官能小説の世界に転生したらお隣さんが陵辱される直前の母娘だった件 (青ヤギ)
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お隣の母娘が陵辱されると知っておきながら黙って見てるワケないよなぁ?

※本作の掲示板は転生者限定の脳内ネットワークによる思考に直結した特殊な掲示板です。


1:名無しの童貞

官能小説の世界に転生してしまったようです

 

2:名無しの転生者

やったじゃん

 

3:名無しの転生者

は?

くっそ羨ましいんだが

 

4:名無しの転生者

楽勝で童貞卒できるじゃん

おめ

 

5:名無しの転生者

次から『名無しのプレイボーイ』って名乗らないとな

 

6:名無しの転生者

官能小説の世界とか転生ガチャの中でも超SSRじゃん

 

7:名無しの転生者

それな

 

8:名無しの転生者

いちいちフラグ建てなくても成り行きで本番行けそうだもんな

 

9:名無しの転生者

こちとらヒロインと出会って本番行くまで5年かかったんやぞ?

羨ましい限りだな

 

10:名無しの転生者

5年は草

 

11:名無しの転生者

5年は辛いwww

 

12:名無しの転生者

その腰の得物は飾りか?

 

13:名無しの転生者

ぶっちゃけ異世界に転生して魔王倒すよりエロいことできる世界のほうがいいよな?

 

14:名無しの転生者

マジでそれ

 

15:名無しの転生者

こんな過酷な剣と魔法の世界よりも抜きゲーの世界に転生したかったです……

 

16:名無しの転生者

頭空っぽにしてエロいことヤリたい放題な抜きゲーって実は神世界だったんだなって……

 

17:名無しの転生者

いくらチートで無双しようが女とヤレないんじゃ宝の持ち腐れなんだワ

 

18:名無しの転生者

わりと硬派な世界だから女のガードが固いんだよね……

 

19:名無しの転生者

誰だ「異世界なら余裕でハーレムできる」って言ったヤツは

貞操観念ぜんぜん緩くねえぞ

 

20:名無しの転生者

そもそも前世で非モテ童貞だったヤツが転生して女に急にモテるかっていう

 

21:名無しの転生者

やめろ

 

22:名無しの転生者

それ言っちゃおしめぇよ……

 

23:名無しの転生者

つくづくイッチが羨ましいな

さぞ美人でおっぱいのデカイ色っぽい女で溢れてるんだろその世界?

 

24:名無しの童貞

>>23

せやな

やたらと綺麗でスタイル抜群なエッチな女の人多いなぁと思ってたけど

まさか官能小説の世界だったとは驚いた

どこもかしこも巨乳のお姉さんばっかりなワケだ

 

25:名無しの転生者

マジでうらやま

 

26:名無しの転生者

道歩く女の人みんなバインバインに揺らしてるんやろな

 

27:名無しの転生者

すみません

ちょっとお手洗いに

 

28:名無しの転生者

( ゚∀゚)o彡゚ オッパイ オッパイ

 

29:名無しの転生者

で?

まさか自慢するためだけにスレ建てたワケじゃないだろうな?

 

30:名無しの転生者

イッチの発言からすると最近になって転生先がどういう世界かわかった感じ?

 

31:名無しの童貞

>>30

ですです

それでちょっと困ってるんです

 

32:名無しの転生者

なんだ?

女の喜ばせ方か?

 

33:名無しの転生者

安心しろ

お前がいる世界は官能小説なんだ

ノリと勢いでもきっとアンアン鳴いてくれるさ

 

34:名無しの転生者

ところでイッチのいる官能小説の世界ってどんなジャンル?

義母もの?

女教師もの?

未亡人もの?

 

35:名無しの転生者

確かにそこは重要だ

詳細希望

 

36:名無しの転生者

JSものだったら是非詳しく実況してくれ

 

37:名無しの転生者

もしもしポリスメン?

 

38:名無しの転生者

ガチロリはちょっと……

 

39:名無しの転生者

若い女ならやっぱJKが食べ頃よ

 

40:名無しの転生者

JKも本来アウトなんだよなぁ……

 

41:名無しの転生者

まあイッチがいる世界は官能小説なんだしその辺の貞操観念はゆるゆるだろうな

 

42:名無しの転生者

で?

結局どんなジャンルなん?

 

43:名無しの童貞

えーと非常に言いにくいんだが……

 

義母とその連れ子の三姉妹を鬼畜息子が陵辱する類いのヤツです

 

 

44:名無しの転生者

マジで鬼畜で草

 

45:名無しの転生者

陵辱系かぁ……

 

46:名無しの転生者

親娘丼姉妹丼キター!

 

47:名無しの転生者

二度おいしい

 

48:名無しの転生者

うわー

つまりイッチこれから原作どおり陵辱する気なわけだ

最低~

 

是非詳しく実況してくれ

 

49:名無しの童貞

いや違うんだ!

そもそも俺、原作主人公じゃないし!

 

50:名無しの転生者

は?

 

51:名無しの転生者

どゆこと?

 

52:名無しの転生者

生前読んでた官能小説の竿役に転生したのを最近自覚して相談してきたと違うんか?

 

53:名無しの童貞

違う

俺はただのお隣さん

 

54:名無しの転生者

お隣さんは草

 

55:名無しの転生者

イッチただのモブじゃんwww

 

56:名無しの転生者

そうか、わかったぞ

つまりイッチは隣に住むエロエロな母娘を鬼畜息子よりも先に味見するつもりなんだな

 

57:名無しの転生者

寝取られやんけー!

 

58:名無しの転生者

寝てから言え

 

59:名無しの転生者

イッチ最低ー

 

60:名無しの童貞

待て待て!

話を勝手に進めないでくれ!

違うんだ、俺は隣の親子を鬼畜息子から助けたいんだよ!

 

61:名無しの転生者

は?

 

62:名無しの転生者

えーと

つまりイッチは原作展開を阻止しようとしてるの?

 

63:名無しの転生者

なるほど

つまり鬼畜息子から華麗に助けたところでフラグ建築

惚れさせておいしく母娘姉妹丼するって算段やな

 

64:名無しの転生者

犯される前に犯す……ってコト!?

 

65:名無しの童貞

いやいやいや!

本当にただ助けたいんだってば!

このまま放っておいたら隣の親子冗談抜きで酷い目にあうんだぞ!?

 

66:名無しの転生者

どんだけエグい内容なんだよ原作

 

67:名無しの童貞

刺激欲しさで試しに読んだら三日間鬱状態になった

そんぐらいエグい

 

68:名無しの転生者

かわいそうなのは抜けないイッチだったか……

 

69:名無しの転生者

愉悦部の素質は無いようだな

 

70:名無しの転生者

無くてええわそんな素質

 

71:名無しの童貞

純愛系じゃ物足りなくなって、つい冒険しようとした俺がバカだったんだ

 

72:名無しの転生者

ああ~……

 

73:名無しの転生者

少しわかる

 

74:名無しの転生者

イチャラブだけだと刺激が足りなくなるんだよな

で、普段触らないジャンルに手を伸ばして後悔するまでがセット

 

75:名無しの転生者

刺激が欲しいか?

そんな君に異種姦ものをオススメしよう

 

76:名無しの転生者

いきなりマニアックなものを押しつけるな

 

77:名無しの転生者

は?

異種姦は一般性癖だが?

 

78:名無しの転生者

触手産卵最高だが?

 

79:名無しの転生者

いや、触手はいいが産卵はないわ

 

80:名無しの転生者

>>79

屋上行こうぜ

久しぶりにキレちまったよ

 

81:名無しの転生者

性癖バトルは余所でやってくれ

 

82:名無しの転生者

とりあえずイッチ

もうちょっと詳細を教えてくれ

でないとアドバイスできるものもできん

 

83:名無しの童貞

>>82

すまない詳しくまとめる

 

俺は高校入学を機にマンションでひとり暮らしを始めた

で、お隣の部屋の名字が見覚えのある名前で、いざご挨拶に窺ってみたら

生前読んだ官能小説の登場人物たちとご対面したってワケ

 

84:名無しの転生者

高校生でひとり暮らしか

よく親が許してくれたな

 

85:名無しの童貞

特待生になって学費免除になったらひとり暮らしさせてもらう約束だったんだ

前世はなにかと親に頼りっぱなしだったし

今世はなるべく早く自分のことは自分でできるようになりたいと思ってさ

 

86:名無しの転生者

イッチ普通に優秀で草

 

87:名無しの転生者

偉すぎる

お前らも見習え

 

88:名無しの転生者

お、俺だって神転チートで異世界に貢献してるしー

 

89:名無しの転生者

ちゃんと努力チートしろ

 

90:名無しの童貞

で、そのお隣の家族構成だが

 

北欧系外人の母(おっとり系の若妻)

 

その連れ子であるハーフの三姉妹

上から

16歳の高校生(真面目でツンデレ気味な清楚系)

14歳の中学生(からかい上手なスポーツ少女)

11歳の小学生(ちょっと不思議ちゃん。お人形さんみたいに可愛い。天使)

 

で、問題の鬼畜息子な

 

91:名無しの転生者

北欧系のハーフだと!?

 

92:名無しの転生者

金髪か!? それともブロンドか銀髪か!?

 

93:名無しの童貞

それぞれ微妙に色合いが異なるが

一応女性陣、全員銀髪で碧眼だな

 

94:名無しの転生者

銀髪碧眼キター!

 

95:名無しの転生者

ソシャゲでもそうだけど銀髪って人気だよね

 

俺も大好き!

 

96:名無しの転生者

義母 JK JC JS(全員銀髪碧眼)

隙の無い布陣だな

 

97:名無しの転生者

うーん

実に官能小説

 

98:名無しの転生者

ところでスリーサイズは?

 

99:名無しの転生者

うむ

重要な情報だ

 

100:名無しの転生者

詳しく聞かせてくれたまえ

 

101:名無しの童貞

聞かれるかと思ったよ!

あいにくだがバストサイズしかわからんぞ

原作情報によれば確か……

 

母  B110 M cup

長女 B105 L cup

次女 B98 K cup

三女 B83 F cup

 

だったはず

実際……うん、すごいデカかった

 

102:名無しの転生者

デカすぎるッピ!

 

103:名無しの転生者

巨乳どころか爆乳やんけ!

 

104:名無しの転生者

銀髪碧眼な上に爆乳な母娘姉妹

最高かよ

 

105:名無しの転生者

いやいや三女ちゃんJSなのに発育良すぎでしょ

 

106:名無しの転生者

ツルペタじゃないJSとか……

 

107:名無しの転生者

なんでやロリ巨乳最高やろ!

 

108:名無しの転生者

これは陵辱する

 

109:名無しの転生者

誰だってしたくなる

俺だってしたくなる

 

110:名無しの童貞

しないんだってば!

とにかく俺はこの親子が酷い目にあう前に何とか助けたいんだ!

 

111:名無しの転生者

もういっそ混ざっちゃえば?

 

112:名無しの転生者

せやせや

鬼畜息子と一緒と楽しんでしまえ

 

113:名無しの童貞

イヤだよ!?

原作の主人公マジでサイコパスなやばいヤツなんだって!

 

114:名無しの転生者

大袈裟だな~

陵辱って言ったってべつにリョナグロ的なことまでするワケじゃないんだろ?

 

115:名無しの童貞

するんだよ

 

116:名無しの転生者

は?

 

117:名無しの転生者

は?

 

118:名無しの転生者

は?

 

119:名無しの童貞

ただ単に調教するだけの内容なら俺も寝込んだりしなかったさ

まさか針金や刃物を使って身体や腕を……

 

120:名無しの転生者

言うなイッチ

悪かった

なんとなく察した

俺たちが悪かった

 

121:名無しの転生者

ガチリョナは、さすがにちょっと……

 

122:名無しの転生者

こりゃ、イッチが正しいな……

 

123:名無しの転生者

何とかせねばな

 

124:名無しの転生者

イッチにとってはもうフィクションでなくリアルだもんな

 

125:名無しの転生者

そら助けるわ

 

126:名無しの童貞

わかってくれたか

というわけで知恵を貸してほしい

 

127:名無しの転生者

とりあえずそっちの旦那さんに頼ることはできんのか?

自分の息子のことだし何とか力を貸してくれるかも……

あっ、もしかして……

 

128:名無しの童貞

残念だが旦那さんはちょっと前に病死している設定なんだ

再婚して間もなくな

俺はちょうどその頃に引っ越してきた

もうちょっと早く引っ越してくれば、病気のこと伝えられたかもな……

 

129:名無しの転生者

あちゃ~

他の男の影はなるべく消す

官能小説あるあるだな

 

130:名無しの転生者

てか本当に病死なのか?

息子が怪しすぎるんだが

 

131:名無しの転生者

それは俺は思った

 

132:名無しの童貞

原作ではそこまで明確に描写されていないが……

ヤツならやりかねない

 

133:名無しの転生者

どんだけやばいヤツなんだよ……

 

134:名無しの童貞

この鬼畜息子

ずっと引きこもりで妄想癖の多い危険人物だったんだが

父親が再婚し、その母と娘たちがあまりに美しいことから屈折してた欲望が爆発する

そして父親の死をきっかけに陵辱の計画を練って実行に移そうとしている

 

135:名無しの転生者

やばいやばいやばい

 

136:名無しの転生者

早く止めなければ

 

137:名無しの転生者

でもどうするよ?

警察に言ったところで動いてくれんだろ

 

138:名無しの転生者

事件起きてからじゃないと基本動かんからな~

 

139:名無しの童貞

とりあえず長女とは同じ学園だから一緒に登校するついでに危険な兆候がないか聞いてる

 

140:名無しの転生者

さり気なく打ち解けてて草

 

141:名無しの転生者

やるなイッチ

 

142:名無しの童貞

いまのところ鬼畜息子は引きこもってばかりでロクに顔を見せないらしい

姉妹ともども不気味がってるな

 

143:名無しの転生者

実際、超危険人物が家に住み着いているわけだからなぁ

 

144:名無しの転生者

なんか決定的証拠があれば通報できそうだが

 

145:名無しの転生者

せやカメラを設置しよう

風呂場とトイレとかにも念入りにな

ちゃんと映像リンクを貼るんだぞ

 

146:名無しの童貞

できるかボケ!

 

147:名無しの転生者

とはいえ何か対策しないとリョナグロルート直行やぞ

 

148:名無しの転生者

このままでは俺の銀髪爆乳JCちゃんが……

 

149:名無しの転生者

>>148

お前のものじゃないんだよなぁ

 

150:名無しの転生者

とりあえずさ

姉妹たちと打ち解けてるならイッチから自衛を呼びかけるしかないんじゃないか?

 

151:名無しの童貞

それは俺もちょっと考えたが……

原作通りに進むなら、やつの最初のターゲットは末っ子のJSちゃんのはずだ

さすがにこんな小さな子に自衛は難しくないか?

 

152:名無しの転生者

最初に非力なロリっ娘を狙うだと!?

なんて羨ま……卑怯な!

 

153:名無しの転生者

小学生は最高だぜ! ってか!?

羨ま……許さん!

 

154:名無しの転生者

ならアレだ

その子に防犯ブザーを持たせるんだ

何かあっても鳴らした瞬間に家の人間が動けるし、隣に住んでるイッチも気づくだろ

 

155:名無しの転生者

それだ

 

156:名無しの転生者

>>154

これは有能

 

157:名無しの転生者

問題はその子がいざというとき怖がらずにブザーを鳴らせるかだが……

 

158:名無しの童貞

いや聞き分けの良い素直な子だし、歳のわりにしっかり者だからたぶん大丈夫だと思う

ありがとう

とりあえず防犯ブザーを買って渡してみる

 

159:名無しの転生者

ヨシッ!

 

160:名無しの転生者

武運を祈る

 

161:名無しの転生者

鬼畜野郎から美人銀髪母娘を守るんだ!

 

 

 

 

 

  ──数日後……

 

 

 

262:名無しの童貞

ブザーが鳴った!

 

263:名無しの転生者

急げー!

 

264:名無しの転生者

末っ子ちゃん無事でいてくれー!

 

265:名無しの転生者

イッチがんばれー!

 

 

 

 

266:名無しの転生者

おいおい、どうなった?

結構時間経ったぞ?

 

267:名無しの転生者

イッチ無事か!?

 

268:名無しの転生者

姉妹たちの処女も無事か!?

 

269:名無しの転生者

>>268

黙ってろ

 

 

 

270:名無しの童貞

ミッションコンプリート

 

 

271:名無しの転生者

やったぜええええええ!

 

272:名無しの転生者

イッチ!

信じていたぞ!

 

273:名無しの童貞

間に合って良かった

いざというときのために肉体を鍛えておいて正解だった

 

274:名無しの転生者

それで鬼畜息子は?

 

275:名無しの童貞

いまパトカーに乗せられていった

ブザーが鳴ったら錯乱しだしたらしくてな

包丁を取り出して暴れ始めたところを俺が殴って止めた

 

276:名無しの転生者

イッチつえー

 

277:名無しの転生者

転生者の鑑やな

 

278:名無しの転生者

これは漢

 

279:名無しの童貞

姉妹も奥さんも皆無事だ

本当に良かった

 

280:名無しの転生者

ひと安心やな

 

281:名無しの転生者

よかった、俺の巨乳JSちゃんの純潔は守られたか……

 

282:名無しの転生者

>>281

こいつもついでに連行してもらおう

 

283:名無しの童貞

なんにせよ最悪の事態を回避できて本当に良かったよ

ありがとう皆

 

284:名無しの転生者

ええんやで

 

285:名無しの転生者

美人な母娘をこれからも見守っておくれ

 

286:名無しの転生者

そしてあわよくばグフフな関係になって詳しく実況してくれ

 

287:名無しの転生者

うむ

報酬はそれで

 

288:名無しの童貞

しないっての!

 

289:名無しの転生者

ええ~?

 

290:名無しの転生者

せっかく官能小説の世界に転生したのにイッチは満喫する気ないのか?

 

291:名無しの童貞

いやー俺もそういう期待は無いわけじゃないけど……

この親子はもうそういう目で見れないというか……

原作読んでる分どうしても「かわいそう」という気持ちが先行してしまうんだよな……

 

292:名無しの転生者

ああー……

なんとなくわかる

 

293:名無しの転生者

かわいそうなのは抜けない

 

294:名無しの童貞

このまま穏やかに仲良く暮らしてほしいって気持ちのほうが強いんだよね

まあ男手が必要なときは喜んで力を貸すつもりだが

今後も良いご近所づきあいをしていくのが最適解だと思うわ

 

295:名無しの転生者

銀髪爆乳母娘姉妹を後方から見守るイッチか

 

296:名無しの転生者

それもまた良い

 

297:名無しの転生者

まあ官能小説の世界ならあっちこちにエッチなお姉さんいるだろうし

 

298:名無しの転生者

ぶっちゃけ女には困らないよな

くっそ羨ましい

 

299:名無しの童貞

まあ真っ当に独り立ちできるまでは羽目を外さず堅実に生きるつもりだよ

いくら官能小説の世界といっても、ご都合主義な展開ばかり起きるわけじゃないだろうし

 

300:名無しの転生者

このイッチ本当に真面目やなー

 

301:名無しの転生者

逆にこういう性格だから官能小説の世界に転生できた可能性あるな

 

302:名無しの転生者

神様は理不尽や

なんで抜きゲーの世界に転生させてくれなかったんや

 

303:名無しの転生者

そういうこと言うからやで?

 

304:名無しの転生者

まあ何にせよイッチは立派だよ

これからもお隣さんと仲良くな

 

305:名無しの転生者

恋人できたら報告してくれな

そして行為を生々しく実況してくれ

 

306:名無しの転生者

官能小説特有の艶めかしい描写盛り盛りでオナシャス

 

307:名無しの童貞

しゃーねーな

まあここのおかげでお隣さん助けられたわけだし

無事恋人できたら実況ヤッてやろうじゃねえかよ!

 

308:名無しの転生者

ヤッたー!

 

309:名無しの転生者

イッチ愛してる

 

310:名無しの転生者

はー羨ましい

マジで夢のような世界だよなー官能小説

 

311:名無しの転生者

それな

一度でいいから行ってみたいわ

 

312:名無しの転生者

俺の世界オスしかいないから本当に羨ましいよ

今日も尻が痛いぜ

 

313:名無しの転生者

それはその……

ご愁傷様……

 

314:名無しの転生者

イッチ頼む

いざ本番になったときはマジで実況してやってくれ……

 

315:名無しの童貞

お、おう……

約束するよ……

 

 

 

 

 

   ──1年後

 

 

1:名無しの童貞

お久しぶりデス

またちょっと相談が……

 

2:名無しの転生者

官能イッチ!?

官能イッチじゃないか!

 

3:名無しの転生者

久しぶりやな~

 

4:名無しの転生者

どうした急に

 

5:名無しの転生者

さては恋人との初エッチで勝手がわからないんだな?

 

6:名無しの転生者

本番実況キタ~~~!

 

7:名無しの転生者

ケツを痛めて待っていた甲斐があったぜ

 

8:名無しの転生者

>>7

お労しや……

 

9:名無しの転生者

で、マジでどうしたイッチ?

まさかまたお隣さんにトラブルか?

 

10:名無しの転生者

あれからちょうど一年か

 

11:名無しの転生者

陵辱系小説だからな

新たな刺客が現れても不思議ではない

 

12:名無しの転生者

そんな少年誌の敵みたいにポンポン出てきたらヤだなぁ……

 

13:名無しの童貞

違う

あれ以来、特に危険人物は現れていない

平和そのものだった

 

14:名無しの転生者

なんだ、よかったじゃん

 

15:名無しの転生者

だったら何で助けを求めてくるんだ?

 

16:名無しの転生者

やはり初エッチか?

 

17:名無しの転生者

パンツ脱いだ

 

18:名無しの転生者

欲望のままに行くがよい

皆もそれを望んでいる

 

19:名無しの転生者

実況はよ

 

20:名無しの童貞

期待しているところ申し訳ないが違うんだ

いや、ひょっとしたら皆が望んでる展開なのかもしれないけど……

 

21:名無しの転生者

どゆこと?

 

22:名無しの転生者

何があったイッチ?

 

23:名無しの童貞

その、ぶっちゃけて言うと……

 

告白されました

お隣さんに

 

 

24:名無しの転生者

ファッ!?

 

25:名無しの転生者

例の北欧系銀髪爆乳に!?

 

26:名無しの転生者

爆発しろ

 

27:名無しの転生者

マジか

……まあ、鬼畜息子から助け出したことでフラグは建ってただろうしな

 

28:名無しの転生者

ホの字になっても不自然ではないが……

マジかぁ

 

29:名無しの転生者

祝ってやるよ

盛大にな

 

というわけで本番の実況はよ

 

30:名無しの転生者

で、姉妹の誰に告白されたん?

やっぱ歳の近いツンデレ系清楚JKの長女ちゃん?

 

31:名無しの転生者

俺はからかい上手なJCの次女ちゃんを推すぜ!

 

32:名無しの転生者

不思議ちゃんなロリ巨乳の末っ子であってくれ

もう息子が限界なんだ

頼む実況はよ

 

33:名無しの転生者

>>32

いやJSは流石にヤバいってば

 

34:名無しの転生者

>>33

なんでや!

官能小説の世界なんだから別にええやろ!

 

35:名無しの転生者

お前ら!

ボインボインな美少女たちが乱れる様子を見たくはないのか!?

 

36:名無しの転生者

見れねえから撮影した動画上げてけろ

重くなるからちゃんと分割してくれな

 

37:名無しの転生者

早くしてくれ

いま雪山に居るから全裸のままだと凍死してしまう

 

38:名無しの転生者

で、結局イッチは姉妹の誰に告白されたん?

 

39:名無しの童貞

全員

 

40:名無しの転生者

は?

 

41:名無しの転生者

は?

 

42:名無しの転生者

は?

 

43:名無しの童貞

全員だ

だからちょっと困ってる

どう返事すればいいのか……

 

44:名無しの転生者

いや、おま……

マジで?

 

45:名無しの転生者

三姉妹全員攻略とか……

 

46:名無しの転生者

姉妹丼コース入りました~

 

47:名無しの転生者

イッチは攻略王だった?

 

48:名無しの転生者

モブではなく真の竿役だったか

 

49:名無しの転生者

は? は?

爆乳JKと爆乳JCとロリ巨乳JSのフルコースってか?

 

50:名無しの転生者

ざけんな

羨ましすぎるぞ

 

51:名無しの転生者

選り取り見取りやんけ~!?

てかハーレムやんけ~!?

 

52:名無しの転生者

これが官能小説の世界か……

 

53:名無しの転生者

イッチの身体がもつか心配やな

 

54:名無しの転生者

亜鉛たっぷり摂るんやで

 

55:名無しの転生者

まあ待て

真面目なイッチのことだろうから真剣に返事を考えているんじゃないか?

 

56:名無しの転生者

一人だけ選ぶってか?

まあ、イッチならそうしそうだが

 

57:名無しの転生者

据え膳食わぬは男の恥やろ?

全員選べ

全員抱け

 

58:名無しの転生者

官能小説のお約束を守るんだイッチ!

 

59:名無しの転生者

実況まだー?

そろそろ氷漬けになってしまうぞー

 

60:名無しの転生者

で、イッチはいまのところ誰を選ぶつもりなんだ?

 

61:名無しの童貞

選ぶもなにも……

ダメだろ倫理的に……

さすがになぁ……

 

62:名無しの転生者

なんや?

JCやJSは倫理的にヤバいってか?

 

63:名無しの転生者

言うてそこまで歳離れてるわけじゃないし

数年経ってお互い大人になっちまえば誤差みたいなもんやろ?

 

64:名無しの転生者

せやせや

JKはもちろんのこと

JCやJSなんてあっちゅうまに大人になってしまうぞ?

だから今のうちに味見しておけ

 

65:名無しの転生者

ピッチピチの若肌を味わえるのは今だけなんやぞイッチ!?

悔いを残すな!

抱けー! 抱けー!

 

66:名無しの転生者

いいから四の五の言わず全員愛せ!

抱けー! 抱けー!

 

67:名無しの童貞

いやいや

四人全員に手を出すとか……

いくらここが官能小説の世界だからってヤバすぎだろ……

 

68:名無しの転生者

ん?

 

69:名無しの転生者

四人?

いま四人って言うたか?

 

70:名無しの転生者

あれ?

姉妹って三人のはずだよな?

四人目が生まれたとか?

 

71:名無しの転生者

一歳児が告白してきたらこえーよwww

イッチが打ち間違えただけやろ?

 

72:名無しの童貞

いや

四人で合ってるよ

 

73:名無しの転生者

は?

 

74:名無しの転生者

は?

 

75:名無しの転生者

は?

 

76:名無しの童貞

全員に告白されたって言ったじゃん

 

77:名無しの転生者

は?

 

78:名無しの転生者

は?

 

79:名無しの転生者

は?

 

80:名無しの転生者

ちょっと待てイッチ

お隣さん全員に告白されたって……

まさか……

 

81:名無しの童貞

うん

言葉通りの意味だ

 

 

 

奥さんにも告白されたんだ

「都合のいい女でいいから傍に居させて」って……

 

82:名無しの転生者

(゚Д゚)ポカーン

 

83:名無しの転生者

(゚Д゚)ポカーン

 

84:名無しの転生者

(゚Д゚)ポカーン

 

85:名無しの童貞

いやさ……

あんな事件があったわけだからさ

皆ちょっと心身共に参ってたようでさ

軽く男性不信も入りかけてたみたいだからこれはマズいと思って

でも俺なら「一緒に居ると安心できる」とのことだったんでアフターケアも兼ねようと思ってな

頻繁にお隣の部屋にお邪魔して家族同然に過ごしてたんよ

 

86:名無しの転生者

(゚Д゚)ポカーン

 

87:名無しの転生者

(゚Д゚)ポカーン

 

88:名無しの転生者

(゚Д゚)ポカーン

 

89:名無しの童貞

おかげさまで何とか四人とも元気を取り戻してくれたけど……

まさかこんなことになるとは

いや、どうも日に日に四人の俺を見る目が熱くなっていったのは気になってはいたが

 

90:名無しの転生者

(゚Д゚)ポカーン

 

91:名無しの転生者

(゚Д゚)ポカーン

 

92:名無しの転生者

(゚Д゚)ポカーン

 

93:名無しの童貞

いや、でも特別なことはしてないんだぜ?

旦那さんが居なくて心細いだろうなーと思って家事手伝ったりさ

娘たちには言えない弱音を俺の前だけでは打ち明けてもらって聞き役になったりさ

 

あと姉妹たちの勉強とか見てあげたり休日には一緒に遊びに行ったり

そういうごく普通のことしかやってなかったはずだが……

 

いや、本当に何で?

 

94:名無しの転生者

……

 

95:名無しの転生者

……

 

96:名無しの転生者

……

 

97:名無しの童貞

あんなに仲良しだった家族がギスギスな関係になるのはイヤだなと思ってたんだが……

どうやら全員で話し合ったらしくて

「みんな一緒に愛してもらいましょう」って話が纏まったらしい

マジで官能小説みたいな展開になってきた

ぶっちゃけ歓喜よりも戸惑いが大きい

どうしろってんだ?

俺前世も含めて童貞やぞ?

 

98:名無しの童貞

なあ、俺はどうすればいい?

いや好意は嬉しいがさすがにこんなのは倫理的にマズいって……

いくらここが官能小説の世界だからって言ってもな……

 

 

99:名無しの童貞

あれ?

お前ら?

 

100:名無しの童貞

誰か返事してくれ

頼む知恵を貸してくれ

こんなときはどうすればいいんだ?

 

 

 

 

 

 

101:名無しの童貞

 

……おーい???

 

 




女性キャラの体格は

乳はア○ールレーン
ウエストはワ○ピース
下半身はア○ルトリリィ

をスタンダードとしております


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傷ついた人妻を慰めただけですよ?

 前回のご指摘された部分は修正いたしました。


1:名無しの童貞

えー……

前スレが埋まりましたので新しく建てました

それでその……

 

皆様

そろそろお怒りを鎮めていただけませんか?

 

2:名無しの転生者

絶対に許さん

 

3:名無しの転生者

爆発しろ童貞

 

4:名無しの転生者

もう「童帝」と名乗ってしまえ

 

5:名無しの転生者

女の敵!

いや男の敵!

 

6:名無しの転生者

君が泣いても!

殴るのを止めない!

 

7:名無しの転生者

ああー

スレ埋まるほどに怒り散らしてもまだ足りないわ

 

8:名無しの転生者

イッチがヤンデレになった母娘に刺されますように

 

9:名無しの童貞

>>8

いやそれマジで笑えないからやめてくれ……

 

10:名無しの転生者

やかましい!

このプレイボーイめ!

 

11:名無しの転生者

竿役!

罪作り!

寝取り野郎!

 

実況はよ!

 

12:名無しの転生者

おっぺぇがデケえ銀髪碧眼の人妻と美少女三姉妹食べ放題とか……

くそっ……

くそっ!

 

13:名無しの転生者

なぜだ

なぜこうも世界は理不尽なのだ!

 

14:名無しの転生者

ちょっと転生やり直してくるわ

エロ系作品の世界に生まれるまで転生ガチャ回していく

 

15:名無しの転生者

イッチ

俺が死ぬとこ見てて

 

16:名無しの童貞

やめーや

 

というか何度も言ってるけど俺あの家族に手を出す気はないから!

 

17:名無しの転生者

まだ言ってるのかこの童貞

 

18:名無しの転生者

お前が転生した世界は何だ!?

官能小説なんだぞ!?

 

19:名無しの転生者

男なら責任をはたせ

据え膳食わぬは男の恥だぞ

 

20:名無しの転生者

抱けー! 抱けー!

 

21:名無しの転生者

氏ねー! 氏ねー!

 

22:名無しの転生者

ていうか真面目な話、そこまで倫理とか気にする必要なくない?

官能小説の世界なんだから、むしろハーレムの道を選ぶのが王道やろ

 

23:名無しの転生者

せやせや

世界そのものがイッチを祝福し、その背中を後押ししてるに違いない

女を抱け、とな

 

24:名無しの転生者

祝福を受け入れなさい

 

25:名無しの転生者

気持ちいいかイッチ!?

それが快感だ!

生きることの喜びだ!

 

26:名無しの転生者

俺はイッチだ

イッチは、俺だ

 

27:名無しの転生者

イッチ、意識を同化して一緒に母娘姉妹丼を楽しもうや

 

28:名無しの童貞

あのさぁ……

 

冷静に考えてくれ

いくらここが官能小説の世界って言ってもだよ?

いつまでもそんな爛れた関係がうまく続くとは思えないんだ

実際、どの官能小説も「その後」は描かれてないんだぜ?

「いつまでも平和に暮らしました、めでたしめでたし」

とは限らんやろ?

 

29:名無しの転生者

そりゃあね~

 

30:名無しの転生者

確かに官能小説って基本多人数プレイして快楽堕ちして締められるよね

 

31:名無しの転生者

ある意味、究極の現実逃避をして終わる作品だ

 

32:名無しの転生者

官能小説的にはハッピーエンドそのものだがな

 

33:名無しの童貞

官能小説ならな……

でも俺にとってはここはリアルなんだ

四人全員と結ばれたとして、後ろ指を指されつつ数十年生きていけるかって言うと……

ちょっと自信ないわな……

 

34:名無しの転生者

大丈夫じゃな~い?

イッチが知らないだけでそこら中ハーレム築いている連中ばかりかもしれないじゃん

 

35:名無しの転生者

官能小説の世界ではほぼ日常的な光景かもな

 

36:名無しの転生者

真剣に愛し合っていれば周りも祝福してくれる優しい世界に違いない

 

37:名無しの童貞

そんな人たち一度も見たことないけどなぁ……

ああ~マジでどうすればいいんだ~

 

38:名無しの転生者

とりあえず倫理とか常識とかは抜きにしてさ

イッチの本心はどうなん?

 

39:名無しの童貞

そりゃここまで好意向けられたら男として嬉しいけど……

前にも言ったとおりやっぱり原作のトラウマが抜けなくてさ……

あの家族をそういう目で見ようとすると罪悪感が先に来るんだよ、どうしても

 

40:名無しの転生者

リョナグロのトラウマは根深いか

 

41:名無しの転生者

アブノーマルプレイを受けたという印象を消すのは難しいか

まあイッチの活躍でその事態は回避できたが……

 

42:名無しの転生者

一度根付いたイメージって残るからなぁ……

 

43:名無しの転生者

でもよぉイッチ

相手は銀髪碧眼の美人母娘だぜぇ?

母と長女はバスト三桁越え

下の二人も将来有望な発育具合

善悪抜きに男ならよぉ

こう……

辛抱たまらなくならん?

 

44:名無しの童貞

……まあ

まったく性的な目で見てないって言ったら嘘になるが

正直毎日、目のやり場に困るし

 

45:名無しの転生者

おっぱいか

 

46:名無しの転生者

さぞブルンブルン揺れとるんやろなあ

 

47:名無しの童貞

>>46

それ

ちょっとした動作でも凄い波打つし

テーブルの上に乗っかかるんだぜ

 

48:名無しの転生者

スゴク見タイ

 

49:名無しの転生者

血涙って本当に出るんだな

 

50:名無しの転生者

なんやイッチもちゃんと人の子だったんだな

安心したで

 

51:名無しの転生者

おっぱいが嫌いな人類はいないからな

 

52:名無しの転生者

八つのデカパイに囲まれる毎日か

羨゙ま゙じずぎる゙っ!!

 

53:名無しの転生者

おっぱいは万病に効く

 

54:名無しの転生者

イッチ

難しいことは考えるな

本能に従って目の前のおっぱいを貪るんだ

 

55:名無しの転生者

そして詳しく実況してくれ

 

56:名無しの転生者

動画もオナシャス

 

57:名無しの転生者

もう叩かんから欲望のままに生きてくれ

そして5Pを実況してくれ

頼む、この通りだ

 

58:名無しの転生者

イッチは俺たちの希望だ!

 

59:名無しの転生者

おっぱいハーレム万歳~!

 

60:名無しの童貞

待て待て

話をそっちに持っていくな

どうやって返事すればいいかって相談をしてるんだってば俺は!

 

61:名無しの転生者

それならとっくに答えは出てるだろ

抱け

 

62:名無しの転生者

全員選んでハッピーエンド

大丈夫、鬼畜息子から母娘を助けたイッチならできる

 

63:名無しの転生者

己の甲斐性を信じろ!

 

64:名無しの童貞

無理だってば

だいたい奥さんとは娘と同じくらい歳離れてるんやぞ?

 

65:名無しの転生者

なんやイッチは人妻はイケないクチか?

 

66:名無しの転生者

「中学生はババアなんだよ」ってか?

 

67:名無しの転生者

じゃあロリ巨乳のJS末っ子ちゃんの一人勝ちじゃん

やったね!

 

68:名無しの童貞

ちゃうわい!

べつに奥さんに不満があるとかじゃない

ていうか恐れ多すぎるってくらい見た目若くて美人で

「マジで俺でいいんですか?」

って萎縮するレベルの良妻賢母だし

 

69:名無しの転生者

官能小説特有、歳を感じさせない美人妻か

 

70:名無しの転生者

へー

そんなに若々しくて美人なのか?

