不健全鎮守府 (犬魚)
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3年目の亡霊

…来てしまったのかい?仕方ない子だ

【登場人物】

提督
この基地の提督、3年前にヨコスカの大将から推薦されて小さいながらも艦隊司令になった
大きな胸が好きで、喫煙家、すぐにモクモクする
下劣な発言が多いが外道ではないらしく、完全出来高制の給与形態を除けばわりとホワイトな運営をしている

五月雨
所謂、初期艦
巷でよく見るエンジェルの五月雨ではなく、どこか諦めてしまった感がある疲れたツッコミ役
ホモ同人を愛読している
提督とはたまにキャッチボールするぐらいは仲は悪くない

鈴谷
所謂、ビッチのレッテルを貼られた航巡
本人曰わく、ビッチではないらしい
カレーと金と格ゲーが好き
格ゲーの腕前は96のゲーニッツを倒せないくらい、イケメンキャラを好んで使う


現在を遡ること3年前、とある男と艦娘が出逢った

 

「往くぞ、俺について来いサミヒアイス」

 

「はい、宇宙を手にお入れ下さい、ラインハルト様」

 

後に、歴史を大きく動かす事になる男、小規模ながら艦隊司令としての始まりである…

 

「なにいきなり大嘘から始まってるんですか?何がラインハルト様ですか?ラインハルト様に謝って下さいよ」

 

「ハッハッハ、冗談だよ冗談、冗談だよ君ィ、ハッハッハ」

 

キュウシュウに存在している、とある海軍基地…

在りし日の艦の魂を持つと噂されている艦娘を運用し、日々、深海棲艦と呼ばれるよくわからないもの戦っているのだが…

 

「…オイ、灰皿」

 

「あ、煙草なら喫煙所に行ってくださいよ」

 

「いいから持ってこいよ、モタモタすんなフニャチンヤローが、ケツの穴にラー油ブチ込まれてーのか?」

 

「ダメなものはダメです、ほら、喫煙所がイヤなら外にでも行ってくださいよ」

 

火の点いてない煙草をくわえ、文句をタレている男は“提督”

一応、この基地で一番偉い

 

「ったく、ドラゴン紫龍みてーな髪型しやがって、そーゆートコもムカつくんだよテメーはよォ~」

 

提督に意見している艦娘は駆逐艦、五月雨

一応、この基地で最初の艦娘

 

「あ~ぁ、イライラするぜェ~イライラするよォ~…チッ、煙草吸いに行くついでに浜風ちゃんに劣情でもぶつけてくるか」

 

「はいはい、ぶつければいいじゃないですか」

 

「そうと決まれば早速だ、オイ、ついてこい」

 

「…なんで私もついて行かなきゃいけないんですか?」

 

煙に巻いた言い方をすれば、煙草を吸いに行くついでに猛る己自身をぶつける

煙に巻かない言い方をすれば、とりあえずレ●プする

シャブかハーブでキマった若者達ならば“よっしゃ行こーぜ!フゥー!”とノってくるのかもしれないが、五月雨は少女の姿をした艦娘、同僚をレ●プする流れになど当然乗れる筈もない

 

「君はバカか?とりあえず断られた場合、後ろから羽交い締めする役が必要だろーが!」

 

「当然のようにゆーな!」

 

ゴン!ゴン!

 

「あ゛?」

 

耐久性を重視し、分厚い鉄板で作られた執務室の扉が開く

 

「ちぃーっす、テイトクぅ~…鈴谷お小遣い欲しいんですけどー」

 

航空巡洋艦、鈴谷

その昔、どうしても金剛型が欲しくて戦艦レシピを回していた頃、いつの間にか当基地に居た艦娘

 

「小遣い?なら缶コーヒー買ってこい、釣りはやる」

 

「わーい……って!!150円かよ!小遣い20円だけじゃん!」

 

「うるせぇな、ガタガタ言ってるんじゃないよこのビッチが」

 

「ビッチじゃねーし、鈴谷キレイな良い子だし」

 

「やかましい、だいたい、テメーこないだの大規模作戦でそこそこ稼いだろーが」

 

「いやぁ~…なんやかんや豪遊してたら無くなって」

 

「そうか」

 

「で、テイトクからお小遣いをもらおーと…」

 

「パンツでも売ってこいよ、テメーの黄ばんだパンツをよォ~」

 

「黄ばんでねーし、ちゃんと洗ってるし」

 

「ならエンコーでもしてこいよ」

 

「しねーし!鈴谷身体は売らないって言ってるじゃん!」

 

「うるせぇビッチが!!」

 

「だから!ビッチじゃねーし!!風評被害だっての!」

 

「…平行線か」

 

「…平行線じゃん」

 

「わかった、なら今から浜風ちゃんをレ●プしに行くから付き合え」

 

「…は?」

 

「浜風ちゃんをレ●プしに行くから付き合え」

 

ざわ……ざわ…

 

「や…、え?なんで?」

 

「なんで、と?そうだな、うん…そうだな、浜風ちゃんなら許されるかな?と…」

 

「や、フツーにタイーホでしょ?」

 

「タイーホか?」

 

「うん、タイーホ」

 

「そうか、そうだな…よし、やめよう」

 

「あ、うん…それがいいよ」

 

こうして、浜風ちゃんの危機は去った

最も、自身の知らぬところで危機になり、知らぬ間に危機は去ったのだが…

 

「提督」

 

「なんだ?」

 

「煙草、吸わなくていいんですか?」

 

「そうだな」

 

「あ、煙草吸いに行く前に鈴谷にお小遣い頂戴」

 

「死ね」

 

「…ひ、ヒドッ!」

 

「金が欲しいなら魚雷磨きでもジャガイモの皮むきでもしてこい」

 

「えー?鈴谷そーゆー地味なの嫌だし、ね?足でするから一万円!」

 

「死ね、ビッチが」

 

「ヒドッ!?」

 

「いや、今のは鈴谷さんが悪いかと…」

 

「いいじゃーん!ね?じゃ!手!手でするから!ね?ね?」

 

「うっせーな、そんならその辺のパパにでもやってこいやァ!」

 

「ハァ?鈴谷そんなエンコーまがいなコトしねーし!」

 

「今頼んでるそれがエンコーだろーがァ!!」

 

「いいからお小遣い!!鈴谷がこんだけ頼んでるんだよ!いいじゃん!」

 

「うるせぇ!!なんで俺がテメーなんぞほいほいお小遣いやらにゃいかんのだ!?」

 

ゴン!ゴン!

 

「ア゛ァ?入れ!」

 

再び開いた鉄扉

次の来客は暁型の第六駆逐隊

 

「司令官、お小遣いが欲しい!」

 

「新しい遊●王カードを買いたいんだよ」

 

「ア゛ァ?」

 

ピッ!!(一万円)

 

「ありがとー司令官!」

 

「これでミノタウロスを引くのです!」

 

第六駆逐隊達は一万円札を受け取るとハシャギながら新しい遊●王カードを買いに出て行った…

 

「…」

 

「…」

 

「なんで一万円あげたの?」

 

「…」

 

「なんで鈴谷にはくれないのにあのガキどもにはノータイムで万札あげたの?おかしくね?」

 

「アレは、ほら、アレだよ、アレがアレしてあぁなったみたいな?つまり、アレだ」

 

「いやいやいや!おかしいじゃん!鈴谷は手も足もダメだったじゃん!死ねって2回も言われたじゃん!」

 

「アレだ、俺もほら…まぁ、アレだ、若くないし、孫はかわいいみたいな?」

 

「子供飛ばして孫かよッ!?っーかなに?ロリコン?アレですか?ロリコンなの?」

 

「バカ言うんじゃないよこのビッチは、俺は大きな胸の方が好きだ」

 

「ハァ?じゃ鈴谷OKじゃん!デカいじゃん!」

 

「でもオマエ、ビッチだしな」

 

「ビッチじゃねーって言ってんだろォ!いい加減にしろよテメー!」

 



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提督と長門とバスケ

ヘェ…キタンダァ…フーン、キタンダァ…

【登場人物】

長門
最大戦力、ビッグセブンの1人、真剣な表情で常に駆逐艦のエンジェルス達をペロペロしたいと考えている本物
本人の意思とは裏腹に、違う意味では慕われている

陸奥
最大戦力、ビッグセブンの1人、当基地では比較的まともな方で、高い女子力と包容力を誇る
五月雨とはホモ同人を貸し合う仲
睦月型にバスケを教えているらしい



「ディーフェンス!ディーフェンス!」

 

「ナイッシュー!キサラギィー!」

 

休憩がてら、煙草を吸う為にブラブラしていた俺は基地内にある体育館へ来ていた

大規模作戦が無い時はだいたい何かのスポーツをやっているらしい

 

「ディフェンス1本ッ!止めるぞォ!」

 

「っしゃー!ミカァ!オレにも回せ!」

 

バスケか…また汗くせぇコトやってるな

俺は煙草に火を点けて試合の様子を眺める事にした

 

「…ん?」

 

体育館の扉の影に何かデカいのがいる

 

「なにしてんの?オマエ」

 

「ん?フッ、提督か…提督も駆逐艦のエンジェルス達が汗を流す様子を見に来たのか?」

 

戦艦、長門…

最近出番はないが、未だ、当基地の最強ランキングで名が上がる歴戦の大戦艦

大和、武蔵、アイオワ、金剛型改二、独・伊の海外艦と比較対象は多々あるものの、最終的には“まぁ、ステゴロなら長門だろう”で話はいつも締められる…

 

「いや、単に煙草吸うついでに視察しに来ただけだ」

 

「フッ…そう言う事にしておいてやろう」

 

ただ、この戦艦長門は生粋のロリコンである

クールに見えて、頭の中は常に幼く見える駆逐艦をペロペロしたいと考えており、愛読書はコミックL●、好きなアニメはロウキ●ーブと言う生粋のペド野郎だ

 

そして、何故かこの俺を同好の志と勘違いしている

 

「フッ…まったく、駆逐艦は最高だな、なぁ?」

 

「なぁ?じゃないよ、テメーと一緒にするんじゃねーよこの性犯罪艦が」

 

「フッ…」

 

色々と問題はあるが、ただ、強い

その、鍛え抜かれた超肉体はバーベルトレーニングなどアンナチュラルでないトレーニング方法では決して身に付かない打撃用筋肉…

 

「キター!ユウダチの型の無いシュート!」

 

「なんであの体勢で投げて入るんだーッ!」

 

ん?なんか試合が盛り上がっているらしいな

点差は……18点差か、まぁ、頑張ればなんとかなる数字か?

 

「ダメだーッ!ユウダチ止まんねーッ!」

 

「これがキセキの世代のエース!」

 

「クソォ!!こいやァ!」

 

「あかんなぁ…睦月ちゃん、たしかにキミは同じ改二かもしれんけど、それでも勝つのはユウダチや!」

 

オイオイ素人目でもわかるぞ、なんだアイツ?一人だけ桁違いのモンスターがいやがる

キセキの世代か…ハンパじゃねぇ!!

 

「ムツキィー!こい!」

 

「ヒカル(如月)!オマエがエースだッ!」

 

「キタ!キサラギ対ユウダチ!エース対決だッ!」

 

「うおおおぉぉぉ!!負けられねえーッ!」

 

「……オマエの光は淡すぎるっぽい」

 

強過ぎるッ!これがキセキの世代ッ!

そして…

 

「…」

 

「…」

 

「普通に負けたな」

 

「あぁ、やはりキセキの世代を擁するチームは強い」

 

黙っていればイケメンの長門は敗北に涙する睦月型達の姿をハンディカムで撮りながら口許が緩んでいた

 

「それに、コーチが陸奥では勝てまいよ」

 

そう言えば、前に駆逐艦の子達に頼まれてバスケのコーチしてるとか言ってたな

 

その陸奥は、今、敗北に涙する睦月型のチームメイト達を一人一人優しく抱きしめている…

 

「………チッ!!陸奥め!」

 

ちなみに、同じビッグセブンである長門にコーチの依頼は来なかった

 

「陸奥めッ!陸奥めッ!陸奥めェ~…なんて羨ましいッ!クソッ!陸奥ッ!許されんぞ陸奥ッ!」

 

「なんて醜いヤツだ…」

 

「なぁ提督!私達もチームを作ろうじゃないか!駆逐艦のエンジェル達と合法的に触れ合えるんだぞ!合法的に!」

 

「やかましい!動機が不健全すぎるわ!」

 

「クッ!妬ましい!今からエンジェルス達とアイスを食べに行く陸奥が妬ましいッ!」

 

「チーム作るなら自分で集めろ、法に触れないならある程度許す」

 

「フッ…できるものならやっている!だがな、私が声をかけようとすると…」

 

『チッス!長門サン!今日もメチャシブいッス!』

『チッス!長門サン!今日も長門サンの“男”!ベンキョーさせて貰いマス!』

『チッス!長門サン!今週のジンマガとジャムパンっす!』

 

「…何故だ?何故私は陸奥とは違う?何故陸奥は頼れるお姉さんで、何故私はメチャシブいんだ!」

 

「知るか」

 

「陸奥を見る度に思う、何故私はああではないのか?何故私は濁っているのか常々考えている始末だ」

 

「濁っている自覚はあるんだな」

 



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香取先生と鹿島とマッハ

フフ…キタノネェ、エモノタチガ!

【登場人物】

香取先生
通称、香取ーヌ先生
ワル更生のスペシャリスト
ここに来る前はなんたらヨットスクールで熱血指導していたらしい
生徒に舐められない熱血指導モードと、主に、提督の前の普段モードはかなり落差が激しい

鹿島
練習巡洋艦2号、登場した瞬間に瞬く間に大人気
香取先生と違い、珍しくまともな良識派
提督と初めて会った日、ビンタして頂けませんか?と頼まれドン引きした


当基地には、週に何度か駆逐艦を対象とした座学が行われている…

 

「知ってかー?今日から新しいセンコー来るらしいべ?」

 

「マジでー?香取ーヌ辞めんの?デキちゃった?コトブキきちゃった?」

 

「さぁ?それは知らねーけど新しいセンコー、香取ーヌの妹らしーべ」

 

教室では新しい先生がどんな人物なのかの話題で持ちきりだった…

 

「オラァ!座れウジムシどもォ!授業始めるぞォ!」

 

練習巡洋艦、香取

この基地に配属される前にも数々のワルを相手にし、数多のクズどもを更生させた実績を持つ、提督期待の熱血ティーチャー

 

「よォ~し、今日はまず新しい先生を紹介する、鹿島ァ!」

 

 

「は、はい!」

 

香取に呼ばれ、教室に入って来たのは香取と同じく、練習巡洋艦、鹿島

 

「か…鹿島です、皆さん、よろしくね?」

 

今日が教師として初めての日、この日の為に、当たり障りの無い挨拶と笑顔の練習を何度となく繰り返してきた

そう、今日から子供達と共に学ぶ鹿島の教師ライフが始まるのだ

 

「ヒュー!ゲロマブー!」

 

「マジ香取ーヌの妹?ありえねー!」

 

「つーか乳デケぇなオイ!」

 

「ヒッ!!」

 

しかし残念な事に、この基地に配属された鹿島に、そんな夢で見た教師ライフは存在しなかった

そもそも、配属された時から嫌な予感しかしていなかった

何故か割れたままの窓、妙に多い壁の落書き、提督から渡されたスタンガン…

嫌な予感以外の何が出来ただろう

 

「よォーしオマエらァ、鹿島先生になんか質問あるかー?」

 

「ハイハーイ!鹿島センセーはオッパイ何カップですかァー?」

 

「鹿島センセーはオ●ニー週何回ですかー?」

 

「鹿島センセーの経験人数は三桁ですかー?」

 

帰りたい…

もう帰りたい、と言うか、ムリ

憧れの教師ライフなんてなかった、鹿島は一秒でも早く教室から逃げ出したかった

 

「オイ、オマエら鹿島先生にくだらねー質問してんじゃねーぞボンクラどもがァ」

 

 

「姉さん…」

 

「言っとくけどなァ、こー見えて鹿島は相当ヤベーからなァ、この香取が思わずブルっちまうぐれーヤベーからなァ?一度キレっとナニすっかわかんねーゾ?」

 

「へ?」

 

いやいやいや、香取姉さん、何言ってんの?そんな訳ないしと言いたいが声が出ない

 

「マジかよ…香取ーヌよかヤベーとか、マジヤベーな」

 

「あぁ、マジヤベー」

 

香取よりヤバいと言う言葉がかなり効いたらしい

 

「では、授業を始めます、鹿島、今日のところは私の授業を見学よ」

 

「え…?あ、はい」

 

「ではまず、九九の唱和から、白露!まずオマエからだ」

 

「押忍!白露一番艦!九九を唱和させて頂きます!」

 

こうして、授業は始まった…

いざ始まってみると皆ちゃんと授業は受けてくれるんだと鹿島は安心した

 

「しちしちしじゅにッ!」

 

「あ゛?」

 

「…ハッ!?」

 

「白露ァ、今なんっつた?あ?」

 

「しちしちしじゅにであります!」

 

「指導ォ!!」

 

ビタンッ!!!

 

「ひぎぃ!!」

 

超音速…

そんな速度を人力で出せる道具が存在する、それこそ…鞭ッ!

そんな革のヒモが、上手く扱えばその先端の速度はマッハを超える!

 

「ちょ!ね…姉さんッ!」

 

その、超音速の衝撃が今、白露のケツで炸裂したのだッ!

 

「あばばば…」

 

「ちょ!だ…大丈夫?大丈夫ですか!?」

 

「鹿島ァ!」

 

「は、はぃ!!」

 

「…アナタもやる?」

 

「……結構です」

 

「そう………白露、何か言うコトは?」

 

「あ゛…あり゛がとうござい゛ます、香取ーヌ先生ェの指導、ありがとうございます!」

 

「よし、じゃ授業続けるぞォー」

 

この日の夜、鹿島は転属願いを持って提督の所を訪ねたが、パンツ見せて貰って宜しいですかと頼まれ、なんか色々と諦めた…

ちなみに、パンツは見せなかった

 



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提督と夕張とバット

前略、今回は著しく下劣な表現を多く含みます

【登場人物】

夕張
兵装実験軽巡、未知の技術で研究開発するにあたり、倫理観は一切持ち合わせていない、たとえ艦隊の仲間であろうが平然とサンプルと言ってのける
マゾの資質が高い

鈴谷(2)
ビッチ、たとえ金の為でも一応考えはする

提督(2)
口から吐く必殺のホワイトランチャーは健康に悪影響を与える恐れがある

五月雨(2)
提督から唯一無二の殺人珈琲と呼ばれた事を根に持っている



「…む」

 

ひと息入れようと胸元を探るが、煙草が無い

 

「オイ、煙草買……いや、やっぱいい」

 

「禁煙でもするんですか?」

 

「するワケねーだろうがアホンダラ、ついでに缶コーヒー買いに行くんだよ」

 

「コーヒーくらい淹れましょうか?」

 

「テメーのクソ不味いコーヒー飲むぐれーならカルピス原液で飲むわ」

 

「ヒドっ!」

 

五月雨の淹れるコーヒーは不味い

付き合いが長い為、色々と試行錯誤して淹れてるらしいが、どうにも俺の高尚な舌には合わない

 

ゴン!ゴン!

 

「誰だ?」

 

「夕張です!新しい装備を開発しました!」

 

軽巡、夕張

当基地の開発専任者でネオジ●ングから鉛筆まで幅広く開発できるが倫理観が著しく欠けた奴だ

 

「ハッキリ言って自信作です」

 

「見せてみろ」

 

コイツが自信作と言う時はだいたいロクなものじゃない

 

「今回の自信作はコレ!メガバズーカランチャーです!」

 

「…足がないな」

 

「足なんて飾りです」

 

まぁ、メガバズーカランチャーに足があってもキモいしな

 

「こちらのメガバズーカランチャーですが、当たればだいたい死にます、昨年夏、ギミックで絶望的に超装甲∞を誇った防空姫だってイッパツで消し飛びます!ミンチすら残しません!」

 

「ほぉ、それは素晴らしいな」

 

「凄いじゃないですか」

 

「しかし、1つ難点がありまして…」

 

「…言ってみろ」

 

「1発撃つのに燃料が少々かかりまして…」

 

「少々って…どのくらいだ?」

 

「まぁ、大まかに燃料が1200万程…」

 

「夕張ェ…」

 

「はい!」

 

「四つん這いになってケツこっちに向けろォ」

 

「はい!」

 

「五月雨、なんか硬い棒みてーなの無いか?」

 

「ビヨンドマックスのバットならありますけど?」

 

「貸せ」

 

五月雨からバットを受け取り、クローズドスタンスの構えから思いきってバットを振り抜いた

 

バシイイィィィン!!!

 

「ヒギィィィ!!」

 

「夕張、夕張、夕張クンよォ~?舐めてるんですかァ~?バカにしてるんですかァ~?毎度毎度アタマのおかしい超兵器作ってくるのはオレへのイヤがらせですかー?アー?そんなにお仕置きされたいんですかァー?」

 

「あ゛ー!あ゛ー!いだ!痛い痛い痛いー!」

 

「うるせぇ!!どうせ変なモン作るなら一錠で発情して二錠で理性のタガが外れて三錠で淫乱肉●器になるみてーな夢のクスリ作ってこいやァ!」

 

「…うわ、最悪」

 

「心配すんなサミダラァ、仮にあってもテメーなんか使わねー、使うなら浜風ちゃんに使うね!オレは!」

 

「五月雨です、正直ドン引きです」

 

薄い本やエロゲーではよく見る薬だが、実際に無いのが実に悔やまれる

 

「さて、いい汗かいたし煙草でも買いに行くか…オイ、メロン野郎いつまで倒れてんだダボ、ケツの穴にメントスぶち込まれてーのか?」

 

「痛…いたたた……痛ぃぃ」

 

ガチャ…

 

「チィーッス、鈴谷がお小遣い貰いにきましたよ~……って、ナニしてんの?」

 

「提督が夕張さんのア●ルにメントスを入れようとしてるんですよ」

 

「ハァ!?マジ!?変態じゃん!」

 

「オイ、誰が変態だ!っーか例え話でまだ実行してねーだろーが」

 

「まだ?……っーか、そのメロン子、四つん這いでテイトクにお尻向けてるじゃん、これ完全にプレイ中だよね?」

 

「ケツバットのな、で?なんだ?お前は何の用だ?」

 

「いや、お小遣い貰おうと…」

 

「ケツの穴にメントス入れたら小遣い出そう」

 

「変態ッ!!マジ!変態ッ!」

 

「3万円」

 

「ヘンタ!……さ、さんまんえん!?3万、3万円か~」

 

「あ、一応考えるんですね」

 

「ビッチだからな」

 

「ビッチじゃねーし、3万か……クッ!ア●ルか、ア●ルならセーフ、ア●ルならセーフ…ッ!」

 

「俺も暇じゃねぇし、あと1秒な、いーち、はい終わり」

 

「え?ちょ!早すぎ!!」

 

「え?やるの?変態じゃん?」

 

「変態じゃねーし!!オマエだけは言われたくねーし!」



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提督と長門とセブンセンシズ

2人目のキセキの世代登場回

【登場人物】

提督(3)
天と地の狭間に立つ美の戦士

長門(2)
駆逐艦への半径5メートル以内接近禁止の罰を執行中

浜風
名前だけは何度も出てくる駆逐艦、デカい
ちゃん付けされている珍しい子

酒匂
長門の心の闇に大打撃を与える唯一の存在、提督からも甘やかされている珍しい子

村雨
白露型キセキの世代、駆逐艦離れした圧倒的な肉体、う●い棒を卑猥に食う姿に定評がある


「キタ!キセキの世代のムラサメだ!」

 

「デケェ!!コレで同じ駆逐艦かよッ!」

 

「クッ!!ムラサメだけじゃねぇ!このチームの圧迫感ッ!なんて大きさだッ!!」

 

本日のゲームは陸奥率いる睦月型とキセキの世代、村雨を擁するチームの激突らしい

 

「で?どっちが勝ってんだ?」

 

ドアのところでコソコソとカメラを回している不審な戦艦に尋ねる

 

「む、提督か…フッ、やはりオマエも来たか」

 

「やはりとかゆーな」

 

駆逐艦がスポーツしている間は体育館出入り禁止の長門はまるで同志を迎えるかのように不快な笑みを浮かべた

 

「オイ、今日のビデオは後で俺にもよこせよ」

 

「フッ、やはり気付いたか…流石はお前だ、そうだ、今日の長月タンは輝きが違う」

 

「長月タンとかどうでもいい、カメラ!違う違う!もっと右だ右!右を撮れ!」

 

「右?」

 

ドライブを決める浜風ちゃんのアバレ乳は実に素晴らしい

むしろ、今日のチームはキセキの世代、村雨だけではなく浜風ちゃん、浦風、テル、潮か…

クッ!ハンパじゃねぇ…どいつもこいつもキセキの世代並みのバケモン揃いだ

 

「ミカァ!!」

 

「オオオオォォォ!!!」

 

「マジか!!あの身長でアリウープッ!三日月ハンパじゃねぇ!」

 

「ムラサメの頭から叩き込みやがったッ!!」

 

「っしゃ!!」

 

「へェ~…なんか小さいくせに調子に乗ってるじゃない?ムカつく、ムラサメの…ちょっとイイトコ、見せてやろうかなァ…」

 

「くるぞォ!キセキの世代!!全員死ぬ気で止めろォ!」

 

コイツら、俺の知らないところで熱い青春の汗を流しているんだな、これも香取先生の熱血指導のおかげだろう

 

「長門、浜風ちゃん!浜風ちゃん撮れ!」

 

「何を言っている!?あ、今の菊月は良かったぞ!可愛い過ぎて吐きそうだ!」

 

「バカか!いいから浜風ちゃん撮れよ!っーかそれ貸せ!俺が撮る」

 

「断る」

 

「いいから貸せよ!通報されてーのかこのロリコン大戦艦がァ!」

 

「フッ、このビッグセブン、通報など恐れはせん!」

 

この野郎ォ…ちょっとつえーからって大目に見てやってたがもう我慢ならねぇ!

 

「死ねッ!ピラニアンローズ!」

 

「甘いわッ!」

 

「クッ!ピラニアンローズ!ピラニアンローズ!ピラニアンローズ!」

 

「グブッ!!」

 

「どうだ?ピラニアンローズの味は、さぁ、大人しくそのハンディカムを渡せ…命は助けてやる」

 

「それは…出来ない相談だな」

 

「ならばこの白薔薇で終わりにしてやる!死ね!ブラッ……」

 

な…なんだ!?身体が動かない!こ…これは!ストーム!ストームが俺の身体に巻き付いているのか!

 

「フッ…提督よ、同志であるお前を討ちたくはない、考え直してはくれまいか?」

 

「…勘違いしてんじゃねーよ、俺はテメーとは違う」

 

クッ!長門め…まさかここまでの力を隠していたとはな!

ならばどちらかが死ぬしかあるまい!

 

「ぴゃー!長門さんと提督だー!」

 

「ん?」

 

「む?」

 

俺と長門、互いのセブンセンシズが渦巻くこの空間に割って入る妙にかわいい声…

 

「なにしてんのー?ねー?なにしてんのー?」

 

「酒匂…」

 

阿賀野型軽巡、酒匂

因縁のビキニに何度となく突入してようやく手に入れた阿賀野型の末妹…

 

「ねー?」

 

「クッ!!見るなァ!私を見るな酒匂ェ!!」

 

「ねー?ねー?」

 

「やめてやれ酒匂ェ…穢れなきお前の瞳は長門に効く」

 

「?」

 

「長門に効く」

 

そう、長門とて理解っているのだ

自分の行いが間違っていると…ペロペロしたいだの盗撮だの許される事ではない

だからこそ、無条件に自分を慕う酒匂は長門に対して己の汚い部分を写す鏡なのだろう

 

「やめてやれ」

 

「ぴゃー、提督、アイス食べたい」

 

「…そうだな、よし、食べよう、長門、お前も来い」

 

「い…いいのか?このビッグセブンも?」

 

「ぴゃー、酒匂この前3段の食べたよ」

 

「そうか、次は5段の買うといい、なぁ?長門!」

 

「あぁ!5段と言わず10段でも20段でもいいぞ!このビッグセブンが買ってやるぞ!ハッハッハ!」

 

こうして、俺達の戦いは終わった…

 

そして…その様子をたまたま近くに居た明石と夕張が見ていた

 

「…えぇハナシや」

 

「え?どこが?」



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提督と大鯨とラーメン

南雲機動部隊スキーはこの先に進むのはやめておけ

【登場人物】

大鯨
通称、ゲイ子
両手で数えられる良識枠の1人、まだロマンスとか夢見ちゃってる感がある
現実は厳しい

赤城
ガラが悪い

加賀
ガラが悪い

飛龍
ガラが悪い

蒼龍
ガラが悪い

五航戦
名前だけ登場、先輩と違ってコンビニでバイトしており、よく加賀パイセンからいびられている


「よいしょ~よいしょ~」

 

午前中の仕事を済ませ、たまには外でラーメンでも食い行くかと歩いていたら前方から大荷物を持った何かがフラフラと歩いてきた

 

「おう、ゲイ子じゃねーか?何やってんだ?」

 

「あ、テイトク、料理を運んでるんです」

 

潜水母艦、大鯨

戦闘力皆無、完全歩合制の当基地では戦果を上げることが無いのでただの給仕と化している

 

「料理?」

 

「はい、空母の人が夏の中規模作戦に向けてパーリーするからピザ持って来いって…」

 

「ふ~ん」

 

ゲイ子が言うには、代金は既に現金で戴いているらしい、アイツら定期的に稼いでるからな

まぁ、自費でやるなら文句は無いな

 

「あのクズどもにチョーシにのるなと伝えておけ」

 

「え?あ…はい、言えたら言います、テイトクはお出かけですか?」

 

「ラーメン食いに行くんだよ」

 

「ラーメンですか、ラーメンでしたら私が作りましょうか?」

 

「…やめておこう、おばあちゃんからビッチ臭がする女からラーメンは作って貰うなと言われているんだ」

 

「ビッチ!?ちが!ちがッ!違いますぅ!」

 

「半分は冗談だ」

 

「冗談ですか………って、半分?」

 

「何か?」

 

「…いえ、別になんでもないです、コレを持って行ったらすぐに作りますから食堂で待っていてください」

 

‐‐‐‐‐

 

さて、提督と別れた私は注文された品物を持って空母の人がパーリーしている部屋の前へとやって来た

空母の人はガラが悪いのでちょっと苦手です…

 

「失礼しまーす、ご注文の品をお届けにきましたぁー」

 

返事がない…

なんかドア越しに重低音みたいな音がしているのでカラオケでもしているのだろうか?

とりあえずノックしてドアを開けてみる

 

「革命じゃ物足りなーぃい!」

 

「背を追う奴は容赦しなーいッ!」

 

「進化ァする姿を見せつけてやるぅ♪」

 

「衝動はッ!尽きないーッ!」

 

やっぱりカラオケしてた…

 

「あのぉ~ピザ持ってきましたぁ~」

 

「あ゛?おせーぞヤボスケェ!」

 

「ヒッ!!」

 

一航戦の赤城さん

ガラが悪いです

 

「こっちはもうお腹ペコちゃんよ」

 

こちらも一航戦の加賀さん、ガラが悪いです

 

「オイ!早く並べろ並べろ!オレのバジルミックスどれ?」

 

こちらは二航戦の飛龍さん、ガラが悪いです

 

「これじゃね?あ、チーズ垂れやがった…チッ!」

 

同じく二航戦の蒼龍さん、ガラが悪いです

 

…と言うか、全員ガラが悪いです、全員、口より先に手が出ます

 

「あの…ご注文の品はこれで全部で宜しいでしょうか?」

 

「オイ、カルーアミルクはァ?」

 

ゲッ!!

…しまった、一航戦の青い人の飲み物がないらしい

 

「あれ?あ、すいません!すぐにお持ちします」

 

ヤバいヤバいヤバい

早く取りに行かないと…

 

「オイオイ勘弁してくれよォ~マジテンション下がるわぁ~」

 

「っーかオネーちゃんのパイオツからカルーアミルク搾り出しちゃえば良くね?搾りたてニュージャージーじゃね?」

 

「ギャハハハハ!良くね?マジ名案くね?っかコレ土下座くね?マジ全裸土下座っしょ?」

 

「ヒィ!!やめてください!人を呼びますよ!」

 

「オイ、パンツ脱がせて口に突っ込んどけ」

 

「ヒュー!赤城サンマジ鬼畜ー!」

 

「オイ、ヒリュー、動画撮っとけ!動画!ホエールウォッチングだァ!」

 

ヒッ!!お…●されるッ!?

誰か!誰か助けてッ!!誰でもいい!悪魔でもッ!!

 

ガチャ……

 

私の願いが届いたのか、重く閉まっていたドアが開いた

 

「ヒュー!じゃねぇよ、どんだけタチが悪いんだお前ら」

 

て…テイトク!

 

「ゲェーッ!テイトク!」

 

「なに寮内をカラオケ屋みてーに使ってんだボケナスどもが」

 

「いいじゃないすか、たまにはハメを外しても、テイトクもします?ホエールウォッチング」

 

「ムリムリ、テイトク、ホモだから」

 

「誰がホモだコラァ!ピラニアンローズ喰らいてーのか?ア゛ァ?」

 

「はいはいメンゴメンゴ、オイ、ソーリューも土下座っとけ、土下座」

 

凄い…1ミリの反省の態度も見られない、これが南雲機動部隊…

 

「ったく…恥ずかしい先輩どもだな、五航戦なんか仕事無いからってコンビニでバイトしてんだぞ」

 

「あ、知ってますよそれ」

 

「こないだ加賀サンが五航戦の白いのがレジの時に1円玉10円に両替しろって因縁つけんのマジウケたわ」

 

「どんだけタチ悪いんだお前ら」

 

「っーかテイトクなんすか?なんでタイミング良く来るんすか?アレっすか?ヒーローっすか?」

 

「コイツにラーメン作らせるんだよ、俺は今、ラーメンが食いたくてイライラしてんだよォ、イライラさせんなクソどもがァ」

 

「ラーメンすか?」

 

「そーいやこないだ赤城サンがメチャウマなトコあるって言ってなかったすか?」

 

「おー…なんかあったな、そんな話」

 

「よっしゃ!今からみんなでラーメン食い行くべ!ラーメン!」

 

「テートク、車出して、車」

 

「…そうだな、よし!ラーメン食い出るかッ!行くぞォ!」

 

「ウェーイ!」

 

 

その後、私は誰も居ない食堂でラーメンを作って食べました、ちょっとショッパい味がしました

 

転属届………書こうかな



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鹿島先生と授業とカンロク

【登場人物】

鹿島(2)
帰ってきた鹿島先生
理想の教師ライフまでの道は険しく、遠い
ヤバい駆逐艦にビビってる

雪風
呉の雪風
最強駆逐艦に数えられるヤバい駆逐艦
よほどの相手でなければワンパンで始末する

島風
スピードの向こう側を突き詰めた結果
お゛う!


「…よし!」

 

今日は初の1人で授業…

大丈夫、イケる!頑張れる、私!いざとなったら提督さんから戴いたスタンガンもある!

よし!鹿島はいける!鹿島はできる大人!

 

「よし…行くぞっ!」

 

大丈夫、香取姉さんから聞いた話では駆逐艦の中でもマトモな子達が集まった教室らしいし…

とりあえず、ポケットにしまったスタンガンの重さを安心感に変え、勇気を出して教室の扉を開く

 

「皆さん、おはようございま…」

 

「磯風ェ!ワレェ!オモテに出んかいワレェ!」

 

「ジョートーじゃダボハゼがァ!」

 

「おー、やれーやれー」

 

「歯茎ブチ折ったらんかい、ハグキぃ」

 

ぜ…全然おとなしくないッ!?香取姉さん!話違うッ!?

 

「…おう、オマエらやめーや、センセイがビビっちょるやろーが、席についちゃれや」

 

「ユッ…雪風クンッ!」

 

「雪風クン!!」

 

「まぁ…雪風クンがゆーなら、しゃーねーな」

 

教室の一番後ろに座っている子の一言でみんな大人しく席に座る…

…怖い、見た目は小動物系なのに、あの子絶対ヤバい、怒らせないようにしないと

 

「センセイ、みな席ついたし、授業始めてくれんですか?」

 

「はぃ!…はい!」

 

っーか怖ッ!!なんでカンロク出てんの!?凄いカンロクでてるよあの子!

 

そう言えば、昨日、提督さんが……

 

‐‐‐

 

「要注意の駆逐艦?」

 

「はい、出来れば教えて頂ければと…」

 

「コイツ」

 

「はい?」

 

コイツと言って指差した方向に居たのは駆逐艦の五月雨ちゃん

たしか一番付き合いが長いと聞いてますが…

 

「誰がヤバい奴ですか」

 

「クソマズいコーヒーで俺を殺害しようとしたろーが」

 

マズいんだ…コーヒー

 

「あとは~…浜風ちゃんかな?あれはヤバい」

 

「そんなにヤバいんですか?」

 

「あぁ、ハンパじゃねぇ…!」

 

「鹿島さん、提督の言うヤバい別の意味ですから無視の方向で」

 

「はぁ…」

 

後に、浜風ちゃんを見ましたがホントにヤバかったです

重巡?と疑いました

 

「あ~…時雨様もヤバいな」

 

時雨…様?え?様付け

 

「前に“僕に逆らう者は提督でも殺す”って言ってましたね」

 

ヤバすぎる…

 

「あとは~そうだなぁ~…弥生タンかな?」

 

「あ~たしかにヤバいですね」

 

「え゛?そんなにヤバいんですか?」

 

「あぁ、ヤバい」

 

「ヤバいですね」

 

五月雨ちゃんも同意するとは…

弥生タンか、覚えておこう

 

「あ、提督、雪風さん、雪風さんが居ます」

 

「あ~…まぁ、ヤバいか?」

 

「ん~…まぁ、ヤバいかと?」

 

なんか微妙な感じですね、雪風さんか…一応覚えておこう

 

‐‐‐

 

メチャメチャヤバいじゃないですか!?微妙な反応だったのに!

微妙な反応でこれなら即答でヤバいって言ってた時雨様と弥生タンってどんなのですか!?

 

「で…では、授業を始めます」

 

「センセー!教科書ありませーん!」

 

「え…?じゃ、じゃあ…隣の人から見せて貰って」

 

「舞風ェ…教科書見せぇや」

 

「別にいいけどよォー、あとでチョコレートパフェ奢れよ」

 

「は?」

 

「あ?」

 

うぅ…いちいち空気が重いッ!

なんで一触即発なの?なんで教科書見せるだけでメンチ切り合うの?

 

ガラッ!!!

 

「お゛う!」

 

突然、教室の扉が開き、誰かが…って!!え゛?痴女!?

 

「お゛う!」

 

「島風ェ…遅刻じゃろーが、はよ席につけェ…」

 

「お゛う!」

 

「し…島風、さん?」

 

ホントだ、名簿に名前がある…

噂には聞いてましたが、これはかなりアレですね

 

「お゛う!」

 

「…ち、遅刻ですよ?今日は大目に見ますけど、明日からちゃんと授業前に来てくださいね?」

 

「お゛う!」

 

「センセイ、島風も反省しちょりますけぇ…」

 

「え?あ、はい…そうですか」

 

反省してるんだ、正直、全くわからないけど…

 

「では…授業を再開します、島風ちゃんも席に……って早ッ!!いつ座ったの!?今目の前にいましたよね?」

 

…大丈夫なのだろうか

香取姉さん、私、1人で立派にやっていける自信がまるでない…

 

「オマエらァ…センセイは雪風らはぐれモンに読み書きを教えてくださる、それはそれは立派な御仁じゃあ……センセイの感謝せにゃなぁ~」



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提督と鈴谷とゲーム

【登場人物】

提督(4)
覇我亜怒ランキング圏外
得意な技は昇竜拳、好きなキャラはバットガイ様

鈴谷(3)
覇我亜怒ランキング圏外、ア●ルならセーフ
得意な技は鬼焼き、好きなキャラはロック・ハワード

高雄
無敵の重巡コンビ、ツー●ンアーミーの片割れ、お前にはできないかもしれない

愛宕
無敵の重巡コンビ、ツーメン●ーミーの1人、ビッチを超えたクソビッチと噂されている


「てぃーっす~テイトクぅ~、鈴谷とカプエスしよーぜぇ~、カプエスぅ~」

 

「やだよ、オマエ弱いもん」

 

「ハァ?鈴谷弱くねーし、鈴谷の八稚女でマジボコボコにしてやるし、あ、鈴谷が勝ったら1万円ね」

 

「…いいだろう、負けたらパンツ脱げよ」

 

「クッ…へ、変態ッ!変態ッ!パンツ脱げとか変態じゃん!」

 

ビッチのくせに何を言うかね、このビッチは

 

「やるのか?やらねぇのか?」

 

「………やる、勝ったら1万円!」

 

「よかろう」

 

こうして、俺と鈴谷は基地の近所にあるゲームセンターに行く事にした…

 

 

【ゲームセンター・覇我亜怒】

 

 

薄暗い照明、ヤニで汚れた天井、壁にはこびりついて拭う事ができなかった赤い染みの跡、白い煙りが常に漂うこの空間…

 

「っ!このっ!このッ!死ね!死ねハゲ!」

 

「おーう、高雄ォ?勝ってる?」

 

「今話かけんな!オラァ!ッシャー!!パーフェクト!」

 

小汚いビデオゲームに熱中しているのは、重巡、高雄

当基地でも古参のエース

 

「お~勝った勝った、パンパカパーンかよオメー?」

 

缶コーヒーを手に、高雄の様子を見ているのは同じく重巡、愛宕、高雄と配属の時を同じくする当基地のエース

 

「次なに?」

 

「次がラスボス、サイコクラッシャーするやつ」

 

「マジで~?」

 

「今、全部勝ってるしよォ~、マジ絶好調」

 

「お、次、始まんぞ」

 

「おーし、コイツもボコボコに……ん?」

 

スススス~……ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!カッ!!

 

「オイ!高雄ォ!なんか変なの来たぞ!ベガやられたゾ!」

 

「なんだコレ!?なんだコイツ!見たことねーゾ!」

 

「とりあえずヤルしかねー!!」

 

「クッ!!コイツつえーゾ!なんだコイツ!なんだこの分身みてーなの!?ヤバいヤバいヤバい!なんだコイツ!」

 

当基地より近いこのゲームセンターは、数多くの艦娘達の憩いの場であり、近所からはカツアゲのメッカと呼ばれていた…

 

そして…

 

「このままでは終わらんぞォー…終わらんぞォー…ぞォー」

 

また1人、哀れな対戦者が散る

 

「いい勝負だった、お前とはもう戦いたくない」

 

「ば…バカな!す…鈴谷が負けた!クッ!あんなに練習したのにィ!」

 

「才能のねーカスは死ねよ」

 

「もう1回!テイトク!もう1回!」

 

「やだよ、オマエ弱いもん、っーかパンツ脱げよ」

 

「クッ…!へ、変態ッ!」

 

「変態じゃない、いいから脱げよ、今すぐ、テメーのウ●コで茶色ばんだキタネーパンツを」

 

「汚くねーし!ちゃんと洗ってますぅー!毎日洗濯してますぅー!」

 

昇竜拳の前に、無惨に敗れ去った鈴谷

了承済みの約束事とは言え、さすがにここで今すぐは抵抗がある

 

「…じゃ、じゃあ!もう1回!もう1回だけして鈴谷が勝ったら五千円でいいから!ね?」

 

「俺にメリットねーじゃん、っーか、テメーのパンツみてーな汚物貰ってもメリットじゃないんだが…」

 

「汚物じゃねーし!!今日の気に入ってるヤツだし!」

 

「うるさい奴だ…よかろう、ならばもう1度受けてやる」

 

「マジ!!じゃあリュウ禁止で!」

 

「は?」

 

「リュウ禁止で!」

 

「じゃ、ケンで…」

 

「ケンも禁止!」

 

「じゃ、豪鬼で…」

 

「豪鬼もダメ!っーか昇竜拳禁止!」

 

「舐めてんのかオマエ?」

 

「お願いします!!これでダメなら脱ぎますから!」

 

「…まぁ、いいだろう、よし、じゃ俺が勝ったら全裸でプリクラ撮影な、あ、ニーソは残していいぞ」

 

「変態ッ!!変態じゃん!ありえねーし!マジ変態!」

 

「変態じゃない、オマエの追加条件をわざわざ呑んでやるんだぞ」

 

 

「クッ…」

 

たしかに、ムシのいい条件を追加しているのは鈴谷だが、もし万が一負けた場合の代償があまりにも大きい

パンツ脱ぐだけならなんとかなるが全裸プリクラは最早言い逃れのできない変態プレイのレベルだ

ここはもうパンツ脱ぐだけで諦めよう、さようならお気に入りのラベンダーのパンツ…

 

「よし、じゃオマエが勝ったら5万出そう」

 

「ご、ごまッ!?5万円……ですか?」

 

「5万円ですが?」

 

5万円…5万円はあまりにも大きい

5万円あれば欲しかったゲーム機もゲームソフトも買える、ちょっと高いカレー屋で豪遊もできる!

まさしくハイリスク・ハイリターン

この時、鈴谷の心理的リミッターは外れた

 

「…やる」

 

「は?」

 

「やります!やらせてください!」

 

「いいだろう、もう1度地獄へ突き落としてくれる!」

 

「いいや!勝つの鈴谷!鈴谷に勝てるのは鈴谷だけだし!」

 

もう一度選ぶッ!八神の焔!今度こそあのムカつくメガネに叩き付ける!鈴谷のフェイバリット!八稚女を!!

 

「イクぞォ!アンタの全てを否定して!鈴谷が勝つ!」

 

 

『このままでは終わらんぞォー…終わらんぞォー…ぞォー』

 

 

「ぞォー…ぞォー…アハ、アハハハ、アーハハハハハ!」

 

「燃えたろ?」

 

「アハハハ…」

 

「よし、プリクラ撮るか~」

 

「ヒッ!!ヤダ!イヤだァァァァ!許して!許してください!」

 

鈴谷の哀願は届かず、無情にも首は横に振られる

 

「駄目」

 

この後、プリクラブースに行ったら変態プレイはやめてください迷惑です変態と男性店員から怒られ、スイマセンでしたと鈴谷のパンツを渡して事なきを得た

 



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提督と陸奥と領収書

珍しくゲス味が低め

【登場人物】

陸奥(2)
長門の姉妹艦、かなりまともな部類
長門の身元引き受け人でもある

春雨
白露型キセキの世代
一番下っぱらしい

天龍
深刻な病にかかっているダークネスドラゴン
妹は理解してくれているらしい

木曾
深刻な病にかかっているダークナイト

姉ちゃんにはビビっており、家では真面目な良い子で通している


明石の店で週刊誌の立ち読みを済ませ、煙草と缶コーヒーを買い、ダラダラと散歩をしていると体育館から大きな歓声が聞こえるので覗いてみる事にした

 

「で?どっちが勝ってんの?」

 

「あら提督?今日は外からじゃないのね?」

 

戦艦、陸奥

長門の姉妹艦だが、普通に駆逐艦のキッズ達から人気がある頼れるお姉さん的なアレらしい

 

「今日はお前さんトコじゃねぇの?」

 

「今日は視察、あと、館内は禁煙」

 

「へいへい…」

 

長門がカメラを構えると通報待ったなしなのに、陸奥だと真面目な偵察に見える不思議…

 

 

「やっぱ強いや…ユウダチ姉さんは……だから……憧れるのは、もう、やめる」

 

「ぽいっ!?」

 

エース対決、ここまで夕立に手も足も出なかった春雨の動きが変わった

 

「オイオイ!冗談キツいで…!嘘やろ!」

 

「ありえねー!まさかユウダチをコピーしやがったのか!」

 

「抜かせるかァ!ハルサメェ!!」

 

「オオオォォォー!!」

 

「ゲェーッ!あれはユウダチの型の無いシュートーッ!」

 

「ッシャー!!」

 

本日のゲームは白露型キセキの世代同士の激突らしい

 

「すげーなあのピンク、なんか今、夕立っぽかったぞ」

 

「恐るべき才能ね…」

 

カメラを持つ陸奥ですら戦慄の冷や汗を流している、ハンパじゃねぇよ、キセキの世代

 

「大したモンやでハルサメちゃん、ただ…それでも勝つのはユウダチや!」

 

「オオオォォォ!!」

 

「決めちまえハルサメェ!!」

 

「いや!なんだアイツ!なんでもう戻ってやがんだよ!」

 

「言ったハズっぽい、夕立に勝てるのは、夕立だけっぽいッ!」

 

 

夕立は恐るべき速度でリターンし、春雨のダンクをブロックして叩き落とす

そして、試合終了のブザーが鳴った

 

「つえーな」

 

「えぇ、どちらも怪物ね」

 

「陸奥の教え子どもはどーよ?次は勝てるのか?」

 

「そうねぇ……勝つ為に出来る努力はしてみるわ、私も、あの子達も」

 

そう言いながら陸奥はカメラをバッグに収めると席を立ち上がる

 

「とりあえず、あの子達のやる気を出させる為に焼肉屋にでも連れて行こうと思ってるんだけど、提督もご一緒しない?」

 

「誰の財布アテにしてんだ?」

 

「あら?バレてる?」

 

「イイ女の誘いは疑えとおばあちゃんから言われてるんでな」

 

「それは残念、でも…イイ女と言われて悪い気はしないわね」

 

「…後で領収書を俺のところに持って来い」

 

「あらあら?いいの?」

 

ま、福利厚生費でしれっと処理するがな

五月雨のアホンダラもこれぐれーなら目を瞑るだろ

 

「さ~て…外で一服して帰るか」

 

「提督、いつも煙草吸ってない?」

 

「バカ言うんじゃないよ、紳士の俺は禁煙スペースを守ってるだろーが」

 

「禁煙スペース以外ではスパスパ吸ってるじゃない?」

 

「禁じられた領域では真の力を発揮出来ない制約だな」

 

「なにそれ?」

 

俺と陸奥が体育館から外に出ると、丁度、眼帯のコンビが歩いていた

 

「よぉ、なにしてんだオマエら?」

 

「む?…提督か、丁度いい、これから闇の天啓が始まる、お前もどうだ?」

 

黒き衣を身に纏い、禁断の力に手に染めしダークナイト(自称)木曾

 

「ヤツらの気配が近づいてやがる、聖戦の時は近いぜ」

 

煉獄より生まれし呪われし黙示録の龍(自称)天龍

 

天龍と木曾、当基地が誇る深刻な厨二病コンビ、そして…

 

「そうか…もうこの季節か、ならば俺もこのままではいられないな…アレの封印を解く!」

 

「フッ…やはりお前のキャビネッセンスはそう言うと思ったぜ」

 

「フッ…提督、イグゼキューショナーが再び見られるとはな、オレの左目が疼きやがるぜ」

 

「え?え?なんの話?」

 

陸奥にはわからない高次元な世界だろう…

ま、なんかカッコ良く言っているが、平たく言えばクワガタ穫りにいこーぜってコトなんだけどな



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提督と夕張とギ●ブレイク

前略、今回は著しく下劣な表現をそれなりに含みます

【登場人物】

夕張(2)
恐るべき開発技術を有するマゾ軽巡
制服に関してはファッションなのかマゾなのかよくわからない

明石
みんなの店、アカシメイトの店長
注文すればホ●同人も取り寄せてくれる
最近はプリズムボーイが熱いと考えている


「失礼します!新しい装備を開発しました!ハッキリ言って自信作です」

 

「見せてみろ」

 

夕張のヘソを見るといつも思う…

コイツ、いつもヘソを出してるいるが、制服のサイズが合ってないのではないだろうか?

もしや、変な乾燥機に入れて制服が縮んでしまったが、恥ずかしくて誰にも言えずに悩んでいるのかもしれんな

 

「夕張ェ…」

 

「はい?」

 

「これで新しい服を買いなさい」

 

俺は財布から五千円取り出して夕張の手に握らせてやった

 

「はぁ?まぁ…くれると言うなら貰いますけど…」

 

「強く生きろよ」

 

「はぁ…?五月雨ちゃん、提督、変なもの食べたの?」

 

「さぁ?」

 

五月雨は冷蔵庫から麦茶を出して三人分のグラスを用意していた

 

「で?今日のビクーリドキーリメカはなんだ?わかっているとは思うがロクなモンじゃなかったらお前のケツにマナーモードにしたPHSブチ込んで俺の携帯から鳴らすぞ」

 

「大丈夫です!自信作ですから!」

 

その自信作がフラグなんだよ

 

「今回開発したのはこちら!Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero‐typeです!略してモ●ラです」

 

どーん!!

 

「…足があるな」

 

「足なんか飾りです」

 

「や、飾りじゃダメでしょ…」

 

目の前に聳え立つ重厚なメタリックの輝きを放つ巨大な建造物にワクワクを覚えない男児は居ない

そう、男児とは何歳つになってもスーパーロボットに心奪われるものだ

 

「お前、たまにすげーモン作るよな」

 

「いやぁ~それほどでも」

 

「照れるなよ、オイ五月雨、警棒持って来い、スイッチ押したらビリビリするやつ」

 

「これですか?」

 

「あぁ、よし、夕張、机に手をついてケツこっちに向けろ」

 

「はい!」

 

この後、ア●ルにライ●インを纏ったギガ●レイクでア●ルをブレイクした夕張は救急車で緊急搬送された

…アイツも日々の仕事で疲れていたのだ、きっといい休養になるだろう

 

「…どうするんですか?コレ?」

 

「どうするもこうするも、解体だろ?こんなの立ってたら目立ってしゃーないだろ?軍の基地がテーマパークと思われるぞ」

 

「そうですね」

 

そもそも、ウチは深海棲艦と戦っているのであって怪獣王なんぞ相手にしていない

 

「とりあえず明石クンに解体させるか、オイ、明石クンのとこ行くからついて来い」

 

「別にいいですけど…荷物なら持ちませんよ」

 

 

明石の店…

燃料鋼材の資材から軍の運営に関する便利なアイテムを取り扱っている店………だった

 

「あ、提督、いらっしゃいませ~」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「あべし!ちょ…なんでいきなりぶつんですか?」

 

「オイコラ、なんだこの店は?なんでまたくだらねーグッズ売り場が増えてんだ?あ?なんで前面で推し出してんだ?」

 

「だって売れるんですもん、おそ●さん…」

 

開設当初はわりかしまともな店だったが、いつの頃からか、少しづつ…そして確実にアニ●イトみたいになっていた

 

「提督も買います?」

 

「買わねーよクソが、オイ、燃料とか弾薬はどこにあんだよ?」

 

「あ~…たぶん裏のダンボールとかじゃないですかね?欲しいなら自分で探してください」

 

この野郎、売れない商品の扱いがテキトーすぎるだろ

 

「まぁ、今日は買い物じゃねぇ、明石、アレを解体しろ」

 

「アレ?………ってなにアレ!?デカッ!」

 

「明日までにやれよ」

 

「いやいやいや!ムリでしょ!」

 

「出来ないなら、この店に火を点ける」

 

「これまたストレートな脅迫を…」

 

「やんのか?やんねーのか?」

 

「やりますぅー、やらせて頂きますぅー…はぁ、めんどくさぁ~」



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提督と卯月とカクゴール

これまでに無い平和的な話

【登場人物】

提督(5)
浜風ちゃんなら頼めば大丈夫と信じているバットガイ

浜風ちゃん
名前だけは何度も出てくる

五月雨(3)
趣味は今日のラッキーアイテムを用意する事らしい

卯月
通称うーちゃん、パチモンみたいにぷくぷくぷーと鳴く
決闘王の称号を持っている

間宮
食堂にいる人、乳がデカい

初春様
雅な御方

大和さん
超戦艦、イベント以外の日は内職してる

矢矧ちゃん
大和さんっぽい軽巡
大和さんをマジリスペクトしており、オレ式46cm砲の練習をしている、たまになんか出るらしい


「暑いなぁ~」

 

「そうですね」

 

季節は夏、梅雨は先日明けたらしい

今日のような真夏日は水を見る度に飛び込みたくなる

 

「ハァ…こう暑いとやる気も何も湧かん」

 

「そうですね、あ、コーヒー淹れましょうか?」

 

「自販機で買って来い、今すぐ」

 

ただでさえ暑さでイライラしているのに、更に五月雨の不味いコーヒーまで飲まされたら緊急搬送されかねん

 

「このイライラを解消するには浜風ちゃんのパイオツを揉ませて貰うしかないか…」

 

「…何言ってるんですか?イカレてるんですか?」

 

「浜風ちゃんなら誠意をもって頼めば一揉みぐらいさせてくれると思わんかね?」

 

「まぁ、一揉みと言わず頼めば何度でも良さそうな感じですけど…」

 

「そうだろう?ならば問題ない」

 

「いや、問題だらけですよ」

 

ゴン!ゴン!

 

分厚い鉄の板で作られた執務室の扉が叩かれ、誰か入って来た

 

「ぷくぷくぷー、しれーかん、かき氷食べに行くぴょん」

 

「…うーちゃんか」

 

駆逐艦、うーちゃん

一説には“ぷっぷくぷー”と鳴くのが正常らしいが、うちに居るのは“ぷくぷくぷー”としか鳴かない、たぶん、鼻が悪いのだろう

 

「かき氷か…」

 

たしかに、この暑さだ、かき氷ぐらい食ってもバチは当たらんかもしれん

 

「よっしゃ!かき氷食いに行くかァ!」

 

「ぷくぷくぷー」

 

「五月雨、お前も来い!俺はメロン味にするからお前レモン味な!交換しよーぜ!」

 

「はぁ、別に構いませんけど」

 

こうして、俺達はかき氷を食う為に食堂に向かう事にした

うーちゃんの話では今朝がた食堂のおばちゃんだかおねーさんだかが氷をゴリゴリするマシーンを倉庫から出していたそうだ

 

「ぷくぷくぷー、ナマアシ魅惑のマーメイドー♪」

 

「しかし、ホントに暑いですねぇ」

 

「まったくだ、なんたってこの夏は超暑いってNA●Aが言ってたしな!」

 

「マジぴょん?あとで弥生にも教えてやるぴょん」

 

食堂に到着すると、既にかき氷の噂を聞きつけていた者達が既にかき氷を食べていた

 

「美味いのぉ、美味いのぉ、子日よ」

 

「ハッ!美味しゅう御座います」

 

流石は初春様、雅な御方だ、既にこの涼を召し上がっておられる…

 

「いらっしゃいませ~」

 

給糧艦、間宮

食堂で料理を作っている給食係、結構な頻度でピーマンを混入している、あと、乳がデカい

 

「かき氷くれ、緑の液体な」

 

「私はレモンです」

 

「うーちゃんは赤いやつにするぴょん」

 

「メロンとイチゴは品切れです」

 

「あ゛?」

 

「マジぴょん!?」

 

「選べるのはレモンかマヨネーズしかないんですけど?」

 

「誰がマヨネーズなんか頼むんだよ!バカじゃねーのか!?」

 

「いますよ、ほら」

 

間宮が指差した先

そこに居るのは最大戦力の大和さんと…

 

「嗚呼…美味しいですねぇ」

 

「さすが大和サン、マヨネーズ食うとかメチャシブいっす、マジカッケーっす」

 

大和さんをリスペクトし過ぎて、まず、見た目の真似から入った自称大和さんの一の舎弟の矢矧ちゃん

 

 

「レモン風味で」

 

「レモン風味にするぴょん」

 

「レモン風味3つですね、はい」

 

俺達は同じものをそれぞれ手にして空いている席に座った

 

「交換します?」

 

「するかバカ、同じモンじゃねーか」

 

「あ!うーちゃん良いコト思いついたぴょん!ジュースかけたらいいぴょん!」

 

「なん…だと?」

 

さすがはうーちゃんだ、そこに気付くとは…やはり天才か

 

「ジュース買ってくるぴょん」

 

「よし!では千円やるから好きなのを買うといい、釣りは取っておきなさい」

 

「ぷくぷくぷー」



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提督と五月雨とアンクルブレイク

【登場人物】

提督(6)
AEDの設置義務を律儀に守る変なところで良識派
ガ●ガリ君はノーマルに限る

五月雨(4)
一年以上前にレベルはカンスト済み、以降は出撃してない暇人、今日のラッキーアイテムは発泡酒

時雨
白露型キセキの世代、時雨様と目線を変えずに話す事を許しているのは時雨様に従う者だけ


「瑞穂!瑞穂!瑞穂!」

 

「キター!舞風のスリー!」

 

今日のゲームは水上機母艦、瑞穂率いるチームと陸奥率いる睦月型の対決らしい

ここまでの攻防は両雄一歩も譲らない徹底的な攻撃

外からくる舞風のスリーを警戒しながら、エースの如月を中心に果敢に攻めている

 

「リバウーンドォ!!」

 

「オオオオォォォォ!!ッシャ!オラァ!ハギィ!!」

 

「戻れ!ハギカゼの速攻だーッ!」

 

「行かせるかァ!!」

 

「リターンが速いッ!!マイカゼェ!」

 

危機を察知した咄嗟の判断だろう、萩風のパスが外の舞風に通る

 

「もらったァ!!」

 

「これ以上ォ!やらせるかよォ!!」

 

「なにッ!?コイツ!!」

 

これまでの敗戦で得た高さと言う課題、跳躍力に全てを捧げた皐月の対空力が舞風のスリーを迎撃した

 

「オッシャー!!」

 

「速攻ォー!」

 

白熱する試合展開、熱気に包まれる体育館、何から何まで熱すぎる空気のせいで加速的に溶けてゆく俺のガリ●リ君

やべ、指についたじゃねぇか、早く食わねぇと…

 

「あ、当たった」

 

「たまに当たりますよね、あ、私も当たりました」

 

夏の大規模作戦を前に、大した仕事もないので俺は五月雨と基地内の設備点検をしていた

 

「AED良し」

 

「AEDとか設置されてるんですね」

 

「当然だ、体育館にはAED、これは既に常識」

 

「はいはい、チェックつけますよ」

 

しかしAEDなんて誰が設置したんだ?少なくとも、俺が着任した当初はAEDなんぞ無かった気がするが…

 

「シュートミス!?いや、これはッ!」

 

「オオオオォォォォ!!」

 

「アリウープ!すげーよミカァ!ハンパねぇ!!」

 

どうやら試合は陸奥率いる睦月型が勝ったらしい

すげぇよミカは…

 

「終わったみたいだな」

 

「みたいですね」

 

「っーか今更だが、なんでウチはバスケが盛んなんだ?今回で12回目だが未だかつて1度も出撃して深海棲艦を撃滅してる的なシーンが無いよな」

 

「また微妙にメタなコトを…」

 

「そろそろバシッと海軍らしいコトしねーとな!」

 

「はぁ?」

 

そうと決まれば設備点検などアホなコトをしている場合ではない、たまにはバシッと格好良く指揮とかする姿を見せつけてやらねば…

 

「あ、次の試合始まるみたいですよ」

 

「なんだ、今日は2試合あるのか?またアレか?キセキの世代か?ユウダチ止まんねーか?」

 

「いえ、今日、最も注目されているのは…」

 

そして始まった本日の第2試合…

遂に現れた白露型キセキの世代、その圧倒的天才達を従えるリーダー

 

「止め…っ!なんっー圧力ッ!バケモンかよ!」

 

「速過ぎるだろ…」

 

白露型駆逐艦、時雨

 

「身分の違いを教えてあげるよ…この場にいる者、全てに」

 

「死んでも止めんぞォ!」

 

「…頭が高いよ」

 

「クッ!!」

 

「なんだッ!足が!?」

 

まるで魔法にかかったかの如く膝が折れる

バカみてーにあっさりアンクルブレイクをかけて抜き去り、さらにブロックする2人を抜いてシュートを決めた

 

「絶対は僕だ、僕に逆らう者は提督でも殺す」

 

俺を含め、この場に居る者全てが戦慄する絶対的支配者…

これが白露型キセキの世代のリーダー、わかっちゃいたがハンパじゃねぇ!

っーかアイツ、なんでナチュラルに俺を殺すとか言ってんの!?造反する気満々じゃん!超こえーんだけど!



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香取先生と鹿島とチームワーク

勝つ事とは鬼になる事

【登場人物】

香取先生(2)
通称、香取ーヌ先生
わからない事もわかるまで徹底指導!
できない子もできるまで熱血指導!
熱意が違う指導法!
明確に提督への好意が高い珍しい人

鹿島(3)
大人気のフフ練巡
座学の講義にはだいぶ慣れた
最近、提督と話す時に視線が胸に集中している気がして悩んでいる
担当してるクラスでペアを作ってくださいと言ったらいつも1人だけ余る子がいるのも悩んでいる


午前と午後に行われる実戦訓練を兼ね備えた演習…

 

「相手が大和型だろーが正規空母だろーがビビってんじゃねーぞ、いいか?要は気合だ、必ず殺すっーカクゴ見せつけてやんだよォ~」

 

練習巡洋艦、香取先生の前に並ぶ駆逐艦達は皆、一様にドス暗い覚悟を秘めた瞳をしている

 

「か…香取姉さん、演習なんだからもうちょっと穏やかに……ほら、頑張ってね!とか、頑張りましょう!とか…」

 

鹿島にとって、今日は記念すべき初めての教導演習デビューとなる日

朝、提督から香取が担当する午前の部を参考にするといいと勧められ、鹿島は演習港へと来ていた

 

「鹿島ァ…」

 

「ヒッ!?」

 

「その通りね」ニコッ

 

鹿島の予想に反し、姉は素敵な笑顔で微笑んだ

 

「オマエらァー!頑張って殺すぞォー!」

 

「「「押忍ッ!!」」」

 

「頑張って!頑張って!コーロセ!」

 

「頑張って!頑張って!コーロセ!」

 

「違う!?なんか違う!頑張る方向が致命的に違う!?」

 

こうして始まった本日の演習…

 

「オイオイ、あの軽空ビビってんよォー!」

 

「撃ちごろ!撃ちごろ!シマっていこーぜェー!」

 

「ヘイヘイ!今の弾着!ボールとバットが5フィートは離れてたぜェー!」

 

この日の演習で鹿島が感じた印象は、第一に、口が悪い

とにかく相手を罵倒、挑発する

 

「オイコラ、テメーキヨシィ!今のキチッと殺しとけよ!寝ぼけてんのか?カス!」

 

「あ゛?守備ガバガバのテメーに言われたくねーよボケ、そのアホみてーな袖引きちぎってマニアに売るぞ」

 

「やってみろよ」

 

「やめぇや、ボンクラどもがァ」

 

第二に、とにかく仲が悪い

全員、とにかくMVPをとる事しか頭に無いらしい

 

「何がヤマトだボケ!退屈通り越してムカついたよ!」

 

「才能ねーカスはめでたくゲームオーバーだ」

 

そして第三に………でも強い

結果的に見れば5戦4勝、初戦こそ落としたものの、残り4戦は危なげなく勝利していた

 

「よォ~しクズども、よくやった」

 

「か、香取姉さん…クズとか言ったらダメだって…」

 

「鹿島ァ!」

 

「はぃ!?」

 

「アレ、持ってきて」

 

「あ…アレ?」

 

そう言って、香取が鞭差し先に置いてあったのは一般的なジュラルミンケース

鹿島は何のことやらよくわからないが持って来いと言うのなら必要なのだろうと納得してジュラルミンケースを香取に手渡した

 

「はい、ではお給料を渡します」ニコッ

 

「ハァ!?か…香取姉さん!?」

 

「まずは今日最もMVP獲得したのはぁ~………夕雲ォ」

 

そう言って香取はジュラルミンケースから取り出した札束を夕雲に手渡した

 

「ちゃんと額数えろよ」

 

「押忍、ごっつあんです」

 

「はい、次、かざぐ…」

 

「はい!ちょ!ちょ!待って姉さん!なにコレ!?なんなのコレ!」

 

「何って…お給料?」

 

「お給料ってなに!?こんなのおかしいよ!」

 

あきらかに駆逐艦のお小遣いの度を過ぎたビッグマネーの動くこの異常…

 

「先生、それについては私から説明しましょう」

 

「提督ッ!」

 

提督はコンビニの袋から缶コーヒーを取り出すと香取先生に手渡した

 

「お疲れ様です、先生」

 

「まぁ、お心遣い感謝致します」

 

「鹿島先生にはこちらを…」

 

「え?私にも…?」

 

そう言って提督から手渡されたのは……ユ●ケル

 

「先生はこちらがお好きだと聞いております」

 

「は…はぁ、ありがとうございます」

 

正直、微妙にうれしくないが鹿島は大人なのでなんとか笑顔で応えた

 

「それで、給料の話ですが~」

 

「そ、そうです!一体全体これはなんですか!?」

 

「鹿島先生」

 

「はい」

 

「チームワークとはなんでしょうか?」

 

「え?チームワーク………えっと、みんなで支え合うとか、一致団結して頑張るとか」

 

「不正解です」

 

「え゛?」

 

「鹿島先生にもいずれ本当のチームワークがわかる時が来るでしょう、その時に、もう1度同じ質問をします」

 

「は…はぁ?」



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提督と明石とキンプリ

【登場人物】

明石(2)
注文すればだいたいなんでも入荷するし販売する危険人物
売れる物を売る事に躊躇いが無い

弥生
睦月型駆逐艦、だいたいキレてるが最近は不気味な笑顔を浮かべる姿が見られる
速●ヒロの大ファン

卯月(2)
うーちゃん、ぷくぷくぷーと鳴く
切り札はデー●ンの召喚

提督(7)
必殺技はデ●ンローズの陣、入ったら死ぬ


「チッ…煙草がきれたか」

 

胸元にある筈の煙草が無い、カートンで買って机の引き出しにストックしていた分も無い

 

「仕方ない、明石クンのトコに行くか」

 

別に自販機でもいいが、ついでに予備も補充しておきたい

 

「オイ、サミエラ、ついでになんかいるか?」

 

「五月雨です、そうですね…あ、シャーペンの芯を買って来てもらえますか?」

 

「シャーペンの芯な、手間賃はお前の命だ」

 

「重い!手間賃が重すぎるッ!」

 

予定調和な五月雨のツッコミを無視し、俺は煙草を求めて明石の店に向かった

 

「へいらっしゃい」

 

「…」

 

眠らない店、不夜城

みんなの店アカシメイト…

 

「今日は何にしま…」

 

「ピラニアンローズ!」

 

「ぐわああああああああ!!」

 

グシャアッ!!

 

「グハァ!!」

 

「グハァ!…じゃねーよ、なんだこの店?前より悪化してるじゃねーか!なんだこのポスター?舐めてんのか?」

 

「ハァ?」

 

以前は資材や便利なアイテムが入った未開封のダンボールが山積みされ、どうでもいいオタクグッズが並んでいたが、状況は更に悪化の一途を辿っていた

 

「…だって売れるし」

 

「誰が買うんだ、誰が!ア゛ァ?石ボなんぞ誰が買うんだ!!」

 

「あ、それ古鷹さんが買ってました、最近ハマってるらしくてこないだ石膏のカタログ見てましたよ」

 

「…ジーザス」

 

「あ、提督も買います?アイドルっぽい商品いっぱい入荷してますよ」

 

「なんで俺がイケメンアイドルの商品買うんだよ、バカか?膝の皿叩き割るぞ」

 

コイツ、マジで早めに始末しないとマズいな…

今は普通の漫画でキャッキャ言ってる幼い駆逐艦のキッズ達が間違ってアンソロとか手にとって道を踏み外しかねん

 

「スイマセーン、キンプリのブルーレイ入荷してますか?」

 

「あ、弥生ちゃんいらっしゃ~い、お待ちかねのブルーレイ入荷してますよ~」

 

既に遅かったァァァァァァ!!!

よりにもよってあの弥生タンが道を踏み外すどころか崖下に転落してるーッッッ!

 

「はい、コレ」

 

「…やった、フフフ…」

 

しかもすげーキラキラしてる!すげー笑顔だよッ!見た事ない満面の笑みだよッ!

 

「ロイヤルデモンローズ!」

 

「ぐわああああああああ!!」

 

グシャアッ!!

 

「グハァ!!」

 

「お前なに売ってんの!?いたいけな少女になんてモン売りつけよーとしてんの!」

 

「…だって、注文されたし」

 

「ダメだろ!純(ピュア)な駆逐艦にこんなもの売っちゃダメだろ!戻れなくなるぞォ!」

 

「そうだぴょん!」

 

う、うーちゃん…いつの間に!!

 

「弥生!もうやめるぴょん!せっかく遠征で貯めたお小遣いをそんな物に使っちゃダメぴょん!そうだ!うーちゃんと遊●王カード箱買いするぴょん!」

 

「うるさい!放せッ!」ギロッ!

 

「ヒィ!!弥生がキレたぴょん!」

 

「あ、そうそう…新しくクリアファイルのセットも入荷したんですよ」

 

「買う、いくら?」

 

「やめるぴょん!」

 

「うるさいッ!!黙ってろ!」ギロッ!

 

「ヒィ!?」

 

なんてことだ……なんてことだ

普段大人しい子ほどアレって事なのか?

一度キレると手がつけられないおきゃんかッ!



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提督と長門とキセキ

【登場人物】

五月雨(5)
白露型キセキの世代
今まで何度も出ていたものの白露姉さんと期待した人を裏切りシン●ロウ枠で登場

白露
白露型キセキの世代、幻の六人目
以前、時雨様から白露型を退部しろと勧められた
改二の夕立、スケベボディの村雨、レア度で劣る春雨、初期艦枠の五月雨
シスターズが個性の塊過ぎてミスディレクションがオーバーフローしている


10年に1人の天才が5人同時に存在した白露型キセキの世代…

 

型の無い野性、夕立

 

駆逐艦離れした超肉体、村雨

 

完全無欠の輸送、春雨

 

全てに勝つ僕は全て正しい、時雨

 

そして……

 

「うおおおぉぉぉ!!あれが高弾道スリー!」

 

「リングに掠る気配すらねぇーッ!」

 

「やっぱハンパじゃねぇ!キセキの世代!」

 

このクソ暑いのに更なる熱気を発する体育館…

本日のゲームは陸奥率いる睦月型とキセキの世代を擁するチームの激突

 

「アイツ、キセキの世代だったの?」

 

素人の俺から見ても十分わかる、今、コート上で最もオーラがハンパじゃねぇのは………五月雨だ

 

「フッ…知らなかったのか?」

 

「知らねぇよ」

 

今日も体育館の外からビデオを回す長門は暑さ対策のつもりか、アイスノンを頭に巻いていた

 

「そもそも興味ねぇしな」

 

「キセキの世代のシューター五月雨、射程範囲はコート内全てだ」

 

「どんな射程だ、アタマおかしいだろ?」

 

っーかあの野郎、実はそんなにすげーヤツだったのか、今度アイスぐらい買ってやるか

 

「なんであのシュートが入るんだッ!」

 

「…何故私が遠くから決めることにこだわるか教えてあげます」

 

「うおおおぉぉぉ!!やらせねぇー!!」

 

「サツキィ!!」

 

「止める?無理ですね」

 

「ッ!!クッソ!!高けェ…!」

 

撃たれれば最後、あまりにも反則的な防御不能の3Pシュート

 

「切り替えろォ!取り返すぞォ!」

 

「ミカァ!」

 

「速ぇ…!なんっードライブ!やっぱりすげぇよミカは」

 

五月雨の高弾道スリーを止められないならそれ以上に点を取ればいい

陸奥の与えた作戦はシンプルにして明快、やられた以上にやりかえす!

 

「さすが陸奥だな」

 

「フッ…私ならもっと素晴らしい作戦を考えるがな」

 

「ほぉ?言ってみろ?」

 

「まっすぐ行ってブッ飛ばす!」

 

「クズが」

 

「クズはないだろう、クズは」

 

所詮は腹筋バッキバキの脳筋戦艦だな

まぁ、最初から期待して無いが………ん?

 

「クッ!何がキセキの世代だ!何が10年に1人の天才だ!1番は私ッ!私なのにッ…!!」

 

俺と長門が居る出入り口とは違う出入り口で目に見える程の負のオーラを滲み出した白露型駆逐艦のネームシップがコート内を睨んでいた

 

「滅びよ!」

 

「…なにやってんのお前?」

 

「滅び…あ、テイトク」

 

白露型1番艦、白露

なんと言うか、残念な奴だ

 

「アイス食うか?」

 

「貰っていいの?」

 

「まぁ…その、なんだ?強く生きろよ」

 

「ありがとー!わーいガリ●リ君だー!」

 

まぁ、すぐ下の妹がいきなり厨二病気味にボクサカとか言いだしたり、四女はオレカテとか言いだしたり、三女は駆逐艦にあるまじきドスケボディだし、五女はピンクで淫乱だし、コイツはコイツで苦労があるのだろう

 

「うめー!」

 

「フッ…提督よ、この長門にもガ●ガリ君をくれてもいいのだぞ?」

 

「甘えるなゴミが」

 

「フッ、ゴミはないだろう?ゴミは」



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提督と吹雪型とデモンローズ

サンダース捕まえました

【登場人物】

提督(8)
だいたい煙草所にいるが提督業は割としっかりしている
私室に近付く者には容赦しない

吹雪型
ひとまとめの雑な紹介、芋臭い、田舎から来た大人気妖怪みたい語尾をしている
ジャ●コとイ●ンモールをよくわかっていない

叢雲
吹雪型の突然変異種、スタイリッシュな妹だがズラと言わないワケではなく、たまに言う

熊野
地味に初登場、魔宮薔薇に気付いたりとなかなか勘がいい


「ねーちゃん!ポケ●ン取りに行くズラ!」

 

「ジャ●コにいっぱいいるらしーズラ!」

 

「よーし!今日はみんなでジ●スコに行くズラー!」

 

喫煙所で煙草を吸っていると、なにやら芋臭い集団がズラズラと歩いていた…

吹雪型駆逐艦、聞いた事も調べた事もないが、たぶん、俺と同じくどっかの田舎出身なんだろう

 

「ねーちゃんカッコいいズラー!やっぱ改二になって都会的になったズラ!」

 

「あはは…オラなんてまだまだズラよ」

 

吹雪型駆逐艦のネームシップ、吹雪

都会的でもスタイリッシュでもない長女

 

「やっぱ吹雪ねーちゃんはカッケーズラね、ね?叢雲ちゃん」

 

「え?…あ、うん」

 

芋臭い集団の中、一際異彩を放つスタイリッ臭…

吹雪型姉妹の突然変異、叢雲は曖昧な笑みで応えていた

 

「あ、司令官ズラ!」

 

「煙草は不良の始まりズラ!」

 

チッ…見つかったか

 

「不良の始まりもクソもねぇ、俺は大人だから問題ねぇんだよアホンダラどもがァ~」

 

「司令官、この辺でポケ●ン見なかったズラ?」

 

「あ?」

 

コイツ誰だっけ…?白雪だったか?

 

「オラ達ポケ●ン探しにジャ●コ行くズラよ、珍しいのいっぱいいるって噂ズラー」

 

ジ●スコ?ポケ●ン?…コイツはたしか、アレか、スペシャルの奴だったか?

コイツらキョーダイ、みんな芋臭い顔してるから未だによくわかんねぇんだよな

 

「アン……司令官は知らないの?今、流行りのスマホでポケ●ン探すゲーム、散々テレビでやってるじゃない」

 

スタイリッシュ妹、叢雲

さすがにコイツだけはわかる、語尾も普通だしな

 

「あ~…なんかテレビでやってたな」

 

「吹雪ねーちゃんのケータイでいっぱい探してるズラよ」

 

コイツは…ハツ、初雪だったか?

スマホをケータイと呼ぶところが実に田舎らしいな

たぶん、お母さんがどんなゲーム機でもファミ●ンと呼ぶようなものだろう

 

「で?なんか居たのか?メタルガ●ルモンとか?」

 

「それ違うし」

 

冷静かつ的確なツッコミ、さすがは叢雲…大したやつだ

 

「オラ達ピカチュー欲しいズラよ」

 

「基地の中にいないから外に行くズラ」

 

「ふ~ん、ま、気ぃつけて行けよ」

 

っーか近くにジャ●コとかあったか?

なんか昔あったような気はするが…

 

「司令官、暇なら車出してくれない?」

 

「悪いな、俺の車、1人乗りなんだ」

 

「…面倒くさいってワケね、ま、いいけど…」

 

「車は出さないが……ほれ」

 

俺は財布から五千円札を出して吹雪に渡す

 

「それでキョーダイ仲良くアイスでも食って来い」

 

「五千円もくれるズラか!?司令官、パチンコにでも勝ったズラ?」

 

「お前ら、俺の事をなんと思ってるんだ?」

 

「飲む・打つ・買うは当たり前?」

 

「…よくわかった、やっぱり返せ」

 

「イヤズラ!みんなでジャ●コの中でジュースとアイス買うズラよ!」

 

「冗談だ、いいからとっとと行け、目障りだ」

 

アイツらと話してるとドッと疲れがくるな…

 

‐‐‐

 

鈴谷「あ、なんか反応あった!」

 

熊野「マージーですのー?またイブーイですの?」

 

鈴谷「イブーイじゃねーし、なんかこっちの方向に…」

 

提督が喫煙しているのと同じ頃、鈴谷も相棒の熊野と共にポケ●ンを探して基地内を歩き回っていた

 

「しかし、こちらは提督の私室がある方向では…?」

 

「カンケーねぇし、提督の部屋とか!」

 

反応を追って角を曲がった鈴谷、しかし…

 

「こ!これは!」

 

「…花壇?いえ、これは、薔薇・オンリーですわね」

 

道を覆う無数の薔薇とイバラ!

そのすぐ横の壁には警告らしき張り紙があった…

 

【バラの葬列におくられてな……!!】

 

「意味わかんねーし、こんなもん踏み潰せばいいし、行くぞォ!」

 

「この薔薇は……ま、待て!鈴谷ァー!」

 

熊野の制止を聞かず、薔薇の道へと足を踏み入れた鈴谷だったが、突如として身体に違和感を覚えた

 

「な…なんだ?なにか…おかしい、身体が痺れて気が遠くなっていくような…」

 

ズシャアッ!!

 

「す、鈴谷ァァァー!!」

 

 



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提督と五月雨とキャッチボール

今日は2本立て

【登場人物】

提督(9)
ファックボーラー、球種はファックボールのみ

五月雨(6)
キャッチボールでも人事は尽くす
昔はよく提督から理不尽な腹パンをされていたので腹筋はなかなか強い

速吸クン
洋上補給艦、提督からはスポドリくれる気の利いた女マネとしか認識がなかった
世界最速を狙える肩

夕張(3)
人道的などくだらないエゴイズムでしかないと考えるマッド思考



「たまには健康を考えてキャッチボールでもするか」

 

日中は暑すぎて外を出歩きたくはないが、夕方になれば少しはマシになる

 

「いいですね、適度な運動は大切です」

 

「よし、行くぞ五月雨」

 

基地内グラウンド、この時期は朝にラジオ体操するぐらいしか使われないが、秋になれば誰かがラグビーとかやっているのを去年は見たな

 

「くらえ!ファックボール!」

 

バシンッ!

 

「ちょ!ちょ!どんな曲がり方ですか!キャッチボールなんだから捕りやすいの投げてくださいよ」

 

「悪い悪い」

 

文句タレるくせにしっかり捕球するんだよな、コイツ

さすが、無駄に付き合いが長いだけはある

 

「いきますよー………死ねッ!!」

 

直球か…?いや違う!これは、カット・ファスト・ボールか!!

 

バシンッ!

 

「…お前、咬竜か投げられんのか?」

 

「さぁ?何を言ってるのかよくわかりませんね」

 

「っーかテメー!投げる時、死ねって言ったろーが!死ねって!」

 

「言ってませーん」

 

この野郎ォ…俺の知らない間に練習してやがるな

いいだろう五月雨、次のセンバツが楽しみになってきたよ

 

「ほらほら、早く投げてくださいよー」

 

「…クソがァ!ファーック!」

 

びょーん

 

「あ~ぁ、どこに投げてるんですか、ちゃんと投げてくださいよ」

 

しまった、ついカッとなって暴投してしまったか、っーか投げ辛いんだよな、ファックボール

こんな持ちにくい投げ方でメットまで破壊するにはハードなトレーニングと毎日のコーンフレークが大切だろうな、たぶん

 

「うるせぇよクソが、さっさと拾って来いよ」

 

「結構遠いし、めんどくさいなぁ」

 

「めんどくさいとかゆーな……ん?」

 

丁度、俺のボールが飛んで行った先になんかバレー部のマネージャーみたいなのが歩いていた

 

「オイ、あの誠意を持って必死で頼めば致しても大丈夫みてーなマネージャーみたいな奴、名前誰だっけ?」

 

「速吸さんですよ、なんで名前覚えてないんですか?結構前から居ますよ」

 

「速吸クンだな、今覚えた」

 

たしか洋上補給だかなんだかよくわからんヤツだったな

まぁ、丁度いいとこにいるし投げ返して貰うか

 

「オーイ!!」

 

「速吸さーん!ボール、ボールをこっちに投げてくださーい」

 

「ん…?ボール?」

 

速吸クンは足元のボールに気付いたらしくボールを拾い上げた

 

「これ?これを投げたらいいのかな?よぉ~し!」

 

遠目からだが速吸クンは大きく振りかぶっているのがわかる

所謂、ワインドアップモーションってヤツたが、それだけでは無かった

 

「トルネードッ!?」

 

大きく身体の回転と捻りが作用するその投法から投げられる!速吸クンと球が!

 

ズドォン!!!

 

「おごぉ!!」

 

予想だにしなかった恐るべき豪速球が五月雨の腹に突き刺さった

 

「お゛…お゛ええぇぇぇぇ!!」

 

「さ…五月雨ェ!!大丈夫か!?」

 

「ガハ…ァ!ハァ…ハァ…」

 

「五月雨ェ…今の、何マイルだ?」

 

「わ…わかりません、でも…確実に100マイルは超えてました」

 

「スイマセン!スイマセン!ついリキんでしまって!」

 

五月雨に突き刺さったのを見た速吸クンは急いでこっちへと走って来た

 

「大丈夫でしたか?アバラとか?」

 

「え…えぇ、ワリと大丈夫じゃないです、内臓破裂するかと思いました」

 

「きゅ!救急車!救急車呼ばないと…!」

 

あの豪速球、マネージャーにしておくには惜しい逸材だな

 

「誰かー!誰か助けてくださーい!助けてくださーい!」

 

そして流れるような応急救護

これはたぶん病院送りにしたのは初めてではないな

 

「どうしました?私は医者です」

 

速吸クンの声を聞こえたのか、たまたまスマホ片手に近くを歩いていた夕張がやって来た

 

「私が投げたボールが当たってしまって…」

 

夕張は五月雨の腹を軽く平手で叩き、沈痛な面もちで顔を上げた

 

「ふむ、これはオペが必要ですね、阿頼耶識を付けましょう」

 

「お願いします!彼女を救ってやってください!」

 

「大丈夫、彼女はすぐに元気になります………ガ●ダムとしてね」ニコッ

 

コイツ…丁度いいサンプルが手に入ったと思ってやがる

 

「提督…」

 

「なんだ?五月雨、冷蔵庫にあったお前のプリンならもう食べたぞ」

 

「夕張さん殴っていいですか?あと、プリン返して下さい」

 

「俺が許す、殴れ」



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提督と先生とナイトクラブ

羊の皮を被った先生回

【登場人物】

香取先生(3)
通称、香取ーヌ先生
先生だっていつも熱血指導モードではない、一杯のカミュで疲れ癒やす日もある

鹿島(4)
いつか転属できる日を信じて毎日頑張っている
生徒から下着の色を聞かれた日はちょっと泣きそうになった

愛宕(2)
通称、クソビッチ愛宕、口より先に手より先に足が出る
逆らう奴はアバラを折る

高雄(2)
通称、ハイスペックカノジョ、逆らう奴は親でも区別つかねーぐれー整形してくれる

鳳翔
通称、ビッグママ
夜の店、HO‐SHOWのオーナー
煙管が長い


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ、決していかがわしい店ではない

 

「おや?誰かと思えば提督と先生方じゃないかい?今日は上がりかい?誰か指名はあんのかい?」

 

俺が店に入るとオーナーのビッグママ・鳳翔が出迎えた

 

「あぁ、おっぱい大きいヤツな」

 

「あいよ」

 

もう一度言う、決していかがわしい店ではない

 

「愛宕でぇ~す」

 

「高雄です」

 

クソビッチの愛宕とハイスペックカノジョ高雄クンか、まぁ、たしかにデカいけどアレだな

 

「チェンジで」

 

「ア゛ァ?なに言ってくれてんだテイトクコラァ?アバラぶち折られてーのか?テメーの臓器パンパカすっぞ?」

 

「いいから高い酒頼めよクソが、殺すぞ」

 

「だからイヤなんだよオメーらは!なんなの?最初の笑顔は!正直キモくて引いちまったよ」

 

「営業スマイルに決まってんだろーがクソが、とりあえずフルーツ盛り合わせな」

 

「っーかナオン連れてくんなよ、殺すぞ」

 

コイツら…最近、大規模作戦でも大して活躍してねぇからボーナス低いし、この機会に俺から金を毟るつもりか

 

「すいませんねぇ、先生方」

 

「いえいえ、別に構いませんよ、ねぇ鹿島?」

 

「え…えぇ」

 

さすが香取ーヌ先生、決していかがわしくないキャバレーナイトクラブでも動じない大人の余裕を感じさせてくれる

鹿島先生はドン引きしてる気がするが……まぁ、気のせいだろう

 

「とりあえず、前期はお疲れ様でした先生、どうぞ、飲んでください」

 

「いえいえ、私の指導があの子達の役に立っているのかどうか…」

 

「いやいや、ウチのクズどもが立派に更生出来ているのも先生のおかげですよ!以前は授業すらままならない毎日がワルのオリンピック状態でしたから」

 

「…(更生?今ので?)」

 

「オイ、先生にお酒をお注ぎせんかこのおっぱいモンスターども」

 

まったく気の利かんヤツらだな、マジでチェンジしてくれねぇかな

 

「あ゛?脳漿パンパカパーンすっぞ?」

 

「誰に意見してんだテメー?」

 

「お前らだよ、っーかママー!浜風ちゃん!浜風ちゃんいないのー?」

 

同じおっぱいモンスターでも浜風ちゃんとコイツらでは神と虫ケラの差があるな

そう、浜風ちゃんならちょっとぐれー揉みしだいても許してくれる気がする、たぶん

 

「バカ言うんじゃないよボンクラ、駆逐艦なんか雇うワケないだろ、手が後ろに回っちまうよ」

 

たしかに、浜風ちゃんは駆逐艦だったな…

 

「まぁまぁ提督、別に私達は構いませんから、ねぇ?鹿島」

 

「え?あ…はい」

 

「すいませんねぇ先生」

 

「いえいえ」

 

まったく…さすがは香取先生、出来た人だ

 

「ブハァー!マジぃ…」

 

「ママ、提督ボトル入れるってさァ」

 

「オイテメーら、なに勝手にボトル空けてんだ?」

 

「ん~?そこのおっぱい練巡が空けていいって言ったのよォ~?ねぇ?高雄」

 

「あぁ、たしかに聞いたぜ」

 

「え゛!?そ…そんなコト言ってな…」

 

「鹿島先生が言ったのなら仕方ないな」

 

「そうですね、姉さん感心しないけど」

 

「まぁ、今日を先生を労う目的ですし…高いのイッちゃうか!」

 

「ヒュー!提督オトコマエー!愛宕さんのおっぱい触る?」

 

「触んな、クソビッチが」



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提督と陸奥とシックスマン

白露型キセキの世代を脅かす光と影

【登場人物】

江風
キセキの世代と同格の才能を有する天性の才能、恐るべき速さで改二実装の実力派

海風
白露を上回る新型六人目
江風と言う光を輝かせる影
よく見るとかわいい気がする


彼女らが聞いたのは、扉の音

その圧倒的天才達しか入れない、部屋の扉がこじ開けられた音

 

「マロッシャア!!」

 

「高けェ!!コイツ…なんて跳躍力ッ!!」

 

「まさか、キセキの世代と同格だってのか!」

 

今、コート上で最も強い輝きを放つ圧倒的天才の名は、白露型九番艦にして改白露型、江風

白露型キセキの世代を脅かす新たなる光!

