全ての仮面ライダーに変身したいと言ったけどガチャなんて聞いてないよ (けーやん)
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オマケ
お気に入り登録3,000人突破記念エピソード(仮)の予告


お気に入り登録3,000人突破記念としてオリジナルエピソード(仮)を投稿しようと思います。

まだシナリオとかは現在構築中です。


突如、世界から【オールマイトの歴史】が消えた。

 

「オールマイト?誰だそれは」

 

「何言ってるの!?どうして皆オールマイトの事を忘れちゃったの!?」

 

「これは……っ」

 

人々の記憶からオールマイトが消え去られていた。

 

「私こそが、平和の象徴だ」

 

そして、オールマイトと入れ替わる様に君臨する真の平和の象徴【ワールド】。

 

「【ワン・フォー・オール】は私の"個性"だ」

 

 

『ワン・フォー・オール!』

 

 

「違う!それはお前の力じゃない!」

 

何故【ワールド】が【ワン・フォー・オール】を宿しているのか?

 

「貴方たちは!?」

 

そして来太と出久のピンチに駆けつけたのは、最高最善の魔王とその仲間たち。

 

 

「悪いけど、2人はやらせない」

 

「行くぞ、ソウゴ」

 

「さあ、行こうか。我が魔王、ゲイツくん」

 

「2人とも、しっかりして!」

 

 

仮面ライダージオウ【常磐ソウゴ】

 

仮面ライダーゲイツ【明光院ゲイツ】

 

仮面ライダーウォズ【ウォズ】

 

仮面ライダーツクヨミ【ツクヨミ】

 

 

ソウゴたちと共に歴史の異変を探る来太と出久。

 

「歴史が変わったのは、おそらく【タイムジャッカー】が過去の何処かに介入したのが原因だろう」

 

「過去という事は……」

 

「オールマイトが【ワン・フォー・オール】を継承する前の時代!」

 

その謎を解く鍵は、オールマイトが【ワン・フォー・オール】を継承する時代にあった。

 

「行こう、出久」

 

「うん!」

 

「勝手に仕切るな来太!主役は俺だ!」

 

「ちょっと先輩、暴れないでよ」

 

「俺たちも行くで!」

 

「わーい♪僕も行っても良いよね。答えは聞いてない!」

 

「では行くぞ家臣一同、私に付いて参れ」

 

「来太、ハンカチは持ったか?」

 

「気をつけて行こう、来太」

 

「うわー!何かカラフル!」

 

「どうしてコイツらが居るんだ!?」

 

「これはこれは……」

 

「何がなんだか……」

 

来太と出久たちは、時の列車【デンライナー】で過去へ遡り、辿り着いた先は40年前の日本。

 

そこで出逢ったのは、

 

「何で君から【ワン・フォー・オール】が感じるんだ?」

 

「貴様たちは何者だ?」

 

「もしかして、貴方たちは……」

 

7代目継承者【志村菜々】

 

若かりし頃の【グラントリノ】

 

「【ワン・フォー・オール】を受け継ぐ人間はワールドじゃありません!」

 

「違う。彼こそが平和の象徴になり得る存在なんだ」

 

対立する継承者たち。

 

そして、黒幕が動く。

 

「お前がタイムジャッカー……!」

 

「そうだよ。私がタイムジャッカーの【ミューレ】。よろしくね!」

 

タイムジャッカー【ミューレ】。

 

「ただの凡人が【ワン・フォー・オール】を持つ資格なんて無いよ」

 

「何だって?」

 

ミューレの言葉の真意とは?

 

そして、出久は()と出逢う。

 

「君は……もしかして」

 

「僕の名前は【八木俊典】。君は?」

 

未来で出久の師となり、平和の象徴と呼ばれる筈の男【八木俊典】。

 

決して出逢う筈のない2人の間に、奇妙な繋がりが生まれる。

 

「緑谷くんはどうしてヒーローを目指すの?」

 

「憧れの人が……僕に"君はヒーローになれる"って言ってくれたんだ」

 

過去と現在。

 

2つの時代で繰り広げられる、壮大な戦いが始まる。

 

「貴様如き餓鬼が、この力を持つ資格などあるものか!私がこの力で全世界を管理する!」

 

「【ワン・フォー・オール】に受け継がれて来たのは、力だけじゃない!平和を願う想いだ!!

 

世界を平和に導くのは力か?想いか?

 

「へぇ、邪魔するんだ。この世界は貴方たちが居た世界じゃ無いのに」

 

「邪魔するよ。だって俺……魔王だから」

 

「貴様の様な存在から世界を救うのが救世主の使命だ」

 

「生憎、この様な歴史はお断りだね」

 

「貴女の好きにはさせない!」

 

「行くよ、モモタロス!皆!」

 

「へっ、漸く出番だぜ。改めて……俺、参上!」

 

「お前、僕に釣られてみる?」

 

「俺の強さに、お前が泣いた!」

 

「お前、倒すけど良いよね。答えは聞いてない!」

 

「降臨!満を辞して」

 

「最初に言っておく、胸の顔は飾りだぁ!」

 

「来太、カウントダウンは?」

 

 

そして、最強チームが集結する。

 

 

「祝え!ジオウトリニティと電王 (スーパー)クライマックスフォーム。三位一体と六位一体、合わせて九位一体の力が巨悪を討つべく君臨した瞬間である!!」

 

 

『僕のヒーローアカデミア Another story "One for all"feat.DEN-O&ZI-O』

 

 

インターン編終了後、連載予定!!



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雄英高校入試編
1スレ


初めて投稿します。
至らない部分がありましたらバンバン感想で教えて戴ければ幸いです。


1:スレ主

先程前世の記憶が蘇ったのですが、自分のいる世界がどんな所なのか誰か教えてください。

 

2:名無し転生者

新入りかい?

歓迎するよ。

 

3:名無し転生者

しかし、よくこの掲示板の存在に気がついたね。

 

4:スレ主

記憶が蘇ったと同時に掲示板へアクセス出来るようになったんですよ。

他にも俺と同じ境遇の方が居てくれて心強いです。

 

5:名無しの転生者

全く同感

 

6:名無しの転生者

遠慮なく相談して良いよ。

早速だけど君の居る世界について説明してくれないか?

 

7:スレ主

はい。

俺が居る世界は人口の約8割が【個性】と呼ばれる力を宿してまして、その力を使って悪事を働く者を抑制したり災害などで救助活動を生業としてヒーローが職業化した世界なんです。

 

8:名無しの転生者

ヒロアカじゃないか!?

 

9:スレ主

ヒロアカ?

 

10:名無しの転生者

僕のヒーローアカデミアと言うジャンプ漫画の事だよ。

まさか転生先がヒロアカとはね。

 

11:名無しの転生者

アタリともハズレとも言い難い作品だな。

 

12:杜王町の幽波紋使い

そういう意味では俺が居る杜王町と差して変わらないな。

 

13:名無しの転生者

幽波紋使いニキ!

しかも杜王町だと!?

 

14:名無しの転生者

4部ですか?8部ですか?

 

15:杜王町の幽波紋使い

>>14

4部だ。

ぶどうヶ丘高校の2年で東方仗助達の先輩だよ。

スタンド名は『キング・クリムゾン』

 

16:名無しの転生者

キンクリ!?

大丈夫なんですか、本編前の4部で5部のラスボス幽波紋使って

 

17:名無しの転生者

いや、確か承太郎も含め4部のキャラ達はディアボロに出会わないからセーフじゃない?

ポルナレフも承太郎と連絡取れてなかった筈だし。

 

18:杜王町の幽波紋使い

>>17

それで合ってるよ。

まあ、基本『エピタフ』による未来予知とラッシュ攻撃で大抵の敵に勝てたから【時を飛ばす】能力は滅多に使わなかったし、周りからはそこまで警戒されなかったよ。

 

19:空座町の無下限呪術師

僕も愛染やユーハバッハ以外に領域展開使わなかったから危険分子扱いされなかったしね。

 

20:名無しの転生者

このスレにどんどんチート転生者が参加している件については置いといて、スレ主くんは今後どうするの?

 

21:スレ主

俺は進路を雄英高校に絞っていますので、試験に向けて勉強と個性の訓練を行う予定です。

 

22:空座町の無下限呪術師

やっぱり雄英目指すんだ。

ちなみに君の個性はどんなの?

 

23:雄英志望の仮面ライダー

俺の個性は【仮面】。

昭和・平成・令和全ての仮面ライダーに変身する能力です。

 

24:名無しの転生者

仮面ライダー!

しかも平成縛りとか令和縛りじゃなくてオールライダーかよ!?

 

25:空座町の無下限呪術師

うわー、僕が言えた事じゃないけどチートだね。

 

26:杜王町の幽波紋使い

パワーバランス崩れないか?

 

27:雄英志望の仮面ライダー

>>26>>27

それなんですけど、実は条件がありまして。

ガチャをしないとライダーの力が手に入らないんです。

 

28:名無しの転生者

ガチャ?

ソシャゲみたいな?

 

29:雄英志望の仮面ライダー

そうです。

しかもレアリティの概念があって、レア度はN(ノーマル)R(レア)SR(スーパーレア)LR(レジェンドレア)まで存在してランクが高い程入手が困難なシステムなんです。

それとパーティ編成が出来るみたいで最大3枠ありました。

 

30:杜王町の幽波紋使い

ある種の縛りだな。

 

31:空座町の無下限呪術師

レア度の基準ってどうなの?

 

32:雄英志望の仮面ライダー

主役ライダーはSR(スーパーレア)LR(レジェンドレア)ですね。

チート能力を持ってるライダーが高レア設定みたいです。

例えばBLACK RXやオーマジオウやラスボス系ライダーはLR(レジェンドレア)に含まれます。

サブライダーの殆どはR(レア)SR(スーパーレア)で、一部と量産型ライダーはN(ノーマル)です。

擬似ライダーはガチャ対象外になってます。

 

33:名無しの転生者

量産型ライダーもガチャ対象なんて細かいな。

 

34:空座町の無下限呪術師

各ライダーのデメリットはどうなの?

ミラーモンスターの餌とか555系はオルフェノクじゃないと扱えないでしょ?

 

35:杜王町の幽波紋使い

それに昭和ライダーだと改造人間にならないと変身出来ないだろうし。

 

36:雄英志望の仮面ライダー

>>34>>35

その点は大丈夫です。

各ライダーに変身する際は身体が転身(コンバート)しますし、ミラーモンスター達の餌は不要みたいです。

 

37:名無しの転生者

それは良かった。

ヒーロー目指すのに○人事件を起こすのはアレだし。

 

38:空座町の無下限呪術師

そう言うのは神様(?)が何とか調整してるみたいだからね。

転生者の立場が危うくなる様な事は向こうも都合が悪いでしょ。

 

39:雄英志望の仮面ライダー

そうですね。

一先ず、入試に向けて力を付けておきます。

 

40:杜王町の幽波紋使い

そうだな。

何かあればまたスレを挙げてくれ。

 

41:空座町の無下限呪術師

原作終わってる組は現状時間あるから相談にいつでも応えれるからね。

なんなら特訓に付き合うけど。

 

42:名無しの転生者

ジャンプ漫画屈指のチート能力持ってるけど大丈夫なのか?

 

43:空座町の無下限呪術師

大丈夫、ちゃんと力は抑えるし。

何より僕、最強だから。

 

44:杜王町の幽波紋使い

五条ムーブかますな。

まあ、俺も吉良吉影の件が片付いているから協力は出来るぞ。

 

45:雄英志望の仮面ライダー

呪術ニキも幽波紋使いニキありがとうございます!

お二人が宜しかったら是非ご指導お願いします!

 

46:名無しの転生者

俺は超能力とか使えないけど、相談くらいなら乗れるから。いつでも言ってくれ。

 

47:空座町の無下限呪術師

そう言えば君の転生先何処なの?

 

48:杜王町の幽波紋使い

なかなか聞けなくてスルーにしてしまったが、気になるな。

 

49:メイドラゴン(+幼女+ロリ巨乳)の主

まだ名乗ってませんでしたね。

今コテハン変えました。

 

『小林さーん、ご飯出来てますよー』

『分かった』

 

すみませんがちょっと抜けます。

 

50:杜王町の幽波紋使い

コテハンのネーミングセンスが気になるが区切りが良いし、御開きにするか。

ライダーくんもそれで良いか?

 

51:雄英志望の仮面ライダー

はい。

それでは皆さん、これからよろしくお願いします。

 

52:空座町の無下限呪術師

またねー。

 

53:杜王町の幽波紋使い

ああ、またな。

 

54:メイドラゴン(+幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れさま。




主人公
佳面来太(かつららいた)
由来:佳面→かつら→かめん→仮面
   来太→らいた→らいだ→ライダー


個性:【仮面】
昭和・平成・令和全ての仮面ライダーに変身する能力。
変身アイテム・バイク・サポートツール等はイメージする事で具現化する。
変身するライダーに合わせて瞬時に肉体を転身(コンバート)する。

制約
・ガチャをしないとライダーの力が手に入らない
・レアリティが存在し、レア度はN、R、SR、LR
・パーティ編成の最大枠は【3】

ガチャの排出率
LR 3%
SR 10%
R 35%
N 52%

ピックアップ排出率
LR 5%
SR 15%
R 35%
N 45%

※10連ガチャの場合SR以上1枠確定仕様


登場人物紹介

杜王町の幽波紋使い
【ジョジョの奇妙な冒険 第4部】の転生者
年齢17歳
ぶどうヶ丘高校2年生
スタンド名『キング・クリムゾン』

虹村兄弟登場から東方仗助と接触。音石明から虹村形兆を救った以降形兆とは親友関係を築く(仗助と億泰コンビ並)。
重ちーこと矢安宮重清を吉良吉影から救出したが辻彩を助ける事が出来なかったことで自身を責めるが形兆と仗助達の言葉で戦意復活し、最終決戦で仗助とのコンビで吉良吉影を撃破する。
現在はS.W財団の調査依頼をこなしながら考古学者を目指して大学進学に向けて勉強中。


空座町の無下限呪術師
【BLEACH】の転生者
年齢 28歳
社会人(警察官)
能力『無下限呪術』『六眼』

外見は【呪術廻戦】の五条悟。
黒崎一護とは小学生時代からの親友。
幼少時代から虚退治を行なっており、グランドフィッシャーから黒崎真咲を救出している。
愛染やユーハバッハといった強敵相手に無双した超自由人。
死神・破面・完現術者・滅却師を超える最強。
浦原商店の常連客で駄菓子を定期的に爆買いしている。
有沢竜貴と結婚しており、一人娘を授かる。


メイドラゴン(+幼女+ロリ巨乳)の主
【小林さんちのメイドラゴン】の転生者
年齢 25歳
社会人(システムエンジニア)

小林さん(♂)。
同居人のドラゴン三人娘を養う大黒柱。
微ブラック企業「地獄巡商事 北千住事務所」のシステムエンジニア。
同僚の滝谷真とはオタク仲間で良く互いの家でゲームをする仲。
一人暮らしが長かった事もあり家事全般こなせる(衣服を畳むのが苦手)。
得意料理は鶏の唐揚げと煮魚。
好きなお酒はウイスキー(飲み方はロック一択)と日本酒。
トールからの過度なスキンシップに抵抗を感じている(満更でもない様子)。


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2スレ

第2話を投稿します。

質問・感想お待ちしてます。

今回は初ガチャ回です。



国立雄英高等学校(こくりつゆうえいこうとうがっこう)

"平和の象徴"であり、No.1ヒーローでもあるオールマイトを始めとした名だたるヒーロー達を輩出し、偉大なヒーローには雄英卒業が絶対条件と言われるほどヒーローになるための登竜門として認知されている。

 

プロヒーローを目指す者なら誰もが憧れるヒーロー育成校の頂点だが、名門校であるが故にヒーロー科2クラス40名の狭き門でもある。

 

毎年日本全国からヒーロー志望者たちが集い、入学を懸けてしのぎを削っていた。

 

その雄英に1人の少年は挑戦する為に、己を鍛え続ける。

 

 

 

ーー東京都にあるスポーツセンター内のトレーニングルームーー

 

(196…197…198)

 

「佳面くん頑張れ!あともう少し!」

 

俺がトレーニング器具を使いと懸垂をしている横で宙に浮いた女性物のスポーツウェアがエールを送る。実際には宙に浮いているのではなく、彼女の体が透明で浮いている様に見えるだけだが。

 

透明人間な彼女の名前は『葉隠透』。

俺が通う毛糸中学のクラスメイト兼友達である。

 

「199…200!」

 

目標の回数を達成し、パッと器具から手を離して着地する。

 

「お疲れ様!はいコレ!」

 

「ありがと、葉隠さん」

 

葉隠さんから差し出されたタオルを受け取り、顔や首筋に浮かんだ汗を拭い取る。

 

「凄いよ佳面くん!懸垂200回を3セットなんて!」

 

「途中休憩挟んでの3セットだから、そこまで大した事ないよ」

 

「そんな事ないって!私なんて20回を2セットが限界だし」

 

上着の両袖をプルプル震えさせる葉隠さんの姿に苦笑する。

 

「けど最初の頃より力とスタミナがついてきたよね。日頃から鍛えてる証拠だよ」

 

「えへへ、そうかな?佳面くんの指導のお陰だよ」

 

「トレーニングメニューを考えたのは俺じゃなくてオヤっさんだよ。俺はただ横で見てただけ」

 

すると葉隠さんは「もう〜」と唸り、俺の頬を両手で力一杯引っ張る。

 

「そうやって謙遜が過ぎると嫌味に聞こえちゃうから、人の好意を素直に受け取らないとダメだよ!いい?」

 

…ふぁい、ふみふぁしぇんべふぃた(…はい、すみませんでした)

 

「それでヨシ!」とニコッと笑い(雰囲気で笑っていると感じ取る)、手を離してくれた。

 

「君たち。あまり騒がれると他の人たちに悪いから気をつけてね」

 

「あ、すみません。気をつけます」

 

俺たちのやり取りに気づいた職員から注意を受け、即座に謝罪する。

 

「見たところ学生さんっぽいけど、もしかしてヒーロー志望かな?」

 

「はい、そうですけど」

 

「ああ、やっぱり。君たちみたいな若い子がトレーニングしているとなるとヒーローを目指しているのかなって思ってね」

 

「はい!私たち雄英目指してます!」

 

「雄英を!?凄いな、名門校だから受験大変だろうけど頑張ってね。応援してるよ」

 

「ありがとうございます」

 

「頑張ります!」

 

俺たちはその後もトレーニングを続けて、2時間後にトレーニングルームを後にする。

 

 

ーー帰宅途中ーー

 

「今日もトレーニング付き合ってくれてありがとね!」

 

「俺の方こそありがとう。一人でやるのも良いけど、誰かと一緒だと今まで以上に頑張らなきゃって思ってやれるから」

 

スポーツセンターの最寄駅から30分電車で移動し、そこから徒歩でお互いの自宅まで移動しながら彼女と話す。

 

「あと半年もすれば一般入試だし、トレーニングもそうだけど勉強の方も頑張らないとなぁー」

 

「葉隠さん要領良いから問題ないだろ?ケアレスミスが無ければ大丈夫だって」

 

「全国模試で常に上位にいる佳面くんがそれ言っちゃう?」

 

「夢が明確になっている以上、そこに向かって力をつけていっているだけだよ。葉隠さんもだろ?」

 

「そうだけどさー」

 

納得しきれない彼女に、俺は生前から心に残る名言を送る。

 

「大丈夫だよ。自分のやりたい事、やれる事。やればいいんだよ、少しずつさ。それが強さになるんだよ、きっと。そんな感じ」

 

「葉隠さんならそれが出来るよ」

 

「……そっか。うん!やってみるよ!!ありがと佳面くん!」

 

こうして俺たちは各々の家へと戻った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【ライブ配信モード】

 

55:雄英志望の仮面ライダー

家に帰宅しましたので、今から実装中のピックアップガチャを回したいと思います。

 

56:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

唐突にガチャ実況始まるんかい。

 

57:空座町の無下限呪術師

ちなみにピックアップの内容ってどんなの?

 

58:杜王町の幽波紋使い

内容次第では回し続ける予定なのか?

 

59:雄英志望の仮面ライダー

今回のピックアップは【バッタ系ライダー】になります!

俺の推しライダーの1人がピックアップ対象なので絶対引き当ててみせます!

 

60:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

バッタ系ライダー?

昭和で言う仮面ライダー1号とか?

 

62:空座町の無下限呪術師

チートライダーの代表格でもあるBLACK RXやその進化前のBLACKもそうだね。

平成ライダーだと有名なのは【仮面ライダーカブト】に登場したキックホッパー&パンチホッパーの地獄兄弟とかかな?

 

63:雄英志望の仮面ライダー

そうですね。

令和ライダーだと主役ライダーの仮面ライダーゼロワンや仮面ライダーゼロツーもピックアップ対象ですね。

 

64:杜王町の幽波紋使い

ライダーくん、すまないがピックアップ対象の詳細を教えてくれないか?

あまりライダーに詳しくないから他にどんなライダーがいるのか気になる。

 

65:雄英志望の仮面ライダー

>>64

分かりました。

今回ピックアップ対象になっているライダーはこんな感じです。

 

【LR】

仮面ライダー1号(取得済)

仮面ライダー1号(映画『仮面ライダー1号』)

仮面ライダー2号

仮面ライダーBLACK RX

仮面ライダーオーズ

仮面ライダーゼロツー

仮面ライダーアークゼロ

仮面ライダーアークワン

仮面ライダーアークゼロワン

 

【SR】

スカイライダー

仮面ライダーBLACK

仮面ライダーシン

仮面ライダーZO

仮面ライダーJ

仮面ライダー1号(映画『仮面ライダー THE FIRST』)

仮面ライダー2号(映画『仮面ライダー THE FIRST』)

仮面ライダー3号

仮面ライダーゼロワン(取得済)

仮面ライダー001

 

【R】

仮面ライダーキックホッパー/パンチホッパー

仮面ライダー4号

仮面ライダー1型

 

【N】

ショッカーライダー(映画『仮面ライダー THE NEXST』)

仮面ライダーアバドン(ショットアバドライザーver.)

仮面ライダーアバドン(スラッシュアバドライザーver.)

 

66:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>65

ピックアップ対象多過ぎ!

 

67:空座町の無下限呪術師

LRとSRに対してRとNが少ないね。

昭和のダブルライダーはやっぱり原点にして頂点だからLRか。

 

68:杜王町の幽波紋使い

>>65

キックホッパー/パンチホッパーが一つになっているのはなんでなんだ?

 

69:雄英志望の仮面ライダー

それは変身アイテムのホッパーゼクターがリバーシブル仕様になってまして、一つのアイテムでキックホッパーとパンチホッパー両方に変身出来るからです。

 

70:空座町の無下限呪術師

公式の設定も反映されてんだ。

細かいねー。

 

71:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

それでライダーくんは何回ガチャ回すの?

 

72:雄英志望の仮面ライダー

今回は30連ガチャを回します。

10回ガチャを回すのに必要なアイテムが1500個なので、4500個分消費する計算になりますね。

 

73:空座町の無下限呪術師

それでライダーくんが推しにしているのはどれ?

 

75:杜王町の幽波紋使い

やっぱり初代である1号?

 

76:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

最近のライダーだとゼロワンとかゼロツー?

ラスボス好きだとアークゼロやアークワンかな?

 

77:雄英志望の仮面ライダー

実は一度当てたライダーはガチャの対象から外れますので、個性が初めて使えるようになった時に引き当てた1号とゼロワンはガチャ対象外です。

そして、今回目的のライダーは俺の推しの一人である仮面ライダーZOです!!

 

78:杜王町の幽波紋使い

…………?

 

79:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

えっと、ZOってSRに入っている?

 

80:空座町の無下限呪術師

おー、ZOが推しってかなりのライダーマニアだね。

 

81:雄英志望の仮面ライダー

良いじゃないですか!

かっこいいんですよZOは!!

怪人のデザインの生々しさやアクションシーンのクオリティの高さから一部のファンから人気のライダーなんですよ!!

 

82:杜王町の幽波紋使い

分かった。

分かったから一先ず落ち着いてくれ。

 

83:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

なんだろ、オタク仲間の同僚と話をしている気分だ。

 

84:空座町の無下限呪術師

ほらほら、とりあえず10回分回してみなよ。

 

85:雄英志望の仮面ライダー

なんか納得しないけど、それじゃあ回します。

そりゃっ!

 

86:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お、いきなり虹色に光った

 

87:空座町の無下限呪術師

虹がLRになるのかな。

2回目は金色って事はSRか。

 

88:杜王町の幽波紋使い

3、4回目は銀色でRか。

 

89:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

5、6回目が銅色でN。

7、8回目はまたRだ。

 

90:杜王町の幽波紋使い

9回目もNで、最後の10回目はSRか。

 

91:雄英志望の仮面ライダー

【10連目結果】

仮面ライダーゼロツー【LR】

スカイライダー【SR】

仮面ライダーキックホッパー/パンチホッパー【R】

仮面ライダー剣斬【R】

仮面ライダーアバドン(ショットアバドライザーver.)【N】

仮面ライダーアバドン(スラッシュアバドライザーver.)【N】

仮面ライダーG3-X【R】

仮面ライダー斬鬼【R】

仮面ライダーグリドン【N】

仮面ライダーゼロノス【SR】

 

ZOは無しか……。

 

92:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

いや、初手にしては引き強いんじゃない?

 

93:杜王町の幽波紋使い

LRも引けてるし、ピックアップ対象外が幾つかあるが中々だと思うが。

 

94:空座町の無下限呪術師

ゼロノスとか懐かしい!

G3-XってR扱いなんだ。

 

95:雄英志望の仮面ライダー

まあ、10連目ですし。

あと20回も回せますから、絶対来るはずです。

 

96:杜王町の幽波紋使い

フラグにしか聞こえないんだが。

 

97:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

回さないと出てこないんだし、気楽にいこう。

 

98:雄英志望の仮面ライダー

そうですよね。

それじゃあ、あと20連回します!

 

99:空座町の無下限呪術師

あ、ゴメン。

僕抜けるから後で結果教えてね。

お疲れサマンサー!!

 

100:杜王町の幽波紋使い

自由人すぎるだろアンタ。

 

 

ーーーーーーーーーー省略ーーーーーーーーーー

 

 

113:雄英志望の仮面ライダー

【20連目結果】

仮面ライダー滅(スティングスコーピオン)【SR】

仮面ライダーゾルダ【R】

仮面ライダーカイザ【R】

仮面ライダーインペラー【N】

黒影トルーパー【N】

仮面ライダーマッハ【SR】

仮面ライダー1型【R】

仮面ライダーシザース【N】

仮面ライダーイクサ(セーブモード)【N】

仮面ライダーメイジ【N】

 

【30連目】

仮面ライダーBLACK【SR】

ライオトルーパー【N】

仮面ライダーストロンガー【LR】

仮面ライダーW【LR】

仮面ライダーファイズ【SR】

仮面ライダーG3マイルド【N】

仮面ライダーカリス【SR】

仮面ライダータイガ【N】

仮面ライダーネクロム【R】

仮面ライダー裁鬼【N】

仮面ライダー2号(映画『仮面ライダー THE FIRST』)【SR】

 

……笑え、笑えよ。

 

114:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>113

正気に戻れ!

あまりのショックで地獄兄弟化してるぞ!!

 

115:杜王町の幽波紋使い

こうも狙いが外れるとキツイな。

 

116:雄英志望の仮面ライダー

ハッ!

だ、大丈夫です。

すみませんご心配お掛けしました。

 

117:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

大丈夫?

 

118:雄英志望の仮面ライダー

はい。

今回は縁が無かったと割り切ります。

 

119:杜王町の幽波紋使い

次引く時に当たるかもしれないしな。

 

120:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

気休めにしかならないけど、元気出せよ。

 

121:雄英志望の仮面ライダー

はい。

ありがとうございます。

呪術ニキに報告するのが少し憂鬱ですけど。

 

122:杜王町の幽波紋使い

あの人絶対笑うだろうな。

 

123:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

何か言われたら俺が擁護するから気にするなよ。

伊達に同居人の父親たちに啖呵切ってきてないからな。

 

124:雄英志望の仮面ライダー

ドラゴン相手に啖呵を切るなんて凄い胆力ですね。

もしもの時はすみませんがお願いしても良いですか?

 

125:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

任せろ。d( ̄  ̄)

 

126:杜王町の幽波紋使い

俺も力になろう。

此方も数々の修羅場を潜り抜けてきたからな。

 

127:雄英志望の仮面ライダー

お二人とも助かります。

それではお疲れ様でした。

 

128:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れ。

 

129:杜王町の幽波紋使い

お疲れ様。




ガチャの仕組み
主人公がガチャの際に必要なアイテム通称"ジュエル"は毎日150個支給されます。課金システムがないのでアイテムが溜まりやすい設定です。


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3スレ

第3話目です。

今回は一気に進んで一般入試の話となります。
ようやく主人公が変身します。

前回の感想でスレ民の数が少ないと指摘されたので増やしてみました。

感想・質問受け付けてますので宜しくお願いします。



受験勉強とトレーニングの日々を過ごし、あっという間に雄英高校の一般入試当日となり俺は試験会場へ向かう準備をする。

 

「来太、忘れ物はないか?受験票はあるか?」

 

「大丈夫だよオヤっさん、ちゃんと持ってるよ」

 

俺に声を掛ける初老の男性の名は取那藤兵衛(とれなとうべえ)

 

俺に特訓をつけてくれた恩師であり、俺の育ての親でもある。

 

「今日は数多くのライバルたちが試験を受けに来るんだ。緊張なんてしてたら普段の力は発揮せんからな」

 

「分かってるよ。それに不思議と緊張してないんだよね。大丈夫、オヤっさんから教わった事を試験でぶつけるだけだよ」

 

「そうか。それなら問題ないな」

 

そう言ってオヤっさんは笑う。

 

「そろそろ行くよ。葉隠さんと待ち合わせしてるから」

 

「透ちゃんに『頑張れ』って伝えといてくれ」

 

「分かった。それじゃあ、行ってきます」

 

「行ってこい!頑張れよ!」

 

オヤっさんに見送られながら、俺は家を出る。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

28:雄英志望の仮面ライダー

葉隠さんと合流したので今から雄英高校へ移動します。

 

29:空座町の無下限呪術師

遂に来たね、この日が。

 

30:杜王町の幽波紋使い

ここまで受験勉強と特訓よく頑張ったな。

 

29:雄英志望の仮面ライダー

はい。

ここまで頑張れたのはオヤっさんとニキたちのお陰です。

 

30:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

しかし、いつの間にかスレ民も増えたよね。

 

31:虚刀流のグラップラー

どうも新参者その1です。

 

32:サクラギ研究所のリサーチフェロー

どうも新参者その2です。

 

33:太刀川隊の狙撃手

どうも新参者その3です。

 

34:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

どうも新参者その4です。

 

35:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>31>>32>>33>>34

いや、君たち4人とも挨拶雑過ぎ!

 

36:空座町の無下限呪術師

まあ、後で説明されるでしょ。

 

37:杜王町の幽波紋使い

メタい発言止めてくれ。

頼むから。

 

38:雄英志望の仮面ライダー

幽波紋ニキ、ご苦労お掛けします。

 

39:杜王町の幽波紋使い

いや、これくらい平気だ。

 

40:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

それで、試験は筆記と実技の2つで良いのかな?

 

41:雄英志望の仮面ライダー

そうなります。

筆記は5教科のペーパーテスト、実技は個性を使用したものになってます。

実技に関してはまだ詳細は聞かされてないんですが。

 

42:虚刀流のグラップラー

一応、ヒロアカ原作を知ってる人たちはこの中にも居るけどライダーくんに教えるのはNGでしたよね。

 

43:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>42

そうだな。

ここで俺たちが教えてしまったら不正行為と同じになる。

 

44:雄英志望の仮面ライダー

はい。

ですので、実技試験開始までスレを一時停止したいのですが、皆さんはよろしいでしょうか?

 

45:空座町の無下限呪術師

僕は良いよ。

 

46:杜王町の幽波紋使い

俺も構わないぞ。

 

47:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

俺も大丈夫。

 

48:虚刀流のグラップラー

俺も平気っすよ。

 

49:サクラギ研究所のリサーチフェロー

俺も報告書を書かなきゃいけないから、どのみちそれまでスレに参加出来ないから良いよ。

 

50:太刀川隊の狙撃手

俺もこの後任務が入ってるからそれまで不参加だ。

 

51:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺も問題ないよ。

 

52:雄英志望の仮面ライダー

皆さんすみません。

それでは一旦切ります。

 

53:空座町の無下限呪術師

筆記頑張りなよ。

 

54:杜王町の幽波紋使い

落ち着いてな。

 

55:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

頑張ってね。

 

56:虚刀流のグラップラー

ファイト。

 

57:サクラギ研究所のリサーチフェロー

自分を信じてな。

 

58:太刀川隊の狙撃手

君ならいけるよ。

 

59:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

応援してる。

 

60:雄英志望の仮面ライダー

はい。

ありがとうございます。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

無事に雄英高校に辿り着き、最初の筆記試験を一通り受けた現在、葉隠さんと食堂で昼食を摂っていた。

 

「ぷはーっ!やっと筆記が終わったねー!」

 

「そうだね。どうだった?出来としては」

 

「最後まで解けたよ!平均80点はいけたと思う!」

 

「おお凄い!後は実技だけだな」

 

「うん!実技って何をするんだろ?佳面くん分かる?」

 

「個性を使った試験だろうけど、そこまで複雑な内容にはならないと思う。ヒーローに必要な能力があるかを試験官は観るだろうから、シンプルに戦闘能力を測るテストになるんじゃないかな」

 

「成る程ねー!私の場合奇襲戦法になるかな!佳面くんとコンビ組めたら無敵だね!」

 

「試験会場が一緒になるかまだ分からないけどね」

 

彼女と実技試験について話しながらオヤっさん特製のカツサンドを頬張っていると

 

「ケロッ、隣空いてるかしら?」

 

声のする方へ顔を向けると、セーラー服を着た少女が片手に弁当箱が入っているだろう包みを片手に持っていた。

 

外見は大きな瞳に150cm程度と小柄で緑の混ざった長い黒髪を後ろに束ね、少し猫背気味な姿勢をしていた。

 

「ゴクッ。ああ、空いてるよ。良かったらどうぞ」

 

「どうぞどうぞ!」

 

「ありがとう」

 

ちょうど俺の隣に空いた席に座り、彼女は弁当箱の包みを解く。

 

「楽しくおしゃべりしてたみたいだけど、二人はお友達?」

 

「うん!同じ中学だよ!」

 

「やっぱり。とても仲が良さそうだったから」

 

「中学3年間同じクラスだったからね、友達だよ」

 

そう言って俺はカツサンドを食べ終え、水筒のお茶を一口飲む。

 

「…………むぅ」

 

「何?葉隠さん」

 

「うーうん、何でもないよ!」

 

今、葉隠さんが此方に視線を送っていた様に感じたが、どうやら違う様だ。

 

「ケロッ、やっぱり仲良しね」

 

彼女は俺たちを交互に見てニコニコと笑う。

 

「自己紹介がまだだったよね。俺は佳面来太。こっちが」

 

「葉隠透だよ!よろしくね!」

 

「蛙吹梅雨よ、梅雨ちゃんと呼んで」

 

3人で談笑しながら昼食を済ませ、実技試験の説明が行われる講堂へ移動する。

 

ちなみに葉隠さんは直ぐに馴染んで"梅雨ちゃん"呼びをしたが、俺にはハードルが高いため"蛙吹さん"と呼ぶことにした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

講堂で試験の進行役を務めるプロヒーロー『プレゼント・マイク』から実技試験の説明が行われた。

 

指定された12ヶ所の演習場に各1,000名に分かれて仮想(ヴィラン)のロボットを戦闘不能し、倒したロボットの種類ごとにP(ポイント)が加点される仕組みとなっている。

 

試験途中に妨害する0Pロボットが出現するが、仮に撃退しても0Pの為加点はされないとのことだ。

 

説明の途中で眼鏡をかけた真面目そうな受験生の男子が私語が目立った他の受験生に対して注意をしていたが、それ以外は問題も無く説明が終了された。

 

「あーあ、同じ中学で共闘出来ないように演習場をズラすなんてー!折角私と佳面くんの無敵コンビで無双出来ると思ったのに!」

 

「まあ、ルール上仕方ないよ。しかし、蛙吹さんと同じ場所になるなんてね」

 

「ケロッ、私もビックリだわ。けど、負けないわよ佳面ちゃん」

 

「俺も負けないよ、蛙吹さん」

 

偶然にも同じ演習場になった蛙吹さんからの宣戦布告に俺も応える。

 

「私だって負けないよ!頑張って3人一緒の高校でヒーロー目指したいもん!」

 

「そうね。頑張りましょ、透ちゃん」

 

「ああ。それじゃあ、また後でね。葉隠さんは試験終了後に」

 

「うん!入口前で集合だね!」

 

「また後でね、佳面ちゃん」

 

この後別れ、各々の演習場に向かう。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

61:雄英志望の仮面ライダー

お待たせしました。

今からスレを再開します。

 

62:杜王町の幽波紋使い

お、つまり今から実技試験か。

 

63:空座町の無下限呪術師

いやー、待ち侘びたよ。

 

64:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

呪術ニキ、アンタ仕事はちゃんとしてるの?

 

65:空座町の無下限呪術師

>>64

してるよ。

僕の事はさて置き、他の皆は来てる?

 

66:虚刀流のグラップラー

地上最強の生物で有名な漢に「中国へ行くぞ」と一言だけ言われて強制的に中国に入国しましたが、大丈夫です。

 

67:サクラギ研究所のリサーチフェロー

報告書を所長に提出して一息つけると思ったら、スーパーマサラ人とミュウゲットしたいヒロイン力高い系少年の引率でガラル地方へ向かってますが、俺も大丈夫です。

 

68:太刀川隊の狙撃手

任務終わっておっとり系お姉さんなオペレーターとゲームしてますが、参加します。

 

69:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

女子中学生グループとショッピング中ですが、俺もいけます。

 

70:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>69

お巡りさん、コイツです。

 

71:空座町の無下限呪術師

OK。

今から円卓ニキのところへ向かうね。

 

72:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

待ってくれ!

俺は何もやっていない!

 

73:杜王町の幽波紋使い

言い逃れは出来ないぞ。

 

74:サクラギ研究所のリサーチフェロー

待って下さい。

円卓ニキが中学生ならセーフなのでは?

 

75:虚刀流のグラップラー

円卓ニキ、今何歳?

 

76:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

えっと、……………19歳、です。

 

77:空座町の無下限呪術師

はいアウトー!

逮捕案件だからマジで行くねー!

 

78:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

違うんだよー!

信じてくれーーー!!

 

79:雄英志望の仮面ライダー

あの、演習場に着いたんですけど。

 

80:杜王町の幽波紋使い

おっと、済まないな。

 

81:虚刀流のグラップラー

それで、ライダーくんは今回どの仮面ライダーに変身するの?

 

82:雄英志望の仮面ライダー

今回は時間が限られてますので、変身するライダーは1種類だけで行きます。

 

83:太刀川隊の狙撃手

まあ、俺みたいに瞬時に切り換えたり出来ないから、それが妥当か。

 

84:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

別のライダーに変身する場合だと、一回変身解除してから変身し直す感じになるだろうし。

 

85:サクラギ研究所のリサーチフェロー

それだけでかなりタイムロスになるから今回の変身は1回だけか。

 

86:雄英志望の仮面ライダー

はい。

ですが今回の実技試験の内容を聞いてアイデアが浮かんだので、上手くいけば1人分の2倍近く点数を稼げると思います。

 

87:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

それは楽しみだ。

 

88:虚刀流のグラップラー

見せて貰おうか、ヒロアカ世界に君臨した仮面ライダーの性能とやらを。

 

89:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>88

お前は何処の赤い彗星だ。

まあ、ライダーくん頑張れよ。

 

90:雄英志望の仮面ライダー

はい!

行ってきます!

 

91:杜王町の幽波紋使い

行ってらっしゃい。

 

92:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

が……頑張れよ。

 

93:虚刀流のグラップラー

円卓ニキ!

生きてたのか!?

 

94:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

生きてるよ!

あの後マジで呪術ニキが来たから女の子の皆には「知り合いの警察官」と説明して事なきを得たよ。

 

95:空座町の無下限呪術師

いや〜、円卓ニキの慌てようが面白くて面白くてwww。

 

96:サクラギ研究所のリサーチフェロー

アンタ本当に悪魔だな。

 

97:太刀川隊の狙撃手

この人にだけは弱みを見せたらダメだな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

運動着に着替え、他の受験者とバスで数十分移動し先には巨大なドーム型の演習場があり、中にはビルが多く建てられた一つの街となっていた。

 

「スゲー!ここまでやるかよ雄英!?」

 

受験者の1人が演習場のスケールに圧巻し、周りも同様の反応を取っていた。

 

俺も少し驚きつつも軽いウォーミングアップを済ませ、スタートラインの最前列で合図を待つ。

 

 

『はい、スタート!』

 

 

突然のアナウンスに反応し、俺は急いで駆け出す。

 

他の受験者は何のことかと唖然としており、その場に固まっていた。

 

 

『どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!!走れ走れぇ!!賽は投げれてんぞ!?』

 

 

プレゼント・マイクの声にようやく理解したのか、後ろでバタバタと受験者が後を追う。

 

良かった。フライングにはならないようだ。

 

ひと安心した俺はある『ベルト』をイメージする。

すると、イメージした『ベルト』が腰に巻きつけられ、右手には白銀の携帯電話が出現する。

 

ベルトの名は【ファイズドライバー】。

白銀の携帯電話の名は【ファイズフォン】。

 

そのままファイズフォンを開き、変身コードを入力する。

 

『Standing By』

 

コードが認証され、演習場に待機音が鳴り響く。

 

目の前にはビルを壊しながら仮想敵が現れる。

形状からして1Pのようだ。

 

『標的補足!ブッ殺ス!』

 

ロボットにあるまじき口調で、正面にいる俺に対し攻撃体勢を取ろうしていた。

 

「変身ッ!」

 

敵ロボットが攻撃する前にファイズフォンをファイズドライバーの接続デバイス【トランスフォルダー】にインサートし、左側へ90度に倒してセットする。

 

『Complete』

 

全身を赤いエネルギー【フォトンブラッド】のラインが走り、そのまま俺は敵ロボットに接近し拳を叩き込む。

 

殴られた敵ロボットは後方へ大きく吹き飛び、装甲が粉砕され爆発する。

 

敵ロボットを破壊した俺の姿は赤いエネルギー流動経路【フォトンストリーム】が走り、胸部には白銀に輝く装甲【フルメタルラング】が覆われ、黒い強化スーツ【ソルフォーム】を身に纏い、頭部は魚の鰭のようなアンテナ【グローバルフィーラー】と半月のような黄色く大きな複眼【アルティメットファインダー】が特徴の【ブラックシェルメット】が覆われている。

 

この姿は【仮面ライダー555(ファイズ)】。

 

オルフェノクと呼ばれる怪人から人間の夢を守る為に戦った戦士である。

 

「さて、行きますか」

 

右手を軽くスナップし、此方へゾロゾロと現れる敵ロボットの集団に飛び込む。




仮面ライダー紹介

【仮面ライダーファイズ】

レア度:SR

出典:仮面ライダー555


登場人物紹介

取那藤兵衛
40代の男性。現役時代は名の知れたオートバイレーサーだったが、現在はトレーナー業で一流レーサーの育成を行なっている。
コーヒーショップ『Cafe "Torena"』を経営。
佳面来太の育ての親であり、彼の父親とはレーサーとして凌ぎを削った仲。


虚刀流のグラップラー
【刃牙シリーズ】の転生者。
年齢 20歳

【刀語】の虚刀流をマスターし、ストリートファイトや地下闘技場の猛者達と闘い、己を鍛え続けるグラップラー。現在は範馬勇次郎に中国へ強制的に連れて行かれ、大擂台賽に出場する事になった。


サクラギ研究所のリサーチフェロー
【ポケットモンスター(新無印)】の転生者

年齢 17歳
ガラル地方出身でポケモン研究に興味を持ち、サクラギ研究所のリサーチフェローとして活動している。ポケモンマスターを目指すスーパーマサラ人の【サトシ】とミュウのゲットを目指す新米トレーナー【ゴウ】の先輩として彼らにリサーチフェローを教える先輩も兼務している。

相棒ポケモン 
ポリゴン2
サーナイト(♀)
ボーマンダ(♂)
ウインディ(♂)
ラプラス(♀)
ウーラオス(♂)れんげきの型


太刀川隊の狙撃手
【ワールドトリガー】の転生者
年齢 17歳
太刀川隊の狙撃手を担当。基本お荷物隊員の唯我尊をカバーしながら自分の仕事もこなす苦労人。並外れた狙撃能力で敵を穿ち、状況に応じてスコーピオン+格闘技で前線も出来るマルチ隊員。


プリキュア世界の円卓の騎士(1人)
【プリキュアシリーズ】の転生者
年齢 19歳

Fateシリーズの円卓の騎士全員の力を持つ。外見はプロトアーサーとベディヴィエールが合わさった感じ(つまりイケメン)。プリキュア公式でカップリングされていないヒロインたち全員から好意を寄せられているが、本人の好みは年上。


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4スレ

第4話目です。
今回で実技試験が完結します。

私ごとですが、この作品のお気に入り数が100件を突破しました!!!
ご登録してくれた皆様、ありがとうございます!
それと、この作品を読んでくれた皆様にも大変感謝を申し上げます!
これからもこの作品が多くの方に読んでもらえるよう努力いたしますので、皆様よろしくお願いします!!

感想・質問等ありましたらどんどん書き込みお願いします。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

【ライブ配信モード】

 

98:サクラギ研究所のリサーチフェロー

仮面ライダーファイズだ!?

 

99:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

今回変身したのはファイズか。

 

100:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

やっぱりファイズカッコいいな。

 

101:太刀川隊の狙撃手

メカっぽいから如何にも"パワードスーツ"って感じですよね。

 

102:杜王町の幽波紋使い

今時の仮面ライダーは携帯電話で変身するのか。

 

103:虚刀流のグラップラー

>>102

今時というか、ファイズは2003年に放送された仮面ライダーです。

 

104:空座町の無下限呪術師

幽波紋ニキはファイズ知らない?

 

105:杜王町の幽波紋使い

ああ。

特撮だとウルトラマンをよく観てたから。

 

106:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

東映じゃなく円谷派か。

 

107:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ウルトラマンも良い作品ですよね。

 

108:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺はメビウス世代だ。

 

109:空座町の無下限呪術師

僕はガイア世代。

 

110:虚刀流のグラップラー

俺はマックス世代です。

 

111:杜王町の幽波紋使い

俺はティガ世代だ。

 

112:サクラギ研究所のリサーチフェロー

俺はコスモス世代です。

 

113:太刀川隊の狙撃手

俺も円卓ニキと同じメビウス世代です。

 

114:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>108>>109>>110>>111>>112>>113

ウルトラマンの話は今は置いとけ!

 

115:空座町の無下限呪術師

小林ニキは何トラマン世代?

 

116:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

俺はダイナ世代だよ。

いや、それよりも!

ライダーくんを観なきゃでしょうが!!

 

117:虚刀流のグラップラー

>>116

恐ろしく鋭いノリツッコミ、俺でなきゃ見逃しちゃうね。

 

118:サクラギ研究所のリサーチフェロー

そろそろライダーくんの方に話戻しましょうよ。

小林ニキがツッコミ過労死してしまう。

 

119:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

確かに。

それにしても、ライダーくん敵ロボット集団に飛び込んでから殴る蹴るの無双状態ですね。

 

120:虚刀流のグラップラー

本家ファイズは喧嘩殺法だったけど、ライダーくんは空手主体の動きですね。

しかも動きのキレが凄い。

まるで独歩さんや克己さんみたいだ。

 

121:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ライダーくんの空手レベルは愚地親子並か。

 

122:空座町の無下限呪術師

僕がライダーくんの特訓に付き合ってた時から空手スタイルやってたからね。

本人に聞いてみたら幼少時代から格闘技をやってたみたい。

 

123:太刀川隊の狙撃手

その時からヒーローを志してたって事ですよね。

意識が高いと言うか。

 

124:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

あ、ライダーくんがベルトにセットされたファイズフォンを取り外した!?

 

125:杜王町の幽波紋使い

何か操作してるみたいだな。

 

126:雄英志望の仮面ライダー

『"Auto Vajin" Come Closer』

 

「頼むよ、バジン!」

 

『Battle Mode』

 

127:サクラギ研究所のリサーチフェロー

オートバジン!?

何も無い所からオートバジンが出てきた!!?

 

128:虚刀流のグラップラー

しかも直ぐに人型ロボット形態の"バトルモード"に変形した!

カッケェ!!

 

129:空座町の無下限呪術師

なーる、ライダーくんの言ってたのはこう言う事だったのか。

 

130:杜王町の幽波紋使い

上手くいけば2倍ポイントを稼げるって言っていたやつか。

 

131:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

そうか、ライダーくん自身とオートバジンのコンビで敵ロボットを倒すのか。

 

132:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

けど良いんですかね、ルール上。

 

133:太刀川隊の狙撃手

>>132

問題ないだろ。

原作キャラでも常闇が黒影(ダークシャドウ)でポイントを稼いでいただろうし。

 

134:サクラギ研究所のリサーチフェロー

影の怪物もロボットも個性によるものだからアリでしょ。

 

135:雄英志望の仮面ライダー

「バジン、出てくるロボットを片っ端から倒してくれ。ただし、攻撃を他の受験者に当てないように気をつけてな」

 

『Ready』

 

136:虚刀流のグラップラー

今度はライダーくん、"ミッションメモリー"を左ハンドルに装填して"ファイズエッジ"を取り出した!

 

137:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

完全フル装備じゃないですか!

 

138:空座町の無下限呪術師

>>137

当然でしょ。

合格が懸かっているのに本気出さないでどうするの?

 

139:太刀川隊の狙撃手

他の受験者だって将来が決まるかもしれない大一番で全力を出してんです。

誰だって本気になりますよ。

 

140:杜王町の幽波紋使い

2人ともその辺にしておけ。

 

141:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

円卓ニキのライフが0になっちゃうでしょうが。

 

142:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

いえ、俺の方こそすみませんでした。

 

143:空座町の無下限呪術師

いいよ、別に怒ってないし。

 

144:太刀川隊の狙撃手

俺たちの方こそすみません。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

『あと残り3分!!』

 

残り3分の時点で俺とバジンが獲得したポイントは合計で"131"。

 

これだけ稼げれば合格はほぼ確定だろうが、まだ油断は出来ない。

 

試験の説明に出てきた0Pの巨大仮想敵はまだ出現していない。恐らく大きさは他の敵ロボットの約10数倍はあるだろう。そんな物が現れたら最悪怪我人も出るし、一瞬で周りは大パニックになる。

 

「警戒しておいた方が良さそうだな」

 

そう自分に言い聞かせ、辺りを見渡してみると【ブラックシェルメット】に搭載された【ピンフォールズソナー】が遠くの轟音を捉える。

 

 

「で、出たーー!!?」

 

 

轟音に続くように誰かの叫び声が演習場に響き渡り、声のする方を見ると、今までの敵ロボットよりも巨大な仮想敵がビルを破壊しながら前進して来るのが確認出来た。

 

 

『今現れたソイツが0Pだ!!早く逃げねぇとペシャンコに潰されちまうぞ!!』

 

 

巨大仮想敵を見るや否や、必死にポイントを稼いでいた周りの受験者たちは我こそはと一目散に逃げ始める。

 

ヒーローを目指していると言ってもまだ15歳程度の子どもなのだ。自分たちよりも巨大な物が目の前で暴れたら恐怖するのが普通である。

 

俺は念の為に巨大仮想敵の周辺に誰も居ないか半月型の複眼【アルティメットファインダー】で確認する。

 

すると巨大仮想敵の数m先に女子の受験者が地面に倒れており、下半身が瓦礫に埋もれているせいで身動きがとれない状態になっていた。

 

「………待て、あの子は」

 

俺は倒れている子に見覚えがあった。

それもその筈、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「間に合えッ!!?」

 

俺は無意識に左腕に装着されたリストウォッチ型コントロールデバイス【ファイズアクセル】に手を掛ける。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

145:虚刀流のグラップラー

不味いですよ!

巨大仮想敵の近くに原作キャラの蛙吹梅雨が居ます!!?

 

146:サクラギ研究所のリサーチフェロー

梅雨ちゃん逃げろ!!

 

147:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

瓦礫で身動きがとれないから無理だぞ!!

 

148:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

不味いって、どうすれば良いんだ!!?

 

149:空座町の無下限呪術師

>>145>>146>>147>>148

まあ落ち着きなって。

 

150:虚刀流のグラップラー

落ち着いていられないだろ普通!!?

 

151:杜王町の幽波紋使い

皆が慌てている間に彼が動こうとしているじゃあないか。

 

152:太刀川隊の狙撃手

これを見過ごす彼じゃないですよ。

 

153:虚刀流のグラップラー

それって。

 

154:雄英志望の仮面ライダー

 

「間に合えッ!!?」

 

 

『Complete』

 

 

155:虚刀流のグラップラー

ライダーくんが"アクセルフォーム"にフォームチェンジした!?

 

156:サクラギ研究所のリサーチフェロー

そうか!

アクセルフォームの加速能力なら!!

 

157:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

間に合ってくれ!!

 

158:空座町の無下限呪術師

間に合うさ。

なにせ今からの彼は()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

私、蛙吹梅雨は今までに感じたことの無い"命の危険"に晒されていた。

 

運悪く自分のいた場所の近くに0Pの巨大仮想敵が現れては暴れ出して、崩れるビルの瓦礫に半身を埋められ逃げ出す事も儘ならない状態にいる。

 

巨大仮想敵は暴れながら前進し、あと数十秒後には自分を踏み潰す事が容易に想像出来た。

 

こんな状況の中、誰も私を助け出そうと動いてくれる人が周りに一人も居らず、自分の安全を優先する為に逃げ出していた。

 

(昔、こんな事を男の子に言われたことがあったかしら)

 

 

《おい、蛙吹。"潰れた蛙のモノマネ"やれよ》

 

 

まだ中学生になる前、意地悪なクラスメイトに揶揄われていた時の記憶が今になって甦る。

 

今から自分はその潰れた蛙の様になってしまうのだろうか。

 

ついこの間まで必死にヒーローを目指そうと努力してきた自分が、まさかこんな事になるなんて思ってもいなかった。

 

(嫌だ、死にたくない!死にたくない!死にたくない!)

 

まだヒーローになっていない。

 

()()()()()()()()

 

ヒーローを目指す自分を応援し、背中を押してくれた父と母、弟と妹に何も恩返しをしていない。

 

(お願い、誰か………)

 

 

「助けてっ!」

 

 

遂に巨大仮想敵は直ぐ傍にまで近づき、足元に倒れる自分を踏み潰そうとした次の瞬間、

 

 

『Start Up』

 

 

何処からか聞き慣れない音声が自身の頭上を通り過ぎる様に聞こえ、上へ視線を向けると、

 

自分の上を通り過ぎようとしていた巨大仮想敵の周りを赤い円錐状に光る"何かが"囲うように複数出現し、()()()()()それらが巨大仮想敵を貫通する。

 

「ケロッ!!?」

 

その間、何かが瓦礫に埋もれる自分の身体を引きずり出し、巨大仮想敵から遠ざけてくれた。

 

 

3(Three)

 

 

2(Two)

 

 

1(One)

 

 

『Time Out』

 

 

カウントダウンの様な音声が鳴り終わると同時に、穴だらけとなった巨大仮想敵に赤い大きな「Φ」の文字が浮かび上がり、ゆっくりと崩壊した。

 

崩れた巨大仮想敵だった物の向こう側には、銀色と黒色の人の形をした誰かが立っていた。

 

此方に振り向いたその人は、頭に二つに分かれたアンテナに半月の形をした赤く大きな複眼、サメを彷彿とさせるギザギザした口が特徴の仮面と、中のパーツが剥き出しになった胸部、銀色に輝くラインが全身を走り、腰には二つ折りの所謂"ガラケー"に似た機械が嵌められたベルトを腰に巻きつけられ、右脚にも何か筒状の機械が着けられていた。

 

 

『Reformation』

 

 

音声と同時に左右の肩に展開された装甲が胸部に閉じられ、複眼は赤色から黄色へ、銀色のラインは赤色に変化した。

 

 

目の前にいる自分を助けてくれたその人を、只々じっと見つめていると、

 

「良かった!蛙吹さん無事!?」

 

自分を心配する声を出したその人は大きくジャンプして此方に近づいて来た。

 

「見た感じ大きな怪我はしてないみたいだね。何処か痛い所はある?気分は?気持ち悪くない?」

 

「え、ええ。大丈夫よ。ちょっと足を痛めただけ」

 

「そうか、一先ず良かったよ。バジンもありがとう。お陰で蛙吹さんを助けられたよ」

 

彼の言葉に漸く自分を瓦礫から引っ張り出したのが別にいる事に気がつき、彼が話しかける方を見てみると彼よりも大きな銀色の人型ロボットが立っていた。

 

確かこのロボットは試験中に滑空飛行をしながら敵ロボットを攻撃していたところを度々見かけた。

 

「あの貴方はーー」

 

 

『ハイ、終了ーーー!!!』

 

 

彼に話しかけようとした直後、試験終了のアナウンスが報じられる。

 

「あ、試験終わったみたいだね」

 

「そ、そのようね」

 

そう言うと彼は腰のベルトからガラケー型の機械を取り外し、機械を開いてボタンを押す。すると突然彼の身体が赤く光り出し、あまりの眩しさに目を閉じる。

 

再び目を開くと、其処には知っている顔立ちをした少年が立っていた。

 

「か、佳面ちゃん!!?」

 

「そうだよ。あれ、気づいてなかった?声で分かると思ってたけど」

 

なんと先程の人は今日知り合ったばかりの男の子、佳面来太だったのだ。

 

「取り敢えず、蛙吹さんは早く医務室で治療してもらった方が良いよ。今はアドレナリンが分泌されて痛みを感じづらいかもしれないけど、後から腫れてくるかもしれないし。歩ける?」

 

「ええ、大丈夫ッーー!」

 

歩き出そうとした瞬間、バランスが崩れてしまい地面に倒れ込もうとしたら。

 

「危ない!!?」

 

倒れる前に彼が身体を抱き止めてくれた。

 

「〜〜〜〜〜!!!?」

 

自分よりも一回り大きな身体に密着した事に感情が気恥ずかしさで暴走する。

 

「歩くのは危険かもしれないな。……仕方ない、バジン。もう少し手伝ってくれるか?」

 

彼は人型ロボットに問いかけると、ロボットは人型からバイクに姿を変えた。

 

「今からバジンに乗って医務室まで送るよ。何かあってからじゃ遅いし。バイクの件は俺の責任だから気にしないでね」

 

そう説明すると彼は私の両脇に手を入れ、そのまま持ち上げるようにしてバイクに乗せてくれた。

 

「ま、待って!自分で行けるわ!!」

 

「ダメだ。さっきみたいに倒れるかもしれないし、こっちの方が早いから」

 

彼はそう言ってバイクに跨る。

 

「バイク乗った事ある?落ちないよう俺の腰に腕を回して出来る限り密着してね」

 

「こ、こうかしら」

 

言われるがままに彼の腰に腕を回し、出来るだけ彼の背中に密着させる。

 

「OK。それじゃあ、行くよ」

 

彼は手慣れた手付きでバイクを走らせる。

 

自分の表情は分からないが、尋常じゃない程の熱が顔に集まり、五月蝿いくらいに心臓が脈を打っているのは分かった。

 

足の痛みなんて分からないくらい、今の自分はどうにかなってしまっている。

 

(どうか、この熱と鼓動が彼に伝わりませんように)

 

私は只々それだけを願い、彼の背中にしがみ付いていた。




ファイズのヒロインであるバジンたんことオートバジンとのコンビで敵ポイント"131"P獲得(主人公73P、バジン58P)。

ファイズみたいに変身に人工衛星が必要なライダーの場合、変身する際に一時的に各々の人工衛星が宇宙に出現。姿は摩訶不思議な力による光学迷彩により見つかる可能性は"0"です。宇宙法とか色々法律はありますが、そこは【ご都合主義】で解決します(暴論)。

この作品の世界観では普通二輪・大型二輪・普通自動車の免許が15歳以上で取得可能と言う設定です。ただ、合格条件は従来の物より厳しくなっています。年齢制限下げないと主人公くんがバイクや車に乗れない仮面ライダーになってしまうので。


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幕間①『合格通知』

この話を投稿する日付に『スーパーヒーロー戦記』を観に行きました。
まさしく仮面ライダーとスーパー戦隊のそれぞれの記念を祝うお祭り映画でとても楽しめました。イマジンズも安定の存在感でしたし、オーマジオウの役割それで良いのか?と疑問に思ったり、ン我が魔王であるソウゴの戦い方がまさに魔王感あって見どころ一杯でした。
私的に一番のお気に入りシーンは或人社長のギャグが久しぶりに炸裂したシーンが良かったと思います。あれ?仮面ライダーの話しかしてないぞ。

そして今回の第5話は幕間です。
入試の後日談で、試験合格発表のお話となります。

スレお休みです。




入試から一週間が経過し、合格発表の通知が届くのを待ちながら俺はいつも通りの生活を送っていた。

 

古津狗(こつく)さん、洗い物終わったよ」

 

「お疲れ様ッス。来太くん賄い食べるッスか?」

 

「食べたい。今日は何?」

 

「今日は"カルボナーラ風グラタン"ッス」

 

「やった!チーズ増し増しで」

 

「了解ッス」

 

黒いエプロンとキャップ帽を身に纏い、灰色の髪とポニーテールが特徴の20代後半の青年は古津狗綾理( こ つ く りょうり)さん。

 

オヤっさんが経営するコーヒーショップ【Cafe"Torena"】の厨房を一人で任されている。

 

「お、"コックさん"賄い作るんですか?私も食べたいです!」

 

雪季野(せつきや)さんはまだ掃除が終わってないじゃないッスか」

 

「終わらせますんで私の分も作ってください!」

 

「はいはい、分かったッスから掃除お願いするッスよ」

 

「はいはーい!マッハで終わらせますよ!!」

 

「ゴミ一つでもあったらオーナーに怒られるッスよ……って、聞いてないし」

 

モップを持った淡いピンク色のボブカットをした20代前半の女性は凄い勢いで店舗スペースを掃除し始める。

 

彼女は雪季野久留美(せつきやくるみ)さん。

 

ウェイターのアルバイトをやっている大学生で、古津狗さんを"コックさん"と呼んでいる。

 

「そういえば来太くん、雄英の一般入試の合格通知そろそろ届くんじゃないッスか?」

 

「うん。だいたい一週間で合否決まるみたい」

 

「来太くんなら合格してると思うッスけどね」

 

すると店のドアが開き、その正体はトレーナーの仕事から帰って来たオヤっさんだった。

 

「ただいま。今日も皆お疲れ様」

 

「おかえり、オヤっさん」

 

「オーナー、お帰りなさいッス」

 

「お帰りなさい、オーナー!」

 

「来太、お前宛にコレが送られて来たぞ」

 

オヤっさんが手にしている赤い封をした封筒には俺の名前と送り先である"雄英高校"が書かれていた。

 

「ありがとう、オヤっさん。遂に来たか」

 

「それが合格通知ッスか?」

 

「おー!来太くん合格したんですか!?」

 

「まだ中身は開けておらんよ。どうする来太、お前一人で確認するか?」

 

「いや、折角だから皆で見ようよ。古津狗さんがちょうど賄い作ってくれるし」

 

「え、来太くんプレッシャーじゃないんスか?」

 

「一人で見ても皆で見ても結果は変わらないし、俺は良いよ」

 

「相変わらずの鋼メンタルッスね」

 

「私も見たいです!!」

 

「それじゃあ、食べ終わってから見るか。綾理くん、私の分も頼めるか?」

 

「はいッス」

 

そうして、合否の結果は賄いを食べた後に確認する事になった。

 

ちなみに古津狗さんの作ったカルボナーラ風グラタンは凄く美味かった。

 

 

ーーーーー食事後ーーーーー

 

食事を済ませ、いざ封筒の封を開けると中には手の平サイズの円盤状型の端末が入っていた。

 

「中身は端末が一つだけか」

 

「見た感じボイスレコーダーには見えんが」

 

「まさか、スパイ映画みたいに数十秒後に爆発するんじゃ!!?」

 

「そんな訳ないじゃないッスか」

 

徐ろに端末を触ってみる。

 

すると、

 

『私が投影された!!!』

 

端末の中心から映像が投射され、何故かNo.1ヒーローのオールマイトが現れた。

 

「オールマイト!?」

 

「どうやら投影機のようだな」

 

「最近の機械って凄いッスね」

 

「あ、オールマイトだ」

 

俺がオールマイト登場に驚いている隣で三人は全く動じず各々の感想を口にする。

 

「皆、オールマイトについては驚かないの?」

 

「あまりヒーローについて知らんしな」

 

「オールマイトファンじゃないッスから」

 

「私はイケメンヒーローにしか興味ありません!!」

 

「………そっか」

 

あまりの反応の薄さに俺は何も言えなかった。

 

『何故私が受験生の合格通知に参加しているのかって?その答えはだね、私が雄英高校に教師として赴任することになったからだよ』

 

なんとオールマイトが雄英で教師をするそうだ。

 

(もし入学する事になったらオールマイトの授業を受ける事があるのかもしれないな)

 

『それでは佳面少年。君の試験結果を発表しよう』

 

『筆記は平均98点!!問題なく合格だ。そして、実技の方はーー』

 

『敵撃破131P!勿論合格だがこの時点で首席合格だ!!!まさかロボットを召喚して連携しながらポイントを稼ぐなんてアメイジングな方法を取るとは誰も予想しなかった!!試験官側も驚いてたぜ!!!」

 

「よしッ」

 

「やったな来太!!」

 

「おめでとうッス、来太くん!」

 

「凄いですよ!首席で合格なんて!!?」

 

『しかし!私たち試験官が見ていたのはそれだけではない!』

 

合格が決まった事に喜んでいるとまだ話が続いていた。

 

『見ていたのは敵ポイントだけにあらず!実は審査制の救助活動(レスキュー)ポイントも存在していた!人助けを、正しいことした人間を排斥しちまうヒーロー科などあってたまるかって話だよ!』

 

『綺麗事?上等さ!ヒーローってのは命懸けで綺麗事を実戦するお仕事だ!!』

 

『救助活動ポイントは75P!合計で206P!!雄英の歴史上、誰も成し得なかった200点台。君は入学する前に一つ、雄英の伝説を塗り替えるという快挙を成し遂げた!!おめでとう!!!』

 

『来いよ少年、雄英(ここ)が君のヒーローアカデミアだ』

 

最後まで流れ終わったのか、そこで映像が消える。

 

一先ず雄英に入学する事が決まった。

 

しかし、()()()()()()()()()()()()

 

寧ろ大変になるのはその後だろう。

 

そう考えていると、オヤっさんが俺の頭をクシャっと撫でる。

 

「お前のことだ。入学後が寧ろ大変になると考えておるんだろ?けどな、今はお前が合格した事を祝おうじゃないか。綾理くん、アレはもう出来とるかな?」

 

「勿論ッス」

 

古津狗さんは頷き、厨房に入り冷蔵庫から大きなチョコクリームのホールケーキを取り出す。

 

上に載っているチョコプレートには"来太 合格おめでとう!!"と書かれていた。

 

「オーナーに頼まれて作っておいたんス。改めて来太くん、合格おめでとうッス!」

 

「ッ!!?ありがとう、オヤっさん!古津狗さん!」

 

あまりのサプライズプレゼントに思わず嬉しさで泣きそうになる。

 

「えー!?なんで二人だけでサプライズしてるんですか!私も混ぜてくださいよ!!」

 

「だって雪季野さんサプライズ出来ないじゃないッスか。絶対来太くんに気づかれると思って黙ってたんス」

 

「んだとーーー!!!」

 

「まあまあ、それより早く食べよ。ナイフとフォーク持ってくるよ」

 

「私も2階からワインを持ってくるとするか。綾理くんも久留美くんも飲むか?」

 

「是非戴くッス」

 

「やったー!!コーラで割ろっと」

 

「コーラなんて厨房に無いッスよ」

 

「今からコンビニに買ってくるんです!」

 

「久留美さんちょっと待って、俺も行くよ」

 

「ありがと来太くん!」

 

この後合格祝勝のプチパーティーが開かれ、皆で俺の合格を祝ってくれた。




人物紹介

古津狗 綾理(こつく りょうり)

年齢 27歳

人物像
元々一流レストランでコックをやっていたが藤兵衛のコーヒーに惚れ込み、彼のコーヒーに合う究極の料理を作るべく「Cafe"Torena"」の厨房担当で働く。
語尾に「〜ッス」を付ける癖がある。
本人は否定しているがかなりの美形。
好きなヒーローはエッジショット。


雪季野 久留美(せつきや くるみ)

年齢 20歳

人物像
大学生2年生のアルバイト。家から近いバイトを探してたら徒歩3分にある「Cafe"Torena"」を見つけてウェイターとして働く。
カワイイ系のイマドキ女子。
ホークスやベストジーニストの様なイケメンヒーローが好きで、逆にオールマイトやエンデヴァーの様なオッサンヒーローに興味が無い。


Cafe"Torena"(カフェ"トレナ")
取那藤兵衛が経営するコーヒーショップ。藤兵衛のオリジナルブレンドコーヒーと綾理の作る料理が店の名物。来太も手伝いでウェイターをしており、ウェイターの来太と厨房の綾理を目当てに多くの女性客がリピーターとなっている。3階建ビルの1階が店、2・3階は取那家となっている(モデルは某探偵漫画のアレ)。


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5スレ

お気に入りが200件を突破しました。
ご登録してくれた皆様ありがとうございます!
そしてこの作品を読んでくれた皆様も感謝致します。

これからも頑張って投稿していきますのでよろしくお願いします。

只今ピックアップガチャ候補のアンケートを行っています。
予定としては7月末までとしてますので、読むついででよろしいのでご回答お願いします。

現在の中間結果は

1位『ダークライダー』ピックアップ
2位『ガンナー系ライダー』ピックアップ
3位『主役ライダー』ピックアップ

ご回答してくれた皆様ありがとうございます。
しかし、ダークライダー好きが多いですね。ちょっと予想外でした。
投稿の順番としては3位〜1位の順でいきたいと思います。

そして今回の第6話は2度目のガチャ回です。
スレも復活します。


【ライブ配信モード】

 

1:雄英の仮面ライダー

雄英入学が決まりましたので記念にガチャをやっていきます。

 

2:空座町の無下限呪術師

おめでとう!

 

3:杜王町の幽波紋使い

本当よく頑張った。

 

4:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

応援してた側として凄く嬉しいよ。

 

5:虚刀流のグラップラー

ライダーくんの努力が報われて俺も嬉しいです!

 

6:サクラギ研究所のリサーチフェロー

また一歩夢へ近づけてよかったです!

 

7:太刀川隊の狙撃手

入学後でも頑張ってください。

 

8:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺たちは引き続き応援してます!

 

9:雄英生の仮面ライダー

>>2>>3>>4>>5>>6>>7>>8

ニキたちの皆さん、ありがとうございます!

これからもプロヒーローになれるよう頑張ります!

 

10:空座町の無下限呪術師

それで、今回のガチャはどんなの?

 

11:雄英生(仮)の仮面ライダー

今回のガチャは作品ガチャで、【仮面ライダーエグゼイド】のピックアップガチャとなります。

 

12:サクラギ研究所のリサーチフェロー

エグゼイド!?

平成2期でもパワーインフレが激しかった作品で有名の!?

 

13:空座町の無下限呪術師

宝生永夢ゥ!

何故君が適合手術を受けずに………エグゼイドに変身出来たのか。

何故ガシャットを生み出せたのか、何故変身後に頭が痛むのかァ!

 

14:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

それ以上言うな!

 

15:空座町の無下限呪術師

その答えはただ一つ………!

 

14:太刀川隊の狙撃手

やめろォォォ!

 

15:空座町の無下限呪術師

ハァァァ………宝生永夢ゥ!

 

16:虚刀流のグラップラー

(無言で走り出す)

 

17:空座町の無下限呪術師

アハァー。

君が!

世界で初めて………!

バグスターウィルスに………!!

感染した男だからだァァア゛ーーーーーッハハハハッ!!

ア゛ーーッハーッハーッハーッハッ!!!

ア゛ーーッハーッハーッハーッハッ!!!

 

18:雄英の仮面ライダー

僕が………ゲーム病………?

嘘だ、僕を騙そうとしている………!

 

19:杜王町の幽波紋使い

…………何だこれ?

 

20:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

皆唐突にエグゼイドごっこ始まるな!!?

幽波紋ニキが置いてけぼりになってるでしょうが!!

 

21:空座町の無下限呪術師

いやー、この流れはやらなきゃでしょ。

 

22:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺も呪術ニキに続かなきゃと思って。

 

23:太刀川隊の狙撃手

下に同じです。

 

24:虚刀流のグラップラー

以下略。

 

25:雄英の仮面ライダー

俺も乗ったほうが良いと思いまして。

 

26:杜王町の幽波紋使い

始めるのは全然良いんだが、出来れば説明が欲しかったな。

 

27:空座町の無下限呪術師

いやー、ゴメンね♪

 

28:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

この人の悪ノリ具合加速してない?

もうツッコむの疲れたんだけど……。

 

29:太刀川隊の狙撃手

心労お察しします。

 

30:虚刀流のグラップラー

それで、ライダーくんは今回何目当てなの?

 

31:サクラギ研究所のリサーチフェロー

エグゼイド系はどれもカタログスペック高水準だし、ラスボス系ライダーのクロノスは能力チートだからな。

 

32:雄英の仮面ライダー

今回俺が狙うのは仮面ライダーパラドクスです。

 

33:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

パラドクス!?

敵側の主人公ポジで終盤に主人公の相棒になったライダーの!?

 

34:雄英の仮面ライダー

パラドクスはエナジーアイテムを自在に使いこなしたり防御貫通攻撃を持ってますので、これからの事を考えると手に入れた方が良さそうだと思いまして。

 

35:サクラギ研究所のリサーチフェロー

たしかに、自らにバフを掛けれる上に幾ら相手が硬かろうと100%ダメージを与えるのは強い能力だな。

 

36:太刀川隊の狙撃手

>>35

ポケモンニキ、トレーナー脳になってますよ。

 

37:虚刀流のグラップラー

職業柄仕方ないって。

 

38:空座町の無下限呪術師

それじゃあパラドクスが出るまで引くつもりなのかな?

 

39:杜王町の幽波紋使い

申し訳ないが、今回もどのライダーが対象なのか教えてくれないか?

 

40:雄英の仮面ライダー

勿論です。

レアリティはこのような感じになっています。

 

【LR】

仮面ライダーエグゼイド

仮面ライダーゲンム(レベル0)

仮面ライダークロノス

 

【SR】

仮面ライダーブレイブ

仮面ライダースナイプ

仮面ライダーゲンム

仮面ライダーゲンム(ゾンビゲーマーレベルX)

仮面ライダーパラドクス

仮面ライダーレーザーターボ

仮面ライダートゥルーブレイブ

仮面ライダー風魔

仮面ライダーアナザーパラドクス

 

【R】

仮面ライダーレーザー

 

【N】

ライドプレイヤー

 

 

41:虚刀流のグラップラー

今回もLRとSRに偏ってるな。

 

42:太刀川隊の狙撃手

能力的に仕方の無い事ですけどね。

 

43:空座町の無下限呪術師

それじゃあ引いていこうか。

 

39:雄英の仮面ライダー

はい。

ちなみに今回はガチャの演出はスキップします。

 

40:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)

俗に言う【スキップ教】か。

 

41:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

時間短縮にもなりますしね。

 

42:雄英の仮面ライダー

そうですね。

それでは引いていきます。

 

そりゃッ!

からのスキップ!!

 

【10連目結果】

仮面ライダーアクセル【SR】

仮面ライダーレーザー【R】

ライドプレイヤー【N】

仮面ライダーザビー【R】

仮面ライダーブレイブ【SR】

仮面ライダーG3【N】

仮面ライダー亡【R】

仮面ライダースラッシュ【R】

仮面ライダーパラドクス【SR】

仮面ライダー威吹鬼【R】

 

 

………や、やったーーー!!?

 

43:サクラギ研究所のリサーチフェロー

10連目一発で当てただと!?

 

44:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

マジか!?

運強すぎだろ!

 

45:虚刀流のグラップラー

スゲェ!

 

46:空座町の無下限呪術師

とても前回ZOを引けなかったライダーくんの引きとは思えない!?

 

47:雄英の仮面ライダー

ヤメロォォーーー!!

人のトラウマを掘り返さないで下さい!?

 

48:杜王町の幽波紋使い

取り敢えず、引けて良かったな。

 

49:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

長引かないで良かったよ。

 

50:太刀川隊の狙撃手

爆死が一番怖いですからね。

 

51:雄英の仮面ライダー

ですね。

一先ずこれでガチャは終了します。

 

52:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

あれ!?

他は引かないんですか!?

エグゼイドやクロノスとか。

 

53:雄英の仮面ライダー

狙っていたライダーの力が手に入ったので充分です。

今はそこまでチート能力が必要という事でも無いので。

 

54:杜王町の幽波紋使い

引き際を見極めるのも大事だぞ。

 

55:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

無理に引いて後で引きずるよりマシだしね。

 

56:空座町の無下限呪術師

それに大量にガチャを引いても力を使いこなせないなら意味ないしね。

入学まで時間あるからまた特訓付き合おうか?

 

57:杜王町の幽波紋使い

>>56

俺も戦闘訓練なら協力出来るぞ。

 

58:虚刀流のグラップラー

俺も手伝います。

体捌きとか格闘術なら。

 

59:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺も協力します。

円卓の力ならライダー相手にもある程度戦えますし。

 

60:雄英の仮面ライダー

ありがとうございます!

申し訳ありませんがよろしくお願いします。




今回は作品ピックアップガチャという事で【仮面ライダーエグゼイド】ガチャ回でした。

補足として何故ゲンム(レベル0)がLRなのかというと、レベルビリオン込みでレア度がLRになっております。
それとポッピーがガチャ対象外になっているのは、全体的に女性ライダーが省かれているからと思って下さい。ですのでファムやバルキリーやサーベラもガチャ対象外です。

エグゼイドと言ったら宝条永夢ゥ!のくだりが伝説なのでスレに取り入れました。

次回から雄英入学編が始まります。
これから主人公くんに待ち受けるものとは……!?

乞うご期待。


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雄英入学〜USJ襲撃事件編
6スレ


第7話投稿します。

只今アンケート募集中ですので宜しければご協力お願いします。

某動画サイトでヒロアカの新作映画のPVを観ました。観た感想としては、………ちょっと劇場版ゼロワン『REAL×TIME』に似てね?と思いました。

敵はオカルト集団、世界中にガスっぽい兵器を使ったテロ活動、人類を解放する。この映画にもしウチの主人公が参戦したら或人社長みたいに黒幕と戦いそうだなと思いました。そうなるとあのトラウマフォームになってしまいそうですが……(ヘルライズ!)。




冬が終わり、4月ーーー。

 

今日から俺は雄英高校へ入学する。

 

「佳面くーん!お待たせ!!」

 

「おはよう、葉隠さん」

 

よく使う待ち合わせ場所に雄英の女子制服を着た葉隠さんが現れる。

 

「遂に今日から私たち雄英生だよ!ワクワクするね!」

 

「そうだね。制服、良く似合ってるよ」

 

「えへへ〜、ありがと!佳面くんも似合ってるね」

 

「そうかな。中学と違ってブレザーだからちょっと不安だったんだけどね」

 

「うんうん、カッコいいよ!」

 

「ありがとう。それじゃあ、行こうか」

 

「うん!」

 

駅まで移動し、電車を使って学校へ向かう。

 

 

ーーーーー雄英高校 1年A組教室前ーーーーー

 

 

「扉大きいね、佳面くん」

 

「バリアフリー対策かな。異形型の生徒でも入れるようにしているのかも」

 

目の前の大きな扉が気になりつつも教室に入ると20人分の机と椅子が並べられており、数人が既に指定された席に座っていた。

 

「おはよう!君たちもA組だな」

 

自分たちの席が何処なのか確認しようしていたら、眼鏡を掛けた男子生徒が話しかけてきた。

 

「おはよう。席は決まっているのかな?」

 

「ああ、扉側から名前の五十音順となっている。黒板に席順が掲示されているから確認するといい」

 

「ありがと!私は葉隠透!こっちが」

 

「佳面来太。これからよろしく」

 

「ぼ、……俺は飯田天哉だ!此方こそよろしく頼む、佳面くん!葉隠くん!」

 

クラスメイトになる飯田と挨拶を交わし、黒板に掲示された名前を確認して自分たちの席に座る。

 

 

数分後ーーー。

 

 

続々とクラスメイトが教室に入って来たなかで、入試で知り合った蛙吹さんがいた。

 

「久し振り、蛙吹さん」

 

「ケ、ケロッ!?ひ、久し振り、佳面ちゃん」

 

此方の挨拶に蛙吹さんは緊張気味に返した。

 

「同じクラスになれて嬉しいよ。やっぱり顔見知りの人が居ると安心するね」

 

「そうね、私も嬉しいわ」

 

「それとラインありがとね」

 

「いいえ、此方こそ。いつも返信が遅くなっちゃってごめんなさい」

 

「全然良いよ」

 

あの実技試験の後、彼女を医務室まで送った際にお互いの連絡先を交換し、合格を報告し合ったり色々と連絡をとっていた。

 

「あ、梅雨ちゃんだ!?久し振りー!」

 

「久し振りね、透ちゃん」

 

葉隠さんも蛙吹さんに駆け寄って挨拶を交わす。

 

会ったのは1日だけの筈なのにここまで仲が良いのは葉隠さんの人懐っこい性格と高い社交性が見てとれる。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

12:虚刀流のグラップラー

いやぁ、やっと大擂台賽が終わって日本に戻って来れました。

 

13:空座町の無下限呪術師

お疲れサマンサー!

 

14:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

怪我はしてない?

 

15:虚刀流のグラップラー

なんとか。

寂海王に勝った後日米同盟チームとして烈さんと勝負して勝ちました。

マジであの人強過ぎです。

 

16:杜王町の幽波紋使い

あの烈海王に勝ったのか。

凄いな。

 

17:太刀川隊の狙撃手

これで闘いを申し込む人たちがまた増えそうですね。

 

18:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ある意味ハーレムですねwww。

 

19:虚刀流のグラップラー

そんなハーレム、こっちから願い下げじゃボケェ!!

ただえさえ勇次郎さんや郭海皇に対戦を申し込まれたのを必死で逃げてきたんですよ!?

 

20:サクラギ研究所のリサーチフェロー

グラップラーニキもかなり修羅場だったみたいですね。

俺の方もガラル地方でダイマックスが多発的に起こる現象を調査したら、案の定ムゲンダイナが関係しててチャンピオンのダンデさんやキバナさんと協力して事件を解決して来ました。

 

21:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

トレーナーニキも大変だったんだね。

 

22:太刀川隊の狙撃手

それってつまり、ザシアンとザマゼンタに会ったんですか?

 

23:サクラギ研究所のリサーチフェロー

そうです。

サトシくんとゴウくんが2匹を呼び出して一緒に戦ってくれました。

そこに何故かイッシュ地方に居るはずのコバルオン・テラキオン・ビリジオン・ケルディオも来てくれました。

 

24:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>23

何でイッシュの聖剣士ポケモンたちが!?

 

25:虚刀流のグラップラー

まさかカンムリ雪原から来たのか!?

 

26:サクラギ研究所のリサーチフェロー

それは分かりませんが。

それと何故かケルディオが俺に懐いてきて、そのままゲットする事になりました。

 

27:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

幻のポケモンを捕獲しただと!?

 

28:空座町の無下限呪術師

え?

ケルディオって幻ポケモンだったの?

てっきり準伝説だと思ってた。

 

29:杜王町の幽波紋使い

俺はポケモンやってこなかったからよく分からないが、そのケルディオは珍しい個体なのか?

 

30:太刀川隊の狙撃手

一応ミュウと同じ幻のポケモンですからね。

ゲームだと剣盾のDLCで簡単に捕獲が出来ますけど。

 

31:雄英の仮面ライダー

グラップラーニキもトレーナーニキもお疲れ様です。

 

32:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ライダーくん!?

 

33:虚刀流のグラップラー

そっちは入学式だっけ。

 

34:杜王町の幽波紋使い

入学おめでとう。

 

35:雄英の仮面ライダー

ありがとうございます。

その筈だったんですが、突然担任の教師が現れて「体操着に着替えてグラウンドに集合しろ」と言われたので今はグラウンドに移動中です。

 

36:空座町の無下限呪術師

遂に来たね、個性把握テストが。

 

37:雄英の仮面ライダー

個性把握テスト?

 

38:太刀川隊の狙撃手

個性を使った体力テストの事だよ。

 

39:虚刀流のグラップラー

まあ、ライダーくんの実力なら大丈夫でしょ。

 

40:杜王町の幽波紋使い

ああ。

緊張せず、いつも通りにやれば問題ない筈だ。

 

41:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

頑張れ!

 

42:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

応援してるよ!

 

43:雄英の仮面ライダー

分かりました。

俺頑張ります!!

 

44:空座町の無下限呪術師

頑張れ!

じゃないと除籍されるよ!

 

45:雄英の仮面ライダー

>>44

え?

除籍?

 

46:虚刀流のグラップラー

呪術ニキ!

いらん事言わないで下さい!

 

47:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ライダーくんは気にせず頑張れよ!

 

48:雄英の仮面ライダー

分かりました。

それでは一旦ライブ配信モードに切り替えます。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「「「個性把握テスト!!?」」」

 

「入学式は?ガイダンスは?」

 

「ヒーロー目指すならそんな悠長な行事に参加する余裕無いよ」

 

突然のテスト開始にクラスメイトたちは驚愕し、麗日さんが質問すると担任教師の相澤先生はだらけきった声で答える。

 

「雄英は『自由な校風』が売り文句。そしてそれは教師側もまた然り」

 

「中学の時にやった事があるだろ?個性使用禁止の体力テスト。国の決めた平均的な数値をとるためのテスト。合理性に欠ける。まあ、文科省の怠慢だな」

 

すると相澤先生は俺の方を見る。

 

「実技入試の首席は佳面だったな。中学でのソフトボール投げの記録は?」

 

「76mです」

 

「今から個性を使ってコレを投げてみろ。円から出なければ何をしても良い」

 

そう言ってディスプレイが搭載されたソフトボールを渡される。

 

「個性使うのに少し時間掛けますが良いですか?」

 

「なるべく早くしろ」

 

「分かりました」

 

そう言って俺は円の中心に立ち、左手に【ガシャットギア デュアル】を実体化させる。

 

「手から何か出したぞ」

 

「何だろあれ?」

 

「ゲームのカセット?」

 

突然出てきたガシャットに周りは困惑する。

 

周りを気にせず、そのままガシャットのダイヤル部分【アクチュエーションダイヤル】を回して「パーフェクトパズル」を選択する。

 

 

『パーフェクトパズル!』

 

 

『What's the next stage! What's the next stage!』

 

 

ガシャットが起動し、俺の背後から「パーフェクトパズル」のゲーム画面が出現し、ゲームエリアを展開すると同時にエナジーアイテムが周囲にばら撒かれる。

 

「うわ!?何だ!!?」

 

「空中にゲーム画面と一緒に何か出てきた!!?」

 

「何の個性だよ!?」

 

周りが驚いている様子に思わず苦笑いする。

 

「変身」

 

 

『DUAL UP!』

 

 

『Get the glory in the chain! PERFECT PUZZLE!』

 

 

【デュアルアップスターター】を押し、データ実体化装置【GGハイパーモジュール】にパズルゲーマーが表示され、キャラクター画面が目の前に出現してそのまま身体を通る事で【仮面ライダーパラドクス パズルゲーマーレベル50】に変身完了する。

 

「変身した!?」

 

「凄え!」

 

「見た目は奇抜だけど!」

 

そのまま散らばったエナジーアイテムを空中に集め、連鎖するように左手で操作する。

 

 

『マッスル化』

 

 

『マッスル化』

 

 

『マッスル化』

 

 

連鎖された3つのエナジーアイテムを選択し使用した事で、身体中に力が漲る。

 

「せぇ、っの!!」

 

後は思いっきりボールを投げると、轟音と共にボールは目にも止まらない程の速度で大空へ飛んでいった。

 

ボールが地面に落ちたのか、相澤先生は持っていた端末を皆に見せる。

 

端末のディスプレイには「5,640m」表示されていた。

 

「5,000って事は……5km!!?」

 

「マジかよ!?いきなり4桁!!?」

 

「『個性』を遠慮なく使えるなんて流石ヒーロー科だぜ!」

 

「すげぇ面白そう!」

 

俺の記録を見てクラスメイトたちはテンションを上げる。

 

「面白そう、か……。ヒーローになるための3年間を、そんな腹づもりで過ごす気でいるのか?」

 

「ではこうしよう。トータル成績最下位の者はヒーローの見込み無しと判断し、除籍処分とする」

 

「「「ええええっ!!?」」」

 

驚く生徒の殆どが突然の除籍通告に相澤先生を抗議していると、俺の元へ葉隠さんと蛙吹さんが寄ってくる。

 

「佳面ちゃん、さっき相澤先生が言ってた除籍って本当かしら」

 

「多分、嘘を言う程あの先生はユーモアじゃ無いと思う。"本当に見込みの無い人は除籍させる"って目をしてるから」

 

「うわ〜、大変なことになったね」

 

不安そうな2人に対し、俺は言う。

 

「あれだけ言われたら、俺たちも結果を残せば良い」

 

「それにこんな序盤の難関で躓くようじゃ、ヒーローなんてなれない。でしょ?」

 

俺が少し挑発めいた事を言うと、2人は目つきを変える。

 

「そうだよ!私たちはプロヒーローを目指す為に雄英に来たのに、こんなところで負けてられないよね!!」

 

「そうね、私たちの本気を先生に見せつけましょう」

 

「その意気。やってやろうよ、2人とも」

 

「「うん!/ええっ!」」

 

こうして入学初日に突如、除籍を賭けた体力テストの幕が上がる。




遂に始まった除籍を賭けた個性把握テスト。
果たして主人公たち1年A組はこの難関を突破出来るのであろうか。

後半へ続く!


仮面ライダー紹介

仮面ライダーパラドクス

レア度【SR】

出典『仮面ライダーエグゼイド』


スレ民の進捗情報

虚刀流のグラップラー
範馬勇次郎に中国へ連れて行かれ、大擂台賽に出場すると、初戦に寂海王と激突し勝利する。この後中国チームと日米同盟チームの団体戦で烈海王を対決。苦戦するも虚刀流・奥義の一つ"落花狼藉"で勝利する。
団体戦終了後は勇次郎と郭海王に勝負を申し込まれるが必死に逃げ切り、日本へ帰国する。


サクラギ研究所のリサーチフェロー
ガラル地方全体で起きるダイマックス大量発生の調査を行い、ローズの企みを阻止する為にサトシ・ゴウ・ソニア・ダンデ・キバナと共に立ち向かう。途中ザシアンとザマゼンタ、イッシュ地方の聖剣士ポケモンたちと協力してムゲンダイナを撃退、捕獲に成功する。ケルディオに懐かれ、新たな家族として向かい入れる。


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7スレ

この作品のお気に入り登録数が300件を突破しました!
度々ですがご登録してくれた皆様とこの作品を読んでくれた皆様に深く感謝致します。

今回で個性把握テストは終了です。
それでは、どうぞ。


【ライブ配信モード】

 

49:杜王町の幽波紋使い

初日で除籍はキツく無いか?

 

50:虚刀流のグラップラー

ライダーくんの世界は超能力を使った犯罪が多いですからね。

自然災害も含めるとかなりの被害が出るんですよ。

 

51:太刀川隊の狙撃手

自分たちの行動に少しでもミスがあれば死者が出るかもしれないですし、厳しくするのが当たり前だと思います。

 

52:サクラギ研究所のリサーチフェロー

こっちの世界でもポケモンの密猟や裏で取引されてるケースもありますので、他人事に感じないんですよね。

……ロケット団やっぱ許せねえ。

 

53:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺のいる世界も悪の組織が世界征服してくる事が多々あるんで、相澤先生の言う事に共感は出来ますけど、今うまく出来なくても次で成長すれば良いって思ってしまうのはあります。

 

54:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

こっちはドラゴンが人間世界に来たりしてるけど、割りかし平穏だから他の皆みたいな危険な目にはあまり遭ってなかったからなぁ。

 

55:空座町の無下限呪術師

まあ価値観なんて人それぞれだし、世界が異なると余計にそうじゃない?

それよりライダーくんの活躍を見守ろうよ。

 

56:杜王町の幽波紋使い

そうだな。

最初の種目は50m走みたいだ。

 

57:虚刀流のグラップラー

飯田くんやっぱ速え、3秒台とか車じゃないですか。

 

58:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

隣で走ってる梅雨ちゃんでも5秒台ですからね。

やっぱり個性持ちは身体能力が凄い。

 

59:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

あ、次はライダーくんみたい。

 

60:太刀川隊の狙撃手

またエナジーアイテムを選択してるみたいですね。

 

61:雄英の仮面ライダー

「よし、次はコレで」

 

 

『高速化』

 

 

『高速化』

 

 

『高速化』

 

 

62:空座町の無下限呪術師

うわっ、高速化3枚重ね。

絶対速いじゃん。

 

63:杜王町の幽波紋使い

結果は【0.11875秒】。

流石に速過ぎるな。

 

64:サクラギ研究所のリサーチフェロー

俺たちはライダーくん視点で観てますけど、周りが殆ど止まって見えましたし、ライダーくんがゴールした後は当然周りは驚いてますね。

飯田くんは膝をついて落ち込んでますけど。

 

65:虚刀流のグラップラー

能力をフル活用したパラドクスには生徒では太刀打ち出来ないって。

プロヒーローでも難しいだろうし、タメ張れるのはオールマイト位ですかね。

 

66:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お、葉隠さんはギリ7秒台。

結構速いね。

 

67:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

次は握力測定。

まあ、結果は分かるけど。

 

68:杜王町の幽波紋使い

しかし色んな方法で測る子たちがいるな。

尻尾を巻きつけたり、腕を複数生やしたり、あのポニーテールの子は万力を使ってるし。

 

69:雄英の仮面ライダー

「次は、またコレでいくか」

 

 

『マッスル化』

 

 

『マッスル化』

 

 

『マッスル化』

 

 

「バギッッッ!!」

 

「あ」

 

「………【測定不能】」

 

70:サクラギ研究所のリサーチフェロー

あーあ、案の定握力計ぶっ壊したよ。

 

71:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

グシャグシャじゃん。

相澤先生も一瞬唖然としてるし。

 

72:太刀川隊の狙撃手

3種目は立ち幅跳び。

次はどう出るか。

 

73:雄英の仮面ライダー

 

 

『ジャンプ強化』

 

 

『ジャンプ強化』

 

 

『ジャンプ強化』

 

 

「跳び過ぎたーーーー!!!」

 

「アイツ砂場飛び越えたぞ!!?」

 

「てか対空時間長え!?殆ど飛んでるじゃん!!?」

 

「佳面、着地したら直ぐ戻ってこい。【∞】扱いにしといてやる」

 

「分かりましたーーー!!!」

 

74:虚刀流のグラップラー

【∞】って何ぞや。

測定でそんなのアリか?

 

75:空座町の無下限呪術師

アリでしょ♪

 

76:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

4種目は反復横跳びか。

 

77:太刀川隊の狙撃手

もうライダーくんが何しても驚かないです。

 

78:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

またぶっ飛んだ記録を出しそうだしね。

 

79:雄英の仮面ライダー

 

 

『分身』

 

『高速化』

 

 

「「「「「よし、やりますか!」」」」」

 

「5人に分身した!!?」

 

「もう何でもアリだろ!!?」

 

「先生アレってアリなんですか!?」

 

「………アリだ」

 

80:サクラギ研究所のリサーチフェロー

もう相澤先生もライダーくんの無双具合に呆れてるよ。

 

81:杜王町の幽波紋使い

結果は分身体込みで【1530回】。

やり過ぎてるな。

 

82:太刀川隊の狙撃手

次はソフトボール投げか。

あ、ライダーくん今度は素の状態で投げた。

 

83:虚刀流のグラップラー

それでも【705m】か。

やっぱりパラドクスのスペック高いな。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「緑谷出久。お前の"力"じゃヒーローにはなれないよ」

 

ボールを投げようとした一瞬、相澤先生が個性【抹消】で緑谷の個性を消し、厳しい言葉を告げる。

 

周りの俺たちは、ただ先生から通告を受ける彼を見ていた。

 

「緑谷くん、大丈夫かな。このままだと危ないんじゃ」

 

「麗日さんと飯田の話だと、緑谷の個性は実技試験の0Pを殴った腕まで壊れる程のパワーらしい。ボールを投げようとした際もその個性を使おうとしたんだと思う」

 

「けど仮に腕を壊してまで記録を出したとしても、それだと次の種目に大きな支障が出てしまうわ。多分先生もそれを踏まえて緑谷ちゃんに通告しているのだと思う」

 

冷酷無慈悲な態度をしていても仮にもプロヒーローだ。

 

目の前で大怪我をするかもしれない生徒をただ観てるだけなんて事はしない。

 

しかし、2投目で緑谷は結果を出した。

 

自身を破壊してしまう程のパワーを最低限の損傷に抑える為に人差し指のみに集中させてボールを投げた。

 

その結果、【705.03m】。

 

爆豪の【705.02m】を僅かながら越える記録を彼は出したのだ。

 

「どう言う事だ!?説明しろクソデクゥゥッ!!!」

 

自分の記録を越えられた事が気に入らなかったのか爆豪は緑谷に飛び掛かろうした。

 

しかし、

 

「はい、ストップ」

 

「がっ!!?」

 

俺は緑谷に襲い掛かろうとした爆豪を地面に取り押さえ、両腕を拘束する。

 

「離しやがれ変身野郎っ!!!」

 

「"変身野郎"か、的を射たあだ名だね。まあ一先ず落ち着きなよ、君は今緑谷に襲い掛かろうとしただろ?ヒーローを目指しているのなら無闇に個性で危害を加えようとしない方がいい。そんな事したら君は(ヴィラン)と同じになってしまう」

 

「説教垂れてんじゃねぇぞ!!ぶっ殺されてのか!?アァ!!」

 

「そこまでだ」

 

すると相澤先生が爆豪を睨みながらこっちへ近づいてきた。

 

「佳面、よく取り押さえてくれた。それと爆豪、今回は未遂で済んだが次同じ事やる様なら問答無用で除籍にする。分かったら待機してろ、邪魔だ」

 

「……クソがッ!!」

 

悪態をついて爆豪は苛立ちながら離れて行く。

 

「すみません相澤先生」

 

「お前は何も悪くないだろ。お前も次の種目まで待機しろ」

 

「はい」

 

先生に頭を下げ、俺は葉隠さんと蛙吹さんのいる所へ戻る。

 

「大丈夫だった佳面くん?」

 

「うん、けど余計に目立ってしまった。ただえさえ種目やる度に周りからの視線が集まってたのに」

 

「けど佳面ちゃんは爆豪ちゃんを止めようとしたもの、気にする必要なんて無いわ」

 

「あ、あの!」

 

彼女たちと話していると緑谷が痛めた指を押さえながら近づいてきた。

 

「た、助けてくれてありがとう」

 

「気にしないで、あのまま爆豪が君を襲い掛かろうとしたとしても先生が止めに入ってただろうし、目の前であんな事が起きようとしてたら誰だって止めに入るよ。………それより指診せて」

 

お礼に応え、直ぐに緑谷の右手を手に取り、人差し指の状態を診る。

 

「折れてるね、随分と無茶な事をするな君は。動かすのもすごく痛いだろ?」

 

「う、うん。けど、こうしないと次の種目がやれないし、そもそも力の調整が出来ないから」

 

「馬鹿、それでも怪我して良い理由にはならないだろ。ちょっと待ってて」

 

俺は一度変身解除して上着のポケットからテーピング用のテープを取り出し、緑谷の負傷した人差し指を中指と一緒に巻きつける。

 

「痛いだろうけどしないよりマシになると思う。圧迫した感じはしないかな?それなら緩めるけど」

 

「う、ううん!大丈夫。ありがとう、えっと」

 

「佳面来太だよ。よろしく緑谷」

 

「私は葉隠透!よろしくね緑谷くん!」

 

「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んでね、緑谷ちゃん」

 

「う、うん!よ、よろしく。佳面くん、葉隠さん、あすっ、梅雨ちゃん」

 

「無理に言わなくて良いわ。自分のペースで良いのよ」

 

◾️◾️◾️◾️◾️

 

その後他の種目である持久走・上体起こし・長座体前屈が終え、トータル結果が発表される。

 

俺は他の種目も【パズルゲーマー レベル50】に再度変身して、エナジーアイテムを使ったお陰で全種目トップとなり総合1位の座を手に入れた。

 

葉隠さんは総合17位、蛙吹さんは総合14位。

 

そして"最下位"は緑谷となった。

 

「まあ、除籍にすると言ったがアレは嘘だ」

 

「「「嘘ォォォッ!!?」」」

 

「こうでも言わないと君たちの全力が観れないと判断し、敢えて言った。所謂、合理的虚偽だ」

 

「「「合理的虚偽ィィィッ!!?」」」

 

「当然です。少し考えれば分かる事ですわ」

 

相澤先生のハッタリにまんまと皆が騙され、ポニーテールの女子生徒・八百万さんが皆に指摘する。

 

 

「………なんて、言うと思ったか?」

 

 

しかし、次に相澤先生から出た言葉に今度こそ全員が固まる。

 

「今回は君たちが合格基準を()()()()到達したから除籍にしなかっただけで、もしそれすら達してなかった場合は本当に除籍処分にしていた」

 

「ここは雄英ヒーロー科。プロヒーローの登竜門であり、プロになる為の難関でもある」

 

「中途半端な力と覚悟じゃヒーローにはなれない。それどころか卒業する事すら出来ない」

 

「問題児だろうと実技首席だろうと推薦入学者だろうとプロヒーローの血縁者だろうと、俺が見込みが無いと判断すれば誰であろうと切り捨てる」

 

「君たちが来た雄英(ここ)はそういう場所だ。覚悟が無い奴は遠慮なく言え、その時点で除籍処分にする」

 

「以上だ。制服に着替えて教室で待機しろ。今後のカリキュラムの説明をする。あと緑谷、佳面に応急処置して貰っているが保健室へ行け。リカバリーガールの治療を受けてから教室に戻って来い」

 

そう言って、相澤先生はグラウンドを後にする。

 

残された俺たちは誰も言葉を発せずに、重い足取りで移動する。

 

(上等、最初から覚悟は決まってる。絶対プロになってやる!!)

 

だけど俺は、内心ワクワクしながら更衣室へ向かった。

 

 




如何だったでしょうか。

相澤先生が原作より厳しめな発言をしていましたが、現実でも何処の育成学校でもプロになって貰うよう厳しい事を言っていると思うので今作では雄英というエリート学校の厳しさを出す為にこの描写にしました。

あと爆豪の扱いは別にアンチ・ヘイトとかではありません。心境はどうであれ人に襲い掛かろうとしたら誰だって止めるだろうし、教育者としても厳しい対応を取ると思います。

仮面ライダーパラドクスパズルゲーマー レベル50の走力は100mを1.9秒。今作のエナジーアイテムの効力は一つあたり2倍に強化される設定にしてます。ですので50m走は0.11875秒となります。

次回は遂に戦闘訓練。
前後編で投稿予定なのでよろしくお願いします。


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8スレ

第9話を投稿します。

内容は戦闘訓練になりますが、事前にお伝えした通り前後編となります。今回は前編です。

今回、主人公が変身するライダーは
『メモリ』『A』『赤』がヒントです。

それでは、どうぞ。



入学初日の個性把握テストから翌日、雄英高校ヒーロー科のカリキュラム、午前中は必修科目。英語などの普通の授業を受ける。

 

「んじゃ、この中で間違っている英文はどれだ?」

 

(((普通だ……)))

 

「Everybody,heads up!!盛り上がれ~!!」

 

「はい」

 

「Okay 佳面、come on!!」

 

実技試験の司会兼アナウンスを担当していたプレゼント・マイクが英語の担当教師を務めている。

 

他の学校とは異なり、雄英ではプロヒーローが各科目を担当されるというなんとも贅沢な環境である。

 

 

◾️◾️◾️◾️昼休憩◾️◾️◾️◾️

 

 

午前中の授業が終わり、昼休憩にはクックヒーロー・ランチラッシュの料理を安価で楽しむ為に食堂が人で溢れていた。

 

「豚骨ラーメン。紅ショウガ付きで」

 

「味変は大事だよね!」

 

俺も食堂で昼食を食べる為に長蛇の列に並んで昼食を確保する。

 

豚骨ラーメンと紅ショウガの組み合わせは、俺が生前に観ていた『仮面ライダーセイバー』に登場した風の剣士【仮面ライダー剣斬】緋道蓮と怪人(メギド)デザストの思い出の味である。ライダーファンの1人としては定期的に食べたくなるのだ。

 

本当は弁当を持参したかったが、オヤっさんがトレーナー業で1日多忙なため自分の分だけの弁当を作る気になれなかった。

 

「あ、佳面くん!佳面くんも学食なんだね」

 

「緑谷。飯田と麗日さんも一緒か」

 

「良ければ君も一緒にどうだい?ちょうど席が空いているぞ」

 

「どうぞどうぞー」

 

「そう?それなら一緒に食べようかな」

 

一足先に昼食を食べていた緑谷たちと遭遇し、3人の好意に甘え同席することにした。

 

「次の授業は遂にヒーロー基礎学だ!授業に備えて栄養をしっかり摂ろう!!」

 

「うん!」

 

「佳面くん、ラーメンに紅ショウガ入れるタイプなんやね」

 

「豚骨ラーメンの時だけだよ。味が濃いと途中で飽きてくるから味変用で入れるんだ」

 

クラスメイトと楽しく談笑しながら昼食を済ませ、余った時間はネットニュースでプロヒーローの活躍を確認する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

「わーたーしーがー、普通にドアから来たッ!!!」

 

「オールマイトだ!!?」

 

「本当に雄英の先生やってるんだ!?」

 

「あの戦闘服(コスチューム)銀時代(シルバーエイジ)の物ね」

 

「1人だけ画風違うよ。思わず鳥肌たった」

 

オールマイトの登場にクラス全員がテンションを上がる。

 

「私が担当するのは"ヒーロー基礎学"!それはヒーローの素地をつくるため、様々な訓練を行う科目!1番単位の多い科目でもあるぞ!早速だが、今日やってもらうのは戦闘訓練だ!!」

 

「戦闘!」

 

「訓練ッ!」

 

オールマイトがリモコンを操作すると、壁から1年A組全員の出席番号が書かれたアタッシュケースが現れる。

 

「入学前に送ってもらった『個性届』と要望に沿ってあつらえた戦闘服(コスチューム)だ!着替えたら順次グラウンドβに集まるように!!」

 

「「「はいッ!!」」」

 

各々自分の番号が記載されたケースを持って更衣室へ向かう。

 

俺は『7』。

縁起が良いのかもしれない。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「佳面、それがお前の戦闘服(コスチューム)か!?凄えカッケーな!」

 

更衣室で着替え、グラウンドβへ移動途中でクラスメイトの1人である切島に声を掛けられる。

 

「ありがとう。切島のは必要最低限って感じがするね。個性の関係で?」

 

「応よ!俺の個性は【硬化】だから俺自身が防護服みてぇなモンだからな!佳面のはなんかバイクに乗りそうな見た目だな!」

 

上半身がほぼ裸同然の切島に比べて、俺の戦闘服は白いTシャツの上に黒いライダースジャケットと両手には革製の黒手袋、下はデニムジーンズにバイク用のブーツという、如何にもバイク乗りのスタイルである。素材は"なるだけ軽く丈夫にして欲しい"を忠実に応えている。

 

「俺の場合、変身するから戦闘服は普通で良いんだよね。強いで言うならバイクに乗ること前提の戦闘服を要望したらこうなった」

 

「マジで!?お前バイク乗れんの!?」

 

「え、何?佳面バイクの免許持っているのか?」

 

「凄いな!」

 

すると他の男子生徒たちが会話に参加する。

 

「バイク以外にも車の免許も持ってるよ。バイクは後2ヶ月くらいで2人乗り解禁するけど」

 

「車の免許も持っているのか!?」

 

「ヒーロー活動の為に取得したのか?」

 

「免許取るの大変じゃなかった?」

 

話に興味を持ったのか、男子生徒の殆どが周りに集まって来た。

 

「皆!私語を慎むんだ!ヒーローを目指す者、時間厳守だぞ!!」

 

まるでメタルヒーローみたいな戦闘服に身を包んだ飯田が注意に入る。

 

皆には"また後で話すよ"と言ってこの場は収まる。

 

「あ、佳面くん!」

 

「ケロッ、佳面ちゃんの戦闘服とても素敵ね」

 

戦闘服に着替えた葉隠さんと蛙吹さんと合流する。

 

葉隠さんの方は水色のアンダースーツの上にメタリックのプロテクターを装着されており、手袋とブーツをしている。

 

蛙吹さんの方は緑色のピッチリとした戦闘服を身に纏い、手袋と蛙の足を彷彿させるブーツに、頭部には蛙の眼に似たゴーグルを嵌めていた。

 

「2人とも、凄く戦闘服似合ってるね」

 

「ありがと!佳面くんは如何にも"ライダー"って感じの戦闘服だね!」

 

「話聞こえてたけど、佳面ちゃんバイクと車の免許持ってるのね。だから実技試験の時バイクに乗るの慣れていたのね」

 

「うん。学校の敷地内でも乗れないか相澤先生に聞きに行こうと思うんだよね。訓練も兼ねてさ」

 

「いいね!その時は私も乗せてよ!」

 

「わ、私も乗せて貰えるかしら?」

 

「学校側の許可が下りればね」

 

「………なあ」

 

2人と話していると後ろから声がしたので振り返ると、峰田が妬ましそうに俺を睨んでいた。

 

「何?峰田」

 

「お前、葉隠と蛙吹と仲良いよな、しかも入学初日から。2人とはどういう関係なんだよ」

 

2人との関係?

 

「葉隠さんとは中学からの友達で、蛙吹さんとは実技試験の演習場が同じだったんだ」

 

「ンだよそれ!?既に仲良い関係を築いてたって事か!?ラノベの主人公かよッ!!?」

 

俺の返答が気に入らなかったのか、峰田は激情した。

 

「騒がしいぞ峰田くん!騒いでないでグラウンドβへ急ぐんだ!!」

 

「止めるなよ飯田!オイラは目の前にいるこのリア充野郎をぶっ飛ばさなきゃならないんだよ!!」   

 

「それは戦闘訓練でやればいいだろ!さあ、急ぐんだ!」

 

「離せよ、離せーーーー!!!」

 

峰田は抵抗虚しく飯田にドナドナされた。

 

「何だったんだろ」

 

多分俺が女子2人と仲良くしてたのが面白くなかったのだろう。

 

「さぁ?それより早くいこ!」

 

「そうね」

 

「そうだね」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

全員がグラウンドβに集合後、オールマイトから今回の戦闘訓練の内容が説明される。

 

 

ルールは2vs2のチーム戦

・組分けと対戦相手をそれぞれクジで決める。

・敵組は屋内の各階の何処かに設置した"仮想核兵器"を護衛。

・ヒーロー組は敵組を時間内に拘束するか核を回収したら勝ち。

・どちらかが戦闘不能になっても勝敗が決まる。

 

 

「組み合わせは適当で良いのですか!?」

 

「落ち着いて飯田。プロヒーローは他事務所同士でチームアップする事もあるし、より実践的な訓練の為のものだよ」

 

「なるほど、先を見据えた計らい。失礼しました!」

 

飯田は納得しオールマイトに謝罪する。

 

「いいよ。ただ、皆お互いにまだ知り合って間もない。信頼関係もまだ上手く築けていない子たちも居るだろうが、プロの現場ではよくある事だ。それをマイナスに考えてはいけないぞ!それではいってみよー!!」

 

早速組分けを決めるクジを引いていく。

 

俺は"I"と書かれた紙を引いた。

 

「"I"か。もう1人は…」

 

「俺だよ」

 

相方は大きな尻尾と道着っぽい戦闘服が特徴の尾白になった。

 

「よろしくね、尾白」

 

「うん、此方こそ」

 

そして俺たちと対戦するのは"B"を引いた障子・轟のペア。向こうがヒーロー組で、俺たちが敵組となった。

 

(これは作戦を決めないと苦戦しそうだな)

 

昨日の体力テストで観てたが障子の個性は腕の複製、轟は触れたものを凍結させる個性だ。

 

もしかしたら、2人共他に能力を隠し持っている可能性もある。

 

「取り敢えず、緑谷たちの対戦を観てみますかね」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

今日は戦闘訓練の様子をライブ配信していきます。

 

2:虚刀流のグラップラー

お!戦闘訓練か!

 

3:太刀川隊の狙撃手

相方と対戦相手は決まった?

 

4:雄英の仮面ライダー

>>3

はい。

相方は尻尾の個性を持つ尾白で、対戦相手は障子・轟ペアです。

 

5:空座町の無下限呪術師

うわー、轟くんが相手か。

 

6:サクラギ研究所のリサーチフェロー

1年A組の最強キャラか。

 

7:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>6

最強はライダーくんだろ!!

 

8:杜王町の幽波紋使い

落ち着け。

 

9:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

しかし、よりによって轟かあ。

 

10:虚刀流のグラップラー

皆、障子のこと忘れてますよ。

 

11:空座町の無下限呪術師

いや、あの子戦闘訓練で轟に全部持ってかれたじゃん。

 

12:太刀川隊の狙撃手

当時はキャラまだ薄かったからな。

 

13:杜王町の幽波紋使い

それで、ライダーくんは何か作戦は決まっているのか?

 

14:雄英の仮面ライダー

考えてる途中ですが、轟は開始直後にビルを凍結させてくると思いますので、凍らされるのを防いでから二手に別れようと思います。

 

15:虚刀流のグラップラー

つまり、それぞれ1vs1に持ち込むって事か?

 

16:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

確かに、障子は腕以外に"目"や"耳"も複製出来ますから索敵要員として優秀ですし、轟は連携せずにワンマンでやってくるでしょうからサポートが付いたら幾らライダーくんでもキツイですよね。

 

17:杜王町の幽波紋使い

つまり、ライダーくんが轟の相手をして尾白って子にその障子をマークさせる形か。

 

18:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

それで今回はどのライダーに変身するの?

 

19:雄英の仮面ライダー

轟は凍結の個性を持ってますので火や熱が使えるライダーでいってみます。

それと編成として予備にもう1種類のライダーをセットさせておきます。

 

20:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>19

なるほど。

確かに相性的に火が使えるライダーでいった方が良さそうだな。

 

21:空座町の無下限呪術師

うん、それで良いんじゃない?

思いっきりやっちゃいなよ。

 

22:杜王町の幽波紋使い

油断せず、自分の得意分野で戦え。

 

23:雄英の仮面ライダー

分かりました。

それでは俺たちの番になったので行ってきます。

 

24:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

頑張って!

 

25:虚刀流のグラップラー

勝ってこい!

 

26:サクラギ研究所

落ち着いたな。

 

27:雄英の仮面ライダー

はい!

行ってきます!

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

第1試合の緑谷・麗日ペアvs爆豪・飯田ペアは緑谷・麗日ペアの勝利で幕が下り、第2試合の俺・尾白ペアvs障子・轟ペアに移る。

 

俺と尾白は"仮想核兵器"を最上階に設置し、俺たちは3階で待機しながら作戦を決めていた。

 

「ーーーという作戦で行こうと思うんだけど、どうかな?」

 

「うん、それで行こう。俺の個性じゃ轟には通用しづらいだろうし、その作戦なら俺も力になれると思う」

 

「ありがとう。こっちは轟を抑えるから尾白は障子を徹底的にマークしてくれると助かる」

 

「分かった。………けど驚いたな、昨日の体力テストの時に観た姿以外にも変身出来るなんて。凄い個性だよ」

 

「使いこなすのに苦労したけどね。だけど、お陰で轟相手でも戦えるよ」

 

作戦が決まり、俺は今回使用する変身アイテムをイメージする。

 

イメージされたのは【アクセルドライバー】と【アクセルメモリ】の2つ。

 

俺は【アクセルドライバー】を腰に装着させ、【アクセルメモリ】を起動させる。

 

 

『アクセル!』

 

 

「変……身ッ!」

 

 

アクセルメモリをドライバーの中央にあるメモリスロットに装填し、右手側の【パワースロットル】をエンジンをふかす要領で回す。

 

 

ACCEL(アクセル)!』

 

 

【パワースロットル】を回すと、俺の身体は赤を基調としたデザインに頭部には大きな"A"の文字のような角を持ち、複眼状の青いモノアイに姿を変化し、【仮面ライダーアクセル】に変身完了する。

 

 

『それじゃあ、第2試合。スタート!!』

 

 

試合開始からほんの数秒、ビル全体の気温が急激に低下した。

 

「来たぞ佳面!」

 

「任せて!」

 

3階が凍結する前に、【パワースロットル】を回す。

 

エネルギーを追加発生させ、エネルギーを身体全体にチャージした事で超高温の熱波が発生し、凍結されたビルは高熱で解かされた。

 

暫くすると左半身を氷の鎧で覆った轟が階段から姿を現した。

 

「ッ!?凍ってねえのか」

 

「残念だったね。開始直後にビル全体を凍結させて来るのは読んでたよ。尾白!」

 

「分かった!」

 

合図と共に尾白は窓側に駆け出し、そのまま窓を突き破って降下する。

 

「……2人掛かりで来ねえのか?」

 

「俺に質問するな」

 

俺の右手にアクセルの専用武器【エンジンブレード】を形成し、切先を轟に向ける。

 

「さあ、振り切るぜ!」

 

第2試合の火蓋は、こうして切られた。




豚骨ラーメンと紅ショウガは何処かで入れたいと思っていたので早速第9話に入れ込みました。デザストのあの笑ってるようで泣いてるようにも聞こえる声の出し方に内山○輝さん凄えと思いました(死柄木弔の中の人)。

今作では原作と異なり葉隠さんのコスチュームを変更させてます。
原作では手袋とブーツのみでしたが、アンダースーツの上にプロテクターを装着させてます。ただの装備でしたら彼女の長所である"透明によるスニーキング能力"が活かされないと思われてしまいますが、ちゃんとこのコスチュームには"あるギミック"が隠されてます。それは後編で描写する予定ですのでお楽しみに。


仮面ライダー紹介

仮面ライダーアクセル

レア度【SR】

出典 仮面ライダーW


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9スレ

第10話投稿します。

主人公(仮面ライダーアクセル)vs轟

尾白vs障子 の勝負が決着します。

それでは、どうぞ。


【オールマイト視点】

 

ーーーーモニタールームーーーー

 

「凄え佳面!轟の凍結を防ぎやがった!」

 

「体力テストの時と姿が違う!?」

 

「何なんだアイツの個性!?」

 

第2試合開始直後、ヒーロー組の轟少年はビル全体を凍結させ早くも決着が着くと思われたが、佳面少年が赤い姿に変わり物凄いエネルギーを発生した事で凍結を回避した光景にモニタールームにいる全員が驚愕した。

 

(昨日の体力テストや実技試験とはまた別の姿に変身した。彼の個性は一体…)

 

実技試験、体力テスト共に1位になった少年。

 

その実力は他の生徒と比べても頭一つ抜けてるどころか、下手な相棒(サイドキック)や独立したプロヒーローよりもポテンシャルが高いのが観て分かった。

 

「どうやら佳面が轟を、尾白が障子を抑える形で二手に分かれた様だな」

 

「けどよ、轟のさっきのヤツ見たら2人掛かりで戦った方が良いんじゃねえか?」

 

「おそらく障子さんが轟さんのサポートに入るのを防ぐ為に敢えて分断するよう、佳面さんが尾白さんに指示したと思われますわ」

 

常闇少年と峰田少年に八百万少女が的確に解説をする。

 

(くっ、教師としての立場ないな私ぃ)

 

「…ねえ、透ちゃん。聞いてもいいかしら?」

 

「ん?なに梅雨ちゃん?」

 

私が凹んでいると蛙吹少女が葉隠少女に声を掛けた。

 

「今の佳面ちゃんの姿、昨日の体力テストや私が実技試験で見た姿とは全く違うの。もしかして、まだ他にも変身が出来るのかしら?」

 

蛙吹少女の質問に周りの生徒たちの視線が葉隠少女に集まる。

 

「マジで!?実技の時も別の姿になってたの!?」

 

「どんだけ姿変えられるんだよ!」

 

「もはや才能マンじゃん!」

 

「皆!試合を観るのが優先だ!今が授業中である事を忘れるな!」

 

葉隠少女に駆け寄る生徒たちに飯田少年が注意した。

 

「飯田だって佳面の個性気になるだろ!」

 

「ぐっ、それとこれとは話が別だ!今は彼らの試合を観て戦闘技術を学ぶべきだ!」

 

「素直になりなよー」

 

「自分も知りたいくせに!」

 

「うぐぐぐ!」

 

(おっと流石に止めに入った方が良さそうだな)

 

このままでは授業に支障が出ると判断し、急いで止めに入ろうとしたら、

 

「全部見たわけじゃないけど、私が知ってる分でもあと30種類は変身出来るよ」

 

「「「30ゥゥッ!!?」」」

 

予想以上の数に、思わず私も声を出して驚いた。

 

それだけの種類の変身が可能であり、その能力を使いこなすであろう佳面少年にただ驚くばかりである。

 

(…しかし、佳面少年のあの動き。明らかに戦い慣れしている。まるで実際に戦闘経験があるかの様だ)

 

長剣で巧みに轟少年の凍結を切り裂き、高熱を纏った拳や蹴りで直接攻撃をしている様は我々プロヒーローの様な熟練された動きであった。

 

(しかも佳面少年は徹底して轟少年の()()に回って攻撃をしている。この短時間で彼の弱点を見抜いたというのか!?)

 

轟少年の個性は【半冷半熱】。

 

身体の右側は氷、左側が炎を操る唯一無二の能力。

 

その両方を使用すれば佳面少年に引けを取らないだろう。

 

しかし、推薦入試と体力テストでは一度も左側を使用しなかった。

 

炎を操るのに相当のリスクが生じるのか。

 

それとも、()()()使()()()()()()()()()

 

(おそらく後者だろうが、これに関しては轟少年の個人的な問題。無闇に周りがとやかく言う事ではないが、このままだと轟少年は佳面少年に勝利するのは非常に困難だろう。さあ、どうする?)

 

「尾白くんたちの方が決まるみたいだよ!☆」

 

青山少年の声に反応し、先程まで佳面少年の話で盛り上がっていた少年少女たちは尾白少年と障子少年が映るモニターを観る。

 

「(ナイスだ青山少年!)さあ、勝負はクライマックス!ここからは瞬き厳禁だぜ、少年少女!」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【尾白視点】

 

「オオオオッ!」

 

「ぐぅっ!」

 

佳面と別れた後、窓から1階に降りた俺は障子と対決して7分が経過した。

 

腕を複製した障子の手数の多さに苦戦し、なんとかヒット&アウェイで時間を稼ぐので精一杯だった。

 

(だけど、負けられない!俺を信じてくれた佳面に応える為にも!)

 

正直、多彩な能力の個性を持つ佳面に少なからず嫉妬していた。

 

体力テストでの彼は他を寄せ付けない程の圧倒的な力を見せつけ、総合1位の座を手にした。

 

比べて自分は中間的な順位に収まり、あまりにインパクトが薄かった。

 

しかも実技試験でも首席でもある彼は文字通り、俺から見れば雲の上の様な存在だと思っていた。

 

だけど免許の話や試合開始前の作戦会議で、彼の印象は変わった。

 

優しく、無条件で人を信じる彼は、自分と何ら変わらないただのクラスメイトだったのだ。

 

(そんな彼が俺に頼ってくれた時、俺は絶対に力になりたいと思った!…だから)

 

「負ける訳にはいかない!」

 

俺は尻尾をスプリングの要領で勢い良く自分の身体を跳ね上げ、床から壁へ、壁から床へと空間を利用して縦横無尽に飛び跳ねる。

 

突然の事に流石の障子も動きを止めた。

 

「クッ、それなら!」

 

障子は複製された腕を戻し、新しく目を複製し始めた。

 

(今だ!)

 

俺は戦闘服に隠してたカメラ型のデバイスと黄色のUSBメモリを取り出し、メモリをカメラに装填する。

 

 

『ルナ マキシマムドライブ』

 

 

カメラがコウモリに変形し、レンズから強い光を発光する。

 

「グアァァッ!?」

 

あまりの眩しさに障子は複製した目を引っ込ませ、両膝をついて目を塞ぐ。

 

「ウオォォッ!!」

 

その瞬間、尻尾で壁を力一杯押し上げ、落下した勢いで渾身の蹴りを障子にぶつける。

 

蹴られた障子は床に倒れ込み、そのまま気絶した。

 

「はあ、はあ、はあ」

 

慣れない尻尾の使い方をしたせいか身体中に疲労感が襲い、床に座り込んだ。

 

(…やった。やったんだ!)

 

「佳面ァッ!こっちは抑えた!!」

 

達成感と高揚感で思わず大声でインカム越しに佳面に叫ぶ。

 

『ッ!?……了解!後は任せて!!』

 

佳面は俺の声に驚くも直ぐに頼もしい声で応答した。

 

「頼んだよ……佳面」

 

自分の役割を全うした俺は佳面に後を託して、床に倒れ込む。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【ライブ配信モード】

 

52:雄英の仮面ライダー

『佳面ァッ!こっちは抑えた!!』

 

「ッ!?……了解!後は任せて!!」

 

53:虚刀流のグラップラー

うおおおお!?

尾白が障子を倒した!

 

54:サクラギ研究所のリサーチフェロー

マジか!?

でかした尾白くん!

 

55:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

凄いぞ尾白くん!

正直勝つなんて予想してなかった!

 

56:太刀川隊の狙撃手

手数的に障子の方が有利ですからね。

 

57:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

後は轟だけですね!

 

58:杜王町の幽波紋使い

さあ、ライダーくん。

今度は君の番だ。

 

59:空座町の無下限呪術師

ここで決めなきゃ相棒として格好がつかないよ。

 

60:雄英の仮面ライダー

「どうやら相方がやってくれたようだ。此方も決めさせて貰う」

 

 

『エンジン ジェット』

 

 

「ハアッ!」

 

61:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>60

エンジンブレードにエンジンメモリを装填して刀身から赤い斬撃を飛ばした!?

 

62:空座町の無下限呪術師

浦原さんの攻撃に似てるね。

あれは血液だけど。

 

63:サクラギ研究所のリサーチフェロー

轟も辛うじて避けた!

 

64:虚刀流のグラップラー

だけど体勢は崩れてる!

 

65:雄英の仮面ライダー

 

 

『エンジン マキシマムドライブ』

 

 

66:太刀川隊の狙撃手

マキシマムドライブだ!

 

67:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

イッケー!

ライダーくん!

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

『エンジン マキシマムドライブ』

 

 

「ハアアッ!」

 

 

エンジンブレードのトリガーを弾き、マキシマムドライブで発動させる事でエネルギーがチャージされたエンジンブレードの先端からA字型のエネルギー攻撃【エースラッシャー】を放つ。

 

「クソッ!」

 

轟は瞬時に氷の防壁でガードをするが、防壁は粉砕し衝撃によって轟は大きく後方へ吹き飛ぶ。

 

しかし、まだ轟は戦闘不能になっておらず、身体がフラつきながらも立ち上がろうとしていた。

 

だが()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

「これで決まりだ」

 

 

『アクセル マキシマムドライブ』

 

 

エンジンブレードを床に突き刺して左手側の【マキシマムクラッチレバー】を引き、【パワースロットル】を回す事でマキシマムドライブを発動させる。

 

エネルギーがチャージされ、赤い炎が全身を包み込む。

 

「ッ!?このおォォ!!」

 

すると轟は表情を()()()()()()、残りの力を出し切るかの如く鋭い氷の刃を解き放つ。

 

しかし、エネルギーによって発生した炎で氷の刃は蒸発した。

 

「ハアアァッ!!」

 

俺は前方へ跳躍し、轟に目掛けて必殺技【アクセルグランツァー】を繰り出す。

 

今度こそ轟に直撃し、後方へ大きく吹き飛んで壁に激突した轟は静かに床に倒れる。

 

「絶望がお前のゴールだ」

 

 

『WINNER ヴィランチーム!!』

 

 

設置されたスピーカーからオールマイトのアナウンスがビル全体に響き渡り、試合終了を知らせる。

 

こうして、初の戦闘訓練での俺の戦いは勝利で幕を下ろした。




あれ?この作品主人公って尾白くんだっけ?と思うくらい尾白くんを活躍させてしまった。まあ、彼もヒーローになる為に努力し続ける子ですからね、これくらいはやってくれるでしょう。
ちなみに尾白がメモリガジェットの【バッドショット】と【ルナメモリ】を使用したのは作戦会議中に主人公くんが前もって渡してあったからです。

ライダーくんは保険を掛けてアクセル以外に仮面ライダーWに変身出来るよう編成枠にセットしてあったのでアクセルに変身してもW関連のアイテムが使用出来たという仕組みです。


葉隠さんの戦闘服のギミックその①『光学迷彩装置』
アンダースーツとプロテクターに搭載された『光学迷彩装着』は手袋のスイッチを押す事で自分の周りの光を屈折させてあたかも透明になった様に相手から姿が視えない様にする仕組み。胸のプロテクターに超小型バッテリーが搭載されており、連続で3時間使用が可能。バッテリーを改良する事で持続時間が延長される。


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幕間②『学級委員長』

第11話投稿します。

今回は幕間で、内容は学級委員長決めとなります。

それでは、どうぞ。

※スレはお休みです。


「なんだろ、朝から疲れてるような気がする」

 

「昨日は皆から質問責めされてたからね〜」

 

戦闘訓練の翌日、いつの通り葉隠さんと登校しながら昨日の事について話していた。

 

試合の結果、第2試合のMVPはお互いの役割を全うした俺と尾白となり、他の試合を観た後教室に戻って皆で反省会兼交流会を始めた。

 

その際にクラスメイトほぼ全員から個性について質問責めをされた俺は、仮面ライダーやガチャの事は伏せて1人1人の質問に解答した。その中で八百万さんからも質問された事に内心驚いた。どうやら彼女の個性は物を創造する能力らしく、俺の変身アイテムに興味が出たそうだ。

 

学校に到着したら、校門前には報道記者やカメラマンといったメディア関係者の人たちが大勢いた。

 

「またマスコミの人たちかな?」

 

「こうも連日で来られるとキツイな。オールマイトについてインタビューするのが目的だろうけど」

 

新聞やネットニュースにオールマイトが雄英の教師に赴任した事が記載されており、直接本人か生徒たちや学校側に聞き込みをする為に集まっていた。

 

「うわー、どうしよっか。昨日よりも多いし、アレじゃあ通るの難しいよ」

 

「そうだね……。仕方ない、強行突破しよう。ごめんね葉隠さん」

 

とても校門を通るのが困難だと判断した俺は、葉隠さんを「お姫様抱っこ」する。

 

「え?え!?ナ、ナニ!?」

 

「ごめん、すぐ下ろすからちょっと待って」

 

葉隠さんを抱き抱えた俺は校門の塀に向かって走り出す。

 

 

「すみません、通りまーす!」

 

 

マスコミの方たちに一言断って、そのまま跳躍して塀を飛び越える。

 

「うわ!?何だ!?」

 

「雄英の生徒!今塀を飛び越えなかったか!?」

 

「なんてジャンプ力だ!」

 

塀の反対側でマスコミの方たちは一瞬の出来事に驚愕していた。

 

「よしッ、無事に着地完了っと」

 

「朝から何やってる」

 

着地した目の前には相澤先生が立っており、此方をジト目で睨んでいた。

 

「おはようございます相澤先生。校門をメディア関係の方たちが囲っていたので塀を飛び越えました」

 

「……そういう事か。あまり目立つ行動はするな。有る事無い事書かれるかもしれないぞ」

 

「すみません、気をつけます」

 

「ならすぐに教室へ行け」

 

そう言って相澤先生は去る。

 

「葉隠さん大丈夫?下ろすよ」

 

「あ、うん」

 

突然お姫様抱っこなんてされた事に混乱したのか、普段とは違って大人しくなっていた。

 

「ごめんね、何処か痛かった?」

 

「う、ううん。そんな事ないよ。ちょっとビックリしただけだから」

 

「そっか、それじゃあ教室行こうか。遅刻する訳にもいかないし」

 

「……そうだね!急がないとね!」

 

いつもの明るさに戻り、葉隠さんは校舎へ駆け足で向かい、俺はその後を追う。

 

「………鈍感

 

葉隠さんが呟くのを聞こえたが、敢えて何も言わないでおこう。

 

◾️◾️◾️◾️

 

無事に教室に到着し席に着いて数分、チャイムが鳴り相澤先生も来てHRが始まる。

 

「おはよう。昨日の戦闘訓練お疲れ。VTRと成績を見させて貰った」

 

「まずは爆豪。もうガキみたいな事するな。体力テストでも言ったが問題児は雄英には必要ない。自分の行動一つで自身の首を絞めてる事に自覚しろ。能力はあるんだ」

 

「……わぁてるよ」

 

「次に緑谷。腕が治ればチャラになると思っているなら今すぐ普通科に編入しろ。ヒーローにケガは付き物だが自分の力でケガしたらヒーローとしてやっていけない。助けられる側もお前の姿を見て不安になるだけだ。嫌なら改善策を見つけろ」

 

「ッ、はい!」

 

「最後に轟。ペアを組んだ意味を理解しろ。1人で突っ走った結果負ける様じゃプロでも通用しない。あと自分の能力に妥協するな、格下相手なら半分の力で対処出来ても佳面の様な格上には効果が薄い事も学べ」

 

「…はい」

 

爆豪、緑谷、轟に注意点と助言を告げる。

 

「さて、HRの本題だ。急で悪いが今日は君らに───」

 

何を言われるのか全員が身構えていると、相澤先生は再度口を開く。

 

「学級委員長を決めて貰う」

 

 

「「「学校っぽいの来たーーー!!」」」

 

 

唐突な決め事にクラス一同がヒートアップ。

 

ほぼ全員が委員長になりたいと手を上げた。普通の学校なら他の誰かに押し付ける役割だが、ヒーロー科では集団を纏めるトップヒーローの基礎を鍛えられる重要な役職となる。

 

「委員長!!やりたいですそれ俺!」

 

「オイラのマニフェストはスカート膝上30cm!!」

 

「僕のためにあるヤツ☆」

 

「リーダー!やるやる!!」

 

やる気ある生徒たちは我こそはと手を挙げる。

 

「静粛にしたまえ!!」

 

そんな中、飯田が大声を上げる。

 

「多を牽引する責任重大な仕事だぞ!やりたい者がやれる仕事ではないだろう!周囲からの信頼があってこそつとまる聖務!民主主義に則り真のリーダーを決めるというのなら、これは投票で決めるべき議案だ!!」

 

飯田は皆に熱く問いかける。

 

だがしかし、

 

「飯田、ならその手は何?」

 

「お前がそびえ立ってんじゃねーか!!」

 

誰よりも彼自身が学級委員長を志願していた。

 

「なぜ発案した!?」

 

「それに一週間も経ってないのに信頼するのは難しいだろ」

 

「だからこそ、だからこそだ!複数票を取った者こそが真に相応しい人間という事にならないか?どうでしょう先生!?」

 

「時間内に決めれば何でも良いよ」

 

相澤先生はマイ寝袋に入り、投げやりな返事を返してそのまま教壇の横で眠りについた。

 

(本当に教師かこの人…)

 

そして投票の結果、ほぼ全員が自分に票を入れら中で複数票を獲得したのは3票の俺と緑谷、2票の八百万だった。

 

「僕に3票ォォォーーー!?」

 

「誰だデクに入れたのは!?」

 

「まあ、お前には票は集まらんわな」

 

「ンだとクソ髪!」

 

「俺に1票!?一体誰が入れたんだ!?」

 

「他に入れたのね」

 

「お前もやりたがってたのに、何がしたいんだ」

 

まさかの他者に投票した飯田に皆が呆れる。

 

「じゃあ、佳面と緑谷で委員長を決めるか」

 

しかし誰が俺に票を入れたのだろうか。気になるが委員長を決めるべく、俺と緑谷が教卓の前に集まる。

 

「ど、どうしようか佳面くん」

 

「そんなの簡単だよ。緑谷、ジャーンケーン」

 

「え!?え!?」

 

突然ジャンケンを持ち掛けられ、緑谷はテンパる。

 

「ポン」

 

俺がパー、緑谷はグー。

 

「あっち向いてホイ」

 

「え!?」

 

そのまま人差し指を右に向けると、緑谷は釣られて指の方向へ顔を逸らす。

 

勝者は俺となった。

 

「じゃあ緑谷が委員長で俺が副委員長で決まりね」

 

「え!?僕が委員長!?」

 

 

「「「あっち向いてホイで決めやがった!?」」」

 

 

予想外な結果に一同が驚愕した。

 

こうして委員長は緑谷、副委員長は俺に決定したのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️昼休憩◾️◾️◾️◾️

 

 

「いやー、まさかあっち向いてホイで委員長決まるとは思わなかったよ!」

 

「ああだこうだ言い合ってたら相澤先生が"合理的に決めろ"って言って来るだろうし、そっちの方が早く決まるかなって思って」

 

「緑谷ちゃんには悪いけど、私は佳面ちゃんに委員長になって欲しかったわ」

 

「あ、俺に投票した1人って蛙吹さんだったんだ。ごめんね」

 

「決まった事だし、良いわ」

 

午前中の授業が終わり、昼休憩になったので葉隠さんと蛙吹さんと一緒に昼食を摂っていた。

 

今日は弁当を持参したので教室で食べている。

 

「俺に投票した3票の内、葉隠さんと蛙吹さんは分かったけど、残り1票は誰だろう?」

 

「尾白くんじゃない?昨日の戦闘訓練でペア組んでたし」

 

「そうね。尾白ちゃんの可能性が高いわ」

 

なるほど、尾白か。それなら彼にも悪いことしてしまった。

 

「元々自分に投票してないし、そんな俺が委員長になっても周りが納得しないと思ってさ」

 

「やっぱり佳面くん別の人に投票したんだ。誰?」

 

「飯田だよ。真面目だし今回の事でも率先して提案したり、真っ直ぐな性格してるから」

 

「確かに飯田ちゃんは凄く真面目ね」

 

「真面目過ぎると思うけどねー」

 

「そういう人が委員長に向いてるんだと俺は思うな」

 

すると突然、

 

 

『セキリュティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』

 

 

アナウンスと同時にサイレンが学校全体に響き渡る。

 

「わ!?何!?」

 

「警報ね。アナウンス通りに動きましょう」

 

「ーーーちょっと待って。2人とも窓を見て」

 

2人が避難しようとするのを引き留め、窓の外の光景を見るよう指示する。

 

外では朝で見かけたマスコミが校舎前まで群がっていた。

 

「え!?なんでマスコミの人たちがあそこまで来てるの!バリケードは!?」

 

「どうやら作動しなかったみたいだ。誤作動かは分からないけど、多分それで彼らが敷地内に侵入して来たんだ」

 

「佳面ちゃんどうするの?私たちは避難すべきかしら?」

 

蛙吹さんの問いかけに少し考え、結論を出す。

 

「いや、2人は教室に待機してて。俺が職員室にいる先生方にこの事を伝える。絶対にそこを動かないでね」

 

「分かった!」

 

「気をつけてね、佳面ちゃん」

 

「2人もね」

 

俺は教室を出て職員室まで走る。

 

 

◾️◾️◾️◾️職員室前◾️◾️◾️◾️

 

 

「着いた。せん───」

 

職員室に到着し中に入ろうとした直後、室内には白髪の男と黒い靄の様な人型の2人組が並べられた教師用の机の前に立っていた。

 

(まさか(ヴィラン)か!?先生たちは居ない。戦闘は……駄目だ。せめて証拠だけでも!)

 

俺は(ヴィラン)と思われる2人組に気づかれない様、気配を抑えて上着のポケットからスマホを取り出し、カメラを録画モードに切り替え撮影を始める。

 

2人組は何やら資料を見ており、此方に気づいていない様だった。

 

「へえ、明日の救助訓練にオールマイトが参加するのか。ならこの日だな。"黒霧"、帰るぞ。襲撃用の人手を準備するぞ」

 

「はい、"死柄木弔"」

 

黒霧と呼ばれる人型から黒い靄を出現させ、2人はそれを潜って姿を消した。

 

黒い靄も2人が潜った直後に霧散する。

 

「……はぁ、気づかれてなくて良かった」

 

「佳面か。そこで何をしてる?」

 

後ろから声を掛けられ、振り向くと相澤先生が立っていた。

 

「相澤先生、これを!」

 

俺は先程録画した映像を相澤先生に見せる。

 

「これはッ!……佳面、お前戦闘はしていないな?」

 

「はい。マスコミが校舎に来ているのを伝える為に職員室に来たら、この2人組が既に中に居ました」

 

「分かった、後はこっちで対応する。お前は教室に戻っておけ。悪いがスマホ預かるぞ」

 

「お願いします」

 

相澤先生にスマホを渡し、俺は指示通り教室へ戻った。

 

 

昼休憩が終わると緑谷が飯田を学級委員長に推薦し、1年A組の学級委員長が決まった。

 

放課後、相澤先生からスマホを返して貰い、昼間の(ヴィラン)侵入の件は誰にも言うなと口止めされたのであった。




原作では副委員長は八百万でしたが今作では主人公くんが副委員長に任命しました。多分そこまで原作に影響は無いと思いこの√で行きたいと思います。

主人公くん、死柄木と黒霧と遭遇する。
主人公くんの撮った動画のお陰で雄英側もある程度対策を取れると思います。

次回、USJ襲撃事件編へ突入。
出来ればいつも通り前後編でまとめたいですが、長くなるかもしれませんのでご了承下さい。


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10スレ

前回応募したピックアップガチャアンケート結果を発表します。
合計応募数827票と予想を遥かに上回る数字でした!
ご協力ありがとうございました!!

1位 『ダークライダー』ピックアップ 207票

2位 『主役ライダー』ピックアップ 153票

3位 『ガンナー系ライダー』ピックアップ 82票

という結果となりました。
今後3位からガチャ回に投稿していきたいと思いますので、お楽しみに!


第12話投稿します。
USJ襲撃事件の前編です。

それでは、どうぞ。


マスコミ騒動の翌日、()()()()()()()()バリケードは修復され、この日は流石のマスコミも1人も姿をを出さず生徒たちはスムーズに登校が出来た。

 

「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイトと他2名の4人体制で見る事になった」

 

「はーい!何をするんですか?」

 

芦戸さんが元気よく相澤先生に質問をする。

 

「災害水難何でもござれ、人命救助訓練だ!」

 

「レスキューかあ、今回も大変そうだな」

 

「バカおめー、これこそヒーローの本分だろ!腕が鳴るぜ!!」

 

「水難なら私の独壇場。ケロケロ」

 

初めての救助訓練に皆もやる気を出す。

 

「おい、まだ途中だぞ。今回の訓練コスチュームの着用は個人の判断に任せる。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上」

 

相澤先生の号令で皆がコスチュームを持って更衣室に向かう。

 

「相澤先生」

 

「何だ」

 

俺は皆が更衣室へ向かった事を確認して、相澤先生に話し掛ける。

 

「昨日の(ヴィラン)の件。学校側はどうされるんですか?」

 

「あの2人組の会話の内容を聞く限り、狙いはオールマイトだと推察し俺と他2名がお前たち生徒とオールマイトの護衛という形で体制を取る事になった。万が一の場合を考慮して他のヒーロー達も連絡一つで出動が出来る様になっている。お前があの時、戦闘ではなく証拠を掴む為に映像を撮ったお陰でな。改めて礼を言うよ」

 

「いえ。正直撃退も考えたんですけど、まだヒーロー資格を持っていない俺ではどうする事も出来ないと思って、咄嗟にスマホで録画してただけですよ」

 

「その冷静な判断を常に出来る様にしておけ。感情任せに動いて全て上手くいくとは限らない。自分の出来る範囲内で最大限の事をやれる様になれ」

 

「はい」

 

「何をやっているんだ佳面くん!皆はもう更衣室へ向かったぞ!ヒーロー科たる者、10分前行動は当たり前だ!それに君は副委員長なんだ!それでは皆に示しがつかないぞ!」

 

まだ俺が更衣室へ向かっていない事に気がついたのか、飯田が教室へ戻って来た。

 

「ほら、お前も準備しろ。後の事はこっちでやっておく」

 

「すみません、お願いします」

 

「急ぐぞ佳面くん!走らないギリギリの範囲で駆け足だ!」

 

「分かった。ごめん飯田」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

34:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

貰ったチョコが食べても減りません。

助けて下さい。

 

35:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

もしかしてバレンタイン?

そっちは2月なんだ。

 

36:サクラギ研究所のリサーチフェロー

幸せな悩みじゃ無いですか。

リア充はマルマインの"だいばくはつ"を急所に当たって瀕死になって下さい。

 

37:虚刀流のグラップラー

貰える分だけ良いじゃないか!

こっちなんて貰うのは戦いの申し出オンリーだよ!

しかも全員漢!

 

38:杜王町の幽波紋使い

俺はクラスメイトから所謂友チョコは貰った事はあるな。

 

39:太刀川隊の狙撃手

俺も同じ隊のオペレーターや先輩同期後輩から貰ったりしてますね。

ある人からショコラ炒飯という劇物を食べさせられた事もありますが。

…よく生きてたな俺。

 

40:空座町の無下限呪術師

僕は学生時代友チョコ本命チョコたくさん貰ったけど、今は妻と娘から貰ってるね。

 

41:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

どっちにしろ誰も助けてくれないんですね。

 

42:サクラギ研究所のリサーチフェロー

本命決めれば良いじゃないですか?

それで丸く収まりますよ。

 

43:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺は年上が好みなんですよ。

だから本命が選べないと言いますか。

 

44:虚刀流のグラップラー

これだから型月の円卓の騎士はアレなんだよ。

 

45:太刀川隊の狙撃手

ベディヴィエールとギャラハットくらいしかまともな人格者居ませんからね。

 

46:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ロリ巨乳好きのガウェインや人妻好きのトリスタンとかランスロットが居る時点で円卓の騎士はヤバいよ。

 

47:空座町の無下限呪術師

正直円卓ニキの修羅場はそこまで面白くないからスルーの方向で。

 

48:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ヒドイ!

 

49:雄英の仮面ライダー

お疲れ様です。

 

50:虚刀流のグラップラー

ライダーくん!

 

51:サクラギ研究所のリサーチフェロー

お疲れ。

今授業中?

 

52:雄英の仮面ライダー

>>51

はい。

今から人命救助訓練をやります。

 

53:太刀川隊の狙撃手

救助訓練…という事は。

 

54:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

(ヴィラン)連合が襲撃してくるところか。

 

55:雄英の仮面ライダー

(ヴィラン)連合?

それが敵の名前ですか?

 

56:サクラギ研究所のリサーチフェロー

そうだ。

五指で触れたものを何でも崩壊させる個性を持つ死柄木弔とワープゲートの個性を持つ黒霧が今回の主犯者たちだ。

後は寄せ集めのチンピラ(ヴィラン)と"脳無"と呼ばれる改造ヴィランも来るはずだ。

 

57:虚刀流のグラップラー

特に脳無は個性を複数を持っていてパワー、スピードがオールマイト級の強さだ。

個性は【ショック吸収】と【再生】の2つだ。

 

58:雄英の仮面ライダー

>>57

オールマイト級の敵が居る…。

かなり手強いですね。

だから昨日職員室でヒーロー科のカリキュラムを見ていたのか。

 

59:杜王町の幽波紋

ライダーくん、敵と遭遇したのか?

 

60:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

よく無事だったね!?

 

61:雄英の仮面ライダー

偶然出会しました。

向こうは俺に気がつかなかったので戦闘はしてないです。

その事を雄英に報告して対応策を考えてくれました。

 

62:サクラギ研究所のリサーチフェロー

マジか!?

原作に無かったルートに突入するって事か!

 

63:虚刀流のグラップラー

ここからは俺たちの原作知識じゃカバーしきれないかもしれないですね。

 

64:空座町の無下限呪術師

そうだね。

下手にライダーくんに原作を教えても違う展開になった場合リスクが高いからね。

 

65:太刀川隊の狙撃手

取り敢えず、俺たちからの助言は控えるって事で良いですかね。

 

66:杜王町の幽波紋使い

>>65

そうだな。

悪いなライダーくん。

 

67:雄英の仮面ライダー

いえ、皆さんに話をしただけでもこちらには大きな収穫です。

一先ず警戒はしておきます。

 

68:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

気をつけてね。

 

69:サクラギ研究所のリサーチフェロー

無理はするなよ。

 

70:虚刀流のグラップラー

命優先な。

 

71:雄英の仮面ライダー

ありがとうございます。

では、一旦切ります。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「クソッ、こういうタイプだったか!」

 

バスに乗り込んだ一同の中、飯田は落ち込んだ。

 

委員長に任命されてからより責任感が強くなり、移動用バスに乗り込む際に番号順で座るよう皆に指示を出したが、バスの構造が飯田の想像していた前向き2席だけでなく、対面式の席もあったため座る順番が自由となっていた。

 

「意味無かったな」

 

「グフッ!」

 

芦戸の容赦の無い一言で余計に飯田は落ち込む。

 

「私、思ったこと何でも言っちゃうの。緑谷ちゃん」

 

「なっ…、は、はい、蛙吹さん」

 

蛙吹さんが緑谷に声を掛けると突然の事で緑谷はテンパる。

 

「あなたの個性、オールマイトに似てるわ」

 

「え!?そ、そうかな!あ、あはは」

 

「おいおい、梅雨ちゃん。オールマイトは自分の力でケガしねぇだろ。似て非なるものだよ」

 

「そ、そう!僕の場合上手くコントロール出来なくって、…早く何とかしないといけないんだけど」

 

「あー、昨日のHRであんな脅しされたらな」

 

「誰だって焦るよな」

 

「それを言ったら俺もだよ。ただえさえ地味な個性だし、もっと上手く使っていかないと後々キツくなるしよ」

 

話題が緑谷の個性から発展し、それぞれの個性について話し合う。

 

「けど切島くんの個性は凄いよ!攻撃と防御が一体になってる個性はそう無いし、アレンジ次第でバリエーションが増えると思う!」

 

「そうか?ありがとな!けど、実際どうするかなんだよなあ」

 

緑谷に励まされるも切島本人はまだ納得しきれていない様子だ。

 

「切島の場合、多少の力技でカバー出来ると思うけどな」

 

「ん?どう言う事だよ佳面?」

 

俺は悩んでいる切島に声を掛ける。

 

「例えば切島って全身を硬化出来る?」

 

「いや、まだ出来ねえ。俺の硬化は気を張り続けないといけねえから」

 

「それを克服出来れば、全身を硬化する事で大抵の物理攻撃は効かないんじゃ無いかな?あと硬度の底上げとか」

 

「……確かに、それ良いかもしれねえ!サンキューな!」

 

「じゃあーさ!私はどうすれば良いと思う?」

 

次に芦戸さんが名を挙げる。

 

「芦戸さんの個性は身体から"酸"を出すんだよね?」

 

「そー!ドバッてかければ大抵何でも溶かせるよ!」

 

「なら出す酸の射程距離を伸ばしたりとかは?遠距離攻撃が出来ると出来る事の幅が拡がるし」

 

「あ!それいただき!」

 

「なあ、佳面。俺の個性についてもアドバイスくれないか?」

 

「俺も!テープの使い方もっと上手くなりてぇんだ!」

 

「ウチも良い?」

 

「僕も☆」

 

「俺の黒影(ダークシャドウ)について助言を頼む」

 

「佳面さん、私の個性についてもお願いしますわ」

 

「オイラの個性をエロの方向で活かすにはどうすれば良いんだ!」

 

他の皆も個性のアドバイスを求めて来た。

 

コラコラ、俺は相談窓口じゃないんだけど。

まあ、聞かれたら可能な限りで相談にのるけども。

 

「おい、静かにしろ!そんなにアドバイスが欲しいなら演習場に着くまで講義しても良いんだぞ?」

 

相澤先生の一喝で先程まで賑やかだったバス内が静寂に包まれる。

 

「……まあ、個性を向上させたいと考える事は悪くない。自主練がしたいなら放課後に演習場の貸し出しもやってる。申請すれば問題ない」

 

「ついでに佳面。昨日申請したバイクと車の使用許可が下りた。個性の自主練込みでなら良いそうだ」

 

「ありがとうございます」

 

やったぜ。

 

 

◾️◾️◾️◾️救助用演習場◾️◾️◾️◾️

 

 

救助訓練の会場となる場に到着してバスから降りていき、相澤先生に案内され、中へと入って行くとそこにあったのはまるであらゆるアトラクションが備わったテーマパークの様だった。

 

「凄え!USJかよ!?」

 

「水難事故、土砂災害、火事、etcエトセトラ……ここはあらゆる災害の演習を可能にした僕が作ったこの場所、USJ(嘘の災害や事故ルーム)だ!」

 

(((本当にUSJだった!?)))

 

著作権的に大丈夫なのかと一同で心配する。

 

 

「皆さん、待ってましたよ!」

 

「ヨクゾ来タナ」

 

「「「おおおぉぉぉぉ!!」」」

 

そんな中現れたのは、宇宙服のような戦闘服の教師と片脚が義足で耳まで裂けた口が特徴の教師であった。

 

スペースヒーロー【13号】。宇宙服に似た戦闘服を身に纏ったその姿はどこか愛嬌が感じられる。

 

もう1人は【エクトプラズム】。まるでヴィランの様な見た目をしているが、分身の個性を持つ雄英のプロヒーローの1人だ。

 

「スペースヒーロー13号!災害救助を主に行っている紳士的なヒーローと会えるなんてッ!?」

 

「私好きなの13号!!」

 

「エクトプラズムだ!生で見たら迫力凄え!」

 

「見ろよあの湖! でっけーウォータースライダーあるぜ!」

 

「ドームの中にドームがあるのか。マトリョーシカみてぇだな」

 

「ンンッ!説明シテモ構ワナイカ?」

 

プロヒーロー2人の登場とUSJの迫力ある光景にテンション上がる生徒たちにエクトプラズムが注意する。

 

「エクトプラズム、13号。オールマイトは? もう着いてる時間の筈だが」

 

「先輩…、それが制限ギリギリまで活動してしまったみたいで。終わりには顔を出すそうです」

 

「朝カラ強盗犯ト遭遇シ、撃退シタソウダ。今ハ仮眠室で休憩中ラシイ」

 

(制限ギリギリ?オールマイト、ヒーロー活動に制限なんてしてたっけ?)

 

先生方がコソコソ話しているのを()()()()()()()()()俺は首を傾げる。

 

「えー、では訓練を始める前に小言を1つ、2つ…3つ…4つ」

 

13号先生が俺たちに注意事項を伝えようしているが数える度に増えていた。

 

「皆さんもご存じだと思いますが、僕の個性は【ブラックホール】。どんなモノでも吸い込んでチリにしてしまいます」

 

「はい!13号先生はその個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね!」

 

ヒーロー博士の緑谷が誰よりも早く解答する。

 

「えぇ…。しかしです、この個性は簡単に人を殺せます。皆さんの中にもそういう個性がいるでしょう」

 

思ったより重い内容に、先程までテンションが上がっていた皆が口を閉じる。

 

「超人社会は個性の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているように見えます」

 

13号先生の隣に立つエクトプラズム先生も頷く。

 

「しかし一歩間違えれば容易に人を殺せるいきすぎた個性を個々が持っていることを忘れないで下さい。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したと思います」

 

「この授業では心機一転!人命のためにどう個性を活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない、助けるためにあるのだと心得て帰って下さいな」

 

「以上!ご清聴ありがとうございました」

 

13号先生からの説明が終わり、一同で拍手する。

 

「デハ早速ダガーー」

 

「ッ!?」

 

エクトプラズム先生が何か言おうした直後、()()()()()()()()俺は噴水のある所に顔を向ける。

 

「佳面さん?」

 

「ちょっと、今説明中でしょ」

 

近くにいた八百万さんと耳郎さんが俺の不審な行動に気が付く。

 

すると噴水付近に()()()()()()()()()が出現し、その大きさを拡大させていた。

 

「相澤先生ッ!来ます!!」

 

「チッ、やはり来たか。エクトプラズムは俺とアレの対処。13号!お前は生徒たちを守れ!」

 

予想した事態が起き、相澤先生は2人の教師に指示を送る。

 

「佳面、よく気付いてくれた。お前も下がってろ」

 

「はい」

 

「ちょっ、何なんすか?また抜き打ちのイベントとかですか?」

 

何が起こったのか切島が相澤先生に質問する。

 

「違う。悪いが訓練は中止だ。お前たちも一塊りになるな!…アレは(ヴィラン)だ!」

 

広がった黒い靄から昨日職員室に居た白髪の男 "死柄木弔"と黒い靄の人型 "黒霧"が姿を現し、その後ろから武装した(ヴィラン)たちがゾロゾロと出て来ていた。

 

「おいおい、オールマイト居ないじゃん。しかも知らないヒーローが代わりに居るし。…まさか気付かれたか?」

 

「その様ですね。少々計画がズレてしまいましたが、どうします?死柄木弔」

 

「んじゃあ、アイツら殺そうぜ。子どもが死んだら流石にオールマイトも現れるだろ」

 

身体中に手を付けた白髪の男 死柄木が()()()()此方を見つめる。

 

予想していた最悪の事態が、俺たちを襲おうとしていた。




エクトプラズム先生登場
原作ではレスキュー訓練にオールマイト、イレイザーヘッド、13号の3名でしたが、雄英を襲撃してくるヴィランが大勢の場合を想定して『分身』の個性を持つエクトプラズムが今作では原作よりも早めに登場です。分身系の能力は強い。仮面ライダーでも予算ガタガタガタキリバで多勢に無勢状態でしたので。


プリキュア世界の円卓の騎士(1人)
バレンタインにヒロイン'sから"本命"チョコを貰い、食べても食べても減らない現状に悩んでいた。恋愛に関してはクソ雑魚ナメクジ。


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11スレ

第13話投稿します。

USJ襲撃事件・中編となります。

主人公が変身するライダーのヒントは
『改造人間』『カブトムシ』『電気』

それでは、どうぞ。


(ヴィラン)ッ!?バカだろ!ここ雄英だぞ!ヒーローの学校だぞ!」

 

「プロやヒーロー候補生いるの判って襲撃するなんて普通じゃねえ!」

 

「先生、侵入者用のセンサーは?」

 

「勿論ありますが…」

 

「現れたのはここだけか、それとも学校全体か…。どちらにせよ、センサーが反応しなかったってのは向こうにはそれを阻害する能力の持ち主がいるって事だ。校舎から離れたこの空間にクラスが来たこの時間に奴らは来た。奴らは馬鹿じゃない。これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

 

突然の(ヴィラン)襲撃に切島や瀬呂が驚愕する中、轟は今の現状を冷静に分析する。

 

俺はスマホで雄英に連絡を試みるも妨害電波によって繋がらず、次は()()()()使()()()()()()()を試すとこっちは通信可能だと解り、急いで電気信号を雄英に送り応援を発信する。

 

「13号は生徒と避難して学校へ連絡を試せ!センサーの対策も頭にある連中だ、電波系の個性で妨害している可能性もある」

 

「相澤先生!今通信で学校に応援を要請しました!」

 

「何だと?……いや、でかした佳面!」

 

「佳面さんいつの間に通信を!?()()()()()()()()()()()()()()()ですのに!?」

 

「悪いけど説明は後。急いで避難するよ八百万さん!皆も急いで!!」

 

相澤先生に応援要請した事を伝える俺に八百万さんが驚くも、説明を後にして避難を始める。

 

「相澤先生はどうするんですか!?戦うにしてもイレイザーヘッドの戦闘スタイルは個性を消してからの捕縛。多勢に無勢では不利ですよ!」

 

「覚えておけ緑谷、一芸ではヒーローは務まらん。いくぞエクトプラズム!」

 

「了解!」

 

心配する緑谷にそう答えて、相澤先生とエクトプラズム先生は(ヴィラン)集団に迎撃を始める。

 

(ヴィラン)側も2人に襲い掛かるも、相澤先生の【抹消】で個性を無効化され、エクトプラズム先生が生み出した【分身】によって撃退される。

 

「凄い…!相澤先生が敵の個性を無効化したと同時に分身したエクトプラズム先生が撃退。しかも相澤先生はゴーグルで視線を敵側に悟られてない!2人の個性だから出来る連携だ!」

 

「分析してないで避難するよ緑谷!」

 

「ご、ごめん!」

 

分析する緑谷を一喝し、既に避難を始める皆の後を追う。

 

 

「させませんよ」

 

 

避難する矢先、目の前に黒い靄と共に現れたのは黒霧と呼ばれる(ヴィラン)だった。

 

「初めまして、我々は(ヴィラン)連合。僭越ながら、この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて戴いたのは"平和の象徴"オールマイトに息絶えて戴きたいと思ってのことでして」

 

黒霧は紳士的な口調と仕草をしながら俺たちに目的を告げる。

 

───オールマイトの抹殺。

 

先日の職員室侵入の件で大まかな目的は分かっていたが、目の前にいる黒霧を含め奴らはオールマイトを本気で殺そうとしているのだ。

 

身構えている瞬間、爆豪と切島が黒霧に突っ込み、攻撃を繰り出す。

 

「オールマイトの抹殺だぁ?その前に俺たちにやられるとは思わなかったのか!」

 

「学生だからって舐めてんじゃねえぞ!」

 

「いけません!2人とも下がって!!」

 

2人の攻撃が直撃したと思われたが、喰らった黒霧は無傷のままであった。

 

「危ない危ない。そう、生徒といえど雄英ヒーロー科の優秀な金の卵」

 

すると黒霧は体の一部である黒い靄を拡大させ、俺たちを包み込もうとした。

 

「どういう手段をとったのか知りませんが、応援を呼んでも無駄です。既に刺客は放っています」

 

「そしてあなた方は…散らして、嬲り殺す」

 

(マズイ!)

 

「飯田!麗日さん!」

 

俺は近くにいた飯田と麗日さんの肩を掴み、後ろへ突き飛ばす。

 

「佳面くん!?」

 

「何を!?」

 

「飯田は残された皆を統率!麗日さんは飯田のフォローをお願い!」

 

2人に指示を送り、俺は靄に包まれる耳郎さんと八百万さんの方へ駆け出す。

 

(駄目だ、間に合わないッ!)

 

彼女たちを引っ張り出そうと駆け寄ったが間に合わず、俺も靄の中へと入っていった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【ライブ配信モード】

 

72:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ライダーくん無事か!?

 

73:雄英の仮面ライダー

はい!

なんとか無事です。

 

 

「耳郎さん!八百万さん!大丈夫!?」

 

「ウチは平気!」

 

「私も大丈夫ですわ!」

 

 

74:虚刀流のグラップラー

良かった!

女子2人も無事みたいですね!

 

75:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

しかし、見事に分断されたね。

 

76:太刀川隊の狙撃手

それが向こうの狙いの一つでしょうね。

雄英からの応援も事前に足止めされてるみたいですし、確実に俺たちの知る原作から離れていってますね。

 

77:空座町の無下限呪術師

それよりライダーくん集中。

敵さんやって来たっぽいよ。

 

78:雄英の仮面ライダー

>>77

すいません。

迎撃に移りますので一旦会話から外れます。

 

79:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

OK。

生き残れよ!

 

80:雄英の仮面ライダー

はい!

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

黒霧のワープによって分断された俺は、一緒に飛ばされた耳郎さんと八百万さんと合流し、待ち構えていた(ヴィラン)集団と対面していた。

 

「おいおい、マジで来たぜ、獲物がよ!!」

 

「しかも3人!1人は男だが2人は女だ!!」

 

「それじゃあ先に女を捕まえたヤツから()()()事にしようぜ!」

 

「オレはあのポニテが良い!あの胸とか堪らねえよ!!」

 

「しかも何だよあのハイレグ!完全に誘ってるだろ!」

 

「じゃあ俺はあのボブの方な!犯す時に首が締めやすそうだ!」

 

「お前貧乳派かよ。あんなの触ったって犯した気しねえだろ」

 

「バーカ!良いんだよ、大事なのはあの2人が10代だって事だ。まだ経験ねえだろうし、あっても()()の締まりは良いだろうよ!」

 

「おいおい、楽しむのは良いがあまり汚したり傷入れるなよ!俺はその後皮を剥いでバッグ作りてえんだ!10代の女の皮はハリがあって良いバッグになるんだよ!男の方は……身長185ってところか!なら全身の骨を抜き取ってハンガーラックが作れる!良いねえ、イカしたハンガーラックが目に浮かぶ!!」

 

「「ッ!?」」

 

(ヴィラン)たちの言葉に耳郎さんと八百万さんが顔を青ざめ、後ろに下り自身の身体を抱き締める。

 

あまりにもゲスな会話に()()()()()()()()()()を想像してしまったのだろう。

 

「……八百万さん。絶縁シート作れる?出来る限り君たちの身体が覆い被せる程の大きなヤツ」

 

「え?ど、どうして…」

 

「良いから早く!」

 

「は、はい!」

 

俺の意図が理解出来ないながらも八百万さんは個性の発動準備に入る。

 

「おい!何かしようとしてんじゃねえ!」

 

(ヴィラン)の1人が所持していた拳銃を手にし、銃口を八百万さんに向ける。

 

発砲される直前、俺は八百万さんの前に立ち両手をクロスにして銃弾に備える。

 

 

ガキィィンッ!

 

 

発砲された銃弾は()()()()()()()()()()()()

 

「はあ!?何で弾が弾かれるんだよ!?アイツの個性か!?」

 

「知るかよ!」

 

着弾された手に嵌められた手袋は破け、()()()()()()()()が覗いていた。

 

「まったく、この手袋特殊で再発注に時間掛かるって言われたのに」

 

「佳面さん!絶縁シート出来ましたわ!!」

 

「了解!2人はそれ被ってて!」

 

後ろの2人が絶縁シートに覆った事を確認し、俺は両手の手袋を剥ぎ取る。

 

露出したその両手は、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

俺は両腕【コイルアーム】を構え、右から半円を描く様に左へスライドする。

 

 

「変ん身ッ!」

 

 

「ストロンガー!!」

 

 

そして重なった両腕を擦り合わせる様に右腕を引く。

 

その摩擦によって【コイルアーム】はスパークし、腰に巻かれた変身ベルト【エレクトラー】が発光する。

 

すると俺の身体は変化し、頭部はカブトムシの角の様なアンテナ【カブトショック】に大きな緑色の複眼【ビッグアイ】、首元には白いマフラーが巻かれ、身体は黒い特殊戦闘スーツとなり、胸部にはアメフトのプロテクターの様な赤い装甲【カブテクター】が覆われ、胸の中心には大きく「S」の文字が刻まれ、黒いスーツと両手両足には赤いライン【カブトアース】の入り、白い手袋とブーツがそれぞれ装着されていた。

 

 

天が呼ぶ……地が呼ぶ……人が呼ぶ

 

悪を倒せと俺を呼ぶ

 

聞け、悪人共

 

俺は正義の戦士

 

仮面ライダーストロンガー

 

 

その名は【仮面ライダーストロンガー】。

悪の組織【ブラックサタン】に親愛なる友を殺され、復讐の為に自ら改造人間になる事を望み、その力を日本の平和を守る為に使った戦士である。

 

「さあて、俺お得意の電気料理といきますか」

 

変身完了した俺は(ヴィラン)集団を睨み、構えを取る。

 

「姿を変えたからって何だ!やっちまえェェェーーー!!」

 

 

「「「ウオォォ!!」」」

 

 

(ヴィラン)集団が俺に目掛けて走り出す。

 

「行くぞ!エレクトロファイヤー!!

 

再び両手を擦り合わせ電気をチャージさせ、地面に手を当てる。

 

するとチャージされた電気が地面に含まれる砂鉄を導火線の要領で伝って(ヴィラン)集団に直撃する。

 

その出力、10万ボルト!