 

71:名無しの童貞

いやホント、三人も産んだとは思えない

二十代前半でも全然通じる見た目だし

初見だと間違いなく三人娘たちの姉と勘違いする

お肌も真っ白くてスベスベだし体型も崩れてない

日本語もうまいし声まで美人

しかも外資系の大企業に勤めていながら家事もきっちりこなすスーパーウーマン

マジで非の打ち所がない

 

72:名無しの転生者

ハイスペックすぎて草

 

73:名無しの転生者

これが官能小説の世界における人妻の戦闘力か!

 

74:名無しの転生者

外人は劣化が早いって聞いたが

そこはやはり官能小説の世界

女性の美貌に関してはミラクルな力が働いているわけだ

 

75:名無しの転生者

そんなハイスペックママを堕とすイッチって何者だよ

 

76:名無しの転生者

真面目にどうやって攻略したか知りたい

 

77:名無しの童貞

攻略って……

マジで特別なことはしてないぞ?

 

事件のあとの奥さん、娘たちの前では気丈に振る舞ってたけど

やっぱり旦那亡くされたばかりで、しかも息子がおぞましい計画をしてたわけだからさ

見えないところで意気消沈してたんよ

偶然その場面見ちゃったもんだから、もう居ても立ってもいられなくなって

「こんな小僧じゃ頼りないかもしれないですけど、俺に何でも言ってください」

って言ったわけさ

 

78:名無しの転生者

ん?

いま

 

79:名無しの転生者

何でもって

 

80:名無しの童貞

まあマジで何でもするつもりだったよ

これでも一応前世は社会人だったわけだし

そこら辺の高校生男子よりは愚痴に付き合ってやれるかなーと思って

あと前スレでも言ったように、女手一つじゃいろいろ大変だろうから家事とか手伝ったり

夜にはお酒のおつまみ作って話聞いてあげたりとかさ

そういう普通なことしかしてないぞ

 

81:名無しの転生者

ああー……

 

82:名無しの転生者

いやーイッチそれは……

 

83:名無しの転生者

それは奥さんコロリといってもしょうがないかもしれないで?

 

84:名無しの童貞

なんでや!?

 

85:名無しの転生者

だってねー

 

86:名無しの転生者

旦那亡くしたばかりの未亡人が心細くなってるところをねー

 

87:名無しの転生者

親切に接してくれる上に力になってくれる若い男がいたらねー

 

88:名無しの転生者

しゃーないね

 

89:名無しの転生者

イッチ

責任を取れ

 

90:名無しの転生者

お前にはその義務がある

 

91:名無しの転生者

うむ

抱いてやれ

 

92:名無しの転生者

そして実況してくれ

 

93:名無しの転生者

人妻慰めックスはよ

 

94:名無しの転生者

末永く爆発しろ

 

95:名無しの童貞

だからなんでや!?

 

 

 

 



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【薄幸人妻エレオノーラ】甦る女の貌(挿絵あり)

 私はなんて()()()()()()なんだろう。

 門原(かどはら)エレオノーラはそう自嘲した。

 

 自分が男を愛すことはもう二度とないと思っていた。

 二回だ。

 すでに二回も夫と死別しているのだ。

 愛する者を失う経験。

 もうこれ以上、同じ痛みに耐えられる自信がない。

 最愛の娘たちの前では、心配させまいとして平静を装っているが……影でエレオノーラは毎晩涙で枕を濡らしていた。

 再婚してやっと平穏な家庭を築き、娘たちと幸せに暮らしていけると思っていたのに。

 

(ああ……どうしてアナタ。どうしてこんなにも早く私たちを置いて……)

 

 最初の旦那と死別したあと、エレオノーラは女手一つで三人の娘を育ててきた。

 だがいつまでも頼りがいのある存在抜きで生きられるほど、エレオノーラも決して強かではなかった。

 それは娘たちも同じだった。

 一度は娘たちと一緒に故郷の実家に帰ることも真剣に検討した。

 だがやはり住み慣れた土地で生きるほうが娘たちにとってはいいだろう。

 再婚すべきだ、とエレオノーラは決断した。

 もちろん迷いはあった。

 だが自分と娘の将来のことを考えれば、父親はやはり必要だ。

 婚活パーティで出会った男性と親しくなり、エレオノーラは再婚した。

 成人しているにも関わらず自室にずっと引きこもっている息子がいることは少し気になったが、夫自身は誠実で真っ直ぐな人物だったからきっと再婚生活に心配はないと、そう信じていた。

 なのに……。

 

 再婚相手の死後、追い打ちをかけるように起きた、あのおぞましい義理の息子による暴走。

 警察の捜査によって見つかった、異様なまでの執念で書かれたとしか思えない数冊のノートの内容を知って、エレオノーラは身震いした。

 なんと恐ろしい。

 自分だけでなく、愛する娘たちも、あの異常な息子の毒牙にかかっていたかもしれない。

 思い出すだけでゾッとしてしまう。

 

 だがそれも、隣に住む逞しい少年のおかげで救われた。

 名を中田誠一(なかだ せいいち)という。

 

 長女の娘と同じ学園に通う特待生で、勉学スポーツともに優秀とのことだ。

 はじめて挨拶をしたときから、歳のわりにしっかりした若者だと思った。

 ……そして、どこか最初の旦那と面影が重なった。

 おかしな話だ。まったく容姿も似ていないというのに。

 だが、なんというか……纏う雰囲気が、とても高校生のものではなく、まるで成熟した大人の男性のような貫禄があったのだ。

 そう、か弱い女性を包み込み、無条件で守って癒してくれるような……。

 

 実際、彼は自分たち親子を危機から救ってくれた。

 あんな事件があったばかりで、本来なら異性を家に上げることには生理的な抵抗感が起こるはずだが……不思議と誠一相手にそういう感情が湧くことはなかった。

 それは娘たちも同様だったらしい。

 下の姉妹たちが以前から少年に懐いているのは知っていたが、男を遠ざけがちな長女までもが誠一の前ではしおらしい乙女になってしまうのは意外だった。

 

 三姉妹ともども事件による恐怖から若干男性不信に陥っていたが、誠一に対しては強い信頼をいだき、今や彼の存在が心の支えとなっているようだった。

 誠一とはまだ僅かなご近所付き合いしかしていない。

 それでも、こんな短い間に娘たちが心を許すほど、彼は頼りがいのある心優しき少年だった。

 

 エレオノーラも、彼が高校生だとわかっているのに、つい誠一に甘えてしまっていた。

 ゴミ捨て場で意気消沈しているところを偶然見られて以来、何かと自分を気にかけてくれる誠一。

 自分の代わりに晩ご飯を用意してくれたり、仕事帰りの自分を温かい笑顔で労ってくれたり、こっそり深夜に酒の肴を用意して娘の前では打ち明けられない話を、彼は真摯に聞いてくれた。

 

 酒のせいもあったが、いい歳をした大人が高校生相手に随分と情けない姿を何度も曝してしまった。

 でも、なぜか誠一と一緒に居ると、まるで同年代の男性と話しているような錯覚に陥り、ついつい普段言わない弱音を打ち明けてしまうのだった。

 そんなエレオノーラに対し、誠一は決して迷惑そうな顔は見せず、むしろますます慈悲深い心持ちで向き合ってくれた。

 

「俺みたいな小僧じゃ旦那さんの代わりになれないと思いますけど……たまには、誰かに甘えてもいいと思いますよ?」

 

 穏やかな声でそう言ってくれた誠一。

 気づけば彼の胸の中で泣いていた。

 数年間、秘め隠していたものが一気に弾けるかのようだった。

 少年の胸は広かった。

 ああ、彼も立派な男なのだと感じた

 このいっときエレオノーラはただのか弱い女となり、少年に縋り付いた。

 

 いけない。

 自分は強かな母でいないといけないのに。

 二度も父親を失い、凄惨な事件に巻き込まれかけた娘たちのためにも自分がしっかりしないといけないのに。

 なのに、ああ……

 

「ずっと、がんばってきたんですね。せめて俺の前だけでは、無理しないでください。俺でよければ、いつでも力になりますから」

 

 ダメ。ダメよエレオノーラ。

 わかってるでしょ?

 彼は娘たちにとって特別な存在。

 母親なのだから、娘の思いはとっくに察している。

 だから、こんな気持ちをいだいてはダメ。

 そうでしょ? 親子ほど歳の離れた男の子にこんな……。

 だから考えてはダメ。

 ときどきでいいから、こうして甘えさせてほしいと考えては。

 その逞しい腕でもっと強く抱きしめて欲しいと思っては。

 ダメなのに……ああ……。

 なんて、なんて安心する温もり。

 こんな気持ち、いつ以来だろうか。

 もっと、もっと欲しい。

 この一瞬だけは、どうか、強かな母でなくなることを許してほしい。

 

 エレオノーラの中で、少年の存在が強く根付いた夜だった。

 

 それ以降、エレオノーラは少年に会うたび、理性を総動員しなくてはならなかった。

 でないと、また我を忘れて縋り付いてしまいそうだった。

 

 

 

 とある日、仕事から帰宅し、先に汗を流そうと脱衣所に向かうと……ちょうど上半身裸の少年と対面した。

 

「あっ! す、すみません! さっき上着にジュースを零してしまって。洗濯機と風呂を使っていいって言われたんでお借りしようと……」

「い、いえ。私こそごめんなさい、気づかなくて」

 

 エレオノーラは火照った顔をすぐに逸らした。

 自分はいったい何を動揺しているのだろうか。

 こんな生娘みたいな反応をして。

 相手は高校生の少年だというのに。

 ……しかし、少年の肉体は日頃から鍛えられているためか、なんとも見事な筋肉で、エレオノーラはそこから強い『雄』の気配を感じてしまっていた。

 

 ドクン、と自分の中で眠っていた何かが起きようとするのを、エレオノーラは感じ取った。

 

「ごめんなさい、やっぱり自分の部屋の風呂使いますね? すぐ出ますから」

 

 そう言って慌てて汚れた衣服を着ようとする少年を、エレオノーラは気づくと手で制していた。

 

「そのままでは風邪をひいてしまうわ。お風呂はどうか遠慮なく使って。上着は洗濯しておくから」

「え? でも、お仕事でお疲れでしょ? すぐに汗を流したいんじゃ……」

「もう。べつに気にしなくていいの。あなたはもう家族も同然なんだから、好きに使っていいのよ?」

 

 まるで自分に言い聞かせるように、エレオノーラは言った。

 少年は数度逡巡したようだったが、さすがに身体が冷えてきたためか「では、お言葉に甘えて……」と頭をさげた。

 

 一度脱衣所から出て、シャワーの音が扉越しから聞こえてきたところで再び入室する。

 ジュースで汚れた上着を手に取り、洗濯機に入れようとする。

 しかし、その手はピタリと止まった。

 

 かすかに少年の温もりが残った上着。

 あの夜のことが思い出される。

 

(ダメよ。何を考えているの? こんな、こんなこと許されるわけが……)

 

 思考とは裏腹に、エレオノーラの手は勝手に動いていた。

 ジュースで汚れていようが構わず、衣服を鼻許に近づけ、すーっと息を吸い込む。

 ジュースの柑橘系の匂いと一緒に香ってくる、少年の匂い。

 ゾクリと背筋に甘い痺れが奔る。

 

「ああ……そんな、ダメよ……私……こんな……ああっ」

 

 二度も旦那を失ったあと、ずっと押し隠してきた、自分のもうひとつの一面。

 ……それが、ムクリと顔を出して起き上がる。

 

「ああ、誠一くん……私、私ぃ……」

 

 下腹部に熱が集まっていくのを感じる。

 もう二度と火は着かないと思っていた衝動。

 あるいは、自ら押し込めて封印していた本性。

 いま再び呼び覚まされた気性は狂おしいほどまでに少年の残り香を求め、若々しさが衰えない豊満な肢体に蕩けた蜜のような快感をもたらす。

 

 鏡に映った自分の顔と目が合う。

 エレオノーラは唖然とした。

 

「ああ、なんてこと。私……私ったら……」

 

 鏡に映った人妻の表情。

 それはまぎれもなく、オスを求めて発情するメスのソレであった。

 

 

 

 




■門原エレオノーラ

 T168 B110(M cup) W60 H92

 北欧系外人。日本語は流暢。
 アイスシルバー色の長い銀髪をひとつ結びにし、前に垂らしている。
 ちょっと垂れ目なおっとり系人妻。
 三児の母とはちっとも感じさせない若さ。授業参観では必ず「姉」と間違えられる。
 外資系企業に勤めながら家事も完璧にこなすスーパーウーマン。
 無自覚にフェロモンをムンムンに撒き散らしているので職場では男性が仕事にならず、女性オンリーの部署に異動させられた。
 夫を立て、どこまでも献身的に尽くす良妻賢母の鑑。しかも床上手。
 ただし不幸体質なため、なかなか報われない。
 実はかなりMッ気があり、惚れた男に物のように扱われたり、奴隷のように隷属してご奉仕したい隠れた願望があったりなかったりする。


春風駘蕩様より、エレオノーラを描いていただきました!

【挿絵表示】

これは間違いなく官能小説の人妻の貫禄!
美しい! でかい! でかい!(大事なことなので二回)


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長女ちゃんは男嫌いだった筈なんですが……

 多忙のため、ご感想にご返信できずに申し訳ないです。
 すべてに目を通して活力を頂いております。
 主人公の名前ネタに早くも察してくださる御方がとても多く、筆者としては嬉しい限りです。


500:名無しの転生者

イッチがお隣さんの爆乳母娘全員抱けばマジで話は丸く収まると思うんだけど……

ここは一応イッチの意思も尊重してそろそろ相談乗ろうか

 

501:名無しの転生者

マッマのことは一通り聞いたし今度は娘の三姉妹について聞いてくか

 

502:名無しの転生者

せやな

相談乗るにしてもさらなる詳細が必要だ

 

503:名無しの転生者

パンツの色とかな

 

504:名無しの転生者

バストサイズは把握してるからあとはWとHやな

 

505:名無しの転生者

というわけでイッチ

三姉妹の下着の色とスリーサイズ教えて?

 

506:名無しの童貞

いらんだろそんな情報!?

性格とか趣味趣向とか聞くもんじゃないの普通!?

 

507:名無しの転生者

チッ!

 

508:名無しの転生者

なんだよなんだよ~

家族同然に過ごして家事も手伝ってるんならさ~

洗濯物畳むときに姉妹の下着見て色とか種類とかとっくに把握してるんやろ~?

 

509:名無しの童貞

いやいや

さすがに洗濯物までは触れないって

それぐらいの良識はあるよ

 

510:名無しの転生者

チッ!

 

511:名無しの転生者

使えねえイッチだな~

 

512:名無しの童貞

なんでそこまで言われなければならんねん……

 

513:名無しの転生者

官能小説の世界に生まれた者の義務だろうが!

 

514:名無しの転生者

お色気イベントひとつ起こさないで何が官能小説だ!

 

515:名無しの童貞

……まあ、洗濯物を確認するまでもなく頻繁に下着は見てるけど

 

516:名無しの転生者

は?

 

517:名無しの転生者

なんだと?

 

518:名無しの転生者

下着を、頻繁に、見ている?

 

519:名無しの転生者

イッチ貴様!

やはりヤルことはきっちりヤッていたというのか!?

 

520:名無しの転生者

この野郎!

いつまでも童貞名乗ってんじゃねー!

 

521:名無しの童貞

待て待て

違うよ

ただ、その……不可抗力なんだよ

 

522:名無しの転生者

ほう……

 

523:名無しの転生者

詳しく聞こうか

 

524:名無しの童貞

そのね?

長女ちゃんと次女ちゃんの制服のスカートがね?

 

……すごいミニなのよ

だからさ、結構な頻度で見えちゃうんだよ

屈んだときとか、ソファの上で寛いでるときとかにさ

スカートの中身が

 

525:名無しの転生者

ふぅ……

 

526:名無しの転生者

>>525

はえーよ

 

527:名無しの転生者

色は!?

色は何色だ!?

 

528:名無しの転生者

後生だイッチ!

教えてけろー!

 

529:名無しの童貞

ええ~?

言わなきゃダメ?

 

530:名無しの転生者

当たり前だ!(ドンッ

 

531:名無しの転生者

ひとりだけおいしい思いをするな!

 

532:名無しの転生者

いつも相談にのってるだろ!?

それぐらいの褒美があったっていいじゃないか!

 

533:名無しの童貞

ここ最近「抱けー抱けー!」ばっかでロクなアドバイス貰ってない気がするんだけど……

それに勝手に下着の色を教えるのも良心の呵責が……

 

534:名無しの転生者

アホか!?

おっぱいのサイズ公開した時点で今更何を躊躇っとるか!

貴様はすでに罪人だ!

 

535:名無しの童貞

ソレモソウダッタ

わかった言うよ

 

……長女ちゃんは、清楚な白とか水色とか多め

デザインは花の刺繍がされたシンプルなやつ

 

……次女ちゃんはミントグリーンとかピンクが多め

フリルとか付いた意外と可愛らしいのを履いている

 

536:名無しの転生者

ふぅ……

 

537:名無しの転生者

>>536

早いっての

 

538:名無しの転生者

三女ちゃんは!?

 

539:名無しの童貞

そっちも聞くの!?

相手は小学生やぞ!?

 

540:名無しの転生者

だからこそだろ!

 

541:名無しの転生者

むしろ一番重要な情報だぞ

 

542:名無しの転生者

ハァ……ハァ……

ロリ巨乳JSちゃんのパンツぅ……

 

543:名無しの転生者

ガチなロリコンとか引くわー

 

544:名無しの転生者

通報しました

 

545:名無しの転生者

JKとJCをそういう目で見てる輩も本来ロリコンやぞ

 

546:名無しの転生者

つまり全員連行

 

547:名無しの童貞

あいにくだけど

三女ちゃんはロングスカートの私服が多いから上の二人ほどパンチラに遭遇することはないぞ

 

548:名無しの転生者

そんな……

これが絶望……

 

549:名無しの転生者

なんと

三女ちゃんはガードが固かったか

 

550:名無しの転生者

残念だったなロリコンども

 

へー

三女ちゃんはロングスカート派なんだ

小学生にしてはお洒落だな

 

551:名無しの童貞

正確に言うとゴシックロリータだな

かなり人を選ぶ服装だし、着る人間によっては痛かったりするが……

 

うん、三女ちゃんには、滅茶苦茶似合うんだわ

マジでかわいい

 

552:名無しの転生者

見たい

 

553:名無しの転生者

画像添付はよ

 

554:名無しの転生者

ゴシックロリータを着こなす美幼女!

実在していたのか!?

 

555:名無しの童貞

天使とはああいう子のことを言うんだろうな

目に入れても痛くないくらい本当に可愛くてさ~

俺のこと「お兄ちゃん」って呼んでお膝に乗って甘えてくるんだぜ?

こんな妹が欲しかった

 

……ああ、ヤバ

思い出すだけでニヤける

三女ちゃんマジ天使

 

556:名無しの転生者

イッチ三女ちゃんにデレデレやん

 

557:名無しの転生者

勝ったのは三女ちゃんでした

 

558:名無しの転生者

末永く幸せになロリコン

 

559:名無しの転生者

ゴシックロリータが似合う美幼女がお膝に……

憎しみで、人を殺せたらっ!

 

560:名無しの童貞

ロリコンちゃうわ!

純粋に可愛いと思ってるだけだし

冗談抜きで天使みたいに良い子で愛らしいんだよ

誰だって溺愛してしまうわ、あんな風に甘えられたら

 

561:名無しの転生者

これがロリコンへの入り口になるとは

イッチはこのとき思いもしなかったのです

 

562:名無しの転生者

ようこそこちら側へ

 

563:名無しの転生者

歓迎しよう

盛大にな

 

564:名無しの童貞

やめーや

 

565:名無しの転生者

ていうか本当にイッチってお隣さんと打ち解けてるんだな

距離感めっちゃ近いじゃん

 

566:名無しの転生者

彼女らにとってはガチの恩人だもんな

普通なら男と関わるのも怖くなるくらいトラウマになるだろうに

まあそれだけイッチの信頼が厚かったってことだよな

 

567:名無しの転生者

そして全員告白ルートか

おのれ攻略王め

 

568:名無しの転生者

カァーッ! 見んねースレ民!

卑しか男バイ!

 

569:名無しの転生者

日常的にJKとJCのパンチラを拝める上にロリ巨乳ゴシックロリータに甘えられるとか

万死に値する!

 

570:名無しの転生者

ていうかアレじゃね?

長女ちゃんと次女ちゃんがパンツ見せてるのワザとじゃね?

 

571:名無しの童貞

え?

 

572:名無しの転生者

あり得るな

なんなら三女ちゃんが膝の上に乗って甘えるのも、幼さを武器にしてイッチを誘惑してる可能性がある

 

573:名無しの童貞

ええ~!?

そ、そうだったのか?

 

574:名無しの転生者

だってよ~イッチ

姉妹が無防備な姿を見せるのは家の中だけなんだろ?

 

575:名無しの童貞

そりゃ、まあね……

さすがに公共の場では二人ともガードは固いさ

むしろ固すぎってくらい他の男を警戒しているな

そのぶん家だと気が緩むのか、スカートの中身が見えるのも構わずリラックスしてる

 

だからてっきり俺を男として見てないからだと思い込んでいたが……

 

576:名無しの転生者

男として見てない相手に告白はしないわな~

 

577:名無しの転生者

決まりだな

 

578:名無しの転生者

羨ましいヤツだぜ

すでに姉妹たちはイッチに手を出してもらうためにさり気なく誘っていたわけだ

 

579:名無しの童貞

いやいや待ってくれ!

確かにからかい上手な次女ちゃんは前からそういうイタズラをしてくる娘だったけど……

三女ちゃんがそんなつもりで甘えていたならわりとショックだぞ!?

嘘だ!

あの子は地上に舞い降りた純真無垢な天使なんだ!

 

580:名無しの転生者

三女ちゃん関わると壊れるなこのイッチ

どんだけ可愛いJSなんだよ

 

581:名無しの転生者

魔性のロリかな?

 

582:名無しの転生者

魔性のロリっ娘に誘惑されて~

 

583:名無しの童貞

いやいや絶対に違うって

 

だいたい、あの頃の長女ちゃんは一番そういうことしないタイプだったと思うぞ?

だって性的なことを心底嫌う潔癖症で、大の男嫌いだし

 

584:名無しの転生者

へ~

清楚系でツンデレの長女ちゃん、男嫌いなんか?

 

585:名無しの転生者

その男嫌いなはずの爆乳美少女JKがイッチに告白したわけだよな?

 

滾るな、ソレ

 

586:名無しの転生者

男嫌いだった女がだんだんと心を開いてデレていくのたまらないよな

 

587:名無しの転生者

個人的には完全にデレず、多少ツン期だった頃の態度も残していてほしい派

 

588:名無しの転生者

>>587

わかる

 

589:名無しの転生者

で、長女ちゃんはいまどれくらいのツン度を残した状態でデレてるのイッチ?

 

590:名無しの童貞

え?

それは……その……

 

591:名無しの転生者

どうしたイッチ?

 

592:名無しの転生者

ははーん

さては会った頃の面影が残っていないほどデレデレになってるやつだなコレは

 

593:名無しの転生者

ええー?

ツンデレがデレデレになったらもうそれはツンデレじゃない!

 

594:名無しの転生者

ときどきでいいから「このバカ犬ぅ!」って罵ってほしい

 

595:名無しの童貞

そう

「犬」って言ってきたんだよな……

 

596:名無しの転生者

ほ?

 

597:名無しの転生者

これはまさか……

「アンタを私の犬にしてあげる! 感謝なさい!」

って感じに告白されたヤツだな!

 

598:名無しの転生者

おおおおお!

男嫌いな潔癖症ツンデレJKに首輪をつけられる展開キター!

 

599:名無しの転生者

なるほどね

惚れたものの、どう接したらいいかわからないからぶっ飛んだ方向でアピールしてきたワケか

 

600:名無しの転生者

爆乳美少女JKに首輪つけられるなら本望だな

長女ちゃん、俺のことも飼って~

 

601:名無しの童貞

そう……

「飼って」って言ってきたんだよな……

 

602:名無しの転生者

え?

 

603:名無しの転生者

は?

 

604:名無しの転生者

ん?

 

605:名無しの童貞

ありえないはずなんだ

あんなにも男嫌いだった長女ちゃんが……

イヤらしいことに人一倍嫌悪してたはずの長女ちゃんがあんなこと言うなんて……

 

606:名無しの転生者

ちょっと待てイッチ!

長女ちゃんは何て言って告白してきたんだ!?

 

607:名無しの転生者

おいおい

まさか……

 

608:名無しの転生者

「犬」とか「飼って」とか……

え?

そういうこと?

 

609:名無しの童貞

うん……

 

「私、あなたの犬でいいですから。私のこと飼ってください」

 

そう告白されたんだ

首輪を渡されながら

 

610:名無しの転生者

ええー……

 

611:名無しの転生者

ポカーン

 

612:名無しの転生者

どういうことだってばよ……

 

613:名無しの転生者

ママンのときといい、長女ちゃんには何をしでかしたんだよイッチ……

 

614:名無しの童貞

俺が一番原因を知りたい

本当に特別なことは何もしてない筈なのに……

 

615:名無しの転生者

これは、アレだな

また詳しく聞かないといけない流れだな

 

616:名無しの転生者

このイッチのことだからな

無自覚なイケメンムーブで男嫌いだった筈のJKを陥落させたに違いない

 

617:名無しの転生者

いや、それでも「犬にして飼ってください」って……

どんだけ倒錯すればそんなぶっ飛んだ結論に至るんだよ……

 

618:名無しの転生者

気になって眠れねえよ

イッチ、こうなったら全部話してもらうぞ

 

619:名無しの転生者

洗いざらい話してもらうからな?

 

620:名無しの転生者

今夜は寝かせないわよ☆

 

621:名無しの童貞

お、お手柔らかに……

 

 



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偽物の恋から始まる本気の主従関係……ってコト!?

本日投稿した最新話ですが、ちょっとさすがに混乱を生むようだったのと、不愉快な要素もあったので一部修正いたしました。
わかりにくくてごめんなさい!
改めて詳細は次回で明かします。

まだまだ未熟なぶん、なかなかご期待に添えるもの書けずに申し訳ないです。
もっと面白くなるよう努めていきますので何卒ももう少しお付き合いしていただけると幸いです!



650:名無しの童貞

とりあえず長女ちゃんの情報をざっくりまとめておく

長文失礼

 

現在高校二年生の十七歳

俺と同じ学園に通っていてクラスも同じ

母の美貌と抜群のスタイルを見事に継いだ絶世の美少女

髪の色は白に近い銀髪のロング

ツリ目がち

あまりの美しさと高校生離れしたボディの持ち主のため当然モテモテ

入学当初はほぼ毎日告白されていた

だが本人が極度の男嫌いな上、性的なことに強い抵抗感があるため、下心満載な男子の全員が玉砕

まあ乳や尻や太ももばっか見てたらしゃーないね

 

確かにブレザーを押し上げる爆乳やミニスカート越しの豊満なヒップや白ニーソから零れ出る生白い絶対領域は目に毒だが、うん……

正直、俺も原作のトラウマから来る「慈悲フィルター」が無ければ周りの男子と同じ目で見ていた

間違いなく

それぐらい年頃の男子どころか男性教諭ですら理性がヤバくなる爆乳美少女

 

原作情報によると小学生の頃から発育が良かったため日常的に男に下卑た目で見られていた

これが男嫌いになった原因

そもそも早くに父親を失ってしまって以降、信頼できる男性を作れなかったことも一因となって余計に異性に対する偏見が強まってしまったようだ

 

心に壁を作る頑なな態度と、侮蔑のこもった毒舌を繰り出すことから学園では【氷の令嬢】とあだ名がついている

けれど実際は家族思いの優しい娘で妹たちに強く慕われているし、信頼する相手の前では柔らかな笑顔も見せてくれる

邪な目で見ず誠意をもって接すればこちらを気にかけてくれる普通に良い子

部活はテニス部に所属しており部内のエース

全国レベルで通じる腕のため学外でもファンが多い

 

母を誰よりも尊敬し、理想の女性として憧れているようで、彼女の故郷への留学をこっそり検討しているようだ

 

とりあえずこんなとこかな

 

 

651:名無しの転生者

長女様!

俺のことも罵ってください!

ブヒイイイイイイイイイイ!

 

652:名無しの転生者

>>651

この豚野郎!

 

653:名無しの転生者

留学かあ

特待生のイッチといい、やっぱり優秀な生徒が通う学園っぽいな

 

654:名無しの転生者

テニス?

105cmのおっぱいを持った娘が?

このおっぱいでテニスは無理でしょ

 

655:名無しの転生者

ボールと一緒にさぞ「ぶるんぶるん」弾むんやろうなぁ……

 

656:名無しの転生者

学外のファン……

絶対に邪な理由で観戦しに来てるやろソイツら

 

657:名無しの転生者

カメラ小僧多そう

 

658:名無しの転生者

弾む特大のバスト

露出した生白い二の腕

ムチムチの生足

そして翻るスコート

飛び散る美少女の汗

 

……うん、観に行くわこんなの

 

659:名無しの転生者

試合後

近隣の男子トイレに股間を抑えた野郎共の行列ができたという逸話が……

 

660:名無しの転生者

>>659

ねえよwww

さすがに官能小説の世界でもそんなことwww

 

661:名無しの童貞

>>660

いや

実際にあったそうだ

 

662:名無しの転生者

マジかよwww

ネタで言ったつもりなのにwww

 

663:名無しの転生者

さすが官能小説の世界だな

 

664:名無しの転生者

まさにエロに特化したファンタジー世界

 

665:名無しの転生者

しかし、こう話を聞くと長女ちゃんの信頼を勝ち取ったイッチが改めて凄いな

 

666:名無しの転生者

その上、告白するほど惚れるわけだからな

 

667:名無しの転生者

その上、「犬にして飼ってください」って言い出すわけだからな

 

……いや! マジで何でそうなった!?

 

668:名無しの転生者

ほんそれ

 

669:名無しの転生者

どう考えてもそんな告白するような娘さんじゃなさそうだけどな……

 

670:名無しの転生者

とりあえずイッチ

長女ちゃんとの馴れ初めを詳しく教えてくれ

 

671:名無しの童貞

おk

 

お隣が前世で読んだ陵辱小説の登場人物だと知った俺は最初に長女ちゃんとの接触を試みた

同じ学園に通うお隣さんなわけだし、仲良くなろうとするのは不自然ではないと思ってな

とにかく原作展開から助け出す情報を引き出したかった

……けどまあ、やはり原作通りの性格だったから最初は苦労したよ

 

「話しかけないでくれますか?」

「馴れ馴れしくしないでください」

「同学年でお隣だからってわざわざ仲良くする必要あります? 小学生ですか?」

 

こんな具合にボロクソ言われた

俺は泣いた

 

672:名無しの転生者

マジで毒舌な【氷の令嬢】で草

 

673:名無しの転生者

我々の業界ではご褒美です

 

674:名無しの転生者

うーん

典型的な丁寧語系のツンデレですな

すこだ

 

675:名無しの転生者

どうやっても仲良くなれる気がしないwww

 

676:名無しの転生者

コミュ障童貞だった転生者には無理やろこんなの

 

677:名無しの転生者

どうやって親しくなったんだよイッチ

 

678:名無しの童貞

まあちょっとキッカケがあってだな

ある日「彼氏のフリをしてほしい」って頼まれたんだよ

 

679:名無しの転生者

なんだと?

 

680:名無しの転生者

男嫌いな長女ちゃんが何故そんな頼みを?

 

681:名無しの転生者

……あ、そういうことか

 

682:名無しの転生者

男避けだな

 

683:名無しの童貞

>>682

正解

 

さっきも言ったように長女ちゃん毎日のように告白されててさ

流石にもう鬱陶しかったようで俺を彼氏役にすることにしたんだ

わりと効果は覿面で告白はほとんど無くなった

 

そして俺はよく上履きに画鋲を入れられ呪いの手紙を貰うようになった

 

684:名無しの転生者

哀れイッチ

 

685:名無しの転生者

かわいそうにwww

 

686:名無しの転生者

フリとはいえ学園のアイドルと交際してたらそら全校男子の恨み買うわな

 

687:名無しの転生者

とはいえ、長女ちゃんもそんな頼みをするということはだ

その頃には多少イッチを信頼し始めたってことかな?

 

688:名無しの童貞

そういうことかな?

「あなたは比較的、他の男子より理性的でマトモなようですから」

って理由で俺を彼氏役に選んだようだけど

 

……とはいえ

「ただし、調子にのってふしだらな真似はしないでくださいね。……やったら潰しますよ?」

と釘は刺されたがな

股間を見つつ、テニスボールを握りつぶすように握って……

 

689:名無しの転生者

ヒエッ

玉ヒュンした……

 

690:名無しの転生者

マジでその頃はただの男避けとしか見てないようだな

 

691:名無しの転生者

うーん

確かにまだガードは固いようだな

 

692:名無しの転生者

こっからどうイッチにデレていったのやら

 

693:名無しの転生者

まあ偽恋あるあるの

「フリでやってたら本気になっちゃった」って典型的な流れじゃないの?

 

694:名無しの童貞

どうかな?

そこまで露骨に恋人っぽいことを学園でしてたわけじゃないからな

せいぜい登下校とかで見せつけるように一緒に歩いて帰ったとか、一緒に弁当食べたくらい?

 

695:名無しの転生者

我々にとっては十分に恋人っぽいことですが?

 

696:名無しの転生者

ちょっと泣いてもいいかな?

 

697:名無しの転生者

イッチよ

いったい此処にいる何人がそういう青春を味わえなかったと思っている?

 

698:名無しの転生者

クソが……

クソがぁっ!

 

699:名無しの転生者

爆乳JKと登下校……一緒にお弁当……

羨ましすぎるんだが

 

700:名無しの転生者

これはやはり日々の積み重ねで長女ちゃんが本気になっちゃったパターンかな?

 

701:名無しの転生者

それにしたってだぜ?

どういう積み重ねをしたら犬の首輪を渡すほどの心境の変化を起こすんだよ

 

702:名無しの転生者

確かに

 

703:名無しの転生者

わからん

まったくわからん

 

704:名無しの転生者

何か大きなキッカケがあった筈だよな

イッチ、何か心当たりのあるイベントとか無かったのか?

 

705:名無しの童貞

うーん……

 

あれかな?

すっかり長女ちゃんへの告白は無くなったんだが

それでも謎の自信を持った男が長女ちゃんにちょっかいをかけてな

「アイツなんかより俺と付き合ったほうがお得だぜ?」

って感じに

 

706:名無しの転生者

うわあ……

 

707:名無しの転生者

どこにでもいるよねそういうヤツ……

 

708:名無しの転生者

若さ特有の根拠のない自信

 

709:名無しの転生者

そもそも恋愛って損得じゃねえだろ

この時点でその男の器が知れるな

 

710:名無しの転生者

長女ちゃんを味わうだけ味わってヤリ逃げする姿がありありと浮かぶ

 

711:名無しの童貞

まあ実際、身体だけが目当てだったんだろうな……

だから俺もさすがにそのときはブチ切れちゃって、ちょっと冷静でいられなかった

 

「俺の女だ。誰にも渡さない」

って柄にもないこと言ってしまった

 

712:名無しの転生者

ひゅー

 

713:名無しの転生者

やるじゃんイッチ

 

714:名無しの童貞

一応、柔道の授業でソイツのこといなしてたから少し凄んだらあっさり逃げてくれたよ

いくらムカツク奴とはいえ、暴力沙汰起こしたらこっちの負けだからな

大事にならなくて良かった

 

715:名無しの転生者

せやな

 

716:名無しの転生者

見事に長女ちゃんに男を見せたワケだなイッチ

これは惚れる

 

717:名無しの童貞

……確かに、その頃から長女ちゃんの態度が軟化したかもしれん

 

「ああいう輩がまた来るかもしれませんから……もっと恋人らしいことしましょうか?」

 

って感じに顔を赤らめて言ってきたな

 

 

718:名無しの転生者

かわええ

 

719:名無しの転生者

デレデレやん

 

720:名無しの転生者

堕ちたな

 

721:名無しの転生者

イッチ

やはり責任を取れ

人妻も長女ちゃんも等しく愛すんだ

 

722:名無しの童貞

やっぱりそういう話になるの!?

 

723:名無しの転生者

だってねー

 

724:名無しの転生者

どう考えても長女ちゃんイッチのこと運命の相手として見てる感じですよ?

 

725:名無しの転生者

この後、鬼畜息子から助けてくれるわけだしな

もうイッチのことしか見えてないだろこれ

 

726:名無しの転生者

うむ

抱くしかないな

 

727:名無しの転生者

うむ

犬にして飼うしかないな

 

728:名無しの転生者

抱けー! 抱けー!

 

729:名無しの転生者

飼えー! 飼えー!

 

730:名無しの転生者

……いやちょっと待て?

長女ちゃんがイッチに惚れた理由はだいだいわかった

 

……でもさ

やはり「犬にして飼ってくれ」って言い出す理由がわからん

 

731:名無しの転生者

 

732:名無しの転生者

ほんまや

 

733:名無しの転生者

マジでなんで?

