“軌跡”的な世界 (怪獣馬鹿)
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“軌跡”的な世界編
UTA


先日、REDを見てもう興奮も悲しみも抑えられなくなり書き始めました。
色々と何時もよりもブレーキは存在してないので気ままに書きます。





もしも、ウタがトットムジカの真実を知ったあの日、何か変われば結果は違ったのか?

例えば、歌声を世界中に届けさせたかったウタが真実を知り、自分の歌声にうんざりしたら?

塞ぎ込み更に最悪な状況になったのか・・・それとも、違う状況になったのか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタの様子がおかしい。

私、元エレジア国王のゴードンがシャンクスからウタを預かって早11年、世界政府や海軍や海賊にウタの存在をバラさせない為に私はウタを世界から離れさせて歌手に育ててウタは天使の歌声を見事に開花させた。

だが、流れ着いた映像電伝虫を使ってウタは配信していた。私が気づいたときには既にファンがいて、1人だったウタは彼らを大切にしていた。

シャンクスから預かった時に誓った事は死んでも話すつもりはない。エレジアを愛してくれたウタには荷が重い。だが、それでシャンクスとの仲がボロボロになってしまって私は辛い。なぜ、こんな残酷な事が起こってるのか・・・それもこの懐にずっと入れてる忌々しいトットムジカの楽譜がいけないんだ。これがあるから全て・・・

 

本当ならすぐに燃やすべきなのに出来ない・・・音楽を愛した国の王だった私には出来ない・・・出来ることなら、ウタとシャンクスには仲直りして欲しい・・・そしたら、私は地獄に落ちれるのに約束を守る為にそれも出来ない・・・

 

いや、今はウタの事だ。1年ほど配信をして数日前から何かおかしい。シャンクスと離れてから気丈に振る舞っていたが心がボロボロだ。境遇が境遇ゆえにどうすれば良いのかわからずにできる限りやってきた。

あの子の事はわかった筈だが、明らかに今回のはおかしい。

配信も止めてファンの人達から心配されてるほどだ。

これは何か不味いことになった。

 

私はそう思うと彼女の創作場に向かった。彼女の創作現場はエレジアがまだ無事だった時、彼女が大勢の前で歌った劇場跡地。彼女はそこの崩れた壁に楽譜と歌詞を書いてる。

 

今日もそうだと思っていたが違った。

 

「こ、これは!?」

 

ウタの楽譜や歌詞に斜線が滅茶苦茶に引かれていた。まるで見るのも嫌になったかのように・・・しかもそれは作りかけの曲ではない。過去に作った曲にも同じ事をしていた。酷いものは壁すらも壊していた。

 

「ウタ・・・ウタ!!」

 

何かあったのだ!ウタが自分の音楽を否定するような行動を何もなくやる子ではない。

私はウタを探した。

廃墟になった街を探しまくり、私はウタを見つけられなかった。何処に行ったんだ!

君に何かあったら私はシャンクスにも国民達にも顔向け出来ない!!

 

 

必死に探しまくってウタを見つけた。彼女は港にいた。あの日、シャンクスが出港したこの港で海を見ながら蹲っていた。私は音楽以外は全くの無能だ。けど、何年も育ててきた分かる。彼女は泣いている。

 

「あれ?ゴードン、どうしたの?」

 

後ろから近づいた私に気づいて彼女は笑顔を向けた。頬に涙が流れた跡があるのにまた気丈に振る舞って・・・

 

「君が居なくて探したんだ・・・なにかあったのか?」

「ううん、何もない。ごめんね心配かけて」

 

ウタはそう言って映像電伝虫を持って立ち上がり、転んだ。映像電伝虫はその際に手から離れて地面を這って起動した。

 

「止めて!!」

 

映像電伝虫に叫ぶウタ。私は呆然としながら映像電伝虫に記録されていた映像を観た。

 

『これを見てる人は聞いてほしい、ウタは悪魔の娘だ!』

 

そんな声と共に映っていたのはあのトットムジカの悪夢だった。こ、こんな映像が残っていたなんて・・・

 

「止めて止めて止めて・・・違う・・・違う!!」

 

蹲って泣き始め頭を抑えるウタ。

私は何も言えずにただ彼女を抱き締めた。

 

「兎に角、晩御飯を食べて休もう・・・明日、あの日の真実を君に言わなければならない。もう1人で悩まないでくれ」

 

私がそう云うと彼女は大声で泣いた。

あの日、シャンクスが去ってるのを見ながら泣いた時と同じくらい泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○

一晩経って、彼女の部屋に行くとベットの上で蹲っている彼女がいた。

 

「眠れなかったのかい?」

「うん・・・ねぇ、教えて・・・あの日、エレジアを滅茶苦茶にしたのは『私』なの?」

 

違う、そうじゃない。あればトットムジカのせいで君ではない。私はそれを君に教えないといけない。

 

「違う!あの日・・・シャンクスと一緒に海に行くと決めた君に私達はウタワールドで沢山の歌を教えた・・・その時にウタウタの実の力で蘇るトットムジカが蘇ろうと君に近づき、歌ってしまったんだ」

「じゃ、やっぱり私じゃない・・・私が全部ブチ壊したんだ・・・」

「違う!」

「違わない!!私がウタウタの実の力で全部何もかもブチ壊したんだ・・・シャンクス達は守って・・・けど、置き去りにして・・・もうわかんないよ!!」

 

頭を抑えて泣き始めたウタ。

どうすれば良いのか・・・シャンクスと約束してたのに私は破って、この子を苦しめて・・・

 

「すまないウタ・・・すまない・・・」

 

私は泣いてる彼女の頭を撫で続けた。泣き止むまで優しい歌を歌えば良かったかも知れないが今だけは歌から離れさせる時だと思った。

シャンクスと離れた時からずっと寂しさを感じていた彼女は良くも悪くも我慢強い。海賊の娘だからか、元来のタフさゆえかそれが真実を知った今、崩れた。

まだ20歳、しかも11年もの間に自分の中で渦巻いていた物がこんがらかっている。彼女は恐らく立ち上がる。だがこのこんがらかっている物を丁寧に解かなければ彼女はきっと間違った方向に行ってしまう。もう彼女が苦しむのは見たくなかった。

 

 

暫く、撫でて涙を出すのに疲れたのか少し落ち着いてきてるように見える。後はゆっくり彼女とご飯でも食べながら話して・・・

 

『ぐぅぅ〜!』

 

空気を全く読んでない大きなお腹の音を鳴らした私にウタが顔を向けた。

なんで、私が鳴らすんだ!?いや、お腹が空いたのは確かなんだが・・・

 

「プッ・・・フフ・・・」

 

ウタが笑ってくれた。

気が抜けたのか・・・

 

「すぐにご飯にしよう。仕度してくる!美味しい物を作ってくるよ!」

 

私はそう言って朝食の準備を始めようとするとウタも付いてきた。

 

「私も作るよ」

「わかった・・・一緒に作ろう!」

 

私達は一緒に朝食を作った。久しぶりだった。ウタが配信を始めてからは彼女は朝昼晩と音楽作りで忙しくて私がやっていたから・・・朝食を作り終えて、食堂で食べてる時、私は決心した。

 

もう真実を知った彼女をこの島で抑えるのは彼女の為にはならない。世界に羽ばたこうとしてるウタの歌声を私は止めたくない。

シャンクスには要らぬ心配を掛けさせる事になるが、それでもやるべきだと思った。

 

「ウタ・・・私は今まで君に世界の事を教えてこなかった。世界政府や海軍から守るためにシャンクスと約束した」

「うん、わかってるよ・・・納得はまだ出来ないけど・・・」

「すまない・・・ウタ、世界に挑戦してみたくはないか?」

「え?」

「1年の配信で君の歌は人気になっていってる。それで実はライブの依頼があちこちから来てる」

「・・・無理だよ・・・私の歌・・・悪魔の歌だし・・・」

「違う、天使の歌だ。君の歌は人を幸せに出来る!」

 

そう言うとウタは立ち上がった。

 

「・・・ちょっと考えさせて・・・」

 

ウタはそう言って部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタは自分の部屋で音貝で自分の作った歌を聴いていた。自分の歌に自信があったし、歌で皆を幸せにしたくて頑張ってきた。

 

『ウタは悪魔の娘だ』

 

しかし、頭に流れるのはトットムジカで火の海になったエレジアと憎んでいたシャンクス達が守ってくれた事。

 

この11年間、死ぬほど嫌いになった。勝手に消えて会いにも来ない。もっと冒険したかったのに残された辛さ、悲しみ、恨み。自分の歌声だけが残されていた物だったのにそれが原因でこうなるとは皮肉でしかなかった。

 

『ウタ・・・私、ウタの歌声が大好き』

『いつも歌ってくれてありがとう!』

『お陰で明日からも頑張れるよ』

『ありがとう』

『ありがとう』

『アリがとう』

『あリがトう』

『ありがトウ』

『アリガトウ』

 

アリガトウアリガトウとファンの声で奮い立とうとしたが、自分の歌が悪魔の歌声だと知った今のウタには何も効果はない。むしろ、その声援すらも呪いになりかけていた。

 

「無理だ無理だ・・・私には無理だ」

 

ウタはそう言って自分の歌を聞くのを止めて、思いっきり音貝をぶん投げた。気分が晴れるかもと思ったが何一つ晴れなかった。壁にぶつかった音貝は自分の机の上に置いていた作詞や楽譜も床にばらまいた。

綺麗好きなのと音楽好きゆえなのかウタは気持ちが沈んだまま、散らばった物を集めて机の上に戻していた。

 

そんな中でウタは1枚の紙を見つけた。

瓢箪みたいな形でウタはそれが何か覚えていた。それは幼馴染のルフィが昔、書いた下手くそなシャンクスの麦わら帽子。ルフィがくれると言ったこの絵は大事な思い出だった。

 

「ルフィ・・・ルフィ・・・会いたいよ・・・」

 

ウタはそう言いながら、片付ける。ウタウタの実もシャンクスも関係ない。本当に楽しくて笑いあった幼い記憶。そして自分の歌を褒めてくれた事を思い出していた。

 

(ルフィ・・・ルフィは海賊になったのかな?それとも愚痴愚痴言ってたお爺ちゃんの所で海兵になったのかな?・・・また、チキンレースとかやりたいよ)

 

楽しい記憶を思い出し続けてウタは涙が止まらなくなっていた。ポロポロと落ちて片付けが終わっても止まらなかった。シャンクスに置いていかれてウタには自分の歌しか頼れなくなったが、その歌にも頼れない今はその思い出だけしか残ってなかった。

ウタはそのまま泣き続けてまた疲れて眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ゴードンは自室で作業をしていた。

いつもの音楽関係ではなく、ウタに外の世界を知ってほしいが為にゴードンは書庫から本や新聞を取り出してきた。国が崩壊したとはいえ、ニュース・クーや物資はそれなりに来ていた。ゴードンは新聞は捨てようとしていたが国王の時の癖で世界情勢関係を読んでいたので捨てられなかった。というよりもいつかウタが11年間のシャンクスの動向を知りたがると思って取っていた。

 

そんな新聞だらけの中からゴードンはライブの依頼を受けると言う前提で会場の1つになってるアラバスタ関係のここ数年の物を手当たり次第集めていた。

 

そして1つの新聞を取ると2枚の手配書が落ちた。

それには「麦わらのルフィ 懸賞金1億ベリー」と「海賊狩りのゾロ 懸賞金6000万ベリー」と記載されていた。今では4億の賞金首であるがクロコダイル陥落とアラバスタの事件の記事と一緒に保管というよりも新聞に挟んでいた。ゴードンはその手配書をゴミ箱に捨てた。海賊が嫌いになったウタには嫌な物だと思ったからだ。ゴードンは捨てた後でまだまだあるアラバスタ関係の物を集める。

 

 

 

 

〇〇〇

翌朝、ウタは朝早くに目を覚ました。

気分は暗かった。ただでさえ落ち込んでいたのに加えて幸せな記憶も思い出してより落ち込んだ。

 

「ゴードン・・・お早う・・・」

 

ゴードンの部屋に行くと彼はぐーすかと寝て更には部屋も恐ろしく新聞やら書物やらで散らかっていた。ウタは書物の1つを取ってみると『激動のアラバスタ』という題名だった。作者表記はイガラムと書いてあった。他の国の事を急に集めるなんて何時もならやってないのにやってしかも疲れて寝落ちしてる事実からウタはライブ関係だというのがわかった。

だが、大切なゴードンの国を滅ぼしておいてそこまでやってくれてる事に申し訳なさを感じていた。

ウタはますます落ち込みつつも取り敢えず、片付けようと地面に落ちてる物をゴミ箱の方に持っていくと昨日ゴードンが捨てた手配書が目に入った。

 

「手配書?」

 

ウタは何気なしに手配書を取った。そうルフィの手配書を取って見た。

 

「ル、ルフィ!?嘘!!?一億べリーって・・・えぇ!?」

「うおっ!?な、なんだ??」

 

びっくりして大声を上げるウタ。その声に目が覚めるゴードン。ウタは目を白黒にさせながらもゴードンに詰め寄った。

 

「ね、ねぇ!これって」

「あ、あぁ、『麦わらのルフィ』。大物の海賊だがどうかしたのかい?」

 

ゴードンは詰め寄ってきてルフィの手配書を押し付けてくるウタに少しビビりながらも答えるとウタは部屋から出た。

 

ウタはそのまま、自室に戻ってルフィがくれた麦わらマークのイラストを持って港まで走った。あの日から分からなくなった幼馴染は今、自分の夢に向かって頑張っているのが分かったからだ。それを見てウタの中に芽生えたのは負けじ魂だった。

 

「ルフィ・・・頑張ってるんだね。私も頑張ってみるよもう一回・・・私の歌で皆を幸せにして、いつかルフィ達海賊も海軍も関係ない私のステージで聴かせるからね!!」

 

ウタはそう言うとルフィの手配書と彼がくれた麦わらマークをしまってゴードンの所に戻った。

 

(ルフィが外で色んな冒険をしてる!私も負けられない、ルフィにいっぱい私の冒険譚を聴かせてやるんだから!)

 

ウタは気持ちを新たにしてゴードンが持ってきたライブの話を了承した。折角、ゴードンが頑張ってくれたのと自分も外に出たくなったからだ。

こうして2人は最初のライブ会場がある“アラバスタ”へと向かった。

 

 

 

これはウタがルフィと冒険する話ではない。

ルフィが何をやってきたのかウタが知る“軌跡”的な話。




というわけで主役は勿論、ウタですがルフィはまだあの頂上戦争から1年しか経ってないので出ません。出してもウタと会うのはかなり後だと思います。

あくまでもウタがルフィの軌跡を追う話なので、悪しからず。
ハッピーエンド信者なので頑張ります。


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ARABASTA

短いですがキリが良かったのでどうぞ。
因みに今回は“あの男”も出ます。

※今作は2年間の間の話です。なので麦わらの一味はそうそう出ません。


ウタがライブをやると決めてから、ゴードンはアラバスタまでの移動運行を手配した。腐っても音楽の国の元国王、外にツテはある。

ゴードンは埃を被っていた電伝虫であるとこに電話した。

 

プルルルルルルル・・・・・

 

『はいこちら「世界経済新聞社」のモルガンズ』

「久しぶりだね。モルガンズ君」

『その声はエレジアのゴードンか!?こいつは久しぶりすぎてビッグニュース級だな!!』

「最近話題の歌姫を知ってるかな?」

『知ってるぜUTAだろ?どんな電伝虫を使ってんのか分かんねぇが顔が分からない歌姫。まさか情報を知ってんのか!?』

「私が育ててる」

『なんと!?こいつはまたまたスクープ!!今日だけで1ヶ月分は書けるほどのスクープが来たぜ!!』

「実は今度やるアラバスタの復興記念祭のライブの依頼が来ててね。そこに出演するつもりだ。そこまで送って欲しい」

『ちょっと待て!生きてるのは知ってたが音楽の国は赤髪に滅ぼされて壊滅したのになんでそんな依頼が来てんだ?・・・スクープ無しで足になるのはゴメンだぞ』

「国王達の間の手紙のツテでアラバスタ王国の国王コブラから依頼されてね。アラバスタオーケストラの指揮をしてほしいと。UTAの事も良いかと訪ねたら快く了承してくれたよ」

『よし!その話も記事にさせてもらうし、UTAに独占取材だ。それが条件だいいな!?』

「・・・・わかった」

 

ゴードンはアラバスタまでの移動する為の物を確保したが良いが相手はあのモルガンズ。スクープの為なら良くも悪くも善悪と倫理が存在しない。彼にウタがシャンクスの娘だとバレたらすぐに海軍や海賊に狙われる。しかし、空を移動するモルガンズの船は速い。下手に刺激しなければ大丈夫だ。

 

「どう?上手くいった?」

 

ウタが心配そうに聞いてきたが大丈夫だ。それにモルガンズはそろそろあれの時期だ・・・

 

「大丈夫、上手く行った。さて私達も準備しよう」

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「世界経済新聞」通称「世経」の移動船が空からエレジアの港へやってきた。

 

「飛んでるの?」

「「世経」の情報量の早さは本社だけじゃなくて“支社”も移動してるからなんだ」

 

規模は本社よりも小さいがその分、早く小回りが利く「世経」の支社。浮力がクウイゴスで作られた船体は気球と少しの鳥で浮かび上がれる。

港につくと何人もの記者が降りてきた。

 

「この度は「世界経済新聞社」にようこそ!今回、最近話題のUTAの独占インタビューとアラバスタまでの道の移動を担当する支社のW-5です!」

「よろしくお願いします!」

「お願いするよ」

「はい!では、こちらにどうぞ!なお、社長であるモルガンズ様は“お茶会”に招かれて居ませんがライブは見に来るとの事なのでよろしくお願いします」

「はい!」

「勿論です」

 

2人はそのまま支社のW-5に乗船していく。

 

「ねぇ、そのモルガンズって人が居なくて良かったね」

「あぁ、うろ覚えの記憶も役に立つものだ。これで少しは安心できる」

 

ゴードンがゴシップ大好きなモルガンズに頼んだのは余計な部分まで詮索するデメリットよりも移動速度を優先したからだが、裏社会の重鎮という側面もあるモルガンズはよく四皇のビッグマムのお茶会に呼ばれていたのをゴードンは覚えていた。モルガンズのゴシップ被害の悪名高さは国王達の中でも凄く有名で被害にあった国も多い。エレジアの歌手達もゴシップにやられた事があったからゴードンもそういったモルガンズの側面を良く調べて知っていた。

 

一方、そのゴシップ大好き“ビッグニュース”モルガンズはビッグマムのお茶会に向かいながらも悔しさに打ちひしがれていた。

 

「クソ、ビッグニュースがぁ!!お茶会さえなければ!!!赤髪の事とか色々と良いネタを探れたのに畜生!!!」

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇 

「つ、疲れた〜」

 

ウタは貸してくれた部屋のベッドにダイブした。ゴードンと共にシャンクスの娘だと言うことがバレないように色々と設定を作った上でインタビューを受けたが所々でゴードンがフォローしていなければ危なかった。因みにウタはエレジア最後の国民でシャンクスの顔は見たこともないという設定で通してるがシャンクスの手配書を見せられた時は流石に色々と込み上げてきた。怒り、憎しみ、寂しさ、悲しみ、やるせなさ、申し訳無さそういった色んな感情が溢れそうになっていた。

 

「着くまで凄い窮屈かも・・・やっぱり止めた方が良かった・・・いや、ルフィに負けてられない!」

 

今のウタはルフィに負けたくない一心で動いていた。ずっと負けてないというのもあったが、1番の理由はいつもルフィにやっていた事だった。

 

(私の旅の冒険譚を聴かせてやる!)

 

幼い時にシャンクスの船に乗っていた頃、ウタはルフィに何処で旅したのか冒険譚をよく聴かせていた。そしてそれで羨ましがっていたルフィをからかうのが楽しかった。楽しかった記憶をウタはもう一回やりたいのだ。

 

コンコンッ

 

そんな事を考えていると部屋のドアが叩かれた。

 

「ウタ、ちょっと良いかな?」

「ゴードン?良いよ」

 

ゴードンは楽譜を持って入ってくる。表情はいつも音楽をやるときの彼と同じで真剣だった。ウタも表情が真剣になる。

 

「ちょっと行き詰まってしまってね。君の意見も聞きたいんだ」

 

ゴードンは演奏する曲である《アラバスタ行進曲》の楽譜を持っていた。指揮者として1流である彼は分析し、アラバスタで1番人気のあるクラシックを指揮する為に本番の2、3ヶ月前に入って調整し、準備する。ウタもゴードンによる英才教育のおかげで良くわかっていた。

2人はそのままそれぞれの音楽に関して成功させるために調整を始めていた。

 

一方、その頃W-5の記者はモルガンズに電伝虫でキレられていた。

 

『馬鹿野郎!こんなありきたりな事、記事にしても弱いだろうが!!もっともっと聞き出せ!!相手の事なんかどうでもいい!徹底して骨の髄までしゃぶってビッグニュースを取ってこい!』

 

ゴードンが「世経」を騙すために作った設定に流石の支社の記者らも色々と聞き出せずにいたがモルガンズはそれに対してキレていた。やっぱり自分がインタビューをすれば良かったとモルガンズは泣いていた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

それから、5日後。

アラバスタに無事に到着したウタは肌を守るために厚着をしていた。因みになんとかボロを出さずに無事にインタビューも済んだのでホッとしていた。

 

後日、支社の全員が東の海に左遷されたのは余談である。

 

「ではライブ会場があるユバにはエルマルへ渡ってから1日かけて砂漠を進んでいくから少し何か食べよう」

「良かったぁ、お腹空いてたの!」

 

久しぶりに見る外の世界、初めて訪れたアラバスタ。何もかもが新鮮だった。港町であるナノハナに溢れてる香水の香りに港町特有の潮の匂い、全てが見たこともない景色だった。

そんな中でウタとゴードンは飯屋に入った。そこは1年前にルフィが食い逃げしていた店【Spice Bean】だった。エースとスモーカーを吹き飛ばした時に出来た風穴には木の板が張られていて何とも言えない感じになっていた。

 

ウタは久しぶりすぎるエレジア以外というかゴードンと自分以外の料理にご満悦だった。

 

「美味しい!!」

「あぁ、ありがとう」

 

店主も優しくてウタは上機嫌になり、沢山食べていた。乱雑に積まれた皿に食欲が止まらないウタ。店主は1年前に食い逃げされたルフィの姿が横切り、ゴードンに勘定を払えるのか確認を取っていた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「いやぁ、美味しかった!」

 

細い体の何処にあれだけの食事が入ったのかゴードンはコブラに前借りしていたお金が予想よりも減った事に嘆きつつも喜んでるウタを見て嬉しくなった。

2人はナノハナからエルマルへと渡る船に乗った。

 

ほんの数時間くらいの船旅だったが、ウタはそこからエルマルを見ていた。幾つかの建造物はあるが人は少なかった。

砂漠に覆われている街だった。

2人はそこからヒッコシクラブに乗って街を出たがウタはエルマルが気になっていた。

 

「ねぇ、あの街に何があったのかな?」

「私も新聞でしか知らないが河の水が衰え、ダンスパウダーの旱魃が起き、海水が逆流して枯れたらしい」

「・・・あの街の人達、とっても疲れてるように見えた」

「復興が半年前に始まったばかりらしいからな。完全に戻れるか分からない」

 

ゴードンの言葉を聞いてウタは胸にムカムカした思いを持ちながらもヒッコシクラブの上でエルマルが見えなくなるまで目を離さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタとゴードンが去ったナノハナに1つの海賊船が着いた。

 

「つ、遂に来たべ〜アラバスタ!!」

 

船長である賞金首「人食い バルトロメオ 懸賞金8000万ベリー」もうすでに海賊串刺配信事件や市民放火などはやっていた為に高額だった。

 

「船長、とりあえずどうする?」

「新聞じゃ、あの人はこっからユバに行ったらしい!お前ら、とっとと砂漠を渡る準備をして行くべ!!聖地巡礼だぁ〜!!」

 

バルトロメオがそう宣言するとルフィと同じ所を見るために海賊団は準備を始めた。







はい、というわけでルフィのオタクであるバルトロメオ登場です。ウタがルフィの軌跡を辿っていく話なのでバルトロメオの登場は決めてました。
他にも色々と出すつもりです。
取り敢えず、エタりやすい質ですので一章ずつ出して暫く開けて出してを繰り返そうと思います。



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Vivi

それでは3話ですどうぞ!
もうタイトルから分かると思いますが彼女が出ます!
勿論、あの人もでます。

※今作は2年間の間の話です。なので麦わらの一味はそうそう出てきません。


ウタがヒッコシクラブに乗ってユバに着くとそこは活気に溢れていた。

一度砂に覆われたオアシスを必死に立て直されて今では水が蘇っただけでなく、温泉島とも繋がって益々景気は良くなっていた。

今回のライブもそんなユバの完全に復興した事を祝って催された物だ。しかし、ウタは先程にみたエルマルの荒れ果てた街とここの姿に戸惑いを覚えていた。

 

一方は賑わい活気に溢れて、一方は寂しく廃れていてアラバスタの二面にウタはモヤモヤとしていた。

 

ゴードンはそんなウタの様子を見つつ、今回のライブ会場に来るとまだ建設中の会場を国王のコブラが見学していた。

 

「コブラ王!」

「おお、ゴードン!来てくれてありがとう!君がいればこの復興祭もより良い物になる!」

「嬉しい言葉をありがとう!エレジアが滅んでからと言うものずっと手紙を出してくれたのは貴方だけだった」

「なに大切な世界を良くしようと賛同してくれた友情は永遠だ」

「ありがとう!」

「そちらの娘さんは?」

「私の教え子のウタだ。9歳の頃から教えていてね」

「そうか、よく来てくれたありがとう!」

 

コブラはウタに近づいてお礼を言った。ウタもコブラに対して笑顔で返したがぎこちなかった。先程のエルマルの事が頭から離れないでいた。

コブラはそんな暗い部分に気づくと何気なしに話題を変えた。

 

「そうだ。まだライブまで数日ある。それまでの間、ここを楽しんでくれ!」

「それが良い。ウタ、楽しんできてくれ」

 

ゴードンにも言われてウタは分かれて適当に街を歩いていた。知らない街、砂漠の中にあるオアシス、新鮮な雰囲気はあったがウタの中にあるモヤモヤは晴れなかった。良くも悪くもエレジアの中にいたウタは純粋であり、外の世界を知らないし友人らしい友人もいない。

本来は成長や人付き合いと共にその感情もコントロール出来てくるがウタにはそれが出来ずに悶々としていた。

 

「貴女がウタね?」

 

そんなウタに近づく女性がいた。青髪でウタもひと目見て綺麗な人だとウタは思った。

 

「貴女、誰?」

「私はビビ・・・ちょっとだけこの街を知ってる貴女の歌のファンでアラバスタの王女なの」

 

それはビビだった。ビビは王女という身分を明かしてウタに近づいてきた。ウタも実際にファンに会うのは初めてで嬉しくなったし、そこには王女も何も関係なかった。

 

「本当!?嬉しい、ありがとう!」

 

ビビの手を取ってブンブンと振るウタ。その特徴的な髪も上に上がった。喜んでるウタにビビも嬉しくなったが、ある意味で純粋な姿にビビはルフィの姿をウタに重ねた。

 

「ねぇ、この街を案内してもいいかな?」

「いいよ、この街の事をもっと教えて!」

「クヮァー」

 

一匹の超カルガモがビビに近づいてきた後でウタにも近づき、ウタは少しビックリしながらも頭を撫でて上げた。

 

「?この子は?」

「彼の名前はカルー。私の友達で一緒に案内してくれるって」

「そう、よろしくねカルー」

 

ウタはファンとして接しに来てくれたビビと友達の案内の元、ユバを回ることにした。

 

後ろにはビビが心配でたまらない護衛隊長のイガラムが警護というかもうストーカーみたいに2人をつけていたが・・・

 

 

 

 

〇〇〇

ゴードンはウタと分かれた後でコブラからの依頼であるオーケストラの指揮をする為に楽団と練習をしていた。そんな風景をコブラは見ていた。ゴードンの姿は真剣そのもので数日しか楽団と練習する時間がないという割と無茶苦茶な条件を呑んでくれた事にコブラは感謝していた。

練習は何時間にも渡って、切り上げたときには既に夕方だった。

 

「ふぅ、では続きは明日にしよう」

 

ゴードンはそう言って切り上げた。楽団の面々もプロとして鍛え上げてきた上にエレジアの音楽の伝説は耳にしていたからこそ、有意義であったが何分時間が全く足りてない状況に不安があった。

 

「ゴードン、調子はどうかな?」

「何とも言えないな。時間が足りてないというのが本音だ」

「すまない。もっと早くに依頼をしておけば・・・」

「いや、こんな音楽しか取り柄のない私を呼んでくれてしかもウタのライブも入れてくれるという無茶もやってくれたのにこれ以上はバチが当たりそうだ」

 

コブラの言葉にゴードンは嘘偽りのない本音で答える。コブラもその言葉が嬉しいのかユバにあるホテルで体を休めようと言って誘った。

ゴードンはウタが心配になったがコブラが娘のビビを付けた事と護衛隊長を警護に回した事を聞くと過保護はウタの為にならないと思い、コブラと一緒にホテルに行った。

 

「UTAの人気はこの国でもあってね。若者も喜ぶよ」

「嬉しいよ。本当に呼んでくれてありがとう」

 

ゴードンの言葉にコブラは嬉しくなるが先程のウタの暗い感じが気になり、ゴードンに思いっきって聞いてみた。

 

「・・・あの娘と何か喧嘩でもしたのか?」

「喧嘩はしてないが・・・エレジアが滅んでから外の世界を教えてこなかった・・・ここが彼女に取って初めての世界なんだ・・・」

「・・・11年もか?それは大事に育ててきたんだな・・・なら、彼女にはもっとこの国を知って帰って貰わなくてはな!」

 

コブラはそう言って笑顔を向けた。

ゴードンはコブラがなぜその顔が出来るのか分からなかった。

 

「いいのか?あの娘は純粋だからエルマルの事とかもちゃんと知るぞ」

「構わない。綺麗な所だけ見ても何も意味はない。綺麗な所もそうじゃない部分も全て含んで“世界”だ」

 

そう断言したコブラにゴードンは羨ましく思った。エレジアが滅んでからウタを閉じ込めるように籠もっていた自分とは違い、それでいてそこを恐れない姿は自分には無くなっていた物で羨ましかった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

少し時間が戻り、ウタはビビやカルーと一緒にユバを回っていた。

ウタも最初はファンのビビと一緒に回っていて最初は楽しくてしょうがなかったが段々と先程通ったエルマルの人を思い出してモヤモヤがまた沸々と出てきていた。

 

「どうしたの?」

「あっ、ううん、何でもない。それよりももっとこの街の事を教えて!」

「そう、それじゃトトおじさんの所に行きましょ、この街の復興の立役者なの!」

 

ウタはビビとカルーに連れられて行った先はこの街の事務所だった。小さな所でウタはビビに付いていって中に入ると痩せてる年配の男トトが子供達に話をしていた。

 

何回も起こった海賊のクロコダイルによる砂嵐でオアシスであったユバが砂に覆われてしまったこと、だがそこから枯れてないと証明する為に頑張っていたら、若者が1人手伝ってくれて彼の掘った穴から少しだけ水が出たこと、クロコダイルが倒された時に何年ぶりかの雨が降った事でまだ枯れてないとわかり、そこから必死に掘ってここまで復興した事を読み聞かせていた。

 

ウタはそこまでしてなんで信じられるのか、頑張れるのか不思議に思った。

 

読み聞かせが終わり、子供達が帰っていく中でトトはビビやウタ達に気づいて近づいた。

 

「やぁ、ビビちゃん。どうしたんだい?」

「この娘にユバの事を色々と教えてたの」

 

ビビにそう言われるとトトはニコッと笑顔を向けた。ウタもそれに対して笑顔で返した。

 

「私はここのユバの開拓者の1人でトトだ。よろしくね」

「ウタです。ライブで歌を披露するのでよろしくお願いします」

「おぉ、あの復興祭でか、楽しみにしてるよ」

 

ウタはトトの優しそうな笑みを見て思い切って聞いてみる事にした。

 

「あのどうしてこの街が砂に覆われたのに信じられたんですか?逃げたくなかったんですか?」

 

ウタの真剣な問いにトトも優しい顔つきは変わらずに真剣に返した。

 

「・・・ここがオアシスで私は開拓者だから意地でもあった。折角、開拓した所が負けるはずないってね。後は気のいい若者が助けてくれた」

「若者?」

「あぁ、“麦わら帽子”が似合う気の良い若者で一晩で私の数倍は深い穴を掘ってくれてね。そこから水が出てまだ枯れてないと実感できた。その後で雨が降って嬉しくて嬉しくてね。辛い経験も色々とあったけどその分の喜びが一気に来たんだよ」

「その分の喜び・・・」

 

笑顔で話すトトは凄く幸せそうだった。配信で皆の電伝虫から伝えられる笑顔とは違って本当に久しぶりに見た人の笑顔はウタの中にあったモヤモヤを小さくしていた。

 

トトの笑顔を見た後、ウタ達はまだ街を回っていた。モヤモヤはまだ感じていたが今度は大きくならず、楽しいままだった。それこそ、夕方になるまで一緒に回り、流石にゴードンやコブラに心配されそうだったので2人が先にいるホテルに行った。

皆で食堂でご飯を食べてウタはビビとカルーと一緒の部屋に泊まる事になり、ベットにダイブした。

 

「あぁ、楽しかった!!」

「そう私も一緒に回れて嬉しかったわ」

「ねぇ、明日の準備が終わったら一緒に回ってくれる?もっともっと知りたいの!」

「えぇ、私ももっとウタに教えたい!」

「ありがとう、ビビ!」

 

笑いあう2人。実に仲が良さそうで楽しそうだった。

そしてそんな2人を見ているお邪魔虫のとある2人がベランダにぶら下がりながら見ていた。

 

「上手くいったな」

「うぅ、あんなに幸せそうなウタは久しぶりだ・・・来てよかった、ありがとうコブラ王。元エレジア国王として最大の感謝を表明しよう」

 

コブラとゴードンだ。

しかもゴードンは感激のあまり号泣していた。2人とも娘達の喜んでる姿を見て嬉しくなった。

このまま下がろうとした瞬間、足を引っ張られて2人は下の階のベランダに思いっきり体を打つことになった。

 

「ぐぁ!!」

「こ、腰が・・・」

 

足を引っ張った人物を見る2人。その人物とはイガラムの妻であるテラコッタだった。しかもかなり怒りの顔を2人に向けていた。

 

「年端も行かない娘の部屋で何をしようとしてたのですか?」

 

手をボキボキとならしながら近づいてきて2人はこれから来る事に恐怖して抱きしめあった。

ボコボコと少し大きな音が聴こえてきたのでビビとウタはベランダに来て下の階のテラコッタに尋ねた。

 

「ねぇ、何かあったの?」

「いえいえ、変態(・・)が出ただけです。退治しておきましたがお2人共、もう夜も遅いのでお休みください」

「わかったわ!」

 

ビビとウタはテラコッタの言葉を聞いて確りベランダの鍵を締め、カーテンも閉めて休んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝でボコボコになっていたコブラとゴードンを見て察した2人はゴミを見るような目つきで見て、ボコボコの彼らの精神をよりボコボコにしてしまったのは完全に余談である。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「ここは何処だべ〜!!」

「スパイダーズカフェよ」

 

一方、バルトロメオ達は夜の砂漠を盛大に迷っていた。









というわけでビビとコブラとあとトトさんも出ました。
今作で目指すのは2つです。
1つはREDを観て新しいワンピース映画だと感動したので自分の十八番である戦闘シーンは必要最小限にすること。

そしてスタンピードとは違う感じでルフィに会ったキャラを出来る限り出すこと。

この2つを目安に頑張ります。



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Onsen

いい感じに書けて嬉しいです。
次回でアラバスタ編は終わります!
今作は短期集中不定期更新にする気なので次回が終わると少しだけ時間を空けますので悪しからず。


※今作は2年間の間の話です。なので麦わらの一味はそうそう出てきません。


明日には復興祭が始まるのでユバの街も昨日より活気に溢れていた。

朝からゴードンもウタも明日のライブに向けての調整をしていて、それが終わって後は本番を待つだけになったが終わった時はもう既に夕方だった。

 

「よし、これで明日の準備は完了!」

 

ウタはそう意気込みをしつつもビビとの約束は流石に時間が遅くなって無理かもと思った。悪い事をしちゃったかなと思いつつも遅れた事は謝らないとと決めてビビを探してると彼女は大きな門【UKKARI hot-spring island】の前にいた。

 

「ウタ、こっちこっち!」

 

呼ばれてウタは門の前に行くとビビとカルーが桶にタオルと洗剤を入れて持っていた。カルーは2つも持っていた。

 

「それ何?」

「これ?桶と洗剤とタオル」

「いや、なんで持ってるの?」

「これから温泉に行こう!」

「温泉?」

 

ウタはビビに引っ張られて門を潜ると頭の上に客席を載せたヒッコシクラブが何体もいた。結構壮観であるが暗い場所なのでウタは普通にビビった。

 

「え?なにこれ?」

「温泉行きのヒッコシクラブ。明日に備えてゆっくり汗を流しましょう!」

「へぇ~、そんなのあるんだ・・・入ってみたい!」

 

好奇心旺盛なウタは入ってみたいと思い、ビビの誘いに乗った。カルーから用意してくれていた洗剤セットを貰ってウタ達はヒッコシクラブのハサミの上に乗って出発した。

女好きのハサミはビビに加えてウタもいる事にご満悦で何時もよりも速度が速かった。

ウタは親しくしてくれるビビに感謝しつつもなんでこんなにやってくれるのか不思議だった。

 

「ウタ、もうすぐ着くわよ」

「え、もう?早い!」

 

ビビやカルーと一緒に客席の前に来てハサミがトンネルの中を出ると見えたのは大きな温泉宿だった。出て最初に感じたのは硫黄の匂いとアラバスタの砂漠とは違った暑さ。ウタはアラバスタとは違う雰囲気の所に目を奪われていた。

ハサミが止まってウタはハサミから飛び降りて温泉宿に掛けて暖簾を潜るとそこにいたのは羽の生えたカニみたいな頭の男が顰めっ面をしながら睨んでいた。

 

「カニだ・・・」

「カニではない・・・ゲダツだ」

 

それはかつて空島でチョッパー相手に沼の試練をやって落ちたゲダツだった。今は色々とあってここの温泉の番頭(・・)をやっていた。ウタに続いてビビとカルーも宿に入った。

 

番長(・・)さん、久しぶり」

(久しぶりだ)

「・・・・この人は?」

「ここの温泉番長のゲダツさん。うっかり屋さんだけど良い人なの」

(ありがとう)

「・・・・無口な人だね」

「うぉ!?」

 

ウタに言われてゲダツはうっかり返事をし忘れていた事に気づいて目を丸めていた。ウタはビビについて行って女湯の方に行った。カルーもそれに付いていった。

 

「カルーは向こうでしょう!!」

「クァー!!!」

 

だがすぐにビビに男湯の方向に投げ飛ばされていた。ゲダツはまたうっかり女湯に忍び込もうとするオスに気づかなかった事にビックリしていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

能力者であるウタは力が抜けながらも温泉を満喫していた。初めて入る広い場所に知り合いと入って全て楽しく夢心地だった。

 

「楽しんでくれて良かったわ」

「ねぇ、ビビはなんでそこまでやってくれるの?凄く助かってるし嬉しいけど」

 

ウタの言葉にビビは少しだけ考えた後で話し始めた。

 

「ウタは海賊は嫌い?」

「・・・うん、嫌いかな・・・身勝手でファンも苦しんでるって声をよく聞くし・・・好きじゃない」

 

ウタはルフィやシャンクスに会いたいという思いを持ちながらも嫌いと言った。真実を知るまでは大嫌いだったがそれを知ってからウタの中にある恨みや憎しみが歪になっていた。

 

「私も国がクロコダイルにやられてたから嫌いって思いもある。けど、実は私、海賊船に乗ってたんだ」

「え!?」

「ホンの短い間だったけど大切な私の仲間」

 

ビビは大切な記憶を思い出し、愛しさを感じて話していた。その笑顔でどれだけ幸せな記憶なのかウタでも分かるほど幸せそうだった。

 

「色々と皆に引っ張られて私は大切な国を守れた。大きくなれた・・・それに改めて気づいたの仲間や友達といれば“楽しい”って、どんなことでも乗り越えられるって」

「仲間や友達といれば・・・“楽しい”」

「そう、だから今、友達といて私は凄く楽しい!」

 

ビビの友達と言う言葉にウタは驚いた表情で自分に指を指した。ビビはそんなウタに頷いて応えるとウタは顔を真っ赤にして反対の方を向いた。

 

「友達・・・友達か・・・」

 

そう呟くウタの頬には嬉し涙が溢れていた。ルフィ以外に出来た同年代の優しい友達で涙よりも笑顔を見せたいのに涙しか出ないから恥ずかしくてビビの方を向けなかった。

ビビは暫くの間、ゆっくりと浸かってノンビリしてるとウタが背中にもたれ掛かってきた。

 

「ウタ?」

「ビビ、明日のライブ。絶対に良い歌をユバに・・・アラバスタに届けるから・・・約束するから、楽しんでね!」

「楽しみにしてるわ!」

「ありがとう!」

 

そう云うと2人は笑いあった。温泉の警護をしていたクンフージュゴン達も2人の幸せそうな雰囲気を見て幸せな気分になっていた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

そんな2人に近づく者がいた。子電伝虫を頭に乗せたカルーだった。そして受信先は男湯にいたコブラとゴードンだった。

 

「うぅ、ウタ・・・私は凄く嬉しいぞ!」

「ビビぃ、流石は私の娘だ、誇りに思うぞ!」

「いや、あんたら何やってんだ!?」

 

護衛隊長のイガラムがおっさん2人にツッコむ。昨日、あれだけテラコッタにボコボコとやられたのに全然懲りてない過保護な親達、どうツッコミを入れるべきか分からなかった。

 

『ねぇ、聞きたいんだけどビビのこれってなんでこんなに大きいの?』

『キャ、ちょっとウタ!何するの?』

『いやぁ、ちょっと羨ましくなって』

『もう、ウタも結構あるじゃない』

『えぇー、ビビには負けるよ』

 

一体、壁向こうの花園で何が行われてるのか凄く気になる会話が流れてきた。流石にコブラもゴードンも不味いことになったと思ってきた。

 

「カルー、即時退却せよ」

『クワァ』

 

コブラがそう云うとカルーも返事を返した。カルーが退却する音が聴こえてくる。

 

『それじゃ、次はサウナの方に行きましょ』

『行く行く!』

 

ギュム!

 

2人の声の後に何が踏まれた音がした。それを聞いてたイガラムはサァーっと顔が青ざめた。

 

『うん、何かしら?』

ザバッ!

『カ、カルー!?』

『ねぇ、カルーなんで子電伝虫を持ってここにいるのかしら?』

『ク、クワァクワァ』

『そう、さっさと男湯に戻りなさい!!』

 

子電伝虫からそんな怒号が聴こえてその声は段々と小さくなっていった。コブラとゴードンは一体なぜ小さくなってるのか分からずに顔を見合わせてた。

 

「クワァァァァ!!!!」

 

そしてビビによって投げ飛ばされたカルーに2人とも押し潰された。

 

「アァァァァァ!!!??」

 

イガラムの叫びが男湯に響いた。

コブラとゴードンは無事ではあったが不敬を働いた罪で暫くの間、温泉を出禁になった上に主犯のコブラとゴードン、実行犯のカルー、そして見てたのに止めなかったイガラムの面々はユバに戻りしだい逮捕された。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ビビとウタはアホの面々を放っておいてユバに戻ってゆっくりと体を癒やしていた。

 

「本当にパパったら信じられない!暫くの間、王宮から出さないようにしないと!」

「ゴードンもお願い、絶対に許さないんだから!」

 

ビビとウタは怒りに燃えながら、親の文句を言っていたが次第に内容は変わっていった。どうせなら楽しい話をしたくなってウタは先程ビビが言っていた“海賊”の話を聞きたくなった。

 

「ねぇ、ビビはその海賊とどんな事したの?」

「冒険ね。暑い熱帯雨林に行ったり、雪国に行ったり、そこで色んな人と出会ったわ。巨人族にも会えたし」

「巨人族にあったの!?良いなぁ〜、私も会いたい。巨人族の人にも私の歌を楽しんでほしい!」

「ウタならきっとすぐに出来るわ!」

「本当?」

「えぇ、いつも聴いてて楽しくなれるもの、きっと世界中の人に届くわ!」

 

ビビに言われてウタは嬉しさと恥ずかしさの両方を感じながらも笑顔で返した。

 

「実は復興祭が終わったら、トトおじさんは開拓者を連れてエルマルに行くの」

 

ビビの言葉にウタはエルマルの事を聞いて真っ先に思い出したのは砂で覆われて廃れた街になっていたことだった。一目見ただけで無理ではないのかとわかってしまうほどに廃れてボロボロだったのになぜそこに行くのか分からなかった。

 

「明日のライブ、楽しみにしてるからね!」

 

ビビがそう云うと2人は寝ることにした。ベットに入って夢の中に行くかと思ったがウタは眠れずにいた。初めてのライブとどうしてボロボロな所に行くのかわからずに眠れないでいた。

ウタは部屋から出てライブ会場を下見に来た。寒さを感じる砂漠特有の夜は肌寒いが夜のユバもオアシスの名に恥じない綺麗さだった。

 

「どうしてこんなに綺麗な所から辛そうな所に行くんだろ?」

 

ウタはそう呟く。

返事なんて返ってこない。ウタは明日のライブが終わったら聞いてみようと考えて部屋に戻ろうとすると、一人の男がライブ会場のステージの前に穴を掘っていた。

思いっきり不審な行動をする男にウタは近づいた。

 

「ちょっと何やってんの!?」

「あぁ、誰だべオメェ」

「それはこっちの台詞!」

「オラか?オラはバルトロメオ。海賊だべ」

「いや、何やってんの!?明日、ここでライブが行われるんだよ!?まさかこのステージに何かするんじゃ!?」

「んなこと興味ねぇべ。オラは憧れのあの人がこの場所で何メートルも穴を掘ったのを知ったから追体験してるだけだべ!」

 

そう言って穴を彫り続けるバルトロメオ。ウタはそんなバルトロメオの首を締めて止めようとした。地盤がどうなってるかウタには分からなかったが、そんなことはやらない方が良いと言うのはなんとなく分かった。

 

「だから止めて!ステージに被害が出たらどうするの!?」

「そんなもん、興味ねぇべ。オラのテンションの方が大事だべ」

 

しかし、腐っても海賊のバルトロメオに振りほどかれてウタはバリバリの実の能力で出来た球体のバリアに閉じ込められる。脱出しようとガンガンと叩くがビクともしなかった。

 

「そのバリアは破れねぇべ。オラの楽しみが終わるまで大人しくするべ」

 

問答無用でドンドンと掘っていくバルトロメオ。ステージに砂が被さっていってウタは初のライブ会場を汚されていくのは我慢ならなかった。

 

「私のステージを汚すな!!」

 

ウタはそう叫び、感情のままに歌った。

それは歌なのか曲なのか叫びなのか分からないが歌う(叫ぶ)とバリアは破れた。

 

バリバリの実は理屈の力であり、物理では破れない。超人系の悪魔の実の力だ。では悪魔の実とは“戦闘”のみでしか強くなれないのかと言われたら違う。悪魔の実とは上述の通り、理屈的な力。理屈に戦闘力は関係ない。能力者が自らの能力に対して「こうだ!」という意思が能力を強くする。現にバルトロメオのバリアも絶対に破れないと言う意思で硬くなってる。

 

それはウタウタの実も一緒だ。

歌えばウタワールドという仮想現実を作り出す能力でウタはその世界では殆ど無敵。何故なら「こうだ!」という意思が強いからだ。

 

それがステージを汚された事で現実世界にも表面化したのだ。“覚醒”したわけではないので一時的な物でしかないがバリアを破ったウタは呆気にとられたバルトロメオの顔面を殴って吹き飛ばした。

 

「だべぇ〜!!??」

「私は明日のこのライブを楽しみにしてんの!友達にも最高のライブにするって約束した、大切に育ててくれた人もここの王様も皆、頑張って明日に備えてる!それを邪魔するなら私が相手になる!!」

 

ウタはバルトロメオにそう叫ぶとゆらゆらと立ち上がられて睨みを返してくる。しかし、今のウタには全く効果は無かった。

 

「お前、誰だべ」

「私はウタ。世界の歌姫になる女だ!」

「オラはバルトロメオ。とある男を海賊王にする為にこの海を渡ってきた!」

「なら、海に返ってよ!」

「断る!」

 

ウタとバルトロメオの言い争いは平行線だった。互いに睨み合いが続き、本気の殴り合いが始まろうとしていた。

 

「ヴォー!!!」

「だべー!!?」

 

しかし、それは突然現れたラクダによってバルトロメオが吹き飛ばされて終わった。急に現れたラクダにビックリするウタ。

 

「ウタ、大丈夫?」

 

そのラクダ・・・マツゲの上にはビビが乗っていた。

 

「ビビ!?」

「貴女が居なくて探したら、あの鶏みたいな海賊と争ってるのが見えてマツゲに乗って来たの!」

「私は大丈夫。怪我とかもないよ!」

「ヴォヴォヴォ!!!」

 

ウタの言葉を聞いてビビは安心するとマツゲが器用に憲兵達に命令をして吹き飛ばされたバルトロメオの捜索を始めていた。

ウタはなんかどっと疲れて座り込む。

 

「本当に大丈夫?」

 

ビビがマツゲから降りて駆け寄るがウタは元気よく立ち上がった。

 

「大丈夫。怪我はしてないし、それにステージもちょっと汚れちゃったけどすぐに綺麗になりそう!」

「良かった・・・けど、無茶はしないでね。明日を楽しみにしてるのは私だけじゃないんだから」

「うん、心配してくれてありがとう」

 

ウタとビビはそのままマツゲに乗ってホテルに戻った。バルトロメオが荒らしたステージや周りも綺麗に一晩で戻った上に憲兵達の捜索のせいでバルトロメオは大人しくするしかなかった。

疲れた事もあってウタはすぐに明日に備えて眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談だが先程、逮捕されたコブラ達はステージを戻す人員にされて夜な夜な頑張って戻していた。そして翌朝になり、無事にステージも戻り、保釈金を払われて出られたがウタとビビの目はいつも以上に怖ろしく、疲れた体に染みた。






はい、次回はライブです!
そして会合したウタとバルトロメオですが印象は最悪ですww。順当に行かないほうが面白そうなので弄くれる限り弄くります。


また悪魔の実に対する解釈ですがワノ国の古代種とかバリバリの実の能力の一端とかニカとか読んでて相手や建物とか無制限に影響を与えるのはニカの特権みたいですが個人の想像力と自分の理屈を押し通すってワンピースらしいと思うのでこういう感じに行きます。
ただ、覚醒はしてないので自由には使えませんし、更に言うとバトルは最小限にしたいのでそうそう出す気はないです。


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Live

はい、これでアラバスタ編はラストです!
歌詞は思いっきり引っかかるのでタイトルだけです。
ではどうぞ。


昨日の晩のバルトロメオの騒動のせいで色々と疲れたウタだったが、疲れは次の日に来ることなく元気に起きれた事を嬉しく思いつつ、準備を始めた。

昨日までの服とは違って、この日の為に準備した白い服。そして大切なルフィから貰った麦わらマークを印した長い左手袋。大事な物は全て揃った。後は自信を持って歌うだけ。

ウタは鏡の前でイメトレをしていた。

 

「皆、私に注目してる。舞台は大勢の人で賑わってる。最後のトリで皆に喜んで貰う。私は歌姫・・・」

 

そんな風に自分を盛り上げようとするが忌々しいトットムジカの記憶が出てくる。

 

『悪魔の娘だ!!』

 

目を閉じて消そうとするも浮かび上がるのは電伝虫に記録されていた火の海となったエレジアだった。

 

(大丈夫・・・大丈夫・・・皆が私の歌を待ってる)

 

落ち着いて冷静になろうとするが動機がドンドンと早くなっていた。苦しくなって自分の歌にも縋れないウタは唯一の縋れる物である麦わらマークを大事に胸に当てて落ち着こうとしていた。

 

(私は歌姫・・・ルフィに負けられない)

 

ウタは仕舞っていたルフィの手配書をもう一度見た。凄くいい笑顔のルフィは昔見た頃みたいでそれを見てるとウタも段々と元気になっていった。

コンコンッと扉が叩かれる。

ウタはいそいそと手配書をまた仕舞った。

 

「ウタ、準備は出来た?」

「うん、大丈夫!」

 

ビビはその返事を聞くと部屋の中に入る。ビビも復興祭には王族として参加するのでめかしこんでいた。ウタもビビの綺麗さにときめいていた。

 

「ビビ、凄い綺麗だね!」

「ウタの方が綺麗よ」

「そう?」

「えぇ、今日を皆が楽しみにしてたから」

 

ビビの言葉にウタもルフィの手配書の効果もあって元気な笑顔で返す。

 

「任せて!緊張凄いしてるけど絶対に楽しませるから!」

 

ウタの言葉を聞いてビビがウタの右手を握った。それもギュ〜っと握ってきて暖かかった。

 

「ビビ?」

「緊張が解けるかと思ったけど・・・どう?」

 

ウタは自分の右手の暖かさが心地良かった。ルフィの笑顔や麦わらマークだけじゃない。友達の温もりはかなりあった緊張や不安、そして忌々しい記憶すらも薄くさせた。

 

「ビビ、ありがとう!」

 

ウタは優しい笑みをしてくるビビに同じ笑みを返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ユバの復興祭。クロコダイルが倒されて1年。ボロボロになったオアシスのユバが完全に復興された事を祝う大事な式典。アラバスタ中の老若男女が集まっていた。何故なら音楽の国エレジアの国王にして有名な音楽家のゴードン。そして最後のエレジア国民にして今話題中の歌手UTAが初の客前のライブをするのだ。

そんな大事な事を復興祭でやってくれてアラバスタの国民は盛大な感謝の意を示していた。

 

「アラバスタの国民達よ、クロコダイルの仕組んだ内戦から1年、傷跡はまだあちこちに残っているがこの一度は砂に沈んだオアシスのユバが復活した。まだまだ皆には苦労を掛けてしまうが私もこの国がより良い国に戻るまで全力で皆の前を走ることを誓おう!それではアラバスタの国民達よ、このユバの復興祭を楽しもう!!」

 

コブラの演説が終わり、ステージには楽器が並び、ウタの舞台の準備が整えつつあった。

 

「それではまずはエレジアより来てくれたゴードンによるアラバスタオーケストラ!!」

 

ゴードンが指揮を取るアラバスタオーケストラは開幕曲にアラバスタ国歌からアラバスタに伝わる昔ながらの交響曲を6曲。いつも以上に真剣なゴードンを見てウタは来てよかったと心から思った。本来ならウタの曲から始まる予定だったがウタウタの実によるウタワールド形成と強制的にそこに心を送る能力のせいでウタはトリになった。

 

ゴードンの指揮によるオーケストラが終わるとウタの番だった。

 

「それでは復興祭のトリを飾るのは今話題の歌姫UTA!」

 

最後のトリでもあり、花形。

ウタがステージに上がる前に観客は盛り上がっていた。

 

「「「「「U・T・A!U・T・A!U・T・A!」」」」」

 

1年ほどしか配信してないのにこんなにも熱狂的に迎え入れてくれるファンがいた。観客が楽しみに待っていてくれた。その事実と麦わらマークにビビから貰った暖かさがウタの力になって彼女は元気よくステージに上がった!

 

 

そして彼女は自分の代表曲である『新時代』を歌った。

 

 

エレジアから配信して海賊被害に合う人の言葉を聞きながら書き上げた曲。色んな感情が込められた。自分の11年間や人の声、そして夢など色んな事を込めて作り上げた代表曲。

初めての観客がいてのライブは何時もよりも凄く、自分も興奮していた。自分の中にあるモヤモヤを吐き出すようにウタは全力で『新時代』を歌う。

 

ラストのサビが終わり、曲が終わると観客はテンションが高い新時代につられたのか凄くハイテンションで応えた。

 

もう既にウタのウタワールドの中に入っているが誰もそれに気づかない。全員がウタの曲を楽しんでいた。ウタは次に『逆光』を歌おうとしたが止めた。『逆光』は海賊行為に対する嫌悪が込められた曲であり、人気の曲だが今は歌えなかった。

シャンクスが守ってくれたこと、そしてルフィが海賊になったこと、海賊嫌いなのに海賊であるシャンクスやルフィに会いたがってる自分。

そんな矛盾の気持ちで歌う歌はこれではない。

 

ウタは覚悟を決めて『風のゆくえ』を歌った。

 

ルフィの故郷のフーシャ村で何度も歌った思い出の曲。今あるUTAではなく、ウタとしてもう一度新しい生き方を探してみたい。この11年間は何だったのか答えを知りたい。前に進みたいという思いがぐちゃぐちゃになったまま歌った。

上手いのか下手なのか誰にも分からなかった。

だが、今までで1番心に響く歌だった。

 

ウタワールドの管理人たるウタなら観客に幻想的な描写を見せてより楽しませられた。だがウタは心の底からウタウタの実は関係なく歌った。

 

歌い終わり、ウタの顔は凄く満足していた。観客は拍手で応えた。ビビもコブラも拍手し、ゴードンはウタの天使の歌声に涙をまた流していた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

楽しかったライブは終わり、ウタが眠ると皆は夢から覚めたように起きた。知らない間に夜になっていたが誰もそれに対して不気味さは感じていなかった。良い夢を楽しい夢を見たと誰もが感じ、復興祭の夜を楽しんでいた。

 

ゴードンはコブラに感謝の言葉を述べてからホテルの一室に戻るとウタが眠りから覚めていた。

 

「ウタ、もう大丈夫なのかい?」

「勿論、元気一杯だよ!それにちょっと聞きたいことがあるから行ってくる!」

 

ウタはベットから飛び起きてゴードンを除けてある人の所に向かう。復興祭で盛り上がっているユバの中をウタは走り抜けてユバの街の事務所に着くと中ではトトが荷造りをしていた。

 

「トトさん!」

「おぉ、ウタちゃん。良い歌をありがとう、これでエルマルでも頑張れるよ」

「それ!私、それが聞きたかったの!」

 

ウタはそう言うとトトの前に座った。トトも真剣な目つきをしてくるウタに真剣に応えようと座った。

 

「ねぇ、どうしてここから離れるの?私、来るときにエルマルを見て凄い砂に覆われて枯れ果てた土地だってのは分かった。どうして彼処に行くのか気になるの」

「・・・そうかい・・・1つは私達の土地だからと言うのもあるし、彼処が緑の街だった頃を知ってるからもう一度取り戻したい」

「・・・でも、無理かも・・・」

「そうかもしれないね」

「なら、どうしていくの?このユバは凄く良い所だって数日しか居ない私でも分かるのに」

「そりゃ、私が開拓した所だからね。それに開拓してここを復興させて何でも出来るって思った。雨だって降ったんだ。きっとエルマルも蘇ることが出来る」

「・・・私には分からない。幸せな場所から離れるのが・・・」

 

ウタは幼い頃からシャンクス達が戦ってる間、ウタワールドへ行っていたし、シャンクスと離れてから事あるごとにウタワールドに行っては幸せを感じていた。ゆえにウタの価値観では肉体の死は死ではなく心の死こそ本当の死だと思っている。

そんなウタにとってわざわざ心が死にそうな場所に行こうとするトトの行動は不思議だった。

 

「会った時に言ったように辛い分幸せが一気に来るんだ。それに幸せなままで止まってたら開拓者としてここに来たときの自分に嘘を付いてしまいそうなんだ」

 

トトの表情は優しく輝いてるようにウタからは見えた。そして幸せそうだった。

 

「あ、あの。もしも幸せな夢みたいな世界でずっと過ごせたらって考えたことある?」

「あぁ、あるよ。何百回もあるよ」

「なら・・・」

「けど、それじゃ駄目だと思うんだ」

「えっ?」

「“幸せ”に慣れたら“幸せ”が分からなくなるかも知れない。私は今が1番に幸せを“感じてる”。ウタちゃんの歌は凄く心地良くて楽しかったよ。ありがとう」

 

最後にウタと握手をするトト。

ビビと同じような暖かさをウタは感じていた。その後は夜も遅くなってきたのと先日のバルトロメオみたいな事もあるのでトトがホテルまで送ってくれた後でウタはベットの上に横になるがトトの言われた“幸せ”がわからなくなるという言葉がわからなかった。

ウタは悩みながらも自分なりの答えを探そうと深く深く瞑想し、時が経った。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

翌朝の早朝。

トトとその息子のコーザに数十人のチームが大荷物を持ってヒッコシクラブに乗っていた。

コブラやビビもこれからエルマルを完全に蘇らせるために頑張る師団の見送りをしていた。

 

「コーザ、体には気をつけてね」

「お前もな、ビビ」

「済まないなトト。いつも苦労ばかり掛けさせてしまって」

「いえ、コブラ王。まだまだ私は頑張れますよ!」

 

アラバスタの中で行われる内政なのでここにウタやゴードンはいない。トト達はヒッコシクラブに乗ってユバを出た。いくら速いヒッコシクラブでも野郎しか乗ってないのが不満なのか少しだけ遅かった。

コーザは現金なヒッコシクラブに呆れつつもトトは折角なのでのんびりと外の砂漠でも見ながらと頬に手を付けてると後ろから何やら走ってくるのが見えた。

 

「ヴォー!!!!」

「な、何だ?」

 

それはマツゲで背中にはウタが乗っていた。いくら、女好きマツゲが背中に美人のウタが乗ってるとはいえ、ヒッコシクラブに少しは追いついても全然、遠かった。

 

「ウタちゃん、何をやってるんだい!?」

「トトさん、私、トトさんの言ってること一晩考えたけど分かんなかった!!」

「そんな簡単に答えは出んよ!」

「うん、だからもっと悩んでみる!もっともっと悩んでいつか私なりの答えを見つける!」

 

ウタの表情は悩んでいる若者とは思えないほど爽やかだった。

 

「私、約束する!エルマルが戻ったら絶対にエルマルの復興祭で歌うから!!絶対に来るから・・・頑張ってね!!」

 

思いっきり叫んだウタ。

昨日の復興祭でウタの曲を楽しんでいた師団の面々は盛り上がっていた。それにウタのように綺麗な娘に言われて頑張れない男などこの師団の中には居なかった。

 

「お前ら、歌姫との約束を絶対に守るぞ!!」

「「「「「おう!!」」」」」

 

コーザがそう叫ぶと男達も応えた。

 

ウタにはその師団の面々が凄く輝いて格好良く見えた。今まで幸せに感じていたウタワールドの中では見たことなくて新鮮だった。

 

やがてマツゲも限界が来て、ヒッコシクラブとドンドン離れていき、遠目にしか見えなくなった。ウタは完全に見えなくなるまで手を振っていた。

 

「今度は世界一の歌姫になって来るからねぇ!!」

 

そう叫び、ウタはヘロヘロのマツゲに謝りつつ、ユバに戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

2日後、ウタとゴードンは次のライブ会場があるW7までゆっくり船旅をすることを決めて、W7行きの海列車があるところまでの客船に乗ることを決めた。

アラバスタまで足に使った「世経」は移動を全て自分達で賄うと言ってきたがウタはゆっくりと世界を周りたいと言ったのでゴードンはそれを認めた。

 

「ビビ、ありがとう。色々と教えてくれて」

「良いのよ。私も凄く楽しかった」

 

笑顔で話し合う2人。ウタは周りに聞かれないようにコソコソと話しかけた。

 

「ねぇ、ビビの仲間の海賊の船長って誰?」

 

ウタはビビの話を聞いてもしかしたらその海賊はルフィではないかと思った。何かと引っ張って行動する記憶があるルフィならあり得た。

ビビは大っぴらに言うべきか迷っていた。ウタは友達だし、こういう事を言いふらさないと思うが折角、皆が海軍や世界政府にバレないようにしてくれたからビビもそこらへんは大切な記憶で慎重だった。

 

「大っぴらに言えないけど、今は4億の大物海賊なの」

(4億・・・ルフィは1億だったから違う人か・・・)

 

ビビとしては4億きっかりの賞金首なんてルフィ以外知らないので分かるかと思ったがウタは想像以上にそこらへんには疎くて、おまけに1億ベリーの古いルフィの懸賞金を今でも一緒と勘違いしていた。

 

「へぇー、いつか見てみたいな」

「きっと気にいるわ」

 

ビビはウタにそう微笑んだ。やがて、船が出発しウタは港で手を振ってくれてるビビやカルーに手を振り返していた。2人の姿が見えなくなるまで手を振った。

 

見えなくなり、ウタは手を振り終えてゴードンに微笑んだ。

 

「どうしたんだい?」

「ううん、何でもない!」

 

ウタは今回の旅を薦めてくれたゴードンに笑顔を見せて笑った。

 

(ルフィ、私の旅も始まったよ!)

 

長手袋の麦わらマークをウタはただ胸に当ててそう心で言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「ビックニュース・・・ビックニュースが・・・」

 

一方、行きは支社を使ってくれたのに次は断られたモルガンズはビックニュースが取れる状況だったのに取れなかったショックで寝込んでいた






はい、えぇ、ウタは懸賞金1億ベリーと書かれた手配書のルフィしか知らないので世間とズレが出てますw。
折角のウタの“幸せを探す”旅でもあるのに軌跡だけがメインになるのはもったいないのでしばらくはズレさせます。では次回の章でお会いしましょう!
 
次の舞台はジャヤです!




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Mont Blanc Cricket

はい、今回からジャヤ編です!
と言っても多分、前後編か前中後編になるので長くはないです。

ちょっと2年間の空白の期間という側面が強い話になりますが主役はウタです。


※この話は2年間の間の話です。なのでルフィ達はそうそう出てきません。


かつて、この世の全てを手に入れた男。

海賊王ゴールド・ロジャー。

彼の死に際に放った一言が全ての人を海へと駆り立てた。『俺の財宝か?欲しければくれてやる。探せ、この世の全てをそこへ置いてきた』人々は浪漫を求めて海へと行った。世はまさに大海賊時代。

 

その大海賊時代は強き者は良いが弱き者には最悪の時代だった。食べ物は奪われ、大切な人は死に仕事場は燃やされる地獄でもあった。

 

そんな世界を変えようとする一人の女ウタ。彼女は自分の歌で世界を幸せにしようと旅をしていた。

 

旅に困難やトラブルは付き物でウタの乗った客船は嵐にあっていた。

 

「ウタ、大丈夫か!?」

「な、なんとか・・・ウプ・・・」

 

ゴードンと一緒に客室にいたがあまりの揺れにウタはグロッキー状態だった。更に言うと海水が色々と入ってきてゴードンもウタも命の危険がわかった。

外に出て海に飛び込もうとしたが、既に他の乗客達は逃げ始めていた。

 

「ウタ、私達も逃げるぞ!」

「他の人が・・・」

「私達よりも海には慣れてるようだ。海に飛び込んでから小舟にドンドン乗ってる。下手にやると君だけじゃなく乗客も死ぬ!」

 

ゴードンの言葉にウタは戸惑った。眼の前で人が混乱してる状況で見捨てるような行動は取れない。しかし、ウタがこういった状況に対して無力だった。それにウタの心配をよそに他の人は避難船の小舟に乗って助かっていた。

ウタはゴードンの言うとおりに動いて小舟に乗ろうとしたがもう既に客船の小舟は出た後だった。能力者ではないゴードンは兎も角、能力者のウタに海に飛び込むという選択肢はなかった。

2人は揺れてまともに歩くことも困難になりながらせめて何が捕まるものはないかと見つけたのは2つの樽だった。ゴードンの良い体格だと二人一緒に入るのは困難なのでバラバラに入ることにした。中身は匂いからしてお酒が入っていたようだが2人はそれを掻き出して近くにあったロープを持って樽に入った。

そして嵐が強くなり、海に投げ出された。

 

「ウタ、ウタ!!」

「ゴードン!!」

 

樽の中から外へ叫ぶが嵐でわからず、ロープも切れてしまった。更に最悪なのが酒樽だったせいなのか酒気が酷くて酔ってた上に酔ってしまい、あまりの気持ち悪さに樽の中で倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

とある海で1つの海賊団がのんびりと船を動かしていた。

彼らは猿山連合軍のマシラ海賊団。

1年前にルフィらを空島に行かせるのに協力した海賊団で浪漫を求める彼らは次に空島にある黄金郷ではなく幻の島夢幻卿を連合軍で探そうとしていたが時間はあるのでゆっくりと準備しつつ自分達のやり方を盛大に楽しんでいた。穏やかな海は心地よく、園長(ボス)のマシラは鼻歌を歌いながら舵を握っていた。

 

「ボス、酒樽を発見しました!」

「何!?」

 

マシラは子分からそう言われて付いていくと1つの酒樽が海の上をプカプカと浮かんでいた。海神御宝前の樽ではない普通の酒樽だった。

 

「よし、引き上げだ。宝が入ってるかも知れねぇ!」

 

浪漫最優先猿のマシラは子分にそう云って樽を引き上げさせた。子分の“重い”という一言でマシラはより宝の現実味を帯びてきたと思い、開けると中に入っていたのはウタだった。

 

「ウオ!?樽の中に女の子が!!?」

 

マシラのビックリした大声に眠っていたウタが目を覚まして最初に見たのは猿顔のマシラだった。

 

「・・・猿だ」

「おっ?今、俺のことを猿上がりって言ったな?」

「うん、見事なくらいに猿まがい」

 

猿が褒め言葉なマシラはほぼ無表情で言うウタの言葉に喜んでいた。ウタは樽の中から出ると周りを見て船に乗っているのに気づき、マシラに引きつった笑みを浮かべながらも尋ねた。

 

「ここ、どこ?」

「ここはマシラ海賊団だ。そして俺は園長(ボス)のマシラ!」

 

海賊と聞いてウタはファンから聴いた事を思い出してとっさに自分の体を抱き締めて引いた。鼻息の高い大柄の男に見た目に自信があったので身の危険を感じた。

 

「オメェら、ビビらしてんじゃねぇぞ!!」

 

猿と呼ばれたことに嬉しいマシラは怖がる原因が自分の子分にあると思って叱ったがウタ的にマシラの方が怖かった。

 

「てか、お前。なんでそんな樽に入ってんだ?」

 

マシラは怖がらせないようにしゃがんで話しかけにきた。ウタも完璧に挙動が猿なマシラを見て緊張が解けたのか話し始めた。

 

「ちょっと嵐にあっちゃって・・・」

「あぁ、昨日の・・・そりゃ、災難だったな」

「本当に色々と大変だったよ。育ての親とは逸れたし・・・猿まがいには出くわすし」

「そんなに褒めんなよ!」

「いや、褒めてない」

 

猿と言われるたびに照れるマシラにウタはツッコミを入れていた。マシラは敵なら女子供情け容赦なくぶん殴って飛ばしていたが、猿と呼ばれて嬉しかったのか上機嫌でいつもよりも穏やかだった。

 

「よし、近くの島まで連れてってやる!」

「・・・・私、お金無いよ」

「いらんいらん、猿上がりと褒めてくれた礼だ!!」

 

実に良い笑顔だったが、いくらシャンクスに実は助けられていたとしても長い間の海賊嫌いは治らない。何か裏があるんじゃないかとウタは疑いの目を向けた。不快に感じるか気の強そうな娘と感じて加虐心でも出るかと思うがマシラの場合は・・・

 

(さらに見惚れよ、この渾身の猿上がりっぷりを!)

 

キランッというような音が鳴りそうな程にカッコつけてポーズを取れるほど余裕かつ調子にノっていた。

 

(えぇ・・・何これ?)

 

そんなマシラにウタは引いていた。割と本気で引いていた。

ただ、ウタは能力者で海に捨てられると死ぬ。かといって武力で何かを解決は出来ない。ウタワールドに送ろうかと考えたが船が大きすぎて1人で操舵は無理と尽く取れる選択肢がなかったので不安の中でお世話になることになった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

2日後、思いの外ウタは快適な生活をしていた。客船ではないので勿論、手伝ってるがここの海賊団は楽しい。それに何よりもサルベージなんて面白い物も見れてウタは新鮮さを感じていた。

 

サルページで引き上げの縄を回すのを手伝ってみて凄い重かったがその分、引き揚げた時に感動した。

昔の船を大掛かりでサルべージして何もなくてガッカリしてもサルベージが無駄な事とはウタは思わなかった。

 

そして、マシラ海賊団はジャヤの北東の外れにある海岸まで行く。そこにはマシラ海賊団と同じくらい大きな船が豪邸(・・)の前に止まっていた。

 

「う〜ん、凄い見栄っ張りなのは分かった」

「おっ、分かったか・・・前に引っ掛かった奴は居るんだがな」

「・・・あれで引っかかるってどんな人なの?」

 

船が止まるとその豪邸(・・)のハリボテ感が強くなって良くこれで騙せる人間が居るものとウタは呆れていた。その人間はルフィだと言う事を知るよしはなかった。

船から降りてジャヤに降りると1人オラウータンみたいな男が座ってウタを見ていた。ザ・オラウータンなショウジョウを見てウタは凄い見た目と思った。

 

「思い切った見た目してるね・・・何類?」

「人類だよお嬢ちゃん。んでそんな事を言うバカはお前で2人目だ」

「いや、他にももっと居ると思うよ」

 

マシラが想像以上に人が良かったのとウタも混乱から冷静になっていたのもあっていつもの感じで話していた。

すると栗を頭に乗せた男が1人、ハリボテで隠された半分の家から出てきた。

 

「おいおい、客人か・・・それとも泥棒猫の類か?」

「私の名前はウタ。おじさんは誰?」

「・・・・何、しがないただの海賊さ」

 

彼の名前はモンブラン・クリケット。ルフィ達が空島に行った事で黄金郷の実在の夢を叶えてくれた海賊だった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ジャヤの西にある街モックタウン。ただでさえ、常日頃から殺人に強盗など犯罪のオンパレードで海軍にすら見捨てられた街だが、今はより激しくなっていた。

 

「てめぇ、誰の許可を得て出してんだ?ここは七武海の“千両道化のバギー”のナワバリだぞ!?」

「ふざけんな、ここは“天夜叉”のナワバリだ!!」

 

ベラミーを粛清した時に王下七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴが自らの腕っぷしでナワバリにした後で黄金郷伝説に興味を持った宝大好きのバギーがジャヤごと横取りしようとした結果、街に来る海賊はドフラミンゴ派とバギー派の2つに分かれてより混沌になっていた。

ドフラミンゴもバギーも表立っての戦争は面倒くさい上に金の無駄なのでやらないがその睨み合いみたいな状況がより悪化を招いていた。

 

そんな中でバルトロメオは仲間の宣教師ガンビアと共に買い出しに来ていた。

 

「クソ、ルフィ先輩がここに来たのはわかったがそっからの足取りがいまいち分からねぇべ」

「結構、難しいな。でも俺達も俺達の冒険をやろうぜ」

「当たり前だべ、だども聖地巡礼もその1つなのに分からねぇとは悔しいだべ」

 

バルトロメオ達はいつジャヤで“七武海同士”の戦争が始まるのか分からない状況なのに平然と買い物をしていた。ルフィ達が空島に行った事は誰も知らない。そこで何があったのかバルトロメオ達は知らなかった。記録指針(ログポース)が上の空島を向いてもちゃんとした航海士が存在しないバルトクラブは単なる故障としか判断せず、ジャヤに暫くいた事で記録が見事に書き換えられた。

1年前のルフィとベラミーの騒動も今の派閥争いが激しすぎるのとその騒動の2つの海賊団が居ないこと、そして“死亡説”の出た海賊団を一々覚えているつもりは住民には更々なくその詳しい経緯は誰も覚えてなかった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

北東の猿山連合軍でウタはどうにかしてゴードンと連絡を取る方法を探して電伝虫でもあればと思ったがなかった。

 

「え!?この島って電伝虫ないの?」

「あるにはあるんだが彼処(モックタウン)に今行くのは止めたほうが良い。七武海の若造共のせいで1年前よりも酷い状況だ」

 

クリケットからウタはモックタウンの状況を聴いたが海賊に疎いウタは王下七武海と言われてもピンと来なかった。

 

「・・・七武海って何?」

「今どき、そんな事を言うなんて珍しい嬢ちゃんだな。まぁいい・・・世界政府によって収益の何割かを出して海賊行為が公認されてる7つの海賊団でロマンもクソもねぇ、お利口さんどもだ」

 

ウタは海賊は全て世界の敵と言う印象しかなかったがそんな政府に認められた海賊もいた事に愕然した。

 

「そんな・・・政府がそんなの認めるなんて・・・」

「嬢ちゃんは大分世間を知らなそうだな・・・ま、目には目をってやつだ。兎に角、電伝虫での連絡はモックタウンじゃなくて別の島の方が安全だ。俺達もそろそろこの島から出て荷造りしていた所だからそこまで送ってやるよ」

 

クリケットの言葉をウタは簡単には信じられなかった。目の前に居るのは海賊で略奪者という印象しかないからだ。優しく話してくれてるがウタは騙そうとしてるんじゃと思った。

 

「待って、あの猿もそうだけどどうしてそんな事をやるの?海賊なのに・・・」

「好きで海賊をやってるわけじゃねぇ。自由に生きる道がこれしかなかっただけだ。国とか政府とか柵だらけの人生ってやつに俺の先祖は殺されて故郷の海で今も“笑い者”よ。そこから逃げるにはこれしかなかっただけだ」

 

クリケットは煙草を吸いながら言うとバキバキっと体を伸ばしていた。ウタはそれを聞いてこういう海賊も居るのかと狭かった私見が拡がっていく。

 

「それでどうする?荷造りを手伝って物を盗らないなら俺の自慢のお宝も見せてやるが?」

「・・・見てみたいから手伝う!」

「よし、それで明日の朝、出港だ!!」

 

クリケットがそう云うとウタはお宝に興味もあったが自分の目でこの猿山連合軍という海賊をもっと知りたくなった。長くは居られないがそれまでに知れる限り知りたくなった。








はい、ロマン優先の冒険者達の側面が強い猿山連合軍の登場です。ウタの海賊に対する認識を変えて、おまけにルフィ達以外ならこの面々ほど相応しいキャラ達は居ないので出しました。

後は七武海関係ですがこれは完全に趣味です。まぁバギーも絡ませたいと言うのが本音でやりました。


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Romance

次回でジャヤ編は終わりです。そして次回のラストであの男も出ます。お楽しみに!!

※この話は2年間の間の話です。ルフィ達はそうそう出てきません。


ジャヤの西にあるモックタウンは今日も荒れていた。

酒場での殺し合いは日常茶飯事。そんな中で1つの海賊団が飲んでいた。

「三枚舌のデマロ・ブラック 懸賞金2600万ベリー」以下その海賊団達。

 

「船長、天夜叉と千両道化のどっちの傘下に入るんですか?」

「そりゃ、生き残りそうなのに決まってんだろ。まぁ入りやすいなら道化か・・・あそこは金塊を持っていきゃ本人がすっ飛んで来るからな」

「けど、俺達金塊なんて持ってないですよ」

「全部、金に変えちまったし、そんなに金塊を腐るほど持ってる船はグラン・テゾーロぐらいしか無いからな。」

 

バギーの宝好きは有名だった。冒険も普通にやるが宝探し自体好きで派手な宴会好きでもあり、バギーズデリバリーは基本的に毎日宴をしてると言われるくらいに騒がしい。そして他の七武海と違って傘下に入りやすかった。孤高のミホーク、男嫌いのハンコック、基本的に独断行動のウィーブル、今は天竜人の奴隷扱いのくま、最悪の世代の出で少数精鋭のローなどと、ドフラミンゴとバギー以外は全員論外と言えるほどに旨味が無さそうだった。

だからブラックは入りやすいバギーの傘下になって暴れたかったが肝心の手土産の金塊がなかった。

 

そんなブラックの会話を聴いていたのか酒場の客の1人がポロッと呟いた。

 

「金塊だって・・・ならあの爺から取れるだろうな・・・」

「おい、止めろってあの爺に関わるとロクな・・・」

「金塊がなんだって?」

 

ブラックは銃を構えた状態でその客らの前に立っていた。その客らを脅して話を聞くとジャヤの北東にある辺境で金塊を持つ奴らがいると云う内容だった。正に良いタイミングで良い情報を得たブラックはバギーズデリバリーに連絡していた。

 

『はい、こちらバギーズデリバリー』

『傘下に入りたい。懸賞金は2600万の三枚舌のデマロ・ブラックだ』

『契約金で10万ベリー。もしくは金塊のどちらを持ってる?』

『金塊だ。場所はジャヤ』

『・・・明日の昼には座長が向かうが無い場合は・・・殺す』

 

電伝虫はここで切れた。船員から不安の声が上がるがブラックは彼らに銃を向けて黙らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはクリケット達の荷造りを手伝っていたが問題が起こった。それはマシラとショウジョウによるクリケットの取り合いだった。

 

「だからおやっさんは俺の船に乗るんだ!」

「オウオウ、おやっさんは大園長たる俺の船に乗るんだよマシラ!」

 

こんな感じで殴り合いを始めていた。ウタはわりと派手な喧嘩を見て止めないのかクリケットに尋ねた。

 

「止めないの?」

「ほっとけ、何時もの事だ。他の奴らも気にしてねぇだろ?」

 

猿山連合軍の船員達も2人の喧嘩は日常茶飯事なのか完全に無視して荷造りをやっていた。ウタも最初は無視していたのだが何時までも喧嘩してて荷造りを手伝ってないのと喧嘩が嫌いなのもあって、2人に近づく。

 

「ねぇ、ちょっと!」

「「あ?!なんだ!!」」

「喧嘩は止めて手伝ってよ!!私、喧嘩とかの類はすきじゃないの!!」

「「うるせぇ、邪魔すんな!!」」

 

大声で怒鳴られてウタは段々と2人に対して腹が立ってきた。何よりも喧嘩の理由が下らなさ過ぎて呆れる。そんなウタはクリケットや他の船員達に耳を塞ぐように言うと2人に子守唄を歌った。ウタウタの実の力で2人ともすぐに心がウタワールドに行って眠ってしまった。クリケットはすぐに悪魔の実の力だと分かって耳を塞ぐのを止めた。

 

「ほう、悪魔の実か」

「うん、ウタウタの実。歌を聴いた人を夢の世界に行かせる能力」

「へぇ、楽しそうな夢を見てると思うか?」

 

クリケットはマシラやショウジョウが幸せそうに寝てるのでウタに聞いた。

 

「うん、2人とも私の歌を聴いて褒めてくれてる」

「・・・おい、それって夢と現実の両方を見て話してるって感じか?」

「うん、これ凄く眠たくなるんだ」

「なら寝とけ。代わりに2人を止めてくれた礼だ」

「わぁ、ありがとう・・・」

 

ウタはそう云うと眠った。眠るとウタワールドは閉じるが暫くは3人とも寝たままだ。クリケットは流石に嫁入り前の娘が外で雑魚寝は悪いと思い、部屋のベットに寝かせて荷造りを再開した。

 

 

 

暫くして、ウタは起きるとマシラとショウジョウの2人に平謝りされた。ビックリしたウタだがどうもクリケットが起きた2人に説教してたらしい。ウタはなら手伝ってねと言ったがそれは寝てる間に終わっていた。折角、手伝うと言ったのに寝てただけにウタは色々と申し訳無さを感じていた。

 

「ま、バカどもの喧嘩を止めてくれたからそれでチャラだ。最後にこれを載せれば良いだけだしな」

 

クリケットはそう云うと袋に包まった物をポンポンと叩いた。マシラとショウジョウがノリノリでシンバルやらマイクでドラム風の音を響かせたりしてて、ウタもそれにつられて興奮してきた。

 

「なになに!?」

「10年間、ジャヤの海で探して手に入った物だ」

 

包から出てきたのはサウスバードが鐘を持ったデザインの金塊だった。初めて見る金塊にウタの目は奪われた。

 

「凄い、なにこれ!?」

「俺が黄金郷の証明をしようと10年間この海を潜って手に入れた。まぁ黄金郷は“バカ共”が証明してくれたからな」

 

“バカ共”という言葉にウタはマシラとショウジョウの方を向くが2人は首を横に振った。

 

「こいつらじゃねぇ。1年前にやってきた奴らで夢追いのバカ共だったよ。久しぶりに良い若造どもだった」

「おやっさん、アイツラの事大好きですね!」

「オウオウ、俺らも好きだぜ!」

 

ウタはそんな夢を追いかける人も居るのかと思った。その人らの事も凄く聴きたかったがそれよりもウタはもっとこの猿山連合軍の事が知りたくなった。海賊だがウタの知っている海賊っぽくない彼らの事を知りたかった。

クリケットもマシラもショウジョウもウタに上機嫌で話し始めた。

 

クリケットの一族の事にマシラやショウジョウがそれのファンだった事など様々な事を話していて酒も飲み始めて賑やかになっているとクリケットが突然、倒れた。

 

「おやっさん!!」

「不味い、何時もの発作だ!!」

 

マシラとショウジョウはクリケットをベットの上に寝かせてタオルとかを頭とかに当てた。ウタは突然の事に何も出来なかった。

 

「い、一体どうしたの?」

「おやっさんは10年もの間、無茶苦茶海に潜り続けて潜水病が持病になってんだ」

「普通はこんなになることは無いんだがおやっさん、先祖のノーランドの無実を証明したくてずっと・・・」

 

マシラとショウジョウは冷静になろうとはしていたが大切な人が倒れててそんなことが出来るわけもなく、内心慌てていたのが動きから分かった。

ウタはただそれを見ているだけだったが、発作が落ち着くとウタはクリケットの頭元に来て歌った。

『世界のつづき』。ウタがシャンクスに置いていかれてから口ずさみながら歌った曲。柔らかな旋律が特徴の曲で既に寝てるから分からなかったがクリケットの強張っていた顔は柔らかくなり、マシラやショウジョウもウタワールドに入った。

 

 

 

 

〇〇〇

「なるほど、嬢ちゃんの夢の世界ってことか・・・」

 

クリケットはウタワールドを見てそう思った。ファンシーな世界でけど幸せという感じが溢れていて癒やされる世界だ。気持ちのいい世界だとクリケットは思った。現実と似ているが違う。夢の世界だ。クリケットはいつもよりも軽い体でそれが分かった。

 

「おやっさん!!」

「無事か!?」

 

マシラとショウジョウがクリケットの元にやってきた。2人ともさっきの喧嘩でウタワールドについて知ったからここが何処なのかすぐに分かった。

 

「お前ら、大丈夫だ」

「「「良かった〜」」」

 

3つに重なった声を聞いてクリケットはウタがマシラ達の横に居ることに気づいた。

 

「嬢ちゃん、もう寝な。俺達もすぐに起きる」

 

クリケットの言葉にウタは理解出来なかった。なんですぐにあんな持病を持ってる体に帰ろうとするのか分からなかった。

 

「おじさん待って、どうして戻ろうとするの?ここに居たら病気なんて無いのに・・・幸せがあるのに・・・」

 

クリケットはウタにそう言われるとマシラとショウジョウを少しだけ離れさせた。幸せを決めようとしてるウタと一対一で話し合いをしたいからだ。

 

「確かにここは良いところだ。俺も体が軽くて気分も良い」

「だったら・・・」

「でも長居する気はねぇな」

 

クリケットは淡々とそういった。良いところだと自分でも感じてるのにどうしてとウタは思った。

 

「俺は10年かけて病気持ちになったが後悔はない。先祖のノーランドとの決闘に手助けありだが勝ったしな。それに俺は冒険がしてぇ。あの体でもいいからもっとやりてぇ」

「・・・・私には分からないよ。なんでそこまでやるのか・・・」

「“夢”だからな。それにロマンってやつは手に入りにくいから入った時が格別なんだ」

「手に入りにくいから格別・・・」

「あぁ、嬢ちゃんは今までどんな人生を送って来たんだ?俺達の話ばっかりで全然聞いてなかったから教えてくれ」

 

ウタは話してみた。ウタウタの実でエレジアを壊した事、父親であるシャンクスが全ての罪を被ってくれた事、育ての親のゴードンと共に11年間滅んだエレジアにいた事も何もかも全部話した。

今までシャンクスを恨んでいた事もどうするべきかわからずにいること、今は島々のライブをやっていることも話した。

ルフィについては話さなかった。ルフィとの関係はウタには大事な根っこであって誰にも話したくなかった。

マシラやショウジョウは大泣きをして、クリケットはただ黙って聴いていた。

 

「そうか、だから嬢ちゃんはここが本当に幸せだって信じてるのか・・・」

「うん」

「・・・そんな世界にはみだしものの海賊を入れるとは嬢ちゃんは優しいな。大海賊時代じゃ珍しい・・・けど、悪いが俺はロマン好きのバカでな・・・くたばるまで追いかけてぇんだ」

「・・・それが“幸せ”なの?」

「あぁ、俺の“幸せ”だ」

 

クリケットがそう云うとウタは黙って頷いた。交渉が上手く行ったのでクリケットはウタの頭を撫でた。撫でられるのはウタからすれば久しぶりで撫でてるクリケットの顔を見るとアラバスタのトトと同じような笑顔をしていた。

 

「ありがとな」

 

ウタはそれを聞くと目を閉じてウタワールドを閉めた。目が覚めると夕方から完全に夜になっててクリケットと同じタイミングで目が覚めた。

ウタはなんだか気まずい雰囲気になって黙ってるとクリケットはまだ寝ていたマシラやショウジョウを蹴り起こしてた。

 

「おい、てめぇら起きろ!」

「「あ?おやっさん。どうしたんだ?」」

 

マシラとショウジョウは寝ぼけた状態で返事をした。

 

「嬢ちゃんもてめぇらも朝までにサウスバードを捕まえてきてくれ」

 

クリケットはそう言うと3人を外に出した。ウタはサウスバードを知らないのでクリケットから金塊と同じ感じの鳥だと言うのを教えてもらったが何でそれが居るのか分からなかった。

 

「その鳥がなんで必要なの?」

「ふっ、なに。ちょっと良いものを見せてやる。ちょうど良い時期だからな。本当は未練がましいと思って見る気は無かったんだが11年間、外を見てこなかった嬢ちゃんに“世界”ってのを見せてぇのさ」

 

クリケットはニヤリと笑って言うとマシラとショウジョウと一緒にウタは森へ行った。黄金郷に関してはもう未練はない。けど夢の中だけしか幸せを感じたことのない娘に折角ジャヤに来たのだからアレを見させてやりたいと思った。クリケットは欠伸をしてもう1回眠って体調を整えようと家に入ろうとすると1隻の船が此方に向かってくるのが見えて、岸に着くと船から6人の人間が降りてきた。

そいつは酒場で金塊の情報を探していたブラック達だった。

 

「誰だ?」

「海賊だ」

 

ブラックは銃を抜いてクリケットに襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

森の中でマシラとショウジョウにウタはサウスバードの事を聞いていた。

 

「こんな夜なのに鳥って見つかるの?」

「オウオウ、それが見つかるんだよ」

「ウキッキッ、なんせ変な声だからな」

 

ウタはそんな変な鳴き声でもこんな夜でそんなの分かるわけもないと思った。

 

『じょ〜〜〜〜』

「うわっ、変な声」

 

それはすぐに吹き飛んだ。あまりにも変すぎる鳴き声にウタは思わずそう言った。声の方向を向くとサウスバードがいてウタ達に対して笑っていた。なんとなくバカにされてるのが分かったので絶対に捕まえると3人は燃えた。サウスバードは3人のチームワークを乱そうと大量の虫を上から落とした。1年前に来たナミみたいにウタもビビるかと思ったが平然と体に付いてたのを取っていた。

 

「お前、平然としてるな」

「11年間虫や動物が友達だったし、それより前に虫取り対決とかしてたから平気なんだよね」

 

当てが外れたサウスバードは巨大てんとう虫だったり、オケラ軍団を当ててみてもマシラに打ちのめされて、蜂で仕留めようとしたがショウジョウの音波でやられていた。サウスバードは段々と腹が立ってきてゴギブリの大軍を送った。

 

「いや〜、それは無理!!」

 

流石にゴキブリの大軍は嫌だったようでウタはショウジョウの後ろに隠れた。ショウジョウは音波でゴキブリを蹴散らすとサウスバードは飛んで逃げた。

 

「逃げた!!」

「絶対に逃さないぞ!」

「ゴキブリ嫌いなのに・・・もう本気で怒ったよ!!」

 

3人はおちょくってきたサウスバードを絶対に捕まえようと必死に追いかけていた。

 

 

 

〇〇〇

クリケットとブラックらの戦闘はクリケットが優勢だった。1年前の頂上戦争で白ひげが死に海賊自体が増えたことで質は1年間でだいぶ下がり、また懸賞金も民間に対する被害で高くなるので高い=強いではない。1年前のベラミーらに比べればブラックらは遥かに弱い。幾ら、猿山連合軍の船員をブチのめしていたとしてもクリケット1人には手も足も出なかった。

 

「その程度で金塊を奪いに来たのか?ちゃんちゃらおかしいぜ」

「うるせぇ、俺は2600万ベリーのデマロ・ブラックだぞ!!」

 

クリケットに殴られて倒れてるブラックはそう叫んで銃をまた構える。他の手下も銃を構えるが先程から避けられてばかりだった。

 

ブラックがまた撃とうとするとクリケットが突っ込んでいく。銃を抜いてブラックの頭を至近距離でぶち抜こうとした瞬間、クリケットはまた発作を起こした。銃を落としてしまい、発作で倒れる。ブラックはそんな倒れてるクリケットの体を銃で撃ち抜いた。銃で撃たれて体にまた大怪我を残してクリケットの意識は途絶えた。

 

「このクソ爺が」

 

ブラックは意識がないクリケットに何回も蹴っていたがそれよりも金塊が優先なのでブラックと手下は家の中に入ってインゴットやサウスバードの金塊を包んで持って出ると倒れていた筈のクリケットが立っていた。ゆらゆらとしててまた倒れそうなのがより不気味だった。

 

「てめぇ、まだ動けんのかよ!」

「その金塊、どうする気だへっぽこ」

 

へっぽこと罵られたブラックはまだ減らず口を叩くクリケットを殺そうかと考えたが金塊は既に手の中にあるのに一々相手にしてられなかった。これからすぐにモックタウンに戻って七武海のバギーの手土産にするし、明日の昼・・・もう6時間もすればバギー本人が来るのだからそんな暇はなかった。

 

「船長、早くしないと千両道化がジャヤに!!」

「うるせぇ、今行く所だ!」

「ふん、小物だな」

「あぁ!?」

 

クリケットはそう言って煙草を吸った。

 

「安全圏に入りたがるやつにその金塊(ロマン)を持つ資格なんかねぇ」

 

そう言うとクリケットは今度こそ倒れた。ブラックは今度こそくたばったと思い、船に戻ってモックタウンに逃げた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタ達、3人はサウスバードを無事に手に入れていた。あれから必死に逃げるサウスバードをマシラとショウジョウが追い詰めてウタが地面に降りたとこを網で捕まえていた。

 

「歌で捕まえられたのに」

「そしたら嬢ちゃんが寝るだろうが」

「オウオウ、こんなんに一々能力なんて勿体ない」

 

マシラとショウジョウにそう言われながら、なんだかんだで能力も関係なしにこういったことをやれて楽しかった。ただサウスバードはずっと暴れていてマシラに力づくで抑えられてるのを見て、ウタは後で美味しい物を食べさせると約束した。そしたらサウスバードも諦めたのか大人しくなっていた。

 

3人は楽しさを感じながら森を出るとクリケットが銃で撃たれて倒れていた。

 

「「おやっさん!!」」

「おじさん!!」

 

慌てて3人は駆け寄って出血を抑える。倒れてる他の猿山連合軍の部下も起き始めて治療をしていく。ウタもガーゼやら綺麗な布をマシラやショウジョウに渡していた。 

 

「てめぇら・・・」

「おやっさん、何があった!?」

「何、デブの雑魚海賊共から金塊を守れなかっただけだ。どうせ反対側のモックタウンにいる。すぐに奪い返しに行くぞ」

「勿論だおやっさん、殴り飛ばしてやる!」

「いいから今は休むんだ!!」

 

マシラとショウジョウに言われてクリケットは立ち上がろうとしてウタが居ないのに気づいた。

 

「おい、嬢ちゃんは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタは海岸線を走っていた。

『好きで海賊をやってるわけじゃねぇ』

『黄金郷の証明をしようと10年間この海を潜って手に入れた』

『おやっさんは10年もの間、無茶苦茶海に潜り続けて潜水病が持病になってんだ』

『普通はこんなになることは無いんだがおやっさん、先祖のノーランドの無実を証明したくてずっと・・・』

『俺は冒険がしてぇ』

『ロマン好きのバカでな・・・くたばるまで追いかけてぇんだ』 

『俺の“幸せ”だ』

 

ウタはクリケット達との会話を思い出していた。冒険が大好きで、自分の知ってる海賊とは違くて無茶な現実にロマンを求めてる海賊。

幸せそうな海賊の苦労して手に入れた宝を略奪したのも海賊。ウタはそんな奪う(・・)海賊が大嫌いだった。

 

(絶対に許さない!!おじさんの金塊は奪い返す!!)

 

ウタはモックタウンが何処にあるのかおおよその検討は付いていたし、海岸線を走ればいずれ着くだろうと思っていた。

全力で走るウタの中に渦巻いていたのは“怒り”だった。




はい、というわけで次回は怒りで暴れるウタです。
そしてあの男も出るのでお楽しみに・・・


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逆光

これにてジャヤ編完結!
次回の章は既に考えてるので頑張ります!
さて今回はあの男が出てきます。

※この話は2年間の間の話です。なので麦わらの一味はそうそう出てきません。


デマロ・ブラックは実に上機嫌になりながら酒を飲んでいた。クリケットから金塊をなんとか奪えて無事に七武海である千両道化のバギーの所の傘下になれる。

毎日が贅沢に暮らせる海賊の理想郷に行けることにブラック達は上機嫌だった。

心地よい歌まで外から聴こえて幸せな気分だった。

船に金塊を隠すと盗まれそうだったのでバレないように包んで持ち歩いている。

 

「上手く行ったな!」

「あぁ、これで俺達の海賊人生もエンジョイ出来る!」

「乾杯!!」

 

ブラック達はベロンベロンになるまで飲むと別の酒屋に行こうと千鳥足になりながらも金塊を持って店を出ると喧騒な街の住民が騒いでいた。

 

「あっ、何だ?」

「船長、どうも美人が1人で歩いてるようで」

 

手下がそう言うとブラックは騒ぎの中心にいる女ウタを見た。ウタは歌を歌って稼いでるようで住民や海賊らが聴き惚れていてブラック達も暇潰しに近くに行くとウタの目が変わった。歌を止めてブラックの前まで歩く。

 

「おい、どうしたんだ姉ちゃん」

「歌ってくれ〜」

「折角のいい歌だったのに」

「歌って疲れたら良いところに行こうぜ」

 

そんな言葉がガヤから聴こえてくるがウタは関係なくブラックの前に着く睨んだ。

 

「何だお前は?」

「おじさんから奪ったその金塊を返して」

 

ウタはブラックらの持ってる金塊を指さして言うと周りから大笑いされた。勿論、ブラック達からもだ。

海賊とは人から略奪して当然、特にそう云う意味ではジャヤはそんな価値観の海賊が大勢いた。

 

「おいおい、あの爺の娘がなんかか?海賊が宝を奪って何が悪い!?」

「痛い目に会いたくなかったら帰りな」

「お嬢ちゃんの来る所じゃねぇよ」

「それとも()でも探してるのか?」

 

嘲笑うブラックやガヤにウタは一息ついて思いっきりブラックの股間を蹴り上げた。蹴られたブラックは急所を抑えて蹲った。

 

「船長!?」

「ちょっと何すんのよ!?」

「こんなことしてタダで済むと思ってんのか!?」

 

ブラックの手下に言われてもウタは物怖じ1つしない。極めて冷静かつ冷徹な目を彼らに向けていた。

 

「あいにくと私の()はもう決まってるの」

「この女、ぶっ殺してやる!!」

 

ブラックがそう叫ぶと手下達が銃を構える。ガヤの海賊達も気の強い娘が泣き叫ぶのは大好きなので捲し立てるように盛り上がっていた。

ウタはそこで一曲歌い始めた『逆光』である。略奪する海賊達に対する怒りを込めた歌で、UTAの代名詞とも言えるほどの曲だった。

そして先程からウタの曲を聴いてるガヤもブラックらも既にウタワールドの中であり、ウタはその力で自らの体を武装していく。四肢に黄金の甲冑を着て背中にはブースターに背の高い黄金のティアラを着けてただただブラックらを睨んでいた。

 

「悪魔の実の能力者か!?」

「頭を潰せば関係ねぇ。撃て!!」

 

ウタの変身した姿に手下がビビるがブラックは命令した。手下達はウタに弾を撃つとウタは五線譜を両手から出現させて全ての弾を受け止めた。

 

「返すよ!」

 

ウタはその五線譜をブラックらに向けて放つと弾丸が受け止められた位置の旋律の音を鳴らしながらブラックらにぶつかって吹っ飛んだ。

吹き飛ばされたブラックらはデカい銃に替えて放つがウタは飛んで避けた。ガヤの海賊たちはそれに巻き込まれて騒ぎの根元で大暴れをしていたウタに向かって弾を撃ってくるがウタは全ての弾丸を五線譜で受け止めていた。

弾が無くなるまで全て受け止めた後でウタは容赦なく五線譜を放つとまるでオーケストラのような轟音を鳴らして海賊達を吹き飛ばした。

 

あまりの強さにブラック達は割に合わないと感じで金塊を持って船に逃げていくがウタは船をミニチュアのように小さくさせた。

 

「俺達の船が!?」

「そんな!!」

「こんなのありかよ!?」

 

狼狽えるブラック達の前にウタは降り立って睨んでいた。先程吹き飛ばされた海賊達は全く起き上がってこず、ブラックらには殺されるという恐怖が襲ってきた。

 

「ひぃぃ、来るんじゃねぇ!!」

 

ブラックはウタに怯えながら、弾を撃つが全て当たる瞬間に音符になって消えていた。手下達は既に戦意を喪失して跪いていて、船長であるブラックも遂に金塊をウタの前に投げて跪いた。

 

「命、命だけは助けてくれ・・・」

 

ウタはそのみっともなく情けない姿に何も言わない。こんなのに関わる時間すら勿体なく、早く金塊をクリケットの所に返してあげたかった。

 

「命は奪わない・・・けど、許す気もない」

 

ウタは波を操ってブラック達を海に放り出した。能力者はいなさそうだし、どうせすぐに上がる。ウタはブースターで空に飛んで消えた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

現実世界ではジャヤの住人の殆どをウタワールドに連れていったのでウタは凄く眠たくなりながらも金塊を持って海岸線を歩いていた。

すぐにクリケットの所に帰りたかった。

モックタウンの海賊は嫌いだがウタにとってクリケット達は大切な友達だった。

 

(早くこれを返して一緒に・・・)

 

だが、流石にウタワールドで暴れたのと大量の人を連れて行ったので眠気が止まらく、限界が来て倒れそうになった。

 

「嬢ちゃん!!」

 

しかし、ウタが心配で応急処置だけしたクリケットがウタを受け止めた。

 

「嬢ちゃん、無事か!?」

「・・・おじさん・・・ちょっと寝れば戻るよ・・・これ・・・」

 

ウタは金塊の包みをクリケットに渡そうとしたが力が入らなくて渡せず、地面に落ちた金塊が顕になった。

 

「・・・本当にありがとうよ・・・だから今は休め・・・でないと折角の“面白い物”が見れないぞ」

 

クリケットはウタの親ではない。ただ会っただけの知り合いだ。説教なんてしないが感謝の言葉を言って抱き締めてあげた。

 

「うん」

 

ウタは強く頷くと眠った。

クリケットはウタを抱えて、後から追ってきたマシラやショウジョウに金塊を持たせてすぐに戻っていった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタが目を覚まして真っ先に気づいたのは潮の匂いだった。体が揺れてるので船の上だと分かり、ウタは飛び起きて船室から出ると海の上に停泊していた。

 

「よお、嬢ちゃん。起きたか?」

 

クリケットは包帯を体に巻いていたが元気そうにウタに挨拶してきた。

 

「おじさん、大丈夫なの!?」

「あぁ、折角嬢ちゃんが金塊を取り戻してくれたのにそう簡単にくたばってたまるか・・・ありがとうよ」

「・・・おじさん・・・」

 

照れ隠しなのかニヒルに笑って言うクリケットにウタは安心と嬉しさと少しだけ照れた笑みを返してあげた。

 

「オウオウ、嬢ちゃん。どうだった俺のベットは?良い感じに寝心地良かっただろ!?」

「俺のハンモックも気持ち良いのにな」

「バカ、バナナ臭いハンモックになんか寝かせられるか!」

「お前だってその髪の匂いが臭いだろうが!!」

「馬鹿野郎、俺は毎日シャンプーとリンスと洗濯と消臭をしてんだよ!!」

 

ショウジョウとマシラが言い争ってるのを見てウタは変わらない2人に少し笑った。

 

「気持ち良かったよ。でも今日はハンモックで寝たいなぁ」

「ホントか!?なら良いのを準備してやるぜ!」

「ちゃんと洗濯と消臭はやれよ?」

「やるに決まってんだろうが!!」

 

また言い争いから喧嘩を始めそうな2人。ウタとクリケットは変わらない2人を見て笑ってると船員が慌ててやってきた。

 

「“アレ”がもうすぐきます!」

 

その言葉にクリケット、マシラ、ショウジョウの顔が変わった。3人は大きな声を出して指示を出して船員達を上手く使っていた。

 

「何が来るの!?」

 

ウタが心配のあまりに声を出すと3人はニカッと笑っただけだった。

 

「海流が出ます!!」

「よし、全員捕まれ!!」

 

2つの船の前に大きな渦潮が出来た。あまりの大きさにウタは船にしがみついていた。恐ろしく感じ、大きな海獣の類が呑まれていく様を見てより怖くなっていたが、クリケット達が笑っているのを見るとウタの緊張や恐怖心も段々と安心してきた。

 

やがて、渦が消えて不気味なくらいに穏やかになる。

 

「嬢ちゃん。こっちに来な!!」

 

クリケットの元に行くと舵を確りと握ってるように言われてウタは確りと握る。マシラとショウジョウ、クリケットも確りと握っていた。

 

ウタは何が始まるのか少しだけワクワクしていくと段々と目の前の海が迫り上がってきて空に突き出していった。

 

「なにこれ!!?」

「見な嬢ちゃん!これが突き上げる海流(ノックアップストリーム)だ!!」

 

ウタに対してノックアップストリームの音に負けないようにクリケットが大声で答えた。体がビリビリと衝撃を感じて見たこともない壮大な物にウタは見惚れていた。

 

クリケットは十年以上も見てきた物が見納めになるので涙が少し出てきたがそれをすぐに拭いて笑った。

 

「十年間の勝負は俺の勝ちだよな?あばよ、ノーランド(・・・・・)!!」

 

クリケットは黄金郷(ロマン)の為に死に今でも故郷で笑い者にされている先祖のノーランドに別れを告げた。

 

「ウキキ、これで見納めか!!」

「オウオウ、ちょっと寂しいぜ!!」

 

マシラとショウジョウも笑いながら言っていた。そこには哀愁という感情はなかった。ウタにはクリケット達の感情はわからないが本当に凄いものが見れてポツリと呟いた。

 

「・・・世界って広いな〜・・・」

 

エレジアに居た時には分からなかった感動をウタは自分の体に刻み込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

それから2日後、見事に近くの治安のいい街がある島に着くとウタは降りた。

 

「送ってくれてありがとう!!」

「達者でな!」

「今度会ったらもっと冒険しようぜ!」

「オウオウ、一緒にもっと楽しもうや!!」

 

ウタは別れを寂しく思いながらも笑顔を向けた。クリケット達も笑顔を向ける。

 

「おじさん、私もっと世界を見る!もっと楽しんでみる!!」

「そうだ、もっと楽しめ!!折角の広い世界なのに狭い世界で終わるのは勿体ないからな!」

「うん、そしていつか私の歌を世界中に届ける!!世界の果てにいるおじさん達にも届くように!!」

 

ウタの言葉にクリケット達は大笑いした。凄く子供のような夢で楽しそうな夢だと思っていた。

 

「そうか、お前の(ロマン)はそれか。世界中に届くようにな!!」

「おじさん達も頑張ってね!!」

「嬢ちゃんも頑張れよ!」

 

クリケットがそう言うと握りしてた右手を突き出してきたのでウタも同じようにした。離れていて一切触れてないのに右手に暖かさを感じていた。3人の海賊船は出港した。長居して居られないと言うのもあるが次なる冒険へと向かったのだ。

ウタは船が見えなくなるまで手を振ってお別れした。

 

「絶対に届けるからねぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ジャヤでは混乱が起こっていた。

 

「七武海だ!!」

「千両道化のバギー本人だ!!」

「逃げろ!!」

 

金塊の手土産を聞いてバギー本人が来たのだが、ブラックらがその金塊を持ってないとの事でモックタウンの大通りで縛って蹴っていた。

 

「おい、金塊はどこだ!?俺に手土産として渡してくれるド派手な金塊はどうしたんだ!?俺を騙したのか!?」

「船長!!」

「もうやめてくれ!!」

 

ブラックを蹴るバギー。ブラックの手下が叫んでいるがバギーは蹴るのを止めなかった。

 

「一体、俺の金塊を奪ったのは誰だ!?」

「お、女・・・」

「はっ、女だ!?派手にボア・ハンコックでも来たのか!?それともビックマム海賊団か!?」

「ち、違う・・・知らない小娘に・・・」

「知らない小娘に奪われただと!?派手にコケにしてくれるじゃねぇか!!」

 

バギーは体をバラバラにしてブラックの下に手を持っていき空中に高く浮かび上がらせた。

 

「空中錐揉み大サーカス!!」

 

ブラックは空中から錐揉み回転しながら落ちて思いっきり地面に体をぶつける。ブルゴリなどグランドラインの猛者には効かないが頂上戦争後にグランドライン入りしてきた雑魚には良く効いた。

 

「船長〜!!!」

「頼むやめてくれ!!」

「そうだ、やるならあの紅白女に!!」

 

泣いてるブラックの手下を後ろからバギーズデリバリーの幹部アルビダが金棒で殴って黙らせる。

 

「うるさい!!」

「流石アルビダだ、よし、Mr.3。派手に処刑の準備をしろ!!」

 

幹部のMr.3がバギーの指示に従い、ドルドルの実の力でブラックらを磔にした。そして一人一人、目の前に大砲を構える。

 

「それじゃ、派手に死ね!」

「ま、待ってくれ!あんたに侘びとして1000万ベリーやる!!」

 

ブラックは命欲しさにデマカセを言った。そんな金なんてないし、こんなんに騙されるのはそうそういない。だがバギーは違った。

 

「1000万じゃ割に合わねぇな」

「なら一億ベリー!!」

「・・・・・それなら良いか・・・よし、一億ベリー俺の元に持ってこい。俺は寛大だからな。2年くらい待ってやるさ」

「ほ、本当か!?」

 

バギーはブラックの髪の毛を一本抜くとフラスコの中に入れて参謀のカバジに渡した。

 

「その代わり、これもトンずらこきやがったらお前を海のど派手な花火にしてやる」

 

ブラックはバギーの言葉に必死に頭を縦に振った。他の手下も同じように振った。

 

「野郎ども、さっさと帰るぞ。宴の続きだ!!」

 

バギーはそう音頭を取り、ブラック達を開放させて帰ろうとしたがバギーはブラックの船の近くで止まった。

 

「これ、お前らの船か?」

「あ、あぁ・・・」

 

バギーはそれを聴くと船に容赦なくマギー玉をブチ込んで船を爆破させて沈めた。バギー玉自体がそもそもかなりの破壊力を誇ってそれを小さくしたマギー玉も威力は落ちていない。おまけに凄く小さくて見えづらいのでブラック達からすればバギーが何もせずに船を爆破させた怪物に見えた。

 

「次はちゃんと渡してくれるよな?」

 

バギーは凄く優しい笑顔で言って、さっさと自分の船に戻っていった。一先ずなんとかなったブラック達は七武海の恐ろしさに震えていた。

 

「船長、どうすんだよ?」

「そうよ、2年で一億なんて人生何回繰り返しても無理だよ」

「うるせぇ、今考えてんだよ!!」

 

ブラックは頭を悩ましながら考えたがそんな大金をすぐに手に入れる方法なんてそれこそ一発逆転を狙って宝探しに行くしかなかったが、ブラックにそんな度胸はなかった。

 

「船長帰るぞ」

「うるさいべ、まだ飲ませろや。まだ麦わらのルフィ先輩の事を話足りねぇんだべさ!」

「良いから帰るぞ!ばあちゃんに朝まで飲むなって言われてただろうが!」

 

何とも場違いな声がしてブラックはそっちの方向を向くとベロンベロンに酔ったバルトロメオがガンビアの手によって引き摺られていた。あれだけの騒動があったのに全然気にせずに飲んでいたのだ。

 

「麦わら・・・そうだ、良いことを思いついた。俺達にはまず力がねぇ。だから集めて奪い取ればいい!」

「どうやって?」

「世界中が知ってる“死んだ”かあやふやな極悪党になれば出来る」

 

ブラックの言葉に手下達は誰の事を言ってるのか一発で分かった。頂上戦争後のマリージョアでの事件から姿を消したルフィの事だった。全く上手く行きそうにない作戦だが、七武海から狙われた彼らにしてみれば良い案だと思った。

 

「俺達は今日から“麦わらの一味”だ」

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

バギーはアルビダとMr.3から愚痴愚痴と文句を言われていた。

 

「あんな見え透いたバカみたいな案に乗るなんてアホすぎでしょうが!」

「まともな海賊なら絶対にやらないガネ」

「うるせぇ!あれだけ痛めつけたんだ。次はちゃんと払ってくれるさ。それよりも宴だ!」

「「「「「うおぉぉぉーー!!」」」」」

バギーの宴好きに2人は呆れ果てていた。こんなんなのに何故か七武海までのし上がってるのはもう奇跡の星の下で生まれたしかないと思った。

そんなバギーに副船長のモージが近づく。

 

「バギー座長」

「おう、その紅白娘についてわかったか?」

「何でも凄い美人で歌が上手かったらしいのと悪魔の実の能力者だそうで」

「ほぉ~、そいつは面白え。ちょうど新しい戦力と宴を盛り上げるやつが欲しくなってきた所だ」

 

バギーはその情報だけ聞いてウタを狙い始めた。海の船の上でバギーの高笑いが響いていた。

後ろの昔からバギーを知ってる面々とMr.3は嫌な予感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

この世界で遭難はよくある。

海だらけなので本当によくある。そして遭難して連絡を取る場合、「世経」の新聞の最後のページに遭難した場合の救助してくれた連絡先が船ごとにあるのでウタは自分が乗っていた客船を見つけて書かれた連絡先に掛けてみるが中々繋がらなかった。

あまりにも暇なのでウタは受話器を耳に当てながら新聞をペラペラと読んでいくと1つの記事を見て新聞を目を見開いた。

 

『麦わらのルフィは死んだのか?』

 

記事の見出しに書かれていた文字にウタの動悸は激しくなり、食い入るように記事を読んだ。頂上戦争で兄のエースを失い、自身もかなりの負傷を負った事、そしてマリージョアでの16点鐘を行い、それから一切の記録が無いことが書かれていた。根も葉もないモルガンズらしい憶測も書かれていて、あれは自殺する合図だったとか負傷の傷が開いて死んでるとか、下らない事と人は思いそうだが、今のルフィを知らないウタには不安でしかなかった。

 

「ルフィが死んだ?」

 

ウタはそう呟いた。

 

(違う違う!ルフィが死ぬはずない!!)

 

必死に頭を振ってその考えを消そうとしていた。ウタは1人誰にも相談すら出来ない状態で不安と向き合う羽目になった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃。

ウタと逸れてしまったゴードンは救助してくれた海軍支部の中将に直談判をしていた。

 

「まだウタは見つからないのですか?」

「落ち着いて下さい。お嬢さんは我々が必ず見つけ出します。それまでは大人しくしてください」

 

ゴードンは海軍中将のジョナサンにありきたりな言葉を言われて下がった。そんなジョナサンに1人の老人が煎餅をバリバリと食べながら近づいてくる。

 

「何じゃ、今日も来たのか?」

「えぇ、最後の国民のようですしね。まぁあれは娘みたいなものでしょうが」

「お前も大変じゃのう?」

「ガープ先輩にそんな事を言われる日が来るとは」

 

煎餅を食べていたのは今は海軍中将を引退して後進の育成をやっている英雄ガープだった。

 

「何じゃ、辛辣じゃのう?」

「忘れもしませんよ。私が新兵だった頃に既に大佐だった貴方に連れて行かれてどれだけ私が酷い目にあったか・・・中将で一応立場が同じになって離れた時は泣きましたもの」

「相変わらず軟弱じゃな。ワシが久しぶりに鍛えてやろうか?」

「それは後輩のボガード君の役目ですから丁重にお断りします」

 

ジョナサンはそう云うと新聞記事に載っていたウタの写真を見ていた。

 

「君の先生はナバロンに居るから出ておいでぇ」

 

ジョナサンはナバロンの司令室でそう呟いた。







というわけでバギー登場です。
いや、他にもガープとかナバロンとか出てきましたけど。
まずはあの赤鼻からやります。
というわけで次回からバギー編です!
お楽しみに


(作中で一億と10億を素で間違えていた箇所があったので訂正しました。)


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Buggy

バギー編も2話か3話かで迷ってますが頑張ります。
今回は導入ですが、それではどうぞ!

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。


ウタは最悪の気分だった。

クリケットらと分かれて暇潰しに新聞を読んでると出てきたルフィの死亡説。ウタはまさかそんなわけないと否定しようとしたが、ルフィが何をやったのかその新聞で知った。天竜人を殴り倒した後に海軍大将から逃げてインペルダウンに史上初の潜入。そして千両道化のバギーと共に多くの囚人を脱走させる。そのまま頂上戦争に乱入し、義兄のエースを一時救出するも赤犬に殺されそうになった所をエースに庇われて眼の前で義兄を失う。

その後は海侠のジンベエ、千両道化のバギー、トラファルガー・ローが戦場から離脱させて戦争を止めに来た赤髪海賊団によってその後の動向が不明。しかし、復興中のマリンフォードにジンベエと元ロジャー海賊団副船長のシルバーズ・レイリーと共に現れて「水礼の儀」である16点鐘をして報道陣の前にやってくる。

その後はマリンフォードから逃亡し、以降消息不明。

 

ウタは新聞を落としてしまって目眩を起こしそうだった。ルフィが死んだかわからないが今のルフィを知らないウタはインペルダウンから戦争と暴れ続けたルフィが無事だとは思えなかった。最後に写ったとされてる写真のルフィは傷だらけで痛々しく写真を見てるだけでウタの気分は悪くなっていた。

 

そのまま、ウタは避難先であるナバロンに連絡を取って通行証を発行して貰ったがルフィの事で頭が一杯だった。

 

(ルフィは生きてる・・・生きてるに決まってる・・・けど、本当なのかな?・・・私、今のルフィを知らない・・・インペルダウンとか戦争とか・・・本でしか知らない・・・ルフィはそんな所に行って・・・大切な人を喪って・・・)

 

1回、ネガティブな事を考えたら更にネガティブになり続ける悪循環にウタは陥っていた上にそもそもウタはルフィに負けじ魂を持って旅を始めた。その肝心のルフィが死んだかもしれないという事に対してウタは途方に暮れていた。

 

(ルフィに色々と話したかった・・・いや、まだ話せるよ・・・生きてるはずなんだ・・・けど、もしも死んでたら・・・私は何のために・・・旅を・・・チキンレースとか勝負とか全部、思い出になったままで・・・嫌だよ・・・もう1人は嫌!!)

 

ウタはルフィとの幸せな思い出で動いて旅を始めていた。そしてルフィに会うのもウタの目的だったがそれを見失った。

 

ウタはルフィに依存している。

 

真実を知った時からそのルフィとの記憶だけにしか縋れてないのだから当然だった。

ウタは何とか通行証を持って近くの海軍支部がある島までの船に乗るが上の空だった。

当てられた客室でウタは麦わらマークとルフィの手配書を力強く抱きしめていた。

 

「ルフィ・・・お願い・・・置いてかないで・・・」

 

不安で押し潰されそうになるウタは自分で鼻歌を歌って1人ウタワールドへ入った。旅をする以前と同じように・・・

 

そして、自分の乗ってる船が海賊船に襲われ始めてる事すら気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

バギーは自分の船のビックトップ号で宴をしていた。

七武海になってからバギーの人生は絶好調だった。最初は恐れて必死に隠していたロジャー海賊団の経歴やシャンクスとの関係も今は大事な物だった。

 

(だが、シャンクスの野郎の威は死んでも借りたくねぇな)

 

シャンクスが嫌いなバギーからすればシャンクス関係で名が上がるのが非常に癪だった。バラバラの実や宝探しの件だけではない。例えば海に落ちたときに助けるのは決まってシャンクスだったし、いつも何処かスカした雰囲気が嫌いだった。ラフテルでの高熱も件も看病してくれた事には感謝してるが無理をしてでも行きたかった。だが一番辛いのは毎回海に落ちて助けられていた経験からこれからもそれを味わうのが死ぬほど嫌だった。だからシャンクスの勧誘をバギーは断った。

 

バギーはロジャー海賊団としての経歴は使ってもシャンクスとの関係は使いたくなかった。そうこう考えてると部下から伝令が入った。

 

「座長、前に客船と海賊船!」

「誰だ!?」

「深手のアルビオンです!」

「よし、ド派手に潰して政府に恩を売るぞ!!」

 

バギーはそう宣言すると手下もノリ始めたがアルビダが待ったをかけた。

 

「良いのかい?結構な大物だよ、というかあんたじゃ相手にならないだろ」

「ふん、ド派手な海賊なら他にもいる。それにマギー玉にバギー玉、バラバラの力があれば大丈夫だ・・・覇気は使えないよな?」

 

痛いのは嫌で覇気を使えないことを祈ってるバギー。ダメダメな所が丸出しだったが既に手下達が興奮しきっていたので止められなかった。

 

バギー達は一々接近戦なんてやる気は全くないので容赦なくバギー玉を海賊船に当てて沈めた。派手に吹き飛んだ船を見てバギーは高笑いをしていた。

 

「どうよ、派手に散ったな!!!」

 

高笑いしてるバギー、しかし海からアルビオンが1人飛び出してきてバギーの首を斬った。

 

「七武海が・・・海軍の犬はとっとと死ね!」

 

バギーの首はゴロゴロと転がっている。アルビオンは弔い合戦が始まると思って構えていたが誰も相手にはしなかった。

 

「どうした、ビビったか!?」

 

吼えるアルビオンにMr.3はため息を吐いて淡々と言った。

 

「座長、そろそろその芸は止めるガネ。もう誰も驚かないガネ」

「ちっ、また新しいの考えねぇといけねぇのかよ」

 

バギーの首は浮かび上がって愚痴を吐いていた。アルビオンは油断することなく剣を構えた。

 

「派手に死にやがれ!!」

 

バギーは容赦なくマギー玉をアルビオンにぶつけて吹き飛ばした。だが高額賞金首のアルビオンもなんとか堪えていた。バギーはさっさと倒さないと信頼に関わるので容赦なくマギー玉を何発も放って何発も当てて完全に海の中に打ち込むと笑った。

 

「どうだ!?俺様の力を見たかー!」

「「「「「うぉぉぉぉー!!キャプテン・バギー!!」」」」」

 

褒め称える部下は気持ちいいとバギーは悦に浸っているとドカンッと音がしたのでそっちの方向を見ると客船が爆発していた。助けて政府とかに恩を売るはずが水の泡になった。

 

「・・・ひょっとしてマギー玉が幾つか当たったんじゃ・・・」

「野郎ども、逃げるぞ!!」

 

カバジの言葉を聞いてバギーはとっとととんずらしようと指示を出して船の中に隠れようとしたが、首を捕まれた。掴んだのは必死に海からまた上がってきたアルビオンだった。

 

「ギブッ!」

「海に落ちろ!!」

 

アルビオンはそのまま、自分ごとバギーを海に落とした。ビックトップ号から部下の声が聴こえるが海に入ってしまって力が抜けたがバギーは必死でもがいていた。

 

 

 

 

一方、客船に乗っていたウタも爆発音に気づいて逃げていた。そして今度は樽ではなく小船に他の人と一緒に乗ったが大きな爆発が起こり、吹き飛ばされた。

泳げないウタは必死でもがいてなんとか浮いてる物を掴むとそれは客船にあった大きな扉だった。

頑張って扉の上に乗ってなんとかすると近くでバシャバシャと激しい水音が聴こえたのでウタは手で漕いでその近くに行くと海の中からバギーが出てきた。

 

「あぁ~、死ぬかと思った!!」

「うわっ、大っきい鼻!」

 

ウタは素でバギーのコンプレックスである鼻の事を言ってしまい、バギーは当然キレた。

 

「誰が赤クソデカっ鼻ピエロじゃ〜!!?」

「そこまで言ってない!!どういう耳してんの!?」

「俺の耳の前にお前はどんな教育を親からされたんだ紅白娘!!」

「親は関係ないでしょ、親は!!」

 

親に対して色々と含む所があるウタはバギーに真っ向から言い争いを始めた。隣ではまだ客船は爆発しているが終わり次第、バギーの船が2人を救出するかと思いきや、突然、大きい海王類が2人の前に現れた。爆発が気になって海の中から上がってきたのだ。

ウタとバギーは目の前にあるとんでもない物に開いた口が塞がらなかった。

 

「ギャーーー!!!海王類!?」

「凄い、近海の主よりも大きい!!」

 

ただし、バギーは恐怖で開いた口が塞がらなかったがウタは好奇心で塞がらなかった。

以前、フーシャ村で見た事がある近海の主よりも遥かに大きかった。海王類はあたりをキョロキョロとした後で勢いよく海の中に戻っていったがそのせいで高波がウタとバギーの所に向かっていった。

 

「「あっ」」

 

2人は扉から落ちないように必死に捕まるも高波は扉ごと2人を空高く吹き飛ばした。

 

「「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

飛ばされた2人はなんとか運良く島の砂浜に飛ばされていた。

 

「もう嫌!!」

 

ウタは2回も連続で遭難してることにウンザリしている横でバギーは必死に自分の服を探っていた。ウタは何をしているのか気になり、除くとバギーは小さい紙切れを見つけて喜んでいた。

 

「よっしゃ~!!これで助かる。天は俺を見放さなかった!!」

「なにそれ?」

 

バギーが持っているのはビブルカード。新世界で作られる特殊な紙で命の紙とも呼ばれている物でウタは知らなかった。

 

「うぉ!?教えるわけねぇだろ派手バカ娘!これで船が来て俺は帰れるんだい!!」

「・・・ねぇ、私も乗せてくれない?」

「ふざけんな!そもそも誰だオメェは!?」

「私はウタ。世界の歌姫になる女よ」

 

ウタの言い方にバギーはルフィの姿が頭を過ぎったがすぐに頭を振って消してウタの名前に聞き覚えがあったのを思い出した。

 

「ウタって・・・アラバスタでライブして行方不明になっていた紅白娘か!?」

「うん、多分・・・ちょっと遭難しててノックアップストリームとか見てたから・・・」

 

あっけらかんに答えるウタにバギーはノックアップストリームの言葉も知っていた。かつて空島に行った時に死にかけたし、ジャヤ近くにあるのも知っていた。ジャヤと紅白娘、とびきりの美人などと色々な情報が重なり、バギーは聞いた。

 

「おいちょっと尋ねるが、デブの海賊共をジャヤでブチのめさなかったか!?」

 

バギーの言葉にウタはブラックらを思い出してしまって嫌な顔をした。クリケットに酷いことをしたあいつらの事は忘れたかったのにまた思いだしてしまったのだ。

 

「その顔は本当だな!?」

 

ウタとしては面倒くさい状況になりそうなので思いっきり目を逸らして口笛を吹いて嘘を付いた。

 

「し、知らないよ〜」

(こいつ、嘘下手!)

 

昔は結構上手かったが今では1人の時間が長すぎて人間関係を築き上げられなかったのもあって恐ろしいくらい下手になっていた。

バギーもあまりの下手さに目玉が飛び出ていたが本題に入った。

 

「まぁいい・・・おい、お前。俺の仲間になれ!!」

「・・・嫌だ」

「おいおい、俺は王下七武海伝説を生きる男“千両道化”のバギー様だぜ!?」

 

海賊であることを知ってウタはますます嫌になり、バギーの股を思いっきり蹴った。しかもブラックの名前を出した事は知り合いと云う事とウタは判断して敵と認識した。

 

「あんたみたいなデカっ鼻の仲間になるわけないでしょうが!!」

「誰がデカっ鼻じゃ〜!!この紅白娘がぁ、派手に許さん!!」

 

小さい島にバギーの怒りの声が響きわたり、ウタはバギーから逃げた。バギーもウタを追いかけ始めたが急所を蹴られた痛みのせいで追いつけずに見失った。

 

「チクショー、何処に行きやがった?かくなる上はナイフでも何でも良いから脅して無理矢理・・・」

 

下衆いことを考えてるバギーだが、突然と“歌声が聴こえてきた“。しめたと思ったバギーは全力で駆けていくと崖の端っこで歌っているウタを見つけた。

 

「見つけたぞ、紅白娘〜!!」

 

バギーはそのままウタを押し倒して脅そうと突っ込んでいくがウタは平然と指を鳴らすとバギーは昔、東の海でルフィに吹き飛ばされた時のような顔と手足しかない状態になる。

 

「なぁーーーー!!?どうなってんだこりゃ!?」

 

2度となりたくない。というか色々とトラウマになった格好にされてウタに掴み上げられた。

 

「で、どうするの・・・まだやる?」

 

ウタの一言にバギーは先程までの威勢は何処に行ったのかゴマをすっていた。

 

「あの〜、平和的に解決しませんか?」

 

こうして2人は島で救助が来るまで過ごす事になった。







というわけでバギーと一緒に無人島で過ごす羽目になったウタです。
更にいうとルフィの死亡説を見てちょっと切羽詰まってます。
次回は是非ともそこをやりたいので頑張ります。

今週というか今日のワンピースを見て初っ端から幸せそうなルフィとウタを見て、想像以上のダメージを負ったので頑張ります。


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Happiness

バギー編は次回でラストにするつもりです。
お楽しみに


※今作は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。


バギーはウタに体を小さくされて逆らえなくなったが割とポジティブに次の事を考えていた。

 

(クソッ、何かの能力で捕まって逆らえなくなっちまったが相手はあの人気中らしい歌手のウタだ。こいつを無事に保護して傷つけずに帰らしてやれば海賊はわからねぇが派遣の方は儲かるかもしれねぇ!)

 

バギーは下卑た事を考えながら、ウタの後ろを付いて行くが鼻歌を歌いながら前を歩くウタに対してバギーは違和感を感じた。別にバギーは見聞色の覇気を使えるわけではないし、人の都合なんてどうでも良いと思ってる海賊だ。だが本人の宴好きの勘が働いたのか今のウタは無理やり楽しそうにしてて歪に見えた。ウタの周りで動いてる音符もバギーは不気味に見えた。

 

「おい、ここはどこなんだ?」

「ここはウタワールド。私のウタウタの実で作った夢、だから私の意のままだから気をつけてよね?」

 

バギーは笑顔で聴いてくるウタが怖くて首を縦に振った。どうも自由にさせる気はないようでバギーは色々と不安に駆られた。早く自分の海賊団と合流したいのにインペルダウンよりもマシとはいえ、監禁されてるに等しい所は勘弁してほしかった。しかもたしかに楽しそうな雰囲気を出してるがバギーとしては金銀財宝の雨が降ってほしいのに降るのはファンシーなお菓子とこれまた好みと違っていた。

 

「おいおい、派手にファンシーすぎるだろうが」

「良いじゃない。“幸せ”な夢だもの」

 

あまりにも色々と情報が多すぎてバギーは疲れて辺りをキョロキョロと試しに見てみると黒髪の小さい男児を見つけた。男児はバギーに見られると逃げ出したので少なくともこの状況よりマシかと思って追いかけた。

追いかけていって見えてきたのは風車小屋だらけのフーシャ村の風景だった。

 

「こりゃ東の海のゴア王国か?」

 

バギーは東の海で長年海賊をしていた経験から場所が分かった。急に現れた景色に驚いてると投げられたボールがバギーの頭を直撃した。

 

「投げたのは誰だ!?」

 

バギーは投げられてきた方向を見るとそこには幼少期のルフィがいた。ウタと出会ったばかりの頃で目の下の傷もなかった。

 

「む、麦わら!?お前、なんでここに!!?」

 

驚くバギーにルフィは何処から出したのかまたボールを投げてバギーの頭に当てる。2回もやられたのでバギーは思いっきり投げ返すが簡単に受け止められる。

 

「うっそ〜」

 

ルフィはまたボールを投げてバギーは3回も頭に当てられた。バギーは笑ってるルフィを忌々しい目つきで見てると急にルフィの顔が曇った。目線の先が気になって見るとそこにはウタがいた。しかし、目は輝きを失って顔は焦燥しきっていた。

 

「違う・・・違う・・・違う・・・」

 

ウタはルフィに詰め寄って頬を引っ張って笑顔にさせようとしていた。

 

「あの時のルフィは笑ってた・・・もっと笑ってた・・・笑ってたんだ!!」

 

叫びながらルフィを無理矢理笑顔にさせようとするウタ。バギーは明らかにおかしいと思ったがあまりの衝撃に何も出来なかった。ルフィはやり続けるウタにウンザリしたのかウタの手から脱出して逃げた。

 

「待って・・・待って・・・」

 

ウタは追いかけようとしたが転んでしまい、走り去っていくルフィに手を伸ばした。

 

「置いてかないでーー!!!」

 

バギーはここまで見た後で急に目の前の景色が暗転した。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

バギーが目を覚ましたのは森の中で既に夜になっていた。その事は特に問題はなかったが近くにウタの姿はなかった。

 

「おいおい、まさかどっかに行ったって事はないだろうなぁ。もしもなんかあって俺の派遣業に少しでも影響があったら・・・」

 

思い浮かべるのは人気があるウタに対しての扱いがバレて七武海脱退は多分無いだろうが必死で軌道に乗せた海賊派遣に影響が出るのでは?と相変わらず自分本意な考えをしてバギーはウタを探し始めたが見つからなかった。途中途中で果物を見つけてバラバラの実で直に毟り取りながら森から出ると、浜辺で蹲ってるウタを見つけた。

 

「おい!」

 

バギーが声をかけるとウタは気づいたのか立ち上がって歌おうとしていた。バギーは能力の発動条件かなんかだと思い、手を飛ばしてウタの口に噛ませて押し倒した。

 

「いっでぇ!!!噛むのを止めろ!後、歌うのも駄目だ!!」

 

バギーがそう云うとウタは首を縦にコクコクと振り、バギーは口から手を離したがウタはまた歌おうとしたので同じように手を口に噛ませた。

 

「だから止めろって言ってるだろうが派手バカ娘!あんな世界に入るな!!」

 

幾ら、実力が弱くても先程の世界がウタに良いとは思えなかった。無事に返して市民から人気を取って派遣業を更に上げたいバギーはそう云うとウタはバギーを睨んだあとで砂を掴んでバギーの目に当てた。やられたバギーはウタの上からどいて涙を流したり、擦ったりして落とした後でウタを睨むと彼女は泣いていた。

 

「バカ娘!泣きたいのは俺の方だ!!」

「・・・い・・・」

「あんな世界に行くな、より心が派手に悪くなるぞ!」

「・・・るさい・・・」

「何が幸せな夢だ、ただの妄執だろうが!」

「・・うるさい・・・」

 

言いたい放題言ってくるバギーにウタは叫んだ。

 

「うるさいうるさいうるさい!!アンタに分かって溜まるか!!」

 

子供の駄々のように大声でキレた。急に来られてバギーはビックリし、ウタは泣きながら叫んだ。

 

「妄想だって知ってるよ!良くならないのもわかってる!!けど、私にはもうアレしかないの!!11年間一人ぼっちの私にはもうルフィとの記憶しか縋れないの!!楽しい記憶に縋って一体何が悪いんだよ!!!」

 

大声で泣き始めるウタ。

正直言ってバギーはウタが何を言ってるのかさっぱり分からなかった。

 

パァン!!

 

ただ、子供の駄々に付き合う気は全く無いのでバギーはウタの頬を思いっきり叩いた。叩かれたウタは大声で泣くのを一回止めて頬を抑えた。

 

「派手にギャアギャアうるせぇんだよ!!縋ってんの分かってんならとっとと新しい物を見つけりゃいいだろうが!!!」

 

無茶苦茶な事を言ってくるバギーにウタは怒りながら返す。

 

「そんなの見つけられない!!大好きな歌にも縋れなくなって・・・私にはもうルフィしかいないの!!」

「まだ言うか!!」

 

パァンとまたウタの頬を叩くバギー。

ウタはもう一回歌おうとするがバギーがまた手を噛ませた。

 

「何が見つけられないだ!?何が麦わらしかいないだ!?派手に本気で探してないだけだろうが!!見つけるしかねぇんだよ!!見つけて辛い記憶を薄くさせるしか方法はねぇんだよ!!まだケツの青い小娘が思い出に甘えてんじゃねぇ!!」

 

無茶苦茶な事を叫んで本気で言ってくるバギーにウタは頭が冷えたのか少し止まった。しかし、また蹲って泣き始めた。バギーはもう何も言わずに自分の持っていた果物をナイフで半分に切ってウタにあげた。

 

「ほら、食わねぇと派手に死ぬぞ」

 

ウタはバギーから貰って食べる。みずみずしくて甘さを感じるはずの果物が塩っぱいと感じるほどに泣いていた。バギーはウタの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。昔、ロジャー海賊団に居た頃にやってもらった事をやってあげた。だが酷く乱暴でウタには不快だった。バギーの手を弾いて止めさせて文句の1つでも言おうかと見るとだらしない顔つきで全く似てる要素は無いバギーにシャンクス姿が一瞬だけ重なったように見えた。その事にウタはありえないと思いながらも泣きつかれて眠った。

 

バギーは寝落ちしたウタを見ながら愚痴を言っていた。

 

「ったく、何なんだこの紅白娘は・・・てか、麦わらの知り合いなら人質に・・・いやいや、確か非加盟国とかにも人気があるって新聞に載ってたから下手に手を出すと海賊派遣に影響が派手に出るかも・・・こんな娘1人で潰したくねぇ・・・」

 

バギーはウタを見捨てようか見捨てまいか割と真剣に悩んで、稼ぎである海賊派遣の影響を与えない為に我慢して堪えることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

朝になり、波の音でウタは起きた。隣ではバギーがグウグウと寝ていて上着をウタに被せてくれていた。ウタはその上着をバギーの上に返してあげると逃げるようにバギーから離れて森の中に入って、昨日バギーに言われた事を思い出していた。

 

「何が新しい物を見つけろだよ、何が本気で探してないだけよ。何も知らないくせに・・・」

 

ぶつくさと歩いてるウタは愚痴るとお腹が空いたのか腹音がなったので周りを見るが何もなかった。キノコすらなかった。

 

「お腹すいた〜・・・そう言えば昔、ルフィと果物取り勝負とかしたっけ・・・」

 

『ウタ〜、どうだ俺の方が多いぞ』

『あたしも負けてないわよ!』

『んじゃ、数えようぜ。1つ、2つ、3つ、4つ』

『ルフィ・・・シャンクス達が釣りしてる!』

『えぇ〜、どこだ!?』

(よそ見してるうちにウタはルフィの果物を少し奪った)

『ごめ~ん、あたしの見間違いだった〜』

『も〜なんだよ〜、5つ6つ7つ8つ・・・あれ!?』

『9つ10!あたしの勝ち。75連勝達成!』

『ウタズルいぞ。俺の奪ったな!!?』

『海賊が物を取って何が悪いのよ』

 

楽しい思い出を思いだしてウタはまた泣きそうになった。ルフィに会って色々と話したいことが出来ていたのにこれでは辛いだけだった。しかもお腹の音も鳴るのを止めなかった。

ウタは果物を探してあちこち歩いてみたが見つからずどうしようか悩んでいた。

 

「ほい」

 

だが、急に果物が目の前に現れたのでウタは何も考えずにそれを取って食べる。

 

「よぉ、俺が取ってきたモンは旨いか?」

 

後から声がしたのでウタは振り向くとバギーが立っていた。先程の果物はバギーがバラバラにした手で目の前に持ってきたのだ。ウタはまた逃げようと立ち上がると首根っこを掴まれた。

 

「だから派手に逃げるんじゃねぇよ。別に取って食いはしねぇよ」

「うるさい、デカッ鼻!あんたみたいな奴大っ嫌い!!」

「喧しい!!てめぇの能力はもう分かった。このまま、俺の船に乗って貰うぜ」

 

バギー的には乗って海軍とかに引き渡してそれを新聞記事にさせて市民から人気を得て派遣業の実績を上げようと云う意味で言ったのだがウタからすればまだ自分を手下にしようと諦めてないようにしか聴こえなかった。

 

「誰が乗るもんか!私は世界一の歌姫になって私の歌で皆を“幸せ”にするんだ!!」

 

ウタはもがきながら自分の夢を叫んだ。

 

「痛っ!」

「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

 

するとバギーはウタを落として腹を抱えて笑い始めた。あまりにも不快な大笑いにウタは噛みつく。

 

「そこまで笑わなくてもいいじゃない!!」

「馬鹿野郎、これほど派手に笑えるのはないぞ、贅沢娘!!何かに縋ってないといけないお前が“幸せ”だと!?ちゃんちゃらおかしいな!!」

 

バギーの言葉は図星だった。自分はルフィとの記憶に縋らないと頑張れない。それしか楽しい記憶がない。新しい物を見つけられない。バギーの言葉はそんなウタの心に嫌でも響いた。

 

「うるさい!それでも私は・・・」

「黙れ贅沢娘!俺はな宝が欲しい!この世の全ての金銀財宝を手に入れたい!それが俺の“幸せ”だ。俺だけが持って俺が決めた俺の幸せだ!自分(てめぇ)自分(てめぇ)の幸せすら決められない奴が人を幸せになんて出来るわけがねぇだろ!!」

 

ドンドンとウタの心に響いてくるバギーの言葉。一蹴したくても図星を刺されて、おまけに自分とは違って常に何処か“自由”に動いてるバギーの言葉は想像以上に重かった。

 

「“幸せ”を舐めるんじゃねぇ!!」

 

バギーのその言葉にウタはその場に崩れて頭を抑えた。髪がグシャグシャになるほど掻きむしってバギーの言った事を否定しようとしたが何処か自分でもその事を理解していたウタは何も言えずにただ、その場で叫んだ。

 

「アァァァァァァー!!!」

 

小さな島にウタの叫びが響いた。






というわけでウタがバギーによってボロボロになってしまいました。因みに私は後で上げずに曇らせるだけの展開は苦手なので上げます。
というかもうこっからは上がる以外無いので上げます。



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ヒカリへ

それでは皆さん、バギー編のラストです!!

色々と普段とは敢えて変えてる場所もあるのでお楽しみください!!
というかバギー船長人気だな!!

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。


ウタが叫んでから3日経ったが相変わらず迎えの船は来なかった。ビブルカードを持ってるのに来ないアイツラにバギーは少し悲しくなった。

しかし、それよりも不味いのがあった。ウタが生気を喪った目で果物や焼き魚を食べはしたが、1日中ボーッとしていてまともな雰囲気ではなかった。

 

(やべっ!!偉そうな事言ったら変な方向に派手に行っちまいやがった!!派遣業がぁ〜)

 

どこまでも自分本意の事を考えるバギー。あまりのウタの状態におろおろとしだす始末で非常にみっともなかった。泣かず喋らずのウタにバギーも段々とイライラが積もってきて海軍にでも何にでもすぐに引き渡したかったが生憎と遭難中で出来なかった。

バギーは暇潰しに浜辺を歩いてると手漕ぎボートが漂着していた。これで島の外に行けるとは思ってないが沖で魚を釣れる事にバギーは喜んでいた。

 

「よっしゃ、これで派手なデッカイ魚も釣れるぜ。ラッキー!!」

 

更に幸運な事に目の前の小舟にニュース・クーが止まった。一休みの休憩かも知れないがバギーはなんとか持っていたなけなしの一万ベリーを渡してお釣りと「世経」を買った。

最高の暇つぶしの道具が手に入ったと思ったバギーは新聞の一面を見るとすぐにウタの所に戻っていった。

 

呆然とただただ蹲ってるウタの前にバギーは新聞を投げた。

 

「読め、お前の事も書いてる」

 

しかし、ウタは何も動かないしバギーも新聞も無視していた。流石に我慢の限界が来たのかバギーがウタの胸ぐらを掴んだ。

 

「いつまでそうやってんだ!?そうやれば誰か助けてくれると思ってんのか!?」

「・・・もう、どうでもいい・・・死にたい・・・」

 

3日ぶりに出てきたウタの言葉にバギーは遂に堪忍袋の緒が切れた。

 

「そうかい、なら派手に死んでこい!!」

 

バギーはそのままウタを海へと投げ飛ばした。

大きな水しぶきと音を鳴らしてウタは沈んでいく。

 

「あぁ!!?派手にやってしまった!!俺様のバカ!!」

 

バギーは新聞を拾って全力で小舟の所まで行ってウタが沈んだ所まで漕いでいった。

 

 

 

 

〇〇〇

苦しい・・・息が・・・でも、もう良いや・・・

ルフィはいない・・・私の夢も・・・本当はわかってたよ・・・無理だって・・・でもそれぐらいしかもうやりたい事なかった・・・

 

このまま死ぬのかな

 

私の人生って・・・何だったのかな?

 

シャンクスに拾われて旅して・・・何で歌が好きに・・・・

 

『ウタは本当に歌が好きだな!』

『うん、だって赤髪海賊団の皆が笑ってくれるもん』

『そうか!!』

 

そうだ・・・最初はシャンクス達が喜んでくれて・・・

 

『どうだった?』

『うめぇな、お前・・・』

 

ルフィの前で初めて歌った時、嬉しかったんだ・・・私の歌で喜んでくれてる皆を見て・・・それで・・・

 

 

・・・嫌だ・・・

 

 

 

・・・死にたくない・・・死にたくない・・・生きたい!!

 

私にはまだ・・・やりたいことが・・・

 

必死にもがいてると縄みたいなのに捕まることが出来て私は引き上げられた。

 

 

 

 

〇〇〇

バギーは石を括った縄を海に沈めるとウタが掴んだのが分かったので引き上げた。バギーもウタも肩で息をしていた。

 

「なんで、上がってきた・・・派手に死にたがってただろうが!」

 

バギーの問いをウタは無視した。また無視されたバギーはウタの首を掴んで海の上に持ってきた。ウタは落ちないように必死でバギーの手を掴んでいた。

 

「なんで上がってきた!?」

「・・・うた・・・たい・・・」

「あぁ!?ハッキリ言え!!」

 

バギーがそう云うとウタはポロポロと涙を溢しながら叫んだ。

 

「歌いたい!!シャンクスやルフィの前でもう一度歌いたい!!2人や2人の仲間に笑ってほしい!!私は赤髪海賊団の音楽家でシャンクスの娘のウタだー!!」

「なに、シャンクス・・・いや、それは今はどうでもいい。残念だが麦わらは死亡説が出てるぞ!!無駄足だったな!!」

「無駄足なんかじゃない!!」

「なんでだ!!?」

「だって・・・だって・・・2人なら喜んでくれる!!墓に入っても絶対に笑ってくれるって信じてる!!」

「お前・・・」

「他の人とか関係ない私のしたいことだ!!」

 

ウタがそこまで叫ぶとバギーは小舟に戻した。吐き出してスッキリしたウタの前に新聞をもう一回投げた。

 

「それを読め、アラバスタでの事が書いてる」

 

バギーに言われてウタは始めて新聞に目を通した。内容は『歌姫UTA、行方不明』と書かれていた記事だ。自分の遭難の記事でアラバスタでのライブの事とファンからの心配の声が書かれていた。

 

『早く無事だと判明してほしい』

『彼女の歌声を聞きたい』

『あの歌声を聴いて元気になった』

『どこに居るのかさえ、わかったら絶対に飛んでいく』

『海賊に拐われたなら絶対に助ける』

 

純粋に自分の事を心配してくれてる皆の声を載せていてウタはそれを読んでポロポロと涙を流し、新聞を濡らしていく。

 

「それに麦わらやシャンクスの事が載ってんのか?」

 

ウタは首を横に振った。2人には関係ない自分だけの物だった。

 

「派手な思い出が大事なのは分かる。俺もロジャー船長が死んで同じくらい苦しんだ。けどな、無いものは無い!立ち上がって前見て探していくしかねぇんだ!自分(てめぇ)の“幸せ”を自分(てめぇ)で狭めるな!!」

 

バギーからの言葉にウタは涙が止まらなくなった。ルフィにしか縋れなくて夢だけは大きかったがやりたいことと新しく見つけた幸せは凄く優しくて暖かかった。

バギーは浜辺には戻らずにまだ海の上でボートを止めて横になった。

 

「ほら、大声でアラバスタから出来た思い出(幸せ)を言ってけ。ジャヤで金塊を奪い返したのもこっちは知ってんだ。それをやるって事は大事なもんがあったんだろ?スッキリするからド派手にやれ」

 

バギーに言われてウタは泣きながらそれを叫ぼうとしたがまず何があったのか指を折りながら数えた。

 

・アラバスタの食堂でご飯を沢山食べたこと。

・ビビやカルーと友達になったこと。

・ユバの街でトトおじさんに喜んで貰ったこと。

・温泉に入ったこと。

・ステージを海賊のバルトロメオから守ったこと。

・ライブで皆に喜んで貰ったこと。

・トトおじさん達の師団にまた歌うと約束したこと。

・ジャヤでクリケットのおじさん達にあったこと。

・サルベージを手伝ったこと。

・サウスバードを探したこと。

・金塊を取り戻したこと。

・ノックアップストリームを見たこと。

・クリケットおじさん達に歌を届けると約束したこと。

 

たった13しかない少ない思い出。けど大事なルフィやシャンクスに関係のない自分だけの思い出。

 

「アラバスタに着いて最初にご飯をたくさん食べた・・・友達も出来た・・・歌う事を喜んで貰った・・・温泉にも入った・・・ステージを海賊から守った・・・約束もした・・・ジャヤで海賊のおじさん達に会った・・・サルベージを手伝った・・・サウスバードを探した・・・金塊を取り戻しておじさんに喜んで貰った・・・ノックアップストリームを見て凄く興奮した・・・おじさん達とも約束した!!」

 

泣きながら、少ない大事な思い出をウタは叫んで一息ついてからもう一回叫んだ。

 

「ルフィやシャンクスも関係ない私だけの思い出だ!!大事な大事な私の旅の思い出だ!!まだ全然少ないけどもっと増やしたい!!もっともっと増やして“世界”をもっと知って楽しみたい!!」

 

そこまで叫んでウタは座り込んで号泣していた。

自分だけしかない物をちゃんと数えて吐き出して色々と感情が溢れてきたのだ。

バギーは手を飛ばしてそんなウタの頭を撫でてあげた。

 

「もっとド派手に泣いて叫べ。でないと泣きたくて叫びたくなった時に出来なくなるぞ」

 

バギーの言葉にウタはこの際徹底的に吐き出そうと立ち上がった。

 

「遭難ばっかりでもううんざりだー!!」

「おお、そうだ。もっと言え!」

「しかもデカっ鼻も一緒で最悪の気分だった!!」

「んだと、この贅沢娘!!?」

「乱暴でヘタレで情けなくてシャンクスの方が見た目は百倍カッコイイ!!」

「このクソアマ!!」

「けど、優しくて凄く自由だ!!」

 

ウタはそう叫ぶとバギーを見て笑った。バギーはその顔を見ると怒る気も失せてきたので再びボートを漕ぎ出した。

 

「ねぇ、シャンクスやルフィの事知ってるの?」

「あぁ、知ってる。同じ海賊見習いだったし戦ったからな。まさかシャンクスの娘も居るとはもう驚きすぎて驚けねぇよ」

「ねぇねぇ、その時のシャンクスってどんなだったの?ルフィには勝ったの?」

「あぁ、タダで教えるかよ」

「教えてよ()()()()()()()

「急に猫なで声をするな!!」

 

2人はそう言い合いながら浜辺に戻っていって、ウタはバギーからシャンクスの見習い時代の話を饒舌に聞き出した。そんな風に2人の島での遭難は楽しくなった。

 

 

 

 

 

 

翌日の朝にビックトップ号がやってきてバギーもウタも乗船した。

 

「野郎共、さっさとこの娘を海軍に渡すぞ!!」

「「「「「了解しました!!」」」」

 

バギーの号令に船員達は慌ただしく動き始める。ウタは何故にバギーがこんな事をやるのか気になって近づいた。

 

「ねぇ、どうして私を海軍に渡すの?欲しがってたじゃない」

 

そう言うとバギーは昨日見ていた新聞を渡してとある記事に指を指した。

 

『UTAの行方不明に“千両道化”の影あり』

『バギーズデリバリーに非難殺到、七武海除名運動待ったなし』

 

「さっさとお前を無事に渡さねぇと俺の立場が無くなるからだ!!」

「え?ひょっとして最初からこの為に?」

「当たり前だろうが」

「酷い、バギーおじさん。そんなにセコいなんて」

「セコいって言うな!!」

 

すっかり距離が縮まった2人の会話が聴こえて止まる船員も出ているが皆、バギー=命のようなノリで生きてるのですぐに作業を再開した。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタは客人としてビックトップ号に乗っていた。グランドラインを大勢で渡っているだけあって下手に手伝っても役に立たなかったのでウタは曲を書いていた。まだ不安だらけだけど自分の為に、助けてくれたバギーの為に曲を書いた。

 

そして、海軍に引き渡す前にビックトップ号で披露する事になった。格好はいつものままだが緊張してしまい、落ち着こうとしていた。

 

「おい、派手に入るぞ!」

 

バギーがデリカシーなく入ってくる。まぁ着替えをする必要は無いので別に良かった。

 

「今日は新曲の披露だから派手に頼むぜ!!」

「うん・・・」

「なんだ、暗いじゃねえか!」

「私・・・ウタウタの実は関係なく上手いけど、歌うと皆をウタワールドに連れていっちゃうから・・・私、悪魔の実とか関係なく魅了したいんだけどなぁ」

 

ウタはそう言って作り笑いをするとバギーは部屋から出ていった。そして暫くすると木箱を持って戻ってきた。

バギーは木箱を開けると中には鎖の一部分のような壊れた金属の輪っかが入ってた。

 

「これ何?」

「戦争の時にシャンクスとカイドウが小競り合いをした現場に行って手に入れた海楼石だ。これを持ってれば力が入らなくなるが能力も使えなくなる。悪魔の実を封じて歌いたいならこれ持ってド派手に気合い入れて歌え!!」

 

これまた無茶苦茶な解決案を出してきたバギー。能力者は海楼石を持つと脱力して力が入らなくなるのにそれを持てなど無茶苦茶も良いところだった。

しかし、そんな無茶をウタはやってみたかった。色んな事に挑戦したくなった。

ウタは海楼石に手を触れると座り込むほどに力が出なくなったが負けじ魂で無理矢理力を入れて、麦わらマークの手袋に入れた。

 

「やっぱり、止めとくか?」

「ううん、絶対に止めない・・・私が自分の()に向き合う為にも!!」

 

ウタはそう言ってバギーと共にビックトップの広い甲板に作られたステージの上に乗って気合いで新曲の『ヒカリへ』を歌い始めた。

 

「僕は今さがしはじめた♪水しぶきあげて果てしなく続く世界へ♪あふれ出す情熱を胸に♪どこまでも行くよ♪まだ見ぬヒカリ 求め〜♪」

 

まだまだ臆病な自分の為にも

 

「夏色太陽がココロの帆をゆらせば♪あたらしい世界への扉を開く合図♪」

 

まだ全然、世界を知らない自分の為に

 

「波間にゆれてる絶望を抜けて♪水平線の向こう側 目指して♪」

 

そして、これから頑張っていく自分の為にも

 

「僕は今さがしはじめた♪水しぶきあげて果てしなく続く世界へ♪あふれ出す情熱を胸に♪どこまでも行くよ♪まだ見ぬヒカリ 求め〜♪」

 

海楼石を持って倒れそうになっても止めない。ウタウタの実なんか関係ない。自分の歌を取り戻すためにもウタは全力で歌っていき、ラストのサビに入った。

 

「僕はなぜさがしてるんだろう♪なにがほしいんだろう♪まだ見ぬタカラはどこに〜♪」

 

宝を探し続けてるバギーへの感謝も込めて

 

「あふれ出す情熱を胸にどこまでいける?」

 

全力で行ける所まで行きたい。

 

「わからないけれど 僕は今さがしはじめた♪水しぶきあげて果てしなく続く世界へ♪あふれ出す情熱を胸にどこまでも行くよ♪まだ見ぬヒカリを求め〜その向こうへ♪」

 

全力で歌い終わってバギー海賊団の船員やバギーはその歌に対して大熱狂で応えてくれた。ウタもいつもよりも伝わってくる生の熱狂に興奮していた。

こうしてウタの船上ライブは大成功だった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

その数日後、ウタは海軍の船に乗る前にバギーの船室に来ていた。

 

「これが今の麦わらの手配書で4億ベリー」

「4億!?」

「で、これがシャンクスの40億ベリー」

「高っ!!」

「こんなんは見せかけだ。実際に会えば派手にいい加減なのがわかるぞ」

 

ウタはバギーの言葉に頷くと2人の手配書をバギーに返した。返されたバギーはそれを乱暴に引き出しに戻した。

 

「良いのかよ。写真持ってなくて」

「私にはこれがあるもの♪」

 

ウタは麦わらマークに指を指して嬉しそうに言ったがまた暗い顔をし始めた。

 

「おい、今度は何だ?」

「ううん、ちょっと不安になっただけ。海賊嫌いで通してるのに海賊の世話になってファンの皆が離れないか」

「派手バカ娘、それで離れたってそいつ等が全員じゃねぇだろうが!」 

「うん、そうだけど・・・」

 

バギーは折角ウタが笑ってくれたことでバギーズデリバリーの非難が収まるかも知れないのに暗い顔で帰られたらより非難が増えてマジで七武海クビかもと思った。

それでバギーはあるものをウタの腕に着けた。

それは長年探してるキャプテン・ジョンの財宝の在り処が記されてるというトレジャーマークのバンドだった。

 

「これ・・・」

「俺が死ぬほど欲しい男の財宝が記されたトレジャーマークだ。これなら女が着けても違和感はねぇだろ」

「ちょっと待って、そんな大切な物は貰えないよ!!」

「うるさい派手バカ娘!あげるんじゃねぇ貸すんだ!それは俺の夢への切符だ。だから暗い顔するな。いつか自分で“幸せ”になったら返せ。それまで俺の夢を預ける!これで下手な事をやってみろ引っ叩いてやるからな!!」

 

バギーなりの激励をやるとウタはまた泣きそうになったがグッと堪えて笑った。バギーはその姿にシャンクスを重ねたが嫌な気分になったのですぐに顔を背けた。

 

「バギーおじさん、ありがとう!!」

 

ウタはそう言って海軍の船へと向かった。

バギーは色々と振り回されたウタや原因のシャンクスに

愚痴愚痴と文句を言っていた。

 

「ったく、父娘の問題に俺を巻き込みやがって派手バカシャンクスが・・・似てるから・・・調子が狂っちまっただろうが・・・またな、()()

 

その呟きはウタに届いたのか、彼女は離れていくビックトップ号に向かって満面の笑みを浮かべた。






というわけでバギー編が終わって作者から一言・・・・・・これなんて最終回?

いや、まだまだ終わりませんよ!!

これで漸くREDコースは回避されたので次からある意味で本当のウタの物語の始まりです!!というかバギー船長がただのいい男になって物凄いファインプレーの連発をしましたw

初めてウタの一人称をやったり、歌詞を載せたりと色々とやってみたので好評なら次のナバロン編でもやりたいです。曲はもう海軍と来たらの曲になりますが(分からない方はZを観ましょう!)

それでは次回もお楽しみに


ただ、次は割とマジな方向でどんな話か考えてないので間が空くかも知れません。


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World(番外編)

前回でナバロン編に行くと言いましたが折角のワンピースの2次創作なので世界情勢の話も書きたくなったので書きました!!

※注意
●は過去の時系列
〇は現在の時系列


ウタがバギーの船から海軍の船に乗った事はすぐに世界中を駆け巡るニュースとなって世界中へ拡がった。

あるものは素直に喜び、あるものは生き甲斐を取り戻すなど反応は実に様々だった。

 

 

それから1週間後、モルガンズはそんなウタによって世界がうねり始めてる事に笑っていた。

 

「凄いビックニュースだ!!たった1人の娘に世界中が右往左往し始めてる!!最悪の世代に匹敵する存在になった!!コイツは凄いぜ」

 

笑いながら小躍りしてるモルガンズに部下の記者が耳打ちした。それを聞くとよりモルガンズは笑った。

 

「おいおいおい、そいつは今年1番の“ビックニュース”じゃねぇか!4日前の()()()()の件よりもな!世界中に広めろ!!活字のDJである世経記者魂を掛けてな!!」

 

「「「「「はい!!!」」」」」

 

時はそこから遡って6日前。

 

 

 

 

●●●

「サンジちゅーん、待ってぇ!!!」

「うぉぉぉ、来るな化け物共がぁ!!!」

 

麦わらの一味黒足のサンジはオカマの国カマバッカ王国で必死に逃げていた。2年間の間で徹底的にカマバッカ王国に伝わる攻めの料理を覚えて鍛えて冒険すると誓ったが多勢に無勢でサンジは大量のオカマから逃げていた。

だが、流石にやられて捕まってしまった。

 

「さぁ、可愛くなりましょ」

「うぉぉぉ、止めろ!!」

 

レディを愛するために生まれた男は遂にレディへの道をまた開いてしまうのか、カマバッカ王国の国王のイワンコフはそんなサンジを遠目から見つつも新聞を読んでいた。

 

「ぐるぐるボーイもこれで終わりかしら・・・あら、あのビックノーズも中々、良いことやってるじゃない」

 

イワンコフは新聞に載っていたバギーがウタを保護した事を見て純粋に褒めていた。イワンコフにとってウタの歌は力が溢れてくる良い歌なので無事に見つかって良かった思ってると風で新聞が飛ばされてサンジの顔に張り付いてしまった。

 

「うぉ!?な、何だ!?・・・あぁ、これは!!?行方不明だったUTAちゃんが見つかっただと!!?」

 

サンジはマジで眼前にあってわからないはずなのに女性関係になると色々と凄いせいで更にカマバッカ王国に1年以上いるのもあったのかよりその鼻や視力に磨きがかかっていた。

 

「もう、私達が居るのに失礼ね♪」

 

しかし、新聞の記事は攻めの料理のレシピを持ってるオカマに取られてしまう。サンジは暴れて新聞に載ってる満面のウタの写真を欲した。

 

「うぉぉぉ、止めろ!!俺から幸せを奪うんじゃねぇ!!」

「もう♪さぁ、このレースを着てより幸せになりましょう♪」

 

女性の服を着せようと迫ってくる中でサンジの心は燃えていた。

 

(くそっ、この1年間地獄の中で何度も助けられて励ましてくれたUTAちゃんが無事だと分かったんだ・・・・こんな地獄に負けてたまるかァ!!)

 

サンジはそう意気込むと体が燃え出した。

 

「何か燃えたぁ!!?」

 

イワンコフは突然燃えだしたサンジにビックリして目玉が飛び出していた。サンジは燃えた体で拘束を引き千切ってレースを着せようとしたオカマを蹴り飛ばした。そして持っていた攻めの料理のレシピの1つを手に入れた。

 

「これが俺の“愛”の力だ」

 

いつもみたいな気取った言葉を言ってサンジはタバコを吸った。

 

 

●●●

ナミは「ウェザリア」で気象科学の勉強をしていたがやりすぎても息が詰まるのでそう云う時はウェザリアにいるお人好しな科学者のお爺ちゃんらを誂うか海図を描くか、新聞や本を読むかをしていてたまたま新聞を読んでるとウタの記事があった。

 

「あ、この子。無事に保護されたんだ・・・・って、保護したのがバギー!!?」

 

手配書の写真が乗ってる七武海のバギーを見てナミは驚いていた。あのバカ悪党がそんな人の良いことをやるなんて微塵の欠片も思ってなかった。

 

「ん、ナミちゃん。どうしたんだい?」

「ううん、フェイクニュースが混ざってただけ」

 

バギーを知ってるナミは少なくともバギー関係の部分は完全な嘘と断言し、さっさと勉強を再開した。

 

 

 

●●●

チョッパーはトリノ王国でランブルボールの実験をしていたがまた暴走してしまい、倒れていた。

 

「駄目だ。また意識を失っちまった・・・畜生・・・」

 

早く強くなりたいチョッパーは動けなくなった状態で悔しさに打ちひしがれていた。

そんな時にチョッパーの顔にニュース・クーから新聞が落ちてきた。一面の記事はウタが無事に保護された事だった。

 

「うぉぉぉ、UTAだ。無事で良かった・・・よし、次は上手くやるぞ!!ルフィの為にも怪物になるんだ!!」

 

チョッパーは動けないながらも結構聴いてる歌手が無事だった事に元気を貰ったのか、次も頑張ろうと燃えた。

 

 

 

●●●

ブルックは剣の修行をしながらも次のライブがある島まで船旅をしていた。

 

「おい、ソウルキング。これを見てくれ。ライバルが生きてやがった」

 

手長族のマネージャーからブルックは新聞を取るとそこにはウタが無事に保護されていたと載っていた。マネージャーからしてみれば商売敵が生きてた事に加えてアラバスタでのライブでより人気が凄いので悔しい限りだった。

 

「ヨホホ、生きてて良かったじゃないですか。彼女の音楽は素晴らしいですから」

 

年寄りとしてまともな事を言うブルック。そのまま新聞を読んでウタの写真を見ながら言った。

 

「綺麗なお嬢さんですね・・・パンツ見せて欲しいなぁ」

 

いつも通りなブルックだった。

 

 

●●●

フランキーは体の改造をしながらもベガパンクの研究所で残されていた兵器の研究書を調べつつ、コーラを飲んで一休みしていると事情を知ってくれてる少年キットンから新聞を貰った。

 

「おじさん、UTAが無事だったんだ!」

「アーウ、誰だそりゃ?」

「知らないの?今話題の歌姫だよ!」

 

研究所に籠もってるフランキーは俗世に疎くなっていた。初めて新聞でウタの顔を見るとフランキーは笑った。

 

「おっ、いい女」

 

フランキーはそれくらいの感想しか無いのですぐに研究書の方に目を戻した。

 

 

 

●●●

「ホロホロホロ!!」

「煩いぞ、ゴースト娘。食事中に新聞を読むな」

「全く、静かに食えねぇのか?」

 

ミホーク、ゾロ、ペローナの3人はミホークの住んでる城で昼御飯を食べていたがペローナは新聞を読みながら興奮していた。

 

「うるせぇ!!UTAが生きてたんだ!てめぇらと暮らしてて荒んだ生活の数少ないの癒やしだぞ!?喜んでなにが悪い!」

「「なら、出てけ」」

「お前らなぁ!!」

 

ミホークとゾロの2人に言われてキレる。食い終わったゾロはそのまま刀を持って修行に戻っていった。

 

 

 

 

●●●

ロビンは革命軍本部で本を読んでるとコアラがニコニコと笑ってスキップをしながら、自室に戻っていくのが見えたので近くでコーヒーを飲んでいるサボに尋ねた。

 

「あら、コアラどうしたの?」

「何でもUTAの無事が分かって嬉しいらしくて」

「最近話題の歌手ね」

「仕事中は聴けないからって部屋でガンガン聴くから隣部屋の俺は本当に夜も眠れねぇ」

 

コアラの愚痴を言うサボにロビンは笑うと再び本を読み始めた。そしてコアラの隣部屋であるサボは今日も眠れないなと覚悟し始めていた。

 

 

 

●●●

ウソップは豊かな食べ物が実る食人植物が制する島ボーイン列島でなんとか肥った体を絞り込ませた事に成功したのでホップグリーンでパチンコの性能を上げているとニュース・クーに落として貰った新聞をヘラクレスンから貰って読んでいた。

 

「おっ、この歌手。見つかったのか」

「UTAんだな。ウソップンはファンなのか?」

「いや、この島に居て歌なんか聴けるわけねぇだろ」

「そう言えばそうだったん」

 

過酷な島であるボーイン列島でウソップとヘラクレスンは今日も必死に生き抜いていた。

 

 

 

●●●(少し進み三日前)

ルフィとレイリーはルスカイナで昼飯を食べて終わるとレイリーはニョン婆がワールドとの戦闘の時に持ってきてくれた新聞を読んでいた。なんてことない内容が載っていたがウタがバギーによって助けられた記事が載っていた。

 

『お前ら仲良くしろ!』

『けど、レイリーさん。俺はコイツが嫌いだ』

『酷えじゃないかバギー、この赤っ鼻!!』

『赤っ鼻って言うな!!』

『仲良くしろって言っただろうが!!』

 

懐かしい事を思い出してレイリーは笑った。

 

「口ではあれこれ言っていたが、相変わらずのようだなバギー」

 

そんなレイリーの元にルフィがやってくる。ワクワクしたような雰囲気でピョンピョンと子供のようにやってきた。

 

「レイリー早く来てくれよ。俺の火拳銃(レッドホーク)を見てくれ!!」

「今行くから落ち着け」

 

レイリーは新聞を飛ばされないようにしてルフィの元に向かった。

そして、ルフィの火拳銃を軽々と受け止めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇(現在)

マリージョアの一室で五老星が新聞を読んで話し合っていた。

 

「トットムジカを起動させたのはウタではないのか?」

「ナバロンからウタワールドに飛ばされた者は居ない。ガープは当てにならんがジョナサンやCPの報告は信用に値する」

「今は“千両道化”の事が先決だ。ウタの能力があやふやになり、こうも大衆に人気では下手に突くのは危険だ」

「そうだな、確かに今は“千両道化”と“彼”に付いてだが調べないのは不味いだろ」

「では、CP8に調べさせよう。下手に殺人許可があるCP9やCP0ではスパンダインや天竜人の横やりもあり得る」

「では、調べさせるのはこの2人の関係だ」

 

そう言って五老星の1人がバギーの手配書とウタの写真を机に置いた。

 

 

 

〇〇〇

海軍本部では慌ただしく大勢が動いていた。

 

「急げ、すぐに接触に備えろ!!」

 

軍艦に武器等を補充し、緊迫した空気が流れていた。そんな状況を大目付のセンゴクはおかきを食べながら、同期のおつると話していた。

 

「慌ただしいなおつるちゃん」

「大目付は本当に気楽で良いね。これから現場に向かう身にもなってほしいよ」

「いや、本当に元帥を辞めて良かった」

「あんたね、本当にぶん殴るよ。引退したらガープと似たような感じになって、昔を嫌でも思い出すよ!」

「懐かしいな。けど私は大体ガープを止めていたぞ」

「後で大暴れしてゼファーも混ざってどれだけ苦労したと!!だから私の直属には男を入れてないんだよ!」

 

おつるはセンゴクに怒鳴ってると海兵の1人が伝令になってきた。非常に焦ってるような表情でおつるとセンゴクは真剣な目つきになった。

 

「た、大変です!!“千両道化”と“赤髪”が接触しました!!」

 

王下七武海と四皇の接触におつるもセンゴクも軍艦へと向かっていった。

 

「頂上戦争ほどじゃないとはいえ、戦争にでもなったら大変だ」

「あの赤っ鼻はともかく手下が厄介だからな」

「しかし、あのロジャー海賊団の見習いのガキンチョ達がこうも世界を揺るがすほどになるとは、時代の移り変わりってやつかねぇ〜」

 

おつるは軍艦を見ながら不意にそう呟いて色々と歳を取ったと改めて自覚していた。

 

 

 

 

〇〇〇

新世界のとある海。

1つの島を挟んで2つの海賊団が向かい合っていた。

“四皇”赤髪のシャンクスの赤髪海賊団と“王下七武海”千両道化のバギーのバギーズデリバリー。

一隻と何百を超える大船団の向かい合いだったがバギーズデリバリーの方は慌ただしかった。

 

「おい、本当に大丈夫か?」

「心配になってきた」

「ここまで来たらなるようにしかならないよ。あぁ見えても悪運が強いウチの座長を信じるしかないね」

 

アルビダの言葉にカバジとモージは気合を入れ直し、他の船員達に喝を入れていた。

双方の海賊団から島に向かっていく2席の小舟。

両方に大きな風呂敷が積み込まれていた。

そしてその船には船長であるシャンクスとバギー、側近であるベックマンとMr.3が船を漕いでいた。

浜辺につき、シャンクスとバギーは向かい合った。

 

「バギー、色々と迷惑をかけてすまなかった」

「お前ら派手バカ父娘の問題に俺を巻き込むんじゃねぇよ!」

「礼を言わせてくれ」

 

シャンクスは座り込み、頭を下げようとしたがその前にバギーが手を振って止めさせた。

 

「ふざけんな、こんなんでお前に礼を言われたら俺一人で何も出来ないって言われてるもんじゃねぇか!死んでも言うな!!それに“代わり”は持ってきてんだろな?」

「あぁ、ベック!!」

「よっしゃ、Mr.3!こっちもド派手にやれ!!」

 

ベックマンとMr.3は呆れながら風呂敷を取ると中には酒と御馳走が入っていた。ベックマンは船長たちの所に酒と酒坏を持っていく。シャンクスはそれを笑いながら受け取った。

 

「よし、バギー!娘の礼だ俺が注いでやる」

「あぁ?片腕のお前に注がれたくねぇよ、俺が注いでやる」

「お、悪いな」

 

バギーとシャンクスはそのまま飲み始めて側近の2人も軽く挨拶をしていた。Mr.3は冷や汗を欠きまくっていたのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、この宴会する前の部分が世経でニュースとして世界中に広まり、“千両道化”の株が上がり、バギーズデリバリーは更に繁盛するのだがバギーは部屋で項垂れていた。

 

「あぁ、やっぱりキャプテン・ジョンのトレジャーマークはやるんじゃなかった・・・金塊が欲しいぃ」

「アホ」

「アホだガネ」

「ノリで生きてるような人だからなぁ」

「はぁ〜」

 

ウタにキャプテン・ジョンのトレジャーマークを貸した事をバギーは後悔し始めていて、バギーの人なりを知ってる面々は呆れ果てていた。

 

 

 

同時刻、ウタはゴードンと一緒に海列車でW7に向かっている中で大切かつ楽しそうにバギーから貸してもらったトレジャーマークを磨いていた。






というわけで前回が流石のキャプテン・バギー!!なら今回はバギーwwを目指して書きました。
次から本当にナバロン編です。

そして遂に登場麦わらの一味!!
そしてルフィ!!

まだまだウタと再会は長いですが頑張ります!!



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Navarone

今回からナバロン編です。
アニオリのシリーズで1番コンパクトかつ纏まりが良いので大好きなので書きました。

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出会いません。


バギーに助けられたウタは海楼石をずっと持ってるので力が抜けそうになりながらも自分を鍛えるという意志と根性とそして自分の歌をもう一度好きになるために頑張っていた。

軍艦の当てられた船室でウタは鼻歌をずっと歌って貰った紙に新しい歌詞を書いては書き直してを繰り返していた。本来、海楼石は持つと能力者は力が弱くなる。これは紛れもない事実であるが優れた能力者であれば効果は少しずつ弱くなる。ウタはそこまで超人的な肉体はしていない。しかし、ウタウタの実は個人の歌の技術に大きく作用される能力。天使の歌声を扱って、事あるごとにウタワールドに入っていたウタ。悪魔の実は実の力に心身が追いついて初めて覚醒する。それは何も戦闘力だけではないと云う事。

 

11年間、歌声を鍛えていたウタはそういう意味では覚醒してないとはいえ“優れた”能力者である。

 

ウタはそんな事も露知らずにウタワールドという世界に行かなくなった事や鼻歌を堂々と歌ったり、お礼として夜に海兵達の前で歌って喜んで貰って凄く嬉しかった。

 

「自由に歌えるって最高!!」

 

ウタはトレジャーマークを腕に付けて喜びに満ち溢れていた。海楼石を付けて喜ぶ能力者はいないがウタウタの実で長年色々と苦しんでいたウタにとって今はかつてないほど絶好調だった。

 

 

 

 

〇〇〇

ナバロンの軍港ではゴードンが忙しなくウロウロしていて司令官のジョナサン中将はしょうがないかと思っていた。隣りにいるアロハ姿のガープは煎餅をバリバリと食べていて呑気そうだった。

そんな風に待ってると軍艦がやってきた。

 

「あ、あれにウタが?」

「えぇ、そうです。ちゃんと乗っていますよ。安心してください」

 

ゴードンは漸くウタの無事な姿を見ることが出来る事に号泣していた。ガープやジョナサンはそこまで泣かなくてもと思いながらも良いことをしたと気分が良かった。

しかも軍艦から楽しそうな歌声まで聴こえてきて更に心地よかった。

 

「ほら、元気な歌声まで聴こえてきますよ」

「え?」

「おお、綺麗な歌じゃな・・・グガー」

 

ガープはその歌を聴くと寝てしまった。ジョナサンはまたいつものかと呆れていたがゴードンは顔を抑えて言葉が出ないほど吃驚していた。

 

(ウ、ウタが歌ってる!?ウタワールドをこんなにあっさり開くなんて!?あぁ、どういう事だ!?アラバスタの時はなんとかなったがこの遭難で一体ウタに何があったんだ!?海軍や政府にバレてしまった。シャンクスになんと詫びれば・・・)

 

ウタが暴走してると思い、ゴードンは固まっていた。すると鼻提灯が出来ていたガープが突然起きた。

 

「おぉ、あまりにも心地よくて寝てしまったわい」

「はぁ〜」

 

いつも通りなガープにジョナサンは呆れていた。ゴードンは眠っていたガープが起きた事とジョナサンや自分がウタワールドに行ってないことに混乱していると軍艦が遂についた。

 

「ゴードン、私は大丈夫だよ!!」

 

育ての親であるゴードンに向かって軍艦から手を振るウタ。今までよりも素敵な笑顔でゴードンは本気でウタが天使に見えた。

下船の為の階段が降りてくるとウタはスキップをして鼻歌をやりながらゴードンの所まで来ると抱きついた。

 

「ただいま」

「あ、あぁ・・・すまない、1人にしてしまって」

「ううん、1人じゃなかった。それにもう本当に大丈夫なの。漸くやりたいことも頑張りたい事も出来たの。だから今までありがとう!」

 

ウタからの言葉は本当に幸せそうでゴードンはなにがあったのかわからないがその姿を見て涙が溢れていた。

 

ガープやジョナサンはその2人に微笑ましさを感じていると軍艦から黒服の男が1名降りてくるのが見えて目つきを変えた。

 

「ジョナサン、後は頼めるか?」

「2人を中に・・・」

 

ガープは短く言うとウタとゴードンに近づいた。

 

「よし、では明後日には目的地に出発するから泊まる部屋まで案内してやる!」

「お爺さんは誰?」

「ワシか?ワシはモンキー・D・ガープじゃ」

 

その名前をウタは知っていた。ルフィの死亡説が出ていた記事でガープの事も載っていた。そしてルフィがずっと愚痴っていた毎回殴って酷いことするお爺ちゃんだと・・・

 

「おぉ、何じゃ?ワシの顔になんか付いておるのか?」

 

自分の顔を撫でてるガープにウタはルフィの影を見たが既にウタはルフィに依存はしてないので純粋に応えた。

 

「ううん、なんでもないです。ごめんなさい」

「ほほ、良い娘じゃのう。ワシの孫の嫁にこんか?」

「ふぇ!?」

 

孫である幼馴染のルフィを知っているウタはその一言に顔を真っ赤にさせた。

 

(ル、ルフィのお、お嫁さん!?い、いや確かにそれはなりたいけど、好きだけど、え、でも早すぎるし、何よりもルフィの気持ちは、わ、私はルフィが求めてくれるならいつでも・・・)

 

ウタは顔を真っ赤にしたまま髪の毛の先を突きあったりしていた。ガープとして冗談で聞いたのに凄く色々と聴きたいことが出来たなと思いながらも2人を部屋まで案内していった。

 

そして3人を追いかけるように黒服の男が追いかけていくがジョナサンはそんな男の前に手を出して止めた。

 

「なんの真似だジョナサン中将」

CP(サイファーポール)が一体あの2人に何のようなのかな?」

「五老星からの命でトットムジカについてあの娘と元国王ゴードンが関わっている疑いがある。既にアラバスタでウタワールドが発生した事は確認済みだ」

「という事はつまり、後は彼女がウタウタの実の能力者だという実証だけかな?」

「そうだ。本来なら軍艦の中で判断するつもりだったが歌っているのにウタワールドに行った者がいないので降りてより調べる事になった。邪魔をするな」

 

ジョナサンはCPにそう言われると手を退けた。そのまま追いかけようとしてるCPにジョナサンは警告した。

 

「ここは私の管轄だ。そして2人はあくまでも助けるべき一般人。幾ら世界政府とはいえ、下手な事をしたらわかってるよね?」

 

CPはジョナサンが発する殺気に冷や汗を欠きながらも何も言わずに追いかけていった。

 

 

 

 

〇〇〇

ガープは2人を案内してると後ろからCPが追ってきてるのが分かった。

 

「なぁ、ウタちゃんや。1つ聴かせて欲しい事があるんじゃがいいかの?」

「なんですか?」

「ウタちゃんは海賊が好きか?」

 

ガープからの言葉にウタは嫌いとは言えなくなった。クリケット達やバギー達を見て優しくて自由を愛してる人達もいるのを知ったからだ。

けど、ファンの海賊被害の声もちゃんとウタには届いてる。ウタは暫く悩んだ末にハキハキとした声で答えた。

 

「分かんなくなりました」

「ウ、ウタ!?」

 

あまりにも斜め上な答えにガープは面白い答えを出す娘と思った。

 

「最初は嫌いだった。けど、遭難して海賊に助けられて2回目の遭難も七武海に助けられて色んな物が崩れていったけどファンの皆の悲しみや苦しみ、友達もそれに苦しんだことは死んでも忘れないし、忘れられない。エレジアにずっと居たから世間知らずだし。だから、もっと世界を見てみたい。色んな世界の色んな人とあって答えを出したいです」

 

海軍の英雄の前にあまりにも堂々と自分の感じた事を言うウタにガープはルフィの面影を感じた。その事に自覚すると大笑いをした。

 

「ブワッハっハッハッハッハッ!!このワシを前にそんな事を言うとは気に入った。絶対にワシの孫の嫁にしてやる」

「えぇ!?」

 

ガープからのまた言われてウタは顔を林檎のように真っ赤にして下を向きながら歩く。ゴードンは乙女チックな反応をするウタに珍しさを感じてると泊まる部屋まで来た。

 

「ここが、お前さんらの泊まる部屋じゃ。と言ってもゴードンの方は既に泊まっていたがの。ここは食事に煩くてな朝昼晩と食事の時間は決まってるので悪いが守ってもらうぞ」

「は、はい!」

 

ウタは顔が赤いままはっきり答えるとゴードンと部屋の中に入った。ガープはそのまま歩いて部屋から離れて追ってきたCPの前に行く。

 

「なんのつもりだガープ」

「嗅ぎ回るのは止めろ。あの嬢ちゃんは悪人じゃない」

「それを決めるのはお前の仕事ではない。止めるならそれは越権行為だ。幾らお前でもただではすまんぞ」

「今の嬢ちゃんは見事に中立。善となるか悪となるか決めかねてる大事な状況じゃ。下手に横槍を入れれば悪に落ちかねん。もう一度いう・・・“()()()()()()()”」

 

ガープは全力でCPを威圧した。英雄ガープの気迫に冷や汗が止まらなくなるがCPは先程のガープの発言を思い出してかみついてくる。

 

「さっき、孫の嫁にするとか言っていたな?麦わらのルフィは今や世界的な犯罪者。そんな奴の嫁にするという発言がどれほど重いのかわかってるのか?」

「あぁ、あんなに確りした娘ならルフィを真人間に出来そうじゃからな!ブワッハッハッハッ!!」

 

大笑いをするガープにCPは付き合っていられなくなり、その場を去った。どうせウタウタの実の能力者か調べるだけで四六時中見張ってろと言われたわけではないし、ガープの相手はしたくなかった。

 

CPが去ってガープは見聞色の覇気で部屋の中を探ってみるとウタはゴードンと話をしていた。

 

「これ、バギーおじさんから貰ったの」

「お、おじさん?」

「うん、後でちゃんと説明するから!小さいけど海楼石で私の能力を封じてくれてるの」

「体は大丈夫なのかい?」

「ちょっと気を抜きすぎると力が抜けて倒れそうになるけどウタワールドに大勢入れてるよりは全然楽!!」

 

ウタの陽気な声が見聞色の覇気を通じてガープに聴こえてくる。ガープはそれを聴いて笑った。

 

「自分で危険な能力を抑えようとしてる良い娘が悪人なんぞになるかい・・・爪の垢を煎じてルフィに飲ませたいわ。全くあの大馬鹿者め、誰に似たんじゃか・・・そう言えばルフィといつ知り合ったか・・・は、まぁいいか!」

 

ルフィがあそこまでの自由人になったのはガープの影響があると誰もツッコむ者はいなかった。

 

 

 

〇〇〇

司令室ではジョナサンが自分の趣味である釣り道具の整備をしているとそこに妻で料理長のジェシカがカレーを持ってきていた。ただし、苦手な人参とピーマンとブロッコリーを具に入れていた。

 

「人参はともかく、カレーにピーマンとブロッコリーはないだろ」

「アタシの献立にケチをつける気かい?」

「いや、そういうわけじゃ・・・」

 

睨むジェシカにジョナサンは苦笑いをして泣きそうになりながらも嫌いな野菜の入ったカレーを食べ始めた。するとガープがノシノシと入ってきた。

 

「おぉ、今日はカレーか!ワシの分もあるか!?」

「勿論あるよ!」

 

ジェシカからよそってもらいガープはガツガツとカレーを食べていた。よくもまぁ、歳なのにそれだけ食べれると人間離れしたガープにジョナサンは呆れているとガープが一杯をペロリと平らげておかわりを貰っていた。

ジョナサンは苦手な野菜を頑張って食べていた。

 

「そう言えばジョナサン」

「なんですか?」

「なんで嬢ちゃんを庇おうと?サカズキがうるさいじゃろうて」

「・・・あんな綺麗なお嬢さんを守れない海兵にはなりたくなくてと言えばいいですかな?」

 

腹の中が読めないジョナサンの言葉にガープは不機嫌そうにバリバリと煎餅を食べ始めてジョナサンもカレーをさっさと食べようと視線を戻すと大量のブロッコリーとピーマンが乗せられていた。

 

「キザな言葉はこれを食べてから言うんだね」

 

ジェシカの言葉にジョナサンは頑張ってブロッコリーを食べるが色々と複雑な味を感じた。







ナバロン編は前後編のつもりですので次回で終わらせるつもりです。
というかウタが海楼石を持ってるのに全くそれを苦にしてないのが強すぎる。


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Navy

これでナバロン編は完結です。
次回はW7編です。
これはアラバスタと同じでライブ目的なので少し長く行きます。

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。


ジョナサンの朝は早い。

元々、野生児のようなガープに新兵時代から目をつけられてというか可愛がられて強くなったし、動じなくなった。そして釣りが趣味なのも野生児のガープに振り回され続けてせいで落ち着いて楽しめる物をやりたくなったからと云うのが本音だった。

そんなジョナサンは今日も釣りをしていると歌声が聴こえてきた。柔らかくて暖かい歌声で心地よく、朝霧のナバロンだと幻想的にも思えた。

朝霧が晴れて見えてきたのは朝から岩場で歌うウタだった。

 

『あの子の歌は天使の歌声なんです!』

 

ゴードンが泣きながら捜索を頼んだ時に言った事をジョナサンは思い出していた。

 

「なるほど確かに天使の歌声だ」

 

ジョナサンはそう呟くと歌い終わったウタはジョナサンに気づいて手を振った。

 

「おはようございます!」

「あぁ、おはよう。昨日はよく眠れたかな?」

「はい・・・ジョナサン中将は釣りですか?」

「まぁね。ボウズだけど」

 

一匹も釣れなかった事を自虐するジョナサン。するとカンカンと鐘が鳴った。

 

「これなんですか?」

「起床の時間の合図だね」

「へぇ~」

 

海賊の生活は遭難時に経験していたが海軍の生活は知らないのでウタは新鮮な気持ちで鐘の音を聴いていた。

 

「もし良かったら、今日一日見学するかい?」

「え?良いんですか?」

「勿論だよ、私が案内をしてあげよう」

「あ、ありがとうございます!!」

 

頭を下げてお礼を言うウタ。ジョナサンはニッコリと微笑んだ。

 

 

〇〇〇

ゴードンは遭難から無事に帰ってきたウタを見てビックリした。エレジアを出た時はどこか危うさを残していたが今は一回りも二回りも成長していた。

やれ、サルベージを手伝ったとか海賊から金塊を取り戻したとか七武海のバギーと4日間無人島に居たとかよく無事に戻ってきたと感動して泣いた。

 

そして今日は久しぶりに一緒に音楽の事でもやろうか聴いたらジョナサン中将直々にナバロンを案内してくれるとの事で喜んでいた。その姿は昔、エレジアに来た当時の彼女の姿を見ているようでゴードンは大号泣していた。

 

こうして、今日1日暇になったゴードンは何時もだと誂えるジョナサンに逃げられて暇になったガープと一緒にチェスを指していた。

 

「チェックメイトです」

「あぁ!?ちょっと待ってくれ!」

「待ったはもう無しです」

 

そしてガープがかれこれ20回目の待ったをかけて一局を長引かせていた。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタは麦わらマークの手袋の中に海楼石を忍ばせてるので幾ら歌ってもウタワールドが開かないので上機嫌で鼻歌を歌いながらジョナサンに付いて行く。

ジョナサンは更に後から監視しているCPを警戒していた。

 

(CPはまだ調査中か・・・)

 

まだ、ウタに疑いの目を向けるCP。ガープも気に入ってるし、罪を犯してない一般人に対して不義理は通したくないジョナサンはCPからウタを守るために護衛も兼ねていた。

 

(ウタにはジョナサン中将、ゴードンには英雄ガープ。下手に踏み込めないが昨日と今日を合わせて既に何十回と歌いながらもウタワールドに入った者は確認できず。身体検査や持ち物を調べようにも中将の妨害で出来ないとなると俺に出来るのはここまで。後は上の機関に頼むほかないな)

 

CPの男はそう判断すると報告書の作成の為に去った。

ジョナサンは去っていくCPを一目見るとさっさと施設の案内に戻った。

 

 

 

〇〇〇

「ここが海兵たちの食堂だ」

「うわぁ〜、広い!」

 

ジョナサンが案内したのは海兵達の食堂で妻のジェシカの主戦場であり、ナバロンの裏のボスの巣窟だった。

既に朝御飯を食べてる大勢の海兵がいた。ウタやゴードンは食べる時間が決まってる海兵と一緒だと気が重くなるかも知れないので別の部屋で食べてるが大勢の海兵達が急いで食べて休んでるのは壮観だった。

 

「ここの管轄は総料理長であるジェシカが仕切ってる」

「会ってみたい!」

「今は忙しいからなぁ・・・」

 

苦笑いをしながら言うジョナサン。

 

「誰が忙しいって?」

 

しかし、後から聴こえてきた声に顔を固めた。ギギギっと音がなりそうなほどぎこちなく振り向くとそこにはフライパンを持ったジェシカがいた。

 

「やぁ、ジェシカ・・・どうしてここに?」

「こうやって若い娘と一緒に食堂に来れば逃げられるとでも思ったのかい?朝飯は勘弁してやるが昼飯は覚えときなよ・・・」

 

ジェシカはそう言うと厨房へ戻っていった。ジョナサンは暗い顔で打ちひしがれていた。

 

「どうしたの?」

「・・・最近、歳だからって野菜が多くてね。昼飯はきっと野菜地獄だ・・・」

 

落ち込むジョナサンにウタは何も言えず、食堂を出た。そしてそのまま修理ドックや医療室、資料室などを回り、昼になったのでウタとジョナサンは折角だから一緒に食べることになった。

司令室でジェシカが料理を持ってきてくれてウタは海鮮チャーハンだったが、ジョナサンは野菜炒めに米に生サラダと本当に野菜地獄だった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ジョナサンが1時間くらいかけてなんとか野菜地獄を食べ終わるとウタはまた案内をしてもらった。ナバロンは広い海軍基地。鉄橋だったり、居住区だったり、海軍に所属しているが海兵ではなかったりと様々な人がいた。クリケット達やバギー達よりも遥かに多い人達。本の知識ではない実際にみる海軍の生活は少し海賊に比べて窮屈そうだったが暖かい印象を受けた。

そんな中で2人はある場所に入った。

そこは一年前にルフィ達が暴れて壊れた牢屋だった。色々と直されているがまだ壊れている場所もあり、少し今までとは異質だった。

 

「ここなら良いかな?少しだけ聴きたいことがあるのだけど質問していいかな?」

「何?」

「君は麦わらのルフィと何処で知り合ったのかな?」

 

ジョナサンの質問はウタにとって予想してない物だった。咄嗟に歌ってウタワールドに飛ばそうか考えていたが手袋に入れてある海楼石で出来なかった。

 

「下手な事は止めなさい。海楼石を持って自分の能力を抑えてるのは知ってる」

「ば、バレてたの?」

「私とガープ先輩は分かってたよ。別に取って捕まえるつもりもあまりない。だが麦わらのルフィは今では4億の賞金首。その知り合いと云うなら多少は話を聞かないといけないからね」

 

あっけらかんに言うジョナサン。常に笑ってるガープとは違う意味で感情が読めず、人生経験の浅いウタには真意が全くわからないので不気味に見えた。

 

「もう一度聞く、麦わらのルフィと何処であった?」

 

ジョナサンの質問にウタは正直に話すことにした。

 

「ルフィとは・・・子供の時に・・・会って友達に・・・」

「では、今の麦わらは知らないんだな?」

 

ジョナサンの問いにウタは首を縦に振った。するとニッコリと笑って歩き始めた。突然の事にウタは困惑したがジョナサンはなんてことない雰囲気だった。

 

「それなら別に良い」

「えっ?いいの?」

「この世界で海賊と知り合いなんてザラにいるからね。一々そんなんで捕まえていたら牢屋が幾つあっても足りないし、ましてや子供の時なんてもう関係ない」

「海軍がそれで良いの?」

「海軍の目的は平和維持。過激な上司の下に着いてるけど線引はしないと。何でもかんでもやってたらそりゃ権力を持ったただの“悪党”になってしまう。あくまでも私の思想は“正義”。悪ではない」

 

独特な人だとウタは思った。海軍と云うからにはザ・正義の人で悪党に繋がるものは全て潰すという印象を持っていたが飄々なジョナサンはそれらとは違っていた。

 

「ただ、あくまでも君が一般の有名人だからというのもある。下手にそれは言わないほうが良いし、予想以上に世間はそういった情報が拡がりやすい。注意した方が良いね」

「?」

「独り言」

 

ウタはジョナサンの真意が分からずに首を傾げたら、そう言われて2人はその場から外に出ると鐘の音が鳴っていた。

 

「あぁ、もうあの時間か・・・」

 

ジョナサンはそう呟くと胸に手を当てて黙祷し始めた。先程までの飄々としていた雰囲気ではなく重々しくウタは何をしているのか分からなかった。そして海軍の歌として有名な『海導』がナバロンに流れ始めた。

 

『海は見ている 世界の始まりも 海は知ってる 世界の終わりも』

 

荘厳な音楽で紡がれている曲。海賊と戦う海兵を称える為に作られた曲。

 

『だからいざなう 進むべき道へと だから導く 正しい世界へ』

 

ビンクスの酒が誰もが知ってる海賊の曲ならこれは誰もが知ってる海兵の曲で最後まで明るい雰囲気で終わるビンクスとは対照的で非常に重々しい。

 

『もしも自分が消えたとしても 全て知ってる海の導き 恐れてはいけない あなたがいるから』

 

ウタは自分がいつも歌ってる歌とは違う雰囲気の曲を確りと聴きながら、ジョナサンを見ると泣いているようにも見えた。

 

『怯えてはいけない 仲間も待つから 進まねばならない 蒼きその先へ』

 

歌が終わるとジョナサンも黙祷を止めた。ウタは思い切って何の黙祷だったのか聴いてみる前に答えられた。

 

「頂上戦争で死んだ仲間達へ全海軍基地がやっている事だ」

「ここの人も行ったの?」

「あぁ、私の他にも数十名が行った。私が推薦して私以外“全員死んだ”」

 

ジョナサンの言葉から後悔と苦しみが溢れていた。幾ら、経験してる事が足りないウタでも分かるほどに言葉が重かった。2人はそのままナバロンを歩いていってまた彼方此方を回った。

 

 

 

〇〇〇

夜になり、ウタは眠れなかった。

明日の朝には近くの島に送って貰ってそこからまた客船に乗り、海列車のある所まで行ってW7に向かうのだがウタには色々とありすぎた。

遭難で初めてあった自由を求める海賊、王下七武海、そして海軍やそこで生活している人達。どれもウタには良い人に見えた。何処でズレて争ってるのかウタは分からなかった。

 

「眠れないのかい?」

 

するともう眠っていたと思ったゴードンが話しかけて来たのでウタは体をゴードンの方に向けた。

 

「うん、色々とあって色々と知ってなんでこうなってるのか分からなくて私には皆が良い人なのに・・・」

「ウタは優しいな・・・」

「ねぇ、ゴードン。私、世界一の歌姫になったらライブをしたい」

「ライブ?」

「うん、世界中の色んな人を集めたい。海賊とか海軍とか王族とか革命軍とか一般人とか関係なく、色んな人達に歌を楽しんでほしい。ウタワールドじゃなくて現実で」

 

ウタの語ったことは無茶にも程があった。海賊と海軍程争い合ってる物が無いのに一緒にライブを楽しむなど不可能だと思った。おまけに王族の中には人を徹底的に見下す下賤な輩もいる上にそんな輩から世界の解放を謳っている革命軍も一緒になどありえない。しかし、ゴードンは否定しなかった。ウタワールドに頼らずに現実でそれを夢見ているウタは以前とは違ったからだ。知らないうちに成長していた彼女の夢にゴードンも掛けてみたくなった。

 

「きっと出来る。君の天使の歌声ならきっと出来る!」

「ゴードン・・・ありがとう」

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

また、濃い朝霧に包まれたナバロンの岩場にウタはいた。そして『海導』を歌った。曲として知っていたがそこまで歌った事がない歌なのでウタは下手だなと内心自虐しながらもナバロンを見た。

 

「いつか、この霧が晴れて澄み渡る景色が見れるように世界中の人を笑顔に出来る“新時代”を私の歌で作りたい」

 

バギーにあって大きすぎた夢だと自覚したがそれでも幼い頃からの夢だった。地に足が着いてない状態ではなくもっと色々と世界を知って実現したくなった。そこにはルフィもシャンクスもバギーもビビ達やクリケット達にガープ達。まだ見ぬ世界の人達と笑いたいという純粋な願いがあった。

 

「やるよ、私は・・・世界一の歌姫に絶対になる!!」

 

ウタはそうナバロンでまた誓った。












ウタがまた夢を願いましたが今までとは色々と違うので叶うかどうか分かりません。
『海導』は好きな歌なので出しました。ZもREDを見るまでは1番好きなワンピース映画だったので。

次からはW7編です。
あの麦わらヲタクとウタが再び出会うのでお楽しみに。


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WATER SEVEN

毎日投稿遂に敗れる・・・いや、疲れてしまってすみません。次は明日になるかもしれませんがなにとぞご容赦ください。

因みにウォーターセブン編でオリキャラを出します。あの鳥関係のキャラです。

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味は早々出てきません。




ウタは海列車に乗っていた。初めて乗る海列車は今までの船旅と違って速くそして自分以外の人も当然いる。

 

「はい、どうぞ」

「ありがとう!」

「次、僕も!」

「次は私!」

「俺もください」

「私も欲しいです!」

「ちゃんと全員に書くから安心して!」

 

有名人で配信やライブで顔が知られている上に2回の遭難で世間を騒がせる気があまり無かったのに騒がせてしまったウタは海列車の中でサインを求めてくるファンに笑顔で対応していた。

ファンの嬉しそうな顔を見てるとウタも元気になっていく。ウタウタの実に関係なく、漸く自分の歌に自信を取り戻してきたウタにとって力の源だった。

 

しかし、1人の子供は俯いていたのをウタは見た。気になって人をかき分けてその子の所に行くとその子と目があった。

 

「ウ、ウタ・・・」

「どうしたの?」

「えっと・・・ウ、ウタは“海賊”が好きになったの?」

 

その子の一言は車内の空気を一瞬で固まらせた。ウタの配信時での“海賊嫌い”は有名だった。歌の人気も勿論あるがその“海賊嫌い”というスタンスは大海賊時代に苦しむ人にとっては希望そのものだった。しかし、世経の新聞で書かれていた2回の遭難を助けてくれたのは海賊で2回目は王下七武海こと千両道化のバギー。極悪で通っている海賊だった。良くも悪くも世間やファンに与えた衝撃は大きかった。

 

その子の言葉にウタは真剣に考えた。

クリケット達やバギーは好きだった。明るくて優しくて尊敬の念を抱くほどに自由でカッコいい。けどブラックなどの海賊は依然として大嫌いだった。ウタはそれをありのままに伝える。

 

「ううん、好きじゃないよ。けど、自由になりたくて海賊になった人もいることを知ったの・・・今は色々と勉強中かな?」

「ぼ、僕はウタが海賊になるのは嫌!」

 

その子の言葉にウタは衝撃を受けた。自分は海賊に戻る気は更々ない。今まで嫌っていたと云う部分もあるが歌を届ける約束がある。海賊に戻るよりもそっちの方を優先してるが自分と他人で見てる物が違うのを改めて知ってウタはその子の手を取って笑顔を向けた。

 

「私は海賊にはならないよ」

「ほ、本当?」

「うん、私は歌姫になりたいんだ。海賊じゃなくてね。だから海賊にはならないよ」

「ウ、ウタ・・・その変な事を言ってゴメン!!応援してるよ!!」

「ありがとう!!」

 

ウタはその子にサインをしてあげるとまた色んな人にサインや握手をしてあげていた。暫くすると流石に疲れてきたのでウタは1回離れると言って海列車の最後尾の車両の扉を開けて外を眺めてゆっくりしているとゴードンがやってきた。

 

「大丈夫かい?」

「ん、何が?」

「海賊にならないと言った事だよ。シャンクスや麦わらのルフィ君に会いたいと言っていたじゃないか」

「うん、それは絶対に叶えるし、バギーおじさんにちゃんとこれを返すのも忘れない!」

 

ウタはそう云うと腕に付けてるトレジャーマークを撫でた。2つのガラス玉が波に反射した光を更に反射して輝いていた。

 

「海賊を少しは見てきた。好きな人達も出来たけどなる気はないよ。私は歌姫として歌声を皆に届けたいんだ。シャンクスやルフィだけじゃなくてナバロンの皆やファンの皆にね。だから海賊になる必要も無いし、なる気もない」

 

力強く言ったウタにゴードンは複雑な気持ちだった。トットムジカのせいで本来ならば分かれる必要のなかったウタとシャンクスが引き裂かれてしまった。ゴードンとしてはまたシャンクスの船で楽しく歌って旅しているウタに戻ってほしいがウタにはもうその気はなかった。

全て自分が台無しにしたとゴードンは暗い顔をしたがウタが笑顔を向けた。

 

「そんな顔しないでシャンクスにはシャンクスの、ルフィにはルフィの冒険があるんだ。私にだって私の旅がある。11年も遅れたけど私の夢の為にも、私は自分の道を行きたい」

 

ウタはそう云うと体を伸ばして中に戻っていった。ゴードンは遭難時にウタが経験したことを聞いていたがそれらはウタにとって凄く良い経験だったのだろう。誰かのためではなく、自分の夢の為に進んでるウタ。身勝手でも浮足が立ってるわけでもなく地に足をつけて進んでいて逞しくなっていた。

 

「シャンクス・・・君の娘は私達の想像以上に良い経験をしてきたようだ」

 

ゴードンはこの場にいない父親であるシャンクスにそう言うと車内に戻っていった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウォーターセブンはアクアラグナと地盤沈下の問題に悩まされている町であるがその姿は美しい。島の全域に張り巡らされた水路の中心には巨大な噴水がある。中心街は高いところにあるがゴア王国のような身分によって分けるのではなくあくまでもアクアラグナに対する避難の為に高くなってる。

 

海列車を降りたウタはその美しさに魅了されていた。

 

(こんな綺麗な島でライブが出来るなんて最高!)

 

ウタとゴードンは駅から歩いて暫くすると町の入口に貸しブル屋があったのでゴードンは入っていき、ウタもそれに付いて行く。店の中には泳いでる海洋生物のブルがいてウタは初めて見る動物に近づいていった。

 

「やぁ、いらっしゃい!ブルをお求めに?」

「あぁ、一体借りたい」

「お好きなのを・・・」

 

ゴードンがブルを借りようと店長に言い、店長も貸そうとブル達のプールを見たら、一匹のブルがウタに懐いていた。それはかつてルフィの顔を舐めたブルだった。恐らくウタの雰囲気にルフィと似たのを感じたのだろう。

 

「気に入られたようだな」

「ではあの子でお願いするよ」

 

ブルの背中にゴンドラを乗せて乗り込んだ。ウタはそこまで大きくないが一般的には巨漢の部類のゴードン+荷物を持っても全然平気なブルにウタははしゃいでいた。

 

「すごいね!!暫くの間よろしく!!」

「ニーッ!!」

「では、まずは中心街に行こう」

 

ゴードンが手綱を引いてブルは中心街を目指していく。ブルは慣れているのか速いがスマートに水門エレベーターまでスイスイと行って中心街まで登っていく。

 

「大掛かりな仕掛けだね」

「ここは水の街だからな」

 

水門エレベーターで上がって中心街を見ると活気に溢れていた。陸が多いが水路を中心に作られている町。それは陸地だったアラバスタやジャヤとは違った世界だった。ブルに乗って進んでいき、この町の市長であるアイスバーグが経営しているガレーラカンパニーに近い所までブルで来てそこから歩いて本社まで行った。

 

「市長のアイスバーグさんは只今3日後のライブ会場のプールの方にいます。呼んできますね」

 

社員の船大工はそう言って電伝虫で連絡していた。ウタとゴードンはその間、暇になったのでウタは気分転換に鼻歌を歌い始めた。

海楼石のおかげでウタワールドへ行かなくても良いのでウタもゴードンも自由に歌っていた。

 

「んまー、凄く良い歌声じゃねぇか。遅れて申し訳ない。市長のアイスバーグだ」

「アイスバーグさん、今回は呼んでくださりありがとうございます」

「んまー、こっちも昨年に派手な催しをやって住民がそういった事に飢えていてな。来てくれるのは嬉しい」

 

アイスバーグはゴードンと握手をして予定を話し合った。ライブは3日後でそれまでは自由にしてくれていいとのことで、ウタは観光する気満々だった。アラバスタを出てからと言うもの観光なにそれ?と言わんばかりに冒険と波乱万丈が似合う事をやっていたが偶にはこういう事もやりたいのだった。

治安が良い町という事もあってウタは1人で観光しに行った。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

世経の本社でモルガンズは頭を悩ましていた。ウタがウォーターセブンでライブをやるので直ぐにでも飛んで行きたかったがどんなに頑張っても今の本社の位置からだと1週間は最低でも掛かるので遠くていけない。ウォーターセブンにある支部にいる記者に任せたいがアラバスタでの情けない取材のせいでまた似たような物だと世経のプライドに関わるので悩んでいた。だがどんなに悩んでも自分ではもう無理なので任せるしかない。

 

『いいか、絶対にビックニュースを取ってこい!どんな手を使おうが人の人生を台無しにしようが関係ない!!ニュースニュースニュースニュースニュース!!!この上ないビックニュースを手に入れろ!!命令だ!!』

「わ、分かりました・・・」

 

モルガンズに言われて世経のウォーターセブン支部の記者である【トルオ・スクープ】は冷や汗をかきながらカメラを整備しつつもエレジアについてのメモを持ちながらも町に出た。

 

 

 

〇〇〇

「甘〜い、美味しい!!」

 

ウタは観光を楽しんでいた。水水飴を買って舐めて食べ歩きをしてあちこち見ていた。服にアクセサリーにそして町の名物料理。新鮮だったが水に埋もれた町がチラチラと歩いていたら見えてどこの場所にもそれぞれの問題があるんだと思いつつも楽しんでいた。トトおじさんの時みたいに解決案か復興案が出てるのかわからないのでウタは後でアイスバーグに聴こうと決めた。

 

「次はどこに行こうかな!プールも良いけど浮き輪がないと泳げないしなぁ」

 

行く場所に悩みながらウタは角を曲がると人にぶつかって倒れた。

 

「いったぁ〜、あっ、ごめんなさ・・・」

「ったく、前をよく見て歩け・・・」

 

ウタはぶつかった人に謝ろうとしたが止めた。なぜならそいつはバルトロメオだったからだ。

 

「あぁ〜!!アンタはあの時の鶏!!」

「お前はオラの邪魔したクソ女!!」

 

「「なんでここに!?」」

 

アラバスタでステージを巡って対立した2人が意図せずまた出会ってしまった。しかも思いっきり相手を罵倒していた。

 

「またオラの邪魔をする気か!?」

「こっちのセリフよ、また私のステージに手を出す気!?」

 

睨み合う2人。バチバチと云う音が聴こえてくるほど敵対心を剥き出しにしていた。

 

「オラの聖地巡礼を二度と邪魔させねぇべ!!オラはあのお方に追いつくんだ!!」

「あのお方って一体誰よ!?」

「あぁ!?麦わらのルフィ大先輩に決まってんだべ!!」

「・・・・は!?」

 

バルトロメオの言葉にウタは一瞬だけ固まったがすぐに復活してルフィの事を聞いた。

 

「あんた、ルフィと知り合いなの!?」

「口を慎むべ!!麦わらのルフィ大明神先輩と言うべ!!オラはローグタウンであの千両道化のバギーに危うく処刑されそうになった時に天がルフィ大明神先輩を助けたのをこの目で見て!!海に出て、お近づきになるために来たんだべ!!」

 

(ルフィにバギーおじさん。何やってるの!?)

 

色々とツッコむ所が出てきたがルフィとバギーのせいでこんな迷惑極まりないアホが生まれたなら溜まったもんじゃないとウタは2人にキレそうになった。

 

「オラは世界で1番、ルフィ先輩や麦わらの一味を知ってる者だべ!!」

「あぁ!?」

 

調子に乗ってるバルトロメオの言葉にウタはカチンとなった。確かにウタは今のルフィを知らない。しかし、昔のルフィを知っているウタは少なくともアラバスタでのバルトロメオがやった行為にルフィはキレると本気で思っていた。そんな迷惑な奴がルフィの理解者面してるのが凄く気に入らなかった。

 

「ルフィは絶対にアンタなんか嫌いだと思うよ」

「・・・何だと?お前、本気で殴られたいだべか?」

「アンタにルフィの理解者面してほしくないだけ」

「一体、お前はルフィ先輩の何だべか!?追っかけか!?ストーカーか!?」

「・・・私はルフィの幼馴染だ!!」

 

大声で堂々と云うウタ。バルトロメオはその言葉にビックリしていた。

そして、町に出てビックニュースを手に入れようとしていた世経の記者のトルオは偶然にもそれを離れた場所から聴いてしまった。

 

「ビックニュース・・・ビックニュースだ!!歌姫のウタと麦わらのルフィが幼馴染だなんて先日の赤髪と千両道化以上のビックニュースだ!!」

 

トルオの叫びが喧騒なウォーターセブンの中心街に消えていった。










というわけでウォーターセブン編、開幕です!!
久しぶりのウタのライブは成功するのか!そしてやっぱり現れたバルトロメオ。ウォーターセブン編はこの2人が繰り出す大騒動をメインでやります。

今作初のオリキャラの【トルオ・スクープ】。
モルガンズの世経の支部の記者で名前負けしてますがウタの衝撃発言にびっくりしてます。

さぁ、ウタとバルトロメオはどうなるか、このビックニュースは世間にバレるのか、次回もお楽しみに!!


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Bartolomeo

明日になるかと思ってゆっくり書いてましたが意外に速く書き終わったので載せます。
いや、本当に過去一の評価のお陰で筆が進みます。皆様本当にありがとうございます!!

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。


トルオはとんでもないスクープを手に入れた。まさか海賊嫌いで有名なウタが、海賊に助けられただけでも驚きなのにそこからさらにあの麦わらのルフィと幼馴染。しかも会話を聴いてる限り、親しい関係・・・これはビックニュースだと記者の勘が言っていた。

 

「いや待て、落ち着け・・・まだ確証はない。相手は世界で人気が上がってる歌姫だ。変に騒ぐとこっちも被害が及ぶ、決定的だと判断出来るまで待って追おう!」

 

トルオは慌てずにそう判断して情報をより精査する為にウタの跡を追う事を決めた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

バルトロメオは驚愕していた。

突然、目の前に現れたのはアラバスタで自分の邪魔をしてきた歌姫のウタ。折角の聖地でルフィと同じ行動が出来るはずだったのにわけのわからない事を言って邪魔しにきた奴というのがバルトロメオの印象だった。

そしてそのお邪魔虫がルフィの幼馴染だと宣言した事に付いてバルトロメオは頭を回転させた。

 

(えぇぇぇぇぇーーー!?いやまて!!嘘の可能性の方が高いべ!!オラは確かにローグタウン以降のルフィ先輩の事を記事で追っ掛けて取材でも追っ掛けてを繰り返してるがそったら話は聞いたことがねぇ!!つまりこれは・・・・・嘘!!)

 

バルトロメオはウタの言葉を嘘と判断して鼻で笑った。ウタがルフィの幼馴染であるという証拠がないからだ。

 

「嘘つけ!そったら話は聞いたことがないべ!!」

「本当よ!!今のルフィは・・・わかんないけど・・・」

「そんなもん言ったもん勝ちでねぇか!!だったらオラだって幼馴染になりてぇべ!!」

「アンタが一体フーシャ村の何処にいたのよ!!マキノさんの店!?村長の家!?それとも魚屋!?果物屋!?」

 

売り言葉に買い言葉。ウタとバルトロメオはより険悪な雰囲気になっていった。バルトロメオはウタの言っていた店に心当たりがあった。グランドラインに行く前にバルトロメオは少しでも情報を得るためにバラティエだったり、ココヤシ村だったり、シロップ村には行った。世経でも載っていたからだ。当然フーシャ村も載っていた。唯一分からなかったのが方向音痴過ぎるゾロくらいだがそれ以外の島には行った。

確かにフーシャ村には村長がいて魚屋も果物屋もある。しかし、これらはどこの村にでも基本的にあるもので別にフーシャ村限定の物ではない。唯一マキノさんの店だけは確かにフーシャ村限定だがバルトロメオは店主であるマキノの名前を知らず、ルフィの子供時代を話してくれる気のいいお姉さんとしか認識してなかった。

 

「じゃ、ルフィ先輩が近海の主を倒した方法は何だべか!?」

「え!?ルフィ、近海の主を倒したの!?あんだけ怯えて逃げたのに!!?」

 

バルトロメオからの質問にウタはビックリした。昔やったボートレースで岩が近海の主の背中で一緒に必死に逃げたのを思い出し、本当に強くなったんだと感慨深くなったがバルトロメオからすれば世経というよりもモルガンズから発せられるルフィの世間的なイメージは『恐れ知らず、前代未聞、常に明るい極悪党』だったし、バルトロメオもそういったイメージを持っていた。

 

なのでそんなルフィが怯えるという状況そのものが想像も理解も出来なかった。

 

「嘘つけ!!ルフィ先輩がビビるか!!拳一発で沈めただぞ!!」

「パンチであれを沈めたの!?ルフィ凄い!!」

 

純粋にルフィの事を褒めるウタ。バルトロメオは自分の事ではないが嬉しさを感じ始めるが依然としてウタの幼馴染発言は嘘だと思っていた。

 

「ねぇねぇ、他には!?」

「他には・・・えっとモーガン大佐っていう悪徳海軍の大佐をブチのしめてロロノア・ゾロ先輩を仲間にして、当時は小物だったバギーを倒して・・・」

「バギーおじさんを倒したの!?ルフィやるじゃん!!」

 

ウタワールドの中ではバギーに無双したがウタワールドから出た後ではバギーには色々とやられていたウタ。まぁ、結果として助けてくれたから良い思い出なのたがそんなウタからすれば強い海賊のバギーを倒したルフィは凄いと思った。

 

「あぁ!!?」

 

だが、()()()()()()()という言葉にバルトロメオの琴線が引っかかった。バルトロメオからすればバギーなんて弱くて卑怯で不意打ち上等な薄汚い海賊。おまけに処刑を失敗したアホというイメージでそんなバギーに()()()()と親しくしてるウタに腹が立った。

 

()()()()だと!?あの薄汚いやつがルフィ先輩を危うく処刑しかけたってのにそんな事を言うだべか・・・もう許さん!!」

「薄汚いって!!?おじさんの格好良さを知らないくせに!!」

 

最初はルフィについて話し合いをしていた筈なのにいつの間にか話題はバギーになっていた。しかし、ここでキレると折角のルフィの事がわからなくなるとウタは我慢して続けさせた。

 

「で、他には?」

「後で絶対にぶん殴るべ。シロップ村でゴーイングメリー号を手に入れて、バラティエに行ってその当時の副料理長の黒足のサンジ先輩を仲間にして、ココヤシ村で魚人のアーロンを倒して泥棒猫ナミ先輩を仲間にしてグランドラインに入ったんだべ」

 

ウソップについて丸々抜けていた。というのもキャプテン・クロは当時処刑されていた身であり、しかもあの戦い自体が一部にしかバレてないのでバルトロメオはメリー号を手に入れた事しか分からなかった。シロップ村のガキ達に色々と言われた事はあったがバルトロメオはそれを綺麗サッパリ忘れていた。

 

「へぇ、ルフィ色々やってんだ。他には!?」

「グランドラインでサクラ王国に行って綿あめ大好きチョッパー先輩を仲間にして、アラバスタに行き()()()当時は七武海だったクロコダイルを倒して悪魔の子ニコ・ロビン先輩を仲間に!!後で一億ベリーに上がっていたから多分間違いないべ!!」

「アラバスタにも行ってたの!?」

 

ライブで初めて訪れた国であるアラバスタ。そしてウタはビビから言われた事を思い出して色々と噛み合っていた。

 

(まさか、ビビが乗ってた海賊船ってルフィの船!?・・・今度、聞いてみよっと!!)

 

ウタはビビに今度あったら色々と聴こうと決めつつもこの眼の前のオタクが知らないであろう情報が手に入ったことに優越感を覚えた。

 

「何だべ、そのニヤケ顔・・・ムカつくべ」

「べっつに〜、他には?」

「後はジャヤに寄ったのは分かってんだどもこっからはウォーターセブンまでどういう道程だったのか分からねぇべ」

「へぇ、ジャヤにも寄ってたんだ」

 

ウタはその部分にクリケット達の事を思い出すが(ロマン)を求めてる海賊だとバギーとかもいるので別の海賊だろうと思った。

 

(おじさん達の所にわざわざ行く理由無いもんなぁ〜)

 

そもそも北東の辺境にあるクリケット達の所に止まる理由も無いからだ。記録指針を持ってたら気づいたかも知れないがバルトロメオらは航海士が居ないので記録指針の故障と判断、ウタはそもそもただの遭難と2人とも空島への行く情報がなかった。

 

「そして、エニエスロビーで狙撃の王様そげキング先輩を仲間にして政府に捕まったロビン先輩を奪還したんだべ!!」

「ルフィ、結構凄い冒険してるんだなぁ」

 

ロングロングアイランドや空島について丸々抜けていたがそれでもウタからすれば大冒険だった。

 

「どうだべか!?ルフィ先輩の偉業は!!」

「うん、超凄い!!あの負け惜しみばっかりのルフィとは思えない!!」

「また悪口を言ったなぁ〜!!!」

 

ウタからすれば幼少期のルフィを言ってるだけなのだがバルトロメオからすればただの悪口だった。本気でナイフを構えるバルトロメオ。ウタは手袋の中に潜めていた海楼石を取るかどうか迷い始める。睨み合う両者だが、バルトロメオの懐から小さい額縁が落ちた。

 

「あ~!!ルフィ先輩の写真がぁ!!」

 

バルトロメオはナイフを捨ててすぐに写真を拾って汚れを拭き始めた。見るからに大事にしているルフィの写真というのはウタにとっても興味があり、覗きに行くと額縁に入っていたのはルフィの「16点鐘」での写真だった。ウタもその写真を見た時は痛々しさを感じて顔が青くなったが今では少しだけマシになった。

そして写真に写ってるルフィの右腕に書かれてる文字が気になった。

 

(何このタトゥー?ルフィは基本的にダサいし、デザインの発想が貧困だからこういうのは興味ない筈・・・なにこれ?)

 

ルフィの右腕に書かれた文字を見てウタは奇妙な感覚を感じたが答えは出せなかった。

 

「おい、お前・・・オラは写真を綺麗にしてぇから帰るが今度、ルフィ先輩の悪口を言ってみろ?その時は燃やしてやるべ」

 

容赦なく脅してくるバルトロメオ。粗野な海賊の言い方がウタの“海賊嫌い”の逆鱗に触れてウタはブラックと同じように金的を食らわせた。

 

「だべ〜〜!!!」

「アンタみたいな奴がルフィを語るな!!」

 

ウタはそれをやると気が済んだのかウタはさっさとその場から去っていった。バルトロメオは暫くすると立ち上がって追いかけたが見つけられなかった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはその後、アイスバーグに案内されて中心街にある黄色いコテージでゴードンと一緒にゆっくりしていた。

 

「あ~、今日は疲れた〜」

「大丈夫かい?」

「うん、平気!けど、今日はもうこれは外しておくね」

 

ウタはそう言って手袋を外した。中には海楼石が入っているというか下手に落とさないように縫い付けてあった。体が楽になるとウタは当日のライブの打ち合わせをゴードンと始めた。

どの曲をやるのか、どれから始まるのか、ウタウタの実の効果が抑えられてる事でやれる選択肢も多くなり、2人は色々な案を出していた。

 

「ねぇ、ライブ会場って確かプールだったよね?」

「そうだが、派手な仕掛けは出来ないと思うが」

「そうだよねぇ。私も歌を聴かせたいしなぁ」

 

2人はどうやろうか悩んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「あ~、今日は酷い目にあったべ〜」

「船長、またウタにあったんだって?」

「羨ましいなぁ」

 

昔のギャング仲間だった頃からの仲間が甲板でトランプをしながら言ってきた。面倒くさい以外の記憶がないのでバルトロメオとしては不本意そのものだった。

 

「そういえば船長。明日のブルレースはどうする?」

「何だべそれ?」

「ブルで中心街をレースするんだってよぉ」

 

ブルの凄さは2日前に来ていたバルトロメオ達も分かっていた。そんなブルがレースをするのは面白そうと思った。

 

「面白そうじゃねぇか。ルフィ先輩の聖地巡礼に加えてそったら面白そうな事を放って置けるか!!オラも出るぞ!!」

「よっしゃー!!」

「流石は船長!!」

 

バルトロメオは仲間にそう宣言して明日のブルレースに出る気満々だった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

トルオは黙って今日は偶々遭遇して録音していたウタとバルトロメオの会話を文字起こししていた。

 

「歌姫のウタが麦わらのルフィの幼馴染。しかもバルトロメオの所業に怒る所を聞くにかなり親しい友人関係。スキャンダルはいつの世も人気だ・・・しかし、この状態で出しても価値は薄い。スキャンダルに必要なのは圧倒的なリアリティ。これはまだ子供の思いつきのような話だ。もっと精度を上げれば凄いのが来る!!」

 

トルオはそう笑いながら、2人の会話を聞いて必死にどこかに新しい情報がないか探し始めた。

あまりにも興奮して自らの悪魔の実の“能力”も表面化してきたがそんなのは関係なくこのビックニュースに集中していた。







というわけでウタがバルトロメオ経由でルフィらの事を知るも色々と抜けてる部分があるという状態に。
ウソップの事は大好きなキャラです。ただあの戦いって一般には知られてない戦いだし、手配書はそげキングだしでメリー以外は実はあまり知られてないのではと思いやりました。

たぶん、この2人がドレスローザとかで会ってウソップと会話したら東の海出身って事にビックリするかもwww

そして前回でも登場したトルオ・スクープは能力者です。何の能力者かはお楽しみに。
ウォーターセブン編はウタ&バルトロメオVSゴシップ記者のノリで行きます!!

それでは次回もお楽しみに


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Race

皆様、遅れて申し訳ございませんでした。
それではどうぞ!!

次回は体調管理も兼ねて明日に出します。

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。



ウタはあくびをしながら、起きた。

船旅でも列車でもない、コテージのベットの上で眠ってバキバキになった体をゆっくりと解していた。

 

「う~ん、良く寝たぁ!」

 

起き上がってウタは着替えて下に降りていく。ジーパンに半袖に青の麦わらマーク手袋がウタの普段着だ。ライブの時は可愛さ優先でミニスカとかも履くし、抵抗は無いが普段はこれだ。しかも遭難を2回も経験したのでより普段は動きやすさ優先になっていた。

 

「おはよう」

「おはようウタ。よく眠れたかい?」

「うん・・・」

「朝食はもう出来てるよ」

「え!?今日は私が当番の日なのに?」

「なに、構わないよ。早く食べよう」

 

朝食を食べる2人。食べ終わって皿を片付けて互いに今日はどうするか話し合っていた。

 

「今日はどうする?」

「私はまだまだ遊び足りないからもっと見て回りたいなぁ。ゴードンは?」

「私も今日は色々と回っていこうと思うよ。折角の水の町だからね」

 

2人はそれぞれ趣味とかが違うのでバラバラで観光する事だけ話し合うとウタは新聞を読み始めた。特に何気ない記事が多いが1つウタの目を引いたのが『“四皇”赤髪と“王下七武海”千両道化の接触』と言う記事だった。

 

(シャンクスとおじさんは何をやってるの!?)

 

モルガンズの嘘八百によって非常に不安を煽る内容に書き換えられている記事を読んで、ウタは不安になるもバギーの性格を知ってるのでそんな大事をやるとは思えなかった。

実際に自分の目で本人達を見てきたウタはそう思うともう不安は感じなかった。

 

 

 

 

〇〇〇

アイスバーグは副社長のパウリー、ザンバイと話し合っていた。

 

「つまり、この町に倉庫があるのか?」

「あぁ、間違いねぇアイスバーグさん。中心街にはねぇが外に行けば行くほど出回ってる」

「実際の工場は恐らく別の島だと思うが観光地で人の出入りが多いから取り締まりきれねぇってのが原因ですぜ」

「厄介だな。ワスレダケによる忘却薬・・・ネズキノコに負けないくらいの劇薬になりうるキノコから作られた不幸を完全に忘れ去る薬の倉庫がこの町に・・・」

 

アイスバーグはそこまで言うと拳を力強く握り締めた。師匠が愛して弟分も愛した町に最近出回っている忘れるための麻薬。そんなものは早く消し去りたかった。

 

「んまー、今は情報が欲しい。ザンバイ頼むぞ」

「任せてくれアイスバーグの兄貴!兄貴が愛したこの町を絶対に守るぜ!」

 

ザンバイはそう言うと部屋を出て情報を集めに行った。パウリーも自分の仕事に戻っていった。アイスバーグは1人部屋で2日後のライブの件の資料を見た後で、昼から始まるブルレースの準備を始めた。

 

 

 

〇〇〇

ウタはブルに乗って水水飴を舐めながらノンビリ町を見回っていると人だかりが見えてきたので気になってブルで近づいた。

 

「ねぇ、これって何かの催し?」

「ん?あぁ、これからブルレースが始まるんだ。中心街を沢山のブルが泳ぐレースだ」

「へぇ、面白そう!」

 

ブルから降りてレースの入口まで歩いていくと既に大勢の人だかりが出来ていてウタはそれを掻き分けながら見えやすい所まで行くと十何匹もいるブルとその上に乗った人が準備していた。

 

「お前!!?」

「あーー、鶏!!」

 

レースの準備をしていたバルトロメオがウタを見つけてまた出会った。

 

「何?これに出るの?」

「当たり前だべ、お前は出ねぇのか?」

「出るわけないでしょ。私は泳げないの」

 

バルトロメオからの質問にウタは答えると鼻で笑われた。それもものの見事に鼻で笑われた。一発で喧嘩を売ってきてると言うのはわかったがウタは自分は大人だと自分に言い聞かせるようにその場を去ろうとした。

 

「なんだべ、逃げるんだべか!?じゃ、オラがあの人の1番の理解者って事でいいんだべな!」

「はぁ!?」

 

しかし、バルトロメオのこの挑発にウタはカチンときた。別にルフィの理解者だと自惚れてる気は更々ないがこんな鶏が1番の理解者面をしてるのが心底気に入らなかった。

 

「上等よ・・・そこで待ってなさい、決着をつけてやる!!」

 

ウタは怒り心頭で出場登録をしてレンタルされてるブルに乗ってコースについた。バルトロメオは結構早い目に登録したから前にいたが、ウタは登録締め切り直前だったので後ろにいた。

 

『用意、スタート』

 

アイスバーグのやる気のあまりなさそうな声が合図でレースは始まった。中心街の水路をあちこち進んでいくレースで能力は使用禁止だった。

トップを突き進んでいたのはバルトロメオだった。

 

「とっとと行くべ!!もしも1位以外じゃなかったらお前を丸焼きにして食べてやるべ!!」

 

ブルを脅していた。

傍から見たら本当にただの悪党だった。

 

『ブルになんてことを!!』

『最低!!』

『腐れ外道!!』

『悪党!!』

『アホ鶏!!』

 

観客からブーイングが飛んでいくがバルトロメオは舌を出しておちょくっていた。

 

(あんなのに負けたくない!!)

 

ウタは最低な事をやってるバルトロメオに意地でも負けたくなかったがあまりにもレースの参加者が多くて前に進めなかった。純粋に勝ちたいのでウタは自分の乗ってるゴンドラを捨てた(反則行為です)。そしてブルの首に抱きついて絶対に外れないように長手袋を脱いで右手首に巻いて端を左手で持って息を大きく吸った。

ブルはそのまま水路を潜って下からドンドンと抜かしていく。

 

(き、キツイ!!)

 

ただでさえ、海楼石で力があまり出せないのに更に水の中と能力者であるウタにはキツかった。それでもあの鶏だけには負けたくなかった。

やがてある程度抜くとブルが水面に上がった。

 

「ブハッ・・ハァハァ・・・もう一回お願い!!」

「二ーっ!!」

 

ウタの声に反応してブルがもう一回潜った。ウタは今度こそ本気で気絶しそうになるが根性で堪えていた。レンタルされてるブルも流石に背中の上で死なれるのは勘弁なのですぐに前を抜きまくって水面に上がった。

 

「オラの勝ちだ・・・何ーっ!!?」

 

そして調子に乗っていたバルトロメオの前に飛び出た。

ゲホゲホと思いっきり息を吸ったウタはブルの背中に立って手綱を握ると後ろにいるバルトロメオに思いっきりあっかんべーをして挑発した。

するとバルトロメオもゴンドラを捨てて(反則行為です)、ブルの上に立った。ゴンドラ分が無くなって速くなり並び合う2人。目からは火花がバチバチと飛んでいた。

 

『おお、いいぞ!!』

『もっと行け!!』

『UTA、負けるな!!』

『鶏は負けろ!!』

『海賊に勝って!!』

 

観客はウタを応援していた。バルトロメオは煩わしくなり、ウタに対して殴ってきた(反則行為)。ウタはそれをなんとか避けた。

 

「何すんのよ!!」

「勝ちゃいいべ勝ちゃ!!」

「このバカ鶏!!」

 

また容赦なく殴りにくるバルトロメオだが、ウタはそれをなんとか防いで海楼石入りの長手袋をバルトロメオの手首に巻いた。

力が急速に抜けていくバルトロメオはブルの上で膝をついた。

 

「ち、力が・・・」

「どうよ!!」

 

手綱を離しそうになるバルトロメオだが、ぐるぐると巻いて離れなくさせた。

 

「うぉぉぉぉーー!オラはあの人の舎弟になる男!!こんな嘘つき女には負けねぇべ!!」

「あんたみたいな最低鶏をあいつの舎弟にさせてたまるか!!」

 

ルフィに対する感情が爆発してる2人はそのまま猛スピードで並んでいた。

 

 

 

〇〇〇

「いやぁ、ウォーターセブンのコーヒーは美味しいな」

 

ゴードンは悠々自適にカフェのテラスでコーヒーを飲んでいた。

 

「やばい、レースの奴らが来るぞ!!」

「濡れるぞ!!」

「え?」

 

他の人が一斉に店の中に入る中、ゴードンは見事に出遅れてブルレースの水しぶきの餌食となり、びしょ濡れになった。

 

「な、なんでこうなるんだ・・・」

 

1人、打ちひしがれているゴードン。

 

「おい、今の選手ってUTAじゃねぇか?」

「海賊のバルトロメオもいたぞ!!」

「あの2人がやったのか!?」

 

他の人の野次が大きくなっている中でもゴードンは凄く冷静に頭を回転させていた。

 

(ウタ・・・帰ったら()()と聞かせて貰うからね)

 

ゴードンはそう誓うと服を着替えるために店から出た。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタとバルトロメオのレースは佳境に入っていた。

2人ともそれほど負けたくないのか相手をゲシゲシと蹴って落とそうとしていた(反則行為です)。

 

「いい加減に諦めるべ!!」

「諦めない!!」

 

威勢の良いウタだったがバルトロメオに蹴られて遂に手綱を離してしまった。このままだと溺れて死ぬかもしれない。頭にそんな事がよぎったがそれよりも前にウタは見た。

 

満面の笑みで勝ち誇ってるバルトロメオの顔を確りと見た。

 

(負けてたまるか!!)

 

ウタはすぐに体を反転させて手綱を噛んでブルにしがみついた。

 

(すげぇ、根性だべ)

 

ウタの根性に唖然としているバルトロメオ。

やられたお返しと言わんばかりに長手袋をより締め付けて海楼石の効果を上げた。手綱を離しそうになるバルトロメオだがギリギリの所で足に絡ませてブルから落ちなかった。

 

(負けず嫌いさはルフィ並ね)

 

互いに手綱をキチンと持ってブルを全力で進ませる。

 

「「うぉぉぉぉぉぉー!!!」」

 

そして2人は同着でゴールのテープを切った。ブルは終わると徐々にスピードを落としてゆっくりとゴールにまで戻ってきた。ウタとバルトロメオは勝ったのがどっちなのか気になってアイスバーグの方を見ると呆れながら拡声電伝虫で言った

 

『両者、反則行為だらけなので共に失格』

「「嘘ーーー!??」」

 

アイスバーグの無慈悲な言葉に死ぬほど頑張った、というかマジで生死を彷徨ったのではないかと思えるほどに気合を入れて挑んでいた2人の絶叫が木霊した。

 

 

 

 

〇〇〇

2人はレースで失格になってしまい、悔しさのあまり中心街で1番綺麗に夕日が見れる場所で仲良く座っていた。

 

「まさか失格になるとはルフィ先輩に申し訳ねぇべ」

「失格・・・私が失格・・・悔しい」

 

意気消沈する2人。

軈て2人とも今日の頑張った証拠なのか一緒に腹の音がなった。

 

「腹が空いたべ」

「そろそろ夕飯だなぁ、帰ろっと」

 

ウタはそう言って立ち上がるとバルトロメオも立ち上がった。またなにか因縁をつけてくるかと思ったがバルトロメオは手を出してきた。

 

「なに?」 

「おめぇ、根性あるじゃねぇか。嘘つき女って言って悪かったべ」

 

バルトロメオの言葉にウタはキョトンとなったが手を取って握手を交わした。

 

「あんたの負けず嫌いはルフィ並だよ」

 

ウタはそう言うと少しだけバルトロメオがニヤケ面になり、2人は互いに大笑いを始めた。

 

「そう言えば、おめぇはルフィ先輩に会って何をするんだべか?」

「私?・・・私はルフィに言いたい事があるんだ」

「何だべ?」

「ヒミツ・・・って言いたいけど特別に教えてあげる。私はルフィに()()()って言うんだ。その後の事は考えてないけど兎に角今は会ってそう言いたい」

「オラもルフィ先輩にあってずっと大好きですって言いたいべ」

 

バルトロメオの言葉にウタはまた笑い、バルトロメオも笑って2人の仲に奇妙な友情が芽生えていた。

 

パシャ

 

そして2人の耳にシャッター音が聴こえた。

音の方を見るとトルオがカメラを構えて写真を撮って冷や汗を欠いていた。

 

「なんだべおめぇ?」

「わ、私はべ、別にす、()()とか()()()とか聴いてないので・・・さいなら!!」

 

トルオはそう言って走り去った。バルトロメオは首を傾げていたがウタの方は顔を()()()()()()

 

「お、おい。どうしたんだべ?」

「今のひょっとして・・・ルフィに対しての大好きが誤解されたんじゃ・・・」

「だべ?」

 

ウタの言葉が分からずにバルトロメオは困惑していると鬼気迫る表情で詰め寄られた。

 

「だから私が()()()()()()って感じに誤解されたかもしれないの!!」

「何ー!?」

 

ウタのとんでも発言にバルトロメオは頭を抱えた。

 

「絶対にスクープにさせない!!」

「勘弁してけろ、オラはこんなじゃじゃ馬娘は嫌だべ。どうせならロビン先輩のような優しいお姉様が好みだべ」

「アホな事を言ってないで行くよ!!」

 

ウタとバルトロメオは勘違いしたまま、トルオを追いかけ始めた。で、トルオの方はというと・・・

 

(あの歌姫のウタが麦わらのルフィに恋してる!!恋愛ネタは確証が無くても売れる!!このビックニュース、逃してなるものか!!)

 

ウタの心配をよそに誤解せずにその事を記事にしようと走っていた。

トルオの後を追いかけるウタとバルトロメオ。

夕暮れのウォーターセブンで()()()()()()()()()鬼ごっこが始まった。






というわけでウタとバルトロメオの仲が少し良くなった所でトルオとの追いかけっこwwww

はてさてトルオはこのスクープを世間に公表出来るのか・・・ウタとバルトロメオはそれを阻止出来るのか・・・次回もお楽しみに


ウォーターセブンが終わったら、シャボンディ諸島をやるつもりです。バーのママと副船長がアップを始めてますのでお楽しみに


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Ostrich

というわけで次回でウォーターセブン編のラストです。
ちょっとアラバスタとは違うので世界情勢の話と纏めます。

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。




トルオは全力で走っていた。

さっき手に入ったばかりの新鮮なネタ・・・世界中で話題の歌姫ウタの恋愛事情なんてそれだけで売れるのにその相手が死亡説の出てる4億の賞金首の麦わらのルフィなんて世間が驚くニュースに決まってる。

 

「待てぇ!!!」

「待てやごらぁ!!」

 

追いかけてくるウタとバルトロメオ。このネタが実に信憑性が高いのが分かるとトルオは結構余裕だった。

 

「バーリア!!」

 

バルトロメオがトルオを止めようとバリアを出現させて前を塞いでくるがトルオは変身して自らの能力を出した。それはダチョウだった。

トリトリの実 モデル“オストリッチ”。これがトルオが食べた悪魔の実の力だ。

獣型ではなく人獣型になり、脚や顔はダチョウのようになり、翼が腕に生えていた。

 

「なんだべ!?」

「悪魔の実!?」

 

驚く2人をよそにトルオは跳躍してバリアを飛び超えた。凄い跳躍であり、腕の翼を使って少し勢いを殺しながら着地してその脚で逃げていた。

水路だらけなウォーターセブンを諸友せずに水路をピョンピョンと飛び越えていくのでウタやバルトロメオは追いつけなかった。

 

流動防壁(バリアアビリティ) (ロード)!!」

 

バリアで道を作って水路の上を走っていくウタとバルトロメオ。だが全然追いつけなかった。

 

「速すぎるべ!!」

「このままだと、誤解が・・・それは嫌だ!!」

「オラだって嫌だべ!!」

 

トルオの速さに追いつけない2人。更にいうと土地勘も無いのでドンドン離されていった。

 

(ふ、私はこの足で数々のスクープをものにしてきた記者。逃げ足なら誰にも負けん!!)

 

ますます離してるトルオ。純粋な足では負けなしでどうあがいても追いつけなかった。

 

「待てぇぇぇ!!!」

「なっ!?」

 

するとウタとバルトロメオはバリアをスロープのようにして滑りながらトルオに近づいてきた。全力で裏道に逃げるがバリアを上手く操って追いかけていく。

 

「いい加減に止まって!!」

 

ウタはトルオに飛びついた。バランスを失って倒れそうになるがなんとか耐えてまだ走る。ウタは首を締めて止めに掛かるがまだ走っていた。

 

(絶対にウタが麦わらのルフィを好きだというスクープを拡めてやる!!)

(私の好きな人を誤解された状態で拡められたくない!!)

 

全く噛み合ってない2人の攻防。トルオは振りほどこうとしているがウタは離さなかった。そして軈て3人は中心街から落ちた。

 

「なぁー!!?」

「だべー!!?」

「嘘ー!!!?」

 

3人の絶叫が響き渡る。トルオはウタから逃げるためというよりも自らの安全の為にウタを振り解いて翼を拡げて少しだけ勢いを殺していた。

 

「バリアボール!!」

 

バルトロメオは瞬時にウタごと自分をバリアの中に入れた。トルオは無事に地面に着地してそのまま下り坂を走り始めたがウタ達は着地に失敗して更にいうと下り坂のせいもあって転がり始めた。

 

「「うわぁぁぁぁ!!誰か止めてぇ!!」」

 

ゴロゴロと転がっていくバリアのボールの中で2人は叫んでいた。

 

「な、何だー!?」

 

そして前を走っていたトルオも巻き込んでゴロゴロと転がり続ける。

 

「「「助けてぇ!!!」」」

 

どんなに叫んでも止まらなく、3人は転がり続けて前にあった工場の中に突っ込んで漸く止まった。

ウタもバルトロメオも体を強く打ちつつもバリアのお陰でほぼ無傷。工場の中に無理矢理突っ込んだせいで中で作られていた白い粉が一面にばら撒かれていて下敷きになっていたトルオは粉まみれだった。

 

「痛っ・・・なんでこうなるの?」

「おめぇといると絶対に不幸になるべ」

「それはこっちの台詞だよ、この疫病鶏!!」

「んだど、このじゃじゃ馬娘!!」

 

バリアの中で喧嘩をし始める2人。互いに互いの口を引っ張り合っているとトルオも気づいたのかバリアをコンコンと下敷きになりながらも叩いてきた。

 

「た、助けて・・・」

 

その言葉にウタもバルトロメオも気づき、思いっきり睨んだ。

 

「こいつ!元はと言えば全部おめぇのせいだべ!!」

 

バルトロメオの怒りの言葉を受けたトルオだが辺りを見回した後でウタ達を見て首を傾げた。

 

「私はこんな所で一体何を?」

「「はぁ!?」」

 

トルオの発言に2人は驚いていると工場の扉がバンッと勢いよく開かれた。

 

「遂に本性出しやがったな悪党ども!!この町で麻薬をやろうなんざ、このガレーラカンパニーで鉄人 フランキー兄貴の一の子分あるザンバイ様の目の黒いうちはさせねぇ・・・・・あれ?」

 

元フランキー一家の面々を引き連れてガスマスクをつけたザンバイが宣言していると中にいたのはウタ達3人だけだった。

 

「「「「どうなってんの?」」」」

 

その場にいたほぼ全員が同じセリフを吐いて困惑した。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「完全にこりゃ、ワスレダケの薬のせいですな」

 

あの後、ザンバイにウォーターセブン1の病院に連れて行かれた3人は検査をするとバリアの中にいた2人は兎も角トルオだけワスレダケの麻薬を諸に浴びたせいで数週間分の記憶を失っていた。

 

「まぁ、接種の方法が1番ヤバいのではなかったのが幸いして数週間分で済んだのが良かったですね。ワスレダケで忘れた物は思い出せませんからこの数週間分の記憶に関しては諦めるほかありませんね」

「はぁ~」

「君達、2人は今は影響は無いみたいだけど血液検査の結果が明日には出るから待ってもらうよ」

「はい」

「わかったべ」

 

医者にそう言われて出る3人。ウタとバルトロメオ的にはさっきのスキャンダルを忘れてくれてホッとしていた。

 

「あの、すみません。私一体何をしてたのですか?」

「はぁ?んなもんしる・・・」

 

バルトロメオの口をウタが無理やり止めて話し始めた。

 

「さっきの工場を突き止めていた所に私達の喧嘩に巻き込まれたんです。本当にごめんなさい」

「そうだったのですか?・・・あれ?なんでお2人がそのことを?」

「昨日、財布を海賊に取られていた所を助けたんですよ。それでお礼に教えてくれたじゃないですか」

「あ~、なるほど・・・ご迷惑をおかけしました」

 

頭を下げるトルオ。

ウタはこれで漸くスキャンダルが無くなったと安心した。口を防がれてるバルトロメオは思いっきりウタを睨んでいたが、面倒くさくなると頭が働いたのか黙っていた。

 

「そういえば、麻薬工場は結果的にお2人のお陰で潰れたような物なので記事にして良いですか?」

「どうぞどうぞ」

 

(口裏を合わせなさいよ)

(わかってるべ)

 

トルオは2人に向かってカメラを構えると2人はお互いに笑顔になった。なんとも胡散臭い笑顔だがそれにツッコむ者は1人も居なかった。

 

 

 

 

〇〇〇

後日、新聞にはこう書かれていた『歌姫UTA  大手柄!!』『海賊バルトロメオとUTAに因縁!?』『史上最悪のダーティレース!!』

ブルレースの事も含めて工場の検挙に加えてバルトロメオとのアラバスタでの因縁などが記事になって売れた。

 

『良くやった!!先日の千両道化と赤髪ほどじゃねぇがあのUTAがそこまで貪欲に勝利を欲する程なんて中々にビックニュースだ!!・・・ボーナスは期待していろよ』

「ありがとうございます!!」

 

トルオは当初のスクープを完全に忘れてしまったがブルレースは町の人にも取材してバルトロメオとウタに取材して、工場も取材してと頑張ったお陰でモルガンズからボーナスを貰えることに喜んでいた。数日前までちゃんと集めていたウタとルフィに関する資料も他にすっぱ抜かれないように1つ1つを丁寧に覚えた後で証拠を消していた為に残ってなく、トルオがその事実を思い出すことは永遠になかった。

 

 

 

 

〇〇〇

新世界、ドレスローザ。

1人の悪党が電伝虫で連絡を取っていた。

 

『おい、ジョーカー。俺の作った薬が全部政府に渡っちまったぞ。俺達の足跡がバレるんじゃねぇのか!?』

「安心しろシーザー。足は残さねぇ。すぐに痕跡は消す。それにあれはビックマムの所やSMILEを研究する上での副産物から生まれた副産物。端金になるかと思って売ってたやつだ。そこまでの価値はない」

『そうか、俺の所に足跡をつけるなよ。俺が捕まったらカイドウとの取引もパァになるんだからな!』

「わかってる。俺を誰だとおもってるんだ?」

 

悪党・・・“王下七武海”のドンキホーテ・ドフラミンゴはそう言うと電伝虫を切って新聞を再び読み、ズタボロにした。

 

「フフフ、縄張りのジャヤで暴れたり、俺の商売を邪魔したり、“千両道化のバギー”・・・この俺と本気でやり合う気か?」

 

先日のウタとバギーの一件からドフラミンゴはウタをバギーの手下か何かと思っていて、最近になって世間を賑わせている海賊と歌姫を自分の敵だと認識し始めていた。王下七武海でありながら、先日の四皇である赤髪との接触もなにか裏があるものだとドフラミンゴは踏んでいた。

 

「ん~、ねぇねぇドフィ。その娘を殺すの?」

「まだだ、トレーボル。所詮は端金、これだけでバギーとやり合うのは割に合わん。あの手下共は強烈だからな・・・だが、これでもしもSMILEに手を出したら、バギーの眼の前でUTAを殺してやろう・・・」

 

ドフラミンゴとトレーボルの下卑た笑いがその場に響いていた。

 

その頃、バギーは悪寒を感じ取っていたがすぐに忘れて非加盟国に海賊を派遣して儲けていた。ウタを助けた人っていうのと赤髪と接触したという事実はその仕事をより儲けさせていた。

 

そしてバギーに金を貸している某鉤爪の男はその繁盛っぷりを喜んでいて借金を返してもらえると少しだけ上機嫌になっていた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「・・・で、あるからね。君に何かあると本当に心配するんだから、もう少し冷静に動いて欲しいんだが聞いてるのかね!?」

「き、聞いてるから・・・そろそろ立たせ・・・」

「ダメッ!!」

 

ウタはゴードンにブルレースではしゃぎすぎた事を正座で怒られていた。

そんな中でコンコンと扉が叩かれたのでゴードンが見に行って開けるとボコボコのバルトロメオを連れたガンビアがウタの所まで行って頭を下げさせた。

 

「ウチの船長がとんだご無礼を!」

「え、えぇ〜?」

「昨日のブルレースの件といいあまりにも失礼極まりない!船長もほら謝って!!」 

 

ガンガンと頭をむりやり下げさせてるガンビアにドン引きしているとゴードンが流石にガンビアを止めた。

 

「い、良いから落ち着いて・・・」

「いや、ウタ様に謝るまで許さん!!」

 

狂乱しているガンビアから解放されたバルトロメオに近づいてウタは訪ねた。

 

「どうしたの?」

「昨日・・・おめぇの曲を聴いたらファンになりやがってボコボコにしてきた・・・他の船員らもノッてきて酷い目にあったべ。頼む、助けてくんろ!!」

 

頭を下げるバルトロメオを不憫に思うウタ。と言ってもここで軽い返事をやるとまた暴れそうだし、殴って解決もなんか違う気がするしそこまで喧嘩はあまりやりたくない。喧嘩せずに無事に終わる方法をウタは考えてバルトロメオのバリアを思い出していた。

 

「ねぇ、あんたのバリアってどんな形にもなるよね?」

「あ?そりゃ何にでもなるべ」

「だったら・・・ゴードン聞いて!!」

 

ウタはニッコリと笑ってゴードンを呼ぶとガンビアを抑えているので顔だけ向けた。

 

「どうしたんだい?」

「明日のライブの案で良いことを思いついたの!!勿論、この鶏も一緒に!!」

 

ウタはそう言って立ち上がろうとしたが足が痺れた倒れた。

 

「おめぇ、大丈夫か?」

 

バルトロメオはそう言ってウタの足をつつくとより痺れが来て悶絶した。

 

「あぁぁぁぁぁぁ〜〜!!足がぁ!!」

 

コテージの中でウタの悶絶した声が響いた。








というわけでトルオのスクープと言う名のウタのスキャンダルはなんとかなりましたが代わりに割を食った41歳www。

ドレスローザ編はやりたいので出しました。
次回は久しぶりのウタのライブです。
お楽しみに!!


しかし、今週のジャンプでのバギーの不幸っぷりに笑ったけどこの作品でも割と不幸なような気がするのは気の所為だろうか?


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Live & World

おまたせしました!!
ウォーターセブン編のラストのライブです!!

そして世界情勢についても出てますのでお楽しみに!!


※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。


ウタはウォーターセブンで本日行われるライブに備えていた。折角のプールだったが泳げないこともあって普通に歌おうとしていたが昨日、バルトロメオの所が来たので良いアイデアも浮かんで観客を盛り上げれる事に喜んでいた。

 

「あぁ〜、緊張するべ」

 

仮面をつけたバルトロメオが緊張していてバルトクラブ海賊団のメンバーも緊張していた。ウタもライブとしてはまだ2回目なので緊張していた。落ち着こうと鏡の前に来て自分を見た。プールに合わせた格好をしているが1番変えたのは()()()()()。赤と白の色ではなく()に染めてみた。地毛の赤白髪の部分に青なので実際は青色とムラっけのある青で少し失敗してる感じになってしまって可愛くなくなったとウタは見ながら思った。

 

「失敗した〜、おじさんの髪の毛の色なんて真似するんじゃなかったなぁ〜・・・まぁこれはこれでプールにあってるから良いんだけど・・・可愛くない・・・」

 

落ち込むウタに緊張しまくってるバルトクラブの面々は手に人と書いて飲んでいた。傍から見ると失敗しそうな感じがプンプンしていた。

 

(落ち着け・・・可愛くなくなっちゃったけど私の初めてのライブ・・・ウタウタの実が関係ないライブ・・・猿のおじさん達もバギーおじさん達にも届ける為のライブ・・・私なら出来る!)

 

ウタはそう自信を持って周りを見ると緊張のあまり凄い暗かった。

バルトロメオなんて震えてるくらいだった。

 

「よし、皆。行くよ!!」

「ちょっと待つべ!まだ足が・・・震えちまって・・・」

 

そんなバルトロメオにウタはバチンと背中を叩いた。痛いのかバルトロメオは悶絶していた。

 

「ルフィはそんなの気にしないよ!ルフィの舎弟になるんでしょ?」

 

ウタからの言葉にバルトロメオは顔つきを変えた。緊張していた顔から漢の顔になった。

 

「そうだべ!野郎ども、オラ達は麦わらのルフィ先輩に憧れて海に出た奴らだべ!!こったら事に緊張してるようじゃまだまだだべ!!気合い入れるぞ!!」

 

バルトロメオの言葉に他の船員たちも気合を入れ直した。

 

 

 

 

 

〇〇〇

昨年に行われた麦わらの一味の主導による宴。町にいた殆どが参加した祭りはウォーターセブンの人々の心に深く残っていた。今年のアクアラグナはもうすぐ来るがその準備や気持ちを確りと入れるために大騒ぎをしたいとの事で企画されたのが今回のライブ。

町の人達はそう言った経緯があるのでウタが海賊と仲が良くても全く微塵の欠片も気にしていなかった。

 

「んまー、俺は市長として情けないほうだと思う。ガレーラカンパニーなんてデカい会社を経営しているがそれだけで船を作るしか能のない男だ。こんな俺を市長にしてくれてる町の皆には感謝してもしたりない。去年のアクアラグナの後の宴は楽しかったし、アレがあったから乗り越えられたとも思ってる。だから今日はこれから来るであろうアクアラグナに立ち向かうために気持ちを入れるためにやる祭りだ。存分に楽しんで苦難に挑もう!」

 

アイスバーグがらしくない演説をすると町の皆が盛り上がった。

 

「では、今話題中の歌姫UTA&バルトダンサーズ!!」

 

バルトクラブの海賊団達が仮面をつけた状態でバク転を決めながら登場し、最後に仮面をつけたバルトロメオが派手にクルクルと回転しながら登場した。

 

(流動防壁(バリアアビリティ) 滑り台(スロープ))

 

ステージに大きなバリアの滑り台が作られる。半透明のバリアの上に水が滴り光を反射して綺麗だった。

観客の目が滑り台の全容を見ようとあちこちに乱れていく中で1人が飛び込み台にいるウタに気づいた。

 

「UTAだ!」

「おお、本当だ。髪の毛が青いぞ!?」

「あんな所に居たのか!」

「あそこから歌うのかな?」

 

ウタは観客を見て一目笑うと上を脱いで水着になり、飛び降りた。ウタは悪魔の実の能力者でありプールに飛び込むというのは半ば自殺行為である。

しかし、バルトロメオがバリアを上手く操り、ウタはその上を滑っていく。

そしてそのままの勢いでウタは上に跳んだ。

バリアを瞬時にウタの下に敷いて地面に落ちるのを防ぐとウタは立ち上がって大きく手を広げた。

 

「皆ぁ、お待たせ!!UTAだよ。今日は思いっきり楽しもう!!」

 

ウタの元気な挨拶に会場は熱狂で応えた。

その歓声と熱狂に『新時代』で応え返す。

ウタにとっての本当に始まりのライブ。もうウタワールドにも頼らずに突き進んでいくと決めた自分にとっての『新時代』の第一歩を踏み出すためにウタは全力で歌った。

 

「「「「「U・T・A!!U・T・A!!U・T・A!!U・T・A!!U・T・A!!」」」」」

 

ラストのサビに入った頃からすでにUTAコールが凄い。ウタはこんなにも楽しんでくれてるファンが嬉しかった。

歌い終わってウタは自分の歌声がまた好きになった。人を喜ばせる歌声。ウタウタの実は関係ない自分の歌声のファン。感慨深くなって頬が緩んだ。

 

「皆、ありがとう!!今日はまだまだ行くから、次は新曲だよ!!」

 

ウタがそう宣言してと『ヒカリへ』を歌い始めた。ハイテンションな曲で自分の力で前に進むと決めた曲。バルトロメオのバリアでより高い所に行かせてもらってウタはウォーターセブンに響くように歌った。

 

(ルフィ・・・シャンクス・・・私はいつか世界一の歌姫になるから、2人とも仲間を連れて来てね・・・)

 

自分の根っこにいる2人にウタはそう思って全力で歌った。ウォーターセブンでのライブはまだまだ続き、大成功を収めた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

カライバリ島、バギーはいつものように自分の手下達と宴会しながら楽しんでいた。

 

「てめぇら、もっとド派手に騒げ!!」

 

宴好きが幸してかバギーズデリバリーの騒ぎようは激しくてそれぞれが楽しんでいた。

 

「座長これ」

「あ、なんだ?」

「ウタの記事だよ」

 

アルビダが持ってきてくれた新聞を見ると『歌姫UTA 大熱狂ライブ』と書かれた記事が載っていた。髪を青く染めてライブした事も載っていてバギーは自分の髪の色を真似たなと少し嬉しくなった。

 

「いい趣味してんじゃねぇか、今度は聴きに行ってやるか」

「よっぽど気に入ったんだね」

「あたぼうよ、でねぇと島でぶっ殺してるわ!」

 

バギーはそう言いながら笑ってまた宴会に参加していった。

 

 

 

 

〇〇〇

アラバスタではビビが新聞を読んで喜んでいた。友達のウタが無事だった事に加えてまたライブが成功したのが嬉しかったのだ。

 

「成功して良かった」

「本当、心配してたから良かった!!」

 

コブラと話しながらビビは喜んで笑顔になっていた。友達思いのいい娘になったと執事のイガラムは感動のあまり涙を出し始めていた。

 

「うぅ、ビビ様。本当にお優しくなられた」

「ちょっと、私は昔から変わってないよ!?」

「うぅ、ビビ!!」

「パパも泣くのやめて!!」

 

アラバスタでは今日も変わらない日常が続いていた。ビビはウタが髪を青くした事に関して自分とオソロになったと思って嬉しくなっていた。

 

 

 

〇〇〇

海軍本部ではガープと仕事で用があって来ていたジョナサンが新聞を読んで笑っているとおかきをボリボリと食べながらセンゴクもやってきた。

 

「大の男が新聞でニヤついてどうした?」

「センゴク先輩、いや例の歌姫が頑張っていて」

「ワシの孫の嫁じゃ」

「いや、決まってませんよね?」

 

ガープの問題発言にジョナサンがフォローしたのでセンゴクはまた何時ものガープの暴走と納得したが2人が気になってる歌姫だと興味を持ったのか新聞を借りて読んだ。

 

「ほぉ、最近はこういうのが流行りなのか」

「爺臭いぞセンゴク」

「私も結構な歳だからな。しかし、良い顔して楽しそうだな。こういう娘の笑顔を見ると私達も頑張れるというものだ」

「違いないな!」

 

ガープとジョナサンの話にセンゴクも混ざって3人で盛り上がっていた。

 

「気楽でいいね、男どもは」

 

大の野郎3人がかわいい歌姫の事に盛り上がってるのを遠目に見たおつるは呆れていた。

 

 

 

〇〇〇

マリージョアの一室の五老星はウタの記事を読んで頭を抱えていた。

 

「こうも派手なライブをやるとは、やはりウタウタの実の能力者ではないんじゃないか?」

「CP8の構成員も千両道化との関係を掘り返しているが一向に成果を挙げられていない」

「不味いな。あらゆる情報があやふやになってる。気を引き締め直して、一度情報を精査した方が良い」

「一先ず、UTAについては暫く野放しにしよう。それよりもウォーターセブンで発見された薬には、あのシーザーも関わってる可能性がある」

「もしもUTAの背後に千両道化がいるなら、王下七武海同士の戦争になる。三大勢力の一角を担っている七武海同士での戦争は極力避けたい」

 

五老星は頭を悩ませつつも今日もまた腹が黒い事を話し合っていた。

 

 

〇〇〇

「ホロホロホロ」

「どうしたゴースト娘?」

 

ゾロが外で修行している時にペローナは新聞を読んで小躍りしていた。

 

「あのUTAのライブが成功したんだ!私もいつか行きたい!!」 

「それは良い。うるさくなくて静かになる」

「このクソ野郎!!」

 

ミホークのいつものノリにペローナはキレていた。

 

 

 

〇〇〇

「おやっさん、これ見てくれ!」

「何だ?」

「あのお嬢ちゃんが載ってる!!」

 

船で旅をしているクリケットはマシラから新聞を渡されてウタの記事を読んで笑った。

 

「いい笑顔じゃねぇか嬢ちゃん」

「オウオウ、髪を青く染めてより可愛くなりやがって」

「何言ってるショウジョウ。紅白髪の方が可愛かったろ」

「今の方がいいだろ!」

 

クリケットはまた下らない事で喧嘩を始めてるマシラとショウジョウは無視して新聞を良く読んでいた。

 

(ロマン)を楽しんでそうでなりよりだ。頑張れ嬢ちゃん!」

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

新世界のとある島。

シャンクスは二日酔いでイライラしつつもノンビリ寝ていた。

 

「おい、頭。これ読んだか?」

「何だベック。俺は二日酔いで頭が痛えんだ」

「ウタの事が載ってるぞ」

 

ベックマンにそう言われるとシャンクスは飛び起きて新聞を取った。周りにいる船員が親バカと誂ってくるがシャンクスは小言を愚痴って新聞を読んだ。

 

「頑張ってるな」

「あぁ、髪を青く染めたらしいがな」

「え?」

 

ベックマンにそう言われてシャンクスはウタが髪を青く染めていた事に気づいて昔の事を思い出していた。

 

『シャンクスと同じ赤髪なの良いなぁ』

『良いでしょルフィ。シャンクスとオソロで』

『羨ましいぞ、俺にもくれ』

『どうやって上げるのよ!』

『こらこら、喧嘩するな。ウタは白も入ってるがその髪の毛が好きなのか?』

『うん、だってこの赤と白の髪で私はもっと可愛いくなるから』

『そうか』

 

昔は紅白髪であることに喜んでくれていたのに時の移り変わりは早いなぁとシャンクスは少しだけダメージを負ってしまった。

 

「そういえば青髪ってバギーの色だよな」

「あっ!?」

 

ベックマンに何気なしに言われて二日酔いで頭の働かないシャンクスは気づくと笑った。

 

「そうか、ウタもバギーを気に入ったか、なら良いや!!よし向かい酒だ、酒を持ってこい!」

「いや、駄目に決まってるだろうが!!」

 

船医のホンゴウがまだ飲むつもりのシャンクスを止めようとするが結局止まらず、シャンクスはまた二日酔いを食らう羽目になった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

凪の帯にある島ルスカイナでレイリーは身支度を済ませていた。弟子のルフィが肉を食いながらやってくる。

 

「もう行くのか?」

「あぁ、この1年半で基礎は叩き込んだからな。後は自分で磨け。くれぐれもサボるなよ」

「おうわかった。レイリーも元気でな」

 

サッパリしているルフィをよそにレイリーは九蛇海賊団の船に乗ってルスカイナを去った。

 

 

船旅をしている中でレイリーはルフィにメロメロになってるハンコックに一応もう1回口出ししていた。

 

「ハンコック、くれぐれもルフィの邪魔はしないようにな」

「わかっておる。しかし、これでルフィと一緒に・・・」

「どこがわかっているんだ?」

「大丈夫よレイリー、姉様の事に関しては任せて!」

「レイリーの頼みなら断れないわ!」

 

サンダーソニアとマリーゴールドがそう言うのでレイリーは2人に任せる事にした。凪の帯を抜けて小船を貰って荷物を乗せていると九蛇海賊団の船員になったマーガレットも一緒に乗ってきた。

 

「どうした?」

「ハンコック様からシャボンディに着くまで手伝って上げなさいって言われた」

 

別に手伝いがいるほどボケてはないし、衰えてもいないがこんなに可愛い娘と一緒の船旅なんてそうそう無いのでレイリーは喜んで手伝って貰うことにした。

 

「マーガレット、レイリーの事を宜しく頼むぞ」

「わかりました。蛇姫様!!」

 

マーガレットも蛇姫に頼りにされてるのが嬉しいのか喜んで引き受けていた。そしてレイリーはあのワガママで自意識過剰気味なハンコックが気遣いを覚えた事に少しだけ涙腺が緩んだ。

 

 

レイリーとマーガレットを乗せた小船が離れていく中でハンコックは小躍りしていた。

 

「よし、ルフィと仲の良いマーガレットを離れさせた!!これで妾がルフィと存分に一緒になれるぞ!」

 

気遣いなんて全く覚えていなかった。ルフィと友達であるマーガレットをただ体のいい言葉で追い出しただけだった。

しかし、恩人であるレイリーからの頼みを受けたサンダーソニアとマリーゴールドはハンコックの邪心に塗れた計画を徹底的に阻止した。

これで仲のいい姉妹関係が少しだけ悪くなって女ヶ島が少し混乱するのは完全に余談である。






というわけで次回からシャボンディ諸島編と言う名のレイリー&マーガレット編です!!

因みにもう半年経ってますが細かい時間経過についてはツッコミ無しでお願いします。
レイリーというかマーガレットを出せなくなるので。
因みにマーガレットを出す理由は野郎ばかりと絡めるのが飽きてきたのでやりました。後悔はしてないです。

というわけで次回もお楽しみに!!


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SHABONDY

おまたせしました!!
というわけでシャボンディ諸島編です!!

そしてルフィとウタの再会する章を決めましたがそれを言うのはシャボンディ諸島編が終わってからにします!!

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。


ライブを成功させたウタは髪の毛の色を元の紅白色に戻して可愛くなった後でウォーターセブンを出た。ウタは2回も遭難をした経験なのか自分の持ち物に安全祈願のお守りを入れていた。

 

「ウタ、今度は大丈夫だと思うよ」

「ダメッ!2回もすぐに遭難したんだからこれくらいしないと!」

 

ウタはそんな事を言って祈っていた。

2人はバルトロメオとは分かれてまたライブの旅をしていた。因みにウタとバルトロメオは別れ際期もまた喧嘩をして完全に喧嘩友達というような間柄になった。

ゴードンは海賊とはいえ、ウタに友達が出来たことに喜んだがウタは大変不本意だった。

 

そんな2人は今はシャボンディ諸島に向かっていた。

 

「それではウタ。シャボンディ諸島は色々と危険が多いから・・・注意事項は覚えてるね?」

「うん、天海人の3つには気をつけること」

 

天海人とは天竜人、海賊、人攫いの3つである。

特に天竜人に関しては目をつけられれば完全にアウト。抵抗したら撃ってくるわ、殴ったら海軍大将を呼んで逮捕してくるわで世界中から嫌われてる存在である。

ウタも本でその存在は知っていた。知ったばかりの頃は会えたら会ってみたいという好奇心があったが色んな場所で評判が最低だった事とルフィがそんな天竜人をぶん殴った事も知ったのでウタも関わってはいけないとわかった。

 

そして魚人島へ行くためのコーティングが盛んでもあるためにグランドライン前半の海を乗り越えてきた海賊も大勢いる。

 

後は奴隷商業も行われていて人攫いも多い。

 

普通に考えれば絶対に行きたくないような場所だったがウタはそういった危険も考慮して行ってみたかった。

 

(1年半前にルフィが居た場所・・・ルフィ・・・生きてるよね?)

 

巷で流れてる死亡説。バギーは信じてなかった。バルトロメオも信じてなかった。2人とも本人を知ってるか知らないかは置いておいてルフィの生命力を知っていた。けどウタにはそういった物はなかった。

ウタの中でルフィはどれだけ新聞を読んでも人から聞いてもフーシャ村の時の幼馴染のままだった。

ウォーターセブンまでは感じなかった不安もシャボンディ諸島に近づくに連れて大きくなってきたが、ウタはウタワールドには入らなかった。またバギーに会う前の自分に戻りたくなかったからだ。

 

(私はやっぱりダメだなぁ・・・変わりたいのにあんまり変われない・・・)

 

ウタはそう自虐して船室に戻って休んだ。

 

 

 

 

 

〇〇〇

シャボンディ諸島。1年半前に麦わらのルフィを始めとする麦わらの一味が消息不明になった島。天竜人を殴った事でどうなったかと云うと少し混沌となっていた。かつては見下しまくる天竜人による横暴も多発していたがルフィが一発殴ったことにより、天竜人が来なくなった。更には海軍本部の元帥であるサカズキが本部を新世界に移した事により海賊が増えてしまった。

これにより常駐している支部にパシフィスタを配備してはいるのだが多勢に無勢なので全体の治安は少しずつ悪くなっていった。それ以上に荒れてないのはパシフィスタの強さが頂上戦争で披露されていて海賊の多数がそれに怯んで派手にやらないからだ。

 

ウタはゴードンと一緒に船を降りてシャボンディ諸島に降り立つとホテルに向かった。ライブは今回はない。完全にプライベートで来ていた。

 

「凄い、シャボンが多いなぁ」

「後で教えて上げるよ。先にホテルに行こう」

「ありがとう」

 

いつもならもう少し燥いでいるウタだが色々と大きくなってる不安もあってそこまで燥げなかった。

ホテルにチェックインをしてウタとゴードンは危険な所には変わりないので一緒に動いていた。

 

 

 

 

〇〇〇

一方その頃、レイリーとマーガレットもシャボンディ諸島に着いたので小舟から降りて荷物を下ろしていた。

 

「無事に着いたな。マーガレットはどうするんだね?」

「蛇姫様達が1週間後に迎えに来てくれるらしいのでこのままレイリーの所で厄介になる。サンダーソニア様とマリーゴールド様からシャッキーさんという人への手紙も預かってるし」

「なるほど・・・ハンコックからは?」

「全く無いけど?」

 

レイリーは美しく優しく育ったマリーゴールドやサンダーソニアに対して良かったと思いながらも1番の我儘娘であるハンコックに呆れていた。

いくら呆れても怒ってもしょうがないのでそのままシャッキーの待ってる我が家に帰ることにした。

マーガレットは初めて見る外の世界を楽しんでいた。海賊業を生業とする女ヶ島において九蛇海賊団の船員になるのは憧れで頑張ってなれて外の世界を存分に見れるのは少し想定外だけど良いものだとマーガレットは思った。

 

「これは何だ?」

 

マーガレットが下からどんどん出てくるシャボンをつついてレイリーに訪ねた。レイリーはシャボンに荷物を入れながら答えた。

 

「この島を形成するヤルキマンマングローブという樹から出た樹液によるシャボンだ。人も乗れるほど丈夫だぞ」

 

レイリーの言葉を聞くとマーガレットはシャボンの上に乗ってみた。女ヶ島の戦士として鍛え上げたお陰でシャボンの上に立つとポンポンと上で跳ねてみて遊んだ。

 

「弾む弾む、面白い!!」

 

マーガレットは少しそれを堪能していると荷物をシャボンに詰めたレイリーがそれを見て微笑んだ。

 

「さて、行くぞ。シャッキーが首を長くしてるかも知れないしな」

「わかった!」

 

マーガレットはシャボンから飛び降りてレイリーと一緒にシャッキーのいる13番GRの酒場へ向かった。

 

 

 

 

〇〇〇

12番GRでウタとゴードンは周りを見回っていた。特になんの変哲もない場所ではあったがルフィ達麦わらの一味がここで消息不明になった場所でもあった。所々に戦闘があった形跡がある。

それを見て、何があったのか想像してみたが戦いが嫌いでおまけに世間知らずの側面が強いウタには分からなかった。

 

「ウタ、大丈夫かい?」

「ゴードン・・・大丈夫だよ!ルフィは生きてる・・・筈だから・・・それに本当に死んだとしても・・・私の歌を聞いて笑ってくれると思うから・・・」

 

ウタはできる限り明るく言ったがその笑顔はまるで仮面を貼り付けてるかのような感じでゴードンはエレジアで無理に笑っていた時に戻ったのかと少し不安になった。

 

本当はかなり不安だった。しかし、今まで散々と心配を掛けさせたゴードンにこれ以上心配をかけさせたくない。自分のもう1人の父親を安心させたいと云う思いもあった。

 

ウタとゴードンはこれ以上は見つかるものも無いと思って別の場所に行こうとするとガラの悪い奴らに囲まれていた。

 

「君達は誰かな?悪いが通して貰って良いかな?」

「そいつは駄目だな。歌姫UTA、記事で見るよりも色っぽいな~。俺達と遊んでくれねぇか?安心しろって沢山遊んだら金払いの良い所に売ってやるからよ」

 

悪党どもは海賊ではなく人攫いだった。

しかもかなりゲスい事を口から出していた。ゴードンはウタを守るために前に出てウタもウタワールドに入れようと長手袋を脱いだ。

 

「ちょっと、こんなことをして海軍が黙ってると・・・」

「海軍がなんだって?ここは奴隷制度が黙認されて人が平気で売られてる場所だぞ?いわば天竜人の遊び場だ。海軍なんて何も怖くねぇ」

 

ウタの言葉になんの悪怯れもなく答える悪党。ガープやジョナサンなら問答無用で守る方に来るとは思ってるが()()()()()()()()を目の当たりにしていた。

ウタがそれに困惑していると人攫い共がその隙をついて一斉に飛びかかってきた。歌ってウタワールドに入れようとすると人攫い共は全員、一瞬で気絶した。

 

「!!!???」

「一体、何が!?」

 

気絶してしまった人攫い共を見て混乱していると遠くの方から歩いてくる2人に気づいた。

 

「失礼、何やらそこの若い娘さんが困ってるようでね」

 

歩いてきたのはレイリーとマーガレットだった。人攫い共はレイリーが遠くから覇王色の覇気で気絶させたのだ。若くて美人好きなレイリーがウタを見てニヤけてるとゴードンやウタがロジャー海賊団の副船長のレイリーだと気づいた。16点鐘の事件で再び表舞台に出たからだ。

 

「貴方はシルバーズ・レイリーか?」

「確かにそうだが、レイさんで通ってるのでその名前は使わないでくれ。海軍の相手は面倒くさくてな」

「す、すみません」

 

レイリーはゴードンにそう云うと再びウタの方を見て笑った。ウタがカワイイ娘だからだが、そこで歌姫のUTAである事に気づいた。

 

「君はバギーに助けられていた・・・」

「バギーおじさんを知ってるって事はやっぱり本物なの!?」

「おじさん・・・アイツがおじさんか・・・こんなに美人な娘と仲良くなって、少し羨ましいな」

 

バギーの事を思い出して笑うレイリー。見習いで子供だった仲間がおじさんと呼ばれてることに時代の流れを感じていた。

 

「あ、あの・・・あなたに聴きたい事があるの!」

 

ウタはレイリーに向かってそう言うとレイリーの顔つきが変わった。自分の正体を知っていて聴きたいことがあると言われたらロジャー海賊団時代の事かそれともワンピースについてかの事だとレイリーは思った。だがそれらは大切な思い出なので見ず知らずの娘に口軽く教えるつもりは更々なかった。

 

「こんな老人の話なんてつまらんよ。それに私は一応まだ海賊として世間に認知されてる。関わっても碌な事にはならん。この場で君達を助けたのは単なる気まぐれだ。早く比較的安全な60番〜79番までの区域に行きなさい」

 

レイリーはそう云うととっとと13番GRにあるシャッキーの店に戻ろうとするがウタはそんなレイリーの前に行って道を塞いだ。

 

「あなたがルフィと最後に一緒にいた人って事は知ってるの!」

 

ウタの言葉にレイリーはゴシップ好きの娘かと思って溜息を吐くと側にいるマーガレットがウタに向けて弓矢を構えていた。弓矢を構えてくるマーガレットからウタを守るためにゴードンはウタの前に来た。

 

「よしなさいマーガレット。無駄な血は避けたい」

「しかし、ルフィの事を知りたいなら危険だ!」

「ルフィ・・・あなたもルフィを知ってるの?」

「友達だ・・・命を救われた恩人でもある!答えろ、なぜルフィの事を知りたい!?」

 

マーガレットはルフィの友人として修行の邪魔はさせないために本気で殺気を放ってウタを睨んだ。しかし、ウタはそれに怯まなかった。ウタにとってルフィは大切な人であり、大事な幼馴染。その安否がわかるかも知れないのに怯んでなんていられなかった。

 

「私はルフィの幼馴染だ!」

 

その言葉にレイリーとマーガレットは目を開いた。見聞色の覇気を修得している2人はウタの言葉が嘘かどうかはすぐにわかった。

 

「なんと・・・これは驚いたな」

「ルフィに幼馴染が居たなんて・・・」

 

マーガレットはそう呟くと弓矢を下ろした。1年半の間に外海の人間の事を多少勉強していたので、眼の前のウタが覇気を修得しているとは到底思えず、ルフィの知り合いなら弓矢を向けるのは失礼だと思ったからだ。

 

「なるほど、君がここにいるのはルフィ・・・いや、麦わらの一味が最後に全員居た場所だったからか・・・」

 

レイリーの言葉にウタは力強く頷いた。するとレイリーは先程までの顔つきを止めて笑うと歩き始めた。

 

「ここで話すのもあれだから、宿にしている酒場があるのでそこで教えよう。着いてきなさい」

 

レイリーがそう云うとウタとゴードンは後ろに付いて歩いていく。その最中にマーガレットはウタに近づいた。

 

「先程は無礼を働いて申し訳ない」

 

ウタに頭を下げるマーガレット。ウタは確かに恩人の事を急に嗅ぎつける人が居たなら警戒すると思って笑って許した。

 

「いいよ。ルフィの大切な友達ならたぶん急に現れた私を見て警戒すると思うし・・・」

「・・・ありがとう。私の名前はマーガレット」

「私はウタ。よろしくねマーガレット!」

 

ウタはそう云うと手を出した。マーガレットも折角、友好的に接してくれてるウタの手を拒むのは失礼だと感じて握手に応じた。







というわけで遂に対面するレイリーとウタ!
現状、ルフィの事を良く知ってるレイリーからウタは何を聞いてどんな判断をするのかお楽しみに。

それから、できる限り毎日投稿してきて短い単行本1冊分を書いてきましたが過去一の更新速度に体力が追いつかないのでこれからは基本的に隔日投稿だと思ってください。
書けたら次の日に出しますが、出せない時が増えると思うのでどうかご容赦を。
流石に隔日以上は待たせる気が無いのでそこは安心してください!


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BAR

まさか投稿できるとは思ってませんでした。
いやぁ、今作は本当に書くと止まらなくなって出せるのが嬉しいです。
というわけでどうぞ!!

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。


レイリーについて行って13番GRまで来るとポツンと建ってるバーを見つけた。『シャッキー’S ぼったくりBAR』という大きな看板が掲げられていて見るからにボッタクるというオーラが強くてウタもゴードンも引いていた。

 

「シャッキー、帰ったぞ」

 

レイリーがそう言って店の中に入っていったのでウタ達も入っていく。中にいたのはショートヘアの美人のシャッキーだった。

 

「あら、珍しいお客ね。最近話題中の歌姫ちゃんと来るなんて・・・それにモンキーちゃんの事はいいの?」

「あぁ、基礎は仕込んできたからな。彼らは私の客人だ。ぼったくるなよ」

「わかったわ、狭い店だけどゆっくりしていってね」

 

ウタとゴードン、マーガレットはシャッキーにそう言われて奥の席に座らせて貰い、飲み物を出してもらった。

 

「はい、歌姫ちゃんと九蛇の貴女にはこれ。そこの優しい貴方はコーヒーでどうかしら?」

「ありがとうございます」

「ありがとう!」

「ありがとう」

 

ウタとマーガレットはジュースをゴードンはコーヒーを飲んで一息ついたらマーガレットはシャッキーに手紙を渡した。

 

「これは?」

「サンダーソニア様とマリーゴールド様からの手紙です。内容は世間話とのことです」

「あの子達ったら・・・ありがとうね・・・えっと?」

「申し遅れました。私は3ヶ月前から九蛇海賊団の船員に選ばれたマーガレットです!」

「よろしくねマーガレット」

 

シャッキーとマーガレットの話の傍らでレイリーは荷物を片付けカウンターに座って酒をグラスに注ぐと一息ついてウタに話しかけた。

 

「さて、何から聞きたいかな?お嬢さん」

 

レイリーが優しくそう言うとウタは被せるように言った。早く知りたかった。

 

「ルフィは・・・無事なの・・・?」

 

ハキハキとしたいつもの感じではなくウタの声は震えていた。まさかルフィは本当に死亡したのかと最悪の考えが頭を過ぎり続ける。

 

「無事だ・・・戦争の傷も乗り越えて今は鍛えている所だ。安心しなさい」

 

レイリーから言われてウタは涙を溢した。ルフィが生きてる。その事実に安心したのかポロポロと溢れてきた。ウタはそれに気づいて涙を拭いていくが止まらなかった。

 

「ご、ごめんなさい・・・すぐに・・・止め・・・」

「止めなくても大丈夫だよお嬢さん。安心して泣きなさい。無理に止めると泣きたい時に泣けなくなる」

 

レイリーにそう言われるとウタは蹲って泣き始めた。悲しみや苦しみから来る涙ではなくて安堵からくる嬉し涙だった。嬉しくてしょうがなくて笑いたいのに泣いていた。

暫くは話しかけられないのでシャッキーはレイリーに訪ねていた。

 

「歌姫ちゃんとモンキーちゃんは知り合いだったの?」

「幼馴染らしい、見聞色の覇気でも本当だった」

 

レイリーの言葉を聞いてシャッキーはまだ泣いてるウタを見て話題の種であるルフィを思い出して笑みを浮かべた。

 

「モンキーちゃんも罪な男ね」

「全くだ」

 

ウタが落ち着くまで店の中にいる全員は待った。

 

 

 

 

〇〇〇

暫くして泣き止んだウタはそれに頭を下げるとシャッキーに誂われていた。

 

「モンキーちゃんたら、こんなに可愛い彼女を放って置くなんて悪い子ね」

「か、彼女じゃ・・・ないよ・・・」

「真っ赤だけど熱?」

 

ウタはその言葉を受けて顔を真っ赤にしていた。あまりの赤さにマーガレットが熱かと心配すると大人達は微笑ましい光景に笑った。

 

「しかし、ルフィの幼馴染を助けるとはバギーは元気そうだったか?」

「おじさんは元気だったよ!私を助けてくれて・・・背中を押してくれて・・・凄く優しかった・・・色々と打算があったけど・・・」

「あいつらしいな・・・」

 

レイリーはバギーの事を聞いて笑うと酒を飲み始める。見習いだったシャンクスは十年前に来たがバギーは全然顔を見せに来ないから、少しだけ心配していたが元気な事が嬉しかった。

 

「あの、おじさんの事を知ってるならシャンクスの事も知ってるの?」

「シャンクスとも知り合いだったのか?」

「私・・・シャンクスの娘だから・・・」

 

ウタは消え入りそうな声でそう言った。この言葉にレイリーは驚いた。十年前に会った時にも何も言われず、エレジアの事は踏み入るべきではないと思って聞かなかったがまさか娘がいるとは思ってなかった。咄嗟に見聞色の覇気を使ったが真実だとわかっても受け入れるのは容易くなかった。

 

「まさか・・・嘘を言ってないのはわかる・・・しかし、エレジアは・・・いや私のような部外者が口を出すべき問題では無いだろう・・・その事を知ってる者は?」

「ゴードンとジャヤであった猿のおじさん達にバギーおじさんも知ってる」

「これ以上は広めないようにしなさい。でないと君は四皇クラスの海賊に追われてしまう。そしたら自分の命や大切な人の命まで危うくなる」

 

レイリーからの警告にウタは首を縦に振った。それを見るとレイリーはウタに聴いた。

 

「それでシャンクスについて何を知りたいんだ?」

「バギーおじさんが能力者になるまでシャンクスとの水泳対決で200連勝してたって・・・本当?」

「あぁ、本当だ。シャンクスには言うなよ。本人も案外200連敗を気にしてる」

 

レイリーはシャンクスとバギーの過去を話し始めた。

 

 

 

●●●

「なぁ、バギー」

「あっ、何だよシャンクス?」

「今日もやろうぜ」

「また負け惜しみを言うのか?」

「今日は負けねぇよ」

 

まだ、ロジャーが海賊王になる前、バギーが海賊見習いとして入った直後、シャンクスは同年代であるバギーが来てしかもロジャーを含めた他の船員達に可愛がられているのを見てシャンクスは凄く不満だった。自分の居場所を取られるかと思っていた。喧嘩はほぼ互角だった事もあって海賊なので水泳で対決していたのだがバギーは泳ぎが上手くシャンクスは負けてばかりだった。最初は負けたことに悔しくてしょうがなかったシャンクスだったが徐々にそれをやり続けて楽しくなっていった。負けようが勝とうが同年代と思いっきり競い合える状況が楽しくなり、バギーも楽しんでいた。

 

「ロジャー船長、また審判をやってくれよ!」

「おい、お前ら・・・その前に掃除をだな・・・」

「良いじゃねぇかレイリー。よし、ならあの岩まで行って先に戻ってきた奴が勝ちだ。よーいどん」

 

ロジャーがそう言うとシャンクスとバギーは船から飛び降りて少し離れた所にある岩まで泳いだ。最初は互角だったが徐々にバギーがシャンクスを離していき、最初に戻ってきて少し経ってからシャンクスも戻ってきた。

2人はロジャーらに上げて貰って息を整えていた。

 

「クソ・・・今のは練習だ、もう一回!」

「負け惜しみをするんじゃねぇ」

 

負け惜しみをするシャンクスにバギーは両手を猫の手みたいにして見せた。それはウタがルフィにやっていた時のポーズと似ていた。

 

「それやめろ、腹立つ!!」

「じゃ、勝ってみろよ!!」

「あぁ、勝って俺がそれをやってやるよ!」

「上等だ、2回戦だ!!」

 

盛り上がってるシャンクスとバギー。他の船員たちも捲し立てて行くがレイリーが2人の頭を叩いた。

 

「その前に甲板掃除だ!!終わらなかったら晩飯抜きだぞ!!」

 

いつものようにレイリーの鉄拳で2人の喧嘩は止まった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「負け惜しみのポーズ?」

「あぁ、こうやって両手でやってたな。まぁバギーが能力者になってからやらなくなってたがな」

 

レイリーは朧気ながらもポーズを真似してウタに見せた。ウタは昔、シャンクスが誂ってきた時に見せてきて、自分もルフィに対してやっていたポーズに似ていたので元はバギーおじさんだと分かると何だが知らない内に縁が出来ていたと分かって笑えた。

 

「どうしたんだい?」

「ううん、何でもない」

 

ゴードンがウタに訪ねてくるがウタは折角の自分だけがわかった面白い縁なので内緒にした。

 

「他にも色々とバギーとシャンクスの話はあるがバギーが能力者になってシャンクスに助けられた時の大泣きは凄かったな。あまりにも大泣きでロジャーが慰めていた」

「へぇ、おじさん・・・そんなに泣いたんだ」

「元々、気弱で臆病だったからな。シャンクスに勝ててた物も無くなって一気に不安になったんだろう。だが、喧嘩ばかりしてたが2人とも本当の兄弟のように仲は良かった」

 

レイリーは昔を懐かしみながら酒を味わっていた。またシャンクスとバギーと一緒に飲めたら飲みたいなどと思いながら飲んでいた。

 

「そう言えば、レイリー。モンキーちゃんとハンコックの仲はどうなってるの?遂にプロポーズした?」

 

シャッキーは結構通るような声で言った。ハンコックの惚気ぶりを知っているレイリーとマーガレットは冷や汗を欠きながら、ウタの方を見た。

 

「はっ?」

 

バリンッ!

ジュースの入っていたコップを握って粉砕した。更には目の輝きが少しばかり減っていたがすぐに正気に戻った。

 

「あ、コップが・・・ごめんなさい・・・」

「良いのよ安物だから、それよりも怪我とかしてない?」

「大丈夫です」

「良かった・・・で、レイリーどうなの?モンキーちゃんとハンコックの結婚式はいつ?」

「そんなの決まってないぞ」

 

ウタはそれが聴こえると安堵した。どうやらそういった話は無いようだったがそのハンコックという人物が気になり、マーガレットに訪ねた。

 

「あの、ハンコックって人の写真とかある?」

「蛇姫様?勿論あるよ、美しいお姿を見てると頑張れるから、昨年から船員に渡されてるんだ」

 

マーガレットはそう言ってハンコックの写真を渡した。抜群のプロポーションであり、世界一の美女と豪語するだけの美しさだった。

 

(うわ、凄い綺麗な人・・・)

 

あまりの美しさに写真なのに光を放っているようにウタは見えた。そして抜群のプロポーションを見て自分の体つきを比べてしまい、ハンコックに比べて貧相な自分の体を見て落ち込んだ。

 

ズーンと言う音が聞こえそうなほど落ち込んでるウタ。シャッキーはそれを見て笑うとまだまだレイリーに聴き続けた。

 

「そう言えばサンダーソニアからの手紙で料理が上手くなってるらしいわね。特にモンキーちゃんの大好きな肉料理が。マリーゴールドからも甲斐甲斐しく世話をしようとしている姿が新鮮らしいわよ」

 

グサグサとその言葉がウタの心に刺さる。実際は()()()()肉料理が()()()に食べられるくらいになり、甲斐甲斐しく世話をしようとしている姿が()()()という妹2人からの愚痴であったがウタはそんな事を知らずに想像してしまった。

 

 

『ルフィ、妾と結婚して欲しい』

『ハンコック、俺の為に色々とありがとう。これからは結婚して一緒に暮らそう!』

『ルフィ、大好き!!』

 

 

ウェディングドレス姿のハンコックと新郎姿のルフィによる寸劇まで想像してしまってウタはより落ち込んだ。

 

(そうだよね。私が会ったのは10年以上前でそれから音沙汰ないし、最近までルフィの現状を知らない女よりも尽くしてくれる人の方がルフィも良いよね・・・料理だってパンケーキ以外はあまり上手じゃないし、甲斐甲斐しく世話ってキャラでもないし・・・)

 

ウタはドンドンと暗くなっていき、これ以上聞くとさっきとは違う意味で泣きそうになってきた。それを間近で見ていたゴードンは助け舟として立ち上がった。

 

「さてと、そろそろ私達もホテルに戻ろう。夜になると危険だからね」

「・・・そ、そうだね・・・お邪魔しました」

 

ウタとゴードンはそう云うとBARから出てホテルに戻っていった。2人が去ったのでレイリーはシャッキーに呆れた目を向けた。

 

「なんであんなデタラメを?」

「歌姫ちゃんが可愛くてね。それにあれだけ分かりやすく惚れてるのにあれじゃ、実らなそうだったから」

「はぁ~・・・」

 

レイリーはシャッキーのオバサン臭い誂いに呆れて、マーガレットはジュースをお代わりして味を楽しんでいた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

あの後、無事にホテルに着いたウタは借りてる部屋のシャワーを使っていた。

汗を落としつつもルフィの事を考えていた。

 

「ルフィは生きてた・・・凄い嬉しいけど・・・複雑だなぁ・・・」

 

生きてる事は良かったがまさかあんな美人と一緒にいるとは思ってなかった。実際は一緒にいないがウタはシャッキーの言葉からのルフィとハンコックがほぼ同棲をしているものだと勘違いしていた。

 

「あれに比べたら私の体は貧困だしなぁ・・・ルフィも大きいのが好きかも知れないし・・・」

 

世界一の美女であるハンコックと比べるウタ。やってて物悲しさを感じた。

 

(・・・やだ・・・やだやだやだやだ!!!!ルフィが誰かと結婚するのなんて想像するのも嫌!!負けるもんか!!世界一の美女がなによ・・・私は世界一の歌姫になる女よ、負けるもんか!!)

 

大切なルフィに対する感情が爆発したのかウタはそう決意して打倒ハンコックと燃えていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「くしゅん!」

 

女ヶ島に一先ず戻る航海の途中でウタが燃えてる時と同時刻、ハンコックはくしゃみをした。

 

「姉様、風邪?」

「なにか羽織る?」

 

妹の2人が気遣って来るがハンコックはかなり鋭い目つきをした。

 

「違う、ニョン婆が言っていた。突然のくしゃみは“恋敵”が生まれた証拠と!つまり、ルフィを狙うポッと出の泥棒猫が現れたと言う事じゃ!!」

 

怒りの炎を燃やしてるハンコック。サンダーソニアもマリーゴールドも突拍子もない事に呆れていた。

 

「妾は負けぬ!!ルフィは絶対に渡さぬ、何故なら妾は美しいから!!」

 

ハンコックはそう宣言して見下しのポーズを取った。奇しくもその指先はシャボンディ諸島を指さしていた。

 

こうしてグランドライン前半の海で新時代まで続く仁義なき女の戦いが始まった。












というわけで、ウタVSハンコックの火蓋が切られました。世界一の歌姫VS世界一の美女。早く続きを書きたいです。

シャボンディ諸島は後1話にするか2話にするか迷ってますが後の頑張りはマーガレット次第です。

そろそろタグにバギーを入れようか割と本気で迷い中なのが悩み


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Clothes 

様々な感想が送られてきて嬉しいです。
多くは語りません!!
色々と評価が上がってきて感無量です!

これにてシャボンディ諸島編完結です!

※この話は2年間の間の話です。麦らわの一味はそうそう出てきません。


ホテルで燃えた一晩を過ごした次の朝、ウタはまたシャッキーの店にゴードンと来ていた。

 

「ルフィってそんなに猛獣を手懐けたの?」

「あぁ、中々に手懐け方が上手かった」

 

レイリーが話すルフィの内容を楽しく聞きながらウタは牛乳を飲んでいた。プロポーション抜群のハンコックに負けないためだった。

そんな中でマーガレットが欠伸をして手には布生地を持っていた。

 

「ふぁ〜、ウタ達来てたんだおはよう」

「おはよう、マーガレット。それはどうしたの?」

 

ウタはマーガレットが持ってる黄色の布地を指差して言うとまた欠伸をしながら答えてくれた。

 

「今度、女ヶ島でルフィの新しい服を決めるコンペを蛇姫様が始めてそれに出す服を作ってたの・・・眠いなぁ・・・」

「あら、寝不足はお肌の大敵よ。気をつけなさい」

 

寝不足のマーガレットに注意するシャッキー。

ウタはマーガレットの言葉に内心慌てた。

 

(え!?なにそれ、まさかマーガレットもルフィが好きなんじゃ・・・)

 

昨日の今日と言うこともあってウタは混乱しているとそれに気づいたマーガレットがあっけらかんと応えた。

 

「あぁ、ルフィには感謝してるけどそういった感情は無いよ。大切な男の友達って感じ・・・というかコンペは女ヶ島の皆も入ってるから私だけじゃないよ」

 

マーガレットの言葉にウタは顔を真っ赤にさせた。そこまで自分はわかりやすいかと恥ずかしかった。シャッキーやレイリー、ゴードンはそんなウタを見て笑ってた。

 

「ねぇ、マーガレット。それって1人1着なの?」

「コンペの事?ううん、蛇姫様は100着ぐらい出す気でいるよ。1年半前からニョン婆に教わりながら作ってたって云う服もあるみたいだし。決まってないよ」

 

マーガレットがここまで言うとシャッキーはウタを見た。ウタもシャッキーが何を言いたがってるのかわかってすぐに立ち上がった。

 

「どうしたんだい?」

 

近くにいたゴードンがウタに聞いてくるがウタはマーガレットに近づいた。

 

「どうしたの?」

「それって女ヶ島の人だけしか出来ないの!?」

 

食い気味にウタはマーガレットに詰め寄った。マーガレットは少し混乱するも答えた。

 

「女ヶ島限定というか女ヶ島でしか言われてない事だから何とも・・・外で集めましたってなっても蛇姫様なら弾きそうだし・・・」

 

マーガレットはありのままを答えた。政府嫌い男嫌いというか女ヶ島以外は基本的に塩対応のハンコックが外からルフィ宛への服があったら処分すると思った。もうルフィに近づく女は自分以外許さんと言うのがハンコックのスタイルとして女ヶ島に定着していた。

 

「そう・・・だよね・・・」

「なら、マーガレットの名義で出しちゃえば良いじゃない」

 

シャッキーの言葉にウタはマーガレットに笑顔を向けた。結構怖いと純粋に思いながらもマーガレットは首を縦に振ってあげた。

 

「ありがとう!!」

 

ウタはそう言うと飛び出して行った。ゴードンも慌てて追いかけた。シャボンディは危ないし、ウタは有名人だったからだ。

 

 

〇〇〇

シャボンディ諸島は観光の町でもあるがもう1つの特徴として魚人島の前に必ず寄られる事とログが溜まらないという特性から様々なルートの物が集まりやすい。それには当然布地も入っている。

ウタは問答無用で布を見て吟味していた。何をやるのかゴードンもすぐにわかった。

ルフィに服を贈ろうとしてるのだ。マーガレット名義になるがそれでも何もやらないよりはマシと言う感覚で、ウタはルフィに服を贈ろうとしている。

 

となればゴードンも応援したかった。

全力でなにかに夢中になっているウタは素敵だった。それにウタの長手袋は自分で作った物と云うのもあって裁縫は得意だった。

 

 

ウタは布地を良く見る。

通気性や丈夫さ、冒険には色々と苦難が付き物というのをウタは確りと学んだ。海の水に濡れてベタベタするから出来るだけ乾きやすく、丈夫さがある布地を選ぶと色を選ぶ。

ルフィの好きな色を検討する。

幼い頃の記憶を辿って考えてみるがルフィの服は良くも悪くもバラバラだった。

 

(ルフィって服の好みとか無かったんだよなぁ〜)

 

『あんたっていっつも似たような服だけど偶には長ズボンとか長袖とか着たら?』

『なんで寒くねぇのに着るんだ?』

『今日とか、そこまで暑くはないでしょ?』

『やだ、動いたら暑いんだよ!』

『あんたは動きすぎなのよ!』

 

懐かしいことを思い出してウタは笑うとルフィの為に作る服をどうするか考えていた。

 

(会ってる人や鶏の話を聞いてると今も色々と動いてそうだからノースリーブの方が良いのかな?けど、人って成長すると服の感じが変わるし、寒くなる度に上に羽織るのは嫌がりそう・・・そういえばバギーおじさんが面白い事を言ってたな・・・)

 

『俺はインペルダウンでアイツが腕をデカくさせて敵を化け物をふっ飛ばしたのを見たんだ』

『そんなに凄いの?』

『あぁ、なんたって巨人族くらいのデカさになってたからな』

『ルフィ凄い!!』

 

バギーがルフィとインペルダウンの時の事を話してた時の内容を思い出してウタは考えた。

 

(大きくなるんだったら、袖とかは拡がりやすいアンブレラスリーブとかの方がいいかな?長袖は嫌がると思うから七部袖くらいなら多分大丈夫だと思う。それこそ五部袖に近い感じで・・・)

 

そんな感じでウタはどんな服にするか決めてまた色を考える。色んな色があった。赤に青に緑に黄色、紫、黒、様々な色があったし山吹色とか珍しい色まであってウタは迷った。

服の好みがないルフィはそれこそ苦手な色がなかった。流石にフリルとかそういった物は嫌ってたがそれ以外と事をウタは流石に覚えていなかった。

 

「う〜ん」

「どうしたんだい?」

「どんな色にすれば良いのか迷っちゃって・・・」

 

ゴードンも一緒に考えてくれてると新聞の記事の事を言ってきた。

 

「そう言えば記事では赤い服を着ていたって書いてたから、赤にしたらどうかな?」

「赤?けど折角の新しい服なのに色が同じってどうなのかな?」

「下手にやるよりも良いんじゃないかな?」

 

ゴードンの言葉にウタは悩んで作れなくなるなんてオチは嫌なので無難に行くことにした。

布地を買ってるとマーガレットがやってきた。

 

「ここにいた」

「マーガレットどうしたの?」

「シャッキーから、私と仲良く使うならミシンとか色々と店にあるのを使っていいって言われたから伝えに来た」

「・・・マーガレットはいいの?」

「勿論だよ、それに一緒にやった方が楽しいじゃん!」

 

マーガレットの優しさにウタは感極まって抱きついた。

 

「マーガレット、大好き!!」

「ハハ、ありがとう!」

 

ゴードンはウタに新しい友達が出来た事を喜びつつ、店員から品物を受け取っていた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

それから1週間後、元々服を自分で作れるというのもあってウタは上着を作った。

ズボンに関しては時間が足りなくて出来なかったが上だけでも作れて満足だった。

 

「じゃ、これもちゃんと出してくるから任せてね!」

「ありがとう、マーガレット」

 

マーガレットは袋に自分の作った服とウタの作った服を入れて持つとシャッキーの店の前にある階段の前に来ると最後の別れの挨拶をしていた。

 

「本当に見送りはいいのか?」

「大丈夫よ。私だって九蛇海賊団だから・・・」

「また来てね。これは私からサンダーソニアとマリーゴールドへの返事よ」

 

シャッキーが手紙を渡すとマーガレットは大事にそれを懐に入れて、階段を再び降り始めた。

 

「マーガレット!!今回は出来なかったけどいつかライブをやるときは来てね。最高の歌を届けるから!!」

「楽しみにしてるよ、元気でね!!」

「マーガレットも元気で!!」

 

マーガレットはハンコック達から言われていた場所まで行って無事に合流して帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルスカイナ島。

1週間ごとに季節が変わる過酷な島は春の週だった。

ハンコック達はそんなルスカイナ島に行って用意していた服を並べた。

 

「全くにゃにをするかと思えばこんな・・・レイリーがにゃんというか・・・」

「レイリーは食料じゃなければ良いよって行ってたよ」

 

マーガレットの言葉にニョン婆は呆れていた。自分としては外海で迷子になってたハンコック達を助けてから娘のような気持ちで接していたがハンコックのこの暴走っぷりには呆れた。このままだと城の1面にルフィの手配書を貼りそうだった。

 

「おっ?何やんだ?」

「ルフィ、いつもそなたは同じ服だと飽きると思って新しい服を用意してきたぞ!どれでも好きな服を選ぶといい!」

「そうか、ありがとうハンコック!」

 

ルフィとしては娯楽が完全に冒険のみと野性的なこの島は好きだったが偶にはこういった事も面白いと思って並べてくれた服を手当り次第着ては替えてを繰り返していった。

 

「はぁ、また名前で呼んでしかもありがとうと言ってくれた・・・これが結婚!?」

「違う!!」

「ニョン婆も大変ね」

「そろそろ止めた方が体に良いと思うわ」

 

ハンコックのいつものボケにニョン婆がツッコんだ。サンダーソニアとマリーゴールドは毎回やるニョン婆の体を心配しつつももう何も言わなかった。

 

「お、これ良いな!」

 

ルフィが手に取ったのはウタが作った服だった。着てみていつもよりも長い袖になったがことあるごとにマントを羽織るのもウンザリしてきたので別に良かった。

ズボンも近くにあったいつもと似たような感じのを選んだ後、何気なしに適当にぶら下げてあった黄色い布を腰に巻いて鏡の前に立ってみた。

 

「お、カッコいい!!これに決めた!!」

 

こうしてルフィは新しい服装になった。

ハンコックもルフィが喜んでいる姿を見て嬉しそうにしていたが誰の作った服か気になったので幹事のリンドウに聞いてみた。

 

「あれは誰が用意した服じゃ?」

「あれは上も下もマーガレットですね。黄色い布に関しては女ヶ島に適当にあったやつで名義はしてません」

 

ハンコックはマーガレットに対して石にしてしまおうと割と本気でメロメロ甘風の構えをするがニョン婆と妹達に止められた。

 

「ええい、離さぬか!!」

「幾らにゃんでも駄目に決まっておろうが!!」

「そうよ、姉様も納得してた決まりじゃない!」

「誰のが選ばれても文句なしよ、それにマーガレットを体のいい言葉で1週間も外海に居させたんだからダメ!!」

 

ハンコックは大事な妹達からも止められてショックのあまりハンカチを噛みながら恨めしそうに仲良く話してるルフィとマーガレットを見ていた。

 

「ししし」

「よっぽど気に入ったんだね」

「おう、なんか色々とあったけえんだ!」

 

ウタの想いが伝わってるのかルフィは暖かそうにして喜んでいた。マーガレットはハンコック達に聴こえないように言った。

 

「その服ね、外で出来た友達が作ってくれたんだ」

「そうなのか?だったら、ありがとうって言っといてくれよ」

「フフッ、わかったよ」

 

小さくルフィと約束するとマーガレットはまたウタに会う理由が出来たなと思った。見聞色の覇気でハンコック達もわかりそうだが、内心色々と冷静さを失っているハンコックには分からなかった。

 

 

 

歌姫VS女帝 1回戦 勝者は歌姫

 

 

 

〇〇〇

1週間後の新世界、カライバリ島。

バギーズデリバリーの本拠地があるこの島にウタは1人で商船に乗ってやってきた。

 

「ここがおじさんの島か・・・よし、先ずはそこに行こう!」

 

カライバリ島は確かに海賊だらけの島ではあるが治安は良い方だった。宴好きのバギーがほぼ毎日夜になると宴を開いてるので食料はたんまりあるし、幹部のアルビダが女なので風俗関係も案外確りしていた。なので美人なウタが堂々と1人で歩いてもすれ違った海賊らは振り返りこそしたが、襲う輩は居なかった。

 

島で1番大きなテントからバギーが欠伸をしながら外でのんびりと体を解してるのを見てウタは手を振った。

 

「おじさーん!!」

 

ウタの声にバギーも気づいて吃驚した。

 

「お前、なんでここにいるんだ!?」

 

吃驚して目玉が飛び出してるバギーに近づいて笑顔を向けた。

 

「おじさん、私を()()にして!!」

 

ウタはそう言うとまた笑顔を向けた。中々の衝撃発言にバギーはすぐに反応出来なかったが、答えが早くほしいウタに揺すられて正気に戻った。そして無人島での生活やウタの人気を考えた。無人島では楽しかったが色々と新聞に書かれてどうなるかと胃が痛かった。

あんな思いを自分からやりたくないバギーは大声で叫んだ。

 

「帰れーーーー!!!」

「えぇーーー!!?良いじゃん別に!!」

「フザケンナ、バカ娘ぇ!!!」

 

バギーの叫びがカライバリ島に響き渡った。

ルフィの“軌跡”を追っていたウタ。

様々な冒険と旅と出会いを繰り返した彼女は“軌跡”を追うのを止めて“新時代”へと進み始めた。

これは本当とは違う“奇跡”的な世界の物語。

 

 

 

 

第一部 完!!







というわけで今作ではルフィの2年後の服はウタとマーガレットの合作とさせていただきます!いや、もうあの服を見たときに思ったのが絶対に女ヶ島で作られた服って思ってだったら絡めようと思ってやりました。


そしてこの話で第一部が終わりです!
安心して下さい。次回も勿論、この話の後からすぐに始まりますが作者の個人的なノリで2部になります。というのもこっからは軌跡的ではなくてREDとは違う奇跡的な話になるので!!


なんでバギーの弟子になろうとしてるのかは次回書きます!


後、お待ちかねのルフィとの再会は“ドレスローザ編”にしましたのでお楽しみに!!


章分けは次回の更新と共にやります。多分、月曜になると思うので1日空くのはご容赦下さい。


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“奇跡”的な世界
Mister


お待たせしました!!本当なら明日に出すつもりでしたが皆様の感想が早く読みたいのでフライングで出します!!
その代わり、章分けは明日までお待ち下さい。
というわけで第二部の修行編の開幕です!


※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。


時間はウタがシャボンディ諸島に居たときまで遡る。

レイリーはルフィの服を作ってるウタに聴いてみた。

 

「ルフィは新世界を色々と旅をすると思うが君はルフィに付いて行く気かね?」

「ううん、付いて行く気はないよ」

「ほう、どうしてだね?」

 

レイリーはついて行く気がないウタに少し興味が出たのか訪ねた。

 

「ルフィにはルフィの冒険があるし、私にも私の旅があるから・・・ただ新世界のどこかで1回あってお互いに色々と話したいなぁ・・・」

 

それを聞いてレイリーは少しだけ安心した。今のウタがルフィらの冒険についていけるとは到底思えなかったのだ。明らかに色々と不足していた。もしもついて行く気なら止めるつもりだったがそうじゃないなら、なんとか助言できそうだった。

 

「なら、新世界で誰かの庇護下に入りなさい。向こうは前半の海と違い、四皇が支配する海。カタギとはいえ過酷なのには違いない。それに何の能力かはわからないが君の今つけてる海楼石をみるに・・・」

 

レイリーはウタが海楼石を身に着けてるのを気づいていた。見聞色の覇気でウタの長手袋の中に入ってるのがわかったからだ。話しながら酒を一回呑んで続けた。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

レイリーの指摘にウタに緊張が走った。ズボシだったからだ。トットムジカでエレジアを滅ぼした事を知ってからと云うものウタは自分の能力が嫌になっていた。バギーに海楼石を貰ってから、自分の歌は取り戻したが依然としてウタウタの実は嫌いだった。

 

「新世界では自分の力を信じれぬ者や驕れる者はすぐに潰される。カタギでもそれは関係ない・・・ルフィに会うつもりなら自分の能力に向き合わないといかんな・・・それこそ怖いなら誰か知り合いの能力者に教えて貰えばいい」

 

レイリーの言葉にウタは考えた。自分の知り合いで能力者でなおかつ庇護下に入ればなんとかなりそうな人物は1人しか思いつかなかった。

ウタはその後でエレジアに戻って映像電伝虫を持ってゴードンと分かれてレッドラインを横切る商人の一団に歌払いで乗せてもらってその知り合いの所まで来たのだ。

 

 

 

 

〇〇〇

「だから、おじさん。私に能力の使い方を教えて!」

「能力は教えられるもんじゃねぇよ、バカ娘!」

 

本部にある座長部屋のソファーに座ってあっけらかんと言ってくるウタにバギーはツッコんだ。能力なんて個人で鍛える物であって教える物ではない。ましてやウタのように特殊すぎる能力をどうやれば良いのかバギーには検討もつかなかった。

 

「やっぱりダメかぁ〜」

「当たり前だろお前、そもそもあんな初見殺しみたいな能力をどうやれば、俺様に教えられるんだよ」

「その・・・使う意気込みみたいな感じを・・・」

「派手バカアホボケ!!」

 

どことなく甘い考えでやってきたウタにバギーは割と本気で説教を始めていた。自分で切り開いていく物を人に教えて貰おうなど大甘も良いところだった。とはいえ、新世界での活動をやる危険性もバギーは考え始めていた。

 

(もしここで俺がコイツを追い出して下手な考えのままでなんかあったら今の派遣業に影響が出るんじゃ・・・だったら、逃げ方とかそう言うのは教えて後は勝手にさせた方が良いんじゃ?)