 

 

「「「ギイヤァァァーーー!!?」」」

 

 

電撃を受けた(ヴィラン)集団は悲鳴を上げ、地面へと倒れる。

 

「ふう、こんなものかな」

 

「嘘…一撃であれだけの数を!?」

 

「凄まじい電撃ですわ!」

 

耳郎さんと八百万さんは目の前の光景に驚愕する。

 

しかし、俺は後ろの2人に駆け寄らず倒れた(ヴィラン)集団へ走り出し、倒れている1人の首筋に手刀を打ち込む。

 

「ガハッ!?」

 

「貴方だけが()()()()()()()()()()()()()()()()。差し詰め電気系の個性を持っているだろ?けど、今の俺は遠くの針が落ちる音をも聞き取れる程の聴力を持っている。死んだフリは通用しない」

 

手刀を打ち込まれた(ヴィラン)は意識を落とす。

 

「佳面!」

 

「大丈夫ですか!?」

 

耳郎さんと八百万さんが俺に近寄る。

 

「うん、平気。2人は?」

 

「こっちは大丈夫。それよりアンタ強過ぎ。1人でやっつけちゃうし」

 

「絶縁シートを用意しろというのは電撃を繰り出す為だったのですね」

 

「ああ。万が一2人が感電しない様に念には念をね。それより、2人共。今から広場に戻るよ」

 

「え?何故広場に?」

 

「今広場には相澤先生たちが居る。プロヒーローがいる所が1番安全だ。それに他へ飛ばされた皆もどうやら広場へ集まろうとしてるみたいだ」

 

「マジで!?アンタ耳も凄いの!?」

 

「変身してる間はね。行こう」

 

「「うん!/はい!」」

 

俺の言葉に2人も納得し、広場へ戻る。

 

しかし、今の広場はここより苛烈であった事にまだ気づいていなかった。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーストロンガー

レア度【LR】

出典 『仮面ライダーストロンガー』

今回のUSJ襲撃事件の間の主人公は改造人間となっていますので、通信機無しで外部に通信する事が可能となっています。また、主人公の戦闘服の一部である黒の革手袋は絶縁素材で出来ているので両手の【コイルアーム】から放電が起きない仕組みとなっております。


原作との分岐点
主人公の通信により襲撃を察知した雄英は至急応援に向かうが、その途中で敵連合の刺客である複数の脳無による奇襲を受けてしまい足止めを喰らっている状態。オールマイトはまだ「マッスルフォーム」になれないため現状は回復待ち。


作品とは無関係ですが、ジャンプ本誌で呪術廻戦が連載再開したみたいですね。お帰りなさい、芥見先生。

祝え!芥見先生がジャンプ本誌に帰還した瞬間を!(突然のウォズ口調)


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12スレ

第14話を投稿します。

前回で主人公がストロンガーに変身した事に大きな反響があって書いてる私自身が1番ビックリしてます。
昭和ライダーもといストロンガー好きが多くて嬉しいです。ヒーローはいつの時代でも色褪せませんね。

今回のお話はUSJ襲撃事件編 後編です。
主人公(仮面ライダーストロンガー)vs脳無がメインとなります。

それでは、どうぞ。

今回スレは無しですが、スレ民のニキたちは主人公の戦闘をライブ配信で観ています。


黒霧によって分断された佳面たちが広場へ戻っている頃、広場では想像を絶する光景が広がっていた。

 

多くの(ヴィラン)が地に倒れ、彼らの武装が転がっていた。

 

しかし最も驚愕したものは、オールマイトをも超える巨体に黒い皮膚、露出された脳に鋭い牙、瞳孔が開いた瞳をした怪物が相澤とエクトプラズムの頭部を鷲掴みにし、地面に叩きつけていた。

 

「個性を消せる能力に複数の分身。どれも素敵だけど、なんてことはないね」

 

「圧倒的な力…この"脳無"の前では、どんな個性もただの無個性だもの」

 

「やれ、脳無」

 

脳無と呼ばれる(ヴィラン)は、死柄木の一言で今度は相澤の左腕とエクトプラズムの右腕を小枝を折るかの様に握り潰す。

 

この無惨な光景を水辺からただ観ることしか出来ない者たちが居た。

 

緑谷・蛙吹・峰田の3人。

 

彼らも黒霧に飛ばされ、水難ゾーンで待ち構えていた(ヴィラン)と交戦し、何とか離脱してきたのだ。

 

しかし、離脱した先で自分たちの教師が目の前で殺されかけていた。

 

ーー助けたい。

 

そう思うのと裏腹に恐怖で身体が動かず、ブルブルと震えさせるだけであった。

 

 

「相澤先生…!エクトプラズム先生…!」

 

「ダメだ…!あんなの無理だろ!」

 

「ケロ…」

 

何とかしようにもあまりの恐怖で身がすくむ緑谷。悲鳴を出さない様に口を両手で押さ、今にも泣き出しそうに震える峰田。蛙吹も顔には出していないが必死に恐怖に耐えていた。

 

すると死柄木の側に黒霧が現れる。

 

「黒霧、もう1人の方は殺したか?」

 

「申し訳ございません、死柄木弔。13号は行動不能には出来たものの、最初で散らし損ねた生徒たちの妨害によって、殺しきれてません」

 

「はあ?」

 

黒霧からの報告に、死柄木は首元をガリガリと爪を立てて掻きむしる。

 

「黒霧ィ…!お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしてたよ!…流石に足止めの方も限界だろうな。プレーン体の脳無が居ると言っても相手はプロヒーロー。寧ろチンピラ組が足を引っ張るかもしれない。もう良いや…帰ろう。ゲームオーバーだ」

 

"帰る"。

 

死柄木の撤退宣言に内心喜ぶも、緑谷の心は恐怖で満たされる。

 

(アイツらの狙いはオールマイトの筈だ!ここで撤退したら雄英の危機感が上がって次の侵入が困難になるだけだ!何を考えてるんだ!?)

 

「まあ、だけど。平和の象徴としての矜持をほんの少しでも」

 

気づいた時には死柄木は緑谷たちの目の前に立っており、蛙吹に掴み掛かろうとしていた。

 

「へし折ってからにしようか」

 

間に割って入ろうにも間に合わず、蛙吹が死柄木に殺されると思った次の瞬間、死柄木の手が蛙吹を掴むコンマ数秒、割って入ったエクトプラズムが死柄木に触れられるも()()()()()()、死柄木を蹴り飛ばした。

 

「痛ッ!…へえ、本当にカッコいいじゃん。ヒーロー共」

 

既に戦闘不能寸前だった相澤が個性を無効化し、エクトプラズムが分身を生み出して死柄木の妨害をしていた。しかし、再び脳無によって2人は地面に叩きつける。

 

本体が気絶したのか、分身の方のエクトプラズムが霧散し消滅する。

 

(ヤバヤバいヤバい!違う…!さっきのヴィランと全然違う!助けないと…!蛙吹さんと先生たちを助けないと!!)

 

「SMAAASH!!」

 

反射的にワン・フォー・オールを右腕に発動させ、死柄木に殴り掛かる。

 

振るった拳に手応えを感じながらも、個性を発動した右腕がいつもの様に破壊しなかった事に緑谷は気づく。

 

(壊れていない!?力の調整がこんな土壇場で!?けど、これでアイツも)

 

突然の事に驚きながらも拳が直撃した死柄木を見るも、そこに立っていたのは死柄木ではなく、脳無であった。

 

(いつの間に!?というか…効いてない!?)

 

「動きが違うな、お前。しかも"SMASH"ってオールマイトのフォロワーかな?……まあ、良い」

 

「脳無」

 

気づく前に脳無が緑谷の胴体を掴み、無造作に放り投げる。

 

緑谷は物凄い速度で吹き飛ばされ、地面に何度もバウンドしながらゴロゴロと転がり、やがてピクリとも動かなくなった。

 

「緑谷あぁぁぁ!!」

 

「緑谷ちゃん!!」

 

緑谷が倒れた事に峰田と蛙吹は叫ぶ。

 

しかし、緑谷からは何の反応も起きなかった。

 

「これで邪魔は消えた。さて」

 

「嫌ッ!」

 

死柄木は蛙吹を掴み、片手で持ち上げる。

 

「俺に怒るなよ。悪いのはお前たちを助けられなかったプロとさっきのガキに文句を言え」

 

ギリギリッ

 

「あ…あ…」

 

「蛙吹いィィィ!!」

 

今まさに死柄木が蛙吹の首を折ろうとした。

 

その時

 

 

「エレクトロサンダー!!」

 

 

何者かの叫び声と共に何処からか高圧電流が空中に発射され、死柄木と脳無の頭上に雷雲が発生したと共に落雷が落ちる。

 

「グアァァッ!?」

 

「死柄木弔!?」

 

死柄木は落雷を直撃した事に苦痛の叫びを上げ、脳無は声は出さしていなかったが身体を怯ませる。

 

 

「電気ビーム!!」

 

 

「グウゥゥッ!?」

 

今度は一筋の放電が()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「トウッ!」

 

「グフッ!?」

 

そして死柄木は何者かに蹴り飛ばされ、解放された蛙吹は地面に落ちる事なく、誰かに抱き止められた。

 

「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ」

 

「大丈夫?蛙吹さん」

 

首を絞められた事で激しく咳き込むと、()()()()()()()()()に気がつき、見上げるとカブトムシの様な仮面をした誰かだった。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()2()()()()()()()()

 

「か…佳面…ちゃん?」

 

「もう大丈夫だ。後は任せて」

 

再び自分を危機から救ってくれたヒーローはとても頼もしく、とてもカッコ良かった。

 

彼に抱き止められたまま、蛙吹は気を失う。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

蛙吹さんを死柄木から取り返し、近くにいた峰田も抱えて奴らと距離を取る。

 

「蛙吹さん!峰田さん!」

 

「2人とも無事!?」

 

後方から駆けつけて来たのは俺と一緒にいた耳郎さんと八百万さんの2人。

 

「2人をお願い。それと緑谷と先生たちも」

 

「承知しましたわ!」

 

「任せて!」

 

彼女たちに救出した2人と倒れている3人を託し、俺は死柄木たちの前に立ち塞ぐ。

 

「〜〜〜〜痛え…なあ…!誰だよ…お前!?」

 

「もしや…分断させた雄英生の1人?」

 

先程の電撃でまだ身体の自由が効いていないのか、死柄木と黒霧は地面に倒れたまま俺を睨む。

 

「随分と暴れてくれたな。それに緑谷や先生たちまで…、お前たち覚悟は出来てるだろうな?」

 

「知る…かよ!いきなり…奇襲とか…ヒーロー…のする事…かよ!」

 

「生憎様、元より悪党に語る正義は持ち合わせてなくてね。俺はただ、お前たちを捕らえるだけだ」

 

「調子…乗んなよ!やれ…脳無!!」

 

死柄木は苦しみながらも俺を鋭く睨むと脳無に命令する。

 

脳無はそれに反応し、俺に襲い掛かる。

 

大振りでありながら速く鋭い拳は俺に当たる直前、俺は振われた腕を掴み、背負い投げを決める。

 

「どうした?動きが単調過ぎるよ」

 

「次は俺からだ!」

 

倒れた脳無の両足を掴んで空中へジャンプし、脳無の頭を下に垂直落下する。

 

 

「反転ブリッカー!!」

 

 

高速落下による脳天落としは脳無の頭を地面にめり込む程の威力を放ち、脳無の胴体は重力に従い地面に倒れた。

 

しかし攻撃が効いていないのか、脳無は直ぐに起き上がろうとしていた。

 

「(やはり【ショック吸収】によるものか…)それなら波状攻撃だ!トウッ!」

 

脳無が起き上がる前に空中に再びジャンプし、空中前方宙返りと共にフル回転させた発電機で高圧電流を発しながら電気エネルギーを体に集中・赤熱化させる。

 

 

「ストロンガー電キック!!」

 

 

キックが脳無に直撃すると共に10万ボルトを超える高電圧を注ぎこむ。

 

必殺キックを直撃した脳無は後方へ2回、3回とバウンドし、10数メートル吹き飛んだ。

 

「馬鹿な!?脳無が吹き飛ばされるなんて!」

 

「ハハッ!だからどうした?確かにアイツは強い。パワー、スピード、反応速度、どれも脳無とほぼ互角だ。素直にそこには驚いたよ。けどなあ、()()()()()()()()()()()()()()()

 

死柄木の言葉に反応したのか、先程の電キックで焼き爛れた脳無の身体は元の状態に戻りつつあった。

 

「残念だったなあ!脳無が持ってる個性は【ショック吸収】だけじゃない!【再生】による回復でどんな攻撃も通用しないんだよ!!」

 

確かに死柄木の言う通り、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それなら、

 

「ショック吸収も再生も追いつけない攻撃を繰り出すまで!」

 

 

「チャージアップ!!」

 

 

俺は内部に搭載された超電子ダイナモを起動させると、胸に刻まれた【Sポイント】が高速で回転しながら余剰エネルギーが放出され、【エレクトラー】が激しく発光する。すると赤かった【カブトショック】が銀色に変わり、【カブテクター】に白いラインが加わる。

 

【超電子人間 ストロンガー】。

 

それが強化変身を遂げたストロンガーのもう一つの姿である。

 

しかし超電子によってチャージアップされたストロンガーへの負担は凄まじく、この姿を維持出来るのは()()1()()()

 

それを過ぎるとストロンガーが自爆してしまう危険性を持つ。

 

「一気に決める!」

 

俺は一瞬で脳無に接近し連続パンチを繰り出し、空中膝蹴りを脳無の顎に目掛けて打ち込む。

 

地面から離れた脳無の両足を再び掴み、高圧電流を放電しながら高速で脳無を振り回す。

 

 

「超電ジェット投げ!!」

 

 

何倍もの高圧電流を纏った小型竜巻で身動きが取れない脳無は空中に投げ飛ばされる。

 

「トドメだ!」

 

ジャンプした俺は空中で大の字になって側転し、落雷と共に数倍の高圧電流を得たストロンガー最強のキックを繰り出す。

 

 

「超電…稲妻キック!!」

 

 

空中で直撃した脳無は目にも止まらないスピードで彼方へ吹き飛び、その衝撃波で周囲は荒れ果てていた。

 

この光景に死柄木たちは唖然とした。

 

「嘘だろ…!?あの脳無が、先生の最高傑作が!あんなガキ1人になんで負けんだよ!?」

 

「まさかこんな事が起きようとは…!?此処は一時撤退しましょう死柄木弔!」

 

「ふざけんな!まだオールマイトにすら会ってないんだぞ!こんなところでーー」

 

「今此処で捕まったら全ての計画が崩れる!貴方も解っているはずだ!」

 

「クソォォォッ!!」

 

怒りで隠れた顔を歪ませる死柄木の隣で黒霧がワープゲートを発動し、自身たちを包み込む。

 

「待てッ!グッ…」

 

超電子の2連撃で身体に大きな負担を与えてしまい、制限時間が迫って来た超電子ダイナモを強制停止される。

 

超電子ストロンガーから元の状態に戻った俺は、片膝を地面につきそうになるも踏み止まる。

 

「おい!これで終わりなんて思うなよ!そしてオールマイトに伝えろ!……今度は()()()()()()()()()()()()()()()となあ!!」

 

そう言って死柄木弔と黒霧はその場から立ち去った。

 

「オールマイトの身体が弱りきっている?一体……どういう……」

 

聞かされた一つの謎に思考を働かせようとするが、力を使い果たしてしまい、変身解除した俺はそのまま地面に倒れ込み、だんだん意識が遠のいて、そして気を失った。




【超電子人間 ストロンガー】
ストロンガーに搭載された超電子ダイナモによって強化した姿。通常の100倍のパワーを発揮出来るが制限時間は僅か1分間。それを過ぎるとストロンガーの身体は爆砕してしまう。

超電ジェット投げ→超電稲妻キック
デルザー軍団を一撃で屠る程の技を2連撃した事で脳無のショック吸収と再生がダメージに追いつかず、ストロンガーに敗れ去られた。本来なら超電子の技一撃だけでも致命的なダメージとなるが、主人公は脳無と言えど人間相手だったので力を抑えて闘っていた。


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幕間③『それぞれの思い』

第15話を投稿します。

USJ襲撃事件直後での各キャラクターたちの心境や次の物語に繋がる内容となります。

それでは、どうぞ。


「クソッ!クソッ!クソッ!」

 

USJから拠点のとあるバーに撤退した死柄木は佳面から受けたダメージでまだ身動きが取れない状態でありながら悪態をつきながら暴れていた。

 

「脳無がやられた!手下も倒された!オールマイトに会えなかった!何もかも失敗だ!!」

 

「死柄木弔、落ち着いて下さい」

 

「落ち着いていられるか!!お前こそ何やってた!ガキの良いようにされやがって!!使えねぇッ!!」

 

『どうしたんだい、弔。そんなに怒って、計画は失敗したのかい?』

 

バーの隅に置かれたディスプレイから低い男の声がし、死柄木はディスプレイを睨む。

 

「そうだよ!失敗だ!オールマイトに会う事すら出来ずに撤退した!!」

 

『それは予想外だね。生徒がピンチだったのに彼は現れなかったのかい?』

 

「USJに居たプロヒーローは3名でしたが、そこにオールマイトは居ませんでした。全員戦闘不能にはしましたが…殺す事は出来ず」

 

『それなのに強化試作型を含む脳無がやられたと言うのか!?プレーン体はともかく、雄英のプロヒーローでは試作型に勝つなどあり得んぞ!?ワシと先生の合作を倒せるのはオールマイトだけじゃ!!』

 

ディスプレイからはもう1人、男の老人の声も流れ、脳無が倒された事に驚愕していた。

 

「プレーン体は応援に駆けつけるプロヒーローの足止めに使いました。しかし試作型の方は1人の雄英生に倒され、吹き飛ばされました」

 

『なんじゃと!?子どもが倒したと言うのか!?』

 

『それで?回収は出来たのかい?』

 

「回収しようにも座標が判らないといくらワープゲートを開いても不可能です」

 

死柄木の代わりに黒霧がディスプレイ越しの2人に説明を始める。

 

『あり得ん!()()()()()()()()()調()()()()試作型がたかが子ども1人にやられるなど!?』

 

『黒霧、その生徒の事を詳細に教えてくれるかい?個性はどんなだった?』

 

「個性はおそらく姿を変える個性と電気系個性の複合型です。カブトムシの様な仮面をしており、最初は脳無とほぼ互角の戦闘をしていましたが、途中で更に姿を変えてからは形勢が逆転。より強力な電撃で1分も経たずに脳無を撃退。その生徒は戦闘中、傷一つ負わずに勝利しました」

 

『脳無が手も足も出ずにやられたと言うのか!?生徒1人に!?』

 

「そうだよ!何が"オールマイトが最大戦力"だッ!!その対オールマイト用がガキ相手にまるで相手にならなかった!俺たちの目の前で瞬殺された!!あんな奴がいるなんて聞いてないぞ先生!!」

 

死柄木の癇癪した子供の様な叫び声をただ聞いて、少し考えていたのか間が空いた。

 

『ふむ、それはすまなかったね、弔。そんな生徒が居るなんて、僕も計算違いだった』

 

『これは僕の責任だ。謝罪するよ』

 

『だが無駄ではなかった。寧ろこれは大きな収穫だ。戦力を削られたが情報も得られた』

 

『精鋭を集めるんだ。今の僕たちは自由に動く事が出来ない。だからこそ君みたいな()()が必要だ死柄木弔!!今は策を練るんだ。そして次こそは、君という恐怖という名の象徴を世に知らしめるんだッ!!』

 

男は死柄木に激励の言葉を送る。

 

「……解ってるよ、先生。悪いけど……もう休む。身体中が痺れて何もする気になれない」

 

『そうだったのかい。なら少し休息を摂ろう。黒霧、弔を部屋に休ませてくれ。引き続き彼のサポート頼むよ』

 

「はい」

 

黒霧は死柄木を担いで奥の部屋へ移動する。

 

『しかし、脳無を倒せる子どもが居たとは…これは計算違いにも程があるぞ。先生』

 

『ああ。しかし、その生徒に興味があるねえ。博士…僕は出来る事なら、その個性を貰いたいくらいだよ』

 

───()()()()()()()()()()()()()

 

そう言って口角を上げる。なんとも先生らしいと老人も釣られてニヤりと嗤う。

 

悪意の歯車は、人知れず廻り始めた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「15、16、17。うん、先に搬送された3名以外は全員無事のようだね。取り敢えず、今は君たちには教室に戻って貰おう。今すぐ事情聴取ってわけにはいかないだろうし」

 

(ヴィラン)連合の構成員をUSJに駆け付けた警官たちが連行していく中、生徒たちはトレンチコートの刑事・塚内の前に集められていた。

 

雄英教師であるプロヒーロー達も敵の足止めを無力化し、USJに駆けつけてくれた。

 

その中には"平和の象徴"であるオールマイトも居た。

 

「あの、刑事さん。先生方や緑谷さんと蛙吹さん…それに佳面さんは?」

 

生徒を代表として八百万が刑事に質問する。

 

脳無と黒霧によって重症を負わされた相澤・エクトプラズム・13号の教師3人と緑谷、死柄木に殺され掛けた蛙吹、そんな彼らをヴィランから守り気を失った佳面は保健室や病院に搬送されたのだ。

 

「部下に確認させよう。三茶」

 

彼女ら生徒たちの不安な気持ちを理解し、刑事は部下である猫顔の警察官に彼らの容体を事前に聞いてくれたのだ。

 

「えー、まずイレイザーヘッドですが…両腕粉砕骨折と顔面の骨折。幸い脳の損傷は見受けられませんが、目の周りの損傷が酷く何かしらの後遺症が残るかもしれません」

 

「エクトプラズムは右腕を粉砕骨折、肋骨を4本骨折」

 

「13号は背中から上腕にかけての裂傷が酷いですが、3名ともに命に別状は無いとの事です」

 

「先生……」

 

麗日の悲痛な言葉が聞こえる。

 

「そして緑谷くんですが、左手の指2本の骨折と全身打撲。さらに頭部を強く打ったため意識がまだ回復していない状態です」

 

「そんな!?」

 

「緑谷くんは大丈夫なんですか!?」

 

今度は飯田が鬼気迫る表情で刑事に詰め寄った。

 

「今はリカバリーガールの治療で骨折と打撲は回復済みで、脳に異常が無いか病院でCTスキャンを撮って容体を見ながら様子を伺うとの事です。幸い脳を損傷した可能性は低いらしく、退院次第ヒーロー科に復帰するようです」

 

「そうですか……」

 

「良かった」

 

それを聞いた生徒たちは安堵する。

 

オールマイトは相澤たちと緑谷の容体を聞いて、あの場に居なかった事を心底後悔した。

 

(同僚が命懸けで生徒を守り、緑谷少年がピンチの時に駆けつけてやれなかった事に…私は自分をブン殴りたい!!何が"平和の象徴"だ!オールマイト!!)

 

オールマイトは怒りで血が滲む程拳を強く握りしめる。

 

「次に蛙吹さんは目立った外傷は見当たらず、気を失っているだけのため保健室で休ませてます」

 

「最後に佳面くんも体力の激しい消耗による気絶のため、蛙吹さん同様保健室で休ませているとの事です」

 

「…俺たちや先生方や緑谷くんたちが無事だったのは全て佳面くんのお陰だ。俺たちは彼に感謝しなければならない!俺たちは…一緒に戦う事も出来なかったッ!!」

 

飯田は自分の無力さに顔を俯きながら叫ぶ。

 

そんな彼にこの場に居る全員が同じ気持ちだった。

 

「たった1人で(ヴィラン)から俺たちを守ってくれたんだ。礼の一つでも言わねえと納得出来ねえよ」

 

「そうだな」

 

「何か持っていってやろうぜ!梅雨ちゃんにも!」

 

「そうだね。でもまずは教室に戻りなさい」

 

生徒達がバスに乗り込んで行く中、爆豪は後ろのUSJの入口に振り返る。

 

(俺がチンピラ共と殺り合ってた中、変身野郎は敵の最大戦力と戦っていやがった!しかも1人で!ざけんなッ!!また、差が開いちまった……!!)

 

そう思いながら爆豪は苛立ちながらバスに乗り込む。

 

轟も佳面に対して何か思いながらも、静かにバスへ乗り込んだ。

 

生徒全員がバスに乗り込み校舎に戻るのを確認すると、塚内は三茶に指示を送る。

 

「三茶、私は病院に用がある。ここは任せた。」

 

「はッ!」

 

三茶は敬礼をしてUSJへと戻って行った。

 

「校長先生、念の為に校内も隈無く見たいのですが」

 

「ああ、勿論。権限は君達警察の方が上だからね。捜査は君達の分野、よろしく頼むよ」

 

ほんの数時間で起きたUSJ襲撃事件。

 

幸い死者は出ておらず、教師も生徒も一命を取り留めたが、結果は辛勝。

 

学校の敷地内に(ヴィラン)が侵入したと言う前代未聞の大事件。

 

暫く雄英は報道の的になるが、人命と比べれば安いものである。




ラスボス、主人公に興味を持つの巻
CV:大塚明夫なラスボスにロックオンされた主人公。今後どうなるのか…。急いでガチャ回してクロノスやエボルやオーマジオウやアークワンやソロモンやストリウスを引き当てるんだ主人公!!(ラインナップがラスボス系ライダーのみwww)。


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雄英体育祭編
13スレ


第16話の投稿です。

以前アンケートで募集したピックアップガチャ回の第1弾。
内容は第3位『ガンナー系ライダー』ピックアップです。
それでは、どうぞ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

1:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ライダーくん、大丈夫かな?

 

2:虚刀流のグラップラー

USJ襲撃事件で脳無相手に1人で立ち向かいましたからね。

攻撃は受けてなかったですけど、体力の消耗で気を失ってたし。

 

3:サクラギ研究所のリサーチフェロー

心配ですね。

 

4:杜王町の幽波紋使い

ストロンガーのチャージアップは大幅なパワーアップが可能だが、身体への負担も比例する。

しかも必殺技2連撃は相当だったはずだ。

 

5:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺もストロンガーになったライダーくんと模擬戦した事ありますけど、チャージアップされて負けました。

 

6:太刀川隊の狙撃手

身体を電気分解して攻撃を回避するなんてぶっ壊れ性能、俺の世界でも見た事ないですよ。

 

7:空座町の無下限呪術師

まあ、気絶しただけだし…そのうちスレにも顔を出すと思うよ。

 

8:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

だと良いんですけど…。

 

9:雄英の仮面ライダー

すいません皆さん、ご心配をお掛けしました。

 

10:虚刀流のグラップラー

ライダーくん!?

 

11:サクラギ研究所のリサーチフェロー

もう大丈夫なのか!?

 

13:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

心配したよ!

 

14:雄英の仮面ライダー

あの後、保健室に運ばれてリカバリーガールに診察して貰って"異常なし"との事でした。

クラスの皆も心配で差し入れ沢山持ってきてくれました。

あと葉隠さんからは殴られました。

泣きながらですけど……。

 

15:太刀川隊の狙撃手

それだけ心配させたって事でしょ。

 

16:杜王町の幽波紋使い

他の皆も無事なのか?

 

17:雄英の仮面ライダー

はい。

先生方は重傷ですが命の危険は無いそうです。

緑谷も意識が回復して念の為入院して近いうちに学校に戻ってくるみたいです。

蛙吹さんも目立ったケガはありませんでしたが、念の為学校側でメンタルケアをしていくみたいです。

A組全員受けないといけないみたいで。

 

18:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

あれだけの事が起きたからね。

学校としても対応に力入れるんじゃないかな。

 

19:雄英の仮面ライダー

>>18

そうですね。

今日は臨時休校で1日休みになってますので、気分転換にガチャを回していきたいと思います。

 

20:虚刀流のグラップラー

ガチャ回か!

『エグゼイド』ピックアップ以来か。

 

21:サクラギ研究所のリサーチフェロー

今回はどんなピックアップ?

 

22:雄英の仮面ライダー

今回は『ガンナー系ライダー』ピックアップです。

 

23:太刀川隊の狙撃手

>>22

ほう、ガンナー系ライダーか。

 

24:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

狙撃ニキが反応するなんて珍しい。

 

25:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

職業柄馴染み深いのでは?

 

26:空座町の無下限呪術師

それで?

どんなライダーがピックアップされてるの?

 

27:雄英の仮面ライダー

そう言うと思って事前にまとめて置きました。

これが今回のピックアップ対象です。

 

 

【ライブ配信モード】

 

【LR】

仮面ライダーディエンド(ネオディエンドライバーver.)

 

【SR】

仮面ライダーG4

仮面ライダーゼロノス(取得済)

仮面ライダーイクサ

仮面ライダーディエンド

仮面ライダースカル

仮面ライダービースト

仮面ライダー龍玄

仮面ライダーマッハ(取得済)

仮面ライダースナイプ

仮面ライダーバルカン

 

【R】

仮面ライダーG3-X(取得済)

仮面ライダーゾルダ(取得済)

仮面ライダーデルタ

仮面ライダーギャレン

仮面ライダー威吹鬼(取得済)

仮面ライダードレイク

仮面ライダーバース

 

【N】

仮面ライダーG3(取得済)

仮面ライダーG3マイルド(取得済)

仮面ライダープロトバース

仮面ライダーアバドン(ショットアバドライザーver.)(取得済)

 

28:虚刀流のグラップラー

おお、こうして見ると多いな。

 

29:太刀川隊の狙撃手

【LR】はジオウに登場した方のディエンドだけか。

 

30:サクラギ研究所のリサーチフェロー

例の如く【SR】に偏ってますね。

 

31:杜王町の幽波紋使い

ライダーくんは今回どのライダーが目当てなんだ?

 

32:雄英の仮面ライダー

今回の狙いは【SR】の仮面ライダーバルカンです。

 

33:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

バルカン!?

ゼロワン本編でも主人公並に活躍してた不破さんが変身するライダーか!?

 

34:空座町の無下限呪術師

遂にライダーくんがゴリラになっちゃうのか。

 

35:太刀川隊の狙撃手

バルカンになるならゴリライズしなきゃいけませんからね。

 

36:雄英の仮面ライダー

いや、ゴリライズは不破さんだから出来た芸当なので、俺はもう少しスタイリッシュに変身しますよ。

 

37:虚刀流のグラップラー

ゴリライズしないバルカンなんてバルカンじゃねえよ!

 

38:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

公式からもネタにされたからね。

 

39:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ライダーファンならゴリライズ出来て当たり前だろ!?

バルカン引けたらちゃんとゴリライズするんだよ!

 

40:雄英の仮面ライダー

ええ?

マジですか?

 

41:杜王町の幽波紋使い

まあ、状況に応じて変身手順を変えれば良いんじゃあないか?

余裕がある時はそのゴリライズ(?)で、急を要する時はスタイリッシュにやるとか。

 

42:雄英の仮面ライダー

まあ…幽波紋ニキの言う通り、状況に応じて変身手順を変えてみますよ。

まずバルカンを引かなくちゃいけませんが。

 

43:太刀川隊の狙撃手

そうと決まれば、早速ガチャを回すんだライダーくん。

 

44:サクラギ研究所のリサーチフェロー

今回もスキップ教で回すのか?

 

45:雄英の仮面ライダー

そうですね、時間短縮も兼ねて今回もスキップでいきます。

それでは、そいッ!

からのスキップ!!

 

 

【10回目結果】

仮面ライダーバース【R】

仮面ライダー雷【R】

仮面ライダープロトバース【N】

仮面ライダー迅(バーニングファルコン)【SR】

仮面ライダーバスター【R】

仮面ライダースナイプ【SR】

仮面ライダーデルタ【R】

仮面ライダードレイク【R】

仮面ライダーナイト【SR】

仮面ライダーライア【R】

 

……まあ、最初はこんなものですかね。

 

46:空座町の無下限呪術師

【LR】は1体も来ず、狙いのバルカンも引けてないか。

 

47:サクラギ研究所のリサーチフェロー

まあ、前回が10連一発で狙いのパラドクスを引き当てたので、流石に毎回10連だけで引けるとは限らないですよね。

 

48:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

気を取り直して、ライダーくんもう一度引くんだ!

 

49:雄英の仮面ライダー

そうですね。

それでは、20連目!

そいッ!

 

 

【20連目結果】

仮面ライダーギャレン【R】

仮面ライダースーパー1【LR】

仮面ライダーG4【SR】

仮面ライダーガイ【R】

仮面ライダーレンゲル【R】

仮面ライダークウガ【LR】

ライオトルーパー【N】

仮面ライダー黒影【N】

仮面ライダーサソード【R】

仮面ライダー龍玄【SR】

 

 

ンンンッ!

良いんだけど!

引きは良いんだけど!!

 

50:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

【LR】を2体当てやがった!?

しかもスーパー1とクウガ!?

 

51:杜王町の幽波紋使い

昭和のチートライダーの1人と平成ライダーの第1号じゃないか!?

 

52:太刀川隊の狙撃手

もうこれで良いんじゃないかな?

 

53:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

けど【LR】も所謂すり抜けですけど…。

 

54:虚刀流のグラップラー

ライダーくんって、運が良いのか悪いのか。

 

55:空座町の無下限呪術師

いやあ、まだ推しライダーのZO引けてないから運悪いでしょ。

 

56:雄英の仮面ライダー

ZOの事は言うなああああ!!!

 

57:サクラギ研究所のリサーチフェロー

呪術ニキ!

ライダーくんのトラウマを掘り返すの止めましょうよ!!

 

58:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

最初の頃みたいに地獄兄弟化したらどうするんですか!?

 

59:空座町の無下限呪術師

僕としてはライダーくんが地獄兄弟化してるとこ見てないから個人的に見てみたいとは思うけどな♪

 

60:太刀川隊の狙撃手

>>59

この人マジでドSだろ。

 

61:杜王町の幽波紋使い

どうするライダーくん。

ここで止めておくか?

 

62:雄英の仮面ライダー

いえ、後一回だけ回します!

これでバルカン引けなかったら諦めます。

 

63:虚刀流のグラップラー

よく言った!

それでこそライダーファンだ!

 

64:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

自分を信じろ!

 

65:太刀川隊の狙撃手

バルカンを引いた自分をイメージするんだ!

 

66:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

君なら出来る!

 

67:雄英の仮面ライダー

はい!

それでは最後の10連ガチャです。

いけえええええ!!

 

 

【30連目結果】

仮面ライダービースト【SR】

仮面ライダーベルデ【R】

仮面ライダー轟鬼【R】

仮面ライダーバルカン【SR】

仮面ライダーZO【SR】

仮面ライダーナックル【R】

仮面ライダーアマゾンオメガ【SR】

仮面ライダーローグ【SR】

仮面ライダーエグゼイド【LR】

仮面ライダーエスパーダ【SR】

 

…………………え?

 

68:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

引けてる!?

バルカン引けてるよライダーくん!?

 

69:杜王町の幽波紋使い

しかも推しのZOも引けてるぞ!

やったなライダーくん!!

 

70:サクラギ研究所のリサーチフェロー

おめでとう!

 

71:虚刀流のグラップラー

おめでとう!

 

72:太刀川隊の狙撃手

良くやった!

 

73:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

祝え!(ウォズ風)

 

74:空座町の無下限呪術師

よく頑張ったね。

 

75:雄英の仮面ライダー

……………。

 

76:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ライダーくん?

 

77:杜王町の幽波紋使い

大丈夫か?

 

78:雄英の仮面ライダー

………ポロポロ(泣)

 

79:サクラギ研究所のリサーチフェロー

うわー!?

ライダーくんがあまりのショックで泣いた!?

 

80:太刀川隊の狙撃手

気をしっかり持つんだ!

 

81:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

しっかりしろ!

 

82:雄英の仮面ライダー

す、すいません…グズッ。

ちょっと、現実を受け取れられなくて…。

 

83:空座町の無下限呪術師

良いんだよ。

 

84:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)

念願の推しライダーだからね。

 

85:虚刀流のグラップラー

無理もないよ。

 

86:サクラギ研究所のリサーチフェロー

喜んで良いんだよ。

 

87:太刀川隊の狙撃手

ここまで長かったからな。

 

88:杜王町の幽波紋使い

一先ず、お疲れ様。

 

89:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

よくここまで頑張ったね。

 

90:雄英の仮面ライダー

ありがとうございます。

 

91:空座町の無下限呪術師

今日はもう解散にしようか。

ライダーくんもお疲れだろうし。

 

92:太刀川隊の狙撃手

そうですね。

俺もこの後防衛任務なので。

 

93:サクラギ研究所のリサーチフェロー

俺もポケモンたちの食事用意しないといけないので。

 

94:虚刀流のグラップラー

俺も今勇次郎さんと地獄の鬼ごっこの最中なので。

 

95:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺も大学の課題とその後バイトに行かないといけないので。

……ちょっと待てグラップラーニキ、今何と?

 

96:杜王町の幽波紋使い

よし、それでは解散という事で。

お疲れ様。

 

97:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れ。

 

98:虚刀流のグラップラー

お疲れッス。

 

「見つけたぞ。さあ、俺と闘えッ!!」

 

ギャアアアッ!!!(リアル逃走中)

 

99:太刀川隊の狙撃手

まあ、グラップラーニキは大丈夫でしょ。

お疲れ様です。

 

100:空座町の無下限呪術師

お疲れサマーバケーション!

 

101:雄英の仮面ライダー

皆さん、お疲れ様でした。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




主人公、推しを引いたの巻
ようやく念願の推しライダーであるZOを引き当てる事が出来たライダーくん。あまりの感激に思わず涙が……。

今回から雄英体育祭編を開始します。
今後の展開に乞うご期待下さい!


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14スレ

第17話を投稿します。

この作品のお気に入り数が1,000件を突破しました。ありがとうございます!!
引き続き投稿頑張りますのでよろしくお願いします!

1,000件突破したのでちょっとした企画を計画中です。気になる方は後書きを読んでいただけると幸いです。

それでは、どうぞ。
すいませんが今回もスレは休みです。


臨時休校の翌日、授業も再開する事になり俺たちは1年A組の教室で朝のHRを待っていた。

 

「しかし良かったな緑谷。思ったより早く学校来れるようになって」

 

「う、うん」

 

「この間の事、TVで流れてたな」

 

「当然だよ。ヒーローを育成するヒーロー科の学校が(ヴィラン)に襲われたなんて前代未聞だし」

 

「俺たちも少し映ってたよな!」

 

「仕方のない事だけど、ちょっと複雑だよね」

 

クラス内でもUSJ襲撃事件の事で盛り上がっていた。

 

「あの時佳面が(ヴィラン)を倒してくれてなかったら俺たちどうなってたか……改めてマジでありがとな!」

 

「もう良いって。それにあの時頑張ってたのは俺だけじゃ無いだろ?飯田を筆頭に皆で先生たちの手当してくれたから誰も欠ける事が無かったし」

 

「けどよ!あん時のお前マジで凄かったぜ!」

 

「まさに雷の化身…」

 

「変身出来るし電撃出せるし、逆にお前に何が出来ないのか知りたいわ!」

 

話題が俺の方に移り周りの皆が騒ぎ出すと───

 

「皆!私語は慎むんだ!もう直ぐ朝のHRが始まる!急いで席に着くんだ!!」

 

飯田が教卓の前に立ちHR開始直前を伝える。

 

「もう着いてるって。着いてねえのお前だけだよ」

 

「うぐッ!お、俺とした事が」

 

的確な指摘を受けて飯田は急いで自分の席に着く。

 

「そういえば今日のHR誰が来るんだろ?」

 

「そうね。相澤先生は入院中だし、他の先生が来るんじゃ無いかしら」

 

何せ両腕複雑骨折に顔面の骨折、普通なら病院で絶対安静にしないといけない程の大怪我を相澤先生はしているのだ。

 

流石に他の教師が代役で来ると皆も予想していると、教室の扉が開き入って来たのは───

 

「おはよう」

 

包帯ぐるぐる巻きでもはや誰なのか判らないくらい顔が隠されていたが、相澤先生であった。

 

 

「「「相澤先生、復活ハエエエーーーッ!!!」」」

 

 

ほぼ全員が相澤先生の登場に驚愕した。

 

「先生無事だったんですね!」

 

「無事って言えるんやろかアレ…」

 

「俺の安否についてはどうでも良い。それよりお前たち気を引き締めろ。まだ戦いは終わっていない」

 

「え?戦いって」

 

「もしかして…」

 

「また(ヴィラン)があああッ!?」

 

相澤先生の言葉に全員が表情を強張らせていると───

 

「雄英体育祭が迫っている!」

 

 

「「「クソ学校っぽいのキターーー!!」」」

 

 

予想とは大きく外れて学校イベントだった事に教室中から歓声が鳴り響く。

 

雄英に入学して初の学校行事に皆がテンションを上げる。

 

「知ってると思うが、うちの体育祭は日本の特大イベントの一つ。全国に生中継されるし出場するお前たちに当然注目が浴びる」

 

「しかし、体育祭にはもう一つの意味がある。プロヒーローからのスカウトだ」

 

「お前たちの活躍がプロヒーローたちの目に留まればプロデビューの近道にもなる。半端な結果は逆にスカウトの機会がなくなる事にも繋がる為、当日に備えて準備を怠るな」

 

「すいません、相澤先生。1つ良いですか?」

 

相澤先生の説明に割って入って質問をする。

 

「何だ佳面」

 

「体育祭が迫っているのは分かりましたが、つい先日に(ヴィラン)襲撃を受けたのに例年通り行って大丈夫なんですか?こう言うイベントは学校関係者以外も来日するでしょうし」

 

「逆だ。例年通り行う事で雄英の危機管理が盤石である事をアピールする為でもある。今年はその点を警戒して例年の5倍で警備体制を敷く事になっている。OB・OG以外のプロヒーローにも警備依頼を要請した。学校側は勿論、OBにはNo.2ヒーローのエンデヴァーにも要請している」

 

「エンデヴァー!?」

 

「学校側にはオールマイトが居るし、日本のトップヒーロー2人が警備に参加するとか鬼に金棒だろ!!」

 

ビッグネームが挙げられた事に皆が歓喜していた中、轟の表情が()()()()()()()()()()事に気がつく。

 

「HRは以上だ。それと佳面、悪いが昼飯食べたら職員室に来てくれ」

 

「はい」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「体育祭の事すっかり忘れてたぜ!」

 

「まあ、こうバタバタしてたらね」

 

「けどよ!ここで活躍出来ればプロへの近道だぜ!」

 

「数少ないチャンス。必ず物にしなければ」

 

午前中の授業が終わり昼休憩に入りると、皆は体育祭の話をしていた。

 

 

「み"ん"な"ぁ!体育祭がんばろうねッ!!」

 

 

そんな中で麗日さんは危機迫る様子で熱気を上げながら、クラスメイトに語りかける。

 

「ど、どうしたの麗日さん!?」

 

「全然麗日って感じじゃないよ?」

 

 

「私がんばるッ!!」

 

 

「「「お、おう」」」

 

周りの言葉に耳も貸さず同じ言葉を連呼する。その気迫に圧倒された男子達が片腕を上げて応える。

 

「麗日さんはどうしてヒーローを目指してるの?」

 

「え!?あ、あぁ〜それは〜」

 

いつもの麗日さんに戻ったかと思えば、バツが悪そうな顔をして少し言い淀む。

 

緑谷の質問に麗日さんは答えづらそうに返答する。

 

「え!?麗日さんって、お金目当てでヒーロー目指してたの!?」

 

「う、うん。なんかごめんね!飯田くんとかすっごく立派な理由があるのに、私なんか俗物的な理由でさ」

 

「そんな事は思わないぞ!なあ、緑谷くん!佳面くん!」

 

「う、うん!」

 

「そうだよ。だけど少し意外かな」

 

「あはは、そうかな?……私の実家は建設会社なんやけど仕事が少なくていつもすかんぴんでさ。そんな両親を見て最初は会社を手伝おうと考えたんよ。私の個性なら物を運ぶのに最適やと思ってさ…」

 

家の事情の話に俺たちはただ麗日さんの話を聞いていた。

 

「だけどね、両親は私に"家の事は気にせずやりたい事をやって良い"って言ってくれて、それでヒーローを目指すようになったんよ。ヒーローになればお金が沢山稼げると思って。だから私、ヒーローになって父ちゃんと母ちゃんに楽させたいんだ!」

 

ヒーローになる理由は十人十色。人を助けたいと思う者も居れば、カッコいい姿に憧れてる者、人気者になりたい者、有名になる事で高額な収入を得たい者。皆、それぞれの理由を抱いてヒーローを目指し、雄英に入ったのだと改めて思った。

 

「ごめんね!ホンマ俗っぽくってさ。皆と違って変な理由で───」

 

「変なんかじゃないよ」

 

「え?」

 

俺の言葉に麗日さんはこちらを見る。

 

「ご両親の為にヒーローを目指すのだって"誰かを幸せにしたい"事と同じだよ。自分の為にじゃなくて人の為に……。そんな()()()()()が俗っぽいとか皆より立派な理由じゃない訳ないよ。俺はそう思う」

 

「うん、僕もそう思うよ!麗日さんのだって凄く立派な理由だよ!」

 

「ブラボー!麗日くんブラボー!!」

 

緑谷と飯田も同意見である。

 

「そ、そうかな。ありがとね、そう言ってくれて!」

 

「ハーッハハハハハッ!」

 

「緑谷少年が居たーーー!!」

 

突然緑谷の名前を呼ぶ声に、俺たちは声がした方を見るとオールマイトが立っていた。

 

「お、オールマイト!どうしたんですか?」

 

「フフフッ、ご飯…一緒に食べよう」

 

オールマイトは片手に包まれた弁当箱を見せ、緑谷を昼食に誘う。

 

「ブフッ!乙女や!」

 

思っていた以上に乙女な理由に麗日さんは吹き出す。

 

「良いかな?」

 

「あ、えっと」

 

「こっちは大丈夫、行って来なよ」

 

「ああ!折角のお誘いを断るのは良くないぞ緑谷くん!」

 

「ありがとう!はい、是非」

 

そう言って緑谷はオールマイトと一緒に給湯室へと向かう。

 

「デクくんなんやろね」

 

「USJ事件の事を聞きたいのではないか?それにバスの時に蛙吹くんが言っていただろう?"個性がオールマイトに似ていると"、それも関係しているのではないか?」

 

「そうかもね。っと、俺も早くお昼済ませないと。相澤先生に呼び出されてるんだった」

 

「そうや!佳面くんの方は何やろね?」

 

「理由はどうあれ先生に呼び出されているなら早く行かねばならないぞ佳面くん!」

 

「そうだね」

 

緑谷が抜けて3人で食堂へ向かう。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【職員室】

 

「失礼します。1年A組の佳面です。相澤先生はいらっしゃいますか?」

 

「こっちだ」

 

昼食を済ませてた俺は職員室へ向かうと既に相澤先生が椅子に座っていた。

 

「すいません、遅くなりましたか?」

 

「いや、大丈夫だ。態々すまないな」

 

「いえ、それで御用は?」

 

座っている相澤先生の元へ行き、呼び出した理由を聞いた。

 

「まずはこの間の事を謝らせてくれ。お前から事前に情報を貰っておきながら(ヴィラン)に良いようにされた上にお前たちを危険な目に遭わせてしまった。……すまなかった」

 

そう言って相澤先生は頭を下げる。

 

「やめて下さい相澤先生。俺たちだって無断で(ヴィラン)と戦闘をしてしまったんです。謝らないといけないのはこっちもですよ」

 

「元はあの場で(ヴィラン)を止めれなかった俺たちに責任がある。お前たちが謝る事なんて無い」

 

「……分かりました。けど、これだけは言わせて下さい。俺たちが無事だったのは相澤先生たちが居たからです。相澤先生とエクトプラズム先生が居なかったら緑谷たちも無事じゃ済みませんでした。だから、俺たちを守ってくれてありがとうございました」

 

今度は俺が相澤先生に礼を言い、頭を下げる。

 

「……ありがとう。そう言ってくれると此方も少しは気が楽になる」

 

「いえ。それで今日呼び出したのはそう言う理由で?」

 

「いや、別件だ。体育祭に関する事でな。毎年体育祭は各学年毎に会場が分けられている。それは知っているな?」

 

「はい、毎年TVで観てましたから」

 

「なら話は早い。開会式で1年は実技入試が首席だった生徒に選手宣誓を任せている。今年の場合お前だ。やってくれるか?」

 

どうやら体育祭の事で呼び出したようだ。

 

「判りました。是非やらせて下さい」

 

「そうか。内容はありきたりな物で良い───」

 

「おいおいおい!何を言ってるんだイレイザー!ジェネラルなスピーチじゃ会場を含む全てのリスナーたちが盛り上がらねえだろ!スピーチはホットでクールなヤツで頼むze!!」

 

相澤先生の隣に居たプレゼント・マイク先生が会話に割って入ってきた。

 

「何を言っているんだマイク」

 

「そうね、私も刺激的な物をお願いしたいわ」

 

すると前に居た"18禁ヒーロー"ミッドナイト先生も会話に参加する。

 

「ミッドナイトさんまで何を言ってるんです。ありきたりのヤツで良いでしょ。そんな事に時間掛けるのは合理的じゃない」

 

「合理的とかじゃねえ!イベントってのはスタートが肝心なんだよ!」

 

「選手宣誓と言うのは選手の代表として行うものなのよ。詰まらない内容じゃ観客も中継を観てる人たちにも印象が残せないわ」

 

「印象に関しては種目を観れば良いでしょ」

 

「それじゃあダメよ!体育祭よ!特大イベントよ!選手宣誓でこけたら全て台無しよ!」

 

「どうせ観てるうちに選手宣誓の事なんて忘れていきますよ」

 

「お前はそんなんだからダメなんだよイレイザー!祭りは盛り上がってなんぼだろう!!」

 

何故か目の前で教師3人が議論をぶつけ始めた。

 

「あ〜、解りました。なるだけ場を盛り上がりそうな事を言います」

 

「OK!トークが早くて助かるぜボーイ!」

 

「刺激的で熱いヤツお願いね♪」

 

「善処します」

 

「……悪いな、佳面」

 

相澤先生が申し訳なさそうに謝罪した。

 

この人も結構な苦労人だなと失礼ながら思ってしまった。

 

一先ず要件を済ませ、俺は教室へ戻った。




企画で考えている内容を映画のあらすじ風にまとめました。





佳面来太はプロヒーローになる為、雄英ヒーロー科で日々己を鍛えていた。

ある日、来太は不思議な出逢いを果たす。


「逢いたかったぞ。私と異なる"全てのライダーを受け継ぐ者"よ」

「オーマ…ジオウ!?」


出逢ったのは、もう存在しない筈の最高最善の魔王【オーマジオウ】。


「お前には"ある世界"の異変を止めて貰う。止めなければ……お前のいた世界に破滅の未来が訪れる」

「何だって?」


魔王によって飛ばされた世界は、組織「バダン」によって崩壊されかけていた。


「この世界って、まさか…」


そんな中、1人の男に出逢う。


「貴様もバダンの手先か?」

「違いますよ!」

大首領【JUDO】の器として改造人間にされた男【村雨良】。


「何で()()()()みたいに変身出来る!?」

「訳は後で言います!それよりも、コイツらをどうにかしないと!」


FBI捜査官【滝和也】。

そして───


「お前は何者だ?」

「俺は……別の世界から来ました」


来太の目の前に現れたのは伝説の戦士たち
仮面ライダーV3【風見士郎】
ライダーマン【結城丈二】
仮面ライダースーパー1【沖一也】


「もし俺が人類の敵になると判断したら……その時は俺を殺して下さい。だけど俺は、この力で目の前の人たちの笑顔を!未来を!夢を守ります!」


来太の叫びに戦士たちは応える。


「君が人類の自由と平和を守ると言うのなら、我々と共に戦ってくれ」

「ありがとうございます。本郷さん」


異なる世界の戦士たちと共に、巨悪に立ち向かう。


「俺は多くの命を奪った。なのにお前は…俺に人を守れと言うのか?」

「まだ会って間もないですけど、村雨さんが本当は優しい人だって事は俺でも分かります」


今、人類の命運を懸けた闘いが始まる。


「「変身ッ!」」


Another story『仮面ライダーSPIRITS feat.ZERO ONE』


時系列的に林間合宿前となります。
(※連載自体は本編と並行して投稿予定)


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15スレ

第18話の投稿です。

SPIRITS編も投稿開始してますので、よろしければ読んで頂けると幸いです。

今回変身する仮面ライダーのヒントは「改造人間」「劇場版」「技の○号」です。

それでは、どうぞ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

16:雄英の仮面ライダー

今度の体育祭で選手宣誓をやる事になりました。

 

17:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

おめでとう!

 

18:虚刀流のグラップラー

祝え!

 

19:太刀川隊の狙撃手

祝え!

 

20:サクラギ研究所のリサーチフェロー

祝え!

 

21:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>18>>19>>20

ウォズが3人居るぞ。

 

22:杜王町の幽波紋使い

当日は緊張せず自信を持ってやる事だな。

 

23:雄英の仮面ライダー

はい。

けど、場を盛り上がる内容にしろと言われまして。

 

24:空座町の無下限呪術師

一緒に考えようか?

 

25:虚刀流のグラップラー

>>24

呪術ニキ、それ大丈夫なヤツか?

 

26:太刀川隊の狙撃手

ライダーくんで遊ぶのはNGですよ。

 

27:空座町の無下限呪術師

大丈夫大丈夫、僕そこは真面目にやる派だから。

 

28:雄英の仮面ライダー

分かりました。

呪術ニキよろしくお願いします。

 

29:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ホント大丈夫かなあ。

 

30:杜王町の幽波紋使い

それでライダーくん。

体育祭までどうするんだ?

 

31:雄英の仮面ライダー

体育祭まで2週間程あるので学校の敷地利用して特訓しようかと。

葉隠さんや蛙吹さんと一緒にやる事になりました。

あと緑谷に蛙吹さん経由で麗日さんも参加します。

 

32:サクラギ研究所のリサーチフェロー

大所帯だね。

 

33:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

何やるの?

 

34:雄英の仮面ライダー

取り敢えず、各自個性の特訓と体力強化がメインです。

俺は自分のやりながら緑谷のコーチ(仮)をやります。

 

35:虚刀流のグラップラー

え!?

デクくんの特訓をライダーくんが見るの!?

 

36:太刀川隊の狙撃手

マジか。

 

37:杜王町の幽波紋使い

何か問題あるのか?

 

38:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

問題と言うか…緑谷がヒロアカの主人公なので、ここでライダーくんが原作主人公と大きく関わると高確率で原作にも影響出るんですよね。

 

39:雄英の仮面ライダー

前々から緑谷の個性の使い方が勿体無いと感じてましたので、少し特訓に付き合う形です。

手取り足取りレクチャーまではしません、多分。

 

40:空座町の無下限呪術師

まあ、その点はライダーくんに任せるよ。

 

41:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺たちがとやかく言うのも違いますし。

それで良いと思います。

 

42:杜王町の幽波紋使い

頑張れよ。

 

43:雄英の仮面ライダー

はい。

それでは早速特訓に行ってきます。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

HRで体育祭の事を聞かされた日から翌日、早速学校の許可を貰って演習場で特訓をやる事になった。

 

「それじゃあ、よろしくね緑谷」

 

「う、うん!よろしく佳面くん!」

 

学校指定のジャージに着替え、演習場内では他の皆が特訓を始めていた。

 

俺の目の前には緊張気味な緑谷が立っている。

 

「早速だけど、緑谷には個性のコントロールをして貰う。現状の目標は身体が壊れない程度のパワーで自分なりのパフォーマンスを身につけること」

 

「ぐ、具体的にはどうすれば良いかな?僕の個性はまだ緻密なコントロールなんて出来ないしこの間のUSJで偶々調整が出来た程度だしまた腕壊してしまったらブツブツ」

 

「はい、ストップ」

 

緑谷がブツブツ早口で話し始めたので俺は緑谷の頭を軽くチョップする。

 

「わッ」

 

「今は失敗する事を考えないで色々試す。2週間もあると言ってもやる事やってるとあっという間に本番になるよ」

 

「ご、ごめん!よろしくお願いします!」

 

「うん、良い返事。じゃあ、早速」

 

俺の腰に巻かれたベルト【タイフーン】の風車が回転すると、身体にボディスーツ特殊強化服が自動的に装着され、マスク上部のヘルメットと下部のクラッシャーをセットして変身完了する。

 

この姿こそが、劇場版【仮面ライダーTHE FIRST】で『技の2号』と謳われた【仮面ライダー2号】である。

 

「俺に向かってパンチ打ってみて、勿論個性を使って」

 

「え!?けど───」

 

戸惑う緑谷に俺は少しキツイ一言を放つ。

 

「大丈夫。()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ッ!……いくよ!」

 

「うん、おいで」

 

俺の一言にスイッチが入ったのか、さっきまでオドオドしていた緑谷の表情が真剣なものに変わり構える。

 

それを見た俺も軽く構え、攻撃に備える。

 

「電子レンジでタマゴが割れないイメージ、割れないイメージ」

 

 

「SMAAASH!」

 

 

イメージを固めた事で右腕が光り、奇妙なラインが入る。

 

そして俺に目掛けて拳を振るう───。

 

「よっと」

 

「うわッ!?」

 

俺は向かってくる拳を軽くいなし、そのまま右腕を掴んで緑谷を投げ飛ばす。

 

投げられた緑谷は背中から地面に叩きつけられ、受け身も間に合わず倒れる。

 

「ガハッ!」

 

「大丈夫?ちゃんと受け身は取った方が良いよ」

 

「う…うん。今…決まったと思ったのに」

 

「それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だよ」

 

俺は倒れている緑谷に手を差し伸ばし、起き上がらせる。

 

「どういうこと?」

 

「そのままの意味。確かに緑谷のパワーは凄いよ、だけど()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あ!?」

 

俺が何を言っているのか解ったのか、緑谷はハッとする。

 

「解ったかな?緑谷はパワーで身体の何処かを強化してるけど、()()()()()()()()()()。回避やカウンターを取るのは容易だよ」

 

「そ、そうか!けど、どうすれば……」

 

「そこで、ちょっとアドバイス」

 

「一箇所にパワーを集中させるんじゃなくて()()()()()()()()()()()

 

「全身にパワーを!?」

 

緑谷は驚愕する。

 

「緑谷は個性を()()()()だと強く思いがちだけど、あくまで身体能力の延長線。つまり個性は身体の一部、筋肉や骨、血液と同じだよ。今回は血液で例えようか」

 

「緑谷がやっているのは血液を身体の一部に集中させてる状態でさ、他の箇所は血液が巡ってないんだよ。それだと他は機能しない」

 

「そこで全身に血液を巡らせることで他の箇所も正常に機能する。まあ、そんなイメージでやってみなよ」

 

「わ、分かった!」

 

緑谷は再び個性を発動させるが、今度は身体の一部にではなく、全身にパワーを巡らせるイメージをした。

 

「個性は身体の一部…血液と同じ…一部だけじゃなく全身にッ!!」

 

すると緑谷の身体全体が光り始め、先程見せた赤いラインが今度は全身に走る。

 

「(まだ5%しか上手く扱えないけど、これなら!ワン・フォー・オール フルカウル!!)」

 

(思ったより早くコツを掴んだな)

 

「そのままの状態で動けるかな?」

 

「わか、らない!」

 

「それじゃあ、試してみようか!」

 

「うん!」

 

 

この後、緑谷はパワーの5%を全身に纏わせる事に成功し、動きが大幅に向上した。

 

だけど、俺との組手は俺が全勝でその日は終わった。




仮面ライダー2号

レア度【SR】

出典『仮面ライダーTHE FIRST』


緑谷、5%フルカウルの片鱗を魅せる
原作では職場体験でグラントリノによる特訓から習得したが今作ではライダーくんとの特訓によりその片鱗を魅せた。
フライング気味だが現に彼は他と比べて個性の扱いに慣れていない為ライダーくんが少し助言をした。


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16スレ

第19話目を投稿します。

話は一気に進んで体育祭当日、選手宣誓までです。

前回で呪術ニキにスピーチの内容を一緒に考えたものが作中で出てきます。察しの良い方は元ネタが何なのかお気づきになられると思います。

それでは、どうぞ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

あっという間に2週間が過ぎて体育祭当日になりました。

 

2:虚刀流のグラップラー

早ッ!

 

3:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

あれ?幽波紋ニキ、キンクリ使った?

 

4:杜王町の幽波紋使い

いや使っていないぞ。

それに2週間なんて長い時間を消し飛ばすのは俺では無理だ。

 

5:サクラギ研究所のリサーチフェロー

流石に2週間も時を飛ばせたらジョルノ以外に勝てる奴居ない。

 

6:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

何言ってんだ?

承太郎さんが居るだろ。

 

7:太刀川隊の狙撃手

話が脱線してますよ。

 

8:サクラギ研究所のリサーチフェロー

そう言えば呪術ニキは?

 

9:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

仕事だって。

途中からスレに参加出来るかもらしい。

 

10:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

忘れてましたけど、あの人って警察官でしたね。

 

11:虚刀流のグラップラー

そう言えばライダーくん、スピーチは呪術ニキと考えたんだっけ?

 

12:雄英の仮面ライダー

はい。

本番まで"皆には教えるな"と言われましたので、本番に期待して下さい。

 

13:杜王町の幽波紋使い

それは楽しみだ。

 

14:太刀川隊の狙撃手

期待してるよ。

 

15:サクラギ研究所のリサーチフェロー

しっかりな。

 

16:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

頑張って(`_´)ゞ

 

17:雄英の仮面ライダー

ありがとうございます。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

2週間後、雄英体育祭当日。

 

体育祭の主役である選手である生徒たちは、学校指定ジャージに着替えて各クラス毎に控え室で待機していた。

 

芦戸さんがコスチュームを着たがっていたが、普通科やサポート科も出場するため、出場者はジャージで統一されている。

 

控室で各自準備している中、轟は緑谷に声をかける。

 

「緑谷、ちょっといいか」

 

「轟くん、どうしたの?」

 

普段話しかけられない相手に話しかけられて困惑する緑谷に、轟は続ける。

 

「客観的に見て、実力は俺の方が上だ」

 

「え、あ、うん…」

 

轟は失礼な事を口にしたが、緑谷が喧嘩っ早い性格ではなかったおかげで、余計な喧嘩する流れは生まれなかった。

 

……もしこれが爆豪ならブチギレて掴みかかっていただろう。

 

「でもお前、オールマイトに目ェ掛けられてるよな」

 

「…!」

 

「そこんとこをどうこういうわけじゃあねェが、おまえには勝つぞ」

 

次に、轟は俺の方を向く。

 

「それと佳面、俺は一度お前に負けてる。だからとは言わねえが、お前に今度こそ勝つぞ」

 

轟からの宣戦布告に周りも騒ぐ。

 

「No.2がNo.1に宣戦布告かよ!緑谷は巻き込まれだし」

 

「オイオイオイ!やめろよ轟。開始直前だし、何よりクラスメイトだろ!?」

 

「仲良しこよしじゃあねえんだ。別にいいだろ」

 

なだめる切島に轟は冷たく返す。その遣り取りの中、緑谷は小さく俯きながら肩を震わせる。

 

「そりゃあ、僕より轟くんの方が実力は上だよ。佳面くんが居なかったら、君に勝てる人は居なかったと思う」

 

しかし、緑谷は顔を上げる。

 

「だけど、他の科の人も本気でトップを取りに行こうとしてるんだ。だから、僕も“本気”で獲りに行く!」

 

「……おお」

 

入学して直ぐの気弱な気質とは一変し、緑谷は強い意志を込められた言葉は轟の中の何かを揺さぶった。

 

「それで佳面、おまえはどうなんだ?」

 

「俺かい?そうだな…一言で言うと」

 

俺は()()()()()()()()()

 

()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ンだと!?」

 

轟は激情し、俺に掴み掛かる。

 

「止めろよ轟!?」

 

「つか佳面も挑発するなよ!?お前そんなキャラだったか!?」

 

「止めろ2人とも!!」

 

男子数人が間に入って轟を抑える。

 

「お前に、俺の何が分かる!?」

 

「分からないよ。少なくとも、全力でやろうとしない相手に俺が負ける事は無いって言っただけ」

 

「君が何で全力を出さないのか分からないけど、俺からすればそんなの()()()()()()

 

「君はもしプロになって、現場で負傷者や死者を出しても"自分は半分の力しか使いたく無かったから使わなかった"って言い訳する気?現場では君の事情なんて関係無くなるよ」

 

「プロになる為に雄英に来たのに、力全部使う気が無いとかふざけてる」

 

「断言するよ轟焦凍、今の君じゃ俺には勝てない」

 

「……話はこれで終わりだ」

 

言うことを全て言った俺は控え室を出る。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

暗い通路、入場口の向こうでは歓声が反響し、やがてプレゼント・マイクの声が響き渡る。

 

 

『遂に来たぜ!!年に一度の大バトル!ヒーローの卵と侮んなよ!!つうかお前らの目的はこいつらだろ!?ヴィラン襲撃を乗り越えた鋼の卵共!!』

 

目の前に広がるドームのフィールドと席を埋め尽くす観客たちの姿。

 

 

『A組だろぉ!!』

 

 

歓声と共に入場していくA組一同。続けてB組、普通科のC組、D組と、サポート科、経営科と選手が並んで歩き続ける。

 

やがて全員が会場の中央に集まったところで、宣誓台の上にミッドナイト先生が立つ。

 

「開会式を始めるわよ!」

 

「"18禁ヒーロー"なのに高校にいて良いものか?」

 

「良いッ!!」

 

常闇の当然の疑問に対していっそ清々しいほど迷いなく答える峰田。戦闘訓練辺りから気づいたけど、彼はちょっとアレなのかもしれない。

 

 

「選手宣誓!!選手代表!!1年A組、佳面来太!」

 

 

「ハイッ!」

 

 

呼ばれた俺は壇上に上がってマイクの前に立ち、右腕を挙げて宣誓する。

 

『宣誓!!我々、選手一同はヒーロー精神に則り、正々堂々、戦い抜く事を誓います。選手代表、1年A組 佳面来太!』

 

 

思った以上に普通の選手宣誓にミッドナイト先生は少しつまらなそうな顔をした。

 

……本番は()()()()()

 

 

『前置きはこの辺にして、少しお話しさせて下さい』

 

 

突然のアドリブに会場はどよめく。

 

 

『私たちは先日、(ヴィラン)による襲撃に遭い、実際に(ヴィラン)と交戦をしました。ここだけ聞けば、先程マイク先生が言うような"勇敢なヒーロー候補生"と捉える人がいらっしゃると思います』

 

 

『けど、今私たちがこの場に居るのは()()()()()()()()です』

 

 

『もし(ヴィラン)の中に凶悪な殺人鬼や戦略に長けた高い頭脳を持った相手が居たら、もしかしたら私たちの中にヒーローの道を諦めなければならない程の大怪我を負う人や、最悪命を落とす人が出たのかもしれません』

 

 

俺の言葉にA組の皆が()()()の出来事を思い出したのか、顔を顰めたり、俯いたりした。

 

他の科の出場者も悲惨な光景を想像したのか、顔を青ざめる。

 

会場も俺のスピーチに言葉を出せない状態となった。

 

「佳面くん!それ以上は」

 

ミッドナイト先生が止めに入ろうとする。

 

だけど俺は止めない。

 

 

『あの時私たちは(ヴィラン)に立ち向かう事への恐怖と難しさを知りました。…だからこそ、私たちはヒーローを目指します』

 

 

止めに入ろうとしたミッドナイト先生はピタリと止まる。

 

 

(ヴィラン)への恐怖も難しさも知ったうえで、私たちは()()()()()()()()()()()()()になる為に立ち止まる訳には行きません』

 

 

『改めて宣言します。体育祭の表彰式は私たちA組が独占します』

 

 

そして俺はA組以外の出場者全員に対して挑発的に笑う。

 

 

『A組以外のクラスの中にこんな事言われてビビってる奴居る!?』

 

 

『A組以外のクラスの中にこんな事言われて日和ってる奴居る?』

 

 

『居ねえよなァ!!』

 

 

『俺たちの本気見せつけるぞ!!』

 

 

『…以上でスピーチを終了します。ありがとうございました』

 

 

そう言って俺は一礼する。

 

さっきまで静寂だった会場全体は歓声の叫びで震え、出場者全員が闘志を燃やした。

 

「佳面ああああ!!漢気全開のスピーチだったぜえええ!!」

 

「うおおおおお!!A組にもめちゃくちゃ熱い奴が居るじゃねえかあああ!!」

 

「ヒーロー科がなんぼのもんじゃああああ!!俺たちの本気を見せてやらああああ!!」

 

「表彰式を独占するのはウチだああああ!!」

 

こうして、1年の体育祭の選手宣誓は終了した。




ライダーくん、呪術ニキの策略によりマイキーになる

呪術ニキにスピーチの内容を一緒に考えてもらっている内に呪術ニキは「東京卍リベンジャーズ」の登場キャラ 佐野万次郎ことマイキーの名言をライダーくんに言わせる様に促した結果、選手宣誓でライダーくんはマイキーごっこをする羽目となった(ライダーくんはマイキーについて全く知りません)。


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17スレ

第20話投稿です。
内容は第一種目の障害物競争です。

今回ライダーくんが変身する仮面ライダーのヒントは『トランプ』『ハート』『ムッコロス』です。

それでは、どうぞ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

18:虚刀流のグラップラー

ライダーくん、それマイキーじゃねえか!?

 

19:太刀川隊の狙撃手

呪術ニキ、ライダーくんにマイキーの名言言わせやがった。

 

20:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ライダーくん絶対元ネタ知らないまま言わされたな。

 

21:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

あの人真面目に考えてると思ってたのに……。

 

22:杜王町の幽波紋使い

ライダーくんのスピーチ、何か元ネタがあるのか?

 

23:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

幽波紋ニキ、マイキー知らない?

「東京卍リベンジャーズ」ってヤンキー漫画に登場するキャラ。

作品自体もアニメや実写映画、舞台化もしてる人気漫画なんだよ。

 

24:杜王町の幽波紋使い

>>23

そうなのか。

しかし、ライダーくんの表情は演技ではなかったな。

 

25:太刀川隊の狙撃手

本人は本気でしょうからね。

 

26:虚刀流のグラップラー

見ろ。

ミッドナイトが悶絶してるぞ。

 

27:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

あの人こういうネタ好きそうですからね。

本人にとってツボだったんでしょう。

 

28:サクラギ研究所のリサーチフェロー

さてさて、もうすぐ第1種目が始まりますよ。

 

29:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

皆、此処からはライダーくんの応援に徹するんだよ。

 

30:杜王町の幽波紋使い

そうだな。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

『聴かせて貰ったぜボーイ!!お前の熱い(ソウル)の叫びをな!お前たちの本気(マジ)を俺たち全リスナーに見せてくれェェェェ!!』

 

『煩いマイク。あとお前はどこの暴走族の総長だ佳面』

 

実況担当のマイク先生と解説担当の相澤先生が各々の感想を言う。

 

ちなみにミッドナイト先生はと言うと

 

「〜〜〜〜〜〜!!?」

 

真っ赤に染まった顔を両手で抑えて悶絶していた。

 

「カッケェよ佳面!アレってアドリブだろ!?」←砂藤

 

「めちゃくちゃロックじゃん」←耳郎

 

「佳面さんがあんな事を仰るなんて意外でしたわ!?」←八百万

 

「お前クールキャラだと思ってたけど結構熱血系なのな!?」←瀬呂

 

「昔読んだヤンキー漫画の主人公みてえなセリフだったぜ!!」←切島

 

「さっすが佳面くん!」←葉隠

 

「ケロ、カッコ良かったわ佳面ちゃん」←蛙吹

 

「アニキって感じだったよー!」←芦戸

 

「流石だ佳面くん!俺たちも全身全霊で君の激励に応えなくてはッ!!」←飯田

 

「意外やわぁ」←麗日

 

「魂の咆哮…」←常闇

 

「凄かったぞ」←障子

 

「お前実は元ヤンだろ」←峰田

 

「相変わらず凄いよ」←尾白

 

「なかなか美しかったよ☆」←青山

 

コクコク←頷く口田

 

「凄かったよ佳面くん!」←緑谷

 

「ケッ!」←爆豪

 

「……」←轟

 

A組の列に戻ると皆からも感想を言いに来る。

 

『ミッドナイトさん、いい加減正気に戻って下さい』

 

「ハッ!さ、さて!開会式も終わった事だし、早速第1種目に行きましょう!!」

 

正気に戻ったミッドナイト先生は進行役を進める。

 

「毎年ここで多くの選手が涙を飲むわ!さて運命の第1種目、今年は……」

 

全員が巨大スクリーンに目を向ける。

 

「コレッ!!」

 

映し出されたのは『障害物競走』だった。

 

「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周、約4km!我が校は自由さが売り文句!コースさえ守れば何をしたって構わないわ!さあさあ、位置に着きなさい!」

 

約220人ほどの選手がゲートの下にあるスタートラインに集まっていく。

 

そしてレース開始の時間が近づく。スタートラインには220人近くの生徒が密集しており、普通に動く事すらも困難だったスタートをどう切るかが鍵になりそうだ。

 

3つ赤く点灯するシグナルの内、1つが消える。短い間をおいて2つ目のシグナルも消え──

 

最後の光が消えた直後、青い3つの光が灯る。

 

 

『スタアアアーーートォッ!!!』

 

 

ビシッ ビシッ ビシッ

 

ミッドナイト先生の宣言と同時にスタートラインから後ろの地面が凄まじい早さで凍りついていく。

 

「うおおお!?足が凍ったァ!?」

 

「あ、あたしのもッ!?」

 

「あいつだッ!ヒーロー科の、A組の野郎だァァァ!?」

 

連鎖的に足も凍りついて動けない生徒が指差した先には、足元から氷を出しながら疾走する轟が先行する。

 

『ついに始まったぜ、雄英体育祭1年部門!実況はボイスヒーロー・プレゼント・マイク!解説は抹消ヒーロー・イレイザーヘッドの2人でお伝えしていくぜ!解説のミイラマン、アーユーレディ!?』

 

『無理矢理呼びやがって』

 

相澤先生は不機嫌そうに呟きながら露骨にため息を吐いた。

 

『スタートダッシュを切ったのは轟ィ!地面ごと後続組を凍らせて最初のトップに』

 

『いや、…アレを見ろ』

 

解説の言葉に轟は後ろを見る。

 

「変身ッ!」

 

『CHANGE』

 

轟の妨害で動けなくなった集団から黒い鎧を纏った俺が飛び出す。

 

2本の刃の様な鋭い触覚に赤いバイザー、胸部の装甲にハートのレリーフが施され、腰にはハート型のバックルが装着されていた。

 

この姿は【仮面ライダーカリス】。

 

不死身の怪人【ジョーカーアンデッド】こと相川始が変身する異色の仮面ライダーである。

 

足場が凍りつく前に、俺は変身ベルト【カリスラウザー】とハートのカテゴリーA【チェンジマンティス】を用いて変身しておいたのだ。

 

『何だアレはーー!?動けなくなった集団から謎の鎧が出て来たぞーー!!誰だアレは!?』

 

『佳面だろうな。しかし…また違う姿に変身してるな』

 

実況と解説を他所に俺はカリスの専用ビークル【シャドーチェイサー】を召喚し、遠隔操作で走行するソレに飛び乗り、アクセル全開に回して轟を追い抜く。

 

『佳面!変身したと同時に謎のバイクを召喚!そしてバイクに乗って轟を追い抜いたーー!?てかバイクってアリかよ!?』

 

「個性による物なのでアリよ!」

 

バイクの登場に審議するマイク先生をミッドナイト先生が肯定する。

 

「チッ、待ちやがれ!」

 

後ろから轟が氷結による妨害を試みるも、俺は即座に察知してそれを回避。最高速度410km/hを誇るスピードでみるみる轟を突き離す。

 

『佳面!轟の氷結を華麗に回避!そしてアクセル全開で轟との距離を突き離てくーー!!もはやワンサイドゲームだろコレ!?』

 

『実況放棄するな。轟の妨害にいち早く気づいて回避、しかもスピードは減速していない。バイクに関しての知識は無いが、かなりの操縦技術が無いと出来ない芸当だろうな』

 

『んだよイレイザー、珍しく饒舌じゃねえか!お気に入りの佳面の活躍を見て身内贔屓は良くないんじゃないの?』

 

『客観的な解説だ馬鹿』

 

『さぁ、お待ちかねの障害物だ!まずは手始め第一関門!"ロボ・インフェルノ"!仮想敵ロボットがお相手だ!ご存知ッ!雄英受験実技試験で出てきたヤツらだ!!』

 

マイク先生の実況通り、俺の前には見たことのあるロボがズラリと並んでいた。

 

「全部0Pか」

 

その障害物は、超巨大ロボのみで構成されたロボ軍団だった。

 

俺はアクセルを緩めず、そのままロボ軍団に突入する。

 

ロボ軍団は俺に察知して襲い掛かるも、シャドーチェイサーの前方に飛び出す様に備わった刃【クラッシャー・ピーク】による1秒間に200万回もの振動された刃で装甲を貫いて排除する。

 

『佳面ァ!バイクのアクセルを緩まずそのまま突進!バイクに装備された刃でロボット軍団の装甲を貫通していく!あのバイク何なの!?知ってるかイレイザー?』

 

『知らん』

 

驚愕するマイク先生を相澤先生は冷たく遇らう。

 

『現在トップは佳面!その後を追うのは轟、爆豪…と緑谷!?何だ緑谷のあの動き!?お前骨折克服したのかァ!?』

 

地面を凍結させて滑る様に進行する轟と爆破で空中移動する爆豪、そしてこの2週間で習得した"フルカウル"を駆使して走る緑谷の姿に教師陣は勿論、彼のピーキーな個性を知るA組の皆が驚愕する。

 

「オレに迫ってんじゃねえぞ、クソデクゥ!?」

 

「負ける訳にはいかないんだ、かっちゃん!」

 

「クソッ!」

 

「(この2週間で自分なりのワン・フォー・オールのコントロール方法を身につけたか!?凄いぞ緑谷少年!まだ巻き返せるぞ!!)」

 

愛弟子の奮闘にオールマイトも驚きながらもエールを送る。

 

俺の目の前には深く大きい谷底と転々と広がる足場、それぞれの足場を繋ぐロープがあった。

 

『さァ!先頭は佳面1人!彼は既に第二関門にさしかかっているぞ!第二関門は落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!ザ・フォーーール!!どうする佳面!流石にバイクで進むのは無理だぞ!?』

 

「それはどうかな?」

 

『FLOAT』

 

俺は【カリスラウザー】の横に装備されたカードデッキからハートスートのカテゴリー4【フロートドラゴンフライ】を取り出し、ラウズカード覚醒機能を備えたボックス【モビルラウザー】のスラッシュ・リーダーにラウズカードをラウズすることで、ラウズカードに封印されたアンデッドの能力をシャドーチェイサーに付与させる。

 

【フロートドラゴンフライ】の能力は"浮遊"。

 

つまり──

 

 

『と、飛んだーーー!?』

 

 

『もはや何でもアリだなあのバイク』

 

【シャドーチェイサー】に乗った俺はそのまま地面をジャンプし、浮遊能力が付与された事で崖を飛び越える事が出来た。

 

難なく反対側に着地し、俺はそのまま走行を続ける。

 

『トップは佳面が独走中!後方が轟、爆豪、緑谷と続いて、その下は団子状態!まだ上位何名が通過するかは公表しねえから最後まで突き進めよ!』

 

マイク先生の実況が会場中に響き渡り、そして俺の目の前に広がるのは最後の障害──。

 

『そして早くも最終関門!かくしてその実態はー面地雷原!!怒りのアフガンだ!!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!!目と脚を酷使しろってトップはバイクだったか……。ちなみにその地雷!威力は大したことねぇが音と見た目は派手!失禁必至だぜ!』

 

『人によるだろ』

 

バイクで走行中の俺の先には何も立ち塞がらない簡素な道。だがその下にはいくつもの非殺傷性の接触地雷が埋め尽くされていた。

 

「それなら、次はコレだ!」

 

『TORNADO』

 

今度はカテゴリー6【トルネードホーク】を【シャドーチェイサー】にラウズする。すると、俺の周囲に風の膜が発生してバリアの様に覆った。

 

『佳面又もトップスピードのまま突っ切ったーーー!しかし地雷が埋め尽くされてるんだぜ!?』

 

『いや、よく見ろ』

 

風のバリアのお陰で地雷による衝撃は防がれる事によって、俺は気にせず走行を続ける。

 

『佳面の周りに風のバリアが発生!?そのお陰で地雷原をいとも簡単に突破したァーーー!?お前それ反則だろ!?』

 

『個性による防御だろ』

 

 

『さァさァ!最初にスタジアムに還ってきたのは、終始他を圧倒し続けた佳面来太だァァァ!!!』

 

 

俺は無事に1番でゴールに辿り着いた。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーカリス

レア度【SR】

出典 『仮面ライダー剣』


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18スレ

第21話の投稿です。

番外編『仮面ライダーSPIRITS feat.ZERO ONE』も連載中ですので宜しければご覧ください。

今回は騎馬戦 上編です。
そしてライダーくんが変身する仮面ライダーのヒントは『惑星開発用改造人間』『五つの腕』『赤心少林拳』です。

それでは、どうぞ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

31:杜王町の幽波紋使い

1位はライダーくんか。

 

32:サクラギ研究所のリサーチフェロー

終始バイクに乗ってましたからね。

流石にバイクを追い抜く事は出来ませんよ。

 

34:太刀川隊の狙撃手

しかもライダーくんは常に180km/hオーバーで走行してましたから、プレゼント・マイクが言う様にワンサイド・ゲームでしたからね。

 

35:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

けど、1位なったせいで次の種目キツくなるんじゃないですかね?

 

36:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>35

確かに。

騎馬戦は上位から順にポイントが高くなってて、1位は1,000万だからね。

 

37:杜王町の幽波紋使い

1,000万って、昔のクイズ番組かよ。

 

38:太刀川隊の狙撃手

それに騎馬戦はチーム戦だからライダーくん1人だけじゃ勝ち残れないですし……。

 

39:虚刀流のグラップラー

さてさて、どうなる事やら。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「そして次からいよいよ本戦よ!!ここからは取材陣も白熱してくるよ!気合い入れなさい!さーて第二種目よ!!私はもう知ってるけど〜何かしら!?言ってるそばからコレよ!!」

 

ミッドナイト先生の言葉と共に巨大スクリーンに競技名が表示される。

 

「【騎馬戦】か」

 

次の種目は騎馬戦であった。

 

「参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ!基本は騎馬戦と同じルールだけど、1つ違うのが、先程の結果にしたがい、各自にポイントが振り当てられること!」

 

「それってつまり、相手によって取るポイントが違うって事?」

 

麗日さんの言葉にミッドナイト先生は頷く。

 

「その通り!そして与えられるポイントは下から5ずつ!42位が5ポイント、41位が10ポイント…といった具合よ。そして」

 

ミッドナイト先生は俺を一瞥し、衝撃の一言を発言する。

 

「1位に与えられるポイントは『1,000万』ッ!!」

 

「「「はぁッ!?」」」

 

明らかにおかしいポイントの振り分けに思わず全員が驚愕する。

 

つまり早い話、俺の鉢巻を奪えば次の種目出場は確定という事になる。

 

本戦に残った全員の視線が1位である俺に集まる。

 

「上位の奴ほど狙われちゃう、下克上サバイバルよッ!!」

 

「上等だね」

 

「いや何でお前ワクワクしてんの!?」

 

全員から狙われる立場となっても楽しんでいる俺に近くに居た切島がツッコむ。

 

「制限時間は15分。その間に2人から4人のチームを作るのよッ!騎馬戦自体は個性発動アリの残虐ファイト!!騎馬を崩してもアウトにはならず、どんなことをしても最後に首から上にポイントの鉢巻を巻いている者が勝者になるわ!でも悪質な騎馬狙いの攻撃は一発退場だから注意しなさい!!」

 

ミッドナイト先生の説明が終わり、生徒たちはそれぞれ騎馬のチームを組むべく動き始めた。

 

「(さてどうするかな。誰かに組んでもらう様頼んでも断られるだろうし、此処はナイトに変身して【トリックベント】で分身作った方が良いかな。あ、それだとルール的にどうだろ?ミッドナイト先生に確認するか)」

 

「佳面くん!」

 

1人で考え込んでいると緑谷が俺に話しかけてきた。

 

「どうしたの緑谷?」

 

「騎馬戦、僕と組んでくれないかな!?」

 

なんと緑谷からチームを申請してきた。

 

「良いの?俺と組んだら真っ先に狙われると思うけど」

 

「う、うん。だけど佳面くんにはこの2週間特訓に付き合ってもらったから、その恩返しもしたくて…」

 

「そんなのこっちは気にしてないのに…。けど、嬉しいよ。よろしくね緑谷」

 

「うん!」

 

「あ!私も良い?」

 

すると麗日さんも同じチームを志願してきた。

 

「麗日さん!?」

 

「私も佳面くんには特訓付き合ってもろうたし、何か力になりたいから」

 

「麗日さんもか、こっちとしては願ったり叶ったりだよ。よろしくね」

 

「うん!目指すは1位通過だね!!」

 

これで3人。

 

出来ればあと1人加わって欲しいところだ。

 

そう思っていると近くに葉隠さんと蛙吹さんが居た。

 

「葉隠さん、蛙吹さん。まだチームが決まっていないなら2人のどちらか組まない?」

 

「あ、佳面くん」

 

「佳面ちゃん…」

 

葉隠さんは素の身体能力はA組女子の中でも良い方だし、蛙吹さんも身体能力やスタミナが高い。どちらか組んでくれると戦術の幅が広がる。

 

しかし───

 

「ごめんね、チーム組めないや」

 

「私も…今回は佳面ちゃんに挑むわ」

 

「…そっか」

 

断られる可能性があったにしろ、こうも面と向かって拒否られると少し凹む。

 

「あ、違うよ!本当は組みたいけどさ…私って佳面くんと勝負した事が今まで無かったから、折角だし下克上するぞ!って思っちゃって」

 

確かに、中学からの付き合いだか葉隠さんから挑戦された事が無かった。それに、クラスメイトでもありライバルでもあるなら尚更だろう。

 

なら蛙吹さんは───

 

「私もね…佳面ちゃんとチームを組みたいわ。けど、それじゃあダメだと思ったの」

 

「ダメって?」

 

蛙吹さんは人差し指を口元に添えて、真剣な顔で俺を見る。

 

「今まで私は佳面ちゃんに助けられてばかりだったわ…、実技入試の頃から。極端な話、私が雄英に居るのも佳面ちゃんのお陰だと思っちゃうの。だから、今度は自分の力で試練を乗り越えたいの」

 

「梅雨ちゃん…」

 

蛙吹さんから強い意志を感じ取った俺は何も言えなかった。

 

なら俺は、彼女の本気に応えるべきだろう。

 

「解った、全力で来なよ。こっちも全力でいく」

 

「ええ。望むところよ」

 

「私も!2人に勝つからね!!」

 

俺は2人と別れて、緑谷たちと合流する。

 

「ごめん、葉隠さんと蛙吹さんに声掛けたけど断られた」

 

「こっちも…。飯田くんを誘ってみたけど轟くんのチームに入るって」

 

「飯田くん、デクくんに挑戦したいからやって」

 

飯田の方を見ると、轟・八百万さん・常闇が居た。

 

「しかしどうするか、もう他はチームを組んでいるだろうし。最悪3人で挑むしか…」

 

 

「ならば私が加わります!1位の人!!」

 

 

「うわああああ!?だ、誰!?」

 

すると俺の後ろからゴーグルをかけた桃色の頭髪をした女子が此方に向かって提案した。

 

緑谷は気配もなく急に現れた彼女に驚愕する。

 

俺は彼女の外見を見て直ぐに何処の科か判った。金属とオイルの匂い、そして背中に背負っているアイテム。

 

「もしかしてサポート科の人かな?」

 

「正解です!私は発目明!貴方の事は知りませんが、立場を利用させて下さい!!」

 

「ストレートな要求だ!?」

 

「何か凄いね」  

 

初対面の人間にも遠慮の無い発言に緑谷と麗日さんは呆れる。

 

此方の様子を微塵も気にせず、発目さんは装着したゴーグルを外しながら語り始める。

 

「貴方と組むと必然的に注目度がNo. 1になるじゃないですか!そうすると必然的に私の可愛いベイビーたちが企業の目に留まるわけですよ!」

 

「成る程、自分の作った発明品を企業に売り込む為に1位の俺とチームを組みたいと」

 

「簡単に言うとそう言う事です!!如何ですか!?」

 

グイグイと俺に近寄る発目さんに俺は苦笑する。

 

「良いよ。丁度4人目が決まらなかったんだ、此方こそ君に力を貸して貰いたい」

 

「話の分かる人は嫌いではありません!よろしくお願いします!!」

 

そう言って発目さんは俺の右手を握りブンブンと激しく振る。

 

「か、佳面くん。本当に大丈夫かな、この人…」

 

「色々ぶっ飛んどる人やけど」

 

「こう言う人は自分のメリットの為に全力で力を貸してくれるだろうから、心配ないんじゃない?」

 

「そうかなあ…」

 

「そうやろか…」

 

「そうそう」

 

未だに困惑する緑谷たちに俺はそう答える。

 

そして俺は作戦会議の時間が終了する前にミッドナイト先生の所へ行く。

 

「ミッドナイト先生、1つ質問があります」

 

「何かしら佳面くん?」

 

「俺の個性…変身すると服が装甲の中に隠れてしまうので、騎馬戦が始まる前に変身してから鉢巻巻いてもよろしいですか?」

 

「そう言うことね。良いわ!許可します!!」

 

「ありがとうございます」

 

許可してくれたミッドナイト先生に一礼し、俺は緑谷たちの元へ戻る。

 

「ミッドナイト先生に確認して騎馬戦前に変身してから鉢巻しても良いみたいになったから俺が騎手になるよ」

 

「解った!じゃあ、僕たちは」

 

「騎馬やね!」

 

「お任せ下さい!私の自慢のベイビーたちでサポートします!」

 

「うん、皆お願い。さて…」

 

俺は緑谷たちから少し距離を取り、変身の準備に入る。

 

今回の騎馬戦は中距離攻撃も可能なライダーが有利だろう。それに騎手同士の取っ組み合いも考慮すると接近戦もこなせた方が良い。

 

この条件を元に俺は()()()()()()に変身する事にした。

 

右手を斜め上、左手を斜め下に広げ───

 

 

「変身ッ!」

 

 

変身の叫びと共にまるで拳法の型のような動きを行う。

 

両掌底を上下に合わせてみぞおちあたりで構え、ゆっくりと前方に伸ばして上下を回転させると、出現した変身ベルト【サイクロード】のカバーが開き、風車が回転することで変身が完了する。

 

銀色と黒色のボディにスズメバチの様な仮面、紅くつり上がった大きな複眼、首元には紅いマフラーが風で靡く。

 

この姿は【仮面ライダースーパー1】。

 

惑星開発用改造人間と言う悪の組織ではなく、人類の叡智によって生み出された仮面ライダーである。

 

「凄い!また違う姿に変身した!?」

 

「今度は蜂や!?」

 

「凄い!凄いですよ!!今後のベイビーたちの為に是非仕組みを教えて下さいというより身体の中身見せて下さい!!」

 

「リアクションありがとう。あと中身は見せれないからね発目さん」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

『さあぁぁぁ!!シンキングタイム終了!騎馬も組んで準備オッケー!お前らお待ちかねの本戦開幕だッ!!』

 

『なかなか面白い組み合わせをしてるチームが居るな』

 

会場内で点在する騎馬のチームを見て、相澤先生は面白そうに呟く。

 

「緑谷」

 

「うん!」

 

1番前の騎馬・緑谷

 

「麗日さん」

 

「うん!」

 

その左後ろの騎馬・麗日さん

 

「発目さん」

 

「フッフッフッ、お見せしましょう!私のベイビーたちを!!」

 

右後ろの騎馬・発目さん

 

そしてその上に乗るのは、10000330Pと書かれたハチマキを額に巻いて付けた(仮面ライダースーパー1)

 

 

『始まるぜえええ!!今ッ!合戦がスタァァァァァトッ!!』

 

 

マイク先生の言葉と共に騎馬戦の幕がたった今切って落とされた。




仮面ライダー紹介

仮面ライダースーパー1

レア度【LR】

出典『仮面ライダースーパー1』


チーム佳面 10000330P

騎手 佳面 1,000万P(1位)

騎馬 緑谷 195P(4位)

騎馬 麗日 130P(17位)

騎馬 発目 5P(42位)


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19スレ

第22話投稿します。

募集中のヒロインアンケートご協力ありがとうございます。期間は今月末ですのでまだ投票していない方は宜しければご協力よろしくお願いします。

番外編も連載中ですのでご覧になって下さい。


騎馬戦 後編です。


『始まるぜえええ!!今ッ!合戦がスタァァァァァトッ!!』

 

 

「実質1位(1,000万P)狙いだよなあ!!」

 

「ふははは!早速勝ちに来たよ佳面くん!」

 

マイク先生の宣言と同時に葉隠さんチームを含む2組が此方に迫る。

 

「チェンジ!エレキハンド!!」

 

俺は白いスーパーハンドから青いエレキハンドに換え、エネルギーをチャージする。

 

「エレキ光線発射!!」

 

右手の指先から電撃が放電され、迫り来るB組に直撃する。

 

「「「ギャアアアッ!?」」」

 

「緑谷、前進!」

 

「うん!」

 

個性発動した緑谷が突進し、B組とスレ違い様に俺が鉢巻を奪う。

 

取ったのは「685P」と「370P」の2本。これで合計10,001,055P。

 

『佳面チーム!いきなり鉄鐡チームと葉隠チームから鉢巻を奪取!!しかも騎手の佳面の腕が換わったと同時に電撃光線が炸裂したぞ!つうか腕が換わるってどういう仕組みだ!?』

 

『電撃で相手チームを怯ませてパワー系の緑谷の突進で接近、そして各鉢巻を瞬時に奪取。悪くない連携だ』

 

「凄いよ佳面くん!腕を換える事でそんな力が出せるなんて!?」

 

「驚いてくれるのは良いけど油断しないで」

 

「2人とも!障子くんが来とる!」

 

周りでも乱戦が繰り広げており、2位の轟チームや3位の爆豪チームを狙ったりなど、確実に点数を稼いでいく作戦を取っている中、障子が1()()()此方に接近して来た。

 

「障子くん!?あれ1人…」

 

「違う障子の背中に2人隠れている。この形は…蛙吹さんと峰田か!」

 

視界をX線で確認すると、障子の【複製腕】の中に蛙吹さんと峰田の姿を捉えた。

 

「え!?2人背中に隠れてるの!?」

 

「ケロ、流石ね。佳面ちゃん」

 

「チッ、気づいちまったらしょうがねえ!だが!この障子・絶対防御形態の前では鉢巻を取る事は不可能だああ!!」

 

「何かロボットっぽい!?」

 

「良いですねええ!複数の腕による防御形態!!騎馬の人、是非新型ベイビーの開発の為に身体の構造を教えて下さい!!」

 

「断る!」

 

マッドな発言をする発目さんの誘いを障子は律儀に断る。

 

まあ、そうだよね……。

 

「麗日さん!発目さん!目を閉じて!!」

 

合図に2人は両目を閉じ、俺は右手に持つスイッチを押す。すると事前に発目さんから渡されたサポートアイテムが起動してジェット噴射を起こし、回避する。

 

「と、飛んだああ!?」

 

「逃がさないわ!」

 

峰田は驚くが、蛙吹さんは障子の複製腕の隙間から長い舌を伸ばす。

 

「チェンジ!パワーハンド!!」

 

俺はエレキハンドを今度は赤いパワーハンドに切り換え、伸びた蛙吹さんの舌を掴む。

 

「せえ、の!」

 

俺は掴んだ舌をそのまま放り投げる。

 

「ケロ!?」

 

「うお!?」

 

「ギャアアア!?」

 

舌に釣られて蛙吹さんたちを背負った障子も空中に放り出させ、地面に落下する。複製腕で隠れてた蛙吹さんと峰田も姿を出して地面に転がる。

 

「峰田チーム!騎手が地面に落下したため失格!!」

 

「麗日さん、着地!」

 

「うん!」

 

峰田チームが失格になった事を確認して、麗日に着地の指示を出す。麗日さんも両足に装着されたサポーアイテムのホバー噴射で着地の衝撃を緩和。無事に着地する。

 

「麗日さん大丈夫?俺の【重力操作装置】で負担は抑えられてる筈だけど」

 

「うん!全然平気!まだまだ浮かせれるよ!!」

 

「如何ですか私の可愛いベイビーたち!!可愛いは作れるんですよ!」

 

「うん、予想以上だよ。最っ高だよ、発目さん!」

 

「でしょーー!!」

 

「…浮かせとるからやん」

 

自分の発明品が褒められるのが嬉しいのか発目さんのテンションが上がる。

 

『さあ!各チームでも鉢巻強奪戦が勃発!!1位だけでなく2位〜4位で堅実に点数を稼ぐのも戦略の一つだぜーー!!』

 

『一発狙いよりも確実に点数を稼ぐ方が合理的だ』

 

すると右側から爆発音を感知して振り向くと、空中から爆豪が飛んできていた。

 

 

「調子ノッてんじゃねぇーぞ変身野郎ォォォ!!」

 

 

「かっちゃん!?」

 

「皆、ちょっと行ってくるから着地地点で待機してて。トウッ!」

 

「佳面くん!?」

 

俺は爆豪の迎撃の為ジャンプして騎馬から離れる。

 

「チェンジ!冷熱ハンド!!」

 

「冷凍ガス発射!!」

 

冷熱ハンドに切り換え、爆豪に目掛けて左手から冷凍ガスを噴射させる。

 

「ッメテエ!?」

 

「ごめんね、ハアッ!」

 

「ガッ!?」

 

冷凍ガスで動きを封じた爆豪を蹴り飛ばし、予め指示を出した場所に待機していた緑谷たちに合流する。

 

蹴り飛ばされた爆豪を騎馬の瀬呂がテープで回収する。

 

「凄いよ佳面くん!かっちゃんを撃退するなんて!?」

 

「白から青、青から赤、今度は緑って…一体何種類あるん!?」

 

「全部で5種類だよ」

 

「5種類!?やはり身体を隅々まで見せて下さい!!」

 

「だから見せないって。ッ!?」

 

後ろから気配を感知し、鉢巻を奪おうとする誰かの手を弾く。

 

「クッ、残念。鉢巻は奪えなかったか」

 

奪おうとした正体はB組の金髪の男子生徒。

 

…確か、物間だったっけ。

 

「けど代わりに君に()()()事が出来た!!早速使わせて貰うよ、君の個性を!!」

 

「佳面くんの個性!?」

 

「どういう事なん!?」

 

「…他者の個性をコピーする能力か」

 

してやったりと笑う物間に緑谷たちも動揺する。

 

「正解!!幾ら個性が強かろうと同じ力なら互角になるのさ!!」

 

 

「変身ッ!」

 

 

物間がスーパー1の変身ポーズを取り、()()()()この場の全員が身構える。

 

しかし──

 

「…あれ?」

 

「変身…しとらんね」

 

「そうですね」

 

「おい、物間……?」

 

「どうした?」

 

「何で変わってないんだよ?」

 

物間の姿はスーパー1に変わっておらず、ただポーズを決めた物間の姿があっただけである。

 

「クソッ!よりにもよって()()かよ!?」

 

「冷凍ガス発射!!」

 

「「「ギャアアア!?」」」

 

隙を見せた物間チームに容赦無く冷凍ガスを浴びせ、身動きを封じる。

 

「皆、このまま他のチームと距離を取るよ。ある程度点数を稼げたし、後は逃げまくる」

 

「「「了解!!」」」

 

『佳面チーム、終始無双状態!!もうコイツらを止められるのは誰も居ないのかあああ!!』

 

『まだ決め付けるな』

 

マイク先生の実況を相澤先生が否定すると同時に周りの()()()()()()

 

「後退!」

 

俺の声に皆がほぼ反射で後ろへ下がり、迫り来る冷気から難を逃れる。

 

「そろそろソレ(1,000万)取らせて貰うぞ」

 

冷気を放った場所には轟チームが待ち構えていた。

 

「来たか、轟」

 

「常闇!」

 

黒影(ダークシャドウ)!」

 

『アイヨ!』

 

先手は轟チームの常闇。

 

個性を発動させ、影のモンスターである黒影(ダークシャドウ)で襲わせる。

 

「超高温火炎!」

 

『キャン!?』

 

黒影(ダークシャドウ)!?」

 

俺は黒影(ダークシャドウ)に向かって右手の超高温火炎を放射し、黒影(ダークシャドウ)は炎に怯るんだ。

 

「冷気だけでなく炎も出せるのか!?」

 

「まるで轟さんの!?」

 

『佳面!常闇の黒影(ダークシャドウ)による奇襲を炎で対応!!つうかお前のそれ轟のお株奪ってんだろ!?』

 

『いや…轟は()()()()に対して佳面は凍結と火炎の両方使っている。所謂轟の完成形だ。有利なのは現段階では圧倒的に佳面だ』

 

「…テメエッ!!」

 

轟は今まで見せたことの無い程の怒りに満ちた顔で俺を睨む。

 

「言ったでしょ、半分の力しか使わない君では俺には勝てない。このままやっても不利なのは轟の方じゃないかな?」

 

「勝手に決めつけてんじゃねェ!!俺はお前に…()()()()に負ける訳にはいかねェんだ!!」

 

「落ち着け轟くん!?冷静になるんだ!!」

 

「そうですわ轟さん!!」

 

「憤怒に身を蝕まれるな」

 

怒りで我を忘れて掛ける轟を騎馬の飯田たちが止める。

 

「佳面くん…」

 

緑谷も今の轟を心配しつつも、俺の指示を待つ。

 

「一先ず今は逃げること優先…だけど周りにも注意を払っておいて。あと、常闇の個性の弱点は強い光みたいだからまた奇襲が来たら俺が対処する」

 

「うん!」

 

「分かった!」

 

「了解です!」

 

『さあ、残り時間5分を切ったぞォ!!最後まで足掻けよお前らァァァ!!』

 

作戦が決まり俺たちは轟チームから逃亡し、轟たちも俺たちに標的を絞ってひたすら追い続ける。

 

「チェンジ!エレキハンド!!」

 

「チャージ完了!200万ボルトエレキ光線発射!!」

 

「八百万!」

 

「はい!」

 

轟チーム含む前方に電撃を繰り出すが、轟の指示により八百万は絶縁シートを創造し、それをガード。

 

「チェンジ!冷熱ハンド!!」

 

「冷気ガス発射!!」

 

「飯田!!」

 

「分かってる!」

 

今度は冷凍ガスで動きを封じ込めようとするが、飯田の機動力により回避。

 

黒影(ダークシャドウ)!」

 

『アイヨ!』

 

「超高温火炎!!」

 

『キャン!?フミカゲムリダヨ!チカヅケナイ!』

 

「ク、氷結と業火の二段構え…!」

 

常闇の奇襲に炎で対応し、激しい攻防を繰り広げ、残り時間は2分を切った。

 

すると飯田が──

 

「皆、残り2分。俺は使えなくなる。頼んだぞ!」

 

「飯田?」

 

突然飯田が分からないことを言い出し、轟は思わず困惑する。だが飯田はそれには答えず、左足を前に出し、前傾姿勢を取りながら他の三人に声をかける。

 

「しっかり掴まっていろ!絶対奪れよ、轟君!」

 

すると飯田のエンジンが音を立てながら出力を上げていく。

 

「(来る!)チェンジ!スーパーハンド!!」

 

俺は瞬時にスーパーハンドに切り換え、気を集中させ両手を花の形の様に構える。

 

そして、青い炎が飯田の足の噴射口から勢いよく吹き出す。

 

 

「トルクオーバー!レシプロバースト!!」

 

 

「!?」

 

飯田がそう叫んだ次の瞬間、一瞬で俺たちとの距離を詰め、そして抜き去る。

 

その抜き去る瞬間に轟は俺の鉢巻に手を伸ばし──

 

飯田は噴射口から黒い煙をまき散らしながら、俺たちから離れたところで停止した。

 

『何が起きた!?速えええ!?飯田!そんな超加速があんなら予選で見せろよ!!』

 

実況のマイクが興奮した様子で声を上げる。

 

そして何が起こったのか分からないのは同じチームの()()()()()()()()は戸惑ったように飯田を見ている。

 

「トルクと回転数を無理矢理上げ、爆発力を生んだのだ。反動でしばらくするとエンストするがな。クラスメイトにはまだ見せていない裏技さ」

 

驚きの表情を浮かべて緑谷たちは轟チームを見る。

 

そして飯田も此方の方を向きながら──

 

「言っただろう?緑谷君。君に挑戦す──」

 

飯田が言い切る前に、異変が起きる。

 

騎手の轟がまるで糸の切れた人形の如く崩れ落ちたのだ。

 

「!?黒影(ダークシャドウ)!!」

 

『アイヨ!』

 

地面に落下する寸前、間一髪のところで常闇が黒影(ダークシャドウ)で轟を支える。

 

「どうしたんだ轟くん!?」

 

「轟さん!?」

 

『どうした轟ィィィ!?飯田の超加速後に突然倒れたぞ!まさかあまりの加速に気絶したのかーー!?』

 

『……違う』

 

「(オイオイオイ、マジかよ!?君の実力はそれ程までに凄まじいのか……佳面少年!?)」

 

「(何を……何をやっている焦凍!!)」

 

飯田たちだけでなく実況のマイク先生や会場全体が轟の様子に困惑する。

 

相澤先生・オールマイト・そしてNo.2ヒーローであり轟の父親のエンデヴァーだけが一瞬の刹那に何が起こったのか気づいていた。

 

『どういうこったよイレイザー!?お前何が起きたのか分かるのか!?』

 

『……ほんの一瞬だ。飯田の加速によって佳面チームに急接近し、轟が佳面の鉢巻に手を出そうとした次の瞬間、佳面は右手で轟の手を弾いて空いた左手で轟の顎に拳を当てた。拳が顎に当たった事で脳が激しく揺れて脳震盪を引き起こしたんだ……格闘技の試合でも稀に見られる現象だ』

 

「馬鹿な!?俺のレシプロはクラスの皆や先生方にも教えていない技だ!!そんな一瞬でカウンターを合わせるなんて──」

 

「…赤心少林拳【梅花の型】」

 

俺は相澤先生の解説に困惑する飯田にそう答える。

 

「は?梅花?」

 

「そう。拳を繰り出し、敵の攻撃をいなして防御する技。花を包み込む『梅花』の様な姿からそう名付けられた。俺は【梅花の型】で轟の手をいなし、拳を轟の顎に目掛けて放った。あとは相澤先生の解説通り、轟は脳震盪を起こしたと言う事だ」

 

「それと飯田。悪いけど()()()()()()()では俺を出し抜く事は出来ないよ」

 

「そ、そんな……」

 

あまりにも信じられない現実に飯田は戦意喪失する。

 

『あっっっとうてきだぁぁぁ!!佳面来太!この男に死角は無い!!』

 

 

残り時間、俺たちはひたすら逃げの一手を続けて時間切れ(タイムアップ)となった。

 

佳面チーム 10,001,055P。

 

不動の1位通過で騎馬戦を終えるのであった。




佳面チーム、騎馬戦を1位通過。
スーパー1無双で終始圧倒。チームメイトとの連携を忘れず相手チームに隙を見せず圧倒した。


物間、やらかす
物間の個性【コピー】でライダーくんの力をコピーしようとするも失敗。理由は、ライダーくんの仮面ライダーの力は所謂【転生による特典】なのでヒロアカ世界に最初から存在しない力のためコピー不可能。


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20スレ

FGOで漸く第2部6章クリア出来ました……。
ストーリーの内容に私の心はボドボドダァッ(オンドゥル風)。
ガチャでは取り敢えず6章の全キャラを我がカルデアにお迎えする事が出来ました。後はオベロンのレベル上げ・霊衣解放とハベトロットの宝具レベルを上げる作業に入りますっと思ったらモルガンの霊衣も追加だと!?

番外編も連載中ですので是非ご覧になって下さい。

そんな事より第23話を投稿します。

今回はスレと轟との会話です。
それでは、どうぞ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

40:雄英の仮面ライダー

皆さん、お疲れ様です。

何とか1位通過となりました。

 

41:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れ!

 

42:サクラギ研究所のリサーチフェロー

見事な無双っぷりだったよ!

 

43:太刀川隊の狙撃手

鉢巻奪う以外に周囲の警戒も良かったね。

 

44:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

飯田のレシプロに対してのカウンターには痺れたよ!!

 

45:杜王町の幽波紋使い

あの一瞬でよくカウンター取れたな。

 

46:雄英の仮面ライダー

>>44>>45

はい。

グラップラーニキとの特訓で【梅花の型】を完成出来たのが大きな勝因でした。

グラップラーニキ、特訓付き合ってくれてありがとうございました!!

 

47:虚刀流のグラップラー

気にしないで。

こっちも良い特訓になったからね。

 

48:空座町の無下限呪術師

いや〜、凄かったね〜!

 

49:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

呪術ニキ!?

 

50:サクラギ研究所のリサーチフェロー

アンタ、ライダーくんに「東京卍リベンジャーズ」のマイキーの台詞言わせたな!!

 

51:空座町の無下限呪術師

うん。

インパクト残せたでしょ♪

 

52:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

前に真面目に考えるって言ってたじゃないですか!?

 

53:太刀川隊の狙撃手

まあ、お陰で会場は盛り上がりはしましたけどね…。

 

54:空座町の無下限呪術師

>>53

でしょ。

ライダーくん、選手宣誓の後の反響どうだった?

 

54:雄英の仮面ライダー

今昼休憩中で皆と食堂でお昼食べてますけど、なんでもツ○ッターで俺の名前と"日和ってる奴いる?"がトレンド入りしたそうです。

 

55:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)

>>54

マジか!?

 

56:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

SNSで話題になるなんて凄いぞ!?

 

57:サクラギ研究所のリサーチフェロー

これでライダーくんは全国的に有名になった訳か。

 

58:太刀川隊の狙撃手

大変な事になりそうですね。

 

59:虚刀流のグラップラー

狙撃ニキ、不穏な事を言うんじゃないよ。

 

60:杜王町の幽波紋使い

まあ、良くも悪くもライダーくんの名が全国で知られるのは良いことじゃあないか?

知名度的に。

 

61:雄英の仮面ライダー

>>60

ですね。

名前を知って貰えればプロからも認知されるかもしれませんし、ポジティブ思考で考えていこうと思います。

 

62:空座町の無下限呪術師

うんうん!

そう言うの嫌いじゃないよ。

 

63:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>62

アンタは少し反省しろよ。

 

64:太刀川隊の狙撃手

この人を止める手段は無いだろうな。

 

65:サクラギ研究所のリサーチフェロー

諦めるしか無いでしょうね…。

 

66:杜王町の幽波紋使い

それで、次の種目は決まっているのか?

 

67:雄英の仮面ライダー

いえ。

昼休憩後に発表されるみたいなので。

けど、過去の事例から考えると1vs1のトーナメント戦になる可能性が高いと思います。

 

68:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

お、過去にもトーナメント戦あったんだ。

 

69:虚刀流のグラップラー

俺たちは原作でしか体育祭の知識は無いから過去の内容は流石に知らないな。

 

70:太刀川隊の狙撃手

まあ、落ち着いて本来の実力が出せればライダーくんなら問題ないでしょうね。

 

71:空座町の無下限呪術師

>>70

だね。

ヘマしない限り決勝の途中でコケる事は無いでしょ。

 

72:雄英の仮面ライダー

はい。

油断せず頑張ります。

 

 

「悪い佳面。今良いか?」

 

「どうしたの轟?」

 

「少し話がしたい、時間くれないか?」

 

「……分かった。大丈夫だよ」

 

 

すいません、少し外します。

 

73:空座町の無下限呪術師

了解。

行ってらっしゃい。

 

74:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ねえ、轟から話があるのって……。

 

75:サクラギ研究所のリサーチフェロー

多分、自分の過去について話すんじゃないですかね。

 

76:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

轟の過去はかなり重いからなあ。

 

77:太刀川隊の狙撃手

これは、俺たちは干渉出来ませんね。

 

78:杜王町の幽波紋使い

そうだな。

ライダーくんに任せよう。

 

79:虚刀流のグラップラー

そうですね。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

俺は同じ理由で轟に連れられる緑谷と共に会場の通路に着く。

 

「悪いな2人とも。急に呼び出しちまって」

 

「ううん、大丈夫だよ轟くん。丁度お昼食べ終わっていたし…」

 

「俺も構わないけど…なんで俺たちを呼んだのかな?それを聞かせて欲しいな」

 

俺の質問に轟は頷く。

 

「お前たちと話がしたかった。聞きてェ事があってな、まず緑谷」

 

「な、なに?」

 

緑谷は動揺する。

 

「単刀直入に聞く。お前はオールマイトの隠し子か何かか?」

 

「(オールマイトの隠し子?)」

 

突然の爆弾発言に俺も緑谷を見る。

 

「ち、違うよ!僕がオールマイトの隠し子なんて……」

 

「…そうか。お前の個性はオールマイトと同じパワー系だし、何よりオールマイト気に入られてるからそう思ってたが……勘違いだった、悪りィ」

 

「う、ううん」

 

勘違いだった事に気づき、轟が謝罪し緑谷はそれを許す。

 

「俺の父親が()()()()……おまえたちは知っているよな」

 

「No.2ヒーロー・エンデヴァー……だよね」

 

轟の問い掛けに俺が答える。

 

「そうだ。親父はオールマイトを超えようと、倒そうとして辿りつけなかった存在……。そんなオールマイトと関係がある緑谷と俺が一度も勝てない佳面。そんなお前たちだからこそ、話そうと思ったんだ」

 

轟は少しの間目を閉じ、そして語り始める。

 

「俺は…()()()()()()()()()()という親父の野望の為に、()()()()()()()なんだ」

 

轟から聴かされた話は、想像以上に悲惨で心苦しい内容だった。

 

父親であるエンデヴァー・轟炎司はオールマイトの存在によって万年No.2ヒーローである事。

 

自分ではオールマイトを超える事が出来ない為、氷結系の個性を持つ轟の母親・冷と結婚し、半冷半燃の個性を持つ子どもを生み出そうとし、漸く4人目の子ども…つまり轟本人が生まれた事。

 

物心付いた頃から父親の()()()()()鍛錬を受けていた事。

 

次第に母親の精神が蝕まれ、遂には轟の顔の左側に熱湯をかけてしまった事で現在精神科の病院に入院している事。

 

そんな母親に対して父親が何もしなかった上に原因を母親に押し付けた事。

 

この日、僅か5歳の轟は決意した。

 

母を苦しめた父に復讐することを。

 

轟にとって自らの個性は、父親がもたらした【呪い】であると同時に、その呪いに立ち向かう為の【力】となった。

 

「これが、俺の過去であり、誰が相手だろうと負けられない理由だ」

 

「俺の記憶の中の母親は、いつも1人で泣いてた。あの男のくだらない【夢】の為に、今も病院に居る。……だからこそ、俺は左は使わねえ…お母さんの力で1番になって、あいつを真っ向から否定する為に!!」

 

「轟くん…」

 

「……」

 

轟の壮絶な過去を聞いた緑谷は絶句する。

 

世間から見れば、父親がNo.2ヒーローである家庭に産まれた轟の人生は実に華やかなものだろう。

 

しかし、その実態は一般的な家庭でもある【幸せ】とはかけ離れたものであった。

 

「……2人とも、時間取らせて悪かったな」

 

全てを言い終えた轟は、俺たちに頭を下げる。

 

そんな轟に俺は1つ質問する。

 

「轟はなんでヒーローを目指すの?」

 

「え?」

 

俺の質問に轟は顔を上げる。

 

「エンデヴァーの…父親の野望に逆らいたいのなら、そもそもヒーローなんて目指さなければ良い。雄英に進学せずに…いやヒーロー科じゃなく一般高校の普通科に行けば良かったんじゃない?そうすれば父親の野望から解放されるでしょ。何でそうしなかったの?」

 

「それはっ…」

 

俺の問い掛けに轟は言葉を詰まらせる。

 

「佳面くん!そんなこと言わなくてもッ!?」

 

緑谷も轟にこんな質問をした俺を止めようとする。

 

「そうしなかったって事はさ…、父親の野望とは関係無く轟の心の何処かで()()()()()()()()()()()()って思ったからじゃないかな?」

 

俺の言葉に轟はハッとする。

 

「どんなに過酷な鍛錬を続けてきたのも、雄英ヒーロー科に入ったのも、父親への復讐以外にヒーローになりたいって君自身がそう思った理由があるからじゃないの?」

 

「俺が……ヒーローになりたいと思った理由」

 

「それをまず思い出した方が良いと思う。復讐をしたいにしろ、ヒーローを目指すにしろ、その理由を思い出さないと……君は前に進めない。そんな気がする」

 

俺は少し笑いながら、話を付け加える。

 

「それとさ、轟は今日の青空がとても綺麗な事に気付いてる?」

 

「は?青空?」

 

轟はいきなり何を言ってるんだって顔をする。

 

「障害物レースの時や騎馬戦の時にさ、今日の青空を見なかった?緑谷は見た?」

 

「え!?ご、ごめん。体育祭に集中し過ぎて空を見る余裕が無かったと言うか…」

 

「そうなの?なら後で2人とも見てみなよ。すっごい綺麗な青空なんだよ。じゃあこれは?今日の警備にシンリンカムイとMt.レディが居たのは?」

 

「あ!それは知ってるよ!!しかも2人の近くにデステゴロも居たよね!?」

 

「そうそう!ヘドロ事件の時も3人は現場に居たよね」

 

「うんうん!」

 

ヒーローの話に切り替えると緑谷が凄い勢いで反応する。

 

「なあ、さっきから何を言ってんだ?」

 

質問の意図が分からず轟は訊く。

 

「要はさ、目標にひたすら突き進むのも良いけど、少し周りを見てみたらって事。そうしたら、さっきまで気づかなかった事にも気づく事が出来るんじゃないかな」

 

「轟は目的の為に愚直過ぎると言うか、真面目過ぎるんだよね。たまにはさ……寄り道しても良いと俺は思うよ」

 

「今日の青空も観客の人たちにどんな人が居たのかも、ちょっと見るだけで知らなかった事を知る事が出来る」

 

「今ある景色は今にしか存在しないんだから。それに気づかないのは勿体ないよ」

 

最後に轟に向けて俺は笑顔で言う。

 

「もっと楽しもうよ!今日の体育祭をさ。楽しんで良いんだから!!」

 

「俺からは以上!じゃあ2人とも、また後でね!」

 

そう言って俺は2人に背を向けて歩き、その場を離れる。

 

 

ちなみに通路の角に爆豪が壁に背中を付けて隠れていたのを目撃したが、"黙ってろ!"的なジャスチャーをしてたので、敢えてスルーした。




ライダーくん、何か五代雄介風な事を轟に言う
轟の過去を聴かされて、原作主人公の緑谷を他所に【仮面ライダークウガ】の主人公・五代雄介っぽい台詞を言っちゃうライダーくん。
果たして轟はライダーくんの言葉をどう捉えるのか。私的に轟には重い荷物(過去)を枕にして深呼吸して青空を見て欲しい。

乞うご期待!!


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21スレ

第24話の投稿です。

今回からトーナメント戦に入ります。
対戦カードの内容は原作と変更してますのでご了承下さい。

今回ライダーくんが変身する仮面ライダーのヒントは「聖剣」「ワンダーライドブック」「ランプの魔神」です。

それでは、どうぞ。



昼休憩が終了し、遂に雄英体育祭 午後の部が開始する。

 

『さあ!昼休憩が終わり、ここからは最終種目の時間だァ!!だがその前に失格者の皆に朗報だ!!今日はあくまでも体育祭!全員参加のレクリエーションが用意されてるぞ!!そして、本場アメリカからチアリーディングのガールズも来てくれて会場の盛り上がりも最高潮!!……なんだが、1つだけ突っ込ませてくれ』

 

会場を盛り上げていたマイク先生は視線をヒーロー科A組の生徒に向ける。

 

 

『どーーーしたA組!?』

 

 

A組と言っても女子生徒たちを指しているが、そのA組女子全員が()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…よくよく考えれば相澤先生が飯田や佳面じゃなくて峰田に伝言を頼むわけ無いじゃん」

 

「峰田さん!騙しましたわね!?」

 

 

「チョーイイネ!サイコーーー!!」

 

 

八百万さんの声が聴こえてない程、峰田のテンションは体育祭開始以降、最高潮に達していた。

 

「峰田。どういうことか、説明してくれないかなあ?」

 

俺は【草加スマイル】で峰田を問い詰める。

 

「ヒィッ!?い、良いじゃねえかよ!体育祭と言ったら女子の華やかなダンスは必須だろうが!!」

 

「いや、まず騙した時点でアウトだ」

 

「流石にダメだろ」

 

「峰田くん!女性を騙すなんてヒーロー科の風上にも置けない行為だぞ!!」

 

他の男子たちも峰田の意見を否定する。

 

「まあまあ、良いじゃん。折角だし楽しまないと!」

 

そこに葉隠さんが割って入る。

 

「は、葉隠ぇ」

 

「けど後で皆に謝ってよね!……それと〜。どうかな、佳面くん!似合ってるかな?」

 

葉隠さんは俺の前に立ってポーズを取る。

 

「ん?うん、元気な葉隠さんにとても似合ってる。可愛いよ」

 

「えへへ〜。そうハッキリ言われると照れるね〜」

 

顔は見えないが()()で照れてる事が何となく分かる。

 

「皆も。経緯はアレだったけど凄く似合ってるよ」

 

「ケ、ケロ。ありがとう佳面ちゃん」←蛙吹さん

 

「うーん、まあイケメンに褒められたならいっか!」←芦戸さん

 

「か、佳面さん!?あまり見ないでくださいまし!!」←八百万さん

 

「あ、ありがとね!」←麗日さん

 

「……ジロジロ見んなッ」←耳郎さん

 

流石に葉隠さんだけ褒めるとダメかと思い、他の女子たちも褒める。

 

「んだよこの格差はよーーー!!イケメンなら何やっても許されんのか!?」

 

今度は峰田が血涙を流しながら俺に怒鳴りつけてきた。

 

「いやいや、俺イケメンじゃないからね」

 

歴代の仮面ライダー俳優の方々の方が断然イケメンだし。

 

「止めろ佳面!これ以上峰田を刺激するな!!」←切島

 

「お口チャックしてくれ!」←砂藤

 

「お前その発言俺にもダメージ来てるからな!?」←瀬呂

 

「…無自覚な魅了」←常闇

 

「そうだな」←障子

 

「佳面は少し自分の外見を自覚すべきだと思うよ」←尾白

 

コクコクッ←頷く口田

 

「ぼ、僕はカッコいいと思うよ佳面くん!」←緑谷

 

「男は外見じゃない!紳士の精神と立ち振る舞いが大事だぞ峰田くん!!」←飯田

 

「うぜぇ」←爆豪

 

「…言うほどおかしくねえんじゃねェか?」←轟

 

なんだかんだ騒動は落ち着き、レクレーションが始まる。

 

……あと、葉隠さんに脇腹を殴られた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

80:雄英の仮面ライダー

レクレーションも終わって、最終種目は読み通りトーナメント戦になりました。

 

81:虚刀流のグラップラー

遂に来たか。

 

82:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

レクレーションどうだった?

 

83:雄英の仮面ライダー

俺は玉転がしに参加しました。

結構楽しかったです。

借り物競走で峰田が【背脂】を引いたので、売り子販売で買ったポテトチップ 豚骨ラーメン味(背脂を使用)を借したりしたくらいですかね。

 

84:サクラギ研究所のリサーチフェロー

え?

何そのポテチ。

 

85:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

想像しただけで胸焼けしそうな味だね。

 

86:空座町の無下限呪術師

美味しそうだね。

 

87:杜王町の幽波紋使い

それで、対戦カードはどうなったんだ?

 

88:太刀川隊の狙撃手

本命はそっちでしょ。

 

89:雄英の仮面ライダー

対戦カードはこの様になりました。

 

 

第1試合 俺vs拳藤(B組)

 

第2試合 轟vs瀬呂

 

第3試合 緑谷vs心操(普通科)

 

第4試合 飯田vs発目(サポート科)

 

第5試合 芦戸vs取蔭(B組)

 

第6試合 常闇vs八百万

 

第7試合 切島vs 小森(B組)

 

第8試合 麗日vs爆豪

 

90:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ライダーくん第1試合!?

 

91:虚刀流のグラップラー

それと対戦カードが原作と違いますね。

 

92:太刀川隊の狙撃手

ですね。

所々変わってます。

 

93:空座町の無下限呪術師

まあ、原作改変なんて前からあった事だしね。

 

94:サクラギ研究所のリサーチフェロー

この内容次第で今後どうなるのか気になりますね。

 

95:杜王町の幽波紋使い

ライダーくん、今回はどんなライダーで行く気だ?

 

96:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ここまで昭和・平成の仮面ライダーに変身したから、まさか令和ライダーになるのか?

 

97:雄英の仮面ライダー

>>96

そうですね。

せっかくなので令和ライダーで行きます。

……それじゃあ、そろそろ時間なので行ってきます。

 

98:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

頑張れ!

 

99:虚刀流のグラップラー

負けるなよ!

 

100:太刀川隊の狙撃手

落ち着いてな。

 

101:サクラギ研究所のリサーチフェロー

行けるとこまで行って来い!

 

102:杜王町の幽波紋使い

焦るなよ。

 

103:空座町の無下限呪術師

目指せ優勝!!

 

104:雄英の仮面ライダー

はい!

行ってきます!!

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

『リスナーの皆ァ!!待たせたなッ!気分はさながら初恋の相手とのデートで待ち合わせしてるみたいな感じかァ!?』

 

『どんな例えだアラサー』

 

『うるせえよっ!?お前もだろ!ンンッ!気を取り直して第1試合の対戦は──』

 

 

マイク先生の呼びかけに応じ、俺はスタジアムに出る。

 

目の前にはセメントス先生が造ったセメント製のフィールド用意されていた。

 

 

『ここまでの戦績は不動の1位!キッズが憧れそうな個性No.1!今度はどんな変身を観せてくれるんだァ!!ヒーロー科!佳面来太!!』

 

『続いてはコチラ!可憐な容姿と侮る勿れ!その巨大な手で勝利を掴めるかァ!!同じくヒーロー科!拳藤一佳!!』

 

フィールドの中心で俺と拳藤さんが対面する。

 

審判役は引き続きミッドナイト先生が担当する。

 

「佳面くんが変身してから試合を始めます!さあ、佳面くん。準備は良いかしら?」

 

「はい。配慮して頂き、ありがとうございます」

 

特別ルールとかではないが、俺の場合変身してから試合を開始する仕様にしてくれた事にミッドナイト先生に感謝する。

 

目の前に立つ対戦相手、拳藤さんを見ると()()()少し目を逸らされる。

 

それに微かだが顔が赤くなっている様にも見える。

 

「(何だ?…ダメだ集中しないと)よしっ」

 

俺は右手に変身ベルト【聖剣ソードライバー】、左手に【ランプドアランジーナワンダーライドブック】を実体化させ、ベルトを装着する。

 

 

『聖剣ソードライバー』

 

 

続けて左手のワンダーライドブックを開く。

 

 

『ランプドアランジーナ!』

 

 

『とある異国の地に、古から伝わる不思議な力を持つランプがあった…』

 

 

ワンダーライドブックを閉じてベルトに搭載された【物語】のスロットにセットする。

 

するとベルトからロック調の待機音が鳴り響き、俺の背後に巨大な【ランプドアランジーナワンダーライドブック】が空中に出現した。

 

俺はベルトに納刀された【雷鳴剣黄雷】の【ソードグリップ】を掴み、抜刀する。

 

 

『黄雷 抜刀!』

 

 

「変身ッ」

 

 

『ランプドアランジーナ!』

 

 

抜刀した事でベルトにセットされたワンダーライドブックが展開し、そのまま雷鳴剣を下から斬り上げる。

 

雷鳴剣から稲妻の斬撃が放たれると、背後の巨大なワンダーライドブックからランプの妖精【ランプドアランジーナ】が飛び出して俺の周囲を回転しながら包み込む。

 

そして、俺の姿は右半身の甲冑【ライドライト】に中心の甲冑【ソードローブ】、左半身の甲冑【スファーラムメイル】を纏い、顔には雷鳴剣の刀身と同じ形状の【ソードクラウン】に先程放たれた斬撃が戻り【サイプラズマバイザー】へと変化した。

 

 

『黄雷一冊!』

 

 

『ランプの精と雷鳴剣黄雷が交わる時、稲妻の剣が光り輝く!』

 

 

この姿は【仮面ライダーエスパーダ ランプドアランジーナ】。

 

迷いながらも大切な友だちとの約束を守る為、己の使命を貫く1人の剣士と同じ姿に変身を遂げる。

 

「また別の姿になったぞ!?」

 

「今度は剣を使うのか…」

 

「変身する個性は稀にあるが、こうも異なる姿になるとは!?」

 

俺の変身に会場が盛り上がる。

 

『またまた佳面、違う姿に変身したーー!?おいおい、イレイザー!お前の生徒凄過ぎねえか!!』

 

『さあな。しかし、変身するまでのプロセスを見る限り騎馬戦で観せたものとは別で電撃を繰り出すタイプかもな』

 

『何だよ何だよ本当に今日は良く喋るなミイラマン!!さあさあ!試合開始前から盛り上がって来たぜ!!それじゃあ、2人とも準備は良いな!!』

 

マイク先生の呼び声と同時に俺は重心を下げて、拳藤さんも真剣な表情になってそれぞれ構える。

 

 

『第1試合!Ready Goーーーー!!』

 




仮面ライダー紹介

仮面ライダーエスパーダ

レア度【SR】

出典『仮面ライダーセイバー』


ライダーくん、実はイケメン説?
本人が言うほどライダーくんの顔立ちは悪くない。例えるなら竹〇〇真さんのアスリート系な爽やかさと〇沢亮さんのミステリアス感が合わさった様な感じをイメージすれば分かりやすいかな……イケメンだな。ちなみにライダーくんの身長設定は185cmです。

ライダーくん、拳藤と面識あり?
いつもB組では姉御肌な拳藤がライダーくんの前だとちょっと様子がおかしいぞ。それについては次回明らかになります。


トーナメント戦でのライダーくんの扱い
試合開始前に変身するのは反則では?と言う意見を持たれる方が居ると思うので説明します。トーナメント戦でのライダーくんの扱いは【仮面ライダービルド】の代表戦をイメージしてます。アレも変身完了してから試合開始してましたので、ライダーくんも変身完了してから試合開始とします。


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22スレ

第25話を投稿します。

今回はエスパーダvs拳藤と前回匂わせてた拳藤とのエピソードをメインに行きます。

それでは、どうぞ。


『第1試合!Ready Goーーーー!!』

 

 

マイク先生による試合開始の合図と共に、拳藤さんは両手を巨大化させ接近しようとする。

 

「遅い」

 

俺は【サイプラズマバイザー】越しに拳藤さんを睨み付ける。

 

「な!?か、身体が動かない!?」

 

すると拳藤さんの身体は痺れて動かなくなり、その隙に俺は雷鳴剣をベルトに再納刀し、【イカヅチトリガー】を1回引く。

 

 

『必殺読破!』

 

 

そして雷鳴剣を再度抜刀。

 

 

『黄雷 抜刀!』

 

 

「トルエノ・デストローダ」

 

 

『アランジーナ!一冊斬り!』

 

 

雷鳴剣の刀身に稲妻を纏い、目に見えぬほどの速度で居合い斬りを放つ。

 

斬撃の後、拳藤さんの頭上から落雷が発生し、2撃目が追撃される。

 

「これで話は終わりだ」

 

 

『サンダー!』

 

 

神速の居合斬りと落雷の2連撃に、拳藤さんは倒れる。

 

「……ハッ!拳藤さん戦闘不能!佳面くんの勝ち!!」

 

ミッドナイト先生の宣言に、反応が遅れた会場が熱気を取り戻すかのように沸き上がった。

 

 

『い、一瞬だあぁぁぁ!?佳面の目にも止まらない程の超スピードによる居合斬りと落雷に拳藤ノックダウーーーン!!解説する暇すら与えない早技で佳面来太、早くも2回戦進出!!つーーか!俺たちに仕事させろ!!』

 

『相手に何もさせず短期決戦で決める。合理的な戦闘だったな』

 

相澤先生とマイク先生のアナウンスを他所に、変身解除した俺は気絶で倒れている拳藤さんに駆け寄り、抱き抱える。

 

「このまま拳藤さんを医務室へ運びます。よろしいですか?」

 

「え、ええ。お願いね!」

 

「はい。失礼します」

 

俺は拳藤さんを抱き抱えてたまま、医務室へ向かう。

 

『佳面!試合後のアフターケアを忘れず拳藤を“お姫様抱っこ"で医務室へ向かったーー!!おいおい心身ともにイケメンかよ!?』

 

『佳面、そのままお前も婆さん(リカバリーガール)に一応診て貰って来い』

 

この光景に()()()会場から生暖かい視線を向けられるも、俺は無言で拳藤さんを医務室へ運ぶ。

 

 

「(何か葉隠さんと蛙吹さんが()()()()()様に見えたけど、まあ良いか)」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

105:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ライダーくん、必殺技による初見殺しで1回戦突破かあ。

 

106:サクラギ研究所のリサーチフェロー

それもありますがライダーくんが睨んだら拳藤さん金縛りになってましたけど。

 

107:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ライダーくんが変身してたエスパーダのバイザーには睨んだ相手を痺れさせる効果があるんですよ。

俺との模擬戦の時でも使ってました。

 

108:虚刀流のグラップラー

>>107

あれ?円卓ニキにも効果あったの?

対魔力スキル持ってるのに。

 

109:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

エスパーダの力は魔力とは無関係なんですよ。

俺が防げるのは魔術関係だけですので。

 

110:杜王町の幽波紋使い

まあ、その辺は相性とかあるからな。

 

111:太刀川隊の狙撃手

ですね。

一先ず2回戦に進出が決まって良かったですね。

だけど次の対戦相手は……。

 

112:空座町の無下限呪術師

まあ轟になるだろうね。

瀬呂じゃ勝てないのは目に見えてるし。

 

113:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

まあ、轟くんに勝てるのって1年生だと限られてますし。

 

114:杜王町の幽波紋使い

2回戦はより勝負が大変になると言うことか……。

 

115:虚刀流のグラップラー

ライダーくんを信じましょう。

 

116:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ですね。

しかし、試合開始前の拳藤の様子おかしくなかったですか?

 

117:太刀川隊の狙撃手

そうですね。

ライダーくんを意識してた様子でしたよね。

 

118:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

なんだろう、ライダーくんに親近感が湧いてきたんだけど。

 

119:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

恋愛クソ雑魚ナメクジな円卓ニキとライダーくんは違うでしょ。

 

120:空座町の無下限呪術師

いい加減どうするか決めたら?

 

121:杜王町の幽波紋使い

相手を決めれないのならハッキリ言った方が後々面倒にならないんじゃあないか?

 

122:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>119>>120>>121

簡単に言わないでくださいよ!!

キッパリ言って関係がギスギスしたら気不味いじゃないですか!!

そんなこと言うなら何か解決案を下さいよ!!

 

123:虚刀流のグラップラー

>>122

ふざけんなよッ!!

俺なんて喧嘩好きの漢たちにほぼ毎日闘いを申し込まれているのに人の恋路に口挟めると思うなよ!?

逆にこっちが助けて欲しいわ!!

 

124:サクラギ研究所のリサーチフェロー

グラップラーニキ落ち着いて!?

 

125:太刀川隊の狙撃手

あーあ、グラップラーニキの地雷踏んじゃった。

 

126:空座町の無下限呪術師

円卓ニキ、何とかしなよ。

 

127:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

君が発端だからね。

 

128:杜王町の幽波紋使い

自分で何とかしろよ。

 

129:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>125>>126>>127>>128

あれ!?

まさかの味方0!?

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【医務室】

 

「(何かスレニキたちが騒いでるなあ)リカバリーガール、拳藤さんの容体は」

 

「攻撃の衝撃とダメージで気を失ってるだけさね。これ位なら私の治癒で治せるよ。チユ〜〜〜〜〜〜!!」

 

看護教諭のリカバリーガールの唇が伸びてベッドで眠っている拳藤さんの頬に触れると、みるみる怪我が治癒されていった。

 

「はい終了。いや〜〜〜若いと生命力に溢れてて治療が早く済むよ。ほら、アンタも診ておこうかね」

 

「あ、いえ。特に怪我してませんし、遠慮し──」

 

「いいから、診せな。それとも強制で治癒した方が良いかい?」

 

断ろうとしたらリカバリーガールから圧を感じて、思わずビクッとした。

 

「お、お願いします……」

 

「分かればよろしい」

 

俺は観念して回転椅子に座り、リカバリーガールの診察を受ける。

 

「うん、特に怪我や何処か痛めてるとかは無いみたいだね。身体は?しんどかったり気怠さとかは無いかい?」

 

「はい、特には。普段から鍛えてるので体力には自信あります」

 

「そーかいそーかい。確かに服の上からでも良い筋肉の感触が分かるからね〜。私がもっと若ければ……」

 

「何言おうとしてるんですか」

 

何故か身の危険を感じて、思わずツッコんでしまった。

 

「冗談さね。ノリが悪いね〜。まあ……USJの時よりかはマシで良かったさね」

 

USJの事を言われ、俺は口を閉じる。

 

「あの時、アンタが頑張ったお陰で幸い誰も死なずに済んだけど、治療を担当する人間からしたらあまり無茶はしないでくれると助かるんだけどね」

 

「…すいません」

 

「まあ、今更な事を言うのもアレだからこれくらいにするけど、自分の命は大事にしなきゃダメさね。ヒーローを目指すなら尚更ね」

 

「はい…」

 

「ン……此処は……」

 

すると、拳藤さんの意識が回復し、うっすらと目を開ける。

 

「気がついた?」

 

「え……?か!佳面来太!?」

 

俺の顔を見た拳藤さんは勢いよくベッドから上体を起こす。

 

「此処は医務室だよ。俺が君を運んだんだ」

 

「そ、そうなんだ……。あ、ありがと……」

 

「どういたしまして。身体は大丈夫?さっきリカバリーガールの治療を受けたばかりだから」

 

「え?あ、うん。ちょっと疲れてるけど…大丈夫」

 

「そっか。良かった」

 

取り敢えず大丈夫な様子に俺は安堵する。

 

拳藤さんは何かを思い出したかの様にハッとする。

 

「試合は!……そっか……私の負けか……」

 

「……うん」

 

「そっか〜。悔しいなあ」

 

拳藤さんは悔しながら笑う。

 

「けど、うん。仕方ない。次にリベンジすれば良いし!その時は今度は私が勝つからねッ!!」

 

「……ああ。けど次も俺が勝つよ」

 

「言ったな!絶対勝ってやるから覚悟しなよ!!」

 

直ぐに元気になった拳藤さんはリベンジを宣言し、俺も応える。

 

ふと、俺は気になってた事を拳藤さんに質問する。

 

「拳藤さん、1つ質問しても良いかな?」

 

「うん?何?」

 

「試合開始前に拳藤さんは俺を見てなんか様子がおかしかったけど、俺君に何かしたかな?」

 

「え!?私、顔に出てた!?」

 

「うん」

 

拳藤さんは顔を赤くして驚き、毛布で顔を隠した。

 

「う〜〜〜〜!マジか……顔に出てたか……」

 

「俺は君とは今日の体育祭でしかちゃんと面識が無くてさ、何かしたなら謝りたいんだけど」

 

「ち、違う!アンタは何も悪くなくて、私が一方的に──」

 

「一方的に?」

 

毛布から顔を出した拳藤さんは何を言えば良いのか口をモゴモゴさせる。

 

「か、佳面ってさ、()()佳面来太だよね」

 

「えっと……どう言う意味?」

 

「その……2年前までモトクロスの大会で優勝しまくってたよね」

 

彼女の言葉を何となく理解する。

 

俺はオヤッさんの薦めで中学2年生までモトクロス(オートバイ競技の1種)のジュニア大会に出場し、出た大会全て優勝した事があって雑誌やテレビの取材を受けていた。

 

「うん、そうだけど。よく知ってるね」

 

「私の父親がバイク好きでさ、その影響で私もバイクが好きでよくバイク雑誌とか読んだりオートバイレースを観戦したりしてさ。その時に……アンタを知ったんだ」

 

「そっか……何か嬉しいな」

 

世界の人口の約8割が個性を持つこの個性社会で一般的なスポーツやレース関係は全盛期よりも人気が落ちている傾向にあった為、こうも知ってくれてる人が居ると此方も悪い気はしない。

 

「私の父親が取那藤兵衛さんの現役時代からのファンでさ。その人がコーチしてるアンタに興味を持って……その……ファンになってさ」

 

「そうだったのか……」

 

顔を赤らめながら話してくれる拳藤さんに、俺は嬉しさで笑う。

 

「良かったらウチのコーヒーショップに来てみない?現役時代のオヤッさんの写真あるし」

 

「え!?実家コーヒーショップなの!?」

 

「そうそう。オヤッさんがオーナーをしててさ。たまにコーヒー淹れてくれるよ。俺もウェイターの手伝いしてるし。それに料理も凄く美味しいから是非来てくれると嬉しいな。学生割引もしてるし」

 

「行く行く!私コーヒー好きでさ!!絶対行くよ!!」

 

「アンタたち、此処は医務室だよ。逢引きなら他所でやってくれないかい?」

 

盛り上がっていた所でリカバリーガールが話に割って入り、俺と拳藤さんもピタリと会話を止める。

 

「逢引きじゃないんですけど……。じゃあ、俺はそろそろ観客席に行くよ。他の試合も気になるし」

 

「う、うん。その、また話しても良いかな?」

 

拳藤さんは不安そうに聞く。

 

「うん、全然良いよ。折角知り合えたんだし、俺もまた話がしたいな」

 

「そっか、じ、じゃあ!またな!!」

 

「うん。またね」

 

少し手を振る拳藤さんに俺も手を振って応え、医務室を出る。




ライダーくん、2回戦進出
エスパーダの【サイプラズマバイザー】に睨まれた相手は身体が痺れて動かなくなる効果があり、拳藤はそれによって一種のスタン状態となり
瞬時に必殺技【トルエノ・デストローダ】でK.O(一応峰打ち)。


拳藤一佳、ライダーくんのファンだった
ライダーは小学〜中学時代にモトクロス(オートバイ競技の一種)の大会で全戦全勝を記録。雑誌にも掲載されたりTVでも特番を組まれる程で拳藤はメディア媒体や直接レースを観戦してそこでライダーくんを知り、ファンとなった。


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23スレ

第26話の投稿です。

前回の話に関する感想にて「変身完了してから試合開始するのはおかしくないか?」と言う意見をいただきましたが、今作のトーナメント戦でのライダーくんの扱いは【仮面ライダービルド】の代表戦をイメージとしています。なので変身完了してから試合開始、場外・戦闘不能・試合中に変身解除した場合はライダーくんの失格となる仕様でいきたいと思います。この内容にご不満がある方はいらっしゃると思いますが、ご了承下さい。


今回は観客席でのトークとエンデヴァーに遭遇するお話です。

それでは、どうぞ。


医務室でリカバリーガールの診察と拳藤さんと会話を終え、俺は観客席に辿り着いた。

 

「お!佳面だ!」

 

「お疲れー!」

 

A組の皆が一塊りで座っている席に行くと、切島と芦戸さんが俺の存在に気づいて声を掛けてきた。

 

「お疲れ様。試合は何処まで進んだかな?」

 

「さっき轟と瀬呂の試合が終わったところだ」

 

「瀬呂もテープで轟を拘束するところ迄は良かったが…」

 

「凍結で逆に動きを封じられて轟が勝った」

 

試合の進捗を聞いてみると、障子と常闇と耳郎さんが教えてくれた。

 

「でよ、轟ちょっと変だったんだよ」

 

「変?」

 

砂藤の言葉に首を傾げる。

 

「轟さん、試合開始直前まで()()()()()()()()()()()()()()()()しておりまして、ミッドナイト先生に注意されてましたの」

 

「何かいつもの轟っぽくなかったと言うか」

 

「普段周りに無関心な轟がだぜ!」

 

「珍しいよね☆」

 

他の皆も轟の行動に疑問を抱いていた。

 

空を見上げて、観客席を見回した……か。

 

「フフッ」

 

「ん?何笑ってんだ?」

 

「ううん、何でも無いよ。そっか、轟が……」

 

「佳面何か知ってんのか?」

 

「教えて教えて!」

 

「さあ、俺には皆目見当もつかないかな」

 

そう言って俺は空いてる席に腰を掛ける。

 

すると、左隣から視線を感じたので顔を向けると葉隠さんと蛙吹さんがジーッと此方を見ていた。

 

しかも、葉隠さんは多分()()()()で。

 

「葉隠さん、蛙吹さんどうしたの?」

 

「ンーン、ナンデモナイヨ」

 

「ええ、何でもないわ」

 

「じゃあ蛙吹さんはともかく葉隠さんは何でむくれ顔になってるのさ。俺が拳藤さんを医務室へ運んでる時もそうだったよね」

 

(((え?そうだったの?というか何で分かるの!?)))

 

俺たちの会話に周りの皆は驚いた顔をした。

 

「……ねえ、佳面くん」

 

「何?」

 

「拳藤さんを運ぶのに"お姫様抱っこ"をする必要があったのかな?」

 

「え?……ああ。流石にあのままにするのもアレだったし、丁度相澤先生からも医務室へ行くように言われてたから」

 

「佳面ちゃん。貴方が優しい事もそういう対応をするのも分かるけど、学校側が担架を用意してるからその必要は無かったんじゃないかしら?」

 

「え、うん」

 

何だろう、2人からとてつもない圧を感じる。

 

ふと周りの皆に視線を移すと全員から目を逸らされてしまい、峰田に関してはガタガタと震えていた。

 

……あれか、自分たちを巻き込むなという事か。

 

「ねえ、聞いてるかな?」

 

「人が話しているのに目を逸すのはどうかと思うわ」

 

「す、すいません」

 

次の試合が始まるまで、俺は2人から質問責めされたのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

何だかんだ全ての一回戦が終了し、2回戦まで15分のインターバルが設けられた。

 

一回戦の結果は

 

 

第1試合 俺vs拳藤(勝者:俺)

 

第2試合 轟vs瀬呂(勝者:轟)

 

第3試合 緑谷vs心操(勝者:緑谷)

 

第4試合 飯田vs発目(勝者:飯田)

 

第5試合 芦戸vs取蔭(勝者:芦戸)

 

第6試合 常闇vs八百万(勝者:常闇)

 

第7試合 切島vs 小森(勝者:切島)

 

第8試合 麗日vs爆豪(勝者:爆豪)

 

 

となり、もうすぐ2回戦が始まる。

 

俺は第1試合のため入場口へ移動していた。

 

次の対戦相手である轟とは戦闘訓練以来の直接対決となるが、おそらく今の轟は前以上に手強くなっていると思う。

 

……あくまで勘だが。

 

「おお、此処に居たか」

 

不意に男性の低い声が聞こえる。

 

声がする方を見ると、目の前の曲がり角から現れたのはNo.2ヒーローであり轟の父親でもあるフレイムヒーロー・エンデヴァーだった。

 

「エンデヴァーさん」

 

「初めまして。素晴らしい試合の数々、拝見させて貰っている」

 

「…光栄です」

 

優しげな声とは裏腹にまるで()()()()()()()()()()()エンデヴァーは此方を見ていた。

 

「様々な姿に変身する個性。しかもその全てが能力が異なるとは、とても素晴らしい力だ。さぞご両親は鼻が高い事だろう」

 

「……そうですね。()()()()()()()()()()()()

 

「どういう意味かな?」

 

エンデヴァーは眉毛をピクリと動かす。

 

「両親は10年前に他界しております。2人とも交通事故で」

 

「……そうか。無神経な発言をしてしまった」

 

「いえ、気にしておりませんので」

 

エンデヴァーは少し頭を下げる。

 

「ご用件はそれだけでしょうか?これから試合がありますのであまり時間がありませんので」

 

「いや、要件は他にある。うちの焦凍にはオールマイトを超える義務がある」

 

「……」

 

「今は本来の力を出せていないが、君との試合は焦凍にとって有益な経験となるだろう。くれぐれも、みっともない試合はしないでくれ」

 

……要は“息子の踏み台になってくれ“と言っているのだろう。

 

そんな彼の発言に、俺は柄でもなく言い返す。

 

「他所の家庭事情に首を突っ込むのはマナー違反だと承知しておりますが、轟……焦凍くんがオールマイトを超えなくてはいけないのは義務ではなく、貴方個人の為ではありませんか?」

 

「何だと?」

 

エンデヴァーの目つきが途端に鋭くなった。

 

「貴方が焦凍くんに期待する事は父親として当然の感情かもしれません。しかし、夢を()()のと()()()()()のは別だと思います」

 

「彼には彼の夢があります。一方的に自分の願望を子どもに押し付ける事は本当に正しい事でしょうか?」

 

「焦凍くんは人間です。貴方の野望を叶える為の()()ではありません」

 

「ヒーローは希望であり人であると俺は思います。ただ力だけを求めてしまったら、それはヒーローではなく(ただ)の兵器です」

 

「今の貴方は……とてもヒーローには見えませんよ。エンデヴァーさん」

 

「生意気な発言をしてしまい、申し訳ございません。失礼します」

 

エンデヴァーの顔がどんな形に歪んでいたのか、頭を下げて直ぐに立ち去った俺には確認出来なかったが、後ろからは声も足音も聴こえなかった。




ライダーくん、ヒロイン2人から質問責めを受ける
ライダーくんが拳藤さんを"お姫様抱っこ"した事に、彼女たちはご立腹の様子。ライダーは謝りながら質問に答えるのであった。

ライダーくんの両親は他界
10年前のクリスマス、つまりライダーくんが5歳の頃に両親を事故で喪う。今は父親の友人でもあった取那藤兵衛の元でお世話になっている。

ライダーくん、エンデヴァーに啖呵を切る
普段ライダーくんは温厚で感情的になり難い性格だが、エンデヴァーの轟への態度に柄でもなく感情的になってしまった。


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24スレ

第27話の投稿です。

今回はライダーくんvs轟 前編です。

募集中のアンケートが今月末までとなっていますので、まだされていない方はよろしければご協力お願いします。

それでは、どうぞ。


『休憩を挟んだところで、早速2回戦を始めるぜ!!しかも第1試合から注目株同士の対決だあぁぁぁ!!』

 

マイク先生の声に感化される様に会場のボルテージがこれまでで1番の盛り上がりを見せる。

 

『稲妻と共に相手を切り裂く仮面の戦士!ヒーロー科、佳面ァァァ来太ァァァ!!』

 

『全てのものを凍てつかせるクールガイ!同じくヒーロー科、轟ィィィ焦凍ォォォ!!ともに1回戦を一瞬で勝利した2人!果たして勝者となるのはどちらだァァァ!!』

 

『お互いに力の全てを見せていない。個性の潜在能力(ポテンシャル)は共に未知数な2人だな」

 

壮絶な過去を打ち明けた以来の対面となるが、目の前の轟は前の時とは表情が違っていた。

 

「佳面くんの変身が完了したと同時に試合を始めます!」

 

ミッドナイト先生の確認事項が終わり、俺はソードライバーとワンダーライドブックを実体化させる。

 

「悪い佳面、少し良いか?」

 

「ん?どうしたの轟」

 

変身しようとした直後、轟が呼び止める。

 

「ミッドナイト、すいませんが少し待って下さい」

 

「え、ええ。手短にね」

 

ミッドナイト先生に謝罪し、轟は俺に視線を戻す。

 

『おいおい、どうしたよ轟。こっちは早く試合を始めて欲しいんだが』

 

『…マイク少し黙ってろ』

 

『What?』

 

マイク先生に相澤先生が止め、会場も困惑する。

 

「お前に言われて、空を見上げてみたよ……お前の言った通り、凄く綺麗な青空だった。それに観客席も、TVで観た事のあるヒーローが何人も居た」

 

「うん……」

 

轟の言葉に俺は頷いた。

 

「少し見方を変えるだけで……今まで気づけなかった事が分かったよ。俺は……そんな事にも気づく事が出来なかった……」

 

「だけど君は今日、それを知る事が出来た……だろ?」

 

「ああ……それと()()()()も思い出せたよ」

 

轟は少し笑みを浮かべ、俺を真っ直ぐ見つめる。

 

「俺がヒーローを目指す理由、昔あの人とTVで観た1()()()()()()()の姿に……俺は憧れた。それが、俺の原点だったんだ」

 

「その人みたいなヒーローに、俺はなりたい。あの人が"なりたい自分になって良い"と言ってくれた事を無駄にしない為に……それとだ、今更になっちまったが、体育祭を楽しむ事にしたよ」

 

「ひとまず過去の事は置いておく、今はただ……お前に勝ちたい!!」

 

かつて無い程に轟の闘志は燃え上がる。

 

『轟!クールさから一変!!闘志を燃やして佳面に宣戦布告ゥゥゥ!!オイオイオイ、マジでどうしちゃったんだ!?』

 

『アイツの中で何かが変わったんだろ』

 

会場も轟の言葉に一層盛り上がる。

 

「……なら俺も、君の本気に応えなくちゃな」

 

 

『聖剣ソードライバー』

 

 

『ランプドアランジーナ!』

 

 

ソードライバーにワンダーライドブックをセットさせ、俺は()()1()()()()()()()()()()()()()を手にし、ページを開く。

 

 

『ニードルヘッジホッグ!』

 

 

『この弱肉強食の大自然で、幾千の針を纏い生き抜く獣がいる……』

 

 

ワンダーライドブックを閉じてベルトに搭載された【生物】のスロットにセットする。

 

ロック調の待機音が鳴り響き、俺の背後に巨大な【ランプドアランジーナワンダーライドブック】と【ニードルヘッジホッグ】が空中に出現した。

 

俺はソードライバーに納刀された【雷鳴剣黄雷】の【ソードグリップ】を掴み、抜刀する。

 

 

『黄雷 抜刀!』

 

 

「変身ッ!」

 

 

『トゲ!トゲ!ランプドヘッジホッグ!』

 

 

抜刀した事でソードライバーにセットされたワンダーライドブックが展開し、そのまま雷鳴剣を下から斬り上げる。

 

雷鳴剣から稲妻の斬撃が放たれると、背後の巨大なワンダーライドブックから【ランプドアランジーナ】と無数の針が飛び出し、俺の周囲を回転しながら包み込む。

 

仮面ライダーエスパーダとなった俺の装甲の胸部に【ヘッジホッグブレス】と腰巻の【ニードメイル】、マスクに金色の棘【ニードルヘッジホッグマスク】、脚部に【ディグソルト】が加わる。

 

 

『黄雷ニ冊!』

 

 

『キュキュッと擦ると現れた、その魔神への願いとは、チクチクの鎧だった!』

 

 

相性の良いワンダーライドブックを組み合わせた事により派生形態【仮面ライダーエスパーダ ランプドヘッジホッグ】に変身完了する。

 

俺の変身に会場が盛り上がる。

 

『佳面が変身を完了したァァァ!!しかし一回戦で観せた姿と少し違うぞ!?どう言う事だ!?』

 

『さっき佳面が追加でベルトにセットした本。アレの力が加わった形態なんだろ』

 

『マジかよ!?まだ手札を残してたって事か!どんだけ多彩だよ!?それじゃあ、2人とも準備は良いな!俺たちはもう待ちきれねェよ!!』

 

マイク先生の呼び声と同時に俺と轟は構える。

 

 

『第1試合!Ready Goーーーー!!』

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

105:虚刀流のグラップラー

ライダーくん、今度はランプドヘッジホッグに変身した!?

 

106:サクラギ研究所のリサーチフェロー

轟の凍結対策ですかね。

凍らされても内側から棘を出して壊せますし。

 

107:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

あ!

開始直後に轟が氷結を!?

 

108:雄英の仮面ライダー

 

 

『ニードルヘッジホッグ!』

 

 

「なんの!」

 

109:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ライダーくんの手から棘を飛ばして氷を砕いて対応した!?

 

110:杜王町の幽波紋使い

仮面ライダーの力は本当に多彩だな。

 

111:太刀川隊の狙撃手

平成・令和ライダーは能力が豊富なライダーが多いですから。

 

112:空座町の無下限呪術師

フォームチェンジも100種類以上あるライダーが居るくらいだからね。

 

113:虚刀流のグラップラー

年々インフレが激しくなってますからね、マジで特撮ヒーローはヤバイ。

 

114:雄英の仮面ライダー

 

 

ヘッジホッグ!ふむふむ…

 

 

「ハアッ!」

 

 

『習得一閃!』

 

 

115:サクラギ研究所のリサーチフェロー

今度は雷鳴剣にライドブックをリードさせて必殺技を繰り出した!

無数の棘が轟に向かって発射した!!

 

116:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

轟くんも氷の防壁を張り続けて何とかガードした!?

あ!ライダーくんが轟くんに接近した!?

 

117:雄英の仮面ライダー

「攻撃を止めたからって安心するのは早いよ!」

 

「グッ!?」

 

118:虚刀流のグラップラー

ライダーくんが容赦なく轟に蹴りを入れた!

轟はフィールドで転がるけど何とか氷壁で場外を免れたぞ!?

 

119:雄英の仮面ライダー

「コレなら!」

 

120:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

轟、今度はライダーくんの周囲を氷壁で囲った!

逃げ場を塞いだのか!?

 

121:太刀川隊の狙撃手

次に正面からの氷結攻撃。

ライダーくんの周りは氷壁で塞がれてる、万事休すか。

 

122:雄英の仮面ライダー

「それなら!」

 

 

『必殺読破!』

 

 

『黄雷 抜刀!』

 

 

「トルエノ・ミル・ランザ」

 

 

『ヘッジホッグ!アランジーナ!ニ冊斬り!』

 

 

『サ・サ・サンダー!』

 

 

「ハアッ!!」

 

123:空座町の無下限呪術師

お、必殺技を発動させて大量の針を纏ったランプの魔神を召喚して一斉に針を放って正面からの攻撃を相殺。

それと同時にジャンプして落下に合わせて轟へ落雷と共に縦斬りか。

やるね〜。

 

124:杜王町の幽波紋使い

けど最後の落雷と斬撃は氷壁で防がれてしまったか……。

惜しかったな。

 

125:太刀川隊の狙撃手

けど現状はライダーくんの有利ですね。

轟も連続で氷結をし続けたせいで身体に霜が出てます。

 

126:サクラギ研究所のリサーチフェロー

個性は身体能力の延長線。

使い続けたら身体への負担も大きくなるだろうし。

 

127:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ここは左の炎を使うべきだろうけど…。

 

128:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

今の轟に左を使う気があるのか…。

 

129:雄英の仮面ライダー

「やっぱ右だけじゃ厳しいか……それならッ!」

 

130:虚刀流のグラップラー

あ!?

轟の左側から炎が!

 

131:太刀川隊の狙撃手

遂に使うか…!

ライダーくんはどうする。

 

132:杜王町の幽波紋使い

見ろ。

ライダーくんの手にもう一冊の本が。

 

133:空座町の無下限呪術師

あれは【トライケルベロスワンダーライドブック】。

ライダーくんも本気を出すみたいだね。

 

134:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

と言う事は……ワンダーコンボか!?

 

135:サクラギ研究所のリサーチフェロー

よしッ!

行けライダーくん!!

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「やっぱ右だけじゃ厳しいか……それならッ!」

 

互いに激しい攻防を繰り広げ、轟は遂に左側から炎を出した。

 

『轟!遂に左を解・禁・したァァァ!!激しく燃える炎がフィールド内に残った氷を溶かしていくぞォォォ!?』

 

『遂に使ったか……』

 

轟の左側から赤い炎が燃え上がり、炎の熱で周囲の氷が溶け始める。

 

そんな轟の姿を見て、俺はもう1つの切札を切る。

 

「君が想いを貫くのなら……俺も俺の想いを貫く!」

 

雷鳴剣をソードライバーに戻し、新たにもう1冊のワンダーライドブックを取り出した。

 

 

『トライケルベロス!』

 

 

起動音が鳴り、ページを開く。

 

 

『かつて冥界の入り口に、三つの頭を持つ恐ろしい番犬がいた…』

 

 

ワンダーライドブックを閉じてソードライバーに搭載された【神獣】のスロットにセットする。

 

再びロック調の待機音が鳴り響き、俺の背後に巨大な【トライケルベロス】、【ニードルヘッジホッグ】、【ランプドアランジーナワンダーライドブック】が出現した。

 

俺はソードライバーに納刀した雷鳴剣を再び抜刀する。

 

 

『黄雷 抜刀!』

 

 

『ランプの魔神が真の力を発揮する!ゴールデンアランジーナ! 』

 

 

抜刀した事でソードライバーにセットされたワンダーライドブックが展開し、そのまま雷鳴剣を下から斬り上げる。

 

背後の巨大なワンダーライドブックから【ランプドアランジーナ】と無数の針、そして三つ叉の頭をした神獣【トライケルベロス】が飛び出し、俺の周囲を回転し包み込んだ。

 

ランプドヘッジホッグにトライケルベロスの力が宿り、右肩には【トライケルベロスボールド】と右半身の【カテーナメイル】による地獄の番犬の名に恥じない鉄壁の防御力とマスクの右部分に【トライマスク】、手甲の【ケルベロスブレーサー】、更に鎖の描かれたマント【カテーナクローケ】が加わる。

 

 

『黄雷三冊!』

 

 

『稲妻の剣が光り輝き、雷鳴が轟く!』

 

 

これが仮面ライダーエスパーダの最強形態【ゴールデンアランジーナ】。

 

相性の良い3冊のワンダーライドブックの力を一つにし、真価を発揮された姿である。




ライダーくん、ランプドヘッジホッグ→ゴールデンアランジーナにフォームチェンジ
轟の本気に応える為にライダーはエスパーダの最強フォーム【ゴールデンアランジーナ】のワンダーコンボを発動。


次回、轟との対決に決着が着く!またして勝者は……

乞うご期待!!


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25スレ

第28話を投稿します。

今回はライダーくんvs轟の決着と友情回です。

お気に入り数が1,700件台に突入しました!!
毎度のことですが、皆様に感謝しつつ引き続き投稿頑張っていきます。


【葉隠視点】

 

『黄雷 抜刀!』

 

 

『ランプの魔神が真の力を発揮する!ゴールデンアランジーナ! 』

 

 

『黄雷三冊!』

 

 

『稲妻の剣が光り輝き、雷鳴が轟く!』

 

 

3冊目の本をベルトにセットしてまた新しい変身を遂げた佳面くんは、身体の左半分に炎を纏う轟くんに構えを取る。

 

 

『佳面、新たに本をベルトにセットして再び姿を変えたァァァ!!全身金ピカじゃねぇか!?』

 

 

『全力を出す事を決意した轟に応える為に、佳面も全力を出したってところか……』

 

「轟の奴、遂に左の炎を出しやがった!!」

 

「騎馬戦の時までは使うの渋ってた筈なのに!?」

 

「つーか!佳面どんだけ変身残してんだよ!?」

 

「金ピカだーー!!」

 

「あれがお2人の全力…!?」

 

「どっちもヤバ過ぎでしょ!」

 

「片や氷炎…片や稲妻の鎧」

 

「これ程とは…」

 

「どっちも凄い輝き☆」

 

「凄い…!佳面くん!轟くん!」

 

「あの2人の全力がぶつかり合ったら、一体どうなってしまうんだ!」

 

「もうどっちが勝つのか想像つかねぇよ!」

 

「どうなるんやろ…!」

 

「……クソがァァァッ!!」

 

フィールドの中央で互いに睨み合っている2人にA組の皆は勿論、会場全体が盛り上がる。

 

「透ちゃん…どっちが勝つと思う?」

 

隣の梅雨ちゃんが不安そうに聴いてくる。

 

「梅雨ちゃんは?佳面くんが負けちゃうって思ってる?」

 

私が逆に質問すると、梅雨ちゃんは首を横に振る。

 

「今の轟ちゃんはこれまでとは違うのは分かるわ…。どっちも応援してる…だけど、佳面ちゃんが勝つんじゃないかって思うの」

 

「うん。私も佳面くんが勝つって信じてるよ」

 

そう、佳面くんが勝つって信じてる。

 

だって、佳面くんは……私のヒーローなんだから。

 

 

▲▲▲▲

 

 

No.2ヒーローであるエンデヴァーは、息子が左の力を解禁した事に最初は歓喜した。

 

思わず観客席の最前列まで行って激励を飛ばそうと思う程に。

 

だが、エンデヴァーは行動に移さなかった。

 

否、()()()()()()

 

目の前で闘う息子が笑っている姿を、初めて見たからだ。

 

産まれて15年間、息子が笑っている顔を一度も見た事が無かった。

 

自分に向けられた表情は、全てが憎悪に満ちたものばかりだったからだ。

 

「(そんな顔……俺は知らないぞ!?焦凍ォ…!)」

 

組んでいた腕が無意識に力を入れ事で震えていることに、エンデヴァー自身は気づかなかった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【佳面視点】

 

「まだ変身出来たのか…本当に多彩だな」

 

「これが今の俺が出せる全力の姿だ。この力を…君にぶつける!!」

 

「俺も…今まで出さなかった全力をお前に出し切る!!」

 

お互いに全ての力を解放し、構えながらも笑いながら言葉を交わす。

 

俺は雷鳴剣をベルトに再納刀し、【イカヅチトリガー】を1回引く。

 

 

『必殺読破!』

 

 

そして雷鳴剣を再度抜刀。

 

 

『黄雷 抜刀!』

 

 

「トルエノ・デル・ソル」

 

 

『ケルベロス!ヘッジホッグ!アランジーナ!三冊斬り! サ・サ・サ・サンダー! 』

 

 

抜刀した雷鳴剣を天高く掲げ、剣の切先に雷のエネルギーを集中させ、巨大な球体型のエネルギーを形成する。

 

激しく輝くその姿はまるで、大空に浮かぶ太陽の如く。

 

轟も左右に氷と炎を最大限にまで昂らせる。

 

 

「ハアァァァァァァッ!!」

 

 

「ウオォォォォォォッ!!」

 

 

俺は雷鳴剣を振り下ろし、轟は左から最大出力の炎を放出する。

 

球体型の電撃と炎が衝突し、会場全体に衝撃波が襲う。

 

「キャアァァァ!?」

 

フィールド全体に爆発と爆風が吹き荒れ、審判役のミッドナイト先生が吹き飛ばされる。

 

観客席にも爆風と衝撃波が襲い掛かり、全員が目を塞ぐ。

 

フィールドの殆ど砕けられ、全体に煙が立ち込める。

 

『ナニ今の……今年の1年マジで何なの?』

 

『散々冷やされた空気が瞬間的に熱されて膨張し、そこに佳面の巨大な電撃が加わったんだ。こうなるのは必然だろ』

 

『マジかよ!?ったく、何にも見えねぇよ!!おい!コレ勝負はどうなって……!?』

 

 

『必殺読破!』

 

 

煙の中からゴールデンアランジーナ()が空中へ飛び出し、必殺キックの構えを取る。

 

 

「オーロ・ボンバルデーロ!」

 

 

『ケルベロス!ヘッジホッグ!アランジーナ!三冊撃!サ・サ・サ・サンダー! 』

 

 

「ハァッ!!」

 

稲妻を纏った右脚による飛び蹴りを轟へ放つ。

 

「カァッ!?」

 

ライダーキックをまともに受け、轟はフィールド外へ吹き飛び会場の壁に激突した。

 

「イッタァ。…ハッ!と、轟くん 場外!!よって勝者、佳面くん!!」

 

判決と同時に会場から大歓声が湧き上がる。

 

『両者の最強の攻撃が激突!!威力は互角かと思いきや、佳面の2撃目が轟に炸裂ゥゥゥ!?準決勝に駒を進めたのは佳面ダァァァァ!!信じられるかリスナー共!この凄まじい闘いがまだ2回戦なんだぜ!?』

 

俺は変身解除し、轟に駆け寄る。

 

「轟、大丈夫?」

 

「グッ……ああ、なんとかな……。身体中がイテェけど」

 

「そっか。まあ、取り敢えず今回も俺の勝ちだね」

 

「ああ…完敗だ。やっぱ強えな、お前」

 

「まあね。けど、今日は俺の勝ちだけど次も負けないからね」

 

「それはこっちのセリフだ。……なあ、佳面」

 

「ん?」

 

轟は痛む身体を何とか動かし、上体を起き上がらせる。

 

「ありがとな。お前の言葉で俺は忘れていた事を思い出せた。それに生まれて初めて持てる力を全部出し切った。こんな事初めてだ」

 

「良いよ。こっちも全力を出せたしね」

 

「お前のお陰で、俺は前に進む覚悟が出来た。これから精算しなきゃいけない事にも……今度こそ逃げずに向き合うよ」

 

「そっか…」

 

「それと、ついでになっちまうけど。今の俺に、こんな事を言う資格はねェかもしれないけど……言わせてくれ」

 

「こんな俺と……友だちになってくれないか?」

 

轟の言葉に一瞬言葉を失うが、直ぐに切り換え俺はニヤリと笑う。

 

「あれ?"仲良しこよしはしない"んじゃなかったっけ?」

 

「うっ」

 

「「「(((控え室での事根に持ってた!?)))」」」

 

俺の意地悪な言葉に轟は言葉を詰まらせる。

 

多分観客席に居るA組の皆も内心ツッこんでいるだろう。

 

「冗談だよ。…それに、今更過ぎるんじゃない?」

 

俺は腰を落とし、轟の目線に合わせる。

 

「俺たちは持てる力を全部ぶつけて闘ったんだよ。つまりさ」

 

言いながら俺は、右手を轟の前に差し出す。

 

「俺たちはもう友だちだろ?そんなよそよそしい事を言われると傷つくんだけどな」

 

「 」

 

俺の言葉に、轟は言葉を出さずに驚いた。

 

そして轟は少し笑って自身の右手で俺の右手を掴み、握手を交わす。

 

『んだよ……お前ら……アオハルかよォォォ!!

 

『泣くな』

 

観客席からも壮大な拍手が鳴り響き、俺たちを見ていたミッドナイト先生は又もや悶絶していた。




ライダーくん、轟を倒し準決勝へ進出。
互いの全力をぶつけ、最後のライダーキックで勝利を掴む事が出来たライダーくん(勝因は足だけど……はい、つまらない)。

ライダーくんは轟と【友だち】になった(RPG風)。
少し意地悪しながらも轟からの申し出を応じて友だちとなった。


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26スレ

第29話を投稿します。

少し駆け足しまして準決勝の内容となります。
その相手とは……。

セイバーが遂に完結!キャスト・製作スタッフの皆さん、コロナで大変な中、素敵な作品をありがとうございました!!
そしてVシネ決定!しかもエスパーダに強化フォームが!?新しいライドブックに新しいエンブレムで聖剣もパワーアップ!?楽しみで仕方がないんですけど、本編の8年後って事は飛羽真や倫太郎や賢人たちが尾上さんや大秦寺さんポジションになるって事?

それでは、どうぞ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

136:雄英の仮面ライダー

2回戦を突破して準決勝に進出しました。

 

137:虚刀流のグラップラー

おめでとう!

 

138:サクラギ研修所のリサーチフェロー

お疲れ!

 

139:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

轟に勝ったのはデカいよ。

しかも炎を使った状態に。

 

140:太刀川隊の狙撃手

ライダーくん、轟と友だちになったな。

 

141:雄英の仮面ライダー

はい。

今は医務室で安静にしてますが、リカバリーガールの個性で回復してますので大丈夫だと思います。

轟から「負けるなよ」と激励を送られたので、是が非でも負ける訳にはいかなくなりました。

 

142:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

もう仲良くなったんだね!

 

143:空座町の無下限呪術師

うんうん、若人の青春は美しいね〜。

 

144:杜王町の幽波紋使い

準決勝の相手は決まったのか?

 

145:雄英の仮面ライダー

>>144

はい、幽波紋ニキ。

次の対戦相手は飯田に勝った緑谷です。

 

146:虚刀流のグラップラー

>>145

遂にデクとの勝負か!