 

「お~、アイツすげーな」

 

「煙草、吸うなら外で」

 

体育館の観覧席、胸元から煙草を取り出して口にくわえると、隣に座る陸奥から注意された

 

「火ぃ点けなきゃセーフだろ」

 

「我慢できないならパイポでも買ったら?」

 

「ま、考えとくわ」

 

まぁ、世の中禁煙だらけの喫煙者には厳しい社会だしな

 

「っーか強いなアイツ、オマエ勝てんの?」

 

「勝てる、と断言できないのが辛いところねぇ」

 

「素人目で見てもキセキの世代と同じぐれーヤバいぞ、アイツ」

 

「そうねぇ…確かにあの江風って子はキセキの世代に匹敵するわ、でも、このチームはそれだけじゃないのよ」

 

「あ?」

 

「本当に警戒すべきはあの7番ね」

 

7番?どいつだ…?

あぁ、あのなんか白いのか

ウチに居たっけか?あんな奴

 

「あの子は海風、存在感がないわ」

 

「ワリとヒデー事をハッキリ言うんだな、お前」

 

「でも、その存在感の無さこそが脅威なのよ」

 

存在感がないか…

なるほど、幻の六人目と呼ばれた白露と同じ、いや、火力、対空、対潜、索敵、レア度を上回る海風は言うなれば新型テ●ヤと言うワケか…

 

「こ…コイツ!いつの間にッ!?」

 

「この高速パスマジヤベェ!」

 

「抜かせるかよォ!ラノベヒロインみてーなツラしやがって!」

 

「…通りますよ」

 

「バ…バカな!マジで見えなかった!消えるドライブ……だと?」

 

よく見ると、江風みたいな派手さはねぇけど地味にやるじゃねぇの?今度アイス買ってやるか

 

「うちの子達も負けてられないわね」

 

「帰るのか?」

 

「えぇ、提督もサボってないで早く戻らないと怒られるんじゃない?」

 

「バカ言うんじゃないよ、サボってるように見えるが、単に暇なだけだ」

 

「ふ~ん」

 

まぁ、上からお達しが来てる作戦の為の準備はだいたい済んでるしな

 

「暇ならうちの練習見に来る?」

 

「やだね」

 

いい加減タバコさんに火を点けたくなってきた俺は陸奥と別れ、体育館の外へと出た

 

「フーッ~………あ~マジ暑ちぃわ、水があったら飛び込むな、コレは」

 

「あ、テイトクじゃん、なにしてんのー?」

 

「よぉ、お前こそなんだ?エンコーか?」

 

吐き気すら催すメスの匂いをプンプンさせたビッチ・オブ・ビッチ、鈴谷

 

「鈴谷エンコーとかしねーし、テイトク暇なの?暇ならカレー食べにいこーぜぇ~鈴谷美味そうなお店見つけたから奢って欲しいな~って」

 

「死ね」

 

「ツッコミが厳しいッ!もうちょっとオブラートに包んでさぁ~」

 

「この星もろとも消えてなくなれ」

 

「包めッ!何も包んでねぇ!!」



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提督と鈴谷とフランクフルト

前略、今回は著しく下劣な表現をそれなりに含むますが健全です

【登場人物】

提督(10)
真面目に提督業をしているところが今までに一切無く、ただのおっさんでしかない
来月の中規模作戦回でようやくその真の力が明らかになったりならなかったり

鈴谷(4)
歩きスマホ中、ロコンが欲しくて歩き回っており、歩き回るついでに駆逐艦相手に肩がぶつかったとカツアゲして回り、香取ーヌ先生から指導された

長門(3)
珍しいクワガタを捕まえて駆逐艦のキッズ達にちやほやされたくて虫捕りをしているゲスな思考を持っている
後で陸奥が身元引受人として呼ばれた


「あ~…ダリぃな、マジで」

 

コンビニでアイスと煙草を買い、基地へと帰って来ると、丁度鈴谷の奴が歩きスマホをしていた

 

「あ、テイトクじゃん、なにそれ?アイス?鈴谷にも一口頂戴」

 

「誰がやるかボケ」

 

「いいじゃん」

 

「テメーが舐めたらビョーゲン菌が付くだろーが」

 

「つかねーし!鈴谷ビョーキとか持ってねーし!鈴谷のことなんだと思ってるワケェ!?」

 

「ビッチ」

 

「だから!ビッチじゃねーし!」

 

まったく、まだ自分をビッチではないと勘違いしている狂った駄ビッチなのだろう、コイツは

 

「アイスはやらねぇが、このフランクフルトをやろう」

 

「え?マジ?いいの?」

 

俺はコンビニの袋をからフランクフルトを取り出して鈴谷の顔に突きつけてやる

 

「くわえろ」

 

「や、自分で持つし…」

 

「早くしろ、丁寧にな」

 

「クッ!そーゆープレイってワケか、いいじゃん!ビッチじゃない鈴谷が受けて立ってやろーじゃん」

 

アツアツに保温され、湯気の立つフランクフルトはジューシィな肉汁を滴らせている

 

「っーか、フランクフルト食べるのに丁寧とか意味わかんねーし、咬み千切ってやらぁ!」

 

「おっと、マスタードをかけてやらないとな」

 

ブリュブリュブリュ!!

 

「ひぃ!?」

 

俺はわざわざ多めに貰ってきたマスタードを満遍なく、そして贅沢にも全てのパックを使ってフランクフルトにかけてやった

 

「さぁ!おあがりよ!」

 

「ちょ…ちょっとかけすぎじゃない?めっちゃ黄色いんだけど…」

 

「マスタードが黄色いのは当然だろう?早くしたまえ」

 

「いやいやいや、これはもうフランクフルトじゃないで黄色い棒だよ!うっ!刺激臭が!」

 

「うるせえ!ガタガタ言ってるんじゃねぇ!くわえるんだよ!」

 

俺は鈴谷の鼻を摘んでフランクフルトを鈴谷の口にぶち込んだ

 

「ガホッ!!」

 

「噛むなよ、噛んだら殺すぞ」

 

「うごごごごご」

 

「よし、全部飲み込め!吐くなよ!吐いたら殺すぞ!」

 

誤解の無いように改めて言おう、これはフランクフルトを食しているだけでありそれ以上でもそれ以下でもない

 

「うげっ!!うっ……ヴエェェェェェ」

 

あ、吐きやがった、勿体ない事をしやがる

まったく、誰が片付けるとすると思っているんだと考えていた矢先、鋭い声が背後から飛んで来た

 

「見損なったぞ貴様ァ!!」

 

「む?なんだ性犯罪艦か、何の用だ?」

 

長門か、虫取り網を持っているところを見るに、どうやらクワガタを捕りに行っていたらしいな

 

「貴様ァ!さっきから立ち聞きしていれば部下と援交か?本能覚醒で獣欲をブチ撒けているのか!?」

 

「何の事かね?私はただ部下にフランクフルトをご馳走していただけだが?」

 

「なら何故そのビッチは嗚咽と涙を流しているのだ!」

 

「美味かったからだろう?」

 

「なら何故そのビッチは失禁しているのだ!」

 

「ウレションだろう?」

 

「…やましい事は何も無いと?」

 

「神に誓って」

 

「フッ、さすがはお前だ、まぁ…よく考えたら同志大尉はそんなビッチで股ぐらいきり勃つハズもないか」

 

「誤解がとけて嬉しいよ、あと、同志じゃないから」

 

とりあえず、あらぬ誤解は一部だけ解けたらしい

ただ、俺はロリコンでもなければホモでもない

 

「フッ…どうだ?これから一緒に睦月型のランニングする姿を見守らないか?」

 

「1人で行ってくれ、あとで警察が行くから素直に連行されろよ」



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提督と熊野とエアロズイウン

流行りのARに見せかけた奇妙な回

【登場人物】

提督(11)
あまり興味はなくてもとりあえず写真は撮ってみる、ピンクだったらしい

熊野(2)
鈴谷と違ってビッチとは言われないがとても残念
本当はセイランが欲しいが最上姉ちゃんくまりんこ姉ちゃんが怖くて言い出せない

扶桑
航空戦艦、二度の改装を経て、恐るべき力を手にした主力戦艦、昔は山城と言う名の日本人形を抱いていた時期があり、山城がいないとリストカットする

山城
航空戦艦、姉様と同じく二度の改装で力を手にした主力戦艦
だいたい姉様と一緒に居る


「イブーイですわ!イブーイがいましたわ!マジカッケーでしたわ!」

 

喫煙タイムを済ませ、提督室に戻る為に階段を上がっていると、上からイブーイがどうとか聞こえてきた…

アイツはたしか鈴谷のバディモンスター、熊野…とりあえず下からだとパンツが見えるので写真を一枚撮った

 

「なにやってんだ?お前」

 

「イブーイですわ!クソッ!このッ!ファーックス!逃げられましたわ!」

 

「バカじゃねぇの?」

 

「バカではありませんわ、うっ!煙草臭いッ!」

 

「そりゃ、さっきまで喫煙してたからな」

 

「寄らないでくださいまし、私の寿命が殺されてしまいますわ!」

 

モンスター嫌煙家か、コイツは

さすがにここまで言われたらホワイトランチャーを顔面にしたくなるぞ

 

「っーか、なんだ?お前もポケ●ン集めてたのか?」

 

「えぇ、みんなで争ってますの、負けた者は阿修羅バスターされますわ」

 

「敗者への罰がなかなか致命的だな」

 

「大丈夫、阿修羅バスターは首のフックがちょっと甘いらしいですわ」

 

アホなんだろうな、コイツ、っーか誰が阿修羅バスターかけるんだよ、手が六本ある奴が居るのかよ!?

俺の知らない超進化を遂げた艦が居ると言うのかッ!?

 

「まぁ、暑いし、水分を摂ってほどほどにしろよ」

 

「水分?たしかに喉が渇きましたわね、何か冷たい飲み物を持ってませんの?」

 

「持ってねぇよ、っーか持っててもやるかよボケ、テメーで買ってくるか蛇口捻って水道水でも飲めよ」

 

「クズなあげくにケチな男ですわね」

 

「やかましい」

 

「まぁいいですわ、冷たい飲み物を手に入れるぐらいは私には簡単な事、コレを使えば良いのです」

 

そう言って、熊野は腕を前にかざした、すると…

 

ドギユュュュン!!

 

小さなヒコーキみたいなのが出てきた

ってか、コレ瑞雲じゃねーか!!なにエアロス●スみてーに出してんだコイツ!!

 

「見えますの?パワーあるヴィジョン!私はこれを幽●紋と名付けましたわッ!」

 

「ス●ンドじゃねーよ!」

 

「行け!エアロズイウン!冷たい飲み物をカッ攫って持ってくるのですわ!」

 

【ス●ンド名:エアロズイウン】

破壊力‐B

スピード‐B

射程‐数10m

持続力‐C

精密動作‐E

成長‐C

 

「やっぱエアロス●スじゃねーかッ!」

 

「ちょっと黙っておくんなまし……む、居ましたわ、冷たいシェイキーを手にして歩く哀れな犠牲者が」

 

「普通に買えよ!なんで奪う前提なんだよ!」

 

「殺れ!エアロズイウン!肩甲骨ブチ割って上半身を腰寛骨までアジの開きのように裂いてやりますわッ!」

 

今、まさにッ!俺からは見えない数10m先で冷たいシェイクを奪われようとしている者がいるッ!!誰かは知らないが不幸な犠牲者であることは間違いないであろう…

しかしッ!!

 

「グハァ!!!」

 

「熊野ォ!?な…何が起こったんだァァァァ!!」

 

血反吐をブチ撒けたのは熊野の方だった

 

◆◆◆

 

「…冷たいシェイクが買えたわ、今日の私はとてもツイてる」

 

戦艦、扶桑

最初はそれなりに不幸だったが二度の改装で人並みの不幸になった

 

「早く持って帰りましょう…」

 

ドルルルルルゥ!!!

 

背後から扶桑に迫るエアロズイウン!

しかしッ!!

 

「オラァ!!」

 

グシャアッ!!

 

そばに立つと言うところから、その像を名付けて幽●紋!

 

「…山城?何かあったの?」

 

「“何も”ありません、姉様」

 

「…そう、早く帰って冷たいシェイクを飲みましょう、今日はとてもツイてる気がするわ」

 

「はい、姉様、今日はとても“ツイ”てます」

 

ゴゴゴゴゴゴ!!

 

【ス●ンド名:ヤマシロ】

破壊力‐A

スピード‐A

射程‐C

持続力‐A

精密動作‐A

成長‐E(完成)

 

 

←To Be Continued

 



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提督と鈴谷とイービルアイ

【登場人物】

提督(12)
衝撃の特殊技能
未だ、厨二病から抜け出せずにいるバットガイ

鈴谷(5)
地味に高い登場率を誇るビッチオブビッチ、優良事故物件

五月雨(7)
今日のラッキーアイテムはハサミ



腹が減ったな、今日は金曜だしカレーでも食いに行くか

 

「オイ、カレー食いに行くか?」

 

「今日は約束があるので遠慮します」

 

「約束ぅ?なんだ?ホモ同人愛好会かなんかか?」

 

「違いますよ、時雨様から呼び出しです」

 

時雨様…だと?

コイツ時雨様と友達かなんかだったのか?

いや、よく考えたらコイツも白露型のキョーダイか

 

「それじゃ、失礼します」

 

「おう」

 

五月雨と別れた俺は早速食堂へ向かった、さて、今日は何カレーにすべきか、やはり夏らしく茄子カレーか、エネルギッシュにカツカレーにでもすべきか…

 

「お、テイトクじゃ~ん、ナニしてんの~?」

 

「息が臭い、喋るなビッチが」

 

「ビッチじゃねーし」

 

チッ…鈴谷か、コイツとのエンカウント率が妙に高けぇ気がするな、厄年か?

 

「ナニしてんの?あ、もしかしてアレな店に行くの?なんなら鈴谷が手でするよ?一万円で」

 

「死ね」

 

「だからッ!鈴谷に対して厳し過ぎない!?」

 

「やかましい、腹に蹴りいれられてーのか?あ゛?」

 

「厳しい!鈴谷の何が悪いワケ?かわいいじゃん!自分でゆーのもなんだけど鈴谷かわいいしおっぱいデカいし意外と尽くすタイプだしある程度変態プレイは許せるし文句つけるトコないじゃん!?コレかなり優良物件じゃね!?」

 

「何が優良物件だ、事故物件が」

 

たしかに、それなりに乳もデカいし話題も合う

 

「鈴谷にもう少し優しくしてもバチ当たらくね?」

 

「そうだな、まぁ…少し優しくしてやろう」

 

「マジ?やった!じゃ~鈴谷お小遣い欲しいな~って…」

 

「小遣いか…ふむ、コレで好きな物を買うといい」

 

そう言って、提督は財布からこの国で最も貨幣価値の高い紙幣を五枚取り出して鈴谷に手渡した

 

「…は?」

 

五万円…?

アッサリと手にしたお小遣い、五万円

今まで何度となく挑戦し、その度に、鈴谷は涙を呑んで来た

 

しかし今、アッサリと渡される、大金をッ!

 

「…え?マジ?」

 

「なんだ?足りないのか?」

 

そう言いながら、提督は更に財布から紙幣を取り出し、鈴谷に渡す、合計枚数は十枚…

鈴谷が欲しがっていたゲーム機を買い、更に、ゲームソフトを買ってもおつりが出る額!

 

「…え?え?マジ?マジ貰っていいの?」

 

「何を言っている?」

 

鈴谷に涙が…涙が溢れてくる、こんなにも簡単にッ!こんなにも提督が優しいッ!鈴谷は今、圧倒的感謝を感じていた、そう、謝りたいと感じているから“感謝”なのだと鈴谷は感じていた

まるで、そう!夢を見ているようだ…

 

『あぁ、ユメだぜ』

 

パリィーン!!!

 

「…え?」

 

無い…?鈴谷の手に、さっきまで握られていたお小遣い

 

「これが本物のお小遣いだァァァァ!!スネークバイトォー!」

 

「ぐわああああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

グシャアッ!!!

 

「ユメは、見れたかよ?」

 

「ぅう……じゃ、邪眼ッ…!いつ!いつ鈴谷にッ…!!」

 

◆◆◆◆◆

 

基地内、体育館裏…

 

「待たせたね」

 

圧倒的天才達、白露型キセキの世代…

その、全員がこの場に集まっていた

 

「…サミダレ、そのハサミを貸してくれないか?」

 

「いいですけど…」

 

五月雨は時雨にハサミを貸した

 

「…エカゼくんだよね?」

 

「カワカゼだよ」

 

江風が答えると同時、時雨が江風の顔面に思いっきりハサミを突き立てた

 

「危ねェェェ!!ナニしてんだコイツ!イカレてんのォ!?」

 

「髪を改二にしたくてね、少し切りたいと思っていたんだ」

 

「もうなってるっぽい」

 

型の無い野生、夕立

 

「ってか、今、普通に事件だよね」

 

駆逐艦を超えた超肉体、村雨

 

「まぁ、時雨様ですし…」

 

完全無欠の輸送、春雨

 

「ハサミ、返してください」

 

防御不能の高弾道スリー、五月雨

 

「僕に逆らう者は提督でも殺す」

 

全てに勝つ僕は全て正しい、時雨様

 

「オイコラァ!今のマジなんなの!?挨拶物騒すぎだろォ!」

 

「江風、落ち着いて、ほら、お茶飲んで!」

 

「おう!………って!ニゲぇ!!」

 

そして、キセキの世代を脅かす、光と影



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白露と先生とグロリアスデイ

【登場人物】

白露(2)
白露型の一番艦、好きな超人はジ・オメガマン
一番先に時雨が時雨様なのに気付いた

香取(4)
ワル更生のスペシャリスト、出来ない子も痛みと共に教えます
好きな超人は悪魔将軍

島風(2)
孤独のオキシジェン
田舎出身で意を決して都会的ファッションでデビュー失敗し、現在に至る
趣味は素数を数える事、勇気が湧いてくる


「先生ェ…私、私ッ!私が一番バスケしたいですッ!」

 

限りなく近づけど、絶対的才能には決して辿り着けない事には私が一番わかっていた

ある時を境に、才能を開花させてゆく姉妹達、常に一番である事を義務付けられた私は焦った、それはもう焦りまくった

でもどうしていいかわからない間にすぐ下の妹が絶対は僕だと言って厨二病気味になり、あげくに白露型を退部しろとまで言われた

昔はあんなに可愛いかったのに…

 

姉妹達に負けないように一番練習した、一番先に練習を始めて一番最後に帰る、一番努力したのに一向に才能は開花しなかった

 

だから私はグレた、それはもう荒れまくった、寮のガラスは割りまくったし夜の街をライディングデ●エルでアクセラレーションしまくり毎日喧嘩して回った、軽巡にもタイマンで勝った、重巡にもギリギリ勝った、でも、戦艦には勝てなかった、絶対的な力の暴君、あの凶暴な金剛姉妹の前に立った時、私は命を諦めた

 

そして、この世界でも一番になれない事を悟り、さらに自暴自棄になっていた私に手を差し伸べてくれたのは、先生だった…

 

「付いてきなさい白露、アナタには私のとっておきを………くれてやる」

 

私は香取ーヌ先生の手をとり、再び立ち上がった…

 

「とゆーワケで、チームの申請書です!一番先にハンコください」

 

「前置きがなげーよ」

 

「早く早く!」

 

早速、新チームの申請に来た私は提督に申請書を提出した

 

「っーか、お前1人しかいねーじゃん、却下」

 

「え゛?ダメなの?」

 

「バカめ、チームの申請に最低でも5人必要なのだよおばかさん、だから認められないわぁ」

 

「クッ!まさかそんな部活動みたいなノリだったとは…」

 

「部活動みてーなモンだからな」

 

「お待ち下さい、提督」

 

「む、先生ェ…」

 

認められないわぁに愕然としていた時、丁度香取ーヌ先生がコーヒーを持って現れた

 

「どうぞ、コーヒーです」

 

「これはこれは…ありがとうございます」

 

なるほど、まずはコーヒーで場を和ませる、スゲェよ香取ーヌ先生ェ…まるで大人だよ

ただ、なんか秘書艦の青いのがドス黒いオーラ発してるよ、お姉ちゃんあんなキレ気味なサミー初めて見たよ、目が合ったらチビりそうだよ…いや、ちょっとチビった

 

「あと、4人、集めれば承認して頂けるのですね?」

 

「えぇ、承認しましょう」

 

「白露」

 

「はい!センセー!」

 

「こんな事もあろうかと、私がめぼしい子達を既に見つけてます」

 

「先生ェ!!」

 

「では提督、また後程…」

 

とりあえず、私は香取ーヌ先生と新チームの為にスカウトに向かう事になった

提督室の部屋を出た時、なんであの女のコーヒーは受け取って私のはダメなんですかとかうるせーこの殺人バリスタがとか言い争う声が聞こえた気がするけど、忘れよう

 

「先生ェ、目星って一体誰が…?」

 

キセキの世代を始め、それなりに才能ある奴は既に別のチームに入ってるハズ

 

「そうですね…丁度お昼どきですし、まずはあの子から声をかけましょう」

 

お昼どきだし、食堂にでも向かうのだろうと思っていたが、こっちは食堂じゃないよね…

辿り着いたその場所は

 

「…トイレ」

 

「オイ島風コラァ!いるんだろーが!出てこいやヤボスケェ!」

 

「いやいやいや先生ェ…なんでトイレ?」

 

私の疑問を余所に、一番奥の個室の扉が開いた

 

「なんすかセンセー?宿題なら刹那で終わらせた筈ですけどォー?」

 

居たよ…ホントに居た

 

「また便所飯かテメーは、そんなだからトモダチできねーんだよ」

 

「トモダチなら連装砲ちゃん居るしィー?他にトモダチとか……いらねーし、っーかなんか用?」

 

「お前、バスケしろ」

 

「は?意味わかんねーし」

 

「バスケ始めたら白露がお前のトモダチになるってよ」

 

「は?」

 

「え゛!?」

 

センセー!聞いてないんですけどォ!? なにそれ?今初めて聞いたよ!

 

「べ……べべべ別にィー、連装砲ちゃん以外のとと、トモ!トモダチとかッ!いらねーしッ!」

 

なにコイツ、めっちゃ動揺してる!めっちゃチラチラこっち見てる!

 

「今チーム入ってくれたら、白露が今から親友だってよ」

 

「親友ッ!?」

 

言ってない!先生ェ!一言も言ってないよ先生ェ!

 

「親友…親友ってアレだよね?友達の上位種、一緒にツレションしたり、菓子パン食ったり、好きな子の名前言いっこしたりする伝説の存在…連装砲ちゃん、連装砲ちゃん!どうしよう!」

 

「あんま時間ねーし5秒で決めろ、5…4…3…」

 

「短ッ!!よろしくお願いしますッッッ!!」

 

「よーし、じゃ次行くぞ白露」

 

「え?あ…はい」



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鈴谷と熊野とイブーイ

メスしかいない珍しい回

【登場人物】

鈴谷(6)
愛読書は週刊少年ジャ●プ、ジ●ンプ歴はぼちぼち長い
食堂には誰かが買って置いてる週刊誌やヤンキー漫画が多数置いてある

熊野(3)
色々と残念なお嬢様風航巡
イーブイに異常な執着を示しているが名前を覚える気はあまりない


「あ、イブーイがいますわ!」

 

「だから、イブーイじゃないって、イーブイだって、いい加減覚えろし」

 

重巡の部屋がある建物、通称、さわやか寮…

熊野は自室でスマホを持ってウロウロし、鈴谷は食堂にあったバイクブ●スを持ち帰ってダラダラと読んでいた

 

「EV…?」

 

「あぁ…うん、EV?」

 

「ときに鈴谷」

 

「ナニ?このビスケットは鈴谷のだからあげないよ」

 

「私のイブーイはいつになったらメタルガ●ルモンになるんですの?」

 

「ならねーしッ!それ騙されてる!?」

 

「なん………と?」

 

熊野に電流が走る

ならない、メタルガ●ルモンにッ!

あんなに楽しみにしていたのに!落胆!失望!そして、絶望ッ!

 

「し…しかし!イブーイはたしか3種類に進化する他に類を見ない珍獣とッ!」

 

「や、たしかに3種類に進化するけど、とりあえずメタ●ガルルモンにならねーから」

 

「で…では、メタルガルル●ンにはならなくとも滅龍帝ジエンドドラゴ●スにはなるんですのよね?」

 

「なるワケねぇだろォォォ!?ナニをどう進化したらあの可愛いイーブイがそんな厨二ネームになんの!?」

 

「ファーックス!絶望が!絶望が止まりませんわ!見てくださいまし!手の震えが止まりませんわァァァ!」

 

「アル中かッ!」

 

「で…では、まさかジャワーズにもならないと?」

 

「…シャワーズね、微妙に間違ってたけどまだ修正可能なのが救いだわ」

 

「なりますの?ジャワーズに?」

 

「ジャワじゃないでシャワね、それにはなるよ」

 

「では安心ですわ」

 

安心したのか、熊野の手の震えはピタリと止まった

 

「っーか誰よ?熊野にそんな嘘教えたの」

 

「提督ですわ」

 

「野郎…」

 

「とりあえずジャワーズになるなら許しますわ、あ、逃げられましたわ」

 

「バカじゃん」

 

 

「あ、なんか鈴谷の頭に変なのが出ましたわ」

 

再びイーブイを探し始めた熊野は早速部屋の中で何かの反応を見つけたらしくスマホを鈴谷に向けた

 

「ナニ?鳥?虫?自分でわかんないからキモいのはカンベンなんだけど?」

 

「え~と…なんかカクカクした赤と青のやつですわ、まぁ、イブーイじゃないなら必要ありませんわね」

 

「は?それポ●ゴンじゃね?え?マジ?いんの?鈴谷の頭の上」

 

「別に欲しくないし、ボールが勿体ないので逃げましたわ」

 

「うわ……超勿体ねー」

 

「そんなワケのわからないカクカクよりイブーイですわ、私はイブーイを欲してますのよ」

 

そう言って、熊野は再び部屋の中をウロウロし始めた

 

「まぁ、頑張んなよ、鈴谷喉渇いたから自販機でジュース買ってくるから」

 

「私はレモンティーでお願いしますわ」

 

「金」

 

「ポッケに小銭に入ってるからそれで」

 

「へいへい」



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夕立と江風とゾーン

【登場人物】

夕立
白露型キセキの世代のエース、ゾーンに入門できる

江風(2)
改白露型期待の星、ゾーンに入門した

村雨(2)
白露型キセキの世代、とにかくデカい、説明不要


「…感謝するっぽい」

 

圧倒的天才しか入れない扉の奥…

余計な思考、感情が全てなくなりプレーに没頭する極限の集中状態、ゾーン

 

「な…んだと?まるで見えねぇ…」

 

本来、試合で実力の100%を発揮するのは不可能、しかし!ゾーンはその実力の100%を引き出せる

 

「ダメだァ!ユウダチ止まらねーッ!」

 

「これが100%本気のユウダチ!クソッ!どうすりゃいいんだよ!」

 

本日の試合はキセキの世代、夕立を擁するチームと改白露型の光と影のゲーム

正直、前に見た時も夕立パネーと思ったが今日はそれ以上にパネーわ、なんなのアレ?

 

「ちょっと陸奥やん、なんなんアレ?」

 

「ゾーンね」

 

「ゾーンか」

 

俺以上に驚愕している陸奥は試合からまったく目を離さない

いや、離せないのだろう

 

「いいぜいいぜェ…!久々にすげー楽しいっぽい!」

 

「ユウダチァ!ゼッテー通さねぇ!」

 

「カワカゼェ…!」

 

エース対決、夕立VS江風

この圧倒的天才夕立を止められるとしたら、もはや江風しかいないだろう

 

「遅いっぽい!」

 

「チイッ!」

 

「お前の光は淡すぎっぽい!」

 

「ックソォォォ!!」

 

ダメだ!夕立止まらねぇ!!

夕立のドライブに反応できて…

 

「負けられねぇ…負けられねぇんだァァァ!!」

 

「っぽい!?」

 

あのスピードに反応したッ!?

 

「ま…まさか!」

 

「どうした陸奥!?」

 

「ゾーン!」

 

「ゾーンか!」

 

入ったと言うのか、圧倒的天才しか入れない極限の集中状態に、江風も入門したと…?

 

「うおおおぉぉぉ!カワカゼハンパねェー!!」

 

「なんやて…?でもあかんわカワカゼちゃん、それでも最強はユウダチや!」

 

夕立と江風は改フラグシップみたいに目から何かを垂れ流してコート上を凄まじいスピードで駆けまくっている

 

正直、素人の俺には何をしているのかよくわからないが、あの2人の動きだけおかしいのはわかる

 

「カワカゼェ!」

 

「ウミカゼ!コイツいつの間に!シュート…?いや、パス!?」

 

「ウオオオォォォラァ!!」

 

「ありえへん!レーンアップからのアリウープやとォ!」

 

「っしゃー!!」

 

「カワカゼェ……ウミカゼェ…お前ら最高っぽい、こんなゾクゾクするの久々っぽい」

 

追い詰めているのか…?改白露型が白露型キセキの世代を

 

「ちょっと陸奥さん」

 

「黙って、煙草なら外」

 

「…はい」

 

ダメだ、解説の陸奥が解説してくれねぇ

そんなにすげぇのか

………よし、煙草吸いに行くか!

あとで結果だけ教えて貰おう

 

俺は体育館を出て外にある喫煙所へと向かった

 

「…ん?」

 

あれは…ビッチ臭のプンプンする村雨か

 

「なにやってんだ?オマエ」

 

「ん~?あ、提督ぅ、今ヒマ?」

 

「ヒマに見えるのか?」

 

「見えるけど?」

 

「失礼な野郎だな、何か用か?言っとくが小遣いならやらねーぞ、欲しけりゃその辺のパパのを挟んでこいよ」

 

「え~?私そんなキャラじゃないし、って、提督ヒマならコンビニ行ってお菓子買って来てくれないかな~って」

 

「とりあえず、腹殴っていいか?全力で、手加減無しで」

 

「そこまで怒んなくても…」




明日はお休みでございます
次回は明後日です


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提督と武蔵とセブンタスク

再開明けのフリーダム

【登場人物】

提督(13)
なんか水着でうろついている大和さんに声をかけたかったが武蔵だった、大和の挟んでるラムネが飲みたい

武蔵
最大戦力超戦艦級
最近来たので比較的まともだが、かなり大雑把、大雑把が服を着てる

長門(4)
誰も世話しない時津風の世話をしている
定期検診もちゃんと受けさせている

時津風
かわいいが、噛む



【前回までのあらすじ】

 

 

今、まさに命燃え尽きようとするこの時、清霜の小宇宙は超戦艦級の域へと高まった!しかし、清霜には決め手が無い、12.7cm連装砲も10cm高角砲も武蔵には通用しない、万事休すかと思われたその時!

 

「そ、その…その構えは46cm三連装砲!この武蔵最大の拳を真似ると言うか…フッ、やってみるがいい!」

 

ぶつかり合う46cm三連装砲、そして…

 

「フッ…見事だ、お前は今、師であるこの武蔵を超えたのだ、出来る事ならお前をこの先に進ませてやりたいが…フッ」

 

ドシャアッ!!

 

「…嗚呼、我が師の師武蔵よ…」

 

ドシャアッ!!

 

また再びシブヤン海に帰ろうぞ…

提督に黄金の矢が刺さりきるまで、残り1時間!

 

◆◆◆◆

 

「いや、ないから!」

 

なんで1日休んだだけでバトル展開になってんの!?っーかなんで俺死にかかってんの?

 

「フッ…まぁ細かい事はいいではないか、実はこの武蔵もこう言うベタな展開は嫌いではない」

 

「いや、俺も嫌いじゃないけどな」

 

武蔵はラムネの瓶を取り出して俺の前に置いた

今日は五月雨のアホンダラが休みなので、代理として暇そうな武蔵に秘書艦を任せてみたが、コイツ、さっきから飲み物はラムネしか出さねぇ…

 

「おい、なんか別のモン出せよ、麦茶とか」

 

「なんだ?麦茶が飲みたかったのか?それなら早く言え」

 

武蔵は冷蔵庫の扉を開けて俺のガリ●リ君を取り出すと袋を開けてガリガリし始めた

 

「テメェ!なに俺のガリガ●君フツーに食ってんだ!」

 

「麦茶か…ふむ、無いな、なにやらアイスコーヒーらしき物はあるが」

 

「アイスコーヒーとかどうでもいいんだよォ!俺のガ●ガリ君を謝れよ!」

 

「これはなかなか美味いな、どうだ?提督も食うか?」

 

「いや、そもそも俺のだから!」

 

「そうだったな、では替わりと言ってはなんだが……この武蔵のラムネをやろう」

 

「だからそのラムネがいらねーんだよォ!いい加減にしろよテメー!」

 

まったく、イライラしてたら喉だけでなく腹も減ってきた

どうせ今日もそんなに忙しいワケじゃねぇし、ラーメンでも食いに行くか

 

「ん?どこに行くのだ?」

 

「腹減ったからラーメン食いに行くんだよ」

 

「ラーメンか…悪くない、この武蔵も御一緒しよう」

 

「別に構わねぇけど、自分の分は自分で払えよ」

 

「フッ、問題ない、この武蔵、ちゃんと財布は持っている」

 

俺は武蔵とラーメンを食いに行くべく基地を出る事にした

たしか食堂にもあった気がするがどうせなら食堂のサービスエリアみたいなラーメンよりもっと美味いやつが食いたい

 

「…ん?おぉ、提督と……武蔵ではないか?」

 

体育館横の通路を通りかかると、長門が声をかけてきた

 

「なにやってんだお前、盗撮か?」

 

「いや、今日はかわいい時津風の散歩をな…」

 

そう言って、長門が指した方向にはなんか犬みたいなのがダラダラと転がっていた

駆逐艦、時津風

飼い始めは駆逐艦のキッズ達もみんなかわいいかわいい言って可愛がっていたが、今や誰も散歩に連れて行かない

結局、お母さんが世話してるペットブームの犠牲者と言えるだろう…

 

「ほれ、チューインガム食うか?」

 

「やめておけ、人には懐かないイヌだ」

 

「バカ言いなさんな、俺はこう見えても愛犬家として…」

 

「グルワアァァァァァァァァ!!!」

 

その時、チューインガムを持つ俺の右手に鋭い痛みが走った!

 

「ギャアアアアア!!コイツ噛んだッ!噛みやがったァァァァ!!」

 

「グルルルッ!!ガフッ!!」

 

痛てェェェェ!!コイツ噛みながらグルグル回ってやがるッ!!絶!なんたらかんたらみてーに回ってやがるッッ!!

 

「だから言っただろう、懐かないと」

 

「ハッハッハ、まさに、飼い犬に手を噛まれると言うコトだな」

 

「笑ってねぇで助けろ武蔵ィ!千切れるッ!俺の腕が千切れるーッ!」

 

「ん?あぁ、すまんすまん」

 

ひとしきり笑った武蔵は、俺の手を噛む時津風のボディに容赦なく膝蹴りを叩き込んだ

 

「ギャイン!!」

 

「時津風ーッ!な、何をするだァー!許さんッ!」



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妙高型と高雄型とブリバリ

夏の元気ブリバリ回

【登場人物】

妙高型
十二人の国産重巡の内、四人が所属するシスターズ
妙高型三人で放つミョウコウ・エクス・クラメーションは小規模ながらビッグバンに匹敵する

高雄型
十二人の国産重巡の内、四人が所属するシスターズ
重巡同士の激突はワン・サウザンドウォーズになる恐れがあるので禁止されている


「妙高型正レギュラーの皆さんだ!」

 

「2‐5殲滅帰りか、マジオーラパネェ!」

 

妙高型重巡、全員が改二の力を持ち、大規模作戦時も高いMVPチケット獲得数を誇るスター集団

 

「チィース!妙高サン!今日もメチャシブいッス!」

 

「オウ…」

 

妙高型重巡のヘッド、妙高姉さん

タ級のアバラを折る、アバラ折りの儀式は恐怖の対象とされている

 

「那智サンマジカッケーッス!オレ、那智サンみてーになりてーッス」

 

「オウ、ベンキョーしろよ」

 

妙高型重巡の次女、那智姉さん

ストイックなイケメン

 

「足柄姉サン!またストバス教えてください!」

 

「オウ、ゼ●シィ読んだ後にな」

 

妙高型重巡の三女、足柄

ワイルドウルフの異名を持つ強い重巡、拳一つで勝負する姿はキッズ達の憧れの的

 

「羽黒サンお疲れッス!カバン持ちマス!」

 

「オウ、気ぃ利くな」

 

妙高型重巡の最終兵器、羽黒

一度キレると相手を殺すまで止まらない殺戮の為の機械

 

その、妙高型四姉妹が2‐5海域で今月もタ級のアバラを執拗に折り、任務達成の報告と給料の受け取りの為に提督室へ向かっていた

 

「よ~ぅ妙高クンじゃねぇの?」

 

「今日もそのサザエさんみてーな髪型がキマってんなァ?」

 

その日、運の悪い事に、廊下でたむろしていた高雄型重巡に出逢ってしまった

 

「どけよ、このおっぱいモンスターズが」

 

「あ゛?」

 

高雄型重巡、摩耶

その冷酷無比な高射撃能力から、エビルクラッシャー・摩耶と呼ばれている

 

「っーか死ね」

 

「なんだとコラ?テメーの脳漿パンパカパーンされてーのか?あ゛?」

 

「やってみろよ、その前にミルクタンクについた乳首切り取ってファミコンのBボタンにしてやんよォ」

 

「お前にはできないかもしれない」

 

臨戦態勢をとる愛宕、しかし、その前にイケメンの那智が立ちはだかる

 

「やめとけ愛宕ォ、オマエに妙高姉サンは殺れんわ」

 

「那智ィ~…ならテメーが“遊んで”くれっのかァ?」

 

「乳牛がよぉ吠えちょるわ、コイツァ~厳しい躾がいるみたいやわァ~」

 

ざわ…ざわ……

 

妙高型と高雄型

鎮守府の廊下にて一触即発の空気が漂う…

その時だった

 

「なにやってんだオマエらーッ!ケンカか?ア゛ァ?」

 

「ちょ!姉さん!なんで姉さんまでケンカごしッ!?」

 

最近買った茨の鞭を試したくて仕方の無い香取と昼食のサンドイッチを持った鹿島が現れた

 

「ゲェー!香取ーヌッ!」

 

「ヤベッ!」

 

「ケンカか?あ゛?」

 

「ケンカとかしてねーです」

 

「オレらマジfriendですわ、なァ?高雄クン?」

 

「あぁ、オレら“仲良く”お喋りしてただけっすよセンセー」

 

「ホントかァ~?オイ、鳥海」

 

「えぇ、まぁ…」

 

高雄型重巡の末妹、鳥海

この空間で、唯一オラついてないどちらかと言えばマトモな部類

 

「次問題起こしたら全員仲良く油風呂だ?ワカってんのかー?ア゛ー?」

 

「ダイジョーブっすよ、オレらちょっと元気ブリバリなだけっすから」

 

「多少ヤンチャなぐれー多目に見てやってくださいよォ、センセー」

 

「チッ…クズどもが」

 

「姉さん、クズどもはちょっと…」



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提督と鹿島先生と決闘者

遊●王はジ●ンプで読んだ知識しかありません

【登場人物】

提督(14)
紳士道に殉ずる紳士
キースピリットは天魔王ゴッド・ゼクス

鹿島(5)
やはり学級崩壊の洗礼を受けた
趣味はテレホンカード集め


通称、相棒
レアハンターみたいなクズは許してはおけない、青眼はじいちゃんのカード


通称、もう1人の電
オシャレとは、もっと腕にシルバー巻くとか


「うーちゃんのターン!今こそ立ち上がれうーちゃんの分身!デーモンの召喚を召喚するぴょん!」

 

「出た!うーちゃんの魂のカード!」

 

「これでヤツのミノタウロスはひとたまりもねぇぜーッ!」

 

たまには駆逐艦のキッズどもの授業参観でもしてみようと思い立ち、やって来た駆逐艦教室ではアツいデュエル活動が行われていた

 

「あああ…アカアあかつきききのとと砦を守る翼竜がぜぜ…ぜんめつめつ…」

 

「ハラショー、このスターチップは全て貰って行く」

 

なんだコレ?学級崩壊か…?先生!先生は何をやっているんだ!?

 

「わ…私はこのホーリーエルフを出します!こ、これなら守備力が高いし…」

 

「それはどうかな?」

 

「ヒッ!?」

 

「イナヅマのターン!いでよ強靭にして無敵!最強のしもべ!青眼の白龍なのですッ!」

 

「ヒィ!!つ…強いッ!」

 

「滅びのバーストストリームなのです!」

 

「ヒィィィ!!ま…負けた」

 

鹿島先生はキッズどもに囲まれ、決闘していた…

なにやってるんだ、あの先生様は

 

「ホッホッホ…楽しそうですなぁ、鹿島先生」

 

「あ、あぁ…提督!違うんです!コレにはちゃんと理由が!」

 

「生徒達と共に遊び、ハートをキャッチするのも素晴らしい事とは思いますが、しかしですねぇ、今は授業の時間…」

 

「さぁセンセー、スターチップがないならパンツよこすのです!」

 

「ヒィィィ!!」

 

…パンツ?今、聞き違えたかな?このイナヅマガール、今、パンツと言ったか?

 

「ほら!早く脱ぐのです!」

 

「ヒッ…それだけは、それだけは許して下さぃ…」

 

「オイちょっと待てデン、オマエ今、鹿島先生にパンツ脱げって言ったのか?」

 

「言ったのです」

 

「先生は相棒との闇のゲームに負けたんだぜ」

 

「お…オマエは、カミナリ!」

 

なるほど、鹿島先生は雷電との闇のゲームで負けたのか

 

「私が、私が勝ったらみんなキチンと授業受けるって…」

 

「なるほど、それでパンツを賭けたと」

 

「いえ…それはあの子らが言い出したコトで…」

 

「見苦しいぜーッ!先生よォー!敗者には罰ゲームって相場は決まってるんだぜーッ!」

 

「早く脱ぐのです!」

 

脱ーげ!脱ーげ!脱ーげ!

 

周りからのアツい脱パンツコールが教室中に響き渡る

闇のゲームである以上、罰ゲームは必然としか言えないな

 

「脱ーげッ!脱ーげッ!脱ーげッ!」

 

「提督までェ!?」

 

「あぁ、これは失礼、つい本音が出てしまいました」

 

しかしどうする?このままでは先生からの好感度はダダ下がりになる

ここはイケメンらしく俺が代わりにデュエルするぜーッ!とか言うべきか、もしくは俺が勝ったらそのパンツは俺が貰うぜーッ!と言うべきか

 

「いや、後者はないな」

 

「はい?」

 

ここは紳士として考えよう、そう紳士として導き出される結論は…

 

「鹿島先生」

 

「は…はい」

 

「パンツ見せてもらって、よろしいですか?」キリッ

 

「え?………普通にイヤですけど」

 

そうですか、普通にイヤですか

 

「オイ、クソガキども」

 

「なんすかァー?」

 

「たとえ提督でも罰ゲームを止める権利はないぜーッ!」

 

「明日から香取先生のトクベツ授業な」

 

ザワッ……!!

 

「ごご…ごめんなさい」

 

「へ、へへ…スンマセン、冗談、ジョーダンだよセンセー」



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提督と五月雨と繰り返す悪夢

おかげさまでUAが1万を超えてました、感謝です!
拙いだけでなく吐き気を催すゲスな話なのにッ!
今回は初心に返りました

【登場人物】

提督(15)
クズ、初心からびっくりするほどクズ
クズ過ぎて浜風ちゃんとは目が合わせられないピュアな少年のハートを持っており、少年はみんな聖闘士●矢と信じている

五月雨(8)
初期艦故か、提督に意見できる心の疲れた子、絶壁である自覚はある、苦労した故に余所にいるドジな天使の面影はあまりない

浜風ちゃん
名前だけは何度も出てたが今回が初登場


「初心に返り、浜風ちゃんをレ●プしようと思う」

 

「返る場所が最悪ッ!」

 

「うるせェ!!この絶壁氷盾がァ!」

 

「ハアァ!?今のはちょっとカチンときました!」

 

思えば、コイツも哀れな犠牲者だ…

姉妹艦はどんどん成長してゆく中、何時まで経ってもフラットチェスト、2つ上のお姉さんなんかもう閃乱カ●ラに出ていいぐらいの淫乱急成長ぶりだ

 

「俺はなァ…とにかく浜風ちゃんをレ●プしてェんだよォ!」

 

「…土下座して頼めばいいじゃないですか、浜風さん良い子だからたぶん大丈夫ですよ」

 

「ダメだ」

 

「なんでェ!?」

 

「…とりあえず必要なのは荒縄とクロロフォルムと白いハンカチーフ、あとは勇気だけだな」

 

もし足りない分があったならガッツで補えばよかろう

後は完璧な作戦だな

 

「では作戦の打ち合わせだが…」

 

「や、なんでナチュラルに私もレ●プに加担する流れになってるんですか?」

 

「まさか、嫌なのかね?」

 

「えぇ、普通に嫌です」

 

「では作戦の説明だが…」

 

「まさかのスルー!?」

 

いちいちうるさいヤツだな、もしかしてコイツにはカルシウムが足りていないのではないだろうか?

カルシウム…つまりは牛乳、そう、乳の素となる成分が足りていないせいであの貧しい胸板なのではないだろうか?だとすれば俺はコイツの尊厳を損なう事無く牛乳を勧める必要がある

 

「作戦は俺が正面から行き、お前が後方から行く、つまりは………挟撃だ!」

 

「…こんなにカッコ悪い挟撃と言う言葉の使い方は初めてです」

 

「まずは俺が正面から浜風ちゃんに虎砲の練習がしたいから腹を貸してくれと聞く」

 

「…虎砲があるならクロロフォルムいらなくないですか?って言うか、できるんですか?虎砲」

 

「大丈夫だ、陸奥にやり方は教えて貰った!足りない技術はガッツで補う」

 

「はぁ?」

 

「でだ、俺が虎砲するからお前が後方から近付いて金属バットで頭を的確かつ適切なパワーで殴りつける」

 

「クロロフォルムはッ!?普通!後ろから近付いてハンカチに染み込ませたの吸わせますよね!?」

 

「浜風ちゃんが昏倒したら左右から肩を組み、三人四脚のように違和感無く歩いて部屋へ連れ込む」

 

「違和感しかないです」

 

「そして用意した荒縄で、このインテリア椅子に縛り付けて起きるのを待つ、起きるまでは退屈だろうからトランプでもするか?」

 

「余裕あり過ぎでしょう…なんですぐ剥いたりしないんですか?レ●プするんですよね?」

 

「…オマエすげぇな、連れ込む=即ファックとか常軌を逸してるぜ、やっぱ上級者の考えは違うな」

 

「誰が上級者ですか」

 

「でだ、たぶん退屈しのぎにトランプやっててもきっと浜風ちゃんの胸にチラチラ目線がいくと思うんだよ」

 

「うん、最低です」

 

「そこでクロロフォルムの出番だ」

 

「…あの、その時点で浜風さんは気絶中なのでは?」

 

「おっぱいを触りたいけど途中で起きたらちょっと気まずいだろ?だから念の為にクロロフォルムで最低でも一時間は大丈夫な感じにする」

 

「いや、気まずいって…レ●プするんですよね!?おっぱい触るとかじゃ済まないレベルのコトするんですよね!?」

 

さすがは五月雨だ、良い点に着目しておるわ…

コイツとならなんだってやれる勇気が湧いてくるぜ

 

「男ってのはよォ~好きな子にカッコ悪いトコを見せたくねぇんだよ、いくつになっても心の片隅にあるピュアな少年の心を忘れられねぇ、男ってのは不器用な生き物なんだよ」

 

「やろうとしてる事はカッコ悪いじゃ済まないですけど…」

 

「よし!とにかく作戦は完璧だ!行くぞォ!」

 

「ちょ!ホントに行くつもりですかッ!?」

 

こうして、俺と五月雨は浜風ちゃんを探す為に提督室を出たのたが…

意外と早く、理想的な条件で見つけ出した

 

「…一人ですね」

 

「あぁ、条件は全てクリアされた」

 

人気の無い廊下で一人で歩いているとは…

 

「よし、行くぞ……行ってきます」

 

「本来ならご武運をと言うべきところでしょうが…」

 

大丈夫だ、俺ならやれる!まずは声をかける!落ち着け!素数だ!素数を数えるんだ!素数は1と自分でしか割れない孤独な数字!

 

「浜風くん」

 

「…ん?あ、提督、何か?」

 

「…虎砲しても宜しいかな?」

 

「…え?普通に嫌ですけど…?」

 

「そうか…嫌か、では失礼する」

 

「あ、はい、お疲れ様です」

 

この後、俺は五月雨とファミレスで何が悪かったのか反省会を開いた



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提督とIowaとJustice

【登場人物】

アイオワ
ステーツからやって来たダイナマイツバディのパッキンガール、合理主義
納豆はクサクてとても食べられマセーン
入隊する前はメジャーから声がかかった強打者らしく、多少の球なら強引に引っ張ってスタンドに叩き込める


「キター!いきなりエース対決!ハルサメVSキサラギだーッ!」

 

「キセキの世代を止められるのかー!」

 

このクソ暑い中、今日も熱戦が繰り広げられる体育館

今日のゲームは陸奥率いる睦月型のチームと白露型キセキの世代、春雨を擁するチームらしい

 

「こ…これはッ!シグレのッ!?」

 

「まだまだァ!」

 

「ユウダチのチェンジオブペースとの複合…だと?」

 

まるで夕立のようなドライブで如月を抜き去り、春雨はそのままリングにボールを叩き込んだ

 

「ハァ…ハァ…ハンパじゃねぇ」

 

「まるでキセキの世代五人を同時に相手してる気分だぜ」

 

「キク!こっちに回せ!やられた分はキッチリ取り返すぞォ!」

 

相変わらず超駆逐艦級のバケモノだぜ、白露型キセキの世代、ハンパじゃねぇ…

俺の知ってる限り、陸奥のチームはキセキの世代には勝った事が無いが、今日も負ける予感しかねぇな

 

「ヘーイ、Admiral」

 

「ん?」

 

「こっちこっち!ヘーイ!」

 

観覧席で声をかけてきたダイナマイツパッキンガール

枕元に拳銃が無いと眠れないボクの国からやって来たバトルシップ、アイオワだった

どうやらコイツもバスケの試合を観戦しに来たらしく、コークとポップコーンを勧めてきた

 

「たまに食うと美味いな、喉は渇くが」

 

「コークもあるよ」

 

「戴こう」

 

「Admiralもゲームを観に来たの?」

 

「まぁな、むしろ俺よりお前の方が意外だぞ、ニホンのジュニアレベルなんか見て楽しいのか?」

 

「Yes、シラツユガタキセキノセダーイ、噂には聞いていたけど、アレほどのlevelはstatesでもなかなか見られないネ」

 

「ふ~ん」

 

statesの人が言うならホントに凄いんだな、アイツら

 

「で?どっちが勝ちそうだ?」

 

「Hum……あのpinkを止めない限りteamムツに勝利はないわ」

 

「だろうな、如月が抜かれたら誰も止められねぇよ」

 

「退場覚悟でワザとclashしてやればいいのよ、倒れる拍子に膝でもdestroyしてやればperfectネ」ニコッ

 

…これがボクの国のバトルシップ

実に合理的な考えだ

たしかにイカサマだろうがワザとだろうが立証できず、一度通ればそれは正義だ

 

「ミカァ!!」

 

「どいてくんない?邪魔なんだけど」

 

「やらせねぇ!!」

 

「ウオオォォ!!アレはムラサメのブロック!なんて圧力ッ!」

 

「…ッ」

 

「パス!?」

 

「ナイスだぜミカァ!!」

 

「キター!サツキのスリー!まだまだ喰らいついてるーッ!」

 

五月雨程ではないが、皐月のスリーもかなり厄介だな

そしてあのミカの冷静な判断力、ハルサメ一人じゃ対処できねぇ

 

「クソッ!」

 

「切り替えろハルサメェ!」

 

「気にすんなァ!悪りぃと思うなら点取って返せよダアホ」

 

「はい!」

 

キセキの世代が居るチームって一人が飛び抜けてるからギスギスしてんのかと思ったが、意外とそうでもないのか…

 

「ディフェンス一本!死んでも止めんぞォ!」

 

「こ…これはッ!」

 

「オールコートマンツーマンディフェンス!!」

 

さすが陸奥だ、焼肉の領収書分はやってくれる

 

「む…もうポップコーンがないな」

 

「バーガーもあるよ、ハイ」

 

「貰ってばっかで悪いな」

 

「悪いと思うなら次のoperation、ワタシをstartingmemberでヨロシクネ」

 

「オーケーオーケー、覚えてたらな、っーかデカッ!バーガーデカッ!?」



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提督と秋雲とイノチ!

【登場人物】

秋雲
ハードコアエロ漫画家、ではない
できれば一般誌で連載を持ちたいと夢見ており、ちょっとエロいぐらいは描くが基本は健全

提督(16)
色々と偏った漫画知識の持ち主
実はジ●ンプ歴より月●ガ歴の方が長い


明石の店で煙草と缶コーヒーを購入した俺は、提督室に戻る前に一服する為に喫煙所に来ていた

 

「フーッ~…」

 

喫煙所に貼られたは近所の納涼花火大会のポスターにはデカデカと長門の写真が写っていた

そう言や、なんかポスターのモデルに選ばれたとかなんとか言ってたな…

俺はとりあえず右目の場所に画鋲を刺し、左目に煙草で根性を入れてやった

 

「ナニ小学生みたいなコトやってるんですか?」

 

「ん?お前は…トリコ?」

 

「秋雲っすよ!誰っすかトリコって!?」

 

通りかかったのは陽炎型だか夕雲型だかよくわからない駆逐艦、秋雲

秋雲は何かの遣いか、大きな茶封筒を抱えていた

 

「なんだそれ?ハンコなら持ってねぇぞ」

 

「いや、コレは私が描いた漫画の原稿っす、雑誌に投稿するんすよ」

 

「ほぉ~エロ漫画か?」

 

「違うっすよ、バトル漫画です」

 

コイツ、バトル漫画とか描くのか、意外だな…

前に聞いた噂では余所の秋雲はハードコアエロ漫画を好んで描くと聞いてたが…

 

「ちょっと見せてくれよ」

 

「まぁ…いいっすけど」

 

「俺はこう見えても漫画にうるせぇからな」

 

秋雲から原稿を受け取り、とりあえず読んでみる…

ふむ、コイツ絵は上手いな、今風のキャッチーでスタイリッシュな絵柄、名だたる刀剣に宿る熱き魂がルックスもイケメンな男子に擬人化して戦うハイスピードサムライアクションか…

 

「キャオラァ!!」

 

俺は読み終えた原稿を床に叩きつけた

 

「嗚呼ッ!私の原稿ォォ!ナニすんだアンタァァァ!!」

 

「バカかテメーは!なんだこのイノチの篭もってねぇ漫画は!こんなモンで少年達がワクワクすると思ってんのか!?ア゛ァ?」

 

「い…イノチッ!?」

 

「こんなんでジ●ンプで一番になるとかおこがましいわボケッ!」

 

「いや、そこまでは言ってな…」

 

「お前が漫画を描くの何の為だ!金か!ちやほやされたい為か!違うだろ!?読んで貰いたいからだろーがッ!!こんな読者に媚びた漫画じゃねぇ…お前が本当に描きたいモノを描けよ!」どん!

 

「わ…私が本当に描きたいもの!?提督…目が覚めたっす!自分間違ってたっす!」

 

俺と秋雲は互いに熱い涙を流しガッチリと硬く手を握り合った

 

「私!本当はハーレムラブコメが描きたいっす!」

 

「いいじゃねぇか!少年誌の限界まで攻める!初めて投稿した作品は親にも見せられないドエロス漫画!最高にロックじゃねーか」

 

少年誌にはムネワクワクのアツいバトル

漫画だけではない、エロ本を買う事ができない少年達の股ぐらをカチンコチンする漫画も必要なのだ

 

「とりあえず、前に考えていた案があるんすけど…」

 

「ほぉ、見せてみろ」

 

秋雲は別の茶封筒から原稿を取り出し、俺はそれを受け取った

 

ふむ、主人公の冴えないボーヤが在りし日の軍艦の魂を持った美少女達と共に深海から現れた謎の敵と戦うちょっとエッチなハイフリートミリタリーアクションか…

 

「…どうっすか?」

 

「ん~…悪くないんだけどさぁ、ちょっとパンチが足りないな」

 

「パンチっすか」

 

「この、え~少女達が纏う装備?コレもうちょっと少年心くすぐるギミック感出してみるか」

 

「ギミック感?」

 

「よし、ちょっと紙とペン貸せ…………そうだなこんな感じだ」

 

『吹雪型の艤装・オブジェ形態』

 

「いやコレ完全にアレじゃないすか!絶対怒られるっすよ!」

 

「大丈夫だ、聖衣じゃないからセーフだ」

 

「う~ん、なんかそう言われると大丈夫な気がしてきたっす」

 

「あとはそうだな、この最初の方で主人公が家を出る時に出てる主人公のお母さんな」

 

「え゛?モブにすらダメ出し?」

 

「もうちょい若くておっぱいデカくてムラムラする良いケツに定評がありそうな感じにしよう」

 

「いや、お母さんの出番とかそこしか無いんすけどォ!?今後二度と出てこないんですけどォ!?」

 

「バカヤロウ!後々にこーゆーのが伏線として生きてくるんだよ!」

 

「ふ…伏線っすか?」

 

「そうだ、後にお母さんが主人公の敵として現れるんだが、実はお母さんは敵になりすまし、己の命を犠牲にして主人公に神艤装(ゴッドギソウ)の力を目覚めさせるんだよォ!」

 

「お母さんが重要キャラ過ぎるッ!!っーかなんでお母さんそんなに推すの!?マザコン!?っーか主人公は艤装付けないから!」

 

その後、俺と秋雲はアツい漫画制作会議

を続け、原稿は完成し新人漫画賞に応募した

…結果、普通に落選した



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提督と鈴谷と“K”

【登場人物】

鈴谷(7)
エンコーとかしないビッチ、とにかく八稚女を当てたい癖がバレバレなのをわかっていない

望月さん
覇我亜怒ランキング6位、バーチャでは無類の強さ

鳥海サン
覇我亜怒ランキング8位、6ボタン派


「テイトクぅ~鈴谷とゲーセンいこーぜぇ~、鈴谷の闇払いでヒーヒー言わしたるからさぁ~」

 

「やだよ、お前弱いもん」

 

「ハァ?ちょっと鈴谷を舐め過ぎじゃないですか~?テイトクの知らない間に練習してるんですけどー?ってか、もうとっくにテイトクは超えちゃってるんですけどー?」

 

ニヤニヤ笑いをしながら挑発してくる鈴谷、どうやら余程自信があるらしいな

 

「いいだろう、負けたらパンツ脱げよ」

 

「いいよ~、負けたらね、あ、鈴谷が勝ってもテイトクのクセーパンツとかいらないから、現金でいいから」

 

こうして、俺は鈴谷と共に近所のゲームセンターへと向かった、ヤツの自信から察するに、相当腕を上げたのだろう…

 

『このままでは終わらんぞォー…終わらぞォー…』

 

「ぞォー…ぞォー…」

 

…ダメだった、クズは所詮クズのままだった

 

「…なんで、鈴谷あんなに練習したのになんで勝てない…?夜も眠らずに昼寝して頑張ったのにィ!」

 

「ボウヤだからさ」

 

「…もう1回」

 

「パンツ脱げよ」

 

「もう1回お願いします」

 

「先にパンツ脱げよ、あと、もう1回ヤりたいならスカートもな」

 

「へ、変態ッ!変態!こんなとこで下半身丸出しとか…鈴谷痴女じゃん!もう外を歩けなくなるじゃん!」

 

「うるせぇ野郎だな、ガムテープ貸してやるからコレで塞げばいいじゃねーか」

 

「へ…ヘンタイッ!!変態!!ありえねーし!!変態!」

 

ゴチャゴチャとうるさいビッチだな

ガムテープの何が不満なのだと言うのだ

 

「ん~…あ、提督だ」

 

「ん?あぁ…望月さん」

 

ふと、後ろから声をかけられたので振り向いてみたら望月さんが居た

 

「望月…さん?え?さん付け?」

 

「口の利き方に気をつけろビッチが、望月さんはランキング6位の上位ランカーだからな」

 

「ビッチじゃねーし、なに?コイツ、テイトクより強いの?」

 

「上位ランカーとそうでない者は神と虫ケラほどの差がある、特に、望月さんはバーチャ2ならデスマシーンをも凌ぐと言われている」

 

この店の上位ランカー、特に一桁台はバケモノどもの巣窟だ

俺のようなアマチュアとはステージが違い過ぎる

 

「ふ~ん」

 

「望月さん、今日はバーチャですか?」

 

「ん~、今日は観戦、Kと鳥海サンがヤるって」

 

「け…Kがッ!?」

 

「…ナニ?Kって?」

 

「運が良いぞ鈴谷、今日はめったに見られない上位ランカー同士の戦いが見られそうだ」

 

なるほど、どうりで今日は妙に人が多いなと思ってはいたが…みんなランカー戦を見に来ていたのか

鳥海サンはもう来ているようだが…まだKの姿は無いみたいだな

 

「ねぇテイトク、鈴谷もう帰っていいかな?」

 

「別に構わんが…パンツは脱いで行けよ、股間の部分が湿ったキタネーパンツをな」

 

「湿ってねーし!汚くもねーし!」

 

「敗者がタダで帰れると思うなよビッチが」

 

「チッ…わかったよ!わかりましたよ!脱げばいいんだろォ!脱げば!そんで鈴谷の脱ぎたてパンツスーハースーハーしてタイーホされろォ!」

 

「誰が汚物にそんな事するか」

 

「チクショウ!!」

 

鈴谷がスカートの中に手をかけ敗者の証を勢い良く脱ごうとしたその時…

 

「ナニしてんだ?オマエ?」

 

「ゲェーッ!か、香取ーヌ!!」

 

「エンコーか?あ?遊ぶ金欲しさにパンツ売ってんのか?」

 

「や…違うし、鈴谷エンコーとかしないし…」

 

「ゲームセンターで異性の前でパンツ脱ごうとしてる時点でエンコーじゃないとか通じるかァ!!指導ーォ!」

 

ビタンッ!!!

 

香取先生の指導が鈴谷のケツに炸裂した

 

「あ゛あああああああ!!痛い!痛い痛い痛い痛いぃー!!」

 

「まぁまぁ先生、そのくらいで…」

 

「あら?提督、提督もいらしてたんですか、見回りですか?」

 

「えぇ…まぁ、そんな感じです」

 

「提督も気をつけて下さい、ゲームセンターにはこーゆービッチが居ますから」

 

「び…ビッ…チ、ビッチじゃねーし」

 

「コイツには俺から後でよく言って反省させますから、なんでしたら全裸土下座させたのプリクラで撮っときますので」

 

さすがは香取先生だ、もうオフだと言うのに熱血指導は忘れない教育者の鑑だな

 

「け…Kだ!」

 

「Kが来たッ!」

 

「オーラハンパねぇ!!」

 

そして、ざわめき立つ店内…

 

「お待ちしてましたよ…K」

 

ランキング8位、その変幻自在の操作テクから付いた二つ名は“マダラアーム”鳥海

 

「フフッ…そっちが得意な台を選んでいいですよ」

 

そして、ランキング10位ながらもその実力は2位に匹敵すると云われる無敗の王“K”香取

 

「はじまるよ~提督」

 

「む…オイ、鈴谷」

 

「な…ナニぃ?」

 

「上位ランカーの実力、お前の目でたしかめてみろ」



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提督と速吸とウナギ

今日は二本立て
たまにある珍しい健全で平和な回

【登場人物】

提督(17)
海か川かと問われたら川で釣る
釣りをしながら小説等を読む暇な趣味もある

速吸クン(2)
忘れた頃に久々の登場、スポドリ係の女マネみたいな子
アイオワを仕留めた球は164キロを記録した


土用の丑の日…

平賀某がウナギが売れないウナギ屋の相談を受け、じゃ、この日はウナギ食うのマジナウい!え?食ってないのオマエ?遅れてるぅー、とかしたらよくね?みたいな案を出し、それが流行ったらしい…

 

「よーし、ウナギ釣りに行くか」

 

「ウナギって釣れるんですか?」

 

最近、国産のウナギは高くてなかなか手が出せない

一応、間宮食堂にもウナギの品目はあったが注文するにはなかなか手を出し辛いものがある

そこでこのハンサムな提督は考えた、買えば高いなら、自分で釣って捌けばいいじゃないかと…

 

「大丈夫だ、俺がガキの頃に川で鯉を釣ろうとしたらたまにウナギが釣れた覚えがある」

 

「へぇ」

 

「では行って来る」

 

俺は釣具セットを持ち、近所の川に向かう事にしたが、その前に何か飲み物でも買って行くか…

 

「あ、提督、お疲れ様でーす」

 

「む…君はたしか、速吸クン」

 

相変わらずスポドリ係の女マネにしか見えないな

このクソ暑い中、走り込みでもしていたのか、青春と色気の健康的な汗を流している

 

「どこかにお出かけですか?」

 

「釣りだ」

 

「釣りですか、何狙いですか?」

 

「ウナギだ」

 

「へぇ~、いいですね!ウナギ!私も田舎ではよく釣ってました」

 

釣り女子とか言うのは聞いた事があるが、ウナギをよく釣ってたと言うのも珍しいな

 

「…速吸クン、ウナギは捌けるかね?」

 

「捌けますよ」

 

「よし、採用」

 

「はい?」

 

「ウナギ釣りに付き合いたまえ」

 

「まぁ…別に構いませんが、その前に着替えて来ていいですか?さすがにちょっとコレは汗臭くて…」

 

俺が変態ならばそのムレムレでスケスケ寸前なのがいいのだよと言うところだが、俺は変態ではないので汗を流してサッパリとして来る事を勧めた

 

「構わんよ、そこで煙草吸ってるから着替えてきたまえ」

 

 

「はい!」

 

う~む、相変わらずうちのような掃き溜めには珍しい子だ

冷静に考えると、実はかわいいのではないだろうか?

 

「フーッ~…」

 

煙草に火を点け、白煙を吐き出す

飲み物ついでに煙草も買っておかないとなと考えていた時、また汗臭いのが歩いて来た

 

「む、提督ではないか?」

 

「よぉ、なにやってんだ?盗撮か?」

 

「フッ、このビッグセブン、そういつも盗撮しているワケではないぞ?」

 

汗臭い長門が泥臭い汗をダラダラと流しながらやって来た

 

「こっち来んなよ汗臭せーな」

 

「日陰だから仕方あるまい」

 

「で?なにやってたんだ?ポリに追われてんのか?」

 

「フッ、このビッグセブン、そういつも追われてはいないぞ?なんなら身体検査しても構わん、私はシロだからな」

 

「誰がするか」

 

「ちなみに提督よ、そのケースはなんだ?刀でも入ってるのか?」

 

「釣竿だ」

 

「釣竿?なんだ?釣りに行くならこのビッグセブンも付き合ってやってもいいぞ、こう見えても昔はグランダーナガトと呼ばれた釣りの達人だからな!」

 

ムサシじゃねぇんだな…っーかムサシだとバス釣りだった気がするが

 

「結構だ」

 

「なんだ?付き合いが悪いな………ハッ?まさか貴様、このビッグセブンに黙って駆逐艦のエンジェルス達と行くつもりではないだろうな!?」

 

「行かねぇよ」

 

「そうか、ならいい」

 

仮に、そうであってもお前には言わないがな

 

「ではやはり一人で行くのか?」

 

「いや、速吸クンを待ってるところだが?」

 

「速吸…?」

 

「たまにスポドリ配ってる女マネみてーなヤツだ」

 

「あぁ、あのマネージャーみたいな………ん?彼女はマネージャーではないのか?」

 

コイツ、マジでただのマネージャーと思ってたのか…

 

まぁ、俺も人の事は言えんが

 

「あんま速吸クンを舐めんなよ、彼女はああ見えて世界最速狙える肩してんだからな」

 

「ほぉ~」

 

「こないだなんかアイオワを三振に仕留めてたぞ」

 

特に、最後のバットをヘシ折る豪球は戦慄すら覚えたぐらいだ

 

「お待たせしました~」

 

「む」

 

「あ、長門さん、こんにちは、トレーニング中ですか?」

 

「あぁ、このビッグセブン、トレーニングは欠かさないからな」

 

「よし、では行くか速吸クン」

 

「はい!」

 

ウナギか…速吸クンも来たし、そろそろ狩るか




明日はお休みです
次回は明後日です


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提督とプリンツとハーゲンダッシュ

【登場人物】

提督(18)
ビスマルクさんが好き、露骨に態度が変わるナイスガイ

ビスマルクさん
ドイツの誇る大戦艦
ちやほやされてきたせいか、意外と普通、普通のビスマルク

プリンツ・オイゲン
ビスマルクさんの舎弟、アネゴ命
提督との仲は露骨に悪い、アネゴ命だがいわゆるレズではないらしい

レーベくん
初めて会った時に提督からチ●ポついてるんですか?と聞かれてドン引き、それ以来会話した事はない

マックスくん
同じくドン引きした


【前回までのあらすじ】

 

圧倒的な力を持つ防空棲姫!大和型の超火力すら涼風の如く受け流す彼女の前に次々に倒れて第六駆逐隊のゆく仲間達!

 

「ナニ…?血ガ?」

 

トドメを刺そうとしたその時、防空棲姫の手から一筋の血が流れる

返り血か?いや、何かが今、飛んできたのだ…

 

「コレハ……暁型ノ部品?コレガ私ノ手ニ傷ヲツケタノカ!?」

 

ゴオオオォォォ!!

 

「そうだ、防空棲姫よ…私の兄弟達にそこまでした以上、その程度の傷じゃ済まないよ」

 

「オ、オマエハーッ!!」

 

不死鳥ッ!!“不死鳥”のヴェールヌイ!!

 

「お前には地獄を見て貰う」

 

◆◆◆

 

「それ去年の話ッ!前回じゃないで去年の話ッ!だからなんで1日休んだだけでバトル展開!?」

 

昨年の夏、俺にとっては二度目となる夏は一度目の夏が無念の敗北になった苦い経験から、一年かけて万全の体制を作って挑み、それでも尚、なんとかギリギリの差で勝利した戦いだ…

思い出したくもないが、思い出すのは防空棲姫の太股がエロかった事ぐらいだろう

正直、二度と会いたくないが、もし会ったなら今度こそ肉●器にしてやる

 

「肉●器になァ!」

 

「なにがァ!?」

 

む、つい声に出てしまったか…

五月雨のやつがドン引きしている

 

「気にするな、ただの独り言だ」

 

「今更ですが、その独り言はどうかと思いますが」

 

「笑ってくれて構わんよ」

 

「笑う要素が無いんですけど…あ、そうそう、上から作戦の参加通達来てますよ、今週末からです」

 

「そうか、もうそんな時期か…」

 

そういや昨日からどいつもこいつも真面目に訓練してるのを見かけたな、普段はチューインガム食いながら漫画読んでゲラゲラ笑ってるバカどもだが、さすがにシーズン前になるとレギュラーの座を狙いおる

 

「よし、たまには真面目な訓練でも見に行くか、五月雨、麦茶を持って付いて来い」

 

「自分で持ってくださいよ、はい、水筒」

 

俺と五月雨は麦茶とクーラーボックスを持ち、真夏の訓練場の視察へ向かう事にした

 

「喉が渇いたわね」

 

「ミネラルウォーターです!」

 

「ありがとう、あと、アイスが食べたいわ」

 

ミネラルウォーターを飲み干し、さらにアイスを所望するワガママボディの金髪美女、ドイツが誇る大戦艦、ビスマルクさん

 

「すぐに準備致します!レーベくんかマックスくん!ハーゲンダッシュ買って来て!今すぐ!」

 

そして、自称・ビスマルクさんの一の舎弟、プリンツ・オイゲン

 

うちの国産どもが居ないところを見るに、どうやら今の時間はドイツ海軍が訓練場を占有しているらしい…

 

「仕上がりは順調なようじゃないか、ビスマルクくん」

 

「あら?提督、私を見に来たの?感心ね」

 

「ハッハッハ、当然ですよ、ハッハッハ」

 

ビスマルクさんだからこそ許されるこの態度、仮に金剛辺りがこの態度だったら正中線に四連撃を叩き込むところだ

 

「ナニしに来たんだァ?このゲスチンヤローがァ、アネゴから離れろ、殺すゾ?」

 

「あ゛?俺は今、ビスマルクさんと楽しくお喋りしてるんだよ、消えろ」

 

俺とビスマルクさんの間にいつも割って入ってきやがるな、このプリケツヤローは

 

「は?今は見逃してやるから、お前が消えろ」

 

「ア゛ァ?オイ、ケツプリ、誰が、誰を、見逃してくれるって?」ピキッ!パキッ!

 

「ニホンゴのわかんねークソアトミラールだな、クチャクチャのザワークラウトにしてやんよ?」ピキッ!パキッ!

 

コイツとはここで“決着”つけてやる必要がありそうだなァ~

 

「プリンツ」

 

「はい!アネゴ!」

 

「アイスが食べたいのだけど?」

 

「そうでした!すぐに!すぐに準備を…」

 

「クックック…」

 

「なんだァ?何がおかしいんだコラ?殺すゾ」

 

 

「そうかそうか…ビスマルクさんはアイスをご所望か」

 

「!」

 

クックック、どうやら気付いたようだな、俺が持っているクーラーボックスに

 

「ビスマルクくん」

 

「なに?」

 

「アイスなら、丁度、私が持ってい…」

 

「あら?そうなの?」

 

勝った!絶望しろ!絶望しろよプリンヤロー、ビスマルクさんにアイスを渡して好感度アップはお前じゃあ無い!この!提督だ!

 

「クッ……そ、そうだ!アネゴはハーゲンダッシュ!高貴なアネゴはハーゲンダッシュしか食さない!」

 

「な…なにィ!?」

 

「そのクーラーボックスに入ってるのはどーせガリガリするヤツでしょ!アトミラールがいつも食べてる高貴じゃないヤツ!」

 

このクーラーボックスの中に入っているのはガリ●リ君…

高貴なビスマルクさんには少々似合わない可能性が大ッ!

 

「やはり高貴なアネゴにはハーゲンダッシュ!さぁレーベくん!マックスくん!早く買ってきて!」

 

「え?イヤだけど」

 

「自分で行けよ」

 

バカめ!なんて人望の無いヤローだ!

 

「オイ五月雨!ハーゲンダッシュ買ってこい!」

 

「普通にイヤですけど?」

 

「ププーッ!自分もじゃん、ダッサ!」

 

「ア゛ァ?」

 

こうなったら自分で“購入”するしかあるまい!

俺はクーラーボックスを床に置き、明石の店へと最高のスタートを切った

 

「逃がすかァ!」

 

プリンチペ!やはり貴様もかッ!

だが学生時代は光速のランニングバックと呼ばれた俺に勝てるかな?

 

「うおおおおぉぉぉ!!」

 

「ふぁいあぁぁぁぁ!!」

 

・・・

 

「サミダレ、それ、何か入ってるの?」

 

「シロクマですけど?食べます?レーベさんとマックスさんも」

 

「…なかなか美味しいわね、悪くないわ」

 

この後、明石の店に到着した俺達はハーゲンダッシュが無い事を知り、灼熱の炎天下、更にコンビニまで走り、帰りは緊急搬送された



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提督と潜水艦と続ナイトクラブ

今日も二本立て

【登場人物】

鳳翔(2)
HO‐SHOWのオーナー
かなりテキトーだがその影響力は強い

168
潜水艦、4人いる

58
潜水艦、4人いる

19
潜水艦、4人いる

8っちゃんさん
潜水艦、名前だけ登場、4人いる



鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ、改めて言うが決していかがわしい店ではない

 

「なんだい?今日は一人かい?」

 

クラブHO‐SHOWのオーナー、鳳翔

煙管が長い、すげー長い

 

「パイオツの大きな娘で」

 

「高雄と愛宕なら今日は居ないよ」

 

「そりゃ好都合だ、アイツらに絡まれるとロクなコトがねぇ」

 

「じゃ、テキトーなの寄越すからテキトーなトコに座ってな」

 

ママのテキトーな接客態度は今に始まった事ではないが、さすがにテキトーすぎるだろ…

とりあえず俺はテキトーな席に座った

 

「58でーす」キリッ

 

「19でーす」キリッ

 

「168でーす」キラッ

 

…潜水艦か、まぁ、アリか?っーかコイツら、日々、それなりに稼いでんのにまだ稼いでんのか

 

「おう、とりあえず座れよ、で酒注げ、あと、たまにアクシデント的におっぱい触るけど笑顔で許せよ」

 

「は?」

 

「それは提督の誠意次第なのね」

 

ヒュー…誠意、誠意か、それはつまりアレか?1タッチにつきそこに差し込めって事か、フッ、大したヤツらだ

 

「とりあえずビールな」

 

「はーい」

 

「じゃカンパーイ!」

 

「ウェーイ!」

 

うむ、やはりこうでなくてはな、あのおっぱいモンスターズではこうはいかん

アイツら躊躇無くボトルいれやがる

 

「そういや8っちゃんさんはどーした?」

 

「見たい番組があるから今日はお休みなのね」

 

「ふ~ん」

 

「提督ぅ、ボトルいれていい?ボトル?」

 

「いいんじゃね?」

 

 

「ヒュー!ママー!提督ボトルいれていいってー!」

 

このぐらい可愛い気があるなら俺とて問題ないのだがな

とりあえず、重ねて言うがこの店はいかがわしいお店ではない

今日は、ほら、なんだ?コスプレデー的な日だろうから店員が水着でも問題はない

 

「そういや今日提督一人なんだ?サミーは?」

 

「知らん」

 

「サミーが提督はホモって言ってたから安心なのね」

 

「何が!?」

 

っーかあの野郎、誰がホモだ

 

「え~?168は提督はロリコンって聞いたよ?」

 

「誰が言ってたんだ?誰が?」

 

「長門サン」

 

明日、金属バットで腹を強打してやる

 

「19はマザコンでロリコンでヘンタイでドーテイって聞いたのね」

 

「誰に聞いた?」

 

「スズヤなのね」

 

…全殺し確定だな

 

「一応言っとくが、そりゃ全部ウソだからな、俺はホモでもロリコンでもマザコンでもドーテイでもない」

 

「…ヘンタイは認めるんだ?」

 

「男ってのはだいたい大なり小なりヘンタイなんだよ、いいか?ヘンタイじゃない男などどこにも居ない、俺もお前もヘンタイなんだよ」

 

「や、私、男じゃないし…」



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提督と夕張と酸素破壊剤

昨日は途中で力尽きました

【登場人物】

夕張(4)
たまにはスゴいものを作るスゴいヤツ
誉められる事に、あまりも不慣れ過ぎている

鈴谷(8)
カレーが好きで好きで仕方ない、普段は食堂の給食カレーとボンカレーで我慢してる我慢の子


「足がないな」

 

「足なんて飾りです」

 

夕張のアホが作ってきたよくわからない物体を前に、俺達は煙草をふかしながらいつもの遣り取りをしていた

 

「で?ナニコレ?」

 

「はい!水中酸素破壊剤!またの名を!オキシジェンデストロイヤーです!」

 

オキシジェンデストロイヤー、水中で使用すると周囲の酸素を破壊し、そこらへんにいる生物を死滅、液状化させる物質である

 

「オマエたまにすげーの作るよな」

 

「いやぁ~それほどでも」

 

その破壊力はハンパではなく、あのゴ●ラすら完全に殺ったコトもある

 

「使用するには流石に躊躇いがあるが、まぁ、よくやった、誉めてやろう」

 

「ありがとうございます!」

 

「とりあえず、ロッカーの中にでも入れとくか…」

 

「あの…」

 

「なんだ?まだなんかあるのか?」

 

「いえ、今日は尻を出せと言わないのかと…?」

 

「そりゃオマエ、いつものバカ兵器ならア●ルプラグでもブッ刺すが、今回は使い難いがバカ兵器ってワケでもないしな」

 

「…そうですか」

 

心なしか、残念がっているように見えるのは俺の気のせいだろう

思えば、今までコイツを誉めた事があったであろうか?

 

「ティーッス、鈴谷がお小遣い貰いにきましたよ~…ん?今日はサミーいないの?あ、夕張サンじゃねっすか、チッス!」

 

「何を用か?」

 

「お小遣い貰いにきたって言ったじゃん」

 

「…そうだな、カルピスの原液を一気飲みできたら考えてやる、上の口からな」

 

「上の口とかゆーな、変態!」

 

「で?飲むのか?飲まねーのか?」

 

「…さすがに原液はちょっと」

 

まぁ、このカルピスは俺のではなく、五月雨が買ってきたやつだから無くなったら殴られるけどな

 

「なら死ね、オイ、夕張、メシ食いにいこーぜ、好きなモン食っていいぞ」

 

「え?いいんですか?」

 

「誉められる事をしたのだ、当然だろう?」

 

「じゃ…じゃあ、素麺とかで」

 

「もっと高いモンにしたまえよキミぃ、ウナギでも食うか?」

 

「ちょ!ちょっと待って!鈴谷も行きたいんですけど!ウナギ食べたい!」

 

「あ?殺すぞ」

 

「対応が違い過ぎるッ!!鈴谷に対してだけ厳し過ぎるッ!」

 

「当たり前だ、ビッチが」

 

「だからビッチじゃねーって何度も言ってるだろォ!鈴谷こう見えても清純派だし!」

 

「あ~あるある、そんなタイトル書いてるビデオ、俺も若い頃はよくパッケージだけ見てレンタルしなかったよ」

 

「しろよッ!!」

 

そもそも、清純派がそんなビデオに出てる事自体がおかしいだろうと当時の俺は考えていたぐらいだ

 

「いや、ウナギはこないだ食ったし…カレーでも食いに行くか?なかなかスパイシーな会心の一食の店があるらしい」

 

「カレーですか、いいですね!」

 

「それこないだ鈴谷が教えてあげた店じゃん!鈴谷が行きたいって言った店じゃん!なんなの?鈴谷の目の前で他のヤツ誘うとか何のイヤがらせ!?」

 

「うるせーな負け確ヒロインみてーなコト言ってんじゃねぇよ、オマエも来るか?金は自分で払えよ」

 

「…クッ!鈴谷にも奢ってください!」

 

「無理」

 

「おねがいしゃーッス!!ホントに!ホントに食べたいんです!あ、パンツ!パンツでいい?今すぐ脱ぐから!脱ぎたてだよ!今ならニーソもつけるし!」

 

そ…そこまでしてカレーが食べたいのか?恐るべき執念ッ!正直、ドン引きだよ

 

「あの…なんでしたら鈴谷さんのは私が出しましょうか?」

 

「バリッ!!………いや、あなたが神かッ!」



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提督と煙草と…

今回は長編導入回、いつもと違うよ提督

【登場人物】

提督(19)
37話目にしてちょっと真面目
男には自分の世界がある

五月雨(9)
初期艦故にツーカーな面、そーゆートコもムカつく


いつもはアツいバスケットを繰り広げられている体育館

しかし今日は違う、所属する艦娘全員が召集されていた…

 

「え~オマエら、今日からいよいよ夏の大作戦、第二次マレー沖海戦が始まる」

 

本部から通達された迎撃作戦

 

「わかっちゃいるとは思うが、俺は使えるヤツは誰でも使う、たとえスタメンでなくとも全員コンセントレーションを緩めるな」

 

一攫千金のチャンス、たった一度のMVPでも普段のショボいバイト代を超えるカネを獲得でき、ボスを討ち取れる事ができたならば多額のカネがその懐に舞い込む、そのチャンスが全員にある

 

「どうした?金剛、ビビってるのか?」

 

最前列に並ぶ金剛型戦艦、そのヘッド、金剛は口許から一筋の血を流して小刻みに震えていた

 

「嬉しいん…デェス!命じてくだサァ~イ!…今すぐッ!」

 

「俺が許す、殺せ」

 

オオオオオォォォォォ!!!

コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!

 

「とりあえず、作戦の詳細が届き次第、楽しい楽しいスタメンの発表だ、ワクワクして待てよ」

 

◆◆◆

 

「フーッ~…」

 

俺は椅子に座るとさっそく煙草に火を点ける

 

「お疲れ様です、あと、煙草は喫煙所でお願いします」

 

「作戦期間中は許す、そーゆー約束だろーが」

 

「まだ、です」

 

「ちょっとぐれー大目にみ…」

 

「みません」

 

断じて、五月雨のメンチにビビったワケじゃあない、が、大人は約束を守るものだ

俺は煙草の火を灰皿に押し付けた

 

「コーヒー」

 

「はい!今、淹れますね!」

 

「缶コーヒーな」

 

「自分で買って来たらどうですか?」

 

コイツ…なんて露骨に態度を変えやがる

恐ろしい子だよ

 

「そうするわ、上から連絡があったら、ただいまおかけになった電話はハンサム過ぎて女の子にキャーキャー言われて手が放せないですって言っとけ」

 

「そうですね、長めの糞に行ってますとでも言っておきます」

 

「チッ…」

 

「あ、これもどうぞ」

 

五月雨は机から小瓶を取り出し、俺に投げて渡した

 

「…そーゆートコもムカつくんだよ、テメーは」

 

「そうですね」

 

◆◆◆

 

一度目の夏、唯一の敗北を喫したミッドウェーの敗戦は俺に多くを教えてくれた

資材の運用、艦隊と艦種と練度、そして…仲間を失う痛み

 

「よぉ…ひさしぶりだなァ」

 

鎮守府から少し離れた岬の丘、昼ならなかなか景色がいいだろうが、夜だと少し飛び込みたくなる景色だな

 

俺は手にした小瓶の蓋を開け、雑に並んだ石に中身をぶちまけてやり、煙草に火を点ける

 

「フーッ~…またこの時期がきたぞオマエら」

 

去年もこうして訪れ、次に来る時はキラキラした勲章でも飾ってやろうと言ってみたが、結局、そいつは叶わなかった

 

「できれば、飾ってやりてぇなァ~…どうだオマエら?」

 

当然ながら、答えは返って来ない

 

「…ま、期待半分くらいで頼むわ」

 

俺は煙草を石に投げ捨て、缶コーヒーと煙草を買いに明石の店へと向かった




次回からちょっと真面目、だと思う
更新もやや変則的になります


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ブンタン沖哨戒①

今回からイベント海域編です
前回の引きがシリアス風味でしたが、あくまで、ちょっと真面目になった程度


【登場人物】

五十鈴
潜水艦殺しの達人、眼の力が凄いらしく、五十鈴にはツルスケじゃねーのってぐらい見える

潜水夏姫
ハードなトレーニングの末、先制雷撃と言う新たな力を得て、サンドバッグ姫の汚名を返上しに来た



「よォ~し、スタメン発表すっぞ~」

 

手元の書類から見るに、まずは対潜水艦からスタートする今回の作戦

厳選せねばなるまい、人類最強の潜水艦狩りの達人集団を

 

「名前を呼ばれた奴は元気に返事しろよォ~」

 

とりあえず、まずは駆逐艦だな

 

「皐月ィ~」

 

「ハイ元気です!」

 

駆逐艦皐月、最近新たな力を手にした睦月型期待のエースナンバー

 

「リベェ~」

 

「ハイ元気です!」

 

駆逐艦リベッチオ、イタリアから来た違法性の高い駆逐艦

勉強が苦手らしく、よくローマからクサレ脳ミソがーッ!とされている

 

「初春様ぁ~」

 

「妾には見えておる」

 

駆逐艦初春様、大変、雅な御方、雅過ぎて様を付けてしまう

 

「叢雲ォ~」

 

「あ~…はい?」

 

駆逐艦叢雲、ズラズラ言ってる芋型駆逐艦姉妹の突然変異種

DNAの定めしカルマがこのスタイリッシュを作り上げたのだろう

 

「で、軽巡は五十鈴、オマエだ」

 

「ヨッシャア!!MVP総獲りキターッ!」

 

人類最強の潜水艦狩りの達人、五十鈴

一時期、才能の芽が伸びずに悩んでいた時期があるものの、ターゲットを潜水艦に絞ると言うワンポイントリリーフに転向、自信とおっぱいを大きくした

 

「クッソォ~…やっぱ五十鈴サンか」

 

「いいっていいって、五十鈴サンが討ち漏らしたヤツを殺ればいいし」

 

「あ゛?誰が残すかよ?全部パツイチでキメてやんよ?」

 

素晴らしい自信だ、自信を持つ事自体は決して悪いことじゃあない

 

「で、最後は……金剛、お前だ」

 

「what?ヘイ、敵は潜水艦じゃナイないですか?」

 

「潜水艦だ」

 

「ヘ~イ、意味わかんねーデース?」

 

「勿論意味はある、金剛、今回のオマエはサポートに徹して貰う」

 

「ハァ?サポートォ~?」

 

敵、潜水艦を確実に沈める為、攻撃の手数を増やす必要がある、そう、つまりは仲間達にパスを通す幻の六人目がこのチームには必要なのだ

 

「ヘーイ、それちょい地味じゃネー?っーかワタシじゃなくてよくネー?アメリカヤローのデビューさせてやったらどうネー?」

 

「ガタガタゆーな、膝の皿叩き割るぞ」

 

スタメンは、五十鈴・皐月・初春・叢雲・リベッチオ・金剛

 

「まずは初戦から圧倒してやれ、オマエらァ!!一発カマしてこいッ!」

 

『押忍ォォェス!!!』

 

◆◆◆

 

「麦茶をどうぞ」

 

「うむ」

 

先発メンバーを送り出し、執務室で作戦の様子を確認する為に設置してあるモニターの電源を点ける

 

「五十鈴にはスケスケだぜ!」

 

「出た!五十鈴サンのインサイト!」

 

「五十鈴サンには骨格まで見えているのかーッ!」

 

案の定、五十鈴が猛威を奮っているようだな…

敵も潜水艦が中心なようだが軽巡やら駆逐艦やらも交ざっている、チーム的には序盤の立ち上がりとしてはまずまずと言ったところか

 

「この感じ…あの人かッ!」

 

「フフ…キタノネェ!エモノタチガ!」

 

やはり現れたようだな潜水艦の姫級!潜水棲姫!………ではなく、潜水夏姫?なんだコイツ?遊びにでも来たのか…?