 

バギーはあくまでも自分の仕事と金集めに影響を与えない為に考え始めた。傭兵を派遣する非加盟国でも人気なウタを連れてそこでタダでライブすれば更なる人気と派遣をされるのではと考えてバギーは深い溜息を吐いた後で向き合った。

 

「能力は自分でやるしかねぇが戦い方と庇護下に入るって事はOKにしてやるよ・・・・すげぇ嫌だけど!!」

「本当!!?」

 

嫌そうに言ってるバギーにウタは笑顔で喜んだ。その無邪気そうな顔をぶん殴りたくなるバギーだったが堪えた。この苛立ちはシャンクスに会ったときに百倍にして返そうと誓うとそもそもの疑問点をバギーはツッコみ始めた。

 

「そう言えばシャンクスに会わねぇのか?一応、連絡先なら知ってるぞ?」

 

バギーは四皇であり父親であるシャンクスの方がより安全で強くなれると思ってウタに聞くと神妙な顔つきになった。

 

「シャンクスには頼らない」

「何で?」

「11年前の事で恨んでたし、真実を知ってから感謝もしてるし、会いたいって思ってるけど・・・じゃ何で1回も手紙すら寄越さなかったの?」

 

少し蹲って答えるウタ。声からは怒りや悲しみなど色んな感情が抑えられていて一言では言い表せないほど複雑だとバギーは悟った。

 

「ここで私から会いに行くのも凄い癪に障るから、死んでも私から行くもんか。シャンクスが自分から来たら、ぶん殴って喧嘩して色々と言いあってどうするか決める!」

(いや、巻き込まれる俺様の身は!!?)

 

完全に父娘喧嘩中の娘の反応だった。

そんなのに巻き込まれたバギーは溜まったもんじゃなかった。さっさと引き取りに越させようか迷ったがシャンクスの性格を知ってるバギーは事情を説明しても任せてきそうで上手くいかない予感の方が高かった。寧ろ、そこから同盟とか結んできてより色んな所から目をつけられる厄介な状況になりそうだと直感した。

 

「頑固父娘が・・・わかったよ!その代わり、俺のやってる海賊派遣には何も言うな。後、週一で歌を手下共の前で歌え、ファンが多いからな。それが条件だ。ぶつくさ言ったら海に沈めるからな!?」

「おじさん最高!」

 

嬉しさのあまり抱きついてくるウタをバギーは体をバラバラにして避けた。鬱陶しいかったからだ。

 

「え〜、なんで避けるの?カワイイ姪っ子が抱きついて来てるのに??」

「自分で言うな、派手バカ娘ェ!!」

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

カライバリ島の森の中でウタは作業服のような動きやすい服を着てバギーと向かい合っていた。バギーの手にはピコピコハンマーが握られていた。

 

「よし、新世界で海賊が上り詰めるには覇気って力が必要だ」

「ハキ?」

「まぁ、俺も出来ねぇから詳しくは分からねぇ。出来ればロギアの能力者でも殴れてどんな攻撃でも避けて自分よりも格下なら手も触れずに気絶させられる力だがそんなのは教えられねぇ。だが、お前の能力は歌を聴かせれば確実に勝てる。なら、どんな体勢だろうがどんな状況だろうが歌えるようになれば良い」

 

バギーはピコピコハンマーの先に絵の具を塗って軽く振って振り心地を確かめると笑った。かなりの悪人顔だった。

 

「これから徹底的に殴って蹴りに行くからお前は海楼石を持ったまま避けろ。体力がより付くからな。名付けて“避けて逃げて気づいたら夢の中大作戦”!!」

「うん、わかった」

 

ウタの声を聞くとバギーは容赦なくウタの頬をピコピコハンマーで殴った。痛みは感じなかったが頬には絵の具がついた。

 

「もう始まってるぞ、これが全部避けれるようになったらナイフに剣に金棒に銃に大砲と色々と変えていくからな。気を抜くと・・・・すぐに死ぬぞ」

 

本気の声だった。ウタは久しぶりに本気でバギーが怖いと感じるとすぐにピコピコハンマーで殴ってくるバギー。ウタはそれを避けたが蹴りを入れられて吹き飛ばされた。

 

「バカ、ハンマーだけでやってくる素っ頓狂がいると思うか!?集中しろ!」

 

本気で怒鳴ってくるバギー。ウタはすぐに立ち上がった。自分の旅の為に始めた事であり、バギーには色々も迷惑を掛けてるのに情けない所は見せたくなかった。

 

「よし、来い!」

「いい根性だ!!」

 

意気込むウタに詰め寄ってバギーはまたピコピコハンマーで殴った。

 

 

 

 

〇〇〇

1日で全身絵の具まみれと痣だらけになったウタは体を綺麗にした後で座長室で新聞を読んでいた。テーブルには世経だけじゃなくて海賊向けのブルーベリータイムとか世界にある殆どの新聞が置いてあった。

 

「お前はまだまだ世界の事を知らなさすぎる箱入り派手バカ娘だ。色々と旅して多少はわかったなら視野をより拡げろ」

 

バギーはそう言って新聞を読ませまくった。世界を知らない旅する前のウタなら影響があったかも知れないが色んなとこで旅をして人脈を拡げていったウタはあくまでも情報としてそれを処理できていた。

バギーはそんなウタの隣で財政の計算を始めた。毎日毎日宴会で食費がかなり嵩んでいるので備蓄は少ない方なので削れる所が無いか探していた。

 

(クソ・・・借金を返さないといけねぇのに食費で殆ど消えてやがる・・・どうしよう?)

 

考えても妙案が浮かばないバギー。もうすぐ宴に出ないといけないのにこのままだと金を借りてるクロコダイルにやられると本気でビビっていた。

 

「おじさん・・・」

「あ、なんだ?」

「本当にありがとう・・・私、おじさんしか気軽に頼れないから・・・」

 

ウタの本音にバギーは手を飛ばして頭を撫でてやった。頼られるのは純粋に嬉しかったからだ。色々と胃痛が辛いがなんだかんだ言って純粋に慕ってくれるウタをバギーは気に入っていた。

 

「アホ、こんな悪党を慕うバカがいるか。とっとと鍛えて何とかなったら出てけ」

 

自分が骨の髄まで海賊なのを理解してるバギーはそう言った。悪態をつくバギーにウタは笑うとグシャグシャと雑に撫でられた。

 

「あぁ、髪が!!おじさん酷い!」

「さっさと勉強して寝ろ。明日も早いからな!」

 

バギーはそう言って座長室から出ると大広間に着て体を大きく見せるために赤いローブを羽織って傘下の奴らの前に来た。

 

「よぉ、オメェら盛り上がってるかぁ!?」

『キャプテン・バギー!!』

『盛り上がってるぜぇ!!』

『毎日が最高!!』

『バギー!バギー!バギー!バギー!バギー!』

「そうかぁ、まだまだ盛り上がるぞ!!飲んで食って騒いで楽しめ!!」

『うぉぉぉぉぉー!!!』

 

 

 

 

●●●

それは古い記憶だった。

バギーがバラバラの実を食べてシャンクスに助けられてレイリーに仲間を騙した罰として甲板掃除と夜の見張りをさせられていた時だった。

大泣きしながらやっていた。

 

「くそっ、なんでこんな事になってんだよ〜」

 

全ては金欲しさに色々とネコババしようとしたバギーの自業自得であるがバギーはカナヅチになった悲しみの方が大きかった。見張りの仕事も嫌になってオーロジャクソン号の端でバギーが蹲ってると後ろから足音が聴こえてきてバギーは振り返った。

 

「バギー、調子はどうだ?」

「船長・・・」

 

バギーに話しかけに来たのは後の海賊王ゴール・D・ロジャーだった。いつもなら酒瓶を持ってるロジャーだが今日は何も持ってなく、バギーの横に座った。

 

「泳げなくなったのは残念だが、まぁ気にするな。俺やレイリー、シャンクスが助けてやる!」

 

バギーの肩をパンパンと叩いて安心させようとするがバギーは体を小さくさせたままだった。

 

「船長、ごめんなさい・・・」

「ん?何がだ?」

「騙そうとして・・・宝の地図も・・・」

「そんな小さい事、いちいち気にしなくて良い」

 

バギーは泣きながら謝るがロジャーは全て笑って許していた。懐の大きい船長だった。

 

「船長・・・お願い・・・捨てないで・・・」

 

孤独のバギーはそう言った。金になるものは全て無くなり、誇れる物すらも出来なくなったバギーは不安でそう口走った。するとロジャーから拳骨が振り下ろされてバギーは頭を抑えた。

 

「バカ!俺達が大事な仲間を見捨てるか!」

 

本気の目だった。バギーに対してロジャーは本気で叱ってきた。けど、何も無くなったバギーは更に口走った。

 

「でも、俺・・・弱いしヘタレだし、何も出来なくなっちまった・・・泳げなくなったし・・・」

「だったら、新しい出来ることを見つければいいだろうが、まだまだ若いんだから何でも出来らぁ。それに悪魔の実を操れればきっと強くなる。頼りにしてるぜ!」

「本当・・・?」

「あぁ、んでもっと誇れる物を見つければ良い!自分(てめぇ)自分(てめぇ)の幸せを狭めるな」

 

ロジャーの暖かい言葉にバギーは嬉しくなった。自分が弱いことも気弱な事も充分に理解していたバギー。だから宝があって船を降りれば迷惑を掛けずに済むし、楽に生きれると思っていた。

そう考えていたバギーだがもう船を降りる気持ちは無かった。

 

「船長、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!俺もう船を降りようとも思わねぇ!!船長の役に立ちてぇ!!・・・この船にいたい!!」

 

バギーはそう言ってロジャーに抱き着くと頭を撫でられた。海賊だからなのか雑で髪がぐしゃぐしゃになったがバギーにはそれが堪らなく心地良かった。

 

「バギー、何があってもお前は俺の仲間だ。これからも頼りにしてるぜ。俺は1人じゃ何も出来ねぇからな!」

「おう、任せてくれぇ!!」

 

バギーは顔面から涙や鼻水など出るものを全て出しながらロジャーにそう言った。

その日の夜、2人は一緒に見張りをしながら楽しく過ごした。それを船室から見ていたシャンクスはロジャーとまるで親子のように接してるバギーに少しだけ羨ましいと思いながら、また寝た。

 

 

 

 

 

〇〇〇

宴が終わり、酒に酔っていたバギーは頭を抑えながら懐かしい夢を見た。

自分とロジャー船長だけの大切な思い出を久しぶりに見て懐かしくなっていた。外を見るとまだ夜でバギーは部屋で寝ようとローブを脱いで座長室に戻っていく。他の面々を起こさないように静かに座長室に戻るとウタがソファーで寝ていた。

 

「ったく、ベッドを使えって言っただろうが・・・」

 

バギーにとってウタは大事な派遣業の成績を上げるために大切だった。だから、座長室で住まわせる事にしたし、ベッドも使えと言ったのにソファーで寝たら意味がないとバギーは呆れながら、ウタを抱えてベッドに連れていった。ベットで横にさせて布団を掛けてやるとバギーは自分の机に戻って外を眺めていた。

まだ外でもどんちゃん騒ぎをしてる奴らがいて楽しそうだった。

 

(俺はロジャー海賊団の恥晒しだ。カタギには手を出したし、金にがめついし、弱い・・・あんな夢、もう見ないと思ってたのに・・・)

 

バギーはそう思いながら、昔の光景を思い出していた。シャンクスは大嫌いだが、あの時の冒険は大事な思い出だった。しかし、弱く。ロジャーの処刑後にその名前の重さに堪えきれずに全てを隠して生きて海賊をして極悪になった。それなのに今の地位がその思い出で作られている事、自分の見栄を貼る質でそれを作り上げてきた事にウンザリしていた。弱くて情けない自分にバギーはうんざりした。

 

「船長、俺はまだロジャー海賊団って名乗って良いのかな?」

 

その呟きに応える者は誰も居なかった。

 









バギーとウタの修行が始まりました!!
そして、本格的にバギーが話に組み込んで来ます!これはマジで当初の予定とは違います。最初の構想では前回のバギー編の後でちょくちょく出そうかな?というノリでバギー編を出してましたが、予想外の人気と書きやすさと書いてて面白かったのもあってドンドンとより書きたい欲に溢れたのでこの修行編を始めました!!
この章で目指すのは前回のバギー編の逆!!
バギーがウタを助けるのではなく、ウタがバギーを助ける事を目指して書きます!!
次回もお楽しみに!!次に登場するのはあの男です!!


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Sir Clocodile

次の話で修行編自体は終わります。
そこから、割とどうするべきか迷っててルフィらの再結集は1話かけてちゃんとやりますが、そこまでの物語は悩み中です!


バギーの元で修行を始めてから2週間。

ウタはピコピコハンマーが避けられるようになるとナイフをバギーから投げられて追われていた。

 

「イヤァァァァァァァァァ!!!!」

「おらおらおら、もっと冷静になって避けろ!!」

「ちょっ、危ないから止めて!!」

 

割と本気で投げて追っかけてくるバギーにウタは叫びながら逃げていた。一応、バギーは当てないようにしてはいたが刺さると死ぬという恐怖に怯えてかなりへっぴり腰になりながら大きく避けて逆に当たりそうになっていた。

 

「そんなにド派手に避けるな!変な形のボールだと思え!」

「そんな事、言ったってぇ!」

 

泣き言を言うウタにバギーはまたナイフを投げた。それはウタの目の前スレスレを通って近くの木に刺さり、ウタは足を止めた。

バギーは容赦なくウタの周りにナイフを投げて動けなくさせた。

 

「だから、落ち着いて見ろって言ってるだろうが!!」

 

バギーは腕を飛ばしてウタの頭を叩いた。

頭を抑えるウタはバギーを恨めしそうに見るが睨み返されていた。

 

「いいか、おめぇは戦闘経験が欠片もねぇ。こういった時は落ち着かねぇと意味がねぇんだよ!」

「じゃ、おじさんはビビらないの!?」

「派手バカ娘、俺はな能力で斬撃が効かねぇからビビるとかビビらない以前なんだよ!」

「ズルい!!」

「ズルくねぇ!」

 

師匠と弟子の関係になってしまったバギーだが、ウタ自身に戦闘経験が殆ど無いのもあって教えられる事は多かった。どのみち覇気は教えられないので逃げ方とか避け方とかだけでも覚えとけばウタウタの実の力で何とかなると思ったからだ。

 

「ほら、さっさともう一回やるぞ。その次は上だからな」

 

バギーはそう言ってまたナイフを投げて追いかけましていく。

 

 

 

〇〇〇

ウタがやってきてからバギーズデリバリー本拠地より少し外れた所に高い平均台のような綱渡りをするような置物が置かれた。高さは数十メートルくらいあり、鉄骨で出来ていて4本あり、真上から見ると正方形に見えるようになっていた。四角は少しだけ広くなっていてウタはその1つの角に登ってくるとすぐに鉄骨を歩き始める。なぜなら金棒を持ったバギーが追いかけてくるからだ。

 

「落ちたら、派手に死ぬから集中しろ!」

 

そう言いながらアルビダの金棒をウタに対して容赦なく振り回してくるバギー。ウタは足場の悪い所で走って逃げられるほどバランス感覚をほぼ無理矢理作らされていった。元々身体能力は高い方だったが教えることに関してはド素人のバギーの無茶苦茶な修行方法と何回も訪れた命の危機にウタの身体能力は上がっていった。

 

1時間、鉄骨の上で金棒を振り回してくるバギーから何とか逃げ切ると地面に降りるがウタは毎回横になっていた。

 

「地面が私を愛してる〜、私も地面を()()に愛してる〜」

 

2週間の間にバギーの影響を受けまくっていたウタだった。ここ最近はド派手とかという言葉をよく使うようになっていた。と言ってもバギーよりは少なくテンションが上がってる時だけだった。

 

 

地面に降りて暫く休憩したら、ウタは木の棒を持ってバギーの攻撃を受けていた。

 

「へっぴり腰になるな!ちゃんと受け止めろ!お前の能力なら少しでも止めれば派手に勝つんだ!」

 

容赦なく木の棒を振ってくるバギー。ウタはウタワールドでの戦闘とは違って実に不自由な事をやっていた。殴られると痛いので腰が引けてしまってキチンと止められてなかった。寧ろ、バギーの攻撃がドンドンと早くなってくる。何回もこの後で棒を飛ばされて叩かれてるのでウタは勇気を出してちゃんと腰を据えて受け止めた。

 

「やった!!」

「バカ」

 

しかし、たったそれだけでウタは気を抜かして喜んでしまい、バギーはバラバラにした左手を飛ばして上からウタを叩いた。頭を抑えるウタにバギーはまた攻撃し始める。

 

 

 

〇〇〇

次の修行は船のマストの上で先程と同じ事をやっていた。2人共、振りやすいように棒はサーベルと似たような感じの長さでやっていた。

 

幾ら港につけてるとはいえ、揺れてる船のマストの上なので足場は最悪だった。バギーは船の上での戦闘を理解していた。何年も海賊をやってきた経験から足場が劣悪であればあるほど鍛えられると。

人に教えるという事は精々、見習い時代にシャンクスに対してより速く泳ぐために泳ぎを教えた事以外は初めてだったバギー。無茶苦茶な内容ばかりだが幼い頃から赤髪海賊団に乗っていたウタの血が戻ってきたのかみるみる向上してバギーも内心ホッとしていた。

 

「オラ!」

 

バギーの攻撃を上手く受けられず、ウタはマストにぶら下がる状態になる。バギーはそれを見て冷酷にもウタの手を踏み付ける。

 

「おじさん、セコい!」

「戦闘にセコいも汚いもあるか!お前が教えてるのは海賊だぞ!!眼の前で勝てそうなのをほっぽり出す素っ頓狂がいるか!その体勢になったお前が悪い!」

 

バギーは極めて冷酷だった。普通なら助けようとするかも知れないがバギーにとってウタは海賊派遣の為の宣伝に必要なだけであってそこまで個人的な思い入れは無いし、敵は確実に殺しに来るのに一々愚痴ってたら話にもならんのでバギーはウタを蹴り落とした。

 

だがウタも元からあった身体能力の高さを駆使してマストから垂れていたロープを掴んで上手く着地した。バギーがウタの為にやっておいた緊急の安全ローブである。

 

「本当に落とす人がいる!?このデカっ鼻親父!!」

「さっさと上がってこい!まだまだ派手にやるぞ!!」

「今度は私が落としてやる!!」

 

流石に何回もコテンパンにやられるとウタもキレてきて倒そうと躍起になり、勢いよく上がっていくが能力ありならまだしもそんなド素人のウタに負けるバギーでもなく、また落としていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

体の方が終わるとウタは新聞を座長室で読み、バギーも本を読んでいた。バギーは本の類が大の苦手である。寧ろ、進んでは読まない。しかし、ウタが座長室で勉強し始めてるとウタから絡んできた。

 

「ねぇ、おじさん。ここの革命って何が原因だったの?」

 

何気なしに聞いてくるウタ。バギーからすればそんなもんは知らんと冷たく返してたが気になると止まらなくなるウタの質もあってバギーは片っ端から本を集めてそれを資料にさせて読ませていた。そうすると自分の金で買ったということもあってバギーも読み始めていた。

 

お互いにお互いの生活に影響が出ていた。

 

「おい、そろそろ準備しろ。ライブだ」

「あ、そうだね。わかった!」

 

週一のライブの為にバギーとウタは部屋を出て準備を始めた。ウタは白を基調としたいつもの衣装ではなく、赤いスーツのような衣装を着ていた。バギーはいつも通りのローブを着ていた。

 

バギーズデリバリーの広間の上にはカバジの曲芸用の綱渡りの綱があるがライブの時にはそこにもう1本の綱が張られて板が敷かれる。

 

『オメェら!!今話題の歌姫のUTAのライブの始まりだぜ!!楽しんでいくぞ!!』

 

バギーの号令と共に熱狂する手下達。

ウタは空中の板の上に立った。

 

『UTA!!』

『今日も可愛いなぁ!!』

『俺と熱い1夜を過ごそうぜ!!』

『どけ、今日こそはパンツを見るんだ!!』

『馬鹿!だからスーツを着てるんだろうが!!』

 

マナーの良いとは言えない客なので割とゲスい事も平気で言ってくるがバギーに気に入られているというのもあって邪な事を実行する輩はおず、ただの悪ノリに近かった。

 

『今日も歌うよ!!それから私の下着を見る()はもう決めてるから無理!!』

 

ウタもそう返すと曲を歌い始めた。『風のたより』に『ヒカリへ』がここでは大人気だった。特に『ヒカリへ』に関しては初のお披露目がバギーのビックトップ号というのもあってバギーズデリバリーは自分達のテーマ曲だと認識していた。

 

 

 

 

〇〇〇

ライブも終わり、バギーは上機嫌になって酒瓶を持ちながら座長室にウタと一緒に戻っていく。

 

「おじさん、あんまり飲まないでよ」

「わかってるってお前は俺のおかんか?」

「え〜、やだ!こんなかっこ悪いの」

「んだとこの小娘!」

 

じゃれ付きながら部屋に戻っていく。まるで親子のように接してる2人が座長室に入ると1人の男がソファーの上に座っていた。

 

「クハハハハハ・・・バギー、久しぶりだなぁ」

 

その男は黄金の鉤爪の男、クロコダイルだった。バギーは借金をしてる相手が突然来たことに固まった。

 

「クロコダイルゥ!?なんでここに!!?」

「え?クロコダイルってビビの国を滅茶苦茶にした!?」

 

ウタは眼の前の男が友達の国を滅茶苦茶にしたやつだと知ると睨んだ。クロコダイルはそんなのは別に慣れてるので気にしてなかった。

 

「最近の羽振りが良さそうでな。金を返して貰いに来た。インペルダウンで共に脱獄したよしみで貸してやったがそろそろ返せ」

「ま、待て!!ほら、俺達って大所帯だから食費とか移動費で無くなってて・・・」

「毎日の宴会を週一にすれば2週間で20億ベリーは貯まるだろうが・・・しかも高い酒に肉に魚を買い占めやがって・・・」

「だってアイツら、派遣先で頑張ってくれてるからよぉ。旨いもん食わせないと割に合わねぇだろうが・・・」

 

バギーは金がなくなる理由を述べていくがクロコダイルはうんざりした様子でバギーの首を掴んで締め上げる。

 

「おじさん!!」

 

ウタはクロコダイルを殴っていくがロギアの力で当たった所が瞬時に砂になっていくので効かなかった。鬱陶しく感じたクロコダイルはウタを殴り飛ばす。バギーは持っていた酒瓶をクロコダイルに投げつけるが軽く避けられてウタの方に投げ飛ばされた。

 

「歌姫UTA・・・裏世界の好事家で人気がある・・・借金の形には丁度いい・・・」

 

ウタに近づくクロコダイル。バギーはそんなウタの前に立った。

 

(ここでコイツになんかあったら、派遣業に支障が出ちまう!!)

 

あくまでも派遣業優先のバギーはウタを守ろうと立って、クロコダイルに頭を下げた。

 

「頼む、コイツだけは手を出さないでくれ!!金は必ず返す!!だからコイツだけは!!」

 

土下座してまで頼み込むバギー。クロコダイル的には金を返してもらえば充分なので脅しにはちょうど良かったと思うことにした。

 

「良いだろう、2週間後に借金と利子の分を合わせて16億ベリー返せなかったら、そこの娘を好事家かもしくは天竜人にでも売ってやる」

 

クロコダイルはそう言うと体を砂にして消えた。

ウタはバギーの所に行くと、バギーは頭を抱えていた。

 

「おじさん、大丈夫?」

「大丈夫じゃねぇよ、どうしよう16億ベリーなんて大金、用意出来ねぇよ!!」

 

旅をやり続けて16億ベリーがどれほどの大金なのかウタにもわかった。恐ろしいくらいの大金だったがクロコダイルはヒントもくれた。

 

「でもおじさん、宴会を週一にすれば」

「出来るわけねぇだろうが!!毎日、派遣に行って帰ってきてるってのに旨い飯も酒もなかったら辛いだろうが・・・」

「説明すればわかってくれるよ!」

「無理だ・・・俺は弱い・・・全部ウソとハッタリだけで成り上がってきた。こんなのを明かしたら、全員居なくなって全てが水の泡になる!」

「そんな事ないよ!」

「あるんだよ!!力が弱い!嘘だらけ!!こんな俺が力を得るにはこんな事をやって引き繋ぐしかねぇんだよ!!ここは“海賊”の世界だ!!」

 

バギーは自分の事を良く知っていた。弱いし、嘘だらけ、調子乗り、そんなバギーは人を引き止めるのには宴しかないと思ってた。だから、飢えだけはないようにしてきた。そんなバギーに宴を止めろと言うのは自分の勢力を全て捨てろと同じ事を言われているようだった。

 

「・・・一緒にどっかに逃げるか?」

 

バギーはウタにそう言った。派遣だけではなく、バギーもウタと居て楽しいからこそ、不幸になって欲しくない。そう言うとウタは目を丸くさせた。

 

「ちょっと待ってよ。ここで逃げたら、ここの人達はどうなるの?色んな考えはあるとして、おじさんを慕って集まってくれた人達じゃない!!裏切るの!?おじさんの庇護下じゃないとまた、ただの海賊になるんだよ!?」

「あぁ、所詮は他人だ・・・信頼で飯は食えない」

 

他人の人生などお構いなしなバギー。ウタはそんなバギーの頬を思いっきりビンタして殴り飛ばした。

 

「最低!!私は・・・こんな・・・こんな人に・・・」

 

ウタは涙を溜めながら、バギーを睨んだ。信頼していた。カッコイイと心から思っていた。ルフィにとってのシャンクスのように偉大な男だと思ってたのにその全てを裏切られた気がした。

 

「おじさんなんか大っ嫌い!!」

 

ウタは腕に付けてたトレジャーマークをバギーに向かって投げて部屋を出た。

1人残されたバギーはトレジャーマークを取りながら、握りしてめいた。

 

「ロジャー船長・・・やっぱり俺には無理だ・・・アンタみたいな男になれねぇ・・・レイリーさんみたいに強くもなれねぇ・・・ギャバンさんみたいに勇敢にもなれねぇ・・・おでんさんみたいに挑戦も出来ねぇ・・・シャンクスみたいに優しくもなれねぇ・・・俺はロジャー海賊団の汚点だ・・・恥晒しだ・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

 

バギーは蹲りながら、今まで利用していた大事な大事な思い出と大切な人達に謝っていた。












というわけで借金取りのヤクザなクロコダイルさんも来ました。この章はウタとバギーの物語ですので次回をお楽しみに!!果たしてウタはバギーを助けられるのか、頑張ります!!


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Believe

これにて修行編の終わりです!!
色々と強引かもしれませんがどうかよろしくお願いします。

※この話は2年間の間の話です。麦わらの一味はそうそう出てきません。


バギーおじさんの部屋から出て私はもうあそこには1秒も居たくなくて離れていった。

 

『あの薄汚いやつがルフィ先輩を危うく処刑しかけたってのに』

『元々、気弱で臆病だったからな』

 

鶏やレイリーさんが言ってたけど、信じなかった。誰がなにを言っても私にとっておじさんは優しくて助けてくれたカッコイイ人だった。

 

『・・・俺は弱い・・・』

 

知ってたよ。ウタワールドで勝ったもん。そんなのは知ってたよ。けどそれでも優しいおじさんが大好きだったのに・・・嫌い・・・嫌い・・・バギーおじさんなんか大嫌い!!おじさんが逃げるとここの人達はまたただの海賊になる。海賊派遣は調べた。新聞にもたくさん載っていたから、読んでて酷いことをしてるって本気で思ってるしわかってる。けどあくまでも派遣で傭兵って感じ。元から略奪行為をやる海賊とはなんか違っていた。ノリは良いし、おじさんを本気で慕ってる人も多い。なのになんでおじさんはあんなに簡単に見捨てられるのかわからない!!

 

「おじさんなんか大嫌い!!」

 

そう怒りながら、歩いていくと誰かとぶつかっちゃって私は尻もちを着いた。

 

「ん?ウタか、どうしたんだい?」

 

ぶつかった人はアルビダさんだった。気軽に声を掛けてくれる同性の人で厳しいけど頼りになる人だ。

 

「アルビダさ~ん!!」

 

私は不安とかで一杯になってたからかアルビダさんに抱き着いた。スルスル滑って地面に倒れ込んじゃったけど。

 

「本当にどうしたんだい?」

「おじさんが・・・おじさんが・・・」

 

泣きながら、縋り付いてる私を見て不憫に思ってくれたのか自分の部屋まで連れて行ってくれて、私の話を聞いてくれた。おじさんが借金してる事は知ってたらしいけど、宴会の費用と借金してるお金の量は知らなかったのか吃驚していた。それでその事を言うとアルビダさんは呆れていた。

 

「アンタって凄い贅沢者だねぇ」

「え?」

「そりゃ普通は見捨てて逃げるだろ。無理に人の為にやったって意味はないよ。私ら海賊なんだからさ。それを止めてくれって恐ろしいくらいの贅沢だよ」

 

アルビダさんもやっぱり海賊なんだなって思わされた。私みたいな考えってこの時代に合ってないんだ。前々から思ってたけどこうして改めて知ると結構辛いなぁ・・・

 

「さてとバギーはどうでも良いとして、あんたになんかあると赤髪に狙われそうだから、借金に関してはなんとかしとかないとね」

 

アルビダさんはそう言って考え始めていた。おじさんの事は本当にどうでも良さそう。

 

「やっぱり、宴を週一にするしかないか・・・傘下の手下が離れそうだ」

「そんなに離れやすいの?」

「そりゃ、祭り上げられてるけど実質は弱小海賊だからね。それがないとただのカスだし」

 

うわぁ、酷い言いよう。

 

「・・・やっぱりなんにも思いつかないねぇ、まぁ後、2週間あるから楽しんで出ていくよ。それじゃ」

 

アルビダさんはそう言うと私を部屋から追い出した。なんでも情がこれ以上移ると逃げられなくなりそうだかららしい・・・うん、凄い薄情だ!!

って冷静になっても不味い!!

おじさんは情けないし、他の人は薄情だしでこのままだと私も危ない!!こうなったら、自分なりのやり方でやってやる!!

 

 

 

 

 

〇〇〇

バギーは1人座長室で蹲っていた後でトレジャーマークを持って何気なしに外を見た。

 

「はぁ~、これからどうしよう?なんであんな娘の為に俺ぁ、頭を下げてまで・・・バカ娘にはあーだこーだ言われるわ・・・最悪だぜ・・・」

 

愚痴愚痴と言ってるバギー。しかし、金を返せないとウタの身と自分の身が危ない。そうなると派遣業に影響が出て稼げなくなり、宴が出来ない。宴が出来なくなると傘下が離れて勢力が弱くなり、七武海じゃいられなくなる。そしたらまた追われる日々。最悪のパターンだった。何とかしないとと考えてるとウタが傘下の海賊と話してるのが見えた。

しかも、そいつらと裏道に入っていくのも見えた。

 

「何やってんだ!!!!???」

 

バギーは一体何をやろうとしているのか心配になって飛び出した。下手に傷物になったら全ての頑張りが水の泡になると思ったからだ。

 

(あのバカ娘!!こんな夜遅くに路地裏になんか男どもと行ったら危ないだろうが、絶対にただじゃ置かねぇ!!)

 

完全に娘を持つ父親みたいな事を考えながらバギーは全力でそこの路地裏まで走っていくとウタが上機嫌になりながら出てきてバギーの顔を見ると思いっきり顔を歪めた。

 

「お前、何してたんだ?」

「あんたには関係ないでしょ・・・」

 

おじさん呼びもしなくなったウタ。そこは別にどうでも良かったが何をしたのか非常に気になった。まさか身体でも売ってるのかと心配になった。ここらへんはインペルダウンからの脱獄囚が多く、高額の賞金首だらけで派遣でも稼いでる方。金にがめついバギーは金を持ってると思っていたが高額の賞金首という実績にビビって何も言い出せなかった。そんな所の路地裏に手下と入ってるのを見たバギーがそう思っても不思議はなかった。

 

「良いから答えろ!」

「なによ、父親でもないくせに!!」

「あぁ、俺はお前の父親じゃねぇ!けどな・・・心配なんだよ!!」

 

バギーの予想外の一言にウタは吃驚したがすぐに派遣関係で必要なのだと頭が冷えた。バギーがそういった世間体を気にしているからこそ、ウタは信じなかった。クロコダイルと向かいあって頭を下げてくれたがどうせ口だけだと思っていた。

 

「どうせ派遣関係で人気上げる為でしょ。私はあんたの商品じゃない!!」

「そうじゃねぇ!!」

 

ウタの言葉にバギーは被せるようにして言ってきた。

 

「お前といて楽しかったんだよ!!この2週間、ずっと楽しかったんだ!!・・・ロジャー海賊団にいたときみたいで楽しかったんだ!!だから・・・・俺は・・・あぁ、クソが・・・こんな事言うなんてよ・・・・お前が本当に大事なんだよ・・・大切な姪っ子だからよぉ」

 

バギーは口からこっ恥ずかしい事を言いながらも吐き出した。ウタはまさかそんな事を言われるとは思ってなく固まっていた。そしてこれが本心だと言うことも()()()()()だがわかった。

 

「わ、私は・・・」

「あのー、盛り上がってる所すみません」

 

ウタが言い始める前にウタと一緒に路地裏に入っていった手下達が出てきた。バギーは突然現れた面々に吃驚して目玉を飛び立たせた。

 

「俺達はウタさんに宴を週一にするのを手伝ってくれと言われただけです」

「はぁ!?」

「座長、水臭いじゃないですか。インペルダウンで助けて貰ったのにそこまで信用されてないなんて傷つきましたよ」

「寧ろ、毎日宴会をやってくれて嬉しかったよな?」

「あぁ、どんちゃん騒ぎやりっぱなしで申し訳ねぇって思ってた所だったんだ」

「恩はちゃんと返さねぇとな!」

「16億ベリーどころか25億ベリーぐらい貯めて返してやろうぜ!!」

 

盛り上がっている手下達。

バギーはウタを引っ張って少し離れた所で声を小さくして話した。

 

「一体、何をしたんだ?」

「あの人達、ライブをしたときのコールが凄かったから、借金の事をバラして返せなかったら私の身が危ないって事を言ったら快く協力してくれるって。あっ、借金した相手の事はシャンクスって事にしといたから」

「はぁ〜!?」

「兎に角、毎日の宴会が無くてもちゃんと付いてきてくれてるじゃん!弱気にならないで私の時みたいに向かいあってよ!!」

 

全て自分の勘違いだとわかったバギー。

バシンとウタに背中を叩かれて手下達を見た。まだまだ全然少ないが自分よりも強い奴らが純粋に慕ってくれてる事にバギーは嬉しくなった。これなら何とか借金を返せるかもしれないと思った。

 

「それにさっきの事は本当?」

「あ、何がだ?」

「私が大事って・・・」

「・・・どうだったかなぁ?」

 

借金を返せる見込みが出来た事に対して余裕が出来てきたバギーは答えなかった。恥ずかしかった。まだ見栄を張ろうとするバギーにウタは海楼石を持たせて足を踏んづけた。

 

「いぃ!!力が抜けて足がぁ!!」

「どうなの!?答えてよ・・・()()()()!!」

 

真剣に向き合ってくるウタ。バギーは観念したかのように叫んだ。

 

「あぁもう!!本当だよ!!無茶苦茶迷惑でムカついて腹が立って鬱陶しい俺の大事な()()だよ!!これで満足か、派手バカ娘!!」

「うん・・・満足!!」

 

ウタはそれだけ聞くとニッコリして海楼石を離してあげた。バギーは殴ってやろうかと考えながら、割と本気で拳を引き始めたがその前に盛り上がっていた手下達に担がれて胴上げされていた。

 

「おい、こらやめろ!!」

「しかし、あの赤髪相手にウタを守ろうと啖呵を切るとは流石俺達のキャプテン・バギー!!」

「俺達じゃ、まだまだ勝てねぇが絶対にあの腐れ外道共を負かしてやりましょうぜ!!」

「うぉぉ!!四皇から金を借りるとか伝説の男はパネェ!!」

「俺達もそれくらい命を張ってもらえるように頑張ります!!」

 

バギーはウタがそう言えば借金してる相手をシャンクスにしたと言っていたと思い出しながらもシャンクスならまぁ良いかとそこら辺はもうツッコまないことにした。疲れたので・・・

 

「よっしゃ!!金を返したら盛大な宴をやるぞ!!・・・だから下ろして・・・」

「うぉぉぉぉ!!今日はこのまま担ぎまくってそれの報告だぁ!!」

「よっしゃ!!反論してくるやつはぶっ飛ばそうぜ!!」

「たかが2週間で宴なし、地獄に比べたら遥かに生ぬるい!!」

 

バギーは全く降ろされることなく、胴上げされ続けながら、カライバリ島にいる他の傘下の手下達にそれの報告をしに言った。

しかし、赤髪海賊団と事を構えるノリになってしまった事にバギーは別の意味で頭を悩ませる事になった。

 

 

 

 

〇〇〇

2週間後。

なんとか借金分の16億ベリーともしもの為にと週一の宴すらも控えて貯めた5億ベリーを持って座長室に待機していたクロコダイルに渡した。

 

「確かに借金分の16億ベリー、そして俺様に手を煩わせた詫び金で2億ベリー。合わせて18億ベリー、確かに返して貰った」

 

大量の金が入ったケースをクロコダイルは手下に運ばせて自分の乗ってきた船に載せた。そして胡散臭く笑いながら右手を出してきた。残りの3億ベリーに関しては取らなかった。金を取りすぎるてバギーズデリバリーが崩壊したら折角の金づるが無くなると思ったからだ。

 

「これからも()()()()頼むぞ」

「おう、よろしくなクロちゃん!!」

 

借金を返せた余裕からなのか馴れ馴れしく言い始めるバギーにクロコダイルのこめかみがピクピクと動いた。

 

「調子に乗るんじゃねぇ!」

「ぶへぇ!!」

 

クロコダイルは鉤爪でバギーをぶん殴った後でとっとと帰っていった。全てを間近で見ていたウタがバギーに近づいた。

 

「おじさん大丈夫?」

「い、痛い・・・」

「今のは悪いのおじさんだけどね」

「うるへぇ・・・兎に角、明日は手下達と宴だから準備しとけよ」

「勿論・・・新曲も準備してるんだから!」

 

バギーとウタはその後、明日の準備に大忙しだった。

翌朝、バギーズデリバリーのテントには大勢の傘下が集まって酒瓶を持っていた。

しかし、誰も飲まない。信仰しているバギーの音頭が無いと盛り上がりに欠けるからだ。

そんな手下達を見てバギーはローブを着ないで素の状態で見ていた。隣にはここでの赤い衣装に加えて青髪にまた染めたウタがいた。多芸なバギーが染めたという事もあって綺麗な青髪になっていた。

 

「うわぁ、緊張してきた」

「もう、慕ってくれてる人達に素の自分を出せなくならないでよ!」

「うるせぇ、お前も似たような立場になったらこうなるわ!」

「私はおじさんを反面教師にして頑張る!!」

「・・・なんだろう、派手にダシにされてるような気がするぜ」

「良いから早く行ってってば!!」

 

ウタに言いように振り回されているバギーはそれを追求する前に押されて広場に出された。会場にいる手下達も現れたバギーに注目する。

 

『あ~・・・今回は情けねぇ所を晒しちまった・・・だが、我慢も今日で終わりだ!!たっぷり飲んで騒いで派手に盛り上がれ!!』

『うぉぉぉぉ!!!!!』

 

バギーの音頭に手下達は盛り上がった。2週間分を溜めていたのもあってか今までで1番のハイテンションっぷりで巨人族も小躍りしていた。

場が盛り上がってきた所でウタがステージに立った。

 

『皆、まだまだ楽しもう!!新曲も持ってきたからねぇ!!』

『うぉぉぉぉ!!!』

『本当か!!?』

『しかも皆をイメージして作ったんだ!!楽しんでね!!』

『やったぁぁぁぁ!!!』

 

ウタはバギーズデリバリーのステージで気合を込めて新曲の『BELIEVE』を歌い始めた。

 

「未来だけ信じてる♪誰かが嗤ってもかまわない♪走ってる情熱があなたをキラめかせる♪」

 

ウタは卑怯で金に汚いけど夢を持って頑張ってるバギーの事を思いながら歌う。

 

「眩し過ぎでも見つめていたい♪どっか【美学】感じてる I'm really really stuck on you,wow,wow♪」

 

全然、シャンクスに比べて遥かに汚くて俗物的な海賊だけどデマロ・ブラックのような外道じゃないバギーに向かって

 

「誰にも似てない夢の形を追いかけて追いかけてく 夜明けを呼び覚ますよな燃えるキモチ♪アトサキなんて今は知らない退屈な時間よりもドラマティック 手に入れるまで Believe in wonderland♪♪」

 

全力で歌い上げたウタはバギーの方を見ると涙をボロボロと流していた。何回も手で拭っているけど止まってない。すると手下達の大熱狂に対してバギーが叫んだ。

 

「オメェら!!今回は本当にありがとよ!!・・・流石、王下七武海“千両道化”のバギー様の()()だぜ!!・・・・オメェらド派手に大好きだ!!!」

 

クロコダイルに言われてた直後は見捨てるつもり満々だったけど思いの外、大切にしてもらってる事に気づいたバギーは感極まってそう叫んだ。

 

『うぉぉぉぉ!!!俺達もアンタが好きだ!!バギー!バギー!バギー!バギー!バギー!バギー!』

 

止まないバギーコールにウタもバギーも笑った。

 

 

 

 

 

〇〇〇

それから、3ヶ月後。

つまりウタがバギーの弟子になってから4ヶ月。ある程度は避けれるようになったのでバギーから出ていけと言われたのもあってウタはカライバリ島に来た商船に乗って帰ることになった。

 

バギーは港まで来る気はなく、座長室で別れようとしていた。

 

「本当に見送ってくれないの?」

「そんな歳でもねぇだろ。じゃあな」

 

別れなのに顔を全く見ずに背中しか見せないバギー。何故なら、寂しくて泣いていたからだ。けど、これ以上みっともない所を見せたくないので見せない。

ただし、ウタには何となくバギーが泣いてるのが分かった。あらゆる攻撃を避けれるように鍛えられてからというものウタはそういった“感覚”が鋭くなっていた。

 

「じゃ行くね・・・あんまりお酒を飲まないでね。体に悪いから・・・」

 

ウタはそう言うと部屋を出た。バギーは大泣きしたいが何とか頑張って港に向かってるウタの後ろ姿を見ていると不意にウタが振り返って微笑んできた。

バギーは堪えきれなくなって叫んだ。

 

「ウタぁ!!本当にありがとよ!!!これからもなんかあったら俺様を頼れ!!俺はなにがあってもお前の味方だぁ!!」

 

ウタと出会ってから初めてバギーはウタの名前をちゃんと呼んだ。ウタもそれに嬉しくなって叫んだ。

 

「おじさん、私もおじさんの弟子になって良かった!!いつかライブをするから絶対に来てよ!!」

「派手に行くに決まってんだろ!!あのバカも絶対に連れて行く、お前こそ負けんなよ!!俺様がずっとついてるからな!」

 

バギーはウタに向かってトレジャーマークを投げた。ウタもそれをキチンと受け止めて腕に付けた。ガラスのトレジャーマークが陽の光を反射して輝いた。

 

 

 

〇〇〇

余談だがウタが借金取りの相手をシャンクスだと広めたのは「たまには色々と振り回される身になれ」と言う意味を込めて広めてこのことはすぐに世経を通じてニュースとして流れたが当のシャンクス達はというと、

 

「お頭、バギーに金を貸してたのか?」

「あぁ、そういえば色々と見習い時代に貸したなぁ。ちゃんと覚えて律儀だなアイツ」

「・・・フェイクニュースにしては盛りすぎだな。大方、別のヤツにしてた借金をモルガンズかなんかが勝手に俺達と絡めたんだろうよ」

「バギーも振り回されて大変だなぁ」

「俺達が相手だと、手下共が盛り上がってそうだな」

「違いない」

 

モルガンズ本人のゴシップ性を知っていた事もあってか全く微塵の欠片も効果がなかった。それどころか今頃、盛り上がってる手下達に囲まれてるバギーの心配までしていた。ウタ的には見ず知らずの問題に巻き込まれて慌てるシャンクス達が理想だったが全く動じてすらなかった。

 

ウタVSシャンクス 親子喧嘩 シャンクスの勝ち

 

風評被害バギー&モルガンズ







これにて修行編は終わります。
次回は漸く麦わらの一味の再結集をやります。
たぶん、今作で1番原作に忠実な話になるので少し遅れるかもしれませんが宜しくお願いします。


しかし、あれだな歌詞を出してる回が毎回バギー関連なんだよなぁ。狙ってないのになぜ?


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2years later

1日、待たせて申し訳ございませんでした。
原作の台詞回しが想像以上に長くてこのままトレースやると書き疲れてしまってやる気も下がるという割と不味いことになりそうだったので減らしてたらまさかここまで時間がかかるとは思ってませんでした。
すみません。

なのでこれからは原作準拠な回であっても台詞の量は減らそうと思うのでご容赦下さい。

後、再結集の際の時系列をまんまやると無駄に長くなるのでわざと変えてるのもご容赦下さい。



〇〇〇 

ルスカイナ島の季節は冬だった。

 

「ルフィ、そろそろ行くよ!」

 

マーガレットの言葉がルフィに届くと2年間、被ってなかった麦わら帽子を手にとって被る。

 

「もう2年か・・・ししし!」

 

ルフィはそう笑って九蛇海賊団の船に乗り、ルスカイナ島を後にした。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

魚人島に行く前に数多のルートを渡ってきた海賊達が集まる場所、シャボンディ諸島。

そこにある酒場で2年間の間に髪を伸ばしたナミが店主から世間話を聞いていた。

 

「海軍本部の場所って近くのマリンフォードじゃないの?」

「あぁ、新元帥が四皇のいる海に直接本部を置いて対抗する意思を見せてな。以来、無法地帯が多くなったんだ」

「どうりで荒れてるわけね」

 

2年間の内で荒れたシャボンディ諸島の内情を聞いてるナミ。すると近くで銃声が聴こえたので振り向くとルフィに化けてるブラック一味がいた。

 

「よく読めよ。最低金額は7千万ベリーだ。俺はあのドラゴンの息子だぞ!」

 

ナミはそれを見て呆れていた。見た目が全く似てないのはしょうがないとしてもあまりにも言動が似てなさすぎて幾らなんでも下手くそ過ぎた。

銃で撃った相手を退かしてるとブラックがナミの方を指差して話しかけてきた。

 

「おい、そこの女。しんみり一人で飲んでねぇでこっちへ来い」

「結構です。私、男を待ってるの・・・麦わらのだれだっけ?」

 

虚構の権威を振りかざして威張ってるブラックらにナミは呆れながら断った。

酒場では緊張が走り、こうもアッサリと断るナミに苛立ち、脅しにかかる。

 

「じゃあ、2択してあげる。死ぬ、それとも誘いを受ける?」

 

ナミに化けたブラックの部下のショコラが銃をナミに向けて、ナミは魔法の天候棒(ソーサリー・クリマ・タクト)で作った雷雲をすぐに落とそうか本気で考え始めていた。

 

「必殺緑星 デビル」

 

しかし、それは突然現れた植物によってショコラは食べられていた。ナミは初めて見る植物に驚いてると隣から声を掛けられた。

 

「じゃ、おねぇーちゃん。俺となら飲むかい?」

 

懐かしい声にナミは振り向くと特徴的な長鼻を持った仲間のウソップがいた。

 

「ウソップ久しぶり〜〜!!何よ、ちょっと逞しくなっちゃって!」

 

久しぶりの仲間に嬉しくなったナミはウソップを抱きしめた。ブラックの部下らがまだしつこく絡んできて銃をバンバンと撃ち始めて来たのでナミとウソップは店を出た。絡まれたお返しと言わんばかりにナミは雷雲を置いて雷を浴びせた。

 

「で、新しい科学ってのを身に着けたの」

「マジか、お前空島に居たのか!」

「ウソップは?」

「俺は食虫植物だらけ強い虫だらけの所に飛ばされてよ!割と何回か死にかけたぜ」

「・・・空島で良かったぁ。そんな所、私は無理だわ」

「俺もそこに行ってみてぇな!」

 

互いに2年間どこに居たのか何をしてたのかの談義に花を咲かせて2人はそのままショッピングを続けた。

 

 

 

〇〇〇

同時刻、カマバッカ王国という地獄から舞い戻ってきたサンジはシャッキーのBARにいた。

 

「はぁ~~!?一番乗りがあのアホ剣士!?」

「えぇ、随分とカワイイ娘に引いてこられて来てたわよ」

「何〜〜〜〜〜!!!???」

 

シャッキーはゾロがペローナに道案内されて来た事を言うと2年間も女に会えなかった女好きのサンジは燃え始めた。

 

「許さん、許さん、許さん!!!クソ許さんぞ、あのくそマリモがぁ!!!」

「おいおい、大丈夫か?」

 

嫉妬の炎を燃やしまくってるサンジに新聞を読んでたレイリーは呆れというか心配をし始めながら、先日のバギーの借金の記事を読んでいた。

 

(あの2人は何をやっているんだ?)

 

レイリーは最近は本当に新聞によく出るようになったシャンクスとバギーを読んで楽しんでいたが、偶に変な記事も混じってることに首を傾げているとウタの“記事”も見つけてその内容に眉をひそめた。

 

一方のサンジは嫉妬の炎を燃やしてはいたがナミやロビンの事を聞くと鼻血を出して目をハートにして戻っていた。

 

 

〇〇〇

ロビンはなんとか政府の追手から逃れつつも無事にサニー号を発見した。

 

「サニー号・・・2年間も待たせちゃったわね」

 

相変わらずのカワイイ船首に思わず笑みが溢れるとサニー号の上に立っていた巨漢の男・・・フランキーに気づかれた。

 

「アーーウ、そこにいるい〜〜い女は我が一味のス〜パ〜考古学者、ロビンじゃねぇかよ〜〜!!」

 

色々と体を改造しまくって2年前とはすっかり面影が変わっているフランキーだったが変わらないテンションが懐かしかった。

 

「変わらないわね。フランキー」

「変わっただろ!バカヤロー!俺の体に詰まった男のロマン!!この空前絶後のモデルチェンジ!!俺はもう人知を超えた!!」

「そうね、もう人として接するのは無理そう」

「そりゃ、変態って意味か?このホメ上手!!」

 

懐かしい仲間にあってロビンとフランキーはそのままコーティングされたサニーを見て回っていた。

 

「そう言えば、あなた、これご存知?」

 

ロビンはブルックのポスターをフランキーに見せた。

 

「ブルックのことか?TDがウタと同じくらいまで出回ってるからな知ってたぜ。凄い歓声と光のステージに立って・・・ひょっとしたら海賊にはもう戻ってこないかもな」

「もし、そうだったらどうするの?」

「・・・そうだな・・・ルフィ次第だと思うがアイツが納得したら、宴でもやって歌って祝うか?」

「・・・・・何時もよりも大声で歌ってしまいそうね」

「だな!」

 

ブルックの事に関して会話をしていたがロビンはもう1つの気になることについてのポスターも出した。

 

「次はコレについてだけど?」

 

それはブラックら偽物の麦わらの一味が仲間を募集しているチラシだった。

 

「あ?俺達の偽物のやつか・・・3日くらい前にウソップと偽物のゾロやサンジを真似てる奴は見かけたがあまりの変装の下手さに思わず爆笑しちまったぜ!!」

「あら、そうなの?」

「アウ、ほっとけほっとけ。俺達も有名人だからな」

「そうね」

 

ロビンは少しでも混乱していた自分が恥ずかしくなってそのチラシを破って捨てた。

 

 

 

〇〇〇 

ナミとウソップはそのまま優雅に合流するまで遊んでいると何故か急いで泣きながら走ってるチョッパーを見つけて事情を聞くと呆れながら説明していた。

 

「え~~~、じゃあ、アイツラは俺達の偽物なのか!?」

「呆れた。ロビンは20年も世界政府から逃げてたのよ。袋に詰められるなんでそんなアホみたいなマネされるわけないでしょ」

「そうか、なんか懐かしい匂いもしねぇし、ムッ、じゃあ腹立ってきたぞ。それじゃまるで俺達が有名人みたいじゃねぇかコノヤロー♪」 

「なんで喜んでんのよっ」

 

真似されてる事に喜んでるチョッパーにナミはツッコミを入れながら3人はサニー号の元までノンビリ行き始めた。

 

「エヘヘ、サインも考えとこ!」

「俺はもう考えた!」

「悪い意味で有名人なのわかってる?」

「とは言ってもサインを求められて金を払ってくれたらお前も書くだろ?」

「10万ベリー払ってくれるなら考えるわ!」

 

ナミのその言葉が届いたのか新世界で活動しているバルトロメオは暫くの間、布教する品を売って金を集めていた。

 

〇〇〇

ブルックは最後のライブをやりながら、大盛りあがりになる会場の熱気に応えていた。これが終わったら、一味に合流する。

50年もの長い間、1人で彷徨い孤独だったブルックからすれば2年間は短かったし、それに1人ではないという事実は勇気が出た。

剣技も鍛えた。

船長が好きな音楽もより出来るようになった。

 

ブルックの準備は完璧だった。

 

(皆、今すぐ私も行きますよYEAH!!ヨホホホホ!!!!)

 

 

 

〇〇〇

一番乗りしたゾロはあまりにも暇だった。

サニーにあるトレーニング器具の状態は最初に着いたときに確認して一汗欠いてこのままサニー号でずっと待ってるのも暇なので街に出てブラブラとしてたがそれでも暇だったので漁師が船を出そうとしていたのを見て釣りに同行しようとゾロは近くにあった海賊船に間違えて乗って寝ていた。

 

「てめぇ、いい加減に起きろ!!」

「あ、誰だお前?」

「いや、お前が誰だよ!!」

 

海賊船の船員に怒鳴られてゾロは目を覚ました。

船は深海に沈んでいき、マングローブの巨大な根っこが目に入ってゾロは初めて見た光景に笑ったが深海に行ってることに漸く気づいた。

 

「あれ?なんでこの船は深海に行ってんだ?」

「お前が船を間違えたんだよ!!ずっとぐーすか寝やがって!!マジでナニモンだお前は?」

 

船長と思わしき男がゾロに詰め寄ってくるがゾロは呑気に話しかけた。

 

「そうか、シャボンディに船を戻してくれ。仲間が待ってるんだ」

「今更、できるか!!俺の船の進行は俺が決める!!」

「だから、軽く戻してもう一回行けば良いだろ」

「ナメてんのか!?こっちは海賊で大勢いるんだぞ!!ただじゃおかねぇ!!」

 

短気な船長の号令に従って武器を構える海賊達。

ゾロは刀を抜いて一太刀で全員、吹き飛ばした。

 

「悪いな、2年も待って俺だけ先に行く気はねぇんだ」

 

ゾロはそう言って沈んでいく船を真っ二つに斬った。水が大量に流れ込んで息を止めてゾロはシャボンディに戻っていった。

 

 

 

 

〇〇〇

銃声が鳴り、撃たれた黒髪の長い女性を抱いた長い鼻の男が撃ってきたブラックを睨んだ。

ブラックは笑いながら男を銃で撃ったが怒りが収まってなかった。

ナメられて雷雲を浴びせられてオマケに今はサンジに化けたドリップとゾロに化けたマンジャロウら他の面々と合流したら、ロビンに化けていたココアが連れて行かれて見捨てたら、着いてきていた本物の麦わらの一味であるチョッパーがキレてどっかに行ってしまい、2人に追わせた。

 

早く麦わらの一味の名前を借りて大船団を作り上げて略奪しまくってバギーに金を払わないといけない。折角シャボンディ諸島まで来たのに色々とズレ始めてきた。

 

「さっさと出てきやがれ!!この俺をコケにさせた事を後悔させてやる!!」

 

そう叫ぶと周りの人が恐れて近づかない。気分が良かった。今までで最高の気分で誰も逆らわない。金も簡単に巻き上げられそうでバギーへの借金も返せる。それどころか上手く億超えを操れたら、バギーズデリバリーよりも強い組織のボスになれる。ブラックはそう考えながら、より見せしめの為にナミとウソップを殺そうとしていた。

 

そんなブラックにデカいリュックを背負った男がぶつかった。マントにフードをしていて誰かはわからないが本日何回目かのコケにされてブラックはスタコラサッサと去ろうとするその男にキレた。

 

「おい、てめぇ。ちょっと待て!!」

「ん?」

 

その男はルフィだった。ハンコックから弁当とおやつとタオルと銀の食器などその他諸々を貰って恐ろしいくらい大きくなったリュックがブラックに当たっただけなのだが、威張り散らしたいブラックはルフィに銃を向けていた。

 

「てめぇ、今わざと俺にぶつかったよな?この“4億”の賞金首であるエリート海賊の俺にわざとぶつかったよなぁ!?」

 

銃をルフィの頬に当ててキレるブラック。ゴムゴムの実と見聞色の覇気ですぐに撃たないとわかったルフィは内心呆れながら聞いていた。

 

「大衆の前で恥を欠かせやがって、この俺のマヌケな姿が見られちまっただろうが!!今すぐ土下座して詫びろ!!」

 

ルフィは早く仲間に会いたいのでさっさと行くことにした。

 

「ホントにぶつかって悪かったな」

「そうかい・・・」

 

それだけ言うとまた歩き始めたルフィ。ブラックはそんなルフィのこめかみに鉛玉を食らわせようと銃を撃ったが見聞色の覇気で軽々と避けられて流石のルフィも鬱陶しかったので覇王色の覇気で絡んできたブラックとその手下を気絶させた。

 

場が騒然となってるのを露知らずに歩いて仲間と合流しようとするルフィ。まさかぶつかっただけであそこまで絡まれるとは思ってなかったのでハンコックから貰った変装道具のちょび髭をつけることにして、暫く歩いてるとチョッパーを探すように言われていたブラックの手下のドリップとマンジャロウを見つけ、割と本気でサンジやゾロと勘違いしながら付いていく事になった。

 

 

一味の再会はそんなにすんなりといかなかった。

 

 

 

●●●

今から3日前。

ウタはエレジアの配信部屋で電伝虫を通じてあることを伝えた。

それはバギーを見て勇気を貰ったウタだからこそ、伝えられる事だった。しかし・・・

 

『嘘つき!!』

『私達を騙してたのか!!?』

『嘘だと言ってくれ!!』

『アンタだけは味方だと思ってたのに!!』

『そんなにアイツラが好きになったか!?』

『どうして裏切った!!』

『酷い・・・酷いよ!!』

『私は海賊に夫を殺されたのに!!』

『僕はお父さんを殺された!!』

『俺は妻を嬲り者にされた!!』

 

あまりに多い罵詈雑言にウタは顔を引きつらせていた。

 

『この、悪魔!!』

 








というわけで再結集も波乱万丈。ウタも波乱万丈。
どっちともどうなるかは次回をお楽しみにしてください。どうせ次回で終わるので。
後、次の回でアンケートも取る気なのでどうか宜しくお願いします。


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Oath

お待たせしました!!
前回でたくさんの感想をありがとうございます!!一つ一つの感想が力になってるので今作はいつも以上に頑張れてます!!

それではどうぞ!!


●●●

ルフィがシャボンディ諸島に上陸する3日前。

エレジアの配信部屋でウタは息を整えていた。ライブの旅を始めてアラバスタに行ったり、ジャヤに遭難したり、バギーとあったり、ナバロンに行ったり、ウォーターセブンに行ってシャボンディ諸島に行ってバギーに鍛えてもらったりと色々とあった。

本当はバギーズデリバリーの時に配信とかをやろうと電伝虫を持っていったがバギー本人から禁止と言われていたので出来なかった事を久しぶりにやる。ほぼ1年ぶりの配信だった。

 

ウタはそんな時に思い出したのは先日のバギーの言葉だった。

 

「お前も似たような立場になったらこうなるわ!」

 

周りの目を気にしていたバギー。最後は上手く行ったし、皆に慕われてるのを見て幸せそうだったし、本当の自分を曝け出してた。

 

故にウタもそろそろ自分の“海賊嫌い”にケリを付けたかった。略奪する海賊は今でも大嫌いであるがクリケットやバギーは好きだったし、バギーは自分の師匠である事を隠す気はなかった。

 

『歌姫と千両道化の蜜月関係?』『プリンセス・ウタの海賊嫌いはフェイク!』『最後のエレジア国民に何が!?』『麦わらのルフィは生きていた?ジャボンディ諸島に緊張が走る!』

 

様々な事が新聞に載っていた。特にルフィ関係も気になって昨日、電伝虫でレイリーに聴いてみたらなんでもルフィの偽物が現れたらしいから気にする事ないとのことだ。少しでも気になってしまった自分が恥ずかしいと思いながら、ウタは自分の記事をキチンと読んであることないこと書かれてたのには腹が立ったのでそれの釈明もあった。

ウタは映像電伝虫を起動した。

 

「皆、久しぶり。ウタだよ!!ほぼ1年ぶりで色々とあったからそのことも言いに来たんだ!!」

 

人懐っこそうな笑顔でウタはそういったが映像に写ったファンの面々は暗い顔をしていた。

 

『UTA・・・海賊といたって本当なの?』

『あの千両道化のバギーと一緒だったのか?』

『嘘だよねUTA?』

『きっと脅されてたとかそう言うのだろ・・・だよな?』

 

大勢の人達がウタに縋るような声を掛けて聞いてくる。ウタはここに来て自らの思いを言うのを躊躇い始めるが、止めなかった。自分の幸せを自分で否定してしまいそうでそれをやるとクリケットにもバギーにも顔向けできなくなるからだ。

 

『本当だよ。私は遭難して千両道化のバギーに助けてもらった。ジャヤで遭難したときにも海賊に助けられてその次も助けられた。最初は凄く嫌いだったけど今は大切な思い出。シャボンディ諸島で休暇を楽しんだあとでもう一度おじ・・・千両道化のバギーの所に行ったのは新世界で生き抜くのには誰かの庇護下に入らないといけないと言われたから行った。4ヶ月間、バギーズデリバリーで働いたのも事実』

 

ウタの言葉を聞いた人達は信じられないものを見たような目でウタを見た。その目に心が傷んでくるがウタは逃げない。

 

『4ヶ月間、一緒にいて・・・最低だと思われてもしょうがないのはわかってるけど海賊をちゃんと見てきたつもり。略奪する奴らは今でも大嫌いなのには変わらない。けど、全員が全員そうじゃないって言うのがわかった。ジャヤで最初に助けてくれた人は先祖の問題で故郷を追われて自由になるには海賊しかなかったからなったって言ってた。“自由”を得るには海賊になるしかないこの大海賊時代と世界を私はもっとちゃんと見たい。それの答えを得るためにやった。裏切ってごめんなさい・・・でも伝聞でも噂からでもない自分の“答え”が欲しいから・・・』

『ふざけんな!!!』

 

ウタは自分なりの答えを出そうと必死に考えながら、言っていくと遂に罵倒が飛んできた。

 

『何が答えだ!!?悪党以外ねぇだろうが!!』

『酷い、信じてたのに!!』

『なんで・・・なんでだよぉ!!』

『何が“自由”だ!!』

『私の夫は海賊に殺された!!』

『娘を嬲り殺しにされた!!』

『食べ物を全部奪っていった!!』

 

大勢の人達から罵倒されるウタ。覚悟してはいたがかなり辛い。だが、ウタは逃げない。なぜなら自分は海賊に救われた海賊の娘であり、海賊の弟子だからこそこれから逃げないが、心にはかなり来た。

 

『この悪魔!!』

『嘘つき女!!』

『千両道化と寝て絆されたか!?』

『淫売が!!』

『そうやって俺達をあざ笑ってたのか!!??』

 

人々の怒りは収まらず、徐々に映像に変化が訪れ始めた。或るところは人が電伝虫の前から消えて、或るところは電伝虫そのものを壊したのか真っ暗になって数十分もしたら全員、ウタの前から消えた。

ウタは映像を切って、配信部屋で座り込んだ。こうなるとは予想していたが思いの外ダメージが強かった。なぜ、バギーがこれを禁止にしていたのかもわかった。こうなると予想していたのだ。

 

「私は本当に世間知らずだなぁ・・・おじさんごめん」

 

ウタは自分の腕に付けてるトレジャーマークをギュッと握りしめた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

それから3日後。ルフィがブラックによる偽物騒動に巻き込まれている時、ウタはもう一度配信部屋で準備を始めていた。

新聞では更に酷いことが書かれていたが、ウタはそれでも自分の歌が好きな人はいると思ってもう一度配信しようと動いていた。

 

「ウタ、もう止めなさい」

 

しかし、ゴードンが止めに来た。先日のあれを見て心が傷ついてるウタを更に傷つけるような事は認められなかった。

 

「嫌だ!」

「以前とは違う。前は救世主呼ばわりだったがこの数日で君は世間の鼻摘み者だ。私は・・・これ以上、君に傷ついて欲しくないんだ」

 

ウタはゴードンの言葉をキチンと受け止めていた。育ての親で12年間大切に育ててくれて心配を掛けさせて申し訳ないという気持ちもあるが、色んな人と出会って自分の生き方を自分で決めたいという意志の方が強かった。

 

「お願いやらせて・・・これでこの前と一緒ならもうやらないって約束するから・・・()()()は自分の気持ちにもう嘘は吐きたくないの」

 

自分の事を私ではなくアタシと呼び、エレジア以前の自分に戻ろうとしているウタ。ゴードンは自分が12年間も奪ってしまった彼女の人生を自分なりのやり方で取り戻そうとしてる彼女の姿に心を痛めて何も言えなくなった。

 

「わかった・・・これは君が選んだ自分の“幸せ”への道なんだね」

「うん、()()()の道」

 

決意が込められた目にゴードンはもう何も言わなかったが抱きしめてあげた。自分の想いが少しでも力になれば良いと思ってやり、ウタもそれに応えて映像電伝虫を起動した。

 

 

 

〇〇〇

同時刻、ブラックの偽物の麦わらの一味について行ってしまったルフィはイキってるブラックの横に連れて行かれた。ブラックや騙されてる他の傘下の海賊たちを見ながら、何やってるんだろう?と本気で思ってると爆発音と共に叫んでる声が聴こえた。

 

「そこまでだ海賊共!!麦わらのルフィ及びその傘下の海賊達、速やかに降伏しろ!!」

 

海軍が武器を持ってここ一帯を囲んでいた。ブラックはそれに対して慌て始めてルフィはなぜかバレてる事に頭を悩まし始めると傘下の海賊のカリブーが人質を撃ってしまい、戦闘が始まった。ルフィはどうやってこれ以上、問題を起こさずに逃げようか考えていたら、知らないうちにブラックとその一味は逃げていた。パシフィスタまで来て場はほぼ戦場と化していた。

 

「やべ!!こんなんやってられっか!!」

 

逃げていくブラックだが、目の前に海兵となってパシフィスタを連れてきた戦桃丸が現れた。

 

「おめー、なんで麦わらって呼ばれんだ?」

「あぁ!?お前、俺が誰かわかってるなら道をどけろ!!俺はあのドラゴンの息子でガープの孫の4億の・・・」

「麦わらはお前みたいなカスじゃねぇよ!!」

 

まだ虚勢を張ってくるブラックに戦桃丸は自分の武器の鉞の腹でドタマをかち割った。漸くここで違和感を感じた傘下の海賊たちが叫ぶ。

 

「PX-5。こいつは誰だ?」

「懸賞金2600万ベリー 三枚舌のデマロ・ブラック」

『に、偽物!!?』

 

ブラック達が偽物だとわかると手のひら返しを始めて貶し始める傘下の海賊達。戦桃丸は呆れつつもパシフィスタにルフィを攻撃するように命じ、ルフィに向かってレーザーが飛んでいった。ルフィはそれを軽々と飛んで避けて、マントとフードで隠していたその顔が漸く見えるようになった。

 

「何すんだよ、この中には弁当がはいってんだぞ!」

『て、手配書と同じ顔〜!!!??』

 

本物のルフィを見たことで傘下の海賊達や海兵に捕らえられたブラックの手下達が目を飛び出すほど驚いた。

 

「麦わら、やっぱり生きてやがったか!」

「あ、お前。また俺達の邪魔すんのか!?騒ぎを起こしたら出港しずれぇって言われたのによ!!」

「安心しろ、出港する必要はない!ここでお前を捕らえる!!やれ、PX-5!!」

 

戦桃丸の命令に従ってパシフィスタはレーザーをルフィに放つが見聞色の覇気で軽々と避けた。

 

「遅え、ギア2・・・ゴムゴムのJET銃!!」

 

セカンドになってルフィは武装色の覇気を纏わせてパシフィスタを一発で沈めた。その事実に傘下の海賊やブラック達は顔を青ざめて、覇気を修得した事実に戦桃丸は冷や汗を掻いた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「皆、元気ー!?ウタだよ!!」

 

映像電伝虫を起動したウタ。しかし、映像は酷い物になっていた。電伝虫を捨てたのか森の中だったり、海の中だったり、真っ暗だったりした。ウタの配信なんか2度と見たくない彼らはそういった対応をしていた。必死に頑張ってきたつもりだったがそれを一発で壊した事に悲しくなったが0に戻っただけだと考えながらも表情は暗かった。

 

『おいおい、折角の見に来たのに暗すぎるべ』

 

言葉が聴こえてウタはすぐに画面を見るとそこにはペンライトを持ったバルトクラブ海賊団の面々がいた。

 

「鶏・・・なんで・・・」

「なんでっておめぇ、友達(ダチ)が困ってるのに応援に来ねぇのはオラの主義に反するべ。一緒に喧嘩だろうがレースだろうが戦ったなら友達(ダチ)だべ。オラは友達(ダチ)を死んでも見捨てねぇ!!」

 

バルトロメオの単純だけど優しい言葉にウタは笑うと別の所からも声が聴こえ始めた。

 

『これで良いのかしら?』

『大丈夫ですよ、ビビ様!』

 

ウタは久しぶりに聴こえた友達の声に気づいてその画面を見るとそこにはビビやトト、エルマルに行った師団の面々が映っていた。

 

「ビビ!!」

『貴女が心配で見に来たの。友達だもの!!』

『ウタちゃん頑張れ!!』

 

応援してくれるビビやトト達。

 

『嬢ちゃん、(ロマン)を追いかけてるか?』

 

そこからまた懐かしい声が聴こえてきた。その画面にはクリケットやマシラやショウジョウ達がジャングルの中から出ていた。

 

「おじさん!!」

『ウキー!頑張れ嬢ちゃん!!』

『オウオウ、俺達も付いてるぜ!!』

『俺達に(ロマン)を届けてくれるんだろ?』

 

約束を覚えてくれて応援しに来てくれた事に嬉しくなるウタ。

 

『ウタちゃんや元気にしとったか?』

『第一声がそれかガープ?』

『見るからにないでしょ。ガープ先輩』

 

まさかと思ってその声が聴こえた画面を見るとガープにジョナサン、そしてセンゴクに大勢の海兵がペンライトを持って映っていた。

 

「えっ?えぇ!?」

『ブワッハッハッハッ、驚いとるな!』

 

先日、海賊の方に肩入れした発言をしたのにやってきた海軍の人達に困惑してるとジョナサン中将が話し始めた。  

 

『何、あれくらいの発言で目くじらを立てる海兵は今の元帥くらいだよ。私達はそんなんで一々目くじらを立てないしね』

『元元帥で大目付のセンゴクだが、それに加えて私達が君の救助に遅れたのも事実で海賊に助けられたのも事実。全ては我々の対応の遅さに非があるものなのに君が気負う必要はない』

『そうじゃ、それに海賊を好きになっても海軍の方をより好きになれば問題なしじゃ!!というわけでG-8支部、全力で応援じゃ!!』

『オォォォォォー!!!!』

 

ウタの為に盛り上がってくれる何百人を超える海兵の人達。

 

『んまー、俺達もいるぞ』

 

別の画面で今度はウォーターセブンのアイスバーグを始めたたくさんの市民の人達がペンライトを持って映っていた。

 

『俺達は海賊慣れしてるからな!!』

『そうだ、今更そんなんで離れねぇよ!!』

『頑張れウタ〜!!』

『応援してるよ!!』

 

シャンクスやバギーは映ってなかった。しかし、2人に頼らなくても自分が今までやってきて得てきた物が確りとあったことにウタは涙を見せずに笑って応えた。海賊も海軍も冒険家も砂漠の国も海の都もあらゆる所の人が聴こうとしてくれてるこの状況にウタは自分の夢にまた一歩近づいたような気がした。

 

「皆、ありがとう!!今日は思いっきり行くよ!!」

『ウォォォォォォーー!!!』

 

彼女は『新時代』を歌い始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

同時刻、パシフィスタをブチのめしてゾロやサンジと合流したルフィは遠くから見てくれていたレイリーに気づいた。

 

「レイリー〜〜〜!!!」

『め、冥王!!?』

「フフッ、様子を見に来たが更に洗練したようだな」

「うん、この2年間本当にありがとう!!」

「今更、改まる間柄でもない、早く行って仲間と合流しろ」

 

レイリーがそう言うとルフィは両手を上げた。

 

 

歌を歌い終わったウタは皆に笑顔を向けた。

 

「皆、今日は本当にありがとう!!」

『当然よ!』

『応援してるぜ!』

『ワシらが付いてる!!』

『負けるんじゃねぇべ!!』

 

皆の声援にウタは両手を上げた。

 

 

「レイリー、俺は必ずやるぞ!」

「皆、アタシは絶対になるよ!」

 

「海賊王に・・・」

「世界一の歌姫に・・・」

 

「俺は・・・」

「アタシは・・・」

 

「「なるー!!!」」

 

新時代を誓いあった2人の幼馴染は場所は違えど、旅の軌跡は違えぞ、夢に対する想いは変わらず、今ここで再出発をもう一度誓った。

 








もうラストのこの瞬間を書きたいがために今まで頑張ってきたと言っても過言ではございません!!これで漸く作者的にはウタの問題がシャンクスのみに完全になったのでこれからも頑張ります!!


アンケートと言うのはこっからもうルフィらの冒険は原作とまんまなのでドレスローザまで飛ぶつもりで次回は魚人島やパンクハザードを終えてドレスローザに向かってる一味が新聞を読むところから始めますがその間に起こったとある事件がまんまバギーとシャンクスに関わる事なのですが・・・一言でいうとバギー出しすぎじゃね?と個人的に思っててドレスローザが終わった後でも構成的には問題ないのでそれのアンケートです。
シャンバギかルウタかお選び下さい。
ルウタなら後2話でドレスローザです!!

このアンケートは明日の20時までとさせて頂きます。


追記
次回の話を世界情勢編と思ってましたが今回のラストでキリを良くしたせいで入れられなかった話があるので次回は幕間としてそれを書くことにしました。

ルウタです。マジでルウタです。
そして歌姫VS海賊女帝のラウンド2です!


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Interlude

アンケートが今の所、シャンバギ優勢ですがルウタにも沢山の票が入っててその人らを無下にするのも違うので前回キリ良くするために入れられなかったルウタをお届けします!!

因みに歌姫VS女帝の2回戦でもあります!


無事に歌い終わり、配信を止めたウタは上機嫌になりながらルフィの事を思い出していた。

 

(まだまだだけど、ルフィ。アタシはアタシのやり方で世界を楽しみながら『新時代』に行くよ)

 

そう誓うとウタはふとシャッキーに渡したあるものと送った物を思い出していた。

 

(あれ、どうせなら一番先に食べてほしいなぁ)

 

 

〇〇〇

シャッキーはある大きな荷物をサニー号に持ってくると船に乗っていたウソップがその大きさにビックリした。何故なら、人1人分の大きさがあるほどの量だったからだ。

 

「なんじゃこりゃ!?」

「モンキーちゃん宛のものよ。手紙もあるわ」

「ルフィに?アイツ、誰か知り合いでも作ったのか?」

 

この2年間の事が誰かにバレたとはあまり思えないウソップはルフィが誰かに教えたのかな?と思ったがシャッキーは笑いながら首を横に振った。

 

「違うわ。随分と優しい子が自力でレイリーの所に訪ねて聞いてきたのよ」

「随分と熱狂的なファンがついたのね」

 

シャッキーの言葉を聴いたロビンがそんな感想を漏らした。他の面々もなんだなんだとリュックに近づくと美味しそうな匂いで中身がわかった。

 

「中はクッキーだな。」

「美味しい紅茶と共に頂きたいですね」

「しっかし、本当に誰からだ?」

「安全は保証するわ。手紙もあるからカワイイモンキーちゃんに渡してあげてね」

 

シャッキーはその手紙を近くにいたロビンに渡すとサニー号を降りた。渡された手紙をその場にいた全員が気になって見に来るが宛名はない。あったのは瓢箪のようなマークだけだった。それはウタとルフィにしかわからない麦わらマークだ。

 

『瓢箪?』

 

レイリーから集合する日を教えてもらったウタはゾロが来た日に連絡を貰って大量のお菓子を作り、手紙を書いてルフィに向けて送ったのだ。レイリーから万が一政府に繋がりを勘付かれる可能性をできる限り下げるために宛名や名前は書かず、シンプルな内容で相手に分かりやすいものと言うのが条件でOKを貰ったのでウタは書いて送ったのだ。

 

船にいる面々が頭を困らせてると船に影が出来て上を見上げたらトリノ王国の怪鳥に乗ったルフィ、ゾロ、サンジ、チョッパーがいた。

 

「皆〜〜!!!久しぶりだなぁ〜!!」

「ルフィ!!ゾロ、サンジ〜!!!」

 

無事に合流した麦わらの一味。

ルフィが改造しまくったフランキーに興奮したり、生身の美女に興奮したサンジが鼻血で飛んだりと色々とあったが出航の準備を整えていると砲弾が飛んできた。

 

「しまった撃ち込める距離に!!」

 

飛ばしてくる海軍の軍艦を警戒してると全ての砲弾にピンク色の矢が刺さって海に落ちた。現れたのはハンコック達、九蛇海賊団で軍艦の前を堂々と横切った。

 

「あれは九蛇海賊団」

「九蛇?」

「“七武海”。女だけの海賊団よ」

「うおっ!?なんじゃあの絶世の美女は!?」

 

望遠鏡でハンコックを見たウソップがあまりの美しさに驚き、ブルックは美しさに倒れてサンジは石になった。

 

(ルフィよ、今のうちじゃ。腕によりをかけた弁当は1番最初に食べるのじゃぞ)

 

ハンコックはそう思いながらルフィ達に向かってウィンクした。ブルックはより倒れた。

 

「お、ハンコック達だ。助かった、今のうちに出航しよう!」

『えっ!?』

「あんた、あの七武海と知り合いなの?」

「あぁ、俺女ヶ島に飛ばされてよ」

「あの、女帝と仲良しだと!?おめぇ、本当にちゃんと修行してたんだろうなぁ!!??俺なんかなぁ!!俺なんかなぁ!!」

 

ルフィの衝撃発言にサンジが石から復活して詰め寄ってたがルフィはどこ吹く風だった。ナミはその間にフランキーと出航準備を終えて残るはルフィの号令のみだった。ルフィもそれに気づき、皆の中心に来て号令を出した。

 

「野郎共〜、色々と話したい事があるんだけど2年間も俺のわがままに付き合ってくれてありがとう!!・・・出航だ〜!!!」

『オォォォォォォ!!!』

 

ルフィ達は魚人島を目指して船を出した。

 

 

 

 

 

〇〇〇

船を沈めて、ナミのコーティング船の説明があらかた終わるとロビンが預かっていた手紙をルフィに渡した。

 

「ルフィこれ」

「何だ?」

「貴方に手紙らしいわ。差出人はわからないけど・・・呪いの手紙かも・・・」

「怖えよ!!」

 

ロビンの2年ぶりのボケにウソップがツッコむ。ルフィは麦わらマークを見るとすぐに封を開けて中を見て笑った。

 

「シっシっシっ!!」

「アウ、随分と上機嫌じゃねぇか!」

「あぁ、大事な友達から来たんだ。懐かしいなぁ!!」

 

ルフィはウタからの手紙を懐に入れてウキウキとしながら男部屋にある自分のロッカーにそれを入れに行った。

 

「ウタ・・・俺もすぐに行くから会ったら思いっきり宴しような!!」

 

ロッカーに珍しくちゃんと入れたウタからの手紙にはシンプルにこう書かれていた。

 

『新時代で待つ!!』

 

「シシシ、ウタも誓いと()()を忘れてなくって良かった!!」

 

ルフィはウタと幼い頃にやった新時代の誓いとウタ本人も忘れてしまった()()()()()を思い出し、それが叶う未来を楽しみにしながら皆の元に戻っていった。

 

 

 

 

〇〇〇

「ルフィがあんなにはしゃぐなんてな」

「気になるなー」

「ほっとけ、アイツがすぐに手紙を持って部屋に行くほどなんてあんまり詮索されたくねぇって事だろ」

「だな、下手に聞くのは無粋ってやつだ」

「それもそうか」

「ア〜ウ、あんなに笑ってルフィが見れたんだからそれで良いじゃねぇか!!」

「そうね。それにまだまだ魚人島まで危ない航海なのは変わりないから聞くにしても着いてからで良いでしょ」

「出ないと私達全員、深海の藻屑で水死体よ」

「ヨホホホ、恐ろしいですねぇ!!」

 

一味の面々はそう話し合って自分達から聞くのは止めた。それよりも魚人島への船旅を楽しみつつ警戒して進んでいた。

ルフィが戻ってくると2年前と変わらない雰囲気に喜んでるとシャッキーが置いてきたリュックに目が行った。

 

「お?なんだこれ?」

「それも貴方宛に送られてきた物よ。中はたぶんクッキーだと思うわ」

 

ロビンに言われてルフィが中を開けると沢山の木の箱に包まれたお菓子がいっぱいあり、手紙もまたあった。

 

「おっ、また手紙だ」

 

ルフィの言葉に流石に誰からと気になったゾロも含めた一味の面々は後ろからコッソリと手紙を除くとビックリした。

 

「な!?」

「えぇ!?」

「うぉ、マジか!?」

「何〜〜〜〜!!!???」

「おぉ、俺。これ初めて見た!」

「あらあら」

「ア〜ウ、こりゃすげぇな!!」

「ルフィさん、凄く羨ましいです!!」

 

手紙にはこう書かれていた。

 

『約束のクッキー、いっぱい食べてね』

 

シンプルな文面と一味の面々が1番驚いたのが最後に()()()()()までされていた事だった。

サンジはあまりのショックに倒れていた。

 

「なぜだ!!なぜ、お前ばかり!!俺はこの2年間、地獄にいたのに!!」

 

ハンコックに続き、またもや女性関係に花を咲かせているルフィにサンジは悔しさに打ちひしがれていた。

ルフィはというとそういや()()()()()()()()()と昔を思い出していた。

 

 

 

 

 

●●● 

フーシャ村のマキノの店でウタはマキノと一緒にお菓子を作っていた。

 

「これでいいの?」

「うん、後は焼くだけ。船長さんに美味しいって言って貰えると良いね」

「シャンクスなら美味しいってきっと言うよ!」

「フフッ、ルフィにはないのかな?」

「勿論、ちゃんと用意してるわ!!あいつは見たら絶対にシャンクスのクッキーを横取りしに行くに決まってるんだから!!」

 

ウタは恐らくシャンクスの為に焼いたクッキーを横取りしようとするルフィの分も焼いてる事を言った。マキノはあれこれ言っててもルフィに優しいウタに微笑む。

無事に焼き上がり、釣りをしていたシャンクスやルフィ、赤髪海賊団の面々が店に入ってくるとクッキーの匂いにシャンクスが気づいた。

 

「お、なんか美味そうな匂いだな!」

「マキノ〜、なんかやったのか?」

 

シャンクスとルフィがそれを言うとウタはシャンクスとルフィにクッキーを出した。

 

「シャンクスの為に焼いたの!!ついでにルフィにも」

「おぉ!!ありがとうなウタ!!」

「えぇー、シャンクスのついでかよ〜」

「文句言うって事は欲しくないって事よね?」

「欲しい!!」

 

ルフィとウタがまた喧嘩しそうな感じを出したがシャンクスと一緒に釣りが出来て嬉しかったルフィは何時もよりも素直だった。ウタも欲しいと言われた事に嬉しいのかすぐに渡してあげた。

シャンクスとルフィがクッキーを仲良く食べる。

 

「旨いじゃないか、ウタ!」

「すげぇ旨いぞ!!」

 

2人から褒められて笑顔になるウタ。シャンクスは大事な娘の手作りなのでゆっくり食べたがルフィはいつもみたいにガツガツと食べたのですぐに無くなり、まだ残っていたシャンクスのを取ろうと手を伸ばしたがウタに叩かれた。

 

「痛!」

「シャンクスのを取るな!」

「だってまだ食い足りねぇよ」

 

ごねるルフィ。ここであれこれ言い合うとシャンクスがルフィに自分のを渡しそうになると思ったウタはルフィと約束した。

 

「はぁ〜、今度お腹一杯作って上げるから今日は我慢して!」

「本当か!?」

「これも()()して上げるから、それともちゃんと待てない子供かな〜?」

「ウタに言われたくねぇ!」

「ルフィよりは大人よ!」

 

違う理由でまた喧嘩を始めた2人。周りはそんな2人を見て笑っていた。

 

 

 

〇〇〇

「よし!ハンコックがくれた弁当を皆で食べたら、これをおやつにして食べようぜ!!」

 

ルフィはハンコックから貰った弁当の後にウタから貰ったクッキーを食べようと皆に言うと弁当を広げ始めた。一味の面々はどう見ても女性からの贈り物を食べる前に別の女性の贈り物を食べようとしてるルフィに少し呆れていた。

 

「私が送り主なら複雑だわ」

「ルフィらしいじゃない」

 

ナミは呆れてロビンはルフィの行動に微笑むと皆と一緒に女ヶ島というかハンコックの手料理弁当を食べた。

 

 

 

キュピーン!!

ウタのクッキーの前に食べてくれた事を感じ取ったのか、ハンコックは身震いすると笑顔になった。

 

「姉様、どうしたの?」

「ルフィが妾の弁当を先に食べてくれた。先程ルフィ達の船から恋の泥棒猫の気配を感じて不安じゃったがそれよりも先に妾のを食べてくれた!!」

 

ハンコックは嬉しさのあまり飛び跳ねていた。妹達2人はまさかそんなと思い、このハンコックの重病っぷりに呆れた。ハンコックはそのままいつもの見下しのポーズを取った。

 

「泥棒猫よ!!今回は妾の勝ちじゃ、じゃがこれだけでは満足せぬ!!完膚なきまでにルフィを魅了させるのは妾じゃ。何故なら妾が世界で1番ルフィの事を想っておるからじゃ!!!」

 

 

 

 

 

キュピーン!!

ウタもルフィが自分のクッキーの前にハンコックのを食べたのを感じ取り、悔しさのあまり顔を歪ませた。

 

「どうしたんだい、ウタ?」

「ルフィがアタシのクッキーよりも前に何かを食べた。この感じはあの女帝ね・・・悔しい!!」

 

ウタはキッーと悔しそうに地面を叩いていてゴードンはそんなまさかと思って少しウタに対して引いていた。ウタは海が見えてる窓に向かってすぐに指を差した。

 

「泥棒女帝!今回は負けを認めてあげる。けどこれで勝ったと思わないことね!!絶対にルフィをあんたから奪い返してやる。何故ならアタシが世界で1番ルフィを想っているから!!」

 

ウタとハンコックは似たような事を言いながらまだ見ぬ恋の宿敵に向かって宣言していた。2人の指先はお互いに相手の方をキチンと指していて、負けじ魂に燃えていた。

 

 

 

歌姫VS女帝 2回戦 勝者は女帝

 

 

 

余談だがルフィ達は女ヶ島弁当を食べた後でキチンと全てのクッキーを食べた。






というわけでルウタを待ってた皆さん、お待たせしました!!1回目はこれです!!まだ再会出来てないのでこれをルウタと呼んで良いのか些か忸怩たる思いもありますがご容赦を!!

恋愛系が大の苦手ですが、全力でこの甘さが届いてくれたら嬉しいです。

いや、本当に早く再会させたい!!
んでもって歌姫VS女帝の直接対決を書きたい!!


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Buggy’s Daughter

ちょっとフライング気味ですが投稿します。
明日は1ヶ月前から決めていた旅行なので投稿出来ないので悪しからず。向こうでもしも書けたら出します。
タイトルからネタバレ気味ですがどうぞ。



ルフィ達が再結集して10日後。

魚人島でのホーディを倒して4日目の朝にルフィの傷も治ったので出航した麦わらの一味はパンクハザードで“王下七武海”トラファルガー・ローと同盟を組み、彼の手札であるシーザーを誘拐してドフラミンゴに七武海脱退を持ちかけて無事にドフラミンゴの脱退が報道された後、ナミは新聞を読みながら目を飛び出すほどビックリした。

 

「はぁ〜〜〜〜〜!!!???」

 

その絶叫に隣りにいたロビンとフェミニストなサンジ。甲板でシーザーを見張っていた同盟相手のローとチョッパー、ブルックもそれに驚いた。

 

「どうしたナミ屋?」

「これって本当なの!?今、初めて知ったわ!!」

「あぁ、本当だ。世界は今、“千両道化”と“赤髪”の()()の影響で大混乱してる」

 

ローの言葉にバギーを知ってるナミは頭を混んがらせた。そして同じくバギーを知ってるゾロは鍛錬を続けていてルフィはサニーの頭の上で寝ていた。

 

 

 

 

〇〇〇

マリージョアにある一室で五老星は頭を抱えるどころか大慌てで動いていた。

 

「この報道は真実か!?CP0は何をしていた!!」

「千両道化と歌姫の関係がなぜCPでも掴めなかったんだ!?ヤツはそこまで頭が回るのか!?」

「今はウタの事などどうでもいい。これでより世間の鼻つまみ者になる。しかし、千両道化はもう今までと同じ対応は出来んぞ!!」

「世界政府的には四皇クラスを手元に置いてると言うことになり、さらなる盤石が期待できるがこの内容は他の四皇が動く!!」

「世界をバラバラに混乱させる()()()を起こしよって・・・腐れ海賊めが!!」

「それに先日の偽麦わらの一味とアイツがパシフィスタを20体以上盗んだ事も危険だ!!」

「また復活とは・・・ロジャー時代の遺物め!!」

 

五老星の1人がバギーと()()()の手配書を忌々しく握りつぶした。

 

 

 

〇〇〇

「すぐに備えろ!!敵はビッグ・マムかカイドウの可能性もある!!盤石の備えを持って当たれ!!」

 

海軍本部では新聞記事に書かれていたとある内容によって混乱するであろう事態に備えるために慌ただしく動いていた。

センゴクは新聞を持ちながら、ガープと話していたが2人の顔は真剣そのものだった。

 

「まさか千両道化の赤っ鼻とウタちゃんにこんな秘密があったとはな」

「それは別に我々海軍がとやかく言うことではない。ロジャーとは違う。しかし、もう1つの方は勢力図が書き換えられる。これは由々しき事態だ」

「云うて本人も海賊団も健在じゃとそこまで気にする事でもなく無いか?」

「かつてシキがエッドウォーの海戦以降、四皇の座を降りたようにこれもそうなる可能性がある」

「・・・四皇が変わる可能性じゃと?」

「そうだ。そして()()がまた起きる」

 

センゴクとガープはそう話し合いながら、元帥であるサカズキの所に向かった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

クロコダイルは新聞を見ながら、とある事実に困惑していた。

 

「どうしたんですか?」

 

腹心であるダズがクロコダイルに訪ねると珍しくも困惑しながら話し始めた。

 

「以前、歌姫に会った時は大切にはしていたがそういう反応じゃなかった・・・この事実にはまだ裏がありそうだ」

 

フックでとある記事を叩くクロコダイル。

 

「どうします?」

「ダズ・・・お前はドレスローザに行って歌姫を調べてこい。本当にコイツが野郎の娘なのかどうかをな」

「了解」

 

ダズは短く返事をしてドレスローザに向かった。クロコダイルは葉巻を吹かせながらも自身の持ってる情報を元に精査を始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

「フッフッフッ!!こいつは面白え!!歌姫があの野郎の娘だと!?こんな楽しいニュースは久しぶりだ!!」

 

ドフラミンゴは新聞を見ながら笑っているとトレーボルが近づいて話しかける。

 

「ねぇねぇドフィ、その娘を殺すつもりだったけどどうするの?」

「これが事実ならあの野郎と今相手にするのは不味いな。俺達の“秘密”に関わらなければほっとけ。今は兎に角、麦わらとローだ」

 

ドフラミンゴはそう言いながら、新聞に小さく載っていた麦わらとローの海賊同盟の記事をズタズタに引き裂いた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

クライガナ島 シッケアール王国跡地の古城でミホークはとある記事を一目見たあとで自身の剣の夜でその新聞をバラバラに切った。

 

「奴が一度だけとはいえ、あんな奴にやられるとは思えん・・・」

 

ミホークはそれだけ言うと持っていたバギーの手配書をグシャグシャと握り潰して立ち上がった。

 

「王下七武海は狩った事が無かったな・・・暇つぶしには丁度いい。ゴースト娘、お前も着いてこい」

 

ミホークは短くそう言った。

普段ならペローナは文句を無茶苦茶言ってついて行こうともしないがこの時のミホークは怒気を放っていて恐ろしくペローナは黙って言うことを聞いた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

海賊島ハチノス

黒ひげは新聞の記事を見ながら笑っていた。

 

「ゼハハハハハハ!!これが事実なら千両道化は四皇に近づいたって事だ。奴は並み居る海賊達の中で最も四皇に近い・・・」

「狙いますか?」

 

ラフィットの言葉に黒ひげは手を出して待ったをかけた。

 

「まぁ待て。モルガンズはフェイクもよくやる。これが事実じゃなかったらくたびれるだけだ。もう少し様子を見よう」

 

黒ひげはバギーの手配書を見ながら笑った。

 

「船は違えど、共に偉大な船の見習いだった者同士。仲良くしようや、千両道化・・・」

 

 

 

 

〇〇〇

四皇ビックマムの本拠地トットランド。

ビックマムことリンリンは新聞を見ながら笑っていた。

 

「マーマママママ、これが本当ならウタを手に入れるには少し難しそうだね」

「ペロリン、どうするママ?」

 

長男のペロスペローがリンリンに訪ねると楽に応えられた。

 

「カタクリ」

「どうした、ママ?」

「ジェルマとの結婚式が終わったらウタを捕まえてきな。お前なら大丈夫だろ・・・そうだ、お前も独身でいい歳だ。折角だからウタとの結婚式を開いてやるよ」

 

リンリンの傍若無人な提案にカタクリは頷いて、ウタの写真を見た。

 

「・・・父親があれの割には・・・カワイイ」

 

ペロスペローは基本的にポーカーフェイスな弟のカタクリが頬を少しだけ染めたのを確りと見逃さなかった。そしてカタクリ大好きな妹のブリュレもそれを聞いてウタに対抗意識を燃やしていた。

 

 

 

 

〇〇〇

空島。

ノックアップストリームによる自殺を試みたカイドウは生きて空島まで飛んでしまった事に悲しみながらも電伝虫からの情報を聴いて呆れていた。

 

「クィーン、あの赤髪がそんな小物にやられるわけねぇだろ。モルガンズのフェイクニュースだ」

『もし、事実だったらどうします?』

 

腹心であるキングがクィーンに変わって訪ねてきたのでカイドウは少しだけ考えた後で笑った。

 

「ウォロロロロ、まぁ少し調べとけ。ドフラミンゴがシーザーを取り戻したら、SMILEの小手調べに“千両道化”とやり合おう!!」

『わかりました』

 

カイドウの言葉にキングを始めとした百獣海賊団の面々はそう返事を返した。

 

「アイツがジョイボーイとは思えねぇが暇潰しに楽しい戦争をやろうや・・・ウォロロロロ!!」

 

カイドウはそう笑いながらまた酒を飲んだ。

 

 

 

 

〇〇〇

世界経済新聞社の本社。

先日の麦わらの一味の完全復活に続いて起こった“決闘”と“ある事実”と“政府の失態”という3つの大事件に心を踊らせているモルガンズは喜びのあまり、昇天しそうだった。

 

「最高だ!!大海賊時代の始まりには及ばねぇが間違いなく“エッドウォーの海戦”並のビックニュースだ!!こんな時代にジャーナリストでいられるなんて俺は世界一の幸せ者だ!!!」

 

モルガンズはそう叫びながらタップダンスをしてると新聞記者の1人が小切手を持ってきた。

 

「ほう、この額は隠蔽しろか・・・で、内容は?・・・ハハハハハハ!!1番の記事じゃないなら別に構わねぇ!!今回は従おう!!」

「社長、どの記事ですか!?」

「“政府の失態”だ!!本当に世界政府って奴は外面ばかり気にしやがるな。まぁ3番目の記事なら別に構わねぇ!!“千両道化”と“歌姫”の記事は両絵面でデカくやれ!!」

『はい!!』

 

 

 

 

〇〇〇〇

新世界のとある島。キッド海賊団の秘密基地でキッドは荒れていた。

 

「フザケンナ、ピエロ野郎!!人の獲物に唾をつけやがって!!」

「落ち着けキッド。赤髪はまだ健在だ。殺られたわけじゃない」

「もう既に赤髪のブランドは落ちたようなものじゃねぇか!!この歌姫も関係者なら殺してやる!!」

 

キッドはそう叫びながら新聞に載っていたバギーの写真をビリビリに破った。キラーは今は話しかけないほうが良いと思って秘密基地にある自室に入り、壁に貼られていたウタの写真を見たあと、新曲を含めた全ての楽曲のTDの内の1つを選んで起動した。

曲は『Believe』だった。

キラーはその曲に合わせて趣味であるドラムを叩き始めた。

 

「彼女が何者の娘であろうと歌に罪はない・・・はぁ、いつか後ろでドラムを叩きてぇな・・・」

 

キラーはそう自分の願望を語りながらドラムを叩いていく。

 

 

 

 

 

〇〇〇

シャボンディ諸島でレイリーは新聞を見ながら頭を抱えていた。バギーとシャンクスが起こして恐らくそれの影響を受けたであろうウタの問題に呆れ果てた。

 

「あのガキ共は何をしているんだ?」

「あらら、歌姫ちゃんも結構大胆ね」

「ウタちゃんはしょうがないとしてもシャンクスとバギーにはほとほと呆れたよ・・・今度会ったら久しぶりに拳骨を食らわせてやるか・・・」

「まるでウタちゃんのお爺ちゃんになったみたいね」

 

シャッキーの言葉にレイリーは少し考えた後で美人な娘の祖父というポジは良いなと少し思った。

 

「なら、尚更父親には確りしてもらわねばな!!アイツら覚悟しとけよ!!」

 

レイリーは久しぶりに2人の頭に拳骨を落とせる事に少しだけ嬉しくなりながら、殴るシュミレーションをしていた。

 

 

 

〇〇〇

グランドラインにある数多の島では新聞の記事で混乱が起こってた。

 

『UTAが海賊の娘だった!?』

『そんな!!』

『やっぱり海賊嫌いは嘘だったんだ!!』

『だからアイツを庇ってたんだ!!』

『なぁ、俺達の行動がバレたらヤバいんじゃ?』

『引っ越しだ!!』

『逃げる準備を始めろ!!』

『海賊がやってくるぞ!!』

『なんでこんな事に・・・』

『もう嫌だ!!・・・こんな時代!!』

 

ウタを見捨てたファンだった者達の阿鼻叫喚があちこちで響き渡っていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはハイルディンを警護に付けてもらってドレスローザに向かっていた。海風に揺られてウォーターセブンやバギーズデリバリーの時のように完全に()()()が靡いていた。

 

「ごめんねハイルディン達にも迷惑を掛けちゃって・・・」

「気にするな、お前の親父さんもきっと無事だ」

 

ハイルディンはウタを気遣うと自分の目的であった剣闘に向けて身体の確認を始めていた。巨人族の知り合いが出来た事にウタは喜びを感じながらもバギーに迷惑を掛けた事に申し訳無さを感じていた。

 

「おじさん・・・ごめんね・・・けどアタシももうそろそろシャンクス達とケリを付けたいんだ・・・だからお願い・・・最後まで力を貸して・・・」

 

ウタはそう呟きながらトレジャーマークをギュッと握った。そしてその目には確固たる決意が込められていた。

 

(シャンクスのヤツ、絶対に許さないんだから!!)

 

そしてシャンクスに対しての怒りが内心爆発していた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

世界を揺るがし始めた数々のニュースは連日新聞を賑わせていた。

 

『王下七武海“千両道化”のバギーと四皇“赤髪”のシャンクスが一対一の決闘!!勝者は“千両道化”!!』

『三日間の激戦で1つの島の地形が変わる!!』

『その後、復活した赤髪とその海賊団に追われてバギーは逃走!!』

『歌姫UTAの父親は“千両道化”のバギーだった!!』

『本人も“私はバギーの娘”と公言!!』

『四皇勢力に変化が?世界に緊張が走る!!』

『バギーズデリバリーと赤髪海賊団の抗争への第一歩!!』

『“バギーの娘”UTA。ドレスローザでライブ決定!!』

 

とてつもないビックニュースだらけだが()()が世間に与えてる影響はとてつもなかった。

 

 

『“千両道化”のバギー、消息不明!!』

 

 

世界中がバギーのせいで大混乱に陥っていた。そして四皇クラスもまた動き始めていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

シャンクス達はバギーを探しにあちこちの島を渡っていた。途中途中の縄張りで心配されたが島民をちゃんと安心させてシャンクス達はもう一度気合を入れ直した。

 

「野郎共、“千両道化”狩りだ!!気ぃ抜くな!!」

『オォォォォォ!!!!』

「絶対にただで返すな!!」

「奴を許すな!!」

 

殺気を立たせてシャンクス達はまた逃げたバギーを追いかけに言った。

 

(バギー・・・絶対に許さないからな!!)

 

シャンクスは覇王色の覇気を漏らしながらバギーを全力で追いかけていった。

 

 

 

 





9月10日土曜日!!
投票は本日の20時に締め切ります!!また私は一票でも差が出ればやります!!同率だった場合はこれまでの話の関係上、ルウタを優先しますのでご了承下さい。

20時になり次第、投票結果をこの後書きに書くので宜しくお願いします。

投票の結果
24票差でシャンバギに決定しました。この大騒動をやりますよ!!3話かけて書くつもりですのでお楽しみに!!
その後は暫くはルウタコースです!!
因みにウタのバギーの娘発言はシャンクスとの問題が終わるまで続けるつもりですので悪しからず!!


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Shanks

というわけで皆様、お待たせしました。
シャンバギというかシャンクス編の始まりです。
この章が終わると暫くはバギーもシャンクスも出ないので思いっきりやります。


〇〇〇

時間は少し遡り、無事に今までの軌跡によって助けられたウタはゴードンと一緒に晩御飯を食べていた。ゴードンもこれまでのウタの旅が結果としてウタを助けることになったのを喜んでいつも以上に腕によりをかけて作ったご馳走を食べていた。

 

「上手く行って良かったよ。旅をやって良かった」

「うん、でもバギーおじさんやシャンクスは映ってなかったなぁ・・・」

 

ウタはそう呟いた。バギーやシャンクスは今回の配信には映ってなかった。ウタとしては少しだけがっかりしていた。

 

「2人とも忙しいのだろう」

「そりゃバギーおじさんは分かるよ。一緒に暮らして凄い忙しそうだったのに稽古つけてくれたし。けど、シャンクスは?」

「・・・ウタ・・・」

 

生活してバギーの生活習慣がわかっていたウタはバギーには何も言わないがシャンクスには腹が立ち始めた。

 

(シャンクスの・・・馬鹿・・・そっちがその気ならこっちだって考えがあるよ!)

 

ウタは予てより計画を立てていたあることを実行して慌てさせようと本気で思っていた。

 

 

 

〇〇〇

時間はそこから更に2日前に戻る。

自分との関係を新聞に書かれて非難を浴びてるウタの記事を見たバギーは宴の途中でありながらも電伝虫のある部屋に向かっていた。

 

「派手にどきやがれ!!」

 

傘下の海賊を退かしつつ急ぎ足で向かってるバギー。カバジやモージが止めに掛かった。

 

「座長、落ち着いて!!」

「傘下の海賊達が慌てちまう!!」

「モチなんか付いてる場合か!!」

「いえ、落ち着けです・・・」

 

バギーがボケをやりながらも怒りの声を出して足を止めて2人を睨んだ。

 

「俺があれほど止めとけって言った配信をやりやがって、お陰で世間の鼻つまみ者だ!!俺は・・・あいつの味方でいるって決めたんだよ!!・・・説教して励ますしかねぇだろ!!」

 

そんな風に電伝虫のある部屋に入ろうとすると傘下の海賊の1人が飛び出してきた。

 

「座長、大変です。“赤髪”から入電が!!!」

 

バギーはそれを聞くとすぐに飛んでその電伝虫の受話器を取った。

 

『おぉ、バギーか?』

「あぁ、確かに俺様だがド派手にどうした?」

『いや、また迷惑を掛けたからよ』

「俺様は別に構わねぇ・・・お前、それよりもウタと話したのか?」

『何をだ?』

「何をだ??・・・じゃねぇよ!!ハデバカシャンクス。あいつと話をしたのかって聞いてんだろが!!お前はあいつの父親だろうが!!」

『・・・なに、俺なんか居なくてもウタなら乗り越えられる』

「・・・そりゃ、信頼じゃなくてただの()()()だろうが・・・ってか()()を言えよ」

 

バギーはシャンクスにそう言った。ウタの味方になると決めたバギーはそもそもウタの前に現れようとしないシャンクスに対して率直に言うと物凄い低い声で返された。

 

『・・・幾らお前でも俺達の事には首を突っ込まないで欲しいな・・・まぁ、今回も済まなかった。今度酒でも奢るから許してくれ・・・じゃあな!!』

 

シャンクスはそう言って電伝虫を切るとバギーは受話器を投げ捨てた。ウタの心配をしてすぐにでも掛けたならまだしもこんなに大騒ぎでも電話1つしないシャンクスに対して遂にキレた。散々この父娘に振り回されていたので怒りも凄かった。

 

「だったら父娘喧嘩に俺様を巻き込むな!!そもそも12年も放っておいた全部、てめぇの責任だろうが!!あの野郎・・・いつもいつも派手に人を顎でコキ使いやがって・・・もう許さん!!・・・何もかもハデにブチ壊してやらぁ!!」

 

バギーは()()()を持って広間に出た。傘下の海賊達が何かと騒ぎ始めているとバギーは大声で叫んだ。

 

「野郎ども、船を出せ!!あの赤髪と喧嘩してやらぁ!!!」

『オォォォォォォ!!!!』

 

バギーは新兵器である籠手の()()()()()()()を両手に付けてそう宣言した。傘下の海賊達が雄叫びを上げてる中で昔からのバギーを知ってる面々は最近のバギーの行動に引きつつもウタと出会う以前よりも船長として少し頼もしくなったバギーはなんだかんだで魅力的に見えた。

 

(・・・待ってろウタ・・・あのバカ共を連れて行くからよ)

 

 

 

 

〇〇〇

新世界、以前バギーとシャンクスが宴会をやった島の近海で再び赤髪海賊団とバギーズデリバリーはまた対面していたが前回とは違って非常にピリピリしていた。

 

『あ~あ~・・・シャンクス・・・というかそこのダメ親父共に告げる!!すぐにあいつに会いに行かねぇなら俺達がてめぇらを全員捕まえて鎖で全身縛って無理矢理会わせる!!とっとと会いに行かない自分らのアホさ加減を派手に恨め、素っ頓狂共が!』

 

拡声電伝虫を使って四皇である赤髪に脅しを掛けられる王下七武海などバギー以外いない。前ならこんな風に誰かの為に動かなかったバギーだが、ウタに助けられた事と歌声に救われた事の恩を返すために四皇で兄弟分でウタの父親のシャンクスを脅していた。

 

「アイツは馬鹿か?」

「昔からド級の馬鹿だ」

 

ベックマンがバギーのやり方に呆れてると隣でシャンクスも呆れていた。そもそも幾ら数を集めても実力は雲泥の差なのにそこから更に脅しまでやるアホっぷりに引いていた。

 

「お頭どうする?幾らお頭の友達でも流石にこれは笑えねぇよ」

「いつでも撃つ準備は出来てるぜ」

 

ラッキー・ルウの言葉にシャンクスは仲間を見るとほぼ全員がバギーに対してキレかけていた。12年前のトットムジカとやりあった面子はまるでウタと会えない事になんの苦痛も感じてないと言われてるようで頭に来ていてバギーを死ぬほど殺したくなっていた。

 

「待て待て待て、俺が話をつけてくる!小舟を出せ!!」

 

シャンクスはそう言って前回とは違って1人で島に向かい、バギーもそれを見て小舟に乗った。

 

「本当に1人で良いのガネ?」

「あのバカ相手にハンデなんかいるか!」

 

そう言うとバギーは左腕を外してアルビダに投げ渡し、自分もシャンクスと同じように右腕だけの状態になって島に向かった。

 

 

 

〇〇〇

島に到着する2人は向かいあっていた。

バギーとしてはさっさとシャンクスをウタの元に連れていきたいし、シャンクスとしてウタに自分達との関係が世界にバレるのが嫌だった。バギーは睨んでいたがシャンクスは何とか引いてもらおうと人懐っこい笑みを浮かべていた。

 

「バギー・・・頼むから引いてくれ。俺達の問題なんだ」

「俺がウタと関わってなきゃ引いてたが、紛いなりにも師匠になっちまったら、簡単には引けねぇよ」

「・・・そんな大層な武器まで付けてきやがって・・・」

 

シャンクスはバギーの右腕に付いた()()()()()()()を見て呆れていた。

 

「新兵器マギーバルカンだ。覚醒した動物系にも効いたマギー玉をありったけブチ込める俺が作った“対強敵”用の武器だ」

「・・・そんなの付けて俺とやり合う気か?俺に戦闘で勝った事ねぇだろ・・・」

「嫌ならさっさとウタの所に行け」

「・・・片腕しか無いくせに・・・俺のマネか?」

「お前にハンデなんかいらねぇよ、ハデバカヘタレ野郎」

 

バギーはそう言うと問答無用でバルカンをシャンクスに向けて構えた。シャンクスはまだ笑みを浮かべたままだった。バルカンからマギー玉をシャンクス目掛けて大量に発射するがシャンクスは全て避けてバギーの腹に蹴りを入れる。当たらなかったマギー玉は派手に爆発してそれが決闘の開戦だと判断したバギーズデリバリーの海賊は映像を撮り始めた。

 

いくらマギー玉を大量に放てる武器を作ってもシャンクスには遠く及ばない。全て見聞色の覇気で避けられてバギーを蹴ったり殴ったりしていくがバギーは一回も地面に膝をついてなかった。

 

(痛・・・くねぇ!!ハデに効かねぇ!!こんなのウタのビンタに比べたらスカみてぇなもんだ!!)

 

意地と根性だけで耐えるバギー。

しかし、シャンクスも容赦せずに殴るし蹴る。バギーの攻撃なんてかすりもしない。顔面をボコボコにされて目の上にたんこぶが出来て歯が何本か抜けて前のバギーなら逃げたり、降参したりしたかもしれないが耐えていた。殴っても蹴っても引かないバギーにシャンクスはウンザリしていた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・わかっただろ。お前が俺に勝つなんてありえねぇんだ・・・引いてくれよ・・・頼むから引いてくれよ!!ウタと関わり合いたくねぇなら関わらせねぇよ!!・・・俺の顔が見たくねぇならもうどっか行くからさぁ」

「ハデにお断りだ・・・それに誰が勝つって?・・・一回も膝を付かせてねぇのにか??」

 

バギーは挑発した。さっきから()()を隠し続けてるシャンクスを怒らせたら出すと思ったからだ。しかし、これ以上やる気はシャンクスにはなかった。

 

「わかった・・・もうお前の勝ちでもなんでも良い・・・・・・こっちが消えてやる・・・」

 

自分から引こうとするシャンクス。もう少しで()()を出せそうなのにこれじゃなんにも変わらない。また会えないことに悩むウタとそれに巻き込まれる自分でウタが心から笑えない上に自分もあまり楽しくない。

だからバギーはシャンクスが確実にブチ切れる絶対に()()()方法を選んだ。

 

「そうか、ウタが邪魔になったのと同じように俺様もハデに邪魔か?」

 

バギーの“邪魔”という発言にシャンクスは歩きを止めた。その右手は愛刀のグリフォンの柄を握っていた。

 

「ウタから聞いたよ。戦闘の際は部屋でウタワールドの中に居させたって・・・そんなの邪魔でしかねぇよな?危ないし、人質になりやすいお荷物そのものだ。だからエレジアに捨てたんだろ?“四皇”になるには娘なんて邪・・・」

 

バギーの罵倒が最後まで言われることはなかった。その前にシャンクスがグリフォンを抜いてバギーの真横に斬撃を放って深い溝を作ったからだ。

 

「下手に出てれば・・・ペチャクチャと・・・とっとと黙らねぇとそのデカっ鼻ごとぶった斬るぞ“千両道化”!!」

 

シャンクスの目が変わった。今まではなんだかんだ友達を見る目だったが明らかにバギーを敵として認識したというのがわかった。暴れたら手がつけられない“四皇”の船長として本気で対峙するつもりだ。

 

(こっからが正念場だ・・・ロジャー船長・・・力を貸してくれ・・・このバカから()()を引き出すための)

 

バギーは深呼吸をした後でマギーバルカンを“四皇”のシャンクスに向かって構えた。

 

「やってみろ“赤髪”!!」

 

バギーはまたマギー玉を大量に発射する。シャンクスは今度は全てバギーの方に跳ね返した。バギーも目とかは籠手代わりにもなるバルカンで何とか防ぐが爆風で吹き飛ばされた。だがなんとか上手く着地して絶対に倒れない。すぐさま、シャンクスにもう一度同じ事をやろうとするがシャンクスは既にバギーの後ろの方に回っていてグリフォンの峰でバギーの頭をぶん殴った。

吹き飛ばされるが意地でも倒れない。シャンクスの攻撃で倒れるなんてバギーのプライドが許さなかった。ましてや自分の娘と向かい合おうとしてないヘタレな状態のシャンクスなら余計にだった。

すぐにシャンクスは詰め寄って武装色の覇気を纏ってバギーを蹴り飛ばす。

 

「俺がウタの事を“邪魔”だと?・・・一度も思ったことねぇよ!!俺達が12年前、どんな思いでウタと別れたか知らないくせに・・・俺達がどれだけウタと会いたかったか知りもしないくせに!!・・・勝手な事を言ってんじゃねぇ!!!」

「・・・てめぇ等の思いなんて知ったことか!!大事なのはウタだろうが!!」

 

シャンクスは思いっきり叫ぶとバギーもそれに負けないように叫んだ。そしてバギーの言葉にシャンクスの顔色が変わった。少しだけ曇り始めた。

 

「お前らがどんな思いだろうが、どんな決意を持ってようが関係ねぇ!!そんなもんド派手に全部バラバラにしてやる!!・・・俺は意地でもお前をウタの元に連れて行くからな・・・“シャンクス”!!」

「そうか、やってみろよ・・・“バギー”!!!」

 

シャンクスとバギーの本気の喧嘩。本気の斬撃で森や山は斬れて、大量のマギー玉で瓦礫が吹き飛び、2人のこの真剣勝負は主に()()によって島の地形が変わり始めていて、常にする爆発の光と音の効果でマギー玉も地形を変えてるように映像からは見えていた。

 

かつてロジャー海賊団で共に育った義兄弟の決闘はまだ始まったばかりだった。圧倒的に有利なのはシャンクスで、ダメージなんて1つもどころか掠り傷すらも負ってないのにその顔は明らかに“歪み”始めた。

そして普段なら絶対に鈍るはずもない剣の腕が少しづつ鈍り始めていた。






始まりましたバギーとシャンクスによる決闘です。というか振り回されっぱなしだったバギーがウタとシャンクスの問題をブチ壊そうと動き始めました。果たしてこれがどうなってしまうのかはお楽しみに。
熱いバギーとシャンクスの友情をお届け出来るように頑張ります。

寧ろ、友情系はどちらかというと得意な方なので作者も燃えてます。


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Shanks vs Buggy

というわけでシャンクス編の第二話です。
予想以上の高評価に嬉しく私の筆も燃えてます!!
それでは甘いのが苦手だけど熱いのは大大大得意(自称)な私による激アツコーヒーのような話をどうぞ!!


●●●

それは海賊王ゴール・D・ロジャーが処刑される前の日。シャンクスとバギーはローグタウンにある町外れで蹲っていた。

 

「船長・・・やだやだやだ・・・畜生・・・」

「もう泣くなバギー!!」

「オメェは悲しくねぇのかよ!!大事な船長が死んじまうんだぞ!!」

 

差し迫る船長の処刑にバギーが泣いてるとシャンクスも涙を流しながらバギーを泣き止ませようとしたが2人の涙は止まらなかった。

 

「悲しいに決まってんだろ!!俺達の大事な()()だぞ!!けど、もっと辛えのがそこまで病気が酷かったのを何も教えてくれなかった事だ・・・」

 

シャンクスはバギーの胸ぐらを掴み、そう呟くと大泣きし始めた。2人ともクロッカスからロジャーの病気の事は教えられていた。けどそこまで酷いとは思ってなかったし、ロジャーも決して仲間にはそれを見せてなかった。2人は教えて欲しかった。

 

「俺はそこまで頼りねぇのかよ・・・」

「畜生・・・畜生・・・」

 

2人は大泣きして何も変わらない悔しさに打ちひしがれていた。

 

「俺はならねぇ・・・ロジャー船長のように強くなるけど仲間に頼れない船長にはならねぇ!」

「俺もだ・・・絶対にそんな海賊にはならねぇ!!」

 

始まりの街ローグタウンが終わりの街とも呼ばれる前の日に2人の若き海賊はそう誓った。

それから現在、2人は船長になり、バギーはウタによって誓いを取り戻せた。では()()を隠し続けるシャンクスはどうなった??

 

 

 

 

〇〇〇

シャンクスとバギーの過激な戦闘を沖から見ている赤髪海賊団。ヤソップは頭に血管を浮かばせながら、ライフルでバギーの頭を狙い始めていた。

 

「あの野郎・・・」

「止めろ、ヤソップ。これは頭の決闘だ」

 

ベックマンがそう言うとキレたヤソップがライフルをバギーに向けたまま叫び始めた。

 

「お前は悔しくねぇのか!!?何も知らない奴が勝手にノウノウとウタの事を言ってるんだぞ!!お頭がどれだけ苦しんでたか知りもしねぇのに!!」

「それでも駄目だ・・・それにいつかこうなるってのはわかってた筈だ・・・」

 

ベックマンの言葉にヤソップはライフルを構えるのを止めて顔を下に向けた。ヤソップだけではなくウタをエレジアに置いてきた時の面々は全員暗い顔をした。

 

「どんな理由であれ、いつかは払わなくちゃいけないんだ。俺達が奪っちまったウタの12年分のツケは・・・それを持ってきたのがバギーだっただけだ。この決闘に水を差す野郎は俺がぶちのめす!!」

 

ベックマンの宣言に赤髪海賊団の全員が決闘をちゃんと見た。勝つであれ負けるであれ、向き合い始める時が来たんだと全員が覚悟した。

 

 

 

〇〇〇

決闘は3日間も続いた。

本来ならシャンクスの圧勝、瞬殺で終わる程に力の差が開いてるのだがシャンクスの剣は鈍っていた。バギーの叫びを聞いて12年間必死に抑えてきた感情が溢れそうになってそれが剣に諸影響を与えていた。

見聞色は精度が落ちて、武装色は常に使えず、唯一問題なく使える覇王色の覇気で実力差が大分あるバギーを気絶させようと威圧していた。

 

「今更、お前相手にビビるか!!」

 

しかし、幼い頃から一緒の船に乗っていた事が影響したのかシャンクスの覇王色はバギーには全く効果がなかった。

シャンクスに蹴りを入れるバギーだが武装色の覇気や元々の実力差もあって逆に吹き飛ばされて岩にぶつかっても倒れなかった。

 

「いい加減に諦めろよ、バギー!!」

「まだ終わってねぇだろうが!!」

「もうボロボロだろうが!!」

 

バギーの体はボロボロだった。いくら精神が不安定になっても四皇。それでも差が埋まらないほど開いてるのには変わりなかった。新開発したマギーバルカンも全く効果がなく、顔面は腫れまくり、歯も抜けてその実力差は何も知らない者が見たら決闘ではなく、シャンクスがバギーを嬲り殺しにしているように見えるほどだった。

 

「そりゃお前だろうが!!傷1つついてねぇのに何でお前は・・・“泣きそうになってんだよ”!!」

 

バギーの指摘にシャンクスはさらに顔を歪ませた。その表情はボロボロだった時のウタにそっくりで今にも泣きそうな所まで似ていた。

 

「・・・・友達を攻撃するのが辛えだけだ!!」

 

それでもまだ()()を隠し続けるシャンクス。バギーはそんな姿にロジャーの姿を重ねてしまった。それはシャンクスとローグタウンで誓った()()()()()()海賊の姿そのものだった。

 

「・・・負けられねぇな・・・」

 

動きそうに無いほどにボロボロな体を無理矢理動かして構えるバギー。置いてきた左腕を持ってくるべきだったかな?と少しだけ弱気になるがそれでもシャンクスに向かい合う。

 

まだ続けようとするバギーにシャンクスは容赦なく剣を振るうが武装色の覇気が疎らになってしまったせいでバギーのバルカンに受け止められた。

その事実にシャンクスは目を開いた。圧倒的に差があって本来なら絶対に受け止められない筈の自分の攻撃が止められた事により、差が少しづつ縮まってるのを肌で感じていた。

 

「ほら受け止められた、お前らしくねぇな!!」

「・・・ぇ・・・」

「お前だってわかってんだろ!?逃げてるのは自分だって!!」

「・・・せぇ・・・」

「お前も()()()()()()()だろうが、ハデに逃げてんじゃねぇ!!」

「・・・うるせぇ・・・」

 

言いたい放題言ってくるバギーにシャンクスは武装色の覇気と覇王色の覇気を纏わせた拳でバギーを殴り飛ばした。今までで1番の攻撃に死にそうなほど辛いが死んでもバギーは倒れずにシャンクスの方を見た。

シャンクスは涙を流していた。

 

「うるせぇうるせぇうるせぇ!!お前に何がわかる!!20年もロジャー船長の名前から逃げてたお前が今更俺に説教か!!?・・・俺がどれだけ寂しかったか知らないくせに・・・()()()()は助けるのかよ・・・フザケンな、バギー!!」

 

3日間もバギーをボコって漸く出始めたシャンクスの()()。だがまだウタに対する()()ではなかった。それに自分もシャンクスに言いたい事があった。

 

「それが分かってんのになんでお前はウタに同じ事をやってんだよ!!・・・確かに俺は逃げてた・・・船長の名を汚してカタギに手を出して何もかも台無しにしたから・・・20年もアホみたいに逃げて・・・ウタに助けられてやっと本当に素の自分を出せて楽しくなった・・・お前はまだ12年だ・・・戻るには今しかねぇんだよ、シャンクス!!」

 

その叫びにまたシャンクスは顔を歪めた。もう少しだとバギーは直感した。()()()()()だがあと少しでこの喧嘩も終わると、あと一息だと感覚でわかった。だから、バギーは()()の一踏ん張りをするために走る体勢になった。

 

「俺はもう逃げねぇ・・・ロジャー船長からもお前からも逃げねぇ、嘲笑れようが失望されようが逃げねぇ・・・俺だって()()()()()()()だ!!」

 

シャンクスはその言葉を聞いて斬撃の雨をバギーに浴びせた。しかし武装色の覇気は込められず、バラバラの実の力で全てバギーには無意味だった。

 

「ロジャー船長にはなれねぇが・・・船長の代わりにお前をぶん殴る!!」

 

バギーはそう叫ぶと斬撃の雨の中を走ってシャンクスに向かっていった。その姿に困難にも勇敢に立ち向かっていったロジャーの姿がシャンクスには重なって見えた。

 

(ロジャー船長・・・!!)

 

「これはウタの分だ!!」

 

どれだけ()()()()()()()()()()()()()バギーは()()()()自分の拳をシャンクスの顔面にぶち込んだ。シャンクスは吹き飛ばされて地面に背中を付けた。

 

(こいつ・・・武装色の覇気を・・・気づいてねぇのか・・・)

 

バギーは自分が武装色の覇気を使っていたことに気づかず、シャンクスが放してしまったグリフォンを元に戻った手で持ってシャンクスの首に突きつけた。

 

「さぁ、ウタに会いてぇってド派手に言え!!」

 

バギーの言葉にシャンクスは涙を流しながらも首を横に振った。まだ強情なシャンクスにバギーは胸ぐらを掴んだ。

 

「・・・嫌だ・・・ウタには会わねぇ・・・」

「何でだ!!?」

 

バギーにぶん殴られてシャンクスはこの3日間で初めてウタに対する想いをぶちまけた。

 

「会って何を言えば言いんだよ!!12年も放ったらかしにした屑だぞ!!何も言えねぇよ・・・あの時も・・・トットムジカの時も・・・俺がもっとちゃんと見てれば良かったんだ・・・なにもかも全部俺が台無しにしたんだ・・・俺はもうウタの人生を台無しにしたくねぇんだよ!!」

「それはウタ本人が言ったのかよ!?全部お前の中の事だろうが!!なんでも自分の中で終わらせてんじゃねぇ!!そんな所ばかり似てどうすんだよ、このハデバカ父娘!!・・・・ビビるなよ、俺達は()()()()()()()だろうが・・」

 

シャンクスはバギーの言葉を聞いてあることを思い出した。

 

 

 

 

●●●

それはおでんがロジャーの船に乗ることになった次の日だった。 

まだ子供だったシャンクスとバギーは急に現れた新人のおでんに絡みに行った。

 

「おい新人、ロジャー海賊団は絶対にビビらねぇから覚悟しとけよ!!」

「先輩の俺達が教えてやるぜ!!」

 

非常に感じ悪い絡み方をやる2人。だがおでんは人懐っこい笑みを浮かべて応えた。

 

「そうかよろしくな・・・えっと?」

「・・・シャンクスだ」 

「・・・バギーだ」 

 

名前を言う2人。するとおでんはすぐに仲良くなる為に2人をからかった。

 

「赤太郎にバギ次郎だな!」

「変な名前で呼ぶな!」

「なんで俺が次郎なんだよ!!」

 

早速、おでんのペースに飲まれた2人。

あまりの早さに2人はこのあとで船の皆から思いっきりからかわれた。

 

 

 

 

〇〇〇

懐かしい事を思い出してシャンクスはボロボロと涙が止まらなくなった。バギーに涙を見せないように右手で顔を隠すシャンクスは叫んだ。

 

「会いてぇよ・・・ウタに会いてぇよ!!会って謝りてぇよ!!チクショーーー!!!」

 

漸く出た本音を聞いてバギーはシャンクスの近くに座った。顔を見ないように倒れてるシャンクスの足元付近に座って海を見ていた。

 

「なんなんだよお前は・・・こっちの事情も知らねぇのに・・・全部バラバラにしやがって・・・このデカっ鼻・・・お前なんか嫌いだ・・・大嫌いだ腐れ海賊・・・クソ野郎・・・へっぽこピエロ・・・カス野郎・・・お前なんか友達でもなんでもねぇ・・・」

 

ゲジゲジとバギーの背中を蹴り始めるシャンクス。バギーはそれを黙って受け入れていた。小舟に置いてて何とか無事だった電伝虫を取って自分の船に連絡しようかとした時にキチンとそれを聞いた。

 

「バギー・・・ありがとう・・・」

 

凄い小さい声で言われた感謝の言葉にバギーは鳥肌が立ったが珍しいシャンクスからの本音に黙って聞き入れてあげた。

 

『ぷるぷるぷる』

 

電伝虫が鳴ったのでバギーは出ると凄い大きい声が返ってきた。

 

『船長大丈夫ですか!?』

『座長、ご無事で!!?』

『戦闘の音が止んだけど無事かい!?』

「うるせぇ!!ハデバカ共がこっちは3日間も寝てなくて寝不足だぞ!静かに叫べ!!」

 

無茶苦茶な事を言ってキレるバギー。疲れてるのにこんな大声を聞きたくはなかった。あれこれ言ってくる仲間にバギーは呆れてると本題を言ってきた。

 

『決闘はどうなったガネ?』

「あ?そりゃ・・・」

「バギーの勝ちだ・・・」

 

バギーが答える前にシャンクスがそう言った。バギーはその言葉を聞いてシャンクスの方を見ると泣き止んで笑っていた。

 

『本当ガネ!?』

「あぁ、この喧嘩。“千両道化”のバギーの勝ちだ!!」

 

シャンクスはそう宣言した。自分は殆どダメージを負っておらず精々効いたのは最後のバギーの拳くらいなのに負けと自ら認めた。

下手すると四皇から落ちるのにそんな宣言をやったシャンクスにバギーは嫌な顔をした。

 

「なんだその顔?」

「こんな情けねぇ勝利は要らねぇよ」

「何言ってるんだ・・・誰が見てもお前の勝ちだよバギー・・・お前が俺の兄弟で良かった・・・ウタを大切にしてくれてありがとう」

「ええい、止めろ気色悪い!!・・・ったく、そんなのを宣言したらハデにニュースになるぞ・・・」

「・・・1から始めるには丁度いい」

 

シャンクスはそう言って笑い、バギーも笑った。とても先程まで3日間も長く間、島の形を変えるほどの決闘をやっていた人間とは思えないほど2人は仲良く笑った。

 

「はぁ〜、腹減った〜」

「酒でも飲むか?」

「腹減ったって言ってんだろがバカシャンクス!!」

「じゃ、あれでも食うか?」

「あれって・・・あれか?」

「あぁ、あれだよ」

「あれに酒は最高だからな!ハデに作って食うか!」

 

盛り上がる2人は盛大に腹の音を鳴らすと口からその料理の名が出た。

 

「「あ~、おでん食いてぇ〜」」

 

漏れ出た言葉が丸かぶりした2人は再び笑いあった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

こうして四皇と王下七武海の真正面からの“決闘”という前代未聞の事態は“赤髪”のシャンクスが負けを認めて、“千両道化”のバギーの勝利という結果になった。

 

後にこの『赤千の決闘』事件と呼ばれる激戦は半年以内に“政府の失態”による世界を掛けた大事件の始まりとしてまた2人がロジャー海賊団だった経歴から“始まりと終わりの街”ローグタウンにあやかってこうも呼ばれた。

 

 

 

 

 

 

 

“始まりの決闘”

 

 




というわけでバギーがシャンクスに勝ちましたが実質的にはシャンクスの敗北宣言みたいな感じです。
それからバギーが武装色の覇気を一回使いましたが自由には使えません。というか気づいてすらいません。だってバギーだもの。

因みに次回は熱く盛り上がってる皆さまを誠に申し訳ございませんが笑い地獄に叩き落とせるように頑張ります。
辛い地獄に落とすのは毎回躊躇しますが笑い地獄に落とすことに関しては一切の躊躇をする感情が無いので悪しからず。

それでは次回もお楽しみに!!


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Anger

お待たせしました!!目指した笑い地獄。
この話にかっこいいバギーやシャンクスはいません!!
これで暫く2人共にフェードアウトしてルウタ祭りが始まるので思いっきりやりました!!

では色々と酷いという感想が聞こえてきそうですがどうぞ!!


〇〇〇

決闘から数時間。

スッカリと寝てスッキリしたバギーはボロボロの体でシャンクスの船に電伝虫を持っていった。

 

「俺達も持ってるぞ」

「これはウタ専用の直通のやつだ。すぐに話せるように持ってきててな、ハデに会いに行く前に少しくらい話をしてやれ」

 

バギーがそう言うとシャンクスは受話器を取ったが掛けなかった。

 

「頭、掛けねぇのか?」

 

ベックマンがシャンクスに聞くと苦笑いを返してきた。

 

「・・・何て話し始めよう・・・」

 

その言葉にバギーも含めた全員がズッコケそうになるがなんとか堪えてベックマンとバギーが詰め寄った。

 

「アホかお前は!!」

「そんなんで悩んだって時間が過ぎるだけだろうが!!」

 

バギーとベックマンのツッコミにシャンクスは体を小さくさせるが12年も放ったらかしにした上に手紙とかのやり取りもない。どう切り出せば良いのか分からなかった。

 

「・・・いつもみたいな感じで良いんじゃねぇか?」

「バギー、それは不味くねぇか?」

「このヘタレが初っぱなからハデに謝ったらウタが混乱するぞ」

 

ベックマンはバギーの言葉を聞いて想像した。初っ端から問答無用で謝りまくって更に拗れそうだと思った。何事もやれば良いという物ではない。そしてシャンクスは決闘の件もあってバギーに対する好感情も高くなってるので良いアイデアだとやる気満々だった。色々と不安があるが始めないよりはマシなのでそれで始めることにした。

 

 

 

〇〇〇

ウタは少しだけモヤがありつつも最高と思えるほど上機嫌だった。ルフィ達、麦わらの一味が完全復活を遂げたのを新聞で見たのとルフィが自分の焼いたクッキーを食べてくれてると感覚で分かったので嬉しかった。まぁその前に女帝の“何か”を食べてる感覚はあったのでそこは悔しいが大好きな幼馴染が元気になったのを見て負けられなくなった。

 

『ぷるぷるぷる』

 

「おじさんだ♪♪」

 

バギーから貰った普段から使う電伝虫と気軽に話せる専用の電伝虫の2つの内、専用のが鳴ってウタは嬉しくなった。やっぱり昨日の配信の時は忙しかったんだというのが分かって安心し、ウタは色々と怒られる事も覚悟しつつも話せることが嬉しくて受話器を取った。

 

『やぁ、ウタ。久しぶりだな、元気だったか!?』

「はぁ!?」

 

しかし、出てきたのはシャンクスでしかも12年間の放ったらかしを全く考慮してない発言だった。更にいうと昨日の配信の時に本気で喧嘩をすると決めていたウタは先程の上機嫌などすぐに吹き飛び、容赦なく電伝虫をすぐに切った。幾ら、バギーとの決闘でシャンクスが向き合うと決めたとしてもそんなのウタは知らないので全くなんの関係も無かった。

 

(何あれ!!?こっちは11年も1人にされたのに・・・元気だったか!?・・・ハデにふざけないでよ!!絶対に許さない!!こうなったら、徹底的にやってやるー!!)

 

シャンクスのやらかしによって一発で不機嫌になったウタは予てから決めてた計画を実行する為に映像電伝虫の準備を始めていた。

 

 

 

〇〇〇

一方そのころ、シャンクスがやらかした事で主にバギーとベックマンの2人がシャンクスをボコボコにしていた。

 

「アホか?あんたは本当にアホか!?」

「お前は四皇一のハデバカだ!!」

「すびばせん・・・」

 

娘に一発で切られた事に悲しくて泣いてるシャンクスに説教をしている傍ら、他の面々がウタに電伝虫を掛けてはいるものの・・・

 

「ウタ、ごめん。ルウだ」

『うるさいデブ!』

 

「ウタ、俺だヤソップだ」

『黙れ、シャンクスと同類のクソ野郎』

 

「ウタ、頼む話だけでも」

『黙れヤブ医者!』

 

「ウタ、頭の話を」

『やだ!』

 

「ウタ、一緒に歌おうぜ。そしたら怒りも」

「ウキ!」

『ハデにお断り!』

 

「ウタ、お願いだ頭の・・・」

『無理!』

 

「ウタ、頼むから切らないで・・・」

『ダメ!』

 

「やぁ、ウタちゃん。俺は新入りのロックスターって言うんだが・・・」

『アタシ達の問題に首を突っ込むな!』

 

全滅していた。

シャンクスのやらかしで完全にブチ切れたウタは完全に赤髪海賊団の声を遮断していた。しかも12年前からいる面々は天使のようなウタが割とキツイ暴言を吐いてる事にショックを受けて倒れていた。ルウなんて泣いていた。

 

「ったく、俺様がちょっと話をやってやる!!」

 

3日間もシャンクスにボコられ続けたバギーは折角、シャンクスから本音を引っ張りだせたのにこれじゃ全てが水の泡だと思って電伝虫を掛けた。

 

「ウタ。俺様だ!!」

『おじさん!!ねぇ、聞いてよ!さっきから変なストーカーがかわりばんこで電伝虫を掛けてきて凄い迷惑してて、着信拒否の機能って無かったっけ?』

 

ストーカー呼ばわりされた面々はより落ち込み、バギーの話は素直に聞くんだと複雑な思いを感じていた。

 

「そんな機能はハデにねぇ。それよりもだ。ちゃんと聞けよ?シャンクスの話を聞いてやれ。あいつを説得するのに3日も掛かって漸く電伝虫を掛けさせられたんだから・・・おじさんの為だと思って・・・なぁ頼むよ」

 

バギーがそう言うとミシミシと変な音が少しだけ聴こえてきた。それは怒りのあまりウタが受話器を握り潰そうとしている音だった。

 

『へぇ、つまりおじさんが何もしなかったら電伝虫すら掛けなかったって事?』

「うん、そう!!・・・・あっ!?」

 

ウタの質問にバギーは素で答えてしまった。この3日間の辛さもあって素直に答えた事により、やらかしに気づいても後の祭りだった。

 

『そんなにアタシが要らないんだ・・・もういいよ!!そこまでアタシが邪魔なら、文字通り二度と関わらないよ!!おじさんは別に良いけど・・・アタシ、シャンクスの娘辞める!!・・・バギーおじさんの娘になるから!!』

 

ウタはそう言って切った。後ろから殺気を感じた。振り向くとシャンクスが泣きながら睨んできた。

 

「バギー、この裏切り者!!」

「うるせぇ、本音が出ちまったんだよ!!元はと言えば全部お前のハデな不始末だろうが!!」

 

本気で首を締めてくるシャンクス。バギーも負けじと首を締め始めて非常にみっともない喧嘩を始める2人。ベックマンが2人の頭を殴って黙らせる。

 

「やめろアホコンビ!!今はウタの怒りを鎮める事だけ考えろ!!」

 

ベックマンに言われて赤髪海賊団の面々とバギーは頭を悩まし始めるが良いアイデアなんて降りてこなかった。

 

 

 

 

〇〇〇

バギーズデリバリーの船のビックトップ号は隣のレッドフォース号から来る慌てように何か何かと騒ぎ始めてると持ってきた映像電伝虫が起動した。

 

「誰か付けたか?」

「俺達は何も!?」

 

『やぁ、皆。ウタだよー!!今日は皆に報告する事があって急遽、配信だよ!!』

 

それはウタの配信だった。しかも映像から怒気が漂う程に雰囲気が違っていた。

 

『今日はアタシと“千両道化”のバギーとの本当の関係を皆に教えに来たんだ・・・実はアタシ、()()()()()なの♪♪』

「ハァァァァ!!!?」

「えぇぇぇぇ!!!?」

 

『その証拠を見せてあげるね♪♪』

 

ウタはそう言うと電伝虫を掛け始めた。すぐにバギーは出た。

 

『あ、()()()()

『ウタ、お前なぁ!!』

『その事は後で話すから、聞きたいんだけどアタシの口紅そっちに置いてない?』

『はぁ!?そんなの知るか!!それよりもこっちの話を!!』

『薄紅色のちょっと大人っぽいやつ。お父さんが買ってくれたアレ!!』

『いや、だから、俺様の・・・・それってクリミナルのアレか?』

『そう、それ!!』

『アレなら俺の部屋にあるぞ。ってかお前なんで忘れ・・・まさかペン代わりに使ったのか!!?』

『へへへ・・・』

『その書くものが無いから口紅とかでやる癖は止めろ!!減るのが早いし高いから!!ったく、また買って送ってやるからそれを使え』

『やった~!!』

『・・・ってしまった!良いから俺の話を・・・』

『また後で掛けるね♪ちゃんと話はするから、じゃあね!!』

『あっ、こら、やめなさい!!』

 

ウタはバギーの言葉を無視して電伝虫を切った。

 

『ね!?こんなに気軽に話せる素敵なお父さんなの!!』

 

確かに普通に父娘の会話に周りは思った。口紅があるのを知ってるだけじゃなく、そのやり取りが自然だった。しかもまた新しいのを買って送るなど娘に甘い父親のように思えた。

更に言うとバギーのセリフが勝手にそれを明かした事に怒ってるように聞こえてしまってより信憑性が上がっていた。

バギーズデリバリーの事情を知ってる面々は開いた口が塞がらなくなり、知らない面々も目玉を飛び出して驚いていた。

 

 

 

〇〇〇

「バギィィィー!!!」

「うるせぇ!!ノセられちまったんだよ!!」

 

また喧嘩を始めるバギーとシャンクス。

しかも割とガチで父娘のような会話をしていたバギーにシャンクスは嫉妬の炎を燃やし始めていた。

 

「なんでお前が化粧品の事を知ってんだよ!!」

「俺様のこのドハデメイクは全部自分でやってんだよ!!多少は知っとるわ!!」

 

シャンクスと分かれてからやるようになったピエロメイクの関係もあってバギーはそこらへんは多少なりとも知っていた。勿論、専用のじゃないのでそこまでだったが少なくとも化粧とはほぼ無縁の男所帯の赤髪海賊団に比べると知ってる方だった。オマケにバギーズデリバリーには女の海賊も多いので知識は普通にあった。

 

またも喧嘩を続けるバギーとシャンクス。他の赤髪海賊団の面々はもう放っておいてウタとどうやって仲直りするか考えてるとビックトップ号からアルビダが叫んできた。

 

「座長、大変だよ!!」

 

アルビダの言葉にバギーとシャンクスは掴み合ったまま、顔を向けた。

 

「ウタがあんたの娘だって世界中に公言しちまった!」

「「ハアァァァァ!!??」」

 

その言葉に2人とも開いた口が塞がらなくなった。シャンクスは割と本気で海に落としてやろうと考えてバギーは死んでも落ちるかと堪えていた。

 

『ぷるぷるぷる』

 

電伝虫がまた掛かってきてシャンクスはバギーを離した。今の所、ウタがまともに話してくれるのはバギーだけだったからだ。バギーも本気の説教をしようと受話器を取った。

 

「ウタ、お前なぁ!!」

『ごめんねお父さん♪♪』

「誰がお父さんじゃ!!」

『えっ?でもあの時、言ってくれたじゃん』

「・・・俺はハデに言ってねぇぞ・・・」

『言ったよ・・・2ヶ月前に・・・」

 

 

 

〇〇〇

ウタがまだバギーズデリバリーで修行をしていた時、2人はお酒を飲んでいた。ウタの()()()()()も漸く決まり、ハイルディンから1時間逃げることが出来たのでバギーは祝も兼ねて酒を飲んでいた。

 

「お酒って美味しい!!」

「おい、あんまりハデに飲みすぎるとバカシャンクスみたいに二日酔いになるぞ!!」

 

酒を飲んでハイテンションになってるウタだがシャンクスの名前を聞くと暗くなった。

 

「おいおいしんみりすんなよ」

「だってシャンクスは一向に会いに来てくれない・・・寂しいよ・・・このままルフィと結婚式を上げた時にヴァージンロードで歩くのゴードン1人だけで寂しいよ・・・」

 

普通はヴァージンロードを一緒に歩くのは1人だが、シャンクスとゴードンと大切な父親達と歩きたいウタはそう呟くとしんみりした空気が嫌いなバギーが言った。

 

「だったら俺がシャンクスの代わりにやってやら!!クソゴムとの結婚式ってのが死ぬほど腹が立つがお前の為なら一肌脱いだやらぁ!」

「本当!?」

「あぁ、ついでにもうシャンクスの娘なんか辞めちまえ、俺様の娘にでもなれ。ハデに楽しいぞ!!」

「それは考えとくね!!」

 

いつものノリで話すバギーにお酒が入ってた事もあってウタは軽く返していた。

 

 

 

 

〇〇〇

『ね?言ったでしょ?』

「言いました・・・確かに言いました・・・」

 

バギーは首元にグリフォンの刃を当ててくるシャンクスに対して冷や汗を欠きながらも認めた・・・シャンクスがキレてる事もあって、赤髪海賊団の殆どの面々がバギーを睨み始めた。

 

『だから、アタシはお父さんの娘になるから!あっ、そうだ♪今度、赤髪海賊団の()()()()達会ったら言っといて欲しいんだけど』

「何を?」

『アタシはバギーの娘だから貴方達とはなんの縁もゆかりもないって・・・ハデバカ変態ストーカーの海賊団に言っといてね♪・・・じゃ、いつかやる結婚式を楽しみにしてるから絶対にゴードンと一緒にアタシと歩いてね!!あと、それからお父さんに200連敗した人が父親だったって恥ずかしいからマジで声も聞きたくないってのも言っといて♪』

「ウタ、待て待て待て待て待て!!ホントにちょっと待て!!」

 

ウタはそう言うと電伝虫を切った。

バギーは後ろを見ると完全にブチ切れて覇王色の覇気が漏れて泣いてるシャンクスを筆頭に赤髪海賊団の面々が睨んでいた。

 

「バギー、お前あのことを喋ったな・・・ウタには死んでも内緒にしたかった俺の秘密を・・・」

「あ・・・うん、喋っちゃいました・・・」

 

無人島の時に調子に乗ってシャンクス相手に水泳で200連勝した事を喋ったことにもキレていた。

 

「おい、ベックマン。助けてくれ・・・」

「それは無理だな・・・ウタの口調がお前に似ていた・・・あいつに暴言を仕込んだのは・・・お前か?」

 

4ヶ月も一緒にいたのとバギーが事あるごとにオーバーリアクションをしてるのも相まってウタはバギーの口調が多少ついてしまっていた。大切な天使のような娘が目の前の赤っ鼻の影響を受けすぎてる事にベックマンを始めとした赤髪海賊団は武器をバギーに向けていた。幼い頃ならまだしも21にもなる娘が多分に影響を受けてる事にキレていた。

 

「バギー・・・2()0()1()()()をしたが・・・今から2()0()2()()()させて貰うぞ・・・」

「おい、止めろ・・・いやマジで止めてください・・・止めてお願い・・・靴でもなんでも舐めるから・・・」

「俺はサンダルだ!!」

「あ、そうだった・・・こうなったら・・・逃げる!!」

 

バギーは懐にあった閃光弾と煙玉を地面に当てて怒り心頭で見聞色の覇気を使えないシャンクスらの目を潰すと電伝虫を持ってビックトップ号に逃げた。

 

「野郎共、逃げるぞ!!バギー玉をハデに撃ちまくって時間を稼げ!!」

『オォォォォォォ!!!』

 

「野郎共、“千両道化”狩りだ!!死んでも仕留めるぞ!!」

『オォォォォォォ!!!』

 

こうしてバギーが死ぬほど頑張った3日間の決闘の頑張りはシャンクスとウタの拗れやすい悪い部分とバギーのノリやすい悪い部分が絡み合ってしまって、前よりも更に“悪化”してしまった。

 

「なんでこうなるんだぁ!!!???」

 

バギーは叫び、レッドフォース号からの攻撃によって海に投げ出された。

 

赤髪海賊団はその後、バギーの持ってきた電伝虫でウタに謝ろうとするがビックトップ号を撃った時に消失した上に会いに行ってもまた暴言を吐かれると辛いのでより会うという感情に蓋をしてしまった。

 

 

 

 

〇〇〇 

次の日、ウタは新聞を読んでるとバギーとシャンクスが本気の決闘を3日間もやってバギーが勝った事を始めて知った。てっきり、専用の電伝虫の番号をおじさんから教えてもらったと思っていたがまさか一緒に居たとは思ってなかった。

ここでウタはバギーに対して色々と迷惑を掛けた事を改めて思い知り、海に向かって叫んだ。

 

「おじさん、ごめんなさい~!!」

 

 

 

 

 

〇〇〇

「そりゃ、大変だったよいな・・・」

 

命からがら何とか助かったバギーは助けてくれた元白ひげ海賊団一番隊隊長“不死鳥”のマルコに話を聴いてもらって同情されていた。最初は見知った顔で何となく助けたが新聞と昨日の配信を偶々見ていた事もあってマルコはバギーから事情を聞くと気の毒に思えた。

 

「なんでこんな事に・・・ってかここにも映像電伝虫があるのか?」

「海賊嫌いで有名だったから元海賊とはいえ、見られたら不快だろうと思って付けて無かったんだが新聞を読んで皆が見たいと言って付けたんだよい。取り敢えず、傷が癒えるまで安静してろよい」

「ありがとうよい!!」

「真似すんなよい」

 

ツッコミは入れつつも優しいマルコにバギーは頭を下げて、暫くの間、白ひげの故郷の「スフィンクス」で療養し、俗世から離れるのを決めた。

 






というわけでもう本当に書いた本人が言うのもアレだけど色々と酷いwww

シャンクスとの問題は最終章のRED編でやりたいのでこうなりました。



なのでこの問題はドレスローザ編→イチャラブ編→VSハンコック編→ルフィVSカタクリ編を終えるまで続きます。


それでは次回から漸くルフィとの再会編であるドレスローザの幕が始まりますのでご期待下さい。


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Reunion???

お待たせしました!!
割と原作準拠ですがウタが入ったことによるオリジナル展開はガンガンと入れていきますのでお楽しみに!!というかそうしないとモチベが上がらないのでご容赦ください。


〇〇〇

ドフラミンゴの七武海脱退公表から6時間後。

ルフィ達麦わらの一味はドレスローザに着いた。

 

「着いたぞ、ドレスローザ!!」

「声がデケェよ、ここは既に敵地だぞ!!」

 

ルフィが新しい場所に来たことに喜んでいるとウソップがキレていた。早く冒険をやりたいルフィは侍の子である龍になったモモの助に乗って空を飛ぼうとしたが怯えてるモモの助と喧嘩を始めた。錦えもんがそれを止めて、ローがシーザーの引き渡しチーム、サニー号を守るチーム、そして目的である百獣のカイドウの能力者軍団を増やさないための工場破壊と錦えもんの仲間のカン十郎を救出するためのチームに分けた。

 

ロー、ウソップ、ロビン、そして引き渡す手筈になってる人質のシーザー。

 

ナミ、チョッパー、ブルック、モモの助。

 

残ったルフィ、ゾロ、サンジ、フランキー、錦えもんの5人はその後のロー達の説明を聞くことなく、さっさとドレスローザの港町のアカシアのレストランで腹拵えすることにした。錦えもんの能力で全員髭をつけて服を変えて一目では誰かわからなくなっていた。

 

 

 

〇〇〇

「着いたよ、ドレスローザ!!」

 

一方、青髪に染めたウタがルフィと似たような事を言って新しい場所に興奮していた。

 

「ウタ、俺はコロシアムに行くが護身の方の確認はしなくていいか?」

「・・・お願いするね。来て!!」

「行くぞ」

 

巨人のハイルディンはウタの護衛も兼ねていた。新巨人海賊団船長でありバギーズデリバリーの海賊傭兵としても稼ぎ頭であるハイルディンは4ヶ月間のウタの修行にも付き合っていた事があるし、最後の特訓に関しては仲間を含めた5人がかりでやっていた。

 

ハイルディンは乗ってる船の上でウタを掴もうとするとウタは自分の武器である()()()()()()()()()()()()()を使ってマストに引っ掛けて逃げた。

バギーとの修行で逃げるに特化する事になったが足だけでは色々と危ないと言う話になってウォーターセブンで流通されてる船大工用の特性ロープに海楼石の分銅を付けたのがウタの武器になった。

逃げ方がより自由自在になり、ロープの反動を使って速く高く逃げられる。元々身体能力が高い上に修行でそれらが格段に向上した事と海楼石の分銅という危ない物は武器としてもウタウタの実を隠すフェイクとしても有効でウタも避けてウタワールドに入れられれば勝ちなので避けられる可能性が高いロープは気に入っていた。

 

ロープを使って空中を自在に飛んでいく姿を見てバギーはルフィの姿を重ねて忌々しく思っていたがそれを言うとウタはますますロープを気に入った。

 

「ハイルディン、遅い遅い!!」

 

ハイルディンの攻撃をロープをあちこちに引っ掛けまわって避けるウタはそうからかう。

10分ほど逃げたウタを確認したハイルディンは追いかけるのを止めた。

 

「どうも、小さすぎて捕まえられねぇな。敵なら潰したのに・・・」

「ハイルディン。アタシの歌好きだもんね!」

「あぁ、だから護衛も受けた」

 

ウタとハイルディンはそうやって軽く会話をした後、別れた。ハイルディンはコロシアムに向かって行ってウタはまだコロシアムの前に行われるライブまで時間があるのでご飯を食べようと港町のアカシアのレストランに入った。それは奇しくもルフィ達と同じ店だった。

 

街中で凄く見かけた動く玩具には驚いていた。()()()()()()()()動く玩具達、ウタはこのメルヘンチックな国を面白いと思い始めてより楽しむのとライブを頑張ろうと言う感情に溢れていた。

 

「はい、クリームたっぷり妖精のパンケーキだよ!!」

「ありがとう♪♪」

 

大好物のクリームたっぷりのパンケーキを頼んで美味しく食べてると後ろが騒がしくなった。ウタは気になって見てみると1人の盲目の男から金を巻き上げてる奴らがいた。

 

「いけっ、今度こそ白!」

「残念、黒だ」

 

カジノの白黒ルーレットで玉は盲目の男“藤虎”の言葉通り白に入ったが黒と答えられた。何回も何回もやられて金を巻き上げられてるのに藤虎はそれでも勝負し、あり金全て掛けた。

 

「よし、白だ!!」

 

玉は藤虎の言葉通り白に入った。

 

「ざんねぇ〜んでしたぁ〜入ったのは・・・」

「「白だ」」

 

まだ金を搾り取ろうとするチンピラたちに対してパンケーキを持ったウタとパスタを持って変装したルフィが白に入った事を伝えに言った。

 

「「ん?」」

(なんかウタに似てんなぁ・・・けどウタの髪は青くねぇから違うか・・・)

(なんかルフィに似てるけど、こんな髭を生やしたお祖父ちゃんじゃないから違うか・・・)

 

ウタとルフィは漸く再び出会った。しかし、相手が記憶にある自分の知ってる姿ではないので2人とも全く気づかなかった。ウタもいつもの麦わらマークはライブの衣装なので外して持ってる海楼石を分銅ロープにしていたのでルフィは余計にウタだと分かる物がなく、ウタも肝心のシャンクスの麦わら帽子の上に別の帽子が被されていたのでルフィと判断する物がなかった。

 

「ほ、本当ですかい?どなた様かは知りませんがご親切にどうも・・・」

「あー、いいぞ。見たままを言っただけだ」

「ついでに言うとずっとおじさんの勝ちだったよ・・・災難だったね・・・」

 

お礼を言う藤虎にウタはずっと勝ってた事を伝えた。チンピラ達は折角金を全て手に入れられるカモが見つけたのにそれを台無しにされてキレた。

 

「ふざけんな、この髭チビに青髪女!!俺達が黒って言えば黒なんだよ!!」

「・・・おい、待て!!その女、“千両道化”の娘だぞ!!」

「構うもんか、俺達はドンキホーテファミリーだ!!」

 

チンピラの1人がウタに気づいてビビったがリーダー格は容赦なくルフィとウタを襲いに来た。

 

「こらぁ、いけねぇ。()()()、ちょいとどいてておくんなぁ・・・その人らには地獄に落ちて貰いますんで・・・」

 

藤虎はルフィとウタにそう言うと刀を抜いて自分の能力を使ってチンピラ達を地の底に文字通り沈めた。

 

「すげー、穴が出来た!!」

「ハデにやりすぎじゃない?」

 

ルフィは能天気そうに反応し、ウタはその規模に少し引いていた。ルフィ達と共に入っていたゾロ達は藤虎の力に警戒する。

藤虎は派手にやりすぎたのもあってか店主に損害賠償の請求先を教えて店を出ようとしていた。

 

「おっさん。強えな、何者なんだ?」

「そりゃ、お互いに知らないほうが互いの為ってやつだ。ご夫妻もお達者で・・・」

 

完全にルフィとウタを夫婦扱いしている藤虎はそう言うと店を出た。

 

「お互いの為って・・・てかお前、この麗しい美女は誰だ!?」

「んぁ?知らねぇよ。俺青い髪の女なんてビビとナミの姉ちゃん以外あんまし知らねぇし・・・」

「てめぇ、ふざけんなよ!!なんでお前ばかりモテてんだよ!!?」

「いや、本当に知らねぇって・・・」

 

サンジはルフィに掴みかかっていた。血の涙を流しかけていて嫉妬に溢れていた。新聞に大きく報道されていたのもあってルフィの名前は出さなかったがそのせいでウタはルフィだと分からなかった。ナミという名前が出てもウタは藤虎の能力の凄さに驚きすぎていて、それが麦わらの一味の“泥棒猫”ナミだとはすぐに思いつかなかった。

 

「おい、お前。大丈夫か?」

 

騒がしい2人を他所にフランキーがウタに訪ねた。

 

「うん、大丈夫。ありがとう!!」

(凄い体格の人・・・)

 

ウタはそう答えるとフランキーを見てそう思った。2年後の姿はまだ世に出回ってないのと変装をしてるのでウタは話してる人物がフランキーだと分からなかった。

 

「シシシ、しかしお前良いやつだな!!お前の名・・・!!??」

 

ルフィは暴れるサンジを放っておいてウタに名前を訪ねようとしたが、突然と見聞色の覇気で感じてしまった強者の感覚に全神経を集中させた。ゾロ、サンジ、錦えもんもそれに気づいた。

 

「どうしたお前ら?」

 

唯一覇気を修得してないフランキーも只ならぬ雰囲気の4人に自分も警戒しつつ、訪ねる。ゾロはゆっくりと自分の3本の刀に手を掛けようとすると2本しかないのに気づいた。

 

「な!!?2本しかねぇ!!」

「どうしたでござるか?」

「ここにあった秋水がねぇ!!」

「何!?ワノ国の宝が!!?」

「俺の刀だ!!」

「ワノ国のでござる!!」

「それは妖精の仕業ですな」

「妖精だ!?」

「ドレスローザでは珍しくないんですよ。妖精に盗まれたら、諦める他ありませんな・・・」

「ぶさけんな、俺の刀だぞ!!」

「ワノ国の宝だ!!」

 

ゾロが秋水を盗まれたことに錦えもんも慌てた。盗まれた国宝という事もあって錦えもんはゾロに詰め寄り、言い争いをしていると窓の外に秋水を持って逃げようとしている者をゾロは見つけて捕まえに行き、錦えもんも秋水を取り戻す為に行った。サンジもゾロの方向音痴を知っていたので追いかけに行った。

 

「おい、てめぇら!!」

「アイツラなら心配ねぇ。それよりも“外の奴”だ!」

 

警戒を止めないルフィはフランキーにそう云うとフランキーも本気で警戒した。しかし、“外の奴”は去ったのかルフィは少ししたら、警戒を解いて楽にした。その雰囲気の変わりようにフランキーも気になって訪ねた。

 

「もう大丈夫なのか?」

「あぁ、凄え覇気だ・・・こりゃ“勝てねぇ”」

「よし、そんなにヤバい奴なら逃げた方が良いな。あの手下に事情を聞いたら、俺達もここを離れるぞ」

「わかった・・・あっ、お前も気をつけろよ。じゃあな!!」

 

珍しく勝てないと断言したルフィにフランキーは驚いてさっさと目的を達する為に離れようと先程、藤虎に沈められた手下の1人を回収してルフィは、ウタに軽く挨拶を済ませて2人は店を出た。

 

「凄い大嵐みたいな人達・・・なんか“ルフィ”っぽい!」

 

ウタは今まで話していたのがルフィだと気づいてないが、懐かしさを感じてまたパンケーキを食べ始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

外の方では大男がコロシアムに向かって歩いていた。今日行われるウタのライブを見に来る為にわざわざ兄と姉と弟達と妹達にあれこれと理詰めの屁理屈を言って来た。兄と姉からすれば大切な次男の大変珍しい我儘に嬉しくなって快く了承し、他の弟妹達は1名を除いてガチで仕事であると勘違いを起こしつつも行かせて上げた。

 

「あれが、4億の賞金首“麦わら”のルフィ。ママに喧嘩を売ったから、どんな者かと思えばこの程度の覇気であの警戒をするほど見聞色が()()()()とは・・・キッドやウルージと同じガキか・・・」

 

男はレストランの前を歩いた時に中にいたルフィらに見聞色で気づいたので軽く()()のつもりで出したのにそれに気づかずに全力の警戒をしたルフィらに呆れていた。

 

「ウィウィウィ・・・鏡の中から見てたけど本当にガキ!お兄ちゃんとは比べ物にならないほどにガキ!」

 

懐に入れていた鏡からルフィらを見下してる妹のブリュレに男は少しだけ窘めた。

 

「ブリュレ・・・あまり舐めるなよ・・・スナックみたいにやられるぞ」

「あれは油断したスナックのせいじゃない。アタシはそんな事しません!!」

「はぁ〜・・・まぁ良い。今日の目的は調査でシーザーはペコムズやタマゴに任せとけばいいが・・・まだ時間はある。暇つぶしにライブを見に行くか・・・」

「何よ、デレデレしちゃってヤになっちゃう!!アタシはその結婚、認めてないからね!!」

「デレデレなどしてない」

「イヤ、デレデレしてる!!」

「してない」

「してる!!」

「してない」

「してるってば!!ペロスお兄ちゃんもコンポートお姉ちゃんも応援してるけど、アタシは絶対に応援なんてしないからね!!」

「お前に応援されなくても既に“決まっている”。ママの言葉は“絶対”だ」

「キィ〜〜〜!!!フランペと一緒に何とかしてやるんだから!!」

「はぁ〜・・・」

 

ワガママな妹に男は呆れつつも数時間後にライブが行われるであろうコロシアムに足を運んだ。

 

男の名前はビックマム海賊団スイート3将星が1人、万国コムギ島ハクリキタウン粉大臣にして懸賞金 10億5700万ベリー。シャーロット・リンリンの次男 シャーロット・カタクリ。

 

ビックマムの傲慢な考えによってウタと“結婚”する事を決められて、今日は実際にどんな人物なのか一目見たくてドレスローザにブリュレと共に来ていた。

 

(結婚か・・・出来るならこんな政略結婚じみた事じゃなく、本気の“恋”ってドーナツのように甘いのをやってみたかったな・・・)

 

カタクリは母親のリンリンの考え方に反発している、“らしく”ない考え方をすぐに忘れて“調査”の事の方に頭を回し始めた。

 

 

 

 

 

ルフィとカタクリはいずれウタを巡って“決闘”をする事になるがそれはまだまだ先の物語。

 

ルフィ、ウタ、カタクリの恋物語は今始まった。







ってなことでドレスローザ編始まりました。 
すんなり再会すると思いました?
残念、そう簡単には再会させませんよ!!
何故ならドレスローザはルフィとウタが“再会”する章だから!!

それから、ルウタは好きだけど三角関係を書きたいのでカタクリも参戦です!!カタクリが好きなのと、入ったことで燃えるような“恋”物語を色々と章を跨いでお送りするのでお楽しみに!!


シャンクスとバギーに集中しすぎたのでルフィとウタの話をかけて嬉しいです!!

頑張ります!!

(バギーの話を書きまくっていた最終的判断をしてたのは私と言うのはいわないで!!)


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怒りをくれよ

はい!!お待たせしました!!
理由としては原作の描写のバランスが難しくて調整をしていたら2日掛かりました。何分、今作でアラバスタやウォーターセブン以上に長い編にするつもりなのと原作準拠でもあるのでその調整が難しくて・・・なので投稿頻度は2日に1回か3日に1回だと思ってください。あくまでも毎日投稿は出せたら出すのスタンスですのでご容赦下さい。


ルフィとウタはお互いに再会した事に全く気づかないまま、分かれて動いた。

ルフィはフランキーと共に目当ての工場を聞き出しに行ってウタはライブの会場であるコロシアムに向かった。

 

「あ〜、美味しかった!!けど、あのお爺ちゃん・・・ルフィ?・・・って事は無いよね。だって髭とか生えてないし、麦わら帽子も被って・・・あれ?被ってたのかな?・・・う~~ん??まっ、難しい事は後にして今はライブね!」

 

一先ず、難しいことを忘れてライブに集中し始めるウタはそのまま歩いて目的の場所であるコロシアムに着くとその大きさに驚いた。昔ながらというかザ・闘技場というのが外見から分かり、かなりの大きさに驚く。

 

「良いライブにしないとね♪」

 

そう言ってウタは何処から入るべきか迷ってると後ろから声を掛けられた。

 

「キャ〜、もしかしてあなたがウタ?髪が本当に青くなってるのね」

 

ウタが振り向くと角の生えてハイヒールを履いた男デリンジャーがいた。

 

「そうだけど?あなたは誰?」

「アタシはデリンジャー。あなたをコロシアムの控室まで案内するように言われたの」

「そうなの・・・よろしくね」

 

ウタはデリンジャーに案内されてコロシアムの中に入る。幹部であるデリンジャーのお陰もあってすんなり入っていきながら少し話し始める。

 

「ねぇねぇ、そのバンド。結構カワイイね」

「これ?」

 

ウタはバギーから預かってるトレジャーマークの事を訪ねてきたデリンジャーに快く応えた。

 

「大切な人から貰った・・・私の宝物なんだ・・・」

「へぇ〜、大事にしてるんだ」

 

ウタはそう言われると嬉しくなって笑顔を向けた。デリンジャーも笑顔を向けた。しかし、ウタは気づかなかった。その笑顔の裏に隠された“残酷”的なデリンジャーの欲があった事を・・・

 

(キャハハ・・・いい顔、どうやったら歪むのかな?・・・若様の許可が出たら・・・楽しんじゃおう♪)

 

サディスティックな嗜好が強いデリンジャーはそう考えながらも控室に案内した。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはライブの衣装に着替えて準備をし終わると暇なのでコロシアムの中を歩いていく。

 

「あれ??お前、なんでここにいるべ?」

「あっ、鶏!」

 

戦士として参加しているバルトロメオがウタに気づいて話しかけた。それを見て近くにいた戦士らも騒ぎ始めた。

 

「おい、あれが“千両道化”の娘か?」

「本当に父娘か?全然似てねぇ」

「鳶が鷹を生むっていうだろ?」

「母親が超絶美人だったってオチじゃね?」

 

色々と勝手なことを言われていくがウタは久しぶりにあった知り合いと話をやっていた。

 

「あんたがここに居るって事はメラメラの実狙い?」

「おう、オラはあれを死んでも手に入れてルフィ先輩の舎弟になるんだべさ!!」

「そう、あんたのそこの部分だけはアタシ好きだよ」

「おう。頑張るべ。お前もライブさ頑張れ、ガンビアの野郎も居るからな」

「ガンビアに後でお礼をしないとね」

「オラには?」

「あるわけないでしょ。アホ鶏」

 

いつものような会話をしていくと参加をするために来ていたハイルディンが近づく。

 

「ウタに何のようだ、“人食い”」

「あぁ?なんだべお前は?」

「あ、ハイルディン。大丈夫よ、コイツは意外に無害だから」

 

巨人であるハイルディンと気軽に話し始めるウタ。周りの目も“千両道化”の娘である事を受け入れ始めた。ハイルディンはバギーズデリバリーの稼ぎ頭でもあるために有名だった。

 

「あのハイルディンと気軽に話してやがる」

「ってことは本当に“千両道化”の娘なのか?」

「なら関わらねぇようにしねぇとな」

「あぁ、四皇に喧嘩を売った奴の娘なんておっかなすぎる・・・」

 

周りが騒いでる中でウタにというかバギーズデリバリーという存在に対して殺気を飛ばす人間もいた。1人はプロデンス王国軍師ダガマ、1人は八宝水軍13代棟梁のサイだった。

 

(“千両道化”の娘・・・お前の父親のせいで戦争が長引く・・・)

(バギーズデリバリー・・・花ノ国からメラメラの実を取り次第“壊滅”を命令されてるやい・・お前はカタギとはいえ、海賊の娘と名乗ったからには覚悟は出来てんだろうなぁ・・・)

 

バギーズデリバリーの特性である“海賊派遣”による庸兵稼業のせいで戦争が多くなった国に属してる者達がウタというかバギーに殺気を飛ばしていた。

武器や兵器の密輸と密売で儲けてるドンキホーテファミリーと傭兵稼業で儲けてるバギーズデリバリーはそういった分野で覇権争いもしている為、それに巻き込まれてる国は溜まったものではなかった。

 

ウタはバギーとの修行で鋭くなった“感覚”でその殺気をキチンと感じ取りながらも伊達や酔狂でバギーの娘と公言したわけではないのでそれを受け入れてもなお堂々といつも通りにしていた。

 

「“人食い”。メラメラの実を手に入れるのは俺だ」

「あぁ!?オラだべ!!」

「ハイルディン応援してるよ!!」

「お前はどっちの味方だべ!?」

「いや、あんたが勝つのもムカつくし、ハイルディンなら信用できるから、ハイルディンの味方」

「よし、ウチの歌姫に言われたら負けるわけにはいかねぇな」

「絶対にオラが手に入れるべ!!」

 

バチバチと睨み合うハイルディンとバルトロメオ。ウタはどうしよかな?と悩んでると1人寂しくいる女性を見つけたので近づいていった。

 

「あなたも戦士として戦うの?」

「えぇ・・・どうしてもメラメラの実が欲しいから・・」

 

剣闘士の姿をした女性はウタよりも少し年下に見えてその目には固い決意が宿っていてウタは“なんとなく”それを感じ取った。

 

「頑張ってね、私はウタ。あなたは?」

「私はレベッカ」

 

ウタとレベッカは近い世代で同性同士というのも相まってか仲良く談笑していた。

 

「へぇ、レベッカはケーキが好きなんだ」

「うん、兵隊さんのケーキは美味しいんだ!」

「兵隊さん?」

「そう、昔から大切にしてくれて・・・大事な()()の兵隊さん」

(・・・・バギーおじさんみたいな人かな?)

 

ウタはレベッカの話を聞いてバギーを思い出した。そして色々と迷惑を掛けて酷い目に合わしてるのを思い出してから気分が暗くなった。

 

「大丈夫?」

「だ、大丈夫・・・ちょっとブルーになっちゃって・・・レベッカはその兵隊さんと仲良いんだね!」

「うん・・・最近は喧嘩中だけど・・・」

「そうなんだ・・・」

「特にこの格好になったのがわかった時は凄い怒ってたなぁ・・・」

「完全にお父さんだね」

「私、お父さんなんて()()()んだけどなぁ」

 

レベッカと談笑してるとウタはライブの時間だと係員に言われたのでステージに向かった。

 

 

 

〇〇〇

『ドレスローザ名物 コリーダコロシアム!!各国の戦士、海賊、海兵など様々な実力者がせめぎ合うここに今日はあの我らが英雄 ドンキホーテ・ドフラミンゴから勝ち進んだ者に与えられるのは2年前の頂上戦争で当時、大将だった赤犬の手により処刑された“火拳”のエースのメラメラの実!!』

 

実況のギャッツの熱くなる言葉に会場も盛り上がる。各国の貴族や王族にドレスローザ国民もいてその中にカタクリが堂々と座っていた。

 

「ライブを見て、食べたらドフラミンゴの所だからな」

「見たいのはお兄ちゃんでしょ!?」

「お前は見たくなかったのか?」

「いや、見たかったけど色々と複雑なの!」

 

ウタがカタクリの結婚相手になる前はウタの曲のファンだったブリュレ。内心、ライブに来れて嬉しいが複雑な気分だった。

 

『そして今回はこのビックイベントを盛り上げるためにあの“歌姫”が来てくれた!!2年前に突如として現れた“新時代”を謳う歌姫!!1年前に初のライブをアラバスタで行い、2度の遭難とウォーターセブンでのライブ!!何よりもその後、バギーズデリバリーに4ヶ月間もいた元“海賊嫌い”で“千両道化のバギー”の娘“歌姫のUTA”だ!!』

 

ギャッツがそう叫ぶとウタはステージに駆け出して大きく跳ねて笑顔を観客に見せた。

 

「皆ぁ、お待たせ!!UTAだよ、今日は新曲も持ってきたから、楽しんでね!!」

 

観客が熱狂してくれているのでウタは代表曲である『新時代』を歌った。生で聴くウタの天使の歌声に観客も心を奪われていくとウタは新曲『怒りをくれよ』を歌い始めた。

 

「鈍感なふりしてあげるからほら調子に乗れ♪最低なセリフでもっと怒りに火を点けてくれ♪」

 

ゴリゴリのロック曲だが今までの感じとは違う雰囲気に溢れてどこか棘を感じるがそれがコロシアムの雰囲気に合っていた。

 

「限界のピンチを本気で感じて初めて♪本能が震えて新しい自分が目覚めるんだ♪お前ならわかるはずだろ♪そんなんじゃまだまだ売られた喧嘩安すぎるぜ♪」

 

サビに突入するのが観客にもわかる。会場全体が一気に盛り上がった。

 

「怒りをもっとくれ本気になりたいんだ♪まだ全然足んねえな怒らせてくれよ♪馬鹿は馬鹿げた夢追うしかできねえんだ♪試練何度越えようが満足を蹴り飛ばして行こうぜ♪」

 

歌い終わり、会場はいい感じに燃えていた。これから一世一代の大勝負をやる戦士らに熱中するにはもってこいの歌だった。

 

 

 

 

〇〇〇

コロシアムが熱狂している中、ルフィはコロシアムの前に来ていた。知り合った()()()()()と一緒に動いて、受付を済ませたルフィはコロシアムの中に入ろうとしていた。

 

「しかし、すげぇ賑やかだな!」

「まだ、始まってないとは思うがなぜだ?」

「ややや、お2人は“歌姫”を御存知ない?」

「歌姫??」

「それってあの“歌姫”か?」

 

兵隊に言われてフランキーは1年前に知った歌姫UTAの事を聞いて見たら兵隊は首を縦に振った。

 

「そうです!その歌姫です。あの“千両道化”の娘です。この国でも人気は高くて今日は新曲を披露したのです」

「“千両道化”ってバギーか・・・あいつも娘居たんだ・・・」

「あいつ“も”?」

「あぁ、シャンクスにも娘がいるからよ」

「何〜!?あの赤髪に娘がいるのか!?ス〜パ〜、ビックリしたぜ!!」

「シシシ、いい歌を歌ってくれてすげぇやつなんだ」

 

フランキーはルフィの顔がいつもよりも少し笑顔になってるのを見逃さなかった。まだ自分の感情を理解してないであろうルフィにニヤニヤするも気を引き締めて、ルフィはこれからコロシアムに自分は工場破壊と二手に分かれるので激励して送り出した。

 

「よし、工場の方は俺様にス〜パ〜任せとけ。その代わりお前も兄貴の実を取ってこいよ!」

「おう、フランキーありがとう!!」

「良いってことよ・・・行って来い!」

 

ルフィは正体を隠すため“ルーシー”としてコロシアムの中に入った。

 

 

 

 

〇〇〇

歌い終わったウタは私服に着替えて次の出番まで時間があるのでどうしようかと悩んでいながら歩いているとある話が耳に聴こえた。

 

「おい、麦わらのルフィがこの国に来てるらしいぞ」

「あの麦わらか?」

「あぁ、そうだ。なんでも町外れで腕が伸びる奴が現れたらしい」

「馬鹿野郎、腕が伸びる能力者なんてごまんといるだろうが」

 

ドンキホーテファミリーの下っ端の会話を聞いたウタは間違いかもしれないがバギーとの話でルフィが腕を伸ばせるゴム人間になっていた事を知っていたので次のライブまでの間に探しに行った。

 

(ルフィに会えるかも、嬉しいなぁ!!)

 

そうウキウキしながら歩いていくと係員に連れられてるルフィ(ルーシー)とすれ違った。お互いに相手が知り合いだと気づかない。だが何かを感じ取ったのか2人はすれ違った後に振り向いて顔を合わせた。

 

((あれ?また会った・・・))

 

そう同じ事を考えていたがウタは町外れに行くためにルフィは剣闘に出るためにすぐに歩いてまた気づかなかった。

 

ウタはコロシアムから出て人づてに町外れにある場所まで歩いていった。“愛と情熱と()()の国”と呼ばれるだけあってあちこちに玩具と情熱的な視線が飛び交ってる中、ドンドンと町外れに行くと森が見えて奥に入っていくとその中に社が見えた。

全て()で出来た社だった。荘厳な感じで中に入るのを躊躇いそうな雰囲気をしていたが好奇心が強いウタには全く効果がなかった。

 

(見るからに面白そうな建物。なんか凄いルフィがいそう!!)

 

眼の前にある面白建物にウタはそう感じると堂々と社の中に入った。

 

「こんにちは!!」

 

ルフィが居ないかもしれないのでウタは思いっきり扉を開けて中に入るとカタクリが寝転んでドーナツを食べていた。

 

「美味し・・・ドレスローザのド〜ナツ、美味し・・・穴まで美味・・・・!???」

 

いつもなら15時のおやつの時間に食べるのだが今日は仕事というのもあってだいぶ早い目に食べたせいで調子が少し崩れたのと自分の船で万が一にも家族や船員に見られるのを恐れたので町外れで食べていた。ブリュレはライブが終わり次第ドフラミンゴの所にアポを取りに行って1人だったし、いつもとは違うドレスローザのドーナツが美味しかったというのと日々の完璧なお兄ちゃん像から離れられる貴重な時間というのもあって自慢の見聞色の覇気の精度が色々と落ちていた。

 

だらしなく裂けてる口で寝転んで食べるのが大好きなカタクリは見られた事に気づくと立ち上がって拳を武装色の覇気で固めるが相手が結婚相手のウタだと気づいて当てる寸前で止めた。

 

「うわっ!」

 

もう少しで当たる所で止められたのもあってウタはビックリして尻餅をついた。

 

「見たな・・・俺の食事シーンを・・・見たな・・・」

 

カタクリは殺気を放ちながら、どうやってウタを殺してママに言い訳をしようかと考え始めてるとウタがキラキラした目でカタクリを見た。

 

「か・・・かわいい!!」

「は・・・はぁ!??」

「そんなに大きな口を開けてドーナツ食べてるの超かわいい!!」

「・・・・・なんだって?」

 

センスが人とズレてるウタはカタクリに何も臆さずにそういった。この1年で色々と本音を出して生きてる人らと関わってきた事でそういった行動を取る人を好ましく思っていた。

カタクリは生まれて初めて言われた事にビックリした。ウタとカタクリはこうして出会った。







はい、ウタとカタクリが出会いました!!
色々と強引ですがまぁ、素を出さないと決めたカタクリが近くに家族は兎も角船員を置くのもなんだかなぁと言うことでこうなりました。

次回はカタクリらがドレスローザに来たもう1つの理由とウタとカタクリの話を書きますよ!!

ガチで三角関係にしたいので頑張ります!!


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While

お待たせしました!!
それではどうぞ!!

ちょっと後でやりたいことがあるので4話のタイトルを変えさせてもらいます。


「美味しい〜!!」

「そうか・・・良かった・・・」

 

あれから混乱したカタクリはウタに大量に買っていたドレスローザのドーナツをあげた。ウタも大口を開けてバクバク食べていてカタクリは先程の事も相まって愛おしさすら感じていたがすぐに頭を振ってその感情を消した。

 

『フクロウナギだ!!』

『逃げろ!!』

『気持ち悪ぃ!!』

 

幼少期の事を思い出し、カタクリは既に何回も見聞色でウタの言葉が嘘かどうかを調べていた。結果は何回やっても本当だと自分の鍛え上げてきた見聞色が応えていたがカタクリはそれを認めなかった。

 

(コイツも所詮は他人だ)

 

冷徹な感情を悟らせないようにウタを見るカタクリ。決して弱みをこれ以上見せないように神経を張っていた。

 

「食べないの?」

「いや、俺は良い。さっき沢山食べた」

「え〜、そんなに減ってないのに??」

 

無難に断ろうとしたカタクリだったがドーナツを大量に食べる為に買ったのが災いしてすぐに嘘だとバレた。ウタは臆することなくドーナツをカタクリに渡してくる。断ろうと色々と考えるがカタクリは見聞色の覇気で未来を見てもずっと渡そうとしてくるウタを何回も見て、諦めて受け取った。

 

(どうせ、この次には貶すに決まってる)

 

カタクリは見聞色の覇気で何回も答えは教えられてる筈なのに過去の経験から全くそれを信用しないカタクリは意を決してドーナツを目の前で食べた。

 

「やっぱりカワイイ!!もっと食べてるの見たい!」

 

ウタは笑顔でそう言ってドーナツをより渡しに来る。

カタクリは何も言わずに食べ始めた。

ヒョイヒョイと気軽に食べ始めた。それは大切な妹が傷つけられてから隠していたカタクリが久しぶりに素を誰かの前に見せていた所だった。

 

(・・・甘いな)

 

カタクリはいつも以上の甘さを感じてドンドンと食べていくと見聞色でウタが立ち上がる未来が見えてカタクリは少しだけ寂しさを感じた。

 

「ごめん。まだライブがあるからもう戻らないと・・・また会えると良いね・・・」

「・・・カタクリだ」

「今度はルフィと3人でドーナツ食べよう♪あいつもカタクリみたいに大きな口で美味しそうに食べてカワイイんだ♪」

 

ウタは自分の記憶にあるルフィがたくさん食べてる所を思い出しながら、そう言うと社から出てコロシアムに戻って行った。カタクリは突然と出てきた()()()の名前に苛立って手に持っていたドーナツを潰した。

 

「あっ・・・()()()()()()

 

カタクリは自虐しながらも勿体ないので潰れたドーナツの欠片をチビチビと食べ始めた。

 

「ルフィ・・・麦わらのルフィか・・・」

 

その呟きは誰にも聞こえていなかった。

 

 

 

 

〇〇〇

自体は数分前、シーザーを引き渡そうとしているロー、ウソップ、ロビンはドレスローザの外れにあるグリーンビットの前にある鉄橋の近くでCP0を見つけた。

 

「CP0がなんでここに?」

「げぇ!?」

「CP0・・・もしかしてCP9となんか関係が・・・」

「彼らの上の文字通り世界最高の機関よ・・・彼らが動いて良いことは起らない・・・」

 

ロビンがそう言うとウソップは早くもビビり始めていた。

そしてその4人を見ている存在もいた。

ビックマム海賊団のペコムズとタマゴ男爵だった。

 

「不味いボンね。CP0がいるなら下手に手を出してはいけないジュール・・・ここは引いて様子を見たほうが賢明ソワール」

「了解だ・・・船に戻るぞ」

 

全ての人間と同じ目線に立って食事をするビックマムの夢の為に研究費を渡していたシーザーが完全にカイドウの元に入るのを防ぐためにタマゴとペコムズは奪おうと狙っていたがCP0に目をつけられると面倒くさいので船に戻ることにした。

 

「麦わらの一味にトラファルガー・ロー、それにビックマム海賊団までいるな」

「下手に手を出すな。ニコ・ロビンの確保は確かにしたいがここで手を出すと我々もこの厄介な状況に巻き込まれる。七武海、四皇、最悪の世代・・・この国はかつてない“バトルロワイヤル”の舞台になった。ここに政府まで絡んでしまったら我々とてダメージが大きい。引いて様子を見ないと危険だ・・・あのピエロのせいで余計に肩身が狭いと言うのに・・・」

「“千両道化のバギー”」

「政府は奴の元に集まるインペルダウンの元囚人の手綱を抑える為に七武海に任命した」

「しかし、ヤツは“赤髪”との決闘に勝ち王下七武海でも頭一つ抜いた」

「王下七武海全員の力の再調査という面倒くさい物も命令される始末・・・それにあの“失態”もある」

「あの鳥を黙らせておけばそれはバレない・・・しかし、忌々しい・・・」

「あの腐れピエロが・・・暗殺の許可が降り次第、“娘”共々私が殺してやる」

「エレジアの“魔王”」

「いくつものライブで可能性自体は低くなったがまだ疑惑は残ってる。確証が出しだい世界の平和の為に・・・あの父娘には死んでもらおう」

 

CP0はバギーとウタに狙いと怨念を定めながら、陰謀と勢力が渦巻くドレスローザを後にした。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタと別れたカタクリはドレスローザの王宮に訪れていた。

 

「フフフ、これはこれは・・・ビックマム海賊団の将星がこんな所になんのようだ?今は色々と忙しくてな」

「安心しろ、すぐに終わらせる。聞きたいことがあって来ただけだ」

 

カタクリの言葉にドフラミンゴは態度を変えずに聞き耳を立てた。

 

「もうすぐ結婚式が万国で行われる。ウェディングケーキを作るのだが人手不足で色々と人を探してると面白い“名簿”を見つけた」

「“名簿”だと?」

 

カタクリはそう言ってとある名簿をドフラミンゴに見せた。ドフラミンゴは手にとって見ていくがなんの名簿なのか分からなかった。

 

「なんの名簿だ?」

()()()()()。しかし、この名簿は姉であるコンポートの字で書かれてる。訪ねても知らないと言われて()()を見ても分からなかった」

「おいおい、そんなの俺がわかるわけないだろ」

「俺よりも()()な姉が分からないが“名簿”だけは付けてる()()()()だぞ?俺や兄のペロスペローもこの名簿の面々が分からないのに調()()()()すら起きてなかった。この名簿の面々は誰であれ最後はドレスローザに来ていた・・・もう一度尋ねる・・・この名簿の面々に記憶は?」

 

カタクリは覇王色の覇気を出しながらドフラミンゴを脅した。ドフラミンゴもまた覇王色の覇気を出して威圧しながらカタクリを睨んだ。バチバチと空間が軋むような音が溢れるがやがて2人とも止めた。平行線のまま進展しないからだ。

 

「邪魔をした・・・申し訳ないがこの名簿についてはまだまだ調べさせてもらう。お前の滞在許可は求めてない」

「フフフ、なら何故ここに来た?」

「警告だ・・・そしてお前はバカ正直にこれから訪ねるから聞かれる前に答えてやる。この名簿の面々がウチの者なら俺はお前を・・・殺す・・・」

 

鍛えた見聞色の覇気で未来を見たカタクリはドフラミンゴにそう警告した。

 

「フフフフフ!!それは面白い・・・ガキどもが済んだら相手をしてやる・・・」

 

ドフラミンゴは笑いながらそう答えてカタクリは王宮を後にした。周りを警戒しながら懐の鏡でミロワールドにいるブリュレと話し始める。

 

「どうだ。何かわかったか?」

「地下には巨大な港があって海賊や裏の世界の人間に玩具が一杯いたよ」

「秘密の方は?」

「トレーボルがチラチラと見てきて重要そうな場所の鏡を全部割りやがって分かんなかったよ」

「そうか・・・トレーボル・・・ピーカ・・・ディアマンテ・・・この3人を相手するのは少々手間がかかる」

「どうするの?」

「暫くは見物だ。お前は秘密を探れ」

「後をつけてくるやつは?」

「ほっとけ・・・」

 

カタクリはそう言ってブリュレと別れた。そして追ってくるドンキホーテファミリーのグラディウスの監視を受けながら、カタクリは敢えて巻かずにドレスローザの表通りを歩いていく。

 

「若、やつは表通りに・・・」

『よし。監視は続けろ。トレーボルは大丈夫か?』

『大丈夫だよ〜、ブリュレのババアに見つからないように鏡は全部壊したからねぇ~』

『わかった。ローと麦わらが終わり次第、ゆっくり相手をしよう・・・ホビホビの実の秘密を悟られるなよ』

 

ドフラミンゴがそう言うとグラディウスはカタクリをつけて追いかけた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはカタクリと分かれて無事にコロシアムに戻ってくると会場は騒然となっていた。

 

「なんかあったのかな?」

 

『くたばれレベッカ!!』

『とっとと死ね!!』

『悪党の一族がぁ!!』

 

突然と聞こえてきたレベッカへの罵声にウタは全力で駆け出して闘技場へ向かい始めると倒れたハイルディンを見つけた。

 

「ハイルディン!?」

 

レベッカの事も気になるがボロボロになって倒れてる知り合いのハイルディンも気になり、ウタは付き合いが長いハイルディンの近くに行った。他にも大勢の怪我人がいて

 

「ハイルディンどうしたの!?」

「ウタか・・・とんでもねぇやつに拳一発でやられちまった」

「嘘!?ハイルディンが!?」

「どうやら“麦わら”のルフィにやられたらしい・・・」

「ルフィ!?」

「治療したら話す・・・ちょっと待っててくれ」

 

ハイルディンがそう言うと医務室に運ばれた。詳しい事情は後で聞こうとウタは思ってレベッカの元へ向かっていくともう1人知ってる顔をウタは見つけた。

バルトクラブ海賊団の船員ガンビアだった。ボロボロにやられていてゴミ捨て場に倒れていた。

 

「ガンビア!?一体何があったの!?」

 

先程までと違って完全に捨てられているガンビアを抱えてウタは医務室へと向かった。待合室には多くの怪我人がいてウタはファンでライブも手伝ってくれたガンビアが心配なので近くにいて順番を待ってると違和感を感じてきた。

大勢の人が効率よく医務室へと入っていくのを暫く見たウタはそこから()()()()()出てこないのがおかしいと思い始めた。

 

「ハイルディンは?」

 

先程医務室に運ばれた筈のハイルディンもまだ治療中だとは思っているがドンドンと入れてるのに一向に溢れない医務室に違和感を覚える。

 

「次の方どうぞ」

 

看護師がそう言ってガンビアの元に来る。ウタはガンビアを守るために看護師の前に立った。

 

「ちょっと待って・・・ハイルディンは?さっきから人をドンドン入れてるけど誰も出てこないじゃない」

「すみません。待合室が溢れるのを防ぐために出口は別にさせて貰ってるのです」

「それでもおかしい。知り合いだって居るはずなのに誰一人ここに戻ってこないのはおかしい。入る前に包帯を巻いた人とすらすれ違ってない・・・そんな所に友達は預けられない」

 

ウタは看護師に疑問点をぶつけた。すると看護師は冷や汗を掻き始めた。ウタは何かあると自分の武器であるロープに手を掛けると後ろから声を掛けられた。

 

「もぉ~、なにやってるのよ。ここは医務待合室よ。物騒な事は止めて」

「デリンジャー?」

 

それはデリンジャーだった。キャハハと相変わらずの笑顔でウタと看護師に近づくと間に入った。

 

「そこまで言うならウタも入れば良いわ。大切な友達ですもの・・・心配するのは当然よ・・・それでどうかしら?」

「・・・わかった。それでお願いするね」

 

デリンジャーに間に入ってもらった事もあってウタはガンビアとデリンジャーと一緒に医務室に入った。看護師にガンビアを預けて台の上に寝かせられるガンビア。

 

「大丈夫かな〜?」

「大丈夫よ・・・ウチの医療を信用して・・・それじゃ始めちゃって!!」

 

デリンジャーがそう言うと医者の1人が1つのレバーを動かした。すると台は真っ二つに分かれて、大きな穴になってガンビアはそこに落ちていった。ウタはそれに呆然となってデリンジャーに詰め寄ろうとした瞬間、デリンジャーに蹴られて穴の近くに吹き飛ばされる。

 

「騙したのね!?」

 

ウタはデリンジャーにそう叫ぶと嫌らしい笑顔を向けてきた。

 

「海賊が人を騙して何が悪いの?・・・海賊の娘を名乗ってる割にお花畑過ぎない??・・・若様からは秘密を知られなければほっとけって言われたけど、どうせすぐに()()()()()・・・」

「何を言ってるの??」

「ここでサヨナラってことよ!!」

 

デリンジャーはそう言ってウタを穴の中に蹴り飛ばした。ウタはロープを冷静に飛ばして落ちないように掛けようとするがデリンジャーに尽く弾かれてそのまま穴の中に落ちていった。

 

「アァァァァァァァァ!!!!」

 

叫びながら穴の中を落ちていくウタ。

軈て何かの山に激突し止まる。あちこち鞭打って酷い目にあったウタが周りを見るとそこは玩具と怪我人の山だった。

 

「歌姫だ」

「なんでここにいるんだ?」

「それよりもドフラミンゴだ・・・」

「ドフラミンゴ・・・孫の代まで恨んでくれようぞ・・」

「ウタ、無事か!?」

 

剣闘場で怪我を負った戦士たちがウタに気づくもそれよりもドフラミンゴに対して怒りの目を向けていた。先に落ちていたハイルディンはウタが落ちてきた事に驚き、近づく。

 

「ハイルディン!?」

「大丈夫か!?」

「アタシは無事!ハイルディンは!?」

「俺も落ちた事は別に大丈夫だ!!しかし、お前に手を出すとはドフラミンゴは何を考えてるんだ!?」

 

ハイルディンはまさかウタにまで手を出すとは思ってなかったのか、ドフラミンゴに引いていた。

 

「・・・それよりここ何処?」

 

ウタは周りをもう一度見ながら、この国の闇と向き合う事になった。




というわけでウタにもピンチが迫ってきました!!
次回はたぶんウタはそこまで出ずにルフィの話になるかも知れません。

原作描写との兼ね合いが非常に難しくてタグに原作既読推奨とつけさせてもらいます。


追記
色々と混乱を招いているようなので補足です。
・今のウタは麦わらマークの手袋をしておらず私服です。
・カタクリはコンポートの字で書かれた名簿に乗った人間を調べに来たのであってコンポートがどうにかなったわけではございません。

全ては書くのが下手くそな私の責任です。申し訳ございませんでした。



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Hobby UTA

皆さま、予想通りの展開ですので多くは語りません。
それではどうぞ!!


ルフィは道案内をしてくれて泡を吹いて気絶したバルトロメオに教えられた通りの道を行くと外でキレてるゾロを見かけた。

 

「ゾロ〜、用って何だ??」

「お前、こういう大会があるなら俺も誘え!!」

「お主、用件が違っておるぞ」

「あっ、そうだ。このコロシアムの周り、海軍で囲まれてるからな」

「あっそう」

「本題が軽すぎるぞ!!・・・これでいいのか?」

 

ゾロにツッコミを入れつつも錦えもんが懐から電伝虫を取り出して起動した。

 

『よし、繋がったか?これでロー以外全員が居るはずだな。各自状況を教えろ』

『アウ、こちらフランキーはウソップとロビンと一緒だ。俺達はこの国の反ドフラミンゴ体制「リク王軍」といる』

「軍?」

『小人だ』

「小人?」

『ルフィ、お前コロシアムの前にいた兵隊を覚えてるよな?』

「あぁ、そうだ!!その兵隊をレベッカが止めてくれって!!その軍団を止めろフランキー!!」

『アホ言え!・・・俺は止める気はねぇぞ。一見幸せそうなこの国には深い深い闇があった。薄汚い巨大な敵に立ち向かうコイツラを俺は止められねぇ!!トラ男の作戦も重々承知してるがそれでも俺はできねぇ!!ルフィ、俺はお前がなんと言おうがやるぞ!!』

「・・・フランキー!!好きに暴れろ!!」

『アウ、任せろ!!』

 

これからの計画をどうするべきか話し始めてると轟音が3人の耳に入った。

 

「なんだ?街が騒がしい??」

 

ゾロがそう言って警戒を始めるとローが3人の前に落とされた。ボロボロで死にかけており、叩き落したドフラミンゴは銃を向けて撃った。

 

「トラ男〜〜!!!ミンゴ、何やってんだお前!!」

「麦わら・・・会うのは初めてだな。だがお前にとやかく言われる筋合いはねぇ。俺の部下のケジメを付けただけだ!!今日は本当に色々と災難でな・・・すぐにお前も殺してやる・・・」

 

ドフラミンゴはルフィにそう警告しているとゾロと錦えもんが向かってきた。

 

「錦えもん、トラ男を運べ!」

「合点承知!!」

『おい、何があったんだ!?状況を教えてくれ!!』

「我らの眼の前でロー殿がドフラミンゴにやられた!!」

『何!?』

 

ゾロはドフラミンゴを斬ろうと刀を振るうが藤虎に妨害される。

 

(・・・コイツは!?)

 

藤虎は自分の能力でゾロを下に落とす。突然の事に錦えもんは一瞬の隙を付かれてドフラミンゴに蹴り飛ばされた。

ゾロは体が動きそうにない中、なんとか気合で斬撃を藤虎の所に飛ばして脱出する。

 

「大将どの!!」

「はぁはぁ、まさか盲目の賭博親父が海軍大将かよ」

「大将!?」

「恩を仇で返すようで何とも因果な渡世でごさんす」

 

刀を構える藤虎とドフラミンゴは空に浮かんで王宮まで飛んでいった。ゾロと錦えもんとルフィはローの奪還とドフラミンゴを倒すことを決めたが周りは海軍だらけでゾロと錦えもんは逃げて体制を立て直す事にし、サンジ達サニー号にいた面々は一足先に次の目的地である“ゾウ”に向かった。フランキー達は小人達の計画と工場破壊の両方を始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィは一先ずコロシアムを出ようと出口を探していくが見つからなかった。それどころかトイレに行ってしまった。

 

「クソ!!出口はどこだ??」

 

ルフィはそう言って辺りを走ってるとデリンジャーにやられてボロボロのベラミーを担いでいたバルトロメオを見つけた。

 

「あ、トサカ!」

「ル、ルフィ先輩!?ゾロ先輩とはお会いできて!?」

「あぁ、ありがとな!」

「め、滅相もねぇべ!」

 

尊敬しているルフィと話が出来て嬉しすぎるのかバルトロメオは顔を合わせるのが恥ずかしくて後ろを向いて話していた。

 

「そんでよ、次はここから出たいんだけどよ。あれ?お前、またボロボロになってねぇか?」

 

ルフィは更にボロボロになったベラミーを見てそう言うとベラミーはルフィを睨みながら話し始めた。

 

「ここに出口はねぇ。一度入れば二度と出られねぇように改造されてる・・・だが、俺は秘密の通路を知ってる。勝手に着いてきたきゃ来いよ」

「案内してくれるのか!?」

「バカ言え!!俺にドフラミンゴを裏切れと!?俺はあの人を尊敬しているんだ!!」

「お前、殺されかけてよく言えるべ!!」

「うるせぇ、通さなきゃいけねぇ筋ってもんがあるんだよ!!」

 

ベラミーはバルトロメオにそう言ってルフィを見た。梃子でも動きそうにない程に決意を固めていてルフィは何も言わなかった。

 

「だけどもルフィ先輩・・・メラメラの実はどうすんべ?」

「死んでも渡したくねぇ奴がいるが、仲間の命にゃ変えられねぇ」

「だったら、オラに任せてくんろ!!オラは元々ルフィ先輩にメラメラの実を渡したくて出場したんだべ!!絶対に手に入れるべ!!」

「ホントか!?良いやつだなお前!!」

 

ルフィに良いやつと言われてバルトロメオは気絶しそうになったが何とか堪えていた。そんな風に盛り上がってる3人の所に帽子を被って鉄パイプを持った男が近づいてきた。

 

「お前にメラメラの実は渡さねぇよ」

 

その言葉にルフィとバルトロメオは男を睨み、バルトロメオが突っかかって行った。

 

「お前誰だべ!?あそこに居られるのはかの火拳のエースの弟で未来の海賊王であらせられるんだっぺ。このバカ!!」

「そんなの昔から知ってる」

 

男はバルトロメオを軽く投げ飛ばすとルフィに近づいた。

 

「久しぶりだなルフィ」

「誰だお前?俺はお前なんて知らねぇぞ!!それに見ろこの髭を俺はルーシーだ!!」

 

変装しているルフィは髭を引っ張って眼の前の男にそういった。メラメラの実を他人に渡したくないルフィは警戒しながら睨むと男は笑った。

 

「俺がそんな変装で()を見間違えるかよ・・・エース、ルフィ・・・もう1人居たのを忘れたのか?」

 

男はそう言って帽子を抜いだ。ルフィはその顔を見て驚き、後ろに飛んだ。涙を緩ませて今にも泣きそうになるが幼いときに死んだと思ってたから素直には受け入れられなかった。

 

「サボ〜〜!??・・・嘘だ!!」

「昔、ダダンのクソババアの酒を盗んで3人で酒坏を・・・」

 

サボは笑いながらそう言うとルフィは泣きながら抱きついた。ボロボロと泣いていたが全て嬉し涙だった。

 

「ルフィ、生きててくれてありがとう」

「サボ〜~!!」

「メラメラの実は絶対に誰にも渡さねぇ・・・ルフィ、俺が貰っていいか?」

 

サボの言葉にルフィは黙って頷いた。ルフィにとって大切な兄の実がもう1人の兄に渡るのは安心できたし、心から大丈夫だと思った。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタは落された地下でとある元国王の話を聞いていた。その元国王はある日、現れたドフラミンゴに100億ベリー集めろと言われた。とてもそんな大金はなかったが元国王は国民に頭を下げて集めた。800年間平和であったドレスローザを守るために戦わずして気概を見せて守るつもりだったが100億を集めた瞬間に体を操られて100億ベリーを燃やし尽くし、国民を殺してしまった。ドフラミンゴはそんな元国王や国王軍を“成敗”するという形で国を乗っ取った。

 

「これがあの悪夢の全てだ」

 

元国王であるリク王が地下のゴミ捨て場にいる全員に話した。元国王軍であるタンクを始めとしたリク王軍兵士と何体もの玩具が跪いて兵士達は泣いて玩具達は震えていた。

 

「とんでもねぇ野郎だ」

 

ハイルディンを始めとした地下に落された者はその話が真実だと思った。ただ聞かされただけでは信用しなかったが自分達が地下に落とされてる状況から何をやるのかわからないドフラミンゴの事もあって信用していた。

 

「許さない・・・とんでもない卑怯者じゃん」

 

ウタは自分の“大嫌いな海賊像”ド真ん中を貫いているドフラミンゴに怒りを覚えながら、落された事も相まってどうやってやり返そうか考えていた。

そんな風に考えてるとウタの体にベタベタした物がついた。気色悪い感覚にウタはすぐに拭い去ろうしたが全く取れなかった。

 

「なにこれ!?気持ち悪い!!」

 

ウタがそう嫌悪感を出してると突然と上に引き上げられた。

 

「ウタ!!」

「ハイルディン!!」

 

護衛対象のウタが攫われかけてる事でハイルディンは手を伸ばした。ウタもロープを投げてハイルディンの手に巻き付けさせると暫く綱引き状態になった。

 

「座長からの依頼だけでも俺は守るぞ!!」

 

バギーにウタがなにかあった時の為の護衛として言われていたハイルディンは死んでもロープを離さないと決めて必死に掴んでいたが軈てウタの方が堪えきれずにロープを放してしまった。

暫く拮抗していた影響かウタは勢い天井に開いてる穴まで上げられてその中で頭を強く打って気絶した。

 

 

 

 

〇〇〇

サボにメラメラの実を託したルフィは泣きながら走っていたが安心したのもあってルフィは確りと前を見て王宮へ走っていった。

 

「ったくさっきまで一体何に泣いてたんだよ」

「すげぇ嬉しいことがあったんだよ!」

「ひょっとすると大切に思ってた人が生きておったとかでござるか?」

 

錦えもんの言葉にルフィはシシシと笑って肯定した。

 

「あぁ!そんな所だ!!」

「そいつは良かったな」

「してルフィ殿、それは女子でござるか?」

「錦えもん、お前もエロガッパって呼ぶぞ」

 

鼻の下を伸ばしながら言ってくる錦えもんにゾロは呆れながら言うとルフィは笑った。

 

「いや、男だ」

「残念にござる」

「よし、お前はエロガッパ3号だ。錦えもん」

「シシシ、けど女もいるぞ」

「「はぁ~!?」」

 

ルフィからのとんでも発言にゾロは単純に驚き、錦えもんは驚きと羨ましさを感じていた。

 

「シシシ、あいつも元気かなぁ〜?」

 

ルフィはそう笑いながらウタの事を思い出してた。

 

〘シャン!!〙

 

しかし、次の瞬間にルフィはその事を()()()

 

「あれ?俺達、何の話をしてたっけ?」

「あぁ?んなのは今はどうでも良いだろ!」

「左様でござる!今は王宮に急がねば!!」

 

ルフィ達は先程までやっていたウタに関わる会話すら忘れて王宮に向かった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

カタクリは名簿を調べながら、町の騒ぎを見聞色の覇気で把握していた。

 

「最悪の世代の麦わらとトラファルガーが暴れてるな・・・ここで潰すか・・・いや割に合わんな」

 

カタクリはそう言うとウタの写真が載ってある新聞記事を見た後でルフィの手配書を見た。

 

「それに麦わらのルフィは一対一で潰したい・・・」

 

カタクリはそう言うとルフィの手配書をグシャグシャに潰した後でウタの写真を見た。

 

「・・・俺がかわいいか・・・」

 

カタクリはそう呟いてウタの写真を切り取って懐に入れようとした。

 

〘シャン!!〙

 

しかし、カタクリはその瞬間にウタの事を()()()。なぜ、自分が知らない女の写真を懐に入れようとしたのかカタクリは奇妙に思ったがすぐにその奇妙な感覚も忘れてウタの写真を捨てた。

 

「お兄ちゃんどうしたの?」

 

鏡の中からやってきたブリュレがカタクリに尋ねるとカタクリはいつもの調子で答えた。

 

「何でもない」

 

カタクリはそう言ってブリュレの鏡の中に入った。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「バギー!!見つけたぞごらぁ!!」

「げぇ!!?バレた!!」

「ウタを俺から奪った罪は大きいぞ!!」

 

バギーはマルコによって匿われていたが遂にシャンクスに見つかり、場は緊迫した状況になっていた。

 

「お前ら、ここは親父の故郷だよい!!暴れるなら俺がお前らをぶちのめすぞ!!」

「どけマルコ!!そいつは俺の獲物だ!!」

「マルコ助けてくれよい!」

 

殺気を放ちながらバギーを睨むシャンクス。バギーはマルコに縋りついて助けを求めていた。その姿を見てシャンクスは更にイラつきながら剣を向けた。

 

〘シャン!!〙

 

しかし、ウタの事を()()()()にシャンクス達はなぜ自分達がここに居るのすら忘れた。バギーやマルコも忘れて全員が呆然となった。

 

「俺達、なんでバギーを追ってたんだ?」

「俺様はなんで追われてたんだ?」

「おいおい、親父の故郷で何をやってるんだよい?」

 

混乱する面々はそのまま自分達が集まった理由を考えたが肝心の中心にいるウタの事を忘れたので答えが出なかった。

 

「まぁ良いや!バギーもマルコも久しぶりにあったんだから飲もうぜ!!」

「おっ、いいな!!旨い酒はあるか!?」

「食費が全部赤髪持ちならやるよい!」

「よし、野郎ども宴だ!!」

 

シャンクス達はこうして()()()()()()()()宴を始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

「べへへ・・・起きろ。しっかり働いてこい・・・」

(何!?話せない!!体がおかしい・・・)

 

気絶していたウタは起きてトレーボルの姿に驚くも声が出せず、違和感を覚えた自分の体を見ると玩具のぬいぐるみになっていた。

 

(わ、私、ぬいぐるみになってる!??どういうこと!!?)

 

「命令よ、【ファミリーの命令には逆らわないこと】【人間に危害を加えないこと】」

 

ウタを玩具のぬいぐるみにした張本人であるシュガーのホビホビの実の力でウタはその命令を守らざるを得なくなった。

 

「戦士らは皆パワータイプだから安心だべへへ。あの扉を真っ直ぐに出れば港と交易だ。しっかり働け」

「本当よね♪アタシも結構良いものを手に入れたし!!」

 

ウタの事を忘れたトレーボルがウタを剣闘に出た戦士だと勘違いを起こして、隣りにいたデリンジャーはウタが()()()()()()()()()()()()()()()()()()を持って笑っていた。

 

(返して、それはおじさんの大切な物なの!!)

 

ウタはデリンジャーを殴り飛ばしてでもトレジャーマークを奪い返そうと手を伸ばしたかったがトレーボルの命令で自由に動けずに言われたとおりに地下の港に出た。

 

 

こうしてウタは玩具になった。

 

 

()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

(・・・・絶対に絶対に許さないよ・・・特にデリンジャー、おじさんのトレジャーマークは死んでも奪い返してやるからね!!)

 

しかし、ウタは大切な物を取り戻すために怒りを燃やして心を保っていた。そして奪ったデリンジャーに対してリベンジを誓った。




これがホビウタって展開ですか??
たぶん、こういったホビウタをやる人間はそうそういないと思いますがリベンジを誓ったウタの活躍をお楽しみに!!

こういう展開だとウタVSシュガーに行きそうなのにウタVSデリンジャーにしたのは原作でのデリンジャーがあっさりやられてたからです!
というわけでウタVSデリンジャーも後数話で始まるかも知れませんのでお楽しみに!!

そしてやっぱり難しい原作描写とのバランス!!
もう切ろうと思えば幾らでも切れてしまって味気ないものになる最悪の悪循環の中で藻掻いています。

マジで文才が欲しい!!
尊敬する脚本家の井上敏樹大先生の腕前が欲しいと強く思うこの頃です。


それでは次回もどうぞお楽しみに!!


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Melee

お待たせしました。
それではどうぞ!!
かなりの大混乱です!!


ウタは玩具になって荷物を運ばされながらも頭を冷静に回していた。

 

(おじさんとの修行を思い出せ・・・冷静になれなくなったら負け・・・どれだけ怒りとか辛さでパニックになっても冷静にならないといけない・・・)

 

ウタはバギーとの修行を思い出しながら、逆転の機会を探っていた。

 

 

●●●

修行を始めて1ヶ月と少しの頃、ウタはまたバギーにナイフを持って追いかけ回されていて、周りに投げられまくって足を止められた。

 

「馬鹿!!無駄に避けるなって何回も言ってるだろうが冷静に見ろ!!」

「だって下手に当たると死んじゃうよ!」

「だから冷静になれってんだよ!どれだけ強くてもなぁ、冷静になれなきゃ負けなんだよ!!ビビるな、生きてりゃ必ずなんとかなるんだ!!」

 

体を小さくされてルフィにぶっ飛ばされながらも生きていたバギーの言葉には説得力があった。バギーはナイフと持って再びウタに向けて投げた。

ウタはまた当たることに怯えて大きく避けてしまい、体制を崩してしまう。

バギーは情け容赦なくウタの顔面目掛けてナイフを持って腕を飛ばした。もしもの時は寸止めするつもりだったがウタは咄嗟の事にそれに気づかなかった。迫りくるナイフにウタは何とか冷静にそれを見てギリギリで避けた。

 

「よし、その感覚を忘れるなよ!」

 

バギーは上手く行ったので褒めるが割と本気で狙われた事にキレたウタはバギーに向かって走り出し、顔面を殴った。

 

「危ないじゃない!!」

「殴るんじゃねぇハデバカ娘!!」

「うるさいこのデカっ鼻親父!!」

「この姦し紅白娘!!」

 

やられたバギーもたまらずにウタの頭を叩き、2人はそのまま非常にみっともない喧嘩を始めた。

 

 

 

〇〇〇

(フフッ・・・大丈夫・・・まだ笑える・・・さて何とかしないと・・・)

 

バギーとの修行を思い出したウタは声には出せないが笑えたのでまだ大丈夫だと思った。しかし、状況は全く変わらなかった。自由に動けない体に言葉も話せない。完全に自分からではどうしようも出来なかった。

 

(不味いなぁ・・・冷静に考えても不味い・・・歌えないから能力も使えない・・・でも心と体は別みたい)

 

ウタは自由に動けず、言うことを聞かない体だが意思に関係なく勝手に物を運んでるのを理解するとあることを思いついた。

 

(よし!このままだと色々と暗くなりそうだから・・・とりあえず寝て考えよう!!)

 

1年間のライブの旅と遭難とバギーとの修行で良くも悪くも精神が図太くなったウタはそのまま寝た。ただし、体はずっと動いて命令を聞いていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ドフラミンゴは王宮のスートの間で藤虎と向かい合っていた。藤虎は麦わらの一味の完全拿捕の為に海軍を動かしたことをドフラミンゴに伝えていた。

 

「よく決断してくれたな藤虎」

「何もあんたの為じゃございません。麦わらの一味の狙いがあんたの首で麦わら達がその為に市民の被害を考えないならそれを止めるのがあっしの“正義”・・・あんたはその後でいい・・・」

「なんだと?」

「あっしはまだ新参者でございやすが大将なんて大きな看板を背負ったからにはやってみたいことがあるのですよ・・・王下七武海制度の完全撤廃でございやす」

 

ドフラミンゴは藤虎からそれを聞くと思いっきり武装色の覇気を纏った足で蹴りに行くが藤虎はそれを難なくと受け止めた。

 

「フフフ、“消すなら今のうち”と言われた気がしたよ」

「慌てなさんな・・・今は仲良く行きやしょうや」

「七武海を撤廃したら均衡はどうなる?」

「先日の“赤髪”と“千両道化”で既に崩れたようなもの・・・政府の中には“千両道化”をこう呼ぶ者も出始めた・・・」

「なんて言ってる?」

「“5番目の海の皇帝”・・・腹が立つがバギーズデリバリーが政府側にいるなら他の七武海はそれ以下の三下。悪さを重ねすぎる奴らにはもう慈悲なんていらねぇな・・まぁ、何もすぐにとって食おうってわけじゃねぇ。あんたの国を守ろうってんだ・・・その後でゆっくりとやりましょうや」

 

藤虎はそう言うとスートの間から出た。好き放題言われたドフラミンゴは八つ当たり気味に近くにあった椅子を蹴飛ばした。

 

「三下?俺が・・・“千両道化”以下だと!?」

 

もしもウタがまだ玩具になってなかったらドフラミンゴはウタを殺してバギーに宣戦布告でも始めようと考えていたがホビホビの実で忘れられてる事によって皮肉にも結果的にウタは暫くの間は守られていた。

 

「随分と大変のようだな・・・“天夜叉”」

「・・・カタクリ・・・」

 

荒れはじめてるドフラミンゴの元にカタクリが鏡から現れる。仁王立ちしながらカタクリはドフラミンゴを見ていた。

 

「何のようだ・・・今は相手をする程暇じゃねぇんだが・・・」

「生憎だがそれは俺も一緒だ・・・だが、“港”で面白い“もの”を見つけたぞ」

 

港と言う単語が聞こえた瞬間にドフラミンゴはカタクリに持ち前の糸を飛ばして首を跳ねようとするが見聞色による未来予知でカタクリは難なくと避ける。

 

「お前の秘密はやはり“港”にあるんだな」

「てめぇ・・・嵌めやがったな・・・」

 

カタクリはドレスローザの闇の多さとドフラミンゴ本人の人脈のせいもあってどれが死ぬほど重要なのかはSMILE工場と地下の港の2つまでは絞れたが、“絶対に秘密”なのがどちらか分かりづらかったのでブラフを掛けたら、三下呼ばわりで荒れていたのもあって珍しくもすぐにボロが出た。

 

「お前は七武海の立場であぐらを掻いてるが所詮は世界政府が作り上げた“仮初めの権力”だ。“四皇”こそが海賊の世界に於ける“本物の権力者”・・・お前などそれに比べれば魚の糞のような物。“港”に何があるのか楽しみだな」

 

ドフラミンゴはそれを聴くとカタクリに指を向けた。

 

弾糸(タマイト)

 

実弾以上の威力を誇る糸の弾丸をカタクリの眉間にぶち込もうと撃つがカタクリは軽々と避けて鏡の中に戻って行った。

 

「“元”天竜人だと自惚れたのが運の尽きだ」

「てめぇら何処まで知ってやがる!?」

「簡単な話だ。CP0が動くのは基本的に天竜人関係若しくは五老星による指令。七武海脱退でCP0クラスが来る必要はない。天竜人とは関係ないし、CP9や8でも充分だからな。つまり態々それが動いたと言うことはお前の正体は天竜人・・・地上はどうだ??神の末裔」

「フフフフフフ!!!人間ごときが・・・お前は俺が直々に殺してやるよ」

「慌てるな弱く見えるぞ。真実がどうであれ、後でお前に“海賊”の世界を教えてやる・・・クソガキ」

 

カタクリはそう言って消えていった。ドフラミンゴは持っていた電伝虫を使って幹部全員に連絡した。

 

『ディアマンテとピーカ以外の幹部は全員、“港”に行ってシュガーを守れ!!』

 

ドフラミンゴはそう怒鳴り、カタクリを止めようと命令を下した後で自分は先程ボコって捕まえたローの尋問を始めたが次に来た麦わらのルフィの侵入という言葉でコロシアムにいるルーシーになったサボと混乱して頭を痛め始めていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウソップとロビンは小人のトンタッタ族と一緒にシュガーに世界一辛いタタバスコをグレープのように固めたのを食わせようと潜入してきたは良いのだが、港に集まってくる幹部達を見て驚愕していた。

 

「ま、不味いれすよ・・・ディアマンテやピーカがいないれすがそれ以外の幹部が全て集まってます」

「最悪じゃねぇか〜」

「一体どういうこと?こんなに急に集まるなんて“計画”が漏れた??」

 

トンタッタ族のレオが冷や汗を掻き始めてウソップやロビンも想定外な事態に頭を悩まし始めた。

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、流石にこれは不味くない?」

「落ち着け・・・幹部らの相手は別にどうとでもなる・・・問題は“秘密”の方だ」

 

カタクリはブリュレと一緒に鏡の中から港に適当にあった鏡の1つから見ていたが集まってる幹部たちには目もくれずに一際大きい幹部塔を見ていた。

 

「やはりあの中に行くしかないか」

「強行突破??」

「体を変形させて行く・・・秘密さえ分かれば後はどうでもいい」

 

カタクリはそう言うと鏡から出て体をドロドロの餅にして蛇のように伸ばして隠れながら進んでいくと見聞色でレオやウソップ、ロビン達を見つけた。

 

(あの女は麦わらの一味のニコ・ロビン・・・利用するか・・・)

 

カタクリはそう思うと彼らの方に向かっていった。

 

 

 

〇〇〇

一方ルフィはヴァイオレットと名乗っているレベッカの叔母のヴィオラと一緒に動いていた。ゾロや錦えもんは突然襲ってきた最高幹部のピーカの相手をして分かれた。

 

「クソ!どこを斬りゃコイツは効くんだ!?」

「厄介な相手にござる!!カン十郎を探さねばいけないというのに!!」

 

愚痴るゾロや錦えもん。そんな時、顔だけ出していたピーカの口が開いた。

 

「あの侍の事か?」

 

凄い高いソプラノ声に一瞬だけゾロも錦えもんも固まった。

 

「「ブフォ!!?」」

「貴様ら笑うな!!」

 

2人とも一気に吹き出して笑い始めた。笑ってる2人にピーカは攻撃するが強い2人なので器用に避けていた。

 

「この、貴様らもあの侍と同じようにゴミ捨て場に落としてやる!!」

「なんと!?」

「あー、笑った・・・錦えもんはそっちに行け。後で合流するぞ」

「かたじけない!!」

 

錦えもんはゾロに言われてカン十郎の方に行ってゾロは斬撃を飛ばしてピーカの顔を斬るがすぐに避けられて再生された。

 

「しかし、厄介だな・・・」

 

 

 

 

 

ルフィはピーカにやられて危うく潰されかけていた玩具の兵隊やヴィオラと一緒に階段を駆け上っていた。

 

「どけどけ!!」

 

迫ってくるドンキホーテファミリーの手下共をブチのめしながら駆け上ってるとヴィオラはルフィを止めた。

 

「待って!!」

「なんだよ!?」

「もうすぐ目的の部屋だから静かにして!!彼らの計画を壊さないで」

「計画??」

「シュガーを気絶させる作戦だ。やつにやられるとその存在の記憶そのものが無くなる。逆に言えばシュガーをどうにか出来ればこの国は全てひっくり返って()()()()()()()()()が蘇る!!」

「そんな能力の奴がいるのか??」

 

ルフィは兵隊の言葉に驚いた。まさかそんな風に記憶が無くなる能力があるなんて思っても見なかったからだ。

ルフィの言葉に兵隊は頷いて肯定した。

 

「君の大切な人もひょっとしたら既にやられてるかも知れない」

「シシシ、俺がそんなんで忘れるかよ」

 

ルフィは兵隊に笑顔を向けてそういった。

大切な誓いも約束も幼馴染も既に忘れてしまっている事に気づかないまま・・・

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「本当に信用していいの?」

「あぁ、小人族は世界でも正直かつ素直な一族。その話を聞けばもう既に奴らは“黒”だ。潰すためなら手を組む」

「ありがとうれす!!」

「ほほほ、本当に信用して良いんだろうなぁ!?」

「腹を決めろ長っ鼻」

 

カタクリはロビン、ウソップ、レオ達から計画とシュガーの能力を教えられて“秘密”は知ったので暴れてドフラミンゴの全てを叩き潰す方に行動を切り替えた。

そのまま、ロビン達は幹部塔を目指し、カタクリは集まっているドフラミンゴの幹部達の前に堂々と現れた。

 

「カタクリが来たぞ!!」

 

グラディウスの言葉に幹部達は全員、構えた。

カタクリは持ち前の武器の土竜を出して全員を睨んだ。

 

「覇王色の覇気で気絶させるなど貴様らには生温い・・・誰に喧嘩を売ったのかあの世で後悔しろ」

「ドンキホーテファミリーを舐めるんじゃねぇ!!」

 

グラディウスの叫びを皮切りに地下でカタクリと幹部達が戦闘を始めた。

如何なる攻撃をしてこようともカタクリは難なくと避けているが腐っても王下七武海の幹部。カタクリにダメージは与えられずともシュガーがいる幹部塔からは離していた。

空を飛んでいるバッファローを上から叩き落し、下からくるセニョール・ピンクの攻撃を躱してグラディウスの爆発やベビー5の銃撃、ラオGの拳法、マッハ・バイスののしかかりなどを避けて全員と互角以上の戦いをしていた。

 

「うわっ!?本当にあいつ強え!!?」

「無茶苦茶強いれす!!」

「あれが四皇幹部の実力よ。彼と互角に戦える人物は恐らくドンキホーテファミリーだとドフラミンゴ本人か、最高幹部くらいだわ」

「あんなのがゴロゴロいんのかよ!?四皇怖え!!」

 

ウソップはカタクリの強さに引いて怯み、レオは驚いていた。ロビンは計画を成功させるために幹部塔に向かって走っていたが突然と幹部塔から電伝虫で玩具達に命令が下った。

 

『港にいる玩具達全員、命令よ。侵入者を排除して!!』

 

シュガーの命令を聴いて作業をしていた玩具の全てがカタクリやロビン達の方を見て襲いかかった。

 

地下は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言うかつてない事態で大混乱に陥った。

 




というわけでカタクリが大暴れをしております。あれ??ウタやルフィは!?
次回やその次で大暴れさせますので一先ずはその前菜としてどうぞ。



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Usopp vs Donquixote Family

タイトルから分かる通り、あの男が死ぬほど頑張ります。それではどうぞ。


ドフラミンゴはローを尋問していた。

ボロボロのローに更に殴って蹴って情報を吐かせようとしていた。

 

「一体、いつの間にトンタッタと手を組んだんだ!?どこまでこの国の秘密を話しやがった!?」

「何のことか知らねぇな。俺と麦わら屋はもう同盟ですらねぇからな」

「こんな尋問、ヴァイオレットがいればすぐに分かるんだが、運が良いなぁロー」

「そういうお前は運が極端に悪いな。まさかビックマムのカタクリまで来るとは・・・カイドウに泣きつくか?・・・いやお前が誰かに頭を下げるとは思えねぇな」

「良くわかってるじゃないかロー」

 

減らず口をたたくローをドフラミンゴは蹴り飛ばして、連れてきたリク王を睨んだ。

 

「トンタッタの小人だとお前は良く知ってるよなリク王」

「なんのことだ?確かに私の時に彼らは仕えてくれていたがこんな情けない男にまだ仕えるほどバカではないぞ」

「ちっ、今日だけでカタクリには目をつけられ、麦わらには頭を痛まされ、厄日にも限度ってものがあるだろ」

「お前のように他人を支配する者はいずれこうなる運命だ!!あの悪夢の日から苦しんで10年、今日ほどの佳日はないわ!」

 

リク王の言葉にドフラミンゴは蹴りで答えた。蹴飛ばしてそのまま蹴り殺そうと考え始めるが殺す時間すら勿体なくすぐにローの方を向いた。

 

「まぁいい、吐いてもらうからなロー」

 

ドフラミンゴの尋問は続いていく。

ルフィ、ヴィオラ、兵隊はそれを窓の外から眺めていた。

 

「おいまだかよ・・・トラ男がヤバいぞ」

「待って!まだシュガーが倒れてない!」

「このままじゃ、トラ男がやられちまうよ」

「堪えるしかない!」

 

3人は事態が好転するのを待った。

 

 

 

〇〇〇

地下ではカタクリが暴れていたが玩具達の介入でカタクリは避ける方に専念していた。バッファローをなんとかブチのめしは出来て他の幹部も全員ブチのめそうとした矢先に玩具の軍団が飛び掛かってきた為に下手に攻撃出来なくなっていた。

 

「覇王色の覇気も効かないのか・・・」

 

最初は覇王色の覇気で威圧して数を減らそうかと考えてやってみたが心がどれだけ威圧されても体が永遠に操られている為に玩具達の攻撃は止まらなかった。

 

「お兄ちゃん、早くそいつらを潰そう!」

「だめだ!“名簿”が真実ならこの中にはうちの“パティシエ”が何人もいる可能性がある!!結婚式のメインじゃない他のお菓子を作るパティシエを探しに来たのに殺したら本末転倒だ!!」

 

そうカタクリとブリュレがドレスローザに来たのは元々、これから始まる“結婚式”の準備でビックマムことリンリンが食べるケーキ以外のお菓子を作るパティシエがかなり不足していてツテを探してたらコンポートの部下のパティシエ兼諜報員が何人もシュガーにやられていて、そのやられた者達の“名簿”だけが残っていた事に気になって調べに来たのだ。

そして、シュガーの能力がわかった今、カタクリは玩具達の中でどれがうちのパティシエかわからない為に攻撃出来なくなっていた。見聞色で見てもホビホビの実の能力によってその部下の記憶がないので余計に分からなかった。

 

「やった方が良いと思うよ!」

「だめだ!!今回の結婚式は仮とは言え、プリンにとっても大事な物だ。絶対に素晴らしい完璧なものにさせてあげたい!!カワイイ妹の結婚式だぞ!?」

 

兄弟姉妹大好きなカタクリは()()()()()()()()だとしても大切な妹の舞台を良いものかつ完璧なものにしたいのでそれが出来るなら逃げる事も引く事も苦戦する事もなんら躊躇はなかった。

ただ、簡単にやられるカタクリでは無いので“覚醒”したモチモチの実の能力で周りを餅にして玩具達を拘束する。

 

「べへへ、お前が来ると知っていたから対策はしてあるよ。ベタベタチェーン!!」

 

幹部塔から出てきたトレーボルが粘液をチェーンのように伸ばして水が入った箱をカタクリの餅にぶつけると水に弱いカタクリの餅は崩れて玩具達は拘束を解かれてまたカタクリを襲い始めた。

 

「チッ!」

「べへへ、10億の賞金首で裏の世界でも強力なビックマム海賊団。弱点なんて知られてるに決まってるだろ!」

 

非常にムカつく言い方をするトレーボルにカタクリは絶対に後でぶっ飛ばそうと思いながら、玩具達をまた拘束するがその度にトレーボルが水をぶっかけに来て悪い堂々巡りをする事になった。

 

「お兄ちゃん、一先ずこっちへ!」

「すぐ行く!」

 

状況が好転しないので一先ずカタクリはブリュレの鏡の世界へ退却した。すぐに別の鏡から出て行こうとしたがその前に割られていく。

 

「手間かけさせやがって・・・ブリュレ、残りの鏡は?」

「あそこだよ!」

 

カタクリはブリュレが指す方向の鏡に向かって飛んでいくがその前に鏡が割られた。

 

「クソ、地上から回るぞ!!」

「もう絶対にアイツラを許さないよ!」

「当たり前だ!!」

 

港にある鏡を全て割られた事で簡単に戻れなくなったカタクリとブリュレは地上から行く事にして、地上にある鏡の方へ行った。

 

 

 

 

〇〇〇

()()()()()()の2つでブチのめされたバッファロー以外はダメージの少ないドンキホーテファミリーの幹部達は何とかギリギリ危なくなる前にカタクリを退けたので残ってるウソップやロビン達の方に足を運び始めた。

 

「良いのかトレーボル。シュガーをホッポリだして」

「ベヘヘ、デリンジャーがいるから大丈夫。ほれ!」

 

トレーボルが指を指すと幹部塔が中から壊れてトンタッタの兵士を何人も吹き飛ばしてきたデリンジャーが飛んできた。

 

「キャハハ、あれ?カタクリは??」

「一先ず、退けられた。あいつと決着をつける前にゴミ掃除だ」

「了解」

 

幹部達はウソップやロビン達を狙いに幹部塔に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・ふぁぁ、え?何かあったの??)

 

一方、玩具にされて先程までぐっすりと寝ていたウタは幹部塔が壊れた音で漸く目が覚めて頭を混乱していた。

 

 

〇〇〇

幹部塔の中は悲惨な状況だった。

シュガーの能力で何人ものトンタッタ族達が玩具にされて同士討ちをして、デリンジャーの攻撃で吹き飛ばされていた。

そしてシュガーを拘束したロビンも腕を触られてぬいぐるみにされていた。

 

(しまった・・・油断した!!玩具にされたということは私のことは忘れられた・・・ウソップ、ウソップはどこ!?)

 

ロビンはウソップを探し始めるがその前に幹部達が全員入ってきた。状況は有利から圧倒的に最悪な方向に変わってしまった。

 

そしてウソップは逃げた。

 

(許せトンタッタ族、お前らの事は絵本で後世に伝えてやる「正直者のトンタッタ」ってタイトルでな。大体悪いのはフランキーだ。嘘のヒーローの為に死ねるか!)

 

ロビンを覚えていたら、ウソップは決して逃げなかっただろうが忘れてしまった事もあって逃げた。カタクリも退けられてしまって勝てる見込みはなかった。

 

(よし、幹部塔からは無事に出れた!!後はどうやって地上に行くかだが・・・)

 

『ベヘヘ、ねぇねぇ、外の者。仕事を再開しなよ〜見世物じゃねぇぞベヘヘ』

『待てトレーボル。このゴミ共なんか言ってるぞ』

『キャハハ、命乞いかしら?』

『お前らなんかウソランドがくればコテンパンにするれす』

『ウソランド?』

『アホくさい名前だイーン』

『黙るれす!!ウソランドは今日、僕達を助けてくれると約束してくれたれす!!』

『けど来ねぇな。嘘をつかれたな・・・正直者のトンタッタ族』

『ウソランドは嘘を付かないれす!!約束してくれたれす!!』

 

レオは勝手な事を言う幹部達にそう叫んだ。煩わしくなってきたトレーボルはトンタッタ族を容赦なく踏み潰す。

 

『ピギャ!!』

『ベヘヘ、ピギャだってベヘヘヘヘ!!』

『相変わらず悪趣味だな』

『自惚れとる』

『別に踏み潰さなくても良くない?』

 

トレーボルの非道にセニョール、ラオG、ベビー5は少し引いてるがデリンジャーとグラディウスは同じように踏みつぶし始めた。

 

『キャハハ!!!』

『若に手間をかけさせやがって!!』

 

ピギャピギャピギャピギャピギャピギャピギャピギャピギャピギャピギャとトンタッタの断末魔が聴こえてくる。ウソップは聴きたくないとばかりに耳を塞いだ。

 

『ベヘヘ、ヒーローなんて居るわけねぇだろ!』

『煩い!!助けてくれると約束してくれたれす!!』

 

レオの叫びを聴いてウソップは漸く腹を括って幹部塔に自慢の武器のパチンコ“黒カブト”を向けた。

 

「必殺!緑星【衝撃狼草(インパクトウルフ)】!!」

 

ウソップは衝撃狼草を何発も放って幹部塔の外壁をブチ壊した。中にいた幹部達は外でパチンコを向けたウソップを睨んだ。

 

「ウソランド!!」

「いい加減にしろお前ら!!俺の名前はウソップだ。海賊の麦わらの一味だし、ヒーローでもなんでもねぇ!!お前らに話したのは全部嘘なんだよ!!」

 

歓喜の声を上げるレオたちにウソップはそう叫んだ。嘘をつかれたことに驚くレオ達。幹部達はその滑稽な様子に笑った。

 

「ベヘヘ、それでそれを言いに態々戻ってきたのか?」

「こんなことをしておいてただで済むと思うなよ」

 

トレーボルが嘲笑い、グラディウスがウソップを睨む。ウソップはそれに怯みながらと黒カブトを向けた。

 

「だから、これから必死になってそいつら全員ブチのめして本物のヒーローってやつになってやるから、ノーランドの銅像の横に俺のを作れよな!!」

「逃げたフヌケの奴に何ができる!?」

「俺はフヌケじゃねぇ!!勇敢な海の戦士の息子のウソップ様だ!!」

 

ウソップはそう叫びながら、幹部達に向かって緑星を撃った。突然の登場と大騒動に玩具達の全てがその悪条件すぎる戦いを見ていた。

 

『海賊が助けてくれるのか?』

『麦わらの一味?』

『俺達を人間に戻してくれるのか?』

『戻してくれ、玩具のままなんて嫌だ!』

『金なら幾らでもくれてやる!!』

『戻してくれたら手下にでもなんでもなってやる!』

『頼む助けてくれ!!』

 

玩具にされた者達がそう声なき声を叫んでいる中、ウタだけはその戦いを見ながらあることを思い出していた。

 

 

 

 

●●●

それはウタがフーシャ村にいた頃だった。

赤髪海賊団の面々に絡みに行くルフィと一緒にウタは酔っ払ったヤソップからあることを聞かされていた。

 

「俺にはな、お前らくらいの息子がいるんだよ」

「それもう何回も聞いたぞ」

「ルフィはまだ良いじゃない。船でも酔う度に聞かされてるアタシなんかもう千回は超えてるよ」

「まだまだ言い足りねぇな!!俺の息子のウソップはな・・・」

 

ウタとルフィはうんざりしながらヤソップから息子のウソップの話を聞かされていた。

 

 

 

 

〇〇〇

(ウソップ・・・ひょっとしてヤソップの息子!?)

 

自分の中で繋がった事実にウタは驚いた。

そしてどうなるかは分からないが1人の人間が死ぬ気で戦ってるこの状況をしっかりと見ていた。

ウソップは思う限りの全てを使って戦っていた。だがセニョールにスープレックスを食らわされる、ラオGの拳法の餌食にされる、ベビー5に撃たれる、デリンジャーに蹴られる、マッハ・バイスに潰されて幾つも骨を圧し折られてグラディウスの爆発とトレーボルの可燃性のベタベタの併せ技にやられて意識がもう飛んでしまった。

 

『おい、お前らカタクリはどうなった?』

『ベヘヘ、とりあえずカタクリは退けたぞ。今はへっぽこを1人片付けた』

『へっぽこ?』

『麦わらの一味のウソップって手配書すらねぇやつだ』

『フフフ、そうかさっさと殺して死体を持って来い。麦わらに見せつけてやる』

『べへへ、わかった』

 

トレーボルはドフラミンゴから来た電伝虫にそう言って通信を切ると、グラディウスとセニョールの2人がウソップを無理矢理立たせる。ベビー5が両足をアイスピックのように鋭く尖ったものに変形させてトレーボルがそれでウソップの心臓を貫こうとするがシュガーがトレーボルの前に入った。

 

「待って」

「ん~、どうしたシュガー??」

「この毒入りグレープを食べさせようとしたからこれで殺したい」

 

シュガーはそう言ってグレープに似させたタタババスコの実を見せた。自分にやろうとした事を相手にする事で徹底的に相手の心を圧し折ろうとしたのだ。

腐っても海賊なドンキホーテファミリーは勿論、その案を認めて玩具達はその状況に絶望していた。

 

『くそ!』

『駄目か!!』

『七武海には勝てねぇのか!』

『畜生』

 

『ごめん・・・ヤソップ・・・あんたの息子が必死に戦ってるのに・・・死にかけてるのに・・・アタシは指1つも動かせない・・・』

 

ウタはウソップがやられてる事に涙を流せない玩具の身でありながら泣いていた。悔しさに打ちひしがれていた。

 

「ふん、自分達の切り札で死ぬとは馬鹿な奴だ」

「キャハハ、バーカバーカ!」

「べべへへへへ!!!」

「油断大敵じゃ大馬鹿者めGAのG〜」

「これで残るはカタクリだけだイーン」

「最後の瞬間ね」

「じゃ、死んで」

 

シュガーは冷酷にもウソップにタタバスコの実を食べさせた。シュガーや幹部達、そして玩具達もウソップがこれで死ぬと思った。何故なら()()()()()()()だと思っていたからだ。

 

「ギィャャャャャャャャャー!!!!!」

 

しかし、あくまでもこれは激辛なタタバスコをグレープっぽくしただけの物、ウソップは激辛のあまり、口から火を吹いて目も舌も飛び出して叫んだ。

 

「キャァァァァァァーーー!!!」

「べッーー!???」

「「「「何っーーー!!??」」」」

「「ウソーーー!!?」」

『えっーーーー!!??』

 

ウソップの“顔面ビックリ箱”なリアクション芸に目の前でそれを見たシュガーは勿論、幹部達全員と玩具達もトンタッタ達も目が飛び出すほど驚いた。

 

「ガクッ」

 

シュガーは()()()()()()()()がやった事にも驚き、そのビックリ顔にビビったあまり気絶した。

 

「シュガー!!??」

「しまった!!」

「おい、起きろ!!」

 

幹部達が慌ててシュガーを起こそうとするが時は既に遅かった。今まで必死に玩具にしていた者達がシュガーが気絶した事により、人に戻り始めた。

 

〘シャン!〙

 

「戻った!!」

 

そしてウタもまたそれによって無事に玩具から戻り、幹部達のいる方向に走った。

 

「デリンジャー!!」

 

大声で大切な物を奪った海賊に向かって叫んだ。

 

「げっ!?」

「なっ!?」

「嘘だろ!?」

「あー!?」

「コイツも玩具にしてたのか!?」

「マジで!!?」

 

そして飛びかかって、自分を蹴り飛ばしたデリンジャーの顔面をぶん殴った。

 

「トレジャーマークを返せ!!」

 

何はともあれ、ウタは無事に人間に戻った。

そして、ここから()()()()()が始まる。






というわけでカタクリとブリュレの真の目的は結婚式のパティシエ探しです。その為のシュガーにやられたパティシエ嫌諜報員達の名簿でした。全ては大切な妹の為にやっていた事です。

ただしそのせいで人質を取られて離脱してウソップが原作以上の悪条件の中でなんとかシュガーを気絶させました!!

ここから大反撃が始まりますがそれは次回で。
そしてデリンジャーがウタを蹴落とした後のトレーボルとシュガーが何故にウタを玩具にしたのかは次回で書きますのでお待ち下さい。



最近のやりたいこと・・・・このドフラミンゴをエネル顔にしたい




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Bird cage

皆さま、お待たせして申し訳ございませんでした!!
色々と描写不足だった部分を辻褄を無理やり突貫工事で合わせて尚且つやりたかった事を書いたら遅くなりました!!
次回は明日か明後日になるかわかりませんが2日に1回は出せるように頑張ります!!


玩具達が人に戻り始める少し前、カタクリとブリュレはコロシアムの方から地下に回ろうとしていた。ドンキホーテファミリーの手下共が襲いに来るが全て覇王色の覇気で一蹴しまくり、地下にこのまま進もうとすると足を止めた。

 

「お兄ちゃん、どうしたの?」

 

ブリュレが懐の鏡の中から訪ねてくる。

 

「ドフラミンゴの負けだ・・・」

 

数秒後の人々の混乱を見聞色の未来予知で見たカタクリがそう言うとコロシアムの観客席が突然、騒がしくなり始めた。それはコロシアムの外からも聴こえてきて大混乱になっているのが容易に分かった。

 

「・・・あぁ!思い出した!!パティシエ達にドレスローザのお菓子と“ジョーカー”を調べさせてたんだった!!」

 

ブリュレが名簿の面々を思い出しているとカタクリは頭を抑えて少しだけ揺れた。決して倒れたりしないがそれ程に衝撃的だった。

 

『か・・・かわいい!!』

 

生まれて始めて他人に言われて内心嬉しかった事を忘れていた。そしてカタクリの頭に血管が浮かび上がり、覇王色の覇気と怒気が漏れ出ていた。

 

(ドフラミンゴよくも・・・いや、先ずはパティシエ達だ・・・優先すべきは妹の結婚式だ・・・)

 

カタクリは内心、ドロドロと怒りを燻らせているがそれでも兄としてビックマム海賊団の船員としての責務を優先した。

どうにかして地下の状況を探るべきかそれともパティシエ達を探すべきか少しだけ考えてるとコロシアムの闘技場が崩壊して大穴が空いたのを見た。

 

「え!?何が起こってるの!?」

 

ブリュレは驚きながら混乱し始めてる。カタクリは冷静になって見聞色で穴を開けた者を見ると動き始めた。

 

「下に行って状況整理だ。パティシエ達が下にいるかもしれん」

 

2人は大混乱中のコロシアムの大穴から地下に降りていった。

 

 

 

〇〇〇

『ドフィ〜、すまねぇ!!』

「どうしたトレーボル??そのへっぽこの死体が傷つきすぎて誰かわからなくなったか??」

『シュガーが気絶しちまった!!!』

 

ウソップが死んだ事の報告かと思ったドフラミンゴは笑顔でそう聞くと返ってきた言葉に固まった。

 

「・・・・おい、なんの冗談だ!?カタクリは居なかったはずだろうが!!」

『ホビホビの実が解けていく・・・俺達の10年間がぁ〜!!!』

 

カタクリ対策で幹部達を全員地下に集めて、フランキーの相手を全て海軍に任せるというガバガバな事をしてまで秘密にしておきたかった物が守れなかったと言われてドフラミンゴは頭を抑えた。

 

「クソが!!誰にやられた!!」

『あの男だ!!ウソップとかいう奴に!!』

「そいつは死んでも殺してやる・・・」

 

怒りのあまり冷静になれてないドフラミンゴ。全てが泡になったのを間近でみたローはその姿にほくそ笑み、リク王は大切な人を思い出して泣いていた。

そしてそれはリク王だけではなかった。

 

 

『ウタ〜、どうだ俺の方が多いぞ』

『あたしも負けてないわよ』

 

『これも()()して上げるから、それともちゃんと待てない子供かな〜?』

『ウタには言われたくねぇ!』

『ルフィよりは大人よ!』

 

『ズルいぞウタ!』

『でた、負け惜しみ〜!』

 

ルフィはドフラミンゴの部屋の前で頭を抑えながら、呆然となっていた。大切な誓いも約束も全て先程まで忘れていた事を思い出していた。

 

『君の大切な人もひょっとしたら既にやられてるかも知れない』

『シシシ、俺がそんなんで忘れるかよ』

 

兵隊に言われて笑ってそう返していた自分を殴りたくなった。先程の話を聞いてこの突然の思い出しにその前までキチンと覚えていたことにルフィは察した。

 

「ウタがこの国にいる・・・」

 

大切な誓いと約束をした幼馴染がドフラミンゴの毒牙にやられていた事に気づきもしなかった自分に腹を立てながら、ルフィは人間に戻った兵隊・・・レベッカの父親のキュロスと共に飛び出た。

 

「キュロスか!?」

「リク王様、10年間お待たせしてしまって申し訳ございませんでした!!」

 

キュロスを思い出したことに泣きながらリク王はそう叫ぶとキュロスもそう力強く返した。ルフィは怒りのままに叫んだ。

 

「ドフラミンゴ〜!!!」

「てめぇら!!?」

 

ルフィとキュロスはそのまま驚いてるドフラミンゴに詰め寄った。キュロスは剣で首を跳ね飛ばし、ルフィは思いっきり腕を伸ばして武装色で硬化してぶん殴った。

 

「ゴムゴムの火拳銃(レッドホーク)!!」

 

炎を纏った拳が首を跳ね飛ばされたドフラミンゴの体にめり込んで吹き飛ばされた。まだまだ全然、殴り足りないが生首になったドフラミンゴを見てある程度冷静になった事もあってルフィはローの所に向かった。

 

「トラ男!無事か〜!?」

「麦わら屋、なぜここに!?工場はどうした!?壊したのか??俺とお前の同盟はもうとっくに切った!!」

「お前勝手だな〜、それは俺が決める!!」

「どっちが勝手だ!!」

 

言い争いをしながらローの海楼石を外そうとするルフィ。キュロスはリク王の拘束を壊していた。

 

 

 

〇〇〇

おもちゃの家の東門でフランキーはセニョールとマッハバイスが地下に行ってから少しは楽になるかと思っていたが暴れすぎて海軍とやり合っていた。

悪い事に相手には海軍中将のバスティーユもいて大怪我はせずに済んでいたが苦戦していた。

 

「鋼鉄の体は伊達ではなさそうだらな」

「あたぼうよ・・・俺達の邪魔をするんじゃねぇ!!」

「海軍が悪行を考えてる海賊を捕まえて何が悪いだら!!」

 

バスティーユが自身の半身以上もある鮫切包丁でフランキーを仕留めようと振るいに来るがフランキーはそれを腕で受け止めていた。

拮抗する2人だが、その時玩具が人間に戻り始めそれで海兵達が慌てだした。

 

「なんだら!?」

「隙ありだぜ、風来砲(クー・ド・ヴァン)

「鉄塊!!」

 

一瞬の隙をついてバスティーユの体に間近で風来砲をブチ込んで吹き飛ばした。バスティーユもなんとか当たる寸前に鉄塊をしたが焼け石に水、壁にめり込んで膝を付いてしまった。

 

「成功したならもうここにはようがねぇ、あばよ!」

「逃がすなだら!!」

 

バスティーユの命令で海兵達がフランキーの前に来て銃を構えるがフランキーは着ていた服の前を開けて胸を見せた。

 

「フランキースーパーニップルライト!!」

 

胸から眩しい光が出て海兵達の目が眩んだすきにフランキーはおもちゃの家から離れて逃げた。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはデリンジャーをぶん殴って拳を構えていた。

事情を知ってるトレーボルは玩具にする前の会話を思い出していた。

 

●●●

シュガーとトレーボルはベタベタで連れてきたウタに対して冷や汗をかいていた。

 

「ねぇ?これ、不味くない??」

「見聞色でドフィの悪口を言ったやつを釣ったらとんでもねぇのか釣れてきたよねぇ~」

「七武海同士で戦争は不味くない?」

 

シュガーの言葉にトレーボルはどうしようか悩んでるとそこにデリンジャーが入ってきた。

 

「キャハハ、ねぇUTAがこっちに来てないかしら?」

「ベヘヘ、確かに来たよ〜。けどドフィは秘密を知られてない限りは手を出すなって・・・」

「キャハハ良いじゃない、地下に行ったんだったらもうバレてるようなものよ・・・それにどうせすぐに忘れるんだから!!」

 

トレーボルもシュガーもその言葉を聞いて納得した。どうせ忘れるなら怖いものはない。覚えてないが今までそうしてきた。今回もそれみたいな物だ。

 

「あ、待って!玩具にする前にこれを頂戴!かわいくてカッコよくて気に入っちゃった♪」

 

デリンジャーはそう言いながらウタの腕からトレジャーマークを奪い、シュガーは容赦なくウタを玩具にした。

 

 

〇〇〇

ぶん殴られたデリンジャーは目が変わった。半魚人という生まれながらの特性なのか瞳が赤く小さくなり、背中から背びれが生えてウタを睨んだ。

 

「やってくれるじゃない・・・このクソ女!!」

 

飛びかかりそうになるデリンジャーだが、トレーボルに止められた。

 

「ん~、ドフィの所に戻って体勢を立て直そう!!」

 

トレーボルがそう言うと港の上のコロシアムで異変が起きたのか、大穴が開いて上から最高幹部のディアマンテが落ちてきた。近くには黒ひげ海賊団のバージェスもいたがそれは無視してトレーボルはディアマンテに近づいた。

 

「あ~~、ねぇ~ねぇ~、ディアマンテ!!メラメラの実はどうなった!?」

「食われちまった!革命軍のNo.2にだ!!ドフィに申し訳が立たねぇ!!」

 

その言葉に幹部達は本日何度目かもわからないほど目が飛び出た。秘密は明かされ、メラメラの実は奪われてドンキホーテファミリー始まっていらいの大厄日だった。

 

「離しなさいよ、トレーボル!!あの女はアタシが殺すんだから!!」

 

デリンジャーはトレーボルから離れてウタを殺そうと躍起になっていて、ウタは拳を構えたが良いが武器のロープがないので内心悩んでいた。

 

(ヤバい・・・ロープがない、どうしよう!?)

 

海楼石を持ってないのでウタウタの実の力でウタワールドに飛ばそうかと考えたがそれは止めた。ウタ自身もコントロール出来ないからだ。自分の歌を聞けば誰彼構わず強制的に入ってしまう能力ゆえに人が入れば入るほど眠たくなる。ここには幹部だけでなくその手下に玩具にされてた人達と人が多すぎた。恐らくものの数分で眠りについて取り返してもまた奪われる。せいぜい、ウタがウタワールドに入れて支障なく行動する最大の人数は1人か2人。つまりこの状況下でデリンジャー“だけ”ウタワールドに連れていかないといけなかったがそんな方法は思いついてなく、ウタは動けなかった。

そんな風にウタがあまり動けずに止まっていると突然と地面が盛り上がって波打ち始めた。

 

「何!?」

 

波打つ地面はそのまま、幹部達と地下にあったSMILE工場だけを持って穴から地上へ行った。ウタは急に動き始めた地面に対応できずに両手両膝を付いてしまって、そのまま大切な物を持って去っていくデリンジャーに向かって叫んだ。

 

「デリンジャー!!アンタだけは絶対にアタシがぶっ飛ばす!!」

「奇遇ね、アタシもアンタを殺したいわ!!」

 

ウタとデリンジャーは互いの姿が分かるまで睨み合っていたが見えなくなるとウタはハイルディンの元へ行った。武器であるロープを持ってる可能性が高いからだ。

ウタは巨人のハイルディンをすぐに見つけたがウソップを掲げて後光を一緒に浴びていた。

 

『こ、神々しい!!』

「お前・・・タチ・・・わ・・・おれ・・・が・・・みち・・・びく・・・」

『お前たちは俺が導く!?やっぱり天が使わした救世主なんだな!!!導いてくれ!!!俺達はどうすればいい“ゴッド・ウソップ”!!!』

 

崇め讃え始めてる人達を見てウタはバギーズデリバリーの雰囲気を思い出していた。その後、ウソップはSMILE工場の破壊を頼んだがさっき、上に上がってしまったので多数の人達は逃げるのも兼ねて上に開いた穴と出来た道を登ってどんどん上がり始めた。

 

ハイルディンはウソップを小人達に返してウタに近づいてきた。

 

「ウタ、すまねぇ!!護衛なのにお前を守れなかった!!」

「良いよハイルディン!!それよりも私のロープ持ってない!?」

「あるぞ、お前の武器!!」

 

ハイルディンはそう言ってウタの海楼石分銅ロープを返した。2人はそのままリベンジをしに行こうとしたがその前に声が掛けられた。

 

「ウタ〜!!!」

「レベッカ!?」

 

コロシアムから落ちてきたレベッカがウタに気づいたので近づいてくる。そこにはサボ、コアラ、魚人のハック、ロビン、ウソップ、トンタッタ族、錦えもん、バルトロメオもいた。

 

「ウタも玩具にされてたの?」

「そう、絶対にハデにやり返してやるんだから!!」

「嘘だろ・・・歌姫も居たのか・・・」

「これは驚きだな・・・“標的”の娘がいるとは・・・」

 

ウタとレベッカの会話を傍で見ながら、サボとハックは冷や汗を欠いていた。まさかここで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の座長の娘に会うとは思っても見なかった。とは言っても革命軍が狙うのは座長であるバギーのみでウタに手を出す気はなかった。

 

「嘘、歌姫UTA〜!!!???」

 

大声で叫んだのはウタのファンであるコアラだった。

突然の大声に全員がコアラの方を見るとコアラはウタの手をとって握手をした。

 

「初めまして、私コアラって言います!!いつも応援してます。UTAの曲は【逆光】から知ってファンになってTDも全て買いました!!視聴用、保存用、布教用を3つずつ、合わせて9つ揃えてます!!」

 

まくし立てるように言い始めるコアラ。サボとハックは呆れて頭を抑えていて、他はコアラの行動にビビり、唯一ヲタク的行動に理解のあるバルトロメオだけがコアラの行動を良い行いだと内心褒めていた。

 

「前に配信に来てくれた人だよね?あの顔が大きい人と一緒に!!」

「覚えてくれてたのですか!?」

「勿論、覚えてるよ。折角見に来てくれた人だもん!」

「ありがとうございます!!仕事の関係でこの前の配信の時に応援に行けずに申し訳ございませんでした!!」

「そんなの気にしてないよ!!こうしてファンだって言ってくれてるだけで嬉しい!!」

「あ~!!今日はもう今年1番の佳日!!ここ最近はバカでブラコンで自由人な隣人に振り回されてたからもう幸せしかない!!」

 

革命軍という表社会で居場所などバレてはいけない仕事の関係で配信に気軽に行けないコアラが唯一配信を見れるのがイワンコフのいる()()()()()()()が作られてるカマバッカ王国だった。なのでイワンコフが脱獄してすぐにコアラは初めてイワンコフと一緒に配信を見て益々ウタのファンになっていたがそこからはスケジュールが全く合わなくて行けてなかった。たった1回しか行けてないのに覚えてくれてるウタにコアラは喜びのあまりサボをボロクソ言っていた。

 

「よく言うぜ、ガンガンと夜中に掛けまくって人を寝不足にさせてるくせに」

「うるさい自由人、サボ君に私の安眠を妨害される筋合いはない!!」

「部屋を変えればいいだろうが!!隣の部屋でやるな!!」

「誰の行動のせいで隣にさせられてると思ってるの!?全部サボ君が勝手に行動するからドラゴンさんから監視を言われてるんだよ!?私の私生活を潰しておいてよく言うよ!!」

 

因みにハックもサボの隣の部屋でサボの部屋は2人の間だった。さらに言うとコアラの部屋から一部屋空いてるハックはキチンと安眠出来ていた。

 

「2人は恋人同士?」

「「違う!!」」

 

ウタは2人の様子を見てそう訪ねるが勢いよく噛みつくように返された。

 

「うひょー!!!【エニエスロビー撃じぬきコンボ】最高だべ〜!!!」

「お前はさっきからうるせぇ!コアラと同類か!?」

「推しを推しまくるのは愛ゆえだべ。大先輩!!」

 

サボとコアラの喧嘩の横でロビンとウソップを見ながら興奮して叫ぶバルトロメオ。サボがそれにキレても全くファンとしての愛を止める気がなかった。そんなバルトロメオにコアラが近づいて手を繋いだ。

 

「わかる、わかるよ!!私もそうだもん」

「おぉ、分かってくださるべ!?」

「写真とか新聞記事とか集めて少しでも知りたくなるよね!?」

「それどころか色々と生い立ちも知りたくなるべ」

「わかる!!私達、良い友達になれそう!!」

 

気の合うヲタク愛を共有する事が出来る相手が目の前にいる事でバルトロメオとコアラは盛り上がっていた。

 

「あ、でも。そこの鶏はアラバスタでアタシのライブをぶち壊そうとしてたけどね」

「くたばれ鶏!!」

「ぶべら!!」

 

ウタの言葉から発せられた事実にコアラは容赦なくバルトロメオを蹴り飛ばした。バルトロメオは急な事でバリアを張れずに思いっきり蹴られた。

 

「UTAの敵は私の敵よ!!」

「なんて面倒くさい奴だべ!!」

「「いやいや、お前も一緒だ」」

 

バルトロメオの言葉にサボとハックがツッコむ。和気藹々としてる中に上の穴からカタクリが飛び降りてきた。

 

「随分と楽しそうだな。革命軍」

 

カタクリの登場にその場にいたウタとトンタッタ族以外の全員が警戒した。ビックマム海賊団の将星で10億以上の賞金首。裏社会でも名の知れてる男にサボとコアラ、ハックは構えてロビンもウソップも既に目的は達成されてるのでこれからどう行動を起こすのか分からず、錦えもんは只ならぬ気配に警戒し、カタクリの賞金をバギーズデリバリーで知ってるハイルディンはウタを守ろうと構えた。バルトロメオとトンタッタ族、場の空気について行けなかった。

 

「カタクリ、こんな所で何をしてるの?」

 

しかし、ウタはそんな場の緊張感を全く読まずにカタクリにそう言うとカタクリは律儀に答えた。

 

「ウチのパティシエ達も玩具にされててな。ひょっとしたらこっちにいるかと思ったがどうやら居なかったようだ。言っておくが革命軍と争う気はないし、麦わらの一味は狙ってはいるがこの場でやり合う気はない。あくまでもパティシエ優先だ」

「例の“結婚式”か」

「・・・流石に知られていたか・・・」

「革命軍としてはそれが受理された場合は交戦の構えだ」

 

睨み合うカタクリとサボ。サボはメラメラの実を食べた事で手に入れたエースの炎を拳に纏わせてカタクリも拳を硬化するが2人は同時にそれを解いた。

争っても意味がないからだ。

 

()()止めておく。俺達も別の任務があるからな」

「あぁ、()()やっても利益がない」

 

2人がそう言い合うと場の緊張が少しだけ解けた。コアラはウタがカタクリを知っていた事に気になって訪ねた。

 

「知り合いだったの?」

「うん、さっき知り合ったんだ・・・かわいい人だよ!」

 

ウタのかわいい発言に場の全員がとんでもない物を見るような目でウタを見て言われたカタクリは顔を少しだけ赤くしていた。

 

「こらぁ!ウチのお兄ちゃんに色目を使うんじゃないよ!!」

「よせ、ブリュレ」

 

カタクリの懐の鏡からブリュレが叫んだがカタクリはすぐに制止した。これまた現れた人物に段々とカオスな雰囲気が広がってる中、突然と空に糸が鳥かごのように張られ始めて、映像も流れ始めた。

 

 

そして映像に流れてきたのは地上の大混乱と怒りで頭に血管を浮かべまくって最早災難に対して笑うしかなかったドフラミンゴの顔がドアップで映し出された。




というわけでブチギレルフィとカタクリです。
バギーとシャンクスはドフラミンゴ戦後までお待ち下さい。というのもこれ以上視点を増やすともう手に負えなくなって書く気力が無くなるので本当に申し訳ございませんがお待ち下さい。

まぁルフィとカタクリでは反応が違いますが。

ルフィ→ドフラミンゴを兎に角ぶっ飛ばしたい。
カタクリ→ドフラミンゴをぶっ飛ばしたいが任務優先。
ここからどうなるかはお楽しみに!!

そして書けて嬉しいコアラとウタの絡み!!
最初は2年間の修行の時のちょっとした話でコアラをウタのファンにさせましたが開き直って思いっきりやったらこれが楽しいこと・・・このまま行きます!!
そして不憫なバルトロメオwww

因みに今作でウタのファンにするのが決定されてるもしくはしたのはコアラ、ブリュレ、ベボ、キラーの4人はガチのファンにするつもりです。 

まぁブリュレは色々と複雑ですけどねwww万国編で大活躍させるから待っててねwww



あぁ、早くワノ国でウタファンとして暴走するキラーを書きたい!!


それでは次回もお楽しみに!!


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Game

遅れてすみません。
RED効果が段々と薄くなってきていて補充しても効果が薄くなってきましたが2日に1回は出来るようにご声援をお願いします。


話はほんの5分前に戻る。

キュロスがドフラミンゴの首を跳ね飛ばしてルフィが火拳銃でぶっ飛ばしたのを見てヴィオラはキュロスの事で泣きながらもなんとか中に入ってローに付けられてる海楼石の鍵をルフィに渡す。

 

「よし、動くなよ!」

「だから話を聞け!」

 

口喧嘩のようなやり取りをしながらルフィはローの錠を外そうとしていた。キュロスもリク王の拘束を壊して解放し、後は国の大混乱と残党狩りといった所だった。

 

「ヴァイオレット・・・まさか幹部のお前が裏切るとはな・・・」

 

その言葉に場にいた全員が固まった。生首だけになったドフラミンゴの口が動いていた。

 

「バカな!どんな体をしている!?」

「なぜ、まだ生きてる!?」

 

気味が悪いドフラミンゴにキュロスはその生首を更に細切れにしようと駆け出すが後ろから首があるドフラミンゴがキュロスを殺そうと静かに詰めてきた。

ルフィはとっさにキュロスに飛びついてその攻撃を受けさせなかった。

ドフラミンゴは首がない体と2体がかりで襲いに来るルフィはとっさにギア2になってそれも避けた。

 

「すまない油断した!」

「ゴムゴムの鷹銃乱打(ホークガトリング)!」

 

武装色で固めた手で2体ごと吹き飛ばそうとするが首のない体が全身武装をして首があるドフラミンゴの盾になった。

 

「フフフ、随分と怒ってるな麦わら」

 

ドフラミンゴがそう言うと首なしの体が糸になって一瞬消えて、ルフィの後ろでまた作られた。

ルフィがそれに気づいた時には既に遅く、五本の指から出た糸に背中を斬られて、顔面をドフラミンゴ本人の武装した手で殴られて吹き飛ばされた。

 

「糸で出来た操り人形(マリオネット)!?あんなの見たことが・・・」

「フフフ、リク王・・・10年前の惨劇を覚えてるよな?」

 

ドフラミンゴは笑いながらリク王にそう聞いた。リク王は操られて自分が大切な国民を手に掛けた悪夢の一夜を忌々しそうに思い出しながら言った。

 

「今でも夜な夜な苛まれるわ!それがどうした!?」

「今からあれ以上の事をしてやる・・・今度はあんなに小規模な茶番じゃねぇぞ」

「バカなことを!あんな悲劇二度と繰り返してなるものか!!」

 

リク王もドフラミンゴを止めようと駆け出し始めたが突然と床が波打った。

 

「ピーカ。そいつらを追い出せ」

 

ドフラミンゴがピーカにそう言うとルフィ達は全員部屋どころか王宮から放り出された。リク王はこれからドフラミンゴの始める事で国民が傷つく事を恐れ、キュロスとルフィはもう一度王宮に入ろうとすると城が突然と動き始めて別の場所に移動した。

突然の事に驚くルフィ達。

ドフラミンゴは移動する王宮の上で操り人形を糸に変換させて空中に飛ばしていた。そのせいで国の外から出ることもまた外に連絡することも出来なくなった。

 

「鳥カゴ・・・フフフ、ここまで来ると笑うしかねぇ、全員ただでは返さん・・・シュガーさえ戻れば玩具になって元通りだ」

 

ルフィ達に加えて四皇幹部という悪条件の上にそれが失敗すると王下七武海同士の抗争というかなり不味い状況にドフラミンゴはもう笑うしかなく、映像電伝虫を起動した。

 

 

 

〇〇〇

地下ではウタ達が突然現れた映像に目を向けるとカタクリが見聞色の未来予知で喜んでる元玩具の人間達を見て警戒する。

 

「なにか来るぞ」

 

生物の意思が籠もってない物は見れない見聞色の覇気で断片的な未来予知しか出来なかったカタクリはそう言って警戒を促せた。

サボ達も身構えると映像に写ったのは笑顔のドフラミンゴだった。しかもドアップだった。

 

「「うわっ、怖っ!」」

 

ウタとコアラの辛辣な言葉がハモる。

 

『フフフ、本当は力づくでも良かったんだ。真実を知り、さぞかし俺を殺したい奴は多かろう・・・だが、最後の“ゲーム”をしよう。俺を殺せば解放されるがもう1つだけ終わらせられる方法があるゲームだ。今から俺の言う奴らの首を全て持ってきたら解放してやる・・・最後の“ショー”と行こうぜ!!』

 

ドフラミンゴは狂ったように笑いながら、何人もの画像を公開した。ルフィ達の画像だった。

 

レベッカ、ヴィオラ、フランキー、錦えもんには1つ星。ゾロ、キュロスには2つ星。ルフィ、ロー、サボ、カタクリ、リク王には3つ星がつけられていた。

 

『星1つにつき、一億べリー払ってやる。そして3つ星はの今回の主犯格だ』

 

その言葉に元玩具の人間達が騒ぎ始めた。恩を勿論感じてる人間はいない訳では無いがそこには下衆いことを考えてる奴らしかいなかった。

 

「情報が早いな」

「俺もかよ」

「主犯“格”という言葉に引っかかるな」

(よ、良かった・・・俺はバレてねぇ)

 

ハック、サボ、カタクリがそれぞれの反応をしていく。ウソップは自分がバレなかった事にホッとしていた。

 

『そして今日、俺を最も怒らせた者がいる。こんなゲームを仕掛けた全ての元凶だ。非常に狡猾な男で俺達を嘲笑った悪党。そいつの“死体”を持ってきたものには10億ベリーくれてやる!!』

 

ドフラミンゴは笑いながらそう言うとウソップの画像を公開した。星は10も付けられていた。そのことにほぼ全員が唖然となり、カタクリだけ平常心だったが不憫だと少しだけ思った。

 

「良かったな。少し足りないとはいえ俺とほぼ同額になったぞ」

 

非常に珍しく他人に気休めを言った。なんだかんだとウタの事を思い出させてくれたので多少なりとも認めてはいたからだ。

 

「うるせぇー!!!!」

 

しかし、あまりの高額で狙われてるのでウソップには気休めにもならなかった。その大声に気づいたのか騒いでた奴らがウタ達を見て笑った。

 

「ちっ、金に目が眩みやがって・・・」

「サボ君、どうする?」

「地上に出るぞ!」

「お兄ちゃん、アタシたちは?」

「パティシエ達の保護が最優先だ」

 

ウタとハイルディンはそのままサボ達と一緒に地上に向かって走っていき、カタクリ達は自分達のパティシエの保護に動いていた。地上に向かって走り、コロシアムから外に出るとウタとハイルディンはサボ達と分かれて行動し始めた。

 

「デリンジャー、出てきなさい!!!」

「おい、ウタ。あまり進むな!!」

 

巨人のハイルディンと一緒に行動して目立っているがゲームで狙われてる星付きでもないので2人にわざわざ近づく人はそうそう居なかった。

ウタもそれを好機にドンドンと容赦なく進んでいき、デリンジャーを狙っていた。

 

(・・・ルフィもいるなら勝たないとでないと折角近くにいるのに何も話せなくて死ぬのは嫌!)

 

ウタはそんな事を考えながら走っていた。実際にはかなり近くで会ってはいたのだがそれに気づくことはなかった。

 

 

 

 

〇〇〇

「フフフ、とりあえず言い訳を聞こうか・・・」

「すまねぇドフィ〜。まさかあの状態からこうなるなんて予想出来なかった」

「メラメラの実もそうさ。まさかサボが居るなんて思わなかったんだ!!」

「見苦しいぞお前ら。俺が全員片付けてやる」

 

ドフラミンゴの言葉に言い訳をするトレーボルとディアマンテ。ピーカはそんな2人に呆れていた。だがドフラミンゴは決して責めなかった。ウタ関係でやらかしてるデリンジャーに対しても何も言わなかった。

 

「カタクリの野郎が厄介だ。麦わらとローも危険だが所詮は3人だ。コイツラがどうにかなればどうとでもなる」

 

ドフラミンゴの言葉に幹部達は笑った。まだどうにかなると思っていたからだ。そんな幹部達を見てドフラミンゴは笑いながら言った。

 

「一踏ん張りだ。お前ら、俺の為に戦って死んでくれ」

『勿論だ』

 

ドフラミンゴは笑いながらそう言い幹部達もそう答えた。だが、両者には明らかな温度差があった。幹部達は何だかんだ言って最後は助ける方に行ってくれると思っていた。ドフラミンゴは散々失敗した幹部達すらも許す気は全く無く、自分の側にいたピーカと能力的にまだ使えるシュガー以外このゲームで殺す気だった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

カタクリとブリュレは無事にパティシエ達を見つけられた。全員が電伝虫を持っていたのもあって簡単に見つけられた。

 

『カタクリ様〜、ブリュレ様〜!!』

「落ち着け、話したいこともお前らのミスも後で問い詰める。今はこの国から出る、ブリュレのミロワールドに入るんだ」

「ほら、さっさと入らないと今度は助けないよ」

 

ブリュレが意地悪くそう言うとパティシエ達はカタクリがそこらへんの家から拝借してきた大鏡で鏡の世界に入っていった。

 

「カタクリ様、助けてくださるのは嬉しいのですが確認作業とかはしなくて大丈夫でしょうか?これを気に我がビックマム海賊団に潜入する輩も出そうですが?」

「お前みたいな奴か?」

 

カタクリは自分にそう言ってきた奴に容赦なくジェリービーンズを弾丸のように弾いて胸を貫いて殺した。その光景に他のパティシエ達は怯えて足が止まった。

 

「確認作業は見聞色の覇気で一人一人やってる。安心してすぐに入れ。やることが沢山あるのに死なれたら困る」

 

カタクリがそう言うとパティシエ達は泣きながら、鏡の世界に入っていった。完璧超人として皆から言われているカタクリがこうも優しくしてくれる事に泣いていた。カタクリとしては結婚式が終わり次第、姉であるコンポートに処遇を任せる気だった。彼らの上司でもあるから良い判断を下すだろうと思った。

パティシエ達が入っていくのを見ながら、カタクリはドフラミンゴに対する怒りを抑えて早くこの国から出ようと決めた。

何故なら、自分はビックマム海賊団で頼れる完璧な兄。ウタの事や手を出した事にキレてないわけではないがそれ以上に大切な妹の結婚式が優先だった。

自分を押し殺してもカタクリは家族を優先した。

 

 

 

〇〇〇

人より少し遅れて外に出たウタとハイルディンは全力で走りながら王宮を目指していると石の巨人となったピーカが拳を振り下ろしたのが見えて2人はそこに向かって走ってると目の前で走ってる集団が見えてきた。

 

「千両道化の娘にハイルディンだと!?」

 

目の前にいたダガマがそう言うと何名かは後ろを見た。それは牛のウーシーに乗って走ってるルフィも一緒だった。

 

(あれ?あいつまたいる)

 

ルフィはそんな事を思いながらダガマと言い合いしていたウタを見てまだ気づいてなかった。ウタも絡んできたダガマの相手で先頭にいるルフィには全く気づいてなかった。

 

「何しに来た極悪党の娘!」

「アタシもドフラミンゴに取られた物があるの!!死んでも取り返しに行くだけだよ!!」

「ふん、そんな事を言って金が欲しいだけだろ!?」

「そんなの別に要らないよ!」

「嘘つけ!お前の親父の守銭奴っぷりは有名だからな!」

「アタシは違います!!」

「信用できるか!!」

 

言い争いを続けるウタとダガマ。ダガマを部下に持ってるプロデンス国王のエリザベロー2世はハイルディンと走りながら話をしていた。

 

「ハイルディン。あの娘の実際の戦闘力はどうなんだ?」

「出来る。少なくとも有象無象には負けないくらいには強い」

「海賊傭兵として名高いお前の言葉を信じよう。いい加減にしろダガマ!」

 

エリザベロー2世はダガマの頭を殴って黙らせた。

前はルフィを中心に大騒ぎをして後ろはウタを中心に騒ぎながら、一団は王宮を目指しているとピーカがまた左拳を振り落としてきた。

 

「錐龍錐釘!!」

「“ライト版”キングパンチ!!」

 

ルフィによって頭をトンガリに戻してもらったチンジャオとエリザベロー2世がその拳を腕ごと粉砕した。ドンキホーテファミリーの手下達も容赦なく襲ってくるが返り討ちにしていた。ウタも自分のロープ先の海楼石の分銅で手下達を伸していた。

ピーカは無事な右拳をまた振り落としてくる。チンジャオとエリザベロー2世は同じように破壊しようとするがゾロに止められた。

 

「止めろ!壊してもまた再生する。能力の理屈が分からねぇのにやっても力を消費するだけだ。逃げろ!!」

 

その言葉を聴くとピーカの攻撃に全員避けた。だが、一団はルフィとゾロを見失った。サイや弟のブー、海賊貴公子キャベンディッシュ、格闘王イデオ、ブルーギリー、処刑人スレイマンなど多くの者がルフィとゾロを探し始めた。

 

「麦わらはどこに行った?」

「おいおい、あの乗ってた牛もいねぇぞ」

 

ルフィ達を探してる一同、するとハイルディンが指を指した。石巨人となったピーカの腕の上を走ってるウーシーとそれに乗ったルフィ達を見つけた。

 

「いたぞあそこだ!!」

『えぇ〜、上ってる!?』

 

驚く一同の中でウタだけはそれを笑ってみていた。まだ姿は見えてないが確かにこんな無茶苦茶な事をやるのはルフィ以外に思えなかった。

 

「相変わらずだねルフィ・・・よし、アタシ達も負けてられないね!!行くよ皆!!」

『おう!!』

 

ウタが先頭に立って一同を鼓舞しながら走っていく。

 

『ってなんでお前が仕切ってんだ!?』

 

戦士ではなく歌姫に仕切られながら突っ走ってる現状にその場にいた全員がツッコミを入れた。






というわけでルフィとウタはまだ再会出来てませんww

ここまで来ると開き直りそうですが早く再会させられるように頑張ります。
次回はどうしようか・・・迷い中ですが明日には出せるように頑張ります!!


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Uta VS Dellinger

割と早く書き終わったのでどうぞ。
終わりまでゴリゴリの戦闘です。
それではどうぞ。


ドフラミンゴのゲームと人を操る糸寄生糸(パラサイト)という能力によって生み出された技のせいで暴れる人間が大量に出て国中が大混乱となっている最中、フランキーは何とか海軍から逃げれたので目的のSMILE工場を走って見つけたので必殺のラディカルビームで吹き飛ばそうと構えた。エネルギーが充電され発射される直前に泳いできたセニョールにスープレックスをされて外してしまった。

 

「敵いんのかい!」

「チュパ・・・決着をつけようか坊や」

 

フランキーとセニョールという変態()2人は相手の攻撃を全く避けずに戦うというプロレスじみたストロングスタイルの戦闘をし始めた。

 

 

 

〇〇〇

ウタ率いるコロシアム組は純粋に下から王宮を目指して走っていた。

 

「撃て撃て!!」

「前にいるのは“千両道化”の娘じゃ!?」

「構うな撃ち殺してしまえ!」

 

ドンキホーテファミリーの手下達がウタに向かって銃を向けるがそれが撃たれる前にウタはロープを投げて銃を全て奪い取り、唖然としている手下達を蹴り飛ばしながら進んでいた。

 

「あの娘やるやい」

「王下七武海の娘というのは伊達ではないと言うことか」

 

サイやダガマがウタのロープ戦法を見ながら純粋に感心していた。バギーの所で鍛えられた運動能力とハイルディン達、新巨人海賊団から逃げ回る修行をされて手に入れたロープ術はそこらへんの有象無象には負けなかった。

 

「先に行くよ!」

 

ウタはピーカの能力によって盛り上げられた町で作り上げられた王の台地の一段目を登ろうとロープを剥き出しになってる建物に掛けて登って行った。実に軽やかに登っていってまるで本当に背中に翼が生えてる天使のようにコロシアムの面々からは見えた。

 

「って負けてたまるか!ドフラミンゴを討ち取るのは僕だ!」

「俺だ」

「俺だ!」

「俺達だって言ってるやい!」

「リク王の友である俺だ!」

 

キャベンディッシュを筆頭にウタに負けじと駆け上がっていく。コロシアムでは負けて玩具にされてオマケに戦士ではない歌姫のウタに先を越されてはもう色々とプライドもクソもないのでそれだけは失いたくない面々は必死に一段目まで登っていった。

 

ウタは必死に登って行って無事に一段目に到着すると同時に頭を狙われたがそれをバギーによって鍛えられて鋭くなった“感覚”でなんとか避けた。

 

「上手く避けたわね」

「デリンジャー!」

 

蹴ってきたのはデリンジャーだった。嫌らしく笑いながら舌を出した。まるで品定めをするかのようにウタを見た。

 

「望み通り殺してあげる。ピストルハイヒール!」

 

デリンジャーに体を蹴られるウタ。何とか張ったロープでそれを防ぐが吹き飛ばされてウタは一段目から落ちた。下に激突するのは不味いのでウタは体制を立て直してロープを投げて下と一段目の中腹に幾つがある建物の上に上手く着地した。

デリンジャーもそれを見てウタの目の前に降りてくる。

 

一方、ピーカの腕を駆け上って行ったルフィ達は途中で現れたピーカ本体にはゾロが相手をし、ルフィ、ロー、そしてなぜか乗っていた賞金稼ぎのアブドーラとジェットはウタが一段目から落されたのと同時にやってきて暴れていた。

 

睨み合うウタとデリンジャー。先程落されてトレジャーマークを奪われたウタは決めていた。絶対に許さないと心に誓っていた。

 

「素直に死んでおけば苦しまずにすんだのにね」

「トレジャーマークを取り戻すまで死ねないよ」

 

侮り挑発するデリンジャー。ウタはそれを聞いてロープを構えた。デリンジャーは更におちょくるように奪ったトレジャーマークを見せてきた。

 

「確かに良いデザインだけどガラスで出来た安物。こんなのが一体なんだって言うの?」

「道標・・・アタシが“幸せ”を見失わない為に偉大な海賊から貸してもらった道標」

「へぇ・・・」

 

ウタは尊敬している叔父のバギーの事を思い出しながらデリンジャーを睨み、ロープを回し始めた。

 

「アタシが歌しか出来ない弱い女だと思ったら大間違いだよ。()()()()直伝のロープ術を見せてあげる」

 

笑顔を向けてデリンジャーに宣言したウタ。デリンジャーも戦士ではないウタにここまで言われて頭に血が登って歯ぎしりしていた。

 

「上等よ・・・この世で1番惨たらしく殺しやる!」

「やれるもんならやってみなさい!」

 

ウタとデリンジャーはそのまま戦闘を始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

それとほぼ同時刻。

ルフィはウーシーを地下通路のような場所でドフラミンゴにやられて更にコロシアムの面々も2段目に駆け登って行って出遅れた事に焦っていた。

 

「よし、これで行くぞトラ男!」

「おい、何をする気だ!?」

「お前ら、ウーシーを頼むぞ」

「「わかりましたが一体何を!?」」

 

アブドーラとジェットに負傷したウーシーを任せてルフィは上を向いた。

 

「ゴムゴムの象銃(エレファントガン)!」

 

ルフィは象銃で無理やり2段目までの道を作るとそこからローを担いで上がっていった。

 

 

〇〇〇 

ウタとデリンジャーは激戦を繰り広げていた。

バギーによって逃げる避けるの行動を徹底的に鍛えられていたウタはロープを他の建物に掛けて逃げていた。

ウタワールドにデリンジャーを引きずり込んでやろうと歌を歌おうとするもデリンジャーの早い突撃で歌う余裕が無かった。

 

「どうしたのよ、結局口だけって事!?」

 

笑いながら跳んでくるデリンジャーは遂にウタに追いつきて蹴り飛ばす。蹴り飛ばされたウタはそのままズザザザと近くの出っ張りの上に転がされた。

 

「その頭をかち割ってあげる!」

 

デリンジャーはウタの頭をかち割ろうと飛び蹴りをしてくる。ウタはそれを見て瞬時にロープで二重の輪っかを作って飛んできたデリンジャーの足を輪っかの中に通して締めて捕まえた。

そしてそのまま、ロープを持ってぐるぐると回り始めた。

 

「それはアンタの頭だ!」

 

一段目の台地の壁にぶつけるためにデリンジャーを投げようとするウタだがデリンジャーはもう片方の足で無理やり止まった。

 

「ナメんじゃねぇよ!!」

 

そしてロープで捕まえられてる足を振り回し、逆にロープを持っているウタを壁にぶつけさせた。ぶつけられたウタは手と膝をついてしまう。デリンジャーはウタ目掛けて今度は頭から突撃しにくるがウタはそれを寸前で避けた。ぶつかった壁には亀裂が入っていた。

 

(うわっ・・・あんなの当たったら死んじゃう!)

 

ボロボロと崩れていく壁からデリンジャーは頭を離すとギザギザした歯をむき出しながら笑った。すると背中にヒレが出てきた。

 

「闘魚の血筋を教えてやるよ」

 

獰猛な笑みを浮かべながら突っ込んでくるデリンジャー。ウタはまた別の場所にロープを掛けて逃げる。しかし、今度は先程よりも速度が上がってるデリンジャーにすぐに追いつかれてまた蹴落とされる。

 

デリンジャーはニヤニヤと笑いながらトレジャーマークをクルクルと回し始めた。

 

「偉大な海賊?この世でそれを言うのが許されてるのはうちの若様だけだよ」

 

デリンジャーはそう言うと倒れてるウタを思いっきり蹴飛ばした。そして何発もウタに蹴りを打ち込む。

 

「残虐で冷酷、けどウチのファミリーには優しく強い・・・狡猾で全てを糸で操る!!この世で最も偉大な海賊・・・それがウチの船長“天夜叉”ドンキホーテ・ドフラミンゴだ!!」

 

デリンジャーはウタの頭を今度こそ叩き潰そうと踵落としをするがウタは両手をクロスしてそれを受け止めた。

 

「違う、この世で最も偉大な海賊は“千両道化”のバギー、アタシの()()()()だ!!」

「あんな覇王色の覇気すら持ってない奴が偉大?」

 

デリンジャーは受け止められ事に特に慌てずにウタの体に蹴りを入れて吹き飛ばした。

デリンジャーはバギーを嘲笑った。

 

「以前、政府に呼ばれて会ったよ・・・虚勢を張ってて実に惨めで哀れでロジャー海賊団って経歴が身の丈に合ってない・・・アンタの父親は取るに足らないヘボ海賊・・・若様もあまりの滑稽さに笑ってしまうほどのピエロ。海賊王には相応しくない」

「違う・・・()()()()はそう言う意味じゃ駄目かもしれないけど、それだけが全てじゃない!!弱くたって・・・覇気がなくたって・・・人の偉大さは変わらない!!私の()()()()はアンタのとこの卑劣なやつよりも海賊王に相応しい!」

 

ウタははっきりとデリンジャーにそう言うと頭に血管を浮かばせたデリンジャーが笑いながら突撃してきた。ギリギリの所で両手で抑えてデリンジャーの角には刺さらなかったが壁にめり込まされる。

座り込むウタをデリンジャーは問答無用で蹴り続けた。ウタは体を丸めて致命傷にならないようにするが強烈な蹴りで無意味だった。そして何発目かを食らって無理やり立たされた。デリンジャーは無防備になったウタの胴体目掛けて思いっきり回し蹴りをして更に壁にめり込ませた。

 

「ガハッ!」

 

ウタは血反吐を吐いてそのまま倒れた。

 

「ふん、所詮は口だけしか言えない女ね・・・」

 

デリンジャーは殆ど無傷だった。それはそうだ。ウタに攻撃も何もさせなかったし、ウタがどれだけ鍛えても4ヶ月で勝てるほど甘くはない。完膚なきまでに圧倒した事にデリンジャーの加虐心は満たされた。

 

「さてと、殺そうかしら・・・いや、まずは他のコロシアムの奴らをやらないと・・・この女は後で嬲り殺しにすればいいし・・・」

 

無傷で勝った事で油断したデリンジャーはそのまま一段目まで飛んでいくが足をロープで掴まれて思いっきり叩きつけられた。

デリンジャーはまさかと思いながらロープを持ってる奴を見るとそれはウタだった。

 

「てめぇ・・・」

「まだ終わってない・・・殺したいんでしょ??ならこの頭、かち割って見なさいよ!!」

「上等だよ!!」

 

フラフラしていて血が流れてる自分の頭をコンコンと叩いてデリンジャーを挑発するウタ。デリンジャーはその減らず口を止める為に最大速度で突撃する。

ウタはそれを見るとまたロープを何処かに掛けて逃げる。

 

「逃げてばかりで勝てるほどドンキホーテファミリーは甘くねぇよ!!」

 

デリンジャーはそう叫びながら、ロープで空中を進んでるウタ目掛けて突撃する。猛スピードで突撃してその背中から頭の角で体を貫こうとしていた。

しかし、ウタの軌道はデリンジャーの想定とは外れた。

デリンジャーの角が当たりそうになった瞬間、ロープが完全にビシッと張られ、掛けた場所を起点にウタの体ごと一回転し、ウタは飛び込んでいるデリンジャーの後ろに回れた。

 

「なっ!?」

()()空中蹴りサーカス!!」

 

ウタはそう叫びながら、啞然とした顔で振り向いてくるデリンジャーの顔面に思いっきり飛び蹴りを入れて吹き飛ばした。

 

 

 

 

●●●

バギーとの修行でウタはバギーから言われたアイデアに引いていた。

 

「えぇ~、危険な時ほど挑発するの?」

「あぁ、勝ったと思ってる相手ほどハデに油断してる奴はいねぇからな」

「もっと危なくならない?」

「バーカ、それを上手くなんとかするんだよ」

「それってどうやるの?」

「そりゃ、お前・・・自分で考えろ」

「丸投げじゃん!」

「バカ娘、こういったことはなぁ自分で切り開いていくもんなんだよ!!」

 

完全にそっから後を思いつかなかっただけであった。しかし、ウタは弟子としてバギーに教えて貰っていたのでそこから後の行動を本気で自分で考えていた。

 

 

〇〇〇

デリンジャーの近くに上手く着地したウタは膝に手をついて荒い息をしながら、倒れてるデリンジャーを見ていた。さっきの蹴りは良い感じに入ったと思った。このまま歌ってウタワールドに引きずり込もうと考えていたが荒い息を整えるのに精一杯だった。

 

するとケロッとした様子でデリンジャーが起き上がって口から垂れていた自分の血を舐めた。

 

「嘘でしょ」

「今のはちょっと効いた・・・けど、二度はないよ」

 

デリンジャーはウタに息を整えさせないようにもう一度低い姿勢になって構えた。そして自分の鋭い歯をギラギラと見せながら突進してきた。

ウタはどうすれば良いのか流石に今の蹴りが全然通じないとあって混乱しかけるが大事な事を思い出した。

 

『どれだけ強くてもなぁ冷静になれなきゃ負けなんだよ!』

 

ウタはその言葉を思い出して冷静になろうと頭を冷やした。するとデリンジャーの次の動きが()()()()()分かった。

ウタは海楼石の分銅を外して捨ててロープを腕に巻き付けて自分の首の近くで構えるとデリンジャーはその腕に噛み付いた。

 

(こいつ、見聞色の覇気を!?)

 

デリンジャーは咄嗟に防いだ事に驚いた。

ウタは無事にデリンジャーの攻撃を防いだだけでなく、上手く冷静になった事で無事に息も整った。

 

そして少し反応が遅れてるデリンジャーの耳に直接()()を聞かせた。

 

海楼石が外されてる事でデリンジャーの意識はウタワールドに飛ばされて現実世界のデリンジャーは眠った。

 

力なく倒れるデリンジャーからウタはトレジャーマークを取り返して横になった。

 

「トレジャーマークは返して貰ったよ・・・ざまぁみなさい・・・これが終わるまで死んでも寝てたまるか」

 

寝るとウタワールドから解放されるのでウタは眠らないように起きて、息が荒くなりながらも何とかトレジャーマークを取り返したウタは自分の目的が達成したのと結構ボロボロと言う事あって暫く休憩を取ることにした。

 

幹部「デリンジャー」脱落!!








意外に早く書き終わって嬉しい作者です。
割とゴリゴリのウタの戦闘は逆光以来だからおよそ30話ぶりのウタの戦闘シーンでした。
逃げて避けてウタワールドに引きずり込めば勝ちの中でどれだけ危険に出来るかって結構ハードルが高かったのですが寧ろより書く意欲も出て良かったです。
やっぱり戦闘シーンは本当に書くのが楽しいですね。描写は無茶苦茶難しいけど。

次回はどうしようかな・・・取り敢えずハイルディンとウソップの援護射撃は書きます。


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Long shot & hajrudin

遅れてすみません!!
少し難産でしたが書けましたのでどうぞ!!

次は本当にどうしよう?
幹部戦をやってルフィとローにするかルフィとローをやりながら幹部戦をするか・・・視点がこれ以上ごっちゃになるのが嫌なので幹部戦を終えてからルフィとローにします。
なので次はフランキーとゾロ、バルトロメオです。
因みに他の幹部達はそれ以前のサイとかイデオとかチンジャオとかキュロスの活躍をそもそも書いてないのでダイジェストになりますので悪しからず。


ウタがデリンジャーと戦っている最中、ルフィはキャベンディッシュを始めとするコロシアムの面々の手助けもあって2段目から3段目に上がった。そこでまたもや出てきた玩具軍団とそれを率いるグラディウスに足止めを食らうも、カブトムシに乗り何とか間に合ったロビンとバルトロメオの援軍によりルフィ、ロー、後から合流したキュロスと共に王宮前のひまわり畑に先にたどりついた。ディアマンテに殺されかけてたレベッカを救出し、キュロスはそのまま愛するスカーレットの仇討を始める。その間にレベッカに持ってきてもらった鍵でローは海楼石の錠を外し、2人は王宮の中へ入った。

 

しかし、そんな2人にウソップの顔面ビックリ箱から回復して起きてきたシュガーがやってきた。

 

(10年間、コツコツと積み上げてきた全てを一瞬でなかったことにされた・・・復讐は簡単、この手で触れてあの2人を永遠に玩具にすればいい)

 

シュガーは言い争いをしているルフィとローに向かってゆっくりと近づいて行った。

 

 

 

〇〇〇

ほんの数十分前までは王宮があった旧王の台地の上で漸く歩けるほどには回復したウソップが自分達を追ってきてる人々の手助けをした錦えもんとその友人のカン十郎の2人をボコってるとヴィオラが能力の千里眼でシュガーを見つけて目を開いた。

 

「不味い!」

「ん?どうしたんだ?」

「シュガーが復活してる!」

「何っ〜〜〜!!?」

「不味い、麦わら達に触れようとしてる!」

 

その言葉を聞いてウソップは電伝虫を掛けてもルフィやローは出なかった。するとすぐに黒カブトの準備を始めていた。

 

「ウソップ殿、何を?」

「ここからシュガーを狙う!」

 

ウソップは錦えもんだけでなくここにいる全員にそう宣言した。あまりにも遠く離れていて王宮などやっと見えるような距離で狙うなど無謀にも程があって錦えもんは思わずツッコんだ。

 

「しかし、ここから王宮などやっと見えるような距離にござる!ましてや壁のむこうにいる者など・・・」

「やるしかねぇんだよ。俺はさっき、ロビンが玩具に変えられてるのに気づいてすら居なかった!このままだとルフィもそうなっちまう!俺は狙撃手。船長の援護すら出来なくて狙撃手が名乗れるか!おい、カン十郎だっけ!?描いたものが出せるんだよな!?」

「無論でござるが・・・」

「あるものを描いてくれ!!」

 

ウソップはそう言ってカン十郎にあるものを描かせて人形にしたのをホップグリーンで作った弾薬の中に入れた。リク王はそのウソップの姿を見ると腹を決めたのか軍隊長のタンク、ハックに言ってもうすぐ来るであろう群衆を止めて時間を稼ごうと動いた。

 

「タンク軍隊長、ハック。私達はウソップ君を援護だ。少しでも時間を稼ぐぞ!」

「我々も・・・」

「おう・・・」

 

錦えもんとカン十郎もリク王達の元に行くと群衆が登ってきた。星付きを捕まえてドフラミンゴに引き渡せばなんとかなるかも知れないと恐怖心から狙ってきた群衆。リク王達は群衆から逃げずにウソップに手を出させないように食い止めていた。

 

「お父様!?」

「こっちに集中しろ!見えるのはお前の千里眼だけなんだ!!」

 

ウソップにそう言われてヴィオラは千里眼を集中させてウソップに情報を教える。3人がいる庭の位置、シュガーの立ち位置、ルフィとローの立ち位置、窓の鉄格子、格子の区切れにシュガーの身長と地面から窓下部までの高さ、格子の枠と幅。

 

それだけでなくウソップは風を全て計算して集中力を高めると“気配”が見えた。ウソップは芽生えた見聞色の覇気でルフィの位置を正確に見ると撃った。

 

「必殺!!遠距離 蓑虫星(バグワーム)!!」

 

放たれた弾丸は段々になってる台地のある程度近くに来ると第1ブースターの火薬星で後部切り離しと共に少し上昇。2秒後に第2ブースターが発動されて外壁が落ちて弾は水平にそのまま窓の格子の左下を捉えて壁をすり抜ける。弾の大きさにより多少位置がズレてしまうがこの特殊弾はシュガーのトラウマを呼び覚ました。

 

「ぎゃああああああああああ!!!!!」

 

シュガーは弾として使われた先程のウソップの“顔面ビックリ箱”の人形を見て再び驚き、気絶した。

ルフィとローは一体何だったのか分かってなかったが気にすることなくドフラミンゴの元へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウソップが再びシュガーを気絶させたのとほぼ同時刻。ゾロは巨大な石像の上でピーカ本人とやり合っていた。再びピーカは石像の中に入り今度はある程度大きい上半身を形成してゾロを台地の2段目に吹き飛ばした。

 

「チッ、往生際の悪い石だぜ」

「俺の能力を知ったら討てると思ってるとはおめでたい奴だ」

 

ピーカはゾロにそう言うと台地の中に入った。そして2段目の壁から巨大な顔を出してゾロを笑った。

 

「ピッキャピッキャピッキャピッキャララ・・・」

「笑い声か今の!?」

 

独特すぎる笑い声にゾロは思わずツッコんだ。

 

「笑い声なら・・・何か問題でも?」

「バカみてぇで驚いたんだよ」

 

ゾロの本音にピーカは台地の彼方此方に石の棘を2段目と3段目に出現させて貫こうとした。

 

舞踏石(チャールストン)

 

しかし、ゾロはそれらを全て避けてピーカを見て笑った。

 

「しかし、デカいのは良い。さぞかし斬った時は快感だろうな」

「やれるものならやってみろ!」

 

ゾロとピーカの戦闘は台地全体と言う規模が大きい物になっていった。

そんな中でやられそうな者が1人いた。

巨人のハイルディンである。幹部のマッハ・バイスとの戦闘で重さを自由に変えられる能力により、左腕と両足の骨が折られた。

 

「イーい足場だイーン!!あれはロロノア・ゾロ・・・あいつも潰してやるイーン!」

 

ピーカの作った棘に乗ってマッハ・バイスは笑いながらゾロを狙おうと自慢の尻尾で浮き始めた。

ゾロはピーカと戦いながら自分を狙い始めてきたマッハ・バイスを睨んで対応しようとするが立ち上がったハイルディンがそれを止めた。

 

「すまねぇ“海賊狩り”、アイツは俺に任せてくれ」

 

ゾロはハイルディンを一目見るとすぐにピーカとの戦闘に戻っていった。

 

 

 

 

●●●

ハイルディンがバギーズデリバリーに入ったのは名声を得る為だった。

巨人族の王になる夢の為に強くなるとハイルディンは誓い仲間と共に海に出たがどこかの国に所属するのも政府に属されるもの嫌だったハイルディン達は1番自由に動けて尚且つ後腐れが無さそうな王下七武海であるバギーの所に行って傭兵として名を上げていた。

1番喜んでいたのはバギーだったがハイルディン達は一目見たときに分かった。コイツは弱いと一発でわかった。

しかし、名を上げられる。辞めたくなったら気軽に辞められる。宴で沢山食べられるといいとこ尽くしだったのでバギーの顔を立てた。

 

そんな中でハイルディンはバギーズデリバリーにやってきたウタに出会った。文字通り天使の歌声を持ってるウタにハイルディン達も聴いてて楽しかった。

2週間宴が無かった時があって赤髪のシャンクスからの借金(ウタがシャンクス達を混乱させようとしたデマで本当はクロコダイル)を返した後の宴は本当に楽しくて笑った。

 

それから1ヶ月後にハイルディンはバギーからあることを頼まれた。

 

「コイツを捕まえてくれ??」

「そうだ。俺との攻撃はある程度避けられるようになったから後は色んな奴の攻撃を避けられるようにしたい」

 

バギーはウタがある程度避けられるようになったのを確認した後でハイルディンにそう頼んだ。自分よりも強いやつの方がウタの実力も上がるし、デカい攻撃をする奴は偉大なる航路だと珍しくないから逃げられるようになった方が良いという親心から来ていた。

 

面倒くさい物を頼まれたとハイルディンは思った。しかし、名声は上がり政府には狙われない日常と食うものに困らない生活を紛いなりにもバギーから貰っているのでハイルディンは了承した。

 

どうせすぐに捕まえられるとハイルディンはナメていたし、最初の数日は本当にそうだったがウタの伸び方はハイルディンの予想を遥かに超えていた。バギーによって多種多様な攻撃を避けられるようになっていたウタは元々知能が高かった事もあってハイルディンが捕まえづらい場所に行って逃げられるようになっていった。小さい人間1人捕まえられないのは癪であり、ハイルディンも本気で捕まえに行った。それはハイルディンにとっても小さい人間との戦闘に使えて意外にも有意義であり、ハイルディンとウタはこれを気に仲良くなった。

 

ウタがロープを武器にするようになったのもハイルディンとの鬼ごっこで逃げる為だった。

自由気ままにロープを使ってあちこち移動していくウタをハイルディンは純粋に天使だと思った。歌声は聴いてて楽しい。宴も良い。名声は手に入れられる。政府には狙われない。ハイルディンにとってバギーズデリバリーというのは天国のように思えた。

 

「ウタはどんな感じだ?」

「良い感じだ。ここ数日は2人がかりでも捕まえにくい」

 

ある時、バギーがハイルディンにそう訪ねてきたので純粋にウタの今の実力を教えるとバギーは嬉しそうだった。本気で派遣先でライブをやれるかもと思っていた。いつものバギーの打算的目的の為に笑っていた。

 

「そうだ。ウタは殴る蹴るがハデに強ぇわけじゃねぇからハイルディンが守ってくれ。ここで1番の稼ぎ頭だからよぉ」

 

バギーはハイルディンにそう頼んできた。ハイルディンもウタの人気は知っていた。世界政府加盟国非加盟国両方で人気のあるウタを守る巨人族の兵士。

ウタを気に入っていた事もあってハイルディンは了承した。

 

 

 

〇〇〇

ハイルディンは立ち上がりながら、マッハ・バイスを睨みそんな事を思い出していた。

 

(コロシアムは麦わらに破れて・・・ウタも守れねぇ・・・玩具にされて・・・助けられて・・・情けねぇな俺は・・・だが、少なくともまだ腕は1本残ってる!)

 

ハイルディンは残された右拳を握りしめて歯を食いしばった。この一発に全てを掛ける気だった。助けて貰った恩に対して何も返せないのはハイルディンのプライドが許さなかった。

 

(ウタを守れなかった罪でデリバリーはクビだ・・・名声は無くなったも同然だがまだ終わりじゃねぇ・・・助けて貰った恩は返せる!)

 

「おいおいハイルディン!まだくたばって無かったのかイーン?上等だ。地獄の万トンバイス!!砕ける骨は残ってるだろうなおイーン!?」

 

盾を構えながらトントンの実の能力で1万トンまで重くなったマッハ・バイスが落ちてくるのに対してハイルディンは真正面からぶち破ろうと残ってる右拳をぶち込んだ。

 

「無駄だイーン。万トンだぞ!?潰れろハイルディン。ニヒヒヒヒヒ!!!」

「潰されてたまるかぁ!折角、天使がいるってのに鳥かごなんてなぁ趣味が悪いんだよ!!」

 

全身の骨がバキバキに折られていくのをハイルディンは感じ、猛烈に襲ってくる激痛に耐えながら鳥かご目掛けてマッハ・バイスを吹き飛ばそうとした。

 

英雄の槍(グングニル)!!!」

 

ハイルディンはそう叫びながら最大のパワーでマッハ・バイスの盾をブチ壊して吹き飛ばした。

マッハ・バイスはそのまま上空にドンドンと飛んでいって鳥かごに当たると叫び声を上げて落ちた。

 

「クソっ・・・本当に悪趣味だな・・・」

 

全く壊れそうにない鳥かごを見ながら忌々しそうにそう呟いて倒れた。

 

「なに、起きた頃にはこの悪趣味なカゴは消えてる」

 

ピーカとの戦闘をしながらもハイルディンの根性を見ていたゾロはハイルディンを認めてその呟きに返してやった。

ハイルディンはそれが耳に入ったのかわからないがその後、少しだけ笑って気絶した。

 

 

 

 

〇〇〇

一方、港の方ではとある船が出航の準備をしていた。カタクリ達ビックマム海賊団だ。ブリュレの能力は鳥カゴなんて関係ないので鏡の世界から無事に港まで脱出したのだ。

 

「急げ、パティシエ達が戻った今こんな国に用はもうない!さっさと結婚式の準備をしに帰るよ!」

 

ブリュレはそう手下達に指示を出していた。カタクリは妹であるプリンの結婚式を優先すべきかそれともドフラミンゴをぶっ飛ばすのを手伝うべきか迷っていた。

ここまで散々とやってくれた落とし前は付けないといけないが優先すべきは結婚式であり、それは兄のペロスペローや姉のコンポートからも珍しく言われていた。ゆえにドフラミンゴをぶっ飛ばしたいというのはカタクリの“個人”的な感情になっていた。

なのでカタクリはその感情を抑えて船を出そうとしていた。

 

『また会えると良いね』

 

「やっぱり・・・このまま帰るのは無理だな」

「えっ?お兄ちゃん、どうしたの?」

 

ウタの事を思い出したカタクリはそう呟いて船から降りた。ブリュレは突然のカタクリの行動に驚く。

 

「少し待っててくれ」

「ちょっと待ってよ!どうしたの!?“いつも”なら帰ろうとするじゃん・・・“らしく”ないよ!!」

「ブリュレ・・・“俺らしい”ってなんだ?」

 

カタクリはブリュレにそう言った。

ブリュレはその姿に子供の時の・・・まだ口元を隠す前のカタクリが重なると言葉に詰まった。

 

カタクリはそのまま体を変形させて鳥カゴの中に戻っていった。







というわけでウソップとハイルディンが頑張りました。
ハイルディンとウタの話は途中途中で書こうとはずっとバギーズデリバリーの修行編から考えて居ましたが遅れに遅れて気づけばここまで・・・でも書けて嬉しい。

因みに時系列としてはウソップ&ハイルディンが幹部戦撃破最速です。

幹部達の撃破順はウソップ&ハイルディン→フランキー→サイ→バルトロメオ&キャベンディッシュ→ウタ→キュロス→ゾロの順番で行こうと思います。
前回はウタの活躍に集中させたかったので。

・・・やっぱりキュロスとレベッカだけは書こう。でないとウタとシャンクスの話に持っていけない・・・


そしてカタクリの活躍シーンがあるか・・・一応、後2つ活躍を用意してます。どうなるかはお楽しみに!


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Defeat

お待たせしました。
割と短いシンプルな戦闘だったのでそこまで流れを変えずに出来て良かったです。
それではどうぞ。
因みにドンキホーテファミリーで1番好きなのはセニョールです。


ウソップやハイルディンが幹部を撃破し始めた頃、他の幹部達もほぼ同じようなタイミングでやられ始めた。

それはフランキーも一緒だった。

フランキーは先程からずっとセニョールと相手の攻撃をわざと受けて立ち上がり相手を上回ろうとするストロングスタイルの戦闘を行っていた。

お互いに骨のある漢だと認めていたゆえに引くことなく意地で立ち上がり、相手に攻撃をしていた。

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

フランキーの鉄の拳が唸る。

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

セニョールのスープレックスが響き、2人はまた倒れた。

骨と根性で戦っていた。周りにいる工場で奴隷にされていたトンタッタ族やセニョールの取り巻きの女達がその戦いを見ていた。

 

「よ、避けられる攻撃れすよフラランド。もう30回も同じ攻撃を受けて・・・」

「セニョールも同じ拳を30回も受けて・・・」

 

トンタッタ族も女達も心配していた。しかし、2人は立ち上がる。

 

「そりゃ、おめえ。酒場の席で酒を薦められてるのに男がグラスを引く様なマネが出来るかよ。骨のある漢だ。だから俺はコイツの攻撃は一切避けねぇ!!全て受けきって勝つ!それが俺のストロングスタイルだ!!必ず勝つ。てめぇらを再び奴隷にはさせねぇ!!」

「しみったれた酒場より酔わせてくれるじゃねぇかボーヤ。だが俺も負けられねぇ。殆どの幹部達で挑んでてめぇのとこの長鼻に負けた。最早、若に消される運命は変わらねぇが自分の持ち場くらいは意地でも勝たねぇと若に申し訳ねぇんでな!!」

「アウ、うちの狙撃手は惚れ惚れするくらいに漢だろ?」

「あぁ、清々しいまでに骨のある漢だ」

 

フランキーとセニョールは立ち上がった。そしてセニョールはフランキーから離れて距離を空けた状態で自分の能力で地面を泳ぎフランキーにタックルをした。

 

「さっきの言葉を忘れるなよ!俺も歳だ・・・次の一撃で決めさせてくれ・・・どういう意味かわかるよな!?全てを受け切ると言い切ったならこの攻撃を受けて生き延びてみろ!万が一、生き延びたならてめぇの最期の攻撃を俺は全身で受け止める!!」

「上等だ!!」

 

セニョールはそのままフランキーを連れて町の塔の天辺まで泳ぎ切って飛び出した。

 

「今日は悪い空だ。俺も歌姫のような天使ならこのまま飛んでルシアンに会えるのに」

「ルシアン!?」

「ギムレットって息子もいるんだ。だが重力に逆らえねぇ」

「おい、なんの話をしてるんだ!?」

「“鉄人”フランキー。背中は生身だよな?」

「!?てめぇ、それを知って・・・!」

「さぁ、黙ってねぇと舌噛むぞ!!ニャンニャンスープレックス・ヘビーバスター!!」

 

セニョールの最大のスープレックスを生身である自分の背中で食らったフランキー。サイボーグの体から所々煙が出ていた。セニョールは立ち上がって去ろうか考えるがその前にはフランキーは金属音を出しながらも立ち上がって拳を構えた。

 

「・・・参ったよ・・・」

 

セニョールは観念し、全てを受け止めても尚立ち上がったフランキーに負けを認めた。

 

(若、最後まで役立たずですまねぇ)

 

ドフラミンゴにそう心で詫びながら、セニョールはフランキーの最後の攻撃を受け止めた。

 

「フランキーアイアンBOXING!!」

 

どしゃ降り雨のような鉄の拳の連打にセニョールは植物状態になった妻と熱病で死んだ息子の事を思い出しながら吹き飛ばされた。かけていたサングラスは割れて閉じられた目からは涙が溢れていた。フランキーは全てを出し切るとその涙を拭ってやった。

 

「何を泣いてんだ兄弟?いつかまたどこかで会ったら酒でも飲みながら話してくれよ。ルシアンって女の話」

 

フランキーはそれだけ言うとトンタッタ族と共に元の目的であるSMILE工場の破壊に専念した。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

他の幹部達も次々と脱落していった。ベビー5とラオGはこの戦いで成長したサイに恋落と純粋に仕留められてサニー号の上でブルックにやられていたジョーラは復活し、やられていた手下を蘇らせようと治癒能力のあるトンタッタ族の姫のマンシュリー姫の涙を掛けようとしたがその前にレオによって仕留められた。

 

そして手下達の雑兵もダガマの策略の元、イデオやブルーギリーにやられていた。

 

3段目でもグラディウスを相手にバルトロメオ、キャベンディッシュが戦闘していた。バルトロメオと一緒に3段目に落ちてしまったロビンはレベッカだけを先に行かせてしまったので守るためにひまわり畑に上がろうとしていた。

しかし、グラディウスはそんなロビンに狙いを定めていた。

 

投石(カタパルト)パンク!!」

「流動防壁!!」

 

爆発と化した石をロビンに発射するがバルトロメオはバリアでそれを防いだ。グラディウスは忌々しそうにバルトロメオを睨むがムカつく顔を返していた。

 

ロビンは助けてくれたバルトロメオにウィンクで礼をするとバルトロメオは興奮のあまり膝を付いた。

 

(ロ、ロビン先輩がオラに目くばせを!?今のは「ニワトリ君、よくやったわね。私の下僕にしてあげても良くってよ」ってことだべか!?いや、それは欲張りだべ!!しかし、テンション上がってきた!!)