 

147:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

原作主人公が相手かぁ。

どうなるんだろ…。

 

148:太刀川隊の狙撃手

ライダーくんは体育祭までの2週間でデクと模擬戦してたんだっけ?

戦績は?

 

149:雄英の仮面ライダー

>>148

戦績は俺の10戦中10勝無敗です。

 

150:サクラギ研修所のリサーチフェロー

強え!?

しかも無敗かよ!

 

151:空座町の無下限呪術師

まあ、()()()()()だけどね。

本戦で負けたら意味が無いし。

 

152:太刀川隊の狙撃手

そうですね。

緑谷は個性や動きを分析して予測する能力に長けてますから、型のある戦法はあまり使えないかもしれないですね。

 

153:杜王町の幽波紋使い

それかまだ使っていない能力による初戦殺しか…。

手数の多さはライダーくんが有利だが、緑谷に見せていない戦法はあるのか?

 

154:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>151>>152>>153

呪術ニキたち考え方がシビアだね。

 

155:サクラギ研修所のリサーチフェロー

けど、的を射てますね。

俺もサトシくんとのポケモンバトルでトンデモ戦法にはいつも苦戦してますので、ニキたちの言葉は理解出来ます。

 

156:雄英の仮面ライダー

ニキたちのご意見はごもっともです。

なので、緑谷や皆が知らない戦法で行こうと思います。

 

157:虚刀流のグラップラー

お、秘策ありって感じか。

 

158:太刀川隊の狙撃手

なら観せて貰おうかな。

 

159:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

頑張れよ!

 

160:雄英の仮面ライダー

はい!

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【緑谷視点】

 

「スー、ハー、スー、ハー」

 

2回戦、飯田くんに勝つ事が出来た僕は次の準決勝の為控え室で気持ちを落ち着かせていた。

 

次の対戦相手は佳面くん。

 

轟くんとの勝負で互いに全力を出し合い、打ち勝つ程の実力者。

 

これまで様々な姿に相手を翻弄、圧倒して来た。

 

「それに佳面くんとの模擬戦だと僕の全敗…。一度も勝てなかった……」

 

力量の差は圧倒的に不利。

 

仮に【OFA(ワン・フォー・オール)】を100%使用したとしても反動で身体は壊れるし、攻撃を躱されてカウンターを取られたら僕に勝ち目は無い。

 

「一体、どうしたら…」

 

悩んでいる所に、突然ドアが勢い良く開かれた。

 

 

「わーーたーーしーーがーー緑谷少年にエールを届ける為にキターーー!!」

 

 

「オ、オールマイト!?」

 

その正体は"マッスルフォーム"で現れたオールマイトだった。

 

「ヘイ!試合はもうすぐだってのに、随分と浮かない顔をしているじゃないか!」

 

「す、すいません!その、佳面くんとの試合どうすれば良い考えてまして。僕は一度も勝った事が無いので、勝つヴィジョンが見えないと言うか……」

 

そう答える僕に、オールマイトは苦笑する。

 

「全く、ネガティブな思考は動きを鈍らせるってあれ程言ったんだけどな。君の心配性はダイヤモンド並に硬いな」

 

「あ、アハハ」

 

「けどな、緑谷少年。1つアドバイスだ」

 

()()()()()()()()()()()()を持っていたら、どんな勝負にも勝つ事は出来ないぞ」

 

「ッ!」

 

オールマイトの言葉に、僕の身体は強張る。

 

「確かに佳面少年は強い。戦闘訓練から観てきた私でも彼の実力が凄まじいのは分かっている。正直、彼は既にプロヒーローと肩を並べられる程の能力を持ち合わせていると私は思う。……だけどな」

 

「君には彼に負けてない強さを持っている!」

 

「え?」

 

「それは… 勇気だ

 

「どんな危機的状況でも、どんなに強力な相手でも君は逃げずに立ち向かう心を持っている。それはヒーローにとって大事な事だ」

 

「私が君を【OFA(ワン・フォー・オール)】の後継者に選んだのも、その勇気に魅入られたからだ」

 

"君はヒーローになれる"

 

あの言葉から、僕は始まった。

 

無個性で周りからヒーローになる事を否定されてきた。

 

だけどヘドロ事件でオールマイトと出会って、"ヒーローになれる"と言われ、個性を受け継いだ。

 

この個性はオールマイトを含む8人の力と想いが詰まっている。

 

その力を僕はまだ使いこなせないけど、いつか100%の力をコントロールして、なってみせるんだ。

 

笑顔で人々を助けられる、オールマイトの様なヒーローに!

 

「(そうだ。弱気になってどうするんだ緑谷出久!こんな事じゃ、2回戦で闘った飯田くんにも失礼だ!)」

 

『頑張ってくれ緑谷くん!俺は君の勝利を信じているぞ!!』

 

2回戦後、お互いに医務室で治療を受けていた際に僕は飯田くんからエールを貰った。

 

僕は両手で自身の頬を力一杯叩く。

 

「ありがとうございます、オールマイト!僕、勝ちます!勝ってみせます!!」

 

「ああ!その意気だ緑谷少年!!」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

『トーナメントも準決勝に突入!!勝ち上がった2名だけが決勝戦に進む事が出来る!死に物狂いで挑めよォォォ!!』

 

 

『第1試合!雷鳴と共に名を轟かせた強者!その実力は既に1年最強の呼び声高い!ヒーロー科 佳面ァァァ来太ァァァ!!』

 

『見た目は地味目だがパワフルな動きと読みの良さで相手を翻弄する今大会随一のダークホース!同じくヒーロー科 緑谷ァァァ出久ゥゥゥ!!』

 

「佳面くんの変身が完了したと同時に試合を始めます!」

 

ミッドナイト先生の確認事項が終わり、俺はソードライバーとワンダーライドブックを実体化させる。

 

「ごめんね緑谷、準備するから少し待っててくれ」

 

「う、うん!」

 

 

『聖剣ソードライバー』

 

 

『ランプドアランジーナ!』

 

 

緑谷に謝りながらソードライバーを装着し、ワンダーライドブックをセットさせる。

 

そして、俺は灰色のワンダーライドブックを1冊取り出し、ページを開く。

 

 

『玄武神話!』

 

 

『かつて、四聖獣の一角を担う強靭な鎧の神獣がいた… 』

 

 

ワンダーライドブックを閉じてベルトに搭載された【神獣】のスロットにセットする。

 

ロック調の待機音が鳴り響き、俺の背後に巨大な【ランプドアランジーナワンダーライドブック】と【玄武神話】が空中に出現した。

 

俺はソードライバーに納刀された【雷鳴剣黄雷】の【ソードグリップ】を掴み、抜刀する。

 

 

『黄雷 抜刀!』

 

 

「変身ッ」

 

 

抜刀した事でソードライバーにセットされたワンダーライドブックが展開し、そのまま雷鳴剣を下から斬り上げる。

 

雷鳴剣から稲妻の斬撃が放たれると、背後の巨大なワンダーライドブックから【ランプドアランジーナ】と岩の礫が飛び出し、俺の周囲を回転しながら包み込む。

 

 

『二冊の本を重ねし時、聖なる剣に力が宿る!』

 

 

『ワンダーライダー! 』

 

 

玄武!アランジーナ!二つの属性を備えし刃が、研ぎ澄まされる!』

 

 

仮面ライダーエスパーダとなった俺の装甲の右肩に【ゲンブシンワボールド】と腰のコート【ブジンメイル】、右腕に【ライドロックアーム】と【ライドロックブロー】、マスクの左側に【ゲンブシンワマスク】が加わる。

 

そして背中には雷鳴剣よりも巨大な聖剣【土豪剣激土】が背負われていた。

 

全く異なるワンダーライドブックを組み合わせた事により派生形態【仮面ライダーエスパーダ 玄武アランジーナ】に変身完了する。

 

『佳面の変身が完了したァァァ!!しかし轟戦で観せた全身金ピカではなくグレーの装甲を纏っているぞ!?しかも何だあのデッカい剣!?あんなの扱えるのか!?』

 

『形状からして今まで使っていた剣と長さも重さも異なるだろう、どう扱うのか見ものだな』

 

『ホント飽きさせないボーイだな!それじゃあ、2人とも準備は良いな!!』

 

マイク先生の呼び声と同時に俺と緑谷は構える。

 

 

『第1試合!Ready Goーーーー!!』

 

 

「(今まで見た事のない姿だ。此処は時間を掛けずに先手を貰う!)」

 

試合開始と同時に緑谷の全身が光出し、赤いラインが走る。

 

そして俺に向かって一直線に駆け出す。

 

「それは読んでたよ」

 

俺は雷鳴剣をソードライバーに納刀し、背中の土豪剣の柄【メインステイヒルト】を掴み、引き抜いた勢いと共にフィールドに振り下ろす。

 

振り下ろした直後、まるで地震が起きたかの様にフィールドを含む会場全体が激しく揺れる。

 

『佳面!早速背中の大剣をフィールドに振り下ろし会場を激しく揺らすゥゥゥ!!オイオイオイまるで地震かよ!?どんなパワーしてんだ!?』

 

『今までのスピード重視のスタイルとは真逆の戦法だな』

 

「うわっ!?」

 

振動によって接近しようとした緑谷はバランスを崩して倒れ込む。

 

「驚いている暇は無いよ!」

 

 

『玄武神話!』

 

 

ソードライバーにセットされた【玄武神話ワンダーライドブック】のページを押し込んで土豪剣でフィールドを叩く。

 

するとフィールドから巨大な岩の腕が生え、緑谷を掴んで投げ飛ばす。

 

「グアッ!?」

 

投げ飛ばされた緑谷はフィールドをゴロゴロと転がり、場外ラインのギリギリまで後退した。

 

『フィールドから突然手が生えてきたぞ!?セメントスの妨害か!?』

 

「俺は何もしていないぞマイク!?」

 

『やったのは佳面だろ。おそらく、あの灰色の本の力で地面に干渉したんだ』

 

『オイオイ、マジか!?此処までの試合では電撃メインだったのに他の攻撃も可能って事か!?凄過ぎるぜ佳面ァァァ!!あと疑ってsorryセメントス』

 

『実況ならちゃんと観てろよ』

 

『悪かったって!姑みたいにねちっこいぞイレイザー!!』

 

『誰が姑だ』

 

相澤先生とマイク先生、意外とお笑いコンビでやっていけるのではと思う程のコント染みた会話を他所に緑谷を警戒する。

 

「それなら!」

 

起き上がった緑谷は今度はフィールド内を駆け廻り、撹乱させる作戦に移った。

 

「玄武神話の力に意識を向け過ぎだよ」

 

 

『ランプドアランジーナ!』

 

 

今度は【ランプドアランジーナワンダーライドブック】のページを押し込む。

 

すると左肩の【ランプドアランジーナボールド】からランプの精ランプドアランジーナが現れ、動き回る緑谷を捉えると移動する方向に回り込みラリアットを叩き込む。

 

「ゲホッ!?」

 

『緑谷!フィールドを駆け廻って撹乱するもランプの魔人のラリアットをモロに受ける!!反撃する暇すら与えてくれないぞ!?どうする!?』

 

『心操戦での超パワーは使った後の反動で自身の身体を破壊してしまうデメリットがある。かと言ってセーブした状態だと全体的にスピードが上がってもまだまだ動きに無駄がある上にパワー不足。それに相手は佳面だ。超パワーを使わせる時間も与えてはくれないだろう。……それに緑谷にはもう一つ不利な点がある』

 

『不利な点?どういうこったよ?』

 

()()()()()()()()()()()()だ。緑谷の身長は170cmも満たない。それと比例して手足のリーチは短く佳面と差がある。それに遠距離攻撃を持っていないのが1番のネックとなっている。爆豪や轟の様にある程度の距離でも相手を攻撃出来る手段をアイツは持っていない』

 

『なるほどな!』

 

そう、現状有利なのは俺である。

 

だけど──

 

「そんな事で諦める君じゃないよな」

 

現に緑谷の目は死んでいない。

 

何とか打開策を見出そうと考えているのが分かる。

 

そんな君の姿を、俺は尊敬する。

 

()()()()()()()()()()()

 

緑谷の個性や相手の動きを分析する能力はクラス随一である。

 

あまり試合を長引かせるのはこっちが危ない。

 

「(ヒューマギア並の学習能力だよ、まったく…)けど勝ちは譲らない!!」

 

ソードライバーにセットされたワンダーライドブックを引き抜き土豪剣の速読器【シンガンリーダー】にリードする。

 

 

『玄武神話!』

 

 

『ランプドアランジーナ!』

 

 

2冊のワンダーライドブックをリードさせ、【ソードライバー必冊ホルダー】の右側から【トライケルベロスワンダーライドブック】を取り出し、リードする。

 

 

『トライケルベロス!』

 

 

『ドゴ!ドゴドゴーン!』

 

 

3冊のワンダーライドブックをリードし、振り上げた土豪剣の刀身はエネルギーが充填され、倍以上に巨大化する。

 

『佳面の剣が巨大化した!!オイオイオイ!とんでもねぇぞコイツは!?』

 

『此処で決めるつもりだ』

 

「(5%じゃとても受け切れない!100%で迎え撃つしか!指?いや!右手でも足りない!)なら両手で!!」

 

緑谷の身体から光が消えたと同時に両手が輝きだした。

 

おそらくパワーを両手に集中させているのだろう。

 

【ゲキドトリガー】を引き、土豪剣を振り下ろす。

 

 

「大断断!!」

 

 

「SMAAASH!!」

 

 

雷を纏う巨大な刀身と緑谷の両手が激突し、轟戦で観せた爆煙と衝撃波が再び会場全体を襲う。

 

 

両者の攻撃は拮抗している様に見えた。

 

しかし──

 

 

『会心の激土乱読撃!』

 

 

『ドゴ!ドゴドゴーン!』

 

 

土豪剣から音声が鳴ると同時に刀身が3つに分かれ、左右からの2撃が緑谷に直撃し、そのままをフィールド外まで吹き飛ばされた。

 

 

『き、決まったァァァ!!勝利したのは佳面だァァァ!!両者白熱とした試合だったぜ!!勝った佳面には勿論、健闘した緑谷にも大きな拍手ゥゥゥ!!』

 

 

会場から拍手と歓声が鳴り響き、俺は変身を解除する。

 

勝ったのは俺だが、土豪剣の最大出力の必殺技を繰り出さなければ、もしかしたら負けていたのは俺の方だったかもしれない。

 

勝ったことに高揚感が湧いてくると同時に、全身から緊張感が解き放たれた。

 

「……勝った筈なのに素直に喜べないのは初めてだよ」

 

大きく息を吐き出して、俺は気絶した緑谷に駆け寄り、おぶって医務室へ向かった。

 




ライダーくんvs緑谷
準決勝の相手は緑谷、特訓に付き合った事で動きを把握しているライダーくん。攻撃の癖、弱点を的確に突いて決勝進出を決まる。


【仮面ライダーエスパーダ 玄武アランジーナ】
仮面ライダーエスパーダに【玄武神話ワンダーライドブック】の力が合わさった亜種形態(オリジナルフォーム)。鉄壁の装甲に大地を操る能力が加わり正しく変幻自在の要塞。土豪剣激土が使用可能となる(あくまで武器として)。ライダーくんが1日に変身出来る種類は3種類と決まっているが、アイテムに関しては実体化させる事は可能(そうしなければブレイド キングフォームでフォーカードやカブト ハイパーフォームで虫取り棒ことパーフェクトゼクター等が使えなくなるので)。


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27スレ

第30話を投稿します。

トーナメント戦 決勝戦です。
今回で体育祭編は終了してガチャ回を挟んでから職場体験編に突入します。

8月に募集してたヒロインアンケートの投票結果が出ました。

1位「追加ヒロインなし」473票
2位「ハーレム希望」433票
3位「八百万」293票

etc……となりました。結果は「追加ヒロインなし」となりましたが、「ハーレム希望」に400票以上も票が集まったので勿体ないと考え、アンケートで100票以上集まった女性キャラとの絡みを増す形で行きたいと思います。あくまでメインヒロインは葉隠透と蛙吹梅雨の2人なので、そこは変更なしです。


決勝戦進出を決めた俺は緑谷を医務室へ運んだ後、控え室で待機していた。

 

決勝戦の対戦相手は準決勝で常闇を倒した爆豪。

 

【爆破】による高い攻撃力と機動力、そして戦闘時での頭の回転の速さ、彼はどれも1年生の中でもズバ抜けた能力を持っている。

 

そして勝利への貪欲さと誰よりも負けず嫌いさを兼ね揃えている。

 

「(小手調べしてる暇は無さそうだし、最初からワンダーコンボで行かなきゃ勝てないだろうな…。それとまだ観せていないワンダーライドブックの力を使って対策パターンを絞らせない様にしないと…)ん?」

 

作戦を考えていると突然ドアが開いたので振り返ると、爆豪が立っていた。

 

「ハ?何でテメェがいやがる!」

 

「何でって、此処は俺が使ってる控え室だからだよ」

 

「ハァ?……て、此処『2』の方かよ!クソがッ!!」

 

どうやら爆豪は控え室を間違えた様だ。

 

「たまにあるよね、場所が似ていると。爆豪の控え室は奥の部屋だよ」

 

「フォローしてんじゃねェ!!」

 

癇に障ったのか爆豪は目尻を吊り上げて激情した。

 

ホント、何かしらに怒ってるな彼は……。

 

「チッ、……オイ、変身野郎」

 

「何?」

 

「最初から()()で来いや」

 

アレ?

 

「アレって?」

 

「半分野郎を倒したヤツだ!金ピカの!!」

 

「金ピカ……ああ、ゴールデンアランジーナか」

 

「良いか!俺に舐めプしたら殺す!!最初から全力で来やがれ!!」

 

どうやら爆豪はゴールデンアランジーナの俺と闘いたい様だ。

 

そんな爆豪に俺は頷く。

 

「言われなくても君相手に全力で行かなかったら勝てないのは分かってる。最初からトップギアで行くよ」

 

「ハッ!どんな力を使おうが俺はその上を行く!!いいか!俺はNo.1をも超えるヒーローになる!!相手が誰だろうがブッ殺すだけだ!!」

 

そう言って大きな音が鳴る程ドアを強く閉めて爆豪は去って行った。

 

「こっちだって負けられないさ」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

『リスナー共!待たせたな!!遂に決勝戦が始まる!この闘いに勝利した者が1年最強の称号を得るぞォォォ!!』

 

『ここまで圧倒的な力で勝ち進み、優勝を掴めるか!?ヒーロー科 佳面ァァァ来太ァァァ!!』

 

『誰よりも勝利を望み、邪魔する奴は容赦しない!同じヒーロー科 爆豪ォォォ勝己ィィィ!!』

 

マイク先生のアナウンスと共に会場が歓声で沸く。

 

「佳面くんの変身が完了したと同時に試合を始めます!」

 

ミッドナイト先生の確認事項が終わり、俺はソードライバーとワンダーライドブックを実体化させる。

 

 

『聖剣ソードライバー』

 

 

『ランプドアランジーナ!』

 

 

ソードライバーにワンダーライドブックをセットさせ、もう2冊のワンダーライドブックを取り出す。

 

 

『ニードルヘッジホッグ!』

 

 

『トライケルベロス!』

 

 

3冊のワンダーライドブックを各スロットにセットさせると待機音が鳴り響き、背後に巨大な【トライケルベロス】、【ニードルヘッジホッグ】、【ランプドアランジーナワンダーライドブック】が出現した。

 

 

「変身ッ!」

 

 

俺はソードライバーに納刀した雷鳴剣を抜刀する。

 

 

『黄雷 抜刀!』

 

 

『ランプの魔神が真の力を発揮する!ゴールデンアランジーナ! 』

 

 

抜刀した事でソードライバーにセットされたワンダーライドブックが展開し、そのまま雷鳴剣を下から斬り上げる。

 

背後の巨大なワンダーライドブックから【ランプドアランジーナ】と無数の針、そして三つ叉の頭をした神獣【トライケルベロス】が飛び出し、俺の周囲を回転し包み込み、ゴールデンアランジーナに変身完了した。

 

『佳面が変身を完了した!しかも初っ端から轟戦で観せた全身金ピカの姿だ!!』

 

『小細工無し、最初から飛ばすみたいだな』

 

『イイネイイネ!それじゃあ2人とも準備は良いな?泣いても笑っても此れが最後の試合だ!!』

 

俺と爆豪は構えて試合開始の合図を待つ。

 

 

『START!!』

 

 

「死ねェェェェ!!」

 

 

最初に動いたのは爆豪。

 

爆破による推進力で接近し、右手を振り下ろす。

 

俺は左側に展開されたマント【アルカナシェード】で身を包む。

 

 

BOOM!!

 

 

振り下ろされた右手から大きな音と共に爆破が起きる。

 

『最初に動いたのは爆豪!右手の爆撃が佳面に直撃!!早くも試合終了か!?』

 

『いや、良く観ろ』

 

誰もが決まったと思った、その時

 

「フッ!」

 

「グッ!?」

 

攻撃を凌ぎ、爆豪の脇腹に拳が突き刺さる。

 

『まさかの佳面ノーダメージ!?すかさずカウンターの右フックが爆豪に炸裂!!アイツあの爆撃効いてねぇのかよ!?』

 

『あの一瞬、佳面は左側のマントでガードした。爆豪の攻撃を完璧に防いだという事はかなりの防御力があるんだろ』

 

カウンターを受けた爆豪は後ろに後退する。

 

 

『ランプドアランジーナ!』

 

 

ワンダーライドブックのページを押し込み、ランプドアランジーナの力を解放する。

 

すると上空から金色に輝く絨毯が現れ、俺は絨毯に飛び乗る。

 

『佳面、今度は空飛ぶ絨毯を召喚して飛び乗った!?つーか空飛ぶ絨毯とか御伽話かよ!?』

 

「調子乗ってんじゃねーぞ!」

 

爆豪は迎撃するが絨毯を操作してそれを回避する。

 

爆豪が攻撃して、俺は回避する。

 

空中で激しい攻防が繰り広げられる。

 

「ハアッ!」

 

回避に徹した俺は雷鳴剣から雷を発生させ反撃する。

 

「チィッ!」

 

電撃を何とか回避した爆豪の隙を見て、絨毯を操作し接近する。

 

「セアッ!」

 

「ガッ!?」

 

雷鳴剣による真っ向斬りが爆豪の頭部に直撃し、爆豪はフィールドに落下する。

 

『佳面の一太刀が決まった!!決まったか!?』

 

『…まだだ』

 

マイク先生の実況を相澤先生が否定する。

 

「……終わって……ねぇよ」

 

爆豪は頭を抑え、フラつきながらも起き上がる。

 

「俺はもう……2度と負けねぇ……負ける訳にはいかねぇんだよ!!」

 

爆豪は鋭い眼差しで俺を睨む。

 

たとえ瀕死になっても勝負を諦める事をしない、それが爆豪だ。

 

「知ってたさ。君の執念は!」

 

俺は()()()()()()()()()()()()()を取り出す。

 

 

『猿飛忍者伝!』

 

 

ソードライバーにセットされたランプドアランジーナワンダーライドブックを取り外し、猿飛忍者伝ワンダーライドブックをセットし直して雷鳴剣を納刀し、トリガーを引く。

 

 

『必殺読破!』

 

 

雷鳴剣を再抜刀する。

 

 

『黄雷 抜刀!』

 

 

『ケルベロス!ヘッジホッグ!猿飛佐助!三冊斬り!』

 

 

『サ・サ・サ・サンダー!』

 

 

「死ねェェェェェェ!!」

 

 

爆豪は最大火力による噴射で突っ込む。

 

しかし黄金色の風を帯びた俺は回避し、高速移動から雷の斬撃を立て続けに叩き込む。

 

「クソ……が……」

 

連続斬撃を受け、遂に爆豪は倒れる。

 

審判役のミッドナイト先生が倒れた爆豪に近づき、意識を確認する。

 

「爆豪くん戦闘不能!よって佳面くんの勝ち!!」

 

 

『遂に決着!決勝戦を制したのはヒーロー科 佳面来太!!』

 

 

観客たちはスタンディングオベーションで称賛を贈る。

 

俺は変身解除し、小さくガッツポーズを取った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

161:虚刀流のグラップラー

ライダーくんが優勝した!!

 

162:サクラギ研究所のリサーチフェロー

おめでとう!

 

163:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

おめでとう!

 

164:空座町の無下限呪術師

祝え!

 

165:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

祝え!

 

166:太刀川隊の狙撃手

おめでとう。

 

167:杜王町の幽波紋使い

やったな。

 

168:雄英の仮面ライダー

皆さん、ありがとうございます。

まあ、その後が大変でしたが。

 

169:空座町の無下限呪術師

何かあった?

 

170:雄英の仮面ライダー

はい。

目を覚ました爆豪が暴れ出したので表彰式で拘束されてました。

 

171:虚刀流のグラップラー

>>170

知ってた。

 

172:太刀川隊の狙撃手

まあ、そうなるよな。

 

173:サクラギ研究所のリサーチフェロー

原作でもそうだったし。

 

174:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

表彰式に出たのはライダーくんと爆豪以外だと…。

 

175:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

緑谷と常闇の2人ですね。

 

176:空座町の無下限呪術師

原作だと緑谷じゃなくて飯田だったけど。

そう言えば飯田は?

 

177:雄英の仮面ライダー

飯田は……プロヒーローのお兄さんがヴィランとの交戦で負傷して病院に搬送されたそうなので早退しました。

 

178:太刀川隊の狙撃手

【ヒーロー殺し】か…。

 

179:虚刀流のグラップラー

来たか。

 

180:雄英の仮面ライダー

【ヒーロー殺し】ってここ最近で出没したヒーローを襲うヴィランの事ですよね。

皆さん知ってるんですか?

 

181:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

原作でも登場してたキャラだからね。

 

182:杜王町の幽波紋使い

そうなのか?

 

183:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

うん。

()()()()()()()()()()()ヴィランで血を舐める事で相手の身動きを封じる個性を持ってるんだ。

血液型で拘束出来る時間が変わるのが特徴かな。

 

184:サクラギ研究所のリサーチフェロー

しかも対人戦闘がメッチャ強いんですよ。

刃物を手足の様に使いこなしてました。

 

185:空座町の無下限呪術師

まあ、個性の性質上あまり目立つ場所で犯行に移さないから路地裏とかにヒーローを誘って奇襲する戦い方をするタイプだね。

 

186:雄英の仮面ライダー

そうなんですね。

飯田のお兄さん、無事だと良いんですが……。

 

187:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ライダーくん……。

 

188:太刀川隊の狙撃手

今は警察やプロヒーローたちに任せるしかないな。

 

189:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ヒーロー資格が無いと動こうにも動けないですからね。

 

190:空座町の無下限呪術師

>>189

そうそう。

ま!今は優勝した事を喜んで良いんじゃない?

 

191:杜王町の幽波紋使い

そうだな。

今回はライダーくん頑張ったからな。

 

192:雄英の仮面ライダー

……そうですね。

悩んだってどうする事も出来ませんし、今はそうします。

 

193:虚刀流のグラップラー

そうそう。

 

194:サクラギ研究所のリサーチフェロー

一先ず、お疲れ様。

 

195:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れ。

 

196:雄英の仮面ライダー

>>194>>195

はい。

お疲れ様です。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




ライダーくん、体育祭で優勝する。
爆豪との激闘を制し、無敗で優勝を飾ったライダーくん。飯田の兄『インゲニウム』がヴィランとの戦闘で負傷した事に心配する。
体育祭終了後、葉隠さんを実家のコーヒーショップに招待して祝勝会をする。

猿飛忍者伝を使用する
【仮面ライダーセイバー】本編でエスパーダが猿飛忍者伝ワンダーライドブックを使用した必殺技をライダーくんが使用(※ライダーくんはデザスト退場回直後に転生したのでそれ以降のストーリー展開は知りません)。


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28スレ

第31話を投稿します。
次回から職場体験編になります。

今回は以前アンケートを募集した主役ライダーのガチャ回です。

それでは、どうぞ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

1:雄英の仮面ライダー

お…お疲れ様です……。

 

2:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

どうしたのライダーくん?

 

3:空座町の無下限呪術師

何で初っ端から疲弊してるの?

 

4:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

大丈夫か?

 

5:雄英の仮面ライダー

あ、はい…。

実は体育祭の振替休日で今日休みなんですけど、店の手伝いしてたら来たお客さんの殆どが俺目当てでして、その接客で疲れました。

 

6:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>5

あー、なるほどね。

 

7:杜王町の幽波紋使い

体育祭で大活躍したからな。

 

8:太刀川隊の狙撃手

一目ライダーくんを見たかったんだろうな。

 

9:虚刀流のグラップラー

お客さんの反応どうだった?

 

10:雄英の仮面ライダー

>>9

そうですね……、「写真を撮らせて欲しい」とか「握手して欲しい」とか「サインを書いて欲しい」とかですね。

親子連れの場合だと子どもたちから「変身して!」ってせがまれたりとか。

 

11:杜王町の幽波紋使い

>>10

最早本物のヒーローみたいだな。

 

12:太刀川隊の狙撃手

俺が所属する【ボーダー】にもメディア担当のチームはありますけど、近い感じなのかな。

 

13:虚刀流のグラップラー

まるで佐○健や菅田○暉とか福○蒼○みたいですね。

 

14:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

それで変身したの?

 

15:雄英の仮面ライダー

いえ、流石に無闇に変身する訳にはいかなかったので「大事な時じゃないと変身出来ないんだ。ごめんね」って返答しました。代わりに子どもたちの遊び相手になったりしましたね。 

 

16:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

神対応。

 

17:杜王町の幽波紋使い

すっかり人気者だな。

 

18:空座町の無下限呪術師

それで、今回はその報告だけかな?

 

19:雄英の仮面ライダー

>>18

いえ。

今日はピックアップガチャを引こうかと。

 

20:サクラギ研究所のリサーチフェロー

久々のガチャ回か!?

 

21:虚刀流のグラップラー

待ってました!

 

22:太刀川隊の狙撃手

今日は何のピックアップ?

 

23:雄英の仮面ライダー

今日は【主役ライダー】のピックアップです。

 

24:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

主役ライダー!?

 

25:空座町の無下限呪術師

つまり電王とかWとかオーズみたいな所謂各作品の1号ライダーの事かい?

 

26:杜王町の幽波紋使い

かなりの数になるんじゃあないか?

 

27:雄英の仮面ライダー

>>25>>26

はい。

ちなみにピックアップはこんな感じです。

 

 

【ライブ配信モード】

 

【LR】

仮面ライダー1号(取得済)

仮面ライダー1号(映画『仮面ライダー1号』)

仮面ライダー2号

仮面ライダーV3

ライダーマン

仮面ライダーX

仮面ライダーアマゾン

仮面ライダーストロンガー(取得済)

仮面ライダースーパー1(取得済)

仮面ライダーBLACK RX

仮面ライダークウガ(取得済)

仮面ライダーアギト

仮面ライダーカブト

仮面ライダー電王

仮面ライダーディケイド

仮面ライダーディケイド(激情態)

仮面ライダーディケイド(ネオディケイド.ver)

仮面ライダーW(取得済)

仮面ライダーオーズ

仮面ライダー鎧武

仮面ライダーエグゼイド(取得済)

仮面ライダージオウ

仮面ライダーオーマジオウ

仮面ライダーゼロツー(取得済)

仮面ライダーアークワン

仮面ライダークロスセイバー

仮面ライダーオールマイティセイバー

 

【SR】

スカイライダー(取得済)

仮面ライダーZX

仮面ライダーBLACK(取得済)

仮面ライダーシン

仮面ライダーZO(取得済)

仮面ライダーJ

仮面ライダー龍騎

仮面ライダーファイズ(取得済)

仮面ライダーブレイド

仮面ライダー響鬼

仮面ライダー1号(映画『仮面ライダーTHE FIRST』)

仮面ライダー2号(映画『仮面ライダーTHE FIRST』)(取得済)

仮面ライダーV3(映画『仮面ライダーTHE NEXT』)

仮面ライダーNEW電王

仮面ライダーキバ

仮面ライダークウガ(『仮面ライダーディケイド』.ver)

仮面ライダージョーカー

仮面ライダーサイクロン

仮面ライダーフォーゼ

仮面ライダーウィザード

仮面ライダードライブ

仮面ライダープロトドライブ

仮面ライダー超デッドヒートドライブ

仮面ライダーゼロドライブ

仮面ライダーゴースト

仮面ライダーゴーストグレイトフル魂

仮面ライダーアマゾンオメガ(取得済)

仮面ライダーアマゾンニューオメガ

仮面ライダーアマゾンアルファ

仮面ライダーアマゾンネオ

仮面ライダービルド

仮面ライダーゼロワン(取得済)

仮面ライダー001

仮面ライダーセイバー

仮面ライダーリバイス

 

28:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>27

多過ぎ!?

 

29:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

もう何がなんだか……。

 

30:杜王町の幽波紋使い

錚々たるラインナップだな。

 

31:太刀川隊の狙撃手

主人公ライダーですからね。

 

32:サクラギ研究所のリサーチフェロー

あれ?けど知らないライダーがありますね。

仮面ライダー…リバイス?

 

33:虚刀流のグラップラー

本当だ。

俺も知らないライダーだな。

 

34:空座町の無下限呪術師

ライダーくん、リバイスって知ってる?

 

35:雄英の仮面ライダー

>>34

すいません、俺も知らない仮面ライダーですね。

俺が知ってるのは1()()()()()()()までなので。

 

36:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

つまり、セイバー以降の新しい仮面ライダーって事か?

 

37:太刀川隊の狙撃手

そうなりますね。

ガチャで引いても詳細が不明だと使いづらいですね。

 

38:サクラギ研究所のリサーチフェロー

主役ライダーだからそこまでリスクが高くないと思いますが…。

 

39:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>38

トレーナーニキ、アマゾンズ系ライダーを目の前に同じ事言える?

 

40:サクラギ研究所のリサーチフェロー

……確かに。

軽率でした。

 

41:杜王町の幽波紋使い

まあ、こういうのは引いてみないと分からないだろ?

 

42:空座町の無下限呪術師

だね。

ライダーくん、御目当てのライダーは居るかな?

 

43:雄英の仮面ライダー

そうですね……昭和ライダーだとXライダー、平成だとカブトとビルド、令和だとセイバーですね。

 

44:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

前々から思ってたけど、ライダーくんてかなりのマニアだよね。

ZOが推しライダーの1人だったし。

 

45:太刀川隊の狙撃手

良いんじゃないですか?

好きなヒーローって人それぞれですし。

 

46:虚刀流のグラップラー

それじゃあ、ライダーくん。

早速引いてみてくれ。

 

47:雄英の仮面ライダー

はい。

それでは引きます。

えいや!

 

 

【10回目結果】

仮面ライダー響鬼【SR】

仮面ライダージョーカー【SR】

仮面ライダー最光【SR】

仮面ライダーシノビ【R】

仮面ライダーブラーボ【R】

仮面ライダー純(量産型仮面ライダーマッハ)【N】

仮面ライダーセイバー【SR】

仮面ライダーランス【R】

仮面ライダーアマゾンアルファ【SR】

仮面ライダーBLACK RX【LR】

 

……って、ブ、BLACK RX!?

 

48:虚刀流のグラップラー

て○をーーー!?

 

49:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ザ・チートライダー!!

 

50:杜王町の幽波紋使い

勝った!

第3部完!!

 

51:太刀川隊の狙撃手

勝ったな。

風呂入ってくる。

 

52:空座町の無下限呪術師

うわー、これが“その時、不思議な事が起こった"現象か。

 

53:サクラギ研究所のリサーチフェロー

勝ち確定じゃないですか。

最初のガチャ回でもBLACK引いてたし…。

どうするライダーくん、もう止めたく?

 

54:雄英の仮面ライダー

と、取り敢えず、後2回引いてみます。

まだXライダーとカブトとビルドが来てないので。

 

55:空座町の無下限呪術師

沼らない様にね。

 

56:太刀川隊の狙撃手

フラグにしか聞こえない。

 

57:杜王町の幽波紋使い

無理はするなよ。

 

58:雄英の仮面ライダー

はい。

それでは2回目、そりゃ!

 

 

【20回目結果】

仮面ライダーシグルド【R】

仮面ライダー王蛇【R】

仮面ライダーブレイズ【SR】

仮面ライダー電王【LR】

仮面ライダービルド【SR】

仮面ライダークローズ【SR】

仮面ライダーゴースト【SR】

仮面ライダークイズ【R】

仮面ライダーカブト【LR】

仮面ライダーウィザード【SR】

 

 

【30回目結果】

仮面ライダーキバ【SR】

仮面ライダーJ【SR】

仮面ライダー黒影・真【R】

仮面ライダーブレイド【SR】

仮面ライダー迅(フライングファルコン)【R】

仮面ライダーアビス【R】

仮面ライダー斬月【SR】

仮面ライダーギルス【SR】

仮面ライダーNEW電王【SR】

仮面ライダーデュランダル【SR】

 

……よし、終了!

 

59:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

待て待て!

ガチャ結果の感想は!?

 

60:サクラギ研究所のリサーチフェロー

30回分回して主役ライダーは半分くらいですかね。

 

61:虚刀流のグラップラー

それに【LR】が3枠来てるね。

 

62:空座町の無下限呪術師

電王って【LR】枠なんだ。

そんなにスペック高くないのに。

 

63:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

知名度とかも反映されてるんですかね?

 

64:杜王町の幽波紋使い

ガチャのレアリティに関しては良く分からないな。

神のみぞ知るってヤツか。

 

65:雄英の仮面ライダー

>>64

そうですね。

一先ず、時間作って引いたライダーの力を試してみます。

すいませんが皆さん、また特訓お願いしてもよろしいですか?

 

66:虚刀流のグラップラー

OK。

今こっちは刃牙くんがアメリカ大統領を誘拐してMr.アンチェインの居る刑務所に居るからピクルが来日する迄は時間作れるよ。

 

67:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺も何とか大丈夫。

突然悪の使者的な存在が現れない限りは。

 

68:太刀川隊の狙撃手

俺は防衛任務とソロランク戦が無い時なら平気だよ。

 

69:杜王町の幽波紋使い

俺も問題ないかな。

杜王町に異変が起きたら難しいが。

 

70:空座町の無下限呪術師

僕も仕事とプライベートで余裕な時に手伝うね。

 

71:サクラギ研究所のリサーチフェロー

俺の方もリサーチフェローの仕事が無い時なら大丈夫だよ。

 

72:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

俺は……特に力が無いから無理。

 

73:雄英の仮面ライダー

すいません。

皆さん、よろしくお願いします。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




ライダーくん、人気者になる
体育祭で活躍した事で店には常連さんから一見さんまで多くのお客がライダーくん目当てで来店した。

ライダーくん、て○をになる
ガチャを引いた結果、チートライダー代表ことBLACK RXを引き当てたライダーくん。「ゆ゛る゛さ゛ん゛!!」はいつ言うのか……。


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職場体験編
29スレ


第32話を投稿します。
今回から『職場体験編』に入ります。

Yo○tubeで仮面ライダーフォーゼ10周年記念の特別インタビューが配信、メインキャストの方々ご本人で言うね。もう感動ですわ。

9/4に放送されたウルトラマントリガーにウルトラマンZとハルキが登場!!
ゼットライザーが故障したから代わりにGUTSスパークレンスとGUTSハイパーキーで変身!しかも変身方法をアキトくんのレクチャーが終わる前に行っちゃったせいで久々の変身コントが炸裂して笑ってしまいました。何気にZさんってハルキ以外の地球人と会話するのって今回が初と言うねw「ナイストゥーミーチュー」には思わず吹いたwww
ベリアロクさんがお父さんぽくてホッコリしました。

あとウルトラマンヒカリ先生の開発したアイテムって壊れやすいのかな?Z本編でもジードライザー壊れてたし…。アキトくんが直したらヒカリ先生並の技術力ってことになるのか?ヒカリ先生、後継者が見つかりましたよ(暗黒笑


「此処に来る途中、めっちゃ声掛けられた!」

 

「俺も俺も!」

 

「私も!ジロジロ見られてドキドキしちゃった!」

 

「葉隠さんの場合、いつも通りなんじゃ…」

 

「俺なんて小学生から"ドンマイコール"されたぜ」

 

「ドンマイ」

 

振替休日の翌日、教室では皆が登校時の周りからの反応に盛り上がっていた。

 

「なあ佳面は!お前優勝したから凄かったんじゃ……て、大丈夫か?」

 

「うん……なんとかね」

 

昨日に引き続き疲弊しているが、何とか切島に返事をする。

 

「あー、佳面くんなんて凄かったよ。通りすがりの人たちから写真とか握手とかサイン求められてたから」

 

「だからこんなに疲れてるのか。納得」

 

「あれだけ活躍したからな〜。当然ちゃ当然か」

 

葉隠さんの説明に周りの皆は納得した。

 

HRのチャイムが鳴り立っていた人は速やかに自身の席に着席する。

 

それまでのタイム、僅か1秒。

 

「お早う」

 

「「「お早うございます」」」

 

扉が開き、体育祭とは違いミイラマンでは無くなった相澤先生が教卓に立ち挨拶し、A組全員(爆豪を除く)で返す。

 

「相澤先生、包帯取れたのね。良かったわ」

 

相澤先生の変化に蛙吹さんが反応する。

 

「婆さんの処置が大袈裟だっただけだ。俺の事より今日のヒーロー情報学、ちょっと特殊だぞ」

 

突然の事に一部は動揺する。

 

「"コードネーム"、つまりヒーローネームの考案だ」

 

「「「胸膨らむヤツキターーー!!」」」

 

「おい、まだ途中」

 

全員が歓喜を上げると相澤先生の目つきが鋭くなり、一瞬で静かになる。

 

「簡単に説明すると、先日話したプロからのドラフト指名に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積んで即戦力と判断される2年から3年の時点だ」

 

「今回プロから来た指名は将来性を評価した興味によるものだ。卒業までにその興味が削がれたら、一方的にキャンセルなんて事は良くある。勝手だと思うが、これも越えるべきハードルだと思え」

 

「大人は勝手だッ!」

 

シビアな内容に峰田が机を叩く。

 

「ヒーローに限らず一般企業でも良くある事だ。理解しろ峰田」

 

「それで指名の集計結果だが…例年だともっとバラけるんだが、今年はこの3人に偏った」

 

黒板に映し出された統計グラフには指名があった者の名前と各指名の来たヒーロー事務所の数値が表示され、数の多い順から俺・轟・爆豪の3名に指名が集まっていた。

 

「だ〜〜!白黒ついた!」

 

「あれ?1位の佳面は分かるけど2位が轟、3位は爆豪になってる」

 

「表彰式で囚人みてぇに拘束されてたらプロでもビビるって」

 

「ビビってんじゃねぇよプロが!!」

 

「うわ〜〜〜!!指名来とる!?」

 

「ん」

 

「はぁ……。流石ですわね、轟さん」

 

「殆どは親の名前ありきだろ」

 

「おい緑谷!お前にも指名が1,000近く来てるぞ!?」

 

「う、うん!」

 

統計結果に各々が反応を示すと相澤先生が説明を続ける。

 

「この結果を踏まえ、指名の有無関係なく職場体験に行って貰う。お前らは一足先に経験してしまったが、USJで実際にヴィランと交戦してプロの活動を体験したが、より実りある訓練をしようって事だ」

 

「成る程!それでヒーロー名か!」

 

「俄然楽しみになって来た!」

 

「まぁ、仮ではあるが適当なヒーロー名は」

 

 

「つけたら地獄を見るよ!!」

 

 

大きな声と共にミッドナイト先生が教室に現れる。

 

「その時の名が世に認知されてそのままプロ名になってる人は多いからね!!」

 

「将来自分がどうなるのか。名を付ける事でイメージが固まり、それに近付いていく。それが【名は体を現す】ってことだ。オールマイトの様にな」

 

「各自、配られたボードに各々ヒーロー名を書け。俺は寝る」

 

「「「(寝るの!?)」」」

 

相澤先生は寝袋を着て教室の隅で寝始める。

 

前の席からボードとペンが配られ、各自ヒーロー名を考える。

 

既に決まっている人はボードに書き始めていた。

 

「(ヒーロー名、アレしか思いつかないな)」

 

俺もペンでボードに書き始める。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「それじゃあ決まった人から前で発表して貰います!」

 

「「「(まさかの発表形式!?)」」」

 

青山の短文、芦戸さんの奇抜なヒーロー名によって大喜利っぽくなったが蛙吹さんの【梅雨入りヒーロー フロッピー】によって浄化された。

 

続いて切島は尊敬するヒーローから因んだ【剛健ヒーロー 烈怒頼雄斗】を発表し、次に俺の番となった。

 

「次は佳面くんね。フフフ、優勝した貴方のヒーロー名は私気になるわ!」

 

「あはは。俺のヒーロー名は──」

 

俺は苦笑し、書かれたボートを皆に見せる。

 

生前、子どもの頃からの憧れ。

 

怪人と闘い、人類の自由と平和を守り続ける英雄(ヒーロー)たち。

 

架空の存在でも、俺はこの人たちの様に人々を守りたいと思い続ける。

 

【変身ヒーロー 仮面ライダー】。これが俺のヒーロー名です」

 

俺が名乗るのはまだ早いかもしれないけど、いつかこの名に相応しくなる事を誓う。

 

ちなみに、爆豪のヒーロー名は全て【爆殺○○】なので却下となり仮名で【バクゴー】になった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「佳面」

 

「なに?」

 

「昼飯、学食なら一緒に食わねェか?」

 

午前中の授業が終わり昼休憩となり、昼食を学食にするか購買のパンにするか悩んでいると轟にお昼を誘われる。

 

「うん良いよ。丁度学食にするか購買のパンにするか悩んでたから」

 

「そうか」

 

そう言って俺は轟と共に食堂へ向かった。

 

食堂には既に多くの学生が昼食目当てに並んでおり、俺と轟も列に並ぶ。

 

「轟は何にする?」

 

「俺は蕎麦だ」

 

「蕎麦かぁ、じゃあ俺も蕎麦にしようかな。オプションで天ぷら付けれたっけ?」

 

「ああ」

 

前の注文が終わって俺たちの番になりそれぞれ注文する。

 

俺はざる蕎麦(大盛り)に海老天と茄子天。

 

轟はざる蕎麦(普通盛り)と獅子唐と椎茸の天ぷら。

 

空いてる席に向かい合う様にして座り、手を合わせて「いただきます」を言って食べ始める。

 

一口啜ると、手打ちによる喉越しと歯応えに俺は満足する。

 

「うん、美味しい!久し振りに食べるけど蕎麦良いね」

 

「ああ。此処の蕎麦は美味い」

 

轟も今日の蕎麦の美味しさにご満悦の様だ。

 

「……昨日、母親に会って来た」

 

「そうなんだ……。お母さんとは話は?」

 

「して来た。それと、過去の事や入院してから1度も会わなかった事を謝ったよ。向こうも俺の事を許してくれた」

 

「…そっか」

 

轟とお母さんの間にあった溝が少し無くなった事に俺も安堵する。

 

「あと、職場体験……親父の事務所に行く事にした」

 

「……大丈夫?」

 

今も父親であるエンデヴァーを許していないであろう轟に少し心配する。

 

「ああ。アイツの事は今でも許せないが、ヒーローとしてのアイツの姿を直で見てみようと思う。……もう、目を背けない為にも」

 

轟の瞳には迷いが無い様に見えた。

 

「轟が自分で決めたのならきっと大丈夫だよ。……さて、俺も放課後までに提出しておかないと」

 

「決まってるのか?」

 

「うん。【ラビットヒーロー ミルコ】。彼女から指名来てたから行ってみようと思う」

 

ヒーローランキング10位以内に入る武闘派の女性ヒーロー。

 

個性【兎】による脚力と瞬発力を活かした格闘戦は日本のプロヒーローの中でもトップクラスに位置する。

 

「確か相棒(サイドキック)どころか事務所も持っていないヒーローだよな。特殊過ぎないか?」

 

「そうだね。変わったヒーローだけどトップ10入りする程の実力者だから興味あってさ。他だとホークスやベストジーニストからも指名来てたけど、俺の戦闘スタイル的にミルコみたいな格闘戦主体のヒーローの方が学べる物も多いと思って」

 

「成る程な」

 

「俺はそんなとこだけど、……飯田大丈夫かな」

 

話題を飯田の事に切り替えると轟の表情が変わる。

 

「インゲニウム……【ヒーロー殺し】の事か?」

 

「うん。お昼前に飯田が志望書を提出するのを見たけど、()()()のヒーロー事務所が書かれてあった事に気づいて……気になってね」

 

「保須ってインゲニウムが襲われたとこだろ。……まさか」

 

轟も察しが付いたのか顔を顰める。

 

「俺の思い過ごしならそれで良いけど、一応飯田に声掛けてみるよ。最悪、相澤先生に相談してみる」

 

「そうだな」

 

すると──

 

 

「あ!いたーー!!」

 

 

突然声が女性の大声が聞こえたので顔を向けると、青に近い紫色の長い髪をした容姿端麗な女子生徒がお昼ご飯の定食の載ったトレーを持って此方に近づいて来た。

 

「ねえねえ君たち1年A組だよね!君が佳面くんでそっちが轟くん!」

 

「そうですけど……轟知り合い?」

 

「いや知らねえ。佳面は?」

 

「俺も。少なくとも()()に知り合いは居ないよ」

 

「え!?何で私が先輩って知ってるの!?不思議ーー!!ねえねえ何で?」

 

「ちょっ」

 

見知らぬ女子生徒はそのまま俺の隣に座って顔を近づけて質問して来た。

 

「佳面くんの個性って変身する個性だよね?何種類変身出来るの?バイクにも乗ってたけどそれも個性なの?けど変身する個性なのに何でバイクを出せるの?ねえねえ教えて!!」

 

「それは──」

 

「ねえねえ!轟くんは自分の個性で風邪引かないの?寒かったり熱かったりで大丈夫?それに何で顔に火傷の跡があるの?」

 

「ッ!これは──」

 

「2人とも職場体験は何処の事務所に行くか決めてるの?決まってるなら何処に行くの?決まってないならリューキュウの事務所に来ない?!」

 

返答しようとすると話題が一瞬で変わる上に全く聞く耳持たない彼女に俺と轟は圧倒される。

 

「落ち着いて下さい」

 

「アタッ」

 

あまりのマシンガントークに思わず軽くチョップして彼女を静止させる。

 

「むぅ〜!何するの!」

 

「一旦落ち着いて下さい。あと質問してるのに急に話題変えられたら俺たちも返答出来ません。それと自己紹介してくれませんか?」

 

「あ!そうだったごめんね!私は波動ねじれ!3年ヒーロー科だよ!」

 

そう言って波動先輩はニコッと笑う。

 

その後、波動先輩の質問に俺と轟は答えられる範囲で返答し、何故か昼食を共にするのであった。




ヒーロー名【変身ヒーロー 仮面ライダー】
自身の夢であり目標でもある彼らの総称をヒーロー名にしたライダーくん。果たしてその名に相応しくなれるかは、まだ少し未来の話。


波動先輩、現る
轟と昼食を摂っていると突如目の前に現れたのは3年生の波動ねじれ先輩。あまりのマシンガントークにライダーくんと轟は圧倒される。ちなみにライダーくんが彼女を先輩だと気付いたのは去年の雄英体育祭を観ていたからである。


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30スレ

第33話の投稿です。

仮面ライダーリバイス第一話観ました。
感想としては、最高の一言です。アクションは勿論、一輝とバイスの掛け合いやライダーシステムの開発者のジョージ・狩崎のクセの強さとか今後も楽しみです。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

轟とお昼食べてたら3年ヒーロー科の先輩で"波動ねじれ"という女子生徒に絡まれました。

 

2:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ねじれちゃんだと!?

 

3:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

【ビッグ3】紅一点の!?

 

4:太刀川隊の狙撃手

登場早くないか?

 

5:虚刀流のグラップラー

偶然会ったのか?

 

6:雄英の仮面ライダー

>>5

はい。

突然俺たちに一方的な質問をして来て驚きましたが、普通に会話して一緒にお昼食べました。

 

7:杜王町の幽波紋使い

その女子生徒は物語に関わる人物なのか?

 

8:太刀川隊の狙撃手

そうですね。

波動ねじれは雄英ヒーロー科の3年生でも最強の1人でその実力はプロと同等以上と言われてますね。

原作でも()()()()で主人公たちと共に活躍したキャラです。

 

9:雄英の仮面ライダー

そうなんですね。

取り敢えず、報告は以上です。

今から職場体験先の志望書を提出しに行ってきます。

 

10:虚刀流のグラップラー

了解。

ちなみに何処のヒーロー事務所?

 

11:雄英の仮面ライダー

【ラビットヒーロー ミルコ】です。

 

12:サクラギ研究所のリサーチフェロー

まさかのミルコ!?

 

13:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

また原作よりも登場が早いキャラだな!

 

14:杜王町の幽波紋使い

そう言えば、呪術ニキと小林ニキは?

 

15:太刀川隊の狙撃手

>>14

2人とも仕事だそうです。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【職員室】

 

「相澤先生、職場体験先の志望書です」

 

「分かった」

 

放課後、相澤先生に職場体験先の志望書を提出する。

 

「体験先はミルコか……随分変わったヒーローを選んだな」

 

「そうですね。けど指名が来た中で1番合いそうだなと思ったので」

 

「そうか。手続きはこっちでやっておく」

 

「よろしくお願いします。……それと先生にご相談があるのですが」

 

「何だ?」

 

「飯田の事で」

 

飯田の名前を出すと相澤先生はピクリと反応する。

 

「……ヒーロー殺しの事か?」

 

「はい…。飯田、職場体験先に保須のヒーロー事務所を志望してるみたいなので、少し気になって」

 

相澤先生も飯田のお兄さんの事は知ってるため、職場体験先を保須市限定で選んでいる事を気にしている様だ。

 

「飯田とは話しは?」

 

「しましたが、飯田は『大丈夫だ』『問題無い』の一点張りで、それ以上は話してくれませんでした」

 

「……そうか」

 

「体験先を保須市を選んでいるって事は……飯田、お兄さんの仇を」

 

「体験先のヒーローにはそれとなく伝えるつもりだ。それ以上の措置はこちら側としては出来ん」

 

「そうですか……」

 

「悪いな、気を遣わしてしまって」

 

「いえ。俺からは以上です」

 

「分かった、こっちでも出来る事はする。相談してくれて助かった」

 

「はい。それでは失礼します」

 

「ああ。下校時間までに帰宅しろよ」

 

「分かりました」

 

俺は頭を下げ、職員室を出る。

 

「(さて、後は()()()の所に行くか……)」

 

俺は次に()()()を探し始めた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

探すこと5分、あの人は目の前に居た。

 

()()()()()()()()()()鹿()()()()()()()()()()

 

「オールマイト。大丈夫ですか?」

 

「か、かかか佳面少年!?あ、ああ!大丈夫さ!!」

 

俺に気づいたオールマイトはいつも通りに返事をする。

 

「それで!何か用かな?!」

 

「はい。ご相談と言うか、オールマイトにお話ししたい事がありまして」

 

「そうなのか!私で良ければ力になるぞ!!」

 

オールマイトはサムズアップで応える。

 

「ありがとうございます。他の人には訊かれると良くない事でして」

 

「なら給湯室へ行こうか」

 

「すいません、お忙しいのに」

 

「HAHAHA!生徒が悩んでいるのに無視するなんてナンセンスな事はしないよ!ノープロブレムさ!!」

 

そう言ってオールマイトに連れられて給湯室に向かう。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【給湯室】

 

給湯室に到着し、中に入ってテーブルを挟む様に座る。

 

「それで相談とは何かな?」

 

「……実は、USJ襲撃事件の事です」

 

オールマイトは少し笑みを止める。

 

「あの事件の事か……」

 

「はい。あの時、死柄木弔と外見が黒い靄に包まれた黒霧が撤退した際に気になる事を言ってまして」

 

「気になる事?」

 

「相澤先生とエクトプラズム先生を戦闘不能にし、俺が闘った"脳無"と呼ばれるヴィランについてですが、死柄木曰く『脳無は先生の造った最高傑作だ』という事です。言葉から察するにその脳無はその先生によって造られた謂わば対オールマイト用の改造ヴィランであると言う事です。実際に闘ってみて分かったのですが、あの脳無は【ショック吸収】と【再生】の複数の個性を持っていました。多分、改造も複数の個性に耐えられる様にしたものかと」

 

「成る程……」

 

「轟の様に複数の性質を持つ個性ではなく、全く別々の個性を宿すというのは有り得ないと思ったのと、……あと1つ」

 

「まだあるのかい?」

 

話して良いのか少し迷ったが、此処で言わなければと覚悟を決める。

 

「死柄木からオールマイトに『今度はその弱りきった身体を拝みに来る』と伝える様に言われました。宣戦布告だと思いますが、少なくとも死柄木か脳無を造った先生と呼ばれる存在はオールマイトに何かしら因縁があるんじゃないかと思います」

 

緑谷程ではないが、俺もオールマイトの活躍はネットやTVを通じて知っているつもりだ。

 

だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は知らない。

 

「………まさか」

 

オールマイトは何か思い浮かんだのか、()()()()()()()()()

 

「オールマイト?」

 

「い、いや!何でもないよ佳面少年!!話してくれてありがとう!良く話してくれたね!!」

 

オールマイトは直ぐに再び笑みに戻る。

 

「そうですか……。脳無の事は警察にもお伝えしましたけど、オールマイトの事は話して良いか悩んでしまいこうして直接お話しする形になってしまいました。……遅くなってしまい申し訳ございませんでした」

 

俺は頭を深く下げて謝罪する。

 

「頭を上げてくれ佳面少年!現にこうして私に伝えてくれた事にとても助かるよ!!」

 

「いや、しかし」

 

「全く!君はとても学生とは思えない程律儀だね!まるで社会人と話してるみたいだよ!HAHAHA!!」

 

オールマイトが苦笑しているのを見て、俺は漸く頭を上げる。

 

「お伝えしたい事は以上です」

 

「ありがとう!君からの情報は我々にとってかなり強力なものだったよ!警察とも連携して必ずヴィラン逮捕に繋げてみせるよ!!」

 

「はい、よろしくお願いします。それと」

 

「ん?何だい?」

 

「貴方にこんな事を言うのは失礼かもしれませんが、…あまり無理をなさられないで下さい」

 

「佳面少年……」

 

「…すいません、プロにもなっていない学生の分際で。生意気でした」

 

「……いいや、ありがとう。その言葉だけで充分さ」

 

こうしてオールマイトへの相談を終え、俺は下校する。



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31スレ

第34話を投稿します。

この作品の評価が下がって悩んでます……。
下がると言う事は原因があると思うのですが、どこが悪いのか分からないので皆さんが思う改善すべき点や気になる点がありましたら感想欄で教えてくれると私も改善しやすいので参考の為どんどん書き込みよろしくお願いします。

内容は職場体験1日目となります。
今回ライダーくんの変身する仮面ライダーのヒントは「半熟探偵」「ガイアメモリ」「切札」です。



職場体験1日目。

 

集合場所の駅に着いた俺たちA組は相澤先生から注意事項を聞いていた。

 

「全員戦闘服(コスチューム)を持ったな。本来なら公共の場で着用禁止の身だ。落としたりするなよ」

 

「はーい!」

 

「伸ばすな。"はい"だ芦戸」

 

「はい」

 

元気良く返事する芦戸さんを相澤先生が注意する。

 

「くれぐれも体験先のヒーローに迷惑を掛けないように。以上だ、行ってこい」

 

「「「はい!」」」

 

各々体験先に向かう為、別れ始める。

 

「飯田、少し良い?」

 

「……何だい佳面くん」

 

俺は移動する飯田を引き留める。

 

「しつこいかもしれないけど、何かあったら遠慮なく連絡しなよ」

 

「僕も!友だちだろ?」

 

「うんうん」

 

緑谷と麗日さんも飯田を心配して声を掛ける。

 

飯田は振り向いて

 

「ああ」

 

普段見せない表情で答え、すぐさま移動していった。

 

「佳面くん、飯田くん…大丈夫かな?」

 

「大丈夫じゃない…と思う。一応学校側も飯田の体験先のヒーローに話しをしたみたいだけど」

 

「そうなんや」

 

緑谷と麗日は飯田を想い暗い表情をする。

 

「ほら、2人ともそろそろ新幹線に乗らないとだろ?心配するのも分かるけどそんな顔で行ってたら体験先のヒーローも気にしちゃうよ?」

 

「う、うん!」

 

「せ、せやね!」

 

俺たちは気持ちを切り換えてそれぞれ別れる。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「此処か」

 

移動すること約2時間。

 

辿り着いた先は戦闘服(コスチューム)やサポートアイテムを開発する会社の中でも有名な所の研究施設であった。

 

しかも敷地はめちゃくちゃ広く、宿泊施設もあるみたいだ。

 

「来たな!お前が佳面だな?!」

 

建物の入り口に立っていたのは長い白髪に褐色肌、赤く鋭い目つきに兎っぽい長い耳、ハイレグの戦闘服(コスチューム)を身に纏う1人の女性。

 

この人が俺の体験先のプロヒーロー ミルコである。

 

「はい。雄英高校から来ました佳面来太です。よろしくお願いします!」

 

「おう!じゃあ付いてこい!」

 

挨拶を終え、ミルコに連れられ建物の中に入る。

 

「質問よろしいですか?」

 

「何だ!」

 

「何故集合場所が研究施設なんですか?ミルコさんは事務所を持たないのは知ってますが」

 

「直ぐに分かる!おい!連れてきたから場所借りるぞ!」

 

「分かりました」

 

職員らしき人に確認を取るミルコに連れられた場所はサポートアイテムの実験室だと思われる広い空間だった。

 

「直ぐに戦闘服(コスチューム)に着替えろ!」

 

「あ、はい!分かりました!」

 

理由も分からないまま、俺は職員の方に更衣室へ案内され戦闘服(コスチューム)に着替える。

 

「(初日から大変そうだな……)」

 

少し不安を感じながら着替え終えた俺はミルコさんの所へ戻る。

 

「今日から2日間トレーニングをしながら私と模擬戦して貰う!お前の実力を直で見ておきたいからな!!」

 

「模擬戦…ですか」

 

「本気で来いよ!」

 

「はい…」

 

突然のプロヒーローとの模擬戦になった事に戸惑いながらも、実験室の中央に立つ。

 

「お前変身する個性なんだろ?しかも色んなのになれるみてぇじゃねぇか!ガンガン見せろ!」

 

「分かりました」

 

気持ちを切り換え、俺は変身アイテムを実体化させる。

 

ミルコは格闘主体の武闘派ヒーロー。

 

ならば最初は同じ土俵で試してみよう。

 

俺の両手には【ロストドライバー】と【ジョーカーメモリ】を握り、そのままドライバーを装着する。

 

そしてメモリのスイッチを押す。

 

 

『ジョーカー』

 

 

メモリをドライバーのスロットに装填し、待機音が鳴り響く。

 

ドライバーから紫色の波動が発生し、俺の顔に複雑な涙ラインが浮かび上がる。

 

俺は右手を握り締め、構える。

 

「変身!」

 

 

『ジョーカー』

 

 

スロットを展開させると俺の肉体が変化する。

 

全身が黒で統一され所々に紫のラインが入り、赤い大きな複眼、額に『W』の形状をした銀色のアンテナが形成された。

 

地球の記憶の一部が内包されたアイテム【ガイアメモリ】の1本で「切札の記憶」を司るメモリで変身したその姿の名は【仮面ライダージョーカー】。

 

2人で1人の探偵の1人が自身の力のみで変身する戦士である。

 

「お待たせしました」

 

「そいつがお前の個性か!体育祭のヤツとは違うな!それじゃあ始めるぞ!!」

 

開始の合図も無く、ミルコは自慢の瞬発力で接近する。

 

「(速い!?)」

 

「オラッ!」

 

「とっ!」

 

彼女から放たれる鋭い蹴りをバク宙で回避する。

 

すかさず2撃目の蹴りが迫まり、片手でガードしてカウンターの膝蹴りを繰り出す。

 

「甘え!」

 

「マジか!?」

 

すると彼女は前蹴りで俺の攻撃を相殺した。

 

「なかなかやるな!けどこんなもんか!?」

 

左からの中段の横蹴りが俺の脇腹を捉える。

 

「グッ!」

 

想像以上の威力と衝撃で後ろによろける。

 

「ソラッ!」

 

彼女は俺の顔面目掛けて回し蹴りを放つ。

 

「ハァ!」

 

俺も同じく回し蹴りで応戦し、ぶつかり合った衝撃で互いに後退する。

 

「良いじゃねぇか!?反応良し!カウンター良し!対応力もある!お前格闘技経験者だな?!」

 

「幼少時代に空手を少し。今も鍛錬はしてます」

 

「ハハハ!アタリだよお前!指名して良かった!」

 

「ありがとうございます!」

 

会話を交わしながらも攻防は続いた。

 

開始して3分が経過し、両者引き分けで1回目の模擬戦が終了した。

 

いや、俺の方が体力を消耗しているため負けは俺だろう。

 

「良し!1回目はここまでだ!5分休憩した後基礎トレーニング!昼からまたやるぞ!」

 

「は、はい!」

 

そう言い残してミルコさんは部屋から出る。

 

俺は変身解除して一息つける。

 

すると職員の方が此方に近寄る。

 

「凄いよ君。ミルコさんの攻撃をあそこまで捌けるなんて」

 

「いえ、まだまだです。あの人全力出してなかったですし、小手調べが無かったら俺は床に倒れてました」

 

「それでもだよ。あの人があんな楽しそうに模擬戦するのは久し振り観たからね。気に入られたんじゃないかな?」

 

「そうですかね?」

 

「そうだよ。ほら、次はトレーニング室へ移動しないと。ミルコさん待つの苦手だから。トレーニング室まで案内するよ」

 

「ありがとうございます」

 

初日からハードなスケジュールだが、俺は少し楽しくなってきたと思ったのであった。




仮面ライダー紹介

仮面ライダージョーカー

レア度【SR】

出典『仮面ライダーW AtoZ/運命のガイアメモリ』


ライダーくんvsミルコ(模擬戦)
体験先がミルコなので感想欄でもビルドの登場を予想してた方が多かったですが、今回は仮面ライダージョーカーでした。
風都探偵でもファング系の派生フォームが登場してWの進化は止まらない感じが良いですね。アニメでは翔太郎たちの声はどうなるんでしょうね……、声優さんになると思うのですが『KAMENRIDER memory of heroz』のキャストでやる感じになるんでしょうかね。


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32スレ

第35話を投稿します。

前回、評価の事で皆さんからご意見を頂きとても参考になりました。
コメントされた皆さん、評価を付けてくれた皆さん、誠に有難うございます!
当面はお気に入り登録数をより増えるよう投稿を頑張っていく方針となりますので、何卒よろしくお願いします!!


今回のお話は職場体験2日目です。
ライダーくんが変身する仮面ライダーのヒントは「兎と戦車」「ベストマッチ」「天↑才↓物理学者」です。

それでは、どうぞ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

おはようございます。

 

2:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

おはよう、ライダーくん。

 

3:杜王町の幽波紋使い

おはよう。

 

4:空座町の無下限呪術師

おっはよー!

 

5:虚刀流のグラップラー

おはよう。

そっちは朝なんだ。

こっちは昼だよ。

 

6:サクラギ研究所のリサーチフェロー

おはよう。

こっちは夕方です。

 

7:太刀川隊の狙撃手

おはよう。

俺は夜です。

 

8:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

おはよう。

俺の方は朝の10時頃です。

 

9:空座町の無下限呪術師

世界によって時間軸ズレてるからね〜。

そんな事より、ライダーくんは職場体験どんな感じ?

 

10:雄英の仮面ライダー

1日目はトレーニングメインでした。

2回程ミルコさんと模擬戦しましたけど。

 

11:虚刀流のグラップラー

マジで!?

 

12:サクラギ研究所のリサーチフェロー

プロと模擬戦ってありなの?

 

13:太刀川隊の狙撃手

勝率は?

 

14:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

どうだった?!

 

15:雄英の仮面ライダー

結果は1勝1引き分けです。

1回目は仮面ライダージョーカーで引き分けて2回目はスーパー1でファイブハンドと赤心少林拳を駆使してなんとか勝ちました。

 

16:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

プロに勝ったの!?

 

17:虚刀流のグラップラー

マジか!?

 

18:雄英の仮面ライダー

あくまで"模擬戦"です。

 

19:サクラギ研究所のリサーチフェロー

謙遜と言うか真面目と言うか。

 

20:太刀川隊の狙撃手

まあ、実戦だと勝手が違いますからね。

 

21:杜王町の幽波紋使い

>>20

確かに。

奇襲だったり地の利を活かしたりとか。

 

22:空座町の無下限呪術師

命のやり取りをする実戦の方がハードだしね。

 

24:雄英の仮面ライダー

そうですね。

ちなみに今日も昼から模擬戦をする予定です。

 

25:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

マジか。

頑張ってね!

 

26:虚刀流のグラップラー

勝ち越して来い!

 

27:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

無理しないでね。

 

28:雄英の仮面ライダー

はい。

やれるだけやってみます。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

職場体験2日目。

 

午前中はトレーニングを行い、昼食を済ませ、昼から1日目と同じ様に再びミルコさんとの模擬戦のため実験室の中央に位置着いた。

 

「さぁて、今日は私が勝つからな!」

 

「よろしくお願いします……とその前に」

 

俺は実験室の窓側を見る。

 

そこには研究所の職員の方々が興味津々な表情をして立っていた。

 

「昨日より人増えてませんか?」

 

「あぁー、見学だとさ。プロと学生の模擬戦なんてそうそう無いからな。んな事より!早く変身しろ!」

 

「は、はい。分かりました」

 

ミルコさんに急かされ、俺は変身アイテムを実体化させる。

 

今回選んだのは【ビルドドライバー】と【フルボトル】。

 

「お!新しいベルトか!」

 

「そうです」

 

俺はビルドドライバーを装着させ、左手【ラビットフルボトル】、右手に【タンクフルボトル】を持つ。

 

 

「さあ、実験を始めようか」

 

 

2つのボトルを上下に振る。

 

こうする事でボトル内の成分【トランジェルソリッド】を増幅、活性化させる。

 

振ったボトルの【シールディングキャップ】のラベルが正面になる様に回し、ドライバーの【ツインフルボトルスロット】に装填させる。

 

 

『ラビット!』

 

 

『タンク!』

 

 

『ベストマッチ!』

 

 

ドライバーから音声が響くと共に待機音が鳴り始める。

 

右手でドライバーに搭載された【ボルテックレバー】を回す事でエネルギー生成ユニット【ボルテックチャージャー】を作動させる。

 

装置内部の発動機【ニトロダイナモ】が高速稼働し、変身に必要なエネルギーを生み出す。

 

ドライバーに搭載された高速ファクトリー展開装置【ビルディングモジュール】から高速ファクトリー【スナップライドビルダー】が展開され、ドライバーと高速ファクトリーの間に透明なパイプ【ファクトリアパイプライン】が繋がれ、パイプ内にドライバー内部で加熱・加圧され、赤と青の液体となった【トランジェルソリッド】を【スナップライドビルダー】に送り込む。

 

そして俺の前後に赤と青の装甲が形成される。

 

 

『Are you ready?』

 

 

ベルトから確認音声が鳴り、俺はファイティングポーズを構え、叫ぶ。

 

 

「変身!」

 

 

装甲を形成した【スナップライドビルダー】が俺を挟み込み、形成された装甲を装着し、白い蒸気が噴き上がる。

 

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』

 

 

愛と平和の為に戦ったナルシストで自意識過剰な正義のヒーロー【仮面ライダービルド ラビットタンクフォーム】に変身完了した。

 

「おおー!今度は赤と青か!しかも私相手に"ラビット"とは生意気だな?!」

 

「いや、別にそういう意味は無いですよ」

 

俺としてはやはり最初は基本フォームに変身したかったし、何より平成2期の仮面ライダー作品の中だとビルドがランキングトップ3くらいに好きだからというのはある。

 

ちなみに他2作品はWとオーズである。

 

変身プロセスが化学実験ぽかったからか、窓越しに職員の方々が目をキラキラさせながら俺の方を観ていた。

 

「それじゃあ行くぜ!」

 

弁解してる間にミルコさんが突っ込んでくる。

 

「危ね!?」

 

俺は瞬時に左脚部【クイックラッシュレッグ】に備わる跳躍強化バネ【ホップスプリンガー】を利用したハイジャンプでドロップキックを回避する。

 

「良いジャンプ力だな!」

 

「恐縮です!ハァッ!」

 

すかさず俺は右脚の【タンクローラーシューズ】に搭載された無限軌道装置による高速走行で接近しパンチを繰り出す。

 

右手からの敏捷性を活かした高速パンチがミルコさんの頬を掠める。

 

「チッ!オラァ!」

 

ミルコさんは身体を捻りながら側頭部に目掛けてハイキックを放つ。

 

「(これ本気(マジ)で蹴ってる!?)グッ!」

 

辛うじてガードし、前蹴りをするも躱される。

 

「それなら!」

 

俺は【ニンジャフルボトル】と【コミックフルボトル】を取り出し、上下に振ってドライバーに装填する。

 

 

『忍者!』

 

 

『コミック!』

 

 

『ベストマッチ!』

 

 

【ボルテックレバー】を回す事でエネルギー生成ユニット【ボルテックチャージャー】を作動させる。

 

【スナップライドビルダー】が展開され、ドライバーと高速ファクトリーの間に透明なパイプ【ファクトリアパイプライン】が繋がれ、パイプ内にドライバー内部で加熱・加圧され、今度は紫と黄色の液体となった【トランジェルソリッド】が【スナップライドビルダー】に送り込まれる。

 

 

『Are you ready?』

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

装甲を形成した【スナップライドビルダー】が俺を挟み込み、形成された装甲を装着し、白い蒸気が噴き上がる。

 

 

忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!イェーイ!』

 

 

忍者とコミックの成分でフォームチェンジした姿【ニンニンコミックフォーム】となった俺は右手に持った刀型武器【4コマ忍法刀】の【ボルテックトリガー】を1回押す。

 

 

『分身の術』

 

 

すると忍法作動装置【一のコマ・分身】が作動し、実体化した分身が出現してミルコさんの周りを円を描く様に走り取り囲む。

 

「「「ハァッ!」」」

 

分身と共に四方八方からミルコさんを攻撃する。

 

「うっざってェ!」

 

ダメージを受けながらもミルコさんは手を床に付いてカポエラの技の1つ【ペンバ】の様な蹴り技で分身体諸共蹴り飛ばす。

 

俺は直撃する前に回避して今度は【キリンフルボトル】と【扇風機フルボトル】を取り出し上下に振ってドライバーに装填する。

 

 

『キリン!』

 

 

『扇風機!』

 

 

ベストマッチ!

 

 

【ボルテックレバー】を回す事でエネルギー生成ユニット【ボルテックチャージャー】を作動させる。

 

【スナップライドビルダー】が展開され、ドライバーと高速ファクトリーの間に透明なパイプ【ファクトリアパイプライン】が繋がれ、パイプ内にドライバー内部で加熱・加圧され、黄色と水色の液体となった【トランジェルソリッド】が【スナップライドビルダー】に送り込まれる。

 

 

『Are you ready?』

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

装甲を形成した【スナップライドビルダー】が俺を挟み込み、形成された装甲を装着し、白い蒸気が噴き上がる。

 

 

嵐を呼ぶ巨塔!キリンサイクロン!イェーイ!』

 

 

キリンと扇風機の成分でフォームチェンジした【キリンサイクロンフォーム】となり、左腕に搭載された送風攻撃ユニット【サイクストーマー】を起動させ5枚のプロペラファンを超高速回転させる事で突風を発生させミルコさんの動きを封じる。

 

「ハァッ!」

 

封じたところを右腕に装着されたキリン型攻撃装置【キリネックブリーカー】を伸ばして攻撃する。

 

「ッ〜〜〜!ッてェなぁ!」

 

ミルコさんは横に吹き飛ぶも受け身を取って直ぐに立ち上がり、瞬時に距離を詰めて跳び膝蹴りを繰り出した。

 

「グハッ!」

 

今度は直撃し、俺の身体が宙に浮いた。

 

「もう一丁ォ!」

 

「グゥッ!」

 

追撃の跳び回し蹴りが迫り、【キリネックブリーカー】でガードするも大きく吹き飛ぶ。

 

何とか受け身を取って体勢を整える。

 

お互いに息が上がりながらも隙を探り合う。

 

「ったく、どんだけ姿変えられるんだよお前」

 

「えーと、今使ってる形状と同じボトルが60本。パワーアップ系のアイテムだと現状使えるのが4つ……ですかね」

 

クローズビルド缶は条件が揃わないと使えないので取り敢えず省く。

 

俺の返答にミルコさんと観戦している職員の方々が唖然とした。

 

「ハハハ!マジかよ!ホント多彩だな!」

 

ミルコさんが大声で笑う。

 

「それじゃあそのパワーアップを見せてみろ!」

 

「……ふう、分かりました。なら1つだけ」

 

そう言って俺は缶型の強化アイテム【ラビットタンクスパークリング】を取り出す。

 

上下に数回振ってラビットフルボトルとタンクフルボトルの成分、そしてパンドラボックスの残留物質を利用された発泡増強剤【ベストマッチリキッド】を増幅、活性化させ【シールディングタブ】を引き起こし、内部に充填された成分をドライバーへ送り込む接続パーツ【RT-SPコネクター】が底部から飛び出す。

 

そしてドライバーに装填する。

 

 

ラビットタンクスパークリング!

 

 

【ボルテックレバー】を回すと発光装置の【スパークリングインジケーター】が左右に発光し、エネルギー生成ユニット【ボルテックチャージャー】を作動させる。

 

【スナップライドビルダー】が展開され、ドライバーと高速ファクトリーの間に透明なパイプ【ファクトリアパイプライン】が繋がれ、パイプ内に【ベストマッチリキッド】が混ざった赤と青の成分が【スナップライドビルダー】に送り込まれる。

 

 

『Are you ready?』

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

装甲を形成した【スナップライドビルダー】が俺を挟み込み、ラビットタンクに似たギザギザに形成された装甲を装着し、成分が弾ける。

 

 

シュワっと弾ける!ラビットタンクスパークリング!イェイ!イェーイ!』

 

 

赤・青・白のトリコロールに配色された装甲をしたビルドの強化フォームの1つ【ラビットタンクスパークリングフォーム】にフォームチェンジした。

 

両脚部に小粒の泡【ラピッドバブル】泡が発生し、目にも止まらない速度でミルコさんに接近し掌底打ちを放つ。

 

「グッ!」

 

掌底から発生した大粒の泡【インパクトバブル】が破裂し、大きな衝撃波を発生させガード越しにミルコさんを吹き飛ばす。

 

 

「勝利の法則は決まった!」

 

 

【ボルテックレバー】を回し再び【スパークリングインジケーター】が左右に発光させ、【ボルテックチャージャー】からエネルギーを生成させる。

 

 

『Ready go!』

 

 

音声が鳴ると同時にジャンプし、必殺技の構えを取る。

 

 

スパークリングフィニッシュ!

 

 

「ハァァァ!!」

 

俺が泡のエネルギーを纏ったライダーキックを放ち

 

踵半月輪(ルナアーク)!!」

 

ミルコさんもタイミングを合わせて踵落としを放つ。

 

互いの蹴り技が衝突し、大きな衝撃波が発生する。

 

衝撃波により研究施設は大きく揺れ、強化ガラスで出来た窓ガラスが全て割れる。

 

煙が晴れる。

 

「俺の勝ち……ですね」

 

「クッッッソーー!!負けたァ!!」

 

床に立つ俺と床に倒れ悔しがるミルコさん。

 

両者の姿が勝敗を物語っていた。

 

ミルコさんとの模擬戦は【3戦2勝1引き分け】の俺の勝利で幕を下ろした。

 

………余談だが、壊れた実験室は責任を持って俺が修理したのであった。




仮面ライダー紹介

仮面ライダービルド

レア度【SR】

出典『仮面ライダーライダービルド』


ライダーくんvsミルコ(2日目)
ビルドの持ち味である様々なフルボトルの組み合わせによる戦術を活かし、強化フォーム【ラビットタンクスパークリングフォーム】にフォームチェンジ、必殺技を決めて勝利する。
ライダーくんはビルド系のライダーに変身する際、ハザードレベルは7.0〜状態となるので初期型でもトップヒーローと渡り合えるくらい充分に強い。


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33スレ

第36話を投稿します。
お気に入り2,000件を突破しました!
登録してくれた皆さんありがとうございます!
そしてその作品を読んで頂いてる皆さんも感謝いたします。
引き続き投稿頑張っていきますので宜しくお願いいたします。

今回ライダーくんが変身する仮面ライダーのヒントは「養殖」「最高傑作」「村長」です。

それでは、どうぞ。


職場体験3日目。

 

今日も午前中はトレーニングを終えた直後、ミルコさんが午後のスケジュールを教えてくれた。

 

「佳面!午後から出掛けるぞ!」

 

「出掛ける……パトロールですか?」

 

「それもあるが、目的はヒーロー殺しを蹴り飛ばしに行く事だ!お前もついて来い!」

 

「はい?」

 

突然の事で俺は唖然とした。

 

「えっと、ミルコさん、ヒーロー殺しの居場所が何処か分かったんですか?」

 

俺は1番気になる質問をした。

 

トップヒーローとなると独自の情報網を持っているかもしれないし、彼女も確証があって捜査しているに違いない。

 

「知らん!全国跳び廻ったらいずれ遭うだろ」

 

「………えぇ?」

 

まさかの回答に再び唖然とする。

 

けど彼女は()()()()()()()()()()()()様だ。

 

「……ミルコさん、ヒーロー殺しについて1つ仮説を挙げてもよろしいですか?」

 

「何だ?」

 

俺はズボンからスマホを取り出し、デジタル新聞の記事を見せながら説明を始める。

 

「これまでヒーロー殺しは1つの都市や街に現れてプロヒーローを()()襲っています。ご存知ですよね?」

 

「ああ。最低でも2人、再起不能の重傷か最悪殺してるな」

 

「はい。つい最近だと、保須市でインゲニウムがヒーロー殺しとの戦闘で負傷しています。そして現状、ヒーロー殺しが襲ったヒーローが1人だけなのは()()()()()です」

 

「つまり、ヒーロー殺しはまた保須に出て来るかもしれねぇって事か?」

 

「可能性は高いと思います」

 

仮説を聞いたミルコさんは少し考えるとニカッと笑い、俺の肩をバンバン叩いた。

 

「凄えじゃねぇか!良くそこまで考えてるな!」

 

「痛いです。あと1つ付け加えるますと、ヒーロー殺しの犯行場所の約6割は路地裏等の人気の少ない場所です。そこに的を絞って探すのが最適だと思います」

 

「よし!それでいくぞ!直ぐに出発だ!!」

 

こうして、俺はミルコさんと共にヒーロー殺しを探す事になった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

ミルコさんの要望で研究所施設から()()()で移動する事になり、2人乗りで無事に保須へ到着。

 

ちなみにバイクは【仮面ライダーアマゾンズ】に登場した専用ビークル【ジャングレイダー】に乗って移動した。

 

その後は仮説に従い人気の無い場所を重点的にパトロールする。

 

「此処にも居ませんでしたね」

 

「ああ。次は向こうを探すぞ。……あ、言い忘れてた。佳面」

 

「何ですか?」

 

「もしヒーロー殺しや他の(ヴィラン)が現れたらお前も戦闘して良いぞ。私が許可する」

 

「え?良いんですか?まだ仮免すら持ってませんが」

 

本来ヒーロー資格を持たないものが個性で他者に負傷させるのは法律に反する行為であり、例え相手が(ヴィラン)であっても例外では無い。

 

「良いって。折角現場来たのに避難誘導だけじゃ物足りねぇだろ?それに私はお前の実力を買ってる。並大抵の(ヴィラン)相手に遅れは取らないだろうしな」

 

「……分かりました。万が一の場合は戦闘に参加させていただく形でお願いします」

 

「おう!さて、次のポイントに行くぞ──」

 

ミルコさんが移動しようとした瞬間、100数m離れた場所で大きな爆発音と共に黒煙が上空に立ち上っていた。

 

(ヴィラン)か!行くぞ!」

 

「はい!」

 

凄いスピードで駆け抜けるミルコさんの後を追う。

 

現場に到着すると前に雄英を襲撃した(ヴィラン)連合に居た改造ヴィランである脳無が複数でプロヒーローを襲撃していた。

 

「何だアレは!気色悪りぃ見た目しやがって!」

 

「ミルコさん!コイツら前に雄英を襲った(ヴィラン)です!」

 

(ヴィラン)連合とか言う組織か!蹴り甲斐がありそうだ!佳面は逃げ遅れた一般人の避難誘導!場合によってはぶっ倒せ!」

 

「了解!」

 

俺は一般市民の避難誘導、ミルコさんは脳無の迎撃に向かう。

 

「慌てないで!落ち着いて避難して下さい!」

 

 

「「「キャアアアアア!!?」」」

 

 

逃げ遅れている市民を誘導していると女性の悲鳴が聞こえた。

 

声のする方を見ると、脳無の1体が怯えて動けない女子高生グループの前に立ち今にも襲い掛かろうとしていた。

 

「クソ!」

 

俺は常人離れした跳躍力で女子高生グループに襲い掛かろうとする脳無の頭部を蹴り飛ばす。

 

蹴り飛ばされた脳無はアスファルトに倒れ込む。

 

「逃げて!早く!」

 

「は、はい!」

 

「ありがとうございます!」

 

脳無が起き上がる前に避難指示を出して女子高生グループを逃す。

 

俺は【アマゾンズドライバー】を実体化させ、装着する。

 

何故、保須に脳無が現れたのかは未だに分からない。

 

もしかすると近くに雄英襲撃事件の主犯である死柄木や黒霧が潜んでいるのかもしれない。

 

だけど今は、人の命を守る為に目の前の(ヴィラン)倒す(狩る)

 

ドライバーの左にあるアクショングリップ【アクセラーグリップ】を捻り、ドライバーのコアユニット【コンドラーコア】が作動させる。

 

 

『O・ME・GA』

 

 

英語風の電子音声が流れた後、俺は叫ぶ。

 

 

「アマゾン!」

 

 

俺を中心に爆風と衝撃波が発生し、脳無が吹き飛んだ。

 

 

『EVOLU・E・EVOLUTION』

 

 

コアから発する赤い特殊パルスによってアマゾン細胞が刺激され、肉体構造が変化する。

 

緑色の体表【ワイルダースキン】オレンジ色の胸部装甲、赤い釣り目状の眼【アマゾン・アイ】の内側に黒い切れ長の眼が内包されている。

 

全身は鋭角的で鎧のように無機質な形状を持ち、腕部【ジェルカットグローブ】から3つの刃【アームカッター】が突出している。

 

人喰い細胞【アマゾン細胞】と人間の遺伝子によって生まれた特殊なアマゾン【仮面ライダーアマゾンオメガ】に変身した。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

アマゾンオメガ!?

 

2:サクラギ研究所のリサーチフェロー

まさかのアマゾンズ系だと!

 

3:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

シャウトがヤバイ読モだ!

 

4:杜王町の幽波紋使い

今までよりも少し野生的な見た目だな。

仮面ライダーアマゾンに似てるし

 

5:太刀川隊の狙撃手

アマゾンのリメイク作品『仮面ライダーアマゾンズ』の主人公の1人が変身する仮面ライダーです。

見た目は平成ライダー風ですが。

 

6:虚刀流のグラップラー

けど大丈夫ですかね?

さっきまで命だった物が辺り一面に転がる光景になるんじゃ……。

 

7:空座町の無下限呪術師

>>6

大丈夫じゃない?

特訓のお陰で理性保てる様になったし。

 

8:雄英の仮面ライダー

「悪い佳面!そっちに1体逃したって、お前また違う変身したのか?」

 

「話は後で!今は」

 

「ああ!コイツを蹴っ飛ばすぞ!」

 

「はい!」

 

9:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

おお!

ミルコとの共闘!

 

10:サクラギ研究所のリサーチフェロー

脳無の攻撃をそれぞれ躱して、ライダーくんが強烈なパンチを数発叩き込んで怯んだ所をミルコが顔面をドロップキックした!?

 

11:虚刀流のグラップラー

良い連携による打撃だ。

もう1体倒したぞ。

 

12:杜王町の幽波紋使い

2人とも接近戦メインだけど互いの動きにちゃんと合わせてるな。

 

13:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

2日間の模擬戦で互いの攻撃のリズムを覚えたのかな。

 

14:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

あ!?

もう1体が腕を伸ばしてミルコを攻撃しようとしてる!

 

15:雄英の仮面ライダー

「させるか!」

 

16:太刀川隊の狙撃手

ライダーくんがミルコの前に割って入って脳無の伸ばした腕を掴んだ。

そのまま掴んだ腕を引っ張った。

 

17:雄英の仮面ライダー

「ミルコさん!」

 

踵堕蹴!!(ルナフォール)

 

 

18:虚刀流のグラップラー

ミルコの必殺技が脳無に炸裂した!

それにしても凄い蹴りだな、アスファルトが割れてるぞ。

 

19:空座町の無下限呪術師

しかも脳無の顔がグチャグチャだ。

頭蓋骨陥没とかのレベル超えてるよ。

 

20:杜王町の幽波紋使い

残りの脳無は他のプロヒーローが数人掛かりで対応してるな。

これなら何とかなるんじゃあないか?

 

21:太刀川隊の狙撃手

いや、脳無以外にまだヒーロー殺しが残ってますね。

 

22:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>21

確かに。

プロヒーローが1人と飯田が襲われてる所を緑谷が応援に来て遅れた轟が駆けつけるんでしたっけ?

 

23:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)

そうだね。

あ、けどライダーくん変身してるからメール見れないんじゃない?

 

24:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

あ。

 

25:太刀川隊の狙撃手

そうですね。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「よし!2体ぶっ倒した!残り行くぞ!」

 

「はい!──」

 

残りの脳無の迎撃に動こうとした瞬間、遠くから()()()が聞こえ、思わず立ち止まった。

 

「おい!どうした!」

 

「遠くで戦闘音が聞こえました!多分コイツらとは別件です!」

 

「マジか……チッ、しゃあねぇ!お前はそっちに行け!私もコイツらぶっ倒したら行ってやる!」

 

「だけど!」

 

「それがヒーロー殺しかもしれねぇだろ!早く行け!仮面ライダー!

 

「ッ!了解!」

 

俺はジャングレイダーに乗り、アクセルを回して戦闘音がする場所へ向かった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【緑谷視点】

 

グラントリノに同行し、渋谷へ(ヴィラン)に赴く途中で脳無によるプロヒーローとの交戦に遭遇した僕は、脳無の迎撃に向かったグラントリノを追っていたら大量の脳無が保須市を襲い、交戦していたプロヒーローの1人が飯田くんを探していた事に気づき、ヒーロー殺しの事を思い出して路地裏を駆け巡った。

 

3箇所目でヒーロー殺しが飯田くんとプロヒーローを襲っていたところに遭遇し、2人を助ける為にヒーロー殺しに立ち向かうも奴の個性で動きを封じられ再び窮地に立たされた所に今度は轟くんが駆けつけてくれて、今は彼が何とかヒーロー殺しを足止めしてくれている。

 

だけど──

 

「チッ!」

 

「轟くん!」

 

ヒーロー殺しは轟くんの攻撃を難なく回避し、徐々に距離を詰め始めた。

 

「氷と炎……言われた事は無いか?個性にかまけ挙動が大雑把だと!」

 

弱点を指摘しながらヒーロー殺しは轟くんに接近した、その時──。

 

「グハッ!?」

 

赤い何かが高速でヒーロー殺しに突進し、ヒーロー殺しは後方に吹き飛んだ。

 

突然目の前に現れたのは緑色の異形の人型が赤い奇妙なバイクに乗っていた。

 

すると人型が此方に振り向き、

 

「大丈夫?緑谷、轟、飯田」

 

僕たちを心配し掛けられた声に、目の前の人物が誰なのか漸く気づいた。

 

「もしかして、佳面くん!?」

 

「佳面か!?」

 

「佳面くん!」

 

その顔はまるでトカゲの様な見た目だったが、僕たちの知っている佳面くんだった。

 

(ヴィラン)連合の脳無と交戦してたらこっちでも戦闘音が聞こえてね、体験先のプロヒーローの指示で助けに来たよ。向こうも直ぐに駆けつけてくるから」

 

バイクから降りて説明をしながら、佳面くんは僕たちを守る様にヒーロー殺しと対面する。

 

「佳面くん……。君まで、どうして……」

 

飯田くんが涙ぐみながら訊くと、佳面くんが少し顔を飯田くんに向ける。

 

仮面越しだけど、何処か()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「仲間でしょ?」

 

 

ただ一言だけ言って、佳面くんはヒーロー殺しの方へ向き直し、重心を低く構える。

 

その背中は力強く、頼もしかった。

 

まるで、僕が憧れ続けるオールマイトに重なって見えた。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーアマゾンオメガ

レア度【SR】

出典『仮面ライダーアマゾンズ』


ミルコ&ライダーくんvs脳無's
ミルコに同行してヒーロー殺しを探す為に保須を訪れると街中で脳無が出現。一般市民を守る為に戦闘を開始。ミルコとの連携で撃退するも別の所でも戦闘を感知し、ヒーロー殺しが出現したと判断して脳無をミルコに任せて応援に向かう。

ライダーくん、生身でもヤバイ
アマゾン細胞の恩恵を受けている為生身でもライダーくんの身体能力は並の増強系の個性程度のパワーを発揮出来る。


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34スレ

第37話を投稿します。

投稿が遅くなってしまい申し訳ございませんでした。プライベートが忙しく小説を書く時間が取れなかったので……。
週2、3回投稿を目指していきますが、難しい場合は最低でも週1でやって行こうと思います。

番外編も投稿を継続していきますので宜しくお願いします。



「佳面!奴の個性は"血を舐めた相手の動きを封じる能力"だ!刃物に絶対触れるな!」

 

起き上がるヒーロー殺しを警戒していると轟から情報を貰う。

 

「分かった。けどこの中で1番頑丈なのは俺だから接近戦で奴の攻撃を防ぐ、轟は後方支援をお願い。緑谷、飯田。動ける?」

 

「ごめん僕は動きを封じられてる!」

 

緑谷は既にヒーロー殺しの個性で動けない状態。

 

「俺は、大丈夫だ」

 

左肩から出血しながらも飯田は起き上がった。

 

「解けたか飯田!意外と大したことねェ個性みたいだな」

 

「緑谷くんも轟くんも佳面くんも関係ないのに、申し訳ない…。だからもう…これ以上血を流させる訳にはいかない!」

 

負傷した左肩を抑えながら、飯田は決意を固める。

 

そんな飯田をヒーロー殺しは嫌悪の表情をする。

 

「感化され取り繕おうとも無駄だ。人間の本質はそう易々と変えられない」

 

「お前は私欲を優先させる偽物だ!ヒーローを歪ませる社会の癌だ!貴様の様な偽物を誰かが正さねばならないんだ!」

 

「時代錯誤の原理主義だ。飯田、人殺しの理屈に耳を貸すな」

 

「…いや、奴の言う通りだ。今の俺にヒーローを名乗る資格は無い」

 

「それでも…折れる訳にはいかない。俺が此処で折れてしまったらインゲニウムは死んでしまう!

 

飯田はヒーロー殺しの発言を肯定しながらも覚悟を決める。

 

「論外!」

 

ヒーロー殺しは刀を振り翳して此方に接近して来ようとした。

 

俺はヒーロー殺しの動きを感知して接近し、刀を持っている腕を掴んで止める。

 

「やらせると思う?」

 

「どけ!」

 

ヒーロー殺しは空いている手で装備しているナイフを取り出し、俺を切り裂こうとする。

 

だが

 

 

バキンッ!

 

 

ナイフは俺の身体を切り裂く事が出来ず、逆に根元から折れた。

 

生身ならまだしも、今の俺はアマゾンだ。

 

対アマゾン用なら兎も角、生半可な武装で傷を負うほど柔な肉体では無い。

 

すかさず俺はヒーロー殺しの脇腹に目掛けて拳を叩き込む。

 

 

ブチブチ!ボキッ!

 

 

殴られた箇所から肉が裂ける音と肋骨の折れる音が響く。

 

「グゥッ!?」

 

痛みと衝撃でヒーロー殺しは思わず脇腹を抑え、後方へ下がり距離を取る。

 

「随分と脆い物を使っているな。武器は選んだ方が良いよ」

 

「フゥ…フゥ……余計なお世話だ」

 

俺の挑発にヒーロー殺しは痛みで顔を歪めながら答える。

 

「(マズイ、そろそろレシプロが切れる!)轟くん温度の調整は可能なのか?」

 

「左はまだ慣れてねェ!それがどうした!?」

 

「俺の脚を凍らせてくれ!排気筒は塞がずに!」

 

何かを思いついた飯田は轟に指示を出した。

 

「邪魔だ!」

 

「させるか!」

 

ヒーロー殺しが轟に向けてナイフを投擲するも俺が割って入って投げられたナイフを叩き落とす。

 

「またしても、貴様!」

 

「お前を此処で止める!」

 

「笑止!」

 

同じタイミングで突っ込んだ俺とヒーロー殺しは再び鍔迫り合いをし、ヒーロー殺しの腕と首を掴んで空中に投げ飛ばす。

 

「投げ飛ばしたところで!」

 

ヒーロー殺しは空中で体勢を整えようとする。

 

()()()()()()

 

 

「レシプロエクステンド!」

 

 

轟に脚を凍らせて貰った事で飯田は加速し、空中に居るヒーロー殺しに接近する。

 

ヒーロー殺しは飯田に迎え撃とうと構えるも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()事に反応が遅れた。

 

緑谷の拳と飯田の蹴りが同時にヒーロー殺しへ叩き込まれる。

 

「チャンスだ、轟!」

 

「ああ!」

 

轟は追撃の為に左から炎を燃え上がらせる。

 

 

「まだだ!」

 

 

緑谷たちの攻撃をまともに受けたはずのヒーロー殺しは空中で手放した刀を掴み、飯田に切り掛かる。

 

 

『VIOLENT BRAKE』

 

 

刃が飯田に届く前に、俺はドライバーの右にある可変武器【バトラーグリップ】を引き抜き、イメージによって生成された鞭状の武器【アマゾンウィップ】をヒーロー殺しの身体に巻きつけて動きを封じる。

 

「お前を倒そう、今度は犯罪者として!」

 

「畳みかけろ!」

 

拘束されたヒーロー殺しを飯田が蹴り上げ、轟が放った炎が顔を包み込む。

 

「ぐ、は……ッ!!」

 

連携攻撃にヒーロー殺しは遂に気絶した。

 

「おっと」

 

俺はすかさず緑谷と飯田とヒーロー殺しを掴んで3人を抱えて着地する。

 

「大丈夫?2人とも」

 

「う、うん」

 

「ありがとう、佳面くん」

 

何とか死者を出さずに俺たちはヒーロー殺しを撃退した。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

気絶しているヒーロー殺しから武装を取り外し、鞭で拘束したまま通りに出る事になり、脚を負傷した緑谷はプロヒーローであるネイディヴさんにおぶって貰っていた。

 

「済まなかった。プロの俺が完全に足手纏いだった」

 

「いえ、1対1でヒーロー殺しの個性だともう仕方ないと思います。……強過ぎる」

 

「4対1だった上に佳面の攻撃で大きなダメージ受けたお陰で奴の動きを封じる事が出来た。それに焦って緑谷の拘束時間が頭から抜けてたんじゃねえかな。飯田のレシプロは兎も角、緑谷の動きに奴は反応出来なかった」

 

「何はともあれ、全員無事で良かったよ」

 

各々戦闘の反省を述べながら歩き、漸く通りに到着した。

 

「さて、早くコイツを警察に引き渡さないとな…」

 

「む!?なぜお前がここに!!」

 

すると道路を挟んで反対側から老人の声が聞こえた。

 

「グラントリノ!」

 

その声に反応する緑谷の視線の先へ目を向けると、そこには黄色のマントを纏った背の低い老人の姿があった。すると老人は緑谷の下へ一気に跳躍し、そのまま緑谷の顔面に蹴りを入れる。

 

「座ってろっつったろ!!」

 

「す、すいません」

 

「誰だ?」

 

「緑谷の職場体験先のプロヒーローじゃないかな」

 

「ああ…」

 

「けど、どうして此処に」

 

「此処に行くように言われてな。まぁ、よう分からんが無事なら良かった」

 

「ごめんなさい…」

 

緑谷は申し訳なさそうにグラントリノさんに謝罪する。

 

すると左側から複数の足音が此方に近づいてきたので振り向くとプロヒーローが数人で駆け寄って来た。

 

「ここか!」

 

「エンデヴァーとミルコから応援要請を承ったんだが…」

 

「子供?」

 

「ひどい怪我じゃないか!?今すぐ救急車を!」

 

「?おい待て、こいつは…」

 

「えっ!?嘘!?ヒーロー殺し!?」

 

「早く警察に連絡を!」

 

駆けつけたプロヒーロー達が縛られているヒーロー殺しを見て驚く。

 

その後すぐに病院と警察に連絡したり、緑谷たちは怪我の具合を聞かれていた。

 

「大丈夫か?」

 

「支えていただければ、何とか…」

 

「俺は軽症です。けど飯田が…」

 

「緑谷くん、轟くん」

 

心配するプロを素通りし、飯田は緑谷たちの前に立って頭を下げた。

 

「俺のせいで傷を負わせた!佳面くんも、俺のせいで危険な目に遭わせてしまった。本当に済まなかった。怒りで何も……見えなくなってしまっていた」

 

頭を下げ続ける飯田の身体は震え、声も涙ぐんでいた。

 

「僕の方こそ。気づいていたのに何もしてやれなかった。友だちなのに」

 

「しっかりしろよ、委員長だろ?」

 

「委員長の君が大変な時は副委員長の俺が助けるのは当たり前だろ?それに、クラスメイトが苦しんでいるのに心配をしない奴なんてA組の中に1人も居ないよ」

 

「ッッッ!……ありがとう!」

 

これで事件は終了したと思った、次の瞬間

 

「ッ!伏せろ!!

 

此方に近づいてくる気配を感知して視線を向けると()()()()()()()が飛んで来た。

 

「クッ!」

 

「佳面くん!?」

 

いち早く気づいた俺はこの場全員に叫び、捕まりそうになった緑谷を庇い、代わりに捕まった俺を脳無は連れ去る様に飛んで逃げた。

 

「(エンデヴァーさんかミルコさんが取り逃したのか?!しまった、右グリップは鞭にしたままヒーロー殺しを拘束してた!)それでも!」

 

俺を掴む腕を掴み返し、引っ張った反動を利用して脳無を蹴る。

 

「◾️◾️◾️◾️!?」

 

脳無は悲鳴を上げて俺を手放した。

 

次の瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 

 

刺された脳無は痙攣を起こし、遂にピクリとも動かなくなった。

 

死んだのだ。

 

「(何でヒーロー殺しが!?拘束されていた筈なのに!関節を外して脱出でもしたのか!?()()()()()()())」

 

地面に着地した俺はヒーロー殺しを睨む。

 

「何で殺した!脳無は満身創痍だったんだぞ!」

 

「ハァ…自分を捕らえようとした敵を心配するか。…それに、奴は最早人では無い。薄汚い悪によって造られた人形だ」

 

 

「それでも生きていたんだ!例え姿形を変えられても、脳無は人間だ!」

 

 

怒りで今にも殴り掛かる衝動に掻き立てられるも、何とか抑えてつつヒーロー殺しを睨み続ける。

 

そんな俺をヒーロー殺しはジッと見つめ、薄く笑みを浮かべる。

 

「コレを人として扱うか…。貴様もあの緑の子供と同じ()()()()()()

 

ヒーロー殺しの謎の言葉に、俺は珍しく混乱する。

 

後ろではプロヒーローたちが戦闘体勢を取っていた。

 

すると

 

 

「私の相棒(サイドキック)に何しようとしてんだ!ヒーロー殺し!」

 

 

俺とヒーロー殺しの間に着地して割って入って来たのはミルコさんだった。

 

「ミルコさん!?」

 

「悪りぃ!こっちに1体取り逃がした!()()()()()()()()()()()!そんな事より、コイツに手を出してぇなら、まず私を通してもらおうか!」

 

「誰のせいだと!貴様が突然割って入ったせいだろうが!」

 

今にも蹴り掛かろうとするミルコさんに後から現着したエンデヴァーさんがツッコミを入れる。

 

「ハァハァハァ…ミルコ…それにエンデヴァー!!」

 

「蹴り飛ばす!」

 

「ヒーロー殺し!」

 

「待て!ミルコ!轟!」

 

早速攻撃を仕掛けようとするミルコさんとエンデヴァーさんだったがヒーロー殺しの様子が変わった事にいち早く気づいたグラントリノさんが慌てて止める。

 

するとステインがこちらに振り向く。

 

 

「偽者…!!」

 

 

顔の包帯はほつれ、その素顔が露わになる。

 

ヒーロー殺しは鬼の形相を浮かべ、憎悪と共に叫ぶ。

 

 

「正さねば…誰かが…血に染まらねば…!!ヒーローを、取り戻さねば!!!」

 

 

ヒーロー殺しは言葉を発する度に1歩、また1歩と前に進む。

 

奴は既に戦える身体ではない筈なのにだ。

 

そんな事はこの場の誰もが分かりきっているなのに、ヒーロー殺しの姿に畏怖を覚える。

 

 

「来てみろ偽者共!!俺を殺して良いのは本物の英雄(ヒーロー)オールマイトだけだ!!」

 

 

力強く叫ぶヒーロー殺しから放たれたのは圧倒的狂気。

 

奴の狂気は最前線で活躍するトップヒーローを含むプロだけでなく、学生の俺たちも思わず気圧されてしまう程だった。

 

ヒーロー殺しのとてつもない圧に全員が完全に動けなくなっていた。

 

しかし、いつの間にかヒーロー殺しは動くのを止めていた。

 

「こいつ、もしかして…」

 

「気を…失ってる…?」

 

ヒーロー殺しが気絶した事が分かった途端、全員がどっと息を吐き出し、中には座り込んでしまう人も居た。

 

俺はドライバーを外し変身を解除して、ヒーロー殺しに近づく。

 

「おい!下手に近づくな!」

 

ミルコさんが止めに入るも気にせず俺はヒーロー殺しに近づいて容体を確認する。

 

「呼吸が上手く出来ていない。おそらく肋骨が肺に刺さって外傷性気胸を発症してる可能性が高いです。 それに火傷のダメージも大きい。今応急処置をしないと救援が来る前に間に合わなくなってしまうかもしれません」

 

俺は脳波で置き去りになっているジャングレイダーを遠隔操作して此方に持って来させ、両サイドに予め備えたサドルバックから応急キットを取り出してヒーロー殺しの手当を始める。

 

「彼は(ヴィラン)で人殺しです。だけど此処で死なせてしまったら俺は一生後悔します。それに、助けられる命を見捨ててしまったら俺たちはヒーローで無くなります」

 

ミルコさんは俺を見て、ハァと溜息を出す。

 

「まずお前はまだヒーローじゃねえけどな。……しょうがねえ、おい!手伝える奴はこっちに来い!」

 

「は、はい!」

 

「分かりました!」

 

ミルコさんの声に後ろで佇んでいた他のプロヒーローたちも駆け足で手伝いに来てくれた。

 

応急処置によってヒーロー殺しは救援が来るまでに何とか一命を取り留め、警察病院に搬送された。

 

他に負傷したプロヒーローや緑谷たちも近くの病院に搬送され、無傷のプロが現場の後処理に動いた。

 

俺は連絡を受けて駆けつけて来た警察に同行し、事情聴取を受ける事になった。

 

職場体験3日目は慌ただしくも、無事に終了したのであった。




ライダーくん、ステインから"本物"認定される。
人からかけ離れた見た目をした脳無が相手でも元は人間。ライダーくんは脳無を人間扱いし、殺したステインに激怒する。そんなライダーくんを見て、ステインはライダーくんを"本物"と言った。

ライダーくん、ステインを手当てする。
私が日曜に放送されていた某医療ドラマにハマっていたのでライダーくんにステインを手当てさせました。あくまで医療行為にならないギリギリの範囲なので無免許による医療行為ではありません。そこの線引きは結構ガバガバです。


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35スレ

2度目の新型コロナワクチン接種を受けて来ました。副作用による発熱と頭痛でヤバかったです。けど体調も戻ったので通常通り投稿します。

第38話です。
今回で職場体験編は終了で次回から期末試験編に突入します。

新しいアンケートも募集中ですのでご協力よろしくお願いします。


保須市で起きた脳無による襲撃とヒーロー殺しについて事情聴取を終えた俺は、保須警察署署長さんとグラントリノさんとマニュアルさんと共に緑谷たちが入院している病院に来ていた。

 

「すまんな(あん)ちゃん。お前さんも病院に来てもらって」

 

「いえ、俺も緑谷たちが心配だったので丁度良かったですよ。逆に同行させてくれてありがとうございます」

 

「いやいや此方こそ。それと改めて天哉くんを助けてくれてありがとう。本来なら体験先の俺が助けないといけなかったのに」

 

「あの時は脳無も居ましたし仕方なかったですよ」

 

グラントリノさんとマニュアルさんと話していると緑谷たちが居る部屋に到着した。

 

「おう、起きとるな怪我人ども」

 

「グラントリノ」

 

「マニュアルさん…」

 

ドアを開けると緑谷たちが此方に顔を向けた。

 

「小僧、お前には凄いグチグチ言いたい」

 

「す、すいません」

 

「が、その前に来客だ。保須警察署署長 面構犬嗣(つらがまえけんじ)さんだ」

 

保須警察署署長さんが病室に入る。

 

轟と飯田がベッドから起き上がり、緑谷も遅れて起き上がろうとする。

 

「ああ、そのままで結構だワン。君たちがヒーロー殺しを仕留めた雄英生だワンね?」

 

「はい」

 

面構署長が緑谷たちに確認を取り、轟が警戒しながら返事をする。

 

「逮捕したヒーロー殺しだが火傷に骨折、肉離れ等なかなか重傷で厳戒態勢の下、治療中だワン」

 

「あっ」

 

面構署長が何を言おうとしているのが分かったのか、緑谷たちの表情が険しくなる。

 

「雄英生徒なら分かっていると思うが超常黎明期、警察は統率と規格を重要視し"個性"を"武"に用いない事にした」

 

「そしてヒーローはその穴を埋める形で台頭してきた職業だワン」

 

「個人の武力行使…、容易に人を殺められる力。本来なら叫弾されて然るべきこれらが公に認められているのは先人たちがモラルとルールをしっかり順守してきたからなんだワン」

 

「つまり、資格未取得者が保護管理者の指示なく個性で危害を加えた事、例え相手がヒーロー殺しだろうともそれは立派な規律違反だワン」

 

面構署長の説明を緑谷たちは言葉を発さずただ聞いていた。

 

「佳面来太くんはミルコから指示を受けていたみたいだが、他雄英生徒3名、プロヒーロー エンデヴァー・マニュアル・グラントリノ。この6名には厳正な処罰を下さなければならない」

 

「ちょっと待ってくださいよ」

 

「あっ…」

 

面構署長の厳しい言葉に轟が割って入った。

 

「飯田が動いてなきゃネイティヴさんは殺されてた。緑谷が来なきゃ2人は殺されてた」

 

「轟くん…」

 

「誰もヒーロー殺しの出現に気付いてなかったんですよ。規則を守って見殺しにすべきだったって?」

 

「結果オーライなら規則など有耶無耶で良いと?」

 

面構署長の反論に轟は言葉を詰まらせる。

 

「うっ…。人を助けるのがヒーローの仕事だろ!」

 

「だから君は"卵"だ。まったく、良い教育してるみたいだワンね雄英もエンデヴァーも」

 

「この犬!」

 

我慢の限界か轟は怒りの表情で面構署長に迫ろうとする。

 

「轟、待って」

 

「止めんじゃねェ佳面!お前はこんなの納得してるのかよ!」

 

「納得してないよ。()()()()()()()()()()()()()

 

「ハ?」

 

俺の言葉に轟は止まった。

 

面構署長は溜息を出し、鼻を掻きながら説明を続ける。

 

「で、処罰云々はあくまで公表すればの話しだワン。公表すれば世論は君たちを褒め称えるだろうが処罰は免れない」

 

「一方で汚い話、公表しない場合はヒーロー殺しの火傷の跡や骨折等から、エンデヴァーとミルコを功績者として擁立してしまえるワン。幸い目撃者は極めて限られている。この違反は此処で握り潰せるワン」

 

「しかし君たちの英断と功績は誰にも知られる事はない。どっちが良い?」

 

つまり、事実を改竄させて緑谷たちの処罰を()()()()()()()()()と面構署長は言っているのだ。

 

「1人の人間としては前途ある若者の"偉大な過ち"にケチ付けたくないんだワン」

 

面構署長は俺たちに向けてサムズアップをする。

 

「まあ、どのみち監督不行き届きで俺らは責任取らなきゃだけど」

 

横に居たマニュアルさんが涙を浮かべて嘆いていた。

 

すると飯田はマニュアルさんの前に立ち、深々と頭を下げる。

 

「申し訳ございませんでした」

 

「よし!他人に迷惑掛かる。分かったら2度とするなよ」

 

「はい」

 

謝る飯田をマニュアルは笑って許した。

 

「す…すいませんでした」

 

「宜しく…お願いします」

 

緑谷と轟も頭を下げる。

 

「君たちが受けていたであろう称賛の声は無くなってしまってしまうが、せめて…」

 

今度は面構署長が頭を下げる。

 

「共に平和を守る人間として、ありがとう

 

「最初から言って下さいよ」

 

「轟くん…」

 

轟は視線をずらしてぶっきら棒に言った。

 

「素直じゃないね」

 

「…うるせぇ」

 

俺が揶揄うと轟は拗ねながら返事をした。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【病院 ロビー】

 

『じゃあ緑谷くんたち大丈夫なんだね!』

 

「うん。3人とも怪我はしてるけど命に別状は無いって。入院はしないといけないみたいだけど」

 

あの後俺はロビーで休んでいると葉隠さんから電話を貰い、通話をしていた。

 

『佳面くんは?大丈夫なの?』

 

「俺は大丈夫。怪我1つしてないよ」

 

『そうなんだー!良かったー!』

 

「心配させてごめんね。職場体験は順調?」

 

『うん!トレーニングとパトロールばっかりだけど凄く楽しいよ!』

 

電話越しでも葉隠さんが楽しそうなのが伝わってくる。

 

彼女の方は問題無さそうだ。

 

『他の皆も心配してたよ!次の登校日は質問責めされると思うけど頑張ってね!』

 

「アハハ、肝に銘じておくよ。…それじゃあ、またね」

 

『うん!』

 

通話を終え、俺は緑谷たちの病室に戻ろうとするとスマホを持った緑谷を見かける。

 

「緑谷、君も電話?」

 

「佳面くん!う、うん。う、麗日さんと少し…」

 

「そっか。こっちも葉隠さんから電話を貰ったよ。他の皆も心配してるってさ」

 

「そうだよね。後でラインで謝っとかないと」

 

会話をしながら病室に戻ると、轟と飯田がベッドに座っていた。

 

「轟、飯田。診察終わった?」

 

「ああ。俺も飯田も取り敢えず問題無いだそうだ。けど飯田の方は左肩に傷跡が残るそうだ」

 

「そ、そうなんだ」

 

轟の言葉に緑谷は気不味そうに返事をする。

 

俺はそんな緑谷たちに1つの提案をする。

 

「怪我の事だけど、治そうか?」

 

「え?どういう事?」

 

「そのままの意味だよ。俺の力で治そうか?」

 

「えええ!?」

 

「お前そんな事も出来るのか?」

 

「そうなのか佳面くん!?」

 

緑谷たちは驚愕する。

 

「最近使えるようになったけど。刺し傷や骨折を治すくらいは出来るよ。ほれ」

 

俺は隣に居る緑谷の頭を掴んで力を発動する。

 

「アババババ!?」

 

「緑谷!?」

 

「緑谷くん!?」

 

すると俺の手から光が発し、緑谷の全身に駆け巡る。

 

「はい、終了。どう?緑谷」

 

「え?あ、あれ?痛くない!?治ってる!?」

 

緑谷は怪我をしている手足を動かしてみると怪我が治っている事に驚く。

 

「次は轟」

 

「おい、まっ」

 

問答無用で轟を掴んで力を発動する。

 

緑谷同様、光が轟の全身を駆け巡り、暫くして手を離す。

 

「どう?」

 

「……痛みがねェ。マジか」

 

轟も自身の怪我が一瞬で治った事に驚きを隠せないでいた。

 

「最後は飯田だね」

 

「いや、…俺はこのままで良い」

 

治そうとすると、飯田は拒絶した。

 

「良いの?」

 

「ああ。気持ちは嬉しいけど、申し訳無いが断らせて貰う。この傷は俺の暴走した結果だ。もう2度と同じ過ちを犯さない為に、戒めとして残していく。一生…」

 

「飯田くん」

 

本人がそう言うのであれば、俺が治すのは飯田の覚悟を蔑ろにするのと同義になるだろう。

 

「分かった。…代わりと言ったらアレだけど、飯田のお兄さん…インゲニウムはまだ入院中かな?」

 

「そうだが…それがどうしたんだい?」

 

「治せるか分からないけど、俺にお兄さんの傷を診せて欲しい」

 

飯田は有り得ないって表情で俺を見る。

 

「待ってくれ!兄さんは脊髄損傷で下半身を麻痺している!今の医学では治せない怪我なんだ!」

 

「うん、だからあくまで可能性の話だよ。絶対治せる保証は無い、けど治せるかもしれない。直ぐに返事をしなくても良いよ」

 

飯田は長い間考える。

 

「……両親と話しをさせてくれ。この後返事をする」

 

「分かった。…それじゃあ、俺はもう行くよ」

 

「職場体験か?」

 

「ああ。そろそろ戻らないとミルコさんの機嫌が悪くなるから」

 

俺は戦闘服(コスチューム)が入ったケースを持って病室から出る準備をする。

 

「緑谷と轟はもう一度診察受けといてね。あと病院の人に俺が治した事も伝えといて」

 

「うん、分かった」

 

「またな」

 

「ミルコさんに迷惑を掛けない様にな!」

 

「うん。それじゃあ、また学校で」

 

緑谷たちに挨拶をして、俺は病室を出る。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

ミルコさんと合流した俺は引き続き職場体験を行った。

 

主にトレーニングとパトロールで残りの日を費やす事となった。

 

そして職場体験が終了し、ミルコさんの元を離れる。

 

「1週間、お世話になりました」

 

「おう!なかなか面白かったぞ!」

 

ミルコさんに御礼の挨拶をする。

 

「仮免取ったらまた来いよ!インターンでまた鍛えてやるからな!」

 

「インターン?ヒーローにもインターン制度があるんですか?」

 

キャリア形成の一環として大学生とかが企業で就業体験を積み "社会へ出てやっていける自信"を得ようとする場合に活用できる制度の事を指すが、ヒーロー社会にもインターン制度が存在するようだ。

 

「ああ!絶対私のとこに来いよ!他へ行ったらとっ捕まえてやる!」

 

「それって誘拐になりません?……まあ、仮免取れたらその時は宜しく頼みます」

 

「おお!絶対だぞ!」

 

半ば強制という形でインターンの約束をさせられた俺はミルコさんと別れる。

 

仮免、インターン。

 

プロへの道標が少しずつ見えてきた俺は、夢を叶える為にこれからも力をつけていく事を誓うのであった。




光の聖剣の力は最高だ
仮面ライダー最光が使用する聖剣「光剛剣最光」の治癒能力で緑谷・轟の怪我を完治させた。飯田は自分への戒めとして治癒を拒否したが兄であるインゲニウムの怪我を治せる可能性があるかもしれないとライダーくんに言われる。

ライダーくん、インターン先が決まる
ミルコに気に入られたライダーくんはインターンに来て欲しいと言われ、半ば強制で承諾する事になった。


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設定
主人公設定(職場体験編まで)


FGOで遂に沖田さんのスキル強化で病弱が新スキル絶刀に強化されたけど、つまり今後のストーリーで沖田さんは吐血しないって認識でOKなんですかね?

今回は主人公設定です。
現時点での主人公が入手した仮面ライダーのまとめ回となります。


【プロフィール】

 

名前:佳面来太(かつららいた)

 

ヒーロー名:変身ヒーロー【仮面ライダー】

 

学校・学年:雄英高校ヒーロー科1年A組7番

 

出身校:毛糸中学校

 

誕生日:4月4日

 

身長:185cm

 

血液型:A型

 

出身地:東京都

 

好きなもの:バイク、車、コーヒー、ハンバーグ

 

性格:温厚&紳士な優男

 

個性把握テスト:1位

 

1年1学期中間学力テスト:3位

 

家族構成:父(故)、母(故)

 

 

 

【個性】

 

個性名:【仮面】

昭和・平成・令和全ての仮面ライダーに変身する能力(女性ライダーは除く)。各ライダーに変身する際に自動的に肉体・体質が変化する(昭和ライダーなら改造人間、555系ライダーだとオルフェノク化する等)。ライダーの力はガチャで入手しなくてはならなく、レアリティは上からLR(レジェンドレア)SR(スーパーレア)R(レア)N(ノーマル)の4段階に分けられる。

1日に変身出来る種類は限られており、最大で3種類まで変身が可能。

転生で入手した能力の為、個性による干渉を受けない。

 

ガチャの仕組み

主人公がガチャを行う際に必要なアイテム通称"ジュエル"は毎日150個支給される。課金システムが無いためアイテムが溜まりやすい。

 

 

【仮面ライダー一覧】

 

【LR】

仮面ライダー1号

仮面ライダーストロンガー

仮面ライダースーパー1

仮面ライダーBLACK RX

仮面ライダークウガ

仮面ライダーカブト

仮面ライダー電王

仮面ライダーW

仮面ライダーエグゼイド

仮面ライダーゼロツー

 

 

【SR】

スカイライダー

仮面ライダーBLACK

仮面ライダーZO

仮面ライダーJ

仮面ライダーギルス

仮面ライダーG4

仮面ライダーナイト

仮面ライダーファイズ

仮面ライダーブレイド

仮面ライダーカリス

仮面ライダー響鬼

仮面ライダー2号(映画『仮面ライダーTHE FIRST』)

仮面ライダーゼロノス

仮面ライダーNEW電王

仮面ライダーキバ

仮面ライダージョーカー

仮面ライダーアクセル

仮面ライダーウィザード

仮面ライダービースト

仮面ライダー龍玄

仮面ライダー斬月

仮面ライダーマッハ

仮面ライダーゴースト

仮面ライダーアマゾンオメガ

仮面ライダーアマゾンアルファ

仮面ライダーブレイブ

仮面ライダースナイプ

仮面ライダーパラドクス

仮面ライダービルド

仮面ライダークローズ

仮面ライダーローグ

仮面ライダーゼロワン

仮面ライダーバルカン

仮面ライダー滅(スティングスコーピオン)

仮面ライダー迅(バーニングファルコン)

仮面ライダーセイバー

仮面ライダーブレイズ

仮面ライダーエスパーダ

仮面ライダー最光

仮面ライダーデュランダル

 

 

【R】

仮面ライダーG3-X

仮面ライダーゾルダ

仮面ライダー王蛇

仮面ライダーライア

仮面ライダーガイ

仮面ライダーベルデ

仮面ライダーアビス

仮面ライダーカイザ

仮面ライダーデルタ

仮面ライダーギャレン

仮面ライダーレンゲル

仮面ライダーランス

仮面ライダー威吹鬼

仮面ライダー轟鬼

仮面ライダー斬鬼

仮面ライダーザビー

仮面ライダードレイク

仮面ライダーサソード

仮面ライダーキックホッパー/パンチホッパー

仮面ライダーバース

仮面ライダーブラーボ

仮面ライダーナックル

仮面ライダーシグルド

仮面ライダー黒影・真

仮面ライダーネクロム

仮面ライダーレーザー

仮面ライダーシノビ

仮面ライダークイズ

仮面ライダー迅(フライングファルコン)

仮面ライダー雷

仮面ライダー亡

仮面ライダー1型

仮面ライダーバスター

仮面ライダー剣斬

仮面ライダースラッシュ

 

 

【N】

仮面ライダーG3

仮面ライダーG3マイルド

仮面ライダーシザース

仮面ライダータイガ

仮面ライダーインペラー

ライオトルーパー

仮面ライダー裁鬼

仮面ライダーイクサ(セーブモード)

仮面ライダープロトバース

仮面ライダーメイジ

仮面ライダー黒影

仮面ライダーグリドン

黒影トルーパー

仮面ライダー純(量産型仮面ライダーマッハ)

ライドプレイヤー

仮面ライダーアバドン(ショットアバドライザーver.)

仮面ライダーアバドン(スラッシュアバドライザーver.)



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期末試験編
36スレ


007の最新映画を観てきました。
今作で007/ジェームズ・ボンドを15年間演じられたダニエル・クレイグさんがシリーズを退く事になりましたが、終始アクションやシリアスな演技がカッコ良かったです。アマプラで過去作品が観れるのでご興味がある方はお薦めします。このご時世でなかなか難しいですが最新作もご興味ありましたら此方も観に行きましょう。

10/2迄に募集していたアンケートの結果が出まして、劇場版の投稿もやる事が決まりました。小説版を電子書籍で購入したのでストーリーを読み込んだ上で投稿をしていく予定ですのでお楽しみに。

第40話を投稿します。
今回はアンケートで募集したガチャシリーズ第3弾です。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

皆さん、お疲れ様です。

 

2:空座町の無下限呪術師

おっつー!

 

3:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れライダーくん。

 

4:杜王町の幽波紋使い

お疲れ。

 

5:虚刀流のグラップラー

久し振り!

 

6:サクラギ研究所のリサーチフェロー

お疲れー。

 

7:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

お疲れ様ー!

 

8:太刀川隊の狙撃手

お疲れ、職場体験どうだった?

 

9:雄英の仮面ライダー

はい、とても勉強になりました。

ヒーロー殺しの件も一先ず落ち着きましたし、少し先になりますがインターン先も決まりました。

 

10:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>9

え?

もうインターン先決まったの?

早いね。

 

11:虚刀流のグラップラー

インターン先はミルコ?

 

12:雄英の仮面ライダー

そうです。

ミルコさんから誘って頂けたので少し強制でしたが俺も是非にと承諾しました。

 

13:杜王町の幽波紋使い

随分と気に入られたな。

 

14:太刀川隊の狙撃手

けど良かったんじゃないですか。

仮免取った後スムーズに事が進むし。

 

15:サクラギ研究所のリサーチフェロー

現時点で他と差が出たな。

 

16:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

今回はその報告だけかな?

 

17:雄英の仮面ライダー

いえ、今回は報告といつものガチャ実況です。

 

18:虚刀流のグラップラー

出た。

安定のガチャ回。

 

19:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

今回は何のピックアップなの?

 

20:雄英の仮面ライダー

今回は所謂ダークライダーのピックアップガチャになります。

 

21:杜王町の幽波紋使い

ダークライダーって?

 

22:空座町の無下限呪術師

簡単に言うと悪者の仮面ライダーのこと。

主人公とその仲間と敵対してる感じ。

 

23:太刀川隊の狙撃手

それとダークライダーの中には反則級の能力や戦闘力を持ってる奴らが多いですね。

 

24:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

エターナルとかクロノスとかエボルとかですね。

 

25:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ライダーくん、例の如くピックアップ一覧ってある?

 

26:雄英の仮面ライダー

>>25

はい。

今回のピックアップはこんな感じです。

 

 

【LR】

仮面ライダーオーディン

仮面ライダーダークキバ

仮面ライダーエターナル

仮面ライダーゲンム(レベル0)

仮面ライダークロノス

仮面ライダーエボル

仮面ライダーキルバス

仮面ライダーバールクス

仮面ライダーアークゼロ

仮面ライダーアークワン

仮面ライダー滅(アークスコーピオン)

仮面ライダーアークゼロワン

仮面ライダー滅亡迅雷

仮面ライダーソロモン

仮面ライダーストリウス

 

 

【SR】

仮面ライダーG4(取得済)

仮面ライダーリュウガ

仮面ライダーサイガ

仮面ライダーオーガ

仮面ライダーグレイブ

仮面ライダー歌舞鬼

仮面ライダー蝕鬼

仮面ライダーダークカブト

仮面ライダーコーカサス

仮面ライダーガオウ

仮面ライダーネガ電王

仮面ライダー幽汽

仮面ライダーG電王

仮面ライダーサガ

仮面ライダーレイ

仮面ライダーアーク

仮面ライダーポセイドン

仮面ライダーイカロス

白い魔法使い

仮面ライダーソーサラー

仮面ライダーダークウィザード

仮面ライダー武神鎧武

仮面ライダーフィフティーン

仮面ライダーマルス

仮面ライダー邪武

仮面ライダー魔蛇

仮面ライダールパン

仮面ライダー3号

仮面ライダーダークドライブ

仮面ライダーダークゴースト

仮面ライダーエクストリーマー

仮面ライダーアマゾンシグマ

仮面ライダーアマゾンネオアルファ

仮面ライダーゲンム

仮面ライダーゲンム(ゾンビゲーマーレベルX)

仮面ライダーパラドクス(取得済)

仮面ライダートゥルーブレイブ

仮面ライダー風魔

仮面ライダーアナザーパラドクス

仮面ライダーマッドローグ

仮面ライダーブラッド

仮面ライダーメタルビルド

仮面ライダーギンガ

仮面ライダーゾンジス

仮面ライダーザモナス

仮面ライダー滅(スティングスコーピオン)(取得済)

仮面ライダー迅(バーニングファルコン)(取得済)

仮面ライダーサウザー

仮面ライダーエデン

仮面ライダールシファー

仮面ライダーザイア

仮面ライダーカリバー

仮面ライダーファルシオン

 

【R】

仮面ライダー王蛇(取得済)

仮面ライダーガイ(取得済)

仮面ライダーベルデ(取得済)

仮面ライダーアビス(取得済)

仮面ライダーザビー(取得済)

仮面ライダーキックホッパー/パンチホッパー(取得済)

仮面ライダーケタロス

仮面ライダーデューク

仮面ライダーデューク(レモンアームズ)

仮面ライダーシグルド(取得済)

仮面ライダータイラント

仮面ライダーセイヴァー

仮面ライダーブラックバロン

仮面ライダー4号

仮面ライダーダークネクロム

仮面ライダー迅(フライングファルコン)(取得済)

仮面ライダー雷(取得済)

仮面ライダー亡(取得済)

仮面ライダー1型(取得済)

 

【N】

仮面ライダーシザース(取得済)

仮面ライダータイガ(取得済)

仮面ライダーインペラー(取得済)

ライオトルーパー(取得済)

ショッカーライダー(映画『仮面ライダー THE NEXST』)

仮面ライダーメイジ(取得済)

黒影トルーパー(取得済)

仮面ライダーアバドン(ショットアバドライザーver.)(取得済)

仮面ライダーアバドン(スラッシュアバドライザーver.)(取得済)

 

 

27:杜王町の幽波紋使い

>>26

今回も多いな。

 

28:サクラギ研究所のリサーチフェロー

TVシリーズや劇場版は勿論、Vシネや舞台に登場したライダーも対象なんですね。

 

29:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

改めて見ると幅広いよね。

 

30:空座町の無下限呪術師

それで、ライダーくんは今回の狙いは何?

 

31:雄英の仮面ライダー

俺としてはエターナルとクロノス、それとカリバー辺りが来て欲しいですかね。

逆にエボルやソロモンはちょっと……。

 

32::太刀川隊の狙撃手

まあ、下手すると世界滅ぼせるからな。

 

33:虚刀流のグラップラー

>>31

フラグにしか聞こえねぇ。

こう言うのって、来て欲しくない奴が来たりしないか?

 

34:杜王町の幽波紋使い

危険な力なら仮に当てたとしても使わなければ良いんじゃあないか?

まあ、一先ず引いてみたらどうだ?

 

35:雄英の仮面ライダー

そうですね。

それでは早速、そりゃ!

 

【10回目結果】

ショッカーライダー(映画『仮面ライダー THE NEXST』)【N】

仮面ライダーグリス【SR】

仮面ライダーデューク【R】

仮面ライダーセイヴァー【R】

仮面ライダーガタック【SR】

仮面ライダーケタロス【R】

仮面ライダーエボル【LR】

仮面ライダーファルシオン【SR】

仮面ライダーカリバー【SR】

仮面ライダー4号【R】

 

 

エボルトォォォォォ!!

 

 

36:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

落ち着いてライダーくん!

 

37:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

気を確かに!

 

38:サクラギ研究所のリサーチフェロー

うわー、テンプレみたいなフラグ回収だな。

 

39:太刀川隊の狙撃手

"チャオ♪"って幻聴が聴こえそうだ…。

 

40:空座町の無下限呪術師

ライダーくんが善人だから良かったけど、逆だったら下手するとAFO(オール・フォー・ワン)以上のラスボスになってたかもね〜。

 

41:杜王町の幽波紋使い

どうするライダーくん。

もう止めておくか?

 

42:虚刀流のグラップラー

お目当ての1つであるカリバーは引けてるしな。

 

43:雄英の仮面ライダー

も、もう少し回してみます。

……そい。

 

44:太刀川隊の狙撃手

>>43

テンション低っ。

 

45:杜王町の幽波紋使い

ショックのあまり立ち直れてないな。

 

46:サクラギ研究所のリサーチフェロー

果たして結果は…!?

 

47:空座町の無下限呪術師

驚きの鑑定はCMの後!!

 

48:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

なん○も鑑定団のノリ止めい。

 

49:雄英の仮面ライダー

【20回目結果】

仮面ライダー001【SR】

仮面ライダーリュウガ【SR】

仮面ライダークローズチャージ【SR】

仮面ライダータイラント【R】

仮面ライダーチェイサー【SR】

仮面ライダーアナザーアギト【SR】

仮面ライダーサガ【SR】

仮面ライダードライブ【SR】

仮面ライダーダークネクロム【R】

仮面ライダーブラックバロン【R】

 

うーん、まあまあ…かな?

 

50:太刀川隊の狙撃手

【R】と【SR】に偏った感じだな。

 

51:虚刀流のグラップラー

忘れてたけどクローズチャージってクローズとは別枠なのか。

 

52:サクラギ研究所のリサーチフェロー

まあ、変身ベルトが違いますしね。

それだとグリスブリザードやプライムローグも別枠扱いになるって事か。

 

53:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

そう考えるとガチャ対象が本当に多いな。

 

54:雄英の仮面ライダー

そうですね。

それでは、これで最後にします。

そりゃッ。

 

【30回目結果】

仮面ライダーデューク(レモンアームズ)【R】

仮面ライダー1号(映画『仮面ライダー THE FIRST』)【SR】

仮面ライダーサウザー【SR】

仮面ライダーグレイブ【SR】

仮面ライダーシン【SR】

仮面ライダーエターナル【LR】

仮面ライダースペクター【SR】

仮面ライダーオーガ【SR】

白い魔法使い【SR】

仮面ライダーダークキバ【LR】

 

 

おおお!?

エターナル来た!

しかもダークキバも!?

 

55:空座町の無下限呪術師

ライダーくん、シンも来てるよ。

 

56:サクラギ研究所のリサーチフェロー

うわ、ホントですね。

歴代でも異端の仮面ライダーで有名なシンさんじゃないですか。

 

57:虚刀流のグラップラー

見た目殆どが怪人だからなシンさん。

 

58:太刀川隊の狙撃手

戦闘方法もアマゾンライダーやアマゾンズ系以上の野性的で、必殺技が脊髄引っこ抜きですからね。

 

59:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

本当に仮面ライダーか?ってヒーローですよね。

て言うか従来のヒーローとはかけ離れた存在と言うか…。

 

60:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ストーリーも序章(プロローグ)だけで続編が未だに出てなかったよね。

 

61:雄英の仮面ライダー

けどストーリーの濃厚さは勿論アクションや変身エフェクトの迫力は凄かったですよ。

仮面ライダーの生みの親である石ノ森章太郎先生も出演してましたし。

未完ですが傑作だと個人的に思います。

 

62:空座町の無下限呪術師

ライダーくんってホント仮面ライダー好きだね〜。

あ、そうだった。

皆に紹介したい子たちがいるんだけど。

 

63:虚刀流のグラップラー

紹介したい子たち?

 

64:杜王町の幽波紋使い

もしかして、新しい転生者の事か?

 

65:サクラギ研究所のリサーチフェロー

新たなスレ民ですか!?

 

66:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

そうなんですか呪術ニキ!?

 

67:空座町の無下限呪術師

まあまあ、落ち着いて。

それじゃあ2人とも元気良く自己紹介ヨロシク!

 

68:鬼滅ごっこをやってる忍者

初めまして、NARUTO世界に転生した忍者です。

木の葉隠れの下忍で、普段はチャクラ刀で鬼滅ごっこやってます。

 

69:海賊系美食屋

どうも!

大海賊時代で未知なる味を探究する美食屋です!

グルメ四天王の能力が使えます!

今は仲間のヤマトと一緒に冒険(食材探索)してます!

 

70:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

また随分とキャラが濃い子たちだなぁ。

 

71:太刀川隊の狙撃手

しかも2人ともジャンプ作品ですね。

 

72:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ジャンプ民一気に増えたな。

あれ?

そうなると俺と小林ニキとグラップラーニキと円卓ニキだけが除け者?

 

73:杜王町の幽波紋使い

と言っても半分くらいじゃあないか。

気にしなくて良いだろ。

 

74:雄英の仮面ライダー

まあ、何はともあれ。

2人ともこれからよろしく。

 

75:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

よろしくね。

 

76:虚刀流のグラップラー

歓迎するよ。

 

77:鬼滅ごっこをやってる忍者

よろしくお願いします。

 

78:海賊系美食屋

よろしく!

あ、美味そうな匂いがするんで俺はこれで!

 

79:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

マイペースだな美食屋ニキ。

エルマかよ。

 

80:空座町の無下限呪術師

まあまあ!

キリが良いし今回は此処で御開きにしようか!

ライダーくんも良い?

 

81:雄英の仮面ライダー

はい。

それでは皆さん、お疲れ様でした。

 

82:杜王町の幽波紋使い

お疲れ。

 

83:虚刀流のグラップラー

お疲れ様!

 

 

「また会ったな。さあ、闘えッッッ!!」

 

 

ゆ、勇次郎さん!?

逃げるんだよォ!

どけーッ通行人どもーッ!

 

84:サクラギ研究所のリサーチフェロー

グラップラーニキ、ドンマイ。

お疲れ。

 

85:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

お疲れ様。

 

86:鬼滅ごっこをやってる忍者

お疲れ様です。

さて、修業しよう。

 

87:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れー。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




ダークライダーのオンパレード
ガチャでダークライダーの力を得たライダーくん。本来は悪の力だったが人類の為に扱えるのか……。


登場人物紹介

鬼滅ごっこをやってる忍者
【NARUTO】世界の転生者。

年齢 13歳
全ての性質変化とチャクラ刀を使って鬼滅の刃ごっこをやってる下忍。
ナルト世代で唯一スリーマンセルの班からハブられた生粋のぼっち。
1ヶ月毎に各班の任務に同行している。
ナルトやシカマルたちと仲が良く、サスケとは修業仲間。
実は特殊な一族の生まれ(?)らしい。


海賊系美食屋
【ONE PIECE】世界の転生者

年齢 25歳
トリコの美食四天王の力が使える。
"偉大なる航路"の未知なる食材を求めて冒険をしている。
ルフィ以上の食いしん坊。
新世界にある"ワノ国"でヤマトと出会い、爆弾付きの手錠を外して仲間にした。
覇気は覇王色、武装色、見聞色が使える。
懸賞金は不明(本人は興味無し)だが過去に世界政府から王下七武海の勧誘を受けたが承諾しなかった。


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37スレ

仮面ライダーエビルの正体は予想通り大ニだったけど、一輝と違って悪魔に身体乗っ取られてる状態とか怖いし、ジョージ・狩崎はああなる事を予測してた感じでやっぱサイコ野郎っぽいし、リバイスって何だかんだ闇が深そう……。

ウルトラマントリガーは最強形態グリッタートリガーエタニティが登場して物語も折返しに入った感じがして今後の展開が楽しみです。扱えきれない力にケンゴがどう向き合うか。……まあ、リブットもゲスト出演するみたいだからその時に力の制御が出来る感じになるのかな?

第41話です。
今回ライダーくんが変身する仮面ライダーのヒントは「改造人間」「空を飛ぶライダー」「99の技」


職場体験の翌日、1週間振りの登校は朝から騒がしい。

 

「「アッハッハッハ!マジか!マジか爆豪!」」

 

切島と瀬呂がベストジーニストの様な八二分けになっていた爆豪を見て大声で笑っていたからだ。

 

「笑うな!クセになって洗っても落ちねぇんだよ!おい、笑うな!ぶっ殺すぞ!」

 

「やってみろよ8:2坊や!」

 

笑われた爆豪は怒りで爆発寸前だが切島たちは笑うのを止まなかった。

 

そんな爆豪たちを他所に皆はそれぞれ職場体験の報告をしていた。

 

「峰田は職場体験どうだった?」

 

「"どうだった"って生優しいもんじゃねぇよ。なあ、知ってるか佳面、女ってのはさ…腹の奥底で本性を隠し持ってるもんなのさッ……!」

 

「Mt.レディの所で何を見たの?あと爪噛むの止めようね」

 

峰田は遠い目をしながら自分の指の爪を噛み始めたので止める。

 

「けど1番大変だったのはお前ら4人だよな!」

 

「そうそう、ヒーロー殺し!」

 

「心配しましたわ」

 

「エンデヴァーとミルコが助けてくれたんだっけ?」

 

「流石トップヒーローだよな!」

 

話題はヒーロー殺しに移り、現場に居た俺・緑谷・飯田・轟に視線が集まった。

 

面構署長の言った通り、情報操作のお陰で世間では()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と認識している様だ。

 

「ニュースでも言ってたけどさ、ヒーロー殺しは(ヴィラン)連合と繋がってたんだよね?」

 

「USJの時に居たらマジでヤバかったよな」

 

「けど捕まったし、もう大丈夫だろ」

 

「……いや、安心はまだ出来ないと思う」

 

ヒーロー殺しが捕まった事に皆が安堵している中、俺は()()()()()を考えていた。

 

「どう言う事だ?」

 

「ヒーロー殺しは捕まったんでしょ?」

 

俺の言葉に障子と耳郎さんが問いかける。

 

「確かにヒーロー殺しは捕まったけど、ニュースやネットでヒーロー殺しの経歴は勿論、彼が捕まる直前に言った言葉が全国的に広がった。それは皆も知ってるよね」

 

「ああ。"俺を殺していいのはオールマイトだけだ"ってヤツだろ?」

 

「学生時代でヒーロー科に居たのにも驚いたよな」

 

切島と砂藤がそれぞれヒーロー殺しの経歴や言葉を思い出していた。

 

「それがどーしたの?」

 

芦戸さんが質問する。

 

「世間ではヒーロー殺しの事をただの(ヴィラン)として扱ってるけど、(ヴィラン)側からは一種のカリスマとして視られているかもしれないって事。つまり、ヒーロー殺しの考えに感化される輩が出てくる可能性があるって事になる」

 

「確かに……ネットの中にはヒーロー殺しの事をダークヒーローとして視てる奴らも一部では居るよな」

 

俺の仮説に轟も納得する。

 

「それにヒーロー殺しは(ヴィラン)連合と関わっていた。そこが1番のポイントになると思う」

 

「えっと、つまりどう言う事なん?」

 

「麗日さん、連合はヒーロー殺しをプロパガンダの1つとして利用したかもしれないと佳面さんは仰っているのですわ」

 

「それじゃあ、ヒーロー殺しに感化された奴らが連合に集まってくるかもしれねぇって事かよ!?」

 

「ヤベーじゃん!」

 

八百万さんの補足に皆が驚く。

 

「けどよ!それってあくまで憶測だろ!そんな事にならねぇかもしれねぇじゃんか!」

 

「甘えんだよ」

 

叫ぶ峰田をいつもの髪型に戻った爆豪が否定する。

 

「何がだよ爆豪?」

 

「容量ねぇ頭で考えろや。USJン時に連合の奴らはオールマイトを殺す為に雄英を襲った。"オールマイトに挑んだチンピラ集団"だったのがヒーロー殺しの存在で"思想を持ったテロリスト集団"に格上げしたって事だろうが」

 

「……烏合の衆から巨悪の組織に昇華」

 

爆豪の言葉に常闇も納得した。

 

「ケロ、それってかなり不味いんじゃないかしら」

 

「ヒーロー殺しは連合と繋がってんだろ?警察の取調べで奴らのアジトを突き止めれば」

 

「いつまで話してる。朝礼の時間だろうが」

 

すると相澤先生が教室に入って来た。

 

「けど先生!(ヴィラン)連合が」

 

「……その件に関しては警察がプロヒーローと連携して調査を進めていく。今のお前たちがああだこうだと言ってどうにかなる訳ではないだろ?お前たちに出来ることは1日でも早く1人前のヒーローになる為に力をつける事だ。……分かったら朝礼を始めるぞ」

 

全員がモヤモヤしながらも、普段の日常が始まる。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「ねえねえ!ヒーロー殺しに遭遇したんだよね?大丈夫だったの?それに体育祭とは違う変身をしたよね?綺麗な緑色で凄くトカゲぽかった!なんでなんで?」

 

「近いです。もう少し離れて下さい波動先輩」

 

昼休憩の食堂にて、俺は偶然出会ってしまった波動先輩に質問責めを受けていた。

 

「だって気になるんだもん!教えて教えて!」

 

「ヒーロー殺しはミルコさんとエンデヴァーさんのお陰で大丈夫でした。あとトカゲっぽい姿は"アマゾンオメガ"と言う名前です」

 

「そうなんだ!それでまだ他にも変身出来るの?見せて見せて!」

 

まるで好奇心旺盛な子どもの様に制服の袖をグイグイ引っ張って来る波動先輩に俺は困っていた。

 

今日に限ってクラスメイトが近くに居ない。

 

……ウルトラ不幸だ(3分の1人前なヒーロー並感)。

 

「……それなら今度、放課後自主練に付き合って下さい。承諾して頂けるならお見せしますよ」

 

「うん!約束だよ!」

 

すると波動先輩は右手の小指をフック状に曲げて俺の前に突き出す。

 

「……えっと、波動先輩それは?」

 

「指切り!ちゃんと約束守らないと駄目だから!」

 

流石に高校生にもなって指切りするのは少し羞恥心を覚えるが、此処で拒んでも彼女の性格上余計に駄々を捏ねる事になるだろうと思い、俺は渋々小指を引っ掛ける。

 

「指きりげんまん嘘ついたら……どうしよっか?」

 

「え?罰決めるんですか?」

 

普通に"針千本呑ます"で良いと思うのだが。

 

「じゃあ嘘ついたらデートしよっか!」

 

「波動先輩、それ罰になってません」

 

それ罰やない、ご褒美や。

 

「指きりげんまん嘘ついたらデート!指切った!」

 

「……もうそれで良いです」

 

一方的な指切りが終了し、俺は豚骨ラーメン(紅ショウガ付き)を食べ始めた。

 

ラーメンを食べ終わるまで周囲の視線が物凄く生暖かった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「ハイ!私が来た!ってな訳で久し振りだね少年少女! 早速だが始めるよヒーロー基礎学!」

 

午後から始まったヒーロー基礎学はオールマイトのぬるりとした登場から始まった。

 

「あっさりと登場したな。ネタ切れか?」

 

「ネタ切れじゃないよ!無尽蔵だっつーの!」

 

オールマイトのネタ切れ疑惑を疑う俺たちだったが、オールマイトは話題を変える様に会場へ視線を変えながら授業説明を始める。

 

「さあ! 今日は職場体験明け初日と言う事で、少し遊びを含んだ訓練だ!」

 

「そう、救助訓練レースだ!」

 

オールマイトは会場となる場所を指差した。

 

今回の演習場は『運動場γ』。

 

それは複雑な迷路と言える“密集工業地帯”をイメージした場所で配管・貯水タンク・冷却塔等が存在し、クレーンや煙突が木々の様に存在を示している密集地帯。

 

そんな密集工業地帯で、オールマイトが始めようとしているのは救助訓練レース。

 

5人1組ずつ開始し、オールマイトが居るゴールにより早く到着した方が勝ちと言うシンプルなルール。

 

最初の1組目のメンバーは芦戸さん・飯田・尾白・瀬呂・緑谷。

 

他の皆は誰が1位になるか各々で予想した。

 

「あの中だと瀬呂かな。ああ言う入り組んだ場所だと真価が発揮するだろうし」

 

「いや尾白も尻尾を上手く使えばワンチャンあり得るぞ。最初の戦闘訓練での高速移動は凄かったし」

 

「逆に芦戸は不利になるか?」

 

「けど芦戸の運動神経は並じゃないぜ!」

 

「今回は飯田は怪我してるし」

 

「緑谷さんも骨折克服してますし、もしかしたら」

 

「デクは最下位」

 

「いやいや、体育祭でも緑谷スゲー動けてたろ?」

 

「絶対最下位!」

 

「何故に頑ななん!?」

 

「……佳面、お前はどう思う?」

 

「うーん、アクシデントが無ければ緑谷。緑谷がテンパったら瀬呂か尾白かな?」

 

緑谷の成長速度はA組でも群を抜いているがよく緊張する癖がある為パフォーマンスが十全でない場合もあり得る。

 

オールマイトの合図が出て、レース開始。

 

結果は全身を強化し、アクシデント無く落ち着いてゴールした緑谷が1位を取った。

 

しかも個性の発動スピードが体育祭時よりも早かった所を観ると職場体験で成長した様子だった。

 

続いて第2レース。

 

俺・砂藤・耳郎さん・轟・八百万さん。

 

「やりますか」

 

「負けられねぇ!」

 

「この中だとウチが不利か…」

 

「よし」

 

「落ち着いて、いつも通りにやればッ…」

 

スタート地点に待機し、開始の合図を待つ。

 

 

『それでは第2レース、スタート!』

 

 

開始のアナウンスと同時に一斉にスタートする。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

俺は左手を腰に、右手を左斜め上方に掲げる構えを取る事で、変身ベルト【トルネード】を出現させる。

 

 

「スカイ…変身!」

 

 

搭載された風車で受けた風圧エネルギーを取り入れ、俺の身体はマスクや背面、下半身は明るいグリーンへと変貌し、胸と腕は艶のあるオレンジになった。

 

その名はスカイライダー。

 

悪の組織ネオショッカーに勇敢に立ち向かった仮面ライダー第8号である。

 

「セイリングジャンプ!」

 

変身ベルト【トルネード】の左右にセットされたレバーである【重力低減装置】を倒し、天高くジャンプする。

 

そしてそのまま時速800kmでオールマイトの居るゴール地点まで滑空飛行する。

 

「佳面!?アンタ飛べるの!?」

 

「マジかよ!?」

 

「クソッ!」

 

「速過ぎますわ!」

 

さっきまで前に居た4人をごぼう抜きし、ゴール地点に着地する。

 

「ご、ゴール!1位は佳面少年!」

 

「ありがとうございます」

 

第2レースは俺が1位を取った。




仮面ライダー紹介

スカイライダー

レア度【SR】

出典『仮面ライダー(新)』


A組、(ヴィラン)連合の動きに不安を感じる
ヒーロー殺しに感化された輩が近い将来(ヴィラン)連合に集まるのではないかと言う可能性にA組の皆は危機感を覚える。


ライダーくん、波動先輩と約束する
今度の放課後、波動先輩に自主練の手伝いをして欲しいとお願いするライダーくん。波動先輩は快く承諾し、指切りをする。側から見れば付き合っている様にしか見えない……。またヒロイン'sの葉隠・蛙吹ペアがオコになりそうな案件である。


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38スレ

最近転職して仕事を覚えるのに必死で投稿頻度が遅くれてしまいましたが、これからも少なくとも週1ペースで頑張って続けていきたいと思います。

仮面ライダーリバイスでは遂に変身失敗おじさんことヒロミさんが仮面ライダーデモンズに変身してテンションが上がりました。しかもドライバーの音声が津田○次郎さんって、豪華だなあ。
冬の映画の情報も少しずつ公開されて来ましたし、TVシリーズも含めてこれから楽しみです。

ウルトラマントリガーではマルゥルの探偵回と昨日放送された回でタルタルソースと同じアブソリューティアンの新たな戦士ディアボロが乱入し、エタニティコアのエネルギーを狙うも間一髪でリブットが窮地を救ってギャラファイ第3弾に繋がるんだなあと思いました。リブットの人間態を演じるのが土屋新○さんでメッチャ声カッコいいっていうね。お姉さんの土屋○鳳さんも『ベリアル銀河帝国』でエメラナ姫を演じてましたし、姉弟揃ってウルトラマン作品に出演したケースって珍しいですよね。てか、ディアボロの声を担当されてるのがカクレンジャーのサスケやギンガマンのヒュウガを演じられた俳優の小川輝○さんってマジですか……。

長々と語ってしまいましたが、第42話を投稿します。それでは、どうぞ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

午後のヒーロー基礎学の後、更衣室で峰田が女子の着替えを覗こうとしたので止めるの大変でした。

 

2:サクラギ研究所のリサーチフェロー

安定の峰田くんwww

 

3:虚刀流のグラップラー

原作で知ってたけど、覗きって本当にやるんだな。

 

4:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

立派な犯罪だから笑い事じゃ済まないけどね。

 

5:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

実際にやったら捕まりますからね。

そう考えると峰田くんはよく停学とか退学にならなかったな。

 

6:杜王町の幽波紋使い

未遂で済んだからだろうけどな。

 

7:太刀川隊の狙撃手

一先ず、問題にならなくて良かったよ。

 

8:雄英の仮面ライダー

はい。

それと、授業が終わった後に飯田からお兄さんの怪我の事で病院に行ってきました。

 

9:杜王町の幽波紋使い

治療の件か。

 

10:サクラギ研究所のリサーチフェロー

依頼されたのか。

 

11:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

それでどうだった?

 

12:雄英の仮面ライダー

仮面ライダー最光の治癒能力で何とか脊髄損傷による下半身麻痺を含む全ての怪我を治す事が出来ました。

けど、治せただけなのでリハビリは必要になりますが。

 

13:サクラギ研究所のリサーチフェロー

マジか!?

脊髄が損傷する程の怪我も治せるのかよ!

 

14:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

やっぱり最光は最高だな。

 

15:杜王町の幽波紋使い

仗助の【クレイジー・ダイヤモンド】も大概だが、仮面ライダーもかなりの能力だな。

 

16:太刀川隊の狙撃手

流石セイバー勢の某猫型ロボット。

 

17:虚刀流のグラップラー

復ッ活ッ!

インゲニウム復活ッッ!

インゲニウム復活ッッ!

 

18:海賊系美食屋

グラップラーニキ、烈海王みたいになってるぜ?

 

19:雄英の仮面ライダー

いや、飯田のお兄さんは引退する意思を変えないみたいで、今後サポートとして相棒(サイドキック)たちをまとめていくそうです。

ヒーロー名【インゲニウム】は飯田に継承させて、将来飯田の右腕として支えていきたいと仰っていました。

取り敢えずひと段落しましたし、これで期末試験に集中出来ます。

 

20:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

そう言えば、期末試験があったね。

 

21:サクラギ研究所のリサーチフェロー

気をつけろよライダーくん。

期末試験でも筆記は兎も角、実技はかなりハードになると思うから。

 

22:杜王町の幽波紋使い

そんなにハードな内容なのか?

 

23:太刀川隊の狙撃手

そうですね。

最近の(ヴィラン)による事件発生率を考慮して、より実践向きの試験になると思います。

 

24:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

頑張れよライダーくん。

 

25:雄英の仮面ライダー

はい。

そういえば、呪術ニキと忍者ニキは?

 

26:海賊系美食屋

そういやスレに参加してないな。

 

27:杜王町の幽波紋使い

呪術ニキは本業の警察の仕事で、忍者ニキは任務で波の国に行ってるだそうだ。

 

28:虚刀流のグラップラー

波の国って事は、原作でナルトたちがCランク任務で桃地再不斬・白と対決する辺りか。

 

29:サクラギ研究所のリサーチフェロー

忍者ニキの最初の修羅場だな。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

インゲニウムの治療を終えた翌日。朝のHRで相澤先生が話し始める。

 

「えー、そろそろ夏休みも近いが、勿論君らが1ヶ月休める道理は無い」

 

「まさか……!」

 

一瞬の静寂の後、相澤が再び口を開く。

 

 

「夏休み、林間合宿やるぞ」

 

 

「「「知ってたよ!やった~!!」」」

 

 

「肝試そ~!」

 

「風呂!」

 

「花火」

 

「行水!」

 

「カレーだな」

 

「湯浴み!」

 

「峰田。未遂だったとはいえ、覗きの件忘れてないよね?」

 

「あ、あたぼうよ!?」

 

「ぜってー嘘だな」

 

「自然環境ですと、また活動条件が変わってきますわね」

 

「如何なる環境でも正しい選択を…か。……面白い」

 

「寝食皆と!ワクワクしてきた!」

 

 

「ただし!!」

 

 

皆が騒いでいる中、相澤先生の強めの口調で口を挟み、教室は再び静まりかえる。

 

「その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は補習地獄だ」

 

「皆!頑張ろうぜ!」

 

「クソくだらねぇ」

 

「女子頑張れよ!」

 

その後HRは終わり、通常授業が始まった。

 

こうして、暫くは普通の学校生活が続いた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

そして時は過ぎ、期末試験1週間前。

 

「よし、授業はここまでにする。期末テストまで残すところ1週間だが、お前らちゃんと勉強してるだろうな?当然知ってるだろうが、テストは筆記だけでなく、実技の演習もあるからな。頭と身体を同時に鍛えておけ。以上だ」

 

そう言い残し、相澤先生は教室から出て行く。

 

その瞬間

 

「全く勉強してな~い!!体育祭とか職場体験でやる暇なかったー!!」←20位(芦戸さん)

 

芦戸さんが声を上げる。

 

その表情は何故か楽しそうに笑っていた。

 

「確かに、行事続きではあったが…」←15位(常闇)

 

「中間はまぁ、入学したてで範囲狭いし、特に苦労なかったんだけどな。行事が重なったこともあるけど、やっぱ期末は範囲広いし中間と違って……」←13位(砂藤)

 

コクコクと頷く←12位(口田)

 

「演習試験もあるのが辛ぇとこだよな」←10位(峰田)

 

「中間10位!?あんたは同族だと思ってたのに~!!峰田みたいな奴はバカで初めて愛嬌が出るんでしょうが!何処に需要あんの!!」

 

「世界…かな」

 

何故かドヤ顔をキメる峰田。

 

期末試験が間近に迫り、中間テストであまり成績が良くなかった人たちは焦り出していた。

 

「芦戸さん!頑張ろうよ!やっぱ全員で林間合宿行きたいもん!ね!!」←5位(緑谷)

 

「うむ!俺もクラス委員長として皆の奮起を期待している!」←2位(飯田)

 

「普通に授業出てりゃ赤点は出ねぇだろ」←6位(轟)

 

「普段から復習も出来てたら問題無いと思うけどね」←3位(俺)

 

「言葉には気をつけなよ男子……!!」

 

成績上位陣から励ましの言葉を受けるが、逆に心にダメージを負う芦戸さん。

 

そんな芦戸さんに、救いの手が差し伸ばされる。

 

「芦戸さん。座学なら私、お力添え出来るかも知れませんわ」←1位(八百万さん)

 

「ヤオモモ~!!」

 

「実技の方はからっきしでしょうけど…」

 

成績が危うい芦戸さんに八百万が声をかけ、芦戸さんはそれに感激する。

 

更に

 

「芦戸程じゃないけどさ、ウチもいいかな?二次関数、ちょっと応用躓いちゃってて」←8位(耳郎さん)

 

「えっ?」

 

「悪ぃ俺も!八百万、古典分かる?」←18位(瀬呂)

 

「えっ?」

 

「俺も良いかな?幾つか分からない部分あってさ」←9位(尾白)

 

「「「お願い!!!」」」

 

耳郎さんに続いて瀬呂、尾白が八百万さんに勉強について教えて欲しいと頼んできた。

 

それを聞いた八百万さんは感激のあまり、目を輝かせる。

 

「皆さん…!!良いですともぉ~!!」

 

「「「やったぁーー!!」」」

 

「では、週末にでも私の家でお勉強会を催しましょう!」

 

「マジで!?ヤオモモん家超楽しみィ~!」

 

「あぁ、そうなるとまずお母様に報告して講堂を空けていただかないと!」

 

(((講堂!?)))

 

「皆さん、お紅茶は何処かご贔屓がありまして?」

 

(((お紅茶!?)))

 

「我が家はいつもハロッズかウェッジウッドなのでご希望がありましたら用意しますわ!もちろん勉強のことも任せてください!必ずお力になって見せますわ!」

 

スーパーセレブ発言をマシンガントークの如く饒舌に語り始める八百万さんを芦戸さんたちは呆然と見ていた。

 

(ナチュラルに生まれの違いを見せつけられたけど……)

 

(なんか超プリプリしてんの超カワイイからどうでも良いや)

 

1人張り切る八百万さんの姿を芦戸さんたちは和やかな気持ちで見守る。

 

俺と緑谷たちがそんな光景を見ていると

 

「佳面くん〜!毎年で悪いけど勉強教えてー!!」←17位(葉隠さん)

 

今度は葉隠さんが俺に懇願して来た。

 

「あれ?葉隠さん、中間は自力で頑張れてたよね?」

 

「そうだけど期末は流石に厳しいよ〜!!」 

 

恒例行事の如く、中学から試験が近づくと葉隠さんは俺に勉強を教えて貰いに来てたが……今年もこうなったか。

 

「分かった。良いけど残り1週間しか無いから覚悟してね」

 

「イエッサー!宜しくお願いするであります教官!」

 

「誰が教官だよ」

 

新米軍人の様に敬礼する葉隠さんに思わずツッコむ。

 

「佳面くん、私もええかなぁ」←14位(麗日さん)

 

「麗日さんも?良いよ。青山と障子は?良かったら一緒にやる?」

 

「良いのか?」←11位(障子)

 

「merci☆」←19位(青山)

 

「ケロ、佳面ちゃん。私も良いかしら?」←7位(蛙吹さん)

 

「勿論だよ蛙吹さん」

 

5人か…かなり大所帯になったけど、提案したからには頑張らないと。

 

「場所はどうする?」

 

「流石に6人だと場所使うから、実家が3階建てビルで2階が事務所になってるからそこでやろうか」

 

「事務所って、佳面ちゃんのお家は自営業をされてるのかしら?」

 

「佳面くんの実家はコーヒーショップなんだよ!」

 

「お、オシャレや……!?」

 

「紅茶はあるかな?☆」

 

「流石に店には置いてないけど、事務所にはアッサムとダージリンがあるしフレーバーティーだとアールグレイも出来るよ」

 

後でオヤッさんに事務所の事で連絡入れておこう。

 

それを他所に爆豪が切島に勉強を教える事になったそうだ。

 

何だかんだ面倒見は良い様に思えた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

昼休憩の食堂で遭遇したB組の物間に絡まれるも拳藤さんが仲裁に入り、その時に彼女から毎年実技試験が入試でやったロボットとの実戦演習になる事を聞くことが出来た。

 

「やったぁ~~~!!」

 

教室では芦戸さんが実技試験の内容に喜びの声を上げていた。

 

「ロボなら楽ちんだよ!」

 

「芦戸は対人だと個性の調整大変そうだからな」

 

「ロボなら溶かして楽勝だ!あとはヤオモモに勉強教えてもらえば期末はクリア!これで林間合宿バッチリだぁ~!!」

 

芦戸さんを始め、他の生徒達が期末試験について楽観視し始めた。

 

その時、

 

「人でもロボでもぶっ飛ばすのは同じだろ。何が楽ちんだアホか!」

 

爆豪が苛つきながら芦戸さんに言い放つ。

 

「アホとは何だアホとは!」

 

「うっせぇな!!!調整なんか勝手に出来るもんだろアホだろ!!なぁ!?デク!」

 

「!?」

 

芦戸さんに噛みついた後、爆豪は緑谷に話を振る。

 

「個性の使い方、体育祭からちょっと分かってきたか知らねぇけどよォ、テメェはつくづく俺の神経逆なでするな!俺は半端な結果はいらねぇ。次の期末なら個人成績で否が応にも優劣が付く。完膚なきまでに差ァつけてテメェをぶち殺してやる!!!」

 

「……っ!?」

 

「佳面!轟!テメェらもだ!!」

 

爆豪は緑谷だけでなく、俺と轟に対しても宣戦布告し1人教室から出た。

 

「何イラついてんだ爆豪」

 

「何かとキレるのは前からだけど、今日はいつも以上だな」

 

残った全員が爆豪の様子を見て困惑する。

 

「……」

 

爆豪の事は気になるが、俺は実技試験の事を考えていた。

 

ロボット相手による実践演習。

 

毎年決まった内容だそうだが、ニキたちの会話だとより実践向きになると言っていたのだ。

 

もしかしたら今年から内容が変更するかもしれない。

 

「佳面、さっきから何考え込んでんだ?」

 

そんな俺を見て、轟が声を掛ける。

 

「少しね。実技試験が本当に例年通りの内容になるのかなあと思ってさ」

 

「え?どういう事?」

 

「内容が変更されるって事か?」

 

皆も俺の方を見て質問する。

 

(ヴィラン)連合、ヒーロー殺し。ここ最近の(ヴィラン)の動きが活発になってるのにロボットでの演習をさせるとは少し考えづらいかなって。それこそ、相澤先生風に言う"合理的に欠ける"ってヤツじゃないかな」

 

「どちらにしろ、爆豪が言ってた事は間違ってないよ。相手が人になろうとロボットになろうと、気を緩ませずに備えておくべきだと俺は思う」

 

俺の言葉に皆の表情が引き締まる。

 

「だな。どっちにしろ、片方でも赤点取ったら補習になるんだ!」

 

「筆記も実技もクリアして、皆で林間合宿行こうぜ!」

 

「「「オオオー!」」」

 

こうして、俺たちは一丸となって期末試験に備えてのであった。




飯田、2代目インゲニウムを襲名する
初代インゲニウムである飯田兄はヒーロ殺しの一件から自身のヒーロー名を飯田弟に譲り受ける事を決めており、怪我が治った今でもその意思は変えない。今後サポートとして事務所を纏めて近い将来飯田弟が2代目インゲニウムとして活動する際に右腕として支えていく。


次回、ライダーくんによる勉強回。
ゲストとしてあの人(?)が登場!
ヒントは最近YouTubeの無料配信で最終回を迎えたあの作品より(Start your engine!)


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39スレ

第43話を投稿します。

今回は期末試験に向けての勉強会。
ライダー君たちの特別講師として登場するキャラのヒントは「天才」「秘密主義者」「ベルト」です。




「いらっしゃい皆」

 

「宜しくね!」

 

「オシャレな建物やわ〜」

 

「ケロ、宜しくお願いするわ。佳面ちゃん」

 

「宜しく頼む」

 

「建物の色合いが素晴らしいね☆」

 

勉強会当日。

 

事前に参加者の皆に家の住所を伝えておいたので、時間通りに皆が俺の家に到着した。

 

「それじゃあ、早速事務所に案内するよ」

 

俺は建物の横の階段から事務所へ案内する。

 

「此処が事務所。いつもは店の経営とトレーナー業をやってるオヤッさんが事務や打ち合わせで使ってるけど、許可貰ってるから気にしないで」

 

「「「(お、オシャレだ…!?)」」」

 

レンガ風の壁紙に、黒を基調としたアンティークな椅子が6脚と大きな長方形のテーブル、壁際に資料が並べられた棚と天井には大きなシーリングファンが吊るされており、エアコンは勿論巨大ディスプレイが1つ壁に掛けられた事務所の内装となっている。

 

他には給湯スペースもあり、冷蔵庫も完備されている。

 

何処か緊張気味な皆(良く出入りする葉隠さんは除く)が椅子に腰掛ける。

 

「飲み物だけど、コーヒーと紅茶、緑茶に麦茶があるから好きなの選んでね。なんならコーヒーにラテアートするけど」

 

「ラテアート出来るん!?」

 

「凄いな」

 

「ケロ、本当に多彩なのね。佳面ちゃん」

 

「私アイスコーヒー!イルカのラテアート付きで!」

 

「僕はアールグレイ☆」

 

「分かった」

 

麦茶(麗日さん)、アイスコーヒー・無糖(俺、障子)、アイスカフェラテ(蛙吹さん)、ラテアート付きアイスコーヒー(葉隠さん)、アールグレイ(青山)をテーブルに運ぶ。

 

各々出された飲み物で一息吐いて、早速勉強会を開始する。

 

「それと、今回の勉強会に特別講師を呼んだから皆に紹介するよ」

 

「特別講師?」

 

「誰か来ているのか?」

 

「どんな人だい?☆」

 

「ケロ、気になるわ」

 

「教えて教えて!」

 

突然の事に皆は驚いているので、早速特別講師を呼ぶ。

 

「それじゃあ紹介するよ。出て来てくれ、ベルトさん

 

『OK』

 

俺の呼び掛けに突如この場に居ない男性の声がしたと同時に、テーブルか中央に位置する円形デジタルディスプレイには顔が表示されていた銀色のベルトが出現した。

 

Nice to meet you.(はじめまして)1年A組の諸君。私はクリム・スタインベルト。通称"ベルトさん"だ。来太の頼みで今回の勉強会の特別講師をやらせて貰うことになった。宜しく頼む』

 

「「「………」」」

 

突然のベルトさんの登場に、皆はピクリとも動かなくなった。

 

まるで重加速、通称"どんより"が発生したみたいだった。

 

「……あれ?ベルトさん重加速した?」

 

『私は何もしていないぞ来太!?』

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

まさかのベルトさん!?

 

2:空座町の無下限呪術師

Surprise!

 

3:虚刀流のグラップラー

世界中がDrive!