 

「おう…またサンドバッグにされてーらしいなァ~サンドバッグ姫ちゃんよォ~」

 

「ソレハドウカナ?」

 

「なにッ!?」

 

今までに無かった先制攻撃!!

バカな…ッ!いきなり雷撃を撃ってきた…だと?

 

「ガハァ!!」

 

「五十鈴サン!」

 

「五十鈴サン!」

 

「…ゴホォ、て…テメェ…舐めやがって、ジョートーじゃねぇの?」




次回は②です


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ブンタン沖哨戒②

とりあえず、攻略は終わりました

【登場人物】

提督(20)
だらしない提督ですまない…

間宮(2)
最近、水着で誘っている
かき氷は材料費がタダ同然なので売れると嬉しいらしい


「先制雷撃か」

 

「先制雷撃です」

 

初戦、ブンタン沖哨戒に現れた潜水艦の姫級

今まで何度か見た事があったが、いきなり雷撃を撃って来たのは初めてだな…

 

「ここまでの四回、確実に五十鈴さんを狙って来てますね」

 

「そりゃアレだな、五十鈴が一番ヤバいってのを本能で感じてたんだろ」

 

「どうしますか?」

 

「…叢雲に電話繋げ」

 

戦艦の投入で手数を増やしたがなかなかてこずっているな

とりあえず、現在の状況を確認しておくか

 

『もしもし?』

 

「オレだ、今どうなっている?」

 

『え?…あぁ、そうね、新しい国が生まれたわ』

 

「は?」

 

新しい国?

…なに言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

『とりあえず映像送るからそっちで確認してよ、じゃ』

 

「あ、もしもし?もしもォーし?あのヤロー、切りやがった、オイ五月雨、テレビつけろ、テレビ」

 

「はいはい」

 

◆◆◆

 

「スケスケだぜッ!」

 

「勝つのは五十鈴!勝つのは五十鈴!」

 

「勝者は五十鈴!敗者は深海!」

 

潜水夏姫VS五十鈴

五十鈴には丸見えでお馴染みの五十鈴は遂に究極奥義“五十鈴王国”に開眼していた

 

「イタイ!ヤメテヨォ!」

 

「五十鈴には丸見えだぜ!オマエの絶対死角がなッ!」

 

度重なる先制雷撃に遂にプッツンした五十鈴の攻撃

スピード、柔軟性、視野、反応速度、死角を消そうとしても関節や骨格が対応できない絶対死角を狙う事で決して逃れる事が出来ない

 

「ヤツの中途半端なタンホイザーが五十鈴サンを本気にさせちまった」

 

「妾にも見えておる」

 

「フッ、もうこうなった以上、親でも五十鈴は止められないデース」

 

「ツルスケじゃねーの!」

 

「イタイ!ヤメテヨォ!ヤメテヨォ!」

 

「…あ、電話、もしもし?」

 

『オレだ』

 

「見てる?あぁ、うん、そんな感じだから、うん」

 

「テイトクデスカー?」

 

「提督よ、代わる?」

 

「ヘーイ、金剛デース、帰ったら傷だらけの戴冠式の準備しててくだサーイ」

 

「イタイ!イタイ!ヤメテヨォ!ヤメテヨォー!!」

 

どうやら、目覚めた王が圧倒しているらしい、俺は電話を切り、五月雨に煙草買ってくると伝えて間宮の店に向かった

 

どうやら次の準備を始めても大丈夫なようだ…

 

「いらっしゃいませー」

 

「かき氷、あと、なんか甘いモンあるか?」

 

「ありますよ、ショーケースの中に」

 

給糧艦間宮、おっぱいの大きな食堂のおばちゃんみたいなヤツだが………なんでコイツ、脱いでんの?痴女なのか?

いや、誘っているのか?

 

「じゃ、右のヤツから左のヤツまで1個づつくれ、7個な」

 

「よく食べますね」

 

「俺が食うワケねぇだろうが、生クリームとか匂いだけで吐き気がするわ」

 

「あ、もしかしてご褒美用ですか?意外と気が利くコトするんですね」

 

「意外とかゆーな、あと、なんだその格好、誘ってるのか?サービスに挟ませてくれるのか?」

 

「…え?提督、ホモって聞きましたけど…?」

 

「…誰に?」

 

「五月雨ちゃん」

 

「…1個減らせ、6個な」

 

ちょっと優しくしてやろうと思えばこれだ、アイツには少し厳しい教育が必要だな




次回から第二次エンドウ沖海戦、戦慄!ゴッドヒップ!


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提督と扶桑姉妹と続続ナイトクラブ

作戦期間中?知らないね!

【登場人物】

扶桑(2)
通称、姉様
拭いきれない不幸が漂う航空戦艦
菩薩の如き優しさと評判

山城(2)
通称、妹
姉様依存症の疑いがある航空戦艦
色んな意味でヤバい


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ、くどい様だが決していかがわしい店ではない

 

「今日は静かに飲みたい気分でな、どちらかと言えば物静かで煩くない娘がいいな、あ、おっぱい大きめで」

 

「注文が多いねぇ、まぁいいさ、テキトーなトコに座ってな」

 

いつもの如く、ビッグママこと鳳翔のテキトーな接客でテキトーな席へと座った

作戦期間中?知らないね

 

「…扶桑です、宜しくお願いします」

 

「妹の山城です」

 

「お、おぅ…」

 

改二になって人並みの不幸になったが、それでも拭い去れない不幸感が漂う航空戦艦姉妹、扶桑型

コイツらもここで働いてたのか、意外だな

 

「…提督、エチルにしますか?メチルにしますか?」

 

「お勧めはメチルよ、姉様」

 

「…そう、山城は物知りね、じゃあメチルにしましょう」

 

「オイ!!なんでそんな選択肢!?しかもメチル勧めるの!?ビール、とりあえずビール!」

 

コイツら…俺になんか恨みでもあるのか?特に妹ッ!

 

「…ビールですか?山城、ビールはどれかしら?」

 

「たぶんこれよ、姉様」

 

「…ありがとう山城、どうぞ、提督」

 

山城が取り出したのは、オリ●ンビール

いや、まぁ、うん…ビールだよ?しかしなんだ?なんでまたそんな微妙に地域限定っぽい銘柄を?

まぁ、飲むけどな

 

「…提督、私達も頂いて宜しいかしら?」

 

「ん?あぁ、構わんぞ」

 

「…では私は水道水を、山城は何にするの?水道水?井戸水?」

 

「いや、普通になんか酒飲んでいいからッ!」

 

なんで水!?せめてミネラルウォーター的なものにすりゃいいのに、なんで水道水か井戸水!?

 

わからん、コイツらだけは本当によくわからん

 

「姉様、シャンパンはどうでしょう?」

 

「…シャンパン?山城はなかなかお洒落なのね、いいわ、山城がいいならそれにしましょう、宜しいですか?提督」

 

「あ?あぁ、うん、いいんじゃね?」

 

「ママー、提督がドンペリ、ロゼ」

 

「オイィィィ!!オイコラ山城ォ!オマエなに頼んでんの!?しかもオマエ!ロゼったろーがァ!!」

 

コイツら…いや、山城ォ、コイツだ!

コイツが俺の警戒心に警鐘を鳴らしてやがる!

どうやら扶桑はちょっとおっぱい揉むぐらい許してくれそうな素人だが、山城、コイツは違うッ!

間違いなくランキング上位だ

 

「…ダメよ山城、どんぺりってとても高価なお酒なんでしょう?私でも名前を聞いたコトがあるもの…」

 

「さすが姉様、博識でいらっしゃる」

 

「…そんな有名なお酒はダメよ、私達には勿体無いわ」

 

「さすがは姉様、たかが底辺の財布を心配するなど…まるで菩薩の如き優しさです」

 

「オイ妹、今オマエ、オレのコト底辺ったろ?オイ」

 

「では姉様、この、リシャールにしましょう」

 

「…りしゃーる?聞いたコトない名前だわ、山城は本当に物知りね」

 

「ママ、リシャール入りま…」

 

「オイコラァ!!妹ォォォ!!オマエ姉様の無知と優しさにつけ込み過ぎだろォォォ!!」

 

「チッ……いいから金だけ出せよ、クズが」ぼそっ

 

コイツ、本性を現しやがった!

 

「あと、次、姉様の太ももに触ったら“バラ”すぞ」

 

コイツ…なんてドス黒い目をしてやがるッ!!

コイツの精神こそ暗黒空間だ!バリバリ裂けるドス黒いクレバスだッ!!




次回こそイベント編


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第二次エンドウ沖海戦①

イベント編3回目

【登場人物】

戦艦夏姫
脅威の吸引力を誇る戦艦棲姫のクールビズ
素晴らしいケツを見て、まず感謝した
謝りたい感じているから感謝と言うのだろう


「お待ちかねの出撃だァ!一軍だろーが大破する奴は即レギュラー落ちだ!気合を入れていけよォ!」

 

第二次エンドウ沖海戦

今回の作戦は殲滅ではなく輸送らしく、とりあえず大発やらドラム缶やらを出撃メンバーに持たせて送り出した…

 

「僕に艦載機を飛ばすつもりかい?頭が高いよ」

 

旗艦、白露型キセキの世代のリーダー、時雨

 

「すげぇ、さすが…味方だとこんなに頼りになるとは」

 

「キセキの世代、ハンパじゃねぇ…」

 

大発要員の睦月、如月

 

「この菊の紋章の輝きを恐れぬならかかってこい!」

 

大和さんに憧れるあまり形から入っている軽巡、自称、大和さんの一の舎弟、矢矧

必殺技は46cm砲(未完成)

 

「有効射程じゃあ!」

 

日向から習ったらしい必殺の“不可侵のズイウン”を飛ばす航巡、利根

 

「あ、電話…もしもし、千歳です」

 

『オレだ、どんな感じだ?』

 

「今のところ問題なさそうです、たまに敵に遭遇しますけど、だいたい時雨様を讃えるポーズで膝をついてます」

 

そして、今回の電話係、水上機母艦の千歳

 

『わかった、細かいゲームメイクは時雨に任せる』

 

「了解でーす、何かあったら連絡します」

 

◆◆◆

 

「…戦艦棲姫か」

 

「まぁ、ちょっと違うらしいですけど」

 

出撃部隊から送られてきた映像に映る影、それはまぎれもなくヤツだ!

 

戦艦棲姫、過去、何度と無く現れては俺達を戦慄させる大戦艦級…

砲弾に回転をかけて自らに誘導する脅威の吸引力を誇る、手●ゾーンの使い手

 

「しかし…むしゃぶりつきたくなるようなイイ尻だ」

 

「そうですか」

 

「あぁ、思わずpeachと間違いたくなる程だな」

 

とりあえず映像は録画しておき、後で取引先録と言う名のフォルダに保存しておこう

 

「サミュレットくん」

 

「五月雨です、何ですか?」

 

「できれば、もうちょっとローなアングルで頼むと連絡しておきたまえ」

 

「わかりました、さっさと片付けるように伝えておきます」

 

…オイオイ、そんな目で見つめるなよ

 

「…まぁ、オマエに興奮しないけどな」

 

「…なんかよくわかりませんけど、イラッとしていいんですかね?今の」

 

「いいんじゃね?少し出て来る、時雨が戻ったら話があるって伝えとけ」

 

「わかりました」

 

細かいのは時雨に任せるとは言ったが、ヤツが居る以上、こちらも加減している余裕など無いな

余所から流れてきた情報じゃ、ここらで多少本気出しても問題なさそうだし

 

こっちも出さねばなるまい、ヤツの超装甲をブチ抜く可能性を持つ天才達を…

 

「あ、買い物に行くならついでにトイレットペーパー買って来てください、あと、二階のトイレの電球が切れそうなので替えてください、はいコレ、LED電球」

 

「ブッ飛ばすぞテメー」

 

「私じゃ届かないんですよ」

 

「脚立使えよクズが、俺を誰だと思ってやがる?」

 

「ビスマルクさんが暗いわねって言ってました」

 

「わかった、俺に任せろ」



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第二次エンドウ沖海戦②

イベント編E‐2

【登場人物】

時雨(2)
白露型二番艦、天龍や木曾とは違った方向に患っている
ごく自然に人を従わせたりにワリとヤバいものがある

白露(3)
一番先に、時雨がヤバいヤツだと気付いていたけど、どうにもならなかった


第二次エンドウ沖海戦、超A級“掃除人”戦艦夏姫率いる深海東洋艦隊Z部隊とのアツい輸送カツドウに終止符を打つべく、攻略メンバーに下った命はただ、勝つ事、百戦百勝、勝利至上主義は時として天才を生む

 

「久しぶりだね…僕らが揃うのは」

 

エンドウ沖攻略旗艦、白露型駆逐艦、時雨

 

「戦艦棲姫か…いいじゃねーの、楽しませてくれるかもしれねーっぽい」

 

白露型駆逐艦、夕立

 

「え~?ちょっとマジダルいんですけどぉ~?」

 

白露型駆逐艦、村雨

 

「ドラム缶は?え?いらない?」

 

白露型駆逐艦、春雨

 

睦月、如月、矢矧から交替、利根と千歳は据え置きで、あの超装甲を討つ

 

「細かいゲームメイクは時雨に任せる、いいな?」

 

「わかっているよ………だが、僕に逆らう者は提督でも許さない」

 

怖えぇぇぇ!!なにコイツ!!なんなのコイツ!今更だがコイツホントに味方なのか!?

 

「大丈夫ですよ、いつもの時雨姉さんなら逆らう者は提督でも殺すですけど、ちょっとマイルドな表現でしょ?」

 

「今更だが、お前のネーちゃんヤバいな」

 

「えぇ…まぁ」

 

五月雨の話だと、思春期真っ盛りな頃に、気が付いたらボクサカと言い出したらしい

 

◆◆◆

 

時雨とキセキの艦隊が出撃して一時間…

 

「ティーッス!提督ぅー!一番先にお菓子買って来たよー!」

 

「白露か、何か用か?」

 

「あれ?五月雨は?」

 

「便所」

 

「いや…そーゆーのはもうちょいオブラート包もうよ」

 

っーか、便所かどうかも知らないがな、ちょっと出てくるとは言ってたが、小腹が空いてメシでも食いに行ったかもしれん

 

「で?何の用だ?ご覧の通り、俺は忙しい」

 

「…それ、なんてゲーム?」

 

「プーヤン……あ、クソ!死んだ」

 

「全然忙しくないじゃん、って、時雨達が出てるんでしょ?今どうなってるの?勝ってる?」

 

「なんだ?気になるのか?」

 

「まぁね、僕様厨二病でもオレカテと言ってる痛い子でもおっぱいデカくでも淫乱ピンクでも私の妹だし!」

 

えげつねぇな…

 

「で?どうなの?」

 

「何か問題があるなら千歳から電話がある、ないなら問題ないんだろ」

 

「現場の映像とか見れないの?」

 

「見れるぞ、そっちのテレビで」

 

白露はテレビのリモコンを手に取り、電源のスイッチを押した

 

「あ、やってるやってる」

 

「殺ってるな」

 

撮っているのは千歳か…

映像を見るに、時雨を中心にチームは上手く纏まっているようだ

まぁ、些か個人技が目立つ気もするが、下手に足並みを揃えない方がいいのだろう

 

「…」

 

「なんだ?どうかしたのか?」

 

「…提督、この戦闘、なんかちょっと変じゃない?」

 

「そうか?普通だろ」

 

いつも通り、普通に蹂躙しているようにしか見えんが…

っーか、随伴がザコとは言え、戦艦夏姫を圧倒するとか予想以上だよ

 

◆◆◆

 

エンドウ沖海戦

 

「戦艦夏姫、お前は強い、だが負ける」

 

「ッ!!クソォォォォォ!!」

 

戦艦夏姫VS時雨

既に随伴艦のイ級やロ級達は蹂躙され、輸送物資は手の付けられない量を運ばれた

たが、たとえ輸送を許そうと最後まで自分が倒れる訳にはいかない、姫級の矜持が戦艦夏姫の膝は折れない

 

「最後に敬意を表そう、誰一人、最後まで闘志を失わなかった」

 

避ける事は出来ない、無慈悲の五連装酸素魚雷が戦艦夏姫の身体をくの字にヘシ

折った

 

「グッ……ハアッ!!!」

 

「眠れ、歴戦の王よ」




次回はダイヤモンドフォース登場


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提督と金剛姉妹と続続続ナイトクラブ

困った時のキャ●クラ回

【登場人物】

提督(21)
久々に登場からクズオブザクズ

金剛
金剛型一番艦、E1で使ったので暇になった

比叡
金剛型二番艦、そこんとこ、よろしく

榛名
金剛型三番艦、物事を全て大丈夫で片付ける雑な性格

霧島
金剛型四番艦、眼鏡
覇我亜怒ランキング2位


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ、いい加減にしろよと思うだろうが決していかがわしい店ではない

 

「ママぁ~、俺今日パチンコで大勝ちしちゃってさぁ~いや千円で連チャンしてさぁ~」

 

「そりゃご祝儀貰わないとねぇ」

 

「今日誰がいるの?」

 

「高雄と愛宕」

 

「じゃ、そいつら以外で」

 

いつも通り、ママのテキトーな接客でテキトーな席に座って煙草に火を点けた

 

「コンゴーデース」

 

「チッ…提督か」

 

「榛名は大丈夫です」

 

「霧島です」

 

…金剛姉妹、当基地の“暴”の頂点に君臨する悪魔達

全員、着ている服には何故か袖が無い

 

「とりあえずビールな、お前らもテキトーに飲んでいいぞ」

 

「ヘーイ、では私もビールを」

 

金剛姉妹の頂点に君臨する長女、金剛

常に俺の心臓を狙っている、袖がない

 

「私はカシスオレンジにします!」

 

金剛姉妹の次女、比叡、バイオテロの第一人者、やっぱり袖がない

 

「榛名は大丈夫です」

 

金剛姉妹の三女、榛名、ウチに来た時から常に大丈夫しか言わない、たぶんどっか壊れてるんだろう、しかも袖がない

 

「では私は魔王を」

 

金剛姉妹の末妹、霧島、霧島なんだから霧島頼めよ、なにシレっと高いの頼んでんだよこの眼鏡は!コイツも袖がねぇーよ!

 

「袖はァ!!オマエらなんでノースリーブなんだよ!なんでギザギザしてんだよ!?巫女服風の衣装が台無しじゃねーか!」

 

「あんなもん、引きちぎって捨てたデース」

 

「ぶっちゃけ邪魔ですし」

 

「袖がなくても榛名は大丈夫です」

 

「ママー、提督のボトル全部持ってきてー、今日全部開けるから」

 

「イエェェェェ!!」

 

コイツらまったく遠慮する気がねぇ…

袖と共に遠慮を失ってやがるッ!

 

「オイオマエらあんま調子に乗んなよ、ハンサムで優しい俺でもプッツンするぞコラ」

 

「大丈夫デス、パチンコ勝った分で払えばいいだけデース」

 

チッ…まぁいい、所詮はあぶく銭だ

とりあえず金払った分ぐらいは揉んだりしても許されるだろう

 

「おっと…急にアルコールが回ってきた」

 

俺はごく自然に、榛名の胸のあたりに頭がいくようにフラついてみせる

つまりアレだ、おーこれはいいクッションだな、アヒャヒャって作戦だ

 

ガスッ!

 

「あだっ!!」

 

頭に当たったのは柔らかクッションではない、なんか硬いめのだった

 

「ジ●ンプを服の中に入れていたので榛名は大丈夫です」

 

「なんでジャ●プ入れてんのォ!?」

 

「勿論、いつ刺されても大丈夫な様にです、ちなみに私はマ●ジンを入れてます」

 

なに自信満々に腹のマガ●ン見せてんだこの眼鏡は…

っーか服の下に雑誌仕込むとか、コイツら常にD●Oかなんかを警戒してんのかァァァ!?

 

「ちなみに私は魍●の匣デース」

 

「厚いッ!!範囲狭いけど厚い!」

 

「私は何も入れてません!」

 

「でかした!比叡!お前に一目惚れじゃあ!」

 

俺は比叡の胸に向けて勢い良く頭をぶつけ…

 

ガンッ!!!

 

「あ゛だァ!!」

 

「むぅ…アレは気功闘法!堅砦体功!身体中の気を胸の一点に集中する絶対防御の技!おそらく胸板は一瞬ではあるが鉄板と化したか」

 

「フッ…私達は恐ろしい妹を持ったデース」




次回は第二次マレー沖海戦、Iowaのデビュー戦


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第二次マレー沖海戦①

E3とE4は各3回の予定ですの

【登場人物】

最上クン
最上型の頂点に君臨する長女、ボクサカとは言わない、妹がチビるぐらい怖い

三隈
通称、くまりんこ
基本的にはくまりんことしか喋らない、妹がゲロを吐くぐらい怖い

鈴谷(9)
ビッチオブビッチ、忘れがちながら熊野の姉ちゃん

熊野(4)
最上型カーストの最下位、好きなテニススタイルは風林火山


第二次マレー沖海戦

十二艦からなる連合艦隊を率いる旗艦は最新・最新・最強を誇るstatesから来た色んな意味でビッグガール、アイオワ

 

「見せつけてやれ、完全武装のhikingをな!」

 

「それ、負けフラグです」

 

情報によると、この海域は結構編成を気をつけねばならないらしいが、とりあえず金剛以外は全員出せるな…

対象艦は全員が一軍として起用できるだけの力もある

 

「さて…ここに三つの“晴嵐”がある」

 

そう、三つだ

しかし、今、目の前に並ぶ顔は四つ

 

「じゃ、一つは僕だね」

 

最上型姉妹の頂点に君臨する長女、最上クン

 

「くまりんこ」

 

最上型の二番、なんか一人だけあぶない水着の三隈

 

「うへへ~やった~!晴嵐だぁ~、すごいぞー!カッコいいぞォー!」

 

最上型のツラ汚し、ビッチオブザワールド、鈴谷

 

「ちょ!ちょっと待ってくださいまし!私のは!?私のはッ!?」

 

そして、エセガント航巡にして最上型の末妹、熊野

 

まぁ、三つしか無いならこうなるのは必然だろう、そこで俺は画期的な提案を出した

 

「お前ら今から全員で殴り合いしろ、負けた奴が諦める、実にシンプルだろ?」

 

「へぇ、いいねそれ、わかりやすいよ…じゃあヤろうか?」

 

最上クンの発した強烈かつ禍々しいオーラで鈴谷と熊野は一瞬にして戦意を喪失した…

あまりの恐怖に涙を流し、パンツに黄色い染みが出来たぐらいだ

 

「か…カンベンしてよネェちゃん…」ガダガタ

 

「わ…わたくしでもゴメンですわ…」ガダガタ

 

「え?やらないの?じゃあ、僕の勝ちでいいのかな?」

 

やはり最上クンか…

俺は最上クンに晴嵐を手渡した

 

「くまりんこ!」

 

「ヒッ!!か…カンベンしてよォ!」

 

「ゆ…許してくださいましッ!そうだ!足!足を舐めますわ!」

 

そして、くまりんこにも戦う前から足元に汚い水溜まりを作る鈴谷と熊野は、跪き、許しを乞う

 

「じゃ、二つ目はくまりんこな」

 

「くまりんこ」

 

これで残る晴嵐は一つ、残るは二人、鈴谷と熊野

 

「熊野ォ~…モチロン、姉ちゃんに譲るよなァー?」

 

「ハァ?このエンコービッチがァ~…それはわたくしに売っとるんか?あ゛?」

 

「ビッチじゃねーし!テメーの前歯全部ヘシ折ってやんよ!」

 

「ファーックス!ゲロブチ吐きなですわァ!」

 

◆◆◆

 

当基地内にあるカスタム水上機ショップZ‐DRIVERS…

 

「よぉ、アンちゃんを、ナニをお探しだい?」

 

カウンター越しに現れたのはZ‐DRIVERS店主、航空戦艦日向

 

「コイツにカッチョイイヤツを見繕ってくれ」

 

「ぅぅ…鈴谷のヤツ、絶対にッ!絶対に許しませんわ…クソッ!ミンチだけじゃ済まさねぇ…八つ裂きじゃねぇと私の欲が済まさねぇ…」

 

鈴谷VS熊野の戦いは鈴谷が勝利した

ルール無用のデスマッチとなるとさすがに鈴谷、金的以外の反則は全て使用し、さらには妹相手にパンツの紐を切る、通称“紐切り”まで使用し、フイニッシュホールドに恥ずかし固めをキメる外道ぶりを見せつけた

 

「まぁ泣くな、ほら!晴嵐はダメだが、カッチョイイ瑞雲買ってやるから」

 

そして、俺は熊野と共に晴嵐に代わるニューマシンを買いに来たわけだ

 

「ふむ、キミの瑞雲を見せてくれるかな?」

 

「これですの」

 

「ふむ、なかなかいい瑞雲だ………そうだな、キミにはコレなんか合うんじゃないか?」

 

そう言って日向が取り出した瑞雲は素人目から見ても輝きが違った

 

「す…すげぇ、こんなすげぇチューンの瑞雲、初めて見ましたわ!」

 

「そいつはボディにズィーMC合金を使用しているジャポンカップ用にチューニングしたマシンだ」

 

なんだよズィーMC合金って、どっかで聞いたコトあるぞ

 

「まぁ、あえて名を冠するとするなら、ネオト●イダガー・ズィーMCとでも呼ぶといい」

 

「提督!提督!私コレにしますわ!コイツでマグナムトルネードしてやりますわ!」

 

「え~?でも、お高いんでしょ?」

 

「そうだな…まぁ、このくらいだな」

 

日向が見せた電卓には予想以上になかなかいい数字が並んでいる、モノは確かだがこれはさすがに高いな

 

「違うのにしなさい、違うのに」

 

「えー!!私このネオトラ●ダガーがいいですわ!買ってくださいまし!」

 

「ほら、コレなんかどうだ?中古で500円、このデチューンぶりはなかなか出来るコトじゃないぞ」

 

「買ってくださいましーッ!ネオト●イダガーがいいー!ネオトライ●ガーが欲しいですわーッ!」

 

「ワガママ言うんじゃないよこの子は!」

 

「ハッハッハ、パパ買ってやったらどうだ?消費税分は勉強してもいいぞ」

 

「誰がパパだァァァ!!」

 

結局、半分は出してやると言う条件で折れ、熊野はピカピカのニューマシンを手に入れた




次回はちゃんと港湾と集ちゃん


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第二次マレー沖海戦②

前半読みに難いのは仕様です

【登場人物】

港湾夏姫
夏のお嬢さんみたいな深海の人

集積地棲姫
通称、集チャン
どことなく言動が誰かに似ている

砲台小鬼
キモカワイイ、顔をこっちに向けないで欲しい


深海東洋方面拠点港湾要塞…

 

「スゴイ!集チャンスゴイワ!」

 

「イヤァ~ソレホドデモ」

 

港湾夏姫の前で作られている砂のアート

水と砂だけでかくも素晴らしい造形になるものであろうか?

素晴らしい職人いてこそ完成される正に造形美

 

「コレガ安土城…」

 

「チョット休憩シヨウゼェ~」

 

「ソウネ、飲ミ物アルヨ?オレンジデイイ?」

 

「炭酸ネェノ?炭酸?」

 

クーラーボックスからペ●シを取り出している夏のお嬢様みたいなのは港湾夏姫

“港湾”と付いているものの、港湾棲姫や港湾水鬼とは別物らしい

 

「ゲェーップ~」

 

ペ●シを飲んで、確実にゲップをする眼鏡は集積地棲姫、みんなから集チャンと呼ばれているらしい

 

「ヤバイッスヨ!」

 

「マジヤバッス!」

 

「ドウシタノ?」

 

よく見るとキモカワイイと定評のある砲台小鬼が焦った様子で港湾夏姫のところへ走って来た

 

「マジヤバッス」

 

「ダカラ、ナニガマジヤバナンダヨォ?」

 

「ア、集チャン!マジヤバイッス」

 

「ヤバイヤバイデワカルカヨ、ナニガヤバインダ?アレダロ?港湾ノ乳ガヤバインダロ?知ッテヨソンナコタァ〜」

 

「ソレモヤバイッス!」

 

「ナニ食ッタラコンナイヤラシイ身体ツキニナルンダロウナァ?ナニ?誘ッテンノ?一揉ミイクラナノ?」

 

「集チャンェ…」

 

「マァ、冗談ハイイトシテ…ナニガヤバインダ?台風デモ来テンノ?」

 

「それについて私がお答えしましょう」

 

「ゲ、ゲェーッ!オマエハーッ!輸送ワ級ーッ!」

 

輸送ワ級、見た目はキモいが日本語ペラペラなインテリ、見た目はキモいが

 

「台風どころではありません、ヤツらが連合艦隊組んで完全武装のハイキングをしながらこっちに向かってます!」

 

「ナ、ナンダッテーッ!」

 

「シュ、集チャン!怖イ!私怖イ!」ガタガタ

 

「オレダッテコエーヨ!クソッ!モウスグ安土城ガ完成スルッテ時ニッ!空気読メネーノカッ!」

 

しかもよりによって連合艦隊を投入してくるとは、彼女らにとっては更なる絶望…

しかし、彼女らも退くワケにもいかない、もう何ヶ月も前から計画していた夢の彫刻、砂の安土城がもうすぐ完成するのだ

 

「チクショウ!」

 

「フッ…ドウヤラオ困リノヨウダナ」

 

絶望に涙する彼女らの前に、希望に溢れる尻が現れる

 

「オ、オマエハーッ!」

 

「戦艦夏姫ーッ!オマ!生キチョッタンカー!」

 

「フッ…ドウヤラ地獄ノ鬼カラ嫌ワレテイルラシイ」

 

頼れるタフガイ、多重影分身の使い手、それは、エンドウ沖で消息を絶った筈の戦艦棲姫改め戦艦夏姫が二人の前に現れた

 

「ヤツラハ私ガ食イ止メテヤル、オマエタチハ、ソノ…“夢ノ城”ヲ完成サセナ!」

 

そう言って、戦艦夏姫はビキニパンツの紐をバチンと鳴らし、笑顔で二人に背を向けて走り出した

 

「戦艦夏姫ッ!アナタマサカ!」

 

「馬鹿野郎ォ!カッコツケヤガッテ!チクショウ!」

 

 

「夏姫クン!オレモ一緒ニ!」

 

「夏姫クン!オレモ!」

 

「イ級!ロ級!オマエタチ…フッ、ドイツモコイツモ大馬鹿野郎ドモガ、サァ!行クゾォー!パーティーノ始マリダゼーッ!」

 

◆◆◆

 

「Fire!Fire!アハハハハ!アハハハハ!アーッハッハッハ!」

 

「あの野郎、デビュー戦で旗艦だからって調子に乗りやがって…」

 

「どうせあのスケベボディで旗艦になったんだろーよ」

 

攻略状態は順調、部隊の空気はギスギスなのはいつもの事

しかし、チームは確実に戦果を挙げていた

 

「そろそろ目的地くね?」

 

「あ~たしかこの辺だろ?」

 

「楽勝じゃない?フフッ、このIowaのdebutに相応しい華麗な戦い…」

 

ゴンッ!!

 

「Ouch!」

 

「アイオワァ!」

 

「ギャハハハハ!!アイツいきなり頭に弾ぶつけられてやんの!馬鹿でェー!」

 

「ふ……ファーック!!今の誰だコラァ!DIEしてやるわ!」

 

「フッ…ココカラ先ハ通サン」

 

「what…?誰だテメー?」

 

「…戦艦夏姫、貴様ラ外道ヲ地獄ニ案内スルモノヨ」

 

「bikinipantsのslutに言われたくないネ、オマエもdieしてやるよォ~…」

 




次回は③、守りきれ!夢の城!


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第二次マレー沖海戦③

【登場人物】

鈴谷(10)
ヨゴレ担当、不幸度数は姉様や山城の比じゃない

熊野(5)
得意なショットはスネイク

プリンツ・オイゲン(2)
ライバル的存在、提督とは目が合っただけで今メンチ切っただのなんだので喧嘩する仲の悪さ


【前回までのあらすじ】

 

もうすぐ砂の安土城が完成だよ!やったネ!今夜はハンバーグだヨ!

 

「こォ~わァ~ンンンクゥゥゥゥン!!あァァァ~そ~びィィィましょォォォ!!!」

 

「ヒッ!!ヒィィィィ!!」ガクガク

 

「来ヤガッタカ!」

 

期待の助っ人外国人ルーキー、アイオワ率いる連合艦隊!

戦慄!ダブル戦艦夏姫の包囲網を抜けて遂にマレー沖最深部まで到達していた…

 

◆◆◆

 

「敵の拠点、発見したそうです」

 

「敵は陸上型か…」

 

「何か指示はありますか?」

 

「全員、突撃ラブハートな」

 

陸上型が相手ならば三式弾をブチかますか、ランチャーが火を吹くだろう

映像から見るに、全員がMVPを穫りたくてギラギラした目をしていた…

 

「ア…アレハ!」

 

「オーストリアン・フォーメーション!!」

 

「行くぞォ!熊野ォ!」

 

「よろしくてよ!」

 

オーストリアン・フォーメーション、2人の航巡が前衛と後衛に別れ、運悪く前衛に立った方が敵の攻撃を全て受けきり、夜戦まで艦隊を被害最小限に留めるダブルスの奥義…

 

「敗北ノ淵ニ案内シテクレルゥ!」

 

「鈴谷ァ!いきましたわよ!」

 

「来いやァァァ!!来いやァァァァァァ!!オゴォ!!」

 

「次!きますわよ!」

 

「クタバレコノクソビッチガーッ!」

 

「ぅぅ…痛い、痛いよぉ…あ゛!痛だァァァァァァ!!」

 

まさしく身を呈した究極奥義、後衛の指示の下、ダースで飛んでくる砲撃を受ける姿は壮絶と言わざるを得ないだろう

 

「ちょ…マジ、痛い…くま…熊野、替わって、死ぬ、マジで死ぬ、って!痛ァァァァァァ!!噛んだ!このイ級噛んだァァァ!」

 

「ナイスですわ鈴谷!そのまま動くんじゃありませんのことよ!」

 

「は?」

 

熊野のネオトラ●ダガー・ズィーMCが鈴谷の尻に噛みついたイ級を補足した

 

 

「とおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「ちょ!ま!イダぁぁぁぁぁ!!!お尻!鈴谷のお尻がヤバい!もげた!今の絶対もげたァァァ!」

 

「大丈夫ですわ、提督が言ってました、ア●ルならセーフって!」

 

「アウトォォォォォ!!もうやだ!誰か!誰か替わっ………痛ぁぁぁぁぁい!!」

 

「クソッ!アイツナカナカ沈マネーナ!」

 

「集チャン!危ナイ!」

 

「ン?」

 

港湾夏姫の注意も虚しく、集積地棲姫の頭に三式弾が炸裂し、集積地棲姫は声を上げる間も無くその場に崩れ落ちた

 

「逃がさないわよ……」

 

ドイツの誇る超弩級戦艦、ビスマルク

 

「ヒッ!ヒィ!!」

 

「よくやったわ、航巡の、え~…鈴屋?」

 

「す……鈴谷です、もぉいい…早くそいつやっつけて……はやく、帰りたい…」

 

「…ま、まぁ、帰る前にこのビスマルクの雄姿を目に焼き付けておきなさい!」

 

◆◆◆

 

テレビモニターで観覧中の提督室…

 

「キャー!!ビスマルクのアネゴォー!!」

 

「まったく!ビスマルクさんは最高だぜ!」

 

ビスマルクさんの雄姿を見る為、この海域では出番の無いプリンツがさっきから隣で誘導棒みたいな光る棒をガツガツ振っていた

 

「ハァ…ハァ…カッコいい、ハァ…たまんねぇ…たまんねぇよォ!ハァ…ハァ…」

 

ちなみに、この海域でお前は出さないと言ったら殴り合いの喧嘩になり、俺は肋骨を、プリンツは膝を痛めた

 

「見たかったァァァ!!一番近くで見たかったァァァ!」

 

「うるせぇよ、ほら、もう終わり終わり、テメーはとっとと部屋に帰ってハァハァしてろ」

 

「そうさせてもら………ハッ!!まさか、帰投したアネゴを優しく出迎えて好感度を上げるつもりかッ!」

 

「チッ…勘のいいヤツだ」

 

「抜け目のないヤツ!!」

 

「五月雨、縄だ!縄を持てい!コイツを縛り上げよ!」

 

「え?普通にイヤですけど?」



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提督とZara級と続続続続ナイトクラブ

今日は二本立て、二本目に本気を出すスタイル

【登場人物】

ザラ
ザラ級1番艦、いまいちパッとしない微妙な性能なのであまり出番がなく、生活の為にママの店で働く事にした

ポーラ
ザラ級3番艦、アルコール依存症のメタノールモンスター
飲む・吐く・脱ぐの三拍子揃ったレジェンドオブアル中


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ、神に誓っていかがわしい店ではない

 

「おっぱい大きい子で」

 

「アンタそれしかないねぇ」

 

「こんな話を知ってるか?………俺は猫が嫌いだ」

 

「…アンタ、端折り過ぎだよ」

 

ママとのいつものフラッチェな挨拶を済まし、俺はテキトーに空いている席に座った

 

「ザラです」

 

「ポーラでェ~す、オヴエェェェェェ~!!」

 

「ポーラァァァァァ!!」

 

吐いたァァァ!!コイツ!席に付く前にいきなりデビルリバースしやがったァァァ!!

なんなのコイツ!?いきなりとんでもない洗礼を浴びせてきやがったよ!難易度高すぎだろ!!

 

◆清掃中◆

 

「…あの、妹が失礼しました、改めまして、ザラです」

 

「お、おぅ…」

 

たしかコイツ、なんともパッとしないイタリア重巡だったっけか…?ママの奴、最近はグローバル化してんのか?

 

「そしてこっちが妹のポーラです」

 

「ポーラでェ~す、メチルもエチルも大好きKINGでェ~す」

 

「あ、あぁ…」

 

オイオイ大丈夫かコイツ、なんで嬢が席に付く前からベロンベロンなんだよ、これ完全に泥酔状態だよな?免停どころじゃ済まない呼気出ちゃうよね?

 

「テイトクぅ~…ナニにしますかぁ~ポーラのお勧めはメチルでェ~す」

 

「殺す気か!ビール!とりあえずビールな!ビール!」

 

「ウィ~ッス!ザラ姉サマ、提督、ドンペリでェ~、あとポーラの分もロゼでェ~」

 

「頼んでねェェェ!!なんだよこの酔っ払い!チェンジ!チェンジで!」

 

「ま!待ってください!ポーラに悪気は無いんです!ちょ…ちょっとまだこの仕事に慣れてないと言うか、緊張してると言うか…」

 

不慣れで緊張してない奴の態度とは思えないんだが…

まぁ、姉の方はまだまともなのが救いか…?

 

「ほらポーラ!謝って!ほら!ドゲザよ!この国で一番誠意のあるポーズを見せれば真心は通じるハズよ!」

 

「ちょ…いたい…ザラ姉サマ…痛ぃ、圧迫されるぅ~内臓でちゃうから~…オヴエェェェェェ~!」

 

「ポーラァァァァァ!!」

 

ゲ●付き土下座とはまたエクストリームな謝罪だな…

ここまで1ミリの誠意も感じられない土下座は初めてだ

 

◆清掃中◆

 

「…改めまして、ビールです」

 

「あぁ、スゲー飲む気が削がれたけどな」

 

「ホントにスイマセン」

 

深々と頭を下げるザラとは対照的に、吐けば吐くほどパワーアップするタイプらしいポーラは俺の許可無くビールをグラスに注いでいた

 

「イヤッホォー!カンパーイ!………ブハァ~!」

 

「ポーラァァァ!!」

 

「あ~…生き返るぅ~ポーラの中でメタンがハイドレードしちゃってますよォ~、あ、提督もどうぞォ~、美味しいですよ?オリ●ンビール」

 

「あぁ…」

 

っーかまたオ●オンビールかよ、流行ってんのか?

 

「提督ぅ~…ボトルいれましょ~よォ~」

 

「調子に乗るなカス、っーかオマエ、さっきから吐くか飲むかしかしてねーじゃねーか?少しはサービスしろよ」

 

「サービスですかぁ?」

 

「だ…大丈夫よポーラ、おっぱい揉ませるくらいお姉ちゃんが我慢するから、イヤらしい手つきで念入りに敏感なところを刺激するようにまさぐられるぐらい、お姉ちゃんが我慢するから!」

 

いや…そんなコト言われたらたとえアクシデントでも非常に接触し辛いんですけど、っーか妹より姉の方が不慣れじゃねーか!なんでここで働いてんだよ!五航戦みたいにコンビニでバイトしろよ!

 

「あ~…アレですかぁ~?提督の●●●とか●●●●ったりしたらいいんですかぁ~?」

 

「アウトォォォォォ!!」

 

「ポーラァァァァァ!!」

 

ぐ…グローバルッ!さすがは外国の子だ、ここまで進んでいるとは…ッ!恐るべし、国際化社会!

 




次回から南西海域マラッカ海峡沖、です


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南西海域マラッカ海峡沖①

イベント編最終海域

【登場人物】

大和さん(2)
普段、内職に勤しんでいるだけに色々溜まっている

武蔵(2)
大雑把オブ大雑把
右の46cm砲と左の51cm砲を選ばせておいてオラオラ


「強さとは即ち愛!その艦隊に愛はあるか?愛無き力は無に等しい!」

 

「…あるんですか?愛」

 

「ねぇよ、強さとは六天連鎖と信じて疑わないヤンチャボーイだからな、俺は」

 

今作戦も遂に最終海域へと進んだ我が部隊、とりあえず資材に余裕はある、練度も十分戦える域に達している、目覚める時は今なんだと俺の中の人斬りが叫んでやまない

 

「大和さんと武蔵を呼んどけ、出し惜しみはナシだ、油も弾も好きなだけ使わせていい」

 

「わかりました」

 

「命令は一つ、目が合った奴は皆殺しだ」

 

五月雨に一通り指示を出して俺は席を立つ

 

「どちらへ?」

 

「“大”の大冒険」

 

「…“大”ですね」

 

早くしないと俺のドル●ーラが炸裂しかねん

重苦しい鉄扉を開き、俺は颯爽とトイレへと駆け出した

 

◆◆◆

 

南西海域、マラッカ海峡沖

 

「これが本物の砲撃だーッ!」

 

「グワアアアアアア!!」

 

「シュ…集チャーン!」

 

「集チャン!チクショウ!集チャンガ息シテネェ!チクショウ!」

 

「オレ達ガ…集チャンガイッタイ何ヲシターッ!」

 

最深部への道程で、再び通りかかった港湾夏姫と集積地棲姫のバカンスポイント

最大戦力、大和と武蔵を含む資材消費ガン無視部隊はたまたまそこに居た集積地棲姫を殴り倒し、港湾夏姫に執拗に腹パンしていた

 

「…暇潰し」

 

「コ…コイツ!軍ジャネェ、コイツラ海賊ダ!」

 

「武蔵クン、コイツ腹パンしたら光るゲロとかすげーウケる」

 

「マジ笑えるんですけど」

 

「まぁ、ほどほどにしておけよ」

 

資材消費ガン無視、好きなだけ撃っていい、好きなだけ暴れていい

この命令は、普段、給食のプリンに一喜一憂する鬱屈した日々を送る艦娘達の心理的リミッターを外すには十分であった

 

「む…電話か、こちらは武蔵だ」

 

『俺だ』

 

「え?なんだって?聞こえにくい」

 

『俺だよ俺、オレオレ、俺だよ』

 

「…よくわからん、オイ大和、この電話壊れているのか?」

 

「ちょっと貸してみてください、もしもし?大和ですけど?」

 

『もしもーし?』

 

「もしもし?ん~……なんか聞き取り辛いですね、こんな時に矢矧ちゃんが居たらわかるんでしょうけど」

 

「まぁ、壊れてるんだろう」

 

武蔵は大和から携帯を受け取ると海に投げ捨てた

 

「よし、先に進むぞ」

 

「そうですね」

 

◆◆◆

 

「…あの野郎、切りやがった、っーかつながらねーし!」

 

「武蔵さんに電話渡すのもどうかと思いますけど、他に誰か持ってないんですか?」

 

「…たしか足柄姉さんがベル持ってたからベル打っとくか」

 

「ベル?」

 

「ちょっと公衆電話行ってくるわ」



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南西海域マラッカ海峡沖②

【登場人物】

重巡夏姫
なんか飲んでるサマー仕様、重装甲∞

戦艦夏姫(2)
三度やって来た鉄壁ウォール



「超装甲か」

 

「超装甲ですね」

 

マラッカ海峡沖、深海東洋方面侵略艦隊との激突はなかなか熾烈を極めていた

現場から送られた映像を見るに、ボスっぽい旗艦の重巡は最強を誇る大和型の火力をもシャットアウトしてやがる

 

「チッ…」

 

思えば去年もそうだった…

満身創痍であの防空なんたらとか言うヤツに挑んだら大和さんも超火力が通じなくて震えが止まらなかった

 

「…卿はどう見る?サミットくん?」

 

「五月雨です、たぶん、例の超装甲を解除する何かしらあるかと?」

 

「だろうな、とりあえず一旦全員戻せ」

 

まずは情報だな、然る手段の後にヤローは叩き潰す、今はまだその時じゃねぇ

とりあえず、煙草でも吸って気分落ち着けるか……

 

「…チッ、煙草が切れたか」

 

「コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「いい、冷蔵庫に缶コーヒーが入ってねーか?」

 

「ないです」

 

「チッ、仕方ねぇ…買いに行くか」

 

◆◆◆

 

「ブスイナヤツラメッ!カエレッ!」

 

「出タ!重巡夏姫クンノ重装甲!」

 

「ヤツラニハ打ツ手ハナイゼーッ!」

 

集積地と港湾を下し、やって来た最深部

マラッカ海峡沖を守護る重巡棲姫改め重巡夏姫、そして…

 

「シズミナサイ!」

 

「ゲェーッ!あ、アイツは戦艦夏姫ーッ!」

 

「まだ生きちょったんか!ワレェ!まったく!しぶとい野郎だぜッ!」

 

「フッ、一握リノ灰サエアレバ戦艦夏姫ハ何度デモ甦ル…」

 

煉獄こそ故郷、闘争こそ本性、強さと美しさを兼ね備えたニュー・ダイソン!

 

「サァ、俺ノ兄弟タチヲ可愛ガッテクレタ礼ヲサセテモラオウカ」

 

「Fuckーッ!オマエもまとめてもう一度地獄にDieしてあげるワーッ!」

 

アイオワの16inch三連装砲のフルファイヤーが重巡夏姫に向けて火を吹く

 

「フッ…」

 

「な!ナニッ!?私のFireが!」

 

「コノ戦艦夏姫ガ随伴艦ナラバ旗艦ヘノダメージハ通用シナイ、コレハ既ニ常識」

 

「出タ!戦艦夏姫クンノ鉄壁ディフェンス!」

 

「ペナルティエリア外カラノシュートデ戦艦夏姫ヲ抜クコトハデキネーゼ!」

 

「ジ…Jesus!こ、こんなコトが!このIowaが!ノ、Noooooーッ!!」

 

「あ、アイオワーッ!」

 

「なんてことじゃあ…ハンパじゃねぇ!!」

 

「チッ…提督からベルが来たわ!一回退くぞッ!」

 

「チッ…覚えてろよクソヤローどもが」

 

「次は殺す、必ず殺す」

 

「モウ来ンナ馬鹿!コッチハ夏休ミナンダヨ!空気読メヨ!馬鹿!」

 

◆◆◆

 

「フーッ~…」

 

「あら提督、休憩中ですか?」

 

「鹿島先生ェ…」

 

喫煙所で煙草を吸っていると鹿島先生が声をかけて来た

 

「これ、頼まれていた資料です」

 

「すいませんね、先生にしょーもない雑用させてしまって」

 

「いえ、あ、お腹空いてませんか?よければパンをどうぞ」

 

「ほぉ、揚げパンですか?」

 

「はい!カレーパンです、さっき比叡さんから頂きました」

 

「…比叡、から?」

 

「はい!」

 

バイオテロリスト比叡、その名を聞いて戦慄しない者は比較的新しい者だろう

 

「シェイクシェイク!超ベリーベリーサイコー」

 

丁度いいところにウォークマンを聴きながらワケのわからない小躍りをしながら鈴谷が歩いていた

 

「オイ、鈴谷」

 

「ん?お、テイトクじゃん、ティーッス」

 

「口を開けろ」

 

「ハァ?うごぇ!!!」

 

とりあえず鈴谷の口にカレーパンを突っ込んでやった

 

「ちょ!提督さん!何をしているんですかーッ!」

 

「う……ぅぅ!!ナニコレ?ヴエ゛ェェゥェェ!!」

 

「クッ!やはりバイオテロだったか!あれほどラットで試せと言っていたのにッ!」

 

「鈴谷さん!鈴谷さァァァァん!!」



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南西海域マラッカ海峡沖③

カエリウチダッ!

【登場人物】

提督(22)
ジ●ンプ愛読者、いつジャ●プから卒業していいのか常に悩んでいるが、なんやかんや毎週買う

五月雨(10)
隙あらばコーヒーを淹れましょうか?



「ブスイナヤツラメ…カエリウチダッ!」

 

マラッカ海峡沖最終局面…

情報収集の甲斐もあり、超装甲をブチ抜く事に成功していた

 

「何度来テモ同ジダァ!」

 

「それはどうかな?」

 

ゴンッ!

 

「ナニッ!ア、痛ッ!痛イ!超痛インデスケド!」

 

「重巡夏姫クン!」

 

「重巡夏姫クン!」

 

「バ…バカナ!?私ノ超装甲ガ効イテナイノ!?痛ッ!イタタタタ!マジ痛イ!マジヤメテ!」

 

「さぁ~て、ボコボコにされるカクゴはできてんだろォ~なァ~?」

 

「テメーは“ユメ”じゃ済まさねーゾォ~?」

 

「ヒィ!!」

 

◆◆◆

 

現場から送られてくる映像はなかなかのデスマッチぶりだった、超装甲を解除したとは言えさすがに姫級、大和型とも十分殴り合える実力は認めよう、だが…

 

「それでも勝つのは、夕立や!」

 

「や、夕立ちゃんこの海域で出して無いですよね?」

 

「笑ってくれて構わんよ」

 

「笑う要素が無いです」

 

煙草に火を点け、机の上に置いた原稿用紙を手に取った

秋雲の新作はペットブームに乗った動物漫画か…なるほど、“犬”と書いて“おとこ”と読むのか、動物漫画でありながらアツい友情を感じさせる、これならジ●ンプでも看板になれるかもしれん

 

「コーヒー淹れましょうか?」

 

「結構だ」

 

「それ、なんですか?」

 

「秋雲の漫画だ、読むか?」

 

「なんでそんなものを…あ、提督!テレビ見てください!」

 

「なんだ?俺は今忙しいんだが…」

 

◆◆◆

 

「Fuuuuuuu!!」

 

「グワアアアアアアァァァ!」

 

「You're Not My Match!(メじゃないぜ)」

 

ダイヤモンドより堅いマグナムスチール製のメリケンサックを付けたアイオワの拳が戦艦夏姫に突き刺さった

 

「スゲーぞあのメリケン野郎!なんてパンチじゃあー!」

 

「目にも留まらぬとはこの事じゃあ!」

 

「フッ、アイツはもうすっかり俺達の仲間だぜ」

 

0.7秒間に10発ものパンチを繰り出すアイオワのニュー・ブロウが炸裂し、遂に戦艦夏姫は沈んだ

浮力の都合上、ケツだけは沈まなかったらしいが…

 

「ニクラシヤァ!ニクラシヤァァァァァ!!」

 

「後はテメーだけだぜェ~」

 

「ボコボコに沈められる準備はできちょるんじゃろーなァ?ワレェ?」

 

「…コノワタシガ!コノワタシガヤラレルトイウノカーッ!!」

 

「重巡夏姫クン!ココハ退クシカネェェェ!!」

 

「“海”ダ!“海”ニ逃ゲ切ルンダヨォォォォ!!」

 

「クソッ!クソッ!ブスナヤツ!ブスナヤツラメッ!」

 

持っていたココナッツのドリンクを投げ捨て、華麗な高速バックステップで母なる海へと逃走する重巡夏姫、しかし…

 

「ここはE‐4Q…ここから先は“深海棲艦”は通す事はできない」

 

逃走経路に立ちふさがる、小柄な影…

これまで数々の深海の精鋭達を沈めてきた、死神

 

「“E‐4Q”以上進めない」

 

陽炎型八番艦、雪風

 

「ヴエ゛ェェェェェ!!クソガァァァァァァ!!」

 

姫級ですらも反応も許されない速度で、凶悪な魚雷が重巡夏姫の身体を真っ二つにヘシ折った

 

◆◆◆

 

「…やっぱつえーな、なんなのアイツ?」

 

「とりあえず、終わったみたいですね」

 

「ま、作戦終了だな…全員引き揚げさせろ、あと、パーリーの準備な」

 

「わかりました」




イベント編は今回で終了です
シリアスとかなかった…


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提督と作戦終了と…

【登場人物】

提督(23)
最初と最後だけちょっと真面目ぶる紳士
男には紳士道がある


「え~…とりあえず、今回の作戦も無事完了する事が出来た、ややムラっ気のあるプレーも目に付くところはあったが、まぁ安心して見る事が出来た、よくやった」

 

ざわ…ざわ…

 

「さて、クソの役にも立たん挨拶はこれぐらいにして、お待ちかねのお給料の時間だ、サミールくん、アレを」

 

「五月雨です、はい」

 

五月雨が持って来たジュラルミンケースを壇上に置き、封を開封する

その中身こそ……現金ッ!キャッシュ!マネー!人の心を容易く支配する魔王ッ!

即ち、金ッ!!

 

「え~…では今回のMVPチケット獲得数ランキング1位は決定打を入れた雪風クゥ~ン、はいみんな拍手~」

 

パチ…パチ…

 

乾いた拍手の鳴る中、俺はジュラルミンケースから現金を取り出し、壇上に上がってきた雪風に数束の現金を手渡した

 

「ちゃんと額数えとけよォ~」

 

「押忍、ごっつあんです」

 

「はいドンドンいくぞォ~」

 

当鎮守府は年俸だの契約金など甘えた金は無い

仕事した分が給料になる完全歩合制を採用しており、活躍すれば活躍するだけ金を獲る事が出来る

それだけに誰しもレギュラーを目指し、レギュラーでなくともワンポイントでの活躍でも多額の現金を獲るチャンスがある

 

「マジで現金手渡しかよ…」

 

この光景は、来たばかりの新人に毎回ドン引きされている

 

「はい次ぃ~アイオワクゥ~ン、前回来たばかりのルーキーだが頑張ったな、ほれ」

 

「Great……こんなにッ!!」

 

「ちゃんと額数えとけよォ~、はい次ぃ~」

 

ちなみに、活躍度的に旗艦を討ち殺った方がポイントが高いので全員が旗艦を狙い、瀕死の旗艦を他人が外せばガッツポーズ、自分が殺る、自分が活躍する、自分が勝利させる、自分がMVPを総穫りする、こうして、最高のチームワークが発揮される

 

「で~…最下位、初雪クン」

 

「…500円」

 

「以上、あと、ささやかながらパーリーの準備もしてある、福利厚生費で落とすから好きに飲み食いしたまえ」

 

「ヒャッハー!水だァー!」

 

「オイ!ピザ持ってこい!ピザ!」

 

「イヒッ!イヒヒヒ~!今回結構稼いだし、ナニ買っちゃおっかな~?ね?ねぇ熊野ォ?」

 

「買う前に金返せですわ、ランチ代」

 

これにて作戦を終了

俺は外に出て煙草に火を点け、まずは一服する

 

「フーッ~…」

 

「はい、どうぞ」

 

後ろから付いて来たらしい、五月雨から酒瓶を手渡された

 

「なに?俺、便所に行くんだけど?」

 

「そうですか、じゃ、それはどこかで処分しておいて下さい」

 

「そうする」

 

…相変わらずムカつく奴だな

 

◆◆◆

 

「まぁ、今回もコレだけで勘弁してくれ」

 

酒瓶の中身をぶち撒け、答える者は誰も居ない草地に腰を下ろす

 

「そのうち、気が向いたらキラキラしたアレを持ってきてやるよ、ホントだぞ?」

 

毎回そう言っている気がするが……まぁ、仕方ない、今も昔もだらしない提督だからな

 

「…む」

 

ポケットの電話が振動している、無粋な奴め…

 

「もしもし?私、提督さん、今あなたの後ろにいるのー」

 

『そーゆーのはいいです』

 

「で?何の用かね?サミダリューンくん」

 

『五月雨です、新しく入った新人さんなんですけど…』

 

「給料形態に不満があるってか?嫌ならパパのチ●ポしゃぶってろと言っとけ」

 

『いえ、なんか女王みたいな人がいるんですけど…』

 

「はぁ?」

 

なに言ってんだコイツ?

 

「女王って…お前、え?女王って?ナニ?鞭持ってんの?そーゆープレイの人なの?」

 

『いえ、鞭は持ってないですけど…』

 

「え~?あ、もしかしてアレじゃねぇの?ちょっと特殊なデリ●ルの人が間違って来たんじゃねぇの?」

 

『…呼んだんですか?』

 

「呼んでないけど?」

 

『まぁ、それはいいです、とにかく来て下さい、とにかく女王なんです!』

 

ツー…ツー…

 

「切りやがった…」

 

まったく意味がわかんねぇな、疲れてんのか?アイツ




次回、女王降臨


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提督と新人と面接

新人回

【登場人物】

水無月
通称、水無月きゅん
かわいい系

アクィラ
イーグルは銀、アクィラは青銅

伊26
潜水艦、中破の犯罪臭はなかなか

Warspite
クイーンエリザベス級戦艦、驚くほど女王


「睦月型駆逐艦、水無月です」

 

睦月型、睦月型か…

ふむ、首痛めてる系ショタボーイとはなかなか新しいな

 

「水無月きゅんか…ふむ、どうかな?一緒にツレションでも?」

 

「え゛っ!?」

 

「水無月クンはショタボーイじゃないですよ」

 

「え゛!?マジで!?だってコイツ、ズボン穿いてるじゃん?」

 

「ズボン穿いてても水無月クンは女の子です」

 

ふむ、どうやらレーベきゅんやマックスきゅんの時みたくドン引きさせてしまったらしい、過ちは繰り返すか…だが、過ちを気に病むことはない、ただ認めて次の糧にすればいい

 

「それが大人の特権だよ」

 

「なにが!?」

 

「とりあえず水無月きゅんは育成枠で頑張って貰おうか」

 

「はい、ガンバリマス」

 

「では次の方どうぞ~」

 

ショタボーイではなかった水無月きゅんが退室し、次の人材が入室する、ふむ…外国人枠か

 

「イタリアから来ました正規空母のアクィラです」

 

「なかなかイイモノを持っているな、揉ませて頂いて宜しいかな?」

 

「え゛!?」

 

「ハッハッハ、冗談だよ」

 

イタリアと言うとアレか、あの航戦なのか高戦なのかよくわからない姉妹やゲ●女と同郷か…

どれ、性能の方は……

 

「…ふむ」

 

「あの?なにか?」

 

「正規ィ~空母ォ~?」

 

「うわ、ムカつくッ!?」

 

「とりあえずファームからスタートな、心配すんな、ウチは食住は保障している、金が欲しいならバイトも許可している」

 

「衣はァ!?」

 

「はい次ぃ、ほら、帰れ帰れ」

 

乳だけは正規空母のアクィラが退室し、次の人材を呼ぶ

しかしアクィラか、今はクソ以下のスペックだがいつの日かセブンセンシズに目覚める日も来るだろう

 

「伊26号です」

 

「潜水艦か…」

 

なんかゴツいな、ピストル持ってるし

 

「ウチはローテーションもしっかりしたホワイティな職場だ」

 

「マジマジすかー?マジホワイティすかー?」

 

「あぁ、疲れたらすぐに替われるし、大規模作戦期間中は長期休暇も与えている、わからない事はステキなパイセン達が優しく教えてくれるぞ」

 

「マジマジすかー?」

 

「マジマジな、とりあえず君は開幕一軍スタートだ、期待しているぞ」

 

伊26号がキャッキャ言いながら退室する

さて、これで3人…

たしかあと1人いるんだったか

 

「次です、次が本番ですよ」

 

 

「ハァ?」

 

なにビビってんだこの青髪ロングは…

そういや電話で女王とかなんとか言ってたな

 

「次の方どうぞ~」

 

ゲ、ゲェーッ!!こ、コイツはーッ!

 

「Queen Elizabeth class Battleship Warspiteです」

 

コイツ、こっちがどうぞと言う前から既に着席しているだとォ!!

クッ!なんて大物感を出してやがる!!

 

「Admiral?」

 

「如何にも、俺がadmiralだ……です」

 

クッ!しかも英語ペラペラとは!

 

「よしなに…」

 

しかも日本語もペラペラかッ!

 

思わず跪きたくなる大物感、しかし、俺は腕にボールペンを突き刺す事でそれを見事に堪えた

時雨様のエンペラーなんたらとかチャチなモンじゃねぇ、もっと恐ろしいモノの片鱗を味わったぜ

 

「ま、まぁ…期待しているぞ、五月雨クン、へ、陛下を御部屋に…」

 

「五月雨です、あ!合ってる!?」



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提督と長門とチンハイ

本日は二本立て
帰ってきた通常営業回

【登場人物】

提督(24)
子供にアイスをぶつけられるモクモクの能力

長門(5)
高段位ロリコン、携帯のシャッター音は鳴らない仕様に闇を感じる

アイオワ(2)
ダイナマイトパッキンガール、困った時はとりあえずアリウープ



「ナイッシュー!キサラギィー!」

 

「オフェンス1本ーッ!ガンガンに攻めるぞォ!」

 

作戦も無事終了し、体育館にはいつものアツい活気が帰ってきた、夏の鎮守府杯、通称チンハイ初日

陸奥率いる睦月型VS瑞穂率いるチーム瑞穂

 

「キター!アラシ止まんねー!」

 

「アラシの連続ポイントーッ!」

 

「いかせねーぞ!アラシィ!」

 

「止めてみろよォ!キサラギィ!」

 

両チーム共に前回の対戦から数段レベルアップしているらしく、エース同士はほぼ互角の実力と見える

 

「…チッ!ハギィ!」

 

「パス!このタイミングでッ!」

 

「違うナガツキ!ハギカゼじゃない!マイカゼだーッ!」

 

「なっ!?」

 

「キター!マイカゼのスリー!また逆転したーッ!」

 

「っしゃあ!!」

 

このクソ暑いのに跳んだり走ったりよくやるものだ、これが若さか…

思えば俺もまだ学生だった頃は夏だろうが部活動に勤しんだものだ、今、やれと言われたら無理だろう

 

「古い血はお互い絶たんといかんな、なぁ?長門」

 

「なんだ?今ちょっと忙しいのだが?」

 

駆逐艦達のハジケる青春の汗が飛び散る瞬間を逃さないシャッター音が鳴り続ける中、俺は体育館出禁の長門に副流煙と言う名のホワイトランチャーを浴びせてやった

 

「ブホァ!!クッ!眼がァ!」

 

「お前の能力じゃ俺には勝てねェ」

 

「まったく…邪魔をするな同志大尉」

 

「だから同志じゃねーっての、あと大尉でも無い」

 

「そう言えば提督よ、今度入った新人に、かわいい駆逐艦が居ると聞いたが?かわいい駆逐艦が」

 

チッ、さすがは一級ロリコン、耳が早いな

 

「このビッグセブンにもペロペロさせてくれないか?独り占めはこのビッグセブン感心せんなぁ?ん~?」

 

「水無月きゅんならあのベンチに座ってるのが水無月きゅんだぞ」

 

「ん?」

 

俺はチーム陸奥のベンチに座って試合を応援している水無月きゅんを指差して教えてやった

 

「…なんだ、ショタボーイか」

 

「ご覧の通り、ショタボーイだ」

 

長門は一気に興味を無くしたらしく、カメラのレンズをキュキュッと吹き始めた

とりあえず水無月きゅんにはチ●ポついてる事にしておこう

 

「お、次の試合は浜風ちゃん出るじゃねーか、オイ、バッチリ撮れよ、あとビデオも!」

 

「次の試合…?あぁ、大型選手が多いな、このビッグセブンあまり興味が湧かんな」

 

「ゴチャゴチャ言ってんじゃねーよ、とにかく浜風ちゃんな!浜風ちゃん!」

 

「自分で撮ればよかろう、ほら、予備で持ってきた、この“伝染るンです”を貸してやろう」

 

「バッキャロー!そんなロークオリティで撮れるかッ!オマエのライカで撮るンだよォ!」

 

この野郎ォ…どうやらコイツとはオウガバトルで白黒つけねーといけねぇらしいな

 

「Hi、Admiralとナガトじゃない?ナニしてんノー?」

 

「…アイオワ」

 

「何の用だショウガールが、このビッグセブンと殴り合いに来たのか?」

 

やって来たのは米国生まれのヒップホップ育ち、ダイナマイトパッキンガール、アイオワ、熟れた女だ

 

「No、今日は私のStudentのGameがあるからネ」

 

「スチ…?提督よ、このパッキンはなんと言っている?」

 

「studentな、まぁ、教え子とかそんな感じだ」

 

「Yes、本場のBasketballを教えて欲しいってGirlsに頼まれてネー」

 

なるほど、まぁたしかにアイオワなら詳しそうだな

だがコイツ、たしか入隊前はカレッジで4番打っててメジャーに誘われたとか言ってたような…

 

「クッ!なんとなくしか意味はわからんがこのビッグセブン!なんか負けた気がするッ!」

 

「オマエ、バスケできたのか?」

 

「Yes、アイダホではNo.1だったワ、ちなみにコレがワタシのTeamよ」

 

アイオワは不二子ちゃんみたく、豊かなそれの間から選手名が書かれた紙を取り出した

 

「読めん、同志大尉、コレはなんと書いてあるのだ?」

 

「読めろよ、っーか同志じゃねーし、大尉でもねぇっての、え~…まるで外人部隊だな、Libeccio」

 

「なん……だと?」

 

「あ?」

 

「提督よ、今、りべっちおと申したか?」

 

「申したが?」

 

「次のGameだからよかったら見て行ってネー、バーイ」

 

バーイと言い残し、アイオワは体育館の中へ入って行った

 

「…フィルムよし、バッテリーよし」

 

「オイ、浜風ちゃんだぞ」

 

「…ほら、“伝染るンです”だ」

 

「オイ!!浜風ちゃんだぞ!」

 

「やかましい!!」



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提督と白露型とエンドオブサマー

バスケしてない回

【登場人物】

夕立(2)
好きな教科は保健体育、嫌い教科は保健体育以外

村雨(3)
好きな教科は保健体育、嫌いな教科は保健体育以外

春雨(2)
好きな教科は国語、嫌いな教科は数学

白露(4)
好きな教科は特にない、嫌いな教科も特にない、最近真っ白なフライングVを買ったがすぐ壊した


「やべーっぽい、やべーっぽい」

 

「何がやべーんだ?」

 

朝の運動、速吸クンとのダイマイトキャッチボールを終え、俺は自販機に缶コーヒーを買いに来ていた

しかしさすがは速吸クンだ、150キロの速度で落ちるフォークは最早魔球と言っていいだろう

 

「あ、提督さん、マジやべーっぽい」

 

「だから何がやべーんだ?やべー過ぎてワクワクしてんのか?」

 

白露型駆逐艦、夕立

白露型キセキの世代の1人で天才的センスと恐るべき野性を持つ駆逐艦っぽいヤツ

 

「夏休みの宿題が終わってないっぽい」

 

「ふ~ん」

 

「ふ~んじゃないっぽい!夕立、殺されるっぽい!」

 

「別に殺害までされねぇだろ?ちょっと厳しい躾が待ってるだけだろーが」

 

夏休みの宿題か…

別に休みではなかったがそんなものがあったんだな

流石は香取ーヌ先生だ、如何なる時でもクズどもへの熱血指導を忘れない素敵な方だ

 

「…そういや、こないだ先生が通販で“禁鞭”買ったって珍しくハシャいでたな、俺も見せて貰ったけどありゃスゲーよ、ハンパじゃねぇ」

 

「間違いなく殺されるっぽいッ!!」

 

「ハァ…ま、宿題ぐれー誰かに見せて貰えよ、キセキの世代の仲間とか」

 

「全部終わってるっぽい時雨に頼んだら、僕に宿題を見せて欲しいのかい?頭が高いよ、って言われたっぽい」

 

モノマネ上手いな、コイツ…しかし、教わったのは勉強ではなく身分の違いだったか…

 

「あと五月雨には人事を尽くしてないヤツに見せる宿題はないのだよって言われたっぽい」

 

何がなのだよだ眼鏡でもないくせに

しかしそうか、たまに何か書いてたがアレは宿題だったのか

 

「夕立と村雨と春雨は終わってないっぽい」

 

「ふ~ん」

 

正直、コイツらがシツケられようが折檻されようが新たなプレイに目覚めようが興味が無いな、禁鞭の威力にはちょっと興味があるが…

 

「あ~…夕立居たぁ~、っと、提督」

 

「何やってるんですか、今日中に夏休みの宿題終わらせないと!」

 

夕立がぽいぽい言っていたら、同じくダメ仲間らしい村雨と春雨もやって来た

 

「あ~…缶コーヒーだ、提督、私オレンジジュース飲みたい」

 

「金」

 

「え~…?買ってくれないの?」

 

「誰が買うかボケ、俺はビッチには厳しいんだよ」

 

白露型駆逐艦、村雨

いつの頃からか急成長を遂げ、駆逐艦離れした超肉体となった白露型キセキの世代の1人

 

「ビッチじゃないし」

 

「フーッ~…オマエらバカどもは部屋に帰ってベンキョーでもしてろよ」

 

「バカども……私は別にバカじゃないです、バカなのは夕立姉さんと村雨姉さんです」

 

そして駆逐艦春雨、白露型キセキの世代の1人で、キセキの世代の1番下っぱらしい

 

「春雨もやってないから仲間っぽい」

 

「そうそう、仲間ぁ~」

 

「っーかアンタらが無理矢理色々付き合わせるから私も間に合わなくなったんだよっ!バカ!バーカ!」

 

下っぱなりに色々溜まっているのだろう

いつの日かコイツもプッツンして両脚と引き換えに闇の力を手にする事があるかもしれんな

 

「そうだ!春雨のパーフェクトコピーで時雨か五月雨をコピーしたらいいっぽい!」

 

「お~、それならスラスラできそう、夕立冴えてるぅ~」

 

「出来るかッ!」

 

そんな写●眼みたいな便利な使い方出来るなら苦労はないわな

 

「提督、何かいい考えないですか?」

 

「ねぇよ」

 

「そこをなんとかっ!」

 

「…そうだな、ま、時雨か五月雨の宿題をちょっと拝借してコンビニでパーフェクトコピーでもするしかねぇな」

 

「まさにパーフェクト…」

 

「コピー…っぽい!」

 

「いや、それマズいですよ、時雨姉さんにバレたら両目くり抜かれますし、五月雨にバレたら膝の皿叩き割られますよ」

 

「…春雨、覚悟を決めるっぽい」

 

「目覚める時は今しかない!」

 

「まずは作戦っぽい、とりあえず春雨がスティールを決めてコンビニにダッシュ、シグかサミをパーフェクトコピーしたらすぐさまフルドライブで戻りつつ私達にパスを出し、あとはバレないようにリターン!」

 

「完璧ね」

 

「完璧っぽい」

 

「いや、それ、私のリスク高すぎじゃないですか!?それ私だけ実行犯じゃないですか!?」

 

「よォし!ヤるっぽい!」ゾォ~ン

 

「村雨もちょっといいトコ見てみたい!」ゾォ~ン

 

「なんでゾーンに入るんですか!今、入るタイミングじゃないですよね!」

 

下っぱピンクはバカどもに引きずられて去って行った…

俺は煙草の煙を吐き出し、明日は禁鞭の威力を見に行こうと心に決めた

 

「あ、提督だ、ティーッス」

 

「ん?………お前は、トルコ?」

 

「誰だよトルコって!白露だよ!」

 

白露型駆逐艦、白露

妹達と違って1番先に才能に恵まれなかった事に気付いた

 

「オマエ、夏休みの宿題終わってんのか?」

 

「1番先に終わってるけど?」

 

「ふ~ん、ジュース飲むか?」

 

「買ってくれるの?じゃコーラ!」

 

「コーラな」

 

俺はコーラのボタンを押し、取り出し口からコーラを取り出すと力の限り缶を振った

 

「ア゛アアァァァ!!ナニすんのォォォ!!」

 

「僕からの教訓入り、じゃあな」

 

嗚呼、とても晴れやな気分だ、さて、部屋に戻って仕事するか…

 

「バカッ!バカァァァァァ!!」



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鹿島先生と涼風とファイトオンステージ

【登場人物】

鹿島先生(6)
優しい方の先生、失禁のスペシャリスト

涼風
凶暴な方の五月雨、五月雨に似ているようでちょっと違う
以前は髪が長かったらしいが見分けがつく様に切られた

五月雨(11)
凶暴じゃない方の五月雨、55回目にしてついにキレる


皆さんこんにちは、鹿島です

夏休みも終わって新学期も始まりましたね、皆さん、頑張っていきましょう!

 

「提出物はこれで全部かな…」

 

ちょっと多めの書類だが、何度も確認したしこれで間違いないだろう

 

「あ…」

 

あれは…五月雨さん、丁度いいや、五月雨さんも提督さんの所に行くだろうし、ついでに持って行って貰おう

 

「あの~五月雨さん」

 

「ア゛ァ?」

 

「ヒッ!?」

 

に…睨まれたッ!?え?この子、こんなに怖い子だったっけ?

 

「誰がサミーだって?コラ?オォ?」

 

怖い怖い怖い!なんで!?なんでこんなメンチ切ってくるの!?超怖い!

超怖い五月雨さんに乱暴に胸ぐらを掴まれ、ちょっと漏れそうになったその時…

 

「ん?これはこれは、鹿島先生ではないですか?」

 

「て、テイトクぅ!タ……タスケテ!助けてください!」

 

丁度、消火器点検をしていたらしい提督が通りかかってくれた

 

「熱血指導中ですかな?ハッハッハ、熱心なコトで、ハッハッハ」

 

「そんなワケないでしょう、どう見ても絡まれてますよ」

 

提督の隣にはいつもの五月雨さんが………え?五月雨さん?え?じゃあ、この子は?

 

「冗談だ、オイ、スズカ、そのぐれーにしとけ、鹿島先生がビビって失禁したらどうするんだ?」

 

「ア゛ァ?誰がスズカだ、アタイは涼風サンだ」

 

す…スズカ?涼風?

別人?そう言われたらなんか髪が短いような気が…

 

「チッ、今度間違えたらブッコロがすぞ」

 

「ヒッ!?」

 

「アタイはソイツと間違われるとマジムカつくんだよ、ムカついて、ムカついて、ムカついてナニすっかわかんねーからな?」

 

こ…怖い、なにこの子、超怖い

ヤバい、漏らした、これ完全に漏らしてる

 

「すいませんねぇ先生、とりあえずコイツは凶暴な方の五月雨、五月雨Bと覚えてやって下さい」

 

「誰がBだコラ?タイマン張るか?」

 

「誰が張るかヤボスケが」

 

「涼風も少しは言動に慎みとか持って下さいよ、最近は減りましたが前はわりと間違われて困ってたんですから」

 

「あ゛ー?」

 

2人並ぶとやっぱり似てますね…姉妹か何かでしょうか?

 

「っーかオマエ、まだクソマズいコーヒー淹れてんの?」

 

「は?今、なんと…?」

 

「クソマズコーヒーって言ったんだよ」

 

以前、私も断り切れずに飲んでしまったが、たしかに五月雨さんのコーヒーは不味かった

なんと言うか、そう、不味い、何がどう不味いのか形容し難き不味さ、ただ、五月雨さんは凄く誇らしげな佇まいで出すので不味いとは言えない空気だった

 

「提督、ちょっと涼風とお話あるんで外していいですか?」

 

「あぁ」

 

「鹿島先生、コレ、消火器点検のリストです」

 

「え?あ、はい」

 

五月雨さんから消火器点検のリストを渡され、五月雨さんと五月雨Bは外の方へ歩いて行った…

 

「…あの」

 

「ハッハッハ、じゃれているだけですよ」

 

提督は笑いながら携帯を取り出し、ボタンを操作する

 

「…俺だ、まだ仙豆はあるか?」

 

「仙豆ッ!?」

 

「…そうだ、あぁ、念の為に長門と陸奥を待機させろ」

 

「あの…」

 

「ハッハッハ、じゃれているだけですよ」

 

じゃれているだけ…?



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提督と利根型と続続続続続ナイトクラブ

【登場人物】

利根
通称自称共にワガハイ
努力家でアホ、大雑把でアホ、甘やかされている

筑摩
利根姉さんの妹、山城とは似ているようで微妙に異なるベクトルのヤバい妹


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ、そろそろこのくだりは必要ないのではないだろうか?

 

「なぁママ、強さとは一体なんだろうな?」

 

「フーッ~……ま、タフ&ハードなスピリットかねぇ?」

 

「タフ&ハードか…」

 

オーナーのビッグママこと鳳翔は白い煙を吹き出し、煙管の火種を落とし、面倒くさそうに口を開く

 

「今日は?」

 

「おっぱいが大きく、なおかつ従順で大人しめでありながら包容力を感じる娘で」

 

「居たかね、そんなの、まぁいいさ、テキトーに座ってな」

 

自分で言ってなんだが、そんな奴がウチで働いているとは思えんな、とりあえず俺はテキトーな席に座って煙草に火を点けた

 

「ワガハイが利根である」

 

「利根姉さんの妹です」

 

席にやって来たのは利根と、筑摩

かつてはいまいちパッとしない泥臭い重巡姉妹だったが、いつの頃からか、航空巡洋艦にワープ進化を遂げ、いやらしいスリットで太腿を見せつけてくる

これはもうアレだな、誘ってるってコトでいいんだよな?

 

「いいんだなッ!」

 

「何がじゃ!?」

 

「気にするな、とりあえずビールな」

 

「う…うむ、任せておけ!ワガハイが注いでやるのじゃ」

 

出てきたのはいつものオリ●ンビール、今更だが、ママの趣味かなにかなのか?なんでわざわざオ●オンビール入荷してるんだよ

 

「よし、注ぐぞ…!」

 

「姉さん!練習通り!落ち着いて練習通りに!」

 

「オイ、大丈夫なのか?」

 

「大丈夫じゃ、泡立たないように練習したのじゃ!」

 

「姉さん!落ち着いて!ゆっくり!そう…ゆっくり!」

 

なんでビール注ぐだけで必死こいてんだよコイツ、っーか早く注げよ、ヌルくなるだろーが

 

「クッ…!」

 

「ガンバって!ガンバって姉さん!」

 

「いや、多少の泡とかいいから早くしろよ」

 

ビタンッ!!

 

「アバッ…!?」

 

ぶたれた…?え?なんで…?え?筑摩さん?

 

「提督、ちょっと黙って頂けますか?」

 

「あ…はい」

 

なにこの子、超怖いんだけど?

姉以外は路傍の石ぐらいにしか思ってない、何の感情もない闇より深い暗黒の瞳だ

 

「どうじゃあッ!」

 

「完璧です!完璧です姉さん!」

 

「そうじゃろう?さぁ!!提督よ、飲むがいい」

 

「あぁ、うん」

 

…ヌルい、注ぐスピードの遅さ、グラスと瓶、双方に握られていた熱もあり非常にヌルい、だが…

 

「…」

 

筑摩の目が怖い

 

「…美味しいです」

 

「そうじゃろう、そうじゃろう!」

 

「さすがは姉さんです」

 

なんで俺が気を遣わにゃならんのだ

これはもうアレだな、チェンジだ、チェンジ!

俺はキンキンに冷えたヤツが飲みたいんだよ

 

「ママ、チェン…」

 

「提督よ!ワガハイ達も飲んでいいのじゃろう?」

 

「その通りです姉さん、姉さんのは私が注ぎますね」

 

「…ジ、あ、あぁ、うん」

 

ひと仕事終えたらしい利根に、妹が新しく用意したキンキンに冷えたビールをスムーズに注ぐ

 

「ブハァー!!悪魔的美味さじゃあ!!なぁ筑摩ァ!」

 

「お疲れ様です姉さん」

 

「うむ」

 

オマエが接待されてるじゃねぇかァァァ!!

 

「ほれ、提督も飲まんか?ワガハイが注いでやろうか?」

 

「姉さん、もう一杯どうぞ」

 

「うむ!」



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提督と改白露型と●ーソン

●ーソンコラボ回
近所のコンビニにユンケルがいっぱいありました

【登場人物】

江風(3)
改白露型の赤い奴
夏はベンチどころかスタンドで応援するどころかトランペット吹いてた

海風(2)
改白露型のよく見ると美少女の奴
妹と違い、夏はワンポイトリリーフで出場を果たした

提督(25)
マーダーライセンスの他に、軍の狗の銀時計を持っていると噂されている


「煙草がねぇな…」

 

外で食事を済ませ、帰路を歩いていると胸元に煙草が入ってない事に気付き、近くのコンビニで煙草と缶コーヒーを買う事にした

 

「…こんなトコに脇道とかあったのか?」

 

たまに来るコンビニ、●ーソンの横に、なんか見た事あるような無いようなような道がある気がするが…まぁ、どうでもいいか、俺は煙草が買いたいんだ

 

「イラっしゃいませェ~……お、提督じゃねーすか?チハッス!」

 

「お~…え~」

 

レジになんか見覚えのある赤いのが居た

なんだっけ?コイツ、たしかキセキの世代だったか?

 

「おでンとか買わねーすか?」

 

「買わねーすよ」

 

「えー?じゃ、から●げクン買わねーすか?」

 

「買わねーすよ」

 

なんて名前だったっけかな、コイツ

まぁ、思い出せないって事はワリとどうでもいい事だな

 

「いらっしゃいませ、あ、提督」

 

「ん?」

 

コイツはたしか…海風だったか?

 

「海風クン?」

 

「はい?」

 

「バイトかね?」

 

「はい、江風と一緒に」

 

あぁそうだ、江風だ、江風、五月雨の下でスズカの上だったな、コイツら

 

「あ、コーヒー買って行きませんか?」

 

「買うよ、缶コーヒーを」

 

「いえ、そっちじゃなくて、あっちの…」

 

「俺は缶コーヒーが好きなんだよ」

 

「そうですか…」

 

「アネキぃー!諦めンなー!もっとゴリゴリ押せよ!お菓子とか買わせろよ!」

 

レジから赤いのが何か言ってやがる、なんだ?なんかノルマとかあるのか?この店

 

「ほれ、缶コーヒーと煙草な、モタモタすんなタコ」

 

「御一緒におでンとかどーすか?」

 

「いらねぇ、早く会計しろよ」

 

「御一緒にか●あげクンとかどーすか?」

 

「早くしろ」

 

「お客様もしかして未成年かもしれねーンで免許証とか見せて貰っていいすか?」

 

「マジぶっ飛ばすぞこのクソ店員」

 

「今ならサービスでL●キ買ってくれると免許証見せなくていいサービスやってンすけどいかがすか?」

 

この野郎、どうしても俺に余計な買い物させたいらしいな、上等だよ

 

「免許な、ほれ」

 

「なんすかコレ?」

 

「殺人許可証(マーダーライセンス)」

 

「なンでそンなの持ってンすかァァァァァ!?」

 

「え?普通持ってるだろ?強襲所行ったら実技教えてくれるぞ」

 

懐かしいなぁ強襲所時代、ありゃたしか軍に入ってスグだったか…

腕をS字に折るとか心臓を急停止とか色々あったっけなぁ~

 

「…教習所とかあるンすか」

 

「あるよ、強襲所」

 

「へェ~…」

 

魅惑のマーダーライセンスを前に、キラキラした目を向ける江風、しかし…!

 

「ダメよ、江風、ダメよ!お姉ちゃん絶対許可しないからね!そんなトコに入るお金稼ぐ目的ならアルバイトも辞めさせるからね!」

 

「ね!姉ちゃン!イヤ…別にィ~ちょっと欲しィかな~いとか考えて無いし」

 

「ちょっとお姉ちゃんの目を見なさい!目を逸らさない!アルバイトして自転車買うって言ってたでしょ!」

 

「あ~…うン」

 

意外とオカーサンみたいなヤツだな、海風ェ…

 

「とりあえず姉ちゃん、早く会計してくれよ」

 

「あ、はい、温めますか?」

 

「なんで煙草と缶コーヒーを温めるんだよ!」

 

「すいません!」

 

「袋はいい、ほれ、釣りもいいから後でジュースでも飲め、じゃあな」

 

「ありあとやしたー」

 

「ありがとうございましたー」

 

ハァ……無駄に疲れたな、店を出た俺はとりあえず煙草に火を点けて鎮守府へと歩き出した

 



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提督と鈴谷とクロスワード

【登場人物】

提督(26)
暇つぶしにクロスワードをやるインドア派

鈴谷(10)
帰ってきたビッチ、作戦海域で大金を稼いでおり、お小遣いには困ってない、今は


「ティーッス、鈴谷が遊びに来ましたよォ~、テイトクぅ、ゲームしよーぜ、ゲーム」

 

「くせーよ、ビッチ」

 

「鈴谷に対して厳し過ぎるッ!」

 

夏の作戦が終わり、特にやる事が無いのでクロスワードパズルをやっていると、雌の匂いをプンプンさせたビッチ臭いのがやって来た

 

「もうちょっと鈴谷に対して優しくてもよくね?あ、お菓子買ってきたから食おうぜェー!」

 

「ちょっとやめてくれる?ビスケットのカス、ボロボロ落とすのやめてくれる?」

 

「うめー!」

 

「なんか飲み物ないの?あ、牛乳あるじゃん、もーらい」

 

またこの子は、勝手に冷蔵庫を漁って…何様のつもりなのかね、この子は

 

「で?テイトク、ナニやってんの?」

 

「ご覧の通り、クロスワードだが?」

 

「そんなのやめてゲームしよーぜ!ゲーム!マ●オゴルフないの?」

 

「ねぇよ、っーか蹴り殺すぞテメー」

 

「あ、そういや今日サミーいないの?」

 

「いねぇよ、見たい番組でもあるんだろ?」

 

「ふ~ん」

 

なんか今日は夕張のアホンダラとイ●ンモールに行くとか言ってたな、なんか土産に甘いモンでも買ってこさせるか…

とりあえず五月雨にメールを打っておこう

 

「まぁどうでもいいや、マ●オゴルフしよーぜ」

 

「うるせぇ野郎だな、そんなに暇ならそこに座って公開オ●ニーでもしてろよ」

 

「へ…!変態ッ!!マジ変態!!ありえねーしッ!」

 

「終わったらちゃんと掃除しろよ」

 

「しねーしッ!!なんなの!?変態なの!?」

 

なかなか難しいなこのクロスワード、7文字か…ふむ、カメンライダー?違うな

 

「ちょっと黙ってろビッチが」

 

「じゃ、それ終わってからでいいからマ●オゴルフしよーぜ」

 

「どんだけマ●オゴルフしてーんだオマエは、なんなの?死神かなんかなの?」

 

「あ、コーヒーゼリーがある、もーらい!」

 

コイツ、また勝手に冷蔵庫を…

 

「それサミーのだから食ったら二度と生き返らない程度にハラワタ食い尽くされるぞ」

 

「ナニそれ?超怖いんですけど?」

 

「前に一度サミーのコーヒーゼリーに手を出した奴が居てな、血で血を洗う壮絶な殴り合いの末にアバラを折られたのだよ」

 

「誰よ…そのアホ」

 

「アレは痛かったなぁ~」

 

「って!!オマエかよォ!」

 

◆◆◆

 

鎮守府最寄りのイ●ンモール

 

「五月雨ちゃん、このバールどうかな?かなりメリメリできそうじゃない?」

 

「メリメリできるんじゃないですか?あ、メール…提督ですね」

 

「なに?お土産買ってこいみたいな?」

 

「いえ“死体は偽物”と…」

 

「なんのこっちゃ?」

 

「とりあえず返信しておきます」



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提督と五月雨と目安ボックス

不明瞭な支出にメスを入れるハードボイルドロマン回

【登場人物】

提督(27)
この鎮守府で一番偉い人、黒い疑惑がある

五月雨(12)
殺人バリスタ、黒い疑惑がある

香取(5)
グレートティーチャー、グレートですよォ~コイツはァ~


「…暇だな」

 

「そうですね」

 

作戦海域に関する上への報告書も送ったし、特に急ぎでやる仕事もない、とりあえず煙草でも吸って今日の晩飯について考えるか

 

「あ、煙草吸うなら外ですよ、外」

 

「…ケチくせぇな」

 

ゴン!ゴン!