 

キャベンディッシュがグラディウスと戦ってる最中、バルトロメオは調子が上がってきたのもあってバリアをしたまま2人に突っ込んでいった。

 

「バリア突進牛(ブルズ)!!」

「って、なんで僕まで追いかけるんだ!?」

「すまねぇキャベツ!オラも抑えられねぇわけがあるべ!!」

「ワケとは!?」

「テンション上がってんだべ!!」

「知るか!!」

「くそっ、バカ2人相手に手一杯になるとは!?」

「グラディウス、この場においての馬鹿はバルトロメオだけだ!!」

「お前ら2人ともこっちからすれば馬鹿だ!!」

 

手下達と一緒にバルトロメオから逃げるキャベンディッシュとグラディウス。訳のわからない状況になったがそれは突然と一変した。

 

キャベンディッシュが寝たのだ。

突然の事に近くにいたグラディウスと追っていたバルトロメオ、そして手下達も足を止めたが次の瞬間、キャベンディッシュのもう1つの人格である人斬りのハクバが現れて手下達を一掃した。

グラディウスはギリギリの所で避けてバルトロメオはバリアで何とかそれを防いだ。

 

「な、何だべコイツは!?」

 

ハクバはバルトロメオのバリアが忌々しいのか何回も斬ろうと剣を振るうがバリアには傷1つ付いてなかった。

 

「お前、キャベツだべか?一体何ベンデッシュだべ?」

 

バルトロメオがボケをしつつも聞くもハクバは問答無用で斬っていくが全然効果が無いので花畑に上がろうとしていたロビンを睨んだ。

 

「うおい!!今何をチラッと見たァ!?バカな事を考えんでねぇど!?」

 

バルトロメオがそう叫んだ瞬間、ハクバはロビン目掛けて斬ろうと距離を詰めに行った。ロビンはその姿を見ると少しだけ背筋を凍らせたが自分のハナハナの実の能力でハクバを拘束した。

 

「ムダよ。私の前ではスピードは無力。キャベツ君・・・何かご用?レベッカが心配で私・・・上へ急いでるの」

 

ロビンは優しそうにそう言うとハクバに異変が起こった。

 

「待て・・・ハクバ。お前の出現など僕は許可してないぞ!!」

 

拘束された影響なのかキャベンディッシュの人格が出てきた。ロビンはそれを冷静に見ていた。

 

「今のが噂に聞く夢遊病の“ハクバ”ね」

「そうだ。厄介者でね無差別に人を斬りたが・・・オマエの手モ足モバラバラニ斬リ裂イテヤルゾ!ニコ・ロビン・・・黙れハクバ、君には任せておけない!!・・・ダマレ寝テイロ、キャベンディッシュ!!ココハオレガ・・・僕が・・・オレガ、僕が、オレガ、僕が・・・」

「まるで2人で喋ってるようだべ。二重人格ってやつだべか!?」

 

キャベンディッシュとハクバは寝ては起きて主張するという行為を繰り返していた。

 

「僕が僕が僕が!!」

「オレガオレガオレガ!!」

 

間近で見ているロビンは本当にどうしようか困惑していた。

 

「ぼレが!!」

「ハーフ&ハーフ!??」

 

半分キャベンディッシュ、半分ハクバというわけのわからない状態に一瞬なって下から見てるバルトロメオは思わずツッコんだ。

 

「すまない、ニコ・ロビン。もう大丈夫だ」

「今のを見て信用しろと言うの?」

 

ロビンも色々と別の意味の冷や汗をかき始めると突然とロビンの近くの壁が膨らみ始めた。

 

「今の内にカタをつけよう、消し飛べ!」

「不味い、壁を破裂させる気だ!一先ず下のバルトロメオのバリアに!!」

「ダメよ、その間にレベッカに何かあったら!」

「あの野郎!」

 

グラディウスが能力で膨らませていく中、バルトロメオは手にバリアを張って殴りに行った。

 

「いい判断だ、パンクヘア!」

 

グラディウスは少しだけ頭を破裂させて髪の毛を飛ばしてバルトロメオの足に刺すとバルトロメオは痺れて動きにくくなった。

 

「何だべ!?」

「その毛は毒針だ。俺はパムパムの実を食べた全身破裂人間。俺を刺激すればその何万倍の髪の毛が上の2人を貫く!!俺がやられなければ壁は破裂する!!どうする!?」

「どっちにしろロビン先輩に攻撃が及ぶでねぇか!!」

 

グラディウスはそう叫びながら体を破裂させようと大きく丸くなっていく。バルトロメオはどうするべきか考えた。バリアは1つしか張れず、ロビンと自分の両方は守れなかった。キャベンディッシュに頼もうとしたがハクバが出てきて脅してきたのでバルトロメオはさらに頭を悩ましたがロビンに攻撃が及ばないもう1つの方法を実行するために膨らんでるグラディウスに向かって走って行って、自分ごとバリアの中にグラディウスを閉じ込めた。

 

「好きなだけ破裂しろ!!ここは無敵のバリアの中だべ。そのノド笛かっ切ったらぁ!!」

 

バルトロメオはナイフも持って丸くなってるグラディウスに刺した。

 

「道連れの覚悟ありかてめぇ・・・全身破裂(ファッションパンク)!!」

 

グラディウスを刺激した事により、バリアの中で破裂してバルトロメオはその攻撃をもろに食らった。全身ボロボロになって倒れてもなんとか倒した事にホッとするがグラディウスは立ち上がった。

 

「なっ!?」

「残念だったなマヌケ野郎・・・数センチズレてたら危なかったが生憎とお前が指したのは喉じゃなくて肩だ」

 

グラディウスは肩を抑えながらそう言った。全身が丸くなっていた為に首と肩の境目が分からずにバルトロメオは刺す場所を土壇場で間違えてしまったのだ。

 

「俺の意識がある限り、破裂は止まらない!!」

「止めろ〜!!」

 

壁の膨らみはドンドンと大きくなっていった。

ロビンはどうするべきか必死に考えてるとキャベンディッシュの人格がロビンに向かって言いに来た。

 

「ニコ・ロビン!!すまなかった!!ハクバは抑えた僕はキャベンディッシュだ!!だが半分だけハクバの人格を残してる。このままハクバの速度で君をひまわり畑まで逃がす!!僕を信ジロ!!」

(どっち!?)

 

キャベンディッシュの言葉にロビンは迷っていた。

 

「パンク(ロック)・スーパーアリーナ!!」

 

そして、壁は破裂した。

大量の岩石がグラディウスとバルトロメオを襲うがバルトロメオのバリアに守れていた。

 

「良いもんだなバリアとは」

「うぉぉぉぉ!!!」

 

皮肉を込めたグラディウスの言葉にバルトロメオは泣いた。あれだけ防ぎたかったのに自身が起こした醜態のせいで防げなかった事に泣いていたが倒れて上を見ていたバルトロメオは涙が引っ込むほど驚く物を見た。

 

「ナゼ、止メタ!?オマエノ体ダロウ!?」

 

それはハーフ&ハーフ状態のキャベンディッシュがロビンを抱えながら、ロビンに向いていたハクバの剣を自分の手で受け止めていた姿だった。

 

「だったら偶には言う事聞けよ」

 

キャベンディッシュはハクバにそう言うと寝た。ロビンはその姿にややこしいと率直な感想を述べていた。

 

「馬鹿な!あの破裂から逃げるなんて・・・」

 

グラディウスはあまりの速度で動いたキャベンディッシュに驚愕し、警戒を緩めた。バルトロメオはその隙を逃さずに手にバリアを張って思いっきり振りかぶった。

 

「オマージュ神拳 バリバリの(ピストル)!!」

 

そしてルフィのゴムゴムの銃のような動きでバルトロメオはグラディウスの頭をぶん殴って気絶させた。

 

 

残るは最高幹部3人。






というわけもクソもございませんがほぼ原作まんまなので特にあれこれ言う事もございません。

因みに今週のワンピースのベガパンクは色々と衝撃を受けました。もしも本体が爺さんであれが素体とか、あれが本体とか色々と考えてますが。

個人的な願望としてシーザーが科学チームを追い出された理由の奇行と四皇の金を着服してまでガールズシップ通いの理由が【元々は普通というか常識的なガールズシップ通いのシーザーだったけど、四六時中優秀な頭脳を持った人間と実験研究を死ぬほどしたいベガパンクがシーザーとずっと共同実験研究をやりたくて体を女にして「どうじゃ?お前の臨んでいたカワイイ女子とムフフでアハハな実験生活じゃぞ」とか言ってよりガールズシップ通いが悪化して実験と研究が疎かになったシーザーに腹を立てたベガパンクが追い出した】とかなら好み。

なんというか研究と実験に関しては世界最高だけど感情を察する的な部分でポンコツであってほしいと思う作者です。
重くても全然良いし、ギャグでも笑えるし。色々と考察の余地があって楽しいですねwww


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Gear 4

すぐに書けましたが色々と端折ました。
というのもここ最近はモチベーションも下がり、前は毎日投稿出来ていたのに暫く隔日を繰り返しの上にそこまで面白いと思えず・・・と言った所で思いっきって問答無用で切ってみました。
アンケートを取ります!
このアンケートの結果で万国編の書き方を決めますのでご協力お願いします!!


残りが最高幹部になった時にひまわり畑の方で戦っていたキュロス・レベッカ・ロビンとディアマンテの戦いも終わりに向かっていた。

ディアマンテの能力によって鉄球が降り注いでくるという状況になったのにキュロスは鉄球を全て弾いていた。

しかし、ディアマンテはキュロスの残ってる片足を撃ち抜いて鉄球を浴びせる卑怯な戦法を使ったがそれでもキュロスの怒りが強いのか立ち上がり、娘のレベッカに一太刀も使わせないようにたった一人でディアマンテに尚挑んで斬り伏せた。

 

残る最高幹部が2人になった瞬間にピーカが台地にいる全員に牙を向いた。

舞踏石で負傷者や戦い終わった者達を台地から落とそうとしていた。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

その中には当然、ウタもいたが何とかロープを飛び出た石に掛けて落ちずに済んだが上から落ちる面々を見ていた。そこにはダガマとかアブドーラにジェットにウーシー、他にも色々といて負傷して倒れていたハイルディンもいた。

 

「ハイルディン!?」

 

見知った顔なのでウタは一先ず2段目に行こうとすると突然と町で顔が吹き飛ばされていたピーカの石像にまた顔が生えて動き始めた。そしてピーカはそのまま旧王の台地へと向かい始めた。

 

「不味い!!あそこには大勢いるのに!!」

 

ウタはぶら下がってるこの状況では何も出来ないので2段目に上がって歌でウタワールドに引きずり込んでやると意気込みながら上がり始めた。

 

 

 

〇〇〇

一方、ピーカと戦っていたゾロはピーカが自分ではなくリク王達を狙い始めた事、負傷者ばかりを狙った事でキレていた。戦意のない奴を執拗に狙うのはゾロの流儀に反していた。

 

「いいのか!?人を安全に投げる技ではないぞ!!」

「構わねぇ。さっさとやれ!」

「よし、提督キラーボウリング!!」

 

大提督のオオロンブスが刀を3本構えたゾロをピーカに向かって投げた。

もうスピードでピーカの腰目掛けてゾロは飛んでいった。

 

「何あれ?」

 

ウタはそれを下から見ていた。

ゾロは自分の手に持っていた鬼徹と秋水を合わせて回転させ始める。

 

「九山八海一世界千集まって“小千世界”・・・三乗結んで斬れぬ物なし・・・三刀流“奥義”・・・一大・三千・大千・世界!!」

 

ゾロの最大の大技をもって、リク王を殺せると油断していた巨大な石像状態のピーカ真っ二つに斬った。

 

「嘘!?」

 

ウタはそれを登りながら見て目を飛び立たせていた。

ゾロは上半身と下半身に真っ二つになったピーカの上半身をさらに縦に2つに切り裂いた。

体の次は腕と体に分けて腕が少しでも動いたら細かく腕を全て斬って切って斬りまくった。

 

(本体は常に1つ)

 

ピーカの能力の理屈を知ったゾロはそのままピーカを追い詰めていく。

 

「出てこい、ピーカ!!」

「追い詰めて、勝ったつもりか!!斬撃など覇気を纏えば効かん!!お前を叩き落とせば勝ちだろ!?」

「そりゃ、てめぇの覇気が俺を上回ってたらな」

 

ゾロは落ちていくピーカの石像の残骸を蹴ってピーカに詰め寄った。

 

「九山八海斬れぬ物なし・・・三千世界!!」

 

ゾロは三千世界でピーカをぶった斬った。

落ちていくピーカを尻目にゾロは刀に刃毀れがないかを確認しながら旧王の台地にしがみついた。だが先程斬って斬って斬りまくった石像の残骸が降り注いでいたが台地の2段目からゾロに温存するように言われていたエリザベロー2世がキングパンチという当たれば四皇も沈められるという程の威力のパンチの拳圧で石像を吹き飛ばしたり、粉々に粉砕したりしていた。

 

「あのガキ、俺の“キングパンチ”を石掃除に使うとは生意気な覚えとれ!!」

 

自分の必殺技を石掃除に使われて憤慨するエリザベロー2世と彼処から見事にピーカをぶった斬った事に笑うオオロンブス。そしてそれを見てゾロの凄さを間近で見たサイやチンジャオ、そしてサイにプロポーズされたベビー5は唖然としていた。

 

「凄い・・・あんな大きいのをぶった斬るなんて・・・」

 

そして2段目に登ってきたウタはゾロの凄さに驚愕していた。

 

 

 

〇〇〇

一方、王宮では屋内でルフィがケジメをつけようと向かってきたベラミーをジャヤの時と同じように一発で沈め、そうなるようにベラミーを利用したドフラミンゴにさらにキレて戦っていた。

片腕を失いつつもローは、恩人を殺したドフラミンゴに内部から破壊するガンマナイフをルフィと協力してブチ込んだがその傷もドフラミンゴは糸によって修復し、立ち上がった。

そしてローの頭を踏み潰そうとしたがルフィに止められた。

 

覇王色の覇気同士が激突して黒い稲妻が走る。

 

「んな〜!!覇王色の衝突!?奴もそうなのか!?だが、お前じゃ敵わんね〜。ドフィはモノが違う!!出生が狂気を育み、運命が怒りを呼び、この男を盤石な“夜叉”へと変えた!!」

 

近くで見ていたトレーボルは断言した。ルフィはドフラミンゴを蹴り、拳を腹にめり込めせて顎に一発強烈なのをお見舞いした。

 

「ゴムゴムの(イーグル)バズーカ!!」

 

武装色で硬化した腕で吹き飛ばそうとしたがドフラミンゴに避けられた。

 

足剃糸(アスリイト)

 

ドフラミンゴの斬撃の効果がある蹴りがルフィを斬りながら吹き飛ばす。そしてルフィはトレーボルに捕まえられた。すぐに脱出しようとトレーボルの体に拳を当てようとするが武装色をしても通り抜けていった。

困惑するルフィをよそにドフラミンゴはローを殺そうとした。

 

「どうなってんだ!?自然系なら武装色で当たるはず!!」

「ムダだバカゴム!!!」

「麦わら屋、たしかにムダだ。そんなハリボテ野郎相手にするだけムダだ。何より俺はこんなバカ共と一緒にされるのが嫌だった」

「まだ口は動くのか・・・」

 

片腕は斬り落とされて銃弾を撃たれてもなお、ローは態度を崩さずにありのまま感じた事を言っていた。

 

「ん〜〜何をこの死にぞこないが!!」

 

それにトレーボルはキレた。死に損ないのローが好き勝手に言うのが我慢ならずに近づいて語った。自分達最高幹部がドフラミンゴを育てた事、王として英才教育を施した事、そして自分達最高幹部とドフラミンゴの立場は実質的には対等である事をローに言った。

ドフラミンゴは笑うでもただ黙ってそれを聴いていた。

トレーボルはローを自分の可燃性のベタベタ塗れにして爆発させて止めをさそうと自ら持っていた杖にライターをつけた。

 

「俺達、最高幹部とドフィの5人は対等にファミリーを想い!守り立てて来た!!」

「そう思ってんのはお前らだけだトレーボル。俺の目には参謀気取りのお前ですらマヌケな操り人形にしか見えねぇな」

「マ、マヌケな人形!!?」

 

その言葉にさらに冷静じゃなくなったトレーボルはローがROOMを開いてるにも関わらず近づいた。そして杖で喉を貫こうとしていた。

 

「俺も・・・一船の船長・・・二人共麦わら屋任せじゃ面子が立たねぇ・・・“タクト”」

 

ローは残ってる左手の指を上げると先程ドフラミンゴに斬られていた刀を持った右腕を操った。

 

「手!?」

「“死の刀(ステルペン)”」

 

そしてそのまま操って回転させてトレーボルを斬った。

ルフィは攻撃が通った事に驚き、ドフラミンゴはまんまとローの術中にハマったトレーボルに呆れていた。

 

「マヌケが・・・本当に後で覚えておけよ・・・」

 

ドフラミンゴは頭を抑えながらそう言うとトレーボルの本当の姿が露わになってルフィは色々と納得していた。

何故なら斬られた事で能力が解けて出てきたのは非常に痩せ細った体で

今まで見えていた図体の大きい体はベタベタで作った偽物だったからだ。

 

「ロー、お前だけでも・・・」

 

トレーボルは最後の悪足掻きと言わんばかりにライターを自分のベタベタ塗れのローに向けて振り降ろした。

だが、土壇場でルフィがギア2になってローを斬られた片腕ごと助けてひまわり畑にいるロビン達に向かって投げた。

結果としてトレーボルは自滅した。

そしてルフィとドフラミンゴはまだベタベタのせいで燃えてる王宮の上で戦い始めた。

ギア2だと攻撃が軽すぎるとおちょくられてギア3だと攻撃が隙だらけになり、ルフィはドフラミンゴに蹴り飛ばされた。

 

「フフフ、後1時間もすれば鳥カゴは完全に閉じて全員死ぬ・・・国の奴らはお前らを恨むだろうなぁ。お前らが来なければこの国は平和だった!!」

「嘘つけ!上っ面だった!!」

「通りすがりの海賊がヒーローの真似事か?俺の邪魔をしやがって・・・!!!」

「違う、お前が“俺達”の邪魔をしたんだ!!」

 

ルフィの言葉にドフラミンゴは笑いながら聴いた。

 

「俺の友達を傷つけて俺の仲間を怒らせて・・・“ウタ”にまで・・・“俺達の誓った新時代”にお前と鳥カゴが邪魔だ!!」

「フフフフフ!!あの歌姫とお前にそんな関係があったとはな!!さぞかしお前の前で歌姫を殺すのは気分が良さそうだ!!!」

 

ドフラミンゴにとってその情報は嬉しい誤算だった。ウタを殺せばバギー以下とされた屈辱も忌々しいルフィのこの自信も両方払拭出来ると思った。

その言葉を聴いてルフィは確実にドフラミンゴを吹き飛ばす為に左腕を噛んだ。

 

「2度とウタには手を出させねぇ・・・お前をここでぶっ飛ばす!!“ギア4” 筋肉風船 バウンドマン!!」

 

腕に口から空気を入れたルフィはゴムボールのように丸くゴツく膨らんだ。しかも常にゴインゴインと音を立てて弾んでいた。あまりの見た目の変化にドフラミンゴは本気で笑った。

 

「フフフ、おいおい何の冗談だ?真面目にやれ、ゴムの弾力でまともに立てなくなったか?」

「俺は2年間、怪物のようにデカい猛獣達をねじ伏せる為にこの“巨体”と“弾力”が必要だった」

「・・・弾力になんの意味が??」

「黙れ、お前は手も足も出せねぇぞ」

 

ルフィはそう言うとゴツくなって武装色を常に纏った拳を腕の中に畳み込んだ。それは足も同じでルフィはその弾力によってドフラミンゴの目前まですぐに迫っていき、拳をブチ込んだ。

 

「ゴムゴムの猿王銃(コングガン)!!」

 

弾力によって威力を高められた拳によってドフラミンゴは防いでいても威力を抑えきれずにそのまま王宮から町まで吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「あぁ〜、ドフィが・・・王が地に落とされるなんて・・・クソ、すぐにでも回復してあのバカゴムを〜」

 

一方、残された王宮の上ではしぶとくも生きていたトレーボルが吹き飛ばされたドフラミンゴを見て嘆いていた。ドフラミンゴは“覚醒”にも至ってるし、優れた能力者で覇王色の覇気も使える王としての器を持っていたのにたった2つの海賊団を中心にここまでやられるなんて思っても見なかった。トレーボルは何とかしてドフラミンゴを援護しようと考えていた。

 

「所詮は偽りの王と言うことだ」

 

しかし、トレーボルはその声を聴いて瀕死の体で周りは火だらけなのに寒気がし、その考えはすぐに無くなった。

恐る恐る後ろを振り向くとそこにはカタクリが仁王立ちしていた。

 

「カ、カタクリ〜!?べぇ~!!?どうして!?」

「ウチに手を出して無事に済むと思ってたのか?言っただろ、地獄で後悔しろと・・・」

 

カタクリはそう言うと右腕を大きくさせて棘を生やして武装色で硬化した。

港から飛んできたカタクリは散々地下でおちょくってきたトレーボルに最大限の()()()をする気だった。

 

「ま、待て〜!!!」

「断る」

 

カタクリは狼狽えてるトレーボルに棘ノ生えた腕をぶち当てて上に持ってきて下に叩きつけた。

 

「斬・切・餅!!」

 

カタクリの最大の技を持ってトレーボルを叩きつけてそのまま王の台地を全段通過させて地下にある“港”まで沈めた。とりあえず、自分の怒りがある程度済んだのもあってカタクリは冷静な目でルフィとドフラミンゴの戦いを見ていた。

 

「あれが麦わらのルフィの奥の手か・・・全身に覇気を纏った力技・・・嫌いじゃない」

 

カタクリはルフィとドフラミンゴの戦闘を邪魔する気は無かった。寧ろ、観戦する気だった。

 

「見極めるには丁度いい相手だ。お前が本当に“敵”なのか“取るに足らない”小物なのか・・・ロロノアや長鼻は“敵”として認めよう・・・だが船長のお前はどうだ?」

 

これを機に見極めるつもりだった。ルフィが自分達の前に立ちはだかる“敵”なのか、それとも“取るに足らない”ものなのか、ウタに好意を抱かれてるという部分も込みでルフィを見ていた。

 

「武装色とゴムの“弾力”で威力を高めるのはわかる・・・しかし、あの変化はどこかおかしい・・・ずっと“変化している”のはおかしい・・・あいつは本当に“超人系”か?」

 

カタクリは自分の“超人系”の能力に関する知識も加えて考えていた。自分も姿形を変えられるがギア4のように暫くの間、“ずっと姿が変わっている”というのは些か“超人系”からズレてるようにも見えた。

 

するとカタクリの耳なのかそれとも見聞色なのかはわからないが確かに聴こえてきた。

この国で唯一、見聞色を鍛えまくったカタクリのみに聴こえてきた。

非常に小さい“ドラム”の音が・・・






はい、アンケートの内容に移る前にゾロ戦にキュロス戦にロー戦と端を折りまくった事は謝罪します。申し訳ございませんでした。
ただ、最初は書く気ではいましたが端を折った所でルフィとウタとカタクリを書ければ今後には影響が出ないと前回出したあとで気づいて思いっきりやったらこうなりました。

個人的には書いてて楽しいのもこっちでした。

のでアンケート内容は書き方についてです。
前回までのようにある程度、書いていくかそれともメイン以外思いっきって端折るかお選び下さい。どちらが来ても良いようにドレスローザ編というかドフラミンゴ戦は練習も兼ねてこれで行きます。
ただし、サンジの結婚式というメインの部分は端折ません。万国編はウタ視点でその流れを書いて行こうかと思います。

1番、前回のように原作の流れを組んで書くか。
2番、思いっきってウタ視点のみで後はダイジェストにするか。
お好きな方をお選び下さい。


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Katakuri

前回のアンケートで皆様、好意的な意見や助言をしてくださりありがとうございます!!
アンケートは締め切りませんが300票差もあることですので誠に勝手だとは思われますが原作と変わらない部分はこれから端折る方向で行きます。
申し訳ございません。


ルフィはドフラミンゴを街に吹き飛ばすと弾力を利用して飛び、向かっていった。

ドフラミンゴはすぐに立ち上がってルフィを見るが急に目の前からルフィが消えた。

 

「ゴムゴムの犀榴弾砲(リノシュナイダー)!!」

 

ルフィは消えたわけではなかった。ドフラミンゴが視認出来ないほどのスピードで真横まで移動したのだ。

そして両足蹴りの犀榴弾砲をドフラミンゴにぶつけるがドフラミンゴは寸前の所で武装してギリギリ致命傷は避けたがまた吹き飛ばされた。

 

「あのゴム野郎!!」

 

また倒された怒りでドフラミンゴは空中にいるルフィの所まで距離を詰めた。そして糸を放ってルフィを斬ろうとするがルフィはそれを全てぶん殴って弾いていた。弾糸を脳天にブチ込もうとしてもすぐに裏を取られ、ドフラミンゴはギア4に翻弄されていた。

 

「ゴムゴムの大蛇砲(カルヴァリン)!!」

 

ルフィが力が通じずに焦ってるドフラミンゴに向けて拳を放つがドフラミンゴはそれを避けてルフィの腹を斬り裂こうと足剃糸を放ったが武装のままゴムという今までとは違う性質となったルフィの体に困惑し、跳ね返された。

 

「追え、大蛇(パイソン)!!」

 

ルフィはそう叫びながら腕を伸ばし続ける。すると今までと違い、全く縮まずに伸びてさらに途中で軌道が変わっていった。

 

(なぜだ、今度は縮まねぇ!?)

 

そして拳はドフラミンゴの顔面を捉えてまた吹き飛ばした。

 

 

 

 

〇〇〇

カタクリはルフィの大蛇砲を見て愕然となった。それほど今までの技とは異質そのものだった。

 

(なんだあの技は?ゴムの性質を超えてるぞ)

 

今までのギア4の技は縮んだ反動で飛んだり、相手を殴り飛ばしたりしていた。しかし、1回も縮まずに伸び続けてそれが一直線ならまだしも何回も機動を変えてる大蛇砲は明らかにそれまでの技と違っておかしかった。

 

「麦わらのルフィ・・・ゴム人間という情報だが違うと認識せざるを得ないな。あれは“限りなくゴムに近い”別の能力だ・・・」

 

カタクリはそう結論した。

それだけでなくさらに分析を始めた。

 

「本来のゴムの性質を超えてくるのなら、あれは超人系による変化ではない。流動的な体にはなってないから恐らく自然系ではない。だとすると残るは動物系・・・人としての姿からは過度に逸脱はしていない。つまりヒトヒトの実。ゴムのような性質を持ってる体から考えるにマルコやセンゴクのような幻獣種の類だな・・・」

 

カタクリは限りないくらいに真実に近づいたがそこで止まった。そこからなんの幻獣なのかカタクリは分からなかった。何故ならその存在は世界政府によって消されていたからだ。

 

「しかし、動物系なら納得できる部分もある。あのタフさ・・・ドフラミンゴは腐っても王下七武海。幾らゴムを武装色で強化しても相手の武装色を完全に無効化するなんて不可能だ。動物系の持つタフさとゴムの体質の相乗効果なら効かないのは一応納得できる。生半可な武装色では攻撃すら通らんな。ウチであれを打ち破れる武装色はママに俺にスムージー、クラッカー、オーブン、ダイフク・・・かなりキツい能力だな・・・下手にナメてかかると一瞬で首を持っていかれる」

 

動物系と仮定する事で納得する部分が多く出てきた事にカタクリは確信した、ルフィは“動物系の幻獣種”の能力者であると。それも限りなく超人系の能力に近い能力という自然系の能力に近い超人系の能力者である自分とどこか被っていた。

 

「いずれにしろ、敵として葬るなら覚醒する前だ。動物系の覚醒者は手間がかかる」

 

カタクリはそう言ってルフィが敵として来るならさっさと潰そうと考えていた。しかし、内心ではウタの事もあって本気の一騎打ちをやりたいとも考えていた。

 

 

 

〇〇〇

ルフィがドフラミンゴを空中でぶっ飛ばしてる最中、ウタはバルトロメオや他の面々と共に迫りくる鳥カゴ目指して走っていた。

 

「しかし、本当になんとかなるんだべか?」

「大丈夫!なんとかなるよ鶏!」

「どっからでるべ、その根拠!!」

 

ウタとバルトロメオはいつものように言い争いながら走っていた。

 

「なんとかなるわニワトリ君」

「よっしゃ、行くべ!!」

「あんた、本当に後で覚えときなさいよ!?絶対に今度こそそのとさかをむしり取ってやる!!」

「やれるもんならやってみるべ!」

「上等だよ!ここで毟り取ろうか!?」

 

一緒に走ってるロビンに似たような事を言われるとコロッと態度を変えるバルトロメオ。ウタとバルトロメオはそのまま喧嘩を始めていた。

 

「あなた達、仲が良いわね」

 

ロビンがそう言うと2人の顔が思いっきり歪んだ。ウタなんて泣きそうになっていた。

 

「「こんなのが相手は嫌だ!!」」

 

 

 

〇〇〇

「うぉぉぉぉぉ!!!」

「クソボール野郎が!!」

 

ルフィはドフラミンゴに猛攻を仕掛けていた。確実に吹き飛ばそうと両手で大蛇砲を放つが地面から出てきた大量の糸に防がれる。

 

「何だ!?」

「いいか、ひよっこ!悪魔の実の能力にはな“覚醒”っつう1つ上の世界があるんだよ。稀に覚醒した能力は己以外にも影響を与え始める!!」

 

ドフラミンゴはそう言うとルフィの周りの建物が糸になってルフィを捕まえようと伸びていく。

 

「周りが糸に!?超人系じゃねぇみてぇだ!!」

 

ルフィはそのまま飛んで逃げる。ドフラミンゴは捕まえようとしたがルフィの速さについていけなかった。自分よりも上で自由に動いてるルフィに気分が悪くなったドフラミンゴは周りを見た。そしてバルトロメオ達と共に走ってるウタを見つけた。

容赦なくウタを糸で狙おうとしたがその前にルフィにぶん殴られた。

 

「関係ねぇやつを巻き込むんじゃねぇ!!」

「フフフ、どうやら“歌姫”に相当入れ込んでるな・・・」

 

ドフラミンゴの言葉にルフィは狙われた方を見るがウタの髪の毛が赤と白だと思ってるルフィは青髪のウタにまたしても気づかなかった。

 

「??あそこにウタ、いねぇじゃねぇか!お前の言葉には騙されねぇぞ!!」

(こいつは本物のアホか?)

 

あまりのルフィの単純っぷりにドフラミンゴは一瞬固まった。勿論、今のルフィがそんな隙を逃すわけもなくドフラミンゴに向かってもう一度猿王銃を放って吹き飛ばした。

 

「これで終わらせてやる!!」

 

両手を縮めて突っ込んでいくルフィ。ドフラミンゴは糸の壁でそれを防ごうとしたがその前の頭突きで糸の壁が吹き飛ばされた。

 

「ゴムゴムの獅子(レオ)バズーカ!!」

 

ルフィのギア4状態のバズーカを受けてドフラミンゴは離れた所にある王の台地にめり込む程吹き飛ばされた。

大勢の群衆がドフラミンゴを圧倒して倒したことに喜び始める。それはコロシアムの戦士達も同じだったが、ルフィ、ウタ、カタクリ、ロー、ゾロは上を見て警戒していた。

 

「まだだ」

「まだ終わってない!」

「しぶといな」

「終わってねぇ・・・」

「気ぃ抜くんじゃねぇ!!」

 

『鳥カゴが消えてない』

 

全員が離れた場所にいながらも同じ事を呟いた。ルフィは今度こそ倒そうと全力で拳を構えて突っ込んでいくが突然と全身から蒸気と空気が抜けて地面に落ちた。

ギア4の変身時間が切れたのだ。そして大量の覇気を消費した副作用で10分間、覇気が使えなくなっていた。

そしてドフラミンゴは大方の想像通りまた立ち上がって今度こそルフィを殺そうとしたがルフィを助けた者達がいた。

玩具にされて金に目がくらんだ者達だ。

彼らはルフィがここまでドフラミンゴを追い詰めるとは思ってもみなかった。ゆえに詫びの印としてルフィを援護し始めた。

コロシアムの実況人のギャッツの指揮の元、ルフィの身をローに預けたり、ウタを始めとした面々がバルトロメオのバリアで、フランキーを始めとした面々が海楼石で出来た工場で、ゾロに錦えもん・カン十郎・藤虎は武装色で硬化した刀で鳥カゴを止めようとしていた。一部の人間だけではない。海軍も一般人も押し始めてこの場にいるほぼ全ての人間がこの状況を何とかしようとしていた。

 

『押せ〜!!』

『止まれ〜!!』

『根性入れろ!!』

『俺達の国を守れ!!』

『全力で押せ〜!!』

 

この茶番のような状況に苛立ったドフラミンゴは戦士たちを全員倒し、鳥カゴを収縮速度をさらに速めてルフィの首を差し出すように叫んだ。

 

「出てこい麦わら!!」

「彼に手出しはさせないわ!!」

 

戦士たちが倒れている中で叫ぶドフラミンゴの前にヴィオラが現れて立ち塞がった。

 

「ヴァイオレット・・・なんのようだ?」

「元幹部として私だけケジメをつけないのはおかしい」

 

ヴィオラはそう言ってナイフを持った。少しでも時間稼ぎをするためにドフラミンゴを刺し殺す気だった。

 

「ヴィオラさん!!」

 

そして、剣を背負ったレベッカもやってきた。しかし、ヴィオラはレベッカに剣を振るわせる気はなかった。10年間も苦痛の中で生きていた姪にこれ以上の業を背負わせたくなかったからだ。

 

「レベッカは手を出さないで!!あなたにそんな事をさせてしまったら私は姉さんにも兄さんにも申し訳が立たない!!」

「随分と優しいな・・・ヴァイオレット」

「ドフィ・・・あなたにこれ以上、この国を好き勝手にさせない!!私の姉が愛した()()()ドレスローザを取り戻す!!」

 

ヴィオラの言葉にドフラミンゴは嘲笑った。ここに来てそんな事を言うヴィオラが滑稽で大厄日だった今日の中で1番大声で嘲笑った。

 

「フッフッフッフッフッ!!!何を言い出すかと思えばこの国が()()()?10年間もたった1晩のイカサマすら見抜けず、新しく来た英雄に縋って王にしてリク王家を恨み続け、石を投げて罵倒を浴びせ続けたこの国の国民が()()()!?今日で1番笑えたぞヴァイオレット!!」

「最低のあなたにはわからないでしょうね。人の()()()なんて・・・」

「フフフ、俺が最低ならこの国の国民は何だ??餌を求めて群がる犬か?フッフッフッ、この国に元々ねぇのさそんな物・・・」

「ある!!」

 

ドフラミンゴの嘲笑いに噛み付いたのは誰よりもコロシアムで罵倒を浴びてきたレベッカだった。

 

「おいおい、1番浴びてるお前がよく知ってるだろ?この国の国民が優しくないのは??」

「優しい・・・だって、そうじゃなかったら・・・10年間も父親を忘れてるダメな娘をお父さんが愛してくれるわけがない!!嫌われ者の私に優しく声を掛けてくれない!!」

 

レベッカは父親であるキュロスの事や同じようにコロシアムに閉じ込められていた王国の戦士達の事を言った。レベッカにはよくわかっていた。勿論、誰も彼もが優しいわけじゃないが、誰も彼もが敵ではないとちゃんと伝わっていた。そしてそれは母親であるスカーレットが愛した国を信じるのには充分な理由だった。

 

『私が父親でごめんな』

 

レベッカが純粋に父親を信じてる姿にドフラミンゴは子供の頃に自分の手で殺した父親の最後の記憶が蘇った。そして心底レベッカに対して怒りが出てきた。

近くにいて父親の愛を失った自分と遠くにいて父親の愛を受け止めていたレベッカは対照的だった。

 

「小娘がギャアギャアと・・・そんなに大切で優しい国民共の真の姿を見せてやる!!」

 

ドフラミンゴは手を翳した。

ヴィオラにレベッカはそれを見て咄嗟に突っ込むがドフラミンゴは空中に逃げて軽々と避けた。

 

「鳥カゴをさらに収縮すれば怪我人も死人もより増える!!我が身欲しさに必死に相手を蹴落とす!!今のこの大海賊時代はそんな者で溢れて出来てんだ!!お前ら、お花畑にいる箱入り娘どもに教えてやる!!これが人間共の真の姿だ!!」

 

ドフラミンゴはそう言って翳した手を握って一気に鳥カゴを収縮しようとした。

 

ガキンッ!!

 

しかし、それは叶わなかった。

国中に響き渡る程の金属音が全員の耳に聴こえた。鳥カゴを止めようと全力で押していた面々が何の音だと思って力を緩めずに鳥カゴの方を見ると一本一本の糸が宙に浮かんでいたドーナツから出てきた武装色の覇気を纏った手に掴まれていて止められていた。

 

「なにあれ?」

 

バリアを押していたウタはそれを見ながら、圧倒的な力に啞然となり、鳥カゴを収縮しようとしていたドフラミンゴはこの状況に愕然となった。横行際悪く手を動かして鳥カゴを動かそうとするが完全に止められて動かせなかった。。

 

 

 

勿論、その腕だけで鳥カゴが止められたわけではないし、単なる身勝手な奇跡ではない。大勢の群衆が根性を出して頑張ってること、誰しもが諦めずに戦ってること、そしてそれを生んだのが1人の海賊である事から王宮で成り行きを見ていたカタクリは手を貸したのだ。

 

「ドフラミンゴ。お前のように悪趣味な奴は力技でぶっ飛ばすに限る」

 

覚醒した能力者であるがカタクリの無双ドーナツと必死に生きようと押してる面々の根性によって鳥カゴは完全に止まった。










というわけでカタクリの2つ目の大活躍!!
う~ん、普通に化け物すぎる!!

そしてカタクリがルフィの能力の真実に近づきましたがまだ動物系の幻獣種という事しかわかってません!!

・・・マジでギア5の覚醒どうしよう?


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K.O.

お待たせしました!!
これにてドフラミンゴ戦が終わったので次回から漸くルフィとウタが再会しようと動きます!!果たして2人は再会できるのか!!




ドフラミンゴは完全に鳥カゴを止められた事に驚き、呆然となった。最後の切り札とも言える技が潰されたからだ。

想定してない状況に愕然となり、地面に降りて手を動かし無理やり鳥カゴを動かそうとしてもビクともしなかった。

 

「カタクリぃ!!!」

 

誰がやったのかすぐに分かった。大厄日すぎる事にそろそろ現実逃避でもしたくなってきたがそんな考えは隙を付いたヴィオラの渾身の蹴りで吹き飛んだ。

顔面に思いっきり蹴りを喰らってドフラミンゴはよろけた。

 

「いい蹴りだなヴァイオレット・・・」

「10年間の思いが込められた蹴りはどう!?」

「フフフ、たかが一発まぐれで入れられたくらいで調子こいてんじゃねぇぞ小娘!!」

 

ドフラミンゴは手を動かし、宙に張り巡らした糸でヴィオラを拘束し、レベッカも操り始めて剣を構えさせた。

 

「裏切り者には相応しい・・・死に方がある・・・肉親に殺される事だ・・・」

 

ドフラミンゴはそう言いながら、ローの恩人であり自分の弟だったコラソンことロシナンテを殺した所を思い出していた。

 

「いやだ・・・体が勝手に・・・」

「やめなさい!!レベッカは関係ない!!」

「死ね」

 

ドフラミンゴは剣を持ったレベッカをヴィオラの元へ進ませる。

 

 

 

〇〇〇

カタクリは町の状況を見ながらも鳥カゴを止めることに集中していた。このまま自分の手でドフラミンゴをぶっ飛ばす光景を頭で思い浮かべてさぞかしそれは気分が良くなるだろうと思いつつもカタクリは町には行かなかった。

ただ単純にこの国に対してそこまで義理は別にないのと1つ見てみたくなった。

 

「麦わらのルフィ・・・お前が俺の“敵”なのかこれでわかるな」

 

ルフィがドフラミンゴをぶっ飛ばす所をカタクリは純粋に見たくなった。カタクリは見聞色で見ずともなんとなく分かった。この戦いがどうなるにせよ世界を揺るがすとそれをやるのが自分達の所に喧嘩を売ったルフィなら見てみたかった。

 

(お前()ウタに惚れてるなら、必ず決めろ)

 

カタクリはそう思いながらルフィの復活を待っていた。

 

 

 

〇〇〇

『皆さん、もう少しの辛抱だ!!』

 

ドフラミンゴがレベッカを使ってヴィオラを処刑しようとしていた所に国中に響き渡るようにギャッツが拡声電伝虫で話し始めた。

 

それは突然と今日のコロシアムで暴れ回って優勝した『ルーシー』の事だった。自由に戦闘をして観客を魅了させて痛快な試合をした事を話し始めた。

 

「嫌だよ・・・ヴィオラさんを斬るなんて・・・嫌だ!!」

 

ドフラミンゴはそんなギャッツの実況に耳を傾けようとせずにヴィオラを処刑しようとしていた。

 

『剣闘士ルーシー、またの名を“海賊”麦わらのルフィ!!そうルーシーはあの世間を賑わせてる海賊の麦わらのルフィだった!!10年間も海賊に騙されていてさらに海賊を信じるのは難しいだろう!!しかし、リク王を持って“希望”と言わしめた彼は傷つき倒れてしまったが、必ず立ち上がり約束した!!』

 

ギャッツの実況は人に希望を与えるほどに情熱的だった。“愛と情熱と妖精”の国のコロシアムの実況者に相応しい実況だった。

 

『ドフラミンゴの一発KO宣言だ!!』

 

その言葉に国中が湧き上がり、ドフラミンゴは流石に無視できなくなった。

 

 

〇〇〇

「うぉぉぉ!!ルフィ先輩ッパねぇ!!」

「ルフィったら言うじゃん!!」

 

ウタとバルトロメオがバリアを押しながらその言葉に笑っていた。2人だけではないあまりのエンタメ的な逆転を約束したルフィにその場にいた全員が笑った。

 

王宮の方ではそれを聴いたカタクリも笑った。

 

「ふん、面白い・・・気に入った・・・」

 

シンプルかつ面白い事を約束したルフィが口だけなのかそれとも本気でやるのかカタクリは益々どうなるか内心見たくなっていた。

 

ゾロもフランキーもルフィのその言葉を信じてただ鳥カゴを押していた。

 

 

 

〇〇〇

『聴こえるか!?ドフラミンゴ!!ここが我々を欺き、操ってきたお前に相応しい処刑場だ!!』

「ギャッツ」

 

拡声電伝虫でドフラミンゴを挑発して少しでも気を引こうとしているギャッツは大声でカウンドダウンを始めた。

 

『ルーシーの復活まであと“10秒”!!』

 

その言葉を期に国中でカウントダウンが始まった。

 

『9!!』

『8!!』

『7!!』

『6!!』

『5!!』

『4!!』

『3!!』

『2!!』

『1!!』

 

国中のカウントダウンにうんざりしたドフラミンゴはギャッツを糸で貫いて、茶番と断じ、ヴィオラの処刑を再開した。これでこのくだらない茶番も終わると思ってレベッカに剣を振るわせてヴィオラを斬ろうとした瞬間に蘇ったルフィの頭突きで剣がへし折れた。

 

『ルーシーの復活だ!!』

 

それを見ていたギャッツはそう言うと国中が歓喜に溢れていた。

ドフラミンゴは立ち上がったは良いがフラフラのルフィを見て笑った。覚醒している自分なら同じようにフラフラでも負けるわけがないと思った。

 

「本当に覇気は戻ったのか“ルーシー”・・・随分とフラフラのようだが?」

「それはお前もだろうが!!」

 

叫ぶルフィにドフラミンゴは容赦なく糸で体を貫こうとするがルフィは武装色でそれを防いでいたが吹き飛ばされた。

 

「ルーシー!!」

 

レベッカがそれを見て叫ぶとドフラミンゴはレベッカもヴィオラも殺そうと糸を向けるがローによって逃げられた。後でローもろとも殺そうと決めて先にルフィの方をやることにした。

やることにした。

 

海原白波(エバーホワイト)!!」

 

町中の能力の届く範囲の全てを糸にしてルフィを嬲っていくドフラミンゴ。吹き飛ばされて倒れるルフィ。ドフラミンゴはルフィを糸で操って無理やり立たせた。

 

「か、体が・・・勝手に・・・」

「どいつもこいつも俺のカゴの中で操られていればこんな大虐殺をせずにすんだんだ!!」

「カゴ?・・・操る?・・・いい加減にしろ!!」

 

ドフラミンゴの言葉にルフィはキレてギア4“バウンドマン”を発動して糸を無理やり引きちぎり、上に飛んだ。

 

「俺を相手に空を選ぶとは・・・見せてくれるのか?“一発KO”ってやつを?」

 

ドフラミンゴもそれを追って上に飛んでいった。

ルフィはある程度飛んでいくと追いかけてくるドフラミンゴに向かって拳を構えた。

 

「お前は何でもかんでもカゴに閉じ込めてどいつも操ろうとして俺は息が詰まりそうだ!!」

「恨むなら血を恨め!!俺はお前ら人間とは違う!!俺の上に来るなんてなぁ気分が悪い!!」

 

ルフィはバウンドマンの状態でさらに腕に空気を送って巨人族の拳まで大きくさせた。ドフラミンゴもそれを見て“蜘蛛の巣がき”をやって防御態勢を取る。

 

「お前をぶっ飛ばして()()は“新時代”に行く!!」

「ほざけ小僧!!お前の次は真っ先に“歌姫”を一緒の場所に送ってやる。地獄で式でも上げてな!!」

 

ルフィはドフラミンゴを防御ごとぶっ飛ばそうと拳を構えて、ドフラミンゴはそれを見て全てを貫こうと下から武装色で硬めた16本の糸の束で貫こうとしていた。

 

「ゴムゴムの大猿王銃(キングコングガン)!!」

神誅殺(ゴッドスレッド)!!」

 

2人の大技がぶつかりあった。

そして勝ったのはルフィの大猿王銃だった。神誅殺や蜘蛛の巣がきを全てぶち破ってドフラミンゴに渾身の一撃をぶつけるとドフラミンゴの耳に聴こえてきた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が確かに耳に聴こえてきてドフラミンゴはそのまま下に叩きつけられて地下にある“港”まで落された。

 

漸くドフラミンゴが倒された事で鳥カゴは消えた。鳥カゴを押していた面々は急に消えた事に対応できずにこけた。多くの群衆がどうなったのか分からないままで混乱しかけているとドフラミンゴに貫かれたのに根性で立ち上がったギャッツが拡声電伝虫の受話器を取った。

 

『カゴの外に広がる風景は切り刻まれた町か・・・はたまた、もはや操られる事のない“自由”の地か!!【ドレスローザ国防戦】海賊ドンキホーテファミリーVSこの場に居合わせた運命の戦士たち。その“大将戦”!!“王下七武海”ドンキホーテ・ドフラミンゴVS“剣闘士”ルーシー!!』

 

ギャッツは盛り上がる実況をしていくが喜びのあまり号泣していた。非常に締まらなかったが実況者の意地なのか声を振り絞って叫んだ。

 

『勝者はルーシー!!!』

 

その叫びと共に国にいた者全員が喜んだ。10年間の嘘に真実、そして国民を全て殺そうとするドフラミンゴの魔の手と混乱だらけの1日だったが漸く終わった事に歓喜した。

 

ルフィは無茶しながらやったバウンドマンの反動で気絶して、嬉し涙を流してるレベッカの膝の上で寝ながら笑っていた。

 

ウタは喜びのあまり、仲の悪いバルトロメオと一緒に泣いて喜んでいた。そしてお互いにさっき言った内容を思い出したのかまた元気よく笑いながら喧嘩を始めていた。

 

カタクリはそんな国を見ながら、本当に一発KOを実行したルフィに帰る前に一度話でもやりたいと思いながら船に戻っていった。

 

 

 

〇〇〇

全てが終わり、ホッとしているリク王の元に藤虎が大勢海兵を連れてドンキホーテファミリーを全員拘束するように言いながら、海兵に電電虫を起動させてありのままの真実を語り始めた。

ドフラミンゴを王下七武海に入れて好き勝手させていた事、この国の平和を奪った事、市民を危険に晒した事を電電虫を通じて世界中にバラしていた。

 

「一体何を?」

「政府に代わって深く深く詫びを申し上げます!!本当にすまん事をしやした!!」

 

海軍大将である藤虎と大勢の海兵達がそう言いながら土下座した。リク王はそれを見て藤虎の考えを察した。全ての責任から逃げない為に政府に隠蔽させない為にわざと参戦してなかったのだ。

リク王はその覚悟をしっかりと受け止めてタンクにルフィを始めとする海賊や戦士達を王宮に匿うように言うととある“リスト”を持ってこの土下座の映像が流れてる電電虫の前に立って話始めた。

 

『私は元ドレスローザ王国国王のリク・ドルド3世だ。此度のドフラミンゴによる大混乱が起こったのも政府のせいだと海軍大将の藤虎は詫びを入れてくれたが10年前に良いように操られた私の不始末でもある!国民は私が王に戻ることを願っているが私も自身の不始末に対して“責任”を取らないのはおかしい。よって今からこの国を救うために戦ってくれた“戦士達”の名前を読み上げる!!大勢いて全員ではないが彼らは確かにドンキホーテファミリーの幹部を倒した者たちだ!!』

 

全てを見通すヴィオラの能力によって作られた幹部を撃破する為に戦った者達のリストを読み上げていった。

 

『バギーズデリバリー所属“海賊”【ハイルディン】!八宝水軍13代目棟梁“海賊”【サイ】!バルトクラブ海賊団船長“海賊”【バルトロメオ】!美しき海賊団船長“海賊”【キャベンディッシュ】!ヨンタマリア大船団“提督”【オオロンブス】!トンタッタ兵団“戦士”【レオ】!ドレスローザ王国“兵隊長”【キュロス】!ドレスローザ王国“剣闘士”【レベッカ】!“ディアス海戦A級戦犯”【スレイマン】!“格闘家”【イデオ】!“格闘家”【ブルーギリー】!“賞金稼ぎ”【アブドーラ】!“賞金稼ぎ”【ジェット】!プロデンス王国“軍師”【ダガマ】!プロデンス王国“国王”【エリザベロー2世】!一般人“歌姫”【ウタ】!そして麦わらの一味所属“海賊”【ニコ・ロビン】!麦わら一味所属“海賊”【フランキー】!麦わら一味所属“海賊”【ウソップ】!麦わらの一味所属“海賊”【ロロノア・ゾロ】!ハートの海賊団船長“海賊”【トラファルガー・ロー】!麦わらの一味船長“海賊”【モンキー・D・ルフィ】!』

 

名前を読み上げたリク王はもう1人いる“立役者”が公表したら殺すと忠告してきた事を思い出しつつも笑い、最後の言葉を言った。

 

『今、読み上げた者達はドレスローザ王国にとって英雄である!!私は()()として彼らに心から感謝すると共に彼らを“客人”としてもてなす!!この事を言ったのは何も知らない者達が彼らを貶めさせない為だ。ドレスローザ王国国王リク・ドルド3世はここに宣言する。勇敢なる彼らによって救われたこの命に変えても再びこの国を復活させることを!そして生涯、命を掛けて彼らの偉大なる功績を語り続ける事を誓う!!』

 

その演説はあまりにも世界中に衝撃を与えた。

戦士に海賊に賞金稼ぎに王族に格闘家に歌姫。

あまりにもデタラメな組み合わせに驚き、そして多数が“海賊”だった。

リク王は最初は何も言う気はなかった。しかし、ヴィオラによってただ来ただけの一般人のウタまで戦った事を知ったリク王は覚悟を決めた。

戦闘職でない者まで戦ってくれてるのに自分が何もしないというのは許せなかった。しかし、何も出来ることはなかった。だからリク王は少しでもと思って国を救った“英雄達”に対して感謝の言葉を述べて世界中に拡めたのだ。

 

 

この件はすぐにニュースとなって世界中に拡がった。

“海賊”が国を救うという奇妙な事は誰にも隠蔽も歪曲もされずに人々に伝わっていって世界に衝撃を与えた。

 

ルフィとウタが願ったものかは分からないが確かに“新時代”に向かって少しずつ世界も動き始めていた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

リク王の演説と共に多くの戦士達が王宮に案内された。ルフィら麦わらの一味は堅苦しいところにいたくないとの事で寝てるルフィを連れてキュロスの自宅を貸してもらい、ウタはハイルディンと共に王宮に行った。

 

「ハイルディン、これからどうするの?お父さんに言えば許してくれると思うけど?」

「いや、バギーズデリバリーは出ていく。ケジメはつけねぇといけねぇからな。それに宛はある。バルトロメオとサイとオオロンブスがある計画を立てていてそれに便乗させて貰うことになった」

「へぇ~、お父さん怒るだろうなぁ〜」

「あの“赤髪”を倒した男に狙われるなら本望だ。仲間と共にすぐにやられる前に出ていく」

 

シャンクスを倒した事を知ったハイルディンはバギーを完全に自分よりも強いと思っていた。そしてそんなバギーに命を狙われるなら、寧ろ本望だと思った。巨人族の王になる男が“王下七武海”を倒せないのもおかしい話なのでハイルディンはシャンクスを倒したバギーをいつか“超える”事を誓いながら、新しい道に進む事を決めた。

 

ウタはそんな風に自分の道を歩き始めたハイルディンと少し離れてふと窓の外を見るとそこには人に知られないように抱き合ってるキュロスとレベッカの父娘の姿が見えた。

 

見聞色が目覚めたウタはすぐに確信した。あの2人は父娘なんだと。そしてウタは羨ましいと思いながらもノンビリしてると兵士の1人が慌ててウタを呼びに来たのでウタは向かうとそこには電電虫が待機していた。

 

ウタは誰からだろう?と思って受話器を取った。

 

『もしもし?』

『ウタ、無事か!?』

 

それは本当に今、聞きたかった声だった。ウタはそれを聞くと少し固まったがちゃんと現実を自分で認識するかのように声を振り絞った。

 

『シャンクス・・・?』

 

相手はウタの()()であるシャンクスからだった。







というわけで無事にドフラミンゴ撃破!!
長かった!!
そしてルフィとウタの物語も漸く進展します!!
まぁ色々と失敗しましたがドレスローザ編の自己批評は終わってから赤裸々にします!


それでは次回、ルフィとウタが再会する前にシャンクスとウタの話をお楽しみに!!


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Reunion

多くは語りません。
それではどうぞ。


ウタは電伝虫から流れた声に驚いた。

 

「シャンクス・・・なんで?」

『良かった!!無事だったのか・・・良かった・・・良かった・・・バギー!!ウタは無事だぞ!!』

「おじさん!?おじさんもいるの!?」

『なんだよウタ。俺よりもバギーかよ〜』

「当然だよ!!」

 

シャンクスがいじけるとウタは問答無用でバギーを優先した。シャンクスはよりいじけた。

 

『まぁ、無事で良かった・・・何があったのか分からないが電伝虫でドレスローザの事は知ったよ・・・戦ったのか?』

「うん、おじさんに鍛えられたから。それにおじさんに預かってる物を奪われて凄く悔しかったから・・・」

『そうか・・・ウタ・・・ごめんな・・・』

「シャンクス?」

『あの時も今も・・・側に居てあげられなくてごめんな・・・お前の事を一瞬でも忘れちまってた・・・凄い辛くて情けなくなって、今はバギーと一緒にドレスローザに向かってる・・・ごめんな・・・いつもごめんな』

 

涙を堪えながら話しかけてくるシャンクス。ウタもそれを聞いて泣きそうになったが堪えた。本当はシャンクス達の事はもう許してるし、仲直りしたいがここで変に許すとまた居なくなりそうで嫌だったからウタは勇気を持って我儘を言った。

 

「なにそれ・・・電伝虫で謝ろうっての・・・アタシはそんなんじゃ許さないから・・・」

『ウタ・・・』

「今度、エレジアでライブをするから、ゴードンが必死に色々と準備をしてくれてるの・・・来てよ・・・3日間やるつもりだから・・・来てよ・・・聴きに来て・・・最後の日の最後の曲だけでも良いから絶対に来てよ!来なかったらもう本当に許さないから・・・絶対に絶対に絶対にシャンクスの娘を辞めるから・・・一生、バギーおじさんの娘だから、来てよ・・・()()()()!」

 

ウタは泣きながらそう言った。シャンクスにお父さんと呼んで我儘を言った。12年間も放ったらかしにされた色んな感情を込めて勇気を出して言った我儘だった。

それを聴いたシャンクスは優しく言い始めた。

 

『行く・・・必ず行く!・・・どんな事があっても絶対に行く・・・俺達は絶対に行くから・・・あと少しだけ・・・待っててくれ!!』

 

受話器からシャンクスの力強い言葉が返ってくるとウタは今度こそ涙が溢れて止まらなかった。

 

「ありがとう・・・待ってるから・・・」

 

グズグズと鼻を啜りながらウタはそう言った。

 

『ほ・・・バギーに代わるか?』

「うん・・・変わって・・・お願い」

 

シャンクスは仲間に代わろうかと一瞬言いかけたがバギーにした。ウタもバギー相手には気軽に話しかけてるからシャンクスはそっちの方が良いと思ったし、ウタもバギーを望んだ。

 

『変わったぜウタ』

「おじさん・・・ごめんなさい・・・一杯迷惑掛けちゃって・・」

『ったく、今度やったらただじゃおかないからな』

「ごめんなさい」

『無事で良かった・・・本当に・・・心配したんだぞ!?本当に凄え心配して・・・良かったよぉ!!』

 

受話器からバギーが号泣してるのが分かった。ウタは色んな人に心配かけさせた事に申し訳なくなった。

 

『グスっ・・・それでなんのようなんだ?・・』

「アタシ・・・本当におじさんの事も・・・お父さんだって思ってるから・・・助けてくれて一緒に居てくれて本当に嬉しかったから・・・だから・・・お父さんってこれからも呼んでいいかな?」

『・・・駄目だ』

 

ウタは心のままにそう言ったがバギーに拒否された。嘘偽りない事なのに拒否されて辛くなった。

 

『でないとシャンクス達にまた狙われるからな・・・俺よりもシャンクス達に言ってやれ・・・分かったな?』

「・・・うん、分かった・・・バギーおじさん・・・大好きだよ」

『ありがとよ』

 

おとぼけたバギーの言葉にウタは頷いて電伝虫を切った。漸くシャンクスとも会えるかもしれないと嬉しくなったが、バギーに拒否されたのは少し辛かった。

しかし、“バギーの娘”と名乗ることを拒否されてはいないからシャンクス達と本当に仲直りするまで“バギーの娘”でいようと思った。

 

(自由に生きるのが海賊ならアタシも自分の父親を自由に決めるんだから!)

 

ウタは気持ちを新たにしたのでもう寝ようと思って戻っていった。

そしてそんな部屋の様子に聞き耳を立てていた男がいた。

 

「歌姫UTAは赤髪の娘・・・あの人に報告だな」

 

兵士の格好をしていたクロコダイルの部下であるMr.1ことダズだ。クロコダイルからウタの事を調べるように言われていたダズは本当に誰にも知られることなく密やかかつ必要な情報のみ手に入れたのですぐにこの国から出た。

 

 

 

〇〇〇

それから次の日、ウタは東にあるカルタのキュロスの自宅の場所を教えて貰ったので漸くルフィに会えると思って走っていた。

 

(ルフィ・・・漸く会えるね・・・会ったらなんて言おうかな?久しぶり!元気にしてた!?・・・これじゃ、シャンクスと同じじゃん!!・・・こっちは元気にしてたよ、ルフィは!?・・・って中身は一緒か・・・色々聞きたいなぁ・・・えっとあの女帝・・・は後で絶対に聞くとして・・・目の下の傷とか・・・あと・・・えっと・・・色々と考えておこ!)

 

ウタはそこまで考えた後で不意に瓦礫の中の壊れた鏡から自分の姿を見るとウタは青髪のままだった事を思い出して戻った。

 

「戻してから行った方が良いよね・・・」

 

ウタは一先ずお風呂を借りに王宮に戻った。

それから数分後、本来なら後2日ぐらいは寝てそうなルフィだったがまだウタがこの国にいると分かったので根性で起き上がってウタを探していた。

 

「ウタぁ〜!!!どこだ〜!?」

 

ルフィはそう叫びなら走って周りにいないか探していたが運悪く見つからなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それから少し時間が経って無事に青髪から元の紅白髪に戻ったウタはルフィに会いに行こうと同じ場所を走っていた。

 

一方、その頃ルフィはというと・・・

 

「レベッカ!!ここにウタは居ないのか!?」

「ウタならさっきまで居たけど・・・どうしたの?」

「いや、居ないんなら良いんだ。邪魔したな!」

 

ウタと入れ違いに王宮に来てしまっていた。服を剣闘士の鎧から露出の低い普段着に変えていたレベッカはルフィにウタは居ないことを言ってあげた。

そして自分は父親であるキュロスから昨晩貰った手紙を読み始めた。

 

ウタは町中を走ってルフィの元へ向かっていたが途中で町の人の声を聴いた。

 

「おい、ルーシーが王宮の方に居るって本当か?」

「あぁ、確かにこの目で見たぜ!」

「よし、行ってお礼を言わないと!!」

「行こうぜ、俺達を助けてくれた英雄だ!!」

 

ルフィが王宮に居たことを話していた。ウタは家に行くべきか迷ったがすぐにルフィに会いに行きたいので王宮に戻った。復興作業を手伝ってる海兵達がいる場所のど真ん中を通って向かった。

 

ルフィはレベッカからもう居ないことを言われたので元来た道を戻ればそのままウタに出会うのだが、海兵達を見てルフィはそこから離れた。

 

「今は海軍に追われる暇はねぇ」

 

リク王の演説をそもそも寝ていて聞いておらず、更に言うと普段から基本的に海兵の相手はあまり積極的にしないルフィは何時も通り海兵から離れた場所を進んでいた。

 

こうしてお互いにまたすれ違った。

 

ウタは全力で王宮に戻ってきたのは良いがルフィがまた王宮を出た事を知って頭を抱えたくなった。

 

「えぇ~!?ルフィもう帰ったの!?」

「う、うん・・・ウタを探してたけど・・・」

「そう・・・分かった。レベッカごめんね邪魔して!」

 

ウタはレベッカにそう言うとキュロスの家のあるカルタまでまた走っていった。今度こそ会えるかと思ったが2人の思い通りにはならなかった。

 

「ウタが王宮にいたぞ!」

「ルーシーがアカシアにいたぞ!」

「ウタがセビオにいたぞ!」

「ルーシーがカルタに!」

「ウタがプリムラに!」

 

お互いに早く会いたくて会いたくてしょうがなくてただ待つ事なんて出来ない2人は必死に相手を探してドレスローザ中を駆け回っていた。こうしていると普通ならいつかは会いそうなものだが出来なかった。何故なら、復興支援の為に国のあちらこちらに海兵たちがウヨウヨといてウタは一般人なので堂々と問題なく突っ走っていくがルフィは自分が海賊である事を知ってるので海兵達と戦闘にならないように避けて進んでいた。

 

「ルフィ、何処〜!?」

「何処だ、ウタ〜!?」

 

こうして2人とも昼から会おうと頑張って走っていたのに会えないすれ違いを延々と繰り返して気づけばもうすぐ夜になろうと日が落ち始めていた。

 

ウタはヘロヘロに疲れてしまってカルタのキュロスの家の近くまで来たがあまりにも頑張って会えなかった事に心も疲弊していた。

 

(今日は会えなくても明日がある・・・大丈夫・・・)

 

もしかしたら家にももう居ないかも知れないと思ったウタはハイルディンに心配をかけさせない為にも王宮に帰ろうと振り向いたら見つけた。

意気消沈した様子で顔をうつ伏せて歩いてくる麦わら帽子を被った想い人がこっちに向かって歩いていた。

 

「ルフィ・・・」

 

それに気づいたウタはヘロヘロに疲れてる筈なのに走れた。早く会って色々と話したい事がたくさんあったからウタは走れた。  

 

「ウタ?・・・ウタぁ!!」

 

走ってる音に気づいたのかルフィは顔を見上げてウタに気づいて自分もまだ傷が癒えてなくて倒れそうなのに早く会いたくて走り始めた。

 

2人とも目から涙がポロポロと溢れていた。

ウタは久しぶりに会えたことにルフィはウタが無事だった事に泣いていた。

 

「ルフィ!」

「ウタ!」

 

2人は相手に向かって同じくらいの距離を走ってそして互いに抱きついたがルフィが思った以上にボロボロだったのもあってウタが抱きついた瞬間、ルフィは倒れて2人は地面に横になったが泥がつこうが痛かろうがお構いなしに相手を抱きしめていた。

 

「ルフィ・・・ルフィ!!」

「ウタ・・・良かった・・・無事で良かった・・・」

 

下敷きになってるルフィにそう言われてウタは涙を流しながら少し離れてルフィの顔に触れた。両手で頬を触って本当にいるのを確認するともっと涙が溢れてきて止まらなくなっていた。記憶の中にいた頃よりもウタワールドで縋っていた幼い頃よりもずっとリアルでそして暖かい温もりがあって嬉しさのあまり、ウタは先程まで色々と会ったら話そうと思っていた事を全て忘れてしまった。

 

凄く号泣してるウタを見てルフィも両手でウタの頬を触って涙を拭おうとしたが全然止まらなかった。

 

「なに泣いてんだよ・・・」

「ルフィこそ・・・」

「俺は泣いてねぇよ・・・」

「・・・そう言う事にしといてあげるね・・・」

「なんだよ、無茶苦茶泣いてる癖に・・・」

「だって・・・だって・・・()()()()()()

「ウタ・・・俺・・・言いたいこと一杯あって・・・冒険の話とか色々とさっきまで考えてたけど・・・上手く言えねぇや・・・嬉しくて・・・すげぇ嬉しくて・・・」

「アタシも・・・一杯あるの・・・けど嬉しくて・・・全部飛んじゃったよぉ・・・」

 

2人はお互いに似たような事を考えていたのもあって自然と笑みが溢れた。ニコッと2人は笑ってルフィはそれで涙が引っ込んだがウタは寧ろより涙が出てきた。

昔と色々と変わってもこの笑顔だけは決して変わっておらずウタの心には色んな感情が溢れた。

そして堪えきれなくなったウタは仰向けになって下に倒れていたルフィの胸に頭をうずめた。

 

「うぅうぅ、うわぁぁぁ〜〜〜!!ル”ブィ〜〜〜!!会いだがっだよぉ!!ずっどずっどアダジざびじぐでざびじぐで、ル”ブィ〜!!あぁぁ〜〜〜〜!!も”う”会えないんじゃないがっで不安だっだ〜〜!!アダジ一人ぼっちのま”ま”終るんじゃないがっで怖ぐで怖ぐでおじざん”に助げられで・・・どにがぐ会いだがっだよぉ〜!!」

 

ウタは思いっきり自分のありのままの感情を言葉にして叫びながらルフィに抱きついた。ルフィはそんなウタを落ち着かせようと背中を擦って上げたが軈てその手がどんどんとゆっくりになっていった。

 

ルフィもまた会いたかった。

新時代を共に誓い、約束もした相手で再集結して新世界に向かったあの時からずっと会いたかった。

 

「ヴダ・・・俺も会いだがっだ!!」

 

そしてルフィは擦る手を止めて、そのまま力の限りウタを抱きしめた。ホビホビの実のせいで忘れてしまった事もあってルフィは会うまで内心不安を感じていた。だからルフィはウタを決して離さないように強く強く両手で包んだ。

 

日もすっかり落ちて夜空の一番星だけがルフィとウタを見ていると心地よい風がお互いの存在を確かめあってる2人の元に流れた。

 

ここは“愛と情熱と妖精”の国ドレスローザ。

 

2人の物語はここから始まる。 

それは新時代を目指す2人の愛と情熱と“奇跡”的な世界の物語。




























やっと再会しました!!ここまで約25万字以上!!下手な文庫本2.5冊分!!長かった!!本当に長かった!!過去最速でここまで書けたのは皆様の熱いご声援あってのことです!!
そして現状私は、酔ってるとか自惚れてるとかどのように言われても構いませんがこの2人の再会を書き終わって大号泣しております!!それでは皆さん、次回をお楽しみに!!


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Happy Donut 

お待たせしました!!
タイトルからわかるようにあの男がイイ男を見せます!!


ウタとルフィは暫くの間、横になってお互いに抱きしめていたが落ち着いたのかウタがルフィから離れて立ちあがり、ルフィも立ち上がった。

だが、ルフィはドフラミンゴとの激戦を肉体が思い出したのか尻もちをついた。

 

「ルフィ、大丈夫!?」

「ししし、肉食ったら治る・・・」

「相変わらずだね・・・」

 

ウタは相変わらずなルフィに手を伸ばして立たせると漸く2人とも立てた。ボロボロなルフィにウタはもう一回頬を触ってルフィの目の下にある傷を撫でた。

 

「なんだよくすぐってなぁ」

「この傷・・・何したの?」

「昔、度胸試しでナイフを刺したんだ」

「はぁ!?」

「いやぁ、シャンクスに無茶苦茶怒られてホンゴウに後で殴られちまった!!」

 

ルフィはウタにナイフを指して傷をつけたことを話した。シャンクス達に度胸がある所を見せようと刺してシャンクスに怒られてホンゴウに手当をされながら怒られてマキノにも怒られて村長にも怒られた事を話すとウタはそんなルフィに呆れていた。

 

「あんたって・・・もう本当にバカなんだから・・・」

「ししし、そうだ!!俺の仲間を紹介するよ!全員じゃねぇけどいい奴らなんだ!」

 

ルフィはそう言ってウタをキュロスの家に連れて行こうとしたがウタは首を横に振った。

 

「行きたいけど今日はもう遅いから・・・アタシも待たせてる仲間がいるし・・・」

 

ルフィはウタの言葉を聞いて納得した。シャンクスがいるとは思わないがウタに仲間がいても不思議に感じない。だが、早く一味の皆にウタを紹介したくてしょうがないルフィは子供っぽく口を窄ませた。

 

「そんな顔しないでよ・・・それに明日はちゃんと言って来るから・・・その・・・ずっと居よう!!だから・・・今度は、今日みたいに会えなくならないように・・・待ってるから絶対に迎えに来てね!」

 

ウタは顔を赤らめながらルフィにそう言った。本当は自分からさっさと行きたいと思ったが今日一日のこのすれ違いやルフィの性格を改めて分かったウタは待つことにした。

11年も待っていたからたかが十何時間ぐらいなんともなかった。それよりも色々と感情が溢れていて落ち着かせたかった。

 

ルフィもウタの話を聞いて頷いた。

絶対に迎えに行くと約束してウタもルフィも明日は楽しもうと約束した。

 

「それじゃ、明日は絶対に来てよね!!」

「わかった!絶対行く!!」

 

ウタとルフィはそう約束するとウタはロープを使って宙を駆けながら戻っていった。それを見たルフィは()()()()を思いついたので明日それをウタに見せられるのが嬉しくなった。

 

ウキウキしながらルフィはキュロスの家に戻ってくると皆がこっちを見ていた。

 

「ん?どうしたんだ?」

「いや、なんか凄え泣いてる声が聴こえて窓の外を見たら歌姫とお前が抱き合ってるし、てかなんでお前がウタと仲良しなんだ!?」

「ルフィ、お前も隅におけねぇな〜」

「随分と仲良さそうだったけど?」

「ルフィランド・・・見てしまってすまない!!許してくれ!!」

「覗き見してしまい誠に申しわけござらぬ!」

「本当にすまぬ!」

「昔、泣かせた女か?」

「だいぶ煩かったぞ」

「で、誰なんだ?」

 

ウソップ、フランキー、ロビン、キュロス、錦えもん、カン十郎、ベラミー、ロー、ゾロが話しかけてくるとルフィは笑った。キュロスに錦えもんとカン十郎にいたっては覗き見した後ろめたさからか土下座までしていた。早くこの仲間や友達を紹介したくなったがどうせなら明日会わせた時にビックリさせようと思ってまだ言わないようにした。

 

「ししし、明日会わせてやるよ!!今日はもう食ったら寝る!!それ美味そうだなぁ、いただきます!!」

 

ルフィは机の上に並べられた御馳走に飛びついた。そしてバクバクと今日はほぼ1日全然回復してないのに動き回った事もあってルフィはバクバクと食べ始めた。

 

「いつもこうなのか?」

「ええ、いつもよ。賑やかでしょ?」

 

ベラミーがロビンにそう聞くとロビンは笑って答えた。賑やかというよりも元気すぎることに少し引いていた。

 

「ってやべーぞ!!早く俺達も食わねぇとコイツは全部食うぞ!!」

「急げ!!俺達の分がなくなる!」

「早く食え!」

 

ウソップとゾロ、そして一味に暫くいたローがルフィの止まりそうにない勢いに対抗してからガツガツと食べ始めた。

そして他の面々も一先ず、食べ始めた。

 

王宮に戻ったウタも用意してくれた御馳走を食べていた。リク王が客人と直々に言ってるのであちこち壊れて寝る場所はそこまで良くなかったが全員そんな事は気にしてないのと用意してくれた御馳走を食べて盛り上がっていた。

 

「美味しい!!」

「ところでウタ。こんな遅くまでどこにいたんだ?これ以上お前になにかあると流石にそろそろ俺も命で詫び入れねぇといけねぇから教えて欲しいんだが?」

「ごめん、ハイルディン。麦わらの一味の所にいたの。明日からは向こうで泊まるけど良い?」

「あぁ・・・だったら電伝虫とかで連絡してくれ、なかったら別の方法で・・・」

「だったら僕達にお任せれす!」

 

ウタとハイルディンが話してる所にレオが話しかけてきた。バルトロメオとサイとオオロンブスが話していた計画にキャベンディッシュやイデオ達と一緒に入る事を相談しに行って一枚噛ませて貰うことになった。

 

「僕達ならカブトムシですぐにこっちに戻って来れるので、それにルフィランドが隊長の所にいるのなら場所も分かってます」

「そうだな・・・同じ計画に噛んでるのは知ってるし、お前も幹部を倒したやつだもんな。ならウタは任せたぜ!!」

「ご期待に応えられるよう頑張るれす!!」

 

ハイルディンはレオが幹部撃破をするほどに頑張ったことを知ってまた同じ計画に噛んでるのを知ってるので任せる事にした。

 

 

 

 

 

〇〇〇

翌朝、ルフィはしっかりと食べて急いでウタの元に向かおうと起きて体を解してた。ウソップは元気なルフィに呆れていた。

 

「よし!じゃ、俺は行ってくるから!」

「相変わらずお前はどんな体をしてるんだ?」

「歌姫に刺されちゃダメよ」

「って、怖えよ!!どれだけ凶暴な奴になってんだ!?絶対に違う人間だぞそれ!」

 

ロビンのいつも通りのボケにウソップはツッコミをいれた。いつも通りな面々を後にルフィはドアを開けて外に出ようとしたが出られなかった。

 

「麦わらのルフィはここか?」

 

扉の前にはカタクリがドーナツを入れる紙容器(特大)を持って立っていた。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ウソップがカタクリを見た瞬間に叫び、ゾロや錦えもん、カン十郎、ロビン、キュロスは警戒し、ローとベラミーは四皇幹部であるカタクリが来たことに唖然となり、カタクリを知らないフランキーとルフィは首を傾げた。

 

「ん?誰だお前?」

「ってそいつはビックマムの所の幹部だよ!無茶苦茶強えんだよ!!」

「正確に云うならNo.2だ」

 

ルフィのいつもの対応にウソップはツッコみ、ローが正確な情報を言ったがすぐにカタクリがそれを訂正した。

 

「トラファルガー、情報が間違ってるぞ。No.2は兄であるペロスペローだ」

 

カタクリは兄であるペロスペローを立てて間違えたローを睨んだ。

 

「そうか、なんのようだ?悪いけど俺、今急いでんだ。これから・・・」

「歌姫の所に行くんだろ?」

 

見聞色の未来予知でカタクリはルフィの言葉を先読みして答えた。ルフィはそれを聞くとウタを狙ってるかと思って拳を構えた。

 

「ウタを狙うなら相手になるぞ!」

「安心しろ、そういうつもりはない。それに怪我人と戦ってもつまらん。ドフラミンゴは俺達の所にも喧嘩を売っていてお前がぶっ飛ばしてくれたからな。お礼を持ってきた。歌姫と食べればいい」

 

カタクリはそう言うと懐に入れていた海楼石の錠を地面に置いて、持ってきた紙容器(特大)を腕を伸ばして家の中にある机の上に置いた。ロビンが紙容器を開けると中には非常に美味しそうなドーナツが沢山入ってあった。ルフィはそれを見てよだれを垂らしながらもカタクリに言った。

 

「俺はムカついたからドフラミンゴをぶっ飛ばしただけで別にお前の為にやったんじゃねぇ」

「なら、俺も勝手に置かせて貰う。食べないなら捨てればいい」

「・・・勿体ないから食べてやる!」

「フフ・・・そうこなくちゃな」

 

涎を垂らしながら言うルフィにカタクリは少しだけ笑った。

 

「おい、ルフィ。毒があるかもしれねぇじゃねぇか!?」

 

ウソップは食べると宣言したルフィにそう言うとカタクリは先程地面に置いた海楼石の錠を手に嵌めた。

 

「毒など俺は入れないが信用出来ないなら毒味をして入っていたら俺を殺せば良い。海楼石の錠だ。心臓を穿けば俺をあの世に送れるぞ」

 

カタクリは淡々とそう言った。するとルフィは他の皆が反応する前に答えた。

 

「毒なんか入ってねぇよ」

「おいおい、俺達はビックマムの所に喧嘩を売ってんだぞ。警戒して当然だろ」

「ルフィ、流石にこれは警戒したほうが良いと思うわ」

 

フランキーやロビンもそう言うがルフィは皆に笑顔を向けた。

 

「だってお菓子くれる良い奴が毒なんか入れると思うか?」

「フフ・・・ハハハ!!敵である俺に良い奴と言うなんてな!!大物なのか馬鹿なのか・・・気に入った、俺はこの東町の港にある自分の船にいる。もしも毒が入ってたら殺しにこい。喜んで首を差し出してやる」

「うん、行かねぇけどドーナツありがとう!デカ男!」

「シャーロット・カタクリだ」

「分かったカタクリ粉!」

 

カタクリは笑って名前を教えた。人の名前を基本的に覚えないルフィは間違えるとカタクリは別に訂正する事なく歩いて帰っていった。

 

「いずれ別の場所で・・・ルフィ!」

 

カタクリは笑いながらルフィの名前を呼んで去っていった。ルフィもそれを見るとウタと一緒に食べたいので皆にドーナツを少しだけ残しといてくれと言って今度こそウタの元に向かった。

因みにドーナツは助けられたキュロスとベラミーが毒見役を買って出て食べてその後でローにオペオペの実の力で毒が無いか人体を調べてもらう2段構えの調べ方をして問題ないと判断すると一同はルフィとウタが来るまで待つことにした。

 

「少しだけ話すつもりでドーナツを持ってきたがウタも食べるなら俺も作れば良かった・・・まぁ、いずれ食べてもらおう」

 

カタクリは本当にあくまでもルフィと軽く挨拶をするだけだったのにウタも食べることを知って自分で作れば良かったと後悔したが、いずれ結婚したら食べてもらおうと新たに決めた。

そして恐らくその時にルフィとウタを巡って戦うであろう未来を少しだけ楽しみにしていた。

 

 

 

 

〇〇〇

「ルフィ、まだかなぁ〜」

 

ウタもまた朝早くからルフィを待っていた。

早く来ないことに少し心配になるがきっと来ると思ってひまわり畑で待っていた。

 

「ウタ〜!!」

 

するとルフィが手を伸ばしてやってくるとウタは嬉しくなってまた抱き着いた。

 

「もう結構待ったんだよ!おはよう!!」

「おう、おはよう!」

「ねぇ、ルフィ。どう・・・かな?」

 

折角、ルフィと1日居て少なくともドレスローザを出るまで一緒に居る事を決めたウタはトンタッタ族の女子達に船から替えのお気に入りの服を持ってきて貰ってそれを着ていた。

しかし、それは変な動物が描かれていて非常にダサかった(因みにこれを作ったデザイナーは人魚のケイミー)。

 

可愛いと言ってほしくてそう言ってルフィはマジマジとウタを見るが恥ずかしくなって身を少し捩らせた。

 

(うぅ・・・恥ずかしいよぉ・・・)

 

「ハハ、変な服!」

「えぇ~!?カワイイでしょ!?」

「そんな事よりもさっさと行こうぜ!!」

 

ルフィのそんな言動にウタは恥ずかしくなっていた事をバカバカしく思うと早く行こうと言ってくるルフィの腕に抱き着いた。

 

「おい、何してんだよ?」

「い、良いでしょ別に!その・・・カワイイって言わなかったからバツ!」

 

本当はハンコックに負けない為にルフィにアピールしたいウタだが、そんな事を素直に言えないので服を褒めなかったバツと言った。

 

「う~ん、一回離してくれ!」

 

しかし、ルフィは顰め面をしてウタにそう言った。ウタはそれを聞いて少し悲しくなるもこんなくだらない事で喧嘩したくないので一回離れた。するとルフィはウタの胸下から腰にかけて腕を伸ばしてぐるぐるに巻くと自分の方に抱き寄せた。

 

「ふぁ!?」

「ししし、こっちのほうがやりやすい!!じゃ、行くぞウタ!」

「ふぁ・・・えっ!?・・・行くって何を!?」

「しっかり捕まってろ!」

 

ルフィはそう言うと王の台地から飛び降りた。ウタは突然の行動に驚いてルフィの首に手を回して抱き着いてルフィの顔を見るとニコニコと笑ってるのを見て笑顔になった。

 

「どうだ、楽しいかウタ!?」

「もう、急にやるなんてビックリするじゃん!」

「ししし!」

「本当に・・・バカなんだから・・・」

「何だよ、酷えな」

「絶対に落とすとか離さないでよ!!」

「おう!」

 

ウタはそう言うとルフィはさらにウタを抱き寄せた。ゴムの腕だが鍛えられてる筋肉も熱さもウタはしっかり感じて顔を真っ赤にした。

 

(あれ!?これって凄い恥ずかしいやつなんじゃ!?)

 

ウタは漸くここで羞恥を感じ始めた。ルフィは無茶苦茶元気に笑いながら家とか瓦礫に手をかけて宙を進んでるので大勢の人に見られもしていて余計に恥ずかしくなった。

 

「楽しいなウタ!!」

「良いから早く行って!!」

「え〜、もっと色々と出来そうなのに〜」

「皆に見られて恥ずかしいの!!」

「気にすんなって!!」

「ハデに気になるの!!」

 

バギーの口調が出てくるほど恥ずかしいウタはそう言いながら真っ赤な顔を見せたくなくてルフィの胸に顔をうずめた。ルフィももっと楽しみたいが早くドーナツを一緒に食べたいのですぐにキュロスの家に戻った。

 

 

〇〇〇

家の前についてウタを離すとウタは自分の顔に触った。恥ずかしくて熱を帯びるほど赤くなっているのが見なくても分かった。

 

「おいどうしたんだ、顔赤いぞ?」

「な、何でもない!」

「そうか?」

 

ルフィはウタのデコに触れると少し暖かかった。ウタは触れられてる事に対してより顔を赤くさせて熱を出していくが風邪を引いたことのないルフィは平熱と思ってすぐに手を離した。

 

「まぁ、旨いもん食えばすぐに治る!仲間や友達と一緒に食べようぜ!」

「うわっ!?ちょっ、ちょっと!」

 

ルフィはウタの手を引っ張って扉を開けた。

すると中にいた面々は2人が手を繋いでやってきた事に驚き、ウソップとフランキーと錦えもんについては目を飛び出させていた。

 

「おう、皆。ただいま!」

「お前は何をやっとんじゃ!?」

「何ってなんだ?」

「なぜ、ルフィ殿はその美しい女子と手を繋いで来おるのか!?」

「なんでって友達だから」

『はぁ〜!?』

 

ルフィの友達発言にウソップや錦えもんだけじゃなく他の面々も啞然となった。

 

「そこはせめて幼馴染って言ってほしかったな・・・」

「友達には変わらねぇだろ?」

「い、色々と近しい関係に聞こえるでしょ!?」

「そうか?友達は友達じゃねぇか」

「はぁ〜・・・183連敗してるルフィにそんな事は分からないか・・・」

「違う、俺が183連勝だ!」

「はぁ!?アタシが183連勝でしょ!?」

「認識の差が凄いわ」

 

言い争いを始めるルフィとウタの会話にロビンがそう言うとキュロスが間を持ってくれた。

 

「まぁまぁ、ルフィランドも歌姫も折角のお菓子もあるのだから食べよう。毒が無いことは私とベラミーで確認したから安心してくれ」

「おっ、そうだな!ウタ、そのことは後でだ!」

「・・・そうだね、美味しそうなドーナツを先に食べよう!」

 

ルフィとウタはそう言って喧嘩を止めてドーナツを食べ始め、他の面々も食べ始めた。

お菓子命なビックマム海賊団のお手性という事もあってそのドーナツは今までで1番美味しくて甘いドーナツだった。

 

「うめぇ~!!」

「美味しい〜!!」

 

ウタとルフィはあまりの美味しさに叫んだ。







というわけで漸く書けたウタとルフィのイチャイチャ!!
・・・はい、全然甘くないと聞こえてきます。
すみません。本当に恋愛系は見ると顔が真っ赤になるほど恥ずかしくて・・・けど、頑張ります!!
そしてカタクリ、内心たぶんドロドロの筈なのにイイ男を見せる!!早く決闘させてぇ!!

前回、漸くルフィとウタが再会した所を書けて皆様も熱い感想をありがとうございます!!本当に純な恋愛要素がここまで入ってるのは初めてなのでどうなるかはわかりませんが無事に完結を目指して頑張ります!!

因みに文字数だけなら長い作品は過去にありますが話数で言うと今作が最長にこの話でなったのでこっからは本当に私が経験した事ない長さになるかもしれない事に少し戦々恐々しておりますが頑張ります!!

そしてHAPPY BIRTHDAY Uta!!
            
最終章は今、プロットを書いておりますが恐らく皆様が想像してない面子達が中心になる大騒動になると思います。
とりあえず、確実に誰になんと言われようが死んでも出すことを決めてるのはウタを除いてルフィ、カタクリ、シャンクス、バギーの4人です。他に誰が活躍するのかお楽しみに!!カタクリ編が終わったら予告を書きます!!その前にドレスローザでのイチャイチャと宴を後少なくとも2話やって船の上でのイチャイチャをやってVSハンコック編(3話の予定)をやって、ルフィVSカタクリ編(何話になるか不明)をやってと・・・まだまだ最終章まで長いですが首を長くしてお待ち下さい。
因みにワノ国をどうするかは考え中です。


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Time

お待たせしました!!
少し難産でいつも通りの強引ですがどうぞ!!


むしゃむしゃと食べてるルフィとウタを見ながら他の面々は一体いつになったら本題に入るのかきっかけを掴めずにいたがロビンが紅茶を飲みながら話しかけてきた。

 

「それで2人はどういう関係なの?」

「んあ?ほうほう、ほいつはひゃんふすのほねぬほってたひゃふでほんはふはば」

 

ルフィがドーナツを頬張りなから喋ってるので全く何を言ってるのか分からなかった。隣で聞いてるウタはわかったのか笑っていたがローがルフィを注意した。

 

「おい、口の中の物を全部食ってから言え」

「ははっば!」

 

するとルフィとウタは口の中にある物を全て一気に呑み込んだ。

 

「ちゃんと噛めよ・・・」

 

ローは2人に力なくツッコんだ。全身から色んな意味で嫌な予感がした。

 

「こいつは俺の最初の友達でウタ。シャンクスの娘で赤髪海賊団の音楽家だ」

「今は喧嘩中だけどね」

「は、はぁぁぁぁぁぁ!???」

 

気軽そうに話すルフィとウタにウソップが何回目かのビックリ声を出した。割ととんでもない事実に驚き、コロシアムで存在を教えられていたフランキーとキュロスもまさかそれが“バギー”の娘であるウタとは思ってなかった。

 

「あ、そうそう。この国にお前の他にも歌姫がいて海賊のバギーの娘だってよウタ。青髪でお前そっくりなやつでレストランであった」

「あ、それ。アタシ。そういえばルフィのその服に似てるのを着たおじいちゃんにあったよ。レストランでパスタ食べてた」

「あっそれ俺だ」

 

「「・・・・ええええええぇぇぇぇ!!???」」

 

昨日の大騒動の前のレストランの時点でお互いに会ってた事をルフィとウタは改めて分かって驚いて叫んだ。

 

「お前、なんでバギーの娘なんて名乗ってんだ!?あんだけシャンクスとか赤髪海賊団の皆が好きだったじゃねぇか!」

「だから、今は喧嘩中なの!本当に父娘喧嘩中でシャンクスのアホハデバカ親父が許せなくておじさんの娘って名乗ってて・・・」

「おじさん??バギーが?」

「うん・・・アタシのカッコいい大切なおじさん」

「えぇ~?バギー、アホだぞ?」

 

トレジャーマークを触って大事な人であると思ってるとルフィがそんな事を言ってきたのでウタはカチンとなった。

 

「アホじゃない!!凄くカッコいい!!シャンクスよりもずっとずっと優しいアタシの・・・()()()()()()!!」

 

バギーに麦わら帽子を刺されて唾を吐かれた事あるルフィはシャンクスよりも良いと言うウタの言葉にカチンとなった。

 

「シャンクスの方がカッコいいだろうが!!お前、昔からバカだと思ってたけどもっとバカになったのか!?」

「あんたに言われたくない!183連敗してるくせに!」

「俺が183連勝中だろうが!!」

「出た、ルフィの負け惜しみ〜!」

 

両手でいつものようにポーズをやるとルフィはギリギリと歯を軋めてウタも流石にこればかりは引けないのか2人は睨み合っていた。

 

「なるほど、歌姫のあのバギーの娘って公言した話はそんな関係性ありきの話か・・・となるとあの“赤千の決闘”も歌姫関係なのか?」

「ん、何だそりゃ?」

 

ウタとバギー、シャンクスの意外な関係が分かったベラミーはコーヒーを飲みながらそう呟くと近くにいたゾロが聞いてきて、同じように近くにいたローが答えた。

 

「“四皇”赤髪のシャンクスと“王下七武海”千両道化のバギーがほんの少し前に“決闘”した話だ。理由は一切不明だが、3日間の決闘で舞台になった島は半壊。勝者は“千両道化のバギー”だが復活した赤髪を含めた赤髪海賊団に追われて今も消息不明の事件だ」

 

ローが世間に知られている物からさらに憶測なく端折った事件のあらましを話すとルフィがツッコんだ。

 

「はぁ~!?バギーがシャンクスに勝てるわけねぇじゃん」

「あ、それ。アタシも詳しく知らないけどなんでもお父さんがシャンクスに電伝虫を掛けさせる為に3日間頑張ったって」

「一気に庶民的な話になったわね」

 

四皇と王下七武海の決闘という前代未聞の事件でさらに千両道化のバギーの勝利というせいで世界中の均衡を揺るがしてる程なのに理由がかなり庶民的だったことにロビンは驚きつつも呆れていた。

 

「ん〜〜??でもバギーがシャンクスに勝てるとは思えねぇ」

「んなの知らないよ!でもシャンクスに勝つなんてさすがアタシのお父さん!」

「昔はシャンクスシャンクスって言ってたくせに〜」

「11年間も手紙すら寄越さなかった人なんて嫌いです〜」

「色々と複雑そうだなぁ」

 

ウソップがウタの話を聞きながら色々と複雑そうな事情が見えた事に呟くとルフィは少し考えて腹を決めたのかウタに言った。

 

「分かった。ウタとシャンクスの問題だから、俺はもうそれについては言わねぇ」

「・・・へぇ、ちょっとは大人になったじゃん・・・ありがとう・・・」

 

基本的に他人の過去とかをそこまで詮索しないルフィはウタにそう言うと昔と違う姿にドキッとしつつそれが悟られるのが嫌なので少しからかいながらお礼を言って笑った。ルフィもそれを見て笑い、先程までの喧嘩していたのがどこに行ったのか非常に微笑ましい雰囲気に溢れていた。

 

「それで、皆の事を紹介してくれるんでしょ?教えてよ、ルフィの仲間と友達」

「あぁ、こいつはゾロ!俺の仲間で三刀流の剣士だ!」

「よろしくな」

「よろしく!三刀流って・・・どうやって持つの?」

「一本は口で持ってる」

「顎とか疲れないの?」

「鍛えてるからな」

「凄い!」

 

意外に新鮮なリアクションをするウタにゾロもニヒルに笑いながら答えた。

 

「こいつはウソップ!うちの狙撃手でヤソップの息子だ!」

「へへ、よろしくな!」

「よろしく!玩具の件は本当にありがとう!ごめんね、見てるだけしか出来なくて・・・」

「なーに、この“ゴッド”ウソップ様にかかればあんなのチョロいチョロい」

「おぉ、これからも頼りにしてるぞウソップ!」

「おう、任せとけ!」

 

ウタはウソップに改めてお礼を言うとウソップは調子に乗りつつも明るく答えてルフィはこれからもウソップに期待した。

 

「こいつはロビン!うちの考古学者で無茶苦茶頭が良いんだ!」

「よろしくね」

「よ、よろしくお願いします・・・」

 

ウタは美人なロビンを見るとさっきまでとは違ってよそよそしかった。戦ってた時はそんな余裕が無かったし、熱狂的なコアラに会えて嬉しかったのもあって気づかなかったが凄い綺麗な人だとウタは思って、どこぞの女帝みたいな人だとどうしようと思った。

 

「あら、ふふふ・・・カワイイ娘ね」

「か、かわっ!?」

「えぇ、ウチの船長の横に居ると凄く微笑ましくなるくらいカワイイわ」

「え!?それって・・・」

 

ロビンに言われた事でルフィに対する好意がバレてると悟ったウタは顔を真っ赤にした。ロビンはそれを見て笑って、ルフィ以外の面々はその姿でなんとなくウタのルフィに対する好意を知った。

 

「おい、どうしたんだウタ?」

「な、なんでもない!」

「けど、凄え顔が赤いぞ?」

「なんでもないの!ほら、他の人も紹介して!!」

 

鈍感なルフィに悟られると恥ずかしすぎるのでウタは次に進めた。

 

「ウチの船大工のフランキーだ!」

「ス〜パ〜、よろしくな!ルフィからいい歌を歌うって教えてもらってな、いつか一曲頼んでもいいか?」

「勿論、なら今ここでやるよ!凄く嬉しいし!」

「あぁ〜・・・どうせならもっと良い舞台を後日作ってやるからそこで頼む!」

「あら、フランキー。そんな予定があるの?」

「おう、ゾウまで乗せて行ってくれるバルトロメオが船の上で宴をやりたいそうだからそこでやろう。さっきレオが来て言ってくれたんでな」

 

フランキーはレオから船での催しの予定を皆に教えた。

 

「へぇ~、あいつ本当に良いやつだなぁ」

「あの鶏が主催なのは微妙に腹立つけど、まぁ良い舞台を用意してくれるなら良いや!」

「ん?知り合いだったのか?」

「う~ん・・・知り合いと言うか・・・腐れ縁ってやつ?」

「ふ~ん」

 

ウタとルフィはそんな風に話し、ルフィはさっさとバルトロメオの話題から切り上げて次は友達を紹介し始めた。

 

「こいつらは侍の錦えもんとカン十郎ってんだ!」

「「よろしくでござる!」」

「よろしく!」

 

錦えもんとカン十郎は頭を下げて挨拶をした。

 

「しかし、ルフィ殿にこのような見目麗しい幼馴染がおったとは驚いたでござる」

「えぇ~、本当!?嬉しいなぁ!!」

 

錦えもんが鼻の下を伸ばしながらウタを褒めるとウタは照れて少しだけ胸を張った。

 

「見目麗しいってなんだ?」

「凄く美人って意味よ」

「そうか?」

「は?」

 

見目麗しいの言葉の意味が分かってないルフィはロビンにそう答えられると首を傾げて、ウタはルフィの一言にイラッとなった。

 

「美人でしょ?」

「???」

「美人でしょ?」

「そうは思わねぇ」

「はぁ~!?美人って言いなさいよ!」

「え〜・・・やだ!」

 

自分の思った事を言う!やる!のルフィはそんな事を言われると余計に言いたくなくなった。それが昔から友達のウタだと余計に素が出せるのか言う気が完全になくなった。更にいうとウタは昔からかわいいかわいいと自分で行っていたのでルフィのウタに対する印象でかわいいはあっても美人はなかった。

 

ウタはこのままだと某女帝に負けそうなのと言ってほしいという気持ちもあって譲らなかった。

 

「美人って言え〜!!」

「絶対に言わねぇ!!」

「「う~!!!」」

 

がっぷしと手四つ体勢になる2人。そんな2人の元にカン十郎が左手で描いたなんとも下手くそな鳩が2人の頭にゼェゼェと息を吐きながらも止まり、2人はそれに気になった。

 

「2人とも止めるでござるよ。折角、会えたのなら喧嘩をするよりも笑った方が良いでござる」

 

見ず知らずのカン十郎にまで言われてルフィとウタは手を離した。お互いに自分が悪くないと思ってるので謝らない為、変な空気が流れたがここで間を持ったのがキュロスだった。

 

「ルフィランド。私も紹介してほしいかな?なな?」

「おぉ、そうだ!!ウタ、このおっさんが兵隊でレベッカの父親だ!」

「キュロスだ、初めまして」

「レベッカの・・・兵隊ってケーキとか作ってくれたって言う?」

「レベッカと知り合いだったのか?」

「コロシアムで友達になったの!最近、兵隊さんのケーキが食べれなくて寂しいって言ってたよ」

 

ウタからまさかのレベッカの事を聞いたのとそんなにブリキの手で下手くそながらも作ったケーキが好きでいてくれたのかとキュロスは嬉し涙を流していた。

 

「うぅ、泣いてない!!泣いてはいけないぞ!!」

「ハハ、変な兵隊のおっさん!」

「フフ・・」

 

キュロスが空気を変えてくれたお陰で先程の微笑ましい雰囲気が戻ってくるとルフィはローとベラミーを紹介した。

 

「で、こいつらが友達のトラ男とベラミーだ」

「友達じゃねぇ!!」

 

ルフィが友達というとベラミーは兎も角、ローがすぐに訂正を求めたがルフィはお構いなしに友達と言ってウタもトラ男呼ばわりになった。

こうしてキュロスの家でルフィとウタは賑やかに過ごして今まで会えなかった分を取り戻そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「ルフィランドもウタランドも良かったれす!これで僕達の計画が上手く行けば皆さんに恩を返せるれす!」

 

レオはカブトムシに乗りながら、飛んで王宮に帰っていると瓦礫だらけの町で裏路地で佇んでいるサイを見つけた。

レオはサイを昨日の夜に行われたくじ引きの時に知ったので気になってこっそりと近づいた。

 

サイは海兵を見ながら剣を抜いて警戒していた。

 

「サイ、どうしたれすか?」

「トンタッタ族のレオか・・・少々不味い事態になるかもしれないやい」

「どういうことれすか?」

「今、海軍大将の藤虎がいるがそこにCP-0と一緒にある3人が来る!はっきり言って厄介そのものやい」

「誰が来るのれすか?」

「海軍中将のおつる、大目付のセンゴク・・・そして英雄ガープ・・・麦わらの爺で俺の爺の因縁の相手だ」

「えぇぇぇ!?ルフィランドの!?」

「あぁ、明日にでもこの国を出る事を伝えるぞ。それに“妙な事”も聞こえてきたやい。レオは王宮に伝え終わったら、トンタッタ族を集めてすぐにでも港で待機だ」

「わかったれす!」

 

サイとレオはそう話して王宮に向かった。そしてそんな2人をさらに影から見ていた者がいた。ドフラミンゴが暴れている時、サボに仮面を壊されたバスティーユが新しい仮面をつけて見ていた。

 

「さてと、明日は大忙しになりそうだら」

『バスティーユ中将!今にでも麦わら達の捕獲を!』

「駄目だら、この国に対して海軍は何も出来なかった。死ぬほど悔しいが俺達に麦わらを捕まえる資格はこの国の中ではない」

『そんな!?藤虎さんが元帥にあれだけの啖呵を切っといて動かないんですよ!?』

「黙れ若造。今はこの国の国民の声を優先だら。この国が“麦わらを捕まえろ”と言わない限り、俺も動く気はないだら」

 

バスティーユはそう言って同じ中将だがまだ若いメイナードからの通信を切って明日に備えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

レッド・フォース号の上でシャンクスとバギーは副船長であるベックマンに詰め寄っていた。

 

「だから、ドレスローザに行かない方が良いとはどういうことだ!?ハデアホ!!ドフラミンゴに落とし前をつけさせねぇといけねぇだろうが!!」

「落ち着けってバギー。しかし、ベック。俺もドフラミンゴの野郎をぶち殺してぇんだが?」

「俺も殺してぇが訳を言わせろ。ドフラミンゴは最悪な事に海軍が身柄を拘束してる。つまり、あのクズに落とし前をつけさせるには海軍とやり合う羽目になる。それは別に良いんだが、問題が俺達が襲う理由がウタしかねぇって事だ」

「あ、そうか・・・クソ!」

「あぁ?どういうことだよ!?」

「つまり、俺達が襲うことでウタに政府の目が行くかも知れねぇって事だ。バギーのお陰で何とかウタは今のところ無事だが俺達があのクズを殺すことで、ウタとの繋がりがバレるかも知れねぇって事だ。俺達はカイドウやビックマムのように裏社会は知っていて権力があってもドフラミンゴのような奴と取引しては来なかった。つまり・・・」

 

そこまでベックマンに言われてバギーも理解した。

 

「“赤髪海賊団がドフラミンゴを襲う”世間的な理由が一切ないって事かよ・・・クソ!」

「そうだ。この中でそれを唯一持ってるのはバギー。お前だけだ」

「なら、ベック!俺達がバギーの下に付いたって事にすれば・・・」

「CP-0も向かってる情報がある上にそんな事をすればモルガンズの格好の的だ。すぐにはバレなくても調べられる・・・同盟をしたにしても“海賊同盟”はあくまでも対等な取引相手で仲間じゃない。バギーが俺達の仲間になって行っても結果は恐らく変わらんだろうな・・・あの“決闘”で仲が悪いと思われてるなら思わせておく方が良い。すぐにウタに行き着く可能性があるとは思えんが徹底的に奴らは赤髪海賊団とドフラミンゴの繋がりを調べる。被害にあった面々を徹底的に調べられた時に万が一にでもエレジアの事がバレたらどうなる?」

 

何もかも全て遅すぎた。

ドフラミンゴがまだ暴れている時にでもドレスローザに着いていれば色々と有耶無耶に出来た可能性があるのに遅かったせいでシャンクス達は“ウタを守る”為に落とし前すらつけさせられない状況になってしまった。

シャンクスはいっその事、ウタをこの船に乗せようかと考えたがライブの件もあった。約束のライブは自分達以外にも向けた物でシャンクスもそれを見たかった。

 

赤髪海賊団が取れる方法は2つ。

 

ドレスローザに行ってドフラミンゴを殺し、ウタを連れ去ってウタの望んでいるライブをブチ壊すか。

 

ドレスローザに行かずに堪えて、ウタの望んでいるライブの邪魔をしないか。

 

今までウタに沢山迷惑をかけていたシャンクスが取れるのは1つしかなかった。

 

「分かった・・・ドレスローザには行かない・・・」

「シャンクス・・・畜生!」

 

バギーはシャンクスの決断を珍しく尊重した。何故なら、自分が大怪我をしてまで必死に頑張って漸く和解の道筋が出来たのにこれじゃ、また台無しになると思ったからだ。

しかし、バギーはそんな事を思いつつもあることを思い出した。

 

『何で1回も手紙すら寄越さなかったの?』

 

するとバギーはあることを思い付いてシャンクスやベックマンに言うと良いアイデアだと言われて早速赤髪海賊団の面々で取り掛かり、バギーは単身でそれをドレスローザに向けて持っていく事にした。

 

数時間かけて下手くそだが、急がないとウタがドレスローザから出ると思った面々はバギーにそれを渡した。

 

「頼んだぞ、バギー」

「ったく、お前は本当にしょうがねぇバカだな」

 

バギーはいつもみたいな悪態をつくとシャンクスはバギーに抱き着いた。

 

「バギー、いつもごめん・・・本当にごめん・・・」

「ええい!鬱陶しい、離れろ!!」

 

バギーはシャンクスを引き剥がしてさっさとウタに荷物を渡そうと小舟に乗り換えようとした瞬間、シャンクスは口を開いた。

 

「バギー」

「ちっ・・・今度は何だ?」

「ウタのライブが終わったら・・・仲間になってくれ・・・俺は・・・お前ともう一回同じ船で海賊をやりてぇんだよ・・・」

 

ウタとルフィの時間が進み始めたようにバギーとシャンクスの時間もまた()()()進み始めた。











というわけでシャンクス達はドレスローザに行きません。下手に行くとウタの事がバレるので行けません。代わりにバギーに託した物が何なのかは次回で明かします!!

そして次回は歌を出しますよ!!

因みになんの歌になるのかは予想してください!!
今作ではどれだけウタに合いそうな曲があっても必死でそんな欲に負けずにワンピースで使われた曲しか載せない事を決めてるので次回のはある意味では予想してなかった曲だと思います。因みに私も今作を書き始めてからまたワンピースの曲を聴きまくって、あれ?これ?ウタのルフィに対する・・・ある意味で主題歌にならない?とビックリしました。


(1番有名かつ皆様がご期待のあの歌を出すところはもう決めてるので必ず出しますが次回では死んでもございません!)


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Shining ray

はい、お待たせしました!!
色々とやりました!!それではどうぞ!!



バギーはシャンクスからの誘いに対して嫌な顔をした。シャンクスが強いことを誰よりも知ってるバギーが1番嫌なのが海に落ちた時に絶対に助けに来るのがシャンクスだというのが本気で嫌だった。絶対にやって来るという確信があった。

 

「断る!俺はお前の部下になるなんざまっぴらゴメンなんだよ!!・・・そうだ、ウタにこれを渡したらハイルディンと一緒にカライバリ島に戻るから、お前も来い!んでウタに殴られろ。わかったな!?」

 

バギーはシャンクスにそう言うと今度こそ小船に乗って単身ドレスローザに向かっていった。バギーはレッド・フォース号から離れていった。一晩すれば無事にドレスローザにつけるだろう。

 

シャンクスはそんなバギーの背中を名残惜しそうに見ていた。

 

「フラれたなお頭」

 

ベックマンはシャンクスの隣でそう言うとシャンクスはため息を吐いた。

 

「いつもバギーにはフラれるんだよなぁ俺は・・・」

「そうか・・・」

「正直に言うと・・・ウタが羨ましいよ・・・」

「ウタが聞いたら凄い喜ぶだろうな。まさかお頭が嫉妬するなんてな・・・」

「良いだろ別に・・・たった1人の兄弟なんだぞ」

「ホントに・・・見てて妬けてくるほどだな・・・」

「なんだ、ベック妬いてんのか?」

「冗談だ・・・お頭達の爛れた関係に割り込んで三角関係になりたがるほど俺はもの好きじゃねぇんで」

「ベックそりゃ、どういう意味だ!?」

 

ベックマンはシャンクスに対してからかうとからかわれたシャンクスは行き場のない感情が溢れてやけ酒を始めた。見事に二日酔いになった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

港では海軍の援軍が来たがその指揮を取ってるおつるは頭を抱えつつもドレスローザに降りた。その原因は横にいる2人にあった。

 

「いやぁ、本当に私が元帥じゃなくて良かった」

「まさかドフラミンゴもぶっ飛ばすとは流石、ワシの孫!!」

 

おかきと煎餅をバリボリと食べながら一緒に来たセンゴクとガープという隠居し始めてる同期におつるは呆れていた。

 

「おだまり、このバカ親父共!いい加減にしないと後で昔みたいに殴るよ」

「おお、怖!」

「おつるちゃん、そんな怖いことを言わんでくれ。わしは孫の嫁の無事を確認しに来ただけじゃ」

 

完全にガープの中でウタがルフィの嫁扱いになってる事におつるは本当にぶちのめそうかと考えたがそれよりもまず藤虎に詰め寄っていって、麦わらを含めた面々を捕まえない理由と問いに行ったら、“客人”扱いで動けないことを言われた。海軍大将クラスなら権力で何とかしそうだし、藤虎もそれをわかってる筈と更に詰めたら、サイコロで決めてる事に啞然となった。

 

「サイコロぉ〜!?」

「面白い事をするわい!!あ、んじゃ、ワシは孫の嫁を確認しに行くから後は頼むぞ」

「おう、行って来い」

「って、ちょっと待ちな、アホ親父共!!そんな事をしたらガープ、あんただけはドレスローザに置いていくよ!!」

「泳いで帰るから別に構わんが?」

 

おつるは引退したせいでガープのような自由人に戻ったセンゴクと野生児のガープに頭を抱えた。そしてやってきてくれたトンタッタ族の姫のマンシュリーに癒やされていた・・・・少しだけ嬉しくて泣いていた。

その後、おつるが変わりに藤虎のサイコロを振るとルフィの目の1ではなく6になったので動く事になったが藤虎というか男どもには任せられないのでおつるがルフィを捕まえる事にした。そして、街ではルフィによるレベッカ誘拐で大混乱していた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「もうちょっと待って、行かないで!!」

「しかし、もうそろそろこの場から離れて隠居しなければレベッカに・・・」

「それはレベッカが言ったの!?レベッカの返事を聞いて上げてよ!!」

 

レベッカが娘であることを隠して王女の立場に戻そうとし1人隠居しようと決めたキュロスをウタは引き止めていた。ウタはこう言う勝手に決める親のエゴが大嫌いだった。なのでルフィがレベッカを今頃誘拐してるのでウタは必死にキュロスを止めていた。

 

「私は・・・スカーレットを・・・妻を・・・レベッカの母を守れなかった・・・10年間も何もしてあげられなかった。戦うことしか教えられず、幸せにしてあげられなかった・・・私と居るよりも王族として生きた方がレベッカの為だ」

「それでレベッカが本当に恨んでたら、兵隊さんのケーキを食べたいなんて言わないよ!!必死に10年間頑張って向き合ってたのになんで素顔になったら怖がるの!?このままだと・・・レベッカが・・・」

 

ウタが言葉を続けようとした瞬間、家の扉がバンと開いた。そこには必死に走ってきて息が絶え絶えなレベッカがいた。

 

「レベッカ・・・」

 

ウタはもう止める必要がないと思って家を出た。外ではルフィが笑っていた。暫くすると家の中からキュロスとレベッカの泣いてる声が聞こえてきてウタとルフィは笑った。

 

「それじゃ、行くぞウタ」

「うん」

 

ルフィはまた昨日みたいにウタをぐるぐるに抱き寄せて港に向かっていった。

 

『あ、麦わらだ!』

『このやろ〜、レベッカ様を返せ〜』

『良いことしやがってこのやろ〜!』

『馬鹿!海軍にバレるだろうが、ちゃんと悪口を言え!!』

『絶対に許さないからなぁ!!』

 

ドレスローザ国民は海軍が動き始めた事もあって大っぴらに助ける事は出来ないが大多数で行動して海軍の邪魔をしようと追いかけるがルフィは無茶苦茶早く、あっという間に瓦礫だらけになった港町のアカシアに着くと瓦礫が全て空に上がり、見渡しが良くなると堂々と立ってるおつるとガープに藤虎がいた。

 

「げっ!?爺ちゃん!?」

「あ、盲目のおじさんもいる!」

 

ルフィとウタはガープと藤虎に気づくとガープは大声を出して話し始めた。

 

「ルフィ、ドフラミンゴをブチのめすとは大した奴だ。じゃが、国中が追ってるなら容赦はせんぞ。ここで捕まえる!」

「分かった、絶対に逃げる!!」

「ウタちゃんも無事で良かった!!心配じゃから見に来たぞ!!ワシの事はお爺ちゃんと言ってくれ、んでひ孫を見せてくれ!!」

 

ガープのひ孫発言にウタはまだルフィとはそこまで行ってないが子供がいる未来を想像すると顔を赤らめて嬉しそうに笑った。そして無茶苦茶な発言をしたガープは今度こそおつるに脳天を殴られて地面に倒れた。

 

「ギャー!!爺ちゃんが1発でやられた!!?」

「話をするのは初めてだね、麦わらのルフィ」

「婆さん誰だ!?爺ちゃんを1発で仕留めるなんて・・・」

「私は中将のつる。あんたの爺さんとは同期で散々苦労掛けさせられた覚えがあるからね・・・色々と今までの鬱憤も込めて捕まえさせて貰うよ!」

「またかよ!!また、爺ちゃんのせいで俺が酷い目にあうのか!?頭がとんがりに戻った爺さんに追われるし、散々だ!!」

「良いから捕まりな!!」

 

ガープの同期というのは伊達ではなく、おつるはルフィに瞬時に詰め寄って捕まえようとしたがルフィはウタを連れて避けた。

 

「ゴムゴムのJET銃!!」

 

2になって武装色を込めた拳をおつるに向かって放つが難なくと掴まえられて、手が“洗濯”されてペラペラになった。

 

「うわっ!?腕がペラペラに!?」

「ルフィ、大丈夫!?」

 

おつるの能力で腕から全身が“洗濯”されかけるがルフィはすぐに腕を戻してペラペラになった腕を振って乾かすと戻った。

 

「全身洗濯できれば楽なんだけどねぇ。能力の相性は悪そうだ」

 

おつるはそう呟くと能力じゃなく、物理で沈めようと手を硬化するとルフィもウタを離して拳を構えた。

 

「ルフィ、何するつもり!?」

「そういうのから逃げるのはもう止めた!!その為の2年だったんだ。全員、ぶっ飛ばして俺は海賊王になる!」

「この私の前でそんな事をほざいて逃げない奴はそうはいないよ!!ますます洗って綺麗にしてやりたくなった!!大人しく捕まりな!!」

「なら、捕まえてみろよ!」

 

ルフィとおつるの戦闘が本格的に始まりそうになるがその前にウタがルフィをロープでぐるぐる巻にした。海楼石の分銅のせいでルフィは力が抜けてきた。

 

「おい、ウタ!何すんだよ!!?」

「良いから逃げるの!ハイルディン達が待ってるんだから!!」

「私から逃げようなんて甘いこと言ってんじゃないよ!」

 

おつるが容赦なく2人に詰めていくがウタはロープを投げてルフィを連れて逃げた。投げたロープの先はハイルディンが取って2人を引っ張った。

 

「藤虎!!」

 

おつるの指示が飛び出してきた藤虎は瓦礫の雨を降らせようとすると止めた。

 

『居たぞ!!麦わらだ!!』

『俺達の手で捕まえろ!!』

『絶対に逃さないよ!!』

 

ルフィを追ってきたドレスローザ国民がやってきたのだ。藤虎もそしておつるも国民を止めようとするが2人の鍛えられた見聞色はきちんと国民の声を聞いていた。

 

〘俺達の恩人を逃がせ!〙

〘俺達が居れば海軍は攻撃して来ない!〙

〘絶対に助けるんだ!〙

 

藤虎はそれを見て笑い、久しぶりに人の顔が見たくなった。おつるはそれを見て頭を抑えつつもこの状況を見て呆れた。

 

「海賊がこうもヒーローになっちまうとは海軍の面目は本当に丸潰れだねぇ・・・しかし、やっぱしガープの孫だよ。四六時中騒がしそうな“新時代”じゃないか・・・」

「なんじゃ、おつるちゃんもわしの孫が気に入ったか?」

「冗談じゃないよ。私とセンゴクは歌姫のライブも少し楽しみにしてたのに“誘拐”して行くなんてね」

「ブワッハッハッハッハッ!早くも尻に引かれておるわい!こりゃ、ひ孫が楽しみじゃ!!」

 

おつるはまた調子に乗るガープを拳一発で沈めると賑やかしそうな“新時代”の足音を聞いていた。良くも悪くも時代が変わり始めているのを肌で感じた。

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィを無理やり、1番大きい船であるオオロンブスのヨンタマリア号に乗るとバルトロメオはハイルディン、オオロンブス、キャベンディッシュ、イデオ、サイ、レオ、そして自分の盃に酒を入れるとルフィの前に置いていた大きな酒坏に残りを全て入れた。

 

「ん?なんだ??」

「何するの鶏?」

 

バルトロメオは酒坏に酒を入れた7人を代表とし、全員麦わらの一味の傘下に入るために“親子の盃”を契ろうとしたがルフィはそれを拒否した。しかし、7人ともルフィを気に入っていたので無理矢理飲ませようという一悶着が起きつつもルフィは全員の前に立った。

 

「俺は海賊王になるんだよ!!偉くなりたいわけじゃねぇんだ!!」

 

その言葉に7人は首を傾げてローは何を言ってるんだと思い、麦わらの一味とウタはなんとなくルフィが言いそうな事が分かったのでの笑った。

 

「もし俺達が危ねぇと思ったらその時は、大声でお前らを呼ぶから!そしたら助けてくれよ!!親分や大海賊じゃなくてもいいだろ!?お前らが困ったら俺達を呼べ!!必ず助けに行くから!!一緒にミンゴと戦った事は忘れねぇよ!!」

 

ルフィがそう言うとバルトロメオはルフィの言いたいことがわかり泣き始めて、他の7人は笑った。

 

「ディガガガガガガガ!!おい、バルトロメオ。口上を言え!!こいつが親の盃を飲まなくてもいい」

「確かにそうだ!」

「互いに勝手なら」

「お前は人の自由を止められねぇハズやい」

「ん?そうなんれすか?」

 

バルトロメオは涙を拭いて口上を勝手に述べた。

 

「ではルフィ先輩!!ここに我ら子分となり、いついかなる時も我ら“麦わらのルフィ先輩”の盾となり、矛となる!!此度のご恩に報い!!我ら7人!!命全霊をかけてこの“子分盃”勝手に頂戴致しますだべ!!」

 

7人は自由勝手なルフィにあやかって勝手に子分になるという型破りな方法で傘下に入った。ルフィはそれに怒ったが、勝手にやって勝手に守ると言われたのでルフィもそれならと思ったのかすぐに宴の御馳走に向かっていった。因みに親の盃の酒はウタも含めた麦わら一味に全て飲まれていた。

 

「よし、アタシも歌う準備をしないと!!」

 

ウタも漸く場が出来てきた事で歌う準備として麦わらマークの手袋をつけているとヨンタマリア号が大きく揺れた。後ろには大砲を撃った海賊船と他にも多数の船があった。

 

「何事だ!?」

「船団です!!海賊だけじゃなく裏社会の存在の船もあるので恐らくドフラミンゴを倒した我々を報復しに来たのかと・・・」

「折角の宴時なのに・・・」

 

オオロンブスは自分の船団を操って速攻沈めようとすると藤虎が上げていた瓦礫をそのやって来た船団に降らせた。

 

「これは餞別です。ご夫妻・・・」

「まぁ、麦わら達に落とすと市民に被害が出そうだからね」

「早くひ孫が見たいのぉ」

 

ひ孫発言しかしてないガープをおつるは本気でドレスローザに置いて行こうと決めてまた拳一発で沈めた。余談だがガープは本気でドレスローザに置いていかれた。そしてマジで泳いで海軍本部まで帰っていった。おつるは今度、荒れ狂う海に落としてやろうと決めた。

 

 

 

〇〇〇

瓦礫の雨で全船沈んではいなかった。

3隻ぐらいまだしつこくもヨンタマリア号を追いかけていた。

 

「おい、俺が斬ってくる」

「駄目やい、お前らは主賓だ。そんな事はさせられねぇ!!俺がやる!」

「ここはオラに任せるべ!!」

「いや、ここで沈めて麦わら達の人気を取るのは僕だ!!」

「巨人の俺なら一発だ!!」

「俺の拳の方が早い!」

「僕が縫ってきます!!」

「ここは我のヨンタマリア大船団に任せて貰おう!!」

 

ゾロを筆頭に傘下の代表7人が誰でやるか揉めていた。

ルフィはそれを横目にさっさと沈めてこようと拳を構え始めると突然と3隻の船が爆発し、残骸になった。

 

「ヨンタマリア船団、警戒態勢!」

「構えろ!!」

 

オオロンブスとサイの号令に傘下は警戒し、ルフィ達は誰がやったのか気になったので船の残骸を見てるとプカプカとヨンタマリア号にやってくる小舟が見えるとルフィとゾロに傘下の面々は乗ってる男に驚き、ウタは笑顔で手を振りながら叫んだ。

 

「バギーおじさん♪♪」

「よぉ、ウタ!!ハイルディンが見えたからまさかと思ったがやっぱりお前も居たか!!」

 

それはバギーだった。ドレスローザに向かってる最中に3隻の船に追われてる大船団を見て見ると巨人のハイルディンが見えたので、シャンクスには微塵の欠片も通じなかったマギー玉を大量に撃つ新兵器マギーバルカンの力で3隻を沈めてやってきたのだ。

 

「何しに来たんだ、バギー」

「あっ?ウタに届け物があんだよ!!良いから乗せろクソゴム」

「おめぇふざけんな!!今からオラたちはルフィ先輩と傘下の面々で宴をするんだべ!!勝手に来るな!!」

 

船に乗せてもらおうとするバギーにバルトロメオが噛みつくがウタが問答無用でバルトロメオの玉を蹴り上げて黙らせた。悶絶するバルトロメオに他の男は不憫に思った。

 

「良いよ、今すぐ引き上げるね!」

「おう頼むぞ!!」

 

ロープを下げてバギーはヨンタマリア号に乗った。まさかの七武海で今、最も四皇に近いと言われているバギーの登場にバギーを知らない面々は警戒するがウタはそんな事は気にせずに抱きついた。

 

「おじさん、本当にごめんね!!」

「いてて!!まだ傷が治ってねぇんだ、離れろ!!」

 

シャンクスとの激戦の傷が治ってないバギーはウタを無理やり離れさせた。

 

「ごめんなさい」

「ったく・・・あのバカ共から手紙とプレゼントがあるから後で見せてやるよ・・・っで今から宴でもやんのか?」

「おう、バギーも入るか?」

「よし、旨い酒をよこせ」

 

ルフィはバギーにそう聞くとレオとハイルディン以外の傘下の面々がルフィに詰め寄った。

 

「ちょっと待て!!」

「こいつは関係ないやつだろ!!」

「なんで、この宴に!?」

「ルフィ先輩、考え直して欲しいべ!!」

「良いじゃねぇか、宴なんだし」

 

ルフィは悪びれもなく言うとウタは喜びのあまりルフィに抱きついた。

 

「ありがとうルフィ!!」

「てめぇ、クソゴム!!何、ウタに抱きついてんだ!?」

「いやいや、抱きついてんのはウタだろ」

 

それに対して叫ぶバギーにツッコむウソップ。場は完全にカオスになってきたが折角の御馳走が冷めるのを嫌がったルフィの鶴の一声に反対を表明していた面々は黙った。

そして全員がジョッキを持つとルフィは音頭を取った。

 

「野郎共、今回の俺達とミンゴファミリーとの喧嘩・・・俺達の勝ちだ!!!」

 

ルフィはそう叫んでジョッキを掲げた。

先程までの騒動も何処へやら、楽しそうに全員が笑ってるとウタが皆の中心に立ってフランキーお手性の簡易的な台の上に乗って歌おうとしているとバギーはルフィに話しかけた。

 

「おい麦わら、ちょっと手伝え」

「何だよバギー?」

「シャンクス達からウタへのプレゼントだ。見せるのを手伝え」

 

シャンクスの言葉を聞くとルフィはバギーの言う事を聞いて手紙と一緒に持ってきたプレゼントの端を持って、2人はウタから見えやすい位置にそれを持ってきた。何だ何だと他の面々も気になって注目し、ウタも気になって見て、ルフィとバギーがそのプレゼントを拡げた瞬間にウタは涙が溢れそうになった。

 

何故ならそれは“赤髪海賊団お手製の応援幕”だった。

 

『頑張れウタ!!』

 

もしも、政府にバレるといけないので赤髪海賊団のマークも名前も入れてないが、シャンクスはグリフォン。ベックマンはタバコ、ルウは肉、ヤソップは銃などそれぞれがわかるような物の絵がその応援の言葉と共に沢山描かれていた。因みに猿のモンスターは本人が描かれていた。

 

『お頭、そのグリフォン下手すぎだろ!』

『ベックマン、お前はタバコ以外にもなんか描けよ!』

『ルウ、てめぇ肉をデカくやり過ぎだ!!』

『ヤソップ、皆に合わせろよ!!一人だけうますぎだろ!?』

『よし、俺様も1つ・・・』

『赤髪海賊団の応援幕になんでお前まで入れるんだ!?』

 

バギーは数時間かけて手紙と一緒に作ったこの応援幕の事を思い出しながら笑い。ルフィはこの楽しそうな応援幕を見て笑った。

 

ウタもそれを見ると笑顔を見せて気合を込めた。

 

『皆、色々と聞きたいことはあると思うけどまずはアタシの歌を聴いて!!新曲だよ!!』

 

ウタはそう皆に言うと新曲の『Shining ray』を歌い始めた。

 

「どこに向かって走ればもっと♪素敵な明日に逢える?舵を取って胸にしまった奇跡の地図拡げた♪空を目指して夢を探して道に迷った時もある♪夢じゃなくて君と出会って素敵な自分を見つけた♪」

 

まるでウタの今の喜びのような曲だった。ルフィやバギーだけじゃなく大勢の人と出会ってウタはもう一度自分を好きになった。

 

「小さな勇気から大きな物手にした♪“願い”を今こそ“誓い”に変えて♪」

 

ウタはルフィとの新時代の誓いを改めて実現させる為に心を込めて歌う。

 

「Shining Ray!Find your brand new way♪未来の物語を描こう 新しい風にすべての思いのせて♪今 Shining Ray !Find your brand new way ♪A never ending Journey to be together ♪どこまでも追いかけてShining Ray」

 

ウタの旅はまだまだ終わらない。こうしてウタはルフィと誓った“新時代”に向かってまた一歩前進した。

 

 

 

 

かくしてドンキホーテ・ドフラミンゴを打ち破りし、麦わらのルフィの子分にと集った癖者7人。彼らはエレジアで行われる前代未聞の“大事件”で再び集結する。

 

“政府の失態”から始まるその“大事件”は先日の赤髪と千両道化の決闘が“始まりの決闘”と後に呼ばれたようにこの異例の子分盃も含めた今回の事件もまた後に違う名で呼ばれる。

 

 

 

“新時代の産声”




















というわけでシャンクス達からのウタへの贈り物は手紙と応援幕です!!皆様の予想を超えたなら嬉しいです!

それから原作のおつるとセンゴクと共にやってきたガープの野生児を抑えるおつるにルフィと戦闘で色々と原作と変えましたが、最終章でガープ、センゴク、おつるの面々も出したいのでやりました・・・上手く言ってないと言わないで下さい・・・下手くそなのは自覚してます・・・最終章は全勢力の上に伝説の面々も集めたいのでやりました。

今作の初期からの目標でラストはREDのようにエレジアでのライブをしながらSTAMPEDEのようなオールスターを目指してるのでこれからも頑張ります(ラスボスがバレットになるわけではございません)


そして歌は「Shining ray」にしました!!
最初は「hard knock days」にしようかと考えてましたが「風をさがそう」も良いなと思って昨日までは「風をさがそう」にしようかとこれを出す直前まで考えてましたが「Shining ray」の方がウタとルフィの歌っぽくなるなと思ってやりました。
個人的にはやって良かったです。英文が辛いけど・・・

これでウタが今作で歌った歌は「ヒカリへ」「Believe」「怒りをくれよ」「Shining ray」の4曲となりました。『新時代』とかは、あの色々と歌詞を使うと危なそうなのでそれらがタイトルしか出せないというか下手に触ると危険なので今回のREDの歌はタイトルしか出せれない代わりに必死にワンピースの曲を選別してるのでそれでご勘弁を。
またREDにあやかってウタが歌うのは7曲までで「ビンクスの酒」はスペシャルトラックという事で数えに入れてません。まあ、あれは使えるので「ビンクスの酒」はいずれどこかでやります。

なのでウタが歌う歌は残り3曲です!
次に歌うのはルフィVSカタクリ戦後になります!!
なんの曲かは当ててみて下さい。歌詞の一部分がやけにカタクリにピッタシな曲だったので。

では次回は宴での騒動と書けたら世界情勢を書きます。長すぎて世界情勢だけ違う回になるかもしれませんが・・・バルトロメオとかハイルディンとかの事も次回でやります。

そしてラスボスも台詞が登場します。

本格的に登場するというか完全に読者の皆様がアイツだと予想出来るようになるのはウタVSハンコック編だと思います。本格登場はルフィVSカタクリ編だけど。
そのせいでアニメの映画連動エピソードをベースにしたウタVSハンコック編のキャラが変わってるのでご了承下さい。


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Last boss

はい、笑い声からラスボスが誰かわかると思いますが奴です。あの男です。



ウタはバギーから貰ったシャンクス達の手紙を読んでいた。

 

『ウタ、これを読んでるということはバギーがお前に届けてくれたと言う事だろう。まず最初に謝らないといけないな。お前の12年を奪ってすまなかった。バギーからエレジアでの件を知ってるのを聴いた。俺はあの時、お前を助けられなかった。罪を全て被って逃げれば政府や海軍からお前を守れると思ってやった。けど、バギーに殴られて分かったよ。俺はお前と向き合うのが怖かったんだ。お前の人生をまた台無しにするのが怖くてしょうがなかったんだ。情けない親父ですまない。ライブには必ず行く。離れていても俺にとってお前は大切な娘だ。だから、もしもそれで許してくれるなら、もう一度父親になっても良いかな?』

 

ウタはそれを読んで先程、バギーが持ってきた応援幕や他の皆の手紙と一緒にシャンクスの手紙を抱きしめた。嬉し涙で溢れて止まりそうになかった。

 

「皆・・・最高のライブにするから・・・」

 

ウタはそう誓って大事な物を全て自分の鞄にしまって、ハイルディンと乗ってきたバギーズデリバリーの船からヨンタマリア号に戻ると皆が宴を楽しんでいたがハイルディンはバギーに話をしていてウタは友達のハイルディンを守るためにバギー達の元に行った。

 

「はぁ!?ウチを辞める!?」

「ウタを守れなかった。そんな腑抜けがずっといるのもおかしいので責任を取って辞めます」

(いや、俺様は別に気にしてねぇけど!?てか今、稼ぎ頭に辞められると困るんだが!?)

 

バギーはなんとか穏便にハイルディンには居てもらおうかと思ってどう話すか考えていたがそこにウタがやってきた。

 

「おじさん、アタシからもお願い・・・ハイルディンを許して上げて・・・」

 

ウタはそうバギーに頼み込んだ。バギーとしては辞めてほしくないのだが、ウタに言われると弱かった。何故なら今のバギーズデリバリーの人気にはウタの人気も入っていて、ここでウタに嫌われるとデリバリーの売上が下がると思い、バギーは非常に苦い顔をしながら頷いた。

 

「わかったよ!!認めてやらァ!!その代わり、カライバリまではマジで働けよ!?んで向こうに着いたらとっとと出てけ!!わかったな!!」

「座長・・・ありがとうございます!!」

「おじさん・・・ありがとう!!良かったね、ハイルディン!!」

 

喜んでる2人をよそにバギーは泣きたくなった。ドフラミンゴが居なくなった今、稼ぎ時でもある時に稼ぎ頭であるハイルディンに辞められると純粋に困る。なぜなら、そんな新しい稼ぎ頭の当てなど無かったからだ。バギーはこれからどうしようと本気で悩み始めつつも自棄酒をしようと思い、ハイルディン達から離れて酒を飲み始めた。

 

「なぁ、おい。そのバルカン。スーパーイカすじゃねぇか!」

 

すると持っていたマギーバルカンに興味を持ったフランキーとウソップが近づいてきた。

 

「うお、変態!?」

「そう褒めるなよ〜」

「「いや、褒めてはねぇよ」」

 

下がもろに海パンの変態なフランキーに思わずバギーがそう言うとフランキーは喜んだ。そしてバギーとウソップがツッコむと3人の話はドンドンと盛り上がっていった。そしてバギーはフランキーから形状記憶合金“ワポメタル”の話を聞くと今度、それでバルカンを改良しようと決めた。

 

ウタはハイルディンとの話が終わるとバルトロメオと肉を食べてるルフィを見つけて抱きついた。

 

「へへ、ルフィ〜」

「ん、ウタ。もういいのか?」

「うん」

 

ウタはバルトロメオに見せつけるようにルフィと仲が良さそうな所を見せつけるとバルトロメオは啞然とした顔で見ていた。

 

「な、な、な、な、な、な!?」

「うん、どうしたんだロメ男?」

「気にしないのアタシとルフィが幼馴染って関係に妬いてるだけだよ」

「ん?そうなのか?」

 

ウタの幼馴染発言に全く訂正しようとしないルフィの様子を見てバルトロメオは漸くウタがルフィの幼馴染だと知ると土下座した。

 

「ウタ様!!今まで誠に申し訳ございませんでした!!この不始末、腹を掻っ捌いて責任を!!」

「止めて気持ち悪い!!」

 

自分の腹を切りそうになるバルトロメオにウタはロープでバルトロメオを拘束すると詰め寄った。

 

「今さらあんたにそんな反応されるのは嫌!アタシはただルフィと幼馴染だってのを知ってほしかっただけ!!あんたが腐れ縁なのは変わってない!!だから、今までと同じ態度でやって!!」

 

ウタはバルトロメオにそう言った。ルフィを敬いすぎてるバルトロメオからすれば色々とやりにくいが今まで友達として接してきたのもあって観念した。

 

「分かったべ。これからもよろしくだべ」

「うん、それでいい!」

 

ウタとバルトロメオは握手をした。ルフィはその様子を黙って見た後で肉を持った左腕をぐるぐるとウタに巻き付けた。

 

「うわっ!?ちょっとルフィ・・・」

「ウタもこれを食べてみろよ。うめぇぞ」

「え?・・・本当に?」

 

ルフィに差し出された肉をウタは何気なしに一口齧った。本当に美味しかったのかウタは笑顔になった。

 

「ん、結構いけるじゃん」

「だろ?」

 

ルフィはその肉を豪快に食べた。ウタはそれを見て顔が赤くなっていた。

 

(えっ?それって・・・間接キ・・・いや・・・ルフィだから・・・わかってやってないと・・・でも・・・)

 

ウタはそんな事を頭で考えてるとなんだがこの巻き付かれてる状況も恥ずかしくなってきて顔を真っ赤にしていくとルフィはそれに気づいたのか顔を伸ばしてウタと目を合わせた。

 

「お前、顔がまた赤いぞ・・・大丈夫か?」

「〜〜〜〜〜〜!!!」

 

ルフィの顔を見ると余計に恥ずかしくなってきたウタはそのまま固まってしまった。

そんな初々しい2人を見ていたのはロビンだった。笑いながら、ルフィとウタのやり取りに微笑んでいるとニュース・クーが新聞を落としたのでそれを読み始めるとゾロやオオロンブスといった他の面々も見に来た。

 

「今日の新聞か?」

「何が載ってるやい?」

「俺達の懸賞金についてか?」

「いえ、懸賞金はまだね・・・ただ、ドレスローザの大混乱は凄い載ってるわね。私達のやった事もね。ただちょっと“不味い”記事もあるわ」

 

ロビンは新聞を読みながら淡々とそういった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「最高な人生〜♪ニュースニュースビックニュース♪真実も嘘も自由自在〜♪これが最高のエンターテインメント♪」

 

喜びのあまり、モルガンズは小躍りしながら部下に指示を飛ばしていた。

 

「ドレスローザでのリク王の発言は今世紀最大のビックニュースだ!!多数の海賊がヒーローになるなんてありえねぇくらいに盛り上がってきたぜ!!その中に歌姫もいるだけじゃねぇ!!まさか“ゴシップ”まで手に入るなんて想像もしてなかった!!くっ~〜!!これだから新聞は辞められねぇんだ!!」

 

モルガンズは笑いながらそう言って更に新聞を刷りまくるように指示を飛ばした。

 

 

 

 

〇〇〇

マリージョアの一室で五老星達は頭を抱えていた。

 

「藤虎にリク王め、厄介な事をしてくれた」

「海軍や政府の面目は丸つぶれ。あのアホウドリのせいでもう既に世界中でこの騒動を知らない者はいない」

「あの小僧が・・・“千両道化”のせいで七武海全員を調べ直さないといけない時期にさらなる問題を出しおって・・・」

「ウタウタの実に関してはどうする?ドンキホーテファミリーの1人がウタワールドに飛んだらしいが?」 

「今は手を出せない。赤髪との決闘で本当に実力で勝っていたら我々は“四皇”と遜色ない男を敵に回すことになる。幸いにも大規模なウタワールドはアラバスタの1件以来確認されてない」

「我々から手を出せん。それに“千両道化”の娘と名乗ったせいであの娘の人気は以前よりも落ちてる。革命の灯火にもならん」

「懸賞金はどうする?」

「下手にかけてトットムジカの事が世間に知られるのは避けたい。危険な物は忘れ去られるのが1番だ」

 

五老星はドレスローザやウタの事はそれくらいにしてもう1つの“厄介”な種をどうするか考え始めた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「おい、それは本当か?」

「えぇ、今色々と話題の歌姫は“赤髪”の娘で“千両道化”とは叔父と姪の間柄です」

 

クロコダイルはダズから貰った情報を得て新しい葉巻を吸い始めた。

 

「なるほどな・・・こりゃ赤髪とあのバカの決闘も中身は凄え下らなさそうだ・・・まぁ、ミンゴの鳥野郎が潰れたのは気分が良いが・・・」

「で、次は?」

「様子見だ・・・俺達も例の計画を始めねぇといけねぇからな。既に幾つもの裏社会の重鎮がスポンサーになってくれたがまだそこまでの規模も軍事力もない・・・バギーズデリバリーくらいの規模に“鷹の目”でもいれば良いんだが・・・連絡がつかねぇ」

「なら、最初はあのピエロからやりますか?」

「・・・・しょうがねぇか・・・カライバリ島に行ってくる・・・今のあのバカの地位は高いからな・・・」

 

クロコダイルは非常に気があまり進まないがバギーの今の世間的な評価を大真面目に判断して計画に組み込む事にした。

 

「しかし、俺も結構運がいいな・・・」

 

クロコダイルは以前ウタを捕まえなくて良かった事にホッとした。しかし、これからクロコダイルの運がどんどん無くなっていく事はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

カライバリ島。

そこにあるVIPルームで鷹の目ことミホークは不機嫌になりながらもワインを飲んでいた。近くではペローナがミホークの姿を見て怯えていた。

 

「お味の方はいかがでしょう?」

「不味い・・・それよりもあのピエロはまだ戻らないのか?」

「ひぃ!す、すぐに戻ってきますからお待ちを!!」

 

カバジはミホークに接待をしていたが不機嫌なミホークに怯んだ。バギーがシャンクスに勝ったというニュースが飛び交ってミホークはバギーを狩ろうとやってきたは良いが肝心のバギーが今のところ、行方不明で帰ってくるまで待つことにした。

因みにバギーズデリバリーは仕事をしつつも座長のバギーが行方不明と言う事もあって宴を一切やってないのでかつてないほどに金が溜まっていた。

 

「た、大変です!港に“赤髪海賊団”が!!」

「何!?座長もいるのか!?」

「それが座長からここで待ってるように指示されたらしくて・・・」

 

カバジと部下のやり取りが聴こえたミホークはそもそもの原因であるシャンクスにも色々と溜まっていた物があるので港に向かった。

そして“赤髪”と“鷹の目”の手合わせというこれまた大きな話題になる物が出来上がってしまい、ミホークの運もここからどんどんと無くなる事になった。

 

 

 

〇〇〇

カタクリはトットランドに戻りながら、ニュース・クーが落とした新聞を読んでいた。

 

「俺達の事は話してないな」

 

ドレスローザの客人騒動の時、リク王はカタクリの名前も言おうとしたが敵対している麦わらの一味と共に英雄になってしまうとリンリンに殺されるのでカタクリはリク王を脅して自分達の存在を消した。

この結果に満足しつつも同じように新聞に載っていた“ゴシップ”を見た瞬間、カタクリはビリビリに新聞を破った。

 

(なにさ、デレデレしちゃって・・・ムキッー!!あの女!!)

 

人に嫉妬してるカタクリを見ながらブリュレは兄の心を奪ったウタに対して嫉妬の炎をメラメラと燃やしていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

新世界のとある島、キッド海賊団の秘密基地があるこの島の一部屋でキラーは新聞を読みながらショックを受けていた。

 

「まさか、歌姫のウタが麦わらと・・・色々と複雑な気分だ・・・」

 

ウタのファンであるキラーはその新聞にあった“ゴシップ”を見て複雑な思いをしていた。海賊王になりたいキッドを支えてるキラーはいずれ麦わらの一味と戦う事を予期しつつもまさかその“麦わら”とウタにそんな関係性があった事でウタの悲しむ姿を想像してしまい、複雑な気分に陥っていた。

しかし、キラーはそんな事を悟られぬようにキッド、ホーキンス、アプーの海賊同盟の目標の最終確認をしに行った。

カイドウがここにやってくるまで後、1時間。

 

 

 

 

〇〇〇

「おぉ!!ルフィやるなぁ!!俺に義妹ができるのか!?」

「まだ言ってるぞ」

「ハック・・・もうほっとこ・・・それよりもウタとこんな関係だったんだルフィ君」

 

コアラは喜びまくってるサボを尻目にそう呟くとドラゴンに電伝虫をかけた。

 

『コアラか・・・』

「任務は完了しました」

『ご苦労・・・で、サボは?』

「妹が出来るかもって喜びまくってます」

『あの件か・・・それでコアラの目から見てウタはどうだった?プライベートではないぞ』

「人を惹きつける能力に指揮を取る力は素晴らしいです。それから戦闘も申し分ないです」

『彼女の惹きつける力は大きな革命の灯火にもなる。ではライブの件はコアラに任せる。イワンコフと共に頼むぞ』

「本当ですか!?私、ウタのエレジアのライブに行って良いんですか!?」

『その後の事も頼むぞ』

「はい!革命軍コアラ、ウタを“保護”します!」

 

コアラはエレジアのライブに行けることに喜んでいた。ハックは内容は違えぞ喜びまくってる2人を見ながら、溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

女ヶ島、ハンコックは一室でとある新聞を読むとビリビリにそれを破った。凪の帯に入る直前に手に入ったニュース・クーが落とした新聞をニョン婆に渡すとうっかりニョン婆がルフィの事を喋ったのが運の尽き、ハンコックは新聞を奪い取って読んだ。

そして載ってあった“ゴシップ”を読んで顔色を変えて覇王色の覇気を出してプルプルと震えていた。

 

「フハハハ!!遂に姿を現しよったな泥棒猫!!妾が直々に成敗してくれる!!出陣じゃ!!武器を持てい、食料を積み込め、妾のルフィを取り戻すのじゃ!!」

「待つのじゃ蛇姫!」

「うるさい!!」

 

完全にウタを殺す為にハンコックはそう指示を飛ばした。ニョン婆は止めようとしたが、恋の炎に燃えていたハンコックを止められず、ハンコック達はシャボンディ諸島で船をコーティングした後、魚人島を進んで新世界に入っていった。

ウタとハンコックの女の戦いまで後少し。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

『海賊が英雄に!?』

『そんな馬鹿な!?』

『けど、政府はこれを認めたぞ!!海軍大将が土下座までやったんだ!!』

『おい、それにUTAもいるらしいぞ!!』

『嘘だろ!?』

『UTAも海賊と一緒に人を助けたのか?』

『なぁ、前にUTAが言ってた事って・・・』

『ふざけんな、海賊は悪党・・・そうに決まってる』

『でも全員がそうなのかな?』

『・・・・一体、どうすれば良いんだよ!!』

 

ドレスローザを機に世界もまた少しずつ、変わり始めていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ドレスローザの悲劇!』

『政府が落ち度を認める!!』

『海軍大将が土下座、リク王はドフラミンゴを倒した者達を英雄視!』

『海賊が国を救った!!』

『ドフラミンゴを打ち破ったのは“麦わら”のルフィ!!』

『“赤髪”と“鷹の目”が“千両道化”の縄張りで戦闘!!』

『“海賊女帝”、新世界入り!!』

 

多くのニュースで新聞が賑わっていたが1番の人気はこの“ゴシップ”。それはドレスローザでウタを抱き寄せながら宙を移動していたウタとルフィの写真が載った記事だった。

 

『“歌姫”と“麦わら”、熱愛疑惑!!』

 

それに対する3()()の父親達の反応はどれも一緒だった。

 

「「「何っーーーー!!!!??」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

黒ひげ海賊団の拠点のハチノスでは、緊迫した空気が流れていた。

突然と現れた男に黒ひげは笑いながら対応していた。

 

「しかし、まさかお前がまだ生きてたなんてな」

「俺様の生命力を侮るな」

 

その男は葉巻を吸いながら話していた。

 

「で、俺達になんのようだ?」

「お前には用はなかったんだ。王直のアホが居るかと思ったのに居たのがお前でビックリしたくらいだ。白ひげの見習い小僧・・・まぁ今は四皇になってるなら丁度いい・・・俺と手を組め」

「お前と??俺になんのメリットがある?」

「ウタウタの実が手に入ると言ったらどうする?」

 

黒ひげはウタウタの実と聞いてあることを思い出した。それはトットムジカという古い伝説だった。

 

「トットムジカか・・・ウタウタの実だけじゃ使いこなせる奴がウチの海賊団には今はいねぇから別にそこまで欲しくもなかったがあれも手に入るなら欲しいな」

「なら手を組め、俺もあれがあればこの世界を支配出来る。一緒に世界を支配しようぜ!」

「嘘だな、お前の腹黒さは親父の船で良く知ったからな」

「・・・なんだ、バレたか・・・」

「だが、欲しいのは事実だ・・・だからこうしよう・・・手に入れるまでは手を組むがその後は俺達とお前でそれの奪い合いだ・・・海賊らしく行こうぜ!!」

「・・・気に入った!!」

 

こうしてその男と黒ひげの海賊同盟が人知れずに決められた。

男はそのまま黒ひげと共に酒を飲みながら手配書や新聞を見た。

そしてバギーの手配書を見るとズタズタに破り捨てた。

 

「ロジャーの見習い小僧が・・・お前みたいに弱いやつがのさばってるこの時代が俺は大っ嫌いなんだよ・・・」

「おいおい、ウタウタの実を食ってるのはそいつの娘だぞ」

「・・・知ってるよ・・・ちょうどいい。こいつも殺してやる・・・この大海賊時代を終わらせる・・・」

 

黒ひげは男のそんな言葉を聞いてウタウタの実が手に入ったら、絶対に殺そうと決めた。

 

「ゼハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

黒ひげが笑い、男も笑った

 

「ジハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
























という事でこれにてドレスローザ編は文字通りの完結ですが1言、自己批評するなら【大失敗】です。
本当はもう少しコンパクトに仕上げたかったのですがキャラの多さに戦闘になると苦戦して途中でやり方を変えるという事をしてしまい申し訳ないです。

ウタとルフィの再会など色々とやれて良かった部分はあるのですが全体を見るとやはり大失敗。

トットランド編はこれを反省してもう一度原作を熟読してから挑みます。

それよりもまずはイチャイチャ編を2話か3話やります。まぁ今回の新聞の反応が次回の最初になりますが・・・





そしてラスボスが登場ですがあいつです。
これは初期の段階からずっと決めていてウタととあるキャラの出会いにもこいつが関わってます。

それでは皆さん、次回もお楽しみに!!
因みにこいつの話も最終章で思いっきりやるのでお楽しみに!!なぜ、ウタを狙い始めたのかもやるのでそれに対する疑問の感想の返事はお楽しみにとしか返せないのを予め言っておきます。


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Bed

タイトルがアダルティな感じですがいつものノリです!ルウタですよ!!


宴は無事に終わったがウタはバギーズデリバリーの一室でバギーに説教をされていた。因みに隣にはルフィもいてウタは正座をしてたがルフィは見事に胡座だった。

 

「これはどういうことだウタ?俺はクソゴムと付き合って良いなんて言ってないぞ・・・ハデにやりやがってこのバカ娘!!」

「いや、だからそれは言ったじゃん。アタシのせいじゃないって・・・」

「ウタを怒るなよバギー!」

「黙れクソゴム!!そもそもお前の責任でもあるんだぞ!!ったく俺の所にいても騒ぎになりそうだし、エレジアでもモルガンズとかがやってきそうだからな・・・しょうがねぇ・・・おい、ウタ。お前暫くの間、雲隠れしろ。配信も何も一切禁止!!暫くは大人しくしてろ!!」

「はぁ~!?そんなぁ〜!!」

「わかったな!?返事は!!?」

「・・・は~い」

 

バギーはウタにそう言うとウタは不満はあれどバギーの言うことは大人しく聞くので従った。

 

「完全にお父さんね」

「過保護だな〜」

 

ロビンにウソップは他の面々と一緒に部屋の外からそれを見てそう言った。

 

「なら、ウタ。俺達と暫く居ようぜ!」

「え!?・・・いいの?」

「あぁ!一緒に冒険しようぜ!!」

 

ルフィからの誘いをウタは断る理由がなかった。エレジアのライブがあるからずっとは無理だが出来るだけ一緒に居たいウタとしては凄い嬉しかった。

 

「はぁ!?そんなの俺が認める・・・」

「おじさん、お願い!!でないとアタシあることないこと配信でいっぱい話すから!」

「はぁ〜!?」

 

脅していた。ウタは完全にバギーを脅した。

いくら人気が下がってるとはいえ、ウタはまだまだ人気。そんなウタの人気もあってバギーズデリバリーも繁盛してるのでここでウタに嫌われるとバギーにとってはハイルディン並みに傷手だった。なのでバギーは逆らえなかった。

 

「わ、分かった・・・」

「やった!!バギーおじさん、大好き!!」

「畜生!!」

 

純粋に慕ってくれてるのでウタはバギーの説教も話も素直に聞くが欲が絡むとバギーを翻弄していた。

 

『ぷるぷるぷるぷる』

 

電伝虫が鳴ったのでバギーは受話器に手を飛ばして取った。

 

「はいもしもし?」

『無事かウタ!?』

「うわっ、うるせぇわ!!静かに叫びやがれハデアホ!!」

「ゴードン!?やば、連絡するの忘れてた!!」

「お前はバカか!?ほらよ!」

 

バギーはウタに受話器をウタに渡すと泣いてるゴードンが出てきた。

 

『ウタ、無事か!?返事をしてくれぇ!!』

「ゴードン、アタシは無事だよ!!」

『ウタぁ、良かった・・・良かった・・・記憶が少し消えてわからなくなったし、新聞には君が載ってて無事は分かったが・・・この熱愛報道はなんなのかね!?私はそんな淫らな事をするように教えたつもりはないよ!!』

「いや、だからそれは・・・その・・・何でもないの!!」

『まぁ、君が認めたなら・・・私は何も言わないが・・・』

「え?ゴードン・・・もしもーし・・・」

『ウタ・・・避妊だけは確り・・・』

「馬鹿ァァァァァァ!!!」

 

色々と飛ばしまくって混乱していたゴードンの発言に顔を真っ赤にして無理やり切った。

肩で息をしながら、ウタは周りを見た。何かわからない雰囲気のルフィと何か言いたそうなバギーだったのでウタはバギーを思いっきり睨むとバギーは何も言いませんと手や表情で分からせてきたのでウタも何も言わなかった。

 

「ウタ、どうしたんだ?」

「なんでもない!!子供は知らなくていいの!!」

「俺はもう大人だ!!」

「うるさい!!」

 

ルフィに言われて恥ずかしさのあまりウタは部屋を出て行ってルフィもそれを追いかけた。バギーは1人寂しく泣きそうになっていた。

 

 

 

〇〇〇

ゾウまでルフィと一緒に居ることを決めたウタはハイルディンやバギーと分かれてバルトロメオの船のゴーイングルフィセンパイ号に乗ることになったがそこでも一悶着あった。

 

「歯ブラシ持ったか?着替えは十分にあるか?変なものは口にいれるなよ?身嗜みは整えろよ?それからシャンクスと俺にはともかくゴードンってやつには電伝虫をちゃんとかけろ。後は寝る前にパンケーキを食べるなよ肌が荒れるからな・・・それから・・・」

「もういい加減にして!!おじさんなんて大っ嫌い!!」

 

バギーがウタに関してあれこれとまるで子供に言う事を聞かすように言ってきたのでウタは顔を真っ赤にして殴り飛ばした。

そして嫌いと言われてショックを受けたバギーとハイルディンはそのままカライバリ島に行ってウタはルフィ達やバルトロメオ達と一緒にゾウを目指すことになった。

 

「随分と優しいおじさんね」

「うぅ〜〜〜〜〜〜!!凄い恥ずかしい・・・」

 

ロビンに言われてよりさらにウタは羞恥心で身悶えていた。そんな風にどこか長閑な雰囲気が流れてるとロビンが聞いてきた。

 

「ねぇ、ウタ。あなた、ルフィの事が好きでしょ?」

「ふぁ!?えっ?ば・・・えぇ?」

「アン?俺等はだいたい知ってるぞ」

「えぇ!?」

「知らねぇのはルフィとゾロくらいじゃねぇか?」

「なっ!?」

「いやぁ、ルフィ殿も隅に置けぬな」

「さようにござる」

 

顔を別の意味で真っ赤にしながらウタは周りを見ると皆が凄いニヤニヤした顔で見ていた。そんなウタの元にルフィがやってきた。

 

「どうしたウタ?」

「〜〜〜〜〜〜!!!な、なんでもない!!ちょっと部屋で休む!!」

 

ウタはルフィに感づかれるのを嫌がり、逃げるように船室に行った。ルフィは凄い膨れっ面をしてその後ろ姿を見ていた。

 

「あらルフィ。どうしたの?」

「なんかウタの奴。昔に比べてよそよそしくて変なんだ・・・」

「フフ・・・そうなの?」

「昔はもっと一緒に遊んだのに・・・むぅ」

 

ルフィはそう不満を呟きつつ、魚釣りをしようとバルトロメオ達から釣り竿を借りに行った。

 

「フランキー・・・」

「アウ、わかってる。ちょっと待ってろ、バルトロメオ達と相談しねぇといけねぇからな」

「私も行くわ」

 

ウタとルフィを見つつ、ロビンとフランキーという一味の中でも年長な2人はニヤニヤと笑いながら、ルフィに釣り竿を貸した事に関して泣いてるバルトロメオ達の所に行った。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはルフィから離れつつも宴の時にサイから教えてもらったある事を伝える為にとある場所に電話していた。

 

『もしもし?』

「あ、シャッキーさん。久しぶり!」

『あら、モンキーちゃんのハートを射止めた歌姫ちゃんじゃない』

「その・・・まだ射止められてないです・・・」

『あらあら、最近の子は遅いのね。もう既に夜を共にしたのかと思ったわ』

「うぅ・・・恥ずかしいよぉ」

『何言ってるの、マーガレットと一緒に私の()の授業を受けたじゃない・・・まぁ、歌姫ちゃんは顔を真っ赤っ赤にしててマーガレットはなんの反応もしなくて少しちょっと今の女ヶ島が色々と不安だけど・・・』

 

シャボンディ諸島の時にシャッキーが暇つぶしと言わんばかりに夜伽の事を色々と教えてくれたがウタは恥ずかしくて実行出来るとはとうてい自分でも思えなかった。そして一緒に受けたマーガレットはそもそも男をそんなに知らないのもあってシャッキーが幾ら誂っても無反応だった。ハンコックの性教育がどうなってるのか心配になるシャッキーだった。

 

「って、今日はそれで掛けたわけじゃないの。レイリーさんいる?」

『あの人?いるわよ、ちょっと代わるわね』

 

シャッキーがそう言ってレイリーに代わった。

 

『ウタちゃん。どうしたんだい?』

「レイリーさん、あの、アタシ。ちょっと心配してる事があって・・・」

『ルフィの事かな?』

「ううん、バギーおじさんの事」

『バギーの?』

「あの、知り合いが海兵から王下七武海が無くなるかもって話を盗み聞きして、しかもそれの為に色々と準備してるって・・・おじさんにも言ったんだけど、全然気にしてなくて凄い心配なの・・・」

『そうか・・・だが、バギーなら大丈夫だ。ロジャー海賊団でも何だかんだ生きてたし、エッドウォーの海戦の時はシャンクスと一緒になって“金獅子”のシキと暫く戦ってたからな』

「ホント・・・おじさん・・・大丈夫なの?」

『あぁ、君は安心して旅を続けなさい』

「うん・・・ありがとう!!」

 

ウタはそう言うと電伝虫を切って新しい曲を作ろうとノートに新曲のイメージを書きながら歌詞を書き始めた。

 

 

一方、シャボンディ諸島にいるレイリーはウタからの電話を切ると神妙な顔つきになった。

 

「ちょっと不味いわね」

「あぁ、幾ら七武海がここまでの事をやっているからと言っても2年前の戦争でその強さを見せつけてはいた。そんな話が海兵から出ると言うことは政府は本気のようだ。バギーはともかく、ハンコック達が危ない。女ヶ島の状況から見て恐らく1番危険だ」

「ハンコック達なら今は新世界で女ヶ島には居ないわ」

「なら後で合流しよう・・・新世界に戻るのも随分と久しぶりだ」

「女ヶ島全員を移動するとして何処に行くつもり?」

「なに、ちょうどいい宛がある」

 

レイリーはシャッキーにそう言って笑うと2人は準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、カライバリ島で予期せぬ戦闘をしていたシャンクスとミホークだが、数分でシャンクスの強さが健在だとわかるとミホークは怒りを沈めて事情を聞いた。

そして、あまりにも下らない内容に色々と呆れてペローナのゴーストをシャンクスに通らせてからさっさと帰って行った。

 

「生まれてきてすみません・・・ミジンコになりたい」

 

ネガティブになって気が沈んでるシャンクスはかなりの落ち込みようを見せていたが、暫くしたら戻った。

因みにミホークは律儀にもバギーズデリバリーで飲んでいたワインや摘みの代金と迷惑料を置いて帰って行った。

2日後、バギーがハイルディンと戻った時にシャンクスはウタについてあれこれとバギーに問い詰めてルフィと一緒に居ることを伝えるとバギーと共に大泣きして、この日は決闘後の険悪感も何処に行ったのか、宴をして非常に盛り上がった。

そして2人は二日酔いになった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

すっかり夜になってウタは夕飯と言われて食堂に行ってご飯を食べてると皆がニヤニヤと微笑みながらルフィとウタを見てきた。

 

「どうしたんだ?」

「ルフィ先輩、食べたらオラ達と先輩方からのサプライズがあるべ!!」

「ウタ様にもだ!!」

 

バルトロメオとガンビアがそう言うとルフィとウタは何かなと目を輝かせ始めた。

 

「楽しみだなウタ!」

「うん!」

 

笑顔の2人はそのまま上機嫌で夕飯を食べてからサプライズの為にその部屋に移動するとルフィもウタも首を傾げた。

何故ならそこは普通の部屋でベッドがダブルサイズになってるくらいしか特徴がなかったからだ。

 

「何だこれ?」

「ゾウに着くまで色々と積もる話もまだまたあるだろ。12年も離れてたんだ。俺達にあまり聞かれたくない話とかもあるだろ?」

「だから、2人の部屋を作ってもらったの♪」

 

フランキーとロビンのお節介と言うなの爆弾にルフィは乗り気だったがウタは顔を真っ赤にして2人を睨んだ。

 

「おぉ!!良いな、昔みたいに一緒に寝ようぜ!」

「えぇ!?ちょっと・・・アタシ達もう大人だよ!?」

「ん?だから?」

「いや、そのちょっと・・・あれというか・・・」

「嫌なのかウタ?」

「い、嫌とは言ってないよ!」

「なら良いよな?」

 

無垢な少年のように言うルフィにウタは何も言えなくなったのとウタもまたルフィと一緒に寝たかったので頷いた。

 

それから話はあれよあれよと進んでゴーイングルフィセンパイ号には風呂がないと言うのもあってロビンと一緒にお湯を沸かして体を拭いて汗を落としたウタはパジャマに着替えて部屋でルフィが戻ってくるのを待った。1週間に1回しか風呂に入らないルフィだがそろそろサイクル的に体を洗う日だったのとウタが体を洗わないと一緒に寝ないと行ったら洗いに行った。

因みにバルトロメオ達も一緒になって洗って甲板から盛り上がってる声が聞こえてきたがウタはこれからどうなるかと想像して気が気ではなかった。

 

(ルフィの事だからたぶん、そんなつもりはないと思うけど・・・どうしよう!?えっ!?アタシ、そんな心の準備がまだなのに!!それにひょっとしたらこれでルフィも目覚めちゃって・・・うわぁ~!!!考えるな!!考えるなアタシ!!)

 

シャッキーの教育によって知識をつけてしまったウタは顔を真っ赤にしてベッドの上で身悶えていた。すると体を拭き終わったルフィが部屋に入ってウタを見て叫んだ。

 

「あー!ウタ、俺が先にフカフカベッドにダイブするつもりだったのに!」

 

いつも通りなルフィに対して先程まで身悶えていたのがバカバカしくなり急に冷めてきたウタは余裕が出来たのかルフィをからかう。

 

「へへ、良いでしょ〜?」 

「こんにゃろ!」

「へ?」

 

ルフィは問答無用でウタにダイブしにきた。ベッドが大きく跳ね上がってウタとルフィは体を重ねた。

 

「ちょっとルフィ!危ないし、重いからどいて!」

「ししし、悪い悪い」

 

ウタはルフィに退くように言うとルフィも素直に退いてくれたので2人はベットの上に座って顔を見合わせた。

 

「懐かしいなぁ、昔はシャンクスと一緒に寝たくて取り合いしたっけ?」

「そうだね・・・アタシがシャンクスの横なのに奪いに来てムカついて来るまで横になりながら喧嘩して気づいたら一緒に寝てたっけ?」

「他にも一緒に昼寝とかしたよな?」

「マキノさんのお店とかでね!懐かしいなぁ〜」

「でも1番寝心地は良かったのはアレだよな?」

「そうあれ!」

「「ルウのお腹!」」

 

ルフィとウタは寝ていたルウの大きなお腹に背もたれで一緒に寝た時の事を笑いながら思い出していた。

するとウタの緊張も完全に解けてリラックスした状態でウタは横になるとルフィもその隣で横になって2人は体を向き合った。

 

「ルフィ・・・後、どれくらい一緒にこうしていられるかな?」

「どうしたんだよ急に?」

「アタシはこれからライブとか色々とある。ルフィとはずっと居られない・・・ちょっと寂しいなぁって」

「・・・ウタは新時代の誓い忘れたのか?」

 

ルフィはそう聞くとウタは首を横に振った。忘れる筈がない。大切な大切なウタに取ってそれこそ勇気を出して一歩踏み込めた大事な誓いなのだ。

 

「忘れてないよ・・・だって・・・大事な誓いだもん」

「なら良いじゃねぇか・・・離れてても俺はずっとウタのここにいる」

 

ルフィはそう言うとウタの胸に拳を当てた。そしてニカッとウタを安心させるために笑った。ウタもそれを見て笑い、ルフィの胸に拳を当てた。

 

「そうだね・・・アタシもルフィのここにいるから。ずっと忘れないでね」

「もう忘れねぇ、ウタも忘れんなよ?」

「うん!」

 

2人はこうして互いの存在をキチンと自分の中にあることを再確認すると寝始めた。ウタよりもルフィが先に寝てしまってウタは自分が横にいるのに全く関係なく寝たルフィに少しだけやきもきしつつもルフィらしいとこが良かった。

ウタは寝てるルフィの顔を少し触り、目の下の傷に少し触れてウタは眠りについた。

 

 

暫くするとルフィは目を開けて寝てるウタの顔に手を触れて少しだけ撫でた。

 

「ウタ、新時代の誓いが叶ったら()()した事をやろうな」

 

ルフィはそう言って再び眠りについた。












というわけでルウタをしつつも着々と進行していく物語。こっからどうなるかはお楽しみに!!
次回はルフィのイケメンっぷりを書きたいので頑張ります!!んでウタVSハンコック編じゃ!!
それが終わったらトットランド編と言う名のルフィVSカタクリ編です!!
それではルフィVSカタクリ編の予告を書いたのでどうぞ!!

追記
載せてましたが、やっぱり読んでて驚いて欲しいという感情もあるので誠に勝手ながら消しました。
申し訳ございません。


追記2
レイリーとシャッキーによるハンコック関係の会話が少し飛びすぎてたので直しました。


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Luffy & Uta

お待たせしました!!
ちょっと前回までとはノリが違うというか書いてる私が言うのもあれですけど重いです。無茶苦茶重いのでご注意下さい。


ウタはルフィの隣で幸せに眠っている筈だった。

 

『助けてくれ!!』

『誰か!!』

『お願い、子供だけでも!!』

『お母さん!!お父さん!!』

『これを見てる人は聞いてほしい、ウタは悪魔の娘だ!!』

 

「いや、止めて!!違う・・・違うよ!!」

 

周りは火に囲まれて逃げ場がない。エレジアが滅びたあの一夜。ウタはトットムジカと自分によって行われてしまった事が悪夢となって蘇った。

まるでウタが幸せになるのを許さないかのようにトットムジカの悪夢はしつこく彼女に人が死んでいくさまを見せていく。

周りにはドンドンと死体が転がっていくとそれらは姿を変えていった。

青と白の髪色で影になっていたがウタそっくりの姿になり、近づいてくる。

 

『人殺し』

『ひと殺し』

『ヒとごロし』

『人ごろし』

『ヒト殺し』

『人ゴロシ』

『ひトゴろシ』

 

「いや・・・止めて・・・来ないで!!助けて・・・バギーおじさん・・・シャンクス・・・ルフィ」

 

ウタは怯えて大切な人達に助けを求めるが誰も来なかった。

影達はウタにドンドンと近づいていき、ウタの肩に触れると影が消えて顔を見せた。

それは血塗れになったウタ本人の顔だった。

 

『あんたに幸せになる資格なんかない』

「いやぁぁぁぁぁ!!!」

 

ウタはそれらに埋められていって最後に聞こえてきたのはトットムジカの独特な音色だけだった。

 

 

 

〇〇〇

そんな悪夢を見てウタは飛び起きた。

肩で息をしながら汗をびっしょりかいていた。周りをちゃんと見てルフィと一緒の部屋でルフィはまだ隣で寝ていた。

 

「いまの夢・・・?」

 

ウタはそう呟くと体が震えてきた。

エレジアで知ってルフィと再び会うために旅に出てから見ることもなかった悪夢。アラバスタやジャヤを旅してバギーと出会い、ドレスローザでルフィと再会し、シャンクスともまた会う約束をして幸せを感じ始めた途端に現れた。

 

ウタは必死に震えを抑えようと自分の体を抱きしめたが震えは止まらなかった。カタカタと震えてバギーから貰った支えの1つであるトレジャーマークを握っても何1つ変わらなかった。

 

(人殺し・・・アタシは・・・いや違う!・・・トットムジカが・・・でもそれを蘇らせたのは・・・いや!いや!!)

 

ウタはウタワールドの中に入って逃げるかと思ったが止めた。バギーとの出会いでウタはウタワールドに入ることが殆ど無くなった。それに頼ってるから前に進めなかったと思ってるからだ。ウタは海楼石でウタワールドに行かずに歌を歌えるようになった事で自分の中にあるウタウタの実が大嫌いになっていた。

故に戦闘以外で使いたくなかった。

 

「もう1回寝よ・・・今度は大丈夫・・・」

 

ウタはそう自分に言い聞かせてトレジャーマークを握りしめながら布団の中に入った再び眠りについた。

 

そして、再び悪夢を見た。

 

 

 

〇〇〇

ウタは結局、その後寝ても悪夢で覚めるという最悪の悪循環に落ちてしまってクマが出来ていた。

 

「大丈夫かウタ?」

 

ルフィがウタを心配して来た。元気が昨日に比べて明らかに無くて静かだったからだ。

 

「うん、大丈夫だよ!ただちょっと眠れなくて・・・」

 

ウタはルフィに心配かけさせまいと笑顔を見せた。エレジアでの事はルフィに言うつもりはなかった。何故ならウタ個人の問題であってそれにルフィを巻き込む気はなかった。

 

ウタはその後、ルフィや皆と共に長閑な旅を船旅をしていた。ルフィ達が手配書の新しい金額を見て興奮したり、サンジの写真が普通になると生け捕りのみになっていたり、バルトロメオがルフィとウタとシャンクスの関係を知って興奮したりと色々とあったがウタは眠ってるのか起きてるのかわからないほど現になりながら聞いていて殆どそれを覚えてなかった。

 

「ウタ、だいぶ眠たそうね」

「うん、ちょっと疲れてたのかな?」

「眠れないなら白湯がいいぞ。内臓が温まってリラックスできる。ウチの船員は良く飲んでる」

「そうなんだ。試してみるね!ありがとうトラ男!」

 

ロビンに聞かれてもウタは悪夢の事は言わない。元気な姿を皆に見せていった。ローはそんなウタを見て白湯を今晩飲むように言ってくれてウタもそれを試すと言った。

 

そして時は過ぎて夜になった。ルフィは基本的に寝たい時に寝る性格でまだ寝たくないと言ったので今日は寝不足もあってウタだけが先にベッドに入って横になった。

ローに言われていた白湯も飲んで体はリラックスしたのかすぐにウタは眠りについた。

そしてまた悪夢を見た。

 

 

 

 

〇〇〇

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

夢の中でウタは逃げていた。

瓦礫となって火の海に囲まれたエレジアの中をロープで宙をかけて逃げているが後ろからは青白髪の影が大量に追ってきていた。

 

逃げてる最中に影に向かって攻撃しても影には全く効果を得ずに追いかけ続ける。

 

『ほら、どうしたの?人殺し』

『早くウタワールドに行けばいいじゃん』

『自分の世界に入りなよ』

 

「うるさい、うるさい!!アタシはもう頼らないって決めたんだ!!」

 

影達の言葉にウタは気概にそう応えたが影はウタを嘲笑う。

 

『無理無理』

『ずっと逃げてる』

『逃げて見てないだけ』

『悪魔の歌声なのに』

 

「ゴードンもシャンクスだけじゃない!!皆、アタシの歌を天使と言ってくれた。アタシの誇りよ!」

 

ウタはそう叫んで影を攻撃した。すると影は形を変えて別の姿になった。それはハイルディンだった。ハイルディンの攻撃に当たった場所は盛大に斬れてそのまま血を流してハイルディンは倒れた。

 

「ハイルディン!?そんな!!」

『人殺し人殺し♪』

『懲りずにまた殺した♪』

 

ウタは影達を睨んでもう1回、ロープで攻撃しようとするとハイルディンの死体がウタのロープを掴んだ。

 

『なぜ、俺を殺した?』

「ヒィ!?」

 

ハイルディンの死体はそう言うと崩れて消えた。影達はまたウタに襲いかかってくる。ウタは怯えながらもロープで攻撃するとまた姿を変えた。

それは麦わら大船団の代表であるサイ、イデオ、キャベンディッシュ、レオ、オオロンブスに姿を変えた。

 

『どうして傷つけるやい?』

『俺達が何をした?』

『僕達が憎かったのか?』

『我らは友だと思った・・・』

『酷いれす』

 

それぞれそう呟くとまた崩れ去って消えた。

ウタはもう限界だった。知り合いが死体になって恨み言を呟いて消える状況を見せられてウタは座り込んでしまった。目からは恐怖なのか悲しみなのか分からないが涙が溢れていた。

 

影達はウタの周りにやってくると姿を変えた。

バルトロメオ、ガンビア、ビビ、トト、クリケット、マシラ、ショウジョウ、ガープ、ジョナサンに変わった。ボロボロで血を流して生気のない姿をしていた。

 

『お前のせいだべ』

『あんたのせいだ』

『あなたのせいよ』

『君のせいだ』

『お前のせいだ』

『お前のせいだ』

『お前のせいだ』

『お前のせいじゃ』

『君のせいだ』

 

「止めて・・・もう止めてよ・・・お願い・・・もう止めて!!」

 

ウタは蹲って耳を塞いた。しかし、声は延々と聞こえてくる。

 

『ほら、認めなよ幸せになる資格が無いことを♪』

「うるさい!!」

 

ウタはそう叫んで眼の前にいた影達を攻撃した。すると赤髪海賊団のメンバーになって倒れた。

 

「い、い、いやぁぁぁぁぁ!!!」

 

ウタはすぐに泣きながらすぐに近づいて体を揺すっていった。

 

「ベックマン・・・ルウ・・・ヤソップ・・・ホンゴウさん・・・ライムジュース・・・バンチ・・・モンスター・・・スネイク・・・ガブ・・・」

 

ウタは全く起きない彼らを起こそうと必死になって揺らしていたが手が血に染まるだけだった。そして赤髪海賊団もまた生気のない目で立ち上がり、ウタを見て次々に言い始めた。

 

『どうしてだ?』

『お前を愛してたのに・・・』

『なんでだ?』

『なぜだウタ』

『なんで・・・』

『どうして・・・』

『ウキィ・・・』

『どうしてだウタ・・・』

『お前を守りたかっただけなのに・・・』

 

「いや・・・いや・・・いや・・・アタシ・・・アタシじゃない!!」

 

ウタは叫んで攻撃してない事を主張するが自分の後ろにいた影達がウタに耳打ちをしてきた。

 

『あんたの攻撃で死んだのよ・・・悪魔』

「違う!!」

 

ウタはその3つの影達に攻撃するとまた姿を変えた。ゴードン、バギー、シャンクスというウタが愛してる父親達になった。

 

「あ、あああああああああ!!!」

 

ウタはもう顔を完全に歪ませて腰が抜けてしまい、立てなくなっていた。

 

『どうしてだ!?君には全て教えた・・・私の国を滅ぼした事にも堪えて・・・教えた筈なのに!!』

「ゴードン・・・」

『何でだ・・・俺様はお前を助けた・・・夢も預け筈だ・・・なぜ殺した!!』

「バギーおじさん・・・」

『ウタ・・・あの時、お前を拾うんじゃなかった・・・』

「シャンクスぅ・・・」

 

大切な父親達に言われてウタはもう精神がボロボロになっていた。怯えてもう動けなかった。シャンクス達、影は融合して1つの影になるとウタに近づいてくる。

 

『ほら、あんたに関わると皆死ぬ』

「いや・・・来ないで・・・」

『あんたは幸せになっちゃいけない』

「来ないでってば!!」

『あんたの歌は悪魔の歌声』

「お願い・・・もう分かったから・・・止めてよ・・・・」

『あんた達の“新時代”に価値なんてない!!』

「止めてって言ってるだろ!!」

 

ウタはそう叫びながら、影の胸をぶん殴った。すると影の体を貫いて影は姿を変えた。

それはウタが心から愛してる人・・・ルフィになった。

 

「あ・・・あぁ・・・」

 

ウタはルフィの胸を貫いて血が止まらないこの状況に何も出来ずにいた。ルフィはそんなウタの頬を血塗れになった手で触れた。

 

「なんでだウタ・・・誓ったのに・・・」

「違う・・・違う・・・」

「ウタ・・・お前と出会うんじゃなかった・・・」

 

ルフィは最後にそう呟くと今までとは違って消えずにウタにもたれ掛かった。

 

「あ・・・あ・・・あぁぁぁぁぁ!!!」

 

ウタの周りには大切な人達の骸が散乱していた。

 

 

 

 

 

〇〇〇 

「いやぁぁぁぁぁ!!!」

 

ウタは叫びながら、目を開けて飛び起きた。涙を流して汗を掻きまくって体は震えながら、両手に血が付いてないか、体に血が付いてないか見たり触ったりして確認した。

 

「ウタ、大丈夫か!?凄え魘されてたぞ!!」

「ルフィ・・・?」

 

ウタの隣で寝ていたルフィはウタの魘されてる声に起きて向き合うとウタはルフィを押し倒した。

 

「ルフィルフィルフィルフィルフィルフィルフィルフィルフィルフィルフィルフィルフィルフィルフィ!!!傷・・・キズ!!・・・・手当て・・・テアテシナイト!!」

「お、おい。どうしたんだウタ?」

 

ウタはルフィの着ていた服をビリビリに破ってルフィの胸を見ると2年前の頂上戦争で赤犬に付けられた大きな傷が見えた。混乱してるウタは自分の着ていた服をビリビリに破ってでも脱いで下着が見えても気にせずにルフィのその傷に服を押し当てていた。

 

「う、ウタ?」

「死なないで死ななイデ死ナナいでしなナイデ死ナナイデシナナイデしなないで・・・」

 

混乱し涙を流しながら傷に服を押し当ててくるウタにルフィは手を伸ばして頬に触れて上げた。ルフィの手が直に触れて体温を感じた事でウタは正気に戻ってくる。

 

「ウタ・・・俺は大丈夫だ」

「ルフィ・・・ルフィィィィィィ!!」

 

ウタはその言葉を聞くとルフィに抱き着いて泣き始めて、ルフィはそんなウタを落ち着かせようと背中を擦って上げて暫くするとウタは眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

そんな風にしてると何事かと思って他の面々がやってきた。ウタが下着姿であるという事もあってロビンだけが残り事情を聞いて服を着させるとローを呼び、少し診てもらった。

 

「トラ男、ウタは大丈夫なのか!?」

「落ち着け!・・・体に外傷は見られない。これは精神・・・心の問題だ・・・下手すると命に関わるぞ」

「治してくれ、なんでもする!」

 

ルフィはローにそう言って頭を下げた。それほどルフィに取ってウタは大切だった。

 

「落ち着いてルフィ・・・トラ男君・・・ウタはどうなるの?」

「・・・このまま行けば精神は衰弱仕切って手遅れになる・・・」

「頼む・・・治してくれ!」

「そう簡単に行くか落ち着け!!デカい傷とは違う・・・心の傷ならお前にも心当たりはあるだろ」

 

ローに言われて漸く冷静になったルフィは思い出した。2年前に味わった眼の前でエースが死んだあの時の事を・・・

 

「兎に角、支えてやれ・・・今はそれしか出来ねぇ」

「ルフィ・・・ウタは私達にとっても大事な友達よ・・・力になるわ」

「ありがとう・・・トラ男・・・ロビン」

 

ローやロビンはそう言って部屋から出た。ルフィは横になってるウタの手を握った。

 

「ウタ・・・一体お前に何があったんだよ・・・教えてくれよ・・・お前とシャンクスに何があったんだよ・・・」

 

ルフィはウタが起きていると絶対に言わないことを呟いた。それ程までにウタが苦しんでる姿をルフィは見たくなかった。暫く手を握っているとウタは目を覚ました。

 

「うぅ・・・」

「ウタ・・ウタ?」

「ルフィ・・・そっか・・・アタシ・・・」

 

先程とは違って比較的に穏やかな顔をしながら、体を起こした。ルフィがずっと手を握ってくれてるのを見るとウタはルフィの手をそっと外した。

 

「ごめんね・・・迷惑かけて・・・」

「何言ってんだよ・・・そんなの思っちゃいねぇよ・・・」

「ありがと・・・」

「ウタ・・・お前とシャンクスに何があったんだ?」

「・・・聞かないんじゃなかったの?」

「こんなの見て・・・聞かずにいられるかよ」

 

ルフィは優しくも強くウタに聞いてきた。ウタはその優しさに触れてエレジアの事をルフィに言いたくなるが不意にルフィの胸の傷を見ると黙った。

何故ならルフィは既に心の傷を負って立ち上がってきた。ウタにはわかった。立ち上がっても辛いのには変わりない事を・・・故にウタはルフィの荷物にはなりたくなくて言わない。ウタはルフィの隣に居たいのであって、ルフィに背負われたくないからだ。

 

「嫌だ・・・言いたくない・・・」

「ウタ・・・お前・・・言えよ、言ってくれよ!!」

「言いたくないって言ってるでしょ!!放っといてよ!!?」

 

ルフィの言葉にウタはキツイ言葉で返した。その事にウタは気づくと慌ててルフィの方を見ると麦わら帽子を深く被って表情が見えなかった。

 

「ち、ちが・・・ごめん・・・ごめんなさい・・・ルフィは・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい」

 

ウタは心配してくれてるのに酷い言葉を言った事を後悔し始めた。漸く会えて幸せを感じていたのにその全ての頑張りが一瞬にして消えてしまいそうと感じると悲しみが溢れてきた。

するとルフィは手を伸ばしてウタを抱き寄せた。

 

「え?」

 

自分の胸にウタの耳を当てて上げてルフィは優しくウタを包んだ。

 

「分かった・・・ならいつか言いたくなったら言え。俺は待ってる」

「ルフィ・・・」

「ウタ・・・お前の力になりたいんだ・・・折角会えたのに“新時代”を一緒に見れなくなるのは嫌だ・・・」

「なら・・・今日はもうずっと抱き締めて欲しいな・・・怖い夢を見たから・・・」

「・・・そっか・・・分かった。一体、どんな夢を見たんだ?」

「アタシがルフィを殴って胸を貫いちゃう夢・・・凄い怖かった・・・」

 

ウタは声を振り絞るようにそう呟いた。

するとルフィは無事であることを認識させるかのようにウタをより強く自分の胸に抱き寄せた。

 

「俺がパンチで死ぬかよ・・・バカだなぁ・・・」

「なんで?」

「ゴムだから・・・シシシ!」

 

ウタはルフィの顔を見るとルフィは笑ってそう答えた。それを見るとウタは漸く安心した。いつものルフィがここに居ると安心することが出来て、ウタはルフィの腕の中で眠った。

 

「ウタ・・・お前の敵は俺がぶっ飛ばす・・・だから、お前も負けるな・・・俺がついてる」

 

ルフィはそう言うとウタに聞こえたのか、ウタは寝ながらも笑った。

 

 

実際にウタは心地良かった。ルフィの胸から聞こえてくる心臓の音は優しくも楽しくまるで()()()のような音色に聞こえてウタの悪夢に変化を与えていた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはまた夢の中でトットムジカと対峙していたが姿が変わっていた。今まで見たことないトットムジカになって誰かと戦っていた。

 

“赤髪”の剣士、“道化”の銃士、腕を“餅”にしてる男、“美しい”女性、“空手”を扱う女性、“鎌”を扱う男、素手で戦う“クマ”、伸びる“刀”を扱う男、“鏡”を扱う魔女。

 

そんな9人と共に戦う者達の中に黄金の翼を持った“天使”と白髪の“戦士”がいた。

 

“天使”と“戦士”は笑ってトットムジカと戦っていた。

 

戦いなんて残酷で非道な行いの筈なのにウタはそれを見て暖かさを感じていた。

何処からか聞こえてくる()()()の音のお陰なのかウタはそれ以降、トットムジカの夢は全てこの夢になった。








  
 



いや、本当に前回までのノリは何処に行った!?
本当になんでこんなノリになったのかと言いますと最終章への伏線です!!
そしてルフィとウタの関係も書きたかったのでこうなりました!!
さてと最後の11人は皆さん分かりましたか?
そうです。最終章はワノ国後ということもあるので色々と誰も予想だにしてなかったオールスターチームでやりたかったのでこうなりました!!
そうです!!
先日言ったウタ、ルフィ、シャンクス、カタクリ、バギー5人の他に後、活躍が決定してるのは6人です!
誰かわかりましたか??
それでは皆さん、次回もお楽しみに!!


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Envy

1日空いて申し訳ございませんでした!!
ちょっと前回のが書いてる自分もダメージを食らったのとこれからウタVSハンコック編にしようかと思ってましたが肝心の映画連動エピソードが近場のTSUTAYAに無くて遠出をして行って借りて来たのもあって昨日は色んな意味で倒れてたので申し訳ございません!!
後、この回で合計30万字達成でキリが良くなると思ってやりました!!



「んん・・・!?」

 

ルフィに抱きしめられて漸く眠れたウタは目が覚めると目の前にルフィの顔があった。少し混乱はしたがウタは自分がルフィに抱きしめてほしいと言った事を思い出してそれをずっと守ってくれた事に嬉しくなった。

 

「ルフィ・・・本当にありがとう・・・ごめんね・・・アタシ弱くて・・・頑張ってるつもりなんだけどなぁ・・・」

 

ウタはそう呟いてルフィの頬を撫でようとするが出来なかった。ここで違和感に気づいたウタは自分の体を見るとルフィが腕を伸ばしてウタの体を自分事ぐるぐる巻きにしてるのに気づいた。

 

(え!?なにこれ、少しも動かせない!?・・・嬉しい・・・いや違う違う!!凄い恥ずか・・・ルフィの腕の中って暖か・・・バカ!恥ずかし・・・良い匂い・・・ってバカバカバカ!!)

 

ルフィの腕の中でウタは本能と羞恥心で混乱し、外そうと身を捩らせてみるが外れなかった。それどころかより強くなった。本当に微塵も動かせなかった。

 

「ウタ〜・・・・」

(ル、ルフィ・・・顔が凄く近いよ!!)

 

ルフィはウタの名前を寝言で言いながらより抱き締めた。ウタはルフィの顔を間近で見て少し邪な事を考えていた。

 

(ルフィは・・・まだ・・・キスとかした事ないのかな・・・アタシはまだだけど・・・あれ?昔、シャンクスの頬にやったのはカウントするんだっけ?まぁそれはどうでも良いけど・・・あの泥棒女帝に取られるのは嫌だなぁ・・・)

 

どこかで甲高い高笑いをしていそうな某女帝の事がウタの頭に出来上がってくるとウタはルフィの唇目掛けて自分のを重ねようと近づけ始めた。

 

(ルフィ・・・アタシの初めて・・・全部・・・あげるから・・・)

 

ウタはそんな事を考えながら、近づいていくが寸前で止まって少し、間をおいてからルフィの頬にキスをした。

 

「やっぱり、唇はお互いに起きてる時が良いよね・・・恥ずかしくて無理だし・・・」

 

ウタは顔を真っ赤にしつつも少しだけ自分なりに前に進めたと思って満足してるとルフィが身を捩らせた。

 

(え?)

 

急な事に反応できなかったウタの唇にルフィのが近づいて、次の瞬間、ウタの唇に柔らかく暖かい感触がした。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィは起きてから非常に頭を混乱させて釣りをしていた。起きて昨日は抱き締めて一緒に寝たはずのウタが顔を今まで以上に赤くして寝ていた。ルフィはぐるぐるにウタの体に巻いていた腕を離してウタを起こすとルフィの顔を見た瞬間に頭から蒸気を出して気絶した。

すぐにルフィはローに診てもらって少し部屋から出ると出てきたローは何も言わずにルフィをただただジトッとした目で見てきて命も心も別に問題はないとだけ言うとバルトロメオからコーヒーを貰いに行った。

 

ルフィは起きたウタに大丈夫か訪ねたがウタはルフィの顔を見るや逃げるように離れていってルフィは凄い気になったがウタから離れた事もあって別に追いかけなかった。しかし、なんだが納得いかない物が胸の中にひしめいていた。

 

「う~ん・・・なんだ?」

「ん?どうした?」

 

隣で一緒に釣りをしてるウソップとローは急に胸を抑えたルフィを心配して聞いてきた。

 

「いや、なんかウタが離れるとモヤモヤして・・・変な感じだ・・・」

 

ルフィがそう言うとウソップは口をあんぐりさせてローは自分の眉間の皺を解すように触り始めた。

 

「これって何なんだろうな?変な感じでモヤモヤする!」

「お前・・・それは・・・あれだよな?おい」

「俺に降るな!俺は今、リハビリ中なんだ!話しかけるな!!」

 

ウソップはローに話を振ろうとしたがそう怒鳴り返された。そして切り落とされてレオとマンシュリーの能力で繋げた腕を無事に問題なく動かすためにリハビリとして釣りを黙々と再開した。

 

ウソップはルフィの疑問に答えてやりたかったが自分もそこまで詳しくないのと下手に教えて余計に仲が拗れるかもと考えてしまうと何も言えなかった。

 

するとルフィの釣り竿に獲物が掛かったので給仕をしてくれてるバルトロメオ達がいる食堂に持っていくとルフィは部屋に入る前に固まった。

 

何故ならウタとバルトロメオが仲良さそうに何かを調理していたからだ。

 

ルフィの胸にズキズキとした物が走り始めた。

 

 

 

   

 

 

 

〇〇〇

ルフィから離れたウタは1人、赤くなった顔を抑えていた。

 

(どうしようどうしようどうしようどうしよう!!ルフィの顔を見たら熱くなってニヤけちゃうよ!!トラ男には言わないで広めないでって言ったけど、こんなの見せたらバレちゃうよ!!恥ずかしいよぉ!!)

 

ウタはそんな風に悶々と羞恥心に溢れていた。

鈍感なルフィだとバレないと思うと言うツッコミをする者など居なかった。

 

そんな風に心配してくれたルフィから逃げたウタは少し食堂で落ち込み始めてるとやってきたのは食材を持ったバルトロメオだった。

 

「あぁ?お前、もういいべか?」

「あ、鶏・・・うん。ごめんね、迷惑かけて」

「気にする事ねぇべ。あんだけ大変な事になってんだったらしょうがねぇべ」

「・・・へぇ、意外に優しいじゃん・・・」

 

意外にも優しいバルトロメオの対応に少し落ち着くとウタは持っていた食材が気になってきた。

 

「ねぇ、それで何するの?」

「これからルフィ先輩方とお前の分の食事を作るべ。腕によりをかけて作るから待ってるべ」

「へぇ、あんた料理出来るんだ」

「ばあちゃんから男が料理1つ出来ないのは恥だって言われて教えられたべ。ガンビアとか他の奴らも出来るべ」

 

ウタはこの船に乗ってから食べた料理が美味しかった事を思い出していた。調理を始めようとしたバルトロメオにウタは良い事というか食べるの大好きルフィに対してお礼をしようと食材を分けて貰って隣で調理して良いと言ってくれたので隣で一緒に作り始めた。

 

「まぁ、オラ達の料理の方がルフィ先輩の胃袋を掴めるから、別にいいべ」

「はぁ?・・・よし、絶対に負けない!」

 

ウタとバルトロメオは結局、いつものような雰囲気で料理し始めた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

そんな風に外から見ると仲良さそうに作ってるウタとバルトロメオ。実際はどっちがルフィの胃袋を掴めるかという結構ギスギスした物だが、内心悶々としていたルフィは見聞色も上手く使えずにそれをジッと見た後で料理が出来上がるとそれが美味そうに見えたので食堂に入った。

 

「わぁ!?ルフィ先輩!!?」

「ル、ルフィ!?」

 

2人して似たようなリアクションをして慌てていた。ルフィの興味は既に作っていた料理に行っていたのであまりモヤモヤはしなかった。

 

「おぉ!それ美味そうだな!!」 

「ルフィ・・・その・・・昨日はありがとう!!だから・・・食べてくれる?」

「食べるぞ!!ウタ、ありがとう!!」

 

ルフィは顔が真っ赤なウタにそう言うとウタが作ってくれた肉料理を食べ始めた。11年間、ゴードンと2人で生活していてウタもそれなりに作れる事もあってプロほど上手くはないがルフィは凄く美味しく感じた。

ウタは純粋な子供のように食べてるルフィを見ると朝の一幕の事も落ち着いてきたのか幸せそうな目でルフィを見ていた。

 

「美味しい?」

「うん、うめぇぞ!!」

「そう、良かった」

「ほう言えば、はっきはふぁんでほれはらふげふぁんだ?」

「・・・それは・・・えっと・・・い、言いたくない。けど、ごめんね」

 

ルフィはウタに逃げられた事を訪ねたが顔を赤くしてそう言われるともう聞かなかった。それに理由がどうであれ、美味しい物をわざわざ作ってくれるなら嫌われてないという事だと思って少し安心した。

ペロリと平らげて満足するルフィ、ウタは綺麗に食べてくれたルフィに笑顔を向けた。

 

 

そんな2人の時間を問答無用で邪魔する者がいた。

バルトロメオである。

 

「ルフィ先輩!オラのも食べてほしいけろ!」

 

バルトロメオは他の面々に料理を渡したら、1番食べてほしいルフィに料理を渡しに来た。ルフィも全然まだ食べられるので食べ始めた。

 

「おぉ、これもうめぇな!!」

「当然だべ!!」

「・・・ねぇ、ルフィ。さっき食べたアタシのと鶏のどっちが美味しい?」

 

ウタはむしゃむしゃとバルトロメオの料理を食べてるルフィにそう聞いてみた。折角というか、普通にバルトロメオに負けたくないのもあって思い切って聞いてみた。

 

「??ウタのもロメ男のも両方ともうめぇぞ。俺はどっちも好きだ!!」

 

ルフィは実にらしい答えをした。しかし、ウタとバルトロメオはそれで納得するわけがなかった。2人ともルフィ大好き人間でおまけにお互いに絶対に相手の下には行きたくないと思ってるからこそ、ウタとバルトロメオは互いに睨みあった。

 

((絶対にこいつには負けたくない!!))

 

そして2人のルフィを巡る戦いは続いていくがこの後、2人に負けず劣らずのルフィ大好き人間が1名入ってより混沌と化して行く。

 

 

 

 

〇〇〇

女ヶ島でルフィとウタの熱愛記事を読んだハンコックは新世界に入ると3本指針があるログポースは一応持ちつつも全くそれに従わずに指示を出して進んでいた。

 

「蛇姫様、ログに従わないと幾ら遊蛇(ユダ)に引かせてるとはいえ、何れ遭難してしまうかもしれません!」

「黙るのじゃ、妾の見聞色がこっちと言っておる!!迷わずに妾の指示従うのじゃ遊蛇よ!!愛しいルフィを泥棒猫の魔の手から救うのじゃ!!」

 

いつも以上の傍若無人っぷりを発揮してハンコックはルフィを追っていた。妹のサンダーソニアとマリーゴールドの2人とニョン婆は最早呆れ果てて何も言わず諦めており、とある事を決めていた。

 

「ソニア姉様。姉様がルフィと離れたら私達が針路を決めましょ」

「そうね。姉様だと絶対に『ルフィから離れるのは嫌じゃ!!死んでも離れぬぞ!!』とか言ってルフィを困らせると思うし・・・」

「賛成じゃ、では頼むぞソニア、マリー」

「「任せてニョン婆!」」

 

ニョン婆に言われた事もあってサンダーソニアとマリーゴールドは完全にやる気だった。

これが後に女ヶ島というか九蛇海賊団の命運を分ける勇気ある決断だったと後にニョン婆は答えている。

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃。

バギーズデリバリーの本拠地のカライバリ島は緊張感のあるやり取りが行われていた。

バギーズデリバリーと赤髪海賊団の仲直りパーティーの最中、突然やってきたクロコダイルがバギーに話したい事があると言って2人は本部のテントに入っていった。

それなら別になんとも無かったのだが、ここでバギーに先日フラれたシャンクスは気が気ではなかった。

 

「お頭、あんたそろそろ落ち着け」

「いや、だってベック。気になるだろ?あのワニ野郎、人の宴に割り込みやがって・・・」

「絶対にそれが理由じゃねぇだろ」

「この前までウタを取られた事に怒って、今度はバギーか・・・」

「ウチのお頭は大分強欲だな」

「ちげぇねぇな!」

「うるせぇ!!」

 

船員にからかわれるシャンクス。

すると本部のテントから出てくるバギーとクロコダイルを見てシャンクスは固まった。

バギーが実に馴れ馴れしそうにクロコダイルの肩に手を回してやってきたのだ。

 

「クロちゃん。そのワポメタルの件はよろしく頼むぜ」

「・・・金が無かったら殺してるがあるんだったらやってやる」

「おぉ、あるある。クロちゃん愛してるぜ」

「調子に乗るな」

 

クロコダイルはバギーの手を外し、先程の話し合いでバギーがワポメタルを欲しがってるのもあってクロコダイルはそれを輸入する事を条件にバギーを“計画”の一部分に参加させる事が出来て満足だった。

 

しかし、そんな仲の良さそうな2人を思いっきり睨んでる者がいた。

シャンクスである。

折角の仲直りの宴の最中に割り込んできて、おまけに自分は基本的にバギーにフラれて上手く行かないのにクロコダイルは1発で協力関係を築き上げた事に対して思いっきり覇王色の覇気まで出して睨んでいた。

 

「お頭、落ち着けって!」

「やめろ!大勢が倒れちまう!!」

 

赤髪海賊団の船員が倒れていく最中、シャンクスの覇王色が全く効かないバギーと鍛えていてビビらないクロコダイルはシャンクスに対して首を傾げた。

 

(なんで俺は赤髪の野郎に睨まれてんだ??というかこの赤っ鼻、四皇の覇王色が全く効かねぇのか?・・・良い拾いもんをしたかもしれねぇな・・・)

 

クロコダイルはそう思いながら、良い掘り出し物を見つけたかのような気分になっていた。

しかし、バギーと絡んだ事でシャンクスに個人的な理由で目をつけられ始めたクロコダイルの運勢はこの日を境にドンドンと更に落ちていく事になり、これはまだ序の口だった。

 

 

 

 

 

((絶対にこいつには負けない!!))

 

ウタとシャンクスは離れた場所にいつつも似たような感情を持って燃えていた。

あれこれありつつも似たもの父娘だった。




 









というわけでルウタとシャンバギの両方を出して見ました。これをやって良かったのかな?と思いつつも面白ければ良しの精神でやってるのでご容赦下さい。

それから前回で今作のコメント数が1000件を超えました。初めての4桁に戦々恐々しつつもこれからも完結まで頑張ります!!本当に今作は異常に筆の速度が早くて私も驚いてるのでこのまま行ける所まで行きます!!

それからウタの新衣装ですが私はカーディガンに一票です。実写、アニメ関係なくダボッとしてる服を着てるキャラが基本的に好きなので・・・んでそういうキャラがゴリゴリのキレのいいアクションをしてるのを見るのが死ぬほど大好きなので。

というわけで次回からウタVSハンコック編が始まります!!お楽しみに!!合計3話から5話までで終わらせるように頑張ります。因みに最後の回はシャンクスVSバギー編にあやかって笑い地獄に叩き落とせるように頑張ります!!

そして今回で気づいた事・・・バルトロメオ・・・君って使いやすいね←伏線です。


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Hancock

お待たせしました!!
いやぁ、ハンコックが新世界に出てくるエピソードがアニオリ含めてこれしかなかったのでそれを見てたらこんなに遅くなりました。

それではシードル・ギルド編・・・別名ウタVSハンコック編をどうぞ!!

注意・・・この章にカッコいいルフィはいません。基本的にギャグです!!


カタクリは自分の管理下のコムギ島の自宅の執務室でウタの曲を聞きながら、妹であるプリンの結婚式の準備をしていると扉がノックされた。

 

「カタクリ、入るよ」

「コンポート姉・・・どうしたんだ?」

 

入ってきたのは姉であるコンポートだった。家族の女性陣の中でリンリンに1番近い体型で長女だけあって頼りにされてる姉であり、カタクリにとっても自慢の姉である。

 

「ちょっと、ウチの縄張りで危険な男が確認されていてね・・・あんたクラスのやつじゃないと危なっかしくて任せられないんだ」

「この大変な時期に・・・どこのどいつだ?」

「“鬼の跡目”と呼ばれた男だよ・・・」

 

コンポートの言葉にカタクリは眼の色を変えた。瞬時に先程まで色々と事情を知ってくれてる姉がいて少しだけ気の緩んでいた状態ではなく、本気で警戒しはじめた。

 

「まさか、本当に生きてたのか・・・ウチの情報網でも生存があやふやだった男が・・・」

「あんたとあたしの2人がかりで行くよ。ジャッジとの結婚式が終わったら、あんたの結婚式なんだから・・・危険な物はさっさと排除しとかないとね」

「あぁ、分かった・・・」

「しかし、あんたも遂に結婚かぁ・・・時が経つのは早いねぇ。しかも相手は“エレジアの魔王”だってんだから驚きだよ」

「コンポート姉、ウタが“エレジアの魔王”かはまだ分からない」

「殆ど確定じゃないか・・・ママも戦力が上がる嬉しい誤算だって喜んでたよ・・・まぁ、あたしとしてはあんたがここまでゾッコンになるほど惚れてるのに驚いてるけどね!」

「別に俺はゾッコンになどなっていない」

 

笑顔のコンポートに言われてカタクリはウタの曲が入ったTDを片付けて懐に入れた。コンポートはあれこれ言いつつもウタに惚れてるカタクリを可愛く思った。色々と優秀かつ完璧な弟であるがコンポートからすれば可愛い弟の1人だった。

 

「カタクリ・・・あんたが家族の為に凄い頑張って生きてきたのは知ってるよ・・・けど、少しは自分の為に生きても良いんだよ・・・」

「俺はもう自分の為に生きてる」

 

コンポートが優しく言うとカタクリはそう答えた。するとコンポートは手を上から下に動かしたのでカタクリは跪いた。カタクリの身長がコンポートを超えた時から優しく言う時の合図だった。

コンポートは跪いたカタクリの頭を撫でた。

 

「俺ももういい歳だぞ?」

「けど、これ好きでしょ?カタクリ・・・あたしの前では甘えて良いんだよ・・・いつか、ありのままのあんたが皆と一緒にお菓子を食べるのをあたしは見たいねぇ」

「・・・・・これが俺のありのままだ。コンポート姉・・・」

 

コンポートに言われてカタクリは咄嗟に自分の口元を隠してるファーに手を伸ばすがそう言って離した。コンポートはそんな弟に少し呆れつつも一緒に仕事をし始めた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方その頃、ルフィ達はとある集団に襲われていた。空中には多数の機械に乗った集団が炭酸を使ったエネルギー銃を向けてバルトクラブ海賊団の船のゴーイングルフィセンパイ号を攻撃していた。

 

「何だお前ら!!」

「ここに居るのが誰か知っての狼藉だべか!?」

 

ルフィが集団に言ってバルトロメオはそれにキレるが容赦なく攻撃してくる。

 

「五億の首が2人!モンキー・D・ルフィにトラファルガー・ロー!!お前らの首をいただくくんじゃ!!炭酸魚雷準備じゃ、ガラナ」

「了解、ジンジャー!!」

 

ジンジャーという小男が女性のガラナに言うと2人は手に魚雷を装備して撃ってきた。

 

「ヤバい、鶏!!」

「言われなくても分かってるべ、バーリア!!」

 

ウタがバルトロメオに言うとすぐに船にバリアを張って魚雷から船を守った。

 

「ROOM!」

 

ローが巨大なルームで辺りを覆った。

 

「シャンブルズ」

 

そして船ごと、空中にいた集団と場所を入れ替えてゴーイングルフィセンパイ号を無理やり、空中に持ってきた。

 

「バルトロメオ。バリアを外せ、無理矢理ここから脱出する!!」

 

フランキーは船の後方に来るとバルトロメオにそう指示を飛ばした。バルトロメオは瞬時にバリアを解除してフランキーは両手で風来砲の準備をするがその隙を狙われて船にエネルギー銃の攻撃が当たる。

 

「キャァァァァァ!!」

「ウタぁ!!」

 

そしてこの中で1番戦闘経験がないウタが吹き飛ばされるがすぐにいつもの海楼石の分銅ではなく鉄のにしたロープを伸ばしてルフィも手を伸ばし絡めて掴まえた。

しかし、その隙を付かれてルフィにエネルギー銃の光線が当たってルフィとウタは船から落とされた。

 

「ルフィ、ウタ・・・トラ男!!」

「わかってる!!」

 

ゾロがローにそう言うとローはすぐに2人を船に戻そうとROOMを張るが2人を戻す前に集団が網で2人掴まえた。

 

「よし!島まで運ぶんじゃ!!」

「離せこんにゃろ!!」

「ちょっとルフィ、変な所に触らないで!!」

 

網のせいで密着してる2人はそのまま集団に連れて行かれる。ルフィはすぐに腕を伸ばそうとするがその前に海楼石の錠を付けられて伸ばせなくなった。

 

「やべ、力が・・・」

「海楼石!?」

 

ルフィがヘロヘロになり始めてしまってウタは戸惑ってしまい、ローのROOMの圏外に完全に運ばれた。

 

「ちっ、ロメ男とトラ男!一先ず、逃げるぞ。フランキー!!」

「風来砲!!」

 

ゾロがフランキーに指示を飛ばして一先ずゾロ達は後で絶対にルフィ達を助ける事を誓いつつも集団から離れた。

 

 

 

〇〇〇

集団に連れて行かれて炭酸が噴き出してる島の上空に来たルフィとウタ。

 

「よし、後は麦わらを殺して首を海軍に渡せばO.Kじゃ!」

「UTAはどうするんですか?」

「海賊と付き合う女なんて碌でなしじゃ!シードル・ギルドの掟に則って殺すんじゃ!!」

 

ジンジャーは部下達にそう指示を飛ばしていた。ウタはそんな彼らにバレないようにこっそりと持っていたナイフで網を切っていた。ルフィが何か言いそうだったので自分の胸にうずめさせてやっていた。

 

「よし、もうちょっとで切れるよ」

「フゥ・・・ンガンガンガ」

「あっ・・・んっ・・・動かないで・・・」

 

ウタは動こうとするルフィに小声で言った。すると縄が完全に切れて脱出できたが、2人はそのまま集団が目指していた島にある工場ではなく、島のあちこちにある噴出孔に落ちていった。

 

「「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

ルフィは咄嗟にウタを庇うように抱き締めてはいるものの2人とも能力者なのでそのまま流れていった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「炭酸風呂とは女ヶ島のとはまた趣向が違って面白いの」

 

ルフィを追いかけてというかウタを抹殺する為に新世界に入ってきたハンコックは食料が無くなったのでこの炭酸溢れる島に少しの間だけ止まっていた。多少の食料に湯浴みの際に誰も近づけないという条件を守ってくれるなら争いを起こさないと言われたので島の住民もOKした。というか島を実質的に牛耳ってるシードル・ギルドのやり方に比べると無茶苦茶優しいので快く了承してくれた。

 

当然、シードル・ギルドのボスである賞金稼ぎのシードルにはすぐにバレていた。

 

ハンコックはそんな事を露知らずにのんびり入ってると突然と声がしてきた。叫び声でなんだが懐かしい雰囲気を感じてくると目の前の獅子の顔を模した大きな蛇口から声がする聴こえてくるのでハンコックは少し見てみると、ウタと彼女を抱きしめてる海楼石の錠をつけられたルフィが飛び出してきてハンコックにぶつかった。

 

ハンコックは慌てて何者かと思って見ると愛しのルフィに抱きしめられてるウタを見て思いっきり覇王色の覇気が漏れ始めていた。

 

「ルフィ、確りして・・・ルフィ!」

「んぁ?あれ?・・・あーっ、ハンコック!!」

「え?」

 

ウタはフラフラのルフィを起こそうとしていたがルフィは友達のハンコックに気付いてそう叫んだ。

ウタとハンコックはここで漸く顔を合わせて目線を交錯させた。

そして一発で分かった。

この女は敵だとすぐに察した。

ウタは何も着ていないハンコックの姿を見てほしくなくてルフィの目を覆いたくなったがルフィは全く何も気にしてなかったのでそう考えていた事自体がバカバカしくなった。

 

「ウタ、こいつはハンコック。俺の友達だ!ハンコック、こいつはウタ。俺の友達だ!」

 

ルフィがそう呑気に紹介したがそんなのは別に要らなかった。ウタはシャボンディ諸島のレイリーの話で、ハンコックはドレスローザの新聞で相手の事を知っていた。

 

((こいつがルフィを横取りしようとしてる泥棒!!))

 

2人は同じ事を考えながら、ウタはルフィの腕から離れて堂々と近づき、ハンコックも一糸まとわぬ姿ながらも堂々と近づいていった。

 

「どうも、ルフィの()()()のウタです♪」

「2年間、ルフィの()()()をしていたハンコックじゃ♪」

 

お互いに笑顔のまま握手をした。本当はすぐにでも相手をブチのめしたくてしょうがなかったが相手を友達と言ったルフィの手前、そんな事は出来ずに2人はドロドロした物を必死に隠しつつもお互いに相手よりも親密であろうと証明しようという本心が漏れていた。

 

「ん?なんか寒いな・・・なんでだ?」

 

ルフィは少しだけ身を捩らせた。

その寒さは絶対に気温とか環境的な物ではない。

 

ウタとハンコックはそのまま握手をした。

そして思いっきり、お互いの手を握り潰すかのように力を入れたが互角だった。

 

「随分と可愛らしい力じゃな♪」

「そっちほどじゃないよ♪」

 

互いに頭が血管が浮かび上がっても笑顔のままでやり続けてる2人。そんな中で突然と近くの建物が壊れた。

 

「「「!?」」」

 

流石にそんなの聞くとウタとハンコックも諍いを止めて壊れた建物の方を向いた。するとぞろぞろと先程、ルフィとウタを掴まえていたジンジャーを筆頭にシードル・ギルドの面々が現れた。

 

「あ、お前ら!!一体、何もんだ!?」

「俺達は賞金稼ぎシードル・ギルドだ。麦わらのルフィ・・・お前を殺して海軍に引き渡す!!」

「やれるもんならやってみろ!」

 

ルフィは海楼石の錠が付いた状態で拳を構えた。ウタとハンコックはそれを見るとルフィの前に立った。

何も羽織ってないハンコックの姿にシードル・ギルドの面々は目をハートにさせてるが一足先に正気に戻ったジンジャーがエネルギー銃を3人に向けて撃った。

 

「舐めないでよ!」

 

しかし、ウタがロープを回してそれを全て防いだ。

 

「やるなウタ!」

 

ルフィがそう感嘆してるとウタはハンコックにドヤ顔を向けた。相手よりも上だと言う気持ちに溢れていた。ハンコックは絶対に負けないと意気込んで大きなハートを出現させた。

 

虜の矢(スレイブアロー)!!」

 

ハートから大量に発射された矢がシードル・ギルドの面々の胸に刺さると装備ごと石にしてジンジャー以外の全てを一掃した。

 

「やるなハンコック!」

 

ルフィがそう言うとハンコックもウタにドヤ顔を向けた。ウタはそれを見て絶対に負けたくないと内心燃えていた。

 

「「さぁ、次の相手は誰(よ/じゃ)!?」」

 

ウタとハンコックは完全にどちらが先に相手を潰せるかで競い始めていた。そしてそのまま、一人残されていたジンジャーに狙いを定めていた。

 

「「姉様!」」

「蛇姫!」

 

建物からサンダーソニアとマリーゴールドの妹2人とニョン婆がジンジャーの逃げ道を塞いだ。

 

「姉様、これを!」

「おお!」

 

サンダーソニアから服を投げてもらって漸くハンコックも服を着てジンジャーを睨むとジンジャーはガスマスクをつけた。

 

「こうなったら、全員。くたばれ!!超高濃度デラックス炭酸ガス!!」

 

ジンジャーはそう叫んで背負っていた炭酸のガスエネルギーを使った機械から大量のガスを噴出した。あまりの高濃度のガスに息が出来なくなって来て、ウタは一先ずロープで別の場所に逃げるとすぐにルフィに向かってロープを投げた。

 

「よし、ルフィを掴まえた・・・あれ?なんか軽い?」

 

しかし、高濃度で視界も悪かった為かロープに掴まれていたのはルフィではなかった。

 

「ああん、ルフィ!!・・・離せ!離すのじゃ、無礼者!」

「げっ!?」

 

掴まれていたのはハンコックだった。ハンコックはルフィを助けようとしていた所を急にロープに掴まれて無理矢理離されたのでロープを持っているウタの姿が見えると猛スピードで詰めてきた。

 

「この、泥棒猫め!!ルフィの手前、必死で堪えておったが、最早許さぬ!!ここで死ぬがいい!!」

「上等よ、泥棒女帝!!ここでドハデにブチのめす!!」

 

問答無用で蹴りを放つハンコックだがウタもロープでそれを防いだ。

2人はそのまま、戦闘開始になるかとお互いの胸倉をつかみ合った瞬間に突如として飛んできた海楼石の錠によってウタの左手とハンコックの右手が繋がれてしまった。

 

「嘘ーーっ!?」

「何じゃと!?」

 

2人は咄嗟に投げてきた方を向くとそこにはガスマスクを付けたジンジャーが気絶したルフィを肩に担いでいた。サンダーソニア達は一先ず退散したようだが、2人の想い人であるルフィが捕まってしまった。

 

「こいつをシードル様の所に届けたら可愛がってやる・・・待ってな!!」

 

ジンジャーはそう捨て台詞を吐いて炭酸ガスのエネルギーを使ってルフィを連れ去った。ウタはすぐにロープでジンジャーを捕まえようとするも狙いを外してしまい、ルフィはそのままこの島にある工場まで連れ去られた。

 

「「ルフィィィィィーーーー!!!」」

 

ウタとハンコックはそう同時に叫んだ。そしてルフィが完全に見えなくなってしまうとお互いに相手を睨んで罵倒し始めた。

 

「・・・あんたのせいよ・・・ルフィを助けるつもりだったのにあんたがアタシの邪魔をするから!!」

「・・・邪魔をしたのはそなたじゃ・・・妾は愛しき婚約者のルフィを助けようとしただけじゃ!!」

「はぁ!?ルフィはアタシの・・・大切な人よ!」

「妾の愛しき人じゃ!!」

 

お互いに額をぶつけ合って睨み合っていた。

 

「だいたい、なによ!ルフィに裸なんか見せまくってやり方が狡いのよ!!」

「妾は自らの武器を利用してるだけじゃ!!見窄らしいそなたでは無理じゃろうがな!!」

「ふん・・・それにあんな奴にやられておいて、なにが七武海よ。七武海なんてバギーおじさん以外、全員三下海賊ばっかりじゃない」

「ほう・・・では何故にそこまで言うそなたは、妾よりも先にあの不届き者達を倒せなかったのじゃ?へっぽこに言われたくないのぉ」

「へっぽこじゃありません!!ルフィを守りました!!」

「妾はルフィの敵を全滅させたぞ!!」

 

ウタとハンコックは互いにヒートアップし始めていた。さらに悪い事に誰もそれを止める人が居なかった。

 

「妾はルフィに自らの素肌も含めて全てを曝け出しておる!!これこそ信頼しあう男女の関係じゃ!!」

「アタシはルフィと一緒に寝てます!ルフィもアタシの横でぐっすり!これこそ信頼しあう男女の関係でしょ!」

「ルフィは妾をギュッと力強く抱きしめてくれた!!」

「ルフィはアタシを力強くも優しく抱き締めた!!」

「「ぐぬぬぬぬぬぬ!!!」」

 

ウタとハンコックの喧嘩は続いていたがこのままだとルフィが本当に殺されてしまうかもしれない。2人の頭にはそんな事が過り始めてきた。それに散々言いまくった事で疲れたのもあって2人は少し冷静になった頭でお互いを見て頷きあった。

 

「・・・不本意じゃが、この忌々しい錠が解けるまではルフィを助ける為に暫しは協力じゃ・・・これが解け次第、そなたを石にしてやるが・・・」

「・・・しょうがないから協力してあげる。ルフィを助ける為なら悪魔とだって手を組むもん・・・これが解け次第、あんたの頭を割るけど・・・」

 

お互いに協力の意思は見せつつも相手を殺す気満々だった。そしてそんな事を言ってくる相手をもう一度睨んでウタとハンコックは海楼石の錠で繋げられてる状態でルフィを助ける為に行動を開始した。

 

(ルフィ、アタシが絶対に助けるから終わったら一緒にお風呂に入ろうね!!・・・そしてそのまま・・・)

(ルフィ、妾が必ずやそなたを助けるから終わったら共に夜を寝ようぞ!!・・・そして妾と遂に・・・)

 

2人は邪な事を妄想して非常に締まらない顔をした。すると見聞色なのかそれとも乙女の勘なのか。相手の腑抜けた顔を見ると睨み合った。

 

「変な事を考えてんじゃないよ!!」

「それはそなたじゃろうが!!」

 














というわけでウタとハンコックの初コンタクトです!!
いやぁ、書いてて思った・・・この2人怖い・・・
しかし、ルフィを助けるためには敵だろうが悪魔だろうが協力する2人!!
海楼石のせいでウタもハンコックも能力が使えずに更にいうとお互いに恋敵と四六時中一緒!!
どうなるかはお楽しみにwww!!


とりあえず、次回で戦闘が終わるかわかりませんが、最後は笑い地獄に皆さまを連れていけるように頑張ります!!



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Love Hurricane

お待たせしました!!
ウタVSハンコック戦の2回目です!!
少し駆け足気味にシードル・ギルドを血祭りにあげますが次回も笑い地獄にしたいので淡々とさせました。


ウタとハンコックが不本意ながらの共同戦線をやってる最中、海楼石の錠をつけられたルフィは目が覚めると1人の巨漢・・・シードル・ギルドのボスのシードルが立っていた。隣にはガラナも立っていた。

 

「麦わらのルフィ・・・5億の首がどんなのかと思えば随分とマヌケな姿だな・・・シュワワワワワ!!」

「お前・・・誰だ?・・・ウタとハンコックは!?」

「安心しろ・・・いずれ、あの2人もお前と同じ地獄に叩き込んでやる・・・」

「ウタとハンコックに手ぇ出すな!!」

「モテる男は辛そうだな・・・何も出来ねぇ自分のマヌケさを呪え・・・それにお前はこの鍵が無ければ弱い」

 

シードルはこれ見よがしにルフィに海楼石の錠の鍵を見せつけて懐に入れてから、手に付けてるガントレットでルフィを撲殺しようとしたがその時に電伝虫が鳴った。

 

『ぷるぷるぷる』

 

側にいたガラナが手を取ると電話の相手が出てきた。

 

『よぉ、当代最強の賞金稼ぎシードル・・・元気にしてたか!?』

「その声はブエナ・フェスタ!!てめぇ、生きてやがったか!!」

『ハハハ!!あぁ、生きてたよ・・・ロジャーのとこの赤っ鼻が世界を熱狂させてるのを見ていても経ってもいられなくてな!!・・・エレジアでデカい祭りがある・・・どうだ!?このロジャーがやった宝探し祭りの“大海賊時代”を終わらせようぜ!!』

 

シードルはすぐにその内容が聞きたくなった。フェスタの性格は割と知っていた。祭り屋で熱狂大好きで戦争すらも祭りと捉えてる悪人。海賊万博が行われるならば大量に掴まえられてさらに稼ぐ事が出来る。それこそルフィの首に掛けられた5億ベリーなんて目じゃなかった。

 

「よし、話を聞いてやる。ガラナ・・・このマヌケの首を斬っておけ」

「わかりました」

『ん?仕事中だったか?まぁ良い・・・なんせスポンサーにはあのギルド・テゾーロも興味を持ってくれてるからな。早く話してぇ』

 

フェスタの言葉から出たビックネームにシードルは益々どんな内容なのか知りたくなって電伝虫を持って速足で自室に戻っていった。

残されたガラナは自分の武器の炭酸剣だと相手を潰すしか出来ないので金属の剣を持つとルフィに向けた。

 

「さぁ、その首を頂戴します」

「やれるもんならやってみろ!!」

 

海楼石で脱力しつつも拳を構えるルフィ。

ガラナはそんなルフィに向かって剣を振った。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「「ルフィィィィィィー!!!!」」

 

ウタとハンコックは共に走って工場を目指していた。輪っかと輪っかが直接繋がれてるタイプではなく間に鎖があるタイプなので体格差があってもそこまで苦ではなかった。それでも走る速度が違ってくるかと思うが2人にはそんなの関係なかった。

 

((死んでも負けない!!))

 

お互いに相手よりも早くルフィの元に行って抱き着いて助けたい為に2人は燃えに燃えていてそんな些細な事は障害にすらならなかった。

そのまま必死で走ってると工場が見えてきたがここで2人の足は止まった。何故なら表にはシードル・ギルドの面々が見張りをしていたからだ。能力を使えない、脱力して本調子ではない2人は少しどうするか様子を見ていた。

 

「随分と多いの」

「急がないとルフィが・・・」

 

ウタとハンコックがお互いに警戒しながらどうするべきか考えてると後ろから近づいてくる者がいた。

 

「誰?」

「何者じゃ?」

 

お互いに見聞色の覇気でその相手に気づくとそれは老婆だった。

 

「あんた達、シードル・ギルドに喧嘩を売ってるのかい?」

 

老婆は心配そうな顔つきでそう訪ねた。ウタとハンコックは頷いた。2人ともルフィを攫ったシードル・ギルドの連中を一人残らずぶっ飛ばす気満々だった。すると老婆は覚悟を決めた顔つきになって近くの噴出孔を指差した。

 

「だったら、こっちから行きな。工場の中に入れるよ」

「ちょっと待って。なんでそんな事をやってくれるの?」

 

ウタは老婆に尋ねるとシードル・ギルドのせいで島が支配されてる事を言ってくれた。ウタはドレスローザの件と元来の優しさとルフィを攫われた怒り、ハンコックは支配されていた過去とルフィを攫われた怒りから老婆の言葉を信じる事にした。

 

老婆に言われて噴出孔に入ったウタとハンコックは本当にそのまま工場の中に入ることが出来た。そして見たのは工場の中で働かされている男達の姿でシードル・ギルドの面々が殴ったり蹴ったりして無理やり従わせてる姿だった。

 

「酷い・・・」

「ルフィが見たら怒るであろうな・・・」

 

ウタとハンコックは心から思った事を口にし、ルフィを助けて眼の前の恋敵を殺した後でルフィと2()()()()でなんとかしようと決めてそのまま工場の中を進んでいった。

一刻も早くルフィに会いたい一心でウタとハンコックは走りまくっていた。

 

「な、誰だお前ら!?」

「侵入者だ!!」

「倒せ!!」

 

シードル・ギルドもウタとハンコックに気づくとエネルギー銃を向けて攻撃しようと構えたがその前に2人に蹴り飛ばされた。というかそんな有象無象なんか全く気にする事なく進んでいた。そのお陰が囚われていた男達はシードル・ギルドの連中が倒れていったのもあって次々と工場から脱出していった。

 

「ルフィはどこ!?」

「妾の夫のルフィはどこじゃ!?」

「はぁ!?ルフィは・・・ア、アタシのだ、旦那よ!」

「この小娘が!!この妾の前でそんな事をほざくか!!やはり、そなたは切り刻んで豚の餌にしてくれる!!」

「小娘って、あんた幾つよ!?」

「31じゃ!」

「オバサンじゃん!」

「ルフィの全てを受け止めるにはこのくらいが良い!それに愛に歳など関係ないのじゃ!!そういうそなたは幾つじゃ!?」

「21よ!」

「小娘ではないか!!」

「ルフィと共にずっと仲睦まじく新時代に行くにはこのくらいで良いの!」

 

ウタとハンコックはお互いに罵倒しながら進んでいた。しかも罵倒の内容に“おばさん”と“小娘”まで入って傍から見ると非常に色々と怖いことになっていた。

 

「「ルフィィィィィィィーーーー!!!」」

 

工場の中は大混乱に陥っていた。幾ら、小さな島の工場とはいえ中の構造はもしもの為の侵入者対策と脱走対策として一応複雑に作られていた。そうなると迷子にでもなりそうで少しは走る速度も落ちそうだが2人には全く効果がなかった。

 

「「右!」」

「「左!」」

「「上!」」

「「下!」」

「「奥!」」

 

ルフィ限定で見聞色の覇気が突破しているのかそれとも恋する乙女の底力なのか2人は全く迷うことなく最短距離を走っていた。

そんな2人の前にジンジャーが現れた。

 

「止まれ!!お前らはこのジンジャー様が倒す!!」

 

2人に向かってエネルギー銃を撃ってウタとハンコックの脚は初めて止められた。ジンジャーの顔を見るやいなや罵倒を始めた。

 

「あぁ!!あんたはルフィを攫ったゴリラ!!」

「ゴリラじゃねぇよ!!」

「早うルフィの居場所を教えぬか猿!!」

「猿でもねぇ!!俺は人間じゃ!!」

「「うるさい!!」」

 

しかし、ウタとハンコックは実に息のあった飛び蹴りをジンジャーにブチかまして吹き飛ばしたが素早く体勢を立て直されて再びエネルギー銃を撃って2人をお返しと言わんばかりに吹き飛ばした。

ウタとハンコックは無事に着地し、ジンジャーに向かって拳を構えるとジンジャーは懐からスイッチを取り出した。

 

「そんなに麦わらの今が知りてぇなら教えてやる!!ガラナがもう首を斬り落とした頃じゃ!!」

 

ジンジャーのその言葉にウタとハンコックは目を開いて絶対に何が聴こえても信じないとすぐに決めた。そしてジンジャーはスイッチを押した。館内放送でルフィの今の状況が音のみ流れてきた。

 

『はぁ・・・はぁ・・・中々やりますね・・・ですがそろそろ行かせて貰います・・・』

『お前、タフだなぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・けど、俺は負けねぇ・・・』

 

ルフィは海楼石の錠を使って上手くガラナの剣を防いでいた。長い事やっていたのと海楼石で脱力しているのもあってお互いに息を切らしていた。音だけで聴くと台詞がどう聞いてもよろしくない雰囲気を纏っていた。男女が息を切らせながら、いくとか負けないとか言いあっていたのだ。

 

「ガラナ!何をじゃれてんじゃ!?とっととやれ!!」

 

ジンジャーはまだ終わらせてないガラナにそう叫んでいると変な音が聴こえてきた。

 

❝ブチッ!!❞

「ん?」

 

ジンジャーは突然と聴こえてきた糸というか荒縄を引き千切ったような音がした方向を見た。

 

「ヒィッ!?」

 

そして怯えた。何故ならウタとハンコックが全身から怒気を放っていたからだ。しかもハンコックに関しては覇王色の覇気まで出していた。ウタはそれを諸に食らっていても気にも止めていなかったがジンジャーはそれを食らって泡を吹いて倒れた。

 

ウタとハンコックは無言でジンジャーの懐を探るとやはり持っていた海楼石の錠の鍵で無事に外した。本当だったらすぐにでもこの眼の前にいる女を殺したい所だが2人にはそれ以上に殺したくなった女が出来た。

 

「「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!!!」」

 

ウタとハンコックは突然現れてルフィとやっている(勘違い)ガラナをこの世から消滅させようとドス黒い物を燃やしながら心に誓った。

 

(ルフィ・・・アンタヲ助ケタラ、アタシガ体ヲ綺麗ニシテアゲル。ソノ女二汚サレタ所ヲ隅々マデ洗ッテ、上書キシテ2人デ新時代ヲ目指ソウ!!ソシテ、二度ト唾ガ誰ニモ付ケラレナイヨウニ、アタシト結婚シヨウ!!)

(ルフィ・・・ソナタヲ助ケタラ、妾ガソナタノ全テヲ隅々マデ洗ッテ、妾ノコノ美シキ体デ、ソナタノ体ニ刻マレタ肉欲ヲ上書キシヨウゾ!、ソシテ、二度ト唾ガ付ケラレヌヨウニ、妾ト夫婦ノ契リヲシヨウゾ!!)

 

「ふふふふふふふ・・・」

「ははははははは・・・」

 

「「あはははははは!!!」」

 

ウタとハンコックはそんな邪な事を考えると嬉しさのあまり、全く焦点もハイライトもない目をしながら高笑いを始めた。そのままお互いを1度見ると一先ず相手を殺す前にガラナを殺そうと言う意思が見聞色なのか恋する乙女心に通じたのか2人は固く握りあった。

 

「「ルフィィィィィィィィィーー!!!」」

 

もう何度目かのルフィに対する叫びをしてウタとハンコックは最大速度で敵がいたらぶっ飛ばし、壁があったらブチ壊して問答無用で進んでいた。

 

そして、遂にルフィが居るであろう部屋の壁をぶち破るとウタとハンコックが見たのは、剣が弾き飛ばされたので素手でルフィを殺そうと首を締めて馬乗りになってるガラナと海楼石のせいで脱力しても必死で抵抗してるルフィの姿だった。

 

「「ルフィから(離れろ/離れるのじゃ)!!」」

「え?」

 

ウタとハンコックはガラナを思いっきり蹴り飛ばした。ガラナは突然の事に反応できずに2人にやられて壁にぶち当てられたが倒れずに2人を睨んだ。

 

「おぉウタ、ハンコック!助けに来てくれたか!?」

 

ルフィは呑気にそんな事を言うと2人はルフィに抱き着いて体を触り始めた。首から胸に背中に腹に腰に下半身までベタベタと触り始めた。

 

「おいおい何だ?くすぐってぇなぁ」

「ルフィ、アノオンナトナニヲヤッテタノ?アタシガゼンブキレイニシテアゲルカラショウジキニコタエテ。アタシガニオイヲケシテアゲルカラ・・・」

「ナニヲシテオッタノジャルフィ、ワラワガスグニソナタノカラダニツイテシマッタアノメスノニオイヲケスカラソノママ・・・」

「アタシノルフィニサワルナ!!」

「ワラワノルフィジャ!!」

「おい、本当にお前ら大丈夫か?俺は無事だぞ!!シシシ!!」

 

暴走してる2人だがルフィの笑顔とその言葉を聴くと2人の目にはハイライトが戻ってきた。そしてまたルフィに抱きついた。本気で泣き始めていたのでルフィは2人の頭を優しく撫でて上げた。

 

「私は何を見せられているのですか?」

 

突然とやってきた2人に蹴り飛ばされたガラナはそう呟くとウタとハンコックはルフィから離れて思いっきりガラナを睨んだ。

 

「そなたか!?妾のルフィと男女の営みをやろうとしていた不届き者は!?」

「は、はぁ!?」

「絶対に許さない!!アタシのルフィを攫っただけじゃ飽き足らずにそんな事をやるなんて!!」

「ふ、ふざけないで下さい!!なぜ、私がそんな事を!!??」

 

ガラナは2人からのあり得ない言い掛かりに顔を真っ赤にさせながらキレた。何故に賞金稼ぎが海賊とそんな事をしないといけないのか全く意味が分からずに怒ったがウタとハンコックの怒りは収まらなかった。

 

「おい!なんの騒ぎだ!?」

「シードル様!」

 

あまりの騒ぎにシードルも武器を持って戻ってくるとウタとハンコックは問答無用でシードルも睨んだ。

 

「麦わらの歌姫に海賊女帝か・・・まさかここまで来るとは・・・」

 

シードルはそんな事を呟いて大物ぶった言動をしてみるがウタとハンコックには最早どうでも良かった。一刻も早くルフィと一緒に邪魔されずに居たい2人はシードルとガラナを見た後で相槌を打った。

 

「アタシはあのクソ女」

「妾はあのヒゲ男じゃ」

 

ウタとハンコックはお互いに獲物を決めあった。シードルとガラナは舐められてるとすぐに分かった。そして2人は怒り心頭なウタとハンコックに向かって突っ込んでいった。

 

「シードル・ギルドを舐めない事ですね!」

「お前らは所詮、俺達の金づるでしかねぇんだ!!」

 

シードルとガラナはそんな事を叫びながら、ツッコんでいったがウタの投げたロープがガラナの首に巻かれるとウタはガラナを頭から思いっきり工場の床に叩きつけてそのまま引き上げて叩きつけるを何回も何回もやった。

 

「曲芸 地獄大サーカス!!」

 

ウタは暫くすると叩きつけるのを止めた。叩きつけられまくったガラナは気絶して白目を剝いていた。

 

「ガラナ!?」

 

シードルはガラナが瞬殺された事に驚いてるとハンコックが瞬時に詰めてシードルの鳩尾に蹴りを入れた。

 

「ぐぼが!!」

「早う、くたばるのじゃ!!」

 

ハンコックはシードルに対して容赦なく蹴りを入れまくってボコボコにしていき、最後は工場の床に叩きつけると極め技の飛び蹴りを食らわせた。

 

大芳香脚(パフューム・フェムル・マグナ)!!!」

 

覇気を込めた最大の蹴り技を食らわせるとハンコックの持つ力に耐えきれなかったのか工場そのものが粉砕されて崩れ始めた。

 

「うわっ、やべっ!!」

「「ルフィ!」」

 

海楼石が付けられて何も出来ないルフィは慌てるがウタとハンコックに両側から抱きしめられてウタのロープとハンコックの脚力の併せ技で無事に何とか脱出した。おまけにハンコックの手にはシードルから手に入れたルフィの海楼石の鍵があった。

 

 

 

 

〇〇〇

「急げお前ら!!」

「ルフィ先輩!今助けに行くべ!!」

「なんでこんな面倒くさい事に・・・」

 

ルフィのビブルカードを使って何とかやってきたゾロ達は方向音痴のゾロではなくウソップを筆頭に崩れ去っていく工場が見えた方に向かって走っていた。

 

「急ぐのじゃ!!」

「「姉様!!」」

「急いで蛇姫様とルフィとウタ助けないと!!」

 

そしてまた九蛇海賊団面々もニョン婆を筆頭に崩れ去っていく工場が見えた方に向かって走っていた。

 

『ん?』

 

そして2つの集団は出会ったが今は一刻も早く自分達の大切な人を助けようと動いていたので特に混乱する事なく一緒に向かって行って工場の跡地につくと固まった。

 

「いい加減にルフィから離れてよ!」

「そなたこそ離れよ!」

「アタシはこれからルフィの体に付いたあの女とあんたの匂いを消してアタシ一色にするの!!」

「それは妾の台詞じゃ!!そなたの匂いを消して妾の美しくそして素晴らしい匂い一色にするのじゃ!!」

「はぁ!?そんな事させる分けないでしょ!!それにルフィの腕に胸を押し付けるのは止めなさいよ!」

「それはそなたもじゃろうが!そなたの見窄らしい胸なぞ妾のに比べたら価値などない!!」

「大きければ良いってもんじゃないでしょ!?大事なのは全体のバランスよ!!アタシのバランスの方がいい!」

「何じゃと!?メロメロ甘風(メロウ)!!」

「キャァァァァ!!?・・・ってただの虚仮威しじゃない!!」

「おのれ!!」

「この!!」

 

ウタは右腕にハンコック左腕に抱き着いてルフィの取り合いをしていた。先程までの協力関係も既に終わって解消されたので容赦なくルフィと一緒に居ようとしたがお互いに相手が邪魔なので何とかして離れさせようとしていた。

最早、一切の躊躇もなかった。ハンコックもメロメロの実の能力でウタを石にして粉砕してしまおうとしたがウタはガチで自分の方がハンコックよりも良いと思っていたのと、ハンコックは裸をルフィに見せつけても何もルフィが反応したなかったのも見たので、より自分の方が魅力があると思っていた。メロメロの能力が効かないとわかるとハンコックは物理でウタをぶっ飛ばそうと蹴りを入れるがウタもロープを脚に巻き付けてから、それをキチンと受け止めて2人はルフィを挟んだ状態で蹴り合いを始めていた。

 

「助けてくれ〜」

 

間にいるルフィは目を回しながら、助けを求めていた。

 

『何これ?』

 

そんな光景を見せつけられた一同は全員同じ事を呟いて首を傾げた。





















えぇ~、今回の事を簡単に言うと囚われの姫(ルフィ)が手籠めにされかけていたのに対してブチ切れる勇者(ウタとハンコック)ですwwww
ウタ、ハンコック・・・大暴れでまさかのルフィが本当に活躍なしwwww

こんなの書いてて良いのかな?と内心何回も思いましたが笑えれば良しの精神でやってるのでご容赦下さい。


さて次回はウタVSハンコック編の最終話!!
勝つのはウタかハンコックか・・・
お楽しみに!!

特大の笑い地獄に連れていけるように頑張ります!!


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Uta vs Hancock vs ・・・???

お待たせしました!!
それではウタVSハンコック編の最後です!!
どうぞ!!
酷いギャグ回でございます!!


あれから暫く遅れて復活したゾロ達&バルトクラブ海賊団と九蛇海賊団でウタとハンコックをルフィから引き離して一先ず、ゴーイングルフィセンパイ号に連れてきた。ルフィ、ウタ、ハンコック。ゾロやロー達に加えてサンダーソニア、マリーゴールド、ニョン婆の3人も隣に止めた九蛇海賊団の船ではなく、ここに乗って悩みの種に内心呆れていた。

 

「お前ら喧嘩すんなよ、なっ?」

 

仲を取り持とうとしたルフィが間に入るがウタとハンコックは甲板でお互いを睨んだまま座っていた。

 

「おい、こんなくだらない事に付き合ってる暇は・・・」

「は?なんか言ったトラ男?」

「石になって砕かれたいとは変わった趣向の男じゃのう」

「・・・・・俺は暫く寝る」

 

ローが容赦なくさっさと2人の問題を終わらせて先に進ませようとしたがウタとハンコックの言葉を聞くやいなや付き合いきれないと言わんばかりに船室に行った。

 

「あの姉様、そろそろ私達は帰らないと・・・」

 

サンダーソニアが次女としてハンコックに意見を言うがハンコックは無言で睨んだ。しかも覇王色の覇気まで漏れていた。サンダーソニアは少し泣きそうになった。

 

「なぁ、おい。俺達もそろそろゾウに・・・」

 

ウソップが皆を代表して意見を言うがウタはそれに対してハイライトの無い目で見るとウソップは黙った。というか怖さのあまりに涙を流し始めていた。

 

「う~ん、どうすれば良いんだ??ゾロ、なんか良い方法あるか?」

「俺に振るな!!ったくなんでこんな下らない・・・」

「「あ?」」

「・・・兎に角、さっさと終わらせねぇとエロコック共に追いつけねぇだろうが・・・」

「だよなぁ〜」

 

ルフィがそう言うとウタもハンコックも流石に何も言えなくなって少しだけ敵愾心を沈めようと努力はしていた。

 

(この女には絶対に負けない!)

(この小娘にルフィは渡さん!)

 

だが、すぐにバチバチと火花を散らして全く進展などしなかった。お互い相手には負けたくないという意思しかなかった。

一向に進展しない状況に困ってると船の外から声を掛ける者たちがいた。

 

「あの、すみませーん!」

「ん?なんじゃ?」

 

ニョン婆がウタとハンコックの睨み合いに呆れていて頭を抱えていたが突然と声がしたので振り向くと工場で捕まっていた男達を筆頭に島民達が食料や衣服を持ってきた。

 

「おニュし達は何者じゃ?」

「俺達はこの船に乗ってる歌姫と海賊女帝に助けられた者達です!!」

「シードル達をぶっ飛ばしてくれてありがとうございます!」

「お陰で無事に家に帰れます!」

「これはお礼です!!」

「どうか受け取って下さい!!」

 

島民たちからの純粋なお礼にニョン婆は少し嬉しくなった。何故ならハンコックの我儘っぷりのせいでいつ七武海の称号を剥奪されるか不安でしょうがなかったのでこの小さな良い事で多少なりとも七武海としての地位を守れるなら嬉しい事はない。

 

「まぁ、あれは絶対にそんニャ事を思ってニャさそうじゃがにょ・・・」

 

睨み合いを続けてるウタとハンコックをまた見て呆れてるとニョン婆はあることを閃いた。

 

「そうじゃ、蛇姫に歌姫や!!そニャた達の争いを終わらせるよい方法が思いついたぞ!!」

「「え?」」

「ん?」

 

ニョン婆は笑顔で思いついた事を実行させる為にフランキーの協力の元ですぐに船を止めてる港にある物を準備させた。

 

 

 

〇〇〇

『さぁ、始まりました!!歌姫ウタ様対海賊女帝ハンコック様によるルフィ先輩争奪戦です!』

 

港に作られたキッチンと大量の食材に持ってきてくれた衣服などが設置されていた。そして実況はバルトロメオではなくガンビアが行っていた。

 

『九蛇海賊団の先々々代皇帝グロリオーサことニョン婆様が主導の元に行われるこの対決は2回勝負で決着が付きます!お題は料理対決にファッション対決の2回で決着が付きます。審査員は麦わらのルフィ先輩にニコ・ロビン先輩、そしてニョン婆様が付きます!・・・では改めましてニョン婆様に質問ですが2回勝負だと引き分けになる可能性がございますがその場合はどうなるのでしょう?』

『そニョ場合は、蛇姫の負けで構わニュ!そもそも蛇姫には七武海や女帝としての重大な仕事をほっぽりだして新世界にやってきた!これくらいのハンデを背負って貰わねば示しがつかニュ!』

「おのれ、老いぼれ!!これが終わり次第に海に沈めてくれる!!」

 

右にいるウタと隣合わせで作られたどこぞの娯楽番組の解答者席みたいな椅子に座っていたハンコックが勝手にルールを決めたニョン婆にキレていた。

 

「うわぁ~、あんな優しそうなお婆さんに手を上げるなんて・・・器が小さいなぁ〜」

「なんじゃと?・・・ふん、良かろう!そのハンデを認めよう!!何、両方とも妾の勝ちは決まっておる!」

 

しかし、ウタにおちょくられるとハンコックは人並み以上のプライドに触れたのかすぐにそれを認めた。

 

『では改めまして選手の紹介です!!歌姫ウタに海賊女帝ハンコック!!そして我らがバルトクラブ海賊団の船長バルトロメオだぁ!!』

「よろしくだべ〜!!」

「「ちょっと待てぇい!!」」

 

当然のようにウタの右隣にあった椅子の上で手を振って意気込みをしてるバルトロメオにウタもハンコックもツッコミを入れた。

 

『はい、どうされましたか?』

「なんで小娘以外に男もいるのじゃ!?」

「てか、なんであんたも参加してるのよこのアホ鶏!」

『船長権限です』

「オラのルフィ先輩への推しの力は誰にも負けないべ」

 

バルトロメオはそう言うと癪に障ったのかウタとハンコックは頭に血管を浮かべるほどにキレたくなったが、ここで2人を纏めてゴボウ抜きすれば良いだけだと思うと我慢した。

 

そして、ウタとハンコックはその考えが甘かったと後々後悔することになる。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

『料理対決、開始!』

 

ガンビアの実況の元、食材・・・肉を取った3人は当てられたキッチンで調理していく。

 

(これが終わったらルフィと・・・・)

 

ウタはそんな事を妄想しながら、肉を焼いていた。

 

『ルフィ、どう美味しい?』

『おう、ウタ。お前の作ってくれた肉料理が1番旨いぞ。やっぱりお前が1番だ』

『へへへ、じゃあ結婚してくれる?』

『おう、結婚しよう!んで新時代を作ろうぜ!』

『ルフィ、愛してる!』

 

「へへへへへへ・・・・・」

 

妄想の世界にトリップしたウタは焼いていた肉を焼きすぎて焦がしていた。調理中に他の事に集中してしまったウタの負けである。

 

(ふん、あの小娘は終わりじゃな・・・つまり、妾が・・・)

 

ハンコックもまた肉を焼きながら塩胡椒を振りかけて、まだ早い勝利を確信してしまった。

 

『ハンコック、俺の為に旨い飯をありがとう』

『いやん、ルフィそんな・・・』

『ハンコック、俺の中でお前が1番だ。海賊王と海賊女帝。結婚して幸せになろうぜ』

『はい』

 

「ふふふふふふ・・・・・」

 

ウタと同じように妄想の世界に入ってしまって肉に明らかに大量の塩と胡椒をかけまくってる事に気付いて無かった。

 

(何やってんだべ、こいつら??)

 

バルトロメオはそんな2人を見ながらも手際よく作り、呆れていた。バルトロメオもどちらかと言えば入る方だが、ルフィ達をゾウに送る最中、料理は基本的にバルトクラブ海賊団でやっていた事もあって調理中にそんな事をしない。ばあちゃん直伝の腕は伊達ではなかった。

 

「料理対決の勝ちは決まったわね」

「呆れてニャにも言えニュ」

「傍から見る分には可愛らしいのだけれど」

「あれではどちらも先は長そうじゃ」

 

ロビンとニョン婆は早くもウタとハンコックがバルトロメオに負けた事を淡々と言いながら、続きを見ていた。ウタとハンコックが漸く自分の失敗に気付いたのか騒ぎ始めていた。

 

『勝敗は一目瞭然ですね』

 

ガンビアの無情な実況が響き渡った。

結果として、ウタは少し焦げたステーキ、ハンコックはやけに濃い味付けのステーキ、バルトロメオはガチで美味しいステーキを作った。

 

「どれも旨いぞ!!」

「「ルフィ!」」

「けど、ロメ男のが1番うめぇ~!!」

「「そんな〜!!」」

 

ルフィの容赦のない言葉にロビンとニョン婆もバルトロメオに札を上げて結果は一目瞭然。バルトロメオが勝った。

ウタとハンコックは悔しさのあまり、膝を付いた。

 

 

 

〇〇〇

『続きましてはファッション対決!!ウタ選手とハンコック選手は巻き返せるか!?それでは、開始!!』

 

ガンビアがノリノリでゴングまで鳴らすとウタとハンコックにバルトロメオは衣服の束に向かって走り出して服を取るとルフィに近づいた。

 

最初はウタだった。

 

「ルフィ、こっちに来て」

「おう、良いぞ」

 

衣服を着るルフィに無事に試着して貰えるかと思いきや、それを邪魔する者がいた。

 

「待つのじゃルフィ。先にこっちに来てはくれぬか?」

 

ハンコックである。ハンコックはルフィの腕を引っ張ってまで自分の選んだ服を着てもらおうとしていたがウタにその腕を蹴られて弾かれた。

 

「アタシが先でしょ!?」

「ふざけるな小娘!!」

「ふざけてるのはそっちでしょ、おばさん!!」

 

こんな強奪するような行為をウタが納得するわけない。互いに罵倒して喧嘩を始めるウタとハンコック。ルフィはどうすれば良いのか分からずに固まった。

 

「あ、ルフィ先輩。先にこっちを試着して欲しいべ」

「おう。けど、あれ良いのかなぁ?」

「あの2人はほっとく方が良いです。どうせすぐに終わりますべ」

 

バルトロメオの言葉もあり、ルフィももうゾロとサンジのような関係だと認識して放っておいた。結果としてウタとハンコックはまたバルトロメオに先を行かれる事になった。

 

「ニワトリ君、やるわね」

「あれはそうそう失敗せニュタイプじゃニャ」

 

ロビンとニョン婆はバルトロメオの運の良さというか要領の良さに感心していた。

 

『はい、そこまで!!』

 

結果として単純に言うとあれからウタとハンコックは服をルフィに試着して貰えず・・・主に相手の足の引っ張りあいで・・・バルトロメオが着実に試着させまくったのでウタとハンコックの選んだ服は微妙にルフィにあっておらず、バルトロメオの服が1番似合っていた。

 

ロビンとニョン婆もバルトロメオに札を上げてまた、ウタとハンコックはバルトロメオに負けた。

 

 

歌姫VS海賊女帝VS麦わらヲタク

 

勝者は、麦わらヲタクことバルトロメオ!!

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタとハンコックは岸辺で仲良く意気消沈しながら三角座りをして海を見ていた。まさかバルトロメオに負けるなど2人とも思ってもみなかった。

お前が足を引っ張ったせいだと相手のせいにしたい意思もあったがそれよりもバルトロメオに負けた悔しさの方が大きかった。

 

「く、屈辱じゃ!!この妾があんな鶏風情に負けるとは・・・なんたる屈辱!!」

「おのれ、あのアホ鶏・・・絶対に絶対に絶対に負けない・・・ルフィはアタシのだ!!」

「妾のじゃ!」

「アタシのだ!」

 

また懲りずに言い合いを始める2人だが、そんな事をやってもバルトロメオに負けた結果は変わらず、止まった。今はこんな目の前にいる負け犬の女の相手よりも打倒バルトロメオであった。

 

『ウタ、ハンコック。悪いが俺はお前らと一緒になれねぇ』

『そんな!』

『何故なのじゃルフィ!』

『俺はロメ男と一緒に冒険するから!じゃあ2人とも元気でやれよ!』

『『ルフィィィィィー!!』』

 

そんな酷い妄想をする2人。あまりにも残念すぎる光景に涙が出そうになっていた。

 

「ねぇ、ハンコック」

「なんじゃ?」

「協力しよう。物理であの鶏はやれない。ルフィが悲しむと思うから・・・だからお互いにもっと腕を磨いてあの鶏をぶっ飛ばそう!」

 

ウタからの協力要請にハンコックは渋りたくなった。だてに海賊として生きてないので裏があると思ってる。しかし、あの鶏が目障りなのは事実。共に鍛えて協力し、いつかバルトロメオを負かした後で相手を負かせればいい。

 

「では、これから妾達は対鶏同盟ということじゃな?」

「よろしくね、ハンコック」

「よろしく頼むぞ、ウタ」

 

ウタとハンコックは固い握手をして打倒バルトロメオ同盟を結成した。

 

 

 

 

〇〇〇

一方、そんな事をウタとハンコックがやってる最中、ルフィはマーガレットとあることを話していた。

 

「えっ!?これ、ウタが作ってくれたのか!?」

「そうだよ。ズボンはアタシだけど。服はウタがちゃんと布から作ってくれたんだから」

「そうなんだ・・・後でお礼言わねぇとな」

「ルフィ・・・多分、言わなくてもわかってると思うけど、ウタの事を大事にしてあげてね」

「当たり前だろ?大事な友達なんだからよ」

 

マーガレットの言葉にルフィはそう返すと溜息を付かれた。ルフィはその溜息が何なのか知りたかったがマーガレットは片付けの手伝いに行って聞けなかった。

そしてルフィはウタが作ってくれたと言われた自分の今の普段着の暖かさをもう一度確かめていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「では、ルフィにウタ。此度は色々と迷惑をかけてしまった。いずれまた会おう!」

「おう、ハンコックも元気でな!」

「・・・ハンコック!!・・・今度、エレジアでライブをやるから・・・あんたも来て・・・もう、友達だから・・・」

 

別れ際にウタはハンコックに向かってそう言った。ハンコックはその言葉に少しむず痒さを感じつつも打倒バルトロメオの為にもウタとは少しでも仲良くしようと思い、笑って答えた。

こうして嵐のようにやってきた歌姫と海賊女帝の会合は1人の海賊打倒の為に友情を築き上げて終わった。

 

「さぁ、妾達も女ヶ島に戻るぞ!」

「蛇姫や、それがレイリーとシャッキーから連絡が来ておってニョ」

「おお!レイリーにシャッキーか、久しぶりじゃな!どうしたのじゃ?」

「少し、話したい事があるそうで会いたいとニョ事じゃ」

「うむ!・・・早く女ヶ島に戻りたいのは事実じゃが!レイリーとシャッキーの頼みなら無下に断るもいかんな。では少し会おうぞ!!」

 

レイリーやシャッキーにも助けられた恩をちゃんと感じてるハンコックは共に共通の敵を持った同盟という名の友達が出来た嬉しさもあって珍しくもそれを受け入れた。

 

そしてハンコックはこの後にバルトロメオに負けた以上の“屈辱”を味わい大泣きする羽目になった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ゴーイングルフィセンパイ号の上ではゾロやローを筆頭に面々が駄弁っていた。

 

「しっかし、恐ろしい戦いだったな」

「ルフィもス〜パ〜罪な男だな」

「けど、1番の大手柄はニワトリ君ね」

「いえいえ、オラはやりたいようにやっただけです」

「こんな茶番に付き合わされるとはな」

「全くだ」

「拙者、ルフィ殿が凄く羨ましいでござる!」

「泣くな、錦えもん」

 

それぞれが思った事を口にしながらももうすぐゾウに付いて先に行ったナミ、サンジ、チョッパー、ブルック、モモの助。そしてローも自分の仲間達と合流出来ると思っていた時にそれは突然と聴こえてきた。

 

「はぁ~!?それ、どういう事よ!?ルフィはライブに来てくれないの!?」

「俺はシャンクスとは会わねえって言ってるだろ!?」

「アタシよりもシャンクス()()()を取るんだ・・・バギーおじさんの方がかっこいいのに・・・」

「な、“なんか”って言うなよ!!お前、会ってからずっとバギーバギー、本当にいい加減にしろよ!!」

「いい加減にするのはルフィでしょ!?この183連敗男!!」

「お前はズルしかしてねぇだろうが!!」

「なんだって!?・・・もういい、顔も見たくない!!絶交だよ!!」

「あぁ、わかったよ・・・絶交だ!!」

 

一難去ってまた一難。

ウタとルフィは大喧嘩をしてしまった。

 



















というわけでウタVSハンコックの結末はバルトロメオの一人勝ち・・・・いやいや、なんかおかしくない??
いえ、全くおかしくありませんよwww


そしてルフィとウタの大喧嘩の他にもハンコックにまで受難がやってきます!!

どうなるかはお楽しみに!!

そして次回からルフィVSカタクリ編ですが頭から終わりまで重くしますのでご注意下さい。
ルフィとカタクリのウタを巡る泥臭くも熱い戦いを頑張って仕上げます!!


出来れば15話以上は掛けたくねぇな・・・
ドレスローザで19話あったのでそれよりも短く出来るように頑張ります!!
そしてテゾーロはもう少し後で出てきますがバレットは割とすぐに出ますのでお待ちを!!


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喧嘩

お待たせしました!!
それでは始まりますルフィVSカタクリ編!!
最終章への伏線も張りつつ、全力で行きます!!



ルフィとウタはハンコックと別れてから2人の部屋で共に話をしていた。なんてことのない話だったがお互いに嫌な空気が流れていた。

 

「でね!その時のバギーおじさんったら凄い大泣きしてたんだよ!!」

 

ウタは恩人であるバギーの話を明るく話していたがルフィとしては面白くなかった。いくらウタが慕ってるとは言ってもルフィにとってバギーはシャンクスから預かってる大事な麦わら帽子を傷つけた奴でそんな奴の事を嬉しそうに話してるのはあまり気分が良くなかった。

 

「でさ、その時のシャンクス達がアホって言ったんだ。酷いだろ??」

 

ルフィは憧れてるシャンクスの話を明るく話していたがウタは全然楽しくなかった。ウタにしてみればシャンクスは最低の父親であり、バギーが居ないと何もしてくれなかった人。まだシャンクスを純粋に慕ってるルフィを見てウタは、ルフィに嫉妬を含めた色々な感情が出てきたが総じて分かりやすく言うなら、ルフィとシャンクスの話は全く面白くなかった。

 

こうして2人は互いに尊敬してる相手の良い所と駄目な所、好きな所と嫌いな所が見事に逆転していて明るい会話の筈なのにギスギスとした雰囲気を出し始めていた。

 

ルフィは釣りでもやるか、ウソップやバルトロメオとかと遊ぼうかと思ったが12年間も離れていたウタと一緒に居たかった。ウタもルフィから離れたくなかった。

しかし、12年間という時間が2人のズレを否応にも認識させていた。

 

ルフィはシャンクスが片腕になってしまった事を話してない。ウタは一応片腕になった事はバギーを通じて知っているがそれがルフィのせいだとは知っていない。

ウタは無人島で精神的に追い詰められた時にバギーに助けて貰った事をルフィには話してない。ルフィはバギーとウタの仲が良い事は見ててわかってるがなぜ、そうなったのか知らない。

 

ルフィはウタを、ウタはルフィを想って心配させないように気を使いながら話していたがそれが逆に2人の雰囲気を悪くしていた。

 

(変な空気になっちゃったな〜・・・)

 

ウタはベッドに腰を掛けてルフィを見ると、ルフィも似たような感じになっていたのでウタは話題を変えた。

 

「ルフィ・・・アタシね。エレジアでライブするんだ」

「ずっと言ってたやつか?」

「うん、シャンクス達も来てくれるってそこで仲直り出来たら良いなぁ・・・」

「出来るって!ウタとシャンクスなら絶対に!」

 

シャンクスとの関係で少しナイーブになりながらも話すウタにルフィは励ますように明るく言った。するとウタも勇気を貰ったのか笑顔になり、ルフィに言った。

 

「だから、ルフィも来て!!アタシ、2人の前で歌いたいの!」

 

ウタはそう言った。ルフィなら絶対に頷いてくれるだろうと思ったがルフィは麦わら帽子を暫く触った後で口を開いた。

 

「俺は行かねぇ。シャンクスに立派な海賊になって海賊の高みでこれを返しに来いって言われてんだ。会うわけにはいかねぇから、俺は行かねぇ」

「は?」

 

後の顛末は言うに及ばない。

売り言葉に買い言葉、おまけにシャンクスとバギーに対しての認識の違いも相まって2人は大喧嘩をして絶交宣言までした。

 

 

翌日、漸くゾウに着いた面々。

まさかゾウと言うだけあって本当に巨大なゾウだと分かった時はウタもルフィも仲良さそうに同じリアクションをしていたが興奮が収まると互いに顔を背けていた。

ウタはどのみち、ライブの準備とかがあるのでここでバルトクラブ海賊団に近くの島まで乗せてもらって客船からエレジアに戻る予定だったのでお別れだが、ルフィとの喧嘩はまだ続いていた。

 

「それじゃ、皆!また会おうね!!」

「アウ、元気でなぁ!!」

「トラ男!!アタシのサインとTD、絶対に渡してね!!」

「勿論だ。この借りはいずれちゃんと返す」

 

ウタはハートの海賊団に熱狂的なファンがいると言われ、船長であるローにサインを求められたので全員分書いた上に『Shining ray』のTDも渡した。しかもこれは麦わら大船団の宴で初披露した曲なのでまだ未発売というレアすぎる物。ローが流石に貰えないと言ってもウタがルフィに()()()()()()()に渡したのでローは借りは必ず返すと言うことだけを言って貰った。更にいうとウタデザインのライブのチケットまで貰って仲間と一緒に来てとも言われた。

このチケットはゾロやウソップ、ロビンにフランキーにも渡した。錦えもん達は貰っても色々と用があって行けないかも知れず、宝の持ち腐れになるかもとの事でTDだけ貰った。

 

因みにルフィには何1つあげてなかった。

 

当然、不満が溜まって文句の1つも言いたくなったが絶交中でそんな事を言うと“負け”と思ったルフィは何も言わずにウタの嫌がらせを尽く無視した。

ウタもルフィが悪いと思ってるので絶対に自分からは行動しなかった。本当はルフィの分のチケットも既に用意してるし、他の面々とは違ってモンキー・D・ルフィとフルネームまで書いた専用のを用意してるが意固地なルフィには絶対に渡したくなかった。

 

カン十郎の書いたどこはかとなく残念な龍の背に乗ってゾウを登っていくルフィ達。バルトロメオがルフィ達の冒険の邪魔は出来ないと言って別れの挨拶をするとルフィも笑顔で返した。

 

その時にルフィとウタは目があってしまった。

お互いに謝るには今しかないと思っていたが自分から謝るのが死んでも嫌だった。

 

「ふん!」

「なっ!?・・・あぁ、そう!!」

 

ルフィが子供っぽく首を反らしたら、ウタも同じような返し方をした。変な所で頑固な2人は良くも悪くも似たもの同士だった。

 

こうして2人は喧嘩したまま別れた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

翌日、バルトクラブ海賊団に無事に近くの島に送られたウタは彼らと別れて客船に乗ってエレジアに戻ろうとしたがその前に島にあるレストランで食事をしていたがルフィに対する怒りが収まっておらず、ヤケ食いをしていた。世間的にウタは有名人なのでバレないようにフードを被っていた。さらに言うとここは魚人島のように定期的にお菓子を輸出してるリンリンの縄張りだった。ルフィ達も傘下やウタにリンリンに喧嘩を売ってる事を教えてなかった。

 

(バカルフィ!!さっさと謝れば良いのに何よ!!・・・シャンクスシャンクスシャンクスシャンクス・・・アタシだってあんたみたいになりたかったよ・・・)

 

ウタは純粋に羨ましくなっていた。自分はシャンクスの娘で憧れていて大好きだった。けどエレジアの件で嫌いになって信じられなくなった。それなのにまだシャンクスに憧れてるルフィに嫉妬と寂しさを感じていた。

 

「ルフィは良いなぁ・・・強くて・・・」

 

ウタはルフィの元々持っていた強さが羨ましくなった。幼い頃からずっと感じていて自分も自分だけの旅をして強くなったと思っていたら、大切な幼馴染はもっともっと強くなっていて遠くに行ったように思えた。

 

「・・・あぁ、もう!なんでこんなにルフィルフィルフィ・・・あいつとは絶交したんだから忘れないと!!」

 

ウタはそう自分で決めると店を出て客船に乗ろうと港に行って船に乗ろうとした瞬間、船が爆発した。

 

「え?」

 

突然の爆風にウタは吹き飛ばされた。

地面を転がってなんとかギリギリの所で受け身は取れたウタが目にしたのは燃えてる客船に逃げてる人々。着ていたフードも吹き飛んでウタは何が起こったのか分からずに混乱していた。

 

そんな中で燃えてる客船に立っている男がいた。

4メートル、下手したらもう少しありそうなくらいの巨体で左半身には火傷の跡が目立つ黒い服の男・・・元ロジャー海賊団のクルー ダグラス・バレット。

“鬼の跡目”とも呼ばれた男だった。

 

バレットはウタを見つけると笑みを浮かべてウタの前に降りて近づいてきた。ウタはすぐに立ち上がってロープを構えた。

 

「あんた、誰?」

「俺か?ダグラス・バレットって言われてるがどうでもいい・・・会いたかったぜ、“トットムジカ”」

 

トットムジカの言葉にウタは顔が青くなった。何故、目の前のバレットがそれを知ってるのか、そもそも狙われてる理由が自分に取っても忌々しい物で狙われてる事にウタは言い表せない感情が湧き上がってきた。

 

「一晩でエレジアを滅ぼしたんだろ?それをぶっ潰してカイドウのアホとビックマムのババア、黒ひげのデブを倒す肩慣らしにはちょうど良さそうだ」

 

バレットは手をボキボキ鳴らしながらウタに近づいてくる。ウタはロープを投げて目の前のバレットから逃げ始めた。

 

「逃げるな、トットムジカ!!」

 

バレットは決してウタの名前を呼ばずにトットムジカとしか呼ばない。バレットにとってウタなどなんの興味も無く、ウタウタの実でのみ発動されるトットムジカしか興味が無かった。

あんな忌々しい物なんか死んでも出したくないウタは逃げる。そもそも楽譜も無い状態でトットムジカは起動出来ない。なのでここでウタをどうこうしてもトットムジカが起動されることはない。

 

ウタはまたデリンジャーのように逃げて隙をついて歌を聴かせようと言う作戦を取ろうとしたが、その前にバレットに落とされて地面に叩きつけられた。

 

「さぁ、トットムジカを出してもらおうか・・・出ないとババアをやる前哨戦にもなりゃしねぇ」

 

バレットはウタの首を掴んで持ち上げた。そのせいで息が出来なくなるウタ。完全にウタが歌えなくなった。トットムジカの起動方法は流石にバレてなかったようだが、依然として命の危機には変わらない。

ウタは何とかして脱出しようとバレットに蹴りを入れるが全く効果はなかった。

 

「なんだその腑抜けた蹴りは・・・親父の赤っ鼻と一緒で弱えな」

「あんたも・・・()()()()を知ってるの・・・?」

「忌々しいが同じ船に暫く乗っていたからな・・・弱くて弱くて・・・心底大嫌いな奴だ・・・それが今や“5番目の海の皇帝”??冗談にしても笑えない・・・何回もあいつを守る為にロジャーは弱さを見せた・・・赤髪はメキメキと強くなっていったのにあの赤っ鼻は全く・・・あいつは俺の目的も夢も関係なく、この手で存在ごと消してやる!!」

 

ウタは急いでバレットをウタワールドに引きずり込みたかった。眼の前で大切な人を殺す事を宣言したバレットに抵抗しようと必死だったが何も出来なかった。

 

「ちっ、フェスタの情報でわざわざ、ババアの縄張りまで来たのに・・・興醒めだ・・・死ね」

 

バレットはそう呟くと空いてる方の腕を思いっきり引いて、ウタの頭目掛けて放った。凄い速度で迫っていて当たればウタの頭なんか簡単に砕け散るのが容易に想像できた。

 

(ルフィ・・・助けて・・・)

 

ウタは迫りくるバレットの拳を見ながら、そう思い目を瞑った。しかし、拳はやってこずウタは恐る恐る目を開けると拳はウタに当たる寸前で止められていた。

 

「ウチの縄張りで何をやってる」

「カ、カタクリ・・・」

 

そう止めたのは、ビックマム海賊団将星のカタクリだった。縄張りで暴れてるだけでなく、ウタを殺そうとしたバレットを睨んで容赦なく自分の武器である槍の土竜をでバレットを貫こうとしたが武装色の覇気で防がれてしまった。けれど衝撃や威力は流石に諸に喰らったのでバレットはウタを放して吹き飛んだ。バレットは近くの建物にぶつかり、崩れた建物によって生き埋めになったが平然とすぐに立ち上がってきた。

全く微塵の欠片も効いていなかった。

 

「ちっ!」

「ふん、久しぶりだな餅野郎・・・トットムジカは期待外れだがお前は楽しめそうだな」

「・・・こいつの名前はウタだ」

「興味ねぇな」

 

バレットはそう言うとカタクリに向かって突っ込んで行った。カタクリも土竜で貫こうと容赦なく突っ込んで行くが土竜は避けられてバレットの拳がカタクリの腹に入りかけるが見聞色の未来予知で腹を変形させて避けた。

バレットはその結果に笑い、カタクリは面倒臭さを感じていた。

 

バレットは持ち前の能力であるガシャガシャの実の力を使って先程燃やした船や壊れた建物から鉄なり石なりを腕に合体させてガントレットを作り、武装色の覇気で更に強化させてカタクリに突っ込んで行った。

カタクリもそれを見て空中にドーナツを作って極太の腕を形成し、バレット目掛けて放った。

 

「シュバルツ・ファウスト!!」

「力餅!!」

 

お互いに覇王色を出しながら、バレットのガントレットとカタクリの力餅がぶつかりあって黒い稲妻が走る。

暫く拮抗していたがバレットは能力を使ってよりガントレットを大きくさせると力餅を押しのけてカタクリの顔面に向かっていった。

ギリギリの所で避けたカタクリは力勝負をバカ正直にやる理由も無いので再び土竜を構えた。

ウタはレベルの違いすぎる戦いを間近で見て啞然となった。

 

「カタクリ!!」

 

そんな緊迫してる状況でカタクリと共に行動していたコンポートがやってきた。

 

「コンポート姉、ウタを頼む。俺はコイツを殺す」

「わかった!!」

 

コンポートは啞然となってるウタを守るように前に立つとカタクリもそれで気にせずに出来るようになったのか始めて自分から突っ込んでいった。

バレットも突っ込んでいき、お互いに攻撃が交叉する瞬間、辺りが暗くなった。

 

「なんだ?」

「あ?」

 

カタクリとバレットは止まって上を見上げると巨大な島が浮かんでいて、それが突然と落下してきた。

カタクリは瞬時にウタとコンポートの2人を連れて離れて、バレットもその落下から退避した。

こうして落下してきた島はリンリンの縄張りである島の1つとぶつかり、その島は壊滅した。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「若造共が暴れてるな・・・久しぶりにリンリンに会うんだ。挨拶はこれくらいで良いか・・・」

 

空からそれを見ている男がいた。

両足はかつて世界最悪の刑務所インペルダウンから脱獄した時に切り捨てて以来、自分の愛刀を指して脚が剣になり、頭にはかつてエッドウォーでめり込んてしまった舵輪があった。

 

かつてのロジャーのライバル“金獅子”のシキ。

 

空から海を制しようとした男だった。

 

「あれが歌姫のウタか・・・あの忌々しい若造の恋人とは・・・さぞかし、俺の計画でズタボロになったウタを見た“麦わら”の顔は面白そうだ♪♪・・・今度は確実に潰す」

 

シキは2年前に20年も掛けて準備してきた計画を潰したルフィを思い出しながら、2度と油断しないように新しい自分の“計画”を進め始めた。












それではOPはまさかのカタクリVSバレットです!!
そしてシキも参戦です!!
最初はバレットだけのつもりでしたがシキも折角なので出しました。急遽出したお陰でメインのルフィVSカタクリドラマはほぼ出来上がってますが、シキとバレット関係は作者である私もどう展開を転ばせようか書きながら考えてるのでどうなるか全くわかりません!!
それでは皆さま、お楽しみに!!


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避難

お待たせしました!!
それではルフィVSカタクリ編の第二話です!!
どうぞ!!



シキがリンリンの縄張りに島を1つ落として壊滅させた事はすぐに海軍本部に伝わった。

 

「急げ!!シキが現れた。ビックマムと接触させては不味い!!」

「さらにあのダグラス・バレットも現れたの事です!!ビックマム海賊団の将星のカタクリと戦闘が確認されました!!」

「実質、四皇クラスが3人だと!?」

「急いで戦いに備えろ!!」

 

慌ただしく動き始めてる海軍本部で海軍大将を目指している若き海軍大佐であるコビーは自身が所属してる海軍の諜報機関である【SWORD】の隊長であるX・ドレークと電伝虫で連絡をしていた。

 

『ビックマムの所にシキが現れた?』

「えぇ、かなりこっちは混乱してます」

『そうか、手に入れた情報によるとあのシーザーは今はビックマムの所にいるらしい。先日、ビックマム本人がノリノリでかけてきてカイドウを苛つかせてた』

「ちょっと、それかなり不味いです!!」

『ん?どういう事だ?』

 

ドレークからの報告にコビーは顔を青ざめた。

ドレークもコビーが何故、ここまで慌ててるのか分からずに電伝虫の向こうで周りには注意しつつも首を傾げていた。

 

「一年前のシキ逮捕の件は言いましたよね?」

『あぁ、なんでもシキが“深手のアルビオン”とかいう雑魚と一緒に居たのが確認されて、一人になった所を大将である黄猿、藤虎、緑牛の3人が率いる特別編成の部隊で逮捕。シキが生きていた事を世間に伏せる為に情報操作した事件だな。当時のモルガンズは歌姫のUTAに執着中だとかで・・・』

「えぇ、そしてシキはインペルダウンに送られる筈でしたが、前回の時に脱獄されて2年前の戦争時のあの大脱獄もあった為にシキは海軍が新たに計画していた“移動する監獄”、監獄戦艦の初の囚人とされました。しかし、偽麦わらの一味のデマロ・ブラックらと彼に騙された傘下の海賊達も囚人として入れられた時に査察に来ていたCP-0のスパンダムが鍵をブラックらに盗まれる失態を犯して、シキの錠も外されました。シキはこれを気に監獄戦艦を壊滅させた上に何故かデマロ・ブラックの一味らを連れて逃走しました」

『そうだったな・・・結果として監獄戦艦の計画は全て白紙・・・海軍もとい政府的に見ても稀に見る大失態・・・あと少しでモルガンズによってばら撒かれる所だったが、“赤髪と千両道化の決闘”に“歌姫のカミングアウト”が良い隠れ蓑になって無事に隠蔽成功。それがどうかしたのか??』

「いえ、実は・・・戒厳令が引かれているのですがその時に看守として使われていたパシフィスタを20体以上も強奪されたんです」

『・・・冗談だろ?・・・クソ・・・シキの狙いはベガパンクの元同僚のシーザーか・・・』

 

頭を抱えるコビーとドレークだったが諜報活動をしているドレークにこれ以上の長電話をさせるわけにいかないのでコビーは電伝虫を切った。

 

しかし、コビーはドレークには伝えてない事実がもう1つだけあった。それはシキが逮捕されるに至ったアルビオンとの会合の“理由”だったが、それはまたいずれ報告しようと思い、海兵の仕事に戻っていった。

 

 

 

 

〇〇〇

なんとかウタはカタクリに助けられて無事にバレットからは逃げられたが島が壊滅してしまったのでエレジアに戻るための船が無くなった。おまけにまだバレットが居て狙ってくる可能性をビックマム海賊団の船の一室でカタクリ本人に言われて頭を抱えていた。

 

「どうしてこうなるの!?」

「落ち着け。俺達も少し大きな事をやる。しかし、折角助けてまたバレットにやられるのはこっちもプライドに関わる・・・だから暫くの間、俺の管理してるコムギ島に避難するんだ。あそこならバレットから守れる。俺達のやることが終わり次第、俺がエレジアに送る」

「えっ、本当!?」

 

ウタからすれば渡りに船だった。

エレジアのライブはまだまだ先だったのもあってウタは万国で暫く居る事を決めたがここであることに気づいた。

 

「あ、けど。アタシ、何も返せないよ。お金も帰りのあの客船の代金で無くなっちゃったし・・・」

「なら・・・万国で稼げばいい。路上ライブになるが禁止にはしてない。娯楽には皆、飢えてるからな。返しはその・・・歌で返してほしい」

「歌で?」

「あぁ、ドレスローザで聴いて・・・ファンになったから・・・生歌を聴きたくてな」

「本当!?嬉しい!!」

 

カタクリの発言にウタは一気に笑顔になった。自分の歌を楽しく聞いてくれてるファンがウタは好きだった。

元々優しい、助けてくれた、カワイイなど好印象しかなかったカタクリに対する印象がさらにウタの中で良くなった。

 

「ありがとう!!絶対に良い歌を届けるから!!そうだ、今からでも・・・」

「待て・・・今は色々とあって疲れただろ?ゆっくり休め・・・万全な状態の時に聴きたい・・・」

「カタクリ・・・分かった。ありがとう!!」

 

優しくしてくれるカタクリにウタはそうお礼を言った。絶対に良い歌を届けようと思い、先程までの気持ちを切り替えて居ると部屋の扉がノックされて、コンポートがドーナツを持って入ってきた。

 

「失礼するよ。初めましてだから、自己紹介させてもらうよ。アタシはカタクリの姉でコンポート。よろしくね!」

「姉?・・・カタクリってお姉さんいたんだ。ドレスローザで妹が居たのは知ってたけど」

 

ウタは玩具から戻った時に胸の鏡からお兄ちゃんと言っていた女性がいた事は知っていたので妹がいるとは分かっていたが姉も居るとは思わなかった。

 

「ウチは兄弟姉妹合わせて85人いるからねぇ」

「85!?」

「カタクリはそれの次男で無茶苦茶頼りになる自慢の弟だよ!」

「コンポート姉、止めてくれ」

「なんだい?褒めてやってるだけだよ・・・まぁさっきまであんなに大変だったからねぇ。ささ、このドーナツを食べな。アタシの手作りでカタクリの好物なんだよ」

「コンポート姉、本当に止めてくれ・・・」

 

完全にお節介なおばさんと化してる姉のコンポートにカタクリは顔には出さないが内心恥ずかしくなってきた。するとウタがコンポートの手作りのドーナツを1つ貰って食べてみると本当に美味しかった。

 

「美味しい!!」

「そうだろ?まだママが四皇になる前はママも料理長のシュトロイゼンも外で戦って留守番が多くてねぇ。料理人が作ってくれたお菓子よりもカタクリはアタシのをよく食べてくれたんだ!」

「コンポート姉・・・俺は外で見張りをしてくる」

 

カタクリはそう言うと部屋から出ていった。ウタはドーナツを頬張りながらそれを見て、コンポートはニヤケていた。

 

「恥ずかしくて出たね・・・カワイイ弟だろ?」

「うん、カタクリってカワイイ!特に食べてる姿が1番カワイイ!!」

 

ウタの発言にコンポートは目を見開いた。カタクリの食べてる姿を見てカワイイと本心から言ってるのは見聞色で分かったがまさかカタクリが人前で物を素で食べていたとは思ってもみなかった。

コンポートはそれを聴くと途端に嬉しくなった。妹のブリュレが顔に傷を付けられてから家族の前ですら素顔を明かさなかったカタクリが素を出せる人間がいる事に笑った。

 

「そうかい!!カタクリは食べてる姿が1番カワイイのかい!?」

「うん!!大きな口を開けて凄く美味しそうに食べてたから!!」

「あんたって凄く良い奴だねぇ!!・・・カタクリの嫁に来ない?」

「えっ!?」

 

コンポートは思いっきってウタにそう訪ねた。ウタはそれに最初は固まった。ウタとしては結婚したいのはルフィである。今は喧嘩中であるが好きなのは昔からずっとルフィだ。しかし、こうも嬉しそうに話してくるコンポートにウタはすぐに言えなかった。

 

「ハハハ、冗談だって冗談!変な事を聞いて悪かったね!!ドーナツはまだあるから、新しいのを取ってくるよ!!」

 

コンポートが明るく話を変えてくれたのでウタは冗談だと分かるとまたドーナツを食べ始めてコンポートは部屋から出て、ドーナツが置いてある食堂に行くとカタクリが思いっきり目を鋭くさせて見ていた。

 

「何、睨んでんのさ?」

「・・・別に・・・睨んでなどいない・・・」

「それよりも婚約の件はまだ言ってなかったんだねぇ」

 

コンポートがそう言うとカタクリは益々、目を鋭くさせた。それを見て両手を上げて観念したかのような動きを見せた。

 

「分かったって・・・もう誂わないよ・・・相変わらず真面目だねぇ。見聞色の未来視もやらないくらい冷静じゃないのに・・・」

「いくらコンポート姉でもそろそろ本気で怒るぞ?」

「おぉ怖い怖い・・・アタシはドーナツを持って退散させてもらうよ」

 

カタクリにそう言うとコンポートはドーナツを持って出ていった。残ったカタクリは本当に外で見張りをしようと食堂から出て甲板に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

時は少し遡り・・・・

ルフィは無事にゾウの上に着いて、ゾウに住んでるミンク族と一時交戦はあったものの無事に和解し、錦えもんやモモの助達の事情を聴くと忍者海賊ミンク侍同盟を結成した。そこでルフィ、ナミ、チョッパー、ブルックはリンリンの所に行ったサンジを連れ戻す為にビックマム海賊団の傘下のカポネ“ギャング”ベッジにやられて重傷の身であるペコムズを案内人にしてミンク族のペドロと共にリンリンの国であるトットランドに行こうと決めて、1週間分の食糧を分けてもらっていた。

 

「麦わら!!これありがとうな!!」

「おい、ベポ。あまり馴れあうなよ」

 

そんなルフィに話しかけに来たのはローの仲間であるハートの海賊団の航海士でミンク族であるクマのベポで大泣きしていた。

 

「なんで泣いてんだお前?」

 

ルフィはそう聴くとベポはTDを見せた。ローがウタから貰った奴で1番のファンであるベポに渡したのだが、入ってるのがまだ発売されてない新曲だと分かると大泣きしながら聴いていた。

 

「俺、新聞で麦わらとウタが付き合ってるのを知って凄い複雑だったけど、応援するよアイアイ!」

 

ベポが泣きながらそう言うがウタと喧嘩中のルフィは渋い顔をして、ローはベポの言動に頭を悩まし始めた。迷惑を掛けた詫びとしてサインと一緒に貰ったは良いが他の船員はともかくベポは聴いてからずっと泣きっぱなしで使い物にならなくなっていた。

 

ルフィは渋い顔をしつつも食糧を貰っていくとその事でからかう物がいた。

 

「いや〜、まさかルフィさんがあの歌姫のウタと知り合いでしかもそんな関係だったとは・・・心臓が飛び出るかと思いましたよ!あっ、私。飛び出る心臓無いんですけど、ヨホホホ!!」

 

ブルックである。年長者ゆえなのかルフィからウタとの関係を聴くとからかい始めた。またウタの事なのでルフィは益々渋い顔をした。

 

「ウタの話はするな。俺は今、あいつと喧嘩中なんだ!!」

「ヨホホホ、仲が良さそうですね!」

 

プンスカと怒ってるルフィと笑ってるブルック。

他の面々はそれを見ながら準備をしつつも雑談していた。

 

「ルフィとウタがそんな関係って新聞で知って俺、驚いたぞ」

「1番驚いたのは俺達だぞチョッパー!間近でそれを聴かされてここに来るまでずっといちゃついてやがったんだからな」

「結構、可愛らしかったわ」

「ルフィに負けず劣らずス〜パ〜な女だったぜ!」

「はぁ〜、あんたらは良いわね・・・こっちはサンジ君とブルックが新聞を見た瞬間に嫉妬で何かに変身しそうだったのに・・・」

「いや、こっちもゾウに来る直前の海賊女帝との喧嘩が凄かったぞ。冷や汗が大量に出た」

「海賊女帝ってあのルフィが助けてもらったっていう?」

「あぁ、女帝もウタと一緒でルフィに惚れててもう、激戦激戦を繰り広げててよ」

「そんなに怖かったのか?」

「いや〜、2年間ずっと居たボーイン列島でも感じなかった恐怖を感じたぞ」

「怖え〜!!」

「あら、見てる分には面白かったわ」

「面白くねぇよ!!こっちはいつ飛び火してくるかと思って肝が冷えてたわ!」

「確かにあれは怖かったな。ゾロやトラ男が睨まれて何も言えなくなってたしな」

「ルフィも随分と熱烈な人達に惚れられたのね」

 

面々はそんな雑談をしてるとナミがぶっ込んだ話をし始めた。

 

「で、ルフィはウタに惚れてると思う?」

「どうなんだ??」

「さぁ?」

「良くも悪くもルフィはあれだからな〜」

 

ナミとチョッパーの疑問にロビンとフランキーは首を傾げた。ウタがルフィに惚れてるのは分かったがルフィからの感情は実際の所、どうなのか分からなかった。

 

ウソップはそれを聞きながら一瞬、ルフィが珍しくも嫉妬した事を話そうかと思ってしまったが止めた。

 

ウソップは出来る男だった。

 

「どうなんだウソップ?」

「う~ん、俺もわかんねぇな・・・というかウタのルフィへの惚れ方が怖すぎて・・・思い出すたびに冷や汗が・・・」

「ウソップ大丈夫か!?」

 

訪ねてくるチョッパーにそう言うと少し嘘も混じえつつ、ウソップはこの話題から上手く逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃。

34の島々で出来てるトットランドのキャンディ島では混乱が起きていた。

 

「急げ!!すぐにここから避難するんだ!」

 

この島を管理しているペロスペローの指揮の元、住民は避難をしていた。これからリンリンが暴れるかもしれない状況だったからだ。

 

ペロスペローや住民から離れた草原でリンリンは自身の力である太陽のプロメテウスや雷雲のゼウスに剣のナポレオンを持って仁王立ちしていた。

 

「シキィ、てめぇ・・・よくもオレの縄張りを滅茶苦茶にしてくれたなぁ!!」

 

リンリンはそう言って眼の前に立っているシキを睨んだ。

 

「ジハハハハ!!相変わらずだなリンリン。俺の挨拶は笑えたか?」

「ふざけるんじゃねぇ!!この負け犬が・・・くたばれ!!」

 

リンリンはそう叫びながらナポレオンをシキに向かって振るった。シキも笑いながら足の剣をそれに向かって振るった。

2人の剣がぶつかりあった瞬間、()()()()()

 

暫く、拮抗していたが互いに1度離れるとシキは笑い、リンリンも笑った。

 

「マーママママママ!!こりゃ、驚いた!!エッドウォーで舵輪が刺さってから、後遺症で武装色も見聞色も出来ず、覇王色のコントロールさえも出来なくなった男が蘇るなんてね!!」

「ある若造に雷と一緒に蹴られてな・・・クロッカスに診てもらったら・・・雷と共に強烈な衝撃を受けて正常に体が戻ったらしい・・・この2年間、隠居したり、暴れたりして鍛え直したからな・・・大将の若造どもと戯れるのも意外に楽しかったぜ。暇潰しと修行には持って来いだ」

「へぇ、つまり完全復活ってわけかい?」

「あぁ、そうだ」

 

リンリンが笑いながら、そう聞くとシキは笑いながら叫んだ。

 

「2年前に兵力こそ失ったが覇気は戻った・・お前やカイドウのクソガキ・・・赤髪や黒ひげのひよっこ共にピエロのカス・・・そして海軍・・・政府・・・全世界に宣言してやる。俺は“帰って来たぞ”!!」

 

ここに“金獅子”のシキが復活宣言をした。

リンリンはそれを見て獰猛な笑みを浮かべた。

1度、四皇から落ちた男が戻ってきた事に驚き、そして確実に今の内に殺そうとナポレオンを構えた。

 

「それで、オレの所に来た理由は?死ぬ前に聞いといてやるよ」

「居るんだろ?シーザー・クラウン・・・あいつを寄越せ、俺の計画には必要なんでな」

「渡すと思ってんのかい?」

「だから、奪いに来たんだよ。俺は海賊だぞ?」

「オレの夢を奪うんじゃねぇよ、死ね!!」

「お前がな!!」

 

シキとリンリンは戦闘を再開した。

経緯がどうであれ、確実なのは1つ。

“伝説の海賊”が帰ってきた。










というわけでウタとルフィ、カタクリのドラマも進行中ですがそれを吹き飛ばすかのように暴れるシキ・・・

この爺さん化け物だな。

独自設定でシキはエッドウォーの海戦で舵輪が頭に刺さってから後遺症で覇気は使えないとさせて貰いました。でないとリンリンやカイドウとタメをはれなさそうなので・・・いや、割と能力だけでもチートなのに。


次回はどこから始めるべきか・・・とりあえず、ウタとカタクリの話は書きたい・・・んでカタクリを徹底的に茶化す姉のコンポートも書きたい・・・ブリュレもそろそろ出したいし・・・レイジュのキスもやりたい・・・うーん、迷う!!


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不穏

おまたせしました!!
シキの大暴れとそれに伴う問題に手間取ってしまいました・・・・いや全部悪いのは私なのは自覚してます。
申し訳ございません!





キャンディ島でのシキとリンリンの戦いは苛烈を極めていた。

落雷に大火災、大量に降るデカい岩に飛び交っている岩の獅子。天変地異と知らぬ者が見たらそう思うほどに激戦を繰り広げていた。

 

「威国!!」

「斬破!!」

 

互いに斬撃を飛ばして弾き合い、お互いの剣がまた交差する。リンリンもシキもロックス時代から知ってるのもあって情け容赦なく攻撃していた。

シキは地面を操り、腕に巨大な獅子の顔をしたガントレットを装備して硬化した。リンリンもプロメテウスを掴んだ。

 

「獅子一貫!!」

天上の火(ヘブンリーフォイアー)!!」

 

お互いの拳がぶつかり合うと獅子のガントレットもプロメテウスも吹き飛ばされて素の拳がぶつかり合っていた。リンリンはゼウスとプロメテウスを使った悪天候にすればフワフワの実のシキを落とせるかもと考えはしたが完全に復活し、油断も無くなったシキにそれをやるのは無意味と感じた。シキもまた肉弾戦をしててもリンリンの能力への警戒は緩めなかった。そして拳はまた拮抗し、互いに弾きあった。

お互いに睨みを利かせて更に激戦を繰り広げるかとまた相手に向かって突っ込んで行くと上から巨大な船が上から降ってきた。シキとリンリンはそれを見ると斬撃を飛ばしてぶっ飛ばした。

 

「ちっ、誰だい?」

「懐かしい戯れ合いを邪魔しやがって・・・」

 

リンリンとシキは船の残骸の雨の中、船を飛ばしてきた奴を探してると堂々と2人の前に歩いてきた。

 

「ふん、ジジイにババアが元気で安心したぜ」

「なんだ、ロジャーのとこの若造か・・・」

「お前も殺そうと思ってたから探す手間が省けて良かったよ・・・バレット!!」

 

船を飛ばしてきたのはバレットだった。カタクリと戦ってから、期待外れだったウタではなくリンリンとシキが戦ってるこの場にやってきたのだ。

 

「俺も混ぜて貰おうか・・・」

「冗談じゃないよ・・・懐かしい奴と楽しく殺し合ってたのにクソガキに邪魔されてたまるかい」

「俺は不粋なガキは大嫌いなんだよ」

「なら、殺してみろよ!!」

 

バレットがそう叫びながら、リンリンとシキに突っ込んで行く。折角の楽しい殺し合いを邪魔されたリンリンとシキは互いに顔を見合わせて剣を構えた。

 

「さっさとこいつを殺すよシキ、合わせな!!」

「足腰は大丈夫かババア!?」

「そりゃお前だろうがジジイ!!」

 

2人はそう軽口を言い合いながら剣を同時に振るった。

 

「「覇天!!」」

 

斬撃・・・というかもはや極太の光線とも言えるべきリンリンとシキの合体攻撃がバレットを襲う。しかし、バレットは全身を武装色で固めてそれに突っ込んで行ってぶち破り、2人の元へ突撃していくがリンリンとシキは避けた。

 

「「ちっ!」」

「カハハハハハ!!良いぞ、期待外れだったトットムジカよりも良い!!」

「バレット、てめぇもトットムジカを狙ってんのかい?」

「あ、リンリン。お前もかよ!」

「ってあんたもかいシキ!?生憎だが、ウタはオレの所のカタクリと結婚させるから手出ししたら確実に殺すよ!!」

 

シキはリンリンにそう言われるとフワフワの実の力でキャンディ島の周りの海水を浮かばせて獅子の顔を作り上げた。何をやるか分かったリンリンとバレットは能力者ゆえに冷や汗を掻き始めた。

 

「なら、2人ともここで死ね」

 

シキは高く飛んで離れて、リンリンとバレットに向かって海水の獅子を飛ばした。

キャンディ島はこうしてシキの起こした水害によって壊滅した。リンリンとバレットはそれから逃げるためにリンリンは飛んでシキの後ろに回ったがバレットは何処に逃げたのか分からなかった。

 

「やってくれたなシキ・・・オレの縄張りを2つも・・・」

「文句ならあのクソガキに言え。折角の殺し合いに水を刺されたんだからな・・・」

「で、どうする?まだやるってんだったら相手になるよ」

「お前は?」

「冷めちまったからやりたくはねぇな・・・それに暫くすれば大事な結婚式があるからな。それまでお預けだ、あんたも客人として出るかい?」

「へぇ、あのジェルマとの結婚式か・・・どうせ、ぶっ殺してジェルマの科学力だけ手に入れる気だろ?」

「わかってんじゃねぇか」

「良いだろ・・・冷めてやる気も無くなった事だし、出てやるよ。お前のとこの処刑も久しぶりに見てぇしな」

「マーマママママ!!お前のそういう所は本当に数すくねぇ良い所だな」

「ジハハハハハハ!!お前をぶっ殺してシーザーを捕まえるのはその後だ」

 

リンリンとシキはバレットの乱入で興ざめしたのもあって戦いを止めた。リンリンも結婚式に集中したいのとシキも久しぶりにリンリンの処刑が見てみたいと言う欲もあって戦いを止めて2人はトットランドの中心のホールケーキアイランドに向かって飛んでいった。

 

「おい、酒ぐらいは用意してんだろうな?」

「あぁ?てめぇ相手にそんなもん用意してるわけねぇだろ」

「なんて礼儀知らずなババアだ」

「黙れ強欲ジジイ」

「陰険ババア」

「お前だろうがそりゃ」

「うっそー?あたしいつの間に女に!?」

「気色悪りぃわ!!」

「もう、酷いじゃないのママ!」

「お前のママにだけはなりたくねぇ!!」

 

パァンとボケるシキにリンリンが叩いてツッコミを入れた。2人はそのまま帰るまで漫才のようなやり取りをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「これは一体、どういうことだ?」

「なんかあったのかねぇ?」

「凄い慌ててるね」

 

カタクリとコンポートはコムギ島のハクリキに着くと島は人で溢れていた。キャンディ島からの避難民で溢れていた。他の島々に住人を避難させたは良いが混乱していた。

 

「カタクリ兄さん、コンポート姉さん!帰ってきたのファ!」

 

混乱をどうにかするために5男であるオペラが指揮を取っていたが伝説の海賊同士の殺し合いなんて緊急事態を上手く収められるわけもなく、混乱を収められないでいた。

 

「カタクリ、この人は?」

「俺の弟のオペラだ。一体何があった?」

「落ち着いて話な」

 

慌ててるオペラにコンポートがそう言うとオペラは少しだけ息を整えてから話し始めた。

 

「ママとシキがキャンディ島で戦ってるファ。住民は避難したけど混乱が止められなくて!!」

「嘘でしょ!?」

「不味いな、とにかく落ち着かせないと・・・」

 

オペラの言葉にコンポートが驚き、カタクリもすぐに動こうとしたがその前に行動した者がいた。

 

ウタだ。

 

なんとか無事だった手荷物から海楼石入りの麦わらマークの手袋を取り出してウタはそれを付けると歌い始めた。

 

突然とコムギ島のハクリキタウンに響き渡る歌姫の歌声に混乱していた住民は突然となんだと思って聴き始めた。

ウタがそんな風にして一先ず混乱を止めて歌い終わるとすぐにカタクリが皆の前に立った。

 

「落ち着け!!お前達の安全は俺達が必ず守る!兎に角落ち着くんだ!!すぐに避難所を広場に作る、そこに避難民は入れ!医療班はすぐに出動、怪我人がいないかの確認だ!!それから腹が減ってるやつには食べさせろ。食料が無いなら俺の能力で兎に角出すから食べるんだ!!」

 

カタクリはそう言うとすぐに行動に移った。ハクリキタウンの広場に大きな家を作ってそこに避難民を入れた。

そこからは別の意味で大忙しだった。

怪我人がいないかの確認だったり、大量の炊き出し、寝るために毛布やらなんやらを掻き集めたりとてんやわんやと続いて行って、気が付けば一晩経って朝日が出てきた時に漸く混乱が収まった。

 

「ふぅ〜・・・」

「助かった・・・ありがとう」

 

混乱を一瞬止めた後、徹夜でずっと手伝ってくれて今は近くの家の壁に持たれながら座ってるウタにカタクリはお礼を言った。

 

「いいよ、大変な時はお互い様だよ」

「この礼は必ず返す」

「別にそんなのやらなくて良いのに・・・」

「・・・やらせてくれ」

 

カタクリがそう言うとウタは笑った。別にお礼が欲しくてやったわけではないがここまで真面目に言ってくるカタクリが可愛くなった。

 

「ありがとうカタクリ・・・ごめん、ちょっと疲れたから寝るね」

 

ウタはそう言うと疲れたのもあって寝始めた。

流石にこんな所で寝かせられないのと折角助けてくれたのもあってカタクリはウタを抱えて運び始めた。

 

「カタクリ、寝かせるならあんたの家にしな。ここはもう大勢いるからね。それにあんたも休みな」

「だが・・・分かった」

 

こんなお持ち帰りみたいな事をしたくないカタクリは避難民と同じ所で寝かしてあげようとしたがコンポートに止められた。

反論しようかと思ったが見聞色の未来視で言いくるめられたのが分かると自分の家にウタを連れて行った。

 

「あれがカタクリ兄ちゃんの婚約者のウタか・・・」

「カタクリはまだ言ってないから下手な事は言わないようにね」

「わかったファ」

 

オペラがそう言うとコンポートは飛びあえず、その注意だけして2人は作業を再開し始めた。

 

 

カタクリはハクリキタウンにある自分の家にウタを連れて来た。いつもなら部下が大勢いるのだが避難民の対応に負われていて1人も居なかった。

横にならないカタクリの自宅にはベッドも布団もないのでカタクリは空き部屋に自分の能力で餅のベッドを作るとすぐに敷物を敷いてウタを寝かせた。そして持ってあった毛布を被せた。

 

「後でちゃんとしたのを用意する」

 

カタクリはそれだけ言うと部屋から出て、自分も寝ようかと思って椅子に座った。決して横にならないように何十年も人前で口も横になった事すらないカタクリは普段から椅子に座って寝ようと心を落ち着かせているとあることを思い出していた。

 

『カタクリってカワイイ!』

『少しは自分の為に生きても良いんだよ』

 

ウタやコンポートに言われた事を思い出したカタクリは椅子で寝るのを止めた。

ウタの部屋に入るとカーテンを閉めて、部屋に鍵を掛けたカタクリはそのまま地面に敷物を敷いて横になった。

 

(こいつの前ならいい)

 

ウタには食べてる所も見られてるので素を出しても良いかと思って横になると15時のメリエンダ以外で久しぶりに横になったカタクリは疲れていた事もあってすやすやと眠り始めた。

それこそ、神経が緩んだのもあって見聞色の効きが悪くなるほど寝始めた。

 

 

 

〇〇〇

「カタクリお兄ちゃんいる?」

 

そんなカタクリの家に入ってきたのブリュレだった。鏡から直接やってきたブリュレはカタクリを探し始めた。帰って来たのとバレットと戦闘したという報告を聞いて心配してやってきたのだがカタクリは見当たらなかった。

 

「あれ?おかしいなぁ」

 

ブリュレは一通り軽く見回ってもカタクリが見つからなかったので鏡の世界に入ってカタクリの自宅のあちこちにある鏡から一部屋ずつ見ていって、見つけると固まった。

何故ならウタが寝てる横で地べたに寝転んでるカタクリを見たからだ。

ブリュレは信じられない物を見た気分になってすぐにその鏡から離れた。

 

「うぅ~・・・お兄ちゃんなんでよ・・・なんでよ・・・あんなのお兄ちゃんじゃない・・・」

 

ブリュレは泣きながら、鏡の世界で蹲った。

自分が傷を負った事で徹底的かつ完全に負けない倒れない、地面に背中を付けなくなったカタクリをブリュレは本当は寝そべってだらけたい素の一面を知っててもバレないようにしていた。

大切な兄が頑張ってるからこそ、カタクリを立ててブリュレは何も言わなかったのにウタの近くで寝そべってるカタクリを見てブリュレはもの悲しくなった。

 

「なんであの女の前で素を出してるの・・・アタシだって素のお兄ちゃんと一緒に居たいのに〜!!」

 

これまで必死に溜め込んでいた物がブリュレの中で爆発した。完璧かつ無敵な兄として皆の前で振る舞っているカタクリを今まで立てていたのにあの姿を見て裏切られた気分になった。

 

「あの女・・・よくもアタシのお兄ちゃんを・・・許さない・・・許さない・・・絶対に許さない・・・何が何でも・・・殺してやる・・・」

 

大切な兄が汚されたと感じたブリュレはウタを殺そうとドス黒い物を抱えながら抹殺の為に頭を回転させ始めた。

 

全ては兄をウタから奪い返す為に・・・

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

それから数日後の海ではルフィが危機に陥っていた。

ルフィのポカによって食料不足になったサンジ救出チームであるルフィ、ナミ、チョッパー、ブルック、そしてビックマム海賊団である案内人のペコムズとペコムズを抑えるのと毒ガスから国を助けてくれたサンジらに恩を返す為に乗ったペドロと勝手についてきたキャロットは何とか腹ペコになりながらも魚を釣り上げた。

 

しかし、調理もせずに腹ペコルフィは生で皮まで食べてしまってナミが魚を焼いた頃には毒に掛かって倒れていた。

 

巨人族でも即死な魚の毒で死なない程に抗体があったルフィであったが倒れていた。

 

そんな時に近くを通ったのはサンジの実の家族である姉のレイジュと弟のヨンジが乗ったかつて武力で“北の海”を支配していたヴィンスモーク家・・・ジェルマ66の船が通った。

 

サンジと同じように女好きを見せたヨンジであったが人の心が無いのとルフィを助ける義理は無いのでそのまま素通りしていくか戦闘になるかのどちらかだったがレイジュがヨンジを蹴り飛ばして場の空気を変えるとルフィの所に行ってレイジュはルフィにキスをした。










ということでシキもお茶会に参戦ですがここからシキが来たことで全てが狂って行くのでお楽しみに!!
ルフィ、ウタ、カタクリの三角関係もドンドンと進めて行きますので!!

それからルフィVSカタクリ編からタイトルが英単語ではなく漢字二文字になりましたがこれは単純に英単語がそろそろ辛くなってきたので趣向を変えてみました。
クウガみたいに取り敢えず漢字二文字で統一します!!


後はバレットとシキのオリジナル技ですがあまりやらないように注意しながら、そしてやるとなった場合はバレットはドイツ語で統一してシキは巻寿司モチーフだと辛いので寿司関係で統一して行きます。

それでは次回もお楽しみに!!


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本音

おまたせしました!!

少し強引かもしれませんが割と自分では納得行く展開なので出します!!
ではどうぞ!!


時はルフィにレイジュがキスする二日前。

無事に何とか避難も上手く行ってカタクリは寝そべっていた姿も見られなかったと思って色々と気分も良くなり、ウタにトットランドを案内しようかと思ったがそれは姉であるコンポートに任せて自分はホールケーキアイランドにある城の女王の間まで足を運んでいた。

兄であるペロスペローを筆頭に3人の将星と他の兄弟姉妹も大勢いた。居ないのはキャンディ島からの避難民の対応に負われてる者だけである

 

「ペロス兄、何が起こると思う?」

「さぁな。だがなんだが嫌な予感はするペロリン」

 

カタクリはペロスペローとそんな話をしているとリンリンがシキと一緒に入ってきた。大勢の兄弟姉妹達はそれに啞然となり、ペロスペローとカタクリといった実力者達は頭を抑えた。

 

「マーママママ、お茶会が終わるまでオレとシキは喧嘩を止めた!お茶会が終わったら早速殺し合うがそれまでは客人としてここに置いておくからお前らもそれなりに扱ってやれ」

「おう、よろしくなクソガキども!」

「なに、人の子供にクソを付けてんだよ!?ぶっ殺すぞ!?」

「うるせぇババア!!」

「うるせぇジジイ!!」

 

喧嘩をするのか仲良くするのか全く分からないリンリンとシキの絡みにリンリンの子達は困惑していたが真っ先に復活して異を唱えた者がいた。

キャンディ島を壊滅させられたペロスペローである。

 

「ちょっとまってくれママ!そいつはキャンディ島を滅茶苦茶にした奴だぞ!?それなのに客人扱いだと!?」

 

実に尤もな意見だった。しかも素の口調まで出てるあたり本気で納得してないのが分かるほどに。しかし、リンリンはそれを笑って見ていた。

 

「だから殺すのは後だ。それに人生最後の瞬間は楽しい方が良いだろ?」

「そりゃお前のことか?」

「お前だよ!鶏頭!!」

「誰が鶏だ!?」

 

鶏と言われた事にシキはキレつつも女王の間にあった鏡を見て首を傾げた。

 

「あれ?あんな所に鶏がいるぞ?」

「お前だよ!!」

「「はい!!」」

『いやいやいやいやいやいや』

 

突然と漫才みたいな事を始めたシキとリンリンに子供達の殆どがツッコミを入れた。入れてないのは依然として納得してないペロスペローとウタの事が心配になってきたカタクリだけだった。

 

「マーマママママ!!兎に角、暫くはもてなしてやれ。なに、腹黒くて陰険で性格は最低で品性の欠片もないやつってだけだ」

「品性に関してだけはお前に言われたくねぇ」

「黙れお下劣ジジイ」

「お下劣ババアが言うな。ロックス時代の時に子種を取ろうとしてニューゲートやジョン、王直とかに詰め寄ってたくせに」

「マーマママ!!懐かしいねぇ。まぁ全員に断られたけどな。あいつらは本当に見る目が無かったからねぇ」

「お前に全員が引いてただけだ。しかも断ったら殺そうとしただろ・・・イカれババアが」

「失礼だね。オレはこんなにも良い女なのに」

「なら俺は世界一の良い男じゃねぇか」

「鏡を見て言いな」

「・・・イケメンしかいねぇじゃねぇか?」

「既に目が腐ってたかい・・・」

 

破天荒な母親の事は知っていたが何気に寒気がしそうな情報まで飛んできて子供達は色んな意味で冷や汗が出始めていた。

 

「ジハハハハハハハ!!!まぁ、仲良く行こうじゃねぇかクソガキども!」

 

シキはそう言うと馴れ馴れしく絡み始めた。リンリンがいる手前、下手な事はやらないと思うがペロスペローとカタクリは警戒しながらそれを見ていた。

 

「そういや、カタクリ。ウタがコムギ島に居るんだって?歌ったのを見た兵士が報告してきたよ。なんで報告しなかったんだい?」

「・・・避難民の対処に追われていた」

「そうかい・・・まぁ良いや。今は色々と疲れたし、忙しい。お茶会の時には連れてきな。分かったね?」

「・・・分かった」

 

カタクリは極めて平常心でリンリンの問いに答えたが内心不味いことになったと思った。ウタを帰す為にリンリンには黙っていたがバレてしまってはすんなりと帰せなくなった。

そしてそんなカタクリの内心に気づいたのは兄であるペロスペローだけだった。

 

(なるほど、ウタウタの実は既にリンリンの手の中か・・・しかたない・・・別の方法をやるか・・・)

 

シキはそんな事をリンリンとカタクリのやり取りを見ながら考えていた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃。

ウタはコンポートと一緒にお菓子を作っていた。

 

「これで良い?」

「そうそうそんな感じ。しかし、パンケーキが好きなのは配信で知っていたけどドーナツを作れると聞いて驚いたよ」

「この前、ドレスローザで食べたドーナツが美味しかったからまた食べたくなって」

「あぁ、カタクリから聞いたよ。麦わらのルフィと一緒に食べたんだって?」

 

コンポートが少しだけ意地悪く聞いてきた。と言っても性格悪そうにではなくあくまでもからかうような感じである。するとウタから怒気が発せられてきた。

 

「ルフィ・・・あのバカ・・・あいつとは今、絶交中だから知らない!」

「おや、喧嘩中とは知らなかったよ」

「あいつったら酷いんだよ!?アタシよりも・・・他の男との約束を取ろうとして・・・」

「あぁ、そりゃ腹立つねぇ・・・でも好きなんだろ?」

「うっ・・・・うん、好き・・・けどなんだが・・・う~~ん・・・」

「悩みな悩みな!因みにアタシとしてはカタクリの嫁に来てほしいんだけどねぇ」

 

割と本気でカタクリが素を出せる相手がいる事が嬉しいコンポートはまたそんな事を言うとウタは悩みながらも答えてくれた。

 

「カタクリは良い人でカワイイけど・・・なんというかその勿体ないほど良い人だから・・・アタシよりも良い人が居ると思う」

「なるほどね・・・こりゃ残念だねぇ・・・カタクリに釣り合うような人なんて早々居ないんだよねぇ」

「えぇ!?絶対にいるよ!!あんなにカッコよくてカワイイのに!」

 

ウタに言われてコンポートは意を決してあることを話し始めた。兄弟の中でも話したくない事の1つであるがコンポートはウタになら話しても良いかと思った。何故ならカタクリの口に対して素で受け入れてくれてるウタなら大丈夫だろうという物もあった。

 

「今から話すことは内緒にして欲しいから頼むよ」

「わかった」

「カタクリは口がアレだからね。昔、アレで嫌われていてね。まぁとやかく言う奴は自分でぶっ飛ばしてたけどある時、妹のブリュレがそんな奴らにやられて顔に傷を負わされたんだ」

「そんな酷い・・・」

「もう、アタシ達は混乱してね。ブリュレの治療中に兄さんは弟達をアタシは妹達を落ち着かせてて気づかなかったんだ。カタクリが居なくなってた事に・・・」

 

 

 

 

●●●

コンポートはブリュレが怪我を負わされて治療中の間、妹達を抱き締めて落ち着かせようとしていた。そんな時にペロスペローが慌ててやってきた。

 

「コンポート、カタクリを見なかったか!?」

「えっ!?見てないけど居ないの!?」

「あぁ、何処にも居ないんだ!!」

「・・・まさか!」

 

コンポートとペロスペローはまさかと思って弟や妹達を部下に預けてカタクリを探しに行った。そしてとある裏路地で見つけたのは愛槍の土竜を持って沢山の倒れてる血塗れのチンピラの中で唯一立っていた返り血を浴びまくっていたカタクリだった。

カタクリは口を決して見せないように隠していた。

 

「カ、カタクリ・・・お前・・・」

「あ、ペロス兄・・・コンポート姉・・・ブリュレは??」

「だ、大丈夫だよ。治療中だから安心して!!」

「そうか・・・2人ともごめん・・・俺のせいで」

「カタクリは悪くねぇよ!」

「そうだよ!!気に病むことないよ」

「でも俺のせいでブリュレがやられた・・・だから俺、二度とこの顔をさらさない・・・家族を2度と傷つけさせない為にも絶対に・・・見たやつは殺す・・・完璧になる・・・なって家族を守る!!」

 

完全に目が据わりきったカタクリにペロスペローとコンポートは何も言えなくなった。何も言えないかわりに2人はカタクリを抱き締めた。

 

「カタクリ・・・お前・・・」

「ごめんね、ごめんねカタクリ・・・お姉ちゃんなのに・・・ごめんね・・・」

 

 

 

〇〇〇

コンポートはそれを話しながら暗い顔をしていた。

ウタもそれを真剣に聞いていた。

 

「アタシは何も出来なかった・・・何一つ・・・本当はアタシが飛び出してやるべきだったんだ・・・カタクリに重荷を背負わせて・・・最低の姉だよアタシは・・・」

 

ウタはコンポートの話に何も言えなかった。何を言えば良いのか分からないほどに重く辛い話。それを聞いて最初に顔を見たときに殴りかかってきたのを思い出し、先程の発言を悔やみ始めた。

 

「だから、あんたに会えて嬉しいんだ。カタクリが素を出しても良い相手なんて居なかったから、カタクリと・・・友達になってくれて・・・お礼を言わせて・・・ありがとう・・・」

「・・・そんな事が・・・ごめんなさい。アタシ軽々しくお似合いの人が出来るって・・・」

「良いんだよ知らなかったんだから・・・それよりもこれは本当に他言無用で頼むよ。カタクリにも言わないでやってくれ怒られちまうから・・・」

「分かった」

「さぁ、美味しいドーナツを作るよ!!カタクリも首を長くして食べたがるしね!!」

 

明るい顔に戻して話すコンポートにウタは懸命に頑張って答える事にしてドーナツ作りを再開し始めた。

 

「ほら、そこで見てるブリュレも入りな!チラチラと見てて気になるから手伝いなよ!」

「え?」

 

コンポートは鏡に向かってそう言うと鏡からブリュレが出てきた。ウタをどうにかしようと鏡の中から覗いていたのだ。そしてコンポートがカタクリの事を話したのもあって何も出来なかった。

ウタはブリュレの顔にあった大きな傷を見て察した。

鏡から出たブリュレはウタを睨み、コンポートはウタを守るように少しだけウタの前に出た。

 

「ほらあんたも手伝いな。カタクリのお菓子なんだから・・・」

「なんで、コンポートお姉ちゃんまで・・・」

「なんでってカワイイ弟の友達だから知ってほしくてね・・・」

「うぅ・・・赤の他人なのに・・・なんでお兄ちゃんは素を出してくれてるのよ・・・妹のアタシには見せてもくれないのに・・・」

 

涙を溜め始めたブリュレにコンポートも似たような気分だった。コンポートも自分の前では素を出してくれないカタクリにやきもきしていた。場の空気が重くなるがウタはそんな状況でも臆さずに話し始めた。

 

「なら、言えば良いんじゃないかな?」

「え?」

「は?あんた何言ってんだい?」

「素を見せてって言えば良いんじゃないかな?」

「はぁ!?他人が勝手な事を言うな!!・・・そんなの無理に決まってる・・・絶対に何を言っても見せない・・・だってアタシが良くわかってるもん・・・お兄ちゃんが誰よりも頑張ってるのアタシが1番わかってるもん・・・」

「でも言わんないと分かんないよ・・・言葉にしなくても伝わるものはあるけど・・・言葉にしないと伝わらないものだってあるよ・・・」

 

エレジアの件でシャンクスに何も言われずに置いていかれたウタはそう言った。そして心がボロボロでもルフィに負けじ魂を燃やして旅をしてルフィの死亡説を読んで立ち直れなくなったウタを救ったのが本気で向き合って叱ったバギーだった。だからウタは知っていた。時には言葉にして伝えないと伝わらない物もあることを誰よりも知っていた。

 

コンポートはウタの言葉を聴いて笑いながらブリュレに言った。

 

「よし、ブリュレも手伝いな・・・でないとウタがカタクリのお菓子を全部作る事になるよ」

 

コンポートがそう言うとブリュレは泣きながら叫んだ。

 

「そんなのやだ!そんなのやだ!!アタシだって美味しいお菓子を食べて欲しいもん!!」

「じゃ、一緒に作ろうよ!!んでカタクリに食べてもらおう・・・」

 

ウタもブリュレを誘った。ブリュレは涙を流しながらもドーナツ作りに参加した。嫉妬やらなんやらと言った事よりも大好きな兄に美味しいお菓子を食べてほしいからだ。

 

 

 

 

 

〇〇〇

カタクリは城から帰ってきてウタの事をどうしようかと悩んでいた。しかもペロスペローまで同行していた。

 

「ペロス兄は何故ここに?」

「あんな爺と一緒の場所なんて1秒足りとも居たくない。それにお前のべた惚れ姿も貴重だから見てみたいペロリン」

「勘弁してくれ」

「私の前まで張り詰めるな。いつも言ってるだろ」

「これが俺だ」

「これ“も”だろ?」

 

ペロスペローはカタクリの今の姿には思わない部分が無いわけでは無いが何も言う気は無かった。何故ならそれでもカタクリの良い物は変わってないし、それを貫く為にカタクリがどれだけ頑張ってきたのか知ってるからだ。しかし、偶には素を出して欲しいのも事実なのでからかい半分で見に来た。

 

カタクリは家に入るとコンポート、ブリュレ、ウタがドーナツを机の上に置いて座って待っていた。

 

「おやおや何とも美味しそうなドーナツではないかペロリン。コンポートが作ったのかい?」

「アタシだけじゃなくてブリュレとウタも手伝ってくれたよ」

 

コンポートがそう言うとペロスペローはウタに軽く会釈した。

 

「これはこれは、私はカタクリの兄のペロスペロー。このような美味しいお菓子を作ってくださりありがとう」

「あ、初めまして。アタシはカタクリの友達のウタです!!よろしくお願いします!!」

「こちらこそよろしく」

 

軽く挨拶を済ませる2人を他所にブリュレはカタクリの手を引っ張った。

 

「お兄ちゃん。今日はお兄ちゃんもここで食べて!」

「いや、俺は社で・・・」

「・・・・お願いお兄ちゃん・・・何でも言うこと聞くから・・・昔みたいに一緒に食べて欲しいなぁ」

 

基本的に顔を隠してから早食いしかやらなくなったカタクリにブリュレは昔みたいにと言った。カタクリはそれで何をしてほしいのか一発で分かったがやりたくなかった。傷ついたブリュレのトラウマを引き起こすと思ったからだ。

 

「カタクリ食べよ。姉からの命令だよ」

「コンポート姉・・・」

「それにウタの前で食べてるのは知ってんだよ。なら家族のアタシ達にも見せてくれたって良いんじゃないかな・・・偶には」

 

コンポートにそう言われてカタクリは悩みつつも座った。隣にはブリュレも座ってその隣にペロスペロー、コンポート、ウタの順で机を囲んだ。

 

「それではいただきます」

『いただきます』

 

ペロスペローのいただきますに続いて全員がそう言った。カタクリはドーナツを取るともう既にウタにバレてるのが知られたのもあって恐る恐る口元を晒してドーナツを1つ丸々食べた。

久しぶりに家族に食べる所を見せたカタクリは内心どう思われるか不安になりつつも皆を見ると全員優しい笑みを向けていた。

 

「お兄ちゃん、美味しい?」

「あぁ、美味しい」

「良かった!!もっと食べて!!」

 

ブリュレはカタクリの言葉を聴くとドンドンとドーナツを進め始めた。カタクリも最初は行儀よく食べていたが段々と手が止まらなくなって昔のようにムシャムシャと食べ始めていた。

 

「カタクリがこんな風に食べるのは久しぶりだな」

「えぇ、兄さん。ウタのおかげよ」

「アタシは何もしてないよ?」

「あんたが言ってくれたからアタシ達も勇気を出せたんだよ。本当にありがとう」

「私からも礼を言わせてくれ。ありがとう!!」

 

コンポートやペロスペローはウタにそう言った。するとカタクリは羞恥で顔を染めつつも気楽に食べてる事が嬉しく更に食べていた。ブリュレはそんな兄を見て嬉しくなって抱き着いてウタに笑顔を向けた。

 

「ウタ、ありがとう!・・・アタシの名前はブリュレ。よろしくね」

「よろしくブリュレ!!」

「アタシのお兄ちゃん良いでしょ?」

「うん、凄くカワイイ!!」

「でしょでしょ?」

「よせ、ブリュレ」

「なにを照れている」

「照れていないぞ、ペロス兄」

「嘘つきなバレバレだよ」

「勘弁してくれ、コンポート姉」

 

こうして一同は和気藹々とした甘くて優しいお菓子の時間を楽しんでいた。

 

 

ウタはそんな風に本音を言ったブリュレや幸せそうなこの空間を見てエレジアの件をルフィに思い切って言おうかまた悩み始めた。









というわけでブリュレとは和解です。
いや、早えよ。
本当は後1話か2話くらい積み重ねるべきとは思いましたが次の展開がもう渋滞を起こしてるのでやりました。
申し訳ございません。
というかその場合だとネタが切れるのでやりました。

時系列的にはこの話はレイジュとルフィがキスする前なのでご注意を。

さて次回はルフィとクラッカー戦をやれたら良いなと思います。ウタにさらなる受難を出せるようになるので。

まぁその場合はカタクリとブリュレにも受難が来ますが・・・どうなるかはお楽しみに!!