 

4:サクラギ研究所のリサーチフェロー

唐突に仮面ライダードライブのOP歌わないで下さい。

 

5:杜王町の幽波紋使い

ベルトが喋ってるな。

 

6:太刀川隊の狙撃手

仮面ライダードライブの変身アイテム【ドライブドライバー】ことクリム・スタインベルト博士です。

元々は人間でしたが機械生命体【ロイミュード】によって命を落としてしまい、ベルトに自らの意識データを移したんですよ。

主人公の泊進ノ介から"ベルトさん"の愛称で呼ばれてました。

 

7:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ドライブだとチェイスが好きだったな。

 

8:海賊系美食屋

俺はハートかな。

 

9:鬼滅ごっこをやってる忍者

俺は仮面ライダーマッハこと詩島剛ですかね。

 

10:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

可愛い担当の霧子とセクシー担当のメディックも捨てがたい。

あとりんなさんも。

 

11:空座町の無下限呪術師

現さんこと追田現八郎も良いキャラだったよね。

 

12:虚刀流のグラップラー

本願寺課長や究ちゃんも名キャラだったな。

 

12:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

皆、優秀で誠実なブレンさんの事忘れてない?

 

13:雄英の仮面ライダー

「俺は文系科目、理数系科目はベルトさんが担当するよ。頼むねベルトさん」

 

『OK。早速始めていこう』

 

14:杜王町の幽波紋使い

ライダーくんとベルトさんが各科目で教えていく感じか。

 

15:空座町の無下限呪術師

ベルトさん科学者だからね。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

俺とベルトさんで担当を決めて勉強会を始める。

 

苦手でなくても流石に元々科学者であるベルトさんより理系が出来る訳では無いため、俺は文系の科目を教えていく事にした。

 

「青山、此処の文法はね───」

 

「なるほどね☆」

 

『麗日、計算式は合っているが答えが間違っているね』

 

「え!?ホンマに!?」

 

「佳面、此処の英文だが」

 

「ああ、此処はね───」

 

「ベルトさん、此処を教えて貰えるかしら」

 

『OK。蛙吹』

 

「佳面くん、この答え合ってるかな?」

 

「どれどれ」

 

途中休憩と昼食を挟みながら勉強会はスムーズに進み、あっという間に勉強会は無事に終了した。

 

「それじゃあ、これで勉強会を終わります。お疲れ様」

 

「お、終わった〜」

 

「疲れたー!」

 

「あっという間だったわ」

 

「終始集中してたからな」

 

「夕日が綺麗だね☆」

 

Good job.(お疲れ)皆よく頑張ったね』

 

勉強会を終えた皆を俺とベルトさんは労う。

 

全員地頭が良いため教えた事を直ぐに理解してくれたので教える側としても苦では無かった。

 

「時間が時間だし、電車組は駅まで車で送るよ」

 

「ええの?ありがとう佳面くん!」

 

「何から何まで済まないな」

 

「ケロ、ありがとう佳面ちゃん」

 

「merci☆」

 

「葉隠さんは?近いけど送ろうか?」

 

「私はもう少しベルトさんに教えて貰おうかな。良いベルトさん?」

 

『私は構わないよ』

 

「分かった。そうだ、帰る前に───」

 

車に乗せる前に3階の自宅から持ってきたラッピングされた包みを皆に配る。

 

「佳面、此れは?」

 

「お土産のクッキー。手作りだけど良かったらどうぞ」

 

「ええの!?」

 

「素敵なサプライズ☆」

 

今の季節に因んでスイカや花火等のアイシングクッキーを前持って用意しておいたのだ。

 

「───ケロ、佳面ちゃん。私のだけ少し多いわ」

 

すると自分だけ皆よりも大きめな包みを渡された事に蛙吹さんが質問する。

 

「蛙吹さんの分は弟さんと妹さんの分もあるから多めに入れてるよ。ほら、前に兄弟の事話してくれてたから」

 

1人分だと分けると取り分が少なくなると思い、蛙吹さんだけ少し多めにクッキーを入れておいたのだ。

 

「ありがとう佳面ちゃん。弟たちもきっと喜ぶわ」

 

「そう言ってくれると作った甲斐があったよ。それじゃあ、そろそろ送るよ。葉隠さんもまた後で。ベルトさん、葉隠さんをお願いね」

 

『ああ。皆See you again.(また会おう)

 

「皆またね!」

 

こうして、俺は皆を車で駅まで送ったのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「ただいま」

 

『おかえり、来太』

 

皆を駅まで送り終えた俺は事務所に戻ると、ベルトさんが出迎えてくれた。

 

「ただいまベルトさん。あれ、葉隠さん寝てる?」

 

葉隠さんがテーブルにうつ伏せになっている様子を見て寝ている事に気づいた。

 

『流石に疲れたみたいでね、途中で眠ってしまったよ』

 

「そうだったのか。けど流石に起こさないといけないし」

 

『今は寝かしつけておこう。───それより、少し話をしないか?』

 

ベルトさんの真剣な声に俺は首を傾げる。

 

「どうしたのベルトさん」

 

『これを見てくれ』

 

壁に掛けられたモニターに2つのネットニュースが映し出される。

 

その内容は───

 

「路地裏で人の焼死体が複数発見。もう1つは……吸血事件?」

 

『ここ最近頻繁に発生した怪奇事件だ。どちらも死者が出ている』

 

記事を読むと2つとも都市部で発生した奇妙な事件の様だ。

 

「吸血事件はともかく、焼死体の方は火事とかじゃなく?」

 

『燃やされたのは人間だけの様だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それと僅かな目撃証言によると、被害者は青い炎によって燃やされたとの事だ』

 

「青い炎?」

 

炎は特定の物質を燃やすと色が変化するのは知っているが、人を燃やしても青くなる訳が無い。

 

となると───

 

「確か炎は温度で色が変わるんだっけ。赤は約1500度、黄色は約3500度、白が約6500度。青は───」

 

『約10,000度を超える。もしそうなら焼死体は10,000度を超える高熱で燃やされた事になる』

 

「個性による犯行って事か……。もう1つの吸血事件は?」

 

『ナイフ等の刃物による刺し傷から血液を吸われた様だ。被害者の傷口から犯人と思われる唾液が検出されたそうだ』

 

犯行に使われた道具が刃物である事に、俺は()()()()を思い出した。

 

「ヒーロー殺しの手口に似ている?」

 

『いや、ヒーロー殺し《ステイン》の個性に関しては警察側も伏せている筈だ。公の場では公開されていない』

 

「だよね。…と言うことは模倣犯じゃ無いか」

 

『だが2つの事件もそうだが、様々な事件がステイン逮捕から増えている傾向にある』

 

ヒーロー殺しの影響が、既に出始めていると言う事か。

 

「もし、事件の犯人たちがヒーロー殺しに影響された奴らなら……」

 

『今後、(ヴィラン)連合に接触する可能性がある。いや……既に接触したのかもしれないな』

 

視えない所で、悪が動き始めているのかもしれない。

 

そう思うと、俺とベルトさんはなんとも言えない気持ちになった。

 

考え込んでいる途中、目が覚めた葉隠さんを家まで送り届けたのであった。




キャラ紹介

クリム・スタインベルト(通称"ベルトさん")

出典 『仮面ライダードライブ』


ベルトさん登場
仮面ライダーシリーズでも屈指の天才科学者であるベルトさんに勉強会の特別講師を依頼していたが、見た目のインパクトのせいで一同が唖然とした。
ベルトさんの口調ってこんな感じだっけ……?
違和感ある方は感想欄で教えて下さい。

殺人事件相次ぐ
焼死体や吸血事件といった奇妙な事件が発生している。
犯人は一体何者なのか……。


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40スレ

第44話を投稿します。

実技試験の話は前中後編でまとめる予定です。
今回は前編です。


勉強会から翌週、1学期の期末試験が始まった。

 

期末試験は3日間に渡る筆記試験と1回の演習試験に分かれており、まずは筆記試験を受けることになった。

 

顔色を変えずに問題を解く人もいれば、難問に頭を悩ませているのか暗い表情で解いていく人も居る。

 

そしてついに最後の科目の試験時間が終わると、試験官の相澤先生が終了の合図をする。

 

「全員手を止めろ!各列の最後列の者は答案用紙を集めて持って来い」

 

先生の指示通り、各列の最後列の生徒達が答案用紙を回収して行く。

 

「ありがとー!ヤオモモーーー!!」

 

「お陰で全部埋めたぜ!」

 

「勉強見て貰えなかったら危なかったかも」

 

「ありがとね」

 

芦戸さんを筆頭に八百万さんに勉強を教えて貰った人たちが彼女に対して各々感謝の言葉を送る。

 

「佳面くんありがとー!お陰で今回の筆記自信あるよ!」

 

「私もええ感じに出来たよー」

 

「ケロ、佳面ちゃんとベルトさんのお陰ね」

 

「助かった」

 

「感謝してるよ☆」

 

「いやいや、俺とベルトさんは教えただけ。それを身に付けられたのは皆の努力の結果だよ」

 

お礼を言いに来た葉隠さんたちに返答する。

 

他の生徒達も筆記が終わってホッとした様子だった。

 

こうして、3日間の筆記試験は終了したのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

翌日、遂に実技試験の日がやってきた。

 

場所は実技試験会場中央広場。

 

コスチュームを着たA組の生徒達の前には、何故か雄英の教師陣が相対していた。

 

「あれ?先生たち多くない?」

 

「確かに」

 

「これだけの人数って事は……」

 

教師の人数に疑問を抱いていると、相澤先生が試験の説明を始める。

 

「それじゃあ実技試験を始めていく。この試験でも勿論、赤点はある。林間合宿に行きたければみっともないヘマはするなよ。諸君なら事前に情報を仕入れて何するか薄々分かってると思うが…」

 

「入試の時みたいなロボ無双でしょ!花火!カレー!肝試し!」

 

芦戸さんがテンション高めで叫ぶ。

 

その様子は合格を確信しているようだった。

 

だがしかし、その答えは彼女の期待を大きく裏切るものであった。

 

 

「残念!諸事情があって今回から内容を変更しちゃうのさ!」

 

 

相澤先生が首に巻いている捕縛布から声と共に校長が顔を出した。

 

「校長先生!?」

 

「試験内容の変更というのは…?」

 

「これからは対人戦闘・活動を見据えた、より実戦に近い教えを重視するのさ!」

 

試験内容の変更を告げられ、驚きを隠せない生徒達。

 

芦戸さんに至ってはリアクションが取れないほど固まってしまっていた。

 

「マジかよ。佳面の予想当たっちまった」

 

「佳面オメー!口は災いの元って諺を知らねえのかよ!」

 

「キレないで峰田。あと俺はあくまで予想しただけだから」

 

そして校長先生が説明を続ける。

 

「というわけで諸君らはこれから2人1組でここにいる教師1人と戦闘を行って貰う!」

 

「「「ハァ!?」」」 

 

「先生…方と!?」

 

校長先生の言葉を聞いて驚きの声を上げる麗日さんだけでなく、他の生徒達も驚愕の色を露わにしていた。

 

突然プロヒーローである先生達と戦えと言われたのだ。

 

当然のリアクションである。

 

「なお、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きの傾向や成績、親密度、諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表していくぞ……と、その前に佳面」

 

「何ですか?」

 

対戦カードを発表する直前、相澤先生は俺の方を見る。

 

「お前は特別ルールだ。試験を2回受けて貰う」

 

「え?」

 

 

「「「ええええええ!!?」」」

 

 

相澤先生から告げられた言葉に俺を含むA組全員が驚愕する。

 

「お前の評価についてだが2回の試験のどちらか、若しくは2回ともクリアした場合は合格とするが、クリアしても内容次第では不合格にする」

 

「ちょっと待ってください!どうして佳面くんだけ2回受けさせるのですか!?」

 

「何か理由があるのですか!?」

 

「佳面だけ圧倒的に不利じゃないスか!」

 

飯田、八百万さん、切島が相澤先生を問い詰める。

 

他の生徒たちも納得いかない……と言うより、理解出来なかった。

 

「既に決まった事だ。お前たちが反論したところで無駄だ」

 

「無駄って!?」

 

「無茶苦茶じゃないですか!」

 

「……隠された陰謀か?」

 

皆が困惑している中、教師陣はこうなる事を予想してた様子でいた。

 

「相澤先生」

 

「何だ?」

 

俺は相澤先生に問う。

 

「俺が2回受ける事に、意味があるんですよね?」

 

「意味がなければ最初からこんな事言わないよ」

 

「…分かりました。やります」

 

「佳面くん!?」

 

「ケロ、良いの?」

 

「此処でジーッとしててもドーにもならないでしょ?なら、覚悟を決めてやるよ」

 

「だけど…」

 

「話は終わりだ。早速試験の対戦組み合わせを発表する」

 

「まずは轟と八百万がチームで、俺とだ」

 

「「!?」」

 

ニヤリと笑いながら相澤先生は轟と八百万の方を見る。

 

続けて他の対戦カードを発表していく。

 

「切島と佳面のチーム。相手はセメントスだ」

 

「宜しく切島」

 

「お、おう!」

 

俺の1回目の試験は切島とのペア、相手はセメントを操るセメントス先生。

 

そしてまた暫く発表していき、俺の2回目の対戦カードが発表された。

 

「緑谷と爆豪。それと佳面の3人」

 

「「!?」」

 

「で、相手は…」

 

相澤先生は言葉を言い切る前に、突然上空から巨体が降ってきた。

 

その巨体がゆっくりと立ち上がった。

 

その正体は、

 

 

「私が…する!」

 

 

「オール」

 

「マイトが!?」

 

「これは…ちょっとマズイかな」

 

「協力して勝ちに来いよ、御三方!」

 

No.1ヒーローが俺たちの前に立ちはだかった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「ヒーロー殺し《ステイン》と(ヴィラン)連合の繋がりによる(ヴィラン)たちの活性化の恐れ…か」

 

時は遡り、演習試験の数日前。

 

会議室で根津校長が手元の資料を見ながら呟く。

 

会議室には根津校長だけでなく、雄英のプロヒーロー教師陣が全員が集まっており、期末の演習試験について話し合いを行っていた。

 

「勿論、それを未然に防ぐ事が最善ですが、学校としては万全を期したい。これからの社会、現状以上に対敵戦闘が激化すると考えればロボとの戦闘訓練は実戦的ではない」

 

「そもそもロボを使った運用は『入学試験という場で人に危害を加えるのか』等のクレームを回避する為」

 

「無視しときゃ良いんだそんなもん。言いたいだけなんだから」

 

「そういう訳にもいかないでしょ」

 

世間体を面倒臭がる相澤にミッドナイトが嗜める。

 

「試験の変更理由は分かりましたが、生徒を2人1組にし、我々教師陣と戦わせるというのは……」

 

「ええ、少し酷だと思います」

 

「俺らがあっさり勝っちまったら点数もつけられないYO?」

 

変更される試験内容に13号とマイクは納得していない様子であった。

 

「勿論、その辺りを考慮して教師側にはハンデを付ける予定だ」

 

「校長、いかがでしょうか?」

 

「いかがも何も、僕は演習試験の内容変更に賛成してるよ。これ以上生徒達を危険に遭わせないために我々は何をすれば良いか。答えは簡単!生徒自身に強くなってもらうことさ」

 

「ですね」

 

「異論ありません」

 

根津校長の賛同によって演習試験の変更が決まった。

 

他の教師陣もそれに納得している様子だった。そして次に相澤が生徒のペアと対戦する教師の割り振りについて説明していく。

 

「では組の采配についての前に、佳面に関してですが…アイツには2回試験を受けさせようと思います」

 

「「「!?」」」

 

相澤の突然の発言に校長を除く全ての教師陣が驚いた。

 

「ちょっと、何で佳面くんだけ2回受けさせるのよ?」

 

「イレイザー、佳面Boyがお気に入りだからってそんな横暴は流石にナンセンスだろーYO」

 

「何か理由があるのか?」

 

ミッドナイト、マイク、ブラドが相澤を問い詰める。

 

「佳面はこれまでUSJ事件、ヒーロー殺し事件に大きく関わった経歴を持っています。この2つに関しては緑谷や飯田、轟にも言えますが佳面に関しては俺とエクトプラズムが手も足も出せなかった改造(ヴィラン)"脳無"を()()で撃退してます。つまり」

 

「今後、彼が連合に狙われる可能性があると?」

 

相澤の言いたい事に誰よりも察した根津校長が続きを口にする。

 

「はい。我々が生徒を守れば良いだけの事ですが、()()()()()()()()()()に越した事はありません。もしもの場合を考慮してアイツが仮免を取得した後にどう動けば良いのかを事前に学習させておく必要があります」

 

「確かに、彼が学生たちの中でも群を抜いていると言っても我々が守るべき生徒の1人」

 

「事が起きた後では意味が無いって事か」

 

「そう考えると、対策する必要があるのかもしれませんね」

 

相澤の意図を理解した他の教師陣も各々が納得する。

 

「2回受けさせるので、その分評価を考慮していくつもりです。宜しいですね、校長」

 

「うん、僕もその案に賛成だよ」

 

根津校長も承諾し、佳面の件は一先ず解決したので話を試験の対戦組み合わせの打ち合わせに移す。

 

「まずは轟。ひと通り申し分無いが、全体的に力押しのきらいがあります。そして、八百万は万能ですが咄嗟の判断力や応用力に欠ける。よって俺が2人の個性を消し、接近戦闘で弱みを突きます」

 

「「「異議なし!」」」

 

「次に緑谷と爆豪。それとこの2人に佳面を組ませますが……オールマイトさん、頼みます」

 

「!」

 

「この緑谷と爆豪に関しては能力や成績で組んではいません。ひとえに仲の悪さ。体育祭からの緑谷の急成長が爆豪の苛つきを助長している節があり、間違いなく試験中にトラブルが起きると予想されます。そこにフォロー役として佳面を組ませてチームバランスを整える形にします」

 

「何で緑谷くん・爆豪くんの2人に佳面くんを組ませるの?」

 

相澤の説明を聞いたミッドナイトが尋ねる。

 

「先程のフォロー役もそうですが、佳面には理不尽な相手への対応力を身に付けて貰うつもりです。その条件でこの中だとオールマイトしか務まらないと判断しました」

 

「そう言うことね」

 

相澤の答えを聞いたミッドナイトは得心がいったというような表情を浮かべる。

 

そして相澤はオールマイトの方を向きながら確認を取る。

 

「オールマイトさん、お願いして宜しいですか?」

 

「……ああ、了解した」

 

オールマイトは力強く頷きながらこれを了承した。




ライダーくん、実技を2回受ける事に
学校側はライダーくんの実技試験をどうするか議論し、結果2回受けさせる事になった。かなり無茶苦茶だが、ライダーくんは承諾する。


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41スレ

仮面ライダーオーズ 10th ANNIVERSARY 完全新作上映決定!!

800年前のオーズが復活!?ウヴァたちと異なる様々な属性を持つ新たなグリード!?新型のバース(追加アイテムとコアメダルを使ってる模様)!?そして、オーズの新コンボとアンク復活!!?
オリジナルキャスト集結という神作確定な予感!!
お帰り映司!お帰り比菜ちゃん!お帰り知世子さん!お帰り伊達さん!お帰り後藤さん!お帰り里中さん!そして、お帰りアンク!!!
けど鴻上会長、また貴方が事件の元凶なんでしょ?(お決まり感)
来年の春公開予定ですので、追加される情報を確認しつつ期待値MAXにして待つようにします!!
オーズの新たな伝説に、HAPPY BIRTHDAY!!

今募集しているアンケートの期限は期末試験編までとします。
ご協力よろしくお願いします。

前置きが長くなりましたが、第45話を投稿します。
期末実技試験の中編 ライダーくん&切島vsセメントスです。
今回変身する仮面ライダーヒントは「幽霊」「パーカー」「命、燃やすぜ!」です。


実技試験が始まる前、俺と切島は試験のミーティングを行っていた。

 

「相手はセメントス先生だけど、切島はどう攻略する?」

 

「んなの、漢らしく正面突破するに決まってるだろ!」

 

切島は硬化した両拳をガキンとぶつけて答える。

 

「だけど切島自身がセメントス先生の個性との相性は良くないのは分かってるよね」

 

「え?何でだ?」

 

「セメントス先生の個性はセメントを自由自在に操る。つまり()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。硬化の持続時間が限られてる切島とは最悪の組み合わせって事だよ」

 

「あ、そっか」

 

切島は"成る程"って顔をして納得した。

 

「俺としてはセメントス先生の個性でも干渉出来ない空中からゲートを目指したいけど、セメントス先生もゲート前に陣取るか妨害をしてくると思う」

 

「じゃあどうすんだ?」

 

「そこで切島の力が必要だ。1つ頼みたいんだけど良いかな?」

 

「ダチの頼みを断る訳ねぇだろ!俺に出来る事なら何だってやってやるぜ!」

 

切島は漢気全開で承諾してくれた。

 

そんな彼に俺はニヤリ笑う。

 

「今回の実技試験では切島…君には()()()()になって貰うよ」

 

「は?最強の…囮?」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

まさかライダーくんだけ試験を2回受ける事になるなんてね。

 

2:空座町の無下限呪術師

これは僕も予想外かな。

ライダーくんの実力も関係してるだろうけど、1番の理由は(ヴィラン)連合だろうね。

 

3:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ライダーくんが連合に拉致られるかもって事ですか?

あの梅干し頭ことオール・フォー・ワンに。

 

4:太刀川隊の狙撃手

>>3

可能性はあるでしょうね。

林間合宿で連合が襲撃して来ますし。

 

5: サクラギ研究所のリサーチフェロー

ライダーくんにこの事伝えますか?

 

6:杜王町の幽波紋使い

>>5

今は試験に集中させよう。

伝えるのは試験が終わった後で良いんじゃあないか?

 

7:鬼滅ごっこをやってる忍者

そうですね。

目の前の試験をクリアして貰わないといけませんし。

 

8:海賊系美食屋

しかし、ライダーくんは切島に頼み事してたけど何をさせるつもりなんだろうな。

最強の囮って?

 

9:空座町の無下限呪術師

それはこれから分かるんじゃない?

お手並み拝見といこうよ。

 

10:太刀川隊の狙撃手

ですね。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

『佳面・切島チーム。実技試験 Ready go!』

 

 

「行くよ!」

 

「おう!」

 

試験合図のアナウンスと共に、俺と切島はゴールを目指す。

 

演習場は市街地を模したステージ。

 

セメントス先生の得意とする環境と言っても過言では無い。

 

「佳面!いやがったぜセメントス先生!」

 

予想通り、数百m先にセメントス先生が待ち構えていた。

 

「作戦を実行するよ、切島!」

 

「ああ!」

 

俺は手を腰に翳し、変身ベルト【ゴーストドライバー】を実体化させ、ジャケットのポケットから水色の眼型ユニット【ニュートン ゴースト眼魂(アイコン)】を取り出し、スイッチを押す。

 

起動された眼魂(アイコン)の目玉部分が【04】に変わり、展開されたドライバーに装填し、カバーを閉じる。

 

 

『アーイ!』

 

 

『バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

 

待機音と共にドライバーから水色のダウンジャケットをしたゴースト【ニュートンゴースト】が出現し、俺の周りを浮遊する。

 

俺は印を結ぶ様にポーズを構え、

 

 

「変身!」

 

 

ドライバーのトリガーを引いて、押し込む。

 

 

『カイガン!ニュートン!

 

 

『リンゴが落下!引き寄せまっか!』

 

 

すると俺の身体は素体状態の【トランジェント】に変化し、【ニュートンゴースト】を纏う。

 

のっぺらぼうの様だったマスク【ヴァリアスバイザー】はリンゴが落下した絵柄【フェイスフォールアップル】へと変わり、両手に球状のグローブが装備される。

 

英雄や偉人たちと心を通わせ、死して尚命を燃やしたヒーロー【仮面ライダーゴースト】の派生形態【仮面ライダーゴースト ニュートン魂】に変身完了する。

 

 

変身完了と同時に俺と切島の前に巨大なセメントスの壁が出現する。

 

セメントス先生が個性を発動した様だ。

 

「佳面!こっちは準備万端だぜ!」

 

切島が両腕を硬化し、俺の前で待機する。

 

「OK!行くよ!」

 

 

『ダイカイガン!ニュートン!

 

 

『オメガドライブ!』

 

 

斥力のエネルギーを右手に集中させ、目の前の切島に目掛けて放つ。

 

 

「合体必殺!烈怒(レッド)キャノン!』

 

 

「ウオォォォォォォォォォ!!」

 

 

斥力によって切島は壁に向かって物凄い速度で飛んで行った。

 

妨害していた壁は跡形も無く粉砕され、切島はそのままセメントス先生へ猛突進する。

 

「なんの!」

 

セメントス先生は一瞬驚愕するも直ぐにセメントの壁を何重にも生成し、切島の猛スピードを抑え込もうとした。

 

()()()()()()()()()

 

俺は透明なプロテクター【アーマーインビジブル】を起動し、全身を透明化させ、半実体化の状態で物体をすり抜ける能力を応用して()()()()()()()

 

そのまま前進し、セメントス先生の背後を取る様に地上へ出る。

 

俺の目の前にはセメントス先生とセメントで身動きが取れなくなった切島が居た。

 

「ふぅ、まさかこんな手段で奇襲を掛けるとは思わなかったよ!だが、一手足りなかったね」

 

「それはどうでしょう」

 

俺は左手の引力でセメントス先生を引っ張り出し、上へ持ち上げる。

 

「な!なんだ!?」

 

()()()()()()()()セメントス先生は何が起こったのか分からず困惑していた。

 

セメントス先生の身柄を確保した俺は身体を実体化させ、姿を現す。

 

「佳面くん!?一体何処から!?」

 

「切島に注意を惹きつけてる間に地面をすり抜けて背後を取ったんです。突然正面から猛スピードで切島が飛んできたらセメントス先生も俺の動きを見逃すと思いまして」

 

「作戦成功だな!」

 

「良い最強の囮だったよ、切島」

 

未だに拘束された切島が俺にサムズアップをする。

 

そのあと解放された切島がセメントス先生に手錠を掛けて、無事に1回目の実技試験をクリア出来た。

 

あと残すは2回目の緑谷・爆豪とのチーム。

 

相手は日本No.1ヒーローのオールマイト。

 

(緑谷たちと協力したい所だけど、まずは爆豪の説得をしないとなぁ)

 

短気でキレやすいチームメイトに協力を促す為の試行錯誤を考えながら、俺は切島と共に待機施設へ移動する。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーゴースト

レア度【SR】

出典『仮面ライダーゴースト』


ライダーくん、切島との連携&ゴーストの特性で試験1回目を合格!
仮面ライダーゴースト ニュートン魂に変身し、切島との連携技『烈怒キャノン』でセメントスの注意を引き、ゴーストの特性"すり抜け"能力を使い見事試験を合格。戦法が通形先輩ことルミリオンに近いが、そこはご愛嬌。
2回目の試験は緑谷&爆豪と共に【平和の象徴】オールマイトに挑む!

nextライダーヒント
「パープル色の仮面ライダー」(今までのガチャ回を振り返ると分かるかも?)

次回もお楽しみに!


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42スレ

11/6に放送された『仮面ライダー大投票』を観てビルド組が仲良く上位にランキングして狂喜乱舞しました(あれ、ローグは…)。
エボルが32位と意外な順位にビックリしました。
ビルドは作品ランキングでも5位、音楽ランキングではOPの『Be The One』が2位とビルドが人気作品である事を再認識する事が出来ました。
しかも10位のグリスは男性、11位のクローズは女性の投票割合が多い面がストーリーでの活躍と比例して面白い統計結果だったと思います。

さてさて、第46話を投稿します。
今回は実技試験後編のお話となります。

今回の主人公が変身する仮面ライダーヒントは「ワニ」「ヒゲ」「文字Tシャツ」です。


「お疲れ様、緑谷、麗日さん。リカバリーガールも」

 

「お疲れ佳面くん!」

 

「凄かったよー!何かオバケっぽかった!」

 

「お疲れ様。ドロップ要るかい?」

 

「ありがとうございます」

 

モニター室に行くと緑谷と麗日さん、それとリカバリーガールが居た。

 

リカバリーガールから貰ったドロップ(イチゴ味)を口に咥えながら俺たち以外に始まった試験をモニター越しで眺める。

 

「緑谷、爆豪とは作戦会議出来た?」

 

「ごめん。かっちゃん、相談する前に1人でどっか行っちゃって…」

 

予想通り、爆豪は俺はともかく緑谷とも協力する意思が無い様だ。

 

「やっぱりか。麗日さんの方は?青山と作戦について何か話せた?」

 

「あはは、こっちも。青山くんと会話が成り立たんというか…」

 

「全く、パートナーとコミュニケーションの1つも出来ないなんて、アンタたちそんなんでこの試験を乗り切れると思ってるのかい?」

 

リカバリーガールのごもっともな言葉に緑谷と麗日さんは何も言い返せなかった。

 

俺はそんな2人にフォローを入れる。

 

「爆豪の方は最悪試験中にアドリブでカバーしていくけど、麗日さんはもう1度青山と作戦について話しをした方が良いと思う。相手が13号先生なら尚更だから」

 

「う、うん!私もう1度青山くんと話してみる!」

 

そう言って麗日さんはモニター室から出て行き、青山の元へ向かった。

 

「今回の試験、あからさまに生徒たちが苦手な相手をぶつけている様ですが」

 

「その通りだよ。今回の実技試験は生徒たちが如何に自分の弱点を克服出来るのかが試験通過の鍵となるからね。アンタたちも自分たちの番になるまでに教師との相性をしっかり分析しておく事さね」

 

戦闘に於いて、個性は勿論人間性での相性も重要になってくる。

 

現に俺のパートナーである切島は格闘戦に特化しているのに対して拘束能力に長けるセメントス先生が相手であった。

 

今回は作戦が上手く機能したが、もし俺では無く砂藤とのペアだった場合、持久戦に持ち込まれて不合格になっていた可能性が高かっただろう。

 

モニターでは蛙吹さん・常闇ペアvsエクトプラズム先生の試験が映っており、巨大な分身に苦戦しながらも見事手錠を掛けた事で合格となった。

 

試験は進んで、第3戦目 青山・麗日さんvs13号先生は辛くも青山たちが勝利し、続いて第4戦目 轟・八百万さんvs相澤先生も八百万の作戦で見事相澤先生を拘束した。

 

第5戦目の飯田・尾白vsパワーローダー先生も生徒組の連携によりゲートを通過。

 

「やったね飯田くん!」

 

「ああ!緑谷くんたちも続けよ!」

 

「蛙吹さん、麗日さん、轟、八百万さん。お疲れ様」

 

「ありがとう佳面ちゃん。ケロケロ」

 

「八百万の作戦が無かったらヤバかった」

 

「いいえ!轟さんのお力が有ったからこそ作戦が上手くいったのですわ!」

 

試験を終え、モニター室に来た皆を俺と緑谷は祝福する。

 

「……」

 

ただ1人、麗日さんだけは何故か静かだった。

 

「麗日さん?どうしたの?」

 

 

「うえぇ!?な、な、な、何でも無いよ!」

 

 

気になって話しかけてみると、麗日さんは嘗て無い程に動揺した。

 

しかも顔が真っ赤である。

 

「本当に?辛いなら椅子持ってくるけど。というより、リカバリーガールも居るし、一度診て貰った方が良いんじゃないか?」

 

「ほ、ホンマに何ともないんよ!大丈夫!」

 

麗日さんは両手をブンブンと振って否定する。

 

だがその視線は()()()()()交互に移している様に見えた。

 

「あッ」

 

「危ない!」

 

バランスを崩して床に倒れそうになった麗日さんの身体を間一髪支える。

 

「顔、近いって…」

 

「ん?何?」

 

いつもの彼女じゃない事に疑問を持つ。

 

「麗日さん大丈夫!?」

 

「大丈夫か麗日くん!?」

 

「何処かお怪我をされましたの!?」

 

「リカバリーガールに診て貰った方がいいんじゃねぇか?」

 

「大丈夫お茶子ちゃん?」

 

緑谷たちも麗日さんを心配して集まる。

 

「こらこら、そんなに寄ってたかったらその子も落ち着かんさね。佳面、保健室に送ってやんな。後で私も行ってやるから」

 

「分かりました。行こう、麗日さん」

 

「え、あ、うん…」

 

俺は麗日さんを背負って保健室へ向かった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

麗日さんを保健室へ送り届けた後、遂に俺・緑谷・爆豪の番が近づいたので演習場までバスで移動する事になった。

 

「「………」」

 

バス内の空気は良くなく、会話が何一つ無かった。

 

原因は緑谷と爆豪である。

 

「し、しりとりでもする?」

 

沈黙に耐えられなくなったオールマイトが唐突にしりとりを持ち掛けるも緑谷たちは反応しなかった。

 

「すいませんオールマイト。今はそっとして貰って良いですか?あと少しの辛抱なので」

 

「あ、うん……。すまない佳面少年」

 

演習場に到着するまで、バス内の沈黙が続いていた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

『佳面・緑谷・爆豪チーム。実技試験 Ready go!』

 

 

試験開始のアナウンスが鳴り、第10戦目の実技試験が始まった。

 

試験が始まっても未だに俺たちの間に会話は無く、それどころか爆豪は無言で前方に歩き始めた。

 

「(爆豪の奴、この試験を1人でクリアする気か?)やれやれ…」

 

 

『スクラッシュドライバー!』

 

 

爆豪の唯我独尊さに呆れながらも周囲を警戒しながら、変身ベルト【スクラッシュドライバー】を装着する。

 

「佳面くん、そのベルト」

 

「今回変身する為のアイテム。相手はあのオールマイトだ。試験開始早々襲ってくる可能性が高いからね」

 

ドライバーが気になった緑谷に俺はそう答える。

 

「爆豪、1人で先行し過ぎだ。闇雲に行ってどうにかなる相手じゃないのは君も分かってるだろ?」

 

「黙れよ」

 

俺の言葉を一蹴し、聞く耳を持たない爆豪。

 

そんな爆豪に緑谷も声を掛ける。

 

「かっちゃん!お願いだから少し話を聞いてよ!オールマイトと闘うにしても作戦を練らないと!」

 

緑谷が爆豪に言い寄って行くと、爆豪は緑谷を突き飛ばす。

 

 

「黙れつってんだよ!テメェらの力なんか必要ねぇんだよ!!」

 

 

「ッ!そうやって怒鳴りつけないでよ!いつもそれで話が出来ないじゃないか!!」

 

 

爆豪の傍若無人さに遂に緑谷も叫んだ。

 

2人は幼稚園からの幼馴染の間柄だが、まともに会話をしている所は雄英で知り合った俺も見たことは無い。

 

「……はぁ。ッ!?………2人とも戦闘態勢、来るよ」

 

「アァッ?!」

 

「え?」

 

そんな2人の様子に溜め息を零したタイミングで突然とてつもない威圧感に気付いた俺は、2人へ警告を促す。

 

その直後、突如吹き荒れた暴風と共に大地が揺れた。

 

 

「街への被害などクソ食らえだ!」

 

 

おれたちの目の前に土煙から姿を現したのは、試験官であり現日本のNo.1ヒーロー オールマイト。

 

常に笑みを絶えない顔からは威圧感が迸っていた。

 

「"試験だ"などと考えていると痛い目見るぞ。私は(ヴィラン)だヒーローよ。さあ、真心込めてかかって来い!」

 

オールマイトは力強くそう言うと此方に向かって来た。

 

爆豪は左手を前に翳し、オールマイトをギリギリまで引きつける。

 

閃光弾(スタングレネード)!」

 

爆豪の左手が眩く輝き、オールマイトは思わず手で目を覆う。

 

「かかって来いだと?オールマイト!言われねぇでも、ハナから……ガッ!?」

 

オールマイトが目を覆った隙を突いて飛びかかる爆豪だったが突然言葉が途切れる。

 

原因はオールマイトが爆豪の顔面を掴んだからだ。

 

だが爆豪は透かさず顔を掴まれた状態からオールマイトに小爆破の連打を繰り出す。

 

()タタタタタタッ!」

 

しかし、その抵抗は虚しくオールマイトには全く効いていない。

 

そしてオールマイトが爆豪の顔を掴んだまま地面へ叩きつけようとした瞬間、俺は右手に持ったラビットフルボトルを振り、高速でオールマイトに接近して顔面にハイキックを打ち込んだ。

 

「あだ!?」

 

一瞬怯んだ隙に爆豪を抱えて後退する。

 

「離せ変身野郎!」

 

「少し黙って」

 

脇に抱えた爆豪を緑谷に向かって放り投げる。

 

「ちょ!?佳面くん!?」

 

「緑谷と爆豪は待機。最初に俺がやる」

 

「ざけんな!誰がテメェに従うと」

 

戸惑う緑谷と反論する爆豪に俺は少し圧を掛ける。

 

 

「待機だ。そこで見てろ」

 

 

俺の言葉に緑谷と爆豪は今度こそ静かになった。

 

「……どういうつもりだい?佳面少年」

 

質問するオールマイトを無視して、俺は【クロコダイルクラックフルボトル】の【シールディングキャップ】を回わす。

 

 

ピキピキッ

 

 

『デンジャー!』

 

 

ボトルが発光し、ドライバーの【パワープレスロット】に装填する。

 

 

『クロコダイル!』

 

 

ボトルが認証され、ドライバーから待機音声が鳴る。

 

 

「変身」

 

 

そのまま【アクティベイトレンチ】を押し下げる。

 

プレス機構が作動し、スロットに装填されたボトルの成分がドライバー内部に取り込まれ【ゼリータンク】が紫色に発光し、俺を中心にビーカー型の【ゼリータンク】を形成させる。

 

ボトルの成分を変換した液化装備【ヴァリアブルゼリー】がタンク内に満たされて、側面のワニの顎を模したユニットによってタンクが割られる。

 

 

『割れる!食われる!砕け散る!』

 

 

特殊パルスを発して紫色を基盤とした特殊スーツが俺の身体を纏い、頭部のワニの顎を模したパーツ【セルフェイスクラッシャー】が自身の頭部装甲を破壊し、内部の視覚センサー【ハードゼリーアイ】を露出させる。

 

 

『クロコダイルインローグ!』

 

 

『オーラァ!』

 

 

最後にワニの眼を模したデータ収集装置【RRシグナル】が光る。

 

自ら犯した罪と向き合い、時に悪役を演じ、時に国と民衆の盾として巨悪と立ち向かった男と同じ戦士【仮面ライダーローグ】に変身する。

 

「又も違う姿か……。しかし、変身したからどうだって話さ!」

 

一瞬で距離を詰めたオールマイトは拳を振り下ろす。

 

拳とローグの装甲が衝突し、周辺を衝撃波が襲う。

 

しかし、

 

「マジか…。硬過ぎないかい?その装甲」

 

通常なら喰らったらひとたまりも無い一撃を受けても微動だにしない俺に、オールマイトは驚く。

 

ローグの装甲【クロコダイラタンアーマー】は攻撃を受けると瞬時に硬化し、徹甲弾を受け止めるほどの防御力を発揮する。

 

特に罅が入った部分は白色の装甲強化フレームで超硬化されており、防御を貫通する特殊な攻撃でも無い限りダメージを負うことは無いのだ。

 

「フッ!」

 

「なんの!」

 

今度は俺がオールマイトに拳を振るうも、オールマイトは直撃する前に腕を掴む。

 

投げ飛ばされる前に銃型の武器【ネビュラスチームガン】の銃口をオールマイトに向け、トリガーを弾く。

 

「危な!」

 

銃口から撃ち出された高熱硬化弾【スチームビュレット】を躱し、オールマイトが距離を取った。

 

「全く、油断も隙も無いな君は」

 

俺は話しかけてくるオールマイトに気にせず右手に【ネビュラスチームガン】、左手に斬撃武器【スチームブレード】を構える。

 

一歩で接近し、スチームブレードを素早く振り下ろす。

 

「熱!?」

 

急速加熱されたブレードを躱した所にスチームガンを発砲するが、避けられる。

 

次にオールマイトの拳を【フォースクラックアーム】でガードし、スチームブレードを投擲する。

 

オールマイトは右手で掴んだ瞬間に空いた左手でオールマイトの脇腹に突き立てた状態で振り回す。

 

「痛タタタ!爪が食い込んでるよ!?」

 

「うおおおおおお!!」

 

勢いが付いたままオールマイトを建物目掛けて投げ飛ばす。

 

投げ飛ばされたオールマイトはビルに衝突し、奥へと姿を消した。

 

「す、凄い!オールマイトが……!?」

 

「……ッ!」

 

一連の攻防を目の当たりにした緑谷と爆豪は驚きを隠せないでいた。

 

そんな2人に俺は漸く声を掛ける。

 

「2人とも、少しは頭がクリアになったかな?いい加減作戦を決めるよ」

 

「さ、作戦?」

 

「このまま闘ってもオールマイトに手錠を掛けるのは正直難しい。こっちがやられない様にするので手一杯だ。2人が加勢してくれても、確率的に厳しい」

 

俺の言葉に緑谷は理解した表情をする。

 

……爆豪はまだ納得しきれてない様子だが。

 

「ならどうするか。爆豪、どうすれば良いと思う?」

 

「………ゲートを目指す。ただ逃げるんじゃ無く、攻撃しながらだろ?」

 

「え?」

 

「正解。要はヒット&アウェイ。襲ってくるオールマイトを迎撃しつつ、ゲートを目指す。これが一番成功率の高い方法だよ」

 

今回の試験のクリア条件は試験官に手錠を掛けるか、ゴール地点であるゲートを通過するかの2択。

 

しかも試験官にはハンデとして動きを制限する重りを着けられている。

 

「重りがあるお陰で俺もなんとかオールマイトの動きに反応出来てる状態だから、俺がオールマイトの攻撃を防ぐ。攻撃は緑谷と爆豪、2人に任せる。安心して、俺が絶対2人を守り抜いてみせるよ」

 

「"One for all(1人は皆の為に)"。俺たちは1人じゃまだまだ3分の1人前でも、3人合わさればオールマイトとだって闘える。それを証明しよう」

 

一先ず方針が決まり、俺たちは作戦を実行する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【オールマイト視点】

 

「痛タタタッ。投げ飛ばされるなんて先生との修業以来だな。ウッ!またトラウマがッ…!」

 

過去の苦い思い出がフラッシュバックしかけるも、なんとか身体を起き上がらせる。

 

(そろそろ佳面少年が2人に作戦を持ち掛ける頃か)

 

最初の緑谷少年たちに圧を掛けたのには驚いたが、面倒見の良い彼なら緑谷少年と爆豪少年の間を受け持ってくれている筈だろう。

 

(本当は私も協力したいが、今は試験の最中。それに緑谷少年と爆豪少年だけでなく、佳面少年の課題の事もある)

 

ヒーロー殺しが(ヴィラン)連合と関わりがある以上、裏で連合を操っているであろう()()()が佳面少年を狙って来るかもしれない。

 

ワン・フォー・オールの先代継承者であり、私のお師匠でもある志村奈々を殺した宿敵オール・フォー・ワンが。

 

人の大事なものを平気で踏み躙り、奪おうとするあの男に若者の未来を奪われてはならない。

 

ヒーローとして、平和の象徴として、そして1人の教師として。

 

「さあて、先生頑張っちゃうぞ!」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

作戦が決まった俺たちはオールマイトを警戒しながらゲートを目指していた。

 

既にゲートは視界に映る程の距離で、何事も無ければこのまま辿り着ける事は可能だが、オールマイト相手にそんな甘い考えは出来ない。

 

「いいか!勘違いすんじゃねぇぞ!俺がテメェらに協力するんじゃねぇ!()()()()()俺に協力すんだ!」

 

「ああ、それで良いよ。緑谷も、準備は良いね?」

 

「う、うん!」

 

プライドの高さからあくまで自分から協力するとは言わない爆豪に苦笑しながら、緑谷にも確認する。

 

まだ表情は固いが、その瞳から覚悟を決めた事が伝わってきた。

 

「作戦は決まったかな?」

 

背後から突然オールマイトが現れる。

 

「言っとくけど作戦を考えて協力し合うのは初期段階だぞ少年たち!」

 

オールマイトは一番近くに居た爆豪に膝蹴りを繰り出す。

 

そこに俺が2人の間に割って入って攻撃を防ぐ。

 

「相変わらず動き速いな!」

 

「どうも!」

 

俺は【ゴリラフルボトル】をドライバーに装填してレンチを押し下げる。

 

 

『チャージボトル!潰れなーい!』

 

 

『チャージクラッシュ!』

 

 

ボトルの成分を【ヴァリアブルゼリー】に変換し、右腕にエネルギー状の巨大な【サドンデストロイヤー】を形成する。

 

「ハアッ!」

 

「DETROIT SMASH!」

 

互いの拳がぶつかり合い、再び衝撃波が発生する。

 

重りによるハンデで本来のパワーが制限された事で、攻撃は拮抗した。

 

「死ねぇ!」

 

その隙に爆豪がオールマイトの懐に潜り込み、最大火力の爆破を繰り出す。

 

あまりの高火力に爆煙が立ち昇った。

 

「それだけかい!」

 

しかし爆煙から姿を現したのはオールマイトにダメージは無かった。

 

オールマイトは俺と爆豪に向かって接近する。

 

だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ぶちかませ!クソデクーーー!!」

 

爆豪の叫びに応えるかの様に緑谷がオールマイトの頭上に現れる。

 

「緑谷少年か!」

 

 

『フルボトル!』

 

 

『ファンキーアタック!フルボトル!』

 

 

オールマイトが緑谷に気づき、応戦しようとした所をスチームガンの【ギアボトルスロット】に【スパイダーフルボトル】を装填した状態でトリガーを弾く。

 

銃口から蜘蛛の糸が放射され、オールマイトの身体に巻き付いた。

 

「そんなのアリか!?」

 

「SMASH!」

 

拘束されたオールマイトに緑谷が拳を放つ。

 

殴られたオールマイトは地面に落下する。

 

 

「大義の為の犠牲となれ!」

 

 

『クラックアップフィニッシュ!』

 

 

【クロコダイルクラックフルボトル】を再装填した状態でレンチを押し下げる。

 

「ウオオオオオオオ!」

 

俺は跳躍して脚部の刃【クランチャーエッジ】を覆うようにエネルギーの牙【クランチャーファング】を生成・展開して噛み付くように両脚で挟み蹴りを繰り出し、そのまま回転してオールマイトを吹き飛ばす。

 

「2人とも掴まって!」

 

「うん!」

 

「命令すんな!」

 

 

『ディスチャージボトル!潰れなーい!』

 

 

『ディスチャージクラッシュ!』

 

 

緑谷と爆豪が俺にしがみついたのを確認した俺はドライバーに【ジェットフルボトル】を装填してレンチを押し下げる。

 

背中に飛行ユニット【エイセスウィング】を形成し、ゲートへ向かって高速飛行をする。

 

そして

 

 

『佳面・緑谷・爆豪チーム、条件達成!1年A組 期末テスト、実技試験の全演習を終了!』

 

 

試験終了を知らせるアナウンスが鳴り、これで期末試験の全工程が終了した。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーローグ

レア度【SR】

出典『仮面ライダービルド』


佳面・緑谷・爆豪チーム、協力して試験をクリアする。
ローグの防御力、爆豪の火力、緑谷の機動力を活かした作戦でオールマイトに一矢報いることか出来た。


次回「ライダーくん、速過ぎた男に会ったってよ」


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43スレ

『仮面ライダーBLACK SUN』主演キャスト&仮面ライダーBLACK SUNのスーツビジュアルが公開!!
正直リブート作品なので若手俳優に主演を演らせると思っていたのですが、まさかの西○秀俊さんと中村○也さんのW主演とかビックリしない訳が無い!
アマゾンズみたいにシーズン化や劇場版まで発展させたりするのか非常に楽しみでなりません。

リバイス本編でも大ニが戻ってきて仮面ライダーライブとして活躍を始めたと思ったら妹のさくらもライダーになるみたいですし、五十嵐家ライダー輩出し過ぎでは?
あとヒロミさんは回を重ねる毎に株が上がるキャラだけど、大丈夫?クリスマス乗り越えられる?ヒロミさん良い人過ぎて途中退場しないかハラハラしているのは私だけでしょうか?

それでは第47話を投稿します。
投稿が遅くなってしまい申し訳ございません。
何もかもダイパリメイクが悪い(11/23に殿堂入り達成)。
期末試験の後日談となりまして、所謂日常回です。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

1:雄英の仮面ライダー

お疲れ様です。

 

2:空座町の無下限呪術師

お疲れー!

 

3:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れ様、ライダーくん。

 

4:杜王町の幽波紋使い

どうだった実技の方は?

 

5:雄英の仮面ライダー

はい。

試験の翌日に結果が発表されて無事に合格しました。

実技で赤点を取った人は居ますが、相澤先生が補習組も林間合宿に行けると言ってました。

 

6:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>5

補習に関しては分かってたけどライダーくんが無事に合格出来てこっちも安心したよ。

 

7:太刀川隊の狙撃手

ライダーくんだけ2回受けてましたからね。

合格条件が他と違ったでしょうし。

 

8:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

取り敢えず、合格おめでとう!

 

9:鬼滅ごっこをやってる忍者

お疲れ様&おめでとうライダーくん。

 

10:雄英の仮面ライダー

>>9

忍者ニキ!?

 

11:サクラギ研究所のリサーチフェロー

波の国での任務から戻って来たのか!?

 

12:杜王町の幽波紋使い

そっちもお疲れ様。

 

13:空座町の無下限呪術師

どうだった?

初めてのAランク任務は?

 

14:鬼滅ごっこをやってる忍者

元忍刀七人衆の1人である【鬼神】桃地再不斬と氷遁使いの白と闘いました。

原作通り2人は……。

敵でしたが、それ以上に尊敬出来る忍たちでした。

 

15:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

そっか。

 

16:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ナルトたちの最初の敵だったけどかなりの名キャラたちですからね。

 

17:鬼滅ごっこをやってる忍者

そうですね。

まあ、この後は暫くは他の班に混ざってDランク任務を熟して行くと思いますが引き続き修業をやっていくつもりです。

俺の報告はこの辺で終わりにしますが、ライダーくんはこれから林間合宿の準備?

 

18:雄英の仮面ライダー

>>17

はい。

実は今日一部を除いてクラスの皆は大型ショッピングモールで買い物するそうです。

 

19:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

あれ?

ライダーくんは行かないの?

 

20:雄英の仮面ライダー

俺は店の手伝いがあるので。

 

21:杜王町の幽波紋使い

実家が自営業だと手伝いもしないといけないのか。

大変だな。

 

22:雄英の仮面ライダー

俺も好きで手伝ってますし、そこは気にしてないですよ。

…そう言えば、グラップラーニキと美食屋ニキは?

 

23:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

そう言えば2人居ないね。

 

24:太刀川隊の狙撃手

グラップラーニキは遂に原始人ピクルが日本に来日したそうなので暫くはそっちに集中するみたいです。

美食屋ニキは"偉大な航路"(グランドライン)で食材探しと冒険に夢中で今回は参加出来ないとの事です。

 

25:空座町の無下限呪術師

こっちも切りが良いし、一旦解散で良いんじゃない?

 

26:雄英の仮面ライダー

>>25

そうですね。

それでは皆さんお疲れ様です。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

今日は休日。

 

試験期間中は勉強に集中していたがそれも無事に終了し、通常通り店の手伝いを再開した。

 

「来太くん、今日は休んでも良かったんスよ?クラスの皆は林間合宿の買い物に行ってるんスよね?」

 

「試験期間中は休ませて貰ってたし、流石に手伝いに出ますよ。今日はオヤッさんが居ないし、流石にウェイターが久留美さんだけだと店回らないじゃないですか」

 

「そうスけど」

 

買い物をキャンセルした俺を古津狗さんが心配する。

 

「すいません来太くん!私が力不足なばっかりに!」

 

「いや、単に人手不足なだけだから。久留美さんは悪くないですよ」

 

「ウェイター、もう1人雇うべきッスかね」

 

「オヤッさんとも相談してみます」

 

そんな話をしていると、

 

「すいませーん。席空いてます?羽根があるんでテーブルが良いんですけど」

 

「はい。ご案内しま───」

 

お客が来たので出入り口のドアに振り向くと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が其処に立っていた。

 

輝度の高い黄土色の髪に、それに合わせたジャケット。

 

黒のインナーと手袋。

 

額に掛けた特殊なゴーグルは薄く水色掛かっている。

 

彼の背中には大きな翼が生えており、羽根の色は紅だった。

 

「ホークス、さん?」

 

「お、嬉しいね。俺の事知ってくれてたんだ」

 

「知っての通り、俺はホークス。ヨロシクね佳面来太くん」

 

日本のNo.3ヒーロー【ホークス】。

 

通称【速過ぎた男】が何故か来店した。

 

因みにイケメンヒーローのファンである久留美さんは阿鼻叫喚して気絶したのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「いやー、ごめんね。お姉さんが倒れたの俺のせいでしょ?」

 

「あ、いえ。気にしないで下さい。あの人はイケメンヒーロー大好き人間なので、突然目の前にホークスさんが現れた事で頭がショートしただけですよ」

 

「お詫びにサイン描いておくね。足りなかったら写真も良いよ」

 

「お気遣いありがとうございます」

 

俺とホークスさんは向かい合う様にテーブルに座り、話を始める。

 

古津狗さんは久留美さんの介抱の為、席を外している。

 

「あの、今日はどうして店に?」

 

「うーん、まあ単刀直入に言うと君と話がしたかったから!雄英高校の期待のスーパールーキーである君に」

 

何処となく裏がありそうな笑顔でホークスさんは話す。

 

「それだけで態々東京に?ホークスさんの管轄は九州ですよね?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。……雄英襲撃事件とヒーロー殺し事件に関わった君にね」

 

目的を話した途端、ホークスさんの表情から笑みが消え、ヒーローとしての顔に変わった。

 

「……ホークスさん程のヒーローなら、独自の情報網(ネットワーク)を持っているのではないですか?それに確か、俺のクラスメイトの1人の職場体験先でもあったんですよね?」

 

「うん。色んな所から情報は貰うし、この間の職場体験で常闇くんから雄英襲撃事件の事は聞いているよ。けど、当事者からの方がより情報の価値は高いからね」

 

俺の質問を瞬時に返した。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……何が聞きたいんですか?」

 

「率直な話、この2つの事件について君はどう思っているのかな?例えば、2つの事件に共通する事があるのかとか」

 

共通点……か。

 

「あくまで俺の主観になりますが」

 

「良いよ。話して」

 

「2つの事件には最近話題となっている(ヴィラン)連合が関わってます。襲撃事件だとその主犯として。ヒーロー殺しとは裏で繋がっていたりとか」

 

「……それだけかな?」

 

「……もう1つ挙げるとすれば、彼等にはオールマイトに対して強い感情を抱いている事…ですかね」

 

(ヴィラン)連合は殺意。

 

ヒーロー殺しは敬意。

 

どちらも歪んでいるが、強く執念すら感じるものではあったと思う。

 

「成る程、オールマイトさんか…。確かに連合は抹殺対象として、ヒーロー殺しは尊敬の対象として彼を挙げているね」

 

「他にもまだあるのかもしれませんが、俺の中ではオールマイトが大きく関わっていると思います」

 

「そうか…。うん、ありがとう。貴重な情報だったよ。来た甲斐があった」

 

ホークスさんは再び笑顔になり、俺にお礼を言う。

 

「あ!話変わるけどさ、プロになったら俺と仕事しない?」

 

「え?」

 

突然のスカウトに一瞬驚く。

 

「ほら、君って色んな姿に変身するでしょ?君の能力と俺の羽根が合わさったら、どんな事件も一瞬で解決出来ないかな〜って。因みにだけど君って飛べる?」

 

「あ、はい。飛べる姿にも変身出来ます。鳥っぽかったりドラゴンだったり」

 

「マジで!?じゃあ組もうよ!鳥チームとしてさ!あ、けど君ってミルコさんのお気に入りだったよね?あちゃ〜、横取りしたら怒っちゃうかな?」

 

「お気に入りなのかは知りませんが、あの人の性格上、横槍入れられると怒ると思いますよ」

 

「うわー、マジか」

 

本気なのか分からないが、ホークスさんは頭を悩ませていた。

 

「組むと言うのは、相棒(サイドキック)としてですか?」

 

「それも良いんだけど、少し違うかな。まあ、君から情報貰ったし、俺の事も少し教えるね」

 

「実は俺、公安直轄のヒーローなんだよね」

 

「公安直轄?それって普通のヒーローとは違うんですか?」

 

「うん。普通のヒーローだと出来ない公安からの依頼を請け負うヒーローの事だよ」

 

まさかそんなヒーローが存在するとは思わなかった。

 

「CIAとかMI6みたいな特殊工作員って事ですか?」

 

「カッコいい例えだね。まあ、そんな感じかな」

 

「それでどう?やってみない?」

 

「そうですね……」

 

少し興味はあるが、気になる点がある。

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

それはつまり、表沙汰に出来ない事を遣らせる事を意味しているのではないだろうか。

 

「すいません、今は何とも言えないです」

 

「そっか。まあ、突然だし仕方ないね。ごめんね変な勧誘をして」

 

「いえ、此方こそ」

 

「まあ、やってみたいなって思ったら何時でも言ってね。そうだ!連絡先交換しようよ!ラインやってる?」

 

「え?はい」

 

唐突な連絡先交換をした後、目を覚ました久留美さんと握手にサイン、写真を撮ってあげたホークスさんは店を出た。

 

連絡先を交換した時に気づいたが、ショッピングモールで買い物に行っていた皆からのラインで緑谷が(ヴィラン)連合の死柄木と遭遇した事を知ったのであった。

 




速過ぎた男『ホークス』登場!
No.3ヒーローであるホークスがライダーくんに会いに来た。
目的はUSJ事件・ヒーロー殺し事件の関係者であるライダーくんから情報を聞き出す事ではあったが、最後にホークスはライダーくんを公安へ勧誘する。その真意とは……。

次回『ライダーくんvs雄英ビッグ3 ヒーロー3番勝負!前編』
次回登場する仮面ライダーのヒントは「剣士のライダー」です。


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44スレ

『ウルトラマントリガー』19話にキリエロイド、そして我らのウルトラマンティガが登場!!!
マジで嬉しかった。製作スタッフの皆様誠に有難うございます!!
カルミラがトリガーへの想いをケンゴに諭されて動揺したシーンやカルミラとヒュドラムを止めていたのに真っ先にトリガーに攻撃されたダーゴンのシーンを観て、ヒュドラム以外の闇の巨人とはいつか和解出来るのでは?と淡い期待をしてみたり……。
あとネットのネタバレ画像に【トリガーダークが仲間になった】とあって「マジで?」と素で驚きました。まあ、最終回手前くらいからだとは思いますが。

仮面ライダーリバイス本編では突然のヒロミさんが自身の弱かった過去を暴露して大ニが「それ今言わないとダメですか感」出してたり、さくらが使っていたドライバーは狩崎さんが廃棄した物だった事が分かったり、遂に五十嵐家の末っ子さくらが仮面ライダージャンヌに変身してリバイスも大盛りでしたね。
しかもジャンヌのスペックがジャンプ力以外仮面ライダーローグの初期スペックよりも高い事にビックリしました。パンチ力・キック力共に36t超えはエグいて。
そんなさくらの悪魔は、見た目ゆるキャラ!声は可愛いが偶に毒を吐く!戦闘力皆無でクソ弱!その名はラブコフ!しかも吹き替えが特撮好きで有名な人気女性声優が担当してるとか東映本気過ぎる。
次回はリバイの最初の強化フォーム登場とカゲロウことエビルの再登場と目が離せない展開に楽しみでなりません。


第48話の投稿です。

今回から3話に亘り雄英ビッグ3との模擬戦をお送りします。

今回変身する仮面ライダーのヒントは「刀鍛冶」「音の剣士」「オンジュウケンスズネーッ‼︎」です。


「知らない奴は居ないと思うが、先日緑谷が(ヴィラン)連合の死柄木と遭遇した。とまあ、そんな事があって(ヴィラン)の動きを警戒し例年使わせて頂いている合宿先を急遽キャンセル。行き先は当日まで明かさない運びとなった」

 

 

「「「えーーーー!!」」」

 

 

ホークスさんと出会った翌日、朝のHR(ホームルーム)で相澤先生から林間合宿先の変更が告げられた。

 

「もう親に言っちゃってるよ」

 

「故にですわね…。話が誰にどう伝わっているのか学校が把握出来ませんもの」

 

「合宿自体をキャンセルしねぇの英断すぎんだろ!」

 

「てめぇ、骨折してでも殺しとけよ」

 

「ちょっと爆豪。緑谷がどんな状況だったか聞いてなかった!?そもそも公共の場で個性は使用禁止だし」

 

「知るか、取り敢えず骨が折れろ」

 

「かっちゃん……」

 

「皆まだHR(ホームルーム)終わってないから私語厳禁ね。相澤先生の顔がどんどん険しくなってるから」

 

合宿先の変更にクラスの皆が各々思う所がありつつも、今日のHR(ホームルーム)は終了し、普段の通常授業が始まる。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「授業終わったーー!!」

 

「帰ろうぜ!」

 

「今日は推しのグラドルの写真集の発売日だから本屋に直行だ!」

 

「峰田くん!寄り道は良くないぞ!雄英生たる者、速やかに帰宅すべきだ!」

 

「うるせーー!!オイラは早くあのはち切れんばかりのパイ乙を拝みてえんだよ!!」

 

「サイテーだわ」

 

今日最後の授業が終わり、放課後になったのでクラスは帰宅の準備をしていた。

 

「佳面くん帰ろ!」

 

「ケロ、私も途中まで良いかしら?」

 

葉隠さんと蛙吹さんが誘ってくる。

 

「ごめん。俺は今から自主練で体育館に行くよ」

 

俺は2人の誘いを申し訳なさそうに断る。

 

「自主練!?合宿前なのにか!」

 

「ストイック過ぎるだろ!」

 

「偶には休むのも必要だって!」

 

周りの皆が自主練に向かう俺に驚く。

 

「佳面、俺も良いか?」

 

「俺も!期末の時はお前に助けられたからな!ダチとして自主練付き合うぜ!」

 

「僕も良いかな佳面くん!」

 

轟、切島、緑谷が自主練に同行を希望する。

 

「あー、ごめん。実は先客がいてその人と一緒にやる約束してるんだよ」

 

「先客?誰だ?」

 

「B組の方ですの?」

 

「そう言えば体育祭で闘ったサイドテールの女子と休み時間によく話してるけど、もしかして!?」

 

「佳面テメェーー!!他のクラスの女子といつの間に放課後会う仲まで発展させてんだよ!!オイラにも紹介しろよ!」

 

いつの間にか俺の周囲に人が集まって来た。

 

「違うって、3年の先輩だよ。轟は知ってるだろ?波動先輩」

 

「ああ、あの人か」

 

「波動先輩?」

 

「3年の先輩といつの間に知り合いになってんの!?」

 

「その人もヒーロー科?」

 

「どんな人?」

 

「俺と佳面が食堂で会った女子の先輩。凄く質問してくる人で、佳面の事をかなり気に入ってるな」

 

皆の質問に轟が答えると、数名がピクリと反応する。

 

「轟も波動先輩に質問されまくってたでしょ?」

 

「俺よりもお前が多かっただろ」

 

そんなやり取りをしていたら突然腕を掴まれたので振り向くと、葉隠さんと蛙吹さんが並々ならぬ雰囲気を醸し出しながら俺を見ていた。

 

「ねえ、佳面くん。どう言うことかな?」

 

「詳しく聞きたいわ」

 

(あれ、なんかデジャヴ)

 

「い、一旦CMです!」

 

そう言って俺は2人の静止を振り切って教室から出る。

 

側からしたら逃亡している様にしか見えないだろう。

 

「………」

 

「君も気になるのかい?」

 

 

「ち、ちゃうわ!?そんなんとちゃう!!」

 

 

「どうしたんだ麗日くん!?」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

急いで相澤先生から鍵を受け取り、ジャージに着替えた俺は体育館γに向かった。

 

「ごめんね!待たせちゃったかな?」

 

逸早く到着し、待っていると同じく学校の指定ジャージを着た波動先輩が現れた。

 

しかも両隣には男子生徒2人が居る。

 

1人はジャージを着込んでいんでいても分かるくらい鍛えられた肉体に逆立った金髪、笑顔をした男子生徒。

 

もう1人は猫背で此方に視線を合わせない黒髪の男子生徒だった。

 

「いえ、俺も今着いた所なので。それで……この方たちは?」

 

「初めましてだよね!俺は通形ミリオ!こっちが天喰環!宜しくね後輩くん!」

 

「佳面来太です。初めまして通形先輩、天喰先輩」

 

「宜しく!」

 

通形先輩と握手を交わすし、天喰先輩の方を見ると視線どころか顔を逸らされた。

 

「環は人見知りで初対面の人とはいつもこうなんだ!気にしないでね!」

 

「大丈夫ですよ。あの、今日は波動先輩に自主練をお願いしたのですが、どうして通形先輩たちが?」

 

「聞いて聞いて!クラスで来太くんの話をしてたら通形が会ってみたいって言ったの!それと天喰くんは通形について来たんだよ!」

 

「体育祭で大活躍した1年生に会ってみたくなってね!波動さんについて来てきたんだよね!」

 

「ミリオ、今は波動さんが話してるから」

 

「そうだった!ごめんね」

 

和気藹々と話してる先輩方を見て、3人は普段からよく一緒に居るのが分かった。

 

「それは構いませんが、どうします?俺は波動先輩と軽い模擬戦をやる予定でしたけど、通形先輩たちは見学されますか?」

 

「そこで提案だけど、俺と環も君と闘ってみたいんだよね!」

 

「……わかりました。此方こそ宜しくお願いします」

 

突然の提案に驚くも折角の機会もあり2つ返事で承諾する。

 

「はいはーい!最初は私から!約束してたの私だもん!」

 

「OK!じゃあ次の順番を決めようか!環はどうする?」

 

「大取りなんて大役、俺には出来ない。ミリオがやってくれ」

 

「それじゃあ2戦目は環!最後は俺と勝負だね!」

 

「宜しくお願いします」

 

こうして突如先輩3人との模擬戦が始まった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「審判は俺がやるね!」

 

「ありがとうございます、通形先輩」

 

自ら審判役を買って出た通形先輩に感謝し、中央で波動先輩と向き合う。

 

「よし」

 

 

『音銃剣錫音!』

 

 

俺は音の聖剣【音銃剣錫音】と【ヘンゼルナッツとグレーテルワンダーライドブック】を実体化させる。

 

「あ!体育祭のトーナメント戦で見たのと似てる!何で何で?」

 

「系統が同じだからです。それじゃあ」

 

音銃剣とワンダーライドブックに興味津々な波動先輩の質問に答え、俺はワンダーライドブックのページを開く。

 

 

『ヘンゼルナッツとグレーテル!』

 

 

『とある森に迷い込んだ小さな兄妹の、おかしな冒険のお話…』

 

 

閉じたワンダーライドブックを音銃剣錫音の【スズネシェルフ】にセットする。

 

音銃剣からポップ調の待機音が鳴り響き、俺の背後に巨大な【ヘンゼルナッツとグレーテルワンダーライドブック】が空中に出現し、引き金の【スズネトリガー】を弾く。

 

 

『ヘンゼルナッツとグレーテル!』

 

 

トリガーを弾いた事でワンダーライドブックが開き俺は音銃剣を構える。

 

 

「変身!」

 

 

力強く突いた音銃剣からエネルギーの斬撃が解き放たれ、背後に出現された巨大なワンダーライドブックから無数のお菓子が飛び出して、俺の周囲を回転しながら包み込む。

 

そして、俺の姿を甲冑【ソードローブ】が覆い、その上から音響防具【ソニックメイル】と肩には盾の【クッキーディバイダ】、手足首にドーナッツ状の腕輪及び足輪【ドーナッツバンド】が装着される。

 

顔には【ヘンゼルナッツマスク】が覆われ、頭部に音銃剣の刀身と同じ形状の【ソードクラウン】に先程放たれた斬撃が戻り【リズムバイザー】へと変化した。

 

 

『銃剣撃弾!』

 

 

『銃でGO!GO!否!剣でいくぞ!音銃剣錫音!』

 

 

『錫音楽章!』

 

 

『甘い魅惑の銃剣が、おかしなリズムでビートを斬り刻む!』

 

 

聖剣の刀鍛冶にして音の剣士【仮面ライダースラッシュ】に変身完了した。

 

「凄い凄い!さっきの声は剣から出てるの?何でお菓子が鎧になるの?」

 

「そう言う能力だからですよ」

 

俺は重心を落とし、音銃剣を構える。

 

「それじゃあ2人とも準備は良いよね?」

 

 

「始め!」

 

 

開始の合図と共に個性を発動した波動先輩の足からエネルギーが放出され、空中に浮いた。

 

(エネルギー系の個性……。青山に似た個性か)

 

「いっくよー!」

 

空中に浮いた波動先輩は両手を翳し、波動エネルギーを放つ。

 

攻撃速度はそこまで速くない。

 

「(避けられる。けどここは)敢えて受ける!」

 

俺は肩の盾【クッキーディバイダ】で波動エネルギーを受け止める。

 

衝撃を音に変換して発散させる事でダメージは軽減された。

 

「どんどん行くよ!」

 

波動先輩は連続で攻撃する。

 

しかし、

 

「攻撃の特徴は記録した。行くぞ!」

 

放たれた波動エネルギーを音銃剣で受け流し、相殺する。

 

 

『銃奏!』

 

 

音銃剣を銃奏モードに変形させ、銃口【オンリツマズル】を波動先輩に向けて【スズネトリガー】を弾く。

 

銃口から音の弾丸【錫音弾】が放たれる。

 

波動先輩は足の波動エネルギーを巧みに操作し、回避する。

 

「わ!?ビックリした!その剣って銃にもなるんだ!」

 

「驚くのは早いですよ!」

 

 

『剣盤!』

 

 

再び音銃剣を剣盤モードに変形させ、速読機【シンガンリーダー】にワンダーライドブックをリードする。

 

 

『ヘンゼルナッツとグレーテル!イェーイ!』

 

 

「スナック・音・ザ・チョッパー!」

 

 

『錫音音読撃!イェーイ!』

 

 

剣に無数のお菓子のエネルギー体を纏い、強烈な斬撃を繰り出す。

 

「チャージ満タン……出力10!」

 

波動先輩も両手からエネルギーを充填し、

 

 

ねじれる波動(グリングウェイブ)!」

 

 

放たれた巨大な波動は斬撃と衝突し、互いに霧散する。

 

「危なかったー!出力もう少し抑えてたら押し切られてたよ!」

 

「(リード1回分だと流石に決まらなかったか…。けど、波動先輩の動きはだんだん掴めてきた。此処からは)リズムを変える!」

 

俺は左側の【ソードオブロゴスホルダー】から【ブレーメンのロックバンドワンダーライドブック】を取り出し、ページを開く。

 

 

『ブレーメンのロックバンド!』

 

 

『とある戦いを強いられた動物達が奏でる、勝利の四重奏…』

 

 

『銃奏!』

 

 

音銃剣を再び銃奏モードに変形し、ワンダーライドブックをセットする。

 

音銃剣からポップ調の待機音が鳴り響き、俺の背後に巨大な【ブレーメンのロックバンドワンダーライドブック】が空中に出現し、引き金の【スズネトリガー】を弾く。

 

 

『ブレーメンのロックバンド!』

 

 

『銃剣撃弾!』

 

 

巨大なワンダーライドブックから楽器を模したパーツが左腕に装着され【ギクアーム】に大口径のスピーカーが左肩が【ブレーメンボールド】に変化する。

 

 

『剣で行くぜ!NO!NO!銃でGO!GO!BANG!BANG!音銃剣錫音! 』

 

 

『錫音楽章!』

 

 

『甘い魅惑の銃剣が、おかしなリズムでビートを斬り刻む!』

 

 

仮面ライダースラッシュの派生形態【ヘンゼルブレーメン】にフォームチェンジした。

 

 

「此処からは、俺の単独ステージだあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

音銃剣の心正しき者を鼓舞する能力と【ギクアーム】の変身者の戦闘能力の上昇や戦意を高揚させる能力が合わさり、俺のテンションは最高潮に達した。

 

「どうしたの来太くん!いつもと違うよ!?」

 

「わー!何か佳面くんのテンションが爆上がりだね!さっきの本の力かな?環」

 

「あのテンション……俺とは絶対相容れないパリピ感を感じる……。近づきたくない……」

 

波動先輩や審判役の通形先輩、見学をしている天喰先輩が変貌した俺に驚いているが、今はそんな事どうでも良くなった。

 

「HotでCoolなPartyの始まりだ!」

 

 

「Here we Go! Let's Party!!」

 

 

何処ぞの馬をハーレーの様に乗りこなす独眼竜みたいなテンションで俺は銃奏モードの音銃剣を連射する。

 

数十発の【錫音弾】が一斉に波動先輩目掛けて飛んでいく。

 

「わわっ!?」

 

波動先輩は慌てて回避するも俺は脱出ルートを予測し、連射して逃げ道を塞ぐ。

 

「あれ?何か上手く波動が出せない……!?」

 

さらに左腕の【ギクアーム】から奏でられる音楽の催眠作用で状態異常を誘発させ、波動先輩の動きを鈍らせる。

 

「俺のビートに心震えな!!」

 

 

ブレーメンのロックバンド!イェーイ!』

 

 

「ガンズ・アンド・ミュージック!」

 

 

波動先輩の周囲を楽譜状のエネルギーで囲み、音響攻撃で爆発を起こす。

 

爆発で地面に落下した波動先輩は悔しそうに両手を上げた。

 

「何か力入らないし、個性が上手く使えない……!むぅ~降参!」

 

 

「勝負あり!佳面くんの勝ち!!」

 

 

「Victoryィィィィィ!」

 

 

1戦目の波動先輩との勝負は俺の勝ちで幕を下ろした。




仮面ライダー紹介

仮面ライダースラッシュ

レア度【R】

出典『仮面ライダーセイバー』
※スラッシュは私がセイバー系で1番好きなライダーです

主人公vsビッグ3
何時ぞやにねじれと約束した自主練の為に体育館に向かうと彼女以外に男子生徒が2人が立っていた。
その2人の正体はねじれと同じヒーロー科3年の【通形ミリオ】と【天喰環】であり、雄英生最強の3人であるビッグ3であった。
ミリオから突然の提案で模擬戦を急遽行う事になり、1回目はビッグ3の紅一点・ねじれとの戦闘となった。

『仮面ライダースラッシュvsねじれちゃん』
音銃剣錫音でねじれのエネルギー攻撃を受け流し、剣盤モードと銃奏モードを状況に応じて使い分ける事で闘いを有利に運び、【ブレーメンのロックバンドワンダーライドブック】で【ヘンゼルブレーメン】にフォームチェンジし戦闘のリズムを変えて必殺の【ガンズ・アンド・ミュージック】で勝利する。本当はライダーくんのテンションは普段のままにする予定でしたが音銃剣の性質とブレーメンのロックバンドワンダーライドブックの能力を考慮して、本家通りにテンションが爆上がりにしました。

次回『ライダーくんvs雄英ビッグ3 ヒーロー3番勝負!中編』
次に変身する仮面ライダーのヒントは「ゴリラ」です。


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45スレ

第49話を投稿します。

「ライダーくんvs雄英ビッグ3 ヒーロー3番勝負!中編」です。

今回変身する仮面ライダーのヒントは「ゴリライズ」「狼(ゴリラ)」「貴方はゴリラですか?(煽り)」です。


「いやー、驚いた!まさか波動さんに勝っちゃうなんて!?想像以上に凄い1年生だね!」

 

「ありがとうございます。けど、今回は相性が良かったので戦いやすかったのもありますが…」

 

「来太くん知ってる?こういう時は素直に嬉しいって思わないといけないんだよ?卑屈になっちゃうから」

 

「…そうですね。すいません、波動先輩」

 

「分かったなら良いよ!またやろうね!」

 

「はい!」

 

1戦目を終え、休憩中に通形先輩と波動先輩と話していた。

 

「波動さんに勝った1年に…俺は勝てるのか?…駄目だ、シュミレーションしただけで胃が痛い……ッ」

 

天喰先輩だけは壁際に背を向けていた。

 

「それじゃあ今度は環とだね!準備は良いかな?」

 

「俺は良いですけど…天喰先輩は大丈夫ですか?」

 

「大丈夫!勝負になったら何ともないからね!」

 

「はぁ……」

 

見る限り大丈夫じゃなさそうだが、通形先輩が言うなら大丈夫なのだろう。

 

「それでそれで!来太くん今度は何に変身するの?」

 

「そうですね……なら今度は動物っぽいヤツに変身しましょうか?」

 

「良いね!実は環の個性も動物の能力を使うんだよね!」

 

「そうなんですね。なら、負けられませんね」

 

「俺の居ない所で話を盛り上げないでくれ……ッ!」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

俺と天喰先輩は中央に向かい合う。

 

「(通形先輩が言うには、天喰先輩の個性は動物関連…。何の動物なのかまだ分からない上に、もしかしたら轟みたいに複数の特性を持ってる可能性もある)……なら、これでいくか」

 

 

『ショットライザー!』

 

 

俺は拳銃型変身ベルト【エイムズショットライザー】を実体化させ、結合バンド【Z-CONバンド】を腰に巻き付ける。

 

 

『バレット!』

 

 

次に【シューティングウルフプログライズキー】を実体化させ、ボタンを押し起動させる。

 

「(本当は唯阿さんや迅みたいにスムーズに変身したいけど、ニキたちから本家(ゴリライズ)再現しろって言われてるし……しょうがない!)ふんっ!」

 

メキメキッ

 

俺は両手でプログライズキーを掴み、力尽くでキーの展開を試みる。

 

しかしなかなか展開出来ない。

 

「あの…それの使い方ってそれで合ってるの?」

 

「合ってませんが…ちょっと待ってください!」

 

「あ、はい!」

 

天喰先輩が俺のやり方に疑問を抱いていたので、返答する。

 

メキメキッ

 

未だにキーからは軋む音が聞こえるだけで展開が出来ない。

 

「(気合いを入れろ!変身能力があるって事は不破さんのやり方でも出来るって事だろ!ならやってみせろ!)」

 

 

「こじ開けられないものなんて無い!」

 

 

「うおおおおおおお!!」

 

 

気合いを入れて力一杯プログライズキーをこじ開け、遂にキーが展開した。

 

なんとか出来た。

 

出来たが……、

 

 

「やっぱり効率悪い!」

 

 

「「「(なら何でそのやり方!?)」」」

 

 

『オーソライズ!』

 

 

愚痴を溢しながら展開したプログライズキーをショットライザーに装填する。

 

 

『Kamen Rider...Kamen Rider...』

 

 

認証(オーソライズ)され、グリップ部分の【ファクトグリップ】を掴み、ショットライザーをベルトから取り外す。

 

そして銃口【ショットライズマズル】を正面に向ける。

 

 

「変身!」

 

 

掛け声と共に引き金の【ショットライズトリガー】を引く。

 

 

『ショットライズ!』

 

 

銃口から成形した各種装備を圧縮カプセル【SRダンガー】に封入して射出する。

 

「ふん!」

 

射出された【SRダンガー】は軌道を変え、此方に戻って来る。それを俺は左拳の正拳突きで殴り付けた。

 

【SRダンガー】は空中分解し、中から強化アーマー【ライズベースアクター】が展開する。

 

俺の身体に次々とアーマーが装着され、最後に俺の顔に赤い涙ラインが浮かび上がり、【ウルフヘッド】が装着される。

 

 

『シューティングウルフ!』

 

 

『"The elevation increases as the bullet is fired." 』

 

 

己のルールに従い、自身の夢に向かって突き進む戦士【仮面ライダーバルカン シューティングウルフ】に変身完了する。

 

「凄い凄い!狼だーー!!けど何で弾丸が鎧になるの?不思議ーー!!」

 

「色んな変身方法があるんだね!全部で何種類あるのか気になるんだよね!」

 

波動先輩と通形先輩が俺の変身にテンションを上げる。

 

「お待たせしました。天喰先輩」

 

「ああ……。早くやって早く帰りたい……」

 

俺はショットライザーを構え、天喰先輩も戦闘態勢を取る。

 

「2人とも準備は良いよね?」

 

 

「始め!」

 

 

「ハッ!」

 

合図と同時に天喰先輩に向かって発砲する。

 

数発の弾丸は天喰先輩へ放たれたが、天喰先輩はなんと両手でガードする。

 

 

バキンッ!

 

 

体育館に何かが砕ける音が響く。

 

その正体は、

 

(貝殻!?天喰先輩の両手に貝殻が生えた!?)

 

天喰先輩の両手に貝殻が生えており、弾丸をガードした事で貝殻が砕けたのだ。

 

「危なかった……!"アサリ"にしてなかったら両手を撃ち抜かれていたッ!」

 

天喰先輩は驚くが瞬時に今度は両手の指をタコの脚に変化させ、俺を拘束しようとする。

 

「クッ!」

 

俺は捕まる前に向かってくるタコの脚に弾丸を撃ちながら接近する。

 

タコの脚を弾丸で撃たれたことで拘束を回避し、距離を詰めて天喰先輩の顔面に拳を振り下ろす。

 

「ハアッ!」

 

「ぐっ!」

 

天喰先輩は手を今度は鳥類の脚に変化させ、変化した手で拳を掴んだ。

 

「オオオ!」

 

「うあ!?」

 

掴まれた俺はそのまま壁目掛けて放り投げられる。

 

何とか着地し、ショットライザーを構える。

 

「貝殻の次はタコの脚、そして鳥…。もしかして、天喰先輩の個性は"地球上の生物の特性を宿す能力"なんですか?」

 

「……少し違う」

 

俺はここまでの戦闘で分析し、推測した事を天喰先輩は否定する。

 

「俺の個性は【再現】。喰らった物の特徴を自身の肉体に再現する事が出来る」

 

「再現する特徴、その大きさ、自分の身体のどこに再現するのかも自由自在」

 

「そして、複数の特徴を再現する事も可能だ」

 

説明と同時に天喰先輩の身体は変わり始める。

 

右手はタコの脚、左手は蟹の前脚であるハサミ。

 

両足は鳥の脚へと変貌した。

 

ある意味変身とも言える天喰先輩の個性を目にして、俺は──

 

 

(何か仮面ライダーオーズっぽい!!!)

 

 

様々なメダルを組み合わせ、メダルの元になった生物の特徴をその身に宿すヒーロー【仮面ライダーオーズ】に似た能力に、俺は内心ときめいていた。

 

(それってワニの肉を食べたらワニの特徴を再現も出来るって事か!それにジビエ系だと鹿や猪、熊も再現可能!虫は少し抵抗あるけど地方だと蜂の子の甘露煮とかイナゴの佃煮とかあるし!ヤバい、その気になればオーズの能力を完全再現出来るじゃん!!)

 

仮面越しで先輩たちには分からないが、今俺の表情は子どもの様にはしゃいでいるだろう。

 

(何だろう……彼から物凄く羨望の眼差しを向けられてる感覚がある。うっ、人から期待とか尊敬とか……想像しただけで胃が痛くなってきたっ……!!)

 

何か天喰先輩の表情が曇ってきたのと胃のある所を抑えてる様子に疑問を抱きながらも、俺は気持ちを切り替える。

 

「(天喰先輩に特徴の切り替えをされる前に決着付けないと。まあ、正直先輩の個性にはメチャクチャ興味あるけど……)次はこれだ!」

 

 

『パワー!』

 

 

俺は【パンチングコングプログライズキー】を取り出し、起動させる。

 

変身しているので今度は片手でキーを展開させ、ショットライザーに装填する。

 

 

『オーソライズ!』

 

 

『Kamen Rider...Kamen Rider...』

 

 

認証(オーソライズ)され、グリップ部分の【ファクトグリップ】を掴み、ショットライザーをベルトから取り外す。

 

そして銃口【ショットライズマズル】を正面に向ける。

 

 

『ショットライズ!』

 

 

銃口から成形した各種装備を圧縮カプセル【SRダンガー】に封入して射出する。

 

「ふん!」

 

射出された【SRダンガー】が軌道を変えて戻って来たところを、今度は左の裏拳で殴り付ける。

 

装着したアーマーから新しいアーマーが換装され、【ウルフヘッド】が【コングヘッド】へと変わる。

 

 

『パンチングコング!』

 

 

『"Enough power to annihilate a mountain."』

 

 

青と白の左右非対称アーマーであった【シューティングウルフ】とは打って変わり、グレーの左右対称のアーマー。

 

両手には片側だけで150kg(ゼロワンの専用ビークル ライズホッパー1台分相当の重さ)もの質量を持つ巨大な拳【ナックルデモリション】が装着されている。

 

パワー勝負が得意な形態【仮面ライダーバルカン パンチングコング】にフォームチェンジした。

 

「行きます!」

 

脚部ユニット【ベースアクトレッグ】を活かした脚力で再び天喰先輩に接近する。

 

「無闇に突っ込むのは悪手だ!」

 

天喰先輩も右手のタコの脚で応戦する。

 

迫り来るタコの脚を視覚装置の【バルカンオプティカルバイザー】によって人間の8倍に強化された動体視力で見切り、回避しながら【ナックルデモリション】にチャージしたエネルギーを噴射させ、推進力で加速した拳を振り抜く。

 

「うおおおお!」

 

「グゥッ!?」

 

天喰先輩は咄嗟に蟹のハサミでガードするも、甲羅に亀裂が入り後方へ大きく吹き飛ぶ。

 

「まだまだ!」

 

 

『アサルトバレット!』

 

 

畳み掛ける様に今度は武装特化型プログライズキー【アサルトウルフプログライズキー】を取り出し、拡張モジュール【アサルトグリップ】の起動キー【アサルトチャージャー】を押す。

 

そしてキーを展開し、ショットライザーに装填する。

 

 

『オーバーライズ!』

 

 

『Kamen Rider...Kamen Rider...』

 

 

『ショットライズ!』

 

 

銃口から成形した各種装備を圧縮カプセル【SRダンガー】に封入して射出する。

 

【SRダンガー】は狼の姿に変化し、俺の方へ疾走してくる。

 

「ハアッ!」

 

俺が狼を握り潰すと新しいアーマーが展開され、再び換装する。

 

 

『レディーゴー!』

 

 

『アサルトウルフ!』

 

 

『"No chance of surviving." 』

 

 

【シューティングウルフ】と同様ウルフの姿だが、深縹色と黒色の装甲にボディスーツは浅葱鼠色とダーティーな配色。

 

胸部の装甲には戦闘補助装置【オービタルバインダー】が赤く光り輝ていた。

 

人工衛星【アーク】の力で生み出されたバルカンの強化形態【仮面ライダーバルカン アサルトウルフ】に強化変身する。

 

各部センサーからの情報を共有して目標を捕捉し、両腕部の【AWガントレット】に両肩の【AWショルダー】、脚部の【AWレッグ】に格納された武装を構える。

 

標的(ターゲット)捕捉(ロックオン)全弾発射(フルバースト)!!」

 

装備した短機関銃やマルチミサイルを全弾発射する。

 

 

「混成大夥!"キメラ・クラーケン"!!」

 

 

天喰先輩は全身を甲殻を纏い、更に甲羅に覆われた巨大なタコの脚を鞭のように暴れさせ、放たれた攻撃を全て防御する。

 

「まさか、全弾防がれるなんて……。しかも複数の特徴を掛け合わせた必殺技。波動先輩もそうだったけど、やっぱり3年生は地力が違う」

 

「こんな俺でもインターンで培ってきた技術と経験がある。そう簡単に勝ちは譲れないよ……1年坊!」

 

「グァッ!?」

 

突如天喰先輩の足が巨大化し、俺の胴体を掴んでそのまま壁に押さえ込んだ。

 

天喰先輩の足をよく見てみると、先程の鳥の脚に加え、踝から太腿に掛けてはまるでスペインの闘牛を彷彿とさせる程の筋肉が盛り上がっていた。

 

「(鳥と牛の掛け合わせか!?)クソッ、ビクともしない!」

 

「勝負ありだ……。降参するかい?」

 

勝利を確定したかの様に確認する天喰先輩に対し、俺は仮面越しにニヤリと笑う。

 

「いいえ、生憎と諦めが悪いので!」

 

 

俺は【ランペイジガトリングプログライズキー】を取り出し、【セレクターマガジン】を回す。

 

 

『ランペイジバレット!』

 

 

片手でプログライズキーを展開し、空中へ投げる。

 

 

一種のミスディレクションによって天喰先輩の視線が空中のプログライズキーに移ったと同時に、戦闘補助装置【オービタルバインダー】が赤々と光りだし、拘束されたままビームを放つ。

 

「グアッ!?」

 

突然の奇襲に天喰先輩も思わず拘束を解いた。

 

その隙に重力で地面に落下しようとするプログライズキーをショットライザーに装填する。

 

 

『オールライズ!』

 

 

『Kamen Rider...Kamen Rider...』

 

 

『フルショットライズ!』

 

 

銃口から【SRダンガー】射出されると、【SRダンガー】がマンモス、チーター、蜂、虎、ホッキョクグマ、蠍、鮫、ゴリラ、隼、狼の計10種類のライダモデルへと姿を変え、天喰先輩に襲い掛かる。

 

「グッ!?何だ!?」

 

天喰先輩は甲羅を覆ったタコ足で応戦する。

 

狼のライダモデルから数発の【SRダンガー】が飛び出し、俺は正拳突き、裏拳、回し蹴りの形で受け止める。

 

空中分解された【SRダンガー】から左半身が欠損したアーマーと、同じく左側が欠損した【ランペイジヘッド】が装着される。

 

そして10種類のライダモデルが各自装甲へと変化する。

 

左半身をそれぞれ

アビリティブーツ(マンモス)

アビリティレッグ(ホーネット・チーター)

アビリティガントレット(スコーピオン・タイガー・ポーラベアー)

アビリティアーム(コング・シャーク)

アビリティブレスト(ウルフ)

アビリティウィング(ファルコン)が装着される。

 

最後に【ランペイジヘッド】の左側に各ライダモデルに対応した配色が施されたユニット【アビリティボーダーヘアー】が嵌る。

 

 

『Gathering Round!』

 

 

『ランペイジガトリング!』

 

 

『Mammoth! Cheetah! Hornet! Tiger! Polar bear! Scorpion! Shark! Kong! Falcon! Wolf!』

 

 

バルカンのもう1つの強化形態【仮面ライダーランペイジバルカン】に変身完了する。

 

「スゴーーーい!!何かいっぱい動物出てきた!!動物園みたい!!」

 

「そうだね!けど流石にマンモスは動物園に居ないんだよね!」

 

再びはしゃぐ2人(通形先輩と波動先輩)を他所に、ショットライザーに装填された【ランペイジガトリングプログライズキー】の【セレクターマガジン】を2回回す。

 

「そろそろ決着、つけましょうか」

 

 

『パワー!』

 

 

『スピード!ランペイジ!』

 

 

必殺技を選択し、【ショットライズトリガー】を引く。

 

 

『ランペイジスピードブラスト!』

 

 

「ハアッ!」

 

ショットライザーの銃口から蜂の針を摸したエネルギー弾が一斉に発射される。

 

「何度やっても同じだ!」

 

再び甲羅を覆ったタコ足でエネルギー弾をはたき落とす。

 

()()()()()()()()()()()()

 

「ウオオオオオオオ!!」

 

チーターのアビリティ【ダッシュ】によって目にも止まらないスピードでタコ足の包囲網を駆け抜け、天喰先輩に高速の連続キックを打ち込む。

 

「グウゥッ!!」

 

天喰先輩が連続キックを打ち込まれ怯んでいる隙に、今度はファルコンのアビリティ【ウィング】より背部の片翼でエネルギー干渉場を展開し、推力と揚力を得ることで飛行を行う。

 

 

「ハアアアアアアアア!!」

 

 

「グアァァァァ!!」

 

 

スピード

 

 

急降下からのライダーキックが天喰先輩に直撃し、地面に大きな蜘蛛の巣状の亀裂が入る。

 

天喰先輩は攻撃により気を失った。

 

 

「勝負あり!環の気絶により、佳面くんの勝ち!!」

 

 

1度追い詰められたが、最後はスピード攻撃により2戦目も俺は勝利した。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーバルカン

レア度【SR】

出典『仮面ライダーゼロワン』

『仮面ライダーバルカンvsサンイーター』
仮面ライダーオーズっぽい能力を持つ天喰に対して次々とフォームチェンジをして対応する。
シューティングウルフによる正確な射撃と格闘戦、パンチングコングによるパワー勝負、アサルトウルフによる火力戦、ランペイジバルカンによる多彩な攻撃により天喰に勝利。

次回『ライダーくんvs雄英ビッグ3 ヒーロー3番勝負!後編』
次に変身する仮面ライダーのヒントは「黒いライダー」です。


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46スレ

ウルトラマントリガー、映画化決定!!!
しかもゼットさんとハルキも登場!新キャラとして『仮面ライダー響鬼』桐谷京介役や『仮面ライダー電王』仮面ライダーゼロノス/桜井侑斗役で有名な俳優の方が出演!!
敵キャラとして闇の巨人イーヴィルトリガーも登場する等、これからの新情報が待ち遠しいです!!

仮面ライダーリバイスでもカゲロウがギャグシナリオの犠牲者になりつつもデッドマンのアジトを一輝たちに教えた事で奇襲作戦が始まり、ギフの復活の儀式を阻止する事が出来ましたね(ギフ復活にバイスが何かしら影響受けそうだけど……)。
ヒロミさん、取り敢えずクリスマスによる退場イベントは回避出来たっぽいけど、デモンズに変身する度に身体がボロボロになってる描写から途中で戦線離脱(死にはしない?)しそうで怖い。
今思うとヒロミさんの悪魔は第1話でリバイスに倒されてるし、もしかしたら悪魔が居なくてもデモンズに変身出来るけどその分寿命縮んでそう……。


『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』を観てきました。
ネタバレはしませんが、今回の映画の重要キャラである仮面ライダーセンチュリーがカッコ良かった。所々クリア素材が使われているスーツデザインは勿論アクションも。


第50話を投稿します。
『ライダーくんvs雄英ビッグ3 ヒーロー3番勝負!後編』です。

今回変身する仮面ライダーのヒントは『世紀王』『黒い太陽』『キングストーン』です。



「さあ、今度は俺との勝負なんだよね!」

 

「宜しくお願いします。通形先輩」

 

天喰先輩が目を覚ました所で、今日最後の模擬戦相手である通形先輩と対峙する。

 

「はいはーい!審判は私がするね!」

 

通形先輩と入れ替わり、波動先輩が審判役を務める。

 

「フフフッ!此処まで2戦0勝だけど、俺が2人の仇を取っちゃうんだよね!」

 

「俺だって負けるつもりはありませんよ」

 

俺はそう言い、変身するライダーをイメージする。

 

あの鍛え抜かれた肉体を見るに、通形先輩の戦闘スタイルは接近戦主体だと推測出来る。

 

それなら距離を取りつつ攻撃が出来るライダーに変身すべきだろうが、恐らくそんな簡単に勝てる人では無いと思われる。

 

……あくまで直感ではあるが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「行くか」

 

覚悟を決めた俺は『スイッチ』を入れる。

 

左腕を腰に添え、右腕を前に出した構えから両腕を大きく右側へ振るい、右半身に重心を置くと右頬の前で両拳を握る。

 

ギリギリッ

 

力強く握り締めた拳から軋む音が響き、その溜めた力を解き放つように右腕を左下へ突出し、素早く腰へ添えると入替えるように左腕を右上へと突き出す。

 

 

「変───」

 

 

伸ばした左腕で扇を描く様に、右から左へ旋回させ───。

 

 

「───身ッ!!」

 

 

叫びと共に両腕を右上に伸ばす。

 

俺の腹部に埋め込まれた太陽の石【キングストーン】が赤く発光すると同時に周囲の細胞が銀色のベルトを形成する。

 

ベルト中心部の【エナジーリアクター】がエネルギーを増幅して全身へと送り込む。

 

【特殊冬眠遺伝子MBG】の活動により、人の姿だった身体が奇怪なバッタ男の姿へと変わる。

 

しかし、それは一瞬。

 

ベルトの光はバッタ怪人の表皮に黒い強化外骨格状皮膚【リプラスフォース】で包み、さらに姿を変えていく。

  

頭部から突出された2本のアンテナ【ライダーセンサー】。

 

大きな赤い複眼【マルチアイ】。

 

首周り・手首・足首にある赤と黄のライン【パワーストライプス】。

 

そして左胸には【秘密結社ゴルゴム】のシンボルマークが刻まれる。

 

関節部から露出した改造筋肉【フィルブローン】から過剰エネルギーが蒸気となり噴き出す。

 

この姿は【仮面ライダーBLACK】。

 

生体改造人間の王【世紀王】に君臨する存在であり、【ブラックサン】というもう1つの名を持つ仮面ライダーに変身を遂げる。

 

「おおお!?今度は黒いねー!バッタかな?」

 

「えー?私は蟻に見えるよー?」

 

「最初のバッタの姿に、黒のプロテクターを覆った感じじゃないかな……」

 

「正解です、天喰先輩」

 

BLACKに変身した俺の姿に先輩方が各々感想を言う。

 

「それじゃあ、そろそろ」

 

「うん!始めようか!」

 

準備を終えたところで俺は構え、通形先輩は自然体のまま対峙する。

 

「それじゃあ行っくよー!」

 

 

「始め!!」

 

 

合図と同時に俺は通形先輩へ駆ける。

 

スタートダッシュの勢いで右ストレートを打ち込もうとした、次の瞬間───。

 

「ン!?」

 

何故か通形先輩の体操着が地面に落ち、彼の裸体が露わになった。

 

辛うじて下半身は隠しズボンを履き直していた。

 

「っと、ごめんね!まだ調整が上手く行かなくて───」

 

不意打ち気味に俺はそのまま右ストレートを通形先輩の顔面に打ち込む。

 

だが、しかし。

 

(手応えが無い!と言うより()()()()()()!?)

 

通形先輩をすり抜けた拳から放たれた風圧が空中で霧散する。

 

「いきなり顔面かよ!?容赦ないね!」

 

「ハアッ!」

 

体勢を直し尽かさずハイキックを繰り出すも、これも先程の様にすり抜けた。

 

すると蹴りをすり抜けた通形先輩の姿が一瞬で消える。

 

「(すり抜けたと思ったら姿を消した……まさかワープの類いか?)何処だ」

 

「後ろだよね!」

 

突如背後から声が聞こえ、反射的に振り向くと全裸の通形先輩(足の角度を変えてなんとか恥部を隠している)が現れ、拳を振り下ろそうとしていた。

 

咄嗟にガードをするも()()()()()()()()()()()俺の顔面を捉える。

 

「グッ!」

 

殴られた事で少し怯むも気にせず回し蹴りを放つが、又もや通形先輩の身体をすり抜けていた。

 

 

「POWERRRRR!!」

 

 

逆に通形先輩のラッシュ攻撃が強化外骨格状皮膚【リプラスフォース】に覆われた俺の身体に打ち込まれる。

 

変身しているお陰で打撃への耐性が高くダメージはあまり無いが、此方の攻撃が通らない事に正直お手上げ状態となっていた。

 

「はぁ、此処までこっちの攻撃が通らないと少し参りますね」

 

「ハハハハ!それなら降参するかい?」

 

「冗談でしょ!」

 

通形先輩の挑発じみた言葉に反論し、俺は再び攻撃を仕掛ける。

 

しかし今度は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

パンチ、キック、チョップ。

 

常人の目では捉えられない程のスピードで繰り出された攻撃は通形先輩の身体を悉くすり抜けていった。

 

「がむしゃらに攻撃しても当たらないんだよね!」

 

全ての攻撃をすり抜けた通形先輩の姿はまたワープをする様に消えようとした。

 

しかし、通形先輩が消えようとする瞬間を赤い複眼の【マルチアイ】が捉える。

 

「(通形先輩が地面に潜った……。ワープ系の個性なら地面に潜り込む必要は無い。それなら……)そう言うことか!」

 

俺は地中で移動する通形先輩の動きを透視し、地上に現れるタイミングに合わせて拳を振り翳す。

 

「(カウンター!?背後に現れるタイミングを見越した!?)だけどカウンター対策はバッチリなんだよね!」

 

通形先輩は俺の拳を貫通しながら接近して胸部目掛けてカウンターパンチを放つ。

 

「なんの!」

 

俺は攻撃がクリーンヒットする前に辛うじて回避して、通形先輩と距離を取る。

 

「ふぅ…。何となくですが、今ので分かりましたよ。通形先輩の個性」

 

「ッ!?へぇ…!それは何だい?」

 

透過。それが通形先輩の個性ですね」

 

俺の言葉に通形先輩だけでなく、審判役の波動先輩と観戦していた天喰先輩までもが驚愕する。

 

「最初は身体ごと消えていたのでワープ系の個性だと思ってましたが……間違いでした。本当は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それとポーズ等で身体の角度を調整することで地面から飛び出すポイントを決めていた……当たってますか?」

 

「正解!!まさか僅かな戦闘だけで俺の個性を言い当てたのは学生の中では君が初めてなんだよね!!」

 

「来太くん凄ーい!!」

 

「(ミリオの個性を初見で見極めるなんて……!?やっぱり、この1年坊おかしい!!)」

 

(まあ、個性が分かったところで攻撃当てないと勝てないんだけど)

 

答えを言い当てた事に驚きを隠せない先輩たちを他所に、俺は現状の打開策について考えていた。

 

「だけど攻撃が当たらなければ俺には勝てないんだよね!」

 

通形先輩は俺が思っていた事と全く同じ言葉を言って地面に潜り込む。

 

しかも今度は体育館の壁からも飛び出してきた事でより複雑な動きで翻弄し始める。

 

(まともに戦っても通形先輩に勝てない。それこそ、相澤先生みたいに相手の個性を消さない限り……。あれ?()()()()()()()?)

 

「それならッ───!!」

 

1つの打開策を閃いた俺は腕を左右に開き、両拳をベルトの前で重ね【キングストーン】にエネルギーをチャージする。

 

(チャンスは1度っきり。此処で外したらもう後は無い、全神経を研ぎ澄ませろ!!)

 

高速で縦横無尽に移動する通形先輩の気配を辿り、タイミングを図る。

 

(此処だ!!)

 

 

「キングストーンフラッシュ!!」

 

 

【キングストーン】から放たれる眩い赤い閃光が周囲を照らす。

 

「(目眩し!?怯ませたところで俺に攻撃は当たらないんだよね!!)POWERRR!!

 

通形先輩は閃光を気にせず拳を振り翳す。

 

しかし俺は()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()!?何でッ───)

 

 

「ウオオオオオオオッ!!」

 

 

「ガハッ!!」

 

すり抜けられない事に戸惑い今度こそ動きが止まった通形先輩の顔面に拳を放つ。

 

これまでならすり抜けていた拳が今度こそ顔面を捉え、殴られた通形先輩は地面に叩きつけられた。

 

反撃されない様、俺は通形先輩を拘束する。

 

「勝負ありですね……。通形先輩」

 

「イタタタタ、……うん!俺の負けなんだよね!!」

 

 

「勝負あり!佳面くんの勝ち!!」

 

 

通形先輩が降参した事で、最後の模擬戦が終了する。

 

「教えてくれるかい?俺の個性が使えなくなったのはあの光のせいなんだよね?」

 

「はい。簡単に言うと相澤先生……イレイザーヘッドの真似事です。先程の光で先輩の個性因子を麻痺らせて、一時的に個性を使えなくしました。暫くしたら元に戻りますので安心して下さい」

 

「解説はこんなところで……一先ず服着てくれます?」

 

「アハハハハ!!お見苦しい姿で申し訳ないんだよね!!」

 

俺が上から覆い被さってるお陰で辛うじて大惨事には至っていないが、今の通形先輩は何も纏っていない裸体そのものである。

 

取り敢えず、今は通形先輩の裸体を波動先輩に見せない様にするのに必死だった。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーBLACK

レア度【SR】

出典『仮面ライダーBLACK』


キングストーンフラッシュで相澤先生の真似事を再現
【透過】という物理最強の個性に対し、必殺技の1つ【キングストーンフラッシュ】によってミリオの個性因子を一時的に麻痺らせる事で個性の無効化に成功したライダーくん。正直、これが決まらなかったら潔く降参するつもりであったそうな……。


次回はガチャ回。
内容は作品ピックアップ系です。


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47スレ

第51話を投稿します。

今回はガチャ回(作品ピックアップ)。
ヒントは「10周年&20周年記念作品」「カード」「ウォッチ」です。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

1:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

最近居候してきた美女&美少女に振り回されてます。

 

2:鬼滅ごっこをやってる忍者

どう言う事だってばよ?

 

3:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>2

忍者ニキ、口調がナルトになってるよ。

 

4:サクラギ研究所のリサーチフェロー

まず話を聞こうじゃないか。

死刑にするかはその後にする。

 

5:杜王町の幽波紋使い

個人的な恨みは後にすべきだトレーナーニキ。

 

6:空座町の無下限呪術師

円卓ニキ、詳しく話してくれない?

 

7:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

はい。

実はこの間、こっちの世界に英霊(サーヴァント)が現れたんです。

しかも原因が魔神柱が聖杯の力を使って世界を支配しようとした事だったんですよ。

 

8:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

まんまFGOじゃないか!?

 

9:サクラギ研究所のリサーチフェロー

オリジナル展開だな。

 

10:杜王町の幽波紋使い

大丈夫だったのか?

 

11:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

はい。

プリキュアの皆と味方になってくれた英霊(サーヴァント)たちのお陰で無事に魔神柱を倒せました。

けど……。

 

12:空座町の無下限呪術師

けど何?

 

13:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

何故か聖杯が俺に中に入って取り出せなくなったんです。

それで味方側の英霊(サーヴァント)たちもこっちの世界に残ってしまいまして。

それで聖杯を持つ俺が彼女たちのマスターとなって今に至ります。

 

14:杜王町の幽波紋使い

ちなみに英霊(サーヴァント)たちって誰が居るんだ?

 

15:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

実は俺FGOだと2部の6章が始まる前に転生したのであまり知識が無いんですけど、味方になってくれたのがアーサー王の実姉であるモルガンと彼女の家臣のバーゲスト、バーヴァン・シー、メリュジーヌの4人です。

何でも妖精騎士は円卓の騎士の霊基を持ってるみたいなんですよね。

 

16:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>15

成程、解らん。

 

17:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

俺もFGOはインド異聞帯のところで転生したから解らないな。

 

18:杜王町の幽波紋使い

妖精騎士の3人は名前的に伝承や民話に登場するキャラクターだな。

バーゲストはイングランド北西部ノーサンバーランド周辺の民間伝承に登場する不吉な妖精。

バーヴァン・シーはスコットランド高地地方の民話に登場する若者に死を齎す魅惑的な吸血鬼。

メリュジーヌはフランスの伝承に登場する水の精霊で、上半身は中世の衣装をまとった美女の姿だが下半身は蛇の姿で、背中には竜の翼が付いている事から竜の妖精でもあるとも言われているな。

 

19:空座町の無下限呪術師

幽波紋ニキ博識だね。

多分だけどFGOのシナリオだとモルガンの力か何かで3人に円卓の騎士の霊基が宿ったんじゃない?

 

20:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>18

>>19

幽波紋ニキと呪術ニキの分析と考察が凄過ぎる。

 

21:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

それで、その4人と同居してるって話だっけ?

 

22:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>21

そうです。

元々1人暮らし用のアパートに住んでたんですけど流石に5人だと厳しいので家族用マンションに引っ越しました。

お金は幸運:Aの恩恵もあって宝くじが当たりまくりだったので問題無かったです。

 

23:空座町の無下限呪術師

じゃあ何が問題なの?

 

24:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

そのですね……バーヴァン・シー以外からメッチャアプローチ受けてます。

モルガンから「我が夫」呼びされて「式は何時挙げますか?」と真顔且つマジトーンで言われたり。

メリュジーヌから恋人扱いされ「人肌が恋しい」と言われ抱きつかれたり膝の上に座って来たり。

バーゲストに関しては普段は凛としているのに2人の時は乙女脳でお嬢様口調になる時があったりでギャップ萌えが凄いし。

唯一バーヴァン・シーは口が悪くてドSですけど根は良い子なのですが。

 

25:サクラギ研究所のリサーチフェロー

遺言はそれだけか?

なら今すぐ息の根止めてやるよ。

 

26:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ヤバい!

トレーナーニキが嫉妬のあまりブチ切れた!!

 

 

27:鬼滅ごっこをやってる忍者

このキレ具合、九尾のチャクラで暴走したナルト並だ!

 

28:空座町の無下限呪術師

なんだ。

結局のところ円卓ニキの惚気話だっただけか。

 

29:杜王町の幽波紋使い

此処にグラップラーニキが居たらバーサーカーが2人になってたな。

 

30:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ちょっ!?

トレーナーニキを止めて下さいよ!!

 

31:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

いつもの事だし、自分で撒いた種でしょ。

 

32:鬼滅ごっこをやってる忍者

自業自得ですね。

 

33:雄英の仮面ライダー

そうですね。

 

34:杜王町の幽波紋使い

来てたのかライダーくん。

 

35:空座町の無下限呪術師

お疲れー!

 

36:雄英の仮面ライダー

お疲れ様です。

今終業式が終わって家に帰ったところです。

 

37:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

もう終業式か。

と言う事は明日から夏休み?

 

38:鬼滅ごっこをやってる忍者

更に言うと林間合宿がもうすぐ始まるって事か。

 

39:雄英の仮面ライダー

>>37

>>38

そう通りですね。

けど最初の数日はフリーなのでこの間サポートアイテム開発で有名な【I・アイランド】と言う特別な島の招待券を頂いたので行って来ようと思います。

 

40:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

あれ?

それって劇場版の話じゃない?

 

41:空座町の無下限呪術師

そうだね。

タイミング的に林間合宿前だった筈だし。

 

42:雄英の仮面ライダー

そうなんですね。

まあ、今回は島へ行く前にガチャを引こうと思いまして。

 

43:杜王町の幽波紋使い

今回もガチャ回か。

 

44:鬼滅ごっこをやってる忍者

今回は何のガチャ?

 

45:雄英の仮面ライダー

今回は作品ピックアップで『仮面ライダーディケイド』と『仮面ライダージオウ』のW作品になります。

 

46:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ディケイドにジオウ!?

平成ライダー10周年&20周年記念作品じゃないか!

 

47:空座町の無下限呪術師

おのれディケイドォォォォォォ!!!

 

48:鬼滅ごっこをやってる忍者

お前たちの平成って、醜くないか?

 

49:雄英の仮面ライダー

安定のライダーネタありがとうございます。

ピックアップ対象はこんな感じです。

 

 

【LR】

仮面ライダーディケイド

仮面ライダーディケイド(激情態)

仮面ライダーディケイド(ネオディケイドver.)

仮面ライダーディエンド(ネオディエンドver.)

仮面ライダージオウ

仮面ライダーオーマジオウ

仮面ライダーゲイツ

仮面ライダーバールクス

 

 

【SR】

仮面ライダーディエンド

仮面ライダークウガ(ディケイドver.)

仮面ライダーウォズ

仮面ライダーギンガ

仮面ライダーザモナス

仮面ライダーゾンジス

 

 

【R】

仮面ライダーシノビ(取得済)

仮面ライダークイズ(取得済)

仮面ライダーキカイ

 

 

【N】

仮面ライダーハッタリ

 

 

41:サクラギ研究所のリサーチフェロー

成程、作品のメインキャラたち以外にもミライダーと言った特殊なライダーたちもピックアップ対象なのか。

 

42:空座町の無下限呪術師

あれトレーナーニキ落ち着いた?

 

43:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

円卓ニキの件はもう良いの?

 

44:サクラギ研究所のリサーチフェロー

今はこっちに集中します。

円卓ニキをシバくのはその後にします。

 

45:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

どっちにしろ、俺の死亡確定なのか……。

 

46:鬼滅ごっこをやってる忍者

そこは諦めましょう。

 

47:杜王町の幽波紋使い

ライダーくんは今回どれ目当てなんだ?

 

48:雄英の仮面ライダー

今回はディケイドとディエンドを狙って行こうと思います。

カードで他のライダーに変身したり召喚出来るのは使い勝手良さそうですし、ジオウ系は使って良いのか不安と言いますか……。

特にジオウとオーマジオウは。

 

49:空座町の無下限呪術師

最高最善の魔王だからね〜。

ま、気軽にガチャ回してみなよ。

 

50:雄英の仮面ライダー

そうですね。

それじゃあ回します。

そい!

 

 

【10回目結果】

仮面ライダープロトドライブ【SR】

'仮面ライダークウガ(ディケイドver.)【SR】

仮面ライダーネガ電王【SR】

仮面ライダー勝鬼【N】

仮面ライダー蛮鬼【N】

仮面ライダーゲンム(ゾンビゲーマーレベルX)【SR】

仮面ライダー弾鬼【N】

仮面ライダーゲイツ【LR】

ライダーマン【LR】

仮面ライダーザイア【SR】

 

 

ピックアップは仕事してるけど……。

 

51:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

割合的に響鬼系のマイナーライダーやダークライダー系が6割だね。

 

52:サクラギ研究所のリサーチフェロー

不死身のゾンビゲンムと救世主のゲイツを引けてる辺り良い方じゃないですかね。

 

53:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

正直ゲイツ引いた時点でお釣り来てませんか?

 

54:空座町の無下限呪術師

気を取り直してどんどん行ってみよー!

 

55:雄英の仮面ライダー

はい。

続けて行きます。

そりゃ!

 

 

【20回目結果】

仮面ライダーオールマイティセイバー【LR】

仮面ライダーダークカブト【SR】

仮面ライダープライムローグ【SR】

仮面ライダー剛鬼【N】

仮面ライダーゼロドライブ【SR】

仮面ライダーバロン(レモンエナジーアームズ)【SR】

仮面ライダーディケイド【LR】

仮面ライダーアマゾン【LR】

仮面ライダーポセイドン【SR】

仮面ライダーディケイド(ネオディケイドver.)【LR】

 

 

完全勝利!!

 

56:鬼滅ごっこをやってる忍者

20回目でディケイド2種類も引き当ててる!?

どんだけディケイドに愛されてるんだライダーくん!

 

57:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ライダーくんは門矢士だった?

 

58:空座町の無下限呪術師

ライダーくん鳴滝さんとヤン○モ系の怪盗に気を付けてね。

 

59:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

スーパー戦隊とのクロスオーバー作品はある意味黒歴史だった……。

 

60:杜王町の幽波紋使い

取り敢えずライダーくん、今回のガチャは終了で良いのかな?

 

61:雄英の仮面ライダー

はい。

途中からの参加で申し訳ございませんが皆さんお疲れ様でした。

 

62:空座町の無下限呪術師

オツカーレ!(マッハドライバー風)

 

63:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れ様。

 

64:杜王町の幽波紋使い

お疲れ様。

さて、仗助たちとの待ち合わせ場所に行くか。

 

65:鬼滅ごっこをやってる忍者

俺もサスケの修業に付き合う約束があるんで此処で抜けます。

お疲れ様でした。

そう言えば他のニキたちは?

グラップラーニキはピクル戦に集中するのは知ってますが。

 

66:サクラギ研究所のリサーチフェロー

狙撃ニキは遠征に行くって言ってたな。

その後が原作通り(ブラック)トリガー争奪戦に参加するかもらしい。

美食屋ニキは旅の途中で『トリコ』の小松っぽいオリキャラを仲間にしてヤマトとシャボンディ諸島目指して航海を続けるそうだ。

 

……さて、

宣言通り、息の根止めてやるよ円卓ニキ

 

67:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>66

マジで息の根止める気だこの人!!?

この間戦ったクー・フーリン〔オルタ〕並の殺気を感じるんだけど!?

 

68:雄英の仮面ライダー

円卓ニキ……骨が残ってたら拾って上げます。

 

69:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

骨拾う前に助けて!!

助けてくれ仮面ライダーァァァァ!!!

 

70:杜王町の幽波紋使い

ちゃんちゃん♪

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




ライダーくんはモヤシこと門矢士だった?
ピックアップガチャを引いた結果【LR】ディケイドを2種類引き当てたライダーくん。果たして彼は世界の破壊者となり得るのか……。

円卓ニキ、居候と暮らすってよ
プリキュア世界に突如出現した魔神柱によって英霊(サーヴァント)たちが現世に放たれた。
円卓ニキはプリキュアの皆と人理のカウンターとして召喚されたモルガンと妖精騎士3人と共に立ち向かう。
なんとか敵英霊(サーヴァント)と魔神柱を討伐し世界を救ったは良いが、何故か聖杯が円卓ニキに宿ってしまいモルガンたちも『座』に返還出来ない状況に……。
彼女たちのマスターとして面倒を見る事になりアパートからマンションに引っ越し新しい生活を始めるも同居人からのアプローチに円卓ニキは幸せな修羅場を味わう事になってしまう……。
モルガンたちの存在にプリキュア勢も火が付いて正妻戦争が勃発したとかしなかったとか。

次回予告
次回から『僕のヒーローアカデミア THE MOVE〜2人の英雄〜』編に入ります。


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『僕のヒーローアカデミア THE MOVE〜2人の英雄〜』編
48スレ


少し遅くなりましたが皆様、新年明けましておめでとう御座います。

今年も変わらず頑張って投稿していきますので宜しくお願いします。

年末に【劇場版呪術廻戦0】を2回観に行ったり(乙骨くんカッコ良かったのと、五条先生相手にあそこまで食らい付いていたミゲル凄過ぎだろ)、正月では私が唯一プレイしているスマホゲームのFGOの福袋ガチャで槍龍馬を狙ってましたが2人目の弓トリアが来たり、新実装された闇のコヤンスカヤを1人お迎え出来ました。

明日から仕事か〜、しんどいなぁ(働け社会人)。

第52話の投稿です。
今回から劇場版1作目『僕のヒーローアカデミア THE MOVE〜2人の英雄〜』編です。

今回変身する仮面ライダーは「ショウリョウバッタ」「蹴り」「兄貴」です。

予めお伝えしますが、オリジナル展開として本家と登場キャラが変更してます。誰でしょう?(まさかのクイズ形式)


1学期が終業し、雄英高校でも夏休みが始まった。

 

数日後には林間合宿が控えている中、自宅に1封の封筒が送られて来た。

 

封筒に入っていたのは、サポートアイテムの開発や個性の研究の最先端、学術人工移動都市【I・アイランド】への招待状だった。

 

なんでも雄英体育祭で優勝した景品との事だ。

 

早速俺はオヤッさんから許可を貰い、夏休み早々I・アイランドに行く事に決めた。

 

……決めたのだが。

 

「見てみて来太くん!見えてきたよI・アイランド!あそこで色んな研究してるんだって!知ってた?」

 

「はい、知ってますよ。そろそろ到着するみたいなので落ち着いて下さいね、波動先輩」

 

「うん!」

 

飛行機の窓際席で夏服仕様の制服を着た波動先輩がまるで遊園地を目にした子どもの様に(はしゃ)いでいた。

 

何故波動先輩が俺の隣に居るのかと言うと、贈られた招待状に1()()()()()()()()と記載されており、最初はクラスメイトの誰かを誘おうかと考えていた所に波動先輩と出会し"行ってみたい!"とせがまれたので承諾した形である。

 

波動先輩は3年生で尚且つ【ドラグーンヒーロー リューキュウ】の事務所にインターン中だが、偶然にもスケジュールが空いていたので問題は無いとの事だ(リューキュウからも許可を貰っているそうだ)。

 

『ご利用有難う御座います。当機は間もなくI・アイランドへの着陸態勢に入ります。席から離れている方はお戻りになりシートベルトを付けたままでお待ち下さい』

 

機内からアナウンスが流れ、遂にI・アイランドに到着する事を教えてくれた。

 

「到着したら先ずはホテルでチェックインしてから観光に行きましょう。良いですよね?」

 

「良いよー!どんなのがあるんだろうね?楽しみ!」

 

波動先輩の期待に胸を膨らませている様子に、俺は少し笑みを零しながら着陸を待つのであった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

目的地のI・アイランドに到着しました。

入国手続きがハイテク過ぎてビックリしました。

  

2:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

どんな感じだった?

  

3:雄英の仮面ライダー

入国審査として身体スキャンされてデータを記録されました。

  

4:空座町の無下限呪術師

ハイテクだねー。

  

5:杜王町の幽波紋使い

今回はライダーくん1人で来たのか?

  

6:雄英の仮面ライダー

いえ、同伴者の波動先輩と一緒に来てます。

  

7:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

え!?

ねじれちゃんと来てるの!?

  

8:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

それってお泊まりデートにならないか!?

  

9:雄英の仮面ライダー

そうなりますか?

元々はクラスメイトの誰かを誘おうか考えてましたがその前に波動先輩から行きたいと駄々捏ねられたので仕方無いと承諾したのですが。

  

10:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>9

葉隠さんや梅雨ちゃんに知られたら制裁イベ待った無しだな。

  

11:雄英の仮面ライダー

>>10

何でそこで葉隠さんと蛙吹さんが出てくるんです?

  

12:海賊系美食屋

ライダーくん、マジか……。

  

13:空座町の無下限呪術師

これは重症だね〜。

  

14:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ラノベの主人公かよ……。

 

15:鬼滅ごっこをやってる忍者

あれ?

そう言えば、前回円卓ニキに嫉妬の炎を燃やしてバーサーカー化してたトレーナーニキは?

今回はライダーくんので再び怒り心頭に発すると思ったのですが。

 

16:杜王町の幽波紋使い

なんでも後輩トレーナーのゴウくんがミュウの調査をするプロジェクトチームの入団テストを受けるからサトシくんと一緒に同伴しているそうだ。

 

17:空座町の無下限呪術師

いや〜、命拾いしたねライダーくん。

 

18:雄英の仮面ライダー

命拾いも何も、葉隠さんたちが俺に恋愛感情を抱いてるとは限らないじゃないですか。

 

19:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>18

うん。

ライダーくん、もう黙ろうか。

 

20:鬼滅ごっこをやってる忍者

敵を作るだけだよ。

 

21:海賊系美食屋

だな。

 

22:杜王町の幽波紋使い

まあ、頑張れ…。

 

23:空座町の無下限呪術師

ライダーくんに1つアドバイス、愛ほど歪んだ呪いは無いから気を付けてね。

 

24:雄英の仮面ライダー

>>23

呪術ニキ、それ【呪術廻戦0】で五条先生が乙骨に言った台詞じゃないですか?

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

無事にI・アイランドに到着した俺と波動先輩は戦闘服(コスチューム)に着替え、チェックインを済ませる為に今回宿泊するホテルへ向かった。

 

()()()()()()()()()()()()

 

「え?相部屋なんですか?」

 

「大変申し訳ございません!此方の手違いで御用意したお部屋は1つのみとなっております!」

 

受付でホテルの責任者から個室を2つではなく、2人用の部屋1つしか用意出来なかった事を告げられる。

 

「同伴者が居るので部屋が2つ用意されてるものだと思ったのですが」

 

「それが、此方がお客様の同伴の方が()()だと勘違いしてまして。本当に申し訳ございません」

 

「("ねじれ"って名前、男性か女性かって言ったら女性寄りだと思うんだけど……)他の部屋は空いてないんですか?」

 

「はい。明日が一般公開のプレオープンで既にご予約が一杯でして、お部屋が1つも空いてない状態でございます」

 

「参ったな……」

 

流石に交際していない男女が同部屋は不味い。

 

しかも俺も波動先輩も学生だから余計にアウトである。

 

波動先輩は勿論、雄英に良からぬ風評被害を及ぼしてしまうのは避けたい。

 

何とか打開策を考えていると、隣に居た波動先輩が俺に声を掛ける。

 

「来太くん。私、相部屋でも良いよ」

 

「え?いや、でも」

 

「他に部屋が空いてないんだし、仕方ないよ。ね!」

 

まさかの波動先輩が相部屋を了解してきて俺は困惑する。

 

しかも彼女は嫌な顔少しもしないどころか笑顔である。

 

「先輩は本当に良いんですか?」

 

「うん!来太くんが居ると安心するし!」

 

(その発言は大丈夫なのか……)

 

「分かりました。……と言う事なので相部屋で大丈夫です」

 

「誠に申し訳ございませんでした!!お詫びと言ってはなんですが、宿泊中のルームサービスは最高ランクのものを御用意させていただきます!」

 

俺も先輩の善意に応え、相部屋を了解し、責任者の人も深々と頭を下げて謝罪する。

 

一先ずチェックインを済ませ、荷物を預けた俺たちは早速島を観光する事にした。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「見てみて来太くん!あれって最新のヒーローアイテムかな?!それに色んな国のヒーローのサイン会もやってるよ!」

 

髪色に合わせられた青系統の色彩で統一された戦闘服(コスチューム)を着た波動先輩は目の前に広がるパビリオンに目をキラキラさせながら俺の手を引っ張る。

 

「あ!見て来太くん!"(ヴィラン)ロボットのタイムアタック"だって!行ってみよ!」

 

「分かりましたから、少し落ち着いて下さい波動先輩!」

 

俺の呼び掛けを無視して波動先輩が向かった先は巨大なオープン会場。

 

どうやら"(ヴィラン)ロボットを倒したタイムを競うアトラクションの様だ。

 

ステージには岩山と複数の"(ヴィラン)ロボットが配置されており、今挑戦者が"個性"を使って配置されたロボットを破壊していた。

 

『只今のクリアタイム、24秒!暫定トップです!!』

 

MCのお姉さんの声と共に先程のタイムがモニターに映り出される。

 

岩山に立つ挑戦者はガッツポーズを取り、観客席から大きな歓声が挙がる。

 

「来太くん!私やりたい!」

 

どうやら波動先輩はアレに挑戦してみたい様だ。

 

「頑張って下さい、先輩」

 

「うん!見ててね!」

 

そう言って波動先輩は足に波動エネルギーを発生させ、MCのお姉さんの所まで飛んで行った。

 

お姉さんは驚いていたが喜んで参加を受け入れた。

 

『さあ、飛び入り参加してくれたのは可憐なチャレンジャー!一体どんな記録を出してくれるのでしょうか!』

 

波動先輩はニコニコしながらスタート地点に立つ。

 

『それでは"ヴィラン・アタック"!レディ〜…ゴー!』

 

スタートの合図と共に波動先輩は浮遊し、両手にエネルギーを充填させる。

 

「チャージ満タン……出力20!」

 

 

ねじれる波動(グリングウェイブ)!」

 

 

波動先輩は前の模擬戦で見せた必殺技を放つ。

 

しかも出力は前よりも高く、巨大な波動が(ヴィラン)ロボットを破壊する。

 

『凄い!クリアタイムは12秒、トップです!』

 

先程の暫定トップの記録の半分のタイムを叩き出した事に会場全体が驚愕する。

 

(前の模擬戦でも思ったけど、波動先輩の個性は屋内よりも野外の方が発揮しやすいみたいだな)

 

「あれ、佳面くん!?」

 

波動先輩の動きを見ていると後ろから聞き慣れた声が聞こえたので振り向く。

 

そこには緑谷が居た。

 

しかも飯田・麗日さん・耳郎さん・八百万さん、そして眼鏡を掛けた金髪の女性も一緒だ。

 

「緑谷、それに皆も。エキスポに招待されたの?」

 

「うん!もしかして佳面くんも?」

 

「体育祭優勝の景品で紹介状を貰ってね」

 

「そうだったのか!」

 

「此処で会うなんて偶然やね〜」

 

「それなら前もって教えなよ」

 

「お1人で来られたのですの?」

 

「いや、1人付き添いが居るけど……、其方の方は?」

 

「初めまして、メリッサ・シールドです。貴方もデクくんたちのお友達?」

 

「はい、佳面来太です。初めまして、シールドさん」

 

「メリッサで良いわ!宜しくね!」

 

メリッサさんと挨拶を交わしていると、波動先輩が此方に飛んで来た。

 

「来太くん見てた!トップだって!」

 

「勿論見てましたよ。凄かったです」

 

「えへへ〜!」

 

波動先輩は凄く嬉しそうな顔をした。

 

年上だと分かっているが、何処か子供っぽさがあって可愛らしいと思った。

 

「え、えっと佳面くん。この人って」

 

俺を除く全員が波動先輩を知らない為、代表として緑谷が俺に訊く。

 

「ああ、皆まだ会ってなかったっけ?波動ねじれ先輩。雄英ヒーロー科の3年生で、前に俺の自主練に付き合ってくれてた人」

 

「ああ!彼女が!」

 

「この人が……」

 

「ヒーロー科の先輩……」

 

「3年生で……」

 

「「「佳面(くん/さん)を気に入ってる人」」」

 

「なんでそこハモるの?」

 

麗日さん女性陣の息の合ったボケ(?)に思わずツッコミを入れる。

 

「ねえねえ!この子たちって来太くんのクラスメイトだよね!緑谷くんに飯田くん、麗日さんに耳郎さんに八百万さん!」

 

「そうですよ。波動先輩ご存知だったんですね」

 

「うん!今年の1年は凄い子たちがたくさん居るって聞いてたから気になってたの!」

 

(((()()()()!?まさかの名前呼び!?)))

 

「ちなみにだけど緑谷くんの個性ってパワー系だよね?体育祭の時は殆ど力をセーブしてたけど全力の時はまるでオールマイトみたいだし同じ個性なの?」

 

「え!?そ、そ、そのですね!」

 

波動先輩の突然の質問に緑谷が驚く。

 

「飯田くんの個性って最速だとどれくらい速いの?脹脛にマフラー付いてるけど服ってオーダーメイド?」

 

「我が家で代々お世話になってるお店に服を特注してまして───」

 

「麗日さんの個性は物や人を浮かせられるんだよね?寝てる時ってどうしてるの?」

 

「え、えーと」

 

「次郎さんの耳たぶのイヤホンジャックって何処まで伸びるの?絡まったりしないの?」

 

「えっと」

 

「八百万さんの個性って色んな物を創造するみたいだけど生き物も出来るの?創造する分の疲れたりする?複数の創造って出来る?」

 

「い、いえ。まだ複数の創造は慣れてなくて───」

 

「他のクラスメイトの子たちってどんな人が居るの?皆仲良し?私凄く気になるの!教えて教えて!」

 

質問に答える前に次々と質問の相手を変えていく波動先輩に緑谷たちは呆然とする。

 

「波動先輩、質問してるのに相手が答える前に他の人に移ると皆答えられないですよ」

 

「あ、ゴメンね!だって気になるんだもん!」

 

何とか俺が"質問モード"になった波動先輩のフォローをする。

 

「質問はまた後でお願いします。それに折角だし、皆もアトラクションやる?」

 

話題をアトラクションに移し、皆にアトラクションの参加を薦めてみる事にした。

 

アトラクションに参加するのは緑谷と飯田に決まった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「んー、惜しかったねデクくん!飯田くん!」

 

「う、うん!」

 

「スピード勝負で負けてしまうとは……まだまだ精進が足りない!」

 

2位・3位を記録した緑谷と飯田を麗日さんの労いに、緑谷は照れ、飯田は悔しがる。

 

現在のトップは波動先輩、2位は緑谷、僅差で3位に飯田となっている。

 

「(折角だし、俺もやってみようかな)……あれ、轟?」

 

「え?轟くん?」

 

スタート地点に見覚えのある紅白頭が見えたと思った突如大きな音がした。

 

俺たちは会場の方を見ると大きな氷塊が岩山ステージを覆い、スタート地点には轟が白い息を吐いて立っていた。

 

「本当だ!轟くんがおる!?」

 

「轟もエキスポに招待されたのかな?」

 

「彼もクラスメイト?」

 

「はい」

 

『只今のタイムは14秒!第2位です!』

 

「やっぱり凄い!轟くん!」

 

「ああ!」

 

轟の登場に面々が驚く。

 

「それじゃあ、俺も行って来るかな」

 

アトラクションに参加する事に決めた俺は会場へ向かう。

 

「来太くん!」

 

「どうしました、波動先輩」

 

すると波動先輩から呼ばれたので振り向くと、

 

 

「頑張れ!!」

 

 

波動先輩は大きな声でエールを送る。

 

「はい、頑張ります」

 

俺はそう応え、会場へ向かった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

(ねじれ視点)

 

「じゃあ轟くんはエンデヴァーの代理で招待されたんだ!」

 

「俺と同じだな!」

 

「ああ。まさかお前たちも来てたなんてな」

 

「世間って狭いんやね」

 

「まあ、知らない場所で知り合いが居た方が安心するけど」

 

「そうですわね」

 

緑谷くんたちが合流した轟くんとお話ししていると来太くんがスタート地点に辿り着いた。

 

『さあ、今度のチャレンジャーはカッコいいお兄さんです!暫定トップの記録を上回る事が出来るのでしょうか!』

 

「あ、佳面くんのが始まるよ!」

 

アナウンスに気付いた緑谷くんの声に皆も来太くんの方を見る。

 

「彼もヒーロー科なんだよね?」

 

「そうです」

 

「ウチらの学年最強です」

 

「佳面さんの個性は変身ですが、様々な姿になれますの」

 

「そうなの!凄いわ!」

 

「見せて貰うぞ佳面くん!」

 

「また見た事ない姿に変身するかもな」

 

「佳面くん!」

 

会場の全員が来太くんに注目する。

 

(頑張れ、来太くん!)

 

私はもう1度彼にエールを送る。

 

今までで1番気になる後輩の男の子がどんな活躍をするのか、私凄く気になる!

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

『さあ、今度のチャレンジャーはカッコいいお兄さんです!暫定トップの記録を上回る事が出来るのでしょうか!』

 

(煽るなぁ。あと中身はともかく、こっちの世界だと"お兄さん"って年齢じゃないし……)

 

MCのお姉さんからの紹介に俺は苦笑しながら今回変身するライダーをイメージする。

 

今回はタイムアタック。

 

可能な限り変身からロボット撃破までスピーディーに済ませないといけない。

 

()()しかないな)

 

そう考えた俺は変身ベルト【ZECTバックル】を実体化させる。

 

実体化された【ZECTバックル】の上部に付いたボタンを押す。

 

するとバックル前面がトレイのように展開され、突如何処から現れたのかショウリョウバッタ型の自律メカ【ホッパーゼクター】が飛び跳ねて向かってくる。

 

飛び跳ねる【ホッパーゼクター】を左手で掴む。

 

 

「変身」

 

 

【ホッパーゼクター】を展開されたバックル部分に装填する。

 

 

『HEN-SHIN!』

 

 

「フゥ…」

 

 

溜め息と共に【ホッパーゼクター】からエコーの掛かった音声が鳴り、ベルトを中心に対ワーム戦闘用特殊強化スーツが全身を覆う。

 

黒い【サインスーツ】の上に超金属【ヒヒイロノカネ】で形成されたアーマーが覆われ、左脚の脹脛には金色の【アンカージャッキ】が目立つ。

 

頭部にショウリョウバッタ型のマスク【ボーンシェルメット】が展開させ、赤い複眼【コンパウンドアイ】が赤く光る。

 

 

『Change KICK-HOPPER!』

 

 

【ZECT】の精鋭部隊【シャドウ】の元リーダーであり、かつては【仮面ライダーザビー】の有資格者であった男【矢車想】が地獄へ堕ち【闇の住人】として変身する戦士【仮面ライダーキックホッパー】に変身完了する。

 

『それではヴィラン・アタック!レディ…』

 

お姉さんの声と共に俺は【ZECTバックル】のスライド式【トレーススイッチ】に手を掛ける。

 

『ゴー!』

 

「クロックアップ」

 

 

『Clock Up』

 

 

合図と同時に【トレーススイッチ】をスライドさせ、マスクドライダーシステムに搭載された機能の1つ、全身を駆け巡るタキオン粒子によって時間流を自在に行動可能になる超高速の特殊移動方法【クロックアップ】を起動させる。

 

すると周りの動きがまるで止まったかの様に急激に緩やかになり、俺だけが周囲の時間から孤立した状態となる。

 

俺はクロックアップ発動している間に岩山へ駆け上がり、頂上まで登り詰める。

 

 

「ライダージャンプ」

 

 

『Rider Jump』

 

 

【ホッパーゼクター】の脚部の【ゼクターレバータイフーン】を上げる事で電子音声と共に左脚にゼクター内で倍加されたタキオン粒子をチャージアップした後、空中高く跳躍する。

 

 

「ライダーキック」

 

 

『Rider kick』

 

 

垂直跳び39mに達した地点で【ゼクターレバータイフーン】を元の位置に戻すとチャージされたタキオン粒子が左脚に収束し、1番近くの(ヴィラン)ロボット目掛けて前蹴りを叩き込む。

 

ライダーキックを叩き込んだ反動を利用して【アンカージャッキ】稼動し、力の解放を助長する事で跳躍を繰り返し、次々と(ヴィラン)ロボットを蹴り続ける。

 

 

『Clock Over』

 

 

最後の(ヴィラン)ロボットを蹴り飛ばし着地した時点でクロックアップが解除される。

 

それと同時に(ヴィラン)ロボットが連続爆破され、タイムアタックが終了する。

 

『え?……あ、すいません!只今のタイムは……なんと僅か1秒!ダントツのトップです!』

 

一瞬の出来事に会場は静寂に包まれるが、直ぐに大きな歓声が鳴り響いた。

 

俺は観客席に居る波動先輩たちにサムズアップを向けて、変身解除する。

 

そのあと何人かチャレンジをするも、俺のタイムを超えるチャレンジャーは現れなかった。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーキックホッパー

レア度【R】

出典『仮面ライダーカブト』


波動先輩がログインしました。
ライダーくんの同伴者は爆豪ではなく、まさかの波動先輩。
爆豪ファンの方々には申し訳ございませんが、I・アイランド編で彼の活躍はありません。


ライダーくん、"高速のビジョン見逃すな〜"状態で最速記録を更新
歴代ライダーでもトップクラスのスピードを誇るクロックアップで無双するライダーくん。他のゼクターライダーだと"キャストオフ"する工程がある上にマッハ6に匹敵するスピードでパージしたらMCのお姉さんは勿論、会場を壊しかねないので量産型のプロトタイプの1つキックホッパーに変身する。


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49スレ

2週間近く投稿が遅くなり申し訳ございませんでした!!

『スパイダーマン No Way Home』この間観てきましたが、私の中ではスパイダーマンの歴代作品で最高傑作でした。
ラストのラストで続編に繋がる伏線が投入されて観客席がどよめいてました。まあ、私もですが。

ウルトラマントリガーが次回で最終回、リバイスもヒロミさんのメイン回が放送予定で待ち遠しい限りです。

そんなこんなで第53話を投稿します。
今回登場するキャラのヒントは「蝙蝠と小竜」「声優」「銀○」です。



来太たちがアトラクションを楽しんでいた頃、エキスポのメイン通りから外れた埠頭にある倉庫で、複数の男たちが不穏な動きをしていた。

 

その中で顔に傷のある男が別の男から荷物を受け取る。

 

傷の男は荷物を確認し、携帯で電話越しの相手と話す。

 

「ブツは予定通り受け取った……」

 

傷の男の足元には、不自然に曲がった鉄の棒に拘束される2人の警備員が居た。

 

「……なに、オールマイトが……?狼狽えるな、それは此方で対応する」

 

電話越しで慌てている相手に傷の男はそう言い、通話を切る。

 

「そうか、この島に来ているのか……オールマイト」

 

傷の男はそう呟き、携帯をコートのポケットに入れた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

『本日は18時で閉園になります。ご来園有難うございました』

 

日が暮れ始めたエキスポ会場に閉場のアナウンスが流れた。

 

「じゃあ切島と峰田は島にいる間は会場内のカフェでバイトなんだ」

 

「おう!この間ちょっと高い買い物してよ、小遣いが厳しい時に峰田に誘われてな!丁度良いと思って応募したんだわ!」

 

「けどよぉ……こんな大変なんて思わねぇよ……。オイラはカフェに来る可愛い子たちとデートしたかったのに……話し掛ける余裕もねぇよ。明日が本番とか過労死する未来しかねぇよ!」

 

バイトで来ていた切島と峰田と話していると、飯田が2人の前にカードらしき物を差し出す。

 

「労働、よく頑張ったな!君たちに此れを渡そう!」

 

「何それ?」

 

差し出されたカードを見る峰田に八百万さんが答える。

 

「レセプションパーティーの招待券ですわ」

 

「パ、パーティー…?」

 

「俺たちにか?」

 

突然の事に困惑する2人に麗日さんと耳郎さんが口添えする。

 

「メリッサさんが用意してくれたの」

 

「せめて今日くらいはってさ」

 

「余ってたから……良かったら使って」

 

メリッサさんは控えめに笑いながら言う。

 

「うおーー!マジすか!?あざっす!!」

 

「やっと……やっとオイラの労働が報われたーー!!」

 

メリッサさんにお礼を言う切島と、歓喜で涙を流す程喜ぶ峰田。

 

2人の参加が決まったところで飯田が俺たちに振り返った。

 

「パーティーにはプロヒーローたちも多数参加されると聞いている。雄英生の名に恥じない為にも正装に着替え、団体行動でパーティーに出席しよう!18時30分にセントラルタワーのロビーに集合、時間厳守だ!」

 

「轟には俺から声をかけてみるよ」

 

「頼むぞ佳面くん!では解散!」

 

エンジンで加速し、飯田はパッとその場から去った。

 

「飯田くん、フルスロットル!」

 

「通常運転で安心するね」

 

緑谷が飯田にサムズアップし、俺はいつもと変わらない飯田に苦笑する。

 

「また後でね!」

 

「遅刻しないでね、特に切島と峰田」

 

「皆さん、それではまた」

 

麗日さんたちも宿泊するホテルの前で別れる。

 

緑谷はメリッサさんに連れられて何処かへ立ち去った。

 

「それじゃあ、俺たちも行きましょうか」

 

俺は波動先輩へ振り返ると、波動先輩は少し困った表情をしていた。

 

「どうしよう来太くん、私ドレス持ってない」

 

「え?そうなんですか?」

 

「うん。私の実家秋田にあって、今は東京で1人暮らしだから」

 

俺は先輩が秋田からたった1人で上京していた事に驚く。

 

「それならレンタルしましょう。ホテルで丁度貸し出されてますし、俺も今回スーツ借りるつもりでしたので」

 

しかも今回部屋の件もあるのでかなりサービスされると思われる。

 

無料とは行かなくても格安でレンタルが可能だろう。

 

「そうだったの?それじゃあ行こう!」

 

困っていた表情は変わり、いつもの明るい笑顔に戻った先輩と一緒に、ホテルへ向かった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

セントラルタワー内にある研究室で、オールマイトは親友であり世界有数の科学者デヴィット・シールドに自身の体の状態を調べて貰っていた。

 

オールマイトが診察カプセルの中に入っているのに対して、デヴィットはその近くでモニターを操作していた。

 

暫くして検査終了を知らせる音声がピーッと鳴った。

 

「これは……!?」

 

モニターに映された数値にデヴィットは愕然とする。

 

全盛期と比較して解るくらい、今のオールマイトは衰えていたのだ。

 

デヴィットはカプセルから起き上がる()()()()()()()()()()()()()()()()に振り返る。

 

「どう言う事だ……トシ。個性数値が何故これ程激減しているんだ!?」

 

モニターに映し出されていた【個性】数値をグラフ化されたデータには、全盛期の10分の1程度の数値となっていた。

 

デヴィットはオールマイトの左脇腹にある大きな傷跡を見る。

 

「オール・フォー・ワンとの闘いで損傷を受けたとは言え、突然のこの数値は明らかに異常過ぎる!一体、君の体に何が起きたんだ!」

 

冷静さを失い焦りを見せるデヴィットに、オールマイトは答える。

 

「ゴホッ……。長年ヒーローを続けていると、あちこちにガタが出るさ」

 

そう返答したオールマイトにデヴィットは顔を俯く。

 

そして、そんなデヴィットの姿を見て、オールマイトも胸が締め付けられる感覚を覚える。

 

(此ればかりは君にも言えないんだ、デイヴ……。ワン・フォー・オールの事を話してしまったらオール・フォー・ワンとの闘いに君やメリッサを巻き込んでしまう……)

 

大きな秘密を親友に打ち明ける事が出来ない事に悩むオールマイトにデヴィットは苦しそうに言葉を吐き出す。

 

「今まで日本の(ヴィラン)犯罪発生率が6%で維持出来たのは平和の象徴である君が居たからだ。他の国が軒並み20%を超えていると言うのに……。君がアメリカに残ってくれたらと何度思ったことか……」

 

「そう悲観する必要は無いさ。優秀なヒーローは沢山居るし、何より君の様にサポートしてくれる人たちが居る。私だって活動時間は制限されてるがヒーローとして活動も出来る」

 

「しかし、オール・フォー・ワンの様な(ヴィラン)がまた現れる可能性も……」

 

「デイヴ」

 

懸念を吐露するデヴィットに、オールマイトが力強く見つめる。

 

「その為にも、私は平和の象徴を降りるつもりは無いよ」

 

(それに希望はある……。ワン・フォー・オールを……平和の象徴を受け継ごうとする次の世代のヒーローが居る)

 

オールマイトは愛弟子の緑谷を思い浮かべる。

 

今はまだ発展途上ではあるが、【無個性】の頃と比べて頼もしく成長をし続ける彼なら、自分が引退した後を安心して託す事が出来ると信じている。

 

「検査はこれで終了だろ?そろそろ私は行くよ」

 

戦闘服(コスチューム)に着替え、【トゥルーフォーム】から【マッスルフォーム】になったオールマイトはデヴィットに手を挙げる。

 

「パーティー会場で会おう!」

 

研究室を出ようとするオールマイトの後ろ姿に、デヴィットは思わず口が開く。

 

「───トシ!」

 

「……どうした?」

 

「……いや、何でもない……。また会場でな……」

 

振り向いたオールマイトに何を言えば良いのか分からないデヴィットは曖昧に笑う。

 

「ああ、また!」

 

今度こそオールマイトは研究室を去り、デヴィットは1人となる。

 

「……トシの限界は近い……。もう……こうするしかない」

 

デヴィットは机に置いてある携帯を手に取り、誰かに通話をする。

 

(平和の象徴が失われる前に、計画を遂行する……!)

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

ホテルに到着し波動先輩と一度別れ、格安でレンタルしたスーツに着替え終わった俺は波動先輩を待つ事にした。

 

俺が着ているのは、ワインレッドのジャケットとスラックスとベスト、黒のYシャツに白のネクタイ、履いているのは茶色の革靴。

 

「……着てみたけど、変じゃないかな?普段スーツなんて着ないからよく分からないな」

 

「そうか〜?よく似合ってるぜ、来太!」

 

「ハイ!とても素敵ですよ来太さん!」

 

1人で悩んでいると俺の頭上に飛ぶ金色の蝙蝠と小竜が言う。

 

蝙蝠の方は【キバットバットIII世】、小竜の方は【タツロット】。

 

2人とも【仮面ライダーキバ】紅渡の相棒モンスターである。

 

……声だけだと、某侍漫画に登場する銀髪天パの甘党侍と黒髪ロン毛のテロリスト侍にしか聴こえない。

 

何故この2人が居るのかと言うと、どのスーツにしたら良いのか俺では分からなかった為、スーツ選びを手伝って貰ったからである。

 

「因みに知ってるか来太?スーツの歴史は16世紀にまで遡るんだ。その起源は【フロック】と呼ばれる、ヨーロッパの農民が農作業や外出の際に着用した丈の長い服だった。このフロックが上質な素材と洗練された仕立てを施される事により、【フロックコート】と呼ばれる一般市民の外出着に進化して来たんだ。そしてフロックコートが誕生した18世紀、シャツ・パンツ・ベストに加えて、ネクタイを合わせるフロックコートスタイルが英国紳士の正装となり、スーツ3つ揃えの確立となった。これが現代スーツの原型と言われているんだ」

 

「へぇ、じゃあスーツはイギリスが1番って事?」

 

「いいや、スーツは国によって人に与えるイメージが違うんだぜ。イギリスが"他者への礼節のために装う"という考え方に対して、イタリアは"自分の装いで異性の関心をひく"という服の考え方だ。品があり真面目に見えるのがイギリス式、色気があり洗練されて見えるのがイタリア式だ」

 

「そうだったのか。スーツにも色々あるんだ」

 

「凄いですキバットさん〜!」

 

「ヘヘンッ!これ位の知識は朝飯前だぜ!」

 

キバットが披露した蘊蓄に俺とタツロットは感心する。

 

先程の蘊蓄を聞いて、俺はキバットに質問する。

 

「因みにだけど、俺が着ているスーツはどっちなの?」

 

「イタリアスーツ」

 

キバットの返答に、俺は首を傾げる。

 

「何で?」

 

「そりゃあ〜、真面目過ぎるお前に遊び心を学んで欲しかったのと、あの明るい姉ちゃんにアピールする為───」

 

「ああ〜!!キバットさん!?それ言っちゃ駄目ですよ!」

 

「ヤベッ!」

 

「え?」

 

キバットが言う"明るい姉ちゃん"と言うのは恐らく波動先輩の事だろうが、何で先輩にアピールしないといけないのか疑問を持っていると───。

 

 

「ごめんねー!待たせちゃった!」

 

 

波動先輩の声がしたので振り返ると、水色を基調とした可愛らしくも大胆なドレス姿の波動先輩が現れた。

 

「えへへ!どうかな?」

 

波動先輩はくるっとその場で回ってみせた。

 

「とても似合ってますよ。何処かの御令嬢みたいで素敵です」

 

「ありがとう!来太くんも凄く素敵!」

 

「ありがとうございます」

 

お互いに正装姿を褒めていると、近くに居た筈のキバットたちが姿を消していた。

 

気を遣ってくれたのだろう。

 

「それでは行きましょう。このままだと集合時間ギリギリですし」

 

そう言って俺は波動先輩に手を差し出す。

 

「先輩ヒール履いてますし転んだらいけませんので、未熟ながらエスコートさせて頂きますが、宜しいですか?」

 

波動先輩は一瞬キョトンとした表情をしたが、直ぐに笑顔になって俺の手を取る。

 

「うん!お願いね!」

 

「はい」

 

準備万端の状態で、俺と波動先輩は集合場所のセントラルタワーのロビーへ向かう。

 

 

「キバれよ来太ー!」

 

「ファイトですー!」

 

 

後ろからキバットたちの声が聞こえるが、今はロビー優先で動くのであった。




キャラクター紹介

キバットバットIII世&タツロット

出典:『仮面ライダーキバ』


I・アイランドに潜む怪しい集団
傷の男を筆頭に謎の男たちが裏で暗躍を開始する。
一体、何が起ころうとしているのか……。


限界の近い【平和の象徴】と悩み苦しむ天才科学者
旧友の仲であるオールマイトとデヴィット・シールド。互いに"デイヴ"、"トシ"と愛称で呼び合う程の2人の間に僅かな亀裂が生まれる。


ライダーくん、相棒たちの気遣いに気付かず
イタリアスーツに身を包むライダーくんはキバットとタツロットの気遣いに気付いていない様子。未熟だと謙遜しながら先輩をエスコートする彼は果たして……。


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50スレ

第54話を投稿します。

ウルトラマントリガーが遂に完結(劇場版がまだありますが)。光と闇の力が一つになり真のウルトラマントリガー【トリガートゥルース】に変身するとは思わなかったです。

仮面ライダーリバイスでもデモンズドライバーに悪魔が宿っており、その悪魔がヒロミさんの生命を喰らっていた事が明らかになりましたね。次回予告で()()()()()とありましたが、ヒロミさんが退場しない事を祈ります。


集合場所であるセントラルホテルのロビーに到着した俺と波動先輩は飯田・切島・轟・峰田と一緒に他の人を待っていた。

 

ちなみに、ドレス姿の波動先輩を見て峰田が「真打ち1人目来たー!」っと騒いだ。

 

少し待っていると、自動ドアから正装姿の緑谷が慌てて出て来る。

 

「ごめん、遅くなって!……って、アレ?他の人は?」

 

「まだ来ていない。団体行動を何だと思っているんだ!」

 

規則を重んじる飯田が憤慨するところに俺がフォローする。

 

「飯田、女性の身支度は男よりも時間が掛かるものだよ。文句を言わず待ってあげるのが紳士の振る舞いじゃない?」

 

「グッ、そうかもしれないが……」

 

そう言っていると、ドレスに着替えた麗日さんがやって来た。

 

「ごめん、遅刻してもーたぁ」

 

「おお〜!!」

 

峰田が興奮していると、続けて八百万さんが後ろに隠れている耳郎さんを連れて来た事に気付いた。

 

「申し訳ございません、耳郎さんが……」

 

「OH〜Yes、Yes!」

 

「何でリアクションがアメリカ人風なの?」

 

八百万さんのエレガントなドレス姿にテンションが更に上がる峰田に俺はツッコむ。

 

「うう、ウチ、こういうカッコは……その、なんとゆーか……」

 

黒を基調としながら所々にピンクがあって華やかなドレス姿の耳郎さんは未だに恥ずかしそうに八百万さんの後ろに隠れている。

 

「女の殺し屋みてー」

 

「隠しナイフとか持ってそうでカッケェな!」

 

そんな耳郎さんに、切島と峰田が感想を言うが、2人とも……その感想は如何なものか……。

 

案の定、そんな2人に耳郎さんがイヤホンジャックを突き刺す。

 

「「ギャアアアアア!!」」

 

「黙れ」

 

「んだよ、褒めてんじゃねぇか!」

 

「褒めてない」

 

倒れ込みつつ抗議をする切島に、耳郎さんの機嫌は直らなかった。

 

「耳郎さん」

 

俺は耳郎さんに近づく。

 

「何、佳面」

 

不機嫌な耳郎さんは俺を睨む。

 

「そのドレス、似合ってる。可愛いね」

 

「は?」

 

耳郎さんの表情が固まったが、気にせず俺は続ける。

 

「シックだけど所々にピンクがあって可愛いよ」

 

「ちょ」

 

「普段見ない耳郎さんの姿で新鮮と言うか、見映えしてると言うか」

 

「やめ」

 

「でもビジュアル系の女性バンドっぽくてカッコ良くもあるし」

 

「マジでやめて」

 

「恥ずかしがってるみたいだけど、本当に似合ってるよ。だから堂々として良いと思う」

 

「〜〜〜!!」

 

ドレス姿を褒めていると、耳郎さんの顔がみるみる紅くなり、凄い勢いでイヤホンジャックを突き刺そうとする。

 

俺は反射でそれを避ける。

 

「ちょっ、危ないから」

 

「うっさい!女誑し!」

 

「待って、それは心外過ぎるんだけど」

 

ただ褒めてるだけで女誑しは流石に酷いと思う。

 

これで駄目ならイタリア人とかナンパしただけで逮捕されるんじゃなかろうか(イタリア人の皆さん、すいません)。

 

「むぅ〜」

 

すると波動先輩が俺の方を見て何故かむくれていた。

 

「どうしました波動先輩?」

 

「来太くん、私の時そんなに褒めてなかったよ」

 

「え?見て直ぐに褒めたじゃないですか」

 

「けど耳郎さんみたいに細かく褒めてくれなかった」

 

「そうですか?」

 

「そうだよ」

 

そう言って波動先輩はプイッと顔を晒す。

 

「………」

 

「ん?」

 

後ろから見られてる気配がしたので振り返ると、麗日さんが何とも言えない表情をしていた。

 

麗日さんは此方に気付いて一瞬で顔を逸らす。

 

(……あれ、何か麗日さんも機嫌が悪いそう。何で……?)

 

その時、自動ドアが開きメリッサさんがやって来た。

 

「デクくんたち、まだここに居たの?パーティー始まってるわよ」

 

「2人目の真打ち登場だ〜!!もうオイラどうにかなっちまいそう!」

 

大胆なドレスは勿論、眼鏡を外しコンタクトを嵌めてているので素顔のメリッサさんに峰田はハートを射抜かれた。

 

「皆!そろそろパーティー会場へ行くぞ!これ以上遅れる訳にはいかない!」

 

先陣を切る飯田に一先ず俺たちも着いて行こうとした。

 

次の瞬間、ホテル内に島内放送が流れる。

 

『I・アイランド管理システムよりお知らせです。警備システムにより、I・エキスポエリアに爆発物が仕掛けられたと言う情報を入手しました』

 

「爆発物!?」

 

「マジか!?」

 

緑谷と切島が放送に驚愕する。

 

勿論、俺や轟たちも同様である。

 

『I・アイランドは現時刻をもって厳重警戒モードに移行します。島内に住んでいる方は自宅又は宿泊施設に。遠方からお越しの方は近くの指定避難施設に入り、待機して下さい』

 

『また、主な主要施設は警備システムによって、強制封鎖します』

 

「そんな、爆発物だけならここまでの対処にならない筈なのに」

 

警備システムの対応にI ・アイランドに住んでいるメリッサさんが疑問を抱く。

 

「来太くんッ、窓が」

 

波動先輩の声に反応した俺は窓を見ると、防水シャッターが一斉に閉じられ、最後に自動ドアが封鎖させていた。

 

「おいおい、どうなっちまったんだよ!」

 

「峰田くん落ち着いて!」

 

「落ち着いてられっかよ!」

 

混乱する峰田に麗日さんが宥めるも効果は無かった。

 

「轟、携帯は?」

 

「駄目だな……圏外になってる。情報関係は全て遮断されちまったらしい」

 

俺は携帯で電話を試す轟に確認するが、予想通り電波が遮断されている様だ。

 

エレベーターのボタンを押す耳郎さんが振り返る。

 

「エレベーターも反応無いよ」

 

エレベーターも使用不可となると、ここまでの警戒態勢に違和感を感じる。

 

「……飯田くん、パーティー会場へ行こう」

 

「何故だ?」

 

真剣な表情の緑谷に飯田が問う。

 

「パーティー会場にはオールマイトが来てるんだ」

 

「オールマイトが!?」

 

「何だよ、それなら心配要らねーな」

 

オールマイトもI・アイランドの名前が出た事で皆が安堵の表情をする。

 

(オールマイトも来てるってことは、緑谷はオールマイトの付き添いでI・アイランドに来たってことか……)

 

「メリッサさん、パーティー会場へ行くにはどうすれば?」

 

「非常階段を使えば、会場の近くに行けると思う」

 

メリッサさんが指差す方向には重そうなドアがあった。

 

「ねえねえ、行くならメンバーは少ない方が良いと思う。万が一(ヴィラン)が居る事も考慮してバレない人数で行くべきじゃないかな」

 

俺は波動先輩の提案に頷く。

 

「そうですね……。それなら……行くのは俺と緑谷、それと索敵係で耳郎さんも来てくれると助かる」

 

「分かった!」

 

「ウチも良いよ」

 

「他の皆は非常階段で待機してて。波動先輩、皆をお願いします」

 

「うん!」

 

そうと決まった俺たちは行動を開始する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

パーティー会場では参加者である客は勿論、オールマイトを含むプロヒーローたちやデヴィットたち研究者も居たが、突如現れた武装集団の指示により全員が拘束されていた。

 

(クソッ、何とかしなければ!会場の(ヴィラン)は勿論、一刻も早く警備システムの無効化しなければ島内の一般人にまで被害が出てしまう!)

 

ステージに拘束されたまま床に伏せるオールマイトは打開策を考えていた。

 

「妙な事はするなよ。大人しくしていれば此方も危害を加えない。時間がくれば解放してやる」

 

仮面を付けた男【ウォルフラム】が拳銃を片手に持ちながら会場にいる全員に告げた。

 

「貴様たちの目的は何だ!」

 

1人のヒーローが身を乗り出して叫ぶも、ウォルフラムに顔面を蹴られ床に倒れる。

 

「聞こえなかったか?大人しくしていろ。それとも一般人を殺さないとジッと出来ないか?」

 

ウォルフラムは近くに居た女性に銃口を向ける。

 

「キャアアアッ!!」

 

「止めろ!」

 

「なら大人しくしろ……良いな?」

 

そう言われ、ヒーローは悔しそうに大人しくする。

 

「それで良い……。……ああ、そうか。分かった」

 

通信機からコントロールルームに居る仲間からの連絡を受け取ったウォルフラムは返事をし、周囲を見回すと近くに居たデヴィットの助手であるサムの胸に付けているプレートを見る。

 

プレートにはタワーに働く者である事が示されていた。

 

「お前、ここの研究者だな?」

 

「は、はい……」

 

「連れて行け」

 

ウォルフラムは部下の1人に命令する。

 

「い、一体何を……」

 

「止めろ!」

 

サムが連れ去られそうになり、慌ててデヴィットがやって来た。

 

デヴィットの表情は緊張しながらも毅然としウォルフラムを見る。

 

「彼は私の助手だ。どうするつもりだ」

 

「ん?貴様……デヴィット・シールドか。お前も来い」

 

「断ったら?」

 

「この島の誰かの悲鳴が響く事になるだけだ」

 

仮面の奥の目が凶悪な笑みを浮かべているのをが見えて、デヴィットは僅かに怯む。

 

「……分かった……行こう」

 

デヴィットとサムは部下の1人に銃口を向けられ、会場の外へ連れて行かれた。

 

「デイヴ……」

 

オールマイトはデヴィットが連れ去られても何も出来ない自分に腹を立てる。

 

(どうにかしてデイヴと皆を救わなければッ。私は、平和の象徴なのだから……!)

 

オールマイトが拘束具を破る為に力を込めていたその時、視界の端で何かが光っている事に気付く。

 

吹き抜け天井を見上げると、上階から誰かが覗いていた。

 

(み、緑谷少年!それに佳面少年に耳郎少女も!)

 

緑谷が心配そうな表情で、ライトを付けた携帯をオールマイトに向けていた。

 

来太は周囲の警戒を行い、耳郎はイヤホンジャックを床に突き刺している。

 

「まだ(ヴィラン)は俺たちに気付いていない。今なら大丈夫だ」

 

「ありがとう佳面くん。オールマイトがこっちに気付いた。耳郎さん、いけそう?」

 

「良いよ!」

 

準備が完了した事を確認し、緑谷はオールマイトに向けて"話して下さい。聞こえてます"と言うジェスチャーをする。

 

それを見たオールマイトは周囲に気づかれない様に小声で話す。

 

「聞こえるか。(ヴィラン)がタワーを占拠、警備システムを掌握。この島の人々が全員人質に取られた。ヒーローたちも捕らわれている。危険だ。直ぐにここから逃げなさい」

 

「大変だよ、佳面、緑谷」

 

イヤホンジャックを戻す耳郎さんの狼狽えた様子に、緑谷の顔が曇る。

 

(さて、どうするかな……)

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

非常階段の踊り場に戻った俺たちは一連の出来事を皆に話す。

 

事の大きさに皆は言葉を失っていた。

 

インターン経験者である波動先輩は何やら考えている様子だった。

 

すると飯田が口火を切る。

 

「オールマイトのメッセージは受け取った。俺は、雄英校教師のオールマイトの言葉に従い、ここから脱出する事を提案する」

 

飯田の提案に八百万さんが頷く。

 

「飯田さんの意見に賛同しますわ。私たちは学生の身、波動先輩は兎も角ヒーロー免許も無いのに、(ヴィラン)と交戦する訳には……」

 

だがその言葉には悔しさが混じっていた。

 

「ならよ、脱出して外にいるヒーローの救けを呼べば……」

 

峰田の言葉をメリッサさんが遮る。

 

「脱出は困難だと思う。此処は(ヴィラン)犯罪者を収容するタルタロスと同じレベルの防災設計で建てられてるわ」

 

「けどよ、このまま救けを待ってたってどうにもならねぇだろ!そんなの漢らしくねぇ!」

 

「切島くん、今は個人のポリシーを優先すべき状況じゃないんだぞ」

 

今にも(ヴィラン)に殴り込む気迫の切島に飯田が言う。

 

「俺は……」

 

黙っていた轟は左手を見つめながら呟く。

 

「俺はヒーローを目指してる」

 

「けど、私たちはまだヒーロー活動が……」

 

何か言いかける八百万さんの言葉を轟は左手を握り締めながら遮る。

 

「だからって……何もしないのか?」

 

「しかし……」

 

八百万さんは勿論、委員長である飯田も悔しそうに眉を寄せた。

 

「……救けたい」

 

「デクくん?」

 

考え込んでいた緑谷の顔が上がり、はっきりと言った。

 

「皆を救けたい」

 

「正気かよ緑谷!?(ヴィラン)と闘う気かよ!USJの事で懲りて無いのかよ!あん時お前殺されかけただろ!」

 

あの時緑谷の近くに居た峰田が抗議する。

 

「違うんだ峰田くん。僕は考えてるんだ。(ヴィラン)と闘わずにオールマイトたち皆を救け出す方法を……」

 

「止めるんだ緑谷くん。俺が言えた立場では無いが、もう()()()()()()()()()()()()()

 

「え?保須って……」

 

「ごめん切島、その話は後で」

 

保須で起きたヒーロー殺し事件の真実を知らない切島の疑問を、俺は遮る。

 

「忘れてないよ。けど今僕たちで出来る最大限の範囲で救ける方法を探して、皆を救けに行きたい」

 

飯田の静止にも動じない緑谷の目には覚悟の意思が宿っていた。

 

こうなったら誰にも止められないだろう。

 

「俺も救けたい」

 

「佳面」

 

「しかし佳面くん」

 

緑谷を後押しする様に、俺も救ける事を提案する。

 

耳郎さんと飯田が声を出す。

 

「どのみち脱出も出来ないし、救けを待ってても来てくれない。なら俺は救ける側にいたい」

 

俺は言いながら右手の拳を握る。

 

「手が届くのに手を伸ばさなかったら、死ぬ程後悔する。それが嫌だから、手を伸ばす。伸ばしたいんだ」

 

(俺の知ってるヒーロー(仮面ライダー)たちは、どんな危機にも臆せず立ち向かった。そんな彼らを目標にしてる俺が逃げる訳にはいかない)

 

そんな中、波動先輩が手を挙げる。

 

「はいはーい、私気になる事があるの?メリッサさん、聞いても良い?」

 

「え、ええ」

 

メリッサさんは緊張しながら聞く。

 

「この島の警備システムは何処で管理されてるの?」

 

「島の警備システムはこのタワーの最上階にあるわ」

 

(ヴィラン)がシステムを掌握してるなら、今ならシステムの再変更が出来るんじゃないかな?」

 

「……あっ!」

 

波動先輩の言いたい事を理解したメリッサさんの顔がハッとした。

 

「成る程、それならイケるかもしれませんね」

 

「佳面くん、どう言う事?」

 

波動先輩の言葉を理解した俺に麗日さんが問い掛けてくる。

 

「つまり、(ヴィラン)の監視を掻い潜り、最上階にある警備システムを無効化出来れば、皆を助け出せるって事だよ」

 

「マジか!」

 

「けど監視を掻い潜るって、どうやって?」

 

解決策に驚く切島を他所に耳郎さんが身を乗り出す。

 

「現に私たちは無害の状態、つまり(ヴィラン)はまだ警備システムに慣れていないと思う」

 

「闘いを回避してシステムを元に戻す、か。……成る程」

 

轟が解決策に納得する。

 

「ですが、最上階には(ヴィラン)が待ち構えていますわ……」

 

「いや、闘う必要は無いんだ。システムが元に戻ればオールマイトたちプロヒーローたちも動ける。状況は一気に有利になる」

 

「オールマイトが動ける様になれば、勝てる確率は大幅に上がるしね」

 

「それに、もしもの時は私が(ヴィラン)と闘うから大丈夫だよ!」

 

不安そうな八百万さんに俺と緑谷が補足し、波動先輩が安心させる様に自ら闘う事を提案する。

 

「佳面くん、デクくん。行こう!」

 

「麗日さん」

 

「私たちに出来る事があるのに、何もしないのは嫌だ。そんなのヒーローになるならない以前の問題だと思う」

 

覚悟を決めた麗日さんに俺と緑谷は立ち上がる。

 

「やろう。俺たちの手が届く範囲で、俺たちに出来る事を」

 

「うん。困ってる人たちを救けよう。人として当たり前のことをしよう」

 

「おう!」

 

俺たちがやる気に拳を握ったその時、轟と切島と耳郎さんが近づいて来た。

 

「佳面、緑谷。俺も行く」

 

「俺もだ!漢として皆を救けてぇ!」

 

「ウチも」

 

「轟、切島、耳郎さん」

 

飯田が毅然と言った。

 

「これ以上、無理だと判断したら引き返す。その条件を飲むなら俺も同行しよう」

 

「飯田くん!」

 

「そう言うことであれば、私も」

 

「八百万さん!」

 

飯田と八百万さんも納得した事に、緑谷と麗日さんは明るくなる。

 

それを見た峰田も恐怖で顔を青白くしながらも覚悟を決める。

 

「分かったよ!行けば良いんだろ!行けば!」

 

「峰田くん!」

 

「一緒に頑張ろ!」

 

「漢だぜ、峰田!」

 

そんな皆を笑顔で見ていたメリッサさんに、緑谷が近づく。

 

「メリッサさんは此処で待っていて下さい」

 

「私も行くわ」

 

真顔で答えるメリッサさんに、緑谷は心配そうに言う。

 

「けど、メリッサさんには個性が……」

 

メリッサさんは俺たちを見渡す。

 

「この中で私以外にシステムの再変更が出来る人居る?私はアカデミーの学生、力になると思う。……だから、お願い」

 

「……分かりました。行きましょう、皆を救けに!」

 

メリッサさんの覚悟に、俺たちは頷く。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

レセプション会場では、変わらず(ヴィラン)たちがライフルを構えて周囲を警戒していた。

 

拘束されたままのオールマイトは自身の活動限界時間が迫っている事に焦っていた。

 

気を抜けば、あっという間に【トゥルーフォーム】に戻ってしまうからだ。

 

咳き込むオールマイトは上階の人影に気付く。

 

(緑谷少年!)

 

戻って来た緑谷は力強くオールマイトを見て頷く。

 

その表情には強い覚悟が感じられた。

 

(その顔は……駄目だ、逃げるんだ!)

 

緑谷が何をするのかに気付いたオールマイトは強く見つめ返す。

 

(いいえ、逃げません)

 

しかし緑谷は首を横に振る。

 

(危険過ぎる)

 

(出来る限りの事をやりたいんです!)

 

(……緑谷少年……)

 

(必ず救けます!)

 

緑谷はもう1度頷き、その場を立ち去る。

 

(やはり行くか)

 

オールマイトの体に限界を表す蒸気が少し立ち昇り始める。

 

(教師の立場なら、君の行動を咎めなければならない。だが、しかし!此処で動かなければヒーローじゃないよな!)

 

オールマイトは思わず笑っていた。

 

(ならば、私は待とう!君たちがこの状況を打倒する事を信じて!)