 

煙草を胸元に戻し、喫煙所に行こうと席を立った丁度その時、執務室の重厚な鉄の扉がノックする音がした

 

「入れェ…」

 

「失礼します」

 

「おぉ、これは香取先生」

 

どんなクズでも徹底指導、わからないならわかるまでマンツーマンで個人レッスン、眼鏡の素敵な香取先生

 

「提督、目安箱の中を回収してきました」

 

「これはこれは、お手を煩わせてしまい申し訳ない」

 

「いえいえ」

 

香取先生は数枚の紙をエレガントに俺に手渡し、エレガントに微笑む、うむ、実にエレガントだ

 

「よければコーヒーでも淹れましょうか?」

 

「あ、お願いします」

 

香取先生の淹れるコーヒーはとても美味い、上質でエレガントな薫り立ち、先生らしさが際立つ深い味わい、できる事なら毎日でも飲みたいものだ

 

「………」

 

なんか青いのが露骨に苛ついてるが、まぁ、どうでもいいな

 

「どうぞ」

 

「これはどうも」

 

「五月雨さんも、どうぞ」

 

「はい、いただきます」

 

…エクセレントッ!

程良い苦さと上質な味わい

 

「ところで、目安箱なんかいつの間に置いたんですか?」

 

「一週間くらい前だったか?お前がキョーダイ達と鉄骨渡りやってる時に置いた」

 

「やってませんよ、鉄骨渡りなんて」

 

とりあえず何枚か投書が入ってたみたいだし、中を確認してみるか

 

『フッ、そろそろ体育館の出入り禁止をなんとかしてもらえないだろうか?』

 

「匿名希望のNGTさんからです」

 

 

「駆逐艦がスポーティーなコトしてない時は入って良し、次」

 

『提督、浜風の乳ガン見するのはよくないけぇ』

 

『提督、浜風のパイをチラ見するのはやめぇよ』

 

『提督よ、この磯風、浜風のおっぱいを見ていたらふとオムライスを思い付いた、今度作るから是非食べてくれ』

 

「以上、匿名希望のU風さん、T風さん、I風さんの投書です」

 

「べべべべ!別にィー!!そんな見てねーしィー!たまたま!そう!たまたま目に入ってるだけだしィー!」

 

先人は言った、人は何故山に登るのか?そこに山があるからだと、そう、男は皆アルピニストだ

 

「っーかI風さん隠れてねぇだろォ!匿名の意味わかってんのかアイツ」

 

ったく、ロクな投書がねぇな…まるで俺が浜風ちゃんのおっぱいが大好きな人みたいではないか

 

「まぁいい、次だ次」

 

『…こんなハズじゃなかった』

 

「匿名希望のK島先生です」

 

「…香取先生」

 

「はい」

 

俺は財布から五千円札を取り出し、香取先生の素敵な手にそっと握らせた

 

「これで妹さんと美味しいものでも食べて下さい、あ、領収証とかいいんで」

 

「お心遣い感謝致します」

 

これでいい、鹿島先生、貴女は我々にとって必要な人だ

この腐敗と自由と暴力の真っ只中を強く生きて下さい

 

「で、最後なんですけど」

 

「おぅ、読んでみろ」

 

『ツケが溜まってんだよ!さっさと払いなこのドサンピンがァ!』

 

「匿名希望の倶楽部HO‐SHOWからです」

 

「だから匿名じゃねぇだろーが!それただの督促じゃねぇか!」

 

「ってか、最近よくわからない領収証が多いんですけど、なんか切手代がやたら多くないですか?なんなんですか切手代って?」

 

「ハァ?そんなコトねーしィー!」

 

「見てくださいよ香取先生、この不明瞭な領収証!」

 

「あら?…あらあら?」

 

「ちょ!オマエ!やめろよ!香取先生!コイツ疲れてるんすよ!数字間違えちゃってるんすよこの文学少女!ほら!なんか髪も青ざめてるし!体調悪いんじゃないかなー?」

 

「これは地毛です!」



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提督と磯風とオライムス

ちょっと遅くなりました

【登場人物】

磯風
殺人シェフ、グ●メラックの申し子
やはり食材は死にたて限る

比叡(2)
何度か名前の出たバイオテロリスト
食材は当然のように殺したてが一番


「オムライスか」

 

「オムライスだ」

 

目の前に置かれた皿に載っているのは見た目はごく普通のオムライス、そう見た目的にはだ

 

「見た目は問題ないな」

 

「そうだろう!自信作だからな」

 

ただ、これを作った者は殺人シェフの二つ名を持つ磯風だ

この磯風の恐ろしいところは一見普通の料理に見せ、一切の毒物反応を検出させないところであろう

 

「ラットで試したか?」

 

「大丈夫だ、食後30分の生存は確認した」

 

「…30分以上は?」

 

「眠くなったのだろうな、まるで母の胸に抱かれた子供のように安らかに眠ったよ」

 

そうか、30分か…

即死じゃ不服だろうから時間差を与える感じか

使い方を間違えなければこれほど理想的な毒物はあるまい

 

「さぁ、おあがりよ!」ドヤァ!

 

「いやいやいや、おあがりよじゃねーよ!」

 

「そうか?違うか?ならば………会心の一食や!」ドヤァ!

 

「会心の一撃の間違いだろがァァァァァ!!」

 

「大丈夫だ!提督はラットのような軟弱者とは違う、強い生命体だ!ラットとは生物としてのステージが違うしな!」

 

「誉めてるつもりかもしれねーが何一つ嬉しくねぇよ!!」

 

「そうか、ではそろそろ食してはどうだ?オムライスはホカホカのまま食すのが美味いのだぞ」

 

「磯風くん」

 

「なんだ?」

 

「実は僕はオムライスが嫌いでね」

 

「そうか、では今日が自分革命になるな」

 

「医者から止められているんだ」

 

「そうか、それはヤブだな」

 

「実は朝からお腹急降下でね、椅子と便器を行ったり来たりさ」

 

「大丈夫だ、この磯風、常に正●丸の準備がある」

 

…この部屋唯一の扉は磯風の真後ろ、窓にはマグナムスチール製の鉄格子、壁は厚さ50cmのブ厚いコンクリート造り

なんでこんな部屋にしてしまったのか、我ながら後悔しかない

 

「なんならこの磯風がフーフーしてやるサービスをつけてやろう」

 

正面から行くか?奴を抜くにはゾーンに入るか?いや、無理だ

ならば光速の世界に入門する?いや、奴の神速の超反応がある

…古典的だが猫騙しで虚を突くか?

 

「ほら、口を開けるがいい」

 

行けるか?一瞬、虚を突いてボディに虎砲を叩き込むか、いや、先に虎爪で目を潰すか?

 

「磯風くん」

 

「なんだ?」

 

「前々から気になっていたのだが、左右の靴下のサイズが違うんじゃないか?」

 

「あぁ、これはオシャレだ」

 

「そうか…オシャレか」

 

「うむ、ほら、大きく口を開けろ、口を、痛かったら痛いと言え」

 

「歯医者かッ!」

 

ゴン!ゴン!

 

絶体絶命の危機に、分厚い鉄の扉を叩く音が響いた

 

「シツレーしまっす、オムライス作ったんすけど食べませんかー?」

 

なんで比叡ェェェェェ!!!?

 

「む?」

 

「おや?」

 

磯風と比叡の間に電流が走る、会話は無い、ただ、互いに理解し、確信したのであろう

自分の作った方が美食であると…

 

「まだグルメ刑務所に入れてなかったんですか?このグルメ駆逐艦、早く収監させた方がいいですよォ?」

 

「ハハッ?何を言ってるんだこのグルメ戦艦は、まだ“適応”しきれてないのか?」

 

このまま史上最悪の食戟が始まってしまう事を言葉ではなく心で理解した俺の身体はどうすればいいのか、最善の手段を執った

 

「まぁいい、さぁ提督よ、この磯風のオムライスを食すがいい」

 

「ま、待て!磯風、こ……コイツ!」

 

『………死んでいるッ!!』



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提督と葛城とデュエルズィーカク

【登場人物】

葛城
遂に現れた雲龍姉妹の三女、ズイカクセンパイをリスペクトしている、絶壁

雲龍
名前だけ登場、仙人みたい、大きい

天城
名前だけ登場、痴女ダンサー、大きい

瑞鶴
以前も名前だけ登場、最近新しい力を得た、絶壁


休憩がてら五月雨とメシでも食いに行くかとタラタラ歩いていたら前方の曲がり角になんか変なのが居た

 

「なんだアレ?」

 

「空母の葛城さんですよ、名前覚えましょうよ」

 

葛城…?あぁ、居たな、そんなのが、たしか仙人みたいな姉ちゃんと元演歌歌手の痴女ダンサーみたいな姉ちゃんのキョーダイだっけか

 

「ハァ~…カッコ良すぎるべェ~、眩しすぎるべェ~」

 

どうやら何かを覗いているみたいだが、声をかけるには些か躊躇いを覚える、ウチに居る奴は基本的にギラギラした目をした奴が多いのであんなキラキラした目は珍しい

 

「なにやってんだ?オマエ」

 

「ん?あぁ…テイトクさん、ティッス!」

 

葛城は一瞬メンチ切ってきたが、意外と礼儀正しく頭を下げた

 

「何見てたんだ?」

 

「何って……そりゃアレっすよ、ズイカクセンパイっすよ!」

 

「…ふ~ん」

 

曲がった先にはたしかに瑞鶴と翔鶴、そしてビッグママこと鳳翔がなにやら立ち話をしていた

五航戦どもが時折頭を下げているのは、たぶんあまりツッコんではいけない状況なのだろう

 

「嗚呼、尊い!尊すぎんべよォ!あまりの眩しさに直視できねェ!!」

 

「太陽か」

 

「ハンカチをどうぞ」

 

「こりゃスンマセン、え~…秘書子の、え~…サンドロックさん!」

 

「五月雨です」

 

「スンマセン、自分、ズイカクセンパイ以外の名前は曖昧なモンで、以後気をつけますサクラダイトさん!」

 

「五月雨です」

 

コイツもかなり面倒くさい奴みたいだな

大和さんをリスペクトし過ぎて形から入った矢矧ちゃんと似ているのか?

 

「そんな瑞鶴先輩に憧れてるなら舎弟にしてもらえよ、アイツなら仲間になれよ!って言ってくれるぞ、たぶん」

 

「そそそ!そんな畏れ多いッ!!憧れのズイカクセンパイとは目を合わすどころか会話すらしたコトすらねぇのにッ!」

 

「………え?オマエ、結構前からウチに居るよな?」

 

「ハァ、もう1年半ぐらいになりますかね?」

 

それだけ期間があって会話すらしてねぇとは…

 

「ズイカクセンパイがあまりにも眩し過ぎて直視するだけで常に視界が曇りまして!」

 

「雨だよ」

 

「いや、それ雨じゃないですからね」

 

「雨だよ」

 

そういや前に瑞鶴が後輩にビビられてるんじゃないかって悩んでたな、あの時はそう…無い胸張って缶コーヒーでも奢ってやれよって勧めたっけなぁ~

 

「おい、カツ」

 

「なんすか?」

 

「前に瑞鶴先輩が缶コーヒー奢ってくれなかったか?」

 

「恥ずかしながら!姉ちゃん達から気を失っていたと聞いております!」

 

たしかに、以前、瑞鶴が雲龍姉妹に缶コーヒーを奢ってくれたらしいがあまりの尊さにその場で失神&失禁したそうだ

ちなみに、中身は仙人みたいな姉ちゃんが飲んでしまい、今は空き缶だけを神棚に祀ているそうだ

 

「カツ」

 

「なんすか?」

 

「オマエも一緒に行くか?ファミレス」

 

「お供します!いいんすか?サンテグジュペリさん!」

 

「五月雨です、そろそろブン殴っていいですか?」

 

「同じ絶壁同士、広い心を持てよサミー」

 

「葛城さん、バット持ってませんか?金属のやつ」



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提督と秋津洲とネオジ●ング

【登場人物】

秋津洲
かわいさだけが取り得の水上機母艦
香取先生の熱血指導を受けて練度だけは99

瑞穂
名前だけは何度か登場してた水上機母艦、元気ブリバリな空気に染まってなく、ワリと普通
皿になんか妙なもの載せてる


朝の運動、速吸クンとのエキサイティングキャッチボールを終え、喫煙所で煙草を吸っているとデカい箱を持った秋津洲が歩いていた

 

「よォ~、ナニ持ってんだ?オマエ」

 

「あ、テイトク!見て見て!お小遣い貯めて遂にネオジ●ング買ったかもー」

 

「ふ~ん」

 

「今から部屋で作るかも」

 

前にちょっと見せて貰ったが秋津洲のガン●ラ製作技術はかなり高い、正直、見るだけでチビりそうになる

 

「完成したら見せてくれよ」

 

「わかったかもー」

 

「楽しみにしているぞ、ジュースでも奢ってやろう、何がいい?」

 

「オレンジジュース!」

 

「缶コーヒーな」

 

自販機のコーヒーボタンを押し、出てきた缶を秋津洲に渡してやった

 

「ひどい!聞いた意味無いかも!」

 

「聞く事による会話のキャッチボールだ」

 

「捕れない球を投げつけるのはキャッチボールじゃないかも」

 

秋津洲はぶつくさ文句を言いながら缶コーヒーを空けて一口飲んだ、なんだ、苦くて飲めねぇとかじゃないんだな

 

「でも貰ったからには飲むかも…」

 

「律儀だな」

 

「秋津洲は律儀な子かも、ん?あれは……」

 

「なんだ?」

 

秋津洲の視線の先、向こうから廊下を歩いて来たのは水上機母艦の瑞穂

駆逐艦バスケ、チーム瑞穂を率いるハクいスケのナオンと呼ばれている美人監督だ

 

「あら提督、こんにちは」

 

「よぉ、今日もハクいな」

 

「はぁ…?そうですか?秋津洲さんも、こんにちは」

 

「こんにちはかも」

 

瑞穂と秋津洲は一応、同じ水母と言うやつらしいがその性能や用途はまるで違う

瑞穂はマルチシルエット搭載の万能型だが、秋津洲はエレガントさ追求して遠距離武器を全部捨てたような感じだ

 

「飲み物を奢ってやろう、何がいい?」

 

「それはありがとうございます、そうですね…ではオレンジジュースを」

 

なんでどいつもこいつもオレンジなんだ、流行ってんのか?

とりあえず小銭を入れてオレンジジュースのボタンを押し、出てきた缶を瑞穂に渡してやった

 

「ありがとうございます」

 

「ズルいかも!瑞穂サンにはちゃんとオレンジジュース買ってる!納得いかないかも!」

 

「俺は美人監督には優しいんだよ」

 

「納得いかないかもー!」

 

「うるせぇ野郎だな、オマエも奢ってやったろーが」

 

「秋津洲は缶コーヒーだったかも!オレンジジュースって言ったのに缶コーヒーだったかも!」

 

「それが大人の特権だよ」

 

「何がッ!?」

 

「あの…?なんでしたらコレ、差し上げましょうか?」

 

「…いらないかも、秋津洲には缶コーヒーあるし」

 

「それが大人の特権だよ」

 

「だからなんで!?何が特権!?提督、それ言いたいだけかも!?」

 

まぁ、その通りなんだけどな、色々と面倒くさい時に便利な言葉だな、コイツは………ん?また誰かこっちに歩いて来やがった、アイツは…

 

「よォ~鈴谷、今日も吐き気がするぐれービッチくせーな」

 

「ビッチじゃねーし、あ、それ缶コーヒー?鈴谷にも一口頂戴」

 

「死ね、サルモネラ菌が」

 

「ひどっ!!包もうよ!もっと言葉にオブラートを!」

 

「死ね、ピロリ菌が」

 

「包んでねぇ!!」



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鈴谷と熊野とヒロ引力

ヒロインとは何かを問うヒューマンドラマ、提督不在回

【登場人物】

鈴谷(11)
ビッチ・オブ・オーバーロード・ジ・エンド
扱いの悪さに定評がある

熊野(5)
44回以来、ズイウンの素晴らしさと可能性にハマった


「あのさぁ~鈴谷考えたんだけどさぁ~」

 

重巡寮、通称、さわやか寮の一室

机に足を置き、チャ●プロードを読んでいた鈴谷は同室の熊野に話しかけた

 

「何をですの?お金なら貸しませんわよ」

 

「借りねーし、鈴谷まだ金持ってるし」

 

前回の作戦海域で、最上型一同はかなり稼いでおり、多少ハメ外して豪遊してもとりあえず鈴谷の財布には諭吉様が居た

 

「ちょっと鈴谷の考えに忌憚の無い意見をくれない?」

 

「今忙しいですわ」

 

「瑞雲イジってるだけじゃん、っーかナニそれ?なんかスカスカじゃない?」

 

「肉抜きして軽量化してますのよ、ふぅ…次はシャーシですわ」

 

熊野は今度のジャペンカップ用のニューマシン、シャイニング★ズコーピョンを整備をしていた

 

「まぁ、聞いてよ、鈴谷色々考えてみたワケよ?」

 

「人生についてですの?」

 

「違うし、なんで提督が鈴谷に対して無駄に厳しいのか」

 

「…ビッチだからじゃありませんの?」

 

「ビッチじゃねーし」

 

「ふぅ…それで?何か考えはまとまりましたの?」

 

「いや、冷静に考えたらよ?鈴谷かわいいじゃん?どちらかと言えば美少女じゃん?おっぱいデカいし!しかもワリと気安いし!ある程度の変態プレイは許せる適度なエロさはあるし………あれ?コレ鈴谷かなりヒロイン力高くね!?鈴谷普通にヒロインじゃね?」

 

「…何言ってますの?イカレてますの?」

 

「いやいやいや!これ鈴谷フツーなら無敵じゃん!なんでコレでビョーゲン菌扱いされるワケ?おかしくね?」

 

熊野は一つ溜め息をつき、手にしたヤスリを机に置き、鈴谷の方に椅子を向けた

 

「ビッチだからですわ」

 

「だからビッチじゃねーし!」

 

「おだまりなさい!自分がどう考えようとアナタはビッチ!ビッチ・オブ・ビッチ!クイーン・オブ・ビッチの称号を得ているのですわ!」

 

「なん……ですと?」

 

あまりの驚愕に、鈴谷の手からチャンプ●ードが床に落ちる

 

「そして、提督も常々言っているでしょう?ビッチが嫌いと」

 

「いや…でも、鈴谷ビッチじゃないし…」

 

「おだまりなさい!」

 

「二回目ッ!」

 

「ビッチなんですわ!アナタはッ!いつまで目を背けてますの!向き合いなさい!現実と!」

 

ザワ…ザワ…

 

「いや…でも、マジで…鈴谷、そーゆーの、してないし…」

 

「おだまりなさい!ハイ!鈴谷はビッチです!続いて!ハイ!」

 

「……鈴谷は、ビッチ…です」

 

「声が小さい!ハイ!」

 

「鈴谷はビッチです!!」

 

「過ちを認め、次の糧にする事が出来る、それが大人の特権ですわ!フロ・フルンタルも言ってましたわ」

 

「誰よ、それ…?」

 

全てはビッチである事が原因、無敵のヒロイン力もビッチと言う名のステイタスに塗り潰される

 

「とりあえず、ビッチ臭にファブ●ーズする事をお勧めしますわ、無駄ですけど」

 

「最後の一言、超余計なんですけど!」

 

「そんなに提督の対応に不満があるなら、逆に、提督がちやほやしてる方を見習ってはいかがです?」

 

「ちやほやしてる方?」

 

「比較的、駆逐艦には普通にお小遣いあげたりしてますわよ」

 

「…たしかに」

 

鈴谷は思い出す、言われてみると、何気に駆逐艦のキッズには甘いところがある

 

「あと、香取先生や鹿島先生の前では紳士ぶりますわね」

 

「たしかに」

 

先生が好きなのだろうか?そーゆープレイが好きなのだろうか?

 

「…つまり、どう言うこと?」

 

「本人に聞いてみては?ハイ、ファ●リーズですわ」

 

「いや、おかしくね?鈴谷そんなに臭うの?ちょっと涙が出そうなんだけど?」



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提督とイケメンと続続続続続続ナイトクラブ

イケメン遭遇率1000%回

【登場人物】

天龍(2)
世界水準を超えたヤンチャ系軽巡、厨二病

木曾(2)
家では良い子の厨二病


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「今日は?」

 

「フッ…とっくにご存知なんだろ?」

 

「テキトーなの寄越すから座ってな、ボーイ」

 

「ボーイはやめてくれよ」

 

まったく、ママにはかなわねぇぜ、とりあえずいつもの如くテキトーな席に座り、煙草に火を点けた

 

「天龍でェす!ヨロシクぅ!」キリッ

 

「木曾だ…逢いたかった」キリッ

 

い…イケメンッ!イケメンが来ちゃったァァァ!!おかしいな、店、間違えちゃった!?

 

「オレに会いに来てくれんだろ?寂しくて、オレ、死んじゃいそうだったぜ?」キラッ

 

「やかましい」

 

「フッ、まぁそう言うな兄弟、オマエに最高の一杯を注いでやるよ」キラッ

 

「いちいちキラキラすんなボケナスどもが」

 

当基地きっての厨二病コンビ、天龍と木曾、ルックスもイケメンだ

まぁ、おっぱいのついたイケメンってヤツか

 

「オマエらも小遣い稼ぎか?っーか木曾、オマエ大丈夫か?」

 

「姉ちゃん達には黙っててくれよ!本気で!マジ黙っててくれよ!バレたらマジ殺される!」

 

ルックスもイケメンな木曾、しかし姉ちゃん達だけは未だに怖いらしく

姉ちゃん達の前ではオレとか言わない普通の良い子ちゃんで通していた

 

「まぁ仕方ねぇよ、木曾んトコの姉ちゃんマジコエーしな」

 

「絶対言うなよ!」

 

「わかったわかった」

 

以前、演習で木曾が余所の艦隊にオマエらの提督は無能だなァとオラついた発言をし、たまたまそれを見ていた球磨姉ちゃんが大激怒、オマエ今なんて言ったクマ!来い!修正してやるクマ!姉ちゃんそんな風に育てた覚えないクマと演習相手がドン引きどころかもうやめてと懇願する程の公開修正と言う名の惨劇が行われた…

 

「大丈夫だって!なぁテイトク!」

 

「まぁな」

 

「ほら!提督も言ってるし、大丈夫だって!」

 

おっぱいのついたイケメン、天龍

この世で一番オレがカッコいいと勘違いしているヤンチャ軽巡で、友情に厚い、ちなみに好きなクランはか●ろうではなくシャドゥ●ラディンらしい

 

「まぁ今日はみんなで飲もうぜ!な?」

 

「ありがとう天龍、マイ・フレンド…」

 

「いや、冷静に考えたら客はオレなんだが」

 

「カテェことゆーなよ!ママァ!ボトルボトル!ボトル入れっからー!」

 

「オイ」

 

まぁ、今日は勘弁してやるか、別に高いボトル入れてるワケじゃねぇし

 

「お~…そういや木曾、なんかこないだ夕張のアホンダラがオマエのマント改造してーって言ってたぞ」

 

「夕張が?」

 

「おぉ…えっと、あぁコレだ」

 

俺はポケットに仕舞っていた木曾改造プランの仕様書を机の上に広げた

 

「名付けて、木曾・改改改改、フルクロスだそーだ」

 

「やべぇ…超カッケー」

 

「いいなオマエばっかー!クソッ!超カッケーじゃねーか!」

 

ちなみに、この仕様はマント代がシャレにならないので却下したんだけどな

 

「オレにはなんかねぇのかよ?」

 

「あったぞ」

 

「あったのかよ!?」

 

「あぁ、実は上から何点か改装案が来ていてな」

 

「なんだよォ~?黙ってるなんて人が悪いじゃねーか、見せてくれよ」

 

「まぁ、別に構わんが…」

 

たしか内ポケットに印刷した紙があったような…あぁ、これだこれだ

俺は天龍改二計画書を机の上に広げた

 

「まずはコレ、テンーリュウキャノン」

 

「カッコ悪ッ!!」

 

「カッコ悪いとかゆーな、ツインドライヴだぞ」

 

「いや…ツインドライヴとか言われてもなぁ」

 

「ちなみにテンーリュウキャノンはテンーリュウタンクに変形できる」

 

「さらにカッコ悪りぃ!!っーか関節がやべぇ!」

 

「そしてコレがメイン形態、テンリュウ改めマスラオだ」

 

「オレの面影どこにもねぇ!!」




倶楽部HO‐SHOWは幅広くお客様を募集しております


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提督とIowaとSeesawgame

【登場人物】

アイオワ(2)
超大国出身ビッグガール
色々ビッグ


「キターッ!!ミカのアリウープ!」

 

「すげぇよミカは…ハンパじゃねぇ!」

 

秋の鎮守府杯、略してチンハイの三回戦、陸奥率いる睦月型VS白露型キセキの世代、五月雨擁するチーム・衣笠

 

「やらせませんよ!」

 

「サミダレェ!クソッ!圧力ハンパねぇ!」

 

「キクッ!こっちだ!」

 

「ムツキにパス?いや、これは…ロングパスッ!ハツ!サツキのスリーだ!」

 

「遅いよ!」

 

ロングパスから流れるように放たれるスリーはリングに掠る事なくネットを揺らした

皐月のスリーも夏からかなり精度を上げている

 

「お~コレ勝ちそうじゃね?キセキの世代負けるんじゃね?」

 

「ん~…まだなんとも言えないネ」

 

体育館内、観覧席

俺とアイオワはポップコーンとコークを手に白熱する試合を眺めていた

 

「Gameは終わるまでわからないモノよ」

 

「アイオワ的にはどっちだ?」

 

「ん~…ま、やっぱKinugasaかしら?Mutsukigirlsの高さでSammyを止めるには限界があるわネ」

 

アイオワ曰わく、五月雨より先に皐月の膝が限界だろうとの読みだ

なるほどたしかに、皐月の対空はパネェがあんな跳躍はそう何度も出来ないだろう

 

「さすがアイダホのNo.1プレーヤーだな、む、コークが無くなったか」

 

「Noproblem、ワタシのをあげるワ」

 

「悪いな」

 

さすがは超大国のダイナイトパッキンガール、うちのクズどもとは器が違う、すぐオレンジジュースとか言うメイドインジャパンどもにも見習って欲しいものだ

 

「妾には見えておるぞ」

 

「こいやァ!このファッキン妾がァ!」

 

「うむ、止められるものなら…」

 

「右…いや、左ッ!」

 

「パスじゃ」

 

「な゛!?」

 

「ネノヒの速攻!?止めろォォォ!」

 

お~さすがにヤるな、他のトコもそうだったがキセキの世代が居るチームは全体的にレベルが高い

 

「オマエんトコで勝てそうか?」

 

「ん~…Nocomment、少なくとも、夏のGameで負けたTeamにはもう負けないワ」

 

「夏の試合…?あぁ、浜風ちゃんが居るトコか」

 

「あのSizeの揃ったTeamはStatesにもなかなか無いワ」

 

「ふ~ん…む、ポップコーンがなくなったか」

 

「バーガーもあるヨ」

 

「悪いな」

 

鞄からアメリカンサイズのバーガーが出てきた

あの鞄、さっきから明らかにサイズ超える量を取り出してる気がするんだが…

 

「クソッ!サミダレェ!!」

 

「ダメだ!!ブロックされた…いやッ!!」

 

「オオオオオォォォ!!!」

 

「キターッ!!ミカァ!!」

 

「!?」

 

「スゲェ!サミダレの上から強引に叩き込んだァ!!スゲェよミカ!ハンパじゃねぇ!」

 

「ッシャア!!」

 

すげぇよミカはこと三日月のダンクで逆転し、場内は歓声に湧く

まさか、敗れるのか?キセキの世代が!?

 

「甘いですよ」

 

「高弾道スリーッ!バカな、もう限界じゃ…」

 

「…限界などとうに超えてますよ」

 

「クソッ!キサラギィ!」

 

「またテメーかッ!アヤナミィ!」

 

「抜かせるかよォ!キサラギィ!」

 

「上等だよテメー!」

 

「ディフェンス!死んでも守るぞォ!!」

 

さすがに甘くはねぇな、五月雨の野郎、あとでアイスでも買ってやるか



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提督と食堂とカレー

オチのない平和な回

【登場人物】

提督(28)
カレーは辛い派、白米大事

五月雨(13)
カレーは中辛派、以前、激辛食べて痛い目にあった

卯月(2)
通称うーちゃん、提督からもうーちゃんと呼ばれているレアなやつ

伊良湖
給糧艦、間宮サンの舎弟らしい

鈴谷(12)
カレーは激辛派、新陳代謝大事


「今日はカレーか…」

 

腹が減ったので食堂に行くと、ひと味違うスパイシーな香りが漂っていた

今日はみんな大好きカレーの日と言うヤツだ

 

「俺は茄子カレーにでもするかな、オマエは?」

 

「そうですね、じゃ、私も同じので」

 

「うーちゃんはリンゴとハチミツのバー●ント甘口にするぴょん」

 

……うーちゃん、いつの間に?バカな、まるで気配を感じなかった

 

「ぷくぷくぷー」

 

「お姉さん、茄子カレー2つとリンゴとハチミツのバーモ●ト甘口を」

 

「いや、ウチ、バー●ントとかはちょっと…」

 

向かい側のカウンターに居るあまり見覚えのない若い店員さんは苦笑いをしていた

 

「店主を呼べ!店主を!と言うかキミは誰だ?Who are you?」

 

「伊良湖ですッ!」

 

「サンチョス、知ってるかコイツ?」

 

「五月雨です、知ってますよ、結構前から居ますよ、伊良湖さん」

 

結構前から居るのか…それにしてもまったく覚えがないな

 

「ふ~ん」

 

「とりあえず、リンゴとハチミツのバーモ●ト甘口は無いので別のにしてください」

 

「ないそうだ、うーちゃん」

 

「じゃ普通のカレーでいいぴょん、ニンジン抜きで」

 

「いや、そーゆーサービスもないですから」

 

俺と五月雨は茄子カレー、うーちゃんは普通カレーをトレイに載せ、なんとなく空いている席に座った

 

「ぷくぷくぷー」

 

「そうだ、俺の食べかけの茄子とオマエの無傷の茄子交換しよーぜ」

 

「イヤですよ、100歩譲って無傷の茄子と無傷の茄子なら応じますけど」

 

「ケチくせぇな」

 

「と言うか普通、違うもの同士を交換するものじゃないんですか?」

 

「そうしたいが、俺もオマエも茄子だしな」

 

今更ながら、気分と流れで茄子にした事が悔やまれる…

そこへ、トレイを持ったいやらしいニーソがやって来た

 

「ティーッス、お、テイトクとサミーじゃん、空いてるトコ座っていい?」

 

「消えろ」

 

 

「だから鈴谷に厳し過ぎるってば、よっこらせっと…」

 

ビッチオブニーソ、鈴谷

鈴谷は恐るべしトッピングが盛られたカレーの載ったトレイをテーブルに置いた

 

「なんだそれ?」

 

「ん?限定メニューのマミヤスペシャル2018‐神の誕生‐だけど?」

 

「なんで2018なんだよ、なんで2年も先取りしてんだよ!早過ぎだろ!」

 

「鈴谷に言われても知らねーし」

 

名前もアレだが見た目もすげぇなマミヤスペシャル2018‐神の誕生‐

カレーに夕張メロン刺すとかなかなかできるコトじゃねぇよ…

そしてあの白い塊はなんだ…?イカか?

 

「…その白いの、なんだそれ?」

 

「コレ?なんだろ?」

 

そう言って鈴谷は謎の塊を口に入れると微妙な顔で飲み込んだ

 

「ナタデココだし、コレ」

 

「ナタデココか」

 

なかなか意欲作のようだなマミヤスペシャル2018‐神の誕生‐

間宮クンも疲れてるのだろう、今度休暇をとる事を勧めよう

 

「ぷくぷくぷー、しれーかん、うーちゃんのニンジンと茄子を交換するぴょん」

 

「いいぞ、ほれ」

 

「ぷくぷくぷー」

 

「ふふ~ん、提督、鈴谷もナニか交換してあげよっか?」

 

「あ?調子に乗るなよピロリ菌が」

 

「だからッ!ナニッ!この差はナニッ!?鈴谷なんかしたぁ!?」



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提督とWarspiteとRoyalsmile

VS女王陛下回

【登場人物】

Warspite(2)
通称、陛下、我に従えと言われたら従って仕方ない

清霜
夕雲型駆逐艦、アホ、これはペロい

リベッチオ
マエストラーレ級駆逐艦、アホ、これはペドい


たまにはファームのクズどもの練習でも見に行くかと考え、明石の店でジ●ンプと缶コーヒーを買って歩いていると、陛下の周りでアホそう駆逐艦のキッズがキャッキャ騒いでいた

 

「カッケー!陛下の椅子マジカッケー!」

 

「座ってみますか?」

 

「いいんすか!?マジいいんすか!?」

 

「あ、ズリー!キヨシだけズリーよォ!リベも!リベにも座らせてくれよォ!」

 

キヨシこと駆逐艦清霜とマエストラーレ級駆逐艦リベッチオ

あの香取先生でも苦戦する底無しのアホどもがよりによって陛下に無礼を働いていた

 

「ナニやってんだクソガキどもがァ!陛下がお困りだろーがァ!」

 

「ゲェーッ!提督ッ!」

 

「国際問題で裁かれてぇのかボンクラどもが」

 

「良いのですよ、Admiral」

 

「ハッ?しかし…」

 

「良いのですよ」ニコッ

 

クッ……!!これがロイヤルスマイルッ!

一瞬、もう膝を折ってしまい靴を舐めたい衝動に駆られたが、左手の人差し指を折る事でこのロイヤルズガタカに耐える事ができたのは俺のタフなスピリットがあっての事だろう…

 

「スゲェ!ウチにある椅子とフカフカ感がまるで違う!」

 

「マジで?あとは?あとは?」

 

「フフフ、頭が高いぞマエストラーレ級ごときめ…この大戦艦清霜に楯突くか!」

 

「スゲェ!戦艦っぽい!リベ、ビビって金出しそーになった!」

 

「うへへへーどう?カッコいい?提督提督!写真撮って!写真!」

 

座るだけで憧れの大戦艦気分になれる陛下の椅子か…

 

「調子に乗るなクソガキが」

 

「ケチ、じゃ陛下お願いします」

 

「…私がPhotographを?」

 

オイイィィィィィ!!なにやってんだこのアホガキィィィ!よりによって陛下に携帯渡して写真撮れとかもうギ●チン決定だよォォォ!!

 

「へ…陛下、す…スイマセン…あ、アホなんです!この子らただのアホなんですッ!」

 

「あら?私は別に良いのですよ?」

 

「しかし…陛下」

 

「Noproblem」ニコッ

 

「ヒギィ!!」バキッ!

 

中指は犠牲になった、犠牲の犠牲に…

 

「ところでAdmiral、これはどう使ったら良いのでしょう?私の知るcameraと随分違うのですが」

 

「は、はぁ…こちらはですね、まずはカメラモードにして頂き…」

 

「ねー?早く早くー」

 

「ポーズどーする?ポーズ、キヨシがビ●ト神拳喰らってるとこー?」

 

「ん~…大戦艦清霜の圧倒的火力になすすべもない哀れなマエストラーレ級みたいな絵がいいな~」

 

「えー!!それリベカッコ悪いからヤダー!」

 

「いいじゃん!あとで変わってやるし!」

 

「う~ん、それならいいかも…」

 

このクソガキども人の気も知らずに…後で殺す、必ず殺す

俺の欲が満たされるまで何度も何度も何度もよォ~

 

「OK、いいかしら?」

 

「オッケーっす!」

 

「お願いしやーす!」

 

「はい………え~コレでいいのかしら?」

 

「あざーす!陛下あざーす!」

 

「次リベ!次リベと変わって!早く早く!」

 

「あ!ここビスケットが入ってる!もーらい!ウメェ!なんだコレェ!王室御用達かよ!」

 

「あー!!リベも欲しい!リベも!」

 

あ…ぁ…陛下のビスケットを勝手に!しかも陛下の御椅子にあんなにビスケットのカスをポロポロと…

もうダメだ、ギロ●ンじゃ済まねぇ!!

 

「へ…陛下、その…」

 

「良いのですよ」ニコッ

 

「ガハァ!」バキッ!

 

こ…これが陛下、なんて心の広い御方だ…

いかん!膝が折れそうだ!クッ…薬指では足りないかッ!こうなったら仕方あるまい

 

「あの…?Admiral、お顔の色が優れないようですが?」

 

「…キヨシ、その艤装で俺を撃て」

 

「へ?」

 

「モタモタすんな早くしろォ!!オレの理性が残っている内にーッ!!」

 

 

後に、この事件は敵・深海棲艦には人間を操る能力があるのではと軍本部に衝撃を与える事になる

ちなみに、俺は左手の指を三本骨折の他は軽傷で済んだ、夕張曰わく、服の下にジャ●プを仕込んでいなかったら即死だっただろうとのコトだ



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提督と夕張とシャイニングフ●ンガー

【登場人物】

夕張(5)
作る事が好きで壊す事が苦手、ただ、本人は壊れている


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

等価交換の原則を無視した倫理観の足りない兵装実験軽巡、夕張

スーパーカー消しゴムからオーラバ●ラーまで幅広く開発できるらしい

 

「見せてみろ、もしくだらねーモンだったらア●ルアナライザーぶち込むからな」

 

「ヒッ!……だ、大丈夫です、イエスです!えぇイエスです提督!イエスです!」

 

なんで微妙に嬉しそうなんだよコイツ…キメぇな

 

「では、今回のアイテムはこちら!溶断破砕マニピュレーターです!」

 

「…足がないな」

 

「足なんて飾りです!」

 

またワケのわからんもんを作ってきたよ、この子は

 

「こちらの溶断破砕マニピュレーターですが、説明するより実際に見て頂いた方が分かり易いと思いまして、あらかじめ実際の様子をビデオに撮っておきました」

 

「見せてみろ」

 

「あ、VHSなんですけど」

 

「サミダス、アレを」

 

「五月雨です、VHSのデッキなんてありましたっけ…」

 

「たしか押し入れの奧に入ってる筈だ」

 

「う~ん……あ、コレですかね?たぶん」

 

押し入れの奧に入っていたダンボール箱からVHSのデッキを取り出し、テレビに繋げて久々に電源を入れる、なんかカビくさいな

 

「ん?なんか別のテープが入ってるみたいですけど、どうやって出すんですか?コレ」

 

「私に任せてみて~…はい、出ました!」

 

デッキの中から出てきたのはラベルに手書きで●イタニックと書いてある

 

「へぇ、タイ●ニックですか」

 

「意外ですね、後で見せて貰っていいですか?」

 

「………ダメだ」

 

夕張の手にあるそのビデオテープ、たしかに俺の字でタイ●ニックと書いてあるが内容は違う

たしか●イ●ニックだっか…

 

「DVDで見なさい、DVDで、あとで借りてきてやるから」

 

「はぁ?」

 

 

「そんなコトよりお前のビデオを見せたまえ、お前のビデオを」

 

◆◆◆

 

「なるほどォ!これがシャイニ●グフィンガーと言うものかもー!」

 

「ぐわあああああああー!!」

 

「タ級クン!」

 

「タ級クン!」

 

「クソ!タ級クンガ殺ラレタ!」

 

◆◆◆

 

「素晴らしい破壊力だな、撫でてやろう」

 

「ハッ!ありがとうございます!」

 

あのバールより重いものは持てない、かわいいだけが取り得の秋津洲クンがタ級を一撃か…

 

「しかし、難点もあります」

 

「なんだ?」

 

「まず、射程が短いです!」

 

「そこは勇気で補うしかないな」

 

「次に、反動がすんごいです!」

 

「どのぐらいすんごいんだ?」

 

「ハイ!全身の筋肉がズタズタになり二度と前線復帰はできなくなります!」

 

「…そうか」

 

全身の筋肉がズタズタになり二度と前線に復帰できなくなるか…

 

「今、秋津洲クンはどうしている?」

 

「ハイ!ベットの上で幸せな夢を見ています」

 

俺はゆっくりと立ち上がり夕張の頭に優しく手を置いてやった

 

「スネークバ●トォー!!」

 

「ぐわあああああああー!!!」

 

「立てコラァ!テメーはユメじゃ済まさねぇぞコラァ!!」



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提督と鳳翔と倶楽部HO-SHOW

今日は久々に2本立て
母になってくれるかもしれなかった女性回

【登場人物】

鳳翔(3)
通称、ビッグママ
様々な艦にリスペクトされており、暴れん坊のおきゃんと言われる金剛シスターズすらママの顔を立てる

提督(29)
さすがにママには頭が上がらない、2秒で支度する



倶楽部HO‐SHOW

軽空母、鳳翔が営む夜の店

 

「ナニ?今日休み?」

 

「見てわかんないのかい?休みだよ」

 

一杯ひっかけようとやって来たものの、店内が暗いのでイヤな予感がしたらコレだよ

ただ、ビッグママこと鳳翔はいつものように長い煙管をくわえてカウンターに立っていた

 

「ふ~ん、焼酎の水割りで」

 

「人の話を聞かないボーイだね」

 

「ボーイはやめてくださいよ、ほら!鯛釣って来たんすよ、ほら」

 

「なかなか大物じゃないか」

 

クーラーボックスの中から取り出した鯛を渡すとママはそれを鮮やかに捌く、若い子には無い熟練の包丁技は流れる様に鯛を刺身と変えてくれる

 

「ほら、食いな」

 

「あざーす、どうぞ、ママも今日は一杯ヤってください」

 

「当たり前だよ」

 

ビッグママこと鳳翔、うちに来た最初の空母

まだうちに戦艦が居ない頃、初めて遭遇した戦艦ル級の恐怖に脅えていたウチのクズどもにアイツ実は大したコトねーと教えてくれたっけな

俺も含め、五月雨と由良さんは今でも無条件にママには頭が上がらないものだ

 

「そういやアンタ、最近やたらと出稼ぎ外国人みたいなのが多いよ、どうなってんだい?」

 

「さぁ?お小遣いと欲しい物が比例しない多感な年頃なのでは?」

 

「こないだもアメリカのオネーチャンが来てエイゴペラペラで往生したよ」

 

「金剛居なかったんすか?」

 

「居なかったのさ、誰かエイゴわかるヤツいるか聞いたら客で来てた赤城と加賀がわかるって言うから代わってみたら、2秒後にはビール瓶で頭割ってんのさ」

 

なにやってるんだ…アイツら

 

「それでアメリカさんがキレて殴り合い、まったく、いい迷惑さね」

 

「アイツらに任せる方が間違いかと…」

 

「まったくさね」

 

ママ曰わく、赤城と加賀は執拗に五航戦の白い方の内太腿を撫で回したりしており、白い方はいつも裏で泣いているらしい

 

「ま、どーぞ」

 

「今日のはアンタにツケとくからね」

 

「へいへい、今日のは鯛で相殺ってコトにゃならんですか?」

 

「その瓶、よく見てみな、ボーイ」

 

「ボーイはやめてくださいよ…そういや、いつものトロッとキリッとなアイツと違う様な…」

 

って!森●蔵じゃねぇかァァァァァァァァ!!このババアなんて瓶出してやがんだァァァァァ!?

 

「オイイィィィィ!!嵌めやがったなババア!!」

 

「誰がババアだい」

 

「クソッ!なんかスゲー飲みやすいとか思ったら…」

 

「美味いだろ?」

 

さすがはママだ、油断も隙もねぇよ…

 

「ま、今日はツケでいいさね」

 

「…チッ、給与払いで」

 

「ま、鯛の分は勉強してやるさ」



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提督と改白露型と免許更新

ライセンス持ちのワンマンアーミー回

【登場人物】

江風(4)
改白露型の赤いやつ、キラキラした年頃

海風(3)
改白露型の白いやつ、真面目系真面目



先日更新のお知らせが届き、そう言やそろそろ免許更新の時期だった事を思い出した俺は予定を考えながら煙草を吸っていた

 

「お、テイトクじゃねーすか?ナニしてンすかー?」

 

「コラ江風!なんて口の利き方してるの!」

 

なんか見覚えのある赤いのと白いの、たしか改白露型のなんとか風だったか…

 

「オマエは…エカゼ?」

 

「カワカゼな」

 

「そしてウミカゼくん」

 

「はい」

 

「なんでアネキは覚えてンのにあたしは曖昧なんすンか?」

 

「俺は興味の無い事は覚えない主義でな、それをメモリの無駄遣いと呼んでいるよ」

 

「無駄遣いとかゆーな!」

 

うるせぇビッチ面だな、白露型は総じてカルシウムが足りていないのではないだろうか?

今度コーヒーにはミルクを入れる事を勧めてやろう

 

「ところで提督、それなんすか?」

 

「免許更新のお知らせだ」

 

「免許?あ、車のですか…?」

 

「いや、マーダーライセンスの」

 

「…マーダーライセンスに免許更新とかあるンすか?」

 

しかも今回違反キップ切られてるから違反者講習なんだよなぁ、ダリぃんだよな

 

「そりゃオマエ、ゴ●ゴ13だって更新してるしな、俺こないだ席隣だったし」

 

「ゴ●ゴ13も!?」

 

「後ろにはク●ノスのト●インさんとかマインドア●シンの奧●先生も居たぞ」

 

「なンすかその殺し屋オリンピックみたいな集まりッ!危な過ぎだろォ!」

 

「そんなコトないぞ、講習時間以外はどう?最近、人、殺してる?みたいな話で和気あいあいな感じだぞ」

 

「なにそれ超見てェ!!」

 

江風が子供のように目をキラキラさせているのと対称に、海風は困り顔で江風の裾を引っ張っていた

 

「ダメよ、お姉ちゃん許しませんからね、そんな危ない免許取るの絶対許可しないからね!」

 

「クッ…でも、超欲しい!」

 

「ダメったらダメ!!」

 

「でもよォ~みんな持ってるしィ~」

 

「持ってません!そんなDS感覚で持ってるワケないでしょ!絶対ダメだからね!どうしても欲しいなら余所の子になりなさい!」

 

お母さんか、コイツは…

 

「ケチ、ところで提督、講習ってナニすンの?殺るの?」

 

「まぁ色々だ、俺の場合は違反者講習だが」

 

「違反って…?ナニ?殺り損ねたとか?」

 

「いや、スピード違反だ」

 

「殺人免許のスピード違反ってなんだよ!?」

 

「スピード違反はスピード違反以外の何者でもないぞ」

 

「意味わかんねー…他にも違反ってなンかあンの?」

 

「そうだな、最近の流行りはやっぱ携帯使用だな、ついつい楽しくおしゃべりしていると切るタイミングがなくてな」

 

「殺しながら電話すンなァァァァァ!!」

 

「江風!声が大きい!」

 

ボカッ!(拳骨)

 

「痛てェ!!」

 

「もうそんな免許どうでもいいでしょ!ほら!提督もお忙しい方なの!行くよ!」

 

「ちょ!待てよ!コイツタバコ吸ってるだけじゃん!」

 

「コイツとか言わないの!ほら謝って!頭下げて!今日のご飯ピーマンのピーマン詰めでいいの?」

 

「それただのピーマンじゃねーか!!チッ、スイマセンしたァ~」

 

ボカッ!(拳骨)

 

「痛てェ!!」

 

「心がこもってない!!もう一回!ほら、ちゃんと!」

 

「スイマセンでしたァ~」

 

「江風ェ…」

 

「クソスイマセンでしたーッ!!!」

 

「…この通り、江風も反省してますので先程の失礼はどうにか」

 

「あ、あぁ、うん…別に気にしてねぇし」

 

「ありがとうございますっ!さ、行くよ江風」

 

「へいへい」

 

…苦労してるンだな、あの赤いのも



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鹿島先生とカシマ先生と夢オチ

今日はズギュュュンと二本立て

【登場人物】

鹿島先生(7)
先生だってたまには荒ぶりたい日もある

香取先生(6)
何故か提督への好感度が高い素敵な先生

提督(30)
アフターサービスはキチッとシメるタイプ

カシマ
スーパーティーチャー
通称、シ●ルブリットのカシマ


こんにちは、鹿島です

今日は提督さんに呼ばれ、香取姉さんと工廠へとやって来ました…

 

「カシマデス」

 

「ヒッ!?」

 

なにコレ!?なんなのコレ!?

 

「夕張と明石の協力の下で開発され、先日、完成しましたニューミレニアムシリーズの1号機、メカカシマです」

 

め…メカカシマッ!?え?メカ?

い…言われてみるとなんかロボロボしい、って言うか、なんで私がモデルなのぉ!?

 

「ウフフ、カシマデス」

 

…うわ、なんかムカつくなコレ、なんか電子音が混ざってるし

 

「そんな…声まで似ている!」

 

「香取姉さん!?」

 

「えぇ、見た目だけでなく声までほぼオリジナルを再現しております」

 

「…こうして並んでいるとどっちが妹なのか迷いますね」

 

「え?い…いや、香取姉さん?」

 

いや、違うでしょ?どう見てもロボでしょコレ?顔とか似せる気まったくないじゃないですか?ハカ●ダーみたいな顔してるじゃないですか

 

「我々はとんでもないモノを開発してしまいましたな」

 

「えぇ、さすがです提督、この香取、感動で涙が止まりません」

 

「いや、どう見ても私に似てないんですけど…」

 

「ウフフ、ソレガ大人ノ特権ヨ」

 

「うるせぇ!!!」

 

ガンッ!!!(自慢の拳)

 

「い…痛ぁ~!!なにコレ!超硬い!?」

 

ま…まぁ、どう見てもロボだし、硬いのは当たり前か

 

「メカカシマの装甲にはダイヤモンドより硬いマグナムスチールを採用しているので多少ヤンチャなキッズを相手にしても壊れないでしょう」

 

「素晴らしいです、提督」

 

「何も素晴らしくないですよっ!」

 

「ウフフ、ばなーじクン、私ノ仲間ニナリナサイ」

 

「だからっ!うるせぇ!!そもそもこの音声なんなんですか!私こんなコト言いません!誰ですかばなーじクンって!」

 

しかし、見れば見るほどムカついてきましたよコレ、もうちょっと似せる努力とかないんですかあの人達…

 

「まるで鹿島が2人居るみたいですね」

 

「まったくです」

 

「…香取姉さんも提督さんも眼鏡換えた方がいいですよ」

 

ダメだこの人達…

 

「ところで提督、このメカカシマ、戦力としてはどうなのでしょう?」

 

「まず、腕が伸びます」

 

ガシューン!

 

「キモッ!?」

 

ロボロボしい腕が床ぐらいまで伸びた…

 

「で、腹のところに主砲を内蔵してます」

 

ガショーン!

 

「キモッ!!」

 

お腹のところが割れてなんかビームとか出そうな穴が出てきた

 

「ウフフ、僕ラ求メタ戦争ダ」

 

「鹿島の面影を残した素晴らしい造型です、提督」

 

「えぇ、全資材の5分の3をつぎ込みました」

 

「バカじゃないんですか!?なんでこんなのに5分の3もつぎ込んだんですか!?」

 

「鹿島、提督に向かってバカとはなんです、バカとは、姉さんカチンときましたよ」

 

「ゴメーヌ」

 

「フフ、わかればいいのよ?」

 

「香取姉さん、それロボの方!!ってかそいつ反省軽過ぎじゃないですか!?」

 

どうしよう…どう見てもただのポンコツメカにしか見えないのに、このままでは私の居場所が乗っ取られるんじゃ…

 

「さぁ先生方、このスーパーロボットの完成を祝して食事にでもどうですか?」

 

「えぇ、ご一緒致しますわ、ねぇ鹿島?」

 

「アア…内臓タベタイ…」

 

「だからそいつロボォォォォォ!!!」

 

◆◆◆

 

「ハッ!!!」

 

ここは…?私の部屋

ゆ…夢?はは…そうだ、夢に決まってますよね

ハァ…疲れてるのかな、私

 

「ぅぅ…水」

 

せめて夢くらい良い夢見たいのに…

 

「おはよう鹿島」

 

「…おはようございます」

 

「どうしたの?オイルでも飲む?」

 

「オイルなんて飲みませんよ、香取姉さん、私を一体なんだと…」

 

…え?私の手が…?え?なんかロボっぽい、え?

私はおそるおそる部屋の姿見を見る、そこには……

 

 

 

 

 

 

「ギャアアアアアアア!!!………ハアッ!?」

 

ハァ…ハァ…ハッ!?ゆ…夢!?まさかの二段夢オチッ!!



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提督と鈴谷と通常運転

突如としてランキングに入った事に動揺したものの安心の通常

【登場人物】

提督(31)
去年はカレーパンなのでちょっと残念

鈴谷(12)
カース・オブ・ビッチ
高いヒロイン力と圧倒的なビッチ属性、カレーが食べたい


「ティーッス、ヒロイン力溢れる鈴谷がお小遣い貰いにきましたよォ~…アレ?サミーは?」

 

「あぁ?アイツならコーヒー豆買いにブラジルに行ったぞ」

 

「え?マジ?」

 

まぁ、実際は近所の珈琲豆扱ってる店だろうけどな、暇な時にインターネットとかで珈琲豆扱ってる店を探してるみたいだが…

 

「まぁいいや、お小遣い頂戴」

 

「いいぞ、最上クンにワンパン入れて上等吐いてきたら20万な」

 

「…や、それはムリ、ホントムリ、マジでムリ」

 

やはり最上クンは怖いか…

コイツと熊野の最上クンとくまりんこへの恐怖は最早DNAの定めしカルマと言っていいレベルだろう

 

「もうちょっと難易度低いので、できれば3万円くらいの!」

 

「3万円か…そうだな、四つん這いになって公開オ●ニーぐらいか、勿論、全裸でな」

 

「変態ッ!変態ッ!マジ変態ッ!!ありえねーし!変態!」

 

「イヤならイヤで別に構わんぞ、大して見たくもねぇしな」

 

「クッ!!」

 

「わかったらさっさと消えろビッチが、俺は忙しい」

 

来週の秋の大運動会に向けてやる事はなんやかんやある、今年のパン食い競争は練乳がパンパンに詰まり、ちょっと噛むだけで練乳が溢れ出す練乳パンを採用しよう

勿論、決していやらしい絵面の為ではない、俺はただ練乳が溢れ出す練乳パンをみんなに食べて欲しいだけだ、決していやらしい絵面を青葉に激写させる為ではない

 

「じゃ1万円!手でするから1万円!お買い得じゃん!」

 

「やかましい、ほら、100円やるから消えろ」

 

「100円じゃ自販機でジュースも買えないじゃん!」

 

「だいたいなんだ?オマエ、こないだの作戦でかなり稼いでたろーが」

 

「…や、ちょっと豪遊し過ぎて」

 

「街に行ってエンコーしてこいよ、エンコー」

 

「しねーし!鈴谷そーゆーのマジやらないし!」

 

なに言ってんだこのビッチは?イカレてるのか?

 

「じゃ、ポテトの皮剥きでもしてろ」

 

「やだし、ナニ?どっか行くの?」

 

 

「腹減ったからカレー食いに行くんだよ」

 

「あ、じゃあ鈴谷も…」

 

「そこの戸棚に賞味期限の切れたボ●カレーがあるからくれてやる、じゃあな」

 

「待て!待て待て待てし!!せっかくだし鈴谷に奢ってくれてもいいかな~…って?」

 

「いいともー…とか言うワケねぇだろうがボケ」

 

「いいじゃん!お小遣いくれないならせめてカレーぐらい奢ってくれても!」

 

「全裸土下座でもするなら考えてやる」

 

「全裸土下座ッ!?へ…変態ッ!」

 

「変態じゃない提督だ、で?やんのか?やらねーのか?3秒で決めろ」

 

「クッ!!や……やり」

 

「はい終了、じゃあな」

 

「待て待て待てし!!いや!待ってください!」

 

なんでこんなに必死なんだコイツは…

この必死さをもっと別の事に使えたら地球でも救えるんじゃないのか?

 

「待って!マジ待って!ちょっと鈴谷考えるから!」

 

「うるせぇ野郎だな、よし、じゃあ熊野が今穿いてるパンツ取って来い、そしたら金を出してやろう」

 

「マジ?よっしゃあ!!ちょっと待ってて!マジすぐKOしてくるから!マジ持ってくるから!」

 

そう言って鈴谷は勢い良く重巡寮の方へ走って行った

そして、俺は携帯電話を取り出しコールする

 

『もしもし?熊野ですわ』

 

「もしもし?オレオレ、オレだよ」

 

『…オレオ?営業の方ですの?』

 

「今すぐパンツを脱げ」

 

ブッ!!!ツー…ツー…

 

切りやがった、まぁ、警告はしたからな

後はなんとかなるだろう

俺は賞味期限の切れたポ●カレーを机の上に置き部屋を後にした



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提督と五月雨と芸術の秋

秋のアートオブファイティング回

【登場人物】

提督(32)
5段階評価の最高評価は二重花マル、モナ●ザの手で勃●しちゃいましてね

五月雨(14)
炭素14を潜り抜ける自信がある


芸術の秋、普段はヤンチャクレのアホどももアートへの情熱が溢れ出てくるらしく、今日はその展覧会が開催されており、体育館内にはそれぞれが作り上げた作品が飾られていた

 

「これは?」

 

「タイトルは“弟子を殺す師匠”伊8さんの作品ですね」

 

見事な氷の彫像だがなんと不吉なタイトルと造型だろう、潜水艦の闇は深い…

 

「とりあえず、二重マルをつけてやるか」

 

「意外に高評価ですね」

 

「造型は素晴らしいからな」

 

ちなみにこの展覧会、大賞には10万円が贈られ、その他賞にもそれなりのボーナスが支払われるのでみんな気合を入れている

 

「あ、アレなんか凄くないですか?」

 

「ほぉ…ナイチン●ールか」

 

おそらく秋津洲クンの作品だろう、いや、しかし重厚でありながら躍動感溢れるこの造型は秋津洲クンのイマジネーションを刺激するオーラとは別のモノを感じる

 

「作ったのは那珂さんですね」

 

「メイジンか!?」

 

三代目メイジン・カワウチこと那珂さん、二代目の提唱する徹底的な夜戦に異を唱え、歌って踊れる楽しい夜戦を提唱している超銀河アイドル

 

「…これは花マルだな」

 

「高評価ッ!?」

 

まったく、今度のガン●ラバトル全国大会が楽しみになってくるぜ

 

「…駆逐艦どもは絵が多いな」

 

「そうですね」

 

「お前も描いてんの?」

 

「描きましたよ、ひまわり」

 

ひまわりか、なんか普通な感じがプンプンする題材だな

 

「アレです」

 

「どうせラクガキみてーなダセェひまわりなんだろ………ってパネェ!!!」

 

駆逐艦のキッズ達が描いたであろう微笑ましい絵の中に、一枚だけズバ抜けた輝きと真に迫るオーラを放つ絵……いや、絵画ッ!!これはまさしく、ひまわりッ!!

 

「顔料やタッチにこだわりました」

 

「こだわり過ぎだろォ!精巧な贋作じゃねーかァ!」

 

「贋作とか言わないでください、模写です」

 

なんて物を作りやがるのかねこの子は…

 

「とりあえず、花マルはつけてやろう」

 

「ありがとうございます」

 

…展覧会が終わったら美術品ブローカーに売ろう

なんかあそこにも人が多いな、目玉でもあるのか?

 

「皿か」

 

「皿ですね」

 

…また贋作かよ、しかも古伊万里か?コレ、っーか贋作か?いや…なんだコレ?贋作とは思えない本物の持つ気品と言うか、存在感と言うか…

 

「…」

 

「柿右衛門ですか、よく出来てますね、このレベルなら陛下に売って大英博物館に飾れますよ」

 

「国際問題になるわ!誰だよコレ作ったの」

 

「え~……涼風ですね」

 

「…マジかよ」

 

アイツ、乱暴者のくせに妙に器用なところあるからな、っーかコイツら似たような顔してるだけあって似たようなコトしやがる

 

「とりあえず花マルな」

 

「マルでいいんじゃないですか?」

 

「オマエさっき誉めてたろーが」



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提督と阿賀野型とスイーツ

甘々と雷光明王流転拳回

【登場人物】

間宮(3)
おばちゃんと呼ばれると怒る心の狭さ

阿賀野
阿賀野型の長姉、だらしない軽巡ですまない

能代
阿賀野型の次女、だらしない長姉ですまない


最近疲れている気がするので、たまには甘いもの食ってエネルギー充填すっか!と考えた俺は間宮の店に来ていた

 

「おばちゃん、シル●ーヌねぇの?シ●ベーヌ」

 

「…ねぇよ、っーかおばちゃんってゆーな!」

 

「んだよォ~…じゃこのカスシューくれ、2個」

 

「カスタードシュークリームですね?御帰宅までのお時間は?」

 

「今すぐ食うから早く出せよ」

 

店が軍の基地内にあるのに御帰宅までの時間もクソもあるかよ、舐めてんのかこのおっぱい給糧艦は

 

「あ、提督だ」

 

「提督もアマイモン買いにきたんすか?珍しいすね」

 

阿賀野型の頂点に君臨する長姉、阿賀野とナンバー2、能代

軽巡の中でも上位に入るわがままボディ姉妹

 

「オマエらもシル●ーヌ買いに来たのか?」

 

「なにそれ?」

 

「ブル●ンのお菓子すよ、阿賀野姉ぇ、明石ンとこ売ってるすよ、メチャウマです」

 

「なに?明石のとこにあるのか?おばちゃん、それいらねぇわ」

 

「おばちゃんってゆーな!!もう袋に入れた!はいお金!2個で1280円!」

 

「高けぇなオイ」

 

たかがカスシューごときにぼったくりだろ、なんて商売してやがるこのアマ…

 

「私はメープルカスタードミルク羊羹にしよっかな~、能代は?」

 

「じゃ、私も同じので」

 

なんだよその名前の時点で吐き気のする食い物は…?羊羹に対してちょっと失礼なんじゃないのかそれ?虫歯製造機かなんかか?それは

 

「はいはいちょっと待ってくださいね~」

 

そう言って間宮はごくごく普通の羊羹に、かけてはならない甘い何かをドバドバとマヨネーズのようにかけだした

 

「はい、お待ち!」

 

「ウェーイ!ほら能代!ウェーイ!」

 

「ウェーイ!」

 

ウッ!!…この距離で吐き気を催す甘ったるい激臭がッ!!

 

「200円です」

 

「ちょっと待てコラァ!!なんでそのデビルスイーツが200円でカスシューが640円なんだ!」

 

「スイーツじゃないよ提督、スウィーツ」

 

「どうでもいいわこのボテ腹軽巡が!」

 

「ぼ…ボテッ!?阿賀野まだデキてないし!」

 

「そーすよ提督、阿賀野姉ぇはまだデキてねーすよ、ウチら阿賀野型は最初に矢矧ちゃんがイケメンと幸せな結婚して次に私がイケメン実業家と結婚して、そんで酒匂がイケメンアイドルと結婚して阿賀野姉ぇは最後まで売れ残ってヤバい宗教にハマってクスリに手ぇ出したりして最終的には誰のかも知らない望まない命を宿して1人アパートで涙するんすから」

 

「ヒドッ!!能代ォ!お姉ちゃんになんか恨みあんの!?ねぇ?」

 

「…ありそうですね」

 

「あるな」

 

「間宮さんと提督までェ!?」

 

さすが能代、大したやつだ、お前には未来を見通す力があるらしい

 

「っか、そんなコトはどうでもいい」

 

「よくないよ!阿賀野の未来だよ!」

 

「やっぱこのカスシュー高すぎだろ?1280円あったらシル●ーヌが3箱は買えるわ!」

 

「私が丹誠込めたカスタードシュークリームを大量生産のお菓子と比べないでください、はい1280円」

 

「チッ…まぁいい、払ってやる」

 

「ありがとうございます、はいこちら商品になります」

 

「阿賀野、能代、食っていいぞ」

 

「え?いいの?やったぁ!」

 

「マジすかー?提督マジすかー?」

 

仕方ない、明石のとこシル●ーヌ買ってくるか

 

「ちょっと待ってください」

 

「んだよォおばちゃん、金なら払ったろーが」

 

「おばちゃんゆーな、提督…まさか私のカスタードシュークリームを食べずにシル●ーヌを買いに行くつもりですか?」

 

「そうだよ、なんか文句あんのか?」

 

「………伊良湖ちゃん、麺棒貸して」

 

「麺棒ですか?麺棒なんか何に…ヒッ!!」

 

「………フーッ~提督にも教えないといけないかな…?“スウィーツ”の“甘さ”ってヤツを…」



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提督と高雄型と接待プレイ

ゲストを接待する接待プレイ回

【登場人物】

高雄(3)
ハイスペックカノジョ、拳系

愛宕(3)
ビッチを超えたクソビッチ、拳系

摩耶
エビルクラッシャー、必殺技はファントムアロー、拳系

鳥海
高雄型のまともな奴、でも拳系

ホウオウくん
ゲストの人、余所の提督
今回はありがとうございます、まず、謝りたい感じています


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「紹介しよう、私の同僚で上層部からアツい信頼を置かれている有能な男、ホウオウくんだ」

 

今日は接待プレイの日

こうやって縦横のパイプを繋げるコトで軍上層部からの便宜を計り易くする、それが大人のビジネスだよ

 

「さぁさぁ座ってくださいよォ、今日は好みの娘用意してますよォ~」

 

「噂には聞いていたが…オマエさんトコの鳳翔さん、マジで煙管長げーな 、貫禄ハンパねーよ」

 

「ハッハッハ、オイ!おっぱいモンスターズ、早くホウオウくんの両隣についてちやほやせんか!」

 

「高雄でぇす」

 

「愛宕でぇ~す、ヨロシクねぇ」

 

彼の好みは既にリサーチ済みだ、とにかくエロくて巨乳!

見た目と乳の大きさだけはフルスコアのコイツら、無敵の重巡コンビ、ツーメンアーミーの接待に耐えられるかな?

 

「ホウオウくんだっけ?なに飲む?ドンペリ?」

 

「オトコならドンペリぱんぱかしないとねぇ~?」

 

「え~?マジすかー?じゃ、ドンペリ入れちまおっかなー!」

 

「ヒュー!うちのボンクラ提督と違ってオトコマエー!」

 

さすがはタカオっぱい型のダブルエース、あの乳で堕ちない男はホモかロリコンと噂されているだけはある

あとは股間にビールでもこぼしてお拭きしますアクシデントでも起こせば完璧だろう

 

「オイおっさん、なんか飲むか?」

 

「おっさんじゃない、提督だ」

 

ちなみに、ホウオウくんの両隣には高雄と愛宕のダブルチームを当てているが、一応、あのバカどもがやらかした場合の予備として俺の隣には摩耶と鳥海が居る

 

「ビールな、ビール」

 

「へいへい、鳥海は?」

 

「私はカシオレで」

 

「アネキぃー!メチルとエチルどっちがいいー?」

 

高雄型の三女、エビルクラッシャー・摩耶、コイツはコイツでかなりのゴンタクレだが上の姉どもよりはマシ

 

「お注ぎしますね」

 

いつものオ●オンビールを注ぐ高雄型の末妹、鳥海、姉ちゃん達と違って比較的まともな部類、その繊細な指先から想像を絶する無双の強さを誇るガル●ォード使いだ

 

「ウェーイ!ホウオウくんオトコマエー!」

 

「オトコマエ!オトコマエ!」

 

「ウェーイ!お、こんなところにエアバッグが~!」

 

「いや~ん、正面衝突事故発生~♪」

 

…楽しんで貰えてなによりだ、ってか、アイツらどんだけキャラ作ってんだよ、いや~んとか正直キメぇんだけど

 

「ハッハッハ、今日は無礼講で楽しんで行ってくださいよォ」

 

「あざーす!」

 

「…ところでホウオウくん、上への口添えの件、ヨロシクお願いしますよォ~」

 

「あ?あぁ、報告ね?」

 

「ほら、オマエらもお願いせんか!」

 

「お願いしますねぇ~」

 

「お願いよぉ~?」

 

高雄と愛宕による真・激突を発揮!このダブルブレイヴにオマエのBPは耐えられはしないぜ!

 

「う~ん…カシマちゃんのお願いだったら即OKだったけどなぁ~」

 

「ハ?」ピキッ!

 

「ハァ?」パキッ!

 

コ…コイツ!!ここでBPを上げてきやがったァァァァァァ!!

 

「…愛宕ォ、ビールよこせ」

 

「ティーッス」

 

「シャンプーはいりまーす、と言って差し上げますわぁ~」

 

ジョボ…ジョボジョボジョボ…

 

「グワッ!!!な、なにをするだーッ!!」

 

やりやがったァァァァァァ!!鹿島先生の名がヤツらのプライドを刺激したのかッ!

 

「痒いとこないっすかー?」

 

「ナニが鹿島だコラ、喉チ●コ引き抜いてぱんぱかされてーのか?あ゛?」

 

「え?…え?なに!?何がァ!?」

 

「どォするよ提督ぅ?………消す?コイツ」

 

「物騒なコトゆーなアホンダラァ!!」




謝りたい感じているから感謝です


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提督と扶桑姉妹と宝くじ

本日二本立て
リターン・オブ・不幸回

【登場人物】

扶桑(3)
苦痛を与えぬ有情の航空戦艦

山城(3)
デキた妹、姉様以外は便所に吐かれたタンカスと思っている

提督(33)
空気が読めるバットガイ


「…見て山城、なんと宝くじが当たったのよ」

 

「さすがです、姉様」

 

「…当たりくじなんて初めて見たからどうしたらいいのかしら?」

 

「たしか、まずは最寄りの宝くじ売り場に持って行くと聞いた事があります」

 

「…そう、山城は物知りね」

 

どうすれば浜風ちゃんをレ●プできるのか?

このアツい議題を徹底討論しようと俺は五月雨と共に近所のファミレスに行く為に歩いていたら、前方から不幸感の漂う戦艦がやって来た

 

「…あら?提督とサミ……サミドラさん、こんにちは」

 

「よぉ」

 

「五月雨です、こんにちは、どこかへお出かけですか?」

 

「…えぇ、近所の宝くじ売り場へ」

 

「なんと姉様が宝くじを当てたのよ」

 

へぇ…当たったんだ、どうせ300円だとは思うが、姉様からは幸福の波動が漂い、妹はまるで自分の事の様に誇らしげに胸を張っていた、っーか乳デケぇなコイツ

 

「ふ~ん、おめでとさん」

 

「…フフ、ありがとうございます」

 

「宝くじを当てた姉様に頭が高いわ、糞人間」

 

「なんでテメーに糞人間呼ばわりされにゃいかんのだ、舐めてんのか?」

 

「…そうよ山城、糞人間なんて言ったら提督が傷ついてリストカットしてしまうかもしれないわ」

 

 

いや、そこまでメンタル弱くないです、姉様

 

「申し訳ありません姉様」

 

「…いいのよ、提督、どうか山城の非礼をお許し下さい」

 

そう言いながら姉様はその場に両膝をついて座り深々と頭を下げようとする

 

「いやいやいや!いいから!そんなに気にしてないから!立って!ほら!服が汚れるから!」

 

「…なんて慈悲深い、まるで菩薩のような方ね、山城」

 

菩薩はアンタだよ!妹の方は三面怒りのアシ●ラマンみてーな顔でこっち睨んでるよ!

 

「ところで、提督とサミダ……サミダロさんはどちらかへお出かけですか?」

 

「まぁな」

 

「五月雨です、近所のファミレスですけど」

 

「…ふぁみれす?」

 

「ファミリーレストランの略称です、姉様」

 

「…そう、山城は物知りね、私はてっきりふぁみこんの仲間か何かかと…」

 

「ファミコンをご存じとは…さすが、姉様は博識です」

 

「…そうかしら?フフ…」

 

姉様の無知を逆手に取り、逆に博識と誉めるとは…

いつ如何なる時も姉様をアゲる事を忘れない妹の鑑だな

 

「…そうだ山城、私達もこの宝くじをお金に換えて今日はふぁみれすで食事にしましょう」

 

「なんと!?」

 

「…フフ、この当たりくじの幸運をアナタにも分けるのは当然の事でしょう?」

 

「なんと………なんと慈悲深いッ!姉様こそ天より舞い降りしエンジェルッ!」

 

「…遠慮なんかしたらダメよ?好きなものを食べていいのよ?」

 

…たぶん300円なんだけどな、アレ

どうしよう、すげぇ言い辛い、しかしなぁ~

 

「五月雨」

 

「ムリです、私にもムリです」

 

…仕方がない、姉様の笑顔を曇らせるのはあまりにも忍びないな

 

「あの…扶桑さん?」

 

「…はい?」

 

「実はその宝くじ、宝くじ売り場に持って行かなくてもお店で直接使えるんです」

 

「…まぁ、そうなのですか?」

 

「ですので、ボクらと一緒に行きませんか?ファミレス」

 

「…私は構いませんが、どう?山し…?」

 

「山城クゥーン!!ちょっとあっちで話しよーかァー!」

 

俺は山城の肩に手を回してズルズルと引きずり姉様から十分な距離をとった

 

「ちょ!イカクセー手で触んな!殺すぞ!」

 

「待て待て待て、まずは俺の話を聞け、姉様のあの当たりくじ、たぶん当たってるって言っても300円だ」

 

「さ…300円ッ!?」

 

「10枚買えば1枚は当たるんだよ、残念賞みたいなもんだ」

 

「ざ…残念賞ッ!?」

 

「いいか?見たところ姉様はアレが何等なのかすらわかってない、このまま宝くじ売り場に行って300円渡されたらどうなる?」

 

「姉様のコトだからきっとその場でリストをカットを…」ガタガタ

 

「だからだ、とりあえず一緒にファミレス行って支払いん時に俺が姉様からくじを預かり、俺が現金で払う」

 

そうすれば姉様は宝くじで払えたのだと納得する、痛いのは俺の財布だけで誰も傷つかない最善の手

 

「なるほど…底辺にしてはナイスな手ね」

 

「だろ?だから協力しろ」

 

「姉様の為だしね、わかったわ、今は協力してあげる」

 

「…提督、山城?どうしたの?」

 

「なんでもないっすよー!ちょっと山城クンが国語の問題ワカんないってコトだったんでー」

 

「えぇ、もう解決しました、姉様」

 

「…そう、フフ…山城ったら提督と肩を組んで、とても仲が良いのね」

 

「え?えぇ…私、提督をリスペクトしてますから」

 

「あ、あぁ、俺は山城みたいな優秀な部下が居て嬉しくて涙が止まらないな」

 

「…フフ」

 

結局この日、ファミレスで4万ぐらい払った



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提督と秋雲とまんが道

人気漫画家を目指すアツい執筆カツドウ回

【登場人物】

秋雲(2)
尊敬する漫画家は本宮ひ●志、今風のキャッチーな絵も描けない事はないが、本心では学ランが描きたい

提督(34)
好きなバスターはアルティメット阿●羅バスター

鈴谷(13)
腹筋はまるでマシュマロンのようにやわらかい


『うおおおぉぉぉ!!死んだらんかいこのクサレ外道がーッ!』

 

『おんどれぇ!このクソガキャ!生きてマウンド降りられる思うなよダボハゼがァー!』

 

『これがワシの孫一ボールじゃあ!!』

 

秋雲の新作、アツいベースボール漫画“なんと孫一”

軍と言うヤバい組織から一刻も早く足を洗い、憧れのジ●ンプでの連載を目指すハードコア少年漫画、執筆中はいつも満開、秋雲先生…

 

「てぇへんだ!てぇへんだー!」

 

重厚な鋼の扉を開き、焦った様子の秋雲が執務室へ入って来た

 

「まったく…部屋に入る前にはノックしたまえ、もし私が自慰行為をしていたら気まずいだろう?」

 

「てぇへんなんです!提督!コレ!コレを見て下さい!」

 

「何が手へんのなのかね…」

 

秋雲が持って来たのは俺も愛読する週刊誌、最近こ●亀も終了し、あのビスマルクさんもこ●亀が載ってないなんて少し寂しいわねと言っていたな

 

「この読切なんすけど、私が投稿を始めたのと同じぐらいに投稿しだした新人なんです」

 

「ふ~ん、ライバルってヤツか?」

 

「まぁ、向こうはどう思ってたかは知らないですけど」

 

ふ~ん…団地妻エージか、なるほど、秋雲の無駄に濃い漫画と違い今風の絵でありながら次のページが気になるストーリーだな

 

「クソッ!団地妻エージめ!こんな屈辱は生まれて初めてっすよ!」

 

「まぁ、こっちの方が普通に面白いしな」

 

「この秋雲!負けてられないっすよ」

 

「その意気や良し、熱意や良し」

 

まぁ、絵だけは上手いからな、コイツ…

ストーリーがちょっとアレなだけで、そうだ

 

「秋雲」

 

「なんすか?」

 

「誰かに原作書いて貰ったらどうだ」

 

「…原作すか?」

 

「あぁ、お前とりあえず絵は上手いから優秀な原作者と組めば連載待ったなしだよ」

 

「マジすか?」

 

「マジマジ、ほらアレだよ?色んな大ヒット漫画だって結構作画と原作別れてたりするしな、お前の躍動感溢れる作画を生かせる原作があったらそりゃもうアレだ、無敵だよ無敵、幼妻エージだか人妻エージだか知らねーが即打ち切りコースに追い込めるね」

 

「たしかに……恥ずかしながらこの秋雲、我ながらストーリーはちょっと苦手なんじゃないかなと考えていました!」

 

「だろ?よし、じゃ原作探せ、原作!」

 

「しかし提督、原作者を探せと言われてもどう探せば…」

 

言ってみたものの、作画を探すのとは違い、原作を探すのはなかなか難しいな…

 

「とりあえずアレじゃねぇの?作文とか上手いヤツじゃねぇの?たぶん」

 

「作文すか…今からみんなに書いて貰うのはさすがに時間がないし、むしろ頼み辛いものがあるっすね」

 

「そうだな………あ、こないだ夏休みの宿題で読書感想文あったろ?アレだよアレ、アレ見たらいいんじゃね?」

 

「なるほど!さすが提督!キレてるっす!スーパードライみたいっす!」

 

「だろォ?」

 

「ちなみに、その作文はどこにあるんすか?」

 

「たぶん、香取先生か鹿島先生が持ってると思うが…オイ、サミー、先生はどちらへ?」

 

「…先生達なら今日はイ●ンモールに買い物に行くって言ってましたよ」

 

「だそうだ、秋雲くん」

 

「間が悪いっすね」

 

そうか、先生方は今日は休みだったな、言われてみると朝、香取先生がたこ焼き買って来ますねと言っていたな

 

「よし、希望が見えたところでジュースでも買いに行くか!」

 

「マジすか?奢りすか?」

 

「サミーも何か飲むか?」

 

「じゃ、オレンジジュースで」

 

自販機でジュースを買い、ついでに喫煙所で煙草を吸うかと考え、重厚な鋼の扉を開いて外に出たその時、何かが足にぶつかった

 

「痛いッ!」

 

「ハラショー」

 

暁ちゃんとハラショーがアイスを持って歩いていたらしく、残念ながら暁ちゃんのアイスは衝撃で落ちてしまった

 

「あ、あぁぁあ!暁のアイスがァ!!」

 

「悪いな暁ちゃん、俺のズボンがアイスを食っちまった、次は5段のを買うといい」

 

俺とした事が…ここは紳士的に金で解決しよう

 

「あ…ありがとう提督!」

 

「ハラショー、コイツは力を感じる」

 

良かった良かった、しかし…俺にアイスをぶつけるとは、大した覇気だ

 

◆◆◆

 

後日…

 

「痛ッ!!あ、鈴谷のアイスがーッ!」

 

ふふ~ん♪鈴谷知ってるよ!提督はもっと高いやつ買いなさいってお金出してくれるって!鈴谷たまたま見てたからね!

 

「このクサレビッチがァ!!」

 

ドゴンッ!(腹パン)

 

「おごぉ!!」

 

「俺のズボンが汚れたろーがァ!クリーニング代出さんかいダボハゼがァ!」

 

「な゛……なんで?す…鈴谷に対して……きびしすぎ……る!オヴェェェェ」

 



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提督と謎の美女とバインバイン

バリンバリンの全開で二本立て

【登場人物】

提督(35)
相棒と言う名のもう一人のオレ!

夕張(6)
胸部装甲をメロンエナジーアームズしたい年頃

五月雨(15)
ハマカZが完成したら銀行で金を下ろそうと考えている

長門(6)
ビッグ・ザ・セブン、ダメな奴の印象を持たれがちだが、その背中は広くて大きい


爽やかな朝、顔を洗う為に洗面台の前に立った俺は鏡の向こうにバインバインの美女が居ることに気付いた

 

「…」

 

とりあえず、フロントダブルバイセプスのポージングをすると鏡の向こうの美女も同じくポージングで対抗した

 

「…」

 

続いて、サイドチェストのポージングをすると、やはり同じポージングで対抗してきた

 

「…」

 

コレはもしかしてアレだな?なんだ?ほら、アレだよ、漫画とかでよくあるアレじゃね?いやいやいや、漫画とかでよくあるけど実際あっちゃ色々マズいよコレ、ないない、そんなワケない、だってほら、俺の股間には俺と共に幾多の闘いを乗り越えてきた相棒が…

 

「………ない」

 

あ……あ…相棒ォォォォォ!!!

 

◆◆◆

 

「説明しろクソカスが、あ゛?」

 

匠が造ったコンクリート造りの執務室

今、この部屋に居るのは俺と五月雨、そして、冷たい床で正座した軽巡、夕張

 

「なるほど…思わぬ副作用にこの夕張、驚きです」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「へぶしっ!」

 

「説明しろ、二度言わすな」

 

「…は、はい、提督、昨日の夜の事は覚えてますか?」

 

「メシ食って、風呂入って、ニュース見て寝た、それがなんだ?」

 

「いえ、そうではなくて…昨日の夜、自販機の前で私に会ったコトなんですけど」

 

「覚えてるからテメーを呼んだんだろーがボケ」

 

たしかに、昨日の夜、自販機のところで夕張と会い、俺と同じく夕張はカップ式の牛●屋さんのコーヒーを買い、オチのないどうでもいい話をしたな

 

「提督、アレ、私のと間違えて飲んだんですよ」

 

「なん…だと?」

 

「私の方のカップには試作品の巨乳薬ハマカ・Zが入ってたんです」

 

巨乳薬、ハマカ・ゼット…だと?コイツ、なんてどうでもいいモノを開発していたんだ、そんなものを作るなら2秒で雌に堕ちる薬でも作ればいいものを…ッ!

 

「まぁ、提督が飲んでる時に気付いてはいたんですが、男の提督が飲んだらどうなるのかな~と思いまして」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「あぶろっ!」

 

「その結果がコレだ、今すぐ元に戻せ」

 

俺がバインバインになっても意味ねぇだろーが!なに?ガチレズ展開とか期待してんの?吐き気がするわ!

 

「………プッ」

 

「…あ゛?おい五月雨ェ、今、こっち見て笑ったか?あ゛?」

 

「これは…失礼しました、ププ…」

 

「ア゛ー?」

 

「いや…だって、言動も口調もいつもの提督ですけど、声が!声が可愛い系って!」

 

「だよねー!やっぱ五月雨ちゃんも必死に笑いこらえ…」

 

ビタンッ!ビタンッ!(往復ビンタ)

 

「ブホッ……!に、二度もぶった、オヤジにはぶたれたコトないのに!」

 

「オヤジ以外にはぶたれたコトあるならいいだろーがカスが、さっさと元に戻す薬だせよ、ないならドラ●ンボール集めてでも元に戻せよ」

 

ゴン!ゴン!

 

重厚な鋼の扉を叩く音が響き、重苦しい扉が開く

 

「フッ…提督よ、今からこのビッグセブンと駆逐艦のマラソンする姿を見にいかな…」

 

長門か…また面倒くさいやつが

 

「ん?提督はいないのか?…む、誰だ貴様は?」

 

「あぁ、この人がテイト…」

 

「万能戦艦ネオノーチ●スだよバカヤロウ」

 

「万能戦艦?聞いた事が無いな」

 

「今取り込み中だ、消えろ」

 

「ふむ…まぁ提督が居ないのなら仕方ない、ところでお前はなんだ?新入りか?その口の利き方にはこのビッグセブン感心せんな」

 

「あ゛?やんのか?」

 

「フッ、このビッグセブンに喧嘩を売るなど…」

 

バシンッ!!(ローキック)

 

「痛ァァァァァァ!!!お皿がァ!お皿がァァァァァァ!!」

 

膝を思いっきり蹴ると、長門は一撃で沈んだ

 

「つ…強いッ!」

 

「あのビッグセブンを一撃ッ!…このデータは貴重ですよ五月雨ちゃん!」

 

夕張曰く、ただ単にバインバインの美女になっただけではなく、身体能力も桁外れに上がっているらしい

 

「ア゛ア゛アァァァァァァ!!痛い痛い痛いーッ!」

 

「ふ…ふふふ!素晴らしい!素晴らしいですよォ!さぁ提督!もっとデータを採りに行きましょう!次は大和型で……がぎゃあ!!わ、割れる!割れる割れる割れる!」

 

「誰が行くかボケェ!!いいからテメーは元に戻る薬持ってこい、テメーの頭ぐれー生卵みてーにグシャっと割るぞ?あ゛?」

 

「痛い痛い痛いーッ!!わか!わかりました!すぐ戻します!戻しますから!アーッ!!」

 

後日、あのビッグセブンを痛めつけた謎の万能戦艦の噂が鎮守府内に囁かれる事となった…

ちなみに、俺の相棒は帰ってきたZE!



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提督と白露とロッケンロール

休み明けの青春ロッケンロール回

【登場人物】

白露(5)
何気にちょいちょい出る一番艦、バスケ以外の才能はある

香取先生(7)
ワル更生のスペシャリスト、大切なのは子供の目線から話す事


「見て見て!お小遣い貯めてギター買ったよ!真っ白なフライングV!」

 

俺の求めたサンクチュアリ、喫煙所で煙草を吸っていると白露型で一番アレな一番艦が買ったばかりのギターを見せびらかしにやって来た

 

「ふ~ん」

 

「あ、なんか興味なさげ?」

 

「ねぇよ、楽器とかガキの頃にカスタネットで卒業したし」

 

「ハーモニカは!?」

 

「ドがわかんねぇからやめた」

 

「縦笛は!?」

 

「ドがわかんねぇからやめた」

 

音楽の神から全ての才に見捨てられたとはまさに俺の事だろう、音楽の成績は常に1だったしな

 

「で?なんだ?ギターなんか買って、深海の人にサウンドエナジーでカルチャーにショックすんのか?」

 

「しないし、趣味だよ、趣味!今から練習するの」

 

「ふ~ん、ま、俺に迷惑かけんなよ、かけたらケツの穴を木の棒でファックするぞ」

 

「厳しいッ!」

 

そういや最近、芋くさい駆逐艦どもが太鼓とかどっかから持ち出してドンドコドンドコやってたな、子供会のしょーもないドンドコかと思いきやハッハッ言ったりバク転とかしたり意外と本格的なのに若干引いたが

 

「ねぇねぇ!暇ならちょっと私のギターテクを見てみない?」

 

「見ねぇよ、っーかうぜぇからどっか行けよ、公園とか」

 

「ひどっ!ってか、なんで公園?」

 

「後でオレンジジュース買って様子見に行ってやるよ」

 

「わーい、じゃ、公園行ってるから後で来てよ!」

 

「わかったわかった、いつかな」

 

「大人はすぐ“いつか”って言う!」

 

「フーッ~…それが大人の特権だよ」

 

俺は白露を追い払うと再び煙草に火を点けた

 

◆◆◆

 

近所の公園…

 

「…いや、ついカッとなっちゃって…」

 

白露は壊れたギターを手に自嘲気味に笑った

 

「初めて買ったギターは真っ白なフライングV、買ったその日に喧嘩で壊した、ロックじゃねーか!」

 

「か…香取先生ェ…!」

 

「いいんだよ、ロッケンローラーなんて、そんなもんで!」

 

オレンジジュースを買い、公園に来るとなんかロッカーな展開になっていた…

 

「…なんだコレ?」

 

「あ、提督!遅いってば!もうギター壊れたし!」

 

「提督、私から事情を説明しましょう…」

 

「香取先生ェ…いえ、なんとなく見ればわかるんでいいです、白露、ハンセーしろよ、ハンセー、明日は便所掃除な」

 

「えー!!」

 

とりあえずケイサツが来る前に逃げないとな

こんなアホでも一応、軍の艦娘だ、ただでさえ素行不良で目を付けられてるバカが多いのに、誰が頭下げると思ってるんだ…

 

「よし白露!ラーメンでも食いに行くか!ラーメン!」

 

「香取先生ェ!」

 

「よければ提督もご一緒に」ニコッ

 

「え?あ、あぁハイ、じゃご一緒に」

 

さすが香取先生だ、喧嘩したその日にラーメン食いに連れて行くアツい生徒指導はなかなかできることじゃない…

 

「あーぁ!またお小遣い貯めなきゃ、提督!今度はちゃんと見ててよね」

 

「悪かった悪かった、ほれ、オレンジジュースだ」

 

「わーい!あ、先生ェ!大盛り頼んでいい?」

 

「フフ、チョーシに乗るなボンクラが」



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提督と夕張とバイオボーグ

二本立ての昭和生まれ回

【登場人物】

夕張(7)
ハハッ!全部私のせいだ!