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地獄

おまたせしました!!
この回でただでさえ複雑なトットランド編がタイトル通りになります!!


ルフィは無事にレイジュのキスによって無事に毒が抜けて命が助かったルフィはレイジュにお礼を言いつつもサンジを連れて帰る事も言った。

レイジュはそれを見て笑みを返すとそのままジェルマ66の船に戻ってルフィらと別れた。

 

「しかし、腹減ったなぁ。飯あるか?」

「ほら、ちゃんと焼いたのがあるから食べなさい」

 

腹が減ったルフィはナミに訪ねると先程、食べた毒魚をサンジのレシピどおりに焼いて安全になった身を食べ始めた。

 

「うめぇ!!」

「元はと言えばあんたのせいだからちゃんとこれからは気をつけなさいよ」

「うん、わかった!!」

 

ナミはルフィにそう言うがいつも通りに答えたのでどう感じてるか不安だった。呆れたナミは半分からかいも込めてキスした事について話し始めた。

 

「あんた、キスされた事はウタって子だけには死んでもバレちゃだめよ」

「ん?なんでだ??」

「なんでもよ・・・でないと本当に2度と会ってくれなくなるかもしれないんだから」

 

からかいながらナミはルフィにそう言った。いつも通りののほほんとした反応が返ってくるかと思ったがルフィは少し頭で考えていたのか真剣な顔つきになっていた。ナミもまさかの反応に目を開いた。

 

「そうなのか?それは嫌だな・・・喧嘩中だけど仲直りしてぇし・・・わかった、話さねぇようにする!!」

 

ルフィはそう決めたら、また食べ始めた。

ナミはてっきりまた軽く分かったと言うかと思ってたのでルフィのこういった反応は少し意外だった。

 

「思ったよりも意識してたのね・・・フフッ」

 

ナミはこの話題については二度とからかわないようにしようと決めつつもルフィの意外な一面を知れて新鮮な気分になりながら、自分も食べ始めた。

 

 

 

〇〇〇

それから2日後シキは、のんびりと客室で酒を飲んでいたがある物が贈られてきた。

 

「これは何だ?」

「シュトロイゼン様からシキ様に贈られるボンボニエールでございます」

「ボンボニエールってなんだそりゃ?」

「結婚式の参列への謝意に新郎新婦から贈られる物ですが万国ではシュトロイゼン様から謝意として贈られます。シキ様は和装ですのでそれに合うように漆工のボンボニエールにさせていただきました」

「・・・毒入りか?」

「入っておりませんが言伝として1言ございます」

「ほう、聴いてやる話せ」

「『人生最後の甘みを楽しめ』との事です」

「あのチビ・・・リンリンの後で絶対に殺してやる・・・まぁ、折角だ貰っておいてやる」

 

シキは給仕の持ってきたボンボニエールを開けて中にある金平糖を1つ摘んで食べると本当に甘く美味しかった。

 

「あのチビは本当に旨いのを作るな。ロックス時代の時を思い出すぜ」

 

 

 

 

 

●●●

ロックス海賊団時代、シキはリンリンにお茶会を誘われたのでリンリンの船まで歩いて向かっていた。それにはシキだけでなく後の白ひげことエドワード・ニューゲートとキャプテン・ジョン、そしてリンリンに可愛がられてるカイドウもいた。

 

「なんでてめぇらもいるんだ?」

「酒が飲めるって聴いて」

「金銀財宝があるって聴いて」

「・・・」

 

シキが尋ねるとニューゲートとジョンは答えて当時無口だったカイドウは何も言わずに黙っていた。

 

「てめぇは何で呼ばれたんだ?」

「食い物を奢るって言われたんだよ」

 

ジョンに尋ねられてシキは答えた。

船に着くと甲板に上がって出来ていたのは大量のお菓子と笑顔なリンリンだった。

 

「よく来たな!てめぇらの為に酒の入ったお菓子やら金粉の入ったのも用意して待ってたぞ!!早く食おうぜ!!」

「「「邪魔したな」」」

 

シキ、ニューゲート、ジョンは声を揃えて返した。全員、目当ての物がなく、それどころか完全に騙されたので帰ろうとしたら飛ぶ斬撃が飛んできたので3人はそれを防いだ。

 

「てめぇら、オレのお菓子が食えねぇだと?ぶっ殺してやろうか!?カイドウを見習え!!」

 

リンリンが指を差すとそこには律儀に座っていたカイドウがいた。

 

「「「なんで座ってんだよ!?」」」

「??・・・食わねぇのか?」

「「「喋れたんかい!?」」」

「カイドウ、お前は本当に良いやつだな。こんな腑抜け共とは違って」

「「「あぁ!?」」」

 

リンリンにそう言われて3人は毒だろうがなんだろうが消化してやるとまだ若かった3人はそのまま座った。

そして菓子を食べ始めた。

 

「「「うまい」」」

「マーママママ!そうだろう?シュトロイゼンのお菓子は美味いだろ?」

「あぁ?誰だそりゃ?」

「俺だ」

 

シキがリンリンに聞くとリンリンの後ろから小男の料理人のシュトロイゼンが現れた。

 

「リンリンの総料理長のシュトロイゼンだよろしく、くくくくく!!」

 

シュトロイゼンも現れてお茶会は暫くは意外にもまともに続いていたが案の定、リンリンとシキにジョンは殺し合いを始めた。ジョンがリンリンの船の財宝を盗もうとしてリンリンがキレてそれを茶化したシキも入ったのだ。相変わらず一瞬で殺伐となるロックス海賊団だった。

 

「酒が飲みてぇ」

「飽きた」

「甘さ控えめのビターチョコにウィスキーボンボンだ」

 

ニューゲートとカイドウの2人は愚痴りながらも律儀にモクモクとお菓子を食べていてシュトロイゼンも2人に新しいお菓子を渡していた。

 

 

 

〇〇〇

懐かしい事を思い出しながらシキは笑った。

 

「ジハハハハハハハ!!俺もそろそろ動くか・・・」

 

シキはそう呟いて窓の外を一目見た。

見聞色の覇気で分かった。その方角に忌々しい存在がいることが分かった。

シキはそう感じてボンボニエールを持ってすぐに飛んでいくとその下ではルフィが将星の10男クラッカーと戦っていた。

 

「ゴムゴムの象銃!!」

 

ルフィが象銃をクラッカーに放つがクラッカーはビスケットの鎧を纏った姿でそれを受け止めて跳ね返していた。

 

「武装色の覇気を纏えるようになったな。まだ色々と隠してそうだが、流せねぇし覇王色を纏えないなら俺達の時代には生き残れねぇよ・・・麦わら」

 

シキは上からルフィとクラッカーの戦いを見てそう云うと猛スピードで突っ込んでいった。そしてルフィの背中を思いっきり斬って傷を負わせつつもルフィにもクラッカーにもバレないように素早くその場から飛んで行った。

 

「グワぁ!!痛えぇ!!・・・ハァハァ・・・誰か居たのか!?さっきのウサギか!?」

「誰だ!?誰がやった!?」

 

ルフィもクラッカーも突然の事に困惑はするもすぐに戦闘を再開していた。

シキはそれを笑いながら見ていて足の剣に付いた血を見ていた。

 

「手に入れた・・・“麦わら”の血だ・・・さぁてと、リンリンの物になるなら、いつやられるか分からねぇ、トットムジカは惜しいが敵の危険な兵器は早く潰さねぇとな・・・とっとと“殺そう”」

 

シキはそう笑いながらルフィの血を持っていた粉薬の入った試験管に入れて赤い液体にした。そしてウタのいるコムギ島まで飛んでいって貰ったボンボニエールの中にある金平糖に液体を掛けた。液体の赤い色はすぐに無くなり見た目はただの金平糖になるとシキはそれをある者に渡した。

 

 

 

〇〇〇

「え?・・・明日にもこの国からエレジアに帰すってどういうこと?」

「そのままの意味だ。明日の朝にはこの国を脱出させる」

 

ウタはカタクリに2人きりの部屋でそう言われた。ウタは突然の事に困惑していた。

 

「なんで?この前まで予定が終わったらって・・・」

「その予定だったが事情が変わった・・・頼む、明日の朝に船に乗ってくれ。俺が必ずエレジアに送る」

 

カタクリはウタに対してそう言った。真剣な目付きで腹を決めていた。自分の素を出していい相手で家族との関係も直してくれたウタに対して心底惚れたカタクリはリンリンに逆らってでもウタを脱出させる事を決めていた。

 

ウタもカタクリのそんな雰囲気を察したのか何も言わなかった。それにウタとしても早くエレジアに戻りたかったのも事実だ。なのでウタは了承した。

 

カタクリはそれに少し安心した。リンリンのお茶会に招待したら本当に問答無用で婚約される。ウタに対して真剣に恋してるカタクリはそんな脅しみたいな事はやりたくなかった。この恋には少しも嘘は付けなかった。

 

ウタとカタクリはそう話し終わると部屋から出てまた兄弟姉妹の相手の続きをしていた。

今、カタクリの家では矢継早に兄弟姉妹達が顔を見せに来ていた。それこそ全員が一人ずつだったりあるいは数人で来たりして会って少ししたら帰ったり暫く話しをして他の兄弟姉妹とも談笑したりと実に忙しい状況だった。皆、カタクリがウタとの婚約を話してないというのもあってそれに関しては少しも言わなかった。兄思いの兄弟姉妹達であったのと忙しい事に気を利かせた部下達は誰もカタクリの家に行かなかった。

今日、カタクリの家にいるのはカタクリとウタと兄弟姉妹達だけだった。

カタクリはそれを遠目に見ながら明日の準備をしていた。

 

「カタクリ、ちょっといいかい?」

 

コンポートが呼んだのでカタクリはコンポートの元に向かうと2人きりで話したかったのか別室に移動していた。ウタはそれを見つつも他の兄弟姉妹達と話をしているとあるものを渡されてそれをすぐに借りてる自分の部屋に置いていった。

 

 

 

 

コンポートとカタクリはウタの状況が分からなくなるほど緊迫していた。これから話し合う事は命に関わることで兄弟姉妹を信頼していたのもあってカタクリとコンポートは分からなかった。

 

「カタクリ・・・あんたウタをエレジアに送るつもりかい?」

「やっぱり分かってたか」

「当たり前だろ?アタシはあんたの姉だよ?」

「敵わねぇなコンポート姉には・・・そうだ、俺はママに逆らう・・・」

「あんた・・・そっからどうするんだい?ローラを見つけて一緒に外で海賊でもやる気かい?」

 

コンポートからの質問にカタクリは珍しくも少し言い淀みつつハッキリと首を横に振って答えた。

 

「いや、戻ってくる」

 

カタクリがそうハッキリ言うとコンポートはカタクリに詰め寄った。そして本気で怒った。完璧主義で心優しいカタクリに怒るのは何十年ぶりかと言えるほどだった。

 

「あんた、それがどういう事か分かってんだろ!?ママに逆らってノコノコ戻ってきたら殺されるんだよ!?どうして!?」

「でも俺が戻らねぇと他の皆がママにやられる。シフォンのように」

 

カタクリは双子のローラがリンリンのやった婚約を破棄して海に飛び出した事で同じ双子であるシフォンの顔を見るたびに殴るようになった事をコンポートに言った。カタクリは分かっていたここで自分が戻って落とし前を付けない限り絶対に他の兄弟姉妹がやられる事を誰よりも理解していた。家族思いのカタクリにそれは堪えられなかった。

 

「だから、コンポート姉・・・今日で“お別れだ”」

「馬鹿!大馬鹿!!・・・あんたって弟は本当にいつも・・・なんで優しいあんたがこんな・・・」

 

コンポートもカタクリも嫌と言う程理解していた。リンリンに逆らった者は生きていけない。仮に自分がどうにかなっても自分の親しい者が例外なくやられる。家族ゆえにすぐに殺されるのは無いと思うが危険なのは変わりなかった。

 

コンポートはカタクリを前のように膝を付いて貰って頭を少し撫でたら、泣きながら抱き締めた。カタクリもただそれを抱き締め返した。

 

「本当に不器用で姉不幸な弟だよ」

「・・・ごめん」

「前に聴いたね。自分の為に生きて良いんだって・・・それは自分の為なのかい?」

「・・・あぁ、俺の為だ・・・巻き込んでごめん・・・」

「・・・良いんだよ・・・あんたの我儘なんか珍しくて聞かないと勿体ないから・・・カタクリ、アタシの最高の弟・・・」

 

コンポートの言葉にカタクリはただただ強く抱きしめた。コンポートもそれを強く返した。

2人は暫くすると部屋を出た。

まだウタと大勢の兄弟姉妹達が話していたが夜になったと言う事もあって解散させた。名残惜しそうに何名かはブーブーと言ったがコンポートにも言われたのでコンポートも一緒に大人しく帰って行った。

ウタはその後、部屋に戻って荷造りを始めてカタクリも準備をしていた。

 

 

 

〇〇〇

腹を括ったカタクリは全て上手くようにと入念に準備を始めていたがウタの部屋から倒れる音が聴こえてきた。

 

「ウタ?」

 

カタクリは何事かと思って部屋に入るとウタが地面に倒れていたのを見て顔を青褪めた。

 

「ウタ・・・ウタ!確りしろ!!」

 

カタクリはウタを抱いてそう言った。周りを見ると床には大量の金米糖にシキがシュトロイゼンから貰った漆工のボンボニエールがあった。カタクリはそれが誰の物か分かっていた。なぜならシュトロイゼンがそれを渡す事をペロスペローを通して教えられていたからだ。

 

「シキィィィィィィィーー!!!」

 

シキが企てた事を察したカタクリはすぐにコムギ島にいる医者を呼んでウタを診てもらった。シキを殺す前にウタの命だった。万国の優秀な医者はウタを診てありのままの事をカタクリに言った。

 

「ウタ様は無事です」

「本当か?」

 

カタクリはその言葉に心から安堵して、医者は金平糖の入ったボンボニエールを持って少し見て話し始めた。

 

「えぇ、しかし、何の毒かはすぐには分かりません。すぐに万国にいる者でこれを調べられる程に優秀なのはホールケーキアイランドにいるシーザー・クラウンだけでしょう」

「分かった、すぐにでもあいつを呼んで・・・」

「その必要はねぇな」

 

カタクリの言葉を被せるように話しかけてきた者がいた。カタクリも医者も声のした方を向くと窓の外にはシキが笑って立っていた。

 

カタクリは問答無用で腕を伸ばしてシキを掴んで部屋の中に引っ張ってくると床に押さえつけて容赦なく一発頭を殴った。

 

「おいおい、随分と手荒だな」

 

しかし、シキは特にダメージを受けた様子もなくケロッとしていた。かつての四皇は伊達ではなかった。

 

「貴様を殺す前にウタに何を盛った!!?答えろ!!」

「あぁ、ワスレダケの麻薬だ。ドフラミンゴが売ってた奴だ。ちゃんと用法も守って本当の使い方をした」

「それは不味い!!」

 

シキは以前ウタがウォーターセブンでバルトロメオと一緒に結果的に潰したワスレダケの麻薬を盛った事を伝えると医者が顔を青褪めた。

 

「あの薬の本当の使い方は飲んだ者から特定の人物の記憶を消すというもの!血とか髪とか消したい記憶の人間の一部を薬に混ぜて飲ませ、記憶を失わせる。誰の記憶を彼女から消した!?」

「答えろシキ!!」

 

医者の言葉にカタクリはシキを締め上げた。シキは笑いながら痛い痛いと軽口を叩きつつもあっさりと答えた。

 

「麦わらだ。麦わらのルフィの記憶を消した」

「だとしたらかなり不味いですよ!!」

「どういうことだ!?」

「あの薬は本来の用法を守らずに飲めば少しの間の記憶を消すだけになりますが本来の用法で飲むと一気に暗殺用の毒薬になるんです!!」

「なんだと!?」

「そうだ。自分(てめぇ)の大切な人間の記憶が消えても他の記憶が残る。すると必ずズレが起こり苦しむ。あの薬はその苦しみの際に頭に激痛が起こるようになって軈てそれに肉体も精神も耐えきれずに死に至る・・・誰の手も汚さない毒だ・・・それが自分(てめぇ)の記憶のせいだと知ったらさぞかしあのクソガキも苦しむだろうなぁ・・・」

「貴様!!」

 

カタクリはシキを殺そうと体から愛槍の土竜を出して頭を貫こうとするが家の壁の一部を操られてぶつけられた。上で抑えていたカタクリが離れたのでシキは体をゆっくりと解して睨んでいるカタクリに笑顔を向けた。

 

「おいおい、そんなに入れ込むとはまさかお前のこのベイビーちゃんに惚れてたのか?・・・こりゃ楽しくなってきた・・・殺すのは後で良いな」

「貴様はここで殺す・・・よくもウタを・・・」

「おいおい、確かに俺は薬を用意したが小娘に渡したのはお前の“家族”だ」

 

シキの言葉にカタクリは信じたくなかった。自分の愛する家族がそんな事をするわけがないと思っていた。しかし、今日一日ウタは家に居て、会いにやってきたのは自分の兄弟姉妹達だけという事実はそれを裏付けるのにも充分だった。

 

「俺はえぇと?誰に渡したっけな??多すぎて名前なんか忘れたよ・・・それに毒って言ったけなぁ?美味しい金平糖を渡してとしか言ってなかったかもなぁ・・・」

「貴様だけは・・・生きて帰さんぞ」

「ジハハハ!!愛する家族がやった事で内心ボロボロのようだな。そうだ、ウタに毒を渡した犯人はお前の“家族”の中にいる!!」

 

嘲笑ってくるシキにカタクリは怒り心頭になり、土竜で腹を貫いて殺そうと突っ込むがシキは軽々とそれを避けてカタクリを殴り飛ばした。地面に背中を付けないカタクリは威力を殺して倒れずにシキを睨んだ。

 

「ジハハハハ!!リンリンとあのクソガキへの嫌がらせのつもりがまさかお前も釣れるとはな・・・これだから海賊は辞められねぇんだ・・・人が引きつった顔はやっぱり格別だ!!」

 

口が止まらない腐れ外道のシキにカタクリは再び土竜を突きに行くがシキは今度はそれを足の剣で受け止めた。

 

「さぁてと俺はシーザーが欲しいがお前らと仲良しこよしをする気はもうねぇんで一旦離れさせて貰うぜ・・・あばよ」

「逃がすわけねぇだろうが!!」

 

カタクリは腕を硬化させてシキを殴るがシキはそれを軽々と腕で防いでカタクリから離れた。

 

「獅子・千切谷」

 

大量の斬撃の雨をカタクリに向けて放つ。1つ1つに覇気が込められていて凄まじい威力になっておりカタクリは避けるので精一杯だった。

そして斬撃が止んだ頃にはシキの姿は無かった。見聞色で探そうとしても稀に覇王色を操れる者だけが出来る見聞殺しでシキが何処にいるのかわからなくなった。

 

「クソォォォォォォー!!!」

 

ウタを守るために色々と悩んで実行しようとした矢先にシキと自分の“家族”に台無しにされたカタクリは叫んだ。

 

ウタからルフィの記憶が消えて無理に思い出させようとすれば死ぬ。

そしてウタの方にもルフィの記憶が消えた事で起きた変化が出てきた。

 

『あんたは幸せになる資格がない!!』

 

 

 

 

 

複雑に入り乱れるこのお茶会が更に複雑になった。

地獄の鬼ですら顔を出すと言われたお茶会だが、カタクリにもウタにも文字通りの“地獄”になった。







というわけでウタからルフィの記憶が消されました。
いやぁ、ウォーターセブン編ではまだトットランド編を考えてなかったんですがちょうど作った本人がトットランドにいるからやりました。

果たしてここからどうなっていくかはお楽しみに。


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苦痛

前回の衝撃展開に色々と阿鼻叫喚ですねぇ。
まぁ分かっててやったのですが・・・

ここからどうなるかはお楽しみに!!


シキはカタクリから離れてフワフワと近くの空に浮いてのんびりと横になっていた。

 

「ジハハハハ。トットムジカは残念だがリンリンのババアからシーザーも歌姫も奪うのはキツイからなぁ。シーザーは殺戮兵器もあるから色々と使えるが歌姫はトットムジカだけだ。最悪黒ひげのアホガキの能力者狩りをやれば良い。2年前に嫌というほど理解したよ・・・入念に計画を立てても潰される・・・ロジャーにあやかって行き当たりばったりも偶には良いかと思ってやってみたが意外に楽しいなぁ・・・ロジャー」

 

2年前にシキはルフィによって20年間も掛けた計画を潰された。故にシキは変わった。狡猾で計画的という本質は完全には変わってないがどこかロジャーやルフィのような行き当たりばったりな性質まで持ち合わせてきた。

シキもそれに対して元来のノリの良い部分と合致してしまっていた。

 

そして黒ひげと同盟を結んでるシキは黒ひげの能力者狩りを知っていた。すんなりとトットムジカを操る事は出来なくなりそうだが誰の手にも渡らなくなるのなら条件は変わらない。使えなくても脅しに使えればいい。世界を“破壊”したいのではなく、シキの目的は世界を“支配”すること、そして四皇としての実力が戻ったシキにはトットムジカでさえもあくまでもその最終的な目標の一部分にしか過ぎなかった。だから別にシキにとってウタはトットムジカを必ず出すのに必要な巫女ではなく、トットムジカを起動する鍵という認識しかしてなかった。

 

「それにあのクソガキが諦めるとは思わねぇ・・・あの航海士のベイビーちゃんを助けるために乗り込んできたアホだ・・・今回も同じ事をやる。だからまぁ、生き残りやすそうな薬にしたし作った本人もいるからなんとかなるだろ。あいつらに関わったらなんとかなると思うしな。死んだら死んだでシーザーだけ連れて帰って、もしも生き残ればボロボロのあいつらから奪えば良い・・・さてと次は何をしようかな?」

 

2年前の激戦でルフィにやられていたシキはルフィの本質をちゃんと見ていた。ロジャーと同じ絶対に支配されない“自由”な性質。忌々しいがそれにやられたのもあってウタがそんな事になってると知ったら絶対に助けに行くと確信があった。

そして徹底的に抗うことも分かっていた。

なら、潰し合って貰ってどちらが生き残ろうがボロボロになった所から奪う。

 

非常に確証なんて零に近いあやふやな計画・・・いや計画と言う言葉を付けてはいけないほどに杜撰極まりないやり方なのにシキはそれを思いつくと笑った。それほどまでにシキはルフィを忌々しいが認めていた。

 

「“麦わら”・・・今度はお前も俺の計画の為に使わせてもらうぞ・・・お前のその全てを何もかも利用してやる。ロジャーやお前がずっと起こした“奇跡”すらもな!!そして今度こそお前に絶望を味わわせてやる・・・ジハハハハ!!!」

 

シキはそうやって笑った。

認めていた同世代のロジャーではなく最悪の世代のルフィゆえにシキはロジャーと違って手を組むのではなく操る気満々だった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

カタクリはシキを逃してしまって内心打ちひしがれていたがウタが心配なのでウタの元に戻った。

 

「カタクリ様、大丈夫ですか?」

「すぐにシキを指名手配するためにペロス兄に連絡を取る。もう少しの間だけウタを見てくれ」

「畏まりました」

 

カタクリはすぐに家の電伝虫からペロスペローが今いるホールケーキ城に掛けた。

 

「もしもし、こちらはホールケーキ城です」

「将星のカタクリだ。ペロス兄を呼んでくれ。緊急事態だ」

「カタクリ様!?・・・畏まりました、すぐに繋げます!!」

 

少しして電伝虫はカタクリの要望通りペロスペローに繋がった。

 

『どうしたんだカタクリ?』

「ペロス兄、緊急事態だ。シキがウタに毒を盛った」

『・・・何の冗談だ?お前が居てなんで・・・』

「奴は・・・弟妹達を使ってウタに毒を盛った金平糖を渡したんだ。気づけなかった・・・すぐにシキを指名手配する為に動いてほしい」

『色々と聞きたいことがあるが・・・分かった。すぐに手配する・・・ウタは無事なのか?』

「まだ分からない・・・」

『ちょうどここにシーザーもいる。手配が終わり次第、このバカも連れて行く』

「ありがとう」

 

カタクリはペロスペローにそれだけ言うとすぐにウタの元に戻るとウタは魘されていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

なんで、なんでまたこの夢を?

 

『あんたは幸せになる資格がない!』

 

助けて・・・誰か助けて・・・

 

『幸せになっちゃいけない!!』

『死ぬべきだ!』

『しぬべきだ!』

『シヌべきだ!』

『しぬベキダ!』

『死ぬベキダ!』

『シヌベキダ!』

 

いや、誰か助けて・・・なんでこの夢をこの前まで・・・あれ?なんで見なくなってたんだっけ?・・・なんでまた・・・

 

 

 

 

〇〇〇

「アァァァァァァ!!!」

 

突然とウタは頭を抑えて苦しみ始めた。

 

「ウタ・・・ウタ!!」

「すぐに起こしましょう!!」

「ウタ、起きるんだ!!頼む、目を開けてくれ!!」

 

カタクリはウタを必死に揺らした。必死の表情で普段の冷静沈着さなんて欠片も無いほどに焦っていた。

 

「うっ・・・うぅ・・・・カタクリ?」

「良かった・・・良かった!」

 

カタクリは起きてくれたウタを抱きしめた。ウタは突然抱きしめられた事に驚いた。

 

(カタクリ・・・心配してくれてるんだ)

 

ウタが起きたのもあってカタクリはウタを離した。カタクリはウタがシキに毒を盛られた事を話そうか迷ったが医者に無理に思い出す要因を増やしてはいけないと言われて言えなかった。

カタクリは謝ることすら出来なかった。

 

「何があったのか話してくれ」

 

カタクリはウタにそう聞いた。ウタはそれには答えなかった。何故なら、自身のこの問題に巻き込む気なんてさらさらなかったからだ。

 

「ごめん・・・話したくない・・・」

「・・・そうか・・・なら、話したくなったら話してくれ・・・」

「カタクリ・・・ありがとう」

 

紳士的な対応をするカタクリ。ウタはそれに対して笑顔で答えた。カタクリはそれに対して内心グチャグチャになった。向けられて嬉しいはずなのにウタはルフィの記憶を失い、自分はそれを守れず受け取る資格がない。いっその事、悪意を持って向けられればまだ救いがあるのに純粋に善意のみの笑顔・・・カタクリは苦痛を感じていた。

 

「カタクリ入るぞ!!」

「てめぇ、離しやがれ!!」

「黙れ!!」

 

そんな時にペロスペローが海楼石を手につけたシーザーを連れて入ってきたので医者とシーザーにウタを診てもらってる間、カタクリとペロスペローは少し離れた所で話し始めた。

カタクリはありのままを全て話した。

コンポートとの話中にやられた事、企てたのがシキである事、ウタの状態、盛られた薬、何もかも全て話した。

ペロスペローは全て聞いた後で頭を抱えた。

最悪の展開にも程があった。ペロスペローもコンポートもウタを気に入っていたし、ブリュレも友達と思っている。幸せな状況だったのに台無しにされた。

 

「ウタは万国から出せんな。この状態で出すのは危険すぎる。記憶を取り戻させるまで置いておけ」

「お茶会はどうする?」

「出るしかねぇだろ。一先ずそれでやり過ごして後でどうにかしよう・・・大丈夫だカタクリ・・・なんとかなる」

 

ペロスペローはあくまでも弟のカタクリを安心させるように優しく言った。どのみちこの状態のウタを外に出すのは危険すぎた。カタクリは朝になればエレジアに送るつもりだったのに潰された事に頭を痛めた。

そんな風に兄弟がボロボロになってる所に診察が終わったシーザーがやってきた。

 

「シュロロロロ、確かにこれは俺様のワスレダケの薬だな。一体誰に盛られたんだ?」

「それはお前には関係ない。すぐに解毒剤を作れ。出来ないなら例えママの巨人化薬が出来ても殺す」

「ま、待て待て!!まずはあの薬について話させてくれ!!あの薬は記憶を消すって言われてるが実際は違う!!」

 

シーザーの言葉にカタクリもペロスペローもどういうことだと思って首を少し傾げた。

 

「記憶がそんな簡単に無くなるわけねぇだろ。あの薬は簡単に言うと記憶に蓋をする薬だ。俺はただ、その蓋を開ける時に激痛が走って肉体も精神もボロボロになるようにしただけだ。あの歌姫の記憶は消えていない!!」

「本当か・・・なら・・・プリンのメモメモの実で・・・」

「メモメモの実?そりゃ記憶を弄る能力かなんかか?なら今は止めとけ。体に毒素がある状態で弄ると壊れるぞ!!」

「どうすれば元に戻る・・・言葉は慎重に選べよペロリン」

「・・・やりたくねぇが・・・解毒剤はすぐに用意できる。毒素を中和するのと緊急時の痛み止めだ。それらを暫く飲んでから本人にとって1番消えてる記憶の中で強烈な体験を思い出して貰うしかねぇ・・・くそ!何たる屈辱!!」

「強烈な体験ってなんだ?」

「そこまでわかるか!個人差がある!!美味い飯かも知れねぇし、誰かが死んだ時の記憶かも知れねぇ・・・あのベガパンクですらこれに関して100%の答えを出し切れてねぇ!!」

「・・・毒素が抜ける時間は?」

「薬ありなら1週間、無しなら1ヶ月だ」

「・・・仮にだが毒素が抜けずに思い出そうとした場合はどうなる?」

「そりゃ激痛が走って普通は死ぬ。その時に記憶を戻せば途端に痛みは収まって無事になんとかなるがそんな都合のいい展開あるわけねぇだろ」

 

カタクリとペロスペローは一先ずウタが死ぬ可能性が下がり、さらに言うと記憶を取り戻せる可能性もあることに安心した。すぐにペロスペローはシーザーを連れて戻って行った。カタクリも暫くウタと話そうと思ったがウタは疲れていたのか眠っていた。

 

「大丈夫なのか?」

「はい、ただ魘された場合は起こして上げて下さい。ひょっとしたら夢の中で記憶を失った者に関わるものを見てる可能性があります」

「分かった」

「それから、彼女の荷物からその者に関する物を全て取り除いて下さい。ふと見て思い出す可能性がありますので」

「・・・分かった・・・」

 

医者はそこまで言うと帰った。カタクリはこの事は他言無用で頼むと言って医者も了承した。カタクリはすぐにウタの手荷物を手を掛けて調べた。バレットの戦闘時で大半は無くなっていたのを知っていたので本当に手荷物だけだった。

武器のロープに麦わらマークの手袋など簡単な物しか入ってなく特にルフィと関わる物は見当たらなかったが1つだけ見つけた。

それは【モンキー・D・ルフィ様】と書かれていたエレジアでのライブのチケットだった。

 

「ウタ、すまない・・・必ずこれは返す」

 

カタクリはそう言ってそのチケットを取った。本当は握り潰したいと思っていたがカタクリにそんな事は出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「うぅ・・・ここは?・・・」

 

翌朝、まだ朝日も出てない時間にウタは目を覚ました。側にはカタクリが座っていたが目を閉じていた。ウタはそれが寝てると思った。どういうわけか倒れた自分をカタクリは賢明に介護してくれた事に優しさを感じた。

 

「側に居てくれたんだ・・・カタクリ・・・ありがとう」

 

ウタはそう呟いた。そしてまだ朝が早いのでもう一度寝ようと布団に入って寝始めた。

 

「止めてくれウタ・・・俺にそんな事を言ってもらう資格はない・・・」

 

ウタが眠り始めた頃、カタクリは目を開けた。本当は眠ってなかった。ただ、自分のミスを恥じて目を合わせたく無く、目を閉じていたらそう言われた。

苦痛だった。

カタクリにはこの上ない位に苦痛だった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ペロスペローは母親であるリンリンに女王の間でシキのやったことをありのまま話して指名手配をして討伐隊を編成する許可貰うつもりだったが予想外の答えが出てきた。

 

「ウタが生きてるなら別に良いだろ?」

「なっ、本気で言ってんのかママ!」

「あいつがここで大人しくしてるわけねぇからな。まぁ次に会った時は殺すがそんなにすぐに殺しに行っても面白くねぇし、今はジェルマが優先だ」

「あいつは・・・弟の婚約者に手を出したんだぞ!?」

「だからどうしたんだい?お前も海賊の子供なら分かるだろ?守れないカタクリが悪い・・・それに麦わらの記憶がねぇなら好都合だ。婚約がすんなりと行く・・・おい、明日で良いからここに連れてきな。翌日には結婚式だ。ここに泊めさせろ」

「なっ!?」

「マーママママママ!!!確実に殺さねぇとは実力は戻っても腕は落ちたなシキ!!」

 

リンリンはシキがわざと生き残りやすい毒を使ってる事に気づかなかった。何故ならシキのやり方は本人は計画として組み立ててはいるが実態は計画というにはあまりにも奇跡的な物に頼っている物だった。

ロックス時代からシキを知ってるリンリンは腕が落ちたと思った。

そしてルフィにその奇跡的な物に負けたシキはそれ込みで作っていた。

ルフィと戦ったか戦っていないかの差が出てきた。

 

「ふざけんな、あのババア!!俺の弟を苦しめた奴を見過ごせだと!?」

 

女王の間から出てきたペロスペローは物に当たりながらキレた。大切な弟が傷つけられたのに何も出来ない事に悔しさを感じていた。

ペロスペローは苦痛を感じつつもカタクリにウタを連れてくるように行った。

事態は悪い方に進んでいった。






それでは次回、ウタとリンリンが出会います!!
さてどうなるかはご想像にお任せします!!

そしてウタがカタクリに感謝すればするほど苦痛を感じてしまうようになったカタクリ・・・こういう意識のズレって大好きなんですよねぇ。

さてと次回はどこまで進めようかな?
ルフィと再会してどうなるかはお楽しみに!!

しかし、あれだな・・・トットランド編なのにサンジの話を欠片もやってねぇな・・・


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再会

シキは笑って壊滅していたキャンディ島でノンビリとしていた。

 

「ジハハハハ!!さてとリンリンのババアへの嫌がらせを考えねぇとな。次はあいつの大事な結婚式のウェディングケーキをブチ壊してやりてぇが外から攻撃するなんて面白くもねぇ。見るなら絶望した顔に限る・・・ならばコイツだな」

 

シキはそう笑ってある男の手配書を見たあとでまた飛んでいった。

 

 

 

 

〇〇〇

その頃、ルフィは無事にクラッカーを撃破していたがその後、サンジと会ったは良いが蹴られていた。

サンジはサンジで恩師であり育ての父親であるゼフと故郷のバラティエが人質に取られていた。

そのせいで帰りたくても帰れなかった。

「下級海賊」

「腹の中で見下してた」

「早く消えろ」

言いたくもない言葉を並べてサンジはルフィを蹴り続けたがルフィは殴ろうとしなかった。

側にいたナミが泣くほどにルフィをボコボコにしたサンジだがそれでも帰らないルフィに懇親の一撃をお見舞いするとルフィは倒れた。

ルフィに駆け寄ってきたナミにビンタされていた。

 

「さよなら、ごめんね余計なことして」

 

サンジは内心ボロボロになりながらもジェルマ66の馬車に戻ってホールケーキ城に向かおうとしていた。

 

「待てサンジィーー!!何が下級海賊だ!!言いたくもねぇ言葉並べやがって・・・ウソつくんじゃねぇよ!!こんなもんで俺を追い払えると思ってんのか!?俺の事を蹴るだけ蹴っても痛えのはお前だろうが!!」

 

ルフィの言葉にサンジはポロポロと涙が溢れ始めた。色々と言い訳をしても自分を許せなくなるほどサンジは優しかった。

 

「止める?」 

「進め」

 

姉のレイジュがサンジにそう聞いた。だがサンジは止めさせなかった。止まったら本当に何もかもが終わる。サンジは泣きながら、帰りたいと思いながらも進ませた。

 

「旅はまだ途中だぞ!!俺はここで待ってるからな!お前が戻って来ねぇなら俺はここで“餓死”してやる!!!お前は俺の船のコックだから!!俺はお前の飯しか食わねぇ!!腹が減っても槍が降ってもお前を待ってる!!」

 

固いルフィの決心に隣で聞いていたナミも涙を流し始めた。どんだけ傷ついても真っ直ぐに仲間を信じてるルフィに何も言えなかった。

 

「必ず戻ってこいサンジ!!お前がいねぇと俺は海賊王になれねぇ!!!」

 

サンジはその言葉に涙が溢れた。

まだ信じてくれてるルフィの優しさが暖かった。冷徹冷酷、人の心がない実の家族とは雲泥の差だった。それでも大切な父親のゼフと故郷を守る為にサンジは止まれなかった。

 

ジェルマの馬車はホールケーキ城に進んだ。そして入れ替わりでクラッカーを倒した事により、討伐隊が組まれてルフィとナミはオペラと19男のモンドール、3女のアマンドらと多数の部下によって捕まった。

 

 

 

〇〇〇

「わぁ〜!!ここがホールケーキ城なんだね!!」

「あぁ・・・」

「どうしたのカタクリ?暗いじゃん!!」

「いや・・・なんでもない」

「そう?」

 

水飴の雨の中、ウタはそんな雨にも気にせずにカタクリと一緒に馬車に乗ってきていた。シーザーの所で解毒の薬を貰ってから来た。すぐにウタに飲ませて1週間飲むように言うとぶつくさ言われたがウタの身を考えてカタクリは説得した。

 

「ねぇねぇ、カタクリのお母さんってリンリンって言うんだよね?カワイイ名前だね!!」

「それは言わないほうが良い。危険だ」

「そうなの?」

「あぁ」

「そう言えば、なんで呼ばれたんだろうね?子供の友達を知りたいのかな?」

「・・・わからない・・・」

 

本当は全て分かっていた。呼ばれたと言うことはリンリンは婚約の事を言うつもりだ。そうなったらカタクリとて逆らえない。

馬車はどんどんと進んでいって、ホールケーキ城に入っていった。そして2人はリンリンのいる女王の間に入った。

 

「よく来たね。オレはビッグマム・・・カタクリらの母親だよ」

「こんにちは!」

 

カタクリは全く臆さずに話し始めるウタにヒヤヒヤしていた。ソルソルの実で人の寿命を奪い、特定の物や動物に魂を与える力はリンリンに臆したり、死を恐れたりすると奪われる。

母親とて怪物なリンリンがウタにいつ牙を向くか分からなかった。

 

「マーマママママ!!歌姫と息子が友達になれて嬉しいよ!!色々と話は聞いてる。カタクリもぞっこんだとか?」

「止してくれママ」

 

リンリンの言葉にカタクリはそう答えた。そしてウタの方を見るとウタは顔を赤めていた。ルフィの記憶がないウタはカタクリに惹かれていた。カタクリはそれを見る程虚しい気持ちになった。ウタに本気で惚れていた。そしてルフィの事が好きなのも知っていた。だから本気で向き合いたかったのにこんな惨めな状況になって付け入るような事はカタクリのプライドが許さなかった。

 

「ママママママママ!!明日の結婚式にはぜひ参列してほしいねぇ」

「え?でも、アタシ。関係者じゃないよ?」

「そんな小せえ事は良いじゃねぇか・・・それにオレはお前とカタクリに結婚してほしい」

「ふぇ!?」

 

リンリンの言葉にウタは顔を真っ赤にさせた。カタクリは真っ青になった。

 

「マーママママ!!まぁ急に言われても何も答えられねぇだろ?明日の結婚式が終わるまでに返事をくれ」

「ふぇ?・・・あ、アタシが・・・カタクリと結婚・・・」

 

まだ顔を赤くさせて呆然となっているウタをカタクリはリンリンの女王の間から一緒に出た。そして空き部屋に連れて行って向き合って座った。

 

(どうにかしてウタを脱出させないと・・・クソ!!なんでこんなことに!?)

 

近くにいてもリンリン、帰そうにも毒で下手に帰せない。更には何処にいるか分からないシキにバレット・・・地獄のようなトットランドからウタを脱出させられなかった。

方法を幾ら考えても不安要素で潰されていく。他の兄弟姉妹は巻き込めなかった。何故ならカタクリは兄弟姉妹大好きであり、そんな彼らを守る為に自分を抑えてきた。簡単に言うと抑えすぎて頼れなくなっていた。

 

「カタクリ・・・大丈夫?」

「あ、あぁ・・・大丈夫だ」

「そう、良かった・・・いやぁ、ビックリしたね!!突然言われるなんて・・・」

「・・・すまない・・・すまないウタ」

 

ウタに対してカタクリは謝るしか出来なかった。しかし、ルフィの記憶を失ってる事に気づいてないウタにはそれがなんの謝罪か分からなかった。

 

「アタシ・・・カタクリが好きだよ。カタクリは?」

 

ウタは勇気を持ってそう言った。カタクリは何も答えなかった。好きと言う事も嫌いと言う事も出来なかった。

 

「アタシはカタクリと一緒なら毎日楽しいと思う」

「・・ろ・・」

「なんか変な感じになったけどカタクリの言葉を聞きたい・・・」

「止めろ!!」

 

カタクリは肩で息を切らしながらそう叫んだ。突然の事にウタはビクッとなった。

カタクリはそれ以上聞きたくなかった。

 

「俺は・・・こんな・・・クソ!!・・・少し風に当たってくる」

 

カタクリはそう言って部屋から出た。

ウタはそれをただ見ていた。どんな反応をするべきなのか分からなかった。好意は元から持っていた。そしてルフィの記憶が無くなった事でその好意は強くなっていた。

 

そうウタはカタクリにフラレた。

 

「そっか・・・そうだよね・・・カタクリはお似合いの人が・・・あれ?なんか忘れてる??・・・あぁ!!!」

 

ウタはそんな風に思い出してると記憶のズレが出てきた。ルフィの記憶が沢山あったウタにはズレを起こしやすかった。頭から来る激痛にウタは倒れた。

死ぬほど痛いがウタはなんとか必死に這いつくばりながらも貰った薬を飲むと激痛が収まった。

 

「体の毒・・・本当だったんだ・・・」

 

最初は毒を盛られた事をあまり信じてなかった。元気だったからだ。しかし、こうなってウタもちゃんと自覚した。薬は苦いし好きではないが痛々しい激痛でちゃんと認識した。

 

「・・・・・カタクリに会いたいなぁ・・・探そう!!」

 

激痛を受けた事により人肌が恋しくなったのかそれともそもそも寂しがり屋か、ウタはカタクリを探しにホールケーキ城の中を歩き始めた。

しかし、初めて見る城の中は複雑だった。そして案の定迷子になった。

 

「出せぇ!!こっから出せ!!」

「?」

 

突然となぜか懐かしい声が聴こえて来た。ウタは声のした方向を探すと扉から35女のプリンが出てきた。ここ暫くの滞在で紹介されていたウタはプリンを知っていた。

 

「あっ、プリン!」

「ウタさん、どうしてここに?」

「カタクリと呼ばれてお母さんに会ったんだ。婚約の事も言われてアタシはOKなんだけどカタクリが出ていちゃって・・・」

 

ウタはありのままを言った。そしてウタがルフィの記憶を失ってる事を知らないプリンは残虐な本性を顕にした。勿論、顔には一切出ていないがプリンはウタがカタクリと結婚したがってると思い、地下に行くように薦めた。地下にはルフィがナミと捕らえられていてそんなウタを見たルフィはより苦痛を味わうと思った。

 

「あぁ、でもカタクリ兄さんは今ここにはいませんよ」

「そうなの?・・・ねぇ?その奥には誰がいるの?」

「う~ん・・・囚人・・・悪い人が居ますから行っちゃだめですよ」

 

しかし、プリンは兄弟姉妹に対する情はあるのでウタを騙して連れて行って悲しむウタを見て悲しむカタクリは見たくないので極めて普通の対応をした。

 

「えぇ~、うーんちょっと見てみたい!!それに顔ももう一回会わせたいし!!」

 

ウタは囚人が自分のトットムジカを出させようとしたバレットだと思った。ウタはルフィらの騒動を教えて貰って無かったのもあってそう認識していた。

 

(この人、凄い悪い人ね!!気に入ったわ!!)

 

「なら、どうぞ。けど気をつけて下さいね!!後、この事はカタクリ兄さんには内緒で」

「分かってるよ!」

 

ウタが非道な人間だと誤解したプリンがウタに地下室に行っても良いと言った。

ウタは笑顔でお礼を言った後にバレットを見たらぶん殴ってやると思いながらも地下に降りていってプリンは苦痛に歪むルフィの顔を想像して笑った。

 

 

 

 

〇〇〇

「出せ!!出しやがれ!!」

 

モンドールの本の牢屋の中でルフィは必死に出ようとしていたが手を杭で壁に打たれていて出られなかった。

 

「ふぁ~、ローラの場所を吐かせる前に休憩ファ」

 

監視をしていたオペラはそんな事を呑気に言いながら本を読んでいたが地下に誰かが降りてくる音が聴こえたので目を向けた。

 

「あっ、オペラ!」

「ファ?ウタ??どうしてここに??」

 

降りてきた人がウタだと分かるとオペラは流石にビックリした。そもそもなんでここにという感覚が強かった。

 

「ウタ・・・ウタがいるのか!?」

「ん?誰かいるの?」

 

ウタという名前に反応してルフィが叫ぶとルフィの記憶がないウタは気になって本の中に捕まってるルフィを見た。

そしてルフィの顔を見た瞬間、ウタの頭には激痛が走った。

 

『おーらーーか?』

『そうーー、な◼かー☓あ●の?』

 

初めて会った時の記憶がフラッシュバックを起こす。ウタは顔面を真っ白にさせて頭を抑えた。

 

「あ・・あ・・アァァァァァァ!!!!」

「どうしたんだウタァ!!??」

「何が起こってるファ!?」

「え!?何が起こってるの!?」

 

頭を抑えながら倒れ込むウタにルフィもナミもオペラも呆然となった。激痛に苦しむウタは薬を飲もうとするが上手く飲めずに零した。

 

「薬・・・あんたらこの娘に何をやったの!?」

「知らないファ!!何なんだこの薬は!?」

「ウタァ!!しっかりしろ!!」

 

ルフィは懸命にウタに呼びかけた。しかし、呼びかければ呼びかけるほどウタは苦しんでいく。

そんな騒然となる状況にカタクリが飛んできた。

 

「カタクリ兄ちゃん!?」

「なぜ、ここいるんだ!?」

 

カタクリはそう言いながら、ウタに薬を飲ませてあげるとウタはカタクリに抱き着いた。

 

「カタクリ・・・カタクリぃ・・・」

 

カタクリはウタを抱きかかえて、啞然となってるルフィ、ナミ、オペラを見ると正気に戻ったルフィが叫び始めた。

 

「おい、なんでウタがここにいるんだ!?お前らウタに何をやったぁ!!!??」

(このガキ・・・こっちの気も知らねぇで・・・)

 

ルフィの言葉にカタクリはキレそうになった。カタクリとて早くこの国から脱出させたかった。シキやバレットのせいで潰されてしまって命をかける覚悟も台無しにされてどうするべきか分からなくなっていたカタクリにルフィの言葉は非常に癪に障った。

 

「お前には関係ないことだ・・・オペラ、ちゃんと見張っとけよ」

 

カタクリはルフィをそう言って突き放し、オペラに注意するとウタを連れて地下から出た。

 

「ウタ〜〜〜!!!」

 

ルフィの叫びが虚しく地下に響いた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

カタクリに抱きかかえられていたウタは薬が効いてるのもあって少し痛みは感じつつも落ち着いてルフィの事を聴いていた。

 

「カタクリ・・・さっきの誰?」

「モンキー・D・ルフィ・・・5億の賞金首だ」

「5億・・・カタクリの敵なの?」

 

ウタの言葉にカタクリは言葉が詰まった。確かに対立はしているが格下の敵とは思ってなかった。敬意を払うべき相手だと認識していた。

 

「何も答えてくれないんだ」

「・・・今は敵対してる・・・」

 

カタクリは慎重に言葉を選んだ。

しかし、その言葉はウタにルフィがカタクリの敵であると認識させるには充分だった。

 

「じゃあ、アタシに取っても()だね」

 

ウタはルフィに懐かしさを感じつつも敵と認識した。







皆様、お待たせしました!!
いや、もうずっと鬱展開で暗いお気持ちになるのは重々承知してます。本当にすみません。
もうずっとウタ、ルフィ、カタクリが辛い展開で嘸かし気分が落ち込んでいると思います。
まぁここから更にキツイ爆弾があるんですが・・・・それでも最後は熱く燃える戦いに出来るように頑張ります!!
それから、ちょっとあまりにも鬱×地獄展開にし過ぎた謝罪も込めまして、ホールケーキアイランド編が終わったら、次の章へ行く前に存分にルウタをお届けしたいのですが何分、恋愛展開+イチャラブが死ぬほど苦手かつ引き出しゼロなのでというかもうホールケーキアイランド前のイチャラブ回で切れたのもあったので活動報告にルウタで望む展開を募集します。
それで今後の流れに影響しないもののみを採用して存分にイチャイチャさせるのでご協力お願いします。
因みに時系列的にはホールケーキアイランド編とワノ国編の間と言うのもご考慮下さい。

それでは皆さま、次回もお楽しみ下さい。


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同盟

前回のあまりの地獄的な鬱展開に皆様の辛いお気持ちは重々承知してます。
申し訳ございません。


それは幼い日の約束だった。

 

ルフィとウタはいつものように勝負をしていた。果物を多く集めた方が勝ちという勝負だった。

 

「ウタ〜、どうだ俺の方が多いぞ」

「あたしも負けてないわよ!」

 

ルフィとウタはお互いに取った果物を見せた。確かに大きさのお陰で似た感じに見えるがルフィの方が少し多かった。ウタもそれに気がついて不味いと思ったがすぐに悪知恵が働いた。

 

「んじゃ、数えようぜ。1つ、2つ、3つ、4つ」

「ルフィ・・・シャンクス達が釣りしてる!」

「えぇ〜、どこだ!?」

 

ウタの言葉にルフィはまんまと騙された。シャンクスに手を振ろうと探してるウチにウタはルフィの果物を少し取った。

 

「ごめ~ん、あたしの見間違いだった〜」

「も〜なんだよ〜、5つ6つ7つ8つ・・・あれ!?」

「9つ10!あたしの勝ち。75連勝達成!」

「ウタズルいぞ。俺の奪ったな!!?」

「海賊が物を取って何が悪いのよ」

「卑怯だぞ!!」

「でた!ルフィの負け惜しみ〜」

 

いつものようにまたウタがルフィに勝った。かなり汚い手であるがこれも込みなのがこの2人の関係だった。それに例えルフィがそれに怒っても最後は2人で笑い会えるそんな風に2人は昔から仲が良かった。

 

「あぁ~!!アタシ毎日楽しいよ!!ルフィは!?」

「俺も楽しいぞ!!ウタの子守だけど」

「はぁ!?アタシがあんたを子守してるのよ!」

「違う俺だ!」

「アタシよ!」

「俺だ!」

「アタシよ!」

「「うぬぬぬぬぬ!!!」」

 

ひょんなことから喧嘩しそうになるのも日常茶飯事だった。しかし、今日は流石にウタもさっきの事もあって珍しく引き下がった。

 

「はぁ~、しょうがないなぁ。今日はルフィに譲るよ」

「何だそれ?じゃ、いらねぇ!」

「本当に子供なんだから〜・・・ルフィ・・・そんなんじゃ、将来苦労するよ」

「ん?なんでだ?」

「あんまり子供っぽいと好きな人が出来ないってベックマンが言ってたの」

「好きな人?・・・俺、皆の事好きだぞ!」

「そうじゃなくて恋人って意味の好きな人よ」

「それってなんか違いがあるのか?」

 

ルフィの無邪気な言葉にウタは黙った。ウタに取ってのそういった好きはシャンクスだけだと本人は思っていた。けど、ルフィと接してきてそれが本当に恋だったのか分からなくなりかけていた。

そんなのを9歳の少女が分かるわけなく、ウタは悩んでいた。

 

「なんだウタも知らねぇじゃん!」

「うるさい!」

「・・・だったらウタ・・・俺達その恋人ってのになってみようぜ!!」

「は、はぁ!?///」

 

ルフィの無邪気な言葉にウタは顔を真っ赤にさせた。不覚にもドキッと胸が高鳴るのを覚えた。ルフィと会う前のシャンクスに対して持っていたのと同じだった。

 

(うそうそうそうそうそ!!そんなわけない!!)

 

しかし、ウタはそれを認めずにルフィに何も言わずにというか逃げるようにフーシャ村に戻って行き、ルフィもそれを追い掛けて最終的に鬼ごっこになってしまった。

 

2人が新時代の違いをやった時にもう一つだけ立てた“約束”があった。

その“約束”はこういった出来事があったから生まれた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「うぉぉぉぉぉー!!!」

「止めてルフィ!!コワイコワイ血が凄い!!もうやだー!!」

「無茶する奴ファ」

 

ルフィはあと少しで腕が引き縮れそうになるほど無理矢理引っ張っていた。ナミはそれに怯えてオペラはルフィの行動に引いていた。

 

「諦める方が良いファ」

「諦めるかイボ頭!!」

 

ルフィはオペラに噛みつきつつも完全に腕を引きちぎる覚悟で引っ張っていた。オペラはそろそろルフィとナミの知り合いになっていた自由な恋愛を求めて家出した妹のローラの居場所を吐かせようとボーガンを構えた。

 

「魚人空手“五千枚瓦正拳”!!」

 

しかし、突然と飛んできた正拳を諸にオペラは受けて吹っ飛んだ。

 

「あぁ~!!ジンベエ!!お前、何でここに!?」

 

やったのは2年前にルフィを助けて魚人島の時に仲間になろうと誘ったジンベエだった。リンリンの傘下から抜け出す為に穏便にその事を言いに来たら悪意しかないルーレットで仲間をやられそうになったのでチャンスの時が来るまで待っていたのだ。

 

「おお!ルフィ、ナミ。捕まったと聞いてな。話は後じゃ、一先ずそこから出るか?」

「「出るー!!」」

 

ジンベエはモンドールの本の牢屋を燃やしてルフィやナミ、後はそれ以外にも囚われていた者達を出させるとルフィは少し緊張の糸が切れたのか腹の減りを感じた。

ジンベエやナミと一緒に行動しようかと言う話になるもすぐにやってきた兵士とサンジが騙されていた事を伝えるのとウタの件もあってルフィはサンジを探しに行った。

 

「サンジ〜!!何処だ〜!!!」

 

サンジを必死で探してるルフィだが、ウタの事も気になっていた。しかし、ルフィが1番良く知っていた。腹が減っては戦が出来ぬ事を。

だからルフィはまずサンジを探していた。

兵士がどんどん増えていく中でルフィは咄嗟にレイジュに匿われた。そしてプリンの本性やリンリンの計画を知ったサンジにレイジュも教えられたという事を聞くとルフィは悩んだ。

 

サンジの事はもうやることがなくなった。サンジなら絶対に戻ってくると確信していた。しかし、ウタはまた話が別だった。カタクリがウタを抱えるのを見た瞬間、感じた事のない怒りが出てきた。すぐにでもカタクリをぶっ飛ばしてウタを連れて行きたかった。

だが、ルフィの野生の勘が言っていた。

以前、ドーナツをくれたカタクリをルフィは敵ではあっても外道とは思わなかった。それに腹が減ってる今の状態で勝てるとも思ってなかった。

だからルフィは屈辱を感じつつもサンジとの約束の場所で待つことを決めて、城から飛び出した。

 

ナミとジンベエはその頃、ポーネグリフを奪うために潜入していたが捕まったブルックを助ける為に鏡の中でブリュレを捕まえていたチョッパー、キャロットと合流。そのままペドロとも合流して寝てるリンリンから救出する為に動いていた。

 

サンジはボロボロになっていた。

覚悟を決めて自分が犠牲になれば全てを守れると思ったのに守れない。ルフィをボコボコにして酷い言葉を言ってまで離れさせようとしたのにサニー号に帰りたかった。故郷が危ないのもそうだがいくら愛を感じてない実の家族でもサンジは見捨てられなかった。

何故なら、サンジが1番見捨てられる辛さを知っていたからだ。

どうすれば良いのか分からず、作った弁当も雨で濡れて冷たくなって途方に暮れてるとビックマム海賊団の“始末屋“ボビンが弁当に触れようとした瞬間、サンジはボビンを蹴り飛ばした。

 

やってしまったとサンジは思った。

弁当は全て仲間の好物・・・それを仲間じゃない人間に食べられたくなかった。ボビンを蹴り飛ばした事で城に居られないと思ったサンジはルフィが待ってると行った場所まで弁当を持って行くことにした。

 

 

 

〇〇〇

そんな風に水飴の雨に濡れながらも必死でサンジは弁当を持っていくと待ってると言われた場所は戦闘の跡が凄かった。そこまでして信じてくれてるルフィに益々申し訳無さを感じてると大きな腹の音がなった。

誰か一発で分かった。

ルフィだった。

恐ろしいくらいに萎んでいた。

 

「あ、ハンジ〜・・・」

「俺は待ってろとは言ってねぇ・・・」

「シシシ・・・」

 

サンジはそんなルフィに弁当を渡した。途中で落としてしまったり、潰れたり、雨にも濡れて不味くなってるのは自分でも分かっていた。

しかし、ルフィはそれを丁寧に1つ残さず食べた。

 

「うんめ〜!!!これ、俺達の好物が全部入ってんなぁ、うんめぇ〜!!!」

「嘘つけ」

 

無事に全て食べ終わってルフィの体も戻った。サンジはそんなルフィを帰らせようとした。ルフィに罵倒を浴びせて蹴った事や故郷のバラティエが人質に取られてる事、それになんの恩もない実の家族を見捨てられない事を言った。

 

「以上の3つの理由で俺は帰れない・・・」

 

ルフィはそんなサンジに思いっきり殴った。

殴り飛ばされたサンジは睨むがルフィは真剣な目で叫んだ。

 

「本心を言えよ!!」

「・・・サニー号に帰りたい!!!」

 

ルフィの言葉に今まで溜めていた物が決壊したのかサンジはボロボロ泣きながら心情を吐露した。式が始まったら一人じゃ何も出来ないこと、見捨てられないことを言った。

 

「うん、それがお前だろ?大丈夫だ、俺達がいる!!サンジ、式をぶっ壊そう!!」

 

ルフィはサンジにいつもの笑顔で答えた。なんの根拠も確証もないのにバラティエ、アーロンパーク、アラバスタ、空島、エニエスロビー、スリラーバーク、魚人島、そして見てはいなかったがドレスローザでルフィが起こした事を思い出すとサンジはそれを信じたくなった。

 

その後、ルフィがどうやって抜け出したのか話してるとブリュレの鏡の能力で戦場に落ちてた鏡の欠片を使ってナミらが話しかけてきたのでサンジが戻ってきた事を話した。皆、喜んだ。そしてお茶会と結婚式の両方を潰すことを話した。

 

「サンジ君、あんたが私を恐怖のどん底に突き落とした件は死んでも忘れない」

「オウ!?!?」

「だけど一旦忘れましょ。お茶会まで時間がない」

「ナ、ナミさん!?それってプロポーズ!?」

「違うわよ!!・・・ねぇルフィ・・・」

「なんだ??」

「あの娘の事はどうするの?」

「・・・んなの助けるに決まってるだろ」

「ルフィ、誰の事だ?」

 

ナミがウタの事を聞くとルフィはそう答えた。サンジは誰の事分からなかった。

 

「すまんがちょっと良いか?」

 

話が脱線仕掛けた所を年長者であるジンベエが主導権を握った。ジンベエが話し始めたのはサンジを連れて行ったベッジについてだった。“西の海”では5人のマフィアが牛耳っていてその内の一人がベッジ。地位やナワバリは興味せず、金品を奪った後で敵のボスだけを殺してその後の敵組織のドロドロになった覇権争いを楽しむような男で丘に飽きて海に出てもやることは変わって無かった。ペコムズを撃って海に突き落とした事も包み隠さず言った。

因みにペコムズはジンベエの仲間達によって無事に救出された。

そして今度はリンリンの暗殺を狙っている事もルフィらに明かした。

 

「どうなってんだ・・・!!陰謀塗れじゃねぇか!!」

「なんでそんな話をするんだ?」

「茶会まで後5時間、この状況でベッジまで相手にしておる場合か?ルフィ、サンジ・・・ベッジと組まんか?」

 

ジンベエの提案にルフィもサンジもびっくりした。しかし、船長としてベッジの相手までしてられないのも事実ゆえにルフィはその提案に乗ることにした。

 

 

 

〇〇〇

ルフィとサンジはその後、無事にベッジのアジトまで来ると身なりが汚かったのもあって風呂で綺麗にしてスーツを貸して貰った。ルフィとブルックは勝手に人の家の冷蔵庫を漁って牛乳を飲んで欠けてた歯や骨を瞬時に直していた。

 

取り敢えず、お茶会まで3時間近くになっていたのもあって一先ず話し合いをする為に席に着いたが、ルフィはある男を見ていた。

 

「お前、シーザーだろ!?」

 

髪型や服装を変えていたがシーザーだった。ローの能力でまだ心臓が切り離されていた事とそれをベッジに掴まされていた事で逃げれなくされていた。

 

「シ、シーザー!?何を言ってるお、俺はベッジの兄弟分・・・“ギャングスター”のガスティーノだ!!シュロロロロ!!!」

((いや、笑い方!!))

 

全く隠す努力が見向けられないシーザーにルフィ以外が呆れた。ルフィはルフィでいつも通り騙されていたがすぐにナミに指摘されてキレた。そしてルフィはペコムズを撃った事でベッジを殴ろうとしたルフィを中心に会議が滅茶苦茶になったがジンベエがある一言を言った。

 

「お前さんらビックマムが好きか?」

「「「嫌いだ!!」」」

「それを連合軍と呼ぶんじゃ!!今、組めばお前達が全員に利がある」

 

ジンベエにそう言われて3人は組みたくない気持ちはあるが目的の為に組むことにした。

 

「その話、俺も混ぜて貰おうか?」

 

冷や汗が一気に来た。ルフィ、ナミ、サンジ、チョッパー、ブルックはその声の持ち主を一瞬で思い出した。ベッジは忌々しそうな顔つきになり、シーザーは怯えてジンベエも啞然となった。

そして全員が同じ方向に顔を向けた。

 

「なんであんたがここに居るのよ!?」

「死んだんじゃなかったのか!?」

「なんで生きてやがる!?」

「確かに空から落とした筈!?」

「なんでお前が居るんだ!?・・・シキィ!!!」

 

声をかけたのはシキだった。シキは空からジンベエがベッジと話を通したのを見た後にベッジの前に現れて暗殺計画についてを話すと一枚噛ませろと交渉してきた。シキの腹黒さを誰よりも知ってるベッジは当然、それを了承するわけもなかったが下手に今、相手は出来ない。

そんな風に悩んでいたベッジにシキはリンリンの死ぬ姿だけ見れたら良いと妥協点を出した。

ベッジはジェルマ66と交渉して手に入れた爆弾首輪と錠を付けることを条件にそれを了承した。

ゆえにシキは、今そんなのを付けていたが付けてても変わらない雰囲気があった。

 

「ジハハハハ!!俺は不死身だ・・・あのクソババアが死ぬ所が見たい!!なぁ、麦わら・・・2年前は色々とあったが水に流そう・・・俺と“同盟”を組もうぜ!!」

 

最悪の海賊の魔の手はカタクリとウタではなく、今度はルフィを狙い始めた。

















というわけでシキがルフィを狙い始めました。
・・・・そろそろ本気で勘弁してくれという声が聴こえてきますがこの鬱展開も後、4話か5話で吹き飛ばせるように頑張ります!!
活動報告でのリクエストはホールケーキアイランド編が終わるまで続けますので読んでみたいルフィとウタのイチャイチャがある方は是非リクエストしてください。今の所、全てやるつもりです!!


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婚約

前回が前回でもう鬱展開だらけで辛いと思われますが必ず晴れさせると誓います!!

それではどうぞ!!


シキの出した提案は魅力的な部分はゼロではなかった。四皇と同格の実力を持つシキが味方なら百人力とも言えたがルフィはそんな事を信用する筈もなかった。

 

「ふざけんな!!お前なんか信用できるか!!」

「そうよ!!あんたとなんか死んでも組まない!!」

「あぁ!」

「勿論だ!!」

「当然です!!お前が私達に何をしたのか!!命を奪おうと・・・仲間に手を出したお前と手を組む気はない!!」

 

ルフィの言葉に仲間の全員が賛同した。ベッジやシーザー、ジンベエらはシキと面識があった事に驚いていた。

しかし、それは彼らに取っても好都合だった。

狡猾で名が通ってるシキとこの不安要素だらけの状況で手なんか組みたくなかった。

 

「それを聞いて安心したぜ。ジジイ、俺らもお前とだけは組まねぇ。大人しく見ときな」

「ちっ、まぁ良い。あのババアが死ぬなら大人しくしてるよ・・・ジハハハハハハハハハ!!」

 

ベッジにも言われたがシキは笑う。不気味だった。どう考えても不利な状況は自分なのに全くそれを気にも止めてなかった。

 

「おい、このジジイを牢屋にぶち込んどけ!!」

「了解だファーザー!!」

「それには及ばん・・・折角のショーを見たいのにここでやりあっても面白くもねぇ・・・自分で行く・・・」

 

シキはそうやって笑いながら自分で先程まで入れられていた牢屋に戻った。出るときにあっさりと破壊していたので新しい奴というか海楼石で作られたやつに入った。

 

「よし、取り敢えず作戦を言っていくぞ」

 

ベッジは作戦を説明していた。そもそもが怪物過ぎてかすり傷すら負った事ないリンリンに傷がついたことがある。それは唯一の弱点でマザー・カルメルというリンリンにとって大切な女性の写真が落ちてしまった時についた。

 

ベッジはそれをわざと眼の前で割って奇声と膨大な覇王色が出た後の無防備な5秒を狙ってシーザーの作った毒ガス弾で殺すと言うものだった。

ルフィらの役割はそのマザー・カルメルの写真を壊す事だった。

当然ルフィもOKした。

チョッパーとキャロットがブリュレを捕まえていた事で鏡を使えば簡単に逃走出来るのもあった。

 

そんな中でナミはルフィに話しかけた。

 

「ルフィ、あんたウタも助けるけど大丈夫なの?」

「何が?」

「負担が大きいと思うわよ」

「大丈夫だ。これくらい」

 

そんな会話をしてるとサンジにチョッパー、ブルックは啞然となった。

 

「何!?ウタちゃんもいるのか!?」

「なんでここに!?」

「エレジアに戻っているのでは?」

 

ブルックが先日、喧嘩別れしたルフィがエレジアに戻ったと不貞腐れながら言っていたのを思い出していた。

 

「おいおい、“トットムジカ”も連れて行く気かよ・・・」

「トットムジカ?」

 

ベッジがそう呟いた。ルフィは聞いたことない単語に首を傾げて他の面々も気になった。

 

「シーザー・・・兵器はお前の得意分野だろ?教えてやれ。知ってるだろ?」

「俺に命令すんじゃねぇ!!・・・古代兵器にも匹敵する力を持った楽譜だ。ウタウタの実って悪魔の実と併用で使うことで国を一晩で滅ぼす力を出す」

「ウタウタの実って・・・悪魔の実!?」

「ウタって能力者だったのか!?」

「ルフィ・・・知ってたの?」

 

ナミの言葉にルフィは何も言えなかった。ウタが悪魔の実の能力者なんて知らなかった。

 

「それはどんな実なんじゃ?」

 

ジンベエが近くにいたベッジに聞くと兵器ではないのとベッジも情報として知ってる部分だけを教えた。

 

「俺もアラバスタで起きた事と伝聞でしか知らねぇ・・・なんでも歌を歌えば夢の中に聴いたものを連れて行くって実らしい」

「夢の中へ?」

「あぁ・・・そして“トットムジカ”は12年前に音楽と平和の国エレジアに現れて一晩で全てを滅ぼした。赤髪海賊団がその時に上手く宝物を盗んだのもあってアラバスタのライブが行われるまでエレジアは赤髪のシャンクスがやったと全員、思ってたがな・・・」

 

ベッジの言葉を聴いてルフィの中で全てがハマった。シャンクスがなぜ、エレジアにウタを置いたのか、なぜ自分達が突然と別れる羽目になったのか・・・ルフィは全てを悟った。

 

「その事を知ってる者は?」

 

ジンベエは慎重にベッジに訪ねた。下手をすればここで同盟が解消されるかもしれないからだ。

 

「ウタウタの実の力はアラバスタの件以降確認されてねぇ・・・それのせいで裏の世界でも本当なのかあやふやになってやがる・・・」

「そういや、ウタのやつ・・・海楼石を持ってたな・・・」

「なるほど、時期的に見て父親の千両道化が持たせたか・・・娘を守る為にやったのか!!」

 

バギーを知ってるルフィやナミが苦虫を噛み潰したような顔つきになったが事実だった。バギーがウタに渡した海楼石が無ければ今頃ウタは裏社会の人間に捕まっていた。ベッジはそんな事に気にせずに話を続けた。

 

「あのババアは兵力を欲しがっていた。ウタを最初に狙ってたのは単純にいつも気軽にやってるミュージカルのボーカル探しだったが、トットムジカの事を知ると顔つきを変えやがった。完全に兵器に対する目つきになった。だから、カタクリをウタを結婚させようとしてる」

「そんな・・・嘘だ!!」

「ウタはそれを知ってるの!?」

 

ベッジから出てきた衝撃発言にルフィは大声を上げてナミもそれに同調するような感じで上げた。ベッジはうんざりした様子でありのままを伝えた。

 

「城に呼ばれた時点で言われてるはずだ。それでも逃げてねぇって事は了承だろう」

「ウタがそんなの認めるわけねぇだろ!!」

「うるせぇ!!てめぇらの恋愛事情なんか知るわけねぇだろうが!!」

 

認められないルフィは説明してくれてるベッジに突っかかっていた。流石の事態にまた騒然となるがナミがあることを言った。

 

「ねぇ!あの娘、薬を溢してたけどそれを飲んでたよね!?もしかしたらそれじゃ!!?」

「そうか!!」

 

ナミが薬の事を言ってルフィもそれに同調した。そして違う理由で声を荒げた者がいた。

 

「ハァ~!?あの女、俺様が作った解毒剤を溢しただと!??」

 

シーザーはナミの言葉を聴いて思わずそう叫んだ。そしてすぐに口を塞ぐが時は既に遅し、他の面々はシーザーを思いっきり睨み、ルフィは胸ぐらを掴んだ。

 

「おい!なんか知ってんのか!!話せ!!!」

 

シーザーはそう言われると観念して話し始めた。ウタがワスレダケの毒を盛られて記憶が無くなった事とそれの解毒剤と痛み止めを作るように言われた事を話した。

 

「だからあの娘は今、記憶が無くなってんだよ!!麦わら、てめぇに会って頭を抑えたってならてめぇの記憶だ!!」

「そんな・・・」

 

シーザーはルフィにそう言うと打ちひしがれたようにルフィは沈黙した。大事な幼馴染が自分の事を忘れた事にショックを受けた。シーザーはそれを見て笑いたくなったがその前にサンジに頭を蹴られた。

 

「おい!もっと良い薬はねぇのか!?」

「痛えなてめぇ!!そんなに欲しいならやるよ!ほら!!」

 

シーザーは半分泣きながらもサンジに薬を投げた。受け取ったサンジはそれを見ると桜色と白色のカプセル錠薬で3つあった。

 

「ペロスペローに脅されて今日一日作ってた新薬だ!!それを1つ飲ませれば毒素は今までよりも抑えられるが記憶は戻らんぞ!!」

「戻すのを渡しやがれ!」

「そんなの出来るか!!ベガパンクでも無理なのに!!」

 

本気で泣きながら叫び始めたシーザーにうんざりしたサンジは薬をルフィに渡した。シーザーの言う事を信じたくは無かったが実際に苦しんだウタを見たのもあって信じるしかない状況だった。

 

「記憶はどうやったら戻るんだ?」

「強烈な体験を思い出せば戻る!!美味い飯か、誰かの死か、それは個人差があって分からねぇ」

「役立たず!!」

「うるせぇ!!」

 

シーザーはそのウタに盛られた毒薬を作ったのが自分だとバレないように頑張って誤魔化しながらも薬を渡した。

 

「で、なんでこれ3つあるの?」

「しまった!!つい癖で3つも作ってしまった!!薬なんざ作りたかねぇのに!!」

 

キャロットがルフィの持ってる薬が3つあることを言うとシーザーは頭を抱えていた。見ていた面々が全員、アホだと思った。

 

何はともあれ、ウタをどうにかできる手段をルフィらは手に入れた。

 

(そんなウタが!?アタシの友達が何で!?)

 

そしてそれを聞いていたウタと友達になったブリュレも困惑し混乱していた。

 

    

 

〇〇〇

カタクリはもうボロボロだった。

これからやるのはジェルマ66の処刑でそれをウタに見せたくなくてカタクリは逃がそうとしていたのにもう止められなくなっていた。

 

「ねぇ、カタクリ!これどうかな似合う?」

「あ、あぁ・・・」

 

ウタは黒いジャケットの服を着ていた。白とは違う感じだが似合っていた。

それにすると決めるウタにカタクリは一緒に居たい気持ちと居たくない気持ちでぐちゃぐちゃになりながらも部屋を出た。

 

「・・・誰か・・・いや、俺がやらないと・・・でも・・・クソ・・・なんでも良い・・・ウタを助けてくれ・・・」

 

カタクリは誰にも聞こえることなく呟いてフラフラと幽鬼のように自分の準備を始めていた。

 

「さてとこの麦わらマークを付けてと・・・??」

 

ウタはルフィとの思い出のマークの手袋を付けると頭に痛みが走り出したが薬を飲んで抑えた。しかし、ズキズキと来る痛みは何かを思い起こそうとしていた。

 

 

 

〇〇〇

移動する時間になり、ベッジを主導に新郎として先に戻ったサンジ以外の全員シキの檻の前に来ていた。

 

「おい、移動の時間だ」

「ジハハハ、待ちくたびれたぜ」

「わかってるだろうな。勝手な事をしたらその首輪が爆発して明日に無事行くことは出来ねぇ」

「わかってるぞクソガキ・・・」

 

ベッジはシキを腹の中に入れる為に牢屋から一先ず出した。首輪で脅していても全く動じてないシキに不気味さを感じていたがここで一人にさせてはおけなかった。

 

「俺達は仮の護衛の準備や仕事もあって忙しい。その首輪のスイッチはコイツラに渡す」

 

ベッジは見せつけるように爆発のスイッチをルフィらに向けた。だがシキのニヤけづらは変わらなかった。

 

「で、こいつを1番吹き飛ばしてぇ奴は誰だ?」

「私よ、私が持つ!」

 

ベッジの言葉に2年前に散々な目に合わされたナミが言った。

 

「おいおい、ベイビーちゃん。お手柔らかに頼むぜぇ〜」

「この!!」

「落ち着けルフィ!」

 

ナミをおちょくるような発言にルフィが飛び掛かりそうになったがジンベエがそれを止めた。こうして最大の不安要素であるシキも一緒に連れて行くことになった。勿論、ベッジの腹の中でも牢屋に入れられた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

シロシロの実の城人間であるベッジの能力で移動中のベッジの腹の中にいるルフィらは寝ていたがルフィはふと起き上がってボーッと渡された薬を見ていた。

そんなルフィに話しかける者がいた。

 

「おい、そんなんで大丈夫なんだろうな?」

 

ベッジだった。1年掛けた暗殺計画というだけではない家出したローラの双子の姉で妻のシフォンに虐待をしていたリンリンに仕返しが出来るのもあってベッジにとっては趣味と使命の両方が掛かった大事な暗殺計画だった。

 

「ん?勿論だ!!絶対にウタとサンジの家族を助ける!!その為に協力するんだからな!!」

「そうか、それを聴いて安心したぜ」

 

ルフィの目は絶対にやると言う意思が込められていた。腹の決まった顔つきで魅力的だった。それに安心してるとルフィが突然と聞いてきた。

 

「なぁ、ベッジ・・・」

「なんだ?」

「シフォンと喧嘩ってするのか?」

「あ?・・・まぁあるにはあるがそれがどうした?」

「どうやって仲直りしてんだ?」

 

ルフィはベッジにそう訪ねた。自分もウタと仲直りしたいがいつも言い合いになるからルフィはベッジに聞いてみたのだ。

 

「ふん・・・教えてやる気はねぇが・・・このまま悩まれて下手こかれても堪らん・・・良い方法を教えてやる」

「おっ!?なんか凄そうだな!!」

「良いかよく聞けよーーーーー」

 

ベッジにその方法を教えてもらったルフィは無事にウタの記憶を取り戻して仲直りしたらそうしようと決めた。

 

 

 

 

「マーマママママ!!今日は待ちに待った結婚式だ!!ジェルマの科学力にウェディングケーキ!!」

 

(ウタを助けないと・・・ウタを助けないと・・・どうすれば・・・・)

 

「ジハハハハハハハ、楽しくなってきたぜ」

 

「フフフ〜ン、新曲も思いついた。後は・・・あの麦わらの・・・痛っ・・・また痛いや・・・」

 

「ウタ・・・俺は新時代の誓いを忘れてねぇ・・・絶対に思い出させるからな・・・」

 

陰謀渦巻き、地獄の様相を見せた結婚式・・・苦い痛みを味わいながらも進み続ける“新時代”、腹黒く甘みを吸う“伝説”、そんなある種の勢力争いも次の局面を迎えようとしていた。

 

「ジハハハハハ、もうすぐだ。1年前にあのクソピエロに邪魔されて手に入らなかったウタが手に入る・・・お前の娘の力で八つ裂きにしてやるからな・・・赤っ鼻」

 

そんな中でもシキは笑いながらまた良からぬ事を考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

それはウタと新時代を誓った時の事だった。

ルフィは友達と大きな約束が出来て嬉しかった。ウタもまたそんな約束を分かち合える者が出来た。

 

「ねぇルフィ・・・」

「ん?なんだ??」

「お互いに新時代を作って夢が叶ったらさ・・・け、結婚しない?」

 

ルフィに惹かれていたウタは思い切ってそう聞いた。果物取り勝負の時からルフィにドキドキしていたウタは半分からかうように顔を真っ赤にしながらも聞いた。

 

「ん?結婚ってなんだ?」

「お互いに一緒の家に住んだりすること」

「えぇ〜!?嫌だぞ、俺は冒険したいんだ!!」

「はぁ〜・・・だと思った・・・」

 

予想通り過ぎるルフィの答えにウタは呆れ果てた。そもそも探検大好き冒険大好き野生児なルフィには色んな意味で早すぎた。

 

「あ、だったらウタ。こんなのはどうだ!?」

「うん?なによ・・・」

「夢が叶ったらさ、一緒に旅に出よう!!俺達だけの旅!!結婚なんてつまんねぇもんよりもずっと良いだろ!」

「ルフィ・・・良いねそれ・・・ルフィと一緒なら楽しそう!」

「だろ!?シシシ・・・」

 

ウタもまだ幼く結婚を一緒に居ることではなく、何処かの土地で一緒に住み着く事だと思っていた。ゆえにこれはウタにとっても結婚の約束ではなかったが2人は“約束”した。

 

結婚の約束ではないけれど、まるでプロポーズみたいな2人だけの“約束”。

 

しかし、その後エレジアでの悪夢が起きてウタは麦わらマークを見つけるまで思い出さないようにしていた。それをずっとやり続けていたせいでウタはルフィとの約束をいくつか忘れてしまい、これもその1つだった。

 

ルフィはこれを覚えていた。

大切な約束だからしっかりと覚えていた。そしてルフィは結婚をつまらないものとは思っていてもウタとのこの約束は面白そうとずっと思っていた。

 

2人からすれば結婚の約束ではないが傍から・・・もしも第三者が見たならこれは結婚の約束・・・“婚約”だとツッコむだろう。

 

そう、2人は“婚約”していた。












はい!
もう最終章で使う予定だったネタもガンガンと出してきますよ!!もうこうなったらフルスロットルです!!
それでは皆さん、次回も・・・・鬱展開だらけで信用のしの字も無いと思われますので・・・次回までお待ち下さい!!


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家族

えぇ、最初に言っておきます。
また鬱展開です。
ただし、これ以降は確実に上がるしかないので上げていきます!!


陰謀渦巻く城の屋上で行われるお茶会・・・暗殺計画は順調に進んでいた。

ルフィが出したウェディングケーキの中から飛び出してくるという奇抜なアイデアにベッジも混乱をより与えられると思って賛同した。

実際に上手く行っていた。無事にお茶会も進んでいき、各国から集まった裏社会の帝王達・・・ル・フェルド、ステューシー、ドラッグ・ピエグロ、モルガンズ、ギバーソン、ウミットと言った重鎮らも参加しつつ順調に進んでいく結婚式。

プリンが自身のコンプレックスでもある三つ目を見せてたじろいでるサンジを撃ち殺す計画の筈がありえない程に優しくそしてフェミニストなサンジがそれを見て美しいと言った事でプリンが撃てなくなり、神父が撃ち殺そうとしたがカタクリはそれを避けて蹴り飛ばすと分かった。自分がジェリービーンズで狙撃でもするかと思ったが結婚式が始まる前の招待客の検分の時とは違ってウタが近くにいたので出来なかった。

案の定、サンジは神父を蹴り飛ばし、場は騒然となった。

 

「カタクリ、何が起きてるの?」

「・・・分からない・・・もう止められない」

 

カタクリは構えた。リンリンも何事かと騒ぎ始めると本物のルフィとブリュレの能力でルフィの姿をコピーされた動物達がウェディングケーキをブチ壊しながら出てきた。突然の事というかリンリンの眼の前で楽しみにしていたケーキをブチ壊すという恐れ知らずな事をやったのと、ジンベエにのされたオペラが保身の為にルフィを殺したと嘘の情報を報告していたせいで大混乱になってるさなか、ルフィはリンリンの後ろにあるマザー・カルメルの写真を壊した後でウタに薬を飲ませようと考えるがその前に未来を見たカタクリの餅によってルフィは止められた。

 

「てめぇ、この放せ!!」

「カタクリ、てめぇ息子の分際で何をしてる!?」

 

リンリンはカタクリにそうキレた。ウタはそれを見て不愉快に感じながらもルフィを見ていた。またズキズキと頭痛がしてきた。カタクリは他のルフィがブリュレの能力で変えられた島の動物であることを伝えた後でリンリンにルフィの目的を言った。

 

「ママ、こいつの狙いはマザー・カルメルの写真だ」

「なっ!???!?」

「誰に教えてもらった!?それを知ってるのは身内だけの筈だ!」

「うるせぇ!!放しやがれ、絶対にお前をぶっ飛ばしてウタを連れて帰る!!!」

 

ルフィはカタクリにそう宣言した。カタクリはそれに対して複雑な感情になり、ウタはウタでルフィにビビってカタクリに寄り添った。それを見たルフィは絶対にカタクリをぶっ飛ばそうと心に決めた。もはや説明不要でただ単純に気に入らなくなった。

 

紅茶(かいりゅう)一本背負い!!」

 

ルフィが拘束されていたのを見てジンベエが紅茶を魚人柔術で操ってカタクリのモチにぶつけるとルフィの拘束が解けた。

 

「・・・一々俺の解説をするな」

 

未来を見たカタクリはジンベエが喋る前に言ったがジンベエは気にも止めずにカタクリが特殊な超人系のモチモチの実の能力者であることを言った。

 

「ウタぁ〜!!!」

 

ルフィはマザー・カルメルの写真ではなく、カタクリをぶっ飛ばしてウタを連れて帰ろうと手を伸ばすがカタクリがそれを止めた。

 

「てめぇ!!」

「ウタに近づくな!!」

 

カタクリはルフィがいるとウタの中に残ってる毒素が暴れるゆえにルフィにそう言ったがルフィはルフィでウタを奪う為に言ったのだと思った。

完全にルフィとカタクリの関係はさらに悪い方向に拗れた。

 

「あんた誰!?誰なの!?・・・この頭痛の原因!?だったらド派手にぶっ飛ばすよ!!」

 

ウタは薬で抑えてるとはいえ、ルフィを見て止まらなくなってる頭痛に耐えながらもそう言い、鉄の分銅に変えたロープでルフィを殴ろうと飛ばすがカタクリに止められる。

 

「よせ!こいつは俺がやる!」

「カタクリ・・・」

「上等だ!!なんでか分かんねぇけど俺はお前をぶっ飛ばしたい!!」

「そうか色々と複雑だが・・・俺もそれに関してだけは同意見だ!!」

 

お互いに対して気に入らない感情を燃やしながらルフィとカタクリは睨み合った。そんな騒動の中でリンリンがフラフラと呆然となっていた。

ルフィ、カタクリ、ウタはそこで漸く現場の混乱を改めて認識し、カタクリはマザー・カルメルの写真が壊されてるのを見て啞然となった。ルフィに対して熱くなりすぎていたのだ。

 

(しまった!!俺としたことが・・・!!!)

 

しかし、ウェディングケーキのブチ壊しにお茶会をブチ壊し、更にはマザー・カルメルと悪い事を重ね過ぎたせいでリンリンは奇声を上げる前に混乱していた。何に怒れば良いのかわからなくなっていた。ペロスペローなどはジェルマを拘束していて、ウタとカタクリとルフィは個人的ないざこざをしていて、ベッジも仮の護衛の立場ゆえにルフィらを狙わなくてはいけないのでジンベエがベッジらの相手をしていた。サンジやペドロはダイフクやオーブンと戦い始めてどうなるかと思われた。

しかし、写真を壊した影の立役者であるブルックはそれに気づいて写真を取り、持ち前の速さでマムの手にマザー・カルメルの写真をマムに手渡した。

それを見たリンリンは奇声と覇王色の覇気を大量に出した。カタクリはすぐに自分とウタに餅で作った耳栓をした後で大量の耳栓を作って渡していた。

 

耳栓をつけていてベッジは自分の部下と一緒に毒ガス弾のロケットランチャーを撃つがマザー・カルメルの写真によって本気でキレたリンリンの復活した覇王色の覇気よって毒ガス弾は当たることなく破壊された。

 

暗殺計画は失敗した。

 

すぐにペッジはまだウタを救えてないと暴れるルフィを捕まえてるジンベエやら皆と合流してシーザーが持ってきた鏡の中に入ろうとするがリンリンの覇気によって鏡が割れた。

たまらずベッジはビッグファーザーという巨大な城になって籠城を決意したがその時にブリュレを取り返されて鏡の世界に逃げることも不可能になった。

 

「散々、利用されやがって・・・」

「ご、ごめんなさいお兄ちゃん・・・それよりもウタに何かあったの?」

「・・・それは・・・」

「答えてよ・・・アタシの・・・友達だよ・・・」

「・・・大丈夫だ・・・俺がなんとかする・・・」

 

カタクリは利用されてきたブリュレに叱るがウタの事を言われて何も言えなくなり、止めた。ブリュレもカタクリのそんな姿を見て切羽詰まってる事を嫌でも分かった。経緯を知ってるペロスペローもそんなカタクリを見て早くこの問題を終わらせてそっちに集中しなければと思ってベッジのビッグファーザーを見た。

 

 

ベッジらに不利な状況は変わってない。ブチギレたリンリンにベッジは殴られ続けてボロボロになっていた。大砲くらいじゃビクともしないビッグファーザーの防御力も方無しだった。

 

「ベッジ!!クソ、俺が出て・・・」

「待ってルフィ!!チョッパー、止めて!!」

 

ナミに言われて重量強化(ヘビーポイント)をしたチョッパーがルフィを取り押さえた。

 

「何すんだナミ!!まだ俺はウタを助けられてねぇ!!」

「落ち着けって言ってるの!!今のこの状況で外に行っても変わらない!!サンジ君の家族は助けられた・・・次はウタだけど、無闇に外に出てもやられるだけ!!なら、少しでもこの状況を打開する方法を考えてからやらないと助けられない!!」

 

ナミの言葉にルフィは理解は出来ても納得出来なかった。ウタを助けられず、関係ないベッジが一人でリンリンらの攻撃を受けていてこんな状況で黙ってられることなんて出来なかった。

そんな中でサンジは自分の実の家族であるジェルマ66と話し合いをして折り合いをつけられたのか父親のジャッジは外に出た。

 

「出来損ないに借りは作らない・・・」

「あ、おい!」

「止めるなルフィ、あいつらなりのケジメだ・・・それよりも次はウタちゃんだ」

 

サンジがそう言うとルフィはジェルマの心配はしつつもウタを助ける方法を考えていたが何も浮かばなかった。ベッジは苦しんでる。ジェルマの足止めもそう長くは持たない。

 

「ジハハハ・・・おい、俺を暴れさせろ・・・リンリンとやり合いたくなった・・・」

 

そんな中で聞こえてきたのは檻から爆弾の首輪と錠を付けられてるシキだった。

 

「ふざけないで!!あんたと少しでも組むくらいなら死を選ぶわ!!」

「おぉ、おっかないベイビーちゃん・・・で、逃げ出す方法でもあるのか?そんな事で大事なもんを守れなくなって後悔するのと俺と組んで守るの・・・どっちが良いんだ?」

 

シキはナミではなく、ルフィを見て言った。ウタの事に関して全て自分で企てて実行したシキ。悪魔のようなやり方で徹底的にウタ、カタクリを地獄に落としてる事をルフィらは知らなかった。それにシキの力はこの状況を打開するのには持って来いだった。

しかし、シキのクズっぷりを知っていたルフィは首を縦には振らなかった。

 

「断る!!お前の助けはいらねぇ!!その為に2年間修行してきたんだ!!」

 

ルフィはシキにそう言った。

シキはまだ折れないかと少し面倒臭さを感じていた。そんな中でベッジがボロボロになりながらも一瞬だけ体を戻してそれをシーザーが担いで逃げる方法を伝えた。当然、シーザーはごねたがベッジがシーザーの心臓を握って無理矢理従わせた。

その案で一先ず立て直しを計ろうとするが外でレイジュがリンリンに殺されかけてるのを見てルフィとサンジが飛び出してそれを防いだ。

 

リンリンもウェディングケーキを潰した張本人のルフィが出たことでそっちに気が向いたのでベッジはその隙に元に戻り、シーザーが担いで逃げようとしたがシーザーの姿に変わったブリュレがそれを阻んだ。

 

散々とやってくれたリンリンにはルフィは逃げる前にバウンドマンになって一撃を入れようとするが防がれてしまって覇気を無駄使いしてしまい、サンジと一緒に逃げようにもジェルマもやられてレイジュと一緒に取り押さえられてしまった。ウタはそんな中でルフィに詰め寄っていた。

 

「あんた一体何者なの!?なんであんたを見ると頭痛がするの!?答えて!!」

「ウタ、俺だ・・・ルフィだ・・・」

「・・・知らない・・・あんたなんか知らない!!」

 

胸ぐらを掴んで言ってくるウタに薬を飲ませたかったがこんな状況ではポケットに入れていた薬を飲ませられない。ルフィは兎に角ウタの手を放させようと手を掴むがサンジの実兄のイチジをブチのめしていたカタクリがウタを引っ張って無理矢理離したせいでウタの麦わらマークの手袋が外れた。

 

「手袋が・・・カタクリ、離して!!」

「てめぇ!!」

「お前とこんな形で決着は望んでいなかった・・・」

 

ウタをこれ以上ルフィと対面させるのは危険だと思ってやったカタクリだが、3人の関係は悪化する一方だった。

手袋に仕込まれていた海楼石のせいでさらに脱力する羽目になり、ルフィは殴りかかろうにも殴れず、カタクリに押さえられてしまった。

 

 

〇〇〇

「あぁ、ルフィにサンジがそんな!!」

「俺達も加勢に・・・」

「勿論じゃ!!」

 

ルフィもサンジも押さえられた事に総員、戦闘態勢になってる中、ナミは苦渋の表情をしながらシキに近づいていった。

 

「ナミ!?」

「何をする気ですか!?」

「船長の命に変えられない・・・あんたと手を組むわ・・・シキ」

「最高のアイデアだぜ・・・ベイビーちゃん!」

 

ナミはそう言うと首輪と錠の解除スイッチを押した。

シキは解放されてベッジの中から飛び出た。

 

「なっ!?」

「何で出てる!?」

「おいおいおい!?」

「嘘だろ・・・・」

「なんであいつが・・・」

「どういうことだ!?」

「お前もオレの暗殺計画に加担してたってことかい!!」

 

シキの登場にシーザーやベッジだけでなく、サンジにルフィ、カタクリも驚き、リンリンはナポレオンをシキに向かって振ったがシキも足の剣でそれを軽々と防いだ。

 

「だとしたらどうしたババア?こんなの序の口だろ?」

「本当にお前はクソ野郎だな!!」

「てめぇもな!!」

 

罵倒し合うシキとリンリンに突っ込んで行った者がいた。ペロスペローだ。散々と家族を利用してカタクリの惚れてるウタを傷つけたシキを許せなかった。

 

「シキぃ!!」

「なっ・・・ペロス兄待て!!」

 

未来を見たカタクリがペロスペローに止まれというが時は既に遅かった。ペロスペローのキャンディの攻撃を軽々と避けたシキはそのまますれ違いざまに剣でペロスペローの右腕を斬り飛ばした。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「青いな若造・・・俺は“金獅子”だぞ?」

「ちっ、息子の分際で邪魔するからだよ」

「ペロス兄ぃ!!!」

 

カタクリはルフィやウタから離れてシキに突っ込んで殴り殺そうと拳を伸ばした。未来も見て殴った事でシキもまともに受けて吹っ飛んだがケロッとして周りの屋上にあるお菓子を浮かばせてカタクリにぶつけさせようと飛ばしたがカタクリは体を変形させて避けた。

 

「ちっ、本当に避けるのは一級品だな」

 

カタクリはまた拳を伸ばして攻撃して来るがシキはそれを避けてルフィ、サンジの2人を掴ん飛んでいた。場の注目はシキが集めていた。

 

「離しやがれ」

「離せクソ野郎」

「まぁ、黙って見とけ青二才共・・・」

 

ルフィとサンジがシキを罵倒するがシキは笑いながらそう言った。リンリンを始めとして大勢が見てる中、シキは宣言した。

 

「リンリン、俺と麦わらとギャングがやった暗殺計画の味はどうだった!?最高だったろ!?・・・いずれてめぇとは決着付けるが今回はもう戯れるのも飽きたんでなこれで帰らせて貰うぜ!!」

「オレから逃げれると思ってんのか!!」

 

リンリンは覇王色の覇気をシキにぶつけるがシキも出して覇王色同士の激突が起こった。バチバチと四皇クラス同士のぶつかり合いで周りが吹き飛ばされていく中、ある物も吹き飛ばされた。

 

それは魚人島でルフィがリンリンに喧嘩を売った時に一応、詫びとして渡した宝物の中にあった国宝の玉手箱でホーディ・ジョーンズに中身を奪われてから空になってしまったので今度、盗む輩が出た時に酷い目に会わせようと開いた瞬間に特大の爆発がするように仕掛けていたのだがその玉手箱がリンリンとシキの覇王色のぶつかり合いで吹き飛ばされて城の下にまで落ちると開いてしまい爆発した。

 

「ん?」

「なんだ?」

 

玉手箱の爆発によって城が崩壊して倒れ始めた。わけのわからなくなった状況に混乱する面々の中、シキやシーザーはその隙をついて脱出。ルフィは麦わらマークの手袋を懐に入れた。

万国は崩壊するかと思ったが料理長であるシュトロイゼンがあらゆるものを食材に変えるククククの実の力で倒れゆく城を生クリームに変えて被害を最小限に抑えた。

 

 

 

〇〇〇

シキとシーザーは無事に城から離れる事が出来るとルフィ、サンジ、ベッジを離した。ベッジも中にいた面々を出した。ルフィはすぐにシキに殴りに行ったがシキは軽々とそれを止めた。

 

「おいおい、助けてやったのに随分と手荒いな」

「お前とだけは組んだ覚えがねぇ!!」

「ジハハハ、文句を言うならベイビーちゃんに言うんだな・・・全部、ベイビーちゃんの判断だ」

 

シキに言われてルフィはナミを見るとナミも切羽詰まった表情を返していた。それを見たルフィはナミの心情を察して何も言わなかった。だが、それでもシキを殴りたかったルフィが更に殴ろうとするがジンベエがそれを止めた。

 

「落ち着くんじゃルフィ!!無事に儂らは脱出出来た!!次はウタを助ける方法じゃ!!」

 

ジンベエに諭されてルフィはウタを助ける方が大事なのでそっちに集中しようとしていた。一方ベッジはシーザーに心臓を返そうと雑に投げるがシーザーが取る前にシキがそれを取った。

 

「なぁ!?てめぇ、それは俺の心臓だぞ!!」

「そうか、ならこれで言う事を聞くな?」

「あぐぁ!!」

 

容赦なく心臓を握ってシーザーを苦しめるシキ。シーザーは投げたベッジに睨むがベッジとしてはさっさと取らなかったシーザーが悪いとしか思ってなかった。

 

「あ、そうだ麦わら・・・お前に1つ教えてやるよ」

「なんだ!?お前の相手をしてる暇は・・・」

「お前のガールフレンドに毒を持って記憶を無くさせたのは・・・俺だ♪」

 

シキはルフィに真実を教えた。あまりの事に場は凍った。自分を指さして明るく答えるシキにルフィはまだ覇気も戻ってない状態で問答無用で殴った。シキはそれを受けてわざと倒れた。そしてルフィはシキに馬乗りになってガンガンと顔を殴った。

 

「お前・・・お前ぇ!!」

「もっと・・・もっと殴れよ・・・あぁ!?こんなもんか!?」

 

殴っても殴ってもケロっとしていたシキは叫んでルフィを吹き飛ばして立ち上がった。だが次に来たのはブルック、チョッパーの攻撃でそれを受けて飛んだらナミの雷撃、極めつけはサンジとジンベエの攻撃を全て武装色の覇気で防いだシキはあくびをしていた。

 

「なんだこんなもんか・・・もうちょい強くなってると思ったが、まぁ覇王色を纏えないやつの攻撃なんてこんなもんか・・・」

「よくもウタを!!絶対にお前はぶっ飛ばす!!」

「ふっ・・・その張本人に助けられたマヌケはどいつだ?お前だろ??・・・どんな気分だ?ガールフレンドを殺しかけた奴に助けられるのは?」

 

覇気は依然として戻ってないがルフィはシキに掴みかかってまた殴るが一向に効いてなく、武装色で硬化した腕で首を掴まれた。

 

「お前、確かさっきこう言ったな?俺とは組まないと言ってその為に2年間修行したって・・・で?結果はどうだ??自分の力で守れてねぇじゃねえか・・・」

「この!」

「ルフィを離せこのクソ野郎が!!」

 

サンジの叫びと共に面々がルフィを助けようと突っ込んでいくがシキは周りの地面を浮かび上がらせて壁を作った。

 

「これで良し、で麦わらどんな気分だ?・・・苦痛か?それとも怒りか?」

「うるせぇ・・・」

「2年前に兄貴を失って今度はガールフレンド・・・麦わらぁ・・・お前の“家族”は皆酷い目に会うなぁ」

 

シキの煽りにルフィはシキを蹴ろうとしたが逆に自分が地面に叩きつけられてしまった。

 

「新聞で読んだよ・・・革命軍のNo.2とも兄弟なんだって?次はそいつかな?それともガープか?父親のドラゴンか?兄貴に恋人、お前の“家族”はよく苦しむなぁ、仲間を幾ら守れても・・・“家族”は守れない哀れな男」

 

自分に取っての地雷まで踏み込んできたシキにこれ以上ない怒りを持って攻撃しようとするが出来なかった。さらなる煽りをシキはやろうとしたがその前に壁をブチ壊したジンベエがシキに殴りかかってきたのでシキは飛んで避けた。

ゲホゲホと息を整えながらもルフィは顔を歪ませながら睨むとシキは嘲笑った。

 

「ジハハハハハ!!その顔だ!!この2年間、戻っていく中でずっと見たかった物がある!!お前のその苦痛に歪んだ顔だ。空での戦いの時にどうすれば絶望するのか考えてた。そして今回ので分かった・・・お前は“家族”を助けられない男だ」

「腐っとる!!」

 

魂の髄から腐ってるシキの言葉にジンベエがそう罵倒した。

 

「ふ~ん、ジンベエ。てめぇもそいつに助けられた口だろ?何を助けて貰った?故郷か?・・・それにお前らも助けてもらった口だろ?」

 

シキは今度はルフィではなくジンベエ達、仲間を煽り始めた。

 

「で、お前らは助けてもらっておいて何を返した?んー?・・・そいつの兄貴でも助けに行ったか?哀れな船長・・・仲間や仲間の家族に故郷をどれだけ守っても・・・仲間には守ってもらえない船長・・・お前みたいな奴が海賊やってるから海賊の価値は下がったんだ!!・・・麦わら、お前海賊辞めなよ・・・向いてねぇよお前・・・」

 

シキの煽りはルフィや仲間達を確実に蝕んでいった。

 

「相当なクソ野郎だなジジイ・・・」

 

シキと麦わらの一味の諍いを見ながらベッジはシキに向かってそうはっきりと言うとシキはベッジを笑った。

 

「ジハハハ!お前もこうなる。お前は大海賊時代のミーハー共の中でも1番俺に近いからな・・・」

「・・・そうか、ならてめぇに会って良かったよ。俺は死んでもお前と同じにはならん!!」

「ちっ、かわいくねぇガキだぜ」

「それよりも聞かせろ。1年前のアラバスタのライブから裏社会に流れたトットムジカの伝説・・・あれをばら撒いたのはお前だな?」

「あぁ、そうだよ・・・俺もあの時、アラバスタにいた。純粋に観光旅行中だったがウタワールドに入ってトットムジカの伝説を思い出した。古代兵器の力を求めてる時に古い言い伝えの1つとして覚えてたからな」

「だとしたら、妙な事がある。てめぇがすぐにウタを捕まえなかったのは何でだ?」

 

ベッジがそう聞くとシキは初めて顔を歪ませた。シキは屈辱的な事を言いたくは無かったがそれを思い出す度に怒りに溢れて感情を抑えられないでいた。

 

「あの時、アラバスタのライブで思い出したがその時にはもう既に小娘は何処かに行っていた。途中で襲おうにも俺は政府にも追われていて目立てなかった上に小娘は遭難・・・運が無かったんだって諦めたよ。一回は・・・だがある時、見つけた。酷く焦燥していてこりゃ捕まえて教育すれば簡単に操れるって思ったが政府の追手もあったんで俺は近くにいた雑魚海賊を力でねじ伏せた後に小娘を捕まえるように言った。簡単な内容だから出来ると思ってな」

 

ここまで話すとシキは途端に覇王色の覇気を出してキレた。

 

「なのに!!あの赤っ鼻に・・・“千両道化”のバギーに邪魔されたと聴いて啞然となったよ!!オマケに大将のクソガキ共と戯れあう面倒臭い事もさせられて・・・暫く時期を見ようと思ってワザと捕まって出たら・・・あの小娘は赤っ鼻の娘だって言うじゃねぇか!!・・・殺したい・・・あの弱え赤っ鼻だけは死んでも殺す!!あいつが邪魔しなければ俺はとっくにトットムジカを手に入れてたんだ!!」

 

シキが明かしたのはウタとバギーが出会った時の真実だった。そうシキはずっと前からウタを狙っていた。そしてそんなシキの計画をブチ壊してウタを守っていたのは誰でもないバギーだった。

 

悪運が強いのかただの不運なのか分からないがそれこそバギーは“出会う前”からずっとウタを守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃。

生クリームになった城の近くでリンリンの子供達やウタは怯えていた。

 

「麦わら・・・貴様は死んでも殺してやる・・・」

 

これまでルフィに対して敬意を持っていたカタクリはシキとルフィが組んでいたと思うとその敬意をすぐに捨てて怒りに変えた。覇王色の覇気が出まくり、その姿に周りは何も出来なかった。

 

「麦わらぁ!!!!!」

 

カタクリの怒りの叫びが響き渡った。

 

「お兄ちゃん・・・」

 

そしてそれを見たブリュレは悲痛な思いを抱いてあることをしようと決めた。









というわけで結婚式を粗方飛ばしまくってやりました。
殆ど原作と一緒だったので・・・
そしてシキはルフィに精神攻撃をやりますが本当に書いててキツイ・・・一応言っておきますが私、鬱展開ハ苦手なんです・・・ただ、どういうわけか寝たらすぐにそんな展開を思いつく厄介な体質で止まんなくなるんです!!
ごめんなさい!!


そして明かされたシキとウタとバギーの因縁。
これも最終章で明かす筈だったネタです。
さてと最終章の展開を構成し直さないといけなくなりましたが今を面白くする為なら躊躇しない質ですのでこれからも頑張ります!!
そして次回から鬱展開は終わります。
もうこれ以上重くしません!!
絶対に上げます!!


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火拳

こっからは上がりますよ!!
散々と鬱に付き合わせてしまって申し訳ございません!!
それではどうぞ!!


カタクリがルフィをどんな手を使ってでも殺そうと決心していた。その姿は暴れるリンリンを彷彿させる物で嫌でも息子であると思わせていた。

その頃、リンリンはウェディングケーキを食べれなかった事により、目的のお菓子を食べるまで記憶が消えて暴れる食い患いを起こして暴れていたがシキに腕を斬り落とされたがすぐにキャンディの義手を作ったペロスペローが怒りの矛先を麦わらに向けさせた。

なんとかリンリンの脅威はさっても今度はカタクリだった。周りはいつものカタクリと違う変わりように驚き、恐怖を感じているがここでカタクリを止めた者がいた。

兄であるペロスペローだ。

 

「何をするペロス兄!!」

「カタクリ・・・私はお前のそんな姿を見たくない。もう止まってくれ」

 

ペロスペローは兄としてカタクリにリンリンと同じ姿になって欲しくなかった。完璧を求めてるとか優秀とかではなく、怪物になって欲しくなかった。

 

「ペロス兄!カタクリを離せ!!」

「黙れオーブン!!これは私とカタクリの問題だ!!手出ししたやつは誰であろうが許さんぞ!!」

 

事情は知らないがペロスペローの言葉に誰も逆らえなかった。それほど鬼気迫っていてペロスペローとカタクリの諍いに割り込めなかった。

 

「頼む・・・離してくれペロス兄・・・離せよ・・・離せって言ってるだろ!!」

「カタクリ・・・昔からお前は自分の事を後回しにしてきたな・・・今度は兄ちゃんがお前を助ける番だ・・・麦わらの首は俺が取る!」

 

シキがルフィと組んでると誤解したのはカタクリだけではなかった。ペロスペローもブチギレていた。そして大切な弟の為にルフィを殺す気満々だった。

 

「離せ・・・離せ!!」

「ブリュレ、すぐにミロワールドに軍隊を送って麦わらの船に行くぞ!!」

「う、うん。分かった・・・」

 

ペロスペローが指揮を取り、命令をしていく最中ウタも一緒に行こうとペロスペローに近づいた。

 

「アタシも連れて行って!手袋を取り返さないと!!」

「・・・分かった・・・ついて来てくれ!!」

 

ウタの目にペロスペローは毒の事が心配ではあるものの了承した。記憶なんかもはやどうでも良かった。戦力は多い方が良かった。そしてルフィを殺せるなら誰の力でも借りたかった。

こうして多くの者が戦闘を準備してルフィらに向かっていく最中でカタクリはペロスペローがやった拘束を解こうと必死になっていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

シキはバギーに対してとてつもない殺意を抱いて叫ぶと息を切らしていた。それ程までに屈辱だったのだ。

その姿を見てルフィは漸く分かった。ウタがなんでバギーを心から慕っているのか、自分にとってのシャンクスがウタにとってはバギーだったのだ。

 

その事実をルフィは漸く認められた。

 

“家族を守れない”。先程のシキの言葉はルフィを確実に蝕んでいた。実際にルフィは兄である火拳のエースを守れなかった。そして今度は大切な人であるウタも守れてない。誰よりもルフィがそんなの1番分かっていた。

 

ギア4の影響でまだ覇気が戻ってないルフィはシキを殴っても全然効いてなかった。2年前に味わった無力さをルフィはまた感じていた。

 

「さて、お前のその顔も見れた。もう要はねぇ。絶望のまま死んであの世からガールフレンドが苦しむ様を眺めてろ」

 

シキはそうやって嘲笑いながら巨大な獅子で周りを囲った。武装色の覇気を纏わせていて2年前されたみたいに獅子を壊すのは容易ではない。

まだ覇気を戻してないルフィは勿論、サンジやジンベエの2人でも獅子を1つは壊せても全ては間に合わなかった。

 

そんな中で1人飛び出した者がいた。

ペドロだ。

かつてリンリンによって50年の寿命を取られてもう長くはないペドロはルフィに付いていく中で予感していた。これが最後の旅になると、ゆえにペドロは誰よりも先にシキに飛びついて掴んだ。

 

「てめぇ、離しやがれ!!」

「断る。死んでもらうぞ」

 

ペドロは服の中に準備していた。ダイナマイトに火をつけて自爆した。

 

「ペドロ〜!!」

 

キャロットだけではなく、ほぼ全員が叫んだが落ちてきたのはペドロが持っていた武器の剣だけだった。

爆発が効いたのか周りの獅子は全てなくなった。

 

「今すぐ行くぞ!!」

「でもルフィ・・・」

「ペドロがやってくれたのに俺達がそれを無駄にしたらペドロに会わせる顔がねぇ!!」

 

ルフィは船長として皆に命令した。

その事にジンベエとサンジは頷いてすぐにこの場から離れた。ベッジもまたルフィらとは別れた。

 

「忌々しいなぁ・・・本当にロジャーみたいに周りを味方につけて・・・だからムカつくんだよ、麦わら!!」

 

煙が晴れて見えてきたのは少し怪我をしつつもまだピンピンとしていたシキだった。シキはルフィをこのまま追いかけようか迷い始めるがもっと絶望を与えたいと下劣な事を思いついて、一先ず追いかけなかった。

 

 

 

 

〇〇〇

あれから、ルフィはやってきた食い患いを起こしたリンリンの攻撃を必死で避けつつもどうするべきか考えていた。ウタを助けたいのに離れるしかない。ペドロが命を掛けて助けてくれたのに何も出来ない。

そんな風に心が乱れてるルフィにサンジが話しかけた。

 

「ルフィ!冷静になれ!!見聞色の覇気でサニー号をよく見ろ!!お前なら見れるだろ!?」

 

サンジに言われてルフィは頭を冷やした。見聞色は冷静でないと上手く使えない。そして2年間徹底的に鍛えて成長を続けたルフィの見聞色がサニー号を捉えた瞬間に分かった。

ウタはブリュレの能力でサニー号に先回りしていた。

 

「ウタ!」

「ルフィ、さっき俺に言った事をそのまま返してやる!大丈夫だ、お前には俺達がいる!!2年前は守れなかったが今度は守らせてくれよ・・・お前の家族」

「サンジ・・・」

 

ルフィはその言葉を聴いて気合を入れ直した。全部守る為に2年間必死に鍛えてきた。今度は大事なものを絶対に離さない為にもルフィはウタの元に進んだ。

覇気も戻ったのもあってルフィは戦うために麦わらマークの手袋をナミに渡した。入ってる海楼石で脱力するからだ。ナミも死んでも落とさない事をルフィに伝えた。

その後、必死に追いかけてくるリンリンとホーミーズのプロメテウスやゼウスの攻撃を避けたが厄介だった。するとゼウスがナミの魔法の天候棒(ソーサリー・クリマタクト)から出てくる天候の卵(ウェザー・エッグ)を食べた事によって一時的にナミの天候棒に操られて特大の雷をリンリンの元に落とした。

それでもまだ追ってくるリンリンの追撃を躱してるとシフォンとプリンがやってきて食い患いを止めるためにサンジが必要と言うがプリンに騙されていた事もあって信用出来なかった。おまけに凄い罵倒に近いセリフを吐く始末。しかし、それが単なる感情の裏返しだと分かるとサンジはプリンやシフォンとともにカカオ島に行き、後で合流することを言った。

 

一方、サニー号では潜入に使ったシャークサブマージ3号で先に川から戻っていたブルックとチョッパーは戎兵の相手をしていたが倒しても倒してもやってくるので疲弊し始めていた。

 

「ペロスペロー、この2人。無茶苦茶強いよ!」

「戎兵に任しておけば良い。私は麦わらの首しか興味無い・・・先程のゼウスの攻撃で生きてるとは思えないが生きてるなら確実に私が殺す!!」

 

ウタの言葉にペロスペローはそう答えた。もはやルフィ以外、興味はなかった。散々と弟とウタを苦しめたシキと手を結んだルフィを殺したくてしょうがなかった。

そして森の向こうからルフィがリンリンに追われながらやってきたのを見てペロスペローが叫んだ。

 

「麦わらのルフィ!!俺はシャーロット家長男ペロスペロー!!お前だけは死んでも殺してやる!キャンディランス!!!」

 

ペロスペローは特大のキャンディの槍を作ってルフィ目掛けて放った。ジンベエは回り込もうと言ったがルフィは突っ走る事を命令した。

 

 

「ゴムゴムの火拳回転弾(レッドライフル)!!」

「炎!?」

 

炎を纏った回転する拳が回転しながら向かってくるキャンディランスを貫いた。ペロスペローは堪らずにそれを避けたが、その隙に詰め寄ってきたルフィは片方の腕を引いていた。

 

「しまっ・・・」

「ゴムゴムの火拳銃(レッドホーク)!!」

 

決心し直したルフィの渾身の受け継がれた“火拳”の一撃がペロスペローの胴体にめり込んだ。普段ならこれでやられることは無いのだがシキにやられた傷を十分に手当てせずにやってきた事が重なり、吹き飛ばされた。

ペロスペローをぶっ飛ばした後、ルフィは上に飛んで戎兵達に向かって拳をブチ込んだ。

 

「ゴムゴムの雨!!」

 

戎兵を全て片付けたがまだまだ兵が鏡からやってくるし、リンリンはすぐ後ろまで迫ってきた。

どうするべきかと一瞬別の事を考えた隙にルフィの頭に分銅が飛んできた。

 

「アタシの手袋を返せ!!」

「ウタ!!」

 

何とか避けて投げた者を見るとそれはウタだった。完全に自分を敵として認識してるウタにルフィは悲しくなったがだからこそ絶対に助けようと決めた。

 

「ケーキィ〜!!!」

 

食い患いを起こしてるリンリンがサニー号の後ろをバリバリと攻撃している最中、クー・ド・バーストを使ってなんとか空に飛んで少し離れた。

鏡からドンドンやってくる戎兵もウタも驚いた。

ルフィはウタの事に集中したかったがやってくる戎兵達も心配だった。

 

「ルフィ!」

「ルフィ!」

「ルフィさん!」

「ルフィ!」

「ルフィ!」

 

そんな中でルフィは突然と全員に呼ばれて顔を向けると皆、笑顔を向けてくれていた。

 

『ここは任せろ!!』

「シシシ、あぁ、任せた!!」

 

ルフィはそう決心してウタの方を見ると後ろにある戎兵がやってきてる鏡からブリュレが手招きしてるのが見えてルフィはウタを抱きしめてそこから鏡の世界へ飛び込んだ。

 

「うわぁぁぁ、ここにやってきたぞ!!」

「どうする!?」

「ウタ様を助けて・・・」

 

戎兵達がルフィがウタとともにやってきた事に対して構えるがそれをブリュレが止めた。

 

「止めなあんた達!足手まといだよ!!それよりも麦わらの船に向かいな!!鏡はそこだけじゃなくて他にもまだまだあるよ!!」

「そうはさせるか!!」

 

ルフィは入ってきた鏡を割った。鏡の外では鏡が割れた事にナミが戎兵達と戦いながらも欠片を持って話しかけてきた。

 

「ルフィ、何かあったの!?」

「ナミ!!船の鏡を全部割れ!!男部屋とか風呂とかも含めて全部だ!!俺はウタに集中したい!!」

「・・・わかったわ!!私達はサンジ君がケーキを作ってるカカオ島を目指す!!・・・距離とケーキを作る時間を考えて10時間後に合流よ!!1人で帰ってきたら引っ叩いてやるから必ずサンジ君も含めて“3人”で来なさい!!」

 

ルフィはナミにそう激励されて絶対にウタを連れて帰ると誓った。ブリュレはそれを見た後で次々と割られていく鏡を見たのもあって戎兵達に命令した。

 

「あんた達は麦わらの船を追ってるウチの船に行きな。アタシもウタを連れて行くから・・・」

「分かりました」

 

命令された戎兵達は全員、鏡の世界から出た。

ブリュレはそれを見届けると対面してるウタとルフィから離れた。

 

「海楼石付きだからアタシの手袋はサニー号の上だね」

「あぁそうだ、ウタ!」

 

ルフィは覚えてないがルフィと旅して教えられたサニー号は覚えていた。その矛盾だらけの記憶のせいでウタはまた頭痛を感じて頭を抑えたが薬のお陰もあって堪えられていた。

 

「あんたを倒して手袋を取り返す!!」

「俺は絶対に倒れねぇよ!!ウタ・・・そろそろ俺達の喧嘩を終わらせよう!!」

「あんたなんか知らない!!」

 

ウタはルフィに向かって思いっきり分銅をぶつけようとロープを操るがルフィはそれを避けてウタに向かっていった。

 

ルフィとウタの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

カタクリは全身を変形させることができる自然系に近い超人系の能力者。焼き餅という肘を熱膨張させて拳を飛ばす技の容量で全身を熱膨張させてキャンディの拘束を吹き飛ばした。

 

カタクリはそのまま近くの家にあった鏡からブリュレの能力で鏡の世界に行こうとした。ブリュレが鏡の世界に行けば入れるからだ。

しかし、ブリュレはカタクリが行こうと瞬間に眼の前の鏡から出てきた。

 

「ブリュレなんのマネだ?・・・早く入れ・・・麦わらを殺せない・・・」

「お兄ちゃん・・・お願い・・・アタシの話を聴いて・・・麦わらは最後までシキと組んでなかった・・・全部あいつに良いようにされてただけなの・・・」

「それがどうした・・・知りませんでしたで済む問題じゃない・・・あいつだけは殺す・・・ウタを助ける・・・」

 

ブリュレはカタクリに真実を言った。拘束されている中で聞いた事、見た事をありのままに伝えてもカタクリにはもう何も効果がなかった。

 

「今、麦わらはシーザーがペロスお兄ちゃんに脅されて作った新薬をウタに飲ませようとしてるの・・・それさえ飲めば毒素はより抑えられるって・・・」

「早く俺をミロワールドに入れろ!!ウタが・・・ウタが!!」

「お兄ちゃん!!アタシ・・・ウタの友達だよ・・・それに麦わらはウタの為に必死なのも分かった・・・」

「何でそんな事がわかる!?」

「だって・・・だって・・・そっくりなんだもん!!なんでかわかんないけど・・・そっくりで昔のお兄ちゃんを見てるみたいで・・・だから、信じてみたい!!」

「・・・こんな話は無意味だ・・・」

 

 

ブリュレはウタを助けようとしてるルフィの姿にカタクリが重なった事を泣きながらも言ったが、効果は無かった。カタクリはやりたくは無かったが怒り心頭のまま泣いてるブリュレを無理やり鏡に押し付けて鏡の世界に入ろうとしたら、ブリュレはカタクリの伸ばしてきた手の前に鏡を創り出した。

 

「リフレクション!!」

 

ブリュレが叫ぶと鏡から反射されたカタクリの手が飛んできて首をカタクリはそれに掴まされた。

 

「ブリュレ・・・!!」

「アタシ・・・お兄ちゃんが苦しむ所なんか見たくない・・・誰よりも分かってるから・・・だからお兄ちゃんを助けるためなら、友達を助けるためなら・・・お兄ちゃんとだって戦ってやる!!」

 

涙を流しながら叫んだブリュレの一言に遂にカタクリは顔を思いっきり歪ませた。こうして、ルフィとウタが鏡の世界で戦ってる中、現実ではカタクリとブリュレの兄妹喧嘩が始まった。

 











というわけでルフィVSカタクリの前にルフィVSウタです。次回はベッジの株が上がるのでご期待下さい。
そしてカタクリVSブリュレです。
結論を言うならブリュレは名ヒロインです!!
それでは次回をお楽しみに!!
やっと鬱が終わったよぉ!!
絶対に最終章は爽やかにしたい!!



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接吻

はい!タイトルから分かると思いますがやりますよ!!
そして書いてて思った。
ベッジ、あんたは最高のファーザーだぜ!!


ルフィはウタのロープを避けながらベッジに言われた事を思い出していた。

 

『いいか?男と女の喧嘩は男と男の喧嘩みたいに殴り合うもんじゃねぇ。わかってるか?』

『おう、俺もウタを殴りたくねぇ』

『よし、なら次にお前が守らなきゃいけないのは絶対に攻撃を受けない事だ。全部避けろ』

『・・・?ゴムだぞ俺?』

『バカ!お前今、殴りたくねぇって言ったろ?それを向こうも同じだと考えろ。効くか効かねえかじゃねぇ!当たってないことが大事なんだ。1発でも受けたら仲直りしても2度と元の関係には戻らねぇ』

『えぇ!?そうなのか!?分かった、全部避ける!!』

 

ベッジはルフィに真っ先にそうアドバイスをした。そのおかげがルフィはウタの攻撃で1回も当たってはいなかった。見聞色を鍛えてるルフィにはこんなの朝飯前だった。

ウタは攻撃を避けまくるルフィに対してキレかけそうになるがバギーに教わった通りに冷静に対応しようとしていた。

 

「よく避けるね!」

「シシシ、懐かしいなぁ・・・昔、どっちがシャンクスの真似が上手いかで木の枝でチャンバラとかやってみたよな!お互いに下手くそで当たんなくて最後は確かシャンクスが怒って取りやめになったっけ?」

 

『ちょっと■■■!避けないでよ!!』

『ウタもだろ!』

【2人はシャンクスの真似をしてチャンバラをやっていたがお互いに下手くそな事と運動神経が良かったのもあって当たらなかった】

『あんたが下手くそなだけでしょ!』

『ウタが言うなよ!』

『お前ら!!なに危ない事をやってんだ!?』

『ヤバいシャンクス!』

『逃げろ!!』

 

ウタはルフィの言葉を聴いて確かに思い出していた。しかし、誰と遊んでいたのか覚えてない。記憶はまだルフィの事を封印していた。

ウタはズキズキとしてきた頭痛に対して頭を抑えつつもルフィを睨んだ。睨まれたルフィはベッジに更にアドバイスされていたことを思い出していた。

 

『それを守ったら次は大事な思い出を言っていけ』

『でもそれじゃ、ウタが・・・』

『あん?てめぇと歌姫の思い出は毒かなんかで無くなるほどしょぼいのか?』

『そんなわけねぇだろ!!』

『だったらやれ!!男はなやって成功するかやって失敗するかしかねぇんだ!!』

 

ルフィはその言葉通りにウタとの思い出を語ろうと決めた。それは自分とウタと赤髪海賊団との思い出だった。ウタが攻撃するたびにルフィは避けて話し始めた。

 

「この!」

「狙いをちゃんとつけろってヤソップに言われただろ。ウタ」

「!!」

 

『なぁヤソップ』

『どうした■■■?』

『狙撃をやるコツってどうすんだ?ウタと的当て勝負をやってて気になって』

『へぇ、どっちが勝った?』

『あたしよ♪』

『ズルいぞ中心に近ければ点が多いなんて!俺のほうが多く当たったのに!!』

『出た、■■■の負け惜しみ〜』

『ハハハ、よしちゃんと当てるコツは当てる方をちゃんと冷静に見てやることだ!』

 

またズキズキとし始めたウタの頭。

モヤが掛かって凄く苦しくなるし、痛くなってきた。それでもウタはルフィを倒すべき敵としか認識していなかった。

 

構わずロープを飛ばして攻撃してくるウタにルフィは鏡の世界にある壁やらに手を伸ばして上に行くとウタもそれを追いかけた。しかし、ウタは頭痛のせいで手元が狂ってしまい、落下した。

 

「ウタぁ!!ゴムゴムの風船!!」

 

地面に当たる間一髪の所でルフィが体を膨らませてウタを守った。その事にウタはルフィと崖上り勝負の時に一緒に落下した事を思い出していた。

 

『『うわぁぁぁぁ!!』』

『ウタ、■■■!!』

『『ルウ!!』』

【たまたま近くでのんびりとしていたルウは巨大な腹を使って2人のクッションになった】

『お前ら大丈夫か!?ちゃんと安全は確保してやれ!!』

 

ウタはまた頭痛はするものの大きく体を膨らませたルフィになら当たると思って狙ったがルフィは身軽にそれを避けた。

 

「昔は俺が身軽なモンスターに対して躍起になってたな!」

「うるさい!!あんたなんか知らない!!」

 

『クソ、モンスター待て!!』

『ハハハ、■■■。モンスターにやられっぱなしだな!』

『クソぉ〜・・・』

『モンスター、こっちに果物があるよ~』

『ウキ♪』

『あー!!ずるいぞウタ!!そんなの無しだぞ!!』

『出た、■■■の負け惜しみぃ〜』

 

確かにウタは誰かに対してそんな事を言った。必死にモンスターを追いかけ回していてボング・パンチに笑われてても必死に追いかけていた少年・・・しかし、まだ思い出せなかった。

ルフィはウタを見ながら、まだ話しかけていた。

 

「そう言えば、俺もウタももう大人だからタバコとか吸えんのかな?まぁ不味いけど・・・」

「馴れ馴れしくしないでよ!!」

 

『ウタ、これってベックマンが吸ってるやつだよな?』

『うん、ベックマンのタバコ。■■■は吸ったことある?』

『いや、ねぇ!ウタは?』

『アタシも無いなぁ・・・だからちょっとやってみよ!』

『いいな!!』

【2人はタバコに火をつけて吸ってみた】

『『不味い・・・』』

『お前ら!俺のタバコを取って何をやってんだ!!』

 

ウタはそれを思い出した。後でホンゴウからタバコがどれだけ体に悪いか教えて貰ってウタは二度と吸わないことを決めた。

ルフィもその後は不味い物として認識していた。

 

ルフィはその後も一生懸命、赤髪海賊団との思い出を話していた。しかし、ウタはまだルフィを思い出せないでいた。

 

 

 

〇〇〇

ブリュレはカタクリと戦っていた。大切な妹をカタクリが傷つける事など出来るはずもなく、カタクリはブリュレを捕まえようとしたがブリュレは反射してそれを返していた。

見聞色で未来を見ようにももうカタクリの精神はボロボロだった。本気で惚れたウタを守れず、兄は腕を斬り落とされて、敬意を払ってた相手は元凶に助けられていて妹と戦う羽目になってと散々だった。

 

「お兄ちゃん、本当にもう止めて・・・待って・・・お願い・・・」

 

ブリュレは泣きながら必死にカタクリに止まるように訴え続けている。カタクリはもう耐えれなかった。

 

「頼むブリュレ・・・もう行かせてくれ・・・」

「お兄ちゃん・・・だから・・・」

「もう分かんねぇんだ!!・・・何でこうなっちまったのか・・・俺にももう分かんねぇんだ・・・ウタは守れない・・・兄ちゃんの腕は斬り落とされる・・・麦わらはあのクズに守られて・・・お前と戦うことになって・・・」

 

ボロボロと出てくるカタクリの懺悔。その目からは涙が溢れていた。泣いてるカタクリを見たことがなかったブリュレはより苦しくなった。

 

「頼むよ・・・お前まで敵になったら・・・俺は・・・何のためにここまでやってきたのか分かんなくなる・・家族に毒をやられて・・・なんでこんな事に・・・」

「誰がやったの・・・誰がウタに毒を・・・」

 

ブリュレはカタクリからウタに毒を盛った兄弟姉妹を聞き出そうとした。普通なら絶対にカタクリは教えない。しかし、ボロボロだったカタクリは叫んでしまった。

 

「アナナだ・・・まだ8歳のアナナがウタに毒入りの金平糖を渡したんだ!!・・・まだ8歳だぞ!?」

 

カタクリは泣きながらそう叫んだ。カタクリはウタから誰に貰ったのか教えてもらっていた。そうシキに金平糖をウタに渡すように言われたのはシャーロット家で1番の末っ子である8歳の妹であるアナナだった。ウタも8歳のアナナから貰ったから大丈夫と思って食べたのだ。

 

「俺は何をやってんだ・・・ウタを危険な目に会わして幼いアナナに辛いことをさせて・・・俺は・・・何を・・・」

「お兄ちゃん・・・」

 

シキの残酷かつ卑劣な悪意だらけの謀略にまんまと利用されてボロボロにされた兄弟姉妹・・・ブリュレは1番それに堪えてるカタクリを安心させたくて近づいた。

次の瞬間、カタクリは腕を伸ばしてブリュレを拘束した。

 

「ぐえ!!」

「だから・・・ウタだけでも俺は助ける・・・すまないブリュレ・・・」

 

カタクリはブリュレにそう謝りながら鏡に押し付けて無理矢理鏡の世界に入った。

 

「ウタ・・・麦わらぁ・・・」

 

フラフラとブリュレから離れてウタとルフィを探し始めた。それはまるで食い患いを起こした母親であるリンリンのようでブリュレは大切な兄が怪物になったと思った。あれこれ決心しても何1つ守れなかった事にブリュレは涙が止まらなくなった。

 

「ちくしょ・・・ちくしょーー!!!」

 

虚しい叫びだけが鏡の世界に響いた。カタクリがルフィとウタに接触するまで後少し。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィとウタの戦いは続いていたが進展はなかった。ルフィがどれだけウタと赤髪海賊団との思い出を語ってもそれはウタに取って衝撃的な記憶とは認識されてなかったのか思い出せてなかった。

 

「ウタ・・・」

「うるさい!!なんなのあんたは!?ずっと頭が痛いし、うるさいし、何者なの!?」

「お前と新時代を誓った男だ!!」

 

『作ろう新時代』

『おう!』

 

「あぁ!あぁぁぁぁぁぁ!!」

 

今までで1番強烈な痛みがウタを襲った。あまりの激痛にウタは頭を抑え始めた。脳を焼き切る、ハンマーで頭を叩かれる、そんな言葉では言い表せないほどの痛み。ロープを無茶苦茶に振ってなりふり構ってられなくなった。

 

「ウタ!」

 

ルフィはウタに薬を飲ませようと近づいていくがロープを振ってデタラメに暴れるウタの攻撃にはウタの意思が込められてないので見聞色の覇気は使えなかった。そしてルフィはギリギリで迫りくる分銅を避けたが服に掠ってしまった。

 

「あぁ、薬が!!」

 

最悪な事に3つあった薬の内、2つがそれで割れて使えなくなった。残り1つ。絶対に飲ませないといけなくなった。

 

ルフィはそれを拾って向き合うが、ウタは目の前から突っ込んできて胸ぐらを掴んで押し倒した。

 

「ウタ・・・!!」

「なんなのあんた・・・痛い・・・ずっと痛いの!!なんでこんなに痛むのか分かんないほどずっと痛いの!!・・・薬って・・・毒を盛ったのはひょっとしてあんた!?」

 

ルフィが言った薬という単語にウタは誤解してしまった。ルフィが毒を盛った犯人だと思ったのだ。シキの事をカタクリが教えなかったのもあってここに来て最悪の誤解をした。

 

「違う、俺じゃねぇ!!これはお前の痛みを抑えるための薬だ!!」

「なんで・・・何で他人のあんたがそこまでやるのよ!?」

「他人じゃねぇ!!俺にとって最初の友達だ!!ウタが居なくなって1人になって凄え辛かった!!全部もうわかった!!ウタも同じ気持ちだったってのも・・・俺がシャンクスに助けられたようにウタはバギーに助けられて・・・」

「アタシとバギーおじさんの仲に勝手に入るな!!・・11年間も1人だったアタシを助けてくれた偉大な海賊なんだ!!何も知らないあんたが勝手な事を言うな!!シャンクスも赤髪海賊団の皆が助けてくれなかった中で助けてくれたアタシの大事なお父さんなんだ・・・他人に踏み込められたくない!!」

 

ウタはボロボロと涙を流しながら叫んだ。それは記憶があっても無くても変わらない心からの本音だった。それほどウタにとってバギーは尊敬できる存在だった。

 

「ウタ・・・俺は他人じゃねぇ!!モンキー・D・ルフィ!!新時代を誓って約束した男だ!!お前の歌を上手いって言ったフーシャ村の男だ、思い出してくれ!」

「・・・フーシャ・・・村・・・」

 

『お前の舞台、俺い~っぱい知ってる!』

『え?』

 

『お前、思ったよりもつまんなくねぇじゃん』

『そっちこそ』

 

『アタシの舞台がここにある・・・』

『ニヒヒヒ!!』

 

『中々素敵ね。でもアタシは幾つもの海を航海してきたからもっと素敵な景色も知ってるわ』

『やっぱ、俺も早く海賊になって海へ出てぇ〜』

 

フーシャ村での記憶が呼び起こされる。淡くて優しくてウタにとってもルフィにとっても大切な思い出。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!痛い痛い!!」

 

襲ってくる激痛にウタはルフィから離れて頭を抑えた。持っていた薬を飲もうとするが全て溢してしまいあまりの痛みに拾えなかった。立ち上がったルフィはそんなウタを見て決心すると持っていた薬を唇で摘んで突っ込みながらベッジに言われた最後の事を実践した。

 

『よし、でこれが最後にやることだ』

『まだあんのかよ』

『男と女の喧嘩ってのは手間がかかるんだよ。ガサツな男同士とは違うんだ』

『・・・分かった』

『いいか、最後にやるのはキスだ』

『キス?』

『あぁ、相手の唇目掛けて熱いのをかましてやれ』

『そんなことやるのか?』

『バカ野郎。“西の海”じゃ男と女の喧嘩はキスで終わるって恐竜の時代から決まってんだよ!』

 

ルフィはシャンクスが昔語った故郷の海の事を実践する事に奇妙な縁を感じながらもウタに向かって突っ込んで勿論、一発も当たらずに近づいて抱きしめると逃さないように頭の後ろを少しだけ押さえて薬を口移しした。

 

つまり、ルフィはウタに“キス”をした。

 















































はい、ルフィとウタがキスをしました!!
これは最終章で最後の最後にやるつもりだったネタですが使いました。まぁ本来使う部分だった場所には負けず劣らずの物を思いついたのでそれをやります!!

そしてウタに毒を渡した犯人はシャーロット家の末っ子であるアナナです。
割とえげつないの書いてますが最後に晴らして見せます!!その為のシーンも考えましたのでお待ちを!!
それでは皆さん、次回をお待ち下さい!!


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純愛

お待たせしました!!
それではこっから上げていけるように頑張ります!!
ではどうぞ!!


ルフィにキスをされてウタに衝撃が走った。

最初は驚いて離れようとしたが徐々にウタは思い出してきた。ルフィと最初に出会った時の事、ルフィとドレスローザで再会した事、暫く一緒に旅した事、キスした事。麦わらマークに旅を始めた理由、ウタは全てを思い出した。

薬と思い出した事で痛みが急速に無くなって行ってドンドンと冷静になればなるほど苦しくなった。

涙が止まらなくなった。なんでこんな事になったのか、忘れたくなかった物を忘れてルフィに酷いことを言った自分が嫌になった。ルフィだけじゃない純粋に助けてくれたカタクリまで苦しめた事にウタは申し訳無さで一杯だった。

そんな事を考えてるとルフィの唇がウタから離れた。

 

「ウタ・・・大丈夫か?」

「ルフィ・・・アタシ・・・アタシ・・・」

「ウタ!」

「んむ!?」

 

自分の名前を言った事に察したルフィはもう一度ウタにキスをした。大層な意味はない。ルフィはただしたくなった。それにこれならウタが悲しい事を言わなくて済むと思った。

ルフィにまたキスをされて、しかも今度は記憶が戻ってる状態なので先程とは衝撃が違った。だがどこまでも優しいキスにウタは徐々に落ち着き始めた。

 

「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

「ぷはぁ・・・はぁ・・・」

 

唇を離してお互いに鼻の先がくっつく程の至近距離でデコ同士をくっつけた。ウタの顔は涙だけでなくルフィが近いこともあって赤く熱くなって色んな感情に溢れていた。

 

「ルフィ・・・ごめん、忘れて・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ルフィに酷い事言っちゃった・・・」

「良いんだ・・・俺は傷ついてねぇだろ?ほら!」

 

ルフィはそう言ってウタから離れて姿を見せた。ベッジに言われた通りにウタと仲直りをする為に必死で一発も当たらずにルフィはウタの記憶を戻した。精々、ポケットに分銅が掠ったので切れてるくらいだがたかが服だし、正装していてそもそも服が厚かったお陰もあって肉体はノーダメだった。

ウタはそれをちゃんと認識すると安心して涙を流し始めた。これで一発でも当たってたら自分を永遠に許せなくなっていた。

 

ルフィはそんなウタに向けて笑った。

長かった2人の喧嘩も漸く終わった。

 

しかし、そんな2人に近づく者がいた。

ウタを守る為にリンリンと同じように暴走してしまったカタクリだった。全身から覇王色の覇気を出して周りを威圧していたのでルフィもウタもすぐに分かった。

 

「カタクリ・・・」

「あいつ!」

 

ウタは自分があそこまで追い込んでしまった事に罪悪感を覚えた。全て自分が悪かったのだ。

ルフィはカタクリを見て個人的なムカつきも込めて拳を構えた。

 

「ウタ・・・から離れろ・・・麦わら!!!」

 

カタクリは自分の武器の土竜を出してルフィを貫こうと突っ込んで行った。覇王色も出して威圧している中、カタクリを迎撃しようとルフィも拳を引くがウタが先にルフィを守るようにカタクリの前に来た。

 

「カタクリ止めて!!」

「止めろウタ!!」

「ウタ!?」

 

覇王色が出て威圧されてるのにウタは耐えてカタクリの前に来た。そして土竜はウタに当たる寸前で止まった。カタクリは震えつつもすぐに土竜を引いた。

 

「ウタ・・・無事なのか・・・?」

「うん・・・ごめんね・・・迷惑掛けて・・・」

 

その言葉を聞いたカタクリは土竜を落として頭を押さえた。そして涙が出始めた。

 

「良かった・・・良かった・・・君に何かあったらどうしようと・・・そればかり考えてた・・・良かった戻って・・・」

 

食い患いと似た症状が出てもそれを食べるまで延々と暴走するリンリンと違いカタクリは止まれた。プライド、地位、信念、覚悟、全てを台無しにされてズタボロにされたカタクリに残っていたのはウタへの純愛のみだった。

 

「カタクリ・・・ごめんなさい・・・本当にごめんなさい・・・」

「良いんだ。マヌケな俺が悪い・・・ブリュレが近くにいる。すぐにミロワールドから出るんだ・・・だが、麦わら・・・お前は話が別だ」

 

カタクリはそう言うとルフィを睨んだ。

8歳の妹であるアナナを利用し、ウタに毒を盛って、兄の腕を斬り落としたシキと知らなかったとは言え一時的にでも組んだルフィを許す気などさらさらなかった。

そしてルフィも逃げる気などさらさらなかった。

普段ならルフィは無駄な戦いはしない。毎度騒ぎになるのも別に起こしたくて起こしてるわけではない。避けれるなら避けるのがルフィのスタイルだが、カタクリだけは違った。記憶がないとはいえウタに好かれていたカタクリを見てルフィは今までで1番モヤモヤした鬱憤を晴らしたくなったし、シキに言いようにされたマヌケという意味なら一緒だった。

 

「俺は逃げねぇ」

「ルフィ、カタクリ・・・ちょっと待ってよ・・・」

「止めるなウタ・・・これはお前は関係ねぇ。俺は単純にこいつが気に入らねぇ!!」

「奇遇だな・・・俺もお前が気に入らない・・・」

 

ルフィもカタクリも意見があった。

すると2人は笑った。

あれこれと口では言ってるが似た者同士だった。だからお互いに負けたくなかった。

ウタは止めたかった。2人が似てることを何処かで感じていたから戦ってほしくはなかった。しかし、1年間の旅やドレスローザでの戦闘に加えてルフィと旅した事もあってウタは2人が笑った瞬間に悟った。この戦いは止められないと、出来るのは2人の戦いを邪魔せずに見届けるぐらいだと分かった。

 

「これは決闘か?それとも一騎打ちか?」

「そんな大層なもんじゃねぇ」

「そうだな。マヌケ同士の戦いはそんな品の良い物でもない」

「あぁ、これはただの“喧嘩”だ!」

「フン、色々とあったがここなら誰にも邪魔されずに出来そうだ・・・終わらせるぞ麦わら・・・」

 

カタクリは土竜を捨てて拳を構えた。

ルフィもそれを見て拳を構えた。

 

「「ウタ、離れてろ」」

 

ルフィとカタクリは同時にウタにそう言ってウタは離れた。意見があった事に嬉しく感じつつもウタと親しそうな感じにお互いに苛立つ感情もあった。

地位、名声、誇り、信念、そう言った自分を作り上げていた大事な物をズタボロにされた2人に残っていたのはウタに対する純愛のみだった。

 

「「お前をぶっ飛ばす!!」」

 

ルフィとカタクリは武装色で硬化した右拳をぶつけ合った。意地と気合と純愛の決闘が始まった。

 

 

 

 

〇〇〇

「お兄ちゃん・・・」

 

ブリュレはそれを遠くから見ていた。ウタが戻っているのを確認したブリュレはどうするべきか迷った。カタクリは戻った。海賊として戦うなら援護に回るべきだがブリュレには出来なかった。散々と振り回されたカタクリが自分の意思で戦う姿を見てブリュレが出来るのは邪魔をしない事だけだった。

だが、見ててあることを思った。このままルフィとカタクリが戦い続けて終わっても今のままだと変わらないのではないかと散々とシキにやられたせいでより完璧な方向にまた行ってしまうのではないかとブリュレは怖くなった。

だから、ブリュレは電伝虫を起動し、持ってる兄弟姉妹達全員に繋げて置いた。

 

「お兄ちゃん・・・ごめんね・・・アタシ、もうこれしか思いつかないから・・・」

 

ブリュレはそう呟くと鏡の世界に誰も入れさせない為に鏡から出た。

 

 

 

 

〇〇〇

一方、ナミ達もなんとかキャンディの上に乗ってやってくるリンリンから追撃を躱し続けてリンリンの起こした高波もジンベエの操舵術によってグリーンルームと呼ばれる逆巻く波の中に一瞬だけ出来る場所を通って無事に生き残っていた。

 

『やった~!!』

「じゃが、油断はするな!!まだまだ追ってくるぞ!!」

「えぇ、勿論!!」

「まだ油断はできません!!」

「ルフィにサンジにウタが来るまで死んでたまるか!!」

「うん!絶対に皆でここを出ようペドロの為にも!!」

 

それぞれが必死になって迎撃の体制を整えていた。そんな中でマストの上に乗って周りを見ていたキャロットが叫んだ。

 

「皆、あいつが飛んできた!!」

「あいつ!?」

「まさか!!」

 

ナミはキャロットが指差した方向を振り向いた。そして確かに見た。空から猛スピードで飛んでくる腐れ外道ことシキを確かにこの目で確認した。

 

「ジハハハ!!麦わら、お前が居ないのはわかるぞ!!どうせどっかで家族を守る為に戦って後で合流するつもりだろ・・・その時に仲間が死んでたらお前はどうなる!?・・・お前の全てを奪ってやる!!」

 

シキはそう叫びながら飛んできた。舵を手放すとリンリンにやられる可能性が高いゆえにジンベエは動けなかった。それだけでなくビックマム海賊団の船も追いかけてきて大砲を撃ってるのでそれから避けつつもシキを迎撃は出来なかった。

 

「ジンベエ、舵から手を放さないで!!あいつは私達がやる!!」

「えぇ、あの男だけは絶対に許しません!!」

「あいつをぶっ飛ばしてルフィ達とここを出るんだ!!」

 

ナミ、ブルック、チョッパーはシキに味わされた屈辱を果たそうと、そしてルフィに味わせた侮辱を返そうと武器を構えた。

それ程までに許せなかった。

 

「おいおい、そんなんで俺が負けるわけねぇだろ・・・俺は“金獅子”だぞ!!!」

 

シキの魔の手がナミ達を襲おうかとしたその時、サニー号に弾丸が飛んできたかと錯覚するほど速い存在がシキの眼の前に来た。

 

「てめぇは!?」

「見つけたぞジジイ!!」

 

それはシキとリンリンと戦ったバレットだった。あの後、時期を見てリンリンと戦おうとしていたが見聞色の覇気で見れば見るほど大混乱に陥っていて少しどうしようか迷っていて、単純に強い奴を見つけたらシキがちょうど運悪くサニー号に飛んできていたので散々と溜まった鬱憤を晴らすかの如く飛んできた。

 

「吹き飛べ!!」

 

そしてバレットはシキの腹を思いっきり殴り飛ばしてぶっ飛ばした。シキもまさかバレットがここでやってくるとは想定してなく、まともに喰らって吹き飛ばされた。

 

殴り飛ばしたバレットはそのままサニー号に着地した。

 

「ちょっと誰あんた!?」

「誰なんですか!?」

「でっけえな」

「お主、ひょっとしてダグラス・バレットか?」

「あ?」

 

ナミ達の言葉は尽く無視したバレットだがジンベエに言われると流石に反応した。

 

「ちょっと無視してんじゃないわよ!!」

「うるせぇ小娘・・・お前、ひょっとして海峡のジンベエか?」

「わしの事を知っておったか・・・」

「レベル6の時に随分と煩かったからな・・・で、何だ?」

「ジンベエさん、この人を知っているのですか?」

 

ブルックがバレットの言葉を遮るようにジンベエに訪ねた。

 

「その男の名はダグラス・バレット。鬼の跡目と呼ばれた元ロジャー海賊団のクルーでかつてたった一人でバスターコールを相手にした男じゃ。実力は四皇とあまり遜色ない・・・インペルダウンのレベル6に収監されていた筈じゃがお主も出ておったとはな」

「ふん、随分と知ってるな」

「わしも白ひげの親父さんに教えられた事しか知らん。面識もない」

「俺は2年前の煩かった時に散々と声を聴いてた。まぁ今、お前と相手する気はねぇな・・・あのジジイだ」

 

バレットはそう言ってシキの方を見た。空中で止まっていたが先程思いっきり腹を殴れた事で流石に擦っていた。バレットはそんなシキを見て笑って戦い始めようとしたがそんな中でナミが話しかけに来た。

 

「ねぇ、あんた。私達と手を組まない?」

「あ?」

「私達がここを脱出するまで手を組みましょ!」

「うるせぇな・・・悪いがてめぇらみたいな弱い奴と組む気はねぇよ・・・」

 

バレットはそう言ってナミから離れて自分の愛用してる潜水艦のカタパルト号に戻ろうとしたが突然とカタパルト号が爆発し破壊された。

 

「ケーキぃ〜!!」

「ちっ、あのババア・・・気に入ってたのに」

 

リンリンが斬撃を飛ばして破壊したのだ。バレットはガチャガチャの実の能力者で海に落ちれない。一応、飛ぶ技術である月歩は持ってるがシキとリンリン相手だと落とされる可能性もあった。

 

「バレット、どうじゃ?足場が欲しいならこの船を使えば良い。ただし、この船を壊し出したらわしがお主を叩き出す!!その条件で組まんか?」

「・・・カハハハハ!!面白え、お前も元七武海であの鰐野郎と同等なら聞いてやる価値はあるか・・・組んでやるがジジイとババアは俺の獲物だぞ」

「誰も取りはせんわい!!」

 

こうして元七武海としての実力に加えてかつて何回か戦った事のあるクロコダイルと同等と認識された事で麦わらの一味とダグラス・バレットの共同戦線が出来上がった。

 

 

 

〇〇〇

「ゴムゴムの象銃!!」

 

一方、鏡の世界ではルフィとカタクリが戦闘をしていた。ルフィは巨大な拳を武装色で硬めた象銃を放って真正面からぶっ飛ばそうとしたがカタクリはルフィ以上に巨大な拳を武装色で硬めて意趣返しと言わんばかりにルフィをぶっ飛ばした。

 

「これで良いのか象銃」

「クソ!」

「お前に出来て俺に出来ない事はない」

「うるせぇ!ゴムが餅に負けるか!!」

 

ルフィは両手を武装色で硬めてカタクリに放った。

 

「ゴムゴムの鷹銃乱打!!」

 

大量の拳を浴びせる技。しかし、それら全てをカタクリは背中から沢山生やした腕で相殺した。

 

「ちょっと違うがこっちの方が効率が良いだろ?」

 

そしてまた意趣返しと言わんばかりにルフィに拳を浴びせてぶっ飛ばした。

 

「俺に対してこんなざまなのにウタを守る気でいるのか・・・ふざけるな!!」

「うるせぇ!!なら、お前をここで超えるだけだ!!」

「やってみろ!!」

 

ルフィとカタクリの戦闘はまだ始まったばかりだった。























というわけで誰が予想したかナミ達はバレットと共同戦線です!!
そしてルフィVSカタクリも始まりました!!
こっからは熱く行きますよ!!
というかルフィもカタクリも純愛だけの状態にするのにずっと鬱を散々とやってきたので熱くします!!
それでは次回をお待ち下さい!!


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自慢

一日空いて申し訳ございません。
一言で言うなら集中力が切れるというドレスローザ編終盤でも起こったアレです。
ですが今日、更新しないとこのままエタりそうだったので出来て嬉しいです!!
暫くは隔日更新になるかも知れませんがご容赦下さい。


ニュース大好きモルガンズは興奮のあまり倒れそうになっていた。地獄の鬼でも顔を出すと言われているリンリンのお茶会でジェルマ66とビックマム海賊団の結婚式の筈がまさかジェルマの暗殺計画になるわ、シキは復活するわ、最悪の世代でなにかと話題の麦わらと組んでるわのビッグニュースだらけで昇天しかけていて、隣で紅茶を飲んでるステューシーは呆れていた。

 

「ビッグニュース♪・・・俺は神に愛されてる♪」

「ここまで来ると最早病気ね」

「これが病と言うなら俺は世界一幸せな病人だ。さてどんな記事にしようかな?」

「CP-0としてはシキに関しては止めてもらうわ。彼はもう()()の遺物でしかない。断るとどうなるかは分かるわよね?」

「なら、何か1つそれに匹敵するビッグニュースをくれ。そしたら書かないでやる」

「う~ん、そんなの急に言われても・・・私と一晩熱い夜ってのは?」

「なんでババアを抱かないと・・・」

 

モルガンズはそこまで言うと問答無用でステューシーに殴られた。CP-0として長年活動してるステューシーにその話題は禁句だった。

 

「このまま、殺しても私は何も心が痛まないし、あなたはどうやら自殺願望もあるみたいね♪」

「す、すみません・・・けどマジでニュースは寄こせ」

「・・・本部に掛け合ってみるわ」

 

ステューシーに殴られてもニュースを求めるモルガンズ。流石にモルガンズもCP-0のステューシーとここでやり合いたくは無かった。死ぬ可能性が高いからだ。そしてステューシーとしてもここでモルガンズが死なれた場合、絶対にニュースになってあることないことを書かれる。モルガンズの部下というだけあって世界経済新聞社は似たような人間が多かった。ステューシーはCP-0に適当に何か良いニュースは無いかと掛け合おうとした瞬間、声が聴こえて来た。

 

「なんだこの通信は!?」

 

リンリンの息子であるモンドールが叫んでいた。ステューシーもモルガンズもそれを聴くと顔を向けてモンドール達の方へ近づいた。

 

「あら、どうしたのかしら?」

「ニュースか!?」

「ステューシー様、モルガンズ様、どうか席にお戻りくださいボン」

 

タマゴに言われるがそんなので引くステューシーにモルガンズではない。2人はタマゴの制止を振り切ってモンドールに繋がった通信を聞いた。

 

『俺に対してこんなざまなのにウタを守る気でいるのか・・・ふざけるな!!』

『うるせぇ!!なら、お前をここで超えるだけだ!!』

『やってみろ!!』

 

通信から聴こえてきたのはルフィとカタクリの叫びだった。ステューシーにモルガンズだけでなくビックマム海賊団の面々もこれがなんなのか分からなかった。

 

「ブリュレの姉貴は一体何をやってるんだ?てか、あんたらは部外者だ。離れて貰おうか」

 

モンドールは頭を抱えつつもステューシーやモルガンズに言ったがステューシーは兎も角モルガンズがこんな面白そうな状況を見逃す訳なかった。

 

「悪いが断らせてもらう。何やらビッグニュースになりそうな匂いがするからな」

 

相変わらずなモルガンズにモンドールを始めとした面々は頭をさらに抱えそうになった。下手に手を出すと1番危険なのがこのモルガンズだ。あることないことを書かれる。裏社会での地位が他の四皇に比べて大きいビックマム海賊団はそういった事にも気を使わないといけなかった。

モンドールは早くベッジや麦わらの一味の場所を探さないといけない事もあって考えた結果、この通信はカタクリがルフィを倒す所を聴かせる為にやったのだと判断した。

 

「仕方ねぇ・・・モルガンズ、そう言えばてめぇは最悪の世代に肩入れしてるな」

「盛り上がる方を贔屓してるだけだ・・・」

「なら、その盛り上がる奴の一人が死ぬところをちゃんとニュースにするんだな」

 

モンドールはそう言ってモルガンズやステューシーに電伝虫を渡した。他の兄弟姉妹の電伝虫にも同じ通信が入っていて1つくらい無くても問題無かったからだ。

 

 

 

 

〇〇〇

夜になって満月も出てきた中でキャロットがミンク族特有の力、スーロンという真の姿かつ無理矢理力を上げる諸刃の剣を使って追手の海賊船に飛び移って船を破壊していたが体力が切れて倒れた。しかし、かなりの量を潰せており、リンリンとシキという伝説級の海賊達という1番厄介なのに追われつつも手を一先ず組んだバレットが2人の相手をしていて無事だった。

 

「このクソガキ共がぁ!!」

「ケーキィ〜!!」

「楽しくなってきたぜ!!」

 

食い患いを起こしてるリンリン、目的を邪魔されてキレてるシキ、そして戦う事に喜びを感じてるバレット。天変地異が起こり掛けていた。

雷は大量に振って、海水の獅子は飛び、主にキャロットが破壊したビックマム海賊団の船がバレットの腕に合体したりとまさに怪物達の戦闘だった。

そんな中でウェディングケーキがサニー号にあると思ってるリンリンはサニー号に向かってゼウスに乗って飛んできた。バレットが居るので手っ取り早くサニー号を真っ二つにしてケーキを出そうとナポレオンを伸ばした。

 

「そうは行きませんよ!!」

「オレとやる気かいソウルキング・・・お前の剣じゃオレに傷1つつけられなかったよな?」

 

10時間以上前に自分に傷1つ付けられずに負けたブルックにリンリンは嘲笑いを込めながら言った。しかし、ブルックはそれには全く動じてなかった。

 

「ですね!!では、せめてパンツを見せてもらってもよろしいでしょうか!?」

「はぁ~!!?」

「「え〜!!??」」

 

ブルックの突然のセクハラに流石に啞然となるリンリンだけでなく、ナミやチョッパーも驚いたが次の瞬間、ブルックは猛スピードの跳躍でリンリンの裏まで飛んでいた。

 

「?」

「鼻唄三丁・・・魂の矢筈斬り!!」

 

ブルックの十八番とも言える技で斬ったのはリンリンではなく、下でリンリンを乗せているゼウスだった。真っ二つにされたゼウスはナミによって放電されてリンリンはその電撃も喰らいつつ落ちた。

 

「ママ~!!」

 

間一髪の所をプロメテウスが助けたのでリンリンは海に落ちなかったが放電されたゼウスはナミ達に捕らえられたのでその分の弱体化には成功した。

そんな中で少し喜んでるサニー号にシキを殴り飛ばしていたバレットが合流するとナミに凄んできた。

 

「な、何よ」

「おい、それをババアの元に戻せ」

「嫌よ!私の下僕になったんだから!!」

「弱体化したババアをやっても意味はねぇんだよ!!戻せ!!」

「断るわ!!」

 

ロジャーを超えたいという考えのみで動いてるバレットはナミにゼウスをリンリンの元に戻させようとするもナミは当然断った。力づくでやろうと手を伸ばし始めるがその前にシキが突っ込んできてバレットをサニー号から離れさせた。

 

「ジジイ!!」

「くたばれクソガキ!!・・・斬波!!」

 

斬撃を飛ばすがバレットは徹底的に鍛えまくった武装色の覇気と能力でそれを防ぐとシキと空中戦を始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィとカタクリの戦闘は続いていたがカタクリが圧倒的にルフィを追い詰めていた。

ウタが無事だった事で冷静になったカタクリは未来を見てルフィの動きを予知して先手を売って潰していた。

 

「俺の能力も勿論覚醒している」

 

カタクリは無双ドーナツを作って拳を作るとルフィを殴り飛ばした。ルフィもすぐに体制を立て直して飛び上がって武装色で拳を硬化して突っ込んでいく。

 

「ゴムゴムの象銃乱打!!」

 

上から大量の巨大な拳の雨が迫るがカタクリは冷静にそれを避けて距離を詰めるとルフィを下に叩き落した。ルフィは息を吸って体を膨らませ、捻りながら勢いよくカタクリに向かって飛んでいく。

 

「ゴムゴムの暴風雨!!」

 

下からの大量の拳だがカタクリは冷静に全て避けてルフィの眼前まで詰め寄った。

 

「焼餅!!」

 

肘を熱膨張させて武装色と炎を纏った拳を発射する焼餅をルフィの顔面に喰らわせて地面に叩きつけた。

 

「で、俺を超えるだと?俺に一発も当てられてないのにか?」

「うるせぇ、俺はお前に勝ちてぇ・・・でないとウタをまた傷つけちまう・・・もう二度とこんな思いをすんのはゴメンだ」

「それはお前だけじゃない・・・俺も負けたくはない・・・ウタを守る為にもな・・・」

 

お互いにそれだけ言うとまた拳を構えた。ルフィは冷静に考えた。武装色の覇気を纏ってるから当たらないわけじゃない。ドレスローザのトレーボルのようにどこか違う物によって当たらなくなってる。それだけ考えるとルフィは嘗てレイリーに言われた事を思い出した。見聞色の覇気を極めた者は未来を見ることが出来る者もいると、その時はレイリーに2年の修行でそこまで行けないと言われて出くわした時にどうするかと聞かれて相手がどんな奴かによると答えたルフィだが、なんとなくだが少し拳を交えてカタクリの人となりが分かってきた。

本来なら分かる程にまだ戦ってないがウタに対する純愛の感情が似ていたのもあって普通以上に分かった。

 

ルフィは冷静に目を閉じてカタクリを感じた。すると確かにカタクリがどこに拳を飛ばしてくるのか何となく分かったがまだまだカタクリの方が全然上なので全て当たってしまい、吹き飛ばされた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・クソ!!でも何となく分かった!!」

「お前、未来を見ようとしたな?」

「あぁ!!レイリーに教わってたからな見聞色を鍛えれば、未来を見れるって事を・・・お前が凄いのは見聞色の覇気だろ?」

「・・・正解だ・・・だがそれだけで俺に勝てると思うな!!」

 

ルフィとカタクリは腕を伸ばして武装色で硬めた拳をぶつけ合うとルフィの方が押し負けてしまった。ヒリヒリと痛みが来る手に息を吹きかけるルフィ。その隙にカタクリが顔面を蹴ろうとしたがルフィはそれを間一髪で避けた。

 

「あっぶねぇ!!」

「武装色にも上がいる!!お前が俺に勝てる要素がどこにある!?戦闘でもウタに対しても俺はお前に負けん!!」

「うるせぇ!!お前にウタは渡さねぇ!!新時代を誓って大事な約束をしたんだ!!」

 

ウタがルフィを好きなのを知っているカタクリは武装色で弾き飛ばした事で一気に決めようと突っ込むが上手く避けたルフィに顎を蹴られた。

 

「よし、当たった!」

「だからどうした!?」

 

だがカタクリはすぐにお返しと言わんばかりにルフィを蹴り飛ばしたがルフィはすぐに立ち上がった。

 

「俺はウタを連れてここから出ていく。ビックマムが居るこの島にウタを置いていけない・・・」

「・・・悪いがそれは俺がやる。お前がやることじゃない」

「知るか、俺は俺のやりたいようにやる!」

「俺も同じだ・・・やりたいようにやって・・・エレジアの魔王が相手だろうが俺はウタを守る!!」

「そんなんじゃ駄目だ!!俺はウタをそいつから“自由”にするんだ!!」

「俺に勝ってから言え!!」

 

ルフィは今度は両手を巨大化し硬化させてさせてカタクリに突っ込んでいき、思いっきり手を引いた。

 

「ゴムゴムの灰熊銃!!」

「力餅!!」

 

両手をカタクリにぶつけようとしたがカタクリは無双ドーナツで作り出した2本の腕をぶつけて相殺した。それどころかルフィの近くに無双ドーナツを作り出し、拳を出させて無防備になったルフィをまた殴り飛ばした。

 

「ウタに会って・・・俺は久しぶりに人前でドーナツを食えた・・・自分を受け入れてくれたウタには感謝しかない!だから、ウタを守るためならこの命も惜しくない!!」

「俺も別に惜しくはねぇよ!!」

 

カタクリの叫びにルフィは立ち上がって返した。

 

「夢を叶える為に死ぬなら別にそれで良い!大事な仲間とウタと一緒に俺は夢を叶える!!」

「夢だと!?何1つ俺に勝てないお前がか!?」

 

散々とカタクリにやられっぱなしのルフィは流石に言い返せなくなってきたが意地でも負けたくなかったので叫びながら、突っ込んで行った。

 

「ゾロは負けねぇって誓ってから1度も負けてねぇ!!ナミはどんな島や海だろうが必ず連れて行ってくれる!!ウソップはどんなに強い奴が相手でも逃げねぇ!!」

「何を言ってる!?」

「俺の仲間の凄えところだ!!凄いのを一杯知ってるから負けられねぇんだよ!!」

 

カタクリに負けたくなくて自分を鼓舞する為にルフィは仲間の凄い所を叫びながら、負けないように気合を入れ直していた。するとカタクリの胴体に初めて拳が入った。

 

「どうだ!?」

「・・・ペロス兄はどんな時でも長男として先頭に立つ!!コンポート姉は皆を分け隔てる事なく愛してくれる!!オーブンの真っ直ぐさはどんな不安も吹き飛ばす!!」

 

ルフィにやられてかカタクリもまた家族の凄いところを叫び始めた。そして今度はルフィの胴体を殴り、吹き飛ばした。

 

「仲間の凄い所だと!?俺の家族の方がもっと凄い!!」

「いや、俺の仲間だ!!」

「俺の家族だ!!」

 

2人は殴り合いながら、自分の大切な仲間や家族の“自慢”合戦を始めた。










































というわけで激戦が繰り広げられる中で始まるルフィとカタクリによる自慢合戦wwww

いや、2人とも戦闘中に無駄な会話は省くタイプだけどやってみたくてやりました。まぁ2人とも結構精神がボロボロだから出来たということで1つ。

そして難産の理由の1つがルフィとカタクリの戦闘の難しさ・・・中距離戦闘って難しくて・・・接近戦ならもう少し早いのですが中々に距離感が掴めなくて・・・ですがまだまだ熱く行きますよ!!


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激戦

皆様、遅れてしまい申し訳ございませんでした!!

それではどうぞ!!


ルフィとカタクリはお互いの仲間や家族を自慢しながら殴り合っていた。それぞれ大切なものがあるから戦える2人であり、それを守る為に鍛えて戦ってきた。しかし、シキに散々と潰されてボロボロだった2人は自分の大切なものを思い出すかのように叫んでいた。

 

「ブルックはいつも明るい音楽で盛り上げてくれる!!ジンベエはどんな事にも筋を通す!!」

「ドラジェは風船で飛びながらも周りを見てくれてる!!アナナはいつも優しく接してくれる!!」

 

カタクリは家族の数も多い故にまだそれぞれ1回しか言えてないがルフィは既に何回も言っていた。かと言ってそれで止まらないルフィではない。それほどまでに皆が凄いと思い大切だった。カタクリもまた家族が大切だった。

 

「「だから俺は負けられない!!」」

 

2人は同時に叫んだ。

ルフィはそのままカタクリの胴体に拳をめり込ませようと右腕を伸ばして殴りに行くがあっさりと受け止められて小手返しをされて地面に叩きつけられそうになるが体を何回も回転して右腕を捻った後で空いてる左手でカタクリの顔面を殴ろうと伸ばしたがカタクリは難なくと変形させて避けた。しかし、その隙にルフィは右腕を自由にさせて後ろに伸ばすと回転弾をカタクリの体が戻った瞬間を狙って放った。

カタクリはそれをスレスレで避けつつもルフィに突っ込む。ルフィは足を上げて踵落としをカタクリにぶち込もうとした。

 

「ゴムゴムの戦斧!!」

 

カタクリは一回転してそれを受け流した後で足を何本も分裂させてルフィに大量の踵落としをぶち込む。

 

「柳餅!!」

「ぐわぁ!!!」

 

地面に叩きつけるはずが逆に自分が叩きつけられたがルフィは諦めずに立ち上がった。ギア4のバウンドマンになればカタクリに効くかも知れないが大量の覇気を全力で使うギア4は下手に出来なかった。

カタクリに勝つには一瞬の力を上回るだけでは足りない。もっともっとやってカタクリを疲労させないと勝てないとルフィは分かっていた。

 

「誰しも負けたくて負けてるわけではない・・・俺の未来視が見聞色だと分かって疲労させるつもりだろうがそんなにやわな鍛え方はしてない・・・」

「だろうな・・・けど無限じゃねぇだろ!!」

 

ルフィは上に飛び上がって腕を伸ばそうとするがそう何回もカタクリがそんな事をやらせるわけもなく更に飛び上がって回し蹴りをして地面に叩きつけようとしたがルフィは手足を伸ばして地面を殴った。

 

「ゴムゴムのたこ花火!!」

 

嘗て見聞色の覇気で避けたエネルに対してやった意思の籠もってない跳弾をぶつけるゴム人間らしい技をカタクリにぶつけた。

 

(跳弾か・・・確かに未来視は出来んが武装色の籠もってない拳など効かない)

 

カタクリは内心そう言いながら腕を武装色で硬めて防ぎながらルフィに突っ込んで行った。打撃の威力が上がる武装色だとゴム人間の性質で跳弾するよりも地面が先に破壊されて跳弾出来なくなる。単なる苦肉の策としか思えなかった。

 

ルフィもそれは百も承知だった。カタクリにはあまり効果がない事も分かっていた。しかし、確かにカタクリは攻撃を防ぎながら突っ込んできた。ルフィはすぐに振り向き、カタクリに向かって腕を伸ばした。

 

「ゴムゴムの火拳銃!!」

「角餅!!」

 

火を纏った拳をカタクリにぶち込もうとした。カタクリはそれを見ると武装色で硬めた自分の拳をぶつけた。

そして勝ったのはカタクリであり、火拳銃を破ってルフィの胴体に拳をめり込ませた。

 

「俺が跳弾で一々ビビる男に見えるか?・・・アイデアは褒めてやるがお前の攻撃などもう当たらん!!」

「けど防いだだろ!?・・・防いだって事は当たるって事だ・・・」

「言葉遊びに付き合うつもりはない・・・」

 

カタクリはルフィを蹴ろうと詰め寄って足を伸ばすがルフィはそれを避けてカタクリの足に自分の足をグルグル巻いた。そしてそのまま投げようとするが逆にカタクリが瞬時に足を餅にして自分が掴まってしまい、投げられた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・クソ!!」

(ちっ、やはり動物系だ・・・でないとこのタフさは説明がつかん)

 

ドレスローザでルフィが動物系の幻獣種であると推測したカタクリは確信を持った。この異常なタフさは動物系特有の性質の1つだった。しかもまだ覚醒してないとはいえ、既に超人系なら倒れてる可能性があるのにまだ立ち上がってくるのを見てカタクリに少し冷や汗が出た。

 

(動物系の能力は覚醒したら異常なタフさと回復力が売り・・・クラッカーがやられたのは知ってるがあいつは強い・・・それなのにこの動き・・・“覚醒”が近づいてる可能性がある)

 

連戦からの連戦なのに動きにキレがあるルフィにカタクリは一段上の“覚醒”が近づいてると思った。違う意味で驚異的になりつつあるルフィにカタクリは周りを餅にして操り始めた。

 

「雨垂餅」

 

餅の触手を作り、武装色を纏った大量の刺突攻撃をルフィに浴びせるがルフィは最初の2撃を確かに避けた。

 

「!?」

 

だが、その後の刺突は避けられずに喰らって吹き飛ばされた。

 

(あいつ、未来を見たな・・・面白くなってきた・・・)

 

最初の2撃が避けられた事にカタクリはそう感じた。ドレスローザでの成長速度には驚いたが戦いながらも上がるルフィのセンスにカタクリは楽しくなってきた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「うひょー!!!もう明日には死んでも良いぜ!!まさか麦わら、歌姫、将星が三角関係とはな!!恋愛の記事は男女問わず人気だ!!死亡や殺人未遂も魅力的だが恋愛は更に上だ!!今日1番のビッグニュースゲット~♪♪」

「あの娘、意外にやるわね」

 

電伝虫から来る情報にモルガンズは発狂してステューシーは中々に凄い2人から好かれてるウタに感心していた。既に戦い始めてから3時間は過ぎてるのに全然終わりそうにない激戦にモルガンズのメモを取る手は過去最速の速さで動いていた。

 

ステューシーはそんなモルガンズに呆れながらもビッグマム海賊団でカタクリに自慢されていた兄弟姉妹達を見るとほぼ全員が顔を真っ赤にしていた。

そりゃ、普段はそう云うことを無闇矢鱈に言わないカタクリがこんなに赤裸々と言いまくった事に羞恥心を覚えた。他の誰でもないカタクリだからこそ、効果があった。

 

一方、カカオ島でリンリンに食わせるケーキを作っていた面々はシフォンが居ると知った父親のパウンドが工場の前で騒ぎ、オーブンが取り押さえる事態になっていた。後で必ず合流すると誓ったサンジにカタクリに自慢されていたシフォンにプリンは燃えていた。

 

『シフォンのケーキは何よりも美味しい!!辛い思いをさせ続けて何も出来なかった事にずっと謝りたかった!!反逆者になってしまったがシフォンには幸せになって欲しい!!ローラの真っ直ぐな純情に憧れていた!!何処にいるのか分からねぇがそのまま自分の道を進んでほしい!!』

『プリンのチョコレートは甘くも苦くて最高だ!!今回の結婚式は台無しになったし、結婚する気が無いのは知ってるがいつか本気で好きな相手が出来たら全力で応援する!!』

 

先程の自慢合戦でカタクリにそう言われていたのもあってシフォンとプリンの気合はとてつもない程になっていた。シフォンからすればローラもちゃんと自慢してくれた事にやはり色々とあるが最高の兄だと再確認出来た。そしてリンリンのやっていた事に対してそう思ってくれていただけで嬉しさもあった。

そんな風に燃えながら、彼らは仕上げは船の上で作ろうとケーキに生クリームなどを持って船に行こうとするがオーブンが立ち塞がった。オーブンもオーブンで自慢されて燃えていた。そして海賊として反逆者であるシフォンを捕らえようとするがシフォンを守ろうとするパウンドのパンチに合わせたサンジの瞬足の攻撃で吹き飛ばした。その隙にケーキを含めた材料を港に持ってくると実は水陸両用だったベッジのファイアタンク号に載せてカカオ島を出た。オマケにオーブンをお返しと言わんばかりに船で轢いた。それに対して怒ったオーブンがしつこくもネツネツの実の能力で海を沸騰させてファイアタンク号のパドルを壊すがパウンドに頭を木の棒でぶん殴られた怒りでパウンドの方に向いて武器の薙刀で斬って近くにあった船に乗せてそのまま海へと追い出した。

すぐに追いかけようとしたがベッジの船は結構先に言っていたのでオーブンはナミ達が乗ってるサニー号がカカオ島に向かってるのを聴いてここで合流すると踏んで島にある鏡を1つ除いて壊すなり海に漬けとくなりをさせて準備を始めていた。

そしてトットランド中に流れてるルフィとカタクリの喧嘩を音声だけでも聴いてカタクリの勝利を待っていた。

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィとカタクリの喧嘩が4時間経った。ルフィは既にボロボロだがカタクリも流石に息を切らせ始めた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ぜぇ・・・強えな・・・」

「はぁ・・・お前もな・・・俺とここまでやり合うとは・・・」

「けど、絶対に負けねぇ・・・勝ちてぇ・・・誓った“新時代”の為にも・・・」

「俺も負けられない・・・ウタしかいないんだ。俺が心から愛した女も・・・俺を受け入れてくれた女も・・・」

「・・・さっき自慢してた奴らはどうした?」

「あいつらにはこんな弱い姿見せられねぇ・・・あいつらが完璧を求めるなら俺は()()()()()()()()()()()()()完璧になる!!これが俺だ!!」

「俺は無理だ!!そんなの出来ねぇ!!けど、俺の仲間や友達が困ってたら意地でもなんとかする!!それが俺だ!!」

 

そう叫び合うと2人はまた笑った。お互いに自分のなろうとしてる物が再確認出来た。そして悟った。眼の前にいる相手は絶対に倒さないと折れない事を理解した。どこかそっくりな部分がある2人は笑った後でまた殴り合った。

 

 

 

〇〇〇

「お兄ちゃん・・・アタシ、そんなの望んでないよ・・・」

 

ブリュレは鏡の外で泣きながら電伝虫から聴こえるカタクリの声にそう返した。自分を捨てても完璧になろうとしてるカタクリなんて望んでなかったが頑張ってる兄に何も言えなかった。だがウタに言われて勇気を出して戻そうとしたがまた完璧になろうとする兄にブリュレはそんなのをブチ壊したくて電伝虫をトットランド中に繋げた。

 

「お兄ちゃん・・・お願い・・・帰ってきてよ・・・」

 

ブリュレはそう呟きながらウタの手荷物を持った。そして海楼石の分銅は流石に持てないのでそれは置いてそれ以外は全て持って鏡の中に置いた。

 

 

 

一方でカタクリの完璧宣言に泣いていたのはブリュレだけではなかった。カカオ島ではオーブンが鏡の前でその宣言を聴いて頭を抱えていた。

 

「カタクリ・・・俺達はお前を追い込んでいたのか・・・」

 

カタクリが強くなってるのにオーブンは嬉しかった。三つ子で大切な家族がメキメキと強くなってるのに憧れもあったから負けないように鍛えていた。カタクリの素は知っていたが見せられねぇと隠すように言われてオーブンは自分が憧れではなく、妄執をしてしまっていた事に気づいた。

 

 

 

城の近くではコンポートがアナナを始めたまだ幼い弟妹達といながらカタクリの宣言を聴いて泣いた。

 

「カタクリ、あんたって本当に不器用だねぇ・・・」

「コンポートお姉ちゃんどうしたの?カタクリお兄ちゃんになにかあったの?」

「どうしたの?」

「兄上に何かあったのですか?」

 

下の弟妹達はカタクリの素を見たことがないのもあってカタクリの完璧宣言の意味が分からなかった。しかし、コンポートが泣いてるのを見て1番幼いアナナは近くの鏡をノックした。

 

「ブリュレお姉ちゃん・・・鏡の中に入れて〜」

「アナナ・・・何をしてるんだい・・・」

「コンポートお姉ちゃんがカタクリお兄ちゃんで泣いてるから会えば元気になると思って・・・」

 

まだ幼い故に状況を良く理解してないアナナの優しい言葉にコンポートは別の意味で泣きたくなったが嬉しかった。

 

「そうだね・・・ブリュレ!!居るんだろ!?アタシをカタクリに会わせな!!」

 

コンポートもまた鏡をノックしてブリュレに向かってそう言い始めた。他の幼い弟妹達は何が起こってるかは分からずにただそれを見ていた。

そして鏡をノックしているのは彼女達だけではない。

 

「ブリュレ!!カタクリの兄貴に会わせろ!!」

「俺を兄貴の元に連れてけ!!」

「兄さんに会わせて!!」

「俺達はそんなの望んでねぇ!!あのバカを殴らせろ!!」

「お前ら、今は追跡に集中しろ!!」

「兄貴の喧嘩を邪魔するな!!」

「うるさい、私達のお兄ちゃんが・・・泣いてんだよ!?」

「完璧な兄さんの何が悪いの!?」

「お前は兄貴の何を見てたんだ!?」

「ブリュレお姉ちゃんお願い!!カタクリお兄ちゃんに会わせて!!」

「会いたいのは私も一緒だが戦闘に集中しろ!!」

 

こんな風に普段は絶対に本音を言わないカタクリの完璧宣言によってビッグマム海賊団の幹部であるリンリンの息子に娘達の指揮系統は一気にガタガタになった。素を知ってる者はカタクリが泣いてる事を悟り、素を知らない者はいつものカタクリのままだと安心し、それで取り乱す者、それでも眼の前の事に集中する者、反応は様々だった。

 

そして長男であるペロスペローは眼の前で繰り広げられてるリンリン、シキ、バレットの激戦を見ながらも完璧宣言を聴いて複雑な思いになった。

 

「ケーキィ〜!!!」

 

リンリンはまだ食い患いが止まらずにケーキを求めていた。そんなリンリンを見てペロスペローは重い口を開きながらも本音を呟いた。

 

「あんたの最高の息子が泣いてるのにまだ自分の事かよ・・・」

 

重い口を開きながら、リンリンですら自覚のない食い患いと言うのもちゃんと理解した上で本音をぶち撒けてもペロスペローは離れなかった。カタクリが自分の為に戦ってるのに邪魔したくなかったのもあるが長男として先頭に立って指揮しなければいけなかった。でないと今度は完全に母親のリンリンが1人になる。家族の中で長年リンリンといたペロスペローにそれは出来なかった。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはルフィとカタクリの戦いを見ていた。本当は見たくなかった。2人が似ていることをなんとなく分かっていたウタは2人が会えば仲良くなると思った。しかし、今は喧嘩をして殴り合ってる。何故、こうなったのか分からなかった。けどこれを邪魔するのは駄目だとウタは分かっていた。

 

「ルフィ・・・カタクリ・・・」

 

どんなに苦しくなっても泣かずにウタはそれを見守っていた。

 

 

ウタがそんな風に見ながら、とある集団もまた鏡の世界で遠く離れた所からルフィとカタクリの喧嘩を見て、ルフィ目掛けて消音の針を飛ばしていた。

 

「んもう!また当たらなかったじゃない!!役立たず!!」

「す、すみません!!フランペ様!!」

 

カタクリの妹の1人である36女のフランペが針を外したスナイパーにフォークを刺して痛めつけていた。

 

「あんなの完璧なカタクリお兄様じゃない・・・早く()()戻して完璧にさせないと」

「おっしゃる通りですフランペ様・・・」

「やっぱり、あのシキって変態爺の誘いに乗っておサル女の毒殺を手伝えば良かったわ・・・お兄様を立てて止めたけどやるべきだった・・・あの女がお兄様を変にしたのよ」

「そのウタはあそこで見てますがどうします?」

 

フランペは取り巻きの1人にそう言われてそっちを向くと少し離れた場所でウタが確かにいた。フランペはウタを見て殺したくなったがそれよりも先にルフィの方を狙った。

取り巻きには任せておけずフランペが自分の武器である無音の吹き矢を使ってルフィを狙った。

 

「完璧なお兄様を援護する完璧な妹・・・それが私・・・あんなおサルみたいな奴なんてこれとお兄様の拳ですぐに片付けて私が全ての妹達の中で1番になる・・・」

 

フランペはそうやってカタクリの心すらも嘲笑ってる事を知らずに矢をルフィに向けて飛ばした。

しかし、それはルフィには当たらずに止められた。

 

「あぁ!!」

「なっ!?あのおサル女!!」

 

見聞色の覇気でフランペ達を察知したウタは吹き矢を向けていたのを見て前に飛び出して矢を体で防いだ。ルフィとカタクリはお互いに喧嘩に集中していたのと結構遠くにいて気づいてなかった。

ウタは自分に刺さった矢を抜いてフランペ達を睨んだ後で問答無用で分銅を飛ばした。

 

「きゃあ、危ない!!何すんのよこのおサル女!!」

 

分銅はフランペの方に行くも外れた。矢に塗り込まれていた痺れ薬が効いて外してしまったのだ。だが、ウタはそんな風に痺れながらもフランペの方に向かって歩いていた。

 

「2人は喧嘩してるの・・・邪魔をしないで・・・」

「はぁ!?そんなのどうでも良いでしょ!?私は早くお兄様と一緒に帰って1番のお気に入りになりたいの!!」

 

フランペの身勝手な言い分にウタは何も言えなかった。自分があの2人を追い詰めさせてしまったと罪悪感を感じていたウタだが邪魔はさせたくなかった。

そんな中で取り巻きの1人が懲りずにルフィに向かって矢を撃とうとしてるのを見たウタは問答無用で分銅をぶち当ててノックアウトさせた。

 

「2人の邪魔をするなら・・・アタシが相手になる!!」

「・・・上等よ・・・あんた達!!このおサル女をここで殺すよ!!」

『了解です!!』

 

ルフィとカタクリが戦ってる遠くでウタとフランペの戦闘が始まった。











というわけで次回はウタVSフランペです!!

いやぁ、本当にルフィとカタクリの戦闘が難しい!!自分はどちらかというと実写アクションにある1つのカットに大量の情報を出すようなアクション・・・例えば左手で殴りにかかってくる相手の左脇から首に掛けて腕を回して投げようとするも投げられた相手が体を反転させて逆に投げ返すとかというような物が好きなのですがルフィもカタクリもそんな接近戦をやるタイプではないので悩みました。

次回は早ければ明日・・・遅かったら月曜日には出します。次回はウタVSフランペで最終章への伏線としてとある事をやります!!
そしてルフィもまたこの章であることをします!!ギア5ではありませんがかなりギリギリを攻めてみようと思います!!何をするかはお楽しみに!!


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片鱗

お待たせしました!!
タイトルは最終章への伏線です!!
それではどうぞ!!



ルフィとカタクリが激戦を繰り広げてる中でウタはロープを使ってフランペと戦い始めた。

 

「あんた達!!」

 

フランペの言葉に取り巻き達が剣を持ってウタに襲い掛かり始めた。カタクリの婚約者として認知されてるのにこの対応をしたらどうなるか分かってそうなのにこの行動。彼らはフランペの言葉しか聴いてなく、自分から思考する事を放置していた。

 

ウタはそんな彼らに容赦なく分銅をぶち当ててのして行く。フランペは取り巻きがドンドンと居なくなってくる状況にカタクリに助けを求めたくなった。

 

(いや、カタクリお兄様はあのおサルの相手・・・ここでこのおサル女を殺せば手助けになって最高の妹になる・・・完璧!)

 

全く完璧ではない。あまりの盲目っぷりだった。カタクリが本気で惚れてる相手を殺そうとしてるのだ。フランペはそう言った意味では敵に容赦しないリンリンの性格が悪い意味で色濃く受け継がれていた。

 

ウタはフランペに容赦なく分銅を当てようとするがふわふわと風船のように飛んで逃げられて当たらなかった。ウタはロープを飛ばしてフランペの上に来ると容赦なく蹴りを入れようと突っ込んで行ったがフワフワと避けられた。そしてフランペはウタに向けて毒矢を吹いた。

無音の吹き矢で飛ばされるがウタはロープを回して防いだ。舌打ちして悔しがるフランペの足に向かけてロープを投げてぐるぐるに巻きつけると地面に叩きつけようとするがフランペはウタの左腕に吹き矢を撃って痺れさせて使えなくさせるとその隙に脱出した。

 

フランペは直ぐにウタに向かって吹き矢を大量に飛ばした。利き腕でないとはいえ、左腕が使えなくなったのもあってウタはロープで防御しきれずに右太腿に矢が刺さって膝を付いてしまった。

 

「つぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

「危ないわねぇ・・・でもこれで終わりよ。あんたやあのおサルを殺して完璧なお兄様を取り戻すんだから!!」

「完璧って・・・自分の理想を押し付けてるだけじゃん・・・」

「???理想のお兄様だから当然でしょ???」

 

ウタが指摘してもフランペは全く理解してなかった。取り巻きのある種の執着っぷりといい、ウタはその姿に1年以上前の自分を重ねた。理想だけは高く、“世界”を見ていそうでまるで見ていなかった昔の自分にそっくりだった。

 

(やっぱり何か似てるな・・・・だから負けたくない!!)

 

最初はルフィとカタクリの戦いを邪魔させない為にやったがこの数瞬で明確に負けられなくなったウタは片足を引きずり、左腕をダランとぶら下げてしまっても立ってロープを右腕に持って向きあった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィとカタクリの戦闘はますます加速していた。

上に飛び上がったカタクリを落とそうとルフィが距離を詰めて突っ込んでいく。

 

「ゴムゴムの鷲バズーカ!!」

 

武装色で硬めたバズーカを胴体にぶち込もうととするがカタクリは全身をドーナツのように丸い輪にしてルフィの腕を転がってくると頭目掛けて踵落としを決める。ルフィはそのまま地面に叩き落されそうになるがすぐにカタクリの足を掴んで体勢を立て直すとカタクリの顔を足を伸ばして挟んで回転し捻りを入れた。

 

「ゴムゴムの大鎚!!」

 

そのまま地面に叩きつけようとするがカタクリは地面に足が最後に付くタイミングで無理矢理踏ん張って立って、逆にルフィを叩きつけた。

 

「加々身餅!!」

 

覚醒した能力で周りの地面を餅にして操り、地面に倒れていたルフィを圧殺しようと上から押し潰した。しかし、ルフィは餅になった地面を食い破って出てきたが未来を見ていたカタクリはそれを見越して出てきた瞬間に蹴り飛ばした。

 

「折れないな・・・バウンドマンになったらどうだ?出し惜しみか?」

「はぁはぁ・・・アレは疲れるからな・・・それにお前相手に覇気なしじゃ勝てねぇ・・・」

「意外に冷静に見てるな・・・だが、お前に勝つ見込みなどない」

「・・・俺はお前に勝って必ず鏡の中からウタと一緒に現れる!」

「・・・なんだ?随分と他人事のように言うな・・・」

「俺は仲間にそう信じられてる!!」

「いや、鏡から現れるのは俺とウタでお前じゃない・・・」

 

ルフィの言葉にカタクリはそう返すと詰め寄って蹴りを入れようとしたがルフィは咄嗟にカタクリの体に巻き付いて首を伸ばした。

 

「ゴムゴムの鐘!!」

 

武装色で頭を硬めた頭突きを食らわそうとするがカタクリは体を変形させてそれを避け、巻き付きからも脱出するとルフィを地面に押し付けた。

 

「角餅!!」

 

武装色で硬めた拳をルフィの顔面に食らわそうと振り下ろすがルフィは咄嗟に頭を手で掴んで首を伸ばしてそれを避けた。

 

(未来を見たか・・・)

 

咄嗟に未来を見て避けたルフィにカタクリは今度は胸に角餅をぶつけようとするがルフィは伸ばした右腕を左腕で持って回していた。

 

「ゴムゴムの連接鎚矛!!」

 

回して威力を高めた拳をカタクリの脇腹にめり込ませた。ミシっと体から嫌な音が聞こえてきたカタクリはそのままぶっ飛ばされたが体を変形させて意地でも背中をつかなかった。

 

(低確率だったのが上がってる・・・動物系としての勘の鋭さか・・・それとも元来の勘の良さか・・・厄介だな)

 

カタクリは内心でそう判断しつつもどこか楽しくなってきた。そしてそれはルフィも同じだった。時間制限はあるがこんな戦いは別にやらなくても良い。けどお互いにやりたくてやってる。海賊の一騎討ちではない身勝手な“喧嘩”だからこその楽しさがあった。そして喧嘩だからこそより拳で相手の事が分かってきた。

 

「シシシ、なんか楽しくなってきたな・・・」 

「俺もだ・・・」

 

性格や背負ってる物、そんなのは一切分からないが今感じてる高揚感じみた物は見聞色で分かりあっていた。2人はそのまま距離を詰めて拳を交差させた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「うひょー!!堪んねぇぜ!!しかも会話を聞く限り、カタクリはドレスローザにも居たようだ!!新・事・実・発・覚!!やべぇ、昇天しそうだ!!」

「そろそろ、流石に引いてきたわよ」

 

興奮のあまり、ガチで天に召されそうになってるモルガンズにステューシーは割と本気で引いていた。しかもモルガンズを見るとなんか口から魂みたいなのが出かかっていた。

 

『麦わら!!お前はウタとどこで出会った!?』

『ガキの頃にフーシャ村だ!!お前は!?』

『ドレスローザだ!!』

『あん時に知り合ってたのか!?』

『まぁな!!ドーナツを一緒に食べたぞ!!』

『なんか、ムカついて来た!!益々ぶっ飛ばしたい!!』

『やれるもんならやってみろ!!』

 

「なんと麦わらと歌姫は幼馴染だと!?しかも将星と食事まで!!ビッグニュースだらけだぜ!!!絶対に死んでも記事にしてやる!!」

「あ、戻った。人体ってそんなんだっけ?」

 

電伝虫から流れる新たなニュースを聴くとモルガンズの魂は無事に体に戻って復活した。ステューシーはモルガンズのビックリ体質に首を傾げつつも段々とルフィとカタクリによるウタの取り合いが楽しくなってきていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタとフランベの戦いも激化してきた。既に取り巻きは全員倒されていてフランペに分が悪くなるかと思いきや、フワフワと風船のように動くフランペに翻弄されて分銅が当たらず、逆にフランペの吹き矢は掠って痺れ薬が効いてきたのもあって動きが鈍っていた。

 

「当たらない当たらない!!本当におサルさんみたいな女ね!!お馬鹿さん♪♪」

「カタクリと違って性格悪すぎだよ!」

 

性格悪くおちょくってくるフランペにウタは若干キレかけるが頭を冷静にさせて詰め寄ろうとしたが左腕は痺れて使えず、右脚は踏ん張りが効かないのもあって上手く詰め寄れなかった。

そして、フランペの吹き矢はウタの腹に刺さった。ウタはすぐに抜くがその場で膝を付いた。

 

「残念♪けど、もうまともに動けないでしょ?すぐに首か心臓にでも刺せば麻痺して完全に死ぬ♪お兄様の寵愛を受けるなんて百年早いのよ♪」

 

フランペはそうやって嘲笑いながらウタに気がづいてきて近距離の真正面から刺そうとしたがウタは咄嗟にフランペに抱きついて耳に直接歌を聴かせようと歌った。

 

「あら?トットムジカの事はもうバレてるのに対策してないと思った?」

 

しかし、フランペはウタに抱き着かれて藻掻きながらも耳栓をつけて聴かなかった。ウタはすぐに外そうと耳栓に手を伸ばすがその前にもう一発腹に矢を刺されて剥がされた。

 

「プ〜〜〜〜!!全部無駄だったわね♪♪もうそれだけ刺さればまともに動けないでしょ♪♪さぁ、死になさい!!」

 

フランペはもう油断せずに殺そうと浮かび上がっていた。ウタは体を動かそうとしていたが重くて立ち上がるだけで精一杯だった。

 

(動け・・・動け・・・動け!!)

「終わりよ♪」

 

フランペが吹き矢を構えるのを見ながらウタは走馬灯のようにあることを思い出していた。

 

 

 

 

 

●●●

それはバギーズデリバリーで3ヶ月が過ぎた頃だった。

ウタは部屋で新聞を読みながら勉強してると生首のバギーがウタの近くに飛んできていた。

 

「捗ってるか?」

「うわ!?ビックリした・・・もうおじさん!!それ止めてよ!!」

「ギャハハハ!!面白ぇだろ!?」

「何回もされると心臓に悪いって・・・けどなんか羨ましい・・・」

「あん?」

 

ウタは自由に能力で遊んでるバギーを見てそう呟いた。自分はウタウタの実で悩んでるのにそんな事が無さそうで純粋に羨ましかった。

 

「だって・・・凄い簡単に能力使ってるもん」

「あぁ・・・まぁ、お前ほど強力じゃねぇからな!」

「羨ましい!!」

「馬鹿、お前のほうが羨ましいぞ!!歌えば相手を眠らせるなんてハデにやりたい放題だろ!!」

「すぐ眠くなるし・・・それに反応が夢の中だけじゃつまんない!!おじさんみたいにもっと自由に使いたい!!」

 

ウタの言葉を聴いてバギーは笑った。好きで手に入れた能力ではないがそう言われると気分が良かった。そして紛いなりにも弟子として来てるウタの悩みを受けて頭を撫でた。

 

「お前も出来るようになる!」

 

バギーはそう言った。根拠なんてまるで欠片もない、適当に言っただけだ。しかもその心をすぐにウタに見透かされた。

 

「・・・なんか適当に言ってるみたい・・・」

「ギクッ!!」

「やっぱり適当だったんだ・・・酷い、最低赤鼻親父!!」

「鼻の事を言うんじゃねぇ!!」

 

2人はもう何回目か数えるのもバカバカしくなるくらいまた喧嘩を始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

(なるんだ!!アタシも・・・ルフィやカタクリ・・・バギーおじさんみたいに“自由”に!!)

「死ね!!」

「負けてたまるか!!」

 

ウタはそんな懐かしい事を思い出しながら感情のままに叫んだ(歌った)。するとウタの周りに音符が出てきて腕に付くと黄金の籠手になって伸びた。

 

「え!?」

「な、何!?」

 

フランペどころかウタ本人も唖然となり、そのまま黄金の籠手は上にいるフランペの胴体にめり込んでそのまま天井にぶつけられた。

フランペが落ちてくるのを見ながら、ウタは自分の腕に突然ついて伸びてる籠手に目を向けるとルフィやカタクリと同じように戻ってきてバチンと言う音とシンバルのようなシャンという音色を立てて元の籠手に戻るとまた音符になり、消えた。

 

「今の何?ルフィやカタクリみたいになって・・・」

「やってくれたじゃない!!このかわいい私を汚すなんて・・・本当に地獄に堕ちろ!!」

 

混乱してるウタにフランペはそう叫んで吹き矢を放った。ウタは急な事に反応できずに目をつぶってしまった。しかし、矢はいつまで経っても体に刺さらずに恐る恐る目を開けると目の前にはルフィが庇うように立っていた。そしてその先ではカタクリが武装色で硬化した手で矢を持っていた。

 

「フランペ、何をしている・・・」

「お、お兄様・・・」

 

カタクリは自分のコンプレックスを隠してるファーに手を伸ばしながらフランペに近づいて眼の前で取って怒った。

 

「ウタに手を出すな!!」

 

フランペは完璧で理性的な印象しか持ってない兄が感情のままに叫んだ事で腰が引けた。そして“失望”し“幻滅”した。

 

「はぁ・・・早くここから出ていけ・・・この“喧嘩”の邪魔をするな!」

「・・・何よそれ・・・ダッさ〜!!幻滅したわ!!それに顔を隠してたのはその化け物みたいな口を隠してる為だったのね!?お兄様を誑かしたあのおサル女を代わりに殺そうとしたのに・・・こんなんだったらシキの変態親父の誘いに乗って、あのおサル女に毒を盛るべきだった!!最終的に・・・アナナがやってたけど、私がやるべきだった!!」

「・・・それを知っていたのか・・・シキがアナナに毒入りの金平糖を渡していたのを知っていたのか・・・」

「そうよ!!それがどうしたって言うのよ!?」

 

フランペの言い分に遂にカタクリは本気で怒った。末っ子のアナナが毒を盛ってしまった事を知りながら止めもしなかった姉のフランペに兄として叱った。

 

「お前はアナナの姉だろうが!!妹に何をさせているんだ!!!」

「うるさいフクロウナギ!!あんたなんかお兄様なんかじゃない!!この私の折角の行為に感謝もしないなんて・・・この戦いはトットランド中に流れてるわ!!皆、私の味方よ!!あんたにもう帰る国なんてないわ!!」

 

フランペの身勝手極まりない言葉にカタクリはもう呆れて何も言えなかった。既にフランペ自身、ウタにやられてボロボロで動けないのもあって吹き矢を取ってもう放っておこうと決めて手をフランペの方に伸ばすがその前に分銅がフランペの頭を殴ってノックアウトさせた。

 

「ウタ・・・」

「なんて女・・・カタクリはカワイイよ!!」

 

真実を知ってもまだそう言ってくれるウタにカタクリは嬉しくなった。そして益々ルフィを倒して一緒に居たくなった。先程の言葉通りならもうカタクリには帰る場所なんか無いと思っていた。自身のコンプレックスでそこら辺が卑屈になってるカタクリは決心するとルフィとウタに向き合った。

 

「ありがとうウタ・・・すまない・・・俺の妹が・・・」

「良いよ・・・だって、アナナちゃんに貰ったのは美味しい美味しい金平糖だったもん・・・」

「本当にすまない・・・麦わら・・・すまなかった」

「ウタが良いなら、俺は良い!喧嘩を続けるぞ!!」

「フッ・・・ハハハハハッ!!お前は本当に良い奴だな!!俺はお前に意地でも勝つぞ・・・麦わ・・・いや・・・ルフィ!!」

「勝つのは俺だ・・・カタクリ!!」

 

ルフィとカタクリは互いの名前を呼ぶと拳を構えた。色々と回り道だらけで、邪魔だらけだったが今度こそ思う存分、やり合えることに笑った。

ウタは急に襲ってきた眠気に堪えながらも2人の行末を見ようと立ち上がった。近くの壁にもたれながらでも見たかった。本気で愛してくれてる2人の“決闘”からウタは逃げる気はなかった。

 

「「お前に勝つ!!」」

 

バチバチと覇王色の覇気がぶつかり合う。ウタはそれを諸に受けながらも必死に堪えていた。ここまで来て威圧されて倒れる気なんてなかった。

 

ウタを巡るルフィとカタクリの“決闘”はまだまだ続いていく。

 




























というわけでウタVSフランペは終了です。ここからルフィVSカタクリの第二ラウンドです。長かったですが熱く熱く行きますよ!!

そして賛否両論あるでしょうがカタクリのルフィ呼び・・・いや、原作の麦わら呼びの方が良いっていうのは勿論ありますし、なんなら私もそっちの方が好きではあるんですが、今作のカタクリはライバルであって敵では無いのでルフィの敵と同じ呼び方にするのがどうしても嫌で・・・やりました・・・批判は受けます・・・まぁ、あまり書かないように調整はしていきます。

そしてウタの能力が現実でも暴れそうですがこれはバルトロメオと初対面の時に既にやっていました。そうです!!ウタウタの実も今作では覚醒させますよ!!
まだまだ覚醒には遠いのでウタの道のりをお待ち下さい!!


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覚醒

お待たせしました!!
それではどうぞ!!


ルフィとカタクリの戦闘は完全に邪魔者が居なくなったのもあって白熱していた。

 

「ゴムゴムの鷹回転弾!!」

「角餅!!」

 

威力を上げた回転弾と角餅がぶつかり合い、勝ったのはまたしてもカタクリだった。武装色の練度が違いすぎた。

 

「いてぇ〜!!」

「回転させて威力を上げてるがそれに負けるほどヤワな鍛え方はしてない!!」

 

カタクリがそう言うと今度はカタクリがルフィの回転弾のように腕を回しながら殴ってきた。ルフィはそれを避けようとしたが直前に拳が巨大化してまともに食らった。

 

「無双ドーナツ 餅巾着!!」

 

無双ドーナツを大量に作り、腕を出現させてルフィ目掛けて打ち込むがルフィはそれを避けてカタクリに突っ込み、蹴りを顔面に入れようとしたがカタクリはあっさりと頭を餅に変化させて避けてルフィを自分の後ろに通り過ぎさせるとすぐに振り向いて殴り飛ばした。

 

「クソ!」

「見聞色の未来視が分かってもお前が気軽に使えるわけではないなら、行動を制御出来ればどうにもなる」

「本当に厄介だな・・・もう結構やってるのにまだ使えるなんて・・・」

 

既に約束の時間まで2時間・・・鏡の世界に入ってから8時間が過ぎていた。流石に楽しい喧嘩ではあるがそろそろ終わらせないといけなくなってきた。

ルフィはカタクリに突っ込んで行った。また無双ドーナツで攻撃するが今度は避けずにそのまま突っ込んできた。下手に避けても予測と未来視の両方でやられるから肉を切らせて骨を断つ戦法でルフィはカタクリに突っ込んでいったがカタクリは真正面から角餅でぶっ飛ばした。

 

「未来視に予測・・・そこからお前の次の行動は読んでいた。楽しい喧嘩だが負ける気なんて毛頭ないぞ俺は・・・」

「俺もだよ!!ゴムゴムの銃」

 

ルフィはカタクリに向けて拳を伸ばすがそれと同時にゴムの戻る性質と自身の鍛えまくった脚力で瞬時に詰め寄ってカタクリの顔面に裏拳を当てようとするが避けられて角餅を打ち込まれた。

カタクリはそのまま腹に蹴りを入れようとした。

 

「ゴムゴムのUFO!!」

(はぁ!?)

 

しかし、ルフィは下半身を回転させて少しだけ浮かんでそれを避けた。これには流石のカタクリも唖然となってしまい、その隙を付かれて蹴られた。

 

(浮かび上がった・・・弾力で飛んだバウンドマンとは違う!!ふざけてる・・・こいつの能力は“覚醒”するとあらゆる能力で最も“ふざけた”能力になるぞ!!)

 

まさかの方法で避けたルフィに蹴られつつもカタクリは冷静にルフィの能力を見極めようとしたがやればやるほどふざけた技や使い方が多く、困惑と面白さを感じていた。カタクリは真正面から潰そうと無双ドーナツを作って腕を出現させるとルフィも両腕を前後に動かして溜めていた。

 

「ゴムゴムの鷹攻城砲!!」

「力餅!!」

 

武装色で硬めた攻城砲と力餅がぶつかり合う。先程までならルフィが負けていたがここで初めて相殺された。

その結果にルフィは笑い、カタクリは少し驚いた。長時間の戦闘で遂にカタクリの覇気も消費されてきたのだ。

 

「喧嘩はまだまだこれからだ!!」

 

両手を硬化して笑うルフィにカタクリも笑った。そして2人は互いに足を伸ばして相手の顔面を蹴った。

 

 

 

 

〇〇〇

「まさか!!ウタが毒を盛られていたとは!!一体どれだけのビッグニュースの宝庫なんだ今回のお茶会は!!こんなに幸せな時間はねぇぞ!!今度、行われる筈のライブには俺が直々に行ってやる!!絶対に最高のニュースが手に入る筈だ!!」

「・・・うるさいから鎮静剤を打つわね」

 

段々と煩くなってきたモルガンズにステューシーは容赦なく腕に鎮静剤を打ったがまるで効果はなかった。

 

「俺のこの迸るジャーナリズム精神にそんな薬など効かん!!」

「もう手遅れね」

 

全然止まる気配のないモルガンズにステューシーは遂に止めるのを止めた。

 

『『ウタは渡さない!!』』

 

「くぅぅぅぅ〜!!!明日の新聞の記事のタイトルはそれだ!!もう全てが最高だぜぇ!!ヒャッハー!!!」

「まぁ、シキの事を書かなければ良いわ・・・」

 

ステューシーはそんな風にはっちゃけ始めてるモルガンズの横でこの盛り上がってる戦いを聴いていた。

 

 

 

〇〇〇

ナミ達はリンリンやシキから逃げつつもサンジと合流し、ベッジらにケーキを託してリンリンの注意から逸した。残るシキと戦っていた取り敢えずの同盟相手であるバレットは吹き飛ばされつつもサニー号に上手く着地して構えた。

 

「カハハハハ!!やるじゃねぇかジジイ!!おい!俺はあいつと一緒にこの先にあるぶっ潰された島でやり合う。ここで同盟は終わりだ!!あばよ!!」

 

バレットはそう叫んでシキに突進し、2人はシキによって破壊されたキャンディ島へ飛んでいった。サンジはなんか知らないが突然現れたバレットに首を傾げてナミに聞いた。

 

「ナミさん、誰だあいつは?」

「ゾロ以上の脳筋の変態よ・・・けどシキを引き受けてくれるなら構わないわ!!」

 

ナミは非常に手短にそれだけ言うとすぐにジンベエに指示を出した。まだまだと追ってくるビッグマム海賊団から、逃げつつもルフィやウタとどうやって合流し、また逃げるのか相談し、サンジのアイデアに乗ることになった。

 

 

 

〇〇〇

ルフィとカタクリは巨大な拳のぶつけ合いをしていた。

 

「ゴムゴムの象銃乱打!!」

「餅巾着!!」

 

拳と拳がぶつかり合って間にあった壁を粉砕しながらも両者引かずにぶつけ合い、拮抗していた。しかし、そもそもの腕の数の差でカタクリが押し始めていた。段々と分が悪くなってくるルフィ。カタクリは容赦なく決めようと拳をぶつけようとするがルフィは殴り合いをやめて無双ドーナツから出た腕の上を走って距離を詰めてくるとカタクリの顔面を蹴り飛ばした。

武装色で防ぐも少しだけ飛ばされたカタクリに容赦なくルフィは拳を放つ。

 

「ゴムゴムの象回転弾!!」

 

回転してくる象銃をカタクリはまともに受けてよりふっ飛ばされたが壁にぶつけられる直前に体を変化させてルフィの拳を受け止めるとグルグルとハンマー投げのようにルフィをブン回して壁にぶつけた。

 

「焼餅!!」

「ゴムゴムの火拳銃!!」

 

倒れてるルフィに炎を纏った拳を当てようとカタクリは放ったがルフィも火拳銃を放ち、空中で交差してお互いの顔面を捉えてぶっ飛ばした。ルフィは倒れても立ち上がり、カタクリは倒れない。

お互いのスタイルの差が良く出ていた。

ルフィはカタクリに手を伸ばして首を掴んだ。

 

「ゴムゴムの丸鋸!!」

「柳餅!!」

 

そのまま回転しながら蹴りを入れようとしてくるルフィにカタクリは踵落としで無理矢理地面に叩き伏せて止めた。そしてそのまま右脚で蹴ろうとしたがルフィはすぐに起き上がって左足裏で止めると腕を伸ばした。

 

「ゴムゴムの鷹銃弾!!」

 

カタクリの左頬にルフィの拳がめり込むが寸前で武装色で防御していたのもあってすぐに反撃した。

 

「雨垂餅!!」

 

近くの地面を餅の触手に変えてルフィの腹に突きを入れて吹き飛ばした。カタクリはそろそろ終わらせようと体をドーナツのように丸くさせるとルフィに向かって突っ込んで行き、上に飛び上がった。

ルフィもそれを見て息を大きく吸って体を風船のように膨らませた後で捻りながら吐き出し上に飛んだ。

 

「ゴムゴムの鷹暴風雨!!」

「斬・切・餅!!」

 

カタクリに向かって大量の拳が向かっていくがそんな物を全て吹き飛ばそうと最大の技で応戦し、棍棒と化したカタクリの棘だらけの腕がルフィにぶつけられて大穴を開けながら、鏡の世界の地下深くにルフィは叩きつけられた。

 

「終わったか・・・」

 

カタクリは見聞色で確認しながらそう判断した。ルフィの息が絶え絶えになっていてもう立てないと思った。

 

「ルフィ・・・」

 

そんな2人の激闘を見ていたウタはそう呟いた。カタクリはそれに気づくとウタに近づいていった。万国にいる間にどれほど傷つけたか、酷い目に合わせてしまったかカタクリは罪悪感を感じながらも伝えたい事があった。非常に身勝手だが、それでも言いたかった。

 

「ウタ・・・こんな事を言う資格が無いのはわかってるが言わせてくれ・・・君が好きだ・・・」

「カタクリ・・・」

「俺と結婚してください」

 

カタクリはウタの前に膝をついて真剣に告白した。

そんなカタクリにウタも真剣に目を見て返した。

 

「カタクリ・・・嬉しいけど・・・アタシにはもう決めた人がいるの・・・カタクリと違って凄い子供っぽいし・・・喧嘩も凄いやるし・・・負け惜しみが多いけど、“新時代”を一緒に誓った人がいるんだ」

「あいつはもう・・・」

「ルフィ〜〜!!アタシ達の“新時代”はまだ始まってないよ〜!!アタシとの誓いを破る気!!?」

 

ウタはそう叫んだ。

カタクリはウタにもうルフィは立ち上がれないことを宣告しようかと思っていたが、突然と聞こえてきた音に愕然となった。

 

ルフィの腕が上に伸びていてそのまま飛んできたのだ。驚くカタクリを尻目にルフィはウタに向かって叫んだ。

 

「俺がお前との約束を破るわけねぇだろうが!!」

「ルフィ・・・」

 

地面に降り立ったルフィはそのまま倒れそうに成る程フラフラだったがウタにそんな激励をされて頑張らないわけにはいかなかった。

カタクリはタフ過ぎるルフィに呆れてつつも笑って向かい合った。

 

「凄いな・・・お前は・・・あれを食らってまだやるとは・・・」

「お前もな・・・」

「だからこそ、今度は決める。次にあれを食らって立てると思うなよ!!」

「俺も同じだ!!・・・まだ全然超えてねぇけど・・・この10分で・・・」

「やれるもんならやってみろ・・・俺は・・・フッ」

「シシシ・・・答えた!!」

 

お互いに未来を見ながら会話をやって相手よりも先に答えるとまた笑った。

そして、ルフィは武装色で硬めた腕に空気を送った。カタクリはバウンドマンかと思って構えて、見聞色で未来を見ると首を傾げた。

 

(バウンドマンじゃない?)

「ギア4 “スネイクマン”!!」

 

ルフィはバウンドマンでも更に言えばクラッカーを倒したタンクマンでもない第3のギア4の姿になった。カタクリはその姿を見て、以前ドレスローザで聴こえてきたドラムの音が大きくなってるのを感じた。

 

(またドラムの音だ・・・以前よりも大きいな)

 

カタクリはそう思いながらも拳を構えた。ギア4にボコボコにされたドフラミンゴや先程からポテンシャルの高いルフィを知っているのもあって油断せずに向き合った。

 

「ドレスローザのとは違うようだな」

「あぁ、これは速い!!」

 

ルフィはそう叫んでカタクリに拳を放った。弾力でスピードが桁違いに上がっていたがカタクリは避けた。

 

「?」

 

単調な攻撃に首を傾げてると突然も横からルフィの拳が飛んできた。

 

「!!?」

 

確かに避けて後ろに行った筈の拳が横から飛んできた事に驚きつつもカタクリは当たる寸前で武装色を纏ってなんとか防ぐがふっとばされた。

 

「曲がる拳か・・・」

 

ドレスローザで見た大蛇砲と同じ原理だと分かったが速さが段違いに上がっていた。カタクリはルフィの方を向くと既に次の拳を放っていてなんとか避けたが予想通り、猛スピードで曲がってカタクリの鳩尾に入って殴り飛ばし、カタクリはそのまま壁に激突した。

 

「ゴムゴムのJET大蛇砲!!」

(全てが曲がる拳か!・・・)

 

容赦なく次の拳を放つルフィ。カタクリは下手に避けるのは危険と判断し、角餅をぶつけてルフィの拳を弾き飛ばした。

 

「痛え!!けど、超えていく!!」

「かかってこい!!」

 

突っ込んできたルフィにカタクリもそう叫び返した。ルフィは両手を畳み込ませて放った。

 

「ゴムゴムの黒い蛇群(ブラックマンバ)!!」

 

今までの銃乱打と同じ両手でのラッシュだが大蛇砲と同じ曲がる拳でしかも桁違いの速さにカタクリは流石に予知できずに両手を角餅にして防ぎながら体をドーナツのように変形させてルフィに突っ込んで行った。

 

「JET大蛇砲!!」

「焼餅!!」

 

ルフィとカタクリの拳が近距離で交差して顔面を殴り合ったが2人はすぐに立て直してお互いに腹に蹴りを入れて吹き飛ばした。

 

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・腹減った!!・・・クソ!!」

「はぁ・・・はぁ・・・あぁ!!とっくにメリエンダは過ぎてるのに!!・・・クソが!!」

 

お互いに腹の中に溜まった言いたいことを言ってスッキリするとまた拳を構えて、カタクリはルフィのスネイクマンを分析していた。

 

(バウンドマンよりもさっきまでの戦い方に近いように見える・・・つまり、あいつにとってバウンドマンは動物系の特性を上げた物でこのスネイクマンが本来の戦闘方法に近い・・・いわば正当な強化形態・・・バウンドマンよりも威力不足だが、これで更に威力を上げられたら本当にあいつは“覚醒”するぞ)

 

カタクリはバウンドマンとスネイクマンの関係をそう結論づけた。強力な弾力のせいでまともに立っていられなかったバウンドマンよりも地に足がちゃんとついて本来のルフィの戦闘スタイルから大きく逸脱してないスネイクマンの方をカタクリは危険視した。

今はまだ威力不足だがこれで一撃の威力を上げられたら本当に覚醒すると思ったからだ。

 

カタクリは決着をつけようと体をドーナツのように丸くするとルフィに向かって突っ込んでいき、ルフィも拳を腕の中に畳んで放った。

 

ルフィの拳はカタクリは避けて上に飛び上がると回転しながらルフィに向かって突っ込んでいき、ルフィも拳を何回も曲げて速度を上げながらカタクリに向かって放った。

 

「「これで終わりだ!!」」

「ゴムゴムの王蛇(キングコブラ)!!」

「斬・切・餅!!」

 

今できる最大の大技が交差し、カタクリの斬切餅はルフィの脳天にルフィの王蛇はカタクリの鳩尾に入った。

しかし、今までのダメージから優勢はカタクリだった。

経験、思い、根性、信念、愛。

全てをこの一撃に込めた。

 

(俺の勝ちだ!!)

 

そう確信した。決して慢心も油断もせずに力を込めてルフィを下に叩きつけようとした瞬間にカタクリの腹が()()()()()()()()()より深く刺さった。

急に深く強制的に入れられた事によって今まで以上の威力の拳を受けたカタクリ。

 

お互いの攻撃が入りきった所で2人は腕を戻した。

バチンと腕からそんな音がなってルフィは足元の地面が崩壊し、落ちた。

 

(この戦いで一瞬だけ・・・“覚醒”しやがった・・・)

 

ルフィが落ちる前に笑っていたのが見えたカタクリは朦朧とする意識の中で力尽きてうつ伏せに倒れた。

ウタはそんな2人の戦いを確かに自分の目で見届けると堪えていた眠気に堪えきれなくなってウタも倒れた。

 

こうして鏡の世界で行われたルフィとカタクリの戦いは終わった。

 






























というわけで遂にルフィVSカタクリ決着!!
いやぁ、長かったし・・・途中が凄い鬱でどうなるかと思ってましたがここまでこれて嬉しいです!!
そしてルフィの覚醒をどうするか迷い続けてやってみました一瞬だけの覚醒!!まだ全然ギア5ではなく、カラクリ城のメカ巨兵の時に出たギア2のイメージでやってみました。
批判は受けます・・・

まだまだ、ホールケーキアイランド編は続きますよ!!
この後は、逃げてルフィとウタの会話をしてシャーロット兄妹の話をやって、ウタの曲をしてから再びイチャイチャ編です!!
それでは皆様、お待ち下さい!!


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fanfare

お待たせしました!!
すぐに出来るかと色々と盛ってたらまさかの9000字超え・・・歌詞を抜いても8000字・・・我ながらよく書いた・・・


ルフィとカタクリの戦いが終わって暫くしてウタは突然聴こえてきた何かが倒れる音に気づいて目を覚ました。

まだ眠気は残っていた、夢か現実かも曖昧のような感覚だったが、ウタは確りと見た。ルフィが仰向けに倒れてるカタクリの口にベッジの所で正装した時に麦わら帽子に付けた帽子を口元に置いていた。

 

「ルフィ・・・カタクリ・・・」

 

ウタはそう呟きながらもなんとか立つとルフィがウタの方に向かってきた。何かを決心したような顔つきだったがウタを見ると笑った。

 

「ウタ・・・一緒に行こう!」

「ルフィ・・・けど、アタシ・・・」

 

ルフィの言葉にウタはうんと頷けなかった。どんな理由であれ、敵対していたのだ。それなのにすんなりと行くのは気が引けたし、首を縦に振りづらかった。

するとそんなウタに気づいたのかルフィはウタを抱き締めた。

 

「えっ・・・ルフィ?」

「ウタ・・・俺は無事だ・・・俺の仲間もだ・・・だから、一緒に出てサニー号でちゃんと話そう・・・ウタはどうしたいんだ?」

「ルフィ・・・ア、アタシは・・・」

 

『もういい、顔も見たくない!!絶交だよ!!』

『じゃあ、アタシに取っても敵だね』

『あんた誰!?誰なの!?・・・この頭痛の原因!?だったらド派手にぶっ飛ばすよ!!』

『あんた一体何者なの!?なんであんたを見ると頭痛がするの!?答えて!!』

『・・・知らない・・・あんたなんか知らない!!』

『なんなのあんた・・・痛い・・・ずっと痛いの!!なんでこんなに痛むのか分かんないほどずっと痛いの!!・・・薬って・・・毒を盛ったのはひょっとしてあんた!?』

 

ウタはルフィに酷いことを言いまくっていた事を思い出していた。どうしてなんでこうなってしまったのか分からなくなって苦しくなり、涙が出てくるがそれでも言いたい事をちゃんと言った。

 

「行きたい・・・まだ言いたい事一杯あるの・・・ルフィと仲直りしたいよぉ・・・」

「なら、行こうぜ!!」

 

その言葉を確りと聞くとルフィはウタの頬を両手で挟んで笑顔を見せた。昔からどれだけ成長しても変わらない楽しそうな顔・・・それを見るとウタも心にあったつっかえが取れてきた。

ルフィの言葉にウタは首を漸く縦に振ることが出来た。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ブリュレはそんな2人の様子を黙って遠くから見ていた。友達が戻った事、大切な兄が負けた事で色々と感情が混乱してるがそれでもブリュレはウタを助けようと頭を悩ましていた。ここから逃がせれば良いが、そんな事をやったら自分も反逆者になってリンリンに殺されてしまう。どうするべきか考えてるとブリュレは突然と伸びてきたルフィの腕にぐるぐる巻にされた。

 

「え?・・・えぇぇぇぇぇ!?」

「よし、こっから出るぞ!!来い枝!!」

「ブ、ブリュレ!?」

 

ルフィによって拘束されたブリュレ。ウタはブリュレが居る事自体に驚いていた。

 

「ウ、ウタ・・・はいこれ!」

 

ルフィに担がれてるブリュレはそう言うとウタの持っていた手荷物を渡した。ウタはそれを受け取ってブリュレの方を見た。

 

「ブリュレ・・・あの・・・」

「ウィウィウィ・・・良いよ。友達じゃん!今度のライブに絶対に行くから、その時は良い歌を聴かせてよ」

「ブリュレ・・・ありがとう!」

「よし!行くぞ、ウタ・・・枝!」

「ブリュレだよ!!」

 

枝呼ばわりするルフィにブリュレは当然の如く訂正を求めたが、時間が無いのもあってルフィはウタも抱えて合流地点であるカカオ島の鏡から外に出ようとした。

 

 

 

〇〇〇

一方、外ではオーブンを筆頭にビッグマム海賊団が構えていたがその前にあることが起きていた。ジェルマ66が既にカカオ島に来ていて大混戦が起こっていた。

本来なら12男のヌストルテを少し時間をかけて倒してから来てるのだが、そのヌストルテがブリュレのやったカタクリの大暴露で動揺してる隙を付いて非常に短時間で倒した為に予定よりも早く来て暴れていたのだ。

 

ルフィはそんな大混戦の中に鏡から出てきた。

 

「麦わらだ!!」

「兄さんを倒した奴だ、殺せ!!」

「ウタもブリュレもいるぞ!!」

「ウタは兎も角、ブリュレは守れ!!」

 

ジェルマ66と戦いながらリンリンの子供達がブリュレを助けようとルフィを狙ってくるが、ルフィとウタを担いで脱出しようとカカオ島に潜伏していたサンジが飛び出して退けるとルフィはブリュレを離してサンジにしがみついた。

 

「よし、行くぞルフィにウタちゃん!!」

「おう、頼むぞサンジ!!」

「あれ?プリンの花婿さん??」

 

サンジに対しての印象がプリンの花婿という事でしか知らないウタは少し混乱しつつもジェルマ66の協力もあって無事にカカオ島から脱出してサニー号に合流した。

 

 

〇〇〇

一方、ウタを狙ってルフィを絶望のドン底に叩き落とそうとしていたシキは、バレットによってキャンディ島に無理矢理飛ばされて戦闘をしていた。

 

「トットムジカが戻ったか・・・今度こそ!!」

「逃がすかジジイ!!」

 

見聞色の覇気でルフィやウタが合流したのを知るとすぐにそっちの方に行きたかったのだがバレットによって防がれていた。バレットも別に誰がシキに狙われようがどうでも良かったが折角の楽しみなのにそれを逃がす気などさらさらなかった。

 

「このクソガキぁ!!」

「カハハハ!!楽しもうぜ!!」

 

幾つかの不安要素であるシキとバレットの戦いはルフィらがリンリンの縄張りを出るまで続いた。

 

 

 

 

〇〇〇

サニー号に合流したルフィとウタが傷をチョッパーから治療されてる最中、ジェルマ66の船に乗ってやってきたジャッジがサンジの事についてルフィに聞いてきた。

ジャッジからすればサンジは出来損ないで弱者を守る為に情に流されて兵士として役に立たない精神で飯炊きに従事して王族のプライドもない、改造人間として生まれたのに皮膚は盾にならないと罵倒してきたがルフィからすれば全てサンジの良い所でしか無くて首を傾げていた。

だからルフィは単純に口下手なだけだと思って取り敢えず援護してきてくれた事に礼を言うと非常に苦々しい顔をして去った。

 

「なんであいつ、急にお前の良い所を言ったんだ?」

「な!」

「そういう意味で言ってねぇだろあいつは!!」

「わはははは!!最高じゃなお前達!!」

 

ルフィはチョッパーと首を少し傾げてサンジは怒り、ジンベエは笑った。和やかな雰囲気が続いていくがまだ脅威は去っていなかった。

 

ケーキを食べにベッジが置いていったふんわり島でリンリンはケーキを食べて食い患いとそれによって起こっていた激ヤセが治って横になった。

 

そして前に回り込んできたビッグマム海賊団の大船団がいたがそれはジンベエの仲間達である魚人海賊団が援護に回ってジンベエとルフィらを逃がそうとしていた。

しかし、仁義に熱いジンベエは仲間達を見捨てることが出来ずに残ると伝えるとルフィからワノ国で待つと言われ、必ず行くとだけ伝えてサニー号から降りてビッグマム海賊団と戦い始めた。

 

こうして、陰謀や絶望が渦巻いたリンリンのお茶会は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

それから、暫くするとルフィとウタはサニー号の一室に二人きりでいた。

そこはバルトロメオの船で作った2人のベッドが置いてあった。フランキーがゾウに着いた時にサニー号の空いてる部屋に置いたのだ。

つまり、船長室が出来た。まだベッドだけしかないが確かに作られたルフィの部屋だった。

そんな部屋で2人は床に向かい合って座っていたが謝ろうと思い頭を下げた。

 

「「ごめんなさーーーーーーイッ!!」」

 

互いに凄く近くに居たのでデコ同士をぶつけてしまい、頭を上げた2人はデコを擦りながら見た。

 

「・・・痛いね・・・」

「あぁ、痛えな・・・」

「・・・ごめんね、アタシの謝り方が・・・凄くて・・・」

「何言ってんだ?俺の方が凄かったぞ、だから痛えんだ!」

「違う、アタシの方が凄かった」

「俺だ!」

「出た・・・負け惜し・・・」

 

何時もの調子になって話し始めようとウタはしたし、ルフィもそれに乗ったがウタはそこまで言うと感極まって何も言えなくなり、ルフィも止まった。

 

「ルフィ・・・本当にごめんなさい・・・アタシ、大事な事を全部忘れてた・・・」

「良いんだ・・・俺もミンゴの時に忘れてた・・・だからこれでおあいこだ・・・それにごめんな・・・」

「何が・・・」

「俺・・・ウタが辛い目にあってたのに何も出来なかった・・・ミンゴの時だけじゃねぇ、今回も・・・エレジアでも・・・何にもやれてなかった・・・」

「ルフィには関係ないじゃん・・・全部、アタシの問題なんだから・・・」

 

ルフィの言葉にウタは俯きながらそう言った。全て自分の問題なのにそんな風に心配して貰ってウタは巻き込んでしまった申し訳無さと悔しさがあったがそれで止まるルフィではなかった。

 

「関係ないなんて言うなよ・・・一緒に“新時代”を作るって言ったじゃねぇか・・・お前が居ない“新時代”なんて・・・嫌だ!!」

 

ルフィは大声でそういった。ウタは顔を上げてちゃんと向き合うとルフィは泣いていた。それを見るとウタもまたポロポロと泣き始めた。

 

「う、うわぁぁぁぁ〜!!ルフィ、ごめんなさいごめんなさい!!アタシが馬鹿だった!!ルフィに酷い事やって、何もかも台無しにしかけて・・・本当にごめんなさい!!」

「ウタ、ごめんよ!!俺も馬鹿だった!!ウタがバギーに助けてもらってたのを知らずに酷いことを言っちまった!!シャンクスの事も俺が自分で聞かなかったのに・・・勝手に怒って・・・本当にごめん!!」

 

2人は泣きながら抱きしめあって悪かった所を言い合った。お互いに相手を尊重したが為に良い印象がない相手を尊敬してるが為に起こってしまった言い合いはこうして幕を閉じた。

 

お互いに暫く泣いて漸く落ち着くとルフィは懐からあるものを取り出した。それはウタがルフィの為に用意し、カタクリが預かっていたエレジアのライブチケットだった。

 

「あれ?それ、なんでルフィが・・・」

「カタクリが俺の事を思い出さねぇようにって持ってたんだ。倒れる時に渡されてウタにごめんって、伝えてくれって」

「そうなんだ・・・カタクリは本当に優しいな・・・」

 

カタクリの不器用な優しさに触れていたウタは最後まで優しくいてくれた事に感謝した。

 

「そんなに・・・良かったのか?」

「ん?だって凄い優しくて大人で・・・誰よりも前に立ってて・・・カッコ良かったから・・・」

 

ウタがそういう風に優しく言うとルフィは少しだけ強くウタを更に抱きしめた。ぶっ飛ばしてスッキリしたがウタがそう言うとまたモヤモヤした物が出てきた。ウタはルフィの腕に軽く触れると優しく答えた。

 

「けど、アタシは・・・ルフィが良い・・・何回、喧嘩してもルフィが良い・・・」

 

ウタがそう言うとルフィはドキッとなった。胸に手を当てて少しだけ早くなった心臓の音に首を傾げてるとウタもどうしたのかとルフィを見た。

 

「どうしたの?」

「いや、なんでもねぇ。それよりも前にライブに行かねぇって言ってたけど・・・俺、行くよ」

「え?」

「シャンクスに会っちまうけど、俺が約束したのは偉大な海賊のシャンクスだ・・・ウタを悲しませたシャンクスじゃねぇ・・・だから、一緒にぶん殴ってやる」

「ルフィ・・・」

「シシシ!!」

 

ウタはルフィが来てくれる事に嬉しくなったがシャンクスの事に関しては自分でやる気だったので手を出して欲しくなかった。

 

「ありがとう・・・でもね、シャンクスの事は自分でやりたいんだ」

「ウタ・・・」

「もうちょっとかも知れないんだ・・・もうちょっとで答えが出そうなんだよ・・・アタシがシャンクス達と別れてからの12年の答えが出そうなんだよ・・・今度のライブで出そうなんだ・・・そしたら漸くアタシは本当の意味で一歩踏み出せるかも知れないんだ・・・巻き込んで凄く申し訳ないし、本当にごめんなさい」

 

ウタはルフィに謝りながらそう言うとルフィは優しい声でウタに応えた。

 

「何言ってんだよ・・・俺とウタの仲じゃねぇか・・・そんなの気にしねぇよ・・・誓った“新時代”の為なら、しょうがねぇじゃん・・・もっと巻き込め!!俺は絶対に離れねぇ!!」

「ルフィ・・・じゃ、エレジアで何が起こったか話すね。アタシが何をしちゃったのか・・・」

「あぁ、全部話せ・・・俺もシャンクスと何があったのか話す・・・だから、バギーと何があったのかも全部聞く・・・」

「ルフィ・・・凄く長くなるよ・・・」

「シシシ、俺もだ・・・」

 

2人はそのまま話し始めようとしたが、その前に部屋の扉がノックされたので何かと気になって開けるとサンジが立っていた。

 

「飯の準備が出来たんだが悪い、邪魔したか?」

「本当かサンジ〜!!飯〜!!ウタも一緒に食べようぜ!!旨えんだサンジの飯は!!」

「ちょ、ちょっとルフィ!!」

 

ルフィはウタの手を引っ張って食堂に向かっていった。サンジは自分の飯を美味しそうに食べようとしてくれる仲間の姿に嬉しくなった。

 

「帰ってこれて良かった♪」

 

サンジはそう呟くと早く戻って新しい料理を作っていかなければ腹ペコのルフィにすぐに全部食べられるので機嫌良く戻った。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィ達がリンリンの縄張りから抜ける少し前、鏡の世界では仰向けに倒れたカタクリをブリュレが治療していた。

 

「あいつらは?」

「どうせ、答えたら良かったって言うんでしょ?」

「ブリュレ・・・お前も未来が見えるのか?」

「さぁ?・・・お兄ちゃん・・・アタシ、望んで無いからね・・・アタシ達の為に自分を捨てて完璧になるお兄ちゃんなんてアタシは望んでないから・・・」

「ブリュレ・・・俺は・・・家族を守る為に・・・」

 

ブリュレはカタクリにそう言うが相変わらずの返事をされたので思い切ってやった事を暴露した。

 

「そう言うと思ったから、さっきの麦わらとの喧嘩の声を全部万国中に流してるからね!皆、お兄ちゃんがそんな風に思ってたなんて知らなかったから混乱してたよ・・・」

「やったのはフランペかと思っていたが・・・お前だったのか・・・はぁ・・・もう戻れねぇな」

「お兄ちゃん・・・それはどうかな?」

 

カタクリはそう言うと脱ぎ捨てたファーを身に着けてどうしようかと悩ましてると声が聴こえてきた。

 

「カタクリ〜!!」

 

カタクリは上半身を起こしながらブリュレと一緒に声がした方向を見ると兄であるペロスペローと姉のコンポートを筆頭に大勢の兄妹が走ってきた。

 

「ペロス兄にコンポート姉?」

「この大馬鹿!!」

「ぐわぁ!!」

 

そしてカタクリはペロスペローを追い越して突進してきたコンポートの拳を顔面に受けてまた地面に倒れた。

 

「ちょっとコンポートお姉ちゃん!カタクリお兄ちゃんは今、治療中なんだけど!」

「あ、ごめんねブリュレ・・・手間かけさせてけど、アタシはカタクリに言いたい事があるんだから・・・」

 

コンポートは倒れてるカタクリの胸倉を掴むと抱き締めた。カタクリは何がなんだか分からずに困惑してると頭をコンポートに撫でられた。

 

「カタクリ・・・ずっと聞いてたよ・・・ごめんね・・・辛いことを背負わせ続けて・・・けど、これだけは忘れないで・・・アタシは何があってもあんたのたった1人の姉だからね」

「コンポート姉・・・」

 

するとペロスペローもまたカタクリを抱き締めた。

 

「カタクリ・・・もう、1人で抱え込まないでくれ・・・」

「ペロス兄・・・」

 

それだけではなかった。同じ三つ子であるオーブンやダイフクは近くに座って他の兄妹達も近くに座った。皆、言いたい事があるのは見聞色の覇気で分かったがそれを言われずともカタクリは嬉しくて涙がポロポロと出始めた。

 

「なんだよ・・・皆、優しいな」

「当たり前だよ・・・家族なんだから・・・」

 

カタクリの呟きに間髪入れずコンポートが答えた。嬉しくてしょうがないカタクリは抱きしめてくれてる自分の姉や兄を抱き締めた。すると3人の近くに歩いてきた者がいた。シキに騙されてウタに毒を盛ってしまったアナナだ。顔を凄く青ざめていて歯をカタカタと鳴らしていた。

 

「カタクリお兄ちゃん・・・」

「アナナ・・・こっちへ・・・」

 

カタクリはアナナの姿を見ると手を伸ばした。アナナは殴られると思った。それほどの事をしてしまったと自覚し、目を瞑った。しかし、カタクリはアナナにそんな事はせずにただ手を伸ばして持ち上げると抱き締めた。

 

「お、お兄ちゃん・・・」

「アナナ・・・ごめんな・・・兄ちゃんなのに辛い思いをさせて・・・ごめんな・・・」

 

カタクリはアナナにそう謝った。全て不甲斐なかった自分が悪いと言ってアナナを許した。するとアナナも緊張や恐怖の糸が切れたのか大泣きした。

 

「う、う、うわぁぁぁ〜!!ごめんなさい、ごめんなさい、お兄ちゃんごめんなさい!!私・・・お兄ちゃんにもウタお姉ちゃんにも酷い事しちゃった〜!!」

「今度のライブの時に一緒に謝りに行こう・・・観させて貰えないかもしれないが行こう謝りに・・・」

「うん・・・うん!・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」

 

カタクリは幼いアナナを落ち着かせるように背中を擦りながら、一緒にエレジアに行くことを決めた。

シキの策略によって崩壊したかに思えたシャーロット家の兄妹の絆は壊れていなかった。次男であるカタクリの叫びは全員ではないが確かに兄妹に届いていた。

 

「さて、まだ倒れてるフランペにはアタシとペロス兄でお仕置きして・・・皆、立て直すよ!もう一回、1からね!!」

「勿論だ、コンポート!!私達はこれでへこたれるシャーロット兄妹ではない!!」

『おぉ!!』

 

ペロスペローとコンポートの宣言に兄妹達は再び立ち上がる事を誓った。

カタクリもアナナを抱き締めながら、ルフィと最後に話した事を思い出していた。

 

 

 

 

 

●●●

ルフィが地下に叩き落されて暫くすると腕を伸ばして登ってきた。ヘロヘロでもう立てないほど疲れていたが、目の前にカタクリが立ってるとルフィはなんとか立ち上がった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・最後に教えてくれ・・・お前とウタは何の約束をしたんだ・・・全てを出した・・・技も経験も力も覇気も・・・なのに負けた・・・理由が分からないままで負けられない・・・だから・・・教えてくれ・・・」

 

カタクリはボロボロになりながらもそう尋ねてきた。ルフィは別に答えなくても良かった。そんな義理はないからだ。しかし、ここまでウタを巡って戦ってきた事に加えて、ウタを大切に思ってきたカタクリに敬意を込めてルフィは話し始めた。

 

「俺と・・・ウタは・・・“新時代”を誓ったんだ・・・一緒に作ろうって・・・それに約束した・・・お互いか自分の夢の果てまで叶ったら・・・一緒に旅しようって約束したんだ・・・」

 

カタクリはその言葉を聴いて全て悟った。ルフィとウタが“婚約”していた事に加えて、なぜルフィが最後まで諦めなかったのか・・・その全てを悟った。

 

「そうか・・・これをウタに返してくれ・・・お前の記憶を思い出させない為に預かっていた・・・すまなかったと伝えてくれ・・・」

 

カタクリはそう言って懐の中からウタが書いていたルフィの名前が入ったエレジアでのライブのチケットを渡した。ルフィはそれを確りと握って首を縦に振った。

 

「フッ・・・随分と未来を見てるな・・・負けたよ・・・」

 

カタクリはそう言うと負けた理由が分かって満足したのか仰向けに倒れた。限界だったのもあるが負けた理由が分かってスッキリした。ルフィは自分から背中をつけて負けを認めたカタクリに敬意を籠めて、散々とフランペから罵倒された口を隠す為に麦わら帽子の上に被せていた正装の帽子をカタクリの口の上に置いた。

 

 

 

〇〇〇

カタクリは無事にウタ達が出た事や、ルフィの敬意、そしてウタによって素を出せるようになった事など諸々を含めて、2人に感謝しながら前にまた進むことを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

食べ終わったウタはルフィとサニー号の船主の頭の上で今までの事をある程度話をしていたが、何かを思い出したルフィはナミに預けていた物を返して貰ってウタに渡した。

 

「ウタ、これ返すよ・・・」

 

ルフィはウタに麦わらマークの手袋を返した。

ウタはそれをギュッと握った後に自分の左手に付けた。

 

「ウタ・・・そのマークって昔、俺が描いたやつだよな?」

「うん・・・アタシ達の“新時代”のマークでアタシの旅始まりのマーク・・・ありがとうねルフィ・・・」

「なぁ、一曲歌ってくれねぇか?・・・俺、ウタの歌が聴きてぇ・・・」

 

ウタにそう言われるとルフィはウタを優しく抱き締めながらそう言った。ウタもそう言われると断れないし、歌いたかったのもあって、ウタはだったら皆の前で歌いたいと言って甲板にルフィと一緒に戻り、ナミ、チョッパー、ブルック、キャロット、サンジを集めた。

ウタはそんな皆の前で『fanfare』を歌い始めた。

 

「悔やんだって後の祭り♪もう昨日に手を振ろう♪さぁ、旅立ちの時は今 重たく沈んだ錨を上げ♪」

 

ウタはこれから曲のテンションが上がっていくのに合わせながら気持ちを高めた。

 

「congratulations!今胸に高鳴るファンファーレ!もう色彩階調(グラデーション)は無限で脳に紙吹雪を舞え!覚悟なき者はされ あてどない流浪の旅 Nobody knows 航海の末路」

 

まだ完全には上がらない。一度テンションを溜めてウタはさらに続けた。

 

「例えて言うとすれば僕はパントマイムダンサーです♪見えもしねえもんを掴んで天に昇った気になって♪」

 

人の望む立場から自分で降りられなかった自分やカタクリを遠くから見てるように続けた。

 

「やがて風船が割れ 独り悲しい目覚め そんな日でも 懲りずに「ヨウソロ」を・・・」

 

1番目のサビに突入し、ウタはめいいっぱい叫んだ。

 

「ちょっと待ってと言われたって♪どっち行くんだと問われたって♪「答えはいつも風の中」にあるんですって♪いつの間にか大人になって♪うっかりして真面になって 失った宝物 探しに行こう!」

 

1番目が終わり、2番目に突入するとウタはカタクリの事を思い出しながら歌った。

 

「吹き荒れるよ 今日も見通しの悪い海原で♪みんな悪戦苦闘してるんだ 独りじゃないぞ 頑張れ♪歓喜の裏側で 誰かが泣く運命 それが僕でも 後悔はしないよ」

 

ウタは1人で抱え込みながら戦っていたカタクリを思い出して歌った。

 

「「僕はボクさ」と主張をしたって♪僕もボクをよく知らなくて ぐるぐる自分のしっぽを追いかけ回して♪ひょっとしたらあなたの瞳に いつか出会った本当の僕が迷い込んでやしないかなぁ?って探してみる♪」

 

心から感謝と友愛を込めてウタは歌い続ける。

 

「まるで袋のネズミ 自分で自分を追い込んでた さぁ 旅立ちの時は今 重たく沈んだ錨を上げ♪悔やんだって後の祭り もう昨日に手を振ろう♪さぁ 旅立ちの時は今 風をよんで デカい帆をはれ!」

 

ラストのサビも含めてウタはルフィにカタクリの事を想いながら歌った。

 

「ちょっと待ってと言われたって♪どっち行くんだと問われたって♪「答えはいつも風の中」に あるんでしたっけ!?きっと今日もあなたの瞳で♪僕も知らない新しい僕は ぐるぐる旅をしてる♪いつか誰もが大人になって♪ちゃっかりした大人になって♪失った宝物 探しに行こう!」

 

歌いきって皆が拍手をする中でウタ、ルフィ・・・そして遠く離れた場所で家族の優しさに触れてるカタクリは前に進むことを改めて決心した。

 

 




  





















というわけでやけに2番の歌詞がカタクリに似合っていたのでストロングワールドの主題歌であるfanfareを届けました!!シキの参戦は後付でしたがこれで締めようとは思ってましたので出来て良かったです。

そして次回は毎度笑える新聞ネタ・・・モルガンズ出番でっせ!!

その次から応募して頂いたルウタイチャラブ編第二弾です!!またそれをやりつつ、シャーロット兄妹の話を思いついたのでそれも書いて行きます。
因みにまだまだルウタネタの募集は止めてないので書いてほしいネタがあればぜひ活動報告にどうぞ!!
イチャラブ編の途中で、シチュエーションの被りが無ければ出来る限りやる方向で考えます。

さて、イチャラブ編が終わったら、原作だとワノ国ですが今作がどう描くかはお待ち下さい。少しルフィの方にこの話で問題が出来たので(マジで想定外)ワノ国ではそこを解消できるように頑張ります。




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報道&予告

それでは久しぶりの1日2話更新です!!
まぁこの話はただのモルガンズフィーバーですので気軽にどうぞ!!


モルガンズはルフィとカタクリの戦闘が終わった瞬間にステューシーと一緒に気球に乗って逃げていた。

 

「クワハハハハハ!!イッツ・ア・ビッグニュース!!神は俺を新聞の王へと導こうとしているに違いない!!」

「そろそろ疲れてきたわね・・・」

「おいおい、これくらいでへこたれるな!!俺のジャーナリズム精神に限界はねぇ!!麦わらに歌姫に将星が三角関係なんて最高すぎるネタだ!!」

 

モルガンズは大喜びをしながら、小躍りして興奮していた。そしてモルガンズ直々の取材という名目の元にそのお茶会のニュースは世界中に流された。

 

 

 

〇〇〇

マリージョアの一室では五老星がその新聞を見ていた。

 

「麦わらに将星・・・歌姫・・・厄介な関係だな・・・」

「幸いにも四皇は落ちていない。今回の事は単純に海賊同士でやった縄張り争いの一部でしかない」

「しかし、麦わらに歌姫と最近の大きなニュースには殆ど関わっているな」

「シキにバレットも危険だぞ」

「確かにそれも危険だが藤虎の出した七武海の廃止案だがどうする?“千両道化”が本当に彼に勝ったのなら危険極まりないぞ。政治的判断も考慮するなら1番の問題はこれだ」

「七武海の廃止と共に“千両道化”の所には大将とCP-0を投入しよう・・・奴の首を必ず取らせるんだ」

「擦れば政府の威厳は取り戻せる・・・では緑牛とロブ・ルッチに向かわせよう・・・“千両道化”のバギーを暗殺するんだ!!」

 

五老星は七武海廃止とともに海軍の最高戦力をバギーにぶつけてしかもCP-0まで投入するという“バギー暗殺計画”を進めた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

革命軍は黒ひげに襲撃された総本部があったバルティゴを捨ててカマバッカ王国に移動していた。

そんな中で総司令官であり、ルフィの父親であるドラゴンは新聞を読んで居るとコアラが覗き込んできた。

 

「ウタが気になるのかコアラ?」

「え!?いや、その・・・はい・・・」

「フッ・・・コアラ・・・イワンコフとあることを頼みたいのだが出来るか?」

 

ドラゴンは真剣な目つきをしてコアラを見た。完全に仕事を頼み込む時の目だった。コアラもそれを見ると姿勢を正して聞いた。

 

「ウタの父親であるバギーを連れてきてくれ・・・」

「確保ですか?」

「あぁ、そうだ・・・あの男のやってる海賊傭兵は“赤千の決闘”以降、格段に拡がった。これ以上野放しには出来ない・・・“千両道化”のバギーを捕まえるんだ」

「分かりました!!」

 

コアラはドラゴンの指令を受けるとイワンコフと一緒に新世界にあるカライバリ島へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「まさか、お前が俺の所に来るとはな・・・何のようだ?」

「クハハハ、鷹の目・・・お前も政府のキナ臭い匂いは知ってるだろ?」

「七武海廃止の噂か・・・」

「先日の俺の計画に乗るか?他人を信用しないって意味じゃ俺とお前は同じだが?」

「断る・・・お前と組みたくも無いし・・・何よりもあのピエロが対等と言うのも気に食わん」

「俺もそれは気に入らねぇが、あいつが赤髪に勝ったのは事実だ」

 

シッケアール国の城の一室でミホークはクロコダイルからバギーを巻き込んだ計画の一部に加わるように交渉してバギーがシャンクスに勝った事をミホークに言うと珍しく苦虫を噛み潰したような顔つきになった。

 

「赤髪め・・・余計な事を・・・」

「で、どうする?恐らくだが七武海は廃止される。“海兵狩り”の時代に戻るか?」

「・・・忌々しいが・・・先に動くほうが平穏そうだ・・・最近はとことん運が悪いな・・・」

「止めろ・・・俺も落ちてるんだ」

 

クロコダイルとミホークは最近落ちてきた運の尽きを忌々しく思いながらもペローナと一緒にシッケアール王国から人知れず出た。

 

 

 

 

 

〇〇〇

レイリーは九蛇海賊団の船で新聞を読みながら笑っていた。女っ気の1つもないルフィがウタを巡ってカタクリと戦った事に対して弟子の男としての成長を見て嬉しくなった。

 

そして一緒にいたハンコックはあまりのショックで石になっていた。

 

「姉様!」

「お気を確かに!!」

 

サンダーソニアにマリーゴールドがハンコックを戻そうと必死になって呼びかけていたがハンコックは戻りそうになかった。

 

「しかし、レイリー。おニュし、どこに連れて行くつもりじゃ?」

「七武海の廃止は恐らく本当だろう・・・戦力は多い方が対抗しやすい・・・」

「まさか!?」

「ふっ・・・元気があり余っているなら鍛えてやるか・・・」

 

レイリーのやる事を察知したニョン婆は微妙に嫌な顔をした。そして暫くすると石化から元に戻ったハンコックにレイリーはその事を言うと本気で大泣きして船室に引き籠もってしまい、予定よりも遥かに遅くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ワノ国の鬼ヶ島にある自分の屋敷でカイドウは新聞を読みながら呑んでいるとルフィが記事に出てきた事に首を傾げていた。

 

「なんで俺の取り引きを邪魔したコイツがあのババアの所に居るんだ?」

 

首を傾げてるカイドウにNo.2とNo.3であるキングとクイーンが近づいてきた。

 

「カイドウさん、それも気になるが例の赤鼻との戦争の準備も確りと出来ました」

「SMILEの試験には持って来いだぜカイドウさん!」

「ウォロロロロ・・・そうか・・・まぁ、もう暫くゆっくりしたら始めよう・・・」

 

カイドウは上機嫌になって酒を更に呑み始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

「あぁ!?オレの記事がねぇじゃねぇか!?こちとら面目を潰されたってのによぉ!!」

「アイツだぜ、ママきっと!!」

「覚えとけよモルガンズ・・・いや、麦わら!!」

 

リンリンは新聞に載っていた内容にキレてビリビリに破り捨てて叫ぶとそのまま女王の間から出た。モンドールはそれを見るともう関わるのが危険なので鏡の世界を通ってカタクリが治療しているコムギ島へ行くと殆どの兄妹が争っていた。

 

「だからカタクリと一緒に横になって最初に寝るのは三つ子である俺だろ!?」

「ふざけんなオーブン!!俺だ!!」

「待ってくれ!!兄さん達は素のカタクリ兄さんを知ってるではないか・・・ここはあまり知らない下の者に譲ってくれ!!」

「そうよ!」

「カタクリ兄さんと寝たい!」

「私もよ!!」

「ふざけんな、ここは同じ将星である俺だ!!」

「ということは俺も・・・」

「お前は将星を落とされただろうが!!」

 

素を出すことになったカタクリの隣でガチで兄妹水入らずの会話を寝ながらやる権利を取るために殆どの兄妹が争っていた。

カタクリは自宅の中から窓を通してそんな風にはっちゃけて煩い兄妹達を見て笑うと横になった。すると見聞色で鏡からブリュレとアナナがやってくるのが分かると笑った。

 

「お兄ちゃん・・・一緒に寝ていい?」

「カタクリお兄ちゃん・・・私も・・・」

「あぁ・・・構わん・・・」

 

ちゃっかりしてるブリュレとアナナが外で争ってる他の兄妹達を出し抜いてカタクリと共に横になって呑気に世間話をしながら寝た。

 

一方、唯一この争いに入っていなかった兄のペロスペローと姉のコンポートに盛大にやらかしたフランペはというと・・・

 

「うぅ・・・ここから出してよペロスお兄様、コンポートお姉様!!」

「駄目だ!!ママから10年分の寿命を取るのを勘弁して貰った代わりに閉じ込めてるんだ!!」

「半年間はそこに居てしかも、ちゃんと反省文を書かないとお仕置きだよ!!」

 

リンリンも色々と邪魔をしていて更に言えばウタを殺そうとしていたのを知ると流石にキレて寿命を10年分奪おうかとしたが、それは止めてペロスペローとコンポートの2人も頭を下げてペロスペローのやり方で処罰するようにだけ言った。

 

そんなわけでフランペはモンドールの本の牢屋にブチ込まれて反省文を延々と書かされていた。更に言えばペロスペローはキャンディにする直前まで追い詰めてコンポートはお尻ペンペンをアホほどやった。

 

それでもまだ反省の色を見せないフランペにペロスペローとコンポートは新しいお仕置きの準備を始めていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

シャンクスはレッドフォース号の甲板で半分泣きながら自棄酒をしていた。

 

「チクショー!!バギーの馬鹿!!俺よりも鰐野郎を取りやがって・・・どうやってあの鰐を剥製にしてやろうか・・・」

「いや、流石に長居し過ぎだ。バギーもそりゃ怒るぞ」

「うるせぇベック!バギーはそんな事はしねぇ!!何だかんだでいつも居てくれる良い奴なんだ!!」

(そりゃ、あんたのマイペースさに飲まれてるだけだろ・・・)

 

バギーズデリバリーで暫く・・・というかクロコダイルがいる間、ずっといたシャンクス達であったが遂にキレたバギーによって追い出された。勿論、ベックマンらも賛成で駄々をこねていたシャンクスを無理矢理引き連れてカライバリ島から出た。

それからずっとシャンクスは自棄酒をしていた。

 

「あ、ウタだ!・・・グハッ!?」

「嘘だろ・・・ゲボっ!?」

 

そんな中で新聞を読んでて血反吐を吐いていたルウとヤソップからウタという言葉を聴くとシャンクスは飛んで新聞を奪った。こういう沈んだ時は大切なかわいい一人娘の話題に限るとウキウキしながら新聞を読むと、ルフィとカタクリがウタを巡って決闘した事、更にはウタがカタクリと食事していた事やルフィとウタが幼馴染というのも載せられていて、1番辛かったのがルフィとウタが完全に恋人扱いになっていた事だった。

 

「・・・ガハッ!!!」

 

かつて無いほどに精神的なダメージを食らったシャンクスは倒れた。勿論、シャンクスだけじゃなくウタのそのネタに古参幹部はベックマン以外、倒れ込み・・・大騒ぎになった。

 

「あの時は久しぶりに全滅を覚悟した・・・」

 

副船長のベックマンはこの時の騒動をこう記憶していた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、バギーはというとクロコダイルに頼んでいた合金のワポメタルを漸く買えたので自分の武器であるマギーバルカンを新しく作り直した。

 

「よっしゃ!!これで少しは戦える!!というか逃げやすくなった!!」

 

銀色の小さい籠手だが、バギーが指を畳めば手の甲を保護していた部分から銃口が開き、握り込めば刃が飛び出す優れものだった。

 

「バギー、あんたこれ読んだかい?」

「んぁ?なんだ・・・今日の新聞?」

 

近くでのんびりと新聞を読んでいたアルビダがバギーに新聞を渡した。そして載っているルフィとウタとカタクリの内容を読むとバギーは頭を抱えた。

 

「どうかしたのかガネ?」

「・・・まぁ、しょうがねぇか・・・けど、なんか悔しいぜ!」

 

流石にシャンクスとは違い、叔父であるバギーはそうやって納得しようとしていたが出来ずに色々と物悲しい気分になっていた。

 

 

 

〇〇〇

『UTAはやっぱりあいつと付き合ってたんだ!』

『幼馴染だって書いてあるぞ!!』

『しかも四皇のNo.2と三角関係だったって!!』

『一体、どうなってんだ!?』

『なぁ・・・俺達、UTAの何を知ってんのかな?』

『何も知らない・・・』

『海賊で悪党を擁護する女だ!!』

『でも本人を見てないよ!!』

『向き合ってなかったんじゃねぇか!?』

『なんで辛いのにそんな事をしなくちゃいけねぇんだよ!!』

『そうよ!そんな事をやる義理はないわ!』

『じゃ、勝手に想像を押し付けるのも駄目だろ!』

 

多くの市民はこのゴシップを読んでUTAに向き合ってこなかった事に対して思う所が出てきたのか言い争いをしていた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『ウタは渡さない!!ビッグマム暗殺計画の裏で行われた海賊の決闘!!麦わらの一味船長“麦わら“のルフィとビックマム海賊団“将星”カタクリの激戦!!』

『10時間に渡る長期戦!!』

『語られたのはそれぞれの仲間や家族に対する自慢!!』

『麦わらのルフィと歌姫ウタは幼馴染!!』

『ドレスローザで将星カタクリと歌姫ウタが食事!?』

『海賊史上最もロマンス溢れる三角関係!!』

『将星カタクリ、敗れる!!最後には自ら負けを認めた』

『麦わらと歌姫は恋人!!』

 

 

完全にリンリンの暗殺計画なんて綺麗サッパリ無くなっていた。それ以上にモルガンズがルフィとカタクリによるウタ争奪戦の方を面白がったのでそればっかり書いていた。お陰で面目丸潰れにされたリンリンの面目が更に潰される結果になった。

 

ただし、これであることも広められた。

1つはルフィの懸賞金が15億に上がった事。

もう1つがルフィが5番目の皇帝の候補になった事。

 

これにより、世界は四皇に加えて五皇争いをしているルフィにバギーというかなり混沌とした状況になった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

そしてゴードンはというと、ルフィにウタにカタクリのこの記事をライブの準備をする為にあちこちの国を回ってスポンサーの1人であるがブエナ・フェスタの所で読んで固まった。

 

「マーベラスだ!!麦わら・・・最悪の世代ってのは中々に良いな!・・・どうしたゴードン?」

「・・・ガハッ!」

「おい、大丈夫か?おい!!」

 

シャンクスらと全く同じ反応をして倒れた。フェスタは慌てて医療班を呼んで治療させた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

最終章特報

 

 

 

歌姫(ウタ)を助けたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

偉大な海賊か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただの欲深き悪党か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軌跡的な世界

 

最終章

 

新時代✕大作戦

 

 

 

「これでお別れだ・・・ウタ」

「嫌だ・・・バギーおじさん・・・置いてかないで!!」

 

 

“道化”が繋いだ歌姫(ウタ)の新時代

 

 






















はい、今回は幕間であるいつものモルガンズフィーバーですが次からはイチャラブ編でその次はワノ国編でそして最終章です!!

まだまだ最終章まで時間がかかりますが特報を出しました!!


そうです!


最終章での1番の主役はバギーです!!
次にウタとルフィです!!
実はこれ、バギーを出した当初からずっと決めてた事で途中で出し過ぎじゃないと色々と渋っていて中心にする気が無かったと書いていたのは最終章で主役になるのが決まっていたからというオチです!! 

初期構想ではバギーを出して精神崩壊したウタをサクラ王国に行かせてドクトリーヌの元で治療させてと考えていたのですがバギーって世間の目を気にするタイプというか七武海になってからやけにそれを気にしてるのでそんな状態でウタをほっぽりだすとは思えずにやったらファインプレーを連発しまくり、サクラ王国編がただの二番煎じになると言う結論になってボツになりました。

それからシャボンディ諸島の後のバギーズデリバリーの話も初期構想には全く無く、ウタをある程度戦闘をこなさせないと役立たずになって暗くなる可能性があったので強くさせないと言う問題にぶち当たり、レイリーはもう化け物級でハイレベル過ぎてついて行けない問題になり、能力者である程度強くてオマケにウタが慕ってる人物があの時点でバギーしか居なかったのであれはやりました。

だから、これの積み重ねで起きてる今のバギーの状況は正しく私も想定外過ぎてどうなるか分かりません!!
決めてるのは最終章はバギーが死ぬほど頑張る。ルフィとウタの過去編をやるという事だけは決めてます。というのもルフィVSカタクリ編でのルフィとウタの婚約は本来はこな最終章で明かす物でしたが、それを使ったのもあり、新しい過去編を思いついたのでそれをやります!!では皆さん、下手すると来年に最終章かも知れませんがそれまでお待ち下さい!

追記
私的にあのルフィとウタとシャンクスが描いてある映画ポスター風なイメージをするなら、ウタが歌ってる後ろにはバギーが背中合わせで立ってるイメージです。ルフィ、シャンクス、ウタの顔は見えるけどバギーは背中越しにしか分からないって感じが自分の中のポスターのイメージです。



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Luffy vs katakuri???

タイトルの意味は読めば分かります。それではどうぞ!!また前々回のルフィとウタの頭突きネタは迷子の鴉様のリクエストで、今回はリンムー様とウルトラオタク様のリクエストしたシチュエーションが入っております。


ウタがルフィと抱きしめあって仲直りをした後の飯時。無事に仲直りしたのが言葉にしなくても他の面々にはよく分かるほど2人の雰囲気は穏やかでほんわかとなっていた。するとウタはルフィから残りのメンバーを紹介された。

 

「そうだ!ウタに残りの皆を紹介してなかったな!こいつはナミ!うちの航海士でどんな海でも連れてってくれるんだ!」

「よろしくね♪」

「よ、よろしく・・・・」

 

ウタはナミを見て美人だと思った。ロビンは恋の味方で居てくれたけどナミがどうなのか分からない。更に言えば自分は敵対していたのもあって印象が良くないから、ルフィを取られるのではと思った。ナミはそれを察知するとウタの耳元に他には聞こえないように話した。

 

「フフっ・・・そんなに警戒しなくてもルフィは取らないわよ」

「ふぁ!?///」

「ん?どうしたんだウタ?」

「な、何でもない!!」

 

ナミにからかわれて顔を真っ赤にしたウタはルフィにそう言った。ルフィはルフィで何なのか気にしつつも次の仲間を紹介した。

 

「こいつはサンジ。ウチのコックで凄え美味え飯を作るんだ!」

「お初にお目に掛かります。コックのサンジと申します!おぉ、配信で一目見た時からお美しいと思っておりましたが、実際に見ると更に魅力的で素敵です〜♡」

「えぇ!!?///本当!?///なんか凄い嬉しいなぁ///」

 

サンジの何時もの調子にウタは違う意味で顔を赤くさせて照れた。ここまでド直球に言ってくる人もそうそうおらず、初めての感覚に照れと嬉しさがあった。

ルフィはそんなウタとサンジの絡みを見てるとまた胸あたりを人知れずに擦り始めた。

 

「あ、あの!パンケーキとか作れる?」

「勿論、パンケーキもウエディングケーキも作れない物はございません!!」

「だ、だったら・・・ホイップマシマシのパンケーキとか今度、作ってもらっても良いかな?」

「んっ勿論でございます!!華麗なるレディの為ならこのサンジ!!如何なる事でもお応え致しましょう♡」

「ありがとー♪♪」

 

いつものノリのサンジと仲良くするウタ。ルフィはサンジが作ってくれたご飯を食べながら非常に面白くない感覚に陥っていた。

 

「あら、ルフィ・・・どうしたの?」

「んー、なんでもねぇ・・・」

「え?ルフィ、どうかしたの!?もしかして傷が!?」

 

ナミに聞かれても何でもないと答えたルフィ。ウタも気づいたのか聞いてくると胸にあった物が途端に無くなったので笑顔で答えた。

 

「んや、大丈夫だ!!んで、チョッパーだ!!うちの船医でいっつも俺をちゃんと治してくれるんだ!!」

「えへへ、そんなことを言っても嬉しくねぇぞコノヤロがー♪♪♪♪」

 

ルフィにそう言われたチョッパーはニヤニヤしながら照れ隠しをしていた。ウタはそんなチョッパーを見て可愛いと純粋に思って抱き締めた。

 

「か、かわいい!!え?こんなにかわいい子が船医って凄いなんかギャップがあって良い!!ホンゴウさんなんかかわいくなかったから、凄い新鮮!!」

「お、男だぞ俺は!」

 

ウタの心からの言葉にチョッパーは訂正を求めたがウタはそんな事を気にせずに抱きしめていた。一方その頃、かわいくないと言われた赤髪海賊団の船医であるホンゴウはウタの本音を感じ取ってしまったのか寝込んでしまった。

 

ルフィはチョッパーにメロメロになってるウタを見て先程と同じように胸をさするが今度はなんともなかったのでさっきのは気の所為だと感じた。実際には基本的に女好きのサンジと違ってチョッパーはそういった事がないと言う感覚から来るものだがルフィはこれを自覚してなかった。

 

「シシシ、んで、ウチの音楽家のブルックだ!!凄えいい曲で明るく楽しませてくれるんだ!!」

「ヨホホホホ!!よろしくお願いします!!」

「・・・・・・」

「ヨホ?どうかされましたか?」

「ギャァァァァ!!ガイコツが喋った!!??」

『今さら!?』

 

喋る骸骨である死んでも骨だけブルックを見たウタは総叫び声を上げた。今さら過ぎる事にルフィを含めた全員がツッコんだ。

 

「今さら叫ぶ?」

「だってさっきは色々とあったから気にしてなかったんだよ!」

「あー、改めてゆっくり見て驚いたのね」

 

ナミがウタに聴くとそう返された。ルフィはそれを見ると手には肉を持ちながら後ろからウタに寄り添った。

 

「ル、ルフィ?」

「シシシ、けどおもしれーだろ!?」

「ヨホホ、ほら!頭も開きますよ!!」

 

ルフィの言葉を聴いたブルックが間髪入れずにスカルジョークの1つである頭の開閉を見せた。ウタはそれを見て好奇心が勝ったのか笑った。

 

「おもしろーい!!」

「ヨホホホ!!ありがとうございます!!・・・では、お近づきの印に・・・パンツ見せてもらってもよろしいですか?」

「「やめろ!!変態骸骨!!」」

 

サンジとナミがセクハラしてるブルックにキレてナミに関しては天候棒を伸ばして頭をどついてた。ウタはそんな風にド直球すぎるセクハラをしてきたブルックに対して引いていたが、ルフィの仲間というのもあって穏便に断ろうとした。

 

「えっと・・・その無理!!アタシはもう()()()()()を決めてるから・・・ごめんなさい!!」

「ヨホッ!?」

「ぬぁに!?」

 

ウタの衝撃発言にサンジとブルックはショックを受けて倒れた。ナミはへぇと思いながらニヤニヤした顔をウタに向けるとウタの後ろに引っ付いていたルフィのしかめっ面を見て余計にニヤニヤした。お互いに顔を見てないのでウタからはルフィの表情が見えないのもあってナミは余計にその面白い状況に笑った。

 

「ウタ、誰なんだそいつ?」

「えぇ!?///そ、それは・・・い、言いたくない!!///」

「・・・分かった・・・」

 

基本的に相手が言いたくない事は無理に聞かないルフィは聞かなかった。胸が凄くズキズキして聞きたかったがそう言われるとどんなに聞きたくても聞かない。ルフィはそう云う男だった。

 

「友達のキャロットだ!!ミンク族ですげぇ強えんだ!!」

 

ルフィはこの話題をさっさと終わらせて友達であるキャロットを紹介した。それを見ていたナミはルフィの意外な一面を見て新鮮な気分になっていた。

 

「ん?よろしく♪♪ごめんね、ご飯ばっかり食べてて・・・」

「よろしく♪♪」

 

ガチの料理人であるサンジの料理に夢中になっていたキャロットは1言謝って自己紹介した。ウタは別にそんなのは気にせずに仲良くした。

 

こんな風にルフィは内心悶々としながらもウタと楽しく食べた。

 

そしてサニー号の上で麦わらマークを返してウタの曲を聴き終わるとルフィは傷、ウタはフランペにやられた痺れ薬もあってチョッパーから安静にと命じられたのもあって仲良く寝ながら話の続きをやる事を決めた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィは部屋で1人ベッドの上に座っていた。まだ傷だらけなのもあってチョッパーから風呂に入るなと言われてそのまま横になろうとしたがウタは風呂に入りたかったのでチョッパーが能力者と痺れ薬が残ってる可能性を考慮してナミとキャロットと一緒に入るならと言って今はサニー号の風呂で3人一緒に入ってる。

 

1人になったルフィは先程のウタの発言をまた考えていた。別に誰がそんなのを見せようが関係なかったが何故かウタだけは違った。ルフィは普段とは違う感覚に悶々としていた。

 

「あぁ~!!なんかモヤモヤする!!」

 

今まで感じたことのない感覚にルフィは変な気分になった。元々、ウタに関しては再会した時からそんなのを感じていた。強いて言えばウタがバルトロメオと知り合いと知った時から感じていて、ドレスローザでの宴で仲良く話していた時に強くなって、ゴーイングルフィセンパイ号で料理を作ってた時によりなってとずっとモヤモヤした感覚があったがカタクリとの激戦でそれが更に強くなった。

 

「変だなぁ・・・今度チョッパーに診てもらおう!・・・けど、なんか気になるなぁ・・・」

 

ルフィは気にしないでおこうと思っても気になってしまった。

 

「そう言えば昔、マキノが言ってたなぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

●●●

ルフィは山賊のダダンの所でエースと居た時にマキノからエースが礼儀を教わってるのを一緒に聞いていた。

 

「そう言えば2人はちゃんと女性に対しての一線は守ってるかな?」

「んー?何だそれ?」

「マキノ〜、それって何だ?」

「例えば、むやみやたらに女性の下着姿とか裸は見ちゃいけない事とかよ。もうそういうのに対して礼儀を持たないといけない歳になってきたからね」

 

マキノは大きくなってきたエースやルフィにそういった事を教えると2人は面倒くさいというような感情を顔に出していた。

 

「別に女のそんなのを見たって何もねぇよ」

「それによ、ダダンは普通に男の中で着替えてるぞ」

「アタシはもうそんなことを気にする程若くねぇんだクソガキ共!!アタシよりも若いマキノとか他には気を付けねぇといけねぇんだよ!!」

 

エースとルフィの言葉を聴いていたダダンは2人のそんな反応を知って飛んできて怒りながら頭を殴った。エースとルフィからすれば理不尽極まりないのでダダンとその後、掴みかかった。

マキノが止めても全く止まらずに大騒ぎになって、暫くして止まるとマキノはエースやルフィに話を続けた。

 

「・・・兎に角、そういった事にはこれから気を付けないと失礼なのは覚えといてね」

「なんか納得できねぇ・・・」

「うんうん・・・」

「・・・う~ん、2人にはまだ早過ぎたかな?」

「俺はもう大人だ!」

「俺だって!!」

「お前は弟だから俺よりは子供だ!!」

「なんだとー!?」

 

今度はエースとルフィが喧嘩をし始めるがマキノはすぐに2人の間に手を挟んで止めた。

 

「大人になったら、そういうのもきっと分かるようになるわ」

「だから、俺はルフィより大人だ!」

「俺も負けねぇー!!2年経てば俺も大人だ!!」

「馬鹿!そしたら俺は更に2歳上だ!」

 

エースとルフィはマキノから教えられた事を一応頭の隅には入れておいた。因みにそう云うのを特に気にしない山賊の頭であるダダンと一緒だったのもあってこういった考えが定着する事は全くなかった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィは懐かしい事を思い出した。エースと喧嘩したし、ダダンには殴られてオマケに原因が微塵の欠片も楽しくない記憶であったがエースが死んだ今となってはこれも大切な記憶だ。

 

「大人・・・か・・・・」

 

ルフィは横になりながら、そんな事を呟いた。そしてウタと仲直りしていた時に言っていた言葉を思い出した。

 

『だって凄い優しくて大人で・・・』

 

ウタはカタクリの事をそう称していた。ルフィはマキノの言葉を思い出したせいでカタクリをまたさらにぶっ飛ばしたくなってきた。

 

「うぅ・・・次も負けねぇぞ!!」

「何、どうしたの?」

 

勝ったのにまたカタクリにそう宣言して起き上がったルフィ。そんな中でタイミング良くウタが入ってきた。ルフィはウタの方を見るとまた胸を少し擦った。

ウタがいつもやってる輪っかの結びではなく風呂上がりなのもあって全て解いて下ろしていた。

別に寝る時は大体この髪型でゾウに着く前にも何回も見ていた筈なのに感じたことのない感覚に更にルフィは首を傾げた。

 

「ねぇ、本当に大丈夫なの?」

「ん~、良くわかんねぇ・・・今度、チョッパーに診てもらう!」

 

ウタはベッドに乗ってルフィに顔を近づけて聴いてくるとルフィはそう答えた。ウタは取り敢えず、それなら良いと思った。ルフィは昔から無茶をやっても気にしてなかったがそう云う事を言えるようになった事に安心した。

 

「辛かったら言ってね!アタシも皆も心配するから!」

「おう、わかった!!」

「それじゃ・・・エレジアで起こった事は話したからバギーおじさんとの事を話すね!」

「おう、聞かせてくれ!!」

 

以前とは違ってルフィとウタはお互いに憧れてるシャンクスとバギーの話をやってもギスギスしなくなった。2人はそのまま横になりながら話し続けて・・・暫くすると一緒に眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「ふっ!!・・・・ふぅ」

 

一方、ルフィに勝手な嫉妬をぶつけられていたカタクリは自室でくしゃみをしそうになったが堪えた。ちゃんとベットに寝てるかと監視にブリュレとアナナが居た。

 

「くしゃみを堪えるのは良くないよ?」

「そうなの?カタクリお兄ちゃん、風邪を引いたの?」

 

ブリュレがそう訪ねた。完璧に生きると決めた時からくしゃみすらも人前では見せずにして堪えていたがブリュレにはそれがくしゃみを堪えていることだとバレていた。アナナはカタクリのこういった行動がくしゃみを堪えていた事だと知れて新鮮な気分だった。

 

「風邪など引かん・・・」

「カタクリお兄ちゃん、嘘は止めて」

「いやアナナ。俺は本当に引いた事がない・・・」

「えぇ!?そうなの??」

 

カタクリの発言にブリュレは昔から知っていた事で新鮮さの欠片もない事だったがアナナはびっくりした。

 

「私が生まれる前から?」

「あぁ、昔から病気になった事がない・・・ペロス兄から頑丈すぎるだろとよく呆れられていた」

「それアタシも初耳!」

「カタクリお兄ちゃん、もっと教えて!!」

「あ、あぁ・・・」

 

ブリュレはペロスペローからそう言われていた事は初耳だったのもあってアナナと一緒にカタクリの素の話を聞いていた。

 

「俺達にも教えてくれ!!」

「「「え?」」」

 

突然と開いた部屋の扉に他の兄妹達がなだれ込んできた。皆、カタクリの素が知りたくてしょうがなかった。特にペロスペローとの素の関係なんてオーブンやダイフクでも良く知らない事実が偶にあるので2人もいた。

 

「あんた達、何やってんだい!?」

 

フランペの所からカタクリが心配でやってきたコンポートが皆にそうツッコんだ。カタクリは場を収めようと間に入ろうとした。

 

「コンポート姉、俺は別に・・・」

「甘やかさない!!」

「え?・・・いや・・・」

「あ?なんか文句あるの?」

「・・・すみません・・・」

 

普段だと見聞色の覇気の未来視でこういう会話を予見して言わないのだが、純粋に心配してくれてる皆に内心嬉しかったカタクリは上手く使えずに久しぶりにコンポートに怒られた。

早速、珍しいものが見れたと思ったシャーロット兄妹であった。




















ということでまだまだ自覚には程遠いですがウタに対しての思いの欠片を自覚し始めてるルフィです!
これやっていいのかな?と思いつつもルウタタグを入れてるのでやりましたwww
そして嫉妬されるカタクリwwww

鬱だった分、たっぷりとやりますのでお楽しみに!!
また、話を作る関係でシチュエーションのネタは1話限りにすると流れが無理に切れてしまう可能性が高いのもあり、例えばルフィの嫉妬に対しての仲間の反応とか今話で全員の反応を書けなかったので、少しずつ小出し出来るものは小出ししていこうと思います。


また今作で意図的にやってるズレは私の個人的な価値観である『愛や想いとは相手に伝わらなければ何一つ意味がない』という価値観でやっており、愛は⇔になっても自由の=には絶対にならないと言う前提でやっております。

今のルフィとウタの関係は⇔の側面が大きいのでこれから2人の=の部分が大きくなってくるのもお楽しみに!!因みに喧嘩する前は⇔と=は同じ位でした。

問題は2人とも⇔の想いが強いのがなぁ・・・ワンピースの原作の大半の死亡キャラが⇔が=よりも大きくなってる時が多いので=の関係性も大きくしたいです。エースとかウタは諸に当てはまってるし・・・

というかこの個人的な分析がまんま当てはまるとシャンクスら赤髪海賊団・・・原作の最終章で全員死ぬのでは?・・・違う意味で鬱になってきた・・・


ということで今作の最終章で登場する鎌を扱う男とルフィの会話が出来ました。いやぁ、1番会話が思いつかなかった2人ですので出来て良かった!!最終章におけるルフィの影も大きくなって本当に良かった・・・バギーの影が無茶苦茶濃かったので・・・最終章はまだまだ大分先ですがお待ち下さい!!


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初恋

少しイチャイチャとは違いますがこれからに必要な事なのでやりました。
因みに今回のルウタネタのリクエストにベアーフォール様、ウルトラオタク様、リンムー様が入っております。


ウタとルフィは横になってからお互いにシャンクスとバギーとの大切な思い出を話し始めていた。

 

「そしたら、シャンクスのやつがまだ子供だって・・・酷えだろ?」

「ルフィったら、全然変わってないね♪ジュース貰っちゃって喜ぶのとか・・・またチキンレースとかやりたいね」

「あぁ、そう言えば会ってから全然やってなかったなぁ・・・」

「なら、今度やろうよ♪・・・私が184連勝すると思うけど・・・」

「何?俺が184連勝するんだ」

「どうかな?・・・じゃ、今度はアタシの番だね・・・」

 

ルフィからシャンクスの事を聴いたのでウタはバギーと何があったのかを話し始めた。前回はルフィとバギーの因縁の問題があった上にルフィはウタが遠くに行ってしまったと思った。そしてそれはウタも同じで12年間の時間を嫌というほど思い知らされた。

けど、ちゃんと繋がってると再認識出来た今ではそんな心配を2人はしてなかった。

 

「アタシね・・・アラバスタでライブやった後に遭難したんだ・・・それは凄く優しい海賊のおじさん達に助けられたんだけど・・・その後でまた遭難したんだ・・・」

「そっか・・・無事で良かった・・・」

「うん・・・けど、2回目の遭難の前に新聞で一年前でルフィが死んだかもって記事を読んで不安だったんだ・・・」

 

ウタは少しだけ震えながら話した。今でもあの時に感じた消失感に目の前が真っ暗になる感覚は忘れられない。ルフィはウタが震えてるのを見ると安心させるように頬に手を当てた。ルフィの体温が優しく伝わってきて安心してくるとウタは続きを話し始めた。

 

「それで・・・バギーおじさんに会って・・・怒られたんだ・・・思い出に甘えるなって・・・無茶苦茶腹立って・・・何も言い返せなくて・・・自分の夢も分かんなくなって・・・けど、教えられたんだ・・・ルフィやシャンクスだけじゃないアタシだけの思い出を言えって・・・自分で自分の幸せを狭めるなって・・・」

「バギーのやつ・・・良い事言うなぁ!!」

「でしょ♪♪♪そこからは本当に楽しかった・・・無人島で良く知らなかったおじさんと一緒だったけど楽しかったんだ・・・後でそれは打算だって分かったけどアタシには関係なかった・・・それで海楼石とこれを貰ったんだ・・・」

 

ウタはそこで外していたトレジャーマークをルフィに見せた。ルフィはどこかで見たことあるトレジャーマークだと思っていたが2年前の短期間しか付けてなかったせいでこのトレジャーマークがモリアのとこにあって自分がバギーに渡したやつだと言う事をすっかり忘れていた。

 

「そういや、これずっと付けてるな・・・大事なのか?」

「うん・・・アタシの大事な“道標”・・・おじさんに借りてるんだ・・・」

「そっか・・・この帽子と一緒だな・・・」

 

ルフィは手を伸ばして置いてあった麦わら帽子を取ってウタに見せた。2人とも憧れた男の大事な物を預かっていた。

 

「シシシ!!」

「フフッ!!」

 

ルフィとウタは鼻がくっつきそうな程の距離で笑いあった。

 

 

 

 

〇〇〇

その後、2人は寝て深夜の夜遅くになるとルフィは1人、なんとなく目が覚めた。

眼の前にはウタが寝ていてその寝顔を見るとルフィはまた胸を擦った。ドキドキと心臓が高鳴る初めての感覚にルフィは変な気分になって少し怖くなった。

 

「ウタ・・・なんだか変なんだ・・・ウタを見るとドキドキって変な気分になっちまう・・・自分が変わっちまうようで・・・ちょっと怖え・・・」

 

ルフィはそこまで言うと安心を求めるように寝てるウタに優しく抱きついた。今までにない初めての感覚の“恋”にルフィは混乱していた。

 

「ワノ国に入る前にウタはまたエレジアに戻る・・・ウタの夢の為なのに・・・離れたくねぇ・・・ビビと同じなのに・・・死ぬほど離れたくねぇ・・・無理矢理でもずっと一緒に居てぇ・・・俺、おかしくなっちまった・・・」

 

最後は相手の信条を優先させる事が出来る“自由”が信条のルフィにとって初めての“恋”はそんな自分の信条を揺るがす程だった。そんな感覚が心底ルフィは嫌だった。気持ち悪かった。

 

「ウタ・・・ごめんよ・・・」

 

新時代を共に誓った大切な人で夢を叶えようと約束しているのにその夢を邪魔しそうになる欲がある事をルフィはウタに謝った。そしてもう一度ウタの寝顔を見てた。

 

「・・・ん〜・・・ルフィ・・・」

「ん?」

 

ルフィが抱き締めていたゆえなのかウタは身を捩らせた。急な事にルフィは反応できず、ルフィの唇にウタの唇が近づいてきて、次の瞬間、ルフィの唇に柔らかく暖かい感触がした。

 

 

 

 

〇〇〇

翌朝、ウタは目を覚ますとルフィは隣には居なかった。

 

「もう起きたのかな?・・・う~ん!!なんかいい気分♪♪♪」

 

体を伸ばしてウタは隣にルフィが居ないがそれはそれで何か良い気分に浸れていた。服を着替えていつもの髪型にして、部屋から出るとルフィが帽子を深く被って部屋の外で壁にもたれて寝ていた。

 

「え!?なんで、ここにいるの!?てか、寝るんだったらベッドで寝なよ・・・」

 

ウタはそう呟くとルフィの寝顔をよく見ようと帽子を取ってルフィの顔を見ようとしたら、ルフィは目を開けた。

 

「んぁ?ウタ・・・おはよ」

「おはよ、ルフィ・・・もう・・・寝るならベッドで寝ないと体に悪いよ・・・まだ傷も癒えてないのに・・・」

 

ウタがルフィにそう注意するとルフィはボーッとウタの顔を見ていた。すると笑って帽子を取り、ウタに被せた。

 

「うわっ、ちょっ・・・」

「そうだな!シシシ、ありがとうウタ。今度はちゃんと寝るよ・・・」

「それなら良いけど・・・ていうかなんで帽子を被せたの?」

「んー?・・・なんとなくだ!!それに久しぶりのシャンクスの帽子はどうだ?」

「え?そりゃ、凄い懐かしいし嬉しいけど・・・」

「シシシ!良かった!!」

 

本当はウタの顔を見てるとまたドキドキして戸惑って変な感覚に陥るから避けただけだった。けど、久しぶりにシャンクスの帽子を被って少し喜んでるウタを見て嬉しかった。

 

「おーい、ルフィにそしてお早うウタちゅあ~ん♡今日も天使みたいに綺麗だねぇ♡」

「本当!?嬉しいなぁ///」

 

そんな中でサンジが甲板から声を掛けてきた。いつもの調子でウタにそんな事を言うサンジ。ウタもウタで照れていた。ルフィはそんな風に喜んでるウタを見て非常にムカムカとしてきた。

 

(おいおい、随分とべた惚れじゃねぇか・・・へぇ、あいつがなぁ・・・)

 

サンジはルフィのそんな顔を見るとそう思った。熱愛報道されていたがそういった事に関しての興味がゼロ、恋愛指数とかがあれば間違いなくというかほぼ限りないくらいでゼロだと思っていたルフィがそんな表情をするのは新鮮というか意外だった。

そしてそれが分かるとサンジは少しだけ態度を変えた。

 

「今日も美味しい朝御飯を準備したから是非食べてくれ・・・ルフィ、肉もちゃんと準備してやる」

「本当か!!すぐ行く!!」

 

肉と言う言葉を聞いたらルフィも顔を変えてそっちに興味が移った。熱愛報道で血の涙を流すほどに嫉妬したが大事な船長がこういう反応なのは珍しいかつ、今回の事で助けられたのもあって出来れば成就させて上げたいとサンジは思って・・・内心嫉妬の炎がすぐに燃えて出てきそうになるのを必死に抑えながらルフィの初恋を応援すると決めた・・・余談だが、その日からサンジのベッドは悔しさと嫉妬による血の涙のせいで毎晩赤くなっていた。

 

 

 

〇〇〇

朝御飯を食べた後、ウタはのんびりとしつつもナミが気象を読んで舵を取ってるブルックに指示を出すのを見ていた。

 

「よし、進路はこれでOKよ。ブルックお願いね!」

「ヨホホホ!!しかし、ナミさんの指示はいつ聴いても的確で素晴らしいですね!!・・・ではパンツを・・・」

「見せるか変態骸骨!!」

「ヨホホホ!!手厳しいぃ!!」

 

容赦なく蹴りをブルックに叩き込んでるナミをウタは見ていた。ナミもウタの視線に気がつくと首を傾げた。

 

「どうしたの?」

「なんか、ナミって凄いお姉さんっぽくて良いなぁ・・・」

「そう?まぁ、ここの航海士で確りしなきゃって思ってるからね」

「なんか羨ましい・・・ルフィも凄いって昨日言ってたし・・・」

 

ウタは随分とかわいい嫉妬をしていた。2歳上であるウタは幼い頃から野生児みたいなルフィにお姉さんムーブをやっていた。冒険の時の話を聞くルフィなんてそれこそ子犬を彷彿させるほどにキラキラさせていて、昨日のナミを紹介した時に似たような目をしていた。

ぶっちゃけると自分のポジションを取られた気がしていた。まぁ、12年間も音信不通だったのもあって身勝手なのは重々承知していたがそれでも少し悔しかった。ロビンの時は自分やルフィよりももう少し歳が離れていたのもあってマキノに近い感覚になっていたがナミとは近かったのも理由の1つだった。

 

そんなかわいい嫉妬をしてくるウタにナミは笑った。昨日のルフィのしかめっ面を知っていて、ルフィがウタにベタ惚れしてるのは分かっていたのにお互いにそれに気づいてない状況が面白すぎた。

 

「フフッ、大丈夫よ!ルフィは取らないわ」

「うっ!・・・べ、別にア、アタシはそんな事・・・そ、それに・・・ル、ルフィは・・・た、ただの幼馴染なだけで・・・」

 

ナミにそう言われるとウタは咄嗟にそう言ってしまった。何でもかんでもお見通しではないと証明したくなったかわいい反抗である。しかし、ナミの方がこういった駆け引きは上手かった。

 

「あら?じゃ、ルフィは私が貰おうかしら♪♪♪」

「えっ?」

「私だってあいつに助けられたからね、ウタが好きじゃないなら・・・」

「ダメダメダメダメダメ!!ルフィに手を出さないで!!ルフィはアタシと結婚するんだもん!!手を出すってなら幾らルフィの仲間でも・・・」

 

ナミのからかいにウタは咄嗟にそう言って物騒な事を言いかけた瞬間、ナミに近くで聞いていたブルックがニヤニヤとした顔を見せてきてる事に気づいて顔が真っ赤になった。

 

「いやぁ~、ウチの船長。愛されてるわね♪♪」

「本当です!もう肌が火傷しそうな位・・・あっ、私火傷する肌なんて無いんですけど、ヨホホホ!!」

「うぅ~・・・からかったんだ・・・」

「ごめんごめん・・・けど、ウタのそれを叶えるのってかなりキツイわよ」

「え!?まさかナミって本当に・・・!?」

「いや、そうじゃなくてルフィって色気よりも食い気だから、そう云うのって多分わからないわよ」

 

本当はさっさと教えた方が良いとナミは思っていたが下手にやって拗れさせて悲しい事にさせたくなかった。特にナミはウタの記憶を消したシキに協力を要請してルフィを助けさせた負い目もあって出来れば上手く行かせたいと思っていた。

 

「それはわかってるよ・・・けど、恥ずかしいし・・・どうしたら良いのか・・・一緒に寝てもルフィは全然気にしてないし・・・」

「う~ん」

「それは困りましたね」

 

ナミはルフィのああいった初めての反応に対してどうすれば良いのか悩んだ。ブルックも一緒に寝てて気にしてない程の状態からどうすれば良いのか流石に年の功もこれには役に立たなかった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃のルフィはチョッパーに体の傷を見てもらって包帯を解いていた。

 

「相変わらず凄い回復力だな。もう傷が塞がってるぞ」

「シシシ!」

 

ルフィの相変わらずの回復力にチョッパーは凄いと思った。ルフィは笑顔で応えたつつも真剣な顔になってチョッパーの方を見た。チョッパーも珍しいルフィの表情に首を傾げつつもちゃんと聞こうと姿勢を正した。

 

「どうしたんだルフィ?」

「それがよ、なんか変に胸が苦しい時があるんだ」

「ほ、本当か!?すぐに調べるから服を脱いでくれ!!」

 

まさかのとんでもない発言にチョッパーは青ざめながら聴診器で音を聴いた。ルフィが病気なら絶対に助ける。船医としての意地を掛けて不調の原因を探ろうと調べたが異常が分からなかった。

 

「おかしいなぁ・・・特に問題はないな・・・ルフィ、それはどんな時になるんだ?最後に感じたのは何時だ?」

「えっと・・・さっき朝飯を食う前にウタがサンジに笑ってるのを見たのが最後だな・・・」

「えっ!?それって・・・」

 

ルフィは思い出しながら答えた。チョッパーはそれを聴いた瞬間にまさかと思った。2年間で必死に医学の勉強をして成長したチョッパーにはルフィのそれが分かった。

 

「チョッパー、何かわかったのか!?」

「いや、分かったには分かったけど・・・」

「んじゃ、すぐに治してくれ!でないとワノ国で戦えねぇかもしれねぇ!」

 

ルフィはチョッパーにそう言った。チョッパーはこれに関して非常にややこしい事になったと思った。1番そう云うのから遠いと思っていたルフィがこうなるとは思ってもいなかった。

 

(いや、1番遠かったから混乱してるのか・・・)

 

チョッパーはそう結論づけた。しかし、ルフィのこれに関して的確なアドバイスが出来るほどチョッパーには経験がなかったが取り敢えずルフィを安心させないといけないと思った。

 

「ルフィ、俺から言えるのはそれは病気とかじゃねぇから安心してくれ。命に別状はねぇから落ち着いてくれ」

「そうなのか?」

「あぁ、ルフィのそれは・・・誰にでも起こる物で皆、それに戸惑うからルフィだけじゃねぇってのも分かってくれ」

「何ー!?そうなのか!?チョッパーもこうなった事があるのか?」

「お、俺!?俺はまぁ・・・ゾウで・・・って俺の事は良いんだよ!!ただ、それは他人はアドバイスしか出来ねぇもんなんだ・・・今のメンバーだと多分ブルックがそれに関して俺よりも良い向き合い方を教えてくれると思うからブルックにも相談してくれ」

 

チョッパーは一味の中で1番こういった人の感情に対しての経験が豊富なブルックにも相談した方が良いと言うとルフィは分かったと言って部屋から出た。

























というわけで初めての恋と言うと感情に困惑するルフィです・・・イチャイチャじゃねぇじゃん!!と言われそうですが後々の事を考えるとこれをやらないといけなかったのでやりました。
私的にルフィの恋愛指数はずっとゼロだったと思うのでそれがウタと再会し、バルトロメオに嫉妬し、カタクリ戦で強制的に上がってしまったので多分、最初ルフィは心底それに気持ち悪くなると思うのでやりました。
というわけでブルック!!
マジで次回は頑張って!!
年の功の凄さを見せてくれ!!

因みにワンピースの曲ではありませんが私的にこのイチャラブ編のルフィとウタの曲を既存曲で選ぶならOneRepublicの「I Aint Worried」です。


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Love vs Control

ちょっと湿度が高いめですが次からというかこうしないとルフィとウタの関係性が進展のしの字も出来なさそうだったのでやりました。


チョッパーの部屋から出たルフィは舵を握ってるブルックの所まで急いで行った。早く自分の中にある物を何とかしたかった。

すぐに舵の所まで行くと先程までいたウタやナミは居なかった。

 

「おーい、ブルック!」

「ルフィさんどうかされましたか?」

「今、一人なのか?」

「えぇ、ナミさんにウタさんはサンジさんがクッキーを焼いたと言ったのでそちらに私達の分もちゃんとあるので後で食べましょう!」

「ホントか!?楽しみだなぁ〜・・・って俺、ブルックに聞きたいことがあったんだ!」

「おや、何でしょうか?」

 

サンジがクッキーを焼いてくれたと言われて後で沢山食べようと決めつつもルフィはチョッパーに言われた通り、ブルックに早く聞きたかった。

 

「最近、ウタを見ると胸がドキドキして苦しくなるんだ!!ムカムカもするし、モヤモヤって感覚にもなる時があっておかしくなっちまったんだ!チョッパーに診てもらったらブルックの方が良い事を言ってくれるって言うから聞きたいんだ」

「ヨホッ!?これは中々に想定外の質問ですね」

 

ルフィからのまさかなカミングアウトにブルックは色んな意味でビックリし、年寄気質な部分から若いって言いなと思ったが同時に冷や汗も少し感じていた。

 

(これはまさかの恋の問題。経験を積んで、向き合い方が分かるもので私に相談するように言うのも納得ですが難しいですね・・・恋から来る嫉妬はルフィさんの“自由”の信条に合いませんから下手に言うとルフィさんは無理矢理抑えるでしょう・・・それこそルフィさんの信条に反する事ですから慎重にならなければ!!)

 

年の功が幸いしてかブルックはルフィが今感じてる不安を見事に当てた。自由がモットーのルフィにとって他人に恋したり、嫉妬したりするのは初めての感覚であり、離れていても“仲間”だという感覚とは違う、ずっと一緒に居たいという感情をルフィは気持ち悪く感じていた。

 

耐えても苦しい、耐えなかったら気持ち悪い。

ルフィは“恋”という感情をそんな風に思っていた。

 

「そうですね・・・確かにそれは医学では無理なものかも知れませんね」

「そ、そうなのか!?ブルック・・・俺、どうしたら良いんだ?」

「・・・まず、ルフィさんはその感情に対してどう思ってますか?ゆっくり冷静に考えましょう。その感情の向き合い方に1番必要なのはそういった落ち着きの心です。慌てずにやりましょう」

 

ルフィはブルックにそう言われてゆっくりと深呼吸した。そして冷静に頭で考えた。見聞色の覇気をやる時みたいに冷静に考えた。

 

「ウタが笑ってると凄い嬉しいんだ・・・でも俺以外の男と仲良く喋ってたり、笑顔をそいつに向けてると凄いムカムカするんだ」

「成る程・・・それを1番強く感じたのはいつですか?」

 

ブルックの質問にルフィは冷静に思い出していた。ルフィが1番嫉妬していた時は割と最近だった。

 

『お前には関係ない事だ』

 

そうそれはカタクリがウタを抱えていた時だった。思い出すだけでまたムカムカしてモヤモヤしてくる。ルフィの気分は悪くなったが治すのに必要だと冷静に頭を冷やしていた。

 

「カタクリがウタを抱えた時だ。すげぇムカムカって来てぶっ飛ばしたくなった・・・」

「つまり、そこからルフィさんの心はそれを自覚したのでしょう・・・ウタさんが大事な人であると」

「??ウタは大事な友達だぞ?」

 

ブルックの言葉の意味がルフィには分からなかった。ルフィにとってウタは大事な誓いをした友達と言う認識しかなかった。故になぜ、急にこうなったのかが分からなかった。ブルックはあくまでも慎重に1つずつ解していくように話を続けた。

 

「大事な人と云うのは添い遂げたい人の事を言います。具体的には墓の中に入っても居たい。自分の人生の全てをその人に捧げても苦にならないと思える人の事です」

「そ、そんなのいらねぇ!!俺には夢があるんだ!ウタにだって・・・それに“新時代”を・・・」

 

ブルックの言葉にルフィは咄嗟にそういった。海賊王になるためにここまで来たし、ウタにはウタの夢がある。それをわかってるからこそ、ルフィはそう言った。そんな事はやりたくないし、やらせたくなかった。

 

「落ち着いて下さい・・・勿論、人にはそれ個人の目標や夢があります。両方どちらか“が”大事なのではなく、どちら“も”大事なのです。それに対して自分らしい付き合い方を人は“自由”に決めていくんです・・・」

「“自由”に?」

「えぇ、そうです!“自由”に決めていいものなのです・・・それでは、ルフィさんはその感情に対して何か不安な事はありますか?」

 

ブルックに言われてルフィは自分の“恋”という初めての感情に対しての不安を冷静に考えてみた。

 

『サボはうちの子だ!!』

『身分の低い称号のねぇ奴らはこの俺に逆らう権利すらない事を覚えておけ』

『見ろ、貴様のお陰で中途半端に死にきれねぇかわいい部下どもが苦しんでる』

『まぁ・・・バカは死なねぇとわからねぇか』

『てめぇにこれ程効率良くあの女を使えるか!?』

『ここは俺様の国だと言ったはずだ!!』

『何を返してほしい!?奪ったものならいくらでもある!!』

『口を慎めよ・・・私は神だ』

『正気が貴様らァ!!全世界を敵に回して生きてられると思うなよォ!!』

『てめぇらは影で俺の部下になることを幸せに思え!』

『世界を兵器まみれにして俺は死の国の王となるのさ!』

『どいつもこいつも俺のカゴの中で操られていればこんな大虐殺をせずにすんだんだ!!』

『もしも・・・あいつがあの時!!!黙って結婚さえすりゃ・・・得られた力は強大だった!!!』

 

ルフィが自分の恋に対する不安を考えて出てきたのは自分が最も嫌いな感情だった。心の底から大嫌いで自らの信条の敵。

 

『俺は空からこの海を“支配”する男だ!!!』

 

そう、それは“支配”だった。ルフィが自分の恋心を気持ち悪く感じていたのは恋も“支配”も一緒だとどこかで思っていたからだ。

そして改めてきちんと認識したせいでルフィは心の底から気持ち悪くなった。自分もそいつらと同じだと思ったからだ。

 

『エース、ルフィ・・・俺達は必ず海へ出よう!!この国を飛び出して自由になろう!!』

『いつか必ず海へ出て!!思いのまま生きよう!!!誰よりも自由に!!!』

 

自分の大事な物を作ってくれた大切な人達との約束を汚しているとルフィは感じた。本来なら歳を重ねるにつれてそういったものではないと自覚していくがルフィはこれが“初めての恋”で、また多くの支配を強いてきた者達とずっと戦いながら冒険してきた。

故にルフィは恋は知らないが支配は知ってる状態で初めて恋した事で恋=支配と繋げてしまっていた。

 

違うとどんなに思ってもウタと無理やりでも一緒に居たいという思いに嘘はつけなかった。

 

ルフィはそう認識するとポロポロと涙が止まらなくなった。大事な幼馴染であるウタにそんな事を考えてる自分が心底気持ち悪かった。

 

「ル、ルフィさん!?どうしたのですか!?」

「ブ、ブルック・・・俺、俺・・・」

「と、兎に角落ち着いて下さい・・・そしてゆっくりと話してください。大丈夫ですよ。私達、仲間がついてます」

 

ブルックは落ち着かせようとルフィに優しく接した。それに対して暖かさを感じたルフィは必死で涙を止めようとしたが止まらなく、暫く掛かった。

 

 

 

 

〇〇〇

暫くして漸く落ち着いたルフィはブルックに話し始めた。自分がウタに対して酷い事を考えてるとブルックに話し始めた。

 

「ブルック、俺最低な奴だ・・・ウタに対してシキみてぇな事を考えて・・・“支配”なんてやりたくねぇ・・・」

「ルフィさん・・・」

 

不味いことになったとブルックは思った。冷静にゆっくりと自覚させていけば上手くいくと思っていたが想像以上にルフィは恋を知らなさすぎた。

 

(恐らく自分の中に初めて生まれた感情に今まで経験した感情の中で1番近い感情を重ねたのでしょう・・・何とかしなくては・・・この死んでも骨だけブルック、悔やんでも悔やみきれません!!)

 

ブルックはルフィの話を聴いて絶対に何とかすると決めた。どうすればルフィにその感情を捨てさせないまま、ゆっくりと進ませていけるのか、ブルックは持てる経験の全てを使って何とかしようと決めた。

 

「俺、ウタにそんな酷い事したくねぇよ・・・」

「ルフィさん、今なんと言いましたか!?」

 

ルフィの言葉にブルックは間髪入れずにそう返した。

そう言われてルフィは冷静に言葉を思い出しながら答えた。

 

「ウタに酷い事したくねぇ・・・って」

「ルフィさん、なら大丈夫ですよ。ルフィさんは初めての恋で自分の中にある1番それに近い感情と繋げてしまっただけです。支配は相手を思う事などありません」

「ブルック・・・俺、良くわかんねぇよ・・・」

「相手を思う事・・・つまり“愛”はどんなことをやっても“支配”とは一緒になりません。けど“恋”は“愛”と一緒に出来ます・・・ルフィさんは絶対に大丈夫ですよ。ウタさんを“愛”してますから・・・」

「で、でも俺・・・怖えよ・・・」

 

ルフィは今までに感じた事のない恐怖を感じていた。それはウタを傷つけるかも知れないという恐怖だった。

 

「怖いのは当然です・・・自分がそんな事をしてしまうかも知れないと思うのですから怖くて当然です・・・でもルフィさんなら大丈夫ですよ。今までそんな風に未知の旅を続けて来たではありませんか・・・」

 

ブルックはルフィが感じてる恐怖を乗り越えられる事を今までの旅に絡めて言った。しかし、ルフィは納得出来なかった。

 

「けどよぉ、全然ワクワクしねぇよ・・・」

 

そうルフィはこれに関してワクワクしてなかった。エースにサボ、ルフィは大切な人達に愛を教わっていた。そしてルフィも愛している。恋の先にある愛をルフィは先に知っていた。だから、ルフィにとってこれは答えが最初から分かってる旅でワクワクとした感覚はなかった。

ブルックはそれを聞いて違う方向から目を向けさせようと決めた。ブルックの経験を持ってしてもルフィのウタに向けての愛と家族に向けての愛がどう違うのか分からなかった。だから、違う視点から行くことにした。

 

「では、ルフィさんはウタさんとどうしたいのですか?ゆっくりと考えて思ったままを言ってください。何をしたいのかやりたいのか・・・私に教えてくれませんか?」

 

ブルックはゆっくりとウタと何をしたいのか考えるように言うとルフィは目を瞑って考え始めた。

 

 

 

〇〇〇

ルフィは考えていた。

自分がウタとどうなりたいのか考えた。

すると景色が浮かんできた。

サニー号の頭の上で隣にはウタがいて、のんびりとしていて自分が寝てる横でウタは楽しく鼻歌を歌ってる。そして島とかを見つけると2人でそこを探検しているそんな光景が浮かんだ。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「俺、サニー号の頭の上でウタの歌を聴いて島とか見つけたら一緒に探検してぇ・・・」

「そこにはウタさんに酷いことをしてる自分がいましたか?」

 

ブルックの言葉にルフィは首をブンブンと横に振って否定した。そんな事は微塵の欠片も考えてなかった。考えていたのは自分もウタも楽しそうだと思える事だった。

 

「ルフィさん、それが“恋して愛する”事なんです。自分で2つが一緒になれる事を証明しましたね」

 

ブルックにそう言われてルフィは漸く自分の中にあるものが“支配”とは違うものだと理解できたし、先程まで感じていた気持ち悪さが途端に薄れていった。すると先程までの不安も薄れてルフィは笑えた。

 

「うん・・・ブルック、ごめん。船長なのに泣いてるとこを見せちまった」

「何を言ってるのですか、私達は仲間ですよ♪♪むしろ、見せてくれないと安心出来ませんよ♪♪それじゃ、恋が何か分かった所でウタさんはまだ食堂にいますねぇ・・・」

「・・・俺、ウタの所に行ってくる!!」

 

ルフィはそう言うと吹っ切れたのかウタの所に行った。ブルックは何とか上手く自覚させられてそういった感情を捨てさせない方向に持っていけた事に安堵した。

 

「若いって良いなぁ・・・ヨホホホホホ」

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはサンジに言われたのでナミと一緒に食堂でクッキーを食べていた。美味しくてナミやサンジと楽しく喋っていた。

 

「えぇ!?ウソップってウォーターセブンで仲間になったんじゃないの!?」

「シロップ村よ」

「なんで、そんな事になってんだ?」

 

ウタはナミやサンジと喋りながらウソップがシロップ村で仲間になった事に驚いていた。バルトロメオからの情報でそげキングがウォーターセブンで仲間になっていたのを知ったのでてっきりその正体であるウソップとはそこであったと思っていたら違った。

ナミもサンジもなんでそんな事になってるのかわけが分からなかった。

 

「だって、そげキングが仲間になったのがウォーターセブンって言われてたから、てっきりウソップとはそこで会ったのかな?って思って・・・」

 

そげキングという名前を聴いてナミとサンジは色々と頭を抑えていた。あの時は本当に色々とあったからなぁと懐かしさも込みで思い出していた。

そんな中でルフィが扉をバンと開けて入ってきた。

 

「ウタ!!久しぶりにチキンレースやろうぜ!!」

 

そして昔みたいにウタと勝負しようとチキンレースに誘うがウタは現在クッキーを食べていた。つまりチキンを食べる程お腹は空いてなかった。

 

「え?今、クッキー食べてるからこれ以上はちょっとお腹に入らないから・・・やるなら明日にしようよ」

 

ウタはそう言って断った。

そして見事に誘いをウタに断られたルフィは今まで以上にショックを受けた。しかし、相手を思うことが愛とブルックに教えられたのと明日にやろうと言われたのもあってルフィは堪えた。

 

「・・・そっか、じゃ明日やろうぜ!!」

 

ルフィはそう言うとさっさと食堂から出た。ウタはルフィが勝負に誘ってきた事に昔と変わってないなと思って懐かしい気分に慕っていた。

ナミとサンジはルフィが珍しくも聞き分けの良い所を見て疑問に思ってウタに断りを入れて窓から外を見ると頭がガックリと項垂れてるルフィの姿が見えた。明日には出来るとは知っててもショックなものはショックだったのだ。

まさかな状態にナミもサンジも驚いていた。

 

「ナ、ナミさん・・・これって・・・」

「どうやら・・・ウタもルフィに負けず劣らずの鈍感ってことね・・・」

 

サンジはまたショックで嫉妬に狂いそうになり、ナミはあまりにもレアすぎる状態に面白くなってきたと思った。

 

 

 

 

 

こうして基本的に距離感がバグってる幼馴染であるルフィとウタの恋は始まった。














































というわけでルフィ・・・無事にウタに対する恋心を自覚・・・ただ書いてて思った。どうしてこうも不穏な雰囲気が基本的に纏わりつくのか自分の作風を呪いたくなってきました。

正直に言ってブルックに相談せずにルフィが恋を自覚してしまったら、好きでたまらないのに酷いことをしたくないとウタから逃げ続ける何とも重いかつ面倒くさい展開になりそうだったのでマジでリクエストを募集して良かったです。絶対に書けるものは書くと決めてるので。でないとワノ国までそんな雰囲気が流れそうでした。


そしてブルック、マジでナイス!!

次回からは昔から色々とやってきたせいで距離感がバグりまくって更にいうとそういった物を基本的に感じさせないルフィとウタの恋物語が漸く始まります・・・この鈍感カップルをどう料理してやろうか、たっぷりとやっていきます・・・本当にリクエストが無かったらマジでまた陰惨な雰囲気になってたと思います・・・


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Mushroom Island

少し、短いですがどうぞ!!
イチャラブって難しい!!
また今回のリクエストは肘神さま様のリクエストが入っております。




自らの恋心を自覚したルフィは以前にも増してウタと絡むようになった。

 

「なぁ、ウタ。久しぶりにあれやるか!」

「うん!昨日は無理だったけど久しぶりにやろう!」

 

ルフィとウタは昔から良くやっていた事をやろうとしてサンジにチキンを用意してもらおうと頼みに行ったが生憎とチキンは切らしていたので魚になった。

ルフィとウタは魚でも大丈夫なので次に突っ込んでくる犬役を代わりに誰かにやってもらう事になったのだが、キャロットがこれに立候補した。

こうして準備も出来た2人は眼の前に焼き魚の身がたくさん載った皿が置かれていた。

 

「それじゃ、キャロット!合図したら突っ込んできてくれよ!」

「うん、わかった!」

 

ルフィがキャロットにそう言うとルフィとウタは互いに笑い合って両手を頭の上に上げた。

 

「「321!!」」

 

懐かしい合図とともに早食い競争を始める2人。昔とは違ってルフィの早食いの速度は凄い早くなっていた。後ろからはキャロットがかなりの速度で迫ってきてウタは焦った。

 

(ヤバっ!ルフィ早すぎるよ!いつもの手で・・・)

 

ウタは樽に入ってるジュースを持った。

 

「ルフィ、はいこれ」

「おう・・・ってもうその手には乗らねぇぞ!!」

「えっ!?」

 

いつもの手がルフィには通じなかった。何故にとウタは思ったが恋心を自覚したルフィが食べながらもウタをチラチラと気づかれないように見てしまったのでジュースを手に持った所が見えたのだ。いくらルフィとてそんな状態で素直に受け取るほど単純ではなかった。

 

「なら、こっちを上げる!!」

「お、サンキュー!!」

 

しかし、ルフィに負けたくないウタは食べかけの魚の身をルフィに渡すと食い意地の張ってるルフィは笑顔で貰った。ラッキーと思いながらウタはジュースを飲んでその場から退散。

キャロットはまだ食べていたルフィの肩をポンポンと叩いていた。

 

「あっ〜〜〜〜!!!??」

「へへへ、アタシの勝ちだね!!」

「ずりぃぞウタ!今のは無しだ!!自分で食ってねぇじゃん!!」

「勝負の内容は皿の上に置いてるのを綺麗にして先に逃げた方の勝ちだからズルしてません〜!」

「い~や!!ズルだ!!」

「出た、ルフィの負け惜しみ〜♪♪♪」

 

昔からのやり取りをしてウタもルフィも楽しかった。単純に勝ち負けではなく好きな人と楽しいことをやれるというのが嬉しかった。

 

(懐かしいなぁ・・・あれ?待って・・・アタシ、自分からルフィに間接・・・!?!?!?)

 

自分がやった事を今更になって恥ずかしくなってきたのかウタはボンッと音がなりそうな程顔が赤くなった。前にルフィが無自覚にやっていたことを自分からやったと言うのもより恥ずかしさに拍車をかけていた。

 

「ん?ウタ、熱か?」

 

眼の前にいるウタの顔が赤くなった事でルフィは純粋に心配して熱がないかデコを合わせた。それに対してウタは更に顔を赤くさせた。

 

(近い近い近い近い!!これじゃ、いくらルフィでもわかっちゃうよ!!恥ずかしいぃぃぃぃ!!)

 

ルフィの顔が眼の前にあるのもあってウタの羞恥心はドンドンと上がっていった。しかし、いくら恋心を自覚したルフィとしてもウタの羞恥心は分からなかった。

 

「なんか熱くはねぇな」

「・・・もうムリぃ・・・」

「ん!?」

 

そして遂に耐えきれなくなったウタは気絶した。ルフィはすぐにウタを抱えて地面に体を打たせないようにした。

 

「お、おいウタ!?どうしたんだ!?チョッパー!!」

「え!?ウタ、どうしたの!?」

 

鈍感というか基本的にウタが今感じていた羞恥心がないルフィとミンク族ゆえに文化が違うキャロットはウタが何故に倒れたのか分からなかった。

 

(いや、ルフィのせいなんだけどなぁ〜)

(相変わらずね・・・先が思いやられるわ。というか口の中が甘いわ!!)

(何故でしょう・・・ルフィさんの恋心を知って応援しようと決めたのに・・・それはそれとして凄く羨ましいです!!口の中が甘いので余計に悔しい!!)

(チクショー!!!!)

 

チョッパーは呆れてナミは呆れつつも甘くなった口に愚痴り、ブルックは嫉妬はしつつもルフィを応援すると決めたゆえにどれだけ口が甘くなっても堪えていた。そしてサンジは嫉妬で燃えそうになっていた。

そんな風に和やかな雰囲気が流れていく中でナミは気象が変わるのを感じた。風が流れてきた方向を見て暫くしてからナミは皆に指示を出した。

 

「皆、聴いて!!後、10分もしないうちに大型のサイクロンが来るわ!!ルフィ、急いでウタを船室に入れて!!急いで帆を畳んで、パドルの準備よ!!」

 

ナミの指示を聴いたら、ルフィ、サンジ、チョッパー、ブルックはすぐに動き、万国に行く前に嵐を経験していたキャロットも少し遅れてだが反応した。

急いでサニー号の装備であるパドルを起動させて今いる海域から逃げようとするが気象が特に予想しにくい新世界という事もあって掴まってしまった。だがそんなのに負けないほどに船乗りとしての経験を積んでるルフィ達はその荒くれた海を渡っていた。

 

「うひょ~!!楽しいなぁ!!」

「おい、笑ってる場合か!!?」

「ナミさん、ご指示を!!」

 

男どもがそんなふうに作業をしながら騒いでる中、ナミは冷静に気象を読んでいた。そして辺りを望遠鏡で見回してると一部分だけ光が指してる島が見えた。

 

(あれってまさか・・・能力者は4人で助けられるのは私を含めて3人・・・よし、決めたわ!)

 

ナミは決めると皆に指示を飛ばして島に向かった。暫く進むと荒れ狂っていた嵐は収まって再び優しい風になった。

 

「あれ?なんで嵐が突然止まったの?」

「嵐の目に入ったのよ」

 

キャロットの純粋な疑問にナミは嵐の中心にある目に入った事を言った。まだまだ疑問に思っていたキャロットに興味を持ったルフィが聞きに来た。

 

「・・・以上よわかった?」

「「不思議な事があるんだなぁ・・・」」

「だったら、最初からそう受け取っておきなさいよ!!」

 

最後はいつも通りになっているとウタが起きてきた。目を擦っていてあくびをしていた。

 

「あれ?皆、何かあったの?」

「シシシ、ウタ残念だったなぁ〜、面白え嵐だったのに!」

「えっ!?そんな事になってたの!?ごめん、呑気に寝てて!!」

「良いわよ、急な嵐だったし。気絶してから20分も経ってないしね」

「うぅ・・・本当にごめん」

 

ナミにそう言われても役に立てずに申し訳ない気持ちのウタ。すると嵐で被害がないか船内を確認していたサンジが話しかけてきた。

 

「ナミさん、やっぱり食料が心許なかったから買い出しや確保がしてぇんだが・・・」

「あっ、だったらウタ!食料確保にルフィと行ってきたらどうかしら?チョッパーやサンジ君も連れて!」

「行く行く!!絶対に行く!!」

 

ナミの言葉を聴いてウタはすぐにそう答えた。役に立てなかった分頑張れるし、ルフィと一緒なのと即決に繋がった。

その後、サニー号はとりあえず眼の前にあるデカいキノコが中心に生えてる島周りをぐるっと回って埠頭が見当たらないのも確認すると沖で錨を下ろしてから、ルフィ・ウタ・サンジ・チョッパーはミニメリーに乗って島に向かった。

ルフィは新しい島でウタと一緒に冒険と言う部分にワクワクして、ウタはルフィと一緒に冒険し嵐の分を取り返そうとまだかまだかと心待ちにしていた。

 

「よし、俺とチョッパーは一緒に行動するからルフィとウタちゃんは取り敢えず片っ端から食料を集めてくれ。くれぐれも勝手に食べねぇようにな」

「おう、わかった!」

「なぁ、ウタってキノコとか薬草の種類ってわかるか?」

 

チョッパーの質問にウタはエレジアに居たときに多少の種類は勉強して知っている事を伝えるとサンジもチョッパーもそれなら安心かと思った。

 

 

 

〇〇〇

島に無事に付くとあるのはキノコキノコキノコとキノコだらけのキノコ島だった。

 

「ウタ、早く行こうぜ!!」

「えっ、ちょっとルフィ!?」

 

早く島を冒険したいルフィはウタの腰に手を回してぐるぐるに巻くと島の中へ颯爽と行った。

 

「おい、本当に大丈夫か?」

「ウタもいるし、大丈夫じゃないかな?」

 

サンジとチョッパーは心配になってきた。

 

島の奥へと進んだルフィとウタは見渡す限りのキノコだらけな場所を見つけると探検しながらキノコを取って進んでいた。

ウタは色んなキノコを取りながらもあるキノコだけはもう100%毒ありだと知ってるのがあり、それだけは見ても取らなかった。

 

「ん?ウタ、これ忘れてるぞ?」

「ルフィ!!それは毒キノコだよ!!食べちゃだめ!!」

 

ルフィがウタの取らないキノコを見つけて話しながら取るとウタは声を荒らげてだめだと言った。そのキノコはピンク色をしていてファンシーな見た目だったがウタはそのキノコの特性を誰よりも知っていた。

 

「そ、そうなのか?これ、なんてキノコなんだ?」

「そのキノコはネズキノコって言って食べると寝なくなるキノコなの食べ続けるとやがて体力が無くなって死んじゃうの・・・」

 

ルフィはそれを聞くとすぐに捨てた。ウタが何でそんな事を詳しく知ってるのかルフィは気になって目を向けるがルフィが何を言いたいのか目を見て察したウタは背を向けて暫くすると心からの笑顔を見せた。

ルフィもそれを見て安心して聞かないことにした。

 

前はあれがあれば永遠に歌い続けられて皆を幸せなウタワールドに連れて行けるとウタは思っていたがバギーに怒られて現実世界で歌い続けられる海楼石を貰ってそんな事をウタは考えなくなった。

自分の場所が分かった今ならはっきりわかる。あれは寂しい事を上手く伝えられなかったから考えていた事だ。けどビビにあって、友達を沢山作り、バギーに助けられてルフィと再会できた自分にはもういらないものだった。

 

ルフィとウタはその後、楽しくキノコを取り続けるとポツポツの雨が降ってきた。嵐の目だったこの島だが嵐が動いて目から外れてきたのだ。

 

「ルフィ、急いで戻ろう!」

「おう!」

 

2人はすぐに戻ろうと急いでミニメリーの方に帰っていくが奥まで来すぎたのかすぐに大雨になった。ゴロゴロと雷が鳴り初めてルフィもウタもビショビショになると近くの岩壁に洞穴を見つけた。

 

「ウタ、あそこで雨宿りしよう!!」

「うん!」

 

ルフィとウタは沢山のキノコを持ってその洞穴に暫く厄介になることにした。雨がザァザァと降ってる中で運が良かったのか洞穴の中には小枝が多くあった。乱雑にあるので恐らく風に飛ばされたものなのだろう。洞穴の中にあり、乾いていたのもあってサバイバル慣れしているルフィは手際よく火をつけた。

 

「シシシ、どうだ!」

「へぇ、ルフィって案外器用なんだね」

「昔、爺ちゃんにジャングルに放り込まれた時に覚えたんだ」

「ルフィのお爺ちゃんって・・・中々・・・」

 

ルフィの言葉にウタは割とスパルタな事をやってるガープに少し引いていた。

雨が止むまで火に当たりながらゆっくりしようとしていたがウタはくしゃみをしてしまった。

 

「くしゅん!」

「ん?ウタ。大丈夫か?」

「やっぱり濡れたままの服を着てちゃ駄目だね・・・」

「そうだなぁ・・・俺も寒くなってきたし・・・」

 

ルフィはそう呟くと服を脱ぎ始めた。

ウタはルフィの突然の行動に目を見開いた。

 

「ちょ、何やってんの!?」

「乾かさねぇとだめだろ?」

「いや、アタシが・・・ってあんたがそんなの気にする質でもないか・・・ねぇ、後ろ向いてて!絶対にこっちは見ないでよ!?」

 

ウタに突然そう言われたルフィは後ろを向いた。後ろから服を脱いでる音が聞こえてきてルフィは察すると絶対に見ないように目を瞑った。

ウタは濡れてる服を脱いで下着姿になると同じように下着姿になって火に背中を向けていたルフィを一目見てから近づいた。

 

「ウタ、どうしたんだ?」

「ねぇ、目を瞑ってるならこっち向いて良いよ」

 

ルフィはウタにそう言われると絶対に目を開けないように強く瞑っているルフィは体の正面をウタに向けた。

ウタはそれを確認してからルフィの手を取って火に体を当たらせるように座らせてから横に座った。見聞色の覇気を鍛えた関係で意思がないから分からないが火の音とかは普通に聴こえてるので別にそんなサポートはいらなかったがウタの好意にルフィは嬉しくなった。

ウタも隣にルフィが居るのに安心したのか肩に頭を預けるように傾けて体も少しルフィの方に傾けた。

 

「ルフィ・・・」

「ん?」

「ルフィはさ・・・アタシの事どう思ってるの?」

「・・・俺はウタの事・・・好きだ」

 

ルフィはウタの質問にそう答えた。恋心を自覚したルフィは素直にそう言った。ウタはそれを聴くと体の芯から熱くなってくる程嬉しくなったが、少し頭が冷えた。

 

(ルフィの事だから、たぶん友達としての好き・・・けど、いつか絶対に振り向かせるからね!!)

 

今まで欠片もそう言った所から遠かったのをウタは知っていたので悲しいことにルフィの気持ちは届いてなかった。ウタもウタで壊滅的に鈍感だった。ルフィはルフィでちゃんと伝えたがそれがどんな反応だったら伝わってることになるのか分からずに悶々としていた。

 

こうして2人は雨が止むまで火に当たりながら、鈍感な2人は好きな相手と一緒にのんびりしていた。
























というわけで島での一時です。
イチャラブって本当に難しいですが頑張ります!!
因みに次回は水着回ですのでこうご期待!!


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Years Mushroom

お待たせしました!!
いやぁ、イチャイチャって本当に難しいですね♪♪♪
恋愛物はもう本当に死ぬほど書いてるのが恥ずかしくて恥ずかしくて・・・けど頑張ります!!
目指せハッピーエンド!!
因みに今回のイチャラブ展開はおうどん様、ウルトラオタク様、肘神さま様のリクエストが入っておりますが話の展開上一部になってしまったネタもありますのでお許し下さい。


雨はまだザァザァと降ってる中で服が乾いたのを確認するとウタはすぐにそれを着た。

 

「ルフィ、もう目を開けて大丈夫だよ。服が乾いてるからルフィも着たほうが良いよ」

「そうか?わかった!」

 

ルフィはウタに言われて目を開けて乾いた服を着た。2人は雨が止むまでまた体をくっつけて火に当たっていた。今まで以上にのんびりとした時間の中でウタは体をルフィの方に預けて幸せを感じていた。ルフィは嬉しくなりドキドキと動いてる心臓がうるさく感じた。雨はまだ止まず、降ってると流石に腹が減ってきたのかルフィは集めたキノコの中からカサとヒダが見事に逆転してるキノコを手に取ると食べた。

 

「これはあんまし美味くねぇな」

 

ルフィはそのキノコに対して率直にそう言った。ウタはその台詞を聴いてルフィの方を見ると何も食べないように言われてたのに食べてるルフィに怒った。

 

「ちょっと!?サンジから食べないように言われてたでしょ!?」

「だって腹減っちまってよぉ〜」

「今すぐ吐き出して!!」

「え〜???」

「吐き出しなさい!!」

 

毒キノコを食べたかもしれないと純粋にルフィの事を心配するウタは口に手を突っ込んで無理やりでも吐き出させようとして押し倒そうとルフィの胸に手を当てるとムニッと柔らかい感触がした。

 

「「ん?」」

 

流石に変な感触なのでウタもルフィも視線を下に向けるとルフィの胸が大きくなっていた。というか完全に女性のものになっていた。

 

「「えっー!??」」

「嘘だろ!?お、俺、女になってる!?・・・面白れぇ!!」

「面白がってる場合か!!」

 

呑気に今の状況を楽しんでるルフィにウタはツッコんだ。ルフィが食べたのはハンテンダケというキノコで食べると何かが反転する特殊なキノコ。それは性格かも知れないし、身長かも知れないし、体重かも知れない。効果は実にバラバラでルフィは体の性別が反転したのだ。

 

「けど、面白えぞ・・・ちょっと胸は重いけど」

「はっ?」

 

笑いながらルフィは巨乳になった自分の胸を揉んでるとウタは低い声で反応した。そしてそのままルフィの胸を触ったり腰に手を回して擦っていた。

 

「なんだよくすぐってぇな」

 

ルフィはくすぐったいのかウタにそう言うがウタには別の感情があった。

 

(何これ・・・アタシよりもスタイル良いじゃん・・・ハンコックに負けるのはまだしょうがないけど・・・ルフィがそれを気にしないのは知ってるけど!!・・・ナミやロビンの方がスタイル良いの知ってるけど!!・・・ルフィにまで負けるなんて・・・)

 

純粋にスタイルが良いルフィへの嫉妬だった。可愛さでは誰にも負けてないと自負してるがそれでも自分よりもスタイルが良い人を見るとそれはそれで嫉妬する。ましてやルフィに好意を明確に見せてるハンコックはまだ世界一の美女と言う肩書があるから良いとしても、ナミやロビンもスタイルが良い。それなのにルフィまで良いとは負けた気分になったウタだった。

 

「羨ましい・・・」

「ん?胸がデカいと羨ましいのか?」

「いや、そう云うわけじゃ無いけど・・・」

「けど、よわほしの方がもっと大きかったぞ」

「はぁ!?誰それ!!・・・アタシって女が居るのに浮気!?」

「ウワキ?」

「あっ・・・いや、その・・・それは忘れて・・・よわほしって誰?」

 

ウタはルフィがポロッと出した名前に2人だった事もあって感情のままに言ってすぐに恥ずかしくなり、話を逸らさせた。

 

「魚人島であった人魚で無茶苦茶デケェんだ!」

「へ、へぇ〜・・・」

「俺よりも遥かに大きくてよ・・・」

「そ、そう・・・」

「巨人族のハイルディンの半分くらいのデカさだったんだ」

「・・・ハイルディン?」

 

ハイルディンという言葉にウタは頭が冷えていった。ルフィがずっとその人魚の胸の大きさを言ってるかと思っていたがそれを聴いて頭が冷えてきたウタはルフィに聞いてみた。

 

「その大きいって・・・もしかして身長?」

「あぁ、他に何があんだ?」

 

あっけらかんと答えるルフィにウタは顔を真っ赤にさせた。色々と嫉妬しててしかもルフィが珍しく女性の肉体の事を言ってたのに慌てたがそう答えられると恥ずかしくなってきた。

 

「ん?ウタもこれ、食べるか?」

「いらないよ!」

 

ルフィはウタにハンテンダケを見せて食べるかどうか聞いてくるがウタは恥ずかしさのあまりルフィの口にハンテンダケを無理矢理突っ込んだ。するとルフィの肉体が無事に戻った。

 

「戻った!!」

「・・・良かった〜・・・けど、なんか悔しい」

「もう1回やろっかな♪♪」

「ダメ!!もうやらないで・・・それに本当に毒とかだったら、アタシ心配しちゃうもん・・・」

 

まだ食べようとするルフィにウタはそう言った。ルフィはウタが心配してくれてるのを見るとハンテンダケを籠に戻した。

 

 

 

 

〇〇〇

雨も無事に上がって2人はウキウキとキノコが大量に入った籠を背負いながら、ミニメリーと2人のいる所に戻った。

 

「おっ、やっと戻ってきたぞ!」

「おいルフィにウタちゅぁーん♡、もう心配で心配で探そうかと思ってたんだ!!」

「悪い悪い・・・雨が止むまで洞窟にいたんだ」

「心配させてごめんね」

 

いつものサンジがそんな風に聞いてくるとルフィもウタもそう答えた。サンジもチョッパーもそれを聞くと安心して2人から籠を貰った。

 

「これは毒、食べれる、毒、食べれる」

 

チョッパーとサンジが毒があるかどうかを確認しながら分けていた。食欲の権化、つまみ食いの常習犯であるルフィが居るので調理すれば毒が抜けれるキノコがあっても問答無用で分けていく。

 

「なぁ、まだか?俺、腹減ってきた〜」

「お前なぁ、みんながみんな毒に強えわけじゃねぇんだぞ。もうちょっと待ってろ」

「そうだぞ」

「そうだよ。皆の食料なんだから」

 

サンジとチョッパーがそう言うとウタもそれに乗っかかった。

しかし、グゥ~っとウタのお腹から音がなった。あれこれと時間が経ってウタもお腹が空いたのだ。鳴ったお腹を抑えて顔を赤くしてるウタにルフィは毒がないキノコの山から1つ取ってウタに食べさせた。

 

「むぐっ!?」

「ほら、ウタも食べようぜ。腹減ってるんだし」

「ゴクン・・・いや、だから・・・って皆の食料に何やってんの!?」

「シシシ・・・」

「ルフィ、お前なぁ・・・」

「何を食べさせたんだ?」

 

急に食べさせられたウタは怒り、サンジは呆れてチョッパーはなんのキノコか気になった。

 

「ん?これ」

「なっ!?それは」

 

ルフィが出したのはカサの下の色が薄く上に行くほど濃くなってるキノコで色が緑色だった。チョッパーがそれを見て頬を抑えた。反応からヤバいものだとルフィもウタも察した。

 

「ま、まさか毒があったのか!?」

「ど、どうしよう!?アタシ、死んじゃうの!?」

「いや、毒はないんだ」

 

慌てる2人にチョッパーは冷静に答えた。2人はそれを聞くとずっこけた。冷静に考えるとチョッパーとサンジが毒ありか毒なしかの選別をミスるとは思えなかった。

 

「ただ、毒は無いんだが稀に変な効果が出るんだ」

「「え?」」

 

チョッパーがそう言うとウタの体に異変が起こった。身長が伸びて体つきが更に良くなった。今はライブで着る白いワンピースではなくて普段着のズボンとシャツだったが体が大きくなった事でへそが出て胸も大きくなった。

 

「な、なにこれ!?む、胸がキツい・・・」

「ウタがデカくなったぁ!?」

「おぉぉぉ〜♡」

 

ウタは下着が急に合わなくなった事で締め付けが強くなり、胸を擦った。ルフィは急にウタが大きくなった事に驚き、サンジはメロメロにまたなった。

 

「チョッ、チョッパー!!・・・これどうなってるの?」

「ウタが食べたのはトシシイタケってやつで焼いたり茹でたりすればなんてことない普通のキノコなんだけど、生で食べると稀に歳が変わるんだ。けど安心してくれ!!毒はねぇし、効果も最大で3日くらいだから!」

「って事は今は何歳くらいだ?」

 

チョッパーの説明にルフィが今のウタの肉体が何歳なのか聞いてみたが、それにはサンジが答えた。

 

「恐らく30歳くらいだ。身長もナミさんよりも高くなってロビンちゃんに近づいてるし、スタイルも良くなってるしな」

「凄いねサンジ!!皆の体格とか正確にすぐ言えるほど覚えてるなんて」

「スゲェぞサンジ!!」

「スゲェ!!」

「あ、あぁ・・・」

 

本当は女性限定なのだが、純粋に凄いと言ってくれるウタやチョッパーにルフィを見てサンジは色々と静かになった。

ウタは3日くらいで治るなら良いやと思ってルフィの近くに来ると身長がルフィよりも高くなってることに気づいた。

 

「フフッ、ルフィよりも背が高くなった♪」

「お、本当だな」

「うん!こうしてると本当にルフィが“弟”に見えるね♪」

 

ウタは悪気なくそういった。弟と言われたルフィは複雑な気分になって顔を顰めた。ウタはそれに気がつくと首を傾げた。

 

「ん?どうしたの?」

「・・・なんでもねぇ」

 

ルフィは不貞腐れるようにそういった。さっきの雨宿りの時に“好き”と言ったのに弟と言われて伝わってない事にモヤモヤしていた。サンジとチョッパーはそれを見てニヤニヤと笑い始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

無事に食料を島から持ってこれた4人はウタが歳を取った事に驚きつつもすぐに治ると言われたので特に気にせずにさっさと進むことにした。

ルフィはサニー号の頭の上でのんびりとしながらも弟と言われた事に悶々と過ごしていた。

 

「ウタにだけは弟って言われたくねぇ・・・よし、決めた!」

 

ルフィはあることを決めるとウタに会おうと甲板へ行った。サンジやブルックにキャロット、チョッパーは居たがナミとウタは居らず、ウタを見つけようと適当に見回してるとナミが中から出て声を掛けてきた。

 

「ルフィ、ちょっといい?」

「ん?」

「へへ、じゃーん♪」

「「おぉ〜♡」」

 

ルフィに声をかけて気を引くとナミの後ろから水着姿のウタが出てきた。スタイルがナミよりも良くなったのでルフィに見せつけようとナミが提案したのだ。因みにナミも水着になっていた。

ウタは少し恥ずかしながらもルフィに見せつけるように見せたが先に反応したのはサンジにブルックだった。

 

「どう、似合う?」

「あ、あぁ・・・」

 

ウタはルフィの近くに来て少し屈んで顔を覗くように尋ねるが煮えきらない返事に少しヤキモキしていた。

 

(うぅ・・・こっちは結構恥ずかしいのに・・・やっぱりルフィってば鈍感!どうしたら伝わるのかな??・・・)

 

ウタは少し戸惑っているルフィを尻目にナミの方を見ると抱き締めるような仕草をしたのでウタはそれに頷くとルフィを抱き締めた。それも自分の胸に埋めるように抱き締めた。

 

「その返事は何かなぁ〜??」

「うわっ?・・・ウ、ウタ・・・」

「もっとちゃんと言って欲しいなぁ〜」

「く、苦しい・・・」

 

からかいながらルフィにもっといい返事を促すウタだがルフィは息が苦しかったのと胸がバクバクとし始めた事で上手く返事を返せなかった。

 

「・・・むぅ・・・ねぇ、サンジにブルック!!アタシの水着ってどうかな??」

「勿論、最高だ〜♡」

「更に成長されて素晴らしいくらいに美しいです♡」

「ほら、サンジとブルックはそう言ってくれるよ。ルフィも“お姉ちゃん”に対して良い言葉を言って欲しいなぁ」

 

トシシイタケの影響で成長したウタはルフィに恋心がないと思って姉に対してならちゃんとした返事をするかと悪気なくそう言った。別に似合ってないなら似合ってないとはっきり言ってくれれば良い。煮えきらない返事が1番癪に触った。

 

「う、うがー!!」

「わっ!?」

 

ルフィはウタの胸から出ていくとすぐに船室に入って自分の服を一着持ってくるとウタに渡した。

 

「ル、ルフィ?」

「着ろ!」

「むっ、何よそれ。アタシには魅力が無いから服着て誤魔化せって事?」

 

ウタはルフィにそう言った。折角ルフィをドギマギさせようと思ったのにそれを根本から切るようなルフィの行動は少しムカついた。

 

「違う!・・・ただ・・・」

「何よ・・・」

「俺はウタの事を“お姉ちゃん”だと思ってねぇ!」

 

本当は誰にも見せたくないルフィだったが、そんなふうに言うとウタに迷惑が掛かると思ってか、それは言わずに姉としては見てない事だけを言った。

そしてそのまま服を無理矢理ウタに渡すとルフィは逃げるようにサニー号の頭の上に戻っていった。

 

ウタは暫くの間、茫然となっていたがナミに声をかけられて気がついた。

 

「ウタ、大丈夫?」

「ナ、ナミ・・・い、今のってどういう意味かな?」

「さぁ?」

 

ウタは少し顔を赤くしながらルフィの服を抱き締めた。ナミは別にそれに関して事実を言っても良いのだがこういうのは本人同士で気づいてこそ意味があると思って言わなかった。喧嘩したら助言すれば良い。それがナミのスタンスだった。

 

「取り敢えず着たら?折角だし♪」

「う、うん♪ルフィの服・・・へへへ・・・」

 

ルフィの服と言う事でウタは非常にだらしない顔をしながら着た。赤いつなぎの服で着やすかったのと少しルフィの体格よりも大きくて今のウタにはピッタリだった。その事も含めてウタの特徴的な後ろ髪はピョコピョコと動いていた。

 

(ルフィの服♡・・・温かいし、良い匂い♡・・・お日様の匂いで凄く落ち着くなぁ♡・・・よし!ルフィはアタシを取り敢えず姉じゃなくて“友達”として見てるってのがわかったからこれからも頑張るぞ!!)

 

ウタはルフィの服に身悶えながら、そう決心した。悲しいことに今までの積み重ねてきたルフィの対応を誰よりも知ってるせいでルフィの恋心なぞ微塵も届いてなかった。

 

「ウタのバカ・・・」

 

一方ルフィは、全く恋心が届いてない事をマジマジと本人から見せつけられたせいで不貞腐れていた。









































というわけで鈍感なウタをやってみましたwww
いや、何時までこれを読ませるんだと言う声もそろそろ来そうですけど、つい先日まで恋心のこの字も知らん奴に急に言われてもそれはそれで微妙なので・・・まぁでもイチャラブ編も残り2話なので頑張ります!!

因みに1日置いてしまったわびとしての作者からの言葉ですがルフィはウタとの新時代については“誓い”、婚約については“約束”と言い分けております。これを踏まえて見るとカタクリ戦が更に砂糖を吐くかも知れませんのでご興味あればどうぞ。


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Stay by my side forever

お待たせしました!!
昨日はもうずっと夢の中に居たので遅くなりました!!
それではどうぞ!!


あれから、1日経ってウタは無事に元の体に戻った。チョッパーが念の為に検査をしたが異常はなかった。

そんな風に安心してるとウタはサニー号にある電伝虫であるところに連絡していた。

 

「それじゃ、バギーおじさんよろしくね!」

『おう、3日もすりゃ合流できらぁ』

 

ウタはバギーと話をしていてそれが終わると電伝虫を切った。するとナミが船室に入ってきた。

 

「あら?もう話はいいの?」

「うん!3日後に合流しようだって!」

「そう、ワノ国に一緒に行けないのは少し残念ね」

「もうちょっと一緒に居たいけどライブがあるから・・・けど、すぐにやるつもりだから早くまた会えるよ!」

「そうね。ワノ国で用事を済ませたら必ず行くから楽しみにしてるわね♪」

「うん!」

 

ウタはサニー号を降りる話をバギーとやっていたのだ。別にこれに関しては全員納得していた。ウタにはウタの目的があって一緒に居たのはウタが世間から雲隠れする意味合いもあったがライブの予定は変わってない。

いつか来る一時の別れが来たのだ。

 

船室でウタとナミがそんな風に話してる中でルフィは部屋の外からそれを聴いて麦わら帽子を深く被った。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「ウタ〜、また勝負しようぜ!」

「うん!何する?」

 

後3日でウタと離れると分かったルフィは出来る限り一緒に居たいと思って引っ付いていた。ウタもルフィと一緒に居て想いを伝えたいと思っていた。

勝負だったり、関係のない作業だったり、昼寝だったりと一日中一緒に居たが2人の距離は縮まらなかった。

 

そして夜になり、ルフィとウタはベッドで横になった。風呂上がりのウタとルフィ。ウタはルフィが週一しか風呂に入らないと知って驚いて無理矢理にでも入らせようとしたがルフィは包帯が取れてからと言うものちゃんと毎日入っていた。

ルフィは包帯が取れて恋心を自覚したら、風呂を毎日入るようになった。なぜか理由はルフィにも分からない。ただ、包帯が取れてからの1日目はチョッパーからも入るように言われて入って寝る時にウタに抱き着かれて嬉しかったのは事実だった。

 

そんなこんなで風呂に入ってさっぱりした2人はベッドで横になって寝ていたが深夜の真夜中でルフィは目を覚ました。自分の寝相が悪かったのか2人で一緒に被っていた掛け布団は捲れていた。

ルフィはウタが風邪をひくと思って布団をかけようとしたが固まった。寝てるウタを見てまた心臓がドキドキしてきたのだ。

 

「ウタ・・・俺、離れたくねぇよ・・・」

 

ルフィはそんな事を呟くとウタに向けて手を伸ばしかけた。

 

『ジハハハハハハハハハ!!』

 

しかし、そんな風に手を伸ばしかけた瞬間にルフィの脳裏にシキの笑い声が響いた。ルフィはそれにハッとなると手を引っ込めた。すぐにウタに布団を掛けて自分は逃げるように部屋から出た。

部屋の外で蹲るように座った。

 

「俺、何をやろうと・・・駄目だ・・・ウタを傷つけちまう・・・離れねぇと・・・ウタの邪魔はしたくねぇ・・・」

 

自分が何をしそうになったのか冷静に考えれば考えるほど脳内には心底嫌いなやつの笑い声が響く。ウタを傷つけたくないルフィは決心したのか近づかないように部屋の外で寝た。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「おかしい・・・」

「どうしたの?」

 

ウタは女子部屋でナミと一緒に駄弁りながら服を新しく作っていたが首を傾げた。

 

「ルフィが来ない・・・昨日はあんなにべったりだったのに・・・むぅ・・・」

「そうね・・・キャロットとさっき気軽そうに喋ってたのに・・・」

「むぅ〜!!」

 

ナミの何気ない一言でウタから嫉妬の炎が出そうになったがキャロットは友達なので必死に抑えようと努めていた。

 

(あれなのかな?昨日あれだけ一緒に居たから今日は別にってことなのかな?・・・もうすぐにアタシは降りるのに・・・ルフィのバカ・・・)

 

ウタは不貞腐れつつも手は止めずにルフィに贈る服にあることをしていた。

ナミはそれを見ながらルフィにどうしたのか今日中に聞かないとと思って一先ず部屋から出てルフィを探し始めた。

 

 

 

〇〇〇

ルフィはいつものサニー号の頭の上じゃなくてゾロがよく使っている展望台の方にいた。サニー号の頭の上だとウタがすぐにやってきそうだったからちょうどここによく居るゾロも居ないのでルフィはここに居た。

 

「あ、ここに居た!探したわよ・・・」

「んぁ?ナミ?」

 

のんびりと寝ようかとなってる時にナミが下から登ってきて、ルフィの横に座った。

 

「で、今日はどうしたの?昨日はあれだけウタの横に居たのに」

 

ナミは優しくルフィに話しかけた。ルフィはナミに昨日やりそうになった事を言いたくなった。仲間だから話せば良い助言を貰えるかと思った。

 

『てめぇにこれ程効率良くあの女を使えるか!?』

 

言おうと決めた瞬間にルフィの脳裏にアーロンに言われた事を思い出した。恋がまだ何なのか理解しきれてないルフィは少なくとも昨晩の事は普通じゃないと思ってた。そしてナミはそう言った状況に長年苦しんできたのを知っていた。ゆえにルフィはナミに話せなかった。

 

「話せない事なの?」

 

ナミは一向に話してこないルフィにそう訪ねた。ルフィがウタに対して一途な想いをしてるのを知ってるナミは拗れて欲しくないが、ルフィは話してこない。

ナミの言葉にルフィは首を縦に振った。

するとナミはルフィを抱き締めた。

 

「ナ、ナミ?」

「ルフィ、怖がらないで・・・私達は仲間よ・・・大丈夫だから・・・あんたが何を考えても私達は味方だから」

 

ナミの言葉にルフィは想いを吐露したくなった。けど甘えたくなかった。ゆえにルフィは何も言わなかった。ナミをそんなルフィを尊重してか、離れて戻ろうとすると最後にルフィに向かって言った。

 

「ルフィ・・・ウタからも自分からも逃げないで」

 

ナミはそれだけ言うと部屋から出た。ルフィは1人どうすれば良いのか本気で悩んでいた。このままウタに話そうかと迷った。

 

『ルフィ・・・怖いよ』

 

しかし、頭で考えても想像するのはウタが自分を拒絶する所だった。恋心を自覚したルフィにそれは堪えられなかった。

 

「どうしたら良いんだよ・・・わかんねぇ」

 

ルフィは誰にも何も言えずに心に秘めた事をどうするべきか悩んでいた。

 

 

 

 

〇〇〇

ナミはウタの所に戻るとウタは黙々とルフィに贈る服を作っていた。幸せそうに好きでやってるのだとナミはすぐに分かった。それほど楽しそうだった。

 

「あ、ナミ。ルフィは見つかった?」

「うん、ねぇウタ。ちょっと話してもいいかな?」

「ん?何?」

 

ナミはウタにそう言うと近くに座った。どうにかして2人の関係を拗れさせたくない感情があった。余計なお世話で嫌われても良いからやりたかった。

 

「ねぇ?ウタはルフィの事、どれだけ好きなの?」

「えぇ!?」

「いや、だってあいつに恋心を明確にしてるのってウタくらいなのよ。話を聴く限り噂の海賊女帝もしてるみたいだけど・・・」

「ハンコックには絶対に負けない!!」

 

ナミは上手く焚き付ける事に成功した。ウタはハンコックに負けない為にもナミにルフィのどこが好きになったのか話し始めた。

フーシャ村に居た時に一緒だった事、良く勝負した事、それに良く喧嘩した事、自分の歌を褒めてくれた事、自分に相応しいステージとしてフーシャ村の景色を色々と教えてくれた事、いつも冒険の話を楽しく聴いてくれた事。そんな風に大切になってエレジアで旅をもう1回やろうとした時にルフィとの思い出が後押ししてくれた事、再会してから想像以上に大人になってて凄いギャップがあった事も笑えて好きで、支えようとしてくれてる事、思いっきり喧嘩して離れたのに自分を助けようと必死になってくれた事など色んな事を話した。

ウタからの話を聴いていたナミは顔を赤くした。ウタの惚気に当てられたのだ。そしてそんなに愛してくれてるウタだからこそ、ルフィとの恋を上手く実らせたかった。

 

「・・・後は・・・」

「フフッ、ウタ。うちの船長を愛してくれてありがとうね」

「ん?・・・ありがとう?」

 

ナミはウタの話を聴いてお礼を言うとウタは何故にありがとうなのか分からずに首を傾げつつもお礼を返した。

 

「さて、これからどうやってルフィと恋人になるか考えてる?」

「えぇ!?・・・えと・・・そのお互いを好きになれば・・・追々と・・・」

「・・・ウタ、キツイかも知れないけどルフィにそんなやり方は甘いと思うわ」

「うっ、やっぱりそう思う?」

 

ナミはウタの何処となく甘い考えに無理して進めさせるのは気が引けると思いながらも拗れないようにと祈りながらそう言うとウタも図星だったのかそう返した。

それを聴いてナミは少しだけ安心した。これなら下手に拗れずに上手く誘導出来るかもと思った。

 

「そうよ。だってあのルフィよ。肉以外の欲がないじゃない」

「うぅ、そうだよね。欲に関しては凄い子供っぽいルフィだもんね・・・けど、どうしよう・・・」

「アタックあるのみじゃないかしら?聴けば例のハンコックは凄かったらしいじゃない」

「むっ!!!!!」

 

ナミにそう言われてウタはハンコックのやり方を思い出した。ルフィに対してベタベタと好き好きと言いまくるやり方で確かに好きなやり方ではないが凄いアタックをしまくっていた。

 

(確かにそうだよね・・・あれだねアタックしていたハンコックが気にも止められてないならアタシもあれだけやらないと効果ないよね・・・よし、決めた!!こうなったら徹底的にド派手にやってやる!!)

 

ウタはそう決めるとルフィに贈る服を作り上げて、ナミの方を見た。その鬼気迫る顔に一瞬だけビビるナミ。

 

「決めた・・・ナミは今日のお風呂はキャロットと一緒に入ってて・・・アタシは・・・その・・・」

「わ、わぁ・・・その気をつけてね・・・色々と・・・」

 

ウタが何をしようとしてるのか悟るとナミは顔を赤くしてそう言った。取り敢えずお互いに求めまくって大火傷しないように注意だけやった。

 

「う、うん・・・アタシ、頑張る!」

「ん!?それはどっちの頑張る!?本当にちゃんとしないと駄目な事だからそれ!」

「ハンコックには負けない!!」

「本当に大丈夫なの?」

「うん!これでルフィをメロメロにするんだから・・・」

「・・・そう言えば、ルフィが寒くもないのに服を貸すなんて見た事無いわね」

「えっ!?」

 

ナミはわざとらしく先日の水着を着たときのルフィの反応を蒸し返した。あまりにもわざとらし過ぎて引くくらいだが、それほどやらないとこの2人は進展しそうになかった。

 

「や、やっぱり・・・そそそそうだよね!?・・・ルルルルフィは・・ああ、あんな対応・・・」

「ウタ・・・頑張ってね♪」

 

顔からボンッと蒸気が出るほど羞恥心で混乱しているウタにナミはそういった。これ以上はもう下手に手出し出来ない。手を出し過ぎたかも知れないと思う程だった。後、この恋に必要なのはもう本人達の勇気のみだった。

 

 

 

〇〇〇

そして、ルフィとウタは特に会話もしないままに夜になった。何とかして会話しようとルフィも話しかけようとしたがウタは顔を赤くして固まりまくって会話にならなかった。

夕飯も終わってどうやってウタと付き合えば良いのかルフィは部屋の中で考えていた。ウタに自分の胸に秘めた物を赤裸々に言いたい。けどウタの夢の邪魔はしたくないし、傷つけたくない。それに拒絶されるのを考えてしまってルフィは上手く前に進めなかった。

 

「ウタを傷つけたくねぇ・・・・」

 

今までに無いほど臆病なのは性に合わず、どうするべきか考えれば考えるほど傷つける自分を想像してしまう。

 

「エース、サボ・・・俺、どうしたら良いのかな?」

 

ルフィは愛してる兄達の名前を呼んだ。無性に2人に会いたくなってきた。仲間には言いづらいが2人にはすぐにでも話せそうだった。

 

「これじゃ、約束なんて無理だ」

 

ウタと幼い頃にやった約束・・・“婚約”の事をルフィは思い出してそう呟いた。今でも心臓が煩くて傷つけないか心配で怖いのにこれじゃ一緒になんて無理だった。

 

「ルフィ、居る?」

 

そんな風に不安な中で部屋にウタが入ってきた。

 

「ウタ?どうしたんだ??ナミやキャロットと一緒に風呂じゃ?」

 

ルフィは何時もだったらナミやキャロットと一緒に風呂に入ってる筈のウタが来たことに驚いた。驚くルフィを尻目にウタは顔を赤くしたまま、ルフィに向かって言った。

 

「ね、ねぇルフィ・・・一緒にお風呂に入ろう・・・」

「い、嫌だ・・・」

 

ウタの言葉にルフィはすぐにそう返した。今でもずっと堪えてて心配なのに一緒に風呂なんて入ったらと思うとルフィはウタを傷つけるのを恐れた。

 

ウタはその返事を聞くと恥ずかしい所を見せずに済むという安堵が心に来たが、ハンコックに負けない為にもウタは更に勇気を出した。

 

「ル、ルフィはハンコックの裸とか見たよね・・・」

「あ、あぁ・・・」

「アタシ、実はあれを見て凄く嫉妬してるんだ・・・アタシのルフィなのに・・・アタシだけ見てほしいのに・・・」

「ウ、ウタ?」

 

ウタはそう言いながらルフィの手を握った。

 

「だから一緒に入って・・・でないと本当にルフィの事、“弟”として見ちゃうからね」

「うっ・・・わ、分かった」

 

ウタに弟として見てほしくないルフィは頷いてウタと一緒に風呂へと向かった。




























というわけで次回はお風呂回です。
そしてこのイチャラブ編の最後の話になるので2人がどんな関係になるのかお楽しみに!!
明日には投稿出来るように頑張ります!!

そして無事に最終章のプロットも着々と出来て来ました!!

・・・なんだろう?完全にONE PIECE FILM BUGGYってレベルでバギーの活躍シーンが多いんだよなぁ・・・いや、それだけに終わらずルフィもウタも負けず劣らずの活躍シーンを盛り込めました!!
ウタ、ルフィ、バギー、シャンクス、カタクリと残り6名が織りなす最終章もお楽しみに!!
ただ、多分できるのは早くても12月の後半なんだよなぁ・・・ワノ国編というか、そこでルフィに起こってしまった作者も想定外過ぎた問題を解決しないとエレジアに行けない・・・


それからイチャラブのルウタネタは一旦ストップとさせて頂きます。応募して頂いたネタの中で使えるのは全てもう最終章に組み込みましたので皆様、ご協力ありがとうございましたm(_ _)m


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Luffy and Uta are lovers

もう、この話以上に甘いのを書くことはできません!!
全てを出しました!!
ではどうぞ!!
今回は坊屋ヒロシ様、肘神さま様、ベアーフォール様のネタが入っておりますがまたしても流れを作っていく上で一部になってしまった物もありますのでご容赦ください。


ルフィはウタと共に風呂場に来ると先に服を脱ぐように言われた。何でも服を脱ぐのは流石に恥ずかしいから無理との事だった。

ルフィは服を脱いで昔、シャンクスやウタと一緒に入った時に言われた通りに自分の物を見せないように腰に布を巻いた。

 

「ウタ、脱いだぞ。俺先に行ってるな」

「う、うん!先に行っててね・・・窓とかから逃げないでね」

「に、逃げねぇよ・・・」

 

ウタにそう言われて咄嗟にルフィはそう言った。風呂場に入るとこれからウタが来ると思うと胸がうるさくなってきて不安にもなった。そんな中で風呂場の扉が開く音が聴こえて見るとタオルを体に巻いたウタが入ってきた。

 

「ウタ・・・」

「うぅ・・・あんまり、ジロジロと見ないで・・・」

「わ、悪ぃ・・・ごめん」

「じゃ、じゃあ座ってほしいなぁ・・・あ、洗ってあげる!」

「い、良いよ!自分でやる!!」

「アタシがやりたいの!!・・・お願い」

 

ウタがそう言うとルフィは先に風呂椅子に座った。後ろにはウタが洗面器にお湯を入れていた。

 

「それじゃ、行くよ・・・目瞑ってて」

「分かった」

 

ウタにそう言われてルフィは目を瞑るとザバっとお湯を被せられた。急な事にブルブルと頭を振るルフィ。

 

「ちょ・・・もう、子供じゃないんだから・・・」

「・・・うん・・・」

 

ウタにそう言われるとルフィは短く相槌をした。子供じゃない。本当はウタを求めてるのを必死で抑えてる。鈍感故にルフィはウタの恋心など分かってないのでウタがどれだけ勇気を出してるのか分からなかった。

 

ウタは手にジャンプーをつけて泡立てるとルフィの頭を洗い始めた。ゴワゴワの髪を洗いつつも時々頭部を揉んだりして上げた。

 

「どう?」

「気持ちいい・・・なんか懐かしいな!」

「そうだね。昔やってあげたもんね」

 

 

 

 

●●●

その日、ルフィは嬉しかった。

憧れのシャンクスと一緒に風呂に入れるだけではなく、いつもシャンクスの所に来ると突っかかってくるウタが居ないので思う存分楽しめると思って風呂場に行くとそこにはシャンクスだけじゃなくウタも居た。

 

「げっ!?」

「何よその顔」

 

ウタを見た瞬間にルフィは思わずそう言うとウタは頬を膨らませた。

 

「悪いなルフィ、ウタがどうしても俺と一緒が良いって言うから、3人で入ろう」

「えぇ~!!」

「文句言うならあんただけ後で入れば?行こうシャンクス!」

「なっ!?シャンクスは俺と入るんだぞ!!」

 

シャンクスと一緒にさっさと風呂に行こうとしたウタにルフィはそう言った。ルフィとウタは睨み合い火花を散らした。互いに互いシャンクスとの時間を奪ったと思って威嚇していた。

 

「こらこら喧嘩するな、でないと2人とも一緒に入らないぞ」

「「そんな〜」」

 

シャンクスにそう言われて2人は渋々と従った。ルフィとシャンクスは先に脱いで後からウタが来るとなると2人は服を脱いだ。

 

「ルフィ、腰に布を巻いとけ」

「ん?なんでだ?」

「男のはな、そう気安く女には見せないんだ」

「分かった!」

 

シャンクスにそう言われてルフィは同じように腰に布を巻いた。先に風呂場に入るとウタが布を体に巻いた状態で入ってきた。

 

「お待たせー♪♪」

「おお、来たな♪♪」

「ウタ、遅えぞ」

「何よ、女は色々とやらなきゃいけないことがあるの」

 

ルフィとウタはまた睨み合いを始めたがこんな所で延々とされると溜まったものではないシャンクスはさっさと2人の間に入った。

 

「こらこら喧嘩するなって・・・それじゃ、先にどっちが頭を洗う?俺がやってるやるよ」

「シャンクス俺だ俺!」

「ハハッ、わかったよ。じゃあ座れルフィ」

「ちょっと待って・・・アタシがやる・・・」

「えぇ~、俺はシャンクスが良いんだぞ!」

「別に良いでしょ!それにあんたにシャンクスは勿体無いの!」

「何を〜!!」

「だから止めろって・・・ルフィ、明日は俺がやってやるから、今日はウタにやってもらったらどうだ?それに女性にやってもらうってのは結構良いもんだぞ」

「そうなのか?」

「バ、バカ!!そんなんじゃないよシャンクス!!」

 

シャンクスにそう言われるとルフィは興味を持ち始めてウタは顔を赤くさせた。するとルフィは風呂椅子に座った。

 

「じゃ、やってくれウタ!」

「言っとくけど、本当にそんなんじゃないからね!」

「??なんのことだ?」

「はぁ・・・分からないなら別に良いわよ」

 

首を傾げるルフィの頭をウタは洗い始めた。シャンクスはそれを見ながら微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはシャンクスと共に入った時を思い出しながら、洗っていた。けど、あの時とは違って今は明確に恋を自覚していて緊張もしていた。

 

「ウタ・・・たぶん、もう良いと思うぞ」

「え?そ、そうだね!んじゃ、流すから目を瞑ってて」

「ん!」

 

ウタはまたルフィにそう言ってからシャンプーを落とした。すると自分の体に巻いてた布を取ってルフィの頭に付いた水分をある程度拭いて上げた。

 

「それじゃ、今度はルフィにやってもらおうかな?」

「・・・いいのか?昔、やろうとしたら怒ったじゃねぇか」

「良いの・・・ルフィにやって欲しいから」

 

ウタはそう言ってルフィを立たせると代わりに風呂椅子に座った。ルフィは辿々しい手付きで同じようにお湯を被せて洗い始めた。

 

「ん、気持ちいい・・・ルフィ、上手だね」

「そうなのか?・・・ウタの真似をしてるだけだぞ」

「へぇ、じゃあアタシのやり方が上手いんだ」

「・・・あぁ、凄い上手かった・・・」

 

ゆっくりとほのぼのとやりながらルフィは丁寧にウタの髪の毛を洗った。流石にルフィみたいにザバンとすぐに落とせるわけもなく、ウタが丁寧にシャンプーを落としてる間、ルフィは少し離れた所で体を洗い始めた。

ウタの方を見ると色々と抑えられなくなりそうなので見ずに黙々と体を洗って背中をやろうとすると髪の毛を洗い終わったウタが近づいてきた。

 

「背中、やってあげるから貸して」

 

ウタにそう言われたルフィは断ろうとかと考えたが先程の例から断れないと察してウタに布を渡した。石鹸が付いた布を受け取ったウタはゴシゴシとルフィの背中を洗い始めた。

 

「どう?強すぎない?」

「いや、丁度いい」

「そう、良かった・・・ルフィの背中、昔とは違ってゴツゴツしてて傷だらけだね・・・」

「色々あったからな」

「そう・・・」

 

ウタの言葉にルフィはそう返した。

すると洗い終わったのかウタは洗うのを止めたが、布はルフィには返さなかった。

 

「ねぇ、今度はアタシの背中を洗って」

 

ウタの言葉にルフィは流石に駄目だと言おうとして振り向くと既に白い肌の背中を見せてルフィを待っていた。

 

「ほら早く〜」

「分かった・・・貸してくれ」

「・・・はい」

 

ルフィはウタから布を貰うと背中を洗い始めた。自分とは明らかに違う綺麗な肌に戸惑いながらも丁寧にやった。

 

「あぁ~、気持ちいい〜」

「ハハッ、なんかオバサンくさいな」

「ちょっと、それどういう意味?」

「だってそうだろ?」

「・・・まぁ、昔とは違って大人になったから怒らないであげる・・・」

「そうか・・・なぁ・・・」

「ん?」

「ウタは・・・その・・・やっぱりなんでもねぇ」

「何よ・・・気になるじゃん」

「何でもねぇ・・・それより洗い終わったぞ。前は自分でやれよ、俺は先に入ってるからな」

「・・・わかってるよ」

 

ルフィはそう言うと自分の体に付いた石鹸を洗い流して先に湯船に浸かった。脱力してそのまま風呂場で溺れないように縁から脇から上を浴槽の外に出すようにしてるとウタも洗い終わったのか同じようにしていた。

 

「あぁ〜、力が抜ける〜」

「ん〜、慣れないね〜」

 

熱いお湯だけじゃなくお互いに体が異様に熱かった。すぐに2人は逆上せそうになってくるとウタはルフィに近づいて背中から抱き着いた。ルフィは離れて貰うように言おうとしたがその前にウタが話しかけてきた。

 

「ねぇルフィ・・・何で今日は避けてたの?」

「・・・避けてねぇよ・・・別に・・・」

「ふ~ん、それアタシの目を見て言える?」

「うっ・・・俺は避けてねぇ・・・」

 

ウタにそう言われてルフィは咄嗟に嘘を付いたがすぐに見破られた。どうしようかと悩んでいると背中に抱き着いていたウタが離れた。

 

「ねぇ、ちょっとこっち向いて」

「・・・分かった・・・」

 

ウタに言われてルフィはウタの居る方向に体を振り向けるとガバッと正面から抱きつかれた。

 

「いぃ!?・・・な、何やって・・・」

「ルフィ・・・アタシ、誰にでもこんな事はしないからね。ルフィだけだからねこんなに恥ずかしいことやるの・・・弟とか思ってたらこんな事、絶対にやらないからね」

 

ウタはそう言ってくるがルフィはそれどころじゃなかった。バクバクと心臓が鳴り響いて抑えていた物が暴れそうになっていた。

 

「ウタ・・・離れてくれ・・・」

「なっ!?・・・やだ!!恥ずかしくてもここまでしたんだもん!!ルフィが好きって言ってくれるまで絶対に離れない!!」

「好きだから離れてほしいんだよ!!」

「えっ?」

 

ウタに対してルフィは遂にそう言った。言われたウタは少しだけ離れてルフィと顔を向き合わせると焦っているのが分かった。何かに怯えてるのがウタにはわかった。

 

「カタクリをぶっ飛ばしてからおかしくなっちまったんだ!ずっとウタを見るとドキドキして苦しくて気持ち悪くて・・・チョッパーやブルックに言ったらウタに恋してるって・・・けど、ウタを傷つけるかと思うと怖くて怖くてたまらねぇんだ・・・これからウタはライブがあって船を降りなきゃいけねぇのにずっと一緒に居たいと思っちまって・・・離れたくねぇ・・・」

「ルフィ・・・」

「けど、ウタにだってやりたい事とか夢とかあんのに・・・新時代の誓いだって・・・約束もあるのに・・・このままじゃ邪魔しちまうと思って・・・ウタの夢の邪魔はしたくねぇのに・・・ごめんよごめんよウタ!!」

 

ルフィは泣きながらそう謝った。折角のウタの夢の舞台が目の前なのにそれを邪魔してても求めてる自分が怖かった。ウタはルフィのそれを聴くと手を取って自分の胸に当てた。ルフィはそれに驚くと掌からウタの心臓がバクバクと鳴ってるのが分かって固まった。

 

「ルフィ・・アタシも同じだよ・・・ルフィがこのまま一緒にエレジアに向かってくれたらって思ってる。同じなんだ・・・」

「ウタ・・・」

「ア、アタシも怖いよ!!けど・・・ルフィも同じに思ってて・・・ちょっと嬉しい」

「・・・」

「ねぇ・・・お互いに相手の事を思えるならもっと“自由”に“恋”出来るよ・・・きっと・・・」

「・・・あぁ、そうだな」

 

ルフィは漸く気づいた。ウタが何を思ってくれてるのか、そして抑えてるのが自分だけじゃない事を悟ると先程まであった不安が薄れていった。もっと“自由”に求めて良いと分かると安心できた。

 

「ルフィ・・・アタシ達って似た者同士だね。お互いに好きなのに不器用でバカで・・・鈍くて・・・だから、もう一回ハッキリ言うから・・・アタシ、ルフィが好き!!誰よりも大好き!!こんなに愛してくれて何時もありがとう!!」

「ウ、ウタ・・・俺も好きだ!!何時からか分かんねぇけど・・・俺、どうしたら良いのか全然分かんねぇけど・・・ウタが好きだ!!」

 

ルフィはウタの告白にちゃんと勇気を持って返した。自分の恋心もちゃんと“自由”に伝えた。するとウタはポロポロと泣き始めた。

 

「ウ、ウタ?どうしたんだ!?何か俺、やっちまったのか??」

「ううん、違う・・・ただ・・・嬉しくて・・・ルフィと恋人になれたのが・・・嬉しくて」

「・・・シシシ!!」

 

ウタが泣き始めた事にルフィは何か間違えたのかと思ったがそう言われると嬉しくなった。ウタもルフィの笑顔を見ると微笑みを返した。互いに暫く笑うとウタはゆっくりと顔が赤くなってるルフィに真っ赤になってる自分の顔を近づけた。

 

「ねぇ、ルフィ・・・お願いがあるんだけど」

「なんだ?」

「キスして」

 

ウタはそう言って目を瞑って唇をルフィに向けた。

するとルフィはウタを抱き締めながらキスした。

何も身に纏ってない産まれたままの姿でお互いを抱き締めながら長いキスをする2人。どちらかが寝てるわけでも緊迫した状況でも無い中で初めてやるキスは今までで1番長くそして幸せを感じた。

 

「ぷはっ・・・ありがとう・・・」

「ニヒヒヒ・・・ウタとやるキスはやっぱり良いな!心がフワフワする!!」

「ルフィ・・・ん?アタシ“とやる”ってどういう意味?他に誰かとやったの?」

「あっ!」

 

ルフィの言葉に首を傾げたウタはそう聴くとルフィは不味いことを言ったと云うような顔をした。それを見るとウタはルフィに向かって不気味な程ニッコリとした笑みを向けた。

 

「へぇ・・・アタシ以外の誰かとやったんだ・・・ハンコック?」

「ち、違うぞ!!アレは俺を助けてくれたんだ!!」

「じゃ、教えてくれるよね?」

 

有無を言わせまいとするウタに対してルフィは赤裸々に告白した。サンジの姉のレイジュに毒を吸ってもらう為にやってもらった事、そしてそれは毒魚を食べた自分を助けてくれた事、またそれがバレるとウタに二度と会ってくれないとナミが忠告してきた事をルフィは話した。

 

「そう、ナミが言わないようにって言ったんだ・・・」

「ナ、ナミは悪くねぇぞ・・・」

「分かってるよ。全部ルフィの自業自得だし・・・」

「うっ・・・そ、そうだ。だから許してくれるか?」

「・・・けど・・・上書き!!」

「んむ!?」

 

ウタはそう言うとルフィにキスをした。

チュ~っとルフィの唇を吸うようにした後でウタはルフィの口の中に自分の舌を入れた。

 

「ん!?・・んぐ・・・ちゅる・・・んん!!」

「ちゅる・・・はむ・・・んっ!!」

 

急に自分の口の中に舌を入れてきて絡ませてきたウタにルフィは逃げようとしたがウタはルフィの頭を手で押さえて逃さなかった。卑猥なキスの水音だけが風呂場に響いた。

 

どれだけ長くやったのか分からない。

 

お互いに息遣いが荒くなって終わると2人は肩で息をしていた。そして唇を離すとお互いに舌が口から出ていて糸を引いていた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

「へへ・・・ルフィったらこれだけで荒くなるなんて・・・弱い〜・・・」

「何だと!?ウタだってそうだろ!?」

「出た!負け惜しみ〜!!」

「にゃろ!!」

「んむっ!?」

 

からかうウタに今度はルフィが負けじとキスした。すぐにウタの真似をして舌をすぐに入れてきた。

 

(やっぱり凄い・・・熱い・・・嬉しい・・・!!??)

 

ディープキスで舌を絡めさせてると自分の舌に熱い何かが巻き付いた。それはゴム人間で何でも伸ばせるルフィが舌を伸ばしてウタの舌に巻き付かせたのだ。

 

「じゅぼ・・・じゅぶ・・・んぶっ・・・」

「んん!!・・・じゅぶ!!・・・んん!!?・・・じゅば!!・・・んんん!!」

 

そのままウタの舌をしごくように自分の舌を絡めさせるルフィ。ウタは普通なら絶対に味わえない未知の感覚にいいようにされてそのまま力が更に抜けた。

 

「ぷはっ!!・・・はぁはぁ・・・どうだ!?」

「ぷはぁ!!・・・はぁ・・・はぁ・・・何これ・・・凄っ・・・もうムリ・・・」

 

ルフィもウタも息を切らしていたがまだまだ力が何とかあったルフィに比べてウタは完全に脱力しきってルフィに体を預けていた。

 

「はぁはぁ・・・ウタ・・・どうだった?」

「凄すぎ・・・最後なんか急に力が抜けたし・・・」

「なぁ・・・もっとやって良いか?」

「えぇ!?・・・い、良いけど・・・つ、続きは部屋でやろうよ・・・流石に危なすぎだし・・・」

「・・・シシシ、そうだな!!俺達、能力者だもんな!!」

 

2人はそう笑いあうと風呂場を出て部屋に戻った。お互いに鈍感で恋心を向けあっていた不器用な2人は漸く恋人になれた。そしてあれだけ求めるのに怯えていたルフィはウタが受け入れてくれるのを理解すると求めて、ウタもルフィを求めた。

 

最早、2人には障害や不安など何1つなくなった。

 

 

 

 

〇〇〇

「で、あんたらは何でそんなにテカテカしてるの?」

「シシシ、実はな・・・」

「ルフィ、言うなって言ったでしょ!!」

「痛え!!」

 

翌朝、ウタが手荷物を持って降りる準備を済ませて甲板いる時に()()()()()()()()()()()2人にナミが聴くと嬉しそうに話そうとしてるルフィにウタが殴って止めていた。

チョッパーやキャロットは鼻をスンスンとさせて臭いを嗅ぐと2人が何をやったのか察した。

 

「グオォォォォォォ!!!!!!」

「サンジさん!!お気を確り!!」

 

サンジはルフィとウタに何があったのかを全て悟ると血の涙を流していて、ブルックはそんなサンジに堪えるように言っていた。

ワイワイと騒いでる一味の所に船がやってくる。

バギーの船であるビッグトップ号だ。

 

「あ、来た!!おじさんだ♪♪」

 

ウタは船が見えると手を振った。

 

「ギャハハハハハハ!!!ウタ、俺様が迎えに来たぞ!!」

 

船頭からバギーが叫ぶと色々とあったナミは何とも言えない顔になるがウタからどれだけバギーの事を慕ってるか教えてもらったルフィは普通だった。

ビッグトップ号がサニー号の隣に付くとウタが渡れるように船間に板が掛けられた。

 

「ウタ!ビッグマムとか色々とあった事を話して貰うからな!!」

「あっ!!・・・も、もしかして・・・怒ってる?」

 

ビッグトップ号にいるバギーにそう言われてウタはもしかしたら怒られるかもと思った。散々、迷惑をかけ続けてきたバギーや育ててくれたゴードンの叱りは苦手だった。

 

「うっ!!・・・ハデバカ娘!!・・・ったくお前が良いなら別に怒らねぇよ!!・・・ただ、何があったのか知りてぇだけだ!!」

「おじさん・・・ありがとう♪♪」

 

だが、バギーはウタに泣かれるのは嫌なのでそう言った。ウタはそれを聞くと笑顔をバギーに向けた。それを見ていたルフィはウタの横でムスッとした表情をウタに向けていた。

 

「ウタ」

「ん、な・・・んむ!?」

 

ルフィはウタをこっちに向かせるとキスした。

 

「ちょっ!?」

「えぇ!?」 

「わぁ!?」

「ヨホッ!?」

「ぬぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「ギャァァァァァ!!!!何、ウタにキスしとんじゃこのクソゴム!!」

 

皆がルフィの突然の行動に叫び驚き、バギーなんてこの世の終わりかと言うような雰囲気をしていた。急にされてウタはビックリし、唇が離れるとルフィに対して頬を膨らませた。

 

「もう!!皆の前は恥ずかしいよ!!」

「いいだろ!!・・・恋人になったんだから!!」

「恥ずかしいに恋人は関係ないの!!」

 

ルフィとウタはそんな風に怒っていた。周りは突然と始まった2人のイチャつきに色々と様々な反応をしていた。ナミやチョッパー、キャロットは口の中が異様に甘く感じ、ブルックは血の涙を流し始めていた。そしてサンジとバギーはあまりのショックに倒れた。

 

「もう!・・・兎に角もう行くから・・・絶対にライブに来てよ・・・」

「あぁ、絶対に行くから待っててくれ・・・」

「ふふっ・・・そんなルフィにプレゼントがあるんだ!!」

「プレゼント?」

「へへっ、じゃーん♪♪」

 

ウタはそう言うと黒いコートを出した。シンプルな黒いコートでシャンクスがよく着てる奴に似ているが背中には2人だけのマーク・・・“新時代”のマークが刻まれていた。しかも《UTA》と遂になるようにマークの下の部分には《LUFFY》の名前があった。

 

「おぉ!!カッコいいな!!」

「でしょ♪♪頑張って作ったんだ!!ルフィと誓いあったアタシ達のマークなのにアタシだけが持ってるのが不満だったんだ♪♪」

 

ウタはルフィがくれた新時代のマークが自分の手袋しかない事が不満だったがこれをルフィに着てもらえばお揃いになると思って作った。

ルフィはそれを受け取るとバサッと羽織って背中に堂々と刻まれた“新時代”のマークを見せた。

 

「どうだ!?」

「うん、凄くかっこいい!!」

 

ルフィの言葉にウタはそう返して自分の持っている手袋を付けて互いに見せあって笑った。何時までも楽しい時間を過ごしたいがお互いにやることがあるし、すぐに再会出来る。

ルフィはウタを抱き締めるとビッグトップ号まで腕を伸ばして連れて行った。バギーの部下が色々と叫んだり、話したりしてるがルフィやウタは気にしなかった。

 

「もう、別に良かったのに」

「でも腰が痛えってさっき言ってたろ?」

「馬鹿!!・・・ほら早く行って!!・・・夢へ向かってやりたいことをやって来なよ!!」

「シシシ、ウタもな!!」

 

お互いに言い合うとルフィはサニー号に戻った。ウタはビッグトップ号の端まで来て見送っていると隣に復活したバギーが立った。

 

「やい麦わら!!お前、本当に覚えとけよ!?今度会ったらシャンクスの麦わら帽子ごとギッタギタにしてやる!!」

「ちょ、おじさん止めて!!」

「うるせぇ!!何とか言ったらどうだ麦わら!!ビビって声も出ねぇか!?」

 

バギーはルフィにそう叫んだ。もう先程の会話で2人の仲がどこまで進んだのか悟ってしまい、ルフィの顔面に拳をブチ込みたくなってしょうがなかった。ウタはバギーに手荒な事はさせないように言うがそんなんで止まらない。

 

ルフィはサニー号からそれを見ると笑って叫び返した。

 

「バギー!!ウタの事、頼んだぞ!!」

「何当たり前の事を言ってやがる!?」

 

ルフィの叫びにバギーは中指を立ててキレた。相変わらずなバギーを見て更に笑うとルフィはウタに向かって叫んだ。

 

「ウタ〜!!待たなぁ〜!!」

「ルフィ〜!!待たねぇ〜!!」

「やいこら!!俺の話はハデに終わってねぇぞ!!」

 

お互いの夢に向かって突き進んでいくルフィとウタ。

お互いを求めて、離れていても繋がってる事を確かめ合い、そして一歩進んだ2人は夢の為にまた分かれた。

 

それは12年前に突然と訪れてしまった別れではない。

以前よりも強くなった繋がりを感じて2人は“新時代”マークをお互いに持って前に進んだ。

































2人に何があったのかを細かく書いたらR-18は確定ですので言いません。

イチャラブ編の最後は2人を恋人にしたくてやりました。というのも前章のルフィVSカタクリ編があまりの鬱で最終章で明かすつもりだった婚約をやったのでそれを超えるのを最終章の最後でやりたいのでその為には2人を恋人にしないとと思ったのでやりました!!
いやぁ、マジでリクエストを募集して良かったです。でないと甘い雰囲気のないままで恋人になりそうだったのでガチでやって良かったです。

皆様、ありがとうございました!!

そして今作ではルフィがワノ国の最終決戦で羽織っていたコートに麦わらマークがあります。

それでは次回からはワノ国&クロスギルド編・・・をやる前に色々と疲れとそして私、実はワノ国編からリアルタイムで追えてなくて時系列を良く知らないので熟考の為に1週間休みます!!
その間はカタクリとシャーロット兄妹の話だったり、現パロだったりを番外編としてやります!!
1番最初に持ってくると色々とズレて面倒くさいので番外編はサブタイトルの前に番外編と付けてやります。
では皆様、1週間後に始まるワノ国&クロスギルド編をお楽しみに!!


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番外編 カタクリ大暴走

短いですが番外編なのでということで1つ。
それでは番外編第一弾はカタクリとシャーロット兄妹の話です。



「眠い・・・」

 

シャーロット・カタクリの朝は早い。

毎朝、キチンとしたルーティンの中で生きているがルフィに敗れてからというものゆっくりと横になって眠っても自分で気にしなくなった事で1人の時は少しだけ気が抜けるようになっていた。

 

「早く磨いて・・・???・・・気のせいか・・・」

 

パジャマ姿のカタクリはそのまま歯を磨こうと口元のファーを取って素顔で鏡を見ると何を思ったのか鏡に触れた。暫くそれを見続けたが軈て気にしない事にしたのか手を離した。

 

「あっぶねぇ、バレるかと思ったぜ」

「バレてないかしら?」

「兄さんだったら、すぐに言うと思うからバレてないと思うわ!」

 

一方、ブリュレの能力を使ってクラッカー、6女のカスタード、7女のエンゼルの三つ子は鏡の中からカタクリの私生活を覗き見していた。

 

カタクリが自分の意思を吐露してからと言うもの他の兄弟姉妹は素のカタクリと絡もうとしてるのだが他の兄弟姉妹と取り合いになってしまって結局最後はブリュレとアナナにちゃっかりと奪われていた。

そんな中でブリュレと歳の近いこの三つ子はブリュレに頼んでこうやって覗き見してカタクリの欲しい物を知ってそれを渡して仲良くなる作戦をしていた。

因みにこれの発案者はエンゼルだった。

 

『早く歯を磨かねぇと・・・ふぁ〜・・・眠い・・・』

「へぇ、兄貴ってちゃんと欠伸もするんだな」

「早速、珍しいものを見れた♪」

「ラッキー♪♪」

 

完全に気が抜けてるカタクリに3人は新鮮な気分になっていた。

 

『さて、磨くか・・・あがっ』

「「「え?」」」

 

カタクリは大きく口を開けて牙を一本一本丁寧に磨き始めた。初めて見るカタクリの歯磨きに3人は固まった。

 

「昔の兄貴の磨き方って普通だったよな?」

「え、えぇ・・・たぶん・・・」

「気にしてなかったから覚えてないわ」

 

何分、最後にカタクリの素顔を見たのすら幼い時すぎてそこから自分を隠していたカタクリの素など3人には分からなかった。

 

『さてと、歯磨き粉でやったら次は練乳で・・・』

「「「なんでだー!?」」」

 

カタクリは朝早くから歯磨きをしたのにこれから更に練乳を歯ブラシにつけて同じ事をしていた。鏡の中から見ていた3人はツッコんだ。

 

「歯磨きしてたじゃねぇか!!」

「え!?兄さんが甘党なのは知ってたけどここまでだったの!?」

「なんでそれで虫歯にならないのよ!?」

 

カタクリのとんでもない習慣に三つ子のツッコミはキレッキレだった。

 

『流石にこれはアイツラには見せられねぇな・・・恥ずかしくて死ねる・・・もしもバレたらウタを誘拐して孤島で永遠に2人で暮らしてやる』

「いや、思っくそバレてるが!?」

「えっ!?しかも怖!!」

「素なの!?これがいつも完璧と言われ続けてきた漢の素なの!?」

 

練乳で歯を磨き終わったカタクリは顔を洗い終わる首をコキコキと鳴らして鏡を見た後でファーを手に取った。

 

『あ~・・・さてとこれを洗わねぇとな』

「あ、あれって手洗いだったのか」

「ちゃんと自分で洗うのね」

「なんか、凄いホッとしたわ・・・」

 

自分のファーに水を掛けようとした瞬間、ファーが勝手に動いて逃げようとした。

 

『あ、こら!暴れるな!!』

「「「なんか動いてるー!!?」」」

 

突然と生き物のように動き始めたファーに3人は目を飛び立たせた。

 

『全く毎日洗ってるのになぜ毎回逃げるんだ』

「え!?嘘だろ!?あれってホーミーズなのか!?」

「嘘!!?」

「そんなの知らなかったわ!!」

 

驚いて混乱している3人。

するとファーはカタクリに懐くように頰に触れていた。

 

『よしよし、丁寧に洗ってやるからな・・・何?偶には女の手で洗ってほしいだと?・・・贅沢抜かすな』

「性別は男か・・・」

「あら、女でも女好きはいるわよ」

「そもそもあれに性別の概念があるのかしら?」

 

次々と来る新事実に混乱しまくってる三つ子。カタクリはファーに洗剤をつけて丁寧に洗っていた。

 

『いつも首に巻き付いてくれて感謝してる・・・ありがとな』

「あれって、キツく巻いてるとかじゃなかったのか?」

「分からない、分からないわ!」

「色々と驚愕すぎて・・・けど信頼関係は深そうね」

 

ファーにお礼を言うカタクリとシュール過ぎる物を見て混乱しまくっていた。

 

『よし、洗い終わったぞ・・・あれをやれって?しょうがねぇな・・・』

「「「あれ?」」」

 

するとカタクリはファーの端を持ってブンブンと振り回し始めた。

 

『ウォぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』

「「「いや、何やってんだ!?」」」

 

水が部屋に飛び散りまくってるのに全く手を止めないカタクリ。

 

「いや、部屋がびしょびしょになるだろうが!!」

「いやぁ!!止めて、カタクリ兄さんのキャラがすでに崩壊してるのにこれ以上は止めて!!」

「てかファーとの信頼関係は!?」

 

クラッカーは部屋が水で濡れる事にツッコミ、カスタードはもう何も信じたくないのか頭を抑えてエンゼルはファーを乱暴に扱ってるカタクリにツッコんだ。

 

『よし乾いたな・・・毎回だいぶ濡れるが・・・まぁバレないだろう』

「「「いや、バレてるバレてる!!」」」

 

どこか呑気なカタクリに三つ子の反応は止まらなかった。乾いたファーはそのままカタクリの首元に巻き付いた。

 

『さてと次は・・・』

 

カタクリはパジャマに手を掛けた。

 

「お、着替えるのか・・・」

「カタクリ兄さんの生着替え・・・ゴクッ」

「あぁ、兄さんの美しい体が・・・」

 

クラッカーは普通の反応だったが、カスタードとエンゼルは色々と困惑するような反応だった。

カタクリがパジャマの上を脱ぐと胸には大量の胸毛があった。

 

『胸毛の処理』

「「「ギャァァァァァァ!!!???」」」

 

普段から筋肉質な肉体を惜しみなく見せつけるようなファッションをしてるカタクリに胸毛など文字通り見たことがなかった。

 

「嘘だろ!?兄貴にあんなのあるなんて嘘だろ!?」

「そんな!!馬鹿な!!?」

「一体全体どういうこと!?」

 

驚きまくってる3人。

カタクリはシェーピングクリームを塗って剃刀で処理を始めていた。

 

『本当、何でかわからねぇが偶に凄い生えるんだよなぁ・・・ジェルマ66の科学力なら永久脱毛出来ると思ったのに』

「そんな理由で賛成してたのか!?」

「嫌だ!!こんな兄さんは嫌だ!!」

「堪えるのよカスタード!!素の兄さんを受け入れるって決めたじゃない!!」

 

カタクリの口から出てくるとんでも発言に3人はもう色々と考えるのを止めたくなってきた。

 

『う~ん・・・』

 

そんな風に混乱している3人をよそにカタクリの居る所にアナナが寝ぼけたままやってきた。

 

『なっ、アナナ・・・ぬぉぉぉぉ!?』

 

アナナに胸毛を見られるかと思ったカタクリは慌てて手元が狂ってしまい、胸を傷つけた。すると大出血を起こした。

 

「「「兄ちゃぁぁぁぁぁん!!」」」

 

まさかの展開に3人は幼い時にやっていた兄ちゃん呼びをしてまで心配した。胸を抑えて必死に出てくる血を止めようとしていた。かなりスプラッターで3人の血の気が引いてきた。

 

『お兄ちゃん、どうしたの?』

『い、いや・・・なんでもない・・・それよりもぬいぐるみは置いてきなさい・・・濡れるから』

『・・・わかった』

 

カタクリに言われてアナナは持っていたぬいぐるみを置きに行った。眼の前でカタクリは胸から血を大量に噴き出してる状態なのに気にしてなかった。

 

「いや、アナナ!!気にしろ!!」

「もっと大事な事が目の前に!!」

「兄さん、しっかりして!!」

 

3人の叫びは止まらなかった。

カタクリはフラフラになりながらも鏡の前に立っていた。

 

『ふぅ、危なかった・・・バレなくて良かった』

「「「いやいやいやいやいやいや」」」

『さてと、次は・・・カツラの交換を・・・』

 

カタクリがそう云って髪の毛を触るとスポッと髪の毛が取れてツルピカの頭皮が剥き出しになった。

 

カタクリはカツラだった。

 

「「「う、う、うわァァァァァァー!!!!」」」

 

あまりにも衝撃的過ぎる情報だらけの爆弾を見た事でキャパオーバーした3人はそのまま逃げるようにブリュレの鏡の世界から出ていった。

 

 

 

 

〇〇〇

「やっと帰ったか・・・全くこんなのに引っ掛かるとは鍛え方が足りないな・・・今度鍛えてやる」

 

カタクリがそう言うとツルピカの頭皮を触るとスポッとまた取れて中にはフサフサの何時ものあずき色の髪の毛が出てきた。

 

見聞色で3人が見てると分かったカタクリはからかったのだ。胸から噴出しまくってる血も大量の胸毛も小道具を用いた物で本人の血ではない。少しやり過ぎだとは本人も思っていたがまぁ何とかなるだろうと思った。

 

「お兄ちゃん、どうだった?」

「上手く行ったぞ。ありがとう」

 

アナナがコソッと部屋の扉付近で顔を出して聞いてきた。そう普段のカタクリなら指摘して追い返して終わりだったが、皆と打ち解けやすくなるためにアナナが全て考えてくれたのでそれを実行したのだ。

 

「これで皆と仲良くなれるね♪♪」

「・・・それはどうだろう?」

 

純粋に言ってくるアナナにカタクリは色々と嫌な予感を感じながら首を傾げていた。

 

 

 

 

〇〇〇

その頃、アナナ発案によるカタクリのおちょくりを真に受けた3人は鏡の世界から飛び出てコンポートに泣きついていた。

 

「「「お姉ちゃぁぁぁぁん!!!」」」

「ど、どうしたんだい!?」

「「「兄ちゃんがぁぁぁぁ!!!ハゲだったんだ!!うわぁぁぁぁぁ!!!」」」

「いや、ダイフクは短いだけだけど?」

「違うんだよ!!」

「カタクリ兄さんが!!」

「ツルピカのハゲだったの!!」

「・・・なんだって??」

 

3人からこの話を受けたコンポートは後日、カタクリとアナナに説教をした。3人とカタクリの間に暫く溝が出来てしまった。

 

「むぅ・・・今度はもっと良い方法考えるもん!!」

「アナナ、もう止めてあげて!!」

 

懲りずにカタクリと他の兄妹の仲を取り持とうとするアナナにブリュレは思わず止まるように叫んでいた。





え〜、はい諸にあれです。
銀の魂のやつです。
やりたくなっちゃってwww・・・一応あと、2つあるのですが次はどっちにしようかな?
 
『カタクリ、マダオになる』
『アナナ、ドーナツ大作戦』


う~ん、ドーナツ大作戦は割と笑って泣ける感じになると思うので次回は『カタクリ、マダオになる』をお届けします。







暇つぶしに裏設定を1つ
ウタがトシシイタケを食べて水着になった時にルフィが渡した服はエピソードオブルフィ ハンドアイランドの冒険の服と思って下さい。


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番外編 カタクリ、マダオになる

いや、もう本当に笑いが止まらなくなるキャラ崩壊の強い番外編ですがお待たせしました。
因みに今回も主役はカタクリです。


地下にある囚人部屋でフランペはモンドールの本の牢屋に捕まえられていた。完全に自業自得であり、殆どの兄弟姉妹もキレていて半年は出られない。

そんな中で今はオペラが見張りをしているが、暇だったのかオペラは本を顔に乗せて寝ていた。そんな事をしてると案の定、フランペを盲信してる信者がやってきてフランペからある指示を受けていた。

 

「プ〜〜〜〜。それじゃ、よろしくね♪♪♪」

「かしこまりました」

 

フランペに言われた信者はその指示を実行する為に地下から出ていった。そして本の牢屋の中でフランペはほくそ笑んでいた。

 

「これであんたの人気を落として返り咲いてやるんだから、覚悟しなさいフクロウナギ」

 

高笑いしそうになりながらもカタクリに逆恨みをしてるフランペは大暴露で更に強くなったカタクリの人気を落とそうと躍起になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

翌朝、コムギ島ではリンリンを始めとしたシャーロット家の殆どの兄弟姉妹が集まっていた。城はシキと爆弾によって破壊されて最終的にケーキになってしまった。幸いにも女王の間とかリンリンの寝室とか無事な所はあるのだが、リンリンは何となくコムギ島でやると言ったのでやることになった。

 

「で、カタクリは何時になったら来るんだい?もう30分は待ってるよ」

 

リンリンはイライラしながらそう言った。そう肝心のコムギ島のボスであるカタクリが一向に来てないのだ。遅刻は大嫌いで普通なら寿命を取る行動を容赦なくやるリンリンだが、今回の大騒動の大変さに加えて負けた事も知ってるので珍しく堪えていたが流石にそろそろ限界だった。

 

「わ、私が呼んできますボン!」

「頼んだぞタマゴ!」

 

タマゴがいそいそとすぐにカタクリを呼びに行った。あの大暴露の後、無事に横に寝るようになったカタクリ。その事はもう万国中に知れ渡ってるので誰が起こしに行っても問題なかった。

大勢の兄弟姉妹に部下は何時もなら真っ先に起きてるカタクリが寝坊してる事に違和感を感じていた。

 

「あいつがこんなに寝坊するなんて」

「傷口が悪化したとか、ダメージが溜まってたのか?」

「何にせよ気になるねぇ」

 

オーブン、ダイフク、コンポートが心配している中で先日、カタクリによって盛大にからかわれてしまったクラッカー、カスタード、エンゼルの3人はコソコソと話していた。

 

「なぁ、兄貴ってやっぱりあれが素なんじゃ?」

「止めて・・・あれが素なんてこれからどう接すれば良いの?」

「けど、兄さんがあんなからかいをやる?」

 

アナナの出したからかいネタをクソ真面目にカタクリがやったせいで3人は疑心暗鬼になっていた。普段の真面目っぷりが仇になっていた。

 

「兄さん達、一体何を話しているんだ?」

「スムージー、それがさぁ・・・」

 

カスタードがカタクリにドッキリをされてからかわれた事を言うとスムージーも苦々しい顔になった。

 

「姉さん達もやられたのか」

「スムージー達も?」

「そうなの!」

「私達なんか、プレゼントの中に隠れられててビックリさせられたんだから!」

 

スムージー、シトロン、シナモンの三姉妹はアナナが贈ってきたプレゼントの中に変形していたカタクリが突然飛び出るというドッキリをさせられていた。因みにシトロンとシナモンはそれの際に本気でカタクリをぶん殴ってスムージーも割と本気で怒った。

カタクリはまだ幼いアナナに毒を盛らせてしまうという事を止められなかった罪悪感、アナナは兄の恋愛を邪魔したという罪悪感からあれ以来良く一緒に行動してアナナは兄弟姉妹と仲良く出来るように色々とサプライズの案を出してカタクリも折角のアナナが考えてくれた案だとそれを律儀に全部やってるのだが割と心臓に悪いのが多くて他の兄弟姉妹からは大不評だった。

 

「カタクリの兄貴って・・・」

「クラッカー、そっからは言うなよ・・・私も段々そう思えてきた・・・」

 

クラッカーが思った事を口にしようとしたら、その前にペロスペローが止めた。内心、一緒の事を考えてると察していたが止めた。ペロスペローやコンポートは打ち解けつつあるのが嬉しいのだが色々と複雑な気分だった。

 

「マーママママママ!!そんなんならオレにもやって欲しいねぇ!!楽しそうだ♪♪」

「ママ、それは無理だと思うぞ」

 

リンリンが駄弁り始めた子供達の話題が主にカタクリのドッキリだったのに興味を持ってきたが、ペロスペローは流石にリンリンにはやらないと思った。

 

「ボ〜〜〜〜ン!!??」

 

そんな風に騒がしくなった中でカタクリを起こしに行ったタマゴが会議室に吹き飛ばされた。周りは何だ何だと騒いで珍しくリンリンもその光景に固まった。

 

「ったく、今何時だと思ってんだ?まだ9時ちょっとでおねむの時間だろうがぁ~・・・ふぁ〜・・・二度寝するから邪魔すんじゃねぇぞ・・・」

 

パジャマにナイトキャップ、それから幾ら素を出すと決めても昔からの癖でずっと巻いてるファーを身に着けていたカタクリは欠伸をしながら言った。

目が完全に死んでいて基本的に眉間の皺が寄りやすいのにゆるゆるとしていて完全に別人だった。

あまりの状況にリンリンを含めた全員が固まっていた。そんな中で1番に動いたのは母親であるリンリンだった。

 

「カタクリてめぇ!今日は朝から会議って言ってただろが!!寝坊しておいて謝りもしない上に二度寝するんじゃねぇよ!!」

「朝からうるせぇなババア、置物系のボスみたいにふんぞり返りやがって偶には運動しろ、歳だろうが」

「マッ!!?」

 

珍しくリンリンとしてはちゃんとした説教なのにカタクリはあろうことが暴言で返し、リンリンはまた固まった。あまりにもあんまりな状況でダイフクがカタクリに駆け寄った。

 

「お、おい!本当にどうしたカタクリ!?頭でも打ったのか!?」

「別に打ってねぇよハゲ」

「ハゲてねぇよ!!俺は短髪にしてるだけだ、知ってるだろうが!!」

「あ~、うるせぇうるせぇ。俺はまだ眠いから寝る」

 

キレたダイフクをよそにカタクリは悠々自適に会議室から出て寝室に戻っていった。

 

「「「カ、カタクリが壊れた〜!?」」」

 

ペロスペロー、コンポート、オーブンの3人が叫ぶと会議室は一気に大混乱になった。

 

「どういう事だ!?何で兄貴が!?」

「一体どうなってるファ!?」

「兄さんに何が!?」

「今まで溜め込んでいたのが噴き出したのか!?」

「これもお前のサプライズかアナナ!?」

「ち、違うよ!!」

「カタクリお兄ちゃぁぁぁぁん!!??」

「どうすれば良いんだ!?」

「「「やっぱりあれが素だったんだぁ!」」」

 

シャーロット家始まって以来の大混乱だった。アナナの計画したドッキリかと思ったがアナナは首を横に振って否定していて、クラッカー、カスタード、エンゼルの3人は抱き合って先日のカタクリのドッキリが真実だと確信してしまっていた。

 

「お前ら落ち着きな!!」

 

そんな風に混乱してる中でリンリンの喝が飛んだ。まさかこのままカタクリを殺すのではと最悪の考えが出る中で意外にもリンリンは普通だった。

 

「あれはハンテンダケでも食べたね・・・だとしたら簡単に治るから安心しな!」

『ハンテンダケ?』

 

ペロスペローやコンポートを始めとした上の兄弟姉妹はハンテンダケの効果を知っていたが混乱していたので珍しくリンリンが説明していた。

 

「ハンテンダケを食うと性格やら性別やらが反転するから恐らく普段の真面目さが反転しただけだ。すぐに戻るから落ち着きな・・・けど、オレにあぁ言うとは・・・一発殴らねぇと気がすまねぇ」

「ママ、落ち着いてくれ!!」

「止めて!!カタクリの自業自得だけど抑えて!!」

 

海賊船の長として逞しい所を見せたリンリンだがそのままカタクリをぶん殴りに行きそうになっていたのをペロスペローとコンポートが宥めていた。

 

 

 

 

〇〇〇 

結局、あの後怒りを抑えきれてないリンリンがさっさとプロメテウスに乗ってどっかに行ったので他の兄弟姉妹達は神妙な顔つきで会議をしていた。

 

「では、これよりカタクリをどう戻すかまたなぜこうなったのかの整理だ」

 

長男として次男のピンチをなんとかしようと躍起になってるペロスペローを筆頭に悩ましていた。

 

「ママは俺達を落ち着かせるためにすぐに戻ると言ったが、ハンテンダケを治すには薬草かハンテンダケをもう1回食わせるしか道はない。しかし、ハンテンダケを更に食べさせると追加で別のものが反転してしまう可能性がある!!よって効果のある薬草を探すんだ!!」

「薬草は任せてくれ兄さん!」

 

ペロスペローの言葉にスムージーを始めとした班がすぐに出来上がって薬草を探しに行った。それを見た後でペロスペローは次の問題に移った。

 

「よし、では次は誰がカタクリにハンテンダケを盛ったのかだ!!」

「わ、私じゃないよ!!」

 

ペロスペローの言葉に真っ先にアナナがそう言った。こんな事はアナナも知らなかった。

 

「恐らく盛られるとすればプレゼントの中だねぇ!どこの誰かは知らんがかわいい弟に手を出すとは許さないよ!!」

 

コンポートがそう結論づけた。大暴露をしてからと言うものカタクリの普段しか知らない万国の国民はそのギャップにやられたのもあってカタクリに贈り物を大量に贈っていた。しかも全てドーナツだった。ドーナツ大好きかつ律儀なカタクリはそれを全てちゃんと食べて感想を言ったり、手紙を送ったりしてたのでそこを付かれたのだ。そんな中で完全に起きて着替えてきたカタクリがボンボニエールを持って入ってきた。

 

「ふぁ〜、あれまだ居たのか?何やってんだ?」

「カ、カタクリ・・・」

「早く帰れよ・・・美味いなこれ♪♪」

 

カタクリはそう言ってボンボニエールに入ってる金平糖を一粒食べるとコンポートがそれを奪った。

 

「何すんだ姉ちゃん!?」

 

普段と全く違う言葉遣いに違和感を強く感じてる中、コンポートはボンボニエールを握り潰した。

 

「あんたこれ、フランペのボンボニエールじゃないか!?なんで持ってんだい!?」

「昨日の晩にフランペの部下から詫びで貰ったんだ・・・美味しい金平糖なのに何で潰すんだよ勿体ねぇな・・・」

「「フランペ〜〜〜!!!!」」

 

一体誰が毒を盛った犯人か分かるとペロスペローとコンポートはブチギレた。あれだけ恩情をかけて穏便に優しいお仕置きで済ませたのに全く懲りてないフランペに完全に頭に来ていた。

 

「今度という今度は絶対に許さん!コンポート行くぞ!!」

「当然!!もう絶対に許さないよ!!覚悟して置くんだね!!」

 

怒り心頭なペロスペローとコンポート。そんな中でカタクリは2人に引いて、遊ぶために外に出ようとしていたのをブリュレに止められていた。

 

「何してんだブリュレ。離せよ」

「お、お兄ちゃん。ちょ、ちょっとだけ家に居てくれないかな?」

「嫌だね、俺は今からカジノに行って酒飲みながら楽しんでくるから・・・」

「こんな朝から酒を飲むな!!」

「オーブン、うるせぇ。朝から暑苦しいぞ冬島に行ってこい」

「目を覚ませカタクリ!お前はキノコなんかに負けない漢の筈だ!!」

 

オーブンがカタクリの胸倉を掴んで熱く目を覚まさせようとしていたが目が死んでいたカタクリの目に段々と光が戻ってきてオーブンの手を退かした。

 

「オーブン・・・お前・・・」

「おお・・・」

 

自らの言葉でカタクリが戻ると思ったオーブンは感激していた。これで長年やってしまっていた妄執も解けて本当の兄弟に戻れると思っていた。

 

「まさか、発情してんのか♪♪」

「違〜〜〜〜〜う!!!」

 

現実はそう甘くはなかった。ニヤニヤと笑いながら聞いてくるカタクリにオーブンは大声で怒鳴った。

 

「まぁ、そう怒るなって俺はいつものように酒呑んで遊んで来るだけだ」

「そんな日課はないだろうが!!」

「今日から決めた俺の日課だ」

「止めろ、このままだと本当のダメ人間になるぞ!!」

 

滅茶苦茶な言い分にオーブンがキレながら対応してるとカタクリは体を変形させて開いていた窓から逃げた。

 

「不味い!」

「すぐに捕まえないと!!」

「シャーロット家最高の自慢がシャーロット家最悪の恥部になってしまうペロリン!」

 

残ってた面々はすぐに家の外に出てカタクリを捕まえようとしたがもうそこには居なかった。

 

 

〇〇〇

「あれ?おかしいな??なんで俺はこんな所に?」

 

カジノに向かった筈のカタクリは森の中に迷い込んでいた。ハンテンダケの毒を盛られた金平糖をいくつか食べてしまっていたせいでカタクリは普段の真面目さに加えて方向感覚も反転していて方向音痴になっていた。

 

「見聞色の覇気も上手く使えねぇし、風邪でも引いたか?」

 

更に言えば鍛えまくっていた見聞色の覇気も反転して全く使えず、オマケにこうなってると何時もなら結論に導き出す頭の回転や警戒心など色んな物が反転していて今のカタクリは()るで()めな()ッサンになってしまっていた。

 

「あ、ここにいたのかいカタクリ」

「んぁ?ババア、なんでこんな所に居るんだ?」

 

そんなカタクリに近づいてきた者がいた。母親であるリンリンだった。手には緑色の熱そうな液体の入ったコップを持っていた。

 

「ババア言うんじゃないよ。ほら、お前の為に薬草を取ってきて煎じてやったんだ飲みな」

「なんで俺がそんな熱そうで苦そうな物を飲まなきゃいけねぇんだよ」

「飲みなっつってんだろが・・・飲め」

 

まだ罵倒してくるカタクリにリンリンは四皇の本気の覇王色をぶつけた。普段なら楽に耐えられる位には意思の強いカタクリだったがそれも反転してたのか少し冷や汗をかいて薬湯を受け取った。

 

「分かった分かった!ったくとんだババアだ」

「オレはまだまだ若いよ。マーマママママ!!」

 

カタクリがぶつくさ言ったがリンリンはあまり気にしてなかった。そんな中でカタクリはリンリンから貰った薬湯を飲んだ。

 

「おっ、意外に甘い・・・ん?俺はなぜここに?」

「味覚まで反転してたかい・・・まぁ普段の性格に戻ったなら何とかなるだろ」

「ママ・・・俺は何故ここに?」

「マーママママママママ!まぁ色々とあったからね。マザーに教えてもらった知識が役に立ったよ・・・二度と手間かけさせるなよ?」

「あ・・・あぁ・・・」

 

マザー・カルメルに教えてもらった知識が役に立ったことに上機嫌になったリンリンはカタクリに二度と手間をかけさせないように釘を刺すとプロメテウスに乗って帰っていった。

呆然となってるカタクリ。

 

「兄貴〜!!」

「「兄さ〜〜ん!!」

「クラッカー、カスタード、エンゼル?」

 

そんな彼に声を掛けながら近づいてきたのが薬草を探しに行ったスムージーの班であるクラッカー達三つ子だった。

 

「お前らどうしてここに?今日は会議の筈じゃ?」

「兄貴戻ったのか!?」

「良かった〜〜!!」

「戻って良かったわ!!やっぱり兄さんの素は真面目で優しい人なのね!!おかしい人じゃないのね!?」

 

カタクリの言葉を聞いて真面目ないつものカタクリに戻ったのだと察せられた3人は感激のあまり泣いていた。カタクリはそれを見るとまだまだ混乱はしていたが何か心配掛けさせたのだろうと思って兄としてしっかりしなければと堂々とした。

 

「何があったのかは覚えてないがどうやら心配させてしまったらしい!!急いで戻って皆に伝える!!ついてきてくれ!!」

「「「もちろん!!」」」

 

普段の堂々とした佇まいにキリッとした目つきに威厳のある姿、そんなカタクリに3人は心から安堵すると先頭を立って進むカタクリに着いていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あれ?」

 

しかし、カタクリと3人は町ではなく何故か分からないが海岸に来てしまっていた。真面目なカタクリに戻っていてもまだまだ反転していた物は戻ってなくカタクリは()るで()めな()ッサンから()じめで()めな()ッサンになっていただけだった。

 

「「「やっぱり素はおかしい人なんだ〜!!うわぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!!」」」

 

クラッカー達は抱き付き合って泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「お兄様、許して〜〜〜!!」

「駄目だ!!今度という今度は許さん!!」

 

カタクリを滅茶苦茶にしたのを企んだフランペはペロスペローの飴で宙吊りにされてブンブンと振り回されていた。

 

「う~〜〜!!覚えときなさいよぉ〜〜フクロウナギィ〜!!」

「まだ懲りないか!!」







元ネタは銀魂の入れ替わりで土方の体に入っただらけてる銀さんから来ましたwww

もう本当にやって良いのかと思いつつも笑えるなら良しの精神でやりました。
これで最終章で重い展開になっても良いよね♪♪♪

(基本的に笑いあれば苦しみありの精神の外道作者)


反省します


次回は色々とはっちゃけて兄妹仲が更にこんがらがってしまったカタクリの為にアナナが頑張ります。

それでは次回『アナナ、ドーナツ大作戦』をお待ち下さい。そして現パロを1話やって・・・間を開けてから次の本編です。


・・・R-18のルウタって欲しいですか?(前々回のあれ)








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番外編 アナナ、ドーナツ大作戦

それでは番外編です。
シャーロット兄妹編はこれにて終わりです。 
また今回の主役はアナナでキャラ崩壊も前回と前々回に比べてそこまで酷くはないと思います・・・信用度ゼロだけどね!


アナナはホールケーキ城の無事だった下の階で悩んでいた。

シキに騙されていたとはいえ、兄であるカタクリの好きな人であるウタに毒を盛ってしまい、ウタもカタクリも苦しめた事実は8歳子供であるアナナには重くのしかかり、以前は容赦なくやっていたドラチュやドラジェの風船割りなど危険な遊びがパッタリと止んだ。

それ程までに何かを傷つけるという行為そのものに嫌悪したのだ。また大暴露でカタクリが色々と溜まっていのも知ったのでアナナは皆と仲良くなれるように沢山計画したがどれも不評だった。

 

「心臓に悪い」

「頼む。カタクリ兄貴がやるから余計に混乱する」

「マジで止めて」

「カタクリ兄ちゃんとの間が余計に拡がった」

「もうどうやって接すれば良いのかわからない」

「前は苦しめるし、今は混乱するしで何も出来ない」

 

アナナの発案したドッキリをカタクリがクソ真面目にやったせいで余計に溝が出来てしまった。これではまたカタクリに迷惑がかかると思ってアナナは頭を回転させて良い方法を考えていたがまだ8歳ゆえにもうアイデアなんて無かった。

 

「どうしよう・・・」

「どうしたんだいペロリン?」

「あ、ペロスお兄ちゃん・・・」

 

そんな風にしてるとフランペの今日のお仕置きを終えたペロスペローがアナナの元へやってきた。あれこれとカタクリとやってるドッキリがあまりにも大不評過ぎて基本的にはあれこれと言わないのだが、様子を見ないといけなくなってしまったのでアナナの元へ来たのだ。

アナナはペロスペローにドッキリのネタが切れた事をありのまま話したら、ペロスペローは少しホッとした。

 

「どうしたの?」

「いや、何でもないペロリン♪それよりも私に良い考えがあるペロリン♪」

「本当!?」

「あぁ、アナナも手伝ってくれないかペロリン」

 

一方、その頃。

カタクリは城の改修工事の責任者になってるモンドールと進捗を話し合っていた。普段から冷静に物事を整理して考えて計画するモンドールほど適任者は居なかったがモンドールはカタクリと話してる最中、周りをキョロキョロと警戒していた。

 

「何を警戒・・・生憎とドッキリは本当にない」

 

カタクリはモンドールに警戒の理由を尋ねるがその前に未来視で答えを知るとそれに答えた。完全に先日食べたハンテンダケの効果が切れて戻っていた。

 

「ほ、本当か!?カタクリの兄貴がドッキリやるようになってから俺らはもう何が起こるか警戒してるんだからな!?」

「・・・すまない・・・アナナが俺の為に考えてくれてる事に嬉しくて・・・」

「皆から不評だからなあれ!?」

「だが、アナナがお前の本にいたずらをやるドッキリを考えた時は流石に止めさせたぞ」

「あいつそんなの考えてたのか!?我が妹ながら怖いわ!!・・・で、その結果出来たのが腹から飛び出たアナナってか?」

 

モンドールも確りとアナナとカタクリによるドッキリの洗礼を受けていた。しかもそれは真面目にカタクリと会話してる最中にカタクリの腹からアナナが出てくるという割とホラーなドッキリだった。モンドールはこれを受けた際にここ数年で1番の悲鳴を出した。そしてアナナとカタクリはまたコンポートから怒られた。

 

「とにかくもう止めてくれ・・・いや、マジで頼む」

「分かってる・・・それはそうとモンドール。聞きたい事があるんだが・・・」

「なんだよ?」

「俺って最近・・・ハゲてるか?」

「・・・はぁ?」

 

カタクリの台詞にモンドールは困惑した。何を真面目な顔で聴いてくるのかと思えば何とも言い難い質問に流石に固まった。

 

「クラッカーとカスタードにエンゼルが、何故か知らないが育毛剤を俺に渡してきて気になって・・・」

「あの人ら何やってんの?」

「分からん・・・しかも何故かやたらと俺の居る場所を確認してくるようになってきた」

「・・・兄貴、3人にどんなドッキリをやったんだ?」

「鏡の中から覗いてたから、ハゲのカツラでおちょくったり胸毛の小道具を使ったりした」

「・・・完璧にそれが原因じゃねぇか・・・」

「だが、ちゃんと真実を伝えたぞ」

「普段、ボケをやらねぇカタクリ兄貴がやると何でも冗談に見えねぇんだよ!!アホ兄貴!!」

「ア、アホ!?」

 

割とボケをかましてくるカタクリにモンドールはツッコミ切れないと言わんばかりにそう言うと仕事に戻っていった。そしてアホと言われたカタクリは固まっていたが、すぐに城の中に戻ってアナナを探し始めた。

 

(アホ・・・久しぶりに言われた・・・だが悪い気はしない・・・モンドールに言われたのは初めてだが・・・)

 

カタクリはモンドールに言われた事も嬉しく感じていた。前は完璧でないといけないと思っていたがあの大暴露から自分と兄妹の仲が距離も溝も無くなりつつあると思っていた。

 

そんな風に考えながらアナナを探すが見つからない。ゆっくりと城の中を歩いて探しているとスムージー、シトロン、シナモンの3人が歩いてるのが見えた。カタクリはアナナの居場所を知らないか聞こうと3人に近づくと3人は何とも言えない微妙な顔つきをカタクリに見せた。

 

「なんだ?」

「いや、またドッキリかと思ってしまって・・・」

「アレ本当に心臓に悪いからね!?」

「もう止めてよ・・・本気で」

「流石にもうアレはやらない」

「アレ以外もよ、わかってる!?」

「勿論だ・・・それよりもアナナは見かけなかったか?」

 

カタクリはそう聞くと3人は辺りをキョロキョロを見渡して警戒し始めた。

 

「お前らもか・・・」

「誰のせいだと思ってるのよ」

「カタクリ兄さんがアレをやったせいで何が起こるか分からなくなってしまった」

「また、アナナとのドッキリじゃないでしょうね!?」

 

3人からジト目で見られるカタクリ。こうされると本当に罪悪感が出始めてきた。

 

「大丈夫だ・・・本当にアナナは知らないか?」

「いや知らない・・・本当にドッキリではないよな?」

「しつこいぞスムージー」

 

しつこく聞いてくるスムージーにカタクリはそう返すと3人と別れて再びアナナを探し始めると漸くアナナを見つけた。

 

「アナナ・・・ここに居たのか」

「あっ、カタクリお兄ちゃん・・・あのね皆と仲良くなる良い方法をペロスお兄ちゃんに教えて貰ったんだ!!」

「ペロス兄から?」

「うん!それでカタクリお兄ちゃんにはすぐにバレるから今日の夜の7時にキャンディ島に来るだけ伝えてって・・・」

「成る程・・・分かった・・・ペロス兄なら大丈夫だろう・・・」

 

今度はアナナではなくペロスペロー発案のサプライズかと思うと少し安心出来た。長男であるペロスペローなら心臓に悪くないものだろうと思って了承した。

 

「それじゃ、私は皆に伝えてくるからカタクリお兄ちゃんはコムギ島で時間まで待っててね♪」

「あぁ、わかった」

 

アナナはカタクリにそう言うと他の皆に電伝虫や会って直接言いに行ったがここですんなりと行かなかった。

 

『嫌だ』

「勘弁してくれ」

『頼む、私が悪かったからもう止めて』

「お願いします。もう許して」

『止めてほしいファ』

「もういい加減にして!」

「絶対に行かぬ!」

『これ以上、騙されないからね!』

 

誘いに乗らない兄妹達が多かった。理由は簡単でアナナとカタクリによるドッキリのせいで警戒心が強くなったのだ。完全に皆と打ち解ける為の作戦が裏目に出てしまっていた。

 

「うぅ・・・どうしよう・・・またカタクリお兄ちゃんを傷つけちゃうよ・・・」

 

折角のペロスペローのアイデアなのに上手く行かない可能性・・・おまけにそれも自業自得・・・が出てきた事にアナナは暗い気分になっていた。

 

「アナナ、こんな所で何をやってるんだ?」

「カタクリとやってるドッキリか?」

 

突然、声を掛けられたアナナは顔を上げるとそこにはオーブンとダイフクがいた。カタクリと三つ子であるオーブンとダイフクにはカタクリ本人が昔から知ってるからいらないと言った事もありやっていなかった。なので2人とも気軽に聞きに来たのだ。

 

「オーブンお兄ちゃん、ダイフクお兄ちゃん・・・あのね・・・」

 

アナナはオーブンとダイフクにペロスペロー発案のサプライズをやろうとしてるが自分のせいで兄妹が集まらないかも知れない事を伝えた。するとオーブンもダイフクも微妙そうな顔つきになった。

 

「アナナ、それはお前とカタクリが悪いだろ」

「普段そんなのをやらない奴がやると余計に混乱するしな」

「うっ・・・ごめんなさい」

 

オーブンやダイフクにも言われてアナナは自分が余計な事をやったのだと思い知らされて泣きそうになった。

 

「だから、俺とダイフクが皆を連れて行ってやるよ」

「ふぇ・・・?」

「カタクリには色々と迷惑を掛けたしな。手伝ってやるよ」

「ほ、本当!?」

「あぁ、その代わりちゃんと皆にはもう1回謝るんだ。お兄ちゃんとの約束だぞ」

「う、うん!!ちゃんと謝る!!」

「よし、俺とオーブンが誘うからアナナはコンポート姉の所に行ってこい。良い謝り方を教えてくれる」

「分かった!!オーブンお兄ちゃん、ダイフクお兄ちゃんありがとう!!」

 

アナナは手伝ってくれると言ったオーブンとダイフクにお礼を言うと急いでコンポートを探しに行った。

 

「さて、誰の所を先に行くか・・・」

「モンドールだろ、あいつは頑固だからな」

「よし、行くか!このサプライズを成功させようぜ!!」

「あぁ!」

 

 

 

 

 

〇〇〇

アナナは走りながらコンポートを探してると何時もならシュトロイゼンを始めとした料理人達がいる調理場から声が聞こえてきたので覗いてみるとそこにはコンポートとプリンにブリュレの3人とパティシエ達がお菓子を作っていた。

 

「コンポートお姉ちゃん!」

「ん?どうしたんだいアナナ?今夜のサプライズは兄さんから聞いてるから安心して良いよ」

「あのねあのね・・・アナナのドッキリのせいで皆が来ないって言うからオーブンお兄ちゃんとダイフクお兄ちゃんが呼びに行ったんだ」

「あぁ、あれね」

「それでね。皆に謝りたくて・・・コンポートお姉ちゃんなら良い謝り方を教えてくれるって・・・それでここを見て分かったの!!・・・私もお菓子を作る!!」

 

アナナは8歳であり、まだまだ子供である。しかし、今回のシキが起こした大騒動で成長したのか何をするべきか分かった。

コンポートは末っ子の成長に涙ぐみそうになりながらそれを了承すると一緒にお菓子を作り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

夜の6時50分になり、カタクリはブリュレと共に鏡の世界からキャンディ島に向かっていた。

 

「お兄ちゃん、そのファーは取った方が良いと思うよ」

「・・・確かにもう要らないだろうが、長年身につけてきたからな・・・完璧云々じゃなくて普通に気に入ってるんだ」

「本当?」

「あぁ、ペロス兄が何をやるのか分からないがもしも食べる物だったらちゃんと外して食べる」

「そう♪良かった安心した♪」

 

そんな風に和やかに会話しながらキャンディ島の鏡を使って外に出るとそこにはペロスペローの能力で作られた会場があって沢山の机に椅子、そして上には大量のドーナツがあった。

 

「来たかカタクリ♪」

「ふっ、やはりドーナツだったか・・・」

「分かってると思ったが当たりだったかペロリン」

「何年、ペロス兄の弟をやってると思ってる?」

「生意気言うな」

 

気軽に話し始めてるペロスペローとカタクリに小さな籠を持ってきたアナナがやってきた。

 

「カタクリお兄ちゃん・・・」

「アナナ、どうした?」

「あの・・・ごめんなさい!私のせいで皆との仲を悪くしちゃって・・・だからこれ、コンポートお姉ちゃんに教えてもらいながら、ドーナツポップ作ったの・・・本当にごめんなさい!」

 

アナナは謝りながら、カタクリにドーナツポップの入った籠を渡してきた。カタクリは別に気にしてなかったがアナナの意思を尊重出来ない男ではなかった。籠を受け取り、アナナの頭を撫でた。

 

「ありがとう・・・後で皆に謝ろうな」

「カタクリお兄ちゃん・・・うぅ・・・ありがとう!」

「よし、それじゃ!皆、席につけ!!」

 

カタクリとアナナの会話が終わるのを見計らっていたペロスペローが長男らしく号令をかけた。全員、それを聴くとちゃんと椅子に座った。

 

「それじゃ・・・アナナ、行こう」

「うん!」

 

アナナとカタクリも席についた。 

その後は何があったのか・・・ただ、シャーロット家の兄妹達はこの時を回想する時、全員幸せそうに笑い決まって同じ事を言った。

 

『あれほど楽しいパーティーは始めてだった』






















何時もなら、パーティーの描写も細かくやるのですが偶にはこういう終わり方もありだろと思ってやってみました。

これでシャーロット兄妹編が終わったので次回は現パロを1発やって暫く間を空けます。

そして来週の月曜からはワノ国&クロスギルド編です・・・これもまた1ヶ月くらい長くなりそうだなぁ・・・

それが終われば幕間の回をやって最終章です!!


前回から始めたR-18のアンケートですが何分とルウタの絡みにそこまで求めてない感情もあるので100票差が出ないと私も書く気がないで悪しからず。それくらい出たら書きます。


後、次回の現パロの主役はシャンクスとウタです。
それでは次回もお楽しみに!!




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Buggy & Uta

えー、現パロのつもりでしたが難産かつ期限の1週間が来たのであれを無視して本編に再突入です!!
ごめんなさい!!
しかも1週間の期限が1日遅れ・・・・マジでごめんなさい。

主役はウタとバギーです。


無事にルフィと分かれてからウタは上機嫌だった。

ルフィがエレジアに来てくれるだけでなく、お互いに色々と“初めて”をやれて恋人になれた事もあって嬉しすぎて鼻歌を歌っていた。

 

(ルフィと恋人・・・恋人・・・嬉しいなぁ♡)

 

ニヤケ面になりながら時々自分の下腹部を擦って昨晩の事を思い出すと顔を真っ赤にしつつも幸せな気分に慕っていた。

 

「おい、ウタ。ちょっといいか?」

「ん?何、おじさん?」

 

そんな幸せそうにしてるウタにバギーは近づいてきて話しかけてきた。見た感じ普通の様子だが少しだけ変な感じだと気づくと何を言われるのかは分からないがウタも少しだけ聞く姿勢になった。

 

「別にそんなハデに畏まる事じゃねぇ・・・あー・・・う〜んと・・・良かったのか?麦わらと分かれて」

「え?なんで?」

「何でってお前、恋人になったんだろ?ハデに忌々しいが・・・まぁ俺は父親じゃねぇんでそこは何も言う気はねぇが、初めてそんな関係まで進んだのに分かれるってのは・・・」

 

ウタとルフィが恋人になったのを悟ったバギーは非常に忌々しいが尊重しようとしていた。父親ではないし、ウタの事は大事だが知り合ってたかが1年・・・下手すると10ヶ月も満たない程の時間しか過ごしてない。そこまであれこれと言う気はあるが我慢した。

 

「あ〜・・・ルフィ達がこれから行く所、凄い危険なんだって・・・ワノ国って場所で・・・」

「あぁ、知ってるよ・・・何が起こってるかも七武海に入ってから知ったし、シャンクスからも聞いてる」

「そうなんだ・・・それで危険なのもあるし、アタシはエレジアのライブがあるし・・・それに今はもうちゃんと繋がってるから・・・」

「そうか・・・」

 

バギーは笑顔を向けてくるウタの頭を撫でた。今までみたいにクシャクシャとした荒っぽいやり方ではなく、優しく撫でた。

 

「そうか・・・強く・・・いや、元から俺よりも強えか・・・逞し・・・元から逞しかったな・・・あぁ、とにかく自分(てめぇ)自分(てめぇ)の幸せを狭めてねぇなら良い」

「おじさん」

「さてと、まずはカライバリ島に戻るがお前も疲れてんだろ?船室で休んどけ」

「うん!・・・そうだ、おじさん。シャンクスとあれやった?」

「あぁ?・・・あぁ〜・・・あれか?」

「そう!やった!?」

「あぁやったぞ。ドハデに俺様の勝ちだ!!」

「ほんと!?流石おじさん!!チキンレース勝ったんだ!」

 

バギーはウタにそう言われると大笑いしながら話し始めた。

 

 

 

 

 

 

●●●

話はルフィとウタが大喧嘩した日まで遡った。

シャンクスとバギー、そして本当に偶々宴時と被ってしまったクロコダイルは飲んでいた。

 

「ギャハハハハハハ!!どんどん飲んで騒げ!」

「良いぞバギー!!おら、クロコダイルもどんどん飲め!」

「だから帰るって・・・」

「諦めろクロコダイル。もう止まらん」

 

宴と目当てのワポメタルが手に入ると決まった事にはっちゃけまくってるバギー。特にシャンクスに追われてから部下が気を効かせて宴を我慢していたのもあって金は嘗てないほどたんまりとあった。

そんなバギーを捲し立てるシャンクスに半ば無理矢理飲まされてるクロコダイルは肩に手を回されて逃げれなくされていてベックマンはただクロコダイルに諦めろとだけ言った。

 

クロコダイルはなんでこんな事に?と首を傾げながらシャンクスに文句でも言ってやろうかと見ると笑顔のシャンクスがいた。ただし目は全く笑ってなかった。

 

「で、バギーになんのようだったんだ鰐?」

(はっ?・・・まさかコイツラって・・・)

 

シャンクスを見て悟ったクロコダイルは周りにいる赤髪海賊団に顔を向けると全員が頷いた。それを見て最悪の状況に陥ってしまった事を後悔し始めた。

 

(不味い・・・とんでもねぇ地雷じゃねぇかクソピエロが!!)

「で、本当になんのようだったんだ??俺の兄弟分に・・・まさか首取るってなら俺が相手してやるぞ」

(あの状況を見て、首取るって考えるか普通!?こいつ色々とおかしいぞ!?)

 

先程、計画の一部に無事に入れられる事とシャンクスの覇気が通じなかった事に喜んだのも束の間、一気に奈落の底に落ちたような感覚になった。

 

「いい加減離しやがれ。それに大事な計画をお前に言えるか」

「ちょっとは教えてくれても良いだろ?・・・・・なぁ?」

(面白え情報だがこんな状況は望んでねぇ・・・一旦引かねぇと不味い!!)

 

クロコダイルは逃げる事に頭を回転させて周りを見るとベックマンがクロコダイルの肩に手を触れて首を横に振った。それで状況が自分の想像以上に危険な事を悟ったクロコダイルは頭を抱えそうになった。

 

「おい!お前らなにやってんだ!?もっともっとハデに騒げ!!」

 

そんな中で問答無用で2人の間にバギーが割り込んできた。バギー的には折角の宴なのに重苦しくなってる所を盛り上げようと来ただけだ。

 

「そうだよなぁ♪♪♪折角の()()()()()()の宴だもんなぁ」

 

シャンクスはさり気なくマウントを取ってクロコダイルから手を離してバギーに手を回すがバギーは首をスポッとバラバラにして逃げた。

 

「何しようとしてんだシャンクス!?」

「別に良いだろ〜?」

「てめぇとは嫌だ!!」

 

また口喧嘩を始めるバギーとシャンクス。先程とは違ってシャンクスは純粋に笑っていた。

 

(よし、ナイスだバギー!!)

 

クロコダイルは絶妙なタイミングできたバギーに内心礼を言うとその隙にシャンクスの隣から外れてバギーの隣に来た。

 

「おい、俺はそろそろ帰るぞ」

「おっ?そうなのか?それじゃワポメタルは頼むぞクロちゃん」

「だから馴れ馴れしく・・・・」

 

クロコダイルは馴れ馴れしくしてくるバギーに文句を言おうとした瞬間に見たのはシャンクスの全く笑ってない目だった。

 

(確実に下手な事をしたら斬りにくるなコイツ)

 

シャンクスを警戒してクロコダイルは頭を回転させた。こんな所でシャンクス、ひいては赤髪海賊団とやり合いたく無かった。その為の準備の準備の1つを今やってるのにこんな所でやったら全て水の泡だった。

 

「兎に角、その言い方は止めろ・・・体を大事にな」

 

非常に言いたくはないが下手な事を言えないクロコダイルは必死に自分のプライドに砂をかけながらもバギーを気遣った事を言って何とか戦闘を避けようとした。

すると今度はバギーがそれを聴いて泣き始めた。

 

「おい、なんで泣いてんだ?」

「だって・・・だってウタ以外でそんな風に気遣われたの本当に久しぶりで・・・クロコダイル、お前って最高にドハデに良いやつだなぁ〜!!!」

(はぁ!?)

(ミスったなクロコダイル・・・今のバギーに気遣う言葉は悪手だ・・・主にお頭のせいでな)

 

ウタと出会ってから、色々と疲れてストレスがたまり、ウタに助けられてからと言うもの多少のわがままは言えるが基本的に部下達は七武海の恩恵や地位あってこその前提がバギーの中で抜けてないので、クロコダイルの言葉は久しぶりに赤の他人から純粋に気遣って貰った言葉だった。それが更に普段から何だかんだと面倒見の良い上に医者のマルコとかじゃなくて冷酷非情で名の通ったクロコダイルからだったのでそのギャップにもやられてバギーは感激のあまり泣きながら抱き着いてお礼を言った。

 

バギーが腰に抱き着いてきた瞬間、クロコダイルの背中に嫌な冷たい汗が流れた。その原因の方を向くとシャンクスが笑顔のまま、愛刀のグリフォンに手をかけていた。

 

「離れやがれ、兎に角俺は帰る!!じゃあな!!」

 

クロコダイルはバギーから逃げてそう言うとさっさと帰っていった。するとバギーはその後ろ姿に手を振った。

 

「おう、またな〜!」

『おい座長が手を振ってるぞ!?』

『しかも泣いてるぞ!?』

『それ程来てくれて嬉しかったのか!!』

『おい、何でもクロコダイルがうちの座長を気遣ったとか!』

『あのクロコダイルが!?』

『それ程、慕われてるとは!!』

『流石うちの座長だ!!』

 

そのバギーの行動と先程の言動のせいでクロコダイルは完全にバギーを慕ってるとバギーズデリバリーの面々から誤解された。自分へのコールが止まない中、バギーは色々と酷い状況には気付かずにいい気分に慕ってるとシャンクスが後ろから絡みに来た。

 

「そうだバギー!!チキンレースをやってみようぜ!!ウタとルフィが良くやってたんだ!」

「あぁ?・・・そういや前にウタから聞いたな。何でもどっちが先に目の前の皿のチキンを無くすかって競争とか・・・」

「そうだ、俺達もやってみようぜ」

「いいな!!余興にはハデにピッタリだぜ!!」

 

バギー的には宴を盛り上げる余興、シャンクス的にはウタとルフィを真似て1番の仲の良い存在をクロコダイルから奪還する感覚だったが壊滅的なまでに2人の心情は絡み合って無かった。

 

〘頭・・・〙

〘座長・・・〙

〘〘あんたら、もう爛れすぎだ・・・〙〙

 

2人の素を知ってる仲間達は面倒くさすぎる関係に呆れて仲良く酒を呑み始めた。そして話す内容は2人に対する愚痴だった。

 

そんな風に宴が盛り上がっていく中でカライバリ島の道でチキンレースの準備が出来た。ウタとルフィは犬でやっていたがあいにくと犬が近くにいないのでライオンのリッチーが走る。

バギーとシャンクスがお互いに位置に付いて構えた。怪我もしない、やり合わない勝負は2人にとっても純粋に楽しめるからだ。

 

「そう言えばてめぇ、片腕だからハンデありってのは無しだぞ」

「ふっ、俺には秘策があるから大丈夫だ」

 

ハンデありにされるとプライドが傷つくのでバギーはそう言うとシャンクスはニヒルに笑って位置に着いた。

 

『うぉぉぉぉ!!始まるぞ!!』

「どっちが勝つと思う?俺はバギーだと思う」

「お頭の負けだな」

「間違いない。勝つのはバギーだ」

「バギーの勝ちに一票!」

「あんたらそりゃ見聞色かい?赤髪が勝つと思うねアタシは」

「うちの座長の負けだガネ」

「負けるのは座長だ」

「赤髪の勝ちに一票!」

 

ベックマンを始めとした赤髪海賊団はバギーに票を入れて、バギーズデリバリーのバギーの素を知ってる面々はシャンクスに票を入れていた。

 

「よし、なら賭けるか?」

「良いねノった!賭け金はどうする?」

「1人上限5万ベリー!最低で1万ベリー!!」

「よし、赤髪に5万ベリーだガネ!」

「俺も赤髪に5万ベリー!」

「俺は最近手持ちが悪いんで3万ベリーを赤髪に!」

「俺はバギーに5万ベリー!」

「バギーに5万!!」

「手持ち良いなお前ら・・・畜生、バギーに2万だ!」

 

しかも賭けまで始まって予想以上の盛り上がりを見せていた。

 

「よし行くぞシャンクス!!」

「よし!!」

「「よーいどん!」」

 

2人が合図を同時にやるとリッチーは2人に向かって走り始めてバギーとシャンクスは食べ始めた。ガツガツとデブのリッチーが迫ってくる中で全力で食べてる2人。

そんな中でシャンクスはバギーに自分の酒を渡した。

 

「バギー、酒やるよ」

「お、悪いな。じゃあ、この肉を代わりにやるよ」

「マジか!ありがとう!!」

 

シャンクスはウタのように飲み物を渡したがバギーは手元の肉を渡してきた。そしてシャンクスが上機嫌にそれを食べてる内にバギーはさっさと逃げた。

そしてシャンクスは見事にリッチーに引かれた。

 

「なぁぁぁぁぁぁ!!?」

「よし、俺様の大勝利だぜ!!」

「クソ〜・・・って物を渡すなんて反則だろうが!」

「お前もやった!!なんなら最初にやった!!」

「あれは受け取ったバギーが悪い!」

「お前だってそうだ!!負け惜しみをするんじゃねぇ!!」

「だからそれを止めろ!!」

 

負けを認められないシャンクスは負け惜しみをするとバギー昔やっていたように両手をシャンクスに向けた。ウタがルフィにやっていたのとほぼ同じポーズだった。負けを認められないシャンクスは懐かしい感覚を楽しみながらもウタとルフィがやっていた勝負を後10回はやるが純粋な悪知恵の差でバギーが全勝した。

 

「くっそ〜!!うちの座長が勝ちやがった!!」

「何で負けないのだガネ!」

「チクショー!!」

「金が無いのに・・・・うぅ・・・」

「よし!バギーがまた勝った!!」

「うちの頭ってこういうの弱いからな」

「悪知恵が無いわけじゃないんだけどな」

「よし!金が手に入った!!」

 

そして、賭けしていた面々は赤髪海賊団が潤ってバギーズデリバリーは全敗していた。

 

 

 

〇〇〇

「あはははは!!シャンクスって本当に子供っぽい!!」

「だろ!?ああいう悪知恵で俺に勝とうなんざ百年早えぜ」

「・・・おじさんも単純だけどね」

「なんだと!?」

「だってほら、宝の地図だよ〜」

 

ウタはそう言って笑いながら折り畳んだ紙を見えた。

 

「何〜!!?ってそんな上手い話があるか!!」

「じゃあ、いらないんだね・・・ポイ」

「なぁぁぁぁぁ!!!???勿体ねぇ!!」

 

信じてないバギーにウタは紙を足元に捨てるとバギーは飛んでそれを取った。そして中身を見ると見事に白紙だった。

 

「ってやっぱり嘘じゃねぇか!!」

「ねっ?単純でしょ?」

「な~にが『単純でしょ?』だ!!このバカ娘・・・クソゴム・・・ワノ国で浮気しろ!!女と風呂でも一緒に入れ!!」

「なんて事言うの!?赤っ鼻最低親父!!ルフィはそんな事しません!!アタシの彼氏だよ!?」

「誰が赤っ鼻デカッ鼻愉快なトナカイさんだ!!??」

「いや、そこまでは言ってない」

「麦わら〜!!ワノ国で誰か女と入ってデキてしまえ!!」

「いやぁ~!!ルフィ〜!!もしもそんな事をしたら絶対に許さないからね〜!!やったらルフィをボコボコにしてたっぷりとお説教して熱い夜を過ごした後でその女をドハデにぶっ飛ばしてやる〜!!」

 

ウタとバギーの叫びが海に響き渡った。

 

 

 

この叫びが届いたのか鬼ヶ島のとある牢屋でその気配を感じ取った者がいた。

 

「うっ!?何か凄い悪寒が・・・おでんは風邪を引いた事が無いって言うし・・・なんだろ?」

 

カイドウが20年前に殺した光月おでんになろうとしているカイドウの息子であるヤマトは体を震わせていた。

 

 

 

 

 

●●●

一方、シャンクスから無事に退散した後のクロコダイルは住処でシャワーを浴びながら悪い事実に気づいた。

 

「・・・待て!!ということはマジであのピエロが対等にならないと赤髪が飛んで来るって事じゃねぇか!?」

 

もうすでにバギーが計画に入ってるゆえに金を出してる裏のスポンサーが多い中で最悪の事実に気づいたクロコダイルは自分の運の無さを呪った。






































というわけで久しぶりの本編初っ端が主役のウタと想像以上の活躍で準主役まで成り上がってきたバギーの話かつシャンバギです。

我ながらシャンクスをこんなキャラにしていいのか?とは思いつつも笑えたら良しの精神でやってるので悪しからず。

オマケにクロコダイルは自分の運が無いことに打ちひしがれる・・・今作あれだなルウタとシャンバギの仲に絡むキャラは大体運が無くなるなwww

ハンコック→これから運がドンドン無くなる。
カタクリ→キノコ運が壊滅的なまでに最低に。
クロコダイル→赤髪に狙われる。

ヤバいな・・・ここに世界最強の剣士もこれから絡んでしまうのが笑えるwwwまぁあの人は運関係なく強いからなぁ・・・

そしてヤマト登場でもう即ウタからの念により悪寒がwww
こんな初登場で良いのかなwww??

それからアンケートをしていたR-18ですが書き始めてみると止まらなくなってきて100票差ないと出さないと言いましたが書き次第出すことにしました。
と言ってもここでリンク先を貼ると問答無用で読めと言ってる感じなので書き終わって出したら報告はしますが望んでない人もいるのでリンク先は貼らずにR-18の検索をするなり、作者の私の名前から行くという方法を取らせて頂きます。
因みにR-18版ではウタのとある行動の意味と子供の名前を出す気満々なので興味のある方はお楽しみに・・・本編と並行で書くのでいつになるかはわかりませんが今年中には出したいです。


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Perona

遅れて申し訳ございません!!なんとか3日後にならずに済んで良かったです!!難産だった・・・
それではどうぞ!!


ウタはビックトップ号の船長室でのんびりとだらけながら新聞を読んでいた。バギーに言われてなのかそこらへんの情報収集もウタは欠かさずにやっていた。

するとある記事を見つけるとニヤけてきた。

 

「あ、ビビとレベッカ!2人とも綺麗だなぁ〜・・・あっ、そう言えば忙しすぎてビビが乗ってた船がルフィの船かどうか聞くの忘れてた!!・・・まっ、また今度聞けば良いか・・・ルフィに会いたいなぁ〜・・・」

「おい、寂しくなるのハデに早すぎねぇか?」

 

だらけながら新聞を読んでるウタの横で金銀を愛でてるバギーは早くも寂しがってるウタにツッコミを入れていた。

 

「う~、おじさんがあんな事を言うからルフィが浮気しないか凄い心配〜」

「・・・浮気してしまえ麦わら」

「やだやだやだやだやだ!!折角、ルフィと恋人になったのに別れるなんて嫌だ!!結婚して子供産んで一緒に暮らすんだから嫌だ!!」

 

バギーの言葉にウタは年甲斐もなく駄々を捏ねた。素が出てるのかそれとも幸せすぎてボケになったのかバギーには分からなかったが大きな溜息だけ出てきた。

 

「・・・なぁ、カライバリ島に戻ったらいつエレジアに行くんだ?」

「出来ればすぐに・・・って思ったけどなんか世界会議(レヴェリー)ってのがあるから難しそう」

「あぁ?んなの気にするこたぁねぇ、俺は七武海だぞ?」

 

世界会議のせいで警備が厳重になってるのに加えて、ウタは以前サイとレオが聞いていた情報もあり、嫌な予感がしてすぐには戻れないと思っていたがバギーはそこらへんが楽観的だった。

 

そんな風にしてビックトップ号はカライバリ島へ進んでいった。

 

 

 

 

〇〇〇

そんな風にのんびりと1日が経ってカライバリ島に無事に着いた。ウタはロープを使って軽々と島に降りた。

 

「ん〜、久しぶりのカライバリ島!!懐かしいなぁ!!」

「そう言えば2ヶ月ぶりか?」

「うん!ねぇねぇ、アタシ先に部屋に行ってていい?」

「俺も行くから待ってろ、てかハデに手伝いやがれ!」

「うん、わかった!」

 

船から荷物を降ろしたり、なんなりとバギーもウタも他の船員と関係なく作業をして終わると2人は本部に向かって歩いていた。

 

『お、座長にウタ様だ!』

『俺たちの座長にお嬢だ!』

『あの話題の麦わらと付き合うなんて流石座長の娘、ド派手だぜ!!』

『配信のカミングアウト、凄かったもんなぁ』

『あぁ、完全に父娘だったもんねぇ』

『それでドレスローザにビッグマムだろ?』

『凄い濃い三角関係だな!』

 

バギーズデリバリーに所属してる部下達が話してる内容を聴いてバギーは思いっきり顔を顰めてウタは苦笑いをしていた。色々と酷い目にあった忌々しい記憶に迷惑をかけた記憶なので当然だった。

バギーはとっととゆっくりして体を癒やして暫くしてからエレジアにウタを送ろうと決めて本部に入るとアルビダとカバジが駆け寄ってきた。

 

「座長大変だよ!」

「座長、不味いことに!」

「あ~、もうハデに勘弁してくれ!!色々と心に来てんだよ!!後で聞く!」

 

ウタがルフィと恋人になっただけじゃなく色々と進んだのを間近で見せられて意外にもダメージが大きかったバギーはのんびりしようと2人の報告を無視して部屋に戻っていった。

ウタもその後を追いかけながらも心配して話しかけた。

 

「ねぇ、聞かなくて本当に良いの?」

「あぁ!どうせ、そんなに大した事じゃねぇだろ。俺がシャンクスに追われて暫く帰れなかった時も何とかやってたみたいだし、大丈夫だろう」

 

前なら一喜一憂して狼狽える程に聴いていたがウタとの出会いやシャンクスとの喧嘩を経て良くも悪くも元から何処か楽観的かつ意外に強気な性格に拍車が掛かっていた。

 

「ったく、大体そんな大騒ぎがそう何度も・・・」

 

バギーは愚痴りながら座長室の扉を開けた。

 

「おい、随分と重役出勤だなピエロ」

「起こってたまるかってんダイル〜!?」

 

そこにはクロコダイルが自分の席に堂々と座っていてそばにはダズが立っていた。しかも部屋にあるソファーには鷹の目がワインを飲んでいて隣にはペローナが人形を抱いていた。

 

「うお!?鷹の目まで!?」

「おじさん、どうした・・・あぁ~!?あんたはあの時、おじさんを痛めつけた変態鰐!!」

 

驚くバギーをよそにウタが部屋の中にいたクロコダイルを見ると思いっきり罵倒し、ロープを構えていた。

 

「おい・・・どんな教育をしてるんだお前は・・・」

「いや、その・・・今のは俺様のせいじゃ・・・」

「あぁ?」

「ひぃ!?」

「おじさんに手を出すってならアタシがぶっ飛ばすよ変態鰐男!」

「ふん・・・まぁ良い・・・所詮は小娘の戯言だ・・・一々付き合うのもバカバカしい・・・」

 

バギーを脅してくるクロコダイルに向かい合うウタは容赦なく罵倒もするがクロコダイルは無視していた。それにカチンと来たウタは誰にでも効いた言葉を言った。

 

「バギーおじさん以下のへっぽこ鰐!」

「なんだと小娘が!!俺がこのクソピエロ以下だと!?嘗めた事を抜かしてんじゃねぇぞ!」

 

流石にクロコダイルも色々と運気が落ちてきているのにそんな事を言われるとズタボロだったプライドが更に傷ついた。

 

「騒々しい・・・おい、ゴースト娘」

「ネガティブホロウ!!」

 

騒がしくなってきた部屋に対してミホークがペローナに指示を出すとクロコダイルとウタの体をペローナのゴーストが通り抜けた。

 

「・・・生まれてきてすみません・・・」

「ルフィ・・・重い女でゴメンね・・・」

「うぉぉ!?どうした!?」

 

ものの見事にネガティブになったクロコダイルとウタに初めて見たバギーは驚いていたが先程の喧騒は少しマシになった。

 

 

〇〇〇

無事にネガティブから回復したクロコダイルはミホークやペローナを睨みつつも座り、ウタは幽霊を飛ばしてるペローナに怯えてバギーに引っ付いていた。

 

「あの~、その〜、今日は一体何のようで?」

「この前言っていた計画を早めたんだ。例のクロスギルド計画だ」

「あ、あの海賊同盟を?」

「そうだ。すでに裏社会の人間からは出資を貰ってるし、ここはお前が赤髪に追われてる間に金を貯めていたから纏まった資金はあるからな」

「あぁ〜・・・」

 

バギーは下手に出ながらクロコダイルに聴くと以前よりも計画していた海賊同盟の件について言われて納得した。自分のワポメタルで出来たバギーバルカンもそれに参加する見返りでもあるのでそれに付いては何も言わなかった。

 

「お前と対等なのは不服以外何者でも無いが世界会議で妙な事が議題に上がってる」

「妙な議題?」

 

ミホークがバギーを睨みつつも溜息を吐きながら言った。

 

「七武海撤廃の議題だ」

「あ、それ。海兵達でも話題になってたやつ」

「え?それってマジなのか!?」

「おい、歌娘・・・それは下っ端の海兵か?それとも地位の高い海兵か?」

「えっと・・・アタシも又聞きだから詳しくは知らないけど、確か下っ端の海兵だって・・・」

「海軍の中では有名な噂になっていたようだな。こういう情報が広まってると言う事は本気で撤廃されるだろうな」

「嘘だろ〜!?」

 

ミホークの質問にウタが答えてクロコダイルが結論づけるとバギーはまさかの事態に頭を抱えた。何とか強運と悪運と根性だけで七武海まで成り上がって会社を設立して今の地位に成り上がったのにそんな横からハンマーで殴り飛ばされるような状況になるとは思ってもみなかった。

 

「クソ〜、七武海撤廃なんてハデに最悪だ〜!!なんでこんな事に!?クロコダイルか、ドフラミンゴか!?腹黒に出し抜かれたてめぇ等の責任じゃねぇかよ!?」

「随分と口の聞き方が悪いなお前は・・・」

「えっ!?・・・あっ・・・」

「まぁ・・・良い・・・気をつけやがれ」

「うぉ!?なんか優しい・・・怖っ・・・」

「えっ!?変に優しい・・・怖い・・・」

「干からびてぇかお前ら!!?」

 

口から出た腹黒発言にクロコダイルが反応してビビるがバギーとウタに下手に手を出すとシャンクスが飛んできてしまう可能性が高いのでブチのめしたくても我慢して優しくすると2人から気持ち悪がられてキレた。

 

「落ち着け・・・おい、ゴースト娘。歌娘をつれて席を外せ」

「私に命令するな!・・・おい、歌姫ウタ・・・って何でそんなにビビってんだ?」

「だって幽霊・・・怖い・・・おじさん助けて」

 

ペローナは自分に怯えてる理由を聴くとそう返されてウタはバギーに引っ付いていた。

 

「幽霊じゃねぇよ!私はホロホロの実を食べた幽体人間だ!!これも別にそんなに怖いもんじゃねぇ」

 

ペローナはウタにそう言って周りに飛ばしてるゴーストの説明をすると恐怖心が薄れたのかウタはバギーに引っ付くのを止めた。

 

「ほ、ほんと?エレジアのお城でなんか昔から偶に見えた女の人の幽霊ってオチじゃないよね?」

「モノホンが出たのか・・・だが生憎と違うぞ安心しろ」

「よ、良かった〜・・・怖かった〜・・・」

「おい、それよりよ・・・その・・・サインを下さい」

「え?」

 

ペローナはそう言うと色紙とペンをウタの前に出した。顔は赤くなっていた。ウタはそれを見ると笑顔になって色紙とペンを取った。

 

「ファンの人!?嬉しいなぁ!!ちゃんと書かせて貰うね!!レベッカに上げたのが最後だったから」

 

ウタはドレスローザでレベッカに分かれる前に王宮でサインを上げていた事を思い出しながらもペローナの色紙にサインを書いて渡した。するとペローナもニッコリと笑顔になった。

 

「あっ、そうだ!おじさん、アタシの電伝虫ってまだある?脳筋ゴリラに壊されちゃって」

「お前が前に持ってきた奴なら1台あるぞ」

「ありがとー!!そうだあなたの名前は?」

「私か?私はペローナだ」

「一緒に配信しない?お喋りしようよ」

「は、はぁ!?何言ってんだお前!!そんな・・・いいのか?」

「うん!やろうよ〜。アタシも同年代の友達を紹介したいし」

「でも・・・あっ、私は別に賞金首じゃねぇから問題ねぇか・・・それじゃ、行くぞ!」

「おー♪♪それじゃ、おじさん行ってくるね!!後、そこの変態鰐になんかされたら迷わず呼んでね!!アタシも加勢するから!」

「おっ、おい!」

 

ウタはバギーにそう言うとペローナを連れて部屋から出た。クロコダイルはバギーの肩に手をかけた。

 

「さて、娘の躾がなってねぇお前をどうしてくれようか」

「ひぃぃぃぃ〜〜〜!!ごめんなさい!!」

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはペローナを連れて空き部屋に入ってから、預けていた電伝虫を返して貰って起動しようとしていた。ペローナは初めて見たこの特殊な電伝虫に興味津々だった。

 

「しかし、変わった電伝虫だな・・・どこで手に入れたんだ?」

「う~ん、なんか昔、海岸で見つけて使えたから使ってるだけなんだ。何処から来たのか全然わかんない」

「へぇ〜・・・なぁ、そう言えばそのモノホンの幽霊を見たのって何時くらいなんだ?」

「えぇ!?それ聞く!?・・・うぅ・・・今でも思い出すのが怖いのに・・・」

「いや~私も流石にモノホンは見たことねぇし・・・ゾンビとかそこらへんはウンザリするほど知ってるから興味が・・・」

「ひぃぃぃぃ〜!!ゾンビ・・・無理無理無理!!アタシそう言うの全般ダメなの!!本当に怖いの!!」

「おい、落ち着けって・・・けど、こういうのって誰か共有できる奴がいると案外楽になるぞ」

「ほ、ほんと?」

「あぁ、1人って寂しいからな」

 

ペローナはそう気軽に言った。するとウタはうるうると涙目になっていてペローナに抱きついた。

 

「うわぁぁぁ〜!!良い人だ!!」

「おい抱き着くなよ!!良い人って・・・照れるだろうが!!」

 

ウタは電伝虫を起動せずにペローナに抱き着いていて暫くすると泣き止んで離れた。

 

「ぐすっ・・・その・・・幽霊を見たのは実はその電伝虫達を手に入れた時なんだ」

「これを?」

 

ウタは眼の前にある電伝虫に指を指してペローナも確認すると首を縦に振った。

 

「手に入れた夜にトイレに行って部屋に戻ろうとしたら、女の人の人影が見えてなんか・・・『やめ・・・』とかそんな声を出して必死に逃げて部屋に隠れたの・・・」

「怖え〜なおい」

「他にもその女の人だけじゃなくて女の子だったり、ぬいぐるみだったり、後なんかコートを着た女の人とかもいた」

「全部女か?」

「うん」

「・・・きっとアレだな・・・なんか昔から伝わる女の情念みたいなものが・・・」

「やめてやめてやめて!!そんなの聞きたくないよ!!無茶苦茶怖い!!」

「ホロホロホロ!落ち着けって・・・まぁ今も無事にいられるなら大丈夫だろう・・・最後に見たのはいつだ?」

「えっと・・・配信で人気になった時にはもう居なくなったような・・・」

「つまり、配信先の誰かが代わりに憑かれたって事だな♪♪♪」

「えぇ~!!早く聞かないと!!そんなの申し訳ないよ!!」

「ホロホロホロホロ♪♪」

 

ウタはペローナに話した事でグッと距離が縮まったのも相まって仲良く電伝虫を起動した。

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃ルフィは色々と仲間たちと逸れつつもワノ国に入国し、兄であるエースを知っているワノ国の少女の玉に飯をご馳走になっていたが、それは玉が何日も飢えながらも日に日に頑張って稼いだ金で買った飯である事を天狗の飛徹に言われて玉はルフィが食べて飛徹に説教されてる間、カイドウが支配した事で作られた工場の汚染水で汚れた川の水を飲んで飢えを凌いだが人間には毒であり倒れた。

ルフィは玉にエースが死んだ事をありのまま言うと玉は悲しみのあまり気絶した。

 

「鬼か貴様!!」

「待っててもエースは来ねぇ」

「だとしてもタイミングや言い方があろうが!!繊細のわからん男め!!」

 

ルフィは飛徹からエースがいつ来たのか玉とどんな出会い方をしたのか聴くとルフィは笑って玉に飯の恩を返そうと決めた。

服も洋服からワノ国の服に替えたルフィは折角のワノ国なので近くに置いてあった刀も無断で拝借した。

 

「おい、それは軽々しく触るも非礼なる名刀!!我が先祖“古徹”が打ちたもうた世界に名だたる刀!!“大業物21工”に位列する“二代鬼徹”であるぞ!!」

「キテツ??・・・どっかで聴いたことあるな・・・いいや借りてこ」

「いやいやいやダメだちゅーに!!それにそれは“妖刀”!呪われてしまうぞ、お玉に何かあったら許さぬぞ!!」

「あ、そうだ!!俺の服ちゃんと預かっとけよ!!それはウタが俺の為に作ってくれた大事な服だからな!!」

「なら貴様もその二代鬼徹を必ず返せよ!!?」

「・・・・」

「返事はー!!?」

 

ルフィは玉が自分の能力であるきび団子で手懐けた巨大な犬の狛ちよに乗って街に向かった。  




 

















というわけでクロスギルド編とワノ国編は出来る限り同時並行でやりながら頑張ります。クロスギルドの方が描写は多くなりますがまぁお手柔らかにお願いします。

因みにウタの幽霊関係の話は思いついたのも1週間くらい前でそれまでに微塵の欠片も出てきていませんがまぁライブ感という事で1つ。

着々と最終章に向けての伏線を出しながら頑張ります。出来ればルフィVSカタクリ編でやりまくった鬱展開を抑えてやりたいのですが・・・どうしよう・・・尊厳破壊と鬱展開の嵐が今の構成上確定してしまった・・・しかも対象が全てウタ・・・マジでどうしよう・・・

まぁ、ルフィとバギーにシャンクス、カタクリが死ぬほど頑張れば何とかなるので・・・完全にウタの鬱=4人の活躍シーンになってんだよなぁ・・・どうしよう

追記
REDの連動アニメのウタやシャンクスと出会う前のルフィを見て思った事、ひょっとしてルフィとガープって本音で語り合ったの頂上戦争の一幕以外ないのでは??ガープはずっと強制的に海兵にさせようとあれこれやっててREDの連動アニメでなんかウタやシャンクスと出会う前のルフィとガープのシーンでルフィが異様に無表情で、アレってまさかガープとコミュニケーションを取ることそのものを放棄してるのでは??
となるとW7のガープとの一幕で「軽いわ!」って部分は別に軽いんじゃなくて何言ってもコミュニケーションを取れないからルフィがそもそも最初からそんなのをやるのを諦めてるだけじゃ・・・

と考えてみて、今までのルフィのコミュニケーションが爆発してるチョッパーの勧誘とかサンジの本心とかレベッカを連れて行ったりしてるシーンって自分がガープに対して出来ないから出来る人を後押ししてるって意味も入ってるんじゃ??

皆さん、どう思います?


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People or Audience

それではどうぞ!!
少し短いですし、ルフィらの動向はありませんが意外にキリが良かったので出します!!


ウタとペローナは電伝虫を起動した。

幾つもの画面が出てくるとウォーターセブンだったりアラバスタだったり、後は偶にクリケット達とか色々と映し出されるが今回はドレスローザの戦いの後で初めてもあってドレスローザも映っていた。

 

『これでいいのれすか?おぉ、ウタランドお久しぶりれす!』

「久しぶりだねレオ!」

『お、映ったやい!』

「サイも来てくれたんだ!」

『久しぶりだなウタ!』

「ハイルディンも久しぶり!」

 

麦わらの一味の傘下である面々も全員ではないが何名かは顔を出していた。以前に比べて少なくはなったがどの人もちゃんと向き合えて友達になれた人ばかりだった。

そんな中でウタはある画面を見つけた。良く見るようになった空の画面かと思ったがコソコソと小さい男の子がチラチラと覗いていた。

 

「ん?」

「誰が居るな?子供か?」

『うわ!?・・・あの・・・その・・・ご、ごめんなさい!!』

「あ、ちょっと待って!!」

 

男の子は謝って去ろうとしていたがウタはその子を呼び止めた。恐る恐る怖いものを見るような感覚で男の子は振り向くとウタは安心させるために笑顔を見せた。

 

「大丈夫♪♪怖くないよ・・・君、名前は?」

『ヨ、ヨルエカ・・・』

「前に羊の世話をしてるって言っていた子であってるよね??」

『う、うん・・・』

「久しぶり〜♪♪」

 

ウタはそんな風に軽く話をやるとヨルエカが頭を下げた。

 

『ご、ごめんなさい!』

「ん?何が??」

『あの・・・皆が悪口を言った時に何も出来なくて・・・あれからずっと聞きたかったけど・・・電伝虫も何処かに捨てられててそれでも聞きたくなって探して今日は来たんだ・・・』

「そうなんだ!!・・・って大丈夫それ!?後で問題になるんじゃ!?」

『だ、大丈夫・・・ドレスローザとかの件で色々と騒がしくなってて・・・えと・・・今日も村長に聴いて了承してもらったし・・・』

「そう・・・その・・・ありがとう!!また来てくれて凄い嬉しいよ♪♪♪」

『・・・怒ってないの?』

「ん?なんで??怒る理由ないじゃん!」

『でも・・・悪口言ってる時、何も出来なかったし・・・今まで離れてたし・・・』

 

ヨルエカはそんな風に塞ぎ込みながら言っていく。ウタは別になんてことない事だと思っていた。冷静に考えてみても悪人と友好関係がある事自体が問題であり、された時はキツかったし悲しかったが時が経つに連れて乗り越えられた。

 

「別に何も悪くないじゃん!」

『えっ?』

 

だからウタはヨルエカにはっきりとした口調でそう言った。

 

「だって普通海賊と友好な関係があるってなったらああなるし、皆から海賊の被害を聴いて親身になっていたからそりゃ、冷静に考えたらなるよとしか言いようがないし・・・けど、アタシは海賊の娘である事実は変わらない。そして大切にされた事実も変わらないってのが分かったから言っただけだもん」

『ウタ・・・その・・・本当に・・・』

「ストップ!止めて・・・何も悪い事をしてないのに謝られるのは嫌!」

『で、でも・・・』

 

ウタは謝られるのを強制的に止めようとするがヨルエカはウタの言葉を聴いて余計に謝りたくなった。堂々巡りをしそうになる中で傍から見ていたペローナが手を上げて割り込んだ。

 

「おい、ちょっと良いか?」

「ん?どうしたの?」

『お姉さん、誰?』

「あ〜、まぁウタの知り合いだ。ここで延々とやってても終わらねぇからよ・・・ヨルエカだっけ?ウタは気にしてねぇって言ってんだから良いと思うぜ。それでも申し訳ねぇなら前よりも応援するってのはだめか?」

「いいねそれ!!アタシもそうしてほしいな!!元気になるし頑張れる!!」

 

ペローナの案にウタが乗り気になった。ウタとしてもこのまま堂々巡りをするのは避けたかった。それはもうルフィとの喧嘩で痛い目にあった。それをやっても何も解決しないと思い知っている。

 

『それで・・・いいの?』

「うん!」

『・・・これから全力で応援するね!!』

「よろしくね!」

 

 

 

 

〇〇〇

「それじゃ、一旦歌は止めて今日は知り合ったアタシの友達のペローナを紹介するね!」

「おい、今日知り合って友達っておかしくねぇか?」

「そう?」

「まだ知り合いだ!知り合い・・・だいたい私はファンってだけだぞ」

「良いじゃん。仲良くしてくれないの・・・・うぅ・・・」

「バッ・・・その・・・あぁもう!じゃ今から友達だ!!これで文句ねぇな!?」

 

ペローナは涙目になってるウタを見ると少し頭をかいて顔を赤くしてから手を出した。ウタはそれを見るとニッコリと笑って握手した。

 

「よろしくねペローナ!」

「なんか恥ずかしいなおい・・・」

「そうだ!ペローナはアタシのファンって言ってくれ・・・・」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ウタとペローナはそのまま雑談を続けていてウタはペローナを質問攻めしていた。どの曲が好きなのかどんな服が好きなのかコスメだったり、好きな物や好きな食べ物とか色々と聞いてみた。

 

「それじゃ・・・次は・・・」

「おい、もう止めろ!恥ずかしすぎるぞこれ!?・・・今度は私にもやらせろ!」

「うん!そうだね・・・じゃ、ドンとこい!」

 

ペローナは顔を真っ赤にしながらそう叫んだ。ウタはそう言われるとあっさりと立場を交代した。ウタのその無邪気そうな顔を見てやられっぱなしのペローナはニヤけながらあることを聴いた。

 

「それじゃ聞くが・・・お前、“麦わら”のルフィとどこまでいったんだ?」

「ふぇ!?そそそそそそれは、えっとその・・・パス!」

「はぁ~!?私にアレだけ聞いておいてパスはないだろ!?」

「パスったらパス!!その・・・恥ずかしくて・・・言えないよぉ」

 

ペローナの質問にウタは顔をリンゴというかそれ以上に顔を赤くしてそう言った。もう顔からプシューっと湯気が出てきてペローナもそれを見て顔を赤くした。何をしたのか大体察したのだ。

 

「ま、マジか!?マジであの“麦わら”とそこまで・・・」

「・・・あの“麦わら”って・・・ルフィを知ってるの?」

「へっ・・・あっ、嫌・・・知ってるって言うか私の育ての親が海賊で元七武海のモリア様で麦わらとは1回交戦してるから・・・けど、私は2年間アイツの仲間のロロノアの世話を見てたから敵・・・じゃねぇのかな?」

 

ペローナは何とも言えない奇妙な縁を上手く言えずに悩んでいる状態でウタを見ると目が笑ってなかった。

 

「ひぃ!?お前、その目は怖いぞ!」

「ルフィの知り合い・・・ルフィを横取りするなら・・・」

「・・・いや、そんな気は一切ない」

「ほんと!?・・・良かったぁ♪♪♪」

「ウタってあれだな・・・色々と愛が重いな」

「うっ!!い、言わないで・・・気にしてるから・・・」

 

ペローナは百面相みたいに急に上機嫌になったウタを見て容赦のないツッコミをすると図星を刺されたのかウタは胸を抑え始めた。

 

「なら、次だ・・・麦わらのどこがそんなに好きになったんだ?」

「えっ?えぇぇぇぇ!?そ、それもパスしたいよ!!」

「いや、これは別に教えてくれても良いだろ!?私にアレだけ聞いておいて自分がねぇってのはおかしい!」

「う、うぅ・・・えと・・・ル、ルフィを最初に好きになったのは分かんないの・・・ただ子供の時にルフィと出会って・・・一杯勝負したんだ」

「勝負?」

「崖上りだったり、可愛さ対決だったり、身長だったり・・・色んな事をやってアタシが183連勝して・・・エレジアにい・・・“戻って”からルフィと12年間会えなくなって・・・会いたいなぁって思ってたら手配書を見つけたんだ・・・1億ベリーのやつを」

「あぁ〜・・・麦わらの2回目の手配書だな」

「そうなの?・・・それで余計に会いたくなって・・・」

「気がついたら好きになってたって感じか?」

「う、うん!!」

「なるほどなぁ・・・なぁ、千両道化の娘だけどさぁ12年間も離れてたのか?」

「え、えっと・・・」

 

ウタは返答に困った。バギーの娘として世間では認知されているがそこらへんは今まで聞かれた事が無いので全くどう言えば良いのか考えてなかった。

 

「えと・・・お父さんとは9歳からライブを始めた時まで会ってなかったんだ。9歳の時にエレジアで歌姫になるって約束して・・・それでエレジアが滅んで・・・再会した時に久しぶりに会ったんだ」

「あの赤っ鼻、赤髪がエレジアを滅ぼしてから会いに来なかったのか!?酷え奴だな」

「も、勿論、それで大喧嘩したよ・・・無人島で・・・それで助けてくれて謝ってもらって・・・仲直りしたんだ・・・」

 

何とも苦しい嘘だった。色々と穴だらけの嘘で本当の親である赤髪海賊団を喧嘩以外で悪く言うのは口が重くなった。ウタはすぐに嘘だとバレると思って横を見るとペローナは号泣していた。

 

「うぅ・・・お前、本当に優しい奴だな!しかし、あのデカ鼻親父・・・マジでクソ野郎じゃねえかちょっと言って・・・」

「やめてやめて、もう仲直りしたから・・・それに優しい良いお父さんだもん」

「そうか?それなら良いがよ・・・あぁ〜、悪いな変な空気になっちまったな・・・そうだ、世間じゃ麦わらと恋人で普段、どんな事をやってるんだ?」

 

湿っぽい雰囲気になった事にペローナは謝るとすぐに話題を変えてルフィとウタの話にした。誰だってこういう甘い香りのする話題が好きなのだ。ただし、聞かれる方は羞恥心で真っ赤になる。

 

「ふぇぇぇ!?・・・その・・・あの・・・ドレスローザから分かれるまで・・・一緒に寝てました」

「えっ!?嘘だろ!?そんなに毎日・・・」

「ち、違うもん!やったのは1回だけだもん!!それまでは本当に添い寝・・・」

「馬鹿!」

「えっ!?・・・・あ、あぁぁぁぁぁ!?」

 

ペローナの聞き方が悪かったのもあるが盛大に自爆してしまったウタは顔を真っ赤にして涙目になって逃げ出したくなった。

 

「い、今のなしなしなし!!忘れてぇ!!」

「む、無茶な事を言うな!!・・・その・・・ごめん!!私の聞き方が不味かった!!」

「うわァァァァん!!もう本当にお嫁に行けないよぉ!!ルフィィィィ・・・早く用を済ませてアタシと早く結婚してぇぇぇ!!」

「おい、また自爆してるぞ!!・・・それに多分麦わらを良くは知らねぇが・・・あんな結婚とは無縁そうな奴がそう早く結婚するとは思えねぇが・・・」

「するもん!絶対にアタシと結婚するもん!昔、結婚の約束はやってもらえなくて旅をしようってなったけど、今ならやってくれる筈だもん!!旅の約束は終わったんだから今ならきっとやってくれるはず!!」

「それ根拠ねぇだろ!!・・・けど、その・・・頑張れよ・・・応援するぜ」

 

ルフィ本人は旅を婚約と受け取って大事にしていたがウタはエレジアの件でボロボロになっていたのもあって約束は何とか思い出していたがそれがルフィに取って婚約と同意義の物であるというのには気づいてなかった。

 

ペローナは散々と晒してしまった事に対する詫びも兼ねて応援すると言ったがウタにしてみれば気休めにもならなかった。

 

「するんだもん・・・子供を作って・・・一緒に幸せな結婚生活を築くんだ・・・子供の名前だってもう決めてるし・・・」

「よし、次は別の話題に行くぞ!!・・・そうだ、千両道化ってあの赤髪と兄弟分らしいが・・・なんか2人だけの㊙な話ってねぇのか?」

 

ルフィ関係だと自爆しかしないのが分かって色々と不憫に思えてきたペローナは話題をルフィからバギーに変えた。少なくとも今度はマシな反応になると思ったからだ。

 

「お・・・お父さんについて?んと・・・あっ、そう言えばアレならイイかな?」

「お、どんな話だ?」

「お父さんが・・・赤髪のシャンクス相手に“212連勝”してるって話♪♪♪」

「は、はぁぁぁぁ〜!?あの四皇に!?」

「う、うん・・・あ、けどこの前の決闘以前は一緒の船に居る時だけしかやってないらしいから・・・実際には200連勝とその後の12連勝はだいぶ時間が経って・・・どうしたの?」

 

ウタはその200連勝が水泳だったり、決闘から後のやつは全部くだらない勝負であるという情報を話さずに言ってしまった。

お陰でペローナを含めてこの配信に来ていた人達はその話を聴いて固まった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「さて言い訳を少しだけ聞いてやるから言え」

「あの〜、ごめんなさい」

「ごめんで済むかぁ!!」

 

翌日、世経にウタがこの配信で暴露しまくった事が世界中にばら撒かれてしまってウタはバギーから半日かけてたっぷりと説教をされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、ウタによってバギーに決闘を除いた戦闘以外の軽い勝負で負け続けていると云うのが世界中に暴露されたシャンクスは新聞を読むとぷるぷると怒りに震えて愛刀のグリフォンでズタボロにした。

 

「バギーィィィィ!!あれ程言うなって言ったのにぃぃぃぃ!!・・・本当に覚えとけよぉ!!この赤っ鼻!!!」

 

シャンクスの怒りの叫びが通じたのかバギーはウタへの説教を一旦止めて海に向かって叫んだ。

 

「うるせぇぇぇぇ!!俺だって被害者だハデバカ野郎!!」

 

荒れ狂ってる新世界の海に不運な2人の叫びが響いた。

































というわけでヨルエカ君登場!!
・・・・そこ、遅過ぎとか言わない!!
この配信の展開はドレスローザの後で入れようかと思ってましたが色々と遅れに遅れてここまで・・・けど、やれて良かったです。
これでウタが救世主から完全に歌手になったのと・・・見てる面々も民衆から観客に戻りつつあるのでマジでやれて良かったです。

そして自爆しまくるウタwwww
いやぁ、本当にこれで良いのかな?とは思いつつも面白ければ良しの精神でやってますので悪しからず。

あと、ペローナ・・・君って良いツッコミポジだね!

次回はルフィら、ワノ国視点を多めに書けたら良いなと思いながら頑張ります。
というかそろそろ進ませないと行けないので・・・

それでは次回もお楽しみに!!

(因みに子供の名前をガチで言うのは本編では最終章のつもりですがR-18版の回ではフライングで出すつもりです)


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バギーの不幸記録(ネタ)

えー、どうも活躍しすぎておかしいくらいにキャラが濃くなってしまってるバギーですがこれで強くなって運が良ければバギーじゃなくても良いのですが今作は弱いままかつ、大体の活躍の後は基本的にほぼ儲けなしでやってるので改めて書き写してみます。

 

①バギー、ジャヤに黄金があると言われて来る

  ↓

無駄骨になるもウタの情報ゲット

 

 

②バギー、七武海の地位を上げる為に深手のアルビオンと交戦。

   ↓

マギー玉でボコボコにするが近くの客船を破壊してしまい台無し+ウタと共に遭難し、オマケに後々シキに狙われる羽目に

 

 

③バギー、ウタと出会う。

   ↓

金玉を蹴られて訳の分からない世界に飛ばされて、忌々しい姿にされて何とか抜け出してウタを止めたら、ウタが精神崩壊する羽目に

 

④バギー、ウタをどうにかする

   ↓

見捨てても良かったがウタの人気で風評被害(しかも原因はマギー玉)という状況で見捨てられないので頑張って立ち直らせると慕われたが3日間ほぼ無駄骨。

 

⑤バギー、ウタのお陰で商売繁盛

   ↓

借金取りのクロコダイルの催促が早まってしまう。

 

 

⑥バギー、ウタを弟子に取る

   ↓

4ヶ月間、ほぼ付きっきりでウタウタの実の強制的に夢の中に送る力をメインに鍛えるが、ウタにビンタされてクロコダイルには殺害予告されるも借金は無事に完済。ウタに助けられたも同然なので気にいるが後々、ウタがそれで世間から鼻摘み者にされる。

 

 

⑦バギー、シャンクスと決闘

   ↓

その後のシャンクスとウタのやらかしのせいで苦労が水の泡に・・・更に世界中にそれがばら撒かれたせいで世界の大混乱を作った人物とされて五老星に狙われる。

 

⑧バギー、シャンクスに追われてスフィンクスに逃げる

   ↓

散々、赤髪父娘に振り回されたので休暇を取る

 

 

⑨バギー、シャンクスに見つかり命の危機

   ↓

ホビホビの実の呪いで運良く生き残るがホビホビの実が解けると曇って慌てる羽目に

 

⑩バギー、シャンクスらの手紙を代わりにウタに届ける

   ↓

麦わら大船団の代表らには総スカンを食らうも持ち前のタフさで宴に混ざる(新武器のアイデアゲット)

 

 

⑪バギー、ウタとルフィの熱愛報道に怒る

   ↓

ウタと一緒にカライバリ島に戻るつもりが台無しにしかもルフィと一緒に居ることを認めなかった場合、あることない事を世界中にばら撒くとウタに脅される。

 

⑫バギー、シャンクスとの仲直りの宴の時にクロコダイル乱入。

   ↓

嫉妬に塗れたシャンクスに覇王色をぶつけられるも昔からの知り合いなので効かなかったせいでクロコダイルに勘違いされた上にシャンクスが更に病む。

 

⑬七武海撤廃とシャンクスとの決闘のせいで海軍本部の大将と相手を取る羽目になる(それ+CP-0に革命軍)

 

酷いww

我ながら本当に酷いwww

もう不幸過ぎて笑うしかないほど波乱万丈すぎる。

しかも⑫から後の不幸はマジでバギー、全く関係なく巻き込まれてるだけ・・・

 

それだけじゃなくてドフラミンゴに恨まれたり、シキに恨まれたり、活躍したせいでフェスタは調子に乗り始めて、バレットにもキレられる・・・わぁ凄い、間違いなく不幸のドン底にいる。

 

更に言えば作ったマギー玉・・・2年後の前半の海の億を超えてない奴に反撃を許す。

   ↓

より強力な武器マギーバルカンを作る

   ↓

シャンクスには一発も当たりませんでした。

   ↓

適当な雑魚には強い・・・

   ↓

ワポメタルで強化(クロコダイル経由)

   ↓

シャンクスのせいでクロコダイルからストレスの原因にされる。

 

 

う~ん、これワポメタルで強化しても結局強い奴にはそもそも当たらないからハズレ武器だよな・・・・

 

 

 

いや、間違いなく今作で活躍してるバギーですが、今作随一で不幸すぎる。しかも原因の大半がウタとシャンクス・・・

 

 

おまけ

バギー、大活躍

  ↓

ルフィとウタの仲が悪くなる原因に

  +

ウタがバレットに狙われる原因の1つに

  +

カイドウに暇潰しの相手と認識される

  +

民衆からはより恐れられる

  +

革命軍から狙われる

  +

ヤンデレシャンクスから狙われる

  +

ドフラミンゴに逆恨みされる

  +

カタクリとルフィとウタの三角関係を間接的に作る

  +

ミホークに狙われた

  +

赤髪海賊団にも狙われた

 

(この際に打算無しで助けてくれたのはマルコだけ)

 

 

いや、本当にバギーの活躍=バギーの首を締めてるだけwwww

 

 



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Luffy & Zoro

お待たせしました!!
第91話でワノ国編も本格的に始まってきましたよ!!
それではどうぞ!!


ルフィはゾロと合流して、最悪の世代であるホーキンスと一時戦闘になるも何とか逃げて、無事にお玉をおこぼれ町にいるお鶴の手助けもあって無事に治してもらい、お汁粉をご馳走してもらった。玉は初めて食べたお汁粉に感激してるとカイドウの下っ端であるギフターズによって玉が連れ去られた。錦えもんの仲間であるお菊と共にルフィは途中で横綱をぶっ飛ばしたりしながらも玉を救出、またその際にギフターズの“真打ち”と呼ばれるホールデムをぶっ飛ばしてカイドウら百獣海賊団が食べる食料を強奪した。

また、ゾロと同じように先に着いていたローはルフィらを追ってきたホーキンスと戦闘するも食料強奪のどさくさに紛れてルフィらと合流した。

 

「てめぇ!!」

「おう、トラ男」

「騒ぎを起こさねぇってあれ程誓ったよな!?指名手配になった上にジャックを呼び寄せるマネをしやがって!!」

 

ローはゾロに切腹寸前までになった事に加えて今の騒ぎなど色々とキレていた。ゾロもゾロで色々と不可抗力な部分があるのだがそれを言うと余計にローがキレると思った。

 

「おぉ、トラ男も久しぶりだなぁ!」

「麦わら屋!!てめぇもなに初っ端から騒ぎを起こしてやがる!」

「初っ端じゃねぇぞ。ワノ国に着いて多分2、3時間くらいの筈だ!」

「1日ぐらい静かにしてろ!!・・・ったく本当にお前らは・・・歌屋の事といい・・・」

「あっ、そうだ。ゾロ、トラ男!!俺、ウタと恋人になったぞ!!」

 

ローは以前、ウタのあまりにもぶっ飛んだ騒動に巻き込まれて胸やけを起こした事を思い出してるとルフィから出てきた言葉に隣で聞いていたゾロも固まった。

 

「まぁ、思人がおられたのですか?」

「オモヒヒト?」

「恋人の事です」

「おう!この前、なったんだ!!」

「まぁ」

 

一緒に食料を強奪した剣士のお菊も顔を赤らめさせてルフィの言葉を聴いて色めき立っていた。

 

「「はぁぁぁぁぁぁ〜!!??」」

 

そしてゾロとローは一緒に叫んだ。眼の前にいるルフィは肉と冒険、それだけに全て向いてるようなタイプで恋とか云々は興味というかそもそもなにそれ?って感じの筈だったのにウタと恋人になった事をあっけらかんと言った。

 

「マジか!?」

「本当かルフィ・・・ウタがお前を好きなのは知っていたが・・・ふっ・・・おめでとうだな」

「なんだ、ゾロ。知ってたのか?」

「あんだけ分かりやすけりゃわかるだろ」

 

基本的にそういった事は当人同士の問題として深く踏み入らないゾロはウタの恋心に気づいてはいたが何も言わずに静観していた。

 

「むぅ、ゾロも分かってたのか・・・ウタとまた別れてからナミ達に聴いてみたら、わかり易すぎだったぞって言われたから悔しい!」

「俺だけじゃなくてロメ男の船で旅してた皆は分かってたぞ」

「えぇぇぇぇ〜!?トラ男もか!?」

「はぁ・・・寧ろ歌屋の好意によく気づかなかったな」

 

呆れながら見てくるローにルフィはなんか悔しい感覚になって来るも仲間や友達に喧嘩してた恋人と仲直りした事を報告できて嬉しかった。

 

「まぁ良い。麦わら屋、恋人が出来たならより気を引き締めろよ。カイドウに殺されたんじゃ、地獄まで追ってくる奴も偶にいるからな」

「おう!!絶対に何とかする、んでカイドウをぶっ飛ばしてエレジアのライブに来いってウタに言われてるからな」

 

ルフィは笑いながらもハッキリとした目でローにそう言うとローもこれ以上は問題ないと判断して気を引き締め直した。ゾロはルフィの言ったある一言が気になったのか聞こうかと思ったが今はこの食料をおこぼれ町の住人に渡したり、追っ手の事を考える方に集中した。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはペローナと一緒に色々と満喫していた。同年代の新しい友達。おまけにペローナの能力も特殊な方なので2人はかなり楽しみながら配信をしていた。

 

「そしてこれがミニホロだ」

「かわいい!!」

「かわいいだろ?けど、ちょっと離れとけよ」

 

ペローナはそう言うと適当に置いてあったペンをミニホロに持たせて飛ばした。

 

「??」

「ゴーストラップ」

 

ペローナが指をパチンと鳴らすと爆音と衝撃と共にペンは綺麗サッパリ、粉となった。それを見たウタは目ん玉が飛び出るほどビックリした。

 

「怖っ!?」

「ホロホロホロ♪♪中々に技としては中々強力だろ?」

「凄い!!」

「ホロホロホロ♪♪もっと褒めても良いんだぞ♪♪」

「普通のゴーストでも触れればネガティブになるって強すぎない?」

「私も2年前は無敵だと思ってたんだ。ところが麦わら達がやってきて長鼻に負けてからと言うもの・・・」

「・・・ひょっとしてウソップ?」

「そう!!ソイツに本当に酷い目に・・・ゴーストは効かない上に散々追いかけ回されてゴキブリを浴びせられてデッカイハンマーでぶん殴られるわ酷い目にあったんだからな!?」

「うわぁ〜・・・」

 

ペローナから聴いたウソップのやり方にウタはドン引きした。実際は玩具のゴキブリと風船のハンマーだったがあれの恐怖心は忘れられなかった。ウタもウソップの人となりを知ってはいるので恐らく嘘と悪戯的な物を掛け合わせたとは思いつつも眼の前のペローナの鬼気迫る感じから言えなかった。

 

「ヤバい・・・思い出してきただけでトラウマが・・・」

「大丈夫??」

「ぐすっ・・・ウタは誰かと戦ってトラウマになったってあるか?」

「えぇ??う~ん・・・そもそも避けられるなら避けたいから、戦うってなったらもう色々と覚悟決めてるし・・・天敵みたいな・・・あ、でもドレスローザで玩具にされた時は結構辛かったよ」

「あぁ、新聞で読んだぞ。何でも玩具にする能力者が居たとか」

「もう、ハイルディンと一緒に地下に落とされて何だがネバネバした物で捕まえられたと思って気づいたらぬいぐるみだったからね・・・あの時程混乱したのはないかな?」

「恐ろしい能力だな〜・・・こうして見ると能力って恐ろしいの多いな・・・アホな使い方をするやつもいるけど・・・」

「偶になんか意味あるの?って能力はあるよね?・・・どこぞの恋敵の能力とか・・・」

 

ウタはハンコックの能力が効かなかった事もあり、完全にメロメロの実は意味が無いと思っていたがルフィを狙う恋敵だと思い出すと沸々とドロドロとした物が溢れてきた。ペローナはそれを見ながら、さっさと話題を続けた。

 

「因みに私の知ってる能力の使い方で1番アホなのは透明人間になる能力でそれを覗きに使った野獣だ」

「・・・それって男?」

「もちろん」

「女の敵じゃん」

「それで結婚願望が強い」

「完全に能力の使い方を間違えない?」

「私もそう思う」

 

ウタとペローナはそのままのんびりと雑談をしながら、会話を弾ませていた。

 

 

 

 

〇〇〇

「クロコダイル様にミホーク様、どうぞワインでございます」

 

一方、バギーはクロコダイルとミホークのご機嫌取りをしていた。武力では絶対に天地がひっくり返っても勝てないので機嫌を取ろうとしていたがその小物じみた行動に何故にこんなのを対等の立場にしないといけないのかとクロコダイルとミホークのストレスはより溜まっていって今にも手が出そうになっていた。

 

「悲惨な状況だガネ」

「3人とも運がねぇな」

「Mr.1、この場合において誰が1番悪いと思うガネ?」

「三者三様の運の無さが1番の原因だ」

 

それを遠くの方から見ていたMr.3とダズは色々と深い溜め息を吐いていた。

 

「空間が歪んで見えてきたがあれは覇気かい?」

「主にクロコダイルと鷹の目から出てるな」

「覇気ではない・・・あれはただの苛立ちだ」

「さて・・・クロコダイルに鞍替えする準備をするかリッチー」

「ガウガウ・・・」

「お前ら・・・あいつもとことん運がねぇな」

 

せっせとクロコダイルに鞍替えする準備をやることを公言しているバギーの仲間達にダズは引きながらも運がないバギーを少しだけ憐れんでいた。

 

「ギャハハハハ!どうだ!?うちの酒は旨いだろ?」

「不味い・・・」

「もう何もするな・・・」

 

何とか場を温めようとしていたバギーにクロコダイルとミホークは思いっきり睨んだ。睨まれたバギーはビビりながらも作ってきたホットドッグを持ってきた。

 

「まぁまぁ、ほら俺様の好物のホットドッグだ!」

「おいアホピエロ・・・俺はケチャップが大嫌いなんだよ・・・」

「ひぃ〜!!」

「・・・少なくともこのホットドッグはワインにあ合ってない・・・」

 

クロコダイルはケチャップの掛かってるホットドッグを持ってきた事にキレて、ミホークは一応食べてはみたがワインと全く合ってない感覚に正直な感想を述べていた。

 

「Mr.1・・・バギーの命は後どれくらい持つと思うガネ?」

「悪運が強いのは事実だから1年は持つだろうな・・・何時かは恐らく切れると思うが・・・」

 

Mr.3とダズはそんな風にのんびりしながら眼の前で繰り広げられてる状況を見ていた。

 

余談だが後日、ミホークが赤ワインに合うケチャップのないホットドッグを作った。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィとゾロ、ローにお菊の面々は無事におこぼれ町に戻ってこれたので食料を渡した。ルフィも当然食べたいのでそれを食べ始めた。色々と大きな騒ぎになっているがルフィ、ゾロ、ローは追手が来るのもあってお玉は逃げる時に能力で手懐けたウマのSMILEであるスピードことウマ美と一緒に飛徹の所まで戻っていった。

 

そんな中でルフィ達は狛ちよに乗って合流地点になっているおでん城跡地まで行くことになって乗った。

 

「何でお前までついて来てんだ?」

「い、一度“おでん城”に行ってみたくて・・・」

 

錦えもんの仲間であるお菊だがその肝心の仲介役にもなる錦えもんがこの場に居ないのでルフィ達を敵か味方か判断に困っていた。

 

「着いた後は1人で帰りますのでご迷惑は・・・」

「菊はいい奴だし、強えから大丈夫だ!!」

「いや、何か隠している」

 

ゾロの言葉にお菊はギクッとなったがそれ以上は何も言ってこなかったのでそのままにした。

そんな中でおでん城跡地に向かって進んでいく面々、ゾロはルフィにあることを尋ねた。

 

「おい、ルフィ」

「ん?なんだ?」

「カイドウをぶった斬ったらエレジアって所に行くのか?」

「おう!ウタに呼ばれてるからな」

「場所は?」

 

ゾロはルフィにそう尋ねるとルフィは答えに困った。エレジアが何処にあるのかなんて全く気にしてなかったからだ。

 

「え?そういや何処にあんだ?」

「はぁ・・・前半の海にある・・・恋人の舞台の場所くらいは聞いておけ」

「そうなのか!?ありがとうトラ男!!」

 

呆れながら教えてくれるローにお礼を言うルフィ。ゾロはそれを聴くとちゃんとルフィの目を見て話し始めた。

 

「つまり俺達はカイドウをぶった斬った後で今までの道をわざわざ戻るのか?」

「何だゾロ、反対なのか?」

「あぁ、反対だ」

 

気軽に話していたルフィだがゾロの反対と言う言葉を聞いて姿勢を直した。

 

「俺達の今までの旅は全てお前が決めていた。アラバスタは七武海のクロコダイルをぶっ飛ばしたり、ビビの為に・・・空島はログに従い、ウォーターセブンはメリーを直しにな」

「・・・・・」

「スリラーバークは魚人島に行く前に通る事を言われていたし、シキは成り行き、シャボンディに魚人島・・・ドフラミンゴやここは案を出したのはお前じゃねぇがカイドウをぶった斬る為に必要な事でお前や俺達の夢の為に来てる。それが終わってもまだ進まなきゃいけない時に戻る理由がそれだけってのは納得しねぇ・・・俺達の船の船長はお前だ」

 

ゾロはルフィが“ウタに呼ばれてる”と部分だけに反応していた。今までの旅は良くも悪くもルフィが針路を決めていたし、目的があった。戻るのは反対してないし、それがルフィに取って必要なのも分かっていたがこの期に及んで“呼ばれてる”とやや受け身なルフィの言葉を戒めた。

 

ルフィはゾロに言われて悩み始めた。

確かに今までの針路は船長である自分が決めていた。だがウタのライブに関して受け身になっていたのも事実だった。

 

『作ろう新時代!!』

『夢へ向かってやりたいことをやって来なよ!!』

 

少しだけ悩んだが、ウタに言われた事を思い出したルフィはニシシと笑って気持ちを新たにしてゾロにそれを言おうと狛ちよの後部にいるゾロに顔を向けたが、ゾロは既に迷子になって居なかった。

 

「あれ、ゾロは!?」

「また迷子か!?もうほっとけ麦わら屋!!こっちの予定が先だ!!」

「・・・どうして乗ってて迷子になるのでしょうか?」

「それがゾロだ!」

「自慢気に言う事か!?こっちはどれだけアイツの迷子に振り回されたか・・・」

「おう、ありがとうなトラ男!!ゾロの面倒を見てくれて」

「まぁもういい・・・強えから心配いらねぇだろ。言い方は悪いが追手もあるからな。二手に分かれたのなら向こうも分散されるだろう」

 

ローは呆れながら現状をポジティブに捉える為にぶつぶつと言いながらもおでん城跡地へと向かった。



























ええっと台詞回しが下手すぎているので私なりの注釈を入れさせて貰います。

ルフィの旅ってクロコダイルとかカイドウとか大きな敵がいる場合と冒険の2つって思っててエレジアに関してはその両方が無いので・・・しかも戻るし・・・そこに関して1つアクションがないとだめだと思ってこうなりました。

またこういう時にルフィを船長として確りさせる役割は基本的にゾロなのでこうなりました。

因みにゾロ的には「俺が行きてえから行くんだ」とルフィが言えばOKです。

まぁ、それをゾロが聞くのはいつになるやら・・・


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完敗

お待たせしました!!

それではどうぞ。


ルフィはゾロとは逸れつつもサンジ達、サニー号の面々と合流し、錦えもんから全ての事情を聞かして貰っていた。錦えもん達が実は20年ほど前の過去からやってきた事とその時に主君である光月おでんがカイドウと現将軍のオロチによって殺された事を聞かされた。

 

白ひげを魅了し、ロジャーが惚れ込んだワノ国の侍が残酷かつ冷酷に殺されたか、これを聞いたルフィ達は元々カイドウをぶっ飛ばすと云う目的もあったがより更にブチのめそうという気になった。

 

錦えもんの能力によって無事にサンジ達も服を変えてもらい・・・ナミだけ錦えもんの欲が諸に出たのになった一悶着もあったが何とか次へと進んだ。

その後は錦えもんの妹分である寸胴体型のしのぶを紹介されつつも決戦を2週間後にして準備を始めることになった。

 

「おい、麦わら屋すぐに来い!」

「どうしたトラ男?」

 

ローが慌てた様子でルフィを呼ぶと一同は外に出た。するとルフィが先程までいたおこぼれ町の上に巨大な龍がいた。

 

「龍!?なんだアレ!?」

「カイドウだ!!」

「カイドウって龍なのか!?」

「そうアレに見えるはカイドウ・・・カイドウは龍に化けるのでござる!!」

 

間違いなく今までで文字通り最大の敵だと言うのが嫌でも分かる。ルフィはカイドウに驚きつつも奴がいるのがおこぼれ町辺りだと気づくと走って向かっていった。

ローは自分とルフィとゾロの顔がバレてしまった事を伝え、兎に角ルフィを連れ戻すことだけを伝えて追いかけ始めた。

 

追いついてきたローに愚痴愚痴と言われつつも走っていったがカイドウは酒に酔っていて暴れていたのでホーキンスがデタラメにルフィ達はおでん城跡地にいると言うとカイドウはおでん城跡地に向かって飛んでいった。

 

熱息(ボロブレス)

 

そして口から炎・・・最早破壊光線の類に近い物が出されておでん城跡地をぶっ飛ばした。ルフィは仲間や友達がいた場所があっけなく無惨に破壊されたのを見るとカイドウに向かって飛んでいった。

 

「ゴムゴムの・・・」

「?」

「象銃!!」

 

そしてまだ酔ってるカイドウの頭目掛けて象銃をぶっ放して地面に叩きつけた。騒然となるおこぼれ町に着地したルフィはそこで血だらけで倒れてるウマ美を見つけた。玉を連れて行った筈なのに倒れてるウマ美に困惑して事情を聴くと逃げてる途中で玉ごとカイドウに襲われたと聞かされてルフィは玉に付いていくべきだったと後悔した。

 

「おい麦わら屋、てめぇ何やってる!?逃げるぞ!!あの巨体だ!何が起こったかも分かってねぇ!!作戦をダメにする気か!?」

「今、ブチのめせば終わりだろ!?俺もお前の仲間も錦えもん達も無事かどうか分からねぇ!!」

 

ルフィにそう言われたローは自分の仲間もいたぶっ飛ばされたおでん城跡地を見た。

 

「カイドウ〜!!こっちだ!!」

「ウィ〜・・・お前は・・・」

 

地面に叩きつけられたカイドウはケロッとしながら龍形態のまま顔を上げて声を出したルフィを見つけた。

 

「ルフィ、海賊王になる男だ!!」

 

ルフィがそう言うとカイドウは容赦なく熱息を吐き出した。

 

「よく来たなワノ国へ・・・ヒック・・・」

 

まだ酔っ払ってるカイドウは取り敢えずそれだけ言うと眼の前には熱息を避けたルフィが拳を構えていた。

 

「ゴムゴムの象銃乱打!!!」

 

ルフィの渾身の象銃乱打を全身で受けたカイドウは龍形態から人型の姿に戻って倒れたがすぐに起き上がった。

 

「う~〜〜〜〜・・・」

 

しかもまだ酔っていてフラフラだった。そんなカイドウが次にみたのはギア4のバウンドマンになっていたルフィだった。

 

「ゴムゴムの猿王群鴉砲(コングオルガン)!!」

 

ルフィの猿王群鴉砲をカイドウはまともに受けた。全身に・・・それも龍形態の時よりも更に強力かつ、龍形態に比べれば遥かに小さくなった事により細かく殴られたカイドウはまた倒れたがすぐに起き上がってルフィ目掛けて金棒を振りかぶった。

 

折角の酔いが醒めてしまっていた。

 

「雷鳴八卦!」

 

稲妻が走る自身の武器である金棒の八斎戒を雷の如き超人的な速度で移動しながらギア4のルフィに向かって一発叩き込んで倒した。

 

元々打撃技が基本的に効かない上に武装色と相乗効果によって更にタフなギア4のルフィが打撃技である雷鳴八卦の一撃に倒れた。

 

ドクドクと血を口や頭から流しながら気絶したルフィを見ながら酔いが醒めたカイドウは一言言った。

 

「お前が何の王になるって・・・小僧」

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはペローナと共に今日の配信をしようと色々とキャッキャッと楽しみながら準備をしているとルフィがやられたのを感じたのか一気に全身から冷や汗が出て寒気がし始めた。

 

「どうした?」

 

ペローナはウタのそんな姿を見て心配してくるがウタは笑顔で返した。

 

「ううん、何でもないよ」

「・・・そうか」

 

ウタにそう言われたのもあってペローナはこれ以上は何も聞かなかった。

 

(ルフィ・・・)

 

ウタは心の中でルフィの身を案じていた。

 

 

 

 

〇〇〇

「驚いた、息はあるようです」

「だろうな」

 

倒れたルフィに近づいてきたカイドウの手下達がルフィを見てそう報告した。ルフィをブチのめしたカイドウはそれを誰よりも分かっていた。

 

「不屈の闘志か虚勢か知らねぇがさっきからずっと俺を睨みつけてやがる」

 

カイドウはルフィを睨みながらそう言った。手下達はその言葉が分からなかった。ルフィはもう完全に気を失っていたからだ。

 

「ウォロロロロ・・・ぶち込んどけ!!心を圧し折りゃいい戦力になる」

「はっ!!」

「瓦版には海賊と書くな。海外に興味は禁物だ」

 

カイドウはそれだけ指示して戻ろうとし、手下達はルフィを運ぼうとした。すると手下達が突然倒れた。

 

「わぁ〜!?どうしたお前ら!?」

「何の冗談だ!?」

 

混乱してる手下達を他所にカイドウはもう1回ルフィを見た。

 

「お前もか・・・キッドのガキも“覇王色”・・・何人もいらねぇんだよ覇王なんて」

 

気絶してるルフィが覇王色を出して威圧したのに気づくとカイドウはそれだけ言って龍形態になった。

 

「トラファルガーは今度だ・・・飲み直そう、すっかり酔いが醒めちまった・・・」

 

ルフィのあれだけの攻撃を受けても結局はそれくらいしか効果がなかったとカイドウは自分の城がある鬼ヶ島に戻って酒を飲み直した。

 

 

 

 

〇〇〇

共に来ていたローは何とかルフィを逃がそうと考えていたが海楼石の釘をホーキンスに撃ち込まれて能力を封じられてしまい、捕まるのは不味いと判断してギリギリ退却出来ていた。

 

 

 

一方、おでん城跡地ではしのぶの能力によって沈下した地面に皆、逃げていた。

 

「皆様、ご無事で!!」

「お菊さーん!!助けて下さい〜!!激しい地盤沈下につき〜!!」

「地面が抜けて助かったけど俺達まで落ちちまう〜!!」

「ふぅ、なんとかレディ達は運び終わった・・・」

「俺達も助けんかい!!」

 

そして案の定、女性達だけを先に助ける女好きのサンジだった。何とかその後、無事に全員を助けたので一同はホッとした。

 

「しのちゃんの術で助かったのですね!」

「わたすの“熟々”妖艶の術はあらゆる物を熟れさせるのよ♡」

「そうしのちゃんの触れた物は何でも腐るんです!」

「言葉の綾!!」

 

お菊がしのぶの能力を軽くそう説明すると本題であるルフィがカイドウに捕まった話をした。

 

 

そして、その情報は瞬く間にワノ国に拡がっていった。

先に着いて潜入していたフランキー、ウソップ、ロビンはそれを瓦版で知ってビックリした。

 

 

〇〇〇

翌日、ルフィは兎丼と呼ばれるワノ国の囚人採掘場に海楼石の手錠を付けられて運び込まれていた。

 

「テキパキ働け!」

「お前達の命はオロチ様のもの!」

「生きたくば働け!!」

「休みたくば殺してやる!!」

「テキパキ運べ!!」

 

看守の怒号が飛び交ってる兎丼。

ルフィはフラフラでボロボロだったがそれでも冷静に見聞色の覇気を使って周りを見てるととある檻から魚の骨が飛んでくるのが見えた。

バカな看守が自分を睨んでると勘違いをしていた。そして案の定、魚の骨は飛んできたがそれは看守の首に刺さった。

ルフィはそれだけ見ると取り敢えず敵ではないと檻の中にいる奴は放っておいた。

 

「まずはここに入ってろ!!」

「カイドウ様に服従を誓うまでな!!」

「明日から死ぬ程コキ使ってやる!!」

「シゴキ殺してやるギャハハ!」

 

看守にそう嘲笑れながらルフィは先にカイドウによって捕まっていたキッドと同じ牢屋にブチ込まれた。

 

「「覚えてろよ・・・カイドウ・・・」」

「・・・ん?」

「・・・あ?」

「「お前は・・・」」

 

 

 

〇〇〇

ウタは昨日、ルフィがカイドウに完敗したのを感じとりつつも平穏に過ごそうとしていた。

前とは違ってルフィとは確り繋がっている。そう思いながらウタはいつも通りに過ごそうとしているとバギーがウタに近づいてきた。

 

「あ、おじさん。おはよう」

「おう、お早よう!!・・・で、今度は何があった?」

「えっ!?・・・何でもないよ・・・いやだなぁ」

「・・・だから、嘘が下手過ぎんだよお前は・・・」

 

バギーにそう言われて観念したウタは2人きりになれるように朝早くの島の海岸へ行った。朝が早すぎて誰も居なかった。

 

「おじさん・・・ルフィは大丈夫かな?」

「・・・お前・・・あー、自分の男の事を信じてねぇのか?」

 

ウタの言葉にバギーは非常に口から言いたくはなかったが何とかそれを指摘した。なぜかはバギーにも分からないが辛かった。

 

「信じてる・・・信じてるけど不安で・・・」

「・・・だったら、別れるんだな・・・そんな腑抜けたもんが貫けるほど海賊の世界は甘くねぇ」

 

不安がってるウタにバギーは冷酷にそう言った。言われたウタも図星だったのかより気が沈んで暗くなった。ここで終われば以前のウタに逆戻りしてしまうが沢山の旅をしてきたウタはバギーには気軽に話せるのもあってあることを聞いた。

 

「ねぇ、おじさん」

「あん?」

「おじさんは何かを信じきれなくなった事ってある?」

 

ウタはバギーにそう聞いた。シャンクスの事だったり、自分の能力だったり、今回のルフィだったりとウタはそう云うのを多く経験していた。そしてその度に前に進んでるつもりだった。だが、今回の事もあり、思いっきってバギーに相談してみた。

するとバギーはウタの頭を撫でた。

 

「ハデバカ娘、そんなのは自分で見つけるもんだ!!人に頼ってんじゃねぇ!!」

「・・・そうだよね・・・自分でやるもんだよね」

「・・・でもまぁ、もしもそうなっちまったんだったら・・・諦めるな!!・・・絶対に生きてるってバカになれ!!お前の男はお前を置いてどっかに行く男か!?」

 

バギーにそう言われてウタはルフィと再会してからの事を思い出した。

 

『なら、ウタ。俺達と暫く居ようぜ!』

『離れてても俺はずっとウタのここにいる』

『俺がお前との約束を破るわけねぇだろうが!!』

 

ルフィが自分に対して言ってくれた事をちゃんと思い出したウタは笑顔になった。不安がないわけでは無いがちゃんと繋がってる。

そう思ったウタは先程よりも良い表情になった。

 

「よし!それじゃ、戻るぞ・・・んで色々と手間かけた分は・・・ライブで返せ」

「わかった!今日の晩に特別ライブをやるからね!!ペローナにも生のステージを見せたかったし!!」

「ギャハハハハ!!宴が盛り上がるぞ!!俺も酒が進む進む!!」

「もう、あんまり飲むと体に悪いって言ってんじゃん!」

「うるせぇ!!姪がおじさんを気遣うんじゃねぇよ!」

「・・・宝とかじゃないの?・・・一応娘だよ」

 

ウタはバギーにそう訪ねた。

最初はシャンクスに対する反抗的な感覚でバギーの娘を名乗ったし、シャンクスと仲直りするまで名乗ると決めていた。ウタにしてみれば自分を助けてくれたバギーもシャンクスやゴードンと同じ自分の父親だった。

しかし、バギーは顰めた顔をウタに向けた。

 

「だから俺に娘は居ねぇよ・・・それに俺の宝は金銀財宝って決めてんだ!!んでいつか海賊王になってこの世の全ての宝を手に入れるのが俺の夢だ!!」

 

バギーは呆れながらそうウタに言うと何時もと全く変わらない調子に溜息が溢れつつも安心して2人は戻っていった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ワノ国の花の都のオロチの住む城でもルフィが捕まった事が書かれていた瓦版が流れていた。

そしてそれを見ていた者がいた。

 

「ファッファッファッ・・・ルフィ太郎・・・麦わら・・・」

 

それはカイドウに敗れて捕まったキッドの為にオロチの手足ととして動いてるキッドの相棒であるキラーだった。自分の武器であるパニッシャーを奪われて大嫌いな素顔を隠す仮面も奪われて、ハズレのSMILEのせいで笑う以外の全てを奪われたキラーは辻斬りの人斬り鎌ぞうとして今日もオロチの手足として使われていた。

 

「ファッファッファッ!!また歌姫の歌が聴きてぇな・・・ファッファッファッ!!」

 

最早、笑ってるのか泣いてるのか自分でも分からなくなってくるがキラーは久しぶりに懐かしい名前を見れたのもあってそんな願望をしていた。

 

























というわけでルフィ・・・カイドウに敗北。
う~ん、原作を読みながら書いてますがこのカイドウ、化け物過ぎる・・・

そしてルフィの敗北を感じ取ったウタ・・・を 咤するバギー・・・お前、本当に今作だとマジで頑張りまくってんな・・・まぁ最終章じゃ、更に活躍させるけど・・・


そして遂に登場・・・鎌の男ことキラーも本格的に出てきました!!
最終章で暴れるのが決定済な6人の内の1人・・・そう鎌の男はコイツです!!
好きなキャラなので・・・・


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任侠

お待たせしました!!
ここ最近は2日に一回の更新でしたが何とか久しぶりの連日投稿が出来て嬉しいです!!
それではどうぞ!!


ルフィがカイドウに完敗してから3日目の朝。

 

「「うぉぉぉぉぉぉー!!!」」

 

ルフィと一緒の牢屋に入れられていたキッドは傷もすっかり完治して海楼石を付けられてるにも関わらず、傷を治す食料の団子の為に巨大な岩を運んでいた。しかもそれを5回やって団子1つという最悪の条件下の中、2人は運びながら数を競っていた。

 

「「働いたぞー!!メシをよこせ!!」」

「えーっ!!??」

 

少なくとも百はありそうな数の引換券を渡した後で2人は牢の中で大量の団子を食べていた。他の囚人達も見たことないほどの量が気になって2人の元に集まっていた。

 

「俺が1回多かった!!」

「バカ、追い抜いたのは俺だ!!」

「ふざけんな!抜かれてねぇよギザ男コノヤロー!!」

「数も数えられねぇのかバカ色ボケザルてめぇコラァ!」

 

言い争いをやりながら食べてる2人。

キッドは一応、ルフィとウタの熱愛報道は知っていたのでそう罵倒していた。

 

「イロボケ?」

「だめだこりゃ・・・」

 

ボケてるのかそれとも素なのかキッドには分からず、そのままもう食べることに集中した。そんな中で少しするとルフィとキッドは副看守長であるカバのSMILEでありカバの口の中に人が生えてるような珍妙な姿のドボンに呼ばれた。

腹が膨れて結構苦しい時に何用かと思えば大食いのドボンに団子を大量に食われていた事に関しての文句だった。アホらしい内容に加えてまだ消化しきってなかった2人は息を吐き出すようにデブ体型から普通の状態に戻って行きつつもルフィはドボンに踏見つけられているヒョウじいという小さい爺さんが踏みつけられていたのに気づいた。

 

ドボンを始めとする看守達はルフィとキッドに看守に盾突いた場合、どうなるかを説明しているとそれらを聴いたキッドが呆れながら右腕を見せた。

 

「おい、俺達は海楼石で力を抜かれた弱者だぞ?まじめに働いてただけだろうが」

「・・・・・」

「俺の飯を食い尽くした罪だ!!しつけをーー」

 

ドボンがそんな風に言ってる中でガバの口がルフィとキッドを巻き込んで閉じた。他の看守達がルフィとキッドがズタボロになったと思って笑っているがカバは突然と口を開いて見ると無傷というか元々あった生傷以外全く傷1つ負っていないルフィとキッドとボコボコになったドボンだった。

全てドボンのカバの口の中で行われていたのもあって看守達は誰も見ていない。それもあって2人に何も出来なかった。

ルフィはドボンに踏まれていたヒョウじいを肩に担いで牢に戻っていった。

 

翌日、ルフィはヒョウじいからお礼を言われると気にすんなと言って自分の持っていた引換券を上げた。するとヒョウじいは頭を下げてお礼を言った。そんな中でルフィは見事に看守にバレないように・・・かなり無理があるが潜入してきた雷ぞうと話し合っていると雷ぞうから海楼石の手錠を解く鍵を手に入れるのにはもう少し待ってほしいと言われたので待つことにした。

 

 

〇〇〇

一方、ゾロは寿司代を立て替えてくれたトの康に誘われて博打で勝ちまくってから一緒にえびす町という場所に来ていた。

 

()()()()()()()町だとゾロは思っているとトの康は笑顔のえびす町と紹介した。トの康はどうやら町の有名人のようで人が集まってきていた。それを黙って聞いていたゾロは近くにあった椅子に座ると小さい子が水を持ってきた。

透明な水で汚染されてる水とは違う。ゾロはひょっとして井戸が生きてるかと思って見てみると井戸は枯れて朽ち始めていて、この水が以下に貴重な水かわかると断ろうとしたが、町の皆に勧められてゾロは丁寧かつ大事にそれを飲んだ。

暫くそこでのんびりとしていたゾロだが秋水をデカい坊主に盗まれてそれを追いかけていった。

 

 

 

 

ゾロがそんな風にしている頃、ワノ国に入ろうとしていた船がいた。

 

「マーマママママ!!ハーハハハハハハハハ!!来たぜカイドウ!!待ってろ麦わら!!ゼウスも返してもらうぜ!!」

 

リンリン達、ビックマム海賊団がルフィによって潰された面子の借りを返そうと来ていた。裏社会のドンとして側面として高い情報力を持つビックマム海賊団はワノ国に入る方法として鯉達に船を引かせていた。

 

「滝を登れ!!」

 

リンリンの言葉に逆らえない鯉達はそのまま崖を登っていった。

 

「魚が滝を登るとは・・・」

「信じ難いペロリン♪・・・しかし、ママ!最近は凄い張り切ってるなペロリン!」

「ハーハハハハハ!!カタクリに動けと言われたからねぇ!!あのガキ・・・誰が置物系のボスだよ・・・暴れまくってやる!!」

〘・・・気にしてたんだ・・・〙

 

以前、ハンテンダケでマダオになったカタクリから言われた事を気にしていたリンリンは色んな意味で燃えていた。そして船が滝を登った瞬間に飛んできたプテラノドンによって蹴り落とされた。

 

「マッ!?」

「プテラノドン!?」

「ってことはまさか・・・」

「キング〜〜〜〜!!!」

 

蹴飛ばしたプテラノドンはカイドウの腹心である百獣海賊団のNo.2であるキングだった。

 

「たかが船一隻に何を手間取ってる・・・全く・・・」

 

船を叩き落したキングは呆れていた。リンリンはワノ国の海の中に沈んでいったのを確認するともうこっから出てくることは無いなと思ったのと仮に大丈夫だとして同じ能力者ゆえに今、確認する事が出来ないのもあってキングは無能力者であるウェイターズに指示しようと戻っていった。

 

 

 

〇〇〇

他にもサンジが幹部である飛び六砲の1人であるページワンと戦闘したりとルフィ達が来てからのワノ国の夜は騒がしかった。

翌日、兎丼ではキッドが脱獄したのでルフィが関与を疑われていたが本当に知らないのでそのままにしてると昨日、団子の引換券をあげたヒョウじいが看守のサソリのSMILEであるダイフゴーと看守長のババヌキに嬲られていた。

 

「ズルはいけねぇなジジイ、メシは働いた分しか食えねぇルールだ」

「そうだ。働けねぇなら餓死しろ」

 

ダイフゴーに蹴られながらもヒョウじいは何の義理もないルフィが折角分けてくれたきび団子を大事に全て食べた。それを見たダイフゴーがヒョウじいを掴み上げた。

 

「券を誰に貰った!?ろくに働けねぇてめぇがこんなに持ってるのはおかしいだろ!?共犯者の名前を言え!!」

「死んでも言わねぇ!!・・・若造め、義を貫き弱きを助け強者に屈せず・・・あの男の“任侠”にゃあ“任侠”で応えねぇと格好がつかねぇ・・・」

「あぁ!?」 

「さぁ殺せ!!あいつに会えて懐かしい気持ちになった・・・男「花のヒョウ五郎」久しぶりに腹も心も満たされ候!!ーーここは侍の国!!昔はあんな男達が・・・いっぱいいたんだ!!お前らが皆殺しちまった!!俺達は強者に勝てなかった・・・」

 

ヒョウじいは遺言のように腹に溜まっていた物を全て吐き出した。そして負けてここにいるのが悔しくて泣いているとダイフゴーに突撃してくるルフィが見えた。

 

「じじー!!」

「!?ダメだよせ!!これ以上は・・・」

 

ルフィを止めようとヒョウじいは声をかけるがもうすでに蹴る体制になっていた。

 

「・・・泣かせるなよ」

 

そしてルフィはヒョウじいを掴んでいたダイフゴーを蹴り飛ばした。場は騒然となった。看守に手を上げた物は死刑になる。看守長のババヌキも蹴られたダイフゴーもルフィを殺そうとした最中、百獣海賊団の大看板でNo.3のクイーンがやってきた。

 

クイーンはルフィとヒョウじいを捕まえて座らせてとりあえずルフィには手下になれば生かしてやるとカイドウが言ってる事を伝えたが当然ルフィはそれを断った。

クイーンは手っ取り早く心を折る方法を考えて大相撲地獄をやることにした。

 

ルールは簡単、ルフィとヒョウじいに特殊な首輪を付けて土俵からどちら片方だけ出ても死、途中で百獣海賊団に入ると決めたならルフィだけ釈放、勿論ルフィとヒョウじいは素手でかたや相手は武器あり、数あり、首輪なしと永遠に人を際限なく送るという物だった。

だが流石にこれだとルフィに分が悪すぎるのでクイーンはアメとムチくらいの感覚で海楼石の錠を外してやった。

 

「うひょー!やったー!!もう逃してくれたのと同じじゃねぇか!!」

「首輪の事、忘れてねぇかお前!?・・・ったくこっちは“千両道化”との戦争準備で忙しいってのによ・・・」

「ん?バギーがどうかしたのか?」

「あ?・・・まぁ、どうせウチに入るか死ぬかしかねぇから教えてやる!俺達はなシーザーのアホが作り上げたSMILE部隊ギフターズと真打ちが海外でどれ程実績を上げられるのかの実験に王下七武海“千両道化”のバギーと戦争するって決めてんだよ!!あそこは良い感じに力比べが出来そうな程大勢いるからな!」

「へぇ~、そうか」

「軽〜!!??お前、恋人の父親に対して冷たくね!?」

「あいつは・・・いや、言った方が良いんだっけ?・・・」

「何をごちゃごちゃ言ってる・・・ふ、そんなお前に朗報でもくれてやる。これをやった暁には娘のウタも連れてきてやる!!」

 

クイーンの言葉にルフィは固まった。いや、バギーが狙われてると言われてたのでそこからウタも同じだと思えれば良かったがウタの父親はシャンクスと赤髪海賊団だと刻み込まれてるルフィは気づけなかった。

 

「ムハハハハハハハハ!!驚いてるようだな!?赤髪との決闘に勝ったらしいがフェイクニュースに決まってる・・・あんなピエロにウチの軍団が負けるわけねぇ!!勝った暁には全て奪う・・・敗者や弱者に人権はねぇ!!男は労力に女は慰み者だ!!さぞかし歌姫の声は艶めかしいだろうな!お前もウチに入るなら一晩くらいは・・・」

 

クイーンの下劣な言い分にルフィは我慢できなくなった。そして余計にカイドウに負けられない理由が出来た。

 

「ゴムゴムの火拳銃!!」

「ブボバッ!?」

 

怒り心頭のルフィの火拳銃がクイーンの腹にめり込みそのままふっ飛ばした。クイーンはそのまま立ち上がるが腹を抑えていた。

 

「クイーン様!?」

「嘘だろ!?巨漢のクイーン様を!?」

「さっきまで海楼石を付けてて疲れている筈なのに!?」

 

外野がルフィに対してあれこれ言ってくるがルフィは無視してクイーンを見ていた。手応えはあったがあれで倒れてるとは思ってなかった。

 

「やるじゃねぇか小僧」

「ウタには指一本触れさせねぇ!!こい風船デブ!!」

「風船デブ!?・・・ムハハハハハハ!!しかし、なるほどカイドウさんが欲しがる強さだ・・・お前ら、とっととやれ」

 

クイーンはそう手下に言うと武器を持った手下が土俵に上がってきた。クイーンはそれを見ながら椅子に座った。

 

「あ、てめっ!!こっちにこい!」

「やだね、聖者でも相手にしてんのか?この場においてお前は下だ、精々生き残ってみろ」

「修行が終わったら、カイドウとやる前にぜってぇぶっ飛ばしてやる」

 

ルフィはクイーンを睨みながらそう呟いてると大勢の手下がこっちに向かってやってくる。ルフィは近くにいるヒョウじいを守りつつも取り敢えず小手調べに覇王色の覇気をぶつけると襲いかかってきた全員が気絶した。

 

「次はまだか!?こんなんじゃ相手にならねぇよ」

「ムハハハハハハ!!楽しくなってきたな!!」

 

 

〇〇〇

ルフィとヒョウじいはクイーンが仕掛ける大相撲地獄を乗り越えていた。見聞色の覇気の未来視を使ってルフィはヒョウじいに来る方向を指示して上手く立ち回らせていた。

 

(ほう、未来視も使ってるなあいつ・・・うちはどっちかって言うと武装色よりが多いからな・・・珍しいな)

 

クイーンはルフィが何をやってるのか理解すると呑気にお汁粉を食べながら見ていた。腹に一撃は予想外だったが余興には持って来いだった。

 

そんな中でルフィとヒョウじいはギフターズのアルパカマンとマジロマンの相手をしていた。ヒョウじいに指示を出してアルパカマンの相手をさせてる中でルフィは2年前にレイリーに見せてもらった触れずに相手をぶっ飛ばす武装色の覇気をやろうとマジロマンに向かっていって寸止めしてみたが出来なかった。

 

「違うなぁ〜、ただの武装色だ」

「次はどっちだい麦わらの人!!」

「そのままだ」

 

ヒョウじいに聞かれたルフィはアルパカマンの攻撃を交わしつつも担いで上げた。

 

「わ」

「シシシ、この方が楽だな」

「いや滅相もねぇ下ろしてくんな・・・これ以上迷惑は・・・」

「もっと重い方がいい!修業になる!」

「・・・この状況でお前さんという人はさっきから寸止めの拳を打つたびに「違う」「違う」とは一体!?」

「寸止めしてぇんじゃねぇ!触らずにぶっ飛ばす拳を打ちてえんだ。そしたらカイドウのあの硬えウロコを壊せる気がして・・・やるまでわかんねぇけど・・・見た事はあるんだ!同じ武装色の覇気の筈なんだけど・・・」

「・・・覇気とは海外の概念だな」

 

ルフィの言葉を聴いてヒョウじいは先程までとは違って冷静に自分の中にある物を絞り出すかのように話し始めた。ルフィはアルパカマンとマジロマンの攻撃を避けながらそれを聞いていた。

 

「麦わらの人、ワノ国にも体を伝い刀身に纏わせる力がある。ワノ国で覇気を流桜と呼んでいる・・・昔豪剣でならしたてまえがご教授できるか分からねぇが・・・」

「あ!ジジイ!!」

 

ヒョウじいはルフィの背中から降りてアルパカマンに突っ込んでいった。ルフィに指示を貰って剣を避けるとヒョウじいは右手に武装色の覇気を込めてアルパカマンを手を触れずにぶっ飛ばした。

 

「弾いた〜!!」

「うぉー!!?ヒョウじいがギフターズを討ち取った!?」

「ムハハハ!!まだ若いな!!」

 

ヒョウじいの実力にルフィとガヤは驚き、クイーンはまだまだ健在な任客のヒョウじいの実力に笑っていた。

 

「お前さんのやりたい事がもしコレなら・・・少しは力になれるかも知れねぇ・・・」

「お、教えてくれ〜!!それだ!!」

 

ルフィはヒョウじいからこの大相撲地獄を使って覇気の修業を続けることにした。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、秋水を奪われたゾロは追い剥ぎ僧兵の牛鬼丸と対峙していた。ワノ国の国宝でもある大業物「秋水」だがゾロはスリラーバークで本来の持ち主である剣豪リューマのゾンビから手に入れたのもあって大事な刀だった。やいそれと簡単に返せなかった。どうせならドレスローザで言われたように錦えもんとか実力のある侍と勝負で決めたかったのもあってこんなどさくさ紛れじみた物で返したくなかった。

 

牛鬼丸と対峙しながらゾロは「秋水」を取り返そうとしていると誰かが走ってくるのが見えた。

振り向くとそこには笑う女の子を連れた女が走ってきた。彼女は小紫ことモモの助の妹である光月日和・・・今はワノ国一の花魁だが抱えてる少女・・・おトコが付き添いをしてる最中、将軍であるオロチの宴の席で笑ってしまい、おトコが殺されそうになる中で昔からの家臣で今はオロチの忠臣として生きてる狂死郎こと傅ジローの手助けもあって上手く死を偽装し、おトコを連れて逃げていた。

 

「ファッファッファッ!!」

 

しかし、今はオロチの手足として動いてる鎌ぞうことキラーが後ろから鎌を奮って殺そうとしているとゾロは日和の手に血が流れてたのを見たのもあってすぐに距離を詰めてその鎌から身を守ってあげた。

 

「お前は下手人のゾロ十郎だな!?なぜ、その女を助ける!?女!!なぜお前はそのガキを助ける!?」

「・・・お前、何者だ?」

「ファッファッファッ!!さぁな・・・ロロノア」

「・・・へぇ〜、色々と聞きたい事が出来た・・・無理矢理でも吐かせてやる」

「ファッファッファ!!」

 

ゾロは二本の刀でキラーは二本の大鎌で、互いに本調子ではない戦いが始まろうとしていた。
















 



というわけでルフィとゾロも着々と進んでおります!!
とりあえず、次回かその次で兎丼から脱出まで出来ればクロスギルド・・・というかバギー暗殺編・・・が始められそうなので頑張ります。
さて次回はゾロVSキラーをやって、ルフィをある程度進めてその次の回でルフィを兎丼から出せるように頑張ります!!
・・・・さてどこを削ろう・・・


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Killer

はい、お待たせしました!!
端折すぎて申し訳ございませんが私も筆が進まなくなって書けなくなりそうだったので誠に最低ながら折らせていただきました。


ゾロは大鎌を持っていたキラーと睨み合っていた。

 

「俺の事を知ってるって事はカイドウの手下か?」

「ファッファッ、さぁな俺の目的はあの女が持ってる笑い袋のガキ1人だ」

 

キラーはそう言いながら日和が抱いているおトコを鎌で指して言うとおトコは笑った。

 

「笑い袋?キャハハハハハハハハ!!」

「おトコを執拗に狙うなんて、人斬り鎌ぞう。あなた都じゃ無差別な辻斬りとして振る舞ってるけど本当はオロチの刺客ね?」

「将軍を呼び捨てとは・・・貴様、何者だ?」

 

ゾロはまた厄介なのに巻き込まれたと思いながらどうしようか考えていた。

 

「お侍様、どうかお助け下さい。お礼なら以下ようにも」

「・・・そりゃ、まぁ眼の前でガキと女が殺されるのを見過ごす気もねぇが・・・酒とメシで手を打とう」

「ぜひ!」

「よしのった!」

「構わん!邪魔する奴は全て殺せと言われている」

「上司がいるやつは斬ると後々面倒そうだ・・・」

「心配無用、死ぬのはお前だ!!ファッファッファッ!」

 

キラーはそう言い切ってゾロの頭を狙って大鎌を振るうが受け止められた。ゾロも早々に終わらせようとキラーの胴体を目掛けて斬ろうとするが武装色で硬化した大鎌の柄で防がれた。

 

(武装色・・・やっぱただもんじゃねぇな)

 

ゾロは両手の刀を武装色で硬化するとキラーに突っ込んでいった。

 

「二刀流 弐斬り“登楼”!!」

「ファッ!!」

 

2つの斬撃がキラーの頭を下から斬り上げようとするがキラーは紙一重で交わして大鎌を振るってくるがゾロはそれを受け止めた。

 

(コイツ強えな・・・面白ぇ)

 

ゾロは元来の戦闘狂としての側面が出ると笑い、刀を振るう。斬撃を飛ばして狙うも防がれて逆にキラーが大鎌で斬撃を飛ばしてもそれを防いだりと戦いは段々と長くなってきた。

 

そんな中で完全に蚊帳の外になっていた牛鬼丸はその様子を見た後で隙を付いてゾロを薙刀で刺そうとした。

 

「隙あり!」

「うおっ!?」

 

牛鬼丸にとってゾロは国宝を盗んでいた悪人に他ならないので狙うのは当然だった。邪魔してきた牛鬼丸を睨むゾロだがその隙をキラーに付かれて右肩を大鎌の刃先で貫かれてしまった。手応えありとキラーは思ったが大鎌を抜こうとしても引き抜けなかった。

ゾロが咄嗟に肩に力を入れて抜けれなくさせた。

 

「ん!?抜けねぇ!!」

 

キラーは抜けないと分かると全く躊躇なくその大鎌を捨てて残りの1本を構えて、ゾロの頭を狙うが体勢を低くされ避けられた。

 

「借りるぞ」

 

ゾロはその刺さってる鎌を引っこ抜いて口に加えた。刀3本の方が良いが無いのでそれで間に合わせた。

 

「三刀流 煉獄鬼斬り!!」

 

両腕を交差し突進しながらキラーの胴体を斬りつけたゾロは倒れてるキラーを一目見たあとで牛鬼丸を睨むと肩から流れてる血を見て判断したのか牛鬼丸は笑い、その場を去っていった。ゾロは追いかけようとしたが腹が減って倒れた。

 

 

 

〇〇〇

一方、昨日キングによって船から叩き落されていたリンリンは海岸に運良く流れ着いていたが記憶を失っていた。リンリンを知らない玉とお菊の2人が仲良くなったのもあってチョッパーとモモの助と共におこぼれ町にいたが記憶を失ってもなおお菓子を求めたリンリンはお汁粉が欲しいと言い始めてチョッパーは嘘をついて兎丼にあると言って一同は兎丼を目指していた。

 

そして兎丼ではクイーン到着から1日経って大相撲地獄が再開された。クイーンは腹が減ってるから今日中に終わるかと思っていたがルフィとヒョウじいは雷ぞうが盗んできたお汁粉を食べて腹いっぱいになり太っていた。

 

「お前ら何で太ってんだ!?」

(だから食べすぎるとバレると言ったのに!!)

 

ツッコむクイーンに遠くから雷ぞうが食べすぎたルフィとヒョウじいに怒っていた。

 

クイーンはお汁粉が全て食べ尽くされている事に気づかずにそのまま大相撲地獄を再開した。

昨日と同じように沢山やってくる手下達。

ルフィはヒョウじいから教えてもらいながら修業していた。

 

『ワノ国では覇気を流桜と呼ぶ。流れる・・・不必要な場所の覇気を拳に流すんだ』

 

昨日ヒョウじいに言われた事を思い出しながらルフィは敵をぶん殴るが普通に硬化して殴っただけだった。まだまだモノに出来てない中でそれを見ていたクイーンはカイドウに花魁の小紫が死んだ事になって葬式が行われる事を伝えてもらうと泣き始めた。

突然のクイーンの泣きに場は騒然となって光画タニシによってその葬式の映像が映されると葬式だけじゃなくある死刑執行の様子も映し出された。

 

ゾロをえびす町に連れて来たトの康の死刑だった。ゾロと別れた後でウソップやナミ達と出会ったトの康はオロチ反逆の火種としての知らせでもある判じ絵をばら撒いた罪と役人から金を奪ってあちこちの貧困層にばら撒いていた丑三つ小僧として死刑になることになった。

 

トの康が磔にされた瞬間、ワノ国の人間はその正体がワノ国の元大名である光月家家臣の康イエだとわかった。20年も前に敗れた光月家の家臣の顔が忘れ去られてない事に嬉しさを感じた康イエは殺される間際にオロチを罵倒し、判じ絵は悪戯であったとして錦えもん達に追手が回らぬようにした。

それに対して激怒したオロチが銃を持って康イエを撃ち殺した。

あまりにも悲惨な光景にワノ国の人間は()()()

クイーンや兎丼の看守たちはそれを見て嘲笑っていた。

 

「ムハハハハハハハ!!見ろよ、あいつらイカれてるぜ!!元大名の処刑をみんなで笑うとは!!」

 

嘲笑ってるクイーンや看守達をよそにヒョウじいはそれを見て泣いていた。ルフィは間近でそれを見るとその死刑の様子を睨んだ。

 

「理由があんだろ?あいつが誰であっても死んで笑われていい奴なんている筈がねぇ・・・!!」

「・・・おそらくSMILEの影響だ」

「SMILE??」

「あれを食って能力を得られなかった奴は笑うことしか出来なくなる・・・色んな感情が奪われる」

 

ルフィはヒョウじいからそれを聞くとカイドウを死んでもぶっ飛ばす理由がまた1つ出来たと思いながら見てると死刑場では死んだ康イエに近づくおトコを守る為に日和から手当をしてもらって一晩寝たゾロと町に潜伏していたサンジ、そしてフランキーにウソップ、ナミ、ロビンが暴れて康イエの死体を奪ったのが見えた。

 

「よし、行けお前ら!!やっちまえー!!」

「お前さんの仲間かい!?麦わらの人!!マズいぞこれは!!」

「いや!!行けゾロ、あんなゴミクズ斬っていい!!」

「お前のツレか麦わらぁ!!オロチの首を狙うとは!!」

 

ルフィがゾロ達を応援している最中に新しい罪人が入ってきた。それはゾロに昨日敗れたキラーと脱獄していたキッドだった。キッドを捕まえた者はキラーを連行中に叫んで近づいてきたキッドを撃って連れて来たと言った。

 

「ギザ男!?折角逃げたのに自分から捕まったのか!?」

 

ルフィがそう言っているがキッドは笑ってるキラーを見ていた。

 

「その笑い方・・・昔から嫌いでいつの頃からか大笑いをやるのを止めて・・・マスクで素顔を隠すようにもなったよな・・・なのにどうしちまったんだ!?俺と離れた後でカイドウに何をされた!?オロチか!?皆はどこへ行った!?」

「ファーファッファッファッファッファッ!!」

「答えろよ!!おい、キラー!!・・・誰が俺の相棒をこんな目に合わせた!?」

 

キッドは相棒であるキラーにそう叫んだが泣きながら笑ってキラーは何も答えなかった。

クイーンはそんな光景を嘲笑いながら、2人を鎖で繋いで水の中に沈めた。

 

「あっ!?」

「待たせたな大相撲地獄を再開するぞ♪♪」

 

クイーンの言葉を聞いたルフィはそっちを向くと新しいルールが追加された。

 

「ルールの追加だ。お前らが生きてる間、あの2人は水の中にいるってゲーム♫つまりお前らが死んだ時のみあの2人を引き上げる」

「バカいえ!!俺とあいつらは関係ねぇ!!」

「勿論そうだが、少し動揺してるのはどうしてだ?同じ時代を戦うライバルだからか?お前達が早く死んでやるのも1つの手だぞ??」

「だったらお前が土俵に上がれよ!!」

 

ルフィは下劣な事ばかりやってくるクイーン目掛けて手を伸ばすがクイーンは難なくをそれを受け止めて払った。

 

「ーー誰にモノを言ってんだてめぇ・・・調子に乗んじゃねぇよ小僧!!本気で俺達に勝てると思ってんのか!?お前らは1人ずつ死ぬんだよ!!」

「うるせぇ!!俺の死に場所は俺が決める!!」

 

ルフィがクイーンに向かって叫ぶとその瞬間、門がぶち破られてそこから記憶喪失中でも依然として強さが健在なリンリンがお汁粉を求めてやってきた。

 

「ビッグマム〜!?何でここに!?船は沈めたって聞いたぞ〜!?」

「なんだいそれ?美味しいのかい?それよりもお汁粉の良い匂い〜!!お玉ちゃ〜ん、こっちにおいで〜!!お汁粉を沢山食べよう!!」

 

リンリンはビッグマムという自らの異名に気づかずに友達になったお玉を呼んだ。クイーンはお汁粉という言葉に反応すると今日はまだ食べてないのに加えて先程からの苛立ちもあって自らの能力のリュウリュウの実モデル“ブラキオサウルス”の力で獣型の“ブラキオサウルス”に変身するとリンリンを睨んだ。

 

「ふざけんなババア!!お汁粉は全て俺の物だ。一滴たりともやるか!!」

「いいからお汁粉を寄越しなぁ!!」

 

リンリンは埒が明かないとわかるとクイーンを思いっきりぶん殴って振り回し始めた。その拍子にキッドやキラーの水場は壊れてルフィはそれを見ると少し安心した。

回しまくってクイーンをKOしたリンリンは近くにあったお汁粉が入っていた樽を開けると昨晩の内にルフィとヒョウじいが食べてしまったので当然中身は空だった。

お菓子好きで有名なリンリンが目当てのお菓子がないとどうなるか分からないので看守達はパニックになってる最中、無事にキッドらが生きれたのもあって気が抜けていたルフィはうっかりを口を滑らした。

 

「悲しみわかるなー、俺ももう一回食いてぇもん。昨日のお汁粉美味かったなぁ!!」

「おい!!麦わらの人!?」

〘犯人はお前かー!!!〙

 

うっかりと口を滑らせたルフィはリンリンに睨まれて土俵を壊す拳を振り抜かれた。何とかヒョウじいを連れて避けて色々と止めよう説得するがルフィに関して全く記憶のないリンリンは止まらずに2人を問答無用で土俵から出した。

 

「ジジイ!!」

 

首輪から警告音が鳴り、ルフィはヒョウじいのだけでも外そうと手にかけるが一向に壊れない、無我夢中で外そうと足掻いたルフィは土壇場になって覇気を流してヒョウじいと自分の首輪を壊して捨てた。

覇気を流すという事が初めて成功した。

 

その後、ヒョウじいを守る為にルフィはリンリンの拳を弾こうとしたが成功せずに壁にめり込んだ。何とかものにしようとヒョウじいはルフィに先程首輪を破壊したのは覇気を流して内部から破壊する一段上の覇気とだけ伝えると武運を祈って分かれた。

 

あまりの自体に看守達はカイドウに連絡しようとするが雷ぞうや兎丼に何故か捕まっていたが雷ぞうが盗んだ海楼石の手錠の鍵で自由になったカリブーのお陰でスマートタニシの通信が遮断されて連絡が取れなくなっていた。

 

ルフィはそのままリンリンに追われながらも兎丼を一周すると復活したクイーンが上からリンリン目掛けて強烈な頭突きを食らわせたがリンリンの記憶を呼び起こしただけだった。

流石の自体にクイーンは冷や汗が止まらなくなるがどういうわけかリンリンは気絶してしまったのでクイーンはその隙にルフィとかキッド達なんかほっぽり出してリンリンに海楼石の錠を繋げて鎖をぐるぐる巻にして麻酔を大量に打ちながら鬼ヶ島に連れて帰っていった。

 

最低限しか残っていない兎丼で、ルフィはチョッパーやお菊、雷ぞう、そして最初の時に魚の骨を飛ばして看守を傷つけていた河童の河松が雷ぞうとリンリンの大暴れによって外に出られたので合流して暴れ始めるとババヌキとダイフゴーがクイーンの作ったウイルスを使った。

 

触れれば忽ち感染し、死に至る上に全身が焼けるような痛みに血が吹き出して最後は干からびる奇病“ミイラ”。

 

ババヌキやダイフゴーは心がへし折れてる囚人を使ってルフィ達を殺そうとするもルフィは自ら感染されに行った。

心がへし折れてる上に死にかけの囚人にとってルフィ達は敵でしかなかったが自分から感染しに来るルフィを見ると止まった。

 

「俺はカイドウに勝ちに来たんだ!!味方にそれを邪魔される筋合いはねぇ!!だからここで今すぐ決めろ!!俺達につくか、カイドウにつくか!」

 

ルフィがそう言うと囚人達は止まった。殆どの囚人がオロチの反逆として捕まえられてる兎丼で看守に立ち向かって大相撲地獄を生き抜いていたルフィを見てきた囚人達は自分から感染してきた上にそれを言い切ったルフィの言葉を信じたくなった。

 

ババヌキがそれを見ると殺そうと腹のゾウで爆弾を発射しようとすると未来視したルフィがヘロヘロになりながらもそれを阻止して倒れた。

最後の最後まで反逆し続けてきたルフィを見ると囚人達も看守達に立ち向かっていき、兎丼を制圧した。

 

キッドとキラーは脱出して自分達の仲間と共にいずれルフィも倒すとだけ行って兎丼を去った。

 

その後、モモの助とお玉が騒然となってる兎丼に入ってきたのもあってSMILEを食べたギフターズはお玉がきび団子で掌握して、囚人達は生きていたおでんの実子のモモの助の前に跪いて兎丼は完全に掌握した。

ルフィはそれからチョッパーの作ったワクチンのお陰で回復し、ヒョウじいと修行を再開し始めた。

 

一方、ゾロは秋水は絶対に返せないと日和から言われると代わりにおでんから受け継いだ大業物の「閻魔」を譲り受けて貰ったが使う者の覇気を無理矢理出し続ける閻魔の特性に苦戦しつつもモノにしようとゾロもまた修業を始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィ達がワノ国に入って1週間が経った頃、世界は大変な事になっていた。

世界会議が革命軍が起こした天竜人のチャルロス聖の暗殺未遂事件とサボが起こしたとされるコブラ王の殺人事件、そしてマリージョアに来ていたビビの失踪に首謀者とされたサボが行方不明。またその場に居合わせた大将の緑牛と藤虎が革命軍と戦った事もあって大混乱になってる最中に大将の緑牛は世界会議で決定された七武海撤廃と同時に言われた五老星からの任務を受けてCP-0のロブ・ルッチと同じく大将の黄猿と共にある場所へ大量の軍艦を連れて向かっていた。

 

「全く大変だねぇ〜、アラマキにロブ・ルッチも世界会議で忙しかったのに休む暇もなくこっちに呼び出されるなんてねぇ〜」

 

黄猿ことボルサリーノが同じ軍艦にいる緑牛ことアラマキと管轄が違うが一応同じ政府に仕える役人のロブ・ルッチを労った。

 

「らはははははは!!ボルサリーノさん、ありがとよ!!けど大丈夫だぜ、すっかり養分を吸って回復した・・・」

「労いは結構だ。今は“千両道化”のバギーの首を取るのが任務だ」

「しかし、本当にこれだけの戦力が必要なのかねぇ〜??赤髪のシャンクスに勝ったのだって実力か怪しいもんだと思うけどねぇ〜??それに本来は初の実戦投入するつもりだったセラフィムを禁止にしてまで〜」

「実力を侮ってやられるより警戒してやった方が良いって事だ。相手を舐めてかかってセラフィムを拿捕されるよりは使わずに今いる戦力で当たったほうが良いと言うことだ」

 

黄猿のボヤキにロブ・ルッチは律儀にそう答えた。2年前から暴れて自分も負けたルフィの事を思い出しながら言った。

 

「おお〜、真面目だねぇ〜・・・まぁ、何でも鷹の目も一緒にいるって報告もあるみたいだし、気を引き締めて行こうか・・・」

 

 

〇〇〇

「さぁ、気を引き締めチャッブルよコアラ!!」

「うぅ~、イワさん・・・でも・・・サボ君・・・」

「泣くのは後でしなさい!!今はバギーズデリバリーの座長であるあのビッグノーズの確保が先よ!!革命軍でしょうが!!」

 

サボが起こしたとされる暗殺事件だけじゃなく、サボ本人も行方不明という事もあってコアラは気が気じゃない状態なのに運悪く重なってしまったバギー拿捕の任務でイワンコフとカライバリ島の近海に来ていたが集中出来ないでいた。

 

「根性見せなさいコアラ!!サボはコブラ王を暗殺してないし、生きてる!!バカみたいに信じるしかないブルよ!!」

「イ、イワさん・・・そ、そうだよね!!サボ君は大丈夫だよね・・・よし!!頑張る!!」

「そのいきブルよ、コアラ!!」

 

革命軍もまたバギーを狙って動き始めていた。


























というわけで次回からクロスギルド編です。
暫く掛かります・・・というか三つ巴の大戦争です。
その中心にいるのがバギー・・・マジで不運だね!!

コアラとイワンコフも参戦して大混乱になると思いますがご期待を・・・因みにこれの終わらせ方はもう出来ています。


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戦争

お待たせしました!!
それではどうぞ!!


バギーはカライバリ島の本部の自室で寝ていたが突然と呼び出されて海岸が見える所にクロコダイル、ミホーク、ウタ、ペローナと共に来て海を見ると凡そ30隻を超える軍艦の群が海岸線を占領していた。

 

「げぇ!?もう来やがった!!」

「だからさっさと引き上げろって言ってたんだ」

「・・・ここまで危機感が低いとは・・・」

 

慌ててるバギーにクロコダイルとミホークは呆れていた。あれ程忠告してたのにカライバリ島から出なかったバギー。何処かやはり楽天的に考えていたのだろうが危機感が無さすぎた。

 

「ドハデにやべぇ・・・マジでどうしよう・・・」

「おじさん、どうする!?」

「流石にヤバいだろこれ!?逃げようぜ!!」

「もう海岸線は防がれてる・・・おまけにこの気配・・・大将クラスが最低2人は乗ってるな。下手に逃げられん」

「「嘘〜!?」」

 

ペローナが狼狽えてるバギーや心配してるウタに逃げようと言うもミホークが見聞色の覇気で大将クラスが乗ってる事を言うとペローナとバギーがこの世の終わりかと言うような顔になった。

 

『あーあー、こちらは海軍中将のステンレス!!先日、世界会議において七武海の完全撤廃が言い渡された。七武海の実害を受けた二国の王の議案により3日目の議論の末に撤廃・・・これにより貴様ら王下七武海の権限は自動的に全て剥奪されて世界政府との関わりは一切なくなった・・・つまりバギー!!貴様はもうただの海賊だ!!』

 

ステンレスの説明を聴いたバギーはここ最近・・・というかウタと関わってから基本的に運勢が落ちてきてストレスが溜まっていたのもあって電伝虫を取ってキレた。

 

『用済みになったから相談もなしに引っ捕らえるだぁ!?仁義もクソもねぇ奴らだ!!クロコダイルやドフラミンゴに出し抜かれたお前らが無能だっただけだろうが!!へっぽこカス海軍がぁ!!』

『遺言はそれで良いか“千両道化”!!こちらには大将の黄猿と緑牛も乗ってる!!赤髪との接触以降、何を企んでいるのか知らないが貴様の1人の父親として真っ当な死に方をまだ望むなら抵抗せずに大人しくお縄を頂戴しろ!!』

『うるせぇ!!誰が頂戴するか!!そもそも七武海に大将2人連れてくるってアホかお前ら!?』

『貴様が赤髪に200勝してるのは知ってる!!世経も先日赤髪本人に取材した所、否定しなかった!!こちらは本気で戦争をやる覚悟で来た!!』

 

先日、ウタがうっかり漏らしてしまった水泳での200勝の件が非常に曲解されまくってより大事になっていた事に対してバギーはウタを睨むとウタはさっと視線を反らした。

 

「あのバカも否定か訂正しとけよ・・・俺は水泳とか軽いゲームで勝ってただけなのに・・・」

「え〜っ!?マジで!?」

 

バギーが否定も訂正もしなかったシャンクスに愚痴愚痴と愚痴ってるとその事実を知ったペローナが驚いて口をあんぐりしていた。

 

「さてと、おいバギー・・・用意しとけって言ったあれはたんまりとあるんだろ?合図を出せ」

「えっ!?マジでやるのか!?」

「実験には丁度いい・・・合図を出せ」

「早くしろ」

「あの〜、全員でトンズラってのは・・・」

「「却下だ」」

 

クロコダイルとミホークが鉤爪と剣を向けてくるとバギーは2人にビビりながらも広場に出た。自分の手下達は心配そうに見てくるが全員、バギーを見ると銃器を持ち上げて覚悟を決めた目を向けた。

 

(・・・あぁ、こうなりゃやけだ!!)

 

決心したバギーは腹を決めて大声で指示を出した。

 

「てめぇら!!大勢の海軍が向かってくる!!仁義もクソもねぇ本物の外道共だ!・・・だがてめぇらはこの俺!!泣く子も黙る伝説を生きる男“千両道化”のバギーの仲間だ!!さらにこっちにはサー・クロコダイルと“鷹の目”のミホークもついてる!!・・・そしてお前らの持つ銃器はマギー玉を打てるように改造した特別製!!マギー玉も腐る程作った!!・・・これに後は気合があれば負けねぇ!!根性見せろ、てめぇら!!」

『うぉぉぉぉぉぉぉー!!!!』

 

クロコダイルに言われてから何もしなかったわけではなかった。すぐに大戦争が起こっても良いようにと全ての銃でマギー玉を撃てるように改造したし、バギー玉も沢山用意はしていた。本当は逃げたくてしょうがないバギーのヤケクソの号令を聴いて手下達は準備を始めた。

 

「急げ急げ!!」

「大砲の玉は全てバギー玉にしろ!!」

「銃器の玉は全てマギー玉にしろ!!」

「大量の油を用意しろ!!」

「酒もだ!!」

 

手下達がバギー玉に加えてマギー玉、油に酒と引火しやすい物を全て樽で用意して迎え撃とうとしていた。

バギーは一旦、自室にあるマギーバルカンを手に持って巨体に見せていたロープを脱いで準備するが足どころか全身が震え始めてビビっていた。

 

「あぁぁぁぁ〜・・・もう終わりだ・・・俺の人生台無しだ・・・大将2人なんて無理だ・・・逃げてぇ・・・思っくそ全部捨てて逃げてぇよ・・・逃げてぇよ」

 

一方、ウタはロープを持ってバギーの部屋に入ろうとしたが怯えて蹲っていたバギーを部屋の扉の隙間からから見てしまうと足が止まった。

 

(今は行かないほうが良いのかな?)

 

ウタはそう思いながら隙間から覗いていたが何とか立ち上がったバギーは気落ちしながらも扉を開けるとウタと顔をあわせてしまった。

 

「ウタ?」

「あ、おじさん・・・」

「お前・・・ひょっとして聞いてたのか!?」

「うっ・・・その・・・ごめん!!」

「・・・なぁ・・・聞いていいか?」

「な、何?」

「お前のエレジアのライブに俺はいるか?」

「えっ?」

「どうなんだ!?早く答えろ時間がねぇ!!」

 

ウタはバギーの質問の意味が分からなかった。そんなの当たり前だった。自分にとって命の恩人で憧れの男でもあるバギーが居ないライブなんて考えた事もなかった。

 

「勿論だよ・・・当たり前だよ・・・おじさんが居ないライブなんて考えた事ないよ??おじさんがあの時助けてくれたからアタシは今、ここに居るんだよ?」

 

ウタの心からの言葉を聴くとバギーは泣きたくなってきた。純粋にここまで慕ってくれるウタに嬉しくなったし、そんな気分が盛り上がることを言われてバギーはもう少しだけ頑張ろうと思えた。

 

「・・・ありがとよ・・・さてドハデにいっちょやるか!」

 

バギーはそう言うとウタの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。ウタは突然とやってきてまた髪がおかしくなる下手な撫で方をされる。前は大嫌いなやり方だったし、今でも髪のセットが崩れてしまう。けど、なんだか段々とこれをされるのが嬉しく感じてる自分がいた。

顔がニヤけて元気になってくる。

バギーもそれに気づいたのか首を傾げた。

 

「なんだそのハデなニヤケ顔は?」

「うん、なんかこれをされると最近、嬉しく感じる自分がいて頑張れるんだ」

「へぇ、そうかい・・・ならこれからやる事に10ベリーな」

「はぁ!?お金取るの!?」

「おう、どうだまだ撫で撫でしてやろうか?」

「そんなケチくさい物要らないよ!!言って損した、ケチ親父!!」

「何だと!?」

 

バギーとウタはこれから戦争になると言うのにいつもと同じ感じの喧嘩をまたやり始めた。2人の顔は晴れやかで笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

クロコダイルにミホークが海岸線が見える所に立って軍艦を睨んでいたが2人とも全身から疲れてる感じが分かった。後ろには大量のバギーズデリバリーの部下達とダズにMr.3、そして銃を持ったアルビダ、カバジ、モージにライオンのリッチーに幽体になって浮かんでるペローナまでいたがバギーとウタは後方で待機させられていた。

 

「はぁ・・・なんでこんな面倒くさい事に・・・」

「良いんですかい?あのピエロを後ろにやって・・・」

「あいつが弱いと下っ端共にバレたらそれこそ瓦解するぞ・・・ここまで来てこの兵力を失ってたまるか・・・これでもしもあのカスがバレて瓦解したら俺が死んでも埋める」

 

バギーが後方にいる事に対してダズが聞いてくるがクロコダイルは折角手に入りそうな兵力にバギーが居ることで、すんなりと金を出してきた裏社会のスポンサー達を繋ぎ止める為にももう後戻りは出来なかった。

 

「最近、とことん運が無いですね」

「止めろダズ・・・なぁ、これが終わったらお祓いでもやるか?」

「・・・笑えない冗談ですね」

 

クロコダイルは大真面目にお祓いでもやってもらおうかと考えながら、これから来る戦いに備えていた。そしてミホークも思いっきり不機嫌な顔つきになっていた。

 

「おい、大丈夫か?」

「黙れゴースト娘・・・苛立ちが収まらんがちょうど良いのが来るのはありがたい」

 

面倒くさい戦いを避けられると思っていたが特大級に面倒くさい戦いが始まりそうになってる事、追われる立場なのは良いが隠れ蓑が欲しかったのも事実だが、何故にそれが弱いバギーなるのかミホークは自分の運の無さに苛立っていて思いっきりこれで発散しようと思っていた。

 

「あ、あの〜、ボスにミホーク様・・・何故にバギーはここに居ないのに我々は前に・・・」

 

Mr.3がクロコダイルとミホークにゴマすりながら言ってくると2人から睨まれた。

 

「Mr.3・・・あのアホピエロは生かしておいた方が得だがお前らは別にどうでもいい」

「・・・忌々しいがな」

「そ、そんな〜!?」

「それに・・・あのカスピエロの場合は・・・」

 

Mr.3の言葉にクロコダイルとミホークは顔を合わせて1番手っ取り早くシンプルな答えを同時に言った。

 

「「弱すぎて邪魔」」

「そ、そんな!!わ、私達も似たような・・・」

「・・・弱ぇが使い道があるピエロとそれすらねぇお前らが一緒の扱いなわけねぇだろ」

 

クロコダイルの無慈悲な言葉にMr.3を始めとした面々は暗い顔になっていた。因みにウタも居ないのは戦闘経験自体があまりない事に加えてバギーが露骨に嫌がったので同じように後方待機していた。

 

そしてそれを軍艦から確認していた海兵達はクロコダイルとガチでミホークがいる事に驚いていた。

 

「おい、あれはクロコダイルだぞ!」

「なぜ、“千両道化”の所に!?」

「“鷹の目”も本当にいた〜!?」

 

慌ててる下部の海兵達を他所に黄猿に緑牛、ロブ・ルッチはソレを見て非常に面倒くさそうな顔になっていた。

 

「これは面倒くさい事になりそうだね〜・・・あのクロコダイルもいるとは・・・」

「一体、あのピエロとどういう接点があったんだ?・・・人望か?」

「・・・厄介だな」

 

世間一般にはバギーのクロコダイルに対する借金はシャンクスにしてるとウタがデマを拡めたせいでクロコダイルとの接点が分からずに純粋に人望かと勘違いを起こされていた。群れずに一匹狼としての側面が強いミホークもいて、よりその誤解に拍車をかけていた。

 

「まぁ、クロコダイルはインペルダウンの脱獄囚・・・“鷹の目”に関しても七武海撤廃で逮捕が言い渡されてる。全員・・・何とかしようかねぇ〜」

 

黄猿のその言葉を聴いて、海兵達はカライバリ島に向かって軍艦の大砲を向けた。

バギーズデリバリーの面々も全て()()()()にしてる大砲を軍艦に向けていた。

 

「撃てぇ〜!!」

「撃て!!」

 

ステンレスの号令とクロコダイルの命令がほぼ同時に出て大砲の玉が飛び交った。海軍の軍艦というだけあって大砲の威力も段違いだが、下手な大砲の玉より強力なバギー玉を使ってるのもあって威力自体は互角だった。

 

「なんだか・・・妙に強い砲弾だな」

「行くよ〜アラマキィ」

 

まだどの軍艦も沈んでは居ないがさっさと面倒くさい物を処理しようと黄猿と緑牛は撃ち出された玉の上に乗ったり、背中に花を咲かして飛んだりして敵陣のド真ん中に突っ込んでいった。

 

「来るぞ」

「やるか」

 

ミホークは突っ込んでくる黄猿に斬撃を放ち、クロコダイルは緑牛に向かって砂の斬撃を飛ばした。黄猿と緑牛はそれを難なくと避けて光線だったり、木の触手を飛ばしてバギーズデリバリーの海岸の防御体制を崩した。

 

「チッ!」

「これで楽にてめぇらの首を取れるな」

「あぁ?そう簡単に行くと思うなよ海兵・・・」

「やってみろ海賊」

 

クロコダイルは手に小さい砂嵐を作り、緑牛は足元から沢山の木や草を生やし始めていた。全てを砂に返すスナスナの実と自然の力そのものであるモリモリの実の力がぶつかりあった。

 

その頃、ミホークは自身の力で天叢雲剣という光の剣を創り上げた黄猿と切り結んでいたが純粋に剣の腕で上なミホークが押していた黄猿は分が悪いと分かると上空に行って両手の人差し指と親指を合わせて円を作った。

 

「八尺瓊勾玉」

 

黄猿の作った指の円から大量の光の弾丸がミホークを襲うがミホークはそれを全て愛刀の夜で弾いていた。光ゆえに圧倒的な速度で向かってる筈なのに冷や汗をかかずに処理してるミホークに黄猿は溜息が溢れた。

光の弾丸では埒が明かず、黄猿はそれを止めて足から極太の光線を発射した。

 

「返すぞ」

 

しかし、ミホークはそれを難なくと黄猿に向かって弾き返した。光線は黄猿の胴体を貫いて空の彼方へ消えていった。

 

「おぉ、今のは効いたねぇ・・・」

「嘘つけ」

 

遠距離でも有効打がないので黄猿は再び天叢雲剣を作り出してミホークと斬り結んだ。

 

大将が来た事で混乱する海岸に海軍の軍艦も次々と来始めて海兵達とバギーズデリバリーで戦いが始まった。海兵と行っても上と下で斑であり、武装色の覇気もない相手にはマギー玉がよく効いていた。

 

「負傷者を下げろ!」

「凄い威力の武器を使うぞ!!」

「怯むな!武器がどれだけ強かろうとも当たらなければどうってことない!!」

 

指揮をしてるステンレスが中心となって指示を出していた。

 

「やべぇ!!マギー玉に怯みもしねぇ!!」

「うぉぉぉ!!押し返せ!!」

「私が防具を作るガネ!!白兵戦をやるものはそれを身に着けてからやるガネ!!」

 

マギー玉だけじゃなく、Mr.3のドルドルの力の鉄よりも硬度がある蝋で部下達の全身に防具を付けさせると部下達は海兵達に立ち向かっていった。

 

「ネガティブホロウ!!」

『・・・生まれてきてすみません』

 

他にもペローナがゴーストを使って沢山の海兵達をネガティブにさせていた。当然、ペローナに向かって銃弾や斬撃が飛んでくるが幽体になっていたお陰もあって全くペローナには効かなかった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「うぉぉぉぉ・・・始まったぁ・・・怖ぇ・・・」

「・・・」

 

本部からバギーとウタはへっぴり腰になりながら海岸線を見ていた。バギーは純粋に恐怖を感じていてウタはドレスローザ以上の戦争に何も言えなくなっていた。

戦闘はやるようになったがここまでの規模の戦争は初めて体感してるウタはどういう感情になればいいのか自分でも混乱していた。

 

不安がってるウタを見たバギーはビビっていたのもあって一緒に逃げるかと言おうとしたその時、本部の広間の方が騒がしくなり、2人は顔を見合わせた。

 

「「まさか!」」

 

2人はその言葉を同時に言ってから、広間の方に向かうと大勢の部下達が倒れてる中で立っているロブ・ルッチがいた。黄猿と緑牛がミホークやクロコダイルと戦闘を始めてる最中、人知れずにここまで来て暴れたのだ。

 

「な、なんだお前は!?」

 

白服のCP-0はCP-9以上に秘匿されてる組織ゆえにバギーには誰かどこの組織か分からなかったがヤバい奴というのだけはわかった。

 

「“千両道化”のバギー・・・世界政府から首を持ってくるように命じられてる・・・」

 

ロブ・ルッチは能力で豹の人獣型になるとバギーに向かって脚から放つ斬撃“嵐脚”を飛ばしてバギーを真っ二つにした。

 

「うぉぉぉぉ!?」

「おじさん!!」

 

嵐脚の威力で広間の二階にいた2人はテラスごと破壊されて下に落ちた。バギーはすぐに体をくっつけてマギーバルカンを構えてウタもロープを構えた。

 

「海賊の子を生かし見逃す理由はない・・・父娘揃って死ね」

 

ルッチの攻撃が2人に迫った。


























というわけでワノ国でのルフィ達とカイドウの前にウタとバギーも海軍と戦争開始です。
この戦争は後、多くても3回か4回くらいで終わると思うので頑張って行きます!!


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混戦

お待たせしました!!
とあるキャラをどうしようかずっと迷ってましたが最終章に登場予定では無かったヤマトを無事に出せるギリギリの方法を思いついたのでこのキャラも出せないかと悩んで漸く満足の行く展開を思いついたので出します!!



突っ込んでくるロブ・ルッチに対してバギーは躊躇なくマギーバルカンを発射した。当然のように軽く難なくともう息をするかの如く避けるが避けた瞬間に発射された弾は爆発して煙幕を作った。

 

「よし、ウタ。逃げるぞ!」

「うん!」

 

煙幕が張れた2人は躊躇なくロブ・ルッチから逃げた。眼の前の相手が自分よりも強いことはわかりきっていたので逃げる。デリンジャー戦でもウタは逃げて逃げて逃げ回って隙を作って逆転。バギーは逃げるに関しては専売特許だった。

ロブ・ルッチは見聞色の覇気で半ば下らないことをやってきたバギーに対して冷めた目線になりながらもさっさと2人纏めて殺そうと構えると突然と顔を抑え始めた。

 

(こ、これは!?わ、笑いが止まらん!!)

「ギャハハハハハハ!!どうだ!!新開発したワライダケで作ったワライ玉だ!!シャンクスに滅茶苦茶避けられまくって効果が無かったから避けても効果があるのを作ったんだよハデバカヒョウ野郎!ギャハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

「お・・・お父さん、自分も食らってない!?」

 

バギーの低レベルなやり方にまともに食らったロブ・ルッチは苛立ちながらも気を緩ませれば笑いが止まらなくなって立てなくなりそうになったので自分の腹を指銃で刺した。痛みによって笑いが薄れてくるとロブ・ルッチは逃げてる2人を思いっきり睨んだ。

 

「げっ!?やべ、キレた!!」

「あの嫌がらせ効果ありすぎじゃない!?」

 

酷い嫌がらせ攻撃をまんまと受けてしまったロブ・ルッチは下らないと思いながら2人を全力で追い始めた。

 

「ギャァァァァァァ!!」

「きたきたきたきた!!お父さん、どうするの!?」

「酒だ!酒をばら撒け!!」

 

バギーにそう言われたウタは懐に入れられていた酒瓶を逆さにして地面にばら撒き始めてバギーも懐からマッチを取り出して火をつけた。

 

「指銃・撥」

 

何をするのか簡単にわかったロブ・ルッチは飛ぶ指銃の撥でマッチを弾いて火を消した。呆気に取られてるバギーとウタにすぐに詰め寄って蹴り飛ばした。

 

「ウタ・・・無事か?」

「な、何とか・・・」

 

何とか生きていた2人だが、頭から血が出ていた。バギーはすぐにウタの傷が心配になったが今は眼の前にいるロブ・ルッチの方だった。

すぐに詰め寄ってきてバギーの腹に指銃をぶちこみ吹き飛ばす。

 

「ぐぼがぁ!!」

(・・・弱い・・・)

 

吹き飛ばしたバギーを見ながらロブ・ルッチは率直な感想を感じてさっさと殺そうと思いながら拳を構えて頭を潰そうと終わらせに行くがその前に顔面あたりに分銅が飛んできたので軽く避けた。

 

「アタシのお父さんに触れるな!!」

「海賊を裁いて何が悪い?」

 

ロブ・ルッチはとっととウタも一緒に殺そうと人獣型に変化したゆえに鋭くなった爪をウタに向けて心臓を貫こうと詰め寄った。

人知を超えた超人的な速度で詰め寄られたせいでウタは反応できずに迫ってくる指に何も出来なかった。

 

「魚人空手 二千枚瓦正拳!!」

「鉄塊」

 

しかし、それは突然と飛んできたコアラがロブ・ルッチの顔面に魚人空手をぶち込んで止めた。ダメージを負わないように鉄塊で防いだが攻撃は確かに止められた。

 

「コアラ!?」

「久しぶりウタちゃん!」

「・・・一体何のようだ革命軍?」

「私の推しに手を出すな、このアホネコ!!」

 

ウタを守るように威嚇するコアラ。バギーを確保する為に来たはずなのにウタが死ぬかもしれないと思って飛び出して来たのだ。

ロブ・ルッチはそれを見ると先にバギーを殺そうとそっちに向かっていった。バギーはまだ倒れたままで起き上がれなかった。

 

「お止めレオパルドボーイ!!DEATH WINK!!」

 

そんな時にコアラと一緒にバギーを確保しに来ていたイワンコフが相方が飛び出したのもあってヤケクソ気味に出てきてロブ・ルッチをやけに威力の高いただのまばたきの爆風の風圧でふっ飛ばした。

 

「エンポリオ・イワンコフ・・・」

「コアラ!!ヴァターシ達は作戦中だってのに何で飛び出たッブルの!?お陰で面倒くさい事にナッシブル!!」

「イワさん、ごめんなさい!!居ても立ってもいられなくて・・・」

「このレオパルドボーイはヴァターシに任せてビッグノーズを連れて行きなさい!!早く!!」

「わかった!行こうウタちゃん!!」

「う、うん!」

 

コアラはウタと共に倒れていたバギーに肩を貸してその場を離れた。イワンコフはこのままさっさとバギーを連れて行こうかと考えていたが眼の前のロブ・ルッチから簡単に逃げられるとは思ってなかった。

 

「これが貴様らの“正義”か?」

「いいえ、“自由”よ」

「くだらん」

 

イワンコフとロブ・ルッチは短く言葉を交わして互いに相容れないと分かると戦闘を始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

「お父さん、大丈夫!?」

「ゲホッ・・・大丈夫じゃねぇ・・・あ~、シャンクスよりは弱えが効いたぁ・・・」

 

以前、シャンクスとの決闘で武装色と覇王色の籠もった拳を受けていたバギーはそれよりは弱いとは感じつつも確かに効いていた。

 

(えっ?・・・イワさんから聞いてたけど本当にこの人、嘘みたいに弱い!?)

 

コアラはバギーを抱えながら内心、失礼な事を考えつつも自分達の船が見える所までやってきた。ウタはそれを見るとコアラにあることを聞いた。

 

「ねぇ、コアラ。そう言えば革命軍って何でここに来たの??」

「ウタちゃん・・・ごめん」

 

コアラはウタにそう言うとバギーを思いっきり殴り飛ばした。ウタは友達の突然の行動に何がなんだかわからなくなったがバギーの元にすぐに駆け寄った。

 

「お、お父さん!!」

「ガハッ・・・はぁはぁ・・・本当に効いた・・・」

「コアラ、一体どういうつもり!?」

 

ウタは戸惑いつつも見るとコアラの表情は曇っていた。

 

「ごめん。革命軍の任務は・・・“千両道化”のバギーを捕まえること」

「そんな・・・何で?」

「・・・“赤髪”のシャンクスの決闘以降、バギーズデリバリーは確実にその勢力を上げていってる。これ以上野放しにするのは危険だと判断したの・・・」

 

コアラは革命軍の見解を答えた。ウタはそれを聴いて顔が歪んだ。そもそもそれをやったのはシャンクスとウタを和解させる為にやった事でバギーの今の状況は元を辿れば自分のせいだとウタは自覚し、心が締め付けられた。大切な恩人が自分のせいで傷ついてる状況に悔しくなった。

 

「ウタ・・・俺は大丈夫だ・・・」

 

バギーは何とかウタを落ち込ませないように無事だと伝えるがウタは倒れて傷ついてるバギーを見るとコアラに向けてロープを構えた。

それを見たコアラも顔を歪ませながら拳を構えた。

 

「・・・アタシの大切な人はアタシが守る!例えその相手が友達であっても・・・アタシは守る!」

「・・・ごめんなさい・・・」

「今のうちに逃げて!!」

「ふざけんな!!」

「逃げるのは専売特許って言ってたじゃん・・・お父さん!!」

「・・・断る」

 

バギーは立ち上がってウタと共にコアラから逃げようとしたがウタに言われて止まった。自分では何も出来ない。ウタウタの実が無ければウタもバギーと同じぐらいか少し下だが、ウタウタの実を使えばどんな大逆転も可能。バギーにはそんな都合のいい物などなかった。だがウタを置いていく気はさらさら無かった。

そんな風にボロボロになりながらも立ち上がってマギーバルカンを構えるバギーにウタはロープを巻き付けて思いっきり遠くへ向かって投げた。

 

「ごめん!!」

「うぉぉぉぉぉぉ!??」

 

ぶん投げられたバギーはそのまま遠くまで飛ばされてウタはコアラと戦闘を開始した。

 

「魚人空手 矢武鮫!!」

 

大量の水滴をウタに向けてコアラは手から放った。ジンベエなどの最高レベルと魚人空手の使い手ではないので一発一発が精々打撃程度しかないがそれでも牽制になると思った。しかし、ウタはロープを回転させてそれを防いでコアラに向けて分銅を放った。

 

 

 

 

〇〇〇

「ちっ・・・厄介だねぇ・・・」

「やるな」

 

ミホークと斬り結んでいた黄猿は能力を使って攻めていたが純然たる剣術でやり返されてミホークは傷1つ負っていないものの流石の大将の黄猿に有効打を与えられていなかった。

 

「八咫鏡」

 

黄猿は海兵や海賊の刀に光を当てて反射を使って移動してミホークを混乱させようと周りを文字通り光速で動いた。ミホークは数回くらいは目で追っていたが少しすると目を瞑った。

黄猿は後ろから刺そうと天叢雲剣を持って移動してきたがミホークは難なくと夜を振るってそれを止めた。

 

「これも受け止めるとはねぇ〜、わっしの立つ瀬がないねぇこりゃ〜」

「光の速さなどどうってことはない」

「言うねぇ〜」

 

ミホークと黄猿はそのまま再び切り結んでいると突然と軍艦が爆発した。鍔迫り合いをしたまま2人は爆発した軍艦の方を見ると遠くに別の軍艦の群があった。船主の方に巨大な刃が付いてる軍艦の群で帆には海軍のマークを反対にしてドクロに剣を刺したかのようなシンボルが印されていた。

 

 

 

〇〇〇

海軍の軍艦が突然やられた事にカライバリ島に上陸して戦っていた海兵達はパニックになっていた。なぜなら突然、現れた新手の軍艦から降りてきた者達は顔見知りだったからだ。

 

「おい、あれって!?」

「嘘だろ!?シューゾさんがいるぞ!!」

「おい、ビンズがなんで!?」

 

軍艦から颯爽と降りてきたのは元海軍本部准将のシューゾに元海兵のビンズだった。

 

「シューゾ!?なぜお前がここにいる!?」

 

ジューゾと顔見知りだったステンレスが海兵達の前に立って疑問をぶちまけた。シューゾは懐かしい同僚の顔が分かると笑った。

 

「久しぶりだなステンレス・・・ここにいる理由をお前達に話す理由はない」

「なんだと!?」

「“先生”を裏切ったお前達海軍に話す理由なんかない」

「・・・まさか!・・・」

 

ステンレスはシューゾの言葉を聴いて海兵として育ててくれ、とある七武海のせいで海軍を辞めた恩師の事が頭に浮かんだ。

 

「我らNEO海軍・・・お前達に変わって全ての海賊を叩き潰す!!」

「・・・構えろ!!かつての同僚だと思って油断するな!!あいつらはもう・・・“敵”だ!!」

 

ビンスの宣言を聴いてステンレスは周りの部下にそういった。そこから現場は大混戦になった。バギーズデリバリーと海軍だけじゃなくNEO海軍という新手が加わって突然の三つ巴の戦争になった。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタとコアラは戦っていたが互いに友人な為かどれだけ覚悟をしても殺気を出せず、また相手を思うほどお互いに優しい為に有効打が出なかった。

 

「コアラお願い、退いて!!」

「無理だよ!私は遊びや酔狂で革命軍に入ったわけでも生きてきたわけでもない、絶対に引かない!」

 

突いてくるコアラの拳をウタはロープで受け止めていた。大混戦でコアラだけどうにかすればいい話でもなくこの後でバギーと合流する為にも歌えなかった。

 

そんな中で2人の間を切り裂くように銃弾が飛んでくる。コアラはそれに気づくとウタを蹴ってお互いに離れて避けた。すぐにコアラは撃ってきた相手に対して構えてウタも少し遅れてロープを相手に構えるとそこにはNEO海軍に所属してるアインが銃を構えていた。

 

「あなた誰!?」

「私はNEO海軍所属アイン・・・革命軍に用はないわ。私達の狙いはそこの父娘・・・」

「ア、アタシ!?」

 

アインはウタに向けて指をさした。その目は冷徹そのものと言えるほどに冷たかった。さされたウタは流石にこっちは理由が分からなかった。またトットムジカを狙う筋肉達磨ことバレットみたいな奴なのか、それともシキとかいうウタは名前しか知らない存在の仲間なのか分からず、敵かどうかの判断も出来なかった。

 

「海賊は・・・全て倒す・・・“先生”の為に」

 

アインはそう祈りナイフを持って、コアラとウタに向かっていった。

 

 

 

〇〇〇

「ゲホッゲホッ・・・ったくあのハデバカ娘が思いっきり投げやがって・・・急いで戻らねぇと・・・」

 

バギーはウタに投げられて思いっきり背中を打って暫く立てなかったが何とか立ち上がってウタと合流しようと思った。

そんな風に膝に手を付きながらも歩こうとした瞬間、バギーの背中に冷や汗が出てきた。

シャンクスと決闘した時は幼馴染という事もあって感じなかったが間違いなく人生で最悪の予感がした。それこそエッドウォーでシャンクスと共にシキと立ち向かった時みたいな嫌な感覚が後ろからした。

ギギギっと壊れた人形のようにバギーは後ろを向くとそこには大柄な男が立っていた。紫色の髪で右手には巨大な大砲のような海楼石で出来た義手が装備されていた。

その顔にバギーは見覚えがあった。

ロジャー海賊団時代に何回もガープやセンゴク、おつると一緒にやってきた伝説の海兵。

 

「て、てめぇは!!」

「久しぶりだな、赤っ鼻・・・」

「ゼ、ゼファー!?」

 

その男の名前は元海軍本部大将“黒腕”のゼファー。大将の時に妻と子を自身に恨みを持つ海賊に殺されて若き海兵の育成に心血を注ぎ、そして海軍の正義を信じられなくなった男。

 

「その名は捨てた・・・俺はゼット・・・お前ら海賊を全て叩き潰す!!」

 

ゼファー改めてゼットはそう叫んでバギーに向かって義手のスマッシャーを振りかぶりながら突っ込んでいった。バギーは躊躇なくマギー玉を発射するが全く効いておらず、海楼石でできたスマッシャーでぶん殴られて近くの建物の壁を2、3枚ぶち破られる程の威力でふっ飛ばされた。































というわけで遂に登場、ゼットwithNEO海軍!!
実はゼットは最初、ルフィとウタが再会するドレスローザの前で出そうと思っててその時はセカン島にライブに来たウタとセカン島で風呂とか色々とやってるルフィらが再会せずに同じ場所にいたって感じにしようとしたのですが早く再会を書きたかったのとZはREDを観る前のFilmシリーズで1番好きな映画でしたのでこんな出し方ならしたくないなと思ってやりませんでした。

ですのでドレスローザ編のウタがデリンジャーにトレジャーマークを取られる下りは本来はドレスローザ前にZ編をやって麦わら帽子をゼットに取られたルフィと重ねようとした名残です。
トレジャーマークに対してウタが“道標”と言ったのもこの名残です。

それからはもう出す気はなかったのですが本来出す気のなかったヤマトを無事に最終章に組み込めたのとガープやセンゴクにおつるも最終章に出したかったのもあってもう一度再構成をし直して無事に参戦しました!!

はい!STRONGWORLD以降の映画全ラスボスキャラ大集合の最終章になるのでお楽しみに!!
早くテゾーロも書きたい。

因みに現在ゼットにぶん殴られてるバギーですがゼットとNEO海軍が登場しなかった場合はコビーと対戦させるつもりでした。まぁボコられるのには変わりないですけど・・・さてコビーは最終章でどこに配置しよう・・・スコットアドキンスみたいな華麗な蹴りをするコビーが書きてぇんだよなぁ・・・


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The Pirates,the Neo marine and the Revolutionary army

お待たせしました!!
連日投稿が出来て嬉しいです!!
それではどうぞ!!


●●●

時はドレスローザまで遡る。

デリンジャーが拘束されたのを見たウタが少し寝て無事にウタワールドを閉められた。ウタは手当をしているとそんな彼女に近づく者がいた。

コアラである。

しかも手には色紙を持っていた。

 

「あ、コアラ♪」

「あの・・・サイン下さい!」

「良いよ♪」

 

色紙を渡してくるコアラにウタはサインを書いた。するとコアラはそれをギュッと抱きしめていた。好きな歌手に書いてもらえて嬉しいだけではなく、ずっと振り回されて私生活も半分くらい見る羽目になってるサボのせいもあって嬉しさが止まらなかった。

物凄く喜んでるコアラを見るとウタも嬉しくなり、色々と話したくなった。

 

「ねぇ?そう言えばコアラって何をしてるの?」

「私?・・・えっと・・・」

 

コアラは答えに迷った。革命軍は世間一般に見ればテロリストであり、そこの自覚はちゃんとあった。勿論、信念や自由もあるし、それを無闇矢鱈に振りかざすつもりもない。ゆえにすんなりと答えられなかった。

 

「あ、そう言えばカタクリが革命軍って・・・」

「あっ・・・」

 

地下で戻った時にカタクリが革命軍と発言したのをウタが思い出した。コアラは余計な一言を言ったなとカタクリに怒りが出てきた。

 

(あのボンテージアラフィフ男・・・許さない!!)

 

怒りに燃えていたコアラだがウタはそんなのは全く気にしてなかった。バギーの所で勉強していたのもあって革命軍が動く場合は大体悪政が酷かった地域ばかりだ。その後、上手く行った国もあまり無いが前よりはマシな場合が多かったのも知ってた。コアラの反応から見て下手に聞いてはいけないと判断したウタは話題を変えた。

 

「・・・そう言えばあの・・・サボって人は?」

「サボ君?・・・さぁ?どうせ大好きな弟の所に行ってるんだと思うよ。あの用件人間・・・」

「うわぁ、一言では言い表せそうにない関係みたい」

「うん、もう本当にどれだけ振り回されてきたか・・・出会った頃にまだ色々と馴れてなかった私を巻き込んで食い逃げに悪戯にその他諸々・・・後でドラゴンさんにこっ酷く怒られるわ・・・本当に何回喧嘩したか分からないよ・・・」

「・・・弟みたい」

「1つ下だからかな?」

「そうなんだ♪アタシにも1つ下の男の子の知り合いが居るんだ♪」

「そうなの!?」

「うん!」

 

ウタとコアラはその後、この手の話題で非常に盛り上がった。因みにウタはこの時、ルフィの名前を出してなかったがコアラはどこぞの用件人間の言う弟と同じ行動パターンをしてるのに気づいてまさかとだけ思った。

 

そして後日、コアラはウタとルフィが幼馴染である事を新聞で知ってやっぱりと思ったのは全くの余談である。

 

 

 

 

 

〇〇〇

そんな風に仲良くなったウタとコアラだが主にバギー関連で争う羽目になって苦しんでる状況に現れたNEO海軍と名乗るアインの登場で三つ巴になっていた。

 

(このNEO海軍って人も・・・コアラも今は戦う相手・・・)

(どっちと・・・どっちと戦えば・・・)

(革命軍と海賊の娘は敵同士・・・)

 

三者三様に思いながら睨み合う。

最初に動いたのはアインだった。ナイフを持ってコアラを刺しに来た。ウタはそれを見てアインの足に向かってロープを投げて巻き付かせて体勢を崩そうとしたがすぐにウタに向かってナイフを投げた。投げられたナイフはそのままウタの顔面に刺さるかと思われたがその前にコアラが拳でそれを弾いた。ウタは先程まで戦っていたせいもあってアインの足に巻き付けていたロープを外してコアラから離れてロープを投げた。先に付いてる分銅を避けてコアラはウタに蹴りを入れようとするがその前にアインの放った銃弾がコアラに向かって飛んでいった。

コアラはウタを蹴る前にそれをギリギリで避けてアインに詰め寄った。

 

「魚人空手 三百枚瓦蹴込み」

 

アインの腹に思いっきり蹴りを打ち込むコアラ。アインはそれを両腕を組んで塞くが後退りした。ウタは隙を逃さずにアインに向かってロープを投げるがその隙を付いてコアラがウタに詰め寄ってロープを放った手を取って投げた。投げられたウタは地面に背中がつく前に足裏を付けて踏ん張りコアラの頭めがけてヒザ蹴りを放つがコアラはそれを間一髪避けた。しかし肩に思いっきり当たってウタから手を放した。

 

放されて今度こそ倒れたウタはすぐに立ち上がってコアラから離れた。また三人は三すくみになって睨み合った。

 

次に動いたのはコアラだった。コアラは先にウタを止めてアインと一対一に持ち込んでなんとかする気だった。ウタに詰め寄って手刀を首に打ち込もうとしたがウタはロープを腕に巻きつけ、その腕でそれを防いだ。

コアラはウタの踏ん張ってる足の膝を蹴って跪かせると頭に右の回し蹴りをした。ウタはそれを屈んで避けたがコアラは右足が地面につくとすぐに左足で後ろ蹴りを放ってウタの体に当てて倒した。

 

急いでウタを拘束しようとコアラは飛びつきに行ったがそこにアインが突っ込んできて空中にいるコアラにドロップキックを当てて吹き飛ばした。

ウタとドロップキックを放って倒れていたアインは同時に立ち上がるとナイフをしまった。

ウタはそれを見て構えるとアインはウタに掌を当てるように攻撃してきた。ウタはそれを見て避ける。シュガーに玩具にされてから掌に触るだけでもアウトな能力があると学んだのでウタは避けた。

果敢に攻めてくるアインに避けつつも後退するウタ。バギーズデリバリーのテントを背に付けて後ろに引けなくなるがアインの掌の攻撃を何とか横に移動して回避した。するとテントの布が消えた。

アインのモドモドの実の能力で12年前に無かったテントの布は消えたのだ。

 

「やっぱり能力者!」

「良く気づいたわね・・・掌が危険だと」

「前に結構酷い目にあったからね」

 

ウタはそれだけ分かると今度は自分から攻めに行った。アインの頭を殴りに行くが腕で防がれてアインは掌を当てに行くがウタもそれを防いで何回か繰り返すがアインはウタの拳が大振りになると少し後ろに下がって後ろ蹴りをしてウタに放った。蹴られたウタはそれを受けて地面に背中を付けるがその反動で回って何とかすぐに立ち上がった。

反動を利用したのもあって背中を思いっきり打って痛いがそんなのを気にしてるまもなくアインは掌をウタの顔めがけて放ってきたのでウタはアインの手首を取ってそれを止め、太腿に足を付けた反動で体が横になりつつもアインの頭に膝蹴りを放つがアインはそれを自分から倒れる事で避けた。

結果的に2人とも地面についたが再びすぐに立ち上がって相手と対峙するとアイン目掛けて石が飛んできた。

それを難なくと避けるアインが見たのは溜息を吐いて手をポキポキと鳴らしてくるコアラだった。

 

またもや三すくみになる3人。

先に動いたのはウタだった。ウタはロープをアイン目掛けて放つとアインはそれを避けてロープに触ろうとするがその隙を付いてコアラがお返しにと云わんばかりアインに飛び蹴りを放って吹き飛ばした。

 

ウタはロープを戻しつもコアラに突進した。腰に突進されたコアラはその押されて2人は先程アインが布を消したテントの中に入る。中は色々とあったが軈て長机に当たると止まった。すぐにコアラはウタを離れさせて顔を殴ろうと右拳を放ち、ウタも右拳を放つ。お互いにそれを避けるが勢いが止まらずに2人は右肩同士がぶつかる程密着するとコアラは瞬時にウタと立ち位置を換えた。

コアラはウタを拳で攻めていく。ウタはロープを右腕に巻きつけて防御していくがコアラの猛攻に長机ごと後退する。

埒が明かずにコアラは後ろ回し蹴りをウタに放った。ウタはそれを屈んで避けた。風圧で長机の上にあった蝋燭の火が消える程の強烈な蹴りだった。

コアラが蹴り終わると同時にウタは詰め寄ったが体ごと避けられて裏拳を食らった。

ウタとコアラはそのまま睨み合う。

ウタはコアラの顔めがけて右拳を当てに行くがコアラはウタの体に蹴りでカウンターをして跳ね上がらせた。たまらずウタは左拳で殴りに行くが防がれて逆に腹に拳をめり込まされた。

そのまま後ろにあった椅子に座る事になったウタの頭をコアラは蹴りに行くがウタは間一髪に椅子の後ろに回り込んでそれを避け、椅子を持ち上げてコアラに当てようとしたがコアラはそれを避けてウタを殴った。。椅子は長机に当たって砕けた。

顔を押さえるウタ。

コアラは友達を殴ってる事に辛くなってくるが負けられないし、譲れなかった。

そんな風に向かい合ってる2人にまたアインが放った銃弾が飛んでくる。2人はそれを避けた。

3人はまたもや三すくみになってしまった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「うぉぉぉぉぉぉ!!!」

「あばばばばばばばばばば!!」

 

一方その頃、バギーはゼットにボコられまくっていた。

バギーがどれだけマギーバルカンで攻撃してもゼットはシャンクスやルッチみたいに避けるどころか右腕のスマッシャーで防いで突っ込んできて殴りまくっていた。

ボコボコにされてボロボロなバギーをスマッシャーで掴み上げた。海楼石で出来てるせいでバギーは力が抜けた。

 

「本当にロジャー海賊団かお前は?・・・弱すぎる」

「あぁ・・・よく言われるよ・・・」

 

バギーはマギーバルカンに仕込んでいた剣を出してゼットに向かって発射した。最後の騙し討ちに使うように新しく付けておいた機能だがゼットはそれを難なくと掴み取った。

 

「こんなのでどうにかなると思ってるのか・・・海のクズが・・・」

 

ゼットはワポメタルで出来ている剣を武装色で硬化した手で握り潰し、バギーを上に放り上げた。

 

「スマッシュ・・・バスター!!」

 

そして落ちてくるバギーをスマッシャーでぶん殴り、スマッシャーの内部に仕込んでいた爆発物を爆破させてバギーをぶっ飛ばした。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタ、コアラ、アインは動けなかった。

3人とも戦って油断が出来ずしかも、誰かと戦っても空いてる人間がそれを狙ってくる状況で長引く戦局を変える為にも油断は出来なかった。

 

ウタは敵としてやってきたアインを一睨みした後でコアラを睨んだ。バギーに関しては譲れない物があるので絶対に引く気はないが共に楽しんだ記憶もあってまだ友達か判断に困っていた。

 

コアラは友達だったウタを一睨みした後でアインを睨んだ。NEO海軍の噂は聞いていた。ドレスローザでの海賊による英雄行為に対する反発で出来た組織という認識でアインはその刺客だが、革命軍と争う理由が無いのでコアラはどうするべきか迷った。

 

アインは同じ標的を狙っているコアラを一睨みした後でウタを睨んだ。尊敬する恩師の全てを奪う存在“海賊”。その海賊でも特に嫌いな七武海の娘であるウタをアインは睨んだ。

 

3人ともどうすれば良いのか分からずに睨み合いが続いた。誰が先に動くのか誰が勝ち残るのか全く分からない状況かでふとウタとコアラの目があった。ウタはその瞬間に頷くとコアラも頷いた。

 

今度は先に動いたのはアインだった。

2人を纏めて撃ち抜こうと銃を両手に構えるが撃つ前にウタがロープで両手に巻きつけてそれを防いだ。そしてコアラがその隙にアインに詰め寄った。

 

「魚人空手 三千枚瓦正拳!!」

 

コアラにとって1番の大技がアインの体にめり込んでアインはふっ飛ばされた。すぐに立ち上がるがこの行動でアインはウタとコアラが組んでると判断すると多勢に無勢と感じて一旦引いた。

 

アインが去った事でウタとコアラだけになり、2人はまた構えたがコアラがそれを下ろした。

 

「コアラ・・・どうしたの・・・」

「・・・教えて・・・どうして私があのNEO海軍に突っ込んでいくのがわかったの?」

「・・・友達だから」

 

コアラはそれを聞くと泣きそうになった。お互いに引く気はない。しかし、辛くないかと言われれば辛い。そしてそれはウタも同じだった。

 

お互いに譲れない物の為に戦う2人。

コアラはまた拳を上げて構えて対峙すると突然と爆音が聴こえてきて2人はそっちの方を見た。

 

 

 

〇〇〇

バギーはぶっ飛ばされた先は戦場ど真ん中だった。

 

『おい、あれバギー座長だぞ!?』

『座長が飛んできたぞ!!』

 

そして部下たちの言葉を聴くとバギーは戦争が始まる前に言われたクロコダイルとミホークの言葉を思い出した。

 

『お前が役に立たないと判断したら・・・許さん』

『その時は死んでもらわなければ示しがつかんな』

 

その物騒すぎる2人の言葉を思い出したバギーは足を外して地面にさっさと付かせると何とか空中で止まった。

 

「ギャハハハハハハハハハ!!待たせたなてめぇら!!バギー座長の登場だぜ!!根性見せろ!!」

『うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』

 

死なないかつバレるとクロコダイルとミホークから殺されるのが決まっているバギーは何とか頑張って部下達を鼓舞した。崇拝しているバギーの登場でバギーズデリバリーは盛り返した。単純に海軍とNEO海軍も争っているのでそれを付け込んで攻めていく漁夫の利戦法だった。

 

バギーはその後、何とか地面に立ってどうするべきか考えた。ハッキリ言ってさっさと逃げたいのですぐにウタと合流して逃げようと決めたが、そこにゼットがやってきた。

 

「ギャァァァァァァ!!!」

「若造が・・・海賊が子を持つだと・・・ふざけるな!!」

 

ゼットは愛した妻と子が海賊に殺された事を思い出しながら、バギーに向かって突っ込んでいきスマッシャーで殴りに掛かった。もうすでにボロボロで死にかけのなか立ってるのもやっとだと言う事もあってバギーは動けなかった。

 

(動け動け動け動け動け動け動け!!)

 

自分の体にそう念じるが体は1ミリも動かなかった。そしてスマッシャーが当たる瞬間、バギーは目を瞑った。

 

次に聞こえてきたのは自分がぶっ飛ばされる音じゃなくて甲高い金属音だった。

 

「お前は!?」

「全く、いつもの取り柄の諦めの悪さはどこに行ったんだ?」

 

懐かしい声が聞こえてきてバギーは目を開けると泣きそうになった。ゼットのスマッシャーはその男によって止められていたからだ。

 

「バカな!?」

「何故、あの男がここに!?」

「おやおや、これは本当に参ったねぇ・・・」

「おいおい、何でここに来てるんだァ!?」

「本物か・・・」

「2年ぶりに出てきたな・・・」

 

ステンレス、シューゾ、黄猿、緑牛、ミホーク、クロコダイルもその男の登場に驚いた。戦場が固まってる最中、海軍の軍艦とNEO海軍の軍艦が爆破された。

 

「おい見ろ!!」

「なんで“九蛇海賊団”がここにいるんだ!?」

 

軍艦を破壊したのは九蛇海賊団の船を引いてる遊蛇の牙によって壊された。甲板には船長の元七武海のハンコックを“除いた”九蛇海賊団ことアマゾン・リリーの船員達が武器を構えていて妹のサンダーソニアとマリーゴールドもニョン婆と共に立っていた。

 

「一体何しに来たんだ?」

「それは私からも聞きたい。なぜここにいるんだゼファー?」

「海賊に言う必要はない・・・レイリー!!」

 

ゼットは自分のスマッシャーを剣で受け止めた男・・・レイリーに向かって叫んだ。レイリーは躊躇なく剣を振るってゼットを下がらせた。

 

「レ、レイリィーさん・・・」

「久しぶりだなバギー・・・随分とデカくなったな」

 

解散してから会ってなかった副船長のレイリーを見てバギーは笑って再会したかったとかそんな風に思ってたのに涙が止まらなくなった。

レイリーは昔とは違うが変わってないバギーを見ると頭を昔みたいに撫でてやった、そして周りを見ると容赦なく覇王色の覇気をバギーズデリバリーの人間に当たらないようにコントロールしながら海軍やNEO海軍の人間にぶつけて中将以下の実力しかない者達を全員気絶させた。

 

「この戦いを終わらせに来た」

 

レイリーは平然と立っているゼットを見て剣を構えながらそう言った。





















というわけでレイリー登場です!
NEO海軍を出したので暫く掛かるかと思いましたが案外早く終われそうです。多分、クロスギルドの話は次回かその次で終わってワノ国の討ち入り編になると思います。

さて今話を書いてて作者が思ったこと。

ウタとコアラとアインがカンフー映画をやってる・・・しかもジャッキーチェン成分多めでコアラなんて諸にベニー・ユキーデというか「スパルタンX」の時のアクションをやってるし・・・やっぱり自分は能力があまりない戦闘の方が書きやすいです。
ルフィ好きだけど

またこの話のタイトルは“海賊、NEO海軍、革命軍”って直訳でこれも元ネタがありますがまぁそれはいつか話せたら話します。

というわけで皆さん、次回もお楽しみに!!






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波乱万丈

お待たせしました!!
それではどうぞ!!
酷いギャグ回でございます!!


ウタとコアラは突然と聴こえてきた爆発音が気になって音の方へ進んだ。何が起こったのか分からない。ウタもコアラも状況を知りたかった。

 

そして見たのはバギーを守るようにゼットと対峙するレイリーの姿だった。

 

「あれは!?」

「レ、レイリーさん!?」

 

ウタとコアラはレイリーの姿を見て驚いた。突然と現れた戦局そのものを全てひっくり返す程の存在に驚かずには居られなかった。

 

「ヴァカな!!あの男が来るとは!!?」

「チッ・・・厄介な事に・・・」

 

別の場所ではイワンコフとロブ・ルッチも掴み合いながら、それを見ていて肝を冷やし始めた。バギーを狙ってきた2人だが、レイリーの相手など全く考えてなかった。

 

「レイリー・・・貴様・・・」

「居るのは・・・ゼファーの所と海軍に・・・革命軍?・・・CPまで居るのか・・・それにクロコダイルに鷹の目・・・バギー凄い頑張ったじゃないか・・・ロジャーもギャバンもおでんもきっとお疲れって言うぞ」

 

ゼットは忌々しく睨みながらスマッシャーを構えてレイリーはこの戦争に来ている勢力を冷静に見聞色の覇気で見て率直な感想をバギーに言った。

バギーはそれを聴いて泣きながらも寒気がした。考えなくなかった。色々と自分の丈に合ってない状況でウタの為にやってきてテンションを無理やり上げて頑張って来たがやっぱり寒気のする状況だった。

 

「もう大丈夫だ・・・後は私に任せろ」

「・・・副船長・・・」

「例え解散してもお前やシャンクスは私達にとって大事な“息子”だ・・・それは変わらない・・・20年以上経ってもな・・・」

「うぅ・・・うぁ・・・」

 

レイリーの優しい言葉を聴いてバギーは涙が本当に止まらなくなった。昔と全く変わらない頼もしい感じにバギーは久しぶりに心から安心した。

 

「ゼファー!!それに海軍に革命軍にCPも聴け!!これ以上、無闇矢鱈に戦うな・・・どの勢力も仲間の命は惜しいだろ・・・これ以上の戦闘は彼らを無くすだけだ。全員、この場は退いて貰おう・・・それでも退かずにまだやると云うなら・・・全員、叩き潰す!!」

 

レイリーはまた全力の覇王色の覇気を出した。今度は中将の一部も持っていく程の全力の覇気だった。上手くウタや近くで見ていたコアラには当たらないようにコントロールしながらやっていた。

冥王であるレイリーの本気の覇王色の覇気を喰らってイワンコフに緑牛、ステンレス、シューゾ、ビンズは膝を付いて、クロコダイルに黄猿、ロブ・ルッチは立っていたが伝説の男の覇気に寒気を感じ始めてミホークは武者震いを感じていた。そしてまともに真正面からそれを受けていたゼファーはケロッとしていたが周りを見ていた。

 

ドレスローザの海賊の英雄行為に対する反抗心と七武海を好き勝手にさせた海軍への不信感に怒りを持って作り上げたNEO海軍。全員、自分と同じように海軍を辞めた教え子達で構成していたが教え子を海賊に奪われたゼットは失いたくなかった。

 

「良いだろう・・・退いてやる。だが忘れるな!!お前達海賊に生きていい世界なんてない!!」

 

ゼファーはそう云うとシューゾとビンズ、そして合流したアインや他の仲間達と共に去っていって残りは海軍とCPに革命軍となった。

 

ロブ・ルッチはここでレイリーとやるには戦力が足りないと判斷して軍艦に戻っていくとイワンコフはウタと一緒にいたコアラに近づいた。

 

「イワさん」

「あっ、配信で来てくれた人だ」

「あら、覚えててくれてありがとう。コアラ、ヴァターシ達も退くわよ。あの男とやり合う旨みはナッシブル」

 

イワンコフはレイリーを見ながらそう言い、コアラは頷いた。そしてウタから2人とも離れていく。ウタはその背中を見ながら思いっきり叫んだ。

 

「コアラ!!もうすぐエレジアでライブをやるから来てね!!その時は今回みたいに戦わずに楽しもう!!アタシはずっと友達って思ってるから!!」

 

ウタの言葉にコアラは何も言わずにただ離れた。

イワンコフは心配でコアラの顔を見ると泣いていた。戦闘して本気で戦ってたのにまだそんな風に言ってくれるウタの優しさに嬉しくて申し訳なくてコアラは涙が止まらなかった。

 

「・・・最高の友達を持ったわね」

「うん・・・うん!・・・」

「エレジアは任務で行くけど楽しみましょう♪♪あの子の為にもね」

 

イワンコフはコアラの肩を優しく叩きながらエレジアで全力で一緒に応援しようと決めた。

 

海軍はまさかの事態に困惑していた。黄猿も緑牛もミホークやクロコダイルだけの相手ではなく、NEO海軍にまさかのレイリーに九蛇海賊団と大物が集まってる状況に戸惑っていた。

 

「引くよアラマキぃ・・・あの爺さんの相手は片手間で出来るもんじゃないからねぇ」

「マジかボルサリーノさん・・・仕方ねぇな」

「大将の質も落ちたな。2人いて退く事になるとはな」

 

緑牛の所にやってきた黄猿の言葉に眼の前で対峙していたクロコダイルは容赦なく貶した。緑牛はまた構えたが黄猿はクロコダイルを見ずにバギーを見ていた。

 

「元ロジャー海賊団の経歴は伊達では無いか」

 

黄猿はそれだけ言うとステンレスなど何とか意識がある者達に指示を出して軍艦に戻らせて下がらせた。

こうしてバギーズデリバリーと海軍による戦争はレイリーと九蛇海賊団によって終わった。

 

敵勢力が全て去った後でレイリーは漸くゆっくりしながらバギーと向き合った。

 

「バギー・・・本当に久しぶりだな」

「レイリーさん!俺、会いたかったぞ!!2年前に麦わらから会ったって言われて七武海になってから探しても見つからなくて・・・俺、嫌われてんのかな?って」

「・・・色々と忙しかったんだ・・・すまなかったな」

 

バギーはインペルダウンから脱獄した時にルフィから言われて七武海になってから探した。前半の海にいるのは分かっていたが何処か分からなかった。デマロに金塊を渡すと言われた時やワールドと会った時はそんな風にレイリーを探していた時だった。

 

レイリーはルフィを鍛えていたと言わずにただバギーに謝った。色々と事情があるが言い訳はしなかったがバギーの言った1言だけは怒って軽く頭を叩いた。

 

「いて」

「それと、私がお前を嫌うわけない・・・大事な仲間をどうして嫌うんだ?・・・そんな風に育てた覚えはないぞ・・・」

「うぅ・・・うわぁぁぁぁ〜!!!」  

 

バギーはレイリーに泣きながらしがみついた。心の底から嬉しくて涙が溢れてきた。

 

「泣き虫は変わってないな。それにシャンクスとウタちゃんについて色々と聞きたいんだがまたお前たち、喧嘩したな?」

「違うんだよ〜!!あれは俺のせいじゃねぇんだ!!シャンクスが〜シャンクスが〜!!」

「よしよし、説教する気でいたが事情があるのはわかった・・・ゆっくり後で聞いてやるから・・・思いっきり泣け」

 

レイリーに言われてバギーはこの時だけは“千両道化”でも“元七武海”でもなく“ロジャー海賊団海賊見習い”に戻った。

 

 

 

〇〇〇 

『おい、座長があんなに泣いてるの凄かったな』

『感動的だったな!』

『俺達も冥王に負けてられねぇな!』

『あぁ、いつか俺達もキャプテンバギーに号泣してもらえるほど頑張ろうぜ!!』

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜!!』

 

バギーズデリバリーは海軍との戦争を乗り越えた事、そしてレイリーの登場に興奮した上に九蛇海賊団に更には崇拝してるバギーが大号泣したのもあっていつかもっと頼りなる為にも盛り上がっていた。

 

そんな中でレイリーはバギー、ウタ、ミホーク、クロコダイル、ペローナ、シャッキー、サンダーソニア、マリーゴールド、ニョン婆と共に本部の広間が見える二階で酒とご馳走を食べていた。

 

「なるほど、バギーとシャンクスの喧嘩はそう言う理由だったのか・・・それはシャンクスが悪いな」

「「でしょ〜!!?」」

 

レイリーの一言にバギーとウタはハモった。そもそもあの喧嘩自体、シャンクスがさっさと会いに行けば良かったのに行かずにバギーは頑張ったが色々とボタンの掛け違いでエライことになった。2人はレイリーが自分達の方に感情移入してくれてると分かると嬉しかった。

 

「レイリーさん、これも飲んでくれ!!」

「おいおい、注ぎ過ぎだ・・・年甲斐もなく飲み過ぎてしまうな♪♪」

 

バギーはレイリーに酒を注いであげて楽しんでいた。本当に久しぶりの心からの笑顔だった。そんな中でペローナはウタと話していた。

 

「ウタの父親って赤髪だったんだな」

「うん、ごめんね。嘘ついて・・・」

「まぁ、色々と訳ありなのは分かったけど・・・これで許す!!」

「あっ、それアタシのジュース!!」

「ホロホロホロ♪♪」

「もう〜・・・ありがとう♪♪」

 

ペローナは事情があってシャンクスの娘と言わなかったウタに何も言う気は無かったが友達に嘘を付いて落ち込んでるウタを見てウタの持ってたジュースを勝手に飲んでそれで良いとだけ言った。ウタは気を使ってくれたペローナにお礼を言った。和気藹々とした雰囲気が流れていた。

 

クロコダイルはそんな雰囲気で酒をゆっくり飲みながらレイリーに気になっていた事を訪ねた。

 

「楽しんでる所悪いが、ここに来た理由は何だ?」

「あぁ、すまんすまん。実はな七武海撤廃の噂をウタちゃんから聞いてな。バギーの所は兎も角女ヶ島が1番危ない・・・ハンコック達は強いが間違いなく過激な戦争になるなと思って女ヶ島の住人全員連れて来たんだ。今は違う島で一先ず待機して貰ってる・・・ここからが本題だが・・・」

「待つのじゃレイリー。そニョ話は蛇姫から言うべきじゃ!サンダーソニア、マリーゴールド。蛇姫をここへ」

 

レイリーが色々と話そうとしたが流石に九蛇海賊団や女ヶ島関係はハンコックが言うべきとニョン婆がサンダーソニアとマリーゴールドに呼びに行かせた。

 

すると暫くしてやってきたが部屋に入る前に騒がしかった。

 

「嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃ!!」

「姉様、頑張って!!」

「女ヶ島、しいては九蛇の為です!!」

「嫌じゃ人前に出とうない!!」

「ほら、頑張って!!」

 

サンダーソニアとマリーゴールドによって引っ張り出されたハンコックはバギーやウタの前に出た。手には酒瓶を持っていて飲んでるというか完璧に飲みまくってくだを巻いてるような感じなのに服や髪が乱れてない辺り、最早美貌に関してはプロの意識を感じた。ウタはハンコックの姿を見た瞬間にペローナの後ろに下がった。

 

「レイリーさん、あれどうしたの?」

「女は色々と複雑なんだ・・・突っ込んでやるな」

 

バギーは変わり果てたハンコックの姿に対してレイリーに尋ねたが詮索するなとだけ言われた。

 

「ほら、ハンコックも話し合って決めたんだから・・・」

「嫌じゃ!!ルフィ以外の男と同盟など死んでもゴメンじゃ!!」

 

シャッキーがハンコックを奮い立たせようとするも完全に駄々っ子のようになっていた。クロコダイルはそれを聴いて取り敢えず同盟を組みたいんだなと分かるとバギーに近づきた。

 

「どうやら同盟を組みたいらしいな。俺としては賛成だ。九蛇の力は強い」

「・・・俺も賛成だ・・・」

 

クロコダイルの言葉にミホークもバギーとは違ってガチで強いハンコック・・・今は見る影もないけど・・・が同盟と言う形で入ってくれたらいい隠れ蓑が増えるからだ。レイリーはクロコダイルやミホークを見てバギーに笑った。

 

「しかし、お前がまさかあのクロコダイルと鷹の目を仲間にしてるとはな!!出世したな♪♪」

「いやぁ~♪♪それほどでも〜♪♪」

 

レイリーに言われて心から喜んでるバギーを見てクロコダイルとミホークは殺したくなった。誰も好き好んでなってるわけじゃないのに・・・しかも完全にバギーの部下扱いなのも腹がたった。

 

上機嫌なバギーは暴れてるハンコックに近づいて同盟の件を飲むことだけ言いに行った。

 

「おい、ボア・ハンコック!」

「あ?何じゃそなたは?」

「同盟の件は俺達の所はOKだぜ!!」

 

親指を立てて良い笑顔で言うバギー。

ハンコックはそれを見ると泣き始めた。

 

「う、うわぁぁぁぁ〜!!男なんぞに気を使われた〜!!恥じゃ恥じゃ・・・もうルフィのお嫁に行けぬ!!」

「あ、なんかすみません」

「情けニャい・・・気遣われた上にこれとは・・・」

 

あまりの普段とは違う感じにバギーは困惑しながら謝り、ニョン婆はもう色々と疲れて頭を抱えていた。

 

「そ、そうじゃ!!妾の周りは無理でも九蛇海賊団の皆なら一緒に反対してくれるはず!!」

 

ハンコックはそう叫ぶとテラスはロブ・ルッチに破壊されたので広間が見える場所まで来るとバギーズデリバリーの人間と仲良く楽しんでる九蛇海賊団を見て膝を付いた。

 

「な、なぜじゃ!?」

「いや、あの・・・どうも俺様を慕う気持ちの高い部下達とお前を慕う九蛇海賊団の船員の気持ちで意気投合したらしくて・・・」

 

普段なら男なぞ下僕以外に感じない九蛇海賊団だが、バギーズデリバリーは似たような感じでリーダーを崇拝してるのもあって九蛇海賊団の船員達と凄く早く意気投合していた。オマケに幹部に女性のアルビダがいるし、ウタがバギーの娘になったから、そう言った風紀もきちんとしてたのもあって九蛇海賊団はガチで珍しく他の海賊団と仲良くなっていた。単純に男に対する興味もあった。

 

ハンコックはまさかの事態にもう誰も味方ではないと分かると項垂れた。そんな運がガタ落ちしてるハンコックを見て同じように運がガタ落ちしてるクロコダイルにミホークは肩を優しく叩いて慰めていたが余計に落ち込んだ。

 

「好きな男がいるのに好きでもない男に全てを奪われる・・・まさかこれがNTR!?」

「違う!!」

「煩いこの豆・・・貴様ぁ!!」

 

暴走してるハンコックに対してツッコむニョン婆。いつも通りに何処かに投げてやろうかと思って振り向くとペローナの近くにいるウタを見つけてハンコックはガチで殺気をウタに飛ばした。

 

「ハ、ハンコック・・・その・・・久しぶり!」

「この・・・抜け駆けしよって・・・殺したい!!しかし、お主を殺せばルフィが悲しむ・・・うぅ・・・」

 

ウタを殺したくて殺したくてしょうがないハンコックだがウタを殺すとルフィが悲しむと思って堪えていた。何処までもルフィを愛する乙女だった。

 

「もう、全てがおしまいじゃ・・・酒がきれた・・・新しいのを・・・」

「飲みすぎよ姉様!!」

「もう駄目!!」

「うるさい、飲ませるのじゃ!!」

 

酒に逃げて、まだ酒を求めるハンコックはご馳走の中にあった酒瓶に手を伸ばそうとするがサンダーソニアとマリーゴールドに止められていた。

 

「というわけだ、バギー。今のハンコックは全く使い物にならんのでな・・・頼む」

「・・・暫く酒は止めましょうか・・・健康の為に・・・」

 

レイリーの頼みを断る選択肢なんてバギーには全く無かったが海賊女帝のまさかの変貌に戸惑って口からはそれだけしか言えなかった。

 

バギーの波乱万丈な人生はまだまだ健在だった。





























というわけでレイリー、ハンコックも無事に合流。
ハンコックが凄い事になってるけど・・・最終章で暴れるのが決まってるので落とせる所まで落とします・・・私が徹底的に落としまくるのはルフィVSカタクリ編でご承知だと思うので・・・

バギーは?
バギーはもう常に落ち続けてるので今更わざわざ落とす理由がございません。

それでは次回は討ち入りになると思うのでお楽しみに!!
出来れば10話くらいで終わらせて幕間を10話くらいやってから最終章にしたい!!
それでは次回もお楽しみに!!



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Let's go to Elesia

お待たせしました!!
キリの良いところを探ってたら遅れてしまい申しわけありませんでした!!
それではどうぞ!!