 

覚悟を決めたオールマイトは何とか【トゥルーフォーム】に戻らない様に耐え始めるのだった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

緑谷が非常階段近くで待機していた俺たちに合流する。

 

俺は皆を見回し、口を開く。

 

「行こう」

 

「「「おう!」」」

 

「「「うん!」」」

 

こうして、俺たちの救出作戦が決行された。




ライダーくん、天然で人を褒める
自身のドレス姿に自信を持てない耳郎にライダーくんは純粋に褒めちぎる。結果、耳郎はオーバーヒートを起こし、近くに居た波動がむくれる事となった。おや、もう1人……。

(ヴィラン)、襲来
レセプション会場に突如(ヴィラン)が出現。島全体を人質にしてデヴィットとサムを連れ去ってしまう。オールマイトを筆頭にプロヒーローたちも拘束されてしまう……。

ライダーくん、救出作戦を開始
タワーの最上階にある警備システムを無効化する為にライダーくんたちは救出作戦を開始する。


次回登場する仮面ライダーのヒントは「ヴァンパイア」です。


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51スレ

第55話を投稿します。

当作品のお気に入り数がもう直ぐで3,000人に届く現状にビックリしてます。

これからもより多くの方に読んで頂けるよう頑張っていきます。

それと番外編の方も久し振りに投稿再開しましたので、本編と一緒に読んでいただけると幸いです。

今回変身する仮面ライダーのヒントは「蝙蝠」「笛」「鎖」です。


警備システムを無効化する為に管理室を目指す俺たちは、非常階段を駆け上がっていた。

 

各フロアが封鎖されている以上、最上階へ進める唯一の方法だからである。

 

「これで30階か」

 

「飯田、一旦止まろう。メリッサさんが遅れてる」

 

「分かった」

 

階数の表示を確認して、後ろから付いてくる皆の方へ振り向く。

 

先頭を走る俺と飯田の後に続く緑谷が最後尾に居るメリッサさんに声を掛ける。

 

「メリッサさん、最上階は?」

 

「ハッ……ハッ……200階よ」

 

苦しそうに肩を上下させながらメリッサさんが答える。

 

「まだそんなに昇るのかよ!」

 

(ヴィラン)と遭遇するよりマシですわ」

 

ゲンナリする峰田に八百万さんが嗜める。

 

再び階段を駆け上がり、50階に到達した所で麗日さんが最後尾のメリッサさんへ振り返る。

 

「メリッサさん、うちの"個性"使おうか?」

 

俺たちはヒーロー科で普段から訓練を受けている為体力に余裕があるが、アカデミーで研究をメインにしているメリッサさんには最上階まではかなりハードである。

 

麗日さんの提案にメリッサさんは苦しそうに息を吐きながらも笑顔を見せる。

 

「ありがとう。でも大丈夫よ。その力はいざと言う時にとっておいて」

 

そう言い、メリッサさんはヒールを脱ぎ捨て、階段を昇る。

 

80階まで差し掛かった所で異変が起きる。

 

「不味い、シャッターが!」

 

階段の途中でシャッターが降りて来てしまい、塞がれてしまう。

 

「どうする、壊すか?」

 

轟がそう言うと、後ろから付いて来たメリッサさんが言った。

 

「ダメよ。そんな事したら警備システムが反応して(ヴィラン)に気付かれるわ」

 

皆がシャッターを見上げていると、既にヘロヘロになっていた峰田が反対側にあるドアに気付く。

 

「なら、こっちから行けば良いんじゃねーの?」

 

それはフロアに繋がっている非常ドアであった。

 

峰田がドアを開ける為のハンドルに手を掛ける。

 

「ッ!峰田!」

 

「ダメッ!」

 

俺たちが慌てて止めようとするも、峰田はハンドルを引いてしまっていた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【管制室】

 

「ん?」

 

管制室に警報が鳴り、立っていた男がコントロールパネルを操作する眼鏡を掛けた仲間に近づく。

 

「何だ?」

 

「80階の扉が開いた?」

 

「お前、各フロアのスキャニングをミスりやがったな!」

 

男が眼鏡の仲間を責める。

 

眼鏡の仲間は舌打ちしながらパネルを操作する。

 

するとモニターに80階付近の監視カメラの映像が映し出される。

 

映像には来太たちが映っていた。

 

「ボス、80階にガキたちが数名居ました」

 

男は通信機を使ってボスのウォルフラムに報告すると、ウォルフラムは冷静に指示を出す。

 

『なら80階の隔壁を全て起動しろ。ガキ共を逃すな』

 

「了解」

 

『それと、"ドーベル"を80階へ向かわせろ。奴の"個性"なら直ぐにガキ共を見つけられるだろう』

 

「分かりました」

 

男はウォルフラムとの通信を切り、次にドーベルに繋げる。

 

『此方、ドーベル』

 

通信越しに聞こえた声に感情は無く、まるで機械の様だった。

 

「仕事だ。80階へ行き、ガキ共を始末しろ」

 

『全員か?』

 

「ああ、1人残らずだ」

 

『……了解』

 

ドーベルはそう言って通信を切る。

 

「……せいぜい我々の為に働け、犬っころ」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

非常ドアが開いた事で(ヴィラン)に気付かれている可能性は高いだろうが、俺たちは成り振り構わず前へ進む。

 

「他に上へ行く方法は?」

 

轟が走りながらメリッサさんに問う。

 

「反対側に同じ構造の非常階段があるわ」

 

「急ぐぞ!」

 

飯田が速度を上げようとした直後、行く手の通路の隔壁が奥から次々に閉じ始めた。

 

「ヤベェ、シャッターが!」

 

「後ろもですわ!」

 

切島と八百万さんが驚く。

 

明らかに俺たちを閉じ込めようとしている。

 

完全にシャッターが閉じる前に、俺は轟と飯田に指示を送る。

 

「轟は氷結でシャッターを!飯田はその間に扉を壊すんだ!」

 

「ああ!」

 

「任せろ!」

 

轟は氷結で閉じようとする隔壁を止め、飯田が隙間から飛び出して回り込みジャンプをしながら強力な蹴りで扉を破壊する。

 

「このまま突っ切ろう」

 

急いで扉の中へ足を踏み入れる。

 

「此処は……」

 

辺り一面が植物で埋め尽くされており、高い空間一杯に様々な種類が育っていた。

 

「植物プラントよ。個性の影響を受けた植物を研究する───」

 

「待って!」

 

突然耳郎さんが前へ飛び出し、エレベーターの方向へ目を向ける。

 

「あれ見て!エレベーターが上がって来てる」

 

エレベーターの階数を示す表示がどんどん80階に近付いていた。

 

(ヴィラン)が追って来たんじゃ……」

 

恐れ慄く峰田の横で緑谷が叫ぶ。

 

「隠れてやり過ごそう!」

 

茂みの中に身を隠し、エレベーターを見る切島が小声で言う。

 

「なあ、あれで最上階まで行けねーのか?」

 

「無理よ。あのエレベーターは認証が無いと操作出来ないし、頑丈な造りだから壊す事も出来ない」

 

「使わせろよ、文明の利器」

 

メリッサの言葉に峰田が悔しそうに震えたその時、エレベーターの動きが止まり、扉が開いた。

 

左右に開いた扉から現れたのはノッポと小柄の男が2人に、その後ろには帽子を深々と被りボロボロの赤いスカーフで口元を隠した2mはある長身の男だった。

 

3人の男の姿に、緑谷が緊張した様にハッと小声で叫ぶ。

 

「ッ!!前に居る2人、会場に居た(ヴィラン)だ!」

 

「どうやらガキ共はこの階に居るらしい」

 

小柄な男が冷静に言い、ノッポの男はイライラしていた。

 

「面倒な所に入りやがって」

 

近付いてくる(ヴィラン)に、思わず麗日さんが声を漏らす。

 

「こっちに来る」

 

「静かに……」

 

飯田が強張った表情で注意する。

 

全員が緊張で身動き1つ出来ない中で、(ヴィラン)が通り過ぎる事を願う。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

「おい、ドーベル。ガキ共は何処に居やがる」

 

小柄な男が後ろにいる帽子の男に問うと、帽子の男は口元のスカーフを晒し、犬の様な鼻をスンッと動かす。

 

「……男が6人……女が5人。茂みに隠れている」

 

ドーベルと呼ばれる男に、此方の居場所をアッサリとバラされる。

 

「嘘だろ!」

 

「犬の個性!ハウンドドッグ先生と同じ!」

 

皆の表情が絶望に染まる。

 

「(……仕方ない)轟、巨大な氷壁を!」

 

「ッ!ああ!」

 

俺の声に轟はハッとしながらも足元から巨大な氷壁を作り出し、(ヴィラン)を妨害する。

 

「俺が此処に残ってアイツらを足止めする。その隙に皆は上へ昇って」

 

「佳面くん!?」

 

「無茶だろ!幾らお前でも3人相手は無謀だって!」

 

俺の言葉に緑谷と峰田が驚く。

 

他の皆も同様である。

 

「来太くん、私も残るよ」

 

「駄目です。波動先輩は最後までメリッサさんと一緒に居て下さい。合法で闘えるのは先輩だけですから」

 

一緒に残ろうとする波動先輩に、俺は一蹴する。

 

「だけど、それじゃあ佳面くんが───」

 

まだ食い下がる緑谷に俺は叫ぶ。

 

 

「目的を忘れるな!此処で全員捕まったら皆を救けられないだろ!」

 

 

今度こそ皆が黙る。

 

すると、氷壁が振動で揺れた事に気付き、もう一度叫ぶ。

 

「目的優先、行け!」

 

すると緑谷たちの足元に氷結が広がり、そのまま氷柱が上へと緑谷たちを持ち上げる。

 

その正体は、轟が右手を地面に押し付けていたからだ。

 

「轟……」

 

「足止めは1人より2人の方が良いだろ?それに、皆を上へ行かせるなら俺の氷結が手っ取り早い」

 

自ら殿を志願する轟の表情には、"何言われようとも残る"と言う意志があった。

 

「頑固だよ、君は」

 

苦笑する俺に、轟も少し笑う。

 

「お前に言われたくねぇよ」

 

「佳面くん!轟くん!」

 

氷柱の上で緑谷が叫ぶ。

 

「行って。こっちは大丈夫だから」

 

「此処を片付いたら、直ぐに追いつける」

 

「ッ!うん!」

 

俺と轟の言葉に緑谷も覚悟を決めて頷く。

 

───と、その時。

 

「逃さん」

 

突如帽子の男が手足の爪を食い込ませて氷柱を駆け上り、緑谷たちに迫る。

 

「1人登って来た!」

 

「来るんじゃねー!」

 

耳郎さんと峰田が焦らながら叫ぶ。

 

帽子の男が緑谷たちに辿り着く前に、俺は相棒の名を叫ぶ。

 

「───キバット!」

 

「よっしゃー!漸くオレ様の出番だぜ!」

 

突然現れたキバットが帽子の男を妨害する。

 

「落ちろ、犬っころ!」

 

「グッ!」

 

キバットの蹴りに帽子の男が地面に落下する。

 

「おいおい、来太!オレ様を呼ぶの遅過ぎだろ!」

 

「ごめんって。けど、キバットたち目立つから中々呼べなかったんだよ」

 

キバットが俺の隣に飛びながら愚痴を飛ばす。

 

轟がキバットを見て、俺に問う。

 

「佳面、何だこの蝙蝠」

 

「おい紅白饅頭!オレ様を蝙蝠と一緒にするんじゃねー!オレ様は気高いキバット族の末裔、キバットバットIII世だ!」

 

「キバット、今は自己紹介は後で。それより、タツロットは?」

 

「タッちゃんはモジャ男たちのお供に行ってるぜ!」

 

タツロットが何処に居るのか確認して、俺はひとまず安堵する。

 

上ではプラントの最上部にある細い通路まで氷柱が届いた事で、緑谷たちが飛び移っていた。

 

「緑谷たちは上へ行かせた。俺たちは───」

 

(ヴィラン)を片付ける、だろ?」

 

確認した俺と轟は目の前の(ヴィラン)に集中する。

 

「雄英にバレたら、始末書じゃ済まないかもね」

 

「かもな。けど、そんなの後回しで良いだろ」

 

「だね」

 

少し冗談混じりな会話をしていると氷壁に拳大の穴が次々と空き、(ヴィラン)3人が現れる。

 

「調子に乗るなよ、ガキ共がァァァァ!!」

 

小柄の男の体が大きくなり毛が覆われる。

 

「貴様たち、目的は最上階の管制室か?」

 

「さあ、どうだろうね」

 

ノッポの男が問うも俺は知らん振りをする。

 

帽子の男は被っていた帽子が取れ、犬の耳が生えた頭を露わにする。

 

「どうでも良い……命令は全員の始末だ……。お前たちの次は他の奴らだ」

 

ゴリッと拳を鳴らし、大きく開く口から鋭い牙が見せる。

 

「簡単に勝てると思うな」

 

轟は右手に冷気を出す。

 

そして、俺も戦闘態勢に入る。

 

「キバット!」

 

「よっしゃー!キバって行くぜ!」

 

俺は右手でキバットを掴む。

 

 

「ガブッ!」

 

 

口を開いたキバットを左手に噛ませる。

 

噛まれた左手に黒い血管模様が浮かび、体内に【アクティブフォース】というエネルギーを注入する事で俺の魔皇力が活性化する。

 

同時に俺の顔にステンドグラスの様な模様が頬まで広がり、腰に鎖が巻き付き、赤いバックル【キバックル】を形成する。

 

 

「変身」

 

 

笛の様な待機音が響く中、俺はキバットを止まり木【パワールースト】に掴ませ、中央の【マジックサークル】に固定させる。

 

バックルを中心に波紋が広がり、俺の身体をガラスの膜が包み込む。

 

そして膜が弾け飛び、その奥の姿が現れる。

 

蝙蝠を模した仮面【キバ・ペルソナ】。

 

幾重にも枝分かれした【ブラッドベッセル】を通じ、全身に力を送る魔皇力が最も蓄積される為に真紅に染まる【ブラッディラング】。

 

黒龍(ガオーラ・ドラン)の皮革をなめして作った強靭なインナースーツ【ドランメイル】。

 

両肩に力を抑え込む拘束具【プテラ・プレート】、右脚の【ヘルズゲート】に(カテナ)が巻き付けていた。

 

ファンガイアの王が装着するために作られた【キバの鎧】に(カテナ)で力を抑制した姿【仮面ライダーキバ キバフォーム】に変身完了する。

 

「変わった個性だな……。貴様ら唯のガキでは無いな?何者だ」

 

ノッポの男の問いに俺と轟が身構えながら答える。

 

「答える義理は無いよ」

 

「名乗る程の者じゃねぇ」

 

(ヴィラン)との戦闘の幕が、切って落とされた。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーキバ

レア度【SR】

出典『仮面ライダーキバ』


ライダーくん&轟vs (ヴィラン)3人組
緑谷たちを最上階へ行かせる為に自ら殿となったライダーくんと轟。相手は(ヴィラン)が3人。


オリジナルキャラ紹介

ドーベル

身長:200cm

好きなもの:肉

個性:【犬】《異形型》
犬っぽい事を犬以上に出来る。
イヌ科の動物特有の細長い四肢を持ち、戦闘時に鋭い牙と爪が生える。
犬以上の嗅覚・聴覚・動体視力を持ち合わせており、それらの能力を駆使した白兵戦が得意。
また、直観力に優れている為、嘘や感情を読み取れる。

人物紹介
ウォルフラムが雇った傭兵。1度契約した依頼は必ず遂行する事をポリシーにしており、依頼がどんな非人道的な内容でも決して依頼人を裏切らない。


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52スレ

第56話を投稿します。

今回はライダーくん&轟vs(ヴィラン)3人組です。

番外編も同時投稿してますので宜しければそちらも読んで頂けると幸いです。


【緑谷視点】

 

「急ごう!佳面くんと轟くんが(ヴィラン)を足止めしている間に、何としても最上階に辿り着くんだ!」

 

先頭を走る飯田くんが僕たちに叫ぶ。

 

「けどよ、あの2人でも(ヴィラン)3人相手はキツくねえか!」

 

「確かに……。もし増援が来たりしたら」

 

後ろを走る峰田くんと耳郎さんが不安そうに言う。

 

「んな弱音吐いてんじゃねえよ!漢ならダチを信じないでどーすんだ!」

 

そんな2人を切島くんが叫ぶ。

 

「ウチ、女だし」

 

「私も佳面さんと轟さんが心配です。……しかし、あの2人ならきっと合流してくれると信じてますわ」

 

「私も!今は警備システムをどうにかしないと!」

 

八百万さんと麗日さんは佳面くんたちを信じて新たに決意する。

 

「そうだよ。来太くんは負けない。必ず来てくれるよ!」

 

波動先輩が笑って言う。

 

「そうですよ!来太さんがあんな(ヴィラン)にヤられる訳ありません!キバットさんもついてますし、今は信じて最上階へ進みましょう!」

 

 

「「「………って、誰!?」」」

 

 

波動先輩の上で自信満々に言う小さな金色の竜(?)の存在に、僕たちは驚く。

 

「おっと失礼、自己紹介がまだでしたね!私はタツロット!来太さんの頼れる(しもべ)の様なものです!以後お見知り置きを!」

 

「佳面くんの僕?もしかして常闇くんの黒影(ダークシャドウ)と同じ自我を持つタイプなのか?いや、佳面くんの個性は変身系だし。でも佳面くんは色んなアイテムで変身するからそれと関係があるのか……?」

 

「デクくん、今は分析よりも最上階を目指さないと!」

 

「す、すいません!」

 

タツロットを名乗る小竜と佳面くんの個性の関係性について考えている所をメリッサさんの声でハッとする。

 

今は一刻も早く最上階へ辿り着き、警備システムを止める事に集中する。

 

(佳面くん、轟くん。無事でいて!)

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「潰れろォォォーー!!」

 

獣の(ヴィラン)が俺と轟目掛けて突進をするが、左右に飛んで回避する。

 

「コイツと犬の方は俺がやる!轟はもう1人を!」

 

「ああ!」

 

枠割を分担し、俺と轟はそれぞれ(ヴィラン)の対処に移る。

 

「1人で突っ込むとは無謀だな」

 

犬の(ヴィラン)のドーベルが鋭い爪を振り下ろす。

 

「フッ!ハァッ!」

 

左手でガードし、脇腹へ拳を振るうが寸前で避けられる。

 

「オラァァァ!」

 

「フッ!」

 

真横から獣(ヴィラン)が巨大な拳で薙ぎ払うもジャンプして回避し、反撃の空中回し蹴りを決める。

 

「グゥッ!このォォォーー!!」

 

蹴りを受けるも獣(ヴィラン)は透かさず又も拳で攻撃をする。

 

「今度は逃さん」

 

背後からドーベルの手刀で挟み撃ちにされる。

 

「フンッ」

 

直前で紅き王冠【クラウンソナー】による特殊な超音波によるエコーロケーションで察知し、身体をズラして回避すると(ヴィラン)の攻撃が互いに当たる。

 

「おい!何処見て攻撃してやがる!」

 

「お前が此方に合わせないからだ」

 

「何だと!」

 

互いに後方へ吹き飛び、ドーベルの言葉に獣(ヴィラン)は激昂する。

 

「やれやれ、彼方さん連携する気ねえみたいだな」

 

「ああ。これなら何とかなるかな。轟は……」

 

少し離れた所で、轟がノッポ(ヴィラン)と闘っていた。

 

空間に次々と空いていく不気味な穴を足元を氷結させて回避しながら、(ヴィラン)目掛けて氷結を出す。

 

しかし、(ヴィラン)も高速で走りながら襲って来る氷結を腕を振り回して丸く削り、削った氷を轟へ投げつける。

 

「来太。奴は空間に穴を空けたんじゃねえ、抉ってやがる」

 

「そうか、手を振る事で空間を抉り取る。それが奴の個性か(まるで虹村億泰の幽波紋(ザ・ハンド)みたいだな)」

 

ノッポ(ヴィラン)の個性が判明したところで、俺は目の前の(ヴィラン)2人を再度警戒する。

 

「来太、どうする?()()()()()()()()?」

 

「うん。でもガルルだと犬(ヴィラン)に有利は取れるけど、もう1人には力で負けるかもしれない。……なら」

 

「圧倒的な力と、どんな攻撃にもビクともしない硬さが必要って事だな!ならアイツの出番だ!」

 

キバットと作戦を決めた俺は、【キバットベルト】の左側に装着されるフエッスルのホルダー【フエッスロット】から紫色の【ドッガフエッスル】を取り出し、キバットの口へ咥えさせる。

 

 

「ドッガハンマー!」

 

 

キバットが【ドッガフエッスル】を吹くと、重低音のメロディーが鳴り響く。

 

すると、何も無い空間から紫色の彫刻が光に包まれながら出現し、巨大な魔鉄槌【ドッガハンマー】へと変形する。

 

俺がドッガハンマーのグリップ部分【サンダーグリップ】を掴むと、伸びるように肩の【カテナ・プレート】ごと両腕と胸部の【ブラッディラング】が(カテナ)で包まれる。

 

(カテナ)が弾け飛ぶと、紅く染まっていた両手が紫色の【サンダーフィンガー】に変わり、腕には魔皇石が埋め込まれた金属装甲【ライトニングシールド】が装着され、肩はショルダーアーマーの【ハンマーショルダー】に変化し、胸部には【アイアンラング】が下部装甲に纏う。

 

キバットの視覚器官【キバットスコープ】が赤色から紫色へ点滅と共に変化し、巨大な視覚増幅装置【オムニレンズ】がドッガのエレメントに影響されて黄色から紫色へと変わる。

 

フランケン族のドッガの力を宿した形態【仮面ライダーキバ ドッガフォーム】にフォームチェンジする。

 

「ウゥゥッ…」

 

意識がドッガに引っ張られている為、言動や性格がフランケン族に近い状態になっており、低い呻き声を発してドッガハンマーを引き摺りながら(ヴィラン)に近づく。

 

「姿を変えた?」

 

「それがどうした!」

 

ドーベルが俺の変貌に警戒しているのを無視して、獣(ヴィラン)が突進する。

 

「ウオオオオオオオ!!」

 

「ヌンッ」

 

巨大な拳を振り下ろすも、俺は左手だけで受け止める。

 

「何だと!?」

 

(ヴィラン)が自分の攻撃を受け止められた事に驚く。

 

俺は受け止めた獣(ヴィラン)の拳を力一杯握り締める。

 

 

メシメシッ!

 

 

「グアァァァァァァッ!?」

 

途轍も無い握力で握り締められた事で骨が軋み、獣(ヴィラン)を激痛が襲う。

 

「ヌンッ!」

 

俺は拳を離し、隙が生じた所をドッガハンマーで攻撃する。

 

直撃した獣(ヴィラン)は大きく後方へ吹き飛ばされ、地面に転がる。

 

「パワーが増している様だが、その分スピードが落ちているぞ!」

 

ドーベルが懐に飛び込み、胸部装甲を貫く勢いで手刀を振り翳す。

 

 

バキンッ!

 

 

しかし、ドッガの拳が変質して出来た【ルシファーメタル】の胸部装甲は下部装甲との二重の守りとなり、絶対無敵の強度を誇る【アイアンラング】によってドーベルの鋭い爪は根本から折れる。

 

「フゥンッ!」

 

「ゴフッ!」

 

筋肉が通常の10倍に強化された【グレートアーム】を活かし、パンチ力15tの【サンダーフィンガー】でドーベルを殴り飛ばす。

 

吹き飛んだドーベルは獣(ヴィラン)の近くに転がり、身体をフラフラさせながら何とか起きあがろうとしていた。

 

「決めるぜ、来太!」

 

キバットの言葉に応じて、俺は【サンダーグリップ】をキバットに噛ませる。

 

 

「ドッガバイト!」

 

 

魔皇力を注入した事で、周囲に赤い霧が立ち昇り、紫色の雷が発生する。

 

ドッガハンマーから発生した雷のエネルギーを【アイアンラング】に送り込んで増幅し、ドッガハンマーに送り返す。

 

ドッガハンマーの基部である【アイアンベース】に備わったレバーを引くと、拳が開き中央にキバフォームの右脚にあるものに匹敵するほどの巨大な魔皇石【真実の石】で造られた巨大な目【トゥルーアイ】が開く。

 

増幅されたドッガフォームの強烈な魔皇力を【トゥルーアイ】から直接放出し、(ヴィラン)2人がそれを浴びる。

 

「グッ、な、何だ!?」

 

「動かん!?」

 

魔皇力を浴びた(ヴィラン)2人は身体機能が麻痺してしまい、動くことが出来なくなる。

 

「フンッ!」

 

閉じたドッガハンマーを振り回し、巨大な拳状の分身体が出現してドッガハンマーと連動して周囲を巻き込みながら振り回す。

 

「フンヌッ!」

 

必殺技【ドッガ・サンダースラップ】が(ヴィラン)2人を叩き潰し、地面に巨大なキバの紋章を刻む。

 

直撃を受けた(ヴィラン)2人はボロボロになって地面に倒れていた。

 

「よくも!」

 

此方に素早くやって来た轟と闘っていたノッポ(ヴィラン)が、仲間の仇とばかりに俺を目掛けて腕を振り翳そうとした。

 

俺ごと空間を抉り取るつもりだ。

 

「佳面!」

 

遅れて轟が叫ぶ。

 

「フンッ!」

 

俺は回避が間に合わないと判断し、ドッガハンマーをノッポ(ヴィラン)目掛けて投げつける。

 

「ガハッ!?」

 

投げつけたドッガハンマーが腹部に深々と突き刺さったノッポ(ヴィラン)は吹き飛ぶ。

 

「今だ、紅白饅頭!」

 

キバットの言葉に轟はハッとし、左手から炎を放つ。

 

「グアァァァァァァ!」

 

炎が直撃したノッポ(ヴィラン)は叫び、全身を焦がされ地面へ倒れた。

 

すぐさま轟は氷結し、(ヴィラン)たちを氷で拘束する。

 

「無事みてえだな」

 

「ウゥッ」

 

轟に向かって呻きながら頷く。

 

「?佳面、何か雰囲気変わったか?」

 

「あ〜、悪いな紅白饅頭。今の来太は言葉話せねえんだ。意思疎通は出来るけどよ」

 

「そうなのか。……あと俺の名前は紅白饅頭じゃねえ、轟だ」

 

「おっと、悪かったな。改めて宜しくな轟」

 

「ああ。それより、緑谷たちを追うぞ」

 

「ウゥッ!」

 

俺は頷き、駆け出す轟に付いて行こうとしたその時、前から機械音がした。

 

音の方を見上げると、プラントの壁から押し出される様に降りて来たのは、約30体程の警備ロボットだった。

 

警備ロボットは俺たちを(ヴィラン)だと認識したのか、ジリジリと近づいて来る。

 

「奴ら、本気になった様だな」

 

「だな。タッちゃんとモジャ男たちに合流するのはコイツらをどうにかしてからだな!行くぜ、来太!こういう時はアイツだ!」

 

「ウゥッ!」

 

俺は左側の【フエッスロット】から今度は緑色のフエッスルを取り出し、キバットに咥えさせる。

 

 

「バッシャーマグナム!」

 

 

キバットが【バッシャーフエッスル】を吹くと、ラッパ調のメロディーが鳴り響く。

 

すると、何も無い空間から今度は緑色の彫刻が光に包まれながら出現し、それを右手で掴む。

 

掴んだ彫刻は魔海銃【バッシャーマグナム】に変形し、両腕と胸装甲に(カテナ)に包まれる。

 

(カテナ)が弾け飛ぶと、右手が緑色の【マリンフィンガー】へと変わり、緑色の魔皇石が埋め込まれ、装甲板【バッシャースケイル】で覆われた右腕【スケイルアーム】と【アーマーフィン】に変化する。

 

胸部装甲もバッシャーの強靱な硬度をもつ鱗が変質した【スケイルラング】となり、キバットの視覚器官【キバットスコープ】が紫色から緑色へ点滅と共に変化し、巨大な視覚増幅装置【オムニレンズ】がバッシャーのエレメントに影響されて紫色から緑色へと変わる。

 

ドッガフォームから半魚人であるマーマン族のバッシャーの力を宿した形態【仮面ライダーキバ バッシャーフォーム】へフォームチェンジする。

 

「また姿を変えたのか……一体どれだけ変えられるんだ?」

 

「フフフッ、俺たちはあと5回の変身が可能なのだよ」

 

「マジか」

 

キバットが何処ぞの宇宙の帝王みたいな台詞を轟に言う。

 

「ハッ!」

 

俺はそんな2人を他所に警備ロボットに向けてバッシャーマグナムの引き金を弾く。

 

【アクアインテーク】によって大気中の水素酸素が強制吸収され、【アクアバレル】で水の成分を蓄積し、銃口【アクアマズル】から【アクアバレット】と呼ばれる水の弾丸を放つ。

 

秒速700mで打ち出されたアクアバレットは警備ロボットの装甲に次々と風穴を空ける。

 

「おっと、お話はまた後にしようぜ。今はこのルンバ擬きのお片付けだ!」

 

「ああ!」

 

轟も氷結で警備ロボットを拘束し始める。

 

俺と轟の連携により、ものの3分で警備ロボットを制圧した俺たちは急いで緑谷たちと合流すべく上のフロアを目指す。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「……任務は必ず遂行する」

 

氷で拘束された筈のドーベルが意識を回復し、グルルルと呻いた。




ライダーくん&轟vs(ヴィラン)3人組
キバの能力を駆使して獣(ヴィラン)と犬(ヴィラン)を撃退したライダーくん。轟もライダーくんのアシストもあり、ノッポ(ヴィラン)に炎を放ち勝利する。

傭兵ドーベル、ただではやられない
拘束されたドーベルは任務遂行の為に再び動き出そうとしていた。果たして結末はどうなるのか……。


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53スレ

第57話を投稿します。

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【緑谷視点】

 

佳面くんと轟くんと別れた後、138階のサーバールームで待ち構えていた警備ロボットを飯田くんたちが食い止めてくれてたお陰で、僕とメリッサさん、麗日さん、波動先輩、そしてタツロットは180階まで進む事が出来た。

 

そして、メリッサさんの案内された扉を壊すと風が吹き込んで来た。

 

「こ、此処は……」

 

「風力発電システムよ」

 

僕たちの前に広がっていたのは、タワーの空洞部分を利用して作られた風力発電だった。

 

「どうして此処に来たんです?」

 

タツロットの問いにメリッサさんは立ち止まって高い吹き抜けを見上げる。

 

「タワーの中を昇れば、警備ロボットが待ち構えている筈。だから、ここから一気に上層部へ向かうの。あの非常口まで行ければ……」

 

凡そ20階分の高さがある天井に、小さな非常口の扉があった。

 

「あんな所まで……」

 

「お茶子さんの触れたものを無重力にする個性ならそれが出来る……」

 

メリッサさんは毅然と話しているが、拳は震えていた。

 

麗日さんの個性があるとは言え、今から20階分を飛んで移動するんだ。

 

怖くない筈が無い。

 

麗日さんはメリッサさんの覚悟を汲み取る。

 

「うん、任せて!」

 

「なら私が緑谷くんとメリッサさんを上へ運ぶね。無重力の状態だと無防備になっちゃうから」

 

確かに波動先輩の個性は応用で飛行が可能で、先輩の推進力が加われば直ぐに非常口へ辿り着ける。

 

「波動先輩、お願いします!」

 

「うん!2人とも私に掴まって。麗日さん!」

 

「はい!」

 

僕とメリッサさんが波動先輩の手を掴み、麗日さんが肉球で僕とメリッサさんに触れると、無重力で髪や服が浮き上がった。

 

「行くよ!」

 

波動先輩が足元からねじれ状のエネルギーが放出され、エレベーターの柱を沿う様に上へ上昇する。

 

「皆さんその調子ですよ!」

 

僕たちの傍をタツロットが平行に飛ぶ。

 

麗日さんは両手の肉球を何時でも合わせられる様に待機する。

 

非常口に到着したと同時に個性を解除する為だ。

 

その時、少し離れた場所から音が聞こえた。

 

下を見ると、奥の扉からゾロゾロと警備ロボットが湧いて出て来たのだ。

 

「麗日さん!」

 

「個性を解除して逃げて!」

 

僕とメリッサさんが麗日さんへ叫ぶ。

 

けど麗日さんは警備ロボットに向かい合う。

 

「出来ひん!そんな事したら、皆を救けられなくなる!」

 

迫り来る警備ロボットに対して、麗日さんは個性を使わずに立ち向かおうとしていた。

 

僕は怒りに似た焦りで波動先輩に叫ぶ。

 

「波動先輩!急いで!」

 

「分かってる!もう少し!」

 

「私がお茶子さんを!」

 

タツロットが麗日さんの元へ引き返し、僕たちが非常口まで残り凡そ20mにまで近づいた所で、麗日さんに警備ロボットがジャンプし襲い掛かろうとする。

 

「お茶子さん!!」

 

メリッサさんが叫んだ次の瞬間、()()が横から飛び出し麗日さんと警備ロボットの間に割って入る。

 

「ハアッ!」

 

すると、その()()は警備ロボットを蹴りで吹き飛ばした。

 

その()()はまるで蝙蝠を連想させる鎧を身に纏い、腰の赤いベルトには金色の蝙蝠が嵌っていた。

 

「来太さん!」

 

「え!?佳面くんなん!」

 

タツロットの声によって蝙蝠の鎧の正体が佳面くんである事が判明する。

 

「ごめん、遅くなった。大丈夫?麗日さん」

 

「う、うん!デクくんとメリッサさんと波動先輩が今、最上階に向かってる」

 

驚く麗日さんを他所に、後に続く警備ロボットを今度は波の様な氷が呑み込む。

 

轟くんである。

 

轟くんが佳面くんと麗日さんに駆け寄る。

 

「轟くん!」

 

「緑谷たちは上へ行けたみたいだな。なら、今はコイツらの足止めするぞ」

 

「そうだね。麗日さんは後ろに居て、緑谷たちが非常口に着くまで個性の解除が出来ないでしょ」

 

「うん!」

 

佳面くんと轟くんが麗日さんの前に立ち、警備ロボットと向き合う。

 

「2人とも、もう直ぐ着くよ!」

 

何とか間に合った事に安堵すると、波動先輩の声に反応して上を見上げると、発電エリアの天井が寸前に迫っていた。

 

僕は右手に装着したサポートアイテム【フルガントレット】を見て、覚悟を決める。

 

「(もう出し惜しみしてる場合じゃ無い!)波動先輩!僕が扉を壊します!」

 

「分かった!」

 

波動先輩に合図を送った僕は、渾身の力を入れて叫ぶ。

 

 

(ワン・フォー・オール、フルカウル!)

 

 

「デトロイト・スマァァァァッシュ!」

 

 

指先まで【ワン・フォー・オール】の力が行き渡った拳で、非常口の扉を壊す。

 

「緑谷たちが非常口に辿り着いた!麗日さん!」

 

「うん!解除!」

 

佳面くんの合図で麗日さんが肉球を合わせ、個性を解除する。

 

最上階へ続く非常階段で浮いていた僕とメリッサさんに再び重力が戻る。

 

「うわっ!?」

 

「きゃあ!」

 

落下しそうになった僕たちを波動先輩がなんとか支える。

 

「2人とも大丈夫?」

 

「は、はい!」

 

「私も平気」

 

ゆっくり通路に降ろしてくれた僕とメリッサさんは波動先輩に返事をする。

 

一息つこうとした次の瞬間、僅かな物音と気配を察知した波動先輩が突然右手からエネルギーを発した。

 

「ぐわっ!?」

 

すると波動先輩のエネルギーで刃物の腕をした男が通路に倒れる。

 

恐らく、(ヴィラン)の1人だ。

 

「危なかったー!いきなり襲って来るんだもん!」

 

(ヴィラン)の気配に一瞬で気付いて攻撃の隙も与えないで無力化した!これがヒーロー科3年の実力……!?)

 

「来たぞ!」

 

すると階段の踊り場では、待ち構えていた(ヴィラン)たちがこっちに向かってライフルを連射する。

 

「緑谷くん、そのまま行って!援護するよ!」

 

「はい!」

 

"フルカウル"で全身を強化し、そのまま(ヴィラン)たちに突っ込む。

 

銃弾は波動先輩が引き受け、僕は壁を蹴りながら宙を駆ける。

 

 

「スマーッシュ!」

 

 

(ヴィラン)たちを拳で倒し、無力化する。

 

階段を昇り、遂に200階に辿り着いた僕たちは、周囲を警戒しながら制御ルームを探す。

 

「メリッサさん、制御ルームの場所は?」

 

「中央エレベーターの前よ」

 

すると、コントロールルームとは反対方向にある通路の先に開いた扉があり、その中に人影が見えた。

 

人影に気付き、僕たちは身を潜める。

 

その人影を見たメリッサさんは驚愕する。

 

「パパ……?」

 

「本当だ……!」

 

部屋の中にいたのは、メリッサさんのお父さんであるデヴィット博士だった。

 

博士は真剣な顔でコンソールを操作しており、他に人影は見当たらなかった。

 

「どうして最上階に……?」

 

「メリッサさん、あの部屋は何があるの?」

 

メリッサさんが訝しむと、波動先輩が訊く。

 

「あの部屋には貴重な物質や危険な発明品を管理しているの」

 

「もしかして、(ヴィラン)に何かを取り出すよう命令されているんじゃ……」

 

メリッサさんの言葉に、僕は1つの可能性を口にする。

 

それにメリッサさんが心配で顔を歪める。

 

「救けないと!」

 

「はい」

 

メリッサさんと慎重に行動する。

 

部屋の壁がブロックのようなボックスになっており、それは天井まで敷き詰められている。

 

博士は作業を続け、そしてプロテクトの解除が出来だ事に顔に笑みを浮かべる。

 

「コードを解除出来た。1147ブロックへ」

 

「は、はい!」

 

博士の言葉に、助手のサムさんが急いで短い階段を駆け上がり壁のボックスに向かう。

 

すると、サムさんが近づいたボックス壁の一角からボックスが動く音がして少しすると、サムさんの目の前に飛び出した。

 

サムさんは飛び出してきたボックスを開けると、何かに入っているアタッシュケースを取り出した。

 

「やりましたね、博士!」

 

ケースを取り出して、確認したサムさんは興奮した様子で中身を博士に向ける。

 

「………!!」

 

中に入っていた物を見た博士は、喜びと安堵に眉を寄せながら笑った。

 

「全て揃っています」

 

中に入っていたのは、データの入ったケースと小さめの丸い形の物に大きなフックが付いている装置だった。

 

博士は後戻りが出来ない様な決心した顔で、拳を握り締める。

 

「……ああ、遂に取り戻した。この装置と研究データだけは、誰にも渡さない。渡すものか……」

 

「プラン通りですね。(ヴィラン)たちも上手くやっている様です」

 

「……ありがとう。彼らを手配してくれた君のお陰だ、サム……」

 

サムさんの声に我に返った博士が、急いでケースの元へ駆け寄ったその時、小さな強張った声がした。

 

「……パパ……」

 

声の正体は、信じられない面持ちで博士とサムさんを見るメリッサさんだった。

 

「メ……メリッサ……!」

 

「お嬢さん、何故ここに?」

 

博士とサムさんの質問に答える余裕が無いメリッサさんは、今にも崩れ落ちそうな足取りで博士に近づいて行く。

 

「"手配した"って何?」

 

「………」

 

「もしかしてこの事件……パパが仕組んだの?」

 

博士は言葉を忘れた様に、何も答えない。

 

「その装置を手に入れる為に……?」

 

博士が否定してくれる事を望みながら、メリッサさんは問い続ける。

 

「そうなの、パパ!?」

 

メリッサさんの必死な問い掛けに、博士はキツく目を閉じた。

 

「……そうだ……」

 

吐き出された言葉に、メリッサさんが固まる。

 

「……なんで……どうして!?」

 

食い下がるメリッサさんに、博士の代わりにサムさんが答える。

 

「博士は奪われた物を取り返しただけです。機械的に"個性"を増幅させる、この画期的な発明を……!」

 

力説するサムさんに、メリッサさんを含む僕たちは疑問に眉を寄せた。

 

「!?……個性の増幅……」

 

「ええ、まだ試作段階ですがこの装置を使えば薬品などとは違い、人体に影響を与えずに"個性"を増幅させることが出来ます。しかし、この発明と研究データはスポンサーにより没収。研究そのものを凍結させられた。これが世界に公表されれば、超人社会の構造が激変する……。それを恐れた各国政府が圧力を掛けてきたのです。だから博士は……」

 

「……そんな……嘘でしょ、パパ」

 

全てが博士が仕組んだ事が告げられても尚、メリッサさんは信じられなかった。

 

「嘘だと言って……」

 

「嘘では無い」

 

博士の言葉に、メリッサさんの体が固まった事に僕には分かった。

 

「こんなのおかしいわ……」

 

「メリッサさん……」

 

悲しみと怒りの入り混じった声で、メリッサさんが叫ぶ。

 

「私の知ってるパパは、絶対そんな事しない!なのに……どうして……!どうして……」

 

その姿に博士は苦し気に顔を歪め、絞り出すように声を出す。

 

「……オールマイトの為だ……」

 

その名前に僕はハッと顔を上げる。

 

「お前たちは知らないだろうが、彼の"個性"が消え掛かっている……」

 

「!!」

 

博士の言葉に、僕は目を見開く。

 

「だが、私の装置があれば元に戻せる。いや、それ以上の能力を彼に与えることが出来る。No.1ヒーローが……平和の象徴が……再び光を取り戻すことが出来る!また多くの人達を救うことが出来るんだ!」

 

親友であるオールマイトの力になりたい。

 

平和の為、世界の為にヒーローを失う訳にはいかない。

 

博士の原動力は全てそれだったのだ。

 

(僕が、【ワン・フォー・オール】を受け継いだから……オールマイトの力を失われている事を憂いて博士は……)

 

自分の存在が引き金になっていた事に、僕は自身の体の奥が冷えた気がした。

 

夢に向かって真っ直ぐ進んでいた裏で、博士のやり切れない想いが膨らんでいた事を思うと言葉が出なかった。

 

博士はアタッシュケースを抱えてメリッサさんに叫ぶ。

 

「頼む!!これをオールマイトに渡させてくれ!もう作り直している時間は無いんだ!その後でなら、私はどんな罰でも受ける覚悟も───」

 

「命がけだった……!」

 

博士の声を遮り、メリッサさんは俯いていた顔を上げる。

 

「捕われた人たちを救けようと、デクくんや、ねじれさんが、クラスメイトの皆が此処に来るまで、どんな目に遭ったと思ってるの!!」

 

激昂するメリッサさんに、博士は困惑する。

 

「ど、どういう事だ。(ヴィラン)は偽物、全て演技の筈……」

 

博士はそう言って隣のサムさんを見るが、サムさんは慌てて顔を逸らした時、入口から高圧的な声がした。

 

 

「勿論演技はしたぜ。偽物(ヴィラン)と言う演技をな」

 

 

眼鏡をした男を連れ、仮面の男がニヤリと笑って姿を現す。

 

「あいつは……!?」

 

レセプション会場に居た(ヴィラン)だと気づいた僕は直ぐに全身に【ワン・フォー・オール】を行き渡らせる。

 

波動先輩も足からエネルギーを放って、空中を舞う。

 

しかし、それより先に扉に触れていた仮面の(ヴィラン)の手が光る。

 

直後、保管室の手摺りがメキメキと外れ、生き物のように動き出し、僕と波動先輩に襲い掛かる。

 

僕は躱そうとするが手摺りの方が速く、体を絡めとられ壁に叩きつけられて、さらに縫い付けられる。

 

「デクくん!」

 

メリッサさんが僕に駆け寄る。

 

(ぐ……金属を操る"個性"か……!)

 

口元を塞がれてしまい、話す事も出来ない状態だった。

 

波動先輩は空中を飛び回って、襲い掛かって来る手摺りを回避する。

 

「このっ!」

 

波動先輩は仮面(ヴィラン)に向けてエネルギーを放つ。

 

「ちっ」

 

仮面(ヴィラン)は舌打ちすると自身の前に鉄壁を何重に重ね、それを防ぐと複数のワイヤーで波動先輩を捕らえようとする。

 

波動先輩は回避し続けるも次々と手摺りが襲い掛かる。

 

「ッ!?」

 

「さあ、いつまで耐えられる?」

 

仮面(ヴィラン)はニヤリと笑いながら波動先輩に攻撃を繰り出す。

 

波動先輩も応戦するも、室内で尚且つ僕たちがいるせいで"個性"の出力を制限する事を強いられていた。

 

「これで詰みだッ!」

 

全方位から鉄柱と手摺りが波動先輩の逃げ道を塞ぎ、ワイヤーで全身を縛られてしまう。

 

「きゃ!!!」

 

「波動先輩!!」

 

波動先輩は背中から床に落下し、そのまま倒れ伏す。

 

「少し大人しくしていろ。サム、装置は?」

 

仮面(ヴィラン)はそう言いながらサムさんを見る。

 

するとサムさんは博士からケースを強引に奪い、小走りで仮面(ヴィラン)の元へ駆け寄る。

 

「こ、此処に」

 

「サム……?」

 

何が起こったのか分からず、唖然としていた博士の顔が徐々に驚愕に歪んでいく。

 

「……ま、まさか……最初から装置を(ヴィラン)に渡すつもりで?」

 

博士の声にサムさんはピクッと反応し、立ち止まった。

 

「だ、騙したのはあなたですよ。長年、あなたに仕えてきたというのに、あっさりと研究は凍結。手に入る栄誉、名声……全て無くなってしまった。せめてお金くらい貰わないと割りに合いません……!」

 

サムさんは今まで塞き止めていたものを吐き出すかの様に言った。

 

その両目には涙が浮かんでおり、あまりにも弱々しかった。

 

心血注いだ研究を奪われた事で追い詰められていたのは博士だけでは無かったのだ。

 

そんなサムさんに、博士は言葉が出せなかった。

 

サムさんをあそこまで堕としたのは、間違いなく自分である。

 

今回の作戦に乗らなければ、違う形で苦しめていたかもしれないが少なくとも今のような事態にはならなかっただろう。

 

全て自分の弱さが原因だったのだと、博士はそう思ったからだ。

 

「じゃあ、これが謝礼だ」

 

仮面(ヴィラン)の声にサムが振り返ると、目に入ったのは銃口だった。

 

挨拶するかの様に気軽に発砲された弾丸は、サムさんの肩口に命中する。

 

「ぐ、はあっ!」

 

「サム!!」

 

サムさんは肩口から血を噴き出して倒れる。

 

それに博士やメリッサさんが目を見開いて驚く。

 

「な、何故……約束が違う……」

 

「約束?忘れたなぁ〜」

 

サムさんは肩を押さえて痛みに耐えながら仮面(ヴィラン)に目を向けるも、仮面(ヴィラン)は愉快そうに銃口を向けたまま言った。

 

「お前は装置を守る為に(ヴィラン)に立ち向かうも、反撃されて殺される勇敢で哀れな研究員だよ。良かったなぁ、最期に名誉を手に入れられて。ただし……名誉の死って奴だがな」

 

そう言い放った仮面(ヴィラン)は躊躇なく引き金を引く。

 

 

パァン!

 

 

銃声が響き、血が撒き散る。

 

目に入った光景に僕たちは目を見開く。

 

撃たれたのは博士だった。

 

サムさんを庇った博士は、胸から血を流しながら倒れる。

 

「博士……どうして……?」

 

呆然とするサムさんに、博士は言った。

 

「……に、逃げろ……」

 

「パパッ!」

 

「来るな!」

 

駆け寄って来たメリッサさんに向けて博士が叫ぶ。

 

だがその前で仮面(ヴィラン)がメリッサさんを容赦なく殴り飛ばす。

 

「ああっ!!」

 

「メリッサ!」

 

床を転がるメリッサさんに博士が悲痛を上げ、痛みも忘れて起き上がろうとするが、仮面(ヴィラン)が背中を踏みつける。

 

僕は力一杯もがき続けるも、拘束は外れない。

 

博士は痛みに呻き、仮面(ヴィラン)は終始ニヤニヤしながら博士を見下ろす。

 

「諦めろ。どんな理由があろうと、あんたは悪事に手を染めた。俺達が偽物だろうと、本物だろうと、あんたの悪事は消えやしない。俺達と同類さ。あんたはもう科学者でいることも、研究を続けることも出来ない」

 

仮面(ヴィラン)の言葉に、博士は後悔の念に押し潰されそうになる。

 

「今のあんたに出来る事は俺の元で装置を量産するか、そのまま命で償うことくらいだ」

 

仮面(ヴィラン)はそう言いながら、博士の襟首を掴み上げて持ち上げ、銃のグリップを首に叩きつけて気絶させる。

 

そして、眼鏡の男に「連れていけ」と指示を出す。

 

「パパを……返して……!」

 

その時、メリッサさんが這いずりながら呻くように叫ぶ。

 

仮面(ヴィラン)は振り返り、ニヤリと笑みを浮かべて銃口を向ける。

 

「そうだな。博士の未練は……断ち切っておかないとなぁ……!」

 

 

「や゛め゛ろ゛ぉ~!!」

 

 

僕は渾身の力を籠めて、叫びながら鉄の拘束を振り解く。

 

そのまま壁を蹴って飛び出し、仮面(ヴィラン)に殴り掛かる。

 

「スマーッシュ!」

 

仮面(ヴィラン)は素早く回避して床に手を触れる。

 

すると僕の目の前に鉄の壁が出現し、拳にクレーターを作りながらも受け止める。

 

僕は眉を顰めると、メリッサさんに目を向ける。

 

メリッサさんは僕の目を見て、何を伝えたいのか理解してくれた。

 

「……!」

 

メリッサさんは涙を拭って、足をもつれさせながら立ち上がって走り出す。

 

「逃がすな!」

 

「はい!」

 

仮面(ヴィラン)が叫ぶと、眼鏡の男が走り出してメリッサさんを追いかける。

 

僕は直ぐに眼鏡の男を追い掛けようとしたところ、次々と鉄の壁が出現する。

 

僕はそれを壁から壁を高速で跳ねて一気に飛び越えて、眼鏡の男の前に降り立つ。

 

「行かせない!」

 

「調子に乗るなぁ!!」

 

仮面(ヴィラン)が苛立ちから叫ぶと、鉄柱が襲い掛かる。

 

僕は腕で受け止めるが、あまりの威力に背中から壁に叩きつけられた。

 

歯を食いしばって必死に耐えるが、増え続ける重量にじりじりと押されていく。

 

それでも気持ちだけは絶対に退かない。

 

皆を、そして大切な人を、絶対に救ける。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

その間にメリッサは制御ルームに駆け込んだ。

 

コンソールの前に座ったメリッサは、素早く正確に設定を変更していく。

 

少しすると、非常事態を示していた赤い表示が元の緑色に戻り、タワー内の明かりが点き、隔壁が上がっていく。

 

「チッ、警備システムを戻したのか!」

 

保管室でも明かりが点いた事に、ウォルフラムは憎々しげに立ち上がる。

 

出久は必死に耐え続けたが、鉄柱の下に生き埋めにされてしまっていた。

 

「緑谷くん!」

 

何とか拘束から抜け出し、ねじれは生き埋めになった出久の元へ駆け寄る。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「!?これは……」

 

風力発電エリアで、続々と現れる警備ロボットたちに轟たちと連携を取りながら撃退していた中、突如警備ロボットの動きが止まった事に唖然とする。

 

続々と現れる警備ロボットたちに轟たちと連携を取りながら撃退し、遂に警備ロボットの動きが停まった。

 

麗日さんが怪訝そうに小さく呟く。

 

「…‥止まった?」

 

「みてぇだな……」

 

轟も疲弊しつつ答える。

 

「緑谷たちがやってくれたのか……2人とも」

 

「分かってる。最上階に居る緑谷たちと合流するぞ。警備システムが元に戻っても(ヴィラン)はまだ残ってる。ヒーローたちが拘束から解放されても逃げ出されたら意味がねぇ」

 

「うん!」

 

俺の言葉を理解した轟と麗日さんが決意する。

 

最上階へ昇ろうとした、次の瞬間。

 

 

「来太、後ろだ!!」

 

 

「ッ!!?」

 

キバットの声が聞こえた直後、突然の殺気に気付き振り向くと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「麗日さん!!」

 

「わっ!?」

 

咄嗟に麗日さんの腕を引っ張り、左腕で獣の牙を防ぐ。

 

「佳面!」

 

「佳面くん!」

 

轟と麗日さんが叫ぶ。

 

「ウグゥッ!ハアッ!」

 

【ドランメイル】越しの腕に牙が喰い込む激痛に顔を顰めるも、反撃の蹴りを繰り出すがジャンプで回避される。

 

「あの時の犬(ヴィラン)か……」

 

「拘束した筈だぞ……どうやって」

 

獣の正体は植物プラントで闘った犬(ヴィラン)のドーベルである事に気付いた俺と轟は、さらに今の彼の姿に目を見開く。

 

鋭く血走った眼に、大きな口元から涎が垂れ、氷の拘束を無理やり抜け出した事で体の皮膚が所々剥がれ、その下からは肉が生々しく剥き出しになっていた。

 

「ヒッ!」

 

あまりの姿に麗日さんは顔を青褪める。

 

「止めろ。それ以上動いたら出血多量で取り返しのつかない事になるぞ」

 

「……それがどうした?」

 

此方の忠告に対し、ドーベルは冷たく返す。

 

すると懐から赤い液体の入った注射器を数本取り出し、自身の首筋に突き刺し、中身を注入する。

 

 

ドクンッ!

 

 

注射を打ち込んだ直後、ドーベルの体がビクッと震えると、全身の筋肉が膨張し、俺との戦闘で折れていた筈の爪を含め、牙が新しく生え変わったかの様に伸びる。

 

「何……あれ」

 

「おい、佳面……まさか、あいつ……」

 

「ああ。さっき打ち込んだのは……多分【トリガー】と呼ばれる"個性"を強化させる違法薬物だ」

 

日本では使用を禁じられており、一時的に"個性"を強化する効果がある薬物の一種である。

 

しかし、1度にあれ程の投与は本来不可能だろう。

 

正しく、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……轟と麗日さんは急いで最上階に居る緑谷たちと合流して。此処は俺が引き受ける」

 

「佳面くん!」

 

「3人で闘った方が良いだろ」

 

「駄目だ。此処で3人全員が足止めを食らったら緑谷たちが不利になる。オールマイトたちプロヒーローが解放されたとしても、辿り着く前に最上階に居る(ヴィラン)たちが逃亡したら意味が無い」

 

「でも……!」

 

食い下がる麗日さんの頭にポンっと手を置き、少し撫でる。

 

「大丈夫、俺もアイツ倒したら直ぐに駆けつけるから。……轟」

 

俺は轟の方を見る。

 

「頼む」

 

「ッ……!麗日……行くぞ」

 

「轟くん!」

 

轟は決意を固めた表情で麗日さんの手を掴み、地面に手を翳して氷柱を作り出し上へと昇る。

 

「タツロット、君は轟たちに付いて行ってくれ。2人をお願い」

 

「分かりました!来太さん、ご武運を!」

 

俺の指示を受け、タツロットは轟たちを追い掛ける。

 

再びドーベルに向き合うと、彼は此方を待っていた。

 

「意外だな……。俺たちが話している間に襲って来るかと思ってたけど」

 

「アイツらは後でも殺せる……今は貴様の始末が最優先だ……」

 

ドーベルはそう言うと、両手を地面に着け、まるで本物の犬の様に四足歩行の体勢を取る。

 

「生憎だけど、殺されるつもりは無いよ」

 

俺も構える。

 

風が吹いたと同時に、ドーベルが仕掛ける。

 

長い巨大な四肢で地面を蹴り抜き、前の戦闘よりも速いスピードで迫り来る。

 

「ハアッ!」

 

タイミングを図り、ドーベルの顔面目掛けて蹴りを打ち込むも、当たる直前で急停止し、回避したと同時にトップスピードで鋭い爪を振り翳す。

 

「グッ!?」

 

直撃した【ブラッティラング】から火花が散り、体が大きくよろける。

 

「ハッ!」

 

再びタイミングを図り今度は拳を振り翳すも、不規則な動きをするドーベルに翻弄され、視界から消えたと同時に突進を喰らい、地面に倒れる。

 

(さっきまでの格闘技を主体にした動きじゃない……まるで猛獣の様な本能で動いているみたいだ!)

 

「クソ〜ッ、これじゃあ、まるで本物の犬っころだぜ!」

 

キバットもドーベルの予測不可能な動きに愚痴を零す。

 

「来太、此処はアレで行くしかねぇ!」

 

「分かってる!」

 

俺は【フエッスロット】から【ガルルフエッスル】を取り出そうとする。

 

「させん」

 

「何!?」

 

しかし、ドーベルが一瞬早く動き、【ガルルフエッスル】を取り出そうとする左手を掴み妨害する。

 

「貴様はその笛をベルトの蝙蝠に吹かせる事で姿を変えていた……なら、吹かせなければ変える事は出来んのだろう?」

 

前の戦闘で此方の戦法を見た事で、その対策を取られてしまった事に仮面越しに顔を顰めさせる。

 

ドーベルはそのまま押し倒し、口を大きく開いて噛み砕こうとする。

 

「グッ!」

 

俺は咄嗟に空いている右手でドーベルの口を塞ぐも、今度はドーベルは左手で殴り掛かる。

 

何発もの拳を振り翳し、着実に此方にダメージを与えていた。

 

「たくっ、何やってんだ!」

 

キバットがそう言うと、【ガルルフエッスル】が宙に浮き、キバットの口に咥えられる。

 

 

「ガルルセイバー!」

 

 

キバットが【ガルルフエッスル】を吹くと、犬笛の様なメロディーが鳴り響く。

 

何も無い空間から青色の彫刻が光に包まれながら出現し、なんとかドーベルを突き飛ばしてグリップ部分【ワイルドグリップ】を左手で掴むと、魔獣剣【ガルルセイバー】へと変形する。

 

すると、左腕と胸装甲が(カテナ)に包まれる。

 

(カテナ)が弾け飛ぶと、左手が青色の【ウルフェンクロー】へと変わり、青色の魔皇石が埋め込まれ、装甲板【ガルルシールド】で覆われた左腕【ガルルアーム】に変化する。

 

胸部装甲もガルルの影響により強力な筋肉組織が集結、驚異的な肺活量を誇る【ウルフェンラング】となり、キバットの視覚器官【キバットスコープ】が赤色から青色へ点滅と共に変化し、巨大な視覚増幅装置【オムニレンズ】がガルルのエレメントに影響されて黄色から青色へと変わる。

 

ウルフェン族であるガルルの力を宿した形態【仮面ライダーキバ ガルルフォーム】にフォームチェンジする。

 

「グルルルゥゥッ……ガアッ!!」

 

唸りと共に狼の様に吠え、地面を蹴る。

 

本来の姿である【エンペラーフォーム】を上回るスピードを誇る形態になったお陰で、ドーベルの予測不可能な動きに付いて行く事が可能となった。

 

「ガアァッ!」

 

「グウゥッ!」

 

ガルルセイバーと爪が鍔迫り合い、残像の残す空中で火花が飛び散る。

 

しかし均衡は崩れ始め、ドーベルは次第に追い詰められていた。

 

植物プラントでの戦闘によるダメージに、氷の拘束を無理やり抜け出した事で皮膚が裂け、決して少なくない出血に【トリガー】の過剰投与による無茶な強化。

 

その積み重ねが、ドーベルの身体に大きな負担を掛けていたのだ。

 

「ガアァァッ!」

 

「ガハッ!?」

 

俺の鋭い蹴りがドーベルの腹部に突き刺さり、そのまま地面に落下する。

 

「今だ、来太!」

 

キバットの言葉に応じて、俺は【ウルフェンブレード】をキバットに噛ませる。

 

 

「ガルルバイト!」

 

 

魔皇力を注入した事で、周囲に赤い霧が立ち昇り、周囲が草むらへと変わり、空には満月が現れる。

 

「ハッ!」

 

【ガウ・クラッシャー】に【ワイルドグリップ】を咥えて空高く跳び上がる。

 

満月をバックにドーベル目掛けて急降下する。

 

そして急加速し、大きく身体を翻しながらクラッシャーに咥えた剣を振り抜く。

 

 

「ガルアアァァァァァァァァッ!!」

 

 

必殺技【ガルル・ハウリングスラッシュ】がドーベルに炸裂し、今度こそドーベルは倒れた。

 

「ッ!グフッ!」

 

倒れたドーベルは血を吐き、荒い息遣いをしながら弱った目付きで俺を見上げる。

 

「フゥ……フゥ……何故……トドメを刺さない……」

 

ドーベルの言葉に、俺は変身を解除しながら答えた。

 

「例え貴方が(ヴィラン)であっても、俺は命を奪わない」

 

そう言って俺は倒れるドーベルの手当てを始めた。

 

ジャケットの袖を引き裂き、ガーゼ代わりにして傷口を塞いでドーベルが巻いているベルトでキツく縛る。

 

「貴方たちのせいで島にいる全ての人たちが危険に晒された。その償いは生きて必ず果たすんだ。……その為に、貴方は生きろ

 

「ッ……!」

 

俺の言葉に、ドーベルはハッとする。

 

「……この"個性"のせいで、俺は周りから迫害を受けた……。バケモノだと罵られた事もあった……。傭兵になった後でも……それは変わらなかった……。貴様の様な人間からそんな言葉を言われたのは……初めてだ」

 

「……そうか」

 

異形型の"個性"は、その見た目のせいで周りから嫌悪される事が多少ある。

 

子どもの些細な苛めから、大人による迫害。

 

俺は彼なりに苦労があった事を察し、顔を伏せた。

 

手当てを終え、立ち上がった俺はドーベルに背を向け、再びキバに変身する。

 

 

ドゴオオオオオオンッ!!!

 

 

すると突如、屋上から凄まじい轟音が響き渡った。

 

「おいおい、来太。如何やら上でとんでもない事が起きてるみたいだぜ」

 

「ああ。急いで皆に合流しよう」

 

立ち去ろうとしたその時、ドーベルが俺に向かって言った。

 

「貴様の"個性"も……周りから忌み嫌われていた筈だ……。なのに貴様は何故……人を救ける」

 

ドーベルの言葉に少し考え込みながら、俺は呟く。

 

「初めてこの力が発現した時、確かに周りから怖がれた事もあった……。力のコントロールに苦戦して触れたものを壊してしまった事もある……」

 

 

「だけど……今はこの体と力が俺の誇り(プライド)だ」

 

 

自分に言い聞かせる様に言い、俺は緑谷が壊した非常口へジャンプし、その場を離れる。

 

まだ闘いは終わっていない。

 

緑谷とメリッサさん。

 

轟に麗日さん。

 

……そして波動先輩を救ける為に俺は最上階へ向かった。




ライダーくんvsドーベル
氷の拘束を無理やり破り、再びライダーくんたちの前に現れたドーベル。違法薬物である【トリガー】の過剰投与による一時的な個性の強化を促したドーベルにライダーくんが単身で挑む。獣の様な動きに翻弄されるライダーくんは【仮面ライダーキバ ガルルフォーム】にフォームチェンジし、スピードを活かしたワイルドな戦法で対抗する。
必殺技【ガルル・ハウリングスラッシュ】が炸裂し、ドーベルに勝利したライダーくんは屋上へ向かう。

次回、遂に()()()()()()が登場!


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54スレ

第58話を投稿します。

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さて、今回で(ヴィラン)との闘いが決着!
キバの本当の姿が降臨!満を辞して(ジーク風)


メリッサの活躍で警備システムが再設定され、拘束から解放されたプロヒーローたちがレセプション会場の(ヴィラン)を制圧。

 

オールマイトは残りの(ヴィラン)が居るであろう最上階へ向かう為通路を走っていると、ポケットに入っている携帯から着信音が鳴っている事に気付く。

 

携帯のディスプレイには【メリッサ】が表示されていた。

 

「どうした、メリッサ!」

 

『マイトおじさま!パパが(ヴィラン)に連れ去られて、デクくんとねじれさんが後を追って……』

 

制御ルームのモニターには、デヴィットを連れ去る(ヴィラン)と、それを必死に追い掛ける出久とねじれが映し出されていた。

 

泣きそうに切羽詰まった声で救けを求めるメリッサに、オールマイトの体から立ち昇る煙が消える。

 

「大丈夫、私が行く!」

 

オールマイトの表情は、険しい覚悟に満ちていた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

屋上へリポートでは、手下のパイロットがウォルフラムたちを出迎えた。

 

しかし、へリポートに現れたのはウォルフラムと負傷したデヴィットの2人だけだった。

 

「ボス、他の連中は?」

 

「警備システムが再起動する前に出るぞ」

 

手下の質問にウォルフラムがそう答え、脱出の指示を出す。

 

「「は、はい!」」

 

"足手纏いは切り捨てる"。

 

そう察した手下たちは急いでヘリコプターの操縦席へ向かう。

 

「私を……殺せ……」

 

意識が戻ったデヴィットが吐き出す様に呟くが、ウォルフラムは歩きながら淡々と答える。

 

「もう少しだけ罪を重ねよう。その後で望みを叶えてやる」

 

ヘリが作動し、メインローターが轟音を鳴らしながら回り始める。

 

ウォルフラムは扉を開け、デヴィットを乱暴に降ろし自分も乗り込もうとしたその時、後ろから叫び声がした。

 

 

「待て!」

 

 

ウォルフラムが振り向くと、入り口で息を荒くしながら出久が睨んでいた。

 

出久はウォルフラムを鋭く睨みながら叫ぶ。

 

「博士を返せ!」

 

デヴィットは運ばれている途中で意識を取り戻しており、出久の姿を見て目を見開く。

 

ウォルフラムは馬鹿にするような顔を出久に向ける。

 

「なるほど。悪事を犯したこの男を捕えに来たのか?」

 

「違う!!僕は博士を救けに来たんだ!!」

 

出久は叫びながら、【ワン・フォー・オール】を全身に巡らせて飛び出す。

 

ウォルフラムも地面に手をついて"個性"を発動する。

 

「犯罪者を!?」

 

鉄柱を生み出して出久に襲い掛からせる。

 

出久は鉄柱を跳んで躱しながら、ウォルフラムに向かう。

 

「僕は皆を救ける!!ぐっ!!博士も救ける!!」

 

出久は間髪入れず襲って来る鉄柱をジャンプで避けながら、ウォルフラムへと駆けて行く。

 

「お前、何言ってんだぁ!?」

 

「うるせぇっ!ヒーローはそうするんだ!困ってる人を救けるんだ!」

 

激情のまま叫びながら、次々と襲い掛かってくる鉄柱を躱しながら破壊する出久にウォルフラムは不敵に笑って言った。

 

「どうやって!」

 

「!!」

 

ウォルフラムは拳銃をデヴィットに向けると、出久は目を見開く。

 

デヴィットは苦しげに出久に向かって叫ぶ。

 

「私は良い……逃げろ……!」

 

悔しげに鉄柱から降りて両手を握り締めてウォルフラムを睨む出久の姿に、ウォルフラムは太々しく笑う。

 

「全く、ヒーローってのは不自由だよなぁ!たったこれだけで身動きが取れなくなる」

 

そして出久の正面から鉄柱をぶつける。

 

正面からまともに受け止めた出久の上からも鉄柱が襲い掛かる。

 

出久はギリギリで躱すが、直後真下から鉄柱が飛び出し、空中に押し上げられる。

 

何とかジャンプして逃げようとしたが、左右から鉄柱が襲い掛かってきて挟まれる。

 

トドメとばかりにまた真下から鉄柱が突き上げてきて、空中に放り投げ出された。

 

「がはっ!」

 

出久は口から血を吐き出し、背中から地面に叩きつけられる。

 

「どっちにしろ、利口な生き方じゃない。出せ」

 

ウォルフラムが吐き捨てながらヘリに飛び乗る。

 

直後にヘリが浮き上がり、飛び立っていく。

 

出久はすぐさま起き上がり、遠ざかるヘリを見てハッとする。

 

(そうか、アイツは手で触れないと"個性"が発動しない!)

 

ヘリの中では"個性"が使えないと考察した出久は全力で駆け出し、空へ伸びている鉄柱を駆け昇り、ヘリに向かって思い切りジャンプした。

 

出久は辛うじてヘリの車輪にしがみつく。

 

それによってガクンと揺れたヘリの操縦席では、パイロットはたまらず操縦機器に体をぶつける。

 

出久は揺れるヘリに必死にしがみついて振り落とされまいとしながら、必死に腕を伸ばして後部へとよじ登る。

 

そして、必死に腕を伸ばして後部へとよじ登る。

 

「……君は……!」

 

デヴィットは出久の姿に目を疑うことしか出来なかった。

 

その頃、メリッサがヘリポートに辿り着き、ヘリにしがみつく出久の姿を見つける。

 

「デク君……!」

 

「ぐぅ……博士!」

 

出久は体を引き上げ、デヴィットに手を伸ばす。

 

「やめるんだ、ミドリヤくん逃げろ!」

 

「メリッサさんが……メリッサさんが待ってます!」

 

「……」

 

必死にデヴィットに呼びかける出久。

 

デヴィットの心の底が熱くなる。

 

犯した罪は消えない、それでも……。

 

デヴィットの瞳に光が戻ったその時、

 

「確かにお前はヒーローだ。馬鹿だけどな」

 

「「!!」」

 

ウォルフラムが銃を出久に向ける。

 

ハッとしたデヴィットが縛られた脚を振り上げて銃を蹴り、直後に発砲される。

 

狙いがズレた銃弾は出久の右腕のフルガントレットに当たり、弾かれるがその衝撃でヘリの外に飛ばされてしまった。

 

「ああ!?」

 

ヘリから手を放して落ちてくる出久の姿にメリッサが叫ぶ。

 

出久は必死に手を伸ばすも、ヘリは離れていく。

 

頭の中で考えるも、無情にも距離は開いて行くばかりだった。

 

(届かない!僕1人じゃ……だけど!)

 

 

「波動先輩!!」

 

 

出久が叫ぶのと同時に、出久の横を()()()通り過ぎる。

 

再びヘリが大きく揺れる。

 

その正体は、出久の先輩であり、ヒーロー仮免を持つねじれだった。

 

出久がウォルフラムの注意を引き、ヘリに辿り着いたのである。

 

必死に操縦桿を握るパイロットの目には、ねじれが両手から放たれたエネルギーでヘリの動きを止めていた。

 

一方、出久はズドオォン!とクレーターを作る勢いで叩きつけられ、倒れ込む。

 

「デクくん!」

 

メリッサは慌てて出久の元へ駆け寄る。

 

「させない!」

 

ヘリが方向を変えようとした瞬間、ねじれはエネルギーの防壁を生み出す。

 

そのままヘリの周囲を飛び、ウォルフラムの姿を確認する。

 

ウォルフラムは顔を顰めて、銃をねじれに向けて発砲する。

 

間一髪、銃弾を躱したねじれだが、拘束していたエネルギーが霧散し、再びヘリが動き出してしまう。

 

ウォルフラムは銃口をデヴィットのこめかみに突き付け、ねじれに見せ付ける。

 

「……っ!」

 

ねじれはヘリの中で銃口を向けられたデヴィットに気付く。

 

そのせいで再び攻撃したくても出来なかった。

 

出久は座り込んで、悔し気にヘリを見上げていた。

 

(何も出来ないのか!僕には……博士を救ける事は出来ないのか!)

 

 

「くっそおおおおぉぉ!!!」

 

 

理不尽な(ヴィラン)と、何も出来ない自分への無力感に出久は叫ぶ。

 

その時──

 

 

「こういう時こそ笑え!緑谷少年!」

 

 

世界で一番頼りになる声。

 

聞くだけで安心感が湧き上がってくる声が聞こえた。

 

直後、タワーの中腹から何かが飛び出してきて、タワーの壁を捲り上げながら弾丸のように急上昇してヘリの上空で止まる。

 

「わっ!?」

 

衝撃波が吹き荒れ、ねじれは"個性"を解除する。

 

そして、(ヴィラン)たちも唖然として、それを見上げる。

 

 

「もう大丈夫。何故って!?」

 

 

筋骨隆々とした巨体で、威風堂々としたNo.1ヒーローが現れた。

 

 

「私が来たぁ!!!」

 

 

ようやく駆けつけたNo.1ヒーロー、オールマイトの姿に出久やねじれ、メリッサは自然と笑みが浮かぶ。

 

その横に里琴が降り立ち、無表情でオールマイトを見上げる。

 

オールマイトは体が落ちるのを感じて、体を丸めて力を籠める。

 

「親友を返して貰うぞ!(ヴィラン)よ!」

 

叫びながら体を大の字に開くと、後ろに衝撃波が飛び、その勢いでヘリに向かって飛び出す。

 

オールマイトは拳を突き出しながらヘリを猛スピードで貫通する。

 

直後、ヘリが爆発して火に包まれる。

 

炎上しながら墜落を始め、更に大爆発を起こす。

 

出久とメリッサが唖然と炎を見つめていると、炎の中からデヴィットを抱えたオールマイトが降り立った。

 

オールマイトはデヴィットをゆっくりヘリポートの床に降ろし、手足の拘束を壊していく。

 

メリッサはデヴィットに駆け寄り、声を掛ける。

 

「パパ……パパ……!」

 

「う……メリッ……サ……」

 

デヴィットは出血と痛みで顔を歪ませながらもメリッサの呼びかけに答えようとする。

 

それにオールマイトは笑みを浮かべて力強くメリッサに言う。

 

「もう大丈夫だ」

 

その言葉にメリッサは微笑み、出久は左肩を押さえながら近づき、ホッとする。

 

「オール……マイト」

 

「デイヴ……すまない。私が──」

 

オールマイトがデヴィットに声を掛けようとして口を開こうとした時、炎の中から1本の鉄柱が飛び出してきて、オールマイトを吹き飛ばした。

 

オールマイトは吹き飛ばされる直前にデヴィットを放り出した事でデヴィットはなんとか無事で済んだ。

 

「オールマイト!!!」

 

転がっていくオールマイトを見て、出久が叫ぶ。

 

すると、地面から鉄のコードが飛び出してデヴィットの体に巻きついて行く。そして、炎に向かって吸い寄せるように引っ張っていく。

 

「がぁっ!」

 

「パパ!」

 

「博士!」

 

メリッサと出久が叫び、ねじれはデヴィットを追う。

 

しかし、更に地面が割れて鉄板や鉄パイプ、鉄の瓦礫が浮かび上がり、ねじれを阻害してくる。

 

鉄柱も出現し、ねじれはデヴィットを追いかける事が出来なくなった。

 

「あれは……!」

 

ねじれは先ほどまでのウォルフラムの力と比べ物にならないことを訝しむ。

 

先ほどまでは触れている金属だけを操っていた。

 

しかし、今は明らかに空中に浮いている金属までも操っているし、その量も異常なほど多い。

 

浮かび上がった金属は炎の中に飛び込んでいき、凄まじい勢いで山のように大きくなっていく。それによって炎も掻き消される。

 

デヴィットも山の中に呑み込まれて姿が見えなくなる。

 

そして、その金属の怪物とも言える山の頂点にいたのは、ウォルフラムだった。

 

「サムめ……。オールマイトは"個性"が減退して、往年の力はなくなったとか言ってたくせに……!」

 

ウォルフラムの顔から仮面が外れており、頭にはフックのような機械が取り付けられている。

 

更に目つきもまるで何かに憑かれた様になっていた。

 

出久はその姿を見て、歯軋りをする。

 

「あいつ、博士の……!」

 

ウォルフラムはオールマイトの姿を確認してすぐにデヴィットの発明した装置を身に着けたのだ。

 

出久はウォルフラムを睨みつける。

 

オールマイトは咳込みながら立ち上がる。口元を押さえた手の甲には血が付いていた。

 

更にオールマイトの体から蒸気が立ち上がる。

 

(……Shit!時間が……!)

 

オールマイトには【マッスルフォーム】で闘える時間が殆ど残されていない。

 

「往生際が悪いな!」

 

オールマイトは(ヴィラン)に向かって飛び掛かった。

 

 

「テキサススマーッシュ!!」

 

 

気迫を込めて、渾身の力で拳を振り抜くオールマイト。

 

しかし、その拳はウォルフラムに届くことはなく、一瞬で鉄壁が出現して防がれてしまう。

 

しかも鉄壁は壊れる事なく、小さいクレーターが出来るだけでオールマイトの攻撃を受け止めてしまった。

 

「なに!?」

 

驚き、目を見開くオールマイト。

 

出久たちも目を見開いて驚く。

 

鉄壁は特別なもののようには見えない。

 

オールマイトのパワーなら簡単に砕けるはずだ。

 

しかし、それが出来なかった。

 

「なんだぁそりゃ!?」

 

ウォルフラムは鼻で笑いながら手を振る。

 

鉄壁のクレーターから鉄柱が突き出し、オールマイトを押し飛ばす。

 

吹き飛ばされたオールマイトは、ヘリポートの床に叩きつけられて、床が砕けてタワー上部の壁に亀裂が入る。

 

すると、砕けた瓦礫を吸収し鉄板をめくり上げられ、ウォルフラムの元へ取り込まれていく。

 

ウォルフラムがいる金属の塊の下から青い静脈のようなものがタワー上部に広がっていく。

 

風力発電のプロペラや壁の鉄板、停止していた警備マシン達も吸い上げていく。ドンドンとウォルフラムの金属の塊が大きくなっていく。

 

「流石、デヴィット・シールドの発明。"個性"が活性化していくのが分かる。ははは!いいぞ、これは!良い装置だ!」

 

ウォルフラムは満足げに笑いながら、次々と金属を取り込んでいく。

 

その様子を体から蒸気を出しながら立ち上がったオールマイトは、唖然と見上げている。

 

「これがデイヴの……」

 

「パパが作った装置の力……」

 

「さぁて、装置の価値を吊り上げるためにも、オールマイトをブッ倒すデモンストレーションといこうか!」

 

ウォルフラムは高慢に言い放ちながら手を振り、金属を操り始める。

 

勢いよく飛び出して、オールマイトに襲い掛かる鉄塊やプロペラ。

 

それを紙一重で躱しながら、オールマイトはウォルフラムに飛び掛かる。

 

ウォルフラムは笑みを浮かべたまま軽く手を振る。

 

直後、高速で鉄柱がウォルフラムの根元から飛び出して真正面から出現する。

 

オールマイトは両腕で受け止めるも圧し負けて、床に叩きつけられる。

 

それでも鉄柱は止まらずに圧し続ける。

 

その衝撃で周囲の床も割れて波のように隆起していく。

 

メリッサや出久たちの所までにも襲い掛かり、ねじれは2人の手を掴んでその場から離脱する。

 

出久はオールマイトを振り返る。

 

オールマイトは両腕で必死に鉄柱を押さえ込んでいた。

 

その体からは蒸気が上がっており、顔を伏せて咳込んでいた。

 

(オールマイト……!やっぱりそうだ……活動限界なんだ!)

 

出久はオールマイトの様子に焦るが、周囲の状況から中々手が出せそうになかった。

 

しかも、鉄柱が出久たちにも襲い掛かり始める。

 

「緑谷くん、メリッサさんをお願い!」

 

「え?わっ!?」

 

「きゃっ!」

 

充分距離を離したねじれは出久とメリッサを降ろし、突然の事に2人は驚きの声を上げる。

 

そのままねじれはオールマイトに襲い掛かっている鉄柱をエネルギー攻撃で破壊する。

 

しかし鉄壁が何枚も出現、重なる事によってエネルギー攻撃が途中で途切れてしまう。

 

「むぅ!」

 

ねじれは連続でエネルギーを放つが、それも防がれてしまう。

 

さらに鉄のチューブや鉄柱がねじれに向かって襲い掛かる。

 

襲って来る鉄柱を回避しながら、オールマイトを救ける隙を狙うねじれだが、周囲から次々と鉄柱や鉄骨が飛び出してくる。

 

「近づけない……!」

 

ねじれは悔しさに顔を顰め、最早攻撃を避けるのが手一杯の状態となる。

 

「波動先輩!」

 

「マイトおじさま……!」

 

出久はメリッサを抱えたまま鉄柱を躱しながら叫ぶ。

 

メリッサは今も必死に鉄柱を耐えているオールマイトを見つめている。

 

「ぐっ……がはっ!」

 

オールマイトは血を吐きながらも必死に耐え続ける。

 

それに苛立ちを覚えたウォルフラムはトドメを刺そうと大量の鉄柱を出現させて、オールマイトに向ける。

 

「さっさと潰れちまえ!!」

 

そして勢いよく飛び出し、オールマイトへと向かう。

 

「オールマイト!!」

 

「マイトおじさま!!」

 

出久やメリッサが叫ぶ。

 

その時、空気が妙に冷たくなったのを感じた。

 

直後、オールマイトに向かっていた鉄柱が一気に凍り付く。

 

「なに……!?」

 

突然の氷結に目をウォルフラムは見開く。

 

ヘリポートの入り口に目を向けると、体におりた霜を炎で溶かしている轟が、肩で息をしながら立っていた。

 

轟も既に体温調節をしても限界が近かった。

 

「オールマイト……!今のうちに……(ヴィラン)を……!」

 

その後ろから飯田たちも駆けつける。

 

「轟くん!みんな!」

 

緑谷は頼もしい仲間の登場に顔を輝かせる。

 

その横で切島と飯田が前に出る。

 

「金属の塊は俺たちが引き受けます!」

 

「八百万くん!此処を頼む!」

 

「はい!」

 

両腕を硬化した切島とエンジンを吹かした飯田が駆け出し、伸びてくる鉄柱を砕く。

 

轟も氷結を放って、鉄柱を砕いていく。

 

その限界を超えても戦おうとする生徒達の姿にオールマイトは再び体に喝を入れる。

 

「教え子達にこうも発破をかけられては、限界だのなんだの言ってられないな。限界を超えて、さらに向こうへ……!」

 

オールマイトの体から立ち昇る蒸気が消え、筋肉が再び膨れ上がる。

 

オールマイトを押さえ込んでいた鉄柱に大きな亀裂が入る。

 

そして力強く踏み込むと、鉄柱は容易く砕けてウォルフラムに向かって飛び出す。

 

 

「そう!プルスウルトラだ!!!」

 

 

ウォルフラムは手を振り、更に鉄柱を出現させ、さらに凍り付いていた鉄柱も氷を砕いてオールマイトに向かわせる。

 

それをまとめて砕き、次々と襲い掛かってくる鉄柱を砕きながらオールマイトは猛烈な勢いで突き進む。

 

どれだけ押し飛ばされても、回り込んで砕きながら、鉄柱を足場にしながらウォルフラムに迫っていく。

 

ウォルフラムは腕を振り、3方向から鉄柱を伸ばして襲い掛かる。

 

オールマイトは両腕をクロスさせて力を溜めて、当たる直前で開放する。

 

 

「カロライナスマーッシュ!!」

 

 

激しい音と衝撃波が飛んで鉄柱が砕け、爆風が吹き荒れる。

 

「観念しろ!(ヴィラン)よぉ!」

 

勢い衰えずウォルフラムに突撃するオールマイト。

 

しかし、拳を振り上げて殴りかかろうとした瞬間、周囲から金属のワイヤーが伸びてきてオールマイトの四肢を拘束してウォルフラムの目の前で止まってしまう。

 

「この程度……!」

 

オールマイトは直ぐにワイヤーを振り解こうとするが、その前にウォルフラムの左手がオールマイトの首を掴む。

 

するとウォルフラムの腕が服を破って膨れ上がる。

 

熱を帯びたように肌が赤くなり、更に力が増す。

 

「観念しろ!?そりゃお前だ、オールマイト」

 

不敵に不気味に笑みを浮かべるウォルフラム。

 

(なんだ……このパワーは……!?)

 

ウォルフラムは空いている右手でオールマイトの左脇腹を掴む。

 

オールマイトの古傷があるそこを、ウォルフラムは的確に抉る。

 

 

「ぐっ……!ぐぐ……がああああああ!!!」

 

 

オールマイトは吐血しながら叫び、体から再び蒸気が上がり始める。

 

「オールマイト……!グゥッ……!」

 

それに出久が駆け出すが、左肩の激痛で膝をついてしまう。

 

轟たちもオールマイトの状況には気づいたが、鉄柱の対処で精一杯だった。

 

まるで生き物のように襲ってくる鉄柱に、限界になり始める轟たちは悔しさに顔を歪ませることしか出来なかった。

 

オールマイトは後ろで激しくなる戦闘音を、激痛と首を絞められた苦しさで意識が遠のきそうな中で聞いていた。

 

(この力は【筋力増強】……"個性"の複数持ち……!)

 

金属を操る"個性"と力を増す"個性"。

 

複合型としても絶対に噛み合わない"個性"だった。

 

首を絞められ、古傷を抉られる事で意識が朦朧とするなか、オールマイトは胸騒ぎを感じた。

 

「ま、まさか……!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ああ……この計画を練っている時、あの方から連絡が来た。是非とも協力したいと言った。何故かと聞いたら、あの方はこう言ったよ」

 

『オールマイトの親友が悪に手を染めるというのなら、是が非でもそれを手伝いたい。その事実を知ったオールマイトの苦痛に歪んだ顔を見られないのが残念だけどね……』

 

ウォルフラム、そしてオールマイトの頭に、穏やかだが不気味な声が響く。

 

オールマイトの、【ワン・フォー・オール】の宿敵の言葉に、オールマイトは愕然とする。

 

オール・フォー・ワン……!」

 

「ようやくニヤケ面がとれたか」

 

 

「Nooooooooooo!!」

 

 

 

怒りと苦しみに叫び、ワイヤーを引き千切ろうとするオールマイト。

 

ウォルフラムはそれを愉快そうに見下ろしながら手を放して、正面から鉄柱を叩き込む。

 

ワイヤーに四肢を引っ張られてもがくオールマイトの左右から、四角い大きな鉄の塊が勢いよく挟み込む。

 

「……!!」

 

出久とメリッサが愕然と目を見開く。

 

さらにウォルフラムが鉄の塊を生み出し、それらは磁石のようにオールマイトを挟み込んだ鉄の塊に次々と勢いよく突っ込む。

 

八百万が皆を守る為に作った盾の向こうから、お茶子たちがその光景にハッとする。

 

「オールマイト!!」

 

お茶子たちも目を見開いて叫ぶ。

 

 

「さらばだ!オールマイトォ!」

 

 

ウォルフラムが叫びながら腕を振り上げる。

 

床から先が尖った鉄柱が何本も飛び出し、オールマイトが閉じ込められた鉄の塊を貫く。

 

 

「マイトおじさまぁ!!!」

 

 

メリッサが悲痛に叫んだ直後、鉄の塊に向かって1つの影が飛び出した。

 

出久である。

 

出久は【ワン・フォー・オール】の力を全身に漲らせて、オールマイトを救けたい一心で鉄の塊に拳を向ける。

 

 

(デトロイト……スマアアアッシュ!!)

 

 

限りある力を振り絞った拳が鉄の塊を砕く。

 

閉じ込められていたオールマイトが外へと飛び出し、鉄片にぶつかりなが落下する緑谷を抱き抱える。

 

「緑谷少年!そんな体で……なんて無茶を!」

 

心配するオールマイトに、出久は顔を歪ませながら体を起こし、当然の様に言った。

 

「だって、困ってる人を救けるのがヒーローたがら……」

 

出久はぎこちない笑みをオールマイトに向ける。

 

そんな出久の姿に、オールマイトの胸に熱が込み上がった。

 

 

その時──

 

 

グサッ!!

 

 

何かが突き刺さる音がその場に響いた。

 

すると、出久の口から()()()()()()()()

 

「……え?」

 

出久は徐ろに口元を拭うと、腕には真っ赤な血がこびれ付いていた。

 

出久は自分の背中に感じる熱に気付く。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ゴフッ!!」

 

「緑谷少年!!」

 

膝から崩れ落ちる出久をオールマイトが支える。

 

その瞬間、オールマイトの背中にも次々と鉄柱が突き刺さった。

 

「グゥッ!!」

 

オールマイトは出久に鉄柱が当たらない様、自分の懐に抱き寄せる様に庇う。

 

オールマイトの背中には何本もの鉄柱が突き刺さり、最早その場から一歩も動けない程の傷を負ってしまった。

 

「哀れだな、オールマイト。ガキを守らなければ、自分も怪我する事なかったのになぁ」

 

ウォルフラムはニヤつきながらオールマイトに言った。

 

「じゃあな、そのガキと一緒にあの世に行け!」

 

ウォルフラムは鉄の塊を動かなくなった出久とオールマイトに向けて放つ。

 

オールマイトは背中を向けて出久を庇う。

 

鉄の塊が2人に激突する直前、ねじれが割り込んで鉄の塊に向けてエネルギーを放出し続ける。

 

「波動少女、逃げるんだ!」

 

「駄目!目の前で先生と後輩がピンチなのに逃げるなんて、私出来ない!」

 

オールマイトの言葉を鉄の塊を抑えながらねじれは叫ぶ。

 

「ならオールマイトとガキ諸共、死んじまいな!」

 

更に鉄の塊の勢いを増し、徐々に押され始めるも、ねじれは持てる力を振り絞る様にエネルギーを放ち続ける。

 

「くたばりやがれぇぇぇぇぇ!!」

 

遂にエネルギーの出力が弱り、鉄の塊がねじれを襲おうとした。

 

その時──

 

 

「ウェイクアップ!」

 

 

何者かの声と、笛の音色が空間に響き渡る。

 

すると、その場に赤い霧が立ち昇り、空に浮かんでいた筈の満月が欠け、三日月へと変わる。

 

そして、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ハアァァッ!!」

 

影は急降下し、鉄の塊に激突する。

 

影と激突した鉄の塊は粉々に砕かれ、ヘリポートには何かの紋章が刻まれる。

 

ねじれの前に突如現れたその影の正体は、右脚に赤い翼が生えた蝙蝠の鎧だった。

 

その鎧の正体を、ねじれは知っている。

 

「……来太くん?」

 

「すいません、遅くなりました。波動先輩」

 

蝙蝠の鎧からよく知る少年の声が聞こえた。

 

それは、仮面ライダーキバに変身した来太だった。

 

「交代です。後は任せて下さい」

 

来太はねじれたちを守る様にウォルフラムへ体を向け、構える。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【ダークネスムーンブレイク】で鉄の塊を破壊した俺は、波動先輩たちを守る為に(ヴィラン)と向き合う。

 

「何だお前?まだ仲間が居たのか」

 

「ああ。今度は俺が相手だよ、(ヴィラン)

 

(ヴィラン)は俺を見てゲラゲラと嗤う。

 

「ハハハハハッ!この状況を見て解らないか!?オールマイトを超える力を持つ俺に何が出来る!」

 

そんな(ヴィラン)に、俺は淡々と答える。

 

「勝てるさ。借り物の力を使わないとマトモに闘えない貴方に、負ける気がしない」

 

「……何?」

 

俺の言葉に、(ヴィラン)は眉をピクリと動かす。

 

「悪いけど、友だちと先輩、先生にその友人がピンチなんだ。直ぐに終わらせる」

 

 

「タツロット!」

 

 

「ビュンビューン!漸く私の出番です!テンションフォルテッシモ!!」

 

俺の呼び掛けと共にタツロットが飛んで駆け付ける。

 

「行きますよーっ!」

 

タツロットは俺の両肩に施された(カテナ)を解き放つと、黄金に輝く翼が現れて、無数の蝙蝠が出現する。

 

 

「変身!」

 

 

振り上げた左腕に装着したタツロットの掛け声と共に、放たれた黄金の蝙蝠たちはキバへと集結する。

 

キバの右脚【ヘルズゲート】が解放される。

 

次の瞬間に両脚は黄金に包まれ、更に腕に、胸にと黄金の蝙蝠が集い、【ブラッティラング】は魔皇力を効率良く巡らせる【ヘルズブレスト】へと変化し、右脚に封印されていた魔皇石が鎧の中央に移動する。

 

そしてキバの鎧が黄金の鎧【インペリアルアーマー】となり、キバットの赤い瞳が虹色に輝き、そして仮面【キバ・ペルソナ】が【エンペラー・ペルソナ】へと変貌する。

 

最後に熱い炎と共に真紅のマントが出現し、全ての封印を解放したキバの鎧は本来の姿となる。

 

【仮面ライダーキバ エンペラーフォーム】──。

 

これが仮面ライダーキバの本当の姿であり、全ての力が解放され、ファンガイアの王としての本来の姿である。

 

「姿が変わったからどうしたーーー!!」

 

(ヴィラン)が左右から鉄柱を襲わせる。

 

「ハッ!」

 

俺は【ルシファーズナイフ】が装着された踵で横一線に蹴り抜く。

 

すると、残像を残す程のスピードの蹴りから鎌鼬が発生し、鉄柱が横に真っ二つに両断される。

 

「さっさと潰れろ!」

 

湧き上がる怒りに叫びながら(ヴィラン)は腕を振り上げる。

 

小さな破片が無数の塊となり、一斉に襲い掛かった。

 

「フッ!ハアッ!」

 

俺は連続で蹴り続け、鎌鼬と風圧で鉄の塊を霧散させる。

 

まるで宙に舞う埃を払うかの様に、(ヴィラン)の攻撃は何一つ通じなかった。

 

「クソがあぁぁぁぁぁ!!!

 

激昂した(ヴィラン)は両腕を高く上げる。

 

同時に無数にあった鉄片が高速で一箇所に集約する。

 

途轍もなく巨大な金属の集合体が、(ヴィラン)の上に浮かぶ。

 

その大きさは人が蟻に見える程であった。

 

「タワーごと潰れちまえ!!」

 

巨大な鉄の塊が此方に向かって堕ちて行く。

 

俺はタツロットの頭部【ホーントリガー】を引き、回転盤【インペリアルスロット】を回転させる。

 

【インペリアルスロット】が止まり、絵柄が赤いキバの紋章となる。

 

 

「ウェイクアップフィーバー!」

 

 

タツロットの掛け声と共に、俺の身体から紅いオーラが放出される。

 

全身から立ち昇るオーラの中で、俺はクロスさせた腕をゆっくり広げながら腰を低く落とし、構える。

 

「ハッ!」

 

そして堕ちて来る巨大な鉄の塊に向かって飛翔する。

 

 

「ハアァァァァ!!」

 

 

全身の魔皇力を注ぎ足裏に移動させる事によって、両脚から一対の赤い翼の刃が出現する。

 

必殺技【エンペラームーンブレイク】が巨大な鉄の塊と激突し、赤い翼の刃が左右から高速で切り裂き、粉砕する。

 

「ぐ……ぐぐ……ガハッ!」

 

(ヴィラン)の後頭部に装着された装置がオーバーヒートを起こし、異常動作を起こす。

 

(ヴィラン)はとうとう限界を迎え、腕を弾かれた。

 

「行けえぇぇ!!」

 

麗日さんの必死の応援が聞こえる。

 

「佳面!」

 

「佳面さん!」

 

耳郎さんと八百万さんの声が、

 

「「佳面!」」

 

「佳面くん!」

 

切島と峰田、飯田の声が、

 

「ぶちかませえぇぇぇ!!」

 

轟の声が、

 

「佳面くん!」

 

「佳面少年!」

 

重症を負った筈の緑谷とオールマイトの声が、

 

 

「来太くん!」

 

 

そして波動先輩の声が届く。

 

皆の応援に応えるかの様に魔皇力が増幅し、同時に赤い翼の刃が巨大化する。

 

 

「キバれえぇぇぇぇ!!」

 

 

「ハアァァァァァァ!!」

 

 

迫る攻撃に、(ヴィラン)は鉄で身を隠す。

 

必殺技(ライダーキック)と鉄の塊が激突し、衝撃波が広がる。

 

凄まじい威力に、装置が爆発する。

 

主を失った金属の塔は一瞬で崩れて行く。

 

俺は鉄屑の山に着地し、皆を見る。

 

「やったのか……」

 

飯田が呆然と呟く。

 

「やったんだ……(ヴィラン)をやっつけたんだ!」

 

峰田が後ろで拳を振り上げる。

 

じんわりと勝利を感じた皆に笑顔が戻る。

 

俺は変身を解除し、鉄屑の山から降りる。

 

すると、

 

 

「来太くん!」

 

 

波動先輩が俺に飛び込んで来る。

 

俺は両手で波動先輩を受け止める。

 

「おっと……無事で良かったです。先輩」

 

「うん!ありがとう!ありがとう、来太くん!」

 

波動先輩は力一杯で俺を抱き締める。

 

俺はそんな波動先輩の背中を優しく叩いた。

 

こうして、I・アイランドで起きた(ヴィラン)襲撃事件は俺たちの勝利で幕を降りたのであった。




キバの本来の姿【エンペラーフォーム】降臨
博士が開発した"個性"を大幅に増幅する装置によってパワーアップしたウォルフラムに苦戦するオールマイトと緑谷たち。
重症を負った2人を庇うねじれのピンチに【ダークネスムーンブレイク】で助かるライダーくん。
そしてタツロットの力を借りる事で、キバ本来の姿【エンペラーフォーム】を解放し、ウォルフラムとの決着を着ける。
資格者の力次第で国を滅せる程の力を秘めた鎧を纏い、ウォルフラムを圧倒。トドメの必殺技【エンペラームーンブレイク】が炸裂し、ウォルフラムを撃破する。

次回で劇場版1作目、最終回です。


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55スレ

第59話を投稿します。

今回の話で『2人の英雄』編が完結。
次回から林間合宿編に入ります。


I・アイランドの中にある湖の傍のテラスでは、鉄板グリルの上で肉や魚介、野菜等が美味しそうに焼かれていた。

 

肉汁が溢れ出て、見てるだけでお腹が鳴りそうな光景が目の前に広がる。

 

「さあ、食べなさい!」

 

 

「「「いっただきまーす!」」」

 

 

オールマイトの声に、1年A組の皆が待ちに待って声を上げる。

 

昨夜の(ヴィラン)襲撃事件により、エキスポの一般公開が延期となった。

 

俺たちが(ヴィラン)と闘った事はI・アイランドの責任者の配慮によって、公表しない事を約束された。

 

今回はエキスポが延期になった詫びとして、オールマイトの奢りでバーベキューをする事になったのである。

 

「食べ盛りなんだ、じゃんじゃん食べなさい少年少女!」

 

「しゃー!肉だ肉!」

 

「肉汁が光り輝いてるぜ!」

 

切島と瀬呂が肉の刺さった串を両手に持ってガツガツと勢い良く頬張る。

 

「うんまー!」

 

「串気を付けなよー」

 

肉にかぶり付く芦戸さんに耳郎さんが笑って言う。

 

麗日さんと蛙吹さんも楽しそうに肉を食べている。

 

「美味しいね、梅雨ちゃん!」

 

「ええ、青空を見ながらだと、余計に美味しく感じるわ」

 

別の場所では、平らげた皿でタワーを建築する八百万さんを轟と常闇が唖然と見ていた。

 

「バーベキューなんて初めてですが、中々良いものですわね。お肉もお野菜もどれも美味しいですわ。今度家の庭でやってみようかしら」

 

「無限……」

 

「そんなに腹減ってたのか?」

 

「はい。昨夜で脂質を使い果たしましたので補給しないと……あ、このラム肉とソーセージも戴かないと!」

 

バーベキュー初体験でお嬢様の八百万さんもテンションが上がっている様だ。

 

さらに、砂藤と葉隠さんがどちらが美味しく肉を食べているか尾白に審査して貰っていた。

 

「このワイルドな肉汁が俺を獣にさせるぜ!」

 

「お肉うまー!飛び上がっちゃいそう!さあ、尾白くん!どっちが美味しそうだった!」

 

「えーと……引き分け?」

 

青山が尾白に近づく。

 

「ねえ、昨夜は僕何処に居たと思う!」

 

「何言ってんだよ、口田と3人で居ただろ?買い物してたら、青山がお腹痛くなってトイレに──むぐっ」

 

「内緒だよ☆」

 

ウィンクしながら青山は尾白の口にズッキーニを突っ込む。

 

「爆豪、ほら肉だぞ!山盛りだぜ!」

 

「飲み物はコーラで良いよな?」

 

皆から少し離れた所で1人で座っていた爆豪の下に、切島と瀬呂が肉が盛られた皿と飲み物を持って来る。

 

「うるせぇ!仲良しごっこなんてやってられっか」

 

「とか言いつつ、ちゃんと来てるじゃねぇか」

 

「割と律儀と言うか、オールマイトの奢りだからか?」

 

「勝手に人を分析すんじゃねぇ!」

 

悪態を吐きながらも爆豪は切島から受け取った肉を食べ始める。

 

「障子、こっちの串焼けたから持って行って良いよ」

 

「分かった。だが佳面、さっきから焼いてばかりでまだ食べてないだろ?代わるか?」

 

俺は目の前のグリルで焼き上がった串を皿に盛り付け、障子に渡す。

 

「大丈夫、自分の分は取り分けてるから。ほら、タコとかイカも焼けたから食べてみて。俺のオススメの食べ方は七味マヨネーズだよ」

 

「ああ」

 

肉の横にあったタコとイカの串焼きを障子が複製した口で食べる。

 

すると、チョンチョンと肩を叩かれたので振り返ると、串を持った波動先輩がニコニコしながら立っていた。

 

そして、

 

「来太くん、あーん!」

 

「え?あ、はい」

 

 

「「「!?」」」

 

 

俺はそのまま口元に突き付けられた肉を食べると、周りからの視線が一斉に俺と波動先輩に集まるのが分かった。

 

「美味しい?」

 

「モグ……、はい。ありがとうございます」

 

「ううん!じゃあもう1回、あーん!」

 

ニコニコしながら波動先輩は再び串を俺の口元に突き付ける。

 

その時、

 

「佳面くん!こっちのラム肉も美味しいよ!はい、あーん!」

 

「ケロ、こっちのお野菜も美味しいから食べて佳面ちゃん」

 

突如現れた葉隠さんと蛙吹さんが各々肉や野菜を俺に突き付けて来る。

 

「え、どうしたの?あと、2人ともいつの間にこっちに来たの?」

 

「そんな事良いから!あーんして!」

 

「そうよ、焼いてばかりじゃ皆に全部食べられちゃうわ」

 

2人は気迫を放ちながらグイグイと食べ物を俺に向ける。

 

「来太くん、こっちのソーセージも美味しそうだよ!食べて食べて!」

 

波動先輩も今度はソーセージを俺の口元に突き付けて来る。

 

 

「「「あーん!」」」

 

 

「ちょ、何、この状況?」

 

 

「佳面テメエェェェェ!何女子3人から"あーん"されてんだよぉぉぉぉ!!」

 

 

3人から謎の"あーん"をされて、俺が困惑していると血涙を流しながら峰田がこっちに走って来た。

 

軽くホラーである。

 

「いや、俺にも良く分からないんだけど。どうすれば良いかな?」

 

「それ素で言ってんならマジでブチ切れるぞ!」

 

今にも胸ぐらを掴み掛かる勢いで峰田は叫ぶ。

 

「落ち着こう。まずグリルの近くで騒ぐのは危ないから少し離れようか」

 

「何オイラがおかしいみてぇに宥めてんだよ!元凶はお前だろうが!」

 

「いや、だから」

 

「来太くん、あーん!」

 

波動先輩からソーセージを突き付けられたので、反射で食べる。

 

「モグモグ……、俺も何で3人からこんな事されてるのか分からなくて」

 

「佳面くん、あーん!」

 

次は葉隠さんからラム肉が来たので食べる。

 

「ありがとう葉隠さん。モグ……。それでどうすれば良いかなって」

 

「佳面ちゃん、お肉ばかりじゃバランス悪いわ。はい」

 

肉を飲み込んで説明しようとしたら、更に蛙吹さんからカボチャを突き付けられる。

 

「ごめん蛙吹さん。モグモグ……。うん、やっぱり火が通るとカボチャって甘いな」

 

 

「最早説明すらしてねぇじゃねぇかあぁぁぁ!ヤローブッコロシテヤー!!」

 

 

峰田が俺に飛び掛かろうとしたところを飯田が止める。

 

「落ち着くんだ峰田くん!火のある場所で暴れたら危ないんだぞ!」

 

「離しやがれ飯田!今日こそオイラはこの天然モテ男に天誅を下さなきゃ気が済まねぇんだよ!」

 

峰田は暴れるも飯田に連行され、この場から去った。

 

一先ず場が落ち着いたので、俺は再び串を焼き始める。

 

焼いてる合間に葉隠さん・蛙吹さん・波動先輩から"あーん"されながら……。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

テラス近くの公園に来た出久は、そこから見えるセントラルタワーを眺める。

 

タワーは昨夜の(ヴィラン)との戦闘で上部が崩れていた。

 

すると、出久の隣に【トゥルーフォーム】のオールマイトが立つ。

 

「オールマイト」

 

出久がオールマイトを見ると、その顔は昨夜の事で疲れたのか眼下の影が濃い様に見えた。

 

出久は少し俯きながら口を開く。

 

「僕が【ワン・フォー・オール】の後継者として、しっかりしていればあんな事には……」

 

ウォルフラムを倒した後、来太の力で負傷した全員は治療され、デヴィッドはそのまま警察の取り調べを受ける事となり、メリッサはアカデミーでデヴィッドの帰りを待つ事になった。

 

自分を責める出久に、オールマイトは言う。

 

「……緑谷少年。そんな風に自分を責めてはいけない。それに、ヒーローを続けていけば、この先色んな辛い事件に遭う事も少なくない」

 

見上げる出久を、オールマイトはじっと見据える。

 

そして、言葉は無かったが2人は互いに誓う。

 

これから先の哀しみを、少しでも減らしていく事を。

 

ヒーローとして、"ワン・フォー・オールの継承者"として。




第3のヒロイン、ねじれ爆誕
(ヴィラン)との戦闘後、ねじれが以前よりもライダーくんを意識する様になった事で、葉隠と蛙吹は突如現れたライバルに対抗意識を燃やす。
当のライダーくんは「何か先輩がいつも以上にグイグイ来るなぁ」程度の認識である。


次回から【林間合宿編】へ突入。
番外編の【SPIRITS編】が終了した前提でストーリーを描く予定です。
(違いはライダーくんの心境の変化と戦闘経験値が上がった程度です)
そして、次回登場する仮面ライダーのヒントは「ドラゴン」です。

番外編も連載中ですので、宜しければご覧ください。


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林間合宿編
56スレ


第60話を投稿します。

今回から【林間合宿編】へ突入です。

それと林間合宿中でのライダーくんの特訓内容についてアンケート取ってますので、宜しければご協力お願いします。

今回変身する仮面ライダーのヒントは「ドラゴン」「指輪の魔法」「最後の希望」です。

※番外編が終了した前提でストーリーが進みます。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

皆さん、長い間スレに参加出来なくてすみませんでした。

  

2:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

気にするなよ、ライダーくん。

  

3:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

そうだよ。

一先ず無事で本当に良かった。

  

4:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ホントそれ。

  

5:杜王町の幽波紋使い

まさかライダーくんが仮面ライダーの世界に行ってたとはな。

それに別世界に行った影響でスレに参加出来なかったみたいだし。

  

6:太刀川隊の狙撃手

しかもオーマジオウからの依頼ですからね。

  

7:虚刀流のグラップラー

下手すれば俺たちの世界が滅んでたかもしれない程の大事件だったからな。

  

8:鬼滅ごっこをやってる忍者

【BORUTO】の話に入るどころか、第4次忍界大戦が始まる前にこっちの世界が終わる所だったとは……。

  

9:空座町の無下限呪術師

それでどうだった?

1号ライダーたちレジェンドと一緒に戦ってみて。

  

10:雄英の仮面ライダー

>>9

とても光栄でしたし、あの戦いで本郷さんたちから沢山の事を教わる事が出来ました。

それと……どんなに戦っても、決して救う事が出来ない事も知りました……。

  

11:杜王町の幽波紋使い

>>10

そうか……。

  

12:海賊系美食屋

ライダーくん……。

  

13:雄英の仮面ライダー

だけど、今回の事件を終えて新しい目標が出来ました。

  

14:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

目標?

 

15:サクラギ研究所のリサーチフェロー

どんな?

 

16:雄英の仮面ライダー

プロヒーローになる事は変わりませんが、いつか本郷さんたちを超える仮面ライダー(ヒーロー)になってみせます。

 

17:空座町の無下限呪術師

>>16

良い目標だね〜。

 

18:虚刀流のグラップラー

>>16

絶対なれよ!

 

19:海賊系美食屋

>>16

応援するぜ!

 

20:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>16

俺が上忍になるのが先か、ライダーくんの目標達成が先か勝負だな。

 

21:雄英の仮面ライダー

>>20

負けませんよ、忍者ニキ!

 

22:杜王町の幽波紋使い

2人とも頑張れよ。

 

23:空座町の無下限呪術師

うんうん、若人の青春はいつ見ても最高だね!

 

24:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>23

呪術ニキ、また五条ムーブしてるよ。

けど、2人とも頑張れよ。

 

25:サクラギ研究所のリサーチフェロー

サトシくんのポケモンマスターになると言う夢と違って現実的だな。

ポケモンマスターってどうやったらなれるのか、俺もよく知らないし。

 

26:太刀川隊の狙撃手

>>25

トレーナーニキ、世界のアニポケ主人公の夢をそんな事言っちゃ駄目でしょ。

 

27:海賊系美食屋

そう言えば、ライダーくんは林間合宿だっけか?

 

28:雄英の仮面ライダー

>>27

はい。

今日が当日です。

 

29:虚刀流のグラップラー

気を付けてな。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

別世界に渡り、10人のレジェンドライダーの皆さんやSPIRITSと共に世界を守る戦いから無事に帰還した俺は、夏休み行事である林間合宿へ行く為、集合場所である雄英高校の校門前に来ていた。

 

「え?A組補修居るの?つまり赤点取った人が居るって事!?ええ!?おかしくない!?おかしくない!?」

 

「A組はB組よりずっと優秀な筈なのにィ!あれれれれれ!?」

 

B組も今回の林間合宿に参加する為同じ集合場所に集まっていたが、物間が俺たちの方を見て煽り始めた。

 

すると、B組の委員長である拳藤さんが手刀を打ち込み、物間を気絶させる。

 

「ごめんな。コイツ、対抗意識が強過ぎて性格がアレだから」

 

苦笑しながら俺たちに謝罪しながら物間の首根っこを掴んでバスの方へ歩く。

 

「物間、怖」

 

「体育祭じゃなんやかんやあったけど、まァ宜しくね、A組」

 

「ん」

 

B組の女子たちも此方に挨拶する。

 

「B組のバスはこっちだよー。早くしな」

 

バスの方から拳藤さんが声を掛けると、他のB組生徒もぞろぞろとバスに乗り込む。

 

そんな中、B組女子の姿を峰田は涎を垂らしながら観察するかの様にジロジロ見ていた。

 

「B組もよりどりみどりかよ……!!」

 

「お前、駄目だぞ。そろそろ」

 

性欲が止まらない峰田に、切島が冷静にツッコむ。

 

 

「A組のバスはこっちだ。席順に並びたまえ!」

 

 

A組委員長である飯田もいつも以上に張り切った声で皆を誘導する。

 

全員がバスに乗り込み、いよいよ合宿先へ出発する。

 

「1時間後に1回停まる。その後は暫く……」

 

「音楽流して良いか!やっぱ夏といえば、キャロルの"夏の終わり"だろ!」

 

「しりとりしよー!しりとりの『り』!」

 

「りそな銀行!」

 

「う!ウン10万円!」

 

相澤先生が説明を始めようとするが、バス内では皆が小学生みたいにはしゃぎ始めたので誰も聞いていなかった。

 

(こうして皆と居るのも、凄く久し振りに感じるな……)

 

此方の世界と時間の流れが異なっていた為、向こうの世界に居た時間と比べてほんの数秒しか経っていなかったが、オヤッさんたちやA組の皆と会ったのがとても懐かしく思えた。

 

余韻に浸りながら、俺は窓から外の景色を眺める。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

途中、青山が乗り物酔いしたり皆でしりとりやクイズ大会をしたりで盛り上がっていると、あっという間に1時間が経過しバスが停止した。

 

「おい、ここで一旦休憩だ。お前ら1度降りろ」

 

「はーいって、あれB組は?何処にもいねぇな」

 

「つうか……何処だ此処?パーキングじゃねぇな……」

 

「おしっこおしっこ……」

 

相澤先生が降りるよう指示を受け、俺たちはそれに従う。

 

バスから外に出て身体を伸ばしほぐしながら周辺を見渡すと、そこは崖の上だった。

 

景色の良い場所ではあるが、公衆トイレも何も無い。

 

ただ、バス以外に黒い車が1台止まっているだけで特に何も無かった。

 

「トトトトイレは?」

 

「何も目的無くでは意味が無いからな」

 

トイレの場所を聞く峰田を、相澤先生は無視する。

 

すると、バスのすぐ側に止まっていた黒い車の扉が突然開くと中から女の人の声がする。

 

「ようーーー、イレイザー!!」

 

「ご無沙汰してます」

 

所々猫っぽい派手な服装を身に纏う女性が2人と、帽子を被った男の子が現れ、相澤先生が女性に挨拶をする。

 

 

「煌めく眼で~ロックオン!」

 

 

「キュートにキャットにスティンガー!」

 

 

ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!

 

 

「「「・・・・・・・」」」

 

女性たちの突然の名乗りに、俺たちは唖然する。

 

おそらく林間合宿の関係者だと思うが、見た目で分析するとプロヒーローである事は解る。

 

「今回お世話になるプロヒーロ-、プッシーキャッツの皆さんだ。」

 

「連盟事務所を構える4名1チームのヒーロー集団!山岳救助などを得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年で12年にもなる」

 

相澤先生の説明と同時に、雄英屈指のヒーロー博士である緑谷が反応して饒舌に語り出すと、金髪の女性が鬼気迫る表情をしながら緑谷の口を塞ぐ。

 

「心は18!!!……心は?」

 

「18ッ!!!」

 

(((必死かよ……)))

 

(別に年齢気にする必要無いと思うけどな)

 

「お前ら、挨拶しろ」

 

 

「「「宜しくお願いします!!」」」

 

 

A組一同がプッシーキャッツに挨拶するとボブカットの女性が説明を始める。

 

「此処ら一帯は私らの所有地なんだけどね。アンタらの宿泊施設はあの山の麓ね」

 

「「「遠っ!?」」」

 

女性が指さした方角を見て、皆は思わずそう口にする。

 

すると、麗日さんが代表して疑問を口にする。

 

「え?じゃあなんでこんな半端な所に?」

 

「これってもしかして……」

 

「いやいや~」

 

「アハハハ……バス戻ろうか。な?早く……」

 

「そ、そうだな……そうすっか!」

 

一部の生徒達は何やら不穏な気配を察知し、バスへと引き返そうとするも、ボブカットの女性が構わず言葉を続ける。

 

「今は午前9時30分。早ければ……12時前後かしら?」

 

「ダメだ……おい!」

 

「戻ろっ!!」

 

「バスに戻れ!!早く!!」

 

今から何をさせられるのか何となく察した生徒達は急いでバスへとダッシュする。

 

しかし、金髪の女性が俺たちの前を塞ぐ。

 

「悪いね諸君。合宿は既に始まっている」

 

相澤先生が一言そう言うと、突如俺たちの足下の土が盛り上がり始める。

 

その直前、俺は右中指に【テレポートウィザードリング】を嵌め、手形のバックルに翳す。

 

 

『テレポート!プリーズ!』

 

 

バックルが認証したと同時に足元に大きな魔法陣が出現し、相澤先生、プッシー・キャッツ、男の子を除いてその場から瞬間移動する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「ちょ、今の何!?」

 

突然生徒全員が消えた事にピクシーボブが驚きの声を上げる。

 

「今のは?」

 

「……佳面か」

 

同じく驚愕するマンダレイの隣で、相澤が呟くと崖下を見る。

 

視線の先には、いつの間にかA組全員が既に下に居た。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「あれ……?」

 

「さっきまで俺たち上に居たよな?」

 

「何でいつの間に下に降りてんだ?」

 

何が起きたのか解らない皆を他所に、俺が崖を見上げるとプッシー・キャッツのボブカットの女性が声を掛ける。

 

「おーい。私有地につき個性の使用は自由だよ!今から3時間、自分の足で施設までおいでませ!この魔獣の森を抜けて!」

 

「魔獣の森!?」

 

「雄英こう言うの多過ぎだろ!」

 

「文句言ってもしゃーねぇよ。行くっきゃねぇ!」

 

すると、側の木陰から何かの呻き声のようなモノが聞こえ、そちらに視線を向ける。

 

そこにはまるで漫画とかに出てくるモンスターのようなモノが立っていた。

 

「「魔獣だあああああああ!!」」

 

「あっ……」

 

切島と瀬呂が叫び、魔獣の近くに居た峰田が何かスッとした表情をする。

 

 

「静まりなさい獣よ!下がるのです!」

 

 

「グォォォォォ!!!」

 

 

口田の【生き物ボイス】を無視して目の前にいる峰田にその腕を振り下ろす魔獣だったが、咄嗟に緑谷が峰田を抱えて回避する。

 

(口田の"個性"が通じてないって事は生き物じゃない……。金髪の女性の"個性"で作ったものか)

 

俺が分析していると、緑谷・爆豪・轟・飯田が魔獣の下へ駆ける。

 

その後ろで俺は【テレポートウィザードリング】を外し、今度は【コネクトウィザードリング】を嵌め、再びバックルに翳す。

 

 

『コネクト!プリーズ!』

 

 

手の翳した方向から赤い魔法陣が出現し、俺は魔法陣から【ウィザーソードガン】を取り出し、そのまま魔獣に銃口を向けて引き金を弾くする。

 

放たれた5発の銀の銃弾は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

魔獣は粉々に砕け散り、元の土塊に戻る。

 

「おいテメェ変身野郎!何横取りしてんだ、殺すぞ!!」

 

「それより警戒緩めないで。まだ来るよ」

 

「無視すんじゃねェ!!」

 

怒鳴る爆豪に俺は指示すると、更に爆豪は怒鳴る。

 

すると、林の奥から今の魔獣とは違うタイプの魔獣が何体も姿を現す。

 

「おいおい……一体何匹いるんだよ……」

 

「どうする?逃げる?」

 

「冗談!12時までに施設に行かなきゃ昼飯抜きだぜ!」

 

「なら、此処を突破して最短ルートで施設を目指すしかありませんわ!」

 

「「「うん!」」」

 

「ケロ!」

 

「よし!行くぞA組!!」

 

 

「「「おーーー!!!」」」

 

 

皆は気合いを入れ、目の前の魔獣たちに立ち向かう。

 

「(久し振りだな、この感じ……)さて、行くか」

 

俺はA組の雰囲気を懐かしみながら【ドライバーオンウィザードリング】を嵌め、バックルに翳す。

 

 

『ドライバーオン!プリーズ!』

 

 

バックルは変身ベルト【ウィザードライバー】へと姿を変える。

 

そして、左右の【シフトレバー】を操作してバックル部の黒い手形【ハンドオーサー】を左掌側に傾ける。

 

 

『シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!』

 

 

「うわっ!?何!?」

 

「佳面のベルトが歌い始めたぞ!」

 

「どう言うギミックだよ!」

 

ベルトの変身待機音に皆が驚く。

 

そんな皆を他所に、俺は左中指に赤い指輪【フレイムウィザードリング】を嵌めて、バイザー部分を下ろす。

 

 

「変身!」

 

 

そして、【フレイムウィザードリング】を嵌めた左手を【ハンドオーサー】に翳す。

 

 

『フレイム!プリーズ!』

 

 

指輪が認証され、左手で翳した方向から赤い魔法陣が出現する。

 

 

『ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!』

 

 

魔法陣が俺の身体を通過し、銀の装飾が施された黒い鎧を纏い、頭部と胸部装甲にはそれぞれに赤い【フェイスガードセンターストーン】、【フレイムラングストーン】で覆われる。

 

そして、膝下まである長い【ウィザードローブ】が風で靡く。

 

悲劇と絶望から人々を守る【最後の希望】にして【指輪の魔法使い】。

 

【仮面ライダーウィザード フレイムスタイル】に変身完了する。

 

俺は右手に持った【ウィザードソードガン】を操作し、【ガンモード】から【ソードモード】に変形させ、左手を上げ【フレイムウィザードリング】を魔獣たちに見せ付ける様に構える。

 

 

「さあ、ショータイムだ!」




仮面ライダー紹介

仮面ライダーウィザード

レア度【SR】

出典『仮面ライダーウィザード』


ライダーくん、本郷たちを超える仮面ライダー(ヒーロー)になる事を宣言する
【SPIRITS編】を経て、無事に元の世界に帰還したライダーくん。壮絶過ぎる戦いをレジェンドライダーたちや特殊部隊【SPIRITS】と潜り抜け、ライダーくんは1つの目標を掲げる。


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57スレ

第61話を投稿します。

アンケート募集中ですので、まだ投票されてない方はご協力お願いします。

今回はウィザードによる【魔獣の森】攻略から始まります。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

30:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ウィザードだ!

 

31:杜王町の幽波紋使い

何か魔法使いみたいな見た目だな。

 

32:太刀川隊の狙撃手

仮面ライダーウィザードと言ってその名の通り魔法を使う仮面ライダーなんですよ。

ライダーくんが使っている指輪【ウィザードリング】をベルトの手形バックルに翳すと魔法が使える仕様になってます。

 

33:サクラギ研究所のリサーチフェロー

しかも火・水・風・土の4属性にフォームチェンジが可能ですし、その強化形態も強力なんですよ。

 

34:空座町の無下限呪術師

本気(マジ)か!?

 

35:虚刀流のグラップラー

本気(マジ)で!?

 

36:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

本気(マジ)だ!!!

Show time〜♪♪

 

37:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

唐突にウィザードのOP歌うなって。

解らない人も居るんだから。

 

38:海賊系美食屋

>>37

俺は解るぞ。

 

39:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>37

俺も解ります。

 

40:太刀川隊の狙撃手

>>37

同じく。

 

41:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>37

以下略

 

42:虚刀流のグラップラー

>>37

以下

 

43:空座町の無下限呪術師

>>37

まあ、ここのスレ民はオタク率高いから殆どの皆知ってるんじゃない?

 

44:杜王町の幽波紋使い

すまん……俺は知らない。

 

45:太刀川隊の狙撃手

>>44

あっ。

 

46:太刀川隊の狙撃手

>>44

幽波紋ニキ……。

 

47:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>44

その……何かすみません。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

変身が完了した俺は迫って来る魔獣に突っ込む。

 

「ハッ!」

 

振り下ろされる巨大な腕を空中で回転しながら回避し、同時に【ウィザードソードガン ソードモード】の刃で切り裂く。

 

着地と同時に右中指に【バインドウィザードリング】を嵌めて【シフトレバー】を操作し、【ハンドオーサー】に翳す。

 

 

『ルパッチマジックタッチゴー!ルパッチマジックタッチゴー!』

 

 

『バインド!プリーズ!』

 

 

すると、四方八方に魔法陣が出現し、大量の鎖が魔獣たちを拘束する。

 

身動きが出来ない所を【ウィザードソードガン】の中央に備わった手形の魔力解放装置【ハンドオーサー】の親指を引いて展開する。

 

 

『キャモナ・スラッシュ・シェイクハンズ!』

 

 

【フレイムウィザードリング】を嵌めた左手でシェイクハンズ(握手)する事によって必殺技を発動する。

 

 

『フレイム!スラッシュストライク!』

 

 

『ヒー!ヒー!ヒー!』

 

 

「ハアアアッ!」

 

 

刀身から赤々と炎が燃え上がり、拘束された魔獣たちに向かって振り下ろす。

 

炎を纏った斬撃が放たれ、魔獣たちを一刀両断にする。

 

地上の魔獣たちが攻撃を受けた事で土塊に戻ると、今度は上空から翼竜型の魔獣が現れる。

 

「次はこれだ」

 

左中指の【フレイムウィザードリング】から【ハリケーンウィザードリング】に嵌め変え、【シフトレバー】を操作して【ハンドオーサー】に翳す。

 

 

『シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!』

 

 

『ハリケーン!プリーズ!』

 

 

左手を上へ翳すと、風を纏う緑色の魔法陣が出現する。

 

 

『フーフー、フーフーフーフー!』

 

 

魔法陣が通過すると、赤く丸かった【センターストーン】や【ルーンイヤー】が緑色の逆三角形となり、胸部装甲が【ハリケーンラングストーン】へと変わる。

 

風のエレメントを司る【ハリケーンスタイル】へとフォームチェンジする。

 

緑色の風を纏い、空中を飛行する。

 

翼竜型魔獣たちを翻弄し、逆手に持った【ウィザードソードガン】で次々と切り裂く。

 

「上の魔獣は俺が全部対処するから皆は連携して地上の方をお願い。それと……魔獣の数が解らない以上、序盤から飛ばし過ぎないように体力は温存しておいて」

 

「待つんだ佳面くん!編成を──」

 

翼竜型魔獣を粗方倒した俺は地上に居る皆に指示を送り、飯田の静止を振り切ってそのまま飛行する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【緑谷視点】

 

「佳面くん!」

 

「……駄目だ、飯田。既に佳面は離れている」

 

【複製腕】で複製した目で視認した障子くんが、佳面くんが離れた事を飯田くんに伝える。

 

「佳面って、あんなスタンドプレイする様な奴だったか?」

 

「どっちかと言うと爆豪とか轟のイメージだけどよ……」

 

砂藤くんと瀬呂くんが単独行動する佳面くんの姿を見てそう言った。

 

「それに今のも、私たちが動く前に魔獣を全部倒したわ」

 

「前から凄かったけど、今まで以上に速過ぎだって!」

 

「正に電光石火……」

 

他の皆も、さっきの佳面くんに戸惑いを感じていた。

 

「クソがッ!モブ共は兎も角、俺を足手纏い扱いしやがって!あのヤローぶっ殺す!」

 

「落ち着けって、爆豪!佳面は空中の魔獣を俺たちに近づかせねぇ為に行ったんじゃねーか?」

 

キレるかっちゃんを切島くんがなんとか宥める。

 

「皆!魔獣が前方から接近中!数は10!」

 

【イヤホンジャック】を近くの木に刺して、魔獣の振動を感知した耳郎さんが警告する。

 

「佳面の言う通り、今は連携してこっちをどうにかすべきだろ」

 

「一先ず空中は佳面さんに任せて、私たちは目の前の魔獣に集中すべきですわ」

 

轟くんと八百万さんが皆にそう言って、魔獣たちに備える。

 

「……そうだな。今は皆で地上の魔獣を迎撃する!行くぞ!!」

 

委員長の飯田くんの声と共に、改めて僕たちは魔獣の迎撃に入る。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「流石に皆に悪かったかな……」

 

空中で翼竜型魔獣を攻撃しながら、俺は皆への態度を反省していた。

 

(それに魔獣の数が多い……これ"3時間で施設に辿り着ける"ってプロ基準で言っただろ)

 

索敵係の障子や耳郎さんが居るにしても、慣れない土地で且つ魔獣の数もどれ程なのかも不明である以上、持久戦は生徒側が圧倒的に不利である。

 

今は空中の魔獣の殲滅し、終わり次第皆に合流して施設へ向かう。

 

「そうと決まったら、あまり時間は掛けられないな」

 

方針を決まり、俺は此方に飛んで来る魔獣たちの殲滅に入る。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【緑谷視点】

 

【魔獣の森】に入って約1時間半が経過し、途切れる事なく襲い来る魔獣を迎撃しながら施設を目指していた僕たちA組は、次第に体力の限界を迎えていた。

 

「お、お腹が……」

 

「喉カラカラだぜ……」

 

「だりぃ……眠い……」

 

「うぷっ……」

 

「もう……脂質が……」

 

"個性"を休む事なく連続で使用し続けた事で、許容範囲(キャパシティ)の上限ギリギリにまで達した皆から序盤の気迫が感じられなくなった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……クソがぁ!」

 

クラス内でも体力に自信のあるかっちゃんでさえも、繰り返し爆破を行った事で両手にダメージが蓄積されていた。

 

「フゥ……フゥ……」

 

轟くんも左の体温調節を行なっていたが、長時間の氷結によって体に霜が降りていた。

 

「クソッ!エンストが……」

 

飯田くんも脹脛のマフラーから黒煙が噴き出し、脚を引き摺っていた。

 

かく言う僕も【ワン・フォー・オール フルカウル】を発動させ、皆と連携して魔獣に立ち向かうも、体力の限界が近づいていた。

 

「───不味いッ!大型の魔獣が接近!」

 

「数……20!?」

 

障子くんと耳郎さんがそれぞれの"個性"で魔獣に察知する。

 

「あーーーもーーー!!どんだけ来るんだよ!」

 

頭の【もぎもぎ】を取り過ぎて頭皮から血を流しながら、疲労によるストレスで峰田くんが叫ぶ。

 

(100%を使うか……?駄目だ、仮に使ったとしても怪我をして皆の足を引っ張る。それに今は佳面くんが離れてる、どうするッ……!)

 

何か打開策を考えていると、姿を現した大型魔獣が此方に襲い掛かろうと迫って来た、その時───

 

 

『ハリケーン!シューティングストライク!』

 

 

『フー!フー!フー!』

 

 

上空から奇妙な音声が聞こえたと同時に数発の風の弾丸が魔獣に当たると、竜巻が発生し魔獣たちを呑み込む。

 

竜巻の中で魔獣たちは粉々になり、竜巻と共に霧散した。

 

「大丈夫?皆」

 

すると、空中で翼竜魔獣の殲滅に向かっていた佳面くんが僕たちの目の前に着地する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「佳面くん!」

 

「テメェ、変身野郎ォ!」

 

「お前戻って来るの遅えよ!」

 

「心配したよ!」

 

「ケロ、大丈夫?」

 

着地すると皆が俺に駆け寄って来る。

 

爆豪に関しては、今にも殴り掛かりそうな感じだが……。

 

「ごめん。上に居る魔獣は全部倒し終わったから戻って来たんだ」

 

「全部を!?」

 

「マジか!」

 

「流石だぜ!」

 

俺の報告に皆は驚愕しながらも歓喜する。

 

「上から見たけど、此処から施設まで3km位ある。皆はまだ動ける?」

 

「すまない……殆どが既に限界だ」

 

飯田が悔しそうに言う。

 

委員長としての責任感によるものだろう。

 

「分かった。それなら、俺が先行するから皆は後に付いて来て。障子、耳郎さん。2人はまだイケる?」

 

「ああ、何とか」

 

「ウチも」

 

障子と耳郎さんは疲労しながらも返答する。

 

「悪いけど、2人はそのまま索敵をお願い。何かあれば伝えてくれると助かる」

 

そう言いながら、俺は左中指の【ハリケーンウィザードリング】を外し、【フレイムウィザードリング】に酷似した【フレイムドラゴンウィザードリング】を取り出し、中指に嵌める。

 

そして、【シストレバー】を操作し、【ハンドオーサー】に左手を翳す。

 

 

『シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!』

 

 

『フレイムドラゴン!』

 

 

真正面に炎を纏う赤い魔法陣が出現し、俺の身体を通過する。

 

すると、魔法陣から火のエレメントで形成された真紅のドラゴンの幻影が出現した。

 

 

『ボー、ボー、ボーボーボー!』

 

 

炎のドラゴンの幻影が俺の周りを旋回し、燃え盛る紅蓮の炎に包まれる。

 

巨大な一対の炎翼が広がると同時に、俺を包み込んでいた紅蓮の炎が弾け飛ぶ。

 

仮面にはドラゴンの造形が盛り込まれ、竜のヒゲがアンテナ【エクスドラゴロッド】を形作っている。

 

また、額のシグナルや両耳の【ブリリアントイヤー】に魔宝石が埋め込まれ、胸の造形は複雑化しドラゴンの意匠【スカルキュイラス】が飾られている。

 

両肩にはパワー制御のための封印石【グランマジェスティ】を配置され、そして全身を覆うコートは、黒から火のエレメントを表した鮮やかな赤へと変化する。

 

現実世界でウィザードラゴンの力の一部を解放した姿【仮面ライダーウィザード フレイムドラゴン】に強化変身する。

 

「めっちゃ派手になったな!」

 

「真っ赤だ!」

 

「炎龍の衣……ッ!!」

 

皆は【フレイムドラゴン】になった俺を見て各々感想を言う。

 

特に常闇に関しては普段見ない位目を輝かせていた。

 

「そしてコイツだ」

 

 

『コネクト!プリーズ!』

 

 

【コネクトウィザードリング】で出現した魔法陣に手を突っ込ませて、魔道具【ドラゴタイマー】を取り出し、右手に装着する。

 

回転盤【ドラゴダイアル】を回してから起動スイッチ【サムズエンカウンター】を押すことで装置を作動する。

 

 

『ドラゴタイム!セットアップ!』

 

 

『スタート!』

 

 

合図と共に【ドラゴダイアル】が紋章盤【エレメンタルサイン】の上を回り始める。

 

「佳面、前方から魔獣が接近!」

 

「数は20!」

 

「分かった」

 

障子と耳郎さんの索敵で魔獣の出現を確認し、【ウィザードソードガン】を軽く回して前へ走る。

 

すると2人の情報通り魔獣が20体現れ、此方に向かって来る。

 

俺は走った勢いのまま地面を蹴り、空中回転をしながら魔獣の1体を蹴り飛ばす。

 

そして、ダイヤルの針が【エレメントサイン】の水のエレメントである青色に到達した所で【サムズエンカウンター】を押す。

 

 

『ウォータードラゴン!』

 

 

俺の魔力とドラゴンの指輪が同調し、魔力結晶【プリズムドラゴライト】によって投影された光が分身体へと変化し、青い魔法陣から【ウォータードラゴン】が現れる。

 

「ハアッ!」

 

ウォータードラゴンがフレイムドラゴン()に迫って来る魔獣の攻撃を受け止め、止まった所をフレイムドラゴン()が斬り裂く。

 

「何もない所から青いのが出て来たぞ!」

 

「あれも佳面くんなん!」

 

「体力テストの時と同じ奴か!?」

 

「佳面くんが2人!?」

 

後ろをついて来る皆がウォータードラゴンの出現に驚く。

 

「さあて」

 

「「2人かな?」」

 

 

『ハリケーンドラゴン!』

 

 

ダイヤルの針が風のエレメントである緑色に到達した所で【サムズエンカウンター】を押す。

 

「ハッ!」

 

すると今度は空中に緑の魔法陣が出現し、【ハリケーンドラゴン】が【ウィザードソードガン ガンモード】で魔獣に弾丸を撃ち込む。

 

「今度は3人かよ!」

 

フレイムドラゴン()が魔獣を斬り裂き、ウォータードラゴンが魔獣の攻撃を受け流し、ハリケーンドラゴンが銃弾で援護する。

 

「もう1人居たりして」

 

 

『ランドドラゴン!』

 

 

最後に土のエレメントである黄色に到達した所で再び【サムズエンカウンター】を押す。

 

「ふん!」

 

すると地面から黄色の魔法陣が出現し、【ランドドラゴン】が現れると、その怪力を活かした蹴りで魔獣を吹き飛ばす。

 

「俺も居るよ」

 

フレイムドラゴン()、ウォータードラゴン、ハリケーンドラゴン、ランドドラゴンの4人の【ドラゴンスタイル】が結集した瞬間である。

 

「行くぞ!」

 

「「「ああ!」」」

 

フレイムドラゴン()の声と共に3人が応え、魔獣に立ち向かう。

 

 

『チョーイイネ!グラビティ!サイコー!』

 

 

ランドドラゴンが【グラビティウィザードリング】の魔法で魔獣たちの頭上に黄色の魔法陣を出現させると、重力操作によって魔獣たちが地面に沈み込む。

 

 

『チョーイイネ!ブリザード!サイコー!』

 

 

『チョーイイネ!サンダー!サイコー!』

 

 

動きを封じた所をウォータードラゴンとハリケーンドラゴンによる氷結と雷撃で一網打尽にする。

 

「さあ、一気に行こうか!」

 

勢いが付いたまま、皆を先導しながら魔獣を迎撃していく。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

午前11時40分になった時点で漸く目的地の施設に辿り着くと、施設の前に相澤先生と【プッシー・キャッツ】の2人と男の子が立っていた。

 

「お疲れ、諸君」

 

「凄い凄い!まさか本当に12時よりも早く辿り着くなんて思ってもみなかった!」

 

「今年の1年はかなり優秀だねー!」

 

予想よりも早く到着した俺たちにプロヒーロー組が労う。

 

「ふぃ〜……」

 

無事に辿り着いたので俺は変身を解除すると、飯田が挙手してプッシー・キャッツに質問する。

 

「あの!スタート時点の時"12時前後で着く"と仰っていた筈ですが?」

 

「あー、あれ。()()()()()って意味だったんだけど、まさかそれを上回るなんてね」

 

(((実力差自慢する為だった……!!)))

 

(まあ、そうだろうとは思ったけど……)

 

「ねこねこねこ……正直夕方まで掛かると思ってた。私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されてたし、手も足も出なかった……。特にキミ!!

 

金髪の女性が俺の方に指を向ける。

 

「たった1人で空中の土魔獣を全滅させるし、分身作って地上の分も圧倒するし!1人だけ動きが全然違ってた!!()()()によるものかしらん?」

 

するとキランッと目を光らせ、俺に駆け寄って来る。

 

「3年後が超楽しみ!ツバ付けとこうーー!」

 

言葉通り唾を付けて来ようとしたので、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ンッ!!?」

 

「駄目ですよそんな事したら。折角の美人さんなのに勿体ないです」

 

 

ズキューーーーンッ!!

 

 

何か銃声のような音が幻聴で聴こえると、金髪の女性は顔を真っ赤にして大人しくなった。

 

それと同時に後ろに居る葉隠さんと蛙吹さんから圧を感じる。

 

(何やろ……なんかモヤモヤする)

 

「……ねえ、イレイザー。あの子普段からあんな感じなの?絶対モテてるでしょ?」

 

「知りませんよ、生徒のプライベートなんて。後マンダレイ、あの人の方もあんなでしたっけ?」

 

「彼女は焦ってるの。適齢期的なアレで」

 

相澤先生とマンダレイさんが此方を見てそう言った。

 

「そう言えば、聞きたいことがあるのですが」

 

「な、何!?私の本名とか趣味とか!そ、その流石にスリーサイズはまだ早いと言うか……」

 

「待って下さい、そこじゃないです。後、峰田。興奮するの止めてね」

 

「な、何で分かったんだよ!」

 

暴走する金髪の女性と峰田を静止して、俺は男の子の方を見る。

 

「其方の男の子はお二人のどちらかのお子さんか親戚の子ですか?」

 

「この子は私の甥っ子だよ。洸汰!ホラ挨拶しな。1週間一緒に過ごすんだから」

 

俺は男の子【洸汰くん】に近づき、腰を落として挨拶する。

 

「こんにちは、洸汰くん。俺は佳面来太、これから1週間宜しくね」

 

俺が右手を差し出しと、洸汰くんは俺の股間目掛けて殴り掛かろうとするも、寸前で受け止める。

 

「おっと、元気だね」

 

「!?離せよ!」

 

俺が手を離すと、洸汰くんは施設の方へスタスタと歩く。

 

「ちょっと洸汰!」

 

「ヒーローになりたいなんて連中と連む気ねえよ」

 

「連む!!?幾つだ君!!」

 

マンダレイの言葉を無視してそう言った洸汰くんの態度に飯田が驚く。

 

「マセガキ」

 

「お前に似てねえか?」

 

「ハア!?似てねえよ、つーか話しかけてくんな半分野郎!」

 

「悪い」

 

「茶番はいい。早くバスから荷物を降ろせ。部屋に荷物を運んだら食堂で昼食、その後は各自自由に過ごせ。自主練したいなら必ず俺かプッシー・キャッツに声を掛けろ。その後は夕食と入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からにする。さァ、急げ」

 

轟と爆豪が戯れついていると相澤先生がスケジュールの説明を行い、一先ず俺たちは荷物を降ろして部屋に移動する。

 

(洸汰くんのあの態度、()()()()()()()()()()()()……)

 

俺は洸汰くんを見てふと何かを思い出そうとするが、急いで荷物を持って部屋に向かった。




ライダーくん、別世界での戦いにより更なる成長を遂げる
ウィザードに変身し、次々と土魔獣を撃退するライダーくん。
A組の皆も負けじと奮闘するが、体力を消耗してしまい、次第にジリ貧になる。
そこでライダーくんはフレイムドラゴンスタイルにフォームチェンジし、【ドラゴタイマー】の力でウォータードラゴン、ハリケーンドラゴン、ランドドラゴンの分身を召喚。
抜群の連携と強力な魔法を駆使し、予定の12時よりも早く施設に辿り着く。

年上キラー ライダーくん
婚期に焦るピクシーボブは有望株のライダーくんに唾を付けようとする(物理的に)も、スマートに止めたライダーくんに心を射抜かれてしまう。
そんな光景を見て嫉妬する葉隠と蛙吹。
そして何処かモヤモヤする麗日。

次回、特訓回。
※アンケート期限は61話までですので次の投稿までにご協力宜しくお願いします。


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58スレ

第62話を投稿します。

どうも、事前のアンケートが予想以上に集まった事にビックリした作者です。

アンケートの結果は

1位 「プリミティブドラゴンとの対話」

2位 「クウガ4形態+ライジングの特訓」

3位 「ハザードレベルの向上」   

となりましたので、林間合宿でのライダーくんの特訓内容は「プリミティブドラゴンとの対話」に決定しました。

ライダーくんがプリミティブドラゴンとどう向き合うのか、お楽しみ下さい。

お気に入り登録者3,000人まであと少し!!

高評価も宜しくお願いします!


【魔獣の森】を攻略し、昼食・自由時間・夕食・入浴(途中で峰田が女湯を覗こうとしたので止めたり)を済ませて林間合宿1日目は何とか終了し、今日から本格的な合宿が始まる。

 

林間合宿2日目、現在の時刻は朝の5時30分。

 

夏仕様のジャージに着替え、まだ眠たげな人も居るが施設前に集まった俺たちA組に相澤先生が説明を始まる。

 

「お早う諸君。本日から本格的な強化合宿を開始する。今合宿の目的は全員の強化、それに関する仮免取得。そして具体的になりつつある敵意に対抗する為のものだ。心して挑むように……と言う事で爆豪」

 

相澤先生は爆豪にソフトボール型計測器を投げ渡す。

 

「ソイツを投げてみろ」

 

「これ、体力テストの……」

 

「入学直後の記録は【705.2m】。何処まで伸びてるかな?」

 

「おおーー!成長具合か!」

 

「ここ3ヶ月色々濃かったからな、1kmとか行くんじゃねぇの?」

 

「行ったれ爆豪!」

 

周りが爆豪の成長具合に興味津々になる。

 

「じゃあ……よっこら」

 

軽く体を解した爆豪は、大きく振りかぶり

 

 

「くたばれ!!!」

 

 

((("くたばれ"……)))

 

 

物騒な掛け声と共に投げた計測器は空高く飛び、森の奥へ落ちていく。

 

「……【709.6m】」

 

「なっ!?」

 

「あれ……?思ってたより……」

 

相澤先生がディスプレイに表示された記録を見せると、前の記録と然程変わらない事に当人の爆豪は驚く。

 

周りの皆も予想より低い記録に騒ついた。

 

「約3ヶ月間、様々な経験を経て確かに君たちは成長した。……だか、それらは主に技術面や精神面。あと多少の体力的な成長がメインで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。だから───」

 

 

「今日から君らの"個性"を伸ばす。死ぬ程キツいがくれぐれも……死なない様に……」

 

 

不気味な笑みを浮かべる相澤先生の言葉に、皆の表情に緊張が走る。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……あの、相澤先生。なんで俺に投げさせなかったんですか?」

 

「お前は入学直後で5kmなんてぶっ飛んだ記録を出したからインパクトに欠けると思った」

 

「うそーん」

 

あまりの辛辣な返答に内心傷付いた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

相澤先生とB組担任のブラド先生、昨日とは違い4人フルメンバーのプッシー・キャッツの監督の元、遂に特訓が開始する。

 

"個性"【サーチ】を持つラグドールさんが生徒たちの"個性"の弱点を見て、昨日居たピクシーボブさんが【土流】で生徒たちに合った地形を作り、マンダレイさんが【テレパス】でアドバイスして、最後に虎さんが殴る蹴るで鍛え上げる方針となった。

 

……()()()()

 

「どういう事ですか、ラグドール」

 

「どうもこうもこの子の"個性"、あちしの【サーチ】でも()()()()()()()()

 

相澤先生の質問にラグドールさんは猫の手で"お手上げポーズ"を取りながら答える。

 

「そんな事、今まで無かったわよね?」

 

「そーなの!いつもなら視た人の"個性"について弱点も視えてた筈なのに、何故だかこの子の"個性"だけは分かんにゃい!」

 

「あり得るの?」

 

「奇妙な……」

 

他のプッシー・キャッツの皆さんもラグドールさんの言葉に首を傾げていた。

 

「俺の"個性"、他の"個性"の干渉を受け付けないみたいなんですよ。体育祭でも騎馬戦でB組の物間に触れられましたがコピーされませんでしたし」

 

俺は()()()()()()()先生方にそう言った。

 

「つまり、イレイザーの【抹消】も効かないと言うことか?」

 

「多分ですけど」

 

ブラド先生の質問に、俺はそう答える。

 

「けど、どうするの?()()()()だけ特訓内容決まらないのは可哀想よ」

 

(((さり気なく名前呼びした……)))

 

(何で名前呼び?)

 

ピクシーボブさんの発言を皆はスルーし、俺は首を傾げる。

 

「それならば、増強型の者たちと共に"我ーズブートキャンプ"をさせては?」

 

「それだと体力強化のみで"個性"の強化に繋がりませんよ」

 

虎さんの考案を相澤先生が否定する。

 

そんな中、俺は提案をする。

 

「すみません。俺の特訓については俺自身でやらせてくれませんか?」

 

「え?」

 

「自主練をすると言うことか?」

 

「と言うより、やっておきたい事があるんです。()1()()()

 

「何をするつもりだ?」

 

皆が俺の方を見る。

 

「簡単に言うと、常闇と内容は同じです。俺自身の"個性"と直接話しをしたいと思います」

 

「"個性"と直接話す?」

 

「君の"個性"は変身系だった筈だけど」

 

「自我があると言うのか?」

 

()()()()です。それと、先生方には()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……どう言う事だ?」

 

相澤先生が少し睨みながら質問する。

 

「言葉通りです。周りに人が居ると最悪危害を加えるかもしれないんです。だから先生方やプッシー・キャッツの皆さん、A組・B組の皆は俺に近づかないで下さい」

 

俺の言葉に先生方は目を見開く。

 

「しかし、強化訓練なのにそう言う訳には───」

 

「……佳面、本当に1人でやるんだな?」

 

「ちょっとイレイザー!」

 

心配するブラド先生とプッシー・キャッツを他所に、相澤先生が俺に確認する。

 

「はい」

 

「……分かった。だが()()()()だ。明日以降は此方でメニューを考えておく」

 

「ありがとうございます」

 

俺は頭を下げて森の方へ歩いて行く。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【相澤視点】

 

森の中へ消えた佳面を見ながら、ブラドが言う。

 

「本当に良いのか?イレイザー」

 

「俺たちでも如何してやれば良いのか解らないなら、アイツ本人に決めさせる方がよっぽど合理的だ」

 

「だからって、それって職務放棄じゃない?」

 

俺の言葉にマンダレイが顔を顰めて訊く。

 

「正直、雄英でも佳面の"個性"については思う所はあります。ですが……アイツは他の誰よりも()()()()()()()()()()()を持っていると思います」

 

入学当初から他と比較しても群を抜く程の実力を持っているにも関わらず、決して妥協も慢心もせず唯直向きにヒーローを目指すアイツなら大丈夫だと、俺自身が思っている。

 

確かにマンダレイの言う通り、職務放棄しているのかもしれないが……。

 

「今は見守るべきだ」

 

俺の言葉にブラドたちも何とか納得し、各々他の生徒たちの訓練の監督に戻る。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

それでは、今から特訓を始めます。

 

2:空座町の無下限呪術師

よ!

待ってました!

 

3:虚刀流のグラップラー

"待"ってたぜェ!

この瞬間(とき)をよォ!

 

4:鬼滅ごっこをやってる忍者

特訓……なんて良い響きだ。

 

5:太刀川隊の狙撃手

>>4

忍者ニキ、軽くキャラ崩壊してるぞ。

 

6:杜王町の幽波紋使い

それで、ライダーくんはどんな特訓をするんだ?

 

7:サクラギ研究所のリサーチフェロー

そこが1番気になる。

 

8:雄英の仮面ライダー

俺がこれからやるのは【プリミティブドラゴン】との対話です。

 

9:海賊系美食屋

>>8

何だって!?

 

10:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>8

それって【仮面ライダーセイバー】の強化アイテムで、確か暴走アイテムだろ?

 

11:太刀川隊の狙撃手

>>8

【プトティラコンボ】みたいなヤツだろ?

大丈夫なのか?

 

12:雄英の仮面ライダー

はい。

念の為、【暗黒剣月闇】の力を使って結界を張りますので、そうすれば周りに危害を加える事は無いと思います。

それに、元々【プリミティブドラゴン】は破滅を求めるドラゴンでは無く、居なくなった仲間を探していたドラゴンです。

今までちゃんと話してなかったのに力だけ借して貰う訳には行きません。

 

13:虚刀流のグラップラー

けどよ……。

 

14:空座町の無下限呪術師

まあ、ライダーくんがやりたいと思ったのならやって良いんじゃない?

やるべき事なんでしょ?

 

15:雄英の仮面ライダー

はい。

それと、【プリミティブドラゴン】と会っている間はスレを一旦切らせて欲しいんですが、宜しいですか?

 

16:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>15

向こうに警戒されるってことか……。

俺は良いよ。

 

17:杜王町の幽波紋使い

俺もだ。

 

18:太刀川隊の狙撃手

俺も構わないよ。

 

19:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

気をつけてな。

 

20:海賊系美食屋

頑張れよ!

 

21:空座町の無下限呪術師

ぶつかって来なよ。

 

22:雄英の仮面ライダー

皆さん、ありがとうございます。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「此処まで離れれば大丈夫か」

 

 

『暗黒剣月闇!』

 

 

皆から約1km程離れた場所で、俺は周りに誰も居ない事を確認すると、闇の聖剣【暗黒剣月闇】を実体化させる。

 

柄である【エングレイブヒルト】を両手で握り、闇黒剣月闇の刃【ゴルドスレイブ】を地面に向ける。

 

「ふんっ!」

 

そして地面に突き刺すと、禍々しい闇のオーラが放出され、ドーム状に俺の周辺の空間を覆う。

 

闇の結界が完成した事で、如何なる相手でも中へ入る事は出来なくなった。

 

「これで準備は出来た。……始めるか」

 

俺は右手に変身ベルト【聖剣ソードライバー】を実体化させ、ベルトを装着する。

 

 

『聖剣ソードライバー』

 

 

そして、両手に【ブレイブドラゴンワンダーライドブック】と【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】を実体化させる。

 

俺は【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】をじっと見る。

 

「待たせてごめんね。今から会いに行くよ」

 

 

『プリミティブドラゴン!』

 

 

覚悟を決めた俺は【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】のページを開く。

 

骨が砕ける様な待機音が空間に響き渡る中で、ワンダーライドブックを収めるための部位【ゲットシェルフ】に【ブレイブドラゴンワンダーライドブック】をセットする。

 

 

『ブレイブドラゴン!』

 

 

『ゲット!』

 

 

【ブレイブドラゴンワンダーライドブック】をセットした【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】を【聖剣ソードライバー】の【神獣】のスロットにセットする。

 

すると、俺の背後に巨大な【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】が出現し、頭と両腕しか顕現しておらず、残りの体の大部分が暗い炎の様なエネルギーで構成された神獣【プリミティブドラゴン】が出現する。

 

 

「───変身ッ!」

 

 

俺はベルトに納刀された【火炎剣烈火】の【ソードグリップ】を掴み、抜刀する。

 

 

『烈火 抜刀!』

 

 

【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】に収まっていた巨大な爪【プリミティブハンド】が展開し、【ゲットシェルフ】に収められた【ブレイブドラゴンワンダーライドブック】を掌握し、強制的に伝承の空白域を補わせることで、不完全ながらもプリミティブドラゴンの伝承を解放させる。

 

 

『バキッ!ボキッ!ボーン!』

 

 

『ガキッ!ゴキッ!ボーン! 』

 

 

『プリミティブ    ドラゴン! 』

 

 

後ろの【プリミティブドラゴン】の骨の腕と蒼い炎が俺の身体を包み込み、全身を青白い外骨格の鎧へと変化する。

 

【火炎剣烈火】に選ばれし者が纏う黒い甲冑【ソードローブ】は【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】の禁断の力を受けて、変身者の剣技の向上・身体能力の増強・特殊能力の発動といった全てが制御不能なほど極端に先鋭化される。

 

青白い骨の様な装甲の右肩には神獣【プリミティブドラゴン】の力を宿した【プリミティブドラゴンボールド】が、胸部にはドラゴンの巨大な爪形成された胸部骨格【ボイドタロン】となり、左肩には【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】が掴んだ【ブレイブドラゴンワンダーライドブック】に綴られた伝承を強引に解放する能力を持ち、プリミティブドラゴンの失われた力の代わりに上乗せする【トラディションバインド】が施される。

 

両腕は露出した骨格【バーサークアーム】と【プリミティブハンド】が備わり、脚部骨格【バーサークレッグ】と足部骨格【プリミティブフット】の右側には剛健な骨格【プリミティブボーン】で構成された多関節骨格【クラッキングボーンスケイル】が靡く。

 

頭部の【セイバーヘルム プリミティブドラゴン】の頭頂部に設置されている【ソードクラウン】の下は、感覚器【バーサークセンス】と複眼【ボーンバイザー】とキバの様にも見えるマスク【プリミティブジョウ】が顔を覆う。

 

封印された禁書【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】の力を顕現した姿【仮面ライダーセイバー プリミティブドラゴン】に変身する。

 

しかし───、

 

 

「グゥゥゥッ……グオオオアアアァァァァァァァァァァァッ!!」

 

 

突然の破壊衝動と獣の本能によって、俺は叫ぶと同時に意識を失った。

 




仮面ライダー紹介

仮面ライダーセイバー

レア度【SR】

出典『仮面ライダーセイバー』


ライダーくん、プリミティブドラゴンと対話する
【仮面ライダーセイバー】の強化アイテムの1つ【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】の魂と対話を試みるライダーくん。

次回 1つのドラゴンの物語が【プリミティブドラゴン】を導く。

次回の投稿は2/26 AM6:00予定です。


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59スレ

第63話を投稿します。

前回、精神世界で【プリミティブドラゴン】の魂と話をする事に決めたライダーくん。

果たしてライダーくんは、【プリミティブドラゴン】の魂との絆を繋げる事は出来るのだろうか。

この作品が面白いと思いましたら、お気に入り登録・感想・評価お願いします。

そして遂に、お気に入り登録数3,000件突破しました!!

登録してくれた皆様、誠に有難う御座います!!

3,000人突破しましたので新しい企画を考えてみます。


「……此処が」

 

目を覚ますと、俺は森の中に立っていた。

 

すると目の前に1人の少年が現れ、此方に近寄って来る。

 

(この子が【プリミティブドラゴン】の魂……)

 

民族衣装の様な服を身に纏い、裸足で歩いてくる少年に、俺も近づいて腰を落とし、少年と目線を合わせる。

 

「初めまして、だよね?」

 

俺が声を掛けると、少年はジッと俺の方を見る。

 

「会うのが遅くなってごめんね。俺は佳面来太、よろしく───」

 

俺が手を差し出そうとすると、少年の瞳が青白く光り、子どもの姿から骨のドラゴンへと変貌する。

 

そして、大きな口を開いて炎を吐き出した。

 

「グウゥゥゥッ!!」

 

炎に包まれた俺は、全身を焼かれる激痛に襲われる。

 

「は…なし……をきい…てッ!」

 

俺は焼かれながらもドラゴンへ1歩、また1歩と歩み寄る。

 

全身を焼かれる痛みに耐えながら、俺はドラゴンの前に辿り着き、両腕でドラゴンを抱き締める。

 

『……どうして?どうして僕に近づくの?痛くないの?』

 

ドラゴンは不思議そうに俺に訊く。

 

「痛いよ……凄く痛い。けどね……()()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

俺が此処に来た理由は、【プリミティブドラゴン】と闘うためじゃない。

 

話がしたくて此処に来たのだ。

 

例え全身を焼かれようとも構わない。

 

「俺は君と話がしたくて此処に来たんだ」

 

『……』

 

【プリミティブドラゴン】は黙り込むと、ドラゴンの姿から先程の少年の姿に戻る。

 

「……ごめんなさい」

 

「ううん。俺の方こそごめんね、突然でビックリしたよね?」

 

謝る少年に、俺も謝りながら笑って少年に話し掛ける。

 

「改めて、俺は佳面来太。よろしくね」

 

「……うん」

 

自己紹介を終え、俺は少年と近くに倒れていた丸太に座る。

 

俺は少年を見るけど、少年は少し目線を落としていた。

 

「……人が苦手?」

 

「……うん」

 

俺は少年に訊くと、少年は俯きながら答える。

 

「昔はね……ドラゴンと人間は仲良く暮らしてたんだ。けど……人間が僕たちを恐れて……」

 

「……そっか」

 

ポツリポツリと語る少年に、俺はそう言う。

 

「仲間が居なくなってから……僕は独りぼっちなんだ。仲間を探したけど、見つからなくて……」

 

「……辛かったね」

 

仲間を無くした哀しさと孤独による寂しさに、少年の目に涙が浮かんだ。

 

俺はそんな少年をそっと抱き寄せ、その涙を指で拭う。

 

「人間中にも悪い事をする人は確かに居る。君が言っている事は間違っていないと思う……」

 

「だけどね──」

 

俺は俯く少年に、笑って言う。

 

「人間の中にも、独りぼっちの誰かに手を伸ばす人も居るんだ」

 

「え?」

 

少年は俯いていた顔を上げる。

 

「これから君に話すのは、1人の子どもが独りぼっちのドラゴンと仲良くなる物語だよ」

 

そうして俺は、少年の為に1つの物語を語り始めた。

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

ある山の谷間に人々に嫌われていた1匹の竜が住んでいました。

 

その姿は目はらんらんと光り、口は耳まで割れ、火のような真っ赤な舌を覗かせていると人々が口を揃えて言いました。

 

"悪い子は竜に飲み込まれてしまう…"大人たちからそんな風に聞かされてどの子どもたちも皆が、"竜は怖い、恐ろしい…"と思いました。

 

ところが、そんな中で1人の不思議な子どもが居ました。

 

その子どもは竜を怖がるどころか、竜についてあれこれと大人たちに聞きたがりました。

 

そして子どもは大人たちにこう言いました。

 

"可哀想だよ。どうして誰もあの竜を可愛がってやらないの"とその子は涙を流します。

 

その不思議な子どもの誕生日が近づいたある日、母親がその子に誕生日に"誰を呼びましょう?"と尋ねたところ、何と子どもは"山の竜を呼んでほしい…"と言いました。

 

驚いて、"悪ふざけの子は大嫌い!"と母親は呆れてしまいます。

 

まもなく誕生日という日に子どもは1人で丘を登り、竜が住むという山に向かって出かけて行きました。

 

山の谷間に辿り着き、そして子どもは大声で竜を呼んでみました。

 

自分を呼ぶ者などこの世にいるはずがないと思っていた竜は驚き、不思議に思いましたが、"とにかく出ていってみよう…"とその長い体を洞穴から出しました。

 

すると、目の前には子どもがいました。

 

そして子どもは"自分の誕生日にはご馳走が出るから君も来なよ"、と竜を誘います。

 

子どもは竜にこう言いました。

 

"僕はね、おまえさんを虐めはしない。また誰か君を虐めようとしたって、僕が庇ってあげる"。

 

勿論、そんな事など1度も無かった竜は驚き、そして優しい子どもの心に、竜の鋭い目の中に優しい光がちらつき、やがてそれは涙となって流れ出しました。

 

止めどなく流れ続ける竜の涙は川になり、背中に子どもを乗せた竜はまるで船のように浮かび町に向かって進みました。

 

子どもの住む町が近づいてくると、竜の体に変化がおこり、それは本当の船のような姿になりました。

 

町の皆は嬉しそうに手を振る不思議な子どもと立派な黒い船を見て、びっくりしたのでした。

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

「この物語に出てきた子どもは、大人たちから竜は恐ろしい生き物だと言われても、自分の思いを曲げずに竜に寄り添った……。ただ純粋な優しさと勇気で竜と友だちになったんだ……」

 

物語を語り終え、俺は少年に優しく話す。

 

「人間の中には、物語の子どもの様に誰かに寄り添える人たちも居る。俺は……それを君に教えたかったんだ」

 

「……お兄ちゃんも?」

 

少年は俺を見て言い、俺は頷く。

 

「うん。俺も君は本当は優しいドラゴンだと思ってる。だから、こうやって君と会って話がしたかった」

 

俺は少年の頭に手を置いて、クシャッと優しく撫でる。

 

「それにね、この世界には君以外にもドラゴンは居るんだよ」

 

「え?」

 

少年は不思議そうに見る。

 

俺は撫でていた手を、今度は少年の手を包み込む様に握る。

 

「俺の中には色んなドラゴンが居る……。君が探していた仲間とは違うけど……君は独りぼっちなんかじゃないんだ」

 

 

ドラグブラッカー

 

キャッスルドラン

 

シュードラン

 

タツロット

 

ウィザードラゴン

 

ドラゴナイトハンターZ

 

クローズドラゴン

 

ブレイブドラゴン

 

ジャアクドラゴン

 

ジャオウドラゴン

 

ルーンブライトドラゴン

 

ルーンディムドラゴン

 

そして、エレメンタルドラゴン

 

 

俺の中に宿る全てのドラゴンの力を、少年は俺の手を通じて感じ取る。

 

「……本当だ。お兄ちゃんの中にドラゴンがいっぱい居る」

 

「うん。そして俺の中のドラゴンたちは……君を独りにしない。これからも……ずっと君と一緒に居てくれるよ」

 

俺が笑ってそう言うと、少年の顔に笑みが浮かぶ。

 

「皆、友だち?」

 

「そうだよ。皆、君の友だちになってくれる」

 

俺は改めて、少年に手を差し伸ばす。

 

「俺も……君の友だちになっても良いかな?」

 

「……うん!」

 

俺の問い掛けに、少年は差し伸ばした手をじっと見て、俺に向かって笑顔で頷いて握手を組み交わす。

 

その瞬間、辺りが強い光に包まれた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

意識が戻り、変身が解除されていた俺の手には、【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】と【エレメンタルドラゴンワンダーライドブック】が握られていた。

 

「……これから、よろしくね」

 

俺は握られた2冊の【ワンダーライドブック】を見てそう言った。

 

そして地面に突き刺していた暗黒剣を引き抜き、周囲を覆っていた結界を解く。

 

すると、空はいつの間にかオレンジ色に染まっており、既に夕方である事に気がいてスマホのディスプレイを見ると、特訓の終了時間ギリギリである事を知った。

 

「マズイ、急いで皆の所に行かないとッ」

 

俺は少し慌てながら皆の元へ走るのだった。




ライダーくん、【プリミティブドラゴン】にとあるドラゴンの物語を語り始める。
【プリミティブドラゴン】にドラゴンの物語を語り始めるライダーくん。そして、ライダーくんの持つ全てのドラゴンの力がライダーくんと【プリミティブドラゴン】との間に絆を生み出し、ライダーくんと【プリミティブドラゴン】は共に世界を守る仲間となり、そして友だちとなる。

※ライダーくんが【プリミティブドラゴン】に語ったのは【りゅうの目のなみだ】と言う童話です(同著者の作品には【泣いた赤鬼】があります)。
今回の話を作る中で「何かドラゴンが出てくる童話とかないかな」とネット等を漁ってみたら、あらすじ読んで「これにしよう!」と思いました。

次回 A組&B組による女子会、そしてライダーくんと葉隠透が初めて出逢った回想のお話です。


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60スレ

評価が下がり気味でモチベーションも下がりそうです……。
本編よりも番外編の方が評価高いってあり得るんですかね?
これ以上評価が下がる場合は暫く休載も考えてますが取り敢えず、沢山の方から高評価貰える様に頑張ります。

それと、『仮面ライダーリバイス』のスピンオフでまさかのヒロミさん生存が確認!?
しかも田舎に帰ってたって、その前に貴方どうやって助かったの?
デモンズドライバーの悪魔【ベイル】が我が家に戻ると言ってドライバーから抜けるし、一輝とバイスが完全に電王の良太郎とイマジンズみたいになってるし、この先どうなるんでしょうね……。

そして、『風都探偵』のPVが公開!!
キャスト陣はゲーム『KAMEN RIDER memory of heroez』を引き継きとは製作側は分かってる!

そんなこんなで第64話を投稿します。

今回の話はA組・B組による女子会です。


「「「帰って来たーーーー!!」」」

 

 

「……え?どうしたの?」

 

【プリミティブドラゴン】との対話を終え施設に戻ると、A組の皆が俺の顔を見て大声を挙げて駆け寄って来る。

 

「"どうしたの?"っじゃねぇよ!お前大丈夫かよ!」

 

「1人離れて自主練したと思えば急にドス黒いのが出てくるし!お前の叫び声がこっちまで聴こえるし!昼休憩になっても戻ってこねぇし!」

 

「獣の如き咆哮だったぞ」

 

「皆で心配してたんだぞ!」

 

「佳面ちゃん、大丈夫なの?」

 

「心配したんだよ、馬鹿ぁ!」

 

どうやら俺が結界内で対話をしている間、皆気に掛けていた様だ。

 

申し訳ない事をしたな……。

 

「うん……ごめん」

 

「本当に大丈夫なん?」

 

「お水飲まれますか?」

 

「腹減ってねぇか?」

 

「何か要る佳面くん!」

 

「大丈夫だよ。まあ、全身焼かれたけど」

 

 

「「「焼かれた!?」」」

 

 

「それに自主練中はずっと意識飛んでたし」

 

 

「「「飛んでた!?」」」

 

 

「まあ、全然平気だよ」

 

 

「「「何処がだよ!!」」」

 

 

「茶番はその辺にしておけ。それで……自主練は上手くいったのか?」

 

皆が一同に驚いていると、相澤先生が聞いてくる。

 

「はい、バッチリです」

 

俺は手に持っていた【プリミティブドラゴンワンダーライドブック】と【エレメンタルドラゴンワンダーライドブック】を見せながら答える。

 

「何だその本?」

 

「体育祭で使ってたヤツに似てねぇか?」

 

「こっちの方が厚みがあるけど」

 

皆も2冊の【ワンダーライドブック】をまじまじと見る。

 

「そうか……なら、明日からの特訓は他の連中以上にハードにしても良さそうだな?」

 

「え?」

 

「1日自由にさせたんだ、地獄の様なメニューが続くと思え」

 

相澤先生はギロリっと俺を睨みながら言う。

 

「望むところです」

 

「そうか……覚悟しとけよ」

 

俺がそう答えると、相澤先生は不気味に笑う。

 

相澤先生の姿に、皆がガクガクと震えていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

23:雄英の仮面ライダー

という訳で、【プリミティブドラゴン】との対話は成功しました。

 

24:空座町の無下限呪術師

お疲れサマンサー!

 

25:杜王町の幽波紋使い

無事に終わってなによりだ。

 

26:鬼滅ごっこをやってる忍者

よく【プリミティブドラゴン】の魂を救ったな。

 

27:虚刀流のグラップラー

しかも1日で。

 

28:太刀川隊の狙撃手

一先ずお疲れ様。

 

29:雄英の仮面ライダー

ご心配をお掛けしました。

明日からは相澤先生たちが考えた地獄のメニューをやっていく予定です。

 

30:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>29

何それ怖っ。

 

31:杜王町の幽波紋使い

覚悟してた方が良さそうだな。

 

32:雄英の仮面ライダー

俺の事はこの辺にしておいて、実はマンダレイさんの甥っ子の洸汰くんの事で考える事があって。

 

33:空座町の無下限呪術師

>>32

ああ、ちっこい爆豪みたいな子か。

 

34:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

確かプロヒーローの両親を(ヴィラン)に殺されたんだっけ。

 

35:雄英の仮面ライダー

>>34

はい。

1人離れる洸汰くんの後を追ってカレーを届けたんですけど、その後マンダレイさんたちに聞いたら、そう言われまして。

(ヴィラン)は今も行方知れずで、そんな過去があって洸汰くんはヒーローどころか【個性社会】に強い嫌悪感を抱いてるみたいです。

 

36:サクラギ研究所のリサーチフェロー

そっか……。

 

37:太刀川隊の狙撃手

俺の居る世界でも近界民(ネイバー)と呼ばれる別世界の人間による侵攻で家族を失った隊員が居て強い復讐心を抱いているが。

 

38:鬼滅ごっこをやってる忍者

こっちもサスケが兄のイタチさんに復讐する為に強くなろうとしてますし。

何とかしたいんですけどね……。

 

:空座町の無下限呪術師

ライダーはその子についてどう思ってる?

 

40:雄英の仮面ライダー

>>39

俺は洸汰くんの考えを否定しないです。

それも1つの考え方ですし、全部間違ってるとは思いません。

それに……少し似てるなって思いました。

過去の俺と洸汰くんが。

 

41:杜王町の幽波紋使い

どういう事だ?

 

42:雄英の仮面ライダー

俺もこっちの世界で両親を亡くしてまして、亡くなった当初の俺はかなり荒れていたと言うか、強い喪失感で抜け殻状態だったんですよ。

俺の場合はオヤッさんが居てくれたから何とかなったんですけど。

 

43:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

なるほどなぁ。

 

44:雄英の仮面ライダー

何とかしてあげたいですが、こう言う場合は言葉だけじゃ何も出来ないと思うんですよね。

それだけ洸汰くんの心の傷は深いでしょうし。

 

45:虚刀流のグラップラー

>>44

確かにな。

 

46:空座町の無下限呪術師

まあ、その点はライダーくんに任せるとして。

……実はライダーくんに教えておかなくちゃいけない事があってね。

 

47:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>46

それって、まさかッ!

 

48:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>46

言うのか、呪術ニキ!

 

49:太刀川隊の狙撃手

>>46

確かに、このタイミングで言うのがベストかもしれないですね。

 

50:雄英の仮面ライダー

どうしたんですか?

 

51:杜王町の幽波紋使い

皆、何を騒いでいるんだ?