清霜(2)
一応、マブダチのリベには止められた、だって…スゲー友達だから


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です!」

 

「見せてみろォ」

 

その軽巡、いまいち心許ない野獣の肉体に神技のメスを持つ!………だけならば人類を救う救世主になれたかもしれないが、残念な事に悪魔の頭脳を持っていた

 

「今回のアイテムはこちら、バイオボーグ、名付けてビル●ルディです」

 

『び●ごるでぃーふぉーいびる』

 

「…足があるな」

 

「足なんて飾りです」

 

「や、そのくだりいらなくないですか?」

 

五月雨のもっともなツッコミはいいとして、相変わらずブッ飛んだモンを作りだしたなコイツ…

 

「バイオテクノロジーだけでは勝てない、サイボーグ技術だけでは勝てない、ではその両者を融合すれば最強なのではと考え開発したのがこの無敵のバイオボーグです」

 

「なるほど、ちなみにコレ、中に誰か入ってんのか?」

 

「ハイ!常々戦艦になりたいと言っていた駆逐艦清霜ちゃんに戦艦を超えた超戦艦、その超戦艦を超えた超戦艦にしてあげると言ったんですけどなかなか首を縦に振らないのでペロキャンあげたら喜んで協力してくれました!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「あぶろッ!」

 

「お前、ピュアな子供にナニしてくれてんだ!完全に騙してるじゃねーか!」

 

『きよしふぉーいびる』

 

「目を覚ませキヨシ!それがお前が本当になりたかった姿か!」

 

「ハァーッハッハッハ!無駄ですよォ提督!もはやそいつはキヨシではない!最強の魔王!キヨゴルディなのですぅー!」

 

夕張の野郎、まさに悪!悪の天才科学者のテンプレートみたいになってやがる

 

「さぁ殺れキヨゴルディ!その男のア●ルをズタズタにしてやるのですぅー!」

 

『クックック、誰に命令してるんだこの軽巡野郎め!』

 

清霜改め、魔王キヨゴルディはチョーシに乗ってゲラゲラ笑う夕張の首を掴み身体ごと持ち上げた

 

「ぐえっ!?き…キヨゴルディ!?なんのつもりだ!待て!誰がその力を与えたと…」

 

『わはははははー!お前はもう用済みだ!くたばれ!この腐ったメロンめ!』

 

「グエッ!?」

 

「ゆ、夕張ィィィィィ!!!」

 

夕張のヤツ、自らが作り出した悪魔に処理される、どこまでもお約束を忘れないとはな…大したヤツだ

 

『さぁ!もはやこのキヨゴルディを邪魔するヤツはいないぞー!わはははははー!』

 

「おいサミー、武蔵呼んでこい、武蔵」

 

「いいんですか?あの人たぶん手加減とか半殺しとか苦手ですよ?」

 

「おいキヨシ、今から武蔵とヤらせてやるからちょっと待ってろ」

 

『え?マジで?でもこのキヨゴルディと武蔵さんじゃ勝負にならないかもよー?うへへへー』

 

その後、核兵器VS竹ヤリと言ったり順調にフラグを積み重ねた清霜改めキヨゴルディは超戦艦武蔵のパツイチでキメられてしまい、後日、いつものアホなキヨシに戻ってしまった

 



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提督と眼鏡とデスマシーン

今日はなんと三本立て
三本だって、折れる

【登場人物】

眼鏡のやつ
今回、鈴谷以外は全て眼鏡です

眼鏡じゃないやつ
眼鏡じゃないけどビッチ、千円でジュース買った



「デスマシーンだッ!」

 

「ランキング2位!無敵の殺戮機械!デスマシーンが来たぞッ!」

 

当基地の近所に居を構えるカツアゲのメッカ……ではなく格ゲーのメッカ、ゲームセンター覇我亜怒

数多の強者を生み出したこのゲームセンターで今日、そのトップランカーが激突する

 

「…と言うワケだ、今日はお前みたいな雑魚と遊んでやる暇はない」

 

「雑魚とかゆーなし、ナニ?鈴谷の八稚女にビビってんの?ってか、鈴谷すげー練習したからマジもー提督とか相手にならねーし」

 

「あーはいはい、後でボコボコにして身ぐるみ剥いで男子トイレの個室で放置してやるから黙ってろ」

 

「へ、変態ッ!ナニそれ!?変態!変態じゃん!ありえねーし!」

 

今日の激突はバトルキングを除けば事実上最強のランカー、デスマシーンとランキング2位の怪物、メタルモンスター・霧島なだけあって観に来たヤツも多いな

 

「あ、テイトクだー、ちーす」

 

「望月さんと巻雲…」

 

「テイトクも見に来たのー?だよねー?」

 

ランキング6位、望月さんとランキング9位、巻雲、いずれも桁違いの強さを誇る上位ランカー

 

「さっき鳥海クンと8っちゃんさんもいたよー」

 

「沖波クンもすぐ来るって言ってたし」

 

「さすがに今日は上位ランカーが勢揃いしそうだな」

 

「ま、バトルキングへの挑戦権を賭けた事実上の最強決定戦だしねぇ~」

 

「あのぉ~…」

 

「なんだ?ビッチ」

 

「ビッチじゃねーし、その…ナニ?バトルキングって?そんなの居るの?」

 

コイツ、何を言っているんだ?まさかこの店に通っていながらバトルキングを知らないとは…

 

「お前…バトルキングを知らないのか!?」

 

「うぇ~、ありえねー」

 

「自決した方が良いですよー」

 

「そこまでェ!?っーか眼鏡率高けェ!よく見たら鈴谷以外みんな眼鏡じゃん!?」

 

「バトルキングはこの覇我亜怒にもう何年も君臨する無敗の王だ、この店のランカー達は皆、そのバトルキングへの挑戦を夢見ていると言っていい」

 

「へぇ~…ちょー強いんだ、そいつ」

 

あんまわかってないな、このビッチは

まぁ、俺も含めてランカーにすらなれない者には都市伝説みたいなモンだしな

 

「来たぞ!霧島クンだ!」

 

「霧島クン!」

 

「さすが霧島クンだ!オーラパネェ!!」

 

先に姿を現したのはランキング2位、メタルモンスター・霧島

 

「ところで望月さん」

 

「なに?」

 

「今日のゲームは?」

 

「ん~…噂じゃ98らしいけど」

 

「98か」

 

優れた対戦バランスに定評のあるK●F98、ちなみに、このゲーセンには後にリメイクされたUMではなく、無印MVSカートリッジしかなく、むしろMVS筐体がまだ現役で稼働している

 

「あのさぁ~」

 

「なんだ?息が臭い、喋るな」

 

「臭くねーし!!それゆーなら提督は煙草臭いじゃん!…ま、それはいいとして、デスマシーンってなんなの?」

 

「二つ名だが?」

 

「二つ名って…いや、ナニ?コイツナニ言っちゃってんの?イカレてるの?みたいな顔されても…」

 

「上位ランカーになるといつしか二つ名が付くんだよ」

 

「へぇ~」

 

「デスマシーンってのは、まさしく機械の如き精密かつ正確な操作で対戦相手をブッ殺すとこから付いた名前だよ~」

 

「ふ~ん…ってか、普通に聞いてたらすげー物騒なんですけど、それ」

 

ざわ…ざわ…

 

「来たぞォ!デスマシーンだ!」

 

「道を開けろォ!」

 

どうやら来たらしいな、ランキング1位、事実上最強の御方…

 

「え?どれどれ?鈴谷も見たい!どいつがデスマシーンなの?」

 

「アレだ」

 

「見えねーし、提督、肩車してよ、鈴谷の太もも撫で回せるよ?」

 

「死ね」

 

「だからッ!!なんでそんな厳しいの!?」

 

霧島に遅れ、姿を現したランキング1位、デスマシーン・大淀

 

「…今日こそケチョンケチョンに負かしてやるぜェ~…大淀ォ~」

 

「フッ、私に勝てないアナタではバトルキングには届きませんよ」

 

クッ!!なんてオーラだ!俺達の眼鏡が一瞬にして曇っちまう!!

 

「あ、アイツ任務のヤツじゃん!ね?アイツがデスマシーンなの?」

 

「あ?ちょっと黙ってろ、オラ、千円やるからどっか行け」

 

「え?あ、うん……」

 

「望月さんはどちらが勝つと?」

 

「ん~なんとも言えないかな」

 

「私はやはりデスマシーンかと」

 

「しかし霧島クンのテクもハンパじゃねぇ」

 

「フッ、キリシマは私とのトレーニングで各段にレベルを上げているわ」

 

鳥海、武蔵、ローマ……続々とランカー達が集まって来たか

 

「や、なんなのコレ?眼鏡率ヤバくね?コレ眼鏡じゃない鈴谷ちょっと引くんだけど、ってか!ランカーって眼鏡じゃないとダメなの!?」



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提督と祥鳳型と続続続続続続続ナイトクラブ

二週間ぶりのナイトクラブ回

【登場人物】

瑞鳳
全自動卵焼き機、オレンジジュース大好き

祥鳳
梅雨時期以外はいつも半裸、オレンジジュースは嫌いじゃない

飛鷹
未登場、尻姫と呼ばれている尻に定評がある姫


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「ママ、いつもの」

 

「フーッ~…高雄と愛宕ならいないよ」

 

「むしろ、そいつら以外で」

 

「テキトーなの寄越すから座ってな」

 

変わりゆく時代の流れの中にある変わらない良さ、ママのテキトーな接客

俺はテキトーな席に座り煙草に火を点けた

 

「瑞鳳でさぁ~」

 

「祥鳳です」

 

「緑のヤツはチェンジで」

 

「ヒドォ!!」

 

やって来たのは全自動卵焼き機の異名を持つ瑞鳳とその姉、祥鳳

祥鳳はストライクゾーン高めのインハイだが瑞鳳はクサい球だ、振る事は出来ない

 

「まぁ、座るけどね!祥鳳は左ね!左!」

 

「はぁ、失礼します」

 

「提督ナニにする?ビール?卵焼き?」

 

「ビールな」

 

執拗に卵焼きを食わせようとするな、この軽空母は、毎回思うが一体何の卵なんだ?

 

「どうぞ」

 

祥鳳はいつものオ●オンビールを取り出しグラスに注ぐ、しかしこの祥鳳、常識人に見えて普段から半裸で戦闘態勢の極妻スタイルなのが気になって仕方ない

 

「お前らもテキトーに飲んでいいぞ」

 

「え?いいの?じゃ私はオレンジジュース!祥鳳は?」

 

「私は…日本酒にしましょうか」

 

…オイ、オレンジジュースって、コイツここで働いたらダメなヤツなんじゃないのか?ちょっとママ、コイツ偽ってるよ!コレ手が後ろに回るヤツだよ

 

「大丈夫です提督、合法ですから」

 

「…コイツ!俺の心を!」

 

「合法ですから」

 

「…合法か」

 

この祥鳳の目には覚悟があるッ!そうか…ならば何も言うまい

そもそも、オレンジジュースだし問題ないだろう

 

「何の話?ハイハイ、じゃカンパイしよーよ、カンパイ!ヘイ!カンパーイ!」

 

「何に乾杯するんだよ?あ?」

 

「卵焼き?」

 

「なんで卵焼きなんぞに乾杯せにゃならんのだ」

 

卵焼きなんぞに乾杯するぐらいなら君の瞳に写った僕に乾杯するってのな

 

「しかし、最近お前ら見なかったが…」

 

「最近出撃なかったから祥鳳とバイトしてたんだよ」

 

「まぁ、移動式の屋台みたいなものですけど」

 

「ふ~ん」

 

たしかに、最近の軽空は千歳と千代田のモーストデンジャラスコンビか、近海の潜水艦狩りに尻姫しか使ってなかったな…

 

「屋台って…焼き鳥でも売ってたのか?」

 

「違うよ、エッグタルト」

 

「卵焼きじゃねーのかよッ!!」

 

コイツ、俺には執拗に卵焼き食わせよーとするのになんで売るのはオサレスウィーツなんだよ!

 

「最初は卵焼き売ろうって思ってたけど、祥鳳がダメってゆーし」

 

「結構と好評でしたよ、短大の近くとかに行って女子大生狙ったのが良かったですし」

 

「ちょっと祥鳳クン、ナニその話、もうちょっと詳しく聞かせてくれない?」

 

「…ボトル入れてくれたら考えてもいいですけど?」

 

「チッ、なかなかしっかりしてるな、よかろう、俺も日本酒貰おうか」

 

さすがに半裸なだけはあるな祥鳳、大した奴だ

 

「あ、私はオレンジジュース!」

 

…いや、やっぱコイツ合法じゃねぇだろ



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提督と吹雪型とニュー妹

沖の島辺りをブラブラしてたら陛下が連れて来ました

【登場人物】

吹雪型
通称、ズラ型駆逐艦
基本的に全員長女をもんげーリスペクトしている

叢雲(2)
ズラ型駆逐艦の突然変異種、家ではズラズラ言ってるズラ


“聖域”と書いてサンクチュアリ、喫煙所で煙草を吸っていると芋くさい集団が歩いていた

 

「ねーちゃんスゲーズラ!」

 

「ねーちゃんマジカッケーズラ」

 

かつて世界を震撼させ、恐怖のドン底へ叩き落としたと噂されている吹雪型駆逐艦、割と長いコトうちに居るハズだが、みんな同じ醤油顔に見えるので未だに見分けがつきにくい

 

「あ、提督ズラ!」

 

「煙草吸ってるズラ!不良ズラ!」

 

そして、全員どっかの田舎から出てきたみたいに語尾が訛っているので余計にわかり辛い

 

「ズラズラうるせーズラよズラ型駆逐艦がァ」

 

「ズラじゃない、吹雪型よ」

 

「あ゛?」

 

山盛りポテトの中に只一つ異彩を放つ飲むヨーグルト、吹雪型の突然変異種、叢雲

まぁ、色々と家庭の事情があるんだろうが俺は大人なので気になってはいるがあえて突っ込むなど無粋な真似はしない

 

「そうズラ!叢雲ちゃんのゆーとーりーオラたち吹雪型ズラよ!」

 

「ズラ型と意味わかんねーズラよ、このハゲ!」

 

「五月雨ちゃんがホモって言ってたズラ!」

 

「ハゲてねーし、ホモでもねーし」

 

っーか五月雨、後で殺す、邪眼かけた後に念入りに両手足をヘシ折ってからスネークバ●トして殺す

 

「で?なんだァ?今日は姉妹仲良く焼き肉でも食いに行くのか?」

 

「そうズラ!オラたち新しいキョーダイが増えたお祝いするズラよ!」

 

…コイツ誰だっけ?吹雪?吹雪でいいんだよな?たしか、マジで同じ顔にしか見えねぇから叢雲以外の区別がまったくつかねぇ

 

「っーか、新しいキョーダイってなんだ?」

 

「沖の島辺りで新しいキョーダイが居たズラよ」

 

「浦波ってゆーズラ」

 

「ふ~ん」

 

っーか沖の島辺りって、そんなトコ、最近の出撃予定表に書いてたか…?まぁ、後で五月雨のダボに聞けばわかるか…

 

「で?ちなみにどいつなんだ?その浦波くんってのは?オマエか?」

 

「オラ吹雪ズラ」

 

「いや、知ってたよ?わかっててあえて間違えるフランクさを演じてみただけだよ?なぁ!浦波くん!」

 

「オラ白雪ズラ」

 

クソッ!!マジでわかんねぇ!!どいつだよッ!!

考えろ、いや…よく見ろ、よく見るんだ俺、コイツらだって顔は醤油顔だが髪型とか微妙に違うところもある、冷静に見れば答えは自ずとわかる、つまりはあまり見覚えがないようなヤツが浦波、導き出される結論は…

 

「…君か?」

 

「…私、叢雲なんだけど?」

 

「オラが浦波ズラー」

 

見分けつくワケねぇよッ!!なんだよコイツ!!意味わかんねぇ!!

 

「まぁ、気持ちはわからなくもないわ」

 

「叢雲ェ…」

 

「じゃ、早くみんなで焼き肉行くズラー!今日はオラの奢りズラー!」

 

「ねーちゃんカッケーズラ!」

 

「さすが改二は違うズラー!」

 

改二も改も俺にはわかんねぇよ…

とりあえず、俺は財布から紙幣を取り出し叢雲に握らせた

 

「後でみんなでアイスでも食べなさい、五段のをな」

 

「あ…うん、ありがとね」



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提督と江風とノスタルジック

帰ってきた白露型カスタム回

【登場人物】

江風(5)
改白露型の赤い彗星、若さ故に過ちが多い

海風(4)
改白露型の白い悪魔、ピコピコ片付けなさい!ピコピコ!


「テイトクテイトク!ちょっと!」

 

明石の店で缶コーヒーと菓子パンとジ●ンプを買い、廊下を歩いていると廊下の陰から赤いのが手招きしていた

 

「オマエは…エカゼ?」

 

「カワカゼだよ」

 

声をかけてきたのは白露型キセキの世代とは別の進化を遂げたキセキの世代、改白露型のエース、江風

 

「いい加減覚えてくンねーすか?」

 

「わかったわかった、今日はネーちゃんと一緒じゃねぇのか、珍しいな」

 

「ネーちゃんがいると鬱陶しいから撒いてきたンすよ」

 

「ふ~ん」

 

鬱陶しいとか結構ひでーコト言うなこの赤いの

まぁ、あのネーちゃんがやや鬱陶しい気持ちもわからんでもないが

 

「で、提督にハナシあるンすけどー」

 

「小遣いならやらねーぞ」

 

「小遣いのハナシじゃねーンすよ」

 

「じゃ、なんだよ?ハマカZならまだ販売してねぇぞ」

 

「なンすか?ハマカZって?っーかンなこたぁどーでもいいンすよ!」

 

悪魔の薬ハマカZ、最近、裏のルートで更なる危険な薬、アタGO!などが流通しているらしく、取締が強化されている

 

「や…その、アレなンすよ?ほら、アレ、アタシも免許取りたいな~って」

 

「ふ~ん、まぁいいんじゃねぇの?AT限定とか」

 

「AT限定?」

 

「なんだ?今時MTに興味があるのか?」

 

「提督、それ、なンのハナシすか?」

 

「なにって…?車だろ?」

 

「いやいやいや、車の免許じゃねーすよ!アタシが欲しいのはマーダーライセンスっすよ!」

 

「あ~」

 

そういや前もバカみたいにバカなツラで食い付いてたな、なるほど、だから今日は姉ちゃんが居たら邪魔なワケか

 

「それで~…アレなンすけど?強襲所ってドコで申し込ンだらいいのかな~って」

 

「オマエ、そんなモン勝手にしたら姉ちゃんに怒られるぞ」

 

「ダイジョーブ!姉ちゃんにバレる前に先に取っちまえばこっちのモンっすよ!そしたら姉ちゃんも諦めるし!」

 

あかん…コイツ完全にアホの思考だ、反抗期と思春期が混ざり合ったピュアソウルの十代みてーな頭してやがる

 

「大丈夫っすよ!金ならあるっすから!アタシのお金は姉ちゃんが管理してるけどプレ●テ買うって嘘ついて出して貰うっすから!」

 

「…んな高いプ●ステあるかよ」

 

「大丈夫っすよ!姉ちゃんゲームとかよくわかってねーンで!ファミコンもピコピコってゆーし!」

 

オカーサンかッ!!今時ピコピコはねぇだろ!ピコピコはッ!!アイツ、ラノベヒロインみたいな顔して中身完全に昭和のお母さんじゃねーかッ!

 

「保護者の同意書がいるぞ、保護者の」

 

「そこは提督のサインをもらえねーすか?」

 

「ヤだね」

 

「頼ンます!!ほら!土下座するから!提督、美少女が土下座するの好きなンだろ?」

 

「なんだその歪んだ嗜好は、誰情報だよッ!?」

 

「え…?違うンすか?あ、違った、全裸土下座だった、ちょい待って、すぐ脱ぐから」

 

「脱ぐなァァァァァ!!ちょっと待てオマエ!脱ぐな!フツーに脱ぐな!な!」

 

「あ?うん、じゃ脱がねーけど」

 

「ったく、嫁入り前のガールが人前で脱ぐと言うんじゃないよ、そーゆーのはな、ケッコンして、好きな人の前でやりなさい」

 

「ハァ…?」

 

コイツ、ホントにわかってんのか?もしかしなくてもコイツ、本物のアホなんじゃないのか?

 

「いいか?エカゼくん」

 

「カワカゼっす」

 

「そもそもケッコンってのは好きな人と、幸せで、幸せで、幸せの絶頂の時にするモンなんだ」

 

「ハァ?よくわかンねーすけどわかったっす!」

 

ダメだ、わかってねぇ…

風紀とは何かを考えさせられていたその時、廊下の先から白いのが歩いて来た

 

「江風ぇ~…江風ぇ~、あ、居た!」

 

「ゲェーッ!姉ちゃんッ!?」

 

「なにがゲェーッよ、あ、提督、こんにちは」

 

改白露型の白いやつ、海風

 

「江風、アナタまた提督に失礼なコトしてるんじゃ…」

 

「いやいやいや!してねーし!なぁテイトクぅ!」

 

「ん?あぁ、俺の菓子パンが美味そうだから一口くれよってハナシだ」

 

「…ハァ?江風、アナタ、提督にそんなコト言ったの?」

 

「いやいやいや!言ってねーよォ!」

 

「ちょっとこっちに来なさい、それに江風!今日は部屋の掃除するってお姉ちゃんと約束したのにまだやってないでしょ!またお尻ぶたれたいの!」

 

「すいませン!!」

 

「では提督、失礼します」

 

「ん?あぁ、ガンバレよ」

 

こうして、江風は海風に襟を掴まれて連れていかれた、まぁ、免許についての話をしていた事を黙っててやったのだから感謝しろ、江風よ



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提督と鈴谷と疑心暗鬼の鬼

イビルアイオブオームズバイゴア回

【登場人物】

提督(36)
人間熱核融合炉

鈴谷(13)
ヒロイック・ビッチ、狂乱上等

熊野(6)
エセガント航巡、最近ウル●ラダッシュモーターを検討している、庶民舌


「おい鈴屋」

 

無性に腹が減った、慌てるな、俺はただ空腹なだけなんだ

 

「鈴谷だし、ナニ?お小遣いくれるの?」

 

「メシ食いに行くから付き合え」

 

「は?」

 

「メシ食いに行くから付き合え」

 

「…え?ナニ?邪眼?いやいやいや、そりゃそーだよ、まさか提督が自主的に鈴谷を食事に誘うとかありえねーし、あー…こりゃアレだわ、完全に邪眼だわー、良いユメ見ちゃってるわー」

 

なに言ってんだコイツ?イカレてるのか?

 

「どうせあれだろ?鈴谷がウッヒョーとか言ったらスネークバ●トォーの流れだろ?はいはい、わかってるし、鈴谷の顔面床にメリ込む流れだし、パンツ黄ばんじゃう流れだしぃー」

 

いまいちよくわからん鈴谷を余所に、丁度、熊野が通りがかった、まぁコイツでもいいか

 

「あら提督?相変わらず煙草臭いですわね」

 

「熊野か、まぁお前でもいいや、メシ食いに行くから付き合え」

 

「食事?別に構いませんけど」

 

「よし、じゃ行くぞ、すぐ行くぞ、俺は腹減って仕方ねぇんだよ」

 

「まるで餓えたケダモノですわね、そもそも何を食べますの?」

 

「焼き肉」

 

「ケダモノですわ」

 

ふとした時に焼き肉は食いたくなるが、どうにも焼肉店に1人では入りづらい、当初は五月雨を誘う予定だったが、今日は朝からコーヒー豆を仕入れに行くとコロ●ビアへ高飛びしやがったよアイツ

 

「よっしゃ!来いやァァァァ!ワカってりゃこっちも覚悟はキマってんだよォ!テメーの邪眼が解けると同時に鈴谷のメタルシリコンパンチを叩き込んでやらァ!さぁ来いやァァァァァ!」

 

「…ところで、アレはなんですの?」

 

「知らん、メシに誘ってやったらワケのわからん事を言い出してな、お前の姉ちゃんだろ?」

 

「さぁ?」

 

まぁアレだな、コイツもきっと疲れているのだろう、帰りにユン●ルでも買って来てやるか

 

「じゃ、行くか」

 

「お安い肉はイヤですわよ」

 

「お安い肉で我慢しろ」

 

「ちょっと待てコラァ!!逃げんのかコラァ!勝負しろよミドォー!」

 

やかましいビッチだな、逃げるも何も最初から話を聞いてねーじゃねぇか

 

「あと何秒だァ!?どっからでも来いやァ!」

 

「おい熊野、アイツ、なんか変なモン食ったのか?」

 

「さぁ…?あぁ、そう言えば昨日、ハッピーターンXとか言う名前のお菓子もボリボリ食べてましたわね」

 

なんだその絶好調な気がする菓子は…

 

「まぁ、どうでもいいか」

 

「そうですわね」

 

とりあえず、相手をしても面倒くさそうな鈴谷は放置し、俺は熊野と庶民派焼肉店へ行き、庶民的値段の肉を食べた

 

◆◆◆

 

重巡寮、通称、さわやか寮…

 

「ただいまですわー」

 

「…おかえり」

 

庶民派焼肉店に満足し、熊野が部屋に戻ると、部屋に灯りが点いていなかった

 

「暗いですわね、電気ぐらいつけませんと………ハッ!?まさか、その…アレをしていたのでは!?」

 

「してねーし」

 

「…たしかに、雌の匂いはしませんわね」

 

「雌の匂いとかゆーな………熊野、焼肉美味かった?」

 

「えぇ、美味かったですわ!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「えれがっ!!い、痛いですわ」

 

「死ねッ!!」

 

「え゛!?え…?わ、私、何かしましたの?」



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提督と神風型とアマイモン

甘さと苦さが混じり合ったマーブルの回

【登場人物】

提督(37)
不味いものを不味いと言える大人

五月雨(16)
コロ●ビアから帰る際、現地の人から胴上げされた

間宮(4)
後ろもなかなかイイ

神風
神風型一番艦、比較的まともオブまとも、沸点低めのテンション高め

春風
神風型三番艦、まともに見えて闇の深いまとも
だいたい疑問系


最上級の機材、選び抜かれた最高の豆、常に上質を求め続ける知識と技術、そして、情熱

 

「…不味い」

 

これだけ揃っているのに 何故コレが淹れられるのだろう?

 

「…今、なんと?」

 

コロ●ビアから帰って来た秘書艦五月雨、どうしても飲んで欲しいと左手の小指をヘシ折られ、仕方なく飲んでみたが…

相変わらず素晴らしい不味さだ、毎日飲んでいたら確実にノイローゼになるだろう

 

「サミダダンくん」

 

「五月雨です」

 

「羊羹でも食いに行くか、羊羹は嫌いかね?」

 

「嫌いではありませんが」

 

今のコーヒーで俺の体力は1/4までは削られただろう、アマイモン食ってエネルギー充填する必要がある

俺は席を立ち部屋を出ようとしたが…

 

「う゛っ!」

 

「どうしました?」

 

「大丈夫だ、ちょっと膝がカックンしただけだ」

 

どうやら老化のバットステータスも追加されたらしい、こころなしか視界が暗い気がするのはくらやみも追加されたからだろうか…

 

◆◆◆

 

「羊羹、あとお茶、熱いやつ」

 

「今日のオススメは焼きモンブランです」

 

「羊羹、熱い茶、モタモタすんな乳牛が」

 

「乳牛じゃない間宮です、どこ見て言ってるんですか!訴えますよ」

 

まったく、人がせっかく誉めてやってるのに何故キレるのだこのホルスタイン娘は、娘…?いや、まぁ、娘か

 

「五月雨ちゃんは何にしますか?今日のオススメは~」

 

「羊羹とお茶で」

 

「ヒドいッ!!」

 

確固たる目的がある場合、オススメをオススメられるほど煩わしい事は無い、マミーヤはブツクサ言いながら羊羹とお茶を用意して持ってきた

 

「3000円」

 

「だから高けーよ!なんだこの店!?」

 

「いい羊羹だから高いんですぅー!はい!3000円、2人まとめてでいいんですよね?」

 

ったく、なんなんだあの女、俺になんか恨みでもあるのか?乳の割に心の小さい野郎だな

俺から代金を受け取りケツを振りながらカウンターの方へ歩いて行く間宮…

 

「…」

 

「どうしました?」

 

「いや、ケツもいいなと」

 

「そうですか」

 

なるほど、誘っているのか…?

 

「さて、ではエネルギー充填とバットステータスを消さないとな」

 

「何がバットステータスですか」

 

「よく見ろ、俺の髪がみるみる白くなっている」

 

「あぁ、ホントですね」

 

このままではあと5分でカ●キくんみたいになってしまいかねん勢いだ

 

「あ、提督だ」

 

「こんにちは、あら?羊羹ですか?」

 

「あ゛?」

 

羊羹を食べようとした矢先、なんか古臭さそうな2人がやって来た

 

「おいサミー、誰だっけ?この人斬りみたいなヤツ」

 

「誰が人斬り抜●斎よ」

 

「神風さんと春風さんですよ」

 

神風と春風…?あぁ、居たな、そんなヤツらが

一応、練度はそこそこだがイマイチ使いどころが無くて忘れていた

 

「人斬り抜●斎さんと閑丸さんな、今、覚えた」

 

「覚えてないじゃん!神風よ!神風!春風に至っては意味がまったくわかんないんですけど!」

 

「うふふ…神風お姉様、たぶん、私が傘を持っているからだと思いますよ?」

 

「傘?傘がなんなの?」

 

「説明すると長くなりますけど?」

 

「じゃいいや、とりあえず私は神風でこっちは春風、わかった?」

 

「わかったわかった、緋村くん」

 

「わかってないじゃん!?なにコイツ!」

 

うるさいチビスケだな、カルシウムが足りてないのか?

 

「とりあえず注文してこいよ、今日のオススメは焼き……焼き土下座だぞ?」

 

「なにそれ…すごいイヤなんだけど」

 

「うふふ…」

 

「いや、うふふじゃないから…いいよ、私達も羊羹にしよ!羊羹」

 

そう言ってチビスケェ達はカウンターの方へ歩いて行った

 

「甘いな」

 

「羊羹ですしね」

 

「俺の端っこのヤツとお前のヤツ交換しよーぜ」

 

「イヤですよ、明らかに大きさ違うじゃないですか」

 

「ケチくせーな」

 

スパーンッ!!!

 

俺が羊羹の甘さでバットステータスの浄化を身に染みていたその時、後頭部を何やら傘のようなモノで殴打された

 

「…痛いじゃないか?」

 

「何が焼き土下座よ!焼きもん…もんぶらんじゃない!恥かいたわ!」

 

「だからと言って傘で叩くのは良くないぞ、ヒムラーくん」

 

「神風だって言ってるでしょ!!なんなのヒムラーって!?なんで伸ばすの!?バカにしてんの?」

 

「うふふ…神風お姉様、ヒムラーはスペシャルクロスカウンターを使う強敵ですよ?」

 

「意味わかんないんですけど!?」



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鹿島先生とメールとぷくぷくぷー

スーパーティーチャー鹿島回

【登場人物】

鹿島先生(8)
先生だって、ダレる時はダレる、だって先生だもの

香取先生(7)
ジ・オールマイティー


皆さんこんにちは、鹿島です、そろそろ秋の気配を感じる季節になりましたね

 

「ヤシャスィーン!」

 

「ウオオォォォ!!大和型がナンボのモンじゃワレェ!」

 

最早、見慣れてしまった演習の風景、相手の巨大さとか陣形に臆する事無く全軍突撃する様子に最初こそドン引きしましたが、慣れてしまえばそんなものだと納得しています、人間、慣れとは怖いものです

 

「な、なにーッ!!キヨシの12.7cm砲と敵・大和の46cm砲のエネルギーが中間でくすぶっているーッ!」

 

「ウオオォォォ!!今こそ爆発しろ!清霜の小宇宙よーッ!!」

 

「ゲェーッ!今、ほんの僅かな間だがキヨシの小宇宙が大戦艦の位に高まったと言うのかーッ!」

 

「どぉーだァ!!もう1つの徹甲ブラもヘシ折ってやろうかーッ!」

 

…そう、見慣れてしまえばいつもの事です、コ●モとかセブンセ●シズとか未だに理解できない単語が飛び交っていてもなんとかなるものです

 

「押忍!ありがとうございましたァ!」

 

「いい勝負だった、お前とはまた闘いたい!」

 

そして、なんだかんだと5戦3勝2敗、内1つが完全試合とまずまずの成績で勝ち越したうちの子達はお給料を貰いハシャぎながら遊●王カードを買いに行きます…

 

◆◆◆

 

「…はぁ」

 

今日の講義も無事に終了し、寮に帰ってきた私は冷蔵庫に入れてあった麦茶を飲み、録画しておいたテレビ番組を再生した…

 

「…」

 

なかなか面白いですねコレ、ハハ…私もリラ●フしてぇ~

 

「…ご飯どうしようかな」

 

無難に食堂で食べるか?いや、たしか今日はグリンピース多めの日だっけ、やめよう

じゃあ外に食べに行く?それだと安上がりにファミレスかな…いや、1人でファミレスは寂しいヤツと思われるかもしれない

 

「…香取姉さんはどうするのかな」

 

とりあえず香取姉さんにメールを送ってみる、面倒くさいし姉さんの予定に合わせよう

 

ぷくぷくぷー(メール音)

 

【今日は鹿島の大好きなハンバーグよ 香取】

 

早々と帰ってきた香取姉さんからの返信、そっか、今日はハンバーグか…

きっと、何か良い事でもあったのだろう

 

ぷくぷくぷー(メール音)

 

ん?また?

 

【提督と五月雨さんも一緒だから部屋の片付けをしておいてね 鹿島のお姉さん香取】

 

「うわ…めんどくさいなぁ」

 

とりあえず押し入れに突っ込んでおこう、そうしよう

 

ぷくぷくぷー(メール音)

 

【面倒くさいからって押し入れに突っ込んじゃ駄目よ? アナタの姉さん香取】

 

「読まれてるッ!?」

 

チッ…さすが香取姉さん、意外とだらしない私の行動は筒抜けか

 

「はぁ、めんどくさいなぁ~…」

 

ぷくぷくぷー(メール音)

 

【アナタは次にめんどくさなぁ~と言う いつもアナタを見てるお姉ちゃん香取】

 

「怖いよッ!!怖いメールだよ香取姉ェ!」

 

ぷくぷくぷー(メール音)

 

【駄目よ鹿島、携帯電話を乱暴に扱うのは姉さん感心しませんよ? 物は大事にする香取】

 

「……」

 

怖すぎるよ香取姉さん、ドン引き通り越してもはやホラーの領域だよ

 

ぷくぷくぷー(メール音)

 

「ヒッ!?」

 

ま…また?次はなに?なんなの?着替えろっての?

 

【あぁそうそう、鹿島の机の1番上の引き出しに入ってた薄い本は不測の事態に備えて姉さんちゃんと金庫に入れてるから安心してね 痒い所に手が届く姉香取】

 

「ハァ!?」

 

ちょ!!な…なんで姉さん私がこっそり刀乱本買ってるの知ってるの!?しかもアレ結構エグい感じ本なんですけどォ!!

 

ぷくぷくぷー(メール音)

 

「ヒィ!?」

 

【燭台●クンと天龍さんって似てるのね(笑)理解ある姉さん香取】

 

「(笑)じゃねぇよッ!!普通に読んでるんじゃねぇよッ!!」

 

しかも内容には触れてこない辺り、姉さん的に気を遣ってるトコだろうけど、もうズタズタだよ!私のイメージズタズタだよ!

 

ぷくぷくぷー(メール音)

 

「今度はなんだよ!笑えよ!ハハ…そうよ!笑えよ!愛読書はホ●同人のこの妹をッ!」

 

【あと3分で着くから ミンチ買ってきました香取】

 

「早いよッ!!あと3分って…ちょ!待ってよ!」

 

ぷくぷくぷー(メール音)

 

「うるせぇ!!!あー!あー!もうー!!」

 

ぷくぷくぷー(メール音)

 

「ただいまぁ~」

 

「今、やってるよバーカ!バーカ!」

 

「…失礼、まだ早かったですかな?」

 

「…は?」

 

あ…やべ、これはアレですかね?私、やってしまいましたか?やってしまってますよね?コレ

 

「い…いらっしゃいませ」

 

後に、この日のハンバーグの味を私は思い出す事はできなかった



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提督と8っちゃんと悪魔の書

水着だけを破る器用さを考える回

【登場人物】

8っちゃんさん(2)
何度か名前だけ出てた潜水艦、社会派、覇我亜怒ランキング暫定4位

401
お気に入りの晴嵐をカツアゲされた、サザエ大好き急速潜行

呂500
悪そうな潜水艦はだいたい友達、サザエ大好き急速潜行


鎮守府近海…

漁業も観光レジャーも盛んではないうらびれた海、たまに釣りのおっさんが釣れねーなオイとツッコミ入れて帰るだけの海だ

 

「釣れねーなオイ」

 

暇つぶしにと思って釣具セットを持って釣りにやって来たものの、何も釣れやしねぇ

たまにイ級っぽいのがあっちで跳ねてるが、もしかするとアイツがこの辺の魚を食ってるのだろうか?

 

「…あ、テイトク、なにやってんの?釣り?」

 

「む…?8っちゃんさん」

 

伊号潜水艦、8っちゃんさん、新聞のテレビ欄と4コマ漫画しか読まないアホばかりの潜水艦の中では珍しく社会面を読む社会派潜水艦

いつも変な本を持っているが、噂ではあの本は最強最悪の悪魔が封印されているのでは言われている

 

「釣りだ」

 

「さっきイ級が魚群追っかけてたよ」

 

「チッ、やっぱりか」

 

「やっつけてこようか?」

 

「いや、いい、どうせ暇潰しだしな」

 

釣れないなら釣れないでそういう日ってワケだ

今日はイ級が食べる日、自然の流れなら仕方ない

俺は火の点いた煙草を海に投げ捨てた

 

「あ、ポイ捨て禁止」

 

「スィマセェ~ン」

 

「そーゆーコトするからアイツら怒ってるのかも」

 

「まぁ、一理あるわな」

 

深海の人がなんで怒り狂って攻撃してくるのか理由はよくわかってないが、アイツらはアイツらで母なる海を汚す人類社会を許せない聖なる戦士の集まりなのかもしれねぇしな

 

「…だとすると、俺は悪魔を操る悪いヤツなのか?」

 

「何が?」

 

「いや、深海棲艦が母なる青い海の守護神だったらと考えたらな」

 

「テイトクは海に煙草ポイ捨てしたし、間違いじゃないかも」

 

「はいはいスイマセンでした」

 

さすがは唯一の社会派潜水艦、ポイ捨てにも厳しい

 

ブクブク…

 

「ん?」

 

なんだ?なんか下から泡が…

 

「今、煙草をポイ捨てしたのどいつだァー!」

 

「喰っちまうぞォー!」

 

なんか浮上して来たと思ったら…401と呂号か、ナニやってんだコイツら

 

「オマエかーッ!!」

 

伊401、最大最新最強の潜水艦で晴嵐さんを持ってきたが速攻でカツアゲされて以来グレた

 

「母なる海を汚すニンゲンめー!」

 

呂500、もともとはドイツの超技術が作り出したUボートだったが悪い友達ができてグレた

 

「ナニやってんだオマエら?」

 

「オマエかー!このクソニンゲンめ!喰らえ!水鉄砲!」

 

バチンッ!!

 

「痛ッ!!ちょ!痛い!痛い!」

 

コイツら魚人みてーな水鉄砲撃ちやがるッ!!なんだこの威力!超痛てェ!!

この野郎どもがァ…調子に乗りやがって

 

「8っちゃんさん、銛持ってねぇか?銛」

 

「仲間殺しに荷担したくないです」

 

「大丈夫だ!水着だけを抉るように刺す!」

 

「器用ですね、じゃ、はい」

 

そう言って8っちゃんさんは謎の本から黄金に光る三つ叉の矛を取り出した

 

「ちょっと8っちゃんさん、コレ、アレじゃないすか?ちょっと神々し過ぎじゃないすかね?」

 

並々ならぬ小宇宙を感じる三つ叉の矛を目にした瞬間、下でハシャいで2人もビビって漏らしそうな顔をしていた、いや、呂号は漏らしたな、アレは…

 

「ヤバいって!アレ、ヤバいって!401サンヤバいですって!絶対ヤバい感じですって!」

 

「ち…違う!違うんです!私は401じゃないです!そう!私はシードラゴン!シードラゴンですから!忠実な配下です!悪いのはコイツだけです!」

 

「ウェ!!ろーちゃんを裏切るのォ!?」

 

さすがは海の生き物潜水艦、本能的なモノかもしれんがやっぱ怖いんだな、海の皇は

 

「8っちゃんさん、他のやつ無いすかね?」

 

「それ以外だとそこに落ちてる鉄パイプしかないです」

 

「じゃ、鉄パイプで」

 

俺は鉄パイプを拾い、下で失禁してるバカどもにぶん投げた

 

「ギャ!!」

 

「ウェ!!危ないですって!」

 

「やかましいわボケ!………ん?」

 

なんだ、あのカゴは?

 

「あ!サザエがッ!」

 

「ヤバいですって!」

 

こ…コイツらッ!!なんてコトを!!

 

「急速潜行ーッ!」

 

「急速潜行ですって!」

 

「待てッ!!キサマらァ!ピラニアンローズ!」



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提督と翔鶴と吐血

今日は二本立て
こちらも何度か名前だけ出てた五航戦登場

【登場人物】

翔鶴
五航戦の姉の方、白髪
ストレスで白くなったらしい

瑞鶴
五航戦の妹の方、姉のおかげでノビノビ育った


テレビを見て、もしかしてウチの敷地内にも金の鉱脈があるのではと考えた俺は折り曲げた針金を手に基地内を歩いていた

 

「…む」

 

あの白髪、たしか五航戦の…

 

「よぉ、え~…ショウカク?」

 

「あぁ提督、こんにちは…」

 

五航戦の姉の方、翔鶴

扶桑姉妹に匹敵する負のオーラを漂わせる薄幸者で常に顔色が悪い気がする

医者に診せてたらいつもどうしてこんなになるまで放っておいたんだッ!と怒られるが俺のせいじゃない

 

「ナニやってんだ?お前も金脈でも捜してるのか?」

 

「金脈?いえ、私は日課の御百度参りにと…」

 

「またハードなコトやってるな」

 

「いえ、妹の健康の為ですから…ゴホッ!ゴホ!」

 

まずお前の健康が心配だよ!自分の健康からなんとかしろよ

 

「おいおい、大丈夫か?」

 

「大丈夫です、瑞鶴の健康が私の健康ですから…ゴフッ!」

 

「全然大丈夫そうに見えねぇがな、ちゃんとメシ食ってるのか?」

 

「えぇ、昨日も大盛りスタミナステーキ丼を食べました……瑞鶴が」

 

「なんだ、俺よりいいモン食ってるじゃねーか……って!待て、妹じゃねーでオマエだよ!オマエ!」

 

「私は半額弁当を…ゴホッ!ゴフッ!」

 

なんなのこの姉ッ!?妹想い過ぎだろォ!よく考えれば、ウチには姉妹みたいなヤツらは多いが基本的には長姉絶対君主制、姉より優れた妹は居ないがスタンダードモデルだ

まぁ、中には山城や筑摩みたいに姉を立て過ぎるブッちぎりブーストにヤバいヤツらもいるが…

 

「それに、ほら、私には一航戦先輩から248回払いで買った幸せになる有り難いお札もありますし…コブッ!!」

 

しかも騙されてやがるッ!!あのチンピラ空母どもロクなコトしねぇな

 

「…ちなみに、いくらなんだ?それ」

 

「なんと…3億のところを可愛い後輩だからって300万にまで割引してくれたんですよ、凄いですよね?」

 

「どんなまけ方だァァァァァ!!露骨過ぎるわ!露骨過ぎてさすがに引くわッ!!」

 

一航戦パイセン、タチ悪すぎだろ、ナニ考えてんだあのチンピラ空母どもは…

 

「あー…いたいた、ショーカク姉ェ~」

 

「あ゛?」

 

ハンバーガー店の紙袋を片手にやって来たのは五航戦の妹の方、瑞鶴

 

「バイトまでまだ時間あるしハンバーガー買ってきたから一緒に食べよ~」

 

姉の心、妹知らずか…

間抜けな顔してポテトなんぞポリポリ食いやがって、お前の姉ちゃんはお前の為に文字通り身を粉にしてだな…

 

「おいズイカクよ、お前の…」

 

「あら?瑞鶴、どうしたの?」

 

「ハンバーガー買ってきたから一緒に食べよ」

 

「まぁ、いいわね」

 

…おい、なんか翔鶴の様子がなんか違うぞ、さっきまで死人の顔色で吐血してなかったオマエ?

 

「私は少し用がある先に部屋に行ってて、すぐに行くから」

 

「わかった、じゃあね~」

 

瑞鶴はヘラヘラ笑いながら先に部屋に戻ると言って寮の方へ歩いて行った

 

「…」

 

「………ゴブッ!!!」

 

盛大な吐血ーッ!!?

 

「ショョカァァァク!!」

 

「フ…フフ、少し無理をし過ぎましたか…」

 

なるほど、コイツ…妹の前でだけは常に“完璧”を演じているのか!?

 

「よくやったァ!よくやったぞォ!バカだけど!」

 

この後、翔鶴は幽鬼のように立ち上がり膝をガクガクさせながら寮の部屋へと歩いて行った

後日、一航戦のバカどもはヘラヘラ歩いてたのでフライパンで頭をブッ叩いた



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提督と陸奥とファイナル

久しぶりにバスケボー

【登場人物】

提督(38)
とりあえず禁煙場所ではなんかくわえる事を始めてみた

陸奥(3)
陸奥には長門の、知らぬ技がある…


秋の鎮守府杯、略してチンハイ、決勝

 

「久しぶりだね………海風」

 

なんかよくわからないがボクサカとかスベスベとか厨二台詞を言い出す前の時雨が帰って来てより手強くなったらしく、更に時雨のチームは全員ゾーンに入ると言う絶望ぶりだ

 

「コレ無理ゲーじゃね?オマエんとこのミカでも無理じゃね?」

 

「さすがにコレはないわね」

 

先日の準決勝で、江風海風を擁するチームに負けた陸奥率いる睦月型

今日はチーム全員で決勝を観戦しに来ているらしく、俺は陸奥の隣に座って缶コーヒーのフタを開けた

 

「まさかタダでは終わらないとは思ってはいたけど…さすが、王者の壁は厚いわ」

 

「オマエんトコもたいがいアレだったけどな」

 

先日の準決勝、結果的には海風のブザービーターに敗北けはしたがあの怪物、江風をほぼ完璧に抑えていたからな

 

「あ、提督、1人でジュース飲んでるぜェ!」

 

「ズリィーよオッサン!」

 

「オッサンじゃない、腹にパンチされてーのか?」

 

チームの中心を担うキャプテンの睦月とエースの如月、コート上ではアツいヤツらだがコート外では年相応のクソガキども

 

「そしてコレはジュースじゃない、コーヒーだ」

 

「コーヒーか…」

 

「オレ、コーヒー駄目なんすよ!リンゴとハチミツ入れねーと飲めねーすんよ!」

 

「ダセェな、オレなんか角砂糖を7個でイケるぜ」

 

長月、菊月、皐月、どいつもこいつも子供舌めが、なんでもかんでもメープルシロップで解決する世代か

 

「ちょっと陸奥センセー、コイツらに苦味ってのを教えてやってくださいよォ~」

 

「私が教えられるのはバスケだけよ?」

 

「そうすか」

 

「ピーマンのピーマン詰めとかでいいなら教えられるけど?」

 

せめて肉を詰めろよ、肉を、流行ってんのか?ピーマンのピーマン詰め

っーか駆逐艦ってのはみんなピーマンが嫌いなのか?冷静に考えりゃ、以前、俺が青椒肉絲を作った時もサミーは露骨に嫌そうな顔してやがったな、全部食ってたけど

 

「ま…まさか!?コレは…」

 

「チーム全員がゾーンに入ったカワカゼの動きに合わせてるってのか!?」

 

「ありえねェ!!」

 

「ゾーンを超えたゾーン、いや!これがゾーンの真の姿…ッ!直結連動型ゾーン!!」

 

ピーマンについて考えを巡らせていると、コート上では怒涛の展開になっていた、なんかよくわからんが江風が真のゾーンに入門したらしく、なんかすげぇキラキラしていた

 

「なるほど…これがダイレクトドライブゾーン」

 

「は?ちょっと陸奥さん?なに?ダイニングキッチン?」

 

「ちょっと黙って」

 

「はいはい…っと」

 

俺は胸ポケットに手を入れて小箱を取り出した

 

「館内は禁煙よ」

 

「残念、ココアシガレットでしたー」

 

「あっ、そ」

 

「あー!!提督がお菓子持ってるー!」

 

「ズリィーよ!オレらにもくれよォ!」

 

チッ、目ざといガキどもだな

 

「いいぞ、そのかわりピーマンのピーマン詰め食えよ」

 

「あ、いらないっす」

 

「自分ら肉食系なんで」



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提督と長門とデンタルアサシン

ワニは噛む力は凄いけど開ける力は大したことないらしい回

【登場人物】

提督(39)
歯が痛い時はバフ●リンでごまかす

長門(7)
ビッグ愛犬家セブン

時津風(2)
日本語どころか人語が怪しい野生、牛乳はお腹壊すから嫌い


ベーコン、ベーコンか…そうだな、今日はベーコンのレタス巻きとか食いたい感じがするな、よし、ベーコンのレタス巻きを食おうと心に決め、廊下を歩いていると前方にデカいのと小さいのが居た

 

「よぉ、ナニやってんだオマエら?」

 

「む?…フッ、提督ではないか、奇遇だな」

 

ステゴロなら最強と噂されている大戦艦、長門、ロリコンだが強い、ロリコンだが

 

「今から時津風を歯医者に連れて行くところだ」

 

「ふ~ん」

 

「グゥゥゥ!!」

 

そして長門の横で唸っているのは駆逐艦、時津風、人には懐かない犬だ

 

「なんだ?虫歯でもできたのか?甘いモンばっか食ってるからだぞ」

 

「うるさい、オマエ、きらい」

 

色々あってニンゲンに恨みを持っており、とりあえず不用意に手を出すと噛みやがる

 

「フッ、本来ならば虫歯程度、殴って解決するのだが駆逐艦にはそうはいくまい」

 

「おい、殴って解決ってなんだ?殴って解決って、乱暴過ぎだろッ!?」

 

「そうか?恥ずかしながらこのビッグセブンも昔は甘い物が好きで何度か虫歯を患ってな、その度に陸奥に殴られて虫歯をヘシ折って治療していたが…」

 

「素直に歯医者に行けよ、歯医者に!」

 

どんなワイルドな治療法だ、バカじゃねぇのかコイツ、いや、バカなんだな

 

「まぁそう言うワケで、かわいい時津風には私も行った事がない歯医者さんでキチンと治療をして貰おうと思ってな」

 

「なるほどな」

 

「むしば、なおす」

 

「ま、ガンバレよ」

 

ある意味、口の中にドリルをスピンオンされるより殴って解決の方が良かったと考える日も来るかもしれねぇが俺には関係ない

 

「まぁ待て提督よ、せっかくだ、提督も一緒に歯医者に行こうではないか」

 

「イヤだね」

 

「恥ずかしながらこのビッグセブン、歯医者に行った事がないので歯医者と言うものがよくわからないのだ」

 

「受付で保険証出してこの駄犬の虫歯をギガドリルブレイクしてくれって頼めばいいんだよ、じゃあな」

 

「待て待て、提督は暇なのだろう?チューインガムをやるから付き合え」

 

「誰が暇人だ、俺は忙しいんだよ」

 

◆◆◆

 

基地から一番近いところにあるデンタルクリニック・カミツキガメ

 

「ギャアアアアアア!!痛い!痛いですわーッ!!」

 

「熊野ォ!歯だ!オマエの奥歯がスゲー勢いで抜けちまったぞォォォ!!」

 

「アガガガガ…」

 

治療室と書かれた扉の向こう側から聞こえる声、どうやらこの歯医者はハズレらしいな

 

「フッ、虫歯の治療を頼みたい」

 

「いらっしゃいませー、何名様ですかー?」

 

「フッ、戦艦1人、駆逐艦1人、おっさん1人だ」

 

「おっさんじゃない、ハンサムな提督だ、あと、俺は治療じゃねぇよ、治療はコイツだけだ」

 

「グゥゥゥ!!!バウ!バウ!」

 

っーか受付に立ってるの夕張じゃねぇか、なにやってんだコイツ?バイトか?

 

「え~っと、当クリニックでは普通の治療と普通じゃない治療がありますけど?」

 

「普通の治療ってのはどんなのなんだ?」

 

「痛くて漏らします」

 

普通で漏らすのかよ…

 

「フッ、では普通ではない治療とは?」

 

「痛くて濡らします」

 

どんなプレイだァァァ!!ナニが行われてんだこのクリニック!!

 

「当店としては日帰り治療可能なスペシャルハードコースがオススメです」

 

「フッ、ではそれで」

 

「グゥゥゥ…」ジョワワワワワワ

 

「オイ待て長門ォ!ちょっと待て!時津風ビビってるぞッ!話聞いてるだけで漏らしてるじゃねぇか!」

 

「フッ、提督よ…それはウレションと言うのだ」

 

いやゼッテー違う、明らかにビビってるよこの犬



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提督とV.Veneto級と続続続続続続続続ナイトクラブ

性的な個人情報に攻めて行くインターナショナル鬼畜回

【登場人物】

Littorio
Veneto級2番艦、改装するとItaliaにワープ進化する

Roma
Veneto級4番艦、覇我亜怒ランキング5位、そのスクリューから逃れる者はそうはいない


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「デケェ…」

 

「秋津洲が置き場に困ったからお店のショーケースに飾ってくれってさ、なんだいこりゃ?仏像かい?」

 

これがネオジ●ングか…たしかにこれはデカい、そしてこの完成度、やはり奴は全国レベルのビルダーだ

俺はいつもの如く空いてる席に座り煙草に火を……

 

「む」

 

しまった、煙草がない

 

「ママ、タバ…」

 

「リットリオです」

 

「ローマよ」

 

テーブルにやって来たのは外国人枠、イタリアから来た戦艦姉妹、リットリオとローマ

 

「とりあえず煙草買って来てくれね?」

 

「tabaccoですか?」

 

姉のリットリオ、ウチに来た当初は微妙な性能にイライラしていたが最近は許した、あと、よく脱ぐ

 

「イヤよ、めんどくさい」

 

妹のローマ、魔女みたいな戦艦と呼ばれる魔女みたいな戦艦、愛読書はゲーメ●トらしく、日本語を変な風に覚えた

 

「Sigaroでよければありますよ」

 

「まぁ、別に葉巻でもいいが」

 

しかし乳デケェなコイツら、さすがは助っ人外国人枠、乳の大きさはセ●エAだ

 

「とりあえず俺はビールでいいや、お前らも良識の範囲でなら飲んでいいぞ」

 

「じゃ、私はジンで」

 

「私はウォッカにしようかしら…」

 

「最初から飛ばし過ぎだろ!ブレーキついてんのかオマエら!?」

 

「大丈夫ですよぉ」

 

「あと、アツアツのピッツアが欲しいわね」

 

やりたい放題かコイツら、まぁ、前にも最初から最後までリバースファイターのイタリア重巡が居ただけに、アイツよりはマシな気がする

 

「ビール……っと、姉さん、ビールってコレかしら?」

 

「それじゃない?」

 

「それビールじゃねぇよ!シャンパンだろ!」

 

「似たようなモノでしょ?めんどくさいからコレにしてよ」

 

このローマッ!大胆不敵でめんどうくさがりかッ!!

 

「ハァ、まぁいいや、もうそれでいい、いいから早く注げや」

 

「はいはいは~い、ハイ!じゃ、乾杯しましょう、カンパイ!」

 

「あ?あぁ、お疲れ」

 

「Cincin」

 

「ちょっと!2人とも乾杯のテンション低くいわ!もっとほら、楽しそうにしましょうよ?」

 

姉、リットリオの方はまだ営業努力ができる女か…

 

「はいはい、じゃ、君の瞳に…」

 

「Vero!?」

 

「映った僕に乾杯」

 

「Cacchio!!」

 

イタリア語なのでなに言ってるかよくわからんが、チクショウ!みたいな感じなのは言葉ではなく心で理解できた

 

「ちょっとメガネ、姉さん男ウケするドスケベボディだけどVergineなんだからあんまからかわないで」

 

「オマエもメガネだろーが」

 

っーか今サラリと性的な個人情報を言わなかったかコイツ?

 

「ちょ!Roma!なんで言ったの!?その情報言う必要なかったよね!?」

 

「大丈夫よ、このメガネ頭悪そうだし、イタリア語で処●って言ってもバレるワケないわ」

 

「ちょっとローマッ!言ったよね!?ニホンゴで●女って言ったよね!?」

 

「言ってないわよ処●なんて」

 

「今言ったよ!!」

 

「あ、姉さんもしかしてasinoは…」

 

「もうヤメて!ローマもうヤメて!なに?何が欲しいの?ゲーム?ゲームなの?新しいゲームお姉ちゃん買ってあげるからちょっと黙ってて!ね!?」

 

なんて鬼畜眼鏡だ…

しかもこのローマ、まるで悪びれる様子が感じられ無い、しかしッ!ミケランジェロの彫刻の如き気高さすら感じるッ!!

 

「…スイマセン、ピッツアもらえますか?アツアツの」

 

「え?あ、はい…Pizzaですね?ローマ、Pizzaを…」

 

「イヤよ、めんどくさい」



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提督と五月雨とタフネスボゥイ

アツいタフネスカツドウ回

【登場人物】

提督(40)
うどんと言えばきつねうどん

五月雨(17)
うどんと言えば特にこだわりはない

大鳳
装甲空母、夕張から強殖装甲にしませんかとカタログを貰った事がある


「腹減ったな、うどんでも食いに行くか」

 

「いいですね」

 

時刻は正午過ぎ、午前の仕事を終わらせた俺は五月雨と昼食を採りに行くことにした

 

「オレきつねうどんにするからオマエ違うのにしろよ」

 

「きつねうどんですか、私もきつねうどんにしようかな」

 

「オマエがきつねうどんにしたら俺のカマボコとオマエの油揚げ交換しても油揚げ+油揚げでバランスが悪いじゃねーか、別のにしろよ」

 

「じゃあ、私のカマボコと提督のカマボコ交換してあげますよ」

 

「等価交換か」

 

「等価交換ですね」

 

何かを得る為には同等の代価を払わねばならない、その時の俺は、それが世界の真実だと信じていた

 

「じゃ、俺が7割ぐらい食った油揚げとオマエの無傷の油揚げ交換な」

 

「今、等価交換って言ったばかりですよね?いきなり法則を無視しないでくださいよ」

 

「ケチくせー野郎だな」

 

「と言うか、なんで私のと交換したがるんですか?女子高生ですか?色んな味を食べてみたい感じですか?」

 

「何を言ってるのかねサミンドラくん」

 

「五月雨です」

 

「オマエの物はオレの物、オレの物はキミの物だ」

 

「助け合いかッ!」

 

食堂に行く道すがら、上司と部下のアツいジョークトークをしながら歩いていると、廊下の前方に黄色の何かが落ちているのに気付いた

 

「なんだアレ?」

 

「カ●リーメイトでしょうか?」

 

たしかに、あの黄色の箱はカ●リーメイトに見えるな、しかし何故カロリーメ●トがと考える間もなく、落とし主がやって来た

 

「あったあった!まったく、どこで落としたかと思ったら…」

 

「なにやってんだ?お前」

 

「あ、提督……と、さ……サミダ?いや、サンガツさん、こんにちは」

 

「よぉ」

 

「五月雨です、こんにちは大鳳さん」

 

カロリーメ●トの落とし主、装甲空母、大鳳

空母にしてはややチビスケェな感じがするが、そこは装甲空母、中破しても艦載機が飛ばせるガッツを持ったタフ・ガイ

他のバカどもにもこのガッツを見習って欲しいものだ

 

「まさかと思うが大鳳クン」

 

「はい!」

 

「それが昼食か?」

 

速吸クンとのキャッチボール中に見かける早朝からの走り込み、昼間は昼間でバーベルトレーニング、夕方からは長良と対白●沢に向けてバレーの練習、毎朝のケロッグコーンフロスティとミロがこのタフ&ハードなトレーニングを支えているのではないだろうか?

 

「いえいえ、これは実家から大量に送られて来たものでして…」

 

「そうか」

 

「提督とサミ…サミダレサンは昼食ですか?」

 

「そうだが、どうかね?大鳳クンも」

 

「あ、私は今から糸瓜の水やりがありますので」

 

「そうか」

 

元気があって何よりだ、とんだタフネスボゥイ、略してTボゥイと言ったところだな

 

「ときに大鳳クン、キミ、ちゃんと食ってるのかね?」

 

「はい!糸瓜の水やりが終わったら長良主将達と牛丼食べに行きます!」

 

長良主将面倒見いいな、さすがは陸上部みたいなヤツだ

 

「あ、提督、よければカロリーメ●トをどうぞ、たくさんありますので!」

 

「ん?あぁ」

 

「では失礼します!」

 

そう言って大鳳は糸瓜の水やりに行く為に走って行った、ただ、スパッツのケツの辺りが破れてピンク色が見えていたが…まぁ後で長良主将が気付いて指摘してくれるだろう

 

「今日は白じゃないんだな」

 

「そりゃたまには可愛い色とか穿きたくなる日もありますよ、ってか、今日はってなんですか?今日はって?」

 

「ちなみに俺はヒョウ柄だ」

 

「知りたくなかったです」

 

「さて、腹減ったしさっさと行って食うか」

 

「そうですね」



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提督と鈴谷と王の名は。

本日二本立て
君の●は。を見ながら考えたのに全裸土下座多め回

【登場人物】

提督(41)
強さとは、六天連鎖

鈴谷(14)
プレミアムビッチ、味わい深い上質なプレミアム


「ティーッス、ちょっとエッチな気安い系ヒロイン鈴谷が遊びに来ましたよォ~」

 

俺は机の引き出しから近所の大型雑貨店で購入した刃物を取り出し、机の上に静かに置いた

 

「ナニコレ?」

 

「そのナイフで自決したまえ」

 

「もうそれ厳しいってレベルじゃないよね?え?ナニ?そこまで鈴谷が嫌いなの?」

 

「嫌いだが?」

 

「いや…マジ、真顔でそこまでハッキリ言われるとさすがに傷つくんですけど?」

 

むしろ、何故自分が好感度高いと思っているのか俺の方が不思議でならないのだが

 

「まぁいいや、ゲームしよーぜ、ゲーム!」

 

「前向きかッ!」

 

「ナニが?」

 

こ…コイツ、どんなタフネスハートを持ってるんだ?エロゲーならもうとっくにルートから外れてるぐれーフラグをヘシ折りまくってる筈だぞ

まさかコイツ…アレか?バッドエンドか?コイツこそバッドエンドなのか?

 

「ってかサミーは?今日サミー休み?」

 

「アイツなら今日は夕張のアホンダラと一緒に映画見に行くって出かけたぞ、アレだ、王の名は。ってヤツ」

 

「ふ~ん」

 

なんかよくわからんがアイツら仲が良いらしく、休日にはよく近所のイ●ンモールに行ってるようだ

 

「ナニする?ぷよ●よする?鈴谷ぷ●ぷよ超強いよ?マジ提督とか瞬殺すっから」

 

「あ゛?」

 

「鈴谷が勝ったら1万円ね」

 

「いいぞ、お前が負けたら全裸土下座な」

 

「へ!変態ッ!って…罰が厳し過ぎるッ!なんで鈴谷が勝って1万円で負けたら全裸土下座ぁ!?」

 

「むしろ、全裸土下座で許す俺の心の広さに感謝しろ」

 

「クッ!」

 

クッ!じゃねぇよ、このビッチは、クッ!って言っていいのは姫騎士か対魔忍ぐれーだろうが

 

「……や、冷静に考えると1万円と全裸土下座は釣り合いがとれない気がするんですけど?鈴谷の全裸土下座安すぎない?鈴谷の全裸土下座だよ?コレ、かなりのプレミア感じゃね?鈴谷の全裸土下座とかなかなか見られるモンじゃないよ?」

 

「全裸土下座全裸土下座うるせーよ」

 

「ごま…いや、3万円で!」

 

5万円は高すぎると踏んだか、3万円と言い直しやがった、コイツ、己の価値を高く見てるのか安く見てるのかよくわからんな

 

「1万と500円」

 

「さ……2万9800円っ!」

 

「1万と750円」

 

「2万5000円っ!」

 

「9500円」

 

「2万円!って!!なんで下げるのォ!?おかしいじゃん!今の絶対おかしい!フツー折り合いつくトコまで上げるじゃん!?」

 

「や、よく考えたらお前の全裸土下座とか見ても俺には何の得もないしな」

 

「ホモかよッ!」

 

「誰がホモだコラァ!!」

 

「鈴谷の全裸土下座だよ!フツーに大興奮じゃん!!男ならズギューン!ってなるじゃん!むしろ興奮しねーとかホモか菩薩かどっちかじゃん!?」

 

どうやらブチのめされたいらしいな、このビッチは

 

「…いいだろう、かかってこいよビッチ、何連鎖で死にたい?」

 

「ハァ?死ぬのはテイトクですけどォ~?鈴谷が勝ったら3万円ね!」

 

‐‐‐

 

そして…

 

「このままでは終わらんぞォー終わらんぞぉー…ぞォー…」

 

「弱っ」

 

「ば…バカなッ!鈴谷は完璧だったハズ!完璧な三連鎖だったハズッ!」

 

コイツ、三連鎖で俺を殺れるとか思ってたのか?

 

「お前バカじゃねぇの?」

 

「バカじゃねーし!ってかナニ!?テイトク強くね!?」

 

「言わなかったか?俺、昇竜拳よりばよえーんの方が得意なんだ」

 

「聞いてねぇしッ!!」

 

「オラ、脱げ、脱衣して全裸土下座せんかい」

 

「…クッ!」

 

「クッ!じゃねーよ、あぁ、ニーソは脱がなくていいぞ」

 

「変態ッ!!変態!変態!マジ変態!」

 

◆◆◆

 

基地の近所のイ●ンモール…

 

「いやぁ~面白かったですね~、ちょっと色々回りくどくてイライラしましたけど、でもほら!あそこでバーを燃やしてカーを喚んだとこはアツかったですねー」

 

「そうですね」

 

話題の映画、王の名は。を見終わった五月雨と夕張はフードコートでたこ焼きを食べていた

 

ぶぶぶぶぶ(メール音)

 

「メール?提督から?」

 

「えぇ、どうせたこ焼き買ってこいとかそんな感じと思いま……」

 

「なに?」

 

「いえ、なんか全裸土下座の画像が…」



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提督と浦風とお好み焼キー

ダーティ駆逐艦の大勝負回

【登場人物】

浦風
浜風ちゃんに勝るとも劣らない駆逐艦を超えた超肉体を持つ駆逐艦、ムラムラします

谷風
犯罪臭のある脱ぎっぷりに定評のある駆逐艦、ムラムラしません



鉄板の上で芳ばしい香りを放つお好み焼き、具材に中華麺が入っており、分類的には広島風と呼ばれるお好み焼きだ

 

「ヨダレが止まらねーぜ!」

 

「もうちょいでデキるけぇ、ヨダレを拭いて待っちょれ!」

 

慣れた手つきでお好み焼きを焼くのは駆逐艦、浦風

浜風ちゃんにも匹敵する駆逐艦にあるまじきパイの持ち主ではあるが、何故だろうな?浦風にはどうにもムラムラしない

 

「チクショウ!身体中のグルメ細胞が早く食べたいと躍ってやがるでい!」

 

お好み焼きを待つ駆逐艦、谷風

まったくムラムラしない

 

「ほぉ、お好み焼きか?」

 

「お、テイトク!テイトクも食うか?デキたてホヤホヤじゃあ!」

 

「チクショウ!美味めェ!!」

 

…と言うか、なんでコイツら外でお好み焼き焼いてるんだ?なんでわざわざ体育館裏に鉄板持ってきてるんだ?

 

「さぁ!おあがりよ!」

 

「む…?まぁ、じゃ、戴こうか」

 

「ホッペタ、落ちちまうぜ!」

 

何がホッペタ落ちるだ、こう見えても俺はお好み焼きにはうるさ…

 

「クソッ!!美味めェ!!」

 

「そーじゃろ、そーじゃろ?」

 

なんだコレは!!ジューシィーなだけじゃねぇ!アツアツの生地と具材の完全なる調和ッ!味のフュージョン!いや!味のシンメトリカルドッキング!

同様にお好み焼きを食す谷風くんがアヘ顔晒すだけはある…

 

「…だが惜しい、花丸はやれないな」

 

「なんじゃとォ!何がダメゆーじゃあ!?」

 

「俺はお好み焼きが嫌いだ」

 

「クソッタレェ!!」

 

「まぁ冗談はいいとして、なんでこんなとこでお好み焼き焼いてるんだ?あと、その鉄板なんだ?どこから持って来た」

 

そう、お好み焼きを焼くなら厨房で焼けばいいのに、何故か体育館裏でひっそりと焼いている意味がわからん、そして、あの鉄板はなんか見覚えがある…

 

「そりゃモチロン、秘密特訓じゃ」

 

「…ハァ?」

 

 

「来週の秋祭りで食戟を挑まれるかもしれんしのぉ」

 

なに言ってんだコイツ?イカレてるのか?

 

「鉄板は谷風がうちの特訓を手伝ってくれるちゅーて、用意してくれたんじゃ」

 

「ふ~ん、オイ、谷風クン、谷風クン」

 

「あ…味のデッドシンフォニーじゃあ……」

 

いつまでアヘ顔晒してんだコイツは…

 

「覚醒める刻は今なんだ!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「きゃっとぅ!!………ハッ!頬に鈍い痛みッ!」

 

「帰ってきたか」

 

「お、テイトクじゃねいかい!もしかして谷風をぶったのはテイトクかい!思わず漏らしちまったよ!」

 

…なんでぶたれて漏らすんだよ、なんだ?Mなのか?M奴隷なのかコイツ?オレはオマエの将来が怖いよ

 

「オイ、この鉄板どっから持って来た?」

 

「コレかい?工廠に置いてあったから拝借してきたんだよ?」

 

「…なんかこの鉄板、どっかで見たコトあるんだが?」

 

「明石サンがゆーにはプリ…プリンなんたらバルジとか言ってたよ」

 

………バルジ?

 

「邪魔だから持って行っていいってよ」

 

「…明石のバカは工廠か?」

 

「谷風さんが最後に見た時はキミにマジきゅーんとか歌いながらパイレン持って踊ってたよ?」

 

「そうか、オマエら、それ焼き終わったら速やかに片付けろよ」



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提督と五月雨と導入編

今回が導入編で次回から前後編の2回予定

【登場人物】

提督(42)
お土産はひ●こ饅頭一択

五月雨(18)
お歳暮はハムだと嬉しい


「会議か…面倒くせぇな、なぁオイ?」

 

「まぁ、会議と言う名の公開処刑ですしね」

 

将校以上の者が招集される軍の定期会議、先日、その招集令状が俺の元にも届いた…

正直、うちの戦果は可もなく不可もないと言ったところだが、どうにも素行が悪いと評判なので目を付けられており、そこら辺を叩かれ、毎度言い訳を考えるのもなかなか苦労する

 

「勲章ものの活躍でもしたら少しはマシになるのでは?」

 

「どうかねぇ」

 

まぁ、下げる頭には不自由してない、ちょっと頭を下げて下手に出ればエラい人は溜飲を下げるだろう

 

「お菓子持って行くか?お菓子、ひ●こ饅頭買って行かねぇとな」

 

「ひ●こ饅頭で偉い人が懐柔できるワケないじゃないですか」

 

「バカ言うんじゃないよ、ひ●こ饅頭貰って嬉しくねぇヤツがいるかよ」

 

「そうですか…ちなみに、今回は誰をお供に連れて行くんですか?」

 

会議に出席する際、一応、秘書艦を一人連れて行く事ができる

上が言うには所属の違う艦娘同士の交流を図り互いの切磋琢磨を促す場、艦娘が言うには艦娘同士のプライドがぶつかる社交場らしい

 

「別に私でも構いませんけど?」

 

何度か俺と共に会議に行った事のある五月雨曰わく、カーストの最上位は若くて有能でイケメン提督の秘書艦、もうオーラが違うらしい、ちなみにカースト上位は同じく上位の気品と自信溢れる艦娘と優雅にティーとかするらしく、そのテーブル周辺には近寄れないそうだ

 

「別にオマエでもいいが、行きたいか?」

 

とりあえずうちはカースト下位組になるらしいので部屋の隅っこで紙コップでオレンジジュース飲みながら上司の悪口を言ってるそうだ

ちなみに、カースト関係なく首輪とか変な振動するナニか付けられた比較的ヤバい子も多数いるらしい

 

「他に候補がないならですけど?」

 

「そうだなぁ~」

 

前回の会議、たまには五月雨も肩身が狭いのもアレだろうと思い、香取先生にお願いして付いて来てもらったが、そこらの秘書艦をSかMか分別しただけではなく若くてイケメンの提督をMに変えてしまい危うく内戦勃発になりかけた

彼は有望で有能だっただけに惜しい事だ

 

「あ、どうせなら浜風さんとどうですか?」

 

「バカヤロウ!浜風ちゃんがカースト最下位でイジメにあって肩身が狭い思いするかもしれんだろーが!」

 

「その優しさと配慮を私にも分けて貰いたいですね」

 

「会議に同行した時は帰りに好きなモン食わせてやってるだろーが」

 

まぁ、ドレスコード必要な高級店とかは選ばない庶民派の五月雨はなんとなくオシャレな気がする店程度、香取先生に至ってはラーメンでいいってラーメン屋だったな…

 

「鈴谷さんとかどうですか?仲良いじゃないですか?」

 

「ビッチと一緒に歩けるか、エンコーと思われるだろーが」

 

「余所の提督で鈴谷さんと同行してくる人いるじゃないですか」

 

「余所は余所、うちはうちだ」

 

五月雨曰わく、会議で会う鈴谷の半数ぐらいが処●膜から声がしてるらしい

 

「…もうめんどくせぇからうーちゃんでも連れて行くか」

 

「ロ●コンの烙印を押されますよ、たぶん」

 

「それは宜しくないな…」

 

ゴン!ゴン!

 

うーちゃんならデパートの屋上でフィーバーしてくれるのでは考えていた時、ぶ厚い鋼の扉がノックされた

 

「失礼します、あの…書類にサインを」

 

「鹿島先生ェ…」

 

そうだ!鹿島先生なら!鹿島先生ならやってくれる!うちのバカども違って謙虚で真面目、エロくて可愛い、練度も申し分ない!鹿島先生ならッ!

 

「鹿島先生ェ!!」

 

「はい!?」

 

「行こう!!」ドンッ!

 

「え?あ…はい?あの、どこへ…?」

 

「うるせぇ!!行こう!!」ドンッ!



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定例会議 前

海軍の闇にメスを入れる会議回 前編

【登場人物】

海軍将校の人
6割ぐらいが徹底的な正義の人達
全体の秘書艦巨乳率は東に比べ西は15%多いらしい


「アレじゃろ?深海のは皆殺し、目が合ったら全員死刑じゃろ?」

 

「しかしですなぁ~講和と言うセンも」

 

「ありゃ生きちょってもしゃーないでしょ?ゴミクズを生かしちょる意味なんぞありゃせん」

 

「…しかし、奴らの持つ技術力には目を見張るものも多数存在するのも事実」

 

大本営直轄の大きな鎮守府、西の所属だけとは言え招集された数は結構な人数で、活発な意見の飛び交うアツい会議が今も絶賛開催中だ

 

「…煙草吸いたい」

 

「さっき行ったじゃないですか」

 

「2時間前はさっきって言わねーよ」

 

後ろの席に控えている五月雨はコレでも舐めてろと言う意味を込めてか、塩飴を1つ、俺に寄越した

気が利くのやらよくわからんが、とりあえず嫌がらせの一種だろう

本来なら鹿島先生に同行してもらう予定だったが、先生は当日にお腹を壊した為に仕方なくいつもの五月雨を同行させた

 

「ちなみに提督はどちらですか?」

 

「どちらって何が…?あぁ、ダンゼン巨乳派だな」

 

「誰が巨乳貧乳の話をしましたか、会議の内容ですよ」

 

「あぁ、殲滅か講和か」

 

これはここ近年、軍内部でも意見の割れている問題だ

人類の脅威である深海棲艦は見敵即殺、とにかく殲滅、根絶やしにしてやればいいと言う考え

しかしここ最近、明らかに意思疎通が可能な深海棲艦の出現が増え、彼女らとの講和が可能なのではないかとの声も出てきた

 

「…さぁな?」

 

現に、うちの艦隊でも意思疎通が可能な深海棲艦とは何度かぶつかった事はあるが、とりあえずブッとばしてるからよくわらんな

 

「まぁ、その件はあんま口にしない方がいいぞ」

 

「…そうですね」

 

軍という組織は想像以上に闇が深いものだ、組織の根幹を揺るがしかねん発言を上げ消えてしまった者も少なくないと聞く

 

「それでは、次の議題の前に少し休憩を取りましょうか?」

 

「ですなぁ」

 

「では、1時間の休憩を挟んだ後に再開と言うワケで…」

 

お、やっと休憩か…

偉い人達が席を立ち、その後、俺達下っぱ将校達も各自秘書艦や知り合いの将校達と昼食でも取ろうかと相談しながら会場を退出して行く

 

「お昼はどうしますか?」

 

「煙草吸ってから考える」

 

「そうですか」

 

大半が鎮守府の食堂に行くか、用意した弁当でも食べるかに分かれるのだろう

ちなみに、弁当を用意してくれる秘書艦の居る提督は8割がイケメン、残り2割は秘書艦が駆逐艦のマイホームパパみたいなおっさんだ

 

「ちなみに五月雨くん」

 

「なんですか?」

 

「弁当とか気の利いたものは用意してないのかね?」

 

「カ●リーメイトならありますけど?」

 

鹿島先生ならサンドイッチぐらい作ってきたであろうに…

 

「ん?おぉ、センパイ、センパイじゃねーすか?オーイ」

 

「あ゛?」

 

なにやら声がしたのでそっちを見ると、どこかで見覚えのあるのが手を振っていた

 

「お前は……トミコ?」

 

「誰っすかトミコってッ!?」

 

「冗談だ、久しぶりだな」

 

声をかけてきたのは市●ギンみたいな開いてるか閉じてるかよくわからない目をした海軍でも珍しい女将校、士官学校の後輩で一応、同僚ってヤツだ

 

「なんか用か?」

 

「久々に会ったんすからもうちょい再会を喜ばねーっすか?」

 

「無理」

 

「相変わらずガードの堅いお人っすね、ん?こっちのはセンパイの秘書艦っすか?」

 

「五月雨です」

 

「どもっす!センパイ、あんなにボインスキーだったのにロリコンになったんすか?」

 

「なってねーよ、単にコイツが一番付き合いが長いからだ!」

 

「アヒャヒャヒャ!」

 

相変わらずムカつく笑い声だな、この野郎

 

「あんまうちのサミーをナメってと大怪我するぞ、こう見えてコイツはブルーアイズホワイト駆逐艦と呼ばれてるヤンチャボーイだからな」

 

「滅びの爆裂●風弾ッ!?」

 

「それよかお前のバディモンスターはどうした?」

 

よく見たらコイツ1人か…?別に秘書艦連れてくる義務は無いが、コイツならウザすぎて所属艦全員に断られていてもおかしくない

 

「いるっすよ、ヴェーちゃん」

 

「ハラショー」

 

「…小っさ!!」

 

なんか標準サイズより小さくないか?このヴェールヌイ、個体差ってヤツか?

 

「かわいいっしょ?どうすか?チ●ポバッキバキになったっすか?」

 

「なるかッ!!」




鹿島先生のバージョンも書いてたのですが、いまいちしっくりこなかったので安定のサミーを採用しました
次回は後編です


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定例会議 後

提督の闇にメスを入れる会議回 後編

【登場人物】

ヒメ
提督の後輩で同僚、女性将校
市丸●ンとかバルゴのシ●カみたいな目をしており、開いてるのか閉じているのかよくわからないが、ちゃんと見えているらしい
知り合いから女狐とも呼ばれる事がある

ヴェーちゃん
ヒメ艦隊の所属のヴェールヌイ、標準サイズより2まわりほど小さいが性格は標準、カレーパン大好き


「キミんトコの予算はどうなっとるのかね?」

 

「第三者の厳しい目で精査して頂きたいと思います」

 

「不明瞭な鋼材の流れを明確化して頂きたい」

 

「それも第三者の厳しい目で精査して頂きたいと思います」

 

定例会議、午後の部…

予算とか戦果とかにメスが入るメインイベント的なものなので心当たりのある各自はそれなりの言い訳を用意して来るのが通例だ

 

「あ、今、あの娘スイッチ入ったっすよ!マジスイッチONっすよ!」

 

「やかましい」

 

午後の部から俺の隣に座る同僚はさっきからあの艦娘バ●ブONになっただのアイツ穿いてないだのうるさかった

 

「少し黙ってろ」

 

「えー?久々なんすからちょっとお喋りしよーじゃないっすか?」

 

「会議中だぞ、会議中」

 

「昔はセンセーの見回りくるのを警戒しつつ好きな子の名前言いっこしたじゃねーすか?」

 

「してねーよ、修学旅行か!」

 

コイツ、まるで緊張感とか職務感とかねぇな、しかし、それでいて俺より階級も戦果も上っーのが腹立たしい

 

「なんでそんな真面目なんすか?大人っすか?大人になったんすか?」

 

「うるせぇな、後でコーヒーでも買ってやるから黙ってろ」

 

「ういっーす」

 

ただでさえ素行不良で目を付けられてんのに会議でも態度悪いとか思われると予算減らされるかもしれん

 

「提督、飴舐めますか?」

 

「貰おう」

 

俺のイライラを察知して飴を取り出す五月雨、実に気の利いた対応だ、しかし…何故、塩飴?

 

「へぇ、よく調教された子っすねぇ」

 

「調教とかゆーな」

 

「うちの五月雨ちゃんなんか真面目でちょっと頭のネジの緩いゆるふわガールだから新鮮っす、ナニしたらこんな殺人以外の悪い事は全部ヤったみたいな目をした五月雨ちゃんになるんすか?」

 

たぶん、その真面目で頭の緩いゆるふわガールが正常なんだろうがな

 

「やかましい」

 

「えー?教えてくださいよぉー?今後の参考にするんでぇー」

 

「何の参考にするんだ、っーか黙ってろ」

 

「えー?同じ風呂に入った仲じゃないすかー?」

 

コイツ、またを誤解しか招かねぇ言い方を…

 

「…え?同じ風呂…?艦娘には手を出さないホモ提督かと思いきや同僚の異性とはヤンチャするまさかの快男児!?」

 

「同じ風呂じゃねぇ、同じ浴槽を使っただけだろーが、そもそも男女の使用時間帯が違う」

 

「あ、そう言うコトですか、この五月雨、ちょっとびっくりしました」

 

「アヒャヒャヒャ」

 

コイツ、マジでぶん殴りたくなってきた…

 

「あ~そうそう、あの話、聞いてるっすか?」

 

「あの話?」

 

「そうっす、軍上層部の…」

 

「…さぁな」

 

コイツ、こっちが知ってる前提か…

おそらくこの召集にも何か裏があるとは思うが、それを知ってしまえば面倒な事になるだろう

 

「あんまクビ突っ込むなよ」

 

「大丈夫っす、知らないんすか?イイ女は死なないんすよ?」

 

「じゃオマエは死ぬな、100パー死ぬ」

 

「ひっど!」

 

◆◆◆◆◆

 

「フーッ~…」

 

会場となった鎮守府の門をくぐり、胸元に入れてあった煙草に火を点ける

 

「お疲れ様です」

 

「まったくだ」

 

ひ●こ饅頭と倶楽部HO‐SHOWの顧客の甲斐あってか、とりあえず会議は無事に終わる事ができた

ママの店でヤンチャしちゃうナイスミドルが多いと話が通じ易くて非常に有り難い

 

「とりあえずデパートでも寄ってお土産でも買って帰りましょうか?」

 

「オカーサンか、お前は」

 

「セーンパイ!今からヴェーちゃんの服買いに行ってオシャレなトコでティーしよーと思うんすけど付き合わないっすかー?」

 

「付き合わねーよ」

 

コイツ、やっぱり出やがったな、先に出たから待ち伏せしてると思ってはいたが…

 

「えー?いいじゃないすか?私とセンパイとヴェーちゃんで川の字で歩いてみたいじゃないすか?あら?もしかして仲良しファミリーかしらって道行く人に噂されたいじゃないすか?」

 

「やかましい」

 

「ってかそれ、私居ませんよね?」

 

「ハラショー、ヒメは人の話を聞かない人」

 

…だろうな、まぁコイツの部下なら承知済みだろう

 

「あ、そーだ!ヴェーちゃんスタジオア●スでも行って写真撮る?」

 

「俺達はデパート行ってテキトーな土産買って帰る、じゃあな」

 

「あ、ちょっと待ってくださいよー!」

 

「やかましい!付いてくんな!」

 

 

この後、デパートでちょっと高いスウィーツと珈琲豆を買い、俺と五月雨はいつもの田舎基地へと帰路についた




何か含みのある会議編
とりあえず今回で終わりです
前後編でも平然とオチがありません

次回はヒロ引力全開、スーパービッチ・ゴッド・スーパービッチ回 です


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提督と鈴熊と噛みつき

通常運転に帰ってきた99回目、通常がブラインド走行

【登場人物】

鈴谷(15)
愛犬家ビッチ、バタードッグの意味は知ってる

熊野(7)
嫌煙家エレガント風味、バタードッグ?暴走族ですわね!


「茶、アツいやつ」

 

「コーヒー淹れましょうか?」

 

「二度言わすな、茶だ、アツいやつ」

 

会議から帰って来ると、基地は樹海になっていた

正直、自分でも何を言っているのかよくわからねーと思う、イカレてるのかと思われても仕方ないと思うが、とにかく樹海になっていた

 

しかし、建物自体は使える状態なのでその辺は幸いなのだが、そこらの床や壁から木が生えている様は実にシュールだ

 

「お茶です」

 

「うむ」

 

ちなみに原因はスーパーニンジャ川内の木遁・樹海●誕、なんか身体の中にすげーチャクラを感じるからヤってみたってばよ!とすげーイイ笑顔で言ってきたのでスネークバ●トで壁に頭をメリ込ませてやった

 

「とりあえず、伐採箇所の確認と作業具合でも見て回るか…」

 

◆◆◆

 

「鈴谷!ムシキングですわ!ムシキングがいますわ!」

 

「ムシキングじゃねぇし、カブトムシだし」

 

「なんておぞましい…まるで黒いダイヤとはこのコトですわね!」

 

「誉めるか貶すかどっちかにしろし」

 

夕張特製薬剤、プラントデストロイヤーの散布をしながら歩いていると、自販機の前でアホそうな航巡コンビがたむろしていた

 

「ナニやってるんだボンクラども」

 

「お、提督じゃん、ティーッス」

 

紙コップ片手に胡座を組んでベンチに座るビッチ、鈴谷

 

「あら?提督、相変わらず煙草臭いですわね」

 

同じく紙コップ片手に中身をカブトムシにブチ撒ける熊野

 

「やかましい、またホワイトランチャー喰らわされてーのか?」

 

「冗談じゃありませんわ、もしそんなコトしたら鈴谷のお腹全力で蹴りますわよ」

 

「ハァ!?なんで鈴谷のお腹蹴るの!?」

 

「やってみろよ、そんトキぁお返しに鈴谷のボディにボディが甘ぇぜしてやんよ」

 

「だからなんで鈴谷!?しかも荒咬みッ!?」

 

「なら私はボディがお留守だぜしてやりますわ!」

 

「毒咬みかよッ!!」

 

…さすがは自称エレガント航巡熊野、見事なエセガントだ、今度アイスでも買ってやるか

 

「なんなの!?鈴谷のボディになんか恨みあんの!?っーか今のやりとり鈴谷関係なくね?」

 

「ねぇよ、1mmも」

 

「ありませんわね、1ppmも」

 

「意味わかんねぇ!!なんなの!?っーかなんで提督と熊野そんなに息ピッタリなの!?実は仲良しなの!?」

 

「俺と熊野の関係については長くなるぞ、話は幕末まで遡るんだが…」

 

「長げぇよ!!そもそもなんで幕末まで遡るの!?」

 

時は1864年、京都三条木屋町の旅館、池田屋に潜伏していた攘夷派志士達を襲撃すべく近藤さん以外はイケメン揃いの新撰組が…

 

「刀乱でやれッ!刀乱で!!っーか近藤さんイケメンにしてやれよ!なんで近藤さんだけイケメンじゃねーの?イケメンにしてやろーよ!近藤さん!」

 

「オマエなかなかツッコミの才能あるなぁ」

 

「えぇ、さすがは鈴谷、ただのビッチではありませんわね、私、感動しましたわ」

 

「え?そう…?才能あるかなぁ…うへへへ~」

 

自称、誉められると伸びるらしいが誉められる事にあまり慣れてない鈴谷は、とりあえず誉められると嬉しいらしい実にチョロい奴だ

 

「ところで提督、何をしてますの?ハッ!?その装備…まさか“ごーすと”を“ばすたー”してましたのね!」

 

「してねぇよ」

 

俺の背負ったマ●タ充電式噴霧器を見て、熊野のアホはゴーストをバスターするアレと勘違いしたらしい

 

「私、一度、ごーすとを見てみたかったんですの」

 

「ふ~ん」

 

「ど…どこにいますの?ごーすとが徘徊するやべー状況にワクワクしてきましたわ!ねぇ鈴谷!ワクワクしますわ!」

 

「いや、しねーし…」

 

「大丈夫ですわよ鈴谷、仮にアナタが取り憑かれても私は躊躇いませんわ!」

 

「そのセリフ、そのままオマエに返すよ!!バーカ!」

 

っーかゴーストとか居ないんだけどな、鈴谷もたいがいアレだが、熊野の頭もアレだな

とりあえずアホどもの相手するのも面倒になったのでさっさと行こうとしたその時…

 

「ぐるるるる!!」

 

廊下のカドから一匹の野生が現れた

 

「出ましたわ!低級な動物霊!」

 

「いや、時津風だがな」

 

放し飼いは良くないな

 

「マジ時津風じゃん、よしよーし、ビスケットやるからこっちこい」

 

「オイ、そいつは人には懐かないんだぞ、俺も前に噛まれた事がある」

 

「大丈夫だし、鈴谷愛犬家だし」

 

そう言いながら鈴谷はポケットからビスケットを取り出すと右手に持って時津風に手招きした

 

「グルワアァァァァァ!!!」

 

「ギャアアアアア!!!噛んだァァァァ!!コイツ噛みやがったァァァァ!!」

 

「だから言ったじゃねーか!」

 

「っーか痛い!!マジ痛い!ナニコイツ!ちょ!マジ痛い!痛い痛い痛い!!」



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提督と五月雨と適者生存

なんやかんや100回目、初見の方もいつも読んで頂いてる方も感謝です!

【登場人物】

提督(43)
愛煙家、ロリコンでマザコンでシスコンでホモでツンデレでヘタレの疑惑がある

五月雨(19)
文系、暇つぶしは漢字クロスワード

浜風ちゃん(2)
29回目ぶり2度目の登場
大きいものをお持ち


「初心に帰り浜風ちゃんをレ●プしたいと思う」

 

「…へぇ」

 

五月雨は少しだけ視線をこっちに遣り、すぐに机の上へと戻した…

コイツ、俺の一大事に淡々と漢字クロスワードとはな、大した奴だ

 

「では作戦の概要を説明しよう」

 

「手伝いませんよ?」

 

「今回は小細工無しの正面突破でイきたいと思う」

 

「手伝いませんからね?」

 

「まずは、揉む」

 

「マスラオかッ!!」

 

前回の失敗、荒縄だとかクロロフォルムだとかゴチャゴチャ考えていたのが敗因だと結論づけた俺は今回はシンプルにイく事にした

 

「そして一言、お前に一目惚れじゃあ!抱くぞ!」

 

「れ…レ●プとは思えぬ正面突破、これまさに快男児!」

 

「これまさに完璧な作戦!」

 

「まぁ、作戦と言うには些かアレですが」

 

「行くぞ五月雨!合戦じゃあ!」

 

「いや…行きませんよ?ってかそれレ●プじゃないでただのKOKUHAKUでは?」

 

「KOKUHAKU…だと?」

 

…言われてみると、たしかにそんな気がするな、落ち着いて考えるんだ、俺はただレ●プしたいだけなんだ、ならばこの作戦、根本的にダメなのではないか?