 

734:名無しの転生者

長女ちゃん

いったい君の中で何があったんよ

 

735:名無しの転生者

もしやそういう隠れ性癖が!?

 

736:名無しの転生者

いやいや

男嫌いでエロいことに潔癖な娘がそんなマニアックな性癖持ってるわけないやろ

 

737:名無しの転生者

でも実際イッチに首輪を渡して懇願してるんだよな?

 

738:名無しの転生者

マジでどういうこと?

 

739:名無しの童貞

……あ、そういえば

 

740:名無しの転生者

なんだイッチ

心当たりがあるのか?

 

741:名無しの童貞

心当たりというか……

忘れたいあまりにずっと記憶の底に封印していたんだが思い出してしまった

 

……あったんだよな原作に

長女ちゃんに首輪を嵌めて、いやいや深夜の外に散歩させるような展開が

 

742:名無しの転生者

え?

 

743:名無しの転生者

なん、だと……?

 

744:名無しの転生者

いやいや

だって原作展開はイッチが防いだじゃん?

なんで今更そんな鬼畜息子の計画のひとつを長女ちゃんが提案するんだ?

 

745:名無しの童貞

そうだよな……

奴の計画は潰れた

それなのにどうして原作どおりのプレイを彼女が望んで……

 

まさか……

 

746:名無しの転生者

イッチ、何か気づいたのか?

 

747:名無しの童貞

いやさ

鬼畜息子がな、計画を詳細に書いたノートがあったんだよ……

もちろん、とても平静に見れるような内容じゃない

奥さんも娘たちには絶対に見せまいとして事件のあとスグに警察に押収させた筈なんだが……

 

748:名無しの転生者

まさか……

その一部がまだ残っていた?

 

749:名無しの童貞

可能性は、あるな……

数冊もあったんだ

一冊くらい部屋のどこかに落ちているかもしれない

 

750:名無しの転生者

こわっ

 

751:名無しの童貞

実は前に、奴の部屋のものを片付ける手伝いをしてたんだ

気味悪いだろうから俺だけでやるって言ったんだが

 

「だからこそ私たちの手で此処を清めたいんですよ。一日でも早く忘れられるように」

 

って言って聞かなくてな

 

もしかしたら、そのときに……

見つけてしまったんだろうか、奴のノートを……

 

 

752:名無しの転生者

待て待て

仮にだ

仮に本当に長女ちゃんが鬼畜息子の計画ノートを偶然見つけて読んでしまったとしてだ……

 

どうして性的なことを毛嫌いする彼女がそんな倒錯したプレイをイッチに望む?

 

753:名無しの転生者

だよな

 

754:名無しの転生者

「穢らわしい!」

って言って余計に男嫌いになりそうだよな

 

755:名無しの転生者

いったいどういうことなんだ?

 

756:名無しの転生者

……あ

俺わかっちゃったかも

 

757:名無しの童貞

>>756

本当か!?

 

758:名無しの転生者

たぶん、潔癖症だからこそだ

 

759:名無しの童貞

なに?

 

760:名無しの転生者

>>758

どういうこったい?

 

761:名無しの転生者

さっき書かれた長女ちゃんの発言からの予想だが……

 

たぶん長女ちゃんは穢らわしいと感じたものを自分の手で清めないと気が済まないタイプなんだ

イッチ、彼女そういうとこないか?

 

762:名無しの童貞

確かに……

掃除に関しては一番うるさいタイプだな

 

「どんなに汚れたものも清めて綺麗にすれば、心も清らかに上書きされるんです」

ってよく言ってるな

 

 

763:名無しの転生者

上書き……

うん決まりだな

 

イッチ

たぶん長女ちゃんはノートの残りを見つけて読んでしまったんだろう

だからこそ長女ちゃんは、イッチで「上書き」しようとしてるんだ

忌々しいイメージを消すために

 

764:名無しの童貞

え?

 

765:名無しの転生者

イッチはやはり責任を取ったほうがいい

長女ちゃんはもうイッチでないと救えない

素直に首輪を嵌めて犬にするんだ

このまま放置したら……たぶん彼女とんでもないことになるぞ?

 

766:名無しの童貞

JKに首輪を嵌めること自体とんでもないことですけど!?

 

767:名無しの転生者

えーと、つまり……

 

どういうことだってばよ?

 

768:名無しの転生者

よくわからんが……

 

やはりイッチが全員抱けば万事丸く収まるってことじゃね?

 

769:名無しの転生者

せやな

 

770:名無しの転生者

そういうことにしておこう

 

771:名無しの童貞

なんでや!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

772:名無しの転生者

流石にわかりにくかったな

すまない、今から説明する

 

イッチ、真面目に忠告する

本気で長女ちゃんのこと考えるなら……

もう少し彼女と向き合ったほうがいい

彼女がお前に首輪を嵌めて欲しい理由はな

 

つまり……

 

 




次回、長女ちゃんの視点で理由を明かします。
本当にわかりにくくてごめんなさい!


P.S.
三姉妹たちの純潔は全員無事です(非常に大事)


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【清楚系ツンデレJK杏璃】穢れは初心な愛欲で塗りつぶされる

 私はきっと男の人と恋愛することはできないだろう。

 門原杏璃(かどはら あんり)はそう確信していた。

 

 気づけば男という生き物が嫌いになっていた。

 気づけば、だ。

 昔からそうだったわけではない。

 むしろ子どもの頃は父にベッタリだった。

 世界で一番好きな男性と聞かれたら、杏璃にとってはそれは父だった。

 

 父が亡くなってからだ。

 父のような素敵な男性は、この世にはひとりも居ないのだと失望したそのときから、杏璃は異性を遠ざけるようになった。

 

 一番目のキッカケは同級生のからかい。

 母譲りの自慢の銀髪を「老婆みたいだ」と彼らはよくバカにした。

 もちろんそれは気になる女の子の気を引きたいがための典型的なちょっかいだったわけだが、幼い杏璃にとっては本当にショックだった。

 自分ばかりではなく尊敬する母も一緒にバカにされたようで、悔しくてしょうがなかった。

 

 男子は基本的に意地悪だ。

 それが小学生だった杏璃に刻まれた男性像である。

 

 そして決定的なキッカケは間もなく訪れた。

 杏璃の身体が、歳不相応に女性らしく発育を始めたのである。

 

 いつも杏璃をからかっていた男子たちは急に大人しくなった。

 あたかも憧れの年上の女性を前にしたときのように頬を赤らめ、妙にしおらしく遠目から杏璃を見つめては、ときおり自分の股間に起こる未知の違和感に困惑している様子だった。

 もはや自分たちの知る方法では杏璃の気を引くことはできない。

 無邪気な恋心にそう悟らせ、どころか萎縮させてしまうほどに、杏璃の肉体と美貌は小学生離れした艶めかしさを湛えて早熟に育っていった。

 ちょっかいをかけられなくなったのは、杏璃にとっては幸いだった。

 

 代わりに杏璃を恐怖させたのは大人の男性たちだ。

 登下校のたび、ランドセルを背負った小学生に向けられるべきではない色欲混じりの無遠慮な目線。

 この間までは暖かな目で帰りを見送ってくれていた案内業務の中年の男性ですら、杏璃の大きく弾む胸元をさり気なく見だすようになった。

 

 道行く男性のほとんどが、杏璃を値踏みするように、そして情欲に染まった顔を向けてきた。

 早熟に実った肉体と異なり、心は年相応の少女にとって、その視線はただひたすら未知の恐怖であった。

 なによりショックだったのは、男性教師たちですら明らかに杏璃をふしだらな目で見ていることだった。

 体育の授業のときは特に露骨で、走るたびに揺れる胸元や、白い生足をねっとりと凝視しているのが丸わかりだった。

 

 唯一頼れるはずの教師ですら頼りにできない。

 幼い杏璃は日々、大きな男たちの下卑た目線に怯えるしかなかった。

 

 そして最悪の事態が訪れる。

 忘れもしない。

 放課後、担任の男に呼び出された杏璃は、危うく襲われかけたのだ。

 

『いや! 来ないで!』

『ハァハァ……あ、杏璃ちゃんがいけないんだよ? 毎日まいにちそんなイヤらしい身体で先生を誘惑するから……』

『誰か! 誰か来て! 助けて!』

『……何をやっているんですか先生! 誰か来て! 警察を! 警察を呼んで!』

 

 偶然居合わせた女性教師に助けてもらわなければ、いったいどうなっていたか。

 想像するのも恐ろしい。

 以来、杏璃は男という生き物を一切信頼したことはない。

 

(パパみたいに優しくて素敵で、頼りになる男の人なんて、この世には居ないんだわ……)

 

 男は基本的にケダモノ。

 それが現在の杏璃に刻まれた男性像である。

 だからこそ、杏璃は徹底して異性を遠ざける。

 

 ちょっと親切にした程度で好意があると思い込んでしつこくアピールしてくる男たち。

 だから男の前では一切優しさは見せないようにした。

 頑なな態度を崩さず、無愛想な顔をして極力会話をしない。

 それでもあまりに諦めの悪い相手には、キツイ言葉を浴びせて再起不能にする。

 理性を無くして襲ってくる者がいれば身につけた護身術で股間を蹴り上げる。

 だいたいはそれで何とかなった。

 

 杏璃の中学時代は、無事にそうして男の影が無い三年間となった。

 実に色気の無い青春時代だと我ながら思う。

 だがそれでいい。

 次女の夏希(なつき)は人並みに恋愛に興味があるようだったが、杏璃はそういうものに関してはすっかり諦めていた。

 

 少女漫画のような素敵な恋愛は現実には存在しない。

 あったとしても、恋心よりも先に肉欲を誘発させるような身体を持ってしまった自分にとって、それは叶わない夢だろう。

 

 自分はずっと独り身でいい。

 早く自立して、女ひとりでも生きていけるよう、杏璃はたくさん勉強をした。

 将来は母のように立派なキャリアウーマンとなって、今度は娘の自分が母に楽をさせ、ここまで育ててもらった恩返しをするのだ。

 

 ……そう思っていた矢先に、再婚が決まった。

 べつに反対はしなかった。

 母の幸せを考えれば、それが一番だと思ったからだ。

 再婚相手も誠実な男性だったし、一緒に暮らすぶんにはなんとか我慢できると思った。

 

 ただし、父親として見ることはついぞなかった。

 自分にとって父は天国にいる父だけだ。

 表面上は娘として振る舞っていたが、正直、赤の他人としか思っていなかった。

 すべては母の幸せのためだと言い聞かせて、杏璃は不慣れな男性との生活を送っていた。

 

 ……それも、本当に短い間だったが。

 一度くらい、親子らしいやり取りをすべきだったのかもしれないと、義父の葬儀で杏璃は思った。

 

 とにかく、またもや頼りになる男性はいなくなった。

 やはり自分がいち早く自立して母を支えるしかない。

 そう思った杏璃はより勉強に力を入れ、近隣の進学校に合格した。

 まだ母には明かしていないが母の故郷への留学も検討している。そうして将来的には母と同じように外資系の企業に勤めようと思っていた。

 

 一日でも早く社会で活躍できる存在となり、自分が家族を守るのだと杏璃は決めていた。

 ……それは、この部屋から少しでも早く家族と一緒に出たいという気持ちもあったからかもしれない。

 

 いまだに顔も見たことのない再婚相手の息子。

 ずっと引きこもったまま、ついぞ姿を現さない不気味な存在。

 そんな得体の知れない男が住む家に、どうしていつまでも住めよう。

 留学を考えるのは、できれば家族全員で海外へ行けないものかという算段もあったためだ。

 

 杏璃には予感があった。

 長年、男の下卑た欲情の眼差しをぶつけられてきた杏璃だからこそ生じる、危機感のようなものがあった。

 

 あの部屋には、良くない者が住んでいる。

 間違いなく、自分たち家族の平穏を崩す異分子だと、杏璃は直感していた。

 できれば出て行ってほしい。

 もしくは自分たちが出て行きたい。

 だが悲しいかな、戸籍上では自分たちはすでに『家族』ということになっている。

 一度築いてしまった関係はそうそう白紙にはできない。なんと忌々しい。

 

 義父に対する唯一の不満。

 それは、あの不気味な存在を追い出さず、ついぞ匿っていたことだ。

 

 常に警戒はしていた。

 護身用の道具はこっそりベッドの傍に忍び込ませていたし、母には無理を言って各部屋に錠を付けさせ、留守の間に侵入できないようにした。

 妹たちにも「あの部屋には近づくな」と固く釘を刺していた。

 

 最善は尽くしているつもりだった。

 ……それでも最悪の事態は起きた。

 どうして考えなかったのか。

 錠がピッキングで開けられることを。

 非力な末っ子が一番に狙われることを。

 

 だがその最悪の事態も……。

 

「彼女たちに手を出すな!」

 

 隣に住む同学年の彼が……中田誠一が救ってくれた。

 

 出会った頃から、何かと声をかけ気遣ってくれる同い年の少年。

 どれだけ冷たくあしらっても、親切に接してくれる人のいい少年。

 男避けのために恋人のフリをしてくれ、何度もナンパから助けてくれた逞しい少年。

 

 ブザーを鳴らされたことで錯乱した男が包丁を取り出そうとした瞬間、杏璃は真っ先に隣の部屋に住む少年に助けを求めていた。

 そんな自分に杏璃自身が驚く。

 いつのまに自分は、こんなにも異性の相手に心を許し、頼るようになったのだろう。

 だが現に杏璃の足は、誠一のもとへ走っていた。

 

 ブザーを聞いた彼は真っ先に部屋に来てくれた。

 包丁を持った相手にも怯まず、腕を切りつけられ血しぶきを上げても尚戦意を失わず、暴漢と化した男を鍛えた武術で沈黙させた誠一。

 その姿を前にして、杏璃はいままで感じたことのない胸の高鳴りを覚えた。

 

 もしも、彼が護身用として三女の雛未(ひなみ)に防犯ブザーを渡していなかったら。

 もしも、彼が駆けつけてくれなかったら。

 もしも、彼が隣に住んでいなかったら。

 きっと自分たち家族は、想像を絶する悪夢のような日々を送っていたことだろう。

 

 だがそれも、誠一がいてくれたから救われた。

 

「……誠一、くん」

 

 ずっと男が嫌いだった。

 自分を性的な目でしか見てこない男が嫌でしょうがなかった。

 でも……誠一だけは違った。

 彼が自分に向ける目には、他の男と違い性的なものは含まれていなかった。

 それどころか、まるで……父が娘を見守るかのように、慈悲深く、身を案じるような、深い思いやりの心で溢れていた。

 初めて出会った頃は、それが不思議でならず、ただ戸惑うばかりだった。

 どう対応すればいいのか分からず、すでに癖として染みついてしまった毒舌ばかりを彼に浴びせていた。

 それでも誠一は、嫌な顔ひとつせず、自分と、そして自分たち家族に親切にしてくれた。

 

「どうして? どうして、あなたは、そんなに……」

 

 そんなにも、私たちのことを助けてくれるの?

 

 血まみれになった誠一の腕を泣きながら手当しつつ、杏璃は思わず尋ねた。

 彼は冷や汗をかきつつも、安堵させるように笑顔を作った。

 

「俺が、そうしたいと思ったからだ……」

 

 見返りなんて求めていない。本当に、ただそうしたいと思ったから行動した。

 そんな澱みの無いまっすぐな誠一の善意を前に、杏璃はさらに泣いた。

 

「ごめんなさい…ごめんなさいっ。私、私ったら、あなたに、酷いことばかり……」

 

 杏璃は誠一に謝り続けた。

 こんな凄惨な出来事に巻き込んでしまったことへの謝罪。

 そして……。

 出会った頃からずっと、彼を振り回してしまったことを。

 少年とのこれまでの関わりを思い出すと、言葉にならない感情が怒濤のように杏璃から溢れ出した。

 

 

   * * *

 

 

 そもそも杏璃にとって誠一は、お節介な隣人であると同時に、学年順位を争うライバルという認識だった。

 男に負け続けるなど、杏璃のプライドが許さなかった。

 特待生相手に学力で挑むのは愚かだと承知の上だったが、元来負けず嫌いな杏璃は「いつか必ず見返してやる」という気概で毎回テストに臨んでいた。

 それでも、一位と二位の差はなかなか埋まることはなかった。

 

「成績ばかりがすべてじゃないさ。大事なのは将来どう生きるかだろう?」

 

 勝者の余裕なのか、あるいは本気で善意で言っているのか、誠一はいつもそう言って悔しがる杏璃を諭した。

 気に入らない男だ。

 そして変な男だ。

 

 そもそも彼は本当に自分と同い年なのだろうか?

 実は年齢を偽って入学しているのではないかと疑ってしまうほどに、誠一の人となりは高校生離れした落ち着きがあり、そしてあまりにも要領が良すぎた。

 ちょっとの触れ合いで妹たちや母の信頼を勝ち取っているのも、何だかおもしろくなかった。

 最初こそ、絶対に他の男と同じように下心満載で自分たち家族に近づいているのだと思っていたが……どうもそうではないらしい。

 中田誠一は本当にただただ純粋に善人なのだった。

 

 信じがたい。

 そんな男が居るのだろうか?

 だが現に誠一の視線からは、いつも感じる男たちの欲情の気配がない。

 試しにわざと乳房を大袈裟に揺らしたり、スカートの中がギリギリ見えるところまで屈んだり、挑発的なことをしてみた。

 やはり悲しき男のサガなのか、誠一もついついそんな際どい部分に視線が吸い寄せられてしまうようだったが……すぐにそんな自分を恥じるように目を逸らし、ばつの悪そうな顔をするだけだった。

 べつに本能が欠落しているわけではないらしい。

 つまり誠一は健全な若者でありながら、混ざり気のない気持ちで杏璃と向かい合っているということだった。

 

 ますます杏璃は困惑した。

 だからどうしても確かめたくなった。

 本当に誠一は、いままで見てきた男たちとは異なる、真に誠実な男なのかどうかを。

 それを確かめる上で有効な方法は、やはりひとつしかない。

 

「ときに中田くん。あなた、いま交際している女性とかいらっしゃるんですか?」

「え? いや、いないけど……」

「そうですか。では、折り入ってお願いがあるのですが……」

 

 建前では、男避けとして恋人のフリをしてもらうこととなった。

 実際、あまりに頻繁に起こる告白の数々にそろそろ辟易していたこともある。

 お隣同士で、学年トップの二人。表面上ならベストカップルとして通じるだろう。

 本来こんな一方的な頼み事など断るものだが、誠一は「そういうことなら、力になるよ」と笑顔で承諾してくれた。

 ……なんとなく、誠一なら引き受けてくれる。そんな気がしていた。

 

 それから、自分たちの仮の交際が始まった。

 

「おはよう門原さん」

「杏璃です」

「え?」

「恋人同士なら名前で呼んでください。そのほうが説得性が増しますし、周囲も納得させやすいですから」

「そ、それもそうだな。わかったよ、その……杏璃」

「……はい。私も、ちゃんと名前で呼ぶことにしますから……誠一くん」

 

 異性と名前で呼び合う。

 作戦のためとはいえ、杏璃にとってそれは劇的な経験で、妙に胸がざわついた。

 

「誠一くん。お昼です。一緒に食べましょう」

「え? そのお弁当……まさか作ってきてくれたのか!?」

「恋人であるなら彼氏のお弁当を用意するべきだと思いまして。ご迷惑でしたか?」

「い、いや、そんなことないよ! すごく嬉しい! ありがたく頂くよ!」

「それなら良かったです。では……あーん」

「え?」

「何を戸惑っているのですか? 恋人なんですから、こういうことをしても不自然ではないでしょ? さあ、どうぞご遠慮なさらず召し上がってください」

「いや、だからってこんな人前で……」

「……約束してくれたじゃないですか。恋人のフリをしてガードになってくれると。これぐらい見せつけないと、周りに信じ込ませることができないじゃないですか」

「そ、それもそうだな……じゃ、あ、あーん」

「あーん、です」

 

 自分たちのやり取りを見て、周囲の男子たちが悲鳴を上げる。

 「うるさいですね」と杏璃は思いつつも、見せつけるように誠一にオカズを食べさせた。

 

「おいしいですか?」

「うん、とっても。杏璃は料理上手なんだな。お世辞抜きに毎日食べたいくらいだよ」

「そう、ですか? ありがとう、ございます……」

 

 あくまでも恋人のフリだ。

 そうでなければこんな真似はしない。

 ……それでも杏璃は「なんだか、こういうのも悪くないですね」と不思議な胸の高鳴りを覚えるのだった。

 

 

 

 告白の数は明らかに減った。

 それでもたまに自信過剰な輩がやってくる。

 だいたいは誠一が席を外して不在のときを狙ってやってきた。

 とても不愉快だった。

 あからさまに肉体目当てでしかこちらを見ていない露骨な視線。どれだけ綺麗な言葉を並べられたところで薄っぺらいことこの上なかった。

 

(本当に男って最低……。誠一くんだったら、こんな風には……)

 

 ふと、当たり前のようにそんなことを考えている自分に、杏璃は驚いた。

 偽りの恋人として過ごしてきた誠一との日々。

 いつしか杏璃は、誠一とのひとときを居心地良く感じるようになっていた。気づけば、当初の目的など抜け落ちていた。

 

 もう確かめるまでもない。

 誠一は本当に真っ直ぐで、心優しい少年だ。

 目の前にいる輩のように、下卑た目的で近づくような男ではない。

 とっくにそんなことはわかっているのに、まだ自分は偽りの恋人関係を続けている。

 その理由は、やはり……。

 

「なあ、別れちまえよあんな冴えない男となんて。俺と付き合ったほうが絶対に得だし、毎日満足させてやれるぜ?」

「っ!?」

 

 しつこいその男は、あろうことか誠一のことをけなした。

 杏璃の中で激しい怒りが芽生える。

 

(ふざけないで! アンタが誠一くんの何を知っているのよ!? 誠一くんは……誠一くんはアンタたちみたいな男と違って!)

 

 思わず手が出そうになった。

 その瞬間、杏璃の前に見慣れた背中が現れた。

 

「俺の女に手を出すな。失せろ」

「誠一、くん?」

 

 普段の優しさを感じさせない鋭い声色で、誠一は男と向き合った。

 

「卑怯なやつだな。俺がいない間に口説こうとするなんて。女を奪う気にしても、まず相手の男に正々堂々挑むべきだろ? そんな気概もないヘタレ野郎に杏璃は渡さない」

「あ……」

 

 逞しい腕に抱き寄せられる。

 誠一の胸の中で、杏璃は頬を赤らめる。

 見上げた先の誠一の顔は、いままで見たことがないほどに男らしかった。

 そしてフリではなく、本気で怒っているのだとわかった。

 

 それは杏璃が奪われそうになったからではない。

 あたかも杏璃を物としてしか見ていない男の態度に憤怒しているのだった。

 

 誠一の凄みに怯えた男は「ひぅっ」と情けない声を上げて逃げていった。

 

「……ごめん。もっと早く戻ってくればよかったね」

「あ、いえ……」

 

 男が去ると、誠一はいつものように柔らかな態度に戻った。

 

「急に抱きしめてごめん。嫌だったろ? 追い返すにはこれぐらいしないといけないと思って……」

 

 そう言って誠一が腕を解こうとするのを、杏璃は「待ってください」と止めた。

 

「もう少し、このままで……」

「え、杏璃?」

 

 広い胸の中に、杏璃は顔を埋める。

 誠一の鼓動が聞こえる。

 すごく早く動悸している。

 意識してくれているのだ。こうして自分を抱きしめていることで。

 何だかそれが、とても嬉しい。

 

「ごめんなさい。いまになって怖くなってきてしまって……。こうしてると、安心できるんです。だから、もう少し……」

「……わかった。杏璃がそれでいいなら」

 

 そうして誠一は再び杏璃を優しく抱きしめた。

 

「ん……」

 

 杏璃は思わず頬を胸元に擦り付けた。

 なんて温かい。

 知らなかった。男の人の胸の中が、こんなにも心安らぐものだったなんて。

 ……いや、自分は覚えている。

 これと同じ温もりを、どこかで。

 

 そうだ。

 父だ。

 昔も、こんな風に父に抱きしめられたのだ。

 薄れていた記憶が、ありありと蘇ってくる。

 杏璃にとって、世界で一番安心できた場所。

 それと同じように感じられる場所が、いま目の前に……。

 

「誠一くん。あの……頭を撫でてくれませんか?」

「え? 頭を?」

「そうすると、もっと安心できると思うんです」

「いいのか? 女の子の髪に触っちゃうことになるけど……」

 

 髪は女の命。

 安易に触れていいものではないと、誠一は当然心がけている。

 そんな誠一だからこそ、触れてほしかった。

 

「いいです。誠一くんなら、いいです……」

「そうか? じゃあ……」

 

 そっと頭に手を置く誠一。

 壊れ物に触れるように、ゆっくりと、優しい手つきで杏璃の頭を撫でる。

 

「ああ……」

 

 思わず涙が出そうになる。

 忘れていた感情が、せき止めていたものが一気に溢れてくる。

 

 ここにあった。

 ずっと探し求めていたものは、ここにあったのだ。

 もう見つかることはないと諦めていた温もりが、いまこうして杏璃の凍り付いてしまった心を優しく溶かしていく。

 

「……杏璃の髪は、綺麗だな」

 

 頭を撫でつつ、誠一はぽつりと言った。

 杏璃の胸に、強い火が燃え上がる。

 ああ、どうして。

 どうして、あなたは、そんな欲しい言葉を次々と……。

 ますます深く、杏璃は誠一に縋りつく。

 

「ありがとう、ございます。自慢なんです。母譲りの、この銀髪が。昔は『老婆みたい』ってバカにされてましたけど……」

「ひどいこと言う奴らだな。こんなにも綺麗なのに。まるで雪のように煌めいてるじゃないか。すごくサラサラで、艶やかで……俺は、すごく好きだよ、この髪」

「はい……私も……私も、好きです」

 

 思えば、この時点でとっくに自分の気持ちは固まっていたに違いない。

 心優しき誠一。

 彼はついには、自分たちの家族の危機すらも、命がけで救ってくれた。

 

 杏璃は確信する。

 私はもう、この人でないとダメなのだと。

 だから……。

 もう偽りの恋人関係は終わりにすべきだ。

 

 でないと、いつまでも自分は誠一の優しさに甘えてしまう。

 それではいけない。

 偽物の関係を、本物にしたいのなら……。

 誠一が真っ直ぐ自分と向き合ってくれたように、今度は自分も正々堂々と、彼と向き合うのだ。

 杏璃はそう心に決めた。

 

 

   * * *

 

 

 事件の後も、誠一は自分たち家族と一緒の時間を過ごしてくれた。

 ショックで落ち込み気味だった母と妹たちも、誠一のおかげですっかり元気だ。

 もはや、そこに誠一が居ることが当たり前と思うほど、杏璃の中で彼の存在は日々大きくなっていった。

 幸せなひとときだった。

 

 彼との穏やかな日々を過ごすためにも、あのおぞましい出来事はスグにでも忘れるべきだ。

 ……あの男が住んでいた部屋を整理するのも、その一環だった。

 

「俺ひとりでやるから大丈夫だって。だって、その……気味悪いだろう?」

「だからこそ私たちの手で此処を清めたいんですよ。一日でも早く忘れられるように」

 

 そう、おぞましいと思うならばこそ、清めなければならない。

 潔癖症気味な杏璃は、目に付いた汚れは自分の手で綺麗にしなければ気が済まないところがあった。

 誠一の気遣いは嬉しいが、こればかりは譲れなかった。

 

 そうして全員で手分けして部屋のものを片付けていった。

 あの異分子が住んでいた痕跡を完全に消さなければならない。

 家族や彼との幸せな生活のためにも、細かなところまで隅々と……。

 

 その性格が災いしたというべきか、結果的に杏璃は見つけてはならないものを見つけてしまった。

 本棚の裏側に隠すかのように挟まっていた一冊のノート。

 表紙には大きなバッテンと『ボツ』と書かれていた。

 まさか……と杏璃は咄嗟にソレを家族の目に入らないように隠した。

 見せてはいけない。きっと、これは……。

 

 案の定、それはあの男が書いたらしきノートだった。

 家宅捜査は行われた筈だ。

 それなのに今更こんなものが見つかるとは、まったく警察も手を抜いた仕事をする。目に付く場所しか調べなかったのだろうか。

 

 ともかく、事件に関連性のある物品だ。

 すぐに警察に届けるべきだろう。

 あの男の関わるものは一切合切、この家から消さなくてはならないのだから。

 

「……」

 

 『ボツ』と書かれたノート。

 異常な男の心理など想像したくもないが、この一冊だけを見えない場所に隠したのは、自分の計画にたとえ寸分だろうとミスがあったことと、無駄な時間を使ったことを認めたくなかったからだろうか。

 ……どちらにせよ問題は、おぞましい内容が書かれているであろうノートがこの場にあることだった。

 できれば、家族にはバレずにこっそりと片付けたい。

 このノートのせいで、母や妹たちが再び苦い記憶を呼び起こしてしまう。ようやく、忘れかけてきたというのに。

 

 誠一に相談すべきか。

 だが、これ以上自分たちの問題に彼を巻き込むのも忍びない。

 やはり、これは自分がこっそりと処理すべきだろう。

 明日にでも警察に行って届けよう。

 

 杏璃はそう決めて、おぞましいノートを袋に詰め、その日はベッドに横になった。

 

「……」

 

 沈黙した薄闇の中。

 机の上に置いたノートが、異様な存在感を放っているように思えた。

 あそこには、いったい何が書かれているのか。

 考えるべきではない。

 だが一度気になりだすと、いつまでも思考の隅にチラついた。

 

 想像というのは、どこまでも膨らむ。

 際限なく、まるで菌のように増殖する空想に、押し潰されそうになる。

 

 見てはダメよ杏璃。

 心の中で、何度も自分に言い聞かせた。

 しかし、杏璃の身体はベッドから起き上がり、机の上のライトを点けていた。

 

 何をしているの。眠るのよ。そして明日コレを警察に持っていくの。それで全部が終わるの。

 それでも手はノートのページを開いていた。

 

 耐えられなかった。

 たとえそこに何が書かれていようと、自分の中で膨れ上がる悪寒を放置するほうが、そのときはずっと恐ろしく感じてしまったのだ。

 

 あるいは、祈っていたのかもしれない。

 そこに書かれている内容が、存外しょうもないもので、鼻で笑い飛ばせるようなラクガキであることを。

 

 ……そして、杏璃は痛感する。

 異常な存在によって書かれたノートなど、たとえボツだろうと常人に耐えられるような内容である筈がないことを。

 

「……っ! ……っ!」

 

 気づけばトイレに駆け込み、胃の中のものを吐き出していた。

 

「くぅっ! うぅ……っ!」

 

 ついで湧いてきたのは怒りの感情。

 たとえ想像上だろうと、自分たち家族を辱め、陵辱した男のノートに憎しみをぶつける。

 

「うあぁっ……!」

 

 感情に任すまま杏璃はノートを八つ裂きにしていく。

 それが事件に関わる証拠のひとつだろうと、もう知ったことではなかった。

 消したい。いますぐこの世からこのノートを消したかった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 もはや内容の解読も不可能なほどにバラバラになった紙片の山の中で、杏璃は息を吐く。

 呼吸を整えた後、紙片を箒でかき集め、ゴミ袋に詰めた。

 

 ノートはもうない。

 だが、一度脳内に根付いたものは消えてくれない。

 

「あ、ああ……」

 

 杏璃は頭を抱えた。

 なんて、なんておぞましい。

 あんな、あんな化け物といっときでも同じ屋根の下で暮らしていただなんて……。

 しかも()()()()()()()『興が乗らなかったからボツ扱い』などと。

 あれ以上に過激な計画を実行するつもりだったというのか、あの異常者は。

 

「うっ、うぅっ……!」

 

 杏璃はベッドの上で泣いた。

 屈辱だった。

 これまで多くの男性たちが自分を邪な目で見てきて、その度に不快な思いをしたものだが……こんなにも悔しい思いをするのは初めてだった。

 ふざけるな。

 何が『犬のように飼ってやる』だ。

 何が『あまりにも反抗的ならこの案は再検討する』だ。

 

 許せない。

 女を何だと思っているのか。

 見るべきではなかった。

 だがもう手遅れだ。

 知ってしまった。

 自分が異常な男の頭の中で、想像を絶するほどに惨い仕打ちを受けていたという事実を。

 消したい。

 この記憶を消したい。

 ああ、穢らわしい穢らわしい。

 とても耐えられない。

 

「助けて、誠一くん……」

 

 気づけば杏璃は愛しい少年の名を呟いていた。

 そうすれば、穢されてしまったものも、清浄に癒されていくと思えたからだ。

 

 ……そうだ。

 誠一で思い浮かべればいいのだ。

 

 あのノートに書かれていたおぞましいプレイの数々もすべて、あの異常な男ではなく誠一に置き換えてしまえばいいのだ。

 

 穢れたものは自分の手で清める。

 

 いつもそうしているように、想像上の汚れも、愛しい少年によって浄化してしまえばいい。

 

 突拍子もない発想だった。

 だがいまの杏璃にとっては、それが最適なショック療法だった。

 

「あっ……誠一、くん……」

 

 杏璃は想像する。

 誠一が自分の首に犬の首輪を付け、深夜の街で散歩させる光景を。

 もちろん、心優しき彼がそんなことをするワケがない。

 だが、それが逆に……いや、だからこそ、言いようのない刺激を生んだ。

 

「はぁ、誠一くん……誠一くんが相手なら、私……きっと、どんなことだって……あっ♡」

 

 ふと、杏璃の身体に異変が起こる。

 誠一のことを考えれば考えるほど、未知の感覚が総身を走り抜け、豊満に発育した肢体に甘い疼きを生み出す。

 

「なに、これ♡ ……んっ♡」

 

 想像上の中で、鬼畜と化した誠一が杏璃を辱める。

 そんなイメージを浮かべるたび、杏璃は既知を超えた快感の波に呑まれていった。

 

「なに? なんなの、これぇ♡ 変よ♡ こんなの、おかしいわ♡ ああっ♡」

 

 少女の想像はエスカレートしていく。

 イメージの中の誠一はいつものように優しい笑顔を浮かべながら、犬のように這いつくばる杏璃を見ている。

 

『杏璃は変態だね。こんな風に首輪を嵌められて、お散歩をして興奮するだなんて』

 

 誠一はそんなこと言わない。

 もちろん、わかっている。

 しかし、どうしてか。

 そんな『ありえない誠一』の姿を思い浮かべれば思い浮かべるほど、杏璃の快感は増すばかりだった。

 

「ああ、違うの誠一くん♡ 私、変態じゃないもん♡ 犬さんみたいに扱われて、喜ぶわけないもん♡」

 

『違うよ。杏璃にはそういう素質があったんだよ。男嫌いのフリをして、本当はこんな風に好きな男の手で、動物のように扱われて、飼われたかったのさ』

 

 イメージの中で誠一に撫でられる。それこそペットにするように、顎をくすぐるような撫でつきで。

 

「くぅぅうぅん♡」

 

 犬のような嬌声を杏璃は上げる。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 気づけばスマートフォンを起動し、写真保存アプリを起動していた。

 

 誠一と姉妹が一緒に映った写真。

 そこから誠一の顔だけを切り取った写真を杏璃は表示する。

 

「はぁ……誠一、くぅん♡」

 

 この世でただ一人、自分が心を許せる男性。

 そして、ただ一人、自分が生涯愛すと決めた最愛の少年。

 そんな彼に、こんな風に辱められたら、それはどんなに……。

 

「ああっ♡ 私ぃ♡ こんなこと考えてしまうなんて……♡ 誠一くんで、こんなこと……♡ ああっ、ごめんなさい……ごめんなさい誠一くん♡ 杏璃、あなたでいけないこと、考えちゃってるの♡ 優しいあなたで♡ ああっ、許して♡ 許して誠一くん♡」

 

 咄嗟の療法は効果覿面だった。

 覿面すぎた。

 

 これを機に杏璃はおぞましい筈だったノートの内容を材料にして、最愛の少年に可愛がられる空想に浸るようになってしまったのである。

 

「はぁ、はぁ……また私、こんな真似を♡ 違うの誠一くん♡ 私、変態じゃない♡ 変態じゃないもん♡ だから……意地悪しないで♡ いつもみたいに、イイコイイコしてぇ♡」

 

 杏璃自身も知らなかった、自分の隠された一面。

 それが空想上の誠一によって、夜ごとに暴かれていく。

 

「んんぅぅう♡ ごめんなさい♡ 杏璃、イケナイ子なの♡ 本当は、大好きな人に苛められることに、喜んでるの♡ 杏璃、悪い子なの♡ だから……お仕置きして♡ 杏璃にいっぱいお仕置きして、誠一くん……ううん♡ 誠一様♡ あっ♡ ご主人様~♡」

 

 一度目覚めた女の本性は最愛の少年を求めて、艶めかしい肉体と同じように狂おしく発育していく。

 脳内の穢れは洗浄されるどころか、少女の秘め隠された願望によって満遍なく塗り尽くされていった。

 

「……はぁ、はぁ♡ そっか……私、気づいちゃった♡」

 

 やがて少女は悟る。

 自分の身体が、どうしてこんなにも淫らに育ったのか。

 どうしてこんなにも男嫌いになって異性を遠ざけてきたのか。

 それは……。

 

「私は……あの人に尽くすために、産まれてきたんだ♡」

 

 すべては誠一という運命の相手に、この身と心を捧げるために、神様が仕組んだことだったのだ。

 すっかり愛欲に溺れた杏璃は、それが不変の真理だと信じて疑わなかった。

 スマートフォンに映る愛おしい少年の顔を眺め、杏璃は法悦に濡れた顔を浮かべる。

 

「……あなたに、私のすべてを捧げます。私だけの……ご主人様♡」

 

 思いを自覚した少女は、もう止まらなかった。

 




■門原杏璃(17)

 T157 B105(L cup) W57 H86

 母の美貌と才覚を見事に継いだ絶世の美少女。
 白に近い銀髪で腰元まで届くロング。白ニーソ装備。ムチムチの絶対領域がなんとも眩しい。
 清楚な雰囲気、クールな態度、高校生離れしたワガママボディで多くの男子を魅了する学園のアイドル。学外にもファンは多く、毎日のように告白されている。
 小学生の頃から発育が良く高学年になる頃にはすでにGカップあった。ちなみに現在も絶賛発育中で成長が止まる様子を見せない。
 大の男嫌いかつ潔癖症。
 しかし、もともとはファザコン気味の少女で、父が亡きあとは父性を感じさせる心強い存在を求めていた。しかしほとんどの男が自分を性的な目でしか見てこないため、すっかり異性というものに絶望していた。
 本来は他人に依存しやすい性格で、本人も無自覚にそんな一面をわかっているためか、常に心に壁を作りがち。彼女と打ち解けるには根気が必要。
 そのぶん、一度心を許した相手には全身全霊を持って尽くしたいという、母と同じ気質が芽生える。
 Mっ気なところも色濃く継いでしまったようで、愛する者に乱暴に扱われることに激しい興奮を覚えてしまう。


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次女ちゃんは多分一番マトモ、だと思う……

5:名無しの童貞

とりあえず前スレの有能ニキのアドバイスに従って、あれから長女ちゃんのメンタル面を気にかけるようにした

さすがに過激なのは無理だが、できる限り彼女の要望に応えるなどして何とか心を落ち着かせている

 

6:名無しの転生者

可能なら専門家を頼るのが一番だと思うが

そういうのを勧めるとショック受ける場合もあるからな

 

7:名無しの転生者

だなー

いまのところはイッチ自身が対応するのが最善じゃないかな?

長女ちゃんの気持ちを考慮すると

 

8:名無しの転生者

慣れない専門家相手より信頼している男のほうが本人にとってはいいだろうしなー

 

9:名無しの童貞

そうかもな

ただ、さすがに俺だけでは手に負えなくなったら素直に専門家を頼ることにするよ

 

まあ最近の長女ちゃんはかなり安定しているように見える

たぶんチョーカーをプレゼントしたのが良かったのかもしれん

 

10:名無しの転生者

チョーカーか

……首輪の代わり?

 

11:名無しの童貞

まあ、うん……

さすがに犬の首輪つけるのはアカンと思ったので

長女ちゃんの希望で赤いチョーカーをつけてあげたら大層喜んだ

 

12:名無しの転生者

ソレハヨカッタネ

 

13:名無しの転生者

チョーカーでも割と背徳的だよね

 

14:名無しの転生者

拙者、美少女の首元に何か巻いてあると興奮する侍

義によって助太刀いたす

 

15:名無しの転生者

有能ニキの考察通りならば……

長女ちゃん、さぞご満悦な顔で巻いたんやろな~

 

16:名無しの転生者

愛しのご主人様の贈り物だからな~

 

17:名無しの転生者

そのままイッチに跪いて忠誠誓いだしそう

 

18:名無しの童貞

やめーや

マジで最近長女ちゃん二人きりのときメイド服とか犬耳カチューシャつけて俺のこと「ご主人様」って呼んで身の回りのお世話しだしてるんだから

笑えん冗談だよ

 

19:名無しの転生者

メンタル安定してるって言ってなかったっけ!?

 

20:名無しの転生者

重症化しとるやんけ!?

 

21:名無しの童貞

いやー、やってることは確かにアレだが

前よりもずっと元気そうにイキイキしてるし

事件のこと引きずって意気消沈するよりはいいかなーと思って

 

22:名無しの転生者

ええー……

 

23:名無しの転生者

イッチはそれでいいのかよ……

 

24:名無しの童貞

ゆくゆくは矯正したいとは思うが……

まあ現状は仕方なかろう

何であれ辛いことを忘れられるくらい夢中になれることがあるなら、それに越したことはないと思うし

料理とか掃除をやってくれるのは正直こちらとしても助かってるしな

 

……まあ胸の谷間が大きく露出した極ミニスカートというかなり際どいメイド服だから、目のやり場に困るのが玉に瑕だが

 

25:名無しの転生者

ちくせう

見たい

 

26:名無しの転生者

さぞドスケベなメイド姿なのだろうな……

 

27:名無しの転生者

清楚でツンデレで男嫌いな長女ちゃんはいずこへ?

もはや面影も無し!

 

28:名無しの転生者

これも全部イッチってやつの仕業なんだ

 

29:名無しの転生者

諸悪の根源は鬼畜息子のゲスノートだがな

 

30:名無しの転生者

しかし長女ちゃんですらそんな状態になってるなんて……

下の妹たち二人はどんだけヤバいことなってるやら……

 

31:名無しの転生者

初手からいろいろ濃すぎてな……

いまから怖くなってきたよ

 

32:名無しの転生者

イッチ、この際だからもう全部ぶちまけてくれ

残り二人はいったいどんなヤバい変貌を遂げているんだ?

 

33:名無しの童貞

変貌って……

いやまあ長女ちゃんはまさにそうだったわけだが

 

でも待ってくれ

次女ちゃんは多分比較的一番マトモな状態だと思うぞ?

 

34:名無しの転生者

本当に~?

 

35:名無しの転生者

イッチの感覚が麻痺してるだけでやっぱりアカンことになってるんとちゃう~?

 

36:名無しの童貞

いや本当だって

告白の仕方だって一番ストレートというか真っ当だったし

 

三女ちゃんは……いや、今回は次女ちゃんに話を絞ろうか

 

37:名無しの転生者

そうしようか

次女ちゃんは確か「からかい上手なスポーツ少女」だったか?

 

38:名無しの童貞

うむ

一応次女ちゃんの詳細もまとめておこうか

また長文失礼

 

現在中学三年生の十五歳

お淑やかな母や姉と比べると活発的でボーイッシュな性格

人懐っこくどんな相手とも打ち解ける上、スポーツ万能なので異性だけでなく同性にもモテる

髪は水色に近い銀髪を短めにしてる

出会った頃はベリーショートだったが最近は心境の変化があったのかミディアムボブの長さまで伸ばし、かなり女の子っぽい見た目になった

水泳部のエースで全国大会で優勝するほどの実力

二年生の時点ですでに俺の学園からお声があり、スポーツ推薦での入学が決まっている

 

原作の「からかい上手」の設定に恥じぬ、思わせぶりな行動が多々あり

俺もよく親しくなったばかりの頃はスカートの中をギリギリなところまでチラッと見せつけられたり胸を押しつけられたりと際どいアプローチで翻弄されていた

長女ちゃんと違って恋愛には年相応に興味があるようだが、かなりの面食いで理想も高いためどちらかというと「恋に恋してる」少女

 

原作情報によると「お嫁さん」に憧れているようで意外と料理や裁縫が姉妹の中で一番得意だったりと家庭的な一面がある

 

腿肉が太いことをちょっと気にしているようだ

実際めっちゃ太い

「気をつけ」の姿勢になると隙間ができなくなるくらい

とはいえスポーツをやっているので決してダラしない感じはなく寧ろすっごい美脚

足フェチにはたまらんと思う

 

39:名無しの転生者

拙者、太ももムチムチ美少女大好き侍

義によって助太刀いたす

 

40:名無しの転生者

ほう……

次女ちゃんは足が武器か

 

41:名無しの転生者

乳は母や姉に劣るとはいえ次女ちゃんも98cmと十分に爆乳なんだがなぁ……

それでさらに下半身がムチムチなのか

やば……

 

その上、水泳部で競泳水着を着るワケか……

やば……

 

42:名無しの転生者

中学生男子たちにとっては目の毒過ぎるな

水泳の授業とかエラいことになってそう

 

お前のような中学生がいてたまるか

 

43:名無しの転生者

官能小説の世界だからなぁ……

 

44:名無しの転生者

さすがエロのファンタジー世界!

恵体美少女で溢れているぜ!

 

45:名無しの転生者

そんな娘にエッチにからかわれるとか……

久しぶりにイッチに殺意が湧いてきたぜ……

 

46:名無しの転生者

俺もエッチに誘惑してくるドスケベボディの後輩が欲しかった

 

47:名無しの転生者

なぜベリーショートから髪を伸ばしてしまったんだ!?

ボーイッシュな女の子なのに勿体ない!

 

48:名無しの転生者

女の子なんやから伸ばしたいときもあるやろ?

 

49:名無しの転生者

ずっと短めにしてた女の子が髪を伸ばす理由はひとつなんだよなぁ……

 

50:名無しの転生者

イッチめ

罪作りな男よ

 

51:名無しの転生者

で、そのからかい上手なスポーツ少女はイッチにどう告白してきたんだ?

 

52:名無しの転生者

イメージ的には遠回しなセリフでこちらを振り回してきそうだが

 

53:名無しの童貞

いや、本当にストレートだったよ

普段の彼女からは感じられない真剣さだった

だから俺としても真剣に考えて返事をしたいと思っている

 

54:名無しの転生者

マジか

長女ちゃんがアレだったから次女ちゃんはどんなのが来るかと身構えていたが……

 

55:名無しの転生者

これは本当に次女ちゃんに関してはマトモな告白っぽいな

 

56:名無しの転生者

それで

その告白の内容は?

 

57:名無しの童貞

 

こう告白された

 

「あたし、本気で先輩が好きッス。今回は、からかってないッス。ずっと、あなたの傍にいたい。一番近くで、あなたを支えたい。……先輩の、お嫁さんになりたい。それぐらい本気の、『好き』です……」

 

 

58:名無しの転生者

ぐはあああああああああああああああ!!!

 

59:名無しの転生者

破壊力やべええええええええええええ!!!

 

60:名無しの転生者

マジで真っ当な告白じゃねえかよおおおおお!!!

 

61:名無しの転生者

あ、俺いまから次女ちゃんに鞍替えします

 

62:名無しの転生者

一生に一度の告白で「犬にして飼ってください」なんてぶっ飛んだこと言う長女なんていらんかったんや

 

63:名無しの転生者

時代はやはり正統派ですよ

 

64:名無しの転生者

イッチ

次女ちゃんを選ぼう

たぶんそのほうがイッチも幸せになれるよ

 

65:名無しの転生者

恋に恋してた少女が本気の恋を知る……

たまらんな

 

66:名無しの転生者

ボーイッシュな娘が女の子らしくなって

しかもそんなストレートな告白してきたら普通コロッとイッてしまうわ

 

67:名無しの転生者

次女ちゃん最高

 

68:名無しの転生者

長女?

知らね

 

69:名無しの童貞

お前らさぁ……

あんまりにもあんまりだぞ……

 

70:名無しの転生者

だってねー……

 

71:名無しの転生者

男は変則的なのよりも直球なのに弱いってコトだね

 

72:名無しの転生者

イッチよ!

素直に次女ちゃんの思いに答えてやれ!

 

73:名無しの転生者

真面目な話

次女ちゃんにとっては一世一代の覚悟で告白したと思うぞ?

ソレを無下にするのはさすがになぁ……

 

74:名無しの童貞

それは……

俺もそう思うよ

だから「()()()()」で誤魔化さないで、ハッキリと答えを出したいと思ってる

 

75:名無しの転生者

イッチ的には次女ちゃんをどう思ってるんだ?

 

76:名無しの童貞

良い子だと思ってるよ

普段おちゃらけてるのもムードメーカーとして家庭を明るくしようとしてるからだし

スポーツに関しては本当に真剣に打ち込んでるし

最近は苦手な勉強も真面目に取り組んでてな

スポーツ推薦でとっくに合格は決まってるにも関わらず、よく俺の部屋に来ては一緒に勉強してる

 

「先輩みたいに、素敵な先輩にとって恥ずかしくない後輩でいたいッスから」

 

そう言ってうちの学園の学力に追いつこうと頑張ってる

自慢の後輩だよ

 

 

77:名無しの転生者

良い子過ぎて草

 

78:名無しの転生者

やっぱ次女ちゃんなんだよなぁ……

 

79:名無しの転生者

ひとり暮らしの男の部屋で一緒に勉強する爆乳JC後輩……

何も起きないはずがなく……

 

80:名無しの転生者

その後ろでエロメイドコスした長女ちゃんが部屋掃除してるよ

 

81:名無しの転生者

長女ちゃんさぁ……

 

82:名無しの転生者

そういうところやぞ

 

83:名無しの童貞

いやメイドになるのは二人きりのときだけだってば!

次女ちゃんと勉強するときは席外してもらってるよ!

 

84:名無しの転生者

ほう……

そんな状況でイッチは何もしないわけか?

ただ本当に勉強してるだけと?

 

85:名無しの童貞

え?

そうだよ?

 

86:名無しの転生者

嘘やろ……

 

87:名無しの転生者

イッチ、お前本当にちんちん付いとるんか?

 

88:名無しの童貞

失敬な

真面目に勉強しに来てるのにふしだらな真似なんてしたら次女ちゃんに失礼だろうが

 

89:名無しの転生者

いや、そうだけどさ……

そうだけどさあ!

 

90:名無しの転生者

次女ちゃんは期待してるかもしれんやろ!?

手を出してくれるかもって!

 

91:名無しの童貞

えー?

最初の頃はともかく近頃の次女ちゃんは本当に真面目だったしな~

 

まあ、いくら部屋着とはいえ男の部屋で薄着過ぎるなぁ、とは思ったが

 

92:名無しの転生者

それ絶対誘っとるやんけ!?

 

93:名無しの転生者

気づけやボケ!

 

94:名無しの童貞

何!?

じゃあ休憩で俺のベッドに陣取るのも

俺の前でやたら柔軟体操するのも

そういうことだったのか!?

 

95:名無しの転生者

おのれはラノベの鈍感系主人公か!

 

96:名無しの転生者

官能小説の住人であることに自覚を持て!

 

97:名無しの転生者

ああ~……

可哀相な次女ちゃん

さぞ精一杯にアピールしてたんやろな~……

 

98:名無しの転生者

イッチ

やはり責任取って次女ちゃんを選びなさい

 

99:名無しの転生者

本妻を次女ちゃん

愛人をママン

ペットを長女ちゃん

これで完璧

 

100:名無しの転生者

答えが出たな

 

101:名無しの転生者

これですべて解決だ

 

102:名無しの転生者

いままでご愛読ありがとうございました

 

103:名無しの童貞

勝手に話をまとめないでくれ……

 

104:名無しの転生者

そうだぞ

まだ俺の最推しである三女ちゃんの話が残っているんだからな

 

105:名無しの転生者

しかし

話を聞く限りだとマジで次女ちゃんは何も問題なさそうだな

 

106:名無しの転生者

そうだな

家族全員でイッチに愛してもらおうとしている点は常軌を逸しているが……

次女ちゃん自体は本当にただ純粋に恋した相手にストレートに告白してる感じだしな

 

107:名無しの転生者

一番話が通じるのは次女ちゃんだろうな

たぶん、イッチがどういう答えを出そうがちゃんと受け入れてくれそうな気配がある

 

108:名無しの転生者

だな

イッチはとりあえず次女ちゃんの返事から考えたらいいんじゃない?

その流れで他の三人も話を真面目に聞いてくれるかもだし

 

109:名無しの童貞

やはりそうか……

ただなあ……

 

「家族総出で先輩を傷つけてしまった責任は取りますから」

 

とも言ってるからな

母親と姉妹の総意に背くことは次女ちゃんもしたがらないかもしれん

 

 

110:名無しの転生者

ん?

ちょっと待てイッチ

 

111:名無しの転生者

家族総出で責任を取る?

何の話だ?

それは次女ちゃんが言ったのか?

 

112:名無しの童貞

うん

告白の最後にそう言ったんだ

 

実は事件のとき鬼畜息子に包丁で腕を切りつけられてしまってな

ちょっとだけ障害が残っちゃってね

 

113:名無しの転生者

ええ!?

 

114:名無しの転生者

マジかよ

 

115:名無しの転生者

なんだよ

無双していたワケじゃなかったのかイッチ

かっこつけちゃってもう~

 

116:名無しの転生者

むしろイッチに一撃でもお見舞いした鬼畜息子がヤバいのでは?

 

117:名無しの転生者

てか障害って……

大丈夫なのかイッチ?

 

118:名無しの童貞

幸い腱まで切ってはいなかったから、リハビリして一応日常生活に支障はないレベルまでには回復した

半年前くらいには何とか料理や部屋の整理手伝えるくらいにはなってたし

ただ、このことで一番負い目を感じてるっぽいのが次女ちゃんなんだよね……

 

腕っ節に自信があって喧嘩が強いのに、いざというとき怖くて動けなかったことを相当悔いているみたいでな

俺は「気にするな」ってずっと言ってるんだけど

やっぱりアスリートだからかね?

よく俺の体つきのこと褒めてたんだけど、そのぶん刀傷が付いてしまったことがショックみたいなんだ

 

「先輩の綺麗な身体に傷をつけてしまったことが許せないッス……。だから、どんなことをしてでも、償うッス……」

 

次女ちゃんは全然悪くないのに、こう言ってくれてな

しばらくは長女ちゃんと競うように俺の身の回りを世話してくれてたよ

まったく、本当に気にしなくてもいいのに

義理堅い娘だぜ

 

119:名無しの転生者

……イッチ

すまん

前言撤回だ

 

120:名無しの童貞

何が?

 

121:名無しの転生者

たぶん……

次女ちゃんもヤバい

そんな予感がする

 

122:名無しの転生者

ヤバいかもな

 

123:名無しの転生者

うん

長女といい、やはり姉妹ということか……

 

124:名無しの童貞

なんで!?

今度はどういうことですか有能ニキ!?

 

125:名無しの転生者

詳しいことはもっとイッチから聞かないといけないが……

たぶん次女ちゃんも、イッチが思ってるほどマトモな状態ではないかもしれんぞ

 

126:名無しの童貞

うっそーん……

 

 



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【からかい上手な水泳部JC夏希】青い果実は早熟に実りだす

 あたしは結局、物語のように素敵な恋はできないんだろうな。

 門原夏希(かどはら なつき)は漠然とそんな予感を覚えていた。

 

 夏希は小さい頃から母の口から語られる父との馴れ初め話を聞くことが好きだった。

 女としての至上の幸せ。

 それは母のように運命的な相手と出会って「情熱的な恋」をすることだと思っている。

 我を忘れるほどに相手のことが好きになってしまい、その人に尽くし、その人のために生き、お互いを強く思い合って、支え合いながら人生を共にする。

 それはとても素敵なことだと思えた。

 

『あたしの夢は、おかあさんのように、すてきなお嫁さんになることです!』

 

 将来の夢について語るときはいつもそう言っていた。

 口にしなくなったのは父が亡くなってからだ。

 べつに辛い現実に打ちのめされて夢から覚めたとかではない。

 ……ただ、自分の家庭に頼りになる男の人がいなくなってしまった。

 だから、自分が代わりにその役目になろう。そう思ったのだ。

 

 夏希はとにかく体を動かすことが好きで、男の子に混じって遊ぶことが多かった。

 腕っ節も強く、近所のいじめっ子も夏希には敵わない。

 髪も短かったから、よく少年に間違えられたものだ。

 ……なら、いっそ男の子のようになってしまおうと思った。

 

『お母さん! 力仕事は夏希に任せて! だってあたし力持ちだもん!』

『アン姉! 雛未! 男にからかわれたり、苛められたりしたら夏希に言って! あたしが皆こらしめてやるんだから!』

 

 そもそも自分が母や姉妹と比べると「女らしくない」ことは夏希自身がわかっていた。

 つまり適材適所というやつだ。

 そもそも「お嫁さんになりたい」だなんて、いつまでも堂々と語れる夢じゃない。

 だから構わない。家族が揃って平和に笑顔で暮らせるなら、自分は喜んで「男役」になろう。

 

 母が再婚したときは「その御役目もとうとう御免かなー」と思ったが……やはり運命は夏希に「男らしく家族を守れ」という任を背負わせるつもりのようだった。

 

(さすがに逝くのが早すぎるッスよ、お義父さん……)

 

 あまりに早い、母の再婚相手の死。

 家族らしい絆を育む間もなかった。

 夏希としては、べつに再婚に反対はしていなかったし、新しい父と仲良くなろうと努力はしていた。

 

 ……ただ、母が一途に愛を貫こうとしなかったのは、少しショックだった。

 わかってはいるのだ。

 母のことだから、きっと自分たち娘のことを思っての再婚だったことは。

 最初の結婚が「情熱的な恋愛」ならば……今回の再婚は「理性的な恋愛」だったというわけだ。

 理解はしているし、納得もできる。

 現実の恋愛なんて、そんなものだ。

 そう弁えられる程度には、夏希もすでに昔ほど恋愛に夢を見てはいなかった。

 

 ……だからといって、これではあまりにも希望がない。

 母はきっとたくさん悩んで考えて、覚悟を決めて再婚をしたというのに、その幸せがこんなにも短いもので終わってしまうだなんて。あまりにも理不尽だ。

 

(やっぱり、あたしが皆を笑顔にしなくちゃ!)

 

 夏希は変わらずムードメーカーとして家庭を明るくしようと努めた。

 大丈夫。また昔のように自分が皆を引っ張っていけば、自然とまた元気な家族に戻れるはずだ。

 ……開かずの間に不気味な異分子がいることは気になっていたが、もしものときは自分が何とかすればいい。

 

 あたしが家族を守る。

 夏希は改めてそう誓った。

 

 ……誓っていた、筈なのに。

 

 

 

「あ、ああ……っ」

 

 ずっと引きこもっていた義理の兄が、包丁を持って暴れ出したとき、夏希は何もできなかった。

 あまりに怖くて、恐ろしくて、動けなかった。

 

 もしも隣人である彼が……中田誠一が駆けつけてくれなかったら、いったいどうなっていたことか。

 

「先、輩……」

 

 親しくなったばかりの年上の少年。

 よくからかっては、その反応を見て笑っていた。

 彼からすれば、なんとも生意気な後輩だ。

 そんな生意気な後輩を……腰を抜かして震えている情けない自分を庇いながら、誠一は凶器を持った相手に挑んだ。

 腕を切りつけられ血しぶきが上がっても怯まず、自分たち家族を守ってくれた。

 

「先輩……先輩! ごめんなさい……あたし、あたしっ」

 

 事件のあと、夏希は何度も誠一に頭を下げた。

 

「ごめんなさい! あたしが……あたしが家族を守らなくちゃいけなかったのに! あんなに偉そうに『あたしが居るから心配ない』なんて言っておきながら、何もできなかった……。その上、先輩に一生消えない傷を……ごめんなさい、ごめんなさい!」

 

 そんな泣きじゃくる夏希の頭に、誠一は優しく手をのせた。

 

「夏希ちゃん。いいんだよ。人間なんだから怖くて当たり前だ。無理に男らしく戦おうなんて、しなくていいんだ。夏希ちゃんは……女の子なんだから」

「あ……」

 

 女の子なんだから。

 誠一にそう言われた瞬間、夏希の中で、ずっと重りになっていたものが軽くなったような気がした。

 

 そう。いつのまにか、夏希は自分に言い聞かせていた。

 自分は女らしくあってはいけない。

 家族を守るためにも、男のように強くなくてはいけないのだと。

 でも……。

 

「君たちに怪我がなくて、本当に良かった」

 

 実際、自分たちを男らしく守ってくれたのは、目の前の少年だった。

 どこまでも、自分よりも他人のことを心配する、心優しき少年。

 酷い傷を負いながらも、決してそのことを話題に持ち出さず、どころか涙を流す夏希を励まそうとする温かで大きな器。

 

 ふと、幼い頃に聞いた母の言葉を思い出した。

 

『心に決めた相手にはね、すべてを捧げたいって思えるの。それだけの男の人と出会えた私は、本当に女として幸せだと思うわ。夏希ちゃんも、いつかそういう人と出会えるといいわね』

 

 そのとき、何か憑き物が落ちたような気がした。

 

(そうか……あたし、『女の子』でいいんだ。この人の前でだけは……『女の子』でいていいんだ……)

 

 そして夏希は、胸に芽生えた感情をハッキリと自覚する。

 

 ああ。あたしも、いまこの瞬間、母と同じになったのだと。

 

 

   * * *

 

 

 お手入れが面倒だからと、髪はずっと短くしていた。

 友人からは「伸ばしたほうが絶対にかわいいのに」とよく言われた。

 そのたびに夏希は「べつにいいッスよー。これ以上かわいくなってモテモテになっちゃったら夏希ちゃんてんてこ舞いになっちゃうッスよ。にゃはは」と言って誤魔化した。

 実際、夏希は性別に関係なくモテた。

 告白の頻度はどちらかというと女子からが多い。「男子たちよりも凜々しくて爽やかでかっこいい」とのことだった。

 女子の目線からだと夏希はいわゆる「王子様」のような存在らしい。

 

 男子からの告白のほとんどは、あからさまな肉欲混じりだった。

 水泳部での練習中、よく室内プールを覗き見に来る男子たちは後を絶たない。

 もちろん全員が夏希目当てだ。

 コーチに何度注意されても彼らは毎度まいど懲りずに、夏希の中学生離れした抜群のスタイルを血走った目で唾を飲みつつ舐め回すように凝視しに訪れるのである。

 

 男子はしょうがないッスね~。と夏希は苦笑した。

 べつだん夏希は長女の杏璃ほど性的なことに対して忌避感をいだくタイプではなかった。

 むしろ年相応に興味があった。

 機会があれば経験してみたい、とまで思っている。

 だからといって、相手が誰でもいいというわけではないが。

 夏希の男の理想は高いのだ。

 

 それでも男が自分の肉体に興味を示すことには、女として軽い優越感があり、悪い気はしなかった。

 なので時折サービスとばかりに窓際に向かって胸の谷間が見えるようにわざとらしく屈んでみたり、お尻に食い込んだ水着を見せつけるようにパチンっと指で直したりした。

 トイレに向かって駆け込む男子たちを見ると「勝ったぜ」という具合に妙な達成感を覚えたものだ。

 

 夏希は昔から「オトコ女」と男子たちにからかわれていた。

 けれど自分の身体が女らしく成長していくと、途端に彼らは目の色を変えた。

 なんとも現金な連中だ。

 だから仕返しとばかりに、ついつい際どいからかいをして過去の鬱憤を晴らした。

 あれだけ自分のことを「女っぽくない」とバカにしてきた男たちが自分の色香であたふたする場面を見ると、滑稽で楽しくてしょうがなかった。

 

 ……いまは、もう二度としないと決めた。

 するにしても、それはもう、一人の男にだけだ。

 

「……夏希、髪伸びたね」

「うん。伸ばしてるんだ」

「へ~。あんなに渋ってたのに。どういう心境の変化?」

「まあ、いろいろあったんッスよ」

 

 ベリーショートから徐々に髪が伸びてくると、男子たちの告白の頻度は女子よりも多くなっていった。

 でも前のように思わせぶりな返事や、勘違いさせるような行動は絶対にしない。

 

(だって、あたしの身体も心も……あの人のものだもの)

 

 彼のことを考えるだけで、夏希の心は弾んだ。

 中学生離れした豊満な肉体も、感情と共に熱くなっていくのを感じる。

 

「……なんか、雰囲気変わったね夏希」

 

 物憂げに窓の外を眺める夏希を、友人の少女はどこか圧倒されたような目で見ていた。

 

「そうッスか?」

「うん。髪伸ばしたせいもあると思うけど……なんていうか、めっちゃ女っぽいっていうか……色っぽい?」

「そうかも、しんないッスね~」

 

 友人の言葉どおり、ここ最近の夏希は同学年の少女たちと比べて明らかに女としての成長を早めていた。

 ただでさえ早熟な肉体はさらなる成長を見せ、胸はとうに母や姉と同じ三桁サイズに達している。

 育っているのは肉体ばかりではない。

 夏希が纏う雰囲気や、身体から分泌されるフェロモンは、もはや中学生のソレではなかった。

 女としての段階を、一歩も二歩も上がった。……同年代の目から見ると、そうとしか表現のしようがない変わりぶりだった。

 友人の少女すら夏希のあまりの艶やかさに、思わず胸がドキドキするほどだった。

 

 恋をすれば女は変わる。

 よくそう言われるが、実に真理だと夏希は思う。

 まるで、意中の相手に早く捧げたいとばかりにこの身はどんどん育っていく。

 

 夏希の髪がミディアムボブの長さまで伸びると、今度はうんと年上の男からも交際を求められるようになった。

 中には夏希の理想に限りなく近い容姿の持ち主もいた。

 ……だが、そんなことはもう関係なかった。

 どれだけ男にモテようが、どうでもいい。

 だって、自分はもう見つけたのだ。

 

 この身すべてを使ってでも支えたい、運命の相手を。

 

 

   * * *

 

 

 顔はギリギリ合格。

 鍛えられた肉体は滅茶苦茶好み。

 中身は超満点。

 

 それが誠一に出会ったばかりの夏希の中での評価だった。

 もしも初めての交際相手を選ぶのなら、彼が無難かなーと思っていた。

 特待生になるほど頭も良く、スポーツも万能で、性格も優しい。そして何より筋肉フェチである自分好みの体つき。

 物語のように素敵な恋は無理にしても、彼とならきっと楽しい青春生活を送れるのではないかと、そんな淡い期待をいだいていた。

 

 ……いまとなっては、とんでもない愚考だ。

 「お前はいったい何様だ」と過去の自分の頬を叩きたくなる。

 

 何が無難な相手か。

 とんでもない。

 彼こそが自分にとって、絶対なる運命の相手だ。

 彼以上の存在は、この世には存在しない。

 その魅力も、もはや点数で測れる次元などではない。

 夏希にとっての男とは、もはや中田誠一だけだ。

 それ以外の男など、有象無象に等しい。

 

 夏希は知った。

 物語のように素敵な恋とは、降って湧いてくるものではない。

 自らの手で掴み取り、決して逃がすことなく、力ずくで引き起こすものなのだと。

 

 

 

 

 

「先輩、もう少しでご飯できますから、待っててくださいね?」

「ありがとう夏希ちゃん。……なんか、ごめんね? ただでさえ、そっちの家でよくご馳走してもらってるのに、その上こっちでも作ってもらっちゃって」

「気にしないでくださいッス。まだまだ片手の生活じゃ不便でしょ? あたしがしっかりお世話しますから」

「……なあ、夏希ちゃん。本当に気にしないでいいんだぜ? 怪我したのは俺がドジしたからなんだし、そんなに責任感じなくても……」

「ダメっす! 先輩は私たち一家の超恩人なんですから! 是が非でも恩返しするッス! これぐらいじゃ足りないぐらいッス!」

「お、おう……」

 

 あの悪夢のような事件から数ヶ月。

 腕の負傷によって生活が不便になってしまった誠一を、門原家の女性陣は総出でサポートしていた。

 特にその頻度が多かったのは、家事や裁縫が得意な夏希であった。

 傷も塞がり、多少片手でも苦なく生活できるようになっても、夏希は頻繁に誠一の部屋に通っていた。

 

「はい先輩♪ あーんしてくださいッス♪」

「ちょっ、さすがに食べるぐらいは自分でできるって」

「でも利き腕じゃないほうで食べるの難しいでしょ? 素直にかわいい後輩に甘えてくださいッス♪」

「わ、わかったよ。あーん……」

「お味はいかがッスか?」

「うん、相変わらずうまい。これならいつでもお嫁にいけるな、夏希ちゃんは」

「にっしっし♪ 嬉しいッス♪ 夏希ちゃんはこれでも尽くす女ッスよ~? いまのうちに奥さん候補として予約しとくと、後々お得ッスよ~? せんぱ~い♪」

「またそんな冗談言ってからかって。もう動じないからな~?」

「ちぇ~、ッス」

 

 冗談ではない。

 もちろん本気だ。

 しかし日頃の行いが祟って、なかなか誠一は夏希のさり気ないアピールを真剣に受け取ってくれない。

 でも構わない。

 ここからじっくりと意識してもらえればいい。

 なにより、こうして彼のお世話をしているだけでも、途方もないほどに幸せだった。

 

「で、ここの公式はこうなるってわけだ」

「ほうほうッス。やっぱり先輩、教え方上手ッスね。先生よりもわかりやすいッス!」

「夏希ちゃんの要領がいいからさ。コツさえ掴めば、どんどん覚えていくんだもん。この調子ならうちの学園に入学しても、テストで苦戦することはないと思うよ?」

「えへへ。頼りになる先輩が居てくれて夏希は幸せもんッス。……本当に、幸せ」

 

 夏希は二年生でありながらすでにスポーツ推薦で高校への合格が決まっていたが、誠一との時間を少しでも多くしたいあまり、苦手な勉強を教えてもらっていた。

 おかげで、成績は見る見るうちに上がっていった。

 好きな人から教わることなら、どんなことでも吸収できてしまうことを夏希は学んだ。

 

 ……そう、誠一から与えられるものなら、何だって受け入れられる。

 それが例え、どんなものであっても。

 

「そろそろ休憩しようか」

「そうッスね~。ん~、座りっぱなしだと身体が強張っちゃうッス~」

 

 夏希は誠一の前でストレッチを始めた。

 もちろんアピールのひとつだ。

 格好も、胸の谷間が大きく見えるタンクトップに生足を盛大に見せるショートパンツと、かなり際どい薄着だ。

 年頃の男にとっては、たまらない光景だろう。

 

(……先輩、見てる)

 

 誠一は気まずそうに顔を赤らめて夏希を見まいとしていたが、それでもやはりつい目で追ってしまうのか、時折チラッと胸の谷間や生白い素足に向けて視線が泳いだ。

 

 意識してくれている。

 嬉しい。

 夏希の身体が熱く火照っていく。

 

 年頃の男女が部屋で二人きり。

 とうぜん()()()()()()()が起こることを期待して夏希はこの部屋に訪れている。

 

 いつでも手を出してもいいのに。

 誠一が相手ならばいつだって喜んで受け入れるというのに、誠実な彼は決してそうしない。

 そんな真面目な彼に、ますます思いが募ってしまう。

 もっともっとご奉仕したいと思ってしまう。

 

「ねえ先輩。ひと休みするなら夏希ちゃんの膝枕はいかがッスか~?」

 

 さらなるアピールとして、夏希は剥き出しになった生足を誠一に見せつける。

 

「え? い、いいって、そんなこと」

「まあまあ遠慮なさらずに~。雛未にも『ふわふわで柔らか~い』って好評のボリューム満点の膝枕ッスよ~? 興味ないんスかせんぱ~い?」

 

 前までは人よりも一際太いこの太ももがコンプレックスだった。

 いまは、ここまで実って良かったと思っている。

 男を誘惑する上で、これほど有用な武器もそうない。

 胸では姉の杏璃には敵わないが、太ももの肉付き具合だったら夏希の圧勝だ。

 

「先輩ならいま特別で夏希ちゃんの『頭ナデナデ』も加えちゃうッス。日頃の疲れを癒してあげるッスよ~? ほれほれ先輩♪ おいでおいでッス~♪」

 

 いまにも「ムチッ」と音が鳴り出しそうな生白い太ももを艶めかしい手つきで撫で上げながら、夏希は甘い声色で誘う。

 

 「ゴクリ」と唾を飲む音が聞こえた。

 夏希は誠一が自分の太ももに頭を乗せる光景を期待する。

 ……そしてその先を想像して、下腹部を熱くさせる。

 

(いいんですよ先輩。あたし、あなたなら本当にどんなことだって……)

 

 陽気な笑顔の裏で、夏希の早熟に育った牝の一面が愛おしい相手を狂おしく求める。

 

「……俺、風呂入ってくる! 夏希ちゃんはゆっくりしてていいから!」

 

 誠一は逃げるように着替えを取ってバスルームに向かった。

 夏希は溜め息を吐いた。

 それは決して誠一の態度に呆れたからではない。

 むしろその逆である。

 

「……かわいいなぁ、先輩」

 

 誠一が見せる些細な反応のすべてが愛おしい。

 

 ああ、どうしよう。

 これ以上好きになったら、壊れてしまいそう。

 でも止められない。

 もっともっと親密に、過激に、彼のお世話がしたくてしょうがない。

 

「……よぉし」

 

 夏希は衣服を脱ぎ、いそいそと準備を始めた。

 

 

 

 

 

「せんぱ~い。片腕だけで身体洗うの大変ッスよね~。お背中お流しするッス~」

「え? ちょっ!? 夏希ちゃん! 何入ってきてるんだよ!?」

「安心してくださいッス先輩。ほら、このとおり水着着てるッス。何も問題ないッスよ」

「俺は裸だぞ!?」

「バッチコイです」

「バッチコイじゃない! ああ、せめてタオル寄こしてくれ! 隠すから!」

 

 部活用の競泳水着を身につけて、夏希は風呂場に乱入した。

 さすがに強引過ぎたかと思ったが、実際片腕では背中を洗いにくかったようで、誠一も渋々夏希の申し出を受け入れた。

 

「痒いところはございませんか~?」

「無いよ。無いから早く済ませてくれ」

「ぶー。せっかくかわいい後輩ちゃんが水着姿で背中を流しているのに、先輩ったら素っ気ないッス」

「あのな~。……俺だって一応男なんだぞ? こんな状況で、何をされても文句言えないぞ?」

「……いいッスよ?」

「え?」

「先輩なら、何をされても」

「ま、またそうやってからかって……」

「本気です。嘘じゃないです。……さすがにこんなこと、誰にでもするわけじゃないッスよ?」

「な、夏希ちゃん?」

 

 誠一の背中に、夏希は身体を密着させる。

 なんて広い背中。なんて頼もしい背中。

 あのときも、この立派で男らしい背中に守ってもらった。

 

「先輩の身体……やっぱり素敵。とっても綺麗で、逞しくて、こんなにも固い……」

「夏希ちゃん、ちょっ……いろいろ当たっちゃいかんものが当たって……」

「ごめんなさい……本当にごめんなさい……こんなにも綺麗な身体に、傷をつけさせてしまって……どうお詫びすればいいか、わからないッス」

「っ!? ……夏希、ちゃん」

 

 気づくと涙が出ていた。

 誠一の逞しい腕に深々と残ってしまった傷跡を見ると、己の過ちが許せなくなる。

 手を伸ばして、その傷跡を癒すように撫で上げる。とうぜん、消えることはない。

 

「先輩……あたし、先輩に償うためなら本当に何でもします。先輩のしたいこと、してほしいこと、全部ぜんぶ、あたしが叶えてあげます。だから……」

「……なら、約束してくれ。自分を安売りするようなことはするな。君の身体は、君だけのものじゃないんだから」

「先、輩?」

 

 誠一は背中越しで、いつものように穏やかな声色で夏希に語りかけた。

 

「君たち家族が笑顔で幸せに暮らしてくれるなら、俺もここまでした甲斐があるって思うんだ。だから、これ以上自分を責めるようなことはしないでくれ。……優しくて責任感の強い夏希ちゃんには難しいことかもしれないけど、やっぱり自分を犠牲にするような真似は良くない。きっと君の家族もそんなことは望まないはずだ。だから、いいんだよ。夏希ちゃんは夏希ちゃんらしくいれば。なりたい自分に、なればいいんだよ」

 

 そう言って誠一は、振り向いて夏希の頭を撫でた。

 背筋に甘い感覚が走り抜ける。

 知らなかった。意中の相手に頭を撫でてもらえることが、こんなにも心地良いとは。

 

「夏希ちゃん。君は本当に良い子だ。だから幸せになってほしい。それが俺にとって、掛け替えのない恩返しになる」

「……はい、先輩」

 

 ああ、あたしはやっぱりこの人が好きだ。

 もう十分すぎるほどに大きい感情が、限界を知ることなくさらに膨らんでいく。

 その温もりが、もっと欲しくなる。

 

「……先輩、今夜、泊まっていってもいいですか?」

「え?」

「ときどき、ひとりで眠ってると怖くなるんです。あの日のことを思い出してしまって……。こんなこと、先輩以外には恥ずかしくて言えなくて。先輩が傍にいれば、安心して眠れると思うんです……ダメですか?」

「……いいよ。エレオノーラさんには俺が言っとく」

「えへへ。やった……」

 

 誠一からすれば、自分はちょっと手のかかる後輩にして、妹分という認識なのだろう。

 いまは、それでいい。

 いつか、ちゃんとこの気持ちを知ってもらえれば、それでいい。

 

 

 

「じゃあ電気消すよ」

「はい。おやすみなさいッス、先輩」

 

 夏希は誠一のベッドを借り、誠一は敷き布団で眠った。

 同じ部屋で眠ることは了承してもらえたが、さすがに一緒のベッドで眠ることは許してもらえなかった。

 甘えられるチャンスだと思ったのに、とても残念である。

 

「……先輩? 寝ちゃったッスか?」

 

 返事はない。

 寝付きがいい誠一はすでに夢の中だった。

 夏希の中で悪戯心が生じる。

 

「……にしし。寝ぼけたフリして忍び込んじゃおっと」

 

 猫のような笑みを作って、夏希はコソコソと誠一の布団に侵入した。

 朝になったらどんな反応を見せるだろう。

 とても楽しみだ。

 

「……ん」

 

 誠一の温もりがたっぷり詰まった布団の中で、息を吸う。

 

「……はぁ♡ 先輩の、匂い♡」

 

 愛しい相手の体温と匂い。

 あまりの心地よさに、脳が蕩けてしまいそうだった。

 

「先輩……先輩♡」

 

 いまにも理性が消失して、襲いかかってしまいそうだ。

 でも、彼に嫌われたくないから我慢する。

 でも自信がない。

 朝まで自分は、正気でいられるだろうか。

 

「……先輩。好きです。大好きです」

 

 耳に唇を寄せて、囁くように思いを告げることで、何とか熱情を発散させる。

 けれど却って気持ちは昂ぶるばかりだった。

 

『君の身体は、君だけのものじゃないんだから』

『いいんだよ。夏希ちゃんは夏希ちゃんらしくいれば。なりたい自分に、なればいいんだよ』

 

 誠一の言葉が蘇る。

 本当に、なんて思いやり深い素敵な人だろう。

 

 

 ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 誠一の言うとおりだ。

 自分の身体は、もう自分だけのものじゃない。

 

「この身体はぜんぶ……先輩のモノですよ♡」

 

 だから、もっともっと淫らに育ってほしい。

 彼に喜んでもらえるように、楽しんでもらえるように。

 青い果実が、熟した実になるその日まで、この思いと共に大事に育てていこう。

 

 そして、もっともっと「女」を磨いていこう。

 彼の隣に居ても恥じない良妻賢母になれるように。

 

 心を決めた相手には、すべてを捧げたくなる。

 母の言うとおりだ。

 いまこそ、その教えを実践しよう。

 自分のすべてを使って、愛する者に尽くしていく。

 それが、夏希がいまもっとも望む生き方だった。

 

「待っててくださいね、先輩♡ あたし、きっと素敵な女の子になりますから♡」

 

 腕の傷跡に手を伸ばし、愛おしげに撫でる。

 これからの生涯、自分が彼の腕の代わりになるのだ。

 そう心に誓って、夏希は愛しい男の胸の中で眠りにつく。

 

「愛しています……旦那様♡」

 




■門原夏希(15)

T156 B98(K cup)→B101(L cup) W55 H88

 スポーツが大好きな少女。あっちのスポーツにも興味津々。
 ビジュアル的には水色寄りの銀髪を短くしている。これまではベリーショートだったが最近ミディアムボブまで伸ばしてかなり女らしい見た目になり、さらに異性にモテるようになった。
 意中の相手ができるまで足が太いことを気にしていた。どれぐらい太いかというと某平凡な錬金術師や某ハイパーエージェント作品の下半身担当並にぶっとい。もうムッチムチ。
 彼女の競泳水着姿は凶器そのもの。水泳の授業では男子全員が授業どころではない状態になってしまうため、彼女が入学してからプールの使用は男女別の交代制になった。
 幼少時から男に混じって遊ぶことが好きなボーイッシュなタイプだが「将来の夢はお嫁さん」と実は姉妹の中では一番の乙女。家事やお裁縫もダントツでうまい。
 恋愛には年相応に興味があるものの、男に対する理想があまりにも高すぎるため「結局無難な恋しかできないんだろうな」と出会いに関して若干悲観的になっていた。
 そのぶん心に決めた相手には運命めいたものを感じて盲目的になり、相手を絶対視して全身全霊で尽くそうとする。
 責任感が強いあまり自分を自分で追い込むところがある。メンタルに関しては意外と脆い。
 一方で、一度決めたことは何が何でも達成しようとたゆまず努力する頑張り屋さん。



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誰が何と言おうと三女ちゃんは天使なんだ!

500:名無しの転生者

さて、そういうわけで有能ニキにはいい加減コテハンを付けることになったわけだが

 

501:名無しの転生者

今後は「カウンセラーニキ」としてイッチを導いてやっておくれ

 

502:名無しのカウンセラー

カウンセラーのつもりは無いが自分の経験談で良ければいくらでも知恵を貸す所存だ

 

503:名無しの転生者

頼もしい

 

504:名無しの転生者

というかカウンセラーニキって何でそんなに女心に詳しいの?

 

505:名無しのカウンセラー

女心に詳しいというか……

どうも神曰く俺って「ヤンデレに好かれやすい魂」らしくてな

かれこれ百回ほどヤンデレ相手にやらかしては転生を繰り返している

結果、僅かな不穏フラグにも敏感になり日常的に神経を研ぎ澄まさざるを得なくなった

今世はいまのところ、うまく回避できている

 

506:名無しの転生者

ええ……

 

507:名無しの転生者

それは、なんというか……

ご愁傷様です……

 

508:名無しの転生者

地獄か?

 

509:名無しの転生者

カウンセラーニキ……

そんな過酷な業を背負っていたなんて……

 

510:名無しの転生者

言葉の重みが半端なくなったな

イッチ

そういうわけだからカウンセラーニキの言葉は心して聞くんだぞ?

 

511:名無しの童貞

りょ、了解しました

とりあえず次女ちゃんに関しては現状維持で宜しいのですね?

 

512:名無しのカウンセラー

せやな

ヘタに刺激はしないほうがいい

一見すると一途に恋する乙女のようだがそういう子ほど思い込みが激しく暴走しやすい

イッチに拒まれたり、または思わせぶりな振る舞いで勘違いなどして何しでかすかわからん

イッチの原作情報曰くメンタルが弱い上に責任感も強いようだから……最悪自傷行為に走る場合もある

彼女の動向をよく見守っておいたほうがいい

 

513:名無しの童貞

なるほど……

確かに、原作では次女ちゃん家族を鬼畜息子から守れなかったことへの罪悪感から自暴自棄になってるんだよな……

そこを鬼畜息子につけ込まれ、さらに追い詰められた彼女は贖罪とばかりにアスリートとしての命である腕や足を……

 

514:名無しの転生者

やめろやめろやめろ!

原作のリョナグロ展開など聞きとうない!

 

515:名無しの転生者

俺たちが聞きたいのは三女ちゃんの情報だ!

ずっと待ってんだよ!

 

516:名無しの転生

そうだそうだ!

個人的最推しの三女ちゃんが今どんな様子なのか気になってしょうがないんだ!

パンツ脱いだからはよ!

 

517:名無しの転生者

小学生は最高だぜ!

 

518:名無しの転生者

ツルペタじゃないロリはちょっと……

 

519:名無しの転生者

ガチペドは帰ってどうぞ

 

520:名無しの転生者

巨乳ならJS相手にも発情するような貴様らも大概じゃい!

 

521:名無しの転生者

ロリ巨乳が好きで悪いか!?

 

522:名無しの転生者

ああ!

俺も大好きさ!

 

523:名無しの転生者

ゴスロリ巨乳美少女JS……

くっくっく……

字面だけで興奮するワイ……

 

524:名無しの転生者

鬼畜息子の同類が多いですわね

 

525:名無しの転生者

ガチなサイコパスと一緒にしないでほしい

 

526:名無しの転生者

そうだそうだ!

たまたま好みの娘が小学生だっただけだ!

三女ちゃんはハァハァ……

 

527:名無しの転生者

こわっ

 

528:名無しの転生者

真面目な話、いくら官能小説の世界だからってJSはないだろ……

 

529:名無しの転生者

>>528

ロリの魅力を知らないクチか?

ならば俺のお宝フォルダを公開しよう

三時間は語れる

 

530:名無しの転生者

いらないです……

 

531:名無しの転生者

まあ、あのイッチが三女ちゃん絡むと暴走するくらいだからな

幼女といっても母と姉たちと同じくとんでもない美人なんだろう

 

532:名無しの転生者

しかもJSの時点でFカップだそうだからな

将来有望すぎだろ

 

533:名無しの転生者

イッチ、悪いこと言わないから今のうちに唾つけときなさい

 

534:名無しの転生者

でもさぁ……

俺思うんだけど

長女ちゃんといい次女ちゃんといい、ぶっ飛んだヤベェ属性持ってる女が連続して出てきてるわけだよ?

……三女ちゃんも実はヤベぇんじゃねぇか?

 

535:名無しの転生者

うん……

それは俺も思った

なんなら三女ちゃんこそトップレベルでヤバいラスボスだと予想している

 

536:名無しの転生者

末っ子ほど凄まじい潜在能力を秘めているのは王道中の王道だからな

 

537:名無しの転生者

三女ちゃんに至っては鬼畜息子に襲われかけたところをイッチに華麗に助けてもらってるわけだからな

イッチのことすっげぇ英雄視してそう

 

538:名無しの転生者

「運命の王子様♡」って具合に屈折した激重感情いだいてそう

 

539:名無しの転生者

やっぱ血は争えないんスねぇ……

 

540:名無しの童貞

黙れ小僧!

お前たちに三女ちゃんの何がわかる!

 

541:名無しの転生者

イッチがキレた!?

 

542:名無しの童貞

三女ちゃんはなぁ!

本当にただ純粋無垢な天使なんだよ!

確かにちょっと変わった子だけど……誰にでも優しい素直で良い子なんだよ!

貴様らの勝手な想像で天使を穢すんじゃない!

 

543:名無しの転生者

やっぱこのイッチ、三女ちゃんが絡むと暴走するなー……

 

544:名無しの転生者

これはよほど三女ちゃんの魅力にド嵌まりしていると見える

 

545:名無しの転生者

やはり三女ちゃんは魔性のロリであったか……

 

546:名無しの童貞

純粋無垢な天使っつってんだルオオオオオオ!?

 

547:名無しの転生者

でもなぁ

イッチの言うことだからなぁ

どこまで信用していいやら……

 

548:名無しの転生者

これまでのことを考えると情報にまったく信頼性が無い

 

549:名無しの転生者

イッチの信用度ェ……

 

550:名無しの転生者

こればかりは然もありなん

 

551:名無しの童貞

あんまりもあんまりだ……

 

552:名無しのカウンセラー

まあ想像であーだこーだ言っていても埒が明かない

三女ちゃんが本当に含みの無い良い子かはいつも通りイッチの話を聞いてから判断していこう

そういうわけでイッチ

三女ちゃんの詳細を求む

 

553:名無しの童貞

了解しました……

では長文失礼

 

三女ちゃん

現在小学六年生の十二歳

少し桃色寄りの銀髪をツーテールにしている(とても似合っていてかわいい)

ゴシックロリータを見事に着こなし、お人形さんのように愛らしい(マジでお人形さんのようにかわいい)

どうも好きなアニメキャラクターの物真似らしく、お洒落の際は赤色のカラコンを着けている(碧眼と赤眼のどちらも似合っていてかわいい)

背は小さいが、出るところが出ているので同級生の女の子たちに羨ましがられているようだ

 

どこか浮世離れした天然さんで独特な感性の持ち主

掴み所の無い娘だが毒気を抜くようなフワフワした態度が実に愛らしく庇護欲を刺激するため、家族にはもちろんいろんな人々に愛されている(俺も愛してる)

原作情報によるとクラスの半数以上の男子が彼女に恋をしているらしい(然もありなん)

 

ちょっと抜けたところもあるが奥さんの教育がしっかりしているため、ちゃんと礼儀正しい子で、傷ついた人や困った人がいれば真っ先に声をかけにいく心優しさを秘めている

その心優しさは犬や猫どころか小鳥すら彼女に懐くほどである

たくさんの動物に囲まれながら微笑む姿はさながら絵画のよう

彼女はまさに地上に舞い降りた天使といえよう

 

……そんな彼女に手を出そうとした鬼畜息子はまさに悪魔だ

原作でも何も知らない無垢な彼女を自分色に染め上げ、逆らえないように調教していた!

許しがたい悪行だ

原作の三女ちゃんはまさに悪魔に穢された天使だった

だからなんとしてでも守りたかったんだ!

 

そして! そんな無垢の化身である三女ちゃんに腹黒い一面などある筈が無い!

それだけは断言しよう!

彼女は純粋だ!

彼女は潔癖だ!

三女ちゃんを崇めよ!

大天使三女ちゃんを崇めよ!

 

554:名無しのカウンセラー

うん、わかった

よくわかったから一旦落ち着こうか

 

555:名無しの転生者

イッチが壊れた

 

556:名無しの転生者

こんなイッチ初めて見た……

 

557:名無しの転生者

よもやここまで拗らせているとは

この李白云々

 

558:名無しの転生者

ごめんイッチ

純粋に怖いわ

 

559:名無しの転生者

なんだ

イッチもとっくに同志であったか

 

560:名無しの転生者

歓迎しよう

盛大にな

 

561:名無しの転生者

ハァハァ……

三女ちゃん、ちょっとこっち来ていいことしようか?

 

562:名無しの転生者

>>561

もしもしポリスメン?

 

563:名無しの転生者

これは三女ちゃん自身よりも三女ちゃんにここまで魅了されてしまったイッチのほうが心配だわ

 

564:名無しの転生者

助けてカウンセラーニキ!

 

565:名無しの童貞

なんでや!?

俺は正常だ!

あんなかわいい子に「お兄ちゃん♡」って呼ばれて慕われたら誰だってデレデレになるわ!

 

566:名無しの転生者

などと供述しており

 

567:名無しの転生者

これは重症ですねー……

 

568:名無しの転生者

これは三女ちゃんが迫るまでもなく、イッチが暴走して手を出しそうな勢い

 

569:名無しの童貞

出さんわ!

相手は小学生だぞ!?

性的なことなんて何も知らない無垢な少女なんだってば!

 

570:名無しの転生者

本当に~?

 

571:名無しの転生者

言うて最近の小学生は進んでますからね~

 

572:名無しの転生者

しかも官能小説の小学生ですからね~

本当に性知識皆無の天使なのか疑わしいところですよ?

 

573:名無しの童貞

……まあ、確かにクラスにかなりオマセな女の子がいるらしくてな

その子に何か入れ知恵をされたのか、いっとき俺に対して凄い積極的にアピールをしてくることはあった

 

574:名無しの転生者

何だ、やっぱり純真無垢なんて嘘っぱちじゃん

 

575:名無しの転生者

これだからイッチの情報は当てにならん

 

576:名無しの童貞

違う!

入れ知恵って言ったって小学生の入れ知恵だぞ?

ちょっと背伸びした微笑ましい感じのだよ!

 

577:名無しの転生者

せやろか?

官能小説世界の小学生だからな~

 

578:名無しの転生者

なんか普通に大人の男と経験持ってそうで怖いわ

 

579:名無しの転生者

なんならメスガキで溢れてそうだよな

 

580:名無しの転生者

そこら中に「ざぁこ♡ ざぁこ♡」とメスガキに煽られる中年男性たちが居るわけか

……地獄かな?

 

581:名無しの転生者

天国だろ

 

582:名無しの転生者

俺もメスガキに「ざぁこ♡ ざぁこ♡」言われたい人生だった

 

583:名無しの転生者

つまりマセたメスガキに入れ知恵された三女ちゃんもイッチを「ざぁこ♡ ざぁこ♡」と煽る立派なメスガキ天使に……

 

584:名無しの童貞

なっとらんわ!

本当に本当に三女ちゃんは純粋なだけなんだよ!

いわゆる白いキャンバスなんだよ!

だからいろいろ他人の色に染まりやすいワケ!

影響を受けやすいワケ!

 

585:名無しのカウンセラー

ふむ……

そこはちょっと詳しく聞こうか?

 

586:名無しの童貞

ウス、有能ニキ

 

三女ちゃん天然ではあるけど、普通の人では気づけないことがいろいろ見えちゃう子らしくてな

母や姉たちが俺に対して特別な感情を向けていることを早い段階で察していたようなんだ

 

587:名無しの転生者

で、鈍感ラノベ主人公並に鈍いイッチはまったく気づいていなかったと

 

588:名無しの童貞

まあ……はい、そうです……

 

589:名無しの転生者

イッチの鋭さ

小 学 生 以 下

 

590:名無しの転生者

情けねぇ……

 

591:名無しの童貞

ほっとけ!

話を戻す!

 

三女ちゃん聞き分けの良い子ではあるんだが、やはり二度に渡って父を亡くしたことがショックで大人の男の温もりに飢えていたようでな

そういうわけで俺によく懐いてくれていたわけだけど……どうも母や姉に俺を取られてしまうと思ったらしい

だから彼女たちに負けまいと女性的魅力を磨こうとしていたようだ

いっとき凄い独占欲を丸出しにして「お兄ちゃんはどこにも行かないで」と抱きついてくるようになった

 

……くっ!

なんていたいけな子なんだ!

そんなことしなくたってお兄ちゃんはどこにも行かないぞ!

 

592:名無しの転生者

はいはい惚気はいいから続きをはよ

 

593:名無しの童貞

はい……

 

それ以来やたらと二人きりのときとかに俺の膝の上にのってキスをねだったり「大人の恋の仕方を教えてほしい」とか

恐らくマセた同級生に教えられた知恵を、よく理解もせず使って迫ってきた

……もちろん「ダメだよ」と断ったぞ!?

 

けど、いま思えばアレは俺の関心を精一杯引きたいがための必死なアピールだったんだな……

 

594:名無しの転生者

好きな人を独り占めしたいあまり背伸びした拙い誘惑でイッチをなんとか繋ぎ止めようとしたんやな

 

595:名無しの転生者

健気やな……

泣かすじゃないの

 

596:名無しの転生者

やっぱ三女ちゃんなんだよなぁ

 

597:名無しの転生者

次女ちゃん派でしたが三女ちゃんに鞍替えします

 

598:名無しの転生者

長女?

ペットがどうかした?

 

599:名無しの転生者

やっぱり小学生は最高だぜ!

 

600:名無しの転生者

なんだ

本当に天使じゃないか

 

601:名無しの転生者

まてまて

カウンセラーニキの診断が出るまで油断はするな!

 

602:名無しの転生者

ああ、奴はなんせ数々のヤンデレを見てきた歴戦の転生者だからな

 

603:名無しの転生者

そういうわけで

いかがですか?

カウンセラーニキの眼から見た三女ちゃんの様子は?

 

604:名無しのカウンセラー

結論を出すにはまだ早すぎるが……

 

うん、でも

たぶん三女ちゃんはイッチの言うとおり、ただ純粋な天然さん、なだけだと思う

 

605:名無しの転生者

っ!?

 

606:名無しの転生者

バ、バカな!

長女と次女と続いて末っ子もヤベぇ女だと思っていたのに!

 

607:名無しの転生者

三女ちゃんはラスボスではなかったのか!?

 

608:名無しの転生者

結局長女が一番ぶっ飛んでいたワケか

 

609:名無しの転生者

そもそも長女が倒錯し過ぎてるわ

 

610:名無しの童貞

だから最初から言うとるやんけ~

三女ちゃんは穢れのない純粋無垢な天使だって~

 

611:名無しのカウンセラー

……だがイッチ

ひとつだけ確認したいことがある

 

612:名無しの童貞

はい?

 

613:名無しのカウンセラー

三女ちゃんは父親を二度亡くした恋しさからイッチに懐いている

そこまではいい

この齢の子ならべつに珍しくないことだ

 

……だが、母や姉たちに負けまいとイッチに拙くも女性的アピールをしていた

それにも関わらず……三女ちゃんは受け入れているわけだよな?

「皆で愛してもらいましょう」という一家の総意を

 

614:名無しの転生者

 

615:名無しの転生者

そういえば……

 

616:名無しの転生者

イッチを独占したいなら……受け入れないよな普通

そんなバカげた提案

 

617:名無しの転生者

おい、イッチ

三女ちゃんはなんて告白してきたんだ?

 

618:名無しの転生者

そうだ

一番肝心なところを聞いてなかった

 

619:名無しの童貞

え?

それは……

 

620:名無しの転生者

確か「次女ちゃんが一番マトモ」だってイッチは言ってたよな?

つまり……次女ちゃんと比べてマトモじゃなかったわけだよな?

三女ちゃんは

 

621:名無しの転生者

え?

おい

雲行きが怪しくなってきたぞ?

 

622:名無しの転生者

なあイッチ

三女ちゃんはどう告白したんだ?

教えてくれ

 

 

623:名無しの童貞

……「幸せになろう」って

 

624:名無しの転生者

え?

 

625:名無しの童貞

「皆、きっと諦められないから。だから、皆で幸せになろう」って……

 

「お兄ちゃんへの『好き』がいっぱいなら、お兄ちゃんもたくさん幸せになれるよね?」って……そう言ってきた

 

 

626:名無しの転生者

は?

 

627:名無しの転生者

おいおい

三女ちゃん、イッチを独占したいんじゃなかったんか?

 

……いや、ちょっと待て

まさか……

 

628:名無しの転生者

母と姉にハーレムを提案したのって、もしかして……

 

629:名無しのカウンセラー

……そういうことだったか

 

630:名無しの転生者

有能ニキ!?

どういうこと!?

 

631:名無しのカウンセラー

三女ちゃん

確かに純粋無垢で天使のように優しい子なんだろう

 

……純粋すぎたんだな

 

どこかで思ったんだろう

独り占めはしたい

でも誰か一人が選ばれて傷つくくらいなら

それも大切な家族が傷つくくらいなら、いっそのこと……

 

そういうことか、イッチ?

 

632:名無しの転生者

え? え?

……つまり?

 

633:名無しの童貞

 

……ああ

カウンセラーニキの言うとおりだ

三女ちゃんは、本当にただ純粋なんだ……

純粋で、純粋過ぎて……

だから、皆に提案したんだろうさ

自分たち家族にとっての、最良の方法を……

 

634:名無しの転生者

ああー……

つまり

そもそもこの一斉の告白を仕向けたのは?

 

635:名無しの童貞

ああ、そうだ……

 

 

 

 

 

事の発端はすべて、三女ちゃんの純粋過ぎる優しさからなんだよ

 

 

 

 



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【無垢なロリ巨乳JS雛未】天使が願うたったひとつの幸福・前編

 どうすれば皆で幸せになれるんだろう?

 門原雛未(かどはら ひなみ)はいつしか、そんなことを考えるようになった。

 

 きっかけは雛未が初恋というものを知ってからだ。

 といっても正直なところ、恋というのがどういう感情なのか雛未にはまだよく分かっていない。

 ただ、教室で『恋バナ』をしているときに雛未が何気なく口にしたことを「それは間違いなく恋だよ!」と親切な同級生たちが教えてくれた。

 

 一緒に居ると安心する人。

 大人になってもずっと傍に居てほしい人。

 誰にも渡したくない、自分だけが独り占めしたい人。

 

 裏表のない雛未が包み隠さず最近胸にいだいている本心を打ち明けると、同級生の少女たちは「純粋無垢な天使にもついに春が来たんだわ!」と言ってさらに盛り上がった。

 こっそり聞き耳を立てていた男子の半数以上は失恋から泣いた。

 

「そっかー。ヒナはお兄ちゃんに恋してるんだー」

 

 あたかも他人事のように雛未は呟いた。

 いざ言葉にしてみても、どうも実感が湧かない。

 ずっと女だけの家庭で育ち、あまり異性と関わりがなかった雛未にとって、恋という感情は未知なものだった。

 

 加えて雛未は同い年の娘と比べて心に幼さを色濃く残す少女だった。

 恋にうつつを抜かすよりは、甘いケーキを食べているときのほうが幸せ。

 お洒落をするのも異性の気を引くためではなく、好きなアニメのキャラクターの真似がしたいがため。

 そんな『花より団子』な雛未が特定の異性を意識しだすのは、彼女と親しい友人たちにとってまさに天変地異の出来事だった。

 

 皆こぞって雛未から、その意中の相手の話を聞きたがった。

 特別な存在に友人たちが興味を示してくれたことが嬉しく、雛未は機嫌を良くしながら話しだした。

 

「えへへ。お兄ちゃんはね? とっても優しくて、とってもかっこよくて、とっても強いの。この間もね、ヒナたちを助けてくれたの」

 

 雛未が「お兄ちゃん」と呼び慕うお隣さんの少年、中田誠一。

 まるで雛未が好きなアニメに登場する『ヒロインの危機に必ず駆けつける騎士様』のように、誠一は雛未のピンチを救ってくれた。

 

 ……けれど、そのせいで誠一はとてもとても痛い思いをしてしまった。

 大好きな誠一が傷つくのはとても悲しい。

 母や姉たちがそうしているように、自分も誠一のために何かしてあげたい。

 でも、何をしてあげればいいんだろう?

 そんなことを雛未は日々考えていた。

 

 自分は母や姉たちのように家事は得意ではないし、こんな小さな身体では腕が不自由な誠一の代わりに重いものも持ってあげられない。

 それどころか姉たちの対抗心から一度ムキになって誠一のサポートをしようとしたら、逆に足を引っ張ってしまって、却って迷惑をかけてしまった。

 優しい誠一は笑って許してくれたが、大好きな人の役に立ちたい雛未にとってはショックが大きかった。

 

「ヒナね、ママやお姉ちゃんたちみたいに、助けてくれたお兄ちゃんにたくさんたくさんお礼がしたいの。……でもお兄ちゃん、ヒナが何をすれば喜んでくれるかな~?」

 

 雛未がそんな悩みを打ち明けると、同級生の少女たちは一緒に頭を捻って考えてくれた。

 

「う~ん、相手は高校生だもんね。やっぱり大人っぽいプレゼントとか?」

「でも小学生の私たちじゃ高い買い物なんてできないよ? やっぱり無難に手作りの何かをあげるとか?」

「むむ。お料理とか身の回りのお世話じゃお姉さんたちとネタ被るわけだしなー」

「けどこういうのは気持ちが大事じゃない?」

 

 幼い少女たちは限りある知恵を絞って、年上の女性たちにも負けないような男の喜ばせ方を考え抜く。

 

「え~? そんなに悩む必要ないし~! 簡単かんた~ん♪ だって男が喜ぶことなんて、ひとつしかないも~ん!」

「メブキちゃん!」

 

 やたらと神経を煽るような声色で雛未たちの会話に混ざってきたのは、クラスで一番恋愛の知識が豊富な少女だった。

 名を若良瀬(わからせ)メブキという。

 好物は酢豚。苦手なものは()。趣味は義理の兄を「ざぁこ♡ ざぁこ♡」と煽ること。将来の夢は大好きな義兄のお嫁さんになって野球チームが作れるぐらい子どもを孕むこと。

 真冬でもなぜか薄着のタンクトップにショーツがギリギリで見えそうな極ミニスカートをあたかも美学とばかりに着込み、ランドセルに防犯ブザーを「そんなにいる?」というぐらい無数に付けている。

 ちょっと変わった娘だが、彼女のアドバイスのおかげで恋愛を成就させた女生徒は数知れず。

 こと恋愛の話に関して彼女ほど頼もしい存在はいなかった。

 

 ちなみにメブキ本人は本命の義兄からまったく相手にされていない。

 

「メブキちゃん教えて~。ヒナどんなことすればお兄ちゃんを幸せにできるの?」

「くふふ。雛未ちゃんったら~。そんなに喰いついちゃって~めっずらし~。よっぽどそのお隣のお兄さんにホの字なワケ~?」

 

 メブキはいつも義兄にしているように挑発的な笑顔で雛未をからかう。

 人によっては単なる煽りとして腹を立てそうなものだが、メブキにとってはこれは友好の印である。

 これまで恋とは縁の無かった穢れなき天使のような雛未が、頬を赤らめて慌てる新鮮な様子をメブキは期待したのだが……。

 

「うん♪ ヒナ、お兄ちゃんのこと世界で一番大好きだよ♪」

「お、おう……」

 

 恥じることもなく頷く雛未の笑顔の眩しさを前に、メブキは一瞬余裕を崩してたじろいだ。

 格好と同じく防御力は薄いメブキであった。

 

「こほん……。と、とりあえず~、男を喜ばせるなんて楽勝だよ~。メブキちゃんがとっておきの知恵を貸してあげる~」

 

 メブキはペースを取り戻すべく話を本題に戻した。

 自信満々に言っているが、メブキ本人は処女である。

 貧相な身体に反して知恵ばかりがご立派に豊かになったメブキは、さも得意げに雛未にアドバイスを始める。

 

「要はさ~、男って四六時中エッチなことばっかり考えてるでしょ~?」

「エッチなこと? お兄ちゃんもそうなの?」

「あったり前じゃ~ん♪ どんなイケメンだって隠れた場所でエッチなこと考えてお股おっきくしてるんだから~。ね~男子たち~?」

 

 同意を求めるようにメブキがいまだに聞き耳を立てている男子たちに目配せする。

 男子たちは居心地が悪そうに視線を逸らした。

 

「つ~ま~り~、エッチなことして誘惑すれば~、そのお兄さんもワンコみたいに尻尾振って喜ぶってワケ~♪」

「ほえ~? お兄ちゃんに尻尾なんて無いよ~?」

「例えで言ってんのよ! 調子狂うわねこの子は!?」

「ひゃぁん!?」

 

 立て続けに調子を崩されたメブキは素の状態に戻って、いきなり雛未の豊かな胸を鷲掴みにした。

 

「だいたいね~! アンタ小学生のくせにこんなご立派な膨らみがあるんだから、好きな男ぐらいさっさとコレを武器にして誘惑してやりゃぁいいのよ! このっ! このっ! 羨ましい! あたしにもこれくらい乳や尻があればお兄ちゃんを簡単に堕とせるはずなのに! ……うわっ、ていうかマジでデッカ!? 柔らか!? うっそでしょ!? こんなに小さくて細い身体に何でこんな立派なおっぱいやヒップがついてんのよ!?」

「やぁん。メブキちゃん揉まないで~」

 

 暴走したメブキは聞く耳持たず、雛未の歳不相応に育った際どい部分を揉みしだいた。

 背丈ならクラスでも一際小さいにも関わらず、肉付くべく場所には大人も顔負けな豊かさを誇る、雛未のトランジスタグラマーボディ。

 細いウエストを強調するように発育した柔肉は衣服の上からでも存在を主張し、日々クラスの男子たちのあどけない情念を揺さぶっていた。

 そして、現在メブキによって繰り広げられる扇情的な光景は、青い小学生男子たちにとってはあまりにも刺激が強く、何名かは鼻血を噴き出して机に突っ伏した。

 

「ええい! このドスケベボディを活かさないなんて宝の持ち腐れよ! アンタ今日あたしの家にいらっしゃい! 大人の恋愛ってやつを徹底的に教え込んであげるわ!」

「ほえ? 大人の恋愛~?」

「そうよ! モタモタしてたらその大好きなお兄ちゃんがあなたのお姉さんたちに取られるかもしれないのよ!? それでもいいの!? あたしのお兄ちゃんの周りだって、いっつもたくさんの泥棒猫が付きまとってるんだから! ヒヤヒヤしてしょうがないわよ! 恋はいつだって早い者勝ちの争奪戦なのよ!?」

「お兄ちゃんが、取られる……?」

 

 雛未は誠一が自分を放って、姉の杏璃や夏希とばかり仲良くする様子を想像した。

 すると、とても悲しい気持ちになった。

 思わず涙が出るほどに。

 

「……グスッ。やあ……。お兄ちゃんを取られたくないぃ……」

「でしょ!? だったらそのエッチな身体とクッソかわいいお顔で誘惑するのよ! 姉たちよりも先に寝取っておやり!」

「若良瀬さーん? また卑猥なこと口にしてるから後で職員室に来なさいね~」

「ぐはああ!? 先生堪忍しちくれ~!」

 

 メブキがいつものように教師に職員室に連行されて説教された後、雛未は友人たちと一緒にメブキの家に向かった。

 

 べつにメブキの言うことを全面的に信じるわけではなかったが、一度いやな想像をしてしまうと、雛未の心は不安に苛まれた。

 あの優しい誠一が唐突に雛未を蔑ろにするとは思えない。

 ……けれど、もし本当に杏璃や夏希と恋仲になったら?

 いまのように自分に構ってくれる時間はほとんど無くなってしまうかもしれない。

 

(そんなの……いやぁ)

 

 雛未は人一倍寂しがり屋だった。

 家庭内で最年少の彼女は、いつも家でひとり部活帰りの姉たちと仕事帰りの母を待っていた。

 お友達と遊ぶ時間は楽しいけれど、鍵を開けて静かな家に帰ってくると、いつも言いようのない寂寥感に襲われた。

 一度でいいから、他の家の子のように「おかえりなさい」と誰かに温かく迎え入れてもらいたかった。

 

 その夢は、誠一が叶えてくれた。

 誠一が怪我の影響で学園を一時的に休んでいる間、雛未はよく彼の部屋にお邪魔した。

 そのとき誠一は「いらっしゃい」ではなく「おかえり」と言ってくれるのだ。

 だから雛未は誠一が好きだ。

 出会った頃からずっと、口にしなくても、いつも彼は欲しい言葉をくれる。

 寂しい気持ちを、温かい気持ちに変えてくれる。

 

 姉たちのことはもちろん好きだ。

 でも誠一は取られたくない。

 だから誠一を繋ぎ止めることができるのなら、どんなことも頑張ってお勉強しよう。

 そんな気概で雛未はメブキの部屋にお邪魔した。

 

「ようこそ、あたしの神殿へ……」

 

 いったいどんなルートで入手したのか、メブキの部屋にはどう考えても小学生が所有すべきではない卑猥な本で溢れていた。

 一冊いっさつはとても薄い本だったが、薄い本も積もれば山となる。

 膨大な資料をメブキはこれでもかと見せてきた。

 

 そこで雛未は人体の神秘を知った。

 周りの友人たちは「キモ~い」「無理~」「メブキちゃんえんがちょ」と難色を示していたが、雛未は「ほうほう。人の身体ってとっても不思議~」と純粋に感心した。

 

 ……そして、雛未はあの日のことを思い出した。

 

(……()()()()()()、雛未にこんなことをしようとしたのかな?)

 

 いつものように、ぐっすりと眠っていた夜のこと。

 杏璃の希望によって各部屋に付けられた錠が奇妙な音を立てているのに気づき、雛未は目覚めた。

 留守にしているときや、眠るときには必ず部屋の鍵をかけなさいと杏璃に言い含められていた。

 もともとその指示は、誠一が杏璃に提案したことだった。

 そのアドバイスが無ければ、悲劇は間違いなく起きていただろう。

 ソレは、雛未の寝込みを狙ってやってきたのだから。

 

 扉の隙間からヌッと入ってきた真っ黒な影。

 オバケだ。あの開かずの間に住んでいるオバケがやってきたんだと雛未は思った。

 オバケは雛未に言った。

 

 怖クナイヨ。コレカラ、トテモ楽シイコトヲ、スルンダカラネ。

 

 と。

 

 だが雛未にはわかっていた。本能的にわかっていた。

 このオバケはきっと雛未に、とっても怖くて酷いことをするのだと。

 

(お兄ちゃん……)

 

 何かあったらこれを鳴らしなさい。決して手放してはいけないよ?

 そう言って誠一がプレゼントしてくれた防犯ブザー。

 大切な人から貰ったソレを雛未は宝物のように持っていた。

 これを鳴らせば誠一が来てくれる。大好きなアニメに出てくる騎士様のように。

 

(助けて、お兄ちゃん……)

 

 雛未はとても冷静に、そして迷いなくブザーを鳴らした。

 

 

 

 オバケは家から居なくなった。

 でもその代わり、姉たちはとても怖がりになってしまった。

 怖がりになった彼女たちは、誠一の優しさや温もりを求めるようになった。

 ……それは、母も同じだった。

 そう、ライバルは姉たちだけではないのだ。

 

 雛未にはわかる。

 母はきっと父に向けていたのと同じ気持ちを、誠一にいだいている。

 自分たちにバレないように必死に隠しているけれど、雛未の眼は誤魔化せない。

 妙なところで雛未は鋭いのだ。

 

 家族皆で同じ人を好きになるだなんて、それは素敵なことかもしれない。

 でもズルイ。

 雛未だって、誠一といっぱい素敵な時間を過ごしたいのに。

 誠一のためにお助けがしたいのに。

 ……雛未がブザーを鳴らしたせいで、誠一は怪我をしてしまったのに。

 だから、自分がたくさん誠一にお礼をしないといけないのに。

 

 雛未は幼いが、もっとも大切なことや、見落としてはいけない本質を、漠然と把握できる娘だった。

 誠一は身体を張って自分たち家族を守ってくれた。

 だから誠一が喜ぶことなら、何だってしてあげたい。

 たくさんお礼がしたい。

 幼さを理由に、何もできないのは嫌だった。

 

 いままでは、どうすれば誠一を満足させてあげられるのか、ちっともわからなかったけれど……小さな身体でも、男の人を喜ばせてあげられる方法を雛未は知った。

 知ってしまった。

 

(ヒナだって、ママやお姉ちゃんたちに負けないもん。お兄ちゃんのこと、たくさん喜ばせてあげられるもん)

 

 最年少がゆえの微笑ましい対抗心を、雛未はその胸に宿した。

 その方法は、ちっとも微笑ましいものではなかったが……ともあれ、この一件を機に雛未は意中の相手に猛烈なアピールを仕掛けるようになったのであった。

 

 

   * * *

 

 

 休日は、誠一が雛未の家庭教師として勉強を見てくれる日だった。

 雛未はあまり勉強が好きではないのだが、誠一と二人きりになれるのでこの時間を気に入っていた。

 その日も雛未は誠一の部屋で教科書とノートを広げていた。

 けれど、気まぐれな雛未は気づけば折り紙を折ったり、ラクガキなどをして遊んでしまう。

 

「こらヒナちゃん、集中しなきゃダメだよ?」

「ぷ~。だってヒナ算数嫌いなんだも~ん」

「この問題が解けたら終わりだから、もうちょっとがんばろ?」

「は~い」

 

 誠一に注意されることすら雛未にとっては嬉しいことだった。

 この時間だけ誠一は自分に注目してくれるし、自分は誠一を独り占めできる。

 とても素敵なひとときだ。

 

「ねえ、お兄ちゃん。ヒナお勉強ばかりじゃつまんない。もっとヒナとお喋りしましょ?」

「ふぅ。しょうがないな。じゃあ、ちょっと休憩しようか?」

「わぁい。お兄ちゃん大好き」

「わっ。こら、ヒナちゃん」

 

 誠一がベッドに腰掛けると、雛未はすかさずその膝に小振りながらも丸みを帯びた臀部を乗せた。

 誠一と向かい合うようにむっちりとした太ももを腰元に絡め、身体全体を預ける。

 

「ここ、ヒナの特等席だもん。ね? いいでしょお兄ちゃん」

 

 そうして子猫がすり寄るように、雛未は誠一の胸元に頬をあてがった。

 

「まったく、ヒナちゃんは甘えん坊さんだな」

 

 苦笑しながらも誠一も満更ではなさそうな声色で、雛未の桃色がかった銀の頭髪を優しく撫でた。

 雛未は幸せな心地に包まれた。

 

「お兄ちゃん、ヒナのこと好き?」

「え? ああ、もちろん好きだよ」

「本当? 嬉しい……ヒナもね、お兄ちゃんのこと大好きよ?」

 

 雛未はその小さく細い腕を誠一の首元に回し、上気した顔で意中の相手を見上げる。

 

「ヒ、ヒナちゃん? 急にどうしたんだい?」

 

 いつもと異なる雛未の気配に誠一は動揺していた。

 彼のそんな反応が嬉しくて、雛未はクスリと蠱惑的な微笑みを浮かべる。

 

「ヒナのこと、どれくらい好き? ママやお姉ちゃんたちよりも? ヒナが一番?」

「な、何を言い出すんだ。一番や二番なんてないさ。君たち親子みんな……大事だよ?」

「いや。ヒナそんな答え欲しくない。ヒナがお兄ちゃんの一番じゃなきゃ、いやなの。ねぇお兄ちゃん、ギュってして? ヒナのこといっぱい抱きしめて?」

「ヒナちゃん、本当にどうしたんだ? いけないよ、こんなこと……」

 

 誠一は優しく雛未を引き剥がそうとするが、少女は微動だにせず、カラーコンタクトで赤色に染まった瞳を切なげに向けた。

 

「ヒナ、ずっと寂しかった。パパも新しいパパも、ヒナの傍から居なくなっちゃった……。ねえ? お兄ちゃんはどこにも行かない? いつまでもヒナの傍にいてくれる?」

「あ、ああ。もちろんさ。ヒナちゃんが大きくなるまでは、寂しい思いはさせないよ?」

「いや。ヒナが大きくなってもお兄ちゃんはずっと一緒にいるの。どこにも行かせないんだから。絶対に離れないわ」

「ヒナちゃん……」

 

 気づくと雛未は涙を流しながら、誠一にしがみついていた。

 

 母や姉たちのことはもちろん大好きだ。

 ……でも、やっぱり父親がいる同級生が、雛未はずっと羨ましかった。

 

 物心がつく前にいなくなってしまった実父。

 絆を育む前にいなくなってしまった義父。

 二度にわたる父親の喪失は、幼い雛未の心に深い傷を残した。

 誠一の優しさは、雛未のそんな心の隙間を埋めてくれたのだ。

 

 しかし、いま雛未は思う。

 自分は決して、誠一に父親代わりになってほしいわけではなかったのだと。

 それよりも、もっと、もっと深い絆を育みたい。

 誠一に女の子として見てほしい。

 自分が誠一にとっての一番になりたい。

 

 幼い恋心は、着実に女としての一面を芽生えさせ、いまこの瞬間も艶やかに育っていく。

 熱く潤んだ瞳を向けて、雛未は間近で誠一と見つめ合う。

 

「お兄ちゃん……キスして? ヒナに大人の恋……教えて?」

「ヒナちゃん……止しなさい。こんなこと、ダメだよ……」

 

 小さな桃色の唇を寄せてくる雛未を手で制しながら、誠一は顔を背ける。

 

「ヒナが子どもだからいけないの?」

「そうさ。ヒナちゃんにはまだ早いよ。こういうことは大きくなって本気で好きになった相手と……」

「ヒナ、本気でお兄ちゃんのこと好きよ? ママやお姉ちゃんたちにも負けないくらい……お兄ちゃんだけ特別なの。他の男の人じゃ絶対にいやだもん」

「ヒナちゃん! いい加減にしないと、本気で怒るよ?」

「嘘。お兄ちゃんも本当はいやじゃないんでしょ? だって、ほら……」

「あっ」

 

 雛未は誠一の胸元に耳を押し当てる。

 激しい鼓動が聞こえてくる。

 

「お兄ちゃんのお胸、とってもドクンドクンしてる……。ヒナで、ドキドキしてくれているのね? 嬉しい……」

「ヒナちゃん……これは、その……」

「お兄ちゃん。ヒナのお胸触って? ヒナもね? いまとってもドキドキしてるの」

 

 誠一の手を優しく取って、雛未はその豊かな乳房に導こうとする。

 

「ヒナ、まだ身体は小さいけど、お胸とお尻はもう大人なのよ? お兄ちゃんのこと、きっと満足させてあげられるわ。ねえ、お兄ちゃん。ヒナのこと大人にして? お兄ちゃんの手で……ね?」

「ヒナちゃん……いったい、どこでそんなことを覚えてきたんだい?」

 

 メブキのことを素直に話すと、誠一は呆れを通り越して、何やら耐えがたい苦痛を抱えるような顔をしだした。

 

「お兄ちゃん? どうしてそんな悲しいお顔をするの? ヒナが悪い子だから?」

「ううん。ヒナちゃんは悪くないよ。ただ……ちょっと怖くなっただけだよ」

「怖い? 何が怖いのお兄ちゃん? ヒナがヨシヨシしてあげる」

 

 俯く誠一の頭を、雛未は優しく撫でた。

 そんないつもどおりの雛未を見て安堵したのか、誠一は穏やかな笑みを浮かべた。

 

「ヒナちゃんのこと、本当に好きだよ? ヒナちゃんの気持ちも嬉しい。……でもね? ダメなんだ。その気持ちには、どうしても応えてあげられない……」

 

 雛未の思いを真剣なものと理解してか、誠一は本当に申し訳なさそうな顔で頭を下げた。

 

「どうしてダメなの? やっぱり本当はヒナのこと嫌いなの?」

「違うよ。違うんだ。ただ……俺に原因があるんだ。ヒナちゃんは、本当に何も悪くないんだよ?」

 

 そう言って誠一は、ますます悲しげな顔を浮かべた。

 そんな誠一を見ていると、雛未も切なくなってきた。

 腰を上げて、誠一を豊かな胸元に抱き寄せる。

 

「ヒ、ヒナちゃん?」

「お兄ちゃん……イイコいいこ……泣かないで?」

「お、俺は泣いてなんかいないよ?」

「ううん。お兄ちゃん、心の中で泣いてる。何か、とても辛いことがあるのね? かわいそうなお兄ちゃん……ヒナが慰めてあげる」

 

 誠一の心の痛みを敏感に感じ取った雛未は、より深く柔らかな胸の中に愛しい相手を包み込んだ。

 

「お兄ちゃん。ヒナじゃ力になれない? ヒナ、お兄ちゃんのお役に立ちたいの。ヒナにできることなら、何でもするよ?」

「……ありがとう、ヒナちゃん。でも、こればっかりは、どうすることもできないんだ。きっと誰も、解決できない」

「どうして? どうしてそんなこと決めつけるの?」

「わかるんだ。自分のことだから……。いいんだヒナちゃん。これは俺自身の問題だから」

「……それって、ヒナたちにも言えないことなの?」

「……うん。ごめん。言えないというか……言いたくないんだ。特に、君たち家族だけには」

 

 それっきり、誠一は黙ってしまった。

 あの優しい誠一が、自分たちだけに隠し事をしているなんて。

 素直にショックだった。

 でも、それ以上に寂しかった。

 こんなにも密着しているのに、誠一がとても遠い場所に居るように、雛未には感じられた。

 誠一には、ときどきそういうことがある。

 こことは違う、ずっとずっと遠いところに思いを馳せているような瞬間が。

 そのときの誠一は、とても辛そうで、悲しそうだった。

 

(お兄ちゃん……そんなお顔しないで? ヒナ、お兄ちゃんに笑っていてほしいの。どうしたら、お兄ちゃんは幸せになれるの?)

 

 尋ねたところで、誠一はきっと答えてくれないのだろう。

 わからない。

 いったい誠一はひとりで何を抱えているのだろう?

 

 ただハッキリとわかったことがある。

 メブキから教わった方法では、きっと誠一を幸せにすることはできないのだと。

 

 ……そして、幼い自分ひとりでは、誠一の心の壁を取り払うことは、決してできないのだと。

 

(ヒナはお兄ちゃんが好き。ママもお姉ちゃんたちもお兄ちゃんが好き。……なら、皆で力を合わせれば、お兄ちゃんを助けてあげられるのかな?)

 

 大好きな人を独り占めしたい。いつのまにか、そんな独占欲は薄れていた。

 そのとき雛未の頭の中を占めていたのは「どうすれば誠一を幸せにできるのか。どうすれば家族が揃って幸せになれるのか」……その方法を探すことばかりだった。

 



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【無垢なロリ巨乳JS雛未】天使が願うたったひとつの救済・中編

 思ったよりも長くなりそうなので中編に分割させていただきます!


 ある日、雛未は自分の日記を読み返してみた。

 そこに、誠一の助けに繋がるようなヒントがないものかと思ったのだ。

 飽きっぽい雛未が唯一続けている習慣がこの日記だった。

 誕生日に貰った、ピンク色のフリルが付いた可愛らしい装丁の、少々値の張る日記帳。

 普通のノートよりも、こういう凝った作りの日記帳のほうが長く大事に使われることを、プレゼントした母は知っていた。

 その狙い通り、雛未は毎日欠かさず一日の些細なことを記録につけていた。

 

 もっとも、その文面や内容は天然な雛未に似つかわしいフワフワしたもので、筆者本人でなければ解読は困難である。

 雛未以外の人間に読み聞かせるために書き直すならば……以下のようになる。

 

 

 例の事件から数日。

 腕を負傷した誠一のため、家族総出でサポートを始める。

 特にその頻度が多いのは家事が得意な夏希。

 この頃、夏希は妙にしおらしい。以前の快活な面影はどこにもない。

 誠一の腕に傷を残してしまったことを気にしているようだった。

 

 事件から三ヶ月。

 誠一の腕はいまだに良くならない。

 夏希は相変わらずよく誠一の部屋に足を運び、家事を手伝っている。

 誠一のおかげか、この頃は少しずつ元気を取り戻しているようだ。

 どころか何やら妙にイキイキとしている。短かった髪も伸ばし、とても女性らしくなった。

 家では鏡をよく見るようになり、お洒落にも気を遣い始めている。もともと綺麗な姉だったが、さらに綺麗になった。

 ……ただ、ときどき独り言を呟きながら身体をクネクネさせているのでちょっと怖い。

 

 事件から半年。

 誠一が多少なら腕を動かせるようになる。

 これまでのサポートのお礼とリハビリを兼ねて、我が家の家事を手伝ってくれるように。

 自宅でも誠一と過ごせる時間が増えて嬉しい。

 近頃、落ち込み気味の母のことが心配だったが、誠一が晩ご飯を用意してくれたり、娘たちに隠れてこっそりお酒の肴を用意して話に付き合ってあげているおかげか、すっかり元気になった。ひと安心。

 ただそれ以来、母の誠一を見る目が変わったような気がする。

 ……そう、最初の夫のことに思いを馳せるときと同じように。いや、ひょっとしたらそのとき以上だろうか?

 大人びた母が、誠一の前だけではまるで恋する乙女のようになって、何だか可愛らしい。

 でも「イケナイことだ」と思っているのか、自分の気持ちを必死に抑えているように見える。

 

 師走の時期になると、誠一の腕もだいぶ良くなり、大掃除を手伝ってくれた。

 もちろん、無茶はさせられないので全員で取りかかる。

 ……大掃除のついでに、あの()()()が住んでいた部屋の整理もおこなった。

 母がこまめに掃除をして清潔にはしていたが、思いきって私物などを片付けることに。

 嫌な思い出の痕跡はできる限り無くそう。そのためにここを清めましょう、と長女の杏璃が提案。

 綺麗好きな杏璃の念入りな整理のおかげで、不気味な部屋もすっかり普通の部屋になった。

 ……ただ、この日から杏璃の様子がおかしい。

 誠一を見る目が以前以上に熱いというか、ねっとりしているというか、とにかくギラギラしていて怖い。

 ときおり「誠一様♡」「ご主人様♡」と呟いてる。怖い。

 夜中トイレに行くために杏璃の部屋の前を横切ると、なぜか()()()()()()()()()をしている声が聞こえる。キモい。

 誠一にこのことを話してもなかなか信じてもらえない。

 

 

 

 家族の誰もが、誠一のことをとても好きになっている。

 自分も誠一が大好きだ。負けたくない。渡したくない。

 でも……それは、できそうにない。

 誠一は何かを隠している。雛未たちにすら教えてくれない秘密。

 その秘密のせいで誠一は間違いなく苦しんでいる。

 どうすれば誠一の力になれるのだろう?

 

 

 

「はぁ……」

 

 雛未は溜め息を吐きながらベッドに横たわった。

 日記を読み返してみても、ヒントになりそうな情報はなかった。

 どちらかというと、自分たち家族がどれだけ誠一のことを好いているのか。そのことを改めて認識させられるだけだった。

 

 誠一の存在によって、自分たち家族は大きく変わった。

 

 強かな母は、誠一の前だけでは弱い部分をさらけ出せるようになった。

 男らしく振る舞っていた夏希は、誠一の前だけではうんと女の子らしくなった。

 男嫌いだったはずの杏璃は、誠一の前だけでは気色悪いほどにデレデレになった。

 

 自分たち家族の危機を救ってくれただけでなく、ずっと抱えていた悩みやコンプレックスまで誠一は解決してくれたのだ。

 それなのに、自分たちは誠一の悩みを解決してあげられていない。

 いつもいつも誠一に頼ったり、甘えてばかりだ。

 それだけではいけないんだ、と雛未は思う。

 

 好きな人には幸せになってほしい。

 そのために、自分たちがすべきこととは、いったい何だろう?

 

「むぅ~。とっても難しい問題です」

 

 もう一度メブキの知恵を借りれば、何か解決の糸口は見つかるだろうか。

 ……そういえば、メブキに見せてもらった資料の内容にこんなものがあった。

 大勢の女性が一人の男に尽くし、愛するというものだ。

 メブキ曰く「これこそ男にとっての究極の理想よ。……まあ、あたしは絶対に許さないけどね! お兄ちゃんはあたしだけのものよ!」とのことだ。

 

 少し前では雛未もメブキと同じ考えだった。だって結婚できる相手はひとりだけなのだから、そんな結ばれ方はおかしい。

 ……でも、それもひとつの幸せの形なのかもしれない。

 ありえないことだからこそ、普通では解決できないどうしようもないことも、解決できてしまうかもしれない。

 

「……ふむ」

 

 雛未はクローゼットから鹿撃ち帽子を取り出した。

 探偵などがよく被っているあの帽子だ。

 ついでに帽子と同じ柄のマントを取り出し装着する。

 手帳と虫眼鏡を用意すれば、準備完了だ。

 

「むん。名探偵ヒナ、これより聞き込み調査を開始する」

 

 誠一の抱えている悩みはわからない。

 でも、身内が誠一へ向ける感情の実体は明らかにできるはず。

 その上で、改めて自分たちは誠一に対して何ができるのか。

 誰が一番、誠一のことを強く思い、そして幸せにできるのか。

 それをハッキリとさせたい。

 そう思った雛未は、早速行動を開始した。

 

 

 

 

「ねえねえママー」

「なぁにヒナちゃん? あら、探偵ごっこ?」

「むん。真実はいつもひとつなのだ」

「ふふ、可愛らしい探偵さんね♪」

 

 雛未はまず食器を洗っているエレオノーラに聞き込み調査をすることにした。

 

「あのね、ママ。ヒナ聞きたいことあるの」

「なぁに探偵さん?」

「誠一お兄ちゃんのこと、好き?」

 

 食器が滑り落ちる音が響く。

 

「な、何を言ってるのヒナちゃん?」

 

 母は明らかに動揺している。

 本人は隠し通してきたつもりなのだろうが、残念ながら雛未の眼からは丸わかりだった。

 雛未はメモ帳を手にして、追い打ちをかけていく。

 

「むん。ヒナは真実を知りたいのです。ズバリ、ママはいまお兄ちゃんに恋していますか? パパや新しいパパよりも好きになってしまったのですか?」

「ヒ、ヒナちゃん。ママをからかっちゃダメでしょ? そんなこと、聞くものじゃないわ」

「……ヒナ、真面目だよ? だって、とっても大事なことだもの」

「ヒナ、ちゃん?」

 

 雛未の決してお遊びではない真剣な態度を前に、エレオノーラは思わず気圧された。

 

「ヒナもね、お兄ちゃんのこと大好き。本気でお嫁さんになりたいって思うくらい」

「……ええ、知っているわ。誠一くんみたいな良い子が義理の息子になってくれたら、ママもとっても嬉しいわ」

「……それで、ママは本当に幸せ?」

「……もちろんよ。だって、娘の幸せを願うのが、母親の役目だもの」

 

 穏やかな笑みで、エレオノーラはそう言った。

 それは、やはり本心を必死に押し隠したような笑顔だった。

 母のそんな笑顔を見ていると、雛未は何だか切ない気持ちになってきた。

 思わず、ギュッと母にしがみつく。

 

「ヒナちゃん?」

「ヒナ、ママにも幸せになってほしい。じゃないと、このままじゃママだけひとりぼっちになっちゃう」

「ヒナちゃん……」

「ママは、二回もパパとお別れしたんだよ? そんなの、悲しすぎるもの。ママみたいな素敵な人がこのまま幸せになれないなんて、ヒナいやなの」

「……ありがとう、ヒナちゃん。あなたは本当に優しい子ね」

 

 母の寂しさを理解して涙を流す末っ子を、エレオノーラは愛しげに抱きしめる。

 

「わかったわ。正直に話すね? ……ええ、私はきっと誠一くんが好きになってしまったんだわ。イケナイ女ね。再婚したばかりで、夫を失ったばかりなのに、一回りも年下の男の子相手にこんな気持ちになるなんて」

「『女はいくつになっても恋する乙女よ』ってメブキちゃんが言ってた。だからママがお兄ちゃんのこと好きになっても、全然おかしくないよ?」

「あらあら、オマセな子ね。……でも、そうね。本当にこんな気持ちは久しぶりだもの。まるで十代の頃に戻ったみたい。誠一くんは不思議な人ね。彼の前だと頼りがいのある大人でいることが難しくなってしまうの」

「お兄ちゃんと、恋人になりたい?」

「……夢のような話だけど、もし本当にそうなれれば素敵ね。……でも、やっぱりダメよ。許されないことだわ。誠一くんにとっても、きっと迷惑よ。こんなおばさんから思われたって……」

「ママはずっと綺麗だよ? お兄ちゃんの気持ちだって、確かめてみないとわからないよ?」

「それでもよ。……あのね、ヒナちゃん? ママ、もう男の人を愛することはないと思ってたの。だから、嬉しいわ。またこんな素敵な気持ちになれる人と出会えて。それだけで、十分よ。彼との思い出がある限り、決して一人になっても寂しくないわ」

 

 エレオノーラはそう断言した。

 雛未にはよくわからなかったが、それが大人特有の『気持ちの割り切り』というやつなのかもしれない。

 

 ……ただ、これでハッキリした。

 母エレオノーラは、ひとりの女として、中田誠一を愛してしまったのだということを。

 

 

 

 

 

「ねえねえ夏希お姉ちゃん」

「な~んすか~?」

「誠一お兄ちゃんのこと好き~?」

「ぐほっ!?」

 

 続いて雛未は自室でストレッチをしている夏希のもとを訪ねた。

 雛未の唐突な質問に驚いて、夏希の関節があらぬ方向に曲がった。

 

「イテテ。急に何聞くのさヒナ坊」

「いまのヒナは名探偵なのです。真実の追究をしたいのであります」

「また何かのアニメの影響~? 相変わらずお子ちゃまだな~ヒナは」

「ぷー。ヒナ子どもじゃないもん。おっぱいだってまた大きくなったもん」

「へっへーん。あたしだって大きくなったもんね~。101cmのLcupだよ~ん? この調子ならアン姉のこと越せちゃうかも?」

「杏璃お姉ちゃんも最近ブラジャーのサイズ、大きめのに変えてたよ?」

「なん、だと? まだ成長する気か、あの乳牛め……」

「むー。それより夏希お姉ちゃん、ヒナの質問に答えてよ~」

 

 長女に妙な対抗心をいだく夏希は「だが尻と太ももはあたしの圧勝のはず……」とブツブツ呟いていたが、雛未にクイクイと袖を引っ張られて現実に引き戻される。

 

「はいはい、先輩のことどう思ってるかって? ……うん、そりゃ、まあ、好きだよ?」

 

 改めて口にするのは照れくさいのか、夏希は顔を真っ赤にして答えた。

 

「お嫁さんになりたい、ってくらいの『好き』?」

「……そうなれたら嬉しいっていうか、そうなれるように絶対に振り向かせるつもりっていうか」

「ほうほう。夏希お姉ちゃんはやはり『あくてぃぶ』なのです」

「だぁ~。恥ずいな~。ていうか、こんなこと聞いてどうするつもりなのよヒナは?」

「ヒナもお兄ちゃんのお嫁さんになりたいので『てきじょうしさつ』というやつなのです」

「こ、こんにゃろ~。小学生のくせに生意気なこと言いおって~。先輩は渡さんぞコラ~」

「きゃぁん。夏希お姉ちゃん、コチョコチョしちゃやぁ~」

 

 挑発的なことを言う末っ子に、夏希はくすぐり攻撃を開始する。

 同じ男を巡るやり取り。

 されど不思議と険悪な雰囲気にはならず、何とも微笑ましい姉妹喧嘩が展開された。

 

「このこの。小学生のくせにこんなエッチな身体に育ちおって。やはり血は争えんなぁ。このトランジスタグラマーで先輩を誘惑する気か~?」

「あ~ん。したけどお兄ちゃん全然相手にしてくれなかったも~ん」

「ちょっ、待てよ。いつそんなことしたのさ?」

「ぷー。つい最近。お兄ちゃん、ヒナのこと女の子として見てくれてないのかな? ヒナとっても悲しい……」

「……そっかー。やっぱ、先輩、どっかそんな感じの壁があんだよね~……」

 

 夏希も覚えがあるのか、雛未と同じように意気消沈した顔を浮かべる。

 

「べつに女の子に興味がない、ってワケじゃないんだろうけど……なんていうのかな? そういう眼であたしたちを見ちゃイケナイって自分に言い聞かせてるって感じ? そんなところあるよね、先輩」

 

 夏希の言葉に雛未は「わかる」とコクコクと頷いた。

 

「やっぱり、あんな事件があったから、あたしたちのこと気遣ってくれてるのかな? ……でもなぁ、あたし先輩なら、どんなことだって受け入れられるのにな」

「ヒナも同じ。お兄ちゃんのためなら、何でもしてあげたい」

「はは。ヒナも健気だね~。先輩は罪作りな男だな~。あたしたち一家をこんなにも夢中にさせて」

 

 夏希もやはり自分以外の家族の気持ちには察しがついているらしい。

 それを承知の上で、自分が誠一の一番になろうと頑張っていたが……。

 

「……でも結局、あの人は誰も選ばないのかもね」

「どうして?」

「何となく、わかっちゃうんだよ。理由はハッキリとしないけど、あたしたちのことを『恋愛の対象として見ない』……そんな覚悟を感じるんだよね」

 

 それは、雛未も感じていたことだった。

 どうも誠一は、自分たち家族と男女の関係になることを恐れているところがある。

 

「まあ、それでもあたしは先輩に好きになってもらえるように頑張るけどね。だって、あたしは先輩以外の人と結婚する気ないもん」

「え? じゃあ、お兄ちゃんに振られたら、夏希お姉ちゃんはどうするの?」

「生涯独身貫くよ? あたしの心はもう決まっちゃってるんだもん。先輩以外の人に嫁ぐ気はまったくありませんので」

「夏希お姉ちゃん、すごい……」

 

 それほどの覚悟を固めて、誠一に振り向いてもらおうと努力する夏希を、雛未は素直にかっこいいと思った。

 

 

 これで、またひとつハッキリとした。

 夏希は、中田誠一でなければ女としての幸せを得ることはできないということを。

 

 

 

 最後に雛未は、長女杏璃のもとを訪ねた。

 

「ねえねえ杏璃お姉ちゃん。ヒナ、聞きたいことがあるの」

「なにかしら? いまお姉ちゃんお勉強で忙しいの」

「杏璃お姉ちゃんは誠一お兄ちゃんのこと好……」

「愛しているわ」

 

 聞き終わる前に即答する杏璃に「はやっ!?」と雛未は気圧された。

 

「あんなに男嫌いだった私が異性を愛することが不思議? でもね、雛未。女は変わるのよ? 運命の相手と出会って恋を知ると女は変わるの。ううん、これはもう恋なんて生やさしいものではないわね。女として愛する人に尽くす喜び。これほど素晴らしいことがこの世にあるだなんて知らなかったわ。雛未、運命は本当にあるのよ? 私がこれまで純潔を守ってきたのはあの人にすべてを捧げるためだったのよ。いいこと雛未。人には生まれた意味があるのよ。あの御方に全身全霊でご奉仕することが私の使命。それが私にとっての幸せ。ああ、考えるだけで恍惚としてしまうわ。あなたにもこの幸せを知ってほしいくらいよ雛未。ああ、誠一くん誠一くん誠一くん私の運命の人。私の最愛の人。あなた様のためなら杏璃はどんなこともする覚悟です……で、他に何が聞きたいのかしら?」

「ふえ~。聞いてもいないことまで早口で答えられた~」

 

 雛未は泣いた。

 逃げよう。本能的にそう思った。

 もう十分である。

 杏璃の気持ちは十分にわかったのでここは逃げよう。

 すかさず雛未は回れ右をする。

 

「まあ待ちなさい」

 

 しかし杏璃に肩を掴まれてしまった。

 まだ話し足りないらしい。

 

「ヒナをお部屋に返して!」

「寂しいことを言わないでちょうだい。お互い同じ人を好きになってしまった者同士じゃないの。いい機会だから愛する人のことを存分に語り尽くそうじゃないの」

「いーやー」

 

 そのまま雛未はズルズルと杏璃の部屋に引きずり込まれた。

 

 

 

 

 

「……まあ、私もお母さんとあなたたち妹の気持ちにはとっくに察しがついているわ」

 

 小一時間ほど誠一の魅力についての一方的な語りが終わると、杏璃はようやく興奮が冷めたのか、雛未の質問に答えてくれるようになった。

 

「ただ、私はべつに誠一くんの一番になろうとか考えてはいないわ」

「どうして?」

「私はね、どんな形でも誠一くんの傍に居られれば、それで満足だもの。……だから、お母さんと再婚しようが、夏希と結婚しようが気にしないわ。むしろ喜んで祝福するつもり。私は秘書なり、家政婦なりになって、彼を支えて生きていければ……ただ私を傍に置いてくれれば、本当にそれでいいの」

 

 雛未は驚いた。

 普通、好きになった人には一番に思われたいと考えるはずだ。

 しかし、ずっと異性を恐れて生きてきた杏璃にとっては、こうして特別な感情を抱ける相手と出会えたこと自体がとんでもない奇跡なのだ。

 たとえ結ばれなくとも最愛の人のために生きていければ、本当にそれだけで幸福なのだろう。

 雛未にとっては、理解しがたい愛の形であった。

 

「じゃあお兄ちゃんが『パパ』になったり『弟』になっても杏璃お姉ちゃんは平気なの?」

「誠一くんが『パパ』!? 『弟』!?」

「ぴぃ!?」

 

 急に興奮しだした杏璃に、雛未は再び恐怖する。

 

「あ、ありね。そういうシチュエーションもありね……イイ。すごくイイわぁ」

 

 荒く息を吐き出しながら、女性的な肢体をくねらせる姉の奇行に雛未は震える。

 

「お、お姉ちゃん? どうしたの?」

「ひ、雛未。お姉ちゃん、ちょっとヤラなきゃいけないことができたからお部屋出てくれる? また今度誠一様……いえ、誠一くんについて話しましょ?」

「ううん、杏璃お姉ちゃんとはもうお兄ちゃんのお話しない……」

 

 そう言って雛未は逃げるように杏璃の部屋を退室した。

 

「……」

 

 しかしひとつ気になることがあって、忍び足で扉の前に戻る。

 扉に耳をあてる。

 

「……おっ♡ おぉっ♡ パ、パパ♡ 誠一パパ♡ ごめんなさい♡ 杏璃、義理の娘なのにパパのこと大好きな変態娘なの♡ おっ、おぉっ♡ お仕置きして♡ ママに隠れてパパにイケナイ気持ちいだいているダメな娘にお仕置きして~♡ おっ♡ おおぉんっ♡ パッパ♡ 誠一パパ~ン♡ おっ♡ おおン♡ ああ、ダメよ誠一くん♡ 義理の姉にこんなことしちゃ♡ 夏希が隣に寝てるのに……おっ♡ おおん♡ ごめんなさいご主人様♡ 義理の姉は夜だけはあなたの言いなりですぅ~♡ おっ♡ お~っ♡ イジめてくださ~い♡ 義理の弟にイケナイ気持ちいだく義理の姉にたくさん意地悪して~♡ おっ♡ おっ♡ おおおおン♡」

 

 ほら、やっぱりオットセイの物真似をしているじゃないか。

 録音して今度誠一に聞かせてあげようと思う雛未であった。

 

 

 

 これで、またひとつハッキリとした。

 杏璃は、ヤバい。

 

 

 

 




 怪我の経過や時系列がわかりにくいなぁと思ったので日記を利用してまとめてみました。
 だいたい次女→母→長女の順で、それぞれイッチに完全に陥落しています。

 投稿からちょうどひと月ほど経過しました。
 短い期間でこれほど多くの読者の方々に読んでいただけて本当に嬉しく思います。
 もう少しの間お付き合いしていただけますと幸いです!
 


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【無垢なロリ巨乳JS雛未】天使が願うたったひとつの救済・後編

 雛未は昔からよく「やればできる子なのに」と言われてきた。

 幼い頃の雛未はたくさんの習い事をしてきた。

 そのどれも長くは続かなかった。

 決してうまくいかなかったからではない。むしろその逆で、どんな分野でも雛未は類い稀な才能を発揮した。

 ピアノ、バイオリン、バレエ、スケート、習字、絵画、どの講師からも「この子は頂点を狙える才能の持ち主だ!」と絶賛した。彼女はいわゆる才媛であった。

 しかし飽きっぽい雛未はどれも中途半端に投げ出し、すぐ別の対象に興味が移っていってしまう。

 ひとつのことを究めるより、目に付くおもしろそうなものに触れてみる。

 雛未はそんな典型的な拡散型の少女だった。

 だから作文で「将来の夢」について書くとき、いつもその内容はバラバラだ。

 三年前では看護師さん。二年前では学校の先生。去年では服飾デザイナーだった。

 

 そして、いまは「誠一のお嫁さん」である。

 作文を読む教師が雛未の新しい夢を知れば、溜め息と同時に誠一に対して同情の気持ちをいだくことだろう。

 どうせ長続きはしない。所詮はいっときのものだ。来年にはきっと別の夢になっている。雛未のような美少女に好意を向けられて、舞い上がっていた相手は気の毒だと。

 

 気ままに興味の矛先が変わる、移ろいやすい性格。

 ならば恋心までも簡単に移ろってしまうのだろうか?

 

 ……雛未自身は、そうは考えない。

 この気持ちが簡単に消えてしまうような軽いものだとは思いたくない。

 だって、こんなにも誰かを好きになるだなんて、初めてのことだ。

 

 ずっと、誠一を好きでいたい。誠一に笑っていてほしい。幸せになってほしい。

 こんなにも強い気持ちが、ただ幼い頃の綺麗な思い出として残るだけだなんて、認めたくない。

 

 これまでは、どうすれば誠一と結ばれることができるか。そればかり考えてきた。

 でも、それだけではダメなのだ。

 何をすれば、誠一にとって一番の幸せに繋がるのか。

 本当に誠一のことが好きならば、それを考えなくてはいけないのだ。

 

 誠一に対する、家族たちの気持ちはよくわかった(いやというほど)。

 

 誠一を思い続けられていれば、報われなくても構わないという母。

 たとえ振り向いてもらえなくてもアタックを続けて、それでもダメなら独身を貫こうとしている夏希。

 傍に居られれば形には拘らないと自己完結している恐ろしき杏璃。

 

 ここまで母と姉たちの深い思いを知ってしまった以上、誠一を独り占めしようという考えはできなくなってしまった。

 

 夫を失ってからずっと女手一つでがんばってきた母。そんな母を、この先もひとりにしてしまうのか? やっと頼れる男性を、見つけたというのに。

 

 ずっとお嫁さんに憧れていたのに男らしく振る舞っていた夏希。そんな夏希も、結婚したいと思えるほどの相手と出会えた。そんな夏希から誠一を奪えるのか?

 

 ずっと男を恐れていた杏璃。そんな杏璃も、我を忘れるほどに愛する相手と出会えた。そんな杏璃から誠一を奪えるのか? いろいろな意味で。

 

(ヒナ、わからなくなってきちゃった……)

 

 全員で幸せになる方法。

 メブキが教えてくれた男にとっての『究極の理想』……やはり、もうそれこそが、自分たちにとって最善の道なのだろうか?

 ひょっとしたら、母や姉たちは賛成するかもしれない。

 なんだかんだで、家族のことが大好きな女性たちだ。

 本来ならありえないとされる愛の形も、受け入れるかもしれない。

 

 ……ならば、誠一はどうだろう?

 結局、肝心な彼の気持ちが一番見えてこない。

 やはり、最も重要なのは意中の相手の気持ちを知ることなのだ。

 どれだけメブキから知恵を借りたところで、家族の思いの丈を知ったところで、肝心な相手にこちらの気持ちが届かないのでは意味が無い。

 

「……よぉし」

 

 探偵の格好をした雛未は最後に誠一のもとへ向かった。

 

 

 

    * * *

 

 

 

 お泊まりしたい、と言ったら誠一は苦笑しながらも快く受け入れてくれた。

 

「探偵ごっこかい? 懐かしいな。俺も昔はよくやったよ」

「わーい、お兄ちゃんとお揃い~♪ やっぱりお兄ちゃんとヒナは赤い糸で結ばれているのです」

「はは、またそんなオマセなこと言って」

「シャキーン! 今日のヒナは真実を暴きに来た名探偵なのです! 名探偵ヒナミンです! 捜査にご協力お願いします!」

「俺にできることであれば喜んでご協力しますよ、名探偵ヒナミンさん」

 

 誠一はノリよく雛未の探偵ごっこに付き合ってくれる様子だった。

 雛未はルンルンと機嫌を良くしながら、捜査を始める。

 

「お兄ちゃんの好きな食べ物は何ですか?」

「うーん、強いて言うなら鶏の唐揚げかな」

「好きな色は?」

「白色かなー?」

「なんと。ではヒナは明日から白のパンツを履くようにします」

「そういうのいいから」

「では好きな科目は?」

「美術かな? 実は前世……いや昔は絵を描いていたんだよ。いっとき本気で絵描きを目指そうとしたんだ」

「すごーい! ヒナ、いつでも絵のモデルになってあげるよ♪」

「ありがとうヒナちゃん。ヒナちゃんがモデルになってくれたら、きっと素敵な絵になるよ」

「いまからでもいいよ? ヒナの裸、綺麗に描いてね?」

「ヌードじゃなくてもいいから!? こら、服を脱がないの!」

 

 そんな調子で誠一に関することを聞いていく。

 思えば一年近くも一緒に居るのに、こんなにもまだ誠一の知らない一面があることに、雛未は気づいた。

 誠一はまったく自分の話をしないのだ。

 こんな形でもない限り、なかなか打ち明けてくれない。

 

 ……だから、きっとこれが最後のチャンスかもしれない。

 

「それでは、最後の質問です」

「はいはい。何でもどうぞ?」

「お兄ちゃんは……」

 

 ずっと聞きたかったことを、いまこそこの場で聞こう。

 大好きな相手からずっと感じていた、奇妙な違和感の真実を。

 

「どうしてヒナたちのことを、まっすぐ見てくれないんですか?」

「……え?」

 

 誠一は優しい。

 まるでこちらの気持ちが手に取るようにわかっているかのように、いつも欲しい言葉をくれる。

 ……でも、ときどき感じるのだ。

 誠一は、本当にいま目の前にいる自分に、言葉をかけてくれているのだろうか、と。

 

 目の前に雛未という本人がいるのに、()()()()()()()()()()()に向けて言葉をかけているような……。

 なんとも奇妙な例えだが、本当にそう感じることが多々あるのだ。

 

 お兄ちゃん、あなたはいま誰を見ているの? そう感じる瞬間が、何度も。

 

「ねえ、お兄ちゃん。ちゃんとヒナたちのことを見て? ()()()()()()()()()()()()()()()()じゃなくて、いまお兄ちゃんの目の前にいるヒナを見て?」

「ヒ、ヒナちゃん? 何を言って……」

「ヒナね、お兄ちゃんが何に悩んでいるのか、苦しんでいるのか、ぜんぜんわからない……。でもね、知って欲しいの。ヒナは……ヒナたちは、本気でお兄ちゃんの力になりたいって思ってるんだよ? そんなヒナたちと、ちゃんと向き合ってほしいの」

「あっ……」

 

 雛未の指摘に、誠一は虚を突かれたように驚いた様子だった。

 自分でも無意識になっていて、気づけなかったことに、いまようやく気づいたというような顔だった。

 

「お、俺は……ヒナちゃん……俺……」

 

 誠一の態度が明らかに変わった。

 まるで夢の世界から現実の世界に戻ってきたかのように、意識の境が曖昧になっている状態。

 ……目の前の少女が、虚構ではなく現実のものとして実在する。そんな当たり前のことをようやく思い知ったとばかりに、誠一は慌てていた。

 

「……ヒナは、ちゃんとここに居るよ?」

 

 (はた)からすれば、いったい何の会話をしているのか理解できないだろう。

 雛未も、正直なところよくわかっていない。

 でも、自然と口から出るのだ。誠一に向けるべき相応しい言葉が。

 

 動揺している誠一の膝の上に身体を乗せ、重みと温もりを実感させるように抱きつく。

 

「この気持ちも、作り物じゃなくて、本物だよ? お兄ちゃんと出会ってからずっと育ってきた、とっても大事な気持ちなの」

「ヒナちゃん……」

「ヒナはね、お兄ちゃんと居られるだけで幸せ。……でも、お兄ちゃんに本気で好きになってもらえたら、もっともっと幸せ」

「俺は……」

「ヒナ、お兄ちゃんの本当の気持ちが知りたい。お兄ちゃんにとっては迷惑かもしれなくても……ヒナ、お兄ちゃんのこと、ちゃんと知りたい」

「迷惑なんかじゃない。迷惑なわけ、ないさ……」

 

 誠一に抱きしめられる。

 彼の逞しい腕は、かすかに震えていた。

 

「ごめんヒナちゃん。君はこんなにも真剣に俺のことを思ってくれていたのに、俺ってやつは……」

 

 何かを懺悔するように、己の愚かしさを恥じるような声で、誠一は言葉を紡ぐ。

 雛未の頬に水滴が落ちる。

 涙だ。

 誠一は泣いていた。

 

「ヒナちゃんの言うとおりだ。俺、君たち家族のことを考えているつもりだったけど……本当の意味で、ちゃんと君たちと向き合ってなかった。恥ずかしいよ。ごめん……」

「お兄ちゃん……泣かないで?」

 

 雛未は小さく華奢な手で涙を拭う。

 その涙の意味を雛未は知りたい。

 

 ただ一方的に恋い焦がれ、思いを募らせるだけなら簡単だ。

 ……けれど、お互いを強く思い合い、通じ合うには、本心をさらけ出さなければならない。

 雛未は誠一のことを理解してあげたい。

 表面的な関係ではなく、本物の絆で、誠一と深く繋がりたい。

 

 そう思っているのに……。

 

「でも……ごめん。それでも、君たちには話せない。君たちのことを本気で考えるなら、尚更話せない」

 

 やはり、誠一が隠し事を明かすことはなかった。

 

「どうしても、なの?」

「うん。そもそも話したところで到底信じてもらえないような不可思議で……そしてとても残酷な話だから」

「お兄ちゃんの言うことなら、ヒナは信じるよ?」

「そうだね。ヒナちゃんは、そういう子だね。……でも、ごめん。やっぱり言いたくない。意地悪とかでも、君たちのことを信頼していないからってわけでもない。……君たちを本気で大切に思うからこそ、言えないんだ。知らないで済むなら、そのほうがいい。そういうことが、世の中にはたくさんあるんだよ、ヒナちゃん」

 

 そう断言する以上、誠一はやはり秘密を明かすことはないだろう。

 沈黙を貫くことが彼の優しさであるならば、それを無理にこじ開けるような真似は誠一の思いを裏切ることになる。

 雛未は黙って、誠一の言葉に頷いた。

 

「でも、そうだね……。どうして俺が、ヒナちゃんの気持ちに応えられないのか。その理由だけは話すよ」

 

 せめてものケジメとしてか、誠一は真実を極力隠しながら、雛未にも伝わるように柔らかい表現で、幼い恋心に報いられない理由を明かした。

 

「俺はね……あることがきっかけで、恋愛が怖くなってしまったんだ」

「怖い?」

「うん。べつに、女の人が苦手ってわけじゃないんだ。……ただ、女性と深い関係になるってことに対して、臆病になってるんだ。君たち家族に対しては、特に……」

「……どうして、ヒナたちだけ?」

「特別だからだよ。君たち家族は、俺にとっては『ただの他人』じゃないんだ。だからこそ……できないんだ」

 

 でも、と誠一は続ける。

 

「でも、約束するよ。これからは自分の中の偏見に惑わされないで、君たちとちゃんと向き合う。そうしたら何か変わるかもしれない。時間はかかるかもしれないけど、俺の中の問題が解決するかもしれない」

「……もし、そうなったとき、まだヒナがお兄ちゃんのこと好きだったら?」

「そのときは……そうだね。もう一度真剣にヒナちゃんに返事をするよ」

 

 思わせぶりな返答をしているわけではない。

 雛未の思いに本気で向き合うと決めたからこそ、誠一は自分の中の何かを克服しようとしている。

 克服した上で、雛未の気持ちを正面から受け止めようとしている。

 そんな誠一の思いが伝わってきた。

 雛未は、それで納得した。

 

 ……けれど、どうしてもひとつだけ今知りたいことがあった。

 

「……ひとつだけ、正直に答えて、お兄ちゃん」

「なんだい?」

「ヒナたちのこと、好き?」

 

 誠一が抱える苦しみの真相は明らかにできなくとも……せめて誠一の気持ちだけは知りたい。

 隠し事とはまったく関係ないところで、誠一がその胸にいだく思いを。

 誠一は数秒口を閉ざしていたが、意を決したようにゆっくりと言葉を紡いだ。

 

「……俺は、君たちが──」

 

 

 

    * * *

 

 

 

 一緒のベッドで眠りたい。

 普段なら断られたであろう雛未のそんなお願いを、その日の誠一は受け入れてくれた。

 好きな相手と一緒に眠る夜。

 いつもならすぐに寝付けるのに、雛未はなかなか眠れなかった。

 ベッドの中で感じる誠一の温もりに、胸が激しくドキドキしている。

 

「お兄ちゃん。もうおねんねしちゃった?」

 

 返事はない。

 誠一はすでに静かに寝息を立てて、夢の住人になっていた。

 雛未はなんだか面白くない、と思った。

 自分はこんなにも同衾に胸をときめかせているというのに。誠一は隣の雛未を気にもせず寝入っているではないか。

 

「えい」

 

 誠一の頬をつねる。

 マヌケ面になりながらも眠る誠一に、雛未はクスクスと笑う。

 しばらく誠一の顔で遊んでいると「うぅ……」と呻く声が上がる。

 さすがにイタズラが過ぎただろうか?

 だが、どうやらそうではないようだった。

 

「やめ、ろ……。彼女たちに……そんな真似を、するな……」

「お兄ちゃん?」

 

 誠一は苦しげに寝言を呟く。

 

「やめて、くれ……。もう、見せないでくれ……。頼むから……消えてくれ……俺は、ただ……彼女たちに、幸せになってほしかっただけで……止せ……俺は、お前とは、違う……俺は、お前と同じことは……絶対に、しない」

 

 誠一が悪夢にうなされている。

 内容まではわからないが、きっと誠一のトラウマに直結するようなおぞましい夢を見ているに違いない。

 

「もう、許して、くれ……これ以上は、もう……」

 

 激しい寝汗をかいて、悶え苦しむ誠一。

 そんな誠一を前にして、雛未は……。

 

「大丈夫だよ、お兄ちゃん」

 

 当然のことのように、誠一を胸元に抱きしめた。

 薄いナイトガウンから今にもこぼれ落ちそうな深い胸の谷間に誠一を導き、ヨシヨシと頭を撫でる。

 

「怖くないよ? ヒナが傍にいてあげる。ヒナが怖いものからお兄ちゃんを守ってあげる」

 

 昔、母にそうしてもらったように、雛未は豊かな胸をクッションのように押しつけながら、優しい声色で耳元に囁く。

 そうしていると、だんだんと誠一の様子が落ち着いてくる。

 呼吸が規則正しいものとなり、穏やかな寝息に変わる。

 どころか、まるで母性を求める幼児のように、雛未にしがみついてきた。

 

「いいよ? おいで、お兄ちゃん」

 

 雛未は拒まなかった。

 幼い自分に甘えてくる少年を、決して情けないとは思わなかった。

 むしろ、嬉しい。

 無意識だとしても、あの誠一がこんな風に自分に身を委ねてくれることが。

 

 雛未は思う。

 もしかしたら、これが本来の誠一の姿なのかもしれない。

 とても優しく、強い誠一。

 でも、本当はこのように毎晩悪夢にうなされながら、人の温もりに飢えていたのではないか?

 本当は、こうして誰かが抱きしめてあげなくてはいけないのではないか?

 

 いま誠一は、とても安らかな寝顔を雛未の胸の中で浮かべている。

 この温もりが、もっとたくさんあれば、誠一が抱える悩みを苦しみを癒やせるのではないだろうか?

 

「ねえ、お兄ちゃん……お兄ちゃんは、本当はどうしたいの?」

 

 早熟に実りながらも、まだ成長を止めない大きな胸で誠一を抱き止めながら、雛未は尋ねる。

 トラウマを抜きにしたとき、自分の中の戒めから解放されたとき、いったい誠一は雛未にどんな顔を見せるのだろうか。

 眠っている誠一から、当然返事がくることはない。

 けれど……言葉ではなく、肉体が反応を示した。

 

「あっ……♡」

 

 幼い少女が上げるべきではない、艶やかな、母性に溢れた声色が雛未の喉から零れ出た。

 

 誠一がより深く、雛未に縋りつく。

 腕を小柄な身体に回し、口元を生白い肌に押し当てる。

 

「んっ……お兄ちゃん……あっ♡」

 

 雛未の幼い身体が、ベッドの中でビクンビクンと跳ね上がる。

 未知の感覚に襲われながら、雛未はひとつの真理に辿り着く。

 

「そっか……そうだったんだ……お兄ちゃん……ヒナ、わかっちゃったかも♡」

 

 雛未は、ますます深く誠一を抱きしめた。

 いま、はっきりしたからだ。

 誠一が本当は、何を望んでいるのか。

 口で語られるよりも、ずっとわかりやすい無意識の行動。

 それこそが、誠一の本心だと理解できた。

 それは、常人とは異なる感覚を持つ雛未だからこそ、感じ取れたのかもしれない。

 

「お兄ちゃんは……ずっと、甘えたかったんだね? 本当はこんな風に女の人に……抱きしめてほしいんだね?」

 

 言葉はない。

 ただ、雛未の呼びかけに応じるように、誠一は密着を深めてくる。

 それが答えだった。

 

「お兄ちゃん、いいよ? ヒナに、もっと甘えて♡ ヒナにいっぱいヨシヨシされよ♡」

 

 雛未は、ほとばしる気持ちを抑えきれなかった。

 胸の中で穏やかな顔で眠る少年が、愛おしくてたまらない。

 雛未は理解する。

 これこそが、本当に人を好きになるということなのだと。

 なんて、素敵な気持ちなのだろう。

 こんな気持ちを芽生えさせてくれた誠一が、ますます愛おしくなる。

 

「お兄ちゃん、好き♡ ずっと、ずっと好き♡」

 

 いま確信できた。

 自分のこの気持ちは、決して移ろうことはない。

 永遠に失われることはない、確固たる思いであると断言できる。

 

 誠一が愛おしい。

 彼のためなら、何でもできる。

 彼を幸せにできるのなら、たとえどんなことでも……。

 

「お兄ちゃん。ヒナはお兄ちゃんを……愛しています♡」

 

 この瞬間、雛未は恋する少女ではなく……ひとりの男を愛する女となったのだ。

 

 

 

    * * *

 

 

 

 純粋無垢な天使は白いキャンバスのように、別の色に染まりやすい。

 雛未はこの日、確かに染められた。

 中田誠一という、強かでありながら、脆く儚い、本当は愛に飢えている、最愛の存在によって。

 

 そんな雛未に、もはや迷いはなかった。

 

「ママ。お姉ちゃん。ヒナね、皆で幸せになれる方法、見つけちゃったの」

 

 雛未が望むことは、ただひとつ。

 愛おしい存在と一緒に、家族全員で幸せになること。

 

 雛未は誠一が好きだ。そしてもちろん家族も好きだ。

 家族たちが誠一に向ける深い愛情を知った以上、自分だけが誠一を独り占めするわけにはいかない。

 そもそも自分ひとりでは、傷ついている誠一を救うことはできない。

 それがはっきりとわかったからこそ、雛未は決めた。

 家族全員で、誠一を救い、愛するという道を。

 たくさん考えて、悩んだけれども、それが自分たちにとって一番の選択なのだと、いまならばはっきりと言える。

 

 誠一がどれだけ言葉で否定しても、理性で拒んでも、雛未はあの夜に知ったのだ。

 どれだけ自らを戒めていようとも、どれだけ恋愛に対して臆病になっていようとも……それでも誠一は、本心では女性の柔肌を求め、愛に飢えていることを。

 

 ……だから、教えてあげよう。

 あなたは、こんなにも多くの女性たちに、深く愛される存在であることを。

 苦しむ必要はない。怯える必要もない。我慢する必要もない。

 自分たち四人が、全部、全部受け入れるのだから。

 誠一のすべてを、自分たちが肯定し続ける。

 たとえ誠一がこの先どんな人物に変わろうとも、永遠に愛し続けると誓う。

 誠一のすべてを愛おしく思う自分たちが、今度は誠一を救う番だ。

 

「ヒナたち四人で、お兄ちゃんを……いっぱい愛してあげよ♡」

 




■門原雛未(12)

T139 B83(F cup)→B85(G cup) W52 H77→H79 (絶賛発育中)

 地上に舞い降りた天使、と形容されるほどに純真無垢な少女。
 ビジュアル的にはピンクの色合いが濃い銀髪をツーテールにしている。
 好きなアニメの影響で服装をゴシックロリータで統一している。
 母と姉たちと同じく碧眼だが、カラーコンタクトで赤眼にしている(眼科にはちゃんと通っているのでお目々の健康はバッチリ)。
 クラスの半数以上、どころか学園中の男子のほとんどが彼女に恋をしている。
 獣性や下心を刺激する長女と違い、雛未は「神聖不可避」な尊い存在として祭り上げられており、「遠目から見つめるだけ」という不可侵協定が結ばれている。
 飽きっぽい性格だが多彩な才能を持っており、ろくに練習しなくても専門家を唸らせるほどの技巧を見せつける、いわゆる天才肌。
 ヤル気さえあれば歴史に名を残す偉業を成し遂げてしまう素質を秘めている。
 将来の夢がコロコロと変わる移ろいやすい性格だが……そんな彼女がひとつのことに拘るとしたら、それはよほど深い愛着を抱いたことを意味する。決してその思いがブレることはないだろう。
 相手に合わせて在り方を変えられる可能性の塊。
 好きな人が望むなら、Mにもなり、Sにもなれる。本人はどちらかというとS寄り。


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原作へのトラウマだけが理由なのか?

※追記

本作の掲示板は転生者限定の脳内ネットワークによる思考に直結した掲示板なので現実のものとは少し異なります。


100:名無しの転生者

さて、ここまで話を聞いて我々が至った結論はひとつだ

 

101:名無しの転生者

ああ、もう答えは出ているな……

 

102:名無しの転生者

イッチよ

すまなかったな

安易に「抱けー! 抱けー!」と言うべきではなかった

イッチに送るべき言葉は、もっと別にあった

 

103:名無しの転生者

うむ

そのとおりだ

イッチに必要な覚悟は「抱く」ことの覚悟ではなかったな

 

104:名無しの童貞

おお!

やっと皆もわかってくれたのか!

 

105:名無しの転生者

ああ、やっと答えが出たよ……

 

イッチ

潔く淫乱母娘に「抱かれてくれ」

 

106:名無しの童貞

抱かれる!?

 

107:名無しの転生者

だってもうソレしかないでしょ~?

どう考えたって手遅れだよお隣さんは~

 

108:名無しの転生者

ほんソレ

告白の断り方を考えるとか……もはやそういう次元の案件じゃないから

 

109:名無しの転生者

いや、本当コレはもうイッチは逃れようがないよ……

こんなにも拗らせちゃったお隣さんたちをどう説得する気でいるんだ?

無茶です

責任を持って彼女たちに身を捧げなさいイッチ

 

110:名無しの転生者

せやせや

抱かれろー! 抱かれろー!

 

111:名無しの転生者

ついに母娘丼実況を拝める時が来たようですね

氷山に居るけど全裸になった

 

112:名無しの転生者

長かったな

 

113:名無しの転生者

待ってたぜェー! この瞬間をよォー!

 

114:名無しの転生者

真面目な話、これ以上彼女たちのヤンデレが深刻化する前に結ばれてしまおう

いまならまだ純愛で済むぞ!

 

115:名無しの転生者

四股で純愛って何?

 

116:名無しの転生者

官能小説の世界なら普通です

 

117:名無しの転生者

合意の上で愛し合っているなら何股しようが純愛だよ

 

118:名無しの転生者

リョナグロ小説のヒロインたちの運命を変えたのは誰だ?

 

そう、イッチだ!

お前には作品の世界観を変えた責任があるんだよ!

最後の仕上げだ!

陵辱ジャンルから純愛ハーレムジャンルに移行しろ!

 

119:名無しの転生者

そうだそうだ!

彼女たちの幸せを本気で考えるなら躊躇うな!

ハーレムを受け入れろ!

彼女たちが何よりそれを望んでいる!

 

120:名無しの童貞

ぐっ……

し、しかし

しかし俺は……

 

121:名無しの転生者

なんだ?

まだ原作のトラウマから躊躇しているのか?

……まあ、まさか夢に見るほどトラウマになっているとは思わなかったが

 

122:名無しの転生者

というか退場しても尚ここまで影響力というか何かしら痕跡を残す鬼畜息子の恐ろしさよ

曲がりなりにも原作主人公は伊達ではないということか……

 

123:名無しの転生者

長女は鬼畜息子の『ゲスノート』のせいで取り返しのつかないことになってしまったからな

 

124:名無しの転生者

長女ちゃんェ……

 

125:名無しの転生者

いやさ

長女はマジでどうしてこうなった?

 

126:名無しの転生者

あれ~?

おかしいな~?

過去ログ読み返してみると長女ちゃん清楚系ツンデレとして一番正統派ヒロインしていた筈なのに……

 

127:名無しの転生者

いまやイッチ専属ワンコメイド希望の変態である

 

128:名無しの転生者

もうどこにもお嫁に行けないねェ~

 

いやマジで責任取れよイッチ

頼むから貰ってあげてくれ

これで長女ちゃんがフラれたら不憫でならねぇよ

 

129:名無しの転生者

それ言うならママンだって歳の差とか世間の目とか

そういう倫理観をなげうってまでイッチの女になることを選んだんだぞ?

これで拒んだら逆に鬼畜そのものぞ

 

130:名無しの転生者

次女ちゃんの心だってもう決まっているんだ

誰よりもお嫁さんに憧れている彼女を生涯独り身にさせないためにもイッチが幸せにしてやれ!

 

131:名無しの転生者

イッチ!

ヘタをしたらドロドロの多角関係になるかもしれなかったこのカオスな状況を!

大天使三女ちゃんが「ハーレム」という形で解決してくれたんだぞ!

彼女の「皆で幸せになりたい」という純粋な願いをイッチは否定するというのか!?

 

132:名無しの転生者

いい加減に自分の気持ちに素直になれイッチ!

でないと、また新たな鬼畜が現れて四人に毒牙を向けるかもしれないんだぞ!?

 

133:名無しの転生者

それなんだよな

陵辱系官能小説の世界である以上、危険な存在が鬼畜息子だけとは思えない

 

134:名無しの転生者

なんならそこら中で強姦魔が蔓延ってそう

 

135:名無しの転生者

エステとか精神科とか絶対に居そう

 

136:名無しの転生者

安全地帯ないじゃん

 

137:名無しの転生者

これだから陵辱系官能小説は……

 

138:名無しの転生者

そんな鬼畜どもが蔓延っているであろう世界で四人の女性を守れるのは誰だ?

イッチ! お前しか居ないんだ!

 

139:名無しの転生者

鬼畜どもに奪われる前にお前が奪え!

それが一番彼女たちを守ることに繋がる筈だ!

 

140:名無しの転生者

イッチの力で世界の不条理をねじ曲げるんだよ!

陵辱系から純愛系に塗り替えろ!

大丈夫!

お隣さんの運命を変えたイッチならできるよ!

 

141:名無しの童貞

それでも……

それでも俺は!

 

142:名無しの転生者

ええい!

まだ躊躇うというのか!

原作へのトラウマが何だ!?

悪夢に出てくる鬼畜息子が何だ!?

目の前の現実を見ろ!

鬼畜息子はもう居ないんだ!

居るのはイッチを愛する四人の女性だ!

彼女たちの愛を受け入れてトラウマを乗り越えてみせろ!

 

143:名無しの転生者

イッチよ

確かに三日間寝込むほどにショッキングな内容だった原作への悪印象が抜けないのはわかる

……でもさ?

ここまで彼女たちと親密に過ごしてきても、そのトラウマは払拭できないほどに根深いものなのか?

ここまで彼女たちと絆を紡いでてきても尚、イッチは彼女たちを官能小説の住人としてしか見れないのか?

 

144:名無しの童貞

違う!

三女ちゃんに指摘されて、無意識にいだいていたその歪みにやっと気づけた!

彼女たちはフィクション上の存在なんかじゃない!

いまこのときも彼女たちは確固とした意志を持って生きている、生身の人間だ!

彼女たちの思いだって本物だ!

それはわかってる!

わかってるんだよ……

 

145:名無しの転生者

だったらなぜ!

 

146:名無しの転生者

そんなに怖いというのか!?

原作主人公の立場に自分が収まることが!

 

147:名無しの転生者

悪夢の内容なんて気にするな!

イッチは鬼畜息子とは違う!

そんなのとっくにわかってるんだよ俺たちは!

 

148:名無しの転生者

イッチが誠実な善性の塊であることを知っているからこそ、俺たちもこう言っているんだぜ?

確信しているんだよ俺たちは!

四人を幸せにできるのは、イッチしか居ないってことを!

 

149:名無しの童貞

……できない

俺じゃ、彼女たちを幸せにできない

 

できないんだよ!

 

150:名無しの転生者

何でそんなこと決めつけるんだ!

自分に自信を持て!

 

151:名無しの童貞

自信とかそういう問題じゃないんだよ!

俺には……どうしたってできない……

 

……どうしてだ?

どうしてだよ神様?

何でよりにもよって俺を官能小説の世界なんかに転生させたんだ!

 

152:名無しの転生者

イッチ?

 

153:名無しの転生者

ど、どうしたんだイッチ……

 

154:名無しの童貞

こんな、残酷なことがあるか……

俺は、本当にただ、彼女たちに幸せになってほしかっただけで……

なのに、何で、こんなことに……

 

155:名無しのカウンセラー

……なあイッチ

お前が抱えているトラウマは、本当に原作小説へのトラウマだけなのか?

 

156:名無しの転生者

カウンセラーニキ!

 

157:名無しの転生者

どういうことだカウンセラーニキ?

イッチはいったいどうしちまったんだ?

 

158:名無しのカウンセラー

ずっと引っかかっていたんだ

イッチがここまで過剰に彼女たち四人の思いを拒んでいる様子に

そして、いくら何でも不自然すぎる鈍感ぶりに

 

寝込むほどにショックを受けた作品の登場人物たちを異性として見れない

 

なるほど

確かに最初は本当にそうだったんだろう

でも……

 

本当に今もそれが続いているのか?

上の発言にもあったが……彼女たちと親密に過ごした時間が、その傷を癒さなかったのか?

生身の彼女たちと実際に話し合って、触れ合って……それでもフィクション上の彼女たちの影が付きまとっているのか?

そんなにも原作へのトラウマは根深いのかイッチ?

 

159:名無しの童貞

……それは

 

160:名無しのカウンセラー

……そんなに「彼女たちを異性として意識してはいけない」と自分に言い聞かせているのか?

 

161:名無しの転生者

え?

 

162:名無しの転生者

ちょっと待て

どういうこったい

イッチがここまで頑固になっているのは……別の理由があるってことなのか?

 

163:名無しの転生者

おいイッチ

イッチがハーレムに躊躇するのは原作へのトラウマだけが原因じゃないのか?

 

164:名無しの転生者

どうなんだイッチ!?

 

165:名無しの童貞

……

 

166:名無しのカウンセラー

イッチ

酷なことを言うかもしれない

でも、ここまで来たらもう包み隠さす話して欲しいんだ

好奇心とかが理由じゃない

ここまで誠実に頑張ってきたイッチだからこそ、本気で力になりたいと思っているんだ

解決できることなら、解決したい

報われて欲しいんだ君には

 

だからイッチ

君が話しても構わないと思うのなら

どうか打ち明けてほしい

 

 

 

……まだ何か、俺たちに隠していることがあるんじゃないのか?

 

 

 




 新年あけましておめでとうございます!

 昨年では、まさか年末に投稿した作品がここまで多くの御方に読まれるようになるとは思いもしませんでしたので、いろいろと思い出深い年となりました。ありがとうございます!
 ここまで来たら最後まで手を抜かず、行けるところまで行きたいなーという気持ちです。
 完結までどこまで評価が伸びるか! ワクワクする年明けです!

 物語はいよいよ佳境となりました。
 最後までお付き合いして頂けますと幸いです!


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【転生者、誠一】前世の傷を乗り越えた先へ

 気づけば、中田誠一は第二の生を受けていた。

 神と呼ばれるような超常的存在とは会っていない。

 転生者専用の特殊な掲示板を見るに何人かは神と対話をした経験があるようだが、自分のように「気づけば転生していた」というケースのほうが多いのだという。

 神の気まぐれか、またはただの超常現象のひとつか。

 どちらにせよ、もしもこの転生を仕組んだ何者かがいるのなら、誠一は是非とも尋ねたかった。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? と。

 

 転生者専用の掲示板は通常のネットワークとは異なる、脳内に繋がった特殊な異空間だ。

 思考に直結しているのでわざわざ手で文字を打つ必要はない。リアルタイムでの実況も容易だ。

 すなわち掲示板の住人たちが誠一に望んでいる()()()()を子細に伝えることも不可能ではないということだ。

 

 誠一は住人たちと約束していた。

 相談に乗ってくれたお詫びに、恋人ができたらその行為を実況すると。

 

 ……なんという不義理だろう。

 そんな約束、守る気もなかったというのに。

 隣人の四人を救うことができれば、もう転生者限定の掲示板は使うことはないと思っていたから、つい浮かれ気味に出任せを言ってしまった。しばらくしたら忘れられるだろうと思っていた。

 

 誠一は決めていた。

 今世では決して恋人を作らないと。

 できる限り早く自立して、ひとりきりで生きようと。

 

 べつに今世の両親に不満があるわけではない。

 むしろ自分には勿体なさすぎるほどに人間ができた優しい両親だ。

 

 ……それゆえに心苦しい。

 どうあっても、自分では彼らに孫の顔を見せることができない。

 

 前世でもそうだった。

 自分を引き取ってくれた心優しい叔父夫婦。

 結局、ろくに恩返しもできないまま、自分は短い生涯を終えてしまった。

 「お前は私たちの息子も同然だ」と本当の親のように、自分を愛してくれたというのに。

 

 ……そう。前世の誠一は、実の両親のもとで育ったわけではなかった。

 少なくとも小学生の頃までは。

 

 醜悪。

 誠一が生まれた家庭は、そのひと言に尽きた。

 

 父は毎日のように母を殴った。

 母はその鬱憤を晴らすように息子の誠一に厳しく当たった。

 愛情のカケラなど、その家には微塵もなかった。

 

 お前さえ生まれなければ。

 お前もどうせ大人になったらあの男と同じようになる。

 お前の身体にはあの男の血が混ざっているのだから。

 

 母はまるで呪いのように誠一にそう言い続けた。

 とうの昔に母の心は壊れていたのだろう。

 息子の中に流れる父の血が忌々しかったに違いない。

 「この遺伝子を残してはならない」とでも思ったのか、母は何度も誠一を去勢させようとした。

 ハサミを持った母に寝込みを襲われかけたこともあるが、幸か不幸か気が立った父に無理やり寝室に連れて行かれたので、そのときは難は免れた。

 だが誠一に気が休まる暇はなかった。

 両親の寝室から毎晩のように聞こえる、父のケダモノのような笑い声や、母の悲鳴が恐ろしくてしょうがなかった。

 

 父の矛先がいつまでも母だけに向くとは限らない。

 母にいつ去勢されるかもわからない。

 逃げなければ。この地獄から逃げなければ。

 

 誠一は勇気を出して大人に助けを求めた。

 証拠になるものは常に用意していた。

 結果、父は逮捕され、母は精神病棟から出られなくなった。

 

 身寄りの無い誠一を、叔父夫婦が引き取ってくれた。

 彼らは誠一の生い立ちに心から同情し、慈しみ、守ってくれた。

 しかし、幼い誠一に刻まれた心の傷はそう簡単には癒されなかった。

 その心の傷は、肉体にも影響を与えた。

 

 日常的に見てきた家庭内暴力。

 母の精神的な追い詰め。

 何度も去勢されかけたというショッキングな経験。

 それらが要因となったのだろう。

 

 家庭を作る。子を作る。

 それに関わる潜在的な恐怖を植え付けられた誠一は、ある機能を失った。

 

 誠一は、心因性のEDになっていた。

 それは、転生した現在でも完治していない。

 心が関わっている以上、どれだけ健全な新しい肉体を手に入れようと、過去の記憶を持った魂が悪影響を与え続ける。

 

 EDのまま、官能小説の世界に転生する。

 なんという皮肉か。

 性的なことが是とされるこの世界で、これほどのバッドステータスはないだろう。

 

 だからといって、恋人を作らないというのは極端ではないのか?

 いくら官能小説の世界だからといっても、プラトニックな恋愛だって成立する筈だ。

 そういう意見もあるだろう。

 

 誠一も、前世ではそう信じていた。

 

 誠一は何とかEDの治療を試みた。

 EDだからといって、べつに性的なことに対して関心がないわけではなかった。機能しないというだけで、人並みに興味はあった。

 心因性である以上、ふとした拍子に治る場合もあると医師に伝えられた。

 数々の官能小説を読みあさっていたのはその頃だった。

 結局、どんな療法も意味は無かったが。

 

 それでも誠一は何とか治りたかった。

 将来を誓い合った恋人がいたからだ。

 

 誠一はいっとき本気で画家を目指していた。

 絵を描いている間だけは、辛い過去の出来事も忘れられた。

 自分の絵で誰かが幸せな気持ちになってくれたら、それは素敵なことだと思った。

 彼女とは予備校で出会った。

 人物デッサンのモデルになった際に意気投合し、そのまま交際を始めた。

 

 誠一は彼女の絵の才能に圧倒された。

 自分は凡人だと認めざるをえないほどの差があった。

 世界で活躍するのなら、それは彼女の絵だと断言できた。

 やがて彼の夢は、彼女の夢を支える方向に変わっていた。

 もともと莫大な学費のかかる美大に進学することへの後ろめたさはあった。

 叔父夫婦は誠一の夢を本気で応援してくれていたが、やはり成功するかもわからない修羅の道に進んで負担をかけるわけにはいかない。

 美大の道を諦めた誠一は、堅実に勉学に勤しみ、それなりに優良な企業に勤めた。

 自分が経済的に彼女を支え、画家としての成功を応援するつもりだった。

 

 プロポーズの際、誠一は素直に自分の身体のことを打ち明けた。

 たとえ結婚しても子宝には恵まれない。それでも構わないか、と。

 彼女は肯いてくれた。

 

「私がこれから描く絵が、あなたとの子どもみたいなものだよ」

 

 そう言ってプロポーズを受けてくれた。

 

 幸せな日々だった。

 彼女は家事をこなしつつ絵を描き続け、徐々に大きな結果を出していった。

 やがて誠一の稼ぎよりも遙かに多額の資金が彼女の功績によって集まっていった。

 家はどんどん裕福になっていった。

 あなたが支えてくれたおかげよ、と彼女は誠一に感謝した。

 

 きっとこの先も、自分たちには素敵な未来が待っている。

 そう確信していた。

 

 誠一は証明したかった。

 自分でも幸せな家庭を築けることを。

 血の繋がりなど関係ない。自分は決して父のようにはならない。

 この先も妻を慈しみ、愛し、支えていくと誓おう。

 

 彼女との間に子どもを作れないことは残念ではあったが、それでも強い精神的な繋がりが幸福を約束すると信じていた。

 どうしても子どもが欲しければ養子を考えればいい。

 何も問題ない。

 自分は素晴らしい家庭を築いている。

 そう思っていた。

 だが……。

 

 彼女は余所(よそ)で男を作った。

 お腹にはその男の子どもがいた。

 

 誠一は思い知った。

 精神的な繋がりだけでは、愛する者を繋ぎ止めることはできないのだと。

 

 誠一は裁判を起こさなかった。慰謝料も要求しなかった。

 とにかく完全に関係を絶ち、すべてを無かったことにして忘れたかった。

 

 誠一は無為に日々を過ごしていった。

 何かに取り憑かれたかのように必要以上に仕事に没頭した。

 余計なことを考える隙が生じないように、自らを多忙へ追い込んだ。

 それしか逃げ道はなかった。

 

 最愛の人に裏切られた辛さ。それからの逃避ではない。

 自分の隠された本性から誠一は逃げたかった。

 

 不義理を打ち明けられた夜、誠一は言いようのない衝動に襲われた。

 血が滲むほどに拳を握りしめ、溜め込んだエネルギーがいまにも弾けそうになった。

 

 なぜ? 自分は夢を捨ててまで君の夢を……。

 口にしてはならない言葉の数々が頭の中で反響した。

 

 脳内に浮かんだのは、母を殴る父の幻影。

 そのとき、誠一は怖気が走った。

 

 いま、自分は彼女に何をしようとした?

 違う。違う。違う。

 自分は父とは違う。

 そんな真似、する筈がない。

 

 嘘をつくな。

 と、母の幻影が亡霊のように誠一に囁いた。

 

 ほら見たことか。お前もあの男と同じだ。

 やはり血は争えなかった。

 思い知れ。お前もあの男と同じ末路を辿るんだ。

 

 違う。違う。違う。

 自分は、父のようにならないために、幸せな家庭を築こうと頑張ってきただけなのに。

 なのに、どうして……。

 

 信じていた幸福は幻想だった。

 だがなによりも悔しかったのは、わずかでも自分の気質に父の翳りが顔を覗かせたことだった。

 それは最愛の相手に裏切られたことよりも、辛い事実だった。

 

 この血は呪われている。

 自分は、家庭を築いてはいけない人間だったのだ。

 もう、いい。

 自分は一生ひとりでいい。

 誰かに裏切られるくらいなら、誰かを傷つけてしまうくらいなら、このまま無意味に人生が終わってしまえばいい。

 そうして誠一はますます仕事に逃げ道を求め……過労で短すぎる生涯を終えた。

 

 

 

 誠一はそんな己の前世を掲示板で明かした。

 隠せるものなら、隠し通したかった。

 決して聞いていて気分の良い話ではないから。

 だが、もはや明かさない限りは理解を得られない。

 自分がどうしてあの母娘たちの思いに応えられないのか、その理由を。

 

 反応は様々であった。

 想像もしていなかった過去に動揺する者。

 安易に過去を聞いてしまったことを詫びる者。

 そんな過去があったのでは仕方がないと納得する者。

 過去に囚われるなと叱咤する者。

 その上で、本心はどうなのかと問う者。

 

 正直なところ、誠一自身、もうどうすればいいのかわからなかった。

 

 四股という特殊な関係。

 原作小説を読んだことで根付いてしまった彼女たちへの憐憫。

 

 ……だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 いまも尚、拭いきれない前世の記憶と障害。

 女性不信とまでは言わない。

 だが、異性と特別な関係を結ぶことに対して及び腰になっているのは事実だ。

 あの四人をかつての『彼女』と重ねることは、ひどく無礼な考えだと百も承知している。

 彼女たちの思いが嘘偽りのない途方もなく大きく重いものであることは鈍感な誠一でも、すでにわかっているのだから。

 

 それでも、恐ろしいのである。

 自分の身体では、女としての悦びを与えてあげられない。

 ここが官能小説の世界だと思えば思うほど、彼のコンプレックスは強く刺激される。

 

 確かに彼女たちを官能小説の世界の住人ではなく、現実に生きる人間として見ると決めた。

 ……それでも、この世界が快楽を秩序とした肉欲に支配された世界という印象は付きまとい続ける。

 

 運命は本当に残酷だ。

 生きることを半ば諦めていた自分がなぜ第二の生を得たのか。

 なぜよりにもよって官能小説の世界なのか。

 

 隣人の母娘を救えれば、それで十分の筈だった。

 見て見ぬフリはできなかった。当然だ。死よりも尚惨い生き地獄を味わうとわかりきっている人たちをどうして無視できようか。

 だから彼女たちが救われた時点で、表面上の付き合いだけに留めるべきだったのだ。

 なのに……深く関わってしまった。絆を育んでしまった。もうただの他人同士に戻れないほど、親密な仲になってしまった。それはなぜか?

 

 ……認めよう。

 もはや善意だけでは説明しきれない感情を、自分は彼女たちにいだいてしまっている。

 不純なのは承知だ。

 だが感情までは嘘をつけない。

 

 あの夜、雛未に打ち明けた答えがすべてだ。

 

『俺は、君たちが──好き、なんだと思う』

 

 心のどこかで誠一は希望をいだいていた。

 もしかしたら、彼女たちだけは、自分を受け入れてくれるのではないかと。

 肉体の欠陥など関係なく、自分と未来を歩んでくれるのではないかと。

 

 そう都合良く考えてしまう自分を恥じていた。

 彼女たちに告白されるまでは。

 

 たとえここが官能小説の世界でも、自分たちは歪な関係を結ぼうとしている。

 それでも良い、と彼女たちは豪語している。

 皆で幸せになる。それが自分たちにとって最善の道だと。

 

 もうお互いの気持ちはハッキリしている。

 だから本当に……あとは誠一の決断次第なのだ。

 

 ずっと女手一つで頑張ってきたエレオノーラを支えてあげたい。

 ずっと男性に怯えていた杏璃に愛情を捧げたい。

 ずっとお嫁さんに憧れていた夏希の夢を叶えてあげたい。

 ずっと自分と家族の幸せを第一に考えてきた雛未の思いに応えてあげたい。

 

 それが誠一のまぎれもない本心なのだ。

 だが……どうしても怖い。

 彼女たちに見捨てられることがではない。

 いま尚、誠一の悪夢に現れる幻影……前世の実父と実母が恐ろしいのだ。

 

 誠一が夜にうなされるのは、原作小説の記憶を呼び起こしているからではない。

 もっと、もっと恐ろしい悪夢だ。

 

 悪夢の中で、実父は門原家の女性に暴力をふるっている。

 自分はそれを止めようとするが、実母がしがみついてそれを止める。

 そして耳元で囁かれる。

 

 転生しようが意味はない。血の運命からは逃れられない。

 お前はきっとあの男と同じになる。

 

 そして気づくと、彼女たちを殴っているのはいつのまにか誠一自身になっている。

 いつもそこで悲鳴を上げて目を覚ます。

 

 わかっている。

 これは自分自身の心の問題だ。

 生まれ変わった時点で、あの忌々しい両親による血の呪縛からは解き放たれている筈なのだ。

 ……だが、どこかで悪魔が囁く。

 魂に刻まれたものは、いつまでも残ると。

 

 本当に、自分は彼女たちと一緒にいていいのだろうか?

 ただでさえ、困難が付きまとうであろう特殊な関係だ。

 精神的な繋がりだけで、いつまでも五人揃って幸せになれる保証がどこにある?

 身の内に、得体の知れない黒い爆弾を抱えたままだというのに?

 

 そんな本音すらも、誠一は掲示板で明かす。

 彼女たちを信じられないのか? と尋ねられる。

 そんなことはない。

 一番信じられないのは自分自身だ。

 怖いのだ。どこかで、衝動的に、彼女たちを傷つけてしまう自分がいるかもしれない。その可能性が。

 

《……なら、その苦しみも一緒に背負ってもらえ》

 

 いつも自分にアドバイスをくれる存在が、そう言う。

 

《どちらかが一方的に与え、一方的に与えられるだけの関係は確かに間違っている》

《喜び苦しみも、すべてを分かち合ってこそ、本当の信頼関係が築ける》

《ひとりで抱えるのではない。全員で背負う。手と手を取り合って未来を生きる》

《……それこそが、お前が夢見ていたものじゃないのか?》

 

 誠一は涙を流した。

 その通りだった。

 本当は、前世でもわかっていた。『彼女』の心が徐々に自分から離れていることを。

 自分はそこから目を逸らして、理想的な未来ばかりを見ていた。

 良い旦那を演じ続けた。

 すべきことは、そうではなかった筈だ。

 

 意固地にならず、互いの心を裸にして、真正面からぶつからなければならなかった。

 そうすれば、まだ、自分たちはやり直せたかもしれない。

 本当の夫婦になれたかもしれない。

 

 今世でも、同じ過ちを繰り返したいか?

 否だ。断じて否だ。

 

 彼女たちはこれまで、自分と真正面に向き合ってくれた。

 向き合った上で、秘めた思いを告げてくれた。

 ならば今度は、自分の番ではないのか?

 

 誠一は深く息を吸う。

 覚悟は固まった。

 誠一は掲示板の住人たちに深い感謝の言葉を送った。

 ありがとう。ようやく決意ができた、と。

 

 もう逃げない。目を逸らさない。

 打ち明けよう。さらけ出そう。

 自分の裸の心を。

 

 

   * * *

 

 

「皆に、言わなくちゃいけないことがあるんだ」

 

 門原家のリビング。

 四人の女性の前で、誠一は決意を固める。

 

 彼女たちに明かそう。

 自分が抱えるすべてを。

 もちろん、前世のことやこの世界のことまでは話せないけれど、可能な限りは話そう。

 自分の肉体のこと。自分のトラウマのこと。そして……彼女たちに向ける思いを。

 

 エレオノーラが慈しみ深い顔で見つめてくる。

 どんな答えでも貴方の意思を尊重します、と笑顔が告げていた。

 

 夏希が緊張した面持ちで手を組む。

 少女にとっては、一世一代の大勝負のようなものだ。

 

 雛未が幼さを感じさせない包容力に富んだ笑顔を向けてくる。

 大丈夫だよ? ゆっくりお話してね? と優しく温かな思いやりが伝わってきた。

 

 杏璃が発情した顔で鎖付きのチョーカーを装着し「いつでも準備はできています」とばかりに鼻息を荒くする。

 彼女の背後にはモザイクをかけざるをえない道具で溢れかえっていた。

 見なかったことにしたかったが、彼女たちと真っ直ぐ向き合うと決めたばかりなので、気合いで目を逸らさなかった。

 

 四人の女性の前で誠一はこれまでのことを思う。

 まさか、自分がこのような決断をするとは考えもしなかった。

 でも自分がこの世界に転生し、彼女たちと出会ったのは、きっと意味がある。

 いまならそう思えてくる。

 どのような結末に至るか、それはわからない。

 だがどんな未来でも、それが運命だと受け入れよう。

 

 いまは、ただ、この思いを伝えたい。

 彼女たちに、感謝したい。

 また、こうして誰かを愛おしく思える日が訪れたことを。

 

「俺は、君たちのことが……」

 

 





 次回、最終話です。


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最終話:官能小説の世界に転生したら最高の結末を迎えた件

500:名無しの転生者

まさかイッチの前世があんなに重かったとは

 

501:名無しの転生者

重すぎるッピ!

 

502:名無しの転生者

DV 勃起不全 NTR……地獄のフルコースか?

 

503:名無しの転生者

そりゃ恋愛に臆病になってもしょうがない

 

504:名無しの転生者

イッチの嘘つき!

恋人できたらプレイ実況するって約束したのに!

した、のに……

うっ、うぅぅ……

 

言ってくれれば良かったのに

EDだったって

 

505:名無しの転生者

誰も責められない

コレばっかりは

 

506:名無しの転生者

前世嫁はマジで地獄に落ちてどうぞ

 

507:名無しの転生者

淫乱母娘ー!

頼むー!

イッチを幸せにしてやってくれー!

 

508:名無しの転生者

真面目に報われてほしい

 

509:名無しの転生者

あのイッチがとうとう告白の返事をすると決めたんだもんな

信じているぞ官能母娘たち

 

510:名無しの転生者

EDを理由にフッたらマジで許さん

 

511:名無しの転生者

それは無いと思いたいけどな

 

512:名無しの転生者

けれど勃起不全ってマジで官能小説の世界では究極のデバフだよな

 

513:名無しの転生者

すべてチ○ポで解決できるような世界

なのにその必須スキルが封じられているワケだからな

 

514:名無しの転生者

逆に言うとそのデバフ込みでお隣の母娘たちを完落ちさせたイッチ凄くね?

 

515:名無しの転生者

凄すぎる

 

516:名無しの転生者

チートじゃねえか

転生者かよ

転生者だったわ

 

517:名無しの転生者

官能小説の神様!

どうかイッチに祝福を!

 

518:名無しの転生者

あれからイッチの報告が無いな

いったいどうなったのやら

 

519:名無しの転生者

「可能な限り事情を明かした上で返事する」

って言ってたが

どうなったのかね?

 

520:名無しの転生者

何事も無かったと信じたいが

 

521:名無しの転生者

とりあえず今はイッチの報告を待とうか

 

 

 

 

 

 

 

 

540:名無しの童貞

ご報告に来ました

 

541:名無しの転生者

イッチ!

 

542:名無しの転生者

待っていたぞ!

 

543:名無しの転生者

無事かイッチ?

精神は安定しているか?

 

544:名無しの転生者

辛いことは全部吐き出してええからな?

 

545:名無しの転生者

どんな結果でもオレらはイッチの味方やぞ?

 

546:名無しの転生者

住人たちが全体的に過保護になってて草

 

547:名無しの転生者

そりゃあんな話聞いたら気遣うわ

 

548:名無しの童貞

皆、心配してくれてありがとうやで

とりあえず結果だけから言うわ

 

四人全員と恋人になりました

 

 

549:名無しの転生者

おめー!

 

550:名無しの転生者

めでたい!

 

551:名無しの転生者

よかった……

本当によかった……

 

552:名無しの転生者

優しい世界で安心した

 

553:名無しの転生者

ハーレムが成立する世界

官能小説の世界万歳やで

 

554:名無しの転生者

よかったなイッチ

EDでも彼女たちはイッチを受け入れてくれたんやな

 

555:名無しの童貞

EDに関しては本当に不安だったが……

「一緒に治していきましょう」

ってそう言ってくれたよ

 

ヘタに「そのままでも大丈夫」って言われるよりずっと嬉しかったな

思えば前世でもこんな前向きな言葉が欲しかったのかもしれない

 

556:名無しの転生者

そうだよな

治せるものならイッチだって治したいもんな

 

557:名無しの転生者

「EDなんだからしょうがない」

って黙認するのはただの諦めだからな

 

558:名無しの転生者

男にとっては深刻だもんな

勃起できないってのは

 

559:名無しの転生者

ネタにされがちだけど本当に辛い症状だよな……

 

560:名無しの転生者

自分がもしそうだったらと想像するとマジでヘコむ

イッチはずっとその苦しみを背負って生きてきたんだな……

 

561:名無しの転生者

完治することを心から願っている

 

562:名無しの転生者

大丈夫だイッチ!

ドスケベ爆乳官能母娘と一緒ならきっと治るよ!

 

563:名無しの童貞

ありがとな皆

思えば俺ずっとこの症状から目を逸らして逃げてるだけだった

でも絶対に治してみせるよ

本当に自分の気持ちに素直になれて良かった

皆のおかげや

 

564:名無しの転生者

ええんやで

 

565:名無しの転生者

どっちかっていうとカウンセラーニキの功績のほうが大きいしな

 

566:名無しの転生者

カウンセラーニキ、マジでMVP過ぎる

 

567:名無しの転生者

カウンセラーニキのガチレスには思わず泣いた

 

568:名無しの転生者

なにはともあれこれでハッピーエンドやな

 

569:名無しの転生者

ザ・エンドってね

 

570:名無しの転生者

イッチたちの未来に幸あれ

 

571:名無しの転生者

イッチ、幸せになるんやで?

 

572:名無しの童貞

ああ、今世では絶対に幸せになってみせるよ

苦難は多いとは思うが、彼女たち四人となら乗り越えていけると信じている

 

……まあ

「絶対に昔の女のこと忘れさせてあげるから」

って目から光消しながら口にされたときはその迫力に思わず背筋が震えたけど

過去は過去だもんな!

何とか乗り越えて未来に生きていくさ!

 

573:名無しの転生者

ん?

 

574:名無しの転生者

ちょって待てイッチ

お前、どこまで彼女たちに事情を話したんだ?

 

575:名無しの童貞

え?

ここで言ったとおり「可能な限り」は話したぞ?

さすがに前世やこの世界のことまでは言えなかったけど……

 

まあ辻褄を合わせるためにいくつか脚色はした

今世の両親は普通にいい人たちだから濡れ衣を着せるわけにもいかんし

前世の両親のことはしばらく同居してた怖い親戚ってことにした

もちろん結婚してたなんて話もできるワケないので、前世の妻のことは浮気した恋人ってことにした

 

だって、こう話さないとEDの原因とかここまで告白の返事を長引かせた理由を説明できないだろ?

 

576:名無しの転生者

ああー……

 

577:名無しの転生者

イッチさー……

 

578:名無しの転生者

それ、アカンやつやぞ……

 

579:名無しの童貞

え?

 

580:名無しの転生者

というわけでカウンセラーニキ

出番です

 

581:名無しのカウンセラー

律儀ではあるが……

さすがにイランことまで打ち明けすぎだぞイッチ……

 

582:名無しの童貞

そうなの!?

 

583:名無しの転生者

だってねー

 

584:名無しの転生者

愛しの相手が過去に大人から虐待受けてたなんて知ったらねー

 

585:名無しの転生者

過去に恋人がいたなんて知ったらねー

 

586:名無しの転生者

しかも浮気されて捨てられたなんて知ったらねー

 

587:名無しの転生者

あ、これお隣さん間違いなく覚悟をバリバリに固めてますわ

 

588:名無しの転生者

やっちゃいましたねイッチ

 

589:名無しの転生者

ただでさえ拗らせてる女性陣に重い過去を打ち明けたらますます拗らせちゃうでしょうが

 

590:名無しの転生者

やべぇよ……やべぇよ……

 

591:名無しの転生者

激重感情のグラビティーで押し潰されそう

 

592:名無しの転生者

大丈夫なのかイッチ?

「他の女の目に触れさせないように」

って理由で監禁されないか心配だわ

 

593:名無しのカウンセラー

うむ

愛に狂った女は何しだすかわからんからな

 

594:名無しの転生者

言葉の重みがヤバすぎる

 

595:名無しの童貞

いやその心配はないと思うけど

そもそもこれから皆で旅行に出かけるところだし

 

596:名無しの転生者

旅行!?

 

597:名無しの転生者

なんだ?

イッチの世界はゴールデンウィークか何かか?

 

598:名無しの童貞

いや、何か奥さんが急に全員分の長期休暇の手配をしたようで

急遽旅行をする流れになった

どうやら奥さんの友人に旅館を経営している人がいるようでな

貸し切りで使わせてくれるようだ

とつぜん「温泉行くわよ」と言われたのは驚いたが……

 

いやーでも楽しみだな

温泉とか久しぶりだわ

せっかくだし羽目を外すとするかな

 

599:名無しの転生者

貸し切りの温泉宿……

 

600:名無しの転生者

官能小説、定番中の超定番の舞台ですね

 

601:名無しの転生者

あ、これ勝負仕掛けてきてますわ

 

602:名無しの転生者

ヤル気満々ですね

 

603:名無しの転生者

カウンセラーニキ、これ大丈夫か?

念のためもうしばらくイッチたちの動向見守ったほうがいいのでは?

 

604:名無しのカウンセラー

かもしれん

イッチ、可能な限りでいいんで今の状況を逐一実況するんだ

 

605:名無しの童貞

実況っすか?

ええと、いまはレンタカーで宿に向かってるところ

俺は後部座席で両隣には長女ちゃんと次女ちゃんが座ってる

ジャンケンで負けた三女ちゃんが助手席でむくれてるな

 

606:名無しの転生者

早くも修羅場かよ

 

607:名無しの転生者

まあこの程度ならまだ微笑ましいほうだろ

 

608:名無しの転生者

むくれてる三女ちゃんマジ天使

 

609:名無しの童貞

で、いまは次女ちゃんが作ってきてくれたお弁当を食べさせてもらってるところ

うまし

さすが次女ちゃん

 

610:名無しの転生者

ナチュラルに「あーん」してもらっとるぞこのイッチ

 

611:名無しの転生者

けっ

いいご身分だな

 

612:名無しの転生者

あれだけ祝福しておいて嫉妬しだすの早すぎだろお前ら

 

613:名無しの転生者

羨ましいもんは羨ましいんだよ!

 

614:名無しの童貞

で、長女ちゃんはさっきからずっと俺のこと無言で見つめてる

でもって滅茶苦茶近い

 

いや近い近い近い

もうほっぺた同士くっつきあってるから

何を主張しようとしてるのこの娘?

怖い怖い怖いってば

 

615:名無しの転生者

長女ちゃんはさぁ……

 

616:名無しの転生者

安定のご様子で逆にホッとするわ

 

617:名無しの転生者

まさか長女ちゃんに癒される日が来ようとはな

 

618:名無しの童貞

ああ、三女ちゃんがますます不機嫌になっている

ごめんよ三女ちゃん

宿に着いたら思いきり構ってあげるからね

 

619:名無しの転生者

イッチ

到着した途端いやでも構うことになるぞ

 

620:名無しの転生者

ああ、三女ちゃんだけでなく全員にな

 

 

 

 

 

 

621:名無しの童貞

お、宿に着いたみたいだ

小さいが良い感じの宿ですわ

温泉楽しみだな~

 

622:名無しの転生者

ちなみにイッチ

そこの温泉の効能とか何て書いてある?

 

623:名無しの童貞

ちょっと待ってくれな

確認する

どれどれ?

 

624:名無しの童貞

新陳代謝を活発にさせてくれるみたいだぞ

老化防止に美肌効果、(一部の)成長促進……それと心身の疲労回復か

 

きっと奥さんが俺の身体を気遣ってくれたんだろうな

いきなりの旅行にはびっくりしたが感謝せねばな

 

625:名無しの転生者

他に何か書いてあるか?

 

626:名無しの童貞

他?

あとはそうだな……

 

627:名無しの童貞

精力増強だって

 

628:名無しの転生者

ア、ハイ

 

629:名無しの転生者

ドウゾ、ゴユックリ

 

630:名無しの童貞

そうさせてもらうよ

さて俺の部屋は……

 

631:名無しの童貞

え?

全員同じ部屋?

俺もこの部屋に泊まるの?

 

632:名無しの転生者

Oh……

 

633:名無しの転生者

逃がす気一切無しで草

 

634:名無しの転生者

この淫乱母娘ども

結ばれた途端手段を選ばなさすぎて怖いわ

 

635:名無しの童貞

へ、へえ、この部屋、家族風呂もあるんだ

豪勢だね~……

 

636:名無しの童貞

……一緒に入るの!?

いやいや!

いくら恋人になったからってそういうのは早すぎるでしょ!?

 

637:名無しの転生者

今更何を言っているんだイッチ

 

638:名無しの転生者

これはお前が選んだ未来だろ

 

639:名無しの転生者

潔く腹をくくれ

 

640:名無しの童貞

いやいや!

それにしたってこれは過程を跳躍しすぎでは!?

 

641:名無しの転生者

彼女らはもう存分に待ったんだよ!

 

642:名無しの転生者

散々お預けしてきたんだから少しくらい餌をあげなさい!

 

643:名無しの童貞

餌って何!?

 

644:名無しの童貞

いや奥さん、家族風呂が気に入らないワケではなくて……

あ、ちょっと待って皆

何で全員で俺の身体掴むの?

 

645:名無しの童貞

「私たちがどれだけ貴方を愛しているか教えてあげる」って……

 

温泉で何する気ですか!?

 

646:名無しの転生者

何ってナニだよ

 

647:名無しの転生者

盛り上がってまいりました

 

648:名無しの転生者

この日まで長かったね

 

649:名無しの転生者

知ってるかイッチ?

たとえ勃起しなくとも……

 

女を満足させる方法はいくらでもあるんよ

 

 

650:名無しの転生者

パンツ脱いだ

 

651:名無しの転生者

修羅場とか監禁とか心配してたけど

これなら大丈夫そうやな

 

652:名無しの転生者

一致団結した家族の絆とは何と美しいのだろう

 

653:名無しの転生者

というわけでイッチ

約束通り実況よろ

 

654:名無しの転生者

詳細に頼みまっせ

大丈夫だいじょうぶ

このネットワークは思考に直結してるんだから感じたとおりの情報を垂れ流してくれればおk

 

655:名無しの転生者

転生者専用の掲示板はこれだから最高だぜ

 

656:名無しの童貞

待って!

俺まだ心の準備できてない!

カウンセラーニキ!?

何か!

何かアドバイスを!

 

657:名無しのカウンセラー

すまないイッチ

ここまで来たら俺から言えることは、もうひとつだけだ

 

658:名無しの童貞

それは!?

 

 

 

 

659:名無しのカウンセラー

素直に彼女たちに身を委ねるが良い

 

660:名無しの童貞

カウンセラーニキィィィィ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

661:名無しの転生者

イッチ?

おーい?

 

662:名無しの転生者

急に静かになったぞ?

 

663:名無しの転生者

どうしたイッチ!

実況はどうした!?

 

664:名無しの転生者

かれこれ数十分経ってるがマジどうした?

 

665:名無しの童貞

あ、ああ……

 

666:名無しの転生者

戻ってきた

 

667:名無しの転生者

大丈夫かイッチ~?

温泉にのぼせたか~?

 

668:名無しの転生者

それより実況はよ

爆乳母娘の入浴シーンをじっくりとですねぇ……

 

669:名無しの童貞

くぁwせdrftgyふじこlp

 

670:名無しの転生者

は?

 

671:名無しの転生者

なんて?

 

672:名無しの童貞

シラナイ……シラナイ……

ナニコレ?

コンナノ、シラナイ……

 

673:名無しの転生者

イッチが壊れた!?

 

674:名無しの転生者

どうしたイッチ?

何が起こった?

 

675:名無しの童貞

キモチイイ、キモチイイ

ヤワラカイ

ゼンブ、ヤワラカイ

ヤワラカイ、ノガ、イッパイ

 

676:名無しの転生者

……これってまさか

 

677:名無しの転生者

そういうこと?

 

678:名無しの転生者

そういうことでしょうな~

 

679:名無しの転生者

イッチー!

しっかりしろー!

意識をちゃんと保てー!

 

680:名無しの転生者

正気を取り戻すんだ!

そして詳しく実況しろー!

 

681:名無しの童貞

マッシロダ

シロクテ、キレイ

イイ、ニオイ

モウ、ナニモカモ、ドウデモイイ

 

682:名無しの転生者

俺たちはどうでもよくない!

 

683:名無しの転生者

こんな仕打ちはあんまりじゃい!

 

684:名無しの転生者

思考に直結したネットワークがここでアダになるとは……

 

685:名無しの転生者

お願いだイッチ!

一瞬でいいから正気になって詳しく実況を……

 

686:名無しの童貞

アーッ!

 

687:名無しの転生者

イッチぃぃぃぃ!

 

 

 

 

 三日後……

 

 

800:名無しの童貞

ED治りました

 

801:名無しの転生者

はえーよwww

 

802:名無しの転生者

あっさり治ってて草

 

803:名無しの転生者

さすが官能小説の住人

ドスケベ母娘の手にかかればEDなんて風邪も同然だったか

 

804:名無しの転生者

嘘だろおいwww

 

805:名無しの転生者

いままでの苦労は何だったよレベルの高速完治で草

 

806:名無しの童貞

いや本当に

 

でもさ

やっぱり四人の直球な思いが功を奏したんだと思う

 

807:名無しの転生者

直球(意味深)

 

808:名無しの転生者

そりゃね……

 

809:名無しの転生者

さぞお楽しみだったようで

こんちくしょうが

 

810:名無しの童貞

まあなんというか……

本当に嬉しかったんだよな

俺のすべてを受け入れてくれて、肯定してくれて

なにもかも丸ごと愛してもらえて……

 

そして、ずっと欲しかった言葉を彼女たちはくれたんだ

 

811:名無しの童貞

 

「生まれてきてくれて、ありがとう」って……

 

俺、いまやっと転生して良かったって思えたよ

生きることを諦めないで良かった

 

彼女たちと一緒ならきっと過去のトラウマも乗り越えられると思う

 

812:名無しの転生者

ああ

前世のことなんて思い出す暇も無くなるくらい彼女たちと思い出をいっぱいに作れ

 

813:名無しの転生者

今度こそ幸せになるんやで?

 

814:名無しのカウンセラー

もう心配はなさそうだな

 

さて……俺もイッチを見習っていい加減答えを出すとしよう

ありがとうイッチ

君のおかげで俺も前に進む決心がついたよ

 

815:名無しの転生者

カウンセラーニキ?

 

816:名無しの童貞

>>814

よくはわかりませぬが……

俺でも何かお役に立てたなら幸いです

カウンセラーニキには、本当にお世話になりました

ありがとうございます

 

817:名無しの童貞

そして他の皆も

本当にいままでありがとう

俺、絶対に今度こそ幸せになります

 

818:名無しの転生者

ああ、なれなれ

もうこの掲示板で相談するようなことが起こらないことを願うよ

 

819:名無しの転生者

あ、でも実況は頼みます

 

820:名無しの転生者

ソレ

結局お預け食らったからな

 

821:名無しの童貞

了解です

今後はなるべく実況や近況報告などに留めて……

 

822:名無しの童貞

あ、そうだ

その前に修正しないといけないことがあるんだった

 

823:名無しの転生者

ん?

 

824:名無しの転生者

何だ?

 

825:名無しの転生者

まさか……

 

 

 

 

826:名無しの非童貞

それでは皆さん今後もよろしく!

俺、幸せになります!

 

827:名無しの転生者

ああああああああああああああ!!!

デスヨネエエエエエエエエエエ!!!

 

828:名無しの転生者

テメェはよおおおおお!!

ちゃっかりとよおおお!!

 

829:名無しの転生者

卒業おめでとうだよバカヤロオオオオオ!!

 

830:名無しの転生者

ちくしょううううう!

末永く爆発しやがれえええええええええ!!

 

 

 

 

 数年後……

 

 

950:名無しの転生者

イッチの最後の近況報告からもう数ヶ月か

 

951:名無しの転生者

あの一件の後も律儀に複数のスレを立ててくれたけれど

まあ、さすがにもう語ることもなかろうて

 

952:名無しの転生者

約束通り実況も十分に堪能させていただいたしな

 

953:名無しの転生者

息子が大変お世話になりました

 

954:名無しの転生者

しかしイッチがまさかのベッドヤクザだったとはな

まあ、あの母娘たちが揃いも揃って生粋のドMだったから相性は抜群だったわけだが

 

955:名無しの転生者

結局のところイッチが懸念していた気性はそっち方面で発揮されたってワケだよな

まあ結果オーライってやつだね

 

956:名無しの転生者

マジで誰ひとり不幸にならず関係を維持してたからな

やっぱイッチはすげーや

 

957:名無しの転生者

凄いと言えばイッチがCEOになったこともビックリだったな

 

958:名無しの転生者

だな

民間警備会社を起業しちゃうんだもんな

でもイッチには天職だよな

特にあの世界では

 

959:名無しの転生者

まさかここの予想どおり、鬼畜息子みたいな輩があっちこっちに存在していたとは

陵辱系官能小説はこれだからよぉ……

 

960:名無しの転生者

天才三女ちゃんが開発した万能防犯グッズが無かったらどれだけ被害が出ていたことか

いまやイッチたちはあの世界の女性たちにとって最大の味方だな

 

961:名無しの転生者

鬼畜息子と言えばもう一生牢屋から出られそうにないって話だったよな?

 

962:名無しの転生者

ムショに入った後も盛大にヤラかしてたみたいだしな

まさか男もイケるクチだったとは……

ポリ公も被害に遭ってたみたいだし、もう金輪際シャバには出てこれないだろう

 

963:名無しの転生者

すげーなーイッチは

あの四人だけじゃなく、その後もいろんな女性を暴漢から救っているんだから

 

964:名無しの転生者

……まあそのたびにハーレムが拡大していったのは許すまじだが

 

965:名無しの転生者

助けた女性が悉くイッチにゾッコンになって依存しちゃうからね

しゃーないね

 

966:名無しの転生者

母娘たちも嫉妬に狂うかと思いきやハーレム増加に寧ろ協力的っていうね

 

967:名無しの転生者

マジでイッチの幸せが第一なんだろうな

彼の喜ぶことなら何でもする勢いっていうか……

屋敷のメイドさんたちとか社員の女性たちもほとんどイッチを愛しているようだし

 

968:名無しの転生者

大大大複数プレイの実況は永久保存レベルだわ

 

969:名無しの転生者

ママンは副社長

長女ちゃんは秘書

次女ちゃんは書類上での妻

三女ちゃんは次々と賞を獲得してる天才発明家

 

まあ丸く収まった関係と言えるのかな?

表面上だと次女ちゃんの一人勝ちにも見えるけど

 

970:名無しの転生者

本人たちがそれで納得して幸せそうにしてるんだしいいんでない?

それにお嫁さんになることが次女ちゃんの夢だったわけだし

 

971:名無しの転生者

長女ちゃんも念願の秘書(ペット)になれてご満悦しておったしな

 

972:名無しの転生者

だからって職務中はさすがに自重せんかい万年発情ワンコ!

 

973:名無しの転生者

だいたい実況の中に紛れ込んでいる長女

気づけば居るっていう

 

974:名無しの転生者

マジでこの娘何なんだよ……

 

975:名無しの転生者

てかさ

マジでママン老けないよな

この間見せてもらった写真見てもまだ二十代で通じる若さだったぞ?

 

976:名無しの転生者

毎年通ってる温泉の効能と、あとイッチの愛(意味深)のおかげやろな

 

977:名無しの転生者

恋する女はいつまでも若々しいということだ

 

978:名無しの転生者

ああ、三女ちゃん……君には永遠の少女でいてほしかったよ……

 

979:名無しの転生者

ロリもいずれ大人になるんだ!

諦めろ!

 

980:名無しの転生者

でも三女ちゃんが一番スタイル抜群になるとはこのリハクの目をもってしても……

 

981:名無しの転生者

そりゃあの年頃からたっぷりと英才教育を受けていれば……

 

982:名無しの転生者

おっと! それ以上は言っちゃいけない!

いやぁ! とにかく皆その後も幸せそうで何よりだ!

 

983:名無しの転生者

幸せになったといえば……

カウンセラーニキも元気かな?

 

984:名無しの転生者

ああ、人の身で神と結ばれるとはな

びっくりしたよな

 

985:名無しの転生者

ヤンデレに好かれやすい魂とは言ってたが……

数回に及ぶ転生をさせていた神そのものが一番のヤンデレだったなんてな

 

986:名無しの転生者

異なる種族だからその思いに応えられないと決めつけていたようだけど

イッチの影響で覚悟を固めたカウンセラーニキ

かっこいいわ~

 

987:名無しの転生者

しかし、ここも随分と人口が減ったな

 

988:名無しの転生者

だね~

そろそろ潮時かもな

 

989:名無しの転生者

寂しくはあるが、俺たちもそろそろ新天地で頑張らないとな

 

990:名無しの転生者

なんだかんだで楽しかったよ

ここでのやり取りは

 

991:名無しの転生者

イッチのおかげで俺も転生した場所で頑張ろうと思えたわ

マジ感謝

 

992:名無しの転生者

これからも幸せであってほしいなイッチには

 

993:名無しの転生者

もう心配ないだろ

イッチの周りにはもうたくさん理解者がいるわけだし

 

994:名無しの転生者

俺たちも御役目御免というわけだな

 

995:名無しの転生者

埋めようか?

 

996:名無しの転生者

そうしようか

お前らも達者でな

 

997:名無しの転生者

イッチの未来に幸あれ

 

998:名無しの転生者

じゃあの

またどこかの掲示板で会おうぜ

 

999:名無しの転生者

埋め

 

1000:名無しの転生者

1000ならイッチの未来は最高のハッピーエンド

 

1001:1001 Over 1000 Thread

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