 

52:空座町の無下限呪術師

幽波紋ニキも聞いておいてね。

いいかい、ライダーくん。

実は──

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

林間合宿2日目の夜はプッシー・キャッツが初日に言っていた通り"世話を焼くのは今日まで"と言う事で皆で協力して夕飯のカレーを作り、3日目の夕飯が"肉じゃが"と言う事で牛肉にするか豚肉にするかで論争となり、ヒーロー科では【牛肉派】・【豚肉派】・【どちらでも良い派】の3つに分かれ、混沌を極めていた……、ところを来太が言った"牛肉と豚肉を半分にすれば良いと思う"の一言でその場は治まる。

 

その後は男女各自に分かれ入浴を済ませていたが、峰田が再び女湯を覗こうとして制裁を受けていた。

 

その際、施設全体で峰田の断末魔が響き渡った。

 

「……ん?何か聞こえた?」

 

「男子の声だと思うけど」

 

布団で寝転がる葉隠に窓際で涼んでいた耳郎が答える。

 

「峰田の声っぽかったかも。お仕置きされてんのかな〜、されちゃえば良いんだ!」

 

「ほんまやね!」

 

「1度痛い目に遭わないと分からないかもしれませんわね」

 

先程B組の入浴を覗こうとした峰田を懲らしめた後のせいか、A組女子全員がやや過激派になっていた。

 

「もっと深く刺しとけば良かった」

 

「もっと酸の濃度を濃くすれば良かったー!」

 

「けど峰田ちゃんの事だから、そうそう変わらないと思うわ。今までがそうだったし」

 

耳郎と芦戸に蛙吹が答える。

 

「ですが、今回は他のクラスやプロヒーローにも被害が出てますわ。同じA組として恥ずかしい……」

 

八百万が頭を抱えていると、ドアノックと同時に声が聞こえる。

 

「拳藤だけど、ちょっと良いかな?」

 

意外な訪問者にA組女子全員が顔を見合わせる。

 

「ええ、勿論ですわ」

 

八百万が代表で答えると、ドアが開き先頭の拳藤に続き小大と塩崎、柳が部屋に入る。

 

「さっきは助かったよ。ありがとうね、これお礼」

 

「お礼?」

 

「なになにー?」

 

拳藤たちが持つ袋の中を芦戸が覗くと、中にはお菓子が入っていた。

 

「お菓子だーっ!」

 

「持って来たお菓子の詰め合わせで悪いんだけどさ」

 

喜ぶ芦戸に拳藤は苦笑しながら言う。

 

八百万はハッとする。

 

「もしかして峰田さんの件ですか?それならば必要ありませんわ!むしろ峰田さんが大変ご迷惑を掛けてしまいまして──」

 

「そんなの気にするなよ、結果的に助かったし」

 

「教えてくれたお陰で未然に防げたし」

 

「ん」

 

頭を下げる八百万に拳藤たちが答える。

 

「此処に来れなかった取陰さん、小森さん、角取さんもお礼を仰られてました。これは私たちB組の気持ちです」

 

「しかし──」

 

塩崎の言葉に八百万は受け取ろうとしないのを芦戸が代わって袋を受け取る。

 

「まーまー、ヤオモモ。此処は素直に受け取ろうよっ」

 

「そうよ、八百万ちゃん。気持ちを無下にするのは良くないわ」

 

「しかし、私たちは当たり前の事をしただけですし……」

 

躊躇う八百万に、葉隠が提案をする。

 

「じゃあさ、皆で食べない?」

 

「え?」

 

突然の提案に一同が葉隠を見る(透明で顔は見えないが)。

 

「女子会しよーよ!女子会!折角だし」

 

「さんせー!こう言う機会じゃないと中々集まらないし!」

 

「まあ……女子会」

 

「え、本当に良いの?」

 

「男子は男子で集まってるっぽいし」

 

「なら、こっちもやっちゃう?」

 

と言う訳で、A組・B組による女子会が開催される事となった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「「「カンパーイッ!」」」

 

 

ジュースの入った紙コップを持って全員で乾杯する。

 

すると、八百万がワクワクしながら周りを見回して言う。

 

「私……女子会するのは初めてでして……どう言う事をすれば宜しいのでしょうか?」

 

「女子会と言ったら、恋バナでしょうがー!!」

 

芦戸の言葉に一同のテンションが上がる。

 

「うわぁ〜」

 

「恋かあ」

 

年相応の女子高生である彼女たちは、ほんのりと頬を赤くする。

 

「あー、そう言うノリかー」

 

「そ、そんな恋だなんて!まだ結婚前ですのに……!」

 

真面目系女子である拳藤と八百万が各々リアクションを取る。

 

塩崎はまるでシスターの様な慈悲深い表情をする。

 

「その通りですわ。そもそも結婚とは神の御前での約束を……」

 

「鯉バナナ?」

 

「んーん」

 

首を傾げる柳に首を振る小大。

 

女子会の話題は恋バナに決定したところで、芦戸が質問する。

 

「それじゃあ、付き合ってる人が居る人ー!」

 

「「「……」」」

 

しかし、一同は手を挙げずに無言。

 

「え?誰も居ないの?」

 

「そもそも中学でも雄英目指す為に勉強が最優先だったし……」

 

「雄英に入っても授業で忙しいし……」

 

普段のハードスケジュールで浮いた話は一切無いのだ。

 

芦戸は少し考え、質問を変える。

 

「んー、じゃあ好きな男子居る人ー?」

 

「「「!!!」」」

 

質問の内容に、葉隠・蛙吹・麗日がピクリと動く。

 

特に麗日は、期末の実技試験で青山に言われた言葉が脳内にフラッシュバックする。

 

"君、緑谷出久……いや、佳面来太の事が好きなのかい?"

 

麗日は脳裏に来太の顔が思い浮かべる。

 

すると途端に顔を赤くする。

 

「あー!さては麗日好きな人居るな!?」

 

「そそそそそ、そうなんとちゃう!久し振りにこんな話するから動揺しちゃって!」

 

「どんだけ久し振りなんだよ」

 

赤くなりながら動揺する麗日に耳郎がツッコむ。

 

「じゃあさ、付き合ってみたい人っている?」

 

「付き合ってみたいかぁ……」

 

一同(一部は除く)は考える。

 

「轟は?個性も派手でイケメンだし!」

 

「けど、親がエンデヴァーだし」

 

「息子の交際相手とかに厳しそう」

 

轟、撃沈。

 

「飯田は?」

 

「飯田ちゃんは真面目過ぎて中々進展しないんじゃないかしら?」

 

「確かに、手を繋ぐのに何年も掛かりそうだわ」

 

飯田、撃沈。

 

「爆豪は?」

 

「爆豪さんはヒーローとしての才能は高いのですが、あの攻撃的な性格が何と言いますか……」

 

「何でもかんでも直ぐキレそう」

 

爆豪、撃沈。

 

「B組には良い感じの男子居ないの?」

 

「んー、物間は顔は良い方だけど……」

 

「性格に難ありというか」

 

「ん」

 

物間、撃沈。

 

考えた末、芦戸は1つの結論を出す。

 

「やっぱり付き合うなら佳面かなー」

 

「「「!!!」」」

 

再び葉隠・蛙吹・麗日がピクリと動く。

 

「顔良し、性格良し、高身長、個性もド派手!非の打ち所が無いパーフェクトイケメンだし!」

 

「佳面さんは、確かに悪い点が思いつきませんわ」

 

「けど、3年の波動先輩とかに気に入られ過ぎだけどね」

 

「そんなに凄いの?」

 

「ん?」

 

B組女子も来太に興味を持ち始める。

 

「入学直後の体力テストで1位取るし、最初のヒーロー演習で轟に勝っちゃうし」

 

「USJの時もウチとヤオモモを助けてくれたし」

 

「先生方でも勝てなかった(ヴィラン)を1人で撃退しましたし」

 

「体育祭でも優勝したわ」

 

「期末は私と梅雨ちゃんとお茶子ちゃんも勉強見て貰ってたし」

 

「期末の実技試験でデクくんと爆豪くんと協力してオールマイトと互角に闘ってたし」

 

「え!オールマイトに!?」

 

「恨めしい」

 

「ん!」

 

「まあ……何という偉業の数々」

 

A組女子による来太の武勇伝にB組女子は驚愕する。

 

「んー、けど完璧過ぎて相手が釣り合わなそう。そうだ!葉隠って佳面と同じ中学だったよね!何か佳面の弱点とか無いの?」

 

「芦戸さん、本人の居ない所でその様な事を人に聞くのは良くありませんわ」

 

「えー!ヤオモモも知りたくない?佳面の弱点」

 

「そ、それは……」

 

嗜めるつもりが逆になってしまった八百万はまんざらでも無い様子だった。

 

他の女子たちも顔に出さなかったが、興味津々である。

 

「んー、弱点と言うか、佳面くんは"お裁縫"が凄く苦手かな」

 

「「「"お裁縫"?」」」

 

葉隠の意外な発言に一同が唖然とする。

 

「家庭科の授業でお裁縫の実技が何回かあったけど、佳面くんって筆記はほぼ満点だけど実技だといつも赤点ギリギリだったんだよね」

 

「え!?意外……」

 

「佳面ちゃんって何でも出来そうなイメージあるけど」

 

「そうなの?」

 

「うん。例えば……」

 

 

【回想シーン】

 

 

『あ』

 

『せんせー!また佳面が指に針を刺しました!』

 

『え?また!?これでもう1()0()()()()!』

 

『何で針に糸を通すだけなのに指を刺すのさ!』

 

『いや、真面目にやってるんだけどね』

 

1度の作業で針の孔に糸を通す筈が自分の指に針を10回刺したり……。

 

 

『何でミシンで真っ直ぐ縫うだけなのに蛇腹にしてんの!?』

 

『真っ直ぐしてるつもりだったんだけどな』

 

『えー……』

 

ミシンで糸を真っ直ぐに縫い付ける作業で縫い目が蛇腹になったり。

 

 

【回想シーン終了】

 

 

「こんな感じかなあ」

 

「「「何それ、逆に可愛い」」」

 

あまりのギャップに一同が口を揃える。

 

「そう言えば、葉隠と佳面って同じ中学だけど付き合い長いの?」

 

「うん、3年間一緒のクラスだったよ」

 

「それで高校も同じだし」

 

「凄いね」

 

「ん」

 

「デクくんと爆豪くんも幼稚園から一緒みたいだけど」

 

「逆にあの2人は付き合いかなり長いのに仲悪いよね」

 

「爆豪ちゃんに問題があると思うけど」

 

人間の付き合いも人それぞれと言う事だろう、と一同は思う。

 

すると、拳藤が葉隠に質問する。

 

「じゃあ、葉隠と佳面はその時からお互いに雄英……と言うより、ヒーローを目指してたの?」

 

「……んー、ちょっと違うかな」

 

又もや意外な返事に一同は首を傾げる。

 

「どーいうこと?」

 

「どっちかは雄英を目指して無かったって事?」

 

「と言うより……佳面くんに会わなかったら、私……ヒーローになる夢を諦めてたと思う」

 

「えっ」

 

「どう言う事なん?」

 

いつもの葉隠ではない様子に、麗日が質問する。

 

話して良いのか悩むも、葉隠は口を開く。

 

「中学に入って直ぐはね……私そこまで明るい性格じゃなかったんだよ」

 

 

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○

 

 

"個性"【透明】。

 

その名の通り、透明人間の"個性"のせいで葉隠は結構苦労していた。

 

自身の顔がどんななのかも分からなくなる時もあるし、自分がどんな顔をしているのか周りが知らなかったりする。

 

中学入学したての時も、葉隠は自身の"個性"のせいで中々友だちを作れなかった。

 

いや、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『葉隠さんって透明だからどんな顔してるのか分からないよね』

 

『分かる!話してる時も"本当は笑ってないんじゃない?"って時あるよね』

 

『そうそう!』

 

クラスの教室で女子たちの会話を壁に身を隠して聞いていた時があった。

 

『あれでもしヒーローを目指してるってなったらウケるよね!』

 

『それね。どちらかと言うと(ヴィラン)向けの"個性"だよね』

 

『だよねー!』

 

『……ッ!!』

 

半分冗談で言っているかもしれないが、心無い言葉が葉隠の心に突き刺さる。

 

急いでその場から走り去り、屋上で1人泣いた。

 

ヒーローになりたいと言う夢を、あんな言葉に簡単に否定させる事に腹を立ったのか、それとも何も言い返せなかった自分に腹を立ったのか、葉隠は分からなくなった。

 

今はただ、胸の痛みに泣く事しか出来なかった。

 

その時、

 

『どうしたの?』

 

突然声を掛けられ、顔を見上げると同じクラスの男子が心配そうに葉隠を見ていた。

 

来太である。

 

佳面は入学直後から周りから頼られる存在で、実質的なクラスのリーダーの様な存在だった。

 

『……何でもないよ』

 

『そう?……俺の勘違いなら良いけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

透明の葉隠を見て、来太は彼女は泣いている様に見えたのだ。

 

見えていない筈なのに、彼は自分を見てくれた。

 

そう思うと、葉隠は咽びながら口を開く。

 

【透明】のせいで周りが自分の感情を解ってくれない。

 

この"個性"はヒーローよりも(ヴィラン)に向いてる。

 

ポツリポツリと、葉隠は来太に言う。

 

来太はジッと葉隠の言葉に耳を傾けていた。

 

『そっか……。悔しいよね、そう言われると』

 

『それで、葉隠さんはヒーローになる夢を諦めるの?』

 

『……諦めたくない。けど……この"個性"でどうやってヒーローになれるのか解らない』

 

葉隠のその言葉に、来太は首を傾げる。

 

『そうかな?俺はヒーローに向いてると思うけど』

 

『え?』

 

『だってさ、周りから見えないんでしょ?立て篭もり事件とかさ、(ヴィラン)に気付かれないで確保する事が出来るんじゃないかな?それと、(ヴィラン)に気付かれないでアジトに潜入したりとか。俺が考えただけでも2つの使い方が出てきたよ。それだけ葉隠さんの"個性"には可能性があるって事じゃないかな?』

 

自分の"個性"の使い方をポンポンと考えつく来太に、葉隠は唖然とする。

 

諦めなければ必ず夢は叶うなんて言わない……。けど、諦めたら何も残らないんじゃないかな?

 

『少しずつで良い、葉隠さんが出来る事を見つけていけば……それが葉隠さんの強さになると思うよ』

 

『それとこれは受け売りだけど、世界は自分を中心に回っている。そう思った方が楽しいってね。天の道を往く人が言った言葉だよ』

 

彼の言葉が胸の痛みを消してくれた。

 

彼の言葉が、自分の可能性を広げてくれた。

 

今は、それだけで良かった。

 

その後から、葉隠は変わった。

 

【透明】だからこそ明るく振る舞うようになったり、仕草で感情を表したり、周りにコミュニケーションを取る様になったお陰で友だちもだんだん増えていった。

 

自分が変わった事で、周りの世界が180°変わったのだ。

 

 

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○

 

 

「あの時の佳面くんの言葉で、私はヒーローの夢を諦める事を辞めたんだ」

 

葉隠の言葉に全員が黙る。

 

すると、

 

「葉隠えぇぇぇ!!アンタ凄いよおぉぉぉ!!」

 

「うわっ!」

 

芦戸が泣きながら葉隠に抱き付く。

 

「芦戸さんの言う通りですわ。葉隠さんは夢を諦めず、自身の強さを見つけた凄い方ですわ」

 

「透ちゃん、これからも一緒に頑張りましょ」

 

「ウチも」

 

「私もぉぉぉ!!」

 

八百万たちも葉隠を抱き締める。

 

「私たちも負けないよ」

 

「はい、クラスは違えど共にヒーローを目指す同士……」

 

「お互いに頑張ろう」

 

「ん」

 

B組女子たちも葉隠にそう答える。

 

葉隠は抱き締められる苦しさを感じながらも、笑って言う。

 

「うん!皆でヒーローになろう!」

 

A組・B組による女子会は何だかんだクラスの枠を越え、絆を築く事が出来たのであった。

 

……実はその後、芦戸は補習に遅れて相澤に叱られるのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「……」

 

俺は施設の外で夜空に広がる星を見ながら、呪術ニキの言葉を思い出していた。

 

「明日、(ヴィラン)連合が襲撃してくる……」

 

(しかも、俺たちの中に内通者が居るかもしれない……)

 

突然の事に、俺はただ黙りこくっていた。

 

「ッ!?」

 

すると、右手に【暗黒剣月闇】が実体化すると俺の頭に()()()()()()()()()

 

磁石の様な武器を持つグラサンの(ヴィラン)に倒されるピクシーボブさん。

 

(ヴィラン)と交戦するマンダレイさんと虎さん。

 

()()()()()()()()()()()|()()()()()()()》と交戦する相澤先生。

 

筋繊維の塊の様な(ヴィラン)に襲われそうになる洸汰くん。

 

森の中で刃の様な歯を持つ(ヴィラン)と右手が血塗れになってでも交戦する緑谷。

 

セーラー服を着た女(ヴィラン)に襲われる蛙吹さんと麗日さん。

 

そして、爆豪を庇い、仮面の男に捕まる()

 

「ゴホッ!ハァ、ハァ、ハァ」

 

【暗黒剣】による未来予知を見た俺は、そのまま膝をつき、咽せながら息を吐き出す。

 

「これが、これから起きる未来……」

 

(ヴィラン)連合は明日動き出す。

 

否、()()()()()()()()()

 

雄英の、ヒーローの信頼を地に堕とす為に。

 

「守ってみせる……」

 

俺は【暗黒剣】を強く握り締める。

 

「皆を、先生を、プッシー・キャッツを、洸汰くんを……。その為なら──」

 

 

俺自身が、雄英から居なくなる事になったとしても。




洸汰くんの過去を知るライダーくん
秘密基地に1人で居る洸汰くんにカレーを届けるライダーくん。
洸汰くんがヒーローと個性社会を強く嫌悪する理由を知ったライダーくんは、過去の自分と彼を重ねる。

A・B組による女子会
峰田の2度目の女湯覗き未遂の後、A・B組の女子による女子会が開催。
年相応の女子高生な彼女たちは恋バナを始める。

ライダーくんの弱点【裁縫】
ライダーくんと中学が同じである葉隠は芦戸から"佳面に苦手な事ある?"と聞かれたので"裁縫"と答える。
あまりのギャップに女子一同がときめく?

ライダーくんと葉隠の出逢い
【透明】の"個性"のせいで、周りから距離を置かれていた葉隠。
陰でクラスメイトから"ヒーローに向いてない"と言われ、1人泣いていた所に偶然出会したライダーくんが彼女の心の叫びを聴く。
そして1つの助言を伝えたライダーくんは、彼女とヒーローを目指すライバル兼友だちになる。

ライダーくん、(ヴィラン)連合の襲撃を知る
スレのニキたちから(ヴィラン)連合が襲撃して来る事を知らされるライダーくん。そして【暗黒剣月闇】の未来予知によって自分と爆豪が連合の標的にされる事を予知する。
最悪の結末を変える為、ライダーくんは覚悟を決める。
例え、自分自身が雄英から去る事になろうとも……。

次回 ライダーくんvs無限土魔獣


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61スレ

前回の評価によるモチベーションの件で沢山の方から応援&助言メッセージ&高評価をいただきました。
送ってくれた皆様、誠にありがとうございました!!
正直、評価が落ちるに度に凹んで「何処が駄目なんだろう」とか「小説書くの辞めようかな」とか思っていましたが、応援されている以上、完結を目指してこれからも投稿を続けていきたいと思います。

気を取り直して、第66話を投稿します。

林間合宿3日目、ライダーくんの特訓回です。
今回、登場するライダーのヒントは「ガイアメモリ」「2色」「探偵」です。


林間合宿も3日目に入り、引き続き強化訓練が始まる中、俺は半径100mのドームの中心に立っていた。

 

『それじゃあ、来太くん。準備は良いかな?』

 

耳に嵌めたインカム越しにピクシーボブさんが確認を取る。

 

「はい、お願いします」

 

俺は【ダブルドライバー】を実体化させ、腰に装着する。

 

そして、右手に持った【ジョーカーメモリ】を起動する。

 

 

『ジョーカー!』

 

 

メモリから起動音声が鳴り、構える。

 

 

「変身ッ!」

 

 

すると、バックル部分の右側のスロットに【サイクロンメモリ】が転送される。

 

左手で【サイクロンメモリ】を押し込み、左側のスロットに【ジョーカーメモリ】をセットする。

 

待機音が鳴り響く中で、交差した両手でスロットを展開する。

 

 

サイクロン(CYCLONE)ジョーカー(JOKER)!』

 

 

バックル部分がアルファベットの『W』に展開されると、専用の待機音と共に俺の顔に複雑な涙ラインが浮かび上がり、俺の周りにエネルギーの風が舞う。

 

そして、そのエネルギーは俺の肉体を変化させる。

 

俺の右半身【ソウルサイド】は緑色、左半身【ボディサイド】は黒色に、中央には銀色の帯【セントラルパーテーション】で綺麗に分かれる。

 

頭部には『W』のアンテナ【ダブルフィーラー】が備わり、目は赤い複眼【ホークファインダー】で統一される。

 

緑色の右半身【ソウルサイド】の首後ろには、姿勢制御の役割を果たすマフラー状の羽根【ウィンディスタビライザー】が巻き上がる風で靡く。

 

本来は2人で変身する特殊な仮面ライダー、【仮面ライダーW サイクロンジョーカー】に単独で変身完了する。

 

『それじゃあ、行くわよ!無限土魔獣を相手に何処までやれるかしら!!』

 

ピクシーボブさんの声と同時に、地面から初日の時に交戦した土魔獣が大量に出現する。

 

 

「「「グォォォォォ!!!」」」

 

 

吠えると同時に土魔獣たちが一斉に襲い掛かる。

 

「フッ」

 

俺はダッシュで接近し、最前に居る土魔獣の顔目掛けて風の纏った右脚で飛び蹴りする。

 

直撃した土魔獣は粉々となり、風に混ざって霧散する。

 

続いて迫り来る魔獣の攻撃を空中側転で回避し、距離を取った所で右手でフィンガースナップする。

 

すると、緑色の竜巻が発生して前方の魔獣たちを呑み込む。

 

竜巻に呑まれた魔獣たちは舞い上がりながら塵となり霧散する。

 

『やるねー!でも、どんどん行くよー!』

 

再び地面から土魔獣が増産され、今度は四足歩行の(タイプ)以外にも翼竜(タイプ)も出現する。

 

【サイクロンジョーカー】では翼竜(タイプ)に有効打が取れないと判断した俺は、すかさず左側のスロットの【ジョーカーメモリ】を抜き取り、新たに【トリガーメモリ】を起動する。

 

 

『トリガー!』

 

 

そして【トリガーメモリ】をスロットにセットして、バックルを展開する。

 

 

サイクロン(CYCLONE)トリガー(TRIGGER)!』

 

 

専用音声と共に左側の【ボディサイド】が黒から青に変わり、【仮面ライダーW サイクロントリガー】にハーフチェンジする。

 

更に、【トリガーサイド】の左胸部である【トリガーラング】にマウントする専用武器【トリガーマグナム】を手に取り、銃口を翼竜(タイプ)の魔獣に向けて引き金を弾く。

 

銃口から秒間240発の風のエネルギー弾が連射され、空中に居る翼竜(タイプ)の魔獣たち全てに無数の風穴が空く。

 

今度はスロットから【サイクロンメモリ】を抜き取り、【トリガーマグナム】の【マキシマムスロット】に装填し、可変型の銃身【グリップバレル】の前部を変形させる。

 

 

『サイクロン!マキシマムドライブ!』

 

 

音声と共に【トリガーマグナム】にエネルギーがチャージされる。

 

 

「トリガーエアロバスター!」

 

 

銃口の【マキシマムマズル】から【サイクロンメモリ】のエネルギーを2倍に増幅した必殺技【トリガーエアロバスター】が放たれ、連続発射された緑色の小型竜巻が地上の土魔獣を風圧で吹き飛ばす。

 

 

『ヤバッ!マジで圧倒的じゃないの!!けどまだまだ序の口だからね!!』

 

再び大量の土魔獣が出現する。

 

「本当に無限に湧いてくるな」

 

 

『ルナ!』

 

 

今度は【ルナメモリ】を起動させスロットにセットし、バックルを展開する。

 

 

ルナ(LUNA)トリガー(TRIGGER)!』

 

 

【ソウルサイド】の【サイクロンサイド】が黄色の【ルナサイド】に変わり、【仮面ライダーW ルナトリガー】にハーフチェンジする。

 

引き金を弾き銃口から黄色のエネルギー弾が数発放たれると、ビームバレットが弾道を大きく変え、本来なら不可能な方向より土魔獣たちに炸裂する。

 

そんな中、俺は不安と焦りで訓練に集中しきれなかった。

 

(こうしている間にも、(ヴィラン)連合は襲撃の手筈を整えている……一刻も早く対策を練るべきだろうけど、呪術ニキから内通者の可能性を聞かされている以上、下手に先生たちに報告すれば内通者を通じて連合にバラされるかもしれない……)

 

どうすれば良いのか悩みながら、俺は目の前の土魔獣たちに挑み続ける。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【相澤視点】

 

「ヤバいって、イレイザー!やっぱこの子凄すぎ!!」

 

デバイス越しで土魔獣を次々と撃退する佳面に、ピクシーボブは興奮する。

 

佳面は又もや見た事のない姿に変身し、USBメモリに似たアイテムを状況に応じて組み合わせを替えながら闘う様は、確かに学生の域を超えている。

 

甘く見積もっても、最前線で活躍するトップクラスのプロヒーローと遜色無く動けているだろう。

 

……だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(昨日の自主練で疲労が溜まっているのか、何か考え事をしてるのか、どちらにしてもいつもより僅かだがリズムがズレている……。普段ならもう少し速かった筈だ)

 

初見で佳面の闘いを見る奴からすれば、十分過ぎる程の闘い方をしているが、俺たち雄英側から見れば何処か違和感を感じられる。

 

「一体どうした……?」

 

「ん?何か言った?」

 

「……いえ、何でもありません。おい、補習組。動きが止まってるぞ!」

 

「す、すみません!」

 

「ちょっと眠くて……」

 

振り向いて聞いてくるピクシーボブに、俺はそう答えて止まっている補習組に注意する。

 

佳面の様子は気になるが、1人の生徒に付きっきりになる訳にも行かない。

 

そう考えながら、俺は他の生徒たちの特訓を見る。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ライダーくん、いつもより動けてないですね。

  

2:サクラギ研究所のリサーチフェロー

そうですね。

  

3:杜王町の幽波紋使い

>>2

やはり、(ヴィラン)連合の襲撃の件が気になっているみたいだな。

それと、内通者の事も。

  

4:太刀川隊の狙撃手

いきなりあんな事言われたら気になっても仕方ないですけど……

  

5:虚刀流のグラップラー

それに、暗黒剣で未来を予知したみたいですし。

未来を変える為にどうすれば良いのか考えてるかもしれないな。

  

6:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

それで、どうするの呪術ニキ。

  

7:空座町の無下限呪術師

>>6

ん?

何が?

  

8:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

"何が?"っじゃなくて、ライダーくんの事だよ。

  

9:海賊系美食屋

流石に今回はライダーくんに手を貸した方が良くないか?

  

10:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>9

明らかにライダーくん、1人で襲撃を止めようと考えてるみたいですけど。

  

11:空座町の無下限呪術師

僕たちからは何もしなくて良いんじゃない?

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

  

12:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>11

ちょっと!

  

13:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>11

それで良いんですか?

  

14:サクラギ研究所のリサーチフェロー

流石に今回は手を貸した方が良いと思いますけど。

 

15:空座町の無下限呪術師

ライダーくんが僕たちに応援を要請するなら直ぐにでも動くけど、本人から頼まれていないのに手を貸す訳にはいかないでしょ?

 

16:虚刀流のグラップラー

>>15

そうかもしれないけどよ……

 

17:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

それじゃあ、ライダーくんから頼まない限り俺たちは動かない方が良いって事ですか?

 

18:鬼滅ごっこをやってる忍者

呪術ニキの言いたい事は解りますが。

 

19:杜王町の幽波紋使い

ライダーくんの居る世界の問題は極力ライダーくん自身で判断して対応させるべきだろうな。

下手に俺たちが出しゃばって世界にどんな影響を与えるか不透明だし。

 

20:空座町の無下限呪術師

そうそう。

ライダーくんが僕たちに"手を貸して欲しい"って言わない限り、僕たち自身もあまり干渉しないべきだよ。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

ヒート(HEAT)メタル(METAL)!』

 

 

【仮面ライダーW ヒートメタル】にハーフチェンジした俺は、【メタルサイド】の背部にマウントする専用武器【メタルシャフト】を手に取る。

 

両端の【ストライクバー】が伸びたと同時に左側のスロットから【メタルメモリ】を抜き取り、【メタルシャフト】のマキシマムスロットにセットする。

 

 

『メタル!マキシマムドライブ!』

 

 

【メタルシャフト】の先端部の【エンドハンマー】が【ヒートメモリ】の属性である高熱火炎を纏う。

 

 

「メタルブランディング!」

 

 

【メタルシャフト】の【エンドハンマー】から噴射した熱による推進力を乗せ、突進しながら巨大土魔獣に打撃を叩き込む。

 

必殺技は巨大土魔獣を粉砕し、地面に大きな亀裂を作る。

 

『OK!午前の訓練は此処まで!!昼休憩を挟んで続きをやるよ!』

 

「分かりました」

 

ピクシーボブさんがそう言うと、残り少なくなった土魔獣たちが崩れ、元の土塊へと戻る。

 

それを確認し、俺はバックル部分を上げてセットされたメモリを抜き取る。

 

変身解除すると、ドームの端に出口が現れたので外へ出る。

 

 

他の生徒たちが訓練している場所へ行くと、皆が配給の弁当を受け取って各々食べ始めていた。

 

「お、佳面だ」

 

「よっ、そっちの訓練どんな感じだ?」

 

瀬呂と切島が弁当を食べながら聞いてくる。

 

「うん、今のところ順調かな。2人はどう?」

 

「俺は昨日と同じで尾白や鉄哲とバトってたぜ!」

 

「俺なんて延々にテープを出しっぱなしよ。喉が乾くわ昨夜の補習で眠いわでヘロヘロだぜ」

 

「お疲れ様、お互いに午後に向けて体を休めておかないとね」

 

「だな!」

 

「またな!」

 

2人と軽く話した俺は弁当を受け取り、皆と少し離れた所に腰を掛ける。

 

夏真っ盛りで今日も太陽が照ら付き、気温もピークになりつつある。

 

日陰の中に居るため多少はマシではあるが、日本の夏特有の湿気もあって額が汗ばむ。

 

タオルで汗を拭い、まだ弁当に手を付けないで(ヴィラン)連合の事を考える。

 

(暗黒剣の予知によると、襲撃して来るのは夜。少なくとも(ヴィラン)の人数は6人前後、その中でも"個性"が解っているのは3人……【地球(ほし)の本棚】にアクセスするにしても【キーワード】が足りないから情報が絞り込めない。どうすれば……)

 

すると、

 

「佳面、此処良いか?」

 

考え込んでいると突然声を掛けられたので見上げると、轟が弁当とペットボトルのお茶を持っていた。

 

「轟か……。うん、良いよ」

 

「悪い」

 

轟は隣に座り、弁当を食べ始める。

 

「どうだ?訓練」

 

「ん?うん、ピクシーボブさんが造った大量の土魔獣と戦闘してた。轟は?」

 

「"氷結"と"炎"をコントロールして風呂の温度を一定に保つ訓練をしてた。特に()の調整がまだ甘くてな」

 

「そっか……大変だね」

 

「それはお前もだろ?」

 

会話をしながら、俺はペットボトルのお茶を少し飲む。

 

先生側が気を遣ってくれたのか、お茶はある程度冷えていた。

 

ボーッとしていると、轟が口を開く。

 

「……何かあったか?」

 

「え?」

 

思わず轟を見ると、いつものポーカーフェイスではあったが、()()()()()()()()()()が感じられた。

 

「大丈夫だよ。何で?」

 

「今朝から……と言うか、()()()()()()()様子が変だと思った」

 

「そうかな……」

 

出来るだけ周りに諭されない様にしていたつもりだったが、轟には気付かれていた様だ。

 

「何ともないよ。ごめん、心配させて」

 

「何も無いなら良いけど……1人で抱え込めねぇなら少なくとも相澤先生くらいには話した方が良いぞ」

 

「うん……」

 

轟の言葉に少し頷く。

 

「……佳面」

 

「何?」

 

「お前が何を考えているのか解らねェけど、相談出来ない程……俺たちは頼りねェか?」

 

轟の言葉に、俺は僅かに表情が強張る。

 

そんな俺を()()()()()()()、轟は言葉を続ける。

 

「合宿初日の【魔獣の森】の時も、お前のお陰で昼前に施設に辿り着く事が出来た。それだけ……俺たちとお前との間に力の差があるのは解ってる」

 

「けど、お前に感謝してると同時に……()()()()()

 

「え?」

 

思わず声が出る。

 

「もっと力があったら……お前に任せっきりにならなくて済んだかもしれない。もっと強くなってたら……お前1人に負担を負わせずに済んだかもしれない。そう思った」

 

「爆豪や飯田や緑谷は勿論、A組全員がそう思ってる筈だ。それだけは……知っておいて欲しい」

 

轟の言葉に、俺は何も言わなかった。

 

いや、()()()()()()()()

 

俺自身は皆を頼っていないと思っていなくても、周りの視点からすれば"自分たちを頼っていない"と思われていた事に、俺は驚いていた。

 

「ハアァァァァ……皆からすれば、俺ってそんなに周りに頼っていない様に見えてたんだ」

 

溜め息を吐きながら、俺は頭を抱える。

 

「お前が悪いって訳じゃねぇよ」

 

「いや、完全に俺が悪いよ。と言うか、カッコつけ過ぎと言うか……思い上がり過ぎだった。ハーフボイルドって奴だよ」

 

「ハーフ?」

 

「半熟、つまり"未熟者"って事だよ」

 

キョトンとする轟にハーフボイルドの説明をしながら、俺は顔を上げて空を見る。

 

(俺1人で出来ることなんて、たかが知れてるのに……何自分なら何でも出来るって思ってんだよ。【向こうの世界】の時だってそうだ。俺1人だけで闘えた訳じゃ無い。村雨さんや本郷さんたち先輩ライダーの方々、滝さんたち【SPIRITS】の人たち、それにルミちゃんや海堂博士、立花のオヤッさんたちが居たからだろうが。今の俺を見たら……滝さんや風見さん辺りがぶん殴ってただろうな。城さんなら絶対殴ってるな。"青二才が思い上がってんじゃねぇ!"って感じで……)

 

「大丈夫か?」

 

少し笑いながら反省していると、轟が声を掛ける。

 

「うん。ごめん、ホント何やってんだよって感じだ……ありがとう、轟。お陰で気付かされたよ」

 

「そうか……?なら良いが」

 

「けど、まさか体育祭で言った事を、今度は轟に意趣返しされるとはなあ」

 

あの時と立場が逆になった事に、俺は思い出し笑いをする。

 

「そんなつもりで言ってねェよ」

 

「ええぇっ?絶対根に持ってたでしょ?」

 

「持ってねぇ」

 

俺が笑いながら言うと、轟も少し笑う。

 

「けど、本当にありがとう。とどろ……()()

 

「え?」

 

突然名前呼びされた事に、今度は轟……否、焦凍が驚く。

 

「どうしたんだ?急に」

 

「今更だけど名前呼びしたくなったんだよね。良いかな?焦凍も俺の事、名前で呼んで良いよ」

 

「そうか?分かった、かつ……()()

 

名前呼びに慣れていないせいで、お互いにチグハグになっていた。

 

「焦凍」

 

「何だ?」

 

「もし、俺が1人じゃどうにもならなくなった時は焦凍や皆を頼るよ。迷惑かもしれないけどね」

 

「迷惑なんて思わねぇよ」

 

「そう?ならその時は、半分力を貸してよ

 

「ああ」

 

いつもより仲が深まった事を噛み締めながら、俺は漸く弁当を食べ始める。

 

……別に、物の道理や趣などを深く考えて、その意味を十分に感じとるの"噛み締める"と弁当を噛み締めながら食べるの"噛み締める"を掛けた訳ではない。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーW

レア度【LR】

出典『仮面ライダーW』

※考えに考えた結果、今作のWは相棒無しで【単独での変身可能】という設定で行きたいと思います。
理由としましては、フィリップを登場させるにしても頻繁に出せないから勿体無いかなぁと考えました。

今作の【仮面ライダーWの変身プロセス】
①ライダーくんがダブルドライバーを装着
②メインボディの【ガイアメモリ】を取り出し、起動する
③片方の【ガイアメモリ】は使用するメモリをイメージする事でスロットに転送される。
④原作同様、メモリをスロットにセットしてドライバーを展開して変身完了

※Wの力を使っている間のみ、ライダーくんは【地球の本棚】にアクセスが可能となります。


仮面ライダーWvs無限土魔獣

ピクシーボブが生み出す無数の土魔獣に挑むライダーくん。
今回の特訓目的は「瞬時に状況に応じたフォームチェンジをする」事と「体力のペース配分」を課題とされるライダーくん。
【ガイアメモリ】の組み合わせを状況に応じて対処していくライダーくんだが、襲撃と内通者の件を聞かされたから何処か集中しきれていない様子だった……。

"轟"から"焦凍"へ
どうにかして襲撃の件を1人で解決しようと考えている中、昼休憩時に轟から"1人で抱え込めないなら周りに頼れ"と助言を貰い、考え方を改める。
そして轟との絆が深まり、互いに"焦凍"・"来太"呼びをする様になる。


次回 (ヴィラン)連合襲撃!!
『F』の牙が(ヴィラン)を切り裂き、そしてスレ民たちが動き出す!


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62スレ

第67話を投稿します。

(ヴィラン)連合が襲来!

そして、ライダーくんとスレニキたちが迎え撃つ!

※今回の話で仮面ライダーWの漫画【風都探偵】の要素が含まれます。


『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』はまだ観れてませんが、ネットでの評価や感想を観ると賛否両論に別れる作品みたいですが、一体どんな内容なのか凄く気になります。映画の前日譚はTTFCで履修済みですが……何か人類滅亡しかけてて唖然としました。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

21:雄英の仮面ライダー

皆さん、お願いがあります。

(ヴィラン)連合の襲撃の際、俺1人じゃ雄英の皆……先生やプッシー・キャッツを守る事が出来ません。

 

勝手な事だとは解ってます。

だけど、お願いします!

 

 

皆を助けるのに力を貸して下さい!!

 

 

  

22:空座町の無下限呪術師

>>21

OK!

待ってたよ、その言葉をね!

 

23:杜王町の幽波紋使い

>>21

当然。

力を貸すに決まってるじゃあないか。

  

24:太刀川隊の狙撃手

>>21

俺たちは最初からそのつもりだったよ。

 

25:虚刀流のグラップラー

>>21

待ち詫びたぜ!!

  

26:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>21

待ってたよ!

  

27:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>21

やってやんぜ!!

  

28:海賊系美食屋

>>21

俺たちと一緒に皆を助けようぜ!!

  

29:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>21

仲間のスレ民が困ってんのに見過ごす訳には行かないからね。

  

30:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>21

それで、どうする?

早速(ヴィラン)連合を返り討ちした方が良いかな?

  

31:雄英の仮面ライダー

>>30

いえ、実は今夜に肝試しが予定されてまして、恐らくタイミング的にその時に襲撃して来ると思うんです。

ですので、皆さんには肝試しが始まる直前に此方の世界に来て欲しいんです。

  

32:空座町の無下限呪術師

了解。

なら各々役割決めておこうか。

  

33:杜王町の幽波紋使い

>>32

OK。

俺は近接戦しか出来ないから肝試しの場所にスタンバっとくよ。

  

34:虚刀流のグラップラー

>>33

なら、俺も幽波紋ニキと一緒に動きます。

 

35:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺は遠距離も攻撃出来るから遊撃するね。

肝試し側に厄介な"個性"持ってる(ヴィラン)たちが集まるでしょうし。

 

36:海賊系美食屋

俺も遊撃役に回るよ。

視覚・聴覚・嗅覚・触覚で敵や雄英側の位置は分かるし。

 

37:鬼滅ごっこをやってる忍者

それじゃあ、俺は奇襲役をやります。

一応忍者なので森の中だと動きやすいですし。

 

38:太刀川隊の狙撃手

俺は遠くから狙撃します。

トレーナーニキ、俺を飛行タイプのポケモンに乗せてくれませんか?

 

39:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>38

分かった!

ボーマンダ以外の飛行タイプも居るから手持ちで連れて来るよ。

 

40:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>38

俺も索敵役に回るよ。

流石にトールたちを連れて来る訳にはいかないし、俺自身闘えないから。

 

41:空座町の無下限呪術師

じゃあ、僕は肝試し側で負傷や気絶する生徒たちの救助に回るよ。

僕ならどんな攻撃も効かないし。

 

42:雄英の仮面ライダー

すみません、皆さん……。

宜しくお願いします!!

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

スレニキたちに承諾を貰った俺は、早速(ヴィラン)連合の襲撃に備えてニキたちと作戦を練り、各々の役割が決まった。

 

そして、遂にA組・B組による肝試しが始まろうとしていた。

 

「さて、腹も膨れた!皿も洗った!お次は──」

 

 

「「肝を試す時間だぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

 

芦戸さんの言葉に砂藤と瀬呂が大声で続くと、そこに相澤先生がヌルリと現れる。

 

「あー、非常に心苦しいんだが……補習組は今から俺と一緒に補習授業だ

 

 

「嘘だろぉぉぉぉぉ!!?」

 

 

相澤先生の非常な発言に芦戸さんが今までに無い程驚愕する。

 

「すまんな。日中の訓練が思ったより疎かになったのでこっちを削る」

 

 

「「「うわあああ堪忍してくれえ!試させてくれえぇぇぇ!」」」

 

 

相澤先生に連行される芦戸さん・砂藤・瀬呂は嘆きの叫びと共にこの場から退場する。

 

「はい!というわけで、脅かす側先攻はB組!A組は2人1組で3分おきに出発。ルートの真ん中に名前を書いたお札があるからそれを持って帰ること!」

 

「……闇の饗宴」

 

(また言ってる……)

 

「脅かす側は直接接触禁止で個性を使った脅かしネタを披露してくるよ!」

 

「創意工夫でより多くの生徒を失禁させたクラスが勝者だ!」

 

「やめてください汚い」

 

「なるほど!競争させることでアイデアを推敲させ、その結果個性に更なる幅が生まれるというわけか……!流石は雄英!!」

 

「さあ!クジ引きでパートナーを決めるよ!」

 

ピクシーボブさんが持つクジの入った箱から、A組の皆が各々引いていく。

 

 

結果は──

 

1組目:障子・緑谷

2組目:轟・爆豪

3組目:耳郎さん・葉隠さん

4組目:青山・八百万さん

5組目:蛙吹さん・麗日さん

6組目:尾白・峰田

7組目:飯田・口田

8組目:切島・常闇

9組目:俺

 

 

「余りは俺か」

 

「まあ、クジ引きで奇数だし。絶対誰かがなる運命だから」

 

「おい、尻尾……代われや!!」

 

「えぇ……俺って何なの?」

 

「青山ぁぁぁ。オイラと代わっておくれよぉぉぉぉ!!」

 

(佳面くんとペアになりたかったなぁ……)

 

(佳面ちゃんとペアになってみたかったわ……)

 

(佳面くんとペアになっとったら……アカンアカン!何想像しとる私!!)

 

各々リアクションを取りつつ、最初の1組目である障子・緑谷ペアが森の中へ入って行く。

 

2組目、3組目、4組目が次々にスタートし、5組目の蛙吹さん・麗日さんペアの番になる。

 

「それじゃあ、次はケロケロキティとウララカキティ!Go!!」

 

ピクシーボブさんの合図と共に、蛙吹さんと麗日さんが森の中へ入って行く。

 

(森の方は頼みます……皆さん)

 

森の中に居る皆をニキたちに託しながら、俺は(ヴィラン)連合の襲撃に備える。

 

 

そして、遂にその時が来た。

 

 

「何この焦げ臭いの──……」

 

「黒煙?」

 

(来たか!)

 

ピクシーボブさんとマンダレイさんが何か異変に気づいた、次の瞬間──

 

「わ!?何!?」

 

「ピクシーボブ!!」

 

ピクシーボブさんの体がピンク色の光に包まれたと同時に突然浮かび、後方へ引き寄せられる様に飛んで行く。

 

すると、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ちょっ!?何今の!?」

 

「狙撃!?一体何処から!!」

 

「きゃっ!」

 

後ろでは、先程の閃光に貫かれた筒状の何かを持ったサングラスを掛けた顎髭の男とトカゲ人間が閃光に驚き、引き寄せられていたピクシーボブさんは地面に落下する。

 

見知らぬ2人が驚いている間に、俺はピクシーボブさんを抱き抱え、2人から距離を取る。

 

「大丈夫ですか?ピクシーボブさん」

 

「う、うん」

 

「ピクシーボブ!」

 

「無事か!」

 

マンダレイさんと虎さんが俺とピクシーボブさんに駆け寄る。

 

「何で……!万全の筈じゃあ……!何で……!」

 

 

「何で(ヴィラン)が居るんだよ!!」

 

 

後ろに居る峰田が(ヴィラン)の出現に驚愕の叫びを上げる。

 

しかし、そんな中で俺は内心安堵する。

 

(ナイス狙撃です、狙撃ニキ!)

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

地上から約1km離れた上空では、1()()()()()()()()2()()()()()()()3()()()()()()()()()()()

 

「着弾を確認。ナイス狙撃だよ、狙撃ニキ」

 

「よく此処から当てたね」

 

「伊達にA級1位の部隊で狙撃手(スナイパー)やってませんよ。俺に狙撃を教えてくれたのは東さんですし」

 

夜間でも使える双眼鏡で地上の様子を確認するゴーグルを首に掛けた少年【トレーナーニキ】とポニーテールに眼鏡の青年【小林ニキ】の言葉にスナイパーライフル型の武器を持ってスコープで地上を覗く黒のロングコートを纏う青年【狙撃ニキ】が答える。

 

「プッシー・キャッツの方はこれで大丈夫っぽいけど、後は……」

 

「森の方だね。特にガスが発生してる所が厄介だ」

 

トレーナーニキと小林ニキは双眼鏡越しに渦状に発生するガスを視る。

 

「大丈夫です。()()()()()()()()。悪いけど、もう少しだけ我慢してくれよ、ファイアー

 

狙撃ニキは自身が乗っている()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にそう言って、スナイパーライフル型の武器【イーグレット】の銃口をガスの根元に標準を合わせ、引き金を弾く。

 

発射されたトリオンの弾丸は一筋の閃光となり、ガスを貫通する。

 

すると、先程まで発生していたガスが止まり、空気中に霧散する。

 

「ガスの中に居る(ヴィラン)に当てたのか!?マジで!?」

 

「ガスの中が視えてたの、狙撃ニキ!」

 

トレーナーニキと小林ニキは驚きながら狙撃ニキを見ると、狙撃ニキは一息ついながら答える。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()。生き物やトリオン体を視ると色で識別出来るので、障害物に隠れていても何処に居るのか俺には判ります。天羽と同系統のサイドエフェクトだと思って下さい」

 

「え?最強じゃん」

 

「狡っ」

 

「いやいや、これでも迅さんやカゲさんには避けられてますので最強じゃないです」

 

2人の言葉に狙撃ニキは手を横に振りながら言う。

 

「それじゃあ、面倒なガスは何とかなりましたし。俺たちは上で索敵しながら皆の援護に回りましょうか」

 

「だね」

 

「OK。それじゃあ、ボーマンダ!ファイアー!フリーザー!頼むぞ!!」

 

トレーナーニキの言葉に、3匹のポケモンは鳴き声を出して応答する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

森の中では、ニキたちが各々動いていた。

 

 

「オラアァッ!」

 

 

スポーツウェアを着た青年【グラップラーニキ】が脳無に高速の手刀を叩き込み。

 

 

「【キング・クリムゾン】!」

 

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!』

 

 

学ランを着た180cmの青年【幽波紋ニキ】は自身の幽波紋【キング・クリムゾン】で脳無にオラオララッシュを撃ち込む。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「障子くん、何か焦げ臭いない?」

 

「ああ。どうやら何処で何かが燃えている様だ。急いでゴール地点に行くぞ──」

 

緑谷と障子が急いでゴールを目指そうとした次の瞬間──

 

 

「肉、見せて」

 

 

「わ!?」

 

「緑谷!!」

 

拘束具に身体を縛られた黒い男が剥き出しになった口から刃状の歯を緑谷に向かって伸ばす。

 

その時──

 

 

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃!

 

 

「あっ!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「今何かが!」

 

「下手に動くな緑谷!」

 

驚く緑谷に叫びながら、障子は【複製腕】で警戒する。

 

しかし、障子の複製した目や耳には先程の閃光の正体を掴めむ事は出来なかった。

 

「駄目だ……何も感知出来ない」

 

「そんな……」

 

「緑谷!障子!」

 

動揺する2人に後ろから轟と爆豪が駆け寄る。

 

「大丈夫か?」

 

「ぼ、僕たちは平気……だけど」

 

「突然現れたこの男に襲われそうになった瞬間、()()()()()()()()()()()()()

 

「その何かは何処だマスク野郎!」

 

「ちょっと、かっちゃん!!」

 

「すまない、俺も緑谷も姿が見えなかった。それ程の速さで現れ、直ぐに消えた」

 

「そうか……」

 

「使えねぇな!何の為の目と耳だ!飾りか?!」

 

「かっちゃん!!」

 

そんな4人の姿を、少し離れた所で背中に刀を背負う狐のお面をした少年【忍者ニキ】が木の枝の上で見ていた。

 

「(何とか原作キャラたちは助かったかな……さて、他の皆は大丈夫かな?)」

 

そう思いながら、忍者ニキは音も無く姿を消す。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「動かない方が良い、下手に動くとバラバラになるよ?」

 

白銀の甲冑にマントを纏う青年は、"ポロン"っと弦楽器の様な黒い弓を鳴らしながらマジシャンの格好をした仮面の男に警告する。

 

「だ、誰だよ……お前……!……お前みたいなヒーローが居るなんて……聞いてねぇよ!」

 

全身を弦で拘束された仮面の(ヴィラン)【Mr.コンプレス】は苦しそうに質問する。

 

「悪いけど、俺はヒーローじゃない。かの騎士たちの力を宿した人間だよ」

 

「グェェッ……!」

 

"ポロン"と再び弓の弦を鳴らすと、Mr.コンプレスを縛る弦が更にその身体を縛り上げる。

 

「無駄な抵抗はしないでくれ……俺は無意味な殺しはしたくない」

 

甲冑の青年【円卓ニキ】は再びMr.コンプレスに警告する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「あ?誰だお前」

 

「荼毘!俺知ってるぜ!誰だ!?」

 

燃える木々に囲まれた場所では、ツギハギの身体の男【荼毘】と覆面ヒーローみたいな見た目をした男【トゥワイス】の前に、白・ピンク・青・緑のカラフルな髪色をした大男が立つ。

 

「ワリぃけど、お前たちには何もさせねぇよ」

 

そう言うと、大男の肌は毒々しい紫色へと変貌する。

 

「さあて、駆除を始めるか」

 

大男【美食屋ニキ】は目の前の2人をニヤリと笑いながら攻撃体勢に入る。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「──さて、これで全員かな?」

 

ガスで気絶したA組・B組の生徒たち、そしてラグドールを一箇所に集め終えた白髪の長身に黒のワイシャツにスラックスの上下を身に纏うサングラスの青年【呪術ニキ】は、サングラスに隠れる【六眼】で周辺を視る。

 

「うん!皆頑張ってるみたいだねー!これなら大丈夫かな?」

 

呪術ニキはそう言いながら、とある方向を視る。

 

「後は君が頑張る番だよ……ライダーくん」

 

そう言いながら、呪術ニキはクスリと笑う。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「あーもうっ!景気良く1人潰したかったのに、グダグダになっちゃったじゃないのよ!!」

 

「まー落ち着け、マグ姉。気を取り直して……ご機嫌よろしゅう雄英の諸君!我々(ヴィラン)連合開闢機動隊!!

 

トカゲ(ヴィラン)はサングラスの(ヴィラン)、マグ姉を宥めながら高々と自己紹介する。

 

(ヴィラン)連合……!?何で此処に……!」

 

尾白が緊迫した表情で訊くと、マグ姉はイライラしながら言う。

 

「質問なんてどーでも良いわ!早く殺させてよね!」

 

「待て待て早まるなマグ姉!生殺与奪は全てステインの仰る主張に沿うか否かだ!

 

「ステイン……!()()()()()()()()──……!」

 

トカゲ(ヴィラン)の言葉に飯田が反応する。

 

「そして、アアそう!俺はそうお前君だよ()()()()()!保須市にてステインの終焉を招いた人物。申し遅れた俺はスピナー……」

 

 

「彼の夢を紡ぐ者だ!」

 

 

トカゲ(ヴィラン)はスピナーと名乗り、背に背負った刃物の集合体の様な大剣を構える。

 

「ピクシーボブ!!虎!!指示は出した!他の生徒の安否はラグドールに任せよう。私らは3人で此処を押さえる!!」

 

「分かった!」

 

「うぬ!」

 

マンダレイさんの言葉にピクシーボブさんと虎さんは戦闘体勢に入る。

 

「皆行って!!良い!?決して戦闘はしない事!委員長引率!」

 

「承知致しました!行こう!!」

 

マンダレイさんの指示に従い、飯田が皆を率いて施設へ避難し始める。

 

しかし、マンダレイさんの表情は(ヴィラン)の出現とは別の事に焦っている様に見えた。

 

「飯田、皆を頼む」

 

「何を言っている佳面くん!?」

 

「佳面!!」

 

飯田と尾白が叫ぶも、俺は無視してマンダレイさんに言う。

 

「マンダレイさん!()()()()()()()()()()()()()()

 

そう言って俺は()()()()()()()()()()

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

"洸汰!"

 

"洸汰聞こえてた!?直ぐに施設に戻って!"

 

"私ごめんね知らないの、貴方がいつも何処に行ってるか……"

 

"ごめん洸汰!!救けに行けない!直ぐ戻って!!"

 

 

【テレパス】で話すマンダレイを他所に、洸汰は秘密基地で1人の大男と対峙していた。

 

「見晴らしの良いとこを探して来てみればどうも、資料に無かった顔だな」

 

「なァ、ところでセンスの良い帽子を被った子ども。俺のこのダセェマスクと交換してくれよ。新参は納期がどうとかってこんなオモチャ付けられてんの」

 

そう言いながら大男はズンズンと洸汰に近づく。

 

「うあ……」

 

洸汰は恐怖心に襲われながらも必死で逃げる。

 

「あ、オイ」

 

しかし、大男は洸汰が逃げる方向へ先回りする。

 

「景気づけに一杯やらせろよ」

 

そう言って大男の左腕が筋繊維が覆い、身に纏っていたコートのフードが落ちる。

 

晒された顔を見て、洸汰の脳裏で記憶がフラッシュバックする。

 

"『【ウォーターフォース】……素晴らしいヒーローたちでした』"

 

"『しかし、2人の輝かしい人生は1人の心無い犯罪者によって絶たれてしまいました』"

 

"『犯人は現在も逃走を続けており、警察とヒーローが行方を追っています』"

 

「お前……!!」

 

過去のニュースで報道された両親を殺した(ヴィラン)の情報が1つ1つ思い出される。

 

"『"個性"は単純な増強型で非常に危険です。この顔を見たら直ぐに110番及びヒーローに通報を……尚、現在左眼にウォーターフォースに受けた傷が残っていると思われ──』"

 

目の前の大男の顔には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「パパ……!ママ……!」

 

洸汰は両親の仇が目の前にいる事に色んな感情が込み上げ声が震え、涙を浮かべる。

 

動けなくなった洸汰に大男の左腕が迫って来た、次の瞬間──

 

「あ!?」

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

突然の事に大男は驚く。

 

洸汰も何が起こったのか分からず、目の前の光景を見る。

 

すると──

 

「……鳥?」

 

洸汰の目の前には鳥型のガジェットが浮遊し、大男から洸汰を守る様に見えた。

 

そして、鳥型ガジェットから光が射出され、目の前に人のシルエットが浮かび上がる。

 

その人間を、洸汰は知っている。

 

「お前……!!」

 

「良かった、間に合った」

 

光から現れたのは来太であった。

 

「テメェは……」

 

「この子には触れさせないぞ、(ヴィラン)

 

大男に来太は宣戦布告する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【エクストリームメモリ】に運ばれ洸汰くんが居るだろう秘密基地へ飛んで行くと、洸汰が大男に襲われそうになっていた所に運良く間に合った。

 

「んん?テメェは()()()()()()……」

 

大男は俺の顔を見て、何かを思い出す。

 

俺は大男に気にせず【ダブルドライバー】を装着する。

 

「まあ、良いか。どのみち()()()()()()()()()()()。少しボコっても契約違反にはならねぇだろ」

 

そう言って大男はニヤつきながらコートを脱ぎ捨てる。

 

「悪いがお前に費やす時間は無い」

 

そう言うと、俺の右手の掌に【ファングメモリ ライブモード】が飛び乗り、そのまま手動で【ライブモード】から下半身部分は恐竜(ケラトサウルス)の頭部を模した【メモリモード】に変形させる。

 

 

「何オモチャで遊んでんだ!」

 

 

痺れを切らした大男は拳を大きく振り翳すも、【エクストリームメモリ】がエネルギーを巡らせた状態で突進し、それを妨害する。

 

その間に【ファングメモリ】を起動する。

 

 

『ファング!』

 

 

そして左手に持ち替えた【ファングメモリ】を構え──

 

 

「変身ッ!」

 

 

すると、バックル部分の左側のスロットに【ジョーカーメモリ】が転送される。

 

右手で【ジョーカーメモリ】を押し込み、右側のスロットに【ファングメモリ】をセットする。

 

待機音が鳴り響く中で、バックル部分を展開し、【ファングメモリ】の下半身部分である恐竜(ケラトサウルス)の頭部パーツを倒す。

 

 

ファング(FANG)ジョーカー(JOKER)!』

 

 

バックル部分がアルファベットの『W』に展開されると、専用の待機音と共に俺の顔に複雑な涙ラインが浮かび上がり、俺の周りにエネルギーの風が舞う。

 

そして、そのエネルギーは俺の肉体を変化させる。

 

俺の右半身【ソウルサイド】は白色、左半身【ボディサイド】は黒色に、中央には銀色の帯【セントラルパーテーション】で綺麗に分かれる。

 

頭部には『W』のアンテナ【ダブルフィーラー】が備わり、目は赤い複眼【ホークファインダー】で統一される。

 

しかし、強化訓練で変身した従来のWとは異なり、【ファングメモリ】の影響で全身が鋭角な形状となり、両頬には一筋の涙ラインが刻まれている。

 

Wの特殊強化形態【仮面ライダーW ファングジョーカー】に変身完了する。

 

 

バックル上部にはみ出した【ファングメモリ】の【タクティカルホーン】を1回叩く。

 

 

『アームファング!』

 

 

音声と共に右手首に【アームセイバー】が伸びる。

 

 

「ウオオオオオオオ!!」

 

 

雄叫びを上げ、俺は大男に突っ込み右ストレートを放つ。

 

「グッ!それだけかぁ!」

 

拳は顔面を捉え、大男は僅かによろけるも直ぐに体勢を整える。

 

しかし──

 

 

「オオオオオオオオオオ!!」

 

 

大男が再度拳を大きく振り翳そうとする寸前で距離を詰め、殴る蹴るの連続攻撃を放ち続ける。

 

「調子乗ってんじゃ──」

 

 

「オオオオオオオオオオ!!」

 

 

大男が動く前に、俺は右手首に伸びた【アームセイバー】で大男の筋繊維を斬り裂く。

 

次に【ファングメモリ】の【タクティカルホーン】を今度は2回叩く。

 

 

『ショルダーファング!』

 

 

音声と共に右手首に伸びた【アームセイバー】が消え、右肩に【ショルダーセイバー】が出現する。

 

「ハアッ!」

 

俺は【ショルダーセイバー】を掴み、大男に目掛けてブーメランの様に投げ飛ばす。

 

「チイィィィィッ!」

 

投げ飛ばされた【ショルダーセイバー】は高速で回転し、大男に覆われた筋繊維を削ぎ落とす様に斬り裂く。

 

肉塊となっていた大男の身体は【ショルダーセイバー】の斬撃によってボロボロとなっていた。

 

そして、俺は【ファングメモリ】の【タクティカルホーン】を3回叩く。

 

 

『ファング!マキシマムドライブ!』

 

 

すると右足首に【マキシマムセイバー】が出現し、俺は重心を落とす様に構える。

 

そして、高々と跳躍する。

 

 

「餓鬼イィィィッ!!」

 

 

「ファングストライザー!!」

 

 

大男は再び全身に筋繊維を覆い尽くし、俺は大男を斬り裂く様に回転飛び蹴りを放つ。

 

 

「ガハッ!!」

 

 

命中の瞬間、恐竜の頭部のようなオーラが現れ、喰らった大男に衝撃波と共に【F】の字が浮かび上がり、大男は大きく吹き飛ぶ。

 

「や……やった?」

 

後ろに隠れていた洸汰くんがそう言った。

 

その時──

 

「チクショウが……」

 

地面に倒れた大男はフラつきながら身体を起き上がらせる。

 

(驚いたな、マキシマムドライブを直撃してまだ立ち上がるか……。覆っていた筋繊維がクッションの役割を果たしていたのか……)

 

内心少し驚きながらも、大男の様子を分析する。

 

「久し振りだぜ、こんなにボコられたのはよ……お前強えな、話に聞いてた以上だ」

 

「話?死柄木に聞いたのか?」

 

口を開いた大男に質問する。

 

「そうだ。"()()()()()()()()"。それが仕事でな。後、爆豪って餓鬼もセットで連れて来る様に言われたよ」

 

(連合の目的は俺と爆豪?個性関連か?それとも洗脳目的か……)

 

考えていると、大男は義眼であろう左眼を外し、ズボンのポケットから真っ赤な義眼を取り出し、空洞になっていた瞳に嵌める。

 

「けどよ、もうそんなのどうでも良くなった。俺はな、殺したい時に心置き無く殺したいんだよ。つまりだ、今は……本気でお前を殺したい!!

 

大男はそう叫ぶと、先程以上に筋繊維を覆って俺目掛けて突進する。

 

「(避けたら後ろの洸汰くんが危ない……)それなら──」

 

一瞬で結論を出した俺は、バックル部分を上げ左側のスロットから【ジョーカーメモリ】を抜き取り、1()()()()()()()()()()()()

 

 

「潰れちまえ!!」

 

 

大男の拳が俺に迫る。

 

しかし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

ブチブチブチッ!!

 

 

攻撃した大男の腕に覆れた筋繊維が音を立てて千切れる。

 

「何!?」

 

大男は逆に自身の筋繊維が千切れた事に驚愕する。

 

「言った筈だ、"お前に費やす時間は無い"って」

 

 

ファング(FANG)メタル(METAL)!』

 

 

俺の左半身である【ボディサイド】は黒から銀色へと変わり、【ファング】の派生形態の1つ【ファングメタル】にハーフチェンジする。

 

「色が変わっただと?」

 

「悪いがあまり時間を掛けられないんだ。一気に終わらせる」

 

「グオッ!?」

 

唖然とする大男の顔面を殴り、後方へ大きく吹き飛ばす。

 

俺は【ファングメモリ】の【タクティカルホーン】を今度は2回叩く。

 

 

『ショルダーファング!』

 

 

すると、【ソウルサイド】の右腕に大小の6本の刃が出現する。

 

 

更に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()2()()()()

 

 

『ショルダーファング!』

 

 

今度は【ボディサイド】の左腕からも大小の6本の刃が出現する。

 

 

そして俺は大男を指差し、()()()()()()()()

 

 

「さあ、お前の罪を数えろ!」

 

 

「罪だと……?そんなの数えて何になる!!」

 

 

大男が突進の体勢に入る前に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(は、速えっ!!)

 

 

「ウオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

宙に浮いた大男を掴み、地面に叩きつける様に左拳で殴る。

 

「グッ!(コイツ!さっきよりも硬え!!左側が変わった影響か!?)」

 

 

「ウオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

間髪入れず大男を振り回し、何度も地面に叩きつける。

 

 

ジジ……バチバチッ

 

 

すると、俺の体の中央にある【セントラルパーテーション】から電流が走る。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そろそろ限界だ……。この変身も……俺の怒りも!

 

 

俺は【ファングメモリ】の【タクティカルホーン】を3回叩く。

 

 

『ファング!マキシマムドライブ!』

 

 

音声と共に両腕の刃が肥大化し、エネルギーが集約される。

 

「ハアッ!」

 

「グオッ!」

 

そのまま俺は大男を天高く蹴り上げる。

 

そして、重心を落とす様に構え、必殺技を放つ。

 

 

「ファングスピアバレット!!!」

 

 

「ウギャアアアアアアアア!!」

 

 

高速回転しながら跳躍し、蹴り上げた大男を覆われた筋繊維を削り貫き、剥き出しとなった本体にダメージを与える。

 

断末魔を上げ、大男は地面に落下し気絶する。

 

着地した俺は理性が飛ぶ前に変身を解除させ、気を失った大男に向かって言う。

 

 

「味わえ、今まで殺した人たちの痛みも一緒にな」




(ヴィラン)連合襲撃
A組・B組による肝試しの最中に、遂に(ヴィラン)連合が襲来。
しかし、ライダーくんと打ち合わせしていたスレニキたちが各々対応を始める。


スレニキたちの各自の役割

呪術ニキ:護衛(ガスで気絶した生徒たちの救助&ラグドールの誘拐阻止)

小林ニキ&トレーナーニキ&狙撃ニキ:索敵&狙撃(連携して上空から援護)

幽波紋ニキ&グラップラーニキ:迎撃(脳無の撃退)

忍者ニキ:奇襲(ムーンフィッシュの撃退)

円卓ニキ:遊撃(Mr.コンプレスの足止め)

美食屋ニキ:遊撃(荼毘&トゥワイスの足止め)


ライダーくんvsマスキュラー
マスキュラーに襲われそうになる洸汰くんの元に【エクストリームメモリ】と共に駆けつけたライダーくん。
【仮面ライダーW ファングジョーカー】に変身し、交戦を始める。
マスキュラーの筋繊維を増幅し体の内外に纏う【筋力増強】に対し、【ファングジョーカー】の俊敏性と野生的な戦闘スタイルで筋繊維を高速で切り裂き、必殺技の【ファングストライザー】で決着したかに見えたが、辛うじて筋繊維の肉壁で直撃を免れる。


ファングのもう1つの姿、その名は【ファングメタル】
ライダーくんは【ジョーカーメモリ】から【メタルメモリ】に切り替え、漫画『風都探偵』に登場したオリジナル形態【ファングメタル】にハーフチェンジする。
堅牢なボディと高い俊敏性を活かして、マスキュラーの懐まで一気に接近し、連続で打撃と斬撃を叩き込む。
そして、必殺技【ファングスピアバレット】で肉壁を貫通し、マスキュラーに大ダメージを与え、勝利する。
※今作の【ファングメタル】や【ファングトリガー】の持続時間は約3分間。


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63スレ

第68話を投稿します。

第67話の感想の中で描写に関する厳しいコメントがありましたので内容を一部修正しました。

番外編でも似たコメントが来てますし……。
まあ、これからも厳しいコメント等は来ると思いますが本編と番外編も必ず完結させますので、どうかこれからも作品を読んでいただける様に頑張ります。

そんな事より新作ウルトラマン【ウルトラマンデッカー】のビジュアルが公開されましたが、"カラータイマーの位置がウルトラマンナイスみたいに左胸にある!?"って驚きました。
あと所々宇宙を連想する装飾やダイナっぽさもあって中々面白い見た目だと思いました。
しかもトリガーの続編みたいでGUTS SELECT要素も継続する感じみたいですね。


「ごめんね、洸汰くん。もう少しだから」

 

「う、うん」

 

(ヴィラン)の1人を倒した俺は洸汰くんを抱き抱えて施設までの山道を走る。

 

すると、

 

「佳面!」

 

目の前に相澤先生が現れる。

 

「先生!」

 

「無事か?」

 

「何とか。すいませんが洸汰くんをお願いします。俺はマンダレイさんのテレパスで連合の狙いの1つに爆豪が標的にされている事を皆に伝えてないといけません」

 

「何?爆豪が?」

 

「お願いします!」

 

「おい、待て!」

 

俺は洸汰くんを相澤先生に預け、マンダレイさんが(ヴィラン)と交戦している場所に戻ろうとしたその時、相澤先生が俺の肩を掴む。

 

「お前……()()()()()()()?保須での事を忘れたのか?」

 

「……処分される覚悟は出来ています」

 

睨む相澤先生に、俺はそう答える。

 

「そう言う事を聞きたいんじゃない……仕方ない。マンダレイにこう伝えろ」

 

相澤先生が言った言葉に驚きながらも、俺は頷いてその場から走り去る。

 

漸く森の中から出ると、プッシー・キャッツの3人が(ヴィラン)2人と交戦を続けていた。

 

「いい加減大人しく粛清されちまえーー!!」

 

 

『ジョーカー!』

 

 

トカゲ(ヴィラン)がマンダレイに大剣を振り下ろそうとしたのを見て、俺は【ジョーカーメモリ】を起動しながら走る。

 

 

「変身ッ!」

 

 

【ダブルドライバー】の左側スロットに転送された【ヒートメモリ】を押し込み、左側スロットに【ジョーカーメモリ】をセットしてバックル部分を展開する。

 

 

ヒート(HEAT)ジョーカー(JOKER)!』

 

 

「ハアッ!」

 

「何ィィィ!?」

 

【仮面ライダーW ヒートジョーカー】に変身し、トカゲ(ヴィラン)の持つ大剣を拳で粉砕する。

 

「マンダレイさん!洸汰くんは無事です!」

 

「君は!」

 

突然の事に驚くマンダレイさんに気にせず、俺は言葉を続ける。

 

「それと、テレパスで皆に伝えて下さい!A組B組総員!プロヒーロー【イレイザーヘッド】の名に於いて、戦闘を許可する!

 

「!?分かった!」

 

"A組B組総員!プロヒーロー【イレイザーヘッド】の名に於いて、戦闘を許可する!繰り返す!戦闘を許可する!"

 

マンダレイさんはすぐさまテレパスで皆に伝える。

 

「ありがとう!こっちは私たちが何とかするから君は早く施設へ行って!」

 

「すいません、後1つ!連合の狙いの1つは爆豪です!爆豪に施設へ戻る様に伝えて下さい!お願いします!」

 

「あ、ちょっと!」

 

マンダレイさんにそう伝えた俺は肝試しのルートへ走る。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【緑谷視点】

 

 

"(ヴィラン)の狙いの1つが判明!狙いは生徒の爆豪くん!爆豪くんはなるべく戦闘を避けて!単独では動かないこと!解った!?"

 

 

「狙いはかっちゃん!?」

 

「何がどうなってる?」

 

「考えるのは後だ。今は爆豪を連れて施設へ戻るぞ」

 

「俺を守ろうとしてんじゃねー!!」

 

マンダレイのテレパスから戦闘許可と(ヴィラン)連合の標的の1つがかっちゃんである事が伝えられた僕たちは、かっちゃんを守る陣形を取りながら施設へ戻る事にした。

 

「テメェら、俺を守ってんじゃねェ!」

 

「狙われてるんだ、守らねェといけないだろ」

 

「俺が周囲を警戒する」

 

「お願い、障子くん」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

一方その頃、蛙吹・麗日は奇妙なマスクを付けたセーラー服の少女に襲われていた。

 

「お茶子ちゃん!」

 

「大丈夫、掠っただけ」

 

セーラー服の少女にナイフで右腕を僅かに切られた麗日は切られた腕を抑えながらセーラー服の少女と距離を取る。

 

「んー?浅い少ないです」

 

セーラー服の少女はナイフに付着した麗日の血をマジマジと眺める。

 

「いきなり切り掛かって来るなんて何なの貴女」

 

蛙吹の問い掛けにセーラー服の少女はマスク越しに嗤う。

 

「トガです!2人とも可愛いねぇ、麗日さんと蛙吹さん」

 

「「!!」」

 

セーラー服の少女【トガ】はナイフを麗日と蛙吹に向ける。

 

「名前バレとる……」

 

「体育祭かしら……何にせよ情報が割れてる分こっちが不利よ」

 

麗日と蛙吹は警戒を強める。

 

「血が少ないとねダメです。普段は切り口からチウチウと……吸い出しちゃうですが」

 

「この機械は刺すだけでチウチウするそうで、お仕事が大変捗るとの事でした。だから刺すね

 

トガはそう言いながら右手にナイフ、左手にチューブの繋がった注射器の様な機械を持って2人に接近する。

 

「来たぁ!!」

 

「お茶子ちゃん」

 

蛙吹は麗日の胴体を舌で巻き付け、投げる。

 

「梅雨ちゃん!?」

 

「施設へ走って。戦闘許可は"(ヴィラン)を倒せ"じゃなくて"身を守れ"って事よ。相澤先生はそう言う人よ。私も直ぐに……つっ!!

 

すると、蛙吹は突然の痛みを感じトガの方を見ると、彼女は蛙吹の舌をナイフで切っていた。

 

「梅雨ちゃん。梅雨ちゃん…梅雨ちゃん!!可愛い呼び方、私もそう呼ぶね」

 

「止めて、そう呼んで欲しいのはお友達になりたい人だけなの」

 

蛙吹は距離を取ろうとしたその時、トガは左手の注射器を投げつけて蛙吹の長い髪を木に固定する。

 

「梅雨ちゃん!!」

 

少し離れた所で麗日が叫ぶ。

 

「血ィ出てるねぇ、お友達の梅雨ちゃん!カァイイねぇ、血って私大好き!」

 

トガは嗤いながら身動きが取れなくなった蛙吹に詰め寄る。

 

「離れて!!」

 

麗日は蛙吹を救けようとトガに迫る。

 

トガは近づいて来る麗日にナイフを振り翳すも、麗日は回避する。

 

(ナイフ相手には!!片足回転で相手の直線上から消え、手首と首根っこを掴み、おもっくそ押し!引く!職場体験で教わった近接格闘術!)

 

 

G・M・A(ガンヘッド・マーシャル・アーツ)!!

 

 

麗日は職場体験で習得した技術を用いてトガを拘束する。

 

「梅雨ちゃん、舌で手!拘束!出来る!?痛い!?」

 

「凄いわお茶子ちゃん…!舌は少し待って…」

 

麗日は蛙吹にトガの拘束を指示すると、下で抑えられているトガが麗日に話し掛ける。

 

「お茶子ちゃん……貴女も素敵。私と同じ匂いがする」

 

「?」

 

トガの言葉に麗日は警戒する。

 

「好きな人、居ますよね?」

 

「!?」

 

驚く麗日に気にせずトガは言葉を続ける。

 

「そして、その人みたいになりたいと思ってますよね。解るんです、乙女だもん」

 

(この人……何を言って……)

 

「貴女の好みはどんな人?私はボロボロで血の香りがする人が大好きです。だから()()は切り刻むの。ねぇ、お茶子ちゃん。楽しいねぇ」

 

「恋バナ楽しいねぇ」

 

そう言って、トガは麗日の左太腿に注射器を刺す。

 

「お茶子ちゃん!?」

 

「チウチウ」

 

蛙吹が叫び、トガは麗日から血を機械で吸引しながら楽しそうに嗤う。

 

その時──

 

 

ルナ(LUNA)メタル(METAL)!』

 

 

謎の音声と共に()()()()()()麗日の胴体に巻き付き、()()()()()()()が拘束された蛙吹を掴んで引き寄せる。

 

「大丈夫?蛙吹さん、麗日さん」

 

「佳面ちゃん!?」

 

「佳面くん!?」

 

その正体は【仮面ライダーW ルナメタル】にハーフチェンジした来太であった。

 

「貴方は……」

 

すると、起き上がったトガは来太を見て()()

 

「貴方ですね!()()()()()()()()()()

 

「ステ様?」

 

「保須です!ネットで観ました!ボロボロのステ様を真っ先に救けてた人!」

 

「(保須……?ステインの事か?)それがどうした?」

 

来太は警戒しながらトガに訊く。

 

「ヒーローなのに(ヴィラン)のステ様を救けた素敵な人!カァコイイなぁ!!」

 

高揚しながら嗤うトガに、来太は警戒を強める。

 

「ねぇ?私もボロボロになったら、貴方はステ様の時みたいに救けてくれる?」

 

「……命の危機だったら、俺はヒーローだろうと(ヴィラン)だろうと救けるよ。この手が届く限り……」

 

「それより隙が多いよ!今だ、()()!!」

 

「ああ!!」

 

すると別の方向から氷壁が現れ、来太たちとトガの間を塞ぐ。

 

「来太!」

 

「3人とも大丈夫!?」

 

「無事か!」

 

「デクくん!?皆!?」

 

焦凍を先頭に、障子・緑谷・爆豪が来太たちに駆け寄る。

 

「そっちも大丈夫みたいだね。それに爆豪も」

 

「アァ!?テメェに心配される筋合いは無ェ!!」

 

「かっちゃん!」

 

「障子、さっきの女は?」

 

「駄目だ、如何やら逃げた様だ」

 

「けど、皆無事で良かったぁ」

 

「ええ」

 

無事に会えた事に安堵しながら、来太たちは周囲を警戒する。

 

「急いで施設へ戻ろう。爆豪が標的にされている以上、プロの居ない場所に留まるのはリスクが高い」

 

「ああ。だから俺たちも施設を目指して来た」

 

「そうしたら3人が(ヴィラン)に襲われているのに遭遇して」

 

「不幸中の幸いだったな」

 

「お茶子ちゃん、大丈夫?」

 

「うん!痛いけど歩けるよ。それより爆豪くんを守りながら施設へ行こう!」

 

「だから!テメェら俺を守ってんじゃねェ!!殺すぞ!!」

 

「かっちゃん!!」

 

キレる爆豪を中心にして、再度陣形を取りながら、来太たちは何とか施設へ辿り着く事が出来た。

 

そして、ガスによる意識不明者や(ヴィラン)に襲われて負傷した者も出たが生徒含む全員の安否を確認。

 

こうして、1週間を予定していた林間合宿は中断となった。




ライダーくん、爆豪、ラグドール 誘拐阻止
(ヴィラン)連合の目的であるライダーくんと爆豪の誘拐は無事に阻止する事が出来た。
プロヒーローやニキたちと交戦していた(ヴィラン)連合は数名を除いて撤退する。


次回 少し話は飛んで【家庭訪問】の話
そして、ライダーくんはオールマイトと()()()()()()


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幕間④『秘密の共有』

第69話を投稿します。

今回は林間合宿の後日談+家庭訪問回です。




林間合宿3日目で起きた(ヴィラン)連合襲撃事件の後、俺たちA組・B組は地元の病院で治療を受け、家に戻る事になった。

 

家に帰るとオヤッさんたちが俺の帰りを待っており、心配していた様子であった。

 

更にLINEでミルコさんやホークスさんからもメッセージが届いていたので無事の連絡を入れて、その日から生徒の俺たちは暫く自宅待機を命じられた。

 

そして、数日後。

 

雄英の緊急会見が生中継で放送された。

 

会見には校長の他にヒーロー科担任である相澤先生とブラド先生が出席しており、今回の事件への謝罪と記者たちの質問に答えていた。

 

世間では生徒たちが危険な目に遭った事や(ヴィラン)への対応に対する批判の声が挙がっており、"日頃の怠慢が今回の事件を引き起こしたのではないのか?"と言う意見が相次いでいた。

 

記者会見でもそれを問われており、記者の中には"雄英生徒にも問題があるのではないか?"や"体育祭での爆豪の態度が(ヴィラン)に目を付けられたのではないか?"等、明らかに雄英を挑発する質問も有った。

 

しかし、校長や相澤先生たちがそれに対して真正面から答えていたのを見て、雄英は俺たちを見てくれている事を改めて知る事が出来た。

 

それと同時期に、ヒーローたちと警察が動いていた。

 

神奈川県の神野区に(ヴィラン)連合のアジトがある事を突き止め、オールマイトを筆頭にトップヒーローたちによるチームアップと警察が連携して連合の逮捕に動いていた。

 

しかし、連合もヒーローたちを迎え撃った。

 

TVの生中継で流れたオールマイトと(ヴィラン)連合のボスとの激しい激戦。

 

事件発生場である神野区も含め、日本中が緊迫した。

 

そして、(ヴィラン)連合のボスとの戦闘で、オールマイトの()()()姿()が晒された。

 

普段の筋肉隆々だった肉体はミイラの様に細く、まるで別人と入れ替わったかの様に錯覚する程、本当のオールマイトは痩せ細っていたのだ。

 

その姿に、日本中は衝撃を受けていた。

 

日本のNo.1ヒーローは、()()()()()()()()()()()()

 

しかし、それでもオールマイトは最後の力を振り絞り、(ヴィラン)連合のボスを撃退。

 

ボロボロになりながらも左手を天に突き上げる姿に日本中がオールマイトを讃えた。

 

しかし、オールマイトが言った()()()()()に俺は疑問を抱いた。

 

"次は、君だ"

 

それは(ヴィラン)に対する忠告と受け取る事も出来るが、それにしては言葉が優しいと思う。

 

どちらかと言えば、"後は君に任せる"と言っている方が何処かしっくりきた。

 

もしそうであるなら、オールマイトは後の日本を誰かに託した事になる。

 

そう考えながら、俺は中継を観ていた。

 

そして数日後、雄英から1通の通知が届いた。

 

内容は、今回の事件を踏まえ"生徒の全寮制を実施する"事が記載されていた。

 

俺はそれを見て、入寮する事を決めオヤッさんにその事を話すと、直ぐに承諾してくれた。

 

本当は店の事もあるから反対されると覚悟していたが、その件については何とかすると笑って言ってくれた。

 

そして遂に、家庭訪問の日が訪れた。

 

3階のリビングには俺とオヤッさん以外に、珍しく髭を剃り、髪を整えた相澤先生と包帯とギプス姿のオールマイトが対面する様にソファに座っていた。

 

「我々も普段から募らせていた慢心を反省し、より強い意志で生徒たちを立派なヒーローにさせてみてます。どうか、改めて来太くんを我々に預けて貰えないでしょうか」

 

「私からも、宜しくお願い致します」

 

相澤先生とオールマイトが深々と頭を下げる姿に、オヤッさんが口を開く。

 

「相澤先生、オールマイトさん、頭を上げてください」

 

オヤッさんの言葉に相澤先生とオールマイトが頭を上げる。

 

「来太は……私の友人の子です。幼い頃に事故で両親を喪い天涯孤独のこの子を私が引き取り、今まで育てて来ました。これまでこの子がやりたいと決意した事を見守って来ました……今回の件も同様です。この子が雄英でヒーローを目指したいと決めたのなら、私はそれを応援して行きます」

 

隣に座る俺の頭を撫でながら、オヤッさんは笑って言った。

 

「ありがとうございます」

 

「佳面少年の事は我々に任せて下さい」

 

相澤先生とオールマイトもオヤッさんの言葉を受け取り、決意を固めた表情をする。

 

「あの、すみません。オールマイト」

 

「何だい?佳面少年」

 

「少しだけお話し出来ませんか?」

 

家庭訪問が終了後し、相澤先生とオールマイトが去ろうとする前に、俺はオールマイトを呼び止める。

 

「相澤先生、宜しいですか?」

 

「……5分だけだ。他にも回らないといけないからな」

 

「すみません。ごめん、オヤッさん」

 

「……分かった。あまり長引かせるなよ」

 

「うん」

 

そう言ってオヤッさんと相澤先生は3階を出る。

 

「それで、話とは何だい?」

 

「……この間の神野の件です」

 

オールマイトはピクリと反応する。

 

「オールマイトはカメラに向かって"次は君だ"と仰っていたと思いますが……アレは()()()()()()()()()()()

 

「あ、アレかい?アレは……」

 

オールマイトは言葉を詰まらせる。

 

そんなオールマイトに、()()()()()()()()()()を挙げる。

 

()()……ですか?」

 

「ッ!!」

 

確信を突かれたのか、オールマイトの表情が僅かに固まる。

 

「普段から良く一緒に居ましたし、オールマイトは特に緑谷を気に掛けていたので、もしかしたらと思いましたが……」

 

「い、いや!アレは緑谷少年に言ったんじゃなくて!?」

 

動揺するオールマイトに、俺はそのまま言葉を続ける。

 

()()()()()()()()()()

 

「!!」

 

神野でオールマイトが闘った(ヴィラン)の名を挙げると、今度こそオールマイトの表情が固まる。

 

「何故君がその名を……」

 

「すみません、個性を使って調べました。オールマイトとオール・フォー・ワンとの因縁について、オールマイトの身体に大きな傷を残した事も」

 

神野事件が生中継された後、俺は【地球(ほし)の本棚】にアクセスしてオールマイトと(ヴィラン)のオール・フォー・ワンについて調べた。

 

「君の個性は変身系の筈……」

 

「その変身の中に情報収集に長けたものがありまして、それを使いました。けど、俺が調べたのはあくまで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それ以外については調べてません。直接、オールマイトから聞きたいと思いました」

 

「しかし……」

 

オールマイトは又もや言葉を詰まらせる。

 

余程他人に話せない内容なのだろう。

 

「周りを巻き込ませない為、ですか?だけど、今回の神野の件でオールマイトが引退した原因は俺にもあります」

 

「違う、林間合宿の事は君も被害者だ」

 

「けど、俺が連合に目を付けられたせいでもありますよね?奴らの狙いに俺の誘拐もありました」

 

「!!」

 

オールマイトは驚愕した表情をする。

 

「オール・フォー・ワンには()()()()()()()()()。他人から個性を奪い、奪った個性を自身に宿す事が出来る。だから奴は俺の個性を奪う為に部下に誘拐を命じた……違いますか?」

 

「……闘っている間、奴は言っていたよ。"様々な姿に変身し、異なる能力を使う個性に興味が湧いた"っとね……」

 

オールマイトはオール・フォー・ワンが言ったセリフを口にする。

 

「爆豪に関しては性格的にヒーローよりも(ヴィラン)に向いていると言う目的で誘拐しようと企てた様です。それと、ラグドールさんの【サーチ】も奴は狙っていました」

 

「それも知っていたのか」

 

「だから……と言うのは半ば脅迫になりますが、貴方が引退した原因に間接的に俺は関わっています。他人事で済まされません」

 

俺はオールマイトの目を見て、そう言った。

 

「……分かった。此処まで知られたら、君にも話さないといけない……だけどその前に、緑谷少年にもこの事を話しても良いかな?彼にも立ち会って貰わないといけない」

 

「解ってます。……すみません、秘密を暴く様な事をしてしまい」

 

「いや、今までも周りを騙し続けていた私が悪いよ。すまないね、気を遣わせて貰って」

 

「此方こそ、気を遣わせてすみません」

 

話を終えたオールマイトは待たせている相澤先生の元へ行く。

 

「それじゃあ、日取りが決まったらこっちから連絡するよ」

 

「すみません、お願いします」

 

「また学校で」

 

「はい」

 

こうして、俺の家庭訪問は終わった。

 

次に雄英に行く時は、俺がこの家を離れる時となったのである。




ライダーくん、入寮を決める
林間合宿での(ヴィラン)連合襲撃事件、神野区での激戦の後、雄英から生徒の全寮制実施の通知が届く。
ライダーくんは入寮を決意し、育ての親である藤兵衛もそれを承諾する。

ライダーくん、オールマイトの秘密に気づき、共有する
ライダーくんはオールマイトに"次は君だ"の真相を確認する。
最初ははぐらかすオールマイトで有ったが、普段から緑谷と共にいる事が多い事も含め彼に対する態度を含め、後継者は緑谷である事を突き止める。

次回 久しぶりのガチャ回
内容のヒントは「悪魔」です。


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64スレ

第70話を投稿します。

今回は久しぶりのガチャ回で内容は「悪魔」「スタンプ」「50周年」です。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

皆さん、改めて林間合宿の件ご協力ありがとうございました。

  

2:空座町の無下限呪術師

どう致しまして!

  

3:サクラギ研究所のリサーチフェロー

俺たちもやりたくてやった事だし。

  

4:太刀川隊の狙撃手

そうですね。

  

5:杜王町の幽波紋使い

しかし、何処から林間合宿先が連合にバレたんだろうな。

  

6:虚刀流のグラップラー

>>5

そうですね……。

  

7:鬼滅ごっこをやってる忍者

考えられるのは本当に内通者が居たパターンと、情報収集能力に長けた個性持ちが連合に居るパターンですね。

オール・フォー・ワンは複数の個性を持ってますし、その中に情報収集系があった可能性があるかもしれないですね。

  

8:海賊系美食屋

前者は正直考えたくないな。

可能性高いのは後者だろうけどよ。

  

9:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

オール・フォー・ワンから何か情報聞き出せれば良いんだけど。

  

10:杜王町の幽波紋使い

>>9

難しいだろうな。

そのオール・フォー・ワンが白状するとは限らないし、ガセ情報を掴まさせるかもしれないしな。

  

11:雄英の仮面ライダー

>>10

そうですね。

俺も【地球(ほし)の本棚】にアクセスしてオール・フォー・ワンについて調べてますが、奴に関する情報が多過ぎて絞り込めない状態です。

  

12:空座町の無下限呪術師

そっかぁ。

  

13:サクラギ研究所のリサーチフェロー

地球(ほし)の本棚】でも難しいか。

  

14:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

何か特定のキーワードがあれば良いんだけど……

 

15:杜王町の幽波紋使い

悩んでも今は仕方ないんじゃあないか?

オールマイトたちと協力して行くしかないだろ?

 

16:雄英の仮面ライダー

>>15

幽波紋ニキ……そうですね。

悩んでる暇があったら前向きでいきます。

という訳で、今からガチャを回していきます。

 

17:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>16

唐突なガチャ回。

久しぶりだね。

 

18:虚刀流のグラップラー

そうですね、前はI・アイランド行く前でしたからね。

 

19:海賊系美食屋

それで、今回は何のガチャ回すんだ?

 

20:鬼滅ごっこをやってる忍者

気になるね。

 

21:雄英の仮面ライダー

今回は【仮面ライダーリバイス】のピックアップガチャです。

 

22:杜王町の幽波紋使い

>>21

リバイスと言えば……。

 

23:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

確かセイバー以降の作品だっけ?

 

24:サクラギ研究所のリサーチフェロー

俺たち全員リバイスについての情報が無いから能力とか不透明だな。

 

25:海賊系美食屋

どんなライダーか解らないってのは不安だよな。

 

26:雄英の仮面ライダー

>>25

そうですね。

能力等は引けたら試してみたいと思います。

それでは、此方が今回のピックアップ内容です。

 

 

【LR】

仮面ライダーベイル

仮面ライダーセンチュリー

 

【SR】

仮面ライダーリバイス

仮面ライダーライブ/エビル

仮面ライダーデモンズ

 

 

27:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>26

うん、改めて見ても解らないな。

 

28:虚刀流のグラップラー

>>26

俺もさっぱりだ。

 

29:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>26

名前で考察出来ないかな?

 

30:杜王町の幽波紋使い

>>29

そうだな……。

リバイスは英語で『修正』『訂正』を意味する単語で、ライブは『住む』だったり、時には『生きる』を意味するし、エビルは『邪悪さ』や『悪事』を意味する単語だな。

デモンズはおそらく悪魔の「demon」の複数形で、ベイルは『俵』や『梱』を意味する時があるけどこのライダーの場合だと『災い』や『不幸』、『悲痛』、『悲嘆』の方だと思うな。

 

31:太刀川隊の狙撃手

>>30

物騒ですね。

 

32:空座町の無下限呪術師

それで、ライダーくんは今回どのライダーを狙うの?

 

33:雄英の仮面ライダー

今回は主役ライダーであると思われるリバイスを狙って行きたいと思います。

 

それでは、行きます。

せい!

 

【10回目結果】

仮面ライダー歌舞鬼【SR】

仮面ライダーイクサ【SR】

仮面ライダーエデン【SR】

仮面ライダーダークウィザード【SR】

仮面ライダーコーカサス【SR】

仮面ライダー滅亡迅雷【LR】

仮面ライダーアーク【SR】

仮面ライダー龍騎【SR】

仮面ライダー2号【LR】

仮面ライダーバースX【SR】

 

仮面ライダー2号!?

一文字さん!?

 

34:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>33

まさか、前にライダーくんが出会ったレジェンドの1人が来るなんて……。

その時にライダーくんとの縁が繋がったのか?

 

35:虚刀流のグラップラー

>>33

他はダークライダー系が多いな。

 

36:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>33

龍騎もある、懐かしいなぁ。

……あれ?

バースX?

仮面ライダーバースの強化型ですかね?

 

37:雄英の仮面ライダー

>>33

本当ですね。

けど俺の知る限りバースの強化ですと『HERO SAGA』と言うフィギュアの『S.I.C』を挿絵に使用した『仮面ライダー』シリーズの外伝的小説で登場したリバースだけだった筈ですし。

 

38:海賊系美食屋

まあ、そう言うのは変身してる時に追々解るんじゃないか?

 

39:空座町の無下限呪術師

そうだねー。

それじゃあ、ライダーくん!

続けて行ってみよー!

 

40:雄英の仮面ライダー

分かりました。

それでは行きます。

 

【20回目結果】

仮面ライダー羽撃鬼【N】

仮面ライダー風魔【SR】

仮面ライダー牙王【SR】

仮面ライダーグリス(グリスブリザード/グリスパーフェクトキングダム)【SR】

仮面ライダーアークゼロワン【LR】

仮面ライダーレイ【SR】

仮面ライダー斬月・真【SR】

仮面ライダーエスパーダ(アラビアーナナイト)【SR】

仮面ライダーメタルビルド【SR】

仮面ライダー超デッドヒートドライブ【SR】

 

 

【30回目結果】

仮面ライダー邪武【SR】

仮面ライダーソーサラー【SR】

仮面ライダー闘鬼【N】

仮面ライダーマルス【SR】

仮面ライダーリバイス【SR】

仮面ライダーダークゴースト【SR】

仮面ライダーキカイ【R】

仮面ライダーゾンジス【SR】

仮面ライダーハッタリ【N】

仮面ライダーデモンズ【SR】

 

 

やった!

リバイス出た!

しかもデモンズもだ!

 

 

41:太刀川隊の狙撃手

>>40

あとはグリスの強化形態も来てるね。

 

42:杜王町の幽波紋使い

>>40

ガチャの結果的に大勝利じゃあないか?

 

43:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>40

そうですね。

 

44:サクラギ研究所のリサーチフェロー

それじゃあ、今回はこれで解散とするか。

 

45:雄英の仮面ライダー

そうですね。

オール・フォー・ワンや連合について何か解りましたらスレ報告しますね。

それでは、皆さんお疲れ様でした。

 

46:空座町の無下限呪術師

お疲れサマー!

 

47:杜王町の幽波紋使い

お疲れさん。

 

48:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れ様。

 

49:虚刀流のグラップラー

お疲れ!

 

50:太刀川隊の狙撃手

お疲れ様です。

 

51:サクラギ研究所のリサーチフェロー

お疲れ様。

 

52:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

お疲れ!

 

53:鬼滅ごっこをやってる忍者

お疲れ様です。

 

54:海賊系美食屋

お疲れさん!

あ〜、腹減った〜。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 




ライダーくん、【地球(ほし)の本棚】でオール・フォー・ワンについて調べるも情報量の多さに苦戦中
ライダーくんは【地球(ほし)の本棚】でオール・フォー・ワンについて検索するも膨大な情報量に中々真相に辿り着けない状態である事をスレニキたちに報告する。

悪魔の仮面ライダー、リバイスとデモンズの参戦
今回のピックアップガチャでリバイスとデモンズの力を入手したライダーくん。
未知のライダーの力をライダーくんは使いこなせるのか……?


次回『引越し回』
※ヒロアカの小説の内容も含まれます。


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仮免試験編
65スレ


第71話投稿します。

今回は入寮のお話です。
※小説版ヒロアカの内容も含みます。

今回変身する仮面ライダーのヒントは「蠍」「ヒューマギア」「お父さん」


8月中旬。

 

まだ夏休み期間である中、俺は雄英の制服に身に纏い家の前に立っていた。

 

「それじゃあ、オヤッさん。行ってきます」

 

「ああ。体に気を付けろよ」

 

笑って見送るオヤッさんに頭を下げて、俺は雄英へ向かう。

 

「佳面くん!お早う!」

 

振り返ると、葉隠さんが大きく手を振って駆け寄って来る。

 

「お早う、葉隠さん」

 

「お早う!いよいよだね!」

 

「うん。葉隠さんも叔父さんたちから無事に入寮の許可貰えたんだね」

 

「いや〜。お母さんはともかく、お父さんは結構苦戦したよ〜」

 

林間合宿で(ヴィラン)連合のガスによる被害を受けた事で、葉隠さんのお父さんは入寮に中々首を縦に振ってくれなかった様だ。

 

「皆と会うのもなんか久し振りに感じるね!」

 

「そうだね。会うのが楽しみだ」

 

「うん!」

 

会話をしながら、俺と葉隠さんは雄英へ向かう。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「取り敢えず、全員欠けること無く集まれてなによりだ」

 

俺たち1年A組は、これから皆で暮らす寮【ハイツアライアンス】の前に集合すると、目の前に立つ相澤先生が説明を始める。

 

「皆、入寮の許可下りたんだな!」

 

「ふへぇ〜、私は苦戦したよ〜」

 

「まあ、普通そうだよね」

 

「2人ともガスで直接被害があったもんね」

 

久し振りに会ったこともあって、いつもより皆の会話が多く感じる。

 

「無事集まれたのは先生もよ……会見を見た時、居なくなってしまうのかと思って悲しかったの」

 

「うん」

 

蛙吹さんと麗日さんが少し不安そうに相澤先生を見る。

 

「俺もビックリさ。まあ、色々あるんだろうよ……(全体的に、下手に動かすより泳がして尻尾を掴む……って感じだろうな)」

 

相澤先生は何か思う事がある様な雰囲気をしていたが、瞬時に切り替えて説明を続ける。

 

「これから寮について軽く説明するがその前に1つ。当面は合宿で取る予定だった仮免取得に向けて動いていく」

 

「そういやあったなぁ、そんな話」

 

「色々起こり過ぎて頭から抜けてたわ」

 

何人かヒーロー仮免の事を忘れていた様子に、相澤先生は溜め息する。

 

「忘れるなよ。()()()()2()()()()()()()()()()()()()()()。気を抜いていると仮免取得なんて出来やしないぞ。さあ、中に入るぞ。元気に行こう」

 

「「「はい!!」」」

 

返事をした俺たちは相澤先生の後ろを付いて行きながら寮に入る。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「学生寮は1棟1クラス。右が女子、左が男子と分かれている。ただし、1階は共同スペースだ。食堂や風呂、洗濯などは此処で行う」

 

「「「おおおおおおおお!!!」」」

 

「中庭もあんじゃん!」

 

「広っ!キレイ!ソファー!」

 

「豪邸やないかぃ~……」

 

「おっと、大丈夫?麗日さん」←倒れる麗日さんを抱き止める俺

 

「ご、ごめん!!貧血で!!」←赤面しながら自分の頬を殴る麗日さん

 

「麗日君!?」

 

相澤先生が寮内の説明を始める中、想像以上の豪華さに感嘆するA組。

 

「聞き間違いかなぁ……?風呂、洗濯が共同スペース?夢か……?」

 

「何言ってるのかな、峰田?」←久し振りの【草加スマイル】

 

「男女別だ。お前いい加減にしとけよ?」

 

「はい……」

 

1人暴走しかける峰田を俺と相澤先生が止め、続いて部屋の説明に入る。

 

 

「部屋は2階から。1フロアに男女各4人の5階建て。1人1部屋。エアコン、トイレ、冷蔵庫にクローゼット付きの贅沢空間だ」

 

「ベランダもある!凄い!」

 

「我が家のクローゼットと同じくらいの広さですわね」

 

「豪邸やないかい!!」

 

「本当に大丈夫なの麗日さん」←また倒れる麗日さんを抱き止める俺

 

「ほ、ほんまに大丈夫!!貧血が続いてて!!」←赤面しながら両頬を殴る麗日さん

 

「麗日君!!」

 

「部屋割りは此方で決めた通り。各自事前に送って貰った荷物が部屋に入ってるから取り敢えず今日は部屋作ってろ。明日また今後の動きを説明する」

 

「以上!解散!」

 

「「「ハイ先生!」」」

 

説明が終了し、各々部屋作りに励むのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「うーん」

 

自分の部屋に入った俺は、事前にオヤッさんに送って貰ったロフト式のベットと机、1人用ソファと専用のテーブル、TVと置く為の台、タンスと荷物の入った段ボール数個を見ながら首を傾げる。

 

「やっぱり普段の部屋じゃ無いから違和感あるんだよな……どうするか」

 

一先ず動きやすい服装に着替えた俺は一通りの部屋作りをするも、完成した部屋に何処か違和感を覚える。

 

(皆はもう部屋出来てる頃かな?)

 

そう思いながらベランダに出て景色を眺めていると、下の方で焦凍が焦った表情で走っているのを目撃する。

 

「焦凍?どうしたんだろう……」

 

気になった俺は急いで1階へ向かい、外へ出る。

 

森の方へ行ってみると、焦凍が焦った表情で何か探していた。

 

「一体何処に……」

 

「焦凍」

 

「来太?」

 

俺が声をかけると焦凍が振り返って少し驚いた表情で俺を見る。

 

「何でお前が?」

 

「こっちのセリフだよ。焦凍こそ何を探しているの?」

 

「……写真だ」

 

「写真?」

 

「アルバムに入ってたやつが風で飛ばされた……」

 

如何やら写真を探していた様だ。

 

「俺も探すよ。1人で探すより効率良いでしょ?」

 

「良いのか?」

 

「良いよ。友達が困ってるのに見過ごせないって」

 

「……ありがとう」

 

そうと決まった俺は焦凍と共に写真を探し始めるも、中々見つからない。

 

(見つからないな……メモリガジェットやシフトカーを使って探すべきかな?)

 

そう考えていると遠くからガシャン、ガシャンと機械音がした。

 

「おっと!?」

 

次の瞬間、凄いスピードで飛んで来た何かを咄嗟に掴み取る。

 

「大丈夫か?」

 

「うん、平気。これって……」

 

掴んだ物を見てみると、拳程の大きさのメカであった。

 

「何だこれ?」

 

「私のベイビーです!」

 

声のする方へ振り返ると、タンクトップ姿で頭にゴテゴテしたゴーグルを嵌めた女子生徒、サポート科の発目さんが走って来る。

 

「発目さん」

 

「おや!貴方は体育祭の……誰でしたっけ?」

 

「ヒーロー科の佳面だよ。体育祭の騎馬戦でチームを組んだ」

 

忘れられた事に少しショックを受けるも、自己紹介し直しながら手にした機械を彼女に渡す。

 

「ありがとうございます!これは第48子のベイビーでしてね、(ヴィラン)を捕まえる時に……あぁっ、ベイビーたちが!」

 

突然ハッとする発目さんに反応して俺と焦凍は振り向くと、彼女が造ったであろう機械が目の前を通り過ぎた。

 

それだけでなく、少し離れた場所からも機械音が聞こえる。

 

「待ってください!私のベイビー!」

 

発目さんが通り過ぎた機械を追い掛ける。

 

「おい、あっちにもあんぞ」

 

焦凍が発目さんに声を掛ける。

 

「捕まえて下さい!」

 

「え?」

 

「は?おい」

 

唖然とする俺と焦凍を置いて発目さんは機械を追い掛けて行く。

 

「仕方ない、機械を止めよう」

 

「……ああ」

 

写真探しの途中の為、焦凍は納得出来ない表情をするも機械の進行方向に氷結の壁を出して、動きを止める。

 

(相手が機械なら……()()で行ってみるか)

 

そうと決めた俺は、数秒ほど目を閉じてイメージする。

 

すると、左耳にピアス型デバイスが出現し目を開くと、視界には様々な情報が表示される。

 

今の俺は人間ではなく、人工知能搭載人型ロボ【ヒューマギア】へと変わった。

 

俺はそのまま周囲の機械をハッキングし、機能を強制停止させる。

 

「動きが止まった?」

 

「取り敢えず周辺の機械全ては止めたけど、20m先にもまだ居るみたいだから追い掛けよう。場所は分かるから付いて来て」

 

「ああ」

 

俺は焦凍を機械が居る場所へ案内する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「私のドッ可愛いベイビーたちを捕まえてくれてありがとうございます!」

 

近くに散らばった物を粗方集めた後、お互いに簡素に挨拶を済ませる。

 

発目さんの話によると、引越しの為サポートアイテムを運んでいたら転んでしまい、その拍子でスイッチが入って勝手に動き出したらしい。

 

「これ全部発目さんが造ったの?」

 

「凄えな」

 

リアカー1台分くらいあるサポートアイテムを見て俺と焦凍は驚く。

 

「フフフ、愛と才能の結晶です!特にこの子なんて、自信作なんですよ!」

 

そう言いながら発目さんは山積みのアイテムの中から大きな段ボール程の大きさのあるタイヤ付きボックスを取り出す。

 

「このボタンを押すとですね」

 

発目さんがそう言って操作すると、ボックス型のアイテムは機械音を立てながら変形し、あっという間に小型クレーンの様な姿となる。

 

「見た目はコンパクトですが、これは巨大な(ヴィラン)を捕縛するのを想定したベイビーでして、この長いアームの先から絶対外れない拘束具が出るんですよ!フフフ、凄いでしょう!そしてこのグローブ型のベイビーは、握力を数倍に出来るサポートアイテムなんですよ!これで力自慢の(ヴィラン)もノックダウン間違いなしです!それと、これはですね……」

 

マシンガントークかと錯覚するくらい早口且つ一方的に説明する発目さんに、俺と焦凍は言葉が出なかった。

 

すると焦凍が何とか口を開く。

 

「これで全部か?」

 

「えーっとですね……」

 

サポートアイテムを見る発目さんの眉がピクリと動く。

 

「あと1つ足りません」

 

「どんなの?」

 

「物凄く小さなベイビーでしてね、けれど重量は見た目を裏切る重さなんですよ。捕まえた(ヴィラン)を逃がさない様に重しを付けてはどうかと、開発したアイテムなんです!」

 

「どの位の大きさだなんだ」

 

「大きめな梅干しっと言ったところでしょうか」

 

「梅干し……」

 

「梅干しか……」

 

俺と焦凍は周囲を見回しながら考える。

 

「それ程重いなら遠くまで行かないと思うけど」

 

「そうだな。此処は手分けして探した方が良さそうだな」

 

「では、私はこちら側を探してみます!私の"個性"はズーム出来る目なんですよ!5km先までバッチリです!」

 

「それじゃあ俺はこの辺りをもう少し探してみるよ」

 

「俺は裏側行ってみる」

 

そう言って俺たちは3手に分かれて捜索を開始する。

 

「なぁ、もし写真みてぇなもんがあったら教えてくれ」

 

焦凍は発目さんに写真の捜索を頼む。

 

「写真ですか?良いですよ!もしかして何かお探しでしたか?」

 

「あぁ……」

 

「俺と焦凍はそれを探してたところに発目さんの機械と出会したんだよね」

 

「成る程!」

 

「おやまぁ、こんな所で何やってんだい?生徒は今頃引っ越し中じゃないのかね」

 

すると、俺たちは誰かの声を掛けられたので振り返ると、リカバリーガールが不思議そうな顔をして現れた。

 

「それがですね……」

 

発目さんが事情を説明する。

 

「そう言うことかい。それじゃあ私も手伝うよ」

 

理解したリカバリーガールは捜索に加勢してくれた。

 

しかし、数分捜索するも、発目さんのサポートアイテムも焦凍の写真も見つからなかった。

 

「何処行ったんだろ……ん?」

 

すると当然、機械音と何か壊れる音が聞こえるしたので音のする方へ行ってみると、焦凍とリカバリーガールが縄で拘束されていた。

 

「焦凍!リカバリーガール!」

 

「来るな!」

 

2人に駆け寄ろうとした瞬間、焦凍の声で静止する。

 

よく見てみると、拘束された焦凍とリカバリーガールを小型クレーン型のアイテムが吊し上げており、近くに発目さんが居た。

 

「発目さん!これ如何なってるの!?」

 

「実は回路が壊れてベイビーたちが勝手に動いてしまいまして!」

 

最悪な展開に顔を顰めながらも、何とか焦凍たちを救出する為に小型クレーン型アイテムのハッキングを試みるが機能停止しない。

 

回路が壊れた事でハッキング出来ない状態になっている様だ。

 

「仕方ない……発目さん!緊急事態だから少し乱暴になるけど良い!」

 

「大丈夫です!壊れてもベイビーは私が直してみせます!」

 

発目さんから許可を貰った俺は黄色と黒色のカラーリングの無骨なベルト【フォースライザー】と【スティングスコーピオンプログライズキー】を実体化させる。

 

 

『フォースライザー』

 

 

【フォースライザー】から銀色の結束バンド【リストレントバンド】が腰に伸びてベルトを装着させ、右手に持つ【スティングスコーピオンプログライズキー】を起動する。

 

 

『ポイズン!』

 

 

「変身」

 

 

俺は【スティングスコーピオンプログライズキー】を【フォースライザー】にセットし、右手側にあるレバー【フォースエグゼキューター】を引く。

 

 

『フォースライズ!』

 

 

【エクスパンドジャッキ】によって【プログライズキー】を認証することなく強引に開き、露出した接続ポートに強制接続する。

 

 

読み込んだプログライズキーの【ライダモデル】に限界までブーストを掛けられた事でオーバーロード状態の蠍型の【ライダモデル】がベルトから現れ、その尻尾の針で俺の体を突き刺し覆い被さる。

 

すると、俺は紫色のスーツ【アグメントスーツ】を纏い、黒いケーブル【リストレントケーブル】がゴムの様に伸縮し、ケーブルに接続した【ライダモデル】で形成された拘束具の様な装甲【チェインブロッカー】が【アグマントスーツ】に強制的に装着する。

 

 

『スティングスコーピオン!』

 

 

『"Break Down." 』

 

 

人類の滅亡を目論む組織【滅亡迅雷.net】の司令塔として暗躍し、最後には世界の悪意を見張り続けた仮面ライダー【仮面ライダー滅 スティングスコーピオン】に変身完了する。

 

「うおおおお!!デバイスを使用した変身ですか!?如何言う仕組みなのか後で調べさせて下さい!!」

 

「うん……こう言う時なのにマイペースだね、発目さん」

 

変身した俺を見て興奮する発目さんに、苦笑しながら小型クレーン型アイテムと対峙する。

 

 

すると小型クレーン型アイテムが急に動き始め、俺の方へ突進して来る。

 

(アイテムの脳である中枢部分は……そこか!)

 

【スコーピオンスコープ】のスキャニング機能を駆使してアイテムの中枢部分を捕捉し、俺は直ぐに【エクスパンドジャッキ】を押し込み、もう一度引く。

 

 

『スティングディストピア!』

 

 

左腕に装着された伸縮刺突ユニット【アシッドアナライズ】の先端から伸縮自在の針が伸びて右脚の【フォースレッグ】に巻き付く。

 

「ハアッ!」

 

タイミングを測り、俺は小型クレーン型アイテムの中枢部分目掛けて右脚で前蹴りを放つ。

 

 

 

 

 

 

 

右脚に巻き付けられた針が小型クレーン型アイテムの中枢部分に突き刺さる。

 

 

スティング

ディストピア
 

 

 

突き刺さる針から電子機器やロボットにも有効なウイルスデータの毒を注入させると、小型クレーン型アイテムが機能を停止する。

 

「止まった……」

 

「ふぅ、何とかなったみたいだね」

 

吊るされた焦凍とリカバリーガールが安堵の表情をする。

 

「今縄を切るから、2人ともそのままにしてて」

 

 

アローライズ!

 

 

携行武器【アタッシュウェポン】の1つである【アタッシュアロー】を展開させ、両端の刃で縄を斬り裂き、解放されて落ちる2人を抱き止める。

 

「悪い、来太。助かった」

 

「ありがとねぇ。一時は如何なるかと思ったよ」

 

「無事で良かったです」

 

 

この後発目さんは工房からパワーローダー先生を呼んで事情を説明、発目さんはパワーローダー先生からお叱りを受けて山積みのアイテムを工房へ運ぶのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「写真、無事に見つかって良かったね」

 

「ああ」

 

写真を発見した発目さんから受け取った焦凍はホッと笑みを浮かべる。

 

「いやいや、とんだ目に遭ったねぇ。2人ともありがとね。ハリボーだよ、お食べ」

 

リカバリーガールはポケットに入ったグミを取り出し、俺と焦凍に渡す。

 

「ありがとございます」

 

「俺は、別に。助けてくれたのは来太です」

 

「そうかい?あんたは私を守ってくれてたじゃないか。あんたも含めて雄英に居る子は皆頑張ってる。今も、昔もね。頑張っていない子なんて1人も居ない。だからね、偶には自分を認めて上げても良いんだよ」

 

「……はい」

 

リカバリーガールの言葉に、焦凍はそう言って受け取ったグミを食べる。

 

「そういや、引っ越しは終わったのかい?寮生活やって行けそうかい?」

 

「あ〜……実は部屋が馴染まなくてですね」

 

「お前もか?」

 

同じ考えに焦凍が少し驚いた顔をする。

 

「焦凍も?」

 

「ああ。実家が日本家屋でフローリングが落ち着かなくてな」

 

「あ〜、それだと直ぐには馴染まないよね」

 

部屋の問題を思い出して悩む俺と焦凍にリカバリーガールが提案する。

 

「それなら良いのがあるよ」

 

そう言って連れて来られたのは、巨大な倉庫の一角であった。

 

「此処は……?」

 

「粗大ゴミ置き場だよ」

 

目の前にはまだ新しそうな畳、障子戸や四角い木枠の照明等があり、他には沢山の杉板やシーリングファンライトも置かれていた。

 

「授業で使ったもんだけど、持って行って良いよ。あたしから担任に連絡するから」

 

「良いんですか!?ありがとうございます!」

 

「……ありがとうございます」

 

俺と焦凍は頭を下げ、2人で必要な物を持ち出して行く。

 

(DIYの知識をラーニングしておかなくちゃ)

 

納得のいく部屋造りまでもう一頑張りだと、俺と焦凍は気合を入れるのであった。




仮面ライダー紹介

仮面ライダー滅

レア度【SR】

出典『仮面ライダーゼロワン』


次回、部屋王決定戦!!


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66スレ

第72話を投稿します。

今回は1年A組による部屋王決定戦!!回です。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

何とか引っ越し兼部屋造り終わりました〜。

  

2:サクラギ研究所のリサーチフェロー

お疲れ様。

  

3:杜王町の幽波紋使い

今日から寮生活か。

大変そうだな。

  

4:太刀川隊の狙撃手

大丈夫?

  

5:雄英の仮面ライダー

はい。

そう言えば、他のニキたちは?

  

6:杜王町の幽波紋使い

他の皆は全員仕事や修業とか冒険とかで忙しいみたいだ。

  

7:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>6

これ程少ないのは珍しいですよね。

  

8:太刀川隊の狙撃手

仕方ないと思いますよ。

それで、ライダーくんの部屋ってどんな感じかな。

  

9:雄英の仮面ライダー

気になりますか?

でしたら画像送っときますね。

【画像添付】

  

10:杜王町の幽波紋使い

>>9

おー。

  

11:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>9

えぇ……(驚愕)

  

12:太刀川隊の狙撃手

>>9

ライダーくん……これ、業者に頼んだの?

  

13:雄英の仮面ライダー

いえ、自分でやりました。

少し焦凍にも手伝って貰いましたが。

  

14:杜王町の幽波紋使い

何だろうな……【大改造!!劇的ビフォーアフター】でも観てるみたいだ。

 

15:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>14

幽波紋ニキ、気持ちは解ります。

画像だけでも匠の技が伺えますもん。

 

16:雄英の仮面ライダー

>>15

そうですかね?

素人の出来ですけど。

 

17:太刀川隊の狙撃手

>>16

取り敢えず、A組の皆が見たら驚くんじゃないかな。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

部屋造りを無事に終えると、既に外は陽が落ち夜となっていた。

 

ロビーでは部屋を完成させた人たちが寛いでいる。

 

「何とか終わったな!」

 

「お疲れ〜」

 

「経緯はどうあれ、共同生活って何かワクワクしちまうよな!」

 

「うん!」

 

「共同生活……これも協調性や規律を育む為の、訓練!」

 

「気張るな飯田!」

 

皆で話していると、女子たちが此方に近づく。

 

「男子〜部屋出来た〜?」

 

「ああ!今寛ぎ中!」

 

切島がそう答えると、芦戸さんと葉隠さんが1つ提案を持ち掛ける。

 

「あのね、さっき女子で話してて」

 

「提案なんだけど!」

 

「お部屋披露大会しませんか?」

 

「「「え?」」」

 

突然の事に、一部が固まる。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

最初の餌食となったのは、緑谷である。

 

 

「ウワァァァァ!?待って待って待って待って!」

 

 

動揺する本人を無視してドアを開けると、フィギュアは勿論、ポスター、カーテンなど様々なオールマイトグッズが飾られていた。

 

所謂【オタク部屋】である。

 

「「おお〜〜〜!!」」

 

「オールマイトだらけだ!オタク部屋だ!」

 

「あ、憧れなもので……恥ずかしい

 

部屋を見られた緑谷は赤面になった顔を俯く。

 

「何か始まったね」

 

「けどヤベェ、楽しくなって来た」

 

苦笑する俺に瀬呂が何処かワクワクした顔をする。

 

緑谷の部屋を一通り見て、次は……。

 

「フン、くだらん……」

 

「「………」」

 

自身の部屋のドアに背を預ける常闇。

 

しかし常闇の抵抗は虚しく、芦戸さんと葉隠さんが力づくで退かされる。

 

「「暗っ!?怖っ!?」」

 

「貴様ら……」

 

ドアを開けると、一面暗闇で包まれていた。

 

怪しげな髑髏の照明に剣や龍のキーホルダー等、厨二感溢れるインテリアとなっていた。

 

「常闇、あまり暗過ぎると課題やる時に文字が見えづらくならない?」

 

「黙れ!!」

 

俺が質問すると部屋を見られた事に耐えられなくなったのか、常闇は珍しく叫んだ。

 

そして、次は……。

 

「アハハーン!」

 

「「「眩しっ!?」」」

 

青山の部屋は常闇の部屋とは真逆で、ミラーボールや鏡等の眩しさに包まれていた。

 

「ノンノン!眩しいんじゃなくて、ま・ば・ゆ──」

 

「思ってた通りだ」

 

「想像の範疇を出ない」

 

部屋を自慢する青山を無視して皆が次の部屋に移り始める。

 

「楽しくなって来たぞ〜!あと2階の人は──」

 

あと2階に住むのは、()()1()()

 

何やら気配を感じたので振り向くと、禍々しいオーラを放つ峰田が血走った目をしながら部屋のドアから顔を覗かせていた。

 

「入って来いよ……凄えの見せてやるよ……」

 

「3階行こう!」

 

手招きする峰田を全員で無視して3階を目指す。

 

(あれは見たら駄目な気がする……)

 

「入れよ……なあ……」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

続いて3階。

 

トップバッターは尾白である。

 

「普通だ」

 

「普通だ!」

 

「これが普通なんだね」

 

THEシンプルな部屋に女子たちは普通を連呼する。

 

「特に言う事なければ言わなくて良いんだよ……」

 

心なしか、尾白は尻尾と共に元気が無くなっていた。

 

次は、委員長である飯田の部屋。

 

「「おお〜!」」

 

「難しそうな本がズラッと、流石委員長!」

 

「おかしな物なんて無いぞ!」

 

本棚には法律に関する本などがキチンと並べられており、いかにも飯田の部屋って感じであった。

 

それと、同じ眼鏡が棚一杯に飾られていた。

 

「ブフッ!眼鏡クソある……!」

 

「何を言う!激しい戦闘による損傷を考慮してだな!!」

 

「飯田、それならコンタクトにした方が良いんじゃない?」

 

「い、いや……目に物を入れるのが怖くてだな……」

 

「「「可愛い!!」」」

 

眼鏡あるあるなトークが終わり、遂に俺の番となる。

 

「お次は佳面だぁ!!」

 

(佳面くんの部屋、どんなのだろう?お店には何度も行った事あるけど部屋はまだ見た事ない……!!)

 

(佳面ちゃんのお部屋……どんなのかしら……)

 

(佳面くんの部屋……どんなのやろ!)

 

「他の皆と大差無いよ?」

 

何やら期待の眼差しを感じながらも、俺はドアを開ける。

 

 

「「「ログハウスだ!?」」」

 

 

「此処だけ空間違えぞ!?」

 

「どうなってんだ!?」

 

俺の部屋は床も含めて部屋一面が杉板になっており、天井には粗大ゴミ置き場で杉板と一緒に捨てられていたシーリングファンライトが吊るされファンを回しながら部屋を照らしている。

 

他には家具としてロフト式のベッドに下には勉強用の机、壁際にはTVとその台、部屋の中央にはTVの正面に配置された1人用のソファーと専用のテーブル、タンスと余った杉板で造った棚と収納ボックスが置かれている。

 

「レコードプレイヤーもあるし、棚に飾られてるのは……嘘!?ルイ・アームストロングとデューク・エリントンのレコード!?」

 

「それは今までの誕生日プレゼントでオヤッさんから貰ったやつだよ」

 

「他にはコーヒーを作る道具が一式置いてあるぞ!」

 

「実家が喫茶店だからね」

 

「つうか!棚も収納ボックスもよく見たら手作りじゃねぇか!?」

 

「杉板が余ったから折角だし造ってみたんだよね」

 

「大人の隠れ家感半端ねぇ!!」

 

「やっぱり木特有の暖かみがあってホッとするよね」

 

「「じゃねーだろ!」」

 

「当日リフォームとかお前どうしたんだよ!?」

 

俺の部屋を見て皆が驚く。

 

「DIY凄く頑張ったのと、少し焦凍にも手伝って貰ったから今日中に終わったんだよね。改めてありがとう、焦凍」

 

「いや、俺の方も手伝って貰ったしな」

 

「「なんだコイツ……」」

 

「ケロ。ねぇ、佳面ちゃん。机に置かれてる写真立てだけど」

 

俺の返答に呆れる皆を他所に、蛙吹さんが机に置かれた写真立てについて聞いてくる。

 

「写真立てがどうかした?」

 

「写真立て……と言うより、飾られてる写真が気になったの」

 

「どんな写真?」

 

「見たい見たい!」

 

見ながら写真に興味を持ったので写真立てに入った写真を見せる。

 

「集合写真か?」

 

「写ってるのは佳面と……誰だ?」

 

「色んな人たちが写ってるけど」

 

「この人たちは俺の恩師と言うか……師匠みたいな人たちかな」

 

俺と一緒に写っていたのは、本郷猛さん、一文字隼人さん、風見士郎さん、結城丈二さん、神敬介さん、アマゾンさん、城茂さん、筑波洋さん、沖一也さん、滝和也さん、そして……村雨良さん。

 

林間合宿前に別の世界で出逢い、共に戦った仮面ライダーたちと特殊部隊【SPIRITS】の隊長。

 

この写真は、俺がこっちの世界に戻る直前にもう1人のオヤッさんこと立花藤兵衛さんに俺のスマホで撮って貰い現像したものである。

 

「ほら、俺の部屋はこの辺にして次に行こう。次は口田だよね」

 

「ええーー!もっと佳面の部屋見たい!」

 

「また今度ね」

 

駄々を捏ねる芦戸さんを宥めながら、次の口田の部屋へ移動する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

口田の部屋には1匹の兎が居て女子たちがホワホワと和んでいると、峰田や他の男子たちが"自分たちだけ貶されて不公平だ"と言い、女子部屋も含めた部屋王決定戦が開始させる事になった。

 

4階のトップバッターは、切島だ。

 

「じゃあ、切島部屋! ガンガン行こうぜ!!」

 

「どーでもいいけど、多分女子には解んねぇと思うぞ」

 

 

「この男らしさは!!」

 

 

叫びと共に披露される切島の部屋には、ダンベルやハンドグリップ、本革製のサンドバッグ等のトレーニング器具が置かれ、壁にも『必勝』や『漢は燃えてこそ!』といった標語の書かれたポスター等が貼られていた。

 

「うん」

 

「彼氏にやってほしくない部屋ランキング2位くらいにありそう」

 

「熱いね! 暑苦しいくらい!」

 

案の定、女子達からの評価は麗日さんを含む一部を除いて芳しいものでは無かった。

 

「ホラな!」

 

切島も理解して貰えなかったショックで少し泣いている様に見えた。

 

「次! 障子!!」

 

「何も面白いものはないぞ」

 

そう言っていた障子の部屋へ入ってみると、

 

「面白いものどころか!!」

 

その中身は尾白以上のシンプルな部屋に皆が逆に驚愕する。

 

「ミニマリストだったのか」

 

「まぁ、幼い頃からあまり物欲が無かったからな」

 

「そう言う奴に限ってドスケベなんだぜ」

 

「何布団を調べてるの峰田」

 

焦凍の一言で障子がミニマリストである事が判明し、次の部屋に移動する。

 

次は瀬呂の部屋である。

 

「「おお〜!!」」

 

「エイジアン!」

 

「素敵!」

 

「けど佳面の部屋を見た後だと印象薄くなるよね」

 

「佳面お前なぁ!あんなの見せられたら俺の部屋がショボくなっちまっただろうが!」

 

「えっと、何かごめん」

 

怒る瀬呂に謝る。

 

「次は轟くんの部屋だね!」

 

「早くしてくれ、眠い」

 

焦凍は眠そうにドアを開けると

 

 

「「和室だ!!」」

 

 

「お前もかよ!」

 

俺同様にリフォームした焦凍の部屋は、フローリングの床に畳を敷いた上に障子戸や四角い木枠の照明を取り付けた和室となっていた。

 

ちなみに壁も砂壁となっている。

 

「実家が日本家屋でよ、フローリングは落ち着かねぇ」

 

「じゃねーよ!」

 

「お前も当日即リフォームとかどうやったんだよ!」

 

「来太にも手伝って貰ったし……頑張った」

 

「馴染みのある方が落ち着くよね」

 

「ああ」

 

「「何なんだコイツら……」」

 

「大物になりそう……」

 

「イケメンたちのやる事は違ぇな……」

 

焦凍の部屋が終了し、次で男子の部屋は最後となる。

 

「じゃあ、次! 男子最後は!」

 

「……俺」

 

砂藤は気乗りしない雰囲気でドアを開ける。

 

「まー、つまんねー部屋だよ」

 

「佳面と轟の後は誰でも同じだぜ」

 

「ていうか、良い香りするけど…」

 

「あぁイケねっ! 忘れてた!」

 

尾白の声に砂藤は慌てて置いてあったオーブンを開ける。

 

「シフォンケーキ焼いてたんだ! 皆食うかと思ってよ」

 

中からは焼きたてのシフォンケーキが甘い香りと共に姿を現す。

 

「ホイップとかあるともっと美味くなるけどよ……食う?」

 

「「「食う!!」」」

 

女子たちがシフォンケーキを持った砂藤に群がり、俺たち男子もシフォンケーキを食べる。

 

「あんまぁい! フワッフワ!」

 

「瀬呂のギャップを軽く凌駕した!」

 

「流石の腕前ですわ、砂藤さん! 今度私のお紅茶と合わせてみましょう!」

 

「コーヒーやほうじ茶ラテと合わせるのも良いかもね。それと生地にココアパウダーとか抹茶の粉末を練り混ぜると美味しくなると思う」

 

「佳面それ良いな!今度やってみるぜ!」

 

甘過ぎない優しい味に全員ホッコリする。

 

砂藤の部屋も見終わり(ケーキ食べただけになったが)、今度は女子たちの番である。

 

最初は、耳郎さんの部屋。

 

「マジで全員やるの……大丈夫?」

 

「大丈夫でしょ、多分」

 

「………ハズいんだけど」

 

いまいち乗り気になれないながらも、耳郎さんはドアを開ける。

 

「思ってた以上にガッキガッキしてんな!」

 

部屋には何と、ギターやドラム等の楽器が置かれていた。

 

「耳郎ちゃんはロッキンガールなんだねえ!」

 

「これ全部弾けるの!?」

 

「まぁ、一通りは……」

 

女子たちから好印象を持たれた事に恥ずかしそうに応答する耳郎さん。

 

「女っ気ねぇな」

 

「ノン淑女☆」

 

峰田と青山が辛辣なコメントをすると、2人に耳郎さんがイヤホンジャックを突き刺し、心音を叩き込む。

 

「次行こ、次」

 

素気ない態度で耳郎さんは部屋を出るので俺たちも次の部屋へ移動する。

 

「次は私!葉隠だ!」

 

自信満々に披露された葉隠さんの部屋は、ぬいぐるみが沢山置かれた可愛らしいものであった。

 

「どーだ!」

 

「「おおっ!!」」

 

「普通に女子部屋だ」

 

「何かドキドキして来た……」

 

他の男子が葉隠さんの可愛らしい部屋にドキドキしている中、峰田がタンスの前に立ち何かをしようとするのが見てたので止める。

 

「峰田、何やろうとしてるのかな?」

 

「放しやがれ佳面!オイラは女子の甘い香りを堪能してねぇんだよ!!」

 

最低な理由を言い放ちながらキレる峰田に、流石の俺もプッツンした。

 

「……良い加減にしろよ」

 

「「「ッ!!?」」」

 

危うく【仮面ライダーアークゼロワン】に変身しそうな位の悪意を込めた一言に、周りの皆がビクッとする。

 

峰田に関しては白目向いてガタガタ震えていた。

 

気を取り直して、芦戸さんの部屋に移動する。

 

「じゃーん!可愛いでしょーが!」

 

「「お、おお……」」

 

部屋全体が極彩色で統一されている事に、皆は反応に困った様子である。

 

「味気の無い部屋でございます〜」

 

「「おおっ」」

 

麗日さんのちゃぶ台や扇風機など馴染み深い物が揃えられた部屋は、何処か懐かしさと居心地の良さを感じるものであった。

 

「なんとこう、あまりにも普通に普通の女子部屋見て回ってると……背徳感出てくるね……」

 

「禁断の花園……」

 

「それ今更過ぎないかな」

 

何やかんやで折り返しを過ぎ、残りは蛙吹さんと八百万さんとなった。

 

「次は私ね」

 

蛙吹さんがドアを開けると、観葉植物や時計、カーテン等、緑色が多い部屋で蛙吹さんのイメージカラーを思わせる色彩であった。

 

そこで俺は部屋のエアコンが動いていない事に気づく。

 

「蛙吹さん、エアコン使わないんだ」

 

「寒いと冬眠しちゃいそうなの。それと加湿器は常備してるわ、ケロッ」

 

"個性"の性質上、冷房は使わないらしく、部屋の所々に加湿器が置かれ湿度を保っている様だ。

 

「じゃ、最後は八百万か!」

 

最後を飾るのは八百万さんなのだが、その八百万さん本人の様子がおかしい。

 

「それが……私、見当違いをしてしまいまして……」

 

「「「見当違い?」」」

 

皆で首を傾げていると、八百万さんは恥ずかしそうにドアを開ける。

 

「皆さんの創意溢れるお部屋と比べて……少々手狭なってしまいましたの」

 

ドアの先にあった部屋は、まるで貴族が使っているような天蓋付きベッドに面積の殆どを占領されていた。

 

「デケェーッ!?つうか狭っ!どうした八百万!」

 

「私の使っていた家具なのですが、まさかお部屋の広さがこれだけ……だったとは思っておらず……」

 

(((お嬢様なんだね……)))

 

実家とのギャップに苦労する八百万さんなのであった。

 

「そう言えば、爆豪は?」

 

「序盤の時に"知るか!寝る"つって自分の部屋に行った」

 

何処までもスタンドプレーをする爆豪なのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

全員のお部屋訪問を終え、1階に戻った俺たちは早速投票を行う。

 

「えー、皆さん投票はお済みでしょうか!? 自分への投票は無しですよ!?」

 

「それでは! 第一回部屋王の発表です!」

 

遂に、部屋王が発表される時が来た。

 

「得票数6票! 圧倒的独走! 単独首位を叩き出したその部屋は──」

 

果たして、A組の部屋王になるのは一体誰なのか……。

 

 

「砂藤ォォォ力道ォォォ!!」

 

 

「はぁぁぁ!?」

 

 

意外にも砂藤君が断トツ1位となった事に、砂藤当人も驚愕する。

 

「ちなみに全て女子票! 理由は"ケーキ美味しかった"だそうです!!」

 

 

「「「「「部屋は!!?」」」」」

 

 

芦戸さんから伝えられた投票理由に、その場の男子全員がツッコミの声を上げる。

 

「砂藤、テメー!ヒーロー志望が贈賄してんじゃねー!!」

 

「卑怯だと思わねーのかよ!!」

 

「知らねーよ! 何だよ、すげえ嬉しい!」

 

瀬呂と峰田は砂藤の首元を掴んで抗議しているが、砂藤は嬉しそうな表情をしていた。

 

「終わったか?なら部屋に戻る。眠みぃ」

 

「うむ!甘い物を食べたから寝る前に歯磨きするのを忘れずにな!」

 

「終わるまで待ってたんだ」

 

「まあ、取り敢えずお疲れ様。明日もあるし、寝る準備しようか」

 

こうして部屋王決定戦は無事終了。

 

明日から仮免試験に向けて、本格始動する。




ログハウス風の部屋に仕上げたライダーくん
粗大ゴミ置き場から大量の杉板とシーリングファンライトを入手したライダーくんはこれらを使って自分の部屋を大改造。
部屋一面がログハウス風となっていた。
(※ログハウス豆知識:部屋が木材の場合外壁の高い断熱性も特徴で、木材に含まれた空気が天然の断熱材になり、冬は暖かく、夏は直射日光をさえぎって涼しく暮らす事が可能です)
しかも余った板で棚や収納ボックスを作る徹底ぶり。


●作中の描写で登場した人物紹介
ルイ・アームストロング
アメリカのジャズトランペット奏者・作曲家・歌手。

デューク・エリントン
アメリカのジャズ作曲家、編曲家、ピアノ奏者、オーケストラ・リーダー。


次回は待望の必殺技回
そして、次回登場する仮面ライダーのヒントは「オンドゥル」です。


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67スレ

今週のリバイス本編、遂に【サンダーゲイルバイスタンプ】による新フォーム【仮面ライダーリバイス】が爆誕!!
しかも変身ポーズに仮面ライダー1号と2号のポーズを取り入れるとか、マジでカッコ良すぎる!!
そしてジョージ・狩崎がデモンズに変身!しかも変身ポーズがクウガと同じで朝からテンション爆上がりですよ(ジョージ・狩崎役の俳優がガチのライダーファンでしかもクウガ大好きと言うライダーファンの好感度を上げる要素しかない)。
オルテカ、予想通りギフに喰われて退場。
うん、終始クズ野郎だったから個人的にあまり悲しさを感じなかったです。

そして、TTFCオリジナル作品【仮面ライダーベイル】第1話鑑賞しました。
一言で言うと、話重過ぎ……。
まだ第1話しか配信されてませんが、アマゾンズ並にヘビーシナリオになりそうだなと思いました。
後、ベイルが敬語使ってて気味悪過ぎて今後が怖いです……。


さて、第73話を投稿します。

今回から必殺技回です。

今回ライダーくんが変身する仮面ライダーのヒントは「スペード」「ヘラクレスオオカブト」「ウェェェイ‼︎」です。


引っ越しの翌日、目覚めた俺たちA組は顔を洗い、ランチラッシュ先生が用意した朝食を食べ終えると、全員で登校する。

 

「昨日話したと思うが、ヒーロー科1年A組は仮免取得を当面の目標にする」

 

「「「はいっ!」」」

 

朝のHRで相澤先生が教壇に立ち、俺たちに改めて仮免の話をする。

 

「ヒーロー免許ってのは人命に直接関わる責任重大な資格だ。当然取得のための試験はとても厳しい。仮免と言えど、その合格率は例年5割を切る」

 

「仮免でそんなキツいのかよ……」

 

あまりに厳しい合格率に峰田が思わず声を漏らす。

 

「そこで、今日から君らには1人最低でも2つ……」

 

 

「必殺技を作って貰う!」

 

 

相澤先生が言うと同時に教室のドアが開き、セメントス先生・エクトプラズム先生・ミッドナイト先生が教室に入って来た。

 

「「「必殺技!?」」」

 

「「学校っぽくてそれでいて!」」

 

「「ヒーローっぽいのキタァァァァァ!!!」」

 

皆も必殺技の開発にテンションを上げる。

 

「必殺技!コレ即チ必勝ノ型、技ノコトナリ!」

 

「その身に染みつかせた技、型は他の追随を許さない。戦闘とはいかに自分の得意を押しつけるか」

 

「技は己を象徴する。今日日必殺技を持たないプロヒーローなど絶滅危惧種よ!」

 

「詳しい話は実演を交え合理的に行いたい。戦闘服(コスチューム)に着替え体育館γへ集合だ!」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

俺たちは戦闘服(コスチューム)に着替え、体育館γに集まった。

 

「体育館γ。通称"トレーニングの台所ランド"、略してTDL

 

(TDLはマズそうだ!)

 

(某夢の国に連れ去られそうだなぁ……)

 

USJ以上のビッグネームと同じ呼称に俺たちは危機感を覚える。

 

「此処は俺考案の施設。生徒1人1人に合わせた地形やモノを用意出来る。台所ってのはそういう意味だよ」

 

セメントス先生は自身の個性で実演しながら説明する。

 

「質問をお許しください!なぜ仮免取得に必殺技が必要なのか!意図をお聞かせ願います!」

 

飯田が挙手して今回の特訓の意図について質問する。

 

「順を追って話すよ、落ち着け……ヒーローとは、事件・事故・天災・人災、あらゆるトラブルから人々を救い出すのが仕事だ。取得試験では当然その適性を見られることになる。情報力・判断力・機動力・戦闘力、他にもコミュニケーション能力・魅力・統率力など別の適性は毎年違う試験内容で試される」

 

質問に答える相澤先生にミッドナイト先生が続ける。

 

「その中でも戦闘力はこれからのヒーローにとって極めて重視される項目となります。備えあれば憂いなし!技の有無は合否に大きく影響する」

 

「状況に左右されることなく安定行動を取れれば、それは高い戦闘力を有していることになるんだよ」

 

「技は必ずしも攻撃である必要は無い。例えば飯田君のレシプロバースト。一時的な超速移動、それ自体が脅威である為必殺技と呼ぶに値する」

 

「あれ必殺技で良いのか……!」

 

セメントス先生に自身の技を必殺技だと認められて飯田は感激する。

 

「成る程、自分の中にこれさえやれば"有利!勝てる!"って型を作ろうって話か」

 

「その通り。先日大活躍したシンリンカムイの【ウルシ鎖牢】なんか模範的必殺技よ。相手が何かする前に縛っちゃう」

 

納得する砂藤にミッドナイト先生が補足すると、相澤先生が説明を続ける。

 

「中断されてしまったが、林間合宿での個性を伸ばす訓練は必殺技を作り上げるためのプロセスだった。つまり、これから後期始業まで残り10日余りの夏休みは個性を伸ばしつつ、必殺技を編み出す圧縮訓練となる!」

 

セメントス先生が形成したフィールドに、エクトプラズム先生が分身体を配置する。

 

「尚、個性の伸びや技の改良に合わせて戦闘服(コスチューム)の改良も平行して考えていくように。"Plus Ultra"の精神で乗り越えろ。準備はいいか?

 

「「「はい!!!」」」

 

気合いを入れて、俺たちは各々必殺技の開発に取り掛かかった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:太刀川隊の狙撃手

始まりましたね、必殺技の開発。

  

2:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

やっぱり必殺技ってテンション上がるよね。

  

3:虚刀流のグラップラー

俺たちの大半が必殺技あるけどよ。

  

4:鬼滅ごっこをやってる忍者

けど、ライダーくん大丈夫ですかね?

  

5:海賊系美食屋

>>4

どう言う事だよ、忍者ニキ

  

6:鬼滅ごっこをやってる忍者

だって、ライダーくんって既に必殺技沢山あるじゃないですか。

  

7:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>6

あー、確かに。

  

8:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

仮面ライダーだから既存の必殺技だけで100種類軽く超えてるしね。

  

9:杜王町の幽波紋使い

その時点でプロヒーローよりも技の種類は上回っているだろうしな。

  

10:空座町の無下限呪術師

まあ、本家でもやった事が無い技を編み出すのも出来ると言えば出来るんじゃない?

  

11:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>10

本家でもやった事の無い必殺技ですか……。

  

12:太刀川隊の狙撃手

確かに、ビルドとかは【フルボトル】の組み合わせ次第で色んな必殺技出せそうですしね。

  

13:杜王町の幽波紋使い

要は、先入観に捉われない発想力が必要と言うことか。

  

14:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ライダーくん、大丈夫ですかね。

 

15:太刀川隊の狙撃手

こう言うのってセンス要りますからね。

 

16:空座町の無下限呪術師

ま、お手並み拝見と行こうか♪

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「ソレデ佳面クン、キミハ体育祭デ既ニ必殺技ハ出来テイルガドウスル?」

 

エクトプラズム先生の分身体が訊く。

 

「他にも色々必殺技はありますけど、実は少し試したい事があります」

 

「ホウ……」

 

これまでは既存の必殺技を使って来たが、どうせならオリジナルの必殺技とかもやってみたい気持ちはある。

 

早速俺は【ブレイバックル】と【♠︎A CHANGE】と【ヘラクレスオオカブト】が描かれたトランプの様なカードであるスペードスートのカテゴリーA(エース)に属する【ラウズカード】、【チェンジビートル】を実体化させる。

 

そして【チェンジビートル】を【ブレイバックル】の中央にあるカード挿入口であるカードスロット【ラウズリーダー】に装填し、腰に翳す。

 

すると、自動的にカードを重ねた様な赤いベルト帯が飛び出し、腰に巻き付き固定される。

 

ベルトから待機音が鳴り響く中、俺は構える。

 

 

「変身ッ!」

 

 

『Turn Up』

 

 

そして右手でベルトに備わった【ターンアップハンドル】を横に引くと、バックルが回転し、カードスロットとスペードの意匠の面が入れ替わる。

 

そしてバックルから【チェンジビートル】と同じ絵柄をした【オリハルコン・エレメント】と呼ばれるエネルギースクリーンが出現する。

 

【オリハルコン・エレメント】は徐々に近づき、俺の身体を通過する。

 

すると俺の身体はヘラクレスオオカブトを模した銀色の鎧【ブレイドアーマー】が装着され、【仮面ライダーブレイド】に変身完了する。

 

「マタ違ウ変身ダナ」

 

「はい。それじゃあ、エクトプラズム先生。手合わせお願いします」

 

「ヨシ、来イ!」

 

左腰の【ラウザーホルスター】に収納された【醒剣ブレイラウザー】を抜刀し、エクトプラズム先生と模擬戦を始める。

 

「ハアッ!ウェイ!」

 

「フッ!」

 

エクトプラズム先生の義足による蹴りをいなしながら【醒剣ブレイラウザー】を振り翳す。

 

「ハッ!」

 

エクトプラズム先生も避けながら義足を仮面越しの俺顔目掛けてハイキックする。

 

「ウェイ!」

 

俺は重心を落としながら躱し、そのままエクトプラズム先生に突進する。

 

「グッ!?」

 

直撃したエクトプラズム先生は後方に吹き飛ぶ。

 

隙が出来たところで、俺は【醒剣ブレイラウザー】の【オープントレイ】を展開し、収納された【ラウズカード】から【♠︎3 BEAT】の【ビートライオン】と【♠︎6 THUNDER】の【サンダーディアー】を取り出し、【スラッシュ・リーダー】にラウズする。

 

 

『BEAT』

 

 

『THUNDER』

 

 

ラウズされた2枚の【ラウズカード】の効果が発動し、俺の右拳に青白い電撃のエネルギーが纏う。

 

 

「ウェェェェェイ!」

 

 

俺はエクトプラズム先生に接近し、電撃を纏った拳を放つ。

 

拳が直撃したエクトプラズム先生は身体をくの字に曲げ後方へ大きく吹き飛び、煙の様に霧散する。

 

「フゥッ……よし!」

 

俺は電撃のライダーパンチ、名付けて【ライトニングナックル】に手応えを感じた。

 

TV本編や劇場版でも使用されなかった【ラウズカード】の組み合わせを試してみたが、【ビートライオン】による強化パンチはTV本編でも不意打ちとは言え、暴走する【仮面ライダーレンゲル】を1発で変身解除させる程の威力を誇っていた。

 

そこに【サンダーディアー】による電撃を付与した事で更に威力を倍増させたのだ。

 

すると、

 

「ヘイッ、佳面少年!凄いパンチだったぞ!」

 

突然声を掛けられたので振り向くと、右手にギプスをしたオールマイトが左手を挙げて近付いて来る。

 

「オールマイト」

 

「既に必殺技を編み出している様だね」

 

「いえ、さっきのは試しで使ってみた技なんです。このトランプみたいなカードを使って闘うのがこの姿でのスタイルでして、今は色んな組み合わせを試してみようと思います」

 

「中々面白いスタイルだね!しかし、即席にしては良い威力だったぜ!」

 

「ありがとうございます。オールマイトは何で此処に?」

 

褒められた事に嬉しさを感じながら、俺はオールマイトに質問する。

 

「必殺技の開発と聞いて私がジッと出来ると思うかい?今はこうやって回りながら皆にアドバイスをしていってるのさ!」

 

「そうなんですね、それじゃあ緑谷にも?」

 

俺は緑谷の居る方を見ると、緑谷は何か悩んでいる表情をしていた。

 

「緑谷少年には、()()()()()()()()()事を指摘してきた。此処から先は緑谷少年自身が考え、自分だけの必殺技を見出していくしかない」

 

「そうですね……」

 

普段なら直ぐにどうすれば良いのか答えを言ってきそうなオールマイトが、今回は緑谷を見守る姿に意外さを感じた。

 

「ほら、ジッとしてたら駄目だぞ!どんどん技を試して行こう!」

 

「分かりました」

 

「あ、それと……」

 

オールマイトは俺に肩を組みながらボソボソと話し始める。

 

「私と緑谷少年の秘密についてだけど、仮免試験の後でも良いかい?今は仮免に集中して欲しいからね」

 

「はい、大丈夫です」

 

「済まないね。さ、張り切って行こう!佳面少年!」

 

「はい!」

 

オールマイトと一旦話を終え、俺は再び分身体のエクトプラズム先生と模擬戦を開始する。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーブレイド

レア度【SR】

出典『仮面ライダー剣』


ライダーくん、オリジナルの必殺技を開発中
既存の必殺技を磨くだけでなく、オリジナルの必殺技を開発する事に決めたライダーくん。様々なラウズカードを組み合わせ、オリジナルの必殺技を試行錯誤していく。

次回に登場する仮面ライダーのヒントは「辛味噌」です。


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68スレ

第74話を投稿します。

前回に引き続き必殺技回です。

序盤はブレイド、それ以降に登場する仮面ライダーのヒントは「クワガタ」「辛味噌」「オデノカラダハボドボドダ!!」です。


「ハッ!セアッ!」

 

「ヤルナ!」

 

オールマイトと話を終えた俺は、引き続きエクトプラズム先生の分身体と模擬戦を行っている最中である。

 

【醒剣ブレイラウザー】の【オープントレイ】を展開し、収納された【ラウズカード】から【♠︎4 TACKLE 】の【タックルボア】、【♠︎7 METAL】の【メタルトリロバイト】、【♠︎9 MACH】の【マッハジャガー】を取り出し、【スラッシュ・リーダー】にラウズする。

 

 

『TACKLE』

 

 

『METAL』

 

 

『MACH』

 

 

ラウズされた3枚の【ラウズカード】の効果が発動し、全身が鋼鉄の様になると同時にエネルギーが駆け巡る。

 

 

「ハアアアアアッ…!ウェェェェェイ!」

 

 

そして俺はエクトプラズム先生に向かって突進する。

 

目にも止まらない加速により俺の姿は一瞬消え、エクトプラズム先生に衝突する。

 

人間大の鋼鉄の塊が猛スピードでぶつかったのと同じなので、エクトプラズム先生はセメントのフィールドに何回もバウンドし、霧散して消えた。

 

「よし、ブレイドの方はこれくらいで良いかな」

 

【醒剣ブレイラウザー】に搭載されたカウンター【フォース・リマインダー・サイト】には数字の【100】が表示されており、残りAPが僅かになった事を確認した俺は、【ブレイバックル】の【ターンアップハンドル】を引く。

 

スピードの意匠の面が回転し、最初のカードスロットに戻ったのでセットされた【チェンジビートル】を抜き取ると、【オリハルコン・エレメント】が出現し、通過して変身解除する。

 

(初期APが限られている以上、下手にカードを乱発するのはリスクが高いかな。途中でジャックフォームやキングフォームになれば解決するけど)

 

「マタ分身ヲ倒シタカ。爆豪クント言イ、君タチ凄マジイナ」

 

すると俺の目の前に煙の様なものが現れ、その姿は次第にエクトプラズム先生へと形成された。

 

「俺の方がぶっ殺した数多いわ!!」

 

聞こえていたのか、少し離れた場所に居る爆豪が俺を睨みながら叫ぶ。

 

「あはは……。よし、次は()()で行くか」

 

俺は【ブレイバックル】と【チェンジビートル】を手元から消して、新たに【ギャレンバックル】とダイヤスートのカテゴリーA(エース)に属する【チェンジスタッグ】を実体化させる。

 

そして【チェンジスタッグ】を【ギャレンバックル】の中央にあるカード挿入口であるカードスロット【ラウズリーダー】に装填し、腰に翳す。

 

すると、今度は銀色のカードを重ねた様なベルト帯が自動的に飛び出し、腰に巻き付き固定される。

 

ベルトから待機音が鳴り響く中、俺は構える。

 

 

「変身ッ!」

 

 

『Turn Up』

 

 

そして右手でベルトに備わった【ターンアップハンドル】を横に引くと、バックルが回転し、カードスロットとスペードの意匠の面が入れ替わる。

 

そしてバックルから【チェンジスタッグ】と同じ絵柄をした【オリハルコン・エレメント】と呼ばれるエネルギースクリーンが出現する。

 

【オリハルコン・エレメント】は徐々に近づき、俺の身体を通過する。

 

すると俺の身体はを模した赤色の鎧【ギャレンアーマー】が装着され、【仮面ライダーギャレン】に変身完了する。

 

【醒剣ブレイラウザー】で闘うブレイドとは対照的に、右腰に備わった【ラウザーホルスター】には【醒銃ギャレンラウザー】が収納されていた。

 

「ホウ…、今度ハ銃デ闘ウスタイルカ」

 

「はい、すみませんがもう一度手合わせお願いします」

 

「了解シタ」

 

俺は【醒銃ギャレンラウザー】を抜かず、徒手空拳でエクトプラズム先生に立ち向かう。

 

義足の蹴りを受け止めながら右拳で応戦、今度は空手で言う、中段回し蹴りを放つ。

 

「ドウシタ!銃ヲ使ワナイノカ!」

 

エクトプラズム先生はそれを避けると義足で赤いインナーである【ミスリルアーマーレザー】に上手く蹴りを入れる。

 

「ハアッ!」

 

後ろに吹き飛びながらも俺はホルスターから【醒銃ギャレンラウザー】を引き抜き、エクトプラズム先生の足に向かって発砲する。

 

銃口【ダイヤモンドマズル】から光弾が放たれ、エクトプラズム先生の義足に命中する。

 

「グゥッ!」

 

エクトプラズム先生は義足を破壊されてバランスを崩す、俺は起き上がりながら光弾を撃ち続け反撃させない様に牽制する。

 

そして俺は【醒銃ギャレンラウザー】の【オープントレイ】を展開し、収納された【ラウズカード】から【♦︎5 DROP】の【ドロップホエール】と【♦︎6 FIRE】の【ファイアーフライ】を取り出し、【スラッシュ・リーダー】にラウズする。

 

 

『DROP』

 

 

『FIRE』

 

 

『BURNIG SMASH』

 

 

カードの効果が発動するまでの隙を光弾を連射する事で作らない様に牽制する。

 

「ハアッ!」

 

そしてラウズされた2枚の【ラウズカード】の効果が発動し、俺は跳躍する。

 

 

「ハアアアアアッ!!」

 

 

俺は後方宙返りをしながらエクトプラズム先生の脳天に炎の力を込めたキック【バーニングスマッシュ】を叩き込む。

 

必殺技を直撃したエクトプラズム先生は煙の様に霧散する。

 

「フゥ……」

 

「凄え佳面!」

 

「早くも必殺技3つも出来たのかよ!?」

 

「先程の必殺技前の牽制射撃、相手に隙を作らない為なのか!」

 

「ゴーリテキだ!」

 

「才能マンパネェ!」

 

「凄いよ佳面くん!」

 

着地して一息付くと皆が俺の方を見て驚く。

 

「(今のは既存の必殺技だけどね……)最後に()()、試してみるか」

 

仮面越しで苦笑しながら、俺は左腕に装着されたパワーアップツール【ラウズアブゾーバー】に内蔵されたカードトレイを展開させ、収納された3枚からカテゴリーQ(クイーン)のカード【♦︎Q ABSORB】の【アブゾーブサーペント】とカテゴリーK(キング)のカード【♦︎K EVOLUTION】の【エボリューションギラファ】を取り出す。

 

中央部の【インサート・リーダ】に【アブゾーブサーペント】をセットする。

 

 

『ABSORB QUEEN』

 

 

【ラウズアブゾーバー】がカードを認証し、待機音が鳴り響く。

 

「相澤先生」

 

「何だ」

 

俺はカテゴリーK(キング)のカードをラウズする前に、相澤先生に声を掛ける。

 

「もし俺に何かあったら()()()()()()()()()

 

「なに?……何をする気だ」

 

相澤先生が俺を睨む。

 

だけど事前に先生には伝えておかなくてはならない。

 

これから起きる事は、()()()()()()()()()()()()()()

 

「他の先生方も、お願いします」

 

「佳面くん?」

 

「ちょっと、何する気なの?」

 

「ドウシタ?」

 

「どう言う事だ、佳面少年」

 

セメントス先生、ミッドナイト先生、エクトプラズム先生、オールマイトも疑問な表情をする。

 

俺は動揺する皆に見守られながら、【エボリューションギラファ】を【ラウズアブゾーバー】にラウズする。

 

カテゴリーK(キング)のカードをラウズした事で【ラウズアブゾーバー】に【エボリューションギラファ】のプレートが出現する。

 

 

『EVOLUTION KING』

 

 

すると、

 

 

「グッ…ウウウウッ!」

 

 

突然【ギャレンアーマー】がスパークし、俺の全身に激痛が走る。

 

「佳面!?」

 

「おい!どうしたんだよ!?」

 

「大丈夫か!」

 

「佳面くん!」

 

「佳面ちゃん!」

 

「来太!」

 

皆は俺が苦しみ出した事に驚愕する。

 

「佳面少年!」

 

「コレハ不味イノデハ!」

 

「私が眠らせるからセメントスは拘束を!」

 

「了解!」

 

「……待て!」

 

先生方が止めに入ろうとした直後、相澤先生が叫ぶ。

 

「何で止めるのよイレイザー!」

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

睨みながら叫ぶミッドナイト先生に、相澤先生は俺をジッと見ながら言った。

 

(信じてくれてるって事か……ありがとうございます、相澤先生!)

 

相澤先生に感謝し、俺は覚悟を決める。

 

カテゴリーK(キング)の力に呑み込まれない事を。

 

 

「ウウ……ッ!ウオオオオオオオ!!」

 

 

その時、俺の前に黄金の【エボリューションギラファ】のエレメントが出現し、俺の全身を通過する。

 

すると赤い【ギャレンアーマー】が黄金の装甲【キングアーマー】へと変わり、胸部にはカテゴリーK(キング)の紋章が刻印された【ハイグレイドシンボル】が現れる。

 

そして右手には【醒銃ギャレンラウザー】が進化し、【重醒銃キングラウザー】が握られる。

 

こうして俺は、TV本編でもその姿は現れなかったギャレンの最強形態【仮面ライダーギャレン キングフォーム】のフォームチェンジに成功した。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーギャレン

レア度【R】

出典『仮面ライダー剣』


ギャレン、幻のキングフォーム!
【仮面ライダーギャレン】に変身したライダーくんは【♦︎Q アブゾーブサーペント】と【♦︎K エボリューションギラファ】の2枚の【ラウズカード】とパワーアップツール【ラウズアブゾーバー】を使い、【仮面ライダーギャレン キングフォーム】にフォームチェンジする。
※今作の【仮面ライダーギャレン キングフォーム】のイメージはS.I.Cとなります。

【今作の仮面ライダーギャレン キングフォームのスペック】
身長:200cm
体重:135㎏
パンチ力:400AP(4t)
キック力:600AP(6t)
ジャンプ力:ひと跳び28m
走力:100mを6.2秒

武器【重醒銃キングラウザー】

能力
攻撃力・防御力の強化、バリア(一定の距離に限る)


【仮面ライダーブレイド キングフォーム】との違いでカテゴリーKとの融合のみでフォームチェンジした姿。


次回 キングフォーム大暴れ!&発目さん大暴走!


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69スレ

リバイス本編では総集編兼ヒロミさんの為の思い出ムービーの制作回でしたが、色々小ネタが満載で朝から笑ってしまいました。
しかも、次回はまさかの声優さん回!?
バイス役の木村昴さんが本人役で登場!?しかもラブコフ役の伊藤美来さんも!?
更に、東映公認の特撮ラジオ番組のMCをやられている鈴村健一さん・神谷浩史さんの他に某サイ●人の王子の役で有名な堀川りょうさんと言った豪華出演者に驚きを隠せません!!

それと、TTFCで仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル観ましたが……喪失感で沈みました。


第75話を投稿します。
前半はギャレン キングフォームの活躍、後半はサポート科の異端児(?)の暴走です!!





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

17:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ギャレンのキングフォームだ!?

  

18:サクラギ研究所のリサーチフェロー

TV本編や劇場版でも登場しなかった幻のフォーム!?

  

19:太刀川隊の狙撃手

先程までのオリジナル必殺技も含めて、色々チャレンジしますねライダーくん。

  

20:杜王町の幽波紋使い

向上心が高いな。

  

21:海賊系美食屋

俺も色々能力組み合わせたオリジナルの必殺技考えてみようかな?

  

22:鬼滅ごっこをやってる忍者

俺も既存の型以外に独自の型を開発してみますかね。

  

23:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

俺も何か色々考えた方が良いかなぁ……。

  

24:空座町の無下限呪師

>>23

試してみるのもアリなんじゃない?

  

25:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

けど、ライダーくんも思い切りましたよね。

下手すると暴走するリスクもあった筈なのに。

  

27:杜王町の幽波紋使い

明確な目標があるから、それに向かって力を付けていこうと思ってるからじゃあないか?

  

28:太刀川隊の狙撃手

そうですね。

  

29:空座町の無下限呪術師

さて、見せて貰おうかライダーくん。

幻のギャレン キングフォームの性能とやらを……!

  

30:海賊系美食屋

>>29

いつから"赤い彗星"になったんだよ、呪術ニキ……。

  

31:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>29

直ぐ悪ノリするからなぁ、この人。

 

32:太刀川隊の狙撃手

まあ、気になるのは俺たちもですけどね。

 

33:鬼滅ごっこをやってる忍者

ですね。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「凄え、佳面!何かゴツくなってんぞ!」

 

「黄金の装甲……」

 

「クワガタっぽいな!」

 

「マジで後どんだけ変身出来んの!?」

 

「物凄い煌めき☆」

 

「凄いですわ!」

 

無事にキングフォームにフォームチェンジ成功すると、皆がこの姿に驚愕する。

 

「佳面くん、大丈夫なの!」

 

「ケロッ、苦しそうだったけど」

 

「平気なん!?」

 

葉隠さんたちが心配そうに訊く。

 

「うん。心配してくれてありがとう。けど大丈夫」

 

「佳面」

 

俺は大丈夫である事を伝えると、相澤先生に呼ばれる。

 

「相澤先生、ご心配お掛けしました」

 

「気にするな。それよりその姿……コントロール出来るか?」

 

「すいません、今まで試した事はありません」

 

「それなら今からやってみろ。エクトプラズム」

 

「了解シタ」

 

相澤先生に応じ、エクトプラズム先生は分身体を作り出すと俺の前に立たせる。

 

「サア、来イ!」

 

「はい!」

 

俺は【重醒銃キングラウザー】を両手に持ちながらエクトプラズム先生へ歩み寄る。

 

「遅イ!」

 

悠々と歩いて来る俺にエクトプラズム先生が蹴りを放つ。

 

しかし、

 

「何!?」

 

エクトプラズム先生は自身の義足による蹴りが()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その光景はまるで、視えない壁に阻まれている様だ。

 

「クッ!」

 

エクトプラズム先生は俺の後ろに回り込み再び蹴りを放つも、またもや視えない何かによって防がれる。

 

「何か変だぞ」

 

「さっきからエクトプラズム先生の攻撃が寸前で止まってる」

 

「どうしたんだ?」

 

周囲に居る皆もこの光景に疑問を持つ。

 

すると、緑谷が口を開く。

 

「もしかして……佳面くんの周囲に()()()()()()()()()()()()()があって、それでエクトプラズム先生の攻撃を防いでいるんじゃないかな」

 

「視えないバリア?」

 

「んだよそれ!無敵じゃねぇかよ!」

 

緑谷の推測を聞いて皆が驚愕する。

 

そう、緑谷の推測は当たっている。

 

ダイヤのカテゴリーK(キング)のアンデッド、【ギラファアンデッド】の能力であるバリアを俺の周囲に展開させ、エクトプラズム先生の攻撃を防いでいたのである。

 

「ハッ」

 

「グッ!」

 

俺はエクトプラズム先生の顔面に右ストレートを放つ。

 

攻撃を受けたエクトプラズム先生は吹き飛び、フィールドに転がる。

 

その隙に俺は【重醒銃キングラウザー】の【オープントレイ】を展開し、収納された【ラウズカード】から【♦︎2 BULLET】の【バレットアルマジロ】、【♦︎4 RAPIT】の【ラピットペッカー】、【♦︎6 FIRE】の【ファイアフライ】、【♦︎7 ROCK】の【ロックタートル】、【♦︎9 GEMINI】の【ジェミニゼブラ】を取り出し、1枚ずつ【オートラウズシステム】でカードをラウズする。

 

 

♦︎(ダイヤ)2(ツー)

 

 

4(フォー)

 

 

6(シックス)

 

 

7(セブン)

 

 

9(ナイン)

 

 

『FLASH』

 

 

「ハアッ!」

 

 

カードが認証され、俺は【重醒銃キングラウザー】の構え、銃口をエクトプラズム先生に向け引き金を弾く。

 

 

「ウオオオオオオオッ!?」

 

 

【重醒銃キングラウザー】の銃口から五芒星のエネルギーが発射され、エクトプラズム先生を呑み込む。

 

そして、エネルギー攻撃に呑み込まれたエクトプラズム先生は消滅する。

 

それどころかエネルギー攻撃はTDLの壁際を貫き、壁に大きな風穴が開けていた。

 

「おぅ……」

 

「威力ヤベェェェェッ!?」

 

「デケェ風穴開けやがった!」

 

「火力どんだけだよ!」

 

あまりの高火力に俺も含め全員が驚愕する。

 

(フラッシュでこれだから、ロイヤルストレートフラッシュになるとこれ以上になるんだよな……使い方に注意しよう)

 

必殺技の運用について考えながら、俺は変身を解除した。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

午前中の圧縮訓練は終了し、B組と交代して午後は救助訓練を行いその日の訓練は終了する。

 

訓練を終えた俺はパワーローダー先生の工房へ向かっていると、緑谷が前を歩いていた。

 

「緑谷」

 

「あ、佳面くん」

 

「緑谷もサポート科に?それなら一緒に行かない?」

 

「う、うん。良いよ……」

 

緑谷は少し元気の無い返事をする。

 

「どうかした?」

 

「え!?じ、実は……必殺技をどうするか考えてて」

 

「あぁ、もしかしてオールマイトに"まだ私を倣っているぞ"って言われたやつ?」

 

「そ、そうだけど!なんで佳面くんがそれを……」

 

「オールマイトから聞いたよ。それと……緑谷とオールマイトの秘密についても、少し知ってる」

 

「えっ!?」

 

突然の発言に、緑谷の全身が膠着する。

 

「大丈夫。誰にも話してないし、俺が知ってるのはほんの一部だから」

 

「そ、そうなんだ……」

 

緑谷は安堵の表情をする。

 

「緑谷はオールマイトの言葉を聞いて、どう思った?」

 

「え?え、えっと……今まで僕はオールマイトを目標に出来る事を少しずつだけどやって来た……だけど、オールマイトみたいに100%の力をコントロールなんて今の僕にはまだ出来ないし、体育祭前の特訓で"フルカウル"を習得して上限5%までコントロール出来るようになったけど正直、現状必殺技の(ヴィジョン)が浮かばなくて、それどころか腕を壊さない為にサポート科に補強用のサポーターをお願いしようと考えてて」

 

「そっか……」

 

緑谷の早口で説明した内容を頭の中でまとめる。

 

そこで俺は、ある事を緑谷に訊く。

 

「緑谷は守破離って言葉を聞いた事ない?」

 

「え?しゅ、しゅはり?」

 

「茶道や武道の修業における段階を示したものだよ」

 

キョトンとする緑谷に、俺は言葉を続ける。

 

"守"は、師や流派の教え・型・技を忠実に守って確実に身につける段階。"破"は他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ心技を発展させる段階。最後の"離"は1つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。この3段階を守破離って言うんだ」

 

「な、成る程」

 

俺の説明に緑谷は納得する。

 

「俺が考えるに、今の緑谷は最初の段階である"守"で止まっていると思うんだよね。オールマイトの技を真似てるし」

 

「う、うん」

 

「そこで、次の段階である"破"に進む為には……今のスタイルに新しい要素を取り入れる必要があると思う」

 

「新しい要素……」

 

緑谷がブツブツ呟いていると、目的の工房へ到着した。

 

「まあ、今はサポート科にコスの改良を申請するのが優先だね」

 

「うん!」

 

「あれ!佳面くん、デクくん!2人もコス改良!」

 

「廊下を走るな麗日くん!!!」

 

俺が鉄製の扉を開けようとすると、麗日さんが駆け寄ろうとているのを飯田が注意する。

 

「あ、麗日さ──」

 

麗日さんたちに気づいて振り向いた、その時──

 

 

BOOMB!!!

 

 

「ゴフッ!!」

 

「佳面くん!?」

 

突然扉の奥から爆発が起こり、衝撃によって俺は吹き飛び、廊下に倒れる。

 

すると、俺の上に人1人分の重みと()()()()()()がのし掛かる。

 

「んぐ……?」

 

「ンンッ」

 

口を動かそうとするも、()()()()()()()()()()()

 

しかも煙で前が見えない状態である為、俺の上に何があるのか認識出来ない。

 

「ゲホッ、ゲホッ、おい大丈夫か発目!?」

 

すると扉の奥からパワーローダー先生の咳き混じりの声が聞こえ、先生が叫ぶ名前と、視界がクリアになって来た事により、俺は漸く理解した。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「ぷはっ、すいません!大丈夫ですか?」

 

上体を起こした発目さんは今も下敷きとなっている俺に安否確認をする。

 

「ああ……うん、大丈夫。発目さんは?怪我は無い?」

 

「はい!貴方のお陰で無事です!」

 

俺は唖然としながらも発目さんの安否を聞くと、彼女はニカッと笑いながら答える。

 

近くに居る緑谷たちは、まるで石像の様に固まっていた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「突然の爆発失礼しました!!ヒーロー科の佳面さんと……えーー……他の方は忘れました」

 

「飯田天哉だ!体育祭トーナメントにて君が広告塔に利用した男だ!」

 

「成る程!!では私はベイビー開発で忙しいので!」

 

過去に因縁のある飯田をスルーして発目さんは工房に戻ろうとする。

 

「あっちょっ…あの…戦闘服(コスチューム)の改良の件でパワーローダー先生に相談があるんだけど……」

 

緑谷が戸惑いながら発目さんを呼び止める。

 

戦闘服(コスチューム)の改良!?興味あります!」

 

すると発目さんは手の平を返す様に緑谷に詰め寄る。

 

「発目……」

 

そこにパワーローダー先生がヌルリと現れる。

 

「寮制になって工房に入り浸のは良いけど……これ以上荒らしっ放しにするなら出禁にするぞ……くけけ……」

 

パワーローダー先生は不気味に笑いながら発目さんに注意する。

 

「イレイザーヘッドから話は聞いてるよ。必殺技に伴うコス変の件だろ?入りな」

 

パワーローダー先生の承諾を貰い、俺たちは工房へ入ると、中は開発に使用する機材や設計図が部屋中にあった。

 

「うわああ……秘密基地みたいだ」

 

「だね」

 

圧巻する緑谷に同意する。

 

「じゃあ戦闘服(コスチューム)の説明書見せて。ケースに同封されてたのがあるでしょ。俺許可証(ライセンス)持ってるからそれを見て弄れるとこは弄るよ」

 

パワーローダー先生の指示に従い、緑谷たちは説明書を渡す。

 

「小さい改良・修繕ならデザイン事務所に報告すれば手続きしといてくれるが、大きい改良となると此方で申請書作成してデザイン事務所に依頼する形になる。で、改良した戦闘服(コスチューム)を国に審査して貰って

許可が出たら此方に戻って来る。まぁ、ウチと提携する事務所は超一流だから大体3日後くらいに戻って来るよ」

 

一連の流れに関する説明を受け、最初に緑谷が相談する。

 

「あの……腕への負担を軽減出来ないかと思って、そう言うのって可能ですか?」

 

「ああ、緑谷くんは拳や指で戦うスタイルだったね。そう言う事ならちょっと弄れば……直ぐにでも可能だよ」

 

緑谷の要望にパワーローダーは承諾する。

 

「やったねデクくん!」

 

「うん──」

 

その時、いつの間にか緑谷の背後に回った発目がペタペタと緑谷の体を触り始めていた。

 

「何やってるの発目さん?」

 

「フフフ、体を触ってるんですよ。はいはい…見た目よりがっしりしてますね。フフフいいでしょう、そんな貴方には──」

 

そう言って発目さんは緑谷に何かを着させる。

 

「とっておきのベイビー!!パワードスーツ!!」

 

それは飯田の戦闘服(コスチューム)と同じくらいの重装備なスーツであった。

 

「あの…」

 

「筋肉の収縮を感知して動きを補助するハイテクっ子です。第49子です!フフフフフフ!!」

 

突然スーツを着せられた事に戸惑う緑谷を他所に発目さんはウキウキしながら説明する。

 

「僕腕のサポートだけで良いんだけど……」

 

ピピッ

 

「ん?」

 

動いた緑谷に反応して、パワードスーツから音が鳴ると、上半身が自動的に動き始める。

 

「あ、凄い…勝手に動く…」

 

「本当だ!」

 

装着者の緑谷と麗日さんがその機能に驚く。

 

しかし──

 

「あれ?止まらないね」

 

「え、本当だ…止まらない。待っ…いだっ!イダダダダダダ!!腰がイダダダダダダ!!」

 

パワードスーツは止まらず緑谷の上半身を捻じ切るかの如く動き続ける。

 

「フフフ、どうやら可動域のプログラミングがミスってた様です!ごめんなさい!!」

 

発目さんは笑いながら手に持つスイッチを押すと、パワードスーツが強制停止する。

 

「腕のサポートを頼んだのに胴を捩じ切られそうになった……」

 

「これはこれで捕獲アイテムとして使えそうですね」

 

「捕獲する前に相手の胴体が捩じ切れるよ」

 

別の使い道を見出す発目さんに俺はツッコミを入れる。

 

「脚部の冷却機を強化して欲しいのですが……」

 

「フム」

 

それを他所に、飯田は発目さんに聞かれない様にパワーローダー先生にコス変の相談をしていた。

 

「そう言う事なら!」

 

発目さんは一瞬で飯田の背後に回り、両腕にメカメカしいサポーターを取り付ける。

 

「このベイビー!!発熱を極限まで抑えたスーパークーラー電動ブースターです。第36子です。どっ可愛いでしょう!?」

 

「いや、ブースターは要らないだ発目くん。しかも何で腕に」

 

「ブースターオン」

 

「おい!!」

 

戸惑う飯田を無視して発目さんはブースターを起動する。

 

すると、腕のブースターが勢い良く噴射し、飯田は天井に衝突する。

 

「飯田くん!!」

 

「麗日さん、"個性"で飯田を引っ張れない?」

 

「分かった!」

 

麗日さんは自身を浮かして飯田を救出する。

 

「俺の"個性"は脚なんだが!!」

 

「フフフ知ってます。でもですねぇ、私、思うんですよ」

 

「脚を冷やしたいなら腕で走れば良いじゃないですか」

 

 

「何を言っとるんだ君はもう!!」

 

 

発目さんのトンデモ発言に飯田が遂にキレる。

 

「良い加減にしろよ」

 

「暴力!」

 

パワーローダー先生が振り下ろす腕を、発目さんは高速で回避する。

 

動きからして何度も同じやり取りをしている様である。

 

「すまんね、彼女は病的に自分本位なんだ」

 

「よく存じております」

 

「うん」

 

1人アイテムを弄り始める発目さんを見ながらパワーローダー先生がそう言うと、飯田と麗日さんが心底理解した表情する(良い意味ではなく)。

 

「ただまぁ、君たちもヒーロー志望なら彼女との縁を大切にしておくべきだよ……きっとプロになってから、世話になる」

 

「え?」

 

パワーローダー先生は部屋の隅に積まれたアイテムの山を見る。

 

「あのゴミ山……発目が入学してから作ったサポートアイテムさ。学校が休みの日も此処へ来て何かしら弄ってる。今まで多くのサポート科を見てきたけど、発目はやはり特異だよ」

 

「入学してから……4ヶ月余りでこんなに」

 

衝撃の事実に俺たちは驚愕する。

 

それだけ、発目さんは開発を続けて来ていた事に驚く事しか出来なかった。

 

"常識とは18歳までに身に付けた偏見である"。アインシュタインの残した言葉だよ」

 

「彼女は失敗を恐れず常に発想し、試行している。イノベーションを起こす人間ってのは既成概念に囚われない」

 

「ッ!!」

 

パワーローダー先生の言葉に、緑谷は何か閃いた表情をする。

 

「そうか、それだ!佳面くん!!飯田くん!!ちょっと教えて貰えないかな!?」

 

「お、何か思いついたみたいだね」

 

「?」

 

緑谷はスッキリした顔で俺と飯田に問い掛ける。

 

「何か知らんが待ちたまえ。気付いていないかもしれんが戦闘服(コスチューム)の件が何1つ進展していないぞ」

 

「ああ、そっか!」

 

「デクくん急に顔面が晴れたね」

 

「そうだね。そう言えば麗日さんはどんな改良をするの?」

 

「私はもっと酔いを抑えたくて……」

 

「それならこれなんてどうでしょう!?」

 

「発目さんそのドラム缶みたいなの何?」

 

ワチャワチャしながら、改良の件は少しずつ進展していくのであった。




ギャレン キングフォームの性能チェック
無事にキングフォームになれたライダーくんは早速能力の確認の為エクトプラズムの分身体と模擬戦を始める。
ダイヤのカテゴリーK(キング)【ギラファアンデッド】と融合した事で攻撃力・防御力が大幅に向上し、更に自身の周囲にバリアを展開出来る様になり攻防共に隙が無くなった。
ラウズカードの組み合わせによる強力な必殺技を披露し、その絶大な能力を把握する。

科学の探究者 発目さん!
緑谷と共にパワーローダーの工房に来たライダーくんは突然の爆破に遭い、気付いたら発目とハプニングキスをしていた。
その後はサポートアイテムの申請をする緑谷・飯田・麗日たちに立ち会う。

次回、遂にあのお調子者が登場!!

???「へへへっ!遂に俺っちの登場回だぜ!!俺っちのファン兼読者の皆!!次回の俺っちの大活躍に期待してろよぉ〜〜!!」


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70スレ

昨日、3度目のワクチン接種を受けまして絶賛寝込んでます。

2度目も熱と体のダルさでキツかったですけど……。

そんな事はどうでも良いとして、第76話を投稿します。

今回登場するキャラのヒントは「悪魔」「お調子者」「ラップが上手い」です。


「腕の負担を軽減させたいから脚に切り換えていく!?好きですよ、そう言う発想!」

 

緑谷から発せられた言葉は"拳から蹴りにスタイルを転向する"と言うものであった。

 

それに反応して先程まで麗日さんを追いかけ回していた発目さんが緑谷の方に顔を向ける。

 

「私がドッ可愛いフットパーツベイビー作ってあげましょう!!」

 

「あ、いや……でも僕、今の戦闘服(コスチューム)からデザイン大きく変える気は無いんだけど……」

 

「クライアントの無茶無知無謀に応えるのもデキるデザイナーです!先生!!私の案、良ければ採用して貰えますね!?」

 

「良ければね……」

 

どんどん話がまとまっていく光景に俺たちは唖然とする。

 

「脚を売りにするとなると、やっぱり飯田くんの様なスピード系ヒーローの下位互換にならざるを得ない訳ですよ!!」

 

「確かに……」

 

「あ、その点は大丈夫だと思うよ。ね、緑谷」

 

「う、うん!僕にはフルカウルって言うパワーアップ技があってね!」

 

「ホウホウ、ならば話は早いでしょう!本来の要望である腕のサポーターの他に脚のアシスト用としてスパイク兼アーマーも用意しましょう!!」

 

緑谷の戦闘服(コスチューム)の改良案が一通りまとまる。

 

飯田や麗日さんの要件も並行して進めていく事に決まり、戦闘服(コスチューム)の改良申請は一先ず解決した。

 

「そう言えば、佳面くんは戦闘服(コスチューム)の改良は良いの?」

 

「うん、俺は個性の性質上あまり改良する必要無いから」

 

「なら何故工房に来たんだ?」

 

緑谷と飯田は俺が工房に来た理由について訊く。

 

「前に発目さんが俺の個性を詳しく見たいって言ってたから、今日使った物とか見せようかなと──」

 

 

「約束守ってくれるんですね!!ありがとうございます!!」

 

 

俺の言葉に反応した発目さんがズンズンッと近づいて来る。

 

 

「昨日のデバイスも気になりますが今回使った物は別物でよろしいんですよね?どんな物なのですか?早く見せて下さい!!さあさあ!!」

 

 

発目さんは俺に体を押し付けながら早口で迫って来る。

 

タンクトップ1枚しか着ていないせいか、彼女の柔らかさがダイレクトに伝わる。

 

「落ち着いて、落ち着いて発目さん。見せるから一旦離れようか」

 

「おっと、失礼!つい興奮してしまいました!!」

 

パッと離れてくれた事に安堵しながら、俺は近くにあった机に今日使用した【ブレイバックル】とスペードスートの13枚の【ラウズカード】に【ラウズアブゾーバー】を置く。

 

「ホウホウ……バックル型のデバイスにトランプの様なカード……更に別のデバイスですか」

 

「そう。バックルは【ブレイバックル】、トランプの様なカードは【ラウズカード】、そしてパワーアップツールの【ラウズアブゾーバー】だよ」

 

「バックル単体で変身は出来ないのかい?」

 

変身アイテムに興味を持ったパワーローダー先生が質問する。

 

「そうですね、バックルだけでは変身は出来ません。バックルの中心に、このカテゴリーA(エース)のカードを装填して、バックルを腰に翳します」

 

説明しながら変身プロセスを実際に再現する。

 

腰に翳した【ブレイバックル】から自動的にカードを重ねた様な赤いベルト帯が飛び出し、腰に巻き付き固定される。

 

そして変身の待機音声が鳴り響く。

 

「次に、ベルトに備わった【ターンアップハンドル】と言うパーツを横に引くと、バックルが回転してカードスロットからスペードの意匠の面に入れ替わります。変身!

 

 

『Turn Up』

 

 

そしてバックルから【チェンジビートル】と同じ絵柄をした【オリハルコン・エレメント】と呼ばれるエネルギースクリーンが出現し、【オリハルコン・エレメント】は徐々に近づき、俺の身体を通過する。

 

これで【仮面ライダーブレイド】に変身完了する。

 

「まあ、変身プロセスはこんな感じです」

 

「中々面白い仕組みですね!!それでそれで、残ったカードやパワーアップツールはどう使うんですか!?」

 

「うん、今から説明するから落ち着いて」

 

目をキラキラさせながら問いつけて来る発目さんを宥めながら、俺は説明を続ける。

 

「カテゴリーA(エース)以外のカードはこの【醒剣ブレイラウザー】にリードする事で、各カードの効果が使えます。例えばこのカテゴリー6(シックス)である"KICK"ならその名の通り、キック力を強化する事が出来ます」

 

「それじゃあ、この【ラウズアブゾーバー】はどう使うの?」

 

「午前中の圧縮訓練の時は、このデバイスにもカードを装填していたが」

 

「2枚使ってたよね」

 

「【ラウズアブゾーバー】はカテゴリーJ(ジャック)からK(キング)のカードを使って強化変身をするアイテムなんだ」

 

そう言いながら俺は【ラウズアブゾーバー】を左腕に装着し、中央部の【インサート・リーダ】にカテゴリーQ(クイーン)のカード【アブゾーブカプリコーン】を装填する。

 

 

『ABSORB QUEEN』

 

 

【ラウズアブゾーバー】がカードを認証し、待機音が鳴り響く。

 

「そして、今回はカテゴリーJ(ジャック)【フュージョンイーグル】を【ラウズアブゾーバー】にリードする」

 

 

俺は皆に見守られながら、【フュージョンイーグル】を【ラウズアブゾーバー】にラウズする。

 

カテゴリーJ(ジャック)のカードをラウズした事で【ラウズアブゾーバー】に【フュージョンイーグル】のプレートが出現する。

 

 

『FUSION JACK』

 

 

すると、俺の前に黄金の【フュージョンイーグル】のエレメントが出現し、俺の全身を通過する。

 

カテゴリーJ(ジャック)の影響により、装甲の一部が120tの衝撃にまで耐えられる超金属【オリハルコンプラチナ】から金色に輝く神秘の超金属【ディアマンテゴールド製】に変化し、胸部にスペードを象ったイーグルの紋章【ハイグレイドシンボル】が浮かび上がり、マスク部【スペードシールド】を保護するクリアシールドは白銀から金色へと変化する。

 

そして、背中には巨大な翼【オリハルコンウイング】が装備され、専用武器である【醒剣ブレイラウザー】の剣先に追加刃の【ディアマンテエッジ】が形成され、パワーアップを果たす。

 

カテゴリーJ(ジャック)の力を体現した強化形態【仮面ライダーブレイド ジャックフォーム】にフォームチェンジする。

 

「変わった!?」

 

「午前中に見たものとは違う様だな」

 

「羽付いとる!?」

 

「これは……」

 

 

「成る程!翼は所謂飛行ユニットの様ですね!最高飛行速度は!?高度は何処までですか!?」

 

 

「最高速度は時速300kmで、最高高度は10kmだよ。スピードに関してはカテゴリー9(ナイン)を使えば加速は出来るよ」

 

説明を終えた俺は変身を解除する。

 

「それと、俺の個性は1日3種類しか変身出来ないルールがあるから、状況に応じて適した変身をしないといけないんだよね」

 

「へぇ〜」

 

「確か、最初のヒーロー基礎学の後で皆にそう説明していたな」

 

「私だったら頭ゴチャゴチャになりそう……」

 

「中々面白かったよ」

 

「見せていただきありがとうございます!!あと出来れば他のも見たいです!!」

 

各々感想を言っている中、発目さんがリクエストする。

 

「う〜ん。他だとさっきと同じシステムのギャレンで1枠使ってるから……そうだな」

 

同じライダーシステムであるギャレンを見せてもインパクトに欠けると思い、俺は他の変身アイテムを考える。

 

「あ、これはどうかな?」

 

俺は思いついた変身アイテムをイメージしながら実体化させる。

 

俺の掌に現れたのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()である。

 

「佳面くん、これは?」

 

「最近出せる様になった物なんだけど、俺も使い方は良く解らないんだ」

 

「解らない?君の個性だろ?」

 

「さっきのみたいにバックルみたいなのと……スタンプ?」

 

「バックルには数字の"50"が刻まれてるね……」

 

「なかなか奇抜なデザインですね!」

 

皆でバックルとスタンプを興味深く見る。

 

すると──

 

試しに使ってみたら?

 

「いや、まだどう言う仕組みか解らないのに使うのはリスクが高いと思うし……ん?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()に返答すると、緑谷たちの声では無い事に気付き振り返ると、俺の後ろに半透明の()()()()()

 

黒いボディに尖った耳と白いオールバックの髪。

 

少し鋭い大きな青い複眼。

 

口はイラストの入った青いマスクで隠れており、下半身は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

お!漸く俺っちに気付いたみたいね!気付くの遅過ぎだって〜!

 

「(何か浮いてるし、しかも半透明……。それに声が某国民的有名なガキ大将と同じ……)え、誰?」

 

「佳面くん何を言ってるんだ?」

 

隣に居た飯田が不思議そうな表情で俺を見る。

 

「いや、後ろに変なのが浮いててさ」

 

「後ろ?」

 

()()()()()()()()

 

「え?」

 

黒い半透明な何かを指差しながら言うと、緑谷たちには()()()()()()()()()()()

 

 

ちなみにだけど、俺っちが見えてるの来太だけね!けど、側から見たら来太……不思議ちゃんみた〜い!!ウフフフフ!!

 

半透明の何かは俺を小馬鹿にする様に笑う。

 

……少しムカつくな、コイツ。

 

まあまあ、そうカリカリしないのっ!そんな事より、そのバイスタンプ使ってみ?

 

半透明の何かは机に置かれたスタンプ型アイテム【バイスタンプ】を指差す。

 

それを体に押すと、俺っちがお前の体の外に出て他の奴らにも俺っちが見える様になるってワケ

 

「このスタンプを?」

 

俺は【バイスタンプ】を手に取る。

 

「佳面くん?」

 

「どうしたんだ?」

 

「どうかしましたか?」

 

皆が不思議そうに俺を見る中、俺は【バイスタンプ】のスイッチを押す。

 

 

レックス!

 

 

【バイスタンプ】が起動し、俺は自身の体に押す。

 

「グッ!うあっ!」

 

すると、俺の中からドス黒い何かが飛び出し、巨大な契約書の様なものへと変わる。

 

 

「フフフ……うわあっー!!」

 

 

そして契約書の様なものは1人でに折り畳まれ、先程の半透明な何かが今度は実体となって現れる。

 

「うわ!?」

 

「何か出てきたぞ!」

 

「何なん!?」

 

「これは……!」

 

「アメイジングなのが登場です!」

 

突然の事で緑谷たちも驚愕する。

 

「ウッヒョーッ!やっと出られたぜ!」

 

俺の体から飛び出した何かは地面に届く程の長い尻尾を揺らしながら騒ぎ出す。

 

「お前……誰だ?」

 

「あ、そうだ!俺っちまだ自己紹介してなかった?もうっ、俺っちったらおっちょこちょい!!ンンッ!それでは改めまして……。チーッス!俺っちはバイス!来太から生まれたクールでナイスな悪魔でーす!!」

 

「悪魔?」

 

「常闇くんの黒影(ダークシャドウ)の様なものか?」

 

「めっちゃテンション高い……」

 

「悪魔とは随分と非科学的な……」

 

「悪魔って実在してたんですね!体の構造とかどうなってるんですか!?」

 

「おっと、そこのマッドそうな子!俺っちの事知りたいなら事務所通してくんない?ねぇ、代表の来太氏」

 

「誰が代表だよ」

 

バイスを名乗る悪魔(?)の登場に、空間が一気に混沌と化した。




未知のライダーシステム
ライダーくんは発目との約束でライダーシステムの一部を見せる事となり、【ブレイバックル】、【ラウズアブゾーバー】、【ラウズカード】を見せる。
そして次に、ライダーくんでも解らないライダーシステムである【リバイスドライバー】と【バイスタンプ】を取り出し、発目とパワーローダーに解析して貰う。

お調子者の悪魔、その名は【バイス】!!
ライダーくんが【レックスバイスタンプ】を自身の体に押してみると、半透明だった何かが飛び出し、ハイテンションな悪魔【バイス】が現れる。


次回登場する仮面ライダーのヒントは「悪魔」「スタンプ」「1人で2人」です。


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71スレ

第77話を投稿します。

今回変身する仮面ライダーのヒントは「悪魔」「スタンプ」「1人で2人」です。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

皆さん、お疲れ様です。

  

2:空座町の無下限呪術師

お疲れー!

  

3:虚刀流のグラップラー

お疲れさん。

  

4:杜王町の幽波紋使い

必殺技の開発は順調か?

  

5:サクラギ研究所のリサーチフェロー

初日でオリジナルの必殺技を開発したり、ギャレンのキングフォームに成功してたしね。

  

6:鬼滅ごっこをやってる忍者

進捗具合が気になる。

  

7:雄英の仮面ライダー

今のところ順調です。

それにサポート科の発目さんとパワーローダー先生と協力してリバイスとデモンズと言った俺も知らないライダーシステムについて仕組みも理解出来ました。

  

8:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

リバイスとデモンズって、確か前回のガチャで入手した仮面ライダーだよね?

  

9:太刀川隊の狙撃手

ライダーくんでも知らないライダーだったな。

  

10:空座町の無下限呪術師

それで、扱えそうかな?

  

11:雄英の仮面ライダー

>>10

はい、なんとか。

発目さんたちと解析したところ、この2種類の仮面ライダーの共通点には【バイスタンプ】と呼ばれるスタンプ型アイテムがありまして、各個に特定の生物が持つ遺伝子情報が保存されているみたいです。

  

12:サクラギ研究所のリサーチフェロー

特定の生物の遺伝子情報?

  

13:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

例えばどんなのがあるの?

  

14:雄英の仮面ライダー

中にはパワーアップ用だと思われる物もありましたが、今回は省いて説明します。

それで、同じ形状の【バイスタンプ】はリバイスとデモンズの分を合わせて17個ありまして、T-レックスや鷲、蜘蛛やアノマロカリス等がありました。

 

15:杜王町の幽波紋使い

それじゃあ、リバイスとデモンズはその生物の遺伝子を使って戦う仮面ライダーって事か。

 

16:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

他に生物系の能力を使ったライダーだと、オーズやビルド、ゼロワンとかになるのかな。

龍騎系やブレイド系はミラーモンスターとかアンデッドだけど。

 

17:サクラギ研究所のリサーチフェロー

生物の特性を活かした戦法が出来るから色んな戦況でも対応出来そうだね。

  

18:虚刀流のグラップラー

ライダーシステムが解った以上、後は実践を積めればOKだな。

  

19:鬼滅ごっこをやってる忍者

特訓相手が教師陣であるエクトプラズムたちだけだと少し物足り無いだろうな。

  

20:雄英の仮面ライダー

>>19

その点は大丈夫です。

実践形式の訓練をやれないか相澤先生に相談しまして、緑谷たちと模擬戦する事になりました。

  

21:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

マジで!?

  

22:杜王町の幽波紋使い

良く許可が降りたな。

  

23:空座町の無下限呪術師

教師陣が審判兼監督も務めるだろうけど、()()()()って事は複数人とやる感じ?

チーム戦でもやるの?

  

24:雄英の仮面ライダー

>>23

そうですね。

俺&緑谷のチームvs焦凍&爆豪&切島のチームでやります。

  

25:太刀川隊の狙撃手

>>24

え?

2vs3でやるの?

  

27:海賊系美食屋

流石にそれは不利じゃないか?

  

28:サクラギ研究所のリサーチフェロー

いくら別世界で戦闘経験を積んだライダーくんが居るにしても。

  

29:杜王町の幽波紋使い

何か理由があるのか?

一応チーム戦なんだろ?

  

30:雄英の仮面ライダー

あー……実は、俺に新しい仲間が加わりまして……

 

ちょっとちょっと、来太ってば前置き長過ぎ!いつになったら俺っちを紹介すんのよ!

 

ちょ、割り込まないでよバイス。

 

  

31:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>30

え?

誰?

 

32:太刀川隊の狙撃手

ライダーくんのスレに誰か割り込んで来たけど。

 

33:雄英の仮面ライダー

ってな訳で、こんちは〜!俺っち、来太のナイスな悪魔のバイス!よろしくちゃん!スレニキたち!!

 

 

……とまあ、そういう事です。

 

34:鬼滅ごっこをやってる忍者

いや、どういう事だってばよ……。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「"シュートスタイル"、様になって来たんじゃない?」

 

「そ、そうかな?発目さんが造ってくれたアイテムや佳面くんと飯田くんが体の使い方を教えてくれたお陰だよ」

 

「そんなに謙遜しなくても良いと思うよ?まあ、それを確かめる為に今から模擬戦をやるんだしさ」

 

「うん!」

 

工房を訪ねてから数日後、緑谷は戦闘スタイルを拳から足技にシフトし、他の皆も各々開発して来た頃、俺の提案により今から生徒同士の模擬戦を開始することになった。

 

俺と緑谷に対するは、焦凍・爆豪・切島の3人。

 

他の皆は端の方で観戦し、先生方は審判を務める事となった。

 

「オイ、変身野郎ッ!」

 

セメントス先生が作った戦闘フィールドの中央で、対面している爆豪がギロリと俺を睨む。

 

「何?」

 

「テメェとクソデクの2人で相手するとか……舐めプか!アアッ!?」

 

「落ち着けって爆豪!」

 

自分たち3人に対して、俺たちが2人である事にハンデを付けられた様に思い激昂する爆豪を切島が宥める。

 

ワオっ!爆発太郎くん激おこじゃん!!血圧上がっちゃうから落ち着きなって〜

 

あとバイス、向こうが聴こえてないからって煽らないで。

 

「俺も爆豪と同じ意見だ……どう言うつもりだ、来太」

 

焦凍も数の不利に関して質問して来たので、俺は応える。

 

「別に焦凍たちを嘗めてる訳じゃないよ。……それと勘違いしてるみたいだけど、()()()2()()()()()()()()()()()()

 

「それはどう言う──」

 

「お喋りは終わりだ。そろそろ始まるぞ」

 

焦凍が言おうとしたその時、審判役の相澤先生によって遮られる。

 

「両者どちらかが戦闘不能又は降参した瞬間、勝負を終了とする。準備は良いな?」

 

「「「はい!」」」

 

へへへっ!遂に俺っちのデビュー戦だぜ!!全国のバイスファンの皆〜!SNSで俺っちの大活躍を拡散してね〜!!

 

(拡散しちゃ駄目なんだよなぁ……)

 

なんでよ!来太のいけず!鬼!悪魔!ってか悪魔は俺っちだけど!アハハハ!!

 

俺は隣で悪ふざけしているバイスを横目で見ながら、相澤先生の開始の合図を待つ。

 

 

「始め!」

 

 

「死ねェェェェ!!」

 

 

合図と同時に爆豪が両手の爆破による推進力で迫る。

 

「緑谷!」

 

「うん!」

 

俺と緑谷は左右に分かれて回避する。

 

焦凍が氷結を使って来るか警戒しながら体勢を整える。

 

「俺を忘れてんじゃねぇ!」

 

すると目の前から切島が接近し、硬化した拳を振り下ろす。

 

「忘れてないよ!」

 

俺は切島の拳を躱し、今度は切島の死角へ直線的に踏み込む。

 

「ほい」

 

「うお!?」

 

俺は切島の肩を持ち,自分の身体を回転させることで切島のバランスが崩れ、その状態でもう片方の手で切島の顔に手を翳し、切島は後ろ側に倒れる。

 

合気道で言うところの"入り身投げ"である。

 

「ガハッ!」

 

フィールドに倒れた切島は痛みと衝撃によって肺の中の息を一気に吐き出す。

 

ちょっとちょっと!来太いつになったら俺っちを出してくれんのよ!

 

「ごめん、もう少し待ってて──」

 

隣に浮いているバイスにそう言った瞬間、気温が急激に下がるのを感じる。

 

するとフィールドが氷結に侵食し始め、俺を飲み込もうとする。

 

「おっと!」

 

咄嗟に横に回避し氷結の先を見ると、焦凍が右手をフィールドに当てていた。

 

「俺も忘れんじゃねぇ」

 

「焦凍……」

 

闘志の宿った瞳で此方を見据える焦凍に、警戒感を強める。

 

「悪い、轟。助かった!」

 

「ああ、けどまだ油断するな。来太はまだ変身してねぇ」

 

「おう!っつうか、何か佳面独り言言ってねぇか?」

 

起き上がった切島が焦凍の隣に立つと、焦凍がそう言いながら攻撃体勢を保ちながら俺を警戒する。

 

あと切島が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()不思議そうに見る。

 

……まあ、側から見たら独り言言ってるヤベーイ人に思われても不思議じゃないか。

 

「死ねクソデク!」

 

「くっ、かっちゃん!」

 

そんな事考えていると、別の場所では連続攻撃を繰り出す爆豪に対して緑谷は"フルカウル"で何とか距離を詰めようとしていた。

 

(爆豪は緑谷に任せて良さそうだな……なら、俺はこっちを抑える)

 

「行くよ、バイス!」

 

あいよ!

 

 

『リバイスドライバー!』

 

 

俺はリバイスドライバーを具現化させ、腰に当てる。すると自動的にベルトが出現して装着される。

 

そしてドライバーが装着されたと同時に、バイスが俺の中へ強制収容される。

 

「佳面の奴、また別のベルト使ってるぞ!」

 

「って事は、まだ見た事ない変身をするって事か!?」

 

「どんなのだろ!楽しみーー!!」

 

観戦していた皆は初見となる【リバイスドライバー】に声を上げる。

 

そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「沸いてきたぜ!」

 

 

俺は【レックスバイスタンプ】を取り出し、気合いを入れた言葉を発すると共に起動する。

 

 

レックス!

 

 

【レックスバイスタンプ】が起動したと同時に、俺の背後から謎の巨大画面が出現する。

 

 

 

イェーイ!待ちに待った変身ターイム!

 

 

契約は忘れてないよね、バイス

 

 

分かってるって!来太は心配性だな〜

 

 

愛と勇気がキャッチコピーの俺っちを信じてくれよ!

 

 

いつアンパンヒーローになったの?

 

 

まったく……分かったよ

 

 

信じてるからね、バイス

 

 

ホント!?イヤッホォォォー!!

 

 

 

 

「はぁ…」

 

【レックスバイスタンプ】の印面に息を吹き掛け、バックル部分に備わったスタンプ台に押印する。

 

 

『Come on!』

 

 

『レ!レ!レ!レックス!』

 

 

『Come on!』

 

 

『レ!レ!レ!レックス!』

 

 

スタンプ台に押印した【レックスバイスタンプ】の絵柄が浮かび上がり、認証したと同時にクラブミュージック風の待機音声が鳴り響く。

 

 

ウハハハ〜!

 

 

更に、バイスが透明で巨大な【バイスタンプ】を持ち上げながら俺の周囲を飛び回る。

 

 

俺は【レックスバイスタンプ】を持ちながら、構える。

 

そして──

 

 

「変身ッ!」

 

 

今度は【レックスバイスタンプ】をスタンプ台の隣にあるスロットに装填し、横に倒す。

 

 

『バディアップ!』

 

 

あらよっ!

 

 

倒した【バイスタンプ】に連動してスタンプ台が正面を向く様に回転し、ドライバーから認証音声が鳴ると、バイスは持ち上げていた透明の【バイスタンプ】を俺を覆い隠すように押印する。

 

 

『オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!』

 

 

透明だった【バイスタンプ】は内部からインクが満たされ、重なっている俺の身体に纏わりつき、T-レックスを彷彿とさせるピンク色を基調とした特殊スーツを形成し定着する。

 

そしてバイスも身体が実体化し、【バイスタンプ】から転写されたアーマーがバイスの身体の各部に装着される。

 

 

『仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!』

 

 

アーマーを装着したバイスが着地したと同時にエネルギー体の【バイスタンプ】は砕け散り、中から変身した俺が姿を現す。

 

「フフフッ!決まったぜ!」

 

隣に立つバイスが笑いながらポーズを決める。

 

「うお!?何か出て来たぞ!」

 

「誰だ!?」

 

「変身した佳面さんと似た形状の鎧を着けてますが……」

 

「俺の黒影(ダークシャドウ)と似た眷属か……?」

 

皆も突然現れたバイスに驚愕する。

 

「はいはーい!皆さん、ご注目〜〜!!俺っちはクールでセクシーな悪魔系ヒーロー、"仮面ライダーバイス"!そんで、こっちは来太が変身する"仮面ライダーリバイ"!2人揃って!"仮面ライダーリバイス"!!史上最高のヒーローの登場だぜ!!」

 

バイスはアピールしながらこの場に居る全員に紹介する。

 

()()()()()()()()()だぁ?その称号は俺ンだわ!!殺すぞコスプレ野郎!!」

 

「かっちゃん……!」

 

バイスの言葉に反応した爆豪が凄い目つきで俺とバイスを睨む。

 

「あらやだ、あの子怖〜い!おたく、ヒーローより(ヴィラン)の方が向いてんじゃね?リク○ビとかin○eedに申し込めば?」

 

「アアッ!?」

 

「こら、バイス」

 

爆豪を煽るバイスに向かってチョップする。

 

「あイテッ!?何すんだよ来太!」

 

「今のはバイスが悪いからね。それより闘いに集中して」

 

「おっと、そうだった!皆纏めて俺っちがギッタギタのメッタメタにしてやるからな!」

 

「その台詞もギリギリだからね」

 

著作権に関わりそうな発言をするバイスにツッコミしながら、気を取り直して目の前の焦凍と切島に備えて構えるのであった。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーリバイス

レア度【SR】

出典『仮面ライダーリバイス』


1人で2人の仮面ライダー、リバイス 爆誕!!
サポート科と協力して解析した事でライダーシステムを理解したライダーくん。試運転も兼ねて生徒同士による模擬戦をやる事になった。
バディ悪魔であるバイスと仮面ライダーに変身し、焦凍たちに挑む。


次回、リバイ&バイス&緑谷vs焦凍&爆豪&切島!!


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72スレ

第78話を投稿します。

余談ですが、最近【HUNTER×HUNTER】を読み直して改めて面白いなぁと思いました。

ふと念能力でスパイダーマン等のMARVELヒーローの能力再現する小説とか面白そうだと考えましたが、今は連載中の作品を無事に完結させるよう頑張ります。
それと番外編もGW頃に投稿再開させます。

あとアニメONE PIECE 1015話の作画がエグ過ぎて録画で何度も観てました。東映スタッフさん、あのレベルは最早TVシリーズじゃなくて劇場版並ですよ……。

あと『SPY×FAMILY』と『かぐや様』も面白いです。


【飯田視点】

 

「うお!?何か出て来たぞ!」

 

「誰だ!?」

 

「変身した佳面さんと似た形状の鎧を着けてますが……」

 

「俺の黒影(ダークシャドウ)と似た眷属か……?」

 

変身した佳面くんの隣に突如現れた存在、バイス()()に観戦する皆が驚愕する。

 

「変身したね、飯田くん」

 

隣に居る麗日くんがヒソヒソと話し掛ける。

 

「ああ…佳面くんが何とかするだろうが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

「あはは、あん時はびっくりしたよね」

 

「笑い事じゃないぞ、麗日くん。あの時は佳面くんが止めてくれたから何とかなったが、君は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

苦笑する麗日くんに俺は()()()を思い出しながら注意する。

 

「はいはーい!皆さん、ご注目〜〜!!俺っちはクールでセクシーな悪魔系ヒーロー、"仮面ライダーバイス"!そんで、こっちは来太が変身する"仮面ライダーリバイ"!2人揃って!"仮面ライダーリバイス"!!史上最高のヒーローの登場だぜ!!」

 

するとバイスくんが突然アピールしながらこの場に居る俺たち全員に自己紹介をする。

 

()()()()()()()()()だぁ?その称号は俺ンだわ!!殺すぞコスプレ野郎!!」

 

「かっちゃん……!」

 

爆豪くんが凄い目つきで佳面くんとバイスくんを睨むと、バイスくんが怯える真似をしながら爆豪くんを指差す。

 

「あらやだ、あの子怖〜い!おたく、ヒーローより(ヴィラン)の方が向いてんじゃね?リク○ビとかin○eedに申し込めば?」

 

「アアッ!?」

 

「こら、バイス」

 

すると、爆豪くんを煽るバイスくんに向かって佳面くんがチョップする。

 

「あイテッ!?何すんだよ来太!」

 

「今のはバイスが悪いからね。それより闘いに集中して」

 

「おっと、そうだった!皆纏めて俺っちがギッタギタのメッタメタにしてやるからな!」

 

「その台詞もギリギリだからね」

 

(本当に大丈夫だろうか……)

 

バイスくんの態度に呆れながらも構えを取る佳面くんに俺は少し同情する。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「フッ、ハアーッ!」

 

「ヒャッホー!」

 

俺とバイスは焦凍と切島へ駆ける。

 

「チッ!」

 

焦凍は再びフィールドに手を翳し氷結する。

 

「ハッ!」

 

「よっと!うわ!?冷たっ!」

 

迫り来る氷結をジャンプで回避し、俺は焦凍の、バイスは切島の前に着地する。

 

「ハアッ!」

 

「グッ!?」

 

着地と同時に放った前蹴りが焦凍の腹部に直撃する。

 

「悪魔パーンチ!」

 

「オラァッ!」

 

バイスの拳と切島の拳が交差するも、バイスは僅かに顔を逸らして直撃を回避し、切島の顔面に拳が突き刺さる。

 

「グッ!?」

 

「ハアッ!ハアッ!」

 

少し怯んだ切島にバイスは連続で殴りかかる。

 

「アタタタタタタタタタタッ!」

 

「ホワッターーッ!!」

 

高速連打からの右のアッパーカットが切島の顎に炸裂し、強烈な一撃に切島は宙に浮いた。

 

 

「悪魔百烈恐竜拳(ひゃくれっくすけん)!!」

 

 

「ゴフッ…」

 

「切島!?」

 

クラスでも防御力に優れている切島がフィールドに倒れ、焦凍が叫ぶ。

 

「切島が殴り合いで負けた!?」

 

「タフさならクラスでも1、2を争う奴だぞ!」

 

「圧縮訓練で硬度は前よりも増している筈なのに……!」

 

観戦している皆も切島が倒れた事に驚愕する。

 

「余所見してて良いのか!」

 

「クッ!」

 

俺は尽かさず蹴りを放ち、焦凍はそれを辛うじて回避し距離を離す。

 

「来太〜!俺っちのカッコ良い所見てた!どうだった!どうだった!」

 

「カッコ良かったから手伝ってバイス!」

 

「へへへっ、しょうがないなぁ来太くんは!待ってろ〜!」

 

褒められた事に上機嫌となったバイスは俺の所へ駆け寄る。

 

「いい加減くたばれや!」

 

「そう簡単にやられないぞ、かっちゃん!」

 

緑谷も爆豪の攻撃を何とかいなしつつ、新たに習得したシュートスタイルによる蹴り技で応戦する。

 

「お!デクっちやるね〜!俺っちたちも負けてらんないぜ、来太!」

 

「分かってる。ゲノムチェンジだ、バイス!」

 

俺はそう言ってセットされた【レックスバイスタンプ】を取り外す。

 

「うわ〜!?」

 

すると隣に居たバイスが俺に吸い込まれる様に戻る。

 

そのまま【リバイスドライバー】に備わった携行用ホルダーから【バイスタンプ】を取り出し、起動する。

 

 

『メガロドン!』

 

 

【メガロドンバイスタンプ】が起動したと同時に、再び俺の背後から謎の巨大画面が出現する。

 

 

 

そう言えばさぁ〜もう直ぐ夏が終わるね

 

 

突然どうしたの?

 

 

いやさ、ふと思っちゃったワケでして

 

 

来太は今年夏っぽい事した?

 

 

夏っぽい事か……

 

 

夏祭りのボランティアやったくらいかな?

 

 

俺っち花火やりた〜い!

 

 

それとスイカ割り!

 

 

スイカ割りは難しいけど花火なら出来そうかな

 

 

ホント!?やりたいやりたい!

 

 

折角だし、皆も誘ってみるか

 

 

 

 

「はぁ…」

 

【メガロドンバイスタンプ】の印面に息を吹き掛け、バックル部分に備わったスタンプ台に押印する。

 

 

『Come on!』

 

 

『メガロドン!』

 

 

『Come on!』

 

 

『メガロドン!』

 

 

スタンプ台に押印した【メガロドンバイスタンプ】の絵柄が浮かび上がり、認証したと同時にクラブミュージック風の待機音声が鳴り響く。

 

 

ウハハハ〜!

 

 

更に、バイスが透明で巨大な【バイスタンプ】を持ち上げながら俺の周囲を飛び回る。

 

俺は【メガロドンバイスタンプ】をスタンプ台の隣にあるスロットに装填し、横に倒す。

 

 

『バディアップ!』

 

 

ほいっと!

 

 

倒した【バイスタンプ】に連動してスタンプ台が正面を向く様に回転し、ドライバーから認証音声が鳴ると、バイスは持ち上げていた透明の【バイスタンプ】を俺を覆い隠すように押印する。

 

透明だった【バイスタンプ】は内部からインクが満たされ、重なっている俺の身体に纏わりつき、【レックスゲノム】から今度は絶滅種の鮫の一種であるメガロドンを彷彿とさせる紫色を基調とした特殊スーツを形成し定着する。

 

 

『潜るドンドン!ヨーイドン!ドボン!メガ・ロ・ド・ン!』

 

 

そしてバイスも身体が再び実体化し、【バイスタンプ】から転写されたアーマーがバイスの身体の各部に装着される。

 

 

『通りすがりのハハハハンター!』

 

 

アーマーを装着したバイスが着地したと同時にエネルギー体の【バイスタンプ】は砕け散り、中から変身した俺が姿を現す。

 

【メガロドンバイスタンプ】でゲノムチェンジした姿、【メガロドンゲノム】である。

 

「なるほどなるほど、何となく分かっちゃった」

 

「何が?と言うか……少しディケイドっぽいね、バイス」

 

「いやいや、来太もだからね」

 

「え?……本当だ」

 

メガロドンと他に何処となく【仮面ライダーディケイド】っぽい意匠を感じるアーマーを纏うバイスを見てそう言ったところ、バイスから指摘されたので自分の身体を見てみると、確かに俺のスーツのデザインも少し【仮面ライダーディケイド】っぽいものとなっていた。

 

本家との違いとしては、両腕にブレードが備わっているところか……。

 

「そんじゃあ行くぜ!念能力が使える俺っちたちのコンビネーションに勝てるかな!?」

 

「いや、それ別のハンターだから!」

 

色々ギリギリな発言をするバイスにツッコミを入れながら焦凍目掛けて駆ける。

 

「これならどうだ!」

 

焦凍は左腕から炎を放つ。

 

俺は【メガロドンゲノム】の能力を発揮させ、100ノットの速さでフィールドを泳ぐかの様に回避する。

 

「すいすい〜!」

 

バイスも浮いた状態で腕をかき出す様にして炎を避ける。

 

「ハアッ!」

 

「オラッ!」

 

俺は両腕のブレードで炎を斬り裂き、その隙にバイスがサメの顎のオーラを纏った回し蹴りを焦凍に放つ。

 

「ガハッ!」

 

咄嗟に氷結でガードするもバイスの蹴りによって砕かれ、そのまま腹部に直撃した焦凍がフィールドに転がる。

 

「足引っ張ってんじゃねぇぞ半分野郎!」

 

「グッ……悪い」

 

焦凍が自分の所まで転がって来た事に、爆豪がキレる。

 

 

「一気に行くぞ、バイス!緑谷!」

 

 

「おう!」

 

「うん!」

 

2人にそう言い、【リバイスドライバー】にセットされた【メガロドンバイスタンプ】を1回倒し、スイッチを押す。

 

 

『リミックス!』

 

 

そして【メガロドンバイスタンプ】をもう1度倒す。

 

 

『バディアップ!』

 

 

「バイス!」

 

「あいよ!よっこらせ」

 

突然バイスは逆立ちをし、俺はバイスの両足を掴む。

 

すると、俺とバイスの全身が上下逆の状態で折り重なり、お互いのアーマーが変形する。

 

 

『必殺!何トン?メガトン!メガロドン!』

 

 

上半分の俺は背ビレ・胸ビレ・上顎を、下半分のバイスは下顎・エラ・尾ビレを担当し巨大鮫へと変貌する。

 

これがリバイスの能力の1つであるリミックス変身である。

 

「佳面ともう1人が合体して巨大鮫になった!?」

 

「ギミック搭載し過ぎだろ!」

 

「何でもありかよ!?」

 

「シャーク!」

 

俺とバイスが合体した姿に全員が驚愕する。

 

「何だろうがぶっ殺す!!」

 

「下手に突っ込むな爆豪!」

 

焦凍の静止を無視して爆豪が迫る。

 

「死ねぇ!!」

 

「ハアッ!」

 

爆豪が攻撃を仕掛ける前に空中を高速で泳ぎ、回転しながら尾ビレでカウンターを取る。

 

「グッ!クソがァ!!」

 

「緑谷!」

 

「SMASH!」

 

緑谷の追撃による蹴りが爆豪を捉える。

 

「ハアァァッ!」

 

「グゥッ!」

 

その隙に俺とバイスは焦凍を大きな顎で咥えながら引き摺り回し、爆豪の居る上空へと打ち上げる。

 

 

『メガロドン!スタンピングフィニッシュ!!』

 

 

「「ハアァァァァッ!!」」

 

 

そして勢い良く突進して焦凍と爆豪を噛み砕く。

 

 

「グハッ……」

 

「く、クソがぁぁ……」

 

必殺技を直撃した2人はそのままフィールドに落下し、気絶する。

 

 

「勝負あり!勝者は佳面・緑谷チーム!!」

 

 

審判の相澤先生の判決と共に、模擬戦が終了する。

 

イェイ!イェーイ!!俺っちの大勝利!!皆〜!SNSで拡散してね〜!!『#ナイスバイス』でヨロシク〜!!

 

変身を解除すると、再び半透明になったバイスが調子に乗り出す。

 

「いや、拡散させないから。後、半透明だから皆に聴こえてないよ」

 

そんな〜!?けど良いもん!ニキたちとこれを読んでくれてるファンの皆に拡散して貰うもんね!!

 

(いや、ニキたちに協力を仰がないでよ……あれ?()()()()()()()()()()って何?)

 

俺はバイスのよく分からない発言に首を傾げるのであった。




最強生物の力で戦うライダーくんとバイス
持ち前の戦闘スキルと【バイスタンプ】を駆使した戦法で緑谷との連携攻撃で何とか模擬戦に勝利するライダーくんとバイス。

悪魔との契約はもはやお約束
バイスと初対面した時、ライダーくんはバイスとの間に契約を結んでいた。
内容は【人々を守る為に一緒に戦う事】と【人に迷惑を掛けたり襲ったりしない限り実体化しても良い】と言うもの。
お調子者のバイスを手懐けるのでは無く、共に居続ける事で信頼関係を築いていく方針となった。

※リバイス系のライダーに変身する際、自動的にライダーくんの身体は【ギフの遺伝子】を宿す五十嵐ライダーズと同様の体質となる為、ヒロミさんみたいに寿命が縮むデメリットは起きません。

次回、遂に仮免試験が開始!
登場する仮面ライダーのヒントは「蜘蛛」です。


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73スレ

79話を投稿します。

番外編も最新話作成中ですのでもう暫くお待ち下さい。

今回変身する仮面ライダーのヒントは「蜘蛛」「悪魔」「我が命を懸けて……世界を守る!」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

模擬戦後に皆で花火したり、何だかんだで仮免試験当日になりました。

  

2:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

説明が雑ってレベルじゃない……。

  

3:杜王町の幽波紋使い

もう当日か。

  

4:空座町の無下限呪術師

どう?

緊張してる?

  

5:雄英の仮面ライダー

大丈夫です。

受けるからには、絶対合格してみせます。

  

6:太刀川隊の狙撃手

その意気だ。

  

7:サクラギ研究所のリサーチフェロー

焦っちゃダメだぞ。

  

8:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

しっかりね。

  

9:杜王町の幽波紋使い

しかし、今回も人少ないな。

  

10:空座町の無下限呪術師

まあ、皆色々あるからねぇ〜。

忍者ニキも中忍試験中だし、円卓ニキは大学、美食屋ニキは頂上戦争に参加する為にマリンフォードに向かってるみたいだし。

グラップラーニキは……()()()()鬼ごっこ中でそれどころじゃないみたいだよ。

  

11:雄英の仮面ライダー

他のニキたちはともかく、グラップラーニキ不憫過ぎる……。

  

12:サクラギ研究所のリサーチフェロー

まあ、いつもの事だしな。

  

13:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

気にしないで良いと思うよ。

  

14:杜王町の幽波紋使い

それで良いんだろうか……。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

試験当日。

 

俺たちA組は相澤先生の引率の下、スクールバスで試験会場である【国立多古場競技場】に到着した。

 

全員バスから降り、会場を眺める。

 

多くの受験生が会場へ入っていく姿を見ながら大半が不安そうな様子を見せる。

 

「うぅ……緊張してきたぁ~」

 

「試験て何やるんだろう……?はぁ……仮免取れっかなぁ」

 

「峰田、"取れるか"じゃない。取ってこい」

 

「お、おう!モロチンだぜ!!」

 

峰田に発破をかけた相澤先生は全体に向けて激励の言葉を伝える。

 

「この試験に合格し仮免許を取得出来れば、お前ら卵は晴れてヒヨッ子セミプロへ孵化できる。頑張って来い」

 

「っしゃあ!なってやろうぜヒヨッ子によ!」

 

「いつもの1発決めて行こーぜ!せーの、プルス……」

 

 

「ウルトラァ~!!!!!」

 

 

突然見知らぬ男が切島のかけ声に合わせて割って入る。

 

身長は185の俺より少し大きく、体格も良い。

 

俺たちが"誰だコイツ"的な視線を向けていると、その男と同学校の生徒らしき人物が注意する。

 

「勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよ、イナサ」

 

「あっ!しまった!どうも、大変、失礼いたしましたぁぁぁぁぁぁ!!」

 

注意を受けた大男は地面に頭をこすりつけながら謝罪の言葉を口にする。

 

俺たちは呆気にとられて反応が遅れてしまった。

 

「な、なんだこのテンションだけで乗り切る感じの人は!?」

 

「飯田と切島を足して2乗した様な感じだな」

 

(!?この男……)

 

「待って!あの制服……」

 

「あれか。西の有名な……」

 

「……東の雄英、西の士傑」

 

(確か数あるヒーロー科の中でも、雄英と肩を並べる程の難関校…士傑高校)

 

「1度言ってみたかったッス!プルスウルトラ!自分、雄英大好きッス!雄英の皆さんと競えるなんて光栄の極みッス!宜しくお願いします!!」

 

「あ、血」

 

「行くぞ」

 

先ほど大男に注意した生徒がそう促すと、彼らは会場の方へ去って行ってしまった。

 

その後ろ姿を見ながら相澤はボソッと呟く。

 

「……夜嵐イナサ」

 

「先生、知ってる人ですか?」

 

「ありゃあ、強いぞ」

 

「「「!?」」」

 

「夜嵐。昨年度……つまりお前らの年の推薦入試、トップの成績で合格したにも関わらず、何故か入学を辞退した男だ」

 

「えっ!?じゃあ、1年!?」

 

(っていうか推薦トップの成績って……実力は轟くん以上!?士傑高校の夜嵐イナサ……)

 

(その時はまだ炎を使えなかったとは言え、焦凍以上の成績を叩き出したって事か……)

 

「夜嵐イナサ…だっけ?雄英大好きとか言ってた割に、入学は蹴るってよくわかんねぇな」

 

「ね~変なのぉ~」

 

「変だが本物だ。マークしとけよ」

 

「イレイザー?イレイザーじゃないか!」

 

何処からか相澤先生を呼ぶ女性の声が聞こえたと同時に、相澤先生の体がビクッと震える。

 

声がする方を見ると、バンダナを頭に巻いた快活そうな女性が此方に歩いて来る。

 

「TVや体育祭で姿は見てたけどこうして直で会うのは久し振りだな!」

 

「うっ……」

 

(相澤先生が顰めっ面になってる。珍しいな……)

 

「あの人は……」

 

「結婚しようぜ」

 

「しない」

 

「わあっ!!」

 

突然の逆プロポーズに相澤先生は即答する。

 

「ブッハー!しないのかよ!ウケる!」

 

「相変わらず絡みづらいな、ジョーク」

 

相澤先生が話し掛けて来た女性のヒーロー名を口にする。

 

見た感じだと二人は旧知の仲の様だ。

 

するとA組のヒーロー博士である緑谷が女性ヒーローの正体に気づき説明をする。

 

「スマイルヒーローMs.ジョーク!"個性"は【爆笑】!近くの人を強制的に爆笑させ、思考・行動共に鈍らせるんだ!彼女の敵退治は狂気に満ちているよ!」

 

「私と結婚したら、笑いの絶えない幸せな家庭が築けるんだぞ!」

 

「その家庭、絶対幸せじゃないだろ」

 

「ブハハッ!」

 

「仲が良いんですね」

 

「昔事務所が近くてな。助け、助けられを繰り返す内に相思相愛の仲へと……」

 

「なってない」

 

「いいな!その速攻のツッコミ!弄りがいがあるんだよなイレイザーは!」

 

一息ついたところで相澤先生が本題へと話を進める。

 

「ジョーク、お前が此処に居るって事は……」

 

「そうそう!おいで皆!雄英だよ!」

 

「おお!本物じゃないか!」

 

「凄いよ凄いよ!TVで見た人ばっかり!」

 

「1年で仮免?へぇー、随分ハイペースなんだね。まァ色々あったからねぇ。流石やる事が違うよ」

 

ジョークさんの後ろから生徒達とおぼしき集団が現れる。

 

ジョークさんは雄英生達に彼らの紹介をする。

 

「傑物学園高校2年2組!私の受け持ち。宜しくな」

 

「俺は真堂!今年の雄英はトラブル続きで大変だったね。しかし君たちはこうしてヒーローを志し続けているんだね。素晴らしいよ!不屈の心こそこれからのヒーローが持つべき素養だと思う!」

 

(眩しい……!)

 

(ドストレートに爽やかなイケメンだ……)

 

(筑波さんとは別ベクトルの爽やかさだな)

 

スカイライダーの変身者である筑波洋さんとは違う爽やかさを持つ真堂さんと他の傑物学園高校の人たちを見る。

 

「ねぇ佳面くん!サインちょうだい!体育祭カッコよかったんだ~。あっ!あと轟くんも!」

 

「やめなよ。ミーハーだな」

 

「オイラのサインもあげますよ」

 

「おい!戦闘服(コスチューム)に着替えてから説明会だぞ。時間を無駄にするな」

 

「「「はい!」」」

 

傑物高の生徒達と親しげに交流していた俺たちだったが、相澤先生の指示により会場へと移動し始めた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

『え~……では、アレ……仮免のヤツをやります。あ~……ヒーロー公安委員会の目良です。好きな睡眠はノンレム催眠……仕事が忙しくて、碌に寝れない…! 人手が足りてない…! 眠たい!そんな信条の下、ご説明させていただきます』

 

(((大丈夫か?この人……)))

 

俺たち受験者は説明会場にいた。

 

会場には会場がギッチリ埋まるほどの人数が集い、かなり居心地の悪い状況となっていた。

 

そんな中、今回の試験の責任者らしき人物である目良さんから試験の説明が行われた。

 

『ずばり、この場にいる受験者1540人一斉に勝ち抜けの演習を行って貰います』

 

試験内容は簡単に言えば勝ち抜けのサバイバル演習。

 

『えー…現代はヒーロー飽和社会と言われ、ヒーロー殺しことステインの登場以降、今現在のヒーローの在り方に対して、疑問や批判的な意見を抱く人も決して少なくはありません』

 

『まぁ、一個人としては……動機がどうであれ、命懸けで人助けしている人間に"何も求めるな"は……現代社会に於いて無慈悲な話だと思う訳ですが……とにかく……対価にしろ、義勇にしろ、多くのヒーローが救助・(ヴィラン)退治に切磋琢磨してきた結果、事件発生から解決に至るまでの時間は今、ドン引きするくらい迅速になってます』

 

『君達は仮免許を取得し、いよいよその激流の中に身を投じる。そのスピードについていけない者は、ハッキリ言ってヒーローとしてやっていくのは厳しい』

 

『よって、試されるはスピード! 条件達成者先着1()0()0()()を通過とします』

 

「「「!!?」」」

 

残酷な合格ラインに一同が騒めく。

 

「待て待て1540人だぞ!?5割どころじゃねぇぞ!?」

 

皆が騒ぐ中、目良さんは説明を続ける。

 

『それと……その条件についてですが…コレです』

 

目良さんはボールと丸い装置を取り出す。

 

『受験者はこのターゲットを3つ、体の好きな場所、ただし、常に晒されている場所に取り付けて下さい。足裏や脇はダメです。各受験者は赤い色をしたボールを6つ保持し、ターゲットにボールが当たるとそのターゲットは赤く発光する仕組みになっていますので……3つのターゲットが発光した時点でその受験者は失格となり、逆に3つ目のターゲットにボールを当てた人はその人を倒した事とします』

 

『そして2()()倒した者から勝ち抜きです。説明は以上』

 

(簡潔に言うと"的当てゲーム"だけど、ボールの保持数が合格ラインにピッタリになっていると言う事は、3()()()()()()()()()()()()()()()()事を推奨してるって事か……入試以上に苛烈なルールだな)

 

しかし、目良さんの説明はまだ続いた。

 

『え~じゃあ()()()、ターゲットとボール配るんで全員に行き渡ってから1分後にスタートとします』

 

「展開?」

 

目良さんが言葉が聞こえた直後、会場の天井と壁が突然開いていく。

 

完全に開ききった後、辺りを見回すと高層ビル群や工業地帯、岩場など多様なステージが用意されていた。

 

『各々苦手な地形、好きな地形あると思います。自分の個性を活かして頑張ってくださ~い』

 

目良さんによる説明が終わり、各位にターゲットとボールが配布される。

 

「すみません、俺"個性"使うと戦闘服(コスチューム)覆われるので"個性"使ってからターゲットを取り付けても良いですか?」

 

「あ、そっか」

 

「ターゲット付けてから変身したらルール的にダメになっちゃうのか」

 

「体育祭の騎馬戦の時と同じだな」

 

俺が委員会の人に質問すると皆も納得する。

 

「少し待って下さい……確認しました。君は"個性"を使った後にターゲットを取り付けて下さい」

 

「ありがとうございます」

 

 

『デモンズドライバー!』

 

 

委員会側から承諾を貰い、俺は今回使用する変身ベルト【デモンズドライバー】と【スパイダーバイスタンプ】を実体化させ、腰に装着する。

 

そして【スパイダーバイスタンプ】を起動させる。

 

 

『スパイダー!』

 

 

起動した【スパイダーバイスタンプ】を【デモンズドライバー】に備わった朱肉に似た承認装置に押印する。

 

 

『Deal』

 

 

押印が承諾され【デモンズドライバー】から待機音声が鳴り響く中、俺は【スパイダーバイスタンプ】を【デモンズドライバー】の正面モニターである情報入力装置に押印する。

 

 

「変身ッ!」

 

 

『Decide up』

 

 

すると俺の足元に情報入力装置に浮かび上がる模様と同じものが現れ、俺の傍に1匹の蜘蛛が糸を垂らしながら出現する。

 

 

『Deep.(深く)

 

 

『Drop.(落ちる)

 

 

『Danger.(危機)

 

 

(仮面)Rider.』

 

 

『Demons!』

 

 

蜘蛛が糸を吐きながら俺の周りを回転する。

 

すると俺の身体は赤・銀・ネイビーに配色されたアーマーが覆われ、右肩に蜘蛛が取り付くと糸が全身に纏わり付く。

 

仮面に備わった大きな2つの複眼を中心に蜘蛛のように左右に6つ並ぶ青い視覚センサーが妖しく光り、俺は蜘蛛のライダー【仮面ライダーデモンズ】に変身完了する。

 

「おー!?今度は蜘蛛か!?」

 

「カッケェー!!」

 

「何処の親愛なる隣人だよ!?」

 

「待って!口田くんが気絶しかけてる!」

 

「虫嫌い克服してなかったのか!?」

 

俺の変身した姿に皆が驚愕する。

 

(あと、口田……ごめん。けど蜘蛛って昆虫じゃないよ)

 

そう思いながら委員会の人からボールとターゲットを受け取り、俺は胸部に1箇所、脇腹に左右1箇所にターゲットを取り付ける。

 

俺たちは岩場の場所に位置していた。

 

「皆!あまり離れず塊で動こう!」

 

「うん!」

 

「そうだな!」

 

「フザけろ。遠足じゃねぇんだよ!」

 

「バカッ!?待て、待て!」

 

緑谷の提案に即答で反対した爆豪は1人で何処かへ行ってしまい、そんな爆豪を切島が追い掛ける。

 

「俺も。大所帯じゃ却って力が発揮出来ねぇ」

 

「分かった。気をつけてね、焦凍」

 

「ああ」

 

焦凍も俺たちから離れる選択を取る。

 

そして暫くすると、甲高い音と共に試験開始のカウントダウンが始まる。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「イレイザー、チャック開いてる。ププッ」

 

(何で俺の周りはこうも煩い奴が多いんだ……)

 

会場の観客席に座る相澤は自分をチラチラ見ながら笑うジョークに内心イラついていた。

 

「しかし、2()0()()とはなぁ。お前が除籍しないなんて珍しいじゃん。そんなに気に入ってんだ、今回のクラス」

 

「別に」

 

「ブハッ!照れるなよダセェなあ!付き合おう!!」

 

「黙れ」

 

揶揄うジョークに相澤は辛辣な態度をとる。

 

「しっかし、それなら変な話だぜ」

 

さっきまで笑っていたジョークはスッと笑みを消す。

 

「例年形式は変われど、この仮免試験には1つの慣習に近いものが存在する。全国の高校が競い合う中で唯一()()()()()()()()()()()()()()を失っている高校。体育祭と言うイベントで"個性"はおろか弱点・スタイルまで割れたトップ校。可愛いクラスなら言ってあげれば良かったのに!毎回行われる……"雄英潰し"の事を




仮面ライダー紹介

仮面ライダーデモンズ

レア度【SR】

出典『仮面ライダーリバイス』


ヒーロー仮免試験、開始!
遂に仮免試験が開始され、周りはライダーくんたちよりも訓練を重ねて来た強者揃い。
果たして、ライダーくんたち1年A組は全員で仮免取得出来るのか……!!

西の名門校、士傑高校!!
数あるヒーロー科を有する高校の中でも関東の名門校である雄英と対極の西の名門校、士傑高校も仮免試験に参加する。
その中には雄英の推薦試験でトップの成績を残すも入学を拒否した異色の1年夜嵐イナサも居た。

蜘蛛のライダー、その名はデモンズ
リバイスと同じ系統の新しい仮面ライダー、デモンズに変身するライダーくん。果たして、その性能は如何に……!!

次回、勝ち抜き戦勃発!!
新たな力、デモンズが大活躍!!


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74スレ

すみません、別作品の連載を始めて投稿が遅くなりました。
これからはなるべくペースを上げて投稿していきます。
他2作品も連載中ですので宜しければそちらもお楽しみ下さい。

5月まで募集していましたアンケートの結果、【ライダーくんvsエボルト】をオリジナルエピソードで連載する事が決定しました!
アンケートにご協力してくれた皆様、大変ありがとうございます!!

リバイス本編も遂に最強フォームが登場し、そして我らがヒロミさんが帰還!あの人が居るだけで安心感半端ない、流石ヒロミさん!あと大ニの正義感が暴走して敵側に堕ちてましたけど、また五十嵐家全員で食卓を囲めたら良いですね。

ドンブラザーズは追加戦士のドンドラゴクウのジロウが登場早々からヤバいキャラで今後の展開が予想出来ません。

ウルトラマンは【ギャラクシーファイト 運命の衝突】が凄すぎる。過去のウルトラマンたちの登場や戦闘シーンもそうですが、そのキャラたちを活躍させるシナリオにファンとして脱帽です。坂本監督は本当にファンを喜ばせるのが上手いです。 



『4』

 

 

「単独で動くのは良くないと思うんだけど……」

 

「何で?」

 

焦凍、爆豪、切島が各自で行動に移り、遂に1次試験開始のカウントダウンが迫る中で、残った俺たちが一塊で移動していると緑谷が不安そうに呟く言葉に峰田が訊く。

 

 

『3』

 

 

「だってホラ……!僕らはもう手の内バレてるんだ」

 

「そうか!体育祭か!」

 

言いたい事を理解した飯田に緑谷が頷く。

 

「さっき僕が言った勝ち筋は他校も同様なワケで……学校単位での総力戦になると思うんだ。そしたら次は当然、()()()()()()()()()って話になる」

 

 

『2』

 

 

「それって!」

 

「もしかして……」

 

他の皆も緑谷の言葉を理解し、()()()()()()()()()()()()()

 

 

『1……』

 

 

『1次試験 スタート』

 

 

試験開始のアナウンスと同時に、数十人の受験者がボールを持って俺たちの前に現れる。緑谷の予測通り、最初に標的に選んだのは俺たち(雄英)の様だ。

 

目の前の受験者の中には、試験前に挨拶した傑物学園高校の人たちも居る。

 

「TVで観てたよ、"自らをも破壊する程の超パワー"。まァ……」

 

 

「杭が出てればそりゃあ打つさ!!」

 

 

傑物学園高校の真堂さんが叫ぶと同時に、受験者たちが一斉に俺たちへボールを投げる。中には"個性"の能力を付与された物もある。

 

しかし──

 

「瀬呂、カバー頼む!」

 

「応よ!」

 

俺は両手から蜘蛛の糸に似た粘着性特殊繊維を放出して飛んでくるボールを捕らえ、残りを近くに居た瀬呂がテープで完全に止める。俺と瀬呂以外の皆も、合宿で習得した必殺技を駆使してボール無効化する。

 

 

「締まって、行こう!」

 

 

「「「おう!」」」

 

 

緑谷の掛け声に俺たち全員が応える。例え受験者全員から狙われているとしても、簡単にやられる程俺たちは成長していない訳がないのだ。

 

「ほぼ弾くかァ──」

 

「こんなものでは雄英の人はやられないな」

 

大量のボールを無効化した事に、目の前の受験者たちが警戒する。

 

「けどまァ……見えてきた」

 

傑物学園高校の男子が持っているボールを両手で捏ねる。すると丸かったボールが角張った形状となり、ガッチガチに硬くなっている様に見える。

 

「任せた」

 

「任された」

 

今度は他の傑物学園高校の男子が角張ったボールを受け取り、独特な構えを取る。

 

「これ、うっかり僕から一抜けする事になるかもだけど、そこは敵が減るって事で大目に見て貰えると有難いかな」

 

傑物学園高校の男子はそのままボールを地面に向かって投げる。投げられたボールは地面を潜って地中に隠れる。おそらく、投げた物の軌道を操作するタイプの"個性"なのだろう。

 

「ボールが地中に!!」

 

「皆下がって!ウチがやる!」

 

俺たちは地中に潜ったボールを警戒していると、耳郎さんが前に出る。すると耳郎さんは"イヤホンジャック"が両手に装備されたサポートアイテムと接続させ、そのアイテムを地面に当てる。俺たちは指示通り耳郎さんの後ろに下がる。

 

 

ハートビートファズ!

 

 

サポートアイテムで増幅された音の振動が地面を割る。地面が割られた事で地中に隠れていたボールが姿を現し、吸い込まれる様に峰田に向かう。

 

「オイラに来てるぅ!!」

 

「粘度溶解度MAX!」

 

 

アシッドベール!

 

 

今度は芦戸さんが標的にされた峰田の前に"酸"の盾を作り出し、ボールを溶かす。

 

「助かった!イイ技だな!」

 

「ドロっドロにして壁を張る防御ワザだよ!」

 

「隙が生じた、深淵闇躯(ブラックアンク)

 

「言い易くカッコ良くなってる」

 

黒影(ダークシャドウ)を身に纏った常闇に緑谷がツッコむ。

 

 

"宵闇よりし穿つ爪"

 

 

纏った黒影(ダークシャドウ)が掴んだボールを傑物学園高校の女子に向かって腕を伸ばす。

 

「危な!」

 

傑物学園高校の女子は上半身をまるで亀の頭の様に引っ込ませて回避する。……あれって物理法則的に大丈夫なのだろうか?

 

「ふーー……強い」

 

「体育祭で見てたA組じゃないや。成長の幅が大きいんだね」

 

お互いに警戒していると、突如アナウンスが流れる。

 

 

『えー現在まだ何処も膠着状態……通過0人です……。あ、情報が入り次第私がこちらの放送席から逐一させられます』

 

 

()()0人と言う事は、今はお互いに様子見の状態……相手の"個性"の特性や使い方を見る段階。つまり、ここから戦いが加速していく!)

 

すると真堂さんが腰を落とし、両手を地面に触る。

 

「よぉし。離れろ!彼らの防御は堅そうだ。割る!

 

 

「(不味い……!)全員退避!」

 

「「「!?」」」

 

俺が皆に叫ぶも、相手の攻撃が一歩早い。

 

「最大威力!」

 

 

動              震

 

 

 

地              伝

 

 

先程の耳郎さんの必殺技以上の振動によって地面全体が割れ、足場がまともに確保出来ない状態となる。

 

「必殺技なら当然此方も編んでるよ」

 

「メチャクチャするなーーー!!」

 

真堂さんの必殺技によって、俺たち雄英はバラバラとなる。

 

「クソっ!緑谷!」

 

「ぐっ!!」

 

俺は近くに居た緑谷の手を何とか掴む。

 

「佳面くん!デクくん!」

 

麗日さんの叫びが聞こえるも、俺と緑谷は皆と離れ離れになった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「大丈夫?緑谷」

 

「いって、うん。何とか」

 

皆と離れ離れになった俺と緑谷は崩壊した地面から起き上がる。俺は変身していたお陰でダメージは無かった。

 

「凄い威力だったけど、味方が居る場所で使用するのはリスク高い必殺技だったね」

 

「だね。下手すると自分も孤立してしまいそうだけど、乱戦に持ち込みたかったのか?視界が悪くなった事で漁夫の利を狙ってるかもしれない」

 

俺たちはお互いにカバーし合える距離を取りながら、周囲を警戒する。そんな中で、何故か緑谷は笑っている。

 

「?緑谷、何ニヤニヤしてるの?」

 

「え!?えっと、僕たちよりも"個性"を鍛えて来た全国の強い人たちが相手でさ……その、なんかドキドキしてきて」

 

いつもは緊張しい性格である筈の緑谷から予想外な言葉が出た事に、唖然としながらも俺は仮面越しに笑みを浮かべる。

 

「確かに、学年が上の人たちを相手するなんて中々無いからね。自分の実力を試してみたい気持ちは分かるよ。けど──」

 

俺は瞬時に構えて、()()()()()()()()()()()

 

「わ!?」

 

「冷静に周囲を警戒するのも忘れちゃ駄目だよ」

 

後ろを振り向いくと、学生帽を被ったレザースーツを着た女子がボールを手に持っていた。

 

「凄ーい!気づかれない様にしたのに防がれちゃった!やるね〜仮面のキミ。それと緑のキミ、ピンチなのに笑ってるなんて変なの」

 

「この人、確か士傑高校の!!」

 

目の前に立つのは、士傑高校の女子生徒だった。

 

「2人ともカッコイイねぇ」

 

「……それはどうも」

 

此方を見ながら笑みを浮かべる彼女に、俺と緑谷は構える。

 

「こう言う乱戦が予想される試験だとまず情報の多いとこを狙うみたいな発想をする人が居るらしいの。だから雄英が早めに脱落してしまう可能性を考えて会いに来たの。折角強豪校との交流チャンスだし雄英(貴方)たちの事をもっと知りたくて」

 

「よく喋りますね」

 

ペラペラ話し出す彼女に警戒すると、彼女はボールと石礫を同時に投げる。俺と緑谷は左右に避ける。

 

「ッ!()()だ緑谷!」

 

「!?」

 

音も無く緑谷の背後に回った彼女はボールを持った腕を振り翳す。

 

「こんなんボールで殴れば良いんじゃね?」

 

直前まで投げる動作をしていた彼女は、瞬時に切り替えてボールで緑谷のポインターに殴り掛かる。緑谷は何とか"フルカウル"で回避して距離を取る。すると既に彼女の姿は消えていた。

 

「緑谷、背中合わせ!」

 

「分かった!」

 

俺と緑谷は互いに背中を合わせた陣形を組んで警戒する。

 

「いつの間にか姿が消えてる。そう言う"個性"なのかな?」

 

「いや、これは"個性"と言うより……()()!」

 

左右に6つの視覚センサーが彼女を捕捉し、襲い掛かる前に緑谷を掴んで距離を取る。

 

「正解。相手の()(みみ)から私の存在を逸らすのよ。その瞬間、息を止めて何も考えず潜み・紛れるの。"何も考えず"が難関よ」

 

「士傑ではそんな事も習得出来るんですか!?」

 

「緑谷、会話をしない。彼女のペースに呑まれるよ」

 

「うっ」

 

俺は彼女の説明に緑谷が食いつくのを静止する。

 

「コツは訓練を訓練と思わない事。フフフ、お互いに知りたがりだ。次は私ね。貴方たちは何でヒーローを志してる?」

 

「名誉?誇り?誰の為?」

 

「貴方たちの事がもっと知りたいな」

 

彼女の何か不気味な圧力に、俺と緑谷は警戒を強める。

 

すると、突然の攻撃が俺たち3人を襲い掛かり、俺たちは回避する。

 

視覚センサーが捉えると、少し離れた所から傑物学園高校の人たちが集団で現れる。

 

「士傑も居る……嫌だな……」

 

「!!やっばい……」

 

このままだと3人共に標的にされると思い、俺は緑谷に指示を送る。

 

「緑谷、俺が注意を引く。一旦姿を隠してくれ」

 

「ッ!……分かった」

 

 

『Add』

 

 

【デモンズドライバー】の左右のレバーを押し込み、左側のホルダーから【バッタバイスタンプ】を取り出し起動する。

 

 

『バッタ!』

 

 

俺は【バッタバイスタンプ】を【デモンズドライバー】の朱肉に似た承認装置に押印し、続けて正面モニターである情報入力装置に押印する。

 

 

『Dominate up!』

 

 

『バッタ!』

 

 

『ゲノミクス!』

 

 

【バッタバイスタンプ】の遺伝子情報を読み込んだ事で、俺の脚部が巨大なバッタの脚に変化する。

 

「何だアレは!」

 

「体育祭で見せてなかったぞ!」

 

「取り敢えず攻撃だ!」

 

全く情報に無い能力を目の前に、傑物学園高校組が怯む。

 

「ハアッ!」

 

その隙に俺は巨大なバッタの脚を活かしたジャンプ力で高々と跳び、傑物学園高校組を翻弄する。

 

「クソッ!」

 

「下手に攻撃するな!自分たちに当たるぞ!」

 

四方八方に飛び跳ねる事で標準が定まらない状態となり、傑物学園高校組は迂闊に攻撃が出来なくなる。

 

 

俺は【デモンズドライバー】のレバーを2回押し込む。

 

 

『More』

 

 

必殺技の待機音が鳴り響き、俺はもう1度レバーを押し込む。

 

 

『バッタ!』

 

 

『デモンズレクイエム!』

 

 

「ハアアアアアッ!!」

 

 

「「「うあああああ!!」」」

 

 

高々と跳躍し、急降下の勢いを利用した飛び蹴りを放つ。ライダーキックが直撃した傑物学園高校組は大きく吹き飛ぶ。

 

(よし、傑物学園高校の方は撃退。緑谷と合流して体勢を整える)

 

 

「居た!」

 

 

作戦を考えていると突然声が聞こえたので視線を移すと、麗日さんが居た。

 

「こっちに!早く!」

 

麗日さんは俺に手を差し出して叫ぶ。何か作戦があるのだろうか?

 

「畜生、せめて1人分は貰う!」

 

傑物学園高校の男子が1人、地面に倒れながら麗日さんに向かって"個性"を放つ。

 

「麗日さん避けろ!」

 

俺は麗日さんにそう叫ぶも、"個性"で回避する素振りをしなかった。

 

「わっ」

 

すると、麗日さんは足を滑らせ地面に落下しそうになる。

 

「!?クッ」

 

()()()()に疑問を持ちながらも、俺は急いで麗日さんを抱き抱えてその場から離れる。

 

()()()()()()()()()()

 

「?」

 

()()()()()()()麗日さんに違和感を覚えながらも、近くの瓦礫に身を隠し、抱き抱える麗日さんを降ろして周囲を警戒する。

 

「ありがとう。ごめんねヘタこいた」

 

「大丈夫だよ……それより」

 

謝る麗日さんにそう答えて警戒を続ける。すると、後ろに居る麗日さんは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。俺は直ぐに振り返って麗日さんが持つボール手で払い退ける。

 

「貴女、()()()()()()

 

「はえ?」

 

俺の言葉に()()()()()姿()()()()()()はトボケる。

 

「試験前の合宿で、短時間だけだけど麗日さんは副作用の酔いを気にせず自身を浮かせる事が出来る様になっている。それなのに先程の攻撃を躱さなかったし、何より無策のまま敵の前に現れるなんて()()()()()()()()()()()()

 

数秒の沈黙の後、目の前の麗日さんの姿が()()()()()()()

 

「気付いて救けたって事は、逆に利用したの?」

 

「これだけ多くの受験者が居るんだ。姿を変える"個性"を持つ人が居ても不思議じゃないと思って警戒していただけだし、あのまま落下してたら体を痛めると思っただけだ」

 

「……!成る程、それがキミの理由なんだね」

 

崩れた中から士傑高校の女子生徒が姿を現す。

 

「キミの事、もっと知りたいな」

 

「……試験後にしてくれませんか?」




仮免試験恒例"雄英潰し"
各校がヒーロー育成校の名門である雄英を最優先に標的に捉え、総力で撃退に動く。しかし雄英側も日々の鍛錬によって必殺技を開発済み。狙われても狩られるつもりは毛頭ない。


次回、乱戦勃発!
そしてデモンズの能力、全力全開!!


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75スレ

仮面ライダーリバイス本編でパパさんこと五十嵐元太(白波純平)がベイルドライバーの改良型であるデストリームドライバーで仮面ライダーデストリームに変身し、遂にベイルとの因縁に決着を着けましたね。そしてベイルと共に生きる事を選択し、一輝たち家族とこれからも生きていく覚悟を決めた姿に感動しました。

ドンブラザーズは敵側の戦士ドンムラサメが登場。しかも次回は大ベテラン声優の井上和彦さんがゲスト出演。私の中での井上和彦さんのキャラは【NARUTO】のカカシ先生や【美味しんぼ】の山岡士郎ですかね。

ウルトラマンの方は【ギャラクシーファイト 運命の衝突】が完結し、新たなウルトラ戦士【ウルトラマンデッカー】の放送も開始が迫り今からでも待ち切れないです。

第81話を投稿します。


『結構状況動いてます!現在通過者52……あ、53名!続々出てます!2人以上脱落させた者も居る為、脱落は230名!』

 

『そして今54人目出ました、あと半分を切った!早く!終われ!』

 

切実さの混ざったアナウンスが会場に響く中、54人目の通過者である焦凍は目の前で拘束した相手を見て一呼吸する。焦凍の体からは氷と炎、両方が出ていた。個性の圧縮訓練によって、焦凍は2つの性質を同時に発動する事が可能となっていた。

 

(左右の同時発動……まだ練習足りねぇな。動きが鈍る)

 

焦凍が戦闘の反省をしていると、付けていた3つのターゲットが光る。そしてターゲット越しで通知が流れる。

 

『通過者は控室へ移動して下さい』

 

(3つとも光った)

 

『早よ』

 

焦凍は通知に従い控室へ移動すると、中には既に通過した人たちが休憩を取っていた。

 

(結構いんな)

 

焦凍が他の通過者を見回していると、一際大きな声が聞こえる。

 

 

「マジっすか!?自分もスタンプマン好きっスよ!彼は熱いヒーローっス!」

 

 

声のする方を見てみると、士傑高校の唯一の1年生であるイナサが他校の生徒と話していた。と言うより、一方的なマシンガントークであった。

 

(推薦なら入試ん時に会ってる筈だが……)

 

焦凍は推薦入試の時に夜嵐と出会っている事をぼんやりと思い出そうとしながら端の椅子に座る。

 

 

「でもやっぱり……!」

 

 

夜嵐が焦凍に気づくと先程の表情とは一変、焦凍を睨みつける。

 

 

「で、何でしたっけ!?」

 

 

「いや知らんよ。君が話し掛けて来たんでしょ」

 

しかし一瞬でいつもの雰囲気に戻ると他校の生徒と会話を再開する。

 

「………?」

 

焦凍は先程の夜嵐のリアクションに疑問を抱く。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「君は誰でも助けるの?」

 

麗日さんに化けていた士傑高校の女子生徒は全身から泥の様なモノがボドボドと崩れ落ちる中で訊く。

 

「境界は?何を以て線を引く?」

 

(質問する前に服を着て欲しいんだけどな)

 

泥の様なモノが崩れ落ち、中から彼女の肌が露出し始める。"個性"の性質によるものなのか、彼女は何も身に付けていない状態であった。

 

彼女が接近して来た次の瞬間、俺と彼女の間をテープが割って入る。

 

「佳面、何この羨ましい状況!!」

 

テープが放たれた方向を見ると瓦礫の上に瀬呂が立っていた。

 

「もぉ」

 

横槍された事に彼女の表情は僅かに曇る。

 

「緑谷、麗日!」

 

瀬呂が叫ぶと緑谷と麗日さんが左右から現れ、彼女に接近する。そして彼女を拘束しようとするも凄まじい反応で回避され、彼女は爪で緑谷の頬を引っ掻き、バク転で後ろの瓦礫に着地して此方を見ながら座り込む。

 

「良いトコだったけど……残念……本当に!もっと話したかった。でも、これじゃあ無理ね……残念だ」

 

すると、彼女は麗日さんをジッと見つめる。

 

「ウララカオチャコさん、とっても信頼されてるね」

 

「は!?」

 

そう言い残して、彼女はこの場から立ち去る。

 

「あ、待て痴女!」

 

「瀬呂、追い掛けなくて良い。一先ず集合。緑谷、大丈夫?」

 

「うん、傷は浅いから大丈夫」

 

俺は3人を集めて状況確認をする。

 

「先程の彼女は"個性"の性質上、衣服を身に付けられないみたいだ。ターゲットごと脱いでた」

 

「他人に変身出来る"個性"……厄介過ぎる」

 

「また襲って来るかな?」

 

「1対1ならともかく、複数人を相手に1人で奇襲はリスクが大きいと思う。それより3人はいつの間に合流してたの?」

 

「ドンパチやってんの見えて駆けつけたんだよ。緑谷と麗日とは途中で合流したんだ!」

 

「成る程ね」

 

俺たちは瓦礫に身を隠しながら作戦を考える。

 

「取り敢えず4人」

 

「皆を待つか。他所は10人以上で動いてる。数で圧されるぜ」

 

『また通過者が出まして、現在58名です。あと42名で終わり!』

 

アナウンスから通過者の人数が通知される。

 

「一気に増えてく……やべーな。どうする?」

 

瀬呂がマスク越しに焦った表情をしながら訊く。俺は少し考ええ皆に言う。

 

「……さっき襲われて分かったけど、今近くに居る団体なら何とかなるかもしれない」

 

「マジか!すげぇな!どゆこと!?」

 

「対峙した団体の中に抜け駆けしようとした人が居た。団体で少数を狙うのは効率良いけど、逆に言えば獲物を取り合う事にもなるんだ」

 

「あぁ…!抜け駆けすると多数が減っちゃうから不利になってくんだ。やっちゃいかんやつだ」

 

俺の言葉を理解した麗日さんが補足をする。そこに瀬呂が緑谷に訊く。

 

「じゃあ、最初に緑谷が言った"かたまろう"はどうするつもりだったんだ?」

 

「そもそも"ボールを的に当てる"ってルールで的当てだと考えちゃうけど、相手の"個性"の性質が不透明である以上、動き回る的にボールを当てるのは容易じゃないし……時間も喰う。だから、まず全員が合格出来るだけの人数をまず拘束してから確実にボールを当てる。A組は範囲制圧に長けた人たちが多いから出来るんじゃないからって思ったんだけど……」

 

緑谷の言う通り、団体で動く場合は人数分の獲物を捕らえるのが正統法である。仮に先走って抜け駆けをしてしまったら、どんどん数も減るうえに陣形も崩れるリスクがあるからだ。

 

「なるへそ……確かに的当てうめーかどうかしか見れねーしな……。考えてみれば、本来そー言う試験かもな」

 

「シッ!ちょっと待って……来てない……?」

 

瀬呂が納得している所に、麗日さんが小声で叫ぶ。耳を澄ませると、此方にジリジリと近づいて来る足音が複数聴こえた。

 

「俺が出る」

 

「佳面くん、僕も出るよ!」

 

「分かった」

 

「は!?」

 

俺がそう言うと、緑谷も名乗り上げる。

 

「俺たちが囮になるから麗日さんと瀬呂が隙をついて出来るだけ拘束してくれ。2人の"個性"は相手の自由を奪いやすいから」

 

「囮って……こっちは4人。数が……無理だ」

 

俺の言葉に、瀬呂が反論する。

 

「……ラジャ」

 

すると、麗日さんが承諾する。

 

「ええ!?」

 

「よし、行くよ。緑谷も出来るだけ相手を翻弄して」

 

「うん!」

 

 

『Add』

 

 

緑谷が頷くのを確認し、俺は【デモンズドライバー】の左右のレバーを押し込み、左側のホルダーから【コンドルバイスタンプ】を取り出し起動する。

 

 

『コンドル!』

 

 

俺は【コンドルバイスタンプ】を【デモンズドライバー】の承認装置に押印し、続けて正面モニターである情報入力装置に押印する。

 

 

『Dominate up!』

 

 

『Add』

 

 

【コンドルバイスタンプ】が認証され、俺は再度【デモンズドライバー】の左右のレバーを押し込み、今度は【スコーピオンバイスタンプ】を取り出し起動する。

 

 

『スコーピオン!』

 

 

同様に【スコーピオンバイスタンプ】を【デモンズドライバー】の承認装置に押印し、続けて正面モニターである情報入力装置に押印する。

 

 

『Dominate up!』

 

 

俺は【デモンズドライバー】のレバーを2回押し込む。

 

 

『More』

 

 

必殺技の待機音が鳴り響き、俺はもう1度レバーを押し込む。

 

 

『コンドル!』

 

 

『スコーピオン!』

 

 

『デモンズレクイエム!』

 

 

【コンドルバイスタンプ】と【スコーピオンバイスタンプ】の遺伝子情報を読み込んだ事で、俺の背中にが巨大な翼と、腰部に巨大な蠍の尻尾が出現する。

 

「ハアッ!」

 

「何だ!?」

 

「コイツ、飛んでるぞ!」

 

背中の翼で高速飛行し、腰部の蠍の尻尾で相手の"個性"攻撃を牽制する。

 

「クソッ、もう1人もすばしっこい!」

 

「先にソイツを仕留めるぞ!」

 

緑谷も"フルカウル"のスピードを活かして相手を翻弄していく。

 

「行くよ!」

 

「おう!」

 

俺と緑谷が相手を翻弄している間に、麗日さんと瀬呂が準備を行う。瀬呂が"テープ"を瓦礫にくっ付けさせ、麗日さんが瓦礫に触れる事で宙に浮かべさせる。

 

 

「佳面くん、デクくん!行きます!」

 

 

麗日さんは合図を送ると"個性"を解除する。すると、宙に浮いていた瓦礫が地面に落下し、くっ付いていた"テープ"が相手を拘束する。

 

「テープ!?」

 

「瓦礫にくっ付けて……投げたのか!!」

 

「無事なヤツは逃げろ!」

 

相手が自分たちを拘束した罠に驚愕する。何人か拘束から逃れ、その場から逃げようとする。

 

「逃すか!」

 

「うわっ!?」

 

俺は巨大な蠍の尻尾で逃げようとする相手を薙ぎ払う。近くでは瀬呂が"テープ"で逃げようとする相手を拘束していた。

 

「ハア…ハア……なるべく多く、とは言ったけど大胆な……一応、分散されない様に撹乱して良かった」

 

「私は皆さんが瓦礫に当たらない配置になるのを、身を隠して見計らっていたのでした!」

 

『現在76名通過しております。もうじき定員ですよー』

 

息を整えるのも束の間、再び通知のアナウンスが流れる。

 

「時間もねぇし、すぐ他が襲って来るだろう……貰うぜ皆さん」

 

瀬呂を筆頭に、俺たちはボールを手にして拘束された人たちに迫る。すると、拘束された1人が嘆く。

 

「……君ら1年だろぉ?勘弁してくれよぉ。俺ら此処で仮免取っとかないと行けねーんだよ」

 

「……俺たちも、此処で立ち止まる訳には行かないんです」

 

相手の命乞いに僅かに引け目を感じながらも、俺たちはボールを的に押し当てる。

 

すると俺たちのターゲットが3つ共緑色に光り、試験を通過した事を知らされる。

 

『現在80名!ガンガン進んで良い調子ですよー』

 

「レスポンスはやっ」

 

「一先ず、控え室に行こうか」

 

「うん!」

 

「そうやね」

 

通過した俺たち4人は他の通過者は居る控え室へ移動する。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

何とか1次試験通過出来ました。

A組全員!

  

2:空座町の無下限呪術師

おめでとー!

  

3:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れ様!

  

4:太刀川隊の狙撃手

やったね。

  

5:サクラギ研究所のリサーチフェロー

第1の関門はクリアだね。

  

6:杜王町の幽波紋使い

クラス全員が通過出来て何よりだな。

  

7:雄英の仮面ライダー

はい。

最初に通過したのは焦凍で、次に蛙吹さん・障子・耳郎さん・八百万さん。

その次に俺・緑谷・麗日さん・瀬呂の4人で、爆豪と切島がほぼ同じタイミングでした。

葉隠さんたちがギリギリでしたが、誰も欠け無くて良かったです。

  

8:太刀川隊の狙撃手

そう言えばライダーくん、士傑高校の女子生徒と対峙した?

  

9:雄英の仮面ライダー

>>8

はい。

()()()()()()()()()を持ってました。

  

10:空座町の無下限呪術師

>>9

う〜ん、マジかぁ。

  

11:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>9

原作通りと言えば原作通りなんだけど……。

  

12:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>9

どうしたもんか。

  

13:雄英の仮面ライダー

何か不味いですか?

  

14:空座町の無下限呪術師

まあ、()()()は大丈夫だよ。

気にしないで!

 

15:雄英の仮面ライダー

分かりました。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 




緑谷たちとの連携で無事に1次試験突破!
緑谷・麗日・瀬呂との見事な連携により1次試験を合格したライダーくん。


次回、2次試験開始!
次回登場するライダーのヒントは「警察官」です。


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76スレ

第82話を投稿します。

今回登場する仮面ライダーは「警察官」「車」「ひとっ走り付き合えよッ!」です。


「ッシャアァァァァ!!!」

 

 

「スゲェ!こんなんスゲェよ!」

 

「雄英全員、1次通ったあ!!」

 

ギリギリだったものの、誰1人欠けるかと無くA組全員が1次試験を無事に突破出来たことに、皆で喜んでいた。

 

『えー、100名の皆さん。これ、ご覧下さい』

 

そして暫くするとアナウンスが流れ、控え室の壁に掛けられたモニターにフィールドが映し出される。

 

「フィールドだ」

 

「何だろね……」

 

全員が不思議そうにモニターを眺めていると、フィールドに設置された建物の1つが爆破される。更に1つ、もう1つ、次々と爆破され、遂にはフィールド全ての建物が爆破によって崩れ落ちていった。

 

 

(((何故!!)))

 

 

驚愕する中、引き続きアナウンスが流れる。

 

『次の試験でラストとなります!皆さんにはこれからこの被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行なって貰います』

 

「バイスタンダー?」

 

「現場に居合わせた人の事だよ。授業でやったでしょ」

 

頭を傾げる峰田に葉隠さんが答える。

 

「一般市民を指す意味でも使われますが…」

 

『此処では一般市民としてではなく、仮免許を取得した者として……どれだけ適切な救助を行えるか試させて頂きます』

 

八百万さんの疑問に答えるかの様に説明される。すると障子が何かに気付く。

 

「む……人が居る」

 

「え……あァ!?」

 

「あァァ!?老人に子ども!?」

 

「危ねぇ何やってんだ!?」

 

モニターには子どもから老人と言った人たちが瓦礫まみれのフィールド内に何人も映っていた。この光景に皆が驚愕する。それをアナウンスが補足する。

 

『彼らはあらゆる訓練に於いて今引っ張りダコの()救護者のプロ!!HELP・US・COMPANY(ヘルプ・アス・カンパニー)、略してHUC(フック)の皆さんです』

 

「色んなお仕事があるんだな……!」

 

「ヒーロー人気のこの現代に則した仕事だ」

 

『傷病者に扮した【HUC(フック)】がフィールド全域にスタンバイ中。皆さんにはこれから彼らの救出を行なって貰います。尚、今回は皆さんの救出活動をポイントで採点していき、演出終了時に基準値を越えていれば合格とします。10分後に始めますのでトイレ等済ませといて下さいねー』

 

アナウンスが終わり、各自準備に取り掛かる。

 

「緑谷くん、佳面くん」

 

飯田が俺と緑谷に声を掛ける。

 

「うん……。神野区を模しているのかな……」

 

緑谷の言う通り、フィールドの光景は何処となくオールマイトとオール・フォー・ワンによる激戦で崩壊した神野区に似ていた。

 

「あの時、オールマイトたちヒーローと(ヴィラン)連合との激戦の中で死傷者も少なからず出ていた」

 

「……頑張ろう」

 

俺たちは覚悟を決め、試験に臨む。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「佳面テメェェェェェェ!!」

 

 

「え!何!?」

 

試験開始まであと5分位になった所で、峰田が鬼気迫る表情で俺に襲い掛かる。

 

「何してんだテメェはァ!?俺たちが大変な時に他校の女子とイチャつきやがってェ!!」

 

叫ぶ峰田に、俺は困惑しながらも近くで瀬呂が悪そうな表情でニヤニヤ笑っている事に気付いた。

 

「……ああ、1次試験の時か。いや、あれは士傑の人が"個性"で俺を誘い込む為の罠だったんだよ」

 

「知るかンな事ォ!お前裸の女子と岩陰で一体何をしてたんだァァ!!」

 

「お願いだから大声で叫ばないで。変な誤解を招くから」

 

荒れる峰田を止めていると、少し離れた場所に居た士傑の女子生徒が此方をジッと見た。そして微笑みながら俺に向かってヒラヒラと手を振った。

 

 

「良い仲に進展した後に男女がコッソリ交わす挨拶のヤツをやってんじゃねーか!!」

 

 

「だから、そんなんじゃないって。ちょっ、首締まってる!」

 

彼女のリアクションに峰田の怒りのボルテージが最高値に達し、俺の首を掴んで力一杯に振る。

 

「士傑こっち来てんぞ」

 

切島がパンを食べながらそう言うと、士傑高校の人たちが俺たちA組に近づいて来た。

 

「爆豪くんよ」

 

「あ?」

 

そして全身が毛むくじゃらの男子生徒が爆豪に話し掛ける。……毛の色を赤くしたらムックっぽくなりそうだな。それか緑色にしたらスーモになりそう。

 

「肉倉……糸目の男が君のとこに来なかった?」

 

「ああ……ノした」

 

「やはり……!色々無礼を働いたと思う。気を悪くしただろう。あれは自分の価値基準を押し付ける節があってね。何かと有名な君を見て暴走してしまった」

 

毛むくじゃらの男子生徒は爆豪に謝罪をする。

 

「雄英とは良い関係を築き上げていきたい。すまなかったね」

 

「良い関係?」

 

「こっち睨まない」

 

俺はギロリと睨む峰田を嗜める。

 

「それでは」

 

「おい、坊主の奴」

 

士傑の人たちが立ち去ろうとしたその時、焦凍が夜嵐を呼び止める。

 

「俺、何かしたか?」

 

「………ほホゥ」

 

夜嵐は振り返ると焦凍を睨む。

 

「いやァ、申し訳ないっスけど、エンデヴァーの息子さん」

 

「俺はあんた()が嫌いだ」

 

「!?」

 

夜嵐の突然の拒絶に焦凍が驚く。

 

「あの時よりいくらか雰囲気変わったみたいスけど、あんたの目はエンデヴァーと同じっス」

 

「夜嵐、どうした?」

 

 

「何でもないっス!」

 

 

毛むくじゃらの男子生徒に呼ばれ、夜嵐は何事も無かった無かったかの様に立ち去る。

 

「焦凍、大丈夫?」

 

「ああ……(親父の……目?)」

 

そう答える焦凍だったが、夜嵐の言葉を気にしている様子だった。

 

「じゃアね」

 

「あ、はい」

 

すると士傑の女子生徒が俺にそう言って夜嵐たちの後を追う。

 

「"あ、はい"じゃねぇよ。この色狂いが」

 

「だから違うって」

 

峰田が再び俺を睨む。

 

「ほら、峰田くん。そこまでにしよ」

 

「もう直ぐ試験開始よ。集中しないとダメよ、峰田ちゃん」

 

すると葉隠さんと蛙吹さんが仲介に入る。

 

「詳しい話はまた後で聞けば良いしね」

 

「ええ。岩陰で()()あったのかは試験の後で詳しく聞きましょ?」

 

安心するのも束の間、2人は笑みを浮かべながらも威圧感を放ちながらそう言った。

 

(あ、これ逃げられないヤツだ。俺被害者なのに……)

 

そう思いながら、俺は溜め息を吐く。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

来太が溜め息を吐いている中、麗日は来太に親し気に話し掛けた士傑の女子生徒をジッと見つめながら、何か引っ掛かりを感じる自身の胸を少し抑える。

 

(やだな……。何でこんな騒つくんだ?試験の時は平気だったのに)

 

やだな…

 

「……か」

 

 

ジリリリリリリ!

 

 

麗日が来太に話し掛けようとした次の瞬間、大きな音が控え室中に響き渡る。

 

(ヴィラン)による大規模破壊(テロ)が発生!規模は〇〇市全域。建物倒壊により傷病者多数!』

 

「これって!」

 

「演習の想定内容(シナリオ)だ」

 

皆がアナウンスに反応する。

 

『道路の損害が激しく、救急先着隊の到着に著しい遅れ!到着するまでの救助活動はその場に居るヒーローたちが指揮を執り行う』

 

「また開くシステム!!」

 

すると1次試験開始時と同じ様に控え室の天井と壁が突然開いていく。

 

『1人でも多くの命を救い出す事!!!』

 

控え室が開き切ったと同時に最終試験が開始し、一同が一斉に駆ける。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「取り敢えず1番近くの都市部ゾーンへ行こう!なるべくチームで動くぞ!」

 

飯田の言葉に俺たちは都市部ゾーンを目指し瓦礫まみれの道を駆ける。

 

「ひっ、ひっ、ひ」

 

「あ"あ"あ"あ"あ"ん!たすげでええ!!ひっ、ひっ」

 

「子どもが居る!」

 

すると、男の子っぽい外見をした【HUC(フック)】の1人が頭に血を模した血糊で染め、泣きながら大声で叫けんでいた。それと、嗚咽混じりに()()()()()()()()()()()()

 

 

「あっち……!おじいちゃんが!!潰されてえぇ!!」

 

 

「もう大丈夫。ごめんね、少し頭診るよ」

 

俺は直ぐに男の子に駆け寄り、怪我をした頭を()()()()()()()

 

「怪我してるのは頭だけかな?他に痛い所は無い?」

 

 

「あたまが、あたまがすごく痛いいいい!!」

 

 

「分かった。直ぐに安全な所に連れて行くね。歩ける?」

 

 

「歩けないいい!!」

 

 

一通りの確認を終え、俺は皆の方に振り返る。

 

「俺はこの子を救護所に連れて行く。皆は先に行ってこの子の言ってたお爺さんの救出と他に傷病者が居ないか確認をお願い」

 

「わ、分かった!頼むぞ佳面くん!」

 

「了解。……行くよ、ベルトさん」

 

『OK!Start your engine!

 

俺は皆に向かって頷き、【ドライブドライバー】であるベルトさんと【シフトブレス】を実体化させる。そのままベルトさんを腰に、【シフトブレス】を左手首に装着し、【ドライブドライバー】のエンジンの噴かす為のイグニッションキーである【アドバンスドイグニッション】を回し、右手に掴んだミニカー型アイテム【シフトカー】の1つである【シフトスピード】の【リボルブストラクチャー】で車体を回転させ"レバーモード"に変形させる。ベルトさんから待機音が鳴り響く。

 

 

「変身ッ!」

 

 

俺は変形した【シフトスピード】を【シフトブレス】に装填し、レバーを上げる。

 

 

『ドライブ!タイプ スピード!』

 

 

【シフトスピード】をレバーアクションした事で、【シフトブレス】から【シフトカー】の情報がベルトさんに伝達されると、俺の体表を黒い防護スーツ【G-ドライビングスーツ】が覆う。そしてその防護スーツの上に赤い装甲が装着され、まるで赤いスポーツカーを彷彿させる鎧となる。最後に1本の車のタイヤ【タイプスピードタイヤ】が胴体の斜めに装備される。

 

こうして俺は、市民の平和を守る刑事である【泊 進ノ介】が変身した仮面ライダー【仮面ライダードライブ タイプスピード】となる。

 

「待たせてごめんね。行こうか」

 

俺は【アドバンスドイグニッション】を回して【シフトブレス】に装填した【シフトスピード】のレバーを3回上げる。

 

 

『スピ!スピ!スピード!』

 

 

「ハアッ!」

 

【タイプスピードタイヤ】を高速回転させる事で、俺を覆う反重加速フィールドを形成し、男の子を抱き抱えながら高速移動でその場から走り去る。

 

「ベルトさん、シフトカーの皆をフィールド全域に配置してくれ。A組の皆は勿論、他校の人たちのサポートを頼む!」

 

『分かった!それならライドブースターも出動させよう!』

 

ベルトさんの指示の元、頼もしい仲間である【シフトカー】たち21体と、飛行能力を備えた高性能のカートマシン【ライドブースター】の2台を演習フィールド全域へ向かわせる。そして俺は1秒でも早く救護所へ疾るのであった。




仮面ライダー紹介

仮面ライダードライブ

レア度:【SR】

出典:『仮面ライダードライブ』


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77スレ

第83話を投稿します。

令和4作目の仮面ライダーが発表!!
その名は【仮面ライダーギーツ】!狐モチーフのライダーで世界観は龍騎の様にバトルロワイヤル!そして脚本はエグゼイドやゼロワンを担当した高橋悠也さん!?しかも今年のクリスマスは日曜日!!これは……()()()()()()()()()()()()


今日の午前中にリバイス&ドンブラザーズの映画観て来ます!ケインさんの生身によるアクションもあるみたいなので非常に楽しみです!


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=283337&uid=202117




「誰か強化系の"個性"待ち居ないか!?瓦礫を退かしたい!」

 

「こっちの救助者は自力で歩けない!担架が要るぞ!」

 

「もっと明かりを照らして!暗くて中がよく見えないわ!」

 

最終試験が開始して数分、フィールド全域で受験者たちが要救護者の救出にあたる。救出する為に瓦礫を退かそうとする者、負傷して自力で歩けない傷病者を救護所へ運ぼうとする者、瓦礫の中の様子を確認しようとする者。それぞれが必死となって要救護者に扮した【HUC(フック)】たちの救出を行なっていた。

 

その時、フィールド内にミニカーの様な物が続々とフィールド内を駆ける。

 

「うおっ!?何だ!?」

 

「ミニカー?誰かの"個性"か!?」

 

するとレッカー車のミニカーがフックを射出し巻き付けた瓦礫を退かし、ソーラーパネルの付いたミニカーが発光し瓦礫の中を照らす。他にも火災の消火や瓦礫を粉砕等、救出活動のサポートを行う。

 

さらに、ホバー飛行で空中を飛行する赤と青のカートマシン2台がそれぞれ負傷者の前に停まる。

 

「負傷者を乗せろって事か?」

 

「一先ず歩けない負傷者をこれで運ぼう!1人は付いてた方が良い!」

 

「分かった!」

 

「けど、一体誰の"個性"なんだ?」

 

困惑する受験者だったが救護者を最優先に考えミニカーとマシンのサポートを受けながら救出活動を再開する。この光景に、目良たち公安委員会も驚愕しつつも受験者たちの動きを監視する。

 

(あくまで()()()()()()()を行い、他の受験者たちがよりスムーズに作業が出来る様にしている。ミニカー1つ1つを遠隔で操作しているとすれば……彼は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う事でしょうか?末恐ろしいですね〜。他の受験者も何とか動けてますし)

 

『調子は?』

 

インカムから声が聞こえると、目良は声の主に答える。

 

「初動はまァ……至らない者も多いですが……それでもHUC(フック)の皆さんが下す減点判断は想定していたより少ないです。概ね良いんじゃないですかね」

 

『市井の人々を守る為、ヒーローには複合的な動きが求められる。すなわち救護、そして───』

 

するとフィールド全域で複数の爆発が起き、爆音がフィールド内で鳴り響く。突然の爆発に、救助活動を行なっていた受験者の殆どが困惑した表情を浮かべていると、運営からのアナウンスがフィールド全域に響き渡る。

 

(ヴィラン)により大規模テロが発生。(ヴィラン)が姿を現し追撃を開始。現場のヒーロー候補生は(ヴィラン)を制圧しつつ、救助を続行して下さい』

 

「戦いながら救助を続行……」

 

 

「あーーーもう正気かよ!?ハードル高くねぇか!?」

 

 

救助活動を行なっていた尾白は困惑し、その近くにいた峰田が頭を抱えながらその場で絶叫する。

 

「プロでも高難易度の案件。仮免で此処まで……」

 

「少し笑えないってッ!」

 

相澤とジョークがこう言うのも無理は無い。(ヴィラン)と戦闘をしつつ救助を続行する事はプロヒーローでも高難易度の案件である。それを"仮免候補生にこなせ"と言うのだから、運営は中々のスパルタである。

 

 

「対敵。全てを平行処理出来るかな……。さあ、どうする?ヒーロー……!!」

 

フィールドの壁が爆破され奥から10数人の(ヴィラン)を率いて現れたのは、プロヒーロー【ギャングオルカ】。現在のヒーローランキング10位に君臨する実力者であり、神野事件でオールマイトやエンデヴァーたちと共に(ヴィラン)連合と戦った1人が(ヴィラン)役として受験者たちの前に立ち塞がる。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「やっぱり来たか」

 

男の子に扮した【HUC(フック)】の人を救護所に送り届けた直後、フィールド内に(ヴィラン)が出現した事に状況を確認する。そもそも、この演習内容は(ヴィラン)による大規模破壊(テロ)の中での救助活動。(ヴィラン)が現れても何ら可笑しくは無いのだ。

 

「ベルトさん、シフトカーたちは?」

 

『まだフィールド全域で救助のサポートを行なっている。呼び戻すのに少し時間が掛かるぞ』

 

「分かった。シフトカーたちにはそのまま救助のサポートを続行させてくれ。(ヴィラン)の方は俺たちでやろう」

 

『OK!』

 

「佳面くん!」

 

シフトカーたちの指示をベルトさんに頼むでいると緑谷が駆けつけて来た。

 

「緑谷、他の皆は?」

 

「飯田くんたちは都市部ゾーンで救助活動を続行して、轟くんたちは水域の方に行ってる!僕は丁度救助者をこっちに運んでたから!」

 

「分かった。他の皆も救助が終わり次第こっちに来ると思う。それまで俺たちで(ヴィラン)を対処するよ!」

 

「うん!」

 

次にどう動くか決め、俺と緑谷は迫り来る(ヴィラン)に立ち向かおうとしたその時、真堂さんが前に出た。

 

「皆を避難させろ!奥へ!(ヴィラン)から出来るだけ距離を置け!」

 

「真堂……さん!?」

 

「ッ!?待って下さい、1人じゃ!」

 

俺の静止を振り切り、真堂さんは地面に両手を付ける。

 

「インターバル1秒程の振動で畳み掛ける!(ヴィラン)を近付かせない!!

 

真堂さんは"個性"による振動で地面を割り、(ヴィラン)たちを食い止める。

 

しかし───

 

「温い」

 

ギャングオルカは何食わぬ顔で接近して真堂さんに強力な超音波を放ち、攻撃をまともに受けた真堂さんは気を失う。

 

「この実力差で殿が1人……?舐められたものだ……!ッ!」

 

そこに氷の氷壁がギャングオルカに迫り、ギャングオルカは超音波で対応する。その隙に俺は気絶した真堂さんを抱えて後退する。

 

「悪りぃ、遅くなった」

 

「焦凍!」

 

氷壁が出た先には焦凍が立っていた。そして遅れて芦戸さん、尾白、常闇も合流し緑谷と共に避難誘導を始める。

 

「尾白、この人を頼む!」

 

「分かった!」

 

俺は尾白に真堂さんを任せ、焦凍の隣に立つ。

 

「ギャングオルカ……プロヒーローが(ヴィラン)役か」

 

「超音波の攻撃は少し厄介だ。俺が注意を引くから焦凍は中距離で攻撃を」

 

「ああ!」

 

 

「ふきイイイ飛べええええええ!!」

 

 

作戦を決めた矢先、上空から叫び声と共に突風が襲い掛かる。そして突風によって(ヴィラン)たちを拘束していた氷壁が砕かれてしまう。

 

「これって」

 

「風……」

 

(ヴィラン)乱入とか!!!中々熱い展開にしてくれるじゃないっスか!!」

 

俺と焦凍が上を見上げると、夜嵐イサナが空に浮いて現れた。焦凍と夜嵐は互いを見て少しムッとした表情をする。

 

「あんたと同着とは……!!」

 

「……お前は救護所の避難を手伝ったらどうだ。"個性"的にも適任だろ。こっちは俺たちでやる」

 

そう言って焦凍が炎をギャングオルカに向かって放つとほぼ同時に放たれた夜嵐の風によって互いに方向が反らされる。

 

「何で炎だ!!熱で風が浮かんだよ!!」

 

「さっき氷結を防がれたからだ。お前が合わせてくれるんじゃねぇのか?俺の炎だってお前の風で飛ばされた」

 

「あんたが手柄を渡さない様合わせたんだ!」

 

「は?誰がそんな事するかよ」

 

「2人共戦いに集中して!」

 

遂には口喧嘩を始める2人に俺は叫ぶも夜嵐は止まらず言い続ける。

 

「するね!だってあんたはあのエンデヴァーの息子だ!」

 

その言葉に、焦凍は夜嵐を睨み付ける。

 

「おい、さっきから何なんだよお前。親父は関係ねぇ!」

 

「焦凍!」

 

俺は焦凍の腕を掴んで引っ張る。するとセメントの様な塊が焦凍の立っていた方向に飛んで来た。

 

「来太、悪りぃ」

 

「良いから集中して!また来るよ!」

 

 

『スピ!スピ!スピード!』

 

 

俺は【アドバンスドイグニッション】を回して【シフトブレス】に装填した【シフトスピード】のレバーを3回上げる事で高速移動し、(ヴィラン)たちを翻弄する。

 

「クソッ速い!」

 

「撃ちまくれ!」

 

(ヴィラン)たちは腕に装着したサポートアイテムからセメントの弾丸を連射するも、スピードが上がった俺は難なく回避する。

 

「関係あるんだなこれが!」

 

夜嵐は(ヴィラン)たちのセメント攻撃を空中で避けながら焦凍に言う。

 

「ヒーローってのは俺にとって熱さだ!熱い心が人に希望とか感動を与える!!伝える!!」

 

「だからショックだった!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()そして入試の時あんたを見て、あんたが誰なのか直ぐに分かった。何せあんたは全く同じ目をしてた!!」

 

「同じだと……巫山戯るなよ。俺はあいつじゃねぇ」

 

夜嵐の言葉に、焦凍はセメント攻撃を防ぎながら反論する。しかし、動揺しているのか動きがいつもより鈍く見えた。

 

(ヴィラン)を前に何をしているのやら……」

 

ギャングオルカは焦凍たちの様子に呆れた様子だった。

 

「俺はあんたら親子のヒーローだけはどーにも認められないんスよォーーー!!以上!!

 

怒りの言葉と共に夜嵐が風をギャングオルカたちに放つと、同時に焦凍が放った炎によって再び方向が反れてしまう。

 

『不味い、来太!』

 

「ッ!?」

 

ベルトさんの言葉に俺は、反れた炎が皆が居る救護所の方へ向かって行くのに気付く。

 

俺は【シフトブレス】に装填された【シフトスピード】を取り外し、【アドバンスドイグニッション】を回して青いF1カーを模した【シフトフォーミュラ】を掴んで"レバーモード"に変形させる。変形した【シフトフォーミュラ】を【シフトブレス】に装填し、レバーを上げる。

 

 

『ドライブ!タイプ フォーミュラ!」

 

 

【シフトフォーミュラ】をレバーアクションした事で、【シフトブレス】から【シフトカー】の情報がベルトさんに伝達されると、【タイプスピード】の赤い装甲からF1カーを彷彿とさせる青い鎧に換装される。最後に両腕に【タイプフォーミュラタイヤ】が装備させる。

 

ドライブの強化形態【タイプフォーミュラ】にフォームチェンジした俺は【アドバンスドイグニッション】を回して"レバーモード"に変形した【シフトフォーミュラ】のレバーを3回上げる。

 

 

『フォ!フォ!フォーミュラ!」

 

 

両腕に【タイプフォーミュラタイヤ】が高速回転し、俺は【タイプスピード】を遥かに超えたスピードで瞬時に救護所の前に移動する。そして高速回転した【タイプフォーミュラタイヤ】で周囲の気流をコントロールして炎を上空へ反らす事で被害を食い止める。

 

 

「いい加減にしろ2人共!!」

 

 

俺は焦凍と夜嵐の行動に怒り、2人に向かって叫んだ。




ギャングオルカ、襲来
仮想(ヴィラン)としてフィールド内に突如出現したプロヒーロー【ギャングオルカ】。プロヒーローを前に焦凍と夜嵐はいがみ合い互いの攻撃を相殺し合う始末……。果たしてどうなる?


次回、仮面ライダードライブvsギャングオルカ!!
そして仮免試験の結果は……!?


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78スレ

第84話を投稿します。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

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「いい加減にしろ2人共!!」

 

 

俺の怒りが混ざった叫びに、焦凍と夜嵐がハッとした表情をする。2人の間に何があったのか、夜嵐の抱く焦凍への感情は俺には良く分からない。

 

だけど、それが誰かを危険に晒す事なら正しいものでは無いないのだ。

 

「とりあえず」

 

「!」

 

その隙にギャングオルカは焦凍に接近して手を突き出す。焦凍は咄嗟に防御の態勢を取る。

 

「邪魔な風だ」

 

しかし、ギャングオルカは焦凍ではなく夜嵐に向かって超音波を放つ。

 

「ハアッ!」

 

超音波が夜嵐に直撃する前に、俺は超スピードで跳躍し夜嵐を掴んで避ける。

 

「あんたっ」

 

突然現れた俺に夜嵐が驚くも、俺は無視してそのまま焦凍の居る場所へ移動する。

 

「2人は救助者の避難誘導と護衛に行って。ギャングオルカたちの相手は俺だけでやる」

 

「来太ッ!」

 

「待って欲しいっス!自分だって!」

 

2人は食い下がるも、俺は振り向かず()()()厳しい言葉を言う。

 

()()()()()()()()()()()使()()()()()()?だけど2人は自分たちの意地を優先して互いの足を引っ張り続けてた……その結果、救助者と他の受験者たちを危険に晒そうとした。()()()2()()()()()()()()()()()()()

 

「「!!?」」

 

「行くよ、ベルトさん!」

 

『OK!』

 

 

『フォ!フォ!フォーミュラ!」

 

 

立ち尽くす2人を他所に、俺は【アドバンスドイグニッション】を再度回して"レバーモード"の【シフトフォーミュラ】を3回上げた事で【シフトフォーミュラタイヤ】が高速回転し、超スピードで(ヴィラン)たちに突進する。

 

「ハアッ!」

 

「ちょっ!?」

 

「さっきよりも速い!?」

 

(ヴィラン)たちがサポートアイテムの銃口を向ける前に接近し、瞬時に拳を叩き込む。(ヴィラン)たちは何も出来ずに地面に沈み、残ったのはギャングオルカのみとなった。

 

「圧倒的なスピードによる制圧……想像以上に脅威な存在だな」

 

驚愕するギャングオルカに、俺は構えながら言う。

 

「悪いけど救助者や他の受験者たちに手出しさせない……ひとっ走り付き合えよ!

 

俺は超スピードでギャングオルカとの距離を一気に詰め、パンチとキックによる高速ラッシュを叩き込む。

 

「グゥゥッ!?」

 

ギャングオルカは俺のスピードに付いて来れずに地面を転がる。

 

『来太、先程シフトカーたちのサポート作業が終わった。タイプトライドロンで行くぞ!』

 

「分かった!」

 

ベルトさんの指示を受けた俺は【シフトブレス】に装填された【シフトフォーミュラ】を取り外し、【アドバンスドイグニッション】を回して【トライドロン】に似た形状をしたシフトカー【シフトトライドロン】を起動する。

 

 

『ファイヤー オール エンジン!』

 

 

起動した【シフトトライドロン】を【シフトブレス】に装填し、レバーを1回上げる。

 

 

『ドライブ!タイプ トライドロン!』

 

 

【シフトトライドロン】をレバーアクションした事で、【シフトブレス】から【シフトカー】の情報がベルトさんに伝達され、体表を覆っていた防護スーツである黒い【GP-ドライビングスーツ】から真紅の【G-パワードライビングスーツ】へと変わる。

 

そして【タイプフォーミュラ】の青い装甲からドライブの専用マシン【トライドロン】を彷彿とさせる真紅の鎧に換装され、最後に左肩に白いラインの入ったタイヤ【タイプトライドロンタイヤ】が装備させる事で俺はベルトさんと1つとなり、身体がトライドロンそのものとなったドライブの最強形態【タイプトライドロン】にフォームチェンジを完了する。

 

「又もや姿を変えるか……!?」

 

「一気にトップギアで行くぞ!ハアッ!」

 

【リアホイールブーツ】に装備されたタイヤを高速回転を利用した爆発的な加速力で再度ギャングオルカに接近し、拳を覆う強化グローブ【グランマイティグローブ】に圧縮エネルギーを纏わせたパンチを繰り出す。

 

「ハアァァァァッ!」

 

「グオッ!?」

 

エネルギーを纏ったパンチがギャングオルカの腹部に突き刺さり、ギャングオルカは地面を何回もバウンドする。

 

「グッ、図に乗るなァァァァ!!

 

何とか立ち上がり、ギャングオルカは今まで以上の超音波攻撃を放つ。【タイプトライドロン】になった状態とは言え、()()あの攻撃を喰らいたくない。

 

「ベルトさん!」

 

『OK!()()()()()()()

 

瞬時に俺は身体の主導権をベルトさんへ交代し、視覚センサーの【デュアルハイビームアイ】が黄色から赤色に変わる。

 

『フンッ!』

 

ベルトさんは右肩の肩部装甲ユニット【フェンダーサイドシールド】から電磁フィールドを発生させ、ギャングオルカの超音波攻撃を受け流す。

 

超音波攻撃を防いだベルトさんは【アドバンスドイグニッション】を回して【シフトブレス】に装填された【シフトトライドロン】を起動する。

 

 

『カモン!フレア スパイク シャドウ!

 

 

駆け付けてくれた【マックスフレア】、【ファンキースパイク】、【ミッドナイトシャドウ】の3体のシフトカーたちが【シフトトライドロン】に集約すると、ベルトさんは【シフトトライドロン】のレバーを上げる。

 

 

『タイヤカキマゼール!アタック1.2.3!

 

 

【マックスフレアタイヤ】、【ファンキースパイクタイヤ】、【ミッドナイトシャドウタイヤ】が出現すると、3つのタイヤが融合する。そして【タイプトライドロンタイヤ】が【アタック1.2.3タイヤ】に変化する。

 

再びベルトさんは【アドバンスドイグニッション】を回し、【シフトトライドロン】のレバーを上げる。

 

 

『アタック1.2.3!

 

 

【アタック1.2.3タイヤ】の攻撃ユニット【フレアスパイクロッサー】を発動させ、3体の分身を生成しギャングオルカを囲う、

 

『『『『ハアッ!』』』』

 

「グアァァァァァァ!!」

 

4人の【ドライブ タイプトライドロン】が一斉にニードルを射出し、超高熱の火炎エネルギーがギャングオルカを襲う。ギャングオルカは攻撃を受けて今にも倒れる寸前となっていた。

 

「ベルトさん、代わってくれ!」

 

『OK!再び運転を代ろう!』

 

俺の言葉にベルトさんは頷くと身体の主導権が俺に戻り、赤色だった【デュアルハイビームアイ】が黄色へと再び変わる。

 

「これで決める!」

 

 

【アドバンスドイグニッション】を回し、【シフトブレス】の【イグナイター】を押す。

 

 

『ヒッサーツ!フルスロットル!』

 

 

必殺技の認証音声が鳴り、【シフトトライドロン】のレバーを上げる。

 

 

『アタック1.2.3!

 

 

「ハアァァァァッ!!」

 

 

「グアァァァァァァ!!」

 

 

天高く跳躍した俺は右脚の【ハイダッシュレッグ】にエネルギーを集約させ、落下スピードを利用したライダーキック【トライドロップ】をギャングオルカに放つ。ライダーキックをまともに受けたギャングオルカは今度こそ地面に倒れて気絶する。

 

 

ビーーーーーー!!

 

 

『えー只今を持ちまして配置された全てのHUC(フック)が危険区域より救助されました。誠に勝手ではございますが、仮免試験全工程終了となります!!!』

 

すると突然ブザーが鳴り響き、試験終了のアナウンスが流れる。

 

「フゥ、終わった……」

 

『Nice drive!よく頑張ったな来太!』

 

「ベルトさんもお疲れ様。……そうだ、ドクター!」

 

試験が終了した事を確認し、変身を解除した俺は救急車のシフトカー【マッドドクター】を呼ぶと、サイレンを鳴らしながら【マッドドクター】が俺の所に駆け付ける。

 

「ドクター、ギャングオルカさんの治療をお願い」

 

俺の言葉に【マッドドクター】は受諾し、ギャングオルカさんの治療を始める。

 

「出来る事は全部やった。後は結果を待つだけだね」

 

『君は自分の力を最大限に発揮した。自信を持つんだ』

 

「ありがとう、ベルトさん」

 

ベルトさんの言葉に少し気が楽になった俺は、空を見上げた。




次回、試験の結果が発表!!
果たしてライダーくんは合格となるのか……!?


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79スレ

第85話を投稿します。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=283740&uid=202117



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

16:雄英の仮面ライダー

先程試験の全工程が終了しました。

もう直ぐ結果が発表されます。

  

17:サクラギ研究所のリサーチフェロー

お疲れ様!

  

18:杜王町の幽波紋使い

お疲れ。

  

19:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

頑張ったね!

  

20:空座町の無下限呪術師

どうだった?

ライダーくん的には手応えはあったかな?

  

21:雄英の仮面ライダー

>>20

俺としては出来る事は全てやったと思います。

ベルトさんからもそう言われましたし。

  

22:太刀川隊の狙撃手

ベルトさんって事は、最終試験はドライブで挑んだんだ。

  

23:雄英の仮面ライダー

はい。

シフトカーたちに救助のサポートをお願いしたり、(ヴィラン)役のギャングオルカさんたちプロヒーロー相手にタイプフォーミュラやタイプトライドロンで撃退しました。

  

24:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>23

え!?

タイプフォーミュラだけでなくタイプトライドロンにもなったの!?

  

25:サクラギ研究所のリサーチフェロー

オーバーキル……。

  

26:空座町の無下限呪術師

ま、仮免が懸かった大事な試験だからね。

出し惜しみは出来ないよね。

  

27:杜王町の幽波紋使い

それに相手はプロのヒーローだからな。

持てる武器をフルに活用しないと勝てなかったかもしれないしな。

  

28:雄英の仮面ライダー

はい。

あ、そろそろ結果発表なので一旦スレ抜けます。

  

29:空座町の無下限呪術師

了解!

結果報告楽しみにしてるよ。

 

30:雄英の仮面ライダー

はい!

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

スレを抜けた俺は皆と共に運営の指示に従って試験会場の中央に集まった。

 

「こう言う時間いっちばんヤダ」

 

「人事を尽くしたのなら、きっと大丈夫ですわ」

 

緊張する耳郎さんを八百万さんが励ます。他の皆も合格しているか大なり小なり緊張と不安になっていた。

 

中央に集まると、ステージ上に設置された巨大モニターの傍の演台に目良さんが立おり説明を始める。

 

『皆さん、長いことお疲れ様でした。これより発表を行いますが……その前に一言、採点方式についてです。我々ヒーロー公安委員会とHUC(フック)の皆さんによる二重の減点方式で貴方方を見せて貰いました』

 

『つまり……危機的状況でどれだけ間違いの無い行動を取れたのかを審査しています。取り敢えず、合格点の方は五十音順で名前が載っています。今の言葉を踏まえた上でご確認下さい……』

 

すると巨大モニターに合格者の名前が表示される。

 

「結構受かってるな!!」

 

「あ!私あったァ!やったァ!」

 

 

「ばッ!!!」

 

 

周りが自分の名前がないか探し出す。俺たち雄英A組も探し始める。

 

そして───

 

「よし、あった」←俺

 

「あ、あった!!」←緑谷

 

「あったぜ!峰田実!!!」←峰田

 

「あったァ…」←耳郎さん

 

「あるぞ!!」←飯田

 

「よし…」←障子

 

「コエーー」←瀬呂

 

「麗日ァ!!」←麗日さん

 

「フッ」←常闇

 

「良かったぁ」←尾白

 

「メルシィ!」←青山

 

「あったぜ!」←砂藤

 

「わぁーーーー!!」←芦戸さん

 

「…!」←口田

 

「点滴穿石ですわ」←八百万さん

 

「ケロッ」←蛙吹さん

 

「やったーー!!」←葉隠さん

 

「あった……けど」←切島

 

 

「ねェ!!」←爆豪

 

 

「……」←轟

 

 

俺と皆が自分の名前があった事に喜んでいる中、焦凍と爆豪の2人の名前は掲示されていなかった。

 

 

「轟!!」

 

 

すると夜嵐が大声で叫びながら焦凍の元に近付いて来た。数秒、2人は互いを見つめる。

 

 

「ごめん!!」

 

 

突然、夜嵐は自身の頭部が地面に当たる程に頭を下げる。

 

 

「あんたが合格逃したのは俺のせいだ!!俺の心の狭さの!!ごめん!!

 

 

「元々俺が蒔いた種だし、よせよ」

 

「けど…!」

 

「お前が直球でぶつけてきて気付けた事もあるから」

 

焦凍の言葉に夜嵐は頭を上げると、今度は俺の方を見る。

 

「あんたも!あの時あんたは俺のミスをカバーしてくれた!それに、あんたの言葉で気付かされた!ありがとう!!」

 

再度頭を下げる夜嵐に、俺は言う。

 

「間違いに気付けたなら、俺からはもう何も言う事は無いよ。だから頭を上げて」

 

「ッ……!本当にごめん!!」

 

夜嵐の一連の行動が目立ち、周囲に居たA組の皆が気付く。

 

「轟、落ちたの…!?」

 

「ウチのスリートップの内2人が落ちてんのかよ…!」

 

「爆豪、暴言改めようぜ!」

 

「黙ってろ殺すぞォォォ!!」

 

此方を他所に慰める切島に爆豪が鬼気迫る表情でキレる。

 

「両方ともトップクラスであるが故に自分本位な部分が仇となったわけである。ヒエラルキー、崩れたり!うぐっ…!?」

 

調子に乗り始めた峰田の口を飯田が塞ぐ。

 

「轟くん…」

 

「轟さん…」

 

緑谷と八百万さんが心配そうに焦凍を見つめる中、目良さんが説明を続ける。

 

『え~続きましてプリントをお配りします。採点内容が詳しく記載されてますので、しっかり目を通していて下さい』

 

目良さんがそう言うと黒服の人達が合格者達にプリントを手渡しされ各自配られたプリントの内容に目を通す。

 

「切島くん」

 

「あざっす!」

 

「よぉこぉせぇやァァァ!」

 

「そういうんじゃねぇから、コレ」

 

(あれ?()()()()……)

 

運営から手渡されたプリントに目を通していく中、俺は自分の採点内容に思わず目を見開くと、目良さんが採点方式について説明する。

 

『試験のボーダーラインは50点。減点方式で採点しております。どの行動が何点引かれたなど、下記にズラーッと並んでいます』

 

61点。ギリギリ…」

 

「俺84!見て俺スゴくね!?地味に優秀なのよね俺って」

 

「待って!ヤオモモ94点!?」

 

「ドンマイ、瀬呂」

 

自身の点数の高さを自慢してる隣でより高得点を採った八百万さんが誇る様に胸を張る。

 

「飯田くんどうだった?」

 

80点だ。全体的に応用が利かないという感じだったな。緑谷くんは?」

 

「僕71点。行動自体ってより、行動前の挙動とか足止まってたりするところで減点されてる」

 

「こうして至らなかった点を補足してくれるのは有り難いな!」

 

「うん」

 

飯田と緑谷も自身の今後の課題について話し合っていた。

 

「佳面くん何点だった!?」

 

「ケロッ、どうだったかしら?」

 

「気になる〜!!」

 

すると、俺の所に葉隠さん・蛙吹さん・麗日さんが訊きに来た。

 

「はい、どうぞ」

 

俺は3人にプリントを見せる。

 

「どれどれぇ~……って、え!?」

 

「ケロッ!これって───」

 

「ひゃ、1()0()0()()!?」

 

 

「「「はあァァァーー!?」」」

 

 

3人が思わず大声を出すと、他の皆も驚愕して来て俺のプリントを見出す。

 

「えっ!?マジ!?満点!?」

 

「減点されなかったって事かよ!?」

 

「どんだけーー!!」

 

「凄え通り過ぎて逆に引くわ!!」

 

皆が俺の点数にドン引きする中で、緑谷が採点内容を読み上げる。

 

「【"個性"による迅速な救助活動のサポート及び、(ヴィラン)襲撃から救助者と他の受験者たちを守りつつ避難出来る時間を稼いだ活動は文句の付けようが無く、現役のプロヒーローに匹敵する活躍であった】。凄いよ、佳面くん!」

 

「凄まじいな!俺も負けていられない!!」

 

「お前怖えよ!」

 

「怖いは酷くない?」

 

対抗心を燃やす飯田に対し、峰田は未確認生物を見るかの様に俺に怯えていた。

 

皆で一通り感想を言い合っていると、目良さんが話す。

 

『合格した皆さんはこれから緊急時に限り、ヒーローと同等の権利を行使できる立場となります。すなわち、(ヴィラン)との戦闘・事件事故からの救助など、ヒーローの指示が無くとも君たちの判断で動ける様になります。しかしそれは、君たちの行動1つ1つにより大きな社会的責任が生じることでもあります』

 

仮免を取得出来た喜びとは別に、()()()()自分たちが背負う責任に緊張が走る。

 

『皆さんご存じの通り、オールマイトというグレイトフルヒーローが力尽きました。彼の存在は犯罪の抑制になるほど大きなモノでした。心のブレーキが消え去り、増長する者はこれから必ず現れる。均衡が崩れ、世の中が大きく変化していく中、いずれ皆さん若者が社会の中心になっていきます。次は皆さんがヒーローとして規範となり、抑制できるような存在とならねばなりません。今回はあくまで()()ヒーロー活動認可資格免許。半人前程度に考え、各々の学舎で更なる精進に励んで頂きたい!!』

 

目良さんの言葉に俺たちは頷く。すると、目良さんは言葉を続ける。

 

『そして、えー……不合格になってしまった方々。点数が満たなかったからとしょげてる暇はありません。君たちにもまだチャンスは残っています。3ヶ月の特別講習を受講の後、個別テストで結果を出せば君たちにも仮免許を発行する予定です』

 

 

「「「オオオッ!!!」」」

 

 

まさかの救済措置に不合格者が歓喜する。

 

『今私が述べた()()()()に対応するためにはより質の高いヒーローがなるべく多く欲しい。1次選考は所謂"落とす試験"でしたが、選んだ100名はなるべく育てていきたいのです。そう言う訳で全員を最後まで見ました。結果、決して見込みが無い訳ではなく、寧ろ至らぬ点を修正すれば合格者以上の実力者になる者ばかりです。学業との並行でかなり忙しくなるとは思います。次回4月の試験で再挑戦しても構いませんが…』

 

「当然!!」

 

 

「お願いします!!」

 

 

不合格である爆豪たちが気合いの入った返事を返す。

 

「やったね轟くん!」

 

「やめとけよぉ。取らんでいいよ楽に行こ?ひえらるきい……」

 

「待ってるぞ!」

 

緑谷たちが焦凍にエールを送る。そして俺も焦凍に近付く。

 

「焦凍」

 

「来太……」

 

俺は焦凍に拳を突き出す。

 

「俺は止まらないから。だから、先へ進みながら待つよ」

 

「ッ!?……直ぐに追いついてやるさ」

 

俺の言葉に、焦凍は驚きながらも少し笑みを浮かべて拳を合わせる。こうして、俺たちの仮免試験は終了した。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

試験に合格した俺たちは公安委員会から発行された"ヒーロー活動仮免許証"を受け取り、雄英に帰ろうとしていた。

 

そして、俺の仮免許証には名前と証明写真の他にヒーロー名である"KAMEN RIDER"が記載されていた。すると、俺の横を歩く緑谷が自身の仮免許を見つめながら歓喜の余り目尻に涙を浮かべていた。

 

「緑谷、歓喜の余り泣いてるよ」

 

「ホンマや!?」

 

麗日さんも嬉し泣きする緑谷に驚く。

 

「いやァ、なんかね……こうね……色んな人に助けられてきて、色んな人に迷惑掛けて来たから……だから……何て言うんだろ……"成長してるな!"って証みたいでなんか嬉しいんだ」

 

緑谷はおどおどしながらも、自身が成長した事を実感していた。そんな緑谷に、俺はクスリと笑う。

 

「そうだね。自分たちの目標に少しでも近づけたって感じだよね。折角だし合格した事オールマイトに伝えたら?」

 

「うん!早くお母さんやオールマイトに見せたい!」

 

「俺もオヤッさんたちにLINEで送っとこうかな」

 

そう言って俺と緑谷は仮免許証の写真を撮って伝えたい人たちへLINEで送信する。

 

「イレイザー」

 

Ms.ジョークさんが相澤先生に声を掛ける。

 

「折角の機会だし、今後合同の練習でも出来ないかな?」

 

「ああ……それ良いかもな」

 

 

「おーーい!!」

 

 

「あら、士傑まで」

 

すると今度は夜嵐がブンブンと手を振りながら此方に走って来た。

 

 

「轟!!また講習で会うな!!けどな!正直まだ好かん!!先に謝っとく!!ごめん!!」

 

 

「こっちも善処する」

 

事前に謝る夜嵐に驚くも、焦凍はそう答える。

 

「……すィ☆彼は──大胆と言うか繊細と言うか、どっちも持ってる人なんだね☆」

 

焦凍の近くに居た青山が夜嵐を見てそう言うと、今度は緑谷が何かを思い出したかの様にハッとした表情をして士傑生徒に話し掛ける。

 

「すいません!あ、あの!」

 

「?何だい?」

 

「気配を消す訓練ってどんな事をされてるんですか!!?」

 

いつの間にかノートとペンを持ちながら、緑谷は質問をする。どうやら1次試験で遭遇した士傑の女子生徒の気配を消す技術の事の様だ。

 

しかし───

 

「………?()()()()()()()()()()()()……」

 

「え!?」

 

士傑生徒は身に覚えの無いない事に首を傾げながら答える。予想外の返答に緑谷は驚く。

 

「ケミィさんって女子生徒の方が"普段から気配を消す事をしている"と仰っていましたが、心当たりはありませんか?彼女の変身の"個性"とその技術に俺たちは苦戦しましたが」

 

気になった俺も質問する。

 

「ケミィがかい?いや、知らないな。それに、ケミィの"個性"は変身の"個性"ではないよ」

 

「ッ!?……そうなんですね、ありがとうございます。そう言えばケミィさんは?」

 

「彼女は気分が悪いと言って先にタクシーで駅に向かってしまったよ。……そう言えば、あいつ此処3日くらい変だったな。何か普段と違うと言うか──」

 

()()()()()()()()()()()()……ですか?」

 

「ああ。そんな感じだ」

 

(どう言う事だ……?)

 

話の食い違いに俺も緑谷、それと士傑生徒が困惑する。

 

考え込んでいると、後ろから両腕を掴まれる。振り向くと───

 

「何の話をしているのかな?佳面くん?」

 

「そのケミィって人が気になるのかしら?」

 

葉隠さんと蛙吹さんが並々ならぬオーラを放ちながら笑顔で訊く。

 

「(しまった……まだ()()()()()()()()()()()()())2人とも、落ち着いて」

 

俺の言葉に、2人は聞く耳持たずで腕を掴む力を更に強める。

 

「落ち着いてるよ。そんな事よりさ」

 

「1次試験の時に岩陰で()()あったのか、聞かせてくれないかしら?」

 

こうして、逃げ場を失った俺はバスの中で2人の質問と言う名の取調べを受ける事となったのである……。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

試験会場から遠く離れた路地裏を先に駅へ向かった筈のケミィが1人歩いていた。するとケミィのスマホから着信音が鳴り、ケミィは通話をONにする。

 

『やっと繋がった!何処で何してる!?』

 

通話の相手が怒鳴る中、ケミィの身体から泥の様なモノが地面に零れ落ち、()()()姿()()()()

 

 

『トガ!!』

 

 

その正体は、(ヴィラン)連合の1人──渡我被身子であった。

 

「素敵な遊びをしてました」

 

『定期連絡は怠るなよ!1人捕まれば全員が危ないんだ!』

 

「大丈夫なんです。私は今まで見つからずに生きてきたので。それに有益でした。弔くんが喜ぶよ」

 

怒鳴る相手に、トガは嗤いながらポケットに入っていた小瓶を取り出す。その中には、人の血液がほんの少し入っていた。

 

「緑谷出久くんの血を手に入れました」

 

それは1次試験でケミィに()()していた際に、緑谷の頬を引っ掻いた時に入手した血液であった。

 

『取り敢えずこっちに合流しろ!寄り道はするなよ!』

 

「はいはーい」

 

トガは通話を切ってスマホを鞄に入れる。

 

「フフッ❤︎」

 

トガは嬉しそうに嗤う。それは1次試験でお茶子に変身していた時に来太に助けて貰った事を思い出していたからである。

 

"……命の危機だったら、俺はヒーローだろうと(ヴィラン)だろうと救けるよ。この手が届く限り……"

 

"あのまま落下してたら体を痛めると思っただけだ"

 

トガは来太が自分に言った言葉を思い出すと、頬を赤くして早まる鼓動を抑える。

 

「本当に、本当に助けてくれた……!ステ様の時みたいに助けてくれた……❤︎」

 

系統は違えど、自分と同じ変身の"個性"を持つ少年。誰よりも速く人を助け、(ヴィラン)だろうとその手を差し伸ばす姿はまるでおとぎ話に登場する王子様であった。

 

「どちらかと言うと、王子様と言うより騎士(ナイト)様かな?」

 

騎士(ナイト)の様に自分を助けてくれた来太に、トガは惹かれ始める。その顔は宛ら恋する年相応な少女の様に見えて、そして──

 

 

「カァコ良かったなァァ!来太くん、佳面来太くん!」

 

 

「でも、血を一杯出したらもっとカァコイイんだろうなァァァァ!!」

 

 

狂気に満ちた(ヴィラン)そのモノの様であった。

 




ライダーくん、仮免を取得する
減点されず100点満点で合格したライダーくん。これで晴れて"仮免"ヒーローとして活動する事が可能となった。


ライダーくん逃げてェェ!超逃げてェェェェ!!
デンジャラスガールこと渡我被身子に標的にされたライダーくん。まるで【風都探偵】でヤバい女幹部に執着される照井竜の様に。しかし本人はまだその事を知らない……。


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80スレ

今日の午前中に【ONE PIECE FILM RED】を観に行きます。そう言えば、シャンクスが劇場版に登場するのはもしかして今作で初ですかね?


第86話を投稿します。

※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=283740&uid=202117


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

31:雄英の仮面ライダー

連絡が遅くなりましたが、無事に仮免を取得しました。

  

32:サクラギ研究所のリサーチフェロー

おめでとうー!!

  

33:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

やったね!

  

34:太刀川隊の狙撃手

よく頑張った。

  

35:杜王町の幽波紋使い

おめでとう。

クラスメイトの子たちも合格出来たのか?

  

36:雄英の仮面ライダー

焦凍と爆豪は不合格でしたが特別講習とテストを受ければ仮免を貰えるので大丈夫です。

  

37:空座町の無下限呪術師

アフターケアしてくれるのは良いね。

  

38:サクラギ研究所のリサーチフェロー

それじゃあ、いよいよインターンか。

  

39:杜王町の幽波紋使い

職場体験でライダーくんはミルコに誘われたな。

  

40:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

順当にヒーローへの道を歩んでるね。

  

41:太刀川隊の狙撃手

インターンも頑張ってね。

  

42:雄英の仮面ライダー

ありがとうございます!

  

44:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ライダーくん仮免取れたの!?

おめでとう!!

  

46:虚刀流のグラップラー

凄えな!

 

48:鬼滅ごっこをやってる忍者

やるね、ライダーくん。

 

49:海賊系美食屋

お疲れ!

 

50:雄英の仮面ライダー

円卓ニキ!

グラップラーニキ!

忍者ニキ!

美食屋ニキ!

 

51:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

やっと合流したね。

 

52:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

さっき大学の講義が終わったので。

 

53:虚刀流のグラップラー

勇次郎さんから無事に逃げ切りましたので。

 

54:鬼滅ごっこをやってる忍者

中忍試験と大蛇丸による木ノ葉崩しもひと段落付きましたから。

 

55:海賊系美食屋

何とかエースを救出して頂上戦争から脱出したからな。

黒ひげのクソ野郎には逃げられちまったが。

 

56:サクラギ研究所のリサーチフェロー

なんか全員が集まったの久し振りな気がするな。

 

57:太刀川隊の狙撃手

>>56

トレーナーニキ、メタ発言はそこまでだ。

 

58:杜王町の幽波紋使い

まあ、何はともあれ全員集まれたのは良いんじゃあないか?

 

59:空座町の無下限呪術師

そうだねー!

折角だし、談笑しよっか♪

 

60:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

賛成!

 

61:雄英の仮面ライダー

良いですね。

 

……あれ?

緑谷と爆豪?

 

62:虚刀流のグラップラー

どうしたライダーくん?

 

63:雄英の仮面ライダー

すいません、水を飲もうとロビーに行ったら緑谷と爆豪が寮から出て行きました。

 

64:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

>>63

あれ?

その展開って……。

 

65:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>63

まさか、()()か?

 

66:空座町の無下限呪術師

ライダーくん、今すぐ2人の跡を追うんだ。

 

 

67:雄英の仮面ライダー

わ、分かりました。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

呪術ニキの指示に従い、俺は緑谷と爆豪に気付かれない様に2人の跡を追うと、辿り着いたのは1学期のヒーロー基礎学で最初の演習で使用したグラウンド・βであった。

 

俺は2人にバレない様に建物の端から様子を窺うと、爆豪が緑谷に何か話している。

 

そして───

 

 

「オールマイトから貰ったんだろ?その"個性(ちから)"」

 

 

「「ッ!?」」

 

爆豪の言葉に緑谷と俺は驚愕する。緑谷の"個性"【ワン・フォー・オール】の秘密を知っているのはごく僅かの人間で、雄英側は俺を除くと根津校長とリカバリーガールだけである。

 

緊迫した空気の中、話をする2人を見守る。

 

すると───

 

「戦えや。此処で今」

 

(は?)

 

「なんで!?」

 

爆豪の発言に困惑する俺と狼狽える緑谷。

 

「待ってよなんでそうなるの!?大体、此処にいる事自体ダメなんだし。戦うにしてもトレーニング室借りるとかでも良いじゃないか!」

 

本気(ガチ)でやると止められんだろーが。てめェの何がオールマイトにそこまでさせたのか確かめさせろ

 

「てめェの憧れの方が正しいってンなら、じゃあ俺の憧れは間違ってんのかよ?」

 

「かっちゃん……」

 

止める緑谷にそう言った次の瞬間、爆豪は容赦なく爆破で緑谷に接近する。右手を大きく振り翳す爆豪の動きに緑谷は一瞬膠着し、僅かに爆破への回避が遅れる。

 

「深読みするよな、てめェはァ……来いや!!

 

「マジでか……!!かっちゃん……」

 

こうして、緑谷と爆豪。幼馴染み2人による喧嘩が勃発した。




緑谷vs爆豪 勃発!
仮免試験を終え、皆が寝静まった夜に寮を抜け出した緑谷と爆豪。
緑谷の"個性"がオールマイトから貰った事に気付いた爆豪はNo.1から力を受け継いだ緑谷に勝負を挑む。


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81スレ

第87話を投稿します。

今更ながら、今作である『全ての仮面ライダーに変身したいと言ったけどガチャなんて聞いてないよ』が連載されてから1年が過ぎました!!
現在、お気に入り登録が3,500件を突破して私自身ビックリしてます。
これからも皆さんに読んで頂けるよう連載を続けて行きますので、応援宜しくお願いします!!


仮面ライダーギーツの制作発表が公開されましたが、各ライダーのモチーフが狐、狸、猫、牛、パンダ、羊と言ったマイナー路線で逆に面白かったです。今までだと龍とか虎とかが王道でしたので。

リバイス本編ではまさかの狩崎さんがラスボスになって仮面ライダージュウガに変身しましたが、一部ではクウガのアルティメットフォームがモチーフになってると言われてビックリしました。しかも狩崎役の俳優さんも屈指のクウガファンみたいで東映側が完全に狙ってたと思っちゃいますね。そして、一輝の記憶がどんどん喪っていき遂には両親の記憶も無い状態に……。家族は皆生きているのに一輝だけが孤立しているのがある意味仮面ライダーのコンセプトである"孤独なヒーロー"を体現しているみたいですよね。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=283740&uid=202117


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

68:雄英の仮面ライダー

2人とも……。

 

69:空座町の無下限呪術師

遂に始まったね。

  

70:虚刀流のグラップラー

こうやるのは分かってたけどな……。

  

71:太刀川隊の狙撃手

今のところ本気で攻撃する爆豪に対し、緑谷は戸惑いもあって防戦一方ですね。

  

72:杜王町の幽波紋使い

流石に止めるべきじゃあないか?

  

73:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>72

いや、この喧嘩については……。

  

74:虚刀流のグラップラー

>>72

原作通りの展開だからなぁ。

  

75:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

止めるべきじゃないと言いますか……。

  

76:太刀川隊の狙撃手

そうですね。

  

77:雄英の仮面ライダー

……すいません。

やっぱり俺止めに行きます。

  

78:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>77

ライダーくん!?

  

79:鬼滅ごっこをやってる忍者

止すんだ、ライダーくん。

  

80:海賊系美食屋

今回の喧嘩はライダーくんが止めに入る必要はねぇよ。

  

81:雄英の仮面ライダー

ですけど!

 

「佳面少年?どうして君が」

 

「オールマイトッ」

  

82:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

オールマイト!?

やっぱり来た!

 

83:虚刀流のグラップラー

そこに居ると言う事は、相澤先生を止めて来たって事か。

 

84:空座町の無下限呪術師

まあ、タイミング的にもそうだろうね。

 

85:雄英の仮面ライダー

「すいません、2人が寮から出て行くのを見たので後を追ったらこんな事に。一先ず、2人を止めます」

 

 

『デモンズドライバー!』

 

 

「待つんだ、佳面少年」

 

「ですけど!」

 

「今は……彼らを止めるべきじゃない」

 

「オールマイト……」

 

「頼む」

 

 

86:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>85

やっぱりオールマイトは見守るか。

 

87:海賊系美食屋

まあ、緑谷たちの喧嘩にオールマイトも関係してるからな。

 

88:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

此処で止めたら、爆豪が抱えているモヤモヤが晴れないからね。

 

89:雄英の仮面ライダー

「……分かりました」

 

「済まないね、佳面少年」

 

90:杜王町の幽波紋使い

ライダーくんも何とか踏み留まったな。

 

91:太刀川隊の狙撃手

ですね。

 

92:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

後は2人の喧嘩を見守るだけだね。

 

93:空座町の無下限呪術師

まっ、喧嘩するのも若人の特権だからね。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「何で!ずっと後ろに居た奴の背中を追う様になっちまった!!」

 

 

「クソザコのてめェが力をつけて……!オールマイトに認められて……強くなってんのに!」

 

 

「なのにっ、何で俺は」

 

 

「何で俺は、オールマイトを終わらせちまってんだ!!!」

 

 

喧嘩をする中で、爆豪は自身が抱えていた感情を吐き出した。その姿は決して他人に弱さを見せなかった普段の彼ではなく、悩みを抱え苦しむ1人の少年であった。爆豪の叫びに緑谷は勿論、陰で見守っている俺とオールマイトも漸く彼の抱える苦しみを知った。

 

 

「やるなら……全力だ。サンドバッグになるつもりは無いぞ、かっちゃん!」

 

 

そして、そんな爆豪の苦しみを真正面から受け止められるのは、オールマイトの後継者である緑谷だけである。激しい攻防が続く中で、爆豪が今まで緑谷への感情をぶつける。

 

「何考えてるのか分からねえ!どんだけぶっ叩いても張り付いて来やがって!何もねぇ野郎だったくせに!俯瞰した様な目で!見てきやがって!」

 

「まるで全部見下ろしてる様な、本気で俺を追い抜いて行くつもりのその態度が目障りなんだよ!!!

 

そして、爆豪の本音を聞いた緑谷も抱いていた感情をぶつける。

 

「僕に無いものを沢山持ってた君は、オールマイトより身近な"凄い人"だったんだ!!

 

「だから、ずっと……君を追いかけてたんだ!!

 

互いに胸に秘めていた思いを叫び、2人の攻防は更に激しさを増していく。

 

 

「こんなもんかよ!!」

 

 

すると緑谷は爆豪を挑発する。

 

 

「はあああああああ!!?」

 

 

緑谷の挑発に案の定爆豪が反応する。しかし、それは緑谷の作戦でもあった。跳躍した緑谷を爆破で迫る爆豪に、今まで蹴り技しか使わなかった緑谷は左拳を爆豪の頬に叩き込む。

 

勝負が決まったと思った瞬間───

 

 

「敗けるかあああああ!!」

 

 

爆豪は血を吐きながら緑谷の腕を掴み、最大火力の爆破で急降下し、アスファルトに激突する。周囲が爆煙に包まれ、晴れた先には爆豪が倒れた緑谷を押さえつけていた。

 

夜のグラウンドβで繰り広げられた2人の喧嘩は、爆豪の勝ちで幕が降りた。

 

「行こう、佳面少年」

 

「はい」

 

俺はオールマイトと共に勝負が終わった緑谷と爆豪に近づく。

 

「そこまでにしよう、2人共。悪いが……聞かせてもらったよ」

 

「オール……」

 

「マイト……。それに佳面くんも」

 

「随分派手にやったね、2人共」

 

現れた俺とオールマイトに緑谷と爆豪が呆然となる。そしてオールマイトは爆豪に話し掛ける。

 

「気付いてやれなくて、ごめん」

 

「……今……更……。何でデクだ、ヘドロん時からなんだろ?何でコイツだった」

 

「非力で……誰よりヒーローだった。既に土俵に立っている君じゃなく彼を土俵に立たせるべきだと判断した」

 

オールマイトの返答に、爆豪は声を震えながら叫ぶ。

 

「俺だって弱ェよ……。あんたみてえな強ェ奴になろうって思って来たのに!弱ェから……!!あんたをそんな姿に!!」

 

()()は君のせいじゃない。どのみち限界が近かった……遅かれ早かれこうなる事は決まっていたよ。それに君は強い」

 

「ただね、その強さに私がかまけた……。抱え込ませてしまった」

 

そう言ってオールマイトは爆豪を抱き寄せる。

 

「済まない。君も少年なのに」

 

抱き寄せられた爆豪は直ぐに振り解く。

 

「長い事ヒーローやって来て思うんだよ。爆豪少年の様に勝利に拘るのも、緑谷少年の様に困っている人間を救けたいと思うのも、どっちが欠けていてもヒーローとして自分の正義を貫く事は出来ないと」

 

「緑谷少年が爆豪少年の力に憧れた様に、爆豪少年が緑谷少年の心を畏れた様に……気持ちを曝け出した今ならもう……分かってるんじゃないかな?」

 

「互いに認め合い真っ当に高め合う事が出来れば、救けて勝つ 勝って救ける最高のヒーローになれるんだ」

 

オールマイトの言葉に、緑谷と爆豪は互いを見つめ合う。

 

「そんなん……聞きてえ訳じゃねンだよ」

 

そう呟いて爆豪は座り込む。顔を隠しているため表情は読めない。そして爆豪は緑谷に話し掛ける。

 

「お前、1番強ェ人にレール敷いて貰って……敗けてんなよ」

 

「……強くなるよ。君に勝てるよう」

 

緑谷の言葉を聞いた爆豪は1つ溜め息を吐いてオールマイトに訊く。

 

「はぁ………デクとあんたの関係を知ってんのは?」

 

「リカバリーガールと校長……生徒では佳面少年と君だけだ」

 

「何で変身野郎も知ってんのかは知んねェが……バレたくねェんだろ、オールマイト。あんたが隠そうとしてたから、どいつにも言わねぇよ。クソデクみてぇにバラしたりはしねぇ……此処だけの秘密だ」

 

そう言って、爆豪はオールマイトに約束する。

 

「秘密は……本来私が頭を下げてお願いする事。何処までも気を遣わせてしまって……済まない」

 

「遣ってねェよ。言いふらすリスクとデメリットがデケェだけだ」

 

謝るオールマイトに爆豪は起き上がりながら答える。

 

「こうなった以上は、爆豪少年にも納得のいく説明が要る、それが筋だ。佳面少年にも聞いて欲しい」

 

「分かりました」

 

こうして、俺と爆豪はオールマイトの秘密を聞かされる。

 

オールマイトの"個性"は巨悪に立ち向かう為、代々受け継がれて来た力である事。

 

その力でNo.1ヒーロー・平和の象徴となった事。

 

戦いの中で傷を負い、限界を迎えていた事。

 

そして、緑谷を後継として選んだ事を。

 

「曝かれりゃ力の所在やらで混乱するって……事か。っとに……何でバラしてんだクソデク……」

 

「うっ……」

 

寮に戻りながら爆豪は緑谷に言う。

 

「私が力尽きたのは私の選択だ。さっきも言ったが君の責任じゃ無いよ」

 

「それとここだけの話だけど、俺も連合に狙われていたんだ。そう言う意味じゃあ俺も同罪だよ。……だからって訳じゃ無いけど、爆豪1人が責任を感じないで欲しい」

 

オールマイトの言葉に続く様に俺は補足する。

 

「佳面くんも!?」

 

「うん。連合は爆豪を仲間にしたがってたみたいだけど、俺の場合は"個性"を奪う為に狙っていたんだ」

 

俺は驚愕する緑谷にそう答える。

 

「結局……俺のやる事は変わらねぇや……。ただ、今までとは違え。デク」

 

爆豪は自身の隣を歩く緑谷の方を見て宣言する。

 

「(お前が俺や周りを見て吸収して強くなった様に)俺も全部俺のモンにして上へ行く。"選ばれた"お前よりも」

 

「じゃ…じゃあ僕はその上を行く。行かなきゃいけないんだ……!」

 

緑谷も拳を握り締めながら爆豪に言うと、それを聞いた爆豪は目を吊り上げる。

 

「……だから、そのお前を超えてくっつてんだろが」

 

「いや、だからその上を行かないといけないって話で……」

 

 

「あ"あ"!!?」

 

 

互いに譲らない様子に、俺は笑う。

 

「じゃあ俺は、2人の更に上へ行くとするかな」

 

 

「あ"あ"!!?何割って入って来てんだ変身野郎!!」

 

 

俺の発言に爆豪はキレながら叫ぶ。

 

「今のところ俺は2人に負け無しだし。現時点では俺が少しリードしてる事になるね」

 

「なってねェわ!なんなら今からぶっ殺すぞ!!」

 

「え〜やだよ。今喧嘩したら俺も怒られるし。言っとくけど寮に戻ったら絶対相澤先生からペナルティ課せられるから覚悟した方が良いと思うよ」

 

 

「舐めてんのか!!」

 

 

「落ち着いてかっちゃん!」

 

 

怒りのボルテージが一気に加速する爆豪を緑谷が止める。そんな2人を見ながら、俺は宣言する。

 

「出久、勝己」

 

「えっ!?」

 

「あ"あ"!?」

 

突然名前を呼ばれた事に2人は驚く。

 

「誰が最高のヒーローになれるか勝負だ。言っとくけど、なるのは俺だから」

 

ニヤリと笑いながら宣戦布告する俺に出久と勝己は唖然とする。そして勝己はクワッと目を吊り上げて叫ぶ。

 

 

「なるのは俺だ!!っつうか馴れ馴れしく名前呼んでんじゃねェ!!」

 

 

「良いでしょ?秘密を共有する仲だし。あ、"かっちゃん"の方が良かった?」

 

 

「ざけんな!!殺すぞバ佳面!!」

 

 

「ちょ、バ佳面じゃなくて佳面ね。来太でも良いよ」

 

 

「誰が呼ぶか!!」

 

 

「落ち着いてかっちゃん!」

 

「出久も俺の事名前で呼んで良いからね」

 

「えっ!?えっと、かつ……ら、来太くん」

 

「そうそう、良い感じ。それじゃあ勝己も」

 

 

「呼ばねェっつてんだろバ佳面ァァ!!」

 

 

そんなコントの様な俺たちのやり取りを見ながら、前を歩いていたオールマイトは笑みを浮かべていた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「試験を終えたその晩に喧嘩とは、元気があって大変よろしい」

 

寮に戻ると、案の定相澤先生は鋭い目付きをしながら出久と勝己を捕縛布でギリギリと縛り上げる。一応、2人は手当を済ませている。

 

「相澤くん待って、捕縛待って」

 

オールマイトが慌てて相澤先生を止めに入る。

 

「原因は私にあるんだ」

 

「はい?原因?何です」

 

問い詰める相澤先生に捕縛された出久と勝己がギクリとなる。俺も2人の後ろに立って表情を僅かに強張らせる。

 

「爆豪少年は私の引退に負い目を感じていたんだ……そのモヤモヤを抱えたまま試験に臨ませ、結果彼の劣等感が爆発した。気付けずメンタルケアを怠った……大人の失態が招いた喧嘩だったんだ」

 

オールマイトは秘密を知られない為に相澤先生へそう説明した。それを聞いた相澤先生は顰めっ面をしながらも納得する。

 

「……だからルールを犯しても仕方ない……で済ます事は出来ません。然るべき処罰は下します。先に手ェ出したのは?」

 

しかしルールに厳しい相澤先生は2人に問う。

 

「俺」

 

「僕も結構……ガンガンと……」

 

名乗り上げた勝己の後に出久が弱々しく答える。それを聞いた相澤先生は2人を指差して処罰を下す。

 

「爆豪は4日間!緑谷は3日間の寮内謹慎!その間の寮内共有スペース清掃!朝と晩!!+反省文の提出!!怪我については痛みが増したり引かないなら保健室へ行け!ただし余程の事でなければ婆さんの"個性"は頼るな。勝手な傷は勝手に治せ!佳面も2人の怪我を治すな!」

 

「あ、はい!」

 

ギロリと睨む相澤先生に俺は頷く。

 

 

「ふぅ……以上!寝ろ!

 

 

溜め息を吐くと相澤先生は説教を終える。解放された俺、出久、勝己は自分たちの部屋に戻り漸く眠りについた。




次回から【インターン編】に突入!
そして久し振りのガチャ回です。



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ヒーローインターン編
82スレ


第88話を投稿します。

新章【ヒーローインターン編】が開始!
そして今回のお話は久しぶりのガチャ回です。
ピックアップのテーマは【福袋】です。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=283740&uid=202117


「「「えぇぇぇ~!?」」」

 

 

「喧嘩して」

 

「謹慎〜〜〜〜!?」

 

仮免試験を終えた翌日、共有スペースにて所々に包帯や湿布が目立つ出久と勝己が掃除機で掃除する姿を見て皆の驚きの声が響き渡る。

 

「馬鹿じゃん」

 

「馬鹿かよ……」

 

「骨頂……」

 

皆はそんな2人を見て呆れたように言う。それを聞いた出久は申し訳なさそうに、勝己はイライラしながら掃除機を動かしていた。

 

「それで、仲直りしたの?」

 

「仲直り……っていうものでも……うーん、言語化が難しい……」

 

「よく謹慎で済んだものだ!では始業式は君らは欠席だな」

 

麗日さんが心配そうに訊くと出久は何を言ったら良いのか難しい表情で答えると飯田は怒りながら2人に確認する。

 

「爆豪、仮免の補習どうすんだ?」

 

「うるせェ!!テメェには関係ねェだろ!?」

 

仮免補講を受ける焦凍が訊くと勝己は苛立ちながら叫ぶ。

 

「じゃ、掃除よろしくな~」

 

そう言って皆が学校へ向かう中、俺は2人に声を掛ける。

 

「勝己、謹慎中くらい出久と喧嘩しない様にね。出久も何かあったら勝己に話し掛けなよ」

 

「う、うん」

 

「馴れ馴れしく名前で呼ぶんじゃねェってんだろ!バ佳面!!」

 

「バ佳面じゃなくて佳面ね。それじゃあ行ってきます」

 

頷く出久とキレる勝己を見て、俺は寮を出た。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「皆良いか!列は乱さず、それでいて迅速に!グランドへ向かうんだ!」

 

「や、お前が乱れてるよ」

 

「はッ……!?委員長のジレンマ……!!」

 

始業式の為、俺たちA組は教室からグラウンドへと向かっていた。

 

「聞いたよA組ィ」

 

「!?」

 

すると、まるで俺たちA組が来るのを待っていたかの様に佇んでいるB組の物間が声を掛けて来た。

 

「2名!?そちら仮免落ち2名も出たんだってぇぇぇ!!??」

 

「B組の物間!?」

 

「相変わらずイカれてやがる……」

 

そして心底こちらを見下した顔で煽り始める。そんな物間に切島が反撃する。

 

「さてはまたオメェだけ落ちたな?」

 

「フフフフフ……」

 

「いやどっちだよ!?」

 

切島の問いを無視し、突然後ろを向いた物間は振り返り様に誇らしく答える。

 

「こちとら、全員合格!水が空いたねA組」

 

「悪ィ、皆……」

 

「向こうが一方的に競ってるだけだから気に病むなよ」

 

物間の言葉に落ち込む焦凍を皆でフォローすると、頭に角を生やしたB組の角取ポニーさんが此方に話し掛ける。

 

「ブラドティーチャーによるぅと、後期ィはクラストゥゲザージュギョーあるデスミタイ。楽シミしテマス!」

 

「へぇー!そりゃ腕が鳴るぜ!」

 

「つうか、留学生さんなのねぇ」

 

すると物間は角取さんに耳打ちする。

 

「ボコボコォにウチノメシテヤァ……ンヨ?」

 

「「「は!!?」」」

 

 

「プハハハハハハハッッ!」

 

 

「変な言葉教えんな!」

 

「アッ」

 

彼女の物騒な発言に驚愕すると、それを見た物間が高笑いをする。そしてお目付役である拳藤さんが物間に手刀を食らわせ黙らせた。

 

「オーイ、後ろ詰まってんだけど」

 

今度は後方からヒーロー科に対して文句を言う声が聞こえ、声のする方へ振り返ると、そこには体育祭で出久が戦った普通科の心操が居た。

 

「スミマセン!さぁさぁ皆!私語は慎むんだ!迷惑掛かっているぞ!」

 

「カッコ悪ィとこ見せてくれるなよ」

 

(心操……体育祭の時より身体が少しガッシリしてる?筋トレしてるのかな?)

 

飯田が申し訳なさそうに心操に謝るとA組をグラウンドへ向かうよう促し、俺たちもそれに従いグラウンドに向かう。

 

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

グラウンドに到着した後、始業式で校長による序盤のよく分からない長話と新学期に向けての激励、そして校外活動(ヒーローインターン)の話が挙がりヒーロー科1年がその事を気になっていると生活指導のハウンドドッグ先生による昨夜起きた出久と爆豪の事件についての報告を聞かされ、始業式を終えた俺たちは教室へ戻って自身の席へと着席する。皆が着席した事を確認すると、相澤先生が教壇で話し始めた。

 

「じゃあまァ……今日からまた通常通り授業を続けていく。嘗て無い程に色々あったが上手く切り換えて学生の本分を全うする様に。今日は座学のみだが、後期はより厳しい訓練になっていくからな」

 

「話無いねぇ……」

 

「何だ?芦戸」

 

「ヒィ!?久々の感覚!」

 

相澤先生に指摘され芦戸さんは思わず身を固くする。

 

「ごめんなさい、良いかしら先生。さっき始業式でお話に出てた"ヒーローインターン"ってどう言うものか聞かせて貰えないかしら?」

 

そこに蛙吹さんが手を挙げて相澤先生に質問する。

 

「そういや校長が何か言ってたな……」

 

「俺も気になっていた」

 

「先輩方の多くが取り組んでいらっしゃるとか」

 

始業式で校長が挨拶の中で話していた校外活動(ヒーローインターン)について皆が疑問を持つと、相澤先生は首の裏を軽く掻きいた後再び口を開く。

 

「それについては後日やるつもりだったが……そうだな。先に言っておく方が合理的か。平たく言うと、"校外でのヒーロー活動"。以前行なったプロヒーローの下での職場体験…その本格版だ」

 

「はあ〜そんな制度あるのか……体育祭での頑張りは何だったんですかぁぁ!?

 

麗日さんが突然立ち上がりながらそう叫ぶ。

 

「確かに、そんな制度があるなら体育祭でスカウトを頂かなくとも道が開けるか?」

 

飯田もハッとした表情で疑問を呟く。

 

「まー落ち着けよ、麗らかじゃねぇぞ」

 

「しかしィ!!」

 

砂藤が宥めるも麗日さんは落ち着く事が出来なかった。

 

校外活動(ヒーローインターン)は体育祭で得たスカウトをコネクションとして使うんだ。これは授業の一環ではなく、生徒の任意で行う活動だ。寧ろ体育祭で指名を頂けなかった者は活動自体難しいんだよ。元々は各事務所が募集する形だったが、雄英生徒引き入れの為にイザコザが多発し、この様な形になったそうだ。分かったら座れ」

 

「早とちりしてすみませんでした……」

 

麗日さん申し訳なさそうに謝りながら席に座り、相澤先生は説明を続ける。

 

「仮免を取得したことでより本格的・長期的に活動に加担出来る。ただ1年生での仮免取得はあまり例がない事、(ヴィラン)の活性化も相まってお前らの参加は慎重に考えてるのが現状だ。まァ、体験談なども含め後日ちゃんとした説明と今後の方針を話す。こっちも都合があるんでな。じゃ…待たせて悪かった、マイク」

 

 

「1限は英語だーー!!即ち俺の時間!!久々登場俺の壇上待ったかブラ!!今日は詰めて行くぜーー!!アガってけーー!!イエアァ!!」

 

 

「「「はーい」」」

 

 

相澤先生の言葉と同時に教室のドアが勢い良く開くと、プレゼントマイク先生がラップを刻みながら教室に入って来て早速英語の授業を開始する。こうして2学期の授業が始まったのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「ねぇねぇ!来太くん仮免取ったんだって!?早いね!何でもう仮免取ったの?インターン先決まった?決まってないならリューキュウの所でインターンしない?私来太くんと一緒にインターンしたい!!」

 

「落ち着いて、落ち着いて下さい。波動先輩」

 

「アハハハハ!今年の1年は凄いねー!な、環」

 

「そ、そうだね……」

 

午前中の授業が終わり、俺は昼食の為食堂へ向かうと波動先輩、通形先輩、天喰先輩に遭遇し同じテーブルに座る事になった。

 

「すみません、実はインターン先はミルコさんの所に決まってまして」

 

「ええ〜〜!!?」

 

「もうインターン先も決まってるんだね!凄いね佳面くん!!」

 

(仮免取って間もないのに既にインターン先が決まってるなんて……やっぱり彼は常軌を逸している)

 

俺がそう答えると3人は各々リアクションを取る。

 

「職場体験の時から誘いを受けてまして、折角なのでインターンもお世話になろうかと……って、どうしました?波動先輩」

 

すると波動先輩は落ち込んだ表情をする。

 

「……来太くんとインターンしたかった」

 

そんな波動先輩を見て通形先輩が笑顔で慰める。

 

「インターン先が決まっているなら仕方ないんだよね!」

 

「でもぉ〜……」

 

そんな波動先輩を見て俺は苦笑する。

 

「誘ってくれてありがとうございます。もし良ければインターンについて色々教えてくれませんか?折角3年生の皆さんが居るので俺も聞きたい事が沢山ありますので」

 

すると波動先輩は表情を一変し、パァっと明るくなる。

 

「うん、良いよ!何が知りたいの!」

 

「俺も教えられる事は全部答えるんだよね!!」

 

「2人と比べて、俺のは参考にならないと思うけど……」

 

「そんな事無いですよ天喰先輩。そうですね……」

 

俺はお昼を食べながら先輩たちから校外活動(ヒーローインターン)について色々質問していく。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

始業式も終わり、今日から2学期が始まりました。

  

2:空座町の無下限呪術師

もうそんな時期かぁ〜。

  

3:サクラギ研究所のリサーチフェロー

あっという間に夏休みが終わっちゃったな。

まあ、ライダーくんの居る世界と俺たちの居る世界だと時間軸とか全く違うけど。

  

4:太刀川隊の狙撃手

そうですね。

こっちは冬ですし。

  

5:杜王町の幽波紋使い

こっちは秋だ。

  

6:虚刀流のグラップラー

こっちも秋だな。

  

7:鬼滅ごっこをやってる忍者

此方は夏ですね。

  

8:海賊系美食屋

こっちは海域によって季節違ぇんだよな。

コロコロ変わるし。

  

9:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

そう言えば、ライダーくんはインターンどうするの?

  

10:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ミルコ一択な感じ?

  

11:雄英の仮面ライダー

はい。

折角お誘いを受けたのでインターンもミルコさんにお世話になろうと思います。

……とまぁ、状況報告はこの辺りにしましてガチャを回そうと思います。

  

12:虚刀流のグラップラー

出たな!

唐突なガチャ回!

  

13:サクラギ研究所のリサーチフェロー

親の顔よりも見た光景だ。

  

14:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>13

そのコメントはどうなの?

 

15:鬼滅ごっこをやってる忍者

まあまあ。

それで、今回のガチャは何のピックアップ?

 

16:雄英の仮面ライダー

今回は【周年記念福袋ガチャ】です。

 

17:太刀川隊の狙撃手

>>16

【周年記念福袋ガチャ】?

 

18:虚刀流のグラップラー

どう言う事だ?

 

19:海賊系美食屋

教えてくれ、ライダーくん。

 

20:雄英の仮面ライダー

実は俺の世界で言う9月1日は、俺が初めて"個性"が発現した日なんですよ。

それを記念した福袋形式のガチャと言う事です。

 

21:杜王町の幽波紋使い

福袋という事は内容はランダムと言う事か。

 

22:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

所謂、闇鍋システムか……。

福袋……闇鍋……爆死……ウッ頭が!!

 

23:雄英の仮面ライダー

大丈夫ですか、円卓ニキ。

 

24:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

気にしないで良いと思うよ。

オタク特有の黒歴史だから。

 

25:サクラギ研究所のリサーチフェロー

そう言えば、ライダーくんは今回みたいな福袋ガチャは経験した事あるのかな?

 

26:雄英の仮面ライダー

いえ、当初は良く"個性"の仕組みが解って無かったですし手に入れたライダーの力を扱える為に特訓とかで忙しかったので。

ですので今回が初ですね。

 

 

27:虚刀流のグラップラー

>>26

何か勿体無いなぁ。

 

28:太刀川隊の狙撃手

まあまあ。

 

29:杜王町の幽波紋使い

今回引くみたいだから良いじゃあないか。

 

30:空座町の無下限呪術師

早速引いて行こーー!!

 

31:雄英の仮面ライダー

分かりました。

ちなみに今回の福袋ガチャは10連1回限りとなっております。

 

それでは、行きます。

そりゃあ!!

 

 

【結果】

仮面ライダークロノス【LR】

仮面ライダーゲンム(レベル0)【LR】

仮面ライダーアナザーパラドクス【SR】

仮面ライダー凍鬼【R】

仮面ライダー鎧武【LR】

仮面ライダーリバイス(アルティメットリバイ/アルティメットバイス)【LR】

仮面ライダー3号【SR】

仮面ライダーアクア【SR】

仮面ライダーキルバス【LR】

仮面ライダーライブ/エビル【SR】

 

 

クロノスにゲンムのレベル0!!?

 

 

それに鎧武だ!!

 

32:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

自称神とモノホンの神様来たーー!!?

 

33:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

クロノスとゲンムのセットとか狙ってるだろ!!

歴代ライダーキャラの中でも1番傍迷惑な親子だぞ!!

 

34:虚刀流のグラップラー

アナザーパラドクスも引いてるから今回エグゼイドに少し偏ったな。

 

35:海賊系美食屋

しかもキルバスも居やがる。

前にライダーくんはエボルも引いてたからマジで宇宙規模でヤベーイな力を手にしちまってるよ。

 

36:鬼滅ごっこをやってる忍者

それと映画限定ライダーも居ますしね。

 

37:太刀川隊の狙撃手

今回もエグい引きだったね。

 

38:空座町の無下限呪術師

いやーー、最高に面白い結果だったよライダーくん!

 

39:杜王町の幽波紋使い

さてさて、これからどうなる事やら……。

 

40:サクラギ研究所のリサーチフェロー

そうですね。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




【福袋ガチャ】でとんでもない引きを見せるライダーくん
年に1度の福袋ガチャを引いたライダーくん。結果は主役ライダーの最強形態からラスボスライダーと言ったぶっ飛んだ性能を持つモノばかり。
果たして、今後どうやる事やら……



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83スレ

第89話を投稿します。

遅くなりましたが、前に募集したアンケートの結果は文化祭編のオリジナルエピソードとして【料理対決】に決まりました。
アンケートご協力頂きありがとうございました。


仮面ライダーリバイス最終回観ました。
一輝の為に最期の闘いをしたバイスの姿にTV前で泣きました……。
またバイスが五十嵐家の前に現れるいつかの"明日"が来る事を心から願います(何かオーズっぽくなったw)。
リバイスに関わった全ての皆さん、1年間お疲れ様でございました!!と思ったらVシネ製作決定!!しかも主人公は大ニとヒロミさん!?
強化アイテムのバイスタンプも登場するみたいですが……令和ライダーのVシネは後味が悪い傾向にあるのでメインキャラが死なない事を願います。けど監督が【復活のコアメダル】の人だからまだ安心出来ないんだよなぁ……。

そんなリバイスの後にドンブラザーズも最終回(?)……と言うか、総集編でしたね。
MVPはマスターこと五色田介人でしたが、あの介人はゼンカイジャーとしての介人なのかそれとも介人の姿をした"神様"なのか疑問が残る回でしたね。

ウルトラマンデッカーでは前作主人公であるマナカ・ケンゴことウルトラマントリガーが出演!!
しかもカルミラもスフィアによって復活!?一体どうなるのか予想出来ない展開に来週が待ち遠しく思いました。相変わらずカルミラは「マナカ・ケンゴォォォ!!」と叫んでて、まるで未練たらたらなヤンデレヒロインみたいで笑ってしまいましたw(トリガー最終回で綺麗に看取られてた筈なのに……)


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

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2学期が始まって4日目。3日間の謹慎を終えた出久が今日から授業に参加する。

 

 

「ご迷惑お掛けしました!!」

 

 

教室では出久が頭を下げながら大声で謝罪していた。

 

「デクくん、オツトメご苦労様!」

 

「オツトメって…つか何息巻いてんの?」

 

「多分謹慎中授業に参加出来なかったから遅れを取り戻そうと必死になっているんじゃないかな」

 

「あー、成程」

 

 

「飯田くん!!ごめんね!!!失望させてしまって!!この3日間でついた差を取り戻すよ!!」

 

 

「う、うむ。反省しているなら良いが…」

 

「お、良いな。そう言うの好き俺」

 

謹慎を明けた出久は鼻息荒くしながら宣言すると、その様子に飯田が珍しく怯み、切島は出久を応援する。

 

「それじゃあ、そんな出久にコレを渡しておくよ」

 

俺は付箋が付けられた紙の束を出久に渡す。

 

「来太くん、コレって?」

 

「出久が謹慎中にあった授業の内容をノートにまとめてコピーしたヤツ。相澤先生から"謹慎中は授業内容を教えるな"って言われてたからさ。出来るだけ分かりやすくまとめてあるから、良かったら使って」

 

「良いの!?ありがとう!!凄く助かるよ!!」

 

「どういたしまして」

 

高速で何度も頭を下げながらお礼を言う出久に俺は苦笑する。まだ勝己は謹慎中なので明日になってから別で渡しておこう。

 

そんなこんなでホールルームの時間となり、教壇に相澤先生が立つ。

 

「じゃあ、緑谷も戻ったところで本格的にインターンの話をして行こう。入っておいで」

 

相澤先生が教室のドアの方を見ながら誰かを呼ぶと、開かれたドアから通形先輩・波動先輩・天喰先輩が教室に入って来る。

 

「職場体験とどう言う違いがあるのか、直に経験している人間から話して貰う。多忙な中、都合を合わせてくれたんだ。心して聞くように。現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名……通称"ビッグ3"の皆だ」

 

「雄英生のトップ…ビッグ3…!!」

 

「そう言う人が居るとは聞いてたけど…!」

 

「びっぐすりー!」

 

「波動先輩もその1人だったのか!」

 

先輩方の登場に皆が驚愕する。

 

「じゃ、手短に自己紹介宜しいか?天喰から」

 

相澤先生がそう言うと、天喰先輩は目つきを鋭くして俺たちを睨む。そのあまりの迫力に教室全体に緊張感が走る。

 

しかし

 

「駄目だ。ミリオ…波動さん…ジャガイモだと思って臨んでも…頭部以外が人間のままで依然人間にしか見えない。どうしたら良い、言葉が……出てこない」

 

(あっ、いつもの天喰先輩だ)

 

ただでさえ俺と話す時も目を全く合わせてくれないのに大人数の前で自己紹介をするのは人見知りな性格の天喰先輩にとってプレッシャーを感じない方がおかしいのだ。

 

「頭が真っ白だ…辛い…!帰りたい……!

 

遂には此方に背を向けてしまう始末であった。そんな光景に皆が唖然とする。

 

「雄英…ヒーロー科のトップ…ですよね…」

 

イメージと違う事に思わず尾白が訊くも天喰先輩は身体を震えさせて話そうとしなかった。

 

「あ、聞いて天喰くん!そう言うのノミの心臓って言うんだって!ね!人間なのにね!彼はノミの天喰環、それで皆は知ってると思うけど私は波動ねじれ。今日は"校外活動(インターン)"について皆にお話して欲しいと頼まれて来ました」

 

波動先輩が追い打ちを掛ける様に天喰先輩に言うと自己紹介を始める。すると波動先輩は俺の方を見るとニッコリと笑う。

 

「来太くんびっくりした?実はね少し前からイレイザーに校外活動(ヒーローインターン)の説明を頼まれてたの!」

 

「あ、はい。びっくりしました」

 

「でしょでしょ!」

 

「……合理性に欠くね」

 

「イレイザーヘッド安心して下さい!!大トリは俺なんだよね!」

 

纏まりの悪さに相澤先生が睨むと通形先輩は焦りながら答える。

 

 

「前途ーーーーー!!?」

 

 

(((ゼント?)))

 

 

通形先輩の突然なレスポンスに呆然となる。

 

「……多難、ですか?」

 

 

「せーーーかい!!よぉし、ツカミはイマイチだ。ハッハッハッハッハッ!」

 

 

困惑しながら俺が答えると通形先輩は場が滑った事に笑う。目の前の3年生の雰囲気に皆は更に困惑する。

 

「……3人とも変だよな。ビッグ3と言う割には……何かさ……」

 

「風格が感じられん……」

 

仕舞いには何名から不信感を抱かれる始末だ。すると先程まで笑っていた通形先輩の表情が変わる。

 

「まァ、何が何やらって顔してるよね。必修て訳でも無い校外活動(インターン)の説明に突如現れた3年生だ。そりゃ訳も無いよね」

 

「佳面くんから聞いてたけど1年から仮免取得…だよね。フム、今年の1年生って凄く……元気があるよね……そうだよねェ……何やらスベリ倒してしまった様だし……」

 

意味深な笑みを浮かべると通形先輩から予想外な提案を持ち掛けられる。

 

「君たち纏めて俺と戦ってみようよ!!

 

 

「え……ええ〜〜〜〜〜!!?」

 

 

突然の勝負の申し出に皆が驚愕する。

 

「俺たちの経験をその身で経験したほうが合理的でしょう。どうでしょうねイレイザーヘッド!」

 

「……好きにしな」

 

相澤先生は通形先輩を少し見つめ、諦め混じりな返答をする。許可が下りたので俺たちは体操着に着替え体育館γに向かう。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

体育館γに到着すると、教室で言っていた通りA組相手に通形先輩が1人で相対する。

 

「ミリオ止めた方が良い。形式的に"こういう具合でとても有意義です"と語るだけで十分だ。皆が皆上昇志向に満ち満ちている訳じゃない。立ち直れなくなる子が出てはいけない」

 

体育館の端で壁の方を向いた状態で天喰先輩が通形先輩にそう言った。

 

「あー聞いてー!知ってるー。昔挫折しちゃって、ヒーロー諦めて問題起こしちゃった子が居たんだよー。知ってたー? 大変だよねー、通形ー。ちゃんと考えないと辛いよ、これは辛いよー」

 

波動先輩も笑ってそう言った。

 

………何故か俺の腕に抱き付きながら。

 

「あの、波動先輩」

 

「なーに?」

 

俺が問い掛けると波動先輩はキョトンとした表情で訊く。

 

「何で俺の腕に抱き付くんですか?」

 

「駄目?」

 

可愛く首を傾げる波動先輩。

 

「モラル的に宜しくないかと。それに授業中ですよ」

 

「じゃあ授業が終わったらしても良い?」

 

「いや、そう言う訳じゃ無くてですね(さっきから皆からの視線が痛い……)」

 

特にオーラ的なモノを放つ葉隠さんと蛙吹さん。それに血涙を流しながら親の仇を見るかの様に睨む峰田。何とも言えない表情をしている麗日さん等々。明らかに悪目立ちしている状況に俺はどうすれば良いのか分からずに居た。

 

「おい、そこのバカップル2人。邪魔するなら出て行け」

 

すると相澤先生が物凄い目付きで俺と波動先輩を睨みながら言う。

 

「待って下さい相澤先生。俺と波動先輩はそう言う関係じゃないです」

 

「どうでも良いから壁側に離れてろ」

 

相澤先生の最後の忠告の様にも取れる言葉に従い、俺は波動先輩を連れて壁側に移動する。

 

「来太、お前はやらねェのか?」

 

相澤先生の隣に立つ焦凍が俺に訊く。

 

「うん。俺は前に通形先輩と模擬戦した事があるから"個性"知ってるし、ネタバレ防止として今回は見学するよ」

 

「期末試験後の自主練の時にか?」

 

「そうそう。一言で言うと、()()()()()()()()()()()()()()()()()……とだけ言っておくよ」

 

「マジか」

 

俺の言葉に焦凍が驚いた表情をする。

 

「焦凍は良いの?学年上の先輩と勝負出来る機会なんてそうそう無いよ?」

 

「俺は仮免取ってねェからな」

 

好戦的な勝己程では無いとは言え、こう言った勝負事に参加しない事に少し驚く。

 

「真面目と言うか、ちょっと丸くなったね」

 

「?別に太ってねェぞ」

 

「いや、そう言う意味の丸くなったじゃ無くて」

 

俺は天然発言を言う焦凍に思わずツッコミを入れる。そんな事を話していると通形先輩の準備運動が終わる。

 

「いつどっから来ても良いよね。1番手は誰だ!?」

 

「おれ「僕……行きます!」意外な緑谷!?」

 

自ら先陣を切ろうとする切島よりも早く、出久が前に出る。

 

「問題児!!良いね君、やっぱり元気があるなぁ!」

 

珍しく率先に出た出久を見て通形先輩が笑う。出久は低く構えて"個性"を発動させ【フルカウル】状態になる。

 

「近接隊は一斉に囲んだろぜ!!」

 

砂藤の言葉に他の皆も戦闘体勢を取る。

 

「よっしゃ、先輩。それじゃあ、ご指導ぉーよろしくお願いしまーっす!

 

こうして、A組と通形先輩の模擬戦の幕が切って落とされた。




次回、A組vs通形ミリオ!


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84スレ

第90話を投稿します。

仮面ライダーギーツ第1話観ました。
主人公が1話からバイク乗って「ライダーしてる!?」と驚きつつ、俺様系の性格と既に戦闘慣れしてる感じがカブトの天道総司っぽいと思っていたら達観した価値観が少しオーズの火野映司っぽくも思いました。
それと仮面ライダーシローが1話の序盤で退場したシーンに「龍騎以上にバトルロワイヤルしてる」と思いました。

ドンブラザーズはタロウとソノイの一騎打ち回でしたが、ジロウやムラサメ、ヒトツ鬼が乱入するなどアクシデントがありつつも終盤で一騎打ちを行いタロウの勝利となりましたね。そして皆がプールで遊んでいるのにまた1人だけハブられた犬塚さん。逃亡者だから仕方ないけど。

ウルトラマンデッカーは先週に引き続きトリガーとのコラボ回!?巨大なルルイエに似た花ギジェラの登場にウルトラQのマンモスフラワーを連想してしまいました。そしてメガロゾーアからカルミラを救出し、デッカー・トリガー・カルミラの3人が共闘!?しかもトリガーのOP曲「Trigger」が作中で流れて完全にウルトラマントリガー主役回になってました。カルミラ姐さんが光堕ちしたしダーゴンとヒュドラムの魂(?)も無事っぽいのでデッカーの終盤にまた再登場する可能性があるかもしれませんが、ダーゴンは良いとしてヒュドラムは復活しないで欲しいですね。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=283740&uid=202117


「よっしゃ、先輩。それじゃあ、ご指導ぉーよろしくお願いしまーっす!

 

切島の掛け声と同時に出久が飛び出し通形先輩との距離を一瞬で詰める。そしてそのまま出久は蹴りを繰り出そうと右足を振り上げる。

 

その時、突然ジャージが地面に落下し、通形先輩の裸体が露わになる。

 

 

「ああーーーー!!??」

 

 

「今服が落ちたぞ!?」

 

「ああ失礼!調整が難しくてね」

 

(何か凄いデジャヴ)

 

皆が服が脱げた通形先輩に驚愕し、俺は既視感を覚える。当の本人である通形先輩は謝罪しながら急いでズボンを履こうとすると出久が迫る。

 

(隙、だらけ!)

 

超パワーで強化された蹴りが風圧と共に通形先輩の顔に目掛けて繰り出される。

 

「!?」

 

出久の蹴りは通形先輩の顔に当たる事無くすり抜ける。攻撃が当たらず後方に着地した出久は急いで体勢を立て直すと、その隙に青山・瀬呂・芦戸さんがレーザー、テープ、酸を射出し攻撃を仕掛ける。しかし又もや攻撃は通形先輩をすり抜け、放たれた攻撃は出久の近くのコンクリート壁に激突し黒煙があがる。

 

「待て!……居ないぞ!?」

 

黒煙が晴れると先程まで目の前に居た筈の通形先輩の姿が消えており、皆は慌てて探す。

 

「まずは遠距離持ちからだよね!!」

 

突然後方から通形先輩の声が聞こえる。皆が一斉に振り返ると、

 

 

「ギャアアアアアアア!!!」

 

 

突然背後から出現した裸体の通形先輩に、近くに居た耳郎さんが再び悲鳴を上げる。

 

「ワープした!?」

 

「すり抜けるだけじゃねぇのか!?」

 

「どんな強"個性"だよォ!!??」

 

(・・・違う。ミリオの個性は決して羨まれるモノじゃない。僻むべきはその技術だよ1年坊)

 

地面から飛び出して来た通形先輩は次々と遠距離系"個性"持ちに拳を叩き込んで戦闘不能にしていく。その光景は正に圧倒的で、拳のみで攻撃する通形先輩を皆は捉える事は出来なかった。

 

 

「POWERRRRRRRRRRRR!!!」

 

 

一瞬で遠距離攻撃組を制圧した通形先輩はズボンを履き直し叫ぶ。

 

 

「通形ミリオ……」

 

すると相澤先生が呟く。

 

「あの男は俺の知る限り、最もNo.1に近い男だ……プロも含めてな」

 

「一瞬で半数以上が・・・!?あれがNo.1に最も近い男……!!」

 

相澤先生の言葉に焦凍が目を見開く。

 

(だと()()()()そう思っていたが……考えを改める必要があるかもしれないな)

 

「?相澤先生、何か」

 

「別に……」

 

相澤先生が此方をチラリと見るので訊くと、相澤先生は素っ気なく呟く。そんな中、遠距離組を制圧した通形先輩は近接組と向き合っていた。

 

「遠距離は粗方片付いた。後は近接主体ばかりだよね!」

 

「何したのかさっぱり解んねぇ!」

 

「すり抜けるだけでも強いのに、ワープとかっ……」

 

「それってもう、無敵じゃないですか!」

 

「よせやい!」

 

あまりの理不尽に残った皆が嘆き、通形先輩は不敵に笑みを浮かべながら構える。

 

(……無敵か。その1言だけで君らのレベルが推し量れる。例えば素人がプロの技術を見ても何が凄いのかすら分からないように、ミリオがしてきた努力を感じ取れないのなら一矢報いることすら出来ない。それに……()は戦いの中でミリオの"個性"を見破り、勝利した)

 

今度は天喰先輩が俺の方に視線を僅かに移すのを感じ、俺がチラリと視線を移すと天喰先輩は直ぐに顔の向きを壁側に戻す。

 

「何かカラクリがあると思うよ」

 

混乱する皆に出久はそう言った。

 

「すり抜けの応用でワープしてるのか、ワープの応用ですり抜けてるのか。どっちにしろ、直接攻撃される訳だからカウンター狙いで行けばこっちも触れられる時がある筈!何してるか解らないなら、解っている範囲で仮説を立ててとにかく勝ち筋を探って行こう!」

 

「おォ!サンキュー!謹慎明けの緑谷スゲェ良い!!」

 

出久の鼓舞に切島たちの闘志が再び燃え上がる。分析力に長けた出久はこう言う戦況の時凄く頼もしく感じる。

 

「だったら探ってみなよ!」

 

そう言うと同時に通形先輩が走り出す。そして走っている最中に通形先輩の身体がまたしても沈み、目の前から姿を消した。

 

「沈んだ!」

 

(現れるとすれば……)

 

()()

 

一瞬の静寂の後、出久の背後の地面から通形先輩が全裸のまま勢いよく浮上する。

 

(ここ!!!)

 

出久は背後に振り向くと同時に通形先輩に向けて蹴りを放つ。

 

「(反応じゃない!俺がここに現れるのを予測した!?)だが必殺!ブラインドタッチ目潰し!

 

「!?」

 

通形先輩はすり抜けを利用した目潰しをする。解っていても出久は思わず目を閉じる。そしてその隙を逃さず、通形先輩は右拳を緑谷の腹部に突き刺す様に殴る。

 

「ウッ……!?」

 

「殆どがそうやってカウンターを画策するよね!ならば当然、そいつを狩る訓練!するさ!」

 

「緑谷君!?」

 

出久に拳を叩き込んだ通形先輩は再び地面へ潜る。そして今度は飯田の背後に出現し不意を突いて攻撃する。

 

「うあっ……!?」

 

「クッソォ……!!」

 

切島たちは通形先輩の動きを捉え様としても一瞬に地中へ消えてしまう。そして残った皆全員の腹部に拳を叩き込み戦闘不能にさせる。

 

 

「POWERRRRRRRRRRRR!!!」

 

 

通形先輩の叫びと共に、模擬戦は終了した。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「ギリギリチンチン見えないように努めたけどすみませんね女性陣!……とまぁ、こんな感じなんだよね」

 

「全員が訳分からず腹パンされただけなんですが……」

 

戦闘を終えた出久たちは腹パンを喰らってしまい、腹部を手で抑えながら呻いていた。まだ回復し切れていない皆に通形先輩は訊く。

 

「俺の"個性"、強かった?」

 

「強すぎッス!」

 

「ズルイや!私の事も考えて!」

 

「すり抜けるしワープだし、轟みたいなハイブリッドですか~!?」

 

「いや、1つ!」

 

「えっ……1つ!?」

 

「は~い!私知ってるよ"個性"!ねぇねえ言っていい?」

 

予想外の答えに思わず出久は聞き返す。すると通形先輩の隣に立つ波動先輩が手を挙げて会話に割って入る。

 

「透過!」

 

「波動さん……今はミリオの時間だ」

 

「そう!俺の"個性"は透過なんだよね!君たちがワープと言うあの移動は推察されたとおりその応用さ!……あぁゴメンて」

 

通形先輩に言葉を奪われ、不機嫌になった波動先輩は頬を膨らませる。通形先輩から種明かしされた皆だったが、それでもまだ理解していない様子である。

 

「どういう原理でワープを?」

 

出久はエアノートに指で文字を書きながら質問する。……シュールと言うか、ノートに書き込むのが癖になっているのだろう。

 

「全身に"個性"を発動すると俺は凡ゆるモノをすり抜ける!凡ゆる、即ち地面もさ!!

 

「あっ……じゃあ、あれ地面に落っこちてたって事!?」

 

麗日さんの言葉に通形先輩は頷く。

 

「そう!地中に落ちる!そして落下中に個性を解除すると不思議なことが起こる。質量のあるモノが重なり合うことは出来ないらしく、弾かれてしまうんだよね!つまり俺は瞬時に地上へ弾き出されているのさ!これがワープの原理。体の向きやポーズで角度を調整して、弾かれた先を狙うことが出来る!」

 

通形先輩が自身の"個性"についてネタ明かしをしている様を皆は黙って聞く。

 

「……?何かゲームのバグみたい」

 

「イイエテミョー!」

 

芦戸さんの感想に通形先輩は吐き出しながら笑う。

 

「攻撃は全て透かせて自由に瞬時に動けるのね。やっぱりとても強い"個性"」

 

蛙吹さんが個性について感嘆していると、通形先輩は静かに否定する。

 

「いいや。強い"個性"に……()()()()()()

 

「「「?」」」

 

通形先輩の返答に皆が首を傾げる。

 

「"個性"発動中は肺が酸素を取り込めない。吸っても透過しているからね。同様に鼓膜は振動を、網膜は光を透過する。凡ゆるモノがすり抜ける。それは何も感じることが出来ず、只々質量を持ったまま落下の感覚があるという事なんだ」

 

「えっ!」

 

「それって……」

 

何人か察しの付いた事に気付いた通形先輩は説明を続ける。

 

「解ったかな?そんな感じだから壁1つ抜けるにしても、片足以外発動→もう片方の足を解除して設置→そして残った足を発動させすり抜け。簡単な動きにもいくつか工程がいるんだよね」

 

「俺だったら急いでる時程ミスるな」

 

「おまけに何も感じなくなってるんじゃ動けねぇ」

 

通形先輩から【透過】の扱いの悪さを聞かされた皆は各々感想を呟く。

 

「そう。案の定俺は遅れた。ビリッけつまであっという間に落っこちた。服も落ちた。この"個性"で上に行くためには遅れだけはとっちゃダメだった」

 

そして通形先輩は自身の額を指で高速で突つきながら説明を続ける。

 

「予測!!周囲よりも早く!時に欺く!何より予測が必要だった!!そしてその予測を可能にするのは経験!経験則から予測を立てる!長くなったけどコレが手合わせの理由!言葉よりも経験で伝えたかった!インターンにおいて、我々はお客ではなく1人のサイドキック!プロとして扱われるんだよね!」

 

「それはとても恐ろしいよ?プロの現場では時に人の死にも立ち会う…!けれども、怖い思いも辛い思いも全て学校じゃ手に入らない一線級の経験!俺はインターンで得た経験を力に変えてトップを掴んだ!ので!怖くてもやるべきだと思うよ1年生!

 

通形先輩の力強い演説に皆が感銘を受ける。

 

「話し方もプロっぽい!」

 

「1分で終わる話を此処まで掛けて下さるなんて!」

 

「お客か…確かに職場体験はそんな感じだったな」

 

「危ない事はさせないようにしてたよね」

 

「インターンはそうじゃないって事か……」

 

「仮免を取得した以上、現場に出ればプロと同格に扱われる」

 

「覚悟しとかなきゃな」

 

「上等だっての!」

 

「そうだよ!私たちプロになるために雄英入ったんだから!」

 

「そうだな」

 

「上昇あるのみ……」

 

「プルスウルトラ」

 

通形先輩の話に感化され、皆はインターンへの意欲が高まる。

 

「そろそろ戻るぞ。挨拶」

 

「「「ありがとうございました!!!」」」

 

全員で通形先輩たちにお礼を言って、インターンの説明会兼模擬戦は終了した。

 

すると、通形先輩は言葉を続ける。

 

「まァ。こんな事言ってるけど俺たち3人、佳面くんに3縦されちゃったんだけどね!」

 

 

「「「………はァァァァァァァァァ!!?」」」

 

 

(何でこのタイミングで言うんですか通形先輩!?)

 

通形先輩の爆弾発言により、俺は今日1日皆から質問責めを受ける事となった。……ちなみに、波動先輩に腕に抱きつかれた件についても一部の人たちから物凄く質問責めを受けた。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

翌日。勝己が謹慎明けとなり、2学期に入って初のA組全員で受けるホームルームで相澤先生がインターンについて触れる。

 

「プロヒーローの職場に出向き、その活動に協力する職場体験の本格版"ですが、昨日職員会議で協議した結果、校長始め多くの先生が"辞めとけ”と言う意見でした」

 

 

「「「ええええええええええ!!??」」」

 

 

突然の発言に皆は驚きを隠せなかった。

 

「あんな説明会までして!?」

 

「でも、全寮制になった経緯から考えたらそうなるか……」

 

 

「ザマァ!!!!」

 

 

「参加出来ないからって・・・」

 

葉隠さんが1人だけ笑う勝己にそう言うと相澤先生は説明を続ける。

 

「……が、今の保護下方針では強いヒーローは育たないという意見もあり、方針としてインターン受け入れ実績が多い事務所に限り一年生の実施を許可する、という結論に至りました」

 

 

「クソがァァァァ!!!」

 

 

(不味いな、ミルコさんの所でインターン出来ないかも……)

 

限定付きではあるが一応インターンに行くことが出来るようになった。職場体験で得たコネを使えるかどうか不安を胸中に抱く人たちが多い中で、俺は事前に決めていたミルコさんの所でインターンに行くのが困難になった事に困りながら1限目の授業を受ける。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

『仮免取ったんだってな佳面!なら今すぐインターンに来い!』

 

 

昼休憩となり昼食を済ませた俺は校舎にある中庭のベンチに腰を掛けて電話をすると相手のミルコさんがスマホ越しに大声で叫ぶ。

 

「あー……ミルコさん。実は学校の方針で、インターンの受け入れ実績があるプロヒーローの所にしか行かせてくれない事になりまして」

 

俺は突然の大声に耳を抑えながら今回のインターンの件についてミルコさんに伝える。ミルコさんは事務所すら持たない特殊なヒーロー。勿論インターンの受け入れ実績は無い筈である。

 

『ハァ!?ンだよその方針!お前は私のトコに決まってんだよ!ちょっと待ってろ!!』

 

「ちょっ、ミルコさん?……切れた」

 

するとミルコさんは突然通話を切った。俺は困惑しながらスマホをズボンのポケットに入れて教室に戻る。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

今日最後の授業が終わり放課後。皆と寮に帰ろうとしたその時アナウンスが流れる。

 

『1年の佳面来太くん。至急職員室に来て下さい。繰り返します。1年の佳面来太くん。至急職員室に来て下さい』

 

「おい佳面、何か呼び出しされたな」

 

「何かあったのか?」

 

「緑谷と爆豪みたいに問題起こしたか?」

 

「ンだとコラァ!!」

 

皆も俺が呼び出しされた事に首を傾げる。

 

「来太、何かあったのか?」

 

「んー、心当たりは無いと思うけど……一先ず行ってみるよ」

 

「急いで職員室に向かうんだ佳面くん!しかし!廊下は走っては駄目だぞ!!」

 

「分かってるよ。それじゃあ皆、後でね」

 

「行ってらっしゃい!」

 

「またね、佳面ちゃん」

 

「無事に生還してね!」

 

「いや、職員室に呼ばれただけだから」

 

皆と別れて、俺は可能な限り急いで職員室に向かう。数分後、廊下を歩き職員室に到着した俺は出入り口の扉を開ける。

 

「失礼します。1年A組の佳面です」

 

「来たか。こっちだ」

 

「失礼します」

 

相澤先生が手を挙げるのを確認し、俺は近付く。

 

「何でしょう、相澤先生」

 

質問すると、相澤先生は何処か疲れた様子で俺を見る。

 

「お前、ミルコにインターンについて話したな?」

 

どうやら呼び出しの理由はインターンの件についてらしい。

 

「はい。今の雄英の方針も含めて一通り伝えましたけど」

 

「やはりか……。昼頃、その事でミルコからクレームの電話があった。お前を自分の所にインターンに寄越さなかったら無理矢理連れて行くとな」

 

「え!!?」

 

クレームと言うより脅迫染みた内容に思わず素で驚きながら、俺は職場体験最終日に言われた事がフラッシュバックする。

 

「流石に現役のトップヒーローと学校側で問題を起こす訳にはいかない……。そこでヒーロー科の教師と校長とも話し合った結果、()()として受け入れ実績の無いミルコの所でのインターンを許可する事にした」

 

「そうなんですか!」

 

「ああ。それでどうする?インターンは強制じゃない。受ける受けないはお前の意思次第だが」

 

意思確認をする相澤先生に俺は頭を下げて答える。

 

「俺自身としてもミルコさんの所でインターンをしたいと決めていました。お願いします、行かせて下さい!」

 

「……分かった。手続きの準備は此方でやっておく」

 

「ありがとうございます!」

 

俺がお礼を言うと相澤先生は息を吐きながら頭を掻く。

 

「3年の話を聞いているから解ってると思うが、インターンは職場体験よりもハードだ。当然危険な事件に遭遇する可能性もある……覚悟して臨めよ」

 

「はい!」

 

こうして、俺はミルコさんの所でインターンに行ける事になった。




A組を圧倒するミリオ
全ての攻撃がすり抜け、1撃で確実に仕留めるミリオ。"個性"【透過】を()()"個性"に出来たのはインターンで培った経験と予測によるもの。並々ならぬ努力を重ねて来た事で雄英生のトップに昇り詰めたミリオの姿はプロヒーローにも劣らない格好良さがあった。

ミルコ、雄英にクレームを入れる
インターンについて雄英側は(ヴィラン)連合の動きや寮制の経緯を考慮して()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を対象となった事をミルコに相談するライダーくん。するとミルコは雄英に「佳面をインターンに寄越さないなら無理矢理連れて行く」と雄英を脅迫……もといクレームの電話を入れる。雄英側も悩んだ末、特例で許可を下す事にした。

次回 ライダーくん、インターンデビュー!!
変身する仮面ライダーのヒントは「4号」です。


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85スレ

第91話を投稿します。

9/10に放送されたウルトラマン大投票観ました。
私が投票したネクサス、ゼロ、ジードがそれぞれランキングに入ってて凄く嬉しかったです。
そしてゼロの弟子(自称)のゼットさんが3位にランクイン!?この結果に思わず爆笑してしまいましたw(しかも2位がセブンだしw)
ウルトラ怪獣の方は我らが蛇倉隊長ことジャグラーさんが2位!?
ウルトラメカでは特空機1号セブンガーが1位とゼット組が大奮闘しましたね(ジャグラーは元々オーブのキャラクターですが)。

今回登場する仮面ライダーのヒントは「戦士」「未確認生命体4号」「超変身」です。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=285887&uid=202117


「「「インターン先決まったァ!!??」」」

 

 

「うん。週末に手続き済ませて、今度の月曜からミルコさんの下でインターンをする事になったよ」

 

職員室から戻り寮に帰ってインターン先が決まった事を話すと皆が驚愕する。

 

「早えっ!もう決まったのかよ!」

 

「しかもヒーローランキング上位のミルコの所か!」

 

「羨ま〜!!」

 

皆が羨ましそうに言う。

 

「凄いよ佳面くん!」

 

「うむ!俺も負けていられないな!」

 

「頑張れよ」

 

「クソがぁぁぁぁぁッ!!」

 

「落ち着けって爆豪!仮免取るまでの辛抱だぜ!」

 

焦凍と出久と飯田が激励するのを他所に目を吊り上げて唸る勝己を切島が宥める。

 

「なぁ、佳面ァ。インターン先でミルコの写真撮ってきておくれよぉ〜。出来ればローアングルでぇ」

 

「最低。マジないわ」

 

鬼気迫る峰田に耳郎さんが冷たく呟く。うん、流石にそれは無い。

 

「頑張ってね佳面くん!」

 

「いつも凄いわ佳面ちゃん。ケロケロッ」

 

「私もインターン行きたいな〜!」

 

「皆だって行けるチャンスあるよ」

 

皆から激励を受けながら、俺はインターンに備えるのであった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:海賊系美食屋

ふぃ〜。

エースの野郎、修業始めて半年だってのに覇気の成長スピードが半端ねぇ。

  

2:サクラギ研究所のリサーチフェロー

美食屋ニキ、今エースと修業してるんですか?

  

3:太刀川隊の狙撃手

と言うか、今エースと一緒に居るんですね。

  

4:海賊系美食屋

おう。

頂上戦争の後、白ひげ海賊団からエースを預かる事になってな。

今は船員(クルー)の皆と一緒にルフィの修業をつけてるレイリーのおっさんの所で修業中。

  

5:虚刀流のグラップラー

【冥王】レイリーに修業つけて貰ってるんですか!?

  

6:鬼滅ごっこをやってる忍者

ヤバいっすね。

  

7:海賊系美食屋

いや、違えよ。

レイリーのおっさんはルフィに付きっきりで、俺がエースの修業相手してる。

あとヤマトにも手伝って貰ってるな。

  

8:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

錚々たる面子と修業してる事には変わらないんだよなぁー。

  

9:杜王町の幽波紋使い

修業はどんな事してるんだ?

  

10:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

気になりますね。

  

11:海賊系美食屋

主にやってるのは武装色と見聞色の強化、それとメラメラの能力と覇気の合体技の開発だな。

覇王色は修業で強化出来るモノじゃねぇしな。

覇王色を纏った攻撃が出来るのはまだ少し先になりそうだけど。

  

12:空座町の無下限呪術師

え?

覇王色って武装色みたいに纏えるの?

  

13:サクラギ研究所のリサーチフェロー

衝撃の新事実ですね。

俺たち転生してONE PIECEの新情報手に入らないから有難いです。

  

14:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

俺もワノ国に入る前に転生したから懐かしく感じるよ。

ONE PIECEって今も劇場版って新作出てるのかな?

 

15:太刀川隊の狙撃手

俺も【スタンピード】までしか映画知らないんですよね。

 

16:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

そう言えばシャンクスって未だに映画未登場でしたっけ?

その上原作でもあまり登場してませんし。

四皇の中でも謎に包まれた人物ですよね。

 

17:雄英の仮面ライダー

どうなっているんでしょうね、今のONE PIECE。

 

18:虚刀流のグラップラー

お、ライダーくん。

 

19:杜王町の幽波紋使い

ぬるりと来たな。

 

20:雄英の仮面ライダー

お疲れ様です。

実は週末に手続きが完了したので次の月曜からミルコさんの所にインターン行く事になりました。

 

21:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

そうなの!?

 

22:太刀川隊の狙撃手

遂に実戦デビューか。

 

23:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

頑張ってね。

 

24:空座町の無下限呪術師

デビュー戦で伝説作っちゃえ!

 

25:サクラギ研究所のリサーチフェロー

こらこら、呪術ニキ。

 

26:鬼滅ごっこをやってる忍者

ライダーくんにプレッシャーを与えないで下さいよ。

 

27:杜王町の幽波紋使い

取り敢えず、いつも通りに行けば大丈夫だろう。

 

28:虚刀流のグラップラー

しっかりな。

 

29:雄英の仮面ライダー

ありがとうございます。

自分に出来る範囲で頑張って来ます。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「ここか」

 

土日を挟んで週明けの月曜日。学校を公欠した俺は【トライチェイサー2000】に乗って神奈川県の都市部にある宿泊施設に到着する。

 

「よし、行きますか」

 

気合を入れて施設へ入ると、ロビーでミルコさんが待っていた。

 

「久し振りだな佳面!」

 

「お久し振りです、ミルコさん」

 

ニカッと笑うミルコさんに挨拶する。

 

「早速行くぞ!荷物を部屋に置いて戦闘服(コスチューム)に着替えろ!」

 

「分かりました」

 

指示を受けた俺は急いでチェックインして部屋に行き、荷物を置いて戦闘服(コスチューム)に着替える。着替え終えたら急いでロビーに戻りミルコさんに合流する。

 

「よし!それじゃあ行くぞ!今日から街を巡回!(ヴィラン)が出たらぶっ飛ばす!!」

 

「はい!」

 

ミルコさんのこうして、俺のインターンが始まった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「おい、見ろ!ミルコだ!」

 

「マジ!?今日は神奈川(こっち)に来てるのか!」

 

「それに隣にいるのって!?」

 

「雄英の生徒だ!体育祭で優勝した変身する子!」

 

「ミルコって相棒(サイドキック)を持たないんじゃなかったか?」

 

「それだけあの子が有望って事だろ!」

 

「カッコいい!!」

 

「間近で見ると長身でイケメンなのね!嫌いじゃないわ!!」

 

ミルコさんと共に街中を巡回していると、通行人の人たちから驚きの声が挙がる。……あと通行人の中に()()()()()()()()()()()が混ざっていたけど敢えてスルーする。

 

すると道路の向こうからパトカーのサイレンが鳴り響く。

 

 

「どけどけーーー!!轢き殺すぞ!!」

 

 

そして男の叫び声共に全長5m程はある巨漢の男が手脚に付いたタイヤを回しながら道路を暴走する。しかも巨漢の男の背中には2人の男がアタッシュケースを両脇に抱えていた。

 

「強盗か!行くぞ!」

 

「はい!」

 

ミルコさんの号令と共に俺は実体化させた【トライチェイサー2000】に跨り、ヘルメットを被って起動暗証を入力し、アクセルを回す。

 

「ミルコ!あの3人は宝石店から宝石を盗んだ強盗犯だ!」

 

「見れば分かる!私たちに任せとけ!」

 

パトカーに乗った警察官が犯人の情報を伝えると、俺と並走するミルコさんが了解する。

 

すると、巨漢に背中に乗った男の1人の口から蜘蛛の糸の様なモノを建物に目掛けて射出し、糸を伝って建物の間を移動する。

 

「チッ、蜘蛛の糸を出すとかスパイダーマン気取りかよ!生意気にも分断して逃げるつもりか!」

 

「ミルコさん!蜘蛛男の方は俺が追います!」

 

「分かった!逃すんじゃねぇぞ!!」

 

「はい!」

 

俺はミルコさんと別れ、別方向に逃げた男を追い掛ける。

 

蜘蛛男は吐き出した糸を器用に使い建物から建物へと移動する。すると建物が途切れて飛び移れなくなると、蜘蛛男は地上に落下する。しかも、着地した先は歩行者が大勢居る交差点近くだった。

 

 

(ヴィラン)だぁ!!」

 

 

「キャアアア!!」

 

 

突然現れた(ヴィラン)に通行人の人たちが叫びながら逃げ出す。

 

「あっ!」

 

すると、1人の男の子がパニックになった通行人にぶつかり、その場に転んだ。

 

「シュンくん!」

 

男の子の母親らしき女性が叫ぶ。

 

「どきやがれ餓鬼ィ!!」

 

蜘蛛男が転んだ男の子を蹴り飛ばす勢いで走り出す。

 

俺は男の子の前に止まり、ウィーリーの要領で地面から浮かせた【トライチェイサー2000】の前輪を蜘蛛男にぶつける。

 

「グハァッ!?」

 

タイヤをぶつけられた蜘蛛男はアスファルトに転がり、持っていたアタッシュケースを手離す。その隙に俺は被っていたヘルメットを外し、【トライチェイサー2000】から降りて後ろで倒れた男の子を起こす。

 

「もう大丈夫だよ」

 

「あ、ありがとう!」

 

俺は男の子に向かってそう言った。

 

「シュンくん!!」

 

「ママ!!」

 

すると母親が慌てて駆け寄り男の子を抱き締める。

 

「早く逃げて下さい!」

 

「は、はい!」

 

俺の言葉に母親は頷くと、男の子を抱き抱えながら急いでその場から走り去る。

 

「クソッ、邪魔しやがって!!」

 

蜘蛛男は起き上がりながら此方を睨み付ける。

 

俺は両手を腹部に翳す。すると、腹部から銀色のベルト【アークル】が姿を現した。

 

俺は左手を【アークル】に添え、右腕を左前方に突き出して右方向に、左手をは左方向にそれぞれスライドさせる様に構える。

 

そして覚悟を決め、叫ぶ。

 

 

「変身ッ!」

 

 

前に突き出した右手を左手に沿え、【アークル】の左側に備わったスイッチを押し込む。スイッチが押し込まれた事で【アークル】の中心に埋め込まれた霊石【アマダム】が赤く輝き出す。

 

「クソ餓鬼がぁ!!」

 

「フッ!」

 

襲い掛かる蜘蛛男に俺は拳を振り翳す。すると俺の身体が【アマダム】によって変化し、殴った右腕は黒い皮膚へと変わり、備わった赤い装甲に覆われる。

 

応戦している中で今度は左手、胴体、両脚が右腕同様に変化し、最後に顔が黒い皮膚に覆われ、額には左右に伸びた金色の角、大きな赤い複眼、口は銀色のクラッシャーへと変貌する。

 

「ハァァッ!」

 

「ガハッ!」

 

顔面を殴られた蜘蛛男は後方へ吹き飛び、再びアスファルトに倒れる。

 

そして俺は、人間の姿からクワガタを彷彿とさせる赤い生体甲冑に覆われた姿へと変貌した。

 

 

<邪悪なるもの あらば 希望の 霊石を 身につけ 炎の ごとく 邪悪を 打ち倒す 戦士あり>

 

 

超古代から復活した未確認生命体【グロンギ】から人々の笑顔を守り続けた青空の戦士【仮面ライダークウガ マイティフォーム】に変身した俺は、構えながら蜘蛛男と対峙した。




仮面ライダー紹介

仮面ライダークウガ

レア度【LR】

出典『仮面ライダークウガ』


ライダーくん、インターンデビュー
無事に手続きを終えたライダーくんは、久し振りにミルコと会う。そして遂に、ライダーくんのインターンが始まる。


笑顔を守る戦士【仮面ライダークウガ】
街に現れた宝石強盗を追うミルコとライダーくん。それぞれ二手に別れて追跡すると強盗犯の1人である蜘蛛男(ヴィラン)が一般人に襲い掛かる。逃げ遅れた男の子を守ったライダーくんは変身ベルト【アークル】の力で【仮面ライダークウガ マイティフォーム】に変身し、蜘蛛男(ヴィラン)に立ち向かう。


次回、「空我」


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86スレ

第92話を投稿します。

仮面ライダークウガvs蜘蛛男(ヴィラン)戦です。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=285887&uid=202117


「ハッ!」

 

【仮面ライダークウガ マイティフォーム】に変身した俺は蜘蛛男(ヴィラン)に接近し、パンチとキックを叩き込む。

 

「グッ!チクショウがァァ!!」

 

打撃を受けた蜘蛛男(ヴィラン)は激昂すると口を開けて糸を射出しようとする。

 

「フンッ」

 

「グヌッ!?」

 

糸を射出する前に俺は肘打ちで蜘蛛男(ヴィラン)の顎を肩上げる事で妨害する。

 

「オリャアッ!」

 

「グハァッ!」

 

怯んでいる隙に膝蹴りを蜘蛛男(ヴィラン)の腹部に繰り出し、今度はアッパーを再び顎目掛けて叩き込む。

 

蜘蛛男(ヴィラン)は再度後方へ吹き飛んで背中からアスファルトに倒れ込む。

 

決着が着いたと思った矢先、蜘蛛男(ヴィラン)はズボンのポケットから注射器を取り出すと自分の首に刺し込む。

 

「アレはッ」

 

 

「ぶっ殺してやるよ!ヒーローォォォォォォ!!」

 

 

注射器の中の薬品が注入されると、蜘蛛男(ヴィラン)の全身の筋肉が発達し、更には脇腹から鋭く巨大な蜘蛛の脚が左右に2本出現する。

 

(I・アイランドで戦った犬(ヴィラン)の"ドーベル"が使っていた【トリガー】に似た"個性"のブースト薬か)

 

 

「刺し殺してやるゥゥゥ!!」

 

 

蜘蛛男(ヴィラン)は左右の蜘蛛の脚を俺に目掛けて振り下ろす。

 

【マイティフォーム】のスピードでは回避するのは困難だと判断した俺は、()()()()姿()()()()()()()()

 

 

「超変身!」

 

 

俺のイメージに反応した霊石【アマダム】が赤色から青色へと変わり、俺の生体甲冑と複眼も青色に変わる。

 

俺は蜘蛛男(ヴィラン)の鋭い脚が左右から迫る寸前に天高くジャンプし攻撃を回避すると、その場に設置された道路標識が横真っ二つに切断させアスファルトに転がる。

 

「何ぃ!?」

 

一瞬で回避された事に蜘蛛男(ヴィラン)が驚愕するのを他所に、俺は地上に着地する。

 

着地した俺は【マイティフォーム】と比べて肩の生体甲冑が黒くなり、より軽量した姿へと変わった。

 

 

<邪悪なるもの あらば その技を 無に 帰し 流水の ごとく 邪悪を なぎ払う 戦士あり>

 

 

俺は蜘蛛男(ヴィラン)の攻撃を回避する為に、【マイティフォーム】よりも瞬発力や跳躍力が強化された形態【仮面ライダークウガ ドラゴンフォーム】に超変身(フォームチェンジ)したのである。

 

しかし、【ドラゴンフォーム】はスピードとジャンプ力に特化した反面、打撃による攻撃力が【マイティフォーム】の約半分程度にまで低下している。このまま徒手空拳で戦っても不利となるのは明白であった。

 

そう思った俺は、蜘蛛男(ヴィラン)の近くに転がった切断された道路標識に気付く。

 

 

「今度こそ刺し殺してやるよォォォ!!」

 

 

蜘蛛男(ヴィラン)は叫びながら再び襲い掛かる。

 

「ハッ」

 

俺は蜘蛛男(ヴィラン)の動きを見切り、スピードとジャンプ力を活かして回避し、転がった道路標識を掴み取る。すると、手首に備わった【ハンドコントロールリング】から【モーフィングパワー】が発せられ、道路標識の分子構造が分解・再構築される事で、青いロッド型の武器【ドラゴンロッド】へと変貌する。

 

「フッ、ハッ!」

 

俺は巧みに振り回しながら構えると、【ドラゴンロッド】は鈴の様な音を鳴らし、【ドラゴンフォーム】を示す"水・水龍"のリント文字が刻まれた霊石が埋め込まれた両端が伸長して全長が2mになる。

 

「このォォォ!!」

 

「ハァッ!」

 

蜘蛛男(ヴィラン)の両脇の脚が迫り、俺は【ドラゴンロッド】で防ぐ。

 

「セリャァッ!」

 

「グゥッ!?」

 

スピードが蜘蛛男(ヴィラン)を凌駕している事で均衡が崩れ、次第に俺の攻撃が蜘蛛男(ヴィラン)を捉え始める。

 

「ハァッ!」

 

「グアァッ!」

 

蜘蛛男(ヴィラン)の左右に伸びた蜘蛛脚を【ドラゴンロッド】で砕き、腹部に深々と吹き刺して後方へ吹き飛ばす。

 

吹き飛んだ蜘蛛男(ヴィラン)が起きあがろうとする隙に、俺は【ドラゴンロッド】を投げ捨て再び【マイティフォーム】に超変身(フォームチェンジ)すると、両腕を左右に広げ重心を落とす様に構える。その時、右足先にエネルギーが集中され、炎に包まれた様な熱が伝わって来る。

 

俺は十分な距離から助走を付けて走り出し、跳躍からの空中で1回転しながら飛び蹴りの構えを取る。

 

 

「オリャアァァァァ!!」

 

 

「ガアァァァッ!!?」

 

 

【マイティフォーム】の必殺技【マイティキック】が炸裂し、蜘蛛男(ヴィラン)はアスファルトの上を何回転もしながら倒れると、そのまま気絶した。

 

「……フゥ」

 

呼吸を整えた俺は変身を解除する。数秒間が空くと、周囲から突然喝采が湧いた。

 

「やった!(ヴィラン)を倒した!」

 

「凄え戦いだったよ!」

 

「道路標識を武器に変えるヒーローなんて初めて見た!」

 

「助けてくれてありがとう!」

 

「カッコ良かったぞ!」

 

「ありがとうヒーロー!!」

 

避難していた通行人の人たちの全員が俺に向かって拍手や感謝の言葉を贈る。その光景に内心戸惑っていると、俺が助けた男の子と母親が駆け寄って来る。

 

「ありがとうございます!貴方のお陰で子どもが助かりました!なんてお礼を言ったらッッ!」

 

「あ、いえ。お母さんとその子も無事で良かったです」

 

泣きながら感謝の言葉を言う母親にそう言うと、男の子が俺の顔をじっと見つめる事に気が付く。

 

「助けてくれてありがとう!お兄ちゃん!!」

 

笑顔でお礼を言った男の子に、俺は腰を落として目線を合わせる。

 

「どう致しまして。怪我は無かった?」

 

「うん!」

 

怪我をしなかったか訊くと、男の子は笑顔で答える。

 

「そっか。良かった」

 

俺は笑顔を見せながら男の子に向かってサムズアップする。すると男の子も真似て俺にサムズアップをしてくれた。

 

 

(ヴィラン)をぶっ飛ばしたみてェだな!」

 

 

するとミルコさんが此方に跳んで来た。

 

「はい、何とか。ミルコさんの方も片付いたみたいですね」

 

「当たり前だ!私が3流(ヴィラン)に遅れを取るかよ!!……まぁ、ブースト薬使われて少し時間を取られちまったがな」

 

「そっちもですか?」

 

他2人の(ヴィラン)もブースト薬を使用していた事に俺は反応する。

 

「お前が相手してたスパイダーマン擬きもか?」

 

「はい」

 

「チッ、最近小悪党の間で出回ってんのか?面倒クセェな」

 

ミルコさんは頭を掻きながら呟いていると、再び通行人の人たちが騒ぎ出した。

 

「ミルコだ!」

 

「女性ヒーロートップの!」

 

「じゃあ、私たちを守ってくれた彼はミルコの相棒(サイドキック)!?」

 

「マジか!?1匹狼だったミルコに遂に初の相棒(サイドキック)が!?」

 

()()()()ヒーローなのに1匹狼って……)

 

内心ツッコミを入れているとミルコさんが俺の腕を引っ張る。そして肩を自身の腕を回しながら皆に向かって大声で言う。

 

「おう!コイツは私の相棒(サイドキック)の仮面ライダーだ!インターン生だが私が見込んだ奴なんだ!覚えときな!!」

 

「ちょっと、ミルコさん」

 

突然紹介された事に戸惑うと、更に喝采が挙がる。

 

「仮面ライダーってヒーロー名なのか!」

 

「通りでバイクに乗ってた訳だ!」

 

「仮面ライダーこっち向いてぇーー!!」

 

「これからも頑張れよーー!!」

 

「ありがとう、仮面ライダー!!」

 

「……アハハ」

 

スマホで写真や動画を撮ったり応援する人たちに、俺は只々苦笑いをするしかなかった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

宝石泥棒の(ヴィラン)たちを撃退した俺とミルコさんは警察に彼らの身柄を預けていた。

 

「窃盗犯の確保にご協力して頂き、ありがとうございました」

 

「気にすんな!偶然近くに居たからな!」

 

お礼を言う警官にミルコさんが勝ち気な笑顔で答える。

 

「ここ最近、(ヴィラン)による犯罪が少しずつ増加してまして。地元のヒーローたちにもご協力して頂いているのですが」

 

「確かに神野区の事件以降から(ヴィラン)の数が増えて来てるな。まぁ!その分私が蹴り飛ばしてるけどな!」

 

神野区で起きたヒーローたちと(ヴィラン)連合の死闘以降、犯罪発生率は僅かながら増え始めている。それだけ、【平和の象徴】であるオールマイトの引退は世間に影響を及ぼしていたのだ。

 

「暫く私たちは神奈川(こっち)に滞在する予定だ!また何かあったら呼べよ!」

 

「はい。ありがとうございます」

 

そう言っていると、1台のシルバー色のセダン車が目の前に停まる。そして運転席のドアが開き、運転手が降りて来る。

 

(……ん!?)

 

セダン車から現れた()()()()を見て、俺は思わず目を見開く。

 

「【ラビットヒーロー】のミルコですね?」

 

「そうだが、誰だアンタ?」

 

ミルコさんが訊くと、男性はポケットから取り出した警察手帳を開いて自己紹介する。

 

「神奈川県警察本部所属。刑事部第1課の一条 衛(いちじょう まもる)です。突然で申し訳ありませんが、捜査協力の為署までご同行頂けませんでしょうか?」

 

突然現れたその人は、【仮面ライダークウガ】に登場した【一条 薫】と瓜二つの刑事さんだった。




オリジナルキャラ紹介

一条 衛(いちじょう まもる)

年齢:25歳

誕生日:4月18日

身長:182cm

血液型:AB型

職業:警察官

特技:射撃、剣道、ピアノ

人物像
外見は【仮面ライダークウガ】に登場した一条薫に瓜二つ。
神奈川県警察本部 刑事部捜査第一課に所属する刑事で、階級は警部補。
優れた剣道と射撃の腕を持ち、果敢に現場へと飛び込む勇敢な性格だが、真面目で不器用な一面もある。
時々捜査中にスマホをマナーモードにしないらしい。
名古屋出身。愛知県警で刑事を務めている父と看護師の母を持つ(両親と話す際は口調が名古屋弁になる)。


次回 ライダーくんはプロヒーロー・警察と共に犯罪グループと対峙する。


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87スレ

第93話を投稿します。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=285887&uid=202117


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

インターン初日でミルコさんと街を巡回してたら宝石強盗犯と戦闘になってクウガに変身して撃退したら一条薫にそっくりな刑事さん経由で神奈川県警から『女性連続誘拐事件』の捜査協力を依頼されてました。

  

2:太刀川隊の狙撃手

>>1

え?

  

3:虚刀流のグラップラー

>>1

待ってくれ、情報量多過ぎ!

  

4:海賊系美食屋

>>1

何処からツッコめば良いのか分からねぇ……。

  

5:鬼滅ごっこをやってる忍者

>>1

宝石強盗犯と戦闘したりや警察から捜査協力を頼まれたのは良いとして。

  

6:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>1

何で一条さんのそっくりさんがヒロアカに居るの!?

  

7:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

所謂、ヒロアカ世界の一条薫って事?

  

8:杜王町の幽波紋使い

すまない、まず一条薫って誰なんだ?

  

9:サクラギ研究所のリサーチフェロー

幽波紋ニキ、一条さん知りませんか?

  

10:空座町の無下限呪術師

一条薫は【仮面ライダークウガ】に登場する刑事で主人公の五代雄介の相棒であり、もう1人の主人公みたいな人だよ。

  

11:杜王町の幽波紋使い

成る程。

  

12:太刀川隊の狙撃手

それでライダーくん、『女性連続誘拐事件』について詳しく教えてくれないかな。

  

13:雄英の仮面ライダー

分かりました。

まず、事件が起きたのは約2週間前。

主に10代後半から20代前半の女性が街中で立て続けに行方不明になったそうで、現時点で19名にまで及んでいます。

神奈川県警が地元のヒーローたちと捜査していく中で、【ノーフェイス】と呼ばれるギャングチームが事件に関与してる可能性が高い事が発覚したみたいです。

  

14:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

ギャングチーム?

 

15:杜王町の幽波紋使い

俺が居るジョジョの世界で言う【パッショーネ】みたいなモノか?

 

16:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

まるでフィクションみたいな出来事ですね。

まあ、ヒロアカ世界ってかなり世紀末だから有り得なくはないのか。

 

17:サクラギ研究所のリサーチフェロー

ノーフェイス……直訳すると"顔無し"って事か。

 

18:虚刀流のグラップラー

(ヴィラン)以外にも面倒な組織がまだあったのか。

 

19:空座町の無下限呪術師

ライダーくん、何でそのノーフェイスが誘拐事件に関与してるのか教えてくれる?

 

20:雄英の仮面ライダー

防犯カメラの映像確認や聞き込みをしていく中で、何でも行方不明になった女性の近くにノーフェイスの構成員らしき人物が居た事が分かったみたいです。

構成員は組織の証であるネックレスを身に付けていたそうです。

 

21:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

誘拐の手口はどうなの?

 

22:太刀川隊の狙撃手

"個性"を使って誘拐したのかな?

 

23:雄英の仮面ライダー

手口としてたその構成員と女性がすれ違った瞬間、女性の姿が消えたみたいなんです。

 

24:虚刀流のグラップラー

まるで(ヴィラン)連合のMr.コンプレスにみたいな"個性"だな。

 

25:鬼滅ごっこをやってる忍者

対象に触れる事で発動する"個性"かもしれませんね。

それに、女性を誘拐する理由は何でしょう。

 

26:空座町の無下限呪術師

>>25

理由は色々挙げられるね。

身代金や殺人、もしかしたら人身売買が目的かもしれないね。

ギャングチームみたいだし。

 

27:雄英の仮面ライダー

一先ず俺とミルコさんは今日から構成員の捜索チームに参加する事になって明日も捜索にあたります。

 

28:海賊系美食屋

そうか。

 

29:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

気を付けてね。

 

30:雄英の仮面ライダー

はい。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【AM11:57 神奈川県警察本部】

 

 

インターン3日目。俺はミルコさんや他のヒーローたち共にノーフェイスの構成員の捜索を行なっていた。しかし、街中を探し回っているが構成員は未だ見つかずにいた。

 

「見つかりませんね」

 

「ああ。こんなに探しているのに」

 

「これだけヒーローが街を巡回している事で、逆に身を隠している可能性があるかもな」

 

「もしかしたら、もう神奈川には居ないんじゃないか?」

 

「いや、それはねぇな」

 

一度神奈川県警察本部に戻り、捜索チームのヒーローたちと話しているとミルコさんがそう言った。

 

「どうしてだ?ミルコ」

 

「これまでの犯行を振り返ると被害者は全員横浜市を中心に行方不明になってやがる。それに19人って半端な人数で犯行を終えるとは思えねぇ。多分あと1人、攫われるかもしれねぇ」

 

ミルコさんの推理に俺や他のヒーローたちがハッとする。

 

「……何としても、見つけないといけませんね」

 

「だな……。ン、もう昼か。仮面ライダー、お前は先に昼休憩に入って良いぞ」

 

「え?けど」

 

突然休憩に入れと言われた事に驚く。

 

「良いって。1時間後に戻ってくれば良い。こう言う捜査は交代で休まないと身が持たなくなるぞ」

 

「そうそう」

 

「君は1番若いんだから、ここぞって時に活躍して貰う為に体力を温存して貰わないと」

 

戸惑う俺にミルコさんや他のヒーローたちがそう言った。俺は頭を下げる。

 

「……分かりました。すみません、お先に休憩に入ります。何か有れば連絡下さい」

 

「分かったからサッサと休め!」

 

ミルコさんに少しキレ気味にそう言われた俺は部屋から出る。朝早くから捜査をしていたせいか、昼休憩に入った途端空腹感に襲われる。

 

(お昼どうしよう……。コンビニで済ませるか)

 

なるべく早く昼食を済ませようかと考えながら署内を歩く。すると曲がり角でインターン初日に知り合った刑事、一条衛さんと遭遇する。

 

「君は……」

 

「あ、お疲れ様です。一条さん」

 

「今から昼休憩か?」

 

「はい。ミルコさんたちから先に休めと言われて。一条さんもですか?」

 

「ああ」

 

少し緊張しながら話していると、一条さんがポツリと呟く。

 

「……もし君が良ければ、一緒に昼食行くか?」

 

「え!?」

 

突然一条さんからお昼を誘われて俺は思わず驚いた。

 

「駄目か?」

 

「あ、いえ!大丈夫です」

 

「分かった。俺がいつも行く店だが味は保証する。車を回すから外で待っててくれ」

 

「あ、はい!」

 

こうして、俺は一条さんと一緒にお昼を食べに行く事になった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【PM12:15 洋食店"Simmer"】

 

 

一条さんに連れられて到着したのは、少しレトロな外装をした洋食店であった。

 

「いらっしゃいませ。あら、刑事さん!」

 

「こんにちは。2人ですが席空いてますか?」

 

店員の女性が一条さんに気付くと笑って接客する。

 

「あら珍しい。刑事さんが誰かとお昼食べに来るなんて!奥のテーブルが空いてるからどうぞ!」

 

「ありがとうございます」

 

一条さんの後をついて行き、店の1番奥にあるテーブル席に座った俺は店の内装を見てみる。壁紙や飾られた雑貨、店内に流れる年代物のジャズ音楽も含めて昔ながらの洋食店に、不思議と懐かしさを感じた。

 

「良いお店ですね」

 

「ああ。本部に配属されてからお世話になっている店だ」

 

心なしか、一条さんは僅かに笑みを浮かべている様に見えた。

 

「何を食べる?俺が誘ったから奢ろう。何でも頼んで良い」

 

「え!?良いですよ。自分の分は自分で払います」

 

「俺の方から食事に誘ったんだ。俺が払う」

 

流石にご馳走になる訳にはいかないと思い断るも一条さんは頑なにそう言った。

 

「すみません、ご馳走になります」

 

「ああ。これがメニュー表だ」

 

「ありがとうございます」

 

一条さんからメニュー表を渡され、俺はメニューの内容を眺める。

 

「注文決まったかしら?」

 

すると店員の女性がお冷やをテーブルに置いて注文の確認を取る。

 

「俺はいつものヤツで。君は?」

 

「それじゃあ、ハンバーグをお願いします」

 

「ライスとパン、どっちにする?」

 

「パンでお願いします」

 

「刑事さんはいつものカツカレーで、そちらのお兄さんがハンバーグとパンのセットね!少し待っててね!」

 

オーダーを聞いた女性はメモ帳に注文したメニューをペンで書くと厨房の方へ行った。

 

持って来られる間何を話せば良いか考えていると、一条さんの方から話しかけて来る。

 

「まだ慣れないか?インターン」

 

「うーん、そうですね。(ヴィラン)退治は勿論ですけど、連携しながら捜査するのは難しいなぁって思いました。けど、プロヒーローや一条さんたち警察の人たちの近くに居る事で沢山の学べるモノがある事にも気付かされました」

 

「そうか……済まないな、此方の捜査に協力して貰って」

 

「いえ……あの、聞いても良いですか?」

 

「何だ?」

 

「一条さんはどうして警察官になったんですか?」

 

俺の質問に一条さんは少し考え、口を開く。

 

「俺が警察官を目指したのは父の影響だな」

 

「お父さんの?」

 

「ああ。父も警察官で、今も名古屋で刑事をしている」

 

「そうなんですね」

 

俺は【一条薫】と同じに内心驚く。

 

「このご時世だとヒーローを目指す人が多いが……俺にとって、警察官として市民を守り続ける父が誰よりもヒーローに視えた。それが理由だな」

 

父親を本当に尊敬している一条さんを見て、俺は素直に感想を言う。

 

「カッコいいお父さんですね……」

 

「そうだな。目標でもあり……憧れでもある。……俺からも1つ聞いても良いか?」

 

「はい、何ですか?」

 

「佳面来太くん。君がヒーローとして"戦う理由"は何だ?」

 

今度は一条さんから質問を受け、俺は考える。そして考える中で昨日の蜘蛛男(ヴィラン)との戦闘の事を思い出しながら呟く。

 

「俺は……目の前で誰かが困っていたり、泣いたりする姿を見るのは嫌です。この間の宝石強盗犯の時もそうです。俺の目の前で1人の男の子が危険に陥ってました」

 

俺の言葉を、一条さんは無言で聞く。

 

「俺のこの"力"で目の前の人の笑顔を……皆の明日を守る事が出来るなら、俺は戦います」

 

「……それが君の"戦う理由"か」

 

「はい。だから今回の事件、絶対解決しましょう」

 

「ああ」

 

ほんの数分程度の会話だったけど、少し一条さんとの間に確かな絆の様なモノを築く事が出来たと俺は思った。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【PM14:20 横浜市】

 

一条さんと昼食を済ませ、本部に戻った俺はミルコさんと再び捜査を開始した。しかし、有益な情報は見つからずにいた。

 

「クソッ、マジで尻尾すら掴めねぇな」

 

ミルコさんが苛つきながら言った。

 

「はい。一体どうすれば……」

 

悩む俺はふと上を見上げる。都市部なだけあって幾つもの高層ビルが並んでいた。

 

「……そうか。()()()()()()()

 

「ン?どうした?」

 

ある秘策を思いついた俺を見てミルコさんが不思議そうに訊く。

 

「すみません、ちょっと()()()()()()!」

 

「あ、オイッ!」

 

 

「変身!」

 

 

俺は【ドラゴンフォーム】に変身し、跳躍力を活かして高層ビルの上へ昇る。高層ビルの屋上に到着した俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「超変身!」

 

 

俺のイメージに反応した霊石【アマダム】が青色から緑色へと変わり、俺の生体甲冑や複眼も緑色に変わる。そして右肩のアーマーは黒く、左肩にはやや大きく突き出た緑色のアーマーが形成されるた。

 

 

<邪悪なるもの あらば その姿を 彼方より 知りて 疾風の ごとく 邪悪を 射ぬく 戦士あり>

 

 

視覚・聴覚・嗅覚と言った感覚機能に加え、判断力や洞察力のような精神面までもが強化されていた形態【仮面ライダークウガ ペガサスフォーム】に超変身(フォームチェンジ)した。

 

「よしッ……」

 

俺は神経を研ぎ澄ませ、周囲の音を拾い始める。

 

 

次の瞬間───

 

 

ザッザッザッザッザッ

 

 

ブッブー!パアパパパーッ!

 

 

ガギガギガギガギガギガギ

 

 

キキキキキィィィィィィ!

 

 

カンカンカンカンカンカンカン

 

 

【ペガサスフォーム】によって感覚が常人の数千倍にまで強化された事で通行人の足音、自動車のクラクション、重機による騒音、飛行機が飛ぶ音、踏切のサイレンと言った、街中の凡ゆる音が俺に流れ込んで来た。

 

「グゥッ……(集中しろッ!)」

 

大量の音に危うく意識が飛び掛けるも、俺は方向を定め集中する。

 

"はい。何とか時間までに女を集め終わります"

 

「これだ!」

 

すると若い男の奇妙な会話を聴き取り、俺は視線を声のする方へ向ける。そして強化された視力によって、キャップに上下黒の服装を着てノーフェイスの構成員の証である舞踏仮面のネックレスを首に掛けた若い男の姿を捉える事に成功する。

 

"分かりました。では計画通り最後の女を拐い次第、()()に戻ります。ただ、ヒーローも街を巡回してますが……分かりました。他の奴らにも通達します"

 

(工場!?奴らの潜伏先か!!)

 

ノーフェイスの潜伏先を掴んだ俺は制限時間の50秒になる直前で変身を解除する。

 

「うっ!ハァ、ハァ、ハァ……ゲホッ」

 

変身を解除した途端、嘗て無い程の疲労感に襲われた俺は倒れ込む。

 

「オイッ!大丈夫か!?」

 

すると屋上に到着したミルコさんが倒れた俺に駆け寄る。

 

「ゲホッ、ゲホッ……はい。大丈夫です」

 

「何処がだ!一先ず病院行くぞ!」

 

「待って、ください!」

 

俺を担ごうとするミルコさんを何とか静止する。

 

「見つけ……ました、構成員。それと奴らの……潜伏先もッ」

 

「何だと?」

 

「……工場です!」

 

意識が朦朧とする中、俺はミルコさんに掴んだ情報を伝える。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【PM17:20 神奈川県警察本部 会議室】

 

「工場、確かに男はそう言ったのか?」

 

「はい」

 

警察本部に戻った俺とミルコさんは掴んだ情報を捜査課長に伝える。俺たち以外に他のヒーローや警察官が集まっていた。

 

「しかし、工場だけでは場所を絞り込めないぞ」

 

「それに奴らの計画の時間がいつまでなのかも解らないんじゃあ、どうする事も出来ない」

 

周りのヒーローや警察官がそう言っていると、一条さんが会議室に入って来た。

 

「課長!工場の事ですが、2週間前から怪しい集団が廃工場に出入りしている目撃情報がありました!」

 

「何!?」

 

「本当か一条!」

 

一条さんの情報を聞いた警察の人たちが驚く。

 

「はい。目撃者によると集団の年齢は20代前半から30代後半、全員がノーフェイスの構成員の証であるネックレスを身に付けていたそうです」

 

「場所は何処だ!?」

 

「金沢区六浦町です!」

 

一条さんの言葉に捜査課長が頷く。

 

「よし!直ちにその廃工場へ向かい、ホシを確保する!ヒーローたちも協力頼む!」

 

 

「「「はい!」」」

 

 

課長の言葉に、一同が賛同する。次々と会議室をで行く中で、一条さんが俺の方へ近づいて来た。

 

「一条さん……」

 

「君のお陰で奴らの潜伏先を特定する事が出来た。ありがとう」

 

お礼を言う一条さんに、俺は首を振る。

 

「いえ、俺の情報だけじゃそこまで解りませんでした。一条さんのお陰ですよ。……それに、まだ犯人は捕まっていません。だから、捕まえましょう。俺たちヒーローと警察の皆さんの力で」

 

「……ああ。そうだな」

 

俺と一条さんが話していると、ミルコさんが割って入って来る。

 

「おい、アンタ。言っておくがコイツは私の相棒(サイドキック)だ!誰にも渡さねぇからな!」

 

「え、はい」

 

不機嫌なミルコさんの突然の言葉に一条さんは唖然とした表情で返事する。変な板挟みにあいながらも、俺は皆と共に事件を解決する事を心に誓った。




ライダーくん、一条さんと仲良くなる
神奈川県警から『女性連続誘拐事件』の捜査協力を受ける事となったミルコとライダーくん。
捜査協力から3日目。ライダーくんが昼休憩に入ると一条衛から昼食に誘われる。昼食を共にする中で、一条が警察官になった理由、そし、ライダーくんは"戦う理由"を一条に打ち明けている内に親睦を深めていく。

ヒーロー・警察と共に事件を解決せよ
【仮面ライダークウガ ペガサスフォーム】の超感覚を応用し、『女性連続誘拐事件』の主犯であるギャングチーム【ノーフェイス】が廃工場に潜伏している情報を掴んだライダーくん。そして一条の掴んだ情報も加わった事により、ヒーロー・警察による共同戦線でノーネームの確保に移る。
(※(ヴィラン)の潜伏先の描写に関しては【地球の本棚】で見つける案も考えましたが折角なのでクウガっぽいしました)

次回、ヒーロー&警察vsノーフェイス
ヒーローと警察の連携にご期待下さい!


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88スレ

第94話投稿します。

ヒーロー&警察vs(ヴィラン)グループ【ノーフェイス】戦です。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=285887&uid=202117


【19:00 金沢区六浦町 廃工場】

 

ノーフェイスの潜伏先を特定した俺たちヒーローと警察は、奴らが居る廃工場前で待機していた。

 

「扉を開けると同時に突入する。ヒーローたちは一斉に構成員の拘束を頼みます」

 

現場責任者である刑事の言葉に、俺たちヒーローは頷く。作戦の内容は、警官が扉を開けたと同時に突入し、ヒーローたちがノーフェイスの身柄を拘束すると言ったシンプルなモノである。それと万が一奴らが工場から逃げ出した場合、逃亡ルート先で待機している他のヒーローと警察がカバーに入ると言った二段構えとなっている。

 

準備を整えると、廃工場の入口の扉を警官2人が左右から一斉に開ける。

 

 

「警察だ!そこを動くな!!」

 

 

開いた扉から一斉に中へ入ると室内に居たノーフェイスの構成員たち30人が此方を見て目を見開く。

 

「ヒーローに警察!?」

 

「どうやってこの場所に気づいた!!」

 

「ずらかるぞ!!」

 

突然の突入にノーフェイスの構成員たちが驚愕する。

 

 

「逃すかよ!!」

 

 

ミルコさんが先陣を切ると"個性"【兎】を活かした跳躍力で一気にノーフェイスに接近する。そしてミルコさんがノーフェイスの構成員たちにドロップキックを蹴り出そうとする直前、ミルコさんの前に()()が投げつけられる。

 

 

"パチンッ!"

 

 

その時、指を鳴らした音が廃工場内に響くと投げつけられた()()が突然人間大の大きさはあるコンクリートの塊に姿を変わる。

 

「何!?」

 

突然出現したコンクリートの塊によりミルコさんの攻撃は妨害され、出現したコンクリートの塊はミルコさんの蹴りで粉々に粉砕された。

 

「そう簡単に捕まる訳無いだろ?脳筋ヒーロー」

 

小馬鹿にした言葉を口にしたのは俺が【ペガサスフォーム】で目撃した構成員の男だった。男は右手持った何かをミルコさんに投げつける。

 

「アレは……模型?」

 

目で捉えた俺は男が投げたモノがミニチュアで使われる様な小型模型である事に気づく。

 

 

"パチンッ!"

 

 

男が再び指を鳴らす。すると今度は3台の自動販売機が空中に出現し、ミルコさんに迫る。

 

 

「洒落クセェェェェ!!」

 

 

ミルコさんは叫びながら鋭い蹴り技で自動販売機を吹き飛ばす。

 

「はい。1人退場」

 

ミルコさんが自動販売機を蹴り飛ばした隙に男が迫る。

 

 

「変身!」

 

 

俺は【ドラゴンフォーム】に変身し、男の右手が触れる前にミルコさんを抱き抱えてそれを回避する。

 

「悪りィ、助かった!」

 

「いえ。それよりあの男の"個性"、触れたモノを模型にするみたいです」

 

「ああ、おそらくソイツで被害者を誘拐したんだろ。面倒くせェ"個性"だ」

 

「大丈夫かミルコ!」

 

距離を置きながら着地した俺はミルコさんと共に男の"個性"を分析すると、後ろに居たヒーローと警察が駆け寄る。ノーフェイスの構成員たちも身構えながら此方を睨みつける。

 

「悪いがこっちはビジネスを成功させなくちゃいけなんだァ。邪魔しないでくれるかァ、国家権力さんたちよォ」

 

1番奥に居た男が嗤いながら気怠げに話す。おそらく、あの男がノーフェイスのリーダーなのだろう。そしてその右手には小さめのアタッシュケースが握られていた。

 

「このケース、中に誘拐した被害者たちが居るんだろう!抵抗しないで此方に明け渡せ!!」

 

「誰が渡すかよォ。コレは顧客に売りつける大事な()()だからなァ」

 

現場監督の刑事が拳銃の銃口をリーダーの男に向けながら交渉する。しかしリーダーの男はそれを拒否しながらケースを大事そうに撫で回す。

 

「クズが、久し振りに蹴り飛ばし甲斐ありそうだな!!」

 

「お前も良い商品になりそうだなァ、ミルコ。筋肉女好きの顧客に高く売れそうだァ」

 

睨みつけるミルコさんをリーダーの男は下劣な笑みを浮かべながら挑発する。そしてリーダーの男は左腕を上げ仲間の構成員たちに合図を送る。

 

「邪魔する奴は蹴散らせェ」

 

 

「「「ウオオオオオオオ!!!」」」

 

 

リーダーの男が命令すると周りの構成員たちが雄叫びを上げて一斉に走る。

 

「応戦しろ!全警官はヒーローたちのサポートだ!!」

 

 

「「「了解!!」」」

 

 

「「「はい!!」」」

 

 

現場監督の刑事の指示を受け、俺たちヒーローと一条さんたち警察官も応戦する。

 

「クズリーダーは私が蹴り飛ばす!他は任せたぞ!!」

 

「はい!」

 

ミルコさんの指示を受けた俺は他の構成員の対応に入る。近くに転がっていた鉄パイプを拾い上げ、目の前の構成員2人に【モーフィングパワー】で変えた【ドラゴンロッド】を叩き込み、戦闘不能にさせる。

 

「大丈夫ですか!」

 

「ああ!助かる!」

 

他では警察官が防弾盾であるライオットシールド型のサポートアイテムで構成員の"個性"攻撃を防ぎ、その隙にヒーローが反撃する。

 

「潰れろクワガタ野郎!!」

 

サイの見た目をした構成員が俺目掛けて突進して来る。おそらく異形型の"個性"だろうと分析した俺は【ドラゴンフォーム】のままで回避せず、敢えて迎え撃つ為に()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「超変身!」

 

 

俺のイメージに反応した霊石【アマダム】が青色から紫色へと変わり、俺の複眼が紫色に変わる。そして胴体の生体甲冑は青色から紫色のラインの入ったシルバー色に、そして両肩に大きく突き出たアーマーが形成される。

 

 

<邪悪なるもの あらば 鋼の 鎧を 身につけ 地割れの ごとく 邪悪を 切り裂く 戦士あり>

 

 

俺は俊敏性と跳躍力に特化した【ドラゴンフォーム】から、攻撃力と防御力に特化した戦闘形態【仮面ライダークウガ タイタンフォーム】に超変身(フォームチェンジ)した。そしてそのまま突進を受け止める。

 

「フンッ」

 

「何ィ!?」

 

防御力が上がった【タイタンフォーム】になった俺に突進を受け止められた事にサイ男は驚愕する。

 

「オリャアッ!」

 

「ゴフッッ!?」

 

受け止めた姿勢から俺はサイ男の顎に膝蹴りを放ち、上に跳ね上がった顔面に向かって右ストレートを叩き込み、サイ男は地面に倒れ伏す。そして手首に備わった【ハンドコントロールリング】から【モーフィングパワー】が発せられる事で【ドラゴンロッド】を大剣型の武器【タイタンソード】に変化させる。剣先が伸長され全長120cmになった【タイタンソード】を右手に持ち替える。

 

「さっきはよくも邪魔してくれたな!」

 

すると今度は模型"個性"の男が俺に向かって看板の模型を投げる。

 

 

"パチンッ!"

 

 

男は再び指を鳴らす。すると投げた模型がに元の看板の姿に戻って俺に迫る。

 

「ハアッ!」

 

俺は【タイタンソード】を大きく振り下ろし看板を一刀両断にする。真っ二つになった看板は左右に飛んでいった。

 

「さっきの青よりも動きが鈍重だぞヒーロー!」

 

【タイタンフォーム】の弱点である俊敏性を見抜いた男が俺との間合いを詰める。

 

(不味い!)

 

俺は急いで【ドラゴンフォーム】に戻ろうとしたその時、1発の弾丸が男の胴体に着弾する。

 

「ガハッ……!?」

 

撃たれた男は白目を剥いてその場に倒れる。よく見てみると銃弾は実弾ではなくゴム弾であった。俺はゴム弾が撃たれた方向に視線を移すと、そこには銃を構えた一条さんが立っていた。

 

「一条さん!?」

 

「油断するな!」

 

「ッ……はい!」

 

かなり離れた距離にも関わらず的確に命中された一条さんの射撃の腕前に驚きつつも俺は頷く。

 

今のところ戦況はヒーローと警察側が優勢であり、ノーフェイスの構成員たちが次々と無力化されていく。後はリーダーの男を拘束し誘拐された被害者たちが入ったケースを押収するのみである。

 

「ミルコさんは」

 

俺はミルコさんを探していると、奥でリーダーの男と交戦していた。ミルコさんは蹴り技を怒涛の勢いで繰り出すも、リーダーの男は難なく回避していた。

 

「テメェ、やる気あんのか!」

 

「おいおい、勘弁しろよォ。他の奴らと違って俺は貧弱でなァ、アンタみたいなパワー馬鹿相手に真正面から戦える訳がないだろうゥ?」

 

「知るか!大人しく蹴り飛ばされろ!!」

 

「ヤンキーかよォ。まァ……」

 

リーダーの男はヘラヘラ嗤うと、腰のホルスターから拳銃を取り出し銃口をミルコさんに向ける。

 

「!?」

 

「反撃してみるかァ」

 

気怠そうな口調でそう言うと、リーダーの男は引き金を弾く。乾いた銃声と共に弾丸がミルコさんに向かって一直線に飛ぶ。

 

(アレは……?)

 

クウガに変身した事で視力が常人の数十倍にまで強化された俺は、リーダーの男が撃った弾丸が普通の弾丸ではなく、()()()()()()()()()()()()()()()である事に気づいた。

 

「チィッ!」

 

ミルコさんは身体を捻る事で辛うじて弾丸を回避する。すると赤い弾丸がミルコさんの後方に居たヒーローの右肩に被弾する。

 

「ウッ!?このォ!!」

 

撃たれたヒーローは被弾した右肩を抑えながらリーダーの男に攻撃しようと構える。

 

しかし───

 

「!?な、何でだ……"個性"が使えない!?」

 

ヒーローは"個性"が発動出来ない事に驚愕する。この状況に、俺たちヒーローと警察側は混乱する。

 

「あらら〜、外れちゃったよォ。つうかァ、今の躱すか普通ゥ?」

 

「おいテメェ、さっき何を撃った!?」

 

「生憎切り札なんでねェ、教える訳無いじゃんかァ。ヒーローなら考えてみなよォ。………それじゃあ、潮時みたいだしィ。ここいらでお暇させて貰うかァ」

 

問い詰めるミルコさんをあしらいながら、リーダーの男はポケットから掌サイズの装置を取り出してスイッチを押す。するとリーダーの男の背中から金属製の翼が現れて、リーダーの男は飛翔する。

 

「悪いけどソイツだけは回収するわァ。商品を元に戻さないといけないんでェ」

 

飛翔したリーダーの男は模型"個性"の男を素早く回収し、工場の屋根を突き破って脱出を図る。

 

「不味い!逃すな!!」

 

「待ちやがれテメェ!!」

 

現場監督の刑事が叫ぶと同時にミルコさんが跳躍で穴の空いた屋根からリーダーの男を追い掛ける。しかしミルコさんの手は僅かにリーダーの男に届かなかった。

 

「追跡しろ!」

 

「しかし空から逃げられると打つ手が無い!」

 

「クソッ!」

 

「逃走ルートで待機している警官とヒーローたちに伝えろ!」

 

「はい!」

 

焦るヒーローと警察たち。

 

「……まだ手はある」

 

1つだけ策を思いついた俺は一条さんに駆け寄る。

 

「一条さん、お願いがあります。そのゴム銃を貸して下さい」

 

「何?」

 

突然の事に一条さんは目を見開いく。

 

「お願いします」

 

「……何か策があるんだな?」

 

頑なに頼む俺を見て、一条さんは訊く。

 

「はい」

 

「……分かった。頼むぞ」

 

「ありがとうございます!」

 

一条さんは決意してゴム銃を俺に渡す。ゴム銃を受け取った俺は一条さんの顔を見て頷き、工場の外へ出る。

 

 

「超変身!」

 

 

俺は【タイタンフォーム】から【ペガサスフォーム】へ超変身(フォームチェンジ)する。すると【モーフィングパワー】によってゴム銃がボウガン型の武器【ペガサスボウガン】に姿を変える。そして【ペガサスボウガン】の後部のハンドルを引いてエネルギーを充填させる。

 

「来てくれ、ゴウラム!!

 

俺の言葉と共に上空から巨大なクワガタの姿をしたメカ【ゴウラム】が現れ、俺の元へ来てくれた。

 

「ゴウラム、お願い」

 

シェンク・ゾー・ター(Let's go, sir.)

 

ゴウラムは古代リント語で応えると、前脚を曲げる。俺はゴウラムの前脚に掴まると、ゴウラムは背中の羽を広げて天高く飛翔する。

 

時速250km/hで飛行するゴウラムに吊り下がりながら、俺は【ペガサスフォーム】の超感覚でリーダーの男を捉える。

 

「ここだ!!」

 

俺が【ペガサスボウガン】のトリガーを引き、注入された封印エネルギーを利用した強力な空気弾【ブラストペガサス】を発射する。放たれた【ブラストペガサス】はリーダーの男が装備した翼のサポートアイテムの片翼に被弾し、リーダーの男は抱えた仲間とケースと共に地上に落下する。

 

俺は制限時間になる前に【マイティフォーム】に超変身(フォームチェンジ)してゴウラムと共にリーダーの男たちの落下地点へ降下する。

 

地上に着地すると、サポートアイテムの片翼が破壊されたリーダーの男が地面に倒れており、近くには仲間の男と被害者たちが入ったケースが転がっていた。

 

「〜〜ッ、イッタイなァ……。まさか追いかけて来るなんてねェ。ちょっと甘く見てたよォ」

 

「動くな。貴方の身柄を拘束する」

 

俺は痛みでよろけながら上体を起き上がらせるリーダーの男に警告する。

 

「いやいやァ。それはフラグじゃないのかいィ!」

 

男は拳銃を取り出すと、俺に向かって発砲する。撃ったのは"個性"を使えなくする赤い弾丸であった。

 

「フッ」

 

俺は腕の生体甲冑で防ぐと、赤い弾丸は地面に落下する。

 

「あらら〜、今度は防がれたよォ。やるねェ、君ィ」

 

「抵抗するな、貴方の負けだ」

 

ジリジリ近づく俺にリーダーの男は溜め息を吐く。

 

「う〜ん。確かにィ、今回は流石に俺の負けかなァ。けどさァ、試合には負けてあげるけど勝負まで負けるつもりはないんだよねェ」

 

リーダーの男はそう言うと、両手を上げると同時に1つの塊を上空に投げる。すると塊から光と超音波が発せられる。

 

「グゥッ!?」

 

俺は思わず身体を膠着してしまう。

 

「此処まで健闘した君に免じて商品は返すよォ。それと、()()()()()も付けてあげるねェ。それじゃあァ、バイバ〜イ」

 

「ッ!?待て!!」

 

俺の手が届く前にリーダーの男はこの場から姿を消しており、残されたのは気絶した構成員の男と被害者たちの入ったケース。そして"個性"を使えなくする弾丸が撃たれた拳銃だけだった。

 

「……クソッ!」

 

リーダーの男を取り逃した事に、俺の中で苛立ちと無力さが込み上がる。

 

暫くしてミルコさんたちヒーローと一条さんたち警察が駆け付け、残された構成員の男とケース、そして1丁の拳銃を回収し、警察本部に戻るのであった。




ヒーロー&警察vs(ヴィラン)グループ【ノーフェイス】
廃工場に潜伏する(ヴィラン)グループ【ノーフェイス】の確保を目指すライダーくんたちヒーローと警察。
工場内で激しい攻防が繰り広げられ、次第にライダーくんたちが優勢になる。しかし、"個性"を使えなくする弾丸に戸惑うライダーたちの隙を突いてリーダーの男が逃亡する。

ライダーくん、辛酸を舐めさせられる
リーダーの男をあと1歩のところまで追い詰めるライダーくん。しかし奇襲によってリーダーの男の逃走を許してしまうライダーくん。これまで高い戦闘力と機転で乗り越えて来たライダーくんは、初めて敗北を知った。

次回、ノーフェイス事件の後日談。


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89スレ

第95話を投稿します。

仮面ライダーギーツ第3話の感想
今回の話でライダーが退場する事はありませんでしたがダパーンとナーゴにフラグが!?そしてゾンビフォームのギーツも中々カッコ良かったですね。タイクーンの幸運がFate/シリーズで言う所のA以上に匹敵してて今後のアイテム入手で他のライダーと差が開けるのかもしれないですね(変身者がドの付いたお人好しなので他のライダーに渡してしまうかもですが)。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

皆さん、お疲れ様です。

  

2:空座町の無下限呪術師

お疲れー!

  

3:鬼滅ごっこをやってる忍者

お疲れ様。

  

4:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れ。

  

5:太刀川隊の狙撃手

お疲れ様。

今日は誰が欠席ですか?

  

6:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

グラップラーニキと美食屋ニキ、あと珍しく幽波紋ニキが不参加だって。

  

7:サクラギ研究所のリサーチフェロー

グラップラーニキと美食屋ニキは修業とかでよく来ないけど、幽波紋ニキも来れないって珍しいですね。

  

8:鬼滅ごっこをやってる忍者

プライベートなら仕方ないですね。

  

9:空座町の無下限呪術師

だね〜。

そう言えばライダーくん、事件の方はどうだった?

  

10:雄英の仮面ライダー

事件の方は被害者の女性たち全員の救出とリーダーの男を除くノーフェイスの構成員の身柄を確保出来ました。

  

11:サクラギ研究所のリサーチフェロー

お!

つまり一先ず事件は解決したって事?

  

12:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

お疲れ様!

  

13:雄英の仮面ライダー

いえ……。

最後の最後でリーダーの男には逃げられてしまって、完全解決したって事じゃないので。

  

14:太刀川隊の狙撃手

そうだったのか。

 

15:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

ライダーくんやミルコは勿論、他のヒーローや警察も居たのに逃げられたって……。

そのリーダーの男何者?

 

16:雄英の仮面ライダー

それが……リーダーの男に関しては仲間の構成員たちも名前すら知らないそうです。

警察とヒーローたちが今後捜索に当たるそうです。

それと……。

 

17:鬼滅ごっこをやってる忍者

どうしたのライダーくん?

 

18:空座町の無下限呪術師

何か気になる事でもあるの?

 

19:雄英の仮面ライダー

はい。

ノーフェイスから押収したモノの中に"個性"を使えなくする弾丸が数発ありまして。

詳しい内容は科捜研の解析待ちです。

 

20:サクラギ研究所のリサーチフェロー

>>19

え?

 

21:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>19

それって……。

 

22:太刀川隊の狙撃手

間違いなく()()が関与してますね。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【PM15:20 宿泊施設】

 

「次のインターンも宜しくお願いします」

 

「おう!」

 

ノーフェイスとの交戦から翌日。一通りの後処理を終えた俺はミルコさんに挨拶する。

 

「私も全国跳び周りながらあのクズリーダーを探す!何か分かったら直ぐに連絡してやるからな!」

 

「ありがとうございます」

 

ミルコさんは笑いながらそう言い、俺は頭を下げてお願いする。

 

「気休めにしかならねェが、アイツに逃げられたのはお前の責任じゃねェよ。寧ろ被害者たち全員を救け出せたのはお前のお陰だ」

 

「だけど、最後の最後でリーダーの男を逃してしまったのは俺です。俺があの時……何がなんでも確保出来ていれば」

 

納得出来ない俺にミルコさんは溜め息を吐きながら言う。

 

「ハァ、たられば言っても仕方ねェだろ?辛酸を舐めさせられたなら、次で確実に捕まえれば良い」

 

「……はい。そうですね」

 

アドバイスを贈るミルコさんに俺はそう答える。

 

「それじゃあ、俺はこれで」

 

「おう、またな!!」

 

もう一度ミルコさんに頭を下げて、俺は【トライチェイサー2000】に乗って宿泊施設を後にする。

 

(最後に一条さんに挨拶して行こう)

 

雄英に帰る前に、俺は一条さんに会うべく神奈川県警察本部に向かった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

【PM15:50 神奈川県警察本部】

 

「済まないな、態々来てくれて」

 

「いえ、一条さんにはお世話になりましたので」

 

神奈川県警察本部に到着した俺は、偶然署内に居た一条さんに挨拶する。

 

「ノーフェイスのリーダーの行方はヒーローたちと連携して捜索に当たって行く。進展があれば知らせよう。それと、奴らが所持していた"個性"を使えなくする弾丸についても科捜研の解析が済み次第、直ぐに連絡する」

 

「ありがとうございます」

 

すると一条さんは俺の顔をジッと見つめる。

 

「あの、どうしました?」

 

「……やはり、リーダーの男の事について責任を感じているみたいだな」

 

ミルコさんに言われた事を一条さんにも言われ、俺は表情を固くする。そんな俺を見て、一条さんは苦笑する。

 

「その様子だと、ミルコにも似た様な事を言われた様だな」

 

「はい……」

 

俯く俺に一条さんは肩を叩く。

 

「責任を感じるなとは言わない、だが全部を1人で背負い込むな。君が奴を追い詰めた事で被害者全員が日常に戻る事が出来たんだ。……それに、彼女たちから感謝の言葉を受けただろう?"救けてくれて、ありがとう"と」

 

一条さんの言葉に、俺は昨夜の事を思い出す。

 

"ありがとうございます!"

 

"貴方が救けてくれたお陰で私たち無事でした!"

 

"本当にありがとう……ヒーロー!!"

 

あの時、誘拐された被害者たち全員から感謝の言葉を貰った。勿論、俺だけでなく、ミルコさんたちヒーローと一条さんたち警察全員に。彼女たちの言葉を受けて、俺は……心の底からホッとした。彼女たちが無事で、本当に良かったと。

 

「彼女たちから受けた感謝を決して忘れてはいけない。そうだろ?」

 

「はい、そうですね」

 

すると、胸にのしかかった重さが少し軽くなった気がした。

 

「今度こそ捕まえましょう。……必ず」

 

「ああ」

 

「それじゃあ一条さん、また!」

 

気持ちを切り替えた俺は一条さんにそう言い、最後にサムズアップをする。

 

「……ああ、また会おう。佳面」

 

一条さんは少し戸惑いながらも、少し笑みを浮かべてサムズアップを返してくれた。




次回 ライダーくん、招集を受ける


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90スレ

第96話を投稿します。

台風14号予想以上に勢いが凄いですが、皆さんの所は大丈夫でしょうか?
皆さんがご無事である事を祈ります。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=285887&uid=202117


インターンから戻って来た俺は、久し振りに雄英で授業を受けていた。俺以外にも出久・切島・常闇・蛙吹さん・麗日さんもそれぞれインターン先から戻って来ており、その中でもインターンと学校生活との温度差に気を緩める人は少なくなかった。

 

「切島ァァァ!!お前ネットニュースにヒーロー名載せられてるぞ!」

 

「あ?」

 

瀬呂が興奮気味に自分のスマホに表示されたネットニュースの記事を切島に見せる。

 

「『新米相棒(サイドキック)裂怒頼雄斗爆誕!初日から市民を背負い単独敵退治!』だってよ〜!」

 

ネットニュースの内容は大阪で切島が市民を護りながら(ヴィラン)を撃退した事が記載されており、当時の写真も掲示されていた。

 

「梅雨ちゃん!麗日!スゴいよ名前出てる!!えっと、『リューキュウ事務所に新たな相棒(サイドキック)!インターンシップで所属した二人!!』」

 

「えぇ~!?嬉しいな~ホントだー!!」

 

「何処から撮ってたのかしら?」

 

「スッゴいねぇ~!!もうMt.レディみたいにファンついてるかもね~!!」

 

「羨ま~!!!!」

 

「マジじゃん!?『ルックスもキュート。お手柄!大事件を瞬時に制圧。実力は本物』」

 

切島だけでなく、リューキュウの元でインターンをしていた蛙吹さんと麗日さんにもネットニュースで記事が載せられていた。

 

「佳面、お前の事も話題になってるぞ」

 

「ん?」

 

すると障子がスマホを見せる。

 

「『宝石強盗の暴走から市民を守った逸材。様々な姿に変身し戦うスタイルはプロに匹敵する』」

 

「それと誘拐事件!!『ヒーロー・警察と連携して(ヴィラン)グループと交戦。単身で組織のリーダーを追い詰め、被害者全員を救出!!』」

 

「報道番組でも放送されてるし!」

 

「You◯ubeでも動画挙がってたよ!!」

 

「スゲーじゃん!1番の出世頭だな!!」

 

皆が興奮気味に俺に詰め寄る。

 

「そうなんだ」

 

それに対し、俺がそう答えると皆が首を傾げる。

 

「"そうなんだ"って……反応薄くね?」

 

「嬉しくないの?」

 

「両方とも俺1人で解決した訳じゃないから。特に誘拐事件はミルコさんや他のヒーローと警察の人たちと協力したお陰だし。……寧ろもっと頑張らなきゃって改めて思い知らされたよ」

 

「「「………」」」

 

俺の言葉に教室が静かになる。

 

「スゲーよお前」

 

「何処まで自分を追い込むんだよ」

 

「謙虚とかストイックの域越えてるよね」

 

皆が感心した表情で俺を見る。すると委員長の飯田が眼鏡をキラリと光らせる。

 

「佳面くんの言う通り、素晴らしい活躍をしても慢心せず努力し続ける事が大事だ!そして学業が学生の本分!!居眠りはダメだよ!」

 

「おうよ飯田!覚悟の上さ!なァ!?」

 

「うん!」

 

気合を入れる切島に出久も頷く。

 

「切島お前勉強やべーっつってたのに大丈夫かよ?」

 

「先生が補習時間を設けてくれるんだってよ」

 

「俺も行けば良かったなァ。両立キツそうでさァ……」

 

「学ぶペースは人それぞれですわ」

 

気持ちを切り替えた俺たちは通常授業と補習を受けるのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「インターンでの活躍聞いてるよ。頑張ってる様だね、佳面少年。はい、お茶」

 

「いえ、まだまだです。お茶ありがとうございます」

 

翌日の昼休憩、俺は購買で買ったサンドイッチを持って給湯室にてオールマイトと対面していた。俺は淹れてくれたお茶をひと口飲んでオールマイトに訊く。

 

「オール・フォー・ワンについて何か進展はありましたか?」

 

「いや、奴から情報を聞き出そうとしているが中々上手くいかなくてね……。死柄木たちや脳無の開発者の行方についても話を逸らされてしまうのが現状だ」

 

「そうですか……」

 

オールマイトは度々凶悪(ヴィラン)の収容施設【タルタロス】を訪れ、オール・フォー・ワンと面会をしている。奴が持つ情報は勿論、死柄木たちや怪人脳無を開発した協力者の行方について聞き出す為に。

 

「済まないね、進展が無くて」

 

「いえ、漸く捕まえた宿敵ですから。そう簡単に情報を与えてくれないでしょうし」

 

「引き続き奴との面会をしていくよ。何か分かったら知らせるね」

 

「ありがとうございます。そう言えば、出久のインターン先って通形先輩と同じ事務所なんですよね。サー・ナイトアイの」

 

「ああ……。緑谷少年から聞いたのかい?」

 

「少しだけ。オールマイトとナイトアイさんの現状や、通形先輩が後継者候補だった事も」

 

「そうかい……」

 

ナイトアイの名前が出た途端、オールマイトの表情が少し曇る。

 

「彼が緑谷少年を採用したのは、後継者を諦めさせてOFA(ワン・フォー・オール)を通形少年に渡させる為だそうだ。実は緑谷少年を後継者に選んだ時もナイトアイと揉めてね……。"理想だけじゃ誰も救えない"って言われたよ」

 

「けど、ナイトアイさんはオールマイトの相棒(サイドキック)だったんですよね?何でコンビを解消したんですか?」

 

「考えの食い違いだね。私は……彼に謝らないといけないのに」

 

オールマイトは俯きながらそう言った。

 

「あの、オールマイト。もう1つ訊いても良いですか?」

 

「何だい?」

 

俺はオールマイトに前々から気になっていた()()()()()()()()()()()

 

OFA(ワン・フォー・オール)の性質の事です」

 

OFA(ワン・フォー・オール)の性質?」

 

オールマイトは首を傾げて聞き返した。

 

「はい。OFA(ワン・フォー・オール)は初代保持者の【"個性"を渡す'個性"】とオール・フォー・ワンが初代に渡した【力を蓄積する"個性"】が合わさったモノなんですよね?」

 

「ああ。オール・フォー・ワンの実の弟である初代から代々受け継がれ、今は緑谷少年に託した力だが……それがどうしたんだい?」

 

「前々から思ってたんですが……OFA(ワン・フォー・オール)が蓄積して来たのは()()()()()()()()()()()()?」

 

「どう言う事だい?」

 

「"力を蓄積する"性質なら……身体能力だけでなく、歴代継承者の方たちの"()()"も蓄積される力の一部として渡されているんじゃないかと思ったんです」

 

「ッ!!?」

 

オールマイトは普段見せない程の驚愕の表情をした。

 

「……考えもしなかった。私は勿論、先代であるお師匠からそんな事聞かされた事も無かったから」

 

「あくまで可能性の1つでしかない俺の憶測です。もしかしたら"個性"は例外なのかもしれません。ですが、もし……俺の憶測が正しかった場合」

 

「今の緑谷少年には、歴代の先人たちの"個性"も宿っている事になる……」

 

大きくなるスケールに、俺とオールマイトは口を閉ざしてしまう。

 

「オールマイトがもし良ければ、OFA(ワン・フォー・オール)について俺に調べさせて貰っても良いですか?」

 

「君にかい?」

 

「はい。夏の時に言いましたけど、俺の"個性"には情報収集に長けたモノがあるんです。その力を使ってOFA(ワン・フォー・オール)について調べてみようと思います。……宜しいですか?」

 

俺の問い掛けに、オールマイトは暫く黙り込み、口を開ける。

 

「分かった。私も手伝える事があれば力を貸そう。頼めるかい、佳面少年」

 

「ありがとうございます」

 

俺は承諾してくれたオールマイトに頭を下げてお礼を言った。

 

「ただし……この事はまだ緑谷少年には話さないでくれ。ナイトアイの件もあって、彼をこれ以上混乱させる訳にはいかない。確証を得るまでは私と君との秘密にしよう」

 

「分かりました」

 

こうして、俺はオールマイト共にOFA(ワン・フォー・オール)について調べる事になった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

数日後の夜。俺は寮内の自室にてOFA(ワン・フォー・オール)について調べる為に【地球(ほし)の本棚】にアクセスしていた。

 

「……まさかの()()()か」

 

目を開いた俺は、【地球(ほし)の本棚】で得られた情報から自分の憶測が的中した事に驚きを隠さなかった。

 

「……一先ず、オールマイトに知らせないと」

 

俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()を閉じて、机に置かれたスマホに手を伸ばす。そしてオールマイトに連絡しようとしたその時、通話の着信音が鳴り響く。スマホの画面を確認すると、相手の名前は一条さんだった。

 

(一条さん?もしかしてノーフェイスのリーダーの捜索に何か進展があったのか?)

 

そう思った俺は直ぐに電話に出る。

 

「もしもし、佳面です」

 

『一条だ。夜分に済まない』

 

「いえ、大丈夫です。もしかして、捜索の方で何か進展が?」

 

『いや、申し訳ないがそっちの方はまだ変化は無い。実は科捜研に解析を頼んでいたモノについて結果が出た』

 

「本当ですか!?」

 

電話の内容は科捜研に解析を頼んでいた"個性"を使えなくする弾丸についてだった。

 

「それで、解析の結果はどうだったんですか?」

 

『……その事だが』

 

何処か歯切れの悪い様子に疑問を抱きながら、俺は一条さんから解析結果を聞かされる。そしてその内容に、衝撃のあまり思わず目を見開くのであった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

OFA(ワン・フォー・オール)と一条さんから解析結果を聞かされた翌日。俺はミルコさんからインターンの通知を受け取り、寮を出ると【ハードボイルダー】に乗って集合場所へ向かう。

 

「此処かな?」

 

目的地である建物に到着した俺は中へ入る。

 

「来たな佳面!!」

 

「何だ佳面。緑谷たちと一緒じゃなかったのか」

 

「ミルコさん。それに、相澤先生?」

 

そこにはミルコさん以外にも相澤先生が居た。2人だけでなく、切島のインターン先であるプロヒーロー【ファットガム】や蛙吹さんと麗日さんのインターン先である【リューキュウ】を筆頭に名の知れたヒーローからマイナーな地元ヒーローたちも集結していた。

 

 

「あーー!来太くんだーー!!」

 

 

すると後ろから聞き慣れた声が聞こえる。そして背中から抱きつかれた感触がしたので振り返ると、波動先輩が居た。

 

「波動先輩?それに通形先輩に天喰先輩も?」

 

「やあ!奇遇だね!」

 

元気よく挨拶する通形先輩とその隣で顔を晒す天喰先輩の登場に俺は首を傾げる。

 

「ねぇねぇ!何で来太くんも居るの?私ビックリしちゃった!」

 

「はい、俺もビックリです。これは一体……」

 

俺はギュウギュウと抱きながら聞いてくる波動先輩にそう答える。

 

「これから説明がある。それと騒ぐなバカップル」

 

「ですから違いますって」

 

「ツッコミがとても速いんだよね!佳面くん俺と漫才しないかい!!」

 

「しません」

 

「返しが凄くドライ!!?」

 

先日にも似た様な事を言う相澤先生にツッコミを入れると通形先輩からよく分からない事を言われて素っ気なく答える。

 

「君が佳面くんね?ねじれから聞いてるわ。初めまして、私はリューキュウ。ねじれや蛙吹さんと麗日さんのインターン先よ」

 

「佳面来太です。初めまして」

 

「おいテメェ、ソイツは私の相棒(サイドキック)だ!離れろ!!」

 

「えーー!イヤ!!」

 

「2人とも、こんな所で喧嘩しないで下さい」

 

「モテモテやなァ!羨ましいで!!」

 

「すみません、助けて下さい」

 

リューキュウさんと挨拶していると何故かミルコさんと波動先輩に板挟みされて近くで笑うファットガムさんに助けを求めながら暫くすると、出久・切島・蛙吹さん・麗日さんが現れる。

 

「来太くん!?」

 

「お前もこっちなのか!?」

 

「うん」

 

「ケロッ。これって」

 

「一体何が始まるんやろ?」

 

出久たちも何がなんだか分からない状態であり、全員が集まったのかプロヒーローの【サー・ナイトアイ】と相棒(サイドキック)の2人が現れる。

 

「あなた方に提供して頂いた情報のお陰で調査が大幅に進みました。死穢八斎會と言う小さな組織が何を企んでいるのか、知り得た情報の共有と共に協議を行なわせて貰います」

 

進行役のナイトアイさんの元、遂に説明が始まった。




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91スレ

別作品を描いてて遅くなりました。

長い事投稿しないで、すいませんでした!!


遅くなりましたが、第97話を投稿します。

今作もいつの間にかお気に入り登録数が3,600を超え、評価も7.8台まで行くようになりました。これら全てはこの作品を読んで下さっている皆さんのお陰です。本当にありがとうございます!!
引き続き投稿を頑張って行きますが、当面の目標としましてはお気に入り登録数4,000人台、それと評価を8.0台(評価バーが赤い状態)を目指して行きたいと思いますので、これからも宜しくお願いします!!


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=285887&uid=202117


「順を追って話します」

 

ナイトアイさんの言葉にプロヒーローたちが会議室へ移動を始める。蛙吹さんと麗日さんが相澤先生に駆け寄る。

 

「先生!」

 

「先生が何故此処に?」

 

「急に声を掛けられてな、協力を頼まれたから来たんだ。ザックリとだが事情も聞いてる……()()()()()()()()()()()()()()

 

相澤先生が最後に意味深げな事を呟くのを他所に、状況をよく理解出来ない切島がファットガムさんに話し掛ける。

 

「俺、置いてけぼりなんスけど……ハッサイ?何スか?」

 

「悪い事を考えとるかもしれんから皆で煮詰めましょのお時間や。お前らも充分関係してくるで」

 

よく見ると、天喰先輩の左腕に包帯が巻かれていた。おそらくインターン先で負傷したモノだろう。

 

俺はミルコさんの隣に座り、全員が席に着くとナイトアイさんの相棒(サイドキック)であるバブルガールさんが緊張しながら話を進める。

 

「えー……それでは始めて参ります。我々ナイトアイ事務所は約2週間前から死穢八斎會と言う指定敵団体について…独自調査を進めて…います!!」

 

「キッカケは?」

 

「【レザボアドッグス】と名乗る強盗団の事故からです。警察は事故として片付けてしまいましたが、腑に落ちない点が多く追跡を始めました」

 

今度はムカデの様な見た目をしたもう1人の相棒(サイドキック)であるセンチピーダーさんが話し始める。

 

「私、センチピーダーがナイトアイの指示の下、追跡調査を進めていました。調べたところ、死穢八斎會はここ1年の間に全国の組織外の人間や、同じく裏稼業団体との接触が急増しており、組織の拡大・金集めを目的に動いているものと見ています。そして調査開始から直ぐに(ヴィラン)連合の1人分倍河原仁(ヴィラン)名【トゥワイス】と接触。尾行を警戒され追跡は叶いませんでしたが、警察に協力して頂き組織間で何らかの争いがあったことを確認」

 

「連合に関わる話なら…と言う事で俺や塚内にも声が掛かったんだ」

 

「その塚内さんは?」

 

「他で目撃情報が入ってな、そっちに行ってる」

 

するとグラントリノさんが出久に話し掛ける。

 

「小僧。まさかこうなるとは思わなんだ。面倒な事に引き入れちまったな」

 

「面倒だなんて思ってないです!」

 

「知り合いなんだ!?」

 

「職場体験で……」

 

「……続けて」

 

通形先輩と出久が話しているとナイトアイさんが話を戻す。

 

「えー、この様な過程があり!"HN"で皆さんに協力を求めた訳で」

 

「そこ、飛ばして良いよ」

 

「うん!」

 

バブルガールさんはセンチピーダーが隣でフォローしながら説明を続ける。

 

「"HN"?」

 

ヒーローネットワークの事だよ。プロ免許を持った人だけが使えるネットサービス。全国のヒーローの活動報告が見れたり便利な"個性"のヒーローに協力を申請したり出来るんだって!」

 

聞き慣れない単語に首を傾げる麗日さんに波動先輩が補足を入れる。すると出久の隣に座るロックロックさんが苛ついた表情をする。

 

「雄英生とは言えガキがこの場に居るのはどうなんだ?本題の"企み"に辿り着く頃には日が暮れてるぜ」

 

「ぬかせ!この2人はスーパー重要参考人やぞ」

 

ロックロックさんが嫌味の混じった言葉を口にすると、ファットガムさんが勢い良く立ち上がると天喰先輩と切島を指しながら反論する。

 

「俺……たち?」

 

「ノリがキツい……」

 

当の天喰先輩と切島は各々リアクションを取る。

 

「取り敢えず、初対面の方も多い思いますんで!ファットガムです、よろしくね!」

 

「「丸くてカワイイ」」

 

(ベイ◯ックスみたいだな)

 

「お!アメやろーな!」

 

蛙吹さんと麗日さんがファットガムさんを見てそう言うと、ファットガムさんが何処からか飴玉を取り出す。そんな光景を気にせずナイトアイさんが進行を進める。

 

「八斎會は以前、認可されていない薬物の捌きをシノギの1つにしていた疑いがあります。そこでその道に詳しいヒーローに協力を申請しました」

 

「昔はゴリゴリにそういうんぶっ潰しとりました!そんで先日の裂怒頼雄斗デビュー戦!!今までに見た事ない種類のモンが環に撃ち込まれた。"個性"を壊す"クスリ"

 

「"個性"を壊す!?」

 

ファットガムさんから告げられた衝撃の内容に、他のヒーローたちが驚愕する。俺とミルコさんはノーフェイスとの抗戦で事前に知ってはいたが、他の事件でもあの弾丸が使用された事に多少驚く。

 

「まさか、他の所でも使われていたなんて……」

 

「ああ。どーやら、あのクズリーダーもヤクザから貰ってたみてェだな。私たちが呼ばれたのも、そのクスリと関係があるからだ」

 

俺とミルコさんが今回招集されたのも八斎會が捌いているクスリに関わりがあったからだと理解する。俺たちが話しているのを他所に、通形先輩がクスリを撃ち込まれた天喰先輩を心配するも、天喰先輩の体は撃たれた翌日には回復したそうだ。それはノーフェイスのリーダーが撃った弾丸に被弾したヒーローにも同じである。

 

「回復すんなら安心だな。致命傷にはならねぇ」

 

「いえ……その辺りはイレイザーヘッドから」

 

"個性"が回復する事にロックロックさんを筆頭に他のヒーローたちも安堵するも、ナイトアイさんが相澤先生に話を振った。

 

「俺の【抹消】とはちょっと違うみたいですね。俺のは"個性"そのものを攻撃してる訳じゃないので。俺のはあくまで個性因子を一時停止してるだけなので、ダメージを与える事は出来ない」

 

「その撃ち込まれた物の解析は?」

 

「それが環の体は他に異常なし!只々"個性"のみが攻撃された。撃った連中もダンマリ!銃はバラバラ!!弾も撃ったっキリしか所持してなかった。ただ切島くんが身を挺して弾を弾き、別の事件では佳面くんが(ヴィラン)グループのリーダーから各々弾を入手出来たっちゅー訳や。せやな?ミルコ」

 

「あぁ!コイツがクズリーダーから押収した!!スゲーだろ!!」

 

「ちょっ」

 

俺は突然ミルコさんに頭を鷲掴みされてビックリする。

 

「そしてその中身を調べた結果、ムッチャ気色悪いモンが出てきた………人の血ィや細胞が入っとった」

 

「えぇ……」

 

「別世界のお話の様……」

 

ファットさんから残酷な結果を聞かされ、蛙吹さんと麗日さんの顔色が急に青褪める。そして……出久と通形先輩の表情が変わった。

 

「つまり……その効果は人由来……"個性"って事?"個性"による"個性"破壊……」

 

「うーん……さっきから話が見えてこないんだが、それがどうやって八斎會と繋がる?」

 

その質問にファットガムさんが答える。違法薬物を末端へ売り捌いていた中間組織の1つと八斎會は交流があり、また、リューキュウさんたちが先日退治した(ヴィラン)グループの内、片方のグループの元締めがその交流のあった中間売買組織だったらしい。これらの事実から、最近多発している違法薬物による組織的犯罪が死穢八斎會に繋がるとナイトアイさんたちは主張するが、未だに納得しかねているヒーローも居た。

 

そこでナイトアイはモニターに治崎の写真を映し出し、新たな情報を話し始める。

 

「若頭 治崎の"個性"は【オーバーホール】。対象の分解・修復が可能という力です。分解……1度壊し直す"個性"。そして"個性"を破壊する弾……」

 

「「!?」」

 

ナイトアイさんが説明する中、出久と通形先輩の表情が更に深刻になり、2人とも顔を俯いた。

 

「治崎には壊理と言う名の娘が居る。出生届も無く、詳細は不明ですが、ミリオと緑谷が遭遇した時は手足に夥しい包帯が巻かれていた」

 

「まさかそんな悍ましい事……」

 

「超人社会だ。やろうと思えば誰もが何だって出来ちまう」

 

「なるほどな」

 

「……何?何の話ッスか?」

 

「………」

 

プロヒーローたちが話の本質を理解し始めた一方で、話しに付いて行けてない切島がせわしなく周りを見る。その疑問に、昨夜一条さんから科捜研の分析結果を聞かされた俺が答える。

 

「切島……解らない?」

 

「えっ?あ……あぁ。どう言う事か全然解らん。何が……どうなってんだよ?」

 

「簡単に言うと……その治崎は娘である壊理ちゃんの体の一部を銃弾に変えて、全国の(ヴィラン)たちに売り渡している可能性があるって事だよ」

 

「え……!?」

 

俺の言葉を理解した切島が驚愕の表情をする。他にも蛙吹さんと麗日さんも同じ反応をした。

 

「実際に銃弾を売買しているのかは分かりません。現段階では性能としてあまりに半端です。ただ仮にそれが試作段階にあるとして、プレゼンの為のサンプルを仲間集めに使っていたとしたら……確たる証はありません。しかし、全国に渡る仲間集め、資金集め。もしも弾の完成形が完全に個性を破壊する物だとしたら……?悪事のアイデアが幾つでも湧いてくる」

 

「想像しただけで腸煮えくり返る!今すぐガサ入れじゃ!」

 

「ケッ……コイツらが子供保護してりゃ一発解決だったんじゃねぇの!?」

 

ロックロックさんが出久と通形先輩の方を見ながら小言を呟く。2人は返す言葉も無く、歯を食いしばりながら俯いている。そこへナイトアイさんがフォローに入る。

 

「全て私の責任だ。2人を責めないで頂きたい。知らなかった事とはいえ……2人ともその子を助けようと行動したのです。緑谷はリスクを背負いその場で保護しようとし、ミリオは先を考え、より確実に保護出来るよう動いた。今この場で一番悔しいのはこの2人です」

 

すると椅子の倒れる音がし、出久と通形先輩が同時に立ち上がる。そしてナイトアイを力強く見据えながら宣言した。

 

 

「今度こそ必ずエリちゃんを!」

 

 

「「保護する!」」

 

 

「そう。それが私たちの目的となります」

 

ナイトアイさんが今作戦に於ける目的を明らかにする。すると、またしてもロックロックさんが口を挟んだ。

 

「ケッ……ガキがイキがるのも良いけどよ、推測通りだとして若頭にとっちゃその子は隠しておきたかった”核”なんだろ?それが何かしらのトラブルで外に出ちまってた。あまつさえガキんちょヒーローにまで見られちまった。素直に本拠地に置いとくか?俺なら置かない。攻め入るにしても"その子がいませんでした"、じゃ話にならねぇぞ。何処に居るのか特定出来てんのか?」

 

「確かに……どうなの?ナイトアイ」

 

「問題はそこです。何を何処まで計画しているか不透明な以上、1度で確実に叩かねば反撃のチャンスを与えかねない。そこで八斎會と接点、名のある組織・グループ及び八斎會の持つ土地!可能な限り洗い出し、リストアップしました!皆さんには各自その箇所を探って頂き、拠点となり得るポイントを絞ってもらいたい!」

 

ナイトアイさんはリストアップしたポイントと活動地区が被るヒーローたちを全国から集め、そのポイントを人海戦術で探らせようと考えたのだ。

 

だが、それは明らかに時間が掛かり過ぎる策である。

 

 

「オールマイトの元右腕だった割に随分慎重過ぎるし回りくどいわ!こうしている間にもエリちゃん言う子泣いてるかもしれへんのやぞ!!」

 

 

「我々はオールマイトにはなれない!だからこそ、分析と予測を重ね救けられる可能性を100%に近づかせねばならない!」

 

ファットガムさんの反論にナイトアイさんが返すのを皮切りに、他のヒーローたちも意見が割れ始める。収拾がつかなくなりそうになった所に、相澤先生がナイトアイさんに提案する

 

「どういう性能かは存じませんが、サー・ナイトアイ。未来を予知出来るなら俺達の行く末を視れば良いじゃないですか。このままでは少々合理性に欠ける」

 

「そうだイレイザー!早速私の未来を見てみろナイトアイ!子どもの居場所が分かり次第、私が即蹴り飛ばしに行く!!」

 

ミルコさんが立ち上がって意気揚々と言い放つ。

 

しかし──

 

「それは……出来ない」

 

「ハァ?」

 

「……?」

 

ナイトアイさんはその提案を却下した。疑問を抱く皆の視線を集めながら、ナイトアイさんは説明する。

 

「私の予知性能ですが、発動したら24時間のインターバルを要する。つまり、1日1時間1人しか見ることが出来ない。そしてフラッシュバックの様に1コマ1コマが脳裏に映される。発動してから1時間の間、他人の生涯を記録したフィルムを見られる……と考えて頂きたい。ただしそのフィルムは全編人物の近くからの視点。見えるのはあくまで個人の行動と僅かな周辺環境だ」

 

「いやそれだけでも充分過ぎる程色々分かるでしょう。出来ないとはどういう事なんですか?」

 

相澤先生の最もな意見に、ナイトアイさんはメガネの位置を直しながら答える。

 

「例えばその人物に近い将来、死、ただ無慈悲な死が待っているとしたらどうします?」

 

(ッ!?まさか……ナイトアイさん。オールマイトの事を……)

 

俺はナイトアイさんが予知を使用しない理由に気づく。出久もナイトアイさんのそれに気づいた様子だった。

 

「私の"個性"は行動の成功率を最大まで引き上げた後に勝利のダメ押しとして使うものです。不確定要素の多い間は闇雲に見るべきじゃない」

 

「はぁ!?死だって情報だろ!?そうならねぇ為の策を講じられるぜ!」

 

「占いとは違う。回避できる確証は無い」

 

「ナイトアイ!よく分かんねぇな!いいぜ俺を見てみろよ!幾らでも回避してやるよ!」

 

 

「ダメだ」

 

 

俯きながらも頑なに未来を視る事を固辞するナイトアイさんに、ロックロックさんも思わず口をつぐみ、一瞬の静寂が会議室に訪れる。

 

「取り敢えずやりましょう。”困ってる子がいる”これが最も重要よ」

 

「娘の居場所の特定・保護。可能な限り確度を高め、早期解決を目指します」

 

 

「ご協力宜しくお願いします」

 

 

ナイトアイさんがそう言って締めて、今回の会議は終了した。

 

「………」

 

そして、俺は()()()()()()()()

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

会議が終わり、出久たちは休憩室のテーブルを囲って椅子に座っていた。その空気は途轍もなく重く、全員の表情は明るくなかった。そこに相澤が現れ、出久たちにインターンの中止を提言するつもりだった。

 

八斎會が(ヴィラン)連合と繋がりを持っている可能性がある以上、生徒たちを危険な現場から遠ざける為である。

 

「俺が見ておく。やるなら正規の活躍をしよう、緑谷」

 

しかし、相澤は出久が何がなんでも壊理の救出する事を見越したのか、自分がストッパー役に買って出たのである。

 

皆も出久と通形を励まし、壊理の救出作戦に参加する事を決意する。

 

その時、相澤は()()()()()()()

 

「それで、佳面は何処だ?一緒に居なかったのか?」

 

「そ、そう言えば……」

 

「会議室出た時には姿が見えなくて」

 

「ケロ、何処に行ったのかしら?」

 

「先に雄英に帰るにしても、佳面くんなら連絡しとるだろうし」

 

「そーなの!来太くん何処行っちゃったんだろ!?通形、天喰くん。見なかった?」

 

「俺は見てないんだよね」

 

「ごめん。俺も……」

 

出久たち全員が来太が何処へ行ったのか分からなかった。

 

「チッ。世話の焼ける……()()()()アイツが1番の問題児なんだが……後で説教だな」

 

(来太くん、相澤先生から問題児扱いされてる!!?)

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

「貴様は……」

 

(あん)ちゃん……どうして此処に?」

 

会議室から出て、出久たちと別行動を取った俺は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、2人の前に立っていた。

 

「すみません……お2人にお話したい事があります」




次回 ライダーくん、ナイトアイたちに()()()()を告げる。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

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10/28からアマゾンプライムで配信開始した【仮面ライダーBLACK SUN】視聴しました。一言で言うと、予想の約100倍以上の作品でした。

ちなみに、皆さんは【BLACK SUN】と【SHADOWMOON】のどっち派ですか?


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92スレ

第98話を投稿します。

アンケートの結果、投稿する外伝作品は仮面ライダーWの続編である【風都探偵】に決定!!

アンケートにご協力して頂きありがとうございました!!


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=285887&uid=202117


「──以上が、OFA(ワン・フォー・オール)に隠されていた真実です」

 

「そんな………!?」

 

「………………」

 

俺はグラントリノさん、ナイトアイさんにOFA(ワン・フォー・オール)の真実を告げた。【地球(ほし)の本棚】で検索して得たOFA(ワン・フォー・オール)に関する情報は、大きく分けて3つ。

 

 

1つ目は、OFA(ワン・フォー・オール)の“個性因子"には、歴代継承者たちの意思と“個性"が内包されている事。

 

 

2つ目は、OFA(ワン・フォー・オール)の力と連動して、2〜7代目の“個性"の力も成長し続けている事。

 

 

そして3つ目は、その大き過ぎる力によって、生まれ持って“個性"を宿す者がOFA(ワン・フォー・オール)を継承した場合、命を削り続け、やがて死に至ると言う事。

 

 

それらを踏まえ、OFA(ワン・フォー・オール)は“無個性"の人間にしか継承する事が出来ない力となってしまっている事

 

 

この事を聞いて、ナイトアイさんは驚愕し、グラントリノさんは静かに目を閉じていた。そんな2人に、俺は説明を続ける。

 

「4代目継承者、四ノ森 避影(しのもり ひかげ)さんは、オールマイトの次にOFA(ワン・フォー・オール)の保持期間が長く、18年間力を培っていました。そして、彼が40歳の時、成長するOFA(ワン・フォー・オール)の力に身体が付いてこれず……老衰したようです」

 

「つまりオールマイト……俊典がOFA(ワン・フォー・オール)を保持続けられたのは、アイツが“無個性"だった事によるもので、現時点では9代目で同じ“無個性"である小僧が()()()()()()になると言う事か?」

 

「これから先、オールマイトや出久の様に“無個性"で、尚且つOFA(ワン・フォー・オール)を必要とする人間が現れない限りは……そうなると思います」

 

「………俊典が小僧を選んだのは、偶然にも正しかったと言う事か」

 

俺の話を聞いて、グラントリノさんは納得したのか様に呟いた。

 

しかし、ナイトアイさんは未だに信じられない表情をしており、彼が握っていた両手は震えていた。そんなナイトアイさんに、俺は敢えて訊く。

 

「これらを聞いた上で、ナイトアイさんは出久を認められませんか?」

 

「………奴は未熟だ。大き過ぎる力を使い熟せず振り回されている。そんな奴に………オールマイトの後継は務まらない。一刻も早く、新たな“平和の象徴"が必要であると言うのにッ!!」

 

「それなら、通形先輩を10代目として継承させますか?4代目の時点で40歳と言う若さで老衰になるのに、それ以上に成長したOFA(ワン・フォー・オール)を“個性"を持った通形先輩が継承したら、4代目よりも早く命を落としてしまいますよ?早くて20代か……もしかしたら、それよりも早く」

 

「だが……!」

 

ナイトアイさんは苦悶の表情で悩む。近くでオールマイトを支えた経験のある彼は、“平和の象徴"の過酷さを目の当たりにしている。並の人間では、それを引き継ぐ事が出来ない事も。

 

「出久が未熟なら、俺たちで支えて行けば良いじゃないですか。彼がOFA(ワン・フォー・オール)を使い熟す為に」

 

 

「それじゃ遅いんだッ!!」

 

 

ナイトアイさんは大声を上げる。その表情は今にも泣き出しそうな程に苦しそうだった。

 

「オールマイトにはもう………時間が無いッ」

 

「オールマイトに時間が?どういう事ですか?」

 

ナイトアイさんの意味深な言葉に、俺は訊き返す。グラントリノさんがナイトアイさんの方を見て頷くと、ナイトアイさんは少し間を空けてポツリと呟く。

 

「………6年前、私はオールマイトの未来を視た。その内容は………彼が凄惨な死を遂げると言うものだった」

 

「ッ!?」

 

ナイトアイさんの言葉に俺は驚愕する。ヒーローは常に危険と隣り合わせの職業。命を落とす事例は少なくないのだ。

 

「ちなみにですが、オールマイトに残された猶予は?」

 

「遠い未来程多少の誤差が生じるが、予知で視た時で6、7年後………今年か来年だ」

 

「……そうですか」

 

俺はオールマイトにこれから起こるかもしれない未来を聞いて少し俯く。そして、直ぐに顔を上げる。

 

「けど、それはまだ未来の事ですよね?これから回避する為に対策すれば」

 

「──無理だ。どれだけ視た未来と違う行動を取っても、帳尻合わせの様に元の流れに戻されてしまう。そこから未来が分岐する事は決して無い……1度も!」

 

俺の言葉をナイトアイさんは()()()()()()()()()()で否定した。ナイトアイさんの表情と言葉からは、これまで何度も未来を変えようと抗った事が物語っていた。

 

だけど

 

「それは、()()()()()()()()1()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「何?」

 

ナイトアイさんは俺の方を見る。

 

「ナイトアイさん1人が抗っても未来を変えられないのなら、俺やグラントリノさん、出久……そして、オールマイトの皆が望む未来にする為に抗えば良いんじゃないんですか?」

 

「ッ!」

 

ナイトアイさんはハッとした顔をするも、首を横に振る。

 

「駄目だ……そんな事をしても」

 

「何故そう言い切れるんですか?試した事があるんですか?」

 

「それはッ……」

 

反論しようとするも、ナイトアイさんは言葉を詰まらせる。

 

「確かに未来を変えるなんて事は不可能に近いのかもしれない。だけど、1人の力だけじゃなく、1人1人が同じ方向を目指し、力を合わせる事で未来を変えられるかもしれない」

 

「人が生きると言う事、それこそが全ての人たちが持つ運命を変える力だと、俺は思います」

 

「考えられる事を全部やってからでも、遅くないと思います。だから……そんな未来、変えてやりましょう。俺たち全員で」

 

「ッ!!」

 

俺は笑ってそう言うと、ナイトアイさんは顔を伏せた。すると、グラントリノさんがナイトアイさんの腰を優しく叩く。

 

「若造がこう言ってんだ。大人のお前が諦めを口にするのはまだ早いんじゃないか?」

 

「………そう、かもしれないですね」

 

すると、ナイトアイさんはほんの少し笑みを零した。

 

「先ずは、壊理ちゃんを助けて、治崎を止めましょう」

 

「ああ」

 

ナイトアイさんの表情には、もう暗い感情は無くなり、1人のヒーローとしての顔になった。すると、グラントリノさんが俺を見る。

 

「ちと思ったんだが、(あん)ちゃんのその情報収集能力を使えば治崎と壊理って子の居場所を突き止められるんじゃねぇか?」

 

確かに、【地球(ほし)の本棚】の力を使えば治崎と壊理ちゃんの居場所を特定する事は可能である。

 

だが──

 

「俺の能力で対象を調べる為にはそれに関するキーワードが必要になるんです。それに、インターン生の俺の証言を他のヒーローの人たちが信じてくれるか微妙ですし」

 

地球(ほし)の本棚】で検索するにしても"キーワード"は勿論、検索した情報を他のヒーローの人たちが直ぐに信じてくれるか怪しい。ロックロックさんの様な人は特に。

 

「それなら、私が集めたデータを使え」

 

「ナイトアイさん?」

 

俺が顔を向けると、ナイトアイさんが自身の上着から取り出したUSBメモリーを差し出す。

 

「八斎會に関するデータだ。これがあれば調べられるだろう」

 

「良いんですか?けど──」

 

「貴様の証言に関しては、()()()()()()()()()()()()()()()()()。それなら信憑性は高い」

 

「それ……嘘になりません?」

 

すると、ナイトアイさんはメガネをクイッと押し上げる。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ナイトアイさんはまるで冗談を言うかの様に言った。その言葉に、俺は思わず笑ってしまう。

 

「中々ユーモアがある嘘ですね」

 

「ああ。我ながらそう思う」

 

ナイトアイさんも笑みを浮かべながら答える。

 

「お前さんたち、馬が合いそうだな。意外に似た者同士かもな」

 

そんな俺とナイトアイさんを見て、グラントリノさんが言った。確かに、見た目と性格で堅物キャラだと思ったけど、ナイトアイさんとは話が合いそうだ。

 

「だが、此方も引き続き捜索は行う。報告の〆切は3日後迄だ。分かり次第連絡しろ」

 

「分かりました」

 

連絡先を教えて貰い、俺はグラントリノさんとナイトアイさんに一礼して、2人と別れる。急いで雄英に戻ってデータに目を通して【地球(ほし)の本棚】で検索しよう。そう思って俺は建物から出ようとする。

 

すると──

 

「見つけたぞ。問題児」

 

「グエッ!?」

 

突然首元に布が巻き付かれ、その凄い力で締め上げられた。こんな事をするのは、俺が知ってる人で1人だけだ。

 

「今まで何処にいやがった?全くもって合理性に欠けるな、副委員長の佳面くん」

 

「あ、相澤先生……」

 

小さな子どもが見たら泣き出してもおかしくない程の表情で睨む相澤先生に、俺は戦慄する。相澤先生の後ろには出久たちが同情の表情で此方を見ていた。波動先輩だけは不思議そうな顔をしていたが……。




ライダーくん、ナイトアイを諭す
自分の"個性"によって他者の未来を決めつけているのではないかと悩むナイトアイに、ライダーくんは共に未来を変えようと諭す。誰もが笑っていられる、平和な未来の為に。

ライダーくん、ナイトアイと馬が合う?
意外に話が合う事に互いにシンパシーを感じたライダーくんとナイトアイ。グラントリノが言った様に、2人は似た者同士かもしれない?

次回 ライダーくん&スレニキ'sによる風都探偵回?
「さあ、検索を始めよう」


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

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93スレ

『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』を観てきました。

前作まで主人公であるブラックパンサー/ティ・チャラを演じていた俳優のチャドウィック・ボーズマンさんが大腸癌でお亡くなりになられてからの作品で、今作でもティ・チャラが冒頭で病死するシーンから物語が始まった事に、MARVELなりのチャドウィックさんの追悼かなと思いました。

映画の内容はとても良かったので興味のある方・MARVELヒーローが好きな方は必見です。


第99を投稿します。

ライダーくん&スレニキたちによる風都探偵もとい仮面ライダーWの()()()()()を再現回です。


今作の当面の目標はお気に入り登録数4,000人突破と評価8.0以上を目指しています。
面白いと思った方はお気に入り登録と高評価を宜しくお願いします!!


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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

ナイトアイさんから情報を頂きましたので、今から検索をしてみようと思います。

  

2:空座町の無下限呪術師

お!

それって。

  

3:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

仮面ライダーWでお馴染みの!?

  

4:太刀川隊の狙撃手

()()をやるって事か!?

  

5:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

マジで!?

生で観るの初めてだよ!!

  

6:サクラギ研究所のリサーチフェロー

にわかでも知ってる()()をしてくれるのか!!

  

7:鬼滅ごっこをやってる忍者

テンション上がるよ!!!

  

8:杜王町の幽波紋使い

悪い。

俺だけ解らないから説明してくれ。

  

9:雄英の仮面ライダー

>>8

あ、済みません。

幽波紋ニキには詳しく説明してませんでしたっけ。

俺が変身出来る仮面ライダーの中に【仮面ライダーW】と言う2人で変身するライダーがありまして、そのライダーの変身者の片割れの【フィリップ】と言う主人公の1人が【地球(ほし)の本棚】と呼ばれる地球のデータベースにアクセスして調べたい情報を探す事が出来るんです。

  

10:空座町の無下限呪術師

平たく説明すると、地球上の凡ゆる情報を拾える超高性能な◯oogleみたいなものだよ。

  

11:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

本当に平たく言ったな……。

  

12:虚刀流のグラップラー

けど合ってるし。

使えると便利だよな、【地球(ほし)の本棚】。

  

13:太刀川隊の狙撃手

検索する為にはキーワードが必要にはなりますが。

  

14:鬼滅ごっこをやってる忍者

本家でも、翔太郎が情報を集めて、それを使ってフィリップが検索して事件の真相を暴いてましたし。

 

15:雄英の仮面ライダー

それじゃあ、早速始めます。

 

「検索を始めよう」

 

16:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

うわっ!?

ライダーくんが白い空間に立ったと思ったら無数の本棚が出て来た!?

 

17:サクラギ研究所のリサーチフェロー

まんまTV本編と同じだ!!

 

18:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

テンション上がる!!

 

19:太刀川隊の狙撃手

改めて観ると圧巻ですね。

 

20:杜王町の幽波紋使い

これ全部がライダーくんの居る世界の情報なんだな。

 

21:空座町の無下限呪術師

興奮するのはその辺にして、僕たちもライダーくんの手伝いをしようか。

 

22:鬼滅ごっこをやってる忍者

宛らもう1人の主人公である左翔太郎になった気分ですね。

 

23:雄英の仮面ライダー

 

「知りたい項目は、壊理ちゃんの【居場所】」

 

「キーワードは、【死穢八斎會】」

 

 

shiehassaikai

 

 

24:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

本棚の数が減った!?

 

25:太刀川隊の狙撃手

検索する事で情報を絞り込んでいく感じですね。

 

26:雄英の仮面ライダー

 

「【治崎廻】」

 

kai chisaki

 

 

 

27:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

おお!?

一気に減った!

 

28:サクラギ研究所のリサーチフェロー

人名だから情報が絞り込みやすいのか。

 

29:杜王町の幽波紋使い

本と言う共通点で露伴先生の【ヘブンズ・ドアー】とはまた違った感じだな。

 

30:鬼滅ごっこをやってる忍者

あれもあれで便利な能力ですけど。

 

31:雄英の仮面ライダー

 

「【薬】、【設備】」

 

drug

 

facility

 

 

32:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

どんどん減っていく!

あと少し!

 

33:太刀川隊の狙撃手

けど、後10冊程残ってますね。

 

34:虚刀流のグラップラー

最後に1つキーワードを入れたら特定出来そうなのに。

 

35:鬼滅ごっこをやってる忍者

何か決定打になるキーワードありませんかね?

 

36:雄英の仮面ライダー

何かないか……ん?

そう言えば、治崎って八斎會の若頭ですよね?

治崎が壊理ちゃんの"個性"を悪用している事を、組長自身は知っているのか?

そもそも、これ迄の事は組長の指示によるものなのか?

 

37:空座町の無下限呪術師

思い出した。

それだ、ライダーくん。

最後のキーワードは【組長】だ。

 

38:雄英の仮面ライダー

>>37

分かりました。

 

boss

 

 

PLACE

 

 

……ビンゴです。八斎會組長は此処数ヶ月前から昏睡状態になっているため、治崎は組長が居る本拠地を拠点にしてるみたいです。しかも本拠地には隠し通路があって、そこから繋がっている地下に"個性"を壊す弾を製造する設備がありますね。壊理ちゃんもそこに居ます。

 

 

39:杜王町の幽波紋使い

当たりだな。

 

40:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

やったね!

 

41:太刀川隊の狙撃手

ライダーくん、その地下へ繋がる通路への侵入方法も調べた方が良い。

それと本拠地に居る八斎會の構成員の情報も。

 

42:鬼滅ごっこをやってる忍者

そうですね。

救出する際に必ず交戦になりますし。

 

43:雄英の仮面ライダー

分かりました。

それと念の為、治崎の事も詳しく調べてみます。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 




ライダーくん、壊理ちゃんの居場所を特定する
地球(ほし)の本棚】にアクセスして壊理ちゃんの居場所が八斎會本拠地である事を特定したライダーくん。更に治崎や構成員たちの情報を調べていく。


次回 壊理ちゃん救出作戦、開始!!
そして、次回登場する仮面ライダーのヒントは「ゲーム」です。


今作の当面の目標はお気に入り登録数4,000人突破と評価8.0以上を目指しています。
面白いと思った方はお気に入り登録と高評価を宜しくお願いします!!


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94スレ

投稿が遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。

仕事で土日も出勤したり、年末もあって中々執筆する時間と体力がありませんでした。

今回で年内最後の投稿になります。


前々回からお気に入り登録数4,000人突破と評価8.0以上を目指すと宣言した途端、星1等の低評価を付ける人が増えました。

これまで低評価を付ける人はいましたが、これだけ頻繁に低評価を付けられたのは初めてです。お気に入り登録数の方は今のところ順調に増えてますが……。

ですが宣言した以上、その目標を達成する為に頑張っていきますので皆さん、今作が面白いと思いましたらお気に入り登録と高評価を宜しくお願いします。

遅くなりましたが、第100話を投稿します。

今回登場する仮面ライダーのヒントは「ゲーム」「ドクター」「天才ゲーマー」です。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

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「九州に行ってる常闇はともかく、インターン組は今日も公欠かぁ」

 

1年A組寮では、インターン組以外の生徒たちが普段通り学校へ行く支度をしていた。

 

「そう言えば、此処のところの緑谷変じゃなかった?今朝も思い詰めた顔で鯵の開きを見つめてたし」

 

「緑谷だけじゃねぇよ。切島や梅雨ちゃんたちも、何処か表情が張り詰めてたぜ」

 

「何か大きな事件に関わってるかもしれないな」

 

「プロたちも居るし、問題無いと思うけど……」

 

瀬呂たちはここ数日での出久たちの様子に疑問を抱いていた。

 

「あ。けどよ、佳面だけいつも通りだったよな」

 

「そうだね」

 

「授業中も特に変わった様子とか無かったし」

 

そんな中で同じインターン組である来太だけが特に様子が変わっていなかった事を話しているのを他所に、葉隠だけが表情を曇らせていた。長い間共に居た事で、来太の僅かな異変に気づいていたのだ。

 

(佳面くん、何かあってもいつも通りにしてるけど。大丈夫かな……)

 

「来太たちなら大丈夫だ」

 

不安そうな葉隠に、焦凍が話し掛ける。

 

「轟くん」

 

「何か重要な案件に関わっているから口止めで何も話してくれなかったけど、来太も緑谷たちも、多分大丈夫だ。信じて帰りを待とう」

 

「……うん、そうだね」

 

焦凍の言葉に、葉隠は頷いた。そして、来太たちが無事に雄英に帰ってくる事を祈る。

 

(きっと大丈夫だよね……佳面くん)

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

俺が【地球(ほし)の本棚】で集めた情報をナイトアイさんのPCに送った翌日、今度はナイトアイさんから招集の通知が送られた。俺は出久たちと一緒に集合場所である建物へ向かうと、ミルコさんや他のプロヒーローたちが既に集まっていた。

 

「壊理ちゃんが本拠地に居る!?」

 

「本拠地って事は……」

 

「死穢八斎會のトップ、組長の屋敷」

 

「何だよ、俺たちの調査は無駄だったって事かよ!」

 

調査が始まってまだ日が浅いのにも関わらず壊理ちゃんの居場所が特定した事に他のプロヒーローたちが驚愕する。

 

「いえ、新たに判明した情報も入手出来ました」

 

「それで、どうやって居場所を特定したんや?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()調()()()()()()()()()()()()

 

「探偵?」

 

「おいおい、ソイツ信用出来るのかよ?」

 

ナイトアイさんの言葉に、一部のプロヒーローたちが疑心を抱く。

 

「彼は情報収集に長けた"個性"を持っていており、壊理ちゃんの居場所に加え、壊理ちゃんと治崎に関する新情報を見つけ出してくれました」

 

「壊理ちゃんと治崎の新情報?」

 

「何だそれは?」

 

首を傾げるプロヒーローたちに、ナイトアイさんは少し間を空け、口を開ける。

 

「治崎は幼少時代、天涯孤独だった所を組長に拾われています。その頃から治崎は組長にとてつもない恩義を抱いている……そして、壊理ちゃんは両親から捨てられ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「唯一の親族って……おい、ちょっと待て」

 

「それって」

 

「治崎と壊理ちゃんには、血の繋がりが無いって事か!」

 

突然聞かされた新事実に、一同が驚愕する。

 

「それともう1つ。本拠地である八斎會宅邸には届出に無い入り組んだ地下施設が存在し、その中の一室に壊理ちゃんが幽閉されている事が判明しました」

 

「令状は出ている。後は壊理って子を助け出し、治崎たちを抑えるだけだ」

 

説明を続けるナイトアイさんに、グラントリノさんが補足する。2人の言葉に、俺たちは覚悟を決める。

 

 

「緑谷くん、やるぞ!!やるんだ!!」

 

 

すると、突然通形先輩が大声を出して腕を激しく動かしていた。おそらく気合を入れているのだろう。出久はそんな通形先輩に戸惑いながらも強く頷いた。

 

出久も通形先輩も、壊理ちゃんを目の前で救けられなかった事を後悔していた分、今度こそ救けようと覚悟を決めている筈だ。

 

そんな2人を見て、俺も壊理ちゃんと救け出す為、治崎の野望を止める為に全力を尽くす事を決意した。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

1:雄英の仮面ライダー

これから【地球(ほし)の本棚】で得た情報を元に、壊理ちゃんの救出に行ってます。

  

2:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

遂にだね。

  

3:プリキュア世界の円卓の騎士(1人)

死穢八斎會との全面戦争か。

  

4:太刀川隊の狙撃手

ライダーくん、必ず壊理ちゃんを救い出してね。

  

5:サクラギ研究所のリサーチフェロー

治崎の野望をぶっ壊してくれ。

  

6:鬼滅ごっこをやってる忍者

それと無事に戻って来てね。

  

7:雄英の仮面ライダー

はい。

それと、今回作戦は警察と連携して行くのですが、その中に一条さんも参加するみたいです。

  

8:杜王町の幽波紋使

一条刑事もか。

  

9:空座町の無下限呪術師

それは頼もしいね。

けど、一条刑事は【ノーフェイス】のリーダーを捜索中じゃなかったっけ?

  

10:雄英の仮面ライダー

実は【地球(ほし)の本棚】で得られた情報の中に、そのリーダーが治崎と面識がある事が発覚しまして、治崎を捕えればリーダーの情報を掴めるかもしれないと言う事で、前回の事件にも関わっている一条さんが作戦に合流した感じです。

  

11:メイドラゴン(幼女+ロリ巨乳)の主

>>10

マジか。

そのリーダー、治崎と顔見知りだったのか。

  

12:虚刀流のグラップラー

尚更治崎を捕まえなくちゃならねぇな。

  

13:太刀川隊の狙撃手

頑張ってね。

  

14:雄英の仮面ライダー

はい。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

時刻は午前8時30分。俺たちヒーローと警察隊は八斎會の本拠地の屋敷の前で待機していた。一条さんたち警察は各自武装し、プロヒーローたちも張り詰めた様子で突入準備している。そんな中、警官の1人が一番前に立ち、突入の手筈を確認する。

 

「令状読み上げたら"ダーッ!!"と!行くんで。速やかに宜しくお願いします!」

 

「ケッ。しつこいな。信用されてねぇのか?」

 

「集中しましょ、ロックロック」

 

「そういう意味やないやろ。意地悪やな」

 

悪態を吐くロックロックさんに近くに居たプロヒーローの1人とファットガムさんが注意する。

 

「フン!そもそもよ、ヤクザ者なんてコソコソ生きる日陰者だ。ヒーローや警察見て案外縮こまっちまったりしてな」

 

 

ガオンッ!!

 

 

「何なんですかァ?朝から大人数でェ……」

 

 

ロックロックさんの小言が言い終わるか言い終わないかのタイミングで突然、屋敷のドアが内側から殴り飛ばされ、中から巨大な男が姿を現すと、ドア付近にいた警察官数名はその衝撃で吹っ飛ばされた。

 

「助けます」

 

出久と相澤先生が吹き飛ばされた警官を救出する。唐突な敵の登場に驚くヒーローたちの目の前で、大男は暴れ始めた。

 

「おいおいおい待て待て!感づかれたのかよ!?」

 

「良いから皆で取り押さえろ!」

 

「少し元気が入ったぞー……もぉ〜〜〜〜〜何の用ですかァ!!!

 

 

「離れて!!」

 

 

大男が右手に力を入ながら拳を振り翳す。いち早く危機を察知したリューキュウさんが"個性"を発動させ、警官を守った。

 

「取り敢えず、此処に人員を割くのは違うでしょう。彼はリューキュウ事務所が対処します。皆は引き続き仕事を」

 

竜の姿へと変身したリューキュウさんはそのまま大男を地面に押さえ付ける。

 

 

「はい、今の内に!」

 

 

「リューキュウのサポート」

 

「はい!」

 

波動先輩の指示に従い、蛙吹さんと麗日さんがリューキュウさんのサポートに入る。

 

「我々はリューキュウ事務所のサポートをする!中は頼むぞ!」

 

「一条さんッ……分かりました!」

 

「突っ込むぞ!遅れるなよ、仮面ライダー!!」

 

「はい!」

 

リューキュウさんたちと一条さんたち警官数名が大男の相手をしている隙に、俺はミルコさんと共に屋敷へ突入する。

 

「俺らも行くで!2人に続け!!」

 

ファットガムさんの言葉と共に他のヒーローたちと警官たちが続々と屋敷へ駆ける。

 

「おォい、何じゃてめェら!」

 

「勝手に上がり込んでじゃねェーーー!!」

 

屋敷内の庭園には八斎會の構成員が此方に気付いた。

 

 

「ヒーローと警察だ!違法薬物製造・販売の容疑で捜索令状が出ている!!」

 

 

「知らんわ!」

 

構成員の1人が警官の言葉を無視して"個性"で庭園に植えられた松の木の葉を此方へ飛ばす。俺は実体化させたカラフルな蛍光色の変身ベルト【ゲーマドライバー】を装着し、右手に握った【マイティブラザーズXX(ダブルエックス)ガシャット】の起動スイッチ【プレイングスターター】を押す。

 

 

『MICHTYBROTHERSXX!』

 

 

「変身ッ!」

 

 

ガシャットが起動した事でゲームエリアが展開されると、俺は【マイティブラザーズXX(ダブルエックス)ガシャット】を【ゲーマドライバー】の【メインガシャットスロット】にセットさせる。

 

 

『ダブルガシャット!』

 

 

そして、【アクチュエーションレバー】を展開させる。

 

 

『ガッチャーン!レベルアップ!』

 

 

『マイティ! ブラザーズ! 2人で1人!マイティ! ブラザーズ! 2人でビクトリーX(エックス)!』

 

 

プレイヤーキャラを選択すると、俺はオレンジとグリーンのツートンカラーが特徴のSDキャラへと変貌する。

 

【ゲーム病】と呼ばれる人間に感染するコンピュータウイルス【バグスターウイルス】に苦しむ人々の笑顔を取り戻す為に闘ったドクターライダー、【仮面ライダーエグゼイド ダブルアクションゲーマーレベルX】に俺は変身した。




仮面ライダー紹介

仮面ライダーエグゼイド

レア度【LR】

出典:『仮面ライダーエグゼイド』


ヒーロー&警察vs死穢八斎會、勃発!!
地球(ほし)の本棚】で壊理ちゃんと治崎の居場所を特定したライダーくん。そして、ナイトアイを筆頭としたプロヒーローたちと警察官と共に、壊理ちゃん救出及び治崎の逮捕作戦を決行する。


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95スレ

遅くなりましたが皆さん、明けましておめでとう御座います。

2023年もよろしくお願いします。

前回の投稿の際に多くの方から応援メッセージと高評価をいただき、誠に感謝致します。目標であるお気に入り登録数4,000人もあともう少しのところまでになり、作品の評価も7.7台となりました。
目標到達までもう直ぐなり、私も頑張って投稿していきますので、これからも応援よろしくお願いします。

面白いと思いましたら、お気に入り登録&高評価お願いします。

それと100話突破しましたので、前回のアンケートより、仮面ライダーWの正統続編である【風都探偵】とのクロスオーバー作品を制作していきたいと思います。
※後書きにクロスオーバー作品のあらすじを載せときます。


「ハアッ!」

 

エグゼイドに変身した俺は、飛んで来る松の葉を躱しながら構成員たちを撃退する。

 

「邪魔するなら蹴り飛ばす!」

 

ミルコさんも豪快な蹴り技で構成員を蹴り飛ばしていた。

 

「随分可愛い姿に変身しとるな!?俺とマスコット枠被っとるで!」

 

「別に狙ってないですし、それ自分で言いますかファットガムさん!」

 

「フォルムが俺と丸被りやん!」

 

「何処がですか!?」

 

何故かライバル意識を燃やすファットガムさんに思わずツッコミをしていまった。

 

「漫才してないで奥へ!此処は俺たちが抑える!」

 

「頼みます!」

 

「我々も別れてヒーローたちのサポートだ!」

 

「「「はいッ!」」」

 

プロヒーローと警官たちが庭園の構成員の相手をしている間に、俺たちは屋敷内へと踏み込む。

 

「怪しい素振りどころやなかったな」

 

「俺ァだいぶ不安になってきたぜオイ。始まったらもう進むしかねぇがよ」

 

「何処からか情報が漏れてたのだろうか……いやに一丸となってる気が」

 

ヒーローたちが構成員たちのこれまでの動きに疑問を抱いていると、現場リーダーの刑事が否定する。

 

「それならもっとスマートに躱せる方法を取るだろ。意思の統一は普段から言われてるんだろう」

 

その言葉に続く様に相澤先生が補足する。

 

「盃を交わせば親に兄貴分に忠義を尽くす。肩身が狭い分、昔ながらの結束を重視してんだろうな。この騒ぎ……そして治崎や幹部が姿を見せていない。今頃、地下で隠蔽や逃走の準備中だろうな」

 

 

「忠義じゃねえや、そんなもん!!子分に責任押し付けて逃げ出そうなんて漢らしくねぇ!!」

 

 

子分を捨て駒にする治崎のやり方に切島が叫んだ。それを他所に、俺は廊下に掛けられた掛け軸に気づく。

 

「ナイトアイさん」

 

「ああ、此処だ」

 

ナイトアイさんは板敷きに置かれた花瓶を退かし、板敷きを押していく。すると、“ガチャっ!"と音が鳴り、壁が動き出した。そして地下通路へ繋がる入口が姿を現す。

 

「忍者屋敷かっての!ですね!」

 

「事前に知っておかないと気づかんな………ッ!!バブルガール!!」

 

 

「なァァんじゃてめエエらアアア!!」

 

 

すると入口の奥から人の気配を感じ取ると同時に、3人の構成員が現れた。

 

「1人頼む!」

 

センチピーダーさんはそう言って両腕を伸ばして構成員2人を拘束する。

 

「ハイ、ごめんね!」

 

バブルガールさんは腕からシャボン玉を発生させると、瞬時に構成員の背後に回った。そしてシャボン玉が構成員の目元で割れた事で視界を塞ぎ、動けなくなったところを拘束する。

 

「追ってこない様大人しくさせます!先行って下さい、直ぐ合流します!」

 

「分かった、行くぞ!!」

 

センチピーダーさんとバブルガールさんにその場を任せ、俺たちは隠し階段を降りて行く。

 

地下通路に到着し、最短ルートを進もうとしたその時、途中で通路が塞がっていた。

 

「行き止まりじゃねえか!!道有ったんだよな!?」

 

「説明しろよナイトアイ!」

 

情報と異なっている事に刑事とロックロックさんが叫んだ。他の皆も同様に困惑する。

 

(【地球(ほし)の本棚】の情報に嘘偽りは無い。と言う事は、向こうの"個性"で塞いだものか!)

 

「俺見て来ます!」

 

俺がそう分析していると、通形先輩が壁を【透過】ですり抜けようとする。

 

「ルミリオン先輩待って!またマッパに……」

 

「ミリオのコスチュームは彼の毛髪から造くられた特殊な繊維だ。"個性"発動に呼応し透過する様に出来ている」

 

呼び止めようとする切島に天喰先輩が説明する。そして、通形先輩は壁をすり抜けて奥を確認する。

 

「壁で塞がっているだけです!ただかなり厚い壁です」

 

「そう言う事ならぶっ壊す!!」

 

そう言ってミルコさんが壁に向かってドロップキックを放ち、塞いでいた壁を粉砕した。

 

「相変わらず猪突猛進やな!ラビットヒーローやのに!」

 

「時間が惜しい、急いで進むぞ!」

 

「ッ!?待て、これは!!」

 

壁が無くなった事で先へ急ごうとしたその時、通路全体が歪み始める。

 

「道が!!唸って変わって行く!!」

 

「治崎じゃねぇ……逸脱してる!考えられるとしたら、本部長の入中だ!」

 

「しかし!規模が大き過ぎるぞ。奴が"入り"、"操れる"のはせいぜい冷蔵庫程の大きさの筈だ!」

 

「かなりキツめに"個性"ブーストさせれば、無い話じゃないが……モノに入り自由自在に操る"個性"……【擬態】!地下を形成するコンクリに入り込んで"生き迷宮"となってるんだ!!」

 

どんどん歪んでいく地下通路に、俺たちはその場を動けないでいた。

 

「何かに化けて来るとは注意しとったが、まさかの地下!イレイザー、これ消せへんのか!」

 

()()を視ないとどうにも……」

 

"個性"を抹消出来る相澤先生の視界に映らない限り、この歪みを止める術が無い事に次第に皆が焦り始める。

 

「道を作り変えられ続けたら……目的まで辿り着けない……その間に向こうは幾らでも逃げ道は用意出来る。即座にこの対応判断……ああ、ダメだもう……女の子を救い出すどころか俺たちも!!」

 

後ろ向きな発言をする天喰先輩にミルコさんがキレる。

 

「お前ウジウジうるせーぞ!!それでもヒーローか!!」

 

「ヒィッ!?」

 

 

「環!!」

 

 

怯える天喰先輩の肩を通形先輩が掴んだ。

 

「そうならないし、お前は!サンイーターだ!!」

 

「ミリオ……」

 

「そして!!こんなのはその場凌ぎ!どれだけ道を歪めようとも目的の方向さえ分かっていれば……()()行ける!!

 

天喰先輩を勇気付けた通形先輩は歪み続ける通路を走る。

 

「ルミリオン!」

 

「先輩!」

 

「スピード勝負、奴らも分かっているからこその時間稼ぎでしょう!先に向かってます!!」

 

歪む壁をすり抜けて、通形先輩は先は進んだ。

 

「中々生意気な奴だな!!私たちも行くぞ!入中が操れる範囲と発動速度も限界はある。脱兎の如く駆け抜けて振り抜くぞ!!」

 

「はい!」

 

俺はミルコさんと共に通形先輩を追い掛ける。

 

だが、しかし───

 

走り出そうとした瞬間、俺たちの足場に大きな穴が出現した。

 

「何!?」

 

「ミルコさん!!」

 

俺は瞬時にミルコさんの手を掴んでジャンプし、空中にチョコブロック状の足場を形成してその場に踏み留まる。しかし、ナイトアイさんや出久たちはそのまま下へ落下した。

 

穴が塞がると、通路の歪みが止まった。

 

「不味いですね、歪みは止まりましたけど皆と分断させられた……」

 

「チッ、考えんのは後だ。今なら先へ行ける!!ルートは頭に入ってるな!」

 

「ッ!勿論です!!」

 

「我々も同行します!」

 

俺はミルコさんと警官隊と共に()()()()()()に沿って歪んだ通路を進んで行く。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

ヒーローたちが地下へ突入する直後。八斎會若頭である治崎は部下のクロノ、そして壊理を連れて通路を進んでいた。

 

「騒がしいな……ちゃんと役に立ってるのかアイツらは……」

 

「言いたかないですが……八斎會は終わりですね」

 

「組長と俺さえ居れば八斎會は死なない。子分の殆どは組長派で俺の考えに付いて来やしない。俺こそが誰よりも組長の意志を尊重しているのにな」

 

そう言って、治崎は上着のポケットから小さめのケースを2つ取り出した。

 

「……この"完成品"と"血清"さえあれば、極道(俺たち)を再び返り咲く事が出来る。それに、今回の件は良い話のネタになる。"ヒーローが恐れる薬"、奴らが好む響きだ。喜んで出資してくれるさ」

 

治崎は少し顔を後ろに振り返って()()()()()()()()に命令する。

 

 

「──と言う訳で、少しは働け出向組」

 

 

「はーーい」

 

「任せとけ、オーバーホール」

 

治崎たちの後ろに立っていたのは、(ヴィラン)連合のメンバーであるトガヒミコとトゥワイスだった。

 

「それとお前もだ。払った報酬分キッチリ働けよ……豪田(ごうだ)

 

「はいはーいィ。分かってるよォ」

 

そしてトガたちの隣には、【ノーフェイス】のリーダーである男──豪田が気怠げな声で返事をした。




※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=285887&uid=202117



《連載予定の外伝のあらすじ》


(ヴィラン)連合との戦いから3年───

プロヒーロー【仮面ライダー】として平和を守り続ける来太は、別の世界へと迷い込む。

「あれは……風都タワー?」

其処は、風の街【風都】。

風都を彷徨う来太の前に現れたのは、風都を愛し、風都を守る男。

「道に迷ったのか?なら、俺が案内してやるよ。風都は俺の庭だからな」

「貴方はッ……!?」

「俺の名は左 翔太郎

「この街、風都を愛する……探偵さ」

ハードボイルドを自称する私立探偵【左 翔太郎】。

「魔女、ですか?」

「ああ。最近、突然現れてな。俺は依頼でその魔女を探している」

翔太郎の魔女探しに協力する事になった来太。

そして、翔太郎と来太は魔女【ときめ】に出会う。

「……あんた、半人前だね。探偵の半人前」

「何度も言うな!俺はな、"半熟"とか"半端"とか、"半"の付く言葉が大嫌いなんだよ!!」

「落ち着いて下さい、翔太郎さん。貴方が乱されてどうするんですか」

ときめに翻弄される翔太郎と、そんな翔太郎を宥める来太。

しかし、魔女探しの裏では不穏な影が潜んでいた。

「バラバラの遺体……()()()()()()

(ガイアメモリ……ドーパントか)

「この事件、ときめがドーパントの正体でほぼ間違いない」

翔太郎の相棒【フィリップ】は、ときめがドーパントだと推理する。

「来太、お前もときめがドーパントだと思うか?」

「……確かに、彼女は普通の人とは違うかもしれません。けど、俺は彼女が人殺しの犯人だと思えません。それは翔太郎さんも同じじゃないですか?」

「ハッ、言うじゃねぇか。なら、確かめに行こうぜ。その真実を!」

「はい!」

事件の真相を暴く為に、翔太郎と来太はときめの元へ向かう。

そして、来太たちの前に怪人【ドーパント】が現れる。

「逃げろ、来太!」

「いえ、逃げません。今戦えない翔太郎さんの代わりに、俺が戦います」

「だって、俺……ヒーローですから」


『SET』


「変身ッ!」


そして、来太は【仮面ライダー】に変身する。


『MAGNUM』


『READY FIGHT』


「さあ、此処からがハイライトだ」


『風都に迷い込んだ白狐』 連載決定


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96スレ

第102話を投稿します。

別作品も無理しない程度に連載を続けていきますので、よろしくお願いします。

あと全く関係ない話になりますが、FGOのガチャで新しく実装されたニトクリス・オルタが来てくれました……諭吉さん2人が犠牲になりましたが。


※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=292278&uid=202117


「此処を左です、ミルコさん!」

 

「分かった!」

 

入中の"個性"によって出久たちと分断された俺とミルコさんは、残った警官隊の皆さんと共に先へ進んで行く。通路は歪んでいるが俺は目的までのルートを頭に叩き込んでいる為、方向を間違えない限り問題無い。

 

ミルコさんと協力して障害物を壊しながら何とか進んでいると、正面から複数の足音が聞こえ出した。

 

「止まって貰おうか、ヒーロー。それに警察」

 

「人様のシマ荒らしてんじゃねぇぞ!」

 

現れたのはペストマスクを被った構成員の男たちだった。

 

「ハッ!生憎お前たちに用は無い!邪魔するなら蹴り飛ばすぞ!」

 

 

「やってみろヤァァァ!!」

 

 

「行くぞ!」

 

「はい!」

 

号令と共に俺はミルコさんと共に駆ける。

 

「オラァッ!」

 

ミルコさんが先制攻撃で構成員の1人に目掛けて蹴りを放つ。しかし、構成員は紙一重で上体を捻って回避した。

 

「洒落臭せェ!!」

 

ミルコさんは立て続けに蹴り技を繰り出すも、構成員は紙一重で避け続ける。

 

「無駄だ。如何に鋭い攻撃を繰り出そうとも、俺には掠りもしない」

 

「舐めんな!」

 

構成員は涼しい顔で忠告するも、ミルコさんは無視して攻撃を続ける。しかし、ミルコさんが繰り出した攻撃は悉く回避されていた。

 

(並の回避能力じゃない、何かタネがあるのか?)

 

「余所見とか余裕かぁ!?」

 

もう1人の構成員が両手からテニスボール程の大きさのある鉄球を持つと、それを握る。すると、鉄球はまるでゴムボールの様に潰れていく。

 

「そらァ!!」

 

構成員は握り潰した鉄球を投擲する。だが、投げられた鉄球の速度は然程速く無く、俺は難なく避けた。

 

しかし、鉄球は歪んだ天井にぶつかると、スーパーボールの様に跳ね返った。

 

「ほらほら!まだまだ行くぞ!」

 

鉄球男は続けて鉄球を握り潰して投擲する。鉄球は通路内で繰り返す様に跳ね返り、次第にスピードを増して行く。どうやら鉄球を投げた構成員は触れたものを柔らかくする"個性"の様だ。

 

「クッ」

 

「チィッ、面倒な"個性"だな!」

 

スピードが増す鉄球を、俺とミルコさんは何とか回避するも、後ろの警官隊は陣形を組んでパシティック・シールドで鉄球から身を守っていた。

 

「おいおい!防戦一方になってんぞヒーロー!威勢が良かったのは最初だけかァ!!」

 

「そんな事よりお前、こっちにも鉄球が飛んで来てるぞ。投げるならちゃんと狙え」

 

「煩え!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「避けるこっちの身にもなれ。無駄に疲れるんだ」

 

自身に飛んで来る鉄球を寸前で躱しながら相方を嗜める回避男の様子を見て、俺は鉄球を避けながらミルコさんに質問する。

 

「すみませんミルコさん、1つ確認して良いですか!」

 

「こんな状況でか!?何だ!」

 

「あの男と闘っていた時、相手はミルコさんの攻撃が視えてましたか?」

 

「ああ?……そう言えばアイツ、私の攻撃を()()()()()()()()()()()()。多分視えてたワケじゃねぇと思う」

 

ミルコさんの返答を聞いて、俺は確信した。

 

「ミルコさん、おそらく相手の"個性"は()()()()です」

 

「反射神経?いきなり物が飛んで来て目を瞑る的なヤツか?」

 

「はい。相手が予測で避けているのならギリギリまで動かないのは不自然です。つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。相手はミルコさんの攻撃を反射的に避けている事になります」

 

「成る程な!それならッ」

 

俺の仮説に納得したミルコさんは、今まで以上の速度で一直線に回避男に向かって疾走する。

 

「馬鹿が!鉄球地獄の餌食になりやがれ!!」

 

鉄球男は更に鉄球を追加で投擲する。

 

 

『ガッチョーン』

 

 

俺は【ゲーマドライバー】の【アクチュエーションレバー】を閉じる。すると【ゲーマドライバー】から待機音声が鳴り出した。

 

 

「だーーーーい変身!」

 

 

そして、俺は再び【アクチュエーションレバー】を展開する。

 

 

『ガッチャーン!ダブルアップ!』

 

 

『俺がお前で!お前が俺で!マイティ!マイティ!ブラザーズX(ダブル)X(エックス)!』

 

 

【ダブルアクションゲーマーレベルX】のボディがパージされ、中からオレンジ色とエメラルドグリーン色の2人のエグゼイドが姿を現した事で、俺はレベルXからダブルアップした姿【仮面ライダーエグゼイド ダブルアクションゲーマーレベルXX】にレベルアップした。

 

「行くよ、()()!」

 

「任せろ、()!」

 

エメラルドグリーン色のエグゼイド【ダブルアクションゲーマー レベルXX L】の俺に、オレンジ色のエグゼイド【ダブルアクションゲーマー レベルXX R】のオレ()が頷く。そして、2人同時にジャンプした。

 

「ハアッ」

 

「オラッ」

 

それぞれチョコブロックを破壊し、ブロック内に隠れてた【エナジーアイテム】をゲットする。

 

 

『高速化』

 

 

『高速化』

 

 

高速化の【エナジーアイテム】をゲットした俺とオレはチョコブロックを足場にして巧みにジャンプする。

 

「先ずはオレからだ!」

 

 

『ガシャコンキースラッシャー』

 

 

オレ()が専用武器【ガシャコンキースラッシャー】を取り出すと、空中をスローで飛んでいる鉄球を打った。打った鉄球はゴムボールの様に形状を変えて方向を変える。

 

「使え、俺!」

 

「ありがとう!」

 

オレ()から投げ渡された【ガシャコンキースラッシャー】を掴み、俺も別の鉄球を打ち抜く。

 

すると、それぞれ打った鉄球が他の鉄球とぶつかり合い、ビリヤードのボールの様に互いに衝突する。そして、最後に衝突した2つの鉄球が投げた鉄球男本人へ向かって飛んで行き、鉄球男の右肩と腹部に被弾した。

 

「ゴブォッ!?」

 

鉄球自らの鉄球を喰らった鉄球男は勢い良く背中から地面に倒れ込み、そのまま気を失った。

 

「おい、何をやっている!」

 

「そっちも無視してんじゃねぇぞ!!」

 

倒れた鉄球男に意識を向ける回避男にミルコさんが迫る。

 

「無駄だ。何度やっても結果は──」

 

「いいや!変わる!」

 

間合いに入ったミルコさんは突然跳躍し、天井を利用した立体機動で背後に回り、両脚で回避男の首を挟み込む。

 

「何!?」

 

 

月頭鋏(ルナティヘラ)!!」

 

 

ミルコさんは後方へ捻じり込みながら、挟み込んだ回避男の頭地面に叩きつける。プロレス技で言うところの【フランケンシュタイナー】であった。

 

「ば……かな……」

 

「最高速度のまま直前で動きを変えられたら反射で避ける事は出来ねぇだろ。それに、生き物は背後からの攻撃に弱い!ま、私は違うがな!!」

 

気絶寸前の回避男に向かって、ミルコさんは勝ち誇った表情で笑った。




※今後の活動について【活動報告】に新投稿してますので、少しでも興味がありましたらご覧になって下さると幸いです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=292278&uid=202117


オリキャラ紹介

鉄球男(仮名)

個性:【軟体】
"個性"説明
触れた物を柔らかくする"個性"。但し、生物は例外。


回避男(仮名)

個性:【反射神経】
"個性"説明
物凄い反射神経の"個性"。鍛えれば鍛える程感度が上がる。


次回 『刺客、動く』
そしてライダーくんのレベルはマックスに到達する。


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