 

「えぇ、レ●プとはもうちょっと相手の同意とかなく問答無用で今からパコろーぜ的なモノでは?」

 

「…すげーなオマエ、問答無用でパコろーぜなんて真のレ●パーにしか言えねぇよ、マジすげぇよ」

 

これまさにレ●プマスター!!逆らう奴には容赦なく羅刹の剣をブチ込む、フッ…どうやら俺の相棒はとんでもない奴らしいな

 

「フッ、さすが五月雨、俺の一歩も二歩も先を行く豪傑よ」

 

「そんなカッコ悪い意味の豪傑初めて聞きました」

 

「やはり俺にはお前が必要らしい、さぁ!共に行こう!」

 

まったく、コイツとなら新世界の強者達が棲むこの先の海へ進める勇気が湧いてくるぜ!

 

「や、普通にイヤですけど?」

 

「何故だ!?」

 

「なんで私までレ●プに荷担しなきゃいけないんですか」

 

「うるせぇ!行こう!」ドンッ!

 

「普通に土下座して頼めばいいじゃないですか!どうしてもってなら浜風さんなら折れますよ!」

 

「バカヤロウ!そんなカッコ悪い真似できるか!」

 

「レ●プの方がよっぽどカッコ悪いわ!」

 

「…カッコ悪い?いいじゃねぇか、カッコ悪くても、いいか?男にはたとえカッコ悪くてもヤらなきゃいけねぇ大事なコトってのがあるのさ」

 

「や、場面によってはカッコ良さげに聞こえますけど、今、この場では全然カッコ良くないですからね、それ」

 

さすがは五月雨だ、的確かつ精密に突いてきおるわ…

 

ゴンッ!ゴンッ!

 

睨み合う俺と五月雨、その時、重厚な鋼の扉がノックする音が響いた

 

「入れ」

 

「失礼します」

 

…丁度いいところに、浜風ちゃん

 

「あの…実家から柿が届いたので皆さんにと」

 

「柿か…」

 

たしかに、浜風ちゃんの持つダンボール箱には秋の味覚、ジューシィーな柿が詰まっていた

 

「浜風くん」

 

「はい?」

 

「挟んでもらって、宜しいかな?」

 

「は?え…っと、書類か何かをですか?」

 

「…いや、やっぱりいい、その柿、有り難く頂こう、その辺に置いてくれ」

 

「はぁ、それでは失礼します」

 

ダンボール箱を邪魔にならない壁側に置くと一礼して去っていた

 

「…」

 

「…」

 

「五月雨くん」

 

「なんですか?」

 

「僕に足りないものは、何かな?」

 

「勇気、ですかね」

 

「勇気か…」

 

「コーヒー淹れましょうか?」

 

「…貰おうか、クソ不味いヤツをな」



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提督と夕張と最終兵器

古代文明滅亡の謎に迫る考古学要素0回

【登場人物】

夕張(8)
悪魔を蘇らせる事に定評のあるデンジャラス軽巡

長門(8)
その鍛え抜かれた腹筋は金剛石の如し


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

「使えねーモンだったらケツからア●ルパール挿入れて全力で腹を蹴る」

 

良心と倫理的をママのナカに捨ててこの世に産まれてきた軽巡、夕張

たまに良い仕事するが、基本的にはロクな仕事をしないデンジャラス・ボゥイだ

 

「まぁ、正確には壊れて捨ててあったのを拾って修理しただけなんですけどね」

 

「ふ~ん」

 

「本日の作品はこちら!古代文明が作りあげた最終兵器!名付けて、オメガです」

 

ガショーン!!

 

「…足があるな」

 

「えぇ、足なんて飾りです」

 

またどっかで見た事ある気がするワケわからんモンを作ってきたよ、コイツ、しかしキッショいマシーンだな

 

「こちらのオメガですが、生半可な攻撃とかマジ効きません、46cm砲程度ではカスリ傷1つ負いません」

 

「すげーなオイ!」

 

「波動砲、火炎放射、ブラスター、他にもありますが多彩な攻撃手段があり、殴られたらオートでカウンターもします」

 

またとんでもないモンスターを作り出したなコイツ…

 

「ただ、1つ問題点があるのですが…」

 

「なんだ?燃費か?」

 

「いえ、制御できません!」

 

ガショーン!!

 

「オイイイィィィィ!!なんか勝手に動き出したぞコイツ!」

 

「はい、制御できませんから!」

 

ガショーン!!(火炎放射)

 

「危ねぇぇぇ!!!なんだコイツ!オイ!どうやったら止まるんだァァァ!」

 

「壊れたら止まります、ってか、壊れるまで止まりません、たぶんコレ作った古代文明もコイツに滅ぼされたってもっぱらの噂ですから!」

 

「オマエなんてモン修理してんだァァァ!コレ完全にヤバい殺戮マシーンじゃねーか!!」

 

ガショーン!!(ターゲッティング)

 

「…オイ、なんかこっち見てるぞ」

 

「あ、コレ波動砲きますよ、波動砲、波動砲マジヤバいですよ!」

 

「知ってるよ!もう名前の時点でヤバい予感しかしねーよ!」

 

とりあえず早くこの場をトンズラしなければ…

窓にダイヤモンドより硬いマグナムスチール製の鉄格子、壁はアツいコンクリート、唯一の出入り口にはあの殺戮マシーン…

 

選択肢は限られている…

 

①夕張を盾にする

②夕張を盾にする

③夕張を盾にする

 

「…③か」

 

「あの、たぶんですけど全部私が死ぬ感じの選択肢から選んでますよね?」

 

「あぁ、全部死ぬ」

 

「ですよねー」

 

クッ!こんな時に限って五月雨のヤツはホチキスの針を買いに行ってやがるッ!

 

「フッ、失礼するぞ提督よ、この長門、ビッグセブン改めてアイドリッシュセ●ンと名乗ろうと思うのだが………ん?なんだコレは?」

 

殺戮マシーンの後ろから聞こえるこの声…長門かッ!?

 

「長門!?長門!そこに居るのか?」

 

「提督よ、なんだコレは?新しい掃除機か何か?」

 

「遠慮はいらん!ブッ壊せ!」

 

「ハァ?」

 

ガショーン!!(ロケットパンチ)

 

「痛ッ………オイ、なんだこの掃除機は?ガタがきてるのか?」

 

あの殺人ロケットパンチに耐えるとは、なんて腹筋だ

 

「いいから壊せ!!オマエならヤれる!」

 

「まぁ、構わんが…あとでチョコレートパフェ奢れよ」

 

この後、古代文明の作り出した最終兵器と栄光のビッグセブンの戦いは近年稀に見る激戦となったが2時間の死闘の末、無事破壊され、ステゴロでは最強と呼ばれた長門に新たな伝説が刻まれた



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提督と艦娘とスポーツの秋

黄金のような爽やかさすら感じるタイトルに内容について考えさせられる回

【登場人物】

青葉
青葉型重巡、細かい事はあまり気にしないがレンズの汚れは気になる

多摩
球磨型の上位カースト
ネコ科の猛獣

長良
長良型1番艦、陸上部

大鳳(2)
お腹が緩い装甲空母、陸上部

島風(3)
痴女、帰宅部

榛名(2)
榛名は大丈夫、園芸部

白露(6)
1番になる為に明日は捨てた

古鷹
最近好きな番組はマジきゅんっ!ルネ●サンス、キング推し


地域密着型イベント、秋のスポーツ大会

地元との親交を深めるべく毎年開催しているこのイベントはガラが悪いと評判の当基地のイメージアップに一役買っている

 

「なに見てんだコラ?」

 

「タイマン張るか?お?」

 

…一役買っている、そんな風に考えていた時期が、俺にもありました

 

「提督、珈琲をどうぞ」

 

「これはこれは、どうも」

 

地域の偉い人に頭を下げてひ●こ饅頭を渡し、運営本部のテントに戻って来た俺をエクセレントな一杯で迎えてくれる香取先生、相変わらず素敵な方だ

 

「次は“かけっこ”か…」

 

イベントの目玉とも言える大人気競技、かけっこ

選手からすれば速さを競う単純にして明解な競技だが金網ごしに見守る観客達は違う、ウォームアップする選手達を舐めるようにイヤらしい目で見つめなければこの競技に勝つ事はできない

 

「おいサミー、どんな感じだ?」

 

少し離れた席でパソコンの画面を見つめる五月雨は面倒くさそうにこちらに視線を寄越す

 

「やはり1番人気の島風さんの頭からですね」

 

「まぁ、本命だしな」

 

人気的には島風の頭から次いで長良主将か多摩ニャー、しかし多摩ニャーは少々ムラっ気があるしなぁ、微妙に迷う気はわからないでもない

 

『えー…続きまして“賭けっこ”です、もうすぐ締め切りますので投票券をお買い求めの御方はお急ぎください』

 

青葉のアナウンスで金網の向こう側がややざわつきだした、クックック、悩め悩め、貴様らは既に疑惑と言うアナザー●ィメンションに捕らわれているのだ

 

◆◆◆

 

①多摩

第1コーナーにゃー

 

②長良

練習は裏切りません

 

③大鳳

耐える事が戦いだと思ってます

 

④島風

速さが足りない

 

⑤榛名

榛名は大丈夫です

 

⑥白露

特にお話しする事はありません

 

⑦古鷹

賞金女王目指して頑張ります

 

「えー、以上、レース前のインタビューでした、どうでしょう提督?」

 

運営本部テントから放送テントへとやって来た俺は解説席に座っていた

 

「⑥が不気味だな、何か仕掛けてくるぞアレ」

 

「青葉としては①ですね、第1コーナーで仕掛けると宣言してますし」

 

ちなみにかけっこのルールは単純、2000メートルのトラックを一周するだけだが、ルール的には武器の使用以外は全てを認めている

目突き、噛みつき、金的、何をやってもルール的には問題無い

 

「さー時間一杯です!始まりますよー!はい!今スタートしました!各艦綺麗な横並びでスタ…いや!!⑥番白露!いきなり榛名に延髄斬りだァァァァ!!」

 

「いきなりカマしてきたなアイツ」

 

【⑥榛名 脱落】

 

「今の延髄斬りで各艦やや動揺で出遅れ…いや!多摩だ!多摩のスタートは遅れてない!やや出遅れる形で島風が追う展開になりました!」

 

白露の強襲でスタートに若干の混乱があったものの、トップは多摩、次いで島風が第1コーナーに入る

 

「死ねニャー!」

 

さらに、コーナーで多摩が反転、猛追する島風の喉元に鋭い爪を喰らわせた

 

「お゛う!!」

 

【④島風 脱落】

 

「長良主将っ!」

 

「大鳳、アレをやるぞ!」

 

「いいですとも!」

 

第1コーナーを抜けた直後、トップを走る多摩に長良と大鳳が仕掛けてきた

 

「オマエらも八つ裂きにしてやるニャー!」

 

ネコ科の猛獣の如き柔軟性を生かした反転、多摩の爪が長良主将の喉元、いや、ブルマーを斬り裂いた

 

「死ねッ!ドラ猫ッ!」

 

「くたばれッ!!」

 

長良主将と大鳳のツインシュートが多摩の股間に炸裂し、多摩はアヘ顔を晒してその場に崩れ落ちた

 

【①多摩 脱落】

 

「よしッ!」

 

「長良主将!」

 

「なに…?ぶべらッ!!」

 

多摩を沈めた長良、大鳳コンビ、しかし!大鳳のスナップの効いたビンタが長良の頬を強襲した

 

「よし!」

 

【②長良 脱落】

 

 

血で血を洗うレースとはまさにこの事だろう

今、生き残っているのはトップの大鳳、続く古鷹、そして最後尾から古鷹のケツを狙いつつ手を組んで猛追する白露

 

「ヒッ!!ヒイィィィィ!!」

 

「待てェェェェ!!」

 

白露の猛追に涙しながら全力で走る古鷹、あの指は間違いなく“刺す”形をしている!“挿入れる”とか生優しいモノじゃあない

現に、第1コーナーで既に倒れていた島風に試しにとばかり突き刺してトドメを刺していたがその威力は桁違いだ、どれほどの研鑽を積んだのかと疑いたくなる

 

「たす…助けてぇー!!タスケテェー!!」

 

最後の直線、古鷹の猛追が大鳳とほぼ並ぶ、白露としては2人とも始末しなければ1番にはなれない、しかし、このままでは1人しか殺れない…

 

「…やるしかない!」

 

白露は組んだ手を離し、両の手の中指を強く突き立てた、そう、左右の手を分離する事で左右1人づつのア●ルを刺す、その様はまさに双頭の虎

この土壇場で、この天才は気高き進化を見せた

 

「ヒッ!!ヒイィィィィ!!くるなァァァァ!!」

 

「なんてヤツ…!!」

 

「死ねェェェェ!!」

 

「オゴォ!!」

 

白露の左腕が大鳳の尻を刺した、そして続けて必殺の右を…

 

「う゛っ!!こ…これは、が…ガス、ッ…お゛う゛えぇぇぇぇぇぇ」

 

大鳳のア●ルを刺すと同時に、大鳳の緩いお腹から殺人ガスが漏れたのだろう、その直撃を受けた白露は既に意識の無い大鳳のア●ルに左手の中指を刺したまま前のめりに倒れた

 

【③大鳳 死亡】

【⑥白露 死亡】

 

「ハァ…ハァ…ご、ゴールだぁ~」

 

「決まったァァァァァ!!1着7番古鷹、見事クイーンエリザベス級杯を制したのは古鷹だァァァァァ!!」

 

そして、素晴らしいレースに金網の向こう側からは古鷹さんに拍手が贈られ、1番人気の島風には怒号と罵声が贈られた

島風はケツを抑えて泣きながら退場して行ったが勝負の世界は常に非情だ、この痛みに負けずに次のレースに期待したい

 

「以上、かけっこでした、実況は青葉、解説は提督、10分の休憩の後、次の種目プログラムNo.17鎮守府名物“羅倶美偉”となります」



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提督とうづやよと地獄に1番近い島

クソッ!久々に2本立てだからチクショウ!
心がぴょんぴょんしないチクショウ回

【登場人物】

卯月(3)
通称うーちゃん、嘘をつかないレアモノ

弥生(2)
通称弥生タン、笑顔がステキらしい


喫煙所での肌寒さを感じてきた昨今、そろそろストーブの点検でもするかと考えながら煙草を吸っているとうーちゃんと死んだ魚の目をした弥生が歩いていた

 

「よぉ、買い物にでも行くのか?」

 

「ぷくぷくぷー、違うぴょん、今から弥生と映画を見に行くぴょん」

 

「ふ~ん」

 

駆逐艦キッズらしく、プリキ●アでも見に行くのだろう、実に微笑ましいものだ

 

「彼●島見るぴょん!」

 

「チクショウ!」

 

よりによってそれかよチクショウ!!

 

「弥生から光る棒も借りたからコレでアニキを応援しまくりぴょん!」

 

「アニキを応援してどうすんだよ!まぁ、気持ちはわからないでもないが…」

 

アレだろうか?今、流行りの応援上映と言うヤツなのか?あんなジェダイの騎士みたいなの振り回したら迷惑だろ…

 

「…司令官も一緒に行かない?」

 

「弥生タン…」

 

なにやら疲れた様子の弥生は手持ちの鞄からスマホを取り出すと素早く席の予約状況を確認してくれた

 

「それぴょん!テイトクも一緒に行ってコークとポップコーン買って貰うぴょん!」

 

「買いませんよ」

 

「えー!!」

 

「…正直、弥生は彼●島に興味ないから卯月がウザくてウザくて仕方ない、だから司令官が卯月の相手して欲しい…」

 

この子かわいい顔してとんでもない闇を吐いてるよォ!

 

「…司令官が卯月と彼●島見てる間に弥生はメイトに行ってキンプリ関連のアイテム買いたいし…ってか、街に行く目的がそれだし…」

 

チクショウ!!もう弥生タンを笑顔に出来るのはプリズムボーイだけなのか!?

 

「買ってくれぴょん!LサイズのコークとXLサイズのポップコーン!ほら!テイトクにも光る棒貸してあげるぴょん!」

 

「…貸してあげるも何も、それ、弥生の」

 

「お願いぴょん!うーちゃんアニキを全力応援したいぴょん!」

 

…まぁ、暇だし付いて行ってやっても構わんか、何気に俺もちょっと見たいとは思ってたし、ただ、あまり甘い顔するのは良くないのでコークとポップコーンはSサイズにしてやろう

 

「わかったわかった、付き合ってやる、車出すからちょっと待ってろ」

 

「ぷくぷくぷー!やったぴょん!」

 

「…電車代浮いた」

 

◆◆◆

 

「ハンサム1枚、こども2枚」

 

「…こども1枚でいいよ、弥生はいいから」

 

映画館のあるイ●ンモールへとやって来た俺とうーちゃんと弥生、既に弥生は同じ施設内にあるらしいアニメ●トに行きたくて仕方ないらしく、その、ロリコン殺しのかわいい顔がヒクヒクと笑うのを我慢していた

 

「えー!弥生も一緒に見るぴょん」

 

「…黙れ」ギロッ

 

「ご…ごめんなさい、うーちゃんが悪かったですっ」ジョー!ドボドボ!

 

うーちゃんは映画の前にトイレに行くべきか、今のは漏らしても仕方ない、俺もビビって金出しそうになった

 

「じゃ、終わったら連絡して、じゃ!」

 

海軍式敬礼をビシッとキメた弥生は見た事もない軽やかなスキップをしながら去っていった、プリズムの輝きはかくも偉大なものか…

 

「うーちゃん、まだ時間あるからとりあえずコレでパンツ買ってきなさい」

 

「ぷくぷくぷー!了解っ!」

 

この後、俺とうーちゃんは光る棒でアニキを全力応援し、アニキの素晴らしさについて語りながら帰路についた、弥生タンも良い買い物できたみたいで終始不気味な笑顔を浮かべていたので満足できたのだろう…

 

そして後日…

 

「同志大尉!何故このビッグセブンを誘わない!ズルいぞ!」

 

「………何が?ってか大尉じゃねぇし同志でもねぇよ」

 

ロリコンの長門に肋を折られた



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提督とサンマ漁とLED電球

クソ提督によるクソみたいなクソ回

【登場人物】

個室A
頭と股の緩さに定評のあるビッチ

個室B
戦闘力皆無の新妻系ビッチ

個室C
オラついてンけどよォー、やっぱねーちゃンはコエーすンよ


「サンマ漁か」

 

「サンマ漁です」

 

五月雨の差し出した本部から来た一枚の司令書、そういや去年もあったなサンマを捕って来いとのワケわからん命令が…

おそらく、軍本部と漁業組合の黒い癒着とかあるんだろう

 

「どうしますか?」

 

「誰かヒマなヤツに行かせろよ、誰か居るだろ?暇人」

 

「…大和さんとか?」

 

最大最強の大和さんにサンマ漁行かせるとかナニ言ってるのかね、この子は…

たしかに、暇人の大和さん頼めばなら喜んで行ってくれるだろうが、スーパーカーみたいな燃費なので洒落にならない

 

「ま、後で暇そうなヤツに声をかけるか」

 

「どちらへ?」

 

「便所、ついてくんなよ」

 

「行きませんよ、あ、ついでに東側の女子トイレの電球切れてたから替えてきて下さい」

 

「やだよめんどくせぇ、自分で行けよ」

 

「手が届かないんですよ」

 

「手が届かないなら脚立でも竹馬でも使えよタコが」

 

◆◆◆

 

結局、電球を押し付けられた俺は己の用事を済ませてから東側の女子トイレへとやって来た

 

「汚ねぇ便所だな、誰だよ掃除当番は」

 

壁に貼られた当番表には朝潮型と書かれていた、後で香取先生から尻でも叩いて貰うか…

 

「さっさと替えるか…」

 

五月雨から受け取った電球、生意気にもLED電球か…生意気じゃねぇか

 

『あのー…スイマセン、もしかして、そこに居るの提督ですか?』

 

「あ?」

 

トイレのドアから何やら声がしたが、あぁ、まぁ便所だし誰か居てもおかしくないか

 

「提督ですが?何か?」

 

『何か?じゃねーし!なんで女子トイレに居るの!?変態じゃん!』

 

さらに違うドアからも声が聞こえる、よく見ると、3つある個室は全てドアが閉じており、どうやら使用中らしい

 

「変態じゃない、提督だ」

 

『あの…何故女子トイレに?』

 

「電球替えに来たんだよ、まぁ気にせずに脱糞してくれ」

 

『う●こじゃねーし!』

 

『だ、大じゃありません!』

 

『できるワケねーだろ!ボケッ!!』

 

3つの個室全てから非難の声を浴びてしまった

たかが糞ぐらいで……いや、もしかして

 

「あぁ、すまんすまん、尿の方か、どっちにしても気にせず続けてくれ」

 

『できるワケねーし!』

 

『そうですよ!』

 

『っーか早く出ていけよォ!』

 

「言われんでも電球替えたらこんなクセーとこさっさと出るわ、っーかさっきから腐った屁みてーな匂いがするぞ」

 

『…ち、違うし!』

 

『私も違います!』

 

『たしかに、やけにクセーと思ってたンだよ』

 

『は?ナニ言ってんのオマエ?っーかオマエが匂いの犯人じゃね?』

 

『ンなワケねーし、っーかオマエだろ?』

 

『やめてください!匂いの犯人かどうでもいいじゃないですかっ!』

 

『は?』

 

『ハァ?』

 

『な…なんですか?』

 

『あー…あるある、1人良い子ちゃんぶって良い人アピールするヤツいるわー、マジ引くわー』

 

『まぁな、ま、しゃーねーよな?うン、元気出せよ』

 

『え?え?ち…違いますよ!私は違いますからねっ!』

 

…なんて醜い争いだ、これが世に言う女子トイレの乱と呼ばれる敗者はPRIDEを真っ二つに切り裂れる戦いか

 

「オイ個室A」

 

『ナニ?』

 

「オマエ最後になに食った?」

 

『最後?食堂でカレー食べたよ、中辛!』

 

「個室Bは?」

 

『私は…ふかし芋を』

 

「個室Cは?」

 

『ねーちゃンが作ったなンたらかンとかってヤツ』

 

中辛カレー、ふかし芋、なンたらかンたら…この3つから導き出される結論は1つだな

 

「個室B」

 

『…はい』

 

「ま、その…なんだ?元気だせよ?ファブリーズ投げ込んでやろーか?」

 

『ちが!違いますっ!!』



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提督と鈴谷と全全全裸

全裸とは何かを問うKENZEN回

【登場人物】

提督(44)
股間が光る誰得仕様

鈴谷(16)
最近、同室の奴に腑に落ちぬナニかを感じる

熊野(8)
庶民舌オブエレガンス、最近浴槽にバブを入れるのを気に入っている



相変わらず特にやる事もない執務室、五月雨は見たい番組があるとの事で今日は休暇をとっており、たまには1人の開放感でも感じようと考えた俺はとりあえず脱ぎ、鏡の前で“神よ、私は美しい”と言っていたら運悪く鈴谷が入って来た

 

「…マジありえないんですけど、マジ鈴谷ドン引きなんですけど」

 

「ノックしたまえ、ノックを」ググ…

 

「服ッ!っーかまずパンツ穿けよッ!」

 

「そうだな」グググ…

 

股間のフキダシが良い仕事をしたところでパンツを穿き、その辺に置き捨てた服を改めて着直す

 

「で?何か用か?」

 

「ナニか用とか言われても、むしろ用事を忘れる衝撃だったんですけど」

 

「忘れる用事なら大した用事じゃないな」

 

「まぁ、大した用じゃなかったのは確かだけど…」

 

どうにも歯切れが悪いな、言い辛い事でもあるのだろうか?いや、まさか…!!

 

「孕んだのか?」

 

「ハァ!?」

 

「若さ故に無秩序・無軌道・無計画にエンコーしすぎてついに孕んでしまい、誰にも言えずに悩んでいたがついに意を決して上司に相談に来たのかと…」

 

「エンコーとかしてねーし!!っーかいきなり全裸の男が立ってたら動揺するわッ!すぐに落ち着けるかバカッ!」

 

「なんだ、つまらん」

 

「つまらんって…クッ、マジムカつく」

 

「用がないなら帰れ、俺は忙しい」

 

「や、全然忙しそうじゃないじゃん、明らかに暇過ぎて奇行に走ってたじゃん」

 

「奇行とかゆーな」

 

たしかに、あまりの暇さぶりだったのは認めよう

 

「しかしやる事はなくても腹は減るな、メシでも食いに行くか」

 

「あ、じゃ鈴谷も行く、どこ行くの?食堂?鈴谷カレー食べたいんですけどー」

 

「ふ~ん、いいんじゃね?」

 

「いや、カレーは食べたいんですけど…ってか、提督は?食堂?」

 

「前に食いに行った店がなかなか美味くてな、次はグリーンカレーに興味があったのを思い出した」

 

「それ鈴谷が教えたちょっと高いお店じゃん!いいね!いいね!そこ行こ!」

 

「行けば?」

 

「…あの、ナニ?もしかしてなんですけど、鈴谷とは行きたくないと?」

 

「自分で払うなら止めはせんぞ、あ、俺が入って5分後に入店しろよ、知らない顔で通すから」

 

「コミュニケーション!!上司と部下のコミュニケーション以前の問題じゃん!サミーとか先生とはよく一緒にご飯食べてるじゃん!」

 

「そりゃお前アレだ、上司と部下の円滑なコミュニケーションだな」

 

「鈴谷とは!?円滑なコミュニケーション!」

 

「だってお前と歩いてたらエンコーと思われるじゃん、俺、外面気にするタイプなんだよ」

 

「だからエンコーとかしてねーし!いいじゃん別に!カレー食いに行くぐらいで誰もエンコーとか思わないし!」

 

「えー?マジ?」

 

「マジ、鈴谷賭けていいよ、500円」

 

安い賭け金だな、しかしまぁ、たまにはカレーぐらい食わせてやって、やる気を出させるのも円滑なコミュニケーションだとテレビでも言ってたな…

 

「いいだろう、たまには上司がカレーを奢ってやろうじゃあないか」

 

「…は?」

 

「は?じゃねーよ、ケンカ売ってんのか?」

 

「マジで…?奢ってくれるんですか?」

 

「奢るって言ってるだろーが、耳クソ詰まってんのか?」

 

なんでコイツこんな警戒してるんだ?

 

「…提督、ちょっと鈴谷にビンタして貰えませんか?」

 

「は?Mなの?」

 

「は?じゃねーし!Mでもねーし!いや…もしかしたらユメかナニかかと…」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「だるびっしゅ!!」

 

「痛いか?先生も痛い」

 

「この痛み…マジ!リアルッ!この痛みが鈴谷にこの瞬間が現実だと教えてくれているッ!」

 

なんだコイツ、エンコーだけじゃないでなんかアブないクスリでもヤってんのか?

 

「本当に…本当に奢ってくれるんですね?」ポロポロ…

 

 

「二度言わすな」

 

「よし!じゃー行こう!すぐ行こう!今行こう!ほら!気が変わんない内に!」

 

「いや、腹減ってるから行くけどな、っーかナニオマエ?キモいんですけど」

 

「提督に言われたくねーし」

 

とりあえず俺と鈴谷はカレーを食いに行くべく執務室を出て歩いていると空気抵抗とか考えてなさそうなダイナミックドレスアップズイウンを持った熊野に出くわした

 

「よぉ」

 

「熊野じゃん、ナニソレ?」

 

「ジャペンカップのコンデレ用に作ってるニューマシンですわ、提督と鈴谷はお出かけですの?」

 

「カレー食いに行くんだよ、お前も来るか?奢ってやるぞ」

 

「軽っ!!ちょ!なんで熊野はそんなアッサリ誘うの!?おかしくね!?」

 

「お安いカレーはイヤですわよ?」



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提督と連装砲ちゃんとアンタッチャブル

技術の闇に触れる技術革新回

【登場人物】

提督(45)
連装砲ちゃんのかわいさと浜風ちゃんのパイオツを選ぶのは難しい

夕張(9)
連装砲ちゃんはかわいいと考えるM

明石(3)
連装砲くんもかわいいと考えるS

秋津洲(2)
大艇ちゃんはバーニングソウル


「連装砲ちゃんってなんだろうな?」

 

「はぁ?」

 

今更ながら思うのだが、連装砲ちゃんとは一体なんなのだろうか?自立型の超AIでも積んでいるかのような挙動、誰が、いつ、何の目的で開発したのかよくわからないが特に疑問に思われずに溶け込んでいるが、よく考えると、とんでもない超兵器なのではないだろうか?

 

「かわいいですよね、連装砲ちゃん」

 

「あぁ、かわいい」

 

五月雨にしては珍しく見た目の愛らしさを誉めている、俺としてもそれには同意する、かわいさで言えばこの基地に居る誰よりもかわいい

 

「まぁ、かわいいのは良いとして……なんなんだろうな?」

 

「何って…?連装砲ちゃんは連装砲ちゃんではないですか?」

 

「いや、連装砲ちゃんはわかるんだよ、だからなんで連装砲ちゃんなんだよ!」

 

「はぁ?」

 

いかん、自分でも何を言ってるのかよくわからなくなってきた

 

「そもそもだ、何故連装砲ちゃんは自立型兵器なのだ?」

 

「さぁ?そこら辺は夕張さんとか明石さんの方が詳しいと思いますけど」

 

「それもそうか、よし、夕張と明石を呼べ」

 

◆◆◆

 

「わかりません!」

 

「あー?アレですか?私もよくわかんないんですよねぇー」

 

メカニックに精通している筈の明石と夕張、その2人が揃ってわからないとは…

 

「わからないじゃねーだろ、壊れた時どうしてるんだよ?たまに壊れて帰ってくるだろ」

 

「さぁ?アレって明石サンが修理してるんじゃないですか?」

 

「え?私は夕張が修理してるモンだと…」

 

「…どういうことだってばよ?」

 

どちらもしらばっくれてる様には見えんが…

どうする?とりあえず汗でも舐めてみて嘘を吐いてる方に拷問でもしてみるか?

 

「ってか、いつの間にか直ってますよね、アレ」

 

「そうそう、私は夕張仕事早いなぁ~と思ってたし」

 

「オマエら、本当に知らんのか?」

 

「ホントに知りませんって、なんならお尻を強打して頂いて構いません!」

 

「あ、私はイヤですよ、夕張と違って生粋のSなんで」

 

縛られて嬉しいMと叩いて嬉しいS、正直、コイツら肉●器どもの性癖なんぞどうでもいいのだが…

 

「つまりなんだ?連装砲ちゃんはオマエらが修理しなくてもいつの間にか直ってるってコトか?」

 

「そうなりますね」

 

「謎ですね」

 

「…まさか自己修復とかしてるんじゃないのか?」

 

「ありえないとは言い切れませんね、案外、連装砲ちゃんには一欠片の破片さえあれば何度でも蘇る大戦艦級の艤装にもない自己修復機能があるのかもしれません」

 

…だとすれば、それは実に恐ろしいマシーンなのではないか?いや、むしろ連装砲ちゃんを量産する事で艦娘を運用しない、マシーンによるエレガントではない戦争が始まるのではないだろうか?

 

「それはエレガントではないな」

 

「はい?」

 

「まぁ、連装砲ちゃんもそうですけど、連装砲くんとか長10cm砲ちゃんとか似たようなのも増えてますよね」

 

「一応聞くが、その辺はどうなんだ?」

 

「さぁ?私は明石サンが修理してると思ってましたし」

 

「私も夕張がなんやかんやしてるとばかり…」

 

謎は深まるばかりか…

このバカどもも知らないと言う辺り、連装砲ちゃんシリーズには深く関わってならない闇があるのかもしれん

 

「…よくわかった、オマエら下がっていいぞ」

 

「はぁ」

 

「あ、提督、ジ●ンプ入荷してるから後で買いきます?取り置きしておきますよ?」

 

◆◆◆

 

「フーッ~…」

 

結局、連装砲ちゃんの謎についてはよくわからないと言う結果に落ち着き、とりあえずニコチンを摂取する事にした俺は喫煙所に来ていた

 

「カモネギ捕まえたかもー」

 

「ナニやってんだ?オマエ」

 

ふと、廊下を見ると秋津洲がスマホを片手にキャッキャしながら歩いていた

 

「あ、提督、カモネギ捕まえたかも」

 

「ふ~ん」

 

そういやコイツも大艇ちゃんとか言うよくわからない相棒が居たな…

前に香取先生の熱血指導の際に取り上げたらカモカモカモカモうるせぇのですぐに返してやったが…

 

「秋津洲くん」

 

「なに?」

 

「大艇ちゃんってなんなんだ?」

 

「…大艇ちゃんはそれ以上でもそれ以下でもないかも」

 

「そうか」

 

「ハッ!?まさかまた私から大艇ちゃんを取り上げる気!?許せないかも!」

 

「取らねぇよ、単純な疑問なんだが、大艇ちゃんの修理って誰がやってるんだ?」

 

「…」

 

「オイ」

 

…コイツ、目に光が無いッ!!

 

「ハッ!?まさかまた私からまた大艇ちゃんを取り上げる気!?許せないかも!」

 

「は?」

 

「許せないかも!」

 

なんだ今の間は…?しかもコイツ、まるで俺の質問をなかった事みたいに再起動したような…

 

「私から大艇ちゃんを取り上げる奴は親でも許さないかも!」



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提督とアホの子とDailylunch

リターン・オブ・ロイヤルスマイル回

【登場人物】

Warspite(3)
通称、陛下、尊い御方

清霜(3)
怖いものは何もないアホ、ケツ叩きは半泣きするぐらいは怖い

リベッチオ(2)
怖いものは何もないアホ、ケツ叩きは漏らすぐらいは怖い



午前の仕事を済ませ、たまにはファミレスで日替わりランチでも食べるかと喫煙所で考えていると九九は六の段でつまづくアホの清霜と故郷に帰ったら学校に行くんだと軽い死亡フラグを立てるクサレ脳ミソのリベッチオがキャッキャ言いながら虫を追いかけていた

 

「ナニやってんだオマエら?」

 

「あ、テイトクだ」

 

「リベ達カブトムシ追いかけてたんだよー」

 

相変わらず意味もなく膝をブチ込んでやりたいアホ面どもだな

 

「ふ~ん、そりゃ良かった、じゃあな」

 

「あ!どっか行くの?」

 

「ファミレス、オマエらも来るか?水道水なら飲んでいいぞ」

 

「清霜ハンバーグ食べたい!デカいヤツ!」

 

「あー!リベも!リベも!デカいハンバーグ食べたい!リンゴとハチミツの!」

 

人の話をまったく聞かねぇなこのクソガキどもは、まぁ昨日パチンコで勝ったからファミレスのハンバーグぐらい屁みてぇなモンだが…

 

「あ、テイトク、トモダチ呼んでいい?ダチンコ!」

 

「ダティンコ!」

 

「あ?」

 

「前にファミレスの話したら行きたいって言ってたんだー!ねー?」

 

「まぁ、別に構わんが…」

 

この時の俺は、どうせアホ仲間のアホな駆逐艦だろうと軽く流してしまい、後に後悔する事となるとは考えもしなかった…

 

◆◆◆

 

とりあえず清霜とリベッチオはダチンコだかダティンコだか知らないヤツを呼んで来るから先に行っててと別れ、俺はファミレスの前で煙草を吸いながら待っていた

 

「きたよー!」

 

「ついたよー!」

 

「おせーぞウジムシども、俺はもうお腹ペコちゃんだぞコラァ?」

 

「遅れてしまい申し訳ありません、Admiral」

 

「…は?」

 

へ、陛下ァァァァァ!!!

清霜とリベッチオの後ろで優美さを感じさせる女王然とした佇まいで立つあの御方は間違いなく陛下ッ!このクソガキどもなんて御方を誘いやがったァァァァァ!!

 

「ほらぁー!陛下が準備にモタモタしてるからテイトクブチギレだよ」

 

「お尻叩かれるよ!お尻!」

 

「…Admiral、お待たせした原因はこのWarspiteにあります、この子らには罰を与えぬ様に計らっては頂けないでしょうか?」

 

「や、やだなァー陛下!僕もついさっき到着したところですよォー!ってか!こんなコトで罰とか与えるワケないじゃないですかァー!今のジョークですよ、上司と部下のコミュニケーションツールですよォー!」

 

「joke?そうなのですか?」

 

「やった!テイトク怒ってねーって!」

 

「リベ漏らしかけたー!」

 

こ…このクソガキどもがァ!!

 

「…Admiralの寛大なお心遣いに感謝致します」ニコッ

 

「ガハァ!!……ど、どういたしまして…」バキッ!!

 

陛下のRoyalsmileの前に膝を屈しかけた俺は左手の小指を自らヘシ折る事で耐えた、相変わらず恐ろしい破壊力…いや、絶対なる王の力、気を抜くとイッちまいそうだ

 

とりあえず、俺達はファミレスに入るとウェイトレスのお姉ちゃんから適当な空いてる席へ案内された…

 

「これがFamilyRestaurantですか…」

 

どう考えてもファミレス初心者であろう陛下は物珍しそうにキョロキョロと周囲を見回す

っーかこのクソガキども、高貴な御方である陛下を、よりにもよって庶民派ファミレスに誘うとか国際問題どころじゃねぇぞ

 

「なに食べる?なに食べる?清霜、洋風ツインハンバーグ!」

 

「リベは和風おろしハンバーグ!」

 

クソガキどもがァ…空気読め、空気読めッ!!

 

「photographの記載されたmenuですか、なるほど…これはとても分かり易くて良いですね」

 

しかしマズいな、今、陛下はメニュー表をご覧になっているがファミレスで写真と同じ物が出てくるなど有り得ない、現物は確実に劣るものが出てくるッ!と言うか、ファミレス程度の庶民味で陛下のお口に合うわけがないッ!

 

①写真と違うショボいのを持ってくる

②陛下大激怒

③国際問題、俺、ギロチン

 

もしくは…

 

①高貴なお口に合わない不味さ

②陛下大激怒

③国際問題、俺、断頭台

 

ダメだッ!!俺の首と胴がサヨナラする未来しかねぇ!!どうする?どうすれば陛下の逆鱗に触れる事なくこの窮地を乗り越える事ができるッ!

 

「Admiralは何にしますか?」

 

「え?あ~…僕は日替わりランチにしようかと…」

 

「ヒガ…リ?lunch?」

 

「曜日によって違うメニューなんだよ陛下!」

 

「oh…Dailylunch、なるほど、それは面白そうですね、では私もAdmiralと同じ物にしましょう」

 

日替わりかよッ!!陛下が日替わりランチとかダメだろ!!陛下が一番頼んじゃダメな庶民派メニューだろォ!!

 

「あ…あの、陛下、別に日替わりでなくても、もうちょい高いヤツでも…」

 

「Noproblem」ニコッ

 

「ガハァ!!」バキッ!!

 

だ…ダメだッ!この強制力ッ!これが絶対遵守の王の力なのか…?強靭な精神力と指一本でも凄まじいダメージだ

 

「ハァ…ハァ…」

 

「Admiral?お顔の色が優れないようですが?」

 

「だ…大丈夫です、何も問題ありません」

 

「お姉サーン!注文!注文ーッ!」

 

「こっちこっちー!あとお水頂戴!お水ーッ!」

 

このクソガキどもがァァァ、俺が鋼の精神力をすり減らしてるというに…殺す、コイツらだけはマジで殺す!俺がギロチンに上がる前にッ!

 

-----

 

「ウッヒョー!!うめー!チーズうまー!」

 

「キヨシ!それリベのとちょっと交換しよ!」

 

「え~?ヤダ」

 

「いいじゃん!キヨシズリィよォ!」

 

バカどもがキャッキャ言いながら食べる中、俺は特に何も言わずに食事を進めている陛下の様子が恐ろしくて仕方ない…

日替わりランチはどうしようもなく日替わりランチだ、庶民舌の俺はいいのだが高貴なる陛下は一体何を想うのだろう

 

「あ、陛下のそれ美味そう!」

 

キヨシィィィィィ!!オマエどこまでバカな子なんだァァァ!!陛下の皿にタカるとか死にたいのかオマエはァァァ!!

 

「よければ、食べますか?」

 

「え?いいの?やったー!」

 

「ズリィよ!リベも!リベも欲しいー!」

 

「えぇ、構いませんよ」ニコッ

 

「やったー!!」

 

「あ…あの、陛下?」

 

「良いのですよ、未来あるこの子らが喜ぶ顔こそ何より換えが得たいものです」ニコッ

 

「ガハァ!!」バキバキッ!!

 

広すぎるッ!深すぎるッ!陛下の御心こそ海より広く深海の深いッ!!なんて…なんて尊いッ!尊すぎるッ!

 

「FamilyRestaurant、味、量、価格、とても素晴らしいものですね、Admiral」ニコッ

 

 

後日、陛下はとても御満足頂けたらしいと病院のベッドの上で聞いた



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提督と雲龍型と続続続続続続続続続ナイトクラブ

神々の棲む山脈に挑むロマン回

【登場人物】

雲龍(2)
仙人みたいな長女、刺身よりは焼いた魚が好き

天城(2)
脱げば脱ぐほど強くなる脱衣系、小宇宙の勝負に聖衣は不要


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「おっぱい大きめ性格控えめ居るだけで男の本能がカチンコチンになる娘で」

 

「いたかねぇ、そんなの?まぁいいさ、テキトーに座ってな」

 

とりあえず希望を言うだけはタダなので言うだけは言ってみる、ママはクソ長い煙管をトントンと叩き、テキトーな席に座ってろとの事なのでいつもの様にテキトーな席に座って煙草に火を点けた

 

「フーッ~…」

 

そういや上から軽巡の更なる改装がどうのこうのお達しが来てたな、誰かは知らねぇけど…

 

「雲龍です」

 

「天城でーす」

 

「お…おぅ!ま、まぁ座れ座れ!」

 

おぉ…これは珍しくアタリじゃねぇのか?デカさに関しては説明不要ッ!ってぐらいデカい正規空母姉妹、雲龍型

 

「何を飲む?」

 

爆乳空母の長女、雲龍

仙人みたいなヤツで乳がデカい、最初は霞を吸って生きてるんじゃねぇかと疑ったが、普通に焼いた魚を食っていた

 

「ドンペリですか!ドンペリですよね!」

 

爆乳空母の次女、天城

乳がデカく、ウチに来た当初は売れない演歌歌手みたいだったがいつの間にか路線変更してポールダンサーになっていた

 

ちなみに、コイツらの下に雲龍型のリーサルウェポンと呼ばれていた残念な末妹、葛城が居る、何故アイツだけ残念なのかよくわからないが、たぶんコイツらに栄養を奪われたのだろう

 

「とりあえずビール」

 

「ビール?」

 

「えー?ドンペリにしましょうよ!ドンペリ!」

 

グイグイきやがるな、この次女は…当てにきてるのか?いや、当ててんのかッ!なるほど、良いサービス精神だ

 

「はい、ビール」

 

仙人みたいな長女は毎度お馴染みのオリ●ンビールの瓶をテーブルに置いた、そう、瓶をテーブルに置いただけだ

 

「いや…雲龍クン?」

 

「なにか?」

 

「いや、サービス業!注ぐまでがサービスだろ!?」

 

「そうなの?天城」

 

「そうよ姉さん、え~…たしか、ビールをグラスに注いだら提督がこう…谷間にチップを差してくれるのよ!」

 

「ふ~ん」

 

コイツらルールわかってねぇよ!なんだその変な知識!

 

「ちょっと待てオマエら、ちゃんとママから接客の教育受けてんのか!?」

 

「私は聞いてない、天城が聞いたから大丈夫」

 

「大丈夫です!ちゃんと漫画とドラマでベンキョーしました!」

 

「受けてねーじゃん!ちょっとママ!どうなってんのママーッ!」

 

「ま、待って!チェンジしないで!チェンジしないでください提督!私達お金無いんです!お金欲しいんです!」

 

天城はナイスパイオツを圧しつけてくる!クッ!なんて乳圧だ…ハンパじゃねぇ!まるでダンプカーのようなプレッシャーだッ!

 

「私達がお金稼がないと!下の妹がお腹を空かせて私達の帰りを待ってるんです!」

 

「そうそう、それ」

 

必死さを感じる次女とは対照的に、抑揚の無い声で常にレ●プ目の長女は皿に盛った柿ピーをボリボリと食べていた

 

「あ、オマエ!柿の種ばっか食うなよ!」

 

「ピーナッツ、嫌い」

 

「この野郎ォ…」

 

「あ!ビール!ビールですよね!提督!ビール飲むんですよね?今、天城が注ぎますから!チェンジはナシで!」

 

「あ゛?…あぁ、じゃ頼むわ」

 

「はい!…って、姉さん、栓抜きは?」

 

「歯で開けたらいい」

 

ワイルドかッ!!なんだこの長女ッ!ピーナッツ嫌いなくせに瓶ビールはオジイちゃんみたいに開けてるのか!?

 

「いやいやいや…姉さん、それはちょっと」

 

「そう、天城…ちょっとそれ、こっちに置いて」

 

「はい?どうするんで……」

 

ズルッ……!!

 

「…え?」

 

瓶ビールの上の方がズルッとテーブルに落下し、シュワシュワと白い泡が瓶からこぼれ落ちる

 

「あの…?え?」

 

「これでいい?」

 

天城はわかってなさそうだが、今のは恐ろしく速い手刀、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

 

「っーか普通に栓抜き取ってこいよ、あと、柿の種ばっか食うな」

 

「ピーナッツ、嫌い」

 

「俺も嫌いなんだよ」

 

「と…とりあえず、お注ぎしますね!」

 

ようやく注がれたビール、正直、コイツらにおっぱいがなければ許してないぞ

 

「はい!どうぞ!」

 

「おう、オマエらもなんかテキトーなの飲んでいいぞ、あと、マジピーナッツ食えよ、鼻に突っ込むぞ」

 

「ピーナッツ、嫌い…あ、そうだ、妹に持って帰ろう、天城、ビニール袋」

 

「ないです」

 

「じゃ、2人でポケットに詰め込もう」

 

コイツ、サービスの意味がまるでわかってねぇ、よし…

 

「おっと…つい三半規管が異常をきたしバランスを崩してしまったー」

 

「む」

 

我ながら、オスカーが狙えるであろう名演技で雲龍が誇る渓谷に向かって顔をダイブする、これは…ッ!!なんと言う弾力性!見た目を裏切らない柔らかなるクレバスッ!これがザ・世界遺産ッ!

 

「…煙草臭い」

 

「ちょ!提督!ちょっとダイレクトすぎッ!姉さんも避けるとか…」

 

「…ありがとう雲龍クン、これで残念な妹と美味しいものを食べたまえ」

 

俺は雲龍の手に神々の棲む山々の入山料を握らせると、雲龍はドヤ顔なのかドヤってないのかよくわからない顔を天城に向ける

 

「………ほら天城、姉さんお金貰った、姉さんちゃんと仕事やれるでしょう?」

 

「うわ~…ちょっと納得いかないけど、ってか、提督のゲスぶりに天城はドン引きしました」

 



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提督とPolaと禁断解放

帰ってきた伝説のアルコールモンスター回

【登場人物】

ポーラ(2)
飲む・吐く・脱ぐのトリプルブレイカー
常時禁断症状の禁断の申し子にしてレジェンドオブアル中

ザラ(2)
通称ザラ姉様、新効果“封印”でポーラの動きをロックするグレード3


明石の店で立ち読みし、缶コーヒーと煙草を買った俺はいつもの喫煙所で煙草を吸いながら新聞を読んでいた

 

「あ、テイトクじゃないですかぁ~?」

 

「…オマエは、ポール?」

 

「ポーラですよぉ、ポーラぁ~…ウェッヘッヘ」

 

イタリアからやって来た重巡、子供の頃はセ●エAのスター選手に憧れていたらしいが気がついたらアルコール依存症になっていたメチルモンスター、ポーラ

 

「ウェッヘッヘ、じゃない!ちゃんと頭下げなさい!」

 

「うぇーい」

 

同じくイタリアからやって来た重巡、ナポリで服飾の店を始める予定だったが色々あって借金まみれになってしまったSarto、ザラ

 

「昼間から飲んでるのかテメーは?良い身分だなァ?なぁオイ?」

 

「飲んでないですよぉ、ほら、手がプルプルしてますよぉ~」

 

「禁断症状かッ!」

 

「あ…アーッ!飲みたいッ!飲みたい飲みたい飲みたい!アルアルアルアルアルコールッ!アルコールがァァァァァ!WRYYYYYYY!!」

 

ポーラは自らブラウスを引きちぎり人間とは思えない跳躍で俺に向かって飛びかかってきたァ!

 

「ポーラァァァ!!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「めちるっ!!」

 

「ハァ…申し訳ありません提督、この子はただアルコールが飲みたいだけなんです、悪気はないんです」

 

「そ…そうか」

 

なるほど、さすがに昼間から飲むのは姉ちゃんに止められるんだな、っーかどんな禁断症状だ

 

「ハッ!?…ポーラは一体何を…?この着衣の乱れ………ハッ!?まさかポーラ犯されたぁ!?」

 

「ナニ言ってんだオマエ」

 

「まさかこんなオープンスペースで昼間からポーラを泥酔姦とはぁ〜…まさかの快男児!」

 

「大丈夫よポーラ、ヤられてないから」

 

「ザラ姉様ぁ…ポーラに気を遣ってくれるんですねぇ~、なんてお優しぃ~」

 

なんだこの三文芝居…

っーか泥酔もクソも飲んでねぇんだろ

 

「っーか禁酒しろ、禁酒」

 

「え?ムリ」

 

「あと、脱ぐな」

 

「ムリ」

 

「…平行線か」

 

「平行線ですねぇ~ウェッヘッヘ」

 

ダメだコイツ、早くなんとかしないと…

 

「フーッ~…とりあえず酒はほどほどにしろよ」

 

「あ、どっか行くんですかぁ?お酒飲めるならポーラ付いていきますよぉ~」

 

「メシ食いに行くんだよ」

 

「あ~…じゃ、ピッツア食べましょ、アツアツのピッツアを喉に流し込んでビールをカッと!」

 

「やりたい放題か!テメーは」

 

「えー?美味しいんですよぉ〜ナポリ窯で焼いたアツアツのぉ〜…ぁぁ…アーッ!!ビビビビビアーッビィィィアアァァァァァ!!WRYYYYYYYY!!」

 

ポーラはミケランジェロの彫刻の如き躍動感溢れるポーズで襲いかかってきた

 

「ポーラァ!!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「えちるっ!!」

 

「ハァ…ハァ…悪気は、悪気はないんです、許して、許してあげてください」

 

「あ、あぁ…全て許す」

 

「痛ぃぃぃ………ハッ!?この痛みッ!ポーラ犯されたぁ!?」



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提督と磯風とスンゴイ秋刀魚

グルメアドベンチャーについて考える回

【登場人物】

提督(46)
肉も魚もよく焼くタイプ、ちょっと焦げるぐらいがイイ

磯風(2)
グルメ駆逐艦、グルメ刑務所で懲役5万年を自主的に退所して来た


「この磯風、秋刀魚を焼いてみたぞ」

 

「いや、それ秋刀魚じゃねぇだろ」

 

磯風が焼いたと言い張る秋刀魚……いや、秋刀魚っぽい、秋刀魚の顔をしたそれはあきらかにデカい、しかも妙に長い手足がある

 

「なかなかの強敵だったぞ、まさか秋刀魚がバタフライ泳法で泳ぐ姿を見た時はこの磯風も驚愕した」

 

「いや、やっぱ秋刀魚じゃねぇよなコレ、彼●島近海とかにウヨウヨいる感じのヤツだよな」

 

磯風曰わく、鎮守府裏掲示板なるあきらかに怪しいアングラサイトでスンゴイ秋刀魚がウヨウヨしてるスポットがあるとの情報を聞き、獲ってきたそうだ

 

「さぁ、おあがりよ!」ドヤァ!

 

「食えるかァ!」

 

「何故だ?我ながら良い感じに焼けたと自信があるのだが」

 

「せめて普通の秋刀魚焼いて来い!普通の!」

 

「普通の秋刀魚では普通の味ではないか」

 

「普通でいいんだよ、普通で、金やるからスーパー行って買ってこいよ!」

 

「いや、それには及ばん、自分で釣りに行くとしよう…やはり魚は新鮮な死にたてが一番良いからな!」

 

「せめて釣りたてと言え」

 

全ての食に感謝とか敬意とあるのかどうか怪しい磯風は秋刀魚っぽい邪●を袋に詰めると席を立つ

 

「よし、では行こうではないか」

 

「…は?」

 

「は?ではない、提督も共に行くのだ」

 

「なんで俺も行かねばならん?」

 

「言っただろう?やはり新鮮な死にた……いや、殺したての魚は鮮度が命だからな、その場で調理しなければ食材の真の旨味を出し切れないだろう」

 

「大丈夫だ、ほら、クーラーボックス貸してやる」

 

「準備がいいな、よし行こう、すぐ行こう」

 

「行かねぇよ!1人で行って来いよ!」

 

「1人で行くと寂しいではないか?もし知り合いに見られたらアイツ友達いない寂しいヤツなんだと思われるかもしれんと考えると、この磯風のタフネスハートはズタズタになる」

 

「大丈夫だ、オマエのメタルハートはそうそう傷つかん」

 

どちらかと言えば剛毅な性格のくせに、なんでそんなしょーもない事を気にするんだコイツは…

 

「どうしても嫌か?」

 

「どうしても嫌だ」

 

「…仕方ない十七駆のブラザーに声をかけるか、この磯風、誰かと楽しくお喋りしながら釣りをしないと孤独で涙するかもしれんしな」

 

十七駆…だと?

 

「ちょっと待て」

 

「なんだ?」

 

「その…アレかな?うん、アレだ、浜風ちゃんも誘っちゃったりするのかな?」

 

「十七駆だからな、たぶん今日は朝から腕立て伏せしていたハズだが…」

 

「浜風ちゃんが行くなら俺も行こう」

 

「そうか!では、浜風の予定を電話して聞いてみるか、電話を借りるぞ」

 

磯風は机の上に置いた電話機を手に取り、1000‐10‐0とか言いながらダイヤルを回す

 

「あぁもしもし?ハマちゃん、今日ヒマ?」

 

なんだよハマちゃんって、釣りダイスキな人かよ!

 

「えー?マジでー?マジウケるー」

 

っーか磯風、オマエ身内相手だとそんなのなのか?その対応に俺は驚愕だよ

 

「わかった、じゃ後で空き地に集合なー……ふぅ」

 

「ふぅ、じゃねーよ」

 

「浜風は今日スーさんとカジキ釣りに行ってるそうだ」

 

「誰だよスーさんって!?っーかカジキ釣りとかワイルド過ぎだろォ!!」



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提督と鈴谷とハロウィン

時節ネタを取り入れつつあらゆる変化球の中に死球混ぜるスタイル回

【登場人物】

提督(47)
近所に頭を下げて回る大変な仕事、こしあん派

五月雨(20)
零號秘書艦、近所に頭下げるついでにひ●こ饅頭配る大変な仕事、こしあん派

鈴谷(17)
ビッチ、不憫さが漂うと評判があるらしいビッチ


「ハロウィンか…」

 

ここ数年、この国でも盛んになってきたワケわからんイベント、メディアの後押しもあってかテレビでもよく見るのだが…

 

「お菓子出さんかいボケェ」

 

「まだ持っちょるじゃろーが!ジャンプしてみろやダボハゼがァ」

 

「アネキィ!陽炎のアネキィ!コイツ!キャンディを5万個も隠して持ってやがったぜーッ!」

 

うちのバカどもは、お菓子を恐喝、出さなければ暴行して良いと勘違いしているらしく、今日も朝から電話が鳴り止まない

 

「…ふぅ」

 

「明日の新聞の見出しは“無秩序な暴行、問われる海軍の在り方”でしょうね」

 

「とりあえず後で全員土下座だな」

 

五月雨曰わく、クズども全員でビスケットだかキャンディだかの数を競っているらしく、中でも、陛下のくれる王室御用達菓子はポイント高いそうだ

 

「ティーッス、鈴谷がお菓子貰いにきましたよ~、お菓子ちょうだい!高いヤツ!」

 

「…」

 

ハロウィンの仮装らしく、淫乱サキュバスみたいなエグい格好をしたビッチがやって来た

 

「高いヤツ!」

 

「オイ五月雨、たしか前に夕張が作ったシロサイも2秒でコロリと逝くキャンディあったろ?アレ出せ」

 

「はぁ?たしか引き出しの中にあったと思いますけど…」

 

「ちょ!鈴谷になんてモン渡そうとしてんの!?それただの毒じゃん!」

 

「大丈夫だ、味はメロン味らしいからな」

 

「味あっても毒じゃん!シロサイが2秒で死ぬんだろォ!?」

 

相変わらずうるさいビッチだな…

 

「だいたいオマエ、なんだその格好は?私はビッチですと宣伝して回ってんのか?」

 

「違うし、鈴谷ホントはデミ●リのコスしたかったけどじゃんけんで負けたじゃん、で、余ったのはビシ●モンかモリ●ンかしかなかったんでモ●ガンにしたワケ」

 

「ふ~ん、バカじゃねぇの?」

 

「バカじゃねーし、あ、ビシ●モンは熊野に譲ってあげたからたぶん今頃どっかさまよってる」

 

まさに、さまようよろいか…

 

「ってか、お菓子ちょうだいよ!お菓子、鈴谷シル●ーヌ食べたい」

 

「そのまま死ね」

 

「いいじゃん!昨日買ってるの見たよ!持ってるんだろォ!シ●ベーヌ!」

 

「誰がやるかクズが、どうしても欲しけりゃ外行って大勢の民衆の前で公開ア●ニーでもしてくれば考えてやる」

 

「へ…変態ッ!変態!ありえねーし…マジ変態ッ!」

 

「5万」

 

「は?」

 

「5万出そう」

 

「ご…ごまんえんですか?五万円…」

 

鈴谷は少々考える事があるらしく悪い頭といやらしい身体をクネクネと悩ませる

 

「あ、一応考えるんですね」

 

「生粋のビッチだからな」

 

「ビッチじゃねーし!ってかやらねーし!そんなコトしたら鈴谷変態じゃん!もう外歩けなくなるじゃん!」

 

「なんだ、やらんのか」

 

「やら…やらない!鈴谷ビッチじゃねーし、そんな変態プレイやらねーし!」

 

生粋の変態ビッチプレイヤーかと思っていたが、一応、アウトのラインがあるんだな

 

「あ、提督、会議の時に持っていった塩飴ならありますけど?」

 

「でかした、オイ鈴谷、飴やるから消えろ、目障りだ」

 

「…せめて目の遣り場に困るとかオブラートに包む言い方しろし」

 

「目に毒だ」

 

「包めッ!!っーかもっとオシャレなのよこせよ!なんで塩飴?夏の余りみたいな塩飴!?」

 

「ガタガタうるせぇヤツだな、オイ五月雨、戸棚に俺のシ●ベーヌあるから出せ」

 

「はぁ?…え~コレですかね」

 

五月雨は戸棚からシル●ーヌの箱を取り出し、俺に手渡した

 

「御苦労、1つあげよう」

 

「はぁ、ありがとうございます」

 

「あ、鈴谷にもちょうだい」

 

「…」クッチャクッチャ

 

「なんで食べるのォ!?っーかナニその顔、マジムカつくんですけど」

 

「うんめー」

 

「腹立つッ!!ちょうだい!鈴谷にもちょうだいよ!!」

 

「うんめー」



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提督と加賀とロー●ン

帰ってきたロー●ンコラボ回

【登場人物】

海風(5)
改白露型の将来に期待できる美乳、比較的まともに見えるが影は薄い

加賀(2)
何度かチラッと出てた一航戦パイセン、ガラが悪い、でも強い


それなりに行きつけの居酒屋で一杯飲み、基地への帰路につく際に煙草がない事に気付いた俺は近くにあったコンビニに寄る事にした

 

「いらっしゃいませー、あ、提督」

 

店に入ると改白露型の見た目はラノベヒロインみたいな顔、海風がレジに立っていた

 

「よぉ、まだコンビニでバイトしてたのか?」

 

「はい、江風が今度教習所に行きたいと言ってたので」

 

「ふ~ん」

 

それはたぶん、教習所じゃないで強襲所だろうがな

 

「あの子、免許を取ったらすぐに車が欲しくなると思うので、頭金くらい出してあげようかなと…」

 

「あんま甘やかすなよ、すぐチョーシに乗るからな、アイツ」

 

オカーサンなのか天使なのかよくわからんが、妹に甘すぎだろコイツ…

まぁ、コイツの姉はほぼ全員がヤンチャクレの問題児だからすぐ下のデンジャラスな妹に甘いのかもしれんな

 

「で?今日はそのDボゥイは裏にでも引っ込んでるのか?」

 

「D…ボ?あ、江風なら今日はシフトに入ってませんよ、明日テストだから今頃みんなで勉強してる筈です」

 

「ふ~ん」

 

ちなみに白露型姉妹、天才型の時雨様と涼風は座学トップ、やや落ちて五月雨と海風と白露が20位圏内、微妙な成績で足を引っ張られ易い春雨と江風、常に追試を受けているバカ組が夕立と村雨だ

 

「バカ組と勉強してもタメにならんと思うが…」

 

「そこは…まぁ、ちょっと心配ですけど」

 

「まぁいいや、煙草くれ」

 

「あ、出来ればあっちのレジでお願いして貰っていいですか?あ、クリスマスケーキ予約していきませんか?」

 

「しませんよ」

 

「そうですか…」

 

海風は何やら作業があるみたいなので奥のレジに行くと、奥のレジに居た店員は椅子に座ってバイクブ●スを読みながらヘッドホンでドンドコ音を漏らしていた

 

「…ナニやってんだ?オマエ」

 

「…」

 

「オイ!!テメーだよテメー!!加賀ァ!!」

 

カウンターの後ろにパイプ椅子を持ち込んで座る剛の者、泣く子もチビる一航戦、加賀

 

当基地の正規空母カーストの最上位に赤城と共に君臨し、最強と呼ばれる暴力的な射手性能を持ち、連続・追撃・突撃からの連射は相手が死ぬまで射るのをやめない

一・二航戦共に性格と素行には問題はあるが、奴隷の五航戦、鬼の二航戦、閻魔の一航戦とまで呼ばれるだけあって実力は本物だ

 

「あ゛?」

 

「あ゛?じゃねーよ、仕事!仕事しろよテメー!っーかなんでお前が●ーソンでバイトしてんだよ」

 

「別にバイトしてもいいだろーが、頭にくるぜコラ?」

 

「コラじゃねーよ、舐めてんのかテメーは」

 

まさか加賀がバイトしている姿を見るとは… まぁ明日にはクビだな、これは

 

「まぁいい、煙草だ煙草、42番」

 

「へいへい…あ、丁度いいや、クリスマスケーキ予約しろよ」

 

「するかボケ、いいから煙草よこせ」

 

「100個ぐれーでいいか?ミーカゼチャーン、クリスマスケーキの予約ってどうすんのォー?」

 

「だから予約しねぇって言ってるだろーが!」

 

「いいじゃねーか、100個ぐれぇ」

 

「ハイハイ!加賀さん、呼びましたか?」

 

「テイトク、クリスマスケーキ予約するって、100個」

 

「え゛!?ホントですか!?ありがとうございます!」

 

「しねぇよ!!」

 

「あ、しないんですか…」

 

喜びが反転したのか、海風は哀しそうに顔を曇らせた、なんだ?なんか俺が悪いみたいな気になるじゃねぇか

 

「いいじゃねーか、男みせて100個ぐれーバシッと予約しろよォ、今ならミカゼチャンのパンツ見せてやっからよォー」

 

「え゛!?」

 

ナニ言ってんのコイツ!見ろ!海風ドン引きしてるじゃねぇか!完全に引いてるよォ!なんなのこのパイセン!?

 

「チラッと見せてやれよ、写メっから」

 

「…あの、ホントにそれで予約を?」

 

「しねぇぞ、しねぇからオマエも真に受けるなよ」

 

「そうですか…そうですよね!」

 

「ミカゼチャン今日何色穿いてんの?」

 

「白ですけど」

 

「ヒュー!純白ぅー!」

 

「ヒュー!じゃねぇよ、それと海風も真面目に答えるな、いいからとっとと煙草よこせよ」

 

「あ…煙草ですね、はい!440円です」

 

海風に金を払い、ようやく煙草を受け取った

 

「ありがとうございましたー」

 

「ありが…アッ!!アツアツだなこのダイコン!フーッ!」

 

「ちょ!加賀さん!なにやってるんですか?」

 

「腹減ったからおでん食ってんだけど?何か?」

 

「いや…それ商品なんですけど」

 

ダメだコイツ…なんでコンビニでバイトしようとか考えたんだ

 

翌日、加賀はバイトをクビになり、なんか色々やらかした請求書がうち宛てに届いた



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提督と明石と妖●乱舞

フェアリルが見える感じのヤバいヤツの回

【登場人物】

提督(48)
こんなのウンザリだ!オレは部屋に戻る!

明石(4)
改修作業はなんとなくこなす、よく失敗する

妖精さん
“理力”ぐらい頻繁にその辺にゴロゴロしてるらしい、仲間意識は強い


妖精さん…

 

艤装やらなんやらに憑いてたり鎮守府内の雑事を色々やってくれるコボルトみたいな存在

一般的には、妖精さんと言われる未知の何かが見える将校は提督の資質が高いらしい

 

「妖精?は?シャブ喰ってんの?」

 

そして、妖精が見えないどころか存在すら信じてない者も居る…

 

‐工廠‐

 

ズズズズ……ズズズズ……

 

「オイィィィ!!今このラチェットォ!たしかに動いたぞォォォ!!カチカチっーか、チキチキっーか!自分で動きやがったァァァ!!」

 

「当たり前じゃないですか、妖精さんがナット締めてるんですから」

 

明石の野郎、何言ってるんだ?妖精?イカレてるのか?

 

「提督の足下にも3匹くらい居ますよ」

 

「ドラァ!!ドララララララァ!!」

 

『ギャー!』

『ヤメロォ!』

 

「…何も居ないようだが?」

 

「居ましたよ、ってか、なんで攻撃したんですか?めっちゃスタンプしましたよね?今」

 

「さぁ?何の事かわからないな、明石」

 

そこに“いる”ってのはなんとなくわかるが、俺には見えないので正直よくわからない

ここに着任した当初、秘書艦だった由良さんから心が汚いから見えないんじゃないかと言われ、殴り合いの喧嘩になったのは良い思い出だ

 

「コ●モとかセブンセ●シズとかよくわからないフワフワしたモノは信じるくせに妖精を信じない大人ってなんでしょうね?」

 

「よくわからないフワフワしたモンとかゆーな、白薔薇投げつけるぞ」

 

「なんで必殺級!?」

 

日課の装備改修作業、明石は20.3cm砲にトンテンカンカンハンマーを振り下ろし、よくわからない改修を加えている、正直、そんな雑な仕事で改修とか出来るのか疑わしいのだが…

 

「あ、失敗した」

 

「ほら見ろォ!」

 

「まぁこんな日もありますって、さ、今日のノルマ終わったしティー飲もーっと、提督も飲みます?」

 

『アカシ、マイフレド』

『アカシ、アールグレイ』

『アカシ、ウィスキーヲクワエテホシイ』

 

「はいはい、妖精さんにも淹れてあげますよぉ」

 

相変わらず見えないが妙な気配だけは感じるな、どうやらしゃがみこんだ明石の足元に居るようだが…

 

「妖精のくせにティーを飲むのか?そいつら」

 

「飲みますよ?中にはグルメな子もいますし」

 

「ふ~ん」

 

「あ、そーだ、妖精さん妖精さん、ちょっとお話が…」

 

明石は何やら足元に向かってヒソヒソと喋りだした、正直、妖精が見えない俺としては今の明石はヤバい奴にしか見えない

 

「提督、提督!」

 

「なんだ?」

 

「イマイチ妖精さんが信じられない提督に妖精さんを信じて貰う良い方法を思いつきました」

 

明石は棚に置いてあったらしい陽気でファンキーな感じのする坊やの人形を持ってきた

 

「…なんだコレ?キモいんだが?」

 

『…アイムヨウセイ…』

 

「ヒッ!!」

 

な…なんだこの人形ッ!?今なんか喋ったような…

 

『アイムヨウセイ…ヒヒヒ、ヒーッヒヒヒヒヒ!!』

 

「なんだこりゃあああああああ!!明石ィィィ!!人形がァ!人形が喋って動いてんぞォォォ!!」

 

「はい、妖精さんに人形の中に入ってもらいました!コレなら提督もさすがに信じてくれると…」

 

『ヒーッヒヒヒヒヒ!!キルユー!キルユー!』

 

人形(妖精入り?)はその辺に置いてあったモンキーレンチを手に取り狂喜の笑い声を上げてブンブンと振り回す

 

『キルユー!キルユー!』

 

「オイ!なんだコレ絶対妖精じゃねーだろォ!?もっとチャイルドがプレイする感じのヤツだろォ!!」」

 

「まぁ、見えてないだけで、今まで提督ってば妖精さんをよく蹴っ飛ばしたりしてますからね、そりゃ恨まれてますよ」

 

『キルユー!キルユー!』



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提督と秋月型とかけそば

水商売で働く貧乏姉妹の心温まるような気がするハートフル回

【登場人物】

提督(49)
夏はざるそば

五月雨(21)
ざるうどんも嫌いではない

秋月
通称AKI、秋月型の長女、スケベボディ、バターのチューニングが上手い

照月
通称TERU、秋月型の次女、スケベボディ、シャウトに定評がある

初月
通称HATSU、秋月型の四女、ガッカリボディ、イケボに定評がある



「たまには蕎麦でも食いに行くか」

 

「いいですね」

 

特にやる事もなく、立体式メタルパズルを組み立てていたら既に正午を過ぎていたので、同様に特にやる事もなくDEARB●YSを読んでいた五月雨と昼飯を食いに行く事にした

 

「しかし珍しいですね、蕎麦」

 

「そうか?」

 

「昼はうどんかラーメンが多いじゃないですか」

 

「まぁ、なんとなく気分の問題だな、夏はざるそば食うけどざるうどんじゃないみたいな感じだな」

 

「はぁ?」

 

基地から少し歩いたところにあるどちらかと言えばボロい感じの蕎麦屋にやって来た俺達は空いている席に座った

 

「俺は天そば、コイツは水道水で」

 

「私も天そばでお願いします、あ、白おにぎりください、2つ」

 

相変わらず痒いところに手が届くところがムカつくな、コイツ

 

「あ、今月は大規模作戦あるらしいですよ」

 

「らしいな」

 

「資材も練度も問題ない水準だと思いますが…噂では今度は連合艦隊VS連合艦隊じゃないかって話を聞きますよ」

 

「深海さんの連合艦隊とかゾッとしねぇなオイ」

 

次の作戦は陛下のデビュー戦になるだろうし、バカどもには陛下の邪魔にならないように言っとかねぇとな

 

「いらっしゃいませェ~」

 

「HATSU!ここが空いてるぜ」

 

「姉ちゃん奥に座れよ」

 

「遠慮すんなよ、HATSU!」

 

…駆逐艦の枠を超えた超駆逐艦ボディを持つ秋月型の長女秋月と駆逐艦の枠を超えたスケベボディを持つ次女照月、そして、駆逐艦の枠を超えてない四女の初月

ロック系駆逐艦姉妹が同じく蕎麦を食いにやって来た

 

「アイツらが外食とは珍しいな」

 

「そうですね」

 

まぁ席は離れてるし、アイツらこっちには気付いてないみたいだが…

 

「え~御注文は?」

 

「かけそばを」

 

「はい、かけそばを1つ、そちらは?」

 

「いえ、かけそばを1つです」

 

「…かけそばを1つ、ですか?」

 

「はい」

 

なんか店員のお姉ちゃんがやや困った感じに見えるが、まぁアレだろう、1人だけ腹減ってるなんてのはよくある話なのでお姉ちゃんは注文を復唱して調理場へと戻って行った

 

「お待たせしました、天そばと白おにぎりです」

 

「どーも」

 

「美味しそうですね」

 

「久々に見るとな、オイ、俺の天プラとオマエのカマボコ交換しよーぜ」

 

「イヤですよ………え゛?」

 

「二度言わすな」

 

「や……え?普通、逆じゃないですか?」

 

「よく考えたら俺、天そばの天プラ嫌いだったわ」

 

やはり天麩羅は天麩羅単体でないとな

 

「お待たせしました、かけそばです」

 

「きたよAKI姉ちゃん!」

 

「アツアツだよ姉ちゃん!」

 

「TERU、HATSU、それじゃいただきましょう!」

 

「いただきます!」

 

「いただきます!」

 

…なにやってるんだ?アイツら

 

「ほら、HATSUから食べていいよ、お姉ちゃん最後でいいから」

 

「そんな!こんな贅沢品…姉ちゃんから食べてくれよ!」

 

「妹が遠慮なんかすんな!なぁTERU!」

 

「そ…そぅよHATSU!うっ…良い匂いッ!HATSU、早く食べて、お姉ちゃんの理性が残っている内に!」

 

「クッ!ありがてぇ!ありがてぇ!クソッ!美味めェ!」

 

初月は涙をにじませながらアツアツのかけそばに口をつけていた

 

「…サミー」

 

「五月雨です、なんですか?」

 

「一杯のかけそばって話、知ってるか?」

 

「知ってますよ、正直、見るのは初めてですけど」

 

秋月型姉妹、アイツらそれなりに稼いでる筈なんだがな…

 

「秋月型の人達は給料の殆どを御実家に送金してますよ」

 

「村でも救ってんのか?アイツら」

 

「さぁ?」

 

海軍と言う名の水商売で大金を稼いで村を救う貧乏姉妹か…泣かせるハナシじゃねぇか

 

「店員のお姉ちゃん」

 

「はい、注文ですか?」

 

「天ぷらそば2つ、あっちのテーブルに」

 

「はい?」

 

「あ、白おにぎりも6つ、あのテーブルにお願いします」

 

「は…はぁ?あの、お会計はこちらで?」

 

「全部こっちで」

 

早々に天そばを食べた俺と五月雨は会計を済ませて店を出た

後日、秋月型姉妹がヤベーですよサンタさんが出たんすよォー!と言っていたらしい



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鈴谷と熊野とこわれもの

ケダモノがパンツ引きずりおろす鬼畜展開回

【登場人物】

鈴谷(18)
ビッチ、好きな超人はカレクック

熊野(9)
アクセル全開でインド人を右に切るプッツン航巡


「ティーッス、鈴谷が報告書持ってきま……ありゃ?居ないじゃん」

 

「居ませんわね」

 

熊野と一緒に提督の執務室に報告書を持ってきたら提督もいつもの青髪ロングも居なかった

 

「遊びにでも行っているのでは?」

 

「マジで?鈴谷に黙って楽しいトコに遊びに行くとかマジ殺意湧くわー」

 

「とりあえず報告書を置いて行きましょう」

 

「そうだね」

 

報告書を机の上に置くと、机の上になにやら作りかけらしいプラモデルが目についた、なんだコレ?ガ●ダム?

 

「最近のプラモってよく出来てるねぇ」

 

「あまり触ると壊れますわよ」

 

「大丈夫だって、よぉ~し!!NT‐D発動ーッ!」

 

バキッ!!

 

「あ」

 

何か今、プラモデルから鳴ってはならない音が鳴ったような…

 

「だ…だだだだ大丈夫大丈夫!ポリキャップ外れただけだし!たぶん!」

 

ペキッ!!

 

「…ヤベ」

 

「鈴谷、今、ヤベって言いましたわよね?それヤベー感じなんですわよね?」

 

「…スンゴイ、ヤベー感じ」

 

ど…どどどどど!?どうしよ!折れたッ!コレ完全に折れたよ!なんで!?え?なんでこんな脆いのォ!?

 

「…ヤってしまいましたわね、鈴谷」

 

「ヤっちまったよ、コレかなりヤバくね?」

 

「まさか提督のプラモデルを破壊してしまうとは……これはスネークバ●トォー!ではなく最低でもスネークジェノサ●ドッ!は免れませんわね」

 

「ヤベェし!!」

 

「えぇ、かなりヤベーですわ、壁にメリ込むぐれーじゃ済まねーヤバさですわ」

 

ヤバいヤバいヤバい!これはヤバい!これはもう間違いなく土下座とかで済む感じではないッ!

 

「どーするよ?」

 

「そうですわね、素直に謝ってみては?」

 

「…許してくれるかな?」

 

「たぶんムリかと…」

 

「ムリかなぁ~、誠意を持って謝れば真心は通じないかなぁ?」

 

「えぇ、仮に、壊したのが暁ちゃんなら“フッ、形あるものはいつか壊れるのだよ”と言って寛容に許してくれそうですが、鈴谷ではムリでしょうね」

 

「ナニその差?っーか今のちょっとテイトクに似てた、熊野のモノマネ上手いじゃん」

 

「実は私、モノマネに自信がありますの」

 

まぁ、熊野のモノマネとかどうでもいいとして、とりあえずコレをなんとかしよう!今、鈴谷が選べる選択肢は2つ…

 

①素直に謝る

 

「ごめーん、NT‐D発動しようとしたら壊れ…オゴォ!!」

 

「立てコラァ!!テメーはユメじゃ済まさねーぞォ!コラァ!」

 

…ダメだ、100パー死ぬ、じゃ次

 

②バックレる

 

「知らない!鈴谷そんなの知らない……オゴォ!!」

 

「立てコラァ!!テメーはユメじゃ済まさねーぞォ!コラァ!」

 

…ダメだ、どっちを選んでも鈴谷がオゴォしてる未来しか思いつかない

 

「とりあえず全裸で土下座でもしては?」

 

「…やっぱそれかな?」

 

「まぁ、鈴谷の全裸土下座に価値があるかは知りませんけど」

 

「あるよ、フツーにあるよ、鈴谷だよ?フツー土下座とかしないよ?しかも全裸で土下座とかなかなかないよ?フツーの男なら金払うレベルだよ?」

 

 

「そうでしょうか?」

 

「あ、ナニその目、疑ってんの?鈴谷マジモテモテだからね?マジ街歩いてるだけでスカウトされるからね?」

 

熊野の野郎ォ、この鈴谷様の人気を知らないってのかね?

 

「ビッチ土下座で勘弁してもらえるとも思えませんが…」

 

「ハァ?鈴谷ビッチじゃねーし」

 

「もうちょっと誠意…いえ、ビッチ的には性意ある方が良いかと?」

 

ブチィ!!(堪忍袋)

 

「あー、はいはい!それなら全裸でM字開脚して提督の机でオ●ニーしながら謝ってやんよォ!!」

 

「さ…さすが鈴谷ですわ、正直ドン引きですけど」

 

「熊野ォ!オマエもヤるんだよォ!」

 

「ハァ!?なんで私まで!?イヤですわよそんな変態行為」

 

「うるせぇ!!脱げ!」

 

「ヒィ!!け…ケダモノ!」

 

熊野のスカートを引きずり下ろし、パンツに手をかける、熊野のヤツ…なかなか良いパンツ穿いてるじゃん、鈴谷のよか高いなコレ

 

「やっぱラーメンにすりゃ良かったなァ」

 

「いいじゃないですか、珍しく良い事したし」

 

「あ」

 

「ん?」

 

しまった、モタモタしてたら提督とサミーが帰ってきた

 

「…ナニやってんだ、オマエら?」

 

「た!助けてくださいまし!!」

 

「うん、まぁ…そーゆー非生産的なのは寮の部屋でやれよ、マジで」

 

「ちが!違うし!」

 

「いや、何も言うな…俺は理解ある大人だからな」



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提督と陸奥とエクストラゲーム

本日二本立て
久々に帰ってきたバスケしてるようでしてない回

【登場人物】

陸奥(4)
長門型二番艦、姉と違ってビッグセブンビッグセブン言わないけどビッグセブン、ファッション系不幸


「な…なんてこった!あの瑞穂がまるで手も足も出ないなんて!」

 

「チクショウ!これが駆逐艦と正規空母の差だって言うのかよッ!」

 

電光掲示板に表示されたスコアは15‐118

決して弱くはない、むしろ強豪に名を連ねているチーム瑞穂のバスケがまるで通用しない…

 

「あ゛ーダリぃわァ~、マジダリぃ、弱えークソザコくんがイキがってもこんなモンかよ、頭にくんぜ」

 

「わかったか?オマエらのお遊戯みてーなダセーバスケとはレベルが違いすぎんだよチンカスくん?慢心しちゃってんじゃねーよ?」

 

チンピラ空母部隊、チーム南雲の前にズタズタに敗れた駆逐艦バスケチーム瑞穂は泣きながらコートを去って行った

 

‐‐‐

 

「まさに蹂躙だったな」

 

上段の観客席から試合を見ていた俺は隣に座る陸奥にビデオカメラを返した

 

「…どうやらあの子達しかいないみたいね、ヤツらに勝てる可能性があるのは」

 

「なに?」

 

「提督、明日、あの子達を体育館に呼んでくれない?」

 

「誰だよ?あの子らって?」

 

「決まってるじゃない?」

 

イイ女にしか似合わない必殺技、悪戯っぽいウィンクをした陸奥が告げたその天才達の名前は………“白露型キセキの世代”

 

◆◆◆

 

「またこうして僕達が集まるとはね、嬉しいよ」

 

僕に逆らう者は提督でも許さない絶対王者、時雨

 

「舐められるとかイラつくっぽい」

 

荒ぶる野生、夕立

 

「アイツらにも見せてやらないとねぇ、来週の村雨をさぁ~」

 

駆逐艦超えした超肉体、村雨

 

「でも勝てるんですか?ビデオ見たけどムチャクチャ強いですよ?」

 

淫乱無欠のピンク、春雨

 

「さぁ?まぁ普通にスペックで劣りますし」

 

射程はコート全て、超長距離砲、五月雨

 

そして…キセキの世代とは違う進化を遂げたキセキの世代

 

「マジブッ殺しっすよ!なぁ姉ちゃン!」

 

「ブッ殺しとか言わないの!」

 

江風と海風

 

「はいはい、無駄話は後、練習練習!」

 

陸奥により集められた天才達が後日、再びチーム南雲に挑むらしい

 

「試合に勝ったら高い焼き肉屋連れて行ってあげるわ、提督が」

 

「ちょっと陸奥さん、俺そんなコト一言も言ってないけど?」

 

「端数は出すから」

 

「端数じゃねぇで半額とか言えよ」

 

ベンチに座って缶コーヒーを飲みながら練習風景を見ているが…やはり村雨、ヤツはズバ抜けているな、ドライブの時のアバレ具合がハンパじゃねぇ

 

「で?勝てんの?陸奥さんよ?」

 

「さぁ?正直、この子達ならやれると信じたいところだし、この子達でダメならそれ以上はないわね」

 

「だろうな」

 

先日のゲーム、ラフプレー上等の飛龍と蒼龍のダブルドラゴン、驚異の跳躍力を見せつけた加賀、そして、文字通りにゴール下を戦場に変える赤城、ヤツらの強さはハンパじゃねぇ…

 

「まぁ、あのチンピラ空母どもに一泡ふかせられるなら焼き肉ぐらい出してやるか」

 

「あら?剛毅ね、言っとくけど練習に加わる子達含めて全員分よ?」

 

「はぁ?」

 

俺のそれと同時に、体育館に見知った顔のプレイヤー達、睦月型の面子やら先日敗北した瑞穂の舞風や野分らがゾロゾロと集まってきた

 

「…ちょっと陸奥さん、コレちょっと多すぎない?提督の財布にちょっと厳し過ぎるんじゃない?」

 

「大丈夫よ?端数は出すから、あ、お酌くらいならしてあげようか?」

 

悪戯っぽく笑うイイ女、陸奥…

さすがだな、イイ女の使い方を熟知しておる



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提督と長良型とマジパネス

長良型全員集合のマジパネス回

【登場人物】

長良(2)
通称、長良主将
シェアなバッティングとバントに定評がある

名取
長良型3番艦、アレの大きさは夕張と比べ神と虫ケラほどの差がある

五十鈴(2)
長良型2番艦、あのヤマモトも乗った事がある事が自慢

由良
長良型4番艦、五月雨と並ぶ最古参、由良さんが殺人コーヒーを美味しいと言ったせいで現在に至る

鬼怒
長良型5番艦、マジパネス

阿武隈
長良型の末妹、前髪をバカされるとなんか知らねーけどムカつく

※11/6、かなり大きく修正してます、痛恨の勘違いでした



「オレンジジュース!」

 

「オレンジジュース1本です」

 

喫煙所に行く前に自販機に寄って缶コーヒーを買おうと考えた俺は自販機コーナーに行くと、長良主将がオレンジジュースのボタンを連打していた

 

「ナニやってんだオマエ?」

 

「あ、テイトク!シャーッス」

 

長良型の頂点に君臨する長女、長良、スポーツ万能のスポーティーガイ

 

「こんにちはです」

 

長良の三女、名取、軽巡だがアレが大きく、提督の提督が油断するとカチンコチンになる

 

「妹が新たなる力を手に入れ、RevolutionではなくEvolutionしたんでお祝いにジュース買ってるんです」

 

「Evolutionか」

 

「Evolutionです!」

 

革命ではなく進化か

 

「…妹?っーかオマエの妹って五十鈴さんじゃねぇのか?」

 

前回の作戦で新たなる力“五十鈴王国”に開眼した人類最強の潜水艦狩りの達人、五十鈴、アイツが更なる進化を遂げたのだろうか?

 

「五十鈴じゃなくて鬼怒です!」

 

「…鬼怒?」

 

「無呼吸連打みたいな構えしてるかわいい子です!私の妹の妹の妹の妹です!」

 

長良の妹の妹の妹の妹か…あぁ、なんか居たな、それっぽいのが、なんだっけか?

 

「あぁ、たしかザマスだかヤバスだかの…」

 

「違いますよ!パナイですよ!」

 

まぁ、ゴワスでもパネスでもどうでもいいんだが…

 

「そんなワケで今日は姉妹みんなでパネスを胴上げして焼き肉するんですよ!」

 

「ふ~ん」

 

さすが長良主将だ、スポーティーメイトだけではなくキョーダイ達の面倒見も暑苦しいまでにいいんだな

 

「提督もしないすか?胴上げ!」

 

「しねぇよ、めんどくさい」

 

「そうすか!残念です!」

 

この暑苦しいナイスガッツが長良型鉄の結束の力の源なのだろう

 

とりあえず俺は財布から札を取り出して長良主将に手渡した

 

「みんなでアイスでも買いなさい」

 

「マジすか!提督マジすか!?シャーッス!」

 

長良主将はガッツ溢れる頭を下げると、丁度、長良型の妹が歩いて来た

 

「主将、ナニしてんの?」

 

長良型の2、五十鈴

五十鈴にはスケスケだぜ!でお馴染みの眼力系軽巡、アレがデカい

 

「あ、提督だ、ティーッス」

 

長良型の末妹、阿武隈

前に前髪がサ●エさんみてーだなと言ったらキレた

 

「マジパネス」

 

そして、究極進化を果たした長良型の五女、き……

 

「…誰このイケメン?」

 

「鬼怒です」

 

「鬼怒…鬼怒ってアレだろ?あのなんかアレなヤツだろ?なにコレ?え?イケメン?」

 

「鬼怒です」

 

「…鬼怒クンかね?」

 

「マジパネス」

 

「そんな、声まで似ているなんて…ッ!!」

 

これが進化した鬼怒なのかッ!?阿武隈の時は進化しなかった、胸部装甲もウォーグ●イモンみてーに超進化してやがる

 

「ほら、鬼怒ですってば」

 

「たしかに…言われてみると鬼怒の面影を残した素晴らしい造形だ」

 

「どうすか?新しい鬼怒、パネスでしょ?」

 

「あぁ、かなりパネスだな」

 

「ヨォーシ!!提督からお小遣い貰ったし今日は深夜までフィーバーするぞォー!さぁみんな!鬼怒を胴上げだ!」

 

「ウェーイ!」

 

「ウェーイ!わーっしょいわーっしょい!」

 

「わーっしょいわーっしょい!五十鈴にはスケスケだぜー!」

 

「ありがとう!ありがとォー!」

 

…自販機の前でシスターズに胴上げされる鬼怒、実にシュールな光景だ

 

「…ちょっと、由良のオレンジジュース遅いんだけどー」

 

1人、遅れてやって来た長良型の4にして、当基地最初のエース、由良さん

 

「うわ…マジ胴上げしてるし」

 

「由良さんはやらないのか?」

 

「やらないし」



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提督とアクグラと続続続続続続続続続続ナイトクラブ

本日二本立て
インターナショナルナイトクラブ回

【登場人物】

アクィラ(2)
面接以来の登場、イタリア勢の御多分に漏れない

グラーフ・ツェッペリン
ドイツからやって来た空母、顔色が悪い
本当はキッズ達にビスケットをあげたりしたいナイーブ


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「いつもの」

 

「フーッ~…空いてるとこ座ってな」

 

さすがはビッグママ、俺の言いたい事は言葉ではなく心で理解してくれる、懐の大きさと煙管の長さは伊達じゃない

俺はいつも通り、テキトーな席について煙草に火を点けた

 

「グラーフ・ツェッペリンだ」

 

「アクィラでーす」

 

「おう、座れ座れ!」

 

πに関して大当たりの助っ人外国人枠、ドイツ空母のグラーフ・ツェッペリンとイタリア空母のアクィラか…

コイツらもイマイチ使いどころが難しく、魚雷磨きかポテトの皮むきの仕事しかないので時給の良いここに流れてきたのだろう

 

「とりあえずビールを貰おうか」

 

「ビールか…」

 

ドイツ空母、グラーフ・ツェッペリン、常に顔色が悪く、最初は吸血鬼とかそんな類の人なのだろうかと噂され、今でも駆逐艦のキッズ達からは怖くて避けられているそうだ

 

「ハイ!ビールです!」

 

いつものオ●オンビールを素早く取り出してテーブルに置くイタリア空母のアクィラ、昔、クジャク座の人に鍛えられた事があるとかないとか言ってたが、たぶん無いのだろう

 

「…珍しくアッサリ出たな」

 

「何がだ?」

 

過去、これほど素早くキンキンに冷えたビールが注がれた事があったであろうか?特に、外人枠の時のグダグダ感は群を抜いていた気がする

 

「さぁ飲め」

 

「さぁさぁ!あ、提督、私達も何か頂いても?」

 

「ん?あぁ、テキトーに飲んでいいぞ」

 

「そうか、なら私はワインを頂こうか」

 

「じゃ、アクィラもグラーフと同じ感じで」

 

…不気味なぐらい普通だ、いや、普通!素晴らしいじゃないか!今までがハズレだったのだろう、座る前から吐く重巡やら執拗にピザを食べる戦艦やら、思えばロクなヤツが居なかった

 

「さぁ提督、グラーフ、カンパイしましょ、カンパイ!ウェーイ!」

 

「ウェーイ!」

 

「Prosit!」

 

俺達はカンパイするとそれぞれのグラスを呷る

 

「………うむ」

 

しかしグラーフが真っ赤なワイン飲んでると完全にアレだな

 

「しかしオマエら、なんでここでバイトしてるんだ?」

 

「うむ、金が無いからな」

 

「ローマに相談したら教えてくれたんですよぉ」

 

「ふ~ん」

 

ローマ曰わく、酒を注ぐ時にちょっとこぼして股間を拭いてやれば多少ヤンチャなボトル注文しても大丈夫らしい

 

「いいワケねーだろーが」

 

「え゛?ダメなんですか?ダメらしいですよグラーフ」

 

「む、そうなのか?」

 

「まぁ、あの魔女の話は参考にならんとして…とりあえずおっぱい触るぐらいは笑顔で対処しろよ」

 

「Va bene、それぐらいでよければ?」

 

「Einverstanden、善処しよう」

 

さすがは国際派空母共、別に触っても構わんとは…胸だけでなく器も大きい

 

「あ、ボトル入れていいですか?」

 

「いいだろう」

 

「提督よ、このグラーフ・ツェッペリン、Milchを貰っていいか?」

 

「ミ…ルヒ?」

 

「牛乳ですよぉ~」

 

「実はこのグラーフ・ツェッペリン、酒が苦手でな」

 

「…なんでこのバイト選んだんだ、オマエ」

 

「金が無いからだ」

 

身も蓋も無いな、まぁ、苦手なりに最初の一杯は普通に飲んでたので飲めないワケではないのだろう

 

「それと、このグラーフ・ツェッペリン、実に言い難い事なのだが…」

 

「なんだ?」

 

「吐きそうだ」

 

「アクィラァァァァァ!!早くコイツトイレに連れて行けェェェ!!」

 

表情も顔色も分かり難いが、既にグラーフの危険レベルMAXだった

 

「え?なんですかぁ?うへへへ~」

 

「飲んどる場合かーッ!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「いーぐるッ!!」



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提督とキヨリベと夜歩くもの

キッズ達のハートを鷲掴みにするには何が必要なのか考える回

【登場人物】

清霜(4)
毎日のケロ●グコーンフロスティで戦艦になれると信じている

リベッチオ(3)
毎日のケロッグコーンフロ●ティで戦艦になれると夢見ている

グラーフ・ツェッペリン(2)
前回に続いての連続登板
鏡の前で笑う練習していたプリンツからマジキメェと言われて殴り合いになった


「ポケット叩いたらビスケットが1つて歌あるじゃん?」

 

「あるある!リベ知ってる!」

 

「清霜考えたんだけど、もう1回叩いたらビスケットが2つになるんなら100回叩いたらビスケットが100個になるじゃん!」

 

「スゲェ!キヨシ天才だ!」

 

たまには真面目に仕事しようと防火設備の点検をしながら歩いていると、アホな駆逐艦がキャッキャ言いながらハシャいでいた

 

「じゃあキヨシのポケットをリベが叩く!」

 

「よっしゃこーい!」

 

「ボラボラボラボラボラ!ボラボラボラボラボラ!ボラボラボラボラボラァー!」

 

「痛い!!イタい!イタいイタい!………マジ痛いマジ痛いマジ痛い!やめ!やめてッ!やめろォ!!」

 

なにやってるんだ…?アイツら、アホなのか?いや、アホなんだな

 

「なにやってるんだ?オマエら」

 

「あ、テイトクだ」

 

「陛下から貰ったビスケット増やしてんの」

 

「キヨシ、ビスケット増えた?増えた?」

 

「ちょっと待って……ぅえ!!ポケットの中がザラザラするッ!」

 

そりゃビスケットの入ったポケットなんぞ殴ればポケットの中でミンチよりひでぇコトになるだろ

 

「ビスケットが消えたー!?」

 

「マジで!?キヨシ手品師なの!?」

 

うちでもトップレベルのアホコンビはキャッキャ言いながら砕けて消え去ったビスケットの謎を追う、たぶん、明日には理由がわかると提督的には信じてやりたい

 

「ビスケットなくなったから陛下に貰いに行こーぜ!」

 

「リベも!リベもビスケット貰いたい!」

 

「オマエらァ、あんま陛下にご無礼カマしてるんじゃねぇぞ!」

 

コイツらがいつ、陛下の御機嫌を損ねるのか、こっちとしては気が気じゃねぇんだよ…マジで

 

「大丈夫!陛下いつもビスケットくれるし!」

 

「陛下のビスケットマジウマい!」

 

ダメだコイツら…そろそろ誰かが身分の違いを教えてやらないと俺の首が危ない

 

アホガキどもに、陛下に対して頭が高い事を教えるにはどうすれば良いのか考えていると、食堂のある建物から顔色の悪い空母が歩いて来た

 

「む」

 

「よぉ、え~…グラーフ?」

 

「グラーフ・ツェッペリンだ」

 

顔色が悪くておっぱいがデカいドイツ空母、グラーフ・ツェッペリン

名前を略すと訂正してくるので略されるのがイヤな難しい年頃なのだろう

 

「ゲェーッ!!グラッペリンだァ!」

 

「ヒッ!ヒイイィィ!!」

 

グラーフを見るなり、清霜とリベッチオが急にガタガタと怯えだした

 

「…む、その……なんだ?このグラーフ・ツェッペリン、実はビスケッ…」

 

「ヒイイィィ!!タスケテェー!」

 

「ちょ!待てよリベ!ヒイイィィ!!」

 

グラーフは器用に胸元に手を入れて、スティック状の袋に入ったお菓子を取り出して清霜とリベッチオに渡そうとするが、2人は漏らしながら逃げてしまった

 

「…」

 

「…」

 

「なぁAdmiral」

 

「なんだ?」

 

「私はただ、仲良くしたいだけなのだが?」

 

「まぁ、元気出せよ、缶コーヒー飲むか?奢ってやるよ」

 

「うむ……なぁAdmiral、雨が降ってきたな」

 

「雨?」

 

別に降ってないようだが…?いや、グラーフは被っていた帽子を目深に被り直しているのを見た俺はそうですねと同意する事にした

 

「…雨だよ」ポロポロ



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提督と香取先生と太古から来た究極生物

タイトルの時点で漂うカオス臭と生物としてのアイデンティティを問う回

【登場人物】

提督(50)
好きなジェノバはLIFE、嫌いなジェノバもLIFE

香取先生(8)
何故か好感度の高い先生、何故なのか妹にもわからない

秋雲(3)
男を描き続ける漫画を描き続ける漫画家、登場キャラクターはだいたい死はもとより覚悟の上


「てぇへんだてぇへんだー」

 

香取先生とアツい教育について話をしながら歩いていると、夕雲型のようで陽炎型な駆逐艦、秋雲が手ヘンがどうのと騒ぎながら走っていた

 

「何がてぇへんなんだ?」

 

「あ、テイトクと…香取ーヌッ!」

 

ビタンッ(指導)

 

「あぶろっ!!」

 

「香取先生だろうが?あ?」

 

「ぁ…ありがとうございますッ!」

 

香取先生の熱血指導は駆逐艦どもに十分行き届いているらしい、実に素晴らしい事だ

 

「で?何がてぇへんなんだ?深海の人が攻めて来たのか?」

 

「や、なんか寮のトイレに変なのが居るんすよ!」

 

「変なの?変質者か?」

 

長門のヤツ、とうとう盗撮ったのか…いつかヤるとは思っていたが

 

「いや、変質者じゃないで変な生物…?生物かな?たぶん」

 

「なんだ、長門じゃないのか?」

 

「なんでメチャシブの長門サンの名前が出てくるんすか?」

 

「気にするな」

 

「変質者ではなく変な生物とはどう言う事ですか?秋雲」

 

「とりあえず説明するよか見て貰った方が早いんで見に来てください!う●こしにくくて困ってるんすよ!」

 

まぁ、秋雲の説明よか実際に見た方が早そうなので俺と香取先生は駆逐艦の寮、通称、ハラキリ寮へのトイレへと向かう事にした

 

‐‐‐

 

「バスチャンちゃんビスケット食べるかな?」

 

「ハラショー、ビスケットよりパンが好きかもしれない」

 

「いや、バスチャンはグルメそうな顔しちょるけぇお好み焼きがいいじゃろ?」

 

寮のトイレの前に行くと、大なり小なりの駆逐艦どもがガヤガヤと集まっていた

 

「で?変な生物ってのはどれなんだ?」

 

「あ、テイトクだ」

 

「ハラショー、バスチャンならトイレの中に居る」

 

なんだ?そのネバーエンディングな名前は…?

とりあえずコイツらがナニ言ってるのかまったくわからないので、トイレのドアを開けてみると………たしかに一目でわかる変なのが居た

 

『我が名はアル●マ…時のかなたに忘れ去られし者…』

 

「…」

 

「…」

 

バタンッ!(ドア閉)

 

「先生」

 

「はい」

 

「今の、なんすかね?」

 

「ア●テマさんと名乗ってましたね」

 

うん、まぁ、名乗ってたよ、なんか変な牛みたいな牛じゃないみたいなワケのわからん歯車がクルクル回るみたいな生物が、明らかに深海の人より意志疎通が無理そうなのかッ!

 

「バスチャンだよ!」

 

「アル●マバスターゆーらしいイヌじゃあ!」

 

「どこがイヌだァァァァァ!!完全に魔獣とかそんな類のヤツじゃねぇかァァァァ!!明らかにファンタジーな世界観の住人じゃねぇかァァァァァ!!」

 

「提督、落ち着いて下さい、お水をどうぞ」

 

「ハァ…ハァ…ありがとう、香取先生」

 

っーか、なんであんなモンスターがトイレに居るんだよ、なんなんだよアレ?

 

「軍が秘密裏に造り出した生物兵器の類では?」

 

「生物兵器…」

 

さすがは香取先生、なんか納得出来そうな理由だ、しかし…何故うちのトイレに居るんだ?

 

「ありえないなんて事はありえなそうですな」

 

「えぇ」

 

とりあえず周りに居たキャッキャとハシャぐバカどもに話を聞くと、バスチャン(仮名)は昨日ぐらいから居た事、バスチャン(仮名)曰わく、造られてそう間もなくトイレに放置された事、バスチャン(仮名)は自分が何をすべきか考え続けているらしいとの事だ

 

「う~む」

 

そりゃあんな屈強そうなモンスターが造られてすぐにトイレに放置されたら己の存在意義について考えるわな

 

「どうしますか?提督」

 

香取先生は既に通販で買った禁鞭を取り出していた

 

「ねーテイトク!バスチャン飼っていいでしょ?」

 

「散歩にも連れて行くのです!」

 

「そうじゃあ!ちゃ~んと世話するけぇ!」

 

「ダメダメ、そんなコト言って、とっきゅんだって最初はみんなかわいいかわいい言ってちやほやしてたのに結局は長門が世話してるでしょ!」

 

「「「えー!!」」」

 

っーか、あんなワケわからんモンスターをペット感覚で飼えるワケねぇだろ、俺が怖いわ!

 

「…とりあえず、意志疎通できるみたいだし話し合いで解決してみるか」

 

「素晴らしいお考えです、提督」

 

香取先生は両手を頬に添えて恍惚な表情で来るべき対話に同意してくれた

バスチャン(仮名)の存在意義並みに、何が先生の好感度を上げているのか俺にはよくわらない

 

「…失礼しまーす」

 

『我が名はア●テマ…』

 

「あの…バスチャンさん(仮名)は一体どちらから?」

 

『我は何をすべきか考え続けた…永い間、考え続けた…』

 

ダメだ!会話にならねぇよォ!

 

『…その答えが、ようやく出たようだ…』

 

「あ?出たんですか?そりゃ良かった!」

 

バスチャン(仮名)の身体についてる歯車っぽい何かがカタカタと音を立てて回り始めた

 

BGM♪(決戦)

 

ん………?なんか心なしかボスバトル展開始まっちゃうよみたいな曲が流れてきたような…

 

『フレアスターッ!』

 

「ハアアァァァァァ!!なんだコイツ!!火ぃ吹いたぞォォォォ!?」

 

「提督、お下がりください」

 

「香取先生ッ!!」

 

愛用の禁鞭をペロリと舐め、香取先生がバスチャン(仮名)と俺の前に立つ

 

「提督にいきなり火を吹くとは、これは………少し厳しい“躾”が必要みたいですね」

 

この後、44分の激しい死闘の末、バスチャン(仮名)は香取先生の厳しい躾の前に倒され、倒された場所にはセーブポイントが産まれた

駆逐艦達の多くはバスチャン(仮名)の死を悼み、1日1回感謝のセーブをする事が日課になったそうだ



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提督と伊良湖と焼き華麗

そう…一味違うのねと考える回

【登場人物】

提督(51)
簡単なものなら作る独身者

伊良湖(2)
間宮の舎弟、割と乱暴者

間宮(5)
今回名前だけ、グルメ界に旅立った美食者

鈴谷(19)
オチ担当のサルモネラ菌


ふと、カレー的なものが食べたくなった俺は明石の店に行きカレーパンを購入しようと考え明石の店に向かった

 

「カレーパン」

 

「売り切れでーす」

 

売り切れなら仕方ないな…

しかし、明石の爽やかな顔がムカつくので頬をビンタして食堂へ向かった

 

「間宮殿はおられぬかー!間宮殿はおられぬかー!」

 

「はいはい……ゲッ、提督」

 

食堂に行くと、間宮の舎弟がカウンターの奥から顔を出した

 

「間宮殿はおられぬかァ!」

 

「間宮さんなら食材の仕入れに行きましたけど…なんか地球の旨みがどうのこうの言って」

 

「なんとォ!」

 

間宮め…感じたか、この星の熟成をッ!

 

「食堂は週末ぐらいまで開店休業状態ですよ、食パンならあるから勝手にトースター使ってください」

 

「チッ…使えない間宮の舎弟だな」

 

「ハァ!?なんですか間宮の舎弟って!」

 

「まぁいい、間宮が居ないなら自分で作るか」

 

「ちょ!なに勝手に調理場に入ろうとしてるんですか!」

 

「やかましい、俺はカレーが食いたいんだよ」

 

「カレー?まぁカレーぐらいなら私が作りますけど?」

 

「真かッ!え~………間宮の子分!」

 

「提督、もしかして私の名前、覚えてないんじゃ…」

 

「…フッフッフ、そんなわけないだろう?俺はこの基地の艦達をファミリーだと思っているよォ~フッフッフ」

 

疑惑の眼差しを向ける間宮の子分、そう、子分だ

前にも遭った事があるが、コイツの名前なんだっけか?たしかアレだよ、なんかイが付く感じの何かだったよな

 

「じゃあ私の名前言ってみて下さい」

 

「い…」

 

「い?」

 

「…イ●ポ」

 

「伊良湖ォ!!伊良湖です!ナニその最悪な間違えッ!最悪過ぎるッ!」

 

嗚呼そうそう、伊良湖だったな伊良湖、今度こそ覚えた、明日には忘れるだろうがな

 

「最悪ッ!マジ最悪!なにこの男ッ!」

 

「まぁそうカッカするなよイタコくん、大人は間違えるものであり、間違えを認めて次に活かせるものだ」

 

「伊良湖ォ!イ・ラ・コ!全然活かしてないじゃん!普通に間違えてるじゃん!」

 

「それが大人の特権だよ」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

伊良湖のスナップの利いた健康的なビンタが俺の頬に炸裂した

 

「…これが若さか」

 

「次は麺棒で殴ります」ギロッ!

 

コイツの目、コイツの目にはヤルと言ったらヤル“覚悟”があるッ!

 

「まぁ待ちたまえ、私はただカレーが食べたいだけなのだよ」

 

「じゃあカレー作りますから食べたらさっさと消えて下さい」

 

そう言って伊良湖はコンロに火を入れて鍋にボ●カレーを放り込んで温め始めた

 

「ボ●カレーかよ」

 

「何か文句あるんですか?」

 

なんてヤツだ、食堂のおばちゃんと呼ばれる間宮でもバーモント甘口ぐらいは作るぞ

 

「…あ、チーズと卵はあるか?」

 

「ありますけど?」

 

「そのカレー、耐熱皿に盛ってくれ、で、チーズをドバッと適当にかけ、卵を割って入れてオーブンで焼いてくれ」

 

「注文が多いですね…まぁ、そのくらいなら」

 

伊良湖はブツクサ言いながらも俺の注文通りに盛ったカレーをオーブンに入れてスイッチを押した

 

「…」

 

「…」

 

「良い匂いですね」

 

「焼きカレーだからな」

 

「なるほど…こんなのもあるんですね、ってか、提督、料理とか出来るんですか?」

 

「大雑把なのはな」

 

「あぁ、それっぽいですね」

 

「何がそれっぽいだ」

 

そうこう言っている内に焼きカレーは香ばしい薫りと共に完成し、オーブンから取り出された

 

「…美味しそうですね」

 

「一口食べるか?」

 

「いいんですか?」

 

「当たり前だ、俺はこの基地の艦達をファミリーだと思っているからな」

 

「では一口………う゛っ!」

 

「どうだ?」

 

「うん…まぁ、ウマいんじゃないですか?普通に?うん」

 

「なんだその微妙な感想は、失礼な野郎だな」

 

まぁいい、とにかく俺は腹が減ってるんだ、さっさと食おう…

 

「ティーッス、角砂糖ちょーだーい!」

 

「あ、いらっしゃいませ」

 

芳醇なチーズ&カレー臭を濁らせるビッチ臭を漂わせるいやらしニーソがやって来た

 

「あ、テイトクじゃん、ナニそれ?美味しそう!鈴谷にも一口ちょーだい!」

 

「黙れ、サルモネラ菌が」

 

「ひどッ!!」



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提督と五月雨と甘くない話

戦慄から受け継いで裁かれるまでの話

【登場人物】

提督(52)
理解ある大人、ビスマルクさんが好き

五月雨(22)
理解ある駆逐艦、コロンビアの農場から喜びの手紙が届いた

間宮(6)
むしゃぶりつきたくなるドエロスボディ、おばちゃんと言われると怒る

長門(9)
拳の求道者、最近、阿修●閃空ができるようになった

時津風(3)
エサ代は月額3000ギル、常にステータス異常らしい


「コーヒー淹れましょうか?」

 

「いらん、冷蔵庫に缶コーヒーが入ってる」

 

「ありませんけど?」

 

「あ゛?」

 

なるほど、たしかに冷蔵庫の中には買い置きの缶コーヒーがないな…

 

「コーヒー淹れましょうか?」

 

この野郎、執拗に俺にコーヒーを飲ませようとしてやがる、なんて悪質なコーヒーサーバーだ、いや、ドリップマシンとでも呼べばいいのか?

 

「いらん、チッ…買いに行く」

 

「そうですか」

 

「…なんかついでにいるモンあるか?」

 

毎度の事ではあるが、コーヒーを断り続けるのも何か心の中にバツが悪い物があるのでついでの買い物でご機嫌を伺っておくか…

 

「そうですねぇ~…あ、何か甘いもの買って来て貰えますか?チョコレート系の」

 

「カカオ120%ぐらいでいいか?」

 

「私、甘いものって言いましたよね?」

 

「チッ!」

 

「舌打ちするなら聞かないで下さい」

 

とりあえず俺は明石の店に行き、缶コーヒーを買い、甘いものはチョコパイで済まそうと考えたが舌打ちされるのが目に見えるし、なんかムカつくので、スイーツショップ間宮へ向かった

 

「いらっしゃいませー、今日のオススメはカボチャのプディングです」

 

カウンター越しに出迎える乳の大きな乳牛、間宮

とにかくデカい、もう誘ってるとしか思えないぐらいデカい

 

「おばちゃん、この棚の左端から右端まで1個づつ包んでくれや」

 

「おばちゃんゆーな、あと、今日のオススメはカボチャのプディングです」

 

「いいからガタガタ言わず包めよ、モタモタすんなホルスタインが」

 

「ホルスタインゆーな、なんですか?セクハラですか?」

 

「誉めてるんだよ」

 

「誉めるならもうちょっと言葉を選んでください」

 

ぶつくさと文句を言いながら間宮は箱にケーキっぽい菓子を丁寧に入れている、間宮の子分はワリと雑だがさすがに間宮、ダテに乳がデカくない

 

「9800円です」

 

「高けェ!!」

 

「高くないです、素材から調理法までこだわり抜いた一流の味ですので」

 

「何が一流の味だ、チッ…」

 

俺は財布から金を出してカウンターの上に置き、品物を受け取った

 

「ありがとうございましたー」

 

「チッ、たかがご機嫌取りが大損害だ」

 

「ご機嫌取り?」

 

「気にするな」

 

しかし、買ってみたものの多すぎる気がするな、1列1個づつだから、よく考えりゃ10個近くある…

俺は1個でいいとして五月雨も1個2個ぐらいしか食わない気がするが…まぁいいか、とりあえず煙草吸ってから戻ろう

 

‐‐‐

 

喫煙所へ行き煙草を吸っていると、向かいの廊下で長門と時津風が歩いていた

 

「よぉ、散歩中か?」

 

「フッ、同志大尉か…このビッグセブン、ご覧の通り、かわいい時津風の散歩中だ」

 

「同志じゃねぇし大尉でもねぇよ」

 

ステゴロなら武蔵にも殴り勝てる鉄の拳と鋼の腹筋を持つ大戦艦、長門、ロリコンだ

 

「ぐるるるッ!」

 

長門の傍で警戒と敵意の唸りをあげる陽炎型駆逐艦、時津風、人には懐かない犬だ

 

「…」クンクンクン

 

唸りあげていた時津風は椅子に置いた間宮箱の匂いを察知したらしい

 

「アマイモンの匂い」

 

「なんだと…?提督よ、お前、まさか悪魔と契約したのかッ!」

 

「するか、っーかアマイモンが悪魔とかよく知ってるなオマエ?」

 

生粋の中二病である天龍と木曾なら即答できるのも納得がいくが長門も知ってるとは意外だな

 

「陸奥が読んでいる本に描いてたからな、アマイモン受けがどうのこうの…」

 

「あぁ、そんな感じ…」

 

陸奥ェ…

 

「匂いがする」クンクンクン

 

「やらねーぞ」

 

「提督よ、その箱はなんなのだ?」

 

「間宮んトコで買った高級スイーツだ」

 

「ほぉ…スイーツか」

 

「スウィーツ」クンクンクン

 

この犬、日本語怪しいのになかなか発音がいいな

そして長門は俺と同類か…

 

「珍しいな、提督がスイーツとは…ハッ!?まさか貴様、高級スイーツを駆逐艦のエンジェルス達に振る舞って自分だけ好感度アップ大作戦か!ズルいぞ!」

 

「いや、しねぇから」

 

「しかしさすがは同志提督だ、これほど狡猾な作戦を思いつくとはな、このビッグセブン、驚嘆したぞ」

 

「しねぇから」

 

なんで俺がクソガキどもの好感度あげにゃならんのだ、どうせ上げるならビスマルクさんの好感度上げ……

 

「ハッ!そ…そうか!」

 

買い過ぎた菓子をお裾分けと言う自然な流れでプレゼントし好感度を上げるッ!なんて完璧な作戦なんだ…これはもうアレだ、自然な流れでスイーツを持って行く→ビスマルクさん好感度MAX→好き!抱いて!→ハッピーエンド

 

「…そうとわかればこんなところでプカプカ煙草を吸っている場合じゃない、よし!」

 

俺はケーキっぽいものが入った箱を手に……手に?ん?

 

「うまいうまい」ガツガツ

 

「ナニしてんだァァァァ!!この駄犬がァァァ!!」

 

ちょっと目を離していた隙に、時津風が箱を開封し、中身をベロベロと食べていた

 

「ぐるるるッ!!」

 

「返せッ!!」

 

「シャーッ!!」

 

「ぐわあああああ!!噛んだァ!この犬ッ!噛みやがったァァァ!!」

 

‐‐‐

 

「ただいま」

 

「遅かったですね…どうしたんですか?それ?」

 

「それと言うのはどっちだ?」

 

袖を噛み千切られた服の事か、ボロボロになった間宮箱の事か…

 

「両方です」

 

シュークリームだけは死守した俺はシュークリームの入った箱を五月雨に渡し、五月雨は替わりに絆創膏を寄越した

こういうトコがムカつくんだよな、コイツ



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提督と練習巡洋艦と読書の秋

香取先生に秋ボイスがあるんだと今更ながら気付いて考えた結果の回

【登場人物】

提督(53)
趣味は読書と言う名の無趣味、なんでもチャレンジしたくない年頃

香取先生(9)
女教師プレイも大丈夫です、これ快男児

鹿島先生(9)
最近、鎮守府裏掲示板を見ながら転属について考えている


暇潰しに本を読んでいると香取先生から提督的には読書の秋でしょうか?と尋ねられたので、まぁそんな感じですと答えて栞代わりのレッドアイズ・ブ●ックドラゴンを挿して本を閉じた

 

「失礼します……あ、香取姉」

 

重厚な鋼鉄の扉がノックされ、書類の挟んだクリアファイルを持った鹿島先生がやって来た

 

「今日は香取姉さんが秘書艦なんですね、あ、コレ、提督の印鑑が必要な書類です」

 

本日、五月雨の野郎は休暇を取って朝から夕張のアホンダラと街のイ●ンモールに遊びに出かけている、そろそろ冬物でも買っておこうとか言ってたので夕張の腹巻きでも買うのだろう

 

「印鑑ね、印鑑…」

 

「こちらです、提督」

 

引き出しの中にしまっておいたと思いきや、そういやさっき使ったっけな

 

「やや!これはこれは、自分の机なのに、うっかりしてますなぁ、ハッハッハ」

 

「本当に、ウフフフ…」

 

さすがは香取先生だ、笑い声までエレガントでいらっしゃる

 

「うわっ…このイラッとくる小芝居」

 

「何か?」

 

「い、いえ!何でもありません!それよりも印鑑を…」

 

そう言って鹿島先生はクリアファイルから書類を出して机の上に並べた

 

「はいはい、っと……え~南区画下水道埋設、産業廃棄物処理、風俗営業許可……」

 

相変わらず自分の仕事が何かを考えさせられる書類ばかりだな…

 

「あ、その本…」

 

「本?」

 

「はい、その…提督のですか?」

 

鹿島先生は俺が机に置いていた本に何か気付いたらしい

 

「そうですか…いや、香取姉さんも同じ本を読んでいたので」

 

「ほぉ、そうですか?」

 

「えぇ、実は」

 

香取先生は口元を隠し、エレガントに笑う

 

「読み終えたらお貸ししなくても良さそうですね」

 

「そうですなぁ、ハッハッハ」

 

「ウフフフ…」

 

今度、香取先生と居酒屋にでも行ってアツい読了談義でもしよう

 

「…うわ、ホントイラッとくる、このトレンディ小芝居」

 

「何か?」

 

「いえ、なんでも」

 

「鹿島、鹿島も漫画ばかり読んでないで文芸でも読みなさい」

 

「べ…別に漫画ばかり読んでるワケじゃ」

 

まぁ、漫画でも読書には変わりない、俺だって毎週ジ●ンプ買うし

 

「姉さん知ってるんですよ、鹿島が通販で濃厚なホ●漫画ばかり買ってるって…」

 

「ア゛ァァァァァ!!ちょ!ちょ!待てよ!なんでそれ言うのォ!?」

 

「あ、それと昨日代引きで届いてたから姉さん受け取っておいたわよ?“真剣LOVE刀乱舞る‐尻闘三番勝負‐”」

 

「なんでタイトル言っちゃうのォ!!なんでタイトル言っちゃったのォ!?」

 

「だって、もし間違っていたら大変でしょう?」

 

妹の趣味にも理解ある香取先生の妹に対する悪意無き気遣いが重厚なブローのように鹿島先生のボディをしたたかに撃ち抜いている

 

「大丈夫よ、前に姉さんが勝手に中を見ちゃって鹿島が怒ったから今回はちゃんと開けずに鹿島の机の細くて尖ったもので開けないと発火する二重底に隠しておいたから」

 

「なんでバレてんのォ!?まさか………監視カメラッ!?」

 

「カメラなんかあるワケないでしょ?姉さん鹿島の考えるコトぐらいお見通しよ?だって姉さんだもの」

 

「怖い……怖いよ、香取姉ぇ、怖い」ガクガク

 

美しくもエレガントな姉妹愛だ、香取先生の深さを感じずにはいられないな

 

◆◆◆

 

近所のイ●ンモール

 

「いやぁ~良い買い物した、これで毎朝お腹痛いのも解消快便ね!」

 

ヒョウ柄の腹巻きを購入した夕張と五月雨はフードコートでたこ焼きを食べていた

 

ブーブー!

 

「あ、メールだ」

 

「なに?提督?」

 

「どうせたこ焼き買って来いとかそんな感じだと思いますけど…」

 

【たこ焼き買って来い】

 

「そんな感じでしたね」



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提督と金欠とふれあいイベント

自分の中に宇宙を感じた事があるかを考える回

【登場人物】

提督(54)
レジェンド・オブ・クズ

五月雨(23)
最近新しい挽き具を購入しようと検討している

鈴谷(20)
ポスター用の写真撮影で後ろ姿だけでいいから言われた時から嫌な予感がしてた

長門(10)
レジェンド・オブ・ビッグセブン、ショパンの旋律に感銘受けて鍵盤叩いたら壊した


「金がないな」

 

「困りましたね」

 

ただでさえ少ない予算でやりくりしているのにバカどもがすぐに問題を起こすので金がない

 

「サミドライガーくん、何か無いかね?」

 

「五月雨です、そうですね……地域振興を兼ねた基地開放イベントとかどうでしょうか?」

 

「あ~…アレか?航空祭みてぇな?」

 

「まぁ、そんな感じですかね」

 

まぁアリっちゃアリかもな、普段は重い扉で閉ざされてる海軍の基地に入れるふれあいイベント、色々と誤解されがちな人間兵器・艦娘を間近で見られて撮影も出来る

 

「よし、それでいこう!」

 

「まぁ、うちの所属艦はゲーセンでたむろしたりコンビニの前でゲラゲラ笑ったりしてますから地域的にはさほど珍しく無いですけど」

 

「バカどもにはイラッとしてもにこやかに対応しろと厳命するとして……何か目玉のイベントが必要だな」

 

「そうですね」

 

◆◆◆

 

「さぁーいらっしゃいいらっしゃい!今世紀最高のデスマッチ!」

 

「アメリカから来たダイナマイトパッキンガールと大和魂の世紀の一戦!見なけりゃ損するよお兄サン!」

 

「鎮守府名物“撲針愚”!まだ席あるヨー!」

 

次々に来場する客と飛ぶが如く売れるチケット、クックック、笑いが止まらんわ

 

「フフフ…ハッハッハ…ハァーッハッハッハ!」

 

鎮守府ふれあいイベント当日、基地内にはバカどもが建てた屋台が並び、卵焼きやらお好み焼きやら売られているがそんなモノは便所のネズミの糞にも匹敵する些事だ

 

「売上はどうだ?」

 

「既に一般チケットは完売してますね、追加の立ち見もかなり捌けてるみたいです」

 

「そうかそうか」

 

鎮守府ふれあいイベントの目玉、アイオワVS大和のデスマッチは大当たりらしく、現在、リング上は前座の長門VS鈴谷のファイトが行われていた

 

「うおおおぉぉぉ!!今こそ爆発しろォ!鈴谷のニュー・スーパーブロー!」

 

「軽い拳だな」

 

「なにぃ!?」

 

鈴谷のニュー・スーパーブローは特に何の効果もなく、長門は平然とリングに立っていた

 

「う…ぅぅ!高電圧エリアで習得した鈴谷のマグナムが通用しないッ!」

 

「このビッグセブンが教えてやろう!本物の二十世紀最大のスーパーブローをッ!」

 

JET!!(BAKOOOOOM!!)

 

「ぐわああああああ!!」

 

長門のアッパーが鈴谷に炸裂し、鈴谷は上空に吹っ飛ばされてきりもみ回転しながら顔面からリングにグシャアッとあきらかにヤバい音で叩き落とされた

 

「カウントの必要は無い」

 

ビッグセブン!ビッグセブン!ビッグセブン!ビッグセブン!ビッグセブン!!

 

鳴り止まないビッグセブンコールに勝敗は決したかに見えた…

 

「フッ………な!なにぃ!?」

 

「す…鈴谷にも、負けるワケにはいかないワケがあるんでね」

 

「このビッグセブンのJETを喰らって立ち上がるとは…!」

 

ヨロヨロと立ち上がった鈴谷は再びファイティングポーズをとる

 

「ならば今度こそ葬ってやろう!」

 

「ハアアッ!!」

 

気合を入れた鈴谷のブレザーとスカートが弾け飛び、場内の歓声が一層ヒートアップする

 

「キサマ……何故脱ぐッ!」

 

「小●宙の勝負に艤装は不要!今!燃えろ鈴谷の小●宙!ビッグセブンを超えるセブンセ●シズまで高まれーッ!」

 

「いいだろう、ならばこのビッグセブン、最大の奥義でお前を葬ってやる!」

 

‐‐‐

 

「前座で全裸とはなかなかファンサービスがわかってるな、アイツ」

 

長門のジェッ●ラベンダーを受け、全裸できりもみ回転しながらリングに突き刺さる鈴谷

レフリーが死亡確認したところで試合は終了し、鈴谷は棺桶で場外へと運ばれて行った

 

「なかなかアツい試合だった」

 

「えぇ」

 

アツい試合の中で観客達の観客をカチンコチンに出来るのはアイツぐらいだろう、今度アイスでも買ってやるか

 

「サミドラニエスくん」

 

「五月雨です」

 

「今の試合録画してるか?」

 

「してますけど?」

 

後日、この試合の模様は鎮守府裏掲示板にいつの間にやらアップロードされたらしく、情報化社会の怖さを改めて知る事になる

 

 

押忍!矢矧です!

匿名希望の提督さんからのお便り、なんで鈴谷はすぐ脱ぐのですか?バカなんですか?

うん、彼女はビッチだからね!

次回!不健全鎮守府『友か敵か?マッハパンチのI』

そこんとこ、よろしく!



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足柄と大淀とFatalFury

提督不在なのに女々しさゼロ、カロリーもゼロ、ないない尽くしを考える回

【登場人物】

足柄
通称、ワイルドウルフ
教室で授業なんてくだらねーコトはやめだ!外でバスケしよーぜ!

大淀
通称、デスマシーン
ランチャーやら爆雷やら用途に合わせられるマルチシルエット


「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、そのワイルドでウルフで初心者にも操作が易そうなファイトスタイルは駆逐艦のキッズ達から憧れの対象とされている

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

荒れて物に当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

足柄とはマジでダチ、略してマジダチの関係らしく、よく二人で合コンに行ってはお気に入りの服の袖をギザギザにして帰ってくる

 

「まぁ落ち着けや、周りのキッズどもがビビってるじゃねーかよォ?」

 

「あ゛?…なんだ、大淀か」

 

たしかに、ここは談話室と言う憩いの場であり、冷静になって周りを見回せば駆逐艦のキッズ達がビビっており、朝潮は漏らしていた

 

「悪い悪い、オマエらァ!コレでキャンディ買いな!」

 

足柄はバーバリーの財布から紙幣を出して一番近くに立っていた霰にスタイリッシュに投げた

 

「ヒュー!足柄サンオトコマエーッ!」

 

「さすが足柄姉サン!女の中の男ッ!」

 

キッズ達は足柄に頭を下げてキャッキャ言いながらキャンディを買いに行った

 

「…で?ナンで荒れてたんだオメー?また合コンでも行ったのか?」

 

「あ゛?行ってねーし」

 

大淀は手近な椅子に座り、眼鏡を外すと眼鏡をキュッキュと拭き始めた

 

「じゃナニよ?K●Fの招待状でも届いたのかよ?」

 

「いや、それは今回見送った」

 

「届いたのかよ…」

 

足柄曰わく、雑魚どもはキミと羽黒に任せるとのコトらしい

 

「昼間、キヨシとアサシと三人でデパートに買い物に行ってよォ~」

 

「なんで誘わねーんだよ、車出してやったのに」

 

「オメーの鉄仮面だと些か車高がアレだろーが」

 

「は?」

 

「は?じゃねーよ、眼鏡カチ割るぞ」

 

眼鏡を拭く大淀の手が止まり、眼鏡に亀裂と大淀の額にピキッ!パキッ!と血管が浮かんだ、しかし、さすがにインテリ眼鏡軽巡大淀、一瞬で平常へと戻った

 

「………で?ナンだ?」

 

「キヨシとアサシが屋上でヒーローショー見てーとか言うから見に行ったワケよ」

 

「ふ~ん、面白かった?」

 

「会場行くとなんか童心に帰れるわ、アレ」

 

「ふ~ん」

 

「で、ヒーローショーって言ったらほら、アレがあるじゃんよ?」

 

「なんだよ?アレって」

 

「怪人が子供攫ってステージ上げるやつ」

 

「あ~…あるある、あったわ、私も昔ショ●カーに攫われたわ」

 

「は?大淀ォ、ナニ言ってんの?」

 

「あ?攫われたし、私、昔から近所でかわいいかわいいって評判の美幼女だったし」

 

「フカシコイてんじゃねーよ」

 

「フカシじゃねーし、オメーこそ近所で評判のバラガキだろーが」

 

「近所で評判は妙高姉サンだし」

 

「あ~…ぽいわ」

 

「だべ?妙高姉サンマジやべーからな、今でも地元行ったら妙高姉サンマジレジェンドだべ?」

 

妙高型の頂点に君臨する長女、妙高

その旗の下に一時期は千人近い配下を持ったカリスマ

 

「で?ナンだっけ?ショ●カーに攫われたの?足柄が」

 

「違うし、アサシが攫われた」

 

「キヨシじゃないで?」

 

「キヨシはビビって戦闘員と目ぇ合わせられなくてめっちゃブルってた、で、アサシがキヨシを攫うならアタイにしろォってゴネてアサシが攫われた」

 

「イケメンか」

 

「で、攫われたアサシがステージでやめろーショ●カー!やめろー!アタイにエロいコトする気だろーって叫んで観客も怪人もマジドン引き」

 

「うわ…それはハズい、ハズいわ」

 

「周りの目が超アレなの?あのお母さんマジアレかしらみたいな目で超見られたわ」

 

「…行かなくて良かった」

 

「いたたまれなくて席を立とうとしたらキヨシがお母さんいかないで!お母さん捨てないでーって私の袖掴んでマジ泣き」

 

「うわ…」

 

「焦って強引にひっぺがそーとしたら、ぶたないでー!良い子にするからぶたないでーでガン泣き」

 

足柄は手に持っていた未開封のコークの缶をブルブルと震わせていたら握力でプルトップが開いて炭酸が漏れ出した

 

「で、トドメはアサシがステージでやめろー!キヨシをぶつならアタイをぶてー……もう会場的には怪人よか私の方がよっぽど怪人よ」

 

「うん…まぁ、それは怪人だわ」

 

「とりあえず、その後ヒーローが来てなんかグダグダな感じでショー終わったけど、ショ●カーも気を遣ってキヨシとアサシにお菓子あげてたわ、お菓子貰ったーって満面の笑みで言われた時はマジで顔面にスーパーバーンナ●クルぶち込んだわ、心の中で」

 

「心の中で済ませたオマエすげーよ、マジワイルドウルフ」

 

「二度とアイツらはデパートに連れて行かねー、大淀ォ、今度オマエ連れてけよ」

 

「ムリ」



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鈴谷と熊野とスーパームーン

提督不在の二連投、ムラムラからくるイライラビッチ回

【登場人物】

鈴谷(21)
高いヒロイン力を持つモブ、攻略不可

熊野(10)
高度なヒロイン力を持つプッツンお嬢、攻略不可

ポーラ(3)
今回は名前だけ、天を衝く頂のようなヒロイン力を持つレジェンド・オブ・アル中、故に、攻略不可



大本営から通達があった中規模作戦の決行が近日に迫る秋の日

重巡寮、通称、さわやか寮…

 

「昨日アレだったじゃん?スーパームーンってやつ?」

 

買ってきたお手軽カフェモカを飲んでいるのは最上型航巡、鈴谷、ヒロイン力53万(自称)のビッチ

 

「見てませんわ」

 

同じく最上型航巡、熊野、ヒロイン力2300万のエセガント系ヤンチャ航巡

 

「見てねーのかよ、っーか昨日の夜、熊野どこ行ってたの?またズイウン走らせてたの?」

 

「いえ、昨夜は提督の部屋で超者ライ●ィーンの24話から最終話まで見てましたわ」

 

「ブフッ!!」

 

シレっと答えた熊野の回答に鈴谷はカフェモカを噴き出した

 

「ちょ!汚っ!汚いですわ!私のベッドにかかったらどうする気ですのこのマスタービッチ!」

 

「ッ……び、ビッチじゃねーし!っーか熊野ォ!今何て言ったァ!?」

 

「…マスタービッチ?」

 

「違う!その前!昨日の夜!」

 

「提督の部屋で超者ラ●ディーンの24話から最終話まで見てましたわ」

 

「それだよッ!?ナニそれ?なんで鈴谷も呼んでくれないの!?」

 

「だって鈴谷、マから始まってンで終わるアレしてるみたいでしたし、邪魔するのもアレですし…空気読みましたわ!」

 

「クッ!」

 

古来より、月は人をムラムラさせる何かがあるらしい

 

「鈴谷がムラムラしてる間にコイツは…ッ!」

 

「なかなか面白かったですわよ、変身する度に全裸になるサービス精神の塊ですわね」

 

「んなこたぁどーでもいいっての!」

 

ちなみに超者ライ●ィーンのDVDは陸奥から借りたらしく、陸奥のお気に入りはラ●ディーンファルコンとの事らしい

 

「っーかなんで夜中に提督の部屋で見てんの?おかしくね?夜中だよ?深夜だよ?アレじゃね?イイ歳の男と女が夜中に同じ部屋とかもう完全にアレじゃん、その……ほら、健全でないと言うか、アレだよ?」

 

「まぁたしかに…超者ライ●ィーンが健全かと問われると疑惑が残りますわね」

 

「違うし!そこじゃない!鈴谷が言いたいのはそこじゃないし!」

 

「はぁ?」

 

「…その、ナニ?その超者ライデ●ーン見てただけ?」

 

妹である熊野のまさかの風紀の乱れっぷりにやや困惑する鈴谷はカフェモカを一口飲み、敬遠気味に打者熊野の様子を窺った

 

「お酒飲んでパーリーしましたわ」

 

「ゴブォ!!」

 

「ちょ!やめてくださいまし!!汚いですわ!」

 

「ご…ごめん、ちょっと鈴谷喉の調子が悪いじゃん………ってか、酒飲んでパーリーって、2人で?」

 

「いえ、イタリアから来た、え~なんでしたっけ?ほら、ポークさん?」

 

「ポーラだよ!」

 

「そうそう、その方、そのポートさんも日本のアニメに興味があったらしくて御一緒にと」

 

疑惑は確信に変わる、これはもう完全に黒

熊野だけなら酒が入ってもアホな子なので健全かと思ったものの、まさかのポーラ、これはもう完全に超者降臨してもおかしくない

 

「ポーズさんも大層気に入っておりましたわ、超者ライデ●ーン」

 

「その…酒飲んで、ナニもなかったの?その、ほら、夜のゴッドバードチェンジしたりとか…」

 

「まぁ、みんなで好きな子の名前言いっこしたりしましたけど?」

 

「修学旅行かッ!!ナニそれ?超楽しそう!なんで鈴谷を誘わなかったのォ!?」

 

「ですから、鈴谷は自室でマスター…」

 

「してねーからッ!ムラムラしてただけで鈴谷してねーからッ!」

 

「しかし…昨夜部屋に戻って来た時に濃厚な雌の匂いが…」

 

「気のせいだからッ!しかし提督の野郎…なんで熊野に甘くて鈴谷に厳しいのかね」

 

「ビッチだからですわ」

 

「ビッチじゃねーし!っーか鈴谷よかポーラの方がビッチじゃね?飲む・脱ぐ・吐くとか鈴谷よかタチ悪いじゃん」

 

「ん~…提督が言うには、ポールさんはおっぱい揉んでも罪悪感を一切感じないと言ってましたわ」

 

「ナニそれ!?なおタチが悪りぃ!!っーか鈴谷のおっぱいは罪悪感あんの!?ないよ?」

 

「鈴谷のおっぱいはお金が発生しそうだからでは?」

 

「するかッ!!………いや、できれば欲しいけど」

 

「ほらみなさい、鈴谷は金と欲にまみれたビッチですわ」

 

「ビッチじゃねーし!」




※超者ラ●ディーンはDVD化されてないそうです


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提督とオイゲンとシュトロイゼルクーヘン

好感度と言う愛を求めさまよう狩人がピキパキする雑な回

【登場人物】

提督(55)
好感度を上げたくて仕方ないバッドガイ

プリンツ・オイゲン(3)
ドイツから来たヤンチャ重巡、提督との仲は最悪超えちゃってる

間宮(7)
短気系給糧艦、麺棒の攻撃力が255


「いらっしゃいませー、本日のオススメはシュトロイゼルクーヘンでーす」

 

「そのシュトロイゼルクーヘンを貰おう」

 

「…は?」

 

スウィーツショップ間宮、スイーツではなく、スウィーツと呼ばないとキレる短気なボイン、間宮が気分的に値段を決め、甘い物から苦い物まで気分で置いてある、これまさに気分屋であろう

 

「シュトロイゼルクーヘンを、買うと?」

 

「二度言わすな」

 

間宮は何か信じられない、コイツ、イカレているのか?と言った表情をしているがそんな事はどうでもいい

 

「早くしろ、モタモタすんな乳牛が」

 

「は…はぁ?」

 

先刻、自販機の前で熊野のアホが今日のオススメはバウムクーヘンだかゴールデンバウムだかでしたわー、と話をしているのを聞いた俺はバウムだかクーヘンだかはドイツの菓子だと気付いた

 

「スィマセェーン、シュトロイゼルクーヘンくださーい」

 

「はーい、はいはい、いらっしゃいませ」

 

ほぉ、俺以外にシュトロイゼルクーヘンを購入しようと考えるオサレがこの吹き溜まりに居るとは…なッ!?

 

「貴様ァ…」

 

「ん?ゲェーッ!お、オマエはーッ!」

 

俺同様にシュトロイゼルクーヘンを購入しに来たらしい、ドイツから来たヤバい系重巡、プリンツ・オイゲン

 

卑しくもビスマルクさんを姉御と慕うライン川ギリギリぶっちぎりにヤバいヤツだ

 

「なぜAdmiralのようなゴミカスがマミヤに…」

 

「誰がゴミカスだクソ重巡がァ」

 

「ハッ!まさか…シュトロイゼルクーヘンをビスマルクの姉御に召し上がって頂いて好感度を上げる気かよテメェー!」

 

「そーゆーオマエは何なんだ?ア゛ァ?卑しくもビスマルクさんにシュトロイゼルクーヘンをプレゼントして好感度上げるつもりなんじゃねーのかァ?あ゛ー?」

 

不倶戴天の敵とはまさにこのヤロウの事だな…

どこから話を聞いたか知らんが今日の間宮のオススメがドイツ菓子である事を知ってビスマルクさんに差し上げて好感度上げようなんざ許されるコトじゃねぇぜ

 

「菓子で好感度上げようなんて、フッ、このAdmiral、チ●ポついてないんじゃないですか?」

 

「ア゛ァ?ついてんよ!221ファイヤーボールがな!テメーこそ菓子で好感度上げようなんてセコい真似しよーってのか?」

 

「な゛ぁんですって?」ピキッ!パキッ!

 

「なんだァ…コラ?」ピキッ!パキッ!

 

「ヤるんすかAdmiral?私、ケンカつえーですよ?」

 

「クチャクチャの挽き肉にしてやんよ」

 

とても上司に対するとは思えない態度のオイゲンとメンチビームを撃ち合い、強烈な火花が散る

 

「ちょ!店の前でやめてくださいよ!」

 

「ダイジョーブっすよマミヤサン、私、強いっすから、パツイチでキメてやるっすよォ~」

 

「っーか早く包めよホルスタインが、コイツぶっとばしたらスグ、ビスマルクさんのトコにピンクのキャデラックで行くんだからよォ~」

 

バチバチバチバチ!(メンチビーム)

 

「とりあえず、潰れちまえよ?」

 

オイゲンの顔面を捉えた筈の俺のスネークバ●トは空を切り、その辺に置いてあった椅子とテーブルを破壊した

 

「アクビが出るぜェ…ウスノロォ」

 

オイゲンは飛び跳ねながら片足を弧を描くように振り上げてグチャグチャになったテーブルを蹴り裂いた

 

「イヤァァァァァ!!やめてェー!!ホントやめて!!!壊れるッ!お店壊れちゃうーッ!!」

 

「オイオイ…上司にジェノサイドカ●ターとか容赦ねぇなァ?なぁオイ?」

 

「ハァ…?部下の顔面いきなり潰そーとする上司に言われたくないですけどォ?」

 

プリンツ・オイゲン、認めたくはないがコイツは強い、そして、残忍・残酷・残虐なファイトにも一切の躊躇いが無い

 

「やめてッ!!ってかマジやめろォ!!オマエら2人共ブッ殺すぞォ!!」

 

この後、俺とオイゲンの戦いは更に激化し、店を半壊にした後、キレた間宮から2人とも麺棒でしこたま殴打されたらしく病院へ送られた

 

◆◆◆

 

後日…

 

「提督、オイゲン、聞いたわよ、アナタ達がお菓子の取り合いでハシャギすぎたって…」

 

ビスマルクさんが病室にマスクメロンを持って来てくれた

 

「ありがとうございます!ビスマルクさん!防腐処理します!」

 

「ありがとうございます!姉御!Embalmingします!」

 

「た……食べてくれていいのよ?ってか、食べなさい」



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提督と作戦とミーティング

中規模作戦前の大集会、難しい事はだいたい気合で済ます感じ

【登場人物】

提督(56)
色々とだらしないバッドガイ


普段はバスケだったり競技ダンスだったりとアツいスポーツ活動を行う施設、体育館…

本日18:00に体育館に所属する艦が集まるように全員にプリントを配られていたのだが…

 

「オイ!テートクまだ来ねーのかよ!」

 

「う●こなげーんだよ!」

 

「いつまで待たせる気だ!オラァもう腹がペコちゃんだヨ!」

 

定刻になっても提督は姿を見せず、イライラしたヤンチャシップ達はとりあえず目が合った奴とメンチを切り合っており、今にもルール無用の残虐ファイトが開戦しようかの空気に包まれていた、その時…

 

「やーすまんすまん、すっかり遅れてしまったな」

 

「おせーよ!」

 

「ウ●コも大概にしろよテメーッ!!」

 

一応、申し訳なさそうに頭をヘコヘコ下げながら提督が体育館にやって来た

 

「う●こじゃねーよ、ちょっとパチンコ打ってたら確変止まんなくてよ、いやぁ~…いつ見ても頭悪りぃわ、聖なるポーズ」

 

「遅刻した理由が最悪だよこのヤロウ!」

 

「舐めてンのかオッサン!まず謝れよ!」

 

「だらしない提督ですまない」

 

‐‐‐

 

「えー…っーワケで明日とか明後日とか、まぁ週末だな、週末から大本営からお達しがあった秋の大作戦が始まります」

 

規模としては中規模になるらしいが、その内実は始まってみなけりゃわからんのはいつもの事だ

 

「えー…オマエらは強い」

 

ざわ…ざわ…

 

「どいつもこいつも一軍として十分戦えるレヴェルに達している、自信持っていけ」

 

どいつもこいつも素行に問題があるし、大体アホではあるが艦娘として見れば実力派だ、上司としてはそこら辺に不安は無い

 

「オマエらァ!最高のチームワークを見せろォ!!」

 

ウオオオォォォ!!コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!

 

普段はしょーもないバイトに勤しむ奴らにも等しく、レギュラーだけだけではない、ワンポイトの活躍で誰もが一攫千金を掴むチャンスを与えられる作戦海域を前にコロセコールで臨む艦達は皆、目をギラつかせていた

 

◆◆◆

 

「フーッ~…」

 

「お疲れ様です、コーヒー淹れましょうか?」

 

「冷蔵庫に缶コーヒーがある」

 

「そうですか」

 

執務室の喫煙期間にはまだ早いが灰皿の用意しとくか

 

「資材は問題無く臨めそうですね」

 

「結構、後は毎度のコトだがでたとこ勝負だ」

 

「そうですね」

 

「とりあえず明日、バカどもには準備を入念にさせとけよ、魚雷もピカピカに舐めさせろ、丁寧にな」

 

まぁ、普段から常勤バイトで魚雷磨きがあるからワリと綺麗なんだが、やはりドーグをピカピカに手入れすると気持ちも入る

 

「はぁ?普通にイヤですけど?」

 

「普通にイヤとかゆーな青毛が」

 

「青毛じゃないです、五月雨です」



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提督と潜水艦と実力派エリート

嫌がる事はしない狩人の回

【登場人物】

潜水艦
実力派エリート集団
ここでは大雑把にひとまとめ、地味にU511は初の登場だったりします


久々の作戦海域を前に、目をギラギラさせながら自身の相棒となる砲を念入りに磨く艦達とは別に、目をキラキラさせながら別の準備を進める者達がいる、その名は。

 

潜水艦

 

普段、他の艦達がゲーセンでたむろしたりコンビニの前でう●こ座りしたり徹マンでざわざわしてたりする中、黙々と資材を集めて回る孤高の労働者集団…

 

「今回はベガス行っちゃうよベガス!フーッ!」

 

「ウェーイ!」

 

「ウェーイ!」

 

当基地の潜水艦達は本部からの作戦期間は完全オフを与えており、彼女らにとって作戦期間とは大型連休をさしている

 

「26は連休初めてだろォ!」

 

「押忍!26は連休初めてです!今からテンション上がりますですです!」

 

前回加入した新メンバー、伊26、加入当初から優しいパイセン達の下でノビノビと実力を磨き、自分はまだ未熟っすからと改になるのを拒む謙虚な面もある実力派エリート

 

「パスポート忘れんなよルーキー!あと!100ドル札はパンツに入れてな!」

 

「押忍ですです!」

 

そんな潜水艦達、今回の作戦期間と言う名の大型連休を連休を利用し、ラス●ガスツアー(グランドキャニオン付き)に行く為にキャリーバッグにブランド服と夢を詰め込んでいた

 

「よぉ、バカども」

 

「あ、テイトクだ!」

 

「19達今日の便でベガスに高飛びするのね!」

 

潜水艦、伊19、常にマリフ●ナでキマっちまっているような目が特徴の実力派エリート、性的

 

「お土産はマカダミアナッツ買ってくるぜーッ!」

 

潜水艦、伊168、常にスマホとかで遊んでいる ように見えて家計簿ソフトで計算している実力派エリート、性的

 

「あ゛ー…テンション上がってきたわー」

 

潜水艦、伊58、常にやる気を感じられないが本当にやる気がないのに結果がついてくる実力派エリート、性的

 

「シュトロイゼルクーヘン食べたかった…」

 

潜水艦、伊8、当基地最初の潜水艦で常に本を読んでおり、バカだらけの潜水艦の中で唯一、新聞の社会面を読む社会派エリート、性的

 

「ウェーイ!ベガスで一攫千金して焼き肉食べ放題だウェーイ!」

 

潜水空母、伊401、常に頭の悪い言動が目立つものの、その高いフィジカルはワールドクラス実力派エリート

 

「ウェーイ!ろーちゃんもモーモーさんのお肉噛みちぎりたいってー!」

 

潜水艦、呂500、ドイツ生まれのヒップホップ育ち、悪そうな潜水艦はだいたい友達、悪い先輩に騙されてリバースしてしまったЯファイターの実力派エリート

 

「やめて…牛を噛み千切るのは、よくない…」

 

潜水艦、U511、アホの呂号とは違うドイツ生まれのドイツ育ち、悪そうな潜水艦は友達じゃないので友達はいない、ドイツから持ってきたもののふの人形だけが友達の実力派エリート

 

これが実力派エリート集団、潜水艦、ちなみに、全員カイエダをリスペクトしており、提督じゃなくてイケメンのグ●ゾーならやる気出すのにと一度は口走るヤンチャサブマリナー

 

「遊びに行くのはいいが問題は起こすなよ」

 

「ダイジョーブだって!」

 

「168、アイオワさんに英語教えて貰ったからマジペラペラよ!」

 

「ほぉ…」

 

「サンキューとファッキューでだいたいなんとかなるですって!」

 

「ならねぇよ」

 

ナニ教えてるんだあのパッキンボインは

 

「あと、寝る時は枕元にコイツが無いと眠れないから用意しとけと…」

 

「ほぉ…ぴすとるですか?」

 

「明石サンのお店で買ったー」

 

コイツら…全員銃所持で空港に行くつもりだったのか、とんだテロリスト集団だよ

 

「…8っちゃんさん」

 

「なに?」

 

「このバカどもを宜しく頼みます」

 

俺は唯一、信頼できる社会派潜水艦の肩に手を置き、問題を起こさないようにお願いした

 

「触らないで、訴えますよ」

 

「ひどッ!!」

 

8っちゃんさんは社会派だが触ると怒る

 

「あー!テイトクが8っちゃんさんをレイープしたー!」

 

「8っちゃんさんがレイープされたー!」

 

「してねぇよ!肩叩いただけだろーが!」

 

「168見たよ!触り方がモレ●ターアーツだった」

 

「26も見た!指がラ●トニングチャージしてましたしてましたー!」

 

え…冤罪過ぎる

 

「バカを言うなクズどもが、俺は退屈な日常に飽き飽きしてる女か痴漢・露出願望のある女しか獲物にしない紳士だ」

 

「へ、変態ですってッ!」ガタガタ

 

「変態じゃない、痴漢だ」




次回からイベント編ですって!


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海上輸送作戦①

秋のイベント編
五十鈴王国の危機ッ!

【登場人物】

五十鈴(3)
ファイナルサイコ潜水艦キラー、キレッキレ

潜水棲姫
通称、サンドバッグ姫
ディフェンスに定評のあるDボゥイ、マヌケ


「勝つのは五十鈴!勝つのは五十鈴!」

 

「勝者は五十鈴!敗者は手塚!」

 

遂に始まった作戦海域、とりあえず手始めにと海上輸送作戦か

 

「…潜水艦か」

 

「潜水艦ですね」

 

手持ちの資料によると、今回もあのファイナル見かけ倒し潜水艦の潜水棲姫が海域内に出没するらしいので、潜水艦狩りの達人を投入しなければならないようだ

 

「あくまで、輸送が目的ですので潜水艦だけを相手にする訳にいかないのでは?」

 

「フーッ~…」

 

輸送もする、潜水艦も殺す、両方やらなくちゃいけないのが~……と言うルールは無い、あちらを勃てればこちらが勃たずではいかん、とりあえず輸送を優先して潜水艦は半殺しでイクか

 

「五十鈴とリベ、睦月と如月、あとリットリオと瑞鳳を出せ」

 

「リットリオさんではなくイタリアさんですけどね」

 

◆◆◆

 

「出たーッ!五十鈴サンの破滅への円●曲!」

 

「ヤツの白ワンピはズタズタだぜーッ!」

 

第一海域、海上輸送作戦…

 

「イタイ!ヤメテヨォ!」

 

「五十鈴にはスケスケだぜ!」

 

「イタイ!ヤメテヨォ!」

 

先制雷撃こそないものの、圧倒的なタフネスボーイである潜水棲姫は五十鈴とリベッチオの猛攻に耐え抜くディフェンスを見せていた

 

「五十鈴サン!輸送成功です!」

 

「帰りましょう五十鈴サン!」

 

「クソがッ!」

 

「ぅぅ…イタイヨォ、イタイヨォ…」

 

「次こそ殺すぞ、ア゛ァ?」

 

「ヒィ!!ヒイイィィィ!!」

 

潜水棲姫を沈めきる事の無いタイムアウト、五十鈴としてはこの生白いワンピを沈めてS勝利でそのデカいバスト張って帰投したいところだが、どうにも上手くいかない

五十鈴は潜水棲姫に唾を吐いて帰路についた

 

「イタイヨォ…イタイヨォ…」

 

「潜水クン!」

 

「潜水クン!」

 

お供のイ級達が心配そうに潜水棲姫に絆創膏を貼ったりテ●モテで髪を洗ってくれたりしてくれた

 

「ナンナノアイツ、ナンナノアイツ、私ナニカシタノ?」

 

「アイツマジヤバイッスカラネ、オッパイデカイケド!」

 

「潜水艦狙ウ目ガ完全ニイッチマッテルッスヨ!オッパイデカイケド!」

 

「クソッ!クソッ!先制雷撃ッ!先制雷撃サエアレバアンナヤツ!アンナヤツ!」

 

「ソウイヤ潜水クン、ナンデ先制雷撃シネーンスカ?」

 

「エ?ア~…甲標的?持ッテクルノ忘レチャッタ、テヘッ♪」

 

「テヘッ♪ジャネーヨ!」

 

「頭悪リィーノハテメージャネーカ!」

 

「イタイ!噛マナイデ!イタイ!噛マナイデ!」

 

‐‐‐

 

「あ゛ーイライラすんなぁ、クソが」

 

「まぁまぁ、五十鈴さん、提督からはとりあえず半殺しでいいと…」

 

イライラを募らせる五十鈴に、V.Veneto級2番艦、イタリアが声をかけた

正直、五十鈴はプライドが高くキレ易いのでイタリア的に苦手だがチームがギスギスするのを好まないイタリアは頑張ってみた

 

「半殺し…?ハァ?アイツら生かしちょったらいかんでしょ?全員死刑でしょ?生ヌルいコト言わんといてくださいよォ~」

 

「ヒィ!?」

 

「リットルオさんでしたっけ?次もアシスト頼んますよォ?二巡しねーとアイツ殺せないんで」

 

「い…イタリアです」

 

「は?」

 

五十鈴の眼力の前に、イタリアは漏らそうになった、そこへ…

 

「ヘーイ!五十鈴ーッ!帰ってgelato食べよー」

 

「ア゛ァ?あぁリベ子、よっしゃ!帰ってジェラート食うかァ!」

 

前回の作戦から五十鈴と共に組む事が多くなったMaestrale級3番艦リベッチオ、潜水艦狩りの才能があるらしく、五十鈴が珍しく目をかけて可愛がっている

 

「五十鈴サンが奢ってやっからよォ!」

 

「ウェーイ!」




次回は②


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海上輸送作戦②

本日二本立て、正義とは何か?悪とは何かを考える回

【登場人物】

睦月
大発要員であり五十鈴コール要員、焼き肉大好き

如月
大発要員でかつ五十鈴コール要員、焼き肉大好き

リベッチオ(4)
潜水艦狩りの才能があり、五十鈴さんからかわいがられてる、焼き肉大好き

イタリア
元リットリオのイタリア戦艦、魔女みたいな妹がいる、焼き肉はまぁまぁ好き

瑞鳳(2)
全自動卵焼き機、オレンジジュースと焼き肉大好き


「ガタガタゆーな、輸送優先だクソが、パンツずりおろしてア●ルをプラスドライバーでファックされてーのか?」

 

まだなにかギャーギャー騒ぐ受話器を電話機に戻し、煙草に火を点けて煙と溜め息を吐き出した

 

「…ハァ」

 

「コーヒー飲みますか?」

 

「結構だ」

 

隙あらば殺人コーヒーを淹れようとする殺人ドリップマシン五月雨は特に電話の内容を気にする様子もないらしく、シレっと灰皿の吸い殻を片付ける、この痒いところに地味に手が届くところがムカつくなコイツ

 

「状況は問題なさそうな感じですね」

 

「あぁ、問題ねぇな」

 

今回のモニター係、全自動卵焼き機の異名を持つ軽空母、瑞鳳から現場の様子がほぼリアルタイムで映像が送られてきており、俺と五月雨は執務室のテレビで現場の様子を見ていた

 

「五十鈴さんが中指立ててカメラに何か叫んでますけど?」

 

「突き指でもしたんじゃねぇの?」

 

「あぁ、なるほど…そんな感じですか」

 

先程の電話、あのクソサンドバッグをブチ殺してぇから装備と編成を替えろクソがとのアツい要望だったが却下した、輸送優先だから半殺しでいいとの命令が気に入らんらしい

 

「五十鈴の野郎、ちょっとおっぱいデカいからって調子に乗りやがって」

 

「まぁ、一度もしとめ切れずにイライラする五十鈴さんの気持ちもわからないでもありませんが」

 

「短気だからな、アイツ」

 

「そうですね」

 

「まぁ、とりあえず輸送優先で次の海域に進んで後でまた行かせるか、望み通りの準備をしてな」

 

「そう言えば……ここ、たまに親潮さん?が出没するらしいですね」

 

◆◆◆

 

「出たーッ!五十鈴王国ッ!」

 

「ヤツのア●ルはズタズタだぜーッ!」

 

海上輸送作戦、VS潜水棲姫…

 

「ツルスケじゃねーの!」

 

「イタイ!ヤメテヨォ!」

 

「死ねェ!リベの爆雷で死んでしまえーッ!」

 

「イタイ!ヤメテヨォ!」

 

五十鈴とリベッチオのダブルチームの猛攻に耐えるタフネスサブマリン、潜水棲姫

 

「グワアアアアアー!」

 

「イ級ーッ!」

 

「チクショウ!アイツラヤッパハンパジャネェヨ!!」

 

イ級、カ級、ヘ級、どいつもコイツも皆、イイ顔で笑う者達だった…

とりあえず最初は獲物が来たァ!とオラつくが、いざやり合えばヘッポコな潜水棲姫に付いて来た仲間達…

 

「クソォ!なんで沈まねぇ!沈めコラァ!」

 

そして、正義か悪かと問われればどう見ても悪の顔と台詞を吐く五十鈴

 

「フッ…フフフ、私ニモ…タダデ沈ムニハイカナイ訳ガアルンデネ…」

 

「なんなんだ……なんなんだテメーはよォ!?」

 

「来イヤァ!!」

 

「バカな!もはや死に体のハズの潜水棲姫の小●宙が高まっているッ!」

 

「この小●宙の高まり……ヤツはヘッポコでも姫級ッ!ヤツはセ●ンセンシズを会得していると言うのかーッ!」

 

潜水棲姫の鉄壁ディフェンスを前に、絶対のPRIDEと心のテカリを持つ五十鈴が動揺する

 

「あ…?あ…?」

 

「サァ撃ッテ来イヨォ!」

 

「あのぉ~…五十鈴サン」

 

「なんだァ?卵焼きィ!」

 

ハンディカメラを持つ軽空母、瑞鳳が五十鈴の肩を叩く

 

「輸送作戦成功だよ、帰ろ」

 

「………は?」

 

「は?じゃないよ、帰るんだよ、タイムアウト」

 

「クッ…ソッ!マジかよッ!この五十鈴がッ!この五十鈴があの生白い潜水艦を一度も沈めないまま作戦終了ってのかよォー!」

 

「そうだよ」

 

「クソッ!クソッ!クソがァァァァァ!!」

 

「あと提督から伝言、後日また出撃させてやるから今は黙って帰って来いだって、あと…」

 

「ア゛ァ?」

 

五十鈴は瑞鳳にメンチを切るが、瑞鳳は特に財布を出す訳でも漏らす訳でもなく伝言の続きを話した

 

「焼き肉奢ってやるから早くしろよって」

 

「よし帰るぞォ!!急いで帰るぞ!スグ帰るぞォー!こんなトコでモタモタしてんじゃねーぞォ!」

 

 

こうして、第一作戦は終了したが、後に五十鈴は再びここに訪れて潜水棲姫と雌雄を決する事になる…





…もしかして、E1に親潮はガセっぽい?


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本土防空戦①

イベント編その2

【登場人物】

提督(57)
だらしない提督ですまない…

潜水艦
おかけになった電話は…


海上輸送作戦成功の報を受け、次なる作戦海域の準備をする為にあらゆる手段で情報を集めていると、出どころはよくわからないものの非常に興味深い情報が出回っていた

 

「…潜水艦だと?」

 

「潜水艦らしいですね」

 

本土防空を主とする次の作戦、敵部隊を急襲するには潜水艦隊でも案外いけるらしいのだが…

 

「いいじゃないかね」

 

実にエコじゃあないか、作戦はまだ序盤戦、後半は重火力高燃費のヤンチャボーイズ達の投入が控えているのを考えると、ここをエコに乗り切れるのは素晴らしい事だ

 

「よし、潜水艦のバカどもを呼べ」

 

「居ませんけど?」

 

「は?」

 

「居ませんけど?」

 

「居ないって…オマエ、何言ってるんだ?ウチには平均練度97の頼れるサブマリナー達がいるだろーが」

 

五月雨は無言で決裁済みと書かれた棚から一枚の紙を取り出して机の上に置いた、なんだこの紙?辞表か?

 

「休暇願……だと?」

 

「もう、とっくに受理されてます」

 

「あ…?あ…?」

 

「ってか、提督が許可したんじゃないですか、皆さん今頃ベガス行ってカジノロワイヤルしてますよ」

 

しまったァァァァァ!!そうだ!アイツら作戦期間中は長期休暇だーとか言ってやがったァァァ!!

 

「今すぐ呼び戻せッ!」

 

「無茶言わないでくださいよ」

 

「あのバカども!どこに行きやがったァァァ!別府か!?」

 

「ラスベガスです」

 

「あのカスどもがァァァ!!なんでそんな遠く行ってんだァ!異国の地か!異国の海か!何考えてんだあの痴女どもは!軍隊舐めてんのかーッ!」

 

「…そもそも、提督が休暇の許可与えてるじゃないですか」

 

「電話だッ!電話繋げ!」

 

「はぁ、別に構いませんが…」

 

俺は受話器を手に取り168のスマホみたいなのに発信した

 

『うぇ~い?もしもぉ~し?』

 

「俺だ」

 

『誰?』

 

「誰じゃない、提督だ」

 

『あ~…なに?今こっち夜なんだけどぉ~、後でかけ直していい?』

 

なんだ寝てたのか、まぁいい、用件だけ手短かに伝えるか

 

「今すぐ帰って来い、全員」

 

『は?』

 

「帰国しろ、出撃だ」

 

『おかけになった電話は電源が入ってないか電波が届かない場所にあるためかかりません』

 

「う゛おおおぉぉぉい!!」

 

ブチッ!!ツー…ツー…

 

「あの野郎ォ、切りやがった、クソッ!!」

 

もう一度電話をかけるが今度はコールすらしねぇ、あの野郎、電源も切りやがったァァァ!

 

「…」

 

「コーヒー飲みますか?」

 

「いらんッ!」

 

あのバカどもが、帰ってきたら全員土下座だな

 

「まぁ、潜水艦隊はエコですけどボスへの到達に少々難があるらしいですし…」

 

「…ヤツらを呼べ」

 

「は?」

 

「高雄と愛宕、あと…二航戦だ」

 




次回は②!その次はナイトクラブin鈴谷だよ!


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本土防空戦②

惨劇の幕が上がる本土防空本戦

【登場人物】


陽炎型16番艦、バスケしてたけど初登場、イケメン

萩風
陽炎型17番艦、バスケしてたけど初登場、メンタルが弱い

高雄(4)
高雄型の頂点に君臨するおっぱいモンスター、答えはバカめだ!

愛宕(4)
高雄型おっぱいモンスターの片割れ、ビッチではなくクソビッチ

飛龍(2)
飛龍型空母、暴力的な天才

蒼龍(2)
蒼龍型空母、邪悪な天才


こんにちは嵐です!今日、オレとハギは無敵の重巡コンビ、ツーメンアーミーと呼ばれたレジェンド、高雄サンと愛宕サンと一緒に空母ヲ級をブッ殺しに向かっています!

 

バカめッ!バカめッ!と執拗にボディ蹴り上げるメチャシブの高雄サン

 

口の中に銃口を挿入れて躊躇いなくアタマをぱんぱかぱーんする愛宕サン

 

正直、敵より残忍な味方に、オレとハギはビビって失禁しました、オレは股間が気持ち悪いんでパンツ捨てましたがハギはまだ穿いてます

 

「オ゛ウウェェェ!」

 

「吐くなハギィ!まだ終わってねーぞ」

 

「ぅぅ…内臓くさいよぉ、辺り一面が内臓の匂いしかしないよぉ…」

 

メンタルの弱いハギにコイツはなかなか刺激が強すぎたらしく、俺はまさに血の海でハギの背中をさすってやっていると、矢のような艦載機がオレの頬を掠めた

 

「ヒッ!?」

 

「あ゛ー?邪魔なトコ立ってるんじゃねーよ」

 

「テメーらカスどもは引っ込んでろ」

 

オレとハギ、ツーメンアーミーと共にこの海域に来ていた二航戦の飛龍サンと蒼龍サン…

 

‐‐‐

 

時間は少し戻り、戦闘部隊が海域に着く前…

 

「作戦とか陣形とかどうするんですか?」

 

「私と嵐がウロチョロしたりして攪乱とか…」

 

とりあえずオレ達は無敵の重巡コンビ、高雄サンと愛宕サン、正規空母の二航戦センパイに作戦的なモノを聞いてみる事にした

 

「あ゛?まっすぐ行ってブッ飛ばす」

 

「右ストレートでぱんぱかぱーんよ?」

 

さすが無敵の重巡コンビ、作戦とかそんなレベルじゃない、なら二航戦センパイ達は…

 

「あ゛ー?ゴチャゴチャ言ってねーでブチッと潰しちまえばいいんだろォ?ドラゴンフライで」

 

「オレらの邪魔すんなよ、カス」

 

ダメだ、二航戦センパイも作戦とか陣形とかそんな感じじゃねぇ!

 

「あの…嵐、ドラゴンフライって?」

 

「二航戦センパイが組んだ超攻撃的フォーメーションの事らしーぜ」

 

稀にもう一人正規空母を含めたゴールデンドラゴンフライなるフォーメーションがあるしい

 

「とりあえず、アレだ、オマエらはウロチョロすんな、MVP穫ったら殺すぞ」

 

高雄サンはココアシガレットを吐き捨ててメンチ切ってきた

 

「あ゛ー?このおっぱい重巡、この飛龍サンがフル出場してるのに、もしかしてMVP穫れるとか勘違いしてるんじゃないですかー?」

 

「ア゛ァ?うるせーよ駄乳空母が」

 

「あ゛?ダレが駄乳だと?」

 

「ア゛ァ?テメーらだよテメーら、だらしない乳した乳龍型空母だよ、早くその垂れ搾乳して来いよ」

 

「このクソカスがァ…」ピキッ!パキッ!

 

いや、どっちもデカいですけど……いやいや!そんなコト言ってる場合じゃねぇ!早く止めねーと!

 

「は、ハギィ!電話!提督に!」

 

「え?あ、うん、電話ね……え~っと」

 

ボチャ!!

 

ハギのポケットから落ちた電話は水没した

 

「わ…私のスマホぉ!!」ポロポロ

 

「泣くなハギィ!!」

 

‐‐‐

 

『ヒイイ!!ヒイイィィ!!』

 

あの空母ヲ級が成す術もなくボコボコにやられている…

 

『オゴォ!!』

 

「ビンゴォ!!致命傷ォー!」

 

愛宕サンの右ストレートが空母ヲ級のやわらかそうな腹筋を貫き、身体をくの字に曲げる

 

「あー、今のは内臓イッたなァ、オイ!愛宕ォ!帰ったらチョコレートパフェ奢れよ」

 

「さぁ~て…あとはぱんぱかの儀式ねぇ、オイコラ、立てよオイ、オラッ!」

 

『ヒッ…ヒイイィィ!』

 

愛宕サンは笑顔で空母ヲ級の頭の口に主砲をねじ込んだ

 

「噛むなよ、噛んだら殺すぞぉ?」

 

『タスケ…』

 

「駄目♪」

 

愛宕サンが首を横に振ると同時に空母ヲ級の頭がぱんぱかぱーんした…

正直グロい、ハギがさっきから吐くもの吐いてもう胃液しか吐いてない

 

「作戦終了ォ~、よぉ~し帰るべ帰るべ」

 

「チッ、おっぱい重巡どもがァ…」

 

「ア゛ァ?殺すぞ」ピキッ!パキッ!

 

「ちょ!もういいですから!早く帰りましょうよ!ハギの顔色ヤバいんですよ!」



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提督と鈴谷とナイトクラブ11

いい加減、続が長くて鬱陶しいので略しました
基本はコンビですが今回は珍しく単一

【登場人物】

提督(58)
あちらを勃てればこちらが勃たない変態

鈴谷(22)
今回のイベント海域は出番なし、最上とくまりんこは出てる


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ、作戦期間中にこーゆートコに来るのはどうだって?知らないね!

 

「良い調子らしいじゃないかい?」

 

「まぁ、ママも知っての通りやればできる子なので」

 

若干やりすぎるところも目立つが、どいつこいつもMVP穫りたくて仕方ないのだろう、俺はテキトーに空いてる席に座り煙草に火を点けた

 

「フーッ~…」

 

そう言や、作戦期間中も開いてんだなこの店、この時期にキャストに出る暇人とかいるんだな

 

「ティーッス、鈴谷だよ」

 

「…」

 

テーブルに現れたのは最上型の面汚しと名高いハイスペックビッチ、鈴谷

 

「ちょ!なんで無言?鈴谷だよ!フツーは指名とかまず無理な人気者の鈴谷だよ!」

 

「チェンジ」

 

「ちょ!待てよ!」

 

「チェンジだチェンジ、真!!ゲ●ターロボぐれーチェンジだよ、お、あそこ古鷹さん居るじゃん、古鷹さんと替われ、今日は古鷹さん指名するわ」

 

「いやいやいや!チェンジなし!ノーチェンジでいこーよテイトクぅ!鈴谷すげーサービスすっから!パンツぐらいなら見せるから!ね?」

 

「やかましい、オマエの愛●でベトベトの薄汚れたパンツなんぞ見ても仕方ないだろーがビッチが」

 

「ビッチじゃねーし!ってか汚れてないし!昨日買った新品だし!」

 

なかなか喰い下がるビッチに、とりあえず俺はなんかちょっとイラッとしたら古鷹さんとチェンジすると言う条件で席に付く事を許した

 

「ナニ飲むー?ビール?」

 

「チェンジで」

 

「なんでェ!?ナニ飲むか聞いただけじゃん!?」

 

「存在がイラッとした」

 

「暴君かッ!!」

 

「暴君じゃない、提督だ」

 

コイツ、作戦期間中にこんなトコで働いてるとか暇人なのか?

 

「まぁいい、ビールだ」

 

「ティーッス、あ、鈴谷もなんか飲んでいい?」

 

「水道水か井戸水なら飲んでいいぞ」

 

「厳し過ぎるッ!!」

 

「ゴチャゴチャ言ってるんじゃねーよビッチが、さっさと注がんかいダボが」

 

「へいへい」

 

鈴谷はいつもの微妙に冷えてないオ●オンビールを取り出し手慣れた感じでグラスに注ぎ俺に手渡してきた

 

「はい、ビール」

 

「ご苦労」

 

「でさぁ~…鈴谷も喉渇いたかな~って」

 

「あぁ、チェンジしていいぞ、古鷹さんと」

 

「…なんでもないです、喉渇いてないです」

 

とりあえず冗談はこのぐらいにしておき、テキトーなのを飲んでいいぞと許可するとアツい涙を流して感謝された

 

「クソッ!美味すぎるッ!悪魔的だッ!」

 

「そういや熊野のアホはいないのか?」

 

「熊野?あー…熊野は見たい番組があるって」

 

「ふ~ん」

 

「ナニ?熊野が居た方が良かった?」

 

「え?」

 

「え?じゃないよ、ナニそのコイツ何言ってんの?当たり前じゃない?みたいな顔」

 

「ナニ言ってんの?当たり前じゃない?」

 

「……え?マジ?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレてるのか?

 

「え?マジで、その…アレですか?提督は熊野さんみたいな方がお好きなのでしょうか?」

 

「火」

 

「はい」カチッ!ジジジ…

 

「フーッ~…」

 

「や、煙草とかいいから、一服するタイミングじゃなかったよね?」

 

「まぁ浜風ちゃんよりは好きじゃねぇな」

 

「それ殆どのヤツが対象じゃん、っーかこの機会に聞くけど提督熊野に甘くて鈴谷に厳しくない?ナニこの差」

 

「別に甘くないぞ」

 

「熊野にはジュース買ってあげるのに鈴谷には買わないじゃん、っーか水にタン吐いて渡すレベルじゃん」

 

被害妄想の激しい野郎だな…何がコイツをここまで追い詰めたのだろう

 

とりあえず、ビッチの相手するのも面倒なのであっちで暇そうに欠伸してる古鷹さんでも眺めて心を癒すとするか…

 

「フーッ~…」グググ…

 

「ちょっと、こっち見ろよテメー!」

 

「あ?なんだって?」グググ…

 

「なんだって……って!?なんで勃ってんの!?」

 

「いや、古鷹さんを見ていたらツイな」

 

「意味わかんねーし!?変態ッ!変態なの!?」

 

「昔はどこかヤボったい感じがする田舎の女学生だったのにいつ間にやらスタイリッシュになっていた古鷹さんを見ていると興奮しないかね?」

 

「しねーし!!どんな性癖だよ!変態か!変態なの?変態なんです!?」

 

「変態じゃない、提督だ」




次回は発令!艦隊作戦第三法
ドラゴンフライが火を噴く


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発令!艦隊作戦第三法①

前半戦最終海域E3

【登場人物】

提督(59)
好きな技は阿●羅閃空、嫌いな技はゴ●ドレーン

五月雨(24)
夜になると比叡さんに謝りたいと感じている

水母水姫
期待の新人、みんなの期待を背負って連合艦隊を任された、前向き


第三海域にして前半戦の終盤戦、艦隊作戦第三法…

 

「変な名前だな」

 

「変とかゆーな」

 

前半戦の最後とあって、いよいよ連合艦隊の投入となる海域か、まったく、こんなに資材がやべーのオラワクワクすっぞ

 

「情報によりますと、敵も連合艦隊組んでます」

 

「…は?」

 

「敵も連合艦隊組んでます」

 

ナニ言ってんだこの青髪ロング、イカレてるのか?敵が連合艦隊?ハハ…そんなワケないない、あるワケない、だってアイツら誇り高き深海の戦士達だよ?そんな12人がかりとか卑劣なコトするワケないじゃん?

アイツらはいつだって真っ向勝負!ノー変化球、アイムストレートオンリーだろ?

 

「なぁオイ!」

 

「いや、マジですから」

 

五月雨は買い置きの缶コーヒーと色々と調べたらしい海域の情報が書かれた書類を机に置き、俺はそれに目を通す…

 

「マジかよ…」

 

「だから、マジです」

 

それには、たしかに敵が連合艦隊組んで待ち構えてると情報が記載されている、え?マジなの?

 

「相手が連合艦隊を組んでいるのならば覇王翔●拳を使わざる得ないな」

 

「使えるんですか?覇王●吼拳?」

 

「苦手だな」

 

「苦手なんですね」

 

龍●はあんまやり込まなかったのでK●Fでも自然に使わず今でも苦手なんだよなぁ、ある意味サイ●ョー流の方が得意かもしれんが……まぁそれはいいとして、連合艦隊VS連合艦隊で殴り勝てる面子を集めるか

 

「…」シュボッ!ジジジ…

 

「窓開けますよ」

 

「フーッ~…さて、どうしたものか」

 

とりあえず二航戦は引き続き続投させてドラゴンフライさせるとして、高速戦艦にアイオ……いや、比叡にしよう、アイツ暇人だし、こないだ1人で黙々と打撃訓練してたしな、そーゆーひたむきな努力を評価するよ、俺は

 

「高雄さんと愛宕さんも続投で?」

 

「そうだなぁ、なんやかんや言っても強いしな、アイツら」

 

ガラ悪いけど

 

「…摩耶と鳥海出して姉妹仲良く出撃させてもいいが~」

 

「まぁ、アリですね」

 

「ここは妙高と那智でいこう」

 

「…大丈夫ですか?それ」

 

「大丈夫だろ」

 

高雄型と妙高型は互いにオヤのカタキじゃないかってぐらいに仲が悪い、互いに千人規模のチームのヘッドだった過去を持つらしい高雄と妙高は入隊前にも何度か衝突した事があるらしく、そのレジェンドを妹の摩耶(元特攻隊長)や羽黒(元特攻隊長)から酒の肴に聞いた事がある

 

「その為に比叡がいるんだからな」

 

「あぁ、なるほど」

 

比叡と言う名に、五月雨の目が一瞬光を失ったがすぐにいつもの五月雨に戻った

 

「あとはまぁ、テキトーに集めるか…」

 

「そうですね」

 

◆◆◆

 

『連合艦隊ダヨ!』

 

『オレメッチャ緊張シテル』

 

第三海域、水母水姫の率いる本隊…

前回の深海会議で、相手が毎度毎度連合艦隊組んでるのになんでこっちは連合艦隊組まないの?バカなの?と言う画期的な意見が出たので早速連合艦隊を組んでみた深海棲艦、試験的にKW環礁海域で取り入れてみると結構イケるよコレと絶賛され、今回デビューする新人、水母水姫を華々しくデビューさせてやろーZE!と深海センパイのアツい後押しもあって水母水姫は連合艦隊を任されたのであった…

 

『フッフッフ…ヨクミツケマシタネェ、ゴホウビデェス~アイテヲシテクレルワァ!……ドウカナ?コレ?』

 

今回デビュー戦になる期待の新人、水母水姫は会敵した際のセリフを練習していた

 

『アイテヲシテクレルワァ!ジャチョット上カラ過ギネーデスカ?』

 

『ソ、ソウカナ?ジャ、アイテヲシテアゲマショウ?』

 

『ウ~ン、モウチョイきゃら作ッテミタラドースカ?』

 

『きゃらネ……ア、アイテヲシテサシアゲマスワー!トカ?』

 

『イイネ!』

 

『イイヨイイヨ!ソレデイコーヨ!』

 

『フフフ…ヨクミツケマシタネェ、ゴホウビデス、アイテヲシテサシアゲマスワ!……シズメェ!!………ドウ?最後ノ?』

 

『イイネー!』

 

『アイツラマジチビッチマウヨ!』

 

『ソ…ソウカナ?ウヘヘヘ~、ヨォ~シ、ガンバルゾォ~』




次回は②


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発令!艦隊作戦第三法②

誰が敵で、誰が味方なのか、それは誰にもわからない回

【登場人物】

比叡(2)
金剛型二番艦、かつて全てのヤンチャシップ達の抗争を終わらせた戦慄のフォーシスターズの1人
磯と違い、見た目からして不味そうでやっぱり不味い料理に定評がある



『ヨクミツケマシタネェ…ゴホウビデス…アイテヲシテサシアゲマスワ!』

 

本土沖太平洋上、遂に激突する連合艦隊VS連合艦隊、期待のスーパールーキー水母水姫率いる深海連合艦隊の志気は高く、水母水姫は頑張って練習したセリフを噛む事無く言い切った事に随伴艦の深海シップ達は心の中で喝采を贈った

 

『シズメェ!!』

 

更に駄目押しのシズメェ!も決まった、これでもう相手の志気はズタズタになり、跪いて許しを乞うだろう…

 

「は?」

 

「なに言ってんだ?カス」

 

『チョ!痛ッ!痛イ!ナニコレ!?チョ痛イ!マジ痛イ!ヤメテ!マジデヤメテ!!』

 

悪名高きダークネスドラゴン、二航戦による容赦の無い艦攻

 

「バカめッ!オラァ!バカめッ!バカめ!答えはバカめだッ!」

 

「もう降参しろよ?あ゛?なんだって?聞こえねーッ!」

 

先を競うようにハードゴア重巡の妙高型と高雄型が目が合った奴に強パンチと凶弾を撃ち込む

 

『ヒイィ!ヒイイィィ!!』

 

『チクショウ!アイツラマジハンパネェ!』

 

『コッチモ連合艦隊ナンダゾォ!?』

 

期待の深海連合艦隊は何事も無かったかの如く壊滅状態に追い込まれ、一人、また一人とブクブクと気泡を残して沈んでゆく

 

「比叡サン!残敵はなんかシャレオツな帽子被ってるヤツだけです!」

 

「ん?あぁ、なに?」

 

今回の連合艦隊旗艦、金剛型の二番艦、比叡

現在暴れ回っている高雄・妙高型重巡すら戦慄させる当基地きっての暴力の化身、金剛姉妹の一人

基本的には姉妹以外は全てゴミと思っており、趣味はト●ルコングを痛めつける事と料理

 

「私は珍しい魚穫るのに忙しいから誰かテキトーな娘が首をあげたら?」

 

そして、珍しくMVPを挙げて大金を掴む事に興味が無い稀有な艦でもある

 

「押忍!ごっつあんです!」

 

‐‐‐

 

『ヒイイィィ!!』

 

「逃がすなァ!囲め囲めェ!」

 

深海連合艦隊は水母水姫を残して壊滅した

 

『チクショウ!チクショウ!』

 

デビュー戦が決まった時、やっぱ旗艦なんだから箔つけねぇと舐められちまうっすよと、みんながお小遣いを出し合って買ってくれたオシャレな帽子もボロボロになってしまった

 

『ウヘヘヘ、ドウカナ?カワイイカナ?』

 

『イケテルイケテル!』

 

『ナポ●オンミテーッスヨ!』

 

目を閉じると走馬灯のように思い出せる、そして、それと同時に怒りがこみ上げてくる、この怒りを夜戦で爆発させろと!

 

「ミカ」

 

夜戦突入、比叡は第二艦隊旗艦、三日月の名を呼び、簡潔に要件だけを告げる

 

「なに?」

 

「やっちまえ」

 

『チクショウガァ!!オマエモ連レテ行ッテヤ……』

 

パンパンパンパン!

 

三日月の主砲が水母水姫のアタマを容赦無く撃ち抜き、水母水姫はブクブクと気泡を残して沈む

自分を撃ち殺した駆逐艦を下から眺めながら、嗚呼キレイダナァ…なんで自分はああじゃないのか?なんで自分は濁っているのかと考えながら水母水姫の苦いデビュー戦は終わった

 

「終わったよ」

 

三日月はカ●リーメイトをポケットから取り出して袋を海に捨て、ポリポリとかじりながら作戦完了を告げた

 

「よし、じゃ~帰るべ帰るべ、比叡サン!」

 

「ん?あぁ、終わった?じゃ、帰ろうか」

 

比叡は垂らしていた釣り糸を引き上げ全隊帰還の準備を始めた

 

「比叡サン!あそこ!あそこにナンか浮いてますよ!」

 

「ホントだ!なんかすげートリコロールなのが浮いてる!」

 

「ん~……ナニあれ?一応拾っといて」




次回は時事ネタ、次々回から後半の海


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提督と五月雨と劇場版

本日は二本立て!
本日公開劇場版!について考える比較的メタい回

【登場人物】

提督(60)
日替わりランチ大好きバッドガイ

五月雨(25)
いつも同じ注文をしているが上司に合わせている訳ではなく、単にめんどくさがり


作戦海域も前半戦が終了し、一息つこうと考えた俺は五月雨と共に近所のファミレスに来ていた

 

「日替わりランチ、ドリンクバー付きで」

 

「私も同じでお願いします」

 

店員のお姉さんに注文を済ませ、とりあえず煙草に火を点けた

 

「あ、そう言えば今日から映画やってるそうですよ」

 

「映画ァ?」

 

あぁ…そういや上からの作戦関連の書類に交じって広報部から宣伝のチラシがあったな、そうか、今日からヤってんだな…

 

「私の出番ありますかね?」

 

心なしか、少しウキウキした様子が見える青髪ロング、たしかコイツ、一応アニメにも出てたんだよな、通行人Aと村人その2みたいな役で…

 

「無いんじゃねぇの?オマエほらアレじゃん、修正版じゃ消されたいわく付きキャラだしな」

 

「む、今のはちょっとカチンときました」

 

なんで消えたんだろうなぁ、アレ、まぁどうでもいいけど…

 

「アニメかぁ~…アニメったらアレだなぁ、大和さんと長門の深い確執しか覚えてねぇな」

 

「や、そこも修正されましたから」

 

「え?アレ修正されたの?オレ数少ない名シーンだと思ったのに」

 

「何が名シーンですか」

 

大和さん迫真のガチ確執だなコレと思ったのに…

 

「しかし映画か、たしかアレだっけか?劇場版艦隊これくしょん‐復●のF‐だっけか」

 

「それ違う映画が混ざってるッ!?」

 

史上最悪な願い!今、絶望が始まる!!

“更なる進化をお見せしましょう…”復活した吹雪は改を超える新たな力、改二を会得し凄まじい力を身につけていた!

深海棲艦と吹雪一味の地球の存亡を賭けた超絶バトルが今、始まるッ!

 

『安っぽいネーミングですが吹雪改二とでも言っておきましょうか…』

 

『コレが空母ヲ級フラグシップ・改を超えた、空母ヲ級フラグシップ・改・フラグシップだーッ!!』

 

スパーキングッ!!

 

「ってな感じだと俺は考えている」

 

「怒られるッ!それ絶対怒られる!って完全にパクリじゃないですか、なんなんですか空母ヲ級フラグシップ・改・フラグシップって語呂悪っ!?」

 

「フラグシップ・改のパワーを持ったフラグシップだ、ある限界を超えて強く穏やかになり冷静に戦えるようになった状態だな」

 

「ってか、そんな丸パクリみたいな映画なワケないでしょう、広報部の資料見てないんですか?」

 

「見てねぇよ、ブレイブウ●ッチーズの間にCMが入ってたからそれぐらいしか知らねぇ」

 

「なんでCM見てそのパクリバトル路線になるんですか!」

 

「お待たせしましたー、日替わりランチで~す、あとツッコミはもうちょっとお静かにお願いしまーす」

 

さて日替わりランチも来たところで楽しい食事にしよう、俺はもう腹が減って仕方ないんだ

 

「じゃアレか、超絶バトルじゃない感じなのか?」

 

「さすがに地球がどうのこうのまでは無いと思いますが…」

 

「となると…CMから察するにプランKの方か」

 

「なんですか?プランKって…」

 

とある田舎鎮守府で退屈な艦娘生活を送る田舎のJCみたいな田舎娘、吹雪…

 

「田舎田舎言いすぎでしょ、吹雪さんに失礼ですよ」

 

彼女は生まれ変わったら都会のイケメンDKになりたいと常日頃から考えている比較的ヤバい感じの田舎娘だったが、ある日!突然都会のイケメンDKと身体が入れ替わってしまい……

 

『大事な人、忘れちゃダメな人、忘れたくなかった人、誰!誰……君!君の……』

 

まだ会った事のない君を、探しているッ!!

 

「アウトォォォォォ!!!」

 

「…アウトか?」

 

「トリプルプレーなあげくに没収試合で出場停止処分ですね」

 

「フーッ~…大丈夫だって、大人気なモンからちょっと借りるぐれー大目に見てくれるだろ」

 

「ちょっと借りるじゃないで普通に丸パクリじゃないですか、言い訳とか無理なパクリですよ」

 

「え~?でもこれぐれーやらないと続編作ってくれねぇよ、ここで一発ドカンと興行収入上げてだな…」

 

「いや、それやったらアニメどころかゲームも危うくなりますから」

 

「闇の権力者かッ!」

 

「まぁ、闇じゃない権力者からも怒られますけど」




次回はシャングリラ捜索追撃!艦隊前進配備!


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提督と熊野とナイトクラブ12

オレ、シーフード苦手なんだよと考えていてもカレーと混ればなんとかなる回

【登場人物】

熊野(11)
どう考えてもこのバイトに向かない不適切人材
最上姉ちゃんとくまりんこ姉ちゃんには逆らえないが上の姉ちゃんと提督にはわりとやりたい放題


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ、たまに残念なパイオツも出没するんだが…

 

「古鷹さんで」

 

「…今日は居ないよ」

 

「え?マジで?」

 

なんだよ古鷹さん居ないのかよ、古鷹さんに重巡のイイトコをセクシャルに教えて貰おうと思ったのに…

とりあえずテキトーな席に座り古鷹さん以外のセクシャルを待つ事にした

 

「…フーッ~」

 

「ちょっと、煙草はやめてくださいまし」

 

俺の煙草を手刀で叩き落とし、席へやって来たのは最上型の最底辺、熊野

 

「ナニすんだテメェ!」

 

「私の髪とか服に煙草の匂いが染み付いたらどうするんですの!訴えますわよ!」

 

「うるせぇな、ファブ●ーズでもすりゃいいじゃねぇか」

 

その後もぶつくさと文句を言いつつも熊野はとりあえず俺の横に腰をおろした

 

「しかし珍しいと言うか意外だな、お前がママの店でバイトとは…」

 

「あら?私もバイトぐらいしますわよ、以前、くまりんこ姉ちゃんと交通調査のバイトをしましたし」

 

「えー…」

 

熊野が曰わく、くまりんこ姉ちゃんがロードレーサーを買いたいとの事なので協力し、お礼にフ●ンタオレンジを買って貰ったそうだ

 

「アホか」

 

「アホではありませんわ」

 

「まぁいい、とりあえずビールな、ビール」

 

「私、カレーが食べたいですわ、朝にハニートーストを食べて以来何も口にしていないのでお腹が空いてましのよ」

 

「接客業舐めてんのかァ!!」

 

ダメだコイツ…どう考えてこの仕事に向いてねぇよ

 

「冗談ですわよ、冗談、クマノジョークですわ」

 

「何がクマノジョークだ」

 

「ビールでしたわね……え~、コレかしら?」

 

この店はオリ●ンビールしか無いのだろうか?別にママの趣味に文句を言うつもりは無いのだが、もうちょっと客のニーズについて考えてみては貰えないだろうか…

 

「はい、どうぞですわ」

 

「瓶だけ置くな、グラスに注げ!グラスに!」

 

「ガタガタとうるさい男ですわね、チ●ポついてますの?」

 

「ついてるよ、っーか女の子がチ●ポとかゆーな、ゴチャゴチャ言ってねーで早く注げ、身体の中の穴とゆー穴から触手突っ込まれる邪眼かけられてーのか?」

 

「うるさいですわね、今、注いで差し上げますわ」

 

熊野はイマイチ慣れない手つきでビールをグラスに注ぎ俺の前に置く、なんと言うかコレはアレだ………泡だな

 

「さぁ!おあがりよですわ!」

 

「泡じゃねーか、これビールじゃねーで泡90%じゃねーか!」

 

「私、ペプ●は上手にグラスに注ぐのは得意なんですの」

 

「なんでペ●シは得意なのにビールはダメなんだよ?舐めてんのか?」

 

「ペ●シペ●シと言ってるとペ●シが飲みたくなってきましたわね…女将、ペ●シをお持ちなさい!」

 

熊野は漫画やドラマで見た事ある貴族のように手をパンパンと鳴らしてママにペ●シを持って来いと要求する

 

「接客業ォォォォォ!!接客しろよ!接客!上客かッ!」

 

「あとカレーが食べたいですわ、提督もいかが?女将のシーフードカレーはヨダレが止まりませんわよ」

 

「女の子がヨダレが止まらねぇとかゆーな、俺もシーフードカレー貰うわ」

 

正直、ママのシーフードカレーってのには興味がある

 

「女将ーッ!女将ーッ!シーフードカレー2つですわーッ!」




次回こそシャングリ・ラ!


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シャングリラ捜索追撃!艦隊前進配備①

後半戦突入!輸送作戦は雑な感じ!

【登場人物】

提督(61)
趣味には寛大なタイプ、明石の店にホ●同人が売ってるいるのを黙認する代わりにしまむーのねんど●いどを入荷させた

五月雨(26)
陸奥とはホ●同人を貸し合う仲、最近アツいのはア●スタ

重巡棲姫
姫級、出オチ


前半戦を越え、辿り着いた後半の海、新世界…

 

「通常艦隊VS連合艦隊です」

 

「ふ~ん」

 

五月雨は実に面倒くさそうに次の海域について調べた情報を読みあげる、前回が連合艦隊VS連合艦隊だった事を考えると今回は楽でいいじゃないか

 

「よっしゃ、さっさと連合艦隊編成してアイツらボコろーぜ」

 

「違いますよ」

 

「は?」

 

「は?じゃないです、話聞いてなかったんですか?」

 

「だから、連合艦隊VS通常艦隊だろーが、ナニ言ってんだオマエ、イカレてるのか?」

 

「違います、通常艦隊VS連合艦隊です」

 

「別に間違ってねぇじゃねーか、通常艦隊VS連合艦…?」

 

ん?通常艦隊VS連合艦隊?

 

「サミサス」

 

「五月雨です、なんですか?」

 

「つまりアレかね?こっちが通常編成の6艦、敵は連合艦隊編成の12艦で待ち受けていると?」

 

「そうです」

 

「…」シュボッ!ジジジ…

 

まずは落ち着こう、通常艦隊VS連合艦隊だと?なんだそれ?深海側との戦力差は単純に2倍じゃあないか、ちょっとそれは汚いんじゃないか?見かけ倒しだったとは言え前の海域の深海連合艦隊といい、ヤツらは一体どうしちまったんだ?新監督に替わったのか?経営者が替わって深海体制が刷新されたのか?

 

「フーッ~…」

 

「ちなみに、敵旗艦は空母棲姫を確認してます」

 

「あの赤城と加賀がフュージョンしたみたいなヤツか…」

 

アイツ嫌いなんだよな、狙い済ましたみたいにピンポイント爆撃してきやがるし

 

「しかし6対12か、サミッターマイヤー、卿の意見を聞こう」

 

「五月雨です、とりあえず対空を頑張りつつ右ストレートでぶっとばすで良いかと…」

 

「脳筋か」

 

「と言うか、今までこっちが散々連合艦隊で相手をボコボコにしてきましたからね」

 

「たしかにな」

 

「あ、そうそう、ちなみにこの海域、先に輸送作戦があります」

 

「は?」

 

「は?じゃないです、輸送作戦をこなしてからじゃないと先に進めません」

 

ナニ言ってるんだコイツ?イカレてるのか?

つまりナニか?輸送作戦してからじゃないとアカガだかカカギだかとヤれないと?

 

「めんどくせぇな」

 

「深海側に良い指揮官でも着いたんですかね、たぶんイケメンの」

 

「なんでイケメンなんだよ、妻子持ちの冴えないおっさんかもしれねーだろーが」

 

「いや、絶対イケメンですよ、たぶん軍の闇と深海棲艦の真実を知ってしまい始末された感じのイケメンですね」

 

‐‐‐

 

『兄さん!兄さんなんだろ!なんで兄さんが深海棲艦なんかと…』

 

『久しぶりだな弟よ、真実を知りたければ私と一緒に来い』

 

『出来ないッ!僕には人類を!いや!僕を信じてくれた彼女らを裏切る事なんて!』

 

『それがオマエの正義か、ならば戦うしかあるまい!』

 

『兄さぁーん!』

 

‐‐‐

 

「みたいな」

 

「王道かッ!!」

 

まぁ、俺が知らないだけで実はそんなヒロイックバトルな展開を繰り広げている鎮守府もあるかもしれないな

 

「ちなみに主人公には士官学校の同期でクールな眼鏡とホットな熱血漢の友人が居ます」

 

「ホモホモしいなオイ!それ艦娘モブキャラだろ?」

 

◆◆◆

 

シャングリラ捜索追撃!艦隊前進配備、輸送作戦…

 

『ヴェハハハハハ!ヤクタタズドモガ!シズメェ!』

 

前回のバカンススタイル改め、帰ってきた戦慄の姫級、重巡棲姫

 

「あ゛?」

 

「よっしゃ!もがみん、コイツボコろーぜ」

 

『ヴェアアア!イタイ!チョ!イタイ!イタイ!ヒイイィィィ!!』

 

反転した重巡棲姫の前に立つのは駆逐艦を超えた陽炎型最強の死神、雪風

 

「…深海棲艦は、ここから先へは進めない」

 

『ヴェ!?』

 

よくわからない内に重巡棲姫に、死神の尖った魚雷がアタマにサクッと突き刺さった

 

「新しい魚雷が、要る」




次回はたぶん②、戦慄!空母棲姫!


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提督と改白露型と三●

シャングリラ②ではなく三●コラボ回


【登場人物】

海風(6)
改白露型の一番、三●コラボ絵はどことなくエレガな気がする

江風(6)
改白露型の赤くて雑な方、ネーちゃンに頭は上がらないが新しいゲームは欲しい


明石の店でジ●ンプと缶コーヒーを買い、俺のベストプレイス喫煙所で煙草を吸っていると、こ洒落た格好をした改白露型の白いのと赤いのが廊下を歩いていたので声をかけてみた

 

「よぉ、またバイトか?」

 

「あ、テイトクじゃねーすか?ティーッス」

 

改白露型の赤くて頭の悪い方、江風

 

「コラ!江風!提督になんて口の聞き方してるの!」

 

妹の頭に拳骨を打つ改白露型の白くて頭のちょっとアレな方、海風

 

「痛いッ!!」

 

「スイマセン、後でキツく言っておきますので…ほら江風!頭下げなさい!頭!」

 

「スィマセェンしたァ~」

 

「江風ェ!!」

 

「シツレーな口聞いてスイマセンでしたァー!」

 

相変わらず妹に厳しい姉だな…

 

「いや、別に気にしてないからいいんだが…で?なんなんだオマエら?こ洒落た格好して」

 

「今からネーちゃンと三●行くンすよ」

 

「三●…?」

 

●越ってアレか…?たしか百貨店的なアレだよな、ふむ…しかしコイツらに三●は少々早いのではないだろうか?●越って言ったらアレだろ、もうちょっと金持ったマダムが行く感じのイメージがあるのだが…

 

「なンすか?…いや、なンですか?」

 

「?」

 

…どう見ても金持ったマダムには見えないな、百歩譲って姉は金持ったマダムの娘に見えない事はないが妹はショーウィンドーのサックスをキラキラした目で眺めるヤンチャボーイにしか見えない

 

「三●にナニしに行くんだ?」

 

「ナニって…買い物っす……いや、買い物ですけど?」

 

「江風のお財布を買おうと思いまして」

 

「ネーちゃンがアタシの財布ボロいから思い切って新しいの買ってくれるってゆーンすよ……じゃない、言うんです」

 

「高いお財布だったら江風も大事に使うだろうと思いまして」

 

「アタシとしてはそンなモンよか新しいゲームとか買って欲し…」

 

「江風」

 

「ご…ごめンネーちゃン!ぶたないで!ぶたないでくれよォ」

 

なるほど、物を大事にする精神を鍛える為にあえて高級品か、しかし相変わらずお姉さんと言うよりオカーサンみたいなヤツだな、コイツ

 

「まぁ、いいじゃねぇの」

 

「そうですか!?そうですよね!実は先日、三●に行った北上さんと大井さんから良い商品があったと話を聞いてコレだと思ったんですよ!」

 

「あのバカどもも行ってたのか」

 

作戦期間中ってのを忘れてるんじゃないだろうなアイツら、そういや、木曾(厨二病)は見たがアイツらの姿は見てないな…

 

「ネーちゃン、とっとと行って買うモン買っちまおーぜ」

 

「そう、そうね!江風のお財布買ったら地下にも行かないといけないし」

 

「ネーちゃンが地下行ってる間はアタシはゲームセンター行くからなー」

 

「はいはい」

 

…オカーサンか、コイツは

 

「それでは提督、失礼します」

 

「あ、ちょっと待て」

 

俺は財布から札を取り出し海風に握らせてやった

 

「これで美味しいものでも食べなさい」

 

「まぁ、まぁまぁ!ありがとうございます!ほら江風!アナタも」

 

「え?あ~、ありがとやしたー?」

 

ゴンッ!!(拳骨)

 

「いだァ!!」

 

「江風ェ!!」

 

「ありがとうございましたーッ!!」

 

「スイマセン、後でキツく言っておきます」

 

◆◆◆

 

海風と江風が去って煙草を一服していると、こ洒落た格好をしたイタリア重巡が歩いていた…

 

「見てくださぁいザラ姉様、ポーラの手がバイヴみたいにブルブルしてますよぉ、コレ絶対ヤバい感じですよぉ」

 

「よく3日間辛抱したわポーラ!約束通り、お姉ちゃんがボジ●レ買ってあげるからね!」

 

「ウヒ……うふ、うふふふふ、ウヒェヘヘヘヘ!」

 

………見なかった事にしよう




次回はシャングリラ②


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シャングリラ捜索追撃!艦隊前進配備②

E4の②、存在するだけで不健全な空母

【登場人物】

霧島(2)
暴力の化身、金剛姉妹の末妹、姉妹の中で唯一スポーツ新聞を購読している

空母棲姫
痴女、棲鬼時代は穿いていたが、ない方が興奮するし、成績も良いので穿かなくなった


「チクショウ!また変なのが飛んで来たぞォ!」

 

「いい加減にしろよクソがァ!!」

 

MS諸島北部、シャングリラ捜索追撃、輸送作戦を完了し、空母棲姫の待つ海域へとやって来た我々は、敵勢力の大反抗に手を焼いていた

 

「あったよ!10cm高角砲+高射装置が!」

 

「でかした!」

 

「スゲェ!秋月の対空射撃がまるで丸太のように艦載機を撃ち落としてる!」

 

「このままあのクソ空母ヤローをブチ殺しに行くぞォ!!」

 

◆◆◆

 

「コーヒー」

 

「はい!コーヒーですね!」

 

「あぁ、缶コーヒーな、冷蔵庫に入ってるから取ってくれ」

 

「ご自分でどうぞ」

 

執務室のテレビで現場の様子を見ていた俺と五月雨、一瞬だけ俺が着任した初日の輝く笑顔を見せた五月雨はすぐにいつものこの世の負を煮詰めたような濁った目に戻った

 

「コーヒーぐらい取れよクソが」

 

仕方ないので自分で冷蔵庫から買い置きのコーヒーを取り、煙草に火を点けた

 

「まぁ、とりあえず順調っぽいな」

 

「とりあえずですね」

 

「霧島のヤローに連絡入れろ、次、やらかしたらベンチに下げるってな」

 

「霧島さん下げてどうするんですか?」

 

「アイオワと替える」

 

今回ベンチスタートのダイナマイトパッキンガール、アイオワ、先日、そのアイオワから執拗にメンバーに入れろとセクシャルな感じに迫られた俺は毅然とした態度でオーケーオーケーと返事した

 

「あぁ、セクシャルな感じに挟んでもらった感じですか」

 

「そんなコトないよキミぃ、あくまで実力的なモノを考慮しての考えだよキミぃ、誤解はいかんなぁ」

 

◆◆◆

 

『ヒノカタマリニナッテシズンデシマェ!』

 

『ヒュー!空母棲姫クン超クール!』

 

『マジクール!』

 

赤城と加賀がフュージョンしたみたいな深海棲艦、空母棲姫

過去にも何度か現れた事のある深海きってのリリーフエース、出ると後続をシャットアウトする事に定評があり、下半身を露出して出歩く超クールな性癖がある

 

「居たぞォ!露出狂じゃあ!」

 

「ブチ殺せェ!!」

 

『コッチハ連合艦隊ダァ!ボコボコニシテヤルヨォ!』

 

下半身を露出した痴女、空母棲姫、その佇まいはまるでダビデ像の如く力強さと美しさを兼ね備えていた

 

「来たよ!支援艦隊が!!」

 

「でかした!」

 

『ア゛?支援艦隊?』

 

空母棲姫が横を見ると、いつの間にやら金剛率いる支援艦隊が来ていた

 

「ヘ~イ榛名、コイツらデスカ?ワタシ達がDIEして良いゴミは?」

 

「DIEしても榛名は大丈夫です」

 

「オーケーオーケェー……皆さぁ~ん、丸太は持ちましたかァ?OK?」

 

「押忍!白露一番艦!丸太を持ちました!」

 

「村雨もオッケー」

 

「それじゃあアイツらをDIEしまSHOW!」

 

支援艦隊から投げ込まれた丸太が軽巡ツ級のアタマを貫いた

 

『ンホォ!!』

 

『ツ級クン!クソ!ツ級が殺ラ……オゴォ!』

 

『チョ!待テヨ!ナンダコレ!マジイタイ!マジクール!』

 

『野郎ォ……面白クナッテキヤガッタ!』

 

金剛率いる支援艦隊は丸太を投げ終わるとバーカバーカと言いながら帰って行った…

 

「霧島クン!」

 

「霧島クン!もう殺るしかねぇよ!」

 

「おぅ……」

 

霧島は41cm砲をバス停みてェーにブンブンと振り回して空母棲姫にメンチを切る

 

「クチャクチャの挽き肉にしてやんよ」ピキッ!パキッ!

 

『クソガァ!オマエモヒノカタマリニシテヤローカァ!』

 

「ア゛ァ?ヤってみろよ?この霧島サンの、アツい“バーニングソウル”をよォ~」

 

 

この後、42分のアツい死闘の末、霧島のアツいバーニングソウルが空母棲姫を追い詰め、時雨様より頭が高かった空母棲姫は跪いて讃えるポーズで深海に沈められた

 




次回予定ては最終海域、渚を越えて!

陛下出陣


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提督と五月雨と高いクッキー

最終海域を前に、まずは頭を下げに行くクズの鑑

【登場人物】

提督(63)
金と権力が本当に好き、何かが抜けている

五月雨(27)
痒いところに手が届く髪の長いやつ

レーベくん(2)
ドイツから来た駆逐艦、チ●ポついてない

マックスくん(2)
ドイツから来た駆逐艦、チ●コはついてない、やや口が悪い

Warspite(4)
英国から来たバロシ、通称、陛下、大変尊い御方でいらっしゃる


「いよいよ最終海域か…」

 

「そうですね」

 

秋の作戦も遂に最終戦、ここはビッと勝ってシーズンを終了したいところだな…

 

「最終海域ですし、大和さんと武蔵さんを出しますか?」

 

「いや、今回は陛下に出陣をお願いする」

 

「陛下に…?」

 

前回うちにやって来た英国から来た究極女王、ウォースパイト陛下

一軍旗艦として戦力は申し分無い、今回は陛下のデビュー戦としてうちのクズどもには陛下のサポート及び肉の壁として働いて貰おう、陛下が傷一つ負うものなら国際問題になりかねん

 

「よし!早速陛下に出陣を頼みに行くか…五月雨、付いて来い」

 

「え?私もですか…?」

 

「だって1人じゃちょっとアレじゃん、あ、クッキー買って行くぞ、高いやつ」

 

「はぁ」

 

俺と五月雨はまずは三●に行き、高いクッキーを購入して陛下の部屋を訪ねる為、海外艦の住む寮へ向かうコトにした

 

◆◆◆

 

「あ、テイトクだ」

 

「なにしてんの?」

 

海外艦の住む寮に行くとドイツから来た駆逐艦、レーベきゅんとマックスきゅんが寮の前で犬に餌を与えていた

 

「陛下はおられるか?」

 

「ヘーカ?」

 

「Warspiteさんです」

 

痒いところに手が届く五月雨、コイツ地味に発音いいな

 

「あ~、Warspiteさんなら談話室に行くって言ってたよ」

 

「子供達に英語のLessonするとかなんとか…」

 

さすがは陛下だ、アホな子供達にインターナショナルな授業を自ら行ってくれるとは…

尊いッ!なんて尊い御方だッ!チクショウ!目からアツい涙が溢れて止まらねぇ!!

 

「チクショウ!チクショウ!」

 

「…サミー、なんでこのオッサン泣いてるの?」

 

「マジキモいんだけど」

 

「さぁ?見たい番組でも見逃したんじゃないですか?」

 

レーベきゅんとマックスきゅんがオレのアツい涙にドン引きしている気がするがそんな事は些細な事だ

 

「ところでレーベさん、この犬なんですか?ビスマルクさんが猫を飼ってるのは知ってましたけど…」

 

「コイツ?グーラフツェッペリン犬だけど?」

 

「は?」

 

「グーラフツェッペリン犬」

 

レーベきゅんとマックスきゅんに尻尾を振る1●1匹の犬でお馴染みのダルマチアン種の犬、どうやらこの寮で飼っているらしいのだが……グーラフツェッペリン犬?

 

「グラーフ・ツェッペリンの飼い犬なのか?」

 

「そうじゃない?」

 

「えらく曖昧だな、ちなみに名前は?」

 

「グーラフツェッペリン犬」

 

マックスきゅん曰わく、いつの日だったか、グラーフ・ツェッペリンの横に居たのでそれはグラーフの犬なのかと聞いてみたら“ふむ、私の犬に見えるのか?”と答えた、それ以来グーラフツェッペリン犬と呼ばれてこの寮に居るらしい

 

「まぁ、ちゃんと世話するなら別に問題無いか」

 

「普段はグラーフが散歩とかしてるよ」

 

「ふ~ん」

 

顔色の悪いグラーフの意外な一面な気がするな、伊達におっぱいデカくない

 

「まぁいい、五月雨、談話室に行くぞ」

 

「そうですね」

 

◆◆◆

 

「それではTextの15頁を…」

 

「陛下ァ!リベ!テキスト忘れましたー!」

 

「Oh…では隣のキヨシに見せて貰って下さい、いいですね?」ニコッ

 

……談話室の前までやって来た俺と五月雨、しかし、今!この部屋に入る事が躊躇われていた

 

「結構、本格的に授業してますね」

 

「あぁ、提督ビックリ、ビックリだよ」

 

あのアホなキヨシとリベッチオだけでなく朝霜や第六駆逐隊のヤンチャキッズ達も頭に尊皇攘夷とか天下無双とか書かれたハチマキ巻いて真面目に講義を聞いてやがる…

 

「どうするんですか?空気読まずに入りますか?」

 

「空気読んで授業が終わるまで待つにキマってるだろーが、カル●スソーダ流し込まれてーのか?上の口から」

 

「では、終わるまでここで待ちましょう」

 

「そうだな、オイ、サミエモン、なんか食い物持ってないか?オレはとにかく腹減ってんだよ、早くなんか出せよ」

 

そういや朝から三●とか行って何も食ってねぇんだよな

 

「五月雨です、高いクッキーならありますけど?」

 

「でかした!」

 

五月雨の持っていた高いクッキーの入った箱を奪い、丁寧に包装紙を剥がして中にギッシリと詰まったクッキーを1枚口に入れる、うむ……芳醇でいて大胆、高いだけあって美味いな、喉渇くけど

 

「美味いな、お前も食うか?美味いぞ」

 

「戴きます……ふむ、適度なサクサク感と風味、実に良い物です」

 

「だろぉ?」

 

「まぁ食べてから言うのもなんですが、陛下にお渡しする為に買っただけはあります」

 

…あ?…あ?

 

「………なんで食べてから言ったの?」

 

「早くなんか出せって言ったじゃないですか」




次回はインターナショナルナイトクラブ、ダイナマイトパッキンガールと言う名の黒船来襲


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提督とIowaとナイトクラブ13

黒船来襲の開国ミサイル回

【登場人物】

提督(64)
クズでゲス、カッコいい主人公に憧れる時期が俺にもありました…

アイオワ(3)
米国から来たバトルシップガール、速吸クンの100マイルを唯一、スタンドに叩き込んだ強打者


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「Hi、ココ?OKカシラ?」

 

「オーケーオーケー、カムオンカムオン!」

 

いつものように流れるように席につき、煙草に火を点けると溢れ出る煌びやかなスターと共に男なら誰だってカムオンしたくなるパッキンガールがやって来た

米国からやって来た戦艦、アイオワ、そのアメリカナイズなフェロモンはまさしく歩くセ●クスシンボルと言えよう

 

「今日はラッキーデイ!」

 

「Luckyday?」

 

このはちきれんばかりのダイナイトバディにまるでコロラド河のように広い心、過去、この店でこれほどの当たりを引いた事があったであろうか…

 

「Admiral、Drinkは?」

 

「Beer」

 

「OK!」

 

アイオワはママの趣味であろうオリ●ンビー……

なにッ!?ち…違うッ!あのラベル!いつものオ●オンビールじゃない!あれは…

 

「Samueladams、OK?それともBudweiserのほーがイイ?」

 

「オーケーオーケー」

 

まさかオリ●ンビール以外も置いてたのか、この店……アイオワは手馴れた感じでグラスに注いで俺に手渡してきた

 

「Drink、OK?」

 

「オーケーオーケー」

 

この流れでNOと言える男はそうは居ないだろう、さすがは米国が誇るBattleshipアイオワ、恐るべし連合国軍よ…

 

「しかし、なんでまたこんなトコで働いてるんだ?」

 

「タダでお酒飲みホーダイって聞いたからネ」

 

「まぁ、厳密にはタダじゃないだろうが…」

 

前海域で出撃させなかった事に憎しみを持っているんじゃないかと思っていたが、さすがはアイオワ、まるでコーンベルトの如き心の広さだ…うちの心狭きバカどもに見習って貰いたい

 

「それでAdmiralぅ~、NextOperationなんだケドォ~?」

 

「う~ん、次は陛下のデビュー戦控えてるからなぁ~、旗艦はちょっとなぁ」

 

「ヘーカ?あぁ、Warspite」

 

「そう、陛下」

 

「ン~…でもAdmiral、やっぱLastmissionはワタシの方が栄えない?」

 

アイオワの持つ最大の凶器が俺の腕を圧迫する、グレート……コイツはグレートですよ、承●郎さん!気を抜くとイッちまいそうですよ!

 

「…」

 

「どう?」

 

「…まぁ、五月雨が調べた話ではそれなりに長丁場になるらしいし、前半戦をアイオワに任せようかなァ~」

 

「Great!さすがAdmiral!ハナシがわかるワ!」

 

そういや昨日、金剛が提督の心臓はワタシのモノデースとか言ったなぁ

 

『次は金剛姉者が旗艦じゃあ!』

 

『金剛姉ェが旗艦で榛名は大丈夫です』

 

『意味わかっちょるやろ?メガネ』

 

『ヘイ、シスターズ……テイトクは今更そんなコト言わなくてもわかる男デェス』

 

あと、大和さんと矢矧ちゃんが嬉しそうに46cm砲をピカピカに磨いてたなぁ

 

『武蔵、賭けをしましょう、負けた方が連合艦隊旗艦を諦める……ウフフ、ウフフフフ』

 

『さすが大和サン!マジ強打者っす!メチャシブいっす!』

 

………よし、アイオワで行こう!だって考えてもみろよ?アイツらちょっとおっぱいデカいからっていつもチョーシにノってるだけじゃん?大和さんに至っては偽乳ブラだよ?

 

「キミには期待している」キリッ

 

「OK!Look forward!」




次回は最終海域、渚を越えて!


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渚を越えて①

今回の最終海域、アツかりし禁断の力がヴェール脱ぐッ!

【登場人物】

提督(65)
未だ中二病から抜け出せずにいる大人、天龍と木曾は友達らしくカードゲームする時はリアルダメージを受ける

夕張(10)
真性M、度重なる提督のモレ●ターアーツのおかけで真の悦びに目覚めたある意味の被害者、地味に香取先生に匹敵する好感度の高さ


最終海域、MS諸島北部…

 

「Open Fire!」

 

ゴスッ!!(メリケンパンチ)

 

『ダビデッ!』

 

米国から来た戦艦、アイオワのフラッシュ・ピストン・マッハパンチが阿賀野っぽいような那珂さんっぽいような軽巡を沈め、ファーストステージを難無くクリアーし、いよいよ敵旗艦の待つセカンドステージへ突入する事になった

 

◆◆◆

 

「あ、テイトクちょっといいですかー?」

 

「あ゛?」

 

制服の丈が合っていないせいで常にヘソ丸出しのヘソビッチ軽巡、夕張

少し前に腹巻きを買ったらしく、お腹が冷えて毎朝下痢気味だったが最近は毎朝快便なそうだ

 

「この先の海なんですけど、なんか特定の人達がスンゴイパワーを発揮できるらしいですよ」

 

「は?ナニ言ってんだお前?イカレてるのか?」

 

「いやいやマジですって」

 

「そもそもスンゴイパワーってなんだよ?」

 

「まぁ、私もよくわかってないんですけど、提督にわかり易く説明すると、この先に邪悪なエネルギーが満ちた場所があって、実は魔族出身みたいな人はそこの邪悪エネルギーで力が漲って超絶暗黒パワーを発揮できる感じです」

 

天龍と木曾が喜びそうな設定だなオイ

 

「とりあえず、この不可思議な現象の事を、ギガダークネス・リベリオンフォースと名付けてみました」

 

クソッ…カッコいいじゃねぇか、夕張、コイツ、実は俺達と同じ趣味なんじゃねぇのか?

 

「それで?そのギガダークネス・リベリオンフォースの力を発揮できる魔族は誰なんだ?」

 

「長門さんと酒匂さんとプリンツ・オイゲンさんです」

 

「長門と酒匂とオイゲンか…」

 

長門はまぁアレだな、アイツは全身の感度を3000倍にしても耐えきる鋼のタフネスを持ってるし、オイゲンは俺のビスマルクさんにまとわりつく害虫みたいだが、強い

しかし…酒匂はないだろ、酒匂は?酒匂と言ったらアレだよ、あのかわいいヤツだろ?ロリコンの長門が目にしただけで己が汚物だと再認識させられる希望の光だぞ

 

「なんか胡散臭いな」

 

「ホントですって、騙されたと思ってメンバーに入れてみてくださいよ」

 

「…まぁいいだろう、そのギガダークネス・リベリオンフォースが嘘だったらテメーのケツにホース突っ込んで水道全開にするからな」

 

「ヒャ!はいっ!」

 

…なんで口許が緩んでるんだよコイツ、気持ち悪りぃな

 

「話はそれだけか?俺は陛下のお見送りに行かねばならん」

 

「あ、私も行っていいですか?」

 

「構わん」

 

陛下のお見送りを済ませたら間宮で菓子でも買って執務室のテレビで陛下の御活躍を録画しておかねば

 

「あと、間宮に行くから付き合え、サミーとオマエの分も何か買っていいぞ」

 

「え?ホントですか?やったぁ」

 

◆◆◆

 

MS諸島北部B環珊瑚礁…

 

『ア~…息ヲスルノモメンドクセー』

 

拠点を守る水母姫に続く深海棲艦期待のルーキー、深海海月姫、シェアなバッティングと高い防御力を買われての今回の抜擢だが、本人は海月のように漂って生きたいだけの真性面倒くさがりだった

 

『ア…集チャンニ三●ノ地下デすいーつ買ッテ貰オ、誰カ集チャンノべる番知ラナイ?』

 

『集チャンぽけべる持ッテナイッスヨ、最近ぴっちニ替エタッテ』

 

『エ?マジデェ~、ナニソレ聞イテナインデスケド、マジMK5』




次回はたぶん②


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五月雨と鈴谷と職業斡旋

実は珍しい組み合わせの回

【登場人物】

五月雨(28)
それなりに甘党、ホイップシューよりカスタードシューの方が好み

鈴谷(23)
どちらかと言っても辛党、カレーも好きだが辛子レンコンも好き

提督(66)
地上の平和を愛している


「ティーッス、鈴谷がお小遣い貰いに来ましたよぉ~…って、アレ?サミュエロしかいないじゃん、テイトクは?う●こ?」

 

「五月雨です、提督なら上からの勅命でケフェウス座のダイダ●ス先生を粛正しに行くって出かけましたよ」

 

「意味わかんねーんですけどォ!え?ナニ?テイトクの上司って教皇かナンかなの!?」

 

「さぁ?」

 

しかし参った、お小遣い貰おうと勢い勇んで来たもののアテがハズれてしまった、このままではジュースの1本も買えないし…

 

「ナンかいいバイトない?楽で金稼げるやつ」

 

「バイトですか…」

 

サミーは机の引き出しから何枚か紙を取り出して広げた、なんだ?ケッコーあるじゃん

 

「コレなんてどうです?本部付査察官の性接待」

 

「は?」

 

「は?じゃないです、先に言っておきますけどコレ、孕みますよ」

 

「いやいやいや!鈴谷そーゆーのしないから、っーか孕む前提とかマジおかしい!」

 

「そうですか、かなり高給与ですけど…」

 

「や、高かろーが安かろーがやらないから、鈴谷そーゆーエンコー的なコトしない子だから」

 

コノヤロウ…真面目な顔してなんてバイトを勧めてくるのかね

 

「じゃ、もうちょっとおとなしめのモノで………あ、コレなんかどうですか?世間体だけは良い裏のある有能鬼畜将校の相談」

 

「や、それも孕む感じじゃない?外面の良い有能鬼畜将校ってあきらかになんかヤバげじゃん」

 

「まぁ、ア●ルはヤられますけど」

 

「アウトォ!!っーかもっとまともなの無いの?」

 

「そうですね、あ、コレなんかどうですか?柔らかい鶏肉を買ってくる仕事」

 

「…ナニそれ?なんかの隠語?」

 

「文字通り、柔らかい鶏肉を買ってきて届けるだけの簡単な仕事です、届け先は~…海外艦の寮、グラーフさんです」

 

グラーフ?グラーフ……?あぁ、なんか顔色悪いアイツか、しかしなんで鶏肉?もしかしてアレかな?鶏の血がジューシィーとかそんな感じなのかな

 

「ちなみに1回100円です」

 

「安ッ!!ガキの使いかッ!?」

 

「グラーフさん的には駆逐艦キッズに買って来て貰ってそれを機に仲良くしたいらしいのですが、如何せん、ピュアなキッズはグラーフさんに血を吸われると信じているのでなかなか厳しい感じですね」

 

「え?やっぱ吸うの?アイツ」

 

「吸いません、たぶん」

 

たぶんなんだ…

 

「もうちょいマシなの無いの?鈴谷に合ってそーで給料イイの」

 

「そうですね……あ、コレなんかどうですか?軍部高官との接…」

 

「だからァ!!鈴谷そーゆーのヤらないから!マジやらないから!こー見えて実はかなり初心だから!なんかまだ色々ユメ見ちゃってる感じだから!」

 

「そうですか、じゃ、コレは熊野さんにお願いしましょう」

 

「…は?」

 

「は?じゃないです、熊野さんにお願いしようかなと…」

 

「いやいやいや!ちょ!待て!待てし!」

 

かわいい声してナニ言ってんだコイツ、え?一応ほらさ!ちょっとアレだけど熊野はアレだけど!一応、私の可愛い……あ、うん、まぁ鈴谷よりは可愛いくはないけど、まぁそれなりに可愛い妹じゃん?さすがにその妹を脂ギッシュでアレに真珠?とか入れてそーな軍部高官(たぶん)の相手をさせるのは良くないじゃん

 

「なんですか?」

 

「なんですか?じゃないよ、ナニ熊野にいかがわしい仕事斡旋させよーとしてんの!」

 

「いかがわしい?接待ゴルフが?」

 

「あ、接待ゴルフ…」

 

接待ゴルフかよ、っーか熊野のヤツ、ゴルフとかハイソな感じのヤツできたんだ…

 

「あ~…腹痛てぇ」

 

「あ」

 

熊野の意外な面に納得していると、丁度、提督が帰ってきた

 

「なにやってんだ?オマエ」

 

「ナニって…お小遣い貰いに来たんですけど?」

 

「150円ぐれーでいいか?」

 

提督はポケットから200円取り出した

 

「少なッ!!ガキの小遣いかよ!」



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渚を越えて②

イベント海域編最終回
ヤベェヨヤベェヨしか言ってないヤベェ回

【登場人物】

陛下(5)
尊い御方、無傷の旗艦デビューを飾られた

禁断・長門
ちょっとおかしい、拳が火を噴く

禁断・酒匂
ちょっとおかしい、サイコパワー

プリンツ・禁断・オイゲン
平常運転

ビスマルク(2)
強くてクールで度胸があってお美しい

深海海月姫
今回の被害者



「Ememy ship is in sight Openfire!」

 

今作戦の最終海域、MS諸島北部B環礁沖

連合艦隊旗艦として華々しく出陣なされた陛下はこれまた華々しく御活躍をされていた

五月雨曰わく、陛下を出すと余計なところに遠回りするらしいとの事だが、そんな事は些事に過ぎない、いや、むしろそれは陛下の御活躍される期間が長引く、歓迎すべき事ではないだろうか?

 

「なぁオイ!」

 

「はぁ?」

 

テレビモニタ越しに映る陛下の御活躍、大鳳め…もうちょっと陛下を映さんかい、翔鶴のパンチラとかどうでもいいんだよ、帰ったら反省会だな

 

「あ、カル●スがある、提督!カ●ピス貰っていいですか?」

 

そして、今回執務室で現場の状況を見る為にやってきた夕張は戸棚を開けてカル●スの瓶を取り出していた

 

「俺のじゃないから構わんぞ」

 

「私のなんですけど、別に構いませんよ」

 

「ホント?ありがとー、提督と五月雨ちゃんも飲みますか?」

 

「いらん」

 

「結構です」

 

五月雨の隠しカ●ピスを8:2で割ってうっ!濃い!と言って白い液を口元から垂らす夕張にいかがわしさを感じないのはきっとコイツが生粋のアホだからだろう

 

「あ、そろそろ例のポイントですね」

 

「あ~?」

 

あぁ、そういや禁断の力がどうのこうの言ってたな、一応、長門と酒匂とオイゲンは出撃させてみたが…

 

「大鳳に電話してみるか、オイ大鳳に繋げ」

 

「はいはい……はい、どーぞ」

 

『もしもし?』

 

「俺だ」

 

『な…なんですか?今ちょっと、あ!ヤベッ!ちょ!待てよ!』

 

「オイ!何がやべーんだ?オイ!もしもし?もーし?」

 

あの野郎、切りやがった…なんなんだ?一体

 

「て…提督ッ!」

 

「なんだ?」

 

夕張がテレビモニタを指差してカル●スを吹き出している、なんだ?まさか陛下が大破されたとかでは…

 

◆◆◆

 

『コンナトコロマデキタンダネェ…』

 

深海海月姫、当ポイントを守る深海から来た聖なる戦士、こっちも連合艦隊編成、それに、傍らには深海屈指の名プレイヤー、頼れるタフ・ガイ戦艦棲姫、通称ダイソンが居る

開戦前に戦艦棲姫から“どんなタフな攻撃が飛んで来てもオレがオマエを守ってやるよ!絶対!”と言われドキーン!とした、これはもう惚れても仕方ない

 

『来タゾォ!ヤツラダァー!』

 

『オレタチハーッ!』

 

『『深海!』』

 

『強イ海ノ戦士ハーッ!』

 

『『深海!』』

 

『勝ツノハァァァ!!』

 

『『『深海ッッッ!!』』』

 

『ヨォーシ!全員ポジションツケー!』

 

戦艦棲姫の体育会系ナイスガッツ鼓舞でポジションに付く深海の戦士達、勝てる、今日まで自分達は努力してきた自分達ならきっと勝てる!誰しもがそう信じていた

 

『ヨッシャ!イクゾ…ブゲビラァ!!!』

 

『ダ……ダイソーン!!』

 

『ダイソンガヤラレタァァァ!!』

 

一撃、ペナルティーエリア外からの射撃は100%止めると言われた戦艦棲姫が開戦僅か一秒でブクブクと気泡を残して沈んだ…

 

『ナ…ナンダ!一体ナニガオコッタ!』

 

『マルデ見エナカッタゾ…』

 

驚愕する深海棲艦達の前に、戦艦棲姫を一撃で沈めた恐怖の大戦艦が姿を現していた

 

「次に死にたいヤツ、前に出ろ」

 

『ビ!ビッグセブンッ!』

 

『コイツビッグセブンダッ!!』

 

「フハハハハ!ハァーッハッハッハ!新たな力が湧いてくるイイ気分だァ!このビッグセブン、思わず鼻歌でも歌ってしまいそうだぞォ!」

 

ビッグセブンは身体を横にした8の字のようにグルグルと回していた

 

『チクショウ!ヤベェ!』

 

『アンナ化物相手ニシテラレルカヨ!』

 

『アノ弱ソーナノヲ狙エ!』

 

駆逐古鬼は可愛くて弱そうな軽巡を強襲する、速度良し!角度良し!この一撃であのモヤシみたいな身体はくの字に折れ曲がるハズ!………しかし

 

「ぴゃー…」

 

『ナ、ナニィ!?片手デ!』

 

「うわぁ~…この日本人形、かわいいなぁ、かわいいなぁ、酒匂コレ欲しいなぁ~」

 

『ギャッ!!?』

 

酒匂に抱き締められた駆逐古鬼からメリメリとヤバい音が軋む

 

『古鬼クン!』

 

『古鬼クン!』

 

『アガガガカガ!!ヤバ!ヤバ…ヤベェ…』

 

バキッ!!!

 

「あ…壊れちゃった」

 

酒匂は壊れたお人形に興味を無くし、ポイッと海に捨ててしまった

 

『ヤベェヨヤベェヨ!アイツ、目ガイッチマッテルヨ!』

 

戦艦棲姫を右ストレートで沈めた長門、駆逐古鬼をバキバキにヘシ折った酒匂、いつもとは違う

いつもヤベーとは思ってはいたが今日のヤバさは違った、深海の戦士達だけではない、どう見てもあっちの味方もドン引きしている

 

「ハッハッハ、どうしたァ?酒匂ァ?ハッハッハ」

 

「ぴゃー…酒匂かわいい日本人形欲しかったのに壊れちゃった」

 

「なんだ?よし!帰ったらこのビッグセブンが買ってやるぞ!五段のをなッ!ハッハッハ!」

 

「ぴゃー…」

 

ヤバい……そう、ヤバいとしか言いようがない、あきらかに変なクスリでキマってるんじゃないだろうかと疑ってしまうヤバさだった

 

『海月姫クン』

 

『…ヨシ、逃ゲヨウ!』

 

『ダヨネー!コレ逃ゲテモイイヨネ!』

 

とりあえず全力で逃げようとする深海海月姫に追撃の砲火が火を噴く

 

「…逃がさないわよ!Feuer!」

 

ドイツが誇る大戦艦ビスマルクの砲火が海月姫の背中に強打した

 

『イダァ!!』

 

「チッ…なかなか堅いわね」

 

よし!耐えた!逃げ切れ……

 

「オイ」

 

後ろから凄まじい力で肩を掴まれ、海月姫は恐怖した、あまりの恐怖に漏らしたが今はそんな事は些事に過ぎない

 

『ヒィィィ!!』

 

「なんでビスマルクのアネゴの一撃で死んでねぇんだァ?コラァァァァァァ!!!」

 

後に、深海海月姫は語る

えぇ、たぶん左だったと思います、右で肩を掴まれてましたし…えぇ、避ける?いやいや無理ですよ?なにせ見えないんですから、ほら、空気の壁ってあるじゃないですか?アレを破ったらパンッ!って鳴るってヤツ、音速と言うんですかね?えぇ、それはハッキリわかりました、死ぬ間際に走馬灯ってあるじゃないですか?アレ、あまりに速いと見えないんだなって…

 

「アネゴォー!アネゴ!大丈夫です!ビスマルクのアネゴのイッパツでコイツ死んでましたよー!このプリンツ・オイゲン、たしかに確認しましたー!」

 

「え…えぇ?あぁ、そう?」

 

「これでMVPはビスマルクのアネゴですね!やったぁ!さすがアネゴ!すごいやアネゴは!強くて!ハァ…ハァ…!クールで!ハァ…ハァ…度胸があって!ハァ…ハァ!お美しいィィィ!」

 

「あ…えぇ、うん…そうね、もっと誉めていいのよ?」

 

こうして、深海海月姫はブクブクと気泡を漏らして沈み、今作戦は終了した…

 

◆◆◆

 

そして、執務室

 

「ビスマルクさんドン引きしてるじゃねーかッ!!」

 

「まぁ、引きますよね、正直、私も引きました」

 

「ね?ね?私が言った通り闇の力が発揮されたでしょ?ね?」

 

たしかに、夕張のアホンダラが言ってた通り、対象のお友達の様子が何やらおかしいような気もしたが…

っーか!陛下もドン引きしてたじゃねーか、陛下ちょっと困ってたぞアレ!

 

「まぁいい、作戦終了だ、全員引き揚げさせろ」




次々回に新規艦登場です


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続・提督と作戦終了と…


クソの役にも立たないミーティングではなく楽しいお給料の時間だよ回

【登場人物】

提督(67)
だいたいモクモクしてるモクモク人間、キッズには比較的優しい

五月雨(29)
めざとく、は●た地鶏の串を穫ってきた

明石(5)
艤装を修復できる艤装職人



「さて諸君、まだ期間は残ってはいるが今回の本部作戦は終了だ、特に危なげな場面もなく安定したプレーで安心して見ていられた」

 

と、まぁ、いつものクソの役にも立たない挨拶はここまでにしてだ…

 

「こっから楽しいお給料の時間だァ!」

 

『『『ウェーイ!!』』』

 

五月雨は台車に乗せてあったジュラルミンケースを開き、欲望の魔王が解放される、唸り上げる現金ッ!キャッシュ!マネー!

 

「え~…今回のMVPチケットランキング第1位は~…長門ク~ン、はいみんな拍手ぅ~」

 

パチ…パチ…

 

いつもの渇いた拍手の中、ありがとうありがとうと手を振りながら壇上に上がって来た長門にジュラルミンケースから取り出した現金を渡す

 

「ちゃんと額数えとけよ」

 

本来ならば栄えある第1位は陛下にこそ相応しいと俺は考えていたが、陛下は自分はあらゆる賞を辞退すると事前に申されており、自分に支払われる給与の40%を福利厚生や作戦終了時の遊興費に使って欲しいと高貴な頭を下げられた……どこまでも尊い御方だ

 

「ビッグセブン!ビッグセブン!」

 

「まぁ長門サンなら仕方ねぇよ」

 

「やっぱ長門サンメチャシブいッス」

 

「ハッハッハ、ありがとう!ありがとう!」

 

アホな駆逐艦達のビッグセブンコールを受け、長門は感涙しながら陸奥に引きずられて壇上を去った

 

「えー…次、同率2位、高雄愛宕組、前に出ろ」

 

「ウィース」

 

「ぱんぱかぱかぱかぱんぱかぱーん」

 

ジュラルミンケースから取り出した現金を手渡す

 

「ヒュー!たまんねーぜ!オイ愛宕、バー●リーの財布買おーぜ」

 

「たまにはシャレオツなスカイタワーでディナーに行こーぜ!」

 

「ちゃんと額数えとけよ、はい次、名前呼ばれたらはい元気ですって言ってさっさと上がれよ~」

 

そして、淡々と給料が手渡されてゆき、最後の1人に小銭を手渡した

 

「最下位、初雪」

 

「…500円」

 

「以上、あと、ささやかではあるが忘年会も兼ねてパーリーの準備をしてある、節度とマナーを守って楽しく飲み食いするよーに」

 

「ヒャッハァー!水だー!」

 

「オイ誰だ!オレのからあげパクったヤツはァ!殺すぞォ!」

 

「クソッ!ありがてぇ!ありがてぇ!」

 

「…コレ、マカロフっーんすかね?うん、フツーに美味いっすね」

 

「ポーラァァァァァ!!」

 

…とりあえず、これで作戦終了だな、俺は既に魔界ゾーンへと化した体育館を出て煙草に火を点けた

 

「フーッ~…」

 

「お疲れ様です」

 

いつものように薄い気配と無駄に長い髪、五月雨は適当に取ってきたらしい焼き鳥を皿に載せていた

 

「おひとつどうですか?」

 

「貰おう」

 

「まぁ、レバーしかないですけど」

 

「オレ、レバー苦手なんだけど、っーかお前、手に持ってるヤツはレバーじゃねぇだろ?それよこせ」

 

「え?イヤですよ」

 

相変わらずイラッとくるなコノヤロウ…

 

「あぁそうそう、明日は新人さんの面接ありますから、最初ぐらいビシッとした格好でお願いします」

 

「あ゛?なんだそれは、いつもビシッとしてねぇってのか?」

 

「してないじゃないですか」

 

「わかったわかった、明日は新品のパンツ穿いて行くわ」

 

「パンツはいいですから服ッ!クリーニングしたのがあるでしょ!」

 

「はいはい」

 

まったく、うるせぇヤロウだな、オカーサンかっーの………ん?

 

「…ん?」

 

「なんですか?」

 

「オマエ、なんか変な音しないか?」

 

「なんですか変な音って、失礼な」

 

なんだろうな、たしかに五月雨から微妙に耳に突くイラッとくる音が聞こえてくるような

 

「あ、もしかしてコレじゃないですか?」

 

五月雨はポケットから金属片みたいなモノを取り出した

 

「なんだそれ?」

 

「私の艤装の一部ですけど?」

 

「ふ~ん」

 

最近使ってないからいよいよ壊れたのか?

 

「その疑問については私がお答えしましょう!」

 

「げ、ゲェーッ!お、オマエはーッ!」

 

「明石さんじゃないですか」

 

振り返った先に立っていたのは大して働きもしてないのに汚く盛り付けした皿を持った工作艦、明石ッ!!

 

「それは、共鳴です!」

 

「共鳴、だと?」

 

「えぇ、白露型艤装が他の白露型艤装と呼び合うような共鳴、これは間違いなく同じ場所に全ての白露型艤装が揃った証拠です!」

 

「バ…バカなッ!最後の艤装がこのサンクチュアリに戻ってきたと言うのか!?」

 

幾星霜をこえて、今この時、この基地に全ての白露型艤装十体が結集したというのか!!




次回、サンクチュアリ激震!新艦面接!


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続・提督と新人と面接①

新人面接回、今回の二本立て仕様

【登場人物】

Commandan Teste
フランスから来た水母、フランス語ペラペラ過ぎて日本語が怪しい

山風
白露型実装最後の戦士、ビビリくん


「Bonjour Enchantee Je m'appelle Commandant Teste」

 

「…は?」

 

本日、今作戦終了に伴い当基地に補強された新人の面接をしようと五月雨と共に執務室で待っていたら、いきなりスンゴイの来た…

今更パッキンは珍しくないが、ただのパッキンではなく、赤や白やら青やら変なメッシュが入った大変個性的なヘアー、まるで特殊な個性が光るシネマスターが来てしまったと思ったが、問題はそこじゃない

 

「Oui?」

 

「…オイ五月雨、コイツなんて言ってるんだ?」

 

「さぁ?フランス語はちょっと…」

 

そう、何を言ってるのかさっぱりわからないのだ

英語圏には少々自信があるが、フランス語はまったくわからん

 

「フランス語か…まいったな、フランス語はポワンアヴィドゥとデビルプロポーズぐれーしか知らないんだが」

 

「メルシーとかあるじゃないですか、それとたぶんデビルプロポーズはフランス語じゃないですよ」

 

「え?マジ?」

 

まいったなぁ、あとわかるのはジョルジュ・ド・サンドとローゼスビットしかわからんぞ

 

「Excecuse moie?」

 

「誰かフランス語ペラペラのヤツいないのか?このままでは面接にならんぞ」

 

「そうですね、ちょっと待っててください」

 

五月雨は身振り手振りでとりあえずコマ……コマンドーなんたらに椅子に座って待つように伝え、どこかへ行ってしまった

 

「…」

 

「…」

 

…気まずい、っーかなんでフランス語なんだよ?日本に来るなら日本語覚えてから来いよクソが、どんだけ見切り発車でうちに配属させてんだよ、うちは日本語スクールじゃねぇんだよ

 

「お待たせしました」

 

「おせーよ」

 

「フランス語が話せそうな人を連れてきましたよ!」

 

「でかした!」

 

なんだ?うちにフランス語が話せるインテリが居たのか、そいつは意外な盲点だったな…

五月雨は恭しく頭を下げて連れて来た人材を部屋に招き入れた

 

「どうぞ、こちらで御座います」

 

「Thanks a lot」

 

陛下ァァァァァ!!!

五月雨が連れて来たのは人材は間違う事無き陛下ッ!!こ…コイツ、よりによって陛下をたかが通訳に使う為に連れて来やがったァァァァァ!!

 

「うわ!すげー変な色!ガン●ムみてー!」

 

「リベ知ってる!ガン●ム!リベ、ゲルググ●リーネのプラモ持ってる!」

 

しかも陛下と共にやって来たらしいアホなガキどもが早速新人に絡んでやがるッ!!困ってる!あきらかにあのフランス艦困ってるじゃねーか!?

 

「オイサミー!ちょ!ちょっと来い!」

 

「なんですか?」

 

俺は五月雨を近くに呼び小声で舌打つ

 

「なんで陛下!?なんで陛下呼んじゃったの?なんなの?処刑されたいのオマエ?ギ●チンの音聞きたいのォ!?」

 

「や、ホントは香取先生をと思ったんですけど、たまたまアホな子供達と戯れる陛下に声をかけられまして…」

 

「しかしなぁ…なぁオイ?」

 

「私もさすがにそれはと思ったのですが、フランス語なら心得があるし清霜さんとリベッチオさんがフランス艦見てーとゴネまして…」

 

「なるほど…」

 

さすがは陛下、深い御方だ…あとキヨシとリベッチオはあとで土下座させよう

 

「Admiral、Commandan Testeさんですが、日本語、多少は大丈夫だそうです」

 

「は?」

 

「ダイジョウブです!」

 

‐‐‐

 

「次の方どうぞ~」

 

衝撃のフランス艦、コマ……コマンダラなんたらの面接を終了し、次を呼ぶ

ちなみに、コマ…めんどくせぇな、そのコマさんは陛下やアホガキどもと共にFamilyrestaurantにlunchに行った、陛下は最近ファミレスがお気に入りらしい

 

「またワケわからん国のモンじゃねーだろーな?」

 

「大丈夫です、次は国産です」

 

五月雨は冷蔵庫からオレンジジュースを出してグラスに注ぎ、俺の机に置く

 

「国産か…ちなみに、名前はなんと言ったか?」

 

「山風さんです、一応、私の妹にあたりますね」

 

「ふ~ん」

 

俺は机に置いてある缶コーヒーを飲み、履歴書的な書類に目をやる……写真を見るに、なんか目ツキ悪いガキだな

 

「ところでサミドラゴニスくん」

 

「五月雨です、なんですか?」

 

「さっきから俺の臑に執拗に蹴り入れてるこのガキは何者かね?」

 

正面から見るに、机の影に隠れて見えない低身のガキがさっきから座っている俺の臑を執拗に蹴っていた

 

「山風さんです、一応、私の妹にあたりますね」

 

「そうか…」

 

この目ツキと発育の悪い緑色が白露型最後の戦士か…

 

「シッ!シッ!」

 

「シッ!シッ!じゃねーよ!なんだテメーはァ!!」

 

「ヒッ!?」ビクッ!

 

緑色のそいつは最大出力の電マを喰らったみたく飛び跳ねて机の正面に回り込んだ

 

「ブッ飛ばされてーのか?ア゛ァ?オレはガキだろーが失禁するまでケツ叩いて動画撮影するぞォ!」

 

「ヒッ!?ヒイイィィ!!」

 

「ちょっと!いきなりなんてコト言うんですか!怯えてるじゃないですか!」

 

「うるせぇ!!だいたい!なんだオマエは!名を名乗れ!名を!」

 

「………山風」ビクビク

 

「山風か、ポジションはどこ希望だ?ピッチャーか?」

 

「別に、どこでも…」オロオロ

 

「よしわかった、下で徹底的に鍛えてやる!五月雨、コイツを夢島に連れて行け!」

 

「夢島…?」

 

「夢をみる島のコトです、結構バッドエンドっぽい名作ですね、私は好きでした」

 

「俺も好きでした、キミはどうだ?」

 

山風は一瞬、ビクッ!と電マインパクトみたく跳ねると悲しそうな顔で笑った

 

「私は………どろぼーになった」

 

「いいね!そのチャレンジ精神!決して勝てない相手に向かって行く度胸ッ!キミには期待している」

 

「…どうも」




次回はその②、神風型のヤンチャボーイ朝風とアメリカから来た新たなる性の刺客!


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続・提督と新人と面接②

本日二本立て
新人面接回の後半戦

【登場人物】

朝風
神風型二番艦、神風型らしくハイカラ、声がタ●姉

Saratoga
レキシントン級二番艦、二番艦らしくスケベボディ、声がタ●姉

提督(68)
インテリ眼鏡型提督、本体より眼鏡の方が硬い、声がタ●姉じゃない

五月雨(30)
白露型六番艦、驚くほど髪が長い、声がタ●姉じゃない



「次の方どうぞ~」

 

午後の部、午前の2人で既に疲れているが仕事である以上は仕方ない、だいたい、日本語が怪しいフランス水母とコミュニケーション能力が怪しい駆逐艦ってなんだよ、なんでそんな胡散臭い人材が回ってくるんだ…

 

「神風型二番艦、朝風、長崎生まれ!」

 

「ふ~ん」

 

「なによ、ふ~んって…」

 

午後の部1人目、見た目でわかるハイカラでモダンな格好、あの人斬り大好き抜●斎みたいなヤツの妹か…

 

「オマエアレだろ?性能的にはアレな感じのどうせ残念なアレなんだろ?」

 

「アレアレゆーな、アレじゃわかんないっての!っーか残念ってゆーな!」

 

「うるせぇな、タ●姉みてーな声しやがって、なに?お姉系なの?」

 

「はぁ?」

 

「お姉系目指してるならそのガッカリボディをバンキュッバンにしてから来いよ、ガッカリだよ」

 

「うわ…ムカつく、なにこの眼鏡」

 

「とりあえずオマエのガッカリ姉ちゃんとガッカリ妹もうちには居るし、オマエもガッカリシスターズとガッカリファームでガッカリ鍛えて来い」

 

「ガッカリガッカリゆーな!神風姉ェはボチボチあるでしょ!」

 

「あ゛?浜風ちゃんと比べたら神と虫ケラほどの差があるわ」

 

せめて神と神のレベルになってから口答えせんかい

 

「とりあえずうちではまともな給料とか期待できないのでアルバイトをお勧めしてます、はい、こちらがすぐにやれるアルバイトです」

 

五月雨はアルバイト要項の書かれた書類を朝風に手渡した

 

「…魚雷磨きと芋の皮剥き」

 

「神風さんとか魚雷磨き上手いですよ、ヤバいぐらいピカピカな鏡面仕上げです」

 

「へぇ…」

 

‐‐‐

 

「次の方どうぞ~」

 

タ●姉みたいな声したハイカラ駆逐艦の口答えも終わり、いよいよ最後か…そろそろアマイモン食ってエネルギー充填したいんだがな

 

「オイ、なんかアマイモン持ってねーか?」

 

「甘い物ですか……あ、前に夕張さんから貰ったシロサイも2秒でコロリと逝く飴ならありますけど?」

 

「殺す気かッ!ったく、使えねー野郎だな」

 

「あとは角砂糖ですね」

 

角砂糖か、個人的にはもうちょいスイーツ的なモノを期待したんだがな、しかしなんだろう?目を閉じると、心なしかこのコンクリート造りの殺伐とした執務室にとてもスウィーティオな香りが漂っている気がする

 

「Hello、Lexington級2番艦、Saratogaです」

 

「…五月雨クン」

 

「なんですか?」

 

「コレだよ、私はね、コレを待っていたんだよッ!」

 

面接の最後を飾るアメリカから来たレキシントン級ッ!これがレキシントン級ッ!クッ!なんだコレは……これがレキシントン級ッ!いや、レキシントン級ッ!!

 

「どうも、当基地を預かるAdmiralです、むさ苦しいところですが歓迎いたします!」キリッ

 

「は…はぁ?どうも」

 

「五月雨クン、ティーを!今すぐサラトガくんに極上のティーを!」

 

「ティーなんかありませんよ、あ、オレンジジュースでいいですか?」

 

「あ、はい」

 

五月雨の野郎、サラトガくんへの飲み物をオレンジジュースで済まそうとは…そのオレンジは100%なんだろうな!?

 

「100%中の100%なんだろうなァ!?」

 

「普通のバヤ●ースです、はい、どうぞ」

 

「Thanks」

 

ダイナマイツパッキンガール、アイオワも大概だったが、サラトガもまさしくアメリカンサイズ、ジャパンの基準でLサイズセットを注文したらとんでもない量が出ちゃった感じだ

 

「あの…え~…サミダレさん?」

 

「はい」

 

「もしかして、Admiralは疲れているのでは?」

 

「えぇ、まぁ、だいたいこんな感じなので深く考えないでください、あと、此処では一般的な基地と違って給与形態が少々アレなので…あ、詳しい詳細はこちらに」

 

「Thanks、ありがとう」

 

さて…とりあえずアレだな、出来るだけ紳士的に揉ませて頂けないか考えるか、人は何故山に登るのか?答えは山があるからだ、まずは山の具合を観察し登頂へのプランを練るか

 

「…ふむ?」

 

「お疲れ様でしたー」

 

五月雨は扉の向こうにヘラヘラと手を振っていた

 

「…五月雨くん」

 

「なんですか?」

 

「サラトガくんは?」

 

「帰りました、あ、私も今日はあがりますので、お疲れ様です」

 

「あぁ、うん、お疲れ」




次回から平常運転です


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提督とPolaとオウガバトル

なんやかんやで150回目、通常運転のアツいバトル展開、ポロリもあるよ!

【登場人物】

提督(69)
普段は米、気が向いたら麦、たまに芋

ポーラ(3)
帰ってきた最終禁断症状、アルコールなら何でも構わない

浜風ちゃん(3)
だいたい名前だけ出る、真面目


最近とみに寒さを感じる今日この頃、俺は明石に注文していた高い焼酎が届いたとの連絡を受け、明石の店に来ていた

普段はとりあえずビールのビール党だが焼酎も飲む俺は年の瀬だし多少贅沢してもバチは当たらんだろうと考え、高いヤツを買ったのだ

 

「羽振りがいいですねぇ、パチ●コでも勝ったんですか?」

 

明石の野郎がニコニコしながら現金を受け取るのがなんか気に入らなかったので、とりあえずビンタしてから金を払い、俺は高い焼酎を手に私室に戻ろう歩きだしたのだが、その前に煙草でも吸おうと考え喫煙所へ向かった

 

…それが悲劇の始まりだとも知らずに

 

◆◆◆

 

「え~…火はどこやったか」

 

喫煙所に来た俺は早速煙草を胸ポケットから取り出し火を点けようとしたが、ライターが無い、しまったな…ライターは上着の胸ポケにいれっぱなだったか

 

「火が欲しいんですかぁ?はい、どーぞ」シュボッ!

 

「おう、悪いな」ジジジ…

 

火を探す俺の前にライター売りの少女のごとく、偶然通りがかったのであろうそいつは大変助かるタイミングで火を貸してくれた

 

「フーッ~…」

 

「うへへへ~」

 

そう、偶然だろう、まさか尾行されていたとかそんな事は無い筈だ、俺はファミリーを疑ったりはしない、そう、例え相手の視線がさっきから俺の横にあるブツをガン見していたとしてもだ

 

「ポーラ知ってますよぉ~、それ、イモジョウチューでしょ~?」

 

狩人のような輝く瞳、イタリアから来たアルコール依存艦、ポーラ

 

「しかもポーラのお小遣いじゃちょっとお高くて買えない感じのヤツですよねぇ~」

 

「…フーッ~、いつからだ?」

 

「ポーラ、明石さんのお店では●めの一歩立ち読みしてましたぁ~」

 

「…明石から聞いたのか?」

 

「ポーラ鼻が良いんですよぉ~、控えめに言っても猟犬くれー鼻がいいって前にザラ姉様が誉めてくれましたぁ」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

選択肢は2つある、今ここでコイツとバトルし、勝利するか、もう1つはコイツの追撃を振り切って私室まで逃げ込むか!

前者はなかなかホネが折れるタフな展開になる、しかも、俺はこのブツを守護りきらねばならないと言う防衛戦になる、ならば後者、俺の私室の前には何人たりとも寄せ付けない鉄壁の守り、魔宮薔薇の陣がある、たかが重巡のボウヤ程度では突破は不可能…

 

「あ、ザラ姉様」

 

「え゛!?」

 

俺は灰皿を蹴り上げてポーラに目潰しをかまし一気に走るッ!最大速力!今の俺を止めるには同じく光速の世界に入門するしかないだろう

 

「アデュー!ポーラガール!」

 

「しまッ!!逃がさないッ!逃がさない!ニガサナイ!ニガサナWRYYYYYYY!!」

 

予想以上に速いッ!!廊下を疾走する俺、スタートが遅れている筈のポーラ、だがおそらくヤツは0コンマを争う位置に追って来ているッ!

 

「アルッ!アルアルアルアルコォォォル゛ル゛ル゛ゥゥゥゥ!!」

 

「怪物めッ!」

 

控えめに言って、ミケランジェロの彫刻のような大胆かつ躍動的に壁を蹴るポーラ!上から強襲するポーラの尻ギロチンをかわし、俺はさらに疾走する

 

「俺の部屋まではどんなコースを使っても40秒はかかる!」

 

「酒ッ!飲まずにはいられないッ!!」

 

「デ●オかッ!」

 

「テイトクのイモジョウチューはどんな味ですかぁ?ウヒ!ウヒェ!ウヒェヘヘヘヘ!」

 

侮っていたッ!ヤツの爆発力ッ!アルコールを摂取しようと生き抜くヤツの土壇場のエナジーをッ!このままでは追いつかれるッ!

 

どうする?ヤるか?ここでヤツを迎え討つか?だがおそらく今のポーラの速度は俺のスネークバ●トが当たるかどうかすら怪しい………ならば!

 

「スネークバ●トォー!!」

 

「Dolce!チョコ・ラテのよーに甘いですよぉ!」

 

案の定、ポーラは俺のスネークバ●トをかわした

 

「かかったなァ!」

 

「なんとぉ!?」

 

俺はそのまま壁をブチ抜いて中の部屋へと転がり込む、あとは部屋の壁を同じようにブチ抜き外に出れば40秒のところを5秒で部屋へと到達可能ッ!完璧なプラ…

 

「……うっ、なんだ?この部屋はッ!白いぞッ!まるで寒い日に硫黄臭漂う温泉地に迷い込んでしまったかのような白さ!さらにッ!ズボンにからみつく温水のような重さッ!!」

 

間違い、これは…お湯ッ!!ならばここはッ!

 

「ウヒ…ウヘヘヘ、そうですぅ…ここは大浴場ですよぉ~…テイトクぅ」

 

「なにィ!?」

 

俺がブチ抜いた穴から白い湯気が抜けてゆき、侵入してくるポーラ…

そして、今まさに身体を洗っていたらしき艦達が驚愕の視線を一斉に俺に向ける

 

「ちょ!え?ちょ!マジありえないんですけど!え?なんなの変態なの!?」

 

「変態!まごうことなき変態ですわ!」

 

なんてコトだ…紳士であるこの俺がまるでT●L●VEるみたいな展開にッ!!クソッ!まるで嬉しくねぇ!!

 

「さぁ~…テイトクぅ、それをポーラにもわけてくださいよぉ~…テイトクの持つそのポーラが大好きな濃い匂いの詰まったヤツをペロペロさせてくださいよぉ~」

 

「誤解を招くよーなコトゆーなァ!」

 

しかも!今ここでッ!!

クッ!今すぐこの場を離れたいが、あの銀髪は間違いなく浜風ちゃん!ダメだ、足が!足が動かないッ!まるで魔法にかかったみてーに動けない!

 

「WRYYYYY!!もはや行動不能ッ!そしてようこそ!ポーラの永遠のフューチャー………って!!ダビデッ!!」

 

今まさに、飛びかかろうするポーラにスナップの利いたビンタが炸裂し、ポーラは聖なるポーズで壁に激突した

 

「ポーラァァァァァ!!い、い!アナタ一体ナニやってる!ナニやってるのッ!」

 

「ヒッ!ヒィィ!ざ…ザラ姉様ッ!」

 

「部屋に居ないから1人でお風呂に行ったら……ねぇ?ポーラ、アナタ、ナニやってるの?ねぇ?ナニやってるの?ねぇ?」

 

「え…あ、いや…えっと……テイトクと夜のオウガバトルで…」

 

「ねぇ?」

 

M字開脚のまま床に頭を付ける新感覚の土下座をキメるポーラにゆらりと寄る姉は誰がどう見てもキレていた、おそらく、今から惨劇と言う名のオペラが始まるのだろうと誰もが確信した

 

「……よし」

 

俺は深く息を吸い込んで吐き出し、できる限り紳士的に全裸娘達に向き直った

 

「…じゃ、ご湯っくり」

 

よし、逃げよう

 

「ふざけんなテメーッ!!」

 

「この変態野郎がァ!ナニがご湯っくりだボケェ!!」

 

なんか色々飛んできた、痛い!なにコレ!痛いッ!!この石鹸ッ!ジャイロ回転しとるやんけ!痛ァ!!

 

 

後日、風呂場の改装費の一部負担と精神的トラウマの賠償金を請求され、せっかく貯めたプール金を失った



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提督と天木曾とサンタ美少女

天より降臨した戦慄のサンタ美少女とキラキラの回

【登場人物】

提督(70)
中二病、細かい数字は覚えないが面倒くさい口上は覚えている

天龍(3)
中二病、銀幕デビューで最高に濡れた

木曾(3)
中二病、外ではONで部屋ではOFF、姉ちゃん達が怖い



「天より降臨せよ!万能なる魔界の支配者!天魔王ゴッド・ゼクス!」

 

「ヘッ!きやがったなゴッド・ゼクス!こいよ!返り討ちにしてやるぜ!」

 

秋の作戦も無事に終わり、特にやる事もない俺は同じく暇人の天龍とアツかりしカードバトルに興じていた

 

「さぁその天下を穫ると大口叩いたその口で敗北のターンエンドを宣言しろ!」

 

「フッ、オレはまだ負けてねぇぜ…ッ!オレはこのドローに賭けるッ!………引いたぜ、希望を!」

 

「なにッ!?」

 

アツく燃え上がる魂の勝負、天龍め…やはりお前は大したやつだ、お前とのファイトはいつだって俺を熱く燃え上がらせてくれる、だからこそ!お前と言う最高のファイターだからこそ倒し甲斐があると言うものだッ!

 

「大変だァァァァァァ!!提督ッ!大変だァァァァァ!!」

 

「む?」

 

「お?木曾」

 

俺と天龍のアツいバトルの中、執務室の重厚な扉を勢い良く開き、妙に焦った様子の木曾が駆け込んで来た

 

「どうかしたのかね?」

 

「オマエもヤるか?」

 

「ハァハァ…提督、と…天龍か、いや、今はそれより大変なんだッ!」

 

球磨型軽巡の末っ子、木曾、俺や天龍と同じく暗黒物質やキリル文字に心ときめくピュアな心を持つ逸材

 

「オマエがそれほど焦るとは、まさか……“ヤツ”らかッ!」

 

「フッ、どうやら新たなる聖戦の始まりらしいな、クッ!左目が疼くぜ」

 

ちなみに天龍の左目にはかつてこの世界を恐怖のズンドコに叩き落とした黙示録の竜が封印されているらしい

 

「いや……そうじゃなくて」

 

「じゃあなんだよ?」

 

「水くせぇぞ木曾、オレらマジダチじゃねーか?」

 

俺と天龍は木曾を温かく迎えてやり、天龍は自分の飲みかけのオレンジジュースを木曾に差し出した

 

「実は…」

 

「実は?」

 

「部屋に帰ったら………美少女が居たんだ」

 

重苦しく口を開いた木曾、そうか…美少女か

 

「は?ナニ言ってんだ木曾、イカレてんのか?」

 

「イカレてねーよ!マジなんだよ!マジで美少女なんだよ!サンタの格好したァ!」

 

「ナニ言ってるんだ木曾、そんなの現実にあるワケないだろう?そーゆーのはT●L●VEるかエロ本の中にしかないんだよ」

 

まぁ、そーゆー慌てん坊のエロサンタは読者の心に配慮して冴えない男のところにしか来ないんだよ、木曾みたいなイケメンのトコには来るのは最初からパンツ穿いてねー痴女なんだよ

 

「マジなんだって!昨日から球磨ねーちゃん見ないなって思ってたら…」

 

「ふ~ん」

 

「なんだ?球磨ねーちゃんどっか行ってるのか?」

 

球磨ねーちゃんを頂点とする球磨型軽巡、たしかに、たまに球磨ねーちゃんと多摩ニャーはフラリとどこかに消え、見た事のない浴衣の美少女がうろついている事がたまにあるが…

 

「球磨ねーちゃんの事だから大木でも殴りに行ってるんじゃねぇの?」

 

「あ~…あるな、ナワバリ争いで」

 

「ウチのねーちゃんをなんだと思ってるんだよ!」

 

「意外と優秀」

 

「変なアホ毛」

 

「あ~…わかった、オマエらが球磨ねーちゃんの恐ろしさを心底理解してないってコトはわかった」

 

木曾が言うとなかなか説得力があるな、さすがは球磨型恐怖の縦社会、だが、その恐怖の縦社会の結果、木曾はこうして俺達闇の住人となっているのだが…

 

「よし、じゃその美少女見にいこーぜ」

 

「フッ、面白れぇ」

 

「天龍!オマエ、ナンパしろよナンパ!オマエ黙ってたらイケメンだからイケるって!俺が女だったら即股開くね!」

 

「え?マジ?フフ…まぁ仕方ねぇよな、だってオレ!世界で一番強くてカッコいいしな!」

 

世界水準を超えた残念なイケメン天龍、黙っていたらカッコいい

 

「ちょ!待てよ!相手は正体不明の美少女だぞォ!オレなんか部屋開けた瞬間におっふ!しちまったんだぞォ!」

 

「なにビビってんだ木曾、イケメンのくせに」

 

「そうだぜ木曾、オマエほどのイケメンがおっふ!する美少女……この天龍様と!」

 

「趣味は創作弁当作り、ハンサムメガネ男子の俺がいればその場で即、夜のクリスタルクリスマスパーティーさ」

 

「お…おぅ!」

 

さぁ行こう!あの木曾をもおっふ!させたプリンセスを迎えに!乗り遅れるなよ、俺達と言うKUR●FUNEに!

 

俺達は最高のキラキラを撒き散らせながら、颯爽と球磨型の住む寮へと向かった

 

途中、うーちゃんや鹿島先生とすれ違ったが、うーちゃんにはポケットに入っていたキャンディを渡し、鹿島先生には名刺を渡し、今夜の予定を開けている事を伝えた、心なしか、鹿島先生は引いている気がしたが気のせいだろう

 

そして、俺達は球磨型軽巡の住む部屋へとやって来た

 

「…開けるぞ」

 

木曾は緊張した様子でハァハァしながら扉を開いた、そこに……ッ!

 

「なんだクマ?やっと帰ってきたクマね」

 

「…おっふ!」

 

「…おっふ!」

 

見た事のないサンタ美少女が居た、俺だけじゃない、あの勘違い系ヤンチャボーイの天龍すらおっふ!

 

「木曾、ストーブの灯油切れそうだから買ってこいクマ」

 

「モタモタすんなニャー」

 

多摩ニャーは木曾にお金を渡す、お釣りはお菓子買っていいとのコトだ

 

「あ、あぁ…うん」

 

「ん?提督とテンリューも一緒クマ?うちの子と仲良くしてくれるのはいいけど悪い遊びを教えるのはダメクマよ」

 

「あ、はい」

 

「ダイジョブっす、ハイ」

 

扉が締まり、俺達はただ、おっふ!とだけ言った…

 

「…な?」

 

『『誰だよアレ!?』』

 

俺と天龍は同時に吠える!なんだあの美少女!?

 

「オレが聞きたいよッ!!」

 

『部屋の前でうるせぇークマ!!さっさ買って来いクマァ!!』



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提督と鈴谷と確定地●震

提督と鈴谷と平常運転の回

【登場人物】

提督(71)
好きな技はダボーレップーケン

鈴谷(24)
ビッチ、今まで穫られたパンツの枚数は覚えてない


『このままでは終わらんぞォー…終わらんぞォー…ぞォー…』

 

妙に心に残るエコーと共に、画面上のス●オみたいな髪型のプッツンあんちゃんが舞う

 

「バ…バカなッ!す、すすす鈴!鈴鈴ッ!鈴谷ののの!チームがぜぜぜ全滅ッ!めつめつ…!」

 

「だってオマエ、弱いもん」

 

今日こそのボコボコにしてやんよと息巻いて、俺に対戦を申し込んで来た鈴谷、負けたらパンツ脱ぐ羅刹ルールを快く承諾した鈴谷の表情は自信に満ちていた、おそらく、相当ヤリ込んできたに違いない、そう感じた俺はあえて先方に大●を選択し、容赦なく地●震をブチかました、無印98で

 

「汚っ!!ナニそれ汚っ!!」

 

「地●震が汚いだと?バカめ、嫌ならさせるな、そんなヤツがアンチマニュアルを気取ってプライドなんか語るんじゃあない」

 

まぁ、普通にバグを利用したダーティーな戦法使ったがな、どうやら鈴谷は知らないらしい

 

「オラ、パンツ脱げよ、薄汚いう●こ染みたパンツを」

 

「薄汚くないし!う●こも染みてない!クッ…」

 

「モタモタすんなダボハゼビッチが」

 

「…あの、もう1回して頂くワケには?」

 

「いいぞ」

 

「ホント!」

 

鈴谷は俺の意外な答えに驚きつつ喜ぶ

 

「その前にパンツ脱げよ」

 

「や………ちょっとそれを待って頂きたいのですけど?それでいて、鈴谷が勝った場合はパンツ脱ぐのを免除して頂いた上に3万円頂ければなと…」

 

「は?」

 

「に……いち、1万円でいいです」

 

「はぁ?」

 

「ご…5千円、5千円で!」

 

なんてふてぶてしいビッチだ、パンツ脱がない上に金まで請求してくるとは…普通ならば、通るかッ!そんなもん…っ!そんな理屈…っ!ダメっ!ダメっ!と言いたいところだが、俺も鬼ではない…

 

「…火」

 

「はい」シュボッ!

 

「フーッ~…」

 

「それで、いかがでしょうか?」

 

「いいよ、呑もう、オマエが勝てば3万円、あとパンツも脱がなくていい」

 

「え?マジ…?」

 

「マジ」

 

「やったぁ!!テイトクぅ!ハナシわかるじゃん!」

 

「お前が負けた場合は、太●の達人の前でバチをケツに突っ込んだまま公開オ●ニーしながらKURE●AIをプレイして貰う」

 

「罰が厳し過ぎるッ!!へ…変態ッ!いや!変態!!」

 

鈴谷は台パンしながら猛抗議してきた、ダメじゃないか、台は優しく扱わないと…

 

「変態じゃない、提督だ、やるのか?やらないのか?」

 

「できるかッ!!負けた時のリスクがシャレになってねーし!そんなコトしたら鈴谷変態の烙印押されてもう部屋から出られなくなるじゃん!」

 

「よし、なら5万にしよう」

 

「ご…5万、円?」

 

「円」

 

鈴谷は少し考えてみる、勝てば5万円、負ければ変態

 

「………やらない、うん、やらないし」

 

「仕方ないなぁ鈴谷くんは、じゃあ10万でどうかね?ん?」

 

「じゅ……10万、円でしょうか?」

 

「円ですけど?」

 

鈴谷は再び黙り込んで熟考する、勝てば10万円、負ければ変態…揺れるっ!鈴谷の心っ!

 

「…やら」

 

「あ?」

 

「…やらない!うん!やらないし!鈴谷そんな変態プレイはさすがにムリだし!っーかそんな変態プレイできるかッ!」

 

「そうか」

 

「そうです!」

 

己の心、欲望に打ち勝った鈴谷は清々しい顔をしていた、その顔はまるで黄金の風ような爽やかさすら感じる

 

「わかった、じゃ、パンツ脱げよ」

 

「は?」

 

「は?じゃねーよ、今さっき負けたろーが、ゴチャゴチャ言ってねーで早く脱げよ、そこに撮影中のプリクラあるから脱いで来いよ」

 

「なんで撮影中ッ!チッ…いいし、トイレ行ってくる」

 

「モタモタすんなよ、あと、微妙に湿らせていいぞ、そこらの変態に売ってカレー食いに行くから」

 

「鬼畜かッ!す…鈴谷のパンツ売って!カレー!カレー食いに行くとか!行くとかぁ!」ポロポロ

 

マジ泣きッ!!まさかのマジ泣きッ!!

 

「まぁ泣くな、オマエにも奢ってやるよ、大盛にしてもいいぞ」

 

「ホント?やったぁ!!」

 

コイツ、アホなんだろうか…?いや、アホなんだな



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提督と長門とVRV

約20年前に現れた最先端の回

【登場人物】

提督(72)
盤上のナイトの事を未だにシグマと呼んでしまう

長門(9)
ビッグ・ロリコン・セブン、金はどうでもいいがちやほやしてもらいたいが為に行動している



「あ、クソ!コイツつえーな」

 

師匠が走る師走、特にやる事もなく、日々の最低業務だけをこなしていた俺はPCの画面に悪態をついていた

 

「失礼するぞ」

 

「あ゛?」

 

執務室の無駄に重厚な扉を開き、これまた無駄に重厚な腹筋を持つ重厚な戦艦が入って来た

 

「なんだ、長門か」

 

「なんだとはなんだ?」

 

「なんか用か?ご覧の通り、俺は忙しいのだが?」

 

「エロゲーでもしていたのか?」

 

「違う、チェスだ」

 

「チェス?あぁ、あの将棋っぽいアレか」

 

「そう、将棋っぽいアレだ」

 

まぁ下手の横好きと言うヤツだが、ちょっと自信あったんだがなぁ~…やっぱネットの世界はやべぇよ、ハンパじゃねぇ

 

「勝っているのか?」

 

「5戦全敗した」

 

「弱いな」

 

「俺が弱いんじゃあない、相手が強いんだ」

 

PCの画面上、俺が挑んだ対戦者ザーメミ、5戦全敗したがコイツの強さは伊達じゃない、強くてクールで度胸がある、どこのどいつか知らんが、おそらくプロだろう

 

「もういい、やめだやめ!」

 

俺は対戦相手に“ありがとうございました、いいバトルでした”とメッセージを送ると、相手から“フヒヒ雑魚乙”と書かれたメッセージが届いた

 

「腹立つなコノヤロー」

 

「まぁそういきり勃つな同志提督よ」

 

「同志じゃねーよ、だいたいオマエはなんだ?何の用だ?」

 

「うむ、実はこのビッグセブン、来るクリスマスに向けて駆逐艦のキッズ達にプレゼントを買おうと思ってな」

 

「ふ~ん」

 

「そこで同志提督に相談に来たと言うワケだ」

 

クリスマスか…そういや去年、アイツらバカどもがサンタ狩りとか言ってに街に繰り出して後日、五月雨と所轄に頭下げに行ったな

 

「このビッグセブンの調べによると、駆逐艦のキッズ達は流行りのVRゲーム機が欲しいらしい」

 

「生意気言ってるんじゃないよクソガキどもが、メガド●イブで十分だろーが」

 

「まぁ落ち着け、実はこのビッグセブン、既にそのVRゲーム機を入手している」

 

「なんだ?買えたのか?」

 

「あぁ、先日、陸奥と蟹を食いに行った際に偶然見つけてな」

 

「ちょっと待てオマエ、は?ナニ?蟹食いに行ったの?」

 

「あぁ、美味かったぞ!」

 

俺が発泡酒とチーカマ食ってる間に、なんて贅沢な野郎だ…

 

「ちなみにコレが買ってきたVRゲーム機だ、なんとソフト5本もついて5千円だった」

 

そう言って長門が紙袋から取り出したのは真っ赤なマシン、その形状はまさしく時代の最先端を行き過ぎたVRマシンッ!

約20年前、1人の天才が作り出し、世に放ったゲーム機

 

「バーチ●ルボーイッ!」

 

「フッ、どうだ?カッコいいだろう?」

 

長門のアホは得意気にしているが…

まぁ、なんだろうな…VRって言えばVRなのか?コレ?

 

「コレさえあればこの冬、キッズ達の人気はこのビッグセブンが独り占めだろうなぁ!ハッハッハ」

 

コレの購入に関し、同行していたであろう陸奥が止めなかった事に悪意を感じるな

 

「コレさえあれば!あのウォースパイトに勝てる!今こそ…今こそキッズ達の人気を取り戻し、このビッグセブンがちやほやして貰う時なのだ!なぁ同志提督よ!」

 

コイツ!陛下に対してなんて害意を持ってやがる…ッ!まぁたしかに、陛下はクソガキどもから絶大な人気だが…

 

「ハハハ…ハッハッハ…ハァーッハッハッハ!

 

「うるせぇよ!」

 

「すまんすまん、このビッグセブン、つい興奮してしまった」

 

「まぁいいんじゃねぇの?そのