。

「こんどは、俺が気持ちよくしてやるよ」

「ん♪」

少女の明るい声。

その澄んだ声はすぐに淫らな声へと変化する。

「んっ、ふぁ……んぁぁ……」

彼は全身を撫で回すように愛撫を始める。手を、脚を、腹を、頭を、頬を、胸を、背中を、喉を。

くまなく全身を撫で回す。

「ぁっ……んふっ、ぁぁ……」

発情しきったオーフィスは情欲の色に染まった瞳で一誠を見つめる。

そのオーフィスを、アーシアは一瞬……ほんの一瞬だけ、自己投影してしまった。

(ああ……っ!)

熱に浮かされ、躰が求める。

自然と、右手の人差し指が下半身へと伸びていた。

ちゅくり、と淫らな音がした。

「ふぁっ!?」

はじめての快感に思わず声を出してしまう。慌てて部屋を覗けば。秘部を優しく愛撫されてよがる幼い少女の姿。矯声をあげて乱れる姿は、もう一人の少女の熱をさらに加速させる。

左手で口を押さえ、右手で秘部に触れる。快感に立っていられず思わずへたりと座り込む。

それは、シスターの初めての自慰行為だった。

「んぁぁああああ! んっ、いっせー、も、きもちよく、なろ?」

一緒に、気持ちよくなる。

(だめ、こんなことしては……でもっ、指が、ああ、止まりません……)

指の数は次第に増えていく。一本が、二本に――。

「挿入れるぞ」

アーシアは一誠の男性器をこの時点で初めて見た。 雄々しく聳えるそれは、一般の平均サイズを越えている。

それの存在に、どうしようもなく“牝”が反応してしまう。

どうしようもなく、投影してしまう。

(イッセーさんのあれが……ここにっ)

本能がそう理解すると、愛液が更にとぷとぷと湧き出る。

本能が、彼を欲する。信仰と理性はとろとろに融かされて、何が何だか解らなくなる。

「ん、くふっ、んんんっ!」

前も後ろも、右も左も解らない。

分からない。判らない……。

躰と心はまるで相反するかのように動く。こんなことをしてはいけないと頭ではわかっているのに躰は勝手に動く。

その思考すら快感の波に揉まれて訳が解らなくなる。

「んぁぁ、いっせー、はげし、っ!」

「すまねぇ、もう止まりそうにないっ!」

「んぉぉぉぉぁぁ♪」

獣のように淫らに激しく交わる姿は、アーシアをどうしようもなく融かして行く。

もう、あとには戻れない。戻らない。戻りたくない……。

もう、なにもわからない。からっぽ。考えるのは気持ちいいことだけ。解るのは気持ちいいことだけ。

「あっ……あああああっ!!」

何処かへ飛んでいってしまいそうな感覚。

もう、なにも考えられなくなって。頭のなかが真っ白に、なる。

「いっせー、われ、も、いくぅううう♪」

「ぬぉ……出るっ!」

彼は再び射精をする。精液がオーフィスの膣内を満たしてゆく。

快楽と愛欲の絶頂に至ったオーフィス。

それと同時に、アーシアもまた、絶頂へと至っていた。

「「ああああああああああああああっ!!」」

快感の波に揉まれてもう、なにもわからない。

ただ。

(わたしも、ほしい)

本能が、理性を完全に打ち砕いた。

(ほしい。いっせーさんのが、ほしい……)

少女は意味も理解せぬままふらふらと立ち上がると、ドアを開ける。

「いっせー、さん。わたし、からだが、あついです。あつくて、あつくて、もう、なにもわからなくて……」

自分が何を言っているのかすら快感の波に思考が流されてよくわからない。

 

「いっせーさんなら、しずめてくれますよね?」

 

――今日は、聖女の堕ちる日。



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16.FallDown※

据え膳食わぬは男の恥って諺しってるか?

女に誘われる前に自分から誘って女に恥をかかすなよっていう教訓なんだ、と俺は勝手に解釈してる。

辞書には「女から誘ってるのにヤらない男は駄目だ」的なことが書いてあったが詳しくは覚えてねぇ。

ま、それはともより。まさに据え膳(アーシア)が目の前にあるわけで、喰わねば失礼だろ。

「ああ。俺が可愛がってやるよ」

なにもわかってない発情美少女に色々仕込むのも乙なもんだよな。

今回やるのはいわゆる「スローセックス」ってやつをやる。愛撫や本番でも時間をかけてゆっくりと溶かしてゆくやつだ。フィーは龍神だから丈夫だし激しい方が好きだからいいんだけど……アーシアは人間で、とろとろに蕩けているのを見るあたり、情事をみてたんだろうな。それでもアーシアは人間で処女で性経験も性知識もなにもかもがほとんどゼロだろう。

 

まずは、彼女の身体を抱き寄せて、首筋をツゥ……と右指の腹で撫でる。

「あぅん……んふぅ……」

気持ち良さそうで何よりだな。優しく接してとにかく時間をかけるのがスローセックスの醍醐味だ。女の子をとろとろにとかして前後不覚どころか快感以外の情報が一切入らなくなるまで愛撫する。そしたら、挿入も楽になるだろ。

ゆっくり、落ち着いて。優しく、優しく……。

全身をくまなく撫でるように。まだ、シスター服の上から。

「んふぁ……んんっ……ぁぁ……」

……下着の濡れ具合を見るに一回イッた後か。さては無自覚にオナニーでもしたな……。

まだ我慢。胸の上を擽るかのように優しくなで回す。

「ん……ふぁ……あ、いっせー、さん……」

お、ちょっと理性が戻ったか? よし、日常会話のテンションで話しかけつつ愛撫を続けよう。

「ん? なんだいアーシア」

「きもち、いいです……なんだか、ほわほわしてて……」

……まだ、我慢。優しく太ももを撫でると快感に震える少女。

……ほほう、なるほど。背中や腹も弱いな。

そっと優しく。そっと優しく……。

気を使わねば壊れてしまいそうなほど儚い少女。だが――否。だからこそ美しいのだ。

「ぁぁ……いっせーさんの手、あったかい……」

「……そうか」

短い会話でもどうしようもなく愛しさが止めどなく溢れる。

優しく、優しく……。

こうして心掛けていなければいけないほど、彼女は美しく、純粋で。汚したくなってしまう。自分色に染め上げて俺しか見えなくしてやりたい。

……だが、アーシアを一気に染めるのは駄目だ。

美しい心のまま、俺の色に染め上げる。でなければ、器は簡単に壊れ汚れてしまう。

絶望に堕ちた心では、この少女の価値など無くなってしまう。そんな女を抱いてもなんの感動も俺は感じないだろう。彼女は女だ。ダッチワイフやオナホではない。

美しく、清く純真で、儚い。陶磁器のように美しくも脆い存在なのだ。

壊れてしまっては全く意味が、ない。

……ああ、成る程。確かに俺は催眠とかそういうのを集めてきた。事実、その知識は役立っている。しかし――心を砕くのは嫌いだ。成る程、悪魔王の子と言われてもするりと飲み込める筈だ。悪魔の本懐は人を堕落させること。しかし――人の心を砕き絶望させることではない。

悪魔は人間の敵ではない。それと同時に味方でもない。

人間を利用しているだけ。だから不必要に心を砕いてまで隷属を誓わせる必要がない。かつて神に怒り悪魔に堕ちた天使にして悪魔のルキフェルとて、人を愛していたのだから。

……アーシアには感謝しきれないな。ああ、こんなにも愛しい。

「アーシア……さわるよ」

「んぁぁ……!」

だから、愛す。壊れぬように気を使いながら、俺の色に染め上げる。

「んふぁ、いっせー、さん、きもち、いいですぅ……!」

「よかった……もっと、もっと愛すよ」

彼女の乳房に触れる。服の上から、優しく。

はじめはあてがうように。

しだいに、ゆっくりと揉みはじめる。

「んふぁ……あんっ……ぁぁ……」

ゆったりと、余裕をもって真剣に。女と相手するときに別の女を考えるのは無粋だ。

「服、脱がすぞ。いいか?」

「ぁ、はぃ……んっ……」

ゆっくりと彼女の服を脱がしてゆく。彼女の裸体を隠していたそれは簡単に脱がされ、可愛らしいブラとパンティが露となる。

「いっせー、さん、?」

「……ああ、すまん。思わず見とれてた」

数瞬とはいえ意識をぶっとばされた。それほどまでに彼女は美しい。白磁の肌はまるで(シルク)のような艶かしさを生み出している。

一般的にも巨乳の部類に入るアーシアの乳房は、白いフルカップタイプのブラにてそれを隠している。

金の茂みを隠しているであろうパンティは、やはりブラと同じように純白だ。

天使のようだ、という喩えは彼女のためにあるのだと錯覚してしまうほどだ。

運動は苦手なのか全体的に肉付きがいい。程よくついた脂肪はまた美しさを際立たせる。

「綺麗だよ、アーシア」

本音を構わず口にする。非常に月並みな言葉ではあるが……俺の語彙力では綺麗だ、とか美しい、とかでしか表現できないのが非常に悔やまれる。

「あぅ……」

少し羞恥が戻ってきたのか顔を赤らめるアーシア。まっすぐ誉められることが無かったんだろう。

彼女を抱き寄せて心臓のあたりに耳がつく感じにする。

「アーシアを抱き締めるだけで俺はこんなにも緊張する」

事実、心臓は警鐘を鳴らすように激しく鼓動している。

回数を重ねているとはいえ……緊張するのは当然だ。いつも不安だからな。

「あぅぅ……」

羞恥で真っ赤に染まるアーシアのうなじを軽く擽る。

「だから、もっとアーシアと触れ合いたい」

「わ、私も……私も、イッセーさんと、その……触れ合いたい、です」

恥ずかしげにはにかむその姿に心臓が締め付けられるような感覚がする。くそ、やっぱ狙ってんのか……?

まぁ、いいか。俺はアーシアを気持ちよくすることだけを考えよう。処女を奪うのはそれからでも遅くはない。

 

 

「イッセーさんと、その……触れ合いたい、です」

私は自らが発した言葉に驚いていた。

服を脱がされるのだって、否定しなかった。

……なんでだろう。ぼやけた頭で考える。

私はイッセーさんの事をどう思ってるのか。

「アーシアは柔らかいね」

イッセーさんがお尻を軽く撫でる。

「そ、そんな……ふぁん……!」

それだけなのに、心が満たされてゆく。イッセーさんと、もっともっと触れあって“仲良く”したい……。

「ほら、ここも」

イッセーさんが身体に触れるたびに思考が溶けてゆく。

心地よいその感覚は、雪が溶けるようにじわりと染み込んでゆく。

気持ちよくて、抗えなくて。

抗おうとも、思えなくて……心地よくて。

私はイッセーさんをどう思ってるんだろう。イッセーさんと何をしたいんだろう。

イッセーさんは、素肌を指の腹で優しく撫でたりつついたり、時には手のひらで包み込んでみたり。

ぞわぞわと、快感が沸き立つ。激しいものじゃなくて、優しく穏やかな快感。

あそこを触ったときの激しい快感とは違う。

唇に触れられると、気持ちいい。

二の腕に触れられると、気持ちいい。

お腹を撫でられると、気持ちいい。

胸を触られても、お尻を触られても、嫌じゃない。気持ちいい。その度に恥ずかしい声を漏らしてしまう。

快感が次第に、強くなりはじめていた。

 

 

「んくっ……ひぁぁ!」

……さてと。時計をちらりと見ればすでに七時を回っている。二時間も愛撫してたのか俺……。普段ならそろそろご飯なのだが……オーフィスは寝ている。

俺はアーシアの相手だ。……まぁ、一食程度抜いても問題ない。

「ひぁぁ、いっせー、さん! んぁぁ♪」

……うむ、出来上がっているな。

クロッチは愛液でびっしょりで、パンティの布地ではそれを吸いとりきれず内腿を伝って床を濡らしている。半分腰砕けなアーシアは快感でかくかくと震えている。そろそろ頃合いか?

「アーシア、脱がすぞ」

「んっ……はい……」

快感でぼーっとしてるせいなのか、肯定するのでブラをはずすことにした。手早く背中に手を回してホックを外す。

美しい二つの双丘はみるからに柔らかそうだ。その頂点は淡い桜色で、自慰経験がない、または薄いのが伺える。しかし、隆起したそれは感じている証だ。

その乳房を優しく包み込む。少し弱めに、優しく。それから、軽く押すように。

「んぁ……んっ……」

掌で、乳頭を優しく撫でるように刺激すると、くすぐったそうに軽く身を震わす。

「んぁっ、ぁぁぁ……」

そのまま、ひたすら乳房を揉む。揉むといっても軽く揉んでいるので肌に負荷はかかっていない。ひたすら胸を優しく攻める。

「アーシア」

「ふぁ……いっせー、さん……」

アーシアがもたれ掛かってくるのでそのまま抱えてベッドへ。

ちょうど、アーシアを押し倒す形になる。彼女の艶やかな唇を軽く撫でるとぴくりと反応する。

「アーシア……キス、してもいいか?」

そういうと、ぼやけていた顔が微笑む。

「はい、私、イッセーさんの事、なんだか好きになっちゃってたみたいです」

……恋はいつでも突然に、か。

優しく唇を重ねる。……飴でも食ってたのか、ほんのり甘い味がする。

「んっ……えへへ、ファーストキス、あげちゃいました」

照れ笑いをする彼女はとても可愛らしい。とても情事をする前とは思えない。

「そっか、ファーストキスだったのか……いいのか? 俺で」

「むぅ……イッセーさんはローマの休日って知ってます? それと同じですっ」

「身分違いの二人が一日で恋に落ちるって話だったな。悪魔とシスター、実に身分違いだ」

「そうですね……」

……よくよく考えればシスターと交わって悪魔的に大丈夫なのか? ……ま、なるようになるか。

「アーシア。俺はアーシアと……そうだな、性交をしたいと思っている」

「……そう、ですか。何となく、そんな気はしてました」

俺は枕元にあらかじめ用意しておいた避妊具(コンドーム)を取り出す。

というか性交の意味は知ってるのか。

「アーシアは初めてだろう? 処女を失う痛みは人それぞれだ。でも痛いことにはかわりない。どうする? 今なら……やめるぞ」

半分脅しだ。ここで交わらなくてもよし、交わってもよし。

「……私。いっせーさんと、えっちをするにはすごく短い期間かもしれませんけど……過ごしてきました。ご飯も服も、色々たくさんよくしてくれて……イッセーさんの、役に立ちたいんです……貰ってばっかりじゃ、嫌です……」

っとと、泣きそうな雰囲気だな。頭を撫でる。

「あ……」

小さくそう漏らす。俺は頭を撫でながら続ける。

「アーシア、俺は女の子が大好きだから他の娘とも関係を持つ。いいのか?」

「……いいんです。ただ……私の事も忘れちゃ駄目ですよ?」

俺のハーレム宣言に臆すどころかこうきたか。……本当、いい娘だ。

「……そっか。ありがとうアーシア」

お礼の意味を込めて唇にキスを落とす。

そのまま、舌を入れてみる。はじめは驚いていたが、次第にとろんと目を細めてキスに没頭する。

ちなみにだが、いつのまにかフィーは退室していた。

「んむ……ん、んぁ、あむ……んむぅ……」

すぐにキスの快感に没頭する彼女。

舌と舌が絡み合い互いの唾液を混ぜていく。

一旦口を離すと、二人の間につぅ、と唾液の糸が橋を架ける。

「ぁ……いっせーさぁん……」

……もう辛抱たまらんな。

「下ろすぞ」

確認をとる前にパンティをずり下ろす。

 

……oh.

……生えてない。

 

シスター・アーシア、齢16にして未だ生えてないのである。

 

剃ってるとかそういうのではなく、生えてないのである。

本来ならば閉じているであろう秘裂は、少し開き物欲しそうに開き蠢いている。

キスをしながらその大陰唇へと軽く触れる。

「んぅぅ!?」

……すげぇ濡れてんな。

もうこれでもか、というほど濡れている。だが……解れていない。まだ筋肉が少し緊張している。なら……解すのみ。

「んふぅぅ……んんっ……!」

……軽く指の腹で押しただけでこれか……やはりオナニーの経験はない、か。無意識下ならともかく……。ふむ。

少し小陰唇あたりを探ってみるか。大陰唇より、さらに奥へ。指が入っているようにも見える。

「んふぁ!? ぁぁっ!」

おとと、キスしてたのが放しちまった。

んー……感触的にまだ固いか? いや……このくらいだろうか。よし……さらに奥の膣の入り口へ。

「ぁぁっ!?」

うご、締め付けてくる……こりゃちょっとキツいな……。

中指で揉みほぐすかのように動かす。膣を傷つけないように気にしながら。

「あぅっく、んぁ、ふぁぁぁ♪」

彼女が矯声をあげてびくびくと身体を痙攣させる度に膣はだんだんとほぐれてゆく。徐々に、奥へ。

「んぁぁ、きもち、い、あぁぁぁ♪」

……もう少しの辛抱だ。ああ、声が可愛すぎて全然萎えねぇ。

もうシーツも手も愛液でベトベトだ。

ついぞ膣は指二本をなんとか迎え入れることの出来る程度までは拡張してきている。

……そろそろ頃合いか。

俺はいきり立ったそれにコンドームを装着する。フィーの間に子供は出来ない。ある一定の時期でないと子作りは不可能だそうだ。

アーシアの足をいわゆるM字開脚の状態にする。

「アーシア。力抜けよ」

俺の言葉に快楽に溺れた顔でこくりと頷き力が抜けたのがわかる。

俺は亀頭をあてがうと、ゆっくりと挿入を開始する。

「ぁぁあああ、ぁぁっ!」

愛液がきちんと役割を果たし、ゆっくりとではあるがスムーズに挿入されていく。

そして、何かに触れる感覚がする。……これが処女膜か?

アーシアは経験人数的には三人目だが、処女は何気にはじめての相手だ。

「いくぞ」

……ゆっくりとやったら痛いのじわじわくるんだろうか。

だったら、一気に……っ!

ずん、と深く打ち込む。それでも優しく。

「っっ!? 痛……?」

……まさか、上手くいったのか? それとも、処女膜が痛みにくいタイプだったか?

とにかく、そんなに痛くなさそうで安心した。勿論秘部からは血が出てきているが、漫画のようにそんなにたくさんではない。

奥まで深く突いた肉棒は快感で降りてきた子宮の入り口に当たっている状態だ。

「アーシア、大丈夫か?」

「はい、平気です……なんだか、拍子抜けしちゃいますね」

……よし。

「こうして繋がってると、アーシアを感じているような気分になるな」

「私も、イッセーさんを感じます……」

アーシアに負荷が掛かるんで、じっとしている。アーシアの中は少々キツい。当たり前だが初めてだしな。なんだかんだ言って痛かったのた。

しかしそれも次第に弱まっていくと、少し慌てたように膣が蠢きはじめる。

「イッセーさん……一緒に、気持ちよくなれますよね?」

一緒に気持ちよくなる。

「ああ、勿論だ」

ぐぐ、と腰を引くと再び挿入する。処女相手に端から激しいのは体に負担がかかる。

ゆっくりとした、ストロークだ。

「んぁ……ぁぁぁ、あんっ!」

ゆっくり引いて、ゆっくり挿して。本当なら激しくしたいが……そこはな。

「アーシア、気持ちいいか?」

「んっ、ぁぁ、はいぃ、いっせーさんの、きもち、いいですぅぅ♪」

……よし。少しペースアップするか。

一拍子から、二拍子へ。

「あぅん、んぁぁ、いっせーさぁぁん♪」

かわいく名を呼ぶので思わずそのままキスをしてストロークをはやめてしまう。ああくそ、抑えが聞かねぇ!

「ん、ん、ん、ん、んん、んぅ、んむ、ん、んんっっ♪」

次第に激しくなってゆくストロークに快感を感じているアーシアに安堵しつつも、もう止まらない。

「んっ、んっ、んっ、んんんっ、んん、んんっ、んむ、んむぅぅぅぅぅ!!」

彼女がついに絶頂に達し、精液を搾り取らんと締め上げる。

彼女の口のなかで出ると呟いた。

性の奔流が鈴口から溢れ出るが、それはコンドームが阻み子種としての機能を阻害する。

何度かびくびくと脈打った後、ようやく射精が収まる。

「ぁ……」

ようやく性交が終わったことに安堵したのかぱたりと倒れ混んで寝てしまう。

俺は彼女の膣から肉棒を抜くとさっさとコンドームを取り外して縛る。

そしてゴミ箱へぽい。

「終わった?」

「ああ、今な」

「ん。アーシア、寝かしとく。ご飯、出来てる」

……なにこの家庭的な龍神。すげぇ可愛いんだけど。

「わりぃな」

「ん。アーシアも、我と一緒。……サタンの眷属?」

……。

「そういうはなしはまた今度にしてくれ……疲れた」

「ん。今日の夕飯は、蜆の佃煮を用意しておいた。滋養強壮に聞くと、本にかいてあった」

フィーが見せつけるのは『旬の食材を知る~四季折々 著:西行く寺娘』。どうやら食材に関する本らしい。

ほんと気が利くな。

「そっか、ありがとな」

「ん……」

頭を撫でてやると気持ち良さそうに目を細めたあと、食卓へと向かった。俺はそのあとについていく。

 

余談だが、蜆の佃煮と白米の相性は抜群だった。




本編総文字数6666文字。
つまり……わかるな?
スローセックスはポリネシアンセックスともいうみたいですね。肉体よりも精神の繋がりを重視する、ポリネシア発祥の地方性交法だそうです。
まぁ、途中で快感とアーシアの誘惑(無自覚)に負けたISSEIは激しくしちゃいましたが。彼もまだまだ若いということですねー。


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17.あくまでシスターです。

 

七日目。

あれからアーシアとは交わっていない。当然だ、処女を喪失したんだから。無茶をさせるのは良くない。体にも心にも悪いからな。

「……イッセー。どんな魔法を使えばそんな彼女になつかれるのかしら?」

少々苦笑いしたリアス。

まぁ当然だ、アーシアは俺にベッタリくっついてるからな。

「さぁ? ただ言えることは、アーシアは悪魔になることを“受け入れた”だけです」

「そう。……じゃ、始めるわよ」

そう言うと、リアスは懐からそっと紅い駒を取り出した。

 

 

「くそっくそっ! 役に立たない堕天使共め! あの男、よくも僕の邪魔を! ああ、()()()()()()……!」

時は、アーシアを拾った時点まで遡る。

教会の影で隠れていた男はそう悪態をつく。

イッセーがこの言葉を聞いたら、この男の頭と腕は無くなり闇の炎に抱かれて消えているだろう。

「……まぁ、いい。クク、あの真実を告げればあの娘の心は砕け消える。そこに僕が甘言と共に犯せば心も肉体も僕のものだ……!」

男はそう言って勝手に一人で盛り上がる。アーシアが、誰のものであるかも全く理解せぬまま。

「アーシアと初体験するときはやっぱりシスター服かな……」

もはやアーシアの純潔はイッセーに優しく奪われているのも露知らず、勝手にテンションをあげているディオドラ。もはやここまで来ると滑稽である。とらぬ狸の皮算用とはまさにこの事だ。

自らの首を絞めているとも知らずディオドラは気色悪い……否、生理的に受け付けない、モザイクがかかりそうな笑みをうかべ、ニヤニヤしながら魔方陣へと消えていった。

 

 

無事転生も終わった。見事『僧侶』として転生を完了したアーシアは悪魔になった。

「!?」

アーシアが一瞬、ぞくぞくと体を震わせる。なんだ?

「大丈夫か?」

「ちょっと、悪寒がしただけです。大丈夫ですよ♪」

そういいながらアーシアは俺に抱きついてくる。うーん、すげぇ懐いたな。

「そういえば、前もいたけどその小さい子はなに?」

と、リアスが俺の頭の上を指差す。頭では心地良さそうに頭の上で座っているミニ龍神さまだ。

うーん、『龍神さまなのですー。にぱー☆』なんて説明は出来ないだろうしな……。

「我、フィー」

ほう、そうきたか。種族を語らん方向だな。

「俺が悪魔になった翌日からいたんですけど……俺もよくわかってないんですよ。でも可愛いからなんとなく家においてるんです」

「ええ、確かに愛らしいわね」

リアスがフィーに触れようとして……フィーは避ける。

触れようとする。避ける。触れようとする。避ける。頭の上ではシュバババとかいう効果音が聞こえそうな位、高速で回避と攻撃(接触試行)が繰り広げられていた。

「ぶい」

「うーん、嫌われちゃったかしら? ……そろそろ私は帰るけど、明日からアーシアもクラスメートだからよろしくね? 教科書とかはもう手配してあるから心配しなくても大丈夫よ。じゃ、また明日」

い……今、ありのまま起こったことを整理しよう。『アーシアが明日からクラスメートになる』……アーシアの柔肌をあの野獣共に見せたり触れさせたりするのがもったいなさすぎる……でも守りやすいしなぁ。

「……やれやれだぜ」

思わず、小さくそう呟いた。

 

 

『……今回の赤龍帝(イッセー)は酷いな……』

『……うーん、チートってやつだよねー』

『……まぁ、こいつならば呪いなんぞ弾いてくれるか』

『私たちのでる幕じゃないよね、カーレ』

『うむ、そうだな』

『ほらほらぁ、もっとそれっぽく喋ってよぉ。邪神っぽくさぁ』

『アハハハハ……! 今代の赤き龍と白き龍は格別に段違いだ! さぁ、魅せてくれよ、君達の英雄譚! 君達の奏でる、優しく哀しい狂想曲を! そうさ、総ては……総てはこの僕、ナイアルラホトテップ意のままに……! ……こうか?』

『うんうん、わざわざ声真似と姿真似までありがとぉ』

『……なぁ、これに意味あるのか?』

『んー、ないよー』

『だろうな』




最後の二人はセルフコラボ……というか、私のD×D二次創作関連全部に適応されますね(笑)


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18.sister

 

「アーシア・アルジェントと申します! えと、皆さんこれからよろしくお願いします!」

 

明るいソプラノボイスが教室を彩る。

四月ももう少しで終わるという頃、少女――アーシア・アルジェントは駒王学園へと入学した。

にこりと微笑むその姿に誰もが純真や純粋という言葉を思い浮かべる。

約数名はいやらしい視線を向けようとして――それは遮られることとなる。それは担任の言葉だった。

 

「アーシアさんは兵藤さんのお宅にホームステイしています。皆さんも仲良くしてあげてくださいね」

 

凍結。解凍。馬鹿二人(松田と元浜)が、嘘だろ!? と騒ぐ。

 

「はーい、そこの騒いでるお馬鹿二人は次騒いだら補習授業のプレゼントですよー。アルジェントさんは兵藤ちゃんのとなりですー」

 

妙にロリロリしい担任はそう告げると、連絡事項を端的に告げてから教室を去る。

 

「イッセー貴様ァ! どういうことだ!」

 

最初にそう言ったのは松田だ。回りのモテない男子数名もうんうんと頷く。

 

「なんでお前なんだよぉおおお!」

「知るかハゲ。強いて言うならば――」

「い、言うならば?」

「俺が変態(へんたい)じゃなくて紳士(HENTAI)だったことだ」

「や、やはりそこなのか……」

 

がくりと項垂れる松田他数名。

ま、フォローも忘れない。

 

「確かにベランダに少女が引っ掛かるのんていう確率もゼロじゃないし、お前らみたいなのが好きな女性も当然ゼロじゃない。けど、そんなのに賭けるよりも少しは女性に好かれる努力というものをしろ」

 

だが美少女や美女だなんて一言もいってはいない。現実は常に非情である。

 

「そ、そうか……」「だかしかし、努力をしたところでどうにかなるのか?」「俺達はその努力すら怠ってきたわけだが?」「ぐぬぬ……」「僕と契約して魔法少女になってよ」「死ね」「女性に好かれる努力、か……」「やるしかないだろ」「だな」

 

口々に好き勝手言いまくっている。真面目にそういう話をするのは構わん、が……この学校、案外変態が多いのかもしれない。

 

 

「……オーフィスは、彼はいつ戻ってくるのです?」

「あれがいないと我等の復讐が達成されないというのに」

「嗚呼、大魔王様が、サタン様がご存命であられたのなら……いや、悪のりして偽なる魔王側につきかねないわ」

「ノリで島を消したり子女たちを摘まみ食いしたりするお方だったからな……」

「……それに、サタン家は断絶している。初代当主であったレフィクル・サタン様を筆頭に、直系30名、傍系20数名が揃いに揃って喉に餅を詰まらせて亡くなられ、その他の繋がりの薄い傍系もいまでは血が薄れてしまい面影すらない上、戦争で死亡した者も少なくない」

「わかってはいることだが……苦難の道だ」

 

 

「イッセー」

「なんだ?」

 

頭の上でたれ龍神になっているフィーが呼ぶ。

 

「ちょっと出掛けてくる」

「わかった。暗くなる前に帰ってこいよ」

「ん」

 

フィーは返事をすると空間に穴を開けて次元の狭間へと向かっていった。……慣れって恐いな。

 

「イッセーさん」

「アーシア?」

「これからもよろしくお願いしますね♪」

……可愛いなおい。性欲とはまた違う込み上げてくるなにか……これが萌えッ!

違うか。

「ああ、よろしくな!」

にかり、と笑って見せた。

 

俺が殺されたこと。それが、全ての始まりだったなんて、今の俺には到底予想できなかった。そう、まさかあんなことに――あんなエロいことになろうとは、誰もが予想できなかったのである。

そう、誰もが。

 

 

Episode1《旧校舎の変態》をクリアしました。

セーブしますか?

 

 [>はい

  いいえ

 

セーブが完了しました!

 

Next>>>>《戦闘校舎の悪魔王》

 

To Be Continued……

 

 

 




しすたーは、修道女としての意味と、妹の意味と二種類あるね。

10/25 0:42 ご指摘があったので少し修正しました。



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戦闘校舎の悪魔王
01.おかしな理由


19世紀頃、魔女狩りでの魔女判別方法の一つにクリトリスがあるかどうかを調べるものがあったそうです。クリトリスがあれば魔女だとか。ひッでぇ話です。




おかしい。なにがおかしいかというと、リアスだ。

リアスはなんだか上の空でボーッとしっぱなしだ。グレモリーというのは上級貴族のようだから、婚約者でもいるのだろうか。例えばそれがどうしようもない女たらしの種まき野郎だとか。

俺も似たようなもんだがな。といっても、まだ三人だ。いや、現状ふたりか。夕麻とは連絡とれねーし。

今もトレーニング中だってのになにか考えてる。

リアスが朝練をするから、ということで早起きしているのだが、言い出しっぺの本人がこれではな……。

まぁ、確かに基礎体力は資本だとは思う。俺は悪魔としては下の下といっても過言ではないだろう。だから別になにかを言うつもりはない。

肉弾戦特化の悪魔と後衛タイプが近接戦をするのは打開策でもない限り無謀だからな。取り合えず近接よりのオールラウンダーを目指そう。

 

「ふぁ……」

 

アーシアが大きな欠伸をしている。目尻に涙がたまっていて可愛い。まぁ、悪魔になりたての彼女ではまだ朝はキツいだろう。

時折神に祈っては頭痛を起こしているのを見るに、ただのおっちょこちょいなのかもしれないが。

兎に角、上の空なリアスだった。

 

 

悪魔社会は近世の封建社会に近いものがある。現魔王によるクーデター、サタン一族の断絶、旧魔王の一族徒党を魔界の隅へ追いやった。それらを加えても貴族社会なのは変わらなかった。徐々に変貌しつつあるものの、未だ差別は残っているし、名家の悪魔は優遇される。

旧体制の悪しき部分もまた、引き継がれていた。人々の感性を急に変化させることは、余程の事がない限り不可能だ。

例えば、サタン一族の末裔が地上に生き残っているとか、無限の龍神が誰かの手に堕ちたとか、真なる赤龍神帝が誰か一人を懇意にしているだとか、トライヘキサが見つかったとか。そのレベルの衝撃がない限り、不可能である。

悪魔たちのトップの一人、サーゼクスもまた、旧派――旧魔王派と呼ばれる派閥の暗躍や暴動に頭を抱える一人だ。

 

軍、外交、技術以外の政治のトップであるサーゼクス。アジュカ、セラフォルー、ファルビウムの三人に厄介事を押し付けられたと言っても過言ではないであろう。

そんな貧乏クジのサーゼクスはというと、書類整理でてんてこまい。主に口封じと情報秘匿のためである。後に、噂一つ流させまいとするその姿はまさに鬼気迫るものであった、と彼の嫁であり、イッセーの嫁の義姉という立場になるであろうグレイフィアは語る。

そんなサーゼクスが行っていた秘匿すべき情報とは、闇の魔力反応についてだ。

闇の魔力を潜在的に宿すのは悪魔ならサタンとそれに連なる一族のみだ。

余談ではあるが、なぜサタンが闇の魔力を宿しているのかは冥界の歴史学者、魔術学者達の命題でもある。

 

(真逆(まさか)、サタン一族が生き残って?)

 

 サーゼクスはこれを不味いと思った。唯でさえやっと安定し始めた冥界。悪魔たちも戦争やクーデターの痛みを忘れ始め、経済も発展した。そこでこの情報は――不味い。

 然るべき時に、然るべき場所で発表し、尚且つこちら側(現魔王派)に寄せなければならない。でなければ、旧魔王派がまた大きな顔をして搾取を始める。それだけは、防がなければならない。

それから、離反者――はぐれ悪魔の対応についても、目処が立っていない――訳ではない。

 

 はぐれ悪魔取扱法。それは、はぐれ悪魔をより厳しく罰し、より正しく救う法。

 

 我々悪魔はギブアンドテイク、等価交換をすべきなのだ――。

と、これは悪魔王――又の名を大魔王。レフィクル・サタンの言葉である。

 

正確にはレフィク・L・サタン。Lの意味は一族の誰も知らない。更に、レフィクル本人もなにも語らず、常にレフィクルと名乗る故に、レフィクル・サタンと呼ばれるようになったのである。歴史書にもそう書かれている。

兎も角、そのはぐれ悪魔取扱法――正確には『はぐれ悪魔の取り扱い、及び罰則と処置に関する法律』なのだが――についての書類も纏めた。近日中には発表する予定だ。

現行のはぐれ悪魔取扱法を取り下げ、この法律に変えるメリットはいくつかある。

 

一つは、転生悪魔や眷属悪魔の人権向上。

不可抗力、契約不履行、または不当な理由で転生悪魔、ならびはぐれ悪魔になってしまった場合に、現行悪魔政府の保護を受けることができる点だ。

例をあげるならば、契約不履行で非道を行おうとした主を殺した、本人の意思に反して悪魔にした、等。

一度転生してしまった悪魔はもとの種族には戻れない。こればかりはアジュカでもどうしようもない。「人化の法」なる異能や悪魔の力等を持った存在にが人間になる、という不可思議な法があるらしいが、信憑性は薄い上に出所は中国だ。道仙達が幅をきかせているため、悪魔では手を出し難いのが現状だ。

 

もう一つの利点は、契約不履行という魔王をも恐れぬ罪深き事を行う愚か者をみつけだせるという点だ。契約不履行は悪魔にとって最大の禁忌(タブー)である。

例えば、『妹を悪魔にしない』という理由で眷属悪魔になったのに、その妹を悪魔にしようとするとか。そういった契約不履行者を捕縛、断罪することができる。

 

デメリットも勿論存在する。

 

まずは旧い悪魔たちの反論。支配思想が強い者が多い故に、屁理屈を並べ立ててなんとかこの法を排除しようとするだろう。

これはまだいい。悪魔王の言葉の一つに『下僕が制御できぬなら支配者の器無し』というものがある。悪魔王の言葉は『悪魔王の奇妙な名言集』として書籍化されており、冥界での格言とされている。流石は原初の悪魔と同世代とされるだけはある。

この法律程度で下僕や転生悪魔が反乱するようならその程度の器、ということだ。

 

二つ目はこの法律の抜け穴だ。

洗脳や催眠といった手法を用いれば、一度了承をとってしまえばこの法律は手が届かない。

 

日本のようにクーリングオフ制度を導入すべきかも考えたが、それはまだ悪魔社会には早すぎる。サーゼクスはそう考えた。

 

(平和か……)

 

堕天使の総督アザゼルにより停戦が求められた。

それ以降、小競り合いや小さな問題こそ続いているものの目立った大きな問題は見られなかった。

しかし、そんなものは微妙なバランスで保たれた仮初めの平和。本当の平和には程遠い。

 

(……一度、話し合ってみるのもいいかもしれない)

 

 しかし、そんな機会など滅多に訪れないことをサーゼクスは自覚している。奇跡とは、普通起こらないから奇跡なんだ、と。

 

そんなサーゼクスの胃をキリキリと締め上げる案件が舞い上がるのはそう遠くはない。



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02.女の価値は?※

※印ををつけましたが、ほとんど無いです。



 今日も朝練バイトに悪魔の仕事と忙しい。フィーに頼んで抜くのは朝だけにしてもらっている。夜抜くのはキツいからな……。

 ぱたりとベッドに倒れこむ。といってもそこまで疲れているか、と問われると半分は気分の問題だと答える。

 突如魔方陣が部屋に開かれる。リアスが魔方陣で跳んできたようだ。……ずいぶんと切羽詰まった表情で。

 そしてそのリアスは口を開く。

 

「イッセー、お願い。抱いて。至急お願いするわ」

 

 現在、全速力で俺のなかでリアス・グレモリーの株価が大暴落中だ。失望や驚愕より先に憤怒が来た。お前はそんな簡単に股を開く安い女じゃないだろう!?

 

「だ、抱けだと?」

 

 戦く俺に構わず、平然とリアス・グレモリーは言葉を吐く。

 

「イッセーは経験があるのかしら?」

 

 ぷつり、と何かが切れた。

 

 

「……」

 

 イッセーの纏う空気が変わる。あからさまに激怒している。しかしリアスはそれどころではないため焦りながらも服を脱ごうとする。

 だが、脱ごうとするだけだった。イッセーにがしりと腕を捕まれ、狼狽える。

 

「そんなにお望みならヤってやるよ」

 

 ぎらりと、まるで刃のような瞳を宿す。その瞳は闇に黒く蠢いているようにも見える。

 イッセーは素早くリアスの腕を捻り、ベッド下の収納スペースから紐を取り出す。革でできているであろうそれでしっかりと後ろ手を回して縛る。戸惑うリアスをよそに、他人事のようにイッセーは告げる。

 

「今からお前を犯す。意思なんか関係ない。どれだけ嫌がろうと昼夜問わず犯し続けて壊してやるよ」

 

 イッセーは生まれて初めて女に激怒していた。多少怒ることはあっても、烈火のごとく怒ることはなかった。

 それだけ、リアス・グレモリーという女性を高く見ていたのだ。

 イッセーの闇を見たリアスは、ぎゅっと目を瞑って恐怖に震えた。今のまま肉体と精神を犯されて肉人形と化し、愛してすらもらえない、道具のような未来に恐れた。そして、なにより。ここでイッセーに犯され、無理矢理処女を奪われるという現実に恐怖した。まるで、罰を恐れる女児のように。

 

(リアスは悪い子。リアスは悪い子だからイッセーに犯されるんだわ)

 

 脱出も半ば諦め、体は恐怖に震えていた。その気になれば消滅を使って逃げ出せるというのに。力関係は完全にリアスの方に分があるはずなのに、リアスは逃げ出すそぶりもせずただ震えていた。涙すら溢れはじめている。

 そんなリアスを見ていたイッセーは、瞳を緩めた。穏やかな光が瞳に戻ってきていた。リアスはやはり安い人ではなかったと、安心したのだ。処女を失うことを恐れる女が、易々と股を開くものか。

 

「ほら、やっぱり怖いんですよ」

「え……」

 

 イッセーの言葉にやっと自覚をした。己が処女を失うことをまだ恐れていることを。

 

「部長……いえ、リアスさん。貴女は、男に……まして下級悪魔の俺なんかに股を開くような安い人なんですか?」

 

 革紐をほどきながらそう言うイッセー。リアスは、どこか目上の人が対等に、優しく接してくれているような錯覚に陥った。答えられずにいると、イッセーは優しく語りかけた。

 

「どうしてこうなったかなんて俺には解りません。でも……こんなつまらないことで処女を散らさないで下さい」

 

 リアスは、呆然としながらもイッセーの言葉を心で反芻するだけだった。

 

 

 ぜってー嫌われた。俺が感情に任せてあんなことしちまうなんて。リアスが安い女じゃないことくらい分かってたろ、俺よ。

 リアスが呆然としていると、リアスの背後に魔方陣が現れる。なんだ? リアスの使うのとはちょっと違う。

 

「――ッッ!?」

 

 現れたのは銀髪のメイドさんだ。左手の薬指にきらりと結婚指輪が光っている。

 そのメイドの彼女は俺を見るや否や驚き絶句する。まさか、という驚愕の表情で。

 数瞬して理性を取り戻したのか、氷のような無表情になる……いや、その表情でなにかを隠している? 兎に角無表情を努めているメイドさんは口を開く。

 

「……婚前の婚約者であるリアスお嬢様が殿方の部屋に忍び込むなど……リアス様?」

「……」

 

 リアスは心ここにあらずという風に茫然としている。ぼーっとしていて、焦点があっていない。

 メイドさんは俺を睨む。何故だ……って、んなの状況見れば分かるか。

「貴方、何者ですか?」

「リアス・グレモリー様の兵士(ポーン)。兵藤一誠でございます」

「貴方が……あの赤い龍に憑かれた男ですか。これはいったいどういうことですか?」

 

 怒ってるなコレ……不味いぞ、この人には勝てそうにない。ドライグは寝てやがるし。役立たずめ。……考えろ、まずは時間稼ぎだ。ことのあらましを素直にはなそう。

 

「分かりました、ことのあらましをすべて話します。ところで貴女の名前は? 生憎、素性の知れぬ相手に話せる内容ではないので」

 

 些細なことでいい。まずは情報を集めるんだ……そして、なんとかこっちの有利な方向に持っていくしかない。

 

「申し遅れました。グレモリー家のメイドを勤めるグレイフィア・ルキフグスでございます」

 

 グレモリー家のメイド? なんでメイドが、とも思うが仕方ない。それにルキフグスって悪魔だよな、たしか。

 

「ルキフグス……分かりました。グレモリー家の関係者なのですね。では……」

 

 俺はリアスが夜這いに来たこと、理由は知らなかったがそれを脅しという強引な手で止めた、ということを告げた。

 

「それで、この放心状態ですか……婚前交渉ならともかく、処女を捨てるために夜這いなどと……」

 

 む、婚前交渉という単語。そしてルキフグスさんの呆れたような声色。何かあるな。

 

「ルキフグスさん。貴女は彼女が……リアス様が純潔を捨てるという考えに至った理由をご存じですね?」

「……それはまた後日わかるでしょう。では、また明日お会いしましょう」

 

 ルキフグスさんは茫然としているリアスを抱えると、魔方陣に消えていった。……あー、心臓に悪かった。心臓ばっくんばっくんだよ。

 突如、がちゃりと戸が開く。

 

「イッセー、大きな魔力来てた。無事?」

「ああ、無事だぞ」

 

 俺を心配してたのか? ……かわいい奴。ああ、もう辛抱ならん! 今まではりつめた空気だったから余計に……!

 

「無事だからな、存分に可愛がってやる」

「あんっ♪」

 

 オーフィスをベッドに押し倒すと、キスを交わしてから彼女の秘裂へと指を埋めた。

 

 

「あぶなかった……」

 

 グレイフィアはリアスをベッドに寝かせると、安堵のため息をついた。理由は、ただひとつ。

 

「まさか、兵藤一誠が……彼が大魔王の子……なんということでしょう……」

 

 そう言いながらも、彼の家族の情報を調べていた。その情報は簡単に見つかる。

 

 父、兵藤(ひょうどう) (まこと)

 母、兵藤(ひょうどう) (はじめ)(旧姓:左端(さたん))

 

(旧姓が左端? さたん――サタン?)

 

 はっ、となにかに気づいたグレイフィアはメモ帳に何かを書く。

 

 兵藤一誠。

 

(違う)

 

 左端一誠。

 

(……真逆)

 

 

 

 サタン一世(イッセー)

 

 

 

 これが、グレイフィアが気づいたものだった。

 

(闇の気配、下級悪魔なのに2対の翼、母方の旧姓にするとサタン一世……、つまり、()()()。偶然にしては、あまりにも材料が揃いすぎている!)

 

 グレイフィアは魔力を使い紙を燃してしまう。いま、サーゼクスや他の悪魔たちの耳にいれるわけにはいかないと。

 グレイフィア・ルキフグスは、思考を切り替えて業務へと戻っていった。恐怖のあまりに自らの身体が震えていたことも気付かずに……。





グレイフィアさんが戦慄している頃、イッセーさんはフィーとよろしくヤっているでしょう(爆)。


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03.焦りと思惑

「部長の様子がおかしい?」

 

 翌日。とりあえずリアスの様子がおかしい事を優美にも伝えておく。

 

「そうなんだよ木場ちゃん。ほら、朝練の時も部活の時も活動の時も上の空でさぁ。この前なんか紅茶に胡椒振って普通に飲んでたし」

「ああ、そういえば……」

 

 思う節があったのか考え込む優美。木場ちゃんはやめて、というのはなくなったけど、まだ恥ずかしいのかたまに人目を気にする。その様子がカップルっぽいのか、腐った方々の間では木場総受け説が定番となっているとかなんとか。

 先に言っておこう。俺は男に性的、愛情的興味はない。つまりノンケだ。まあ、あまりノンケを主張すると逆にホモに見えるのでここら辺でやめておくことにする。

 

「朱乃さんならなにか知っているかもしれないね」

「姫島先輩かぁ。確かに知ってそうだ」

「うん。彼女は部長の懐刀だからね」

 

 懐刀ねぇ。とまぁ、優美と喋っている内に旧校舎の部室前まで来たところで、たらりと冷や汗を流す優美。

 

「いくらイッセー君としゃべってたとはいえ……自惚れてるわけじゃないけど、僕がここまで来て漸く気づくなんて……まだまだ修行が足りないな」

 

 優美がそう呟く。中に誰かいるのか? ……あの話の流れからしてルキフグスさんだろうか。

 がちゃりと、部室のドアを開けた。

 

 

 部室には一誠と木場を除いた部員と、グレイフィアがいる。一誠と木場はそれを確認すると、部長へと遅刻の謝罪をした。

 

「すいません部長、遅れました」

「大丈夫よ」

 

 リアスの声の調子はイライラしてはいるものの、あのときのような不安定な精神状態ではないようだ。イッセーは少し安心し、木場と同じようにソファーへと腰を下ろす。

 

「いい加減にして。私にはハイスクールの間は結婚の話しはしない約束だったでしょう!?」

「今回は事が事です。あのような行動に出られた以上、こうする他ありません」

 

 珍しく声を荒げるリアスと、淡々と告げるグレイフィア。グレイフィアの内心は知れずだが、このように婚約を急かす理由はある。

 

 まずひとつ目か後継者問題だ。

 基本的に悪魔は男性……特に長男が当主を勤める。しかし、その長男は魔王職に就き、家を継げない。グレモリーの姓を名乗ることができないからだ。よって、自動的に次期当主は当主継承権第二位のリアスのものとなる。

 

 ここで問題なのが、リアスが女性で未婚である、ということだ。悪魔社会において、女性の立ち位置は弱い。そもそもが家は男が継ぐという風習があるため、すぐさま何処かの家へ嫁がなければならない。そうすれば、男の子を産みさえすればその子がグレモリーを継ぐのである。その間は現グレモリー当主が頑張ればいい。もし生まれなくともサーゼクスの子であるミリキャスという保険がいる。

 

 そしてそのミリキャスは、理屈上ではあるが分家の子となっている。一応はグレモリー姓を名乗ってはいるものの、分家の子であるのでリアスやその子供よりも当主継承権は低い。それ故に本家の子を求めての婚約だった。

 

 二つ目は言うまでもなくリアスがイッセーに夜這いをかけたことである。正確に言えば未遂なのだが、そうだとしても今後同じ行動が行われる可能性は高い。それ故にさっさと結婚させてしまおうと言うことだ。

 

 三つ目は、純血悪魔を増やすことだ。戦争前ならともかく、いまでは純血悪魔はそう多くない。むしろ堕天使や天使との小競り合いで跡継ぎが死ぬ、なんてこともないわけではない。故に純血を守らなければならないという考え方故だ。

 

 だからこそ、結婚を急かしているのであった。そんなことは露知らず、一誠と優美はソファーへと腰を下ろす。

 突如、部屋の中に魔方陣が現れる。

 

「――フェニックス」

 

 紋章からして、優美の呟く通りフェニックス家の者であると確認できる。

 その魔方陣から炎が吹き上がり、アーシアが短く悲鳴をあげるも一誠が庇うように動く。そしてその炎が人の形を作って行く。

 

「ふぅ、人間界は久しぶりだな……」

「ライザー……」

「会いに来たぜ、リアス」

 

 ライザーの登場に目を白黒させているアーシア。まだまだ悪魔に関しての耐性が低いのだろう。一誠は、やけに主に馴れ馴れしいライザーに渋い思いをしつつもそれをおくびにも出さずに涼しい顔をしていた。もっとも、(はらわた)は煮えかかっているだろう。

 

 

「いやぁ、リアスの女王が淹れた紅茶は旨いなぁ」

「いえいえ、それほどでも」

 

 体面上こそニコニコとしている朱乃であるが、目は笑っていない。本当に体面上だけのようだ。そんな様子を一誠は観察……いや、値踏みをするかのようにライザーを見ていた。

 赤いスーツを崩したような、まさに崩れホストといったような体だ。それにほんのりと女物の香水の臭いがついているのに一誠は気づくことができた。仮にも婚約者に会うのに、別の女の臭いを消すくらいの気遣いもできない奴なのか、と内心でライザーの評価を一段階下げる。

 

 ライザーはそれを知ってか知らずか、リアスの太ももや尻を狙ってはいるものの、全て(はた)かれている。仮にも婚約前なのにソレ目的なのか、と一誠はもう一段階評価を下げる。

 

「いい加減にして!」

 

 我慢の限界だったのか、リアスはキレた。もちろん、リアスとて婚約がどれだけ大事かは頭では理解している。が、相手がこんな男ではそうもいかない。もっと好ましい男性であったなら、眷属たちもこうも攻撃的な姿勢はとらないだろうし、リアスとてここまで無下にしなかっただろう。親同士が決めた婚約、女誑し、本当の己を見てくれない、気遣いもできないと来ればリアスの心境は察するに余りある。

 

 一誠はその様子を見ながらライザーの値踏みをやめた。傲慢でプライドが高い女たらし。現時点での一誠からみたライザーの評価であった。五段階評価で2といったところだ。

 一誠の視線に気づいたのかライザーは訝しむ。

 

「……なんだお前は?」

 

 正確に言えば、ライザーは一誠に宿る“なにか”を感じ取った。それを訝しんでいるのであった。

 

「なんだと申されましても……リアス・グレモリー様の兵士、もしくは今代の赤龍帝だ、としか答えられませんが……」

 

 一誠の赤龍帝という言葉に、ライザーは感じた“なにか”が赤龍帝のものだと勝手に納得した。

 こんなやり取りをしているのは極々普通のはずだ。だがグレイフィアは何時この眠れる悪魔が暴れだすか気が気ではなかった。未熟な悪魔では判別できないほど紛れさせた闇の気配を、ライザーは違和感という形で感じていた点は、さすがは成熟した上級悪魔だと言える。しかし、真実に気づいていたのならグレイフィアと同種の恐怖と慟哭を覚えなければなかったのだ。それはある意味幸運ともとれる。

 

 そんな幸運な三男ライザーは既に一誠への興味を失い、視線をリアスへと戻した。正確にはリアスの豊満な双乳に、だが。悟られないようにしている辺りは流石とも言える。

 

 一誠もまた、もう用はないとでも言いたげにライザーから視線をはずしてグレイフィアのメイド服を見て「メイドかぁ」とのんきに呟いていた。

 グレイフィアは心の中で私に何でも命じていいのはサーゼクスだけ、などと可愛い惚気をしながらも油断せず何時でも行動できるようにしていた。

 

「……なぁ、リアス」

 

 ライザーが口を開く。

 

「わかってるわ。貴方が言いたいことも。純血悪魔の血は残さなければならないことも、跡継ぎのことも。家を潰さないためにも、いつかはやらなくちゃいけないことだってコトは。最悪婿養子でもとれば済むことよ。でも、今結婚したところで貴方は愛せないのよ! 貴方の家は炎と風を司るかもしれないけど、グレモリーは“情愛”よ! 愛してもいない男の人と結婚するなんて、そんなの嫌よ!」

「嫌でも、やらなくちゃいけないんだろ! 俺もな、三男とはいえフェニックスの看板背負ってんだ。これに泥を塗ったら一族の恥だ! 何としても、例え君が望まなくとも結婚しなくちゃならないんだ!」

 

 二人の感情が高まり、魔力が漏れ出す。本人たちは意識しているのかいないのか、全身から威嚇するかのように魔力が溢れる。

 この応酬を見ていて、一誠は僅かながら違和感を感じた。

 

(結婚()()()()()()()()()? どういうことだ? 跡継ぎや血縁の理屈は分かる。しかし何故こうも焦って結婚という結果を求める?)

 

 一誠の疑問も尤もであった。本当に純血の後継者を確実に残したいならば、婚約のままで交流を深めるとか、色々と婚約者同士の仲を良くする方法がある筈だ。子を成すには性交渉が必要である。その為には夫婦間の仲が良くなければ性交渉を拒む可能性も孕んでいる。それなのにリアスとライザーの仲は最悪であり、その上、間違い『かけた』事だけでこんなに急激に動くのか。まるで、焦っているかのように。

 

 どうみても決着が着きそうにない問答にグレイフィアが待ったをかけた。

 

「こうなることは、旦那様もサーゼクス様もフェニックス家の方々も重々承知でありました。故に、最後の手段として――レーティングゲームにて決着をつけるように、との言葉をいただいております」

 

 闇が蠢いた。

 

 

 レーティングゲームねぇ。

 悪魔同士がチェスのように眷属悪魔を引き連れて戦うゲームだ。なるほど、こういった小競り合いの決着に用いられる事もあるのか。案外悪魔って分かりやすい種族なのかもしれない。

 

 リアスはその言葉を聞いて「ゲームで今回の婚約を決めようってハラなのね……?」といらついている。

 もちろん拒否せず了承し、ゲームをすることになった。しかしフェニックスか……不死鳥なのだから、文字通り死なない、もしくは死ににくい種族なのだろう。漫画だと不死を殺すには殺し尽くして心を折る、とかあるよな。

 まぁ、いいか。不死でも何でも。この婚約をぶち壊してやるさ。

 

「俺は既に成熟した悪魔だし、公式のレーティングゲームもこなしている上にフルメンバーだ。今のところ勝ち星も多い。それでもやるのか?」

「やるわ。ライザー、あなたを消し飛ばしてあげる!」

「いいだろう、そちらが勝てば好きにするといい。だが負けたら即座に結婚だ。異論はないな」

「……ないわ」

 

 随分と余裕たっぷりだな、この不死鳥サマは。

 

「承知いたしました。お二人の同意により、ここにレーティングゲーム開催を非公式ながらこのグレイフィアが認定いたします。両家の立会人として私がこのゲームの指揮をとらせていただきます。よろしいですね?」

「ええ」

「ああ」

 

 リアスとライザー・フェニックスはルキフグスさんの言葉に同意する。

 

「では、両家にはそのようにお伝えいたします」

 

 確認をとったルキフグスさんはぺこりと頭を下げる。

 と、突如嘲笑を浮かべたライザーは問う。

 

「ところでリアス。眷属はここにいるメンバーで全部か?」

「本来はもう一人いるのだけれど、出場できるのは今ここにいる全員よ」

 

 もう一人が少し気になるが、それよりもライザーの余裕たっぷりの笑みが気色悪……もとい、気になる。

 

「おいおい大丈夫か? この中で俺の可愛い下僕たちとまともに戦えそうなのは『雷の巫女』くらいじゃないか」

 

 ……ライザーの言い分も尤もだな。ライザーの言葉のなかにフルメンバー、という単語があった。おそらく『女王』『戦車』『騎士』『僧侶』『兵士』の全部の駒、計15駒を全て消費済みということなのだろう。戦いは数だよ兄貴、ってよく言うし。

 小猫や優美は戦闘もやってるけど、それはあくまでグレモリー眷属が対処できるはぐれ悪魔や下級中級程度の強さ。上級悪魔レベルとの交戦経験はないだろうし、レーティングゲームだってはじめてなのだろう。俺とアーシアに至っては言うに及ばず。

 ……どう考えてもこちらが不利すぎる。数の利、経験、連携、実力、その他もろもろが足りない。悔しいが、やつの方が上手だ。

 

 そしてやつの周りに魔方陣が現れ、そこから………………15人だと? 完全なフルメンバーじゃねーか。しかも全員女の子。

 

「とまぁ、これが俺の可愛い下僕たちだ」

 

 やっぱりこいつ、ハーレムだったのか……どうりで女の臭いがついてる訳だ。どうせこの女達の中の一人といちゃついてたんだろう。そして別の女に会うのに香水で誤魔化すこともせず堂々としていたと。フン、気に入らないな。

 しかもその眷属と見せつけるかのようにキスを始めてやがる。やれやれ、これが婚約者の前ですることか? アーシアの教育にも悪いじゃないか。

 ……だがその実、このようなことができる実力があるのだろう。今のところ勝ち星の方が多いと本人も言っていたしな。さてさて、どうしたものかね。

 そんな風に考え事をしていたら。

 

「どうだ赤龍帝君。君にはこんなことできんだろう」

 

 と、ライザーが誇ったように言う。

 

「……そのように申されましても、私程度ではなんとも」

 

 俺はテメーみたいに周りに女の子を侍らせたいだけなわけじゃねーんだ、と心の中で呟いておく。俺は女の子を愛したいだけなんだ、そのためなら手段は問わないだけであって。

 何? 鬼畜? ええそうですが何か問題でも?

 

「ふん、張り合いのない奴め……リアス、10日後だ。10日後にレーティングゲームを行う。いいな?」

「……それはハンデとして受け取っておくわね。分かったわ」

 

 これでレーティングゲームの日時が決定された。

 

 

「オーフィス、今までどこをほっつき歩いていたのですか!?」

「我、闇の気配感じた。それを確認しにいっていた」

「闇!? まさか、サタン様が……!?」

「否。彼、大魔王ではなかった」

「そ、そうですか……では何故闇の気配を……」

 

(我、イッセーがサタンの子孫ではないとも、悪魔ではないとも、一言も言っていない。何故勝手に勘違いをした?)

 

「まさかご存命して……いえそんな、レフィクル様は餅を喉に詰まらせて真っ先に亡くなったと当時のレフィクル様の子孫に聞いた覚えが……」

 

(……我、関係ない)

 

歯車は狂う。




ABのPCゲーム化を数年前から待っている作者は今ABOWにハマってます。

……更新もやります!


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04.修行※

「というわけで、今から修行合宿をやるからしばらく家を空けなきゃいけないから戸締りを」

「した」

「じゃあガス」

「閉めた」

「ブレーカー」

「落とした」

「水回り」

「確認した」

「冷蔵庫」

「空」

 

 相変わらずの嫁力だな、フィーのやつ。可愛い。まさに人知を超えた速さだ。龍神だけに。

 

「んー、これで忘れ物もないか、な?」

 

 着替え十日分と汚れた時用のものと漫画数冊とスマホを詰め込んだバックパックとオーフィスを持っていく準備も済んだし、戸締まりも電気ガス水道も問題なし。ごみの処理も完璧。

 予測していたのかなんだか知らないけど最近の愛読書が『家主が突如数日間家を空ける予定が入ってくるかもしれないもしもの時のために! 著:紅い幼月』という、こうなる運命を知っていたかに思えてしまうピンポイントな本を読んでいたので節約もバッチリだ。冷蔵庫とか中のが腐ると嫌だしな。ハウスキーパーとかも出来るだけ入れたくないし、つけっぱなしというのは勿体無い。待機電力だってバカにならないんだぞ?

 

「イッセーさん、準備終わりましたぁ!」

 

 アーシアも支度が終わったらしい。

 

「よし二人とも、いくぞ!」

「はい! 頑張りましゅっ!? あう……」

「おー」

 

 ……大丈夫か心配になってきたぞ……。

 

 

「……可愛い」

 

 小猫ちゃんがずーっとフィーを観察して、そう漏らす。フィーはというとお構いなしといった感じでいつの間にか持ってきていたポテトチップスをもってかじっている。……2等身で。可愛い。

 とはいうものの、フィーは俺の頭の上でポテトチップスかじっているだけで、俺たちは徒歩で山登り。重いけど息が上がる、って程じゃないな。うん、なんか亀の甲羅背負うとか良さそうだな。ドラグソボールみたいに。

 

 実際俺は部長達の大荷物……マジほんとなに入ってんだ? 全部鉄アレイか? って感じの重さのを背負ってる。見た目もギャグ漫画にも出てこなさそうなあり得ない感じの大きさだし。よくこんな巨大なバックパックをパツパツになるまで詰め込めたな。アーシアも頑張ってるけどちょっとへばってるな、大丈夫か?

 

 ていうかフィーは俺の頭の中にポテトチップスを袋ごと仕込むな。どうやって入れた。それに頭の上に油とか塩とか食べかすが落ちるだろ……。

 ま、いいか。

 

「部長、食べられる山菜を幾つか見つけてきました」

 

 優美、山菜とか分かるのか。結構重たそうな荷物を背負っているのだが、涼しい顔をしている。タフだなぁ、女の子なのに。うちのフィーは超高速家事が得意らしいけど、こういったスキルは低いよなぁ。俺も家事と催眠とポーカーフェイスと神話以外は普通レベルだし。あ、あとエロゲ体質もか?

 まぁそんなのは割とどうでもいい。問題じゃない。

 

 

「着いた……やっと着いた……」

 

 流石の俺も疲れた。少し休憩してからジャージに着替えることに。

 

「覗かないでね?」

「誰が覗くか。それよりも俺の方を覗くなよ?」

「もう、イッセー君の馬鹿ッ!」

 

 とりあえず辛かったので男子更衣室へ。修行ってなにするんだろうか?

 

 

「まずはLESSON1。優美と手合わせよ」

 

 やる気満開なリアスはそういう。ジャージとか体操服ってのもいいよな。体のラインが結構わかるし。

 とはいえ、俺は木刀をもって優美と相対している。

 

「美少女に剣を向けるのは何かヤダなぁ……」

「び、美少……と、兎に角始めるよ! それに素人にそんなこと言われたくないかな」

 

 おうおう顔真っ赤で可愛いのぅ。しかし剣に関しちゃ初心者だ。それに手にしっくりこない。なんというか、もっと長い方がいい。槍とか。

 まあ、リアスが俺の力量を調べたいだけなんだろうな。

 

「そういえば剣士に失礼だったな。すまんな。よし、行くぞ」

「いいよ」

 

 ……とはいえ、隙は見当たらない。油断なく木刀を構える姿は、真剣そのもの。……俺から仕掛けて見るしかない、か。

 

 

「────ッ!」

 

 一誠が仕掛けてくる。真っ直ぐ、ただまっすぐに。優美はそれを冷静に対処する。

 木と木がぶつかり合う乾いた音が鳴り響く。

 

「んなろっ!」

「まだまだ」

 

 粗削りで本当に初心者の剣を繰り出すイッセー。優美はそれを受けるだけにとどめる。何度も乾いた音が鳴り響くが、一誠は一本も入れられていない。少しずつではあるが打ち込みの感覚を掴んではいるものの、重い一撃が来るわけではなかった。

 

(まさか、間合いが見切れていないの?)

 

 それは偶然であった。剣を振るのは良いが、「ここじゃない」といった表情を見せるイッセーを見たためだ。優美はもしかしたら剣は苦手なのか? と考えたが……。

 

「っし、間合い(リーチ)がつかめてきた」

 

 その言葉に驚く優美。一誠はいくつも打ち込んでいまのは間合いをつかむためだったのだ。

 

「っし、こっからが本番だ!」

「僕を舐めてもらっちゃ困る!」

 

 結果から言えば、一誠の惜敗で終わった。

 

 

「LESSON 2。小猫と手合わせよ」

 

 木場には負けたから、ここでは勝ちたいなあ。うん。

 とはいえ、やはり攻略したい女の子に手をあげるのは気が引ける。ま、経験値は向こうのが上だ。頑張りますか!

 

「じゃあ、よろしくな、小猫ちゃん」

「……負けません」

 

 俺と小猫ちゃんは拳を構えた。うーん、まずは近づかないとだよな。至近距離でぶん殴る! 素人のパンチなんざ余裕だろう。真っ直ぐ行って、右ストレート!

 

()ッ!」

「……ふん」

 

 馬鹿な、片手で受け止めただと!? さすがは『戦車』だ。物凄い剛力。

 

「それ」

 

 ふぐっ!? は、腹が……腹筋締めなきゃ即死だった。……油断も隙もねぇな。仕方ない。ひとまず距離をとると、もう一度突撃。

 狙うのは体じゃなく――腕だ!

 

「ッし! 獲った!」

「!?」

 

 そのまま腕を捻りあげ、地面に叩きつける……は傷がついてしまうだろうから、できるだけ遠くに投げた。

 

「ッ」

 

 小猫ちゃんは投げられたのにも関わらず空中で姿勢を整えて見事に着地した。猫みたいだな。

 

「行くぞッ!」

「……体の芯を捉えて、抉り込むように打つべし」

 

 ドゴォ、と鈍い音が鳴り響く。

 

 結局、俺は敗北した。結構いいところまでいったんだが、敗因は小猫ちゃんのブラが一瞬見えて油断したためであった。ちくせう。

 

 

「LESSON 3。魔力操作ですわ」

 

 魔力、それは分かりやすい中遠距離攻撃方法である。無論、近距離にも使うことができる。

 これはアーシアと一緒だ。

 

「魔力を扱えばこんなこともできますわ」

 

 朱乃さんが水の入ったペットボトルに手をかざすと、水が刃と化してペットボトルを貫く。

 

「おお……」

「まずは自分の魔力を感じることから始めましょう」

 

 魔力……魔力ってこれだよな。魔力魔力……

 

「お、でた」

「できましたぁ!」

 

 アーシアの魔力を見ると、淡い緑色だ。比べて俺のは赤黒い。……いや、もうこれ黒だな。

 

「あら、黒い魔力は初めてみましたわ。さぁ、次は魔力を意識しながら水や炎を操ってみましょう。最初は実際にある水を用いてくださいね」

 

 あの黒い炎とかはダメだよなぁ。骨まで死んじゃうし。水を操る、ねぇ。

 

「我が意に従え……お」

 

 言霊ってすげぇな。水が思い通りに動く。動くだけで刃にしたりはできないけど。

 

 そんな感じで、魔力に関しては楽しく修行した。

 

 

「『LESSON4』。基礎体力伸ばしよ!」

 

 特筆すべき事は特にない。朝練とかの延長線上、って感じだ。夜中だけど。

 

「く、キッツい」

「いい、イッセー。この修行であなたは四回だけなら『もう無理』を使ってもいいわ」

 

 鬼か!? ……そういやぁ悪魔か。

 

 

「疲れた……」

 

 イッセーはそう呟くと、ベッドへと身を投げた。ベッドはイッセーの体を沈みこませる。

 

「ん、お疲れ」

 

 部屋の中にいたオーフィスはそう言うと、イッセーの隣に寝そべる。イッセーの腹に触れると、その小さな手のひらが淡い光を放つ。

 

「おお、疲労感が消えた」

 

 色々な意味での最強嫁(さいつよめ)であるオーフィスは、いつの間にやら魔力による治癒術を学んでいた。特に、肉体的疲労感を回復させる術だ。ちなみに外傷はアーシアが担当する。

 

「ありがとな、フィー」

「んっ……」

 

 頭を撫でられたオーフィスはぴとり、とイッセーの、下半身に抱きつく。なにやら牝の匂いを察知したイッセーは、びくりと固まってしまう。いくら性欲量が魔神級のイッセーとて、疲労が上回ることもある。そんな日はなにもせずに寝たいのだが、発情しきった牝を前にして、そんな甲斐性のない事が出来るわけもなく。

 

 あっさりと、ズボンをパンツごと引きずり下ろされてしまったのであった。

 

 オーフィスの頬の横にはイッセーの剛直が聳え立つ。牝の臭いに反応したのか、はたまたイッセーの矜持か、精神的疲労を無視して立ち上がっている。いきりたつそれに頬を染めるオーフィスは、飴でも舐めるかのように舌を出してなめ回し始める。

 集中しているのか声ひとつ出さずに行われるそれは、イッセーの剛直を更に巨大化させるのに貢献する。湿った音が、部屋の中に響く。

 

 丹念にイッセーの剛直を味わったオーフィスは、口を大きく開けると先端を軽く咥えた。

 

「んっ……」

 

 小さく呻くと、イッセーの怒張の先端、亀頭を咥えたまま細かく舌を動かし鈴口の内側の粘膜を刺激する。尿道にすら侵入してきそうな勢いではあるが、オーフィスの小さな舌とて尿道には届かない。

 

「っ……、気持ちいいぞ、フィー」

 

 イッセーがそう小さく囁くと、オーフィスは嬉しそうに目を細める。

 そうして、ゆっくりと怒張を更に奥へ奥へと咥内へ誘う。どんどん呑み込まれていくその様は、オーフィスがイッセーの怒張を食べてしまっているかのようにも感じた。

 こつり、とイッセーの剛直が喉の奥にぶつかる。それもお構い無しにとオーフィスは更に咥えこみ、ついに食道の入り口までイッセーの怒張が届いたところで、ようやく根本までのみこんだ。

 

「んむ……」

 

 そうして、ゆっくりとオーフィスは頭を上下させながら、イッセーの剛直を喉で刺激する。イッセーの怒張からは我慢汁が溢れはじめ、口内を牡の臭いで満たしはじめる。その感覚に幸せにも似た感情を抱きながら段々とその行為を少しずつ早くする。そして、ついに我慢できなくなったイッセーが、オーフィスの頭を両手でつかみ、腰を動かしはじめた。

 

「んむ、んむ、ん゛っ、んむ゛、んぶ、んっ!」

 

 激しく腰を打ち付け、オーフィスの口の中を犯す。喉を犯し、更にその奥へ。そんな常人ならば嘔吐してしまうような苦しい筈の状況だというのに、オーフィスは支配されているという感覚に陥り笑みを浮かべる。その笑みにはもう龍神という高尚なものは存在せず、ただの一匹の牝がいるだけだった。

 

 イッセーの腰の動きが更に速くなり、喉の奥を突く。激しく動くそれをオーフィスは受け止めながら、己の秘部に触れ、中指を使って弄りはじめる。

 

「んっ、んっ、んっん、んぅ、んんっ♪」

 

 そして、ついにイッセーの限界が訪れ、一際深く喉の奥に怒張を叩き込まれる。

 

「んぶっ」

「ぐっ!」

 

 イッセーが小さくそう呻くと、体をぶるりと震わせた。刹那、多量の精液がオーフィスの胃へと流し込まれる。オーフィスはうっすらと涙を浮かべながらも、その精液を飲み干さんと口を窄めている。びゅくびゅくと小さく断続的に流し込まれる精液を感じて、じゅくりと蜜壷から愛液が溢れた。

 漸く射精が収まり、快感から抜け出してイッセーはゆっくりと喉から力を失った怒張を抜く。亀頭がオーフィスの舌の上へ来たところで、突如その動きが止まる。何故ならオーフィスが尿道に残っている精液を吸い出しているからだ。ちぅちぅと赤子がミルクを吸うかのように行われるそれは、オーフィスの幼い見た目と合わさり背徳感を覚える。

 雄の香がオーフィスの口の中を犯す。そして精液を吸い尽くしたオーフィスはちゅぽん、とわざと音を出して口内から怒張を解放した。そして、にこりと微笑んでみせた。その淫靡な光景に彼のそれは力を取り戻すかのように聳え立つ。

 

「可愛いやつ……よし、こっちこい」

「ん……」

 

 可愛いと言われて少し嬉しそうにしながらオーフィスはのそのそとベッドの上をはって移動し、イッセーの隣へ。

 

「イッセー、しよ?」

「……ったくお前は……いいぜ、やろうか」

 

 オーフィスを下に、イッセーが押し倒す形になる。所謂正常位なのだが……。

 オーフィスの秘部はもうイッセーのモノを受け入れる準備は整っている。明日に響くことも考えれば、今日はこれで終わりなのだろう。

 

「力抜けよ」

 

 イッセーは膝を曲げながらゆっくりと腰を沈めていく。端からみればオーフィスの足がイッセーからはみ出ているという不可思議な光景だろう。

 所謂、種付けプレスだった。

 

「ん……っ」

「動くぞ?」

 

 イッセーが耳許でそう囁くと、オーフィスはこくりと頷く。

 ぐっ、とイッセーの腰が持ち上がり────下ろした。

 

「んぁぁっ!?」

 

 その圧迫感はいままでの体位とは全く違うため、オーフィスは快感に戸惑う。

 

「力抜いとけよ」

 

 オーフィスの体を労りながらもゆっくりと腰を持ち上げて、下ろす。持ち上げて下ろすだけの操作は、次第にリズミカルな腰振りへと変わって行く。

 

「あっ、あんっ、やっ、あっんぅ、んぁぁあ♪」

 

 く、と少し呻きながらも腰を少しずつ早めていくイッセーと、喘ぎ声を押さえる気もなく淫らに乱れるオーフィス。その情事を覗くものは、いない。

 

「っく、うぉ……」

 

 オーフィスの幼壷は精液を貪欲に吸い尽くさんと蠢く。襞のひとつひとつが触手のように絶妙な動きでイッセーを高めて行く。イッセーも、その幼き膣内に精液を吐き出さんと子宮口を突く。

 そして、子宮口をガンガンとついているうちに、先端が子宮内へと、侵入しはじめた。

 

「んお゛っ!?」

 

 子宮ごと犯され、快感と幸福感に思考を溶かされたオーフィスはただの雌。ご主人様(イッセー)に仕える一匹の雌奴隷であった。これが龍神などといえば、あのアザゼルですら下手な冗談はよせと爆笑するだろう。ミカエルあたりは不純だと糾弾するのかもしれないが。

 

「っ、っ、ぁ、んお、んお゛っ、ん゛ぁ゛あ゛あ゛!!!」

 

 快感に狂うオーフィスは本能的にイッセーの腰へ足を巻き付け、手を首の後ろへ回す。だいしゅきホールドの完成である。足と手に行動を制限されながらも腰を打ち付けるイッセーは、ぐ、と小さく唸る。そして、耳朶を擽るような声の小ささでオーフィスに囁く。

 

「そろそろ出すぞ」

「うん、っ、いっぱ、い、イッセーの、ちょーだい♪」

 

 体を震えさせながら嬉しそうに膣内射精を求める幼女。背徳感がぞくぞくとイッセーの背筋を刺激する。

 

「イッ、セー、イッセー、ん、ちょうだい、んぁ、せーえき、いっぱい、ちょーだい♪」

「ああ、たっぷりくれてやる!」

 

 がくがくと止めどなく腰を打ち付け、射精へ向けてラストスパート。睾丸がせりあがり、尿道に独特のびりびりとした感覚が流れる。

 

「っ!」

 

 小さく息を止めると、すぐに呼吸を開始。そして、一気に腰を沈める。

 

「ぐ、出るっ!」

 

 子宮口の入り口まで侵入した怒張から、ついに精液が解き放たれた。

 

「んぁぁぁあああああああぁぁぁっ!!」

 

 子宮に直接精液を叩き込まれたオーフィスもまた絶頂へと達し、ぴん、と足が張る。

 射精は幾度となくびゅくびゅくと続き、そして────

 

「んぁ……♪」

「つ、疲れた……」

 

 二人は快感と疲労感にさいなまれ、そのまま眠りに落ちてしまったのであった。

 

 

 とうぜん、寝ながらも射精を無意識に続けていたのは言うまでもなく、オーフィスの膣はイッセーの形を完全に覚えて文字通りイッセー専用となったのだが、これは完全な余談である。

 

 昼も夜もこんなハードでイッセーは大丈夫なのだろうか。それはイッセーのみぞ知る。




没ネタ

一誠「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」
焼鳥「ぐうっ!?」
一誠「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYY!! 最ッ高に『ハイ』ってやつだァー! あははははははーッ!」グリグリ

なんだこれ。


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05.Who is she?

遅くなってしまいました……ふぅ。


 翌日。悪魔歴の浅いイッセーのために悪魔講義となる、予定だったのだが。

 

「イッセー、貴方は悪魔についてどのくらい知っているかしら?」

「ソロモンの七十二柱の悪魔がいることと、悪魔が聖水や聖剣、聖書の一節などといった聖なるものに弱いこと、正典には記されていない『七つの大罪』である嫉妬のレヴィアタン、強欲のマモン、傲慢のルシファー、憤怒のサタン、暴食のベルゼブフ、色欲のアスモデウス、怠惰のベルフェゴールの七体。それから、その他神話存在とキリスト教によって定義された悪魔の関わりとして───」

「もういいわ、あなたに教えるべきは『弱点に光がある』ということと、『悪魔は貴族社会』ってことだけで良さそうね」

 

 リアスはハァ、とため息をついた。当然だ、一般人ならば知り得ぬ事情、というよりは調べなければ知らないであろう情報を知っていたのだから。

 

「じゃあ、『神器(セイクリッド・ギア)』──いえ、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』ね。貴方のそれの能力は何かしら? グレイフィアが来たときに赤龍帝の、と言っていたから間違いないわよね? 正直驚いたわ」

 

 リアスの言葉にイッセーはその言葉に正直に答える。

 

「ええ、言う機会が中々無かったもので……本来の能力は『人間界での十秒ごとに力を倍加し、それを解放することで爆発的な力を得る』という物なのですが、神器の覚醒が不十分なので二回、つまり四倍にしかなりません」

 

 このイッセーの言葉に優美が答える。

 

「そこは恐らく、まだ体が神器に慣れてないからだと思うよ。僕も神器保有者だけど、覚醒した直後はちょっとしか出来なかったしね」

 

 優美の言葉にイッセーは成る程、と返して納得する。

 

「じゃあ、少しずつ慣らしていくしかないか……」

 

 そう呟くと、イッセーは左手を顎に宛がう。考え込むときのイッセーの癖だ。

 

(うーん、確かに神器を使った記憶がないな。あのみょんな堕天使も自力の魔力だけで倒したし。……使ってないからか? 最近ドライグが拗ね気味なのは。だとしたら可愛い奴だな。まぁ、ともかくとして神器とやらは相当面倒なものらしい)

 

 そう結論付けたイッセーはこきこきと首をならすと、こう切り出す。

 

「じゃあ、とりあえず俺が知らなさそうなこと……各勢力の統治者とかを教えてください」

 

 ☆

 

 夜。結論一日中ずっと勉強で、鍛練に関しては殆どせず、イッセーは自主的に行っていた筋肉トレーニングを軽くやって終了。しかし、当のイッセーは眠れずにいた。オーフィスはなにか用事があるのか居なくなっていた。

 たまに眠れなくて起きてしまう、という経験は誰にもあるだろう。

 理由もなく眠れないイッセーはふらふらと外へ出る。風にでも当たろうと考えたのだ。

 

(……今は毎日が楽しい。幸せに感じる)

 

 イッセーは心のなかでそう呟いた。

「あらイッセー、起きていたの?」

 

 声の主の方を見れば、そこには彼の主、リアス・グレモリーがいた。椅子に腰かけていて、眼鏡をつけている。

 

「ええ、眠れなくて……部長は?」

「少し戦術に関する書物を読んでおこうと思ったの。焼け石に水もいいところだけど、やらないよりはましよ」

 

 イッセーはそうですか、と答えた。リアスはふぅ、とため息をつくと理論書へ目を落とす。二人の間には何とも言えぬ微妙な空気だ。そもそも夜這いに来ておいて逆に犯されかけたという展開を繰り広げてしまった二人だ、この微妙な空気になってしまうのは仕方の無いことかもしれない。

 イッセーは意を決して、口を開く。

 

「……この前は、その、すいませんでした」

「……」

 

 イッセーはそう言うと頭を下げた。リアスは動きを止めると、イッセーへと顔を向ける。

 

「いいえ、私が悪かったの……ごめんなさい」

 

 本当にすまなさそうにそう言うと、リアスも頭を下げた。リアスもイッセーも、罪悪感を感じていたのだから。

 

「……」

「……」

 

 無言の、先程以上に微妙な空気になる。イッセーは余計悪化したと感じた。

 

「……今考えれば早急だったわ。貴方が怒るのも当然よね……」

 

 リアスはそう言うと俯く。

 

「ねぇ、イッセー。私は、私は誰なのかしら?」

 辛そうにそうこぼした。イッセーは心の動きに機敏なのか、そうでないのか、こう答えた。

 

「リアス・グレモリー。グレモリー家次期当主、現在はライザー・フェニックスの婚約者。現在六人の下僕が居る(キング)。駒王学園の高等部三年生……このくらいでしょうか。でも、俺にとって貴女は大切な主、と答えるのが適切でしょうが……」

 

 イッセーは迷った。頭の中でぐるぐると試行錯誤して、次の言葉を紡いだ。

 

「……こう答えましょう。貴女は貴女だ。そこに他人が与えたイメージや(しがらみ)は存在しない。種族すら関係なく、リアス・グレモリーというただ一人の女性、それが貴女自身なのだと思いますよ」

 

 イッセーはそう締め括った。これが正しい答えかどうかは問題ではない。ただ、これは()()()()()()()()()()()だった。

 

「……ありがとう、気が楽になったわ。さぁ、明日も特訓よ、早く寝なさい?」

「……はい!」

 

 イッセーはそう返事すると、自室へ戻るべくその場を立ち去る。きらりと、眼鏡のレンズが月光を反射していた。

 

 ★

 

 ……取り合えず嫌われている訳じゃなくて安心した。ホントもう、絶対嫌われてると思ったよ……よかった。俺としたことが、あんなことでカッとなってしまった……。いかんな、感情的になるのは。感情的になることで思わぬ力が出ることはある、が……冷静な判断を下せなくなってしまう。仕方の無いことだが……。使い分けるしかなさそうだ。

 まずはあの不死鳥を倒すことを考えなきゃだよな。うーん……。

「フィー、そろそろ寝ようか」

 

 言ってから気がつく。…… フィーは、明日まで用事があるんだっけ。仕方ないか。

 

 ……一人で寝るの、なんだか久しぶりに感じるな。そう思い、目を閉じた。



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06.女を攻めるには先ず胃袋を攻めよ?

あけましておめでとうございます。
稚作ではありますが、今年もよろしくお願いします。

なお、活動報告にてアンケートを実施しております。


 翌日、明朝。眩しい朝日……ではなく、下半身のぬめりと脱力感により目を覚ますイッセー。言うまでもなくオーフィスによる毎度お馴染み朝フェラである。

 

「んむんむ」

「くわえながら喋るな……」

 

 アレをくわえられながら喋ろうとするから舌がうねり、イッセーの力を失った怒張に少し刺激を与える。流石のイッセーも修行中に朝から抜かずの二回戦はきついようだ。尤も、そんなものは時間の問題であるが。

 

「んぁ……おはよう、イッセー」

「ん、おはよう、フィー。今日も元気だな」

 

 射精後の気だるく、しかし頭は冷静になる。余分な煩悩か頭から抜け落ちているからだ。イッセーはオーフィスの頭を優しく撫でまわす。オーフィスは目を細めて気持ち良さそうに呻くだけだ。こいつ本当に無限と虚無を司る龍神なのか、甚だ疑問である。

 

「……さて、っと。そろそろ行きますか」

「ん」

 

 イッセーはまず換気するために窓を開ける。外の新鮮な空気と中の生臭い空気が入れ換えられる。

 それを確認したイッセーはさっさとジャージに着替えを始めた。

 

 

「……おはようございます、イッセー先輩と、フィーちゃん」

「ん」

「おう、小猫ちゃんか、おはよう」

 

 着替えも終わり、食堂へ向かう途中に小猫と偶々鉢合わせたイッセー。

 ちなみにオーフィスはイッセーの頭の上で物理的に小さくなっている。

 オーフィスには外見というものに意味はない。容易く姿形を変えることができる。まるで燃える三眼だ。

 

「……キュートです」

 

 小猫は頬を軽く緩ませてオーフィスを見つめ、そう言う。実際デフォルメされたオーフィスはSDフィギュアのような可愛らしさがある。というかそれまんまだ。無表情だから余計に映える。

 

 そんな一幕はさておき、今日もまた修行が始まる。主に、イッセーとアーシアの為に。

 

 

 

 ドーモ、修行がきついと感じるイッセーです。今回の修行は魔力のみを使った調理。俺とアーシアの二人でやらなくちゃいけないってのが辛いところです。

 

「アーシアは料理の経験あるのか?」

「はい、少しは……」

 

 うーん、机の上には野菜達、そして肉……冷蔵庫には卵もあるな……おお、美味しいハンバーグを作れとガイアが囁いている……!

 

「よし、まずは下ごしらえからするぞ」

「イッセーさん、今日は何を作るんですか?」

「フッフッフ……よくぞ聞いてくれたアーシア、今日は本格手捏ねハンバーグだ」

 

 俺はそう言うと、豚肉と牛肉を6:4になるように取り出す。

 

「包丁もないのか……仕方ない、魔力でこいつをミンチにするか……アーシア、バターと赤ワイン、それから塩コショウを用意して。あと寸胴鍋をコンロへ」

「は、はい! えーと、赤ワインとバター、それから……」

 

 よし、これでいい。俺はボウルへと肉をまるごとそのままで入れる。そして……

 

「切り刻まれろッ!」

 

 ミンチになった肉を想像しながら魔力を肉塊へ送る。するとどうだ、瞬く間にミンチ肉になった牛肉と豚肉の姿があった。魔力便利だなぁ。

 これにパン粉と卵を加えて混ぜ、そこに塩コショウで味付けをする。……これも混ぜれるか? ……いや、手で混ぜるか。手捏ねだしな。ちなみにタマネギを入れると甘味が出るんだけど、俺のハンバーグはソースが少し甘いから大丈夫だ。

 こねこねとビニール手袋をしながら捏ねる。肉が暖まると不味いから氷水の入ったボウルの中に肉が入ったボウルを入れてるぜ。

 ……アーシアも支度が終わったみたいだな。

 

「アーシア、お湯を沸かしてブロッコリーを一口大に切断、それを塩茹でしてくれ」

「はい! お湯さん、沸いてくださいっ」

 

 おお、すぐにお湯が沸くな……魔力クッキング便利だ。

 肉を捏ね終わったので形を整え、肉をハンバーグの形にする。そしたら、両手でキャッチボールするようにして肉の中にある空気を抜いていく。

 ……うむ、我ながらいい出来だ。形を整え、窪みを作る。

 

「よし……」

 

 バットに並べたら、使わないものを片付けつつフライパンを火にかける。魔力を使いながら動くのは厳しいな……でも、片付けまでか料理だしな。

 

「よし、いい具合に温まったな……アーシア、ブロッコリーを、ザルを使って湯溢ししてくれ。熱いからミットつけてな」

「はい!」

 

 ……あとは、と。フライパンに軽くごま油を入れる。香り付けだな。

 フライパンが十分に暖まったので、ハンバーグのタネをフライパンへ。ジュウ、と肉の焼ける音がする。

 

「アーシア、ブロッコリーをザルにあけたら、使った調理道具の片付けを頼む。パンは普通にできているものがあるから……あとはスープか」

 

 できればコーンスープを作りたいのだが……よし。

 ハンバーグは少し放っておいて、ブロッコリーを茹でていた寸胴へトウモロコシ、水、そして生クリームを入れる。それらを魔力でミキサーして、更にトウモロコシを投入。塩で味を整え、魔力で暖めればほら完成、コーンポタージュ。

 ……早っ。いや、ものの数分で出来上がったぞ? しかもハンバーグの片手間に、だ。今更だけど魔力スゲェ。俺が今まで使ってたのって黒い魔力と闇の炎(笑)だからなぁ。

 流石にパンは普通にできているものがあるから、あとはハンバーグ待ちか。フハハハ、俺の得意料理であるハンバーグで度肝を抜かれるがいい!!

 

 

「……イッセー、貴方料理の才能もあるのね」

 

 リアスからそのお言葉をいただいた。うむ、上級悪魔も唸る味ということで納得しておこう。我ながらうまく出来た。コーンポタージュも程よい甘さだ。塩が丸みを出してるな。無論、メインのハンバーグもだ。ハンバーグには赤ワインとケチャップ、それから中濃ソースを混ぜて、ハンバーグを焼いたフライパンで軽く和えるようにして、軽く砂糖を入れる。すると、ちょっと甘味のあるデミグラスソースの完成ってわけだ。まぁ、本格的なものではないからなんちゃってデミグラスなのだが。

 ちなみに残った赤ワインは上質なものなので、ワインとして出している。

 ああ、肉汁が溢れだして……堪らんッ。口のなかに熱い肉汁とデミグラスソースが絡み合って旨味のハーモニーを生み出す。パンとの相性も抜群 。付け合わせのブロッコリーも箸休めに最適だ……ああ、和風ハンバーグも作ろう。今度はタマネギも入れて。

 

「これは少し傷つきますわ、女として」

「……意外な才能」

「アーシアさんはいつもこれを食べてるの? ちょっと羨ましいな」

 

 朱乃さん達にも概ね好評のようだ。いやぁ、料理するっていいな、やっぱり。可愛い女の子が食べてくれると特に、だな。

 

「……イッセー先輩、おかわりください」

「はいよ」

 

 結局、小猫はハンバーグを二度おかわりしていた。あぶねー、もしもに作りおきして正解だったぜ。




ボツネタ

こかびえる「勝ったッ! 第三章完ッ!」
一誠「ほーお、それで次話から誰がこの兵藤一誠の代わりをつとめるんだ?」
こかびえる「」

眠くない。


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07.実力はイカほどか?※

『烏賊程』ト『如何程』ヲカケテアリマスネ。ダカラ『ドーダコーダ』ト言ウワケデハナインデスガネ

遅くなってすいません。お詫びと言ってはアレですが、アーシアとのエロシーンをついでにいれておきました。

(遅くなった理由は提督になってたことと他の小説更新と入学手続きと色々なんですがね……電かわいい)


 あれよあれよという間に期間の半分を過ごしてしまった。

 そしてついに、修行に赤龍帝の籠手を使うときが来たようだ。相手は優美だ。修行というよりは実験に近いんだけどな。

 

『Boost!!』

『Boost!!』

 

 ……よし。

 

『Explosion!!』

 

「往くぞっ!」

「よし、いいよっ!」

 

 掌に魔力を出せる限界まで出し、撃つ……っ!

 

「ッらぁ!」

 

 俺の黒い魔力がヤバイ感じで優美に迫る。ってか、四倍でこの火力かよ!?

 

「避けなさい優美!」

「っ!」

 

 優美がリアスの声に従い横っ飛びで避ける。するとどうだ、その一撃は山を消した。というよりは、山を飲み込んだという表現が正しいな。

 

『ふぁ……』

 

 お、ドライグ起きたか。

 

『ん……おはよぉ……えへへ、使ってくれてありがと』

 

 お、おう……おはよう。

 

『Reset!』

 

 そこそこ魔力を持っていかれた感覚に陥る。それと同時に、左手の籠手が煌めく。

 

『Dragon Booster!!』

 

 まさか、ドライグが上機嫌になったからとか、そんなどうしようもない理由で覚醒したのか……? おかしいというか、なんというか……。呆れた。

 

「……物凄い威力ね。味方ごと消し飛ばしそうだわ。優美、間近で見た感想はどう?」

「なんというか、消し飛ばされそうというよりは、飲み込まれそうという感じでした」

 

 飲み込まれそう、か。そりゃ闇だからな。……純魔力と闇の使い分けができれば苦労しないんだけどなぁ。無意識に闇の魔力使ってしまって相手選手ごと飲み込んで……じゃなぁ。黒炎(笑)だって洒落にならないし。

 そんなこんなで、籠手を交えた訓練が始まった。

 

 

 夜の帳が降りた頃、イッセーの部屋に人目を気にしながら近づく影がひとつ。顔を真っ赤にしながらきょろきょろと人目を気にしている。

 影は意を決すると、こっそり部屋の中に侵入した。

 

(はぅ、これじゃ私が変態さんみたいです……)

 

 しかし、熱に浮かれているかのようにベッドで寝ているイッセーを愛しそうな視線を向けた。ちなみにオーフィスはまたいなかったりする。

 

 意外ッ! 夜這いに来たのはアーシアッ!

 

 彼女の中で、あの日から……純潔を散らし女になったあの日から、小さくないなにかが宿っていた。リアスに抱き締められたり、オーフィスを抱き締めたり、小猫を撫でたりしている姿を見ては、自己投影していた。羨ましいと思うようになっていた。

 そして、学友である桐生藍華に教えてもらったことがある。

 

『いい? 男ってのは性欲が溜まると大変なの。エッチなことしか考えられなくなっちゃうわ。だから、定期的に発散させてあげないと。魅力的な女の子と同居してるイッセーも、辛いと思うよ?』

 

 流石は桐生、匠と呼ばれはだけあって耳年増だった。

 

(これはイッセーさんのため……)

 

 そう考えると、少し心が休まった。そう、これはイッセーの為に行う『施し』なのだ、と自分に言い聞かせた。あとは快楽と本能に任せてしまえば、それで分からなくなるから、恥ずかしくないのだと。

 

 意を決したアーシアはイッセーのベッドへ寝間着のまま侵入する。可愛らしい百合の花のデザインのものだ。

 アーシアから見たイッセーは、穏やかな呼吸で仰向けで眠っているように見えた。

 アーシアはイッセーの隣までくると、胸がいっぱいになった。言葉にできないほどの幸福感に包まれて、顔がさらに赤くなる。

 

(ああああイッセーさんと一緒のベッドでッ!)

 

 興奮状態になった彼女はイッセーのほほにキスを落とす。イッセーは小さく呻くだけで、特に起きる気配はないとアーシアは感じた。

 イッセーの躯に抱きつくようにアーシアはひっつくと、イッセーの下半身へと手を伸ばす。

 

(エッチぃのは、恥ずかしいです……で、でも、イッセーさんが他の見ず知らずの女の子を、お、襲ったりしたら……だから、仕方ないのです)

 

 アーシアは心の中でそう呟いた。そうしなければ、信じていた、捨てきれていない、神への信仰が崩れてしまいそうだった。

 アーシアはたどたどしい手つきでズボン越しにイッセーの怒張へと触れる。そこはやはり固くなっており、アーシアの手が触れるとぴくりと動いた。

 

「ひぅ!?」

 

 ぴくりと動いたことに驚き小さな悲鳴を出すアーシア。その固さと熱にうっとりと頬を染める。

 

「か、かたくて、あつい……これが、私の中に入って……」

 

 そう思うと、かあっと体温が上がると同時に、自分が女であることをどうしようもなく感じてしまう。秘襞から蜜が少し分泌され、きゅんきゅんとそれを求める。処女を失っても損なわれぬ純真さが、よりいっそう淫靡さを引き立てる。

 その熱に思考が奪われ、欲望と本能が顔を出す。敬虔な信者ゆえに、普段はなりを潜めているそれは、おさえつけられているだけである。それが一度でも爆発すれば、もう止まらない。止まれない。

 さわさわと恐る恐る撫でていた右手は段々と、いやらしくうねる蛇のように服の上からまとわりつく。それは『聖女』が『女』になってきている証拠である。そんな二面性を見せはじめた彼女は、ズボンにてを掛けると、ずり下ろした。そして、怒張にゆっくりと、指の腹を触れさせた。きゅっと優しく包み込むように握ると、掌の中でびくびくと跳ねる。

 

(かわいい……)

 

 そんな風に思ってしまう。彼女もまた、常識がいくつか抜けている。聖女としての生活が長かった分、普通の女性ほどの忌避感や嫌悪感は存在しなかった。はじめてだったからこそ、である。

 彼を見る。路頭に迷い、運が悪ければ死んでしまう所だった自分を助けてくれて、学校にまで通えるようにしてくれた。そのお陰で毎日が楽しい。だから彼に何かしてあげたいと、常々思っている。

 

 だからだろうか。彼女の中から、躊躇いがなくなった。

 

 

 イッセーにキスの雨を降らせているアーシア。さて、ここまでされてイッセーが起きてこないかと言われれば、否である。実は最初の方から起きていた。彼女には普通に眠っているように見えたのだろうが……。

 さて、イッセーが無防備に眠り呆けていると考えているアーシアは半ば暴走気味だ。触れるだけのバードキスを繰り返しながら、イッセーの熱く昂る海綿体を右手で擦っていた。柔らかく、少し暖かく感じるすべすべの綺麗な手は、今やイッセーの我慢汁でべとべとに汚されている。それを何となく予想したイッセーは、優越感と征服感に、目を瞑りながら、浸る。

 

 それから放たれる『雄』の匂いはアーシアから正気を奪って行く。頭は熱に浮かされ、息は荒く熱を帯び始める。じゅんと愛液が滲みクロッチを汚す。

 

「はあ、はぁ、イッセー、さん……」

 

 彼女はもう自分が何をしに来たのかすら頭から抜け落ち、ただただキスと愛撫に没頭する。イッセーはその快感に身を浸らせながら、ただただ動くことなく受け止めていたが、さすがに限界だ。とはいえ、挿入れるのはできない。いくら悪魔の妊娠率が低くとも、万が一というものがある。高二でパパとか洒落にならない。法律的にも。そんな打算的なことが頭にふと浮かんだが、イッセーは考えるのをやめ、アーシアの手の感触と柔らかく瑞々しい唇の感触を楽しむことにした。

 

 怒張が膨れ上がり、尿管が膨張し射精の準備を始める。既に我慢汁でべとべとであり、時おりアーシアの荒い息遣いと声が、イッセーを更に高める。それを感じ取ったのか、アーシアは手の動きを急に早めた。それに耐えられず、熱いなにかが尿道をかけ登り、その鈴口から多量に吐き出された。

 

「ひぁ !?」

 

 突然射精したことに驚くも、アーシアは桐生から教えてもらった、幾つかねじ曲げて説明されたことから、これが精液なのだと理解する。びくびくと震えながら精液を吐き出す様は、アーシアにとって衝撃的であった。人間がこんなものを放出するのか、と。何気に初めて精液を見たのだから。それと同時に、これにどうしようもなく女の部分が反応してしまうのは生物としての性なのだろうか。

 そして、ここまでされてイッセーは黙って寝た振りをしていられなくなった。アーシアを流れるように抱き締めて唇を合わせた。

 

「んむ!?」

 

 急にキスされて戸惑い焦るアーシア。そんなアーシアを無視するようにイッセーは彼女の口内へ舌を捩じ込ませ、彼女の舌を弄ぶ。

 

「んむ、ん、ん、んぁ、あむ、んっ、ん……ふぁぁ……」

 

 キスだけでもう何も考えられなくなり頭に霞がかかって正常な思考ができなくなるアーシア。

 イッセーはそんなアーシアの耳許(みみもと)で囁く。

 

「アーシアはエッチな娘だな」

 

 その言葉にびくりと反応するアーシア。しかしそれを無視するかのようにイッセーは続ける。

 

「キスだけでこんなに興奮してる。ほら」

 

 イッセーは手を彼女のパンツの中、濡れそぼった蜜壷の入り口に人差し指と中指で触れる。にちゃり、と音がしそうなほどだ。

 

「ひんっ!? あっ、そんな、違……」

 

「本当は欲しいんだろ、俺のモノが」

 

 イッセーの言葉にぞくぞくと躯を震わせた。その状況を無意識に意識していたのだ。

 

「“おねだり”、してみよっか」

 

「え……」

 

「ほら、言ってごらん?」

 

 そんなことできるわけかない。アーシアはそう思った。羞恥で頬を染める。

 

「言わなきゃお預けだから」

 

 イッセーはそう言うと、アーシアの陰部の入り口を撫でるような動きで焦らす。

 

「え、そんな、っ!? んぁっ……」

「ほら、言わなきゃどんどん苦しくなるよ?」

 

 それから、長い間緩やかな愛撫が続いた。胸を揉むが、乳首には触れず乳輪を撫でるだけ。尻を揉んでも、秘部は入り口を軽く刺激するだけ。快感だけが高められ、しかし絶頂には届かない。

 

 いつしか服は脱がされ、アーシアの思考は完全に溶かされていた。

 

「ほら、アーシア。言ってごらん。どこに、何が欲しいのか」

「あぁ……はいぃ……わ、私のっ、ここにぃ、はぁ、はぁ……おまんこにっ、いっせーさんのおちんちんくださぃぃ!」

 

 堕ちた。完全に溶かされた脳はただ強い快楽を求めていた。

 それを感じたイッセーは、軽く嗤うと彼女の背後に回り、寝たまま抱き締め、耳許に口を近づけ、小さく呟く。いつの間にかコンドームを装着していた。

 

「よくできました」

 

 アーシアはその言葉にぞくぞくとからだを震わせた。陰部はひくひくと蠢き、今か今かと待ち望んでいる。イッセーはその要望に答えるかのように、照準を定め、腰を沈めた。

 

「んぁぁぁぁぁぁあぁっ!!!!」

 

 漸く訪れた大きな快感に、求めていたものが訪れた事に、悦びの声を上げる。彼女もまた、牝なのだ。

 イッセーは焦ることなく腰を動かす。しかし、絶頂をもとめるあまり、アーシアの方からがくがくと腰を揺らして責め立てる。

 

「んぁ、あっ、あっ、ああ、あ、あ、あ、あ、あ、あんっ♪」

「っく……!」

 

 快感の波にイッセーも飲み込まれ、アーシアの動きに合わせるように腰を振る。

 

「ああ、あんっ! いっせーしゃんっ! わたしっ、もうっ! あぁああ!! いく、っ、いきましゅっ!」

「ああ、()()()、イけ!」

 

 イッセーの言葉がトリガーとなり、アーシアは躯を弓なりに反らして、ついに絶頂に至る。

 

「ああああああああああああああああああああああああぁぁぁッ!!!!!!!!!!」

「ぐっ!」

 

 アーシアの絶頂により膣が絞まり、イッセーの精液を搾り取る。しかし、やはりその精液は卵子に届くことはなくスキンに阻まれる。

 

「あぁ、ぁっ……」

「はぁ、はぁ……」

 

 イッセーはアーシアから引き抜くと、スキンを縛って捨てる。

 そして、アーシアを抱き締めるとそのまま眠りについた。

 






アーシアの好きな体位は多分正常位。


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08.Stand up to the……?

困難に立ち向かうもの。


 そして、ついに。修行を終えたイッセー達は下山し、自宅へと帰り、レーティングゲーム当日となった。

 

「……闘いなら“これ”だな」

 

 イッセーはクローゼットから学ランを取り出すと、それを羽織る。袖は通さずに羽織るだけだ。それからイッセーは神器を呼び出してみる。

 

『ん? どうした相棒』

「解れ。最終確認だ」

 

『Boost!!』

 

 籠手は音声と共にイッセーの力を倍加させる。

 

「問題ねぇみたいだな」

 

 イッセーはそう確認すると、神器を解除する。そして一人呟く。

 

「相手は腐っても不死鳥。こっちは未熟な悪魔。……負けるつもりはねぇ。……が、勝てる気もしねぇ、か」

 

 イッセーは天を仰ぐ。

 

「……俺の人生だけじゃなくてリアスやアーシア達の人生もここで変わっちまうしな……『自分のやりたいようにやる』『自分の女は全力で守る』……両方やらなくちゃならないのが男の辛いところだな」

 

 そして、イッセーは確認するかのようにこう言った。

 

 

 

「『覚悟』はできたか? 俺は出来てる───」

 

 その時、誰かがイッセーの部屋のドアをノックし、入ってきた。アーシアだ。

 

 アーシアはロザリオこそつけていないものの、シスター服で来ていた。

 

「部長さんが一番しっくりくる格好でと言われましたので……あの、似合ってます?」

「ああ、似合ってるぞ」

「本当ですか!? えへへ……」

 

 イッセーは照れ笑いをするアーシアの頭を撫でる。

 

「さあ、行こうか」

「はい!」

 

 

 そして、学園の部室にイッセーとアーシアが到着した。

 

「イッセー……くん?」

 

 優美はイッセーの『スゴ味』のあるオーラに少し気圧されていた。普段の自分をからかってくる時の楽しそうな、優しそうな、そんな雰囲気ではない。学ランを羽織っているだけだというのに、物凄い雰囲気の違いを感じる。まるで剥き身の刀のようだ。

 

「ああ、そうだ」

 

 ここで、初めて彼女はイッセーの表情を見た。その表情から、覚悟が伝わってくる。

 

「……凄いね。僕なんかさっきから緊張と武者震いで震えっぱなしだよ」

「……俺の手を見てみな」

 

 イッセーの手を見れば、小刻みに震えているのが分かる。

 

「イッセーくんも、緊張してるの?」

「そりゃあそうさ。俺はこれが“はじめて”だからな」

「あ……」

 

 イッセーに言われて、優美は気がつく。イッセーはレーティングゲーム、ましてや実戦がこれが初めてだということに。最初の堕天使戦は戦いというよりは蹂躙(チュートリアル)だったので含めないことにする。

 

「相手は格上、こっちは何もかもが足りてねェ。ケド、ここで勝たなきゃ……リアス部長は、あの男のモノ。そんなのは俺じゃなくてもムカつく。だから勝とうぜ」

 

 イッセーの言葉に優美は首肯した。イッセーはそれを満足げに見たあと、小猫に視線を移した。

 

「……一誠先輩。勝ちましょう」

「……ああ。勿論だ」

 

 小猫の言葉にそう短く答える。レーティングゲーム開始まで、あと十五分────。

 

 

 そのころオーフィスは、次元の狭間からイッセーの戦いを覗くことにしていた。そこら辺にあったゴグマゴクの残骸に腰かけていて、その首には黒い首輪が巻かれている。それを撫でては頬を染めて嬉しそうにするのだ。首輪には『おーふぃす』と書かれている小さなプレートがついている。

 イッセーがゲームに行くとき、オーフィスも平然とついていこうとした。至極当然と言わんばかりの顔で。

 しかし、外見が幼女とはいえオーフィスを従えているなどという噂がたてば己の身や眷属の皆が危ない。まあ、たったらたったで守りきる気概も自信もあるが実力はどうしようとも今は足りない。そう考えたイッセーはオーフィスに首輪をプレゼントした。こんな言葉を添えて。

 

『今日からこれで正式にお前は俺のだ。俺のなんだから言うこと聞けよ? というわけで今回は悪いけどレーティングゲームには着いてくるなよ』

 

 オーフィスはその言葉だけで腰砕けになってよがってしまうのだが、それはまた別の話である。

 

『レーティングゲーム、スタートします』

 

 オーフィスは、イッセーを見るためだけに次元の狭間からレーティングゲームの空間を楽しそうに覗いていた。別に戦いを見るわけではない。イッセーを見るだけだ。

 

 勝負の行方は、天のみぞ知る────。




没ネタ

一誠「堕天使か……そうだ、味もみておこう」ペロペロ
ミッテルト「ひゃう!? 翼を舐めるな!」
一誠「こんな味なのか……」ペロペロ

妙にリアリティを求める一誠。


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09.ファースト・フェイズ

最近気がついたんですが、D×D1期OPを意訳すると「人の道を踏み外したお人好しドラゴン」ってなりますよね。Tripは踏み外した、innocentはお人好しだし、DはDragonかDevil……。

そしてさっき気がついたんですが、ハイスクールD×Dの略称の一つの「HSDD」ってあるじゃないですか、あれHypoactive Sexual Desire Disorder……即ち「性的欲求低下障害」。なんというダブルニーミング……いや偶然だろうけど。




 次元の狭間に創られたレーティングゲームの空間。そこは駒王学園そっくりに創られており、地の利はグレモリー側に傾く。

 はっきり言って、このゲームは()()()()()。ライザー一人でもリアス達を蹂躙して倒すことくらい()()()。十日間のアドバンテージなどあってないものなのだ。

 

 

 ────神滅具(ロンギヌス)なんてものが無ければ。

 

 

 ライザーは神器にはあまり詳しくない。『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』なるものが、10秒ごとの倍加だということは知っている。しかし、イッセー程度の()()の素養をもつ下級悪魔ならごろごろいるし、己の技量と不死鳥としての素養があれば、長期戦に持ち込めば負けるはずはない、と確信していた。そしてそれはおおよそ正しい。

 イッセーが『闇』を使えば、不死鳥の炎も呑まれてしまう。しかし、イッセーは闇を使うつもりはない。ではどこが間違っているのか。

 それは、ライザーがイッセーをどこか侮っているのに対し、イッセーはライザーを高く評価し『覚悟』を決めていることだ。『覚悟』がない存在は『油断』と『傲慢』で身を滅ぼす。実に悪魔らしい理由で……。

 

 

 作戦会議が完了した俺たちグレモリー眷属。優美はトラップ設置に向かい、そのまま遊撃。分かりやすく言えば『セオリー通り』の戦術だ。そして、俺と小猫が体育館側で敵戦力を誘導・足止め、俺たちが退避後に体育館ごと朱乃が爆砕する。ここは意外性がある。その後、戦力を集めて運動場から新校舎へ堂々侵入、絡め手なしで推し通るという寸法だ。

 

 リアス曰く、敵で要注意の戦力は(キング)のライザーとその妹、それから爆弾女王(キラー・クイーン)……じゃなかった、爆弾王妃(ボム・クイーン)……ライザーの隣にいたフード女の三名だ。ライザーとその妹とやらは言わずもがな、不死鳥であるが故である。そして、爆弾王妃(ボム・クイーン)は朱乃と互角の能力をもつとか。

 ライザーは犠牲(サクリファイス)を好んで使うということが過去のゲームから分かっている。どちらかと言えば眷属任せで搦め手を使うのを得意とするんだろう。本人が戦場に立つことは少ない。

 

 確かに敵戦力を削ることは大切だ。俺は戦術には詳しくないが、確かに大切だ。だが、なにか引っ掛かる。何だろうか……。

 

「先輩、いきますよ」

「おう」

 

 小猫の声で思考を止める。進んでみなきゃ分からねぇからな。

 

 体育館に入れば、いるのは四人。()()()四人である。Holy Shit!(ちくしょう!) こっちが『捨駒』……いや。恐らく運動場側でも同じだろう。片方に戦力がいったら……ってやつだ。来るのは恐らく最大戦力たる女王(クイーン)。ヤツの爆発で殺られたらたまったもんじゃあねぇ。いくら堅牢な戦車(ルーク)とてひとたまりもあるまい。各個撃破されておじゃん、だ。

 

「小猫ちゃん。普通さ、こういう重要拠点は戦力を集めておくのが定石ってやつだよな?」

「そうですね……見たところ『兵士』3、『戦車』1……この戦力じゃ私たちを突破するには……」

「だよなぁ。なんか引っ掛かる。……注意しとけ」

「……了解です」

 

 さぁて、女の子に手を上げるのは趣味じゃあないんだが……。やるか。

 

「作戦会議は終わりかしら? それじゃいくわよ!」

「「解体しまーす♪」」

 

 双子の幼女……『兵士』の二人が出してきたのは……チェーンソー。日本語で書くと鎖鋸(くさりのこ)。……また凄く珍しい武器だなぁオイ。

 

「しかし無駄なんだよ無駄無駄ァ!」

 

 俺は容赦なく炎の魔力砲弾をぶち込む。そしてあっけなく二人のチェーンソーは引火して爆発四散!

 修行の成果だな。きちんと使い分けられてる。

 

「らりほっ!?」

「ちゅみっ!?」

 

 そしてその爆発に巻き込まれた二人は奇妙な悲鳴を上げて腰を抜かしている。

 小猫の方も戦車と棒術の兵士の娘を軽やかなフットワークで翻弄していた。弱ぇ……あからさまにおかしい。十日間でこうも変わるか? いや……それはねぇ。

 そう訝しんでいると部長から連絡が。

 

『朱乃の準備が終わったわ! 40秒後に崩壊されるわよ!』

 

「小猫ちゃん!」

「わかってます、はぁっ!」

 

 いままで戦っていた戦車(ルーク)の娘を吹き飛ばすと、俺たちは急いで体育館を脱出。俺達が安全圏に入った直後に落雷。まるで光の柱が落ちてきたみてぇだ。

 

 

 

『ライザー・フェニックス様の『兵士』3名、『戦車』一名、()()()()!』

 

 グレイフィアの音声アナウンスを確認して、イッセーと小猫はほっとする。15分の4とはいえ、戦力を削れたのには間違いない。

 

「……なんとかなりましたね、先輩」

「ああ、だが……何かひっかか──」

 

 そこからイッセーの声は途絶える。イッセーが爆発に包まれた。





没ネタ

ヴァーリ「強いやつに会いに行く!」
一誠「てめー、頭脳がマヌケか?」

ポル一誠と野菜人ヴァーリの奇妙な冒険バトル。


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10.思惑通り?

 この前、大学の講師が「小説家はうそつきだ」という話を聞きました。「嘘(つまりフィクション)」の話を考え続けるのが小説家だから、小説家はどれだけ嘘がうまいか、どれだけ嘘をつき続けられるか、とかそんな話でした。なるほどなぁ、と思わず納得。だからなんだって話ですが(笑)


「ッ、イッセー先輩」

 

 驚く小猫。そして、それを遮るように上空に現れる女────

 

撃破(テイク)

 

 ライザーの女王(クイーン)。爆発を得意とするユーベルーナ。彼女の爆風が晴れれば、そこには少し煤けた学ランのみが残っている。

 

「ふふふ……獲物を狩るとき、獲物が何かをやり遂げた瞬間がもっとも油断している……例えば、敵を倒してホッとしていたとき。そう、僅かな『安堵』は『油断』を呼ぶわ。こちらは多少『犠牲(サクリファイス)』を支払っても一人倒せばそれでいい」

 

 ユーベルーナもまた、『傲慢』と『驕り』が『油断』を生んだ。しかし、彼女は『女王(クイーン)』。簡単には沈まない。

 

 ──なら、簡単に沈められるほどの火力を出せばいい。

 

 このご高説は、爆破から50秒が経過していた。

 

「ああ全くだ、何かをやり終えた獲物は──油断する」

 

『Boost!!』

 

 背後からの声。

 

「何ッ!?」

「次の瞬間お前は『何故無事なの!? どういうこと!?』と言うッ!」

「何故無事なの!? どういうこと!? ……ハッ!」

 

 声の主────イッセーは腕組みをして不敵な笑みを浮かべる。

 

「確かに爆破までの手際、見事だった────だが、俺はお前の上を行く。爆破されるとわかった瞬間、俺は魔力で全身を覆ってたのさ」

『Boost!!』

「馬鹿な、対応が早過ぎるっ!?」

 

 イッセーの言葉にうろたえるユーベルーナ。その隙を見逃さず、イッセーは掌を彼女に向ける。

 

「そしてこれは8回目の倍加────さよならだ(アリーヴェデルチ)

『Boost!!』

『Explosion!!』

 

 イッセーの魔力が2の8乗、256倍のブーストがかかり、一時的に最上級悪魔クラスまで魔力が増加する。

 

「オラァ!」

 

 魔力の塊とも言える砲撃を放つ。その赤い砲撃はユーベルーナを簡単に飲み込んだ。油断し、狼狽え、正常な思考を奪われていた彼女は砲撃への対処もせぬまま大人しくブッ飛ばされた。

 

『…………!! ライザー・フェニックス様の『女王(クイーン)』、()()()()です!』

 

 そのアナウンスを聞いた小猫は、イッセーを見る。イッセーは、三対の翼で羽ばたきなから、ニッと笑ってみせた。

 

『Reset』

 

「よーし、次だ」

「……はい!」

 

 イッセーはそう小猫に声を掛けると、学ランを拾うべく降下していた。

 

 

 一方、ライザーは焦っていた。いくら頭脳がマヌケな存在でも、自分の眷属の最強格が倒されれば焦りもする。ライザーは馬鹿ではない。むしろ、搦め手を得意とするほどだ。しかし……イッセーの搦め手とライザーの搦め手では意味が違う。その場の戦闘を支配するのがイッセーならば、局面を見渡した戦況を支配するのがライザーだ。

 ライザーはまず戦況を整理した。現存戦力は『兵士』5、『騎士』2、『僧侶』2、『戦車』1。そのうちの『兵士』三人は現在森の中なので、すぐさま引き返すよう命令しようとして──やめた。アナウンスで彼女たちが倒されたと分かったからだ。残りは『兵士』2、『僧侶』2、『戦車』1となる。相手は『兵士』『僧侶』『戦車』『騎士』『女王』がそれぞれ一人。相手の『僧侶』には戦闘力は皆無だが、『僧侶(レイヴェル)』は動かない。そう考えると……。

 戦力を運動場に集結。戦力を集中させて突破してくるはずなので、全力で『足止め』させる。その内に相手陣地に向かい、(ライザー)(リアス)を取ればいい。簡単だ。しかしライザーは戦力をかき集めた後、妹だけに『自分が屋上で戦っているということ』を伝えるようにと言った。その理由は、強者故の傲慢か。

 

 ─────実のところ、ライザーは婚約にあまり乗り気ではなかった。確かにリアスはいい女だが、自分と釣り合わないとどこかで感じていた。乳はでかいが……ぶっちゃけ属性枠はほかの眷属で埋まっているのだ。親が決めたというのもあまり気にくわない。故に出来るだけ婚約者であるリアスに嫌われるような行動を勤めてきた。あわよくば逃げられてしまえばいいとさえ思っていた。

 

 しかしある時、『ベルゼブブ名義』の手紙が届いた。意訳すれば『フェニックスとグレモリーが婚約を結ぶのは魔王の意思である』とのこと。ライザーは仕方なく、結婚の事について進めることにした。

 

 さて、結婚して最も困るのは誰か。現在次期当主となることが決まっているリアスが『嫁に出る』となると、跡継ぎには必然的にサーゼクスの子であるミリキャスが跡継ぎだ。

 しかしミリキャスはまだ子供である。そんな子供が次期当主になれば……誰かに唆され、操られる可能性もある。ミリキャスは聡明な子だが、やはり子供は子供である。

 そして、今後グレモリーの地位は間違いな上がるだろう。魔王排出、優秀な魔王の息子、今代の赤龍帝の確保……。

 そしていつしかミリキャスに適当な嫁をあてがい、その子さえも傀儡にする。そうすればもう止められない。

 さて、これで得するのは誰か。

 

 ライザーは翼を広げ、炎を撒き散らしながら旧校舎に向かった。全てを終わらせるために。

 

 

 

「きゃぁっ!?」

 

『ライザー・フェニックスさまの『兵士(ポーン)』三名、()()()()!』

 

 一方その頃、木場優美は罠にかかった兵士を始末していた。当然だ、優美にとって彼女達三人は罠さえもってすれば敵ではなかったのだから。

 

 突然腕に衝撃。誰かに腕を掴まれたようだと瞬時に理解する。

 

「ッ、!」

 

 反射的に魔剣を創造し、首があるであろう場所に突きつける。

 

「っお!? タンマタンマ! やめねぇか優美! 俺だ、イッセーだ!」

 

 イッセーの言葉に動きを止め、その姿を見る。そこには煤けた学ランを着たイッセーの姿があり、その後ろには小猫がいた。

 

「ごめん」

 

 申し訳なさそうに優美は剣を消し、頭を下げた。

 

「かわまねーよ。この霧の中じゃ誰かもわかんねーだろうしな」

「木場ちゃん先輩は悪くないです」

 

 イッセーは気にしておらず、むしろ『つかんだ自分が悪い』とすら考えていた。しかし、実はイッセーに剣を向けたことをよく思っていなかった小猫は嫌味とばかりにそう言う。

 

「小猫ちゃん、もしかしなくても怒ってる?」

「いいえ」

 

 普段無表情な彼女が、実に『いい』笑顔を浮かべている。それは一種の恐怖映像であった。猫に睨まれた鼠の心境だった。何故か。それは彼女から言葉に出来ない凄味を感じたからだ。笑顔なのに言葉には恐ろしいほど感情が乗っていないのもあったが。

 

『三人とも無事なようね。特にイッセーの働きは凄かったわ。まさかライザーの女王(クイーン)を落とせるとは思っていなかったわ』

 

 すると、リアスからの通信が。三人はリアスの言葉に耳を傾けつつ警戒する。

 

「いえ、()()()が居なければ俺も負けてました」

 

 籠手を指差しながらリアスにイッセーはそう返した。実際、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)がなければどうなっていたか。倒せなくもないが、相当消耗させられる羽目になっただろう。

 

『そう、龍帝の力で……凄まじいわね。さすがは神滅具(ロンギヌス)といったところかしら? ともかく、ライザーはかなり焦るはずよ。戦力が建て直される前に、運動場側から攻め込むわよ!』

 

「「「了解!!」」」

 

 三人は返事をすると、霧のたちこめる森の中を進んでいく。

 

 ついに遊戯(ゲーム)は、終盤戦へと動き始めていた。

 

 

 

 

 



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11.不死鳥の妹

 耳を劈くような音。爆音とも称すべきそれは、落雷の轟音。

 

「あらあら」

 

 先制雷撃と言えば何だか聞こえはいいが、やっていることは空中からの絨毯爆撃と然程変わらない。

 その爆撃の餌食になったのは、偶然隠れながら進行しているのを見つけた『兵士』二人と『僧侶』。避ける術も防ぐ暇もなく、落雷に消し炭にさせられた三人。死ぬ直前に()()()()となり、一命だけは取り留めている。悪魔は簡単には死なないからこそである。

 その爆雷を放った主、朱乃は「どうしましょう」とでも言いたげに微笑む。魔力の充填を行う傍ら、 空を漂っている。

 

「あら、アレは……」

 

 朱乃は遠くに赤く輝く光を見る。炎の輝きだ。揺らめくそれは旧校舎に向かっていった。

 

「……あらあら、ちょっと……いえ、かなり不味いわ」

 

 その光景に冷や汗を流す。そして、魔力の溜まっていない自分が行っても足手纏い。その事実に朱乃は歯噛みした。

 

「……リアス。聞こえるかしら──」

 

 朱乃は『今取れる最善』を取るべく主へ連絡を入れる。

 

 もはや、『物語』は『ぶれ』どころでは収まらぬ歪みが生まれはじめていた。

 

 ★

 

 一方、そんなことも露知らずのイッセー達は、旧校舎付近に到達していた。

 

「……見られていますね」

「うん、そうだね」

 

 小猫と優美は互いにそう確認しあう。イッセーもまた「こりゃまずったか?」と思いながら籠手を出現させて力をためている。……イッセーは脳を回転させる。考えろ、考えろ……!

 はたと顔を上げたイッセーは突然地面に手をつくと魔力で椅子を作り上げる。そして、それに突然座ってみせた。

 

「イッセーくん!?」

 

 流石の優美もこの行動には驚く。無論小猫も驚く。しかしイッセーは全く動じず、懐から棒状のクッキーのような、いかにも水分が取られそうな非常食を囓りながら、笑みを浮かべる。不敵な笑みだ。

 

「別に良いだろ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だからよォー」

 

 これはひどい。社僎とか、そういうレベルではない。ひどい低レベルな挑発だ。優美はドロドロに思った。小猫もぶりぶりに思った。

 イッセー自身も内心「流石にこれは無いか……」と思っていた。こんな挑発に引っかかる単細胞が───

 

「そんな事を言われて黙っていられるか! 騎士としてあの男を斬る!」

 

 いた。その少女、ライザーの騎士が一人、カーラマインである。剣馬鹿である。

 剣馬鹿ーラマインは怒りを露わにし、炎の剣をイッセーに向ける。

 

「オラァッ! 次の瞬間貴様は『不意打ちだと卑怯だぞ恥を知れ』という」

 

 その剣馬鹿の背後をあっさり取って殴り飛ばし、そう宣言するイッセー。流石のカーラマインも不意打ちに吹っ飛ばされながらも受け身を取る。

 

「くぅっ!? 不意打ちだと、卑怯だぞ! 恥を知れ! ……ハッ!」

 

 そしてお約束のようにそう言うカーラマイン。ここまで来れば逆に褒めたいレベルである。小猫と優美も他の敵がでてこないかと警戒している。が、何故か二人ともチラチラとイッセーを見ていた。

 

「いいか、貴様らにとっては手を抜いても勝てるかもしれないがこっちは這いつくばってでもやらなきゃ引き分けもできねぇ! なら、方法なぞ選んでいる暇などない!! 貴様らとは『飢え方』が違うんだよッ! オ ラ ァ ッ !」

 

 イッセーはそう吼えると、カーラマインを仲間の気配のする方へふっとばし、優美と小猫を抱え上げ、飛翔。そして──

 

「纏めて吹き飛べ!」

『Explosion!!』

 

 魔力砲を発射。魔力砲は地面に着弾すると爆発するかのように広がっていく。しかし、それ自体に意味は無い。魔力砲に見えたものは粉塵だった。しかし、その粉塵はイッセーの魔力でつくられたものなので、もし爆発すれば不死鳥の眷属とてひとたまりもない。

 

「不死鳥の眷属が火で倒れるってのはどうだ?」

 

 イッセーは目を白黒させて展開について行けない小脇に抱えた小猫と優美を尻目に、胃の中に火種を作り出し、そのまま吐き出す。それはまさに龍の息吹(ドラゴン・ブレス)。炎球を火種に大規模な魔力粉塵爆発を起こし、そして──

 

『ライザー・フェニックス様の『騎士』二名、『戦車』一名、『()()()()』』

 

 これで、後は僧侶一人─予測された噂の妹である。

 

「全く、野蛮な殿方ですわ」

「すまねぇな、生憎つい数週間前までは人間だったからよ」

 

 お嬢様口調の金髪ロール……押さえるところを押さえたまさに「強気のお嬢様」のテンプレートである。イッセーは脳内で既に八通りほどの攻略方法を編み出していた。この男、飢えがどうのとか言う割にはかなり余裕である。というか女を既に二人も囲っているのにまだ増やそうとするのか。いいぞもっとやれ。

 それはさておき無傷のレイヴェルは炎の翼で一誠の近くまで飛ぶと優雅に一礼。

 

「レイヴェル・フェニックスと申しますわ。今回は愚兄が迷惑をかけたようで。ええ、お察しの通り妹です」

「ご丁寧にどうもお嬢様。俺は兵頭一誠、知っての通り赤い龍の宿主だ。どうやらお急ぎのようだな」

 

 互いに会話を交わし、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる二人。どうやら持っている空気が似ているらしく、互いの言いたいことが手に取るように分かるようだ。正確に言えば、独特な言い回しのイッセーと遠回しな言い方のレイヴェルの波長が合った、というところか。

 事実、レイヴェルの遠回しな言い方はライザーや家族にも伝わりづらいらしく、レイヴェルはこれまで楽しく会話を楽しめていなかった。暗喩とか何かと別の物に例える癖とかが悪いのだが、本人はとんと気づいていない。

 

「殿方とお話しして心躍るのは久方振りですわ」

「そいつぁ男冥利に尽きるってもんだ。心躍り口も緩みそうだな」

「ふふ、面白いお方。しかしこのゲームは本当に遊戯ですわね」

「的を射ているな、まさに遊戯だ。しかし無粋な者もいたと見える」

「ええ、ええ。無粋な闖入者ですわ。王の名を騙り駒を惑わします」

「どうやら下手人は愛がお好きで」

「どうやらそのようで」

 

 二人は本当に楽しげに会話を楽しんでいるように見えた。少なくとも抱えられてポカンとしている小猫と優美にはそう見えた。

 

「さて、風はどこで渦巻く?」

「どうやら。貴方の陣に」

「どうやら鳳はこれで決めるおつもりらしい」

「では、貴方に祝福の風があらんことを」

「……お前、良い女だな。もし縁があったら文でも認めてくれよ」

「記憶の片隅に留めておきますわ──」

 

 イッセーはくるりと身を翻して新校舎に向かう。

 

『部長──プロモーションの許可を』

『許可するわ』

 

 リアスの即座の返事。少し息が荒い気がしたイッセー。しかし気にしている暇など、ない。

 

 イッセーは新校舎の屋上に降り立つ。そして──

 

 

 昇格、女王。

 

 この時、レイヴェルがとても愉しそうに微笑んでいた。

 

「お馬鹿なお兄様は頭を冷やすべきですわ」

 

 そう、とても愉しそうに──。

 

 

 

 

 

 

 




・レイヴェル・フェニックス

原作乖離影響者その一。
喋り方のイメージは某妖怪の賢者様。
やっぱりジョジョネタをやっていると東方ネタをぶち込みたくなる。何故か。それは東方がジョジョパロ割と多めだから。


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12.アイデア

投稿ミスが発覚したため投稿し直しです。
この作品を読んでいる皆様、本当に申し訳ございませんでした。


 イッセーがライザーの元へ向かう途中。リアスとアーシアは撤退戦を行っていた。

 

「アーシア、大丈夫かしら!?」

 

 炎の攻撃が頬をかすめひやりとするリアス。しかし、反撃する手段はない。リアスはここまでくるのに魔力をつかい切っていた。

 ことの発端はライザーの単独での本陣奇襲。朱乃からの連絡により察知していたリアスは開幕消滅魔砲を喰らわせるが、焼け石に水だった。才能は充分にあるのだが、成熟した悪魔との差は埋められない。

 

「はい、なんとか……!」

 

 アーシアも攻撃するほど余裕はない。二人はひたすら逃げに徹することによりなんとか生き延びている。しかし、それも時間の問題だろう。ライザーは少し苛立ちを見せる。

 

「リアス! いい加減に諦めて落ちろ!」

 

 だがリアスは諦めない。炎弾が再びほほをかすめる。

 

「その答えは『NO』よ! 私たちはまだ負けてない!」

 

 それは仲間が助けてくれると信じているからだ。それに、こちらはフルメンバー構成。なら、少しは希望があるかもしれない。そんなほんのちょっぴりの勇気が彼女を動かしていた。

 

「……そうか、リアス。お前の心の支えはあの男だな? なら、俺自らそれを断つことにしよう!」

 

 ライザーは翼をはためかせると、辺りを見回す。逃げ回るうちに森の中にいたらしい。無論、あの男とはイッセーのことだ。ライザーは、完璧に希望を潰すことでリアスに諦めさせようとしていた。

 

「……どこだ?」

 

 しかし姿は見当たらない。校舎の上か? そう考えたライザーが高度を上げると……。

 

「ここだ」

 

 地上からの魔力砲をもろに喰らってしまう。どうやら隠れていたようで、小猫と優美もそばにいる。イッセーは翼を羽ばたかせ、ライザーと同位置へ。

 

「またせたな、ライザー・フェニックス」

 

「そう言うお前は兵藤一誠……」

 

 イッセーは学ランのポケットに手を突っ込む。その堂々とした姿に、問いかける。

 

「俺は不死身の不死鳥だ。お前が何度殺そうとも蘇る。勝ち目はないぞ、どうするつもりだ」

 

 ライザーの問いに、さも当然といった表情でイッセーは答えた。

 

「勝つつもりだ。勝利をリアス・グレモリーに捧げる。それだけだ」

 

『Boost!!』

 

「それが無駄だと教えてやるぞ、赤龍帝!」

 

「そんなのやってみなきゃ分からんだろうが、不死鳥!」

 

 それが開幕の合図となる。爆炎と魔力が撃ち出され、ぶつかり相殺される。

 

「この!」

 

 ライザーが炎を放つとそれに合わせるようにイッセーも撃つ。イッセーがいくら規格外とはいえ、魔力に限りはあるし、被弾すれば動きが鈍くなる。ライザーは上級悪魔だが、イッセーは地力は今は精々中級悪魔レベル。籠手がなければ張り合っていられないのだ。そして、いつまでも避けていられるわけでもない。炎弾一発食らうと同時、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が音声を鳴らす。

 

『Boost!!』

 

「あぐ……三回……まだ足りない……!」

 

「……っ、イッセー!」

 

 リアスが一誠に制止の声をかけるが。

 

「ぐぅ……まだまだ、だ!」

 

 魔力で炎を吹き飛ばして連戦の意思を見せる。その光景を見ながら、リアスは何も出来ない状況に歯噛みする。しかし、魔力を貯めていることしか出来なかった。リアスでこうなのだから、アーシアの感じている無力感は如何ほどなものか、考えるまでもないだろう。アーシアはその考えを振り払うように優美と小猫を治癒させていた。その傷もかすり傷ばかりなのですぐに癒えてしまう。

 魔力が飛び交い、爆音が神経をすり減らせる。

 

「あれ……?」

 

 優美はイッセーの動きが少し変化していることに気づく。ライザーをある一定の範囲内に留めさせるかのように行動し、攻撃しているのだ。しかも、遠距離攻撃に徹している。何故、と思う間もなく、耳を劈くような轟音と光がライザーを包み込んだ。

 

「あらあら……上の方がお留守ですよ?」

 

 上空から声。そこには、魔力充填を終えた朱乃が笑みを浮かべていた。

 

「朱乃!」

 

 リアスか嬉しそうに叫ぶ。リアスはほんのちょっとだけだが、勝機を見いだしていた。



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13.覚醒

前回は本当に申し訳ありませんでした。お詫びと言ってはあれですが、今後はエロシーンやいちゃラブを以前以上に増やしていきたいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。


「く、この!」

 

 落雷から復活したライザーは炎を撒き散らす。しかし、その硬直を狙うかのように再び落雷。朱乃、えげつねぇな……普通の人間なら気絶しかねな……あ。思いついた。『気絶』させりゃあいいんだ。いくら不死鳥といえど、気絶くらいはさせられるはずだ。ただ一つ問題があるとすれば、気絶させられるほど近づけないってことだ。

 

「いい加減に落ちろ!」

 

『イッセー、左に跳べ!』

 

「よっ! この!」

 

 今はドライグのアドバイスもあって避けていられるが、それも時間の問題だな……どうする? いや……考えるまでもないか。

 

『Boost!!』

 

「ほらほらどうした、当たってないぞ!」

 

「チッ……ならこれだ!」

 

 俺が煽ればライザーは炎をより煩雑に撒き散らす。小猫たちも攻めあぐねている感じか……リアスもまだ魔力が溜まってないし、朱乃さんも落雷で魔力が底をつきかけているのか、防御に徹し始めている。

 

『Boost!!』

 

「そらそら!」

 

「無駄だっ!」

 

『Boost!!』

 

 3回目の倍加。まだだ、この炎を突破するためにはあと一回足りない……!

 

「ふんっ!」

 

 クソ。一発貰ったか! だが、あと五秒……!

 

「オラァ!」

 

 魔力砲を撃つ。が、やはり再生される。だがこれは時間稼ぎだ! 

 

『Boost!!』

 

 ……よし、ここで倍加停止! そして……避けるの も撃つのもやめだ!

 

『Explosion!!』

 

 『速力』だけを倍加して、このまま一直線に突っ込む!

 

「っオラァ!」

 

 驚くライザーへどんどん近づく。それに気を取られて一瞬だけ炎の攻撃が止む。チャンスだ! そのまま羽ばたいて更に加速、頭をぶん殴る!

 

「ぐ!?」

 

「終わりだ……!」

 

 メキリ、と頬に拳が突き刺さる。

 

「……この程度!」

 

 一瞬白目を剥いていたライザーが意識をすぐに取り戻しそう言うと、己を爆発させるように俺を灼く。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!

 

「があああああああああああああああああああああああああ!?」

 

 痛みと熱で思考が止まり、俺は炎に包まれる。

 

「……賭けはどうやら貴様の負けのようだな。さて、残りの眷属も狩りつくして、リアスを迎えに行くとするか」

 

 ふざ、けんな。あれは、俺の女だぞ。お前にやるものか……!

 

『イッセーッ! これ以上は……!』

 

 ドライグが何か叫んでいるが気にしている暇はない。一歩、歩く。奴をとらえて斃すために。だがどうやって? 体はズタボロ、痛すぎて逆に感覚がなくなってきてやがる。意識も薄れてきて、正直立ってるのも辛い。ライザーとの距離も遠くなっていく。

 

 あ、あれ? 視線が横に……ああ、俺倒れたのか。ちくしょう、こんなところで負けるのか? ……ぁ……ま、ずい。もう────

 

《諦めるのか?》

 

 呼びかける声に意思をつなぎ止められる。

 

《お前はあの男にお前の女を奪われるのだぞ? 本当に良いのか?》

 

 堕ちてくる声。……誰だ。

 

《私が誰か。そんなことはどうでも良いんだ。重要な事じゃあない。むしろ、女を奪われる方が貴様には問題ではないか?》

 

 ……ああ、問題だ。

 

《それでこそだ。さあ、そろそろ起きろ、目覚めの時だ》

 

 ……ああ。

 

 

 炎に包まれ倒れ伏した一誠。優美と小猫はそれを見て悲しみを覚える。朱乃は魔力を掻き集めて攻撃しようとし、リアスも貯まりきっていない魔力を掻き集めている。

 少しため息をついたグレイフィアがリタイア判定をしようとした瞬間……突如、一誠の体が闇に覆われる。ぞくりとするようなオーラを噴出していく。その光景に皆が何事かと固まる。それと同時、一誠が起き上がり、闇が翼を象っていく。

 一対、二対、三対……まだ増える。

 

「なんだ、このオーラは!?」

 

 リアスを倒そうとしていたライザーも、イッセーの異様なオーラに気がつき振り返る。イッセーは既に意識を取り戻していた。

 

「さあな、だが……身体が軽い。何か、枷でも取れたような気分だ」

 

 イッセーは六対の翼を広げると、ゆったりと羽ばたき宙に浮かぶ。そして、魔力で剣を一本創り出す。なんの装飾も無い、細身の剣だ。

 

「まるで、これが本来あるべき姿であるような……。そんな気分だ。……さあ、第二ラウンド開始だぞ、ライザー!」

 

「くっ!」

 

 ライザーはイッセーの異様な威圧感に既視感を覚える。それはまるで、幼き頃大戦前に一度だけ謁見した「悪魔王」のような……。

 

(いや、そんな馬鹿な話があるか!)

 

 ライザーは浮かんできた思考をすぐさま否定した。そう、あり得ないのだ。サタンの一族は断絶したはずなのだから……。

 

 

 この光景を見たのは何もライザーだけではない。サーゼクスとグレイフィアも見ていた。グレイフィアに浮かぶ感情は恐怖だった。「赤龍帝にして悪魔王の子孫」など、冗談にしても笑えない。

 

 古い文献に記されている闇の特性は「重力」と「吸収」。子孫はそのどちらかを受け継ぐが、両方を受け継ぐ者は次代悪魔王の資格があるとされる。

 

(赤龍帝の『倍加』に、悪魔王様の『闇』……冗談じゃない……! こんな、こんな馬鹿げた話が……!)

 

 嫌な汗が止めどなく噴き出し、じっとりと汗ばんでいく。

 

(旧家の血筋が生き残っていた、しかも赤龍帝、こんな美味しい話を旧魔王の派閥が、黙っているわけがない!)

 

 文字通りの均衡崩し(バランスブレイカー)。悪魔の手には確実に余る代物。しかし、その表情をおくびにも出さないのは流石と言ったところだろう。

 

 一方サーゼクスは驚愕の表情を浮かべていた。無理もない、悪魔王の一族を示す闇を赤龍帝が噴出させているのだから。

 

「や、闇……!」

 

 サーゼクスは、ゲームが非公式であったことを心から感謝した。これで、データが漏れる心配もない、と。非公式故に、戦闘記録も公開されない。そして、イッセーをどうするか、それを考え始めていた。

 

 そして、そんなイッセーを見つめるもう一対の瞳。次元の狭間で恋慕の瞳を向ける無限の幼女だ。

 

「……かっこいい」

 

 ダメだこのロリ。イッセーが悪魔王の末裔とか、翼六枚とかをスルーして漏れた言葉がかっこいいである。頬を軽く朱に染めてイッセーを見つめている。若干息が荒いかもしれない。

 

「あの、オーフィス?」

 

「……何、カテレア」

 

 イッセーを眺めて悦に浸っていたオーフィスを現実に引き戻したのはカテレア・レヴィアタン。旧魔王派の中でオーフィスと連絡が取れるのは彼女だけである。その理由は諸説あるが、真意はこの幼女しか知らない。

 

「いえ、あの……懐かしい闇の力を感じたので来てみたのですが」

 

「ん。イッセー」

 

 ぴし、と裂け目の向こうに写る闇をまとわせた少年を指す。

 

「あ、あれは正しく悪魔王様の! まさか、人間の血筋に隠れているとは……」

 

 そこまで言ってからはたと彼女は気づく。あれは以前にオーフィスが言っていた赤龍帝では? と。

 

「もしかして、彼は……」

 

「ドライグとサタンの力、受け継いでる。ご主人様」

 

「や、やはり……え? ご、ご主人様?」

 

「……忘れる。いい?」

 

「あ、あっはい」

 

 二人の間には奇妙な友情がある、のかもしれない。



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14.終演

 俺の身体に何が起こって……いや、どうでもいいか。今は、コイツと戦える力がある、それでいい。

 

「まあ、これでようやくテメーと対等に戦えるって訳だ」

 

 言葉を放ると同時、俺は斬りかかる。

 

「ッ! この……!」

 

 それを羽ばたいて避けるライザー。なにやら追い詰められたような表情だ。

 

「怖じ気づいたか?」

 

「クッ……フェニックスの看板に泥を塗るわけには……!」

 

 ライザーはぶつぶつと呟くと羽ばたく。……オイオイ無視か? リアスだけ先に潰そうって魂胆か。成る程俺をマトモに相手するよりは楽だな、賢明だ。……やらせねーが。 

 

「何処へ行く? 俺はここだぞ」

 

 ヤツに魔力砲を打ち込み、怯んだところへ回り込む。

 

「……チッ、小癪な!」

 

「小癪はどっちだ? お前だぜ」

 

 軽くそう煽ってやると、腹をくくったのか翼をその場で広げる。

 

「……灼き尽くす!」

 

「やってみな。ただしその頃にはお前が八つ裂きになってるだろうがな」

 

 再び、闇と炎がぶつかる。

 

 

 リアスはその光景をはらはらしながら見つめていた。黒い闇をまとい、六対の翼を羽ばたかせ、ライザーと互角にぶつかり合うイッセー。

 

(はやく魔力を溜めなければ……!)

 

 焦れば焦るほど、時間は長く経過しているように感じる。今は一分一秒すら惜しい。

 

 戦況はほぼ互角に見える。ライザーが炎を放てばイッセーは魔力で相殺する。

 

 イッセーが攻撃しても避けられ、当たっても復活する。

 

「馬鹿な、今のを防ぐだと!? なら、もう一段階レベルをあげる!」

 

「強い……不死というのは厄介だな、やっぱり」

 

 このままではイッセーがジリ貧だ。不死というアドバンテージはやはり強力だ。いつかは魔力が尽きてしまう。

 

『Boost!!』

 

「六回……まだだ!」

 

 はやく、はやくと焦るリアス。しかし、時間は平等に過ぎてゆく。

 

「……ああ、こうか?」

 

 一分か、1時間か……長い時間に思えたそれは、イッセーの行動と言葉によってかき消される。

 

 闇の盾が、ライザーの炎を飲み込んでいた。イッセーはボロボロで魔力が無ければ倒れてしまいそうだ。だが、その闇の盾が不思議とそのイメージを掻き消していた。

 

 ほんの、ほんの僅かだが、リアスはもしかしたら彼がライザーを倒してしまうかもしれないと思った。

 

 そして、その予感は────

 

「ぐ、この、その忌々しい盾を退かせっ!」

 

「だめだね。お前には色々と熨斗付けて借りを返してやるよ」

 

 ──その予想は、どうやら正しいらしい。

 

 

(クソッ、俺が押されているだと!? なんなんだコイツは!)

 

 ライザーはそう心の中で悪態をついた。

 

『Boost!!』

 

(これで8回目の音声だな……つまり、256倍か。仮にヤツのスペックが並の下級悪魔だとしても、最上級悪魔クラスだと? 冗談じゃないッ……!)

 

 だが。その表情を出さないのは上級悪魔のプライドか、はたまた威圧を与えるためか。

 

 鳳凰が嘶き、悪魔王が吼える。互いの炎が、闇が、翼がぶつかり合う。

 

(こ、このままではこちらの魔力が尽きる! だというのにアレはむしろ余裕そうに……!! 真逆。闇の盾で魔力を食っているのか? もしそうだとしたら……!)

 

 近づくのは愚策。何故なら近距離は恐らくヤツのキルレンジ。遠距離もダメ、何故なら遠距離攻撃は闇に飲まれるだけだ。無駄も良いところだ。

 

 ならどうするか? そういうことを考えているのはイッセーも同じだ。

 

(ヤツが魔力を食うのなら……つっこむしかない、か!)

 

(ヤツが不死というのなら……再生できないほどの一撃を食らわせるのみ)

 

『Boost!!』

 

(9回目! 解放される前に倒す!)

 

「うおおおおおおおっ! 燃え尽きろっ!!」

 

 ライザーは自らが炎と化しながら突貫してきた。本来なら避けるべきこの瞬間、イッセーは逆に動かずに手を突き出す。

 

「そこだっ! 解放しろ赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!」

 

『Explosion!!』

 

 512倍。その恩恵を受けた魔砲は突貫してきたライザーを撃ち貫く。紅い魔力が視界を包み、ライザーは魔力に飲み込まれる。

 

(……負け、か)

 

 その奔流に流されているライザーは痛みに顔をしかめながらも、心中はとても穏やかだった。

 もし、もしこのまま婚約になったとして、もしイッセーが取り返しに来たら? そんなあり得ない未来を考える。そして、取り返してしまったらそれは赤龍帝のおかげだと言われるだろう。

 

 せめて、ここで素直に敗北を認めること。それこそが、ライザーなりの礼儀であり、謝罪であった。

 

(リアス()には悪い事したな……はぁ)

 

 グレモリーの長女に一生嫌われたままか? と1人嗤う。そして、その思考を割るように声が聞こえた。

 

「ライザー、お前……格好いいな。俺なんかじゃ敵いっこない……はぁ」

 

 それはイッセーからの賞賛の声。魔力の奔流が止み、左手であたまを押さえるイッセーをぼやける視界の端に納めたところで、ライザーは気を失った。穏やかな笑みを浮かべて。

 

『Reset』

 

「……ほんと、かっこいいじゃねーか、ライザー」

 

 

『ライザー・フェニックス様、『再起可能(リタイア)』。よってこのレーティングゲームは、リアス・グレモリー様の勝利となります』

 

 

 

 




一誠「『覚悟』とは!闇夜の荒野に進むべき道を切り開く事だッ! ということでひとつ、この兵藤一誠が…実際に手本を見せてやるぜ……道を切り開くところのな」


ジョルノ太郎一誠。


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15.欲望と思惑と※

おわびにひとつ。


グレイフィアに弟なんざ居ねぇ!




「イッセー! 大丈夫!?」

 

 戦闘が終わり、部室に転送された俺に駆け寄るのはリアスだ。

 

「ええ、なんとか大丈夫、です。相当ボロボロになりましたが」

 

 正直身体動かすのも辛い。他の眷属達は怪我も特になく、疲労だけですんでいるようでほっとした。

 

「アーシア、イッセーの傷を御願いね」

 

「! は、はい!」

 

 聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)。その癒やしの光が俺をいやしていく。体力や疲労は治せないらしいけれどな。あくまでも治癒ってことか。

 

「……勝ててよかったです」

 

 小猫はそう言うとソファに座り、朱乃さんが淹れたらしい緑茶を飲んでいる。ふぅ、と小さな唇からため息が漏れてエロい。服は魔力で直したのか。俺も後でやろう、っと。

 

「本当にね。僕もそう思うよ」

 

 優美も小猫の横に座って同じように茶を飲んでいる。まあ男子制服だけど、逆にエロいかもしれない。

 

 リアスがパン、と柏手を打つと、机の上にケーキとお菓子が現れる。

 

「ちょっと気が早いけど……パーティーにしましょう。初勝利祝いにね」

 

 俺達はその言葉に苦笑しながらも賛成の意を表明した。

 

☆ 

 

 

 

 翌日、俺は旧校舎を歩いている。実は魔王様に呼ばれているのだ。俺なんか悪いこと……してない、よな? オーフィスとアーシア堕としただけだし。リアスの処女どころか胸すら揉んでねぇぞ。……まあ、その魔王様に会うには、学園の空き教室にグレイフィア()()が転送魔法陣で飛ばすそうだ。

 部屋を開ければ、メイド服の女性。グレイフィアさんだ。部屋にはふと既視感を覚えるが、しかし見たことの無い魔法陣だった。

 

「準備は完了しています。この先に、魔王様……サーゼクス様がお待ちです」

「分かりました」

 

 グレイフィアさんの言葉に急かされて魔法陣に乗ると、それは黒く輝き、俺を包み込む。

 

「……ッッ!」

 

 光が視界を覆う直前、グレイフィアさんの戦慄した表情が、見えた気がした。

 

 

 四大魔王。かつては六人の王と一人の大王がそこに鎮座していたが、今はその席は四つしかない。

 

 その魔王の一人であるサーゼクスは、目の前に現れ少年と目を合わせる。

 

「──初めまして、だね。私はサーゼクス・ルシファーだ。僭越ながら魔王をやっているよ」

 

 サーゼクスがそう告げると、少年……一誠は小さく呟く。

 

「『ルシファー』……。私は、リアス・グレモリー様に仕える『兵士』、兵藤一誠です」

 

「では一誠君。ここからは少し大事な話だ。君の、その『闇』について」

 

 サーゼクスは一呼吸区切ると、まるで友人に昨日の夕飯を尋ねるかのような気軽さで続けた。

 

「それはね。君が大魔王サタンの末裔であり、大魔王の席に座る権利があるという意味だ」

 

「大魔王サタンの末裔? 私が、ですか?」

 

「うん、そうなるね」

 

 イッセーは混乱こそしなかったが、ため息ばかりついていた。

 

(もしホントーに神様がいるってんなら俺、優遇されすぎじゃないか……ああ、悪魔だし……魔王か? なんてな)

 

「ただ、きみのことをまだ公に出すわけにはいかない。こっちもまだ色々と問題があるからね……」

 

 悪魔の世界にも色々問題があるのだろう、とイッセーは納得した。

 

「ということで、頼んだよ、兵藤一誠君。君の正体は『まだ』バラさないでくれ」

 

「……わかりました」

 

「用事はこれだけだよ。時間を取らせてすまなかったね」

 

 サーゼクスは頭の中で様々な試行錯誤を行いながら、この少年の行く末を見届けることにした。

 

(悪魔王の子孫、か……吉と出るか凶と出るか。それは僕にも分からない。でも、なんとなく悪魔を……いや、なぜだか世界をもいい意味で変化させてくれると、そんな気がする)

 

 そしてグレイフィアは冷静さを取り戻しつつ、考えた。

(あの魔法陣をくぐったということは間違いなく本物であるということ。悪魔王の赤龍帝……闇で奪い、龍が倍にする……!)

 

 

「ん、お帰り」

 

「ただいま、フィー」

 

「ただいまです、オーフィスちゃん!」

 

 アーシアと家に帰れば、オーフィスが。……妙に息が荒いのは気のせいだろうか。

 

「アーシア、イッセーは今日は我」

 

「分かりました。じゃあ、明日は私が貰いますね」

 

「ん」

 

 そして、こんな会話している二人。何の取り決めだ。そして、フィーは一言。

 

「今夜は寝かさない」

 

 ……こいつ俺の所有物っていう自覚あるんかねぇ?

 

 

「んっ……」

 

 オーフィスはベッドに押し倒した彼の怒張に舌を這わせる。それはいつもに比べれば緩慢な動きであり、焦らしているようにも感じる。

 

「っく……!」

 

「ん……」

 

 彼が快感に身をよじらせると、嬉しそうにゆっくりと舌を這わせる。彼の怒張がびくりと震えるのを見ると、オーフィスは嬉しそうに淫らな笑みを浮かべると、舌を離す。

 

「……んしょ」

 

 そして、彼の上にまたがる形になる。もう全裸になっていた彼女の秘部からは既に愛液が滴る坩堝となっており、幼い秘裂は物欲しげに蠢いている。

 

「おい、それ……」

 

 イッセーの問いにオーフィスは腰を沈めながら答える。

 

「ん。騎乗、いぃぃぃっ!?」

 

 腰を沈めた瞬間、オーフィスはその圧迫感と衝撃に一瞬で快楽に堕ちる。

 

「んっ、やっ、はぁ、んっ、あっ! こし、とまらな、ひぅ!」

 

 対面座位がスキなオーフィスであるが、この体位は当たる場所、そして何より自分の好きなように動けるのがいけなかった。

 

「─────ッ! ───ッ!!!」

 

 声が出ないほど連続で絶頂し、それでもなお止まらない。傍から見れば小学生くらいの幼い少女が男の上で腰を振り快感を貪る姿。だらしなく涎を垂らし、小刻みに痙攣して白目を剥きながらも腰を振る。そんな幼さ故の背徳感にイッセーは背筋を震わせると、オーフィスの動きに合わせて腰を振り始めた。それは疲れもあるせいか緩慢な動きだが、カリ首が膣壁を削ぐようにひっかいていく。

 

「──っ! ぁぁ、あぁっ!!」

 

 オーフィスは快感に狂った。幼膣を蹂躙され、その圧迫感に快感を感じ、ただひたすら求める。愛液が止めどなく溢れ、視界はスパークが起きたかのように真っ白で。自分に怒張をねじ込まれ、征服される。それが喜びであり、快感になっていた。首輪に取り付けられた金属製のネームプレートがきらりと電灯の光を反射する。

 

「ッ、出すぞ!」

 

 オーフィスは快感で霞掛かった脳でその言葉を理解すると、さらに腰を早めた。もう息すら絶え絶えで、死んでしまいそうなほどだ。だが、死ねない。

 

「───────!!!」

 

 断続的な絶頂。それで彼を更に刺激する──そして、解放された。

 

「出る……っ!」

 

 白い奔流がオーフィスを満たす。止めどない幸せと、快感が、弾ける。

 

「───ッ! ────ッ!」

 

 膣を超え、子宮にまでたたき込まれる精液。それは10秒ほどの射精時間であったが、それを全て漏らさず受け止める。その小さな蜜壺の中は精液で満たされ、オーフィスは頬を蕩けさせながらイッセーへと倒れ込む。

 

 すると。イッセーはオーフィスと繋がったまま器用に半回転して押し倒す。

 

「……?」

 

「今夜は寝かさないんだろ? いいぜ、狂わせてやる」

 

 その声にオーフィスは笑みを浮かべる。蕩けた、愛故に全てを許す牝の貌で。

 

「ん。我、イッセー好き」

 

「……ったく、こいつは!」

 

「んぁ♪」

 

 純真な龍神と未熟な大魔王は身体を再び重ねる。それが終わるのはいったいいつなのか、盗み見していたアーシアにもさっぱり分からないのであった。




没ネタ

イッセー「うンまぁぁああぃ! これはああ!!」
ヴァーリ「さっ! 料理を続けましょうか……」

億泰イッセーのグルメリポート。


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体育館裏の赤龍帝
01.使い魔と憎しみと


今回の章からオリジナルキャラクターが参戦します。




「みてお姉様、そとの景色とても綺麗よ!」

 

「こら、あまりはしゃぐんじゃない」

 

 金髪のサイドテールの少女と銀髪のセミロングの少女がはしゃいでいるのを紫藤イリナは尻目に見ながら、仕事仲間であるゼノヴィアは……寝ている。

 

「もうすぐ日本ですね」

 

 と、イリナは左隣の同僚──いや、元同僚だ。彼女に声をかけられる。

 

「そうね」

 

 彼女は兵藤桜。刀剣の扱いにおいては教会でも右に出るものは無い、とまで言われた剣の達人だ。しかし、教会の戦士をもう辞めて、日本に帰省するのだ。今回が最後の任務となる。

 

「~♪」

 

 最近流行のチーズの歌を口ずさみながら、窓の向こうを見る。辺り一面に白い雲が海のように広がっている。

 

「イッセー君は元気かなぁ」

 

 イリナがひとりそうつぶやくと、桜も同じ事を思ったのか窓の向こうの彼を想う。

 

()()()……待っていて下さい」

 

 

「…ッセーさん、イッセーさん!」

 

 声が聞こえる。誰だ?

 

「イッセーさん!」

 

 ああ、アーシアか……。そんなところにいないでこっち来いよ。

 ぼやけた視線の先のアーシアの腕を掴んでベッドに引きずり込む。「えっ!? えっ!?」と戸惑いの声を上げるのを無視してその可憐な唇を奪う。

 

「んむっ……ん、んっ、んふ……」

 

 だんだんと意識が覚醒してくる。朝日がまぶしい、時計は五時だ。目の前にはアーシア。最高の目覚めだ。

 

「んぁ……い、いっせーしゃん……」

「おはよう、アーシア。起こしてくれてありがとな」

 

 真っ赤になってろれつが回っていないところが何とも可愛らしい。そういえば今朝の朝食当番はフィーか。

 

「さ、朝のトレーニング行こうぜ」

「はい!」

 

 

 俺たちはジャージに手早く着替えると外へ向かう。そこには部長が仁王立ちで待っていてくれた。うん、今日も良いおっぱいだ。球技大会も近いし、やる気十分って感じだな。

 

「ほらいくわよイッセー!」

 

「はい、部長!」

 

 

「使い魔?」

 

 その日の夜、使い魔というのを見つけに行くらしい。使い魔ねえ。

 

「ええ、そうよ。使い魔は私たち悪魔や魔法使いといった魔の存在なら持っていて当たり前と言っても良いわ。そろそろ、二人も持って良い頃ね」

 

 と、リアスは掌にコウモリを出現させる。

 

「これが私の使い魔。貴方に契約用の魔法陣のチラシを渡したのはこの子だったりするわ」

 

 なるほど、本来そういった雑事は使い魔にやらせているのか。だから下積み経験としてチラシ配りをねえ。

 

 小猫は小さな猫、朱乃は小鬼、優美は小鳥と、割と小さいんだな。まあ使い魔だし、そういうものなのかもしれない。

 

「さあ、使い魔を見つけるのにうってつけの場所があるわ。そこに行くわよ」

 

 そう言うや否や、足下にグレモリーの転移陣が───

 

 気がつけば、景色が反転していた。そこは鬱蒼とした森の中だ。

 

「ゲットだぜ!」

 

 と、そこに月をバックにあらわれたのは半袖短パンのオッサン。おい、それ某人気アニメのアレじょねーのか!?

 

「俺はマザラタウンのザドゥージ! 使い魔マスターを目指す男だ!」

 

 きら、と白い歯を輝かせる。なんだこのハイテンション……。

 

「彼は使い魔のスペシャリストよ。冥界でも彼より詳しい人はいないわ」

 

「わあ、凄い人なんですね!」

 

 アーシア純真だなぁ。優美は苦笑してるし、小猫は無言、朱乃は「あらあら」と微笑む……あれ、いつも通りか。

 

「グレモリーさん、今日はこの二人ですかい?」

 

 そういいながら、俺とアーシアを指すザドゥージ。

 

「ええそうよ。宜しく御願いね?」

 

「おう任せな! どんな使い魔が良い? オススメは五大龍王の一角、ティアマット! 伝説系だからバトル必須だけどな! それからヒュドラ! 毒系のかなり強い奴だ! 主人の命を常に狙ってくるだろうがな!」

 

 おい、とツッコミを入れようとして……ぞくりと何かの気配を感じた。なんだ? この感覚……リアスと朱乃も気がついたのか、目を険しくさせている。ザドゥージもだ。

 

「ヤバいのが来てるな……!」

 

 がさり、と音がする。ずるずると何かを引き摺るように動く音と、何かが歩行する音。

 

 目の前に現れたのは、ぼろぼろのドラゴンと巨大な蛇。

 

「ヒュドラ! おいおいマジか!」

 

 驚愕の声を漏らすザドゥージ。このデカい蛇のことだろう、毒が滴っているのか地面から煙が上がっている。

 

「ぐぅ、はぁ、はぁ……くっ、この姿ではこんな蛇相手にも勝てんか……」

 

 ぼろぼろのドラゴンはもう息も絶え絶えといった感じだ。このまま見過ごすのは後味悪いな……助けるか。

 

『Boost!!』

 

「部長。あのちっこい方助けましょう」

 

「……ヒュドラを退ける策でもあるのかしら?」

 

 俺の提案にそう返すリアス。俺は自信ありげに返す。

 

「ええ。ドライグいけるな?」

 

 そう良いながらドライグにイメージを流す。

 

『愚問だな。この蛇を退かせばいいんだろ?』

 

 ドライグのにやりとしたドヤ顔が浮かぶ。かわいい。ドライグは宝玉からオーラを漏れさせると、意識をヒュドラに向ける。

 

『こっちを見ろっ!』

 

 音声を出して態々聞こえるように出す。大丈夫かこれ……?

 そう思うや否や、ヒュドラはこちらを見た瞬間にかくかくと震えだして何かにおびえている。……ああそうか、本能的に勝てないと踏んだのか。流石は二天龍ってところだな。

 そんなことを考えているとヒュドラはそそくさと逃げ出してしまう。その気を見計らってアーシアがちびに駆け寄って『聖母の微笑』(トワイライト・ヒーリング)で治癒していく。

 

「大丈夫ですかドラゴンさん。すぐに治ります」

 

 ちびにそうアーシアが話しかけるとちびは口を開く。

 

(かたじけな)い」

 

 ほう、口をきけるのか。ザドゥージもリアスも朱乃も、皆一様に驚いている。

 

「こいつはたまげた! 会話が出来るということはかなり高位のドラゴンか。しかしそんなドラゴンは……ティアマットは青の筈……」

 

 ザドゥージはそう呟くとまじまじと観察し始める。俺もそのドラゴンをみてみることにした。有鱗、四脚三対蝙蝠翼一尾のドラゴンだ。身体は結構スマートで、どちらかと言えば筋肉質なイメージを持たせる。四脚とはいえ、前脚は腕のように発達しているので二脚で立っている。そして、その全身に金属製らしい鎖が巻き付いている。

 

「して、先程のオーラ……赤龍帝か?」

 

 ドラゴンが俺を見てそう問うので答えることにする。

 

「いかにも、今代の赤龍帝だ」

 

「おお、やはりか! 懐かしいのぉ。おーいドライグ、妾だ、レムートだ」

 

『何? レムート? 本当にお前なのか? ……にしては随分みみっちくなったな』

 

「ぬかせ、お主もな」

 

 なんだなんだ、知り合いなのか? と俺が戸惑っていると、レムートは俺の方を向く。

 

「……ほう、あれも憑いているのか。中々に面白い男子だな。お主、名は?」

 

「兵藤一誠だ」

 

 問われるままに答えると、レムートはうむ、と頷く。

 

「兵藤一誠。ならばお主に妾も憑くとしよう」

 

 これは……使い魔になってくれるって事か? と迷っているとリアスに話し掛けられる。

 

「イッセー、凄いわ。赤龍帝と知り合いってことはかなり高位のドラゴンよ? こんなこと滅多に無いわ。契約すべきよ」

 

 そうだよな。しかも現存しててあまり名前も知られてないドラゴン。……いいな。

 

「じゃあ、使い魔って事になるけどいいか?」

 

「応。問題ないぞ」

 

 レムートはそう言うと俺の右肩にぱたぱたと羽ばたいて乗っかる。そこまで重くないのに驚いた。

 

「使い魔にするための契約は後でするとして、アーシアにも使い魔を見つけて貰わなくちゃね?」

 

「はい!」

 

 そう言って俺達は森の中を進んでいく。途中で触手とスライムがいたが問題なく焼き払った。

 

 湖に着く。ここには精霊ウンディーネがいるらしいが……。

 

「ウンディーネなあ。美しい女性の姿なんだろ?」

 

 そう優美に問うと苦笑いされた。

 

「あはは……まあ、とても澄んだ子だと思うよ」

 

 な、なんでこんな微妙な反応……と、水音が。

 

「出てきたぞ、運が良い。ウンディーネだ」

 

 それは──それはかくも残酷な現実だった。リアスや朱乃はウンディーネを見て珍しいわね、と話し合っている。

 

 そのウンディーネは……ムキムキマッチョだった。

 

「なあ、あれウンディーネだよな? なんでA極振りしたみたいになってんの!?」

 

 こんなファンタジーの現実なんて見たくなかったわ。と、ザドゥージがそれに答えてくれた。

 

「ここらへんのウンディーネは特に縄張り争いが激しくてな……縄張り争いが少ないところなら美女なウンディーネを見ることが出来るが、最近は精霊達が暮らせるような綺麗な自然が少なくてな」

 

 意外と世知辛い精霊事情に感心していると、こんどは別の屈強な肉体を持つウンディーネが現れると、肉弾戦を繰り広げ始めた。

 

「ファンタジーが……俺のファンタジーが……」

 

 思わず崩れ落ちる。だって、ウンディーネって精霊なのに魔法とかそういうのじゃなくって肉弾戦って! 肉弾戦は、ないだろう……。挑戦者を退けたウンディーネは見せ付けんばかりに眩いマッスルポーズをとっている。

 

「よしよし」

 

 小猫に頭を撫でられてしまう。案外心地良い。

 

「ありがとう小猫ちゃん」

 

 思わず頭を撫で返してしまう。一瞬しまったと思ったが目を細めて気持ちよさげなのでいいか、と思ってしまった。

 そんなこんなしていると、ばちばちと電気が弾ける音。それに蒼い鱗のドラゴンがアーシアにすり寄っている。おいそれは俺のだぞ。

 

「高位のドラゴンに続いて『蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)』の幼体……夢でも見てるようだ」

 

 ザドゥージがそう呟く。まあ無理も無いか。

 

 結局、俺はレムートと、アーシアはその『蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)』と契約した。アーシアは俺の名前からとって『ラッセー』にしたらしい。……少しだけ照れくさかった。

 

 そして結局、レムートがどういうドラゴンなのかさっぱりわからなかった。レムートが言うには『直に判る』らしいが……。

 

 

 

 今日は俺の家で、というリアスの言により俺のうちで部活をするらしい。

 

「あら、小さいイッセーがこんなに……小さいイッセー小さいイッセー小さいイッセー小さいイッセー……」

「リアスお姉様の気持ち分かります!」

 

 なんでフィーは俺の小さい頃のアルバムのありかなんて知ってますかねぇ!? 俺すげー探したのに! ……お、これ誰だっけ? ……ああ、桜か。あいつがドイツに行ったきり音信不通だもんなぁ。元気にしてるかな?

 

「あらあら、裸で海に……」

「朱乃さんもそういう恥ずかしい写真見つけて態々言うの辞めてくれませんかねぇ!?」

 

 ほんとこの人Sだよな……まあSとMは表裏一体だけども。ひんひん鳴かせてやりたい。

 

「ん? おっ、この写真も懐かしーな」

 

 近所に住んでた紫藤イリナ。男勝りでやんちゃなイメージだけどな。なんだっけ? 確か昔、サンタクロースふん捕まえてプレゼント全部貰うとかいう約束をしたような……。

 

「イッセー君。これは?」

 

 険しい顔で優美がイリナとの写真を指す。あーっと……

 

「幼馴染みだよ。確かお父さんが教会関連の人でさあ。小学生の頃に引っ越していったからさっぱり音信不通だけど……」

 

「いや、そうじゃなくてこの剣だよ。……ふふふ、因果な事もあるものだね」

 

 いつもとは違う底冷えするような声。

 

「これは聖剣だよ」

 

 その表情には、暗いものが写っていた。それは憎しみの炎───。





・桜

藤井連 さん が投稿して下さったオリキャラ。

・レムート
本作オリジナルドラゴンキャラ。ドライグ等の昔から存在するドラゴンも知っている。別に軍神では無い。

元ネタはまた何れ。たぶん判る人には判る。


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02.現状

 白球が青い空へ伸びていく──なんて詩的なことを考えてみるが、状況が変わるわけでは無い。まあ、別に嫌な状況というわけでは無いけどな。

 

「野球なら小猫が4番ね」

 

 無表情でホームランを平然とたたき出している小猫。実に頼もしい。見ての通り我らオカルト研究部は球技大会へむけての練習している。とはいえ、競技は当日までわからないので、色々やってみているわけだ。今やっている競技は野球。……野球はやったこと無いんだよなあ。

 

「次はイッセーやってみて?」

 

 リアスにそう言われてはやるしかないな。

 

「了解しました。ただ、野球は初心者なんで勘弁して下さいよ」

 

 さて、バットを構えてみる。ピッチャーはリアスだ。

 

「一球目行くわよ!」

 

 ひゅん、と比較的速い球が来る。バットの振り方もテレビでの野球選手の見よう見まねだが、すかっ、と外れてしまう。ストライクだ。

 

「ストライクですわ」

 

 審判役は朱乃がやっている。キャッチャーは小猫だ。

 

「んー、もう一回お願いします」

 

「ふふ、行くわよ!」

 

 もう一度同じスピードの球。……ボールをよく見て……! しかしボールの上の部分を擦ってファール。

 

「バッティングの方は、今ので大体覚えました。もう一度お願いします」

 

 次はボールの芯をとらえてヒット。やりゃあできるもんだな、意外と。

 

「イッセーは三番かしら? 優美は速いから1番ね……さあ、次は防御よ!」

 

 リアスはこういう行事は本気出すタイプか。いいねえ。俺もこういうのには割とまじめにやるタイプだし、俺もなんだか燃えてきたかも。リアスが走ってバッターボックスへ向かっている。そのせいでリアスの放漫なバストがたゆんたゆんという効果音でもありそうな勢いで揺れている。ごちそうさま。

 

「私がノックを打つからみんなはそれを捕るのよ。いくわよ!」

 

 そういうと、リアスはボールを俺たちの方へランダムに飛ばしてきた。まあ、

この程度の凡フライなら取れるな。

 

『……ん?』

 

 ん? どうしたドライグ。基本的に暇なら寝てるお前が出張ってくるなんて……。

 

『いや、今一瞬妙な気配を感じてな……はて、どこかで似たような気配の存在にあっていたような気がするが……? うむむ、思い出せん……』

 

 そーなのかー。っと、あぶねー。キャッチし損ねるところだった。ほかのみんなはどうだろう?

 

 朱乃は悠然とキャッチしてるし、小猫も問題なさそうだ。アーシアは……うん、あわあわして捕れてない。悪魔になって運動神経が上がっているはずなんだが……ドジなのか、はたまた才能がなさすぎるのか。まあ、そんなところもかわいいじゃないか。あ、こけた。ふむ、白か。流石は元とはいえシスター、下着も純白だ。まあ純潔は俺がいただいたがな。

 

 そして優美はというと……ぼーっとしていてまさに上の空だ。そのせいでこつん、と頭にボールがぶつかる始末。学園ではその様子から『物思いに耽る王子』とか言われてまた女子の間でうわさになっているが……それを俺が気にかけたのが問題なんだろうな。「イッセー君が原因であんな感じになったいる」だの「禁断の恋」だの「薄い本が厚くなる」だの騒いでいた記憶がある。というか俺と優美が絡むたびにそういう妄想をしているらしく、キャーキャーと騒がれている。まあ、優美は女なわけだが。

 

「あ……すいません」

 

 ……本当に大丈夫か?

 

「木場ちゃん、本当に大丈夫かよ? 熱とか無いのか? ん?」

 

 こつん、とでこをでこにあててみる。

 

「ひゃあ!? ちょっと、イッセー君、顔、近……!」

 

「うるせえ。こっちは心配してるんだよ。うん、熱はなさそうだな……」

 

 その光景を少し複雑そうな表情でリアスが見つめている。心配しているのか、それとも……いや、よそう。あまり詮索してもどうしようもないし、それに一回突っ込みすぎて失敗したからなあ……リアスとの関係を先に進めたい気持ちもあるが、まだ抑えておこう。

 

 そうそう、進展といえば夕麻ちゃんからメールで連絡があった。どうやら親の都合で転校していたらしく、そのあともいろいろごたごたして忙しかったそうだ。……いや、俺にこの言い訳じみたものが嘘だとばれているのだろうことが文面から漏れ出ている。直接確認したわけでもないし、彼女が堕天使であることを俺に明かしたわけでもないが、俺が槍に刺されたあの日以降音信不通で、誰も彼女のことを覚えていないとなると……そうなのだろう。何故俺のもとに連絡先を残したのかまでは不明だがな。別に恨んでなんかいない。いい身体してたし。

 それからレムートは今お留守番である。今頃「ウンまぁぁーい」と言いながら自家製プリンでも食ってるだろう。閑話休題。

 

「本当に大丈夫か? お前が倒れたら(皆が)心配するだろうが」

「ぁ、う、うん……」

 

 頬を紅く染めて照れるが、はっとするとふるふると頭を振る優美。

 

「うん、そうだね、気をつけるよ」

「……そうしろ」

 

 はあ……世話のかかる。あの聖剣を見てからだよな? おかしくなったのは。まあ他人の過去を詮索するほど落ちぶれちゃいねーがな。俺だって掘り返されたくないし。

 

「次行くわよー!」

 

 何かを振り払うようにリアスの大声がグラウンドに木霊した。




2016/1/23 誤字修正


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