バギーズデリバリーと海軍の戦争から1週間。

ワノ国の鬼ヶ島ではカイドウとリンリンが海賊同盟を組んだのもあってリンリンとカイドウは酒を飲んで菓子を食べていた。

 

「マーマママママ!懐かしいねぇ、昔を思い出すよ!良くオレがお前に菓子を食わせてやったっけなぁ」

「止めろ。思い出しただけで口が甘くなる・・・辛いの辛いの・・・」

 

カイドウは胸焼けを何回も連日でした記憶を思い出すと辛口の酒を飲んで忘れようとしていた。

 

「そんなお前に酒を教えた白ひげがもう本当に殺したくてしょうがねぇよオレは・・・」

「もう死人だろうが・・・それに俺は何回か奢らされてたからな・・・」

「あんなに良い奴だったお前はどこに行ったんだい・・・オレは悲しくて涙が止まらねぇよ・・・」

「妖怪ババアの目にも涙か」

「はっ倒すぞクソガキ!」

「まぁ、良い・・・今日の宴が終わればワンピースを取りに行くぞババア」

「あぁ、そこで決着つけようかクソガキ」

 

カイドウとリンリンは笑いながら、お互いの野望の為に一先ずの同盟を組んだがどこか懐かしさを感じていた。悪い気はあまりせず、これでお互いに未練なく最後の時に殺し合えると気持ちを新たにした。

 

「そう言えば新聞を見たか?」

「あぁ?」

 

そう聞くと首を傾げるリンリンにカイドウは新聞を渡した。そして受け取ったリンリンはそれを見て笑った。

 

「マーマママママハーハハハハハハ!!!こりゃマジかい・・・シキにバレットの奴、とんでもねぇことをやったな!!」

「あー、俺も読んでスカってしたぜ・・・その結果もヤバいけどな・・・」

「構うこたぁねぇ、世界を滅茶苦茶にしやがった!」

「ウォロロロロ!!負けてられねぇな、これが終わったら戦争だ・・・ワンピースを取りに行く肩慣らしと暇潰しで“千両道化”と戦争だ♪♪」

「あんな赤っ鼻とやっても意味ねぇだろ?まぁ、面白そうな事にはなってるけどよ・・・そうだ!お前はトットムジカに興味は?」

「あぁ、あれか?興味ねぇな」

「そうかい、そりゃ良かった・・・あれを手に入れるのはオレだよ」

 

トットムジカを手に入れようとしてるリンリンにカイドウは何か言いたげになった。するとリンリンにその顔がバレた。

 

「何か言いたげだね」

「・・・あれはそんな良いもんじゃねぇぞ・・・」

「何か知ってんのかい??」

「・・・ウォッカで暮らしてた時に戦場で見た・・・」

「そりゃ本当かい!?」

「あぁ、その時はガルツバーグのダグラスって奴と対処した・・・あれは碌なもんじゃねぇ・・・下手に手を出すのは止めるんだな・・・苦しめるだけだ」

「誰をだい?」

「“赤い女”だ・・・ガキの頃にそいつを殺してトットムジカを止めたがそいつは最後に蘇った・・・」

「おいおい、トットムジカの中に誰かいんのかよ?」

「あぁ、ここまで来るには現実とウタワールドの両方から“嫌いな奴”同士の同時攻撃に“ウタウタの実を嫌ってる”能力者の最低3人が揃わねぇと来れねぇってな・・・会えなくても信頼してる“好きな奴”同士、ウタウタの実の恩恵を受け入れてる能力者だと手前しか行けねぇ、その女は手前でトットムジカに共感したせいで前にいたやつと入れ替わって捕まったって言ってた・・・たぶん200年間は中にいるとよ」

「変な条件だねぇ」

「トットムジカの本質に近づかねぇといけねぇ・・・負の感情は・・・“寂しい”とか“辛い”とかだけが全てじゃねぇ、“嫌悪”“嫉妬”“怒り”“嘆き”“苦痛”“欲”もまた負の感情だ。そのどれかを同時攻撃をする奴同士がお互いに相手に対して持たねぇと出来ねぇ・・・でねぇとトットムジカはまた“世界”を彷徨う」

「“世界”だぁ?」

「ウォロロロロロ・・・音楽の国のエレジアにしかない物に魔王なんて伝承が残ると思うか?・・・あれはウタウタの実の能力者が世に出たら、いつかはそいつの近くに来る怨念そのものだ・・・そして能力者が死ぬと楽譜という特性上、1番音楽に溢れてる国のエレジアに戻る・・・あれを操るには確か・・・負の感情と正の感情の両方を持たねぇと兵器にはならねぇって言ってたな・・・あんなピーキー過ぎるもんは俺の望む世には要らねぇ」

 

カイドウの説明を聴いてリンリンは黙った。ここまで流暢に喋ると言うのは本気で碌な物じゃないと言うカイドウなりの警告だった。しかし、リンリンは“ビッグマム”。今更そんなのにビビる女では無かった。

 

(・・・あの“血塗れの赤い女”を解放して始めてトットムジカは“世界”を彷徨うのを止めてただの兵器に戻る。無理だな・・・“嫌いな奴”同士が同時攻撃をした後にウタウタの実の能力者を“覚醒”させるなんてそんな都合の良い展開はありえねぇ・・・)

 

カイドウは9歳の時に見た赤い女を思い出しながら新聞を読んだ。

そして新聞に載ってる“クロスギルド”のメンバーとレイリー、ウタ、シャッキー、ペローナ、ハンコックが写りこんでる写真を見ながらカイドウはまた酒を飲んだ。

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃。

ルフィ達はオロチの内通者だったカン十郎の手によってサニー号に爆弾が仕掛けられていたが帆を直すだけで済んだ。が、修繕に手間取っていたので時間が掛かった。投獄されていた報告のローにルフィと同じように兎丼に捕らえられてるとなっていたキッドの船も出てきたが、集めた戦力の四千人を超えた勢力は現れて無かった。しかし、ルフィとキッドとローが船を1隻軽く沈めた所でオロチの忠犬として動いていた狂死郎が元光月おでんの家臣である傅ジローと判明。傅ジローは自らの仲間1200人を仲間にしてほしいと錦えもん達に志願。更には錦えもんが暗号を読み間違えた事でカン十郎がオロチに伝達する内容をミスってしまい、四千を超えた戦力が無傷でやってきた。

 

錦えもんは一生分の運を使い果たしたと思った。

 

カン十郎はその後、モモの助を連れて鬼ヶ島に先に飛んでいった。潜入してた時の下手な絵ではなく上手い絵だった。

 

モモの助はルフィや錦えもん達に何とか脱出するからカイドウとオロチを倒してほしいと叫ぶとこれまでの航海でモモの助を弟のように思ってたルフィは約束した。

 

海戦を始めるルフィ、ロー、キッド達に五千を超える侍達の戦力。そんな中で1隻だけ下がっていくのが見えた。ルフィ達は気にしてなかったがその船が大砲を撃ち始めて侍達の船を破壊し始めた。

ただ、それはリンリンの所で殿を努めたジンベエの登場によってその船は破壊された。ジンベエは口上を述べてその後、無事に麦わらの一味に合流した。

 

「ジンベエ〜〜〜!!本当に心配したぞお前!!」

「すまん、“タイヨウの海賊団”の負傷者の手当と送別会が盛り上がってのう・・・」

「“元”七武海のジンベエが仲間なんて、何て心強さだ!!」

「ジンベエの操舵技術ホンットに凄いのよフランキー!!」

「サニー号でサーフィンしたんだぞ!!」

「やっと夢の船の本領を引き出す男が現れたか!!」

「どうかひとつよろしく頼む!!」

 

ジンベエの登場にこれからというかまだ戦闘中の筈なのに大盛りあがりをする一味。ノリの良いフランキーは更に盛り上げるためにあることを言った。

 

「乾杯すっか!?」

「「やろうー!!」」

「今、酒なんて積んでねぇぞ」

「いや・・・酒の匂いがする」

「どこからだよ!?」

「あっちからだ」

 

酒の匂いを嗅ぎ分けたゾロは霧の向こうを指さした。見た感じは今までと同じコースでルフィはそれを聞くと即効でそっちを目指した。

 

「「「乾杯♪乾杯♪乾杯♪」」」

 

ルフィ、ウソップ、チョッパーは乾杯出来る事に大盛りあがりしていたが軈てルフィとウソップは首を傾げて少し経ってからチョッパーも同じように首を傾げた。

 

「おい。ウソップ、チョッパー」

「何かいるな」

「でも酒の匂いもするぞ」

 

ルフィは戦闘準備と皆に言おうとしたが、もう全員武器を構えていた。

 

「ざっと50人程度か?」

「それで何でこんな所にいるんだ?」

「恐らくは門番じゃろう」

「早く終わらせようぜ」

「ヨホホホホ、いやぁ〜皆さん頼もしいですね」

「あら、ブルックも充分頼もしいわよ」

「お宝もないかしら?」

 

ルフィはそれを見るといの一番に気配がする方向へ飛び出した。途中で砲弾に撃たれたりしたが風船で何倍にも威力を上げて返したりした。ゾロ、ジンベエ、サンジ、ブルック、ロビン、フランキーも次々と乗り込み始めてウソップとナミとチョッパーはそれをサニー号から覗いていた。

 

するとあっという間に制圧した。

 

「あっさり終わったのう・・・」

「しっかし、良い武器を揃えてんのに杜撰な警備だな」

「愚かなプライドが私生活にも現れてるようね」

「ヨホホホホ、ロビンさん相変わらず手厳しいですね♪♪」

 

ジンベエ、フランキー、ロビン、ブルックの年長組はあっさりと制圧した鳥居で使える樽がないか探して10人分集めていた。

ルフィは一先ず敵がもう居ないか確認すると錦えもん達に手を振った。

 

「錦えも〜ん!!敵が居たぞ!!」

 

笑いながら大した事が無かったように大声で笑うルフィ。サンジは1つ1つ酒瓶を確認していたが酒を見つけられなかった。どうしたものかと思いながら見てるとゾロが大きな酒樽を担いでいるのが見えた。

 

「おいマリモ!それ・・・!!!」

「おっ、酒を見つけたのか??」

 

驚くサンジと近くにいたウソップが尋ねるとゾロは気持ちのいい笑顔を2人に向けた。

 

「言ったろ?匂いで分かる」

「本能だな・・・」

「ほんっと酒と刀の事しか頭にねぇ奴だな」

 

サンジとウソップがそれに対して呆れと引きながらも無事に酒も見つかったので酒瓶にそれを入れて一味は円陣を組んだ。

 

「ジンベエの加入を祝して〜♪♪♪」

「ルフィ〜〜殿!!」

「んぁ?」

 

残りは乾杯だけになってやろうとしたその時、錦えもんに呼ばれて後ろを見た。多くの侍達が血気盛んな様子で気合を入れていた。

 

「迅速なる関門突破感謝いたす!!全船、鬼ヶ島へ突入せよ〜!!」

『うぉぉぉぉぉぉー!!!』

 

ルフィはそれを黙って見た後で酒を置いた。ナミを始めとした一味の面々が気になってルフィに尋ねた。

 

「やめだ!」

「「はぁ?」」

「あいつらとやろう!!カイドウもビッグマムもオロチもぶっ飛ばして!!この戦いに勝って今までで1番デッカイ宴をやろう!!」

 

それを聞くとナミは呆れつつも笑った。

 

「全く、あんたが言ったんでしょ??ホンットに勝手なんだから!!」

「ナミさんの言うとおりだぜ」

「そうか?」

「まぁ、いつもの事だ。今更何言ったって時間の無駄だろ?」

「「「うんうん」」」

 

ゾロの言葉にサンジ、ウソップ、そしてルフィが頷いた。

 

「「「おめぇは頷くな!!」」」

「それはそうとして親分さんはどうかしら?」

「・・・ワシの答えは決まっとる!!」

 

ジンベエの言葉を合図に一味の全員が酒を地面に置いた。

 

『乗った!!!』

 

船長であるルフィの案にグタグタ言うつもりも無かったし、それにどうせなら慌ただしくやるよりもゆっくりと楽しみたかったのもあって全員、それに乗った。

ルフィはそれを見ると笑ってあることを皆に宣言した。

 

「シシシ、皆付き合ってくれてありがとう!!」

『何を今更』

「んでよ!!宴を終えたらエレジアに行ってウタのライブを聴きに行こう!!四皇をぶっ飛ばしたら海賊王に近づくんだ!!なら、俺はあいつの歌声を聴いて“新時代”に進みてぇ!!」

 

ルフィの言葉に全員笑った。ルフィがどれだけウタを好きなのかもう全員が知っていたし、ワノ国に着いた時に受け身な事に対して苦言を申してたゾロもこれなら納得出来た。

 

「ったく、レッドラインを戻るなんて・・・私が居ないと簡単に行けないんだからね?」

「楽しみだなぁ、ウタのライブ!!」

「ウタちゅぁ〜ん!!待っててねぇ〜!!」

「俺、一杯楽しむぞ!!」

「ルフィと何処まで進展してるのかたっぷりと聴けるわね♪♪」

「ア〜ウ、このサニー号ならあっという間だ!!」

「私も今から胸が踊り始めましたよ♪♪あっ、踊る胸なんてないんですけどヨホホホ!!」

「わしが居れば海底じゃろうが嵐じゃろうがすぐに着くわい!」

 

皆の優しい言葉に嬉しくなったルフィはゾロを見ると笑ってくれていた。

 

「了解だ“船長”!!カイドウをさっさとぶった斬って行こうぜ!!」

「シシシ、行くぞ野郎共!!」

『おぉぉぉぉぉぉーー!!』

 

ルフィ達は急いでサニー号に戻っていって船を進めた。目指すは鬼ヶ島のカイドウの首。ルフィは夢に向かって突き進んだ。

 

「行くぞカイドウ〜!!」

 

サニー号の頭の上で宣言するルフィ。

その背中にはウタによって入れてもらった2人だけの新時代の麦わらマークのコートが靡いていた。



































というわけで鬼ヶ島に討ち入り開始とエレジア行き決定です!!
そして多くの勢力がトットムジカを狙ってる中でトットムジカを狙ってないカイドウがその理由を明かしました。因みにカイドウの会話で出てきたダグラスはバレットではなくバレットの所属していた部隊の隊長だったダグラス中佐です。

因みにカイドウのこれは最終章への伏線ですのでお楽しみに!!もうハッピーエンドの為なら地獄の地獄の大地獄の底の底までやってぶち上げるつもりですのでお覚悟もよろしくお願いします。

次回からカイドウ戦とヤマトの登場以外は端折ながらやりますのでご了承下さい。
それではお待ちください。

そして黙々とチビチビ書いていたR-18版が遂に昨日完成しました。この後にすぐ出しますので読まれたい方は是非どうぞ。


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Yamato

皆様、お待たせしました。
えーと一言で言うとまた元の原作量に苦戦してます。
なので非常に誠に勝手ながら端折ながらやります。


鬼ヶ島に無事に潜入したルフィ、キッド達に侍達とローは敵がまだ潜入されてることに気づいてないのと錦えもんの能力で服を変えていたがお汁粉を粗末にぶち撒けていたカイドウの手下達にルフィがキレて暴れ始めた。友達の玉が満足に食べられない毎日なのに何故にこんな奴らが粗末にする程あるのかルフィは腹が立って暴れ出した。

 

一方、その少し前。カイドウとリンリンは分かれてカイドウは部屋で呑んでるとキング、クイーン、ジャックの大看板の1つ下の幹部達である飛び六砲のササキ、フーズ・フー、X・ドレーク、ブラックマリア、うるティ、ページワンの6人がやってきた。なんでやってきたのか分からないが折角の宴なのでカイドウは機嫌よく迎え入れた。

 

「よう、お前ら飲んでるか?」

「キャー♡カイドウ様でありんす!!お久しぶりんす♡」

「それ、ありんす言葉か?」

「雑魚どもと飲んでも“利”がねぇ!俺はアンタと飲みてぇカイドウさん!」

「あぁ、構わねぇ後で広間へ行こうぜ。今日は無礼講だ。お前らをリンリンに会わせるつもりだったが着替え中だそうだ・・・・後にしよう」

「あんなババアなんか無理矢理引きずり出せば良いじゃねぇか!」

「おい、姉貴やめろ!」

「ウォロロロロ・・・いや、昔それをやろうとして面倒くせぇことになっちまったからな・・・」

 

どこか達観したような顔つきになったカイドウにうるティの弟であるページワンは何故か親しみが凄く出てきた。

 

「まぁ、ババアの事は後で良いとしてちょっと事件が起きてお前らを待たせた」

「グダグダじゃねぇか!」

「だから止めろ姉貴!」

「まぁそうだが別に俺はお前らを招集してねぇからな」

「え?じゃ、俺達は誰に呼ばれたんすか?」

「俺だ」

 

カイドウが呼んでないと分かって困惑してる面々にキングがやってきて平然とそう言った。それを見たフーズ・フーとササキは嫌な顔をした。

 

「俺が呼んでも来ない奴がいるからな。ササキ、フーズ・フー」

「・・・」

「確かに」

 

キングの言葉にフーズ・フーは沈黙し、ササキは肯定した。元々は自分の海賊団を率いていたササキにフーズ・フーは大看板の座を狙っているのもあってキングだけでなくクイーンにジャックの首も狙っていた。

 

「おいおい、折角の楽しい宴の席だぞ。キング、コイツラを呼んだ理由は?」

「今しがた起きたあんたの問題を一早く聞きつけたので・・・コイツラが必要では?」

「確かにバオフォン!今日のスケジュールは?」

 

カイドウがそう言うとムササビのギフターズであるバオフォンがやってきた。バオフォンは今日のスケジュールを言っていくと飛び六砲が息子であるヤマト関係で何か発表があるとわかった。

 

「あ~、これを先に言うと混乱を招く・・・つまりお前らに頼みてぇ任務はこうだ。今日失踪したウチのバカ息子“ヤマト”を連れ戻してくれ」

「あら、それは手強い。つまりその重大発表にはヤマト坊っちゃんに関わりが?」

「あぁ、そういうことだ」

「成る程」

「面倒くさ!!あんたの家庭の問題じゃん!!」

「そろそろ本気で止めろ!!姉貴!!」

「無事に連れて帰ってきたら?」

「そうだな・・・指名制で“大看板”への挑戦権をやるってのでどうだ?」

 

カイドウは良くも悪くも実力主義の弱肉強食主義。そして幹部達もそれを良く理解して成り上がってきた。それを云うと特にササキとフーズ・フーは盛り上がった。

 

「いいよなお前ら?」

「「えぇ全く」」

 

そしてキングにこの場にいるジャックもカイドウの言葉に賛成した。

 

 

 

〇〇〇

ルフィはその後、キッド、キラー、ゾロと共に潜入している筈なのに暴れ始めていた。キッドは最初からカイドウの情報屋だったスクラッチメン・アプーに対してブチ切れて攻撃するもオトオトの実の能力でルフィ、ゾロと共に苦戦していたが能力の事を知っていたキラーが3人に耳を塞げと云うと能力の効果は無くなった。

 

「アプーの攻撃範囲は“音が聴こえる”距離だ。聞こえたら逃れる術はねぇ!奇襲に気をつけろ!!」

「「「何?」」」

「ファッ!?」

 

伊達に長いことカイドウやオロチの下でこき使われていたわけではなく、キラーはアプーの能力の特性を知って3人にそう言ったが3人とも耳を塞いで聞こえてなかった。

 

「何だって?もう一回言ってくれ!」

「大事な事だからもう一度言うぞ!」

「おう!」

 

そして訪ねてきたルフィに対して律儀にもう一回説明して答えた。その後、ルフィはキッドやキラーと分かれて行動し始めるがゾロとまた逸れたので1人来るカイドウの手下達をブチのめしながら突き進んでいた。さっさとカイドウをぶっ飛ばしたいがドンドンとやってくる手下達に少し面倒くさく感じ始めてると近くの階段の上からページワンの上にうるティが乗った状態で滑り落ちてきた。ルフィは何をやってるんだと思いながら眼の前まで滑り落ちてきた2人を見た。

 

「何だてめー」

「お前が何だ?」

 

睨み合う2人だがうるティは下にさっき悪気はないがソリ代わりにしていたページワンを見ると慌てた。

 

「あー!?ぺーたん、大丈夫!?しっかりして!!するでありんす!!」

 

うるティはページワンに抱きついて心配するがページワンは姉であるうるティにもう呆れ果てて何も言えなった。

 

「お前、良くもぺーたんをこんな目に!!」

「お前がそいつでスキーをしたんだろ?」

「名乗れ!!どこの所属だ!!」

 

怒り心頭のうるティにルフィだけでなくページワンも呆れた。周りにいた手下達が侵入者である事を告げているがうるティは聞いてなかった。

 

「俺はルフィ・・・海賊王になる男だ」

「はぁ!?海賊王になるのはカイドウ様に決まってんだろウルトラバカ野郎!!ウル頭銃!!」

 

うるティはそう叫びながら思いっきり反ってルフィに頭突きを食らわせた。ルフィも武装色の硬化をしてそれを頭でやり返した。

 

覇気がぶつかり合い、ルフィはふっ飛ばされた。

 

「効いた〜、ちょっとなめてた」

 

ルフィはそう言いながら立ち上がって相手を見た。リュウリュウの実モデル“パキケファロサウルス”のうるティとリュウリュウの実モデル“スピノサウルス”のページワンが変身して待ち構えていた。

ルフィはすぐにうるティの後ろに回って投げ倒して襲ってきたページワンの顎に象銃を叩き込んだ。ページワンはそれで少しは離れたが立ち上がってきたうるティに体を掴まれた。

 

「お前、良くもぺーたんを!!ウル頭銃群・・・」

「やべ!?力が強え、ギア4で・・・」

 

うるティが大技を繰り出そうとし、ルフィもギア4で何とかしようとするがその時、突然とやって来た着物を着て面をつけた者にうるティが金棒でぶっ飛ばされた。

 

「雷鳴八卦!!」

 

頭に特大の攻撃を受けたうるティは倒れてルフィを放した。

 

「麦わらのルフィ・・・そうだよね!?」

 

周りの手下達がヤマト坊っちゃんと色々と叫んでいるがルフィは何が何だか分からなかった。ヤマトは自分を捕らえようとする手下達からルフィを連れて逃げた。

 

「すまない、危害は加えない」

「まぁ、何も殺気を感じねぇけど・・・俺、先を急いでんだ!!」

「君を待ってた!!ずっと待ってた!!僕はヤマト、カイドウの息子だ!!」

「は!?」

 

ルフィは啞然となったが殺気を感じられなかった。しかし、先を急いでいたのもあってジタバタと動いてヤマトの懐から脱出すると逃げ始めた。

 

「待ってくれ!!話を聞いてくれ!!」

「やだ!!ならさっさと話せ!!」

「ここじゃ話せない事情もあるんだ!!」

 

ヤマトの言葉にルフィはワノ国に入る前、ウタと過ごした最後の夜に言われた事を思い出していた。

 

『良いこと?ルフィは騙されやすいんだからハニートラップなんかに引っかからないでね!』

『何だそれ?』

『女の人が男を罠に誘うような事だよ。偶に男の人でもやるらしいけど』

『そんなんに俺は引っかからねぇよ』

『どうかな?“ここじゃ話せない”とかなんとか言って連れ込む場合もあるかね!それにされたら最悪死んじゃう場合もあるってバギーおじさんの所で言われたし・・・兎に角そんな事を言う人にはなるべく大勢いる所で対応してね!!』

『えー?なんか面倒くせぇな・・・』

『もしもそんなのことをされたら・・・アタシ、ルフィと別れて2度と会わないからね・・・』

『いい!?わ、わかった・・・』

『まぁ・・・兎に角仲間の皆とかと一緒に居て対応してね!ルフィは人が良いからすぐにされそう』

 

ルフィはウタに注意されていた事を思い出していた。そしてヤマトの行動は諸にそれに当てはまっていた。殺気が感じられないのも罠に嵌める為だとルフィは思った。

 

「お願いだ!!僕の話を聞いてくれ!!」

「先を急いでるんだ!!」

「5秒で話せ!!」

「5分は掛かるし、ここじゃ無理だ!!」

「ならやだ!!」

「なぜだ!?」

「ウタが言ってた!!そうやって罠に嵌めて殺す奴がいるって・・・はにーとらっぷってやつだ!」

「はにーとらっぷって何!?てか罠なんかないよ!!本当に5分ですぐに終わるから!!」

「知らねぇ奴に5分も掛けられるか!!」

 

あまりにもしつこいのでルフィは容赦なく象銃を放ったりして撒こうとしたがヤマトはそれを難なくと受け止めていた。暫くするとルフィとヤマトの攻撃がぶつかり合って近くの屋根や周りの物が壊れたのもあって2人は屋根裏に移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃。

カライバリ島の盛り上がってる宴の席でライブを終えたウタはルフィの危機を察知していた。そして離れた所で断酒をさけられていたので暴食をしていたハンコックもそれを察知した。

 

「「!?」」

「どうしたの姉様、ウタ?」

「ハンコック、今の感じた?」

 

ウタは急いでハンコックの元に行って首を縦に振った。

 

「ウタも感じたのか・・・これはルフィの危機じゃ!!」

「アタシも感じた・・・ルフィが誰かに言い寄られてる!!」

「妾のルフィが・・・」

「アタシの旦那って言ってるでしょ!!」

「うるさい!!妾が先に恋していたのじゃ!!」

「アタシの方が先だ!!」

 

ハンコックは暴食を止めてほぼ八つ当たり気味にウタに向かって攻撃し始めてウタもそれを受け止めていた。ルフィに対する愛だけでウタは何倍もの力を出せるのだ。

 

「・・・ソニア姉様・・・ウタもそうだったみたいね」

「はぁ・・・」

 

サンダーソニアとマリーゴールドの2人は呆れて頭を押さえていた。

 

 

 

〇〇〇

無事に屋根裏に移動したルフィはヤマトに対して5分だけと何回も念を押していた。

 

「本当に5分だけだぞ!!」

「わかってるよ!・・・ある日、父に光月おでんになりたいって言ったらぶっ飛ばされたんだ」

「って、なんでそれを俺に話してぇんだよ!?」

「20年前、僕はあのおでんの処刑・・・伝説の1時間を見たんだ!!」

 

ルフィは2週間前に錦えもんから言われたおでんの最後の釜茹での時の事だと分かると取り敢えず黙って聞いた。

 

「あんな立派な侍はいない。殺したのは僕の父とオロチだ!!悔しかった・・・でもそれ以上に胸が熱くて涙が止まらなくなったんだ!!」

 

ヤマトはルフィの肩を掴んでガシガシと揺らすほど興奮していた。

 

「ーその後、九里で拾った光月おでんの航海日誌は僕の聖書だ」

「へー、日誌」

「この日誌の存在は父達も知らない!!ここには彼の豪快な人生と“大切な事”が記されてる!!赤鞘の侍達も死んだ今、誰かがおでんの意志を継がなくちゃ・・・だから僕はこの国を開国するんだ」

 

ヤマトはそう言って被っていた面を外してルフィはビックリした。息子だと言っていたヤマトがどう見ても女だったからだ。

 

「え!?お前、息子って言ったよな!?」

「光月おでんは男だろ!?だから僕は男になった!君は本当に強いな!まだ本気を出していない・・・エースを思い出す!!」

「はぁ!?」

「“光月おでん”である僕としては・・・エースの弟の君なら僕を船に乗せてくれる筈だと情報を追ってた・・・」

 

色々と頭が混乱してくるルフィ、取り敢えず1言言った。

 

「お前な!!光月おでんは皆が好きなんだぞ!!お前がおでんになっていいわけねぇだろ!!」

「そりゃ、君の方がおでんかもな!!」

「何だ!?俺の方がおでんって!?」

 

ルフィは突然と現れたヤマトに対してツッコんでいた。そしてヤマトは20年間されてる手錠をルフィに見せた。爆弾らしいのとこれのせいで出られない事を言うとルフィは流桜で外してやると言って外そうとしたがその前に下から声がしたのでヤマトと2人で覗き込んだ。

そこから見えたのはボコボコにされて磔にされたモモの助とカイドウとオロチにキングとクイーンだった。するとそこにナミからゼウスを取り戻したリンリンもやってきてカイドウはリンリンと共にワンピースを取りに行くと宣言した。

そして更にはワノ国を海賊や悪党による無法地帯と言うなの楽園にすると宣言してオロチを殺し、オロチの部下達に味方になるかどうか伝えると全員が味方になると宣言した。

そのタイミングで屋根が崩れ落ちてルフィとヤマトは一緒に下に落ちてまたカイドウの手下達に追われ始めた。

カイドウはそのまま、鬼ヶ島を花の都に移すと宣言して更にはヤマトを将軍にするとまで言った。

 

「なってたまるかクソ親父!!」

「おい、早く案内しろ!!モモが殺される!!」

「え!?じゃ、あの子本物の光月モモの助なのか!?」

「そうだよ!!家来は皆、生きてる!!」

「えーーーっ!?」

 

ルフィはそれだけ言うとヤマトの手錠を掴んだ。ヤマトはまさか本当の父親が爆弾を仕掛けてはいないとどこかで思いつつもルフィに遠くに投げてとだけ言った。

そしてルフィは流桜でそれを掴んで外して遠くに投げると爆発して2人は爆風で飛ばされた。

 

「畜生!!あの牛ゴリラめ!!本当に僕を殺す気だった!!よくわかった!!あいつはもう親でも何でもない!!」

 

爆発で流石にリンリンも気づきルフィと隣にいたヤマトを睨んだ。カイドウはワノ国の将軍になると宣言したのに泣いてるモモの助に金棒を構えていたが爆発に気を取られていた。

 

「待てヤマ男!!」

「ヤ・マ・ト!!」

「間に合ったけどよ、この決戦を始めるのは俺達じゃねぇ!!」

 

ルフィがヤマトにそう言った瞬間、裏から回ってきた錦えもん達と合流したおでんの家臣で元白ひげ海賊団のイゾウにネコマムシも合わせた赤鞘九人侍がカイドウに突っ込んでいった。

 

討ち入りが始まった。
























というわけでカイドウ戦が始まりそうですが、やっぱりあそこまで長いのとルフィを含めた麦わらの一味は最終章で暴れるのが決定済なのでもう容赦なく端折ながらやります。
端折らないと約束出来るのはルフィVSカイドウ戦くらいです。
誠に最低ながら他はもう切って切って切りまくります。
そもそも当初の予定ではウタのクロスギルドを中心にワノ国はダイジェストだったので次回から同時刻のクロスギルド組の珍事をやりながら間に挟む感じでカイドウをやっていきます。そっちの方が書きやすいのもあるのででは次回もどうぞ。


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Law & Kid vs Linlin

遅くなってすみません。
大熱を出して倒れていた上にどこを切れば良いのやらと迷って違う意味でも熱を出してと迷っていた結果、もういっそのこと容赦なく思いっきりやっちまえの精神でやりました。


ルフィらが討ち入りで暴れている中、ウタはバギーズデリバリーと女ヶ島の面々に対してライブをやって盛り上げていた。どうなるかと思われたがバギーズデリバリーと女ヶ島の人達の関係は良好で争いの種なく何とかなっていた。

そんな中でウタはライブが終わったのでペローナやマーガレットと共にいた。

 

「お疲れウタ!」

「今日も凄い感動したぞ!!」

「ありがとう2人共!!」

 

3人娘はそのままウキウキした様子で本部の中を歩いていくととある部屋が騒がしかった。3人は疑問に思って覗き込んでみるとバギーズデリバリーの印刷・宣伝班が慌ただしく動いているのが見えた。

 

「慌ただしいね」

「世界政府とか新聞社とかにバラ撒くポスター作りらしいしな、数が多いし」

「蛇姫様が自分の部屋一面に大きくしたルフィの手配書の写真の引き伸ばしをやったことあるけど、ここまで大掛かりなのは見たことないなぁ」

 

そんな風に呑気にしてるとポスターが1枚飛んできたのでペローナはそれを見ると吹き出した。

 

「どうしたの?」

「何かあった?」

「これを見てみろ」

 

ペローナが持ってるポスターを覗き見るとデザインが問題だった。

バギーを上にミホークとクロコダイルが横で下にはハンコックが配置されていて誤解を生みそうだった。

 

「「「これは不味い」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

それから数十分後、バギーやレイリー、シャッキー、ミホーク、クロコダイル、ハンコックは一緒の部屋に居たがバギーはハンコックにボコられていた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ〜〜!!!もう許して!!」

「黙れ赤っ鼻!!妾を毎あるごとに辱めよって何たる屈辱!!殺す!!」

「まぁまぁ、ハンコックもバギーちゃんにそんなに当たらないで・・・世界中に配布される前に分かって良かったじゃない」

「煩いぞシャッキー!!」

 

シャッキーに宥められてもハンコックはバギーをボコるのを止めなかった。ミホークとクロコダイルは一緒にボコろうとしたがハンコックの怒涛のボコり方に少しだけ引き始めていた。

ハンコックはバギーをこの世から抹消しようと蹴りをブチ込もうとするがレイリーが間に入って止めた。

 

「まぁハンコックももう落ち着いて・・・悪気があったわけではないからな」

「悪気があればなお許さん!」

 

ハンコックの目は本気でバギーを殺そうとしていた。バギーはレイリーの後ろに隠れていた。

全部任せっきりにしていたバギーもバギーで悪いがこれは流石に運が無さすぎた。ただ、無事に分かったこともあってデザインを変更できた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「いや、何とかなったね」

「良かった良かった」

「本当にね」

 

ウタ、ペローナ、マーガレットの3人は無事にデザインが変わったポスターを見ながらのんびりと話していた。新しいデザインは4人が横並びしていてミホーク、ハンコック、クロコダイル、バギーの順で並んでいた。

 

「しかしまぁ、ここの赤っ鼻親父への崇拝ぶりは怖えな」

「うん、何というかぶっ飛んでるっていうか」

「だから九蛇とも気が合うんだろうなぁ」

 

ウタ、ペローナ、マーガレットはそのまま駄弁っていたが明日も早いので3人は寝ることにして別れた。

当てられた部屋でウタは麦わらマークの長手袋にトレジャーマークを外してベットで横になった。

 

(なんかルフィに会いたいなぁ・・・まぁ、ルフィの事だから頑張って無茶やってると思うけど・・・やり過ぎてないと良いなぁ)

 

 

 

〇〇〇

その頃、ルフィはゾロ、ロー、キッド、キラーと共にカイドウとリンリン相手に戦っていたがリンリンを下に叩き落し、ゾロ、ロー、キッド、キラーはカイドウの相手を覇王色も纏えるようになったルフィに任せた。

そしてルフィはまた敗れてカイドウの能力で空を飛んだ鬼ヶ島から落とされたがハートの海賊団に助けられ、持ち前の人知を超えた回復力で復活し、ヤマトが必死で戦ってくれていた中でしのぶの能力によって大人になったモモの助の龍形態に乗って戦場に戻っていた。

下ではリンリンを相手にローとキッドが戦っていてそれだけではなくゾロは覇王色を覚醒させて閻魔を操れるようになり、それでキングをぶった斬り、サンジはジェルマのスーツを着た影響で外骨格を発現、その運命を受け入れてクイーンを蹴り飛ばした。フーズ・フーはジンベエによって、ササキはフランキーによってブラックマリアはロビンとブルックにうるティはゼウスを完全に手に入れたナミとウソップにチョッパーはランブルの影響で暫く小さい状態だった為に負傷者の治療に当たっていた。こうして大看板であるジャックもイヌアラシ、リンリンが完全にカイドウと同盟を組んでる事から敵に回っていたペロスペローはネコマムシにやられ、カイドウに付いたホーキンスをキラーによってやられた。敵の幹部格は全て倒されていたがそれを無に返す程の怪物がまだ2人残っていた上に赤鞘侍達によって倒されたカン十郎の悪足掻きによって生み出された火前坊によって大火事になっていた。

悪い事は重なり、カイドウがルフィと戦い始めて疲れてきた事によって鬼ヶ島を浮かす焔雲の力が弱くなってきて鬼ヶ島が都に落ちそうになっていた。ヤマトはそのままモモの助と共に離れて、地下にある火薬庫を自分の能力であるイヌイヌの実幻獣種“大口真神”の力で氷漬けにさせようとし、モモの助は焔雲を少しずつでも出して鬼ヶ島を都とは違う別の場所に移動させようとしていた。

 

その頃、カイドウは持っていた酒を飲んでいた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・何酒飲んでんだお前!!!」

「楽しいからよ・・・お前も飲むか?今日は都じゃ“火祭り”・・・鬼ヶ島も大宴会って日だ。お前らに滅茶苦茶にされたがな・・・フヒヒャヒャホホホ!!ウィ〜!!」

「酔っ払ってんじゃねぇか!!」

 

カイドウは酒を飲んで酔っ払った。ルフィはそんなカイドウにツッコみつつ顔面に怪鳥銃をぶち込もうとしたがカイドウは酔いながらもあっさりと避けた。

 

「酒龍八卦 輪雷上戸 引奈落!!」

 

そして人獣型に変身し、金棒の八斎戒を思いっきりルフィに叩きつけた。ルフィは頭を抑えてすぐに立ち上がるとカイドウは龍形態になって落ち込んでいた。城も島も半壊し、更には建造するのに5年も掛かっていたのが一夜にしてこうなったのでカイドウは落ち込んでいた。

ルフィはすぐさま突っ込んでいくとカイドウは回転し始めた。

 

「龍巻壊風!!」

 

ルフィに向けて斬撃を飛ばした。ルフィは腕を武装色で硬化して何とかそれの軌道を逸らしてカイドウを見ると今度は泣いていた。

 

「近寄るな!!うぉ〜ん!!そっとしといてくれバカ野郎がぁ!!うおおんおん、ひっく、付きまとう奴はこうだ・・・“雷”」

「調子狂うな」

「“鳴”」

 

カイドウの変わりようにルフィは調子を狂わされつつも冷静に見聞色の覇気でカイドウを見ていた。

 

「“八”」

 

そしてカイドウがまた雷鳴八卦をルフィに向けて叩き込もうとしてくるがルフィはそれを避けて八斎戒を踏み台にした。

 

「しし、喰らえ酔っ払い」

 

そのままルフィはカイドウの顎めがけて蹴りを叩き込んだ。しかし、カイドウは尻尾でルフィの足を掴んでそのまま頭突きを叩き込み、ルフィもそれに対して頭突きをした。

勝ったのはカイドウだった。

 

「うわっ!?覇気が強まってる!!」

「うぃ〜、折角の酔いが醒めちまうだろうが!!」

 

すると今度は怒り出して熱息をルフィに向けて放った。ルフィはそれを避けてカイドウに向かって巨大な拳を放った。

 

「ゴムゴムの怪鳥銃乱打!!」

「軍荼利龍盛軍!!」

 

ルフィの怪鳥銃乱打と互角以上に八斎戒を振り回し始めるカイドウ。だんだんとカイドウの方が早くなってきて遂にルフィの拳を八斎戒で弾いてそのままルフィ目掛けて殴りに行ったがルフィはそれを何とか流桜で防いでカイドウの腹めがけて蹴りを叩き込んだ。

 

 

〇〇〇

一方、キッドとローは一時的に同盟を組んでリンリンと戦っていた。覚醒させたオペオペの実で内部から衝撃波を放ったりしてリンリンにダメージを与えたり、覚醒させたジキジキの実の能力でリンリンに磁力を与えて潰したりしていたがそれでも寿命を奪い取り巨大化して倒れないリンリンに2人はボコボコにされていた。

ローのハートの海賊団、キッドのキッド海賊団の船員達が駆け寄るがリンリンはそれをふっ飛ばした。

 

「さて、カイドウの勝鬨はまだ上がらねぇな」

 

ぜぇぜぇと肩で息をするリンリン。あれ程の攻撃を受けて全く微塵の欠片も効いてないわけなく、流石に疲れとダメージが出始めていた。

 

「まさか麦わらのチビ助1人にじゃれ合ってんじゃねぇよなぁカイドウ・・・ヘラ、屋上へ行くよ」

 

ゼウスの代わりに新しく作り出した雷雲のホーミーズのヘラに乗ってリンリンは屋上に上がろうとしたがその隙を付いてローが愛刀の鬼哭にオペオペの実の覚醒した能力を与えた。

 

「K・ROOM・・・“麻酔(アナススィージャ)”」

 

そしてバカデカくなった鬼哭をリンリンに刺した。リンリンは先程食らった内部からの衝撃波をする気だと分かると流石に焦り始めた。

 

「さっきのも効いた筈だ。貫通に痛みはない・・・ただし」

「やめろこれは・・・・」

「“衝撃波動(ショックヴィレ)”!!」

 

内部からの衝撃波を放ってリンリンに強烈な一撃を叩き込んだ。周りの鉄骨のホーミーズ達がローに攻撃を仕掛けにくるが今度はキッドがそれをジキジキの実の力で全て従えさせた。

 

「口うるせぇ鉄骨共、俺の磁力に従え!!」

「まだ立つのかいキッド!!よっぽどオレの首が欲しいらしいな」

「ははは、今は何故か別の目的に動かされてる気がする・・・上のカイドウもそろそろだろう!!時間をかけりゃ水滴でも石を削る。ノーダメージ!?そんな物体はこの世に存在しねぇんだよ!!」

 

キッドはそう宣言して巨大な牛を作るとリンリンにぶつけた。

 

「“磁気大魔牛(パンク・コルナ・ディオ)”!!」

 

巨大な鉄の牛の突撃にリンリンは吹き飛ばされた上に散々と戦ってきたダメージが出てきたのかアバラと腕の骨が折れて倒れた。

 

「おい、いいかババア」

「「屋上には死んでも行かせねぇ!!」」

 

そう宣言してする2人。

ローはシャンブルズで息を切らしてるキッドの後ろに飛んできた。

 

「効いてきたろクソババア」

「おいユースタス屋二度目だぞ・・・俺の大技の後に派手な攻撃をして勝者感を出しやがって・・・俺はてめぇの前座じゃねぇんだよ!!」

「どうでもいいだろ!!!下らねぇこと言ってんじゃねぇ!!」

「そう言うなら次はお前が先にやれ。大打撃を与えろよ!?とどめは俺が刺す」

「俺に指図するんじゃねぇよ!!!俺のとっておきこそババーを仕留める一撃だ!!」

「ハァハァ・・・冗談抜きで言っとくぞ・・・次のRで俺はもう力尽きる・・・次が俺の最後の攻撃・・・絶対に外さねぇ!!だからお前は・・・」

「俺に指示するなと言ったばっかだぞ!!」

 

喧嘩してる2人を他所にリンリンはローの攻撃を厄介と思いつつ、折れた骨に命を与えて応急処置をして何とか復活した。リンリンはそのままプロメテウスとヘラとナポレオンを合体させて出来た“鳴光剣”を振り回してキッドの作り出した牛を真っ二つに斬り裂いた。

 

「ムダだ!!元々鉄くず!!」

「マーマママママ!!ムダはお前らだ!!小僧共、てめぇらみてぇのを何百人も海に沈めてきた!!何十年も君臨してんだオレ達はてめぇらがミルク飲んでた頃からよぉ!!」

 

リンリンはそのままキッドに鳴光剣をもう一度振って葬り去ろうとしたがその前にキッドがリンリンと後ろにあった塔に磁力を与えてくっつけさせた。動けない上に先程半分に斬った鉄の牛が迫ってきた。リンリンは根性と力技で塔を背負ったまま立ってとっさに後ろを向いて背中にくっついた塔を牛にぶつけさせて塔を破壊して身軽になった。

 

「無茶苦茶だなババア!!」

「おう、何を背負わせてくれんだ??・・・母訪砲“三”ィ“千”〜“里”〜〜!!!」

 

リンリンの放った攻撃はヘラとプロメテウスが合体したかのように炎と雷の力を使って生きて攻撃をしていた。

 

「やれ、ミザリー・・・ガキ共を・・・」

 

ミザリーによってキッドやローだけでなく敵を全て殺そうと躍起になっていたリンリンは上に突然と現れた巨大な瓦礫に反応出来なかった。

 

「タクト」

 

それはローのタクトで操っていた瓦礫だった。ローはそのままリンリンを瓦礫の下敷きにして倒れさせると鬼哭に能力を与えて、リンリンの心臓めがけてまた刺した。

 

「まぁたかぁ〜〜!!!トラファルガー!!!」

 

自分の上に乗ってるローを武装色で硬化した手でガンガンと殴っていくリンリン。ローは一発一発が倒れるほどに強くても耐えて集中し、鬼哭を深く深くへとドンドンと伸ばしてそれは空を飛んでる鬼ヶ島を貫き、ワノ国の大地まで貫いた。

 

「“穿刺波動(パンクチャーヴィレ)”!!」

 

内部からの衝撃に加えて心臓までやられた。更にその威力はリンリンから下の鬼ヶ島の地盤とワノ国を問答無用で大穴を開けるくらいの威力だった。

流石のリンリンもすぐには立てずにミザリーでローを殺させようとした。

 

「今だ、やれユースタス屋!!」

「何度言わせるトラファルガー!!俺に指図するんじゃねぇ!!」

 

キッドはローの指示に苛立ちながらもリンリンを大穴から叩き落とす為に巨大な電磁砲を作り左腕に装着して構えた。

 

「掛かってこいおんどれぁ!!オレは“ビッグマム”だぞ!!」

「だから消すんだよ」

 

大砲を突きつけられても変わらないリンリンにキッドは短くそれだけ言って発射した。

 

「“電磁砲(ダムド・パンク)”!!」

 

リンリンはミシミシと体から音が出るほどの衝撃をその身に受けた。

 

「お前らの時代は終わりだ」

 

ローはそれを見て確信を持ってそう言った。しかし、四皇として生きてきたリンリンの実力はもう既に化け物過ぎて引くレベルなのにこれを受けてもまだ耐えて鬼ヶ島にしがみついていた。あまりのしつこさにローは呆れた。

 

「オオオ!!ガキ共、選びなぁ!!コイツをオレが弾き返した瞬間のォ・・・お前らの運命をな!!“50年分の寿命をよこすか”!!“生きて俺の奴隷になるか”!!“LIFE”or“SLAVE”!!!」

 

そして最後の悪あがきと云わんばかりに出せる限りの全力の覇気を出して2人を怯えさせて寿命を奪い取ろうとしたが2人は微塵の欠片もビビらなかった。

 

「死に損ないのババアの念仏に今更どうビビれってんだよ!!」

「“R・ROOM”お前の断末魔はさぞ耳障りだろうな!!」

 

キッドはリンリンを今度こそ叩き落とす為にそしてローはリンリンのソルソルの実によるソウルボーカスを封じ込める為に“R・ROOM”の“凪”でリンリンから発せられる音を全て消した。

 

「“お前から発せられる音は全て消えるの術”だ」

 

リンリンは声だけでなく音が出せなくなった事に驚き、別の方法でローとキッドを殺させようと考えてるとミザリーがローのすぐ後ろまで迫っていた。これで何とかなると思ったがキッドが容赦なく追撃をリンリンに向けて放った。

 

「追撃“電磁砲(ダムド・パンク)”!!」

 

2発目を発射した事で今度こそ完全にリンリンは鬼ヶ島から落ちた。残ったミザリーはローによって真っ二つに斬り裂かれた。

 

リンリンは物や穴の縁を掴もうにも電磁砲の威力が強すぎてすぐに壊れたり、崩れたりして落ち続けてそのままワノ国の大地に空いた大穴の中まで落ちて言って最後にリンリンが見たのはグツグツと煮え滾ったマグマだった。

 

(おのれキッド、ロー・・・オレがこれしきで死ぬと思うなよォ!!!)

 

リンリンはマグマにも負けないほどにグツグツと怨念を煮え滾らせてそのまま落ちた。

 

四皇リンリンはこうしてキッドとローに負けた。





















というわけで幹部戦、カイドウ&マム戦、カイドウVSヤマト戦全カットです。
いや、もうこれをやるくらいならいっそのこと書くなと言うのは重々承知で、最初はワノ国に関しては・・・というかホールケーキアイランド編の終わりまではマジでワノ国は宴だけやって戦闘を含めた全てをカットするつもりでしたのでもう既に想定よりも遥かに長くなってるんです。しかもその宴の最中の話も1話で終わるレベル・・・で考えてたらルフィとウタが恋人になって、あれ?これエレジアに行く前にルフィの意思を確認させるの必要だよなとなって・・・それをやるなら討ち入りまで・・・ルフィVSカタクリでギア5の片鱗を出したんだから流石にギア5はやらないと駄目かとなって、そう言えばローは最終章で暴れるからリンリンはやらねぇとなって今がちょうどここです。

なので、次回はギア5を登場させたいと思います。
因みにまだ熱は治ってないので何時もの倍は掛かると思ってください。
それでは。


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Gear 5

お待たせしました!!
3日も掛かってしまった!!
次回は早く挙げられるように頑張ります!!
それではどうぞ!!


リンリンがやられた同時刻。

地下一階ではCP-0のゲルニカとマハが元白ひげ海賊団で光月おでんの家臣のイゾウと戦っていて、イゾウは刺し違える覚悟でマハを殺し、死んだ。

ゲルニカは急いでマハの元に駆け寄るが死んでいてCP-0に下った指令であるニコ・ロビンの確保に急がないといけないのに邪魔してきたイゾウにキレていた。

 

「くそ!!!白ひげの残党がなぜガキ共を助ける!?」

 

キレてるゲルニカの元にまた通信が入った。ゲルニカは苛立ちながらそれに出ると言われたのがルフィを消せと“五老星”から命令された事だった。

カイドウと戦ってる最中で勝つ可能性の方が低いにも掛からわず、邪魔をしてまで確実に消してこいという命令。確実に実行したら死ぬのは目に見えてる。

 

(あの一味が何だと言うんだ!!)

 

ゲルニカはCP-0ゆえに任務を全うする為に上に上がろうとするとイゾウと戦う前に倒した筈のドレークが後ろから腹を刺してきた。

刺されたゲルニカは自分の意志で動ける海軍のSWORDが羨ましいと思いながらドレークを再び倒して上を目指した。

 

 

 

 

 

〇〇〇

屋上ではカイドウとルフィが戦っていた。

そしてリンリンが倒された事を2人は見聞色の覇気で感じ取った。

 

「おい、気づいたか!!」

「・・・・・」

「リンリンがやられたぁ〜!!!」

「ギザ男達か・・・凄えな!!」

 

リンリンがやられた事にカイドウは叫んだ。ロックス時代からの知り合いで姉貴分としての一面を知っていたカイドウは共にワンピースを目指そうと誓いあった矢先に起きたこの事態に泣いた。

 

「思えば長え付き合いだったな・・・共にワンピースを取りに行くと誓いあった矢先によぉ!!」

 

泣き上戸になったカイドウに対してルフィは躊躇なくギア4のスネイクマンになって拳を放った。

 

「ゴムゴムの九頭蛇(ヒュドラ)!!」

「ブオォ!!!」

 

その覇王色と武装色を纏った拳はカイドウを殴ってそのまま曲がって殴って曲がって殴ってを繰り返していく。

 

「お前らの野望なんか関係ねぇ!それでまたこの国の奴らがメシを食えなくなるんだろ!?お前だけは絶対にこの国から追い出してやる!!」

「どこからパンチが・・・」

 

カイドウはどこからともなく飛んでくる拳を見聞色の覇気で冷静に見ながら金棒で弾くがすぐに別の方から拳が飛んできた。ルフィはカイドウに対して両手で攻撃していたのだ。お陰でカイドウが1つを弾いてもすぐに別の手で、更に軌道を曲げてるのもあってカイドウは結構殴られていた。

 

(攻撃の軌道を曲げる!?ありえねぇだろゴムの性質上・・・こいつ“超人”系じゃねぇのか!?)

 

混乱しているカイドウは流石に殴られすぎたのもあってルフィに対して目配せを飛ばした。

 

「止めてくれよ〜ん♪」

「まだ酔ってんのか!?」

 

甘え上戸を発動させて甘えてみるがルフィには上手く行かなかった。そのまま容赦なく攻撃してくるルフィにカイドウはルフィのやった未来視を盗んだ。

 

「うぃ〜、こうか?」

 

龍形態になってカタクリよりも速くルフィの近くまで来るとカイドウはそのまま噛みつき、ルフィを口の中に入れて上空に上がった。

 

「チクショー、食われた!!出せコノヤロー!!」

 

口の中で暴れるルフィだがカイドウは気にせずにある程度まで上るとルフィを吐き出してそのまま熱息をぶつけた。ルフィは鬼ヶ島を貫通して海に落ちるかと思われたが鬼ヶ島を通過したあたりでスネイクマンからバウンドマンになって空中を弾力で飛んで何とか逃げられた。

しかし、ギア4のタイムリミットが近づいてきた。

ルフィは急いで決着をつけるために空中を飛んでカイドウへ向かっていった。

 

「くそ!もう時間がねぇのに!!」

 

カイドウはそのままルフィに噛みつきに行くがルフィはカイドウの上に回って避けた。

 

「ウィ〜、そうかシビアだな・・・」

 

ルフィはカイドウ目掛けて拳を降り下ろそうとさらなる空気を腕に送り込んで巨大化させる。

 

「お前がいる限り、ワノ国の奴らは禄に水も飲めねぇんだろ!?」

「ウォロロロ、お前が誰に味方しようと勝手だが、ワノ国の奴らは敗北に慣れたのさ」

「うるせぇ!!侍は強えんだ!!」

「強えのか!?強がりか!?枕詞は勝者には付かねぇ!!お前はどっちだ!?」

 

カイドウはそのまま熱息をルフィに向かって放とうとするがその前に顎に向かってルフィの拳が飛んできた。

 

「ゴムゴムの覇猿王銃(オーバーコングガン)!!」

 

覇王色も纏った攻撃が顎に刺さった上に熱息が口の中で暴発した。ふっ飛ばされて地面を転がったカイドウはルフィが完全にノさせようとして向かってるのが分かると人獣型に変身し、殺戮上戸という1番危険な酔い方になってルフィを迎え撃った。

 

「砲雷八卦!!」

 

八斎戒の一撃をルフィに叩き込んだカイドウ。ルフィはギア4の制限時間が近づいてきて口から息が出そうになっていたが必死に抑えていた。

 

「もう一発・・・それでダメなら俺の負けだ・・・」

「来てみろ小僧!!」

 

ルフィは覇猿王銃の構えをしてカイドウは砲雷八卦の構えをしてお互いの攻撃が交わろうとしたその瞬間、CP-0のゲルニカがルフィの腕を抑えた。

 

「え!?」

(CP-0!?)

「鉄塊」

 

ゲルニカの鉄塊は重くなる性質を持ってたのかルフィは突然の事に少し動けなくなった。そしてカイドウももう振りかぶってる八斎戒を止められず、ルフィに容赦なく一撃を叩き込んだ。

カイドウはその時、おでんとの戦闘の時に邪魔をされて勝負を台無しにされた記憶が駆け巡った。

倒れてるルフィ、カイドウは折角の一騎討ちを台無しにされて混乱しているのもあって見聞色を上手く使えなかったが、あれを食らって生きているとは思えなかった。

邪魔をしてきたゲルニカを睨むと何も云わずにただ帽子を深く被っていた。

 

「全て覚悟の上か・・・」

 

カイドウはゲルニカに渾身の一撃をブチ込んで沈めるとそのまま龍形態になって下に行った。

 

 

 

 

 

 

△△△

カイドウにやられたルフィが最初に見たのはサニー号の上だった。ただし、仲間は見当たらずルフィは死んだのかと思った。

そんなルフィの耳に聴こえてきたのは“歌声”だった。

綺麗で大好きな心から愛してる歌声にルフィはサニー号の中を探した。

キッチンに医務室、アクアリウム、トレーニングルーム、ソルジャードッグシステム、展望台、風呂、図書室・・・色々と探してルフィはサニー号の頭に来ると彼女がいた。

 

「ここに居たのか・・・ウタ」

「あれ、ルフィ??なんでここに居るの?ワノ国じゃ?」

 

ルフィの登場にウタは首を傾げながら聞いてきた。ルフィは死んだかも知れないと言うのは黙って置こうと思って、何も言わずにただウタの隣に座った。

 

「シシシ、ちょっと色々とあってな・・・ウタは何でここに?」

「アタシは寝たらここに居たの。それで暇だから歌ってたら・・・あんたが来て・・・ねぇ、本当に大丈夫?」

「当たり前だろ!?俺は大丈夫だ!!」

 

ウタの言葉にルフィは明るくそう答えるがウタはそれをただ見ると溜息を吐いた。

 

「ふ~ん、ちょっとヤバい状況なのに教えてくれないんだ・・・お姉ちゃん悲しいなぁ・・・」

 

プイッと不貞腐れるウタにルフィは何故バレたのか分からなかった。何も言ってないのにどうして分かったのか首を傾げて冷や汗を掻きながらルフィは次に何を言えば良いのか迷っていた。ウタはそんなルフィに1言言った。

 

「何で分かるのかって顔してるね?・・・分かるよ・・・ルフィの事、愛してるもん・・・ねぇ、ちゃんとお姉ちゃんに答えて・・・本当に大丈夫?」

 

共に初夜を経験した時にウタからお姉ちゃんと言われたら本当の事を話すと約束したルフィは観念して口を開いた。

 

「ちょっとヤベェ・・・死んだかも知れねぇ・・・悪い・・・誓い守れねぇかも知れねぇ」

「・・・そう・・・ねぇ、ワノ国って良い所?美味しいご飯とか楽しい物とか一杯あった?」

「・・・いや、なかった。カイドウが居るせいで皆、満足に水すら飲めねぇ所で・・・飯を奢って貰ってよ・・・約束したんだ。腹一杯飯を食える国にするって・・・俺は・・・」

 

ウタはルフィの話をそこまで聞くとただルフィを抱きしめた。そして麦わら帽子を被せ直させた。ルフィは何でやるのか分からずにウタの顔を見ると笑っていた。するとそれに吊られてか笑い返した。

 

「なら、戻らないとね」

「・・・シシシ、そうだな♪・・・ありがとうなウタ!」

 

ルフィはそう云うと髪が白くなって服も白くなってきた。見たことない自分の変化に気になりつつもルフィは笑った。何となく笑いが止まらなくなってきた。

 

「ルフィ・・・“新時代”で会おうね!」

「あぁ!!」

 

そしてルフィはウタの前から消えてウタもサニー号から消えた。夢の一幕ゆえに2人はすぐにこのことを忘れたが大事な人に会ったという感覚だけは覚えた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

意識を取り戻したルフィは立ち上がった。

口からは笑いが止まらなくなって楽しい気分に溢れていた。

 

「どうしたんだ俺?負けたのにまだ立てて・・・笑いが止まらねぇ・・・アハハハ・・・何かカタクリと戦った時みてぇだ」

 

ルフィはカタクリとの喧嘩の時に一瞬だけ感じた高揚感を思い出すとドンドンとドラムのように鳴り響いていく心臓の音も面白いと思い始めた。

 

「心臓の音も面白ぇ♪♪これなら俺のやりたかった事を全部出来そうだ・・・“ギア5”」

 

ルフィは完全に“覚醒”した。完全に見た目も姿も変わっていてそれは超人系の能力ではなく、動物系の能力だと云うカタクリの仮説が正しかった。

 

そのまま笑いながらルフィは覇王色の覇気を出して下の階にいるカイドウにぶつけた。周りにいた手下達は倒れたがカイドウは平気でルフィに気付かずに得体の知れないものを感じていた。

 

ルフィはそのまま腕を下に伸ばして階層を壊しながら巨大化させてカイドウを掴むと引っ張り上げた。

 

「ウォぉぉぉぉ!??」

 

驚いてるカイドウにルフィは屋上まで上げるとそのまま力の限りぶん回し始めた。身体も力がこれだと出ると思って筋肉ムキムキになり、ルフィはカイドウを地面に何回も叩きつけた。やられたカイドウは星が回るほどクラクラとしていたがすぐに戻ってルフィを見た。

 

「生きてたのか麦わら!!ありがとよ、“熱息”!!」

 

生きていた事で先程の戦いの続きが始められると思ったカイドウは喜びと共に熱息をルフィに向かって放った。

 

「アハハハハ・・・ん?えぇぇぇぇーーー!?」

 

笑いを続けてるルフィはカイドウの熱息を見ると目が飛び出る程驚いて急いで地面を触った。地面は途端にゴムのようになって捲れて熱息を受けとめるとルフィはまた筋肉ムキムキになって力の限りそれをカイドウに向かって跳ね返した。

 

「!?」

 

カイドウはそれを諸に食らって吹っ飛ばされた。

 

 

 

〇〇〇

(・・・あれを食らって覚醒したのか?・・・なんて奴だ・・・)

 

そんな何処か絵物語みたいな戦いを見ていた者がいた。先程、カイドウの一撃を受けたCP-0のゲルニカだった。カイドウの一撃を受ける際に最大の鉄塊をして何とかギリギリで耐えていた。全く予期してなかったルフィの復活にすぐさまゲルニカは写真を撮って仲間のCP-0に送った。

 

 

 

 

〇〇〇

「アヒャヒャヒャヒャ!!・・・あっ!これこれ♪♪これを無くすとウタに怒られちまう♪♪」

 

吹っ飛んだカイドウを尻目にルフィは戦ってる最中に落としていた麦わらマークの入ったウタお手性のコートを再び羽織った。すると黒いコートは白くなった。ただし、麦わらマークは変化せずにちゃんと背中に残っていた。

 

「ウォロロロ、さっきはバカが悪かったな麦わら・・・あれで勝ちにはしたくなかった」

「気にすんな!決着をつけよう」

 

ルフィはそう言ったが覚醒させて周りがゴムになった現象が楽しいのかポヨンポヨンと周りとトランポリンみたいにして跳ねて楽しんでいた。

カイドウはそれを見ながら覚醒に至ったのだと確信したがルフィが変身した事に首を傾げていた。

 

「ゴムが他に影響を与え始めたら、超人系の“覚醒”したと見て良さそうだが、妙だなその姿・・・変身は動物系の専売特許だろうが!!」

 

カイドウは龍形態のままルフィに向かって行ってそのまま噛み付いた。ルフィはカイドウの口から脱出しようと力の限り頑張るがカイドウはゴクンと飲み込んだ。

すると、身体の中でルフィが暴れ始めた。

 

「だーーー!!!」

「ウォァァァァ!?」

「ゴムゴムの風船!!!」

 

身体の中から来る攻撃に驚くカイドウ。ルフィはそのまま中で膨らんだ。するとルフィのいる部分だけカイドウも膨らんでそのままカイドウは上へ浮かんでいった。

 

「ハァハァ・・・どうなってやがる!?俺の体はゴムじゃねぇぞ!?」

 

驚くカイドウ。ルフィはカイドウの体の中で光が2つ見えたので手を伸ばすとそれはカイドウの目だった。

目をゴムのように伸ばしてカイドウの鼻先を掴むとルフィはそのままカイドウの口目掛けて飛んだ。

 

「ゴムゴムの脱出ロケット!!」

「ブオエ〜〜〜〜!!」

 

無事にカイドウの体の中から脱出出来たルフィ。風船の状態だったので息が抜けるとそのまま上に漂ってる雷雲の中に消えていった。

 

「ゴムゴムの巨人(ギガント)!!」

 

そして降りてくるとルフィは巨人族・・・いや、それ以上の大きさになって出てきた。カイドウは何も言わずに図体のデカくなったルフィの脇腹に噛み付いた。

 

「痛えぇぇぇ!!この、ゴムゴムの縄跳び!!」

「ウォォォォォォ!!!」

 

ルフィは痛がるとそのままカイドウの顔と尻尾を持って縄跳びみたいにぐるぐると回し始めた。だんだんと地面が迫ってきてこのまま行くと地面に叩きつけられるとカイドウは悟り、ルフィに向かって熱息を吐いてそのまま鬼ヶ島の外までふっ飛ばした。

 

「ハァハァ・・・何だありゃ!?」

 

龍形態から人獣形態になるカイドウはルフィの規格外すぎる覚醒に混乱していると見えたのは巨大化したままのルフィが足をグルグルと回転させて飛んできた所だった。

 

「降三世・・・引奈落!!!」

 

ルフィが拳を放とうとしてるのは見聞色の覇気で分かったのでカイドウはそれを避けて八斎戒でルフィの頭を叩きつけた。ルフィの顔は下の階に行くほど吹っ飛んだがすぐに戻ってきて巨大化も解けてルフィは座り込んでいた。

 

「いてて」

「興味深いショーだったが限界じゃねぇか?」

「うるせー!!誰が・・・限界・・・だ・・・」

 

カイドウの言葉にルフィはハッキリとそう言ったが疲労が激しいのかギア5は解けてそのまま全身萎んだ老人のようになった。

 

「誰だ貴様!?うっ!?」

 

ルフィのびっくり変身にカイドウはツッコむがカイドウもカイドウで疲労が来たのか膝が地面に付いた。

 

「そうだ、俺・・・死にかけだった。消耗凄えなこれ・・・」

「安心して死ね!!お前らの戦いは誰かが語り継ぐだろう!!」

「いらねぇ!!俺はそんなのいらねぇ!!・・・死んだら皆、骨だけだ・・・シシシ」

 

ルフィはカイドウの言葉に対してそう言うと笑って立ち上がり、拳を地面に付けた。

 

「まだ終われねぇよな・・・モモ・・・玉・・・錦えもん・・・ペドロ・・・」

「ウォロロロ・・・おい、死ぬぞ?」

「シシシ、だから俺がそんなんにビビってると思うか!?・・・“上がれ心臓の音”!!!」

 






























というわけでギア5の登場です。
さてとカイドウ戦も残り1話か2話・・・んでやりたかった宴での大騒動←こっちがメイン(ギャクありシリアスあり)

そして最終章の《新時代×大作戦》編です。
それでは皆様、次回もお待ち下さい


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解放

久しぶりの連日投稿で嬉しいです!!
それではどうぞ!!


心臓の音が上がるとルフィはまた楽しくなってきて笑った。心臓がドラムのように鳴り響き髪も服も白く変身し、羽衣を纏った。

 

「来た!!この音♪♪」

「上等だ!!」

 

ギア5になれて笑ってるルフィの後頭部をカイドウは八斎戒で思いっきりぶん殴るとルフィは八斎戒の棘の形に合わせるように頭を変形させた。

 

「痛え~~!!!」

 

ルフィは一先ず足をぐるぐると回してカイドウから離れるが追撃して地面に叩きつけようと八斎戒をカイドウは振るってくる。八斎戒はそのままルフィを潰すかの勢いで振り下ろされるがルフィは咄嗟に地面をゴムにしてそれを吸収し、ゴムの弾力でボヨンと跳ねてそれから逃げた。

ペシャンコになったままのルフィだが、そのまま近くの岩に足を付けた。

 

「321・・・0!!」

 

体が戻るのと同時にカイドウに突っ込んでいくルフィ。腕をグルグルと回転させていた。

 

「俺を倒せる奴はこの世に存在しねぇ!!」

 

そう叫びながら勢いよく八斎戒を振るうカイドウ。ルフィは八斎戒を避けてそのまま拳をカイドウに叩き込んだ。頭がゴムのように伸びて深く刺さり、カイドウはそのまま倒れた。

 

「楽しいなカイドウ♪♪♪」

 

ルフィはカイドウを見て笑いながらそう言った。カイドウは白く変化したルフィに困惑しながら立つとルフィは今の攻撃に何という名前を付けようか悩んでいた。どこまでも純真無垢な子供のように陽気な姿。

カイドウは変身した事といい、動物系の能力者に良くある覚醒の際に悪魔の実に乗っ取られた可能性が出たのかと思って聞いてみた。

 

「1つ聞くが・・・お前、誰だ?」

「俺か?俺はモンキー・D・ルフィ!!お前を超えて海賊王になる男だ!!」

 

カイドウの言葉にルフィはそうハッキリと返した。全く変わってないルフィにカイドウは笑った。

 

「ウォロロロロ!!生意気は健在で安心したぜ麦わらぁ!!能力に心身が追いついてこその“覚醒”だ。ふざけた能力だぜ!!・・・もう随分と失った・・・お前もだろ?」

「それでも取り返さなきゃいけねぇもんがあるんだ!!」

「軍荼利龍盛軍!!」

 

カイドウはルフィに軍荼利龍盛軍をぶつけて八斎戒をたくさんぶつけるがルフィはすかさず拳の雨で応戦していた。そして少しカイドウを後ろに後退させるとルフィは前に出た。

 

「ゴムゴムの銃!!」

 

威力が格段に上がった銃をカイドウに向かって放って腹にめり込ませた。すぐさまカイドウは八斎戒でルフィを殴りに行ったがルフィは懐に潜り込んだ。

 

「ゴムゴムのバズーカ!!」

「うぉっ!?」

 

両手のバズーカで更に後退させて更に殴りに行くがカイドウもやられっぱなしではなく八斎戒を振るった。

 

「雷鳴八卦!!」

「痛え〜〜〜〜!!!!」

 

雷鳴八卦をルフィの顔面に叩き込むカイドウだが、ルフィは見聞色の未来視で首を伸ばしてその威力を逃していた。

 

「ゴムゴムの鐘!!」

 

飛んでくるルフィの頭にカイドウも頭で対応した。先程とは違ってルフィだけでなくカイドウも後ろに行ってしまった。カイドウの覇気が疲れて下ってるだけじゃなく、ルフィ自身の覇気も強まっていた。

思いの外威力があったのかクラクラする頭を押さえるカイドウの顔をルフィは足で挟み込んだ。

そして今度は下半身・・・特に腿あたりが筋肉ムキムキになった。

 

「ゴムゴムの大鎚!!」

 

そしてそのままカイドウを投げて地面に叩きつけた。先程も投げられて今日はよく投げられるなぁとカイドウはだんだんと楽しくなってきた。地面に倒れてるカイドウにルフィは足を上に伸ばしていた。

 

「ゴムゴムの斧!!」

 

渾身の踵落としを腹に食らったカイドウだがそのまま立ち上がって八斎戒を構えていた。ルフィはまた両腕を伸ばしていた。

 

「ゴムゴムの・・・!!」

「そう何回も馬鹿正直に通用すると思うな、懐風!!」

「ぐわぁ!!」

 

八斎戒から飛ばされた斬撃にルフィは斬られて身体を崩すとカイドウはすかさずに距離を詰めてルフィを蹴り、飛ばぬように尻尾をルフィの体に巻きつけると上から八斎戒を叩きつけた。

しかし、ルフィはまたもや地面をゴムにして衝撃を逃した。

 

「ゴムゴムのスタンプ!!」

 

威力が上がった蹴りを食らってカイドウはルフィから尻尾を放してしまい、宙に浮かび上がった。ルフィはそのままゴムになってる地面の反動を利用してカイドウに向かって飛んでいった。

 

「“熱息”!!」

「ゴムゴムの暴風雨!!」

 

カイドウから発射された熱息をルフィは暴風雨で迎え撃った。そしてルフィの暴風雨はカイドウの熱息に負ける事なく散らしながらカイドウに向かって飛んでいって大量の拳を浴びせた。

 

「シシシ、どうだ♪♪♪」

「ウォロロロロ♪♪砲雷八卦!!」

「ぐわぁぁぁ!!」

 

カイドウは再び殺戮上戸になって砲雷八卦をルフィに叩き込んだ。雷鳴八卦よりも強い威力にルフィはまた地面に叩きつけられた。勿論すぐに地面をゴムにしたりして衝撃を逃そうとするも地面は跳ねてルフィはまだ体の体勢が良くなってないのにそのままカイドウの元へ戻ってきた。

 

「げっ!!」

「おかえり☆“熱息”!!」

 

甘え上戸みたいな声を出しながらカイドウはルフィに向かって熱息を出して今度こそ直撃させた。またルフィは地面に叩きつけられた。

 

「ゲホゲホゲホ・・・痛ええ・・・効いたぁ」

「雷鳴八卦!!」

「うわぁぁぁぁ!!!」

 

立ち上がろうとするルフィにカイドウはすかさず雷鳴八卦を叩き込んでふっ飛ばした。そのまま鬼ヶ島の外まで飛ぶかと思いきやルフィは適当な岩に左手を伸ばして掴んで落ちるのを防いでいた。そして右手も同じように伸ばしてぐるぐると捻っていた。

 

「舐めんじゃねぇぞ酔っ払い!!ゴムゴムのロケット!!」

「雷鳴八卦!!」

 

かなりの速さで飛んでくるルフィを迎え撃とうとカイドウは八斎戒を振るったがルフィは眼の前に来た瞬間に八斎戒を足掛かりによりカイドウの懐へ入った。

 

「ゴムゴムの回転弾!!」

 

咄嗟に武装色で耐えたカイドウはすぐに八斎戒をルフィに叩きつけてふっ飛ばした。ふっ飛ばされたルフィはまた腕を伸ばしながら突っ込んでくる。カイドウはその鬱陶しい腕を吹き飛ばそうと八斎戒を振るうがルフィは当たる直前にその伸ばしていた右腕を左腕で掴んだ。すると右腕は左腕で掴まれた所からぐるぐると回転し始めて軌道が代わり、カイドウの八斎戒は当たらなかった。

そしてルフィはそのままその右腕をカイドウに叩きつける。

 

「ゴムゴムの連接鎚矛!!」

「ぐぉぉ!?」

 

カイドウの顔面にめり込んだ連接鎚矛はまたもやカイドウの頭をゴムみたいに伸ばして深く刺さった。

顔面を触るカイドウにルフィは果敢に攻めていった。

 

「ゴムゴムの銃乱打!!」

「軍荼利龍盛軍!!」

 

大量の拳をカイドウに向かって放つルフィ。カイドウも軍荼利龍盛軍で応戦した。そして勝ったのはカイドウだった。

 

「ぶべらぁ!!」 

 

軍荼利龍盛軍を受けたルフィはふっ飛ばされそうになりつつもカイドウに手を伸ばして掴んでいた。そして息を吸って丸くなるとカイドウに向かって飛んできた。

 

「ゴムゴムの砲弾!!」

「ウォロロロロ♪♪輪雷上戸雷鳴八卦!!」

 

眼の前にやってきた玉のようなルフィをカイドウはそのまま八斎戒で笑いなら下に叩きつけた。今度は下がゴムになるのを予想してカイドウは空中に飛んだ。

案の定、ルフィは地面をゴムにしたのは良いがまたゴムの反動で空中に跳ねてしまい、その先にはカイドウがいた。

 

「世の中、上手く出来ている!!あのロジャーが能力者じゃなかったように!!能力が世界を制する事はない!!覇気だけが全てを凌駕する!!大威徳雷鳴八卦!!」

 

渾身の雷鳴八卦をカイドウはルフィに向かって放った。ルフィは頭から星が飛ぶほどクラクラしながら落ちた。

 

「ウォロロロロ、そろそろ決着の時か・・・お前を倒して下にいるお前の仲間も倒す、もしくは心を圧し折って従わせた後でギフターズの実地テストとして“千両道化”と戦争だ」

「・・・なおさら負けられねぇ・・・バギーはどうでも良いけど、あそこにはウタがいる・・・」

「ウォロロロ・・・トットムジカか・・・あんな禄でもねぇもんを手に入れて何をするつもりだ?」

「そんなもんに興味はねぇ!!あれのせいでウタはずっと苦しんでんだ!!俺はウタをそいつから自由にするって誓っただけだ!!」

「ウォロロロロ・・・お前にあの“赤い女”を自由にするのは無理だ・・・今まで200年間、誰もあの女を自由にする事が出来ずにトットムジカの中に囚われてるからな」

 

カイドウの言葉にルフィはわけが分からなくなった。どう考えてもウタは200年も生きてないし、赤髪はあるが赤いというよりも今は白の方が思い浮かびやすい。誰の事を言ってるのか分からなかった。

 

「誰の事を言ってんだお前!!」

「トットムジカの中にいる奴だ・・・ここでお前は死ぬから、会う機会はねぇが会ったら驚くぞ・・・俺も混乱してる」

 

カイドウの言葉にルフィは益々混乱しつつも今はこの戦いを終わらせる事に集中した。

 

「細かい話は後だ!!俺はお前に勝つ!!」

「やってみろ小僧!!」

 

ルフィはカイドウに向かって手を伸ばした。カイドウははまた頭突きかと思って構えるがルフィはそのままカイドウの頭の上を通過して更には空でゴロゴロと鳴ってる雷を掴んで雷雲の中へ消えて行った。

 

そして次に現れたのは巨人族なんか目じゃないほど巨大な武装色で硬化された拳を構えたルフィだった。ルフィはモモの助に鬼ヶ島を退けろと叫んだ。もしもこの拳が振り抜けられれば鬼ヶ島なんか粉々になる。それ程の一撃をカイドウに叩き込む気だった。

 

「よくわかったぜ・・・受けて立つ“火龍大炬”!!」

 

カイドウは龍形態になって燃え始めた。身体の全てからありえないほど熱が出て、周りの岩とかも溶かし始めていた。

 

「知ってるか?この国の英雄が20年前、焼かれて死んだ!!以来、この国は無法の国。お前達は20年間待たれた“英雄”だ!!お前がその手を振り下ろす事はない!!溶けて消えるからな!!」

「溶けてたまるか!!触らねぇ方法ならジジーに習ってんだ!!」

 

カイドウは体を燃やしながらルフィに向かって突っ込んでいき、ルフィはそんなカイドウに向かって巨大化+弾力+武装色+覇王色という渾身の一撃を振り下ろした。

 

「ゴムゴムの猿神銃(バジュラングガン)!!」

「“昇龍 火焔八卦”!!」

 

ルフィの拳とカイドウの突撃は流桜のお陰で触れては無かったがそれでも互いの渾身の一撃に拮抗していた。

 

「お前が一体どんな世界を作れる麦わら〜!!」

「友達が腹いっぱい飯を食える世界・・・それが俺達の“新時代”だ!!!」

 

カイドウの世界への問にルフィは自分の目指したい世界と目指したい新時代の事を叫んで拳を振り抜いた。

カイドウはそのまま吹っ飛ばされてワノ国の地面へと刺さり、そのまま地面をドンドンと貫いていってリンリンと同じようにマグマの中に叩き落された。

 

ルフィはそれを見届けると力尽きて落ちていって地面に叩きつけられそうになったが下にいたヤマトが見事にそれを抱きとめた。

 

こうして長い一晩の長年に渡るワノ国の戦いは終わった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

そしてこの事実はすぐにマリンフォードの五老星の元まで伝えられた。

 

「最悪の事態だ・・・四皇が2人も落ちただけではない。世界会議の悪夢に続いてグラン・テゾーロの“惨劇”さらには“冥王”とゼファーの登場で“千両道化”の暗殺失敗・・・悪夢としか言いようがない」

「全てが世界を揺るがす大事件だ。“千両道化”はその中でも重要度は低いが・・・」

「ニカも覚醒した上に地獄が続いてる・・・」

「例の歌姫はどうする?戦闘が確認された上に七武海の称号が無ければ懸賞金という手も」

「これだけの世界情勢を揺るがす自体の中でさらなる問題を曝け出すのは危険だ。既にモルガンズはシキのやった“惨劇”にご執着だ。UTAの事はこのまま抑え続けよう・・・革命の灯火の気配を感じるが今はシキだ」

 

五老星は話し合いながら、シキに対して敵意を露わにしていた。

 

 

〇〇〇

海軍本部では元帥の赤犬ことサカズキが頭を抑えていた。シキのやった惨劇とバギーのやってる事は流石に応えた。

 

「クソ、海賊共が・・・好き勝手やりおってからに」

「それだけじゃないよ〜、あの爺さんも隠居生活から帰ってきたしね」

「・・・嘗ての仲間とて情けはかけんさんなやボルサリーノ」

「分かってるよ〜」

 

サカズキは黄猿にそう話しあいながら、四皇のカイドウとリンリンが落とされた報告を受けてキレそうになっていた。

 

 

 

 

 

そしてとある一室ではガープとおつるとセンゴクが話し合っていた。

 

「ゼファーが敵になるとはな」

「あのバカもまだまだ健在らしいね。海楼石のあのベガパンクが作ったスマッシャーごと付けて引退したと思ってたのに・・・」

「嘗ての友とは言え、海軍の敵なら倒すべきだ・・・例えそれが親友でもな」

「お前さんは相変わらずドライじゃのう・・・わしはそこまで器用に立ち回れんわい・・・」

「確かにあんたにそんなのは無理だね。野生児」

 

3人は同期であり友人であるゼファーがゼットとして敵となった事実に心を痛めていた。

 

 

 

ルフィ、シャンクス、黒ひげ、リンリン、カイドウ、バギーの6人で行われていた海の皇帝の名を掛けた争いはグラン・テゾーロでの惨劇で世間に完全復活を宣言したシキと敗れて消えたリンリン、カイドウ。

 

皇帝争いはルフィ、シャンクス、黒ひげ、シキ、バギーの5人になった。

 

“新時代”までの道程はまだまだ遠い。


























というわけでカイドウ戦が終わりました。
次回から暫くギャグと幕間編です。
まずはワノ国で宴を3日くらいさせたいですね。
この間にシキが何をやったのか(かなりヤバいことをやっでます)、ヤマトの仲間参入とキラーとベボとルフィを中心にしたギャグ回(ワノ国で死んでもやりたかった話)
そしてバギーの不幸を更新してから最終章です。


だぶん、最終章が本格的に始まるのは1月中頃になるかも知れませんがどうかよろしくお願いします。


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宴会

お待たせしました!!
1日空いてしまって申し訳ございません。
それではどうぞ!!


あの激動から1週間。

ルフィはゾロと一緒に寝たままだったが、何とか起きた。完全に体も回復してルフィは肉を中心にゾロは酒を中心に食べているとここで始めて2人は大人になったしのぶの能力で大人の体になったモモの助を見ると誰か分からずに固まったが言われて漸く分かった。

 

その後はヤマトもやってきてルフィとゾロが起きるまで願掛けをしていて同じように腹を空かしていた上にヤマトは風呂も止めていたので大分汚れていたので一緒に入る事になった。

 

「おっ風呂、お風呂!!」

「風呂だ〜!!」

 

ヤマトとルフィを筆頭に上がったら宴もあって上機嫌になりながら、ヤマトを含めた男湯の面々はそのまま脱ごうとしたが、ルフィは寒気を感じ始めた。

 

「ん?どうしたんだルフィ?」

「なんか寒気が・・・???」

「なら、早く入ろう!!温かいいい湯らしいよ!!」

 

ルフィの様子にヤマトがそう言うと気にせずに入り始めた。後に面倒くさい事になるのが決定された瞬間だった。

 

 

ルフィはその後、都に降りてヤマト、チョッパーと一緒に祭りを楽しみ、ルフィはその音頭を何回も取っていたので宴会隊長になっていた。

 

「麦わら〜!!」

 

そんなルフィに絡みに来たのはキッドだった。キッドはアプーによって齎された最新の新聞を懐に入れて飛びかかってきたがルフィは手をキッドの首に回して肩を合わせるとまた乾杯の音頭を取った。

 

「よし、明日の飯を祝して〜、いくぞ〜、乾杯〜〜!!!」

 

ルフィの言葉にワノ国の多くの人々がそれに合わせて乾杯した。それだけじゃなくハートの海賊団にキッド海賊団もまたこの宴を楽しんでいた。

キッドは出鼻が挫かれた上に巻き込まれたのでルフィの手を離すと新聞をルフィに突きつけた。

 

「何、巻き込んでんだ!?俺はお前を消しに来たんだよ!!海外で何があったか知らねぇがコイツラが新しい四皇だ!!」

「えぇぇぇぇぇぇ〜〜!??」

 

キッドがルフィに見せた記事には新しい4人の海の皇帝達、“麦わら”のルフィ・“赤髪”のシャンクス・“金獅子”のシキ・“黒ひげ”の4人が写っていた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃。

海軍本部では、准将のブランニューがルフィ、キッド、ロー、シャンクス、シキ、バレット、ゼット、バギー、ミホーク、クロコダイル、ハンコック、黒ひげの新しい手配書を壁に貼り付けていた。多くの中将や少将だけじゃなく、大将である黄猿に元帥の赤犬も混ぜて説明していた。

 

「まずは時系列順にこの者達の起こした事件を言っていきます。2週間前にバギーズデリバリーと海軍による“戦争”。当初は元王下七武海である千両道化のバギーだけで済むと予想されてましたがクロコダイルに鷹の目がバギーズデリバリーの援軍としてこの戦争に参加。3人の接点は分かりませんが鷹の目はバギーズデリバリーの縄張りであるカライバリ島で赤髪のシャンクスと交戦してるので恐らくかなり前から自分達の陣営に引き入れたと思われます」

 

ブランニューの言葉をミホークが実際に聴いたらキレるのは間違いない。そもそもミホークがカライバリ島でシャンクスと戦ったのはシャンクスがバギーに負けたという結果が信用できなかった上にバギーの力を見誤ったかもと思って狩りに来たら、偶々シャンクスが来たので再度手合わせをして確認し、事情を聴いて呆れて帰っただけであって風評被害甚だしかった。

 

「戦争の際には革命軍も絡んでいたと思われてその目的は不明。バギーズデリバリーの海賊派遣の部分から千両道化を狙った犯行かと思われます。次にその戦争にゼファー先生率いる元海兵達の組織“ネオ海軍”が乱入。更には女ヶ島から出て何処に居たのか消息を掴めなかった九蛇海賊団に元ロジャー海賊団副船長“冥王”シルバーズ・レイリーが参戦し、レイリーの徹底抗戦の構えに戦力不足だと大将黄猿は判断し、海軍は撤退。ネオ海軍もまた戦力をいたずらに削られるのを恐れて撤退し、戦争は終わりました。それから1週間後、バギーズデリバリーはバギー、クロコダイル、ミホーク、ハンコックの4人を中心とした海賊同盟“クロスギルド”を発足。我々海兵に懸賞金を掛けるという悪質極まりない行動。そして既に裏社会の重鎮である者達もそれに投資しています。代表的な者は“海運王”“大手葬儀屋”“闇金王”“隠匿師”など何れもビッグマムのお茶会で顔を出していた面子ばかりです!!」

「ビッグマムがやられた事で新しい存在に擦り寄り始めんだねぇ〜・・・」

「その通りです!!」

 

クロスギルドの金を出してる存在達の事も言い終わり、ブランニューはバギーの事が終わると次にシキとバレットが起こしたグラン・テゾーロの惨劇の事を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

会議に参加してなかった緑牛はワノ国で侍達とヤマトと相手に戦っていた。目的はルフィの首で外での大混乱にこれ以上の頭痛の種を増やさせない為だった。

モモの助はルフィと同じように外で旅をしたがっているヤマトにワノ国の事で迷惑をかけないように戦うなと言って赤鞘侍達と自分だけで戦っていたが相手は腐っても大将。

2週間前にクロコダイルと戦っていた時のダメージなんかもう無くなっていて元気一杯だった。

 

「麦わらのルフィの首を持ってこい!!そうしたら帰ってやるよ!!」

 

緑牛はそう叫びながら、モリモリの実の力で自然と一体化し、赤鞘侍達を圧倒していた。

ヤマトはルフィを呼ぼうとモモの助に言ったがモモの助は散々、頼ってきてこれから旅立つのにそれでも頼るのは間違ってるとモモの助はルフィとの旅でそこまで成長していた。

ただし、泣き虫は変わってなかった。

 

「おーおー、ガキのようだな。ミットもねぇ龍がいたもんだぜ」

「出てゆけ!!」

 

緑牛は泣いてるモモの助に呆れていると龍形態のモモの助から熱息が発射されて緑牛の身体を貫いた。火の対策はしているとはいえ、突然のこの高威力の炎には流石に驚いて緑牛は拘束していた赤鞘侍達を放した。モモの助は間髪入れずにもう1度熱息を発射して完全に緑牛の身体を燃やしたが緑牛は近くから新芽を生やして大きくなって再生した。

 

「ったく、街でも燃やす気かよ。上等だ。その気なら分かったよ・・・」

 

緑牛もここまでされては流石にもうすんなりと渡すとは思えずに徹底抗戦の構えをするがその瞬間、緑牛の元に覇王色の覇気が飛んできた。

 

「おわぁ〜〜〜!?待て待て!!覇王色の・・・誰・・・赤髪海賊団か!?・・・そばにいんのか!?」

 

その覇王色を飛ばしてきたのはワノ国の近海にいたシャンクスだった。近海から飛ばしてるゆえに新入り達が倒れていってルウがそれを止めるように言ってるのでシャンクスも手短に話を終わらせるつもりだった。

 

『何も卑怯とは言わねぇがよ。海軍・・・海賊の歴史を変えて疲れ切った“新緑”達にそりゃあちょっとヤボじゃないか?・・・そんなに怖いか?“新時代”が!!!』

 

シャンクスの言葉を見聞色の覇気で感じとると緑牛は両手を上げて降参した。ここでシャンクスらと戦うつもりは無かった。

 

「分かった分かった。お前らと戦う気はまだねぇ!!・・・くそ、コブラ王の暗殺は止められねぇわ、“千両道化”の暗殺は失敗するわ、散々だぜ!!」

 

緑牛はここ最近の踏んだり蹴ったりぶりを愚痴るが、シャンクスにとってそれは地雷案件だった。先程と同じくらいの覇王色の覇気をシャンクスは飛ばした。

 

『あぁ!?バギーを暗殺だと・・・おいクソ緑・・・こっちへこい・・・今なら死に方を選ばせてやる・・・』

「お前、言ってることがさっきと違うぞ!?あんだけ派手な決闘して、追いかけ回していたくせに・・・何のつもりだ!?」

 

緑牛からの言葉にシャンクスは黙った。

ここで言葉を間違えるとまたバギーに迷惑が掛かると思って言葉を選んだ。

 

『あいつは俺の獲物だ!!』

「四皇が直々に狙うとはよ〜・・・良い情報を聴いたぜ」

 

シャンクスは1番当たり障りのない言葉を聴いたが緑牛はそれを聴くと何とかシャンクスの覇気に堪えつつ、結構危ないながらも逃げた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その近くでは戦闘を見聞色で知ったルフィ、ゾロ、ジンベエ、サンジがのんびりと見ていた。戦うなら戦うつもりだったがモモの助が根性を出したので杞憂に終わった。

 

「出番なしか・・・」

「やるじゃねぇかモモ」

「しかし、ドエラい覇気が飛んどったのう」

 

サンジ、ゾロ、ジンベエが終わってそれぞれ気楽に言っていく中でルフィだけは思いっきりしかめっ面をしていた。

 

「ん?どうしたルフィ?」

「ん〜、懐かしい感じがしたけど・・・嫌な感じがした・・・もう何か凄い寒気もずっとしてるし・・・何でだ??」

 

シャンクスがバギー関係で地雷だったのを感じ取ったのかルフィはシャンクスは好きだがバギーは嫌いでおまけにシャンクスの好意がバギーに向いてるのも信じたくないのですごく嫌な感覚に陥っていた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その少し・・・ルフィらが起きる1時間ほど前。

クロスギルドではバギーがハンコックにまたボコられていた。

 

「うわぁぁぁぁ、もう許してぇ〜!!」

「煩い赤っ鼻!!何故じゃ何故にこうなった!?」

 

ハンコックはバギーに対して新聞の記事を見せた。

 

【クロスギルド社長“千両道化”のバギー クロコダイル、鷹の目、海賊女帝を従えさせるその人望!!】

 

そこにはクロスギルドのトップとしてバギーがクロコダイルにミホークにハンコックを従えさせてるという記事が載ってあった。ポスターは撮り直したやつだったのでバギーは一体どうしてこうなってるか分からなかった。助けを求めようとクロコダイルやミホークを見ると怒気を飛ばしながら構えていたので助けを求められず、レイリーとシャッキーとニョン婆は話し合いの為に居なかった。

 

「ハンコック、何やってるの!?おじさんを離して!!」

「ハンコック、止めなさい」

「おお、ウタ!!レイリーさん!!」

 

誰も助けて貰えない状況だったが、ライブを終えたウタと話し合いが終わったレイリー達がやってきて助けて貰った。そしてレイリーは新聞に載っていた情報を元に話し始めた。

 

「さて、どうしてバギーが社長になってトップになったのかと・・・シャンクスとの決闘が原因だ」

「はぁ!?」

「あぁ・・・くそやっぱりか・・・」

 

レイリーの言葉にバギーは驚き、何となく分かっていたクロコダイルは頭を抑えた。

 

「つまり、こういう事よ。元々はただの七武海だったけど歌姫ちゃんを助けてから赤髪のシャンクスと接触したり、決闘したりして評判が上がっていた所に“鷹の目”がこの島で赤髪と交戦したのもあって世間ではバギーズデリバリー&“鷹の目”と赤髪海賊団が抗戦してると思われてる・・・それに加えてクロコダイルだったりハンコックが居る上にこの人も戦争に乱入したから・・・」

 

シャッキーの言葉にバギーは全然全く自分関係ねぇじゃねぇかと本気で思った。シャンクスとの件に関しては本気で全て元凶がシャンクスとウタで、ミホークの件は知らないし、クロコダイルはクロコダイルでバギーを利用しようと近寄っただけ、ハンコックやレイリーの参戦は自分は本気で知らないと色んな意味でバギーは運が無かった。

 

バギーは周りを見るとハンコック以外の面々は目を逸した。合わせるのが気まずかった。

 

「何でこうなるんだ〜!!??」

「煩いぞ赤っ鼻!!」

「ハンコック・・・抑えて抑えて・・・」

 

バギーの絶叫が響いた。

そして男の下に付かれているというプライドがズタボロになる事をされたハンコックは怒りのままにバギーをまた蹴り飛ばそうとしたがレイリーに止められていた。

 

 

そのまま話し合いというかなぜ、こうなったのかという報告は終わってミホークとクロコダイルは隠れ蓑としてバギーを最初から選んでいたのもあってプライドがボロボロになりながらも承諾。ハンコックもレイリーやシャッキーを始めとした面々に説得されてルフィの傘下に入るまでと取り敢えず承諾した。

 

「酒を飲もう」

「酒が欲しい」

「この際、安酒でも構わん」

 

そしてクロコダイル、ハンコック、ミホークはその後、酒盛りを始めて自棄酒をしていた。バギーはレイリーと一緒に食べ始めて他の面々も楽しく始めてる中でウタは最近、疲れやすくなってるのもあってのんびりしていた。

 

キュピーン!!!

 

そしてジュースを飲んでいた時にウタはルフィがヤマトと一緒に風呂に入ったのを何となく感じ取った。そしてパリンっとジュースの入ったコップを握り潰した。

 

「あら?歌姫ちゃん大丈夫?」

「だ、大丈夫だよ!!うん!!」

 

ウタはそう言いながら傷1つ負ってない事をシャッキーに言いつつ、ハンコックを見るとハンコックは自棄酒のせいでそれを感じ取れなかったのかクロコダイルらと酒盛りをしていた。

 

(この嫌な感じ・・・ルフィィィィィィ〜〜〜〜!!!!浮気したなぁ!!!!!!!!!!!)

 

ウタはそう思い込むと怒りが止まらなくなっていた。

 

 

 

〇〇〇

ウタの情念が伝わったのかルフィは風呂に入ってからと言うもの寒気がずっとしていた。

 

「一体、何だ??」

 

2人の関係はエレジアで更に拗れる事になるがそれはまた後のお話。
























というわけで宴会開始・・・というか実質最終章までの布石を置きまくる章です。

・・・本当に何故に今作のシャンクスはこんなにギャグ描写だらけなのか・・・いや、現時点で分かってるシャンクス像を深ほっていったらバギーがニコイチで付いてきたせいなんだけど・・・・

そしてヤンデレ発動ウタ・・・ごめんね。ヤンデレが異様に似合うんだよ・・・・

更に酒盛り3人組になってしまったクロコダイル、ミホーク、ハンコック・・・本当に悪い・・・最終章で大暴れさせるから許して・・・

というわけで次回もお楽しみに!!
次回はキッドとローが荒ぶります。
そしてその次はシキが暴れます。


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Shock

それでは皆さん。お待たせしました!!
ずっと書きたかった絡みと回なので早く出来ました!!
またルウタネタの募集の際に肘神さま様からのアイデアが入っております。


ルフィが非常に面倒くさい事に巻き込まれている最中、キラーはのんびり仲間達と共に宴を楽しんでいたがだんだんと遅くなってきたのと明日も暫く続くこの宴で恐らくキッドの性格から1日か2日残ると思った。

何だかんだとこの明るいノリは嫌いではなかった。

そんなわけでキラーは明日も早いなと思いつつ、自分の船に戻ろうとしていると歌声が聴こえてきた。

 

「ファッファッ、これは、UTAの『Believe』か!?」

 

キラーは結構なUTAオタクだった。

元々、音楽好きが多い面々が集まった南の海の不良集団がキッド海賊団の原点だ。当然、UTAも全員知っていたが世間の人気が爆上がりしたのが海賊に対する怒りへの曲『逆光』であったのもあってキッド海賊団の中ではどちらかと言うとマニア的な感覚だった。最近はそんな事を気にせずに楽しめる曲の『ヒカリへ』『Believe』『怒りをくれよ』とかもキラー達がワノ国に入る前に出回っていたのでキッド海賊団の中でも人気が高まっていた。

まぁキッドはウタの父親のバギーとシャンクスの件で毛嫌いが加速していたがキラーには割りとそこはどうでも良かった。

 

そんな風に『Believe』が気になってキラーはハートの海賊団のポーラタング号の近くまで来るとUTAオタクのベポがのんびりと聴いていた。

 

「UTAか・・・」

 

キラーの呟きに耳のいいベポは嬉しくなった。ハートの海賊団の中でも特に熱狂的にUTAが好きなベポだがあまりにも熱狂的過ぎて少し皆に怒られる時もあるのでファン友達が増えるのは嬉しかった。

 

「うん、一緒に聴く?」

「お言葉に甘えさせて貰おう」

 

2人はそのまま『Believe』を聴いていた。途中で嬉しさのあまりに2人でリズムを取り始めたがそんな最中に曲は終わった。

 

「うぅ・・・いつ聴いてもいい曲!!」

「違いない・・・名曲だ・・・」

「ねぇねぇ、そっちは結構前からワノ国に居るんだよね?」

「あ、まぁ、ドレスローザのあの事件から居るな」

「じゃ、この曲聴く?UTAの最新曲だよ!!」

「ファッ!?・・・頼む!!・・・ファッファッ・・・幾らだ?」

「あげないよ!?」

「ファッファッ・・・いや、聴く料金を払おうかと・・・」

「そんなのいらないよ!!一緒に楽しもう!!」

 

ベポの優しさにキラーは嬉しく感じ、世間では最新曲である『Shining ray』を聴き始めた。キラーは久しぶりのUTAの新曲に合わせて歌詞の新しく進む感じが何とも言えずに笑いしか出来なくなったが感動していた。

 

ベポも世間で出回る前にローがウタ本人から貰ったこの曲の前に進む感じが大好きだった。一応敵ではある者の船長達がルフィも合わせて三馬鹿みたいなノリになっていたのもあってかキラーとベポは同じオタク仲間を見つけたというのもプラスになって親近感が出ていた。

ベポはそのままドカッと座ってキラーはベポにもたれ掛かって2人して曲を楽しんでる最中、そんな2人を見ていた者達がいた。

 

キッドとローだ。

 

宴でルフィらにクロスギルドの記事も見せて色々と大騒ぎになってる事を伝えたキッドとワノ国の真実を知ったローは寝ようかと思って来てみれば港でのんびりと曲を聴いてるNo.2達を見つけて固まっていた。

 

「おい、ユースタス屋・・・どうして殺戮屋がベポにもたれ掛かってやがる・・・お前の差し金か?ベポはウチの航海士だぞ・・・親しくさせやがって・・・」

「うるせぇ、それを言うならキラーだって何時もはしっかりしてる筈なのにあんなにノンビリと敵と曲を聴きやがって・・・どうやって俺の相棒を誑かした?」

「知るか!!」

 

そして実際は2人共仲良く曲を聴いてるだけなのにキッドとローは互いに相手が唆してると勘違いを起こしていた。

 

「いや、待てトラファルガー!!この曲はあの歌姫UTAの曲だ!!あのクマはUTAのファンか!?」

「熱狂的なファンだ、サインを自家製の額縁に入れて飾る位にな・・・殺戮屋もか?」

「あぁ・・・偶に壊れるくらい、かなり熱狂的だがな」

 

キッドとローは2人がUTAのファン同士だと分かるとホッとした。単に話の合う奴が居るからと分かるとそれまで感じていた心配も穏やかになってそのままゆっくりしようかと思った。

 

「お?やっぱりウタの曲だ♪♪」

「「あっ、麦わら」」

 

しかし、そこにウタの曲に吊られてルフィがやってきた。まだ宴会で食べ物はある筈なのにシャンクスの覇王色飛ばしで色々と感じたくない物まで感じてしまったルフィは心を癒すためにサニー号近くに来るとウタの曲が聴こえてきたのでやってきたのだ。

 

「シシシ、お前らもウタの曲好きなのか?」

「好きだよ!!聴いてて楽しくなるんだ!!」

「ファッファッ、聴いてると前に進もうとする感じが好きだ・・・特に『ヒカリへ』からその感じが強くなってきたからな!」

 

ルフィはキラーとベポがそんな風に笑ってるのを見て一緒に笑いかけたがキラーの言葉に対して少しムッとなった。ウタに対しての無自覚な独占欲が少しだけ出たのだ。

 

「ファッファッファッ!!安心しろ、俺は純粋なファンだ・・・惚れた腫れたには興味がない!」

「そうか♪♪シシシ♪♪♪」

 

キラーが大人だった為かルフィの表情を見てすぐにそう言うとルフィもそれが本心と分かると笑った。

 

(麦わら屋〜〜〜〜〜!!!)

(あの色ボケ猿〜〜〜!!!)

 

ローとキッドは自分とこのNo.2と仲良く話してるルフィに対してガチで睨んでいた。2人までなら比較的平穏になるルフィ、ロー、キッドだが3人揃うと争いの元だった。

 

「そうだ!!ウタが俺達と分かれる前に歌った新しい曲持ってんだけど一緒に聴こうぜ!!」

「嘘!!?新曲あるの!?」

「ファッファッファッファッファッファッ♪♪聴きたい♪♪」

「おう、ちょっと待っててくれ」

 

ルフィはキラーとベポにそう言うとサニー号にある自分の部屋に戻ってウタの本当の最新曲である『fanfare』を取りに行った。

 

「楽しみだね♪♪」

「あぁ♪♪ファッファッファッ♪♪」

 

仲良さそうに話してるキラーとベポ。

そしてそんな風に2人を見ていたキッドとローは船で休む気が失せてその光景を睨んでいた。

 

「おいトラファルガー・・・麦わらが戻ってきたらあいつを消すぞ」 

「ユースタス屋・・・乗った・・・あの野郎・・・ウチのベポを・・・」

 

完全にルフィを消す気満々になった2人。別に仲良し小好しで海賊をやってるわけじゃないのでどこで消そうがかってだった。

そんな中でルフィが音貝を持ちながら戻ってくるのが見えてキッドとローは飛び出した。

 

「麦わら屋〜!!」

「ここで消してやる!!」

「???」

 

飛び出してきたキッドとローにルフィは少し混乱しつつも対応しようかと思ったその瞬間、キッドの前にキラーが来てローの前にベポが来て2人を止めた。

 

「キラーてめぇ!」

「キッドやるんだったら後にしろ!!ファッファッファッ!!今は曲が優先だ!!」

「ベポ・・・」

「もう折角UTAの新曲が聴けるのに邪魔してないで船長(キャプテン)!!」

 

自身の船のNo.2達に言われてショックを受けたのかキッドとローは落ち込んだ。長い事一緒にいる自分達よりも麦わらの方に付くのかと2人は色々と複雑な気分になった。

 

「ギザ男もトラ男も一緒に聴こうぜ!!ウタの声は凄えんだ!!」

 

そんな中でルフィはいつもみたいに純粋な感覚でキッドとローを誘おうとするが過度な馴れ合いはする気のないので断ろうとしたが、そうなるとキラーとベポと一緒に聴くのは目に見えてるのでキッドとローは大人しく座った。

 

「お、聴くのか?」

「よし、麦わら頼む・・・ファッファッファッ♪♪キッド・・・歌の間は騒ぐなよ?」

「船長も喧嘩しちゃ駄目だからね」

「「わ、分かった」」

 

キラーとベポに釘を刺された2人はそのまま大人しく聴き始めた。そしてルフィもまたウタの曲なので大人しく耳を済ませて聴き始めて5人はそのまま『fanfare』が終わるまでのんびりとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、カライバリ島で自棄酒をしていたハンコックはそのまま酔いつつもまだ酒を飲んでいた。隣ではクロコダイルにミホークも酒をガブ飲みしていたが弱みを見せたく無かったので3人は潰れまいとしていた。

 

そんな風にしていると酒とつまみがキレた。

 

「酒が無くなったのう」

「つまみも切れた・・・」

「つまみは新しく俺が作ろう・・・」

「なら、妾は酒を持ってこよう。九蛇の蛇酒は格別じゃ・・・」

「俺は新しいワインだ」

 

それぞれ役割分担をしてハンコックはそのまま自分の九蛇の船まで足を運んだ。酒を大量に飲んでいても確りとした足取りで気品さを感じさせる。ハンコックの美へのプライドは天井知らずだった。

そんな中でハンコックは口煩くなってる妹達の目を掻い潜って見事に蛇酒を取ってくるがやはり酔っていたのか部屋を間違えた。

そこはウタの部屋でウタはもう夜分も遅くなってきたので寝ていた。

 

(チャンスじゃ!!ここでこの小娘を消せば・・・ルフィは妾の・・・)

 

酔ってて冷静な判断が出来ないのかハンコックはヘッドホンを机の上に外してすやすやと寝てるウタに近づくが足が止まった。

 

(いや待つのじゃ!!このような卑怯な真似は妾のプライドが許さん!!早く戻って・・・飲み直そう・・・)

 

流石はハンコック。どれだけ酒に溺れても自分を見失わない辺りかなりの強者だった。そんな風に少し落ち込みながら戻ろうとした瞬間、ウタの寝言が聴こえてきた。

 

「ルフィ・・・激しかったね・・・アタシの初めて・・・責任・・・取って・・・」

(なぁ!?う、羨ましい!!妾は最近、悪い夢しか見んと言うのに・・・)

 

ハンコックはウタがルフィと初夜をやってる夢を見ている事に羨ましくなった。ウタが既にルフィと初夜を過ごしたのをハンコックは知らない。この件を知ってるのはウタ本人となし崩し的に悟ってしまったバギーだけだった。

ハンコックはウタの首をキュッと絞め殺したくなってきたがルフィの事を純粋に思えるハンコックは必死で堪えた。

 

そんな風に色々と葛藤しているとハンコックは机の上に置いてあったヘッドホンを落してしまう。地面に完全に落ちる間一髪で何とか掴まえてホッとなった。軽く見て壊れてないのも確認するとハンコックは取り敢えずそれを置こうと思ったがジッとそれを見ていた。

 

そしてハンコックはウタみたいにそれを付けてみて鏡を見ると何をやってるのかと物悲しくなった。

 

「妾は何をやっておるのじゃ・・・」

 

溜息を吐きながらハンコックはヘッドホンを外そうと触れると間違えて起動してしまった。

 

『ウタ、好きだ』

「ル、ルフィの声!?」

 

聴こえてきたのはルフィの声だった。

 

 

 

 

●●●

「ねぇルフィ」

「ん?どうした?」

「明日の朝にはもう分かれるからさ・・・このヘッドホンにルフィの声が欲しいな・・・」

「声?」

「うん、これ音貝の原理が入ってるから少し位なら録音出来るんだ・・・だからルフィの声が欲しいなぁ」

 

ウタの頼みにルフィはそんなんだったらちゃんと忘れないように今から言おうかと思ったがウタが欲しいと言ってる上に案外すぐに終わりそうと言うのもあってルフィは了承した。

 

「良いけど、何て言えばいいんだ?」

「好きって言って」

「わかった・・・ウタ、好きだ」

 

 

 

〇〇〇

ウタはルフィと別れてから約3週間の間、これを良く聴いていた。大好きなルフィの声は四六時中聴いても飽きないからだ。オマケにルフィもルフィでウタの曲を持ってるのだからウタとしてはおあいこという感覚だった。

 

『ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ』

 

で、こんな声を延々と聴いていたハンコックはと言うと物悲しい気分に溢れていた。そっと電源を消して外してハンコックはそのまま蛇酒を持って戻っていった。

 

「ん?遅かったな海賊女帝」

「つまみならもう出来てるぞ」

「蛇酒が重くての・・・今宵は飲むぞ!!徹底的に飲んで飲んで飲みまくるのじゃ!!」

「クハハハハハハ!!乗った!!あの赤っ鼻にやられて気分が悪かったからな!!徹底的に飲むぞ!!」

「賛成だ・・・つまみはまた作ろう・・・」

 

ハンコック、クロコダイル、ミホークの3人はその晩、徹底的に飲んで飲んで飲みまくった。

翌日、レイリーと飲んでいて少し二日酔い気味だったバギーは3人を見るとベロンベロンの二日酔いになってることなく、実にスッキリとした顔つきになっていた。

 

3人の超人っぷりを目の当たりにしたバギーだった。

一方、ウタは確りと寝たはずなのにまだ少しだけ眠くなってる事に首を傾げつつもヘッドホンを起動した。

 

『ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ。ウタ、好きだ』

「へへへ、ルフィ・・・アタシも好きだよ・・・だから絶対にルフィヲ誑カシタ浮気相手ハ奈落ノ底ニ沈メテ・・・ルフィヲキレイニシテアゲル・・・ナンカイヨゴレテモルフィヲキレイニスルカラネ・・・」

 

ウタは淀んだ目をしながらルフィに向かってそう誓っていた。

 

 

 

〇〇〇〇

そしてウタの父親であるシャンクスはというとクロスギルドの載った記事を読んだ後で1人、酒を飲みながら本を読んでいた。

クロスギルドの件があって以降、シャンクスは本を良く読んでるのを確認された。

 

「お頭、何を読んでんだ?」

 

ルウはシャンクスが急に読み始めた事に首を傾げながらも明るく聞いた。するとシャンクスは笑顔で返した。

 

「いや、最近になって狩りをしたくなってな」

「へぇ、そうか・・・海王類か?」

「・・・まぁ、それくらい手強いな」

「仕留めたら言ってくれ!!俺が旨いのを作ってやるから!!」

「そうかありがとよ♪♪」

 

ルウはシャンクスにそう言うと聞きたいことも聞けたので自分の仕事に戻っていった。

シャンクスは読んでた本を置いて机の上に置いてた4冊の内の1冊を読み始めた。

 

因みにシャンクスが読んでいた本は計5冊。

 

『鰐の仕留め方』

『鷹の仕留め方』

『蛇の仕留め方』

『大切な人を守る方法』

『娘との仲直りの仕方』

 

クロコダイル、ミホーク、ハンコック、バギー、ウタは同時に寒気を感じていたが一体何が理由が分からずに困惑した。





















というわけで無事にキラーとベポとルフィを絡ませられたよ〜〜!!良かった!!これを書きたかったんだよ!!
そして荒ぶるキッドとロー・・・悪い・・・でもシャンクスみたいに病んで無いから大丈夫だよ!!ルフィが絡まなかったら案外普通で終わりそうだったし!!


そしてハンコック・・・ウタの病みを思い知る・・・本当に最終章で暴れさせるから頑張って堪えて・・・

トリを飾るのは今作1のギャグキャラになったシャンクス・・・もう一体何処に行くんだろう?と思いながら書いてます・・・最終章で格好いいシーンを大分書くから許して・・・



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襲撃

お待たせしました!!
いやぁ、連日投稿できてうれしいです!!
それではどうぞ!!
例によって例の如く、あの爺がやってきます!!


天狗の飛徹こと光月おでんの父、光月スキヤキはのんびりと編笠村へ戻っていた。無事にワノ国も取り戻されて息子であるおでんの敵討ちも終わり、余生を過ごせる。それにスキヤキやルフィだけじゃなく、キッドにローも明日出航するので3つの海賊団ものんびりとしていた。

祭りがもう終わったのもあってワノ国の人達もゆっくりとしていた。

 

スキヤキは気分が良い状態で置いてきた物を持って城に戻ろうとヤマトと玉を連れて狛ちよに乗っていた。

 

「しかし、良いのかヤマト?」

「ん?」

「あの麦わらの小僧共と旅をするのではないのか?用意する事など沢山あろうに」

「その事なんだけど、僕は行かない。昨日の奴みたいなのがあの牛ゴリラを倒したせいでいっぱい来るならここも大変じゃん・・・ほっとけ無いよ」

「なるほど、お主は優しいな・・・」

「うん、それに光月おでんの父親の光月スキヤキならおでんの事を一杯知ってるかと思って♪♪」

「お主・・・最初からそれが狙いじゃな?」

「えへへ」

 

あけすけというか現金というかちゃっかりしてるヤマトにスキヤキは呆れつつもこれからの穏やかな日々を楽しみにしていた。

そんな中で3人は編笠村に着いた。

 

「ここが編笠村か〜!」

「へへ、おらの生まれ育った村でやんす」

「ここを再建するのは暫く掛かるが必ず出来る・・・ちょっと待っておれ・・・刀を・・・」

「待って、誰かいる!!」

 

自分の刀を取りに行こうとしたスキヤキをヤマトは止めた。自分の武器である金棒の健を構えて警戒するヤマト。スキヤキもお玉も狛ちよもヤマトの様子を見て構えた。

 

「何処からか気配はするか!?」

「見聞色の覇気で見てるのに分からない・・・けど、嫌な感じが漏れてる・・・かなりの使い手だと思う」

「おら、兄貴達に・・・」

「下手に動くではないお玉!!敵がどこに居るのか分からない以上、分かれるのは危険だ!!」

 

狛ちよに乗ってルフィ達に知らせようとしたが敵が何処にいるのか分からないのに分かれるのは危険だった。

そんな風に警戒していると遠くから何かが壊れる音が聞こえて来てヤマト達は急いでそっちの方に掛けていった。

 

「お、おらの家が・・・」

 

そこには破壊され尽くしたお玉の家の残骸があった。潰したとも薙ぎ払われたとも違う奇妙な破壊の仕方にヤマトもスキヤキも首を傾げた。

 

「おいおい、嬢ちゃん・・・ここはお前の家だったか?悪い事をしたな・・・」

 

突然の年老いた男の声が上から聴こえてきたので3人は上を見上げるとそこには先日四皇に返り咲いた“金獅子”のシキが浮かんでいた。

手には二代鬼徹とおでんが残したもう1つの愛刀天羽々斬を2本持っていた。

 

「何者じゃ!?二代鬼徹と天羽々斬を狙った盗人か!?」

「俺は金獅子のシキ・・・てめぇら鎖国してたから知らねぇがカイドウはまぁ・・・後輩みたいなもんでな世話になったな・・・俺はてめぇらワノ国の連中なんざどうでもいい・・・妖刀二代鬼徹にあのがんもどきの愛刀が欲しくて寄っただけだ」

 

シキはそれだけ言うと二代鬼徹と天羽々斬を腰に差した。愛刀の2つを足にしてからそれで良かったと思っていたがやはり火力不足だったと万国で思ってからシキは新しい刀を探していた。

カイドウと別にやり合っても良かったがバレットと一緒にやったグラン・テゾーロでの“ショー”が思った以上に派手だったのもあってそれのせいで少し遅れたらカイドウが運良くやられていた上にリンリンまで追加。シキにとっては願ったり叶ったりの感覚で目当てだった名刀を探してここまでやってきたのだ。

 

「良い感じだ・・・もう用はねぇじゃあな」

「逃がすわけないだろ!!」

「あん?」

 

ヤマトはシキに向かって飛び掛かり、健を思いっきり振り下ろした。シキは難なくと二代鬼徹と天羽々斬を抜いてそれを防いだ。

 

「おいおい、いきなりの攻撃たぁ・・・挨拶がなってねぇなベイビーちゃん!!しかも強え・・・何もんだ?」

「僕はヤマト!!光月おでんになる者だ!!」

「あのがんもどきにだと??だったら二刀流になってから出直せ!!」

 

ヤマトの言葉にシキはそう言ってヤマトをふっ飛ばした。

 

「お玉!!皆に知らせるのだ!!」

「分かったでやんす!!」

 

スキヤキに言われて家を壊されて呆然となっていたお玉は狛ちよに乗ってすぐにルフィらの元に向かって掛けて行った。

 

「今日は麦わらとやるつもりなんか無かったんだがなぁ・・・まぁ試運転でもやるか・・・」

「そんな暇、あるわけないだろ!!」

 

ヤマトはシキに向かって健で殴りに行くがシキはアッサリとそれを受け止めた。ヤマトは大口真神の人獣型に変身して力を上げた。

 

「無侍氷牙!!」

 

ヤマトはカイドウの熱息にも匹敵する無侍氷牙を放った。シキは咄嗟に全身を武装色だけじゃなく周りの木々や岩を全身に纏って防いだ。

 

「あぶねぇな・・・やるじゃねぇか」

「雷鳴八卦!!」

 

カイドウ譲りの雷鳴八卦をやって思いっきりシキをぶん殴ろうとするヤマト。シキはそれをきちん二代鬼徹と天羽々斬で受け止めた。

 

「雷鳴八卦・・・てめぇカイドウのガキか?」

「息子だ!!」

「そうかい」

 

シキは武装色と覇王色を纏った頭突きを放った。ヤマトも咄嗟に同じように纏ってやって2人は離れた。体の頑丈さに差が出たのかシキは頭から血を流していたが特に慌てる事なく余裕そうにしていた。

 

「獅子・千切谷!!」

 

両手だけではなく、足の二本の刀も使った計4本の刀から飛び出してくる斬撃の雨がヤマトを襲う。

 

「鏡山」

 

ヤマトは咄嗟に氷の殻を纏って自分の身を守ったが並の海賊では傷1つ付かない硬度の殻がすぐに壊れた。壊れたと同時にヤマトはシキの上に飛び上がって健を回しながら冷気を纏わせた。

 

「氷諸斬り!!」

「獅子一貫!!」

 

シキも二代鬼徹を持った手に大量の岩をくっつけて獅子を作り、武装色を纏ってぶん殴って相殺した。戦況はヤマトが押してるようにも見えたがヤマト本人がシキの底しれない感じを誰よりも分かっていた。

 

互いに地面に降りて睨み合う2人。シキは天羽々斬の感触を確認しながら笑っていた。

 

「ジハハハハハハ・・・」

「何を笑ってる!?」

「いや、あのがんもどきの刀はエラいへそ曲がりだと思ってな・・・」

「お前・・・気づいたのかその刀の特性に・・・」

 

シキの言葉にスキヤキは驚いた。あれくらいの短時間で刀の特性まで分かるとは思ってなかったのだ。剣士としてかなりの使い手だと改めて思い知った。

 

「へそ曲がり?・・・どういう・・・」

「あの刀は閻魔とは違う・・・閻魔は持ってる者の覇気を無理矢理放出させて全てを斬り捨てる刀としての気質は大真面目・・・天羽々斬はその逆だ・・・真に認められる程の使い手で無ければ斬撃を飛ばそうが流桜をしようが何一つ斬れぬ・・・」

 

スキヤキは天羽々斬の特性を軽く説明するとシキは天羽々斬を軽く振って近くの大木を切り飛ばした。天羽々斬がシキを使い手として認めたのだ。

 

「で、次はどうする?おでんマニアちゃん?」

「ここで倒す」

「やってみろ」

 

ヤマトはシキに向かって健でぶん殴りに行くとシキは二代鬼徹と天羽々斬で受け止めた後で左足の刀でヤマトの顔面を刺しに行った。頬に掠り傷を負ってしまったがすぐに体勢を立て直して上から健を叩きつけた。シキはそれを受けずに避けてヤマトの顔面に拳をぶち込んで仰け反らせると躊躇なく二代鬼徹と天羽々斬で挟み込むようにヤマトの首めがけて振るった。ヤマトは咄嗟に更に体を仰け反らせて避けて人獣型なった事で鋭くなった牙に冷気を纏わせて噛みつきに行くがシキはそんな風に噛みつきに来たヤマトの顎に拳をぶち込んで上に飛ばした。

 

「どうした!?おでんなんだろ!?だったらあのがんもどきの刀くらい奪い返してみろよ!!?」

「この!!鳴鏑!!」

「斬波!!」

 

ヤマトは空中で立て直して健から一直線の斬撃を飛ばしたがシキの斬波に負けた。斬波がヤマトに向かって飛んでくる最中、咄嗟に鏡山で防いだが又もやすぐに割れた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

「ったく・・・中途半端なおでんだなぁ・・・あいつはもっと強かったってのによぉ・・・二刀流じゃねぇ・・・強さも足りねぇ・・・」

「まだ修行中でね・・・決めた・・・」

「あぁ?」

「僕は光月おでんになる・・・おでんのような生き方を目指す・・・最初はワノ国を回ろうかと思ったけどその前に彼の大切な相棒をお前から奪い返す・・・」

「・・・ほぉ・・・面白ぇ・・・やれるもんならやってみろ?」

 

シキとヤマトはそれだけ言うとまた睨み合った。

次の瞬間、上に5つの気配を2人は感じた。

シキとヤマトは上を見るとそこにはギア5状態のルフィ、キッド、ロー、キラー、ゾロが構えた状態で落ちてきた。

 

「麦わら!?」

「シキィィィィィ〜!!!ゴムゴムの斧!!!」

 

ルフィは足を武装色で硬化して巨大化させた踵落としをシキに向かって放った。

 

「おっと・・・その忌々しい技は二度と食らうか!!」

 

シキは2年前にやられたのもあって空中に飛び出して避けつつ、すれ違いざまにルフィを斬ろうとしたがゾロがそれを受け止めた。

 

「よぉ、ジジイ・・・少しは勘でも取り戻したか?」

「お陰様で絶好調だ・・・そっちは少しは強くなったか?」

 

ゾロの言葉にシキは笑顔でそう返すとゾロとルフィを吹き飛ばそうと二代鬼徹と天羽々斬を振るった。

 

「シャンブルズ」

 

しかし、ふっ飛ばしたのはルフィとゾロではなくローによって下にあった岩とチェンジされた。

 

「オールドが出しゃばってんじゃねぇぞ!!麦わらの前にてめぇの首を取ってやらァ!!磁気弦(パンクギブソン)!!」

斬首爪(ざんしゅクロー)!!」

 

キッドとキラーがシキを挟み込むように巨大な鉄の拳と高速回転する鎌のパニッシャーで攻撃するがシキは二代鬼徹と天羽々斬で受け止めた。

 

「煉獄鬼斬り!!」

注射(インジェクション)ショット!!」

 

シキを下から切り捨てるようにゾロとローは刀で攻撃を仕掛けるがシキは両足の剣でそれを受け止めていた。

 

「なっ!?」

「嘘だろ・・・」

「ジハハハハハハ・・・カイドウやリンリンはこういうのは下手だったからな・・・なまじ体が頑丈すぎて・・・」

 

4人が容赦なく攻撃をしたのに純粋な技量でそれを全て受け止めたシキ。しかし、まだ2人残っていた。

 

「ゴムゴムの火拳銃!!」

「馬幻刃!!」

「うぉお!?」

 

ルフィのギア5による火拳銃とヤマトの白蛇駆。炎の拳と冷気の金棒という攻撃は流石にもう受け止められずシキはまともに食らってふっ飛ばされた。

6人は地面に降りてシキを睨む。

 

「来てくれてありがとう!!ルフィだけかと思ってたけど・・・」

「キッドとトラファルガーと麦わらがまた喧嘩してる時に呼ばれたからな!!俺もキッドも四皇の1人をここで落とせるなら落としておきたい」

 

ヤマトの言葉にキラーが簡潔に事の顛末を云うと6人は気を引き締め直してシキに向かって構えた。

シキはゆっくりと立ち上がると流石に今のは効いたのか腹を抑えていた。

 

「・・・止めだ・・・もう試運転は済んだ・・・ここでお前らとこれ以上やり合っても何も得がねぇ」

「おいおい、伝説と呼ばれた世代がビビってんのか!?」

「だから最後に土産でも置いてやる・・・」

 

キッドの煽りにシキはそれだけ言うと手を翳した。すると6人の周りに大量の岩で出来た巨大な獅子が武装色を纏った状態で現れた。

 

「獅子威し・地巻!!!」

 

シキはそれだけやると飛んでとっとと帰っていった。6人はシキの残した鬱陶しい置き土産を難なくと破壊したがその時には既に見失っていた。

 

「クソっ!!逃げられた!!」

「ちっ、腰抜けジジイが・・・」

「奴は何しに来たんだ?」

 

ルフィとキッド、ローがそれぞれ思った事を口にしてると離れた場所で見ていたスキヤキがやってきた。

 

「申し訳ない!!全てはわしの不注意が招いてしまった!!あのような輩に大業物である名刀を2つ奪われてしまうとは・・・」

「そんなスキヤキのせいじゃないよ・・・それに取り返せなかった僕が悪い・・・」

 

スキヤキはルフィらに土下座して謝り、ヤマトは咄嗟にフォローしていた。ルフィらは困惑しながらスキヤキ達の話を聴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃シキはのんびりと空を飛びながら電伝虫を起動していた。

 

『首尾は順調かジジイ?』

 

電伝虫の相手はバレットだった。

 

「あぁ、最高の刀を手に入れた・・・もうすぐてめぇのお望みのトットムジカと戦う計画が出来るぞ・・・」

『カハハハハハハ!!こりゃありがてぇな・・・ババアの所でてめぇに僅差で勝ってどうしようかと思ってたからな』

「ふん、ガキが・・・まぁ良い・・・準備はゆっくりとやるぞ・・・ジハハハハハハハ!!」

 

シキはそれだけ言うとバレットの通信を切った。万国でやり合っていた時に年の影響かシキはスタミナ切れを起こしてバレットに負けた。それに関してはいつか必ず返すとは思いつつも若い頃から何回も勝ってや負けてを繰り返してきたシキにはたかが敗北の一回など屁でもなかった。

20年掛けた2年前のやつは流石に心が折れかけたが完全に覇気も戻った今、精神も完全に戻った。

 

「ジハハハハハハハ!!“天竜人を殺して”・・・四皇に返り咲いた!!まだだ!!俺の計画はまだまだ終わらねぇ!!・・・何が大海賊時代だ!!何がワンピースだ!!何が夢だ!!何が冒険だ!!・・・ロジャー!!俺はこれからだ!!俺の“新時代”でお前の全てを否定してやる!!」

 

シキはそう笑いながら、かつてのライバルであるロジャーに向かってそう叫んだ。

 

四皇 “金獅子”のシキ 懸賞金 54億4900万ベリー






















というわけでシキが名刀2つを強奪と共にヤマトも最終章に参戦です!!う~ん、またシキがパワーアップをしてしまった。

そしてシキがやったグラン・テゾーロでの惨劇は天竜人殺しです。おかげで懸賞金も馬鹿高くなりました・・・因みにバレットも共犯者です。

グランテゾーロでの惨劇は次回やります。ひょっとしたら前後編になるかも知れませんがよろしくお願いします。
それでは次回をお待ち下さい。


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惨劇

長らくおまたせして申し訳ありませんでした。
高熱がまた出て倒れ込んでいたので時間が掛かってしまいました。申し訳ございません。


時は1週間前まで遡る。

黄金帝ギルゾ・テゾーロの運営する巨大な船・・・グラン・テゾーロ・・・ここは世界政府に献上金を渡して国として認められていた。働く者達は裏社会の人間か、テゾーロに金によって支配された者達ばかり、テゾーロは今日も何時ものようにショーをしてのんびりと酒を飲んでいた。

 

そんなテゾーロの元に部下の一人であるタナカさんがやってきた。

 

「テゾーロ様」

「ん?どうした?」

「凄い伝説の大物が2人、来ましたよ」

 

タナカさんはそう言うとテゾーロは電伝虫のモニタールームへ行くとそこにはシキとバレットが映っていた。テゾーロはそれを見て笑った。

青年期に天竜人の奴隷にされて以降、金と支配欲に染まったテゾーロはだんだんと天竜人に似てきていた。そして悪趣味なゲームも大量にするようになってシキとバレットもそのゲームの役者に過ぎなかった。

 

「面白いショーが見られるかもな・・・2人をVIPルームへ・・・」

 

テゾーロは2人をVIPルームへ招待しようとタナカさんに言った途端、映像に映っていたシキは電伝虫を越しにテゾーロを見て笑って、バレットと共に暴れ始めた。

 

 

 

〇〇〇

シキとバレットはテゾーロの部下であるバカラに言われながら車に乗ってグラン・テゾーロの中にあるホテルやら街を見ていた。

 

「おい、ベイビーちゃん。俺達がここに来た理由は何だと思う?」

「ここは世界最大の夢の国ですからお金でしょうか?」

「ジハハハハハハハハハ!!」

「カハハハハハハハハハ!!」

 

バカラの答えにシキもバレットも笑った。バカラはご機嫌を取れたと思ったが次の瞬間に冷や汗が出始めた。

 

「実はな、ここをぶっ壊しに来た♪」

「え?」

 

シキの言葉にバカラは困惑しているとバレットは周りの金やら金属を腕に集めて下に振り下ろした。車は大破して、バカラは遠くへふっ飛ばされた、

周りの人間も何だ何だと気になって集まり始めた。

 

「おい、始めるぞ。てめぇの強さだけを求める世界はウタワールドで俺は現実で支配する・・・異論はねぇな?」

「勿論だ。俺は強え奴が集まればそれで良い・・・現実とか夢とか興味はねぇ」

「計画の為の見聞色のシンクロ・・・これが死んでも必要だ・・・合わせろよ?」

「てめぇがな」

 

シキとバレットはそれだけ話し合った。バレットはロジャーを超えればどうでもいい。その世界に興味は無かった。だから強い奴が集まればそこに関してのこだわりはなかった。

しかし、それだけでは上手く行かない。

どれだけウタワールドに入っても能力者であるウタをどうにかしないといけなかった。なので2人は計画の為に見聞色の覇気を合わせる事にした。

見聞色の覇気は波長が合えば合った相手の見てる物が見えるようになる。それには高い練度がいるがそれに関してはシキもバレットも問題なかった。

 

「それじゃ、実験だ」

「しくじるなよ」

 

シキはすぐに上に飛び上がった。グラン・テゾーロが一望出来るほど高く飛び上がったシキは周りの海水を操って上に海水の獅子を作った。

 

「鬱陶しい金粉はいらねぇな」

 

そしてシキはグラン・テゾーロに向かって獅子を放った。グラン・テゾーロに来ると最初に必ず金粉の雨が降るトンネルを通る。そしてその金粉はゴルゴルの実のテゾーロにのみ操られて誰でもすぐに全身黄金にされてしまうが海水に弱いのでシキはグラン・テゾーロを水浸しにしたのだ。

 

降りてビチョビチョになってる道から水分を操って自分も被り、金粉を落とした。バレットは既に居らず、合わせる為に離れてるのだろうと分かるとシキは集中した。

 

「見聞色の波長を合わせる・・・合わせる・・・ちっ・・・そう上手くは行かねぇか・・・」

 

シキは波長を合わせられずにどうしようかと迷っていると黄金の触手が飛んできた。シキはそれを見るとやはりやってきたかと思いながら冷静に見た。

 

「斬波!!」

 

黄金の斬撃を飛ばして斬り捨てようとしたが触手はすぐに戻ってシキを襲う。堪らずに海水を操って盾を作ってそれを防いだ。

黄金が全て当たらずにすむとシキの前にテゾーロが現れた。

 

「お前がギルド・テゾーロか?」

「お前は金獅子のシキだな?」

「光栄だな・・・世界一の金持ちに名前を覚えて貰うとは・・・」

「知らない方がおかしいだろ・・・ここには何をしに来た?」

 

テゾーロの言葉にシキは笑った。すでにテゾーロの金による呪縛はシキの操った海水によってグラン・テゾーロの中にいる多くの者達の呪縛は解けた。散々と苦労してきた物を一瞬で台無しにされたテゾーロはシキを殺そうと構えた。

 

「ここへ来たのは・・・まぁ色々とあるが・・・スカウトも入ってる・・・」

「スカウト?」

「海賊ギルド・テゾーロ・・・お前、俺と手を組まねぇか?」

 

シキの言葉にテゾーロは首を傾げた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、バレットは黄金の鎧を着たバカラ、タナカさん、そして裏世界一危険と言われたデスマッチショーで無敗だったダイスとやり合っていた。

 

「おらよ!!」

「うっ・・・・気持ちぃ〜!!」

 

マゾ的資質の高いダイスはバレットの攻撃を受けても喜びながら叫び金の斧を振り回してきた。バレットは武装色の硬化でそれを受け止めた。

 

「どうした!?俺は全然気持ちよくねぇぞ!?」

「キャラが被るだろうが!!」

「なら、もっと強えのよこせ!!」

 

威力が思ったよりも弱かったのかバレットは煽りも込めながらそう叫んで殴り飛ばした。ダイスの顔はまた気持ちよかったのか悦に入っていた。流石にバレットも少し引いていた。

バレットとダイスがやり合ってる最中にタナカさんが地面から飛び出て銃を撃った。普段ならわざと外してたっぷりと嬲るが今回はそんな事をやる理由がないので直接狙った。だがバレットは武装色で硬化して全く効いてなかった。

 

「そんなんでやられるか!!」

「ぐびゃ!!」

 

バレットはそのままタナカさんをぶん殴って一撃ノックアウトさせた。しかし、その隙にバカラはバレットに触った。

バカラはラキラキの実の能力者。触った者の運を奪い取り自分のものに出来る。バレットは何故に触れるだけだったのか分からずそのままバカラに殴りかかった。バカラは運を奪い取ったがゆえに当たらないとたかを括っていたが拳は容赦なく決まって吹き飛ばされた。

 

「な、なぜ?運は確かに奪い取った筈・・・」

「そう云う能力者か・・・フッ、過剰な覇気に中途半端な能力は効かねぇよ」

 

バレットは端的にそう言うとバカラは気絶した。

軟弱だと思いながらまだ金の斧を持ってやる気充分なダイスが構えていたのでバレットも構えた。

 

「どうした?まだ気持ちよくなりてぇか?」

「あぁ!!・・・だが、てめぇら何を企んでる?」

 

 

 

〇〇〇

テゾーロは眼の前にいるシキが何を言ってるのか分からなかった。自分の国をここまでやっておきながら手を組もうと言うのは無茶苦茶にも程があるし、第一誰かの下に付くなど真っ平ゴメンだった。

 

「で、どうだ?俺と組むか?」

「・・・理由を聞かせて貰おうか?」

「理由?・・・海賊がこんなチンケでちっぽけな国を作って満足してどうする?ここの実態は裏社会じゃ有名だぞ。それに俺はこういうのは大好きでね・・・最後に笑うのは俺だが面倒くせぇ奴らは山ほどいる・・・海軍、政府、最悪の世代とかいうミーハーに四皇・・・天竜人・・・」

 

天竜人と言う言葉をシキが言った瞬間、テゾーロはピクッと反応した。かつて愛した女性ステラを天竜人に奪われて殺されて自身も天竜人の奴隷だったテゾーロは天竜人が心底大嫌いだった。

シキはそんなテゾーロの些細な反応を見逃さなかった。

 

「実はとある能力者の力があれば邪魔な奴らを全て片付けられる。別の世界に連れていける・・・言ってしまえばそいつらを支配出来るかも知れねぇ・・・どうだ?乗るか??こんな所でコソコソと天竜人のご機嫌取りをやってるのなんざつまらねぇだろ?」

 

シキの言葉にテゾーロが真っ先に胡散臭いと思った。一目で自分とシキが同類と思ったテゾーロは絶対に裏切って嘲笑うに決まってると確信した。

 

「生憎と俺はやりたいようにやってるんで間に合ってる」

「へぇ・・・天竜人の奴隷のままか・・・」

 

シキはテゾーロの過去は知らないし興味はないがテゾーロは今、エレジアのライブのスポンサーの1人として活動してるのもあってテゾーロの協力は欲しかった。

天竜人を嫌ってるのも分かったので徹底的に嘲笑う事にした。

 

「誰が・・・あんなゴミ共の奴隷だ!?」

 

テゾーロは黄金の触手をシキに向けて飛ばした。シキはまた周りの水たまりの水を操って壁を作りそれを防ぐと今度はその水を水滴ぐらいまでのサイズにした。

 

「魚人空手の再現だ・・・お前の能力で防げるか?」

 

シキはそのまま水滴をテゾーロに向けて撃った。その威力はジンベエの撃ち水に匹敵する程の威力だった。黄金の盾を作って防ごうとするが海水に弱いテゾーロの黄金で防げる筈もなく貫かれた。何発か体を貫かれてテゾーロは倒れた。

 

「ジハハハハハハハハ!!どうした!?奴隷!!寝てるだけが取り柄か?」

 

徹底的にテゾーロを嘲笑うシキ。テゾーロは完全に頭にきて立ち上がった。そして幾つもの黄金の触手を作った。

 

「俺の・・・」

「あぁ?」

「俺の前で笑うな!!」

 

テゾーロは吐き捨てるようにシキに向かって叫びながら、黄金の触手を放った。幾つもの触手がシキに向かって全方位向かってくる。流石にこれら全てを防ぐほどの海水はすぐに用意できないだろうとテゾーロはたかを括っていたがシキは手を翳しただけで全ての触手を止めた。

 

「なっ!?」

 

ありえない光景にテゾーロは啞然となった。自分の操る黄金が誰かに止められるなんて経験した事もなかった。

 

「黄金を操れるからなんだ?たかが黄金だけだろ?俺は全てを浮かし操れる・・・てめぇもバレットのクソガキもそうだが・・・てめぇらの能力なんざ俺の“下位互換”でしかねぇんだよ・・・」

「貴様・・・何を企んでるんだ?」

 

テゾーロは黄金を止められた事に驚きつつも何とか打開する為にシキにそういった。

 

シキにバレットは企みを聴かれたので素直に答えた。

 

「俺の企みか?」

「そんなに大層な事は別に興味もねぇし、考えてねぇ」

「「・・・ただ、俺はロジャーを超えたいだけだ・・・」」

 

シキにバレットは離れた場所で同じセリフを放った。すると見聞色の覇気の波長が合ったのか2人はお互いに相手の見える景色が視えるようになった。

シキにバレットも目的の1つが完了して嬉しくなった。これでウタワールドでウタ本人が反抗しても現実世界でどうとでもなる。

シキにとってロジャーがそのきっかけになるのは皮肉に近かったがこれで後はウタ本人を脅せれば実質的にウタは手下になったも同然だった。

 

シキはより更に確実になってきた計画に笑いながら黄金の触手を全てテゾーロに向けて跳ね返した。バレットもダイスをノックアウトして終わらせた。

 

ゴロゴロと転がるテゾーロ。

散々と煽られて手も足も出ない状況にどうするべきか考えてるとある父娘がやってきた。

 

「テゾーロ、これはどういう事アマスか!?早くあのゴミを追い出すアマス!!」

「全くこれだから下々民は困るんダェ〜!!」

 

天竜人のカマエル聖とその娘だった。テゾーロはウンザリした。何故にこんな奴らのご機嫌取りをやるような形で献上金を出してるのか、金に困らない能力を得たからだがそれでもこんなゴミどもの言う事なんざ聞きたくも無かった。

しかし、それで逆らったら海賊に逆戻り、もうこの娯楽の国のグラン・テゾーロは完全に無くなる。歌を自由に歌って愛したステラも好きと言ってくれた自分の歌を自由に歌える場所が無くなる。それだけは嫌だった。

 

「早く立って何とかするんダエ〜!!お前ら下々民は首輪があろうが無かろうが全て我々の奴隷ダエ〜」

 

しかし、カマエル聖のその言葉でテゾーロの堪忍袋の緒が完全に切れた。死ぬ程天竜人が嫌いで憎くてしょうがないテゾーロは眼の前にいるゴミを心の底から消したくなった。2人に悟られるように後ろから黄金の触手で黄金像にさせて窒息死でもさせようかと思ったその時、シキがカマエル聖とその娘の後ろに飛んできて2人の首を跳ね飛ばした。

 

「うるせぇよゴミ共・・・死んでろ」

 

ゴロゴロと天竜人だった者達の首がテゾーロの足元を転がったその時、テゾーロの中で何かが完全に崩れた。天竜人の死体を見て自分は何であんなのにヘコヘコとしていたのか分からなくなったがそれ以上にテゾーロの中である欲が爆発的に上がった。

 

(天竜人を・・・羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい!!そいつらは俺の・・・獲物だ!!)

 

それは天竜人をあっさりと殺したシキに対する嫉妬と天竜人に対する殺人欲だった。

シキはテゾーロの豹変した目を見て笑った。

 

「ジハハハハハハハハ!!良い目になったな!!まさに海賊の目だ!!」

「・・・おい、その別の世界には誰でも連れて行けるのか?」

「あぁ、勿論」

「なら、条件がある」

「なんだ?」

「天竜人のゴミ共を全て連れてこい!!あのクズどもを奴隷にして心底嬲り殺したい・・・それが出来るなら手を貸してやる・・・世界なんざ何処でも良いしな」

「ジハハハハハハハハハハハハ!!良いぜ、ちょうど催眠術が得意な奴とワープが出来る奴がいるからそいつらに頼もう・・・おおっとそいつらの頭をボール代わりにするなよ。まだ使い道はあるからな」

 

シキは笑いながらテゾーロの条件を了承しつつ、テゾーロの足元に転がっていた天竜人の生首を持って、後日世界政府に送った。

 

この惨劇は【グラン・テゾーロの惨劇】と呼ばれた。

 

 

 

 

〇〇〇

シキとバレットと共に協力する事になったテゾーロは滅茶苦茶になったグラン・テゾーロに残っていた。運良く今回の件でテゾーロが天竜人を貶していた所もシキと組んだ所も世間にはバレなかったのもあってテゾーロは賞金首には戻ってなかったが金粉で捉えていた者達はシキとの戦闘中にどさくさに紛れて逃げた。その中には歌手として世界的に人気だったカリーナもいてそれに関しては本気でショックだったが、ダイスにバカラにタナカさんは付いてきてくれる事にテゾーロは嬉しくなりつつ、ステラに誓った。

 

(ステラ・・・君を殺したゴミどもを全て地獄に落とす・・・俺に力を貸してくれ)

 

その誓いはすでにステラの心から離れてしまっている事に気づかないままテゾーロは戻れない道を進み始めた。





















というわけでシキの狙いはウソップとヤソップがやっていた見聞色の覇気のリンクとテゾーロのスカウトです。
最終章の敵はシキ・黒ひげ・バレット・テゾーロの同盟+第三勢力のネオ海軍です!!
現実とウタワールド、両方で大決戦になるのでお楽しみに!!
次回はヤマトの正式加入をして、幕間を1話・・・主にライブの参加者の紹介的な奴をやってから、最終章に行きます!!


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Departure

1日2話投稿は久しぶりです。
前回は待たせてしまいましたが今回はすんなりと書けました。

次回も恐らく明日中には出来そうです。
それではどうぞ。


シキがあれだけ暴れた事に関してスキヤキとヤマトはルフィ、ロー、キッド、ゾロ、キラーだけではなく麦わらの一味、ハートの海賊団、キッド海賊団の面々に加えて赤鞘侍達にお玉、モモの助や日和も呼んで話した。モモの助や日和には傳ジローを介して紹介されて肉親が生きてる事に喜ばれたが生憎とそれに対して感動する余裕は無かった。

 

「誠に申し訳ない!!この国の恩人であるお主達の手を煩わせて本当に申し訳ない!!」

「もう良いってんだろうがジジイ!!」

「ファッファッファ!!キッドの言うとおりだ気にする必要はない。それに海賊である俺達に頭なんか下げるな。むず痒い」

「同感だ。それにアイツは四皇。俺達にとっても戦う事自体にメリットがあった」

「つーわけだ気にすんな」

「そうだぞおっさん」

 

キッドを始めとした面々がそれぞれ気にしてない事を言うとスキヤキは余計に申し訳なくなってきたがこれ以上は侮辱に当たると分かると最後にもう一度だけ頭を下げて顔を上げた。

 

「それでシキが奪ったのがえっとなんて刀なんだっけ?」

「大業物21工の2本、おでんのもう1本の愛刀天羽々斬と妖刀二代鬼徹だ」

 

ウソップの言葉にスキヤキが答えるとルフィは首を傾げた。

 

「あれ?何か聞いた事があるような無いような」

「貴様!!借りてた物を返さなかったばかりか名前すら忘れるとは!!」

「スキヤキ様、暫時暫時でごさる!!」

 

二代鬼徹をほぼ盗んだ感じで借りてたルフィがそれに関してすっかり忘れていた事に流石のスキヤキもキレた。錦えもんやお菊や雷ぞうがスキヤキを羽交い締めして止めていた。

 

「あれ?そうだったかわりぃわりぃ!」

 

ルフィのその言葉に余計にブチのめしたくなったスキヤキは暫く暴れるつもりだったが流石に色々と不味かったのかナミが鉄拳制裁をして沈めた。

ハートの海賊団とキッド海賊団はその姿にドン引きしつつも話を続けた。

 

「しかし、そのおでんの愛刀はよく分からねぇが二代鬼徹は海外でも有名な剣の1つだ」

「殺戮屋知ってたのか?」

「多少しか知らねぇ、ロロノアお前はどうだ?」

「・・・悪いが俺もそこまで良く知らねぇ。大業物で妖刀ってのだけは知ってる」

「俺も似たような感じだ」

 

キラー、ロー、ゾロは二代鬼徹の情報を交換するも一般的な知識以外あまり無かった。それはスキヤキも同じで妖刀ゆえに持ちたくなかったのも事実で二代鬼徹に関しては不明な点が多かっただが、天羽々斬は自分で作った傑作と言う事もあって全て話した。

 

「・・・ようはシキが刀を2本持っただけだろ?それそんなに強えのか?」

「お前はまた・・・だが気負い過ぎてもしょうがねぇのは事実だ」

「麦わら屋達の言う通りだ」

「ハッ!ようはオールドが大層なもんを持っただけだ!!」

「確かにそれくらいの認識で充分だろ」

 

ルフィ達の言葉にスキヤキだけでなく赤様侍達の面々も啞然となるがすぐに笑った。討ち入りの時に確りと分かっていた筈だがやはり何処かからか信じたくなるその豪胆な姿は惚れ惚れする程だった。

 

「刀は僕に任せて必ず取り戻してみせるよ!!」

「うむ・・・かたじけない」

 

ヤマトは2本の刀を取り戻すことをスキヤキに言うと頭を下げられた。そんな風に会話をしている2人にルフィは黙って見ていた。

 

 

 

 

〇〇〇

その夜、ヤマトは小舟を使って海岸からワノ国を出ようとしていた。

 

「よし!おでんの航海日誌だと何回も失敗してるってあるけど錦えもん達は出来てるし、僕はおでんだ!たぶん何とかなる!!・・・それにルフィ達にあんな事を言った手前、船に乗せては都合が良すぎるし」

 

ヤマトは緑牛が昨日襲撃したすぐ後にまだルフィ達の船には乗れないと言った手前、ルフィ達とは違う船でワノ国を出るつもりだった。

 

「別に俺、そんなの気にしてないぞ」

「えぇ~?でもそんなコウモリみたい・・・な!?いつの間に居たの!?」

 

知らない間に近くにいたルフィにヤマトは驚いた。また周りにはゾロ、サンジ、ジンベエとヤマトが残ると言った時のメンバーがいた。

 

「さっきから居たぞ。それよりさヤマト!もう仲間なんだからサニー号に来いよ」

「え?でも僕はシキから刀を奪い返したらワノ国に戻ってくるつもりだよ。そんな中途半端な感じで乗れないよ、それに心配しながら冒険なんて出来ないだろ僕もキミも」

「そりゃそうだな。けど1人は寂しいぞ」

「そりゃわかってるけど」

 

ルフィとヤマトの会話は平行線に入りかけていた。ルフィとしてはもう既にヤマトは仲間なのでサニー号に乗って良い、ヤマトとしては色々と中途半端な感じになるので嫌であり、会話は上手く交わらなかった。

 

「少しいいか?」

 

見かねたジンベエが2人の間に入った。

 

「ヤマト、お前さんは先日の緑牛の時にルフィにこの国がほっとけなくて暫くは乗れないと言った手前、1人で出ようとしたようじゃが刀を2本シキから奪い返すのもこの国の為で先日言った意志は変わっとらんぞ」

「それはそうだけど」

「ヤマトちゃん、諦めな。ルフィはこうなると何が何でも船に乗せてくるぞ」

「そう云うことだ」

 

サンジにゾロもルフィの味方としてヤマトを諭す側になるとヤマトは小舟に乗せていた荷物を持ってルフィの目をちゃんと見た。この感じはエースと戦った時と一緒だったからヤマトもちゃんと向き合った。

 

「ルフィ、先日は乗らないとか言ってたけど・・・僕を船に乗せて下さい!!」

 

ヤマトはルフィにそう言って頭を下げた。乗らないと言った手前、色々とルフィ達は乗っていいと言っていたが流石にヤマトもそれなりの事をしないと納得出来なかったので頭を下げた。

 

「おう!よろしくなヤマト!」

「ヤマトちゃ〜ん!!よろしくね〜♪♪」

「よろしくじゃ!」

「それじゃ、サニー号にさっさと戻るぞ。船出の準備もあるしな」

 

ゾロはそう言うと1人先に歩き始めたがそれはサニー号がある所へ向かう道ではなかった。

 

「おい、ゾロ。そっちにサニーはねぇぞ」

「ジンベエにヤマトちゃん。よく覚えておいてくれ。アレがウチの悩みの種の1つだ。あいつの方向音痴はとんでもねぇからあいつを先頭にさせたり、目を離すと無駄な労力が使わされる」

「「なるほど」」

 

サンジは入りたてのジンベエとヤマトにゾロの方向音痴の事を言うと2人は目の前で実際に起きている事もあってすぐに納得した。

 

「覚えとけよぐるぐる眉毛・・・いつか真っ二つにしてやる」

 

ゾロはボロクソに言ってるサンジをいつかたたっ斬るといつものノリをやりながらルフィらの方に戻ってきた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

そして翌日、ルフィらだけじゃなく他の2つの海賊団もほぼ同じタイミングで出航しようとしたその時、黙って出ようとした事に起こったモモの助が錦えもんを連れてルフィに突撃した。

そして泣き始めた。

モモの助からしてみれば父親であるおでんが数ヶ月前に死んで仲間たちと離れ離れになってから心細かった所を助けてくれて船に乗せてくれた恩人であり、どんな時でも真正面から向き合ってくれた兄のような存在だった。

ルフィは泣きついてくるモモの助に自分の旗を渡した。そして仲間である事を伝えていつか海賊をやりたくなったら乗せると言って別れた。

そしてモモの助は父である光月おでんを超える事を誓った。

 

 

そんなわけで無事にワノ国を出航した3つの海賊団。

ルフィはナミに進路を聞いていた。

 

「それじゃ“白舞”へ、そこに正規の港があってリフトで船を降ろせるって」

 

行きに比べて安全な道を選べる事に安堵する面々もいる中で隣を通っていたキッドがそれを聞いて笑った。

 

「あー・・・お前らは正規のルートを使うのか安全だからな」

「「!!!」」

「まぁ、格下のお前らにはお似合いだぜ」

「「安全・・・」」

 

何時も通りかキッドは2年前のシャボンディの人間屋でルフィとローを挑発した時みたいにまた煽った。当然、ルフィとローもまた頭に来た。

 

「ジンベエ、舵を代われ」

「ハクガン、代われ」

「いやいやルフィ!!安全でいいんだよのるなよ!!?」

「え!?キャプテン何その表情!!良いんだよ正規の港で!!」

 

ルフィとローは互いに操舵手から舵を取って自分で動かし始めた。するとキッドも負けじ魂を出してか自分で動かし始めた。

 

「決めた!!」

「「あん!?」」

「あの滝で降りなかった奴、格下!!」

「「上等だ!!」」

 

ルフィの挑発に乗ったローとキッド。

こうして3つの海賊団はワノ国の滝から落ちた。

 

 

 

 

〇〇〇

・・・1時間後。

無事に滝から落ちて他の2つの海賊団とも出る前に航路を分けていたので分かれた。

そしてルフィはナミからボコボコにされて海楼石の檻に閉じ込められていた。

 

「あんたは本当に船長失格よ!!もうちょっとで死ぬかも知れなかったのよ!!」

「ずびばぜん」

「ワハハハハ、まぁ皆無事だったんじゃ」

「そうだよ、それに結構楽しかったし」

「ジンベエにヤマト!!ルフィを甘やかさない!!」

「うおっ!?」

「覇王色!?」

 

ルフィに対して怒りが止まってないナミ。ジンベエにヤマトは落ち着くように言うがナミが止まらずに叱った。他の面々は慣れているのかルフィがボロボロでも全く気にしてなかった。

 

そんな中でロビンがニュース・クーから新聞を貰っていた。

 

「あら?私達の新しい手配書」

「見せてくれロビンちゃ〜ん!!」

 

サンジは飛びかかるように手配書を見せてもらおうとロビンの所に行くと手配書は風で飛ばされた。そして各々がそれぞれ拾って自分の奴と交換しあった。

 

「上がってるかな?」

【船医 綿あめ大好きチョッパー 1000ベリー】

「おいー上がったけど!!!」

 

【航海士 泥棒猫ナミ 3億6600万ベリー】

「キャァァァ!!億!?もはや欲しい!!」

 

【音楽家 ソウルキングブルック 3億8300万ベリー】

「ヨホホホ〜♪YEAH〜♪♪♪」

 

【船大工 鉄人フランキー 3億9400万ベリー】(しかし、何故かサニー号の写真だった)

「ふざけんなぁ俺はァ〜〜〜〜!!!???」

 

【狙撃手 ゴッドウソップ 5億ベリー】

「おわー!!!もーいい!!これ以上はもういい!!」

 

【考古学者 悪魔の子ニコ・ロビン 9億3000万ベリー】

「元気出してチョッパー」

「おお、綿あめ!」

 

【コック 黒足のサンジ 10億3200万ベリー】

【操舵手 海峡のジンベエ 11億ベリー】

【剣豪 海賊狩りのゾロ 11億1100万ベリー】

 

「なぜ、俺があいつの下に・・・!!!」

「大丈夫かサンジ、どうした?」

「そうかジンベエ、てめぇもか・・・」

「気にすんな4位の奴なんてな、ははは」

「誰が4位じゃコラァ!!」

「2位に逆らうな!!」

 

各々がそれぞれ感想を言っていく中でヤマトはルフィの手配書を改めて見たのでそれを見せに行った。

 

「ほら見てルフィのもあるよ」

 

【船長 麦わらのルフィ 30億ベリー】

「ヤマト〜、こっから出してくれ〜、ハラヘッタ〜」

「ヤマト!!ルフィを出したら絶対に許さないからね!!」

 

ルフィの頼みなのでヤマトは出そうかと迷ったがナミが怖いので止めた。瞬時にこの船のヒエラルキーを理解したヤマトだった。

 

 

 

〇〇〇

一方クロスギルドではバギーが自分の手配書を見て叫んでいた。

 

【千両道化のバギー 31億8900万ベリー】

「いやぁァァァ!!なんでこんなになってんだ!?」

 

【サー・クロコダイル 19億6500万ベリー】

「当然だろ、一応紛いなりにも俺達は大変不名誉かつ地獄のような気分だがウチのトップだしな」

 

【鷹の目のミホーク 35億9000万ベリー】

「嫌なら自首でもするんだな」

 

【海賊女帝ボア・ハンコック 16億5900万ベリー】

「それは良いアイデアじゃな♪♪♪少なくとも酒が更に美味になる♪♪」

 

喚くバギーに運が最近全くなくバギーの手下扱いだと世間から認知されて今や立派な酒飲み仲間と化したクロコダイルとミホークとハンコックは容赦なく酒を飲んでつまみを食べながらバギーにそう言った。

最早、クロコダイルもミホークも当初の隠れ蓑云々の話を完全に忘れていた。それ程ストレスが溜まっていた。

 

「うん、俺・・・自首して心を入れ替えてたまるかってんだ!!俺様はまだまだこれなんだ!!こんな所でへこたれてたまるか!!」

「「「チッ」」」

 

めげないバギーに3人はこれまた息ピッタリに舌打ちした。

 

「あいつも大変だなぁ」

「ほんと、奇跡の星の元で生まれたのかしら?」

「不幸の星の元かも知れニュぞ」

 

レイリーとシャッキー、そしてニョン婆は色々と頓珍漢な状況を見ながらのんびりしていたがレイリーはバギーにある事を言った。

 

「バギー、ハンコック。そろそろ時間だから行くぞ」

「おぉ、もうそんな時間でしたっけ!?行きましょ行きましょ!!」

「嫌じゃ!!あの女をエレジアに送った後でそこの警備なぞ死んでも嫌じゃ!!ルフィも来る筈・・・こんな薄汚れて穢れて醜女になってしまった姿を見られたら妾は本当に生きてゆけぬ!!」

 

ウタをエレジアに送って尚且つそのままエレジアの警備をする事になったのでそこの警備責任者としてバギーと後、体よくクロコダイルから追い出されたMr.3、カバジ、モージ、リッチー、アルビダを始めとした初期のバギー海賊団はハンコックの九蛇の船と共にエレジアへ行く事になったがハンコックはまたごね出した。しかし、流石に慣れてきたのかサンダーソニアとマリーゴールドの2人に無理やり乗せられた。

そしてレイリーとシャッキーもウタのライブを生で見たいのもあって一緒に行くことになった。

 

ウタは部屋でエレジアに行く準備をしていた。

隣ではペローナが同じように荷物を纏めていた。

ペローナはペローナで育ての親であるモリアが生きていたというのが新聞で載っていたのでモリア探しに行くのだ。

 

「ペローナ・・・その頑張ってね!!」

「ウタ、お前もな!!私は当日に直接行けねぇけどちゃんと見るからな!」

「ありがとう!!」

 

ウタとペローナはそんな風に約束をして分かれた。

そしてウタはビックトップ号に乗ってバギーの近くにやってきた。レイリーはそれを後ろから見ていた。

 

「いよいよだなウタ」

「うん・・・バギーおじさん・・・」

「なんだ?」

「・・・シャンクスは来てくれるよね・・・」

「・・・そうだな・・・12年も会わなかったし、前向き過ぎる悪い癖だして俺にもお前にも迷惑をかけるダメダメ親父だからなぁ・・・」

 

バギーの容赦のない言葉にウタは本当に来てくれるのか心配になり、レイリーはバギーに対して少し呆れ始めていた。

 

「けどよ・・・あいつは来る!!」

「おじさん」

「というか、俺様を散々と顎でこき使いやがってこれで来なかった場合はお前がアイツをやる前には俺がやる!!」

「ふっ・・・アハハハハハハ!!なにそれ!!」

「笑うなよ!!俺様は本気だぞ!!第一お前だって会ったら“アレ”をやる気だろ?」

「勿論!!無人島でおじさんと遭難した時から決めてたからね!!」

「そっちも頑張れよ!!骨は拾ってやる!!」

 

バギーとウタはそんな風に仲良く話していた。レイリーはそれを見て笑った後で船室に入っていった。

 

(本当に大きくなったなバギー・・・さて、シャンクスはどうかな?)

 

成長したバギーにレイリーはそんな事を思いながらもシャンクスにまた会えるのを楽しみにしていた。

 

(ウタちゃんとバギーに対して酷すぎるからな・・・拳骨一発は覚悟しとけよ・・・)

 

そして説教する気まんまんだった。

 

 

 

 

 

 

「うっ、なんか今酷い寒気が・・・気の所為か?」

 

シャンクスはレイリーのそんな気配を感じ取ったの寒気を感じた。しかし、持ち前の前向きさで気の所為と断じると気にしなくなった。






















というわけでヤマト、最終章に本格参戦です!!
そして懸賞金周りも殆ど終わりました!!
次回はルフィら、エレジアへゴーの回となり、最後の幕間になります。
最終章に登場するキャラ、全員大集合の回になると思うのでお楽しみに!!


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Before the final chapter

というわけでこれで最終章最後の幕間が終わります。今回はもうキャラを出しただけなのに多くて色々と大変でした。最終章も大変だろうなと思いつつも盛って盛って盛って盛りまくるのでお楽しみに。





「クワハハハハハハハ!!遂にライブの始まりだ!!稀代の歌姫UTA!!四皇“麦わら”のルフィの幼馴染で恋人。それだけじゃなくあの元四皇のビッグマムの次男である“将星”カタクリとの三角関係に加えて、この1年で桁違いに株を上げた元七武海“千両道化”のバギーの娘!!」

「社長、誰をライブに行かせるんですか?」

「社長、私に!!」

「いや、俺が!!」

「僕が!!」

「いや、ここは世界経済新聞社社長であるこの俺が直々にスクープを取ってきてやる!!こんなビッグニュースの匂いがプンプンするライブを放っておけるか!!」

 

世経の本社でモルガンズは多くの社員達がウタのライブを行きたがってる最中、堂々と自分で行くと宣言した。

 

(アラバスタの二の舞いは2度とゴメンだからな!!あの時のリベンジ〜!!)

 

1年前にリンリンのお茶会のせいでウタにインタビュー出来なかった悔しさからモルガンズはリベンジに燃えていた。

 

モルガンズ・・・参加

 

 

〇〇〇

『もしもし、どうしたんだバルトロメオ?』

「おぉ、キャベツ・・・おめぇさもウタのライブに行くべ?」

『当たり前だろ。人気者の僕が居れば彼女も麦わらもきっと心強く感じるに決まってるからな!!・・・それはそうと最近何をやってた?』

「オラか?オラはルフィ先輩がシャンクス大先輩と知り合いだって分かったんで会いに行こうと探してたんだが、どうにも巡り合せがよぐなぐて会えなかったべ」

『何をやってるんだお前は・・・他の皆は?』

「レオとサイにオオロンブスにはもう連絡してあるべ」

『ハイルディンやイデオ達にはさっき連絡したばかりだ』

「んじゃ、全員揃うべ・・・麦わら大船団で応援すれば喜ぶと思うべ!!」

『それは良いがカタギには手を出すなよ。お前の所は1番荒っぽいからな』

「何を!!オラはただルフィ先輩の偉大さを理解しねぇ奴らをぶっ飛ばしてるだけだべ!!」

『無闇矢鱈に騒ぎを起こすなと言っているんだ!!・・・兎に角、ライブで会おう』

「おう!」

 

バルトロメオはキャベンディッシュと話をしながら麦わら大船団が再び集結する事とまたルフィ達に会える事、そして友達(ダチ)のウタのライブという事もあって楽しみになってきた。

 

“麦わら大船団”・・・・・参戦

 

 

 

 

〇〇〇

「ライブが始まる・・・ウタ・・・」

 

カタクリは新聞を読みながらウタのライブが始まる事を内心喜んでいるがリンリンが四皇の座から落ちたと世間では認識されている為、万国から離れるわけにはいかなかった。勿論、母親であるリンリンが死んでるとは息子のカタクリとしてもありえないとは思いつつもここは気を引き締めていかないといけない時だった。

 

「カタクリ、ちょっといいかい?」

「コンポート姉、どうした?」

「ウタからライブが始まるけど行かないのかい?」

「・・・今、俺が離れるとここが危ないだろ。行きたいのは山々だが離れるわけには・・・」

「よし、行って来い!」

 

カタクリの事などお構いなしにコンポートは手短にそう言った。カタクリはさっきまでの会話の意味は?と思いつつもコンポートを見ると後ろには笑顔で荷造りして準備していたブリュレとアナナがいた。

 

「「お兄ちゃん!!行こうライブ!!」」

「だってさ、行ってきなよ。ここはアタシに任せな!!アタシはシャーロット・リンリンの長女シャーロット・コンポート!!そんじょそこらの奴らには負けないよ!!」

 

コンポートは力こぶを作りながらそうハキハキというとカタクリはここまで言われてこれ以上ゴネるとコンポートと喧嘩する事になると未来視を使うまでもなく分かったので両手を上げた。

 

「コンポート姉・・・ありがとう。俺は世界一の姉を持った幸せ者だ」

「嬉しい事言うじゃないの!」

「やった!!アナナ、カタクリお兄ちゃんも行けるよ!!」

「うん、良かった!!」

 

カタクリ、ブリュレ、アナナの3人はエレジアへ向かって行った。

 

 

カタクリ、ブリュレ、アナナ・・・・参戦

 

 

 

 

〇〇〇

革命軍の臨時の隠れ処として機能しているカマバッカ王国ではコアラがイワンコフと一緒に船に乗って、いざ船出の時になったがコアラの顔は沈んでいた。

 

「こらコアラ!!これから任務なのにナーヴァスになるんじゃナッシブルよ!!」

「でもイワさん・・・私、ウタちゃんに会わせる顔がないよ・・・」

「それはまぁ分からなくもナッシブルけど、根性だして気合い入れ直し!!」

「うぅ~・・・」

 

先日、ウタと戦闘した手前、コアラはウタに会うのが億劫になっていた。ライブには来てとも言われたし、ウタの保護が目的ではあるがそれでも気が乗らなかった。

 

「よし、ここはホルモンを・・・」

「直ったよ!!コアラ気合いを入れ直しました!!」

「あら、そう」

 

ホルホルの実の力で無理やりコアラのテンションをほんの少しだけ、副作用もないくらいのレベルで上げさせようかと思ったイワンコフだが、そんな事を呟いた瞬間らコアラは元気アピールをしてそれから逃れた。

 

(ふぅ・・・イワさんのホルホル注射苦手なんだよなぁ・・・はぁ、ウタちゃんの曲が聴きたい)

 

 

 

コアラ、イワンコフ・・・参戦

 

 

 

〇〇〇

ネオ海軍ではウタのライブの新聞を見ていたゼットがそれをビリビリに破り捨てた。

 

「海賊がライブ・・・ふざけるな!!」

「先生、どうしますか?」

 

怒りでキレかけてるゼットは吸入器を使って呼吸を整えてるとアインがやってきてそう訪ねた。アインの少し後ろにはビンズとシューゾもいた。

 

「・・・今はまだ世間は四皇がやられた熱で浮かれてるだけだ・・・市民も来るはず・・・俺達の目的は海軍に代わって海賊を滅ぼす事であって市民を殺すことじゃない・・・3日行われるらしいが1日で奴らの化けの皮は剥がれる」

 

ゼファーはそう言って終わった。ゼファーがネオ海軍を作った最大の理由の1つがドレスローザの件による海賊達の英雄化に対して遂に我慢できなくなったからであって市民に手を出す気は無かった・・・今はまだ・・・

 

 

 

〇〇〇

壊されたグラン・テゾーロでテゾーロは準備をしていた。国や娯楽施設としてはもうグラン・テゾーロは使えなくなったがテゾーロにとって遂に天竜人に対して復讐のチャンスが出てきた。

 

「テゾーロ様」

「あぁ、すぐに行く」

 

テゾーロはバカラにそう云われて足を向けた。

グラン・テゾーロでは大きすぎてレッドラインを上だろうが下だろうが渡れないのもあるがその前に黒ひげとシキがいるハチノスに行かないといけなかった。

 

(ステラ・・・君の無念は死んでも晴らさせる)

 

テゾーロ、バカラ、ダイス、タナカさんはこうしてグラン・テゾーロを捨てて、ハチノスへ向かった。

 

ギルド・テゾーロ・・・・・参戦

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「ゼハハハハハハハハ!!首尾は順調そうだな!!」

「ジハハハハハハハハ!!俺の計画は完璧だからな!!」

「最高だぜ!!まさかあんた程の男と組めるとは!!」

 

黒ひげとシキ、そしてフェスタは笑いながら酒を飲んでるとそこにバレットに掴まれてもう既に泣きそうになってるシーザーを連れてきた。

そしてバレットは2人の前にシーザーを放り投げて自分も酒を飲み始めた。

 

「おい、シーザー。パシフィスタは調整完了か?」

「も、勿論だ!!すぐにでも使えるようにちゃんと調整しといた。このくらいは簡単だ!!パシフィスタ20体確かにあんたらの手下だ!!」

 

シーザーの言葉にシキは笑いながら黒ひげの方を見た。

 

「お前に全部やる」

「「はぁ!?」」

 

シキの言葉に黒ひげもシーザーも固まった。パシフィスタだって負けることがあるが20体もあれば下手な軍隊なぞあっという間に殲滅出来る兵力。何故にそれを全て渡すのか理解できなかった。

 

「あれは単なる海軍の奴らを誤魔化すためのフェイクだ・・・俺の狙いはもう1つ・・・シーザー、あいつらにそれを打って何時間後に死ぬんだ?」

「あれか?シュロロロロロロ!!6時間・・・後、2分だ」

 

シキと黒ひげ、フェスタにバレットはそれを聞くと外がよく見える所まで来て目当ての人間達を探して見つけた。それはデマロ・ブラック達だった。スパンダムが鍵を持ってる時に横行際悪く腹痛とデタラメを言って気を引いてる間に鍵を盗んだ彼らはその後、捕まっていた監獄戦艦の囚人達を全て開放した。シキもその中にいた。尤もシキにすれば軽い休暇ぐらいの感覚だったがシキはその後、パシフィスタと共にデマロ・ブラック達だけを連れてきた。

 

「それじゃ3秒前だ・・・2・・・1・・・0」

 

シーザーがカウンドダウンを終わらすとデマロ・ブラック達は突然と首を抑えた。そして数秒もしない内にピクリとも動かなくなった。

 

「おいおい、なにを打ったんだ?」

「ジハハハハハハハ!!・・・ネズキノコで作った毒薬だ。打てば6時間後にはあの世・・・これでウタワールドは簡単に閉じる」

「・・・ちょっと待て!そりゃどういう事だ!?話が違うだろ!!俺が聴いていたのはロジャーのこの大海賊時代を終わらせる為の協力でこうやってラフテルへのエターナルポースを・・・」

 

フェスタはシキが最終的にウタワールドを閉じようとしている事に対してキレた。フェスタの目的はロジャーが作り出した大海賊時代を終わらせて新しい時代を作る事。その為にウタのライブを利用しようとしていた。フェスタの考えとしては現実でバレットやシキが暴れて偶然手に入れたラフテルへのエターナルポースを餌に全勢力を集める物だったがシキのウタワールド前提の計画を今初めて知った。

 

するとシキはフェスタが持っていたラフテルへのエターナルポースを奪って握り潰した。

 

「なっ!?」

「あっ、勿体ねぇな・・・俺が戴くつもりだったのによ」

 

フェスタは驚き、黒ひげは良さげの物が目の前で壊されたので少しだけショックな気分だった。シキの顔はありえない程歪んでいた。

 

「これじゃロジャーの大海賊時代と一緒だ。何がラフテルだ・・・ワンピースだ・・・そんなのは要らない・・・フェスタ・・・お前にロジャーを超えるのは無理だ」

 

シキはそれだけ言うとフェスタの首を跳ね飛ばして殺した。シキにとってフェスタはもう用済みだった。ライブのスポンサーはテゾーロが引き継ぐ。この動乱の時代で1人や2人の死など誰も気に留めない。フェスタと協力する旨味が無くなったのだ。

 

「相変わらず容赦のねぇ爺だ」

「よく言われる」

 

シキと黒ひげはそうやって笑いながら席に戻った。シーザーはゴマを擦りながらその後をつけた。

 

「あの、その・・・そろそろ俺様の心臓を・・・」

「あぁ、ほれ!」

「うぉぉぉぉ!!俺様の心臓!!良かった良かった!!」

「あの薬に解毒方法はないよな?」

「勿論だ!誰が解毒薬なんてプライドが腐る物を作るか・・・あのネズキノコの薬に解毒する薬なんてこの世に存在しねぇよ」

「よし!じゃ、とっとと失せな・・・薬の礼だ。命は取らねぇでやるよ」

 

シキがそう手短に云うとシーザーは全力で空を飛んでハチノスから逃げた。

黒ひげは1人飲んでるバレットの方に顔を向けて聞いた。

 

「おい、バレット。てめぇは永遠にウタワールドに入るかも知れねぇがそれで良いのか?」

「あ?別にどうでも良い。強え奴らが入れば良い。世界は別に俺の知ったこっちゃねぇしな」

 

バレットの世界最強の夢を考えるとウタワールドに入るには現実的とは思えなかった。誰しもがウタのライブを見るとは思えないからだ。しかし、それは黒ひげと組んで無かった時の場合だ。

 

「提督、マリンフォード、海軍本部、海軍の支部、そして裏社会組織、色んな場所での裏工作が終わりました」

 

その言葉を放ったのは黒ひげ海賊団の十人の巨漢船長の内の1人五番船船長ラフィットと三番船船長オーガーが入ってきた。

 

「ゼハハハハハハハハ!!さて俺達もそろそろ動くか・・・そう言えばバレット。てめぇ、俺や赤髪やこの爺の首には興味ねぇのか?」

「お前や赤髪にはロジャーの船にいた時に勝ってる。その爺はババアの所でやり合ってた時に勝った」

「いやぁ~、俺も歳を取った!!だから、同盟を持ち掛けたんだがな」

 

黒ひげはシキに対して良く自分に勝った奴に同盟を結んだなと心底思った。シキからすれば別にたかが一敗や二敗くらい屁でもなかった。

 

「あの頃の俺とは一味違うぜ?」

「結果は一緒だ」

 

黒ひげは煽るように構えるがバレットは興味無かった。何故ならレベル6での惨劇の時に黒ひげは自分を放っておいた。別に助けて欲しかったわけでは無いが放っておくと云うことは扱えない事。つまり面倒だったわけだ。これが仮にロジャーだとしたら意地でも連れて行く。つまりバレットの理想像の中に黒ひげはいなかった。

 

「ジハハハハハハ!!若い奴らは血の気が多くていけねぇ!!・・・さぁてテゾーロの条件もこれで満たせる・・・始めようか・・・大海賊時代の終わりを・・・」

 

 

 

シキ、バレット、黒ひげ海賊団・・・・・参戦

 

 

ブエナ・フェスタ・・・・・死亡

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

海軍本部のとある一室で中将モモンガはある事を伝えていた。

 

「歌姫ウタ、アラバスタでウタワールドが確認されて以降、ウタウタの実の確認は取れていないが可能性はまだ0ではない。SWORDからはコビー大佐にヘルメッポ少佐が潜入する。また我々中将クラスの人間も何名か日替わりで監視する事になった」

 

海軍の機密特殊部隊SWORDを集めてモモンガはそう言った。するとヘルメッポが手を上げた。

 

「俺とコビー大佐は3日間潜入と言う事ですか?」

「そうだ。クロスギルドが出した海兵への賞金のせいで迂闊に我々は動けないし、長居できない。君達2人の懸賞金は確認されていないし2人は新兵から付き合ってる同期だ。今回はあの麦わらや情報だけだが他にも様々な大物が来ると予想される。下手に組んだことがない者同士よりは良い」

「了解です」

 

海軍もまた海軍でウタのライブに対して動き始めていた。会議が終わってコビーとヘルメッポは互いに準備を始めた。

 

「しかし、あの麦わらに恋人がいるとはな。お前知ってたか?」

「知らなかったですよ。新聞で初めて知りましたから」

「いやぁ、仲良くコーヒーを吹く羽目になるとは・・・」

「・・・Tボーン少将には本当に悪いことをしました・・・」

 

コビーとヘルメッポはルフィとウタの熱愛報道を見てコーヒーを仲良く吹き出してしまった時の事を思い出した。しかも前にいたTボーンが思いっきりそれを被ってしまった。Tボーンは許してくれたが2人にとっては手痛い失敗談だった。

 

 

コビー、ヘルメッポ・・・・参戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ハートの海賊団ではベポがローにゴネていた。

 

「キャプテ〜ン。俺、UTAのライブに行きたいよぉ!!」

「駄目だ!!お前はウチの航海士で俺達は前に進むんだぞ!?戻ってどうする!!」

「うぅ〜」

 

ベポの駄々こねを叱るローだがベポからすれば大好きなウタのライブなので行きたかった。なのでつぶらな瞳で見続けるとローの顔が何とも言えない感じになってきた。

 

「かわい子ぶるな!・・・分かったよ、ただし行きたかったら1人で・・・・はっ!!」

 

ベポに1人で行かせようとしたローだがベポの一人旅への不安もあったが何よりも心配だったのがまたキラーやルフィと意気投合するのではという不安だった。

 

(・・・ベポはウチの大事な仲間だ・・・あんな奴らに靡くとは思えないが・・・心配だ・・・)

 

ワノ国で不安になったのも事実でローは暫く考えた結果、ベポに言った。

 

「俺も行く」

「ほんと!?」

「あぁ」

「やったー!!」

 

 

ロー、ベポ・・・・・参戦

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

キラーは1人、甲板で新聞を読んでいた。

ウタのライブが始まると言う内容でキラーは本気で行きたかったがキッドや仲間達にそんな我儘は言えないので諦めようとしていた。

 

するとキッドがキラーに近づいてきた。

 

「おい、キラー」

「ファッ?どうしたキッド?」

「お前、船を降りろ」

「ファッ!?」

 

キッドの言葉にキラーが呆然となってるとキッド海賊団のメンバーが何処かしらからやってきてキッドに怒り始めた。

 

「頭、その言い方はないですよ!!」

「キラーさんをライブに行かせる内容が違う意味に聞こえるでしょうが!!」

「ほんとこの人は口下手なんだから!!」

「うるせぇ!!」

 

キラーは最初は驚いたが他の船員の皆がそう言ってるのを聞いて言いたい内容が分かった。ただそれを言われたからと言って素直に行く気は無かった。色々と心配の種が無いわけじゃないのに自分だけ楽しむなんて気が乗らなかった。そんなキラーの仮面とSMILEによって隠された感情をキッドは分かったのか、話し始めた。

 

「おい、キラー!俺達はやりたいように海賊やってんだ。行きてぇなら行ってこい!」

「キッド・・・」

「こっちの事は心配するな。それに俺達がそんな簡単にくたばる程軟じゃねぇのも知ってるだろ」

 

ワノ国で終わった後、結構警戒してたのにそんな風に気遣ってくるキッドにキラーは純粋に笑った。

 

「・・・ファッファッファッ・・・ありがとうよお前ら・・・」

 

キラーはキッドからビブルカードを貰ってライブに行く準備をした。

 

『キラーさん、お土産お願いしますね!!』

「ファッファッファッ!!任せろ!!」

 

気のいい仲間に土産を持って帰ると約束し、キラーは一先ずキッド達と分かれた。

 

 

 

 

キラー・・・・・参戦

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィはサボが世界会議でコブラ王を殺したと言われてる事に反発していた。コブラ王の人となりとサボの人となりを両方知ってるし、それは他の皆もそうだった。

新聞にはそれだけじゃなくビビの失踪の件もあってルフィはすぐに探そうと言い始めたがゾロがビビは強いと言って止めた。

 

ワノ国に出てすぐの新聞に色々と爆弾級の情報が襲ってきてルフィはパンクになったので横になりながら自身の“夢の果て”を言った。

 

海賊王になって新時代を作った先にある自分の“夢の果て”をルフィは初めて皆に話した。その事に全員啞然となったが笑ったり、らしいと言ったりとその反応自体ルフィは楽しかった。

 

「あら?ウタのライブが始まるわね」

 

ロビンはルフィの“夢の果て”を聞いて少し固まっていたが新聞に目を戻すとウタのライブが1ヶ月後に始まるという記事を見つけた。

ウタと言う言葉を聞いてルフィは珍しく首を伸ばして新聞を見た。その何処か初々しい姿に見ていた一味は笑い、唯一この中でウタとの接点のないヤマトは今度教えてもらおうと思った。

ロビンは新聞に付いていた国王ゴードンのビブルカードをナミに渡して、ルフィはそれを言うと皆に指示を出した。

 

「シシシ、よし行くぞエレジア!!」

 

ルフィの指示に従って麦わらの一味はエレジアへと向かい始めた。

 

 

 

麦わらの一味・・・・・参戦

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

予告

 

 

運命のライブが始める。

 

「皆、今日は来てくれてありがとう♪♪♪」

 

 

それは新時代を祈る最高のライブ。

 

「ルフィ、楽しんでる!?」

「あぁ、楽しいぞ!!」

 

各々がそれぞれ楽しんでいた。

 

 

 

 

 

 

しかし・・・・

 

 

 

 

 

 

「さぁ、俺の新時代を始めようか・・・」

「俺はロジャーを超えて世界最強の座・・・海賊王を手に入れる!!」

「俺の目的は天竜人共の死だけだ!!」

 

 

 

 

迫りくるウタへの脅威。

 

 

 

 

 

「てめぇら・・・一体・・・ウタに何をしやがった!!」

「ウタに何してんだお前ら!!」

 

現実とウタワールドで同時に来る世界の危機。

 

 

「ウタ、一緒に帰るぞ」

 

“四皇”麦わらのルフィ

 

「俺はただ、惚れた女が幸せになって欲しいだけだ」

 

“将星”シャーロット・カタクリ

 

「俺達の娘に何をした!!」

 

“四皇”赤髪のシャンクス

 

 

 

 

 

そして・・・

 

 

 

 

 

 

「これでお別れた・・・ウタ」

「嫌だ・・・バギーおじさん・・・置いてかないで!!」

 

“  ”千両道化のバギー

 

 

 

全てはこの4人に託された。

 

「「「「新時代の邪魔をするな!!!」」」」

 

 

 

 

軌跡的な世界

 

最終章

 

新時代✕大作戦

 

 

 

「足引っ張んなよ、シャンクス!!」

「それはお前だろうがバギー!!」

 

 

伝説が終わる、新時代が始まる

 
























というわけで参戦キャラの殆どを出しました。この他にもまだまだ参戦するキャラは居ますが多すぎて入り切らなかったので残りはサプライズとします。誰が登場するかはお楽しみに。
そして最終章の本予告的なのをやりました。

ルフィ、シャンクス、カタクリ、バギーの大暴れをお楽しみに!!
うぅ、漸くシャンクスの格好いいシーンを書けるよ!!この為に色々とギャグキャラにしてたんだから絶対に暴れさせてやる。

因みに次回から最終章なので章わけかつタイトルを少し遊ばせて貰います。どんな風になるかはお楽しみに。

因みに予告編にはわざと登場させてないゼットとかキラー達とかが居ますが彼らの動きはサプライズ多めなので予告で出せなかっただけですのでちゃんと活躍させますのでご安心を


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新時代×大作戦
月と太陽/The Nights


連日投稿できた!!
やったー!!
それでは皆さん、最終章の始まりです!


●●●

27年前、エッド・ウォー。

海が荒れはじめようとうねりを出している中、2つの海賊団が対峙していた。

1つは後の海賊王、ゴール・D・ロジャー率いるロジャー海賊団。

もう1つは金獅子のシキ率いる金獅子海賊団。

方や1隻、方や何十隻の大艦隊。力の差は歴然と言える程戦力が違っていた。

 

「ロジャー船長!!命が1番だって!!ここはさぁ一時的に金獅子の言う事を聞いてさぁ!!」

「お前、いくら斬られても死なねぇ体になったんだから良いじゃねぇか」

「弱点はいっぱいあんだよ馬鹿!!」

 

当時まだ10代前半のバギーは金獅子の大艦隊を見てビビっていた。今でも見たら絶対に反応は変らない。シャンクスが持ち前の前向きさをバギーに向かって言ってるもバギーとしては打撃に弱いとか色々と弱点がないわけではなかった。バギーはロジャーの不治の病を唯一和らげる腕前を持った船医のクロッカスを見つけるとそっちへ走って言った。

 

「あ、そうだクロッカスさん!船長の容態はどうだ!?戦わねぇ方が良いよな?ドクターストップかけてくれ」

「生憎だが絶好調だ!!」

 

バギーは最後の手段としてバレットと話してるレイリーの方へ向かおうとしたが斧使いのギャバンに首根っこを掴まれて止められた。

 

「諦めろ。長え付き合いだが俺達がロジャーを止められた事はねぇ」

「そんなぁ〜!!」

 

ギャバンからの容赦のない言葉にバギーはショックを隠せなかった。

 

「トムの船オーロ・ジャクソンを信じろ。それにロジャーにはもう時間がない」

「・・・良い加減腹を括りやがれ」

 

レイリーとバレットはそうバギーに追加で言った。

一方、船首の方ではロジャーとシキが話あっていた。

 

「この話、何十回目だロジャー!?若え時は色々とあったが水に流そう。お前がありかを知る古代兵器と俺の兵力!そして俺が長い年月を掛けて費やした完璧な計画があれば今すぐにでもこの世界を“支配”できる!!・・・俺の右腕になれロジャー!!」

「俺はな“支配”には興味がねぇんだよシキ!!やりてぇようにやらねぇと“海賊”やってる意味がねぇだろ?・・・“金獅子”!!どんな圧力を掛けてこようともお前の申し出は断る!!」

 

シキの誘いにロジャーは断った。ロジャーの自由とシキの支配は相容れない上にロジャーにはもう時間が無かった。余命はもって後2年。夢を叶える為にもシキと組む時間すら無かった。

そんなロジャーにバギーが泣きながら縋りついた。

 

「止めて船長!!これ何十隻居ると思ってんだよ!?」

「どけ」

 

そんなバギーの首根っこをレイリーは掴んで離させた。

シキは散々首を縦に振らなかったロジャーに対して覇王色の覇気を放ち、ロジャーも覇王色の覇気で応戦した。

 

「つまり、その答えは“今ここで殺してくれ”という意味だよな!?」

「てめぇら全員、“叩き潰す”って意味だよ!!」

 

最初はロジャー達の砲撃から始まった。そして天が味方したのかすぐに嵐になった。そのせいでシキの能力はあまり上手く使えず最初はシキが勝つかに思われていたこの海戦は長い戦いになっていた。

 

「俺と戦えシキ!!」

「黙れ小僧!!」

 

バレットが果敢に向かってきたがシキはそれを払い除けてロジャーを探していた。ロジャーはロジャーでシキの艦隊の他の船長と戦っていて大混戦に陥っていた。

 

そんな中、バギーはというとコソコソと隠れながらシキの船に潜り込んでいた。

 

(宝部屋はどこだ??くそ、こうなったら宝かなんか取ってこっからトンズラだ!!)

 

バギーは何時でもバギーのままだった。命と宝なら命を選ぶのがバギーであり、トンズラする気満々だった。

樽に隠れながら宝部屋を探すバギーだったが突然と被っていた樽が真っ二つに自分ごと斬れた。

 

「うぉっ!?」

「人の船で何をやろうとしてんだ赤っ鼻!!」

「誰が赤っ鼻じゃ・・・ってシキィ〜!!??」

 

斬った相手はシキだった。コソコソと動いているのを見聞色で確認したシキは試しに樽を斬ると中から真っ二つになったバギーが出てきて目の前でくっついた。

シキはまさかと思ってバギーを細切れにするがバギーは瞬時にくっついて逃げた。

 

「ちっ、なんでロジャーはあんなのを・・・」

 

シキは舌打ちしながらも詰め寄ってバギーを蹴り飛ばした。

 

「ブボバ!?」

 

蹴り飛ばされたバギーはゴロゴロと転がった。咄嗟にナイフを両手に構えるが手は震えていた。シキはロジャーを認めているがそのロジャーの仲間がコレなので苛立ちが止まらなかった。

 

「よくその程度でロジャーの仲間を名乗れるな・・・弱い・・・てめぇみたいな奴が海賊を名乗るな」

 

シキは武装色の硬化を当時はまだ足に付けてなかった自分の剣に纏わせてバギーを剣の腹で海まで殴り飛ばそうとして振るった。

 

「バギー!!」

 

しかし、間一髪でシャンクスがバギーに飛びついてその剣から避けた。

 

「シャンクス?」

「危なかったな!!立てるか?」

「立てるに決まってらい!!」

 

先に立ち上がったシャンクスに言われてバギーも負けじと立ち上がった。シキは首をコキコキと鳴らしながら2人を殺そうと構えていた。

 

「よし、バギー。2人でやるぞ」

「はぁ~?逃げの一択だ!!」

「なら俺だけでも!!」

 

シャンクスはそう言うとシキに飛び込んで行った。そしてシキに向かって突きを放つがシキはアッサリと止めてもう一本の刀でシャンクスの首を跳ね飛ばそうとした。

 

「シャンクス!!」

 

だが、その寸前にバギーがシャンクスに飛びついてその剣から避けさせた。口ではあれこれ言いつつもやはり大事な仲間だった。

 

「バギー、ありがとう!!よし、今度こそ2人でやるぞ」

「だから逃げるって言ってんだろ!?」

 

グダグタと言い争ってるバギーとシャンクスにシキは斬撃を飛ばしてふっ飛ばした。2人はゴロゴロと転がっていき、シキはさっさと終わらせようと武装色の硬化を纏わせて2人の顔面を貫こうとしたが、突然とロジャーが2人の前に来てシキの刀を止めた。

 

「「船長!!」」

「シャンクス、バギー。後は俺に任せろ」

「「は、はい!」」

 

ロジャーに言われたバギーとシャンクスはそのままそこを離れていった。

 

「まぁいい。あんなガキ共殺す価値もない」

「シキ、そんな事を言って良いのか?ひょっとしたらお前の首を取るかも知れねぇぞ?」

「あんな雑魚に取られる首じゃねぇよ・・・ロジャーあんな奴らは捨てて俺の仲間になれ。あんな海賊に向いてなさそうなカス共よりは・・・」

 

シキの言葉は最後まで言われなかった。ロジャーに顔面を殴り飛ばされたからだ。しかも武装色+覇王色という拳で・・・。シキはすぐに立ち上がって睨むとロジャーも同じようにシキを睨んでいた。

 

「ロジャー・・・てめぇ・・・」

「シキ、だからてめぇとは組まねぇんだよ・・・俺の仲間はカスじゃねぇよ!!」

「相変わらず甘え男だなロジャー!!」

 

ロジャーは愛刀のエースに武装色で硬化するとシキに向かって突っ込んでいってシキも同じように剣を硬化させて突っ込み、2人は武装色を流してぶつかりあった。武器同士はぶつかってないが凄まじい衝撃が辺りを走った。

戦いは暫く続いたが嵐とシキに起こった舵輪が頭にめり込むという不慮の事故により、このエッド・ウォーの海戦は痛み分けに終わった。

 

 

 

翌日、ロジャー達は宴をしていたがロジャーは昨日のエッド・ウォーの戦いで船に戻ってくるのがまた最後の最後だったロジャーに対してレイリーが小言を言っていた。

 

「・・・いい加減、引き際を覚えるんだわかったな?」

「分かってるってレイリー。お前は俺のおかんか?」

「そんなのこっちから願い下げだ!」

「酷えなおい!」

 

レイリーの小言にロジャーは茶化してるとそこにバギーがやってきた。

 

「船長・・・」

「おぉ、どうしたバギー?」

「船長は怖くて逃げてぇって時ねぇのか?」

 

バギーはロジャーに対してそう聴いてきた。

するとロジャーはバギーの頭を撫でて笑った。

 

「どうしてそんな事を聞くんだ?」

「だって昨日だって凄え危なかったじゃねぇか、それに船長は最後まで残ってて・・・」

「バギー・・・お前にも何時か分かる時が来る」

 

ロジャーはそう言ってバギーに笑った。バギーはそれが何か分からなかったし理解出来なかった。

 

 

 

〇〇〇

バギーはエレジアで目が覚めた。

1ヶ月前にここに着くと元国王のゴードンを主軸に建物は再建されて会場は出来始めてライブの準備が着々と進められていた。バギー達はハンコック達と一緒に来賓として招かれた。既に王国として滅んでいて大っぴらにこんな所に居るとバレるし、案の定翌日の新聞にすぐにニュースになったがゴードンや会場を作ってるウォーター7から来てくれた大工達がいた事で政府や海軍は来にくかった。

バギーはゴードンと初めて会ってウタを送るとビックトップ号で寝ようとしたがウタから城に来てと言われて招待された。他のバギー海賊団のメンバーや九蛇海賊団のメンバーにレイリー、シャッキーも集まって楽しみつつも1ヶ月間、純粋に警備の仕事を真面目にやっていた。

そして待ちに待った今日は3日間のライブの初まりだった。

 

「今日からライブか・・・しかし、また懐かしい夢を見たなぁ〜・・・ロジャー船長・・・会いてぇな・・・ってこんな湿っぽいのは性に合わねぇわ!!さっさと準備しねぇとな」

 

ウタと出会ってから色々と運が落ちてきたバギー。

本来はさっぱりとした気質だがウタのがうつったのか少しだけ湿っぽくなるとすぐに頭を切り替えた。

 

 

 

 

 

 

●●●

12年前、平和と音楽の国エレジア。

当時、まだ9歳だったウタは赤髪海賊団と一緒にこの国に来た。煉瓦造りの美しい町並みに音楽を愛する人々。音楽が好きなウタにとっては夢のような国だった。ウタはゴードンに謁見しその歌声を披露した。大きな劇場だったが緊張しなかった。大切な家族である赤髪海賊団が近くにいたからウタは勇気を貰った。

ゴードンからは絶賛されてエレジアに留まって欲しいとまで言われたがウタは赤髪海賊団の船を降りる気はなかった。

その夜、城のテラスでシャンクスとウタは話していた。

 

「随分と楽しそうだったな。ここで歌っていた時」

「ん?うん・・・」

「俺達の前で歌うよりも大勢の前で歌う方が楽しかったりしないのか?」

「そんな事ないって・・・」

 

背伸びして答えるウタの語尾には力がなかった。

 

「なぁ、ウタ。この世界に平和や平等なんてものは存在しない。けどお前の歌声は世界中の人を幸せに出来る」

「何言ってるの?」

「良いんだぞ。ここに残ってもお前が世界一の歌手になったら迎えにーーー」

 

シャンクスはウタにそこまで言うとウタは言葉が終わる前にシャンクスに向かって怒った。

 

「バカ!アタシは赤髪海賊団の音楽家だよ!!音楽の勉強の為でも皆から離れるのはーーー」

 

ウタはそこまで言うとシャンクスの膝にくっついて泣き始めた。どれだけ魅力的な国でもシャンクス達、大切な家族から離れたくなかった。

 

「分かった。明日にはここを出よう」

 

シャンクスは困ったように笑いながら優しくウタにそう言った。ウタはこれでシャンクス達から離れないと思った。

 

しかし、それはトットムジカという災厄のせいで全てが台無しになった。エレジアの奥で封印されていたトットムジカはウタのウタウタの実の力に引きずり出され、ウタはそれを歌ってしまった。

ウタはこの時、トットムジカを起動したという事は知らなかった。トットムジカを起動し、ウタ自身が体力切れで気絶するまで暴れたトットムジカ。

 

音楽の国は一晩で完全に滅びさった。シャンクス達はウタを守る為にその汚名を全て被り、船を出した。

 

ウタはエレジアが滅んでるのを見てシャンクスと口裏を合わせたゴードンからシャンクスのせいだと言われたが当時のウタはそんなのは聞きたく無かった。

急いで港に行くと既にレッドフォース号は沖に出てウタの目には皆が乾杯していて誰一人後ろを振り向いていない姿だった。

 

「シャンクス!!置いてかないで!!」

 

ウタは必死にそう叫んだ。しかし、シャンクス達は誰も振り向かなかった。ウタを守る為にもウタの歌声を守る為にも全員、辛い思いをしながらエレジアを離れていった。

 

「なんでだよ・・・なんでだよ!!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

残ったのはウタの悲痛の叫びと赤髪海賊団にゴードンの苦痛だけだった。

こうしてウタは大切な家族と離れる事になった。

 

 

 

 

〇〇〇

「いや・・・いや!!」

 

ウタは昔の夢を見て飛び起きた。寝汗はビッショリとかいていて少し肌寒さを感じる程でウタは急いで服を脱いで汗を拭き始めた。

 

「シャンクスは来る・・・皆、来る・・・」

 

ウタはそう呟きながら来ると信じているが体の震えは止まらなかった。置いていかれた時の辛い記憶が蘇ってきて不安で押し潰されそうだった。ここ数日は特に情緒不安定になりやすかった。

そんな時、机からバギーに貸してもらっているトレジャーマークが落ちた。

ウタはそれを拾い上げて腕に付けて、ルフィと共に誓いあった新時代のマークの手袋も付けると震えは徐々に収まってきた。

ウタには両方とも自分を助けてくれた大切な人達のマークだった。エレジアから出れなかった自分を後押ししてくれたルフィ。ウタワールドに縋るしか出来なかった自分にちゃんと向き合って怒ってくれたバギー。それを思い出すとウタは勇気が出て、不安だった物が和らいでいった。

そして自分の部屋の壁に飾ってる物を見た。

 

『頑張れウタ!!』

 

それはバギーが持ってきた赤髪海賊団によるウタの応援幕で大切な宝物であり、自分の事を大切に思ってくれてるという証でもあった。

 

「皆、ド派手なライブにするからね」

 

バギーと出会った事でバギーが変わったようにウタも変わった。口調だけじゃなくバギーの持ってる神経の図太さもほんの少しだけ貰った。

ウタは気持ちを前に向かせるとライブの衣装に着替えて部屋を出た。

今日は待ちに待ったライブの日だ。

 

 

 

本来、出会う筈の無かったバギーとウタ。

無人島で出会ってから何回もぶつかり合って喧嘩してお互いに自分の素を気軽に出せる。そこには海賊とか歌姫とかという感覚は2人には無かった。

 

 

これは2人の物語。

誰よりも弱く、そして誰よりも強くなった2人の“父娘”が歩んできた最後の軌跡的な物語。























というわけで最終章はエッドウォーとエレジアから始めました。これは初期から決めてたのでやれて良かったです。主役はバギーとウタですのでもうここまで来たらやれる限りやりまくりますのでお楽しみに。

また最終章のタイトルは『ワンピースの曲/自分で選んだこの話にピッタシな曲』の順でやります。
最後の最後なので徹底的に趣味に走らせていただきます。
因みに曲はAviciiの『The Nights』です。


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新時代 / Circle of life

皆さん、お待たせしました!!
それではライブの開催です!!


●●●

時は1年前のまだバギーと出会う前に遡る。

ウタはジャヤからクリケット達に助けられて無事に電伝虫がある島まで送ってもらったがその時に新聞でルフィの死亡説の載った記事を見つけた。

当時ルフィはレイリーとの修行期間中であり、世間にはその動向を知られていなかった。

 

ウタは臨時の船にあてがわれた船室のベッドで横になりながら、新時代のマークを見た。

そして涙が止まらなくなった。

 

「ルフィ・・・死んでないよね・・・お願いだから・・・」

 

まだバギーに出会ってなかったウタにとってルフィは全てだった。そしてウタは歌い始めた。海楼石も無いのでウタはすんなりとウタワールドへ入っていった。

ウタワールドに入ったウタは泣いていた。

 

「うぅ、ルフィ・・・ルフィ・・・」

 

何処に居ても変わらない。大好きだった歌にも縋れず、ファンにも縋れず、何もないウタに今の状況は苦痛そのものだった。蹲りながら泣くウタ。

すると自分の横に新聞が置かれていた。

 

自分で用意したやつではない。

しかし、そんな事は今のウタには関係なかった。写っているのは16点鐘でのルフィが仲間達に送ったメッセージがこもった写真だった。

 

(・・・そうだ・・・これなら・・・)

 

ウタは藁にも縋るような感覚で手を翳した。

そして写真をよく見ながら想像した。

今の成長したルフィをよく見て痛々しい包帯姿ではなく、昔のよく知ってる活発的なルフィを思い出しながらウタは創造した。

 

目の前に沢山の音符が人型を形成し、軈てそれはルフィになった。2年前とほぼ同じ体型で目の下に傷がないルフィ・・・ウタはそれを見て笑った。

 

「出来た・・・ルフィだぁ・・・」

 

まるで幼い子供のようにルフィが出来るとウタは抱き着いた。ちゃんと暖かくそして懐かしい匂いがしてウタは楽しくなってきた。

 

「ウタ、どうしたんだ?」

 

子供の時と何ら変わらないルフィの声にウタは益々嬉しくなって笑顔を向けた。

 

「ううん、何でもない」

「そっか、そうだウタ!勝負しようぜ」

「うん!」

 

ルフィにそう誘われてウタは準備した。

指を鳴らしてチキンを二皿用意し、牛も用意した。

ウタはルフィと共にレースの準備をすると両手を上げた。

 

「行くぞ」

「うん」

「「321!」」

 

昔からの合図をして食べ始めるウタとルフィ。

ガツガツと食べていってウタは昔と同じように自分のジュースをルフィに向かって渡した。

 

「はいこれ」

「おぉ、サンキュー!」

 

ルフィはそれをゴクゴクと飲んでいる最中、ウタはさっさとチキンを全て食べて牛から逃げた。

そして牛はルフィを引き飛ばした。

 

「あははははは!!ルフィ、弱い〜!」

 

ウタは全く変わらないルフィを見て懐かしくそして楽しくなってきた。

 

「いやぁ、負けた負けた」

 

ルフィのその言葉を聴くまでは・・・

 

「は?」

 

ウタはルフィなら絶対に言わない言葉に引っ掛かるとルフィの所まで歩いて行って押し倒した。

 

「ウ、ウタ?」

 

ルフィは慌てつつも優しく聴いてきた。ウタの顔からは笑顔が完全に消えていた。

 

「違う、違う!!ルフィはそんな事は言わない!!」

 

ウタはそう叫びながらルフィの顔面を潰した。先程まで肉体だった物は陶器のように砕け散った。

 

「作り直さないと・・・今度こそ完璧なルフィを・・・」

 

ウタはそんな風にボロボロになりながらまたルフィを作り出した。しかし、作っても作っても作っても作っても作っても作っても全ては所詮はまやかしの物。ウタは作っては壊してを繰り返し続けて辺り一面、ルフィだった物のゴミの山になった時にウタは遂に我慢の限界が来て泣き始めた。

 

「なんで・・・なんで・・・ルフィ・・・うわぁぁぁぁ!!1人にしないでよ!!・・・会いたいよルフィィィィ!!・・・もう1人は嫌・・・ぐすっ・・・お願いだから置いてかないで!!うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

大声で泣き始めるウタ。

既に精神はガタガタだった。

 

そんなウタに近づく者がいた。その者は泣いてるウタをつついた。ウタは涙を拭きながら見るとそこに立っていたのは7歳の時のルフィだった。

 

「ルフィ・・・ルフィ!!」

 

突然と現れた7歳のルフィ。

ウタはそんな事はどうでも良かった。大切なルフィが居ればそれだけで良かった。抱き締めて温もりを確かに感じてるとルフィはウタの手から離れて逃げていった。

 

「待って!・・・お願い・・・置いてかないで!!」

 

ウタはそうやってルフィを追いかけていった。

 

 

これがウタとバギーが出会うほんの1時間前にウタワールドで起こった事である。

そう、この時、ウタを狙っていたのはシキだけではなかった。ウタに蔓延る極悪の存在もまたバギーによって計画を阻まれていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

『世界は、そうだ!自由を求め選ぶべき世界が広々と横たわっている。終わらぬ夢がお前達の導き手ならば超えてゆけ!!おのが信念の旗の元に!!』

 

ー【海賊王 ゴール・D・ロジャー】ー

 

かつて世界の全てを手に入れた海賊王は、2人の海賊にそういった。そして彼は死に際に放った一言で大海賊時代を作り上げた。

それは、強き者には楽園でも弱き者には地獄という過酷な世界であり、多くの者達が海賊の被害を受けて苦しんでいた。

そんな中で彼女は現れた。

歌声と優しさで救世主として祀り上げられた彼女の名前はウタ・・・海賊“赤髪”のシャンクスの娘。

しかし、彼女は1年前に真実を知り、海に出て冒険をした。それは彼女にとって全てを変えた。彼女は“幸せ”の意味を探し、ある海賊に救われて、そして彼女もその海賊を救った。

 

「よっしゃウタ!頼むぜ!!」

「うん!バギーおじさん、任せて!!」

 

ウタは大事な叔父であり、3人目の父親であるバギーにそう言われてステージに上がった。

 

「・・・12年の答えがこの3日間で・・・」

 

ウタはそんな風に心を落ち着かせつつも12年間の答えを出す為に前にまた一歩進んだ。

 

 

 

 

 

〇〇〇

見事な快晴だった。

青い空に所々出てる綺麗な白い雲。

会場は大熱狂の最中と思えるほど賑やかだった。多くの売店に数多の人がいた。とてもだが人気が落ちたと言われている歌手とは思えないほどの人数だった。

というのも純粋な一般人に加えて麦わら大船団一の大所帯であるヨンタマリア大船団を始めとした沢山の海賊団の上にそう言った海賊達を監視する面目で私服姿の海兵達も大勢いた。

 

「凄い人気ねお兄ちゃん!」

「あぁ、そうだな」

「綿あめ♪チョコバナナ♪りんご飴♪」

「アナナ、あまり食べすぎないようにな」

「はーい!!」

 

カタクリ、ブリュレ、アナナは海王類の身体が朽ちて出来た会場の左側から見ていた。アナナの手には大量のお菓子が握られていてカタクリは食べすぎないように注意していた。

 

海を挟んだ反対側の席では全身ウタグッズで身を固めて電飾まで施してるベポが泣きながらローにお礼を言っていた。

 

「ママ、凄いクマさんがいるよ」

「しっ、目を合わせちゃいけません」

 

しかし、ベポの格好は周りからは非常に冷ややかというかなんとも言えない視線に晒されていてローは辛かった。

 

「キャプテン!俺、嬉しいよ!!」

「そうか・・・」

 

お礼を言うベポに対してローは既に疲れていた。

 

そしてその近くではコアラとイワンコフものんびりとシートを敷いて見ていた。コアラに至ってはベポほどの電飾は無いが全身ウタグッズに身を包んでいた。

 

「コアラ、あんた中々凄い格好っブルよ」

「イワさんに言われたくないなぁ」

 

イワンコフは何時もと変わらない格好で周りに引かれていた。そんな中で2人に近づく者がいた。手に焼きそばを持ったキラーだ。

 

「隣に座っても良いか?」

「あ、どうぞどうぞ」

「ありがとう」

 

キラーは当然何時もの仮面を被ってるのでコアラは巨大な顔面オカマと仮面男に挟まれつつもコアラは手にペンライトを持って今か今かと楽しみにしていた。

 

そして会場の奥ではハンコックがまた飲み始めていてバギーがキレていた。

 

「お前は何で飲んでんだよ!」

「煩いぞ赤っ鼻、妾がどこで飲もうが妾の勝手じゃ!」

 

完全にアル中と化してしまったハンコック。バギーはレイリーとシャッキーに言われていた最後の裏の手を使った。

 

「そう言えばさっき、麦わらがいたな」

 

ボソッとそんな風に呟いてハンコックを見ると彼女は何時もの気品あふれる格好に戻っていた。

 

「何をしておる赤っ鼻!仕事をするぞ!!」

 

張り切って仕事をやり始めたハンコックにバギーは呆れつつも警備の仕事の再確認を始めた。

 

 

そして会場の海の上に浮かぶ岩場ではルフィ達が楽しくBBQをしながら待っていた。ルフィ達も折角のライブと言うことでライブを盛り上げる為のコスチュームに私服を変えていた。

 

「楽しみだねルフィ!!僕、こういうの初めてだから!!」

 

新しく加入したヤマトもタンクトップに短パン、そして上着を腰に巻いた完全に洋風な格好をしてルフィと一緒に物を食べながら待っていた。ルフィは何時ものように肉を食べていたが何処か落ち着かない感じだった。

 

「ルフィは随分と慌ただしいの」

「ワノ国に入る前に分かれてもう2ヶ月だから愛しのウタが心配なんでしょう」

「ふふ、随分とラブラブね」

 

ジンベエがルフィの行動に首を傾げてナミとロビンがそれぞれの思ったことを容赦なく言っていった。図星だったのか言われたルフィが少し顰めっ面でナミ達を見るがニヤニヤと返されてルフィの立つ瀬はなかった。

 

「おい、ウタだ」

 

ウソップがそう言うとステージにウタが立った。ルフィがそれを見ると立ち上がった。

ウタはパーカーを着て顔を隠していた。

すっと息を漏らした音をマイクが拾い上げた。

そして彼女は自身の代表曲の《新時代》を歌い始めた。バギーズデリバリーとゴードンによる特別編成の音楽チームが奏でるエレクトロ調のサウンドに負けない力強い重量感のある歌声が会場を刺激していく。

ウタは観客一人一人にその歌声が届くように全力で歌っていく。電伝虫を通してこの歌声は世界中へ届いて行った。

ルフィとウタが幼い頃に過ごしたフーシャ村を始めとしてローグタウン、ジャヤ、アラバスタ、ウォーターセブン、シャボンディ諸島、ドレスローザ、万国、他にも様々な国へ彼女の歌声は響いていった。

ウタウタの実の力を止めてる海楼石のお陰で純粋なただの歌声だけが世界へ飛んでいった。

 

 

 

〇〇〇

《新時代》を歌い終えたウタは観客に向かって笑顔と共に手を振った。

 

「皆!!久しぶり、ウタだよ!!ライブはドレスローザの時以来だね!!」

 

ウタがそんな風に笑顔で言うと観客は熱狂で返した。ビリビリとくる観客の反応にウタは嬉しくて泣きそうになっていた。

 

「ごめん、嬉しくて・・・今日から3日間!!皆も楽しんでね!!」

 

ウタは元気よく観客達にそう言った。観客達も黄色い声援で返して盛り上がっていた。

しかし、全てがウタのファンと言うわけではなかった。クラゲ海賊団と名乗る存在がウタを誘拐しようと今か今かと狙っていた。本来なら警備の仕事をしている者が対処しないといけなかったがこの会場の管轄だったのは呑んだくれに変貌していたハンコックだった。

 

「てめぇら準備は良いな」

「おう」

「あの千両道化の娘を誘拐すれば大金と名声が手に入る。悪いなウタちゃん」

 

そんな風に自分にさり気なく危機が迫ってるとはつゆ知らずウタは皆に笑顔を手を振っていた。

 

『ウタちゃん!!カワイイよ!!』

『好きだー!!』

『天使だー!!』

『結婚してくれ〜!!』

 

中にはこんな感じの声も入っていた。勿論、ウタも本気にしてないし、観客達も応援の1つとして認識していたがそんな風に認識してない者が1名いた。

ウタの恋人のルフィだ。

ルフィは手を伸ばして堂々とステージに上がってウタの前に来た。

 

『ん?誰だ?あれ?』

『邪魔だよー、どいてくれ!』

『おい、邪魔だ!』

 

野次が飛んでくるがルフィは気にしてなかった。というかルフィはウタが取られないか気が気ではなかった。

ウタはルフィを見ると1番の笑顔になった。

 

「ウタ、久しぶりだな!」

「ルフィィィィ!!!」

 

『なぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

『おい、抱きついたぞ!?』

『ってことはもしかしてあいつが!?』

『四皇の!?』

 

「クワハハハハハハハ、“四皇”麦わらのルフィの登場だ!!」

 

ザワつく観客席にいたモルガンズがウタが抱き着いてるルフィを見てそう叫んだ。

野次が瞬く間にだいぶ煩くなってきたがルフィとウタは完全に自分達の世界に入っていた。

そんな中で銃声が鳴った。

ルフィとウタはそれに気づくとステージにはクラゲ海賊団の連中が立っていた。

 

「何だお前ら?」

「悪いがその千両道化の娘を奪わせて貰うぜ」

 

クラゲ海賊団の連中はそう言うと武器を構えた。

 

「ゴードン、皆と一緒に中へ!」

「わかった!!ウタ、君も早く!」

「アタシは大丈夫だよ!!」

 

ウタは音楽チームに入ってくれてたゴードンにそう言うとロープを出して構え、ルフィも拳を構えた。

 

「お前ら、俺からウタを奪えると思うなよ!」

「四皇1人、相手に不足はねぇ!!」

 

ルフィの言葉にクラゲ海賊団の1人がそういった。次の瞬間、ゾロを始めとする面々がやってきてクラゲ海賊団の船員達をある程度、ぶちのめしながらウタとルフィを守るように構えた。

 

「俺達は不足してるな」

「ウタちゃんのライブを盛り下げるクソどもが」

「早く終わらせましょ」

「まだまだライブはこれからだからな」

「おう!」

「それにエレジアの観光も楽しそうよ」

「アーウ、良いなそれ!」

「ヨホホホ、大分復興もされているみたいですしね」

「なら一気に終わらせるぞ」

「そうだね!皆でさっさとやろう!」

「よし、ウタもやるか!」

「勿論、アタシのライブはアタシが守る!」

 

麦わらの一味とウタはそう言ってクラゲ海賊団に対して構えた。

 

「む、麦わらの一味・・・えぇい、やっちまえ!!」

 

クラゲ海賊団の一人がそう半ばヤケを起こしてるような感じで叫び、クラゲ海賊団は全員、ルフィ達麦わらの一味へ突っ込んでいった。

 

ルフィは拳をゾロは刀をサンジは足をナミは天候棒をウソップは黒カブトをチョッパーは拳をロビンは手をフランキーは拳をブルックは魂の喪剣(ソウルソリッド)をジンベエは拳をヤマトは金棒をウタはロープをクラゲ海賊団に向けて放った。

 

『88億B・JACK POT!!』

 

新時代を祈る波乱のライブが始まった。


















というわけである仕込みもしつつ、ライブ開催です。
ウタがバギーと出会う直前にはこんな裏話がありました・・・1つ言えるのはウタを狙ってるのはシキだけではないと言う事ですね!!

そしてライブ開催!!
登場人物達も着々と集まっていく最中で現れるクラゲ海賊団・・・悪いなお前ら、次回もぶっ飛ばされてくれ

最後に6億B・JACKPOTの進化系の88億B・JACK POT!!これをやりたかったんだよ!!今回の最終章は合体技多めでやりますのでお楽しみに!!

そして今話の曲はウタの『新時代』とCrimson-FANGの『Circle of life』です。
わからない方は仮面ライダーキバ 映画 主題歌で調べてください。名曲です。

次回は何の曲にしようかな??


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Break into the Light~約束の帽子~/Cherry Bomb

お待たせしました!!
少し短いですがキリがよかったのでそれではどうぞ!!


ルフィ達の攻撃であっけなく海にぶっ飛ばされたクラゲ海賊団達は根性をみせたのかまた上がってきた。

 

「しぶてぇな」

「何度でも落とす」

「よし、今度は彼方まで蹴り飛ばしてやる」

 

ルフィ、ゾロ、サンジを始めとした面々が思い思いにそれぞれ言っていく中で突然とピンク色の矢が飛んできた。

 

虜の矢(スレイブアロー)!!」

「あぁ!ハンコック!!」

「ムッ!」

 

警備担当のハンコックは虜の矢を放ってクラゲ海賊団の船員を何名か石にした。ハンコックの登場にルフィが笑顔になるとウタはハンコックに対して嫉妬の目を向けた。恋人になってもハンコックは恋のライバルだった。

 

「久しぶりじゃルフィ!!会いたかったぞ!!」

 

笑顔でルフィに応えるハンコックはそのままドヤ顔をウタに向けた。ウタはそれにカチンとなるとルフィの腕にしがみついた。

 

「ん?どうしたウタ?」

「別に〜、見せつけてるだけ」

「こ、この小娘が・・・」

 

ウタとハンコックの視線がバチバチと火花を散らしていた。周りの麦わらの一味は恐ろしい女の戦いが始まろうとしている事に少し引いていた。

ヤマトとチョッパーなんて恐ろしさのあまり抱き合っていた。

 

「ヤマト、俺怖え〜」

「うん、僕も怖い・・・」

 

そんな事を露知らず、ウタとハンコックが火花を散らしてる最中に残っていたクラゲ海賊団の面々が襲いかかろうとしていた。麦わらの一味は軽く対処しようとするが観客席からやってきたカタクリが脚を餅にして残りのクラゲ海賊団を拘束した。

 

「あ、カタクリ!」

「ムッ!!」

 

カタクリの登場にウタが笑顔で言うと今度はルフィがやってきたカタクリに対して威嚇の籠もった目を向けた。

 

「久しぶりだなウタ」

「うん、久しぶりだね」

 

気軽に応えるカタクリ。ルフィはカタクリに対して目を睨ませながらウタを抱き締めた。激戦を繰り広げてルフィに敗れたとはいえ、カタクリもまだウタが好きだった。そんな中で見せつけるようにウタを抱きしめてるルフィをカタクリは睨み、こちらでもバチバチと火花が飛んでいた。

こうしてウタはハンコックとルフィはカタクリと火花を散らしてるよく分からない光景が出来上がった。

 

「うおい!?何だあの面白い光景はスクープだスクープ!!まさか麦わらと将星の三角関係だけじゃなくUTAと海賊女帝も三角関係だったとは!!」

 

モルガンズは早速手に入った新しい情報で既に喜んでいた。

 

『あれが海賊女帝・・・綺麗だなぁ』

『あの大きい方が三角関係の将星なのか?』

『というかウタと海賊女帝ってそう言う関係なの!?』

 

観客達が思い思いの事を言っていくがルフィ達はそんな事、気にも止めてなかった。

 

「ルフィ、そなた達の手を煩わせてしまって申し訳ない。此度の不届き者達は妾達が処理をしておく。すまなかったな」

「別に気にしてねぇぞ俺は。それより助けてくれてありがとうな!」

「はぁ~んルフィ!!やはりそなたは素敵な男じゃ!!」

(ムカッ!!)

 

目の前で抱き着いてるのにウタなんか気にせずにメロメロになってるハンコックにウタは我慢できなくなった。ここ数日間、やけに気分が変わりやすくて少し不安定だったのもあってウタはルフィの目の下の傷を撫でた。

するとルフィは笑ってウタにキスをした。

 

『なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

観客や麦わらの一味がルフィとウタのキスに騒然となった。モルガンズなんてシャッターを切って切って切りまくっていた。

キスが終わるとルフィとウタは互いに笑顔を向けて間にはピンク色の空気が流れていた。

そしてハンコックはというと石になる程固まっていて、カタクリも心にかなりのダメージを負った。

 

「よし、皆!!ライブを続けるよ!!」

「って出来るか、色ボケカップル!!」

 

キスして元気百倍になったウタはライブを続けようとするがナミによってルフィ共々怒られた。

 

「ガハッ!」

「グボガッ!」

 

一方、会場の裏ではそんな光景を見ていたゴードンとバギーが仲良く血反吐を吐いていた。

 

「うぅ、何のこれしきウタの幸せなのだ喜ばねば・・・しかし、何だこの悲しみは!?」

「派手にやりやがってあのクソゴムが・・・やはり許さん!!」

「バギー君、ウタが彼を好きだと言うのは知っているが私はどうも不安な感覚もある。手を貸してくれないか?」

「別れさせるのか!?だったら手を貸すぜ!!」

「いや、単純に彼の人となりを知りたい」

 

ゴードンの言葉にバギーはルフィを精一杯貶しまくりたかった。しかし、そうやった場合、ウタに嫌われるのは目に見えていた。バギーは非常に癪だと思いながらもゴードンと握手をして協力する事にした。

 

 

 

 

 

〇〇〇

あの後、ナミに怒られた後でライブは続けられた。

《私は最強》《逆光》《ウタカタララバイ》《世界のつづき》《風のたより》《ヒカリへ》《Believe》《怒りをくれよ》《Shining ray 》《fanfare》などを歌い続けて昼になったので一旦、休憩となった。

 

「ルフィ、皆!楽しんでる!?」

 

ウタはロープを使ってルフィ達がいる所まで来て尋ねるとルフィは大好きな肉を頬張って笑顔を向けていた。

 

「おう、はのひいほ!!」

 

口に肉を大量に入れてるので何を言ってるのか第三者には分かりにくいがウタには分かった。そんな風に朗らかな雰囲気が出てる最中でウタはここで初めてヤマトと対面した。

 

「こんにちは!!僕はヤマト、おでんになる者だよ!!君の歌って凄いんだね!!聴いてて凄い勇気を貰ったよ!!」

 

笑顔で捲し立てるように話しかけるヤマトにウタは驚いて困惑していた。

 

「え、えっと・・・よろしくねヤマト!!アタシはウタ・・・ルフィの恋人だよ!」

「よろしくね!!」

 

笑顔で挨拶をしたウタとヤマト。ルフィは早く仲良くなって良かったと思いながら肉を食べてるとヤマトと話し終えたウタが後ろにやってきた。

そしてルフィを後ろから抱き締めると耳元に口を持ってきて呟いた。

 

「・・・ホカノオンナノニオイガスル・・・ルフィ・・・ドウイウコト?」

 

ウタの言葉にルフィは一気に血の気が無くなった。ワノ国で感じていた寒気の正体が分かったからだ。少し恐ろしさを感じて震えてるルフィに対して他の一味はまたイチャついてるとしか思ってなかったがここで2人の関係を今日は初めて見たヤマトが近づいてきてルフィに話しかけた。

 

「ルフィ、どうしたんだい?」

「いや、ちょっと寒気が・・・」

「またか?後で一緒にお風呂でも入ろう」

『あっ』

 

ヤマトはワノ国でルフィを誘った時みたいにそう言うと一味の『あっ』という声が重なった。ウタはルフィの浮気相手が誰か分かるとギギギと音を立てながら、笑顔をヤマトに向けた。

 

「ヘェ〜、ヤマトハルフィトオフロニハイッタンダ・・・ケド、キョウハア・タ・シトハイルカラダイジョウブダヨ・・・」

「そうかい?・・・そうだよね。おでんだってトキと入ってるお風呂は最高だったって書いてあったし、恋人同士の邪魔をしちゃいけないし・・・ゴメンね」

 

ヤマトはおでんになるというのを除けば比較的大人の方だった。おでんの航海日誌でトキとの夫婦生活もちゃんと書かれていた事もあってヤマトはそこら辺は割りと確りしていた。

ヤマトがあっさりと引いてくれた事もあってウタの中でヤマトがルフィの恋敵から仲間にシフトチェンジした。ウタは落ち着きを取り戻してルフィにもう一回言った。

 

「ルフィ、というわけだから今日は絶対に一緒にお風呂に入ってよ。いいよね?」

「分かった・・・分かった!」

 

冷や汗をかきながらもそう言ってくれるルフィに嬉しくなったウタはルフィから離れた。

以前よりも更に重くなってるウタにナミがルフィに聴こえないように耳打ちする感じで話しかけに来た。

 

「ウタ、あんた大丈夫?なんか前に比べて更に愛情が凄くなってない?」

「ナミ・・・それが最近なんだか疲れやすいし、気分が変わりやすくて・・・ルフィの事を考えたりすると落ち着くから・・・」

 

ウタは端的にそうナミに言った。

最近は何故か分からないが疲れやすく、熱っぽい感じが続く時もあり、胸も張って痛い時があった。オマケに気分も変わりやすく、わけも無いのにイライラしたりとしててウタは少し情緒不安定になっていたのでルフィで安定しようとしていたのだ。

 

「そう、体調には気をつけなさいよ」

「うん」

 

ナミは優しくそう言うとウタも体調には気をつけようと思いながらステージへ戻って行った。

 

観客席ではモルガンズがメモの手を走らせまくっているとモルガンズは少しだけガヤを出したくなってきた。ルフィとウタの下世話な話も大変興味があるがそれよりも気になったのが父親の件だった。12年間もほったらかしにした千両道化、しかし2人の父娘関係は良好と云うのが世間の認識だった。モルガンズはビッグニュース大好きでそこら辺はぶっちゃけると外道。なのでモルガンズは皆に笑顔を向けてるウタに野次を飛ばした。

 

「歌姫UTA、父親の千両道化は居るのか!?」

 

モルガンズは大声でそう言うとガヤガヤと野次馬の話題もそれになってきた。

 

『居るのか、元王下七武海が!?』

『四皇に勝った男が居るの!?』

『世界を混乱に落とした極悪人が居るのか!?』

『クロスギルドのトップがいるのか!?』

『教えてUTA!!』

 

ウタは観客達が自分とバギーとの関係を聴きたいと言ってくると説明しようかと思ったが実際に会場の裏に居るのを知っていたのもあってステージから降りてバギーを呼びに行った。

 

少しするのウタはバギーを引っ張ってステージにやってきた。

 

「お父さん、お願い皆に説明して上げて!!」

「ふざけんな!!俺様は警備で忙しいのに何で呼ばれなきゃいけねぇんだよ!!」

「だからそれも込みで・・・」

「お前の考えなしの行動が全ての原因だろうが!!自分のケツは自分で拭け!!」

「良いじゃん、かわいい娘の頼みなんだから!!」

「自分で言うな!!」

 

早速、ウタとバギーは言い争いをしながらやってきて観客達は仲の良さそうな父娘だなと思った。

 

『凄い仲良さそうだね』

『あれは完全に父娘だな』

『普通に叱ってる親父と怒られてる娘だよな?』

『千両道化のバギーの本当の姿があれか・・・』

「チッ、なんかキナ臭いとは思うがやはりウタと千両道化は父娘か・・・」

 

野次が勝手な事を言いまくり始めていた。それだけならまだしも段々と調子に乗り始めてきた。

 

『おい、父親だったら娘の言う事聞いてやれ』

『そうよ、大人げない』

 

などとバギーに対しての野次が飛び始めてきた中で遂に1年間、ウタとシャンクスのせいでストレスが溜まりまくっていたバギーの堪忍袋の緒が完全に切れた。

バギーはマイクを持って大声で会場に居る者全員に届くように叫んだ。

 

「うるせぇ!!派手バカ共が俺はコイツの父親じゃねぇ!!コイツの父親は“赤髪”のシャンクスだ!!」

「あっ・・・」

 

キレたバギーが息を切らす程大声でそう叫ぶと会場は一瞬静かになった。多くの観客にとっては新しい事実、そして事情を知っていたルフィは1人当たり前だと頷いていた。

 

『えぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜!!???』

 

会場の殆どの客達の叫び声が1つになった。バギーはここで漸く自分が何をカミングアウトしたのか気づいた。世間では歌姫の父親はバギーであるとウタ本人が公言していた上にバギーはシャンクスとやった決闘のお陰で赤髪海賊団と仲が悪いと云うのが世間からの認知だった。そんな世間の常識が根本から変わるほどの大暴露をバギーはやってしまった。

 

「やべっ・・・トンズラを・・・」

 

バギーは観客達が混乱してる最中に逃げようとしたがウタに腕を抱き締められて止められていた。しかも海楼石を触れられていて力が入りにくかった。

 

「ウ、ウタ・・・離しやがれ・・・」

「やだ!!人の少し悩ましい問題を暴露しておいて逃げるなんて許さない!!」

「俺様は悪くねぇだろ!?」

「どこが!?この混乱はおじさんのせいでしょ!?ミノムシみたいな小さい器なんだから!!」

「誰が小さい器だゴラァ!!」

 

ウタに小さい器と言われたバギーは頭にきてウタの頬を引っ張った。するとウタもバギーの頬を引っ張って2人は非常にみっともない喧嘩を始めた。

 

 

モルガンズは頭が混乱していた。

確かにバギーとウタの父娘関係はキナ臭いと思っていたがまさかこんな特大のニュースがバギー本人の口から出るとは思ってなかった。

 

「ビッグニュースだ・・・ここ数ヶ月で1番のビッグニュースだ!!・・・赤髪とUTAが父娘関係なら、“赤千の決闘”は世界を騙した“狂言”になる・・・あの野郎、世界中の全てを騙しやがった!!」

 

モルガンズはそう断言した。

赤千の決闘と呼ばれるバギーとシャンクスの起こした決闘は世間では借金のせいだとか色々と言われていたが実際の真実は分からないというのが世間の本音だった。

しかし、バギーとシャンクスの“両方の娘”であるウタの存在によってモルガンズの中であれは四皇の娘である事を隠す為のフェイク的な行為だったとモルガンズは勘違いを起こした。素性の知らない歌姫というウタの特異性のピースを埋めるような感じでバギーの娘だと認知されていたのも大きかった。

こうして、単純にシャンクスにウタ関係で説教をしただけなのにバギーは“世界を騙した男”として認知されてしまった。






















というわけでウタがシャンクスの娘であるとバギーが暴露しちゃいました・・・バギー、本当に色々と頑張ってストレス溜まってたもんね・・・

そしてウタはヤマトと初対面・・・ルフィとのお風呂回はいつやろうかな?デート回もやりてぇし・・・
まだまだ始まったばかりの最終章・・・ゆっくりかつ盛りまくりながらやるのでよろしくお願いします。

今話の曲は『Break into the Light~約束の帽子~』とThe Ranawaysの『Cherry Bomb』です。
ルフィの預かってる帽子の持ち主であるシャンクスと特大級の爆弾にあやかってみました。
さてと次回はどの曲にしようかな?

とりあえず次回は準主役級の彼らを中心にしてやりたかった事をやりてぇな・・・たぶん、見たら皆さん爆笑すると思いますが・・・


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Crazy Rainbow/Great Balls Of Fire

皆様、遅れて申し訳ございません。
年末なので色々とのんびりとやってます。
それでは最終章ですがまだまだのんびりと1日目ですのでお楽しみに!!



あれからしばらく経って、ウタは何とか初日のライブのプログラムを終わらせるとバギーと裏にある楽屋でまだ喧嘩をしていた。

 

「このバカ娘!!」

「このバカ親父!」

 

お互いに相手が悪いと思ってるので今回の喧嘩は長かった。ゴードンはウタがこんなにド正面から喧嘩してる姿を見るのは初めてで少し戸惑ってると同じように警備をしていたアルビダやMr.3にカバジ、モージは2人を見て呆れていた。

 

「まだやってるガネ」

「本当に喧嘩が絶えないね」

「喧嘩の種ならまだまだ一杯あるよ!!」

「おう!!ちょっとの喧嘩じゃなくならねぇくれぇにな!!」

 

Mr.3とアルビダの呆れが伝わったウタとバギーは間髪入れずそう答えた。Mr.3とアルビダにカバジにモージの4人はそれに呆れつつ、ゴードンとともに楽屋の外を見ると記者で溢れていた。

先程のバギーの爆弾発言に関して記者達がニュースの匂いを嗅ぎつけてきたのだ。初日から違う意味で大騒ぎになってる最中、記者達が更に騒ぎ始めた。

ルフィとカタクリにアナナが堂々とやってきたからだ。

 

「四皇と将星だ!!」

「三角関係の2人だぞ!!」

「あの小さい子は誰だ!?」

「あれはビッグマムの末っ子のアナナ嬢だ!!」

 

ガヤガヤと騒いでる中でカタクリはたった一言だけ記者に向けて言った。

 

「失せろ」

 

少しだけ覇王色も出して威圧すると記者達は命の危険を感じたのか一気に逃げて行き、ルフィとカタクリ、アナナの3人は楽屋へ入った。

 

「おい、ウタ。居るか?」

「ルフィ♡♡♡」

 

ルフィがそう言って楽屋に入った途端、ウタはルフィに抱き着いた。カタクリは目の前で起きてるイチャつきに殺したくなるが堪えた。バギーもルフィを殺したくなり、ゴードンもダメージを負っていた。

 

「今日はもう終わりかと思って来たんだ」

「ありがとう!!今日はもう無いから後でデートしようね!」

「おっ、それ聴いたことあるぞ」

「んふふ♡」

 

早速イチャイチャしてる横でカタクリは内心邪魔してやろうかと邪な考えが出始めたが堪えた。カタクリはイイ男だからだ。

目の前でウタがルフィとデートの約束をしてる最中、カタクリの近くにいたアナナに気づいた。

 

「アナナちゃん♪♪久しぶり!!」

「ひ、久しぶり、ウタお姉ちゃん・・・」

 

アナナは前にやってしまった事で謝りに来たのだがその重さゆえに少し固まっていた。しかし、アナナもあれから成長し、前に進んでる。ゆえに勇気を出して一歩進んだ。

 

「お姉ちゃん、金平糖の事、本当にごめんなさい!!」

「良いよ。それにほらもう大丈夫だし!!元気一杯だよ!!」

「お姉ちゃん・・・」

「そうだ!!だったら明日も元気に応援してくれるかな?そしたらアタシ、もっともっと頑張れるから!!」

「う、うん!!アナナ、もっと応援するよ!!」

 

アナナもウタとそう約束すると笑顔になって2人は本当の姉妹のような雰囲気を出していた。ゴードンやバギーは何があったのか分からなかったが不粋に聞く気も無いのでその光景に微笑ましさを感じ、ルフィとカタクリはまた睨み合っていた。

ルフィはカタクリがウタに近づくと気が気ではなく、カタクリもルフィに対して苛立っていた。

 

「ルフィ、カタクリどうしたの?」

「「・・・何でもない・・・」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、サニー号では麦わらの一味がのんびりとしていた。波乱の1日目のライブも終わり、これからは自由時間と云うこともあってサニー号のお金の管理を全てやってるナミが全員にお小遣いを分けていた。

 

「はい、これで全員ね」

「うん、ありがとう!!・・・そう言えばルフィの分はどうするんだ?」

 

ヤマトが初めてのお小遣いを貰うとルフィの分について訪ねてきた。ルフィは貰う前にウタの所に行ったと思っていたがナミからもう既に渡してると言われて安心するとヤマトはウソップ、チョッパーと一緒に遊びに行った。ゾロとジンベエは先程の酒を買いに行っていたのから戻ってきて、ブルックはサンジと買い出し、ナミとロビンはこれから買い物だった。

ここ最近はゆっくりと買い物出来なかったのもあって楽しむ気満々だった。

 

それは麦わらの一味だけでなく、他の所でも同じような感じになっていた。

 

「キャプテン、早く早く!!」

「落ち着けベポ」

 

ベポはハイテンションになりながらたくさんある屋台をローと回っていた。ど派手な電飾が目立っていてローは既に疲れていた。

ローは呆れつつも周りを見るとあるものが見えた。

 

「ウタちゃんの幸せを祈って乾杯!!」

「ファッファッファッ!!乾杯!!」

「今日はもう飲んで祝杯っブルよ!!」

 

キラーとコアラが酒を昼間から飲んでいた。しかもそこにイワンコフまでいて盛り上がっていた。ローは何をやってるのかと思いつつも関わるといけないと思って離れようと思った。

 

「ベポ・・・離れる・・・ベポ?」

 

ベポにそう言おうとしたがベポは既に近くには居なかった。

 

「俺も一緒に祝っていい?」

「ファッファッファッ良いぞ!!」

「誰このクマ?!けど、ウタちゃんのファンなら歓迎♪♪」

「あら?ヴァナタ何処かで見たことあるような?」

「ベポーーーーー!!!??」

 

ベポは既にキラーとコアラがやってる酒盛りの所へ行っていた。ローはそんなベポに驚くとあれよあれよと知らない内に彼らと酒盛りを昼間からやる羽目になってしまった。

 

「トラファルガー!!ファッファッお前も居るとは驚いたぞ!!」

「ヴァナータは2年前に麦わらボーイを助けたドクターボーイね!!お久しぶりッカブル!!」

「また会うとは思わなかった」

「ヴァタシもよ。まぁ今日は飲みましょ!!」

 

イワンコフとローはそんな風に話し合いながら酒盛りをやってるとキラーとコアラ、ベポがつまみが無くなった為に出店に足を運んだ。

 

「よし、次は焼きそば!!」

「ファッファッファッ!!いいな!!」

「よし!!沢山食べて盛り上がるぞ!!」

「「オォー!!」」

 

3人はオタク仲間というかファン同士で盛り上がりながら焼きそば屋に行くとそこにはブリュレが焼きそばを食べていた。

 

「「あ、お前は・・・」」

「あ、あんたらは・・・キッドの所の仮面とトラファルガーの所のクマ!!」

 

海賊として相手を知っていたキラーとベポがブリュレに気づき、ブリュレも2人に気づいた。母親であるリンリンがキラーとベポの所の船長にやられているのもあってブリュレは焼きそばを片手に構えようとしたがコアラがそれを止めた。

 

「ちょっと待った!!こんな所で争うとウタちゃんが傷つくよ・・・ライブ期間中は止めて終わったらやって・・・やるんだったら・・・」

「・・・ウィッウィッウィッ、確かにそうだね」

「ファッファッファッ、その通りだ」

「そうだね。ウタが泣くのはファン失格だし・・・」

「「「よし、一時休戦だ」」」

 

キラー、ベポ、ブリュレはそうやって休戦協定を結んだ。既に酒を飲んで出来上がっていたコアラはそもそも革命軍で海賊間の関係なんか知らないのもあってブリュレを酒盛りに誘っていた。

 

「ねぇねぇ、一緒に飲んでウタちゃんの幸せに祝杯あげない?」

「え〜、お兄ちゃんが来るから待ってたい・・・いや、お兄ちゃんはアナナと一緒だからなぁ・・・よし、のった!!」

 

ブリュレはカタクリと一緒に楽しみたかったが下の末っ子であるアナナもカタクリと楽しむと思った。兄大好きなブリュレだが姉としても出来ていた。

そしてブリュレはコアラ達の酒盛りに付き合った。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィとウタは楽屋での騒動が終わると2人で仲良く回っていた。先程バギーが暴露したシャンクスの娘であると云う事実で慌ただしくなるかと思っていたがウタとルフィにはあまりそう言った事を聞く人は来なかった。

“四皇”であるルフィが居るのにそんな事を気安く聞く奴は世界広しと言えどもそうそう居なかった。

 

「ニュースが・・・ビッグニュースが俺を呼んでいる・・・」

 

モルガンズ以外は・・・先程、楽屋前でカタクリに邪魔された後、他の記者達は今日は無理だと思ってルフィとウタをつけなかったがモルガンズはニュースの為につけていた。

 

「ルフィ、このリンゴ飴美味しいよ!」

「おぉ、水水飴あんのか!?これうめぇんだよ」

「本当!?あ、本当だ美味しい」

「な?このりんご飴もうめぇな」

 

2人は出店で買ったリンゴ飴と水水飴を偶に相手のを舐めたりしつつも楽しんでいた。モルガンズはそんな2人のイチャイチャを容赦なく撮っていた。

 

「あの2人の恋愛記事は人気が高いからな・・・“赤髪”の事が記事に出来なくても需要はある!」

 

そんな風にモルガンズにパパラッチされてる事に気づいてない2人は楽しそうに回っていた。輪投げに的あて、スーパーボールすくいに水風船と回って時にはそれで勝負したりしてて2人の手には色んな物がたくさんあった。

 

「・・・キスでもしねぇかな?・・・甘いのは良いんだがもっと盛り上がるんだかなぁ・・・」

 

モルガンズは口から砂糖を吐きたくなりつつも更なるイチャイチャを求めていた。モルガンズはプロだった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、そんな風にルフィとウタがデートをやってる最中、カタクリはアナナと共に回っていた。アナナを肩車して出店を楽しんでいた。

 

「カタクリお兄ちゃん、楽しいね!!」

「そうだな・・・次はどこに行く?」

「次はねぇ〜」

 

妹のアナナが喜んでるのを見てカタクリは嬉しくなってると嫌な気配を感じて止まった。カタクリは目線を出店が並んでるエレジアの街ではなく、木々が生い茂ってる山の方に向けると暫くそっちの方を見た。

 

「お兄ちゃん、どうしたの?」

「アナナ、すまないが10分くらい時間をくれるか?」

「うん、良いけど・・・」

 

アナナに了承を貰ったカタクリはそのままアナナを連れて山の方へ向かった。卓越した身体能力と能力でほんの数分くらいで目的地に着いたカタクリは辺りを見回したが誰も居なかった。

 

「・・・誰か気配を感じたんだがな・・・」

「リンリンの所の次男坊じゃないか?」

 

突然と聴こえた声にカタクリとアナナが振り向くとそこにはレイリーが居た。レイリーもまた不穏な気配を感じて様子を見に来たのだ。

 

「“冥王”シルバーズ・レイリー・・・あんたもこの会場に居たのか・・・」

「ウタちゃんの歌が聴きたくてね。私からすると孫娘のような存在だ・・・お前も見聞色でここに来たのか?」

「あぁ、一瞬だけここら辺で人の気配を感じてな・・・だが誰も居ない」

「・・・気配もすぐに無くなった・・・だが・・・」

「誰か居たのは間違いない」

「バギーとハンコックに捜索をさせておく、何か証拠があるかもしれないからな」

「・・・入念にな・・・俺もウタのライブが滅茶苦茶になるのは見たくない・・・」

 

カタクリはレイリーにそう言って戻っていった。レイリーなら警備体制も大丈夫だろうとかつてロジャー海賊団と何回か戦っていた時の事を思い出しつつもそこら辺は信頼していた。

それに純粋に客として来てる上にアナナをそう何分も山の中に居させるわけにはいかなかった。

出店のある街に戻ってくるとカタクリとアナナはまた出店を楽しんでいた。

 

『さぁ、力自慢の方はどうぞ!!後、数分で腕相撲トーナメントが開催です!!賞金の50万ベリーを掛けて力自慢の方はぜひどうぞ!!』

「お兄ちゃん、腕相撲だって!!」

「そうだな・・・」

「お兄ちゃんなら圧勝だよね?」

「勿論だ、負けるわけがない」

「じゃ、軽く優勝出来る?」

「・・・よし、折角だから見せよう」

 

言外にアナナが勝つところが見たいと言ってきてるのを察したカタクリは折角の催しと云う事もあって参加する事にし、エントリーをしに行くとそこにはルフィとウタもいた。

 

「カタクリ、アナナちゃん!」

「ウタお姉ちゃん!!」

「カタクリ、お前もこれに参加するのか?」

「あぁ、カワイイ妹の頼みだからな。お前もか?」

「シシシ、ナミから賞金はお小遣いにして良いって言われてるからな!!」

 

ルフィは笑いながら視線を多くの見物客が居る所に向けるとそこにはナミが目をベリーにして輝かせていた。

 

「カタクリも出るんだ、ルフィ、カタクリ頑張ってね♪♪」

 

ウタがルフィとカタクリにそう言うと2人共、負けないでと言われたので燃え始めた。そして睨み合った。

ガチの戦闘をやっても良いが流石にそれはやる理由があまりない。ルフィとカタクリもそこら辺は確りしていた。だがこういう催し物だとルールに則ってる限りそう大事にもならないので2人は存分にやり合うつもりだった。

 

「「絶対にお前には負けない!」」

『それでは皆様、お待たせしました!!腕相撲トーナメント開催です!!』

 

2人は司会からそう言われると位置についた。




















ということでまだまだ本題ではなく祭りです。
どうせ本題に入ると何話も掛けて鬱展開になるので楽しめる時に楽しまないと・・・次回はルフィVSカタクリ第二ラウンドです。もうここら辺は本筋以外全てライブ感でやってるのでどうなるかは私も知りませんwww

そして今話の曲は『Crazy Rainbow』とJerry Lee Lewisの『Great Balls Of Fire』です。
はい、もろにトップガンマーヴェリックのあの曲です!!映画とかに出てくる既存曲って大好きなんですよね。
さてと次回は何の曲にしようかな?
たぶん、次は明日の大晦日になるかもしれませんのでご理解お願いします。それでは次回もお待ち下さい。


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ADVENTURE WORLD/We Will Rock You

お待たせしました!!
昨年の最後の投稿にしようとしましたがあれよあれよと新年は忙しく、新年一発目になりました!!
それではどうぞ!!


『さぁ、皆さん!!腕相撲大会がまもなく始まります!!』

 

司会の声を聴いてエントリーした者達がドンドンと会場に集まってきてそして誰が優勝するか賭けが行われようとしていた。

1番人気は四皇であるルフィ、2番人気はカタクリだった。他にも大勢の力自慢が参加して賭けは盛り上がっていた。

 

「よし、ルフィなら勝つ!!3倍しかなくても10万ベリーが30万ベリーになる!!」

「相変わらずね」

「え?ナミってこういうタイプだったの?バギーおじさんみたい」

「・・・ウタ、それは本気で止めて」

「カタクリお兄ちゃん、頑張って!!」

 

ナミの本性を初めて知ったウタがそう言うとナミは顔を思いっきり歪めた。ロビンはそんなナミを見て微笑ましく感じていてアナナはウタの膝の上でカタクリを応援していた。

 

「ルフィ、カタクリ頑張れ!!」

 

ウタもアナナにならって2人を応援するとルフィとカタクリの雰囲気が段々とガチになってきた。

 

「クワハハハハハハ!!こりゃ中々面白そうな事だな!!よし、タイトルは“三角関係 第2ラウンド”だ!!」

 

モルガンズもまたパパラッチを続けたら意外に面白そうな展開になっていたので観客席でカメラを構えながら見ていた。

 

『それでは力自慢!!腕相撲大会始め!!』

 

総勢16名で行われた腕相撲大会は序盤から盛り上がった。

 

「シシシ、どうだ!?」

「ふん、弱すぎる」

 

ルフィとカタクリが純粋な力のみで勝っていった。ルフィの本来持ってる朗らかな雰囲気からは想像できないくらいの容赦のなさとカタクリの今の海賊としての圧倒的な雰囲気による容赦のなさで2人は圧勝していた。

ナミの目は完全にベリーになってルフィが勝つことに期待しており、ロビン、ウタ、アナナは純粋に応援していた。

 

『皆様、お待たせしました!!ただいまより、準決勝が始まります!!やはり人気なのは第一試合の海賊“麦わら”のルフィVS“将星”カタクリによる一騎打ち!!勝つのはどっちだ!?』

 

ルフィとカタクリは机を隔てて向き合うと睨み合っていた。このルールなら思う存分戦い合えるしシンプルな内容だから勝敗がはっきりする。

 

『それでは用意!!』

 

ルフィとカタクリはお互いに手を掴み合った。既に相手の手を潰そうかと云うくらいに握り締めていた。

 

『始め!!』

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

2人は互角だった。歯を食いしばって相手の手の甲を叩きつけるつもりだったが段々とヒートアップしはし始めて2人は覇王色の覇気をバリバリとぶつけ合い始めただけではなく、手も武装色で硬化し始めた。

 

「や、やるなカタクリ!!」

「ふ、お前もな・・・」

「ルフィ、カタクリ頑張れ!!」

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」

 

ウタの声援によってブーストが掛かった2人は更に力を込めた。それこそ、周りの観客が何人か覇王色のぶつけ合いで倒れ始めるくらい燃えていた。

 

「負けねぇ!!ウタが見てるんだ!!」

「貴様・・・骨ごと圧し折ってやる!!」

『これは凄いデッドヒートだ!!』

 

ギリギリと歯から音がなるほど力を入れてる2人。会場は大熱狂だった。そして軈て2人の力に耐えきれず、机が崩壊した。

 

『あぁ!!机が崩壊してしまった!!この場合は地面に手の甲をつけた方が負けとなります!!果たして勝ったのはどっちだ!!』

 

机が壊れた事で出た煙が晴れてくると見えたのは倒れてる2人で手の甲を地面につけてたのはルフィだった。

 

「俺の勝ちだ」

「あぁ〜、負けた!!」

 

勝ったのはカタクリだった。

ルフィは悔しさを感じつつも笑った。

 

 

 

 

〇〇〇

「ウタ、悪い!!負けちまった!!アハハハハハ!!」

「うん、おつかれ!!賞金は残念だったけどカッコ良かったよ!!」

 

負けたルフィはウタとそんな風に軽く話し合いながら観客席に着いた。別にウタと別の場所に行っても良かったがウタの膝の上に乗ってるアナナがカタクリを応援していたのもあってルフィも応援することにした。

 

カタクリはルフィと本気でやり合っていたのもあって少し疲れていた。しかし、折角妹に勝つと言った事もあるし、有象無象には負けない自信もあった。

 

『それでは決勝戦です!!今大会で1番人気の四皇“麦わら”のルフィを下した“将星”カタクリVS今大会のダークホース“匿名希望 78歳”の対決です』

 

78歳という紹介と共に会場に出てきたのはダサいプロレスラーマスクを被ったレイリーだった。

 

「・・・こんな所で何をしているんだ?」

「ふっ、賞金の50万ベリーが欲しくてな。しかもそれを自分に賭けてる。勝てば10倍の500万ベリーになる」

「負けた場合は“千両道化”から借りる気か??」

「バギーから借りるわけないだろ。トンズラだ♪♪」

 

カタクリはあっけらかんと言ってるレイリーに呆れつつも勝負に手加減は無粋なので構えた。レイリーも机の上に肘を置いて腕を組み合った。

 

『それでは用意・・・始め!!』

 

司会の合図でカタクリとレイリーは始めた。

結論から云うとカタクリの方が押していた。歳の差が出ていた。しかし、後一歩の所でレイリーは粘っていた。

 

(くそっ、爺が粘りやがって・・・)

 

レイリーは歯を食い縛りつつも笑ってカタクリを見ると小さい声で話し始めた。

 

「あっ、ウタちゃんとルフィがキスしてるぞ」

「何だと!?」

 

レイリーの割りと雑い煽りにカタクリは見事に乗っかってウタとルフィの方を見ると本当にキスしていた。しかもウタの膝の上に乗ってるアナナは顔を赤らめてそれを見ていた。

 

(アナナの教育に悪いだろうが!!)

 

そんな隙を見逃す筈もなく、レイリーはあっさりとカタクリの甲をつけさせた。

 

「あっ」

『ああ~っと勝ったのは匿名希望 78歳だ!!これはとんだ番狂わせだ!!』

 

司会の声で会場は盛り上がった。優勝はルフィが負けた事でカタクリになると盛り上がっていたのに老人が勝った事で賭けに負けた人間が続出。結局、この腕相撲大会で儲けを取ったのはシャッキーを通して自分に賭けていたレイリーだけだった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「カタクリお兄ちゃん、大丈夫?」

「アナナ・・・すまない」

 

レイリーにしてやられて意気消沈しているカタクリにアナナが訪ねたがカタクリはかなり落ち込んでいた。

 

「ウタお姉ちゃん、ルフィお兄ちゃんどうしよう?」

 

アナナは膝の上に乗せてくれてるウタやルフィにそう尋ねるとカタクリはガバッと起き上がってアナナを見た。

 

「何!?アナナ・・・今なんて・・・」

「??ウタお姉ちゃんとルフィお兄ちゃんって・・・」

「お姉ちゃん・・・えへへ・・・」

「そう言われるとなんかちょっとむず痒いな♪♪」

 

アナナにそう呼ばれてニヤける2人。カタクリはルフィの胸ぐらを掴んだ。

 

「貴様、妹を誑かしたのか!?」

「えぇ!?俺、そんなのやってねぇよ!!」

「ふざけるな!!妹がお兄ちゃんと呼んで良いのは身内だけだ!!」

「それってウタはどうなんだよ!?」

「ウタは別だ!!」

 

アナナがルフィをお兄ちゃん呼びしてる事にムカついたカタクリが思わず本音を云うとルフィもまだカタクリがウタに対して特別な感情を持ってると完全に確信して睨みあった。

バチバチとしてくる中でウタとアナナはそんな2人を見て溜息を吐いてると腕相撲の会場が変わって新しいステージが出来た。

 

『続きましてはミス・コンテスト!!自らを美しいと思う女性はお集まり下さい!!』

 

司会の口からそんな事を言われるとウタの近くにいたナミが盛り上がっていた。

 

「よし!こうなったら自分で稼ぐわ!!レイリーが自分に全部賭けてたなら私だって!!・・・ロビンは?」

「遠慮しておくわ」

 

先程のレイリーにあやかってナミは自分で稼ごうとエントリーをしようとしていた。ウタもそれを見て行こうかと悩んだがルフィは既に自分にメロメロと思って止めようとした。

 

『そしてなんと今回は“海賊女帝”ボア・ハンコック様も参戦です!!』

 

司会がそう云うとステージにハンコックが上がってきた。自信満々な感じで男も女もその強さからくる美貌でメロメロにすると観客席にいるルフィが見えた。カタクリとまだ掴み合っているがあまりの会場の熱狂が気になって2人ともこっちを向いていた。

ハンコックはルフィを見ると咄嗟に顔が赤くなったが隣にいるウタを見て一気にそれが冷めた。

ルフィを愛するハンコックはルフィが嫌がる事は死んでもやりたくない。ウタもムカつきはするがバルトロメオに共に負けた事で友情を感じているのも事実。しかし、それはそれとして元来の海賊としての気質が勝ってるのかルフィの愛を奪いたいと考えていた。

 

(ルフィ、妾は今でもそなたに恋してるぞ)

 

そう思ったハンコックはルフィに向かってウィンクを飛ばした。目からハートがズキュンとルフィに向かって飛んでくる。

 

「んっ?」

 

ルフィはもうスピードで飛んでくるハートに首を傾げた。そしてハートはルフィの胸を貫かなかった。何故ならウタがルフィに当たる寸前で手を出してそれを止めたからだ。

そしてウタはそのハートを握り潰すとハンコックを思いっきり睨み、ハンコックもウタを睨んだ。

 

「ルフィ、アタシこれに出るよ・・・ちょっと決着をつけないといけない相手がいるから・・・」

 

ウタはそう云うとアナナを膝から下ろしてエントリーしに言った。

 

 

 

 

 

〇〇〇

『さぁ、皆さん!!今から行われますは古今東西の美女達が美しさを競い合う、ミス・コンテスト!!そして今回は“海賊女帝”ボア・ハンコック様に“歌姫”ウタ様、更には“泥棒猫”ナミ様など豪華な人達がエントリーしてくれています!!』

 

司会の言葉に黄色い声援が上がった。ハンコックはそれに対して冷たい感じだったがウタやナミ、他の参加者達は笑顔で手を振っていた。

 

「むぅ・・・ウタのヤツ・・・」

「嫉妬深い男は嫌われるぞ」

「ルフィお兄ちゃん、カッコ悪い・・・」

 

ルフィはウタが他の男達にも手を振ってるのを観客席から見て不満だった。カタクリは嫉妬深いルフィをたしなめてアナナは呆れていた。

 

『それでは競技は3つでございます!!先ず、最初は瓦50枚割です!!』

「ってちょっと待ちなさい!!」

 

司会の声と共に参加者達の前に瓦が50枚積まれたのが来るとナミが早速ツッコんだ。

 

『はい、何でしょうか?』

「何でミスコンで瓦を割らないといけないのよ!!」

『今大会は女ヶ島の美しさを基準としつつ、一般人の参加込みですので色々と調整した結果こうなりました!!武器をお持ちの方はお使い下さい!!第2競技はファッション対決!!最終競技は魅力対決となります!!』

 

司会の容赦のない説明に多くの参加者が冷や汗をかいていてウタも冷や汗をかいていた。

 

「えぇ~、噓〜・・・」

「フッ、では諦めるのじゃな・・・ルフィの隣にいるのにこんな児戯を難なくとこなす強い妾が相応しい」

 

冷や汗をかいてるウタに隣りにいたハンコックはそうやって失笑するとカチンと来たのかウタはハンコックを睨んで脚にロープを巻いた。

 

『それでは始め!!』

「でぇぇぇい!!」

「生温いわ!!」

「あ、意外に簡単に割れるわね」

 

開始の合図と共にウタとハンコックは踵落としで瓦を全て粉砕し、ナミは天候棒で粉砕した。他の参加者達もウタ達程ではないが割っていき、結果大半の参加者が残った。見ていた者達の多くは背筋に冷や汗を感じていた。それはルフィも例外ではなくウタが瓦を全て粉砕したのを見て少し青ざめた。アナナは目をキラキラと輝かせていてカタクリは平時と変わらなかった。ロビンはあらあらと何時もの感じで見ていた。

 

こうして多くの参加者達が第2競技のファションへと進んだ。

 

『それでは皆さん、続きましてはファッション対決です!!それぞれの魅力的な衣装の姿をご堪能下さい!!なお、審査員はアマゾン・リリーのご意見番であるニョン婆様にしてもらいます!!』

「情け容赦なく決めさせてもらうぞ!!」

『エントリーナンバー1番、“泥棒猫”ナミ様!!』

 

司会の合図と共にナミが裏からステージに入ってきた。服装はアラバスタの伝統衣装の踊り子の姿だった。

 

『あれはアラバスタの踊り子の服ですね!!』

「自信に溢れとるニョ、完璧に着こなしておる」

 

ナミはカツカツとステージを歩いて軽やかにターンすると会場の裏に戻っていった。初っ端から盛り上がる展開となって会場は熱気が包んでいた。

その後、次々とナミの自信溢れる姿に影響されてか他の参加者達も恥ずかしがらずに素敵な姿を見せていた。

 

『続きましてはエントリーナンバー25番、“歌姫”ウタ様!!』

 

司会の合図にウタが会場の裏からステージにやってきた。ルフィとカタクリは初めてこれで少し前のめりになって見た。

そして現れたウタの服はワノ国の伝統衣装である和服でしかも7色のカラフルなやつだった。

 

『あぁっと!!これは和服だ!!ワノ国の伝統衣装で美しい!!』

「うむ、可愛らしい感じでよく似合っておる」

 

実はこの服はワノ国での戦いが終わった後でナミやロビンがウタにお土産として買ったやつだ。ルフィもカタクリもウタの見慣れない姿に目が離せなかった。ロビンはウタがお土産の服を着てくれた事を嬉しく思いつつ、目を離せられないルフィとカタクリにアナナを見て笑った。

ウタはそのまま元気よくターンして会場の裏に戻っていった。その後も何名か続いて残るはトリのハンコックのみだった。

 

『最後を飾るのはエントリーナンバー30番、“海賊女帝”ボア・ハンコック様!!』

 

司会の合図と共にハンコックがステージに入ってきた。

そして何時もの赤い服や紫の服ではなく、黒と白を基調としたウタと初めて会った時の服をしていた。

普通の服装に最初は司会や観客は戸惑っていたが段々とそのハンコックが持ってる自信に満ち足りた姿を見てるとメロメロになっていった。

 

『おぉ!!流石ハンコック様!!美しさが留まることを知らない!!』

「自らの魅力で服をより魅力的に見せておる・・・これはトップじゃニャ」

 

色眼鏡をかけてみないようにしていたニョン婆もこれには何も文句を言えなかった。

こうしてハンコックは第3競技に進む10名の中でトップで突き進んでいた。次点はウタでナミは3位だった。

 

『さぁさぁ、盛りあがっていたミスコンもいよいよ大詰め!!最後の競技はアピールです!!強さを見せるもよし!可愛さを見せるのも良し!美しさを見せるのもよし!!それぞれが自ら考える魅力的な姿をお披露目下さい!!なお最後の競技である為、審査員は会場にいる全ての人達が行います!!全ての参加者がアピールを終えた後で自らが素敵と思われる方に票を一票入れてください!!なお、アピール時間は1分とさせていただきます!!』

 

司会の合図で参加者達が続々とそれぞれが考える自分の魅力的な姿を見せていって次はナミだった。

 

『それでは“泥棒猫”ナミ様、どうぞ!!』

 

ナミはステージ上で天候棒を出すと雷雲を出し始めた。そしてもう暗くなってきた空に向かって天候棒を振りかぶった。

 

「行くわよゼウス!!」

「了解、ナミ!!」

 

ワノ国で天候棒に入ったゼウスの力でナミはより強力になった雷を天に向かって飛ばした。

 

「雷霆!!」

 

極太の雷が天に向かって飛んで行った。多くの観客がその光景に唖然となった。

 

『こ、これはなんと云う事だ!!これが四皇の幹部の実力なのか!!極太の雷を出現させて天に向かって飛ばした!!』

「賞金は貰ったわ♪♪」

 

自信たっぷりに笑うナミもまた魅力的で会場は大熱狂だった。カタクリとアナナはゼウスが何故かナミの天候棒に入ってる事に首を傾げてルフィはナミだと拳で殴った方が強いのではと失礼な事を考えていた。

 

『それでは“歌姫”ウタ様、どうぞ!!』

 

ウタは動きやすいようにライブの衣装ではなくズボンとシャツといういつもの服に着替えるとロープを持って自在に操り始めた。時には素早く回転させて棒のように時には脚や腕に巻き付けてそこから突きをしたり、蹴りをしたりとバギーの所で鍛えた姿を見せていた。

そして全てが終わると投げキッスをした。

ルフィとカタクリはそれに見事に撃ち抜かれて胸を抑えた。

 

『これは何という美しくも強い姿だ!!ロープを自在に操り、見るものを翻弄するとは!!四皇“麦わら”のルフィと“将星”カタクリが骨抜きにされるのも分かる!!』

 

司会の言葉にウタは顔を赤らめた。そしてルフィやカタクリの方を見るとルフィは顔を赤くして呆然となっていてカタクリはファーで頑張って隠していた。

ウタはその姿を見ると笑い、ステージを後にした。

その後も参加者がアピールしていって最後にハンコックだった。2回連続でハンコックがトリだがこれに関してはハンコックの美しさを考慮しての事だった。

 

『それではハンコック様、どうぞ!!』

 

司会の合図と共にハンコックがステージにカツカツと歩いてくると中央で止まった。そして観客席を少し見ると笑った。

 

「そなたら、妾は信じておるぞ。そなたらがこの妾の美しさを理解しておると」

 

ハンコックはそう微笑み、長く黒い髪を耳にかけて言ってウィンクを飛ばした。

 

『キャ〜〜〜〜〜!!!!』

 

ウタやナミのように派手な事は一切してないがそれだけで会場は魅了された。決して揺るがないと信じ切ってる自分の美しさ、そしてその自信溢れる姿から出てくる強さと多くの観客たちが石になった。因みにハンコックは一切能力を使ってないのですぐに元に戻ったが大勢がハンコックにメロメロになっていた。

 

『こ、これは何という自信溢れる姿!!・・・・・美しい!!・・・もはや他の言葉で表現する事自体が失礼に当たる程の美しさ!!』

 

司会までメロメロになっていた。

そして全ての参加者達がアピールを終えると最後の投票になった。ルフィ、カタクリは当然ウタに入れて、アナナはハンコックに入れた。

 

『それでは集計結果を発表します!!第一位は・・・全200票中186票を獲得した“海賊女帝”ボア・ハンコック様!!』

 

優勝したのはハンコックだった。というか全体の93%も取っていた。対するウタは13票でナミはロビンが入れてくれた1票だけだった。ウタはハンコックに負けた悔しさ、ナミは結構頑張ったのに1票しか取れなかった悔しさに打ちひしがれていた。

 

『それでは皆様、優勝しましたボア・ハンコック様にもう1度盛大な拍手を!!』

 

司会の言葉にルフィやカタクリも含めた観客席は拍手をした。ハンコックはステージ上でルフィが拍手してるのを見るとルフィに向かってウィンクした。そしてハートは今度こそルフィに当たった。

ウタはルフィにハートが当たったのを見るとより敗北感を味わって苦い顔をしながらルフィの元へ戻っていった。

 

 

 

〇〇〇

「フフフ、ルフィが妾に拍手を・・・これで妾に!!」

 

ハンコックは上機嫌になりながらルフィを探していると見つけた。しかし、嬉しさも吹き飛んで固まった。

 

「ルフィ〜、本当の本当にアタシ以外の人にメロメロになってないんだよね!?」

「だから、何回もそう言ってるだろ?」

「・・・ふん、どうだか・・・アタシは結局1番になれなかった女だし・・・」 

「それなら俺だってカタクリに負けたぞ。どうやったら信じてくれるんだ?」

 

見たのはルフィとウタが痴話喧嘩をしている所だった。ウタはルフィが他の女やハンコックにメロメロになってない心配でしょうがなかった。ルフィはメロメロになったのは本当にウタだけなので本音を言ってるのだが信じて貰えなかった。

ウタは困ってるルフィにそう言われると顔を背けたままルフィの目の下の傷を撫でた。ルフィは顔を背けられて首元が赤くなってる事しか分からなかったが撫でられると笑ってウタの顔を自分の方に向けてキスした。

 

ハンコックはそれを遠くから見てるとありえないくらいの敗北感に膝を地面につけた。

 

「な、何故じゃ〜・・・」

 

悔しさに打ちひしがれてるハンコックに同じように敗北感を味わってるカタクリが近くにやってきて、アナナはルフィとウタのキスを顔を赤くしつつも目をキラキラとさせて見ていた。

 

「何故こうなるのじゃ・・・」

「勝利とは虚しいものだ・・・」

 

正しく2人は戦いに勝って勝負に負けてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「いやぁ、良い賭けだった!!」

「レイリーさん、俺に言ってくれれば幾らでも渡しますよ!!」

「親に金を貸そうとするな!!それほど落ちぶれないぞ」

「痛っ!」

 

500万ベリーを手に入れて上機嫌になりながら酒を飲んでるレイリーにバギーがそう云うと軽く頭を叩かれていた。

 

「本当に仲の良い2人ね」

 

シャッキーはお酒を飲みつつもレイリーとバギーの姿を微笑ましく見ていた。




















ということで新年一発目はルフィVSカタクリ&ウタVSハンコックですwww
いや、本当にこんなの書いて良いのかなと思いつつも笑える方向にはきれる内にやっておかないと後が辛いのでやりましたwww
そして腕相撲で勝つのはレイリーwww
カタクリ、ハンコック・・・本当にごめん。
後で本当に絶対に格好いいシーンを書くからちょっと待っててね。


次回はお風呂回かつヤンデレ回だと思います。
かなりたっぷりR-18にならないようにやります!!

今話の曲は『ADVENTURE WORLD』とQueenの『We Will Rock You』です。
Queenが大好きなんですよ。
絶対に最終章のタイトルのどれかにQueenの曲を入れたかったので出来て良かったです。
後、一曲マジで入れてぇ・・・Don't stop me nowを入れてぇ!!

次回のタイトルはウタカタララバイ/Don't Blame Meになると思います・・・洋楽が多いな・・・いや、邦楽も入れたいけど・・・合いそうなのが中々・・・


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ウタカタララバイ/Whistle For The Choir

皆様、遅れて申し訳ございません。
色々と忙しくて時間が取れずに遅くなりました!!
それではどうぞ!!


腕相撲大会とミスコンが終わって辺りはすっかり夜になっていた。ルフィとウタはあの後、出店を少し回ってからサニー号に来るとゾロとジンベエは酒盛りをしていて、ヤマトとチョッパーとウソップはお菓子を食べていてブルックはギターを弾いていてサンジはBBQの続きをして肉を焼いていて、ずっと船番をしていたフランキーはコーラを飲んでいた。ナミもミスコンでの悔しさが残っていたのか自棄酒をし始めていてロビンはそれを見ながら、キリの良い所で止めようとしていた。

 

「おっ、ルフィにウタちゃんも来たか」

「おぉ~、サンジ美味そうだな!!」

「昼とは違ってキノコとほうれん草のホイル焼きとか鉄板を使った鶏むね肉の蒸し焼きとか色々と変えてあるから楽しみにしとけ。ウタちゃんの分もちゃんとあるからねぇ〜♡」

「流石、サンジ!!」

「ありがとうサンジ!!」

 

サンジの説明にルフィやウタは嬉しくなってると突然とウタはルフィの腕を引っ張った。

 

「ルフィ、ほらこっちで一緒に食べよ♪♪」

「そうだな♪♪先に飯だ♪♪」

 

ナチュラルにイチャつき始めてるルフィとウタに対してサンジは血の涙を流しそうになったが正式に付き合ってる2人に対してそう思うのも自分のプライドに関わるのでサンジは堪えようとしていた。

 

「おい、嫉妬眉毛。つまみを寄越せ」

「ほらよ・・・って誰が嫉妬眉毛だ迷子剣士!!」

「誰が迷子になるか!」

「いや、今日だけで何回も迷子になっておったぞ」

 

酒盛りのつまみを渡した後でサンジはまたゾロにキレたが自分の料理を手に持ってる状態で蹴りを入れる筈もなく、サンジとゾロは口喧嘩を始めて今日1日行動を共にしたジンベエはゾロに対して率直な意見を述べていた。

 

「ルフィ〜、これ美味しいよ!」

「うめぇ~うめぇ~!!」

 

ウタはサンジから貰ったキノコとほうれん草のホイル焼きを貰ってルフィはガツガツと肉関係を食べていた。

 

「あら?ルフィに食べさせてあげないの?」

「えぇ~、ロビン。無理だよ・・・恥ずかしいし・・・ルフィは食べるのに夢中過ぎてあんまり・・・」

 

お酒を軽く飲んでいたロビンがウタにそう聞くと顔を赤くした後で何処か呆れ顔になった。ロビンはそれに対して少し笑うとハナハナの実の力でルフィの口の近くに肉を持ってきた。

 

「ルフィ、はい」

「ん、ありがとうなロビン。あ~ん」

 

ルフィはそれを素直に食べさせて貰ってロビンにお礼を言った。それを見せられていたウタは思いっきり頬を膨らませていた。

 

「厶〜っ!!ウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノウワキモノ」

「ウタ、お前怖えぞ」

 

呪詛のように言いまくるウタにルフィは率直な感想をした。ウタはルフィを思いっきり自分の事だけを考えさせたいと思ったが折角作ってくれたサンジに悪いと思ったし、絶品の美味しい物を食べたかった。

すると良いアイデアを思いついたウタはルフィに対して肉を差し出した。

 

「ルフィ、あ、あ~ん」

「ん?くれんのか?あ~ん!!」

 

ウタのやった事にルフィは笑いながら食べた。するとウタは笑顔になって大きな口を上げた。

 

「・・・あ~ん・・・ルフィ・・・あ~ん」

 

ルフィは顔が赤くなってるウタが口を開けてるのを見ると肉を食わせようかと思ったがルフィはウタが先程まで食べていたキノコとほうれん草のホイル焼きを箸で掴むとウタに差し出した。

 

「ウタ・・・あ~ん」

「あ~ん♡」

 

ルフィに食べさせて貰ってウタはご機嫌になるとそのままドヤ顔でロビンを見た。するとロビンだけでなく、この絡みを見ていたナミやウソップ達もニヤニヤとこっちを見ていてウタはここで漸く誂われていたのに気づいて違う意味で顔が赤くなった。

 

「どうしたんだウタ?」

「な、何でもない!!」

 

ルフィに聴かれたがウタは何も答えたくなかった。ロビンに対して嫉妬してた事と全て誂われていただけと云うのは途轍もなく恥ずかしかった。

そんな風に悶々としながらも2人はご飯を食べ終えた。お腹を膨らませて横になってるルフィ。ウタ今のうちにお風呂を掃除してお湯を入れ終わってから甲板に戻って来るとそこにはヤマトの膝の上に頭を置いてるルフィがいた。

ウタは一気にまた頭が冷えてきた。

そのままゆっくりとルフィとヤマトに近づくと2人に聴いた。

 

「ねぇ・・・なんでルフィはヤマトの膝の上に頭を置いてるの?」

「あ、ごめんごめん。僕が置くように言ったんだ。フカフカの甲板だけどそっちの方が楽になると思ってね」

 

ヤマトに悪意がないのが分かるとウタは少しホッとしたが自分がいるのに他の女の膝に頭を置いてる自分の恋人に腹が立ってきた。

 

「ルフィ・・・・・コッチニキテ・・・・・」

「ん?どうしたんだ?」

「イッショニオフロニハイルヤクソクダッタデショ?」

「おぉ!そうだったな悪い悪い!!」

 

ウタは何をやったのか気づいてないルフィをそのまま風呂に連れて行った。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタとルフィは風呂場に来て一緒に入った。

 

「ウタ、俺ちょっと出とくから先に入れよ」

 

以前、一緒に入った時はヘタレなルフィを先に入らせてからウタが入ってきた。ルフィとしては脱ぐ時は別の方が良いと思って風呂場から出ようとしたがウタはルフィの腕をガッシリ掴んだ。

 

「今日は一緒に脱いで入ろう」

「そうか、分かった!」

 

ウタがそう云うとルフィも快く了承し、2人は服を脱ぎ始めた。

 

(うぅ~、ルフィと一緒に服を脱ぐって恥ずかしい!!音が・・・音が!!・・・でも一緒に居ないとどんな女に目移りするか分からないし・・・ルフィはずっと鈍感だし!!!・・・アタシばっかり嫉妬して・・・ムカつく!!!!)

 

恥ずかしさから自分ばかり嫉妬していると思ったウタは腹立たしくなってきた。尤もルフィもルフィで嫉妬は普通にしていたがウタにバレていないだけだった。

 

「ウタ、先に入って・・・」

「待ってルフィ・・・手を繋いで・・・」

 

先に服を脱ぎ終えたのでルフィは風呂に入ろうとしたがウタに手を握られたので一緒に入った。

 

「ルフィ、先に座って・・・」

 

ウタにそう言われたルフィは素直に先に風呂椅子に座った。そして前と同じように頭にザバっとお湯をかけられた。ルフィは頭を洗われるかと思ったがウタは自分の前に風呂椅子を置いて座った。

そして自分の頭にお湯を被せるとルフィと向き合った。

 

「きょ、今日はさ・・・あ、洗っこしようよ!!あ、アタシはルフィの頭とか体を洗うからさ・・・ルフィはアタシを洗ってよ・・・ダメ?」

「別に良いぞ」

 

ウタがそう聞くとルフィも笑って答えた。お互いにシャンプーを手につけて互いの頭を洗い始めた。以前とは違ったやり方にウタは恥ずかしさを感じつつもルフィの笑顔が見れて幸せであり、ルフィも笑ってるウタを見て嬉しかった。

 

「ルフィ・・・その洗いにくくない?」

「シシシ、ゴムで伸びるから大丈夫だ」

「それなら良かった」

 

ウタの長い髪もルフィが手を伸ばして難なくと洗っていて頭が泡だらけになった。お互いにお湯でそれを洗い流すと今度は布に石鹸をつけた。

 

「次は体も洗いっこしようよ」

 

ウタの言葉にルフィは首を傾げ始めた。やけに今日のウタは色々と焦っているように感じてルフィは段々と心配になってきた。

そのまま自分の体を洗おうとするウタをルフィは肩を掴んで止めた。

 

「ル、ルフィ・・・どうかしたの?」

「ウタ・・・なんかあったのか?」

「・・・ルフィがそれを聞くんだ・・・」

「それってどういう・・・んむ!?」

 

首を傾げて聞いてくるルフィにウタはキスした。というよりも口でルフィの口を塞いだと云うのが正しい。そのままウタはルフィを風呂場の床に押し倒して馬乗りした。

 

「ウ、ウタ?」

 

ルフィは困惑しながら見るとウタの雰囲気が違っていた。何故か怒っているのだけルフィは分かるとその理由が聴きたくて起きようとしたがウタに押さえつけられていた。

 

「ルフィ・・・アタシね・・・そんなに良い女じゃないんだよ・・・嫉妬だって物凄くするんだ。ずっとね、ルフィが他の女の人と一緒になってたらって思って不安だったんだ・・・ルフィは鈍感だからそんなの全然気にしてなくて・・・はっきり言って凄いモヤモヤする」

「ウタ・・・」

「今日だってアタシばっかり嫉妬して・・・ルフィは普通で・・・重い女ってのは自覚してるんだよ・・・けど最近は抑えられなくて無性にイライラするし・・・こんなダメなアタシだけど・・・キレイニキモチヨクデキルカラ・・・オイテカナイデ」

 

ウタはそうやってルフィにもう一度キスしようとしてきたがルフィはウタに手を回して上下を反転させた。

 

「ルフィ・・・ナニシテ・・・」

「俺はそんなのされても嬉しくねぇ!!俺が好きなのはウタだけだ!!」

「ルフィ・・・んむ!?・・・バッ!!んあっ!!」

 

ルフィはウタにキスした。ウタが離れさせようとしても無視して続けた。そして暫くするとルフィとウタは離れた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ウタ、俺が本当に好きなのはウタだけだ。信じてくれ・・・」

「ルフィ・・・ごめん・・・」

 

ルフィにそう言われて落ち着いたウタは暴走した自分が恥ずかしくて俯いてるとルフィに抱き締められて起こされた。風呂場の床に腰を下ろして、前と同じようにぐるぐると体ごと巻かれて密着した。鼻先が当たるくらいまで顔を近づけてルフィは話し始めた。

 

「それにモヤモヤしてるのはお前だけじゃねぇ」

「え?」

「今日だってカタクリも応援してるお前を見て凄いモヤモヤした。ミスコンってやつに出てた時に他の奴らに手を振ってて凄いムカついた・・・」

 

ウタはそんな風に言ってくるルフィを見るとルフィは顔を赤くしてそっぽを向いた。恥ずかしくてあまり知られたくなかった事を赤裸々に言って堪えきれなくなったのだ。ウタはそんなルフィに嬉しくなるとルフィ顔を背けながら言った。

 

「なんかあったらよ、俺に言え・・・その・・・変えたくねぇもんはいっぱいあるから変えられねぇかも知んねぇけど、愚痴は聴いてやる・・・」

「なら、ルフィもちゃんとそれを教えて欲しいなぁ・・・アタシばかりだと凄い不公平だもん」

 

ルフィの言葉に甘えてウタは耳元に口を持ってきて囁やき始めた。

 

「別に治して欲しいわけじゃなくて愚痴りたいだけだからね」

「分かってるよ」

 

ウタはそう云うとふぅ~っと軽く息を吐くと愚痴り始めた。

 

「アタシだけを見て・・・他の女に言い寄られてもはっきり断われ・・・特にハンコック・・・ルフィの鈍感・・・浮気者・・・」

 

ウタがそう愚痴るとルフィはウタの耳に口を持ってきて囁やき始めた。

 

「ウタだって・・・カタクリにあんな愛想よく笑うな・・・他の男に簡単に笑顔を向けるな・・・ウタだって鈍感だ・・ムゥ・・」

「・・・そんな風に思ってたんだ・・・」

「あんまり言いたくなかった・・・ウタにこんなの向けたくなかった・・・」

「アタシは向けて欲しいな・・・ルフィにそう思われるのは嬉しい・・・」

「俺は嫌だ・・・」

「言わないとアタシだけ恥ずかしいからダメ」

「ウタの愚痴くらい幾らでも聞いてやるよ」

「アタシだってルフィの愚痴を聴きたいんだから・・・」

「分かった・・・」

「他にはないの?」

「・・・実はドレスローザで会った時からモヤモヤしてた・・・あの宴でロメ男と話してる所を見てモヤモヤした」

「フフッ、へぇあの時からか〜・・・」

「それに・・・ウタが危険な目にあったって知るとすげぇ怒りやすくなる・・・止まらなくなる」

「アタシもそう・・・ルフィが危険な目に会うとやった奴に怒って・・・止まらなくなる」

「・・・悪い・・・こんなのウタには本当に向けたくなかった」

「良いよ・・・そこを含めて好きなんだから・・・向けて良いよ」

「そうか」

 

2人はそんな風に囁いて顔を見合わせると2人は額をくっつけて笑った。

 

 

 

 

〇〇〇

風呂場でその後、ゆっくり浸かって出た2人は寝間着に着替えてサニー号の船首の上に腰を下ろしていた。風邪を引かないように1枚の毛布を一緒に被って海を見ていた。

ルフィはウタにある事を言い始めた。それは自分からやりたくなかったがウタの為に必要な事だと思った。

 

「ウタ・・・シャンクスは来る・・・」

「・・・ルフィ・・・」

「安心しろ・・・絶対に来る・・・娘が頑張ってるのに来ない親じゃねぇよ」

「・・・そうだよね・・・来るよね・・・ジャングズばぎっど来る”よ”ね”」

 

ライブの1日目が終わる・・・ウタが来てほしかった父親である赤髪海賊団は来なかった・・・ルフィは大喧嘩をして、来てくれたのに赤髪海賊団は来ず、ウタはルフィにそう言われると安心して泣き始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

ビックトップ号の甲板ではバギーとレイリーが酒を飲みながら海を見ていた。

 

「シャンクスは来なかったな・・・」

「まだ1日目っすよ、レイリーさん」

「・・・事情はあると思うがウタちゃんにやった12年間の事を聴くと心配になる・・・」

「レイリーさん・・・」

「ロジャー海賊団は20年も前の事であいつにも色々とあった。ひょっとしたら昔のシャンクスでは無いのではとそんなクソみたいな事を考えてしまう・・・」

 

レイリーはシャンクスとウタの詳しい事情はバギーズデリバリーの時に初めて知った。そしてシャンクスを信じたい気持ちが無くなったわけではないが不安が出来てしまった。

 

「あいつは戻ってきましたよ・・・」

「ん?」

「でないと喧嘩なんかしねぇ・・・あいつは今でもロジャー海賊団です・・・ロジャー海賊団は仲間を見捨てない・・・」

 

そうバギーははっきりとレイリーに言った。レイリーはそれを聞くと嬉しくなった。力は強くなってない、けど確かに強くなったバギーに感慨深い気持ちになった。

するとレイリーは酒グラスをもってバギーに酒を注いだ。

 

「ほら」

「あ、レイリーさん!すみません・・・」

「良いんだ・・・バギー・・・ロジャーも今のお前を見たら喜ぶだろう」

「・・・レイリーさん・・・俺、カタギに手を出した・・・」

「・・・そうか・・・」

「ロジャー船長は絶対に許さなかったのに・・・俺は・・・金欲しさにやった・・・船長の名前から逃げたかったから・・・」

「・・・バギー・・・」

「・・・レイリーさんはロジャー海賊団って言ってくれたし・・・シャンクスと喧嘩した時にも逃げねぇって言ったけど・・・俺はもう・・・ロジャー海賊団じゃない・・・」

「・・・そうだな・・・ロジャー海賊団は20年以上前に解散してる・・・新しい生き方を見つけないとな・・・」

「・・・でも・・・2年前にバレて・・・1年前にウタを助けてから・・・見るんだ・・・ロジャー船長の夢を・・・そしたら・・・会いたくなって・・・でも会わせる顔が無くて・・・」

「バギー・・・もう言うな・・・分かった・・・」

 

レイリーはバギーの言葉を止めた。これ以上は言ってる本人が苦しむだけだと思ったからだ。

 

「レイリーさん」

「今日は飲もう・・・そして3日間のライブが終わったら・・・あれを歌おう・・・宴好きなロジャーの事だ。ひょっとしたら化けて出るかも知れない・・・ロジャーも楽しく歌ったあの歌を歌って・・・もしも会えたらその時に言えば良い・・・」

「あの歌・・・そういや何年も歌ってねぇな・・・」

「たっぷり歌って楽しもう・・・ウタちゃんやシャンクス、ルフィにルフィの仲間達・・・そしてお前の仲間達にシャンクスの仲間達・・・他にも色んな奴を混じえて騒いであいつが羨ましくて出てくるくらいにな」

「・・・だったら・・・その時はおでんを食いてぇな」

「良いな・・・最高のチョイスだ」

 

バギーとレイリーはそのまま、海を見ながら酒を飲んでシャンクスを待っていた。

 

 

 

 

 

しかし、シャンクス達は来なかった。

こうしてライブの1日目が終わった・・・

















というわけでお風呂回でございました!!
純粋にルフィとウタがイチャイチャやってるだけなんですがね・・・これが難しくて・・・
次回はライブ2日目でバルトロメオとか麦わら大船団を出したいので頑張ります!!

そして前回、次回のタイトルを言いましたが変更しました。
『ウタカタララバイ』と『Don't Blame Me』でしたがThe Fratellis『Whistle For The Choir』に変更しました。和訳を見て今回の話を書いてるとルフィの嫉妬心が意外に多く出たのでルフィに合わせました。

ご興味のある方は和訳を見て聴いてください。風呂場のシーンはずっとこれが流れてるイメージで書きました。


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Before Dawn/スマイル

お待たせしました!!
帰郷から戻ってきたりと色々とここ数日は忙しくて出来ませんでした。ですが戻ってこれたのもあって2日に1回出せるように頑張ります!!


ライブの2日目。

ウタはサニー号で起きた。

あの後、一緒に寝たウタは目を覚ますと隣には寝ているルフィがいた。珍しく布団を確りと被っていた。

 

「布団を確り被ってるって珍しい・・・」

「スゥ・・・スゥ・・・」

「相変わらずルフィの寝顔はカワイイな・・・どんな夢を見てるのかな?」

 

ウタはルフィに顔を近づけて寝言でも聴こうとしたがルフィは何も言わずにただ寝返りを打った。ウタはそのままゆっくりと口を耳に近づけた。

 

「あ・・・ふ~ん・・・ちょっといたずらしちゃお♡・・・ちゅぴ・・・」

 

ウタはルフィの耳を唇で挟んだ。そしてそのまま耳を弄り始めた。

 

「あむ・・・んむ・・・」

 

耳をそのまま唇で弄っていたウタだが一旦唇を離して次は舌をチロっと出してそのままルフィの耳を舐め始めた。

 

「れろ・・・ちゅぷ・・・ずずっ・・・」

「・・・んんっ・・・スゥ・・・スゥ・・・」

 

舐めていたウタは舌をルフィの耳の穴に入れた。するとルフィは身を動かしはしたがまだ横になっていた。ウタは舌で弄るのを止めるとルフィにまた囁き始めた。

 

「・・・ルフィ・・・愛してるよ・・・世界中の誰よりも・・・今日のライブも頑張るから・・・終わったらデートしようね・・・」

 

ウタはそう言ってルフィの頭を軽く撫でるとライブの予定の為に部屋を出た。ドアが閉まる音を聴いてルフィは起き上がって耳を軽く触った。本当はずっと起きてたのだがこれからウタのライブと言うこともあって早く用意をするのは昨日から知っていた。なので下手に話すと時間が無くなると思って寝たふりをしていた。

 

「耳は舐めるなよ・・・」

 

一方、ウタは甲板に降りてそのままサニー号から降りようとしていた。

 

「おっ?起きたのかい、ウタちゃん♡」

「あ、サンジ。おはよう!」

「おはよう♡朝ご飯はもう出来てるよ〜♡」

「早いなぁ〜!食べていい?」

「勿論♡」

 

しかし、一味でも料理の仕度で朝が早いサンジがそれに気づくと朝ご飯に呼び、ウタもサンジのご飯は好きなので食堂に入った。

 

「ウタ、お早う!」

「お早うヤマト!」

 

食堂にいると青のカーゴパンツに白シャツに青のジャケットを羽織ってるヤマトがもう朝ご飯を食べていた。

 

「早いね」

「ライブがあるからね、ヤマトも早いじゃん」

「おでんもこれくらい早起きだったらしいからね!!」

「おでん?」

「君も光月おでんに興味があるかい!?・・・あ、でも時間が無いから・・・また今度でいいかな?・・・たぶん何時間かかかるし」

 

ヤマトの言葉にウタはやっとおでんが食べ物じゃなく人の名前だと理解した。

 

「そんなに掛かるんだ・・・本当に好きなんだね」

「大好き!!心から尊敬してるんだ!!」

 

目をキラキラさせて話してるヤマトにウタは自分が尊慶してる歌手のカリーナやマリアナポレとかの話になると1日以上掛かる事を思い出すと納得し、親近感が出た。

 

「ウタはそういう人っている?」

「・・・う~ん、話したらたぶん1日は掛かる・・・」

「やっぱりそれくらい掛かるよね!?」

「だよね!?」

 

ウタとヤマトはお互いに親近感が出て盛り上がりながらサンジの作ってくれた朝ご飯を食べた。その後、ウタはサニー号から降りて鼻唄を歌いながらライブ会場へ向かった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

他の面々もそれぞれ起き始めて朝ご飯を食べ終わってライブまでのんびりしていた。ナミが起きて食べてるとルフィが耳を抑えながら食堂へ入ってきた。

 

「ルフィ、おはよう」

「あぁ・・・はよ・・・」

「ちょっと、どうしたの?耳なんか抑えて・・・もしかして・・・」

「な、なんでもねぇぞ!別に俺はウタに・・・」

 

ルフィは誂おうとしてくるナミにそこまで自爆すると口を抑えたが既にナミはニヤケ面になっていて聞いていたサンジは歯軋りしながら睨んでいた。

 

「へぇ〜、何をしてもらったのか話して貰おうかしら」

「ぬぉぉぉぉ!!何故、お前ばかり!!チクショー!!俺も今日は素敵な出会いを!!!!!」

 

サンジはハンカチを噛み締めながらそう叫んでいてナミはルフィから何があったのか聞こうと隣に座らせた。

ルフィもそこまで来ると観念したのかウタに耳を弄られた事を言うとサンジが嫉妬で燃え始めていた。

 

「チクショーーーーーーーー!!!!」

 

そんなサンジを尻目にナミは笑いながらルフィを見ていた。

 

「それで今日の予定は?」

「今日?・・・ライブを見たら昨日みたいに楽しむぞ。美味そうな出店がまだいっぱいあったからなぁ!」

「ねぇ、昨日は服屋とか雑貨屋に行ってないの?」

「行ってねぇな・・・ウタと一緒に食べまくってた」

「なら、今日はそっちの方にも行ってあげたら?喜ぶわよ」

 

ナミの言葉を聞いてルフィは顔を歪ませた。食べるの大好き、盛り上がるの大好きなルフィに服屋や雑貨屋の面白さは分かりにくかった。

 

「あんたそんな顔してるとウタに嫌われるわよ」

「なっ!?そうなのか!?」

「そうよ〜、自分の事だけやってると女ってのは優しい大人の男の方に靡くもんなんだから」

 

ナミはそうやってルフィを誂った。ウタがそんなのでは絶対に別れないのは知っていたのでそれを込みで誂ってみるとルフィは少し青くなっていた。

 

「分かった・・・」

「もし良かったら何処を回れば良いか教えてあげよっか?昨日、ロビンとあちこち回ったし」

「本当か教えてくれ!」

 

ルフィがそう言うとナミは手をすっと出してきた。

 

「なんだこれ?」

「10万ベリー」

「ナミが小遣い管理してるから俺、持ってねぇぞ」

「そうねぇ、じゃ後で何かで返してね♪」

「分かった」

 

ナミは冗談半分でそう言うとルフィに昨日、ロビンと回って良かった安くて品数が多い店を紹介した。勿論、それだけだとルフィもちゃんと覚えないと分かりきってるので近くの食べ物屋も教えて覚えさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃。

とある船がエレジアにやってきた。

 

「よし、早く着くべ!!遅れて1日目はこれなぐてルフィ先輩に申し訳なかったが今日から2日間、ちゃんと応援するべ!!」

『オォー!!!』

 

バルトクラブ海賊団がライブ2日目になってやってきた。別に何処で寄り道したとかは関係なく本当に遅れただけだった。

 

「久しぶりだなバルトロメオ!」

「おぉ、キャベツ!!」

 

バルトロメオは自分の船の後ろから声が聴こえたので振り向いて見るとそこにはキャベンディッシュの船が同じようにエレジアに向かっていた。他にもサイにレオ、オオロンブス、イデオ達、ハイルディン達など麦わら大船団が集結していた。

 

そんな彼らに立ち塞がるように2つの船が対峙した。それは九蛇の海賊船とビックトップ号だった。

 

「何だべありゃ?」

「あれは海賊女帝と千両道化の船やい」

「ここの警備は彼らがやってると聴いている。恐らく、僕たちがカタギに手を出さないかどうかの確認だろう。こちらが手荒な事はしない限りは大丈夫な筈だ」

 

バルトロメオにサイ、キャベンディッシュはそうやって話し合いをしてると九蛇の船を引いてる遊蛇の頭に乗ったハンコックとレイリーが麦わら大船団に対して言った。

 

「君達はルフィの傘下だと思うが事実かね?」

 

レイリーの言葉に麦わら大船団の面々は首を縦に振った。レイリーは見聞色でそれが本当かどうか知るとライブ会場ではなく、本島の方に指をさした。

 

「悪いが海賊船は全て本島で止めて欲しい。そこまで誘導しよう。他や正規の港はカタギの船専用なのでな」

 

レイリーがそう云うと麦わら大船団は誘導にしたがって船を本島の方へ止めに行った。因みにカタギの船は12年間、ウタがシャンクス達を待っていた正規の港か本島とライブ会場を繋いでる所に止められていて海賊船は島の反対側へ停められていた。

 

そんな風に働いてる中でバギーはというと昨日レイリーと飲みまくったせいで二日酔いになって倒れていた。

レイリーはビックトップ号に戻ってまだ倒れてるバギーに呆れていた。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタの2日目のライブは大いに盛り上がった。1日目とは違って乱入してくる海賊もいない実に平和なライブだった。

 

ウタも気合たっぷりに歌いまくって盛り上げて2日目は終わった。ウタは少し疲れたのか楽屋でぐでーっと机に倒れていた。

 

「お疲れ様、ウタ」

 

ゴードンは歌いまくってるウタにホットミルクを渡すとウタもゆっくりと飲み始めて落ち着いていた。そんな楽屋に二日酔いだったバギーが回復したのか頭を抑えつつも入ってきた。

 

「よぉ、ウタ。お疲れだったな」

「バギーおじさん!・・・二日酔いで倒れてるんじゃ?折角のかわいい娘のライブも見ないなんて・・・」

「ちゃんと昼からは見てたわ!後、お前は俺の娘じゃねぇ!!」

「も~、ちょっとしたかわいい冗談だよ」

「な~にがかわいい冗談だよ・・・だ!!お前の冗談に俺様がどれだけ振り回されてきたか・・・」

 

ウタはバギーをそんな風に弄りつつも暗い顔をした。何故なら父親であるシャンクスが2日目になっても来なかったのだ。これには流石のバギーも頭を抱えそうになったが励まそうとウタの頭を撫でた。

 

「大丈夫だ。あいつは来る」

「おじさん・・・」

「色々とダメな所は多いし、ヘタレだがこの俺様が呼んでんだ。絶対に来る」

「・・・でも12年も来なかったし・・・」

「・・・そん時とは違うのがあるだろ?・・・」

「え?」

 

ウタはその言葉に首を傾げるとバギーはウタに優しく言い始めた。

 

「今はレイリーさんもいるし、クソ忌々しいがアホゴムもいる・・・俺もいる・・・お前の味方はここにいる」

 

バギーがそう云うとウタは抱き着いた。少し震えてるウタにバギーは何も言わずにただ撫でるのを続けた。暫くするとウタはバギーから離れて笑顔を見せた。

 

「もう良いのか?」

「うん!これからルフィとデートだし!!じゃ、後で!!」

「おぉ、そうか・・・って待て!!あいつとデートだと!?ちょっと待て!!」

「じゃあね!!」

 

慌てるバギーにウタは元気よく楽屋から逃げた。バギーはそんなウタに対して溜息が出ると楽屋にあった椅子に座った。

 

「バギー君、本当にありがとう。君がウタを助けてくれたお陰で彼女は本来の自分を取り戻した」

「ギャハハハハハハ!!ありがとよ!!後はシャンクスがウタにボコボコにされれば終わる話だ・・・ったくあのヘタレ・・・何処で寄り道をしてるんだか・・・」

「彼は・・・本当に来るのだろうか?」

「来る・・・あいつは来る・・・ロジャー海賊団は仲間を見捨てない・・・」

「・・・そうか・・・信頼しているのだね彼を・・・」

 

ゴードンにそう言われたバギーは鳥肌が立って身震いし始めた。本当に言われて嫌な言葉だったのでダメージが大きかった。

 

「止めろ!!俺様はあんなバカはどうでも良いんだよ!!ウタがただ暗くなるのが見たくねぇからやってるだけであんなハデバカはどうでも良い!!」

「そ、そうなのか・・・すまない」

「2度と言うな!!・・・なぁ、ウタとあのクソゴムが気にならねぇか?」

「ウタと・・・ルフィ君かい?それは気になるが・・・」

「・・・こっそり後をつけようぜ」

「なっ!?」

 

バギーの言葉にゴードンは絶句した。アラバスタの時にウタが心配でコブラの誘いに乗っかったら色々と酷い目にあったのを知ってるからだ。おまけにルフィとのデートはウタにとって本当に大事な事でそれをつけていたとバレたら、激怒したウタにぶっ飛ばされるのは目に見えていた。

 

「そんな事をしたらウタにぶっ飛ばされるぞ!悪い事は言わないバギー君、絶対にそれは止めるべきだ」

「ならてめぇはあいつが初夜を終わらせてるの知ってんのか?」

「何ーーーーーっ!?」

 

バギーはウタがルフィと初夜を過ごしたのをゴードンに教えると初めて知ったのかゴードンは驚いた。

 

「ウタ・・・あれ程、淫らな行いはしないように言ったのに!!」

「あんなにキスしまくってる奴らに淫ら云々を言ってもしょうがねぇだろ!?やるなら直接妨害だ!!」

「バギー君・・・ウタは天使の歌声を持つ素晴らしい子だ・・・それをこんなにも早く傷物にするとは・・・本当に2人の将来が心配になってきた・・・」

「よし、なら見に行こうぜ!!」

「・・・分かった」

 

こうしてバギー、ゴードンによる非常に下劣な妨害チームが生まれた。

一方、その頃ルフィとウタは無事に合流して手を繋ぎながら歩いていた。

 

「ウタ、今日は服屋とかを見よーぜ!!」

「えっ!?本当!!?」

 

ルフィが引っ張りながらそう言うとウタは嬉しくなりつつも食い物系にしか興味が基本的にないルフィがそんな事を言うのが少し不思議だった。

 

「最初は果物屋の近くにある奴に行こうぜ」

 

ルフィのその言葉を聞くとウタは食べ物ついでに覚えたなと思いつつもエスコートしてくれるルフィが嬉しくて手を繋ぐから腕に抱き着いた。

 

「ルフィ・・・今日はエスコートよろしくね」

「えすこーと?」

「それじゃ、服屋にレッツゴー!!」

「ま、良いか・・・ゴー!!」

 

ウタとルフィはそのまま服屋を目指して進んだ。その後ろでは昨日と同じように写真を撮っているモルガンズ・・・別の場所では2人が気になって付いていく事にしたバギーとゴードンがいた。

ライブの2日目はまだ終わらない。





















というわけで無事に麦わら大船団も合流です。
もう活躍シーンは出来てるのでお楽しみに・・・

そしてルフィとウタのデート2日目・・・果たしてこの2人がどうなるかは・・・お待ちを!!
ヒントを上げるなら“結婚”と“約束”です。

今話の歌は『Before Dawn』とホフディランの『スマイル』です。やっと邦楽を出せたよ・・・けど、なんでこち亀・・・


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Hard Knock Days/HALLOWEEN theme

1日空きましたが割りとここ最近では早く出せて良かったです。
それではどうぞ!!


ルフィとウタがデートを始めたライブの2日目。

エレジアの外・・・レッドラインの上にあるマリージョアで五老星達は頭を抱えていた。

それはバギーが昨日暴露した事だけではなく、“昨日から始まってるある問題”についてもだった。

 

「UTAが彼の娘とは・・・」

「仮にそれが事実ならフィガーランドの血筋の娘を暗殺する所だったな」

「まぁ、今は良い」

「そうだ。今はライブだけではない、黒ひげが起こしてる問題についてもやらなくては・・・」

「サカズキにはもう指示を飛ばした。今、軍艦を引き連れて現場に向かっている筈だ」

「下手に突くな。ことは最悪の展開も予想される」

「1ヶ月の間に四皇クラスが3人も入れ替わる可能性か・・・」

 

五老星は最悪の展開も想定していると、五老星の1人がロブ・ルッチを呼び出した。

 

「ロブ・ルッチ」

「はい、ここに・・・」

「CP-0は何名、エレジアにいる?」

「監視でブルーノがいます」

「警戒をしておくように伝えよ。下手をすれば黒ひげがエレジアに来る可能性がある」

「分かりました・・・しかし、そうなると戦力が足りませんが・・・」

「だからSWORDと手を組め・・・組織間の諍いは一先ず水に流せ」

「・・・了解しました」

 

ロブ・ルッチは五老星にそう指示されると部屋を退出し、電伝虫を通じてブルーノに指示を飛ばした。

それはCP-0だけでなく海軍のSWORDも同じだった。

エレジアに潜入していたコビー、ヘルメッポ、そして中将のモモンガと少将のTボーンが人波から外れた場所で電伝虫で通信をしていた。

 

『・・・以上の事からSWORDはCP-0と協力し事に当たれとの指令が降りた』

「分かりました。すぐに合流する」

「モモンガ中将、今の話は・・・」

「かなり不味い内容だ・・・情報操作で世間にはバレてないがそれももって1日くらいだろう」

「・・・この平和な祭典を悪党の手で潰させはしない」

 

Tボーンがそう云うとモモンガもコビーもヘルメッポも頷いた。最初はウタウタの実の危険性から監視という事でライブに来たが2日連続で最後は平和的に終わっており、おまけに観客の数も昨日より多くなるなど、かなり大規模なライブになった。

元帥のサカズキや緑牛など過激な海兵なら容赦なくこの場で海賊を捕まえようとするがこの4人は少なくともそこまで過激派ではなく、このライブを守る方に考えを傾けていた。

そんな4人が話してるとモモンガ、Tボーン、コビー、ヘルメッポの順で近くの空間が歪んでるのに気づくと空中に空気のドアが開かれてそこからCP-0のブルーノが出てきた。

 

「CP-0のブルーノだな」

「そうだ。海軍中将モモンガ・・・情報はどこまで知ってる?」

「エレジアの外で争ってる黒ひげの件と奴らが空間を飛ばしてくる能力者を有してる事は把握している」

 

ブルーノの言葉にTボーンが敬礼をしながら答えた。同じ政府側の人間で所属が違うので敬語ではないが時には戦闘に発展するCP-0とSWORDでこうもすんなりと情報を先に教えるのは本人の生真面目さゆえの事だった。モモンガはあっさりと答えたTボーンに頭を抱え、コビーとヘルメッポも苦笑いをしていた。

 

「CP-0の情報はどうなんだ?」

「ライブの1日目に不審な事が起こったという情報がある。クロスギルドの下っ端達が話していた事だ。森の中をもう一度九蛇の船員達と調査したらしい」

「僕達もそこを一度調べますか?」

「・・・そうだな・・・よし、二手に分かれよう。私とTボーンはそこの調査。コビーとヘルメッポは海賊達の監視だ」

「「「はっ!」」」

 

潜入任務なのでそれぞれが所属してる階級は言わずにモモンガがそう指示を飛ばすとブルーノ、モモンガ、Tボーンはドアドアの実の力で森へ行った。

 

「僕達も引き続き監視をしましょう」

「おう、けどよモモンガ中将にTボーン少将も向こうへ行くなんてな・・・よっぽど顔が怖い事を気にしてるのか?」

「ヘルメッポさん、2人に怒られますよ」

「だってよ、さっき迷子に泣かれてただろ?」

 

コビーとヘルメッポは朝のライブが始まる前に迷子の子を助けようとしていたモモンガとTボーンが顔が怖すぎて泣かれていた事を思い出して苦虫を噛み潰したような顔つきになった。

コビーがやって来た途端にコビーに懐いた時にはどうなるかと思ったがそこは海兵で特に嫉妬とかする事もなく子供が泣かなくなった事に笑顔になっていた。

 

「兎に角、監視再開です」

「次は麦わらの傘下達だな・・・血の気が多い連中らしいから特に監視しろって指示だったな」

「気を引き締めてやりましょう」

 

コビーとヘルメッポはそう言いながら、バルトロメオ達をやりに行った。

 

 

 

 

 

〇〇〇

エレジア近くの海の上では海軍の軍艦が数隻止まっていた。そこの1隻の船室ではガープ、センゴク、おつるが話し合い・・・というなの孫のルフィが昨日やった事を新聞で読んで怒ってるガープに対して2人は呆れていた。

 

「ルフィィィィィ!!公然の前でチューをするとはなんて破廉恥な!!じいちゃんはそんなふしだらな子に育てた覚えは無いぞ!!」

「曾孫曾孫って言ってた癖に良く言うよ」

「公然でチューは駄目だおつるちゃん!!」

 

昨日、ルフィが会場のド真ん中でウタとキスした事を新聞で知ったガープが怒ってるが、ドレスローザでウタに対して曾孫発言を連発していた事を知ってるおつるはガープの言い分に呆れてセンゴクは溜息を吐きつつも海図を机の上に広げた。

 

「話を戻すぞ。ゼファーがこっちの海にいる情報が正しければやつはエレジアに向かう筈だ。過去の件で海軍を辞めたあいつは今はサカズキ以上の過激派になってる可用性もある。我々の目的はあいつが一般人を巻き込む前に止める事だ」

「新世界での予想外の事に大将や他のひよっこ共が手に負われてる状況でゼファーを止められるのはエレジアに潜入してる4人を含めた私達だけだ」

「よし、あのバカを止めるぞ・・・まだ一般人に手を出してはいないなら、インペルダウンに送らずにすむ筈じゃ」

 

ガープの言葉にセンゴクとおつるは顔を顰めた。確かにゼットやNEO海軍はまだ一般人を襲っていない。故に指名手配にもなってないのでインペルダウンに入る可能性は確かに少なかったがセンゴクとおつる、それに言ってるガープ本人でさえそんな綺麗事が通る程世界は甘くないのを知っていた。

 

「ガープ・・・」

「分かっておる・・・ただ、可能性はゼロじゃない」

「モルガンズの新聞でネオ海軍自体は出てたからかなり薄いね・・・それでもやる気かい・・・って聞くまでも無かったね」

「流石おつるちゃん、ワシは意地でもやるぞ」

 

しかし、それで諦めるガープではない。センゴクとおつるも最早止められないガープに何時もならあーだこーだと言って止めようとするが今回は止める気もあまり無かった。

 

「ゼファーの軍艦がエレジアに来るならヤツの性格から考えて私達と鉢合わせをするこの海流を通る筈だ。ここの海流なら上手くエレジアの本島の裏に回り込む海流に合流し易く、エレジアにいる者達からは気づかれない」

 

センゴクがそう云うと3人は船室を出て甲板に行って海を見た。

 

「久しぶりの大喧嘩になりそうじゃ」

「お前とゼファーの喧嘩か・・・大佐の時以来だな」

「懐かしいね。あん時は船を戦闘で壊していたあんたに遂にゼファーがキレたっけ・・・あんたって本当に成長しないね」

「おつるちゃん、こいつが成長するのはありえん」

「2人共失礼じゃぞ」

 

容赦なく言いたい放題言ってくるセンゴクとおつるにガープはさり気なくツッコみ、3人はゼットが来るのを待った。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、NEO海軍の軍艦はセンゴクの読み通り、鉢合わせをするルートを通っており、ゼットは新聞を握り潰していた。

内容はルフィとウタのキスの事だけでなく、海賊の娘であるウタのライブが大盛況をしていると言う事も載っていた。

 

「海賊の娘のライブだと・・・遂に一般人も海軍と同じバカになったか・・・」

「ゼット先生・・・どうしますか?」

「エレジアで戦闘になるとしても一般人に被害が出る可能性も・・・」

「分かってる・・・一般人には手を出すな。俺達は海軍でも海賊でもない・・・あくまでもドレスローザでの不甲斐ない行いに反発する者達だ・・・だが、海賊の味方をする場合は奴らと同じだと思え」

 

七武海の件で海軍の正義について行けずに辞めた者達で出来たNEO海軍だが、本質はドレスローザでの海賊を英雄視する思想に反発するのが目的で集まってるので一般人に手を出す気はなかったが敵として向かって来た場合は容赦なくやるつもりだった。

ゼットはそう指示をやると1人船室に入って健康の為に医者から止められている酒を飲みながら、握り潰した新聞を再び広げて読み始めた。

 

「・・・もう守るべき市民も居ないか・・・」

 

海賊の娘であるウタだけでなく多くの海賊が集ってるライブで共に楽しんでいる一般人達がいる事にゼットはそう呟いた。

 

 

 

 

〇〇〇

そしてエレジアにいるカタクリ、ブリュレ、アナナの3人は無事に2日目のライブが終わったのもあってのんびりとまた出店を楽しもうとしていた。

 

「よし、今日は何処に行く?」

「私、ウタお姉ちゃんやルフィお兄ちゃんに会いたい」

 

完全にルフィをお兄ちゃん呼びする事が定着したアナナにカタクリは顔を顰めた。

 

「カタクリお兄ちゃん、どうしたの?」

「お兄ちゃんはすぐに戻るから大丈夫だけどアナナ、ウタは今はデート中なんだから邪魔しちゃ駄目。麦わらの邪魔は良いけどウタが居るなら話は別だよ」

「え〜〜、邪魔なんかしないよ」

 

ブリュレから言われてアナナは顔をすぼめた。別に邪魔なんかする気は更々ない。ただ遊びたいだけでまだ8歳のアナナにはそう云った事は早かった。しかし、ブリュレは姉としてちゃんと注意した。

 

「ウタは折角好きな人とデート出来て楽しんでるんだからそれを邪魔しないのが大人な女性ってやつだよ。アナナは子供かな〜?」

「アナナ、子供じゃないよ!」

「なら、出来るね」

「・・・は~い」

 

ブリュレがそうやってからかうように言うとアナナは納得しにくかったが返事をした・・・因みにカタクリはウタとルフィのデートと云う言葉に更にダメージが入ってきたが何とか立ち直った。カタクリは強い男だった。そんな風に3人が駄弁ってるとブリュレが単独行動をしようとしていた。

 

「あ、お兄ちゃん。アタシは昨日出来た友達と用事があるから2人で回っててね」

「何だと?」

「ブリュレお姉ちゃん・・・友達ができたの?」

 

顔の傷のせいで他人に関してはカタクリ以上に寄せ付けないかも知れないブリュレが友達が出来たと言ってきた事にカタクリは眉を動かし、アナナは首を傾げた。

 

「ブリュレ、気をつけろよ・・・良からぬ輩かも知れない・・・」

「分かってるよ。安心して皆、アタシと同じウタのファンだから・・・じゃあね」

「いってらっしゃーい」

 

離れていくブリュレにアナナはそうやって手を振ったがカタクリは警戒心を解かずに見ていた。かつて自分のせいでブリュレが傷つけられた事もあり、心配でしょうがなかった。おまけにルフィ達が万国に来た時も捕まって散々と利用されていたのもあってより心配だった。

 

「・・・気になるな・・・後をつけよう」

「ブリュレお姉ちゃんなら大丈夫だよ。凄く強いよ」

 

心配で様子を見に行こうとするカタクリにブリュレが頼れる姉と言うのを良く知っているアナナはそう言った。

 

「だが心配だ」

「大丈夫だと思うよ」

 

結局、カタクリはブリュレの後をアナナを連れて追いかけた。後から後悔したくないのでこっそりと後をつけて見たのはブリュレがコアラ、キラー、ベポ、イワンコフ、ローと言った面々と楽しそうに食べていた所だった。

 

(トラファルガーに革命軍にキッドの所・・・確かに楽しそうだが・・・どうやって知り合ったんだ?)

 

カタクリはそれを見るとどうやって知り合ったのか疑問に思ったが和気藹々とやってるのを見ると安心したのかブリュレから離れてアナナと一緒に出店を回ろうとした瞬間、森の方にブルーノ、モモンガ、Tボーンが居るのを見聞色で察知した。

 

「お兄ちゃん、どうしたの?」

(この気配・・・かなり出来るな。下手に戦闘にアナナを連れていけない・・・仕方ない)

 

カタクリは下手にアナナを連れて行くと却って危険な事が分かるとしゃがんでアナナと目線を合わせた。

 

「アナナ、暫くここにいろ。少し気になる事があって兄ちゃんはそっちに行く。お前は良い子だから待っていられるな?」

「うん、わかった!」

「良い子だ」

 

カタクリはアナナの頭を軽く撫でるとモモンガ達がいる森の方を調べに向かった。

 

「お兄ちゃん、いつ戻ってくるかな?・・・あっ、あれは・・・」

 

アナナは言われた通りにその場で待機していた。するとルフィとウタがデートしているのが見えた。アナナは1人で少し寂しい気持ちもあったので2人の所に行こうか迷ったがデートの邪魔は出来ないと我慢した。アナナは出来る子だった。

 

「デートの邪魔はだめだってブリュレお姉ちゃんも言ってたし・・・ここを離れるとお兄ちゃんが心配するし・・・」

 

アナナはそんな風に兄や姉から言われた事を思い出しつつ、1人で待とうとしているとルフィとウタの後をつけてるお邪魔虫のモルガンズとその後ろにいたバギーとゴードンを見た。

 

(何あの人達・・・ウタお姉ちゃんとルフィお兄ちゃんの邪魔をしようとしてるのかな?・・・デートの邪魔はさせない!!)

 

モルガンズとバギーにゴードンを敵とウタとルフィのデートの邪魔をする敵と認識したアナナはその場を離れて3人を撃退する方法を考えつつ付いていった。

 

後にアナナのこの行動が“全ての鍵を握る”事になるとはまだ誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

新世界の海でとある戦争が起こっていた。それはウタのライブが始まった昨日から行われていてかなりの大戦争に発展していた。

 

「くそっ!!“黒ひげ”!!俺達はてめぇの相手をしてる場合じゃねぇって言ってるだろうが!!そこを退け!!」

「ゼハハハハハハハ!!退かしたかったら退かして見ろよ!!“赤髪”!!!」

 

それは“赤髪”のシャンクスと“黒ひげ”による四皇同士の戦争だった。

そう、シャンクス達はライブに行こうとしてなかったのではない・・・黒ひげに邪魔をされて行けなかったのだ。

 

「倒しても倒してもキリがねぇな!!」

「クソが!!ウタに会いに行く邪魔をしやがって!!」

 

そう普段の赤髪海賊団なら黒ひげと戦っても勝つのは兎も角、隙を付いてエレジアに向かえていた。しかし、それを防ぐ方法が黒ひげにはあった。

 

「お前達がここで苦戦しているのも運命による巡り合わせだ」

 

それはワプワプの実を手に入れたオーガーによる人海戦術だった。自分達の本拠地であるハチノスからじゃんじゃんと手下を送り込み続けてシャンクスの足を止めていた。

 

「もうすぐだ!!もうすぐトットムジカが手に入る!!」

「!?・・・お前、俺の娘に何をするつもりだ!!」

「娘だ!?あいつの父親は“千両道化”じゃねぇのかよ!?震破(グラッシュ)!!」

「あいつの父親は俺だ!!」

 

グラグラの実の力による拳をシャンクスはグリフォンに覇王色と武装色を纏わせて振るい相殺した。シャンクスは素早く態勢を変えて黒ひげの肩にグリフォンを刺した。

 

「ぐぉぉ!?痛えなおい!!」

「ならとっとと退け!!」

「嫌だね!!」

 

刺されたグリフォンを掴んで黒ひげは痛がりながらもシャンクスを蹴り飛ばした。グラグラの実の力で桁違いの威力の蹴りになるがシャンクスは武装色の覇気でそれを軽減していた。

 

『お頭!!』

「大丈夫だ、てめぇら!!」

 

シャンクスは自身のレッドフォース号まで飛ばされるがすぐに立ち上がってグリフォンを構えた。

 

「ちっ!!昨日から2日間もしつけえな!!」

「ゼハハハハハハ!!先に地獄で娘を待ってろ!!!」

 

黒ひげがそう笑って手を上げるとレッドフォース号の近くをレーザーが通った。船には当たらなかったがレーザーは近くの岩場にぶつかると爆発した。

 

「今のは・・・まさか!?」

 

ヤソップが見聞色を飛ばしてレーザーを撃った者を把握しようとした。すると黒ひげ海賊団の船にはシーザーが調整した20体のパシフェスタが口や手を構えていた。

 

「パシフィスタだ!!」

「また面倒くせぇの物を・・・!!」

 

ヤソップの言葉にベックマンが悪態を付きつつも構えた。そしてパシフィスタ達のレーザーはレッドフォース号に向かって放たれた。

 

新時代を掛けた戦いはこうやって始まっていた。

















というわけで徐々に平和的な展開から波乱に満ちた展開に進むように仕込んで行きますよ!!
次回はアナナVSモルガンズ・バギー・ゴードンでルフィとウタはそれでやるかそれともその次になるか分かりませんが両方とも今作の最終章で重大な要素を担ってるので頑張ります!!

そして、シャンクスは黒ひげに足止めされていました。2日間も・・・因みに合流の仕方は考えてるのでどこでやるかはお楽しみに・・・今作を考えていく上でシャンクス達をどうするか悩んだ結果、黒ひげに足止めさせるのが1番と思ってシキと組ませていたのでやれて良かったです。

そしてガープ、センゴク、おつるも参戦です。
この3人が誰とぶつかるのかはもう分かったと思うのでお楽しみに。

今話の曲は『Hard Knock Days』とジョン・カーペンター作曲の『HALLOWEEN theme』です。
あの映画シリーズ大好きなのとピアノの不安げな感じがこれから来る展開に合ってるので・・・たぶん、後少ししたら鬱地獄になると思うのでまぁ・・・覚悟だけはしてください。

コメント欄が阿鼻叫喚になった万国篇以上の物になると思いますので(結局、爽やかな最終章は無理だった!!)


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明日は来るから/CLOSER

お待たせしました!!
イチャイチャを書きつつ、ドンドンとこの話から本題へ行きますよ!!
それではどうぞ!!
次回は明日中に出したい!!


アナナはルフィとウタの後をつけてるモルガンズ・・・そしてその後ろで泥棒のように布巾を頭に被ったバギーとゴードンを何とかして撃退しようと後をつけていた。

 

(デートの邪魔・・・ウタお姉ちゃんの敵!!)

 

アナナはそう認識すると懐に入れてたイタズラ道具を取り出して少し悩むといくつかある道具の中からパチンコを持った。

 

「よし、あのサングラスはこれに決めた!」

 

アナナはまず最初にゴードンを狙い始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

「ルフィ、これどうかな?」

「良いんじゃねぇか?似合ってるぞ!」

 

ウタはルフィにエスコートして貰って服屋に来ると色んな服を試着して楽しんでいた。ルフィは服屋の近くにある果物屋から果物を幾つか買ってそれを食べつつ、感想を言っていた。

最初は少しゴシックチックな服にオレンジのパーカーと何処かハロウィンっぽい服からチェックのスカートに白シャツ、赤と白で赤いミンクの羽織りを来たクリスマスっぽい服、黒を基調としたジャケットなど色々と着ていたがルフィの返事は全て似合ってると言う答えでウタは段々と不満が溜まっていた。

ある程度、着終わったウタはルフィに詰め寄った。

 

「ねぇ、ルフィ・・・適当に返事してない?」

「そんな事ねぇぞ」

「でもさっきからずっと似合ってるって答えばっかり」

「だって本当に全部似合ってるって思ったんだ」

 

ルフィの言葉に少し嬉しく感じるウタだがここまで来るとルフィから違う答えを引き出したいと思ったウタは色々と服を見てると一着ものすごいのを見つけて赤面しつつもそれを持って試着室に向かった。

 

「ルフィ・・・その・・・覚悟してね」

「??」

 

ルフィに対して意味深な発言をしたウタはそのまま試着室に入って服を着替えた。ルフィはその間も果物を食べていて待ってるとカーテンが開かれた。

そして露わになったウタの服装にルフィは食べていたリンゴを落とした。

それは青かったがハンコックと似たような感じの服装であり、左脚や腹回り、胸元が露わになっていた。着ているウタも恥ずかしいのか顔が真っ赤で手で色々と隠そうとしていた。

 

「な、なに着てんだ!?」

「うぅ、ハンコックに負けたくなかったから着てみたけど無理!恥ずかしすぎる!!ハンコック本当に良くこれ着れるね・・・凄い体型に自信と度胸がないと無理だよこれ」

 

予想外の服装にルフィは唖然となってウタは羞恥心が勝ったのかルフィから感想を聴けなかった。

 

「は、早く着替えろ。風邪引くぞ」

 

ルフィはそう言うと試着室のカーテンを閉めてその前を陣取るように立った。果物を食べてるが顔は思いっきり顰めっ面だった。

ウタは試着室の中から着替えつつもルフィに話しかけてきた。

 

「ルフィ・・・そのどうだった?似合ってた?」

「・・・似合ってねぇ・・・」

「そっか・・・」

「それに・・・」

「ん?」

「あんな姿・・・他の奴に見せたくねぇ・・・」

 

ルフィは帽子を深く被りつつそう言うと試着室の中でウタは凄いニヤケ面になった。ルフィをからかう感じで着てみて予想外の羞恥心が出たが想定以上の返事が来てウタは嬉しかった。

 

「ルフィ・・・着替え終わったからもう良いよ」

 

ウタがそう言うとルフィも試着室の前で立つのを止めた。ウタは少し頬を赤らめてルフィに向かって笑うと服を返しに行ってまた新しい服を探し始めた。

 

(そろそろルフィも限界だと思うから、次で最後かな?)

 

ウタはルフィの事を考えて時間を調整していた。ウタにとってルフィとのデートはそれだけで幸せであり、不安定だった気分も安心する。そんな風に上機嫌になりながら最後に何を着ようか見ていた。カワイイ動物(一般的にはかなり変な動物)が入ったシャツとかにしようか考えて見てたがそれだといつも通りだと味気が無いのでウタはさっきのハンコックの服に似てるやつがあった所に行った。別に全部が全部大胆な服ばかりではなくおしとやかそうな服もある中でウタはとあるドレスを見つけた。

 

「これ・・・よし!」

 

ウタはそのドレスを持って試着室に入った。

ルフィは試着室の前でまたさっきみたいな服だったどうしようかと少しうろちょろしていると試着室のカーテンが開かれてルフィはウタの姿を見た。

 

それは白いアンブレラスリーブのパーティドレスで白が似合うウタにピッタリだった。

 

「へへ、どう?ちょっとウェディングドレスっぽいかな?って思って着てみたんだ♪♪♪」

「良いじゃねぇか♪♪すげぇ似合ってるぞ」

「フフッ、ありがとう♪♪♪」

 

ルフィにそう言われてウタは最高の気分だった。散々、楽しんだ後でウタはさっき楽しんだハロウィン風との服らを買った。最後のパーティドレスも買いたかったが流石に買いすぎだと思って止めた。それに白いドレスならルフィとの結婚式で着るウェディングドレスが良いと思っていたのですんなりと止められた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「クワハハハハハハ、麦わらのルフィは嫉妬深いとは・・・良いぞ・・・面白いギャップだ。見た目は何を考えてるか分からないタイプだからより面白い」

 

少し離れた場所で2人の写真を隠し撮りしていたモルガンズはそんなゲスい事を考えながら笑っていた。嘗て、アラバスタに行く時にビッグニュースを取れなかった悲しみと万国で手に入れたビッグニュースの数々と自分の足でやった方が取れると思ってやっていたが昨日から手に入りまくってるネタに喜んでいた。

 

 

 

〇〇〇

「何、イチャついてんだあの野郎〜」

「うぅ、ウタ・・・あんなに幸せそうで・・・良かった・・・本当に良かった・・・」

 

2人のイチャイチャを見ていたバギーとゴードンは対象的な反応だった。バギーはルフィに殺意を抱いていたがゴードンはルフィに感謝の念を抱いていた。

ウタとルフィの関係は知っていたし、ウタが勇気を出してライブの旅を始めた時から大事にしてる新時代のマークの事も教えて貰っていた上にそもそもゴードンはウタとルフィが付き合う事には賛成だった。12年間育てて来たのでルフィとウタの熱愛報道の時やウタが色々と自爆したクロスギルドでの配信の時は少し悲しくなったり、心配したりしたが自分の目で始めて見た2人の姿を見るとそんな感情など無くなった。

 

「ウタ・・・君が幸せになってくれて良かっ・・・ぐお!?」

 

ゴードンはそんな風に感慨深い思いを吐露しそうとした瞬間、突然と飛んできた鉛の玉を頭に喰らって倒れた。デカいタンコブが出来てゴードンは頭を抑えた。

 

「おい、どうした?」

「分からない・・・何かが飛んできて・・・痛い・・・バギー君、私はウタとルフィ君が幸せにやってるのを見れて満足だ・・・あんな風に安心しているウタを見て・・・彼なら信じられる・・・なので私は戻る・・・」

 

ゴードンは大きいタンコブを抑えながらバギーと分かれて城へ戻っていった。バギーは突然の事に困惑して何があったのか調べようかと迷ったがウタとルフィが他の店に行くところが見えたのですぐにそっちを追いかけていった。

 

そしてゴードンに容赦なく鉛の玉をパチンコで打ち込んだアナナはガッツポーズをしていた。

 

「よし、悪い人が1人消えた!!次はあの赤い鼻の人!!お姉ちゃんのパパみたいだけどデートの邪魔をするなら敵!!」

 

アナナは昨日の大騒ぎを聴いていたがまだ幼いアナナには楽屋でその後、思いっきり喧嘩していたウタとバギーの方が本当の父娘に見えたのでバギーをウタの父親扱いしていたがデートの邪魔をするなら敵と認識していてそこら辺の認識の早さというか切り替えの早さはリンリン譲りだった。

 

(よし、次はこっちでやろう・・・久しぶりで楽しいなぁ)

 

シキにやられてから成長して悪戯は減った・・・というよりもカタクリとドッキリをする事が楽しくなっていたアナナだったが久しぶりの悪戯行為に楽しくなっていた。

 

 

 

〇〇〇 

「へぇ~、こんな良いレストランがあったんだ」

「へへ、ナミとロビンが良いところだって教えてくれたんだ」

「流石、ナミとロビン!」

 

2人はとあるレストランに来ていた。そこは大食いのルフィや食べる方のウタもたくさん食べられる店だった。ナミとロビンが教えたが流石に昨日の一件で安心したウタは特にそこに関して何も感じずにナミとロビンに感謝していた。

 

「よ~し、食べるぞウタ!肉♪肉♪肉♪」

「パンケーキ♪パンケーキ♪パンケーキ♪」

 

お互いに大好物の肉とパンケーキをそれぞれ注文するとそれを食べ始めた。初めての場所で美味しいのもあって2人は食べるのに夢中になっていたが偶に相手の方を見ると楽しそうに笑っていて自分も楽しくなってきた。

そんな風にしてるとウタはルフィの口元に肉の欠片が付いてるのが見えた。

 

「ルフィ・・・お肉が口元に付いてるよ」

「んぁ?そうか?」

 

ルフィはウタに言われて食べるのを止めて取ろうとしたが上手く取れなかった。するとウタはルフィの口元に手を触れてそれを取ると食べた。

 

「ん、取れた」

「そっか、ウタありがとう」

「気にしないで」

 

笑いながらイチャついてる2人。すると今度はウタの口元にクリームが付いているのルフィが見つけた。

 

「ははは、ウタも口元に付いてんぞ」

「え?本当?」

 

ルフィから言われてウタは口元を触ってクリームを取ると舐めた。

 

「う~ん、クリームだけでも美味しい!」

「良かったな」

「うん!」

 

そんな風に楽しんでる2人を遠くから睨んでいる男と別の場所ではニヤケ面をしながら見ている鳥がいた。

 

「何、イチャついてんだあのクソゴムが・・・」

「クワハハハハハハ!!熱々だなぁ!」

 

バギーとモルガンズだ。2人はそれぞれ違う場所から様子を見ていて反応は互いに真逆だった。バギーはどうにかして別れさせたい気持ちが強くなり、モルガンズはもっとやれと内心煽っていた。

そんな風に対象的な反応をしていた2人はそれぞれ注文した飲み物を飲むとバギーは腹を抑え始めてモルガンズは寝た。

 

「は、腹が・・・!!!??」

(よし、大成功♪♪)

 

そしてその様子を笑いながら見ている者がいた。アナナだ。更に離れた席でお子様ランチを食べながらアナナはルフィとウタにご執心になってる隙をついて盛った薬が効いたのを確認して喜んでいた。

 

(う~ん!!やっぱり楽しいなぁ♪♪♪)

 

元四皇のリンリンの血が騒いでいるのか段々と加虐的になりつつあったアナナはバギーがトイレに駆け込んで行くのを爆笑しながら見た後でルフィとウタのイチャイチャを顔を赤くしながら見ていた。

 

 

 

〇〇〇

一方その頃、森の中に行ったモモンガ、Tボーン、ブルーノが気になって様子を見に行ったカタクリは遠くから3人の動向を見ていた。

 

「杜撰な見回りだな。足跡だらけだ」

「これは痕跡を探すのも一苦労ですね」

「ここから情報を得るのはもう無理だな」

 

3人はそれぞれ思った事を口にしていく中で遠くから見ていたカタクリは現場を滅茶苦茶にした調査した面々に対して呆れていた。

 

(部下の躾はどうなってるんだ?)

 

そんな風に呆れているカタクリだが次の瞬間、カクカクと動きながら飛んでくる斬撃を未来視するとすぐに土竜を出した。

 

「ボーン・・・大鳥!!!」

 

未来視の通りにTボーンが剣で斬撃をカタクリに向かって飛ばしてきた。カタクリはそれを土竜で防ぐと次にモモンガが斬撃を飛ばしてきてこれは体を変形させて避けたがドアドアのワープでブルーノが近くに来てカタクリの姿を確認した。

 

「ビックマムの残党か・・・」

「ちっ・・・悪いが引かせて貰う」

 

カタクリはそう言うと周りの土や木を餅に変化させて適当にばら撒いて目眩ましをしてる内に退却した。交戦する理由がないからだ。

残された3人は全身餅だらけになっていてカタクリを見失った。

 

「すぐに追いかけましょう!!」

「待てTボーン!!やつは街へ向かって行った!!下手に刺激すれば市民に被害が出る可能性が高い!」

「その意見に賛成だ。それにやつは初日からウタのライブを守ろうと動いていた。うちの同僚の情報からもやつがウタにゾッコンなのは分かってる・・・恐らくここに来たのはこちらと同じ理由だろう」

 

初日から潜入していたブルーノがそう言ったがそれで安心する程、脳天気な人間はここには居なかった。

 

「しかし、やつはそもそも危険です」

「分かってる・・・我々も街へ戻ってやつを探し、そのまま尾行しよう。兎に角情報が欲しい」

「一緒に来ていた若い英雄には頼まないのか?」

「コビー大佐やヘルメッポ少佐には別の任務がある」

「了解した」

 

そんな風に短く話すとブルーノはカタクリを追跡する為にドアドアの力でモモンガとTボーンを連れてワープした。

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィとウタはその後、レストランを出て腕を組みながらアクセサリーショップや雑貨屋に行っていた。そしてアナナもその後をついて行った。完全にバギーやゴードンにモルガンズと似たような行動をしていた。

 

「ウタお姉ちゃんもルフィお兄ちゃんも楽しそう・・・良いなぁ・・・カタクリお兄ちゃん早く戻って来ないかなぁ・・・」

「・・・なら何でさっきの場所で待ってないんだ?」

 

アナナが遅いカタクリにぶつくさ行ってると街に戻ってきたのは良いが待ってる場所にアナナが居なくて少し探したカタクリがアナナの後ろに立っていた。

アナナは大好きな兄が来たことに喜びを感じて後ろを向くとカタクリの目は鋭くなっていて怒ってるのが分かった。

 

「お、お兄ちゃん・・・えと・・・おかえりなさい!」

「アナナ・・・どうしてさっき言っていた場所で待って無いんだ?」

「そ、それは・・・その・・・」

「・・・お仕置きだ」

 

カタクリはそう云うとアナナの頭にげんこつをお見舞いした。勿論、かなり手加減をしていてタンコブも出来ていないがアナナは痛かったのか頭を抑えて少し涙目になっていた。

 

「うぅ・・・痛いよ・・・」

「お仕置きだからな・・・待たせて悪かったな・・・」

 

カタクリは待たせた事に関して謝るとアナナを肩車した。アナナは突然の事に驚いていた。

 

「うわっ!お、お兄ちゃん??」

「・・・向こうに美味しいドーナツの店があったから行くか?」

「うん・・・行く!」

 

アナナとカタクリはそのままドーナツがある店まで向かって行った。仲のいい兄妹だった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

そして時刻は夕方になって日が沈み始めて茜色の空になっている頃、ルフィとウタはカフェでのんびりとしていた。外のカフェテラスでジュースを飲んでる2人の足元には今日は買った物が沢山あってウタはルフィと充実なデートが出来て大満足だった。

 

「ルフィ、今日はありがとう♪♪♪楽しかったよ♪♪」

「シシシ、俺もウタと色んなとこを回れて楽しかったぞ♪♪♪」

 

笑いあってる2人。

ウタは今感じてる幸せがずっと続けば良いのにと思った。色々と大変な事があって辛い思いもして前に進んでルフィと再会しても喧嘩してと波乱が多かったがそれでも今感じてる幸せはそれらを帳消しには出来ないが薄くさせる程優しく暖かった。

 

「・・・ルフィ・・・アタシ達さぁ“結婚”したら毎日、今日みたいに幸せなのかな」

 

ウタは何気なしにルフィに対してそう聞いた。ルフィなら当たり前だろと答えると思ってウタはルフィの顔を見てみるとルフィは何言ってんだこいつと言わんばかりに目を開いていた。

 

「何言ってんだお前?・・・俺は“結婚”しねぇよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 

ルフィの言葉にウタは固まった。

2人の仲に万国の前の時並の亀裂が入った音がした。






















 
外道作者「やぁ、皆。鬱展開の時間だよ♪♪♪♪」

冗談は置いておいてルフィとウタにまた問題が起きました!!因みにこれは初期から決めていた展開なので漸くやれて嬉しいです!!

そして今回大活躍だったアナナ・・・この後の展開に影響を与える大事な事なのでやれて良かったです。



そして今話の曲は『明日は来るから』と井上ジョーの『CLOSER』です。
もっと邦楽を出したい!!・・・出来ればアニソン以外で・・・




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Bad reputation/事件だッ!

お待たせしました!!
結局、2日経ったよ!!チクショー!!
取り敢えず暫くは2日に一回をして連日は出来ればやる方向にします。


ウタとルフィの仲に亀裂が入ってしまっていた頃、ゴードンは城の中の一室でのんびりとアナナにやられていたたんこぶを氷で冷やしていた。

 

「痛たたた・・・しかし、ウタとルフィ君の仲が良さそうで何よりだ・・・明日のライブが終わったら是非とも挨拶をせねば・・・」

 

ゴードンはそんな風にルフィに対して好印象を抱いていると頭を冷やしていた氷が溶けたので新しいのに交換しようと部屋を出た。

さっきよりはマシになりつつもまだ痛い頭を抑えつつ、食堂へ向かっているとウタの部屋の扉が開いてるのに気づいた。

 

「?」

 

ゴードンは何気なしに開いてる扉から部屋の中を除くとありえないものを見てしまい、バンっと勢いよく扉を開けてウタの部屋の中に入ってそれを取った。

 

「なぜ、これがここに!?」

 

ゴードンが拾った物・・・それはウタを長年苦しめ続け、ウタがシャンクス達家族と別れる原因になってしまった楽譜『トットムジカ』だった。

あの時と同じように封印が解けてウタの所に向かっていたのかそれともウタの部屋だから来たのか・・・何にせよゴードンはすぐにそれを取った。

 

「・・・全ての楽譜には感情が宿り・・・作った者の思いが込められる・・・だが、これがある限りウタは幸せにはなれない・・・」

 

ゴードンはそれを持つと先程の部屋まで戻って暖炉に火を起こした。音楽を愛する者として全ての楽曲を愛してるゴードンだが、ウタとルフィが幸せになろうとしてる姿を見て決心がついた。

 

「私はエレジア国民失格だが・・・もう二度と彼女を不幸にはさせない」

 

ゴードンはそう呟くと暖炉の中に『トットムジカ』の楽譜を暖炉に入れて燃やし始めた。

ゴードンはそれを見て完全に灰になったのを確認すると頭を今度こそ冷やす為に食堂へ向かった。

 

故に気づいてなかった。

燃えた『トットムジカ』の灰が動いている事に・・・

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「え?・・・ルフィ・・・何言ってんの?」

「だから、俺は結婚しねぇって」

 

ウタはルフィの言葉に固まった。一緒になりたくて今まで頑張ってきた。最初は負けじ魂が燃えて出たが徐々にルフィを求める思いは強くなってシャボンディの時には誰にも渡したくないと思って色々とやってきて、恋人になって幸せを感じていたのに根元から圧し折られるような感覚になった。

最近はイライラしていて今日はだいぶ抑えられていたのだがルフィの一言で抑えていた物が出そうになっていた。

ウタは深呼吸して落ち着いて話そうと見ると首を傾げているルフィを見ただけで苛ついてきた。

いざ、何で?と聞こうにも余計に傷つく可能性も考えてしまい、ウタは中々言えなかった。

 

「ウタ、それよりよ!夢を叶えたら“約束”してた事をやろう!」

「・・・“約束”?」

「昔、一緒に冒険しようって“約束”しただろ?」

「・・・それ、もうやったじゃん・・・」

 

ウタはルフィの言ってる事が昔から言っていたシャンクスの船に乗せて貰おうとしていた時に言っていた事だと思った。そんな風に呆気なく言うとルフィは目を見開いた。

 

「な、何言ってんだ?・・・ほら、新時代の誓いをやった後に・・・」

「・・・何か“約束”した?」

 

ウタがそう言うとルフィは黙った。

ルフィからすれば婚約に等しい“約束”をウタは覚えていなかった。エレジアでの件から12年間・・・ウタは自分の事で一杯だった事もあり、ルフィとやったこの“約束”もすっかり忘れてしまっていた。

そんなウタにルフィは重い一撃を入れられたみたいにショックを感じた。自分はずっと忘れていなかったのにそれを忘れられている事に悲しくなった。

ウタは落ち込んでいるルフィを見て心配が勝ったのか尋ねた。

 

「ルフィ・・・その・・・ごめん。大事な“約束”を忘れちゃったみたいで・・・」

「いや、良いんだ」

 

2人の間でまた沈黙が長く続き、それを破ったのはウタだった。

 

「ルフィ・・・今日は分かれて明日のライブが終わったらちゃんと話そう」

「あ、あぁ・・・もうあの時みたいなのは嫌だしな・・ちゃんと話そう・・・」

「ルフィ・・・本当に“結婚”はしないの?」

「あぁ・・・やらねぇ」

「そっか・・・ルフィはアタシと“結婚”したくないんだ。アタシはね・・・この1年間・・・ずっとそれを思ってきたんだ・・・そうしないと寂しくなるから・・・」

「ウタ・・・」

「ごめん・・・これ以上居ると・・・無理・・・」

 

ウタはそこまで言うとこれ以上いたら確実に大喧嘩になると思ったのか少し苛立ちながら去っていった。買った荷物すら置いて行った。万国の時みたいに喧嘩別れするのは嫌だったがそれに匹敵するくらいウタの心には悲しみが溢れていた。

 

(アタシだけだったんだ・・・全部・・・ルフィ・・・何で・・・どうして!?・・・嫌い・・・ルフィなんか大嫌い!!)

 

ウタは怒ってるのか悲しいのか自分でも分からなくなっていた。涙は出てきて拭っても止まらなく、城にある自分の部屋に行こうと歩いてると誰かにぶつかった。

 

「ご、ごめんなさい・・・」

「お主、ここで何をしておるのじゃ?・・・さては、妾をあざ笑いに・・・」

 

ウタは聞き覚えのある声を聴くとちゃんと相手を見た。その相手は昨日、ウタとルフィのイチャイチャを見せつけられてショックのあまりまた酒を飲んでいたハンコックだった。ハンコックは酒瓶を片手に持って堂々と立っていた。周りに妹達や他の九蛇の船員が居ないのは単純にそれらから逃げて飲んでいたのもあった。

 

「ハンコック・・・う、うわぁぁぁぁぁぁん!!」

「な、なんじゃ!?」

「ルフィ・・・ルフィに・・・ルフィにフラレた〜!!!」

「な、何!!?」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 

ウタはハンコックに抱き着いて大泣きし始めた。抱き着かれたハンコックはどうするべきか本気で迷い、昨日みた時にはそんな事を微塵も感じさせていなかった事に困惑していた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィはウタが置いていってしまった買った物を持ちながら、途方に暮れていた。

 

「何で忘れてんだよ・・・ウタ・・・はぁ・・・」

 

ルフィは思いの外、ウタに大事な“約束”を忘れられていた事がショックで少し愚痴っていた。ルフィにとってその“約束”は婚約とほぼ同定義で、カタクリに勝てたのもそれに対する思いがあったからだが、ここに来て考える余地すらなかった状況になってしまった。

 

「あ、ルフィお兄ちゃんだ!」

「お?」

「こんな所で何をしてるんだ?」

 

そんなルフィに話しかけてきたのは先程、カタクリと一緒に出店を回る事にしたアナナだった。アナナは手にドーナツを持って食べ歩きしていた。その後ろにはカタクリが立っていて、アナナと遊んでいたのか手には水風船ヨーヨーやら景品やらを大量に持っていた。

 

「ウタお姉ちゃんはどうしたの?」

「あ~、ウタはちょっと逸れちまってよ。探してるんだ・・・じゃあな」

 

ルフィはアナナにそんな風に説明して離れようとするとルフィとウタに何か問題が起こったと察したカタクリがカマを掛けた。カタクリはルフィにはそこまで気にしていないがウタに関しては話が別だった。

 

「ウタにフラレたな」

「えっ!?そうなの!?」

「なっ!?フラレてねぇ!!ちょっと喧嘩しただけだ!!」

 

カタクリのカマに見事に引っ掛かったルフィは言ってしまった後に口を抑えたが既に遅かった。

 

「ルフィお兄ちゃん・・・そのもし良かったら相談に乗るよ」

「そっか・・・けど大丈夫だ」

 

純粋に2人を心配してるアナナはそう訪ねたがルフィの返事はNOだった。相手が言いたくない事は無理に聞かないルフィだがそれは自分にも当てはまっていて、誰かに聞かれるのが嫌だった。

しかし、リンリンの娘であるアナナは母親譲りの頑固さでそんなの知ったこっちゃないと言わんばかりに更に言ってきた。

 

「でも、この前万国に来た時のウタお姉ちゃんはコンポートお姉ちゃんとかブリュレお姉ちゃんとかと話をやって楽になったって言ってたから話せば楽になるよ」

 

万国の時にウタがコンポートやブリュレと交流してルフィに過去を話そうと決心した事を教えられていたアナナはそう言った。それはその後のシキのやった大騒動で有耶無耶になったが時には話す事も大事だとアナナは覚えていた。

 

「ウタが・・・」

「話してみろ・・・言えば楽になるぞ・・・俺がそうだった」

 

アナナの言葉にウタがやった事にルフィは心が動くとカタクリが自分の経験を混じえて話してきた。ルフィは少し考えた。

 

「実は・・・」

 

そして話し始めた。

 

 

 

〇〇〇

「・・・で明日、話し合いをする為に離れたと?」

「ぐすッ・・・うん・・・」

 

ハンコックはウタから何があったのか聞いていた。というよりも泣きついてきたウタが勝手に話し始めたのでそれに付き合ったのが正しい。

ウタから粗方の内容を聞いてハンコックは何故にそれを恋敵である自分に話し始めるのか分からなかったが同時にチャンスと云う欲望もあった。

 

(これはチャンスじゃ!!これを期にルフィと!!・・・いや、駄目じゃ・・・このような付け込むやり方は美しくない・・・)

 

美に関して底知れぬプライドがあるハンコックは一瞬だけ欲が勝ったがすぐにプライドがそれに勝った。“海賊女帝”“世界一の美女”と名高いハンコックはそんな卑劣な欲に負けなかった。

 

「ルフィのバカ・・・もう知らないもん・・・嫌いだ・・・」

「・・・ほぅ、それを妾に言っても良いのか?」

「あっ・・・」

「妾はそなたとルフィが別れるのなら心から喜ぶぞ・・・そうじゃな、ルフィと付き合ったら何をしようか・・・」

 

ハンコックはウタの漏らした一言に対して少し夢見しつつも容赦なく自分とルフィが付き合った時に何をするのか話し始めた。

 

「まずは食べさせ合いかの?ルフィが食べさせてくれるなら全て極上の美味になりそうじゃ。次は一緒に湯浴みして身体を洗おう。そして共に寝所へ行ってそのまま・・・」

「ダメ!!絶対にダメ!!」

 

ハンコックがそこまで言うとウタは駄目だと言ってきたがそんなのハンコックの知ったこっちゃで叫んでるウタに首を傾げた。

 

「どうしたのじゃ?もう嫌いなのじゃろう?」

「っ・・・そ、そうだよ」

 

ハンコックの挑発にウタは意地を張ってしまった。さっきの手前、すんなりと違うと云うのは嫌だったのだ。ハンコックの語りはそれを聞くと益々止まらなくなった。

 

「そうじゃのう・・・先ずは熱いキスかの・・・」

「・・・や・・・」

「お互いの熱を高めあって、互いに受け入れられる準備を・・・」

「・・・だめ・・・」

「そしてそのまま・・・」

 

ハンコックはルフィと夜を過ごす事を言おうとすると大切な恋人とハンコックが繋がってる所を想像してしまったがウタに我慢の限界が来た。

 

「ダメ~!!ダメダメダメダメ!!ルフィはアタシの恋人だもん!!絶対にダメ~!!」

「嫌いなのじゃろう?」

「好き!!大好き!!絶対に誰にも渡したくないくらい大好きだよ!!」

 

ウタは少し涙目になりながらそう叫ぶと自分の叫んだ事に気づいたのか顔を赤くした。ハンコックはそれを聞くと色々と拗らせたウタに対して言い始めた。

 

「やっと本音を言いおったか・・・しかし、ルフィと繋がりたいのは本音じゃ・・・」

「うぅ・・・」

「じゃが、このような事で付け込むのは妾のプライドが許さん・・・妾はそなたと真っ向勝負をして奪いたい」

 

ハンコックのその言葉を聞いてウタは顔を上げて向き合い始めた。

 

「妾が相手にしておるのは・・・ルフィが恋人と認めた“歌姫”なのでな・・・一度や二度、フラレたから何じゃ?妾はそれ以上に言われたが諦めてなどいない・・・だからそなたも諦めるな・・・そんなでは海賊王の妻に成れぬぞ」

 

ハンコックはウタにそう言った。ルフィに結婚しないと言われてきたハンコックだがそんなので諦めてはいないし、ルフィとウタが恋人になっても諦めてない。必ず奪うと体に流れる海賊の血が叫んでいる中で出会ったウタに対して何回も殺意を抱いたがこんな風にウタが腐りそうになるのは見ていられなかった。

 

「ハンコック・・・そうだよね・・・一度や二度の言われたからって諦めてちゃダメだよね・・・ごめんね、色々と迷惑をかけて・・・」

「・・・構わぬ・・・明日話し合いをするじゃろう?・・・それで無理だったら今度こそルフィを奪うから覚悟しとくのじゃな」

「うぅ・・・絶対に渡さない!」

「フッ、困難な状況から奪いに行くのは本当に血が騒ぐのう・・・兎に角今日は休んで落ち着く事じゃな」

「絶対に・・・絶対に渡さない!!ルフィと結婚するんだから!!」

 

ハンコックにそう言われたウタは再び立ち上がると渡さないと宣言した。ハンコックはそれを見て明日、不甲斐なかったら今度こそ奪うと最後通告をしてあげるとウタは色々と頭や気持ちを整理する為に城にある自室へ向かっていった。

 

(妾もヤキが回ったな・・・飲む・・・のは止めよう・・・妾も負けてばかりではダメじゃ)

 

ウタに色々と助言をしてしまったハンコックは少し自虐しつつも酒を飲むのを止めてルフィを奪おうと気持ちを新たにした。

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィはアナナとカタクリにウタと喧嘩した内容を話しているとアナナが信じられないと言わんばかりに怒った。

 

「ルフィお兄ちゃん最低!!馬鹿!!頓珍漢!!朴念仁!!ウタお姉ちゃんが好きじゃないの!?」

「なっ、好きに決まってんだろ!?」

「なら何で結婚しないなんて言うの!?」

「俺は結婚したくねぇんだよ!!」

 

アナナの暴言にルフィは噛み付いて喧嘩しそうになってると以前、ルフィの“約束”を聞いていたカタクリがここまでの話を聞いて口を開いた。

 

「以前、言っていた“約束”はどうしたんだ?」

「・・・それは・・・」

 

ルフィはウタに覚えて貰えていなかった事は流石に言えなかった。カタクリはルフィが話さないのを見て何かあったのかと思うとそれに対して思っていた事を言い始めた。

 

「あれは結婚の約束じゃなかったのか?」

「えっ?」

「はぁ?お前何言ってんだ?結婚って一緒に家とか島に住み着くんだろ!?俺はウタと一緒に冒険するんだ!子供が出来たら皆で海に出て、あちこち見て回るんだ!」

 

アナナとカタクリはそれを聞くと互いに顔を見合わせて察した。原因はルフィの結婚に対する認識が狭すぎると言う何とも酷い理由だった。

 

「ルフィお兄ちゃん・・・それ、結婚と一緒だよ」

「何、そうなのか!?」

「・・・結婚の仕方なんて人それぞれだ・・・どうしてそんな風に狭めてるのか分からんが・・・三流のコントにもならん笑い話だな」

 

アナナやカタクリに指摘されてルフィは初めてそれを知ったので驚いた。そして自分の考えていた“約束”が結婚だと認識すると徐々に顔が青くなってきた。

 

「自分のやった事を自覚してきたようだな」

「ルフィお兄ちゃんって・・・凄いおバカ・・・」

「俺・・・ウタに謝らねぇと・・・」

 

ルフィがそんな風に考えてるとカタクリは立ち上がった。

 

「後は俺達の出る幕じゃないな・・・アナナ行こう」

「カタクリお兄ちゃん・・・わかった」

 

カタクリはアナナを抱き上げると不甲斐ないルフィに対して最後に思っていた事を言った。

 

「最後に一言言っておくが今度今みたいな不甲斐ない事をしたら俺は彼女を奪いに行くから覚悟しろ」

「なっ!?・・・ウタは渡さねぇ!!」

「なら、明日の話し合いで仲直りでもするんだな」

「ルフィお兄ちゃん・・・今日はもう休んで落ち着いて話した方がきっと良いよ!!」

 

カタクリの宣言にルフィは思いっきり返すとアナナが今のままだと突っ走りそうなルフィに助言を送った。ルフィは昔、シャンクスとウタに関して喧嘩した時に少し時間が掛かった事やウソップの離脱の時や万国での喧嘩の事も考えて落ち着く時間がいると分かるとその場を後にした。

 

カタクリとアナナはルフィが去ったのを見て自分達も出店を回るのを再開しようと決めた。

 

「俺もヤキが回ったな・・・助言をしてしまうとは・・・」

「カタクリお兄ちゃん・・・でもカッコ良かったよ・・・」

「アナナ・・・」

「流石、カタクリお兄ちゃん!!」

「・・・ありがとう」

 

カタクリはアナナの優しい一言を嬉しく思いながらまだまだ遊び足りないアナナの為に一緒に祭りを回って行った。

 

 

 

〇〇〇

ウタはハンコックにそう宣言して城に帰ってる最中に色々と気持ちを整理していた。

 

(そうだよ・・・ルフィが結婚しないって言ってもそれで諦めたんじゃ・・・あれ?そう言えば昔・・・)

 

『ねぇルフィ・・・』

『ん?なんだ??』

『お互いに新時代を作って夢が叶ったらさ・・・ー、☓☓し■い?』

『ん?■●ってなんだ?』

『おーいに☓●の■に▲☓●ーすること』

『え■〜!?■●ぞ、俺はー☓したいんだ!!』

『は●〜・・・だ●思☓た・・』

『あ、だ●たらウタ。▲ん●の〇どうだ!?』

『うん?なによ・・・』

『●☓叶▲たらさ、△▼に〇に出よう!!✖☓だけの▼!!ー▼なんてつまんねぇもんよりもずっと良いだろ!』

『ルフィ・・・良いねそれ・・・ルフィと一緒なら楽しそう!』

『だろ!?シシシ・・・』

 

ウタはルフィと結婚しようとしていた事を思い出しつつあったが完全に思い出せてなかった。

 

「アタシ・・・ルフィと何を約束してたの・・・??」

 

一方、ルフィはウタの服を持ちながらサニー号に帰ろうとしていると足元にボールが転がってきたので拾った。

 

「何だこれ?」

「ねぇ、それ頂戴」

 

ルフィは声のする方向をみると小さい女の子がボールに向かって手を伸ばしていた。ルフィはそれを認識するとすぐに渡した。

 

「これ、お前のか?」

「ううん、あそこのお店の・・・これから的あてするから欲しかったの・・・」

 

ルフィは女の子が指さした方を見るとそこには的あてをやってる出店があった。何気なしにそれを見ているとルフィからボールを貰った女の子が景品の1つにあった作り物の宝石セットの玩具を手に入れていて、中から指輪を取っていた。

 

「指輪か・・・そう言えば昔ウタの指に差したっけ・・・懐かしいなぁ・・・」

 

ルフィはウタとのある思い出を思い出すとサニー号に今度こそ帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃。

すっかり酒飲み仲間になってしまったコアラ、キラー、ベポ、ブリュレは今日も大いに盛りあがっていた。

 

「本当に楽しい!!」

「ファッファッファッ!!最高だ!!」

「UTAの幸せを願って!!」

「ウィッウィッウィッ!!乾杯!!」

 

4人はまた何回目かの乾杯をやっていてローとイワンコフは少し遠くからそれを呆れながら見ていた。

そんな風にしているとコアラが電飾を着込んでいるベポを見ながらある事を思いついた。

 

「ねぇねぇ!!良いこと思いついた!!」

「ファッ?」

「何?」

「なんだい?」

 

コアラが思いついた事を話すと3人とも良いアイデアだと褒めた。それをやればキラー、ベポはファンとしてコアラとブリュレは友達として誰よりも応援出来ると思った。

 

「良いアイデアだ!!」

「賛成!!」

「ウィッウィッウィッウィッ!!早速準備するよ!!」

「よ〜し!!頑張るよ!!」

 

コアラ達はそんな風に最終日の明日に間に合わせる為に準備を始めた。

 

 

 

 

〇〇〇

港ではとある3人が話していた。それはモモンガ、Tボーン、コビー、ヘルメッポと海軍の潜入組でヘルメッポは電伝虫から指示を聞いていた。

 

「では、麦わら大船団の面々は少なくとも今は争う気はないと言う事か・・・」

「はい、全員このライブを楽しんでいます」

「成る程・・・このまま明日も終われば・・・」

「えぇ!?嘘でしょ!?」

 

モモンガ、コビー、Tボーンがそれぞれ話していると電伝虫から指示を伺っていたヘルメッポが叫び、3人ともそっちを向いた。

 

「どうした?」

「センゴク大目付から・・・すぐに戻ってこいと・・・NEO海軍が確認されて夜明けと共に会敵します!!」

「なんですって!?」

「急いで戻りましょう!!」

 

センゴクからの指示を聴いた4人はすぐに船を出してエレジアの近海に待機しているガープ達の元へ戻っていった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「ゴードン、ただいま」

 

ウタは城に返ってくるとゴードンにそう言った。しかし、返事は無かった。

 

「あれ?まだ帰ってきてないのかな?」

 

ウタはゴードンの返事がない事に首を傾げつつも1回自分の部屋に戻ろうと城の中を進んで行って自分の部屋の近くに来ると部屋の扉が開いていた。

 

「ゴードン?・・・」

 

何となしに覗き込もうとした瞬間、扉がバンっと開かれてゴードンが中からふっ飛ばされてきた。

ウタは何が起こったのか分からないがゴードンが血を流してるのを見るとすぐに駆け寄った。

 

「ゴードン、大丈夫!?何があったの!?」

「ウタ・・・逃げるんだ・・・早く!」

「おぉ、漸く登場か」

 

自分を逃がそうとしてるゴードンにウタは混乱してると部屋の中から聴こえてきた声に気づいてそっちの方を見た。

 

そこには“金獅子”のシキが手についた血を拭いながら立っていた。

 

「あんた・・・確か“金獅子”の・・・」

 

シキに直接あったことのないウタはクロスギルドで見た新聞に載っていた顔だと気づいて言おうとするとシキが詰め寄ってウタの首を締め上げた。ウタは息が苦しくなり、藻掻いていた

 

「色々と予定とは違うがまぁお前さえいればいい・・・」

「な、何の・・・」

「手を貸して貰おうか・・・トットムジカちゃん♪」

 

最悪の海賊の魔の手は遂にウタを捉えた。

多くいる見聞色持ちならシキの登場にすぐに気づいたかも知れないがシキは今、見聞殺しを使ってそれから身を守っていた。

こうしてシキの計画は遂に始まった。





















というわけでルフィとウタの喧嘩はカタクリとハンコックとアナナのお陰でお互いに話し合える状況にまでなりました!!
出来てよかった!!
やれてよかった!!
久しぶりにカタクリとハンコックが純粋に輝いていた!!2人にはまだまだ活躍シーンがありますのでご期待下さい!!


そして、次回から遂にシキ・バレット・テゾーロの計画が動きます・・・それに立ち向かうルフィ・カタクリ・バギー達の活躍も書いていくのでお楽しみに!!
NEO海軍は少しお待ちを・・・ただこちらも熱くやりますよ!!



今話の曲は『Bad reputation』とウルフルズの『事件だッ!』です。
この曲、本当に大好きな曲で実を言いますと、他にも色々と参考にしてる曲は沢山ありますが、少なくとも今作のルウタを書く上では完全にこの『事件だッ!』を参考に書いてます。

なぜなのかを知りたい方は【仮面ライダーアギト】をご視聴下さい。恋愛描写が大の苦手なのでルウタを書く上で大いに参考しまくってる井上敏樹大先生の傑作です。

次回は久しぶりの歌詞あり回です。
そしてこの曲で6曲目になります!!
果たしてどの曲になるかお待ち下さい!!


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RUN!RUN!RUN!

お待たせしました!!チクショー!!やっぱり連日投稿がキツくなってる!!
隔日更新だけは延びないように頑張ります!!


シキに首を締められていたウタはそのまま投げ飛ばされたが倒れていたゴードンが根性を出して飛びついて受け止めた。

 

「ウタ、大丈夫かい!?」

「ゲホッ・・・何とか・・・」

 

首を擦るが無事そうなウタにゴードンは少しホッとなったがシキが投げてきた二代鬼徹の刃が肩に刺さった。

 

「あぁぁぁぁ!!!」

「ゴードン!!」

「動くな!」

 

二代鬼徹を抜こうとするがその前に警告されたウタは止まってシキを睨んだ。シキはゆっくりと飛んできてウタとゴードンの首を締め始めた。

 

「さて、エレジア最後の国王ゴードン・・・トットムジカの楽譜は何処だ?」

「・・・あれは燃やした・・・2度と現れないように・・・ウタの幸せの為に・・・」

「・・・ゴー・・・ドン・・・」

「なら、別の方法か・・・仕方ない・・・トットムジカちゃん♪♪♪・・・俺に協力してもらおうか??」

「だ、誰が・・・あんた・・・なんかに・・・」

 

ゴードンがトットムジカの楽譜を燃やした事にシキは少しがっかりしつつも次の方法を考えてそっちに行くためにウタにそう言ったがそんなのを聞く理由は無かった。

するとシキはゴードンの肩に刺さってる二代鬼徹をフワフワの実で操って少し深く刺した。

 

「ぐぁァァァ!!」

「ゴードン!!・・・止めて!!」

「なら、協力しろ!」

「・・・分かった・・・」

 

ウタはシキの言う事に従うしかなかった。シキはそれを聞くと2人を下ろした。そしてウタの腕に付けてるトレジャーマークを見るとそれを奪った。

 

「こりゃあ、ジョンのトレジャーマークか・・・」

「か、返して!!それはバギーおじさんの・・・」

「あぁ?あの赤っ鼻のだと?」

 

ウタの言葉にシキは今の持ち主がバギーだと知るとトレジャーマークを握りしめた。

 

「あのカスピエロが今の持ち主とは・・・ジョンも浮かばれねぇな・・・」

「返して・・・返せ!」

 

飛びかかろうとするウタをシキは地面に押さえつけた。

 

「返して欲しかったら、俺の計画を手伝うこったな」

 

シキの言葉にウタは逆らいたかったが、下手に逆らうとゴードンに危険が及ぶので逆らえずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

そして翌日、ライブの最終日。

この日は1番多くの人達が集まっていた。ライブ1日目と2日目が比較的平和に終わった事に加えて参加してる海賊達の多くがカタギに手を出してない事実もあり、参加してる一般市民も多かった。

麦わら大船団の面々もいてルフィ達と話をしていた。

 

「お前らも来てたのか!!」

「当然だやい」

「ふん、この僕が君達カップルの為に来てる事に感謝するんだな」

「あの時の宴が楽しかったからな」

「そういう事である」

「俺達はバギーズデリバリーの頃からの付き合いだしな」

「僕たちも一杯応援するれす!」

 

サイ、キャベンディッシュ、イデオ、オオロンブス、ハイルディン、レオがルフィと話してる中で麦わらオタクであるバルトロメオはナミたちの方にいた。

 

「おねげぇします!!“泥棒猫”ナミ先輩、“黒足”のサンジ先輩、“ソウルキング”ブルック先輩、“わたあめ大好き”チョッパー先輩、“海峡”のジンベエ先輩!!サインを下さい!!」

 

バルトロメオはドレスローザの時に貰えなかったナミ達のサインを貰うために土下座していた。その後ろにはガンビア達バルトクラブ海賊団のメンバーも同じように頭を下げていてナミ達は初めての展開に困っていた。

 

「え?何これ?」

「こりゃまた随分と濃いのが・・・」

「おぉ♪♪俺、やるぞ!ちょうど考えてたのがあるんだ!!」

「・・・サインなどやったことがないんじゃが?」

「ヨホホホホ!!大丈夫ですよジンベエさん!気楽に書けば良いのですから!!」

「ルフィの友達って個性的な人が多いね!!」

 

バルトロメオに初めて会ったナミは困惑し、サンジは頭を掻いてる中でチョッパーはいそいそと色紙を貰い、ジンベエはブルックからサインのやり方を教わってヤマトはバルトロメオ達の行動を面白く見ていた。

 

「ところであなたは誰だッペ?」

「僕?僕はヤマト!ワノ国でルフィ達の仲間になったんだ♪♪」

『・・・・・・ヤマト先輩、サインを下さい!!』

「え?僕もやって良いの?嬉しいなぁ!!頑張って書くよ!」

 

ナミ達と親しそうにしてる状況とウタの時みたいに失敗するわけにいかなかったバルトロメオは比較的優しく下手にヤマトに尋ねるとそう答えられたのでバルトクラブ海賊団全員でヤマトにも頼み込んでいた。

 

「はぁ、しょうがないわね・・・1人10万ベリーよ」

「いや、そんくらい無償でやってやれよ!」

「・・・安いですね、1人100万ベリーかと思って用意しておりました・・・あ、この前のルフィ先輩達の代金も勿論ご用意しておりますので!!」

「あら、中々わかってるじゃない♪♪素敵な髪型が似合ってるわ♪♪・・・訂正、1人100万ベリーよ」

「がめついわ!!」

 

ナミのいつもの請求にウソップはツッコミを入れたがバルトロメオ達は1人100万ベリーの用意があると言うとナミの目は完全にベリーになっていてウソップに更にツッコまれていた。

結局、この話は友達から金を借りるのが嫌なルフィによって無くなって無償で渡した。

因みにナミは自分の肩にある風車のタトゥー風にサンジは自分の名前にキスマーク、チョッパーは手形、ブルックはソウルキング時代のサインをしていて、ジンベエは『海峡のジンベエ』と達筆に書いていてヤマトは『光月おでん』だった。

 

サインを貰ったバルトロメオ達は漸く麦わらの一味全員のサインを貰えた事に喜んでるとバルトロメオとガンビアの話がルフィの耳に聞こえてきた。

 

「船長、しかしウタ様がルフィ先輩と付き合うとは驚いたな♪♪本当に船長はウタ様に無礼を働いていたのに」

「お前、オラだってあいつに色々とやられただべ」

「懐かしいな、ウォーターセブンでのブルレースとかお互いに反則しまくって共に失格になったりその後で協力して麻薬倉庫を突き止めたり・・・」

 

バルトロメオとガンビアの会話がウタ関係だったのでルフィはそれを聞くと少しムスッとした顔になりながらバルトロメオの方へ行った。

 

「わぁ!ル、ルフィ先輩!!どうしたんだべか!?」

「ロメ男・・・お前にもウタは渡さねぇかんな!」

「え?」

 

バルトロメオとウタがドレスローザや船で仲良さそうにしていたのを見ていたルフィはそう言ってきた。昨日のカタクリやアナナとの会話で絶対に仲直りすると決めたルフィはバルトロメオにも奪われないように何が何でも仲直りすると改めて決心したが言われてるバルトロメオは何が何だか分からずに固まっていた。だが段々とルフィの言っている事が分かると青ざめてきた。

 

「も、も、も、申し訳ございません!!ルフィ先輩に対して何たる不敬を!!この不始末は腹を掻っ捌いて詫びを申し上げます!!」

「おい馬鹿やめろ!」

「こいつ、ウタ関係になると誰にでも嫉妬すんだよ!」

「落ち着け!」

 

号泣しながら腹を持っていたナイフで斬ろうとするバルトロメオにサンジとウソップ、フランキーが全力で止めていた。

 

 

 

〇〇〇

カタクリとアナナは昨日から帰ってきてないブリュレを探していた。泊まりに行くと言われた時は流石のカタクリも焦りかけたが自分の身をブリュレは守れるので少し心配しつつも送ってあげた。

そして最終日である今日が来たのでライブが始まる前に合流しようとしていた。

 

「ブリュレお姉ちゃん居ないね」

「何処に行ったんだ?・・・やはり、行かせるべきでは・・・しかし・・・」

「お兄ちゃん心配しすぎだよ!ブリュレお姉ちゃん強いじゃん!」

「アナナ・・・だが、兄としては心配だ・・・お前もいつか分かる日が来る」

「そうなの?」

 

少し心配しつつもカタクリとアナナはそんな風に和やかに会話をしていた。そんな2人に近づいてくる者達がいた。ブリュレにコアラにベポにキラーの4人だった。

 

「アナナ!!カタクリお兄ちゃん!!」

「あ、ブリュレ・・・お、お姉ちゃん!?」

「ブリュ・・・レ!?」

 

ブリュレ達の事に気づいた2人は4人を見ると目玉が飛び出そうになるほど驚いた。何故ならブリュレにコアラにキラーもベポみたいに全身ウタグッズに身を包んでるだけじゃなく、ベポのような派手な電飾を装着していた。

 

「「何やってんの?」」

 

非常に珍しく混乱しまくってるカタクリとアナナは同じセリフを吐いてブリュレに尋ねるとブリュレとコアラとベポとキラーはポーズを取った。

 

「会員番号1番コアラ!!」

「会員番号2番ブリュレ!!」

「会員番号3番ベポ!!」

「会員番号4番キラー!!」

「「「「我らUTA親衛隊!!!!」」」」

 

堂々と宣言する4人とカタクリやアナナとの間に風が吹いた。それもとてつもない程の寒く、カタクリとアナナは身震いすると顔を見合わせた。

 

「カタクリお兄ちゃん、向こうに行こう」

「・・・そうだな」

「えぇ!?何で!?」

「折角、可愛さとカッコ良さの両方決められるポーズをしたのに!!」

「酷い!!」

「ファッファッファッ!!ノリが悪いな!!」

 

カタクリとアナナの心情を全く察してない4人は各々そんな事を言っていた。母親であるリンリンを倒したローと一緒にいる可能性もあって心配していたがこれを見てそれが杞憂だとカタクリは完全に確信すると大好きな家族である妹のブリュレから暫く距離を置こうとアナナと共に去った。

 

因みにこれを先に見ていたローは心底恥ずかしがって離れて、イワンコフは心から喜び合ってる4人に感動の涙を流して泣き崩れていた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「はぁ~、昨日は急に倒れちまったが今日こそは絶対にスクープを!!」

 

昨日、アナナに入れられた睡眠薬によって眠ってしまったモルガンズは折角のニュースの種になりそうなルフィとウタを見失っていたので今日という今日は死んでもビッグニュースを得ようと燃えていた。

 

「“ビッグニュース”モルガンズ・・・噂以上だな」

「な、お前は“冥王”シルバーズ・レイリー!!」

 

そんなモルガンズに近づいて来たのはレイリーとシャッキーだった。モルガンズはレイリーの登場に驚くが2年前の16点鐘の事を思い出すといつもの状態に戻った。

 

「そう言えばお前は16点鐘の時に麦わらと共に行動していたな・・・理由を教えろ、記事にする」

「あれは・・・まぁそろそろ時効だからいいのか?」

「あと、出来れば“赤髪”と“千両道化”のある噂についても知りたい」

 

モルガンズの言葉にレイリーはシャンクスとバギーでなんか噂があったか?と思いながら首を傾げてるとモルガンズは話しだした。

 

「“赤髪”のシャンクスが“千両道化”のバギーと付き合ってる(恋人)って噂だ」

「シャンクスとバギーが?当たり前だろ?あいつらは付き合い(兄弟)が長いからな」

「やはりそうか!!感謝するぞ!!これは良いニュースになる!!」

 

モルガンズの言葉にレイリーは肯定してしまった。それで大喜びしてるモルガンズにレイリーは本気で首を傾げてると後ろでシャッキーが爆笑していた。

 

「バギーちゃんも大変ね」

 

 

 

 

〇〇〇

一方、その頃バギーはビックトップ号のトイレに籠もっていた。

 

「ぐぉぉぉぉぉ!!!腹が・・・腹が・・・」

「今日も無理そうだガネ・・・」

「また怒られるな・・・」

「どうする?俺達だけでも行くか?」

「まぁ、待ってやろうか・・・どうせ、うちらが居ようが居まいが変わりないしね」

 

バギーの嘆きにMr.3、カバジ、モージ、アルビダはそれぞれやる気のない会話をしてリッチーはのんびり欠伸をしているとバギーが腹を擦りつつも出てきた。

 

「あ~、体の中のもんが全部出た・・・何でこんな事に?」

「あんたって本当に運が悪いよね」

「やかましいわ!!」

 

アルビダの1言にツッコミを入れたバギーはその後、無事にライブへと向かっていった。遅刻は100%決まっていたので一曲目は観客席から見ようとそっちへ向かっていった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

それぞれ、多くの観客達がライブの準備をしていく中でウタは会場に上がった。ゴードンを人質に取られてるウタはシキからある事をやるように言われて新時代のマークの長手袋の裏に縫い込んでいた海楼石を外していた。

 

(どうしたら、どうしたら良いの!?)

 

顔は普段と変わってないが内心どうしたら良いのか考え続けていたが人に言ったらゴードンが死にバレてもゴードンが死に逃げようとしてもゴードンが死ぬ。

11年間、自分を大切に育ててくれたゴードンをウタは見捨てる事など考えもしなかった。

 

『U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!U・T・A!』

 

観客のコールが続いていく中でウタはこれから起こしてしまう事に何をどうやれば良いのか分からなくなった。

 

(皆・・・ごめんなさい・・・絶対に何とかするから)

 

ウタはそうやって謝罪して皆に向かって声を出した。

 

『皆、UTAだよ!!今日はライブの最終日!!盛りあがって行こう!!・・・それに今日は特別なんだ!新しい曲を2曲用意してて最初に一曲、最後に一曲ずつ歌うから最後まで楽しんでね!!』

 

ウタはそう言うと観客は盛り上がった。まさかまさかの新曲の登場に嬉しくなり、喜んでいた。

そんな中でルフィ、カタクリ、レイリー、警備をしていたハンコックはウタに対して違和感を覚えて首を傾げていた。

 

「ふぅ、間に合ったみたいだね」

「早く行って警備の仕事をやるガネ」

「よっしゃこれならバレねぇ・・・たぶん・・・しっかし、ハデに盛り上がってんな!」

「ですね!!」

「ガウ!」

「あれ?バギー座長、ウタのやつトレジャーマークをしてませんよ」

「・・・・・何だと?」

 

モージが何気なしに双眼鏡を覗いてそう言うとバギーは双眼鏡をぶん取って自分の目で見た。そしてウタの腕にトレジャーマークが付いてないのをこの目で見ると背中に冷たい汗が流れた。

バギーはウタと出会ってトレジャーマークを貸してからとウタがライブの時にはそれをバギーズデリバリーで弟子になって大喧嘩した時以外、外してないのを誰よりも知っていた。

バギーの持ち前の悪運さからかそれとも危機に対する本能か・・・バギーは顔を青くした。

 

「・・・耳塞げ」

「は?」

「え?」

「ちょっと座長」

「何言ってんですか?」

「ガウ?」

 

バギーの呟いた一言にアルビダもMr.3もカバジもモージもリッチーも何を言ってるのか分からなくて困惑しているとバギーが思いっきり叫んだ。

 

「耳を塞げ!!アイツの曲を聴くな!!」

 

バギーはそうやって叫ぶと耳を塞いだ。それを見たアルビダ達も困惑しながら耳を塞ぐとウタは新曲の『RUN!RUN!RUN!』を歌い始めた。

 

「はみ出した気持ちつながらなくて♪君の手をぎゅっと握り返すよ♪一人でも僕は歩き出すから♪遠くまでずっと見つめていてね♪」

 

ウタが歌い始めた瞬間、観客がウタワールドに連れて行かれて眠り始めた。

 

「今朝からちょっと考えていた♪どうしてこんなに熱いの♪いつもよりも早足になる♪まだ見ぬ風感じたい♪」

 

誰一人例外はなかった。

ルフィもカタクリもレイリーもハンコックもそれだけでなく麦わらの一味、コアラ達にローやイワンコフも誰一人として曲を聴いた者達は例外なく眠った。

 

「いつからかそんなことばかりが離れないよ♪」

 

しかし、バギー達は眠らずに倒れていく観客達に合わせるように伏せた。ウタは泣きそうになりながら歌い続けた。

 

「はみ出した気持ちつながらなくて♪君の手をぎゅっと握り返すよ♪一人でも僕は歩き出すから♪遠くまでずっと見つめていてね♪」

 

それは電伝虫を通じて世界中に流された。フーシャ村、オレンジの町、シロップ村、バラティエ、ココヤシ村、ローグタウン、双子岬、サクラ王国、アラバスタ、ジャヤ、ウォーターセブン、シャボンディ諸島、魚人島、マリージョア、マリンフォード、海軍本部、ドレスローザ、万国・・・音を聴いていた者達は例外なく眠った。

 

曲を歌い終わったウタは会場で蹲りながら泣き始めた。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」

 

ウタワールドが出来た事でそっちではまだ明るく歌えているがこれだけの大規模な事をやったウタの心は罪悪感で一杯だった。

 

「良くやったなトットムジカちゃん♪」

 

そんなウタにシキは空を飛んでやってきた。ウタはシキに思いっきりぶん殴ろうとロープを振るったがアッサリと止められた。

 

「おいおい、血の気が多いな」

「絶対に・・・許さない・・・」

 

ウタはそう睨みながら言うがシキはそれを聞くと嘲笑った。

 

「おいおい、やったのはお前だろ?自分のやった事を他人に押し付けるのは良くねぇな・・・」

 

嘲笑いながら話してくるシキをウタは睨み続けた。

 

「・・・でも、すぐに閉じる・・・こんだけ大勢を入れたウタワールドは長く維持できない・・・」

 

ウタはシキに対してそう言うと爆笑しつつ懐からピンク色の薬が入った注射器を取り出していた。

 

「な、何それ・・・」

「ジハハハハハハハハ!!俺がなんの対策もしてねぇと思ってたか!?ネズキノコで作った薬だ」

「い、嫌・・・止めて・・・止めてーー!!」

 

打たれまいとウタは暴れるがシキはウタの腕に容赦なくシーザーが作ったネズキノコの薬を打った。全てウタの体に入れられて、シキはウタを手放すとウタは打たれた所を抑えていた。

シキは座り込んでいるウタに対して笑っていると大勢の海賊達がぞろぞろと会場にやってきた。その中には黒ひげ海賊団1番船船長のジーザス・バージェスがそいつらを率いていた。

 

「ウィーッハハハハハハ!!!首尾は順調そうだなジジイ」

「黒ひげクソガキが・・・監視か?」

「そうだ!船長は赤髪とやってるからな!!お前にトットムジカが奪われないように監視だ・・・まだ一応同盟相手だってのを忘れんなよ?」

「ジハハハハハハハハハハ!!良いな、やっぱり海賊ってのはこうじゃねぇとな!!それよりもあの元国王の監視は大丈夫だろうな?」

「当たり前に決まってんだろ?」

 

シキとバージェスが緊張感を出しながらお互いに笑ってると赤髪と聴こえたウタが顔を上げた。

 

「赤髪・・・シャンクス・・・」

「おっ?そう言えばトットムジカは赤髪の娘だったな!!あいつは今、ウチの船長と一昨日からやり合ってるよ」

「なっ!」

「しかし、娘のライブに来ねぇとは酷え父親だなァ?」

 

シキとバージェスの嘲笑いにウタはシキに飛びかかったがシキはあっさりと避けてウタの首を掴み上げた。

 

「あんた達!!・・・あんた達のせいで!!」

「まぁそう行き急ぐな・・・ネズキノコの薬で6時間後には死ぬがそれまでトットムジカを出す為に働いて貰うぞ・・・こんだけの事をやって協力したんだからな?・・・もう“仲間”みたいなもんだろ?・・・トットムジカちゃん♪♪♪」

 

シキ、そしてバージェス達は黒ひげ海賊団はそうやってウタの全てを嘲笑いながらゴードンを捕まえている城へ向かう為に会場を去った。

 

商船も軍艦も来れない絶海の孤島と化してしまったエレジアにウタを助けられる者達は居なかったかに思われた。

 

「なぁ、今のって・・・」

「黒ひげ海賊団に金獅子だガネ」

「座長、早く逃げましょう!」

「ガウ!!」

「座長!!」

 

しかし、そんな風に眠っている観客達の中で立ち上がる者達がいた。バギー達、5人と一匹の“クロスギルド”、いやウタの歌を聴かなかった“バギー海賊団”がシキ達が会場から去った後で立ち上がった。

アルビダ、Mr.3はまさかの大物達の登場に冷や汗をかいてモージ、カバジ、リッチーはバギーに逃げようと促していた。

バギーもすぐに逃げようと背を向け始めた。

 

『バギーおじさん、ありがとう!!』

『おじさん最高!』

『おじさん、私もおじさんの弟子になって良かった!!』

『バギーおじさん・・・大好きだよ』

『アタシのお父さんに触れるな!!』

『・・・アタシの大切な人はアタシが守る!例えその相手が友達であっても・・・アタシは守る!』

『今のうちに逃げて!!』

 

バギーは逃げようとしていたが一歩踏み出すごとにウタとの思い出が溢れてきた。段々と顔が歪んていくなかでバギーは足を止めてしまった。

 

「座長どうしたガネ!?」

「何で止まってんだい!?」

「ガウ!」

「座長!!」

「座長!!」

 

アルビダ達がバギーに対してそう言ってくる。バギーも逃げたかったシキにバージェスにあんなに大勢の海賊の相手などやりたくなかった。

 

『本当にありがとう・・・私、おじさんしか気軽に頼れないから・・・』

 

しかし、ウタが慕ってくれていた事を思い出したバギーは最初に弟子になりに来た時のウタのあの人に上手く頼れなかった姿を思い出すと向き直った。

 

「てめぇら・・・ウタとゴードンを助けてからハデにトンズラするぞ」

「なっ!?」

「本気で言ってるガネ?」

「無理ですよ無理無理無理無理無理無理!!相手は四皇と四皇幹部ですよ!!」

「絶対に死にます!!」

「ガウ!!」

「うるせぇ!!それでもやるんだよ俺は・・・あいつの・・・頼れる“おじさん”なんだよ!!」

 

バギーはアルビダ達に向かってそう叫んだ。バギーもアルビダ達の言ってる事の方が正しいと誰よりも分かっていた。分かっていたがウタを見捨てる事はバギーには出来なかった。

そう叫んだバギーに最初に頷いたのはMr.3だ。

 

「・・・分かったガネ・・・私がいた方が鍵があっても取れるから逃げやすくなるだろう」

 

そして次に頷いたのはモージ、カバジだった。

 

「“船長”命令には逆らえねぇしな・・・」

「その代わり、助けたら全力で逃げますよ!!?宝とかに目が眩んだら置いて行きますからね!?」

 

最後に頷いたのはアルビダにリッチーだった。

 

「・・・ったく1人で操船は大変だし、それにあんたみたいなアホのブサイクとは違って美人な娘の方が助ける気持ちも上がるか・・・」

「ガウ♪♪」

 

バギーはそんな風になんだかんだ最後には付いてきてくれる面々に感動で泣きそうになるも泣くのはウタとゴードンを助けた後だと思って武器のマギーバルカンをガチャンと動くのを確認した後で城を指差した。

 

「ハデに行くぞ野郎共!!バギー海賊団のウタ救出大作戦じゃ!!!」

「「「「おう!!」」」」

「ガウ!!」

 

誰も彼もが寝てしまったエレジアでウタを助ける為に“バギー海賊団”の孤独な戦いが始まった。

 

これはバギーが“死んでも”ウタを助けようとする物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・後6時間!!!!























はい、というわけでウタによるREDコースとはちょっと違うけど多くのキャラ達がウタワールドに行った中で始まるのはバギー海賊団VSシキ・黒ひげ同盟の戦い!!
これも初期から決めていた事などでやれて嬉しいです!!

なにせ最終章の主役はバギーなので・・・

バレットやテゾーロは恐らく次回になります!!
取り敢えず、誰も予想出来ない展開を書けるように頑張ります!!
 
そして今作で歌詞ありは7曲だけと宣言していた6曲目の曲は『RUN!RUN!RUN!』です。
この孤独でも進んでいく感じがピッタシだったので実は今作を書いててバギーと出会った時の『ヒカリヘ』と同じ時にこの展開を思いついていました。なので今まで出てきた6曲の中で実は3番目に決めていたのがこの曲です。
因みに『ヒカリヘ』は2番目で1番目は最後の7曲目です。

さてさて、次回もお楽しみに!!

負けるなバギー!!この後、死ぬほどボコられまくるけど生きろ!!



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sailIng day/Saturday Night’s Alright For Fighting

やった!!
久しぶりの連日投稿だ!!
嬉しくてハイになりそうです!!
それではどうぞ!!


バギー海賊団が決死の作戦を現実世界でやろうとしていた頃、ウタワールドではウタはライブを続けていた。

現実でゴードンを助けない限り、どうする事も出来なかった。夢で何をやっても現実には影響は出ない。それは逆にしかり。

 

ルフィ、カタクリ、ハンコック、レイリーを始めとした軒並み見聞色の覇気が強い人間達もあくまでも人の意志にしか作用しない見聞色のせいで夢が現実か気づいていなかった。

ウタは『RUN!RUN!RUN!』を歌い終わって2曲目に入ろうとした瞬間、空から弾丸が飛んでくるかのような勢いで乱入してくる者がいた。

大量の砂煙を出して会場に突っ込んできて場は騒然となった。

 

「ウタ!!」

「何が起こった?」

「何が起こったのじゃ!?」

「今の・・・まさか!?」

 

ルフィ、レイリー、ハンコック、カタクリは突然の事にそれぞれ構えて麦わらの一味、麦わら大船団の面々、コアラ、ブリュレ、ベポ、キラー、ロー、イワンコフもその状況に混乱しつつも対処できるように構えた。

そして煙が晴れて見えてきたのはバレット・・・更にはテゾーロもいた。

 

『おい、何だあいつ?』

『また海賊か?』

『それとも何かの演出か?』

 

観客達も混乱している最中、ウタは顔を青褪めつつもバレットやテゾーロの近くにいた。

 

「皆、ごめんなさい・・・」

 

そう呟くとボンボンとウタの体から虹色の光が放出されていった。それは会場を全て包み込んで観客達をドンドンぬいぐるみや玩具へと変えていった。

 

「飛べ!!!!」

 

ルフィは麦わらの一味や大船団の面々にそう言うと飛び上がった。

 

「飛ぶのじゃ!!」

「ニョン婆!」

「マーガレット、お主の方が戦力にニャろう!!」

 

ハンコックの指示で警備の九蛇海賊団も飛び上がったが大半がぬいぐるみや玩具に変えられてしまい、残ったのはハンコックにサンダーソニア、マリーゴールド、そしてニョン婆を生き残らせようとしたがニョン婆から逆に助けられたマーガレットだけ残った。

 

「お兄ちゃん!」

「アナナ!!」

 

カタクリはアナナを連れて飛び上がってそれを回避した。

 

「飛べ!!」

「避けるのよ!!」

 

ローとイワンコフの指示を聴いてかコアラ、ブリュレ、ベポ、キラーにイワンコフも飛び上がってローも飛び上がろうとしたが時は既に遅く飛び上がろうとした瞬間に片足が光に浸かってしまいぬいぐるみになるとそのまま飛べずにぬいぐるみになってしまった。

 

「キャプテン!!」

「後で合流だ!!」

 

ベポがローに向かって叫び、飛んできそうになるがローはそう指示をやって逃した。

 

「不味いな」

「飛ぶわよ」

 

レイリーとシャッキーも光から飛んで避けようとした。

 

「おい、俺を置いていくな!」

「あ、おい!」

 

しかし、レイリーは運悪くその場にいたモルガンズにしがみつかれて上手く飛べなかった。そしてモルガンズごと光に包まれてレイリーもぬいぐるみになってしまった。

 

 

〇〇〇

光が軈て全てを呑み込んで水平線のように平らになるとその場に居たのはバレット、ウタ、テゾーロに対峙するかのように麦わらの一味と麦わら大船団の船長達がいて、遠くにはハンコック達にコアラ達、カタクリ達にシャッキーがいた。

 

「カハハハハハハ!!良い感じに手強そうなのが残ったな!!」

「さて、ショーを始めようか」

 

バレットとテゾーロがそうやって笑っている最中、ルフィはウタに当たらないように覇王色の覇気を2人にぶつけようと放った。しかし、同等の覇王色を持ってるバレットに相殺された。

 

「やるな・・・“四皇”麦わらのルフィ」

「お前・・・折角のウタのライブをブチ壊しやがって・・・ウタ、そっから離れろ!!」

 

ルフィはウタに対してそう叫んだ。しかし、ウタは涙は溢れても動けなかった。

 

「動いたら現実の元国王がどうなるかわかってるよな?」

 

テゾーロはそうやってウタを脅した。バレットとシキが見聞色で繋がっており、ウタワールドの事は現実でも筒抜けだった。これのせいでウタはバレットやテゾーロに逆らえなかった。

 

「おい、トットムジカはもう用済みだ」

「そうだな。私も要らない」

 

バレットの言葉にテゾーロは同意すると自分の指につけていた金の指輪をウタに投げた。

そしてテゾーロはゴルゴルの実の力を使ってウタを黄金像に変えた。

その光景に対して飛び出した者達がいた。

 

「ウタに何やってんだ!?」

「貴様ら!!」

 

ルフィとカタクリだった。

2人は武装色で硬化した腕をバレットやテゾーロに向かって振ってくるがバレットはそれを受け止めた。

 

「さぁ、始めようか!」

 

バレットはルフィとカタクリを思いっきり叩きつけて吹き飛ばした。それを合図に他の面々達も構えていく中でテゾーロはウタの黄金像を持って去っていった。

 

「ウタ!!」

「ルフィ先輩、ここはオラ達傘下に任せてくんろ!!」

「二手に分かれるのが賢明やい!!」

「お前ら・・・分かった!!」

 

バルトロメオやサイがそうやってルフィに向かって言うとルフィ達麦わらの一味はテゾーロを追いかけようとした。

 

「姉様はルフィの方へ!」

「ここは任せて!!」

「蛇姫様!」

「そなたら・・・すまぬ!!」

 

ハンコックもサンダーソニアやマリーゴールド、マーガレットに云われてテゾーロの方へ行こうとしていた。

 

「お兄ちゃん!!」

「ブリュレ、俺達もウタだ!!」

「よし、行くわよ!!」

「俺は・・・キャプテンが・・・」

「トラファルガーはこんなんでくたばる奴じゃない」

「ウタちゃんの方へ行くよ!」

 

カタクリはアナナを抱きかかえた後でブリュレ達と合流するとテゾーロの方を追いかけに行った。ここで下手にバレットの相手をやるよりも早くウタを助けたほうが賢明だったからだ。

 

「おいおい、行かせるわけがねぇだろ」

 

バレットはそうやってテゾーロの方を追いかけようとしている面々を止めようと飛びかかっていった。

 

「流動防壁 ドーム!!」

 

しかし、バルトロメオがウタの方へ向かった面々とバレットを切り離すドームを張ってそれを止めた。

 

「おおっと、お前の相手はオラ達だべ」

「相手をしてもらうやい」

「まさかここで逃げるわけじゃないよな?」

 

バルトロメオ、サイ、キャベンディッシュの言葉を聴いてイデオ、オオロンブス、レオ、ハイルディンだけじゃなく、アブドーラにジェット、ブルーギリー、スレイマンも構えていた。

 

「まさか、これが俺達の初めての戦いになるとはな」

「勝ってライブを続けるぞ」

「ウタランドはルフィランドが必ず助けますから僕たちも頑張るれす!!」

 

そんな麦わら大船団の面々に近づいてくる者達がいた。サンダーソニア、マリーゴールド、マーガレットの3人だった。

 

「あら、貴方は・・・久しぶりね」

「お前らは・・・女帝の・・・」

「この戦い、私達も参加させてもらって良いかしら?」

「勿論だ、戦力は多いほうが良い!」

 

以前ハンコック達に会っていたバルトロメオはハンコックの仲間だと気づき、サンダーソニアは麦わら大船団の面々にそう尋ねると共にバレットに対して構えた。

 

「てめぇら・・・まぁ良い。楽しめそうだな麦わら大船団!!!」

 

バレットはそうやって笑うとバルトロメオ達、麦わら大船団に向かって突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「ウタ〜!!!」

 

ルフィはそう叫びながらウタの黄金像を持っているテゾーロに向かって飛びかかっていった。

テゾーロは黄金を操ってそれを防いだがゾロとヤマトの斬撃がそこからすぐに飛んできてギリギリ防ぐがテゾーロは吹き飛ばされた。

 

「痺れるねぇ、流石“四皇”か」

「ウタを返せ!!」

「断る、バカラ!タナカさん!」

 

テゾーロの言葉を聴いて待機していたバカラとタナカさんがやってきたがルフィ達の所にもカタクリ達やハンコックもやってきた。

 

「経った3人で妾達から逃げられるつもりか!!」

 

ハンコックの言葉にルフィとカタクリは腕を伸ばして、ゾロとヤマト、ブルックは飛ぶ斬撃、サンジとキラーにベポ、コアラ、チョッパーは突っ込んでいって、イワンコフはウィンク、フランキーは火の玉、ロビンは巨大な手を出して、ウソップは射撃、ナミは雷撃、ハンコックは虜の矢を放って、ブリュレはミラミラの実で咄嗟にイワンコフのウィンクを真似て、ジンベエは槍波を放った。

 

「バカラ」

「はい、既に運は溜めてます」

「スルルル!!」

 

しかし、ラキラキの実の力を持ってるバカラに手袋越しに触れられたテゾーロと黄金像。そしてヌケヌケの実の力を持ってるタナカさんのすり抜けにより3人は攻撃に当たることなく下に落ちていってその場から逃げた。

 

「クソっ!!!」

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

現実世界ではバギー達が城に向かって突き進んでいた。

 

「しかし、シキの目的は何なんだい!?」

「わかるわけねぇだろ!!それにそんなのハデに知ったこっちねぇ!!ウタを助けてトンズラするだけだ!!」

 

アルビダの言葉にバギーはそうはっきりと答えた。一応、ウタからシャンクスと別れてしまった理由のトットムジカについては聞いていたがバギーはそんなのどうでも良かった。

何故ならバギーにとってウタはウタでしかなく、それだから助けるのであって、それ以外の理由などなかった。

 

 

 

△△△

テゾーロに逃げられたルフィ達はすぐにテゾーロを追おうとしていた。

 

「すぐにウタを追うぞ!!」

「待て!!」

「待つのじゃルフィ、闇雲に追っても捕まらんぞ。あれだけの攻撃を無傷で避けるのは不可能じゃ、つまり能力者が他にもいる!!」

 

突っ走ろうとするルフィにカタクリとハンコックが呼び止めるとルフィはここで漸くハンコック達に気づいたのか驚いた。

 

「おぉ、ハンコック達もいたのか!」

「・・・まぁ、今は良い・・・すぐに追いかける準備をしないとな」

「そうじゃの」

 

ルフィの言葉にカタクリとハンコックは冷静に会話している中で面々の中には再会したくなかった者がいた事に叫んでいた者がいた。

 

「あら、お久しぶりねぐるぐるボーイ」

「ギャァァァァァ!!オカマコフ!!なんでお前まで!!??」

「ん?何だサンジ、知り合いか?」

「珍獣仲間か?」

「オロすぞマリモ!!それよりも二度と会いたくなかったのに!!」

「あら?2年間、カマバッカ王国で楽しい一時を過ごしたじゃない」

「楽しくはねぇよ!!」

 

サンジは嫌な再会をしてしまったイワンコフに向かって叫び声を上げていた。

それだけでなく他にも再会をしてしまった者達もいた。

 

(ヤバっ、ジンベエさんだ!!ちょっと待って!!流石にこれは恥ずかしい!!)

 

嘗て魚人海賊団で暫く過ごした経験のあるコアラがジンベエを見るや否やベポやキラーの後ろに隠れた。電飾まみれのど派手な格好は流石に久しぶりに会うのに見せられなかった。

 

(あの娘・・・何処かで・・・しかし、わしの知り合いにあんな格好をする娘はおらんかったような??)

 

一方、視線に気づいたのかジンベエはコアラを見ると何処か懐かしい感じになりつつも今のコアラの格好が格好ので気づいてなかった。

 

「どうやら、大半の強者がこっちへ来てしまったようだな」

 

また新しく聞こえてきた声に面々は振り向くとそこにはシャッキーに抱えられたぬいぐるみになったレイリーとローがいた。

 

「レ、レイリー?・・・それにそいつは・・・」

「キャプテン!?」

「・・・俺はお前らの知り合いじゃねぇ」

「いや、彼はトラファルガー・ローだ」

 

ルフィがレイリーとローの予想外の変化に戸惑い、ベポが驚いた。ローはファンシーなぬいぐるみになった事がバレると恥ずかしいので他人のふりをしようとしたが横にいるレイリーにあっさりとバラされた。

 

「トラ男、随分とまぁかわいくなったな」

「カワイイわね」

「ウィッウィッウィッ、ちょっと良い気味」

「黙れ!!」

 

ウソップ、ロビン、そしてリンリンを倒されたブリュレが各々感想を言っていくとローはキレた。

ぬいぐるみになってしまってすぐに外に出ようにも水では無いとはいえ、水のような感覚に少し手間取っていたらぬいぐるみになっても自由に動き回っていたレイリーに助けられて外に出たローだが非常に屈辱的な気分を味わっていた。

 

「あんた・・・何やってんだ?」

「レイリー、随分と可愛らしい姿に・・・」

「あら、結構似合うわよ」

「意外に楽しいが・・・それよりもウタちゃんの事だが・・・」

 

レイリーはそうやって話を進めようとウタの名前を出した。すると何処から盆踊りのような曲が流れてきて一同はそっちの方に顔を向けるとベポの電飾が流していた。

 

「あ、すみません」

 

ベポはすぐにウタの名前に反応する電飾を止めた。

 

「まぁいい、ウタちゃんから・・・」

 

すると今度はワルツのような音楽が流れてきた。

 

「あ、すまん」

 

今度はキラーの電飾だった。

 

「ウタワールド・・・」

 

今度はクラシック音楽だった。

 

「ご、ごめんなさい」

 

今度はコアラの電飾だった。

 

「・・・について教わっている。リンリンの次男坊も気づいてるだろう?」

「あぁ、バレットにウタを連れて行ったのはギルゾ・テゾーロ・・・黄金を操る能力だがぬいぐるみや玩具に変える能力者じゃない。それにここまでの規模は明らかに普通の能力じゃない」

「つまりここはウタちゃんの・・・」

 

レイリーがウタワールドだと言おうとしたら今度はテクノが流れてきた。

 

「あ、悪いわね」

「はぁ~・・・」

「うっさいわね、一々!!」

 

今度はブリュレの電飾で呆れ果てたカタクリに話を一々止めてる事にキレたナミが4人の頭に容赦なく拳骨をお見舞いした。

 

「「「「すみません」」」」

 

殴られた4人は電飾を脱いで何時もの格好になった。

 

「・・・話を戻して、つまりここはウタちゃんの夢の中の世界だと言うことだ」

「レイリーもウタの事知ってたのか?」

「話はクロスギルドで知っていたからな。ここからが本題だが現実世界で何かあったのだろう。でないとウタちゃんがこのような事をやるとは思えない」

「・・・兎に角、ウタを助け出して事情を効かないと・・・」

 

カタクリがそうやって話を終わらせてウタの元へ行こうとすると突然と爆発音が聴こえてきた。

面々は音のした方を見るとボロボロのバルトロメオにサンダーソニアを掴んでいるバレットがやってきた。

 

「ロメ男!!」

「ソニア!!」

「カハハハハハハハハハハ!!準備運動はこれくらいで良いか・・・で、次の相手は誰だ?」

 

バレットの言葉に対して一同は構えていく中でレイリーはルフィに話しかけた。

 

「ルフィ・・・あいつとさっきの男、どっちが強いか分かるな?」

「あぁ、こいつの方が無茶苦茶強え・・・ビックマムやカイドウと対峙してるみたいだ」

「なら・・・分かるな」

「・・・分かった」

 

見聞色でバレットの強さが分かったルフィはレイリーに言われると自分の船の仲間に指示を出した。

 

「ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジ、チョッパー、ロビン、フランキー、ブルック、ジンベエ、ヤマト!!・・・・ここは俺が残る・・・」

 

目の前のバレットが自分が相手にしないといけないと理解したルフィは残る事を決めてウタを仲間達に託した。本当はウタの方へすぐに向かいたいし、死んでも助けたい。だがウタを助けつつバレットの相手など出来ないのをルフィは察した。

 

「了解だ船長・・・絶対に何が何でも助ける」

 

ルフィの言葉を聴いてゾロは絶対に助けるとだけ誓うと他の麦わらの一味の面々もその真意に気づいてウタの方へ走っていった。

 

「イワちゃんも頼む!!」

「麦わらボーイ・・・任せな!!」

「ブリュレ、お前も行け!!」

「了解、お兄ちゃん!!」

 

ルフィはイワンコフにも頼んで進めさせてカタクリもブリュレの能力なら役立つと思って先に進ませた。

 

「“冥王”に先々代九蛇海賊団船長、アナナを頼む」

「任せて」

「カタクリお兄ちゃん・・・」

「大丈夫だアナナ、絶対にウタを助けてここから出るぞ」

 

カタクリは抱えていたアナナをシャッキーに預けるとルフィと同じようにバレットに対して向かい合った。シャッキー、アナナ、レイリーはそのまま激戦に巻き込まれないようにその場を離れた。

残っていたコアラ、ベポ、キラーそしてぬいぐるみになってるローもウタの救出に麦わらの一味やルフィからの信頼があるイワンコフが一緒に行ってるのを見て下手に自分達が行くよりもここでバレットを倒す方に戦力を向けるのが良いと理解して残っていてハンコックも妹であるサンダーソニアをやられた返しを姉として船長としてしなければいけないので残っていた。

 

「カハハハハハ!!今度はもっと楽しめそうだな!!」

 

バレットは残ったルフィ、カタクリ、ハンコック、コアラ、キラー、ベポとその頭の上に乗ったローを見て笑うと構えた。

 

「カタクリお前・・・」

「お前1人の問題じゃない。力を合わせてウタを助けるぞ」

「そうじゃ・・・それに妾の妹に手を出した此奴を許してはおかん」

「キャプテン、絶対に俺の頭の上から離れないでよ」

「分かってる。頼むぞベポ」

「ファッファッファッ、腕は立つか?」

「私?当然、ウタちゃんに手を出したこいつらを許す気はないからね」

「・・・・・よし、行くぞ!!」

 

ルフィの言葉を聞いて6人は一斉にバレットに向かって飛びかかっていった。

 

「掛かってこい!!」

 

バレットもそれを見て笑いながら飛び込んで行った。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

バギー達は城の近くに来るとそこには大量の黒ひげ海賊団の下っ端がいて城の門だったり、近くの道だったりを警備していて近づけなかった。

しかし、伊達にゴードンから警備を任されてはおらずこんな時の為ではないが城の中に続く秘密路を教えて貰っていたのでバギー達はそこから入って行こうとしていた。

 

「よし、早くここから・・・」

〘バギー・・・聴こえるかバギー・・・〙

「な・・・レ、レイリーさん!?」

 

バギーは突然と聴こえてきたレイリーの声に頭を抑えて周りを見ると周りには自分達以外誰も居なくて遠くにある城への門や近くの道の海賊達にもバレていなかった。

 

「どうしたんだい?」

「レ、レイリーさんの声が・・・」

〘見聞色の覇気だ・・・本当は使える2人が息を合わすとリンクするがお前は使えないから・・・一方的に合わせて貰った。今、お前が見えてる景色が私にも分かる〙

「レイリーさん・・・」

〘だが、私はこうやって話す事しか出きない〙

「そ、そんな・・・」

「ええい、もう先に行くよ」

 

バギーはレイリーが援軍に来てくれるかと思ったがまさかの通告にショックを受けた。アルビダ達、他の面々はさっきから独り言を繰り返してるだけにしか見えないバギーは放っておいて先に進んだ。

 

「あっ!」

〘いや、バギー。これで良い〙

「えぇ!?」

〘陽動で誰かが囮にならないといけない。お前の武器なら派手でそれが出来る〙

「レ、レイリーさん、無理無理無理無理!ウタやゴードンをこっそり助け出すつもりで・・・」

 

バキーはレイリーの言葉に無理だと思った。囮になったら絶対にシキやバージェスが来る。そんな奴らの相手など出来なかった。しかし、レイリーは厳しい言葉をバギーに掛けてきた。

 

〘だからそれをやる為の陽動だ。安心しろお前には私がついてる・・・指示を飛ばすから私の言う通りにするんだ・・・お前は1人じゃない〙

 

レイリーの言葉にバギーは抑えていた恐怖が出てきて震えそうになったがレイリーの暖かい言葉を聴くと少しだけ収まってきた。

 

「レイリーさん・・・チクショー!!やってやら!!」

 

バギーはレイリーの言葉を聴くとヤケクソ気味に飛び出していった。そして黒ひげ海賊団の下っ端達に向かってマギーバルカンでマギー玉を大量に発射しまくった。

 

「おい、何だ!?」

「敵か!?」

「凄え爆発だぞ!!」

 

マギー玉の爆発による爆風と煙で黒ひげ海賊団の下っ端達は混乱している中、バギーは爆煙の中から飛び出して下っ端の1人をマギーバルカンにつけていた飛び出す刃を使って容赦なく刺した。

 

「ウタ救出ド派手大作戦じゃ!!!!」

〘その意気だバギー!!右から来るぞ!〙

 

レイリーの指示を聴いたバギーは右から斧を振り下ろしてきた下っ端の攻撃を避けて太腿に右腕のマギーバルカンの刃を刺して左腕のマギーバルカンの刃を腹にも刺した後で蹴り飛ばした。

現実でもウタワールドでもウタを救ける為の戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・後、5時間30分!!!!





























というわけですまない麦わら大船団・・・本当はもうちょい粘る筈だったんだが・・・後で立ち上がらせるから勘弁して・・・

現実ではバギーが更に頑張る事に・・・マジで頑張れ・・・そしてぬいぐるみになっても頼りになるレイリー!!

ロー!!ぬいぐるみになったけど後でベポと活躍シーンがあるから安心してね!!

そして再会しちゃったサンジとイワンコフ・・・さてギャグシーンも適度に軽いのを挟んで行きますよ・・・

今話の曲は『sailing day』とエルトン・ジョンの『Saturday Night’s Alight For Fighting』です。


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Campass/SAMURAI STRONG STYLE

お待たせしました!!
くそ、結局3日も掛かったよ〜・・・ウタワールドに苦戦しております・・・

次回は日曜に出せるように頑張ります。


エレジアが大波乱になる3時間前、少し離れた海ではある者達が対峙していた。

 

『あぁ〜!んんっ!!ゼファー・・・ゼファー・・・聴こえとるじゃろう!!こちらガープ、こちらガープ。ここから先はわしの孫の嫁のライブ会場しかないぞ!!武装を解除して楽しむと云うならわしらも歓迎する!どうじゃ、センゴクにおつるちゃんもいるから久しぶりに4人でうまいもんでも食おう!それが嫌なら海の藻屑にしてやる!!』

「ガープ!!説得になってないじゃないか!!」

「せんべい親父に任せるんじゃなかった」

 

NEO海軍の軍艦達に向かって拡声器で声を飛ばして何とかゼット達を止めようと説得すると言ったガープだが最後の発言で台無しだった。

センゴクはガープの最後の発言にキレておつるは頭を抑えていた。

 

そんな同期の3人の懐かしい感じを聴いたゼットはガープの孫自慢に少し苛立ちつつもアインから拡声器を貰って話し始めた。

 

『ガープ・・・ガープ・・・こちらNEO海軍のゼットだ。お前らの要求には応えん!俺達はこのままエレジアに向かい海賊共を抹殺する。四皇だろうが元七武海だろうが知ったことか!』

『市民はどうするつもりじゃ!?悪党どもは別にどうでも良いが市民が大勢いる状況でそんな事を始めたら被害を被るのは市民じゃぞ!!それが忘れたわけではあるまい!!』

『・・・』

『もう一度言うぞ、武装を解除しろ!!解除しないと云うのならワシらが全力でお前達を止める!!お前達は市民に被害を出してないから今なら賞金稼ぎの集団との戦闘としてインペルダウン送りにはならん!!止まれ!!』

『断る!!お前達、海軍に俺や俺達の何がわかる!?市民に被害を出す気はこちらもない!!ただ、海賊達を始末したいだけだ!!』

 

ゼットの言葉にガープは拡声器を放り投げて拳を鳴らし始めた。

 

「頑固者め、久しぶりに喧嘩じゃ!」

「止めるぞ」

「昔は暴れるガープに3対1だったのに・・・人生ってやつは分からないね」

 

ゼットの言葉にガープ、センゴク、おつるも絶対にインペルダウン送りにしない為に構えて、そこにはモモンガ、Tボーン、コビー、ヘルメッポもいた。

NEO海軍も海軍が構えたのを確認するとゼット、アイン、ビンズ、シューゾの面々も構えた。

 

「「「「撃て!!」」」」

 

ガープ、センゴク、おつる、ゼットは同期ゆえが同じタイミングで指示を飛ばした。

これがウタワールドでルフィ達がバレットと戦うほんの数時間前に始まった事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

バギーが大勢の黒ひげ海賊団の下っ端と相手をしている最中、アルビダ達は無事に城の中に入れた。

 

「よし、誰もいなさそうだ」

「船長は大丈夫か?」

「ほっとけ、取り敢えずゴードンとウタを助けて逃げるガネ。座長はまぁ・・・生きてまた会えたら一緒にで」

「だな」

「ガウ」

 

アルビダ達は容赦なくバギーを見捨てる方向に頭を切り替えてゴードンを探し始めた。

だが探し始めても何処に居るのか分からなかった。当然だった。

平和と音楽の国として有名だったエレジアだが何もそれはゴードンの世代からだったわけではない。何代にも続いてそれは続いてきた。故に地下牢がそもそも改修によって取り壊されて別の部屋になっていたりしていたので何処に居るのか検討がつかず、途中途中で黒ひげ海賊団の下っ端から隠れつつ探していた。

 

「どうする?ここで時間を喰ってたら・・・」

「分かってるガネ・・・ここは情報から考えてみるガネ」

「どういう意味だい?」

「シキは四皇に戻った大海賊。そして黒ひげとは仲間ではなく同盟だガネ。奴の目的は会場にいてゴードンを連れていなかった事から恐らくウタが最重要・・・バージェスとの関係は親しそうに見えたか?」

 

Mr.3の言葉にアルビダ達は首を横に振った。遠くから見ていたせいでシキとバージェス達の関係は良く知らなかったがとても良い雰囲気とは言えない程バチバチとしていたのは一目瞭然だった。

 

「つまりシキ自身手が回っていないと云う事だガネ。シキに仲間や手下がいるかは分からないがそこを突ければ・・・2人・・・何とか出来れば・・・」

「だったら良い方法があるよ」

 

Mr.3の言葉に被せるようにアルビダが言うとアルビダはカバジとモージにリッチーを見た。

 

少しして黒ひげ海賊団の下っ端2名が欠伸をしながら見回りに来た。

 

「ふぁぁ〜、眠いなぁ」

「ダラしねぇな」

 

のんびりと会話をしている黒ひげ海賊団の下っ端2名が角を曲がって廊下の先を見るとモージとカバジとリッチーがいた。

 

「おい、誰だ!?」

「侵入者だ!」

「ま、待ってくれ!!俺達は別に怪しいもんじゃないです」

「そうです。ライブの余興でサーカスをやろうとした者達で道に迷って・・・」

「ガウ」

 

モージとカバジとリッチーは上目使いをしながらそう言ってきたが下っ端達はそれを見て気持ち悪さを感じて少したじろぎつつもすぐに電伝虫を使って方向しようとした。

 

「キャンドルロック!」

 

しかし、物陰に隠れていたMr.3が下っ端達の顔面に向かって蝋を放って容赦なく口と鼻を塞いで窒息死させて殺すと同じように物陰に隠れていたアルビダやカバジ、モージ、リッチーと一緒に死体を部屋の一室に入れてMr.3とアルビダは服を奪った。

 

「アルビダ姉さんにMr.3。本当に大丈夫か?」

「超怖え〜」

「ガウ〜」

「しっかりしな。こうなった以上やるしかないんだから・・・あんた達も腹を決めな」

「頑張るガネ」

「「はい」」

「ガウ」

 

アルビダとMr.3は気を落としつつも腹を決めた2人と一匹に近づいて容赦なくボコボコにした後、縄で縛った。

 

 

 

 

 

〇〇〇

シキはトットムジカの楽譜がないと云われたので別の方法を取っていた。元々シキも古代兵器に匹敵すると言われてきた魔王の楽譜なんて危険な物をすんなりと手に入るとは思ってなかった。故に封印されているという伝承の部分からシキはトットムジカは灰になっても出てくるのでは無いかと推察を立てた。そしてウタウタの実がトットムジカの起動のキーという事実からウタが入れば良いと思った。

 

「ぐぁぁぁぁぁ!!!!」

「止めて!!お願いだから止めて!!」

 

シキはバージェスに地面に抑えつけて伏してるウタの目の前でゴードンを拷問していた。二代鬼徹をグリグリと刺して抜いた後にその傷口を思いっきり握り苦しめていた。

 

「ジハハハハハハ!!ならトットムジカを起動でもするんだな!!」

「だから楽譜が・・・!!」

 

シキの言葉にウタは泣きながら楽譜がない事を言うとシキはゴードンの首を掴んだ。

 

「トットムジカは負の感情に作用する・・・ロックスの時に酒の席でカイドウのガキが言っていた・・・ならもっと怒るんだな・・・憎しみ怒れ!!それがこいつを救ける方法だ」

「ウタ、こっちを見るな!!私は大丈夫だ!!」

「黙ってろ」

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「ゴードン!!!!」

 

シキはウタを安心させようとしているゴードンを殴りまた拷問を再開し始めた。ウタにはもうシキをぶっ飛ばしたい思いとゴードンを助けたい思い、そして散々と迷惑を掛けてきたゴードンにさらなる問題を結果的に起こしてしまっている事への罪悪感で頭が一杯だった。

 

「ちっ、随分と冷てえ女だな。流石トットムジカちゃんだ♪♪」

「ウ、ウタ・・・それで良いんだ!!12年間も真実を告げずに君をエレジアに居させた私にそんな風に思ってもらう資格なんかない!!それで良いんだ!!」

 

ゴードンの言葉はウタに響いた。ウタはそんな事はないと言いたかった。12年間も必死に育ててくれたゴードンには感謝しかなかった。ウタ自身もうトットムジカを出してこの場から逃げられるなら逃げたいのに出来なかった。

 

「ちっ、ならこいつが死ねば出てくるか!?」

「止めてーーーーーーーーー!!!」

 

シキはゴードンの首を撥ね飛ばそうと天羽々斬を思いっきり振り上げた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

〘右だ・・・左から来るぞ〙

「この・・・バギー様を舐めるんじゃねぇ!!」

 

バギーはレイリーの指示を聴きながらドンドンとやってくる黒ひげ海賊団の下っ端達を情け容赦なく倒しながら少しずつ進んでいった。

剣にはバラバラになる力で対応していたが打撃には全く効果が無いのでバギーは打撃にはちゃんとマギーバルカンで防いでいた。

 

「おい、殴るのには弱えみてぇだぞ!!」

「殴れ殴れ!!」

 

下っ端達が武器を打撃系の金棒だったり、鉄パイプだったり、角材とかに変えてバギーを殴りに行き始めた。

 

(げぇ!?)

〘落ち着くんだ、冷静になれ!!ちゃんと見れば避けられる!!・・・来るぞ!!〙

 

レイリーに言われて内心大慌てになったバギーだが何とか冷静さを取り戻した。そして迫りくる打撃を避けたり、マギーバルカンで防いだりして少しは対処したが全ては無理で2発角材でぶん殴られた。相手の持っていた角材が折れる程に強く殴られてフラフラになるバギーに下っ端の1人が飛び掛かって倒させた。

 

「おい、どけ!!」

 

他の下っ端の1人がそう言ってバギーに飛びついていた下っ端を退かさせるとそこから下っ端達はバギーを袋叩きにした。徹底的にバギーを殴り蹴りを加えた。

 

〘バギー・・・バギー!!〙

 

レイリーは反応していないバギーに大声で呼びかけたがバギーはされるがままにボコボコにされたが軈て亀みたいに丸まると下っ端達はヘロヘロになりつつも暴行を止めた。

 

「どうだ?」

「死んだか?」

 

亀みたいにまるまって暴行を受けまくっていたバギーに下っ端の1人が顔を見ようと髪の毛を掴むとバギーはすぐにそいつの首に刃を刺して殺した。

それだけでなく近くにいた何人かにも容赦なく太腿だったり、脇腹だったりに刺して殺し、バギーは一先ず下っ端達を掻き分けて後ろに誰もいないという所まで行くと突進してくる下っ端達にマギー玉をぶち当ててふっ飛ばした。

 

〘大丈夫かバギー!?〙

(だ、大丈夫です)

〘よし、負けるな・・・このまま頑張れ!!〙

 

そのまま、マギー玉で派手に敵を吹き飛ばし、バギーは門の外にいる奴らを何とかしつつ閉まっている門に向かってマギー玉をぶち当てて門を破壊した。

 

「あっ?」

「なんだ?」

 

門の中ではシキが天羽々斬でゴードンを殺そうとしている所だったがバギーの派手な登場にシキとバージェスは首を傾げながら見た。

 

「お、おじさ〜〜〜〜ん!!」

 

ウタは大好きなおじさんであるの登場に涙が止まらなくなって叫んだ。バギーは押さえつけられてるウタに拷問されてるゴードン、そして思いっきり睨んでくるシキとバージェス。

 

(こ、怖ええええええええええ!!!!)

〘あ、馬鹿!・・・冷静に・・・何とか自分・・・鼓舞しろ・・・〙

 

バギーはそんな2人に睨まれて思いっきりビビった。そして一気に恐怖が溢れ出してきて冷静でいられなくなったバギーはレイリーの見聞色が届かなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

△△△

ルフィ、カタクリ、ハンコック、キラー、ベポ(&ロー)、コアラの6人はバレットと戦っていた。

 

「ゴムゴムの象銃!!」

「餅巾着!!」

 

ルフィとカタクリの巨大な拳がバレットに迫った。バレットはそれを防いだが威力が高く、後退りした。そんなバレットの膝を目掛けてコアラとキラーが息を合わせて膝裏を攻撃した。

コアラは圧し折る気でキラーも切り飛ばすつもりで攻撃したが武装色の覇気で塞がれた。

しかし、衝撃までは抑えきれずに膝をついた。

ベポは頭に乗せているローのシャンブルズでバレットのすぐ後ろにワープしてくるとそのまま後頭部を蹴り飛ばした。

 

「芳香脚!!」

 

そして少し前のめりになってるバレットの腹にハンコックが思いっきり蹴りを入れて吹き飛ばしたが武装色で防がれていて蹴ったはずのハンコックの脚が少し痺れた。

 

「なんて硬さじゃ」

 

思わず愚痴るハンコック。7人はそれぞれ構えているとバレットは平然と立ち上がってきた。

 

「足りねぇな、戦略も覚悟も力も・・・でも良いぜ・・・もっとだ、もっと・・・もっと俺を楽しませろ!!!!!」

 

バレットは大声でそう叫ぶと笑いながら突っ込んできてベポとコアラを容赦なく蹴り飛ばした。ハンコックとキラーが蹴り飛ばして体制が崩れてるバレットに攻撃しようと突っ込むが瞬時に体制を変えた。

 

(早い!?)

(クソ!)

 

2人は体制を変えられたバレットに殴り飛ばされた。バレットはそのままルフィとカタクリに向かって笑うと突っ込んでいった。

 

「合わせろ!!」

「おう!!」

 

ルフィとカタクリは突っ込んでくるバレットに対して特大の象銃を同時に放った。バレットはそれを受け止めると2人は纏めて背負投をした。

ルフィとカタクリは何とか地面に着地をしたがバレットはそのままグルグルと2人を回し始めた。

 

「舐めるな!!」

 

しかし、カタクリが足に棘を生やして無理やりその回転を止めるとルフィがバレットに向かって足を伸ばしていた。

 

「ゴムゴムの鷹鞭!!」

 

ルフィの鞭がバレットの顔面を捉えて、ルフィとカタクリは放されたがバレットには全然効いてなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

レイリーの見聞色が外れてしまったバギーは今までにない恐怖を感じていた。

 

(レイリーさんレイリーさんレイリーさん!!!無理無理無理無理無理無理無理無理!!こんなのどうにか出来るか!!)

 

慌てまくって全く冷静じゃないバギーはこの世の終わりのような感覚に陥り掛けた。

 

「おい、赤っ鼻がなんのようだ?」

「カッコつけて助けにでも来たのか?」

 

シキは覇王色の覇気をバギーに容赦なくぶつけた。かなりの威圧感にバギーは倒れそうになってフラフラしてきた。

 

「おじさん!!」

 

だが、ウタの声を聞いてバギーは何とか頑張って堪えた。膝はガクガクとまた震えてるし、震えもしていた。

 

「ジハハハハハハ!!そんなんでこのトットムジカちゃんを助けに来たのか?」

「ウィーハハハハハハ!!笑い話にもなんねぇな!!」

 

バギーを見て容赦なく嘲笑うシキとバージェス。バギーも内心では全くその通りだと本気で思っていたが、ウタと出会ってから何故か本人でも分からないくらい見捨てられなくなっていた。

 

「おら、このまま帰れば見逃してやる腰抜け」

「そうだな、それにコイツとは父娘でも何でもねぇんだろ?」

 

バージェスよ発言にバギーは頷きそうになったが頑張って堪えた。それに何が何でも逃げたいがウタを置いては行けなかった。

ウタが弟子になってシャンクスと喧嘩した時からバギーの中でウタの存在はよく分からなくなっていた。初めての感覚に戸惑う事もゼロじゃないし、ウタとシャンクスに被られた迷惑の数は数えしれないがそれでも助けたいと思っていた。

 

〘自分・・・鼓舞しろ〙

 

先程のレイリーの最後の言葉を思い出したバギーはそのまま恐怖心に負けないように叫んだ。

 

「確かに俺はそいつの父親じゃねぇが大事なのには変わりねぇ!!」

 

バギーはそうやって叫びながらマギーバルカンをシキとバージェスに向けて構えた。

 

「俺の“宝”に手ぇ出すな!!!!!」

 

そしてバギーは心のままに自分が1番盛り上がる言葉を言ってシキとバージェスに突っ込んでいった。























というわけでアルビダ達も着々と活躍中・・・おかしい・・・何故にバギー海賊団がこんなに活躍してるのか・・・

そして海軍もNEO海軍と激戦を開始・・・まぁ時系列的にはウタのRUNRUNRUNよりも前なんですが・・・

そしてウタワールドで暴れるバレット・・・取り敢えず、次回はゾロ達の視点から始まると思います。

ゾロ達やってバギーをやってと・・・こっから多分、視点はバギー海賊団中心になると思うのでご容赦下さい。


今話の曲は『Campass』と綾小路翔とマーティン・フリードマンの『SAMURAI STRONG STYLE』です。





今作を纏める為に最終章を書いてますがウタが海楼石を手に入れた後に初めて歌った相手・・・バギー海賊団だから・・・これ、ウタからしてみれば初めてウタウタの実なんか関係ない自分だけの力(歌姫として)で好きになってくれたファンに助けられてるようなものではと思うと・・・書いた時には全くそんなつもりは無かったのに色々と自分でもちょっと・・・


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私がいるよ/英雄

お待たせしました!!

宣言通り、日曜に出せて嬉しいです!!
それではどうぞ!!


ゾロ達はテゾーロを追っていた。

特大級の方向音痴のゾロが前だと全員迷うので先頭はサンジが走っていた。

 

「急げ、ウタちゃんを何が何でも助けるぞ!!」

 

サンジの言葉に麦わらの一味は頷いた。2年前のエースの時は全員ルフィもエースも助けられなかったが今は違う。絶対に助けると言う感覚で動いていた。

 

「しかし、ぐるぐるボーイが本当に麦わらボーイの仲間だったとはヴァターシは半信半疑だったブルよ」

「うるせぇイワ!!2年間の事を話したら死んでもオロす!!」

 

後ろから付いてきているイワンコフが先頭を走ってるサンジを見て不意にそう言ってくるとサンジは思わず叫んだ。目からは血の涙を流していて一味の面々は一体何があったのか後で聞くとして先を急いでいた。

 

そんな風に走ってサンジ、ゾロ、ウソップ、ヤマト、ジンベエの見聞色でテゾーロが城の中にいると分かると堂々と正面突破して門をぶち破った。

 

「スルルルルルルル」

「!?避けろ!!」

 

そんな風に堂々と入ってきた面々に上からタナカさんが飛んできて地面に手を当てた。

ゾロの言葉にサンジ、ジンベエ、ヤマトは反応出来て避けれたが他は落ちてしまった。

すぐに助けようとしたがすぐに穴は消えてタナカさんも地面の中に消えていった。

 

「ナミさん!ロビンちゃん!ブリュレちゃん!」

 

サンジが見事に女だけ呼んだ。ゾロ、ヤマトにジンベエはそれに少し呆れつつも先に進んでウタを助けてから合流しようと前に行こうとすると黄金の斧が4人の前に飛んできた。

 

すると空から回転しながら黄金の鎧を纏ったダイスがやってきて4人の前に立った。

 

「誰だてめぇ?」

「テゾーロ様の部下と言えばわかるか?」

 

斧を手に取り構えるダイスに対して構える4人。そんな中でジンベエがゾロ、サンジ、ヤマトの前に立った。

 

「ここはワシに任せて貰おう。お主達はウタの所へ」

 

ジンベエはそうやってダイス相手に構えると突っ込で行き、拳を引いた。

 

「5千枚瓦正拳!!」

 

武装色と鍛え上げた拳がダイスの腹にめり込みふっ飛ばした。

 

「分かった。頼んだぞ」

 

サンジの言葉にゾロとヤマトがついて行って3人が城の中に入るのを見た後でジンベエは再びダイスに構えた。土煙が立ち上っている中でダイスは立ち上がった。

 

「き、気持ちぃぃぃぃぃ〜!!!」

 

敵のダメージすらダイスにとっては立派な娯楽の1つで喜んでいた。3人に先に進まれた事は問題だったが水を操る魚人空手のジンベエはテゾーロの天敵だった事もあり、そのジンベエだけでも足止め出来れば御の字だった。

 

「海峡のジンベエ・・・もっと強えので気持ちよくさせろ」

「安心せい・・・こんなのはまだまだ序の口じゃ!!」

 

ジンベエは武装色で硬化した拳をダイスは武装色で硬化した斧をそれぞれ振るってぶつけ合った。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

見事に下に落ちてしまった面々は何とか無事だったがそこはゴミ捨て場だった。

 

「何ここゴミ捨て場!?」

「いやぁぁぁぁぁ!!!」

「酷い事するわね」

 

ナミ、ブリュレ、ロビンの女性陣達がゴミ捨て場に捨てられてる事に対して怒りが出てる中でウソップとフランキー、イワンコフは出口を探していた。

 

「ちょっと待てありゃゴミの穴か?ア~ウ、だが狭えな」

「ヴァタシやロボボーイは通れなさそうね」

「ってかお前は誰だ?」

 

ウソップは当然のようにいるイワンコフにツッコむとハイテンションないつもの感じで答えられた。

 

「失礼、ヴァタシは「彼の名前はエンポリオ・イワンコフ、革命軍で第二の女ヶ島とも呼ばれるカマバッカ王国の王よ」・・・ヴァタシの自己紹介が!!」

 

いつものノリで答えようとしたイワンコフだが2年間革命軍にいたロビンに先に色々と紹介されて落ち込み、少しいじけた。

 

「相変わらずのクールっぷりね」

 

ロビンの変わらないクールさにイワンコフは少しだけ恨みがましく言った。

 

「カマバッカ王国??」

「聞いたことあるぜ、何でもオカマだらけの国だとか」

「え?サンジの奴、まさか2年間もそこに居たのか?」

 

ウソップは再会した時のサンジのあの女性への耐性の無さを思い出しつつ、2年間の状況を悟ると色々と不憫に思えてきた。

 

「皆さん、良いものがありましたよ!」

「これでこっから脱出できます!!」

 

チョッパーとブルックはゴミ捨て場の中から大きい鏡を見つけるとブリュレの前に持ってきた。ブリュレは1秒でもゴミ捨て場に居たくなかったのですぐに鏡の中に入って逃げた。

続いて他の面々も入ろうとするとロビンが考え込んでいてブルックが首を傾げた。

 

「ロビンさん、どうされましたか?」

「敵の目的についてよ。ウタワールドでウタを拘束してるけどウタの世界ならウタに逆らえない筈よ。それにこれだけ大勢を連れてまだ眠らないのもおかしいわ」

「確かに・・・ウタさん本人から聞いていた話とは違いますね」

「・・・現実世界で眠れなくされてるって事か?」

 

チョッパーがそれを聞いて端的に仮説を立てるとロビンは首を縦に振った。

 

「このままウタを助けても現実世界が分からないとこの世界から脱出も出来ないし、薬とかで不眠にさせられてるならウタの体も心配だわ」

「だったらどうすんだい?」

「私達は違う方法での脱出方法を探すべきよ」

「けど、ウタは・・・」

「大丈夫よ・・・ゾロ、サンジ、ヤマトの3人なら」

 

ロビンはブリュレにそこまで言うとかつてエレジアが滅んだ時の事やウタウタの実で起動するトットムジカがエレジアに封印されていた事から書庫に何か方法があるのでは無いかと言って一同はブリュレの鏡の中から書庫を探し始めた。

多くの鏡に聞いて情報を集っていくと書庫の鏡が返事をしたので一同はそこから書庫に入った。

 

「沢山の楽譜に本ね」

「この中にウタを助けるヒントが本当にあるのか?」

「探すしか無いでしょうね」

 

一同はドンドンと書庫に入って手当たり次第に本を読んだり、見たりして行くが楽譜だったり図鑑だったりと情報は芳しく無かった。

 

「クソ〜、何処かに情報はねぇのか?」

 

ウソップがそんな風に愚痴ってる探してる最中にゾワッと嫌な感覚が走った。ウソップの持つ見聞色が敵に反応したのだ。

 

「全員、避けろ!!」

 

ウソップの言葉を聞いて全員、その場から離れると上から降ってきた黄金の鎧を纏ったタナカさんがまた穴を作って落とそうとしたが今度は全員避けた。

 

「スルルルル、やりますね~」

「ホントにね」

 

書庫の扉が開かれて同じように黄金の鎧を纏ったバカラも現れて一同と対峙した。

 

「UTAが死ぬまで後5時間、それまでに私達を倒せるかしら?」

 

バカラの言葉にロビンはやはりと思った。どうにかしてここからウタを救ける方法と脱出出来る方法を見つけないといけないと改めて思いつつも2人に対して構えた。

 

「すぐに倒して現実に帰るわ・・・ウタを連れてね」

「ゼウス!!・・・“雷霆”」

「了解ナミ!!」

 

天候棒を構えたナミが容赦なく2人に向かって雷霆を放った。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

テゾーロは城内の一室で黄金になったウタを見ていた。シキの計画も後5時間で完遂される。そうなったら自分はこの世界で天竜人を全員殺す。

現実だろうが夢の世界だろうがテゾーロにはそんなの一切関係なかった。グラン・テゾーロでシキが天竜人を殺したのを見た時にテゾーロの中で全てが吹っ切れた。

今は兎に角天竜人を殺したくてしょうがなかった。

 

「ステラ・・・もうすぐだ・・・君の全てを奪った奴らの全てを・・・私に力を貸してくれ」

 

テゾーロはそうやって祈っていた。

そんな中でテゾーロのいる部屋の扉がぶち破られた。すぐにウタを奪われぬように遠くに置いてテゾーロは構えた。ウタが自由になったら自分もバレットもウタワールドの神であるウタにすぐにやられるからだ。

 

「何者だ?」

「コックだ・・・そのお姫様の王子様のな」

 

タバコをふかしながら扉をぶち破ったサンジはそう言って睨んだ。隣にいるゾロやヤマトも構えていて睨んでいた。

 

「コック・・・“黒足”に“海賊狩り”・・・そしてドフラミンゴが言っていたカイドウの“バカ息子”か・・・面白い」

 

テゾーロはそう言うと持っていた金の指輪を1つ操ると手甲を作り出した。

ゾロ、サンジ、ヤマトはそれを見ると問答無用と言わんばかりに突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

△△△

現実世界でシキとバージェスに対して啖呵を切ったバギー。そのまま突っ込んでいってマギー玉を食らわせようとした。

 

「波動エルボー!!!」

「ボガァ!!」

 

しかし、四皇幹部であるバージェスはあっさりとそれを見きって強烈な肘打ちをかますとバギーはふっ飛ばされて城壁にめり込んだ。

 

「「・・・弱っ!!」」

 

あまりの弱さに思わずシキとバージェスはハモった。バギーは地面に倒れていたが何とか気合で立ち上がるが想像以上に効いていたせいか一発で膝が笑っていた。

 

「・・・おいおい、たった一発でこれかよ・・・すぐに終わらせてやるか・・・」

「待て、クソガキどうせなら嬲り殺しにしてやれ」

 

バージェスが今まで抑えていたウタをシキは縄を操って拘束させるとバギーの方を無理やり見させた。

 

「いや・・・嫌!!おじさん!!」

「ウタ!!」

「おいおい、俺を楽しませてから行けよ」

 

暴れるウタを見てバギーはバージェスなんか無視してウタの方へ行こうとしたがすぐに捕まり、地面に叩きつけられた。マギー玉を発射してふっ飛ばそうとしたがバージェスは軽々と避けてバギーを放り投げた。

 

「不沈艦ラリアット!!」

 

石造りの建物を真っ二つにする程のラリアットをぶちかました。バギーは咄嗟に上半身と下半身をバラバラにしたが避けられずに上半身だけふっとばされた。

だが下半身は無事だったので無防備になってるバージェスの体にマギー玉をぶち込もうと足に仕込んでいたマギー玉を発射したがバージェスはそれすらも軽々と避けてバギーの下半身も上半身と同じ場所に蹴り飛ばした。

それはもう戦いと云うよりも処刑だった。

バージェスの圧倒的な力の前に何も出来ず、多くの海賊達がバギーを嘲笑ってる光景をウタはシキに無理矢理見せられていた。

 

「ほら、トットムジカちゃん。お前のおじさんが死ぬぞ」

「嫌・・・おじさん・・・」

「お前が素直に協力すればアイツはこうはならなかった・・・関係ない奴を助けてくれる優しいおじさんだなぁ・・・そいつを“不幸”にしてるのは他でもない・・・お前だ」

 

シキはウタの精神を圧し折ろうとしていた。そして強い憎しみだけあれば軈てトットムジカが出てくると思って容赦なくウタを責めた。

シキの言葉は図星だった。

ずっと助けてくれてるおじさんであるバギーに何も返せていない。ずっと迷惑をかけていた自覚があったウタ。バギーとの関係は気軽に頼れるからこそ甘えていた部分もあり、シキの言葉はその心に強く刺さった。

 

しかし、どんなに図星でもウタは“自分の歌で人を幸せにする夢”を諦めない。ルフィと共に新時代を誓って並ぶ為にもウタはシキに対して叫んだ。

 

「そうだ・・・けど、アンタに協力なんて死んでも嫌!!アタシは新時代を作って皆を“幸せ”に・・・」

「こんな大騒動をやっておいてか?・・・それに12年前にトットムジカを起動したのはお前だろ?・・・何万人がお前の手で殺されたんだろうなぁ?・・・一体、今日はだけで何十・・・何百・・・何千万の人間が“不幸”になったんだろうなぁ??・・・良いか?もうお前は俺の仲間だ・・・“極悪人”同士・・・仲良くやろうや」

 

シキはウタにそんな事を言い始めた。ウタは思い切って反論したかった。しかし、シキの言ってる事は全て事実だった。トットムジカでエレジアを滅ぼしたのも今日のこの大勢のウタワールド送りも全て自分がやった事で重い十字架を背負ってるウタに更に重いのが追加された。

 

「トットムジカちゃん。お前の新時代じゃねぇよ・・・お前にそんな器はない!!お前の夢なんて叶わない!!何故ならお前は“平和な国を滅ぼし”“多くの人間を虐殺し”“そして今日もまたそれをやろうとした”俺以上に“最低最悪の極悪人”だ!!!」

 

シキはそこまで笑いながら言うと叫んだ。

 

「ここからは俺の新時代だ!!」

「んなわけねぇだろ!!」

 

シキが堂々と新時代宣言をする中でバージェスに良いように嬲られていたバギーは立ち上がって叫んだ。既に体はボロボロで骨も折れてるのに大声で叫んだ。

 

「あぁ!?」

「ここからはウタの新時代だ!!・・・時代がどうとか一切興味はねぇ・・・けど、お前の新時代じゃねぇよ・・・それにウタの“夢”が叶わねぇだと?・・・叶うに決まってんだろうが!!」

「はぁ!?何でそんな事が言えるんだテメェ!!」

 

バギーの言葉にシキはキレながら言うとバギーは堂々と言い返した。

 

「俺はウタのお陰で“幸せ”になったからだ!!アホと喧嘩したり、色々とあったがそれでもウタと出会わなかった前よりもそう思える・・・ウタ!!お前の“夢”は絶対に叶う!!・・・俺様を“幸せ”にしたお前に叶えられねぇ“夢”なんかねぇ!!」

 

それはウタに対してバギーが出来る精一杯の説教だった。他人は他人、自分は自分とはっきりしているバギー。普段なら言わないがウタに対しては言った。それはまるで子供を勇気づける親のようだった。

 

「おじ・・・さん・・・」

「寒い茶番だ・・・そろそろ殺せ」

「よし、やるか」

 

バージェスはそうやって笑うとまたバギーをボコボコにし始めた。ウタはその姿を見て泣いていた。

 

(いつもだ・・・いつも助けてくれる・・・いつも迷惑掛けてるのに・・・今だって・・・“お父さん”・・・ごめんなさい)

 

ウタは3人目の父親であるバギーに心から謝っていた。

バージェスにボコボコにされてボロ雑巾のようになったバギーは掴み上げられた。

 

「最後に言い残す言葉はあるか?」

「・・・俺の部下が絶対にウタを助けるぞ・・・覚悟しとけ・・・絶対にお前らを殺して・・・」

「それはアイツラか?」

 

バギーがそんな風に延々と最後の言葉を言って長丁場にさせようとして先に城の中に入った面々の事を言おうとしたらバージェスがある方向に指を差した。

そこには縄で括られてボコボコにされたカバジ、モージ、リッチーがいた。

 

「なぁ〜!!!もう捕まってる!?」

「船長、すみません!!」

「すびばぜん」

「ガウ」

 

あまりにもあんまりな展開にバギーは思いっきり叫んだ。シキとバージェスはそれを見てると思いっきり笑った。

 

「ジハハハハハハハハハ!!なんてザマだ!!上が弱いと下もやっぱりカスだな」

「ウィーハハハハハハハハ!!」

「シキ様、バージェス様!!こんな赤っ鼻ではなく、貴方方に忠誠を誓うのでどうか御慈悲を!!」

「それにこのバカの持っていた財宝の場所も教えます!!」

「ガウガウガウ!!」

「お前ら!!仁義も恩もねぇのか!!」

 

突然と寝返る事を言い始めたカバジ、モージ、リッチーにバギーは思いっきり叫んだ。東の海からの付き合いなのに冷たすぎる部下に悲しくて流石に泣いていた。

シキはそれを聴くとウタとゴードンを近くにいた2人の下っ端に預けてカバジ達の元へ行った。

 

「俺の手下になるだって?」

「はい!!」

「お前らみたいな雑魚いるわけねぇだろ?・・・てめぇらは全員処刑だ」

 

シキはカバジ達の言葉など聞く気はなかった。絶望に染まるカバジ達の顔を見てシキは笑った。やはりこの顔は何物にも変えられない最高に格別な物だと心からそう思ってるとカバジとモージ、リッチーが笑った。

 

「何を笑ってる?」

「・・・俺達の道化芸も悪くねぇなってな」

「あ?」

 

モージの言葉にシキは頭に血管を浮かばせつつも首を傾げた。

 

「あんた達!!こっちは上手く行ったよ!!」

 

不意に聞こえてきた声にまさかとシキは振り向くとそこにはウタとゴードンに肩を貸してる下っ端に変装したアルビダとMr.3がいた。

 

「しまっ・・・」

「モージ!!」

「分かってる!!」

 

すぐに斬撃をぶっ放そうとしているシキに捕まるふりをする前に予め縄に切れ込みを入れていたカバジとモージはすぐに縄を解くとモージは懐に持っていた何十発のマギー玉をシキに向かって放り投げた。

 

(これは・・・!?)

「雑魚の意地だジジイ・・・火事おやじ!!」

 

カバジはそこに向かってすぐに不意打ちでもある火吹きをした。するとマギー玉に引火して大爆発を起こし、まさかこんな奴らにやられるわけがないと油断していたシキは諸にそれを喰らった。

 

「なっ!!」

「隙あり!!」

 

まさかの展開にバギーを掴んでいたバージェスも呆気を取られているとバギーはその無防備な隙を狙って大量のマギー玉を発射してぶっ飛ばした。

 

「ウタ!!ゴードン!!」

 

ゲホゲホとバギーは立ち上がりながらウタとゴードンに向かって叫んだ。

 

「バギー、こっちは無事だガネ!!」

「派手にやって逃げるよ!!」

「言われるまでもねぇ!!ド派手に脱出だ!!」

 

バギーは迫ってくる黒ひげ海賊団の下っ端達にだけじゃなくあちこちにマギー玉をぶっ放した。

大量の煙が出る中でバギーも辺りを見失っていた。

 

「おじさん!!」

 

不意にウタの声が聴こえてきたバギーはそのまま声のする方向へ行くとそこには同じように煙にむせてるウタがいた。

 

「ウタ!!」

「おじさん!!」

「話は後だ!!トンズラするぞ!!」

 

バギーはウタを連れて城から出た。カバジ達にゴードンとは会えなかったが何とかシキ達を欺けたのだから無事だと思うことにしてバギーとウタは逃げた。

 

煙が晴れてくるシキは飛び上がってバギーとウタを見つけて睨んだ。

 

「邪魔をするな・・・ロジャー!!!!!」

 

シキはバギーを育てた自分のライバルであるロジャーに向かって恨み節を叫ぶとバギーとウタに向かって飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・後5時間!!!!




















というわけでゾロ達も戦い始めてバギーはウタを救出成功です!!
いや、マジで死にかけてるけど・・・
次回はルフィ達の視点を入れたいですね。というか麦わら大船団を立ち上がらせて暴れさせたい・・・まぁどうなるかはお待ち下さい。

そして今話の曲は『私がいるよ』とdoaの『英雄』です。
もう両方とも今話のバギーに合うので・・・まぁ今回はバギー海賊団も頑張りましたけど・・・


それでは次回をお待ち下さい、


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Tot Musica/Promise

お待たせしました。
それではどうぞ!!
タイトルから分かるようにアレが起動します。


バギーがウタと共にシキから逃げている頃、ウタワールドでは激戦が起こっていた。

バレットがルフィ達7人相手に互角に戦っていた。どれだけ攻めても武装色に覇王色を纏えるバレットは更にガシャガシャの実で周りの壊れた岩とかをくっつけた上に武装しているので硬く、ルフィが武装色を流してもそもそもバレット自体がかなりタフで止まらなかった。

 

「ゴムゴムの業火拳銃(レッドロック)!!」

「うっ!!」

「雨垂餅!!」

 

ルフィはバレットに対して業火拳銃を放ってふっ飛ばしてる最中にカタクリが追撃でバレットの周りを餅にして突いてくるがバレットはすぐに体勢を立て直して弾いた。

 

虜の矢(スレイブアロー)!!」

 

ハンコックがそこに虜の矢の雨を放ってバレットを石にしようとしたがバレットは咄嗟に前に大量の岩を合体させて盾を作って防いだ。盾を作ってもそこから更に石にされるのでバレットは作った瞬間に手を離してあくまでも体を矢に当たらないように隠した。

そして矢の雨が止んだ瞬間、バレットは盾を砕いて自分の腕に纏わせるとそのまま伸ばしてハンコックを殴り飛ばした。

キラーとベポはそんなバレットに後ろから近づいた。

 

鎌阿音撃(カマーソニック)!!」

「ガぁ!!!」

 

内部に切り込む鎌阿音撃を喰らってバレットは武装色で防御していたのにそれが関係ない攻撃を喰らって少し後退りするもすぐにキラーを殴り飛ばしてそこにやってくるベポも殴ろうとしたが少し体勢が崩れていたせいかベポはそれを避けて懐に入り顎を殴った。だが全く効いておらずバレットはベポを殴り飛ばした。

 

「キャプテン!!」

「任せろ!!」

 

しかし、ベポの頭の上にいたぬいぐるみになったローは殴り飛ばされた瞬間にバレットの懐に飛び込んだ。

 

「カイドウよりは人間だろ!?・・・ガンマナイフ!!」

「舐めるな!!」

 

ぬいぐるみになったとは云え、依然として能力は消耗が激しくても使える。ローはバレットの心臓目掛けて内部を破壊するガンマナイフをぶち当てようとしたがバレットは当たる前にローを膝で蹴り飛ばした。

 

「千枚瓦正拳!!」

 

ローを膝で蹴り飛ばしたので必然的に片足で体を支えてるバレットの軸足を目掛けてコアラが詰め寄って膝裏を思いっきり殴り、膝を付かせたがバレットはその体勢でコアラを蹴り飛ばした。

すぐに立ち上がるバレットだが眼の前にはカタクリが土竜を持って迫った。

 

「モチ突!!」

 

見聞色の未来視でバレットが避けられないタイミングを狙っての攻撃だったがバレットはあろうことが手を武装色で硬化してそれを受け止めた。

 

「惜しかったな!!」

「いや、これでいい!!」

 

受け止められてもカタクリは慌てる事なく体を変形させてバレットの体に纏わりついて拘束した。バレットはそれから抜け出そうとしていると前にはギア4状態のルフィが構えていた。

 

「ゴムゴムの猿王回転弾!!」

 

弾力を利用して回転まで加えた拳をバレットの頭にぶち込んで吹き飛ばした。カタクリは当たった瞬間に離れていてすぐに土竜を構え直し、ルフィも長くそのままだと消耗するので元に戻った。

バレットは口から血を流しつつもすぐに拭って笑って構えた。

 

「あれだけ攻撃しても効いてるようには見えねぇな」

「俺と殺戮屋の内部攻撃は効いてたが硬え」

「多方向から攻撃だ。挟んで死角をつけ」

「それからあいつが体勢を崩せば・・・」

「攻撃が雑になって俺ぐらいでも避けやすくなる」

「そこに懐に飛び込んで重い一撃じゃ」

「行くぞ!!」

 

キラー、ロー、カタクリ、コアラ、ベポ、ハンコック、ルフィがそれぞれ言っていくとバレットを取り囲んだ。ルフィはカタクリとハンコックはキラーとベポ&ローはコアラと対角線上で向かい合うように囲み、バレットは久しぶりにヒリヒリとしてくる感覚を喜びその状況に対して堂々と構えた。

 

緊張感が張り詰めて一瞬だけ静かになるとルフィ達はバレットに向かって同時に突っ込んでいった。バレットはまず突っ込んでくるしかないルフィに対して同じように突っ込んできたキラーの頭を掴みとってルフィにぶつけて飛ばし、ベポ、ロー、コアラの3人を殴り飛ばした。

そしてそのままカタクリとハンコックを殴るが2人はそれを受け止めた。

 

「やるな」

「海賊女帝!!」

「言われるまでもない!!銃キス!!」

 

ハンコックはバレットにハートの銃弾を撃ち込んで脇腹を貫いき、カタクリはその隙に無双ドーナツを作った。

 

「力餅!!」

「芳香脚!!」

 

そしてそこから餅の拳を作って殴り飛ばし、ハンコックは離れた瞬間に詰め寄ってバレットの腹に蹴りをぶち込んで更に飛ばした。バレットは上着を破り捨てて上半身裸になるとカタクリとハンコック目指して突っ込んでいった。

ルフィとキラーはすぐに戻ろうと立ち上がった。

 

「大丈夫か麦わら!?」

「あぁ!!あいつをぶっ飛ばしてウタを助ける!!」

「ファッファッファッ・・・言われるまでもない!!」

 

ルフィとキラーはそれだけ言うとそのままバレット目掛けて突っ込んでいった。カタクリとハンコックを殴り飛ばしたバレットはそれを見ると岩を自分の腕に合体させて巨大な腕を作り2人に向かって放った。

 

「俺が斬る!!」

 

キラーは咄嗟にルフィの前に入ってその岩の拳に向かって回転鎌であるパニッシャーを振るった。

 

刃音撃(ジンソニック)!!」

 

自身も岩の拳を避けつつもそれに対して正面から切り裂いた。岩の拳が斬られた事によってルフィはそのまま懐まで突っ込んだ。

 

「ゴムゴムの火拳銃!!」

 

火拳銃を叩き込んだルフィ。バレットは顔を歪ませつつも拳を組んでルフィを殴ろうと振り上げた。

 

「魚人空手 二千枚瓦回し蹴り!!」

 

だが、振り上げた瞬間に詰め寄ってきたコアラの回し蹴りを顔面に受けた。

 

「ゴムゴムの鷲バズーカ!!」

 

ルフィはその隙を逃さずにバレットの腹にバズーカを叩き込んだ。ベポは少しのめってるバレットに突っ込んでいってそのまま飛び蹴りを後頭部に放った。

 

「シャンブルズ」

 

バレットはその場で回転して全員を吹き飛ばそうとしたがローがその前に周りの落ちている岩と自分達の位置を変えさせて躱した。

 

バレットはルフィ達を見てより笑うと大量の岩がバレットの周りを囲んだ。それだけでなく他にもエレジアの街から鉄製品だったり、家だったりと色々な物がバレットの周りに飛んできた。

 

鎧合体(ユニオン・アルマード)!!」

 

バレットは段々と巨大化していって巨大な怪物の姿である〘究極(ウルティメット)バレット〙になった。しかも全身武装色で覆っていた。

 

「カハハハハハハハ!!人間なんざ素手で人を殺せる!!武器とはあくまで殺せる補助をする物に過ぎない!!つまり本来はそんな用途の為に作られた物じゃなくても扱う人間によっては武器になる!!」

「それがどうした!?全部ぶっ飛ばしてやる!!」

 

バレットはそう短く理屈を話してるとルフィが啖呵を切った。

 

「なら、これをどうにかしてみろ!!ウルティメイトファウスト!!」

 

バレットは巨大な腕に更に多くの物を纏わせてより大きくさせて武装色を纏わせるとルフィ達目掛けて振り下ろした。

 

「ギア4 バウンドマン!!ゴムゴムの大大大猿王銃(キング・キング・キングコングガン)!!」

 

バレットの拳にルフィはギア4の状態から更に空気を腕に送りまくって拳を大きくしてぶつけた。覇王色に武装色に拳がぶつかりあって衝撃音が響く。

カタクリ達はもう別の場所に避けていた。

 

「うぉぉぉぉぉー!!!!」

「どうした!?これが“四皇”の拳のつもりか!?」

 

バレットはそこから更に物を合体させてより大きくさせた。ルフィも最初は拮抗していたのがそこから更に物量まで加わって押されてきて軈てその拳はルフィを叩き伏せた。

 

 

 

 

△△△

バギーはウタと全力でシキから逃げていた。

どんなにバギーやバギー海賊団が頑張ってもこれ以上の事は無理などで全力で撤退していた。

 

「急げ遅れたら見捨てるからな!!」

 

バギーはウタにそう言って走っていた。ウタも全力でバギーの後ろを追いかけていたが、2人の前にカバジ、モージ、Mr.3、アルビダ、それにリッチーの上に乗せられていたゴードンがやってきた。デブになったモージとリッチーはゼェゼェと汗だくだった。

 

「座長!」

「ウタ!!」

「ゴードン!!」

「おめぇら!!さっさと逃げるぞ!!」

 

短くそれだけ指示して逃げようとするがバギー達の前に大量の瓦礫が落ちてきて道を塞がれた。

 

「隠れるガネ!!」

 

Mr.3の言葉に一同は散開して物陰に隠れた。

物を飛ばして道を塞いだ張本人であるシキは見聞色で場所が分かりつつもすぐに攻撃しなかった。

 

「カス共が・・・小娘以外ゆっくりと嬲り殺してやる」

 

シキはそう決めるとわざと別の場所に瓦礫を飛ばしてバギー達の恐怖心を煽った。

バギーはそれを物陰から見ていた。レイリーの見聞色が聴こえなくなってからずっと冷静でいられずどうするべきか考えた。逃げる為にはどうするか。ウタが狙いなのは知っているし、バギーもこんだけ苦労したのにわざわざ見捨てる気は無いのでウタを差し出すのは論外、ゴードンを見捨てたらウタがそっちに行く可能性が高いのでそれも論外。バギーは咄嗟に他の面々を見た。

 

「おい、アルビダかMr.3。てめぇら囮になれ!」

「はぁ!?断るよ!」

「そうだガネ!あんな化け物に対して囮なんて死んでもごめんこうむるガネ!」

「クソ・・・カバジ、モージてめぇら・・・」

「マギー玉も全部無くなったのにやりませんよ!」

「そうっす!」

「なら、やるよ!」

 

カバジとモージの言葉に持っていたマギー玉を2人に渡すが2人はその場から動かなかった。非常にゴタゴタとしている中でバギーは悩んだ。

 

「おじさん、アタシに・・・」

「お前は行くな!」

「でも、トレジャーマークも取られて・・・」

「んな事は後でいい!!それよりも逃げるんだ!!」

「ガウ!!」

 

助けたのに自分が行こうとしているウタにバギーは怒って止めた。トレジャーマークは確かに大事だが今は命の方が大事だ。するとゴードンを乗せたリッチーが口の中からトレジャーマークを吐き出した。

 

「うぉ、どうしたリッチー・・・ってキャプテン・ジョンのトレジャーマーク!?」

「何で持ってんだ!?」

 

シキがマギー玉でふっ飛ばされた時に落としたのでリッチーは大事なご飯の種だと理解していたのでそれを拾っていたのだ。リッチーはとてもガメついライオンだった。モージはトレジャーマークを拾ってバギーに投げた。バギーもそれを受け取ってウタに渡すとウタはリッチーの涎を拭いて腕に付けた。これで本当にもう用は完全に消えたのでバギーは逃げる為に頭をフル回転させて閃いた。

 

「よし、てめぇら。俺がマギー玉で前の障害をふっ飛ばす。そしたら間髪入れずに走って逃げるぞ!!」

 

その言葉に全員が頷くとシキが別の場所に瓦礫を落とした瞬間、バギーは道を塞いでる瓦礫にマギー玉を当てて吹っ飛ばすとそこから逃げていった。

先ず逃げたのはゴードンを乗せたリッチーにウタ、カバジ、モージ、アルビダ、Mr.3にバギーだった。

普通ならバギーが1番最初に来るが玉を発射して吹き飛ばした瞬間にリッチーが全力で逃げて先にウタを行かせたらまさかの自分が最後になってしまった。

 

「おい、お前ら!!俺を後ろにするな!!」

「はぁ!?だったら早く逃げるんだね!!」

「迷わず走るガネ!!」

 

バギー達はそんな風に全力で走って逃げてるとバギーと他の面々の間に鉄板が飛んできて分断させた。

 

「おじさん!!」

「お前は来るな!!」

「逃げるんだよ!!」

 

ウタがバギーの方に向かおうとしているがアルビダがそれを止めて無理矢理連れて行った。バギーもすぐに追い掛けようとしたがウタ達との間にシキ降りてきた。

 

「げぇぇぇぇぇ!?“金獅子”!!」

「このクソガキが・・・やってくれたな・・・楽に死なせると思うなよ?」

 

バギーはマギー玉を撃ったがシキは軽々と避けて武装色で硬化した拳で殴り飛ばした。詰め寄って木々にぶつかって倒れてるバギーを無理矢理立たせてシキはボコボコにし始めた。

勿論、バギーもマギーバルカンの刃やマギー玉、それに自分の体を使って反撃をしているがシキには全く効果がなく全て避けられるか防がれてバギーはまたズタボロ雑巾のようにボロボロにされた。

 

「本気で弱え・・・お前、本当にロジャーの仲間か?」

「うるへぇ・・・」

 

顔面がボコボコにされたバギーはヘロヘロになりつつもシキを殴ろうと拳を振るうがシキはあっさりとそれを避けて、バギーは倒れた。

 

シキはバギーを拾い上げるとそのままウタ達の方へ飛んで行った。

 

「おじさん!!離しておじさんが!!」

 

バギーの所に行こうとしているウタを無理矢理連れて行って逃げてる面々は全力で走っていると前に瓦礫が飛んできてまた道を塞がれた。

 

「またか!!」

「俺から逃げようなんざ甘えんだよ・・・これを見ろ!!」

「おじさん!!」

 

うんざりしている面々にシキが叫んで自分の方に目を向けさせるとシキはボロボロになってるバギーを見せつけた。ウタはそれに悲痛の声を上げた。

 

「座長!!」

「「バギー!!」」

 

アルビダ達もそれを見て声を上げるとシキはバギーの首を締め始めた。既にボロボロでバラバラに脱出しても首の感覚はあるので絞め殺されそうになってる事に変わりはなかった。

 

「は、離しやがれ・・・ホントに離して・・・」

「ほら離してやるよ・・・最後に船員に何か言う言葉はあるか?」

 

下手になってでも離して貰おうとするバギーをシキは地面に放り投げて瓦礫を上に構えるシキ。辞世の句などポリシーに反するバギーは体を動かして逃げようとするが上手く動けなかった。

 

「離して!!」

「あっ、止めなウタ!!」

 

アルビダの叫んでる声が聴こえてきてバギーは顔を向けるとウタが泣きながら走ってきてるのが見えた。だがアルビダがまたウタを捕まえた。

バギーはそれを見ると最後に思いっきり言った。

 

「これでお別れだ・・・ウタ!!」

「嫌だ!!・・・バギーおじさん!!・・・置いてかないで!!」

 

バギーの言葉にウタはそう言うと体を仰向けにしシキにマギー玉を撃ったがシキは軽々と避けた。

 

「ほら、行くよ!!」

「嫌だ!!離して!!」

 

アルビダ達は泣いているウタを連れてその隙に逃げようとしていた。だが泣きじゃくってるウタはアルビダの抑えをまた振り切ってバギーに向かって走って行った。

 

「“お父さん”・・・死んじゃ嫌だ!!」

 

ウタがそう叫びながら進んでいくがシキは「死ねぇ!」と叫びながらバギーに向かって瓦礫を落とした。バギーはマギー玉を発射しても全然小さくならない瓦礫を見た後に泣きじゃくってるウタの方を見ると笑った。

 

(ウタ・・・愛してるぜ)

 

バギーは最後にそれだけ思うと来れないように手を飛ばして肩を掴んで止めた。それで少し止まってる最中、ウタの目の前で瓦礫はバギーに落ちた。

呆然となったウタだが、少ししてジタバタしながらも地面に落ちたバギーの手を見て悟ってしまった。

 

「いや・・・いや・・・いやァァァァァァァァァァァ!!!」

 

受け入れたくない現実にウタは大声で叫んだ。するとウタの周りに灰が飛んできた。その灰はドンドンと形を作って楽譜になった。

 

「あれは!?いけないウタ!!」

 

ゴードンがその楽譜の正体を知るとウタに向かって叫ぶがウタはもう止まらなかった。そして上で笑ってるシキを睨むと叫んだ。

 

「殺してやる!!」

 

錯乱しているウタはそう叫ぶと禁断の楽譜・・・トットムジカを歌った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・・・後3時間!!!!






















ルフィ、バギー死ぬ程大ピンチ!!というかバギーは・・・後の展開は言えません!!

う~ん、バレットが強すぎる!!というかシキも強え!!

さて次回は同時刻のテゾーロとゼットをやって・・・その次はルフィとウタの過去編をやるつもりです。本当だったら最後の最後に明かすつもりだった婚約ネタを既に明かしちゃったのでウタがルフィを惚れた話をやります。

今話の曲は『Tot musica』とDa-ICEの『Promise』です。ウタにとってのバギーの立ち位置にこの曲がピッタシだったので。



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Dear friends/ヤッホー!

お待たせして申し訳ございません!!
色々と展開をあーでもないこーでもないと迷ってたら遅れました。申し訳ございません!!


トットムジカが起動される少し前。

ジンベエはダイスと戦っていた。実力が高いジンベエにとってダイスはそこまで苦戦する敵ではないが面倒くさい気質に少し手間取っていた。

 

「五千枚瓦正拳!!」

 

強烈な拳がダイスの体にめり込む。ダイスも裏社会の格闘技場で無敗を誇った実力と経験は伊達ではなく堪えた。

 

「気持ちぃぃぃぃぃ〜!!」

 

そしてダイスはジンベエの放った拳の痛みに喜んでいた。この厄介な嗜好と更に求めようとするダイスの欲で少しばかし効いてるのか効いてないのかジンベエは判断に困っていた。

 

「もっと来れ〜〜〜〜!!!」

 

ダイスは全身を武装色で硬化して斧を持って回転しながら突っ込んできた。ジンベエは腕を硬化してそれを防ぐとダイスの腹を蹴って退けた。

また立ち上がって突っ込もうとするダイスだが膝がガクガクと笑い始めて片膝ついてしまった。ジンベエの与えた攻撃のダメージが体に否応なしに出始めたのだ。

 

「そろそろ限界のようじゃな」

「何〜!?まだだ、まだ俺は気持ちよくなってねぇ〜!!」

 

ダイスはそう叫びながら突っ込んだ。ジンベエは右手に水を集めて構えた。

 

「魚人空手 奥義 武頼貫!!」

 

ジンベエの魚人空手の『奥義』を喰らってダイスは全身の水分が今まで以上に動かされふっ飛ばされた。そしてまだまだやろうと動こうとはしたがその場で動けなかった。

 

「これで終いじゃ」

 

ジンベエはそれだけ云うと勝負あったのでゾロ達を追いかけ始めてダイスは笑顔になりながら倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

書庫にいる面々はバカラとタナカさんを相手対して苦戦していた。

 

「スルルルルルル!!」

「ゼウス!!」

「また見失ったよ!!」

 

ナミがゼウスを使って攻撃してもタナカさんは壁や床の中にスルルと消えて避けていて見失った。

 

「ナミ、後ろ!!」

「おっと!」

 

タナカさんはそのままナミの後ろに現れて銃を頭に撃とうとしたがロビンがそれに気づいて捕まえようとするがまた地面の中に消えた。ナミ、ロビン、フランキー、ブリュレが背中を合わせて構えた。

 

「何処から来るんだい!?」

「構えとけ!!来た瞬間に俺のロケットランチャーで!!」

「駄目よフランキー!!まだ情報が!!」

 

タナカさんが出た瞬間に肩のロケットをぶっ放そうとしているフランキーにロビンは止めるように叫んだ。

 

「スルルルルルルル、私の勝利はあなた達をここで止めておく事、そしてそのまま無力な自分を呪え」

「うるせぇ!!」

 

床から顔を出して挑発してきたタナカさんにフランキーが詰め寄ってぶん殴るがまた壁の中に消えていった。

タナカさんは内心ほくそ笑みながらより精神を嬲ろうと飛び出して銃を撃った。

そしてその銃弾はロビンを貫いた。

 

その事実に啞然となる他の3人が見たかったが他の3人は全く気にもしなかった。

 

「フランキ〜ファイヤーボール!!」

「雷霆!!」

「ギャァァァァァァァァァァ!!!」

 

フランキーのファイヤーボールにダメ押しのナミの雷霆を食らわされて黒焦げになったタナカさんはそのまま地面に倒れた。

 

「な、何故?・・・仲間が撃たれたのに・・・」

 

エニエス・ロビーの一件やビックマムの所での大暴れで麦わらの一味が裏社会では仲間意識が強いのを知っていたタナカさんは動揺を起こさせる為にロビンを撃ったのに全く意にも返してない面々に驚いた。

 

「あら?自分が撃ったのが何か分からないのかしら?」

 

タナカさんは聞き覚えのある声に驚きながら顔を上げるとそこには無傷のロビンが立っていてすぐに自分が撃った方のロビンを見るとに椅子に変わった。

 

「なっ!?」

「作戦成功ねブリュレ!」

「フン、今回だけだからな!!」

 

そうタナカさんの撃ったロビンはブリュレの能力で姿を変えられた椅子だったのだ。タナカさんが隠れてる隙にブリュレが書庫に置いてあった椅子をロビンの姿に変えたのだ。

 

「ば、馬鹿な!!あの一瞬で・・・」

「アタシを誰だと思ってんだ!?ビックマムの娘だよ!!」

「ち、ちくしょ〜・・・」

 

ブリュレはそう言い切ると驚きを隠せないタナカさんはそのまま気を失った。

 

 

〇〇〇

バカラと戦っているウソップ、チョッパー、ブルック、イワンコフも苦戦していた。

どれだけ攻撃をやってもラキラキの実の力で全く攻撃が当たらず、逆にバカラはコインを投げただけで戦いによって罅が入っていた柱が折れてウソップ達の方に倒れるなどラッキーな状態だった。

 

「お止めラッキーガール!!顔面成長ホルモンヘルウィンク!!」

 

顔面を大きくさせたイワンコフはバカラにウィンクして吹き飛ばそうとするが飛ばされても難なくと着地した。運なのか身体能力なのかイワンコフには判断がつかなかったがウソップやブルック、チョッパー、イワンコフは負けじと果敢に攻めていった。しかし、タライにバナナの皮となぜそこにあるのか分からない物にやられてボロボロだった。

 

「あら?もう終わりかしら?」

「チョッパー、ブルック・・・俺に考えがある!突っ込めるか?」

「ウソップ・・・分かった」

「任せてください!」

 

ウソップがそう云うとチョッパーとブルックはバカラに向かって突っ込んでいった。ウソップはその隙にイワンコフに近づいた。

 

「おい、お前の能力って色んな物を成長させる能力か!?」

「違うわ、ホルモンよ!!」

「なら、〜〜〜〜はできるか?」

「お任せナッシブル!!」

 

ウソップはそうやってバカラに向かって黒カブトを構えた。チョッパーとブルックは又もやバカラの運にやられて飛ばされるとウソップはバカラの周りを撃った。

 

「必殺緑星“イバラロック”!!」

 

ウソップがそう叫ぶと撃った弾から大きな茨がバカラの周りを覆った。バカラはそれを見て笑った。これだけならすぐにでも抜け出せるそう思った。するの茨からトゲが中にいるバカラに向かって伸びるがバカラは無傷のままだった。まだまだラキラキの実の運は健在だった。

そしてそのまま茨を剣で斬って脱出しようと振るうが茨はすぐに再生した。

 

「無駄だ、イバラロックの茨は再生力が桁違いなんだよ!!」

「そんなのいずれ切れるはず!!」

「だからな・・・今だ!!」

「エンポリオ・植物ホルモン!!」

 

イワンコフは茨に対して植物ホルモンを注射した。するとバカラの覆っていた茨はドンドンとまた成長してバカラに向かっていたトゲは更に多くなった。全くの無傷だがトゲが止まらない茨にバカラは逃げようと斬って斬って斬りまくった。しかし、茨はすぐに再生していった。

ラキラキの実は運を味方につける能力。

それ故にバカラはトゲの中に居ても無傷だったが延々と来るトゲから守るために運を使っているのでバカラは茨の檻から脱出出来なかった。

 

「そ、そんなぁ〜!!!」

 

茨から脱出出来ないバカラの叫びが響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「三刀流 千八十煩悩鳳!!」

魔神風脚(イフリートジャンブ)羊肉ショット!!」

「鳴鏑!!」

 

テゾーロと戦っていたゾロ達はテゾーロの味方をするように襲いかかってきた無数の彫像を破壊していた。その彫像達は体のあちこちに金が張り巡らされていた。

 

「どうだ?この国の彫像達は?書庫にあったのを能力で操ってるが良い物だろ?」

 

そうこの彫像達は書庫にあった彫像達で本来はエレジアの書物や楽譜を守るために機能していたのだが、昨日シキやバレットと共にやってきたテゾーロはその存在を知るとウタワールドに入ってルフィ達から逃げてる際にこれを用意していたのだ。

 

彫像達はまだまだと来る中でテゾーロは3人も黄金像にしようと金粉を飛ばした。3人はそれを避けたり、風圧で飛ばしたりして躱した。サンジは空中を蹴ってテゾーロに詰め寄っていくと思いっきり蹴りを入れた。

 

「魔神風脚 胸肉(ポワトリーヌ)シュート!!」

 

テゾーロの胸を目掛けて外骨格+筋力+移動速度に武装色の覇気を乗せて発言させてる魔神風脚をブチ込むがテゾーロは黄金を操って盾にした。だが強靭なサンジの脚の威力は流石に殺せず、テゾーロはふっ飛んだ。すぐに決めようとサンジはより詰め寄っていくが彫像達を守るように操ってテゾーロは追撃を阻止した。

 

「痺れるねぇ!!これが10億の男の蹴りか!!」

 

テゾーロはそうやって笑いつつも構えた。続いてヤマトが詰め寄っていった。テゾーロはヤマトに対しても防御の姿勢を取るが隣にはゾロが同じように詰め寄っていた。

 

「雷鳴八卦!!」

「閻王三刀流 煉獄鬼斬り!!」

 

テゾーロはサンジの時とは変わって自分の周りに黄金を回転させるように操った。甲高い金属音と共にゾロとヤマトの攻撃は弾かれてふっ飛んだ。

 

「チッ!」

「ちょっと厄介だね・・・どうする?」

 

舌打ちするゾロにヤマトが弾かれた事からどうするべきか考えてるとテゾーロは黄金の竜巻を止めて顔を出した。

 

「邪魔をするな・・・どうせ後数時間もすればこの歌姫は死に永遠にここは閉じる」

「・・・なら尚更すぐにケリをつけてやるだけだ」

「クソ野郎どもが・・・」

「一体、何が目的なんだお前達は!!」

 

ゾロ達はテゾーロの言葉にすぐに終わらせる事だけ決めて構えてヤマトはそう聴いた。

 

「俺の目的は天竜人だけだ!!邪魔をするな!!」

 

テゾーロはそう叫びながら自分の左薬指以外につけてる指輪を全て外して沢山の彫像達をゾロ達に向かって放ってまた自分は黄金の竜巻で身を守った。

 

「おいお前ら、決めるぞ!!」

「当たり前だ、ヘボ剣士!!」

「行くよ!!」

 

まず最初に飛び出したのはゾロだ。武装色だけじゃなく覇王色も出しながら次々とやってくる彫像に向かって構えた。

 

「閻王三刀龍 一百三情飛龍侍極!!」

 

飛んできた全ての物を斬り捨てるゾロ。そのままテゾーロの黄金の竜巻すらも容赦なく斬り裂いた。

 

「惜しかったな!」

 

しかし、テゾーロには届いておらず、また黄金の竜巻をやって身を守ろうとしているテゾーロは斬り裂かれた竜巻の間で見た物に冷や汗をかいた。

それはサンジの脚に乗ってるヤマトの姿だった。

 

空軍(アルメ・ド・レール)おでんシュート!!」

 

サンジはそのままゾロが切り裂いた竜巻の間を狙ってヤマトを射出した。猛スピードで飛んでくるヤマトにテゾーロは急いで黄金の竜巻を再開させようとしたが既に遅くヤマトは目の前まで詰め寄っていた。

 

「ライブの邪魔をするな!!」

「この!!」

 

自身の金棒の健を構えてるヤマトにテゾーロは咄嗟に左薬指を触るがそこには何もなかった。

 

「大威徳 雷鳴八卦!!!」

 

猛スピードですれ違いながらヤマトは強烈な一撃をテゾーロにぶち込んだ。

 

(ス・・・ステラ・・・)

 

テゾーロはそのまま愛した女性であるステラを求めるように手を伸ばしたがそれはどこにも届くことはなく、テゾーロは気絶してその手も落ちた。

テゾーロが気絶したのとゾロが大技で全ての彫像をブチ壊したので黄金も動かなくなり、3人は急いでウタを助けようと向かうと3人が触れる直前にウタの体から大量の黒い音符が飛び出してきた。

 

「何だこりゃ!?」

「一体、ウタちゃんに何が!?」

「黒い・・・音符!?」

 

軈てその黒い音符はウタの体を纏っていき、現れたのはトットムジカだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

△△△

ゾロ達がウタワールドでテゾーロ達を撃破していく中で現実世界での海軍とNEO海軍の戦いも佳境に入っていた。

 

「「うぉぉぉぉぉ!!!」」

 

ガープの拳とゼットのスマッシャーがぶつかり合い衝撃音が響き渡る。

 

「指銃5!!」

「鉄塊!!」

 

戦っているのはガープとゼットだけではなく、モモンガとシューゾ。アインとコビー、Tボーン&ヘルメッポとビンズ、そして多くの海兵とNEO海兵。多くの者達が戦っていた。

 

「ゼファー!!」

「俺はゼットだ!!」

 

ガープとゼットの戦いはそこにセンゴクやおつるもいる。2人もゼットを止めようと戦うがゼットは止まらなかった。

 

「スマッシュトルネード!!」

 

ゼットは自分の軍艦の上で戦ってるにも関わらず、スマッシャーで足場を爆発させた。強烈な爆風でガープ、センゴク、おつるは飛んで自分達の軍艦の1つに戻るとゼットも追いかけるように飛んできて船首の上に着地して構えた。

 

「厄介じゃのう」

「元々格闘戦ならお前と互角だからな」

「幾ら年老いてもそう安々と何とかなるならアタシ達の時代を生きては行けないよ」

 

ガープ、センゴク、おつるはそれぞれ構えてまだ続く戦いに備えていた。

 

「海軍のお前らに俺は止められん!!」

 

年を重ねた事で心肺機能が落ちてるゼットは吸引器を使った薬物投与で息を整えるとスマッシャーを構えた。それを聞いたガープは徐ろにコートを脱いでシャツ一枚になった。

 

「ガープ、何をする気だい?」

「おつるちゃん、センゴク、ちょっとばかしこれを持っててはくれんか?」

「・・・そうか・・・私が言うのは1つだけだぞガープ」

 

ガープが何をやりたいのか察したセンゴクはそう言うとガープと顔を合わせながらコートを取った。

 

「あのバカを止めろ」

「当たり前じゃ」

 

ガープはセンゴクの言葉に短く言うと1人ゼットの前にやってきて構えた。

 

「何のつもりだガープ?」

「今のワシは海軍の正義は背負っとらん!!お前を“海兵”として止められないなら“友人”としてお前を止める!!」

「くだらん屁理屈を・・・お前のそう云う所が俺は大嫌いなんだよ!!」

 

ガープとゼットはそのままお互いに距離をゆっくりと詰めて殴り合い始めた。武装色にスマッシャー、持てるものを全て使った全力の殴り合い、顔面を殴ったら腹を殴り、顎を殴り、頬を殴り合う。防御なんて一切しないシンプルな殴り合いだった。

 

「何が友人だ!!お前のやってきた数々の仕打ち忘れたわけじゃねぇぞ!!」

「何を!?ワシがジャングルの生き方を教えたんじゃうろが!!」

「あぁ!!お前が船を壊しておつるやセンゴクと共に無人島に漂流する羽目になったからな!!」

「他にも嫁さんとの喧嘩を仲裁したじゃろうが!!」

「何を恩着せがましい事を!!お前がやったのは夫婦喧嘩の時にカレーをたかりに来ただけだろうが!!」

「仕方ないじゃろ美味かったんじゃから!!他にも新人の教育を手伝ったじゃろうが!!」

「新人を谷に突き落としたり、ジャングルに放り投げたり、筏に括り付けて漂流させるの何処が教育だ!?全員、怯えていたぞ!?」

 

ガープは覚えている事を色々と言っていったが尽くゼットと認識が違っていた。

 

「じゃが最後は怯えずにやってたぞ!!」

「あれは諦めだ!!」

「何じゃ一々細かいのう・・・この陰険爺!!」

「あぁ!?誰が陰険だ!!そもそもあの時の始末書を手伝わなければ俺はお前とは親しくならずに済んだものを・・・なぜセンゴクに聞かなかった!?」

「聞いたが教えてくれんかったんじゃ!!あの時のアイツは陰険眼鏡じゃったからの!!だから・・・感謝しとる」

 

ガープとの付き合いが始まった頃を思い出して思わず悲しくなってるゼットにガープは笑顔で感謝してるとゼットは余計に腹が立ったのか思いっきりガープを殴り飛ばした。

 

「・・・ったく・・・お前は本当に一々・・・」

「ゼファー・・・」

「お前が羨ましい・・・息子も生きていて孫も生きていて・・・お前に俺の何が分かる!?」

 

ゼットの言葉にガープは一部カチンと来たのかすぐに立ち上がって構えて突っ込んでいった。そしてスマッシャーで殴りにくるゼットの攻撃を躱して後ろに回ってスープレックスをして地面に叩きつけた。

ゼットはすぐに立ち上がろうとしたがガープに胸倉を掴まれた。

 

「分かる・・・ワシも2年前に家族を失った・・・痛いように分かるつもりじゃ」

「・・・“火拳”のエースか」

「血は繋がってはおらんがそれでもワシの大事な家族じゃ・・・」

 

ガープの言葉を遮るようにゼットは殴って離れさせるとそのままスマッシャーを構えた。

 

「今でも会いたいか?」

「会いたい!!」

 

ゼットとガープはそれだけ言葉を交わすとお互いの拳をぶつけ合った。衝撃音が響き渡る中でゼットとガープは頭を武装色で固めると頭突きをぶつけ合った。お互いに威力が高かったせいか武装していても血がボタボタと垂れてくる中で血が目を通り越して頬を流れていった。

 

「ワシは家族を守れんかった・・・」

「俺もだ・・・」

「じゃが・・・友人は助けたい!!」

「だから俺はお前の・・・」

「やかましい!!ワシが友人と決めたら友人じゃ!!文句あるか!!お前が何と言おうともワシはワシのやりたいようにやるだけだ!!」

 

ゼットはガープの言葉を聞いて揺らいでいた物が止まらなくなってきた。ヒーローに憧れて今までやってきて海軍を辞めてNEO海軍を作り上げた自分を友人として止めようとしているガープにゼットはゼファーに戻るべきか揺らいでいた。

 

そんな風にお互いに引けない中でエレジアの方から音が聴こえ始めた。ガープやゼファーだけじゃなく、戦っていた者達全員がエレジアの方を見ると見えたのはウタが起動してしまった巨大はピエロのような怪物トットムジカの姿だった。

 

「アレがエレジアの魔王か・・・」

「市民が・・・ゼファー、お前達も手伝え!!市民を助けるんじゃ!!」

 

ガープの言葉にゼットは啞然となった。何を今まで下手すれば殺し合いにも発展しかねないような状況になった者達にまで手伝わせようとしてるガープに戸惑ってると胸倉をまた掴まれた。

 

「ここで市民を見捨てるのがお前のヒーローの姿か!?ゼファー・・・ワシらを許せんのも止まらなくなってるのも関係ない!!・・・・・人を守るのがワシらの何が何でも決して譲れない“正義”だ」

「“正義”か・・・」

 

『いつでもかかってこい!!』

『俺は正義のヒーロー・・・ゼッ〜〜ト!!』

 

ゼットは昔見た理想像を思い出した。愛する者は殺されて海賊に途轍もない怒りを覚えて海軍に失望して辞め、ドレスローザでの海賊への英雄視に対する海軍の度重なる失態への怒りや海賊への止まらない怒りから作り上げたNEO海軍だが、根元の部分は捨てられなかった。

 

「・・・そうだな・・・俺達の喧嘩は市民には関係ない・・・」

 

ゼット・・・ゼファーはそれだけ云うとガープと共に前に立った。そしてあちこちで混戦している海軍とNEO海軍の軍艦の上に乗ってる者達に大声で指示を出した。

 

「聞けぇ海軍!!」

「NEO海軍も聞け!!俺達のこの争いは市民には関係ない!!」

「じゃから一先ず休戦し、これからエレジアに向かって市民を助けるのじゃ!!」

「全て終わってからまた始める!!だが今大事なのはそこじゃない!!」

「ガタガタ言って助けるのを遅らす奴はワシが拳骨をお見舞いしてやる!!分かったなら進路をエレジアに向けるんじゃ!!」

 

ガープの言葉に海兵達もNEO海兵達も一瞬戸惑った。だが、市民を見捨てられないのは変わりない。海兵達とNEO海兵達は自分達の根本にある物を思い出すと次々とエレジアに行くために準備を始めた。

 

こうして市民を守る為に2つの“海軍”は一時的に元の“海軍”に戻った。
























というわけでテゾーロ撃破、NEO海軍本格参戦です。
・・・テゾーロファンの皆様、本当に申し訳ございません。何というかエラい薄味になっちゃった・・・出すなら全員出そうの精神で出したけどやっぱり1話テゾーロ回を書いとくべきだったと後悔が・・・

ゼットはこの展開にする為に色々と考えてましたが書いてて書いとくべきだった海軍回・・・マジでガープ視点からの回は一回欲しかったなと・・・

色々と後悔もないわけではないですがこのまま行けるところまで突っ走るつもりなので行きます。

次回はルフィとウタの過去編に入るつもりです。
たぶん、1話か2話で終わります・・・そしてそっからは激熱と激鬱のダブルパンチを贈れるように頑張ります。

今話の曲は『Dear friends』とDIVA×DIVA『ヤッホー!』です。分からない人は史上最強の弟子ケンイチのOP2と調べた方が早いです。


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memories/Sweet Child O’ Mine

久しぶりの連日投稿に喜びつつ、そしてこの最終章で1番やりたかった展開をお届けする事が出来て嬉しいです!!
私、これを書けて燃えてきたのでそれが伝わる事を祈ります!!


バレットに潰されたルフィはある事を思い出していた。沢山あるウタとの思い出の中で転機になった物をルフィは走馬灯のように思い出していた。

 

●●●

その日のルフィはウキウキとしていた。

 

「マキノ!シャンクス達が帰ってきたぞ!!」

「分かったわ、私も準備しなくちゃね♪」

 

港からシャンクス達の乗っている船レッドフォース号が見えたルフィは喜びながら皆にその事を言いまくっていて自分は港で待った。やがて船が港に着くとルフィは大声で船にいる者を呼んだ。

 

「お~い、シャンクス〜!!また冒険の話をしてくれ〜!!」

「待ってろルフィ・・・船旅で疲れてるからな少し待ってくれ」

「え〜??」

 

結構な船旅をしていても友達のルフィに明るくそう答えるシャンクス。ルフィはシャンクスの言葉に口を尖らせて頬を膨らませた。

 

「シャンクスは疲れてるんだからちょっとは我慢しなさいよ」

 

シャンクスを気遣ってルフィを嗜める声が聴こえてきた。ルフィはその声を聞くと少し嫌な顔をしつつも顔を上げると船の縁の上にウタが堂々と立っていた。

 

「何だよウタ〜・・・良いじゃねぇかよ」

「良くは無いわよ。休むのも大事な事なんだしシャンクスを更に疲れさせないでよね!」

「ウタは優しいな〜、というわけでルフィ・・・俺達は少し休む」

「どうせマキノの店で騒ぐだけじゃねぇか!」

「当たりだ♪♪お前の相手はその後だ♪♪♪」

 

シャンクスはそうやって笑いながら他の仲間達と共にマキノの店に向かっていく中でルフィはその後ろ姿をむくれつつも見ていた。そんなルフィにウタは近づいてきた。

 

「ほら、アンタの相手はアタシがしてあげるから」

「んだよそれ。ま、ウタでいっか」

「それ、どういう意味よ!!・・・全くアンタって奴は・・・それよりもさ、これどう?」

 

ルフィはウタに言われて見るとウタはくるくるとその場で回っていた。ルフィは何をやってるのか分からずに首を傾げた。

 

「服が変わった事にも分かんないわけ!?」

「ん?あっ、本当だな!!」

 

そうウタの服がいつもの黄色い服ではなく、少し高そうな白い服に指にはブカブカのピンク色の宝石が付いた指輪を付けていた。

ウタは見せびらかす為に色々とやったのに全くルフィが気づかなかった事に少し呆れた。

 

「ふふ、良いでしょ?シャンクスに買ってもらったんだ♪♪それに見て!」

「ん?」

「これ、シャンクス達と探検した島で見つけたんだ。それで綺麗だったからシャンクスに付けて貰ったの♪♪」

 

頬を赤らましてうっとりと嬉しそうに話すウタ。ルフィは別にそっちの方はどうでも良かったが探検したという部分にワクワクしてきた。

 

「探検♪♪♪♪♪」

「はぁ〜・・・お子ちゃまのルフィには早かったか」

「何だと!?ウタだって変わりねぇじゃねぇか!!」

「アタシはアンタより2歳も上よ!!」

 

ルフィはウタと言い争いを始めて睨み合うといつもの勝負で決着を付けようと決めた。

 

「よし、ウタ!!勝負しようぜ!!」

「あ~、今日はダメ」

「え〜〜〜、何でだよ!!」

「だって折角の可愛い服を着てるのに汚したくないもん」

 

ウタの理由は普通だった。折角の可愛い服に憧れのシャンクスから貰った指輪などもあって乗り気じゃなかった。

 

「厶〜〜〜〜」

 

シャンクスからも後回しにされてウタからも相手にされないルフィは折角の楽しい気分が台無しにされたと思い、すね始めた。流石に眼の前でそんなのを見せられたウタは少し罪悪感を覚えているとある事を決めた。

 

「もう、しょうがないんだから・・・だったら今日はライブじゃなくてアンタだけに特別に歌を聞かせてあげる!」

「ホントか!?」

「勿論、その代わりこの前の風車以外のステージを用意しなさいよ!」

「えっ・・・だったら、ウタ。俺この前良い洞穴を見つけたんだ!!そこで聴かせてくれよ!」

「ほ、洞穴って・・・しょうがないな〜、その代わり服は本当に汚したくないからね!!」

「分かった!!」

 

ルフィはそうやって案内しようと走っていくと何時もよりも遅いウタにその場で飛びながら急かした。

 

「ウタ〜、遅いぞ〜!!」

「服を汚したくないって言ったばかりでしょ!?」

 

早くウタの曲を聴きたいし、ウタに探検の事を詳しく知りたいルフィは子供らしくより急かしていくがウタは相変わらず少しゆっくりしていた。

そんな風に少し落ち着きのないルフィに宴会を始めていたシャンクス、ベックマン、それにマキノが店の中から見つけたのか少しだけ出てルフィに優しい顔を向けた。

 

「おい、ルフィ。何処に行くんだ?」

「シャンクス、これからウタが歌ってくれるって言うからこの前見つけた俺の秘密基地で歌って貰うんだ♪♪」

「あらあら♪♪」

「ルフィ、意外にやるな」

「そうか♪♪ウチの音楽家のステージを独り占めとは贅沢だな♪」

 

ルフィの言葉にマキノ、ベックマン、シャンクスは各々の反応をしていくとウタが少し遅れつつもやってきた。

 

「遅いぞ」

「だから汚したくないって言ったでしょ!?」

「汚れたら洗えば良いじゃねぇか!」

「アンタの服と一緒にしないでよね!」

 

また、言い争いを始めるルフィとウタ。シャンクス達はまたかと思いつつもそんな2人を微笑ましく思っていた。

 

「こらこら、お前ら。喧嘩は止めろ」

「ウタちゃん。着替えてから行ったほうが良いんじゃない?」

「それに指輪もこっちに置いていった方が良いと思うぞ」

 

流石にこれ以上長くさせてると終わらなそうだったのでそれとなく色々と言っていくとルフィと言い争いをしていたウタは自分の格好や指輪に関して色々と悩むが折角歌うならいつもとは違う格好で歌いたいし、指輪も離したくなかった。

 

「う~ん、折角だしもうちょい着ていたい!」

「汚れても知らねぇぞ」

「汚さないよ〜」

 

ベックマンがもしもの事を言ってもまだまだ幼いウタはそう言って服を着替えず指輪も付けたままルフィと共に行った。

 

「二人共〜、暗くなる前に帰ってきなさ〜い!」

「そうだぞ、同衾したら洒落にならんからな」

「馬鹿だなベック、そうなるわけねぇだろ?ルフィとウタだぞ?」

 

ベックマンの茶化しにシャンクスは笑っていた。ベックマンはそれを聞きつつも案外なるのでは?と少しだけ思っていた。

 

「ウタ、ドウキンって何だ?」

「さぁ?ベックマンの言葉って偶に分かんないから」

 

まだ幼い2人はベックマンの言葉の意味を分かってなかった。

 

 

 

 

●●●

2人はそのまま歩いて山の中に入って暫く進むとウタの足が止まった。何故なら眼の前には吊り橋があったからだ。

 

「え?ここを行くの?」

「おう!」

 

元気よく答えるルフィにウタは絶対に指輪を落とさないように握りしめていた。

 

「ん?ウタ、もしかして怖えのか?」

「はぁ?そんなわけ無いでしょ!!こんな橋くらい余裕よ!!」

 

当時は幼くまだまだそう言った事に鈍かったルフィはウタが怯えてるように見えた。堂々と橋を歩き始めるルフィ。ウタは絶対に指輪を落とさないように力強く握り締めながらも歩いていくと前を歩いていたルフィはいつも歳上だと誂ってくるウタに少しだけ優越感を覚えてしまい、橋の上でジャンプしてわざと吊り橋を揺らした。

 

「どうしたウタ?やっぱ怖えのか??」

「あ、馬鹿!揺らすな!!危ないじゃない!!」

 

からかい半分で1回だけのつもりだったがそんなすぐに吊り橋の揺れが収まる訳もなく暫く揺れてるとウタは揺れに堪えきれず、その場に膝を付いてしまった。

 

「ウタ!」

「馬鹿ルフィ!!こっちに来るな!!」

 

ルフィは流石に心配したのかウタの方へ向かっていくがドンドンと走ってきたせいで更に揺れてしまう吊り橋。

 

「わ、あっ!?・・・あぁぁぁぁぁー!!」

 

その揺れのせいでギュッと握りしめていた指輪をウタは手放してしまい、指輪はそのまま谷の下にある川に落ちていった。

 

「ウタ、大丈夫か!?」

 

折角のシャンクスに貰った大事な指輪なのにそれを落としてしまった事に対してウタはその原因であるルフィを思いっきり睨んだ。ウタに睨まれたルフィはそれに落ちていった指輪も見えた事もあって何も言えなくなるとウタは容赦なくルフィの顔面にビンタした。

 

「ルフィの馬鹿!!」

「痛え〜!!」

「揺らすなって言ったのに信じらんない!!大事な指輪だったのに・・・もうあんたなんか大嫌い!!二度とアタシにもシャンクスにも近づくな!!」

 

ウタは少し涙目になりながら汚れようが汚れまいが関係なく走ってルフィのいる所から去った。ルフィもビンタされた頬を擦ってると下にある谷川を見た。

 

 

 

 

 

●●●

「おい、ウタ。いい加減に機嫌を直せ」

「やだ!!」

 

怒り心頭のウタはその後、マキノの店にやってきてパンケーキを食べていた。色々とルフィの事に関してぶつくさ言ってるウタにシャンクスが機嫌を直すように言ってもまだ幼いウタは直す気なんてなかった。

 

「だから、指輪は置いていった方が良いって言ったんだ」

「うっ、だ、だって折角シャンクスが付けてくれた指輪だったし!」

 

隣で聞いていたベックマンに指摘されるとウタも少し罰が悪くなったのか言葉が濁った。

 

「まぁまぁ・・・ウタちゃん、ルフィがごめんね。船長さん達の帰りを首を長くして待っていたから嬉しくてね」

「ムッ、うぅ~」

 

マキノにそう言われるとウタはそれはそれで少し嬉しさも微妙に感じつつもやっぱり怒りが収まらないので不貞腐れてジュースを飲見始めるとマキノがどんよりしてきた空を少し心配そうに見ていた。

 

「一雨、来そうですね」

「折角帰ってきたのに・・・まぁ、店の中じゃ関係ねぇか、おいお前ら!!もっと飲め!!」

『オォォォォォォ〜〜〜〜!!!』

 

騒ぎ立ててる赤髪海賊団にウタもそれを見て楽しそうにしている中で雨が振り始めた。暫くの間はウタも全く気にしてなかったのに段々と強くなってくる雨と共に雷が落ちた。

 

「キャッ!」

「おいおい、ウタ。ただの雷だ心配ねぇ」

「こ、怖がってない!!ちょっとビックリしただけよ!!」

 

雷に怖がるウタにシャンクスがからかうとウタは反論しつつも赤髪海賊団のいる酒場が暖かくて心地良かった。そんな中で村長が雨でびしょ濡れになりながら酒場にやってきた。

 

「村長さん、どうしたの?

「マキノ!!ルフィを見たか!?」

「え?・・・ここには居ないけど?」

「何処にも見当たらんのじゃ!!」

 

村長の言葉を聞いて赤髪海賊団の騒ぎは静かになった。そこからは友達であるルフィを探すために赤髪海賊団やフーシャ村の大人達も総動員で探し始めてウタは危ないのでマキノの店で1人留守番になった。

 

「馬鹿ルフィ・・・シャンクス達に迷惑掛けて・・・」

 

帰ってきてないルフィにそう悪態をつくとまたゴロゴロと雷が鳴ってウタは蹲った。

 

「キャッ!!・・・もう、シャンクスもアタシを1人にして!!・・・ルフィも同じなのかな・・・」

 

1人になって怖い雷が鳴って心細さを感じてるウタはルフィも同じような気持ちなのかと思い始めると外を見た。雨はどんどん強くなってきて下手な声なんて届きそうに無いほどに煩かった。

 

「ルフィ・・・まさか!?」

 

ウタはルフィの身を心配し始めるとひょっとしたらと思ってそのままカッパを着てマキノの店から飛び出した。懸命に走って行って山の中に入ってさっきの吊り橋の所まで走った。

グラグラと暴風で揺れまくっている吊り橋が見えている中でウタは向こう岸の谷から登ってくるルフィを見つけた。

 

「ルフィ!!」

 

ウタは大声で呼ぶとルフィはその声に気づいたのかウタの方を見て安心したのか泣き始めた。

 

「ウ、ウタ〜!!た、助けてくれ〜!!」

「ま、待っててすぐにシャンクス達を呼んで・・・」

「うわっ!!?」

 

ウタはすぐにシャンクス達を呼ぼうと一先ずその場から去ろうとした。だが雨に晒されて滑るのかルフィはズルっと足を滑らせてるのをウタは目撃した。

 

「ルフィ・・・今行くよ!!」

 

するとウタは全力で暴風で揺れ動いている吊り橋の上を走った。危ないなんて物じゃない命の危険もある中でウタはルフィを助けるためにまず、対岸へ走った。揺れてる吊り橋の上で転んで汚れてもウタは気にせずに対岸まで走った。

そして着くとすぐにウタは辺りを見回した。自分が降りて助けに行こうとしても命綱無しじゃ共に死んでしまうかも知れない。ウタは懸命に何か無いか探してると長い蔦を見つけた。ビシビシと引っ張って少し丈夫であると確認すると谷に1番近くて自分の腕を回しても届かない程に大きい木に巻き付けて自分の身体にも巻き付けた。

 

「ルフィ、頑張って!!」

 

ウタはそう叫びながら崖を降り始めた。

 

「ウ、ウタ〜!!」

 

大泣きしながら手を必死で伸ばすルフィ。ウタは頑張って蔦が切れないようにゆっくりと近づいて手を伸ばし、ルフィの伸ばして手を掴んだ。

 

「よし、掴んだよ!!」

「うぅ・・・」

「泣くのは後!アタシだけじゃ登れないんだからアンタも頑張って!!」

「うん、分かった!!」

 

ルフィはウタの体に抱き着きつつも2人で一緒に崖を登り始めた。暴風に曝されて何回も滑るが絶対に離さないと固く掴み合って登って、軈て無事に登り切れた。

お互いに精神も疲れてドロドロになろうが構わずにその場に倒れて息を整えて2人は体を起こすとウタはルフィにまたビンタした。

 

「この馬鹿!!こんな雨の中で何やってたの!!どれだけ心配したと思ってんの!?」

「ご、ごめんなさい〜!」

 

泣きながらウタはルフィに怒った。ルフィもウタに怒られてしょんぼりしてると雷がゴロゴロと鳴った。

 

「「ひゃっ!!」」

 

ウタとルフィはそれに驚くと顔を合わせて先に戻ろうと吊り橋を渡ろうとした。所が暴風に耐えきれなくなった吊り橋の縄が切れて吊り橋は落ちていった。

 

「そ、そんな〜!!」

「ウタ、こっちだ!!」

「うわっ、ル、ルフィ!?」

 

帰る道を失ったウタはショックに嘆いているとルフィがウタの手を引っ張って走り始めた。突然の事に驚いてるウタを気にせずにルフィは走っていくと軈て洞穴が見えてきて2人はその中に入った。

走った事でまた疲れて2人は座り込んだ。

 

「ルフィ・・・ここってもしかして見つけたって言った洞穴?」

「あぁ、良い場所だろ?」

 

自分の見つけた場所に友達であるウタを連れてこれて嬉しかったのかニコッと笑うがルフィのせいで酷い目にあったウタは眉を顰めていた。

 

「ウタ・・・これ・・・」

 

ルフィはポケットの中からある物を出した。それはウタが先程、落としてしまった指輪だった。失くしてしまった物がルフィのポケットから出てきた事やルフィが崖に居た事、それにルフィがすぐに帰って来なかった事からウタはルフィが何をやっていたのか分かった。

 

「アンタ・・・それを・・・」

「うん、俺が悪かったから・・・その・・・ごめんなさい!!」

 

頭を下げるルフィにウタはまたビンタをしたくなった。それはルフィの身を案じて怒りたかったからだ。だが、頭を下げて謝ってるルフィにそんな事は出来ずにウタはルフィを抱き締めた。

 

「バカ、バカバカバカバカバカバカ!!!アンタの身が危ないのに・・・この大バカ!!本当に子供なんだから!!・・・心配させないでよ・・・」

 

抱き締められたルフィは涙声になりつつも怒ってくれてるウタに暖かさを感じてると泣き始めた。

 

「ウタ・・・ごめん・・・ごめんなさい!!」

 

2人はそうやってわんわんと泣き始めた。洞穴の中で2人の泣いてる声が反響していた。

暫く泣き続けてスッキリした2人は涙を手で拭いて抱き合ったまま、落ち着いてるとルフィがウタに持っていた指輪を渡そうとしてきた。

 

「ルフィ・・・アタシの手に付けて貰ってもいい?」

「ぐすっ・・・どうやんだ?」

「アタシのこの指にはめるの」

 

左手の薬指だけを伸ばしてるウタにルフィは指輪をはめた。ブカブカではまってると云うよりもぶら下がってるような感じだったがウタはそれをギュッと握りしめた。

 

「ルフィ・・・この指輪、大事にするからね」

 

ウタはそう言ってルフィを抱き締めると優しく歌い始めた。ルフィはウタの心臓の音がトクトクと聴こえ、そして美しい歌声も聞こえ始めると本当に安心したのか段々と眠たくなってきた。

 

「ウタ・・・俺、ウタと居れて嬉しい・・・」

 

ルフィは一人じゃないこの状況に安堵してウタをより強く抱き締めてウタも不器用だけど優しくそして寂しがりなルフィに愛おしさを感じて歌いながら抱きしめた。

お互いが好きな2人の恋の始まりはこんな始まりだった。

 

 

2人はその後寝てしまったがすぐにシャンクス達や他の村人達に見つけて貰って無事にフーシャ村に帰った。元々丈夫だったのか風邪など引くこともなかったが、たっぷりと2人は説教された。

この時、シャンクス達もだが、1番怖かったのはマキノだった。

 

説教が終わり、少しマキノの店で泣きつつもご飯を食べてるルフィとウタを見つつもシャンクスとベックマンは外に出てのんびりと晴れた空を見ていた。

 

「兎に角、2人に大事がなくて良かった・・・ふぅ〜」

「あぁ、そうだなお頭」

 

安堵しているシャンクスを尻目にベックマンは店のカウンターで食べてる2人を見てると何処かしら2人の距離は近くなったと思った。

プレイボーイなベックマンはそこからまだまだ幼い2人の上にルフィの性格も考えてまさかとは思いつつもニヤついていた。

 

「どうしたベック?」

「いや、何でもない・・・そう言えばお頭、ウタの付けてる指輪の宝石がなんか分かるか?」

「お前、俺がそう言った事に詳しいと思うか?」

「そうだったな・・・俺も女と相手する時の話のネタに齧ってるだけだが、あのピンクの宝石はパパラチアサファイアだと思う」

「へぇ〜・・・長え名前の宝石だな」

「あぁ・・・宝石にも意味があるらしくてな。花言葉みたいに宝石の言葉もあるんだ」

「なんて意味だ?」

「色々とあるが、1番あの2人に合いそうなのは“運命的な恋”って意味だな」

「あの2人が?ないないだってルフィは野生児だし、ウタは俺にメロメロだからな!」

 

ベックマンの言葉にシャンクスは笑いながら無いと言った。それはそうだとベックマンも少し思いつつもシャンクスに向かって笑った。

 

「それはどうかな?案外、意外な結果になるかも知れねぇぞ」

「ないない」

 

シャンクスとベックマンはそんな風に笑いながら店の中に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィはそんな風にウタとの懐かしい記憶を思い出すと気を取り戻した。

 

「そうだ・・・俺、あの時からずっと・・・」

 

自分がウタを好きになった時の事を思い出すとルフィは立ち上がった。あの時、1人じゃないと分かって1人の辛さをより理解したルフィはウタと離れた時に心から泣いてエースやサボと出会い、成長を重ねてエースを目の前で失い苦しんで心が折れてもまた立ち上がってきた。

そして、再会して喧嘩してもウタと一緒に居たいと願ってるのにこんな所で諦められなかった。

 

ルフィは立ち上がってすぐにバレットをぶっ飛ばしに行こうとしたが周りの景色は先程までと違っていた。暗い海の上で1人ボートに乗ってるルフィは周りを見るが誰も居なかった。

 

「ここ、どこだ??」

 

ウタは何処だと探し始めるルフィを乗せたボートはドンドンと波に流されて進んでると隣に大きな船がやってきた。それは船首に二人の人魚が象られてる船だった。

ルフィはそっちの船に乗って誰かに航路を教えて貰おうと手を伸ばしたが船を掴んだ瞬間に弾かれた。

 

「いっ!!・・・おーい、誰か居ないか〜!?」

 

ルフィは弾かれた事は気にせずに声を掛けた。すると船から炎が飛び出してきた。炎はやがてルフィの乗ってるボートに来ると留まった。

ルフィは何だと思って構えるがその炎の懐かしい感覚に混乱してると炎はドンドンと人型になってきてルフィはそれにより驚いた。

 

「嘘だ・・・嘘だ・・・」

 

懐かしい感覚、見覚えのある姿にルフィは涙を流しながら首を横に振って嘘だと思い込もうとしたがそれは無理だった。

 

「何だよルフィ。俺の顔を忘れたのか?」

 

それはルフィにとって最愛の家族の1人・・・守れなくて後悔したが心の中でずっと生き続けてる人・・・兄である“火拳”のエースだった。

 

「エ、エース!!??」

「久しぶりだな・・・ルフィ」

 

ルフィは絶対に会えないと思っていたエースを見ると抱き着きて泣き始めた。

 

「おい馬鹿、止めろ!!それにピーピー泣くな!!泣き虫は嫌いって言っただろうが!!」

「だって・・・だって・・・うわァァァァァ〜〜!!」

 

泣き始めてる弟にエースは怒り離して殴ろうかと思ったがルフィが震えてるのを見ると呆れつつも1回だけ頭を撫でてやった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「おいおい、ここは何処だよ!?」

 

一方、シキに潰されたバギーもまたルフィと同じようにボートに乗っていた。ウタを救ける為に色々とやってきて気づいたらまさかこんなわけも分からない場所に居るとは思ってなくどうするか迷ってるとバギーもルフィと同じように人魚が象られた船が隣にやってきた。

 

「これって・・・嘘だ・・・嘘だ・・・嘘に決まってる」

 

バギーはそれを見ると首を横に振った。解散した時にその船の顛末を知ってるバギーはここにあるとは到底信じられなかった。

何故ならそれは自分が育った船“オーロ・ジャクソン号”だったからだ。

 

「おい、あれって?」

「バギ次郎か!?」

「何!?」

 

懐かしい声が聴こえてきた。バギーはその声の持ち主達を知っていた。1人は船長のライバルの白ひげ、そして1人は最後の1年を共に旅した光月おでん。

懐かしい声が聴こえてきてバギーは最後に聴こえてきた声に耳を疑った。何故ならその声の人は20年以上も前に眼の前で処刑されたからだ。

そしてその声の持ち主がオーロ・ジャクソン号からバギーの乗ってるボートに飛び降りてきた。派手な水音が鳴ってバギーはその姿を見ると涙が止まらなくなった。

 

「嘘だ・・・だって・・・」

「やっぱりバギーだ・・・ニューゲート!おでん!やっぱりバギーだったぞ!!」

 

笑いながらオーロ・ジャクソン号の上にいる2人に言う男はバギーにとって父親も同然の男だった。

 

「夢だ・・・そうに決まってる・・・」

「なんだバギー?俺の顔を忘れちまったのか?」

 

バギーはその優しくも少しだけイジケてるような声を聞いてその男の顔を見た。特徴的な黒い髭にザ・海賊というような風貌をしていた。

 

「ロジャー船長・・・」

「久しぶりだな、バギー♪♪」

 

その男の名は・・・“海賊王”ゴール・D・ロジャー。



















というわけでエース登場!!そして海賊王ロジャー登場!!
この展開を思いついてやりたかった為に色々とやれて来れたので書けて嬉しいです!!

次回はトットムジカの現状を少しやりつつもルフィとエース・・・そしてバギーとロジャーの会話を中心にやりたいです!!

今話の曲は『memories』とカンズ・アンド・ローゼスの『Sweet Child O’ Mine』です!!
このSweet Child O’ Mineはソー ラブアンドサンダーで予告から盛大に使われていて歌詞を調べたらまんまフィルムREDそのものにピッタシの曲だったので是非とも聞いてください!!

それでは次回も熱く行けるように頑張ります!!


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夢見る頃を過ぎても/Feels Like heven

連日投稿だやったぜ!!
そして本日でFilmREDも終映ですが、今回の話はかなり前から言っていた鬱展開の触りが出てきますので覚悟して下さい・・・いや、本当に終映の日になんてもんを書いてんだと自分でも思いますがかなりスプラッターです!!


〇〇〇

トットムジカが目の前で発動した事にシキは予定とは違うがまぁ別に問題はないなと何処か楽観的だった。ウタの死亡まで後、3時間。シキの目的はトットムジカにいらない人間の抹殺でこれがあればすぐにそれも出来ると思っていた。

まさかそのトリガーがバギーがやられる事だとはシキも想定してなかったがしかし、目の前で古代兵器に匹敵する存在を見れるのには興奮していた。

 

「ジハハハハハハハハ!!すげぇ、これが古代兵器に匹敵すると云われた魔王トットムジカか!!これがあれば・・・全てを支配できる!!待ってろロジャー・・・俺はお前の全てを否定してやる!!」

 

シキは興奮のあまり叫んでいた。トットムジカはシキに1回だけ顔を向けると止まった。起動したら全てを破壊する以外止まらない兵器であるトットムジカは全く動かなかった。

シキは聴いていた話と違う事に戸惑ってるとそこにバージェスも遅れながらやってきた。

 

「ウィーハハハハハハ!!これがトットムジカってやつか!?けど、動かねぇな??」

「どうなってやがる!?何故、破壊活動をしない!?」

 

トットムジカを間近で見て笑うバージェスと困惑しているシキ。バージェスは試しにそこら辺にあった岩を軽く投げてぶつけてみた。

ウタワールドと現実の両方から同じ場所を攻撃しないと効果のないトットムジカ。岩くらいぶつかっても屁でもないが当たってもトットムジカは全く動かなかった。

 

「なぁ、こいつ本当に古代兵器に匹敵する存在なのか?」

「そのはずだ・・・魔王の伝説があるのになぜ、動かない?」

 

バージェスとシキの困惑は止まらなかった。

そしてそれは近くで見ていたゴードンを初めとするアルビダ達も同じだった。

 

「なぁ、あれがエレジアの魔王ってやつだろ?なんで止まってんだ?」

「分からない・・・12年前とは何かがおかしい・・・」

「それよりもどうする!?」

「逃げるか!?」

 

アルビダ達もそれに困惑している中でMr.3は電伝虫を起動していた。

 

「えっ!?・・・いや・・・はい!!」

「どうしたんだいMr.3!!」

「嬉しい誤算だガネ・・・最高のえ・・・うわっ!?」

 

電伝虫で誰かに連絡していたMr.3はまだ自分達が運に見放されていなかった事を知って喜んだのも束の間、自分達の方へ巨大な瓦礫が飛んできた。

Mr.3はすぐに全員を蝋で守って瓦礫は防いだがリキリキの実の上がり続ける怪力のバージェスにその後すぐに殴られて蝋を破壊された。

 

「ジ、ジーザス・バージェス・・・」

「さっきはテメェらに良いようにやられたからな・・・それにトットムジカが出た今、その爺にも用がねぇ。さぁ、全員楽しませろよ?」

 

バージェスはそうやって笑いながら先程、出し抜かれたバギー海賊団に攻撃を始めた。

 

 

 

 

△△△

ウタワールドで目の前でウタがトットムジカになってしまった事にゾロ、サンジ、ヤマトは何が起こったのか最初は分からなかった。

トットムジカが城の中で起動したせいで城は壊れてゾロ達も無事に外に出るとジンベエやロビン達とも合流した。

 

「ゾロ!!」

「お前ら無事だったか!!」

「なんとかな!!」

 

無事に会えた事には喜びつつも目の前に現れたトットムジカを見てロビンと存在を知っていたブリュレは冷や汗をかいていた。

 

「不味いわね、起動してしまった・・・」

「これがトットムジカかい・・・」

「ウタちゃんがあの中に居るんだ!!何とかして出さねぇと!!」

「書庫でウタワールドから抜け出す方法を探してトットムジカの事を調べたわ・・・トットムジカは起動すると現実とウタワールドを繋げる存在・・・あれを止めるには現実とウタワールドの両方から同じ場所に攻撃しないと通らないわ・・・それにウタ本人は薬を打たれていて治療しなければ後3時間で死ぬ・・・」

「なんと・・・キツイ条件じゃな」

 

ジンベエはロビンの説明を聞いて顔を歪ませた。只でさえ厄介な状況なのにトットムジカを倒す条件に時間まで制限されて最悪の展開がジンベエだけじゃなくその場にいた全員の頭を過ぎった。

急いで助け出そうとサンジは飛び出そうとしたがトットムジカは動かなかった。

ゾロ達を全く見ずに自分の足元で気絶しているテゾーロを少し見た後で動かなくなった。

 

「トットムジカ、俺と戦え!!」

 

困惑している一同を気にせず、カタクリ達と戦っていた究極バレットがトットムジカに向かって掴み掛かった。そして掴むと究極バレットはそのままトットムジカを投げたがトットムジカには効果がなく、またフワフワと浮いたままで止まっていた。

 

「カハハハハハハ!!今ので壊れねぇとはな・・・動かねぇのはおかしいがまぁ良い・・・古代兵器に匹敵する魔王・・・絶対に俺だけの力で壊す」

 

バレットは嘗てカイドウと共にトットムジカと戦った事があるガルツバーグの軍人ダグラスの元で少年兵として育った。だが強すぎるバレットが疎ましくなったのかダグラスはバレットを裏切った。裏切られた事に怒りのまま暴れてガルツバーグを滅ぼしてロジャー海賊団に入った。真正面から挑んで勝てなかったロジャーに対してバレットは何処かライバルのような目を向けていたがロジャーが死にバレットは目標を失った。ゆえにバレットは全てに勝ってロジャーを超えたと証明したかった。

シキと組んでいるのもロジャーに対する何処か似た思いがあったゆえの共感があった。

 

「俺はロジャーを超えて世界最強の座・・・海賊王を手に入れる!!」

 

バレットはそう叫びながらトットムジカに攻撃した。トットムジカはそんなバレットを1回だけ見るとまた動かなくなった。

そんな光景にゾロ達、そして別の場所からそれを見ていたカタクリ達も動かないトットムジカに困惑していた。

 

「あれがトットムジカか・・・」

「ルフィ今すぐ助けるぞ!!」

 

カタクリはトットムジカを見てどんな存在なのか冷静に判断しようとしている中でハンコックは究極バレットに潰されて瓦礫の下敷きになってしまったルフィを助けようとしていた。

 

「キャプテン、シャンブルズで何とかならない!?」

「無理だ・・・今の俺の体力じゃ・・・」

 

ベポはルフィを助ける為にローに聞いてみたがぬいぐるみになっているローは体力の消耗が激しかったのか能力を使えずにいた。

 

「ルフィ!!・・・このゴミグズが!!」

 

ハンコックは思いっきり瓦礫を蹴り飛ばして粉砕すると下には倒れてるルフィがいた。

 

「ルフィ!!」

「ベポ、行くぞ!!」

 

ルフィを愛してるハンコックと治療の為にローやベポも行った。そんな中でカタクリとキラー、コアラの3人はトットムジカと究極バレットの争いを見ていた。

 

「ファッファッファッ!!どうなってんだ?」

「分からん・・・あのトットムジカの動きは見聞色で見れん・・・」

「さっき、あのバレットに1回だけ見たのが最後だね」

 

コアラはトットムジカが1回だけバレットを見た事に指摘していた。どうするべきか判断に困っていたがここで手を拱いても時間の無駄なので3人はルフィについてるハンコックや治療をしているベポやローを置いてトットムジカと究極バレットの方へ走っていった。

それはゾロ達も同じだった。

 

「てめぇら!!兎に角、攻撃が通ろうが通らまいがやるしかねぇ!!あのピエロのバケモンからウタを引きずり出すぞ!!」

「てめぇに言われるまでもねぇ!!」

 

ゾロの言葉と同じタイミングでサンジが真っ先に飛び出した。サンジは空中を蹴ってトットムジカに近づこうとするがそれを邪魔する者がいた。

究極バレットである。

 

「お前ら・・・俺の邪魔をするな!!」

 

見聞色でゾロ達やカタクリ達が来ると分かると究極バレットは自分の邪魔をされると判断して攻撃対象をそっちに移し、巨大な腕で襲い掛かった。

一方、ルフィを見つけたハンコックは必死でルフィを起こそうとしていた。

 

「ルフィ!!しっかりするのじゃ!!」

「おい女帝屋、どけ!!」

 

ぬいぐるみのローはルフィを抱き締めてるハンコックに退いてもらって脈を診ると心臓が動いてなかった。

 

「不味い・・・ショックを・・・クソ、出せねぇ!!ベポ!!お前、ゾウでエレクトロを教えて貰ったって言ったよな!?それを使え!!」

「でもキャプテン。俺、上手く使えなくて・・・」

「やるんだ、お前なら出来る!!それに麦わら屋の体はゴムだ!!調整が下手でも堪えられる!」

「・・・わかった!!」

 

自身は体力の消耗が激しすぎて能力が使えないローはベポにそう指示した。ベポは幼い頃にゾウを出た為にエレクトロは使えなかったがゾウに滞在してる中で教えて貰っていた。だがまだまだ調整が上手くできなかった。しかし、この状況でローにそう言われるとベポはルフィの胸に手を当ててエレクトロを出した。

 

 

 

 

 

 

☓☓☓

ルフィはエースと再会できて泣いていたがウタの事が心配ですぐに泣き止んで立ち上がった。

 

「エース、俺・・・ここから出てぇ!」

「分かってる。お前ならそう云うと思って今、親父が船に乗っててな、親父が出そうとしてる」

 

ルフィの言葉にエースは親指でオーロ・ジャクソン号を指さした。エースが親父と言う人物は一人だけなのでルフィは白ひげもいる事に驚いた。

 

「白ひげのおっさんもいるのか!?」

「あぁ、それにクソ忌々しいゴミクズも居るけど・・・まぁアレに関しては徹底的に無視してるからな♪♪」

 

エースの言葉にルフィは誰の事を言ってるのか分からなかったが苦虫を噛み潰してるような顔から笑顔になったエースを見て聞かない事にした。

 

「そっか・・・まぁ楽しんでるなら良いや」

「ルフィ・・・この2年間ずっと見てたぞ。まさかお前に恋人が出来るとは思ってなかったけどな!」

「俺も出来るなんて思ってなかったよ・・・ただ、ウタと一緒に居るとあったけぇんだ・・・暖かくてずっと頑張れるんだ・・・」

 

優しく言ってくるルフィの顔にエースは心から安心した。泣き虫で弱くて寂しがり屋な弟には仲間だけじゃなく心から愛してる女性が出来た事にエースは嬉しくて涙が出そうになったが堪えた。泣いてるのは嫌いだからだ。

 

「そう言えばエース!!なんで俺会えたんだ?俺、もしかして死んじゃったのか!?」

「いや、そうじゃねぇ・・・色々と複雑らしくて俺も・・・いや、俺達も皆、よく分からねぇが・・・これを見た方が早えな」

「ん?」

 

エースはそう云うと持っていた電伝虫を起動して映像を出した。

 

 

 

 

☓☓☓

一方、エースやルフィ達とは反対側で再会を果たしたバギーとロジャー。バギーはまた会えるとは思ってなかった人が眼の前にいる事に涙が止まらなくなった。

 

「船長・・・船長・・・」

「おいおい、もう解散して20年以上経ってるのに船長はおかしいだろ」

「だって・・・だって!!」

 

泣いてるバギーにロジャーは少し呆れつつもバギーの被っていた帽子を取って頭を撫でた。

 

「・・・俺はやっぱり幸せ者だな・・・バギー、ありがとうな」

「うぅ・・・」

「ずっと見てたぞ・・・シャンクスと喧嘩して色々とやってるのをニューゲートやおでん、ルージュやエースと共に見てた・・・バギー、本当に良く頑張ってるな」

「船長・・・俺、船長に会いたかった・・・」

「そうか・・・」

「会って色々と話したかったんだ」

「よし話せ!全部聞いてやる!!」

 

ロジャーは優しくもハキハキとした声でそう言うがバギーは泣いたままもゆっくりと話し始めた。

 

 

 

 

 

 

▲●▲●

一方、トットムジカを起動してしまったウタはトットムジカの中で歩いていた。

周りは暗くて何も見えてない中でウタはゆっくりと進んでいた。

 

「ここ、どこなの?」

 

思わずそう呟くウタ。

すると足に何か当たった。

 

「え、何?・・・重っ、それに冷たい・・・」

 

ウタは困惑しながらもその当たった重くて冷たい物を持って良く見ようとした。軟らかい嫌な感覚で気持ち悪さも感じながらウタはそれをちゃんと見た。

 

「えっ?・・・う・・・ひっ!!!?」

 

ウタはそれを見た瞬間に青ざめて手を離して捨てた。

何故ならそれは自分の顔をしていておまけに胸に剣か何かで貫かれたような風穴が空いていてそこから血を流し、完全にそれは自分の・・・ウタの死体だったからだ。

突然の事に気持ち悪さを感じたウタは思わず腰が抜けて尻餅をつくと何か浅い水面に座り込んでしまったのか水のような感触と水音が聴こえてきてウタは手でそれを掬い上げて見ると手には真っ赤な血が付いていた。

 

「う、うわぁぁぁぁ!!!」

 

混乱と恐怖心が襲ってきてウタは何とか立ち上がった。すると周りの暗い景色もドンドンと明るくなってくるとウタは口を抑えて吐き気が止まらなくなった。

 

そこにあったのは大量の死体だった。

 

しかも全て赤髪と白髪のツートンカラーに生まれてからずっと見ている顔は嫌でもそれが自分の・・・ウタの死体の山であると認識させた。

 

剣で貫かれてるウタ、銃弾で撃ち抜かれてるウタ、手足が切り取られてるウタ、生首になってるウタ、衣服を全て剥かれてボロボロになってるウタ、背中に天竜人の焼印があるウタ、ドフラミンゴの入れ墨を彫られてるウタ、酒瓶を持ったウタ、口から泡を吹いてるウタ、酷いものは顔の半分が失われてるウタなど他にも無数いた。

それだけではなくその姿も色々と異なっていた。

まだ9歳だった時のもあれば赤ん坊の時もあり、服も海軍の白いコートを着ているウタもいればペローナのようなゴシック調の服を着ているウタもいた。

 

それら、数えきれない程の自分の死体を見てしまったウタはありえないくらいに気持ち悪く信じがたい光景に立ち尽くすだけだった。

 

「ここに来たんだね」

 

不意に後ろから聞こえてきた声にウタはビックリして振り返ると更に混乱した。

何故ならそこに立っていたのは白いワンピースが血で真っ赤に“赤く”染まってしまった自分が立っていたからだ。

 

「だ、誰?」

「私はウタ・・・と言ってもどの私なのか分かんないよね・・・私は・・・エレジアでライブをして新時代を作ろうとしたウタ・・・」

 

混乱しているウタに目の前のUTAはそう言った。



















というわけで現実とウタワールドでは混乱が起こってる中でルフィとエース、バギーとロジャーが語ってる中でとんでもスプラッター・・・いや、本気でごめんなさい・・・この展開をルウタとイチャイチャを書いてる時に思いついてやってしまえと思いやったら想像以上にスプラッター・・・“赤い女”であるUTAがウタに何を語るのかお待ち下さい。

ただ、かなり激重にする気満々です。


今話の曲は『夢見る頃を過ぎても』とHIIHの『Feels Like Heven』です。
はい、諸にあの有名ホラー映画の主題歌です・・・あれも曲調は明るいけど中身が激重な曲ですから・・・

では、次回もお待ち下さい。
ただ、覚悟はしといて下さい。もう最終章だから全ての箍を外して書いてますので。


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風のゆくえ/君にできるなにか

皆様、遅れて申し訳ございません!!
色々とやっててあーでもないこーでもないとなってたら遅くなりました!!
申し訳ございません!!


バギーはロジャーと話をしていた。ロジャーから全部聞いてやると言われたバギーは色んな事を話していた。20年以上、何があったのかどんな20年を過ごしていたのか、でもバギーはカタギに手を出したり、ロジャー海賊団である事を隠していた事を言えていなかった。

ロジャーはそんなバギーの事を察していたのか何も言わずにただ優しい目を向けていた。

 

「・・・そうか、色々とあったんだな・・・バギー、お前の娘の話もしてくれねぇか?」

「アイツは娘じゃねぇよ・・・」

「そうか?けど、色々と頑張ってたろ?」

「やりたくてやったんじゃねぇんだよ・・・あいつのせいでどれだけ酷い目に合ってきたか・・・体を小さくされるわ・・・無人島で3日無駄に過ごす羽目になるわ・・・トレジャーマークまで渡して・・・それで4ヶ月教えたくもねぇのに教える羽目になるわ・・・シャンクスと喧嘩するわ・・・色んな奴に狙われるわ・・・散々だよ・・・」

「そうなのか・・・」

「何度も見捨てぇのに・・・何でこうなっちまったんだろうな・・・何で・・・あいつといると暖かいんだろうなぁ・・・」

 

バギーはロジャーに思いっきり心から思っていた事を吐露し始めた。それは誰にも言わなかった事で久しぶりに会えたロジャーにだから言えた事だった。

ロジャーはそれを聞くとバギーに優しく言い始めた。

 

「エッド・ウォーの後の宴の事、覚えてるか?戦った俺に怖くて逃げねぇのかって・・・それが理由だ・・・」

「え?」

「バギー・・・“親”ってやつは・・・そういうもんだ」

「・・・はぁ?!」

 

ロジャーからの言葉にバギーは首を全力で横に振った。そんなのになったつもりもないし、なるつもりもなかった。

 

「俺は親じゃ・・・」

「バギー・・・人はいつ“家族”になる?」

「・・・」

「俺もニューゲートがこっちに来てから教えて貰って気づけた・・・子を産んだ時か?・・・違う、長年育てた時?・・・違う、血の繋がりからか?・・・違う。その子に愛されていると分かる時だ」

 

ロジャーの言葉にバギーはウタとの関係を思い出していた。漠然と感じていたその感情を理解したくはなかった。何故ならそれはロジャー海賊団の思い出と共にもう二度と手に入らないとずっと思っていた物だったからだ。

 

「バギー・・・それが“宝”を見つけるって事だ」

「なんで・・・なんで会っちまったんだろうなぁ?」

「あの娘にか?」

「あぁ・・・」

「・・・まぁ、お前じゃなくても良かったかもな」

 

ロジャーはそう云うと懐から電伝虫を取り出して起動した。そして流れてきたのは無数の映像で全てウタが映っていた。

だが、どれも違っていた。海兵の格好をしていたり、純粋に海賊をしていたり、ライブをやっていたり、冒険していたり・・・そして横にいるのはルフィだったり、シャンクスだったり、カタクリだったり、果てはコアラ、ローにベポ、キラーやキッド、ハンコック、レイリー、又はゾロ、ナミ、ウソップ、サンジ、チョッパー、ロビン、フランキー、ブルック、ジンベエ・・・他にもバルトロメオ達が横にいるのもあった。

 

「何だ・・・これ?」

「バギー・・・“世界”ってやつは無数にあるって事だ」

 

 

 

▲●▲●

ウタは突然の眼の前に現れたもう1人の自分UTAに困惑していた。

 

「やっぱり・・・急に言われても分かんないよね・・・」

「えと・・・幻かなにかなの?」

「分かんない・・・私も良く分かってないから」

「・・・何なのここ・・・それに何でアタシがこんなに・・・」

 

ウタは自分の死体が山のようにある事にわけが分からなかった。何故、あるのか、そしてなんでこうなったのかウタの頭はこんがらがっていた。

 

「その私達は・・・違う“世界”の私達・・・」

「違う“世界”?」

「私が海兵になってたり、オバケを操る友達と暮らしてたり、フーシャ村でルフィと海賊を目指してたり色んな可能性の限りある“世界”・・・因みに私は3年前に配信を始めたの。貴女は2年前だけど・・・それこそ、今パンケーキを食べたか食べてないかで違う“世界”になるの・・・えっと分かった?」

「うん、パンケーキの話が凄い分かりやすかった」

 

ウタはUTAの話を理解していた。大好きなパンケーキを食べた後にもしも今、食べてなかったらと考えた時は無数にあるからだ。

 

「良かった♪♪流石、私!・・・次になんでその違う“世界”の私がここに居るのかって云うと・・・トットムジカのせい・・・」

「トットムジカ?」

「そう、私・・・貴女もそうだと思うけどウタワールドを“夢”の世界だと思ってたでしょ?」

「うん」

「違うんだ・・・ウタワールドは“夢”の世界じゃない」

「えぇ!?」

 

UTAの言葉にウタは混乱した。今まで夢だと思っていた物が夢ではないと云う事に頭がついて行かなくなってきた。

 

「やっぱりそうなるよね・・・これで最初から上手く納得できたの海兵の私だけだったし・・・“夢”ってのは実は別“世界”の自分の姿を映す物なの・・・だからウタワールドってのはウタウタの実の能力者にとって理想の別“世界”を作る能力なの・・・そして歌を聴いた者も連れて行く事が出来るの」

「な・・・なるほど〜」

「・・・本当に理解してる?」

「が、頑張ってます」

「それで・・・トットムジカはそんな風に“世界”を渡り歩く存在なの・・・ウタウタの実の能力者が歌えばどんな“世界”でも行ってあらゆる物を破壊するの」

 

UTAの説明にウタは混乱しつつもトットムジカが危険な性質を持ってる物だと言うのは理解できた。

 

「トットムジカはそうやって“世界”を渡り歩き、負の感情を手に入れる・・・ウタウタの実の能力者が居ないならその世界から消える・・・時間も場所も飛び越えて現れて消えてを繰り返して・・・いつ生まれたのかいつから存在してるのかも分かんない」

「わけわかんない」

「私もたぶん200年以上一緒に居るけどわかんない」

「200年!?」

 

UTAの説明にウタが率直にそう呟くと返ってきたのはとんでもない内容だった。

 

「ちょっと待って200年もここに居るの!?」

「うん・・・私は・・・エレジアでライブをしてルフィやシャンクス達に助けて貰ったけど・・・ネズキノコの毒で死んじゃったの・・・その時にトットムジカに共感しちゃったんだ・・・」

「共・・・感?」

「『あんたも寂しかったんだね』ってトットムジカに共感したの・・・そしたらそれ以来ここに居る・・・ここに居てトットムジカの中から抜け出せない・・・時計があるからちゃんと時間の感覚は持ってると思うけど・・・実はどれくらい時間が経ってるかよく分かんない」

 

UTAはもう絶望しきっていてある種の悟りを開いたかのような感じで話した。それはもう生きてるのか死んでるのか分からない感じだった。

 

「・・・このアタシ達は?」

「トットムジカで滅んだ世界の私・・・何でトットムジカがそんなに連れて来るのか分からない・・・」

「アタシは・・・そんなに無数の世界でも生きられないの?」

「ううん、違うよ」

 

UTAはウタの言葉にすぐに首を横に振ると空中に手を翳した。すると空中に多くの映像が出てきた。そこにはロジャーがバギーに見せてるのと同じ映像が流れていた。

 

「“世界”は本当に無数あるの」

 

 

 

〇〇〇

「ロジャー船長、この映像は?」

「この“世界”以外のあの娘の姿だ・・・あぁ、まぁお前があの娘を助けなかったらこうなってかもと思えばいい」

「な、なるほど・・・」

 

バギーは取り敢えず良く理解は出来ないが話が進まないので首を縦に振った。

 

「お前が助けなくても誰かが助けたかも知れない・・・シャンクスだけじゃねぇ・・・エースの弟かも知れねぇし、その仲間かも知れねぇ、リンリンの子供かも知れねぇ、海兵かも知れねぇ・・・それだけじゃねぇがな」

 

次にロジャーが見せたのかウタがトットムジカを起動してしまって世界を破壊している映像だった。どれもこれも大火に包まれて破壊されている世界の映像で今度のウタ達は死んでいた。

 

「あの娘が死んだ世界も無数にある」

「この世界は・・・」

「ん?」

「・・・この世界はどうなんだ船長?ウタは死んじまうのか??」

「さぁな・・・俺にもそこは分からん」

「この世界のウタは・・・誰が助けんだよ?」

「お前だ・・・」

「・・・」

「この“世界”はお前があの娘を助ける“世界”かもな」

 

ニコッと優しく笑いながら話すロジャーにバギーは無理だと思った。何をやってもシキには勝てないし、どうやって自分でどうにかなると思えなかった。

そんなバギーにロジャーは優しく頭を撫でた。

 

 

 

 

●▲●▲

「世界の数だけ私は存在する。当然上手くいく世界もある」

 

UTAからの説明にウタはホッとした。まだ自分の運命が決まったわけじゃないと理解したからだ。それに対して少しだけ安心するとウタはUTAに尋ねた。

 

「ねぇ、聞きたいんだけど。どうしてアタシはここに?だって貴女の説明を聞いてたら死んでないといけないんじゃ?」

「それは・・・貴女がウタワールドを“嫌い”だから」

「え?」

「負の感情で動くトットムジカは負の感情が強ければ強い程内側に引き寄せるの・・・以前にもそれで何人か私じゃないウタウタの実の能力者を連れてきた事がある」

「その人達は・・・今どこなの?」

「上手く出られたよ。私も頑張ったし・・・でも昔、カイドウって子とダグラスっておじさんが1人助けに来てたなぁ・・・なんか成り行きでそうなっちゃったみたいだけど」

「出る方法があるの?」

「簡単だよ、私を殺せば良い!」

 

明るく言ってくるUTAにウタは固まった。何を言ってるのか全く理解できなかった。

 

「私を殺せばトットムジカは私に気を取られて暴れるのを止めて死んだ私を蘇らせる方に行くの・・・だから私を殺せば終わるの」

 

笑顔で言ってくるUTAにウタは同じ自分なのに何処か悲しみが溢れてきた。

 

「やっぱり、そうすぐに納得出来ないよね・・・私も毎回死ぬの頑張ってるけど上手く出来ないし・・・」

「ねぇ、別の方法を探そうよ・・・きっと何か方法があるはずだよ・・・200年答えが出なくても・・・」

「無理だよ・・・新時代も上手く作れなかった・・・他の世界の自分を見てるとね・・・凄く羨ましいんだ」

 

UTAはそう言うと泣き始めた。それは純粋な寂しさと羨ましさから来るものだった。

 

「何で他の世界は上手くいくの・・・何が駄目だったの・・・」

「それは・・・」

「1番嫌なのが・・・失敗して上手く行かない時の世界の私を見ると・・・」

「言わなくても分かるよ・・・分かるから言わないで良いよ」

 

UTAがそこから何を言おうとしてるのかウタは理解した。けどそれは言わせなかった。何故ならその言葉を云うと本気でどうしようも出来なくなるとウタは思ったからだ。

 

「体よりも大事な心を守ろうとして・・・何が悪かったのかなぁ」

「アタシ、その答え知ってるよ」

「え?」

 

UTAの呟いた言葉の答えをウタは知っていた。それは自分が旅をして学んだ物だったからだ。

アラバスタ、ジャヤ、ウォーターセブン、シャボンディ、バギーズデリバリー、ドレスローザ、トットランド、エレジア・・・色んな所を旅してウタは色んな事を思い出して、その答えを知った時の事を思い出した。

 

それはジャヤで見たノックアップストリームを見た時だ。ビリビリと来る感覚が衝撃的でクリケット達からアレを昇った海賊が居るのは知っていたが昇もアレの衝撃は忘れられなかった。

 

『・・・世界って広いな〜・・・』

 

あの時にウタは理解していた。UTAの疑問の答えを知っていた。勿論、価値観が変わったわけじゃない。だがそれに至るまでに大事な事があると分かったのだ。

 

「色んな所を旅して分かったんだ・・・確かに心は体よりも大事だよ・・・けど・・・」

「けど?」

「現実で頑張らないと“心”には残らない・・・配信で人気になって歌を聴いて皆好きだって言ってくれたけど・・・あの計画はそんな皆を裏切ってたんじゃないのかな?」

 

UTAはそれを聞いて理解できた。自分が3年間頑張って皆に歌を聞いて貰えた。それはウタワールドに皆も入っていて自分は皆がウタワールドを求めていたと思ったがそれは違うと言われたからだ。

 

「そっか・・・私は皆を裏切ってばっかり・・・シャンクス達も・・・ゴードンも・・・ルフィも・・・ファンの皆も・・・裏切ってばっかり・・・ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハアハ・・・アァァァァァァァァァァァーーーーー!!!」

 

それはもう笑ってるのかそれと泣いてるのか怒ってるのかさえも分からない程にグチャグチャになった叫びだった。

叫び続ける自分にウタは歩いて背中を擦った。

 

「ねぇ、ここから出ようよ・・・出てもっと色んな世界を見れば色々と分かるよ・・・」

「無理だよ・・・」

「無理じゃない!!絶対にアタシが救ける!!」

「なんで・・・なんで・・・そんなに・・・」

 

ウタの力強い言葉にUTAは分からなかった。それに対してウタは大切な父親から教えてもらった事を思い出していた。

 

『黙れ贅沢娘!俺はな宝が欲しい!この世の全ての金銀財宝を手に入れたい!それが俺の“幸せ”だ。俺だけが持って俺が決めた俺の幸せだ!自分(てめぇ)自分(てめぇ)の幸せすら決められない奴が人を幸せになんて出来るわけがねぇだろ』

『“幸せ”を舐めるんじゃねぇ!!』

自分(てめぇ)の幸せ自分(てめぇ)で狭めるな!!』

『俺はウタのお陰で“幸せ”になったからだ!!アホと喧嘩したり、色々とあったがそれでもウタと出会わなかった前よりもそう思える・・・ウタ!!お前の“夢”は絶対に叶う!!・・・俺様を“幸せ”にしたお前に叶えられねぇ“夢”なんかねぇ!!』

 

「“お父さん”に助けて貰ったからかな・・・」

「あの・・・赤い鼻の・・・」

「うん・・・アタシに始めて真正面から向き合ってくれた人・・・貴方にも居るはずだよ・・・」

 

『止まれウタ。こんなのは自由じゃねえ。こんなのは“新時代”じゃねェ!!・・・お前が誰よりもわかってんだろ!!』

『こいつは、おれの娘だ。おれたちの大切な家族だ。それを奪うつもりなら・・・死ぬ気で来い!!!』

 

UTAは自分がトットムジカに囚われる前に向き合ってくれた2人の事を思い出していた。

 

「わ、私は・・・!?あ、あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

UTAはそうやって言おうとした。しかし次の瞬間、UTAはウタを押し飛ばした。ウタは何をされたのかと思って見るとUTAは頭を抑えていた。そして段々と髪が脱色して金髪になった。

 

[“奴隷”に何をする?]

 

雰囲気が違った。ウタは目の前のUTAが先程までと違う存在だと認識し、さらにウタはその存在の正体を知っていた。なぜなら12年前に自分と赤髪海賊団を引き離した存在だからだ。

 

「アンタはまさか・・・トットムジカ?」

[そうだ。お前達人間がそう呼ぶ存在だ]

「アタシを返して・・・」

[断る・・・こいつはそう・・・“奴隷”と言うやつだ・・・]

「何?」

[負の感情を元にこの世に生を受けた。しかし、本質である“世界”を渡り歩くには共感して貰う存在が必要だった・・・だからこの“奴隷”が共感して貰った時は心から喜んだ・・・これで“世界”を渡れるとな・・・]

 

トットムジカの言葉にウタは怒りが抑えられそうになかった。自分に共感してくれたUTAに対してまさかの奴隷扱い・・・眼の前にいる存在が心から人とは違うと理解するには充分だった。

 

[だがやがてそれも無理になると思った・・・だから“世界”を渡って別世界の“奴隷”を集めた!!何故なら上手く行かない“世界”を見るとこいつは負の感情をより高めたからな!!]

 

無数にあるウタの死体を指さしながらUTAの顔で笑うトットムジカ。それはまさに魔王との呼ばれるに相応しいと言えるほど歪んでいた。

 

[だが死体だと負の感情すらも少しずつ殺してると200年掛かって漸く分かった・・・本当に人間の持つ感情は餌としては最高だが・・・育てるのは面倒くさい・・・だからお前を手に入れようとした] 

  

トットムジカはそこまで云うと指を指しながら姿を以前、夢で見た青と白のウタの姿になった。

 

「やっぱりあの夢・・・」

 

ウタは以前見た存在がトットムジカだと何となく思っていて漸く確信出来た。

 

[それだけじゃなく、他にも・・・]

 

トットムジカは更に姿を変えた。それはバギーと出会った時にウタワールドに居た子供のルフィだった。

 

「ルフィ・・・」

[12年前の指輪の事がなかった“奴隷”とは違ってお前はこいつに入れ込んでいたからな!!すぐに手に入ると思ったのに・・・あの赤鼻に邪魔をされた!!ー前が幸せに強くなるほどに負の感情が高まった“奴隷”のお陰で直接取り込めると思ったら今度は小僧にだと!?・・・この2人だけはすぐにでも殺したい!!・・・一体、現実とウタワールドの何処に隠れてやがる!!?]

 

そうトットムジカは常にウタを狙っていた。ウタが強く幸せになればなるほどUTAの負の感情が強くなったからだ。所が2回止められた・・・バギーとルフィにだ。

起動したら破壊しかしないトットムジカが起動しても沈黙てしていたのはUTAによってより感情を知り、シキやバレットにやられてダウン中のバギーとルフィを殺したくてしょうがなかったからだ。

 

ウタはそこまで聞くと歌い、黄金のティアラや甲冑を身に纏い、槍持ってトットムジカに突っ込んでふっ飛ばした。

 

[貴様・・・]

「もうアンタには・・・本当にウンザリよ!!・・・そこから引っぺり剥がしてドハデに私と一緒に出てやる!!」

[逃がすものか・・・この“奴隷”についてるこの鎖は外れんぞ!!]

 

トットムジカはそう云うと左手首にだけついてる赤と白の手枷を出現させた。手枷についてる鎖は先に行く事に薄くなって宙に消えていた。

 

「なら、バラバラにしてやる・・・絶対にアンタを何とかしてアタシ達は“夢”を・・・“新時代”の夢を叶える!!アンタなんかに奪わせてなるもんか!!」

[面白い・・・今度は確実に取り込んでその力であの2人を殺してやる!!]

 

トットムジカはそう叫ぶと自分の姿もウタと同じようにティアラや甲冑を身にまとった。違う点と言えばウタが白いレオタードでトットムジカは赤いレオタードと言うくらいだった。

 

そして2人はそのまま突っ込んでいって槍を交差させた。

 

 

 

〇〇〇

「バギー、お前ならあの娘を助けられるかも知れねぇぞ?」

「ロジャー船長」

 

バギーはすぐにロジャーに対して無理だと叫びたかった。だが叫べなかった。叫んだら自分に嘘をついてるようで叫べなかった。

 

「バギー・・・実はな俺は楽しみにしてるんだ・・・誰がまた世界をひっくり返すのか・・・お前かシャンクスか・・・それとも違う誰かか・・・誰が次の“海賊王”になるのか・・・見るのが楽しみなんだ・・・」

 

ロジャーはバギーに自信をつけさせる為にもそう言った。バギーはそれを聞いてロジャーと目を合わせた。

 

「ロジャー船長・・・聞きてぇ事があるんだ」

「なんだ?」

「・・・“海賊王”って何?」

「バギー・・・」

 

ロジャーはバギーの言葉を聞いて沈黙した。だがバギーは質問を止めなかった。

 

「“海賊王”って何なんだ?」





















えぇ、というわけでこんなのやったら駄目だろと思いつつも腕の動くままに書きました。
マジで腕の動くままやってるのでここからどうなるか・・・

次回はバギーとルフィの復活をやりたいです。

今話の歌は『風のゆくえ』と『君にできるなにか』です!!ウルトラマンコスモスはガオレンジャーやアギトに並ぶ私の聖書の1つなので漸く曲を出せて嬉しい!!

さて本当に大混乱の中でこれからどうなるかはお待ち下さい!!頑張ります!!


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PAINT/High Hope

1日空いてすみません。
どこで切るかと迷ってたらちょっと手間取りました!!
それではどうぞ!!


△△△

一方、現実世界ではトットムジカが起動された事により、一時的に協力する事にした海軍とNEO海軍はエレジアに着いた。

 

「これは・・・死んでるのか?」

「いや、違う。恐らくウタウタの実の力で眠ってるだけだ・・・だが何故こんな事に・・・」

 

着いてモモンガは大勢の人が眠っている状況に困惑しているとウタウタの実に関して知ってるセンゴクが説明した。だが何故、このような状況になってるのか頭が誰も追いついてなかった。

 

「兎に角、先ずは市民を全員軍艦に乗せるんじゃ!!軍艦がいっぱいなら市民の乗ってきた船に乗せろ!!」

『はっ!!』

 

ガープが細かい話は後に回して兎に角市民の安全の為に海軍やNEO海軍に指示を出した。それは普段のおちゃらけた迷惑爺さんたるガープではなく歴戦の海兵としてのガープだった。

それを聞いた海兵やNEO海兵達は全力で市民を軍艦や船に乗せた。そして一杯になり次第、エレジアから出して少しでもトットムジカから離れようとしていた。

 

「あれが魔王か」

「思ったよりも動きが鈍いな」

「というよりも反応すらしてないね」

「何が起こってる?」

 

センゴク、ガープ、おつる、ゼファーは困惑しながら動かないトットムジカを見ていた。

そしてその近くでトットムジカを何とかしようとしているシキの姿も見えた。

 

「あれはシキか?」

「あの鶏・・・今回の騒動は奴の仕業か?」

「陰険爺が」

「禿頭め」

 

シキの姿にセンゴク、ガープは首を傾げておつるとゼファーはボロカスに言っていた。そしてまだ市民の避難も完了してない中でシキやトットムジカがこっちの方を見る事を警戒して4人は何時でも戦闘できるように構えた。

 

 

 

〇〇〇 

一方、ウタワールドでは究極バレットがトットムジカと戦闘をしようとしてきたがトットムジカの中にいるウタを助けようとしているゾロ達やカタクリ達に邪魔をされたくないので先にそっちを始末しようとしていた。

トットムジカは現実かウタワールドのどちらかには絶対にいるルフィとバギーを八つ裂きにしようとして気配を感じ取ろうとしていたが2人共見つけらなかった。

 

「俺の邪魔をするな!!」

 

究極バレットはその巨大な腕を振るって向かってくる面々を吹き飛ばそうとした。

 

「三刀流 奥義 一大・三千・大千・世界!!」

「神速 白蛇駆!!」

「魔神風脚 粉砕(コンカッセ)!!」

「魚人空手 奥義 鬼瓦正拳!!」

 

ゾロ、ヤマト、サンジ、ジンベエの火力の高い面々がその向かってくる腕に同時攻撃をして粉砕するとロビンが究極バレットの体を雁字搦めにするほどの手を生やした。

 

千紫万紅(ミル・フルール) 巨大樹(ギガンテスㇳ・マーノ) ホールド!!」

「緑星 衝撃狼草!!」

「雷霆!!」

「フランキー・・・ラディカルビーム!!」

 

ロビンが究極バレットを抑えてる中でウソップ、ナミ、フランキーの攻撃を更に当ててもう片方の手も破壊した。

 

「お願いしますチョッパーさん!!」

「うん、行くぞブルック!!」

 

重量強化(ヘビーポイント)になったチョッパーがブルックを全力で究極バレットの顔面に向かって投げた。

 

飛燕曲(スワロー)バンドゥロル!!」

「チッ!!」

 

飛んでくるブルックを頭で叩き落とそうとした究極バレットだったがブルックは巧みにそれを避けてすれ違いざまに自身の凍える剣で斬った。勿論、究極バレットにはそれほど効果がなかったが、黄泉の冷気によって目あたりに氷が出来た。

究極バレットはそれに対して鬱陶しそうにしているとすぐに追撃がされた。

 

「餅巾着!!」

 

無双ドーナツを大量に作ったカタクリが容赦なく究極バレットの腹に硬い武装色の拳をぶち込んだ。腹に強烈な拳がめり込む究極バレット。

そんなバレットの首めがけて餅巾着の上を走ってキラーとコアラが突っ込んでいった。

 

「斬首(クロー)!!」

「三千枚瓦正拳!!」

 

首めがけて2人は攻撃したが咄嗟に究極バレットは首回りを強化してそれを防いだ。そしてすぐに両腕を再生させると振り回して向かってきた全員を弾き飛ばし、目の周りの氷も処理した。

 

「俺を倒すにはまだまだ足りねぇな!!」

 

究極バレットはそのままデカい拳をぶち込もうと振り下ろしてきた。全員、迎撃の構えを取ろうとした。

 

「バ〜リア!!」

 

だが、その前に自分達を覆うようにバリアが張られた。ゾロ達は周りを見るとそこにはバレットを抑えようとしたが返り討ちにあってしまった麦わら大船団の代表達にサンダーソニア、マリーゴールド、マーガレットの3人がいた。

 

「先輩方!!寝てしまっていて申し訳ねぇべ!!」

「面目ねぇやい!!」

「そんな話は後だ、急がねぇと不味い!!」

 

バルトロメオやサイが謝ってくるがサンジはそんな会話を止めた。それよりもウタを早く助けないと危険だったからだ。

 

「どういうことだ!?」

「現実世界でウタは何か薬を盛られてるの・・・後、2時間もしたらウタは死んでしまうわ!」

 

キラーの言葉にロビンが答えるとバルトロメオはバリアを解除した。するとゾロとカタクリが飛び出した。

 

「“海賊狩り”!!・・・斬れ!!」

「上等だ・・・鬼気 九刀流 阿修羅!!」

「掛かってこい!!」

 

究極バレットはゾロが何処を斬って来ようが関係なく二人纏めて叩き落とそうと両手を上に掲げた。

 

「阿修羅 抜剣 亡者戯!!」

 

阿修羅になったゾロは究極バレットの心臓当たりを斬り裂いた。高威力の斬撃に究極バレットの胸辺りの装甲も斬られて中にいたバレット本体の姿が見えた。

 

「なんだと!?」

「無双ドーナツ 力餅!!」

 

バレットはまさかここまで斬られるとは予想外だったようで少し混乱してるとすかさずにそこを狙ってカタクリが今までで1番大きく1番早い拳をバレット本体にぶち込んだ。

 

ぶち込まれたバレットはそのまま究極バレットの体を貫かれて殴り飛ばされた。ガラガラと究極バレットの残骸が落ちていって、それに仲間たちも安堵している中でゾロとカタクリは厄介なのが消えたとはいえ、バレットがこれだけで済むとは思わずに警戒を続けた。

 

「良くあいつの本体の場所が分かったな」

「腕は立つからな」

 

軽く話しつつも警戒しているゾロとカタクリ。そんな彼らの前にバレットが少し効いたのか腹を抑えつつも直ぐに立ち上がってきていた。

 

「やるじゃねぇか・・・だが俺の邪魔をするんじゃねぇ」

「そんなのに興味はない」

「あぁ?・・・餅野郎・・・ならてめぇは何が望みだ?」

「俺はただ、惚れた女が幸せになって欲しいだけだ」

「下らねぇな」

 

カタクリの言葉にバレットはそう切り捨てた。カタクリも別に理解なんかしてもらいたくて言ったわけじゃないのですぐにバレットに対して構えた。

 

「“海賊狩り”!!お前達はトットムジカの方に行け!!コイツはこっちで決着をつける!!」

「よし、てめぇら行くぞ!!」

『おう!!』

 

カタクリの言葉にゾロ達麦わらの一味はトットムジカの方へ向った。バレットはカタクリ、コアラ、キラーだけでなく立ち上がってきた麦わら大船団達を見て構えた。

 

「お前らに俺を倒せるか!!!」

 

バレットはそう叫びながら突っ込んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

☓☓☓

「って事だがルフィ・・・わかったか?」

「おう・・・ようはウタがバギーなんかの娘とか名乗ってなくてシャンクス達とも仲のいい世界があるって事だな!!」

「確かに俺はそう説明したが・・・あいつ結構良い奴なんだけどなぁ・・・」

 

エースは取り敢えず違う“世界”の説明をルフィに上手く出来た事に喜びつつも飲み仲間になって一緒に騒いだバギーに容赦ないルフィに何とも言えなくなっていた。

 

「そんなの知らねぇよ。ウタは気に入ってるから何も言わねぇようにしてるけど、アイツアホだし」

「容赦ねぇな」

「それよりもエース、こっからどうやって出るんだ?」

 

ウタを早く助け出したいルフィはエースにそう言うとエースは「ちょっと待ってろ」と言いつつオーロ・ジャクソン号に戻って少ししたらまたボートの方に戻ってきた。

 

「親父が準備できたって言ってるからこれから戻してやる」

「そっか!エース、ありがとう!!」

 

昔から変わらない笑顔にエースは微笑むとルフィの頭を撫でた。

 

「ルフィ・・・本当に色々と頑張ってるな」

「シシシ、ウタと新時代を作って夢を叶える為だ」

「そうか、しかしお前に恋人が出来るなんて思っても見なかったぞ・・・」

「俺も思ってなかったけど・・・これが終わったらウタと結婚する」

「そうか・・・なら約束してくれ」

 

ルフィはエースの言葉を確り聞くために姿勢を少し直すとエースはルフィの肩を掴んだ。

 

「良いかお前があのゴミクズにならねぇためにもまず、子供とは一緒にいろ。次に少なくとも子供が大きくなったらあんましその子の前でウタとイチャイチャするなよ、見てて辛い。他にもあのカスみてぇにならねぇためにもちゃんとしとけ。飲み潰れねぇように気をつけるとか」

「エース・・・何があったんだ?」

 

勢いよく言ってきてルフィは思わずそう呟くとエースは我に帰ったのか少し遠い目をしつつも顔に手を当てていた。

 

「兎に角、ちゃんとしとけって事だ・・・お前らしくな」

「・・・おう、分かった!!」

「じゃあな・・・頑張れよ・・・お前はそのままボートに乗ってろ。道は俺達が作る」

「わかった!!色々とありがとう!!

 

エースはそう優しく云うとオーロ・ジャクソン号へ戻って行き、ルフィも久しぶりに兄のエースに会えた事に嬉しく笑った。

 

 

 

☓☓☓

「“海賊王”って何なんだ?」

 

バギーはロジャーにそうまた聞いた。ロジャーはそれを聞くとどうやって答えようか迷いつつも優しくバギーと目を合わせた。

 

「それを知りたいのか?」

 

優しく聞いてくるロジャーにバギーは首を真っ直ぐ下ろした。

 

「なら、戻るんだ。戻ってやりたいようにやってこい。逃げても良い・・・諦めてもいい・・・だが、自分のやりてぇようにやってこい・・・それが出来れば分かるはずだ」

 

ロジャーはまるで父親のように優しくそう言った。そう言われたバギーはロジャーに向かって笑った。

 

「だよな・・・船長なら・・・そう思ってた」

「俺達が出会えたのも魔王って奴が出た影響だろう。これからニューゲートの力と俺達の力で空間に罅を入れる。お前と船の反対側にいるエースの弟はそこから出ろ」

「分かった」

 

バギーの言葉にロジャーはもう大丈夫かと思ってオーロ・ジャクソン号に戻ろうかと思ってそっちに体を向けると顔を下に向けたままバギーは話し始めた。

 

「船長・・・」

「ん?」

「俺・・・船長に謝らねぇといけねぇ事が・・・」

「言わなくていい・・・バギー、何があっても俺達のあの旅は変わらねぇよ」

 

バギーの言葉が何なのか分かったロジャーは言わせる前に止めてそう言った。バギーはそれを聞いて顔を上げるとロジャーの顔はいつもと変わらなかった。バギーはそれを見てボロボロと泣き始めた。

 

「船長・・・ありがとう・・・ありがとうございます・・・」

 

泣いてるバギーを見てロジャーはオーロ・ジャクソン号には戻らずに優しく抱き締めた。

 

「バギー・・・立派な男になったな・・・もう解散して忘れちまっても別に良いんだが・・・まだこんなに愛してくれてるんだなぁ・・・」

 

バギーはロジャーの顔は分からなかった。だがその優しい声に少し震えてる体を感じて嬉しかった。

 

「バギー、お前もシャンクスも俺達ロジャー海賊団の子だ・・・オーロ・ジャクソン号の子だ」

「船長・・・」

 

ロジャーはバギーを更に強く抱き締めた。

 

「バギー・・・愛してくれてありがとうな」

「船長・・・うぅ・・・ありがとうございます」

 

優しく言うロジャーにバギーはそう返事をした。本当は謝りたい気持ちもあったがそれはこの話の終わりに合わないと思い、感謝の心を伝えてバギーは最後にまた昔解散した時みたいに泣き顔を向けてロジャーは笑って2人はまた別れた。

 

ロジャーはそんな風にバギーと話してオーロ・ジャクソン号に戻ってきた。

 

「あの子がバギーって子なのね」

「あぁ、そうだルージュ」

 

ロジャーに話しかけてきたのは彼が愛した女性ポートガス・D・ルージュ・・・エースの母親だった。彼女はオーロ・ジャクソン号からまだ泣いてるバギーを見てロジャーに微笑んだ。

 

「凄くいい子ね」

「当たり前だ。俺達海賊団の子だからな!」

「バギ次郎の奴、格好良くなったな!」

「グラララララ、あのハナッタレ小僧がな」

 

そんな2人に“白ひげ”ことエドワード・ニューゲートと光月おでんも近づいて笑った。

4人はそう笑い合ってるとルフィと話し終えたエースがオーロ・ジャクソン号に戻ってきた。

 

「親父、お袋、おでんさん。戻ってきたぜ」

 

戻ってきた事を伝えるエース。ロジャーは自分だけ無視されて寂しいのか自分を指さしていたがエースは完全に無視していた。

 

「おい、エース。こいつにも言ってやれ。でないと煩くなる」

「・・・・」

「イヤそう!!!!」

 

おでんが居るお陰なのかエースはニューゲートの言葉に露骨に嫌そうな顔を向けた。

 

「ルージュ・・・あの・・・」

「これに関しては私は何もする気はありません。貴方一人で頑張ってください」

「・・・はい・・・」

「尻に敷かれてるな、ロジャー!!」

「グララララララララ!!あいつには良い薬だ!!」

 

ルージュにそう言われて見事に尻に敷かれてるロジャーにおでんとニューゲートは笑った。

 

「クソっ・・・まぁ今は良い。バギーとエースの弟を戻すぞ!!」

「良し!!」

「久しぶりにやるか」

「親父、おでんさん・・・それからゴミクズ行くぞ」

 

ロジャーの言葉にそれぞれ返した。エースはゴミクズ呼ばわりしていたが、ロジャーは特に気にせずに愛刀の“エース”を構えてニューゲートは拳、おでんは閻魔に天羽々斬、エースも拳を構えて船主の方に立った。

 

「てめぇら、俺が空間を歪ませる!!そこにブチ込め!!」

 

ニューゲートはそう叫んで拳を突き放った。

空間に罅が入って行ってかなりの震動が辺りを揺るがした。

 

「火拳!!」

「桃源十拳!!」

 

エースとおでんがそれぞれの技を罅が入ってる空間にぶち込んだ。そしてロジャーがそこに向かって“エース”を構えた。

 

「“神避”!!!!!」

 

赤みがかった“エース”の刀身から衝撃波を放って空間の罅を完全に壊して白い光が現れた。バギーとルフィのボートはそんな光に向かってかなりの速度で向かっていった。

 

「あ、バギー」

「あ、麦わら」

「「なんでここにいるんだ?」」

 

バギーとルフィは光の近くで会った事に疑問を持ちつつお互いに後ろを見た。後ろのオーロ・ジャクソン号では皆が手を振って見送ってくれて2人はそのまままた意識を失った。

 

オーロ・ジャクソン号の上では光の中に2人が消えた事を確認するとニューゲート、おでん、ルージュは少しホッとしつつ、ロジャーとエースは少し船首の方へ残っていた。

 

「バギー・・・シャンクスと仲良くしろよ」

「ルフィ・・・幸せにな」

 

それぞれ言いたいことを言ってスッキリするとロジャーはエースと顔を合わせた。エースはゴミを見たような顔になってさっさとニューゲートの方へ行くとロジャーは少し項垂れた。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタワールドではベポがローの指示の元必死で電気ショックをルフィに与えていた。何回もやって隣ではハンコックが不安そうな顔をしている。ベポの何回かの電気ショックでローはルフィの胸に耳を当てると確かに心臓が動き始めていた。

 

「動いた!ベポ、もういいぞ!!」

「アイアイ!!」

「うっ・・・あぁ・・・トラ男・・・クマ・・・ハンコック・・・」

「ルフィ〜〜〜!!!」

 

起きたことにベポとローは安堵し、ハンコックは感激のあまり泣きながら抱き着いた。ルフィはそんなハンコックを優しく離れさせると立ち上がった。

 

「心配かけさせて悪かったな」

「全くだ・・・まだ行けるか?」

「勿論だ!!行くぞ!!」

 

立ち上がってバシンと手を叩くルフィに3人は頷いて暴れてる音が聞こえる方へ向った。

 

 

 

 

△△△

バギーは瓦礫の下で目が覚めた。

重くて辛く、このままだとまたロジャーに会いそうになると思ったバギーはバラバラに離れていた腕とマギーバルカンを上手く使って瓦礫にマギー玉を発射してふっとばした。

 

「し、死ぬかと思ったぜ・・・」

 

バギーはそう呟きつつも立ち上がった。

しかし、そこにトットムジカの相手をしていたシキが爆音に気づいて戻ってきて立ち上がったバギーに驚いた。

 

「何でまだ生きてやがる・・・何回も俺の邪魔をしてくたばらねぇ・・・一体、お前は何なんだ!?」

 

二代鬼徹に天羽々斬を構えながら叫ぶシキにバギーはロジャーとの会話やドレスローザに通信をした時にウタに言われた事を思い出していた。

 

『やりてぇようにやってこい』

『アタシ・・・本当におじさんの事も・・・お父さんだって思ってるから・・・』

 

(船長・・・もうちょっとだけ・・・やりたいようにやるよ)

 

バギーは決心したのかシキに体も顔もキチンと向けて叫んだ。

 

「俺はバギー海賊団船長“千両道化”のバギー様だクソジジイ!!そんで・・・ウタの“父親”だ!」

 

バギーはそう叫びながらシキに向かっていった。

 

「だからどうした!?」

「ぶぼら!!」

 

そしてシキにまた殴り飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・・・後2時間!!

















というわけでルフィとバギー、復活!!
まだまだ佳境には入ってませんがこっからは毎話熱くなれるように頑張ります!!

今回の曲は『PAINT』とproject DMMの『High hope』です。ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティスの主題歌です。

それでは次回もお楽しみに!!
次回はウタVSトットムジカをやりたいです。


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Super Powers/1番歌

お待たせしました!!
今回から毎回熱いのをお届け出来るように頑張ります!!
それではどうぞ!!


ルフィとバギーが復活していた頃、ウタはトットムジカと戦っていた。自分自身の姿であってもウタはUTAを助ける為にそして“新時代”の為に全力で戦っていた。

 

背中のブースターを使って猛スピードで突っ込むと持っていた槍を思いっきり振るった。トットムジカは持っていた同等の槍でそれを防いで距離を開けたがウタはそのまま回転してロープを放った。

トットムジカの脚にロープが巻き付きウタは思いっきりそのまま地面に叩きつけようとした。

 

「曲芸 地獄大サーカス!!」

 

だが、トットムジカは背中の同等のブースターで起動を変えて上手く着地した。ウタはすぐにロープを引いて転ばせようとしたがトットムジカは槍をドリルのように回転させてロープを切断した。

 

[カノン!!]

 

トットムジカはそのドリルのように回転してる槍をウタに向けて突いてきた。ウタはそれを避けて槍をトットムジカに振り下ろすが回転したままの槍に防がれて火花が飛び散った。

 

(火花!?)

 

回転の影響で想像以上に弾かれてガラ空きになった胴体にトットムジカは思いっきり蹴りを入れてきた。ウタは何とかそれを腕で防いだが吹き飛ばされた。

 

[意外に勘がいいな]

 

トットムジカはそうやってウタを嘲笑った。ウタも何で防げたのか分からない。ただ、()()()()()()()()()()()()()と咄嗟に危機感が働いたのだ。

 

「今度はこっちの番よ!!」

 

ウタはそう叫びながら両手を拡げた。すると両指先から音符がたくさん出てきてウタはそれをトットムジカに向けて放った。

トットムジカはそれを喰らって少し後退するもすぐに五線譜を出現させてそれを受け止めた。

五線譜に音符が大量に刻まれていくとトットムジカはその五線譜をまんまウタに向けて放った。

刻まれた音を鳴らしながら五線譜がウタに向かってきてウタはそれを諸に喰らって大量の爆音と衝撃が響いた。だが同じようにウタも五線譜を出して周りに飛び散った音符を全てそこに纏めるとまたトットムジカに向けて放った。

トットムジカは音符をそれに向かって発射して五線譜を壊し、飛び散った音符を自分の五線譜に刻むとウタに向けて放った。

ウタはやられる事を見越して巨大な五線譜を出現させてそれを全て受け止めると一纏めにしてトットムジカに返した。

たがそれを喰らうのは危険と判断したトットムジカが受けずに返そうと力を入れてウタは絶対にぶつけようと力を込めた。ウタとトットムジカの間で音符の塊が爆音を上げながら停滞する。

 

「ぐぅ・・・このッ・・・」

[やるな・・・だが!!]

「うぉ!?」

 

トットムジカが更に力を込めてドンドンとウタを押していく。そして音符の塊はウタにぶつかって、諸にそれを喰らったウタは吹き飛ばされた。

ゴロゴロと転がってウタはまた槍とロープを構えた。

すると今度はトットムジカが音符を周りに無数ある違う“世界”のウタの死体に入れ始めた。

 

「な、なに!?」

 

困惑しているウタ。するとウタの足元にいたゴシック姿のウタの死体が動いてウタの足を掴んだ。

 

「う、嘘でしょ」

[マーラー!!]

 

すぐに飛んでゴシック姿の自分から逃げたウタが見たのは次々と動き始めて自分を見つめるウタの死体達の姿だった。

 

[多くの“世界”の自分に嬲り殺しにされろ・・・何回でもこの1番出来の良い奴隷のように蘇らせてやる・・・取り込むのはその後だ]

 

トットムジカの下劣な言葉にウタは怒りを更に抱きつつも襲ってくる自分の死体達から逃げた。

すると周りの景色も変わった。

今までは何処か暗い場所くらいしか分からなかったがそれがアラバスタのユバに変わった。ウタは無人のユバの街中を飛んで後ろを見ると津波のように襲ってくる自分の死体達を見た。

 

ウタはそのゾンビの群れのように襲ってくる自分の死体達に少し恐怖心を感じつつ飛ぶ速度を上げるとまた景色が変わり、今度はナバロンの海軍要塞の通路になると眼の前にはトットムジカと海兵の姿をしたウタの死体が槍を持って構えてきた。

 

「げっ!?」

[いらっしゃい!!]

 

猛スピードで飛んでいた為にウタは振られる槍を避けられずに当たってそのまま倒れた。それはカイドウに金棒でぶん殴られたルフィとそっくりだった。

 

ウタは頭を抑えて立ち上がって周りを見ると死体達が目の前まで迫っていて窓を破ってナバロンの通路から飛び出て落ちていった。

 

[もっとだ・・・死んでも逃さん]

 

トットムジカは逃げるウタに対してそう吐き捨てつつ嘲笑いながら指を鳴らした。

するとまた景色が変わった。

今度はウォーターセブンになってウタは目の前が地面ではなく水に変わったのを見て咄嗟に全力でブースターを起動して何とか水に落ちるのを防いですぐに戻ろうと上を見ると無数の自分の死体が落ちてきていた。

ウタは水の上を飛んでそれから逃げ続けるが一向に落ちてくる自分の死体達は止まらなかった。

焦り始めるウタ、目の前を見ると細い路地になっていてウタは体を縦にしてその狭い間を通り抜けたが目の前に見えてきたのはウォーターセブンの景色ではなく、シャボンディ諸島だった。

ウタはまた変わった景色に困惑していたせいかシャボン玉に思いっきりぶつかって中に入ってしまった。

すぐにそこから出て構えるが上からだけでなく、周り全ての方位から自分の死体達がやってきてウタは全身から音符を出してシールドを作った。

 

死体達がそのシールドをぶち壊そうと迫り続けてウタはそれを防ぐためにシールドを出し続けた。

 

[果たして何時まで持つ・・・見つけたぞ赤っ鼻!!]

 

トットムジカは上空でその状況を笑いながら見ていたが現実世界でバギーを見つけるとそっちにも意識を向き始めた。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィ、ハンコック、ベポ、ローは爆音がなってるバレットやトットムジカ達がいる方へ走っていた。

 

「ルフィ、ハンコック!!」

 

この2人を呼ぶ人物などこの状況で1人しかおらず、ルフィ達は横を見るとぬいぐるみになってしまったレイリーを抱えてるアナナを抱いてるシャッキーが走ってきて並走し始めた。

 

「シャッキー、レイリー!無事か!?」

「私達は問題ないハンコック!だが急がねば不味い、現実世界がどうなってるか分からない!!」

「誰か頼れる奴は居ねぇのか!?」

「バギーと連絡が取れないんだ!」

 

レイリーの焦りにローがベポの頭の上から聞くとレイリーはそう答えた。するとハンコックが嫌な顔を浮かべた。いつもボコられて泣いてる印象しかないバギーが役に立つとは思えなかったからだ。

ルフィは顔には出してないがその目が駄目かもと云う感情を物語っていた。

 

「ルフィ・・・ハンコック・・・取り敢えず、君達はこのままあの問題児とトットムジカを何とかするんだ。私達はもう少し安全な場所まで避難して現実世界と交信してみる!」

「わかった、頼んだぞ!!」

「負けないでねハンコック!」

「勿論じゃシャッキー!!」

「ルフィお兄ちゃん、頑張って!!」

「おう!」

 

レイリーはそう云うとシャッキーやアナナと一緒に安全な場所まで避難した。

 

 

 

〇〇〇

一方、カタクリ達はバレットと戦っていた。麦わら大船団の代表達にサンダーソニア、マリーゴールド、マーガレットも復活したので格段に戦力は増えたがそれでも厄介な敵である事に変わりはなかった。

 

「錐龍錐釘!!」

「破壊砲!!」

 

バレットの頭と胴体にサイの全力の踵落としとイデオの破壊砲がブチ込まれるがバレットはそれを受け止めていた。すぐさまキャベンディッシュとスレイマンがバレットの顔面に剣を刺しにくるがバレットはそれを歯で加えて受け止めた。そして回転し4人を吹き飛ばした。

そんなバレットを上から攻撃しようとコアラとブルーギリーが蹴りを入れに飛んでくるがバレットは2人に向かって行って逆にカウンターをぶち込んだ。

 

「まだれす!!」

「攻めろ!!」

「止めろ!!避けられるだけだ!!」

 

レオとアブドーラの言葉にジェットも一緒になってバレットに突っ込んでいった。カタクリは見聞色の未来視で避けられる事を伝えるが既に遅く、3人の攻撃は避けられて殴り飛ばされた。

カタクリは全身を変形させてバレットに突っ込むと上手く右手を絡め取って拘束し捕まえた。

 

「この・・・餅野郎が・・・」

 

バレットは空いてる左手でカタクリを殴って離そうとしたがその左手にオオロンブスの鞭が飛んできて捕まえられた。バレットはすぐにオオロンブスを投げ飛ばそうとしたがオオロンブスの所にマーガレット、バルトロメオも手伝って結果4人に拘束された。

 

「お前ら上手く避けろよ!!」

 

ハイルディンが拘束されてるバレットに向かって全力の拳を真正面から当てるように巨体を沈ませながら放ってきた。当たる瞬間に4人はバレットの拘束を上手く解いて避けて殴られたバレットは流石に巨人族の戦士の全力の拳で吹き飛ばされた。

 

「蛇髪憑き 八岐大蛇(ヤマタノオロチ)!!」

「蛇髪憑き 炎の蛇神(サラマンダー)!!」

 

そんなバレットに容赦なくサンダーソニアとマリーゴールドが髪の毛を変形させた蛇と炎の蛇を当てに来るがバレットは両手に大量の岩を集めてそれを発射して吹き飛ばし、上手く着地した。

 

「どうした!?この程度か!?」

「んなわけねぇだろ!!刃音撃!!」

「ぐあぁ!!」

 

油断してるバレットにキラーが最速の攻撃を当てに行って見事にすれ違いざまにバレットに一閃、パニッシャーで斬った。だがバレットはすぐに体を回転させて宙にいるキラーを蹴り飛ばした。

 

「もっとだ・・・もっと楽しませろ!!」

 

上半身の服を破り捨てて叫ぶバレット。そんなバレットに突っ込んでくる者達がいた。

 

ハンコックとルフィだ

 

「芳香脚!!」

「ゴムゴムの鷲バズーカ!!」

 

飛び蹴りとバズーカをバレットにブチかまして吹き飛ばすハンコックとルフィはすぐにバレットが立ち上がってくるのを警戒した。

 

「まだ行けるな!?」

「当たり前だ!!ウタを助けるまで死んでたまるか!!」

「なら、麦わらここは任せろ!!トットムジカが起動しちまった・・・」

「今、ルフィ君達の仲間にイワさんとブリュレがそっちに行ってるからルフィ君もそっちに行って!」

「ウタを絶対に助けて!」

「ここは俺達が何とかする、行け麦わら屋!!」

「行くのじゃルフィ!!」

 

カタクリ、キラー、コアラ、ベポ、ロー、ハンコックがそう言った。それだけでなく麦わら大船団の皆にサンダーソニア達も来て全員がバレットに警戒していた。

ルフィはそれを見るとトットムジカの方へ行った。

 

「お前ら・・・悪い任せた!!」

「任せろ!!」

 

ルフィの言葉にカタクリが間髪入れず答えて全員、立ち上がってくるバレットに構えた。

 

「行くぞお前ら!!」

「行くべ、お前ら!!」

『おう!!』

 

カタクリにバルトロメオが音頭を取って面々はバレットに向かって行った。

 

 

 

 

 

△△△

現実世界ではバギーが懸命にシキに向かって行った。

だがシキは欠伸をしながらバギーの攻撃を軽く避けて斬撃だとバギーの能力に効かないので殴り飛ばした。

もう何回目か分からないほどバギーは殴られて吹き飛ばされた。

だがバギーは倒れなかった。

倒れずにマギーバルカンを使ってシキにマギー玉を発射するがシキはそれを見聞色を使うまでもなく軽く避けてまた殴り飛ばした。

あちこちぶつかって体中が悲鳴を上げるバギー。

しかし、決して倒れなかった。

 

「てめぇ・・・とっととくたばれば良いものを・・・何故くたばらねぇ!?」

「まだ・・・返して貰ってねぇ・・・お前が滅茶苦茶にして奪った・・・もの・・・」

「“奪った”だと?・・・“ライブ”か?・・・“幸せ”か?・・・“新時代”か?・・・ジハハハハハハハ!!何を返せってんだ!?“奪った”もんならごちゃまんとあるぜ!!」

「ウタ・・・俺の“宝”だ!!・・・海賊の“宝”に手ぇ出してんじゃねぇぞジジイ!!」

 

バギーはそう叫びながらまたシキに向かって突っ込んでいった。

 

「そう云う青臭えのは流行らねぇんだよ!!」

 

だがシキはバギーの拳を簡単に避けて腹を殴って吹き飛ばした。ガンガンと木を圧し折りながらバギーは飛んで行って今度こそ倒れてしまった。

 

「さて、ここで終いに・・・!?」

 

今度こそ確実に殺そうと瓦礫を上げたシキだが背後からやってくる攻撃を察知して避けた。その攻撃はバギーの元へ向かっていってバギーは会場近くまで吹き飛ばされた。

 

「トットムジカ・・・何で今・・・まぁ良い・・・先ずはあの赤っ鼻だ」

 

会場では上手く市民を避難させていた海軍とNEO海軍によって眠っていたのは海賊だけで2つの組織は軍艦を動かして海を周りの別の場所にいる市民を助けに行っていた。

バギーはそこでたった1人飛ばされて悲鳴が全身から出てるが持ち前の頑丈さと悪運で生きていた。

そして何とか頑張って立ち上がって見上げるとそこにはバギーを殺そうと瓦礫を構えるシキと大量の音符を浮かべて攻撃しようとしてくるトットムジカがいた。

 

「絶望のままに死ね!!!」

 

シキは瓦礫をトットムジカは音符をバギーに向けて放った。流石のこの攻撃を避けれる体力はバギーに無く、再びバギーは死を悟った。

 

(シャンクス・・・ウタ・・・すまねぇ!!)

 

バギーはそう思いながら最後の悪足掻きにとマギーバルカンを撃ち続けた。

だが、迫ってくる攻撃はそれではかき消されなかった。

 

「バギー!!!!!」

 

ふと自分を呼ぶ声が聴こえてきて斬撃が飛んできて瓦礫を掻き消し、目の前に砂嵐が突然できて音符を全て吹き飛ばした。

 

バギーはそんな芸当が出来る者を自分で知ってるのは3人しかいなかった。

 

「何をしてるアホピエロ」

「ボロボロだな」

「ク、クロコダイル!!鷹の目!!・・・シャンクス!!」

 

バギーに迫る攻撃を退けたのはクロコダイルとミホークだった。バギーはそれに感激しつつ痛みと安心で腰が抜けて座ってしまった。

それだけじゃなく、会場の中にやってきたレッドフォース号から赤髪海賊団のベックマン、ルウ、ヤソップ、ライムジュース、ボング・パンチとモンスター、スネイク、ホンゴウ、ガブ、ロックスターといった赤髪海賊団の面々もやってきてバギーを守るようにシキやトットムジカに構えた。

砂嵐に何とか堪えたシキは現れた援軍に顔を歪ます。

 

「あの小僧・・・もうちょっと抑えられなかったか・・・役に立たねぇな・・・」

 

後少しシャンクス達を抑えられなかった黒ひげ達にシキは吐き捨てて構えた。

 

「バギー、無事か!?」

「無事なわけねぇだろ!?何でここまで遅れやがった!?」

「ライブが始まった日から黒ひげと戦闘していて俺とクロコダイルがもしもの為に向かった」

「それであのデブの所にワープを使える奴がいたからそいつを使ってここまで来た」

 

ミホークとクロコダイルは、ライブが始まった日からシャンクス達と黒ひげが戦っていたのを知ったので急いで向かって手助けしていた。流石の黒ひげ達もこの2人の追加には参ったようで全員エレジアにオーガーの能力を使って転移してきたのだ。

 

「因みにあのワープ野郎はどっかに行った。赤髪との戦闘でボロボロだから手は出さねぇだろう・・・ここにいる黒ひげのとこの筋肉達磨にはダズを向かわせた」

 

クロコダイルはそう笑いながら言った。

シャンクスはバギーの方に向くと手を出した。バギーはそれを取らなかった。どんな理由があろうとここまで遅れてきた上にこの1年間ずっと迷惑をかけてきたシャンクスの手なんか取りたくなかった。

 

「・・・ボロボロだな」

「お前もだろ」

 

2人はそう短く話した。確かにバギーもボロボロだったがシャンクスだけでなく赤髪海賊団も黒ひげとの戦闘が激戦だったのを物語る風貌になっていた。

 

「バギー・・・あの爺にトットムジカと2つは相手出来ねぇ・・・お前の力も欲しい」

「・・・」

「・・・バギー・・・“助けてくれ”」

 

シャンクスはバギーにそう頼んだ。バギーはそれを聞くと腹を決めたのかシャンクスの手を取って立ち上がった。

 

「お前は本当に派手バカ野郎だ・・・ヘタレまくって・・・俺様に迷惑掛けまくってるのに・・・まだ助けろだと?・・・けどあんな化け物2つ、俺様だって相手に出来ねぇ」

「・・・」

「一度しか言わねぇし・・・ウタの為だ・・・シャンクス・・・“助けてくれ”」

 

シャンクスはバギーの言葉に目を見開いた。そして笑ってデコを合わせた。バギーも嫌々ながらもシャンクスの行動を拒否しなかった。

 

「あぁ、やろうぜ・・・久しぶりに一緒に!!」

「ったく・・・久しぶりに行くぞ!!」

「派手に行こうぜ!!」

「俺様の台詞を取るな!!」

 

バギーとシャンクスはそう言い合って互いに笑い合うと皆の前に出て、シキやトットムジカに向かってグリフォンとマギーバルカンを構えた。

 

「ガキ共が・・・この俺に勝てると思ってんのか!!」

 

シキはそう叫びながらまた瓦礫を構えて後ろではトットムジカが黒い音符を出現させて構えていた。

 

「黙れクソジジイ!!」

「お前の思い通りにさせるか!!」

「俺様達は死んでもウタを助ける!!」

「んで、お前らを倒す!!」

「「ロジャー船長に代わってお前をぶっ飛ばす!!」」

 

2人はそう同時に叫んだ。

シキはその瞬間、確かに見た。

2人の後ろにいるロジャーの幻影の姿を確かに確認した。

 

「ロジャァァァァァーーー!!!!!!」

 

シキはそう叫びながら瓦礫を放った。

バギーはシャンクスに自分の足を渡した。

シャンクスはそれを受け取ると自分の懐に入れた。

 

「懐かしいなバギー」

「うるせぇ!!」

 

バギーはシャンクスにそう言うと宙に飛んだ。バギーはバラバラにして飛んでも地面に足を着いてないといけない。だがその者がジャンプすれば同じように着いていける。だからバギーはシャンクスに死んでも渡したくはなかったがウタの為に自分の足を渡したのだ。

 

「足引っ張んなよシャンクス!!」

「それはお前だろうがバギー!!」

 

2人はそう昔のような軽口を言い合ってシャンクスは瓦礫に向かって飛び上がってそれを斬った。

シキはそれに対して二代鬼徹と天羽々斬を構えて斬撃を飛ばすとバギーがバラバラになりながらも飛んできた。

 

「喰らえジジイ!!」

 

そしてシャンクスの動きに付いていけないのはプライドが廃るので限界を超えてバギーは見事について行ってシキの顔面に今度こそ拳を叩き込んだ。

シキは顔を武装色で硬化してそれを防ぐ。効いてはいないがまさか圧倒的格下のバギーに殴られて頭に来たのか効かないのにバギーを縦に真っ二つに斬ったするとその間からはシャンクスが更に詰め寄っていた。

 

「今度はこっちだ!!」

 

シャンクスはグリフォンでシキを斬った。シキはそれを防ぐが威力は抑えきれずに吹き飛ばされてしまったがフワフワの実の力で何とか止まって見るとシャンクスとバギーが構えていた。

 

「全然元気じゃねぇかバギー」

「お前に負けてたまるかシャンクス」

「小僧ども・・・良いだろう・・・今度こそ地獄に送ってやる!!」

「「それはお前だクソジジイ!!」」

 

2人はそう同時に行ってシキに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・・後1時間半!!



























というわけでウタ激戦、ルフィ達も激戦になろうとしてる中で漸く登場シャンクス達赤髪海賊団とクロコダイルにミホーク!!
今までギャグキャラになってたけどもうこれでもかと暴れさせるからね!!

ただ、ウタとトットムジカの戦い・・・ホラーアクション映画になってる・・・サム・ライミじゃねぇんだから←書いてる本人が言うな



今話の曲は『Super Powers』と中田ヤスタカと湘南乃風の『1番歌』です。
それでは次回も熱くなれるように頑張ります!!


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BRAND NEW WORLD/「RPG」

お待たせしました!!
3日もかかっちゃったよ!!
しかも短いよォ・・・くそ!次回は進展させちゃる!!


〇〇〇

シャンクスとバギーが現実でシキと戦っていた頃、ルフィはトットムジカに向かって行った。

 

「うぉぉぉぉぉぉー!!ゴムゴムの猿王銃!!」

 

ルフィはギア4になって猿王銃をトットムジカに向けて放った。だが現実世界との同時攻撃でない限り効かないトットムジカには無意味だった。 

トットムジカは現実でバギーを見つけただけでなくウタワールドでもルフィを見つけられて2人を確実に殺す気なので先ずはルフィに向かって音符を発射した。

 

「ルフィ!!」

「あいつ、ルフィが来た途端に暴れ出したぞ!」

「随分とご執心みたいねヒーハー!!」

 

ルフィが来た途端に動き始めたトットムジカ。ゾロ、ウソップ、イワンコフが遠距離から攻撃するが全く効いてなかった。ルフィは弾力で空を飛びながら音符を全て避けてトットムジカに突っ込んでいった。

 

 

 

△△△

一方、現実ではシャンクスとバギーがシキと戦っていた。シキにとってバギーは雑魚であり全く問題はなくシャンクスは話が別だがやられるつもりもなかったがここでバギーが面倒くさくなってきた。

 

「この!」

「俺に刀が効くか、喰らえ!!」

「うぉ!?」

「バギー!!俺ごとやろうとしたか!?」

「遅れてきた罰だアホ!!」

 

シャンクスのグリフォンに対抗する為に脚の剣やら持ってる二代鬼徹や天羽々斬を使ってるがバギーに刀は効かない。おまけにシャンクスとやり合ってる時に容赦なくマギー玉を撃って来て先程まで完全な不意打ちでの攻撃以外当たらなかったマギー玉を幾つか喰らったし、更に避けてもシャンクスがその隙を突いて攻撃してきて非常に厄介になってきた。

 

「このクソガキ共が・・・だが、後少しであの小娘の命も終わる!!後少しで薬のタイムリミットだ!!」

 

シキはシャンクスとバギーに向かってそう叫ぶとシャンクスが覇王色の覇気を放ってシキにぶつけてきた。そしてシキも覇王色の覇気を出してそれを相殺した。

 

「俺たちの娘に何をした!?」

「ジハハハハハハ!!娘だ?ここまで遅れてきておいてよくほざけるな?」

 

嘲笑って怒らせて雑にさせようとしたシキだがシャンクスはただ睨んでいた。グリフォンを握ってるシャンクスの手がギリギリと音を立ててる中で黒い音符が大量に飛んできた。

シャンクスとシキは軽く避けてバギーはギリギリで避けるとトットムジカがまた音符を出して狙っていた。

 

砂嵐(サーブルス)!!」

 

だがクロコダイルの出した砂嵐によってトットムジカはその中に入った。

 

「攻撃が効かなくても視界は悪くなるだろ!」

 

視界を悪くされたトットムジカは困ったのか辺りに音符をばら撒いていてバギーはそれを見ていた。

 

「バギー!!こいつは俺に任せろ、お前はウタを頼む!!」

「シャンクス・・・」

「バギー・・・死ぬなよ」

「・・・てめぇもな」

 

バギーはシャンクスにそう返すと足を返して貰ってトットムジカの方へ走っていった。

シキはバギーを完全に舐めていた。故に何処に行こうが気にも止めなかった。バギーとシャンクスならシャンクスを警戒するのは当たり前だった。

 

「あんなゴミが行った所で何が出来る?」

「信頼してるんでな・・・てめぇの相手は俺だ」

「上等だ・・・掛かってこい青二才」

 

シキはそうやって手をクイクイと挑発するとシャンクスはグリフォンに覇気を纏わせて突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

△△△

現実世界の別の場所ではバージェスを相手にアルビダ達がボコボコにやられていた。当然だ相手は四皇の幹部で自分達は悪運が良かっただけの元七武海の幹部・・・実力が根本から違った。

スベスベの実で攻撃を基本無効化出来るアルビダもMr.3もカバジ、モージか地に倒れてゴードンを乗せたリッチーは全力で逃げたがその先にはトットムジカがいた。

 

「リッチー君、お願いだ。私をトットムジカの所まで連れて行ってくれ・・・後で必ずお礼はする!」

「ガウ!」

 

単純なリッチーは肉がやって来ると思ってゴードンの言う事を聞いた。ここで主人の方には決して行かないあたりバギー海賊団の一員らしかった。

 

バージェスは倒れてる面々の中から取り敢えず1番実力があったMr.3を掴み上げて頭を握り潰そうとした。バタバタと足を動かして藻掻くMr.3。他の面々は立ち上がろうとしていたがダメージで上手く動けなかった。

 

「死ね!」

「ヤベ・・・お助け・・・」

「・・・やるわけねぇだろ?」

「「「Mr.3!!」」

 

そのままMr.3を殺そうと拳を引くが見聞色で気配を感じたバージェスは何かがやって来る方に武装色で硬化した腕を伸ばしてそれを防いだ。

それは脚を剣にしたダズの蹴りだった。

 

「やるな」

「何だお前は?」

「殺し屋だ」

「・・・キャンドルジャケット!!」

 

ダズに気を取られてる内にMr.3はバージェスの全身を蝋で覆って脱出した。ゲホゲホとむせてるMr.3はそのままダズの方に来て、ダズはバージェスを警戒した。

 

「こんなもんで俺を抑えられるわけねぇだろ!!」

 

リキリキの実と元々持っていた怪力の相乗効果で蝋を粉砕して脱出し、一旦下がって向き直した。

それを気にダズの後ろに回るというか逃げてくるアルビダ達。ダズは4人の行動に呆れつつも懐からカンペを取り出した。

 

「悪いがお前ら全員に指令だ」

「え?」

「何?」

「嘘だろ?」

「マジ?」

「手柄を上げなければあの人がお前らを殺すと・・・役立たずはいらんとの事だ」

 

ダズの言葉に誰が言ってるのか一発で分かった面々は頑張って立ち上がった。ボロボロの状態で言ってる人間から逃げられるとは思ってないのでヤケクソになりつつも頑張ろうとバージェスに向き合った。

 

「ウィーハハハハハハ!!面白くなってきたな・・・随分と硬えようだが圧し折ってやる」

「その減らず口が更に言えるように斬ってやる」

 

バージェスはそう返してきたダズに突っ込んでいった。

 

 

 

 

〇〇〇

カタクリ達はバレットに苦戦していた。これだけの強者達を1人で同時に相手しておきながら一向に弱まる気配のない覇気にカタクリは冷や汗をかいていた。

 

「何処までタフなんだ・・・」

「そろそろウンザリしてきたのう」

「斬っても効かねぇ・・・」

「硬すぎて手が痛い」

「だが内部への攻撃は効くはずだ」

「どうやって、そこまで行くのキャプテン」

 

カタクリは周りを見て考えた。それまでやってきた攻撃で内部にダメージを与えられたのはロー、キラー、コアラ、サイの4人。逆に外部に強いダメージを与えられたのはカタクリ、ハンコックを筆頭にした面々。だが、バラバラの攻撃では利きもイマイチなのは良く分かっていた。

 

「全員聞け!!ここからは俺が指示を出すからそこにぶち込め!!闇雲にやってもコイツは倒せん!!」

 

カタクリは周りにいる面々に向かってそう言った。未来視の出来る自分ならよりバレットが嫌がる所にぶち込めるからだ。だが男嫌いなハンコック達にルフィの子分である麦わら大船団、そして基本的に敵なロー、ベポ、キラー、信じられる関係がないコアラとバラバラでカタクリは無理だと思いつつも言うと返ってきたのは意外な反応だった。

 

「・・・よし、なら確実な場所を言うのじゃ」

「「姉様!?」」

「蛇姫様!?」

 

男嫌いで有名なハンコックが真っ先にカタクリの言葉に賛同した。カタクリは絶対にやらないと思ってた人物が言ってきて目をそっちに向けた。

 

「勘違いするでない・・・ルフィの為じゃ」

「成る程・・・俺もウタの為だ」

 

ハンコックはルフィの為に動いた。ルフィがウタに惚れてる事もちゃんと分かっているし、理解しているハンコックは早く終わらせてルフィの加勢をしたかったし、ウタとの戦いもこんな感じで終わらせたくなかった。カタクリもウタの為に戦っていた。惚れて全力でルフィと戦ったからこそ幸せになって欲しいからだ。

 

「歌姫屋には借りがある」

「そうだね、俺サインやTDを貰ったのに返せてないし・・・」

「ファッファッファッ、折角のライブをぶち壊された怒りはまだ収まらねぇ」

「そうだね!!あの脳筋ゴリラ!!」

 

ロー、ベポ、キラー、コアラも各々の感情に差異はあれどウタの為に動いていた。

 

「親分の恋路を実らせねぇのは子分失格やい」

「初めての戦いが敗北ってのは後味が悪いな」

「全くである」

「プライドの為に親分を苦しめるのは美しくない」

「折角の天使がこんな奴らに潰されるのは見たくもねぇ」

「そうれすね、ウタランドとルフィランドの為に!!」

 

麦わら大船団の面々も続々とカタクリの言葉を了承した。勿論、ハンコックの妹達やマーガレットもだ。唯一声を出してなかったのはバルトロメオだけだった。彼はルフィを尊敬して崇めてる程の男で一時的にもそう云うのはプライドが許さなかった。だが、ウタは悪友でルフィは親分でその2人が困ってるとなれば男気を見せるのがバルトロメオでカタクリを見た後に頷いてバレットの方を見た。

 

「おい、デカブツ!!これで腑抜けた指示だったらおめえをボコボコにしてやるべ!!」

「こいつを倒してウタを助けたら幾らでも相手してやる!!」

 

バルトロメオの啖呵にカタクリはそう返し、首をコキコキと鳴らして笑ってるバレットはカタクリ達に向かって全身、武装色で硬化して突っ込んでいった。

 

 

 

△△△

バギーはトットムジカの方へやって来ると砂嵐も止んでしまってまたバギーを見つけたトットムジカはバギーに向かって黒い音符を大量に発射した。

 

「ギャァァァァァ!!何で俺様にだけ!?」

 

ウタを取り込むのに失敗したトットムジカは1回目を潰したバギーを殺したくてしょうがなかった。逃げるバギーだがその音符はミホークが飛ばした斬撃で全て潰された。

 

「・・・下らん小細工だ」

「おぉ!!鷹の目ありがとう!!」

「黙れ」

 

ミホークは感激のあまりお礼を言ってくるバギーをにそう止めさせてトットムジカに斬撃を放ったがウタワールドと同時攻撃じゃない為効かなかった。

 

「げっ!?アレでも効かねぇのか!!」

「厄介だな・・・」

「俺達も12年前にアイツのアレに苦しめられた!!ウタワールドと同じ場所に同時攻撃じゃねぇと効かねぇ!!」

「嘘だろ!?」

 

ベックマンが言ったトットムジカの特性を初めて知ったバギーはそのデタラメな性質に嫌な顔を見せた。トットムジカの攻撃は終わらない大量の音符を飛ばしていた。今度はクロコダイルもミホークも防ぐのが無駄と判断したのか赤髪海賊団と共に避けてバギーもギリギリで避けた。

 

そんな中でシキと戦っていたシャンクスが吹っ飛んできた。そしてそのままバギーを潰してしまった。

 

「ぐぇ!!」

「バギー、悪い!!」

 

すぐに上から退いて謝るがバギーは問答無用でシャンクスにキレた。何でよりにもよって自分の上なのだとバギーは我慢できなかった。

 

「悪いですむか!俺様の上に乗るな!!」

「謝ってるだろ!!」

「謝って済んだら海軍はいらんわ!!」

 

バギーはシャンクスに掴みかかっていくがトットムジカはそんな事は気にせずに2人に向かって音符を放った。

 

「「あっ」」

 

そして2人は音符を諸に喰らって吹っ飛んでいった。

 

「「何やってるアホ共!!」」

 

ベックマンとクロコダイルがアホをやってる2人にキレた。飛ばされた2人はふっ飛ばされているとその下にはリッチーに乗ったゴードンがいた。

 

「え?」

「「「ギャァァァァァァ!!」」」

 

3人はぶつかり合って頭を抑えていた。ゴードンはシキに拷問されていたのも相まって死にそうだったがウタが苦しんでる時に寝てはいられないと根性で体を起こした。

 

「あ~・・・シャンクス!!」

「久しぶりだなゴードン」

「リッチー、早くコイツを連れてどっかいけ」

「それは駄目だ。私は最後のエレジア国王として誓ったんだ!ウタを世界一の歌手にすると・・・彼女が苦しんでるのに1人のうのうと外から見てるわけにはいかない!」

 

バギーの言葉にゴードンはそうはっきり言った。バギーはそれに対して特に何も言わずリッチーにもう1回命令して、シャンクスはゴードンを見た。それだけではない遠くから赤髪海賊団の面々もゴードンを見た。

 

「ゴードン・・・12年間、迷惑をかけたな」

「シャンクス・・・」

「当たり前の事を抜かしてんじゃねぇぞアホ!ライブはまだ終わってねぇんだ・・・やるぞ!!」

 

シャンクスにバギーははっきりとそう言うと2人はトットムジカ、そしてその周りを飛んでるシキを見て構えると叫んだ。

ウタワールドで戦っているルフィやカタクリ達も同じよう同じタイミングで叫んだ。

 

「「「「野郎共、気合を入れろ〜!!」」」」

『『『『おう!!!』』』』

 

全員、気合を入れ直しそれぞれ戦うべき存在を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・・・後1時間。

























というわけで迫りくるウタのタイムリミット、果たしてウタを助けられるのか・・・・次回はウタの視点とかを入れたいですね!!

色々と某掲示板でssを書いてたら遅れるなんという本末転倒っぷり・・・頑張ります。

今話の曲は『BRAND NEW WARLD』とSEKAI NO OWARIの『「RPG」』です。

それでは次回もお待ち下さい。


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One day /大不正解

お待たせしました!!久々の連日投稿です。
いや~出来てよかった!!
そしてこの回は実は前回と混ぜるつもりでしたが前回の半分くらいで長くなりすぎて2話に分けましたので前回と今回は少し短いです。



多くの人達がウタを救ける為に戦っていた頃、ウタもトットムジカと戦っていた。

迫りくる大量の自分の死体を音符のシールドで防いでいたウタはドンドンと押されてきている状況を打破するために音符を限界まで放出して吹き飛ばした。

肩で息をしながら周りを見るとボロボロの自分の死体達が立ち上がっていた。

 

[所詮は奴隷、永遠に動くぞ]

「何処までも人をおちょくって・・・」

[おちょくる?失敬な有効利用と言ってもらいたいね・・・所詮死ぬ運命の存在だ・・・使える物を使って何が悪い?お前が電伝虫とかいうやつで歌を広めたのと何も変わらん]

「アタシは少なくともアレから色々と広げられた・・・けどアンタのは1人で終わってる・・・アタシとは違う!」

 

ウタは音符の塊を作ってそれをトットムジカに向けて放った。トットムジカはそれを槍を振って返した。ウタは吹き飛ばされた。

立ち上がろうとするウタだが周りの多くの死体達に捕まれ動けなくされた。

 

[諦めろ・・・大人しく取り込まれて全てを破壊しろ・・・それがお前の“運命”だ・・・“世界”がどう変わろうが“時代”がどう進もうが貴様は永遠に逃れられん!!]

 

トットムジカの言葉にウタは懸命に抗うが死体達の拘束は解けなかった。トットムジカはその状況を嘲笑って周りに黒い音符を出して囲んだ。

 

[今度こそ・・・永遠に・・・?]

 

トットムジカはウタを取り込もうと腕を翳したが動かなくなった。それどころか体をぷるぷると震わせ始めてウタはその隙に上手く死体達から脱出した。

 

[こ、これは・・・この奴隷が・・・まだ抗うか・・・]

「違う“世界”のアタシ・・・ありがとう!!」

 

それはトットムジカに体を乗っ取られているUTAが反抗したのだ。ウタはそれに感謝するとトットムジカに突っ込んでいって槍で思いっきりぶん殴った。

 

 

 

 

〇〇〇

ルフィはバウンドマンになった状態でトットムジカに向かって行った。飛んでくる音符を避けてルフィは猿王群鴉砲をトットムジカに向けて撃ったが現実世界と合わせないと効果はなかった。トットムジカは殺したくてたまらないルフィを思いっきり殴り飛ばした。

 

「ルフィ!!」

「攻撃を続けろ!!」

 

ナミがルフィを心配して言い、ゾロは攻撃を続けるように言った。攻撃をして何とかしてウタを引きずり出さないといけない。だがトットムジカはそんな攻撃を全て無効化していた。

次の瞬間、トットムジカの姿が変わった。顔は青白くなり鍵盤の足が出てきて機動力が上がり、トットムジカは空に上って空中から大量の音符を発射して吹き飛ばした。

 

飛ばされたルフィは色んな所にぶつかって転がり、すぐに向かおうとしたがそこにウソップが飛んできた。

 

「ゴムゴムの風船!!」

 

ルフィはウソップを風船でキャッチすると反対側からも衝撃が来た。ルフィは後ろを見るとそこにはバレットの攻撃で飛ばされてきたキラーがいた。

 

「ウソップ、鎌男!大丈夫か!?」

「大丈夫だ!!」

「問題ない!!そっちの状況はどうだ!?」

「早くしねぇとウタが・・・」

「やっぱり現実世界と攻撃を合わさねぇと・・・けど全然向こうが分かんねぇし・・・」

 

ウソップはそう愚痴った。トットムジカが起動した事でそんな事は言ってられずに攻撃をしたがやはり効果はなかった。ルフィはそれを聞くと迷わずに反応した。

 

「なら問題ねぇ、向こうにはシャンクス達がいるはずだ!」

「ルフィ・・・」

 

シャンクス達が来ている事を信じてるルフィは迷わずにそう言った。するとキラーがそれに対して訝しげに見た。

 

「本当にそうか?」

「・・・どういう意味だ?」

「ウタのライブにずっと来てない上にそもそも“千両道化”が父親だって言うにはそれなりに色々とある関係で本当に来るのか?」

 

キラーの言葉にウソップは反論したかったが出来ない。何故ならウソップも父親であるヤソップに関しては色々と思うところがあるから反論しにくかった。だがルフィはキラーの胸ぐらを掴んだ。

 

「シャンクスは絶対に来てる!!」

「だから何でそう言えるんだ!?」

「この帽子を預かったからだ!!命も助けてくれた。だから、絶対にいる!!こんな大事な時に来ねえ奴らに憧れたんじゃねぇ!!・・・そんな奴らに助けてもらってねぇ!!」

「麦わら・・・そう云う関係か・・・」

 

キラーは叫ぶルフィの言葉から赤髪海賊団との関係を知ると何も言えなくなった。そしてルフィは麦わら帽子を取って叫んだ。

 

「もしも来なくてウタが死んじまったら、意地でもここを出て探し出してこの帽子を突き返してやる!!」

 

ルフィの叫びは本気だった。宝とも言える麦わら帽子に対してそこまで言ってしまうほどルフィは本気だったし、それほどウタが大切だった。そしてそう言い切れるほどシャンクス達が来ると分かっていた。

 

「・・・そっちが上手く行く事を祈ってる・・・すまない」

 

キラーは短く謝るとすぐに戦闘に戻っていった。ルフィは帽子を被り直して暴れてるトットムジカを睨んだ。

 

「ルフィ・・・本気か?」

「・・・本気だ」

 

ウソップはその言葉からルフィが本気だと思い知った。どれ程ルフィがその麦わら帽子を大切にしているのか大事なのかは分かってる。ウソップはそれを理解すると冷静になった。なぜならそんな結末は死んでもごめんだからだ。

 

 

△△△

一方、現実でもトットムジカが暴れていてバギー、クロコダイル、ミホークそして赤髪海賊団が戦っていた。だがウタワールドと合致しないと通じない性質にやはり苦戦していた。これにはミホークの世界一の斬撃も通じず、全員が冷や汗をかき始めていてシャンクスはシキと激戦を繰り広げていた。

 

「やっぱりウタワールドと合わせねぇと・・・」

「ヤソップ!」

「あいつはまだ・・・・!!」

 

ヤソップはずっと冷静になって見聞色の覇気でウソップと繋がろうとしていたが肝心のウソップが冷静じゃなかったので繋がらなかった。

しかし、ウタワールドでルフィの覚悟を見て冷静になったウソップと漸く繋がる事が出来た。

 

〘お、親父・・・〙

「やっとか、このバカ息子」

〘見える・・・親父の見る景色が・・・〙

「俺もだ・・・ルフィといるな?」

〘親父・・・ルフィがキレてるからな・・・腑抜けたら帽子を突き返すってよ〙

「・・・ルフィ・・・あいつ・・・お頭に伝えるし・・・絶対に助けるぞ・・・」

〘おう!〙

 

ヤソップはウソップからそれを聞くと赤髪海賊団の面々にウタワールドと繋がった事を叫んだ。

 

「てめぇら、ウタワールドと繋がったぞ!!」

「何だと!?」

「やっとか!!」

「遅かったな!」

「よし!」

「行くぞ!!」

「お前らルフィが腑抜けた事をやったら、帽子を突き返してやるってよ!!」

 

ヤソップの言葉にシキが驚き、そして赤髪海賊団の面々はこの状況を打破できる可能性が出た事に喜んだ。そしてヤソップから言われた言葉に全員口元をニヤつかせた。

 

「ルフィ・・・お前ら赤髪海賊団の意地を見せるぞ!!」

『おう!』

「させるかこのガキ共!!」

「てめぇの相手は俺だジジイ!!・・・バギー!!頼むぞ!!」

「お前に言われなくてもやってやら!!」

 

予想外の展開にシキはさっさと止めようとしたがシャンクスに押されて出来ず、トットムジカへの攻撃を許してしまった。

 

「合わせろ!」

〘おう!〙

 

ウタワールドと現実が繋がった証拠としてウソップとヤソップはトットムジカに向けて同じ場所を撃った。するとダメージが通り、初めて揺らいだ。トットムジカにとっても危険な状態と判断したのか4本の鍵盤の手に二本の鍵盤の足を生やして襲い掛かってきた。

 

「こっからは俺が指示を出す!!」

「その場所を攻撃してくれ!!」

『おう!』

 

麦わらの一味に赤髪海賊団の面々がちゃんと攻撃が通ったが故に狙撃手である2人を信頼し、そう叫んだ。

 

「まずは右足!」

「右足!」

 

素早くゾロ、そしてベックマンがそれを聴いて飛び出した。ゾロはトットムジカのビームを避けて右足を狙い、ベックマンも銃の照準を右足に合わせて攻撃した。

すると右足がふっ飛び、トットムジカは体を大きく泳がせた。

 

「左腕!」

「左腕!」

 

次に飛び出したのはジンベエとヤマトで左腕に海流一本背負いに鳴鏑をぶつけて破壊し、現実ではホンゴウとルウが飛び出して高速回転するルウをホンゴウが蹴り飛ばして左腕を破壊した。

 

「左足!」

「左足!」

 

サンジが魔神風脚とイワンコフのデスウィンクで左足を壊し、現実ではクロコダイルとライムジュースが左足を破壊した。

 

「真ん中、右!」

「真ん中、右!」

 

ボング・パンチとモンスターが回転しながら飛び出してトットムジカに殴りかかり、チョッパーは柔力強化で飛び出してロビンは巨大な腕を出現させて破壊した。

 

「「真ん中、左!」」

 

ヤソップとウソップの声がピッタリと揃った。

ナミが雷霆をブルックが剣を突き出して破壊し、現実ではロックスターとミホークが剣で破壊し、残るは右腕のみとなった。

 

「「右腕!!」」

 

フランキーのラディカルビームにガブの咆哮が飛び、それを防ごうとトットムジカは右腕を使ったがそれも完全に破壊された。

 

全ての手足が破壊されたトットムジカにスネイクマンになったルフィとバギーは顔面へ向かって行った。シャンクスと戦っていたシキはそれを見て嘲笑った。何故なら弱いバギーには無理だと思ったからだ。

 

「てめぇに出来るわけねぇだろ!!」

 

そう叫ぶシキを殴り飛ばしてシャンクスはバギーに向かって叫んだ。

 

「バギー!!」

「うるせぇ!!絶対にやるって言ってんだろうが!!」

 

叫ぶシャンクスの言葉にバギーはすぐに反応して右拳に力を溜めた。するとバギーの拳が()()()()()()()

 

「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」」

 

ウタワールドではルフィが現実ではバギーがトットムジカの頭に向かって全力の拳をぶち込んだ。殴られたトットムジカは本来ならそのまま消えていく筈だが違った。何故なら違う“世界”でやられた時はルフィとシャンクスというお互いに信頼があった者同士だったがルフィとバギーにはそんな物は微塵の欠片もない。

寧ろ、お互いに嫌い合っていてその感情はトットムジカの本質である負の感情そのものだった。

云えにルフィとバギーはそのまま殴られた場所から黒い音符と光を放ってるトットムジカの中へと入ってしまった。

 

「な、何だ!?」

「ルフィ〜!!」

「何が起こってるんだ!?」

「おい、バギーがあいつの中に入っちまったぞ!?」

 

ウタワールドでも現実でも2人がトットムジカの中に入った事による混乱が起きていて、トットムジカは次の瞬間奇声を叫び、その体から大量の音符を出した。その音符は戦士へと姿を変えて混乱している面々へ襲い掛かって行った。

 

 

 

●▲●▲

ウタはトットムジカを槍でぶん殴って吹き飛ばすがトットムジカはすぐに体の体勢を立て直して構えた。ウタはヘロヘロになっていて膝に手を付いていた。トットムジカもウタワールドと現実の攻撃+ウタの一撃で膝に手を付いていた。

 

[この気配・・・良いだろう・・・今度は直接殺してやる!]

 

トットムジカは自分の中に入ってきたルフィとバギーの気配を感じたのかそちらに意識を全て向ける為にUTAの体から離れた。

 

「違う“世界”のアタシ!!」

 

UTAの体はそのまま倒れてウタはトットムジカが何処かに行ったのだと理解しつつUTAの方へ向かって抱きかかえた。

 

 

 

一方、トットムジカの中に入ってしまったルフィとバギーは暗い場所にいた。そこはお互いに1人で自分以外誰も居ない見えない空間だった。

 

「ウタ!!」

「何処にいるんだウタ!?」  

 

ルフィとバギーはウタを探して名前を呼んだ。

 

「ルフィ」

「バギー」

 

探してる最中、ふと自分の名前を呼ぶ声を2人は聞いた。

そこに立っていたのはエースとロジャーという2人の大切な人だった。

だがここはトットムジカの中。そうトットムジカはルフィとバギーを確実に殺してウタに絶望を味あわせる為に2人の大切な人に姿を化けたのだ。

中に入った事で2人の記憶の中から見つけた大切な人。以前、ウタにやろうとしていた事を今度は2人に向けてやったのだ。

 

「「こっちに来いよ」」

「エース!!」

「船長!!」

 

トットムジカは2人の大切な家族の声で呼んだ。何処までいっても負の感情を基本に存在するトットムジカは純粋な魔王そのものだった。

ルフィとバギーは大切な人の声で名前を呼ぶトットムジカに向かってかけて行った。これで上手く行くとほくそ笑むトットムジカだがルフィとバギーは拳を大きく引いていた。

 

「「え?」」

「「って騙されるか!!!」」

 

そして思いっきりルフィはエース、バギーはロジャーの姿になったトットムジカの顔面に拳をめり込ませてふっ飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・・後45分!!












というわけで今回はトットムジカの中へ入る事になってしまったルフィとバギー!
こっからどうなるかはお楽しみに!!
そして書いてて思った・・・これ、入るの普通ならシャンクスじゃね?何でバギー?

今話の曲は『One day』とBack numberの『大不正解』です。
それでは次回もお楽しみに!!


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Share the world / YOUR SONG

皆様、また3日も掛かってすみません。
長くなり過ぎて切る所で迷ってたら遅くなりました。
それではどうぞ!!


ルフィとバギーがトットムジカをぶん殴っていた頃、1つの激戦に動きがあった。

 

「てめぇら、いい加減にしろ!!」

 

それはバージェスとダズ、Mr.3、アルビダ、カバジ、モージの面々による戦いだった。先程までバージェスにボコられてボコられてボコられまくっていた彼らだがダズが来てくれた事で何とか逆転とはいかなかったが腕が立つダズのお陰で無事に生きていた。

 

「喰らえ単細胞、掌握斬(スパークロー)!!」

「武装色にそんな能力が効くか!!」

 

スパスパの実の特性で刃になった拳でバージェスの腹を殴るが武装色で防がれてた。だがバージェスの相手はダズだけではない。

 

「キャンドルロック!!」

「ぬぅ!!」

 

ダズの攻撃を防いでリキリキの怪力で殴ろうとしたがその前にMr.3がバージェスの体を蝋で拘束した。すぐにバージェスは自慢の怪力でそれを破壊するがその瞬間を狙ってアルビダが突っ込んでいた。

 

「この(アマ)〜!!」

「その女にふっとばされな!!」

 

バージェスは怒り心頭のままリキリキの怪力でアルビダに拳を振り下ろした。しかし、武装色の纏ってない単調な攻撃はスベスベの実を食べてるアルビダには通じない。攻撃はアルビダに当たった瞬間に肌を滑って外れてアルビダは無防備になった頭に思いっきり金棒をぶち込んだがバージェスは武装色でそれを防いで武装色の拳でアルビダをふっ飛ばした。

 

「ウィーハハハハハハハハハハハ!!どうだ!!俺には覇気もこの怪力の能力もある、てめぇらが何人来ようと負けるがねぇ!!」

 

覇気に能力を持ったバージェスは笑いながら調子に乗っていた。カバジにモージはそれに苛立っていたがアルビダ、Mr.3、ダズは冷静にバージェスを見ていた。

 

「Mr.3・・・あいつ・・・」

「分かってるガネ・・・能力を得て天狗になってるガネ」

「なら・・・行けるかもね」

 

能力者である3人はバージェスが能力を得て日が浅いのを悟りそして天狗になってるのを理解した。アルビダは2年前にダズとMr.3はそれ以前から能力を手に入れていた為にそれに関しては明らかにバージェスよりも上だった。

 

「あんた達、マギー玉はまだあるかい?」

「勿論」

「船長に貰ったのがある」

 

カバジとモージは懐から先程バギーから渡されたマギー玉をバージェスに見えないように見せた。アルビダはそれに笑い、Mr.3とダズは互いに顔を見て頷きあった。バージェスは終わらせようと腕を引いた。

 

「波動エルボー!!」

「キャンドルウォール!!」

 

リキリキの怪力で威力が更に上がったエルボーの衝撃波を飛ばして来たのでMr.3はそれに対して蝋の壁を作って防ごうとした。しかし、鉄の硬度を持つはずの蝋に罅が入った。だがMr.3は根性を出して蝋を出し続けて何とか罅だけで済ませた。

 

「そんなんで防げるか!!」

 

バージェスはもう一度衝撃波を飛ばして今度こそ完全に蝋の壁を破壊した。

 

「いいガネ!?それで!」

「問題ない」

「いいよ!!」

「「おう!!」」

 

バージェスは5人が何かを話し合ってるのを見たが気にしない。何をやっても叩き潰せば良いだけだった。

 

微塵速力斬(アトミックスパート)!!」

 

足を刃にして滑りながら突撃していくダズ。バージェスはそんなダズに波動エルボーをブチかましてふっ飛ばした。厄介そうなダズさえ何とかなれば後は簡単な作業だとバージェスは思った。次の瞬間、カバジとモージが何かを投げてきた。バージェスはまたマギー玉のような爆弾かと思って武装色で硬化した腕で殴ると煙が大量に出た。そう2人が投げたのは煙玉だった。

 

「見聞色の覇気を身に着けてる俺に煙なんか効くか!!」

 

バージェスは笑いながらそう言った。事実、見聞色で全員の居場所は把握していた。何をやっても叩き潰せば良い。その為の能力も覇気もあるとバージェスは自信に溢れていた。

そんな中でバージェスは自分に突撃してくる2つの気配を感じ取って構えた。気配の正体はカバジとモージでバージェスは欠伸をしながら首を掴まえて絞め上げ始める。

 

「こんなもんか?」

 

余裕をこいてるバージェスに更に突っ込んでくる者がいた。

 

螺旋抜斬(スパイラルホロウ)!!」

 

ダズだった。腕に巻き付くような独特の刃物を形成してそれを超高速回転させて突っ込んできたのだ。バージェスはすぐにその技の特性を理解して当たるであろう場所を見聞色で把握してそこに武装色を集中させた。

そしてダズの攻撃は見事にそこに当たった。

高い金属音に近い音が響き渡ってダズの攻撃をバージェスは確かに受け止めていた。

 

「これで終わりか!?」

「確かにこれで終わりだよ!!」

 

バージェスの声に反応したのはアルビダだった。バージェスは声のする方を見るとアルビダは素足でMr.3の作った蝋のスローブの上にいた。

 

「スベスベシュプール!!」

 

アルビダはそのままスローブを滑り降りてくる。スベスベの能力で摩擦力がゼロになり、かなりの速さだった。

 

「そんなもんで俺を倒せるか!!てめぇの金棒くらい首の力を上げて粉砕してやる!!」

 

バージェスは武装色を全てダズの方へ集中してるのもあってリキリキの怪力によるただの頭突きでアルビダの金棒を圧し折ろうとした。

これで何とかして後はダズを葬れば終わるとバージェスは確信したが次の瞬間、目の前に幾つものマギー玉が現れた。

 

「なっ!?」

「喰らえクソ野郎」

「ぶっ飛べ」

 

それはバージェスに首を掴まれてるカバジとモージが投げた物だった。流石のバージェスも目の前にマギー玉が現れて冷や汗をかき始めた。

 

「キャンドルロック!!キャンドルチャンピオン!!」

 

咄嗟に後ろに飛んで逃げようとするバージェスだったがMr.3によって足と地面を蝋で固定された上にカバジとモージも蝋の鎧で覆われた。

 

「じゃあねクソゴリラ!!」

「ブボガァ!!」

 

バージェスは咄嗟に急いで顔にも武装色を纏わせるが遅く顔面に幾つものマギー玉を直接叩き込まれた上にその衝撃とダメージによってダズの攻撃を防いでいた武装色も解除してしまって螺旋抜斬を諸に喰らってふっ飛ばされた。

 

バージェスはそのまま何本の木や建物を壊しながらふっ飛んで行って軈て壁にめり込み、立ち上がろうとしたがうつ伏せになって気絶した

 

「能力を得て天狗になり過ぎたな」

 

ダズは気絶したバージェスを見ながら短くそう呟いた。四皇幹部を撃破した5人だがまだまだ戦いは終わってなく、ダズはトットムジカが出てる方へ行ってアルビダ達は問答無用でビックトップ号へ逃げて行ってダズは薄情な4人を見てバギーに対して少し憐れみを感じた。

 

四皇幹部ジーザス・バージェス・・・・撃破!!

 

 

 

 

 

 

●▲●▲

ルフィとバギーを取り込もうと2人にとって大切なエースやロジャーの姿に化けたトットムジカだったが2人には通用しなかった。

何故なら、2人とも大切な人達に激励されてここまで来たのだ。そんな浅はかな策略に引っ掛かる2人ではない。

 

「「ぐぼがっ!!」」

 

トットムジカが殴り飛ばされて周りの景色が変わってくる。2人ともお互いに暗い景色で1人だったのにトットムジカが殴られた影響で2人はお互いを認識し、周りの景色はワノ国の鬼ヶ島の屋上に変わった。

 

「バギー?」

「麦わら!?何でお前がここに居るんだよ!?」

「俺の台詞だ!!シャンクスが来ると思ってたのに・・・何でだよ!?」

 

そうルフィはウソップとヤソップが繋がって攻撃をしたのもあって来るならシャンクスだと思ってたのに来たのがバギーで大変不満だった。

 

「あのヘタレは外にいらぁ!」

「シャンクスはヘタレなんかじゃねぇ、赤っ鼻!!」

「誰が赤っ鼻じゃゴラァ!!」

 

互いに相手が嫌いなのでルフィとバギーはそのまま頭をぶつけ合って睨み合った。

 

「「てめぇら、良くも!!」」

 

そんな中でエースとロジャーの声が同時に聴こえてきてルフィとバギーは顔を向けるとトットムジカが立ち上がった。ただし、エースとロジャーの姿が交互に変わっていて不安定な感じだった。

 

「何だあのおっさん?」

「俺の船長・・・俺達の親父だ・・・お前はエースかよ」

 

ロジャーの姿を初めてみたルフィは首を傾げてバギーはエースの姿にも化けてたのを知った。

 

「嬲り殺す・・・確かこうか小僧?」

 

トットムジカはエースの姿になって拳に火を集めた。ルフィはそれが何か分かると顔が青くなり、バギーはより青白くなった。

 

「“火拳”!!」

 

トットムジカはエースの技である“火拳”をブチかまして来た。ルフィはバギーを咄嗟に蹴り飛ばしてその反動で避けてバギーはルフィに蹴られた事で何とか避けられた。

 

「意外に良い技だな!?お前の記憶にいる男の技は・・・その技で殺してやる!!」

 

トットムジカはエースの姿、エースの声で下卑た事を言った。ルフィは額に血管を浮かび上がらせて突っ込んでいった。だがトットムジカの周りに黒い音符が浮かび上がって飛んできてルフィはふっ飛ばされた。

 

バギーはマギーバルカンを構えてマギー玉をトットムジカに発射した。トットムジカは今度はロジャーの姿に変わって愛刀の“エース”を振るってその斬撃でマギー玉を破壊し、すぐに詰め寄ってバギーを殴り飛ばした。

 

「ゴムゴムの業火拳銃!!」

 

巨大な武装色と火を纏った拳をトットムジカに向かってぶち込もうとルフィは飛び出してきて放った。トットムジカはすぐにエースの姿になってそれを避けてルフィの上に来ると火を纏った脚で蹴り飛ばした。

 

ルフィを蹴り飛ばして地面に楽々と着地したトットムジカにバギーは突っ込んで行ってマギーバルカンの刃で刺そうとしたがロジャーの姿に変わり、それをあっさりと避けて腹を殴り、曲がって下がってる顔を下から殴り上げ、無防備にさらけ出した鳩尾に蹴りを入れて蹴飛ばした。

 

「どうだ!?大切な存在に嬲られる気分は!?散々、てめぇらには良いようにされたがやっとスッキリした!!」

「この野郎!!ゴムゴムの火拳銃!!」

 

ロジャーの姿、ロジャーの声で嘲笑うトットムジカにルフィは火拳銃を放とうとした。しかし、ルフィの腕は伸びず、おまけに武装色の覇気も纏ってなかった。

 

「なっ!?」

「この世界でてめぇらが自由に出来るわけ無い。てめぇらはもう鳥籠に入った小鳥同然!!」

「ざけんな!!」

 

マギー玉を撃とうとするバギー。トットムジカはそれを見ると指を鳴らした。するとマギーバルカンが綺麗に消えてしまった。

 

「嘘だろ!?」

「何も出来ないまま・・・死ね!!」

 

啞然となってるルフィとバギーに対してトットムジカは指を鳴らした。2人は咄嗟に手を前に出して来るものを防ごうとしたが何も起こらなかった。

 

「「??」」

 

首を傾げてる2人と想定と違った事に対してトットムジカは何回も指を鳴らすが2人には何も変わった様子は起こらなかった。

 

「まさか・・・あの奴隷がぁ!!」

 

トットムジカは何が起こったのか理解するとその場で叫び声を上げた。

 

 

 

 

 

●▲●▲

「ここはトットムジカが全ての権限を持ってる世界。だけど、ウタウタの実を持って200年一緒に過ごしてる私なら少しは権限を奪える・・・」

 

トットムジカに憑依されていたUTAは手から金色の音符と光を出してそう言った。伊達に200年間トットムジカに囚われていたわけでなくゆっくりとその特性を理解し、そしてトットムジカがウタウタの実の能力者が使える事実から多少なら反抗出来ると分かり、権限を少し奪ったのだ。

 

「凄い・・・でもアイツがすぐに来るんじゃ・・・」

「大丈夫・・・抑えてるから・・・けど、長くは持たない・・・」

 

UTAは喋るのもキツイのかゆっくりとそう答えた。そしてウタの方を懇願するような目で見た。

 

「お願い・・・私を殺して・・・そうすればアイツの意思は全て私に向くから・・・その隙に・・・」

「嫌!!そんなの絶対に認めない!!」

 

UTAの懇願をウタは拒否した。違う“世界”とかそんなのは関係なく、ウタは彼女を助けたかった。200年も奴隷扱いをしてくるトットムジカから自由にしたかった。自分がルフィやバギーにしてもらった事と同じように・・・だが、UTAはそれを聞くと首を横に振った。

 

「もう良いよ・・・無理なんだよ・・・」

「無理じゃない!!」

「無理なんだよ!!どうやっても逃げられない!!ルフィやシャンクス、皆を裏切った私にはこれがお似合いなんだよ!!一生このままトットムジカの奴隷!!・・・もう・・・それで良いよ・・・けどこれに巻き込みたくないの・・・殺してよ・・・殺せ!!」

 

UTAはウタに対して泣きながらそう叫んだ。ウタはその言葉が本心ではないとは理解していた。だが長い間、中に居たせいで心が折れているのだけは嫌でも分かり、またこんな状況を解決出来る方法をウタは思いつかなかった。

 

UTAの叫び声が響いて、ウタがどうすれば良いか迷ってる最中、周りから音が聴こえてきて2人は音の方を向くとそこには違う“世界”の自分達の死体がまた動き始めていた。そうトットムジカは2人のいる場所に戻れないと分かると自体達を操って2人をなんとかしようとしたのだ。

 

「本当に悪趣味すぎる・・・」

 

ウタはすぐに槍をまた構えた。そしてやって来る自分の死体達を相手にUTAを守る為に立ち向かい戦い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・・後40分

































というわけでバージェス撃破!!
ダズが来てなかったらヤバかった・・・そしてトットムジカの中ではトットムジカによるルフィとバギーの尊厳破壊も兼ねた攻撃に2人は苦戦。

本当にえげつない・・・

一方、ウタの方は殺してくれと懇願するUTAに対して迷い、休む間も考える間もなくまた自分の死体達と戦う羽目に

我ながら人の心がねぇな・・・


最終章はまだまだ終わりません!!
えげつなくても鬱展開になろうが激熱で吹き飛ばしていきたいです!!

今話の曲は『Share the world』と湘南乃風の『YOUR SONG』です


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Hope / 運命のしずく〜Destiny’s star〜

お待たせしました!!
結局3日もかかっちゃったよ・・・ごめんなさい!!
次回も盛るので多分同じくらい掛かります。

すみません!!



ウタが自分の死体達と戦ってい始めた頃、トットムジカは叫んでいた。

 

「あの奴隷が・・・この2人を殺したらまたたっぷりと躾けてやる・・・」

 

トットムジカはそんな事を呟きながらルフィとバギーを睨んだ。ルフィは腕が伸びなくなろうが覇気が使えなくなろうが関係なくトットムジカを殴りに飛び出した。

トットムジカはロジャーの姿のまま避けてルフィの腹に膝蹴りを噛ました後に殴り飛ばした。そしてバギーに向かって愛刀“エース”を振り下ろしたがバギーは咄嗟に持っていたナイフでそれを十字受けしたがバギーの膝を蹴って跪かせた後に回し蹴りをぶち込んで倒した。すぐに起き上がるバギーだがトットムジカは“エース”で逆袈裟斬りをした。バギーは何とかギリギリで避けるが斬られても無事なバラバラの実の能力者であるバギーの体に切り傷が付いた。

 

「嘘だろ!?バラバラの実が・・・」

「あの厄介な篭手と一緒に消した・・・残念だったな」

 

斬られる事自体、20年以上で久しぶりかつ危険な状況に呆然となってるバギーを殺そうとトットムジカは“エース”を振り下ろして来た。バギーはナイフでそれをまた十字受けした後で“エース”を持ってる手を掴み体を上手く使って斬られないようにしてトットムジカの胸をナイフで刺そうとしたがトットムジカはロジャーの姿からエースになった。するとエースの持っていたメラメラの実の再現でバギーの攻撃は当たらず胸を貫通した。それだけでなくバギーの掴んでいた腕もすり抜けてトットムジカはすり抜けた事で体が崩れたバギーの顔を蹴り飛ばした。

 

「ぶべっ!!」

「どうだ!?てめぇらが勝つなんてありえねぇ!!大人しくあの幸薄い馬鹿な奴隷の紅白女と共に取り込まれろ!!」

 

トットムジカはルフィとバギーの前でそう叫んだ。2人ともトットムジカの言っている“奴隷”が誰の事か分かると頭に来て、突っ込みに行った。能力も覇気も武器すらも満足に無い状況だが2人にはそんなの関係なかった。

 

「こんにゃろ!!」

 

飛びかかってきて殴りに来てるルフィの拳を避けてトットムジカはエースの炎をぶつけてルフィをふっ飛ばした。バギーはナイフを突き出して来たが今度はロジャーの姿に変身して“エース”で斬り殺そうと振り下ろしてきた。バギーは咄嗟に“エース”の持っている右腕の脇と左肩に抱き着くように締め上げて振り下ろされないようにした。だがトットムジカはバギーに膝蹴りを何回も腹に喰らわせてその締めを緩ませた所で無防備のバギーの背中に肘を打ち込んだ。バギーはうつ伏せに倒れてトットムジカは倒れたバギーを立ちあがって突っ込んできたルフィの方へ蹴り飛ばした。

 

ルフィは飛んできたバギーにぶつかってそのままふっ飛ばされて、バギーを退かした。

 

「邪魔すんな!!」

 

ルフィはバギーにそう吐き捨てるとトットムジカに向かって行った。トットムジカはエースの姿になった。覇気を使ってるつもりなのにトットムジカのせいで使えなくなったルフィはそのままメラメラの能力でトットムジカをすり抜けてしまいトットムジカはすり抜けたルフィの後頭部を蹴り飛ばした。

ゴムの体では無くなったルフィは頭を抑えて痛みに堪えつつトットムジカの方を見たが既に詰め寄られていた。咄嗟に倒れたまま蹴りを入れるが簡単に受け止められて今度はルフィが向かって来ていたバギーの方へ投げられてぶつかった。

 

「“火拳”!!」

「「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

そんな風にぶつかってふっ飛ばされてる2人にトットムジカは容赦なく火拳をぶち込んで直撃させた。

直撃した2人は何とかそれから上手く逃げれてこのままだと分が悪いので一旦離れていくと周りの景色が変わってきた。 

ワノ国の鬼ヶ島の屋上ではなく、今度はブリュレの鏡の世界になった。

 

「また変わった!!」

「そんなの気にしてる場合か、一旦退却だ!!」

「逃がすか、“大炎戒”!!」

 

トットムジカは逃げていく2人に対して周囲に炎の陣を作って追撃していったが2人はそれを上手く避けた。

 

「ちっ、まぁ良い・・・“奴隷”の躾に戻るか」

 

トットムジカは意識をルフィとバギーではなく、ウタ達の方へ一旦向けた。2人は突然止まったトットムジカを物陰から見ながら考えてた。能力も覇気も武器すらもない状況であるのは自分の体と嫌いな相手しかない。2人は互いに顔を見合わせた。

 

「・・・バギー、俺はお前が嫌いだ」

「はぁ?それは俺様の台詞だ」

「シャンクスの帽子に傷つけるわ、唾吐くわ・・・ウタが懐いてるわ・・・お前が大嫌いだ!ミンゴのとこでウタが懐いてるの知って・・・だから昔みたいに一緒に居たのに・・・喧嘩しちまったし・・・」

「てめぇの感情なんか知るか!」

 

ルフィがドレスローザでウタを冒険に誘ったのは一緒に冒険したかったからだが、それだけではない。ウタをバギーから離したかったのもあった。ルフィにとってバギーは大切な宝物を傷つけた奴でその後はぶっ飛ばしたが色々とローグタウンやインペルダウンでも付き合いはあった。インペルダウンではエースを助ける為に手伝って貰ってそれは純粋に感謝してるがそれだけだ。ところがウタと再会した時に気に入ってるのを見てルフィの中で違和感が生まれた。シャンクス相手だと起こってなかった物でルフィはその時に初めてウタに対して特別な感情を持ち始めた。

そうバルトロメオでもカタクリでもない。

ルフィが最初に嫉妬した相手はバギーだった。

 

「エースもお前を気に入ってるし・・・お前なんか大っ嫌いだ!」

 

そしてさっき、エースに会った時にエースからも飲み仲間として認識されてるのを知ったのでルフィのバギー嫌いは徹底的な物になった。

 

「単純な飲み仲間って言っただろうが!」

「シャンクスみたいに嘘言ってると思ってたんだよ!」

「はぁ!?そんなフザけた事なんで抜かすんだよ!?」

「俺が知るか!」

 

言い争いを始める2人だが、こんな事をしてはウタは助けられない。ルフィは腹の嫌な気分を飲み込み、バギーも飲み込んだ。

 

「ウタの為だからな」

「それ以外にてめぇと組む理由があるか・・・すぐに終わらせるぞ」

「勿論だ!」

 

ウタの為が9割、早く相手と離れたいが1割の感覚でインペルダウンの時とは色々と感情は違うが手を組むことにした。

 

 

 

 

●▲●▲

「このっ!」

「不味い、あいつがこっちの権限を取り戻そうとしてる!!抑えられない!!」

 

自分の死体達を相手にウタはUTAを守る為に戦っていた。そんな中でトットムジカがこっちに集中し始めてると知ったUTA。自分で自殺は数えきれない位やっても無理だったから人に殺されないといけない。だからウタを見たがウタは死体達の相手で手一杯だった。

 

「あぁ、もう!本当になんて悪趣味な楽譜なの!?」

「・・・容赦ないね」

 

槍で殴って吹き飛ばしてるウタにUTAは引いていた。そこら辺に関して容赦のないバギーに鍛えられただけあって覚悟が決まればウタは止まらない。

だが死体達の数はドンドンと増えてきた。

 

「ヤバい!!」

 

ウタは無限に向かってくる死体達に対して自分とUTAを囲むように音符のバリアを張った。

ドンドンと死体達が破ろうと殴ってくるのに2人は冷や汗をかいていた。

 

「お願い、早く私を殺して!!」

「嫌だ!!」

「殺してよ・・・もうそれで良いんだよ!!」

「それで本当に良いの!?あの楽譜に人生を滅茶苦茶にされてそれで良いの!?」

「それは・・・」

 

ウタの言葉にUTAは何も言えなかった。何を言えば良いのか分からなくなっていた。そんな中でUTAの左手に繋がれた鎖が光り始めた。より強く締まり、トットムジカの権限が戻ってきたのだ。

 

「あぁ!!」

「大丈夫!?・・・この・・・外れなさいよ!!」

 

苦しむUTAにウタは鎖をガチャガチャと外そうとするが外せない。そんな中でついに死体達がバリアを破ってウタ達に向かってきた。

 

 

 

 

 

●▲●▲

ルフィとバギーは顔を見合わせてお互いに睨んだ後でウタ達の方に意識が向いていたトットムジカに向かって行った。

トットムジカも気づいたのかすぐにエースの姿になって手に火を集めた。

 

「“蛍火 火達磨”」

 

淡い光を放つ小さな炎の弾をばら撒くトットムジカ。そして手で合図をすると炎の弾がルフィとバギーに向かって行った。

そして2人は諸にそれを喰らった。

 

「どうだ!?」

 

煙が上がり、トットムジカが笑いながらそう叫んだ。すると2人はあちこち焦げながらも走ってきた。

 

「!?」

「「効くか!!」」

 

バギーの拳とルフィの蹴りがトットムジカの顔面を捉えた。トットムジカはふっ飛ばされて2人はすぐに追撃しに行った。トットムジカはロジャーの姿に変わり、愛刀“エース”を振り回す。ルフィとバギーは一歩下がってそれを避けるとバギーが愛刀“エース”を持ってる手を掴んで顔面を殴り、ルフィが腹に膝蹴りをかました。トットムジカは空いてる方の手でバギーを殴り飛ばしてルフィに愛刀“エース”を振り下ろした。ルフィはそれを避けつつトットムジカの胸倉を掴んで背負投げした。

そのまま顔面を殴ろうとするルフィだがトットムジカは足を上げてルフィを蹴って離れさせてすぐに立ち上がり刺そうとしたがそこにバギーが突進してきた。トットムジカはすぐに膝蹴りを何回も入れて背中を思いっきり肘で殴って倒れさせて離れさせたが、ルフィが既に詰め寄ってきてトットムジカの顔面を蹴り、倒れたバギーが足を引っ張ってトットムジカを倒した。

トットムジカはすぐに足を上げてバギーに踵落としをするがバギーは何とかそれを避けてしゃがんだ状態でトットムジカの顔面を殴り、また倒れさせた。ルフィはすぐにトットムジカの首を絞めて、バギーはトットムジカが逃げないように足を抑えた。するとトットムジカはエースの姿になってメラメラの能力でルフィとバギーから逃げて、ルフィとバギーは素早く立ち上がり突っ込んで殴り始める。

トットムジカと2人が戦っていく中で周りの景色もドンドンと変わっていく。

鏡の世界からドレスローザ、バギーズデリバリー、魚人島、シャボンディ諸島、スリラーバークとなってエニエスロビーの裁判所の屋上になった。

 

トットムジカはまた火拳を飛ばしてルフィとバギーを離すと構えた。ルフィとバギーはまた景色が変わってる事に気づいた。

 

「またか、どうなってやがる!?」

「お前らの記憶だ・・・何処を旅したのか・・・意外にコロコロと変わって面白い・・・あの奴隷は本当に同じ景色ばかりで何一つ変わり映えしなくてつまらんかったからな」

 

トットムジカの言葉にルフィとバギーは誰の事を言ってるのか分からなかった。だが何となく2人はその言葉に腹が立って怒りが止まらなかった。

2人はまた突っ込んでいって攻撃し始めた。そして景色も変わりだす。能力も覇気も武器もない上にチームワークなんてゼロに等しいがウタを助けたいと云う思いだけは一緒だった。

景色はエニエスロビーからウォーターセブン、ロングリングロングランド、空島、ジャヤ、アラバスタ、双子岬、ローグタウンと変わっていった。

 

その頃、ウタ達は目を瞑っていた。死体達に襲われて死を覚悟した。どんな痛みが来るのかビビったが一向に来ない痛みにウタ達は恐る恐る目を開けると死体達はウタ達に触れる寸前で止まっていた。

そして目からは涙が零れていた。

それは例外なんて居ない。無数にいる違う“世界”の自分達が死体になっても涙を零していた。

 

「皆・・・何で・・・」

「・・・流石アタシ達・・・あんなのに人生台無しにされたままじゃ・・・終われないよね・・・」

 

困惑するUTAと皆を見て納得出来たウタ。

すると止まった違う“世界”の自分達から音符が飛んできた。それらは一つ一つ全てUTAの中に入って行き、UTAの体は黄金の光を輝き始めた。

初めての事に戸惑うUTAに対してウタは手を握った。

 

「・・・あいつに一発派手にブチかまそう」

「・・・うん!」

 

ウタの言葉にUTAは強く頷いた。

そしてUTAは光を音符にしてトットムジカの所へ飛ばした。

 

ルフィとバギーはローグタウンでトットムジカと戦っていたが依然として苦戦中。トットムジカはエースの姿になって炎戒で2人を離れさせた。

 

「貴様らがどんなに足掻こうとあの奴隷は解放されない!!」

 

トットムジカはエースの姿からロジャーの姿になり、UTAと繋がってる赤白の鎖を見せつけた。

 

「この鎖がある限り、永遠にあの娘は逃げられない!!」

「その姿で・・・ロジャー船長の姿で喋るな!!」 

「そんなもん壊してやる!!」

 

ルフィとバギーはトットムジカの下卑た言動にブチ切れて突っ込んだ。景色はローグタウンからココヤシ村、バラティエ、シロップ村になって行ってそれはオレンジの村になった時に起こった。

UTAの放った音符がルフィとバギーの体に入った。トットムジカは愛刀“エース”で斬撃をバギーに向けては放つとバギーはバラバラになって効かなかった。

 

「!?・・・ゴムゴムのバズーカ!!」

「ば、馬鹿なァ!!」

 

バギーの能力が戻ったのを見たルフィは全力でトットムジカの腹にバズーカをぶち込み、そのままバギーと2人で突っ込んでトットムジカを倒した。

ルフィは愛刀“エース”を持ってる右腕をバギーは赤白の鎖がある左腕を抑えて、ガチャガチャと外そうとしていた。

 

「馬鹿め、それは絶対に・・・」

「うるせぇ!!魔王だが何だか知らねぇが俺の親父の姿で俺の娘に鎖なんかつけるなァ!!」

 

バギーはトットムジカの戯言に対してそう叫びながら赤白の鎖を思いっきりぶん殴った。するとその鎖は()()()()になって地面に落ちる前に消えていった。

それを見たトットムジカはエースの姿になって再びメラメラの能力で2人から離れつつ、自分の左腕を呆然と見た後にバギーを睨んだ。

 

「なぜだ!?絶対にあの奴隷でも外せない鎖の筈だったのに・・・貴様、何をした!?」

「うるせぇ!!」

 

バギーに向かって叫ぶトットムジカにルフィは思いっきり武装色の硬化をした腕で顔面をぶん殴りふっ飛ばした。

肩で息をしながら互いに見るルフィとバギーは景色が初めて出会ったオレンジの町になってる事に気づき、ルフィはバギーに宝物である麦わら帽子を傷つけられた事を思い出したのか帽子を触りながらバギーを睨み、バギーも自分の宝をルフィ達に奪われた事を思い出したのかより睨んだ。

 

「嫌な事を思い出しちまった」

「俺様の台詞だ・・・人の宝を盗みやがって」

「俺の宝を傷つけたお前が悪いんだろうが!!」

「最初にやったのはてめぇらだろうが!!」

 

ルフィとバギーはそのまま顔をぶつけ合って睨み合った。そんな中でトットムジカが起き上がって叫んだ。

 

「貴様らァ!!散々と計画を邪魔しやがって・・・一体何なんだお前らは!?」

「「“海賊”だ!!」」

 

トットムジカの叫びに2人は同時に同じセリフを答えて構えた。トットムジカはロジャーとエースの姿を交互に変えて叫んだ。

 

「「もう容赦はしない・・・確実に景色が変わる間もなく、ここで殺してやる!!」」

 

ロジャーとエースの声が重なりながらトットムジカはそう言った。ルフィとバギーはそれに対してお互いまた1度だけ睨み合うとトットムジカの方に顔を向けた。

 

「ここで終わらしてウタを連れて帰るぞ!!」

「当たり前だクソゴム!!“宝”を2度も同じ場所で失ってたまるか!!」

 

2人はトットムジカと決着を付ける為にかつて自分の宝を守れなかったオレンジの町で決着を付けるつもりだった。

 

今度こそ“ウタ()”を守る為に・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・・後、30分!!
























というわけでルフィ、バギー絶賛激闘中の中でウタ達に解放の兆しが・・・ここからどうなるかは次回のお楽しみに!!
そしてルフィ&バギーVSトットムジカのラストバトルの舞台はオレンジの町。そうルフィとバギーが初めてあった場所でトットムジカの中でバトルをやる時にこの2人がやる場所として相応しいのはやっぱりここだろと思って漸く舞台を整えられて嬉しいです。
まぁこれもまだ今作のラストバトルでは無いですけど・・・
盛り盛りでやっていきたいです。

次回はシャンクスVSシキ、カタクリ達VSバレットも書きます。

今話の曲は『Hope』とGIRL NEXT DOORの『運命のしずく〜Destiny’s star〜』です。


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HANDS UP/Zero to infinity

皆様、4日も待たせて申し訳ございませんでした!!
書いてたのが上手く保存できず、1からやり直す羽目になってしまい、遅れに遅れてしまいました・・・畜生!!
次は明日の夜に出せるように頑張ります!!

それではどうぞ!!


ルフィとバギーがトットムジカと戦っていた頃、現実世界ではシャンクスがシキと戦っていた。フワフワの実の能力に加えて二代鬼徹と天羽々斬の二本に加えて足の剣に見聞色、武装色、覇王色など全盛期に近い力を取り戻しているシキ。

シキはシャンクスを相手に押していた筈だった。だが段々と最初は優勢だったのが逆転し始めていた。

 

シキは二代鬼徹を振るうがシャンクスはそれをグリフォンで弾き、天羽々斬で追撃しようとするも詰められて頭突きを胸に食らった。少し下がるシキの顔面に思いっきり拳を打ち込むシャンクス。シキはぶっ飛ばされてゴロゴロと転がってすぐに立ち上がろうとするがそれよりも早く斬撃が飛んできてギリギリで防いだ。

シキはその雰囲気に懐かしさを感じていた。ヒリヒリする程の緊張感に互いの欲のぶつかり合い、これこそシキが望んでいた大海賊時代以前の海賊の姿。

シキは笑いながら周りを浮かせてシャンクスに向けて飛ばした。シャンクスはそれを下がって避けて斬撃を飛ばしたがシキはそれを難なくと弾いて距離を詰めて刺しに来た。だがシャンクスは咄嗟に体を傾けて攻撃を避けるとシキの顔面を蹴り飛ばした。

 

「ジハハハハハハハ!!やるじゃねぇか・・・」

「しぶてぇなジジイ・・・良い加減隠居でもやってろ!」

「生憎だがまだまだ絶好調だ。俺はまだまだ終わる気なんかねぇ!!」

「確実にてめぇを仕留める・・・二度と俺の娘に近づけさせない」

「おいおい、ここまで遅れてきて娘扱いたぁ都合が良い頭してんな・・・大体は聴かなくても分かる。大方12年前のトットムジカの件の罪を被って逃したつもりだろうがそうはいかなかったな?」

「・・・」

「あの幸薄い小娘はこの先も永遠に狙われる・・・そう俺が狙わなくても誰かが狙う・・・生きてる限り一生な・・・何をやってもあの小娘は最悪の魔王を扱う“極悪人”なんだよ」

「違う・・・あいつは“極悪人”じゃねぇ。俺の娘で世界一の歌手・・・ウタだ」

 

シキの言葉にシャンクスにはハッキリと睨みながら答えた。それは何年経とうとも変わらないシャンクスの心からの本音だった。

 

「その娘のライブに来れなかった馬鹿は誰だ?・・・娘だと?こう言うのは癪だがあの赤っ鼻の方が“親”をやってたぞ?・・・てめぇはどうだ?」

「あぁ、確かに俺は“親失格”だ・・・でもな・・・そんな最低な俺に怒った奴がいるんだよ」

 

シャンクスはグリフォンを構えながら武装色と覇王色を込め始めた。

 

「縁が切れてるのに助けてくれた・・・お前に奪わせはしない・・・俺の娘も兄弟も・・・何1つ・・・お前に奪わせねぇ!!」

 

シャンクスはシキに向かって覇王色をぶつけたシキは咄嗟に自分の覇王色をぶつけたがシャンクスに押されてシキは始めて顔が歪んだ。

 

「お前に俺の“宝”は死んでも渡さねぇ!!!」

「ほざけ青二才が!!俺は獅子に例えられた男だ!!」

 

シキはシャンクスに向かって4本の刀から斬撃を飛ばしまくった。シャンクスはそれをグリフォンで弾きながら詰めていった。

 

「ロジャーのクソガキが!!てめぇが赤ん坊の時から俺は海賊をやってんだ!お前が俺に勝とうなんざ100年早いだよ若造!!」

「いつまでも昔の気分に浸ってんじゃねぇぞジジイ!!」

 

シキは巨大な岩を浮かせてぶつけたがシャンクスはそれを破壊しながらシキの懐に入ってきた。

 

 

 

〇〇〇

ウタワールドでのバレットとの戦いも佳境に入っていた。バレットの圧倒的な強さの前にカタクリ達は苦戦していた。だが未来を視れる程に見聞色の覇気を鍛えているカタクリが司令塔になると言ってそれぞれがそれに納得してから状況が逆転し始めた。

 

「右拳の後に左が来る!左を先に抑えろ!!」

「任せろ!!」

「よっしゃ!!」

 

バレットに突っ込んでいくサイ、コアラ、キラーに対してカタクリはバレットが3人を一辺にふっ飛ばそうとする未来視をして、そう指示を出すとオオロンブスとバルトロメオが鞭とバリアを使ってバレットの左腕を先ず抑えた。バレットは右腕を振るって避けられると関係なしに左腕を振ろうとしたがバルトロメオのバリアが想像以上に硬かったのか振るえず、サイ、コアラ、キラーの同時攻撃を受けた。

バレットはふっ飛ばされず、すぐに攻めに戻ろうとしたがこれまでの連戦もあって少し体が軋み始めた。

その隙を逃さずにハンコックが猛スピードで突っ込んでいてバレットの腹に強烈な飛び蹴りをかました。流石のバレットもこの蹴りは抑えきれずにふっ飛んでしまった。

 

「遠距離が出来る奴はあいつの行動範囲を狭めろ!!当たらなくていい!!避けさせて移動範囲を狭めろ!!」

 

カタクリはふっ飛んだバレットの近くに無双ドーナツを出現させて殴り始めた。それだけでなくサンダーソニア、マリーゴールドは髪や火の蛇をマーガレットは矢を放ち、ハンコックも虜の矢を放った。ただしそれは本人でなく周りに向かっていてバレットは一発でそれが罠だと分かった。

だが下手に打開しようとするのは危険だった。特にカタクリとハンコックの攻撃は当たるのはリスキーであり、バレットは罠もまた楽しみというような感覚で狙い通りに動いた。

カタクリはこれで上手く行ったとは思わない。バレットを倒すには更に強い攻撃が必要だった。

 

バレットはそのまま進んでいき、他の面々を先にふっ飛ばそうと身構えてると見えたのはイデオを持ったオオロンブスだった。

 

「は?」

「覚悟は良いな!?」

「あぁ、大幹部が耐えてそれが出来ねぇ子分はねぇだろ!!」

「よし!!提督キラーボウリング!!」

 

オオロンブスはドレスローザでゾロを投げた時みたいにイデオをぶん投げた。バレットは突然の行動に一瞬だけ啞然となるもすぐに反応して飛んで来たイデオの拳を防いだ。すぐに叩き落とそうとバレットは腕を組んで叩きつけようとしたがその前にイデオの背中に乗っていたローとレオを見た。小人族のレオとぬいぐるみになったローはその小さい体を利用してバレットの不意をついた。バレットはすぐにローだけでも叩き落とそうとした。ぬいぐるみになっても厄介な能力を使ってきたローを危険視したのだ。勿論、それはローもレオも分かっていた。レオが尻尾を使ってローに向けていたバレットの拳を弾き、ローはバレットの心臓に覚醒したオペオペの実の力を付与した鬼哭を刺した。

 

「K・ROOM・・・“麻酔(アナススィージャ)”」

 

バレットは痛みのない攻撃に困惑し、止まってしまった。

 

「“衝撃波動(ショックヴィレ)”!!」

「がぁ!!!???」

 

ローはぬいぐるみになってる事もあって最大の攻撃であるそれを撃ち込むとフラフラと落ちた。バレットは胸を抑えて苦しみ始めた。

内部から破壊するリンリンにも効いた技にはさすがに応えた。バレットはすぐにヘロヘロになってるローを潰そうと拳に瓦礫を集めて振るった。だがそれは突っ込んできたハイルディンがバレットを思いっきり殴り飛ばして防いだ。

 

「畳み掛けろ!!」

 

カタクリの言葉に全員が反応した。

最初に突っ込んだのはサンダーソニア、マリーゴールド、アブドーラ、ジェット、ブルーギリーでそれぞれ攻撃をバレットに当てていき、次はレオ、キャベンディッシュ、スレイマン、オオロンブス、バルトロメオ、イデオ、サイの攻撃が当たり、吹っ飛んでいくバレットにコアラ、キラー、ベポ、ローの攻撃が当たった。

バレットはボロボロになりながらも何とかそれに堪えて倒れなかったが次の攻撃を諸に喰らった。

 

大芳香脚(パフューム・フェムル・マグナ)!!」

 

ハンコックの最大級の蹴り技をバレットはローにやられた場所に寸分違わず重なるように蹴られた。バレットはふっ飛ぶだけでなく、より苦しんだ。ハンコックの並外れた強さが為せる神業だった。

 

そんなバレットにカタクリは腕を大きくそして棘を生やし、武装色を纏わせて突っ込んでいった。

 

 

 

●▲●▲

ルフィとバギーはトットムジカに対して優勢だった。ウタ達のお陰で能力を取戻し、覇気も無事に使えるようになった上にトットムジカとUTAを繋いでいた鎖もバギーによってバラバラにされた。

 

トットムジカはロジャーの姿になって愛刀“エース”を振るってルフィをふっ飛ばし、バギーには斬撃が効かないので峰で殴った。

 

「ぶばら!」

「邪魔ばかりしやがって!!何もかも全て貴様のせいだ!!貴様があの時、あの奴隷と出会わなければ全て上手く行ったのに!!」

「あいつの名前は・・・ウタだ!!」

 

再び峰で殴りに来るトットムジカに対してバギーはそれを受け止めて殴り離れさせた。トットムジカはエースの姿になるとバギーに向かって炎を放った。バギーはそれをまともに喰らってふっ飛んだが立ち上がった。

トットムジカはそれを見て大きく顔を歪ませるがその隙にルフィは詰め寄っていて腹に拳をめり込ませてふっ飛ばした。

 

バギーはルフィの横に来ると2人は目を合わせた。死ぬ程嫌いなのは変わりない、ムカつきが無くなることはない。けどそんな相手と組んででも助けたい。

 

トットムジカは負の感情そのもの。故にこのトットムジカの中に来るには信頼や敬意など絆がある者同士ではなく、そんなのを持っていない互いに相手が気に入らないという負の感情をぶつけられる者同士で無ければ、そしてウタウタの実の能力者がウタワールドを嫌ってなければ来れない。

 

全ては細い糸のように繋がっていた。

ウタがウタワールドを受け入れていたら無理だった。

ルフィがバギーを完全に認めていたら無理だった。

バギーがルフィを認めていたら無理だった。

ウタがバギーを心から愛したから出来た。

ルフィがウタを心から愛してるから出来た。

バギーがウタに海楼石を与え、そして“父親”になったから出来た。

 

今、この場でルフィとバギーの2人がトットムジカに立ち向き合っている事自体、ウタがルフィの“軌跡”を追い掛けた出来た“奇跡”的な確率の上に成り立っていた。

 

ルフィとバギーは互いに頷き合ってトットムジカに向かって走った。

トットムジカはロジャーとエースの姿があやふやになりつつも2人に対して炎を手に集めた。

 

「「どうして、貴様らはそんなにしぶとい!?」」

 

トットムジカは2人に対してロジャーの声とエースの声が重なった声を発しながら炎を放った。だがそんなのではもう2人を止められず、2人は炎の中から飛び出した。

 

先ず、最初にバギーの拳がトットムジカの顔面を捉えた。体を崩すトットムジカにルフィのアッパーが容赦なく捉えて伸びた体にバギーが蹴りを入れて体を沈めたトットムジカの頭をルフィは上から拳を振り下ろすもトットムジカは寸前の所でそれを避けた。だがバギーの拳が避けて無防備になった顔面を容赦なく殴り、ルフィの蹴りが追撃しふっ飛ばし、トットムジカは愛刀“エース”を落とした。

 

「「これで終わらせる!!・・・“炎帝”!!」

 

トットムジカはロジャーの姿なのかエースの姿なのか曖昧になりつつも炎の巨大な弾を作り出してルフィとバギーに向かって放った。ルフィは拳を大きく引きながら突き進み、バギーは愛刀“エース”を拾い上げて突き進んだ。

 

“炎帝”が放たれてルフィとバギーはそれに呑み込まれる。トットムジカはそれを見て笑った。今度こそ全て終わり、確実に仕留めたと確信したのだ。

 

「「今度こそくたばってろ!!」」

「「くたばってたまるか!!!!」」

「「何っ!?」」

 

炎帝で確かに仕留めたと思ったがルフィとバギーは飛び出してきた。トットムジカはルフィの腕に炎がバギーの腕には愛刀“エース”が握られてるのを確かに見た。

 

現実とウタワールドにいるトットムジカも突然と光を放ち、唸り声を上げ始めてシャンクスに詰め寄られていたシキはそっちに気が移ってしまった。見聞色の覇気を使わずとも唸り声を上げてるトットムジカを見て狼狽えた。

 

「馬鹿な!!何故だ、何故トットムジカが!!?」

「バギーに負けたな、シキ!!」

 

現実ではシキに向かってシャンクスがグリフォンを振るい、ウタワールドではバレットに向かってカタクリが腕を振るい、トットムジカの中では2人がそれを振るおうとしていた。

 

「「「「新時代の邪魔をするな!!!!」」」」

 

現実でウタワールドでトットムジカの中で4人の声は重なり、敵に向かって攻撃を当てた。シャンクスはシキにグリフォン、カタクリはバレットに斬切餅、そしてルフィとバギーはエースの炎とロジャーの愛刀をトットムジカに当ててふっ飛ばした。

 

「「ウタから出ていけ!!」」

「「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

トットムジカはロジャーとエースの声が重なった声を出しながらふっ飛ばされた。そして完全に倒れて動かなくなった。ルフィとバギーはそれに対して膝に手を付けて肩で息をしているとトットムジカの体から黒い音符が大量に現れて2人を呑み込んだ。

それはルフィとバギーだけでなく、別の場所でトットムジカに立ち向かったウタ達も黒い音符に呑み込まれてしまい、ウタとUTAは握っていた手を離してしまった。

 

「そんな!!?」

「お願い!!生きて!私の分まで生きて!!あいつに刃向かえて鎖も外れた・・・私はもうそれで本当に満足だから・・・」

 

ウタはUTAからの叫びを確かに聴いたが納得出来なかった。散々と利用されていてそれの仕返しがこれだけなんてあまりにもあんまりだと思った。

ウタは暗闇の中でまた1人になってしまった。出ようと思って藻掻いてもその場を動くことが出来ずにウタは段々と意識を失いつつあった。

 

「ウタ〜!!何処だ〜!!?」

 

バギーは暗闇の中でウタを呼んだ。だが分からなかった。どこに居るのかそもそも自分がどこに居るのかさえも分からずにいるのにバギーはウタを探していた。

 

「頼む・・・返事をしてくれ、お前は俺の“宝”だ!!」

 

バギーは心からそう本心を叫んだ。すると遠くの方で光ってる何かを見つけてバギーは暗闇の中で唯一見つけた光を追った。必死に走って走ってバギーは確かに光を・・・ウタが大切に身に着けてくれてる自分の夢・・・キャプテン・ジョンの“トレジャーマーク”のガラスが微かに光っているの見た。そしてそれを身に着けてい藻掻いて意識を失いつつあるウタも見つけた。

 

(出ないと・・・ここから・・・助けて・・・“お父さん”・・・)

「ウタ〜〜〜〜!!!」

 

ウタは薄れていく意識の中でまた“お父さん”と呼んだ。それはウタをずっと助けてくれた誰よりも弱いが誰よりも強い海賊だった。

そんな大切な人を思い浮かべてるとその人の声が聞こえてウタは手を伸ばした。そして確かに感じた。暖かい温もりを持った手に掴まれたとウタは理解した。

 

バギーは確りとウタの手を掴むと引っ張って抱き寄せた。ウタはゲホゲホと咳をしてから大きく息を吸うと涙を流してるバギーの顔を見た。

 

「おじ・・・さん・・・助けに来て・・・くれたの?」

「あぁ・・・当たり前だ・・・それからおじさんじゃねぇよ・・・“お父さん”って呼べ、バカ娘・・・」

 

バギーはそう優しく云うとウタを抱き締めた。最初は理解出来なかった。だが段々とバギーが言った言葉の意味を理解するとウタは嬉しくて少しずつ涙が出てきた。

 

無人島で共に過ごし、師弟になりぶつかり合って、お互いに大切な人になったウタとバキー。バギーとシャンクスが戦った時にウタはシャンクスへの怒りもあってそう呼び、それからはなし崩し的に“父娘”みたいになっていたそんな2人は今、本当に“父娘”になった。

 

「お父さん・・・ありがとう・・・」

「もっと感謝しやがれ・・・俺にも忌々しいが麦わらの野郎に・・・」

「ルフィ?・・・ねぇ、ルフィはどこに居るの?」

「・・・あっ!?」

 

バギーはウタを安心させる為にルフィの事を言ったがウタからの指摘を受けてバギーはルフィが居ないことを改めて理解した。

 

 

 

 

 

●▲●▲

ウタと逸れてしまったUTAは1人呆然となっていた。

 

「これで良いんだ・・・私は別にこれで良いんだ」

 

UTAはそう呟きながら蹲っていた。幼い頃にトットムジカでエレジアを滅ぼし、新時代を目指して起こしたライブで大勢に迷惑をかけた自分にはこれが相応しいとUTAはそう思っていた。

だがもうトットムジカと繋げられた鎖は存在しない。

UTAは立とうと思えば立てられた。だが既に心が完全に圧し折られていたUTAにはトットムジカに刃向かえた事だけで嬉しくそれ以上は求めてはいけないと殻に籠もっていた。

 

「これで良いのに・・・何でこんなに苦しいの・・・」

 

UTAの目からは涙がポロポロと零れ落ちていた。それはもっと自由になりたいと思っている本心の現れだったがUTAは立てなかった。

 

「私・・・何で生まれちゃったのかな?」

 

ボロボロのUTAはそんな事を呟いてしまった。罪悪感か苦しみかそれとも両方か、そんな呟きに反応するかのようにUTAの周りが突然と光り始めた。ただの暗闇から変わり始めてUTAは目を瞑り、咄嗟に顔を手で隠した。

段々と光が収まってきてUTAは目を開けると周りの景色はルフィと出会った場所“フーシャ村”になっていた。

 

「フーシャ村・・・懐か・・・しいな」

「ウタ〜!!見つけだぞ〜!!」

 

UTAは懐かしいフーシャ村の景色にそう呟いてると後ろから声が聞こえてきて振り向いた。後ろにはマキノの酒場があってその中から出てきたのはシャンクスの麦わら帽子を被ったルフィだった。そうバギーと逸れてしまったルフィはウタではなくUTAの方へ来ていたのだ。

 

「ルフィ・・・」

「見つけたぞウタ、良かった!!」

 

ルフィは座りながらこっちを向いてるUTAに手を伸ばした。

 

「ウタ、一緒に帰るぞ」

 

ルフィはUTAに笑顔を向けた。

UTAにとってそれは痛い程に眩しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・・後20分!!!!
































というわけでトットムジカ、シキ、バレットを何とかしましたがまだまだ終わりませんよ!!これからの流れがどうなるかは・・・後のお楽しみ!!

ルフィとバギーがトットムジカを撃破!!しかもルフィは炎の拳をバギーはロジャーの愛刀で・・・これ、エースとロジャーの登場を決めた時からやりたかったので出来て良かったです。まぁトットムジカがエースとロジャーの姿を真似るなんて悪質な方法も一緒に思いついてしまったのですが・・・笑笑笑

さて次回はまさかの対面を果たしてしまったルフィとUTAの話です!!



今話の曲は『HANDS UP』と宮野真守の『Zero to infinity』です。ここ10年くらいに生まれたウルトラマンの曲だと多分1番聴いてる曲です。


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あの場所へ/ヒカリノキズナ

お待たせしました!!
隔日投稿が出来て嬉しいです!!
そろそろ多分後2話すればラストバトルですので完結まで突っ走りたいです!!


UTAはかれこれ200年ぶりにルフィと対面した。UTAは数え切れないくらいルフィを見ていた。だが見たのは違う“世界”の自分と幸せそうな姿、夢を必死に追いかけてる姿、そして夢を叶えられず死ぬ姿など実に様々なルフィを遠くから見ていた。

全て、触れることも近づく事も出来ず、遠くから見るしか出来なかった幼馴染が近くにいてUTAは固まっていた。

 

「ん?どうしたんだウ・・・ウタじゃねぇ???」

 

ルフィはUTAがウタではないと気づいた。別に服が赤いからとかではなく、何となくの感覚だからだったが大いに当たっていた。

 

(やっぱり、分かるんだ)

 

UTAは首を傾げて悩み始めたルフィにそう思って少しホッとした。これで勘違いしたならそれはそれで鈍感だと思ったからだが、幼い時から意外に鋭いルフィのままでUTAは懐かしい感覚に少し感慨深くなった。

 

「そうだよ・・・私はル・・・あなたのウタじゃないの」

「・・・あぁ!エースが言ってた・・・えっと・・・兎に角ウタだけどウタじゃねぇのは分かった!!」

「・・・ほら、こっちの“世界”の私の方に行きなよ」

 

UTAはそう言うとルフィは確かにと云うような顔つきで帽子をキチンと被り直したがUTAから目を離さなかった。

 

「な、なに?」

「お前はどうすんだ?一緒に出よう」

「・・・」

 

ルフィはそう言ってまた手を伸ばしたがUTAはそれを取らなかった。UTAはトットムジカに一矢報いれた。それだけでもう満足だと自分に言い聞かせていた。

 

(掴んじゃ駄目だ・・・コイツから早く出さないとルフィが今度は・・・そんなの駄目だ)

 

何故ならそれ以上を求めて今度はルフィが囚えられるのが嫌なのだ。今回、ルフィとバギーとウタという条件が揃った事で出来た事であり、ここからどうなるかUTAにも分からないのだ。

 

(私がここに居るのだって全部・・・私が悪いんだ・・・何もかも全部私が・・・)

 

UTAは心でそう自罰しながらルフィを出そうと決めていた。手を伸ばしてるルフィに対して早く見捨てさせる為にUTAは手を叩いた。

 

「ん?」

「私の事は放っといてよ・・・早く行きなって」

「そっか・・・やだ!」

「はぁ!?」

 

ルフィははっきりと拒絶した。UTAはそれに対してあんぐりと口を開けた。ルフィはそんな風に啞然となってるUTAの手を取って立たせようとした。

 

「ほら、行こうぜ」

「い、嫌だ!」

 

ルフィはそうやってUTAを引っ張るがズリズリと引きずってるような感じになった。しかもドンドンとルフィの腕が伸びていっていた。

 

「い、いや!離して!!」

「嫌だ!」

「離せって言ってるでしょ!?」

「嫌だ!!」

 

全然離してくれない強情なルフィにUTAは段々と色んな意味で泣きたくなってきた。ルフィの行動が分からないのだ。自分の“世界”でやったライブの時もネズキノコの影響があるかも知れないがルフィの行動がよく分からずそれでイライラして感情を抑えられなくなった。折角また久しぶりに違う“世界”だけどルフィと会えてもうこれ以上嬉しいことなどないと自分で思ってるのにまた喧嘩するのは嫌だったがこのままだと本当にルフィは連れて行くと思った。

そうなってまた迷惑をかけるのだけはもう嫌だった。

 

「離せって言ってるでしょ・・・バカルフィ!!」

 

UTAは目尻に涙を溜めながらそう叫んだ。するとルフィは手を離さなかったが止まってしゃがみUTAと目線を合わせた。

 

「お願いだからもう放っといてよ・・・お願いだから・・・」

「・・・嫌だ・・・こんな所に閉じこもるな」

「もうこれで良いんだから放っといてよ!!何で私に構うんだよ!?」

「・・・だってお前・・・泣いてんじゃねぇか・・・」

 

ルフィはそう優しく言いながらUTAの目尻に溜まってる涙を指で払った。そのルフィの行動に対してUTAは我慢していた物が溢れてきてドンドンと涙が出始めた。

 

「なんで・・・なんで・・・もう私は良いのに・・・なんで・・・」

「良くはねぇだろ」

「良いんだよ!!私みたいな奴は一生この中にいた方がいいんだ!!シャンクス達を信じられない、ルフィ達にも酷い事して・・・ファンもゴードンも皆裏切って、この中に閉じ込められて・・・違う“世界”を見た私が何を思ったか知りたい?」

「・・・あぁ、教えてくれ」

 

UTAは泣きながらルフィを睨むような目線を向けてそう言うとルフィは確りとUTAの目からは逃げずに頷いた。

 

「羨ましいって・・・何で私はって・・・どこの幸せそうな“世界”を見てもそう思うんだよ・・・それで不幸な“世界”を見ると自分だけじゃないんだって思っちゃう自分がいて・・・死ぬ程気持ち悪いんだよ・・・嫌で嫌で気持ち悪くて死にたいのに死ねないのが凄く苦しいんだよ・・・」

「ウタ・・・」

「触るな!!」

 

ルフィは泣いてるUTAを抱き締めようとしたがそれは拒絶されて握っていた手も払われた。UTAはグズグズになった顔をルフィに向けた。何回も涙を拭っても止まらないのでUTAはそのままルフィを安心させようと作り笑いを見せた。

 

「だから・・・もう放っといてよ・・・」

「嫌だ・・・そんなの聞いたら尚更だ」

「放っといてよ!!・・・私はもう・・・消えたいんだよ・・・地獄の底でもどこでも良いから・・・もう死にたいんだよ・・・」

「ウタ・・・」

「もう嫌だ・・・こんなに辛いなら・・・シャンクスに拾われたくなかった・・・生まれてくるんじゃなかった・・・」

「ウタ!」

 

ルフィはUTAの手を確りと掴んだ。UTAは振りほどこうと暴れた。

 

「止めて、離して!!」

 

暴れるUTAがどれだけ殴ってこようがが蹴ってこようが関係なくルフィは優しく抱き締めて、背中を擦って上げた。UTAはそこから伝わってくるルフィの優しさに対して泣くことしか出来なかった。

 

「うぅ、なんで・・・なんでよ・・・何であんたは見捨ててくれないのよ・・・」

「ウタ・・・今度は俺の話を聞いてくれよ・・・頼む」

「ぐすっ・・・なにぃ?」

「俺、ウタに初めて会って友達になった時、凄え嬉しかったんだ・・・初めての友達だから・・・ウタのする話はいつも楽しくて面白くて・・・聞いててワクワクして早く海に出たくて何時も羨ましかった」

「・・・ルフィ・・・」

「生まれてくるんじゃなかったなんて言うなよ・・・言わないでくれよ・・・違う“世界”でも新時代は誓っただろ?」

「う、うん」

「俺は絶対に・・・お前を見捨てたりしない」

「ルフィ・・・でも・・・私、凄い酷い奴だし・・・」

「俺だって海賊だ。違う“世界”の俺は海賊じゃねぇのか?」

「ううん、海賊だった」

「シシシ、そうか!なら大丈夫だ!!海賊やってんなら・・・大丈夫だ!!」

 

ルフィの優しい言葉にUTAは顔を上げた。そこには優しく微笑んでくれてるルフィがいた。

 

「俺な・・・ウタとドレスローザで会って暫くした時に大喧嘩したんだ・・・」

「・・・知ってるよ・・・こっちの私の中で見てたから・・・」

「それでウタが俺を忘れた時に凄え後悔したんだ・・・戻ったけど、頭の中で何でこうなっちまったのかずっと考えてたんだ・・・」

「ルフィ・・・」

「シャンクスと大喧嘩した時に話したくねぇなら聞かねぇって決めたけど・・・喧嘩してでもぶつかれば良かったって・・・変に意地張ると後悔しかねぇ・・・」

「・・・」

 

ルフィはそこまで言うとUTAを一先ず離れさせて肩をしっかり掴んで目を合わせた。UTAはルフィの目から静かに涙が流れてるのが見えた。

 

「意地を張るな!!こんなに泣いてて良いわけないだろ!!」

「・・・それでも死にたいんだよ・・・死んで消えて何もかも終わりにしたいんだよ!!」

 

ルフィの叫びにUTAは叫びで返した。それはUTAが長年溜め込んでいたトットムジカから逃げる事も死ぬ事も出来なくなった事で生まれた本心だった。

ルフィはそれを確りと感じ取ってしまった。それが本心だと言うのもルフィは分かった。

だが、ここで諦めてさよならが出来るルフィではなかった。

 

「それで良いのかよ!?なんかやりてぇ事はねぇのか!!シャンクスと一緒に冒険してぇとかねぇのか!?」

「うぅ・・・聞きたくない聞きたくない!!」

 

ルフィの言葉をUTAは聞きたくなくて耳を塞いだ。聞いてしまったら生きたいと思う自分がまた生まれる。また迷惑をかけるとUTAは必死で考えないようにしていたがある事を思い出していた。

 

『いつの間にか、ルフィの方が背が高くなってたんだね。ーこれ、返すよ。私にとっても大事な帽子だから。いつかきっと、これがもっと似合う男になるんだぞ!』

 

それは自分の“世界”のルフィに最後に言った言葉だった。時間がなくて言いたい事が一杯あった中で1番言いたい事を言ったけどまだ言わなくちゃいけない事があった。

 

「ルフィ・・・ごめんなさい・・・」

「ウタ・・・」

「一杯酷いことしたのに・・・謝れてない・・・」

「そうか、それがやりてぇのか!!もっと大きな声で言え!!・・・ウタ!!」

 

UTAはこれを叫んでしまうとまた生きたいと思ってしまう事を直感した。そしてまた迷惑をかける事も・・・だが、止まれなかったし、もう止まりたくないと云う心もあった。

 

「ルフィに謝りたいよぉ〜!!会いたい・・・ルフィに会って・・・謝りたいよぉ〜・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

UTAがやりたい事、それは自分の“世界”のルフィに謝りたかった事だった。あの短い時間ではそれが出来ずにUTAの中では未練になっていた。だからUTAはそれがやりたくなった。

 

「そっか、ならここから出るぞ!!」

 

ルフィはUTAの叫びを聞いて立ち上がり笑って手を伸ばした。

 

「出来るか分かんねぇけど、こんな所じゃぜってぇ出来ねぇのは分かる!!一緒に出ようぜウタ!」

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

一方、現実では体の中から光と黒い音符が放たれてトットムジカが苦しんでいた。シキを倒したシャンクスはそれを睨みんでいるとシキの呻き声が聞こえていた。

 

「ロジャー・・・ロジャー・・・何処だ・・・逃げるな・・・」

 

シャンクスはそれを聞いてシキに目を向けた。ロジャーに勝てず、その強さを認めていたシキは20年以上経っても諦められなかった。

 

それは何もシキだけではない。

ウタワールドにいるバレットもまたロジャーに勝てなかった事で諦めきれず、ロジャー関係ではないがテゾーロもステラが死んだ事に対して苦しみを持っていた。

 

シキの呻き声にシャンクスは何を思えば良いのか困惑しているとトットムジカの腕が飛んできた。シャンクスはすぐに避けた。攻撃かと思ったが戻っていくトットムジカの手にシキが掴まれているのをシャンクスははっきり見るとトットムジカはシキを取り込んだ。

 

「あの化け物、何をやる気だ!?」

 

 

 

 

●▲●▲

「ルフィ・・・」

「一緒に行こうぜ、ウタ!」

 

伸ばしてくるルフィの手をUTAは掴みたくなったが、掴む勇気が出なかった。自分の事にもう巻き込みたくないという感情があったからだ。

それにUTAにはルフィには絶対に分からない物があった。それは違う不幸な結末になった“世界”の事で数えきれないくらいルフィを死んでるのを見てきたUTAはこれで巻き込んでこの“世界”のルフィが死ぬなんて事になるかも知れないと思った。

 

「でも・・・」

「どうした?」

「違う“世界”で死んじゃうルフィを一杯見てきた・・・死んじゃうかも・・・もうルフィの死ぬ所なんて見たくないよ・・・」

 

UTAの言葉にルフィは頬に手を当てて確りと目を合わせると笑顔を見せた。

 

「死なねぇよ・・・絶対に死なねぇ、約束する!!」

「でも、こいつに潰されちゃうかも・・・」

「シシシ、俺は潰されねぇよ・・・」

 

そうやって笑うルフィにUTAは何でか分からなかった。何でそこまで自信があるのかUTAには皆目検討が付かなかった。

 

「なんで・・・?」

「ゴムだから!」

「ゴム?・・・そう云えば悪魔の実・・・」

「あぁ!俺は“ゴムゴム”の実を食べた。“ゴム”人間だ!!」

 

ルフィはそう云うと少しUTAから離れて元気よく体を伸ばして叫んだ。

 

「俺はモンキー・D・ルフィ!!海賊王になってお前との新時代を叶える・・・フーシャ村の男だ!!」

 

ルフィの言葉には何も根拠なんかなかった。だかUTAはそれを聞くと何故か安心してしまう自分がいた。必死にルフィに対して何か言わなくてはいけないと思って言おうとするが涙が止まらず、上手く声が出ずにいるとルフィは手を伸ばして麦わら帽子をUTAに被せた。

 

「ほら、シャンクスの帽子だ・・・違う“世界”でも良い感じだろ?」

 

ルフィの言葉にUTAは泣きながら頷いた。そして頑張って「助けて」と言おうとした時にまた声が聞こえてきた。

 

[逃さんぞ、奴隷がぁ!!!]

 

それはUTAを長年苦しめてきた存在の声でルフィはすぐにUTAを守ろうと手を伸ばしたが地面から突然と現れた鍵盤の腕と黒い音符にUTAは包まれてしまった。

 

「ウタ〜!!!」

 

UTAは必死で手を伸ばすがルフィの手は掴めず、またトットムジカの中に取り込まれしまい、ルフィもまた黒い音符に包み込まれてしまってウタワールドに吐き出された。それはルフィだけでなく、違う場所にいたバギーとウタもまた現実世界へ吐き出された。

 

 

 

 

〇〇〇

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

バギーとウタは共に叫びながらトットムジカから吐き出された。そのまま危うく地面に激突してしまうかと思ったがクロコダイルが砂を操ってそれを防いだ。

 

「ぺっぺっ、クロちゃん、サンキュー!!」

「・・・はぁ」

 

馴れ馴れしく言ってくるバギーにクロコダイルは頭を抑えていた。

 

『ウタ!』

「えっ・・・み、皆ぁ!!来てくれたんだね!!」

 

ウタが無事に生きてる事にその場にいた赤髪海賊団の面々は同時に声を出した。ウタは皆が来てくれてしかもボロボロになってでも助けてくれていた事に嬉しくなっているとバギーがウタの頭を撫でた。

 

「ほらな、来るって言っただろ?」

「うん・・・ありがとう・・・お父さん」

「おう、もっと褒めやがれ!!」

 

撫でてくるバギーにはウタはそうお礼を云うと今度は叫びが聞こえてきた。

 

『何〜〜〜!!?ウタ、どういうことだ!?』

 

赤髪海賊団の面々がウタのバギーに対する“お父さん”呼びにショックを受けていた。しかもそれだけなら今までもあったがバギーが否定しなくなった事にさらなるショックを覚えていた。

 

「ウタ!!バギー!!」

「「シャンクス!!」」

 

そんな中でシャンクスがやってきた。無事に生きてるウタとバギーにシャンクスはホッとしているとバギーが顔をバラバラにして飛ばしてきた。

 

「あのジジイはどうした!?」

「無事に斬ってきたが、あの化け物が・・・」

「おい、何かおかしい・・・構えろ」

 

シキの事を聞いてくるバギーにシャンクスは答えようとしたがトットムジカにまた異変が起きてそれを見ていたミホークがそう言ってきた。

全員、トットムジカにウンザリしつつも構えるとトットムジカはまた()()()変身を見せ始めた。

 

 

 

 

 

●▲●▲

「離して、離して!!」

[離すものか・・・貴様は永遠に逃さん!!・・・奴隷が高望みをするな!!]

 

黒い音符で雁字搦めになってしまい逃げようとしているUTAにトットムジカはそう言って笑い声を上げつつ、同じように雁字搦めにしたシキを持ってきた。

 

[嬉しい誤算だが、この男の負の感情なら代用は出来る!!それだけじゃない、ウタワールドにいる合体する奴に黄金の奴、それから少し離れた所にいる男からも負の感情が出ている・・・全て取り込んでまた“世界”を渡ってやる!!]

 

トットムジカはそう叫びながらシキの頭にピアノ線のような細い糸を持ってきて少し刺した。するとそのピアノ線がシキの中から何か黒い物を吸い出していた。

 

[おお、素晴らしい・・・負の感情に溢れてる・・・最高だ♪♪]

 

トットムジカは悦に浸りながらそう言っていくが段々と様子がおかしくなり始めた。

 

[な、なんだ・・・これは・・・強い・・・あまりに強すぎる・・・]

 

それは負の感情の集合体であるトットムジカが困惑する程にシキの負の感情の原本たる支配欲が強すぎたのだ。困惑しているトットムジカがシキから吸い取るのを止めようとピアノ線を抜こうとしたがシキは目をカッと開けてそのピアノ線を掴んだ。

 

「ジハハハハハハハハハ!!少し予定とは違うがまぁこれもまた面白いが・・・俺から負の感情を取って電池にする気だっただろ?吸われたから分かるぜ・・・」

[なっ!?]

 

シキは笑いながらそう言った。トットムジカにはシキの感情が誰よりも分かったがそれはもはやトットムジカが知る人間の領域ではなかった。

それもその筈、ロジャー、白ひげ、カイドウ、ビッグマムとしのぎを削っていたシキは今でもなおその実力は健在であり、それと同時に4人には無いものがあった。

 

それは度を超えた“支配欲”。

 

シキ以外の4人には海賊をやる目的があった。ロジャーは世界をひっくり返す為、白ひげは家族、ビッグマムは同じ目線の世界、カイドウは暴力による平等な世界と4人にはそれぞれ明確なビジョンがあったがシキのそれは異質だった。何故ならシキの目的は大海賊以前の海賊が海を支配する時代にする事であり、そこから何かをしたいわけではない。

 

そうシキのその“夢”には終わりが存在していない。

故にそれに対する欲は誰よりも強く、負の感情が占めるそのシキの“支配欲”の強さはトットムジカも感じた事が無いほどドス黒く強かった。

 

「トットムジカ・・・俺の血肉となれ!!」

[や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!]

 

トットムジカがどういう原理で負の感情を取っていたのか理解するとシキはそこからわざと流してみた。というよりもトットムジカすらも支配したいという欲を出してみた。それはトットムジカにとっても想定外の負の感情であり、負の感情を糧に成長し強くなるトットムジカはシキが持つドス黒い感情に潰されてしまった。

 

「嘘、嘘でしょ・・・・」

 

UTAはありえない事を成し遂げたシキに戦慄した。もはや目の前にいる存在は人間ではない。怪物と云われるほどに強く伝説となった海賊そのものだった。

現実とウタワールドではトットムジカの姿が変わり始めた。鍵盤の足はシキと同じように剣になり、肩には舵輪が生えた。

 

『[ジハハハハハハハハハハ!!!遂に手に入れたぞ、トットムジカァ!!!!]』

 

最悪な事にシキはトットムジカすらも“支配”してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタ死亡まで・・・・後10分!!
























というわけでルフィとUTAの話が上手く行きそうだった時に邪魔をするトットムジカ・・・そう簡単に「助けて」と言わせてなるものか・・・更に事態は深刻な事にシキがまさかのトットムジカを乗っ取るという展開・・・実はこれ、シキをラスボスにする時から決めていた展開です。さてその影響でより厄介な事になりタイムリミットも近づいていく中でどうなるか・・

次回をお待ち下さい!!


この話の曲は『あの場所へ』とつるの剛士×DAIGO『ヒカリノキズナ』です。本当は歌詞回の予定でしたがそれは次回になると思います。それでは次回は久しぶりの歌詞回で今までに登場した曲の1つが歌われます!!
何が来るのかお楽しみに!!


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“ヒカリヘ”

お待たせしました。
結局、4日も掛かった・・・申し訳ございません。
あと、次回から決戦開始ですがどうやっても長くなるのは確定事項なので暫く間を開けながらやります。多分3日か4日更新・・・申し訳ございません。
それではどうぞ!!


ウタワールドでは光を出し始めたトットムジカに麦わらの一味の面々はどうなってしまうのかそれぞれ構えていて戦っていた音符の兵士達は消えてしまっていた。

 

「ルフィ・・・ウタ・・・」

「無事だよな?」

「俺達の船長を信じろ」

 

ルフィやウタの無事を信じつつ待つ面々。するとトットムジカが暴れ始めて中からルフィとウタが宙に飛び出されてきた。

 

「ルフィ!!」

「ウタ!!」

 

2人はお互いの手を伸ばして繋ぎ、ルフィが風船をやってウタが地面にぶつからないようにし、ウタはポワンポワンとルフィの上を弾むも抱きついた。

 

「・・・ルフィ・・・ありがとう・・・」

「ウタ・・・」

「ルフィ!!ウタ!!」

 

抱きしめあってる2人に他の麦わらの一味の面々も声を掛けて近づいてきた。2人は皆に気づくと立ち上がった。ウタは巻き込んで迷惑をかけた事を謝った。

 

「皆、ごめんなさい」

「気にしなくて良いわよ」

「えぇ、友達ですもの」

「そうそう!」

「そうだよウタ、悪いのはアンタじゃない!」

 

ウタの言葉にナミ、ロビン、ヤマト、ブリュレの4人が即座に否定した。他の面々とそれにウンウンと頷いていた。何故なら友達であるウタがこんな事を自分からするような人間ではないのは全員知っていた。ウタは皆の優しさに涙を溢し始めていく中で轟音が全員の耳に響いた。

 

「な、なんだあれ!?」

「おい、あれを見ろ!!」

 

チョッパーとウソップの声に全員がウソップが指差した方を見るとそこにはトットムジカが変化していた。それはシキに乗っ取られた事により下半身には2つの剣が生えて、両肩には舵輪が生えてきた新しい姿だった。

 

『[ジハハハハハハハハハハ!!!遂に手に入れたぞ、トットムジカァ!!!!]』

 

全員に聞き覚えがある声がトットムジカから聞こえてきた。そして先程まで感じなかった威圧感も感じ始めて更にドンドンと強くなり、冷や汗が出始めた。

 

「シキ!!」

 

ルフィは細かい事はわからないが目の前のトットムジカがシキに乗っ取られたのを察した。それはルフィだけじゃなく皆もトットムジカから出たシキの声とこの忘れたくても忘れられない嫌な感じから察して構えた。

それは現実も同じでシャンクスや他の面々もその声を聴いて先に向こうが動く前に動いた。

 

「ウソップ!」

「ヤソップ!」

「「分かってる、胴体だ!!」」

 

ルフィとシャンクスはお互いに信頼してる狙撃手に指示を出すと2人は見聞色の覇気で繋がって同じ場所に狙いを定めて言うとルフィとシャンクスはそこに突っ込んでいった。

 

ルフィは瞬時にギア3の業火拳銃をシャンクスはグリフォンの斬撃を同じ場所にぶち込んだが効いてなかった。それは攻撃が弱いとかではなく本当に無意味だと云うような感じの様子でルフィとシャンクスはそれぞれ鍵盤の腕で吹き飛ばされた。

 

「なっ、確かに同じ場所を攻撃したぞ!?」

「どうなってやがる!?」

「ウソップ、もう一度だ!!」

「おい、場所は何処だ?」

 

ゾロが3本構えて突っ込み、現実でもミホークが夜を構えた。ウソップとヤソップはもう1度指示して頭を狙うように云うとゾロとミホークは斬撃を飛ばしたが効いてなかった。

それは誰がやっても同じだった。攻撃が同じ場所にぶつけても全く通じなくなり、鍵盤の腕で吹き飛ばしたり、脚の剣で斬撃を飛ばしてくる。

それはまさに魔王と呼ばれる存在そのものと言える程の大暴れっぷりだった。

 

 

〇〇〇

現実のエレジアの近海では海軍やNEO海軍がこの大暴れっぷりを観測して警戒していたが突然のトットムジカの変化に狼狽えていた。

 

「狼狽えるな!!我々はこのまま待機!!」

「急いで市民を乗せた船はこの場から離れろ!!」

「他の軍艦はやつに警戒するんじゃ!!」

『はっ!!』

 

センゴク、おつる、ガープの3人がそれぞれ指示を出していてゼファーも自分のNEO海軍に指示を出して一同は市民を避難させる一団とトットムジカに警戒する一団に分かれた。

 

「なんだあれは?」

「シキの声が聴こえたけどヤツかい?」

「アイツもしつこいのう」

「今に始まった事じゃねぇだろ」

 

それぞれそんな風に警戒していく中で一隻の船が海軍の一団にエレジアから近づいてきた。それはバギーをさっさと見捨てたMr.3の一行でゴードンの近くにいるリッチーもさっさと見捨て何とか4人でビックトップ号を動かしていた。船の中には一応自分達のクロスギルドの社員も大勢いたがウタワールドに心が行ってるので役に立たなかった。

 

「げっ!?」

「ヤバいガネ!!」

「不味い!!」

「どうしよう!?」

 

すぐにMr.3達は船を停泊させた。こうしてエレジア近海で変な状況が起きていた。

 

 

 

〇△〇△

現実でもウタワールドでもシキが暴れている中でウタは何も出来なかった。自分の能力はあくまでもウタワールドで何とかするだけで現実でも暴れているシキに何も出来ずにいた。

 

『[ジハハハハハハハ!!こいつは最高だ!!俺の心と体が現実にあるせいか、てめぇらの同時攻撃も無意味!!けどトットムジカの特性もあってそもそもの攻撃も無意味!!まさに最強の力だ!!]』

 

シキはそう上機嫌になりながら叫んだ。シキの言葉にルフィやシャンクス達だけではない、クロコダイルやミホークに合流してきたMr.1。バレットを撃破したカタクリ達も参加して攻撃を仕掛けていたが全く効果はなかった。

 

全てを文字通りなぎ倒してふっ飛ばして行く中でシキは現実でもウタワールドでもウタを見た。

 

『[お前には本当に感謝してるぜ!!この俺の新時代を作る助けをしてくれたからな!!]』

「誰があんたなんか・・・!アタシは皆を・・・」

『[皆をなんだ?幸せにするってか?・・・そうかならはっきり言ってやる・・・この俺を幸せにしてくれてありがとうな!・・・後数分の命だが薬で苦しむよりも先に楽に死なせてやる]』

 

シキはそう最後にウタに対して言って鍵盤の腕で潰してやろうとした。ウタは咄嗟に蹲って身を守ろうと来る衝撃に目を瞑った。しかし、衝撃は何時までも来ず恐る恐る目を開けるとウタワールドでルフィとカタクリがそれを防ぎ、現実ではシャンクスが防いでバギーはウタを守ろうと自分の体で覆っていた。

 

「ルフィ・・・カタクリ・・・シャンクス・・・お父さん・・・」

『[まだ足掻くか・・・]』

「「「「当たり前だ!!」」」」

 

4人の叫びが重なった。全員、ウタを死なせたくないし、シキにこれ以上好き勝手させたくもない。ルフィとカタクリ、シャンクスはそこからシキに向かって突っ込んでいく中でバギーはウタと向き合っていた。

 

「ウタ、しっかりしろ!」

「お父さん」

「お前は死なねぇ、死なせねぇ!!やっとシャンクス達と会ったんだ、それにドレスローザで言ってたろ!?最後の曲だけでも聞けって!?まだ聞かせてねぇだろ!!!諦めんな!!」

 

ウタはドレスローザでシャンクスに泣きながら訴えた事をバギーに言われた。そうウタはその為にも頑張ってきた。12年間の答えもあったがシャンクス達に聴いてほしくて頑張っていたのだ。

 

『[ジハハハハハハ!!後数分しか命のねぇ小娘を守って何になる!?とっとと全員死ねぇ!!]』

 

現実世界のシキはシャンクスと戦いつつ、そう叫びながらウタを攻撃してきたがバギーがウタを連れてそれを避けた。

 

「数分しかねぇからなんだ!?曲一曲分ありゃ充分だ!!その間にてめぇをぶっ飛ばして何とかしてやらぁ!!」

 

バギーはもはやヤケクソ気味にシキに向かってそう叫ぶとウタはその事に気づいたのか現実でもウタワールドでも立ち上がった。

 

「ウタ、お前・・・」

「そうだよね、まだ一曲分の時間はあるんだ・・・やるだけやってやらないと・・・」

 

ウタの言葉にバギーは何を言ってるのかいまいち分からなかったが立ち上がってウタの前に立って、シキにぶっ飛ばされたシャンクス。ウタワールドではルフィとカタクリもウタの前に飛ばされたがすぐに立ち上がった。

 

「ルフィ!カタクリ!シャンクス!お父さん!」

 

ウタは両方の世界で4人に向かって覚悟を決めたのか呼ぶと4人は顔を向けた。

 

「・・・アタシを・・・信じて・・・」

「「「「勿論だ!!」」」」

 

ウタの短い言葉に詳しい説明なんて4人には要らなかった。何をやろうとしてるのかやりたいのかは詳しくは分からない。だがその覚悟を宿した目を見ると4人はウタを守る為に構えてウタも構えた。

 

(あの時、万国での事を思い出せ・・・なるんだ、もっと自由に・・・別の“世界”じゃなくてこの“世界”でも・・・お父さんみたいに“自由”に能力を・・・)

『[何をやろうと無駄だ!!]』

「無駄じゃねぇ!!」

 

シキは決意を固めてるウタの心を折ろうと言ってくるがバギーがすぐにそう叫んでウタの方を見た。

 

「ウタ・・・前に言ってきたな?自由に能力を使える俺が羨ましいって・・・また言ってやる・・・お前も出来る・・・俺の・・・“娘”なんだろ?」

「・・・お父さん・・・」

「俺よりもいい親してるな・・・バギー・・・」

 

バギーは優しくウタにそう云うと隣でシャンクスが何か言いたそうな顔つきで呼んできたがバギーは睨みで返してウタの方を向くように目線で訴えるとシャンクスもウタの方を見た。

 

「シャンクス・・・」

「・・・ウタ・・・一曲、派手なの頼むぜ!!」

「・・・任せてよ・・・“お父さん”!!」

 

シャンクスは気の利いた事を言えなかった。なのでそう頼むとウタは笑顔でシャンクスに答えた。

もうウタに迷いなど何一つなく、自身を込めて人生最後の曲になろうとも死んでも歌い上げると覚悟して『ヒカリヘ』を・・・自分が前に進もうと決めた曲を歌い始めた。。

 

『[何をしようが全て終わらせてやる!!]』

「「「「そうはさせるか!!!!」」」」

 

シキの鍵盤の腕の攻撃はルフィとカタクリは共に抑えてシャンクスとバギーはシャンクスだけがそれを防いでバギーはシキの顔面にマギー玉を当てていた。

 

「“僕は今さがしはじめた♪水しぶきあげて果てしなく続く世界へ♪あふれ出す情熱を胸に♪どこまでも行くよ♪まだ見ぬヒカリ 求め〜♪”」

 

するとウタの背中に黄金の翼が現実でもウタワールドでも関係なく生えてきた。

 

「“夏色太陽がココロの帆をゆらせば♪あたらしい世界への扉を開く合図♪”」

 

今度はウタの服装が『私は最強』を歌ってる時のようにレオタードで四肢には黄金の甲冑を装着し始めた。

 

「“波間にゆれてる絶望を抜けて♪水平線の向こう側 目指して♪”」

 

ウタの黄金の翼が1回羽ばたくと黄金の羽根が辺り一面に飛び散った。

 

「“僕は今さがしはじめた♪水しぶきあげて果てしなく続く世界へ♪あふれ出す情熱を胸に♪どこまでも行くよ♪まだ見ぬヒカリ 求め〜♪”」

 

その羽根はウタワールドへ行ってしまった者達の中へと消えていくとウタワールドではその者達がぬいぐるみだろうが人の姿だろうがドンドンと消え始めて現実で起き始めていた。

 

「“きまりきった毎日とありふれた雲の流れ♪君にも映ってる 知るはずのない未来♪変わらない事で傷つかなくてもそれじゃ夢も希望さえもない さぁ行こう♪”」

 

今度は現実世界でウタの周りに黄金の音符が出てくる。シキは今度こそ止めようとシャンクスの隙を付いてウタを攻撃してくるがウタの周りにバリアが張られて防がれた。それはウタワールドから起きてこれたバルトロメオのバリアだった。自分の方を向いてくるウタにバルトロメオはへへっと笑みで返してウタも笑みで返した。

 

「“僕はなぜ 探してるんだろう 何がほしいんだろう♪答えはきっとその先に 動き出す世界へ ココロして行くよ♪まだ見ぬチカラ秘めて♪」

 

ドンドンとバリアの周りに起きてきた麦わら大船団の代表達がウタを守るように取囲んでいく。

 

「“僕はなぜさがしてるんだろう♪なにがほしいんだろう♪まだ見ぬタカラはどこに〜♪”」

 

すると今度は麦わらの一味にイワンコフと赤髪海賊団にクロコダイルとミホーク、Mr.1がその前に立って構えた。

 

「“あふれ出す情熱を胸にどこまでいける?”」

 

ハンコック、コアラ、キラー、ロー、ベポ、ブリュレが起きてきてシキに向かって構えた。

 

「“わからないけれど”」

 

シキは全員纏めて吹き飛ばそうと体の周りに黒い音符を出現させて飛ばしたがそれを当たらなかった。何故なら起きてきたルフィとカタクリに全て殴り落とされたからだ。

 

「“僕は今さがしはじめた♪水しぶきあげて果てしなく続く世界へ♪あふれ出す情熱を胸にどこまでも行くよ♪まだ見ぬヒカリを求め〜その向こうへ♪”」

『[貴様ら〜!!!]』

 

ウタは全てを歌いきった。それは確かに完璧に成功した。自らの意志でウタワールドを閉じて現実でも効果が出るように・・・そうウタはこの土壇場で“覚醒”したのだ。

 

『お前を絶対にぶっ飛ばす!!』

 

それは誰が先に言ったのかは分からないがその場でシキと対面していた者達全員がそう叫んだ。

 

「ぐふっ!?」

 

ウタも一緒に叫ぶが血を吐き出した。遂に薬の効果が顕著に現れ始めたのだ。このままではウタは死んでしまう。

 

「「「「ウタ!?」」」」

「任せろ、“ROOM”スキャン」

 

だが、ぬいぐるみから解放されたローはウタの後ろに来るとスキャンでウタの毒を含めた色々を調べた。

 

「?・・・これは・・・」

「ガハッ!!」

「トラ男!!」

「今はいいな・・・行くぞ歌姫屋・・・激痛に堪えろよ?」

 

その言葉にウタは力なく頷くとローは鬼哭にK・ROOMをしてウタの腕に刺した。それに一同ビビるが痛みのないウタは首を傾げてローは完全に無視して毒を摘出した。

 

「“排出(エンスツラード)!!」

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ローはそう叫びながら鬼哭を抜くとそこからピンク色の薬が出てきた。オペオペの実の能力によって排出されたのだ。

痛みで腕を抑えるウタだが軈て傷口は綺麗に無くなってローはこれで無事なのでホッとしてるとルフィがウタに駆け寄ってローを見た。

 

「安心しろもう毒はねぇ」

「トラ男・・・」

「トラ男君・・・」

「歌姫屋、これでサインと音貝の貸しは返したからな」

 

ローはウタにそう言った。そうローはウタにゾウに行く前に色々とハートの海賊団の面々に渡す為に貰ったサインと音貝の借りを返しただけだった。

 

「キャプテン最高だよ〜!!」

「やめろベポ、引っ付くな!!」

「ウタ、無事か!?」

「うん、皆安心して!!ルフィの友達のトラ男君のお陰で何とかなったよ!!」

「友達じゃねぇ!!」

『えっ!?違うのか!?』

「お前らもノるな!!!」

 

シャンクスの言葉にウタは無事だとシャンクスやバギー、赤髪海賊団や他の皆に言う中で又もやルフィの友達呼ばわりされたローがキレたが、それに麦わらの一味の面々が首を傾げてまたツッコミを入れた。

 

『[駄弁ってんじゃねぇぞ!貴様ら!!]』

 

シキはウタが生きてしまい、尚且つルフィ達も現実世界にやってきた事は大誤算過ぎたがフワフワの実の力でシキはエレジア全土を浮かせた。

 

「なっ!?」

「な、なんだべ!?」

「まさかエレジアを!?」

『[全員、吹っ飛べ!!]』

 

シキはそう叫びながら浮かび上がったエレジアを激しく回して全員をふっ飛ばした。すぐにそれぞれが何とか各々対応していく中でウタは空を飛びながら飛ばされて叫びを上げてるバギーの手を掴んだ。

 

「お父さん!!」

「ウタ!!」

 

ウタはそのまま何とか姿勢を制御したがそこにシキが音符を発射してきて2人をふっ飛ばした。

 

「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

2人はそのふっ飛ばされて海に落ちるかと思われたがその先にはエレジア近海まで先に逃げていたMr.3達の乗っていたビックトップ号があった。

 

「ガウ!!」

「リッチー君、凄いぞ!!」

「「「「ナイスだリッチー!!」」」」

 

先にビックトップ号まで飛ばれていたリッチーは2人を無事にキャッチして一緒に飛ばされていたゴードンは喜び、先に逃げていた4人はゴマをするようにそれに対して拍手をしていた。

 

「痛え〜、ってお前ら!!何でここに!?」

「あ、船長それは・・・」

「おじさん、あの変態親父がこっちに!?」

「なんだと!?」

 

ウタの指摘を受けたバギーがカバジ達を問い詰める前に飛んできたシキに驚いて狼狽えるとシキに砲弾が命中した。

それは先程までビックトップ号を睨んでいた海軍の軍艦による砲弾だった。

シキはそれを受けるとすぐに海軍の方へ狙いを定めて手始めに2隻の軍艦を浮かしてから落とした。

 

「皆、無事か!?」

「怪我人はいないか!?」

 

慌ただしく動いて被害を確認するガープ達。シキはそんな自分と同じ世代の4人の海兵を見ると鍵盤の手を伸ばした。

 

『[もっとだ・・・もっと力を!!]』

「なんじゃ!?」

 

シキが鍵盤の手を伸ばした相手は・・・ガープだった。ガープはすぐさま迎撃しようと拳を引いたがシキはフワフワの実を操って乗ってくる軍艦を大きく揺らすとガープの体は大きく揺れてしまった。

 

「しまっ・・・!?」

『[お前もだ・・・ガープ!!]』

「ガープ!!!」

 

シキの鍵盤の手が捕まえようとしたその時、ゼファーが咄嗟にガープを弾いて身代わりになった。

 

「ゼファー!!!」

「ぐぉぉぉぉぉ!?」

 

ガープは手を伸ばし、ゼファーは咄嗟にスマッシャーで鍵盤の腕を殴ろうとしたがそれよりも前にトットムジカの中に取り込まれてしまった。それだけではない。シキは他の腕に敗れたバレットとテゾーロも掴んでいた。

 

「ロジャー・・・ロジャー・・・」

「ステラ・・・」

 

敗れた2人はそれぞれそううめき声を上げていた。劣等感も寂しさもまた負の感情。シキはそんな呻いてる2人も取り込むと空に飛び上がり雲の中に消えていった。

 

「ジジイ、まだなんかやる気かよ!?」

「もう本当に勘弁してよ!!」

「ウタ〜!!」

「バギー!!」

 

ウタとバギーがシキの行動に本気でうんざりしてるとそこにサニー号やレッドフォース号がやってきてビックトップ号に乗っている2人に向かって叫んだ。

 

「ルフィ!」

「シャンクス!」

 

呼んでる2人に気づくいてそっちを向くとそこにはルフィ達だけじゃなくて麦わら大船団の船や九蛇の船もあった。九蛇の船にはレイリーやシャッキー、それにカタクリと抱えられたアナナに加えてキラー、コアラ、ロー、ベポ、ブリュレもいた。

 

ルフィ、シャンクス、カタクリ、キラー、コアラ、ロー、ブリュレ、ハンコックはバギーやウタが乗ってるビックトップ号へ飛んできた。

 

「「ウタ、無事か!?」」

「げぇ!?麦わらにシャンクス、なに人の船に来てやがる!?」

「そんな事を言ってる場合か“千両道化”」

「全く本当に煩い赤っ鼻じゃのう」

「コアラ、ブリュレ!!」

「ウタちゃんその・・・」

「細かい話は後だよウタ!」

「キャプテン、何か変な音が煩いよ・・・」

「ファッファッファッ、音の原因はすぐに分かるな」

「あぁ、殺戮屋・・・あれしかねぇ」

 

耳の良いベポが耳を塞ぎながらそう言うとキラーとローは何なのか分かった。シキが入っていった雲が突然と黒くなり、空を覆って雷がなり始めた。

 

「ルフィ、ウタちゃん!?それに赤髪じゃと!?」

「げぇっ、何でじいちゃんが!?」

「何で居るんだ?!」

「おい、ガープ!!今はゼファーの事だ!」

「そうだよ孫バカ爺!!」

「わかっとるわい!!」

「センゴクにおつるも居るのかよ・・・」

 

ガープが近くの軍艦からルフィとウタに気づいて叫ぶと近くにいたシャンクスにも気づいた。センゴクやおつるはシキよりも孫の方に気を取られるかも知れないと思って止めていてバギーはそんな伝説級の海兵が揃ってる事に冷や汗をかいてると空から特大の雷が鳴り響いて船に乗っていた者達は全員そっちを見るとそこにはトットムジカを乗っ取ったシキが周りにエレジアの大地を浮かべたまま飛んでいた。

するとその体にまた変化が起こった。

体から生えてる鍵盤の4本の腕が変わり始めて1つには大量の瓦礫がくっついて、1つには大量の黄金の鎧を装着し、1つはゼファーの付けていたスマッシャーに変化して、1つには笛やハーブなど大量の楽器を生やしてそれぞれに合わせるように全ての腕がゴツくなるとその胸には5つの発光体が出てきた。

それには金、赤、青、緑、紫の光を放っていてその中の金以外にはUTA、バレット、テゾーロ、ゼファーが意識を失った状態で拘束されていた。

 

そうシキはトットムジカだけでなく、他の3人も取り込み、トットムジカを起動する為に必要なUTAと一緒に拘束したのだ。

 

『[ジハハハハハハハ!!これで俺は最強だ・・・全てを“支配”してやる・・・俺の“新時代”の幕開けだ!!]』

「「ふざけんな!!」」

 

空からそう叫ぶとルフィとウタがシキに向かって怒鳴り返した。シキは下にいる船団のビックトップ号に乗ってる9人を見た。

 

「「こっからは(俺/アタシ)の“新時代”だ!!」」

『[上等だ・・・全員、纏めて潰してやる!!・・・・掛かってこい!!!]』

 

ルフィ達の啖呵にシキもそうはっきりと返すとウタは指を鳴らした。するとビックトップ号の上に乗っていた9人の服装が変わってオレンジを基調とした“派手”な服装に変わった。ウタ自身も白のレオタードに所々オレンジ色の波のようなデザインが入った。

 

「おい、ウタ。お前がやったのか!?」

「そうだよルフィ!」

「やるじゃねぇかウタ!」

 

服装が変わった事で驚くルフィにウタが自在に能力を操ってる事を褒めるバギー。ウタはそんなバギーに笑顔を向けた。

 

「うん、お父さんをイメージしたんだよ!!」

「そうか、派手で良いじゃねぇか!!」

 

ウタの言葉にバギーは嬉しくて笑い、ウタはシキに立ち向かう気分の盛り上がる服になったのもあって構えようとするとルフィとシャンクスが何処か泣きそうになっていてハンコックも露骨に顔を歪めていた。

 

「ってどうしたの!?」

「ウタ・・・俺この服嫌だ・・・」

「何だろう・・・すげぇ悲しい・・・」

「すぐに変えて欲しいのじゃが?」

「そんな事言ってる場合か」

「そうだよ!」

「すぐに構えろ!!」

「「「ファンとしてこれ以上の喜びなし!!!」」」

 

そんなカタクリとブリュレにローがツッコミ、熱狂的なファンであるコアラとキラーとベポは揃って絶賛していた。

ルフィとシャンクスにハンコックは確かにこれ以上言い争ってもしょうがないのでさっさと終らせるために構えた。

 

「チクショー、さっさと終わらせてやる!!行くぞウタ、シャンクス!!・・・上がれ心臓の音!!」

「うん、ド派手にね・・・上がれ魂の旋律!!」

 

ルフィは腰を落として腕を下に付けるとウタもそれを真似した。首を傾げつつ見てくるルフィにウタは「真似した」と舌を出しながら笑って言うとルフィは段々と上がってくる心臓の音と共に服や髪が白くなってきて笑い始めた。

 

シャンクスとバギーは互いに顔を見合わせてそれぞれ2人の横に並んだ。シャンクスはルフィの横へ、バギーはウタの横へ、ハンコックはバギーの横へ、カタクリはシャンクスの横へ、コアラはハンコックの横へ、ローはカタクリの横へ、ブリュレはコアラの横へ、ベポはローの横へ、キラーはベポの横へ来て1列に並んだ。

それだけでなく、それぞれの船にいる面々や海軍もシキを見て大砲やら武器を構えていた。

 

「行くぞ、てめぇら“新時代大作戦”じゃ!!!」

『おう!!』

 

バギーの掛け声に全員がそう返した。

 

『って、何でお前が仕切ってんだ!!?』

 

そしてウタとシャンクス以外の全員がそれに対してツッコミを入れた。

こうして“新時代”を巡る最後の世界を掛けた“海戦”が始まった。
















というわけで次回から遂に大決戦。
の前にシキがバレットに加えてテゾーロとゼファーを取り込むさらなる強化を果たしました・・・この爺さんはもう止まらねぇな・・・しかもまだ色々と出す気ですのでこの魔王を潰すのはルフィ、ウタ、シャンクス、バギー、カタクリ、ハンコック、ロー、ブリュレ、キラー、ベポ、コアラを中心とした面々。
因みに他の面々にも活躍の場は当然あります。

そしてウタの毒はローが何とかしました・・・この為にベポとキラーが(ゾウでローがウタから貰った)音貝でワノ国の宴の時に仲良くなった一幕があったので良かった良かった・・・後はぶっ飛ばすだけです。

ウタも遂に覚醒してこれから大暴れの手始めに服装チェンジ・・・REDでは黒を貴重としたパンクロックな感じでしたがここではオレンジを貴重とした派手な服だと思って下さい。また私は服のセンスがゼロですのでどんな派手な感じになったのかは悪いですが書けません。センスが無いんで“派手な服”としか言えません。

そしてそれに対して悲しみ嫌がるルフィとハンコックに心に違う意味でダメージを負ってるシャンクスwww

これから暴れさせるからそっちで発散してね!!

最後に今まで出してきた曲の中で歌詞を出して出てきたのは『ヒカリヘ』です!!この曲、最初は単純に状況に合うから選んだ感じなのに気がつけば『“軌跡”的な世界』の主題歌みたいな感じになっちゃった。

それでは次回から始まるシキとの決戦も盛って盛って盛りまくりますので気長にお待ち下さい。

次回もよろしくお願いします。

追記
すみません。テゾーロの台詞でとんでもねぇ間違いがあったので直しておきました。マジで俺の馬鹿!!


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ウィーゴー/情熱〜We are brothers〜

皆様、遅れて申し訳ございませんでした!!
色々とキャラが多いので情報を整理しながら書いてたらまさかここまで遅くなるとは・・・ごめんなさい!!
それではどうぞ!!


シキは向かいあってる11人+大船団に海軍が相手でもビビってなかった。なぜならこのくらいの問題は過去で山ほどなんとかしてきた為に今更という感覚で寧ろ段々と笑みすら溢れてきた。

事はシンプル。

全員、ぶちのめして自分の理想の海賊が海を支配する世界に戻し世界を支配する事。それがシキの欲望だった。

 

『[全員、あの世に送ってやるよ]』

 

シキはそう笑いながら云うと大量の黒い音符を散布した。それは音符の兵士に変化して大船団に向かって行った。シキはそれを確認すると先ずは忌々しい奴らから狙いを始めた。

 

〘[先ずはあの麦わらに赤っ鼻、そして小娘に赤髪だ]〙

 

シキの優先順位は本当に邪魔ばかりしてきて鬱陶しいルフィ、バギーに絶望しなかったウタ。最後にシャンクスを兎に角殺したかった。

 

多くの音符の兵士がやって来る中でルフィはギア5になった。全身が白くなったお陰でルフィの服も白くなり、ルフィはバギーを模した服もこれだと意味がないので二重の意味で笑った。

 

「わ、ルフィが白くなった!」

「シシシ、良いだろ!?ってウタに羽が生えた〜!?」

 

自分が白くなった事にビックリしてるウタにルフィは笑みを向けるとウタの背中には黄金の羽が生えていた。ウタは目ん玉を飛び出してるルフィに微笑み、一緒にやって来る音符の兵士達を見た。

そしてその横ではバギーとシャンクスが色々と複雑そうにそれを見ていた。

 

「バギー、なんか俺辛い・・・」

「言うなバカ・・・前よりもハデに悲しい・・・」

 

ルフィとウタの関係を間近で始めて見たシャンクスは心にグサッと来ていてバギーは父親になると決めた途端、今までよりもより心に来ていた。

そんな中でバギーはウタに近寄って脚を渡した。

 

「ウタ、これを持ってろ」

「あ、そうだね!お父さん一人じゃ飛べないもんね」

 

バギーはバラバラにした自分の脚をウタに渡すとウタはそれを腰付近にくっつけた。

ルフィとシャンクスは仲のいい父娘の2人を見てムスッとしていた。

 

「来るぞ!」

「ファッファッ・・・構えろ!!」

 

ローとキラーが兵士が来ると云うと11人と大船団は戦闘を始める中でまずシキに突っ込んでいったのはルフィとカタクリだった。

 

「シキぃ~!!!」

「合わせろ!!」

 

ルフィとカタクリは巨大な拳を作って武装色で硬化すると思いっきりシキに向かって放つがシキは浮かんだエレジアの大地を盾にしてそれを防いだ。

 

『[ジハハハハハ!!効くかぁ!!]』

 

シキは笑って新しく出来たスマッシャーでルフィとカタクリをふっ飛ばそうと豪快に振るった。

 

「“ROOM”・・・シャンブルズ」

『[ぬぅ!?]』

 

だがローが当たる前にシャンブルズで位置を換えて2人を別の場所に移動させるとキラーと共にシキの頭上まで来た。

 

「合わせろ殺戮屋」

「ファッファッファッわかった!!」

 

ローは鬼哭にK・ROOMを加えて伸ばして刺そうとし、キラーはパニッシャーを回転させて突っ込んだ。だがシキは体中から大量の音符を出してそれをふっ飛ばした。2人はそれで特にダメージは負ってなかったが下は海なのでローはキラーと共にシャンブルズをしながら他の船まで飛ばされた。

 

そんな中で飛んでくる者達がいた。

ウタにバギーだ。

2人は両手をシキに向かって構えた。

 

「行くよお父さん!!」

「ハデに行くぞ!!」

 

バギーはマギーバルカンでマギー玉をシキに向かって発射した。シキはそんな今まで殆ど当たってない物が当たるわけないだろと呆れも入っていたがウタが両手から出した音符がそれを呑み込むと今までにない速度と動きで飛んできた。

 

『[何!?]』

 

シキは音符でそれを迎撃し始めるがウタの操る音符はそれらを粗方避けてシキの体に刺さった。すると中のマギー玉が大爆発した。

 

『[ぐぉぉぉぉ!!]』

「よっしゃ!!どうだジジイ!!」

「名付けて“爆音大サーカス”!!」

 

シキはそうやって笑ってる2人に対して瓦礫がくっついてる腕にエレジアの大地をくっつけさせて鋭く尖った槍のようにすると刺し殺そうと容赦なく2人に振るってきた。

 

だが、それは下から飛んできたシャンクスのグリフォンによる一閃で斬り裂かれた。シキは舌打ちをして次は黄金の腕の方で3人を叩きと落とそうとするとウタが甲冑をしている自分の手を叩いて鳴らした。パンっという音とシンバルのような音が聴こえてくるとシキの頭上に巨大な鏡が現れてそこからハンコック、コアラ、ベポがブリュレの能力を通じて鏡から出てきた。

 

シキはそのデタラメな能力に目を疑った。

ウタウタの実は夢という名の別“世界”を作り出す能力。そしてその“世界”で自由自在になる能力が覚醒したのだ。それは文字通りこの“世界”で自由自在になるのと同義だった。

 

「芳香脚!!」

「魚人空手 二千枚瓦回し蹴り!!」

「喰らえ!!」

『[ぐぅ!!!]』

 

ハンコックとコアラは回転しながらシキの頭に思いっきり蹴りをベポは電撃を纏った拳をかました。するとシキはそのまま少し落ちて下がるもすぐに止まった。

すぐに体勢を立て直そうとするシキだが突然と自分の横にまた鏡が出てくるとそこからルフィとカタクリが出てきて腕を伸ばしてグルグルと巻き付けた。

 

『[舐めるなガキ共!!]』

 

2人はそのまま投げて浮かんでるエレジアの大地にぶつけようとしたがシキは巻き付かれたまま飛んで何とかしようとしたが目の前に飛んできたウタがぐるぐると腕を回していた。

 

「“プレスト”!!」

 

ウタはそう叫びながら腕をシキに突きつけるとそれはルフィやカタクリのように速く鋭くそして大きくなってシキの顔面を殴った。

 

「「うぉぉぉぉぉぉ!!!」」

 

ルフィとカタクリはこの隙を逃さずにシキをエレジアの大地に向かって放り投げた。シキは大きなクレーターが出来る程の衝撃を受けたがすぐにまた飛んで3人に向かって黄金の腕を向けた。

 

『[黄金の神の火(ゴオン・フォーコ・ディ・ディオ)!!]』

 

テゾーロのゴルゴルの実の能力でシキは黄金のレーザーを3人に向けて放った。それだけではなく楽器が生えてる腕も向けてそこから黒い音符も加えて発射した。ウタはまた鏡を創造すると3人はその中に入ってすぐに逃げた。

 

「“ROOM”タクト・・・シャンブルズ!!」

『[やられるかバカが!!]』

「バカはお前だ!!」

 

ローは光速で飛んでいったレーザーは無理だが音符をタクトで操ったエレジアの大地の少しと音符の位置を替えてシキに向かって放ったが自分で出した音符にやられる程マヌケではないのですぐに消した。だがそれはブラフで本当はそれと同時に動いていたキラーをシキの背中に連れてくるのが狙いだった。

 

「鎌阿音撃!!」

『[がァァァァァァァ!?]』

 

内部に斬撃を通すキラーの攻撃にシキは思いっきり食らうと体をすぐに回転させてキラーを殴り飛ばした。

 

「ゴムゴムの風船!!」

 

キラーはビックトップ号まで飛ばされて来るがルフィが風船をやって受けて止めてくれたので何とかなった。

 

「ファッファッファッすまない麦わら!」

「アヒャヒャヒャ、気にすんな!」

 

笑いしか出来ないキラーとギア5になって笑いが多くなってるルフィは笑いながらやっていた。

11人は空で暴れてるシキをどうするかまた睨んでいた。

 

「内部への攻撃は効くようだな」

「外からも効いておる」

「ウタワールドは閉じてるからトットムジカのその特性も封じたんだ」

 

シキに攻撃が通じてるなら話は早かった。

バギーは本来こう言った時には逃げるを迷わずに選ぶが肝心のウタが逃げないので逃げない。だからウタに脚を渡したし、ウタと攻撃を合わせた。

 

(何とかマギー玉は当たったが・・・やっぱ、怖えぇ〜)

 

だが、内心やはりビビっていた。そんなバギーに対してシャンクスが気づくとニヤッと笑った顔を向けた。

 

「何だバギー?ビビってんのか?」

「あぁ!?誰がビビるか!!」

 

ビビってることをシャンクスに言われるとバギーは睨みで返した。何時もならフェードアウトして巻き込むなとキレるがこの1年間このヘタレのシャンクスに巻き込まれ続けたバギーはこいつにだけは負けたくないとプライドに火が完全についた。

 

「なら俺に合わせられるか?」

「ふざけんな、お前が俺様に合わせんだよ!」

「そっか、ウタ!バギーの脚をくれ!!」

「うん、分かった!!」

 

ウタはバギーの持っていた脚を投げ渡すとシャンクスはそれをまた腰に付けた。バギーはそれに対して嫌な感じだと目で訴えるがシャンクスは笑みで返してきたので諦めてシキに対峙した。

 

「「足引っ張んなよ!」」

 

2人はそのままシキに向かって突っ込んでいった。バギーはマギー玉を飛びながら発射していってシャンクスは斬撃を飛ばしていた。

シキはそれをエレジアの大地で防ぎながら2人を叩き落とそうと突っ込んで行った。

 

「バギー!!」

「一々、みなまで言うな!!」

 

バギーは突っ込んでくるシキの顔面にマギー玉を発射した。シキはそれを防ぎながら突っ込むが爆煙が立ち込めてシャンクスを見失うと下からグリフォンで胴体を斬りつけてきたシャンクスの強烈な一撃をお見舞いされて空にふっ飛んだ。

 

「どうだジジイ!!」

 

シャンクスの強烈な一撃で空にふっ飛んだシキは止まって2人に音符をぶち込もうとしたが後ろに鏡が現れてそこからルフィとウタとカタクリが飛び出してきた。

 

「ゴムゴムの銃乱打!!」

「餅巾着!!」

「“大合唱”!!」

 

カタクリは無双ドーナツを大量に作り、ルフィとウタは同じように腕を高速に引いたり出したりして3人はそれぞれの方法でシキの背中に大量の拳を浴びせた。

 

シキはその衝撃を喰らいつつも浮かんでるエレジアの大地を操って3人にぶつけてふっ飛ばした。ルフィヤカタクリとはバラバラの所へ飛んでいったウタはビックトップ号の上に来た。コアラやベポなど他の面々はシキが延々と出し続けてる兵士の相手をしていた。

そんな中でウタに今までとは違う巨漢の音符の兵士が突っ込んできた。

それだけではなくそこにシキが大量の音符を発射してきた。

 

「不味い!!」

 

このままではまたやられるかと思ったがそんなウタの前にやってきた者がいた。

それはハンコックだった。

 

虜の矢(スレイブアロー)!!」

 

ハンコックは巨大なハートから矢を大量に発射してシキが飛ばしてきた音符を全て石に変えた。

 

「ハンコック・・・」

 

守ってくれた頼もしい背中にウタはそう呟くとハンコックはクスッと笑みを向けて巨漢の兵士に向かっていき蹴りを入れた。兵士はこれまでの有象無象よりは強いのかそれを防いで殴りに来るがハンコックはそれを避けた。次にまた腕で殴りに来てもそれを受け止めた。

巨漢の兵士は蹴られないように体を回転させて少し離れたがハンコックは逃さずに兵士を蹴って船から叩き出した。

 

「知ってたけどやっぱり強いなぁ」

「どうした?この程度の事が出来ぬようではルフィの隣は無理じゃぞ?」

 

ウタはその圧倒的な強さを改めて理解するとハンコックはドヤ顔で言ってきた。ウタはそれに対してムカッと来るとハンコックが船から叩き出した兵士がまた飛んできたのでウタはハンコックがやる前に自分の足の周りに音符を纏わせた。

 

「“ビバーチェ”!!」

 

そして渾身の蹴りを兵士に叩き込むと兵士はまた船から叩き出されて海に沈んでいった。

 

「やるの」

「だってルフィの恋人だもん」

「この・・・終わったら決着をつけてやるから覚悟せい」

「うん♪」

 

ルフィの恋人発言を堂々と言ってくるウタにハンコックはムカッとしつつも笑って返してウタも笑みで返した。お互いに本気でルフィが好きだからこそ通じてる物がそこにあった。

 

『[でやぁぁぁぁぁぁ!!]』

「ギャァァァァァ!!」

 

そんな中でビックトップ号にバギーとシャンクスが殴り飛ばれてきた。シャンクスは何とか無事に着地したがバギーは思いっきりゴロゴロと転がった。

 

「大丈夫かバギー!?」

「大丈夫に見えるか!?」

「何時までグダグタとやってる気だ?」 

 

そんな中でビックトップ号にミホークとクロコダイルが兵士をふっ飛ばしながらやってきた。2人共、この戦いにウンザリしたような顔だった。

 

『[纏めてぶっ潰してやる!!]』

 

シキはそう叫びながらビックトップ号に突っ込んできたのだ。シャンクスはグリフォンを構え、バギーは嫌々ながらもマギーバルカンを構え、ウタも拳を構えるがその3人の前にクロコダイルとミホークとハンコックが立った。

 

「終わらせるぞ」

「勿論じゃ」

「いい加減、ウンザリだ」

 

3人はそうやって軽く言いつつ、突っ込んでくるシキに向かって構えた。

 

砂嵐“重”(サーブルス・ペサード)!!」

『[ぐぉぉ!?]』

 

突っ込んでくるシキにクロコダイルは自分の砂嵐を圧縮して放った衝撃波で突っ込んでくるシキを強制的に止めた。

 

大芳香脚(パフューム・フェムル・マグナ)!!」

『[がぁぁぁぁ!!]』

 

そんな風に空中で止まったシキに対してハンコックは詰め寄って思いっきり武装色を纏った渾身の蹴りを叩き込んで空に飛ばした。

 

「これで終わりだ」

 

体が完全に無防備になったシキに対してミホークは容赦なく夜を振るった。世界一の大剣豪の斬撃はそのままシキに向かっていき・・・シキを縦に真っ二つにした。





















という事で色々と大暴れの中で書きたいことが沢山ありますが1番書きてぇのはウタを助けるハンコック!!もうこのシーンはハンコックとウタが初対面した時に思いついた物でこのカッコいいハンコックのシーンの為に今までギャグにしてたので漸く書けて嬉しいです!!

と言うか完全にウルトラギャラクシーファイトのリブットを助けるネクサスまんま・・・いや、あのシーンかっこいいから真似たんだけど・・・


今話の曲は『ウィーゴー』とHero Music All Starsの『情熱〜We are Brothers〜』です。

それでは次回もお楽しみに!!


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私は最強/Fight Song

皆様、1週間もおまたせして申し訳ございませんでした。
アレから何処で切るのか考えたり、色々と模索しながらやってみましたが下手に切るよりも纏めた方が良いと思って纏めました。
それではシキ戦の最終決戦をどうぞ!!


ミホークがシキを縦に真っ二つにした。

先程までの激戦が何だったのかと思うくらいに圧倒的に斬り捨てた事に戦っていた者達の殆どの目が飛び出ていた。

 

「ん?」

 

ミホークは斬った事に別に何とも思ってなかったが変な違和感を感じて斬った筈のシキを見るとその全身から黒い音符が大量に出てきて真っ二つになった体が元に戻った。

 

「厄介だな」

「そこまででもない」

 

クロコダイルが元に戻ったシキに対して苦言を言うがミホークは何処吹く風だった。

 

『[ジハハハハハハハ!!てめぇらの攻撃なんざ効くか!!]』

 

ミホークの斬撃を諸に受けたが完全に復活したシキがそう叫んでる中でウタが大量の音符をぶつけた。

シキはそれを食らって少し体勢を崩しつつもウタに対して同じように音符を放った。ウタは身構えるがその前にブリュレが前に来た。

 

鏡世界(ミロワールド)!!」

「OK!ブリュレ!!」

 

ブリュレは鏡世界にシキが放った全ての音符を入れた。これだけなら別に特に意味は無いのだがウタの能力でシキの頭に巨大な鏡を作るとそこから鏡世界に入った音符が飛んで全てシキに当たり、下へ落ちていった。

その先にはルフィとシャンクスが突っ込んでいた。

 

お互いに顔を少しだけ見合わせると笑い合って2人は全力の攻撃をシキの胴体に叩き込んだ。

すると体がヒビ割れつつ上にふっとばされたがまた大量の黒い音符がシキの体を修復させて、生えた剣の脚で辺りに斬撃を飛ばした。

その斬撃にオオロンブスの船団や海軍やNEO海軍の軍艦が壊れていき、一同は攻撃を喰らわせてもすぐに直るシキに対してウンザリし始めていた。

 

「厄介だな」

「おい、どうする!?このままじゃこっちがやられちまうぞ!!」

「煩いぞ赤っ鼻。しかし面倒じゃのう」

「内部とか外部の攻撃とか関係なさそうだな」

「何か弱点がある筈だ」

「無敵の能力なんてないからね」

「しかし、このままじゃジリ貧だ」

「何か突破口を探さないと・・・」

「よし、もっともっと殴る!!」

「ってそれ、ジリ貧だよルフィ!!」

 

シキの現状の力に対してそれぞれが言っていく中でベポが耳を抑えながらローの肩を叩いた。

 

「どうしたんだベポ?」

「キャプテン。あいつが再生する時に変な音が聴こえるんだ」

 

耳が非常に良いベポはそう云うとそういう音に気づいてなかった面々は一斉にベポの方を見た。ローもそれに驚きつつ、ベポの船長なので冷静に聴いた。

 

「何処の部分から音が聴こえた!?」

「ごめん。分かんないけど音が聴こえるんだ」

「よし、ブリュレ」

「分かったよ。ウタ、鏡を出してくれるかい!?」

「勿論!」

 

ベポの話を聞いてカタクリがブリュレに云うとウタはシキの周りに幾つかの鏡を準備した。ブリュレの能力で鏡を通してシキに近づくのでローはベポの肩を掴んだ。

 

「キャプテン」

「頼んだぞ、ベポ」

「アイアイ!!」

 

ローとベポはそのまま鏡の世界へと入っていった。それを見たシャンクス、ルフィ、カタクリは突っ込んでいって同時にシキの体を攻撃した。

シキの体にまたヒビが入るが黒い音符が出現して修復していく。 

ベポとローはシキの近くの鏡から出てそれを見聞きしていた。耳を済ませて聞くベポは音の出る方向を感じ取ると叫んだ。

 

「ライト!!胸の金色以外のライトから音が聴こえるよ!!」

「よし!!」

『[このガキ共がァ!!]』

 

シキは体を反転させつつベポとローを叩き落とそうとしたがローのシャンブルズによって移動させれて2人を落とせなかった。

2人はそのまま別の鏡を通ってビックトップ号に戻ってきてその事を伝えた。

 

「よし、分かれてあれを1つずつ壊すぞ!!」

「行くぞてめぇら!!」

『おう!』

 

シャンクスとバギーの声を聴いて全員、息を合わせた。

まず、最初にシャンクスはウタにバギーの脚を渡すと2人は飛んで向かっていった。

2人とも音符とマギー玉を容赦なく撃っていきながら向かっていくがシキは体に幾ら罅が入ろうとも直しつつ向かってきた。

 

「上に行け!!」

「うん!!」

 

ウタとバギーはそのまま上へ向かっていくとシキはそれを追いかけてきた。凄い速さで飛んでるウタに追いつこうとするバギーの後ろに迫ってきているシキ。するとバギーはシキの顔面向かって玉を発射した。

またマギー玉だと思ったシキは防御をしなかった。マギー玉ではもう体は傷一つ付かないからだ。そして玉がシキの顔に当たった瞬間大煙幕が張った。

バギーは自分の攻撃が効かないのは百も承知だった。なので正攻法では絶対に逆立ちしてもシキをどうする事も出来ないが煙幕は張れる。

シキは煙幕を張られても特に驚きはせずに止まった。下手に動くより良いからだ。そして見聞色で気配を察知した。自分にはフワフワの実もゴルゴルの実もガシャガシャの実もトットムジカも元海軍大将の覇気もある。何が来ても恐るに足らず、迎撃する気だった。

 

シキはそう考えながら11人の誰が来ようが叩き潰す気でいると後ろから気配を察知したので振り向きざまにスマッシャーをぶち込もうと振った。

そこには鏡があり、先手を取ったとシキは思った。

 

「シキ〜〜!!ゼファーを返さんかい!!」

『[ガープ〜!!!]』

 

しかし、出てきたのは11人の誰か出はなくガープだった。シキはスマッシャーを全力で振るが拳を1つでのし上がってきたガープの拳骨は伊達ではなくスマッシャーを弾き飛ばした。

 

「ゴムゴムのバズーカ!!!」

 

そしてガープを踏み台にルフィが飛んできてシキにバズーカをぶつけて浮いてるエレジアの大地にめり込ませた。

 

「アヒャヒャヒャ、どうだ!!」

「ルフィ、良くやった!!」

「シシシ!!」

 

シキをぶっ飛ばした事をガープが褒めるとルフィは人懐こそうに笑ってガープの足を掴んだ。

 

「よし、早う投げい!!」

「行くぞ、ゴムゴムのじいちゃん!!!」

 

何とも締まらない事を叫びながらルフィはガープを思いっきり投げるとガープはシキの体についてる紫の発光体に思いっきり拳をブチ込むと発光体は割れて中から気を失ったゼファーが倒れるように出てきた。ガープはその手を握り、海へと落ちていった。

するとシキの体に付いてあったスマッシャーがなくなり、トットムジカの鍵盤の腕に戻った。

 

『[クソがぁ!!]』

「ファッファッファッ、そう言う理屈ならもうこっちのものだ!!」

 

そんなトットムジカの鍵盤の腕をキラーはパニッシャーを回転させながら走っていた。シキは口から黒い音符を発射するがキラーはそれを全てパニッシャーで斬り捨てながら突っ込んでいくとテゾーロがいる緑の発光体を斬った。完全には割れてないが明らかに鋭い亀裂が入るとそこに能力で飛んできたローとそれに付いてきたコアラとベポの3人はそこに突っ込んでいった。

 

ローは鬼哭をベポはエレクトロをコアラは魚人空手を駆使して攻撃を叩き込むと中からテゾーロが倒れるように出てきてそのまま落ちていった。

テゾーロを失った事でシキは黄金の力を失った。

流石のシキもドンドンと逆転されていく状況に混乱し始めてきた。何故ここまでの力を手に入れてたのに押されているのか理解出来なかった。

 

「行くよお父さん!!」

「おう!!」

「「“爆音大サーカス”!!」」

 

ウタはバギーが発射したマギー玉を音符で包み込み、シキに高速で放った。威力の上がったマギー玉を一身で受けてるシキは2人を睨んだ。何もかも全てこの2人のせいだ。この2人の足掻きから全てが狂った。シキはそう負の感情を高めさせてトットムジカの特性を利用してより体の強度を上げると2人に突っ込んだ。

ウタはシキの攻撃から逃れられたがバギーは捕まってしまい、握りつぶされそうになっていた。

 

「ガぁ・・・は、離しやがれ!!」

『[何もかも全てお前のせいだ!!!このクソガキがぁ!!]』

 

シキは1年前にも邪魔をされたバギーに恨みを込めてそのまま握りつぶそうとしたがそこにグリフォンを構えたシャンクスと槍を持ったウタが突撃してきてシキの腕に思いっきり攻撃を同時に叩きつけた。

その衝撃でシキはバギーを離してしまってウタに担がれて逃げられた。

シャンクスはそのままその腕の上を走ってUTAのいる赤い発光体を思いっきりグリフォンで斬った。

発光体は完全に割れて中からUTAが倒れるように出てきた。

 

「!?・・・そうか・・・お前が・・・」

 

シャンクスは突然と現れたUTAに混乱していたが何かを察するとそのままグリフォンを鞘にしまってビックトップ号までUTAを抱えて戻った。

 

 

「ゲホッゲホッ・・・やべぇ危なかったぜ」

「お父さん大丈夫!?」

「何とかな・・・」

 

ビックトップ号の甲板の上では首を擦ってるバギーと心配してるウタがいて、2人はシャンクスがUTAを抱えてることに対して驚いていた。

 

「違う“世界”のアタシ!!」

「おい、こりゃ一体・・・いや船長の言った通りか・・・」

 

シャンクスはバギーの言葉に引っ掛かりを覚えつつもまだ戦いは終わってなくUTAを一先ず優しく置いて戻ろうとすると目が覚めて気づいたのかシャンクスを見て呟いた。

 

「シャンクス・・・助けてくれたんだ・・・」

 

UTAの言葉にシャンクスは一目見た。そのUTAの顔は微かに笑っていてそれを見たシャンクスはグリフォンを確りと握りしめて戦いに戻っていった。

 

『[これならどうだ!?]』

 

劣勢に追いやられているシキはウタウタの実の能力とほぼ同じ事をトットムジカが出来る性質を使って空中にある積乱雲を一塊して船団に叩きつけようとした。

 

「あんなのどうすれば良いの!?」

 

ウタはその巨大な塊に対して冷や汗をながしていた。

その一塊は雷を発しながら船団に向かって落ちてくると思われたがそれを見たルフィはウタに近づいてきた。

 

「ウタ!腕に黄金の塊をくれ!!」

「えっ!?」

「早く!!」

「わ、分かった!!」

 

ルフィに言われたウタは混乱しつつもルフィの腕に黄金の大きな手甲を付けた。するとルフィは笑ってその積乱雲の一塊へ突っ込んでいった。

 

「ルフィ!?」

「あいつ、何をする気だ!?」

 

ウタとバギーはその光景に混乱していて船団に乗っていた多くの者達も何をするのか分かっていなかったがサニー号で音符の兵士達と戦っていたナミはそれを見ると呆れつつも笑っていた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

積乱雲の一塊の中に入ると中は強烈な雷と莫大な気流の渦で普通なら一溜りもないがルフィはこの攻撃に似た攻撃を何とかした事があった。それは空島でエネルが落とそうとした雷迎だった。細かい所は違うかも知れないがそんなのルフィには関係なくまた同じようにふっ飛ばせば良いと思うとルフィはその一塊の中で黄金の手甲が付いてる腕を暴れさせた。

 

「ゴムゴムの花火“黄金牡丹”!!」

 

雷を伝達する黄金を使ってルフィは一塊の中で暴れて散らそうとしていた。外では散らされて雷がドンドンと出ていてシキはルフィが中で何をやってるのか悟ると船団に向かって落とし始めた。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!折角のウタのライブを滅茶苦茶にしやがって・・・ふざけんな!!!」

 

ルフィは大切なウタのライブがブチ壊された事に切れていた。このライブに掛ける思いを知っていてこのライブに来てほしいが為に自分と大喧嘩した事を思い出しながらルフィは全力でこの一塊を散らそうと暴れた。

 

「晴れろ!!!」

『[何〜っ!?]』

 

ルフィが全力の力を持って暴れまくると考えが成功したのか辺りに散らされてその一塊はなくなり晴れた。朝早くに初めてまだ6時間か8時間しか経ってない影響か空は一面青かった。

 

その姿を多くの者達が目撃した。

晴れた青空に誰よりも似合っていてその光景は神話の一幕のように思わせた。

 

ルフィは晴れた事に満足しつつシキに向かって手甲が付いてる腕を伸ばして捻った。

 

「ゴムゴムの黄金回転弾!!」

『[グァァァァ!!!こ、この!!]』

 

そして付いていた手甲が砕ける程渾身の回転弾をシキの体にぶち込んだ。シキはその威力にふっ飛ばされつつもルフィを叩き潰そうと腕を上げたがそこにシャンクスとウタ、バギーがシキに向かって攻撃を放った。

シャンクスはグリフォンで斬りつけて、ウタとバギーは音符やマギー玉を駆使してぶつけた。しかし、シキはそれを受けても腕を振り下ろして4人を纏めてふっ飛ばした。

 

これで体勢を立て直せば何とかなるとシキは思ってまだ残っているバレットの力で自分の腕にエレジアの大地を合体させた。

これで全てを叩き潰せば良いと思ったが攻撃はまだ終わってなかった。

ウタは飛ばされつつもシキの頭上に鏡を作るとそこからカタクリとハンコックが飛び出てきた。

 

「斬・切・餅!!」

大芳香脚(パフューム・フェムル・マグナ)!!」

 

渾身のラリアットと蹴りはバレットのいる発光体に当たって2人はバレットを無理矢理シキから剥がれさせた。その為に2人は下にある合体させてなかったエレジアの大地に思いっきりブチ当たった。

 

 

バレットのお陰で合体させてたのにそれすらも出来なくなりシキの焦りは止まらなくなっていた。何がどうなっているのか分からなかった。

 

そんなシキにシャンクスとバギーが突っ込んでいった。2人はマギー玉に斬撃を飛ばしてきてシキはそれを受けて後退し始めた。先程まで効いてなかったのは4人を取り込んで力をより付けた事によるブーストだったがそれも無くなったのだ。

 

シキは攻撃をしてくる2人を睨み、音符を放った。

音符が迫ってくる中で2人の後ろからルフィとウタがやってきてシャンクスは咄嗟にグリフォンをしまってルフィの腕を掴み、バギーはウタの手を掴んで思いっきり投げた。シャンクスとバギーは投げた事に笑って音符を諸に喰らいふっ飛ばされた。

 

「行くのじゃルフィ!!」

「行けウタ!!」

 

エレジアの大地の上でハンコックとカタクリが叫んだ。

 

『そいつを空の彼方まで!!』

 

ビックトップ号の上ではロー、コアラ、ベポ、キラー、ブリュレが同時に叫んだ。

 

「「ド派手にぶっ飛ばせ!!」」

 

そしてふっ飛ばされて海に落ちてしまったのでシャンクスはバギーを助けつつ、バギーは力が抜けつつも全力で2人は思いっきり声を上げた。

 

「行くぞ、ウタ!」

「ド派手に行くよ、ルフィ!」

 

ルフィとウタは腕を後ろに伸ばした。ルフィはで左腕を伸ばしてウタは右腕の甲冑を伸ばしていた。

シキは全てを潰そうと残ってる鍵盤の腕で防御してそれから潰そうと前で組んだ。

 

ルフィとウタはお互いの顔を一目見て笑いあうとシキに対して強い目を向けてその伸ばした手を放った。

 

『ウタウタの“新時代の祝砲(ドーン・バズーカ)”!!』

 

2人の放った手はまるで螺旋のように混ざり交錯しながらシキに向かって行って鍵盤の腕を破壊し、シキの体にめり込んだ。

 

その威力はトットムジカの体を貫き、中にいた本体に直接届いてシキはトットムジカの体から追い出された。

シキはフワフワの実で飛ばないようにしようとしたが2人の攻撃の威力は止まらずに飛ばされ続けて薄れていく意識の中でも2人を睨むと幻影が見えた。

 

ルフィの後ろにはシャンクスがウタの後ろにはバギーが確かにシキの目には見えた。

 

『あんなガキ共殺す価値もない』

 

さっさと殺しておけばこうはならなかった。 

 

『シキ、そんな事を言って良いのか?ひょっとしたらお前の首を取るかも知れねぇぞ?』

 

ロジャーの言うとおりだった。

 

『あんな雑魚に取られる首じゃねぇよ・・・ロジャーあんな奴らは捨てて俺の仲間になれ。あんな海賊に向いてなさそうなカス共よりは・・・』

『シキ、だからてめぇとは組まねぇんだよ・・・俺の仲間はカスじゃねぇよ!!』

『相変わらず甘え男だなロジャー!!』

 

シキは薄れていく意識の中でかつてエッド・ウォーの海戦の時にロジャーと話していた事を走馬灯のように思い出していた。

 

(あの時・・・エッド・ウォーで・・・殺しておけば良かった・・・ロジャーじゃなかった・・・本当に甘かったのは・・・)

 

シキは意識を失いながら最後にエッド・ウォーの時にシャンクスとバギーの2人を殺さなかった事を後悔しながら空の彼方までふっ飛ばされた。

 

伝説の空の海賊“金獅子”のシキはこうして新時代に負けた。

 

 

 

〇〇〇

シキが空の彼方までふっ飛ばされていく中で2人の手に貫かれたトットムジカは光の粒子になりながら消えていき、ビックトップ号に乗っていたゴードンは複雑な顔をしながらそれを見ていて、UTAは全てが終わったと悟った。

そしてUTAの体も光の粒子になってきた。

どうなるかUTAにも分からない。完全に死んでしまうのかそれとも何か奇跡があるのか分からないが自分の中で完全に何かが吹っ切れて清々しくなった。

 

「ウタ!」

 

ビックトップ号に上がってきたシャンクスがそれに気づくと声を上げながら駆け寄ってきた。UTAは最後にシャンクスに向かって手を伸ばし、シャンクスはそれを確りと握った。

 

「シャンクス・・・私は・・・」

「分かってる・・・お前が俺にあの“夢”を・・・」

「うん・・・良かった・・・こっちの“世界”の私は上手くいって・・・」

 

UTAは最後にそう呟きながら微笑むと完全に光になって消えた。シャンクスはそれを見て複雑になり、バギーはその後ろ姿を確りと見ていた。

 

シキを失った事で空に浮かんでいたエレジアの大地も落ちていく中でルフィとウタは手を握りしめながら落ちていた。

 

「ウタ!!」

「何!?」

 

ルフィはギア5から元の姿に戻りながら落ちて行って、ウタも自分の翼以外能力を維持できなくなっていた。

 

「俺、気づいたんだ!!」

「何が!?」

 

落ちて行く時の風切り音や周りの歓声やらエレジアの落ちてる音の煩さに負けないように2人は至近距離でも大声で話していた。

 

「俺、ずっとウタの事が好きだったんだ!!昔も今もずっと!!」

「う、うん!!アタシも大好きだよ!!」

 

顔を少しだけ赤くしながら言うルフィと突然の事に驚いて赤くするウタ。

 

「だからずっと一緒に居てえんだ!!」

「ルフィ・・・」

「俺、結婚ってもっと“自由”がねぇもんだって思ってたんだ!!けどアナナやカタクリに言われたんだ!!もっと“自由”にやって良いって!!」

 

ルフィが何を言いたいのかウタは察した、その言葉はまだ言われてないのにウタはポロポロと涙が溢れてきてずっとルフィに言わせたくなくて自分も叫んだ。

 

「あ、アタシもルフィと一緒に居たい!!どれだけ喧嘩してもどれだけ大変でも一緒に居たい!!何回失敗したって何回でも好きって言ってやる!!」

 

ウタの全力の思いを一身に受けたルフィは顔を赤くした。それは全力で愛されてるがゆえの照れだった。

 

「ウタ!!まだお互いの“夢”が叶ってねぇから無理だけどよ・・・夢が叶ったら俺は!!」

「うん・・・うん!!」

 

ルフィは全力で心のままに叫び、ウタはそれに嬉し涙を零しつつも確りと受け止めていた。

 

「俺はウタと結婚してぇ!!!!」

 

そしてルフィは大声で叫びながらウタに対してプロポーズをした。ウタは嬉しくて体力が少ない中で翼を大きくしてルフィを抱き締めると2人は宙に浮かんだ。

ルフィはウタの顔を確りと見ていた。

泣いているがそれは嬉し泣きなのだとルフィは確りと察して返事を待ち、ウタも涙が止まらなくなっていても関係なくルフィに向かって叫んだ。

 

「アタシもルフィと結婚したい!!!!」

 

ルフィはその返事を聞くと何も言わずにただ優しく微笑みながらキスしてウタもそれを受け入れた。2人とも嬉しさのあまり涙が止まらなくなっていた。

そして下ではその恋に対して様々な反応が出ていた。

ローは拗らせていた2人が結ばれていた事に呆れつつも笑い、コアラとブリュレは友達が幸せな姿を見て泣いて、キラーとベポは笑っていた。

カタクリとハンコックはショックを受けつつも本気で惚れている相手が幸せそうになってる姿を見て涙を零しつつも清々しい気持ちになっていた。

ゴードンは漸くウタが幸せになった姿を見て大泣きしていて赤髪海賊団の面々もその姿に泣く者や笑う者もいた。

 

「「ギャァァァァァァァァァァァ〜〜〜!!」」

 

しかし、ウタの父親であるシャンクスとバギーはその姿を見て大声で叫びショックを受けていた。

頭を抑えて受け入れたくないと云わんばかりに叫ぶ2人はムードを台無しにしていて、近くにいたクロコダイルとミホークは別にルフィとウタには何も感じてはいないが2人の叫びは煩わしかったので黙らせようかと物騒な事を考えてるとルフィとウタはビックトップ号に戻ってきた。

多くの皆が2人に行く中でシャンクスに気づいたのかウタはシャンクスに向かって駆けて行った。

バギーは走っているウタの顔を見ると微笑みつつシャンクスから少し離れた。

 

「シャンクス〜〜!!!」

 

シャンクスはそう呼びながら来るウタに対して優しく抱きしめようと手を広げた。昔と違って片腕になったが確り抱き締めようと思った。

 

しかし、ウタは大きく飛び上がってシャンクスに向かって飛び蹴りをする体勢になった。

 

「え?」

「11年間の恨み〜〜〜!!!!」

「ブオガ!???」

 

そしてウタはそう叫びながら顔面に全力の飛び蹴りをして無防備だったシャンクスをぶっ飛ばした。

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜!?』

「ウタ〜〜〜!!何やってんだお前〜〜〜!?」

「よし、ウタ!!良くやった!!」

 

皆がウタの行動に驚き、ルフィも混乱している中でバギーはガッツポーズをしており、ウタはバギーにサムズアップをしていた。

 

 

 

●●●

それはウタがルフィと分かれてカライバリ島に居た時まで遡る。ウタはシャンクスが来るのか凄く不安だった。日に日に疲れも溜まり、情緒も不安定になっていく中でウタはバギーと話していた。

 

「おじさん、シャンクスは来るよね?」

「お前、またその話か?もう何回もやってるだろ?」

「だって・・・不安なんだもん・・・」

 

いじけてるウタにバギーは頭を撫でてると良い事を思いついた。それはこの1年間振り回し続けたシャンクスに

対する仕返しとして完璧な物だった。

 

「そうだ!!だったらよお前。シャンクスに会ったら蹴りでもかましてやれ」

「えぇ!?」

「お前だって、こんだけヘタれてるシャンクスに対して腹立つだろ?あいつも飛び蹴りぐらい喰らうべきだと思わねぇか?」

 

ウタはバギーに言われると良いアイデアだと思った。散々と振り回してシャンクスに対しての仕返しには完璧だと思った。

 

「そうだね・・・おじさん、アタシやるよ!」

「おう!派手にやっちまえ!!」

 

 

〇〇〇

ウタはバギーと話し合って決めた事を実行しただけだった。少し申し訳ない気持ちにならなくもないがそれよりも清々しい気分が確かにあってウタは今まで溜まっていた鬱憤を晴らし、バギーもそれを見て溜まっていた物がキレイに無くなり清々しくなった。

 

 

こうして、ウタとバギーによるシャンクスへの復讐は見事に完了した。


















はい、シキ戦はこれにて終了です!!
色々と長きに渡り暴れてきたシキの倒した方はこれしかないと思ってやりました!!

そしてルフィとウタの最後の技はバズーカ!!
何故にバズーカなのかと云うと結構初期のワンピース映画だとルフィの決め技がバズーカだったからです。私もルフィの必殺技はバズーカだと子供の頃思ってましたし。1番最初の映画にチョッパー王国、デットエンド冒険、カラクリ城のメカ巨兵、エピソードオブチョッパー+、派生技も入れるとゴールドと結構あるのとバズーカは両手でやりますから片方をウタに出来るのでやれて良かった。

というか私、アクションやバトルの1場面から話を膨らませていくタイプでこの2人のバズーカを思いついたのが2話か3話の頃だったので漸くやれて嬉しいです!!

そして蹴られるシャンクス・・・まだまだ終わりませんよ!!こっからは事後処理編(仮)と宴編です。
それで完結です!!

果たしてウタとシャンクスはどうなるのか、そしてシャンクスとバギーはどうなるのか、こっからの話は全てそれを全力でやっていきますので完結まで暫くお待ち下さい。

次回は少なくとも明後日には出せるように頑張ります。
というか明後日に出してぇ!!


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エターナルポーズ/海はぼくらと

皆様、遅れて申し訳ございません。
前回のシキとの最終決戦が終わって少し燃え尽きてましたがこっから突っ走れるように頑張ります!!



ルフィとウタがシキをぶっ飛ばした時、海軍の方ではシキからゼファーを引き剥がしたガープが2人一緒に軍艦にいる面々に引き上げられていた。

 

「おい、ガープ。ゼファーは無事か?」

「安心せい無事に生きとるわい」

 

ガープは聞いてくるセンゴクにそう軽く答えるとゼファーが気づいたのか目を覚ました。

ゼファーは周りを軽く見回した。疲れてるぞと云わんばかりの顔を向けるガープにセンゴク、おつる。そして号泣しているNEO海軍の面々、それに落ちてるエレジアの大地と空から落ちてくるルフィとウタの2人が見えた。

 

「どうやら助けられたらしいな」

「あぁ、見ろ!ワシの孫とその嫁じゃ!!」

「「いや、違うだろ」」

 

ゼファーはその事実を淡々と認めるとガープがいつものように自慢をしてきた事にセンゴクとおつるはツッコミを入れた。雰囲気に懐かしく思うゼファー。

 

「ガープ、俺たちの喧嘩はまだ終わってないのを忘れるなよ」

「わかっとるわいそんな事、次の時に決着をつけてやるから覚悟せい」

「お前のそこは変わらねぇな」

「そこがワシの良いところじゃ」

 

親指を立てて笑うガープにゼファーはやっぱり殴ってやろうかと少し思いつつも疲れた事もあってやる気はなかった。

それに若い頃にやった時以来、久しぶりにやった喧嘩はスッキリした。

 

「ありがとよお前ら」

 

3人はそれを聞くと笑って返した。そんな中でルフィとウタの声が聞こえてきた。

 

『俺はウタと結婚してぇ!!!!』

『アタシもルフィと結婚したい!!!!』

 

4人というか海軍やNEO海軍はそれを聞くと冷や汗が出た。“千両道化”の娘と思われていたウタが実は“赤髪”の娘だったという衝撃的な話に加えて“麦わら”と“将星”が本気で惚れて戦い、“麦わら”と恋人になった歌姫が求婚に応じたのだ。下手に手を出すと現四皇の内の3人と旧四皇の幹部が本気で来るという状況になるのは冷や汗しか出なかった。

しかも気分が高まっていたのかキスまでしていた。

 

「ルフィ〜!!公然の前でキスなどしよって破廉恥じゃろうが!!」

「「「お前はどこに怒ってんだ!?」」」

 

こんな面倒くさい状況になってるのに頓珍漢な方にキレてるガープに同期の3人のツッコミが重なった。

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「いやぁ〜、何とかなって良かったよ!ボクもあの舵輪爺に奪われていた二代鬼徹と天羽々斬の2本も取り戻せたし!!何とかなって本当に・・・ごめん・・・」

 

ヤマトは溌剌とした声で二代鬼徹と天羽々斬を持っていた事を喜んでいた。シキがルフィとウタにぶっ飛ばされた時に落としたのをサニー号の上からジャンプして取ったのでこれで自分の目的が達成したのもあって喜び、少し気まずい雰囲気を飛ばそうとわざと盛り上げようとしたが上手く行かなかったので謝った。

 

せっかくルフィとウタが結婚したのに何故に気まずい雰囲気が出てるかと云うとウタと赤髪海賊団だ。

漸く再会したのだがこれまでシャンクスとバギーが決闘したあの時にボロカスに言われたのに加えてウタがシャンクスに放った強烈な飛び蹴りはより空気を気不味くさせた。

 

更には事情を知ったブリュレやコアラにキラー、ベポとUTA親衛隊の面々が思いっきり赤髪海賊団を睨んでいて状況はややこしくなっていた。

 

そんな中でバギーは酒を飲みながらアホな事をやってるなぁと率直に思った。もうここまで来るとバギーに出来ることは何もない。それはウタと結婚を表明したルフィも同じだった。もう2人に出来ることは全てやった後はお互いに喧嘩を続けるなり、和解するなりやればいい。

 

「おう、酒を持ってこい!」

「サンジ〜、肉〜」

「少しは空気を読まんかお前ら!!」

 

なので2人はそれぞれ明るくいつも通りにやろうとしたらサンジに蹴り飛ばされた。そんな騒がしい騒動の中でこのままだといけないのも分かってるので赤髪海賊団のライムジュースが率先して前に進んだ。

 

「ウタ・・・あの・・・」

「・・・えっ?誰ですか?」

「そういやお前、誰だ?」

 

そしてウタと頭にたんこぶを作って隣にいたルフィの何気ない一言で倒れた。ライムジュースがウタに加えてルフィにまで忘れられてしまっていた事に赤髪海賊団の面々に涙と戦慄が走った。

 

「俺だよ!ライムジュースだ!!」

「え?ライムジュース!?」

「マジか!?」

「って何でお前まで忘れてんだよルフィ!!」

「「だってサングラスとか掛けて見た目が凄い変わってたから」」

 

2人の容赦のない言葉にライムジュースはより沈んだ。赤髪海賊団の面々はそれを聞くと慌て始めた。

 

「良かった俺達は12年前からそんなに変わってねぇ!」

「分かってくれるはずだ!」

「よし!」

「おでもだ」

「あ~、俺は久しぶりにこれをかけるか」

「あ、てめぇズルいぞ!」

「髪、黒く染めてくりゃ良かったか」

「キキッー!!」

 

12年前からあまり姿の変わってないルウ、ホンゴウ、ボングパンチ、ガブはそれに少し安心していたが12年前と風防が変わってるスネイクは昔付けていたサングラスに変えて、変えようがないヤソップやベックマン、モンスターはそれぞれ愚痴ってた。

 

「ハハ、皆変わってないなぁ〜」

「だな!」

 

ワイワイと騒いでる赤髪海賊団を見てウタは懐かしい気持ちになって笑うと赤髪海賊団はそれを見て、親衛隊は察してそこから離れた。

赤髪海賊団はウタの笑ってる顔を見るとウタに突っ込んでいった。

 

「ウタ〜〜〜!!」

「わっ!?ル、ルウ!?」

 

1番はルウだった。その巨体でウタを抱き締めると大泣きし始めた。すると赤髪海賊団の他の面々もそこから次々と抱きしめていって泣き始めた。謝るとウタが頑張ってきた12年を無駄にしてしまう。謝ることすらも出来なくなって泣くことしか出来なかったがウタは確かにその温もりを感じると嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

しかし、その中にシャンクスは居なかった。

 

 

 

 

 

 

シャンクスはゴードンとそれを傍目から見て少し微笑んでいた。

 

「ゴードン、本当にありがとう。あんたには感謝してもしたりねぇ」

「それは良いのだが君はあそこに行かないのか?」

 

ゴードンは蹴られてから一向にウタの元に行かないシャンクスに言うがシャンクスは黙った。ゴードンはそれを見て違和感を感じた。それは12年前に見たシャンクスの表情と似ていた。全てが終わって何とかなった筈なのに何故シャンクスがこんな表情をしてるのかゴードンには理解出来なかった。

 

そんな風に2人は向き合ってるとシャンクスは何かに気づいたのか視線を外した。ゴードンは気になってその視線の先を見るとバギーがレッドフォース号にコソコソと忍び込んでいた。

 

「バギー君?」

「あの野郎、変わらねぇな・・・ずっと・・・」

「シャンクス?」

 

ゴードンはシャンクスの呟きに気づいて顔を向けるとより複雑そうな顔をしていた。シャンクスはそのままウタの方へは行かずにレッドフォース号に行ったバギーを追いかけに行った。

 

 

 

〇〇〇

「お疲れ様だな、ハンコック」

「うぅ・・・何も言わんで欲しいのじゃレイリー。今は兎に角酒を飲みたい」

 

バレットをシキから剥がした後にカタクリと共にルフィとウタの婚約を見てしまったハンコックは同じように傷心のカタクリと共にやってきた海兵達にバレットを放り投げるとお互いの家族の場所に戻っていた。

因みにカタクリも普段とあまり変わらない雰囲気を出していたのにアナナに慰められていた。

そしてハンコックはまた酒瓶に手を伸ばしていたがサンダーソニアとマリーゴールドの2人がそれを奪った。

 

「ええい、酒を寄越さぬか!」

「ダメです姉様!」

「禁酒の筈です!」

「・・・こ、この・・・このような、い、いわ、祝い事・・・ぐぁ・・・に飲まぬのは・・・し、失礼じゃろうて」

「「いや、それで酒を渡すのは無理!」」

 

祝えない気持ちなのに無理して言ってるので口から拒絶反応が出てるのかハンコックは言葉に詰まっていて妹達は余計に酒を渡したくなかった。

 

「早う寄越すのじゃ!!」

 

ハンコックは酒を飲みたがって妹達に飛びかかるような勢いで向かって行った。それに対してレイリーは呆れつつも冷や汗をかいているとバギーがレッドフォース号にコソコソと忍び込もうとしてるのが見えた。レイリーは相変わらずセコい事を考えてるなと思ってもう黙って見ていたがその後ろにシャンクスがついていくのが見えた。レイリーはそれに首を傾げた。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタは皆が泣きながら抱き締めてくれてる事に嬉しさを感じつつも1番欲しい人であるシャンクスが居ない事に戸惑っていた。

ウタはそんなシャンクスを顔を動かして探すとレッドフォース号に戻っていくのが見えてしまった。

 

(・・・シャンクス・・・なんで来てくれないの・・・)

 

自分が先程蹴ったのがそこまで堪えたのかやって来ないシャンクスにウタはまたジワジワと怒りと寂しさが出てきた。

 

ウタはそう思ってくるともう待つのも嫌なので自分からシャンクスの方に行こうと強い力で抱き締めてくれてる皆から離してもらってレッドフォース号に向かった。

12年ぶりに乗るレッドフォース号に少し感慨深くなりつつもシャンクスを追いかけて行き、ルフィや他の赤髪海賊団の面々はそれを見送った。全員、シャンクスが居ない事にとっくに気づいていたがここからは2人の問題だからだ。

 

 

 

〇〇〇

「けっ、あんな辛気臭いのはもううんざりだね。さてとあのバカには散々と迷惑をかけられたんだ!財宝の1つや2つでもねぇと割に合わねぇよ」

 

バギーは自分の欲のままに行動していた。これまで散々と迷惑をかけられてきて漸くそれからも解放されつつあったのでそれの反動かシャンクス達の船に宝が無いか探していた。

 

「そんな事言わなくてもやるのに」

「バカ野郎、アイツにそんなの言えるかっての俺様のプライドに関わるわ!」

「酷えな、バギー」

 

バギーはその言葉を聞くと漸く自分が誰かと話してるのに気がついて首をギギギと音がなるかのようにゆっくりと声のした方に向けるとそこにはシャンクスが笑顔で立っていた。

 

「ってシャンクス!?」

「バギー、お前俺だから良かったけど他の奴らに気づかれてたら危なかったぞ。皆お前が嫌いだし」

 

シャンクスはウタがバギーの娘宣言をしてから赤髪海賊団の面々がバギーに対して良い印象が無い事を伝えた。もちろん、それでバギーを殺る気は無い。何故なら大人だからだ。しかし、今回のこれは流石にバレたら皆生き生きと殺りに来るぞとシャンクスは伝えに来たのだ。

 

バギーはそれを聞いても何処吹く風だった。何故ならその赤髪海賊団にも振り回されてきたのでバギーからすればだからどうしたとしか言いようがなかった。

 

「ってそんなの知るか!俺様がお前らにどれだけ振り回されてきたか!!」

「分かってる・・・ごめん・・・いつも・・・そうだ。宝が俺の部屋にあるから来いよ。迷惑をかけた詫びだ!」

「何!?本当か!?よし寄越しやがれ!!」

 

シャンクスの言葉にバギーは目を輝かせた。自分から言うのは非常に癪に障ってプライドが邪魔をするがシャンクスがくれると言うなら話は別だった。

 

そんな中で2人は船長室に向かっていくとバギーはある事を疑問に思った。シャンクスはウタと話をやってないのではないか?そう思ったがもうバギーは何もやる気はない。これ以上の問題は当人同士の問題なのでやらない。なのでバギーは疑問に思おうが特に気にしなかった。

 

シャンクスに案内された船長室にバギーは先に入った。中は普通の船長室だが何処にも財宝の山のような物は見当たらなかった。

 

「おい、まさかまた俺を騙す気じゃねぇだろうな?」

「まさか、今回は本当にちゃんとあるんだって」

 

シャンクスはそう言うと船長室の自分の机から小さな宝箱を出して開けた。するとそこには宝石が沢山あった。バギーはそれを見ると目の色を変えて突撃した。

 

「おぉぉぉぉぉ!!本当だ!!てめぇも偶には良いことやるな!!」

 

バギーはそれを見て取り目を輝かしてる中でシャンクスは船長室の扉の前に行くと()()()()()

ガチャと音がなるがバギーはそれに気づいていない。シャンクスは少し深呼吸した後でバギーの方を向いた。

 

「バギー、本当に今まですまなかった」

「おう、もっと謝罪しろハデバカ野郎!ったく俺様がどれだけ苦労したか分かってんのか!?」

「・・・ごめん」

「っけ!今回はこれに免じて許してやらァ!」

 

バギーは手に持ってる宝石に目を輝かせながらそう言った。

 

「なぁ、バギー・・・」

「何だよ?」

「俺・・・やっぱりお前がいねぇと駄目だ・・・仲間になってくれ・・・」

 

シャンクスはそうバギーに言った。バギーはまたかと思った。そんなのをやる気はこれから先絶対に起こらない。自分の好き勝手やりたいようにやってるのにそんなのはやりたくなかった。

 

「だからならねぇって言ってんだろうが!フザけた事言うなっての!!」

「だよな・・・けど、俺は今回も本気なんだよ」

「あぁ?」

 

シャンクスの言葉にバギーはシャンクスの方を向いて目を合わせた。それはもう本気の目だった。

 

「お前がなるって言うまで俺はこっから出さねぇ」

「はぁ!?」

 

本気の目をしたシャンクスに言われた言葉にバギーは啞然となった。波乱が満ちたウタのライブ、しかしまた別の波乱が起こってしまった。
























というわけでシキとの最終決戦は確かに終わり、ウタと赤髪海賊団も無事に再会出来ましたが、まだ終わりません!!

こっから本当の最後のラストバトル?であるシャンクスVSバギー第2ラウンドの始まりです!!

そう事後処理(仮)で宴でしたが→正確にはシャンクスVSバギー第2ラウンドで宴です。

果たしてこれからどうなるかはお楽しみに。たぶん2話か3話かかります。というかシャンクスが何故にこんなにぶっ壊れて来たのかを書きますので・・・鬱の準備をお願いします(笑笑)


前回の曲は『私は最強』とRachal Plattenの『Fight Song』です。前回忘れてしまったので今言わせてください。


そして今回の曲は『エターナルポーズ』と岩渕まことの『海はぼくらと』です。それではシャンクスとバギーの最後のドラマをお待ちください。

・・・というか本気で投稿頻度を上げてぇ


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未来航海/魔王

皆さん1週間おまたせしてしまって申し訳ございません!!シャンクス視点で書いてると色々と手間取っていたらここまで遅く・・・畜生!!
それではどうぞ!!




全ては1年ほど前、そうウタとバギーが出会う少し前まで遡る。

 

『そういうのちゃんと言えよ!!前から!!』

『うるせぇ!!辛えのは俺だクソガキ!!』

 

シャンクスは懐かしくそして悪い夢を見てその日は起きた。昨日飲みすぎた酒のせいなのかそれとも違うなにかかフーシャ村で起こった事を思い出していた。

それはウタを置いて言ってルフィに詰め寄られていた時に酒に酔ってブチ切れた時の事だった。ウタと突然訪れてしまった別れに苦しくて悲しくて全ての罪を被ってウタをカタギにしようと決めたのに未練がたくさん出て酒に溺れて、ルフィと大喧嘩した。 

あの時はルフィが一歩大人になって仲直り出来た。

 

「酒を飲みすぎたか・・・頭が痛え」

 

シャンクスはそうボヤいていると外が騒がしかった。古参の仲間達が騒いでいて慌ただしい声も聞こえてきて外に出ると皆がある新聞を読んでいた。

 

「お頭大変だ!!ウタが!!」

 

シャンクスはルウの言葉を聞くと新聞を奪うように取った。大事なウタに何かあったのかと不安になったが記事に載っていたのはアラバスタでのライブが成功したとの事だった。

シャンクスはそれを読んで泣きそうになった。あれだけ辛い別れをしたがやはり自分の娘は想像通り自分達の事を忘れて歌姫としてカタギになったのだと嬉しくなった。

 

「よし!宴だ宴!!やるぞ!!」

「ってあんたは飲み過ぎだ!!」

「うるせぇ!!飲ませろ!!」

 

シャンクスはホンゴウの止めも無視して酒を飲んだ。祝の酒で縁が切れたとは言え大事な自分の娘が頑張っているのだ。飲まずにはいられなかった。

 

そんな風に騒いでいたシャンクスだがその2日後にシャンクスは地獄を味わう羽目になった。

 

『歌姫UTA、行方不明!!』

 

シャンクスはこれを読んだ瞬間に頭が真っ白になる感覚が襲った。ウタが生死不明の行方不明になった。エレジアに置いた時以上の喪失感をシャンクスは味わった。

 

「お頭・・・」

「止めろ、何のために別れたんだ」

「俺達が行くとウタの11年が無駄になるぞ」

 

仲間達が言い合っていた。シャンクスはそれを聞くと冷静に場を何とかしようと声を出した。

 

「お前ら、落ち着け!!ウタは・・・大丈夫だ!!だって俺たちの船で育ったんだ、絶対に無事だ!!」

 

シャンクスの言葉に仲間達は言いたいことが無い訳では無いが黙り、笑みを浮かべた。なぜなら全員良くも悪くもシャンクスのこの前向きさに対して嫌いじゃないからこそ集まった赤髪海賊団。彼らはとことん()()()に考えていた。

 

シャンクスはそうやって考えて伝えると流石に酒は飲まずに自分の部屋へ戻っていった。戻るとシャンクスは自分の部屋に置いてある荷物の中から大きな鞄を出して開けた。中にはウタが着ていた服や綺麗と思って貰った宝石などが入っており、シャンクスはそれを大切にしまっていた。

 

「ウタ・・・会いた・・・ダメだ、何を言ってんだ俺は・・・ウタの邪魔をするな・・・あいつはカタギで俺は海賊なんだ・・・」

 

シャンクスはそう言い聞かせるように呟くとすぐにウタの荷物を全て戻して片付けた。持ち前の前向きさで何とか気持ちの整理をつけるとシャンクスは皆の元へ戻っていった。

 

 

 

〇〇〇

状況が変わったのはそれから3日後だった。ウタがとある島で発見されたと記事に載った。そうこの時、ウタはクリケット達に助けられて少し大きな島に送られていたのだ。

それを見た瞬間、シャンクスは安堵して赤髪海賊団の面々もホッと一息つけた。

 

「ほらな!!ウタは強えんだ、俺達が心配しなくたって生きていける!!」

「だな!」

「たしかにな!!」

「よし、ウタが無事だった事を祝って宴だ!!」

『おぉ!!』

 

赤髪海賊団はウタが無事だった事を祝って宴を始めた。それは心の底からウタの事を思ってやった事だったがシャンクス達はこの時、ウタがどんな状態だったか知らなかった。ルフィの死亡説を読んで気が動転していた事、それを狙ってトットムジカが動き始めた事、シキもウタの存在に気づいて狙い始めていた。

そんな中でこの日を境にシャンクスはある夢を見始めた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

『止まれウタ。こんなのは自由じゃねえ。こんなのは“新時代”じゃねェ!!・・・お前が誰よりもわかってんだろ!!』

(何なんだこれは・・・)

 

シャンクスはある夢を見ていた。それはトットムジカの中にいたUTAが体験した事・・・エレジアでライブを行い多くの人達とウタワールドに永遠に居ようとした事だった。目の前でウタとルフィが対立している光景はシャンクスにとって辛かった。

 

『私は赤髪海賊団の音楽家ウタだよ』

(ウタ・・・なんでそんな死にそうな顔をしてるんだよ・・・なんで俺は・・・)

 

それはUTAがケジメをつける為に歌った最後の瞬間、シャンクスは別の世界の自分や仲間達を見ていた。そして最後に見たのは自分の腕の中で息を引き取るUTAだった。

 

(何だよこの夢は・・・)

 

混乱するシャンクス。

この夢はUTAがトットムジカの中にいてウタが取り込まれそうになるのを防ぐためにやった一種の救難信号に近かった。早く行かないとこうなる可能性があるとUTAはシャンクスに送っていたのだ。父親と娘として繋がりがあるからこそUTAはシャンクスにだけ送れたのだ。

 

シャンクスはそれを受けて目を覚ました。

最悪の目覚めも良いところだった。折角、ウタが無事だったのにそれを台無しにする程の悪夢だった。

 

「何を見てるんだ俺は、ウタは大丈夫だ。酒を飲みすぎてナイーブになるなんて・・・暫く控えてみるか・・・」

 

しかし、シャンクスはそれをただの夢だと思って処理した。何故ならシャンクスは壊滅的と言える程に()()()でそれをただの気の迷いと切り捨てた。

 

そんな風にさっさと起きてみるとまだその日の朝は皆疎らに起き始めていた。ルウは朝飯を作っていて美味そうな匂いがしてくる中でシャンクスは悪夢によるものか酒によるものか分からないが頭痛がして頭を軽く抑えた。

 

「お頭、二日酔いか?だから酒を控えろってあれ程言ってんだよ」

「止めろホンゴウ、朝っぱらから説教は勘弁してくれ」

「おう、説教されたくなかったら飲酒を控えるんだな」

 

船医であるホンゴウのありがたい説教を子供のように受けたくねぇと頭を振ってるシャンクス。いつもの光景の中で他の面々もぞろぞろと起きていく中でニュース・クーが新聞を持ってきたのでスネイクがそれを買い取って読むとすぐにシャンクスの方へ新聞を持ってきた。

 

「お頭、大変だ!!ウタがまた!!」

 

ウタの名前を聞くとシャンクスは今度は何だと思ってスネイクから新聞を取るとそこに載っていた記事に目を回しそうになった。

 

『歌姫UTA、死亡か?海賊に襲われ行方不明!!』

 

シャンクスは今度こそ本当に倒れそうになった。なぜ、また行方不明になってる?しかも経ったの1日の間に一体何が起こったのか理解出来なかった。

この時、ウタの乗っていた船はシキに従われていた“深手”のアルビオンによって襲われてそれを助ける形で人気取りをしようとしたバギーと戦闘になって主にバギーのマギー玉で船が沈んだのだがそれは当事者でないと分からない事だった。

 

「何が起こってんだ?」

 

混乱の中でシャンクスはそう呟くしかなかった。

 

『シャンクスは私を捨てた!』

『あいつは私を愛してなかった!』

『助けて・・・誰か・・・助けて・・・』

 

シャンクスの悪夢は終わらなかった。自分の経験では無理だとUTAは理解したのか彼女は別世界の自分の体験をシャンクスに見せた。少しでもシャンクスに早く来てほしかったからだ。

 

海兵の自分、ゴシック服の自分、そして子供の自分とUTAは出来る限りの事をやってシャンクスに伝えていたがその全てを悪い夢だと捉えていた。

 

何故なら()()()で赤髪海賊団もそんなシャンクスだからついて行っている。バギーもうんざりする程の前向きさを悪夢でどうにかは出来なかった。

 

(また目覚めが悪い・・・ウタに何か・・・いや、俺が行ったら・・・けど・・・)

 

しかし、何日もかけてUTAに悪夢を見させられてきた影響か流石のシャンクスも少し後ろ向きに考え始めていた。終わらない悪夢に嫌な気配を感じた。仲間達は自分を気遣ってくれてか何も言わないし、騒いでなかったが内心ウタを心配してるのは見聞色を使うまでもなく分かった。

シャンクスには2つの道があったこのままウタを探しに行くかそれとも行かないか。

 

(11年前に決めたんだ。ウタの人生を邪魔しねぇって・・・恨まれても憎まれても邪魔しねぇって決めたんだ・・・でも・・・)

 

シャンクスは自分に言い聞かせるようにそう内心思っていた。しかし、悪夢のウタを見て他人事のように思えなかったのも事実。シャンクスは意を決して赤髪海賊団の仲間に向けて声を出した。

 

「お前ら、ウタを探しに行くぞ」

 

シャンクスのその言葉に皆は笑って応えた。なんだかんだ心配なのは変わらない。ウタがピンチなのだ、助けに行きたかった。シャンクスは皆の優しい行動に嬉しさを感じで船を出した。

 

「ウタに会ったら、殴られるんじゃ?」

「いや、殺されるかもな」

「酷いくらいに恨まれて銃でも向けられたらどうする?」

「ウタはなんだかんだ優しいからそこまでは・・・しないよな?」

「飛び蹴り・・・とか・・・」

「兎に角、一生恨まれても仕方ねぇことやったんだ。助けて話をやるしかねぇだろ」

 

ウタに対してそれぞれ思った事を口にしてる中でルウがニュース・クーから新しい新聞を買って読んでると叫び声を上げた。

 

「えぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜!?」

「どうした?」

「ウ、ウタが見つかったって・・・」

『えぇぇぇぇ!?』

 

ルウは新聞をシャンクス達皆に見えるように向けるとそこにはウタが無事に救出された事が載っていた。

 

『歌姫UTA発見!!助けたのは“王下七武海”のバギー!!』

「バギー!?」

 

シャンクスはその見出しを見るや否や取り乱した。そういう事はやらないタイプのバギーがウタを助けた事に混乱を隠せなかった。実際はなし崩し的に助けただけだったがそれを知るすべはなかった。

 

折角、ウタを助ける為に決心したシャンクス達は悪い事に出遅れてしまった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

それから2日後、シャンクスはある場所に連絡していた。

 

「えっと、番号はこれであってるか・・・」

 

ぷるるるるると電伝虫特有の音が鳴る中で掛けた相手が出た。

 

『はい、こちらバギーズデリバリー』

「おっ?掛かったな、バギーの所か?俺だ、俺」

『誰だ?』

「だから俺だって、バギーの友達だ」

『・・・まさか“赤髪”のシャンクス!?』

「おう!そうだ!!バギーを出してくれねぇか?」

 

シャンクスは向こうが気づいてくれた事に嬉しさを少し感じていた。ドタバタと慌てる音が聞こえてくる中でシャンクスはどうやって話を切り出そうか悩んでいた。

 

(ウタの事・・・教えてくれるかな・・・まぁバギーなら大丈夫だろう!)

 

漸く少しだけ()()()がマシになってきた所でウタの事が心配になったシャンクスは取り敢えず無事だと分かるとそっちに行くよりもバギーの方から話を聞こうと思った。

 

『シャンクス、てめぇこの野郎なんのようだ!?』

「ちょっと話がしたくてよ・・・なぁその・・・」

『お前の娘の事か?』

「・・・ウタに聞いたのか?」

『あのバカ娘が自分から言いやがったんだよ・・・馴れ馴れしく猫なで声でおじさん呼びしやがって・・・なんてムカつく似たもの父娘なんだよお前らは・・・」

「・・・」

『おい、聴いてんのか!?』

「わ、わりい・・・な、なぁ・・・ちょっと会わねぇか?昔みたいに色々と話がしてえ・・・」

『はぁ!?そんな事、誰が・・・』

『おい、聞いたか今の話!?』

『あの“四皇”が座長を食事に誘ったぞ!?』

『そんな“七武海”聞いたことがねぇ!』

『ドフラミンゴはどっちかって言うと下っ端だしな!』

『やっぱし、俺達の座長は凄え!!』

「???」

 

シャンクスは電伝虫から聞こえてくるバギーズデリバリーの社員の声を聞いて首を少し傾げていた。すると苦虫を噛み潰したようなバギーの声が聞こえてきた。

 

『・・・くそ・・・なんでこんなに持ち上げんだよ・・・わかったよ!!晩飯でも酒でも付き合ってやら!!その代わりてめぇ、酒と晩飯・・・半分は用意しろよ!!』

「本当か!?晩飯や酒くらい俺が全部用意してやっても良いのに」

『ぶざけんなバカシャンクス!!お前にだけはそんなのされたくねぇ!!』

『おぉ、座長が“四皇”に対して啖呵を!!!』

『凄え!!凄え!!』

『しかも“四皇”が奢ると言うのに断るとは!!』

『かっけぇ!!座長かっけぇ!!』

『ええぃ、ハデに喧しいぞてめぇら!!』

「ふ、ふふふふ・・・だぁーはははは!!!!」

『何笑っとんじゃお前は!!』

「わ、悪い・・・昔と本当に変わってねぇなって・・・最近、色々とあったからよ・・・懐かしいよ」

『止めんか辛気臭え!!兎に角俺の条件はわかったな!?』

「分かった・・・じゃ待ち合わせは・・・エルバフから少し行った島に良い感じの島があるんだよ・・・エターナルポーズは後でニュース・クーに頼んで送る」

『ったく、何でお前ら父娘にまた振り回されなきゃ・・・分かったよ・・・ちっ』

「・・・ありがとうなバギー」

 

シャンクスはそれを言うと電伝虫を切った。久しぶりに兄弟分であるバギーと素で話せて嬉しかったのもあるがそれよりもウタがシャンクスの娘だとバギーに教えた事に対してシャンクスは涙が出そうになっていた。

 

「早くウタの話が聞きてぇな・・・」

 

シャンクスはそれだけ呟くとバギーと会うための準備を始めていった。























というわけで始まりましたシャンクス編・・・ここから万国編のカタクリに負けないレベルの地獄と苦しみがシャンクスに襲いかかってきますのでご覚悟下さい。

今話の曲は『未来航海』とシューベルトの『魔王』です。

このままだとシューベルトの『魔王』よろしく死に別れする運命にあるシャンクスとウタに対してバギーが何をやってきたのかシャンクス目線でやりますのでお待ちを・・・また1週間掛かるかも知れませんがなにとぞよろしくお願いします。


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Free Will /心の絆

やっぱし1週間かかってしまいました・・・

というか今週のシャンクスがやべぇ・・・そしてあんなカッコいい戦闘が見れる日にこっちのメンタルボロボロシャンクスを書いて良いのかと思いつつも完結まで頑張ります!!


時は少し進む。

シャンクスはバギーと無事に縄張りの島で酒盛りしながら世間話が出来ていた。

 

「あのバカ娘、会うなり俺様の玉を蹴り飛ばしたんだぞ?おまけに夢の世界?に連れて行って人を小さくするわ・・・」

「悪かったなバギー・・・そっかウタの能力を知ったのか・・・」

「あぁ?まぁ3日居たからな・・・てか、お前魔王だがなんだか知らねぇがそれで壊滅した国に置いていくってちょっと酷いぞ・・・」

「え?」

「しかも娘の罪を背負うためって・・・お前、その前向きさを何とかし・・・」

「い、今なんて言った!?」

 

バギーの話してる内容にシャンクスは顔を青ざめた。聞き間違いとしか思えない事を言われて動転した。それは近くで同じように酒を飲んでいたベックマンもタバコを口から落として何の事か分からないMr.3は四皇が慌ててる事に冷や汗が止まらなかった。

 

「だからあのバカ娘を守る為に・・・」

「どこで知った!?誰が話した!?答えてくれ!!」

「あのバカ娘が・・・自分で・・・」

 

胸ぐらを掴んでまで詰め寄って問い詰めるとバギーは少し驚きつつもあっさりと答えた。無人島での3日間のうちにウタから色々と話をされて付き合っていたバギーはそれを云うとシャンクスは打ちひしがれたように腰を落とした。

 

バギーはそれを見て悪口を言ってやろうかと思ったが止めた。シャンクスはどうとでもなるし、負ける気なんかないがベックマンもいるのが厄介で下手にやると自分が殺されるからだ。

 

「ふん、兎に角お前の娘にはハデに酷い目にあわされたんだよ!今度何かあったら侘びに宝かなんか用意しときやがれ!!」

「あ・・・あぁ・・・分かったよ・・・」

「さてと、こっちはもう飯も酒もやったしお前の娘の事も全部話した。もうここにはようはねぇし、顔を合わせるのもこれで終わりかもな。じゃあな、さっさと仲直りなりなんなりして俺様に迷惑がかからねぇようにしとけよ」

 

バギーはそう云うと黙って睨んでくるベックマンが怖かったのもあってさっさと冷や汗をかいてるMr.3と一緒に乗ってきた小舟に乗って自分の船へ戻っていって帰った。

シャンクスは立てなかった。

ウタにどれだけ恨まれても構わない。そう思ってウタと別れたのにそれが全て無駄になってしまった。そんな感じがした。

 

「なぁ、ベック」

「言うなお頭、俺達のあの判断自体は間違ってねぇ」

「そ、そうだよな・・・そうに決まってるよな・・・」

 

狼狽え始めてるシャンクスにベックマンはそう端的に答えた。下手に長引かせるよりもきっぱりと言ったほうがシャンクスの為だと思ったからだ。しかし、ベックマンも内心、ウタを置いていった事を後悔し始めていた。

 

 

 

〇〇〇

シャンクスはバギーと宴会を終えてからというもの、酒の量が増えた。どんだけベックマンに違うと言われてもシャンクスとて内心そう思えなかった。何故ならUTAの出した夢によって極端なまでの前向きさが少し後ろ向きになった。それでもまだバギーや他の海賊達に比べたら明らかに前向きだが、そんな性格もあってシャンクスはウタの元へ行かなかった。

 

『なんで助けてくれないの?』

『そんなに私が嫌いなの?』

『答えてシャンクス』

(違う・・・俺はお前を本当の娘のように・・・)

 

幾つものウタが現れて言っていくがシャンクスは悪い夢ととしか捉えてなかった。本来なら完全に無視するタイプだがウタだからシャンクスも無視は出来なった。それがよりシャンクスに釘を少しずつ打っていくかのような苦しみを与えていた。

 

『ねぇ、シャンクス・・・なんで私を見殺しにしなかったの?・・・そしたら・・・コンナニクルシマナカッタノニ・・・』

「やめろ〜〜〜〜!!!」

 

シャンクスは悪夢から目を覚ました。これはUTAが出した夢ではない。幾らなんでもUTAはシャンクスが苦しむような事を率先とやらない。これは誰も如何なる存在も関係ないシャンクス本人が深層心理で思っていた罪悪感が夢となって来たのだ。

シャンクスはそんな悪夢に対して酒を飲もうかと思ったがもう既に二日酔いで頭が痛い上に気分も悪く目眩もしていたので外で再びノンビリと横になっていた。

 

「おい、頭。これ読んだか?」

「何だベック。俺は二日酔いで頭が痛えんだ」

「ウタの事が載ってるぞ」

 

そんな中でベックから新聞の事を聞いたシャンクスは飛び起きて新聞を取った。悪夢のせいで心配性になりつつあったからだ。新聞にはライブの成功と書かれていてシャンクスはホッとした。

 

「頑張ってるな」

「あぁ、髪を青く染めたらしいがな」

「え?」

 

ベックマンにそう言われてシャンクスはウタが髪を青く染めていた事に気づいて昔の事を思い出していた。

 

『シャンクスと同じ赤髪なの良いなぁ』

『良いでしょルフィ。シャンクスとオソロで』

『羨ましいぞ、俺にもくれ』

『どうやって上げるのよ!』

『こらこら、喧嘩するな。ウタは白も入ってるがその髪の毛が好きなのか?』

『うん、だってこの赤と白の髪で私はもっと可愛いくなるから』

『そうか』

 

昔は紅白髪であることに喜んでくれていたのに時の移り変わりは早いなぁとシャンクスは活躍してることにホッとしつつも少しだけダメージを負ってしまった。

 

「そういえば青髪ってバギーの色だよな」

「あっ!?」

 

ベックマンに何気なしに言われて二日酔いで頭の働かないシャンクスは気づくと笑った。前回の無人島の時にバギーに助けられたらしいから仲良くなっている。シャンクスも昔の仲間であるバギーがいるなら絶対に大丈夫だと思えた。

 

「そうか、ウタもバギーを気に入ったか、なら良いや!!よし向かい酒だ、酒を持ってこい!」

「いや、駄目に決まってるだろうが!!」

 

船医のホンゴウがまだ飲むつもりのシャンクスを止めようとするがシャンクスにとっては凄く大切な祝い事なので結局止まらず、シャンクスはまた二日酔いを食らう羽目になった。

 

そんな風にまた酒でボロボロになったシャンクスは夢を見ていた。

 

それはバギーとウタが仲良くやってる光景でシャンクスはそれを見て最初は心から安堵していたがバギーの姿が段々と自分へと変わっていった。

 

『本当にこれで良かったのか?』

 

ウタの隣にいる自分にそう言われたシャンクスは顔を青ざめた。そして良い事なのか悪い事なのか判断に困るが目が覚めてしまった。

 

二日酔いの頭でシャンクスはベットから起き上がって机に座るとウタがバギーによって助けられた新聞を見ていた。バギーの事もウタに負けないくらい大きな写真で記事に載っていた。シャンクスはバギーの写真に軽く触れるとビリビリにバギーの写真だけ破った。

 

「なんで、なんでお前なんだよ・・・ふざけんな・・・フザケンナ・・・ナニモシラナイクセニ・・・フザケンナ、バギー・・・」

 

シャンクスは怒りのまま手の動くままにビリビリにした後で自分のやった事に気づくと頭を振った。

 

こんなバギーに嫉妬じみた事をやってる自分におかしさを感じながらシャンクスはまた酒を飲もうかと思ったが流石に飲みすぎてるのを自覚してるので止めた。ガンガンと鳴る頭からシャンクスはイライラしながらポツリと呟いた。

 

「・・・お前に俺の何が分かんだよバギー・・・」

 

ポツリと呟いた一言にシャンクスは内心笑った。もう自分で自分のやってる事に笑えるほどシャンクスのフラストレーションは溜まり続けていた。

 

 

 

〇〇〇

時間が経ってシャンクスは日々だんだんと追い詰められていく中で赤髪海賊団の面々もシャンクスがおかしい事に気づき始めていた。だが他の皆もシャンクスに何も言えなかった。それは自分達の12年前の行為を無駄にするのと同義であれに誰よりも苦しんでいるシャンクスにより苦しめと誰も言えなかった。

 

そんな中であの日がやってきた。

ウタがバギーをおじさんと慕っていると世間に公表した日だった。

 

「お頭〜〜〜!!大変だ、ウタが!!」

「!?・・・どうした!!」

 

シャンクスはルウから新聞を取って顔から血の気がなくなっていくのを感じた。ウタとバギーの仲が世間にバレた事で今までのウタが頑張ってきた物が崩れてしまった・・・シャンクスは倒れそうになりながらも堪えた。

ウタとバギーの仲が良いのは新聞を追って知っていた。とある“事件”の中心人物であるウタとバギーはそこから世間へ黒い噂として流れていって不安に思っていたのが見事に的中した。

 

「お頭、すぐにウタの元に」

「ルウ!」

「だって、ウタのピンチだぞ!?」

「何のために別れたのか忘れたのか!?」

「全部、ウタの為だ!!」

 

仲間達があれこれと騒いでる中でシャンクスはベックに後を任せた。普段は自分でなんとかしようとするがとてもそんな気は起こせなかった。

自分の部屋に戻ったシャンクスは部屋に置いてあった電伝虫を使ってウタの所に掛けようかと思ったが出来なかった。盗聴の危険もあったが何よりも問題なのが1つあった。

 

それはウタの番号をシャンクスが知らないという事だった。

 

完全にカタギにする為に縁を切ったのでシャンクスは知らなかった。知ってるのは今のウタの事を知ってるバギーの番号だけだった。

 

「バギーに教えてもらおう・・・」

 

シャンクスはそのつもりで電伝虫をバギーにかけた。

 

『はい、こちらバギーズデリバリー』

「・・・バギーを出してくれねぇか・・」

『あ、赤髪!?』

 

シャンクスは落ち着いて話すことに努める為に至って平穏そうに電話をした。ものの数十秒でバギーが来て相変わらず良いやつだなと思った。

 

『おぉ、バギーか?』

「あぁ、確かに俺様だがド派手にどうした?」

『いや、また迷惑を掛けたからよ』

「俺様は別に構わねぇ・・・お前、それよりもウタと話したのか?」

『何をだ?』

「何をだ??・・・じゃねぇよ!!ハデバカシャンクス。あいつと話をしたのかって聞いてんだろが!!お前はあいつの父親だろうが!!」

 

バギーの言葉はシャンクスには図星だった。

 

(分かってるよ、そんなの・・・お前よりもずっと・・・)

『・・・なに、俺なんか居なくてもウタなら乗り越えられる』

 

しかし、あまりにも図星過ぎたのと夢の件やシャンクスの中にあった嫉妬が絡み合い、いつもの反応をしてしまった。

 

「・・・そりゃ、信頼じゃなくてただの()()()だろうが・・・ってか()()を言えよ」

 

いつものバギーの声ではなかった。いつもの騒がしい感じではなく落ち着いた声で本気で言ってるのが嫌でも分かった。

 

「・・・幾らお前でも俺達の事には首を突っ込まないで欲しいな・・・まぁ、今回も済まなかった。今度酒でも奢るから許してくれ・・・じゃあな!!・・・あっ、やっちまった・・・ウタの番号・・・くそ・・・」

 

シャンクスはバギーの分かってるような声に対して精神がボロボロにやられていたのもあってキレてしまった。

少し頭を冷やしてもう一度今度はちゃんと掛け直そうと思っているとぷるるるるると電伝虫が鳴ったのでシャンクスは出た。

 

「誰だ?」

『俺様だ』

「バギー、さっきのは・・・」

『もう何も言うなヘタレ・・・聞きたくもねぇ・・・今からそっちに行くから覚悟しとけ・・・』

 

ガチャンと音がして電伝虫が切られた。シャンクスはバギーとまた喧嘩をしてしまったと思ったが言っていた事を理解するまで少し時間が掛かった。

 

「・・・あいつ、何をするつもりだ?」

 

あの2人の喧嘩まで後少しだった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

そしてバギーがシャンクスに喧嘩を売りに来た。まさかの自体に赤髪海賊団は本気でやり合う羽目になる事も考えて傘下をエルバフに置いてレッドフォース号だけで向かうとそこに居たのはバギーズデリバリーの船団だった。

 

「あいつ本気か!?」

「お頭どうする?」

「やるか!?」

 

シャンクスは皆の声にどうしたら良いのか分からなくなっていた。バギーがここで本気でやりに来たら手心加えずにやるしかない。しかし、バギーをやるとウタが苦しむのでは?漸くその元来の前向きさが少し後ろ向きになってしまった事でシャンクスは混乱してしまっていた。

 

(バギーをやるとウタが・・・クソっなんでこんな事に・・・)

 

ピリピリとしてくる中で拡声電伝虫を使ったバギーの声が聞こえてきた。

 

『あ~あ~・・・シャンクス・・・というかそこのダメ親父共に告げる!!すぐにあいつに会いに行かねぇなら俺達がてめぇらを全員捕まえて鎖で全身縛って無理矢理会わせる!!とっとと会いに行かない自分らのアホさ加減を派手に恨め、素っ頓狂共が!』

 

声はそれで止んだ。シャンクスはバギーが何を言ってるのか理解すると本気でやり合う気なんだと冷や汗が出てきて引いた。

 

「アイツは馬鹿か?」

「昔からド級の馬鹿だ」

「お頭どうする?幾らお頭の友達でも流石にこれは笑えねぇよ」

「いつでも撃つ準備は出来てるぜ」

 

他の面々が完全に宣戦布告だと思って構えていてシャンクスもそれを理解していた。

 

「待て待て待て、俺が話をつけてくる!小舟を出せ!!」

 

シャンクスはそう言った。バギーズデリバリーを倒す事は別に良かった。だがバギーをやるとウタが苦しむと思っていたシャンクスは説得の為に島へと向かった。

 

「・・・そうだ、バギーをやるとウタが苦しむかも知れねぇんだ・・・仲良い・・・なんで俺じゃ・・・いやまずは説得・・・会いに・・・会っちゃだめだ・・・」

 

シャンクスは島へと向かう船の上でブツブツと考えていた。どうすれば良いのか何をすれば良いのか考えていたが何も思い浮かばなかった。

 

(・・・何が連れて行くだ・・・俺達の・・・どれだけ苦しんで別れたかも知らねぇくせに・・・)

 

シャンクスは内心ドロドロになりながらも島へと付くとバギーもすぐに1人でやってきて向き合った。睨んでくるバギーに対して本当は心から睨み返したいがウタの為にシャンクスは何とか引いてもらおうと人懐っこい笑みを浮かべていた。

 

「バギー・・・頼むから引いてくれ。俺達の問題なんだ」

「俺がウタと関わってなきゃ引いてたが、紛いなりにも師匠になっちまったら、簡単には引けねぇよ」

「・・・そんな大層な武器まで付けてきやがって・・・」

「新兵器マギーバルカンだ。覚醒した動物系にも効いたマギー玉をありったけブチ込める俺が作った“対強敵”用の武器だ」

「・・・そんなの付けて俺とやり合う気か?俺に戦闘で勝った事ねぇだろ・・・」

「嫌ならさっさとウタの所に行け」

「・・・片腕しか無いくせに・・・俺のマネか?」

「お前にハンデなんかいらねぇよ、ハデバカヘタレ野郎」

 

その言葉にシャンクスは本気でバギーが自分とやり合う気なんだと悟った。だが四皇として生きてる自分とバギーでは強さが違う。シャンクスはバギーを殴り飛ばして引いてもらう方に頭を切り替えた。

マギー玉がどれだけ来ようともシャンクスはバギーに殴る蹴るしかしなかった。ウタの為だった。バギーを殺してしまうとウタがまた傷つくと思った。

 

(引いてくれ・・・引いてくれ・・・いつもみたいに逃げろよ・・・でねぇと俺はまた・・・ウタを苦しめちまう・・・)

 

幾らボコボコにしても引かないしそれどころか倒れもしないバギー。だが強さが違うのでシャンクスからしたらそれは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()感覚で辛さが増してた。

そして決して引かないバギーにシャンクスは遂にうんざりし始めた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・わかっただろ。お前が俺に勝つなんてありえねぇんだ・・・引いてくれよ・・・頼むから引いてくれよ!!ウタと関わり合いたくねぇなら関わらせねぇよ!!・・・俺の顔が見たくねぇならもうどっか行くからさぁ」

 

バギーが自分の事を嫌っているのもウタに対して以前ブツクサと言っていた事を理解していたシャンクスは思わずそう言ってしまった。

 

「ハデにお断りだ・・・それに誰が勝つって?・・・一回も膝を付かせてねぇのにか??」

 

だがバギーから返ってきたのは挑撥だった。シャンクスはそれを聞くともう絶対にバギーが引かないと悟ってしまった。

 

「わかった・・・もうお前の勝ちでもなんでも良い・・・・・・こっちが消えてやる・・・」

 

精神がガタガタで未来視が出来ない状況になってるシャンクスはバギーが無理なら自分が引こうと思った。それは11年前にウタを置いた時の感情に似ていた。

 

「そうか、ウタが邪魔になったのと同じように俺様もハデに邪魔か?」

 

去ろうとした瞬間に聞こえてきたバギーの言葉にシャンクスはグリフォンの柄に手をかけた。今まで溜まっていた物が吹き出しそうになっていたのだ。

 

「ウタから聞いたよ。戦闘の際は部屋でウタワールドの中に居させたって・・・」

(そうだ・・・ウタを守るために・・・)

「そんなの邪魔でしかねぇよな?」

(違う・・・違う!!)

「危ないし、人質になりやすいお荷物そのものだ」

(そんなの1回も思ったことねぇ!!)

「だからエレジアに捨てたんだろ?」

(俺はウタを捨てたくて別れたんじゃねぇ!!!!)

「“四皇”になるには娘なんて邪・・・」

 

シャンクスは次々と来るバギーの言葉に遂に我慢できずに思いっきりグリフォンを抜いて斬撃を飛ばした。バギーを斬らずに近くの地面に飛ばしたのは最後の情けのつもりだった。

 

「下手に出てれば・・・ペチャクチャと・・・とっとと黙らねぇとそのデカっ鼻ごとぶった斬るぞ“千両道化”!!」

 

シャンクスは思いっきりバギーを睨んだ。もうウタの事なんか考えられなかった。今すぐにでもバギーをぶっ飛ばしたくて怒りが抑えきれなくなっていた。

 

「やってみろ“赤髪”!!」

 

バギーはまたマギー玉を大量に発射してきた。シャンクスは今度は全てバギーの方に跳ね返すとバギーはバルカンで何とか防ぐがその爆風で吹き飛ばされた。だが上手く着地して絶対に倒れない。すぐさま、マギーバルカンを向けてくるがシャンクスは既にバギーの後ろの方に回っていてグリフォンの峰でバギーの頭をぶん殴った。

 

吹き飛ばされるが意地でも倒れないバギーにシャンクスはすぐに詰め寄って武装色の覇気を纏ってバギーを蹴り飛ばしたが倒れなかった。

 

「俺がウタの事を“邪魔”だと?・・・一度も思ったことねぇよ!!俺達が12年前、どんな思いでウタと別れたか知らないくせに・・・俺達がどれだけウタと会いたかったか知りもしないくせに!!・・・勝手な事を言ってんじゃねぇ!!!」

 

それはシャンクスの心からの()()だった。どれだけ会いたくても会ってはいけないと思って堪えてきた物が吹き出し始めていた。

 

「・・・てめぇ等の思いなんて知ったことか!!大事なのはウタだろうが!!」

 

その言葉に図星を刺された。以前バギーに言われた事も相まってシャンクスは顔を歪めた。

 

「お前らがどんな思いだろうが、どんな決意を持ってようが関係ねぇ!!そんなもんド派手に全部バラバラにしてやる!!・・・俺は意地でもお前をウタの元に連れて行くからな・・・“シャンクス”!!」

「そうか、やってみろよ・・・“バギー”!!!」

 

シャンクスはそれを聞いてもう止まれなくなった。会いたいのに会ってはいけないと心から思ってるからこそ行けなかった。

そんなシャンクスとウタの関係を何とかしようとしてるのは他の誰でもない“バギー”だった。




















というわけで今作で激熱と評価の高かったシャンクスVSバギーのシャンクス視点です。
いやぁ、書いてて本当に鬱!!しかもこっから特大のが来るので・・・まぁ次回は本当に覚悟してください・・・魂が圧し折られると思うので・・・理由は“ドレスローザ”です。

そして今回の曲は『Free Will』とproject DMMの『心の絆』です。
次回は早く出したい・・・もう毎回言ってるけど・・・


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fish / 天までとどけ

おまたせしました。
殆ど1週間だけどギリギリ6日後なので次回はより早く書き上がりたいです。


決闘は3日間続いた。

シャンクスはバギーがすぐに倒れると思ったし、誰もここまで時間がかかると思わなかった。

しかし、バギーは決して倒れず引かずに果敢にシャンクスに向かって行った。

四皇として鍛え上げてきたシャンクスにとってこれは予想外過ぎた。

 

(なんで、武装色が出せねぇ!?)

 

シャンクスは武装色を出せずにいた。武装色を纏った斬撃なら死ななくても痛みを感じてバギーも苦しむが疎らになっていた。何故ならシャンクス本人にも分かっていたからだ。

 

自分がウタから逃げてるのだと本心では分かっていた。

 

レイリーはルフィに覇気を教える時“疑わない事が強さ”と教えた。しかし、今のシャンクスは自分の強さを信じられないほどにまで精神がガタガタだった。だがそれでもバギーとは差はかなりある。

見聞色の未来視が使えなくても覇王色の覇気が効かなくても2人の差は大きかった。しかし、それも段々と差がなくなっているようにシャンクスは冷や汗をかき始めた。

 

「いい加減に諦めろよ、バギー!!」

「まだ終わってねぇだろうが!!」

「もうボロボロだろうが!!」

「そりゃお前だろうが!!傷1つついてねぇのに何でお前は・・・“泣きそうになってんだよ”!!」

 

バギーの叫びにシャンクスは一瞬固まった。

 

(ウタに会い・・・違う駄目だ!俺が会うとウタを不幸にするんだ・・・)

 

ウタに会いたい。しかし、11年前に守れなかった事、カタギとして生きてほしかったこと、自分が海賊であることの全てが雁字搦めとなってシャンクスを苦しめていた。

 

「・・・友達を攻撃するのが辛えだけだ!!」

 

シャンクスはそう言った。実際にバギーを攻撃していて辛くないわけがなかった。海賊として自分の為に戦うんじゃなくバギーはウタの為に来ていた。その事実がシャンクスを追い詰めていた。

 

まだ続けようとするバギーにシャンクスは容赦なく剣を振るうが武装色の覇気が疎らになってしまったせいでバギーのバルカンに受け止められた。

 

その事実にシャンクスは目を開いた。圧倒的に差があって本来なら絶対に受け止められない筈の自分の攻撃が止められた事により、差が少しづつ縮まってるのを肌で感じていた。

 

「ほら受け止められた、お前らしくねぇな!!」

「・・・ぇ・・・(お前だって・・・)」

「お前だってわかってんだろ!?逃げてるのは自分だって!!」

「・・・せぇ・・・(20年逃げてた癖に・・・)」

「お前も()()()()()()()だろうが、ハデに逃げてんじゃねぇ!!」

「・・・うるせぇ・・・(お前が言うな!!)」

 

言いたい放題言ってくるバギーにシャンクスは武装色の覇気と覇王色の覇気を纏わせた拳でバギーを殴り飛ばした。今までで1番の攻撃に死にそうなほど辛いが死んでもバギーは倒れずにシャンクスの方を見るとシャンクスは遂に心に限界がきたのか涙を流していた。

 

「うるせぇうるせぇうるせぇ!!お前に何がわかる!!20年もロジャー船長の名前から逃げてたお前が今更俺に説教か!!?・・・俺がどれだけ寂しかったか知らないくせに・・・()()()()は助けるのかよ・・・フザケンな、バギー!!」

 

(そうだ・・・バギーが言う資格ないんだ・・・20年以上も逃げて、今になって調子よく船長の名を使ってるコイツにとやかく言われる筋合いはねぇ!)

 

シャンクスは意固地になってしまった。バギーのやっているスタンスに思う事が無いわけではなかった。しかし、やりたい事をやろうと言い合っていたので気にしてはいなかったが散々と言ってくるバギーに遂にシャンクスは我慢が出来なかった。

 

「それが分かってんのになんでお前はウタに同じ事をやってんだよ!!・・・確かに俺は逃げてた・・・船長の名を汚してカタギに手を出して何もかも台無しにしたから・・・20年もアホみたいに逃げて・・・ウタに助けられてやっと本当に素の自分を出せて楽しくなった・・・お前はまだ12年だ・・・戻るには今しかねぇんだよ、シャンクス!!」

 

バギーの必死の叫びに精神がズタボロになっているシャンクスは顔を歪めた。自分でも戻るには今しかないと最後のチャンスだと直感はしていた。だが戻り方を見つけられなかった。

 

「俺はもう逃げねぇ・・・ロジャー船長からもお前からも逃げねぇ、嘲笑れようが失望されようが逃げねぇ・・・俺だって()()()()()()()だ!!」

 

シャンクスはその言葉を聞いて斬撃の雨をバギーに浴びせた。しかし武装色の覇気は込められず、バラバラの実の力で全てバギーには無意味だった。

 

「ロジャー船長にはなれねぇが・・・船長の代わりにお前をぶん殴る!!」

 

バギーはそう叫ぶと斬撃の雨の中を走ってシャンクスに向かっていった。その姿に困難にも勇敢に立ち向かっていったロジャーの姿がシャンクスには重なって見えた。

 

(ロジャー船長・・・!!)

 

「これはウタの分だ!!」

 

どれだけ()()()()()()()()()()()()()バギーは()()()()自分の拳をシャンクスの顔面にぶち込んだ。シャンクスは吹き飛ばされて地面に背中を付けた。

 

(こいつ・・・武装色の覇気を・・・気づいてねぇのか・・・)

 

シャンクスはバギーが武装色の覇気を使って殴ってきた事に啞然としてるとバギーはそのことに気づかず、シャンクスが放してしまったグリフォンを元に戻った手で持ってシャンクスの首に突きつけた。

 

「さぁ、ウタに会いてぇってド派手に言え!!」

 

バギーの言葉にシャンクスは涙を流しながらも首を横に振った。まだ強情なシャンクスにバギーは胸ぐらを掴んだ。

 

「・・・嫌だ・・・ウタには会わねぇ・・・」

 

「何でだ!!?」

 

バギーにぶん殴られてシャンクスはこの3日間で初めてウタに対する想いをぶちまけた。

 

「会って何を言えば言いんだよ!!12年も放ったらかしにした屑だぞ!!何も言えねぇよ・・・あの時も・・・トットムジカの時も・・・俺がもっとちゃんと見てれば良かったんだ・・・なにもかも全部俺が台無しにしたんだ・・・俺はもうウタの人生を台無しにしたくねぇんだよ!!」

「それはウタ本人が言ったのかよ!?全部お前の中の事だろうが!!なんでも自分の中で終わらせてんじゃねぇ!!そんな所ばかり似てどうすんだよ、このハデバカ父娘!!・・・・ビビるなよ、()()()()()()()()()()だろうが・・」

 

バギーの言葉を聞いてシャンクスはある事を思い出していた。それはおでんが乗り始めた時に自分たちが先輩であると言いたくて白ひげに所属していたおでんを認めたくなくて詰めかかっていた時にすぐにからかわれた事だった。なんてことない思い出だったがあの時はやりたいようにやって楽しかった事をシャンクスは思い出すと涙もそして溜まっていた本音も止まらなくなり、バギーに涙を見せないように右手で顔を隠してシャンクスは叫んだ。

 

「会いてぇよ・・・ウタに会いてぇよ!!会って謝りてぇよ!!チクショーーー!!!」

 

出た心からの本音にシャンクスは感情を止められなくなると自分への情けなさ悔しさ、そしてそれを無理矢理こじ開けたバギーにムカついてバギーの背中をゲジゲジと蹴り始めた。

 

「なんなんだよお前は・・・こっちの事情も知らねぇのに・・・全部バラバラにしやがって・・・このデカっ鼻・・・お前なんか嫌いだ・・・大嫌いだ腐れ海賊・・・クソ野郎・・・へっぽこピエロ・・・カス野郎・・・お前なんか友達でもなんでもねぇ・・・」

 

(違う・・・違う・・・言わねぇと・・・言わなきゃいけねぇのに・・・)

 

口からドンドンとバギーへの悪態は出てくるのにシャンクスはお礼を言えなかった。それほどまでに溢れてくる感情を抑えることが出来なかったがシャンクスは頑張って意地で言った。

 

「バギー(助けてくれて)ありがとう・・・」

 

助けてくれての部分は内心になってしまったがシャンクスはお礼を確かに言えた。シャンクスはそれを言うと心が少し楽になった。溜まっていた物を吐き出せたからだ。そんな風にしてるとバギーがMr.3達から決闘の事を聞かれていたのでシャンクスはそれに対してバギーよりも早く答えた。それはシャンクスが1からやり直そうとする本音だった。

 

 

 

〇〇〇

そんな風にしてたがシャンクスはウタに漸く話が出来る状態になった時にミスをした。

それはあまりにも会ってなかった事と何を言えば良いのか分からなくなってシャンクスはいつも通りにやろうと思って声を掛けた。

 

「やぁ、ウタ。久しぶりだな、元気だったか!?」

『はぁ!?』

 

本当にいつも通りすぎてウタの怒りを買ってしまいシャンクスは完全にウタから縁切り宣言をされてしまった。それだけではなく、バギーが父親だと世界中に事実無根な公言をされたのでバギー相手なら思いっきり出しても問題ないと判断したのか猛烈に嫉妬したし、それを隠そうともしなかった。

 

「野郎共、逃げるぞ!!バギー玉をハデに撃ちまくって時間を稼げ!!」

『オォォォォォォ!!!』

「野郎共、“千両道化”狩りだ!!死んでも仕留めるぞ!!」

『オォォォォォォ!!!』

 

シャンクス達はバギーを仕留めようと本気で追いかけ始めた。そこでウタに電伝虫でもかければ良かったが縁切り宣言をされたショックで自分達からかけられずにいた。

それから暫くの間シャンクス達はバギーを追いかけた。追いかけて探してを繰り返してる時にスフィンクスでバギーらしい顔を見たとの情報が傘下から入ったのでシャンクスは向かった。

 

「バギー!!見つけたぞごらぁ!!」

「げぇ!!?バレた!!」

「ウタを俺から奪った罪は大きいぞ!!」

 

そして情報通りバギーはマルコによって匿われていて場は緊迫した状況になった。

 

「お前ら、ここは親父の故郷だよい!!暴れるなら俺がお前らをぶちのめすぞ!!」

「どけマルコ!!そいつは俺の獲物だ!!」

「マルコ助けてくれよい!」

 

殺気を放ちながらバギーを睨むシャンクス。バギーはマルコに縋りついて助けを求めていた。その姿を見てシャンクスは更にイラつきながら剣を向けた。段々とシャンクスの中でもバギーが今以上に大きくなっていた。

 

〘シャン!!〙

 

しかし、そんな中でウタがシュガーによって玩具にされてしまった。ホビホビの実の能力によってウタの事を全員忘れてしまった。それはシャンクスも赤髪海賊団もバギーも全員等しく忘れた。

 

「俺達、なんでバギーを追ってたんだ?」

「俺様はなんで追われてたんだ?」

「おいおい、親父の故郷で何をやってるんだよい?」

 

混乱する面々はそのまま自分達が集まった理由を考えたが肝心の中心にいるウタの事を忘れたので答えが出なかった。

 

「まぁ良いや!バギーもマルコも久しぶりにあったんだから飲もうぜ!!」

「おっ、いいな!!旨い酒はあるか!?」

「食費が全部赤髪持ちならやるよい!」

「よし、野郎ども宴だ!!」

 

全員、その場で宴を始めた。この時、バギーは大怪我をしていたがホビボビの実はそう言った疑問に思う事すらも違和感を感じさせなくする。全員、何も違和感を感じずに昔からの知り合いと酒を飲み始めて数時間後にウタは玩具から元に戻った。

 

〘シャン!〙

 

シンバルのような音がなるとシャンクスはまず最初に思い出したのは懐かしい記憶だった。

 

『ウタは本当に歌が好きだな!』

『うん、だって赤髪海賊団の皆が笑ってくれるもん』

『そうか!!』

 

何気ない記憶を思い出すとシャンクスは胃の中の物を全て吐き出した。それはシャンクスだけではなかった赤髪海賊団の当時のメンバーにバギーもまたウタとの記憶を思い出すと吐き出した。

シャンクスは胃の中の物を全て吐き出すと落ち着こうと努めた。隣ではマルコが背中を擦ってくれていた。

 

「大丈夫かよい赤髪!」

「マルコ・・・すまねぇ・・・」

「シャンクス!!」

「・・・バギー・・・」

「ウタが・・・」

 

バギーの言葉にシャンクスは頷いた。ウタに何かあったのだ。シャンクスはそれを聞くと急いでバギーとの諍いも今は止めて船を出す準備をしていた。

 

「急げ早くしろ!!」

「分かってる!!」

「ウタに何かあったんだ!!」

「おい、赤髪!!これを見つけたぞ!!」

 

急いで船を出そうとしてるシャンクス達にマルコはある新聞を持ってきた。それはウタがドレスローザでライブをするという内容で今から1週間前の記事だった。

 

「ドレスローザ・・・ドフラミンゴ・・・」

 

誰がウタに何をやったのかシャンクスはそれを見て理解した。ドレスローザはドフラミンゴが収める国、ドフラミンゴがウタに手を出したのだ。怒りで我を失いそうになりつつあるシャンクスをマルコは冷静に見つつも何処か冷ややかに見ていた。

 

「おい、赤髪」

「何だマルコ?」

「冷静になれよい、そんなに怒ってると見聞色が上手く使えねぇぞ」

「・・・そうだったな・・・ありがとう・・・」

「・・・思い出せばお前らがここに来たのもお前の娘関係だったな・・・」

「すまない・・・迷惑を掛けちまった」

「気にすんな被害はねぇからな・・・けど娘とは仲直りしとけよ・・・これ以上色んな所に迷惑をかける前にな」

 

マルコはシャンクスにそう言った。別に他人の父娘関係にまで口出しするほどマルコはお人好しではないし世話焼きではない。しかし、一瞬とはいえシャンクスとバギーとウタの問題でスフィンクスが戦場になりかけたかもしれないとなると流石のマルコも小言の1つや2つくらい言いたかった。バギーから事情を聞いていておまけに赤髪海賊団の反応やシャンクスの反応などを考慮して原因がシャンクスとウタにあると悟るとマルコは面と向かってそう言った。

 

「あ・・・あぁ・・・すまない」

「もう良いからさっさと行ってやれ。娘がピンチなんだからな」

 

マルコは最後に軽くそう言った。ある種の発起をさせるような感じの軽口だったがシャンクスはそれを目を開いて青褪めつつ聞いていた。

 

「・・・お前、本当に大丈夫かよい?」

「だ、大丈夫だ・・・世話になったな」

 

何かおかしいと思い始めたマルコはそう聞くがシャンクスは笑顔を向けてそう言うと船へ乗っていった。船が出ていく中でマルコはシャンクスの言動に首を傾げていた。

 

船がドレスローザへと向かっていく中でバギーは電伝虫を掛けまくっていた。マルコから借りた奴と合わせて2台も使って掛けてると船に載せていた映像電伝虫に映像が出てきた。

 

「おい、見ろこれ!」

「何だこりゃ?」

 

『政府に代わって深く深く詫びを申し上げます!!本当にすまん事をしやした!!』

 

映像では藤虎が大勢海兵を連れてドンキホーテファミリーを全員拘束するように言いながら、海兵に電電虫を起動させてありのままの真実を語り始めてドフラミンゴを王下七武海に入れて好き勝手させていた事、この国の平和を奪った事、市民を危険に晒した事を電電虫を通じて世界中にバラしていた映像だった。

 

「生放送か?」

「生放送です!」

 

ベックマンがロックスターに確認を取って生放送と判断すると赤髪海賊団やバギーにシャンクスは青褪めていた。ドレスローザの町は壊滅していてこんな所にウタがいると思うとまさかと最悪の事態を考えてしまって息が詰まった。

 

そんな中で藤虎の謝罪が終わるとリク王が話し始めた。その内容は全てを見通すヴィオラの能力によって作られた幹部を撃破する為に戦った者達のリストを読み上げていく事だった。

 

『バギーズデリバリー所属“海賊”【ハイルディン】!八宝水軍13代目棟梁“海賊”【サイ】!バルトクラブ海賊団船長“海賊”【バルトロメオ】!美しき海賊団船長“海賊”【キャベンディッシュ】!ヨンタマリア大船団“提督”【オオロンブス】!トンタッタ兵団“戦士”【レオ】!ドレスローザ王国“兵隊長”【キュロス】!ドレスローザ王国“剣闘士”【レベッカ】!“ディアス海戦A級戦犯”【スレイマン】!“格闘家”【イデオ】!“格闘家”【ブルーギリー】!“賞金稼ぎ”【アブドーラ】!“賞金稼ぎ”【ジェット】!プロデンス王国“軍師”【ダガマ】!プロデンス王国“国王”【エリザベロー2世】!一般人“歌姫”【ウタ】!そして麦わらの一味所属“海賊”【ニコ・ロビン】!麦わら一味所属“海賊”【フランキー】!麦わら一味所属“海賊”【ウソップ】!麦わらの一味所属“海賊”【ロロノア・ゾロ】!ハートの海賊団船長“海賊”【トラファルガー・ロー】!麦わらの一味船長“海賊”【モンキー・D・ルフィ】!』

 

『ウタ!?』

「ハイルディン!?」

 

リク王のリストの中にウタが居たのに赤髪海賊団は驚き、バギーは自分の部下であるハイルディンが居たことに驚いていた。リク王の説明から客人として持てなすと言われて無事な可能性が高かったがそれでも不安には変わりなく、バギーはすぐさま甲板で映像を見つつもマルコから借りた電伝虫でハイルディンに掛けていた。

 

「出やがれハイルディン!!その為にお前をウタの護衛にさせてんだぞ!」

 

バギーはキレつつもそう言って電伝虫をかけていたが繋がらなかった。

 

「ここじゃ波の音でうるせぇし、これから大忙しだ。バギー、悪いが船室でやってもらって良いか?」

「あぁ?・・・分かった」

「お頭もドレスローザに電伝虫をかけろ。どっちかは繋がるはずだ」

「あぁ・・・バギーこっちだ」

 

シャンクスは電伝虫を自分の船の持ってバギーと自室へ入った。そこでバギーはハイルディンにシャンクスはドレスローザに電伝虫をかけていたが繋がらなかった。

 

(なんで・・・なんでこうなるんだ・・・)

 

シャンクスはどうしてこうなったのか分からないまま電伝虫をかけ続けていたが繋がらない。暫くして近くでかけていたバギーが電伝虫を持って立った。

 

「バギー?」

「やっぱ無理だ!これ以上辛気臭えお前と一緒に居られるか!!」

 

バギーはそう言って出ていった。何故ならシャンクスは泣いていたからだ。シャンクスにあったのは後悔だけでウタの心配をしてもウタが今どうなってるのか分からない。それだけではなかった。バギーがハイルディンを護衛にやったと聞いてシャンクスは自分との違いをマジマジと分かってしまった。自分はウタと離れれば上手く行くと思ってエレジアに置いた。誰もつけずにだがバギーのやってる事を見てあの時、誰かを1人・・・賞金首になってなかった仲間を置いてちゃんと事情を話せばこうはならなかったんじゃなかったのか?とUTAの夢で極端なまでの前向きさがまともになったシャンクスは一瞬で後ろ向きの考えが止まらなくなっていた。

 

「何やってんだよ・・・俺はよ・・・」

 

シャンクスはそう呟くとまた電伝虫のダイヤルでドレスローザの番号に掛けた。そして自分一人だけになった船長室では電伝虫の無情なぷるるるという音と自分の止まらない後悔で出た鼻水を啜る音、涙が溢れる音が異様に自分の耳に響いていた。
















えぇ、本当に胃袋に鉛を打ち込むかのような地獄がシャンクスを襲ってますが恐らくそれは次回で終わると思います。
そして多分完結までもう少しだと思うので突っ走れるように頑張ります!!

今話の曲は『fish』と武田鉄矢の『天までとどけ』です。


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世界のつづき/だからみんなで

おまたせしました!!
久しぶりに少しだけ早く投稿出来て嬉しいです!!
次回も早く出したいです!!


泣きながら必死に何回も何回もドレスローザに向けて電伝虫をかけた。繋がらなくても一言で良いからウタの声を聞きたかった。すぐに謝りたくて申し訳ない気持ちにシャンクスは溢れていた。

 

『はい!こちらドレスローザ臨時政府の者です!』

「かかった!一般人のUTAの知り合いだ!すぐに呼んで貰えねぇか!?」

『畏まりました。このままでお待ち下さい』

 

電伝虫の相手である兵士からそう言われてシャンクスは漸くウタと話せると思うと部屋にあった鏡で自分の顔を見た。髪は乱れてるのは別にどうでもいい、問題は自分の目だった。真っ赤になっててみっともなかった。

 

(泣くんじゃねぇ・・・泣きてえのはウタなんだ!・・・何泣いてんだ・・・馬鹿じゃねぇのか!!)

 

自分に苛立って必死に涙の後を拭いたシャンクスは絶対に電伝虫を切らないように待っていた。

 

『もしもし?』

(ウタ・・・ウタ!!)

「ウタ、無事か!?」

『シャンクス・・・?』

(良かった、ウタの声だ・・・良かった良かった)

 

シャンクスはその声を聞いた途端に漸く安心できた。無事に何とかなったのだと落ち着くことが出来た。

 

『シャンクス・・・なんで?』

「良かった!!無事だったのか・・・良かった・・・良かった・・・バギー!!ウタは無事だぞ!!」

 

嬉しさのあまり少し飛んでいたシャンクスはウタの次の言葉を聞いて戻ると外にいるバギーに声を掛けた。 

 

『おじさん!?おじさんもいるの!?』

「なんだよウタ。俺よりもバギーかよ〜」

『当然だよ!!』

 

漸くホッと安心したのでシャンクスはバギーの事を聞いてくるウタに対して少しいじけてみると容赦のない言葉を言われてより心にダメージが来た。

 

「まぁ、無事で良かった・・・何があったのか分からないが電伝虫でドレスローザの事は知ったよ・・・戦ったのか?」

『うん、おじさんに鍛えられたから。それにおじさんに預かってる物を奪われて凄く悔しかったから・・・』

「そうか・・・ウタ・・・ごめんな・・・」

『シャンクス?』

「あの時も今も・・・側に居てあげられなくてごめんな・・・お前の事を一瞬でも忘れちまってた・・・凄い辛くて情けなくなって、今はバギーと一緒にドレスローザに向かってる・・・ごめんな・・・いつもごめんな」

 

シャンクスはそれを聞いてウタと少しだけ話が出来たのが嬉しかった。前の大失敗とは違ってゆっくりと話せたことで漸くシャンクスはウタに対して自分の本音を出せたし、それを言えずにいた後悔や嬉しさと矛盾する感情を同時に抱えながらも涙が止まらなくなっていた。

 

『なにそれ・・・電伝虫で謝ろうっての・・・アタシはそんなんじゃ許さないから・・・』

「ウタ・・・」

『今度、エレジアでライブをするから、ゴードンが必死に色々と準備をしてくれてるの・・・来てよ・・・3日間やるつもりだから・・・来てよ・・・聴きに来て・・・最後の日の最後の曲だけでも良いから絶対に来てよ!来なかったらもう本当に許さないから・・・絶対に絶対に絶対にシャンクスの娘を辞めるから・・・一生、バギーおじさんの娘だから、来てよ・・・()()()()!』

 

シャンクスは確かに聞こえた。涙を流しながら訴えてくるウタの本音を確かに聞いた。シャンクスは必死で涙を止めようとした。ちゃんと言わなければ今度こそ全てを失うと本気で思ってるからこそシャンクスはちゃんと声を出すことが出来た。

 

「行く・・・必ず行く!・・・どんな事があっても絶対に行く・・・俺達は絶対に行くから・・・あと少しだけ・・・待っててくれ!!」

『ありがとう・・・待ってるから・・・』

 

シャンクスはそう必死に絞り出すとウタの涙声の返事が返ってきた。

 

「ほ・・・バギーに代わるか?」

『うん・・・変わって・・・お願い』

 

シャンクスはベックマンやルウ達に代わろうかと思ったが前回の大失敗もある上にバギーの事を心配していたのもあってバギーを呼ぼうと自分の部屋の扉の方を見るとそこにはバギーだけじゃなく他の皆もいた。全員バギーを思いっきり嫉妬の炎を燃やしながら睨んでいた。

 

「バ、バギー・・・」

「おう」

 

バギーは今回の振り回されまくった事もあって完全に赤髪海賊団の面々に外見だけでもビビらずにシャンクスから受話器を取ってウタと話し始めた。

 

「変わったぜウタ」

『おじさん・・・ごめんなさい・・・一杯迷惑掛けちゃって・・』

「ったく、今度やったらただじゃおかないからな」

『ごめんなさい』

「無事で良かった・・・本当に・・・心配したんだぞ!?本当に凄え心配して・・・良かったよぉ!!」

 

シャンクスに負けず劣らずウタの心配をしていたバギーも泣きながら無事を喜んだ。

 

「グスっ・・・それでなんのようなんだ?・・」

『アタシ・・・本当におじさんの事も・・・お父さんだって思ってるから・・・助けてくれて一緒に居てくれて本当に嬉しかったから・・・だから・・・お父さんってこれからも呼んでいいかな?』

「・・・駄目だ」

 

ウタの言葉にバギーは少しだけ考えてしまったが駄目と止めた。何故なら扉の方を見るとシャンクスを含めた赤髪海賊団の面々が武器に手を当てながら睨んでいたからだ。

 

(あれは本気で不味い・・・) 

 

流石のバギーもこれには内心冷や汗をかきまくっていた。

 

「でないとシャンクス達にまた狙われるからな・・・俺よりもシャンクス達に言ってやれ・・・分かったな?」

『・・・うん、分かった・・・バギーおじさん・・・大好きだよ』

「ありがとよ」

 

バギーは少しおとぼけながら言った。バギーの中で既にウタに対して愛情に近い物が芽生えていたがバギーはそれを自分でも認められなかったからだ。

 

その後、睨まれて追われていた事を漸く思い出したバギーはどうなるか不安があったがウタにこうも気に入られているのを目の当たりにしてしまった赤髪海賊団の面々はバギーに手が出せなくなったのでそのままドレスローザへ行ってドフラミンゴを八つ裂きにするまで乗ることになった。

 

その日の夜シャンクスは船長室じゃなくて甲板で酒を飲んでいた。漸くウタに会いに行ける事に嬉しさを感じつつも四皇なのに何も出来なかった自分の無力さに苛立ち、それを忘れるために飲んでいた。

 

(俺はウタに何もやれてねぇ・・・くそ・・・俺は駄目だ男だ・・・何もかも全て変わりてぇ・・・)

 

シャンクスは徹底的に自分を否定し、後悔し、そして酒を飲んで寝た。

 

 

〇〇〇

シャンクスは気味の悪い夢を見ていた。

暗闇の中で唯一人でいる事に気づくと歩いて誰かいないか周りに何かないか探すが何一つ見つからない。

 

『おい、早くしろ!』

『急げ急げ!』

 

いつも聞いてる声だった。ベックマンの合図に皆が反応して自分も乗ろうとシャンクスは足を進めたがすぐに動けなくなった。まるで透明な壁に遮られたようで力を込めて殴ってもビクともしなかった。

 

「どうなってやがる・・・」

 

シャンクスはそう呟くと目の前でベックマン達は出航した。何かがおかしいと感じるがまた周りは暗闇になり次に見えたのは自分の傘下とエルバフの戦士たちだった。そっちにもシャンクスは向かったがまた透明な壁に遮られて自分の目の前で出航した。

 

暗闇の中でシャンクスは冷静になろうと思っていたが次に見えたのはルフィとウタだった。

シャンクスは走って2人の元に向かうが透明な壁にぶつかった。

 

「ったく何なんだよ!ウタ、ルフィ!聞こええねぇのか!?」

 

ウタに会えたので抱きしめようと向かったのに遮られて行けない。ウタは一目だけ自分の方を見るとルフィと一緒にシャンクスから離れていった。

 

「ウタ、おい!ウタ!!ルフィ!!」

 

本気で壁を殴っても壊れず2人の元へ行けない。そんな中でまた暗闇になり、次に見えてきたのは懐かしい景色でシャンクスは固まった。

 

「ロジャー船長・・・」

 

見えてきたのはオーロ・ジャクソン号に乗ろうとしてるロジャー海賊団の皆だった。

 

「船長!レイリーさん!ギャバンさん!クロッカスさん!おでんさん!トキさん!ノズドン!バンクロ!ピーター!ブルマリン!スペンサー!大佐!サンベル!ムーン!ウィング!眼竜!パイン!モモラ!ジャクソン!ラングラム!ドリンゴ!マークス!ヤモン!エリオ!ユーイ!ギャラン!タロウ!ドンキーノ!」

 

シャンクスは皆の名前を呼んだ。しかし誰1人としてシャンクスの方を見ずに目の前で出航しようとしていた。

 

「待って!待ってくれ!!・・・ロジャー船長!!」

 

シャンクスは精神が不安定だったのも災いして冷静になれずに大声でロジャーを呼んだがロジャーは振り向かずに目の前で出航した。

そしてまた暗闇になった。

シャンクスは少しだけまた歩くが今度は何も現れずに暗いままで光など見えなかった。

自分の前向きさにとことん嫌気が差してきたシャンクス。だが赤髪海賊団やウタやルフィ、そしてロジャー達はそんなシャンクスの元来の気質もなんだかんだ気に入ってるのを良く自分でも理解していた。故にシャンクス本人がそれを否定した事で自分を見失ってしまった。

 

「なんだよ・・・また1人か・・・いや、元々俺は1人か・・・」

 

シャンクスはそう呟きながら疲れたのでその場に座った。どうすれば良いのかどこに向かえば良いのか途方にくれてると足音が聞こえてきた。

足音は自分の前で聞こえ無くなるとシャンクスは顔を上げた。するとそこにはバギーが立っていた。

 

「バギー・・・」

 

なんだかんだシャンクスの気質を気に入ってる皆と違ってバギーとシャンクスの関係は腐れ縁に近い。バギーはシャンクスのそういう前向きさや気質が嫌いであり、昔からあれこれと言っていた。本来なら完全に縁が切れてるのだがバギーがウタと出会った事でまたあれこれ言い合うなぁなぁに近い腐れ縁が繋がった。

そうシャンクス本人が理解している範囲で自分の気質に1番怒るのはバギーだった。

 

シャンクスはバギーに手を伸ばすがそこで目が覚めてしまった。

 

 

〇〇〇

酒の飲み過ぎでガンガンとなる頭を抑えつつシャンクスは甲板で殆ど全員雑魚寝していたのもあってすぐにバギーを見つけると横に座った。

 

「バギー・・・お前は俺を見捨てねぇんだな・・・」

 

シャンクスはバギーに対してそう呟いた。また繋がってしまった腐れ縁に縋るように精神的に追い詰められていたシャンクスはバギーに依存し始めた。それこそウタがルフィに依存していたように2人は正しく親子のように似ていた。違うのは自分の今までの生き方を全て否定するほどの悪夢に魘される程追い詰められていたシャンクスはウタとは比べ物にならない程重かったという点だった。

 

 

 

 

〇〇〇

「なぁ、頼むよ・・・バギー・・・」

「ふざけんな、てめぇとうとうイカれたか!?」

 

レッドフォース号の船長室でシャンクスはそう言っていたがバギーからの反応は当然の如く却下だった。

 

「頼むよ・・・」

「お前の部下なんか嫌だって言ってんだろが!!俺様はやりたいようにやってんだよ!!お前だってそうだろうが!!」

「・・・無理なんだよ、俺がやりたいようにやったら・・・全部壊れんだ・・・ウタを傷つけちまうんだ・・・」

「お前・・・」

「今回だってウタが死ぬかもしれなかった・・・あのトットムジカから出てきたウタを見て分かっちまったんだよ・・・ウタが違う“世界”じゃ死んだって・・・」

 

シャンクスはそう言うと膝を付いて涙を流し始めた。

 

「俺だけだと結局、ウタを傷つけるしか出来ねぇんだよ・・・頼むよお前が居ないと俺は何も出来ねぇんだよ・・・」

「無理だ・・・俺とお前の縁は切れてんだよ・・・ロジャー海賊団の頃とは違うんだよ!!」

 

バギーはシャンクスにそう言った。ロジャーにあった時にバギーは何回もロジャーが解散してるから良いのにと言ったのをちゃんと覚えていた。ロジャー海賊団の過去からは逃げないし、あの時の旅や記憶は嘘にはならない。しかし、ロジャー海賊団は解散していてもう過去の物だった。

 

「もう1回やりてぇんだよ!!また会えたんだ・・・また戦えたんだ・・・2年前のあの戦争でまだ終わってねぇって・・・」

「終わってんだよ!!・・・俺がウタに助けられたあの日から・・・」

「バギー・・・」

「俺は俺のやりたいようにやる・・・ロジャー海賊団の頃から何も変わってねぇし変わらねぇ!俺はバギー海賊団船長“道化”のバギーだ!!」

 

バギーははっきりとシャンクスに向かってそう言った。

 

「変わらねぇな・・・ホントに・・・羨ましいよ・・・ずっと変わってねぇお前が死ぬほど羨ましい・・・」

「シャンクス・・・」

「何1つ変わらずにすんだお前みたいに俺は“強く”ねぇんだよ!!!」

 

そう大声で言った。泣きながら叫んだシャンクスはそのまま蹲って泣き始めた。嫌でももう無理だと分かってしまって今度こそ1人になってしまったと思ったのだ。

腕っ節は強く、見聞色も武装色も覇王色もある。なのにそれが通じず失敗ばかり、シャンクスは自分が酷く無力に思えた。

 

バギーはそんなシャンクスの横を通って船長室から出ようと思って手をかけるとシャンクスの消えそうな声が耳に入ってきた。

 

「バギーお願いだよ・・・置いてかないで・・・」

 

あまりにも弱々しくてバギーは思わず振り返るとそこにはロジャー海賊団時代のシャンクスが蹲っているように見えた。頭を振ってちゃんと見ると元に戻ったが一瞬だけでも見えた事でバギーはまだ繋がってると嫌でも分かってしまった。

だからバギーは船長室から出るのを止めてシャンクスの隣に座り込んだ。

 

この腐りきってしぶとい悪縁を今度こそ切る為にバギーはシャンクスの隣に来た。

 

「シャンクス・・・俺、船長に会ったんだ・・・」































というわけでシャンクス編も終わりです。
いや、本当にこんなにメンタルボロボロなシャンクスを書いていいのやら・・・
次回はウタとの和解を書いてそして最後の宴編です!!
ルフィとウタがどうなるのか。
シャンクスとバギーがどうなるのか。
その2つに全力で取り組んで行きます!!

今話の曲は『世界のつづき』と岩渕まことの『だからみんなで』です!!


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ココロのちず/Paradise

おまたせしました!!
これでシャンクスの話も終わります!!
いやぁ長かった!!



シャンクスに対してバギーがロジャーに言われた事を話そうとしている時、このことを外から聴いていた者が二人いた。

 

「シャンクス・・・お願いだよ、帰ってきてよ・・・」

 

1人はウタだった。シャンクスが船に戻ってるのを見てバギーと船長室に入ったから追いかけて部屋の前でシャンクスの真意を聞いたウタは涙が止まらなくなっていた。

 

「シャンクスの・・・バカ・・・」

 

シャンクスの真意を聞いたがウタは別にそんな事は望んでいない。旅をして喧嘩をして前に進んでいたウタは傷つく事に恐れはない。なぜなら人と繋がればそれらは癒やされると知ったからだ。故にウタはルフィやバギーとも良く喧嘩をする。何故ならそれで壊れるほど脆弱な繋がりではないからだ。

そんな風にウタは進んでいたがシャンクスはむしろ戻ってしまっている事にウタは悪態をつくとそのまま眠った。昨日から必死に頑張ってきたので遂に限界が来たのだ。

 

「シャンクス・・・バギー・・・」

 

そしてウタとは少し離れた場所でもう聞いていた1人でレイリーもシャンクスが陥ってしまってる状況に対して複雑な思いを抱いていた。

前向きである意味でロジャーの気質に影響を受けたシャンクスがまさかの事態になってる事に流石に驚きを隠せなかった。

未来なんか分からなくてもレイリーには1つだけ分かった事があった。それは2人の関係が変わると言うことだ。友達でも兄弟でもない別の関係になる事にレイリーは不安と本当の意味で巣立ちをしようとしてる2人に複雑な思いを持っていた。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「せ、船長にあったのか?」

「あぁ、あの化け物の影響で会って・・・助けてくれた・・・んで言ってくれた。何があっても俺達のあの旅は変わらねぇって・・・俺はオーロ・ジャクソンの子だって言ってくれた・・・」

 

バギーはそう言うとシャンクスは暗い気持ちにまたなった。自分は本当に何もかもが無くなったのではないかと思えてきた。

 

「てめぇもそうだろ」

「え?」

「お前もオーロ・ジャクソンで育っただろうが・・・それで良いじゃねぇかよ」

「バギー・・・」

「てめぇの事情なんか俺は知らねぇし興味もねぇ、けどロジャーの船長はどんな事があっても見捨てねぇってのがよくわかったよ・・・それで良いじゃねぇか・・・船長はずっとここにいる」

 

バギーはそう言うとシャンクスの胸を叩いた。ロジャー海賊団は解散した、けどその思いはずっと自分達の中で生き続ける。

シャンクスはそれを聞いて目を閉じた。

そして気持ちを落ち着けようと必死で冷静になろうとした。見聞色の覇気を出すように冷静になろうとして気がついたらシャンクスは暗い世界にいた。

 

また同じような感じかと思って不安にもなったが不意に誰かに肩を叩かれて後ろを見るとそこにはロジャーが笑ってた立っていた。

 

「ロジャー船長・・・」

 

シャンクスが会えた事に驚きいて思わずそう呟くとロジャーは笑って消えた。幻かそれともシャンクスが望んだただの妄想かは分からない。だがシャンクスはその笑顔を見ると何故か心を締め付けていた物が取れたような気分になった。そう思うと自分の周りの暗闇が晴れていって周りには赤髪海賊団の皆やルフィにウタ、ロジャー海賊団の皆に傘下の皆もいた。

シャンクスはその光景を見ると漸く頬が緩んできた。

 

「シャンクス・・・おい、シャンクス!」

 

自分を呼ぶ声がしたのでシャンクスは目を開けて気がつくとバギーが肩を叩いていた。シャンクスはその手を掴むと肩から離した。

 

「バギー・・・助かった・・・」

「っけ、兎に角俺はもう帰るぞ!あ、これは貰っていくからな?」

 

バギーはそう言ってさっきシャンクスが渡してきた宝石箱を持った。シャンクスはそれに首を縦に振って答えた。その顔は今までとは違った。ロジャーがいると知って仲間達や大切な者達もまだいると分かったからかシャンクスの顔は晴れやかな顔つきになっていた。

 

「・・・てめぇはそのムカつく顔つきじゃねえと気持ち悪い」

「なっ!?お前、さっきから酷いぞ!?」

「どっちが酷いんだ!?俺様にここまでさせやがって!!」

「だからごめんって!」

「ごめんですむか!!この泣き虫ヘタレ男!!」

「そこまで言うか!?この最弱最低赤鼻男!!」

「「なんだとごらぁ!!?」」

 

2人はそう言い合って暫く睨み合うと笑い始めた。懐かしい状況になった事、そしてお互いに前に進めるような気がしたからこそ笑いが止まらなくなった。

 

「・・・戻るぞ、ウタが待ってる」

「あぁ」

 

2人はそうやって船長室の扉を開けて外に出ると隣でグッスリと寝てるウタを見つけた。

 

「ウタ!?」

「何でここに!?」

「お前達が心配で来てたんだ」

 

驚いてる2人に後ろからレイリーが声をかけてきた。2人の体は思わずビクっとなってレイリーを見ると顔を思いっきり歪ませた。絶対に不味い人にあったと一目見て簡単に分かるほどに凄く変な顔になった。

 

「「レレレレレレレイリーさん!?」」

「お前ら・・・随分と長かったな・・・」

「え?まさかレイリーさんも聞いてたのか?」

「あぁ、私とウタちゃんも部屋の中の事は知ってるぞ」

「ギァァァァァァァァ〜〜〜〜!!!??」

 

レイリーからの容赦のない一言にシャンクスは思いっきり青褪めてバギー顔負けの叫びをした。そしてまた膝を地面に付けた。

 

「うぅ、やっぱり俺は駄目なやつだ・・・なぁ、バギー・・・」

「近づくな名前を呼ぶな」

「ひ、酷え・・・」

「いやこれに関してはシャンクスが悪い」

 

バギーの方をまた見たシャンクスだが先手を打たれて断られるとレイリーにダメ出しの一発をされてより落ち込んだ。

 

「もう駄目だ・・・ウタにあんな話を聞かれた・・・俺はクソ野郎なんだ・・・」

「おう、やっと気づいたか」

「バギー、容赦がないな」

「こいつのせいで俺は本当に酷い目に会いましたから、まだまだ言いたりねぇ」

 

落ち込んでるシャンクスにバギーとレイリーが呑気に話してるとウタが身動ぎした。起きるかと思ったがウタはまだそのまま寝ていて3人は誰よりも疲れてるはずのウタが起きなかったことに少しホッとなった。

 

シャンクスはそのままウタを抱き上げて行こうかと思って右腕をウタの背中側に回すが持ち上げられない。左腕を失ったからシャンクスにはウタをもう抱き上げる事すら出来ない。嫌でも月日を感じることをまた突きつけられるシャンクスをバギーとレイリーは黙って見ていたが唐突にレイリーがバギーを見て肩を叩いた。バギーは何かと思って顔を向けるとレイリーは笑っていた。

 

「ま、まさか・・・」

「ウタちゃんの為だと思ってやってやれ」

「うぅ・・・本当に今日はもう疲れるなぁチクショー!!」

 

バギーはレイリーが何を思いついたのか理解すると溜息を吐きながらシャンクスに近づいて自分の左腕を外してシャンクスの目の前に持ってきた。

 

「ほらよ」

「バギー?」

「これで手を貸すのは最後だからな」

 

バギーはそう言うとシャンクスはウタまた少し横にして自分の左袖を捲った。そしてバギーの腕を貰うとそれに合わせるようにした。繋がるわけではない。しかし、左袖にその腕を通すと一見シャンクスの左腕っぽく見えた。

シャンクスはそのまま自分の右腕をバギーはシャンクスの左腕っぽくなってる自分の左腕を操ってウタを無事に抱き上がらせた。

 

シャンクスはもう無理だと思っていたことが出来た事に何とも言えない感覚になってるとウタがまた身動ぎして目を開けた。

 

「シャンクス・・・?」

「ウタ・・・その・・・」

「あぁ・・・良かった・・・」

「え?」

「昔のシャンクスと何も変わってない・・・」

 

ウタは寝ぼけながらそう呟いた。ヒゲはより出たし皺も出た、それに色々とボロボロなのにウタからそう言われてシャンクスはウタを抱き締めた。

 

「ごめんな・・・ごめんなウタ・・・」

「ううん、色んな人に会えたからいい」

 

涙をポロポロ零していくシャンクスにウタもそう言うと涙が溢れてきた。12年間会えなかった辛さとそして再会できた喜びが漸く出てきたのだ。

バギーはそれを眺めているとレイリーが肩に手をかけた。

 

「やっとだな」

「ホントに大変だった・・・」

「ふっ、お疲れ様だなバギー」

 

2人はそんな風に軽く笑い合っているとシャンクスがこっちを向いてきた。

 

「バギー!」

「お父さん!」

「「ありがとう」」

 

ウタとシャンクスの2人は涙で顔がグチャグチャになりながらもバギーにお礼を言った。バギーはそんな2人を見るとウタに対してデコを合わせに行った。

 

「ウタ・・・本当に良かったな・・・」

「うん・・・うん!」

「こんな事言うとは夢にも思ってなかったが・・・愛してるぜウタ」

 

バギーはそうウタに言うと自分もまた涙がポロポロと出てきた。これまで散々と酷い目にあってきたて怒りもかなりあるがそれが終わる事とそして自分の宝と言ったウタが幸せそうに喜んでるのを見ると嬉しかった。

 

レイリーはそんな3人を見てホッとしていると懐かしい気配を感じてそっちの方を向いた。そこにはロジャーが半透明な姿で立っていて笑うと消えた。レイリーはそんなロジャーを見て笑った。

 

「ふっ、お前も人の親だなロジャー」

 

レイリーは懐かしい相棒が来たことに笑うと3人に近づいてシャンクスとバギーの頭を撫でた。

 

「うぉ!?レイリーさん!?」

「ふっ、本当にお前らは・・・良い漢になったな」

 

レイリーにそう言われたシャンクスとバギーは互いに顔を見合わせてニヤけた。それぞれ色々とあったがなんだかんだでこう言われると嬉しかった。

 

「よし、戻るぞ」

「そうだな」

「だったらアタシ降りる・・・」

「昔みたいにこのまま抱っこして行かなくていいのか?」

「いいの!アタシが抱っこしてあちこち行くのはルフィだけにしてるんだから!」

「「なにぃ!?」」

「ふふ、娘にフラレたなお前ら」

 

ウタにそんな事を言われてショックを受けた2人は少し落ち込んだ。ウタはシャンクスから降りてそのままビックトップ号へ戻ろうと歩こうとするが立ち止まって何か思いついたのかシャンクスとバギーの所に戻ってくると2人の手を引っ張った。

 

「ほら行こ!」

「お、おい!」

「急に引っ張んな!」

 

ウタに引っ張られて3人はそのままビックトップ号へ戻っていき、レイリーはその後ろ姿を少し見てから自分も戻っていった。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

「待たんかルフィ!!」

「ギャァァァァァ!!」

 

一方、ビックトップ号の上ではシキをぶっ飛ばした時に協力した為に海軍の軍艦も近くにあったのでガープがプロポーズとキスを盛大にやったルフィに対してキレながら拳を振りかざして追いかけ回していた。

 

「公然でチューをするなど破廉恥極まりない!!ワシはそのような淫らな孫に育てたつもりはないわ!!ここでその考えを叩き直してやる!!」

「じいちゃんには関係ねぇだろ!!」

 

ビックトップ号どころかあちこちの傘下の船の上にまで行って鬼ごっこしてる2人に対して一味どころか殆どの面子が呆れて溜息をしていた。

 

「はぁ、あの孫と爺は・・・」

「もうちょっと落ち着けないもんかね」

「あいつにそれは無理だ」

 

センゴク、おつる、ゼファーの3人は鬼ごっこしてる2人に対してもう何も言えんとばかりに軍艦の上からおかきとせんべいと茶菓子を食べながらお茶をしていた。もう色々と疲れてこれから他の海賊団を捕まえる気も無かった上に一般人はおらず、そして四皇2人に元七武海が4人もいる上にビッグマムの残党など戦力が不足してるのもあって何もしなかった。

 

「しかし、良いんですか?こんなに海賊を前にしてこの状態は」

「良いも悪いもここでこの面子を相手に出来る程戦力があるわけでも無いしな」

「あのせんべい爺が戻ってきたら帰るよ」

「あいつとの喧嘩もまだ終わってないしな」

「分かりましたが・・・ガープ中将はいつ戻って来るんでしょうか?」

「「「さぁ?」」」

 

海兵の1人がお茶を注ぎながら聞いてくるがもう3人にはガープの行動を考えること事態バカバカしくなっていて現実逃避をするかのようにのんびりとお茶していた。

 

そんなこんなでルフィはビックトップ号の甲板の上でガープに掴み上げられてしまった。一味の面々ももう勝手にやれば良いと思って何もする気はなかった。

 

「さぁ、愛ある拳を受けい!!」

「もう勘弁してくれ!!」

「ルルルルフィ!?」

 

遂に殴られるかと思いきやの所でウタがシャンクスやバギーを連れて帰ってくるとガープに殴られそうになってるルフィを見て思わず叫びルフィの方へ単身来た。

ウタに叫ばれた事でルフィとガープはそっちの方に顔を向けた。

 

「あ、ウタ。もう終わったか?」

「おぉ、ウタちゃん!久しぶりじゃの」

 

何とも呑気に言ってくる2人にウタはズッコケそうになりつつも良い意味で肩の力が抜けた。場がまた混沌としてくる中でウタにローが近づいてきた。

 

「おい、歌姫屋ちょっと良いか?」

「え?トラ男どうしたの?」

「ちょっと気になることがあってな」

「え?」

「どうしたんだトラ男、まさかウタにまだ何か!?」

「なんじゃと!?」

「えぇぇぇ!?折角ルフィと結婚出来たのにそんなぁ!!」

「いや、そんなんじゃねぇ筈だから大人しくしとけ・・・スキャン」

 

ローはオペオペの実の力で慌ててるルフィやガープ、ウタをよそに診察をしてくるとウタの中に先程感じていたものがやっぱりあった事にこれからの起こる事を考えると思わず寄った眉間の皺をほぐしたくなったが早く事実を報告する事にした。

 

「歌姫屋良かったな」

「え?」

「おめでただ」

「「「・・・オメデタ?」」」

 

ウタだけでなく近くで聞いていたルフィにガープも一緒になってポカンとし、周りで聞こえた面々は嘘だろ?と言わんばかりに目や耳を疑っていた。

 

「“妊娠してる”って事だ」

「・・・・・えっ!?」

「えっ!?」

「曾孫じゃァァァ〜〜〜〜!!!!!」

 

ローから言われた言葉にウタとルフィは耳を疑ってしまい、ガープはルフィを離して両手を高く突き上げた。

 

『えぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!?!?!?』

 

周りでそれを聴いていた者達の驚いた声が同時に海に響いた。





































というわけでシャンクスとウタが遂に和解です!もうこの話を書くために去年の8月から頑張ってきたので書けて嬉しいです!!
あまりの重い展開に某掲示板の色んなルウタスレで甘いSSを書いてたりとやってて遅くなりましたが漸く出来てホッとしました!!
そしてまさかのウタが妊娠・・・いや感想欄の皆様は分かってる人が多数でしたがやれて良かった!!
さぁ、残す所も恐らく本編は後1話から長くても3話ですのでこのまま完結まで頑張ります!!
そして完結したら裏話を大量に書き出すつもりですのでそれもお楽しみに・・・何故にこんなにバギーが煩くなってしまったのかも含めて赤裸々に書きます。
それでは次回もお楽しみに!!

今話の曲は『ココロのちず』とNiziUの『Paradise』です。最新の曲ですがこの話のシャンクスとバギーとウタを表すのにピッタシだったので選びました。


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BON VOYAGE/道楽心情

おまたせしました!!
意外に早く書けてよかったです。
この作品も恐らく次回で本編最終話となりますのでお待ち下さい!!
それではどうぞ!!


ビックトップ号の甲板が大騒ぎになってる一方、崩壊したエレジアではオーガーが気絶しつつも運良くシキの大暴れで海に落ちなかったバージェスを起こそうとしていた。

 

「おいバージェス、起きろ」

「あぁ?・・・あの雑魚どもは・・・トットムジカは?」

「全て失敗だ。完敗したな」

「・・・くそっ・・・あいつらさえ居なければ・・・」

「“千両道化”か?」

「なんであの小娘の歌に反応できたんだ?」

「終わった事を気にしてもしょうがないだろ。兎に角総督の元に戻るぞ」

「了解だ・・・“クロスギルド”・・・覚えとけよ」

 

オーガーとバージェスはそのままオーガーのワプワプの実の能力でエレジア跡地を後にした。バージェスは遠くでワイワイと騒がしい事をやってるバギー達を見聞色で感じ取るといつか必ず仕返しすると心に決めた。

 

 

 

〇〇〇

「クワハハハハハ!!あんな辛気臭い所に居られるかと思って来てみればやっぱし良いことがあったぜ!!」

「社長、そろそろ逃げた方が良いのでは?」

「黙れ、麦わらと歌姫の子供だぞ!ここはさらに徹底的に・・・」

「止めて貰おうか・・・」

 

一方、ビックトップ号に潜んでいたモルガンズと社員の1人はルフィとウタに子供が出来たニュースをより取ろうとカメラを構えていたが突然と後ろにアナナを肩に乗せてやってきたカタクリが睨みを効かせに来た。

 

「これはこれは、“麦わら”に敗れた恋敵のカタクリ様ではございませんか?」

「貴様・・・ぶっ飛ばされたいのか?」

「社長!!申し訳ございません、このアホウドリは本当に頭まで阿呆で・・・」

「おいごらぁ!!お前、左遷させるぞ!!」

「パワハラだ!!」

「お兄ちゃん、この人達どうするの?殺すの?」

「殺しても良いが、このアホウドリを下手に殺すと後が面倒くさくなるから無理だ」

「良く分かってるじゃないか俺を殺したらある事無い事を世界中にバラまいてやる!!」

 

カタクリに対しても堂々と持ち前の神経の図太さで啖呵を切るモルガンズに隣の社員は冷や汗をかいていた。カタクリは呆れて溜息を吐くと疲れたように話し始めた。

 

「とっとと消えろ。そしたら何もしない」

「ちっ、これから麦わらに独占取材をしたり、千両道化と赤髪の禁断の関係を明かそうと思ったがまぁ良い、千両道化と赤髪はもう捏造しまくってやる」

「聞屋がそれを言っていいのか?」

「構わねぇ、面白ければ正義だ!」

「ろくな死に方はしないぞ」

「クワハハハハハハハ!!俺の迸るジャーナリズム精神は不死身だ・・・まぁ、今日はこれで引くとする。麦わらと歌姫のキスシーンも撮れたしな」

 

モルガンズはカタクリに言われたのと目的の物を手に入れたのもあってさっさと帰ろうと止めていた近くに止めていた自分の船に行くと何処からかニュース・クーがやってきて浮き上がった。

 

「あ、そうだ!ほれ()()の新聞だ。これから新しい記事と使う写真を貼れば明日の朝刊として世界中に流れる。面白いものを見せてくれたお礼だ。是非ともあの四皇達にも見せておいてくれ!!特別に値段はタダにしておいてやる」

 

モルガンズはそう言いながら船に乗せていた新聞を1つカタクリに渡した。その新聞は色々と写真は貼られてないし、記事も幾つか抜けていたがかなり強烈な記事に新しい手配書もあった。

カタクリはそれを見るとマジかと思って思わずモルガンズを見てしまった。

 

「クワハハハハハ!!驚くだろ?しかし、それはほんの1時間前に政府から言われた事でな、事実しか載せられてねぇのが残念だが明日の新聞じゃたっぷりと載せてやる!」

「貴様、本当にろくな死に方はしないぞ」

「ふん、俺の死もエンターテイメントになるなら本望だ!!」

 

モルガンズはカタクリにそう捨て台詞を吐くと離脱した。カタクリはその新しい手配書に加えて明日の新聞を持って騒がしい甲板の方へ向かった。

 

 

 

 

 

〇〇〇

「子供・・・嘘!?本当にいるの!?ねぇねぇ本当!?」

 

ウタはローから言われた事が本当なのか混乱していてローに詰め寄っていた。ローはやっぱり面倒くさいことになったなと思いつつも色んな事を確認していった。

 

「最近、酸っぱい物を無性に欲しくなかったか?」

「そう言えば欲しかったかも・・・」

「疲れやすくなってたり、疲れが取りづらくなってなかったか?」

「なんか最近疲れやすかったです」

「イライラが収まらなかったり、情緒不安定になってなかったか?」

「・・・なってました」

 

ドンドンと思い当たる節が出てきてウタはそれらを聞いてくると途端に色んな感情が出てきた。嬉しさが1番そして母親になるんだと何処かまだ実感が湧かなかったり、色々と感情が溢れてきた。

そんなウタをルフィは思いっきり抱き締めた。

 

「ウタ、その・・・凄え嬉しい!!」

「ルフィ・・・」

「なんか知らねぇけど嬉しくてよ・・・涙が止まらねぇよ・・・」

 

大好きな夫の顔を見ると涙が溢れていた。それを見るとウタも段々と涙が溢れてきた。今日はもう本当に泣いてばかりいるがそれでも涙は止まらなかった。

 

「うん・・・アタシも凄く嬉しい・・・嬉しいよ・・・」

「俺もだ・・・」

 

そんな風に抱きしめあってる2人に対して近づく者がいた。その者はルフィの肩をポンポンと叩いた。

 

「ん・・・誰・・・」

「ルフィ、おめでとうじゃ」

 

その者はガープだった。ガープはルフィに対して優しい顔を向けると頭を撫でた。ルフィは久しぶりに撫でられてる事に対して少し嬉しく感じてると思いっきり掴まれた。

 

「じゃが・・・」

「イテテテてててて!!!」

「嫁入り前の娘を傷物にするとは何事じゃ!!そんな軽い男にした覚えはないぞ!!」

「結局、怒るんかよ!?」

「ルフィ〜!?」

「やれ爺!!」

「派手に潰しちまえ!!」

 

思いっきり掴み上げられて痛がるルフィにあろうことがシャンクスとバギーももっとやれとけしかけていた。

結局、ルフィはその後ガープにボコボコにされてしまってウタに慰められていた。

 

「ルフィ、よしよし」

「うぅ、じいちゃんの馬鹿野郎」

 

泣いてるルフィを慰めてるウタはやったガープにけしかけていたシャンクスやバギーを見ると全員、赤髪海賊団やアルビダ、そしておつるにボコボコにされていた。

 

「チクショー、バギー!!」

「クソが勘弁してやらァ!!」

 

シャンクスとバギーはボコボコにされつつもお互いに抱きしめあって嬉しいのかそれとも悲しいのか分からないが大泣きしながら慰めあっていた。

そんな2人の光景に周りは2人をよく知らない者は仲が良いのかと感じ、バギーだけを知っている面々は唖然となってる中でルフィはそんな2人を見て固まっていた。

 

「な、な、な、なんで!?」

「ルフィ、ショックが大きいかも知れないが目の前の光景は真実だ」

 

憧れのシャンクスが寄りにもよって本当にバギーと仲の良い光景を今まで全く信じてなかったルフィは頭に強い衝撃を受けた感じになってるとベックマンがルフィの肩を叩き優しく言った。

 

「う、嘘だ!!シャンクスがあんな奴に〜〜〜!!」

 

ウタだけじゃなくエースもバギーを飲み仲間として気に入っていたのも今日は知ってショックだったのにシャンクスまでそんな事実なんだと知ってルフィは大泣きしながらウタに慰められていた。

 

「よしよし」

「よっぽどショックだったのね・・・いや、衝撃が強いのは否定しないけど」

 

ウタに慰められてるルフィに対して近くにいたナミが割りと自分も少し衝撃を感じつつも冷静に言った。

そんなこんなで大騒ぎになってる甲板だったが暫くしてルフィは泣き止み、ガープ達も落ち着いたのもあって帰ろうとしていた。

 

「それじゃルフィ、わしらは帰るから孫の出産予定日が分かったら海軍本部に手紙で良いから寄越せ」

「いや、駄目だ」

「何を考えてんだいこの爺」

「バカだと昔から思っていたが年々磨きがかかってきたな」

「うるさいぞ!出産して健康に育ったら今度こそ海兵にするんじゃ!」

 

ガープの燃えたぎってる野望を聴くと聞いていたルフィはウタを守るように庇った。

 

「駄目だ!じいちゃんそう言ってジャングルとかに放り投げたり、谷に突き落としたり、無人島に捨てたりすんだろ!?絶対にやらせねぇ!!」

 

今までされてきた事を曲解無しにドストレートに言って反発するルフィ。ウタは早速カッコいい所が見れた事に少しときめいていてガープはまた大声で反論しようかと思ったがその前に肩を誰かに掴まれた。

 

「ん、何じゃ?」

「おい、ガープどういうことだ?」

「ちょっと黙ってなあんた・・・麦わらのルフィ!聞きたいんだがそれは幾つからされた?」

「ん?俺がえーと5歳の頃から・・・」

「・・・聞いて悪かったね」

 

おつるはルフィからガープに仕込まれ始めた年齢を聞くと思いっきりガープを睨んだ。ガープは何か不味いことをやったのかと思って周りを見てみると海兵やNEO海兵、センゴクにゼファーもガープを睨んでいた。

 

「え?」

「お前、昔私が聞いた時に普通に軽く鍛えてると言ったな?」

「俺にもそう答えたよな?」

「あ、あぁ・・・じゃから軽く・・・」

「「どこがだ!?」」

「あんた、鍛えるなとは言わないけど5歳って年齢を考えなよ・・・私だって10歳から始めてんだよ」

 

同じように孫がいるおつるが小言を言うとガープは不味いことを言ったのだと悟り始めた。ゼファーはそんな冷や汗をかき始めてるガープなんか知った事じゃないので周りにいる海兵やNEO海兵に尋ねた。

 

「おい、このアホに仕返ししたい奴はいるか?」

『はい!』

 

新人の頃にガープに振り回されて尚且つ思いっきり迷惑をかけられた面々が手を上げていた。唯一上げてなかったのは弟子であるコビーやヘルメッポぐらいだが流石にこれは助けようが無かったので何も出来なかった。

 

「それじゃ海軍本部に着くまでたっぷりと返させて貰うぞ」

「それからこの大海賊を作ってしまったお前の教育方法をたっぷりと聞くから覚悟しとけ」

「な、なんじゃと!?」

「あ、それからじいちゃん元気でな!」

 

ガープがこれから大変な目に合いそうになってる最中、ルフィはさっさとそう言った。ガープは何と軽いのかと思って怒りそうになっていたが周りの面々は良くもまぁまだ爺さん扱いしてくれてるなと少し気の毒に思えていた。

 

こうして海軍はその場を後にした。

余談だがその後ガープはたっぷりとセンゴクとゼファーとおつるから小言を言われまくった。だが自由人の頂点にいるようなガープはこれから生まれてくる曾孫をどうやって海兵にしようかもう考え始めていて周りは下手にガープに関わらせて反発して悪党になる未来を防ごう考えて始めていた。

 

 

 

〇〇〇

「相変わらず、とんでもねぇ爺だな」

「じいちゃんは相変わらずだなぁ・・・ってシャンクス!」

「ん?どうしたルフィ?」

 

シャンクスは嵐のように去っていった海兵達を見てその混沌っぷりに呆れてるとルフィが詰め寄ってきた。

 

「なんでそんな奴と仲が良いんだよ!?」

「って指差すなこのクソゴムァ!!」

 

ルフィはビシッとバギーに向かって指を差していた。先程から仲の良さそうな2人に対してルフィは思いっきり聞いた。

 

「何でって・・・兄弟だから」

 

シャンクスがそう当たり前のように頭をかきながら答えるとルフィはショックを受けたのか固まってバギーは鳥肌が立ったのか身震いしていた。

 

「ルフィ・・・諦めた方が良いよ。ルフィにはアタシがいるじゃん!」

「うぅ、ウタ・・・シャンクスがアホになってる〜」

「って誰がアホだゴラァ!?」

「ギャハハハハハハハ!!アホって・・・ピッタシだなぁ!!」

「おい、バギーこのやろう!!」

 

シャンクスは酷いことを言ってくるルフィに思いっきりツッコミを入れていてバギーは思いっきり笑っており、シャンクスはバギーにもツッコミを入れていた。

そんな騒がしい中で新聞と手配書を持ってきたカタクリは騒ぎに呆れつつも騒いでる面々に近づいてきた。

 

「何を騒いでるんだ?」

「あ、カタクリ」

「どうしたんだ?」

「アホウドリから()()()()()を貰ったんでな。読め、驚くことが書かれてるぞ」

『明日の新聞?』

 

カタクリが明日の新聞と言うとルフィ、ウタ、シャンクス、バギーだけじゃなく他の周りの面ま2も気になって来るとルフィは新聞を取り敢えずロビンに渡した。ロビンはそれを受け取ると広げて読み始めて他の面々も覗き込むとその内容にビックリしていた。

バギーなんか顔を青褪めていた。

 

「えぇぇぇぇ!?な、何で!?」

「そんな嘘だろ!?」

「えぇ~、マジか!?」

「ギャァァァァァァァ!!もう勘弁してくれ〜!!」

 

ウタ、シャンクス、ルフィ、バギーはその記事を知ると愕然となり、パラッと新聞から落ちてきた新しい手配書を見ると殆どの面子が嘘だろ?と正気を疑った。

記事の内容はつい先程の事もニュースになっていて何でこんなに情報が早いんだと思っていた。

 

『四皇“金獅子”のシキ敗れる!!』

『赤髪と千両道化の同盟関係!?一体いつから!?』

『歌姫ウタは赤髪の娘!!』

『悪質極まりない愉快犯“千両道化”と“赤髪”!!』

 

記事の内容の多くはバギーがバラしたウタの事、そしてそのせいでバギーとシャンクスが同盟関係だったのではと勝手に想像されて色んな事が書かれていたがその中でも一際目立ったのがあった。

 

『稀代の極悪人“千両道化”のバギー 四皇へ』

 

そうバギーが四皇へ繰り上がってしまったのだ。この事実にバギーはショックを隠せずに驚いてクロコダイルとミホークは前よりもさらに手下扱いにされてる事に対してキレ始めていた。

さらに問題なのは懸賞金も上がってしまったのだ。

しかもウタの件もシャンクスと組んでやった事と認識されていてシャンクスの懸賞金まで上がっていた。

 

【赤髪のシャンクス 懸賞金47億7100万ベリー】

【千両道化のバギー 懸賞金47億7100万ベリー】

 

見事に同額かつカイドウよりも懸賞金が高くなってしまった。だがそれだけではなくもう1枚あった手配書も衝撃的だった。

 

【海賊歌姫ウタ 懸賞金22億5000万ベリー】

 

『嘘だろ〜〜〜!?』

 

ウタに懸賞金がついてしまった事によってシャンクスにバギー、赤髪海賊団を始め叫び声がまた響いた。





























というわけで、残っていた問題の種達は片付けつつも爆弾が・・・シャンクスとバギーの懸賞金アップに加えてウタまで賞金首に・・・まぁこれも初期から決めていた事なのでやれて良かったです。

今話の曲は『BON VOYAGE』とDOESの『道楽心情』です。歌詞が次回と今回の話にピッタシだったのでそれでは次回、最終回!!
タイトルは文字通り今作最後のライブですのであの曲になります!!
そしてそこでエピローグも少しやれたら良いなと思ってます。

では次回もお楽しみに!!(ウタはこれからどうするのかも書きますよ!!はたしてどうなる!?)


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ウィーアー





バギー、シャンクスの懸賞金が上がり、ウタが賞金首になってしまっていた頃、ハンコックはルフィとウタに子供が出来たという事実を聞いて固まっていた。石にならずに固まっていてニョン婆もあまりのショックに何が起こるのか分からなかったが暫くするとハンコックは動き出して酒瓶をサンダーソニアから取った。あまりに静かかつ優雅に取るので他の仲間達も反応出来なかった。

 

「なぁニョン婆、明日から酒を断つ努力をするから呑ませてはくれぬか・・・」

「蛇姫」

「たっぷり呑んでみっともないくらい吐くほど酔ってきっぱりする・・・それではいかぬか?」

「・・・」

「お願いじゃニョン婆」

「わかりました、今宵はとことん私も吐くまで付き合いましょうぞ!」

「姉様、私も!」

「今日くらいとことんと!」

 

ハンコックの言葉にニョン婆や姉妹達はこぞってそう言うとハンコックは酒を飲み始めた。

 

「なんじゃこの酒は・・・不味いのぅ・・・不味すぎて涙が出てきよったわ・・・」

 

プライドが誰よりも高く気高いハンコック。ウタに負けたくなかったがルフィがウタの方を向いているとウタと出会った時に本当は分かっていた。それでも認めたくなかったが新聞やライブでのルフィとウタの雰囲気を見ると認めざるを得なかった。別に踏ん切りが付いたわけではない、昨日ウタに言った宣戦布告も止める気は微塵の欠片もない。ただ今はそれをやる気も祝福する気も起きないゆえに逃げるのではなく、半歩でも良いから前を向けるようにハンコックは姉妹や仲間達と思いっきり酒を飲むことにした。

止まらないその涙は決してみっともない物ではなかった。

 

 

 

〇〇〇

シャンクスや赤髪海賊団はウタの手配書を見て避けたかったことが現実になってしまったと辛く気分になったがウタ本人は手配書を見て最初は驚いていたが今は少し唸っていた。

 

「ん?どうしたんだウタ?」

「うぅ、この手配書の写真可愛くない!」

『いや、そんな事はどうでも良いだろ!』

 

気になって訪ねてきたルフィにウタはそう不満を口にするが他の面々からツッコミが入った。バギーはウタの反応を見ると心配するだけ無駄だと判断したのかもう放り始めた。シャンクスは呑気そうなウタの肩を掴んで詰め寄った。

 

「ウタ、お前わかってんのか!?お前の夢がこれから・・・」

「叶える!絶対にね・・・アタシは赤髪海賊団でシャンクスの娘!!世界一の海賊がお父さんだもん、絶対に出来る!!・・・それに未来の海賊王のつ、妻だもん!」

 

ウタはシャンクスやバギーにルフィを見てそう答えた。ルフィの妻と答える時にまだ恥ずかしいのか少し顔を赤くして本当に大丈夫なのか不安に思ったが目をちゃんと見ると何を言われても曲げないという意思を確り感じた。

 

「そっか・・・もう子供じゃねぇもんな・・・」

「うん!」

 

シャンクスがそう優しく言うとウタは強く頷いた。するとサンジやルウを筆頭としたそれぞれの船のコック達が大量の料理や酒を持ってきた。

 

「おっ、もう話は良いのか?」

「お頭〜、ウタ〜!!飯が出来たぞ〜!!」

 

サンジやルウの言葉を聞いてルフィとウタは顔を見合わせると笑いあった。色々と大変な1日だったがこれから食べる物は絶対に美味しいともう料理の匂いだけで分かった。

 

「「よ~し、宴だ〜!!」」

 

ルフィとウタは笑顔のまま大声で同時にそう叫んだ。

その宴は大いに盛り上がった。ライブの最終日で戦う必要もなく終わるはずだったのに予期せぬ出来事によって戦う羽目になった疲れもあって一同は大いに盛り上がった。

 

「なぁなぁルフィ」

「ん?どうしたんだウソップ?」

「いやよ、子供が出来たんならもう名前とか決めてたりすんのか?」

「おいおい、いくらなんでも早すぎるだろ」

「そうよ、そんなにすぐ決まるものじゃないでしょ」

 

ウソップはそう聞いてきてサンジやナミ達にツッコまれているとウタがそれに答えた。

 

「実はもう決まってるよ!」

『えぇ!?』

「あら本当なの?」

「うん、凄く良い名前なんだ!」

 

皆がそれに驚き、ロビンが先に聞くとウタは笑顔で答えてルフィの方に顔を向けた。

向けられたルフィは食べていた肉を全部飲み込んでちゃんと微笑みつつ答えた。

 

「あぁ、メリーだ、モンキー・D・メリー!!」

「おっ、良い名前じゃねぇか」

 

ルフィは皆にそうハッキリと言うと近くで飲んでいたシャンクスにメリーを知らないジンベエとヤマトは素直に良い名前と思い、話だけ知ってるブルックはルフィに微笑み、メリーを知ってる皆は笑った。ウソップはルフィに対して腕を回してきた。

 

「ルフィ〜、お前って奴は本当に・・・最高の名前じゃねぇか!!」

「だろ!?」

 

ルフィとウソップはそのまま肩を組んで盛り上がっていてシャンクスやウタは2人がここまで喜んでる事に首を少し傾げつつも宴を楽しんでいた。

 

「ルフィ先輩!」

「ん?どうしたロメ男?」

「げぇ!?」

「此度は結婚おめでとうございま・・・あの、なぜシャンクス大先輩は逃げるので??」

「うるせぇ来るな、ストーカー野郎!!」

 

暫くしてバルトロメオが来た瞬間、近くで飲んでいたシャンクスはルフィやウタの後ろに隠れてそう叫んだ。2人とも一体バルトロメオが何をやったのか気になって見てみるとバルトロメオは首を傾げてるだけだった。

 

「シャンクス、何があったの?」

「このトサカが本当にしつけぇんだよ!俺とルフィの事を聞くためにあちこちのナワバリに来て凄え苦情が来てんだよ!!なまじ旗とか燃やしてねぇから怒るに怒れねぇ・・・教えねぇって言ってんのに来やがる・・・マジでてめぇいい加減にしろよ!?」

「・・・お前が言う資格ねぇだろ」

 

シャンクスの言葉を聞いてルフィとウタは何やってんだと本気で思い、近くでハイルディンやMr.3達と飲んでいたバギーはこの1年間のシャンクスに振り回されていたのもあって無情にそうツッコんだ。

ウタは何とも言えない理由にどっちの味方でいようか悩んでいたがシャンクスがこのままどっかに逃げてしまうのもそれはそれで嫌なのでとりあえずシャンクスの味方をした。

 

「う~ん、別にアタシはどうでも良いけどとりあえず今日は止めて、この後で新曲も歌うんだから」

「何、そうなのか!?」

「楽しみだなぁ〜!!」

「そうか、なら仕方ねぇべ!!」

 

ルフィ最優先男のバルトロメオはウタが新曲を披露すると聞いて喜んでるルフィを見るとあっさりと引いた。バルトロメオが引いた事にシャンクスは少しホッとして酒をまた飲み始めて楽しんでいるとコアラ、ベポ、ブリュレ、キラーの4人が戦闘前まで着ていた電飾まみれのウタグッズを着てやってきた。

 

「ウタちゃん!」

「あ、コ・・・コアラ!?ブリュレ!?何その格好!?」

「ウタちゃんを応援する為に作った親衛隊のコスチュームだよ!!」

「中々の出来だよ!」

「す、凄いかわいい!!ありがとう!!」

『よし!』

 

自分達の掴みが上手く行った事を親衛隊の4人は喜びあっていたがウタやルフィにシャンクスを除いた周りの目が冷たい事に気づいてなかった。

カタクリとアナナは暴走してるブリュレに対して引きつつも出来上がったドーナツを持ってやってきた。

 

「あれ?お兄ちゃんにアナナどうしたの?」

「ドーナツを持ってきただけだ」

「本当!?やった~!!」

 

カタクリがドーナツを持って来たと聞くとウタはより喜んだ。ドレスローザや万国で食べたお菓子命なビッグマム海賊団のお菓子が絶品なのは良く知ってるので純粋に嬉しかった。隣でそれを見ていたルフィは同じように美味しいお菓子がやってきた事に喜びつつも持ってきた相手がカタクリでそれに喜んでるウタというのが複雑だったのか胸を擦っていた。

 

「ルフィお兄ちゃん、不安しすぎじゃない?」

 

基本的に楽観的な考えで前向きなルフィだがウタ関係になるとそれもてんで駄目だった。万国で危うくウタを失いそうになった事や今日の大騒動もある上に相手があのカタクリとなると尚更だった。

そんな不安がってるルフィにアナナは冷静にツッコミを入れてるとカタクリはルフィに少しドヤ顔を向けた。恋に破れたカタクリであるがそれはそれとしてやはり好きな人の笑顔を見れるのは嬉しく、認めてるルフィ相手だからこそドヤっとしてみたくなったのでやると案の定、ルフィは眉間に皺を寄せた。

 

「ウタ・・・」

「ん?どうし・・・ル、ルフィ!?」

 

ルフィはウタを急に抱きしめてカタクリに対してドヤ顔をした。これは自分にしか出来ない特権だという感覚をカタクリに向けるとバチバチと不機嫌になったのでルフィからすればしてやったりの気分になった。

抱きしめられてるウタは顔を真っ赤にしていた。何回もやっている事だがこう急に来られると恥ずかしさが勝っていた。

 

((あのくそガキぁ〜))

 

そんないちゃつきを見てて不機嫌になってるのはカタクリだけでなくシャンクスやバギーも不機嫌になっていた。

 

(ウタ・・・君が幸せになって私は嬉しい!!)

 

そして漸く手当が終わったゴードンはその光景を見て感動のあまり泣いていた。

そんなこんなで宴は順調に進んでいった。今度は誰がやってくるかもなく、邪魔する存在もいなかった。多くの者達がその宴を心から楽しんでいてウタも心から楽しんだ。眠気がやってきても先程のシャンクスとバギーが言い争ってる時に少しだけ眠れたのも相まって起きれていたし、こんな面白い事を寝て終わりたくなかった。

ウタはそう考えているとゴードンにあることを言った。それを聞いたゴードンは泣いて了承し、すぐさま準備を始めた。バギーにも話してその準備を手伝って貰ってる最中、ウタはこっそりと羽でビックトップ号から飛んでエレジア跡地の城へ向かった。

城についたのは良いが最早城の形なんて殆どの残っておらずウタは音符をたくさん出し瓦礫を退かしてあるものを探していた。

暫くすると目的の物が見つかった。それはシャンクス達がウタの為に作った『頑張れウタ!』と書かれている応援幕だった。

ウタは応援幕を見つけると嬉しさのあまりギュッと抱きしめると服を変えた。

白いモノトーンではなく全てオレンジのモノトーンに変えて応援幕を体に巻き付けた。黒を貴重としている応援幕なのもあって明るいオレンジと良く合っていた。

 

「よし!行くよ、ラストソング!!」

 

ウタはそう意気込むと皆の元へ戻った。

 

 

 

 

〇〇〇

ウタはビックトップ号に戻ってくるとライブの準備が出来ていた。と言ってもビックトップ号の甲板に簡易的なステージを作って他の船で周りを囲んでるような感じだ。

 

「うん、いい感じじゃん!」

「あ、ウタ!どこに行って・・・それってシャンクス達のやつか?」

「うん、取りに行ってたんだ!」

 

ルフィが帰ってきたウタに尋ねると身に纏ってる応援幕を見て納得し、遠くからそれを見ていたシャンクス達は娘であるウタの優しさに早くも泣いていた。

ウタは最後の曲を歌うために早速ステージに上がるもあまりにも大勢いるし、他の船から見る人の事も考えるとまだ高さが足りなかった。新しく増設して貰おうかなと考える面々もいたがウタにはそれに関しての問題をなくせる男を知っていたので頼むと快く了承した。

準備が完全に整うとウタは大声で頼んだ。

 

「それじゃお願い、ウォーターセブンの時みたいに!!」

「任せるべ!」

 

そうウタが頼んだ男はバルトロメオだった。ウォーターセブンの時のライブでバリアで色々とやったのを知っていたので頼んだ。

バリアによってウタのステージが上がっていく。自分の能力でやるというのも出来るが既に服でやっていてこれ以上やると歌えないかもしれないと思ったからやってもらった。

 

多くの人達が自分を見ている。

そこには愛する家族・・・夫・・・育ての親・・・喧嘩ばかりの友達・・・憧れた男・・・大切な女友達・・・恋のライバル・・・尊敬してる友人・・・夫の仲間達と皆が自分を見ていた。

 

『皆、今日は色々とあったけどアタシ・・・皆とこうやって楽しくできて嬉しい!!だから聴いて、私の新曲で神曲!!』

 

ウタはそうやって皆に笑顔を向けると全員が熱狂で返した。それは自分が昔から欲しかった物だった。大切な幼馴染に大切な家族に多くの人達の前で歌いたく、そして皆を楽しませる歌姫になるのが夢だった。

 

だからウタは全力でトリを飾る最後の曲『ウィーアー』を歌った。

 

「ありったけの夢を〜かき集め〜♪探しもの探しに行くのさ〜♪ONE PIECE♪♫♬」

 

ウタは歌いながらこれまでの“軌跡”を思い出していた。

 

「羅針盤なんて〜渋滞のもと〜♪」

 

あの日、12年前の真実を知ってどうすれば良いのかわからなくなった。

 

「熱にうかされ〜舵をとるのさ〜♫」

 

そしてルフィとの約束の麦わらマークや手配書を見て旅に出た。

 

「ホコリかぶってた〜♪宝の地図も〜♪」

 

アラバスタでのライブが成功してビビやトトなど様々な人に出会えた。

 

「確かめたのなら伝説じゃない!」

 

遭難したがノックアップストリームを見れて世界の広さを改めて知れた。

 

「個人的な嵐は誰かの〜♪」

 

ルフィの死亡説を見てしまってまた途方にくれてしまったがそこでバギーに出会えた。

 

「バイオリズム乗っかって〜♪」

 

そこから無事に立ち上がれたこと、そして初めてこの“世界”で歌ってバギー海賊団の皆の熱狂を受けた。

 

「思い過ごせばいい!」

 

ビビ、トト、バルトロメオ、クリケット、マシラ、ショウジョウ、ジョナサン、ガープ、ジェシカの事をウタは1人ずつ大切に思い浮かべた。

 

「ありったけの夢を〜かき集め〜♪」

 

大切な家族であるルフィ、シャンクス、バギー、ゴードンのその優しい背中を思い出していた

 

「探しもの探しに行くのさ〜♪」

 

シャボンディでレイリーからルフィが生きてると言われて泣いた時の事

 

「ポケットのコイン♪」

 

ルフィに追いつく為にバギーの所に行って弟子になった

 

「それとYou wanna be my Friend?」

 

バギーの所で真実を知って喧嘩してもまた仲直り出来た

 

「We are, We are on the cruise!」

 

全力で歌って目を閉じたウタに浮かんできたのはあの日、トレジャーマークを投げてきたバギーの姿だった。

 

「ウィーアー!」

 

1番が終わり、ウタは熱狂で返してくれてる観客の皆に笑みを返した。

 

 

 

「ぜんぶまに受けて♪信じちゃっても♪」

 

ファンの皆に真実を話して拒絶された辛い記憶

 

「肩を押されて 1歩リードさ〜♪」

 

そんな時に助けてくれたのは今まで出会ってきた友達だった。

 

「今度会えたなら〜♪」

 

シャンクスと大喧嘩してバギーの娘と世間に公表した時

 

「話すつもりさぁ〜♪」

 

ドレスローザでルフィと再会出来た

 

「それからのことと これからのこと♪」

 

嬉しくて泣いて抱きしめ合った

 

「つまり〜いつも〜♪」

 

ハンコックと出会い、お互いに恋のライバルになった

 

「ピンチは誰かに〜♪」

 

ルフィとシャンクスやバギーに関して大喧嘩をしてしまった

 

「アピール出来る いいチャンス♪」

 

バレットに襲われてカタクリが助けてくれた

 

「自意識過剰に!」

 

シキ、バレット、リンリンの恐ろしさをウタは改めて思い出しても怖かった

 

「しみたっれた夜を〜♪ぶっ飛ばせ〜♪♪」

 

記憶を失いルフィと戦った事

 

「宝箱に興味はないけど〜♪」

 

ルフィとカタクリが自分をかけて全てを出して対決したこと

 

「ポケットにロマン♪」

 

お互いに泣いて謝ってよりルフィと強く繋がれた

 

「それとYou wanna be my Friend?」

 

そして、ルフィとキスをして恋人になった

 

「We are, We are on the cruise!」

 

大変な日々だが全て大事で大切な自分の軌跡だ

 

「ウィーアー!」

 

2番を歌って観客の中から特に盛り上げようとしてくれてるルフィ、シャンクス、バギーを見つけてウタは涙が出そうになったがラストまで気を抜かない。

 

 

「ありったけの夢を〜かき集め〜♪」

 

シキ、バレット、テゾーロ、バージェスといった敵によって混乱した今日

 

「探しもの探しに行くのさ〜♪」

 

もう駄目かと思って絶望した

 

「ポケットのコイン♪」

 

そんな状況で傷ついて励まして助けてくれたバギー

 

「それとYou wanna be my Friend?」

 

ルフィ、シャンクス、カタクリやたくさんの出会ってきた友人や仲間にも助けられた

 

「We are, We are on the cruise!」

 

そしてルフィや皆と共にシキ達を空の彼方までぶっ飛ばした

 

「ウィーアー!」

 

シャンクスと和解出来た事、ゴードンに泣いて喜ばれた事

 

「ウィーアー!」

 

バギーとシャンクスに抱きしめられた事

 

「ウィーアー!」

 

ルフィと結婚出来た事をウタは大切に思い出してた全力で歌った。

その歌声を聴き終わった観客達は大熱狂で返してくれた。ウタはそれを全身に浴びて嬉しさのあまり涙が出てきたが今は皆にこの気持ちを言いたかった。

 

「皆〜!!アタシ、本当に凄く幸せだよ!!」

 

 

 

 

 

〇〇〇

ウタの最後の曲も終わり、それぞれがまた別々の旅を始めていく。舞台にもなったビックトップ号は色々と片付けをやっていて出るのが遅く、多くの面々を見送っていた。

カタクリ達に麦わら大船団、そしてルフィの傘下に入る事になったハンコック達、一応別れの挨拶をバギーはされてレイリーはハンコック達について行った。コアラはイワンコフと出て、キラーはベポやローに近くの島まで送ってもらっていた。

 

ルフィ達も少し遅れてだがまた冒険の海へ出かけた。

挨拶をするような間柄でも無いのでバギーはチラッとしか見えてなかったが一目見てルフィの姿は見えなかった。

先程からウタの姿も見えないので船内で早速イチャツイてるのかと思った。

 

そして最後にシャンクス達が出て行く中でバギーはシャンクスと目があった。お互いに色々とあってローグタウンの時と同じようにまたやりたい事をやるために分かれていく。シャンクスは暫くすると笑った。

 

「バギー、お前には負けねぇからな!!」

「けっ!そりゃこっちの台詞だ!!今度会う前に首を洗って待っとけ!!」

 

シャンクスの啖呵にバギーも同じように返す。

2人の顔は清々しいほどに笑っていた。

 

こうして全ての船が出た中でバギー達のビックトップ号もエレジア跡地から離れる事になった。

 

「バギー君、乗せてくれてありがとう」

「近くの島までだからな」

 

エレジア最後の国王であるゴードンはエレジアから離れる事になった。単純にもうエレジアは粉々に砕けて住めない。それにウタがシャンクス達と和解した事でゴードンも漸くスッキリ出来た。これからはまた新しい子供達に音楽を教えていこうとやっとゴードンも12年前から進むことが出来た。

 

「しかし、ウタったら最後にあんたと挨拶もしないなんてね」

「結婚して幻想から覚めたんでしょ」

「よくあるパターンだガネ」

「ご愁傷様です船長」

「お前らな!!!」

「はぁ・・・」

「騒々しい・・・」

「だんだん憐れに見えてきた・・・」

 

アルビダ達がウタが最後にバギーに何も言わなかったことに関して容赦なく言っていきツッコみ、クロコダイルやミホーク、ダズかそれを見て呆れていると部下達が1つの樽を持って来た。

 

「座長、ちょっと見慣れない樽がありました!」

「はぁ!?そんなもん勝手にどうにかしとけよ!」

「それが“千両道化”のバギー様へと紙が貼り付けてあって・・・」

 

部下達がそう言って紙をバギーに渡すと樽が勝手に動き始めた。バギーやアルビダ達は驚き、クロコダイル達は何がいるのか悟ると呆れてゴードンは「まさか!?」と呟いた。

 

「あぁぁぁぁぁ〜〜〜!!よく寝た〜〜!!」

 

そして中から勢いよく樽を破ってウタが出てきた。

 

『ギャァァァァァァァ!!なんで居るんだ!?』

 

ウタが出てきたことにバギーを初めとする大勢が叫び声を上げた。

 

「あっ、お父さんおはよ~」

「あっ、おはよ~・・・じゃねぇよ!なんでお前はここに居るんだよ!?麦わらやシャンクスの所に行かなかったのか!?」

「えっ?いやアタシ妊婦だからチョッパーとかホンゴウさんとかトラ男から冒険から離れた方が良いって云われてルフィだと絶対それ無理だし、シャンクス達もキツそうだったから1番落ち着いてそうなこっちに来たの」

「はぁ!?お前、ふざけてんのか!?」

「ふざけてないよ、だってアタシ“娘”だもん」

 

その言葉にバギーは一瞬固まるとウタは笑顔で続けた。

 

「ルフィの“妻”で赤髪海賊団の“音楽家”で“娘”で千両道化のバギーの“娘”・・・それがアタシ!だからこれからもよろしくね・・・“お父さん”!」

 

バギーはウタに対して確かにそう言ったし、それを訂正する気なんて微塵の欠片もなかったがまたこの1年クラスの厄介事が来るかと思うと冷や汗が止まらなかった。

 

「ふん・・・まぁいても問題はないだろ」

「あの強さを持ってるしな」

 

クロコダイルとミホークはメリットとデメリットを瞬時に判断してウタの言葉を受け入れた。他の面々も続々とウタがまた来ることに喜んでる中でバギーはキレた。

 

「出てけ〜〜〜〜!!!!!」

「えぇ~!?なんで〜〜〜〜!?!?!?」

「フザケンナ、この・・・大ハデバカ娘〜〜〜!!!」

 

広い果てしなく続いていく海の上でバギーとウタの父娘の声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

〇〇〇

時は少し進む。

アレからこの大事件に関わった者達を世間はこう認識していた。

バレットはまたインペルダウンのレベル6に投獄されてテゾーロとその一味も同じ場所に投獄。

唯一シキは見つからなかったがその数年後にフワフワの実が悪魔の実の状態で発見された。

元海軍大将のゼファーとその仲間のNEO海軍は多くの者達が海兵に復帰し、ゼファーはガープやセンゴク、おつるとまた喧嘩をしながら戻れた日常を謳歌した。

 

そしてとある男が“偉大なる航路”を制覇して新たな海賊王になった。

 

それが今から8年前。

とある島である一家が仲良さそうに話していた。

 

「これがアタシの物語だよ」

「母ちゃん母ちゃん!もっとシャンじいの話をしてくれ!」

 

赤髪の男の子が紅白髪の母親の上に乗って1人の祖父の話をするようにせかしていた

 

「ちょっと“サニー”!!ママのシャンじいの話は前にしたじゃん!!次はパパの話!!」

 

白い髪の女の子は黒髪の父親の上に乗って父親の話をしてもらうようにせかしていた。

 

「ししし、“メリー”もせかすなって」

「そうだよ、ちゃんと話してあげるから2人とも待ってね」

「だってよ、慌てんなよ姉ちゃん」

「それはあんたよ!」

 

メリーと呼ばれた姉とサニーと呼ばれた弟は両親を間に挟んで言い争いをまた始めた。

元気な我が子達を見て2人の親は笑っていると父親の持っていた麦わら帽子が風に吹かれて少し飛んだ。

 

新時代が到来して幸せになったある一家の日常の“一幕”だった。

 

 

 

 

 

 

▼▲〇〇

もう1つある少女の物語がある。

エレジアでライブを終えて再び海賊王になると誓ったLuffyは夜の番もあってサニー号の頭の上で夜の海を見ていた。

大切な幼馴染はもういなくて辛いがそれでも夢の為に進もうとしていると不思議な気配を感じてLuffyはそれがどこから来てるのか見聞色の覇気で探すとそれは隣から来ていた。

何が起こってるのか検討も付かないが懐かしくそしてもう聴けないと思ってきた歌声が聞こえてきてLuffyはまさかと思った。絶対にありえないと、だが宙に音符が現れてそれが人型を形成していくと彼女が現れた。

それは先日、エレジアでもう会えなくなったUTAだった。

 

「嘘だ・・・なんで・・・ウタが??」

 

Luffyは自分の頬を力一杯痛みが出るほど抓ったが今見えてる光景が嘘ではなく現実だと知ると涙が止まらなくなった。

 

「ルフィ・・・その・・・」

 

UTAは気まずそうに何を言えば良いのか迷ってるとLuffyはそんな事を一切気にせずUTAを抱きしめた。

 

「ル、ルフィ??」

「嫌いだ・・・ウタなんか大嫌いだ・・・勝手な事ばかりやって・・・勝手にいなくなって・・・また来て・・・もうわけわかんねぇよ・・・わかんねぇよ」

 

Luffyは口では嫌いと言っていたが力強く抱きしめてるその腕が震えてる事にUTAは優しさと暖かさを感じていて涙が止まらなくなった。

 

「ルフィ・・・色々とあってね・・・聞いてくれる私の話・・・」

 

UTAはLuffyに涙を流しながらそう聞いた。

 

「聞く!!聞くから・・・全部話せ!!おれは絶対にウタから離れねぇ!!」

 

LuffyはUTAの言葉に力強く涙声になりながらもそう返した。UTAは一回Luffyを離して顔を合わせた。お互いに涙や鼻水でグチョグチョで酷い顔だったがUTAはLuffyを安心させようと笑った。

 

「聞いてくれる??凄く奇跡に溢れた“軌跡”的な世界の話・・・」

 

UTAの言葉にLuffyは頷いて答えた。

 

「ルフィ・・・私も・・・“大好き”!!」

 

エレジアで再会した時と同じようにUTAはLuffyに抱き着いた。そして彼女は話し始めた。不思議で広いこの海のように不思議な体験。

 

 

 

 

 

 

これは彼女が()()()()“軌跡”的な世界の物語

 

 

 

 






















皆様、長い間おまたせしました!!
これにて“軌跡”的な世界は完結です!!2022年の8月から始めたこの作品はこれにて堂々完結です!!
作者個人の言葉は後書きに載せますので最後に1言

お付き合いありがとうございました!!

また後書きは1話として消費しますのでまた活動報告に新しい記事を載せますのでそこで質問などがございましたら載せてください。明日出す後書きで答えます。


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“軌跡”的な世界 超全集♪♪♪

これにて文字通り“軌跡”的な世界は終わりです。皆様ありがとうございました。


作者(以後は作):どうも~作者です!! 

 

トルオ(以後はト):どうも〜トルオ・スクープです!

 

作:それでは後書きという名の爆弾をやっていきますよ〜!!

 

ト:ってちょっとストップ!!

 

作:はい〜?

 

ト:なぜ、ウォーターセブンの時にしか出てない私が呼ばれた!?

 

作:そりゃこんな茶番かつ本編が終わってるのに原作キャラを呼んでくるわけねぇだろ。唯一のオリキャラだからなんとでも使えるわwwwww

 

ト:・・・それもそうか

 

作:下らん事は置いといてさっさとやるぞ!

 

ト:あっ、質問者は私がやりますね

 

 

〇RED感想

ト:まずはREDの感想から聞かせて下さい。

 

作:うん・・・重いし辛い・・・最初の予告を見た時は色々と自分に合うかなぁ?って感じで不安だったんだけどいざ見てみたら想像以上に重くて辛かった・・・

 

ト:まぁ強烈な作品には違いないですしね。他には何を思いました?

 

作:う~ん、何というか今作のREDを見て『ウォッチメン』(アメコミの最高傑作と呼ばれる作品の1つ)を思い出した。

 

ト:あのアメコミの?

 

作:うん、テーマとかそう云うのが似てるんじゃなくて構造・・・なんというか異質さ?が似てると思った。『ウォッチメン』はそれまでのスーパーヒーローが現実になったらどうなるかを書いててそんな現実的な世界で以下にヒーローという存在が異質で世界にどれだけ影響を与えるのかが描かれてるけど、REDは逆の印象かな。ワンピースという世界に比較的現実の人間に近い精神を持ってるウタを入れるとどれだけその存在が異質でどれだけ影響を与えるのか、こう思うとREDは『ワンピース』版の『ウォッチメン』って言う印象が自分には少しある。

 

ト:面白い意見ですね

 

作:まぁ、自分はハッピーエンド至上主義なのでこの作品を書いたけど・・・アメコミで例えるならこの作品は『ワンピース』版の『ドゥームズデイ・クロック』かな

 

ト:他には何か?

 

作:後、幼馴染属性と嫉妬深いキャラ属性に徹底して弱いので作る気力がドンドン出てきた。

 

ト:性癖に刺さったのか

 

作:うん、それからあと2つ・・・1つはこれが1番大きいんだけど・・・REDを見る前にワンピースの二次を書こうとしたんだけどルフィが書けなかった。

 

ト:そうなの!?

 

作:そもそもルフィやドラゴンボールの悟空のようなタイプは単純に書くのが苦手だし、ルフィは特に心情がどうなってるか書かれてないから余計分からなくて無理だったけど、ウタを好きになって・・・ウタを主役にすればワンピースの二次創作を書けるんじゃないかってのが最初の考え、だから最初の方でルフィ達を修行中にさせたのもただ単純に一番最初はルフィが書けなかったからってオチ

 

ト:もう1つは?

 

作:恋愛物が大の苦手だったから1回大真面目にそれがメインの作品をやりたかった。

 

ト:苦手だったのですか?

 

作:うん、大の苦手・・・そんな苦手な自分がそこを全力でやったらどうなるか試してみたかったのもある。

 

 

 

〇作品の時期について

ト:そこで質問が1つ、何故ルフィ達の修行期間中に始まったのか?まぁルフィが書けなかったという暴露があったけど、詳しく

 

作:ルフィが書けなかったというのもあるけどウタに旅をさせるならルフィ達はいない方が良いと思った。ルフィはルフィの旅があって今があるんだから、ウタもウタだけの旅をさせたかった。

 

ト:なるほど、アラバスタやジャヤでルフィ達の事を知ってる面々に会ったけどルフィ関係の話をさせなかったのは?

 

作:今言った通り、ルフィの軌跡を辿るけどルフィの事は言及してほしくない・・・というかこの時点のウタはエレジアで11年間閉じこもっていてルフィが暴れてるから負けん気を起こして出たので行く先々でルフィの事を聞くと劣等感が出ると思った・・・RED公開後の脚本家のインタビューで元からそれは何となく感じてたみたいで言及させないで良かったって思った。こうして自分だけの冒険をしたからこそ、ルフィが後で言及しても特にそれに関して劣等感を感じなくなったからね。だから最初のルフィの軌跡巡りはウタにとっては旅行セラピーでもある

 

〇作品のそれぞれの章について

 

ト:各々のキャラ説明は後で全て聞きますので、それぞれの章に関してお願いします。先ずはアラバスタから

 

作:ウタがエレジアを出るってなったら先ず世間では謎の歌姫として活動しててどこにいるのか分からない。つまり世間と繋がってるのはゴードンと考えると王様同士の繋がりがあれば良いなと思った。ってかレヴェリーの描写を見るに個人個人の繋がりは何処かでありそう。

 

ト:それで最初がアラバスタでライブ

 

作:と言ってもコブラ王の頼みはゴードンによるオーケストラでウタは完全に予想外のものだけどね。彼処でゴードンがウタの精神状態を見てエレジアを出る選択にしたからこそ旅が始まった。 

 

ト:そこでビビやトトに出会う・・・今作でビビとの絡みも良いけどトトが結構ウタの導き手という印象を受けるけど

 

作:トトおじさんは色々と知ってる。辛い現実も乗り越えた時の奇跡もそしてそれを起こしたルフィの頑張りや人の良さも色々と知ってる。つまりルフィの影響を受けた1人でもある。最初にウタの精神をどうにかするには仲間であるビビよりも寧ろ、ルフィと顔見知り程度の知り合いであるトトおじさんの方が良いと思った。それにトトおじさんはあのクロコダイルの戦闘の後の雨を知ってユバを復興させたからその喜びも良く知ってるのとウタに必要なのは辛い現実に嘆く人々の声じゃなくて、そこからどうやって立ち上がれたかの声。多分配信でも皆、それを絶対に言ってた筈だと思うけど辛い声が多すぎなのと自分の精神状態があれで心まで届いてないように思えた。

 

ト:あ~、まぁあのスタイルの配信だとそういった声は届きにくそうですしね。ウタの性格とあの精神状態も含めると

 

作:だからウタに必要なのは外に出て人と無作為に繋がるんじゃなくてちゃんと一対一になってウタが集中出来て繋がれる人を作らないと、これがREDだとルフィとシャンクスとゴードンの3人しかいないんだけど、まぁそうなるとREDの結末になるので先ずはそこを拡げないといけないと思った。

 

ト:それでビビとトトおじさんか

 

作:コブラ王が頼んで来てもらってるからウタの案内をビビがやっても違和感はそこまで無いしね。王が呼んだなら国賓クラスだと思うし、それを王女が接待するのもそこまで・・・

 

ト:次はジャヤ編だけど何故にジャヤなのか質問が来てましたねこれは

 

作:これはもうノックアップストリームを見る為!サクラ王国とかの方が良いのでは?と言われたけど人と繋がれる事をちゃんと知ったんだから次は世界の不思議と広さを知ろうと言うことでジャヤ編!あの冬の桜はヒルルクの粉があってこそだからそれが見れないとまぁドクトリーヌかドルトンさんだけで雪景色の中でライブ・・・アラバスタとまんま被るよね!?ってなったんでジャヤにゴー

 

ト:で、クリケットや猿山軍団と出会った

 

作:クリケットは過酷な現実に対してロマンで喧嘩を売ってきた人でロマンを追い求めるのが大好きだからウタにとっては良い反応が来ると思った。 

 

ト:で、デマロ・ブラック達と戦ったり、バギーやドフラミンゴがジャヤを取り合ったりしてたのは?

 

作:まず、ジャヤなので海賊を出したかった。戦闘シーン大好きだから書きたかったのもあったし、カリブーとかみたいな大物にしなかったのはそれだとウタがやられる可能性もあったし、無双するなら雑魚相手・・・ってなるとデマロらが丁度良かった。1年前くらいになるとどこにいても良いしね

 

ト:七武海の2人は?

 

作:実は女主人公って今作が初めてで何をどうすればいいのか手探りだったのとまさかこんなに書くなんて思ってなかったし、ここまで早いとも思ってなくて書きやすくする為に出したらまさか本編でこんなになるとは思ってもみなかった。

 

ト:偶然の産物?

 

作:はい、まぁデマロらもその後のシャボンディに繋げる形になったけどね・・・

 

ト:次はバギー編・・・今作バギーが全編で活躍してるからバギー編が多すぎるんだけどなんて呼べば?

 

作:無人島編もしくはウタ復活編でお願いします。

 

ト:この章はなぜ?

 

作:う~ん、元々は字数稼ぎで出したバギーとの絡みだけどそろそろ明確にシャンクス関係も進めないといけないと思ってバギーはルフィとシャンクスの両方を知ってるからある意味でウタにとっては良い情報源だと思ったんだよね。それが初めた根本の理由

 

ト:ルフィとシャンクスの両方を知ってるから?

 

作:うん、出して終わりじゃなく後々活躍出来るキャラの方が予想外の化学変化というか繋がりがあれば良いなと思ってバギーの立場だとそれが色々と出来ると思ったから出した。

 

ト:ウタの精神関係は?

 

作:世間のルフィに対する認知を知って不安にさせたかったのが1つ。それにバギーの性格を考えるとウタのようなタイプは相性悪いし、まぁそれはクリケットやトトおじさんもある程度あったけどあの2人は大人だし、オブラートにウタの考え方とは違う事を示せたけどバギーはそんなオブラートに話をやるタイプじゃないじゃん。自分の欲望と命最優先なんだし、それがルフィがいると思って海に出たのに死亡説を見て不安定になってるウタの精神に直撃・・・愛する家族に勝手に別れられて、夢を約束した幼馴染は死んでるかも知れなくて、自分の能力が大嫌いで、自分の夢や価値観が全て否定されたのがバギーによって拒絶された時のウタの精神状態。

 

ト:全否定過ぎない?

 

作:中途半端にしてはいけない所だから徹底的に圧し折ったよ!これで本当はサクラ王国に行ってドクトリーヌのセラピーをする予定だったんだけどどうやれば良いのか分からないのと、ウタは世間からの人気もあるからバギーがこういう時・・・まぁ100%見捨てる方を絶対選ぶとは思うが欲に駆られてなんか助けてしまったってのもありっちゃあり・・・ギリギリできないかな?と思ってやってみて多分大顰蹙を買うだろうなと思って書いたらなんか一気に感想が多くなったから自分でもあ、これアリなんだ!ってなったので最終章の主役がバギーになるのが確定した。

 

ト:ここで!?

 

作:うん、元々スタンピードでのバギーが・・・なんで出てきた?って思ってたから明確にバギーが活躍する話がみたいなと思ってREDがシャンクスなら今作はバギーだと思って最終章のノリが決定!まぁ流石にずっと出ずっぱりにするのもアレだから最終章までは出さないつもりだったんだよ・・・この時は!

 

ト:そこら辺は後でゆっくりキャラ説明の時にお願いするとして、原点を思い出したウタの復活のライブ曲がバギー海賊団相手に『ヒカリへ』

 

作:最初は海楼石を出すつもりはなかったんだけどワノ国でルフィとキッドが海楼石を付けてるのにあんだけ動いてるのを見てあれ?こんなのアリならいけなくね?と思ったのとキッドを見るに能力を発動してるタイプは能力の発動を抑えられる効果があるんじゃないかと思って出して、『ヒカリへ』にしたのはもう純粋に歌詞があってたから

 

ト:あれ好評でしたね、トレジャーマークを渡したのは?

 

作:ルフィはシャンクスとの絆で麦わら帽子、ウタにも何か欲しいなって思ったけどバギーにそんなの無くないかと思ってたらトレジャーマークの事を思い出して渡した・・・書いててここら辺のバギーはあれなんだよなバギーじゃなくてばいきんまんのノリなんだよなぁ。まぁ最終章まで出ないから大丈夫だろうとこの時は判断してやれる限りやった

 

ト:そしてナバロン編の前に世界情勢編で漸くルフィや麦わらの一味の登場

 

作:何回もしつこいようだけどルフィが苦手だからちょっとずつ出すようにして調整していてこの時にコアラをヲタク化させたり、ペローナとかも出したり色々と後々の絡みを考えてはいなかったけど絡ませる足がかりを作れて良かったと思ってる。因みにシャンクスとバギーのやつは感想欄に書かれてたので入れた。

 

ト:え?最初は考えてなかった?

 

作:うん、どっちかって言うとファンサービスのつもりで登場させた

 

ト:なんともまぁ・・・次はナバロン編だけど

 

作:海賊2連発で絡ませたけどウタは一般人的な立ち位置だし、七武海のバギーが海軍にウタを渡しからね。

 

ト:ジョナサンは兎も角ガープを出したのは?

 

作:これも後々の拡がり方を探る為、取り敢えず出せる時に出しておかないといけないと思ったからやった。

 

ト:そして夢への再出発、これはなぜ?

 

作:ルフィに夢があるようにウタにも欲しいってのが1つ。そして現実で勝負できるようになったからこその夢だからウタにとってもまた違う夢になった。

 

ト:そしてナバロンから出てW7へ・・・バルトロメオとのいざこざとこの私、トルオ・スクープも登場!

 

作:本当はオリキャラを出すつもりは無かったんだ。けどこの時のウタって戦闘できないし、バルトロメオも出すならそれなりに戦う相手じゃなくて色々と騒ぎになりそうなキャラを考えてると記者が良いかな?と思ったんだが記者のキャラってそんなにいないし、どうやってウタは兎も角バルトロメオから逃げると考えた結果出すことになった。

 

ト:最初からウタとバルトロメオが協力するのは前提?

 

作:そうだね、そこをまず前提にしてたしバルトロメオからルフィの旅をある程度聞かせるのもあった。因みにこの後で騒動の原因となるワスレダケの麻薬を出したのはもう単純にウタのゴシップを潰す為だけ、後であぁなるとは考えてもなかった・・・というか万国編の展開なんてまだ考えてなかったし

 

ト:本当にえらい目にあいましたよ

 

作:ギャグな鬼ごっこを書けて新鮮だった!

 

ト:その後はまた世界情勢の話で・・・

 

作:取り敢えず、ワンピースらしく1つの島が終わったら宴・・・だけどウタの場合はライブで基本的に戦闘なしだからまぁ世界がどうなってるのかってやったね。バギーと繋がってる事と海楼石のお陰で五老星からの目もある程度反らせたし

 

ト:もう既にバギーが活躍してないですか?

 

作:本人の知らない所だし、ウタも別にバギーとそこまでだから勝手に周りが誤解してるだけ。本当に海楼石様々だよ・・・と云うか早速自分の予想していない繋がりが出てきた・・・

 

ト:ワンピースの二次創作でここまで能力者が海楼石を重宝する展開はそうそうないですね

 

作:この時のウタにとって能力は本気で邪魔な物だからね。

 

ト:シャボンディ諸島でレイリーやマーガレットと初対面・・・2人を出した理由は?

 

作:この時にワンピースの61巻を読んでてレイリーが半年前に戻ってるのを思い出してだったら絡めせられるじゃん!と思ってやった。マーガレットを出したのはその時の後書きでも書いた通りで野郎と絡ませるのも飽きてきたからが1つ、後は後々のキャラの繋がりをやる為

 

ト:結構面倒くさそうな初対面だったけど見聞色で信頼を得られて何より

 

作:これは見聞色ではないとは思いつつもなんかそれらしい理由付けになるだろうと思ってね。

 

ト:ここでルフィの事を知ってハンコックを恋敵認定・・・

 

作:いやぁ、ルフィとの恋愛を書くならハンコックは避けられないだろう絶対に・・・因みに自分はハンコック大好きだよ!

 

ト:次にマーガレットとルフィの二年後の服を製作

 

作:ルフィの服を見るに多分女ヶ島製だと思って、だったらハンコックがルフィの為に余興でコンペやっても良くないかなと。二年後の一幕でマーガレット、気軽にルフィとハンコックがいる時に話してるから友達関係は認知されてると思うけどだったらハンコックがマーガレットに対してちょっとだけ危険視するってのも無くはないかな?となってシャボンディへ。ハンコックは結構義理堅いタイプだし、レイリーに恩を感じてマーガレットを付けるというのも可能性は0ではないだろうと思ってね・・・絶対に原作のレイリーは1人で帰ったとは思うよ。

 

ト:ハンコックにとっては悪手だったようで

 

作:こんなん予想するのが無理

 

ト:それでウタの作った服を選んだルフィ

 

作:離れているけど繋がってる2人・・・なんか良いよね!?

 

ト:次はカライバリ島編でなんでバギーの弟子に?

 

作:最初はこれ本当にやる予定が全くなかったんだけどドレスローザで再会させるってのを決めてたからだったらある程度戦闘出来ないといけないよなと思ってレイリーは化け物すぎてウタがついていけなくなるし、他に戦闘が出来そうな知り合いだとバルトロメオかクリケットだが2人共どこにいるのか分からない。場所が認知されてそうでウタが懐いててある程度戦闘が出来るキャラがバギーしかいなかった。海軍もありだけど絶対に理由を聞かれるのは明白だしね

 

ト:確かにこれまでのウタが出会ってきた人物達でウタがついていけそうなレベルを考えるとバギーが適役なのか

 

作:まぁここでクロコダイルを出したり、バギーを精神的に弱くさせたのは単純に話が思いつかなかったから取り敢えずやってみたって感じ・・・まぁバギーのはおかしくないかとやっぱし案の定ツッコミが来てたけどね

 

ト:わかってて書いてた?

 

作:う〜ん、元々精神が弱いのって書きやすくて書きやすくて書いてて鬱になるけどすんなり書けるから、書けたやった!よし出そうと何も考えずに出したらこうなっちゃいました。

 

ト:そしてここで2曲目の『Believe』

 

作:そろそろ曲を出さないとなぁと思ってて探してたら感想欄で『Believe』が似合うと言われて出した。バギーというかバギーの部下達にあったしね。ここでウタの曲の全てを7曲にしてワンピースの曲にするのが決定した。

 

ト:ここでなんですね

 

作:うん

 

ト:バギーとの絡みが重要なポジにきすぎてない?

 

作:言わないでまさかこうなるとは本当に思ってなかったから、まぁでもこのカライバリ島編はバギーがウタに対して愛情を向けられてるとちゃんと理解して助けてもらう章でもあるんだよね、だからバギーもそれに対して愛情で応えようとするんだ・・・・これから苦悩と地獄を味わうんだけど

 

ト:ご愁傷さまです。そしてドレスローザへの前に2年後の再出発とウタにも波乱が

 

作:これも絶対にやらないといけないと思った事の1つ。民衆とウタは外せない、そこでウタが再出発をやるのでウタの軌跡もバギー以外は登場・・・バギーはアレだから

 

ト:そして女のバトルも第二ラウンド

 

作:あれは元々は前の話に入れる予定だったんだけどキリが良い感じになったから削ったんだ。ただよくよく考えてみれば別に次の話としてやれば良くないかと思って出した。その次の章がシャンバギだし

 

ト:そのシャンバギの章ですがなぜこの話を?

 

作:ウタがここまでバギーと仲が深まってるならシャンクスらもそろそろ来ても良くないかってのが1つ思ったんだ。けどさぁ、色々と事情があるにせよ娘を置いていった父親が突然やってきて父親ヅラするって・・・キャラとか事情云々を一先ず置いておいてどう思うよ?

 

ト:シャンクスとあの事情だからしょうがないけどまぁクズには違いないですね

 

作:でしょ?だからそれに対してツッコミをカライバリ島でやったのは良いんだがそもそも論でウタをどうにかしてもシャンクスの方もどうにかしないといけないと言うことにぶち当たり、シャンクスが心を動かせそうなキャラって・・・ルフィかレイリー、クロッカス・・・後はバギー?ってなってまぁバギー以外フットワークが決まってたり重いのでバギーが担当することになった。

 

ト:・・・活躍しすぎじゃない?

 

作:いやそれな!やっててあれ?最終章で活躍させるつもりなのに活躍しすぎだよ・・・となってアンケートを取ったらシャンバギが勝っちゃったのでこうなった。

 

ト:ありゃま

 

作:でもバギーの強さは全く変えてないよ。マギーバルカンなんてたいそうな物を装備させたけどバルカンならあの世界、結構持ってる人間いるし、マギー玉を作ったバギーの技術力なら出来ると思うし、それにシャンクスは別にそれでダメージを負ってないしね

 

ト:完全に根性勝負でしたものね

 

作:前のカライバリ島編でロジャー海賊団の話をやったのは単純に文字数稼ぎでもあったけどそれがシャンクスとの話の内容の1つにもなったのは良かった。

 

ト:文字数稼ぎが多いですね

 

作:そりゃ5000字で出すって決めてたからその為にやってた。それだけやると後で言及とか拡げやすいかと思ってね

 

ト:しかし、バギーの努力も失敗に終わり、色々と各勢力から狙われる羽目に・・・

 

作:うん、バギーどんまい!シャンクスに勝っちゃったらそりゃこうなるよね??でも五老星らや海軍サイドは兎も角、他の四皇らは冷静よ。黒ひげはモルガンズのデマの可能性を考えて動かない。マムは取り敢えず実力があると認識し、ウタがバギーの娘と言うのも考慮してカタクリに頼み、カイドウなんか暇つぶしの相手認定。

 

ト:ひ、酷い!特にカイドウが1番酷い

 

作:バギーに狼狽えるカイドウなんか見たくないでしょ。他の四皇らは別にバギーを持ち上げてないよ。ただナメてないだけ。

 

ト:悲惨すぎるなぁ。そして舞台は遂にドレスローザで原作通りの展開に加えてルフィとすんなり再会できないルウタ・・・

 

作:それに加えて今作で色々と冷静に考えたらあれ?運が極端に悪すぎない?というレベルまで運が悪くなったドフラミンゴ・・・いやわりと本気で運が悪い

 

ト:カタクリの参戦でより不憫になりましたからね、そう言えばなぜカタクリがここで?

 

作:単純にウタと会わせてルフィとの三角関係を描く為、カタクリ大好きだし、後はギア5への伏線かな、カタクリの経験値と頭脳なら冷静に見た時に幻獣種である事を見抜きそうって思ったし、それから恋の三角関係ならルフィにとって明確なライバルになるんだけどだったらカタクリが良いかなってなった。

 

ト:更にハイルディンとも仲の良いウタ

 

作:これもカライバリ島にいたが故の絡みだね。

 

ト:それから感想がまさか50も来たあのホビウタに関しては?

 

作:元々、何となくホビウタでpixiv百科で記事が出てるのを見ててあ、こういう概念あるんだと思ってやってみたってのが本音だね。まさかあんなに感想が来るんだとは思ってもみなかった。

 

ト:遂にここでルフィと再会出来るわけですがこれまた良くすれ違いますね

 

作:『面白ければ正義』の名の下に色々とやったらこうなっちゃいました。でも結果をみればそれまでの積み重ねもあって好評だったようで良かった。

 

ト:この章は2曲出ていて『怒りをくれよ』『Shining ray』ですが選んだ理由は?

 

作:まぁ歌詞で選んでるのもあるけど『怒りをくれよ』はなんかちょうど良さそうなバトルソングが無くてどうしようかなと・・・で、コロシアムのノリとカジノのノリって似てないかと思って『怒りをくれよ』にして、『Shining ray』はやっぱり歌詞がハマったのが良い!

 

ト:宴も終わり、ラスボスであるシキの登場ですがこれはなぜ?

 

作:元々、最後の敵をどうするかは迷ってて・・・いや、最後の章は全編迷ってたな。誰をラスボスにするべきかどんな展開にするべきか・・・で、シキが好きなのとやっぱしシキの設定から見るに四皇クラスで・・・四皇があの化け物2人だったからラスボスはシキにしよう!んでシキがバギーに負けたら予想外で面白くね!?となってシキのラスボス化が決定。

 

ト:最初に考えたのはそれだけ?

 

作:まぁシキをラスボスにすること自体は薄っすらと考えていた事でもあったけどここで完全に確定になったかな

 

ト:次は万国の前にウタとルフィのイチャつきが・・・

 

作:あぁ最初の『Bed』から解説していくとまぁただ単純にベットで横になって喋ってる2人を書きたいが為にやったんだけどここで後々の伏線になる()()に関しても触れたかった。

 

ト:あの婚約の?

 

作:そう劇中だと「ウタ、新時代の誓いが叶ったら()()した事をやろうな」と言われてるけど約束=婚約なので正しくすると「ウタ、新時代の誓いが叶ったら結婚しような」になる

 

ト:あらイケメン

 

作:これに加えて誓いと約束が2つあるというのも説明したかった・・・これをやる時、ルフィのキャラじゃなくないかと思って凄い不安だったが特に言われなかったのは良かった

 

 

ト:このイケメンルフィの次が鬱回の一発目

 

作:ルフィが現れた気の緩みかも知れないけど後で分かるがトットムジカの魔の手も迫りくる状態になり、これはウタにとってトットムジカは敵なのだと云う説明。そしてルフィはウタが何かに怯えてるのを知るわけだ。けどルフィ本人のスタンスがあれなので踏み込めず、ウタも優しさゆえに巻き込みたくないと2人のズレが既に起こってるんだよね。このズレは本質的には万国前の大喧嘩と一緒なんだよ、相手の事を思ったがゆえに相手を苦しめてしまう。

 

ト:なんと残酷な展開を・・・

 

作:だから鬱は簡単だって言ってるでしょ?

 

ト:そんな鬼のような序章からの嫉妬ルフィ・・・あの落差が激しすぎて風邪を引きそうなのですが?

 

作:心の声を出さないは実は今作でも徹底してる・・・まぁルフィの行動の心情解説というのが実質心の声みたいなもんだからアウトなんだけど、恋愛をしないという原作のルフィの縛りを今作はまぁ解していかないといけないので嫉妬とする程特別な感情がないと恋愛なんか無理だろと思ったのでやった。かなり気を付けてやった。感想を読んで顰蹙を買ってなくて良かった 

 

ト:平和も束の間・・・遂にご対面のウタとハンコック

 

作:これね、書いててどっちも好きだから当て馬にならないように凄い気を付けたの。敵はまぁ悲惨な目にあったけど・・・

 

ト:この章でバレットとテゾーロが参戦しましたが理由は?

 

作:最初は出す気は全く無かったんだ。当初は現実世界でバギーVSシキをやってる最中で初めはキッドとかも勢力を出せる限り出してウタワールドはその多くの勢力でしのぎを削るバトルロイヤルにしようと考えてたんだけど、どうも上手く行かない。そもそもウタワールドでどうこうやっても現実に帰れないと意味がないと言うことでバレットを出してウタワールドでウタを捕まえて暴れればルフィらはウタを助けるために頑張るだろう。んでその番人をテゾーロ達がやればどうだ?と思って出した。

 

ト:なるほど、因みにハンコック編の相手がシードルギルドになった理由は?

 

作:そりゃ簡単、ハンコックが新世界にいる話がコレだけだったから・・・哀れかなシードルギルド

 

ト:その次の回のバラエティ感あふれる戦いは?

 

作:ハンコックもラストバトルに参戦決定だったけどここでウタと徹底的に仲が悪くなるとそれは無理だし、後書きでも書いてた超カッコいいシーン・・・後でキャラ解説の時にやるけどそれが出来なくなると思って出来る限り笑える方向にシフトを切るにはこうするしかなかった。

 

ト:バルトロメオ・・・

 

作:すまん、ウタが本当に容赦なく喧嘩できる相手がバルトロメオしかいなくて・・・

 

ト:そんな笑いも悲しいことにウタとルフィの大喧嘩

 

作:これは最初からじゃなくてドレスローザでやべっ再会させたしカタクリも三角関係にしたけどどうしよう?カタクリの身の回りの展開以外を考えてねぇぞ!?となって、そう言えばシーザーがいたな。んでシーザーが作った薬があったな・・・よし!

 

ト:いや、全くよしじゃない!

 

作:こんなノリで万国編の展開が決まりました!

 

ト:そんな軽いノリなの!?あの阿鼻叫喚地獄が!?

 

作:うん・・・まぁカタクリとシャーロット兄妹達の物語は決まってたからそこに組み込むような感じで混ぜたらあぁなった

 

ト:おいおい

 

作:まぁ最初はフランペが全てをやったという展開にしようかと考えたけどシキを出した回でもう殆どの人がシキだと分かってたからシキにした。ちょうどシキの完全なラスボスとしての立場を表明できると思ったし、ただやっていく中でドンドンとお気に入り登録者数は減っていくわ、感想欄は阿鼻叫喚地獄になっていくわとなってこれは不味いと思って考えてたその後の展開を全て白紙にして構成を作り直した。

 

ト:というと?

 

作:ここで本編だと婚約が明かされてるけど実はこれは最終章の最後のギャグシーンとしてやるつもりだったんだけど展開を後出し出来る状況じゃなかったのでここで出してシキとウタとバギーの因縁も最終章で明かすつもりだったけどここで出した。まぁあの遭難の時にはそんなことは全く考えてなくてシキの登場回ぐらいの時に思いついた後付のアイデアだけどね。

 

ト:ええっとそう考えるとだいぶ当初の展開とは違うなぁ

 

作:うん、これで最終章のルフィ、ウタ、バギー周りをまた構成からやり直す事になった。けど熱さと鬱のダブルパンチの爆弾の雨ができたのとやっぱし終わった時は好評っぽかったから良かった。

 

 

ト:キャラが複雑に入り乱れる万国編ですが何か拘ったところは?

 

作:やっぱし、ルフィ周りは徹底して拘った。ウタだけじゃなく今作で初めてルフィが完全に主役の1人として動くのでそこら辺は徹底的にやった。シキにあれこれやられて徹底的に心を圧し折ったし、ウタに対して特別な感情を持ってるとルフィ本人が自覚する大事な章でもあるからね。そんな中で婚約はルフィの精神面の話だけどバトル面ではやっぱりカタクリ戦は熱く出来たね。

 

ト:今までの敵ボス撃破技が多く出て“東の海”のオマージュですねと言われましたね。

 

作:元々は感想欄でREDのルフィの出した技が失敗してるシーンでそれが今までのヒロインを助けた時の技と言われたのが始まりでそこは前のそれこそその各章ボス撃破技オンパレードの前の回でやってるんだけど、これをやったのは文字通りウタとの関係が今までとは違うと云う事を表したかったんだよね。恋を知らないルフィが初めてのきてる感情に戸惑ってる。それは今までの仲間達とは違う・・・唯一フレイルだけカタクリに通じてるのは誰にも渡したくないという感情だけはその時と変わらないから。

 

ト:なるほど

 

作:上手く行ってるとは思ってはないよ。ただ原作のREDの時とは違うよとやりたかったんだ。ギア5も一瞬だけ覚醒させたのも文字通り一皮剥けたという感じでね。ただ・・・いや、これは後で戦闘シーンの特集の所でやるから今は良いか・・・続けて

 

ト:ではカタクリ戦も終わり、そして『fanfare』

 

作:これは歌詞の内容がカタクリにあったのもあってこれって決めてた。もうここら辺は盛れる限り盛りまくったよ!!

 

ト:カタクリも兄弟姉妹達との仲が良くなりましたね

 

作:これも最初から決めてた事、ルウタはもう最初から決定してたけどカタクリにもなんかないとただのピエロになるからそんなカタクリ見たくねぇし・・・って事でブリュレが頑張った!

 

ト:コンポートも結構活躍してましたね

 

作:カタクリって3番目なんだよね。まぁカタクリとオーブンとダイフクは3子だから少しそこら辺の印象は違うかも知れないけど、兄や姉と絡んで弟というカタクリを出すのも新鮮じゃないかなとやってみた。

 

ト:その後は見事にギャグキャラに落ちましたね。

 

作:ユーモアは必要。それにカタクリからしたら末っ子のアナナが自分の為に考えてくれてるとなったからやったに近い。カタクリもアナナには辛い目に合わせたし、アナナもカタクリやウタに酷い事したと自覚してるし。

 

ト:それ本当にドス黒い曇り方でしたよね。人の心が無いのかと

 

作:だから鬱は簡単って言ってるじゃん。

 

ト:だからってやる普通?

 

作:最後にハッピーエンドならやる。それがスタイル!

 

ト:よくやりますね本当に・・・で、ルフィとウタのイチャイチャの第二弾・・・ここはアイデアを募集してましたね

 

作:募集した理由は恋愛物が大の苦手なのでぶっちゃけるとネタが尽きた。だから募集した。けど流れを考えてると入り切らなかったネタも幾つがあるからそれは折角送ってくれた人に申し訳ないことをしたと思ってる。

 

ト:まず、最初はカタクリに嫉妬するルフィ・・・というか色々と嫉妬が出始めてますね

 

作:あれだけやったからね。それに文字通りその初めて感じる感情に戸惑ってます。

 

ト:初心というか何というか・・・そんな中で恋愛感情を支配感情とごっちゃになった理由は?

 

作:ルフィって自由が大好きな自由人じゃん・・・まぁ黒ひげとかとは別タイプだけど・・・それでそんなルフィが恋愛感情を持つとどうなるかと考えた時に思ったのがルフィは恋愛感情に対して気持ち悪く感じるんじゃないかな?って思った・・・他の一味の皆にもルフィは仲間としていて欲しいと思ってるってのはデービーバックファイトだったり、エニエス・ロビーだったり、シャボンディだったり、万国だったりで分かるとは思うけどウタに対してはそれと同じ思いだとルフィは思ってるがそれ以上に求めて違和感を感じる。それこそドレスローザで感じてた物がカタクリとの戦いを経てより強くなった。となるとルフィは自分の中に出来たそれに対して何なのか整理しようとしていく中でブルックに言われて整理を自分でやろうとしてその感情は相手の事をなりふり構わず強く求めてる部分からルフィはそれを支配欲じゃないかと怯えるんだ。1番知ってて1番嫌な感情だからそっちの方へ行っちゃうんだ。恋愛感情をよく知らないから。

 

ト:けどここは流石はブルック・・・ルフィを上手く起動修正しましたね。

 

作:これはナミやチョッパーやサンジもある程度は出来ると思う。親身になってルフィをなんとかしてくれるとは思うがこの時のルフィには自己嫌悪も多少なりとも入ってると思って上手く修正出来るのはルフィに考えると整理をさせる事が出来る相手、これは大体ナミかゾロかの印象だけど恋愛が題材でルフィは恋愛偏差値ほぼ無いんでそれに対応出来そうなのは・・・ブルック?と思ってやった。

 

ト:そして次はキノコの島へ・・・

 

作:まぁイチャイチャやってるルウタだね。雨宿りをさせたのは雰囲気の流れを少ししっとりする感じにしたかったから。

 

ト:そんな中、ルフィはまさかのサラダ化したり、ウタは歳を少し取ったりしたのは?

 

作:募集していたネタにあったから。ただやってみて楽しかったね。しかし、自分は好きと言ってるのに通じてなくて不貞腐れちゃうルフィは本当に自分で書いてるのに笑った。

 

ト:ルフィとウタはこの章の最後で恋人になりますがまたルフィがヘタれたのはなぜ?

 

作:初めての恋に戸惑ってる事と求めて間違いを起こしてしまうかもしれないことに怯えてる。けどナミやウタの頑張りによって上手くいきました!

 

ト:そして所構わずよりイチャつく2人の出来上がり・・・迎えに来たバギーが阿鼻叫喚したし、サンジも凄い事になりましたね。

 

作:なったねぇ〜

 

ト:一方、カタクリの方も凄い事に

 

作:ギャグギャグ、そしてアナナとカタクリ。ここら辺は楽しく書けて良かった。ただ、もう1つ番外編として現パロを書こうとしたけど全く書けなかったので本編に行ったがここからよりズレまくった。

 

ト:というと?

 

作:元々、ワノ国は宴のキラーとベポの話だけしか考えてなかったし、そもそもウタが本気で全く関係ないからワノ国に行った所でなんで離れさせてもうウタとバギーのクロスギルド誕生編をやる傍らでルフィはこんなになってますの状況説明をするはずだったんだけど、ちょっとルフィに不味いことが起こったのでそれを修正しないといけなくなった。

 

ト:不味いこと?

 

作:まぁゾロが指摘しているように行き先はルフィが決めてナンボじゃん。なのにウタと分かれた時のルフィはウタに呼ばれてるとかそう云う理由になっててこれは流石に絶対に修正しないと駄目だと思ってゾロとの絡みを書いた。ただとなるとワノ国でルフィがちゃんとウタのライブに行きたいと言わないといけなくなってワノ国をある程度やることに・・・予想外過ぎた・・・

 

ト:クロスギルドの誕生編は?

 

作:これは単純にウタとバギーの話を少し書きたかっただけ。実際に短いし、後はレイリーやハンコックと合流をやりたかった。まぁゼファーは予想外だったんだよなぁ。

 

ト:よく出しましたね。

 

作:本当は出す気はなかったんだけどあれ?最終章でガープとセンゴクとおつるが出れば3人でゼファーの相手が出来るよなとなって出した。

 

ト:で、個人的な感想は?

 

作:ガープとの喧嘩は最高に書いてて楽しかった。

 

ト:ハンコックがまさかの酒浸りになってしまったのは?

 

作:まぁ、ハンコックならウタとルフィが付き合ってるとなれば容赦なく殺す方向へ行くと思うけどそれはそれとしてルフィの悲しむ事はしたくないと思ってる筈だし、そんなウタを殺すのもプライドが許さないと思う。やるなら多分ルフィの前で決闘だと思って、なら今のハンコックのストレスはどうやって解消するべきかと悩んだ結果、酒浸りになりました。最終章でカッコいいシーンはあるし。

 

ト:うん、鬼かな?

 

作:鬼で結構、良いじゃんクロコダイルやミホークと酒飲み仲間になったんだから

 

ト:あのハンコックが・・・凄い状態に

 

作:まぁありえんとは思いつつも仮に七武海で呑んだとしてハンコックが一緒に呑めそうなのはジンベエ、ミホーク、クロコダイルくらいじゃないかな?ジンベエは下手な事は聞かないし、ミホークとクロコダイルはドライだし。

 

ト:まぁ確かにこの2人はドライだからなぁ。ワノ国ではルフィがギア5に遂に覚醒してますね。

 

作:これはもうやるしかないからやった。でもなぁ、ゾロやサンジまで飛ばしまくってるし・・・ここまで端折りまくるもそうそうないだろうなぁ。ギア5でカタクリ戦とは違って逆に初期のキメ技が通じてるのは一皮剥けてさらにウタとの絆ややりたいようにやると言うルフィのスタンスが復活したのでこうなりました。盛れて良かった!!

 

ト:そんな中で無事にカイドウも撃破してキラーやベポが凄いオタクに・・・

 

作:ベポはREDであんな凄い格好になってたのでやったけどキラーは単純にキラーが好きってのもあるけど、実は今作を書く前にワンピースの二次創作を書こうとした事があったんだ。

 

ト:へぇ〜

 

作:それは女主人公で槍を使うキャラにするつもりで麦わらの一味なんだけどキラーと恋仲になるって話を書くつもりだったんだけどルフィが書けなくて無理だった。ただキラーのキャラ自体は深掘りをその時にやっていたのもあって勿体なかったのでやった。

 

ト:そんな名残が・・・そしてまたやってくるシキ。

 

作:シキを出したのはヤマトを参戦させるため。で、ヤマトを外に出すのに1番良さそうな理由を考えたらこうなった。

 

ト:成る程、そして遂に最終章であるRED編。

 

作:OPはバギーとウタの過去編だね。これはもう主役はあくまでもこの2人ってのをやりたかったし、表明したかったから。タイトルの全てが曲名になってるのはこの作品に合う曲の簡単な紹介も兼ねてるから、本当はもっといっぱいあるからそれはまた戦闘特集の次にやるよ。

 

ト:シキ、バレット、テゾーロに加えて黒ひげまで巻き込んで・・・大戦争では?

 

作:そんな大戦争の中で台風の目として動いたのはバギー。ウタワールドに行く前にバギーがアナナに下剤を盛られるのを書いたけど実はゴードンのトットムジカの歌詞破壊よりもバギーがウタから離れてるってのが重要だった。バギーがウタとあの時会ってなったからこそバギーは反応できた。あれでバギーがウタが歌う前に会ってたらヤラれてた。だからアナナの行動が全ての鍵を握った。

 

ト:アナナがまさかの大活躍!?

 

作:アナナもルフィVSカタクリ編でシキに良いようにされてたから逆襲をやりたかった。

 

ト:なるほど

 

作:中盤から終盤にかけてもうずっとバトルバトルの連発だったので序盤はまさに祭りのような和気あいあいとした感じで進めたけど良かったって思ってる。カタクリやハンコックにも手を回せたし、ヤマトを始めとした麦わらの一味の面々にも手は回せた。

バルトロメオも全員のサインを貰えたしね・・・まぁヤマトのサインが『光月おでん』なのは笑ってくれ

 

ト:ヤマト・・・

 

作:ウタのヤンデレ感も出せて楽しかったし、ここら辺の祭りは書いてて楽しかった記憶しかない。バギーやレイリーの絡みだったり、後はハイテンションモルガンズだったり、コアラを始めとするUTA親衛隊だったりね。

 

ト:その親衛隊もまた濃いメンツが

 

作:コアラにブリュレにベポにキラーだからね。おまけにREDのベポがやってた電飾を全員やってるし。

 

ト:カタクリとアナナが思いっきりドン引きしてましたね。

 

作:ハハハハハハハハ!!

 

ト:この最終章でウタに子供が出来ましたがこれは当初の予定通りでしたか?

 

作:違う。婚約を最後のギャクシーンとして明かすつもりだった時はシキをぶっ飛ばした後にウタがルフィに対して結婚しようと言ってキスして終わらしてルフィがシャンクスやバギー、ゴードンに詰め寄られてる最中、ウタとハンコックが決闘していてその詰め寄られてるシーンで婚約してる事が発覚するって内容だったんだけど構成を作り直した影響でやり直してこの結末になった。

 

ト:なるほど、この最終章で原作のウタ・・・分かりやすいようにUTAとさせていただきますが彼女の登場はいつから?

 

作:う~ん、これが難しくて一時期、それこそ本当に初期だけどこの作品は全てウタワールドのUTAが見た夢でしたエンドを考えてた時もあったけど、最後はハッピーエンドで終わらせたいって気持ちの方が強くて色々とやったけどまぁ二次なのでウタとはズレてきてるわけでそれはそれとしてなんだかなぁと思ってたら募集項にREDのUTAがこの作品のウタと出会うというアイデアがあって、あっ!?そっちに振って良いの?なら思いっきりやるよ!という感じで燃えたのでやった。

 

ト:こうしてみると感想欄から発想をよく貰ってますね。

 

作:と言っても自分で扱える範囲だけね。

 

ト:そしてシキとバージェスに立ち向かうバギー海賊団とバレットに立ち向かうドリームチームと麦わら大船団とテゾーロ一味と戦う麦わらの一味、ゼファー達と戦うガープ達と色々と分かれましたね。

 

作:ここら辺はもうバギーを中心にやってたね。ルフィとウタの恋物語でもあるけどバギーが頑張る話になったのは本当に予想外。

 

ト:その後に色々とあってラストバトルに行く前にロジャーやエースも登場しましたね。

 

作:ロジャーやエースは何となく考えてはいた。ただ色々と踏ん切りが付かなかったけどREDのUTAを出すならイケるんじゃね?と思ってやった。

 

ト:そしてシャンクス達赤髪海賊団やクロコダイル、ミホーク、Mr.1の参戦ですね。

 

作:クロコダイルとミホークもギャグキャラにしてたから活躍させねぇと、一気に形勢逆転になったしね。ここでやっぱり書きたかったバギーとシャンクスがお互いに「助けてくれ」って言い合って助けあうのはバギーの性格なら絶対にありえないとはしつつもなりふり構ってられないから。

 

ト:そしてルフィとバギーはトットムジカの中へ。

 

作:この戦いもわりと初期から決めていてウタも囚われのプリンセスみたいなノリはあんまし合わないし、助けるんじゃなくて共に共闘する・・・って事を考えるとルフィとバギーの方が合ってたと思ってね。

 

ト:しかしお互いに嫌ってますね

 

作:少なくとも今作のルフィはバギーは完全に嫌いになってますからね。それはそれとしてウタがバギーを好きだからなんとも言えないけど。

 

ト:地雷になってない?

 

作:おもっくそ地雷ですね

 

ト:トットムジカの中での戦闘で何か拘ったところは?

 

作:やっぱし、場所がドンドンと変わっていくのは面白いと思ってやってた。特にトットムジカ戦のラストバトルの舞台がオレンジの町に出来て良かった。ルフィとバギーがお互いに宝物を奪われたり傷つけられたりで守れなかった話だけど今度は守るという意味で、覇気もない、能力も使えない、相手は強大、それでも泥臭くても挑んでいく。こういうの大好物です!!

 

ト:そしてトットムジカを倒してルフィはUTAと出会う・・・

 

作:この展開はUTAにハッピーエンドをさせるにはどうしたら良いのかと考えて、説得の相手はルフィじゃないと無理だろと思ってやった。んで外に出たいと言えとルフィが言ってもUTAの心は完全に折れてる・・・そうなるとルフィはもう本当に何も出来ないんだよね。ただここで諦めるルフィでもなく、UTAに未練は無いかって聞くとREDの時にルフィに最後謝ってないのが唯一の未練になるかな?って思った。夢は託せたし、新時代の誓いもまた誓えた。自分はケジメを付けて戻れないと思ってるけどそれでも戻りたいと思う事はなんだろって考えたらこうなった。

 

ト:そしてルフィは「フーシャ村の男」って言ってUTAを安心させるわけですね。

 

作:今作でルフィの台詞にも拘りが色々とあって約束もそうだけどルフィが「ゴム人間」だって云う場面は実は今作ではルフィがウタを安心させる時にしか言ってない。自分は大丈夫だから安心しろって感じでね。

 

 

ト:しかし、この後はまさかのシキがトットムジカを手に入れる最悪のパターンに

 

作:これも最初から決めてた展開でシキを完全な四皇クラスとして扱いたくってけどガチの四皇のシャンクスやそれクラスのミホークも来るしな〜となって全員の共同戦線をやるのにはやはりコレだろと思ってやった。

 

ト:シキ、強すぎない?

 

作:今作で唯一強化バフが色々と掛かりまくってるからね。

 

ト:ラストバトルも色々とある中で特に書いてて盛り上がったのは?

 

作:やっぱし、元七武海のハンコック、ミホーク、クロコダイルの3人の活躍シーンだね。3人でトットムジカを抑えて蹴り上げて真っ二つにしてるし。ここら辺の活躍を書く事が決定してたからギャグキャラになってたしね。ハンコックのカッコいいシーンも書けたし。

 

ト:そして最後はルフィとウタでバズーカ。

 

作:バズーカで終わらせたのは初期のリスペクトでもある。初期のワンピースの映画ってバズーカで終わるのが多かったし、ルフィとウタで片手ずつ合わせられるし。ただバジュラングにしようかドーンにしようかは最後まで迷ってたけどROMANCE DAWNをもじってドーンに出来ると思ったのでやった。シンプルだし。ワンピースの技は語呂合わせとシンプルさとそれはそれとして別の語感としてのカッコ良さやギャグ感が混在してるから難しいんだよね。

 

ト:しかし、シキをぶっ飛ばしたのにシャンクスはまたヘタレて・・・ここのシャンクスの話を書いた理由は?

 

作:単純にシャンクスが病んじゃった理由を書いてそっからどうにかしないと永遠に病みそうだったのでやった。なぜ、バギーに依存していったのかそもそもシャンクスに何が起こってたのか・・・色々とやって頑張った。

 

ト:そしてウタと無事に和解して最後の曲は『ウィーアー』。『RUN!RUN!RUN!』や『ヒカリヘ』も含めて最終章で選んだ理由は?

 

作:『RUN!RUN!RUN!』はウタがなんとかしようと藻掻き苦しんでるようにも決意を表してるようにも聞こえてやった。初期のEDだったってのもある。『ヒカリヘ』は今作で唯一2回歌詞が載ってるけどそれはウタがもう大丈夫って意味で歌ってたり、あれはバギーとの思い出のような曲だからもう1回出したかった。今作で主題歌を一曲選べと云うなら迷わずに『ヒカリヘ』を選ぶね。『ウィーアー』は絶対にラストはこれって決めてた曲でこっから本当の意味で強くなったウタの旅路が始まるって事をやりたかった。だからアニメ1話の樽から飛び出してくるルフィのオマージュもやったしね。最後に上手く行ってるか行ってないかは置いておいて全体的な事を考えて自分はウタの1話をずっと書きたかったんだろうな。ラストも終わりじゃなくて全体を通して見た時に第一話になるような感じで・・・まぁ色々と盛ったり下手だったりで上手くいかなかったけどね。

 

ト:なるほど

 

 

 

〇それぞれのキャラ設定に関して

 

ト:次にキャラ設定・・・と言っても色んなキャラが複雑に絡み合ってるので長くなりますね。

 

作:まぁ適度に端折りながら、先ずはウタからね。

ウタは今作で主役ってのもあるので精神が追い詰められてる状態から以下に自分を許して前に進ませるのか考えてやったね。武器がロープになったのは逃げつつも殴るや蹴るをバカスカとやるのはウタに合わないと思ったから。まぁその後のハンコック戦でおいおい、そのコンセプトはどこに行ったんだよとなったけどねww

 

次はバギーだけど、もうこれは書いててバギーじゃねぇだろ!と思いながら書いてた。というか最初のウタ復活の時のバギーで批判が絶対に来ると思ってたし、アレで何というか振り切れたのでこうなった。ただし、強さは実は殆ど変えてない。武装色をさせたり一瞬だけ覚醒させたけどあれはウタがいるからと云う事によるド根性パワーで普段からは絶対に出来ないようにした。

 

ルフィはウタと恋をするので1番難しくてどうやれば良いのかと模索しながらやってた。まぁちょっとヘタレにしすぎたと思いつつもルフィの今作の精神状態を簡単に言うとウタが連絡してきて喜び→ドレスローザで忘れてしまって自己嫌悪しつつもいつのタイミングでなくなったのかもちゃんと覚えているのでウタがドレスローザにいると知れて再会出来て嬉しい→しかし、ウタは何故かシャンクスではなくバギーの方を気に入っててモヤモヤ→万国編の前で遂にそのモヤモヤが爆発→シキに良いようにされてプライドがズタボロ(サンジ達のお陰で復活)→ウタを求めるんだけど本人の気質やシキに良いようにされた事もあってヘタれる→恋人になるがまだ精神的にちょっとヤバい→ワノ国でゾロに修正されて気持ちが戻ってくる→カイドウ戦で完全復活・・・この精神の流れをワノ国の宴の時に気づいてもうちょいルフィの精神をちゃんとやっとけば良かったと後悔する羽目になった。完全に失敗した。

 

シャンクスは全体的にギャグと鬱の間にいるイメージでそもそもヤンデレにさせたのがREDを観たときにウタとシャンクスの似てる所が『たちの悪い前向きさ』がそっくりで自分がよし!これで行こうってなると突っ走るあたりがそっくりでそんなのだけ似ててもと思ったので思い切ってヤンデレにさせてみた。まぁこの時はシャンクスの精神をちゃんと書く気は無かったんだけど流石にやりすぎたのでやった。

 

カタクリは弟属性を追加したり、兄弟姉妹間の関係をやったりと色々と出来て楽しかったんだけど、ルフィとの自慢合戦をする際にカタクリもルフィも自分からそう言うの云うタイプじゃないしなとなって2人の心を徹底的に圧し折ればいいんじゃね?となってやった。それ以降はギャグをやりつつも良くも悪くも警戒しつついぶし銀のような活躍をして決めるところは決めてました。

 

ハンコックは完全にウタの恋敵にもなるので噛ませ犬というか当て馬というかそういった感じにならないように注意はしてた。上手く行ってるかはわからないけど。ただスペックがやっぱり最強クラスなのもあるからそこからラストバトルでのカッコいいシーンを思いついたというかウルトラギャラクシーファイトのネクサスのシーン出来なくない!?となってやりたかったのでそれに合わせる感じでギャグキャラに・・・でもプライドは高くそれでいて義理堅い感じも色々とやった。

 

シキはラスボスに相応しくなるように強さと狡猾さと外道っぷりをこれでもかとやった。やりすぎだろと怒られたのは猛省するべきところなので申し訳ないとは思ってる。ただここまで強くて圧倒的かつそれでいて狡猾なシキは書いてて最高だった。

 

バレットとテゾーロに関しては色々と手が回せなかった部分が多いのでファンの人には申し訳ないと思ってる。手を回そうにも回しきれなくなっちゃったので・・・

 

ゼファーは手を回しきれてないわけじゃないけどバレットやテゾーロと違ってガープやセンゴクにおつるとこれまで出てきたキャラから普通に色々と会話の中であったりもしたし、必要最低限は守れたつもり・・・もうちょい書きたかった。

 

コアラは最初は本当にオタクにする気はまるで無くてなんでこうなったかと言うとあの最初に言及された部分はロビンがウタの事を知るというか流れだったんだけどあまりにもフランキーと似たような流れになりそうだったし、ロビンだけじゃ場が持たないしという事なのでコアラを入れた。ただ、今思うとエレジアの事を言及させればとも思ってるけどこれはこれで良いかなと思ってる。

 

ブリュレは登場が遅くなるのは必死だったけどREDの活躍シーンもあるから絡めたいし、カタクリとのシーンもあるから入れようと思ってウタと友人になるルートにした。万国時のブリュレの動きは本当に予想以上にヒロインで良く動いたし、書いてて燃えたね。

 

ベポとキラーはもう癒やし担当ととして書いてたね。それに色々とコメディシーンは書いてて面白かった。キラーに関してはシャンクス関係で色々と突っ込んでも良いかなと赤髪海賊団と戦ってたし。

 

ローは特に変える所もなく書いてた。まぁ流石にドレスローザの端折り方は酷いなと我ながら思いつつも別にこれ、ウタに関係ない話だしなあとなって思い切って切った。ただ、その後はローが仲間らに心配させたお詫びでウタのサインの借りを返そうとしてたのはまぁ書いてて良いかなと思った。ウタからしたらなんて事ないやつだし、原作だと特に気にする事もなさそうだけどまぁベポの付き添いでどうせ来るなら良いかなと思って、ただぬいぐるみになったりしたのは単純にローが強すぎるから、現実に戻った瞬間にすぐにウタを治したしね。

 

レイリーはバギーやシャンクスの父親ポジで1番自由に動けれてるからそこら辺をゴリゴリっとやった。バギーとの絡みは本当にもうそれしかやってないしね

 

・・・ってな感じかな~、他のキャラはそこまで特に変えてもないと思うからあんまり・・・モルガンズのイカれっぷりは原作の方がヤバいし

 

 

ト:ありがとうございます。

 

 

 

 

 

〇戦闘シーンについて

 

ト:それでは次に戦闘シーンについてですが

 

作:待ってました!アクション、バトル大好き人間ですのでそこら辺は色々とやったよ!!と言っても何時もなら映画とかのオマージュを大量にやるけど今作はそこまでやってないけどね。先ずはウタとデマロ・ブラック達の戦闘だけどここは『ドクター・ストレンジ マルチバース・マッドネス』のドクター・ストレンジとシニスター・ストレンジの戦闘シーンがベースになっててREDでウタが五線譜で色々とやっていたのもあってやれた。次はバギーとシャンクスの戦いだけどここは泥臭くなるように・・・それこそ60年代くらいの泥臭いアクションをイメージしつつ吹っ飛ぶところはワイヤーみたいな感じでやった。

ワンピースの原作にある戦闘シーンはそのままを出来る限りやってウタとデリンジャーの戦闘は全体的にオリジナルにしつつも所々で『史上最強の弟子ケンイチ』の『ケンイチと叶翔戦』を入れてるね。十字受けでウタがデリンジャーの踵落としを受け止めて「違う、この世で最も偉大な海賊は“千両道化”のバギー、アタシの()()()()()!!」というシーンなんてもろに被ってるしね。ただ、ルフィの戦闘は今までにないくらい難しくてそれはカタクリも一緒なんだけど2人とも腕や足を伸ばせるせいで間合いや距離感が書いててどうなってるのか把握しづらくて凄く手強かった。ルフィとカタクリの戦闘の際にモルガンズが非常にハイテンションで煩かったのは単純にルフィとカタクリの戦闘が難しすぎていい分量で書けなかったから。カイドウ戦になるとそれも慣れてきたので色々と東の海からのボスの撃破技を食らわせたけど、やっぱしワノ国でのルフィをもうちょい書いておけばと今でも思うね。端折りすぎた。

ウタとコアラとアインの戦闘は『続・夕日のガンマン』の最後の三つ巴の決闘シーンを全体のイメージとして『ザ・レイド』だったり『スパルタンX』だったり『カンフー・ジャングル』だったりの戦闘が混ざってます。というかウタとコアラの戦闘はまんま『スパルタンX』のジャッキー・チェンとベニー・ユキーデの戦闘そのもの。後はウタとアインの戦闘は『サイクロンZ』のジャッキー・チェンとベニー・ユキーデの戦闘も混じってるかな?因みにこの回のタイトルである『The Pirates,the Neo marine and the Revolutionary army』は『続・夕日のガンマン』の原題の『Il buono, il brutto, il cattivo』から来てる。意味は『善玉、悪玉、卑劣漢』なので今作のを訳すと『海賊、NEO海軍、革命軍』となるけど『続・夕日のガンマン』はクリント・イーストウッド演じる善玉(実際はかなりの悪党)のブロンディとイーライ・ウォラック演じる卑劣漢の友情物としてかなり面白いのでタイトルの海賊と革命軍の位置はまんまそれに被せた。

後はルフィ&バギーVSトットムジカだけどこれは『ザ・レイド』『サイクロンZ』『ザ・ボーイズ』『ドラゴン✕マッハ』とかも入ってるかな?けど基本は『ザ・レイド』だね。

トットムジカに拳とエースで決める前の戦闘は『ゴッド・オブ・ウォー(2018)』のクレイトス&アトレウスVSバルドルをやってる。

シキの戦闘シーンは原作ベースだから特に変わってる場所はないけど個人的なイメージでシキの所々殴ってるシーンは『ヘッドショット』のサニー・パンのアクションをイメージしてる。この拳を完全に固めて殴る感じがシキに合ってる。イメージしにくい人は石か何か固くて片手で持てる物を持ってそれで頭とかを殴るのを想像してください。それを拳でやってるような感じです。

後はハンコックのあれは諸にウルトラマンネクサスだけど

 

ト:濃いですね~

 

作:戦闘シーンこそ我が作風なりだよ。伊達に戦闘シーンばっかり書いてないよ。

 

 

 

 

〇今作の曲特集

ト:ではREDにあやかるというか歌が重要だったので今作で合いそうな曲を教えてください。

 

作:ワンピースの曲は全てとして最終章のサブタイトルの曲に加えて・・・

QUEEN『Don't stop me now』『Save me』『39』

きただにひろし『revolution』

米津玄師『M87』『Lemon』『アイネクライネ』『ピースサイン』

平井堅『僕の心を作ってよ』『いてもたっても』

Aimer『花の唄』

家入レオ『サブリナ』『ずっと、ふたりで』

FIELD OF VIEW『DAN DAN 心魅かれてく』

KANA-BOON『シルエット』

桜『心からのメッセージ』

珠麟『鴉』

GACKT『Journey through the Decade』『The Next Decade』

影山ヒロノブ『こころはタマゴ』『いま風のなかで』

西野カナ『if』

DA PUMP『if...』『P.A.R.T.Y〜ユニバース・フェスティバル〜』『Bright!our future』

MODE『人造人間ハカイダー〜WILDSIDE〜』

ジャパン・エコーシンガーズ『We can change』

山崎まさよし『空へ』

岩渕まこと『心をゆらして』

mihimaru GT『かけがえのない詩』『オメデトウ』

吉川晃司『ONE WORLD』『The Last Letter』

TEAM ドライブ and 鎧武と松岡充『sing my song for you ~サヨナラの向こう側まで~』

氣志團『ABAYO』

Diggy-MO'『爆走夢歌』

東京スカパラダイスオーケストラ『多重露光』

Salia『ヒーリン’ユー』

岳美『魂の調べ』

Alan Walker『Faded』

Sonna Rele『Strong』

Daja Cat 『Boss Bitch』

Engelbert Humperdinck『A man without love』

Air supply『All Out Of Love』

OneRepublic『I Aint Worried』

 

以上の45曲は絶対に入ってるね。これらに最終章のサブタイトルで使った35曲、ワンピースのOP24曲ED18曲、ウタの曲7曲の計129曲になるな。

 

ト:ではこの中から厳選するとどの曲に?

 

作:やっぱし『ヒカリヘ』になる。今作のウタは進むに連れてあの曲に合うようになった。ワンピースの曲以外になると家入レオの『ずっと、ふたりで』かな?

 

 

〇質問コーナー

ト:幾つか質問が来てたので答えてください。

 

作:はいはい

 

ト:まず、今回の物語において、ミホークとウタの絡みに関して全くない感じでしたが、この世界ではウタとミホークの互いの印象はどんな感じでしたか?それと、もし絡みがあるならどんなふうに展開を進める感じになりそうでしたか?

 

作:これは超分かりやすいよ。2人とも((どこかで会ったかなぁ?))って思ってる。ミホークも基本的にドライだし、ウタはウタで大変だったからお互いに相手への印象があんまりない。せいぜいミホークだけひょっとしたら(あっ、赤髪の船に乗ってた娘か)って感じで気づいてたと思うけど一々そんな詮索はあんまししないと思うからぶっちゃけるとほぼ初対面に近い感じになるね。

 

ト:ウタの印象がどのように変わっていったか、(初めてビジュアルが明かされた時や、公開前に明かされた正体、そして映画公開後の印象など)ウタのどこに最も魅力を感じたか、そして、今の軌跡的な世界の構成を思いつくまでの軌跡を、答えられる範囲でいいのでお聞きしたいです。

 

作:最初に感じたのは不安でただ単純にそろそろマンネリになってきたなと思ってた時にREDでまぁ伝説世代が出ないとなってどうすんだろ?と思ってたらまさかのシャンクスの話でウタ登場・・・大丈夫かなと思った。幼馴染設定もう~んとなったし。ビジュアルはもっと強烈なキャラが色々とあるのであんましそこは気にならなかったかな?

で、公開後に見てアレで最初に書いたけどまぁ辛いという感想が先ず出て、けどルフィの幼馴染やシャンクスの娘ってのは魅力的だとは思うけどそれ以外にももっとあるだろと思って・・・何というかルフィとシャンクスの潤滑油みたいな感じにはしたくなくて思ったこと感じたことを具体化出来ないけどそれで色々とやってみようと思ったのが1番の始まり。だから今もね、自分の思ってるウタの魅力はあんまし言えない。それはルフィも一緒でこう言語化出来ない・・・だからそれはなんでなのか何故魅力的に自分は思ったのか自分でも知りたいから色々と書いた。それにウタを通してルフィのキャラが多少なりとも掴んだような気がしたのもあるのも理由の1つ・・・以上になるかな?

 

ト:それと……完全なるネタ質問ですが、もし、ウルトラマンの世界の人物(ゼロだったらタルタロスだったり)とウタを共演させるような物語を作るなら、どんなものを書いてみたいですか?

 

作:そうだねぇ、先ずウタの価値観や成長とかを考えるとガイアやコスモスがパッと思いつくけどウタに必要なのは優しくも厳しくそして精神の支えになるような存在、ある程度喧嘩をする事を前提にして・・・ゼロやダイナはちょっとウタには強すぎる・・・アブソリューティアンはまだそれぞれの価値観がガッチリと分からないから判断しづらいけど、ウタと絡めるとなるとやっぱしある程度の未熟さを残しつつも強さと優しさがある存在でウタがこの人は友人と感じるようなキャラの方が良いからメビウスやリブットかな?アブソリューティアンで考えると多分というか現状ティターンぐらいしか絡みが面白そうな人が思いつかない。

 

 

 

 

 

〇最後に言いたいこと

 

ト:それでは最後に何かコメントをお願いします。

 

作:9ヶ月間、お付き合いありがとうございました!!自分でもここまで長くそして早く書けた作品は無く、日本の1冊の本の平均文字数は大体8万から10万字と言われてるので実質本9冊分の量になったのは意外ですし、ここまで量を書けるのかと自分でも色々と知れて楽しかったですし、感想欄やアンケートが励みになりました!

ありがとうございました!!これからはこの作品をPIXIVに載せたり、某掲示板で暇つぶしにやってた自分のルウタ作品を載せたりとのんびりやっていきたいと思います。

 

ト:それでは皆さん、またいつか合う日まで!!

 

作:次は30万から40万で終わる作品にしたいです。流石に長過ぎたので・・・・あっ、多分8月からになると思いますが次の新作はウルトラマンのクロスオーバーでやってみたいと思います。

 

それでは皆さん、さよならさよなら





















皆さん、お付き合いありがとうございました!!
次の作品は書けないと自分でも公言していた『ウルトラシリーズ』で挑戦してみようと思います!!
それではいつになるか分かりませんがその時までさようなら!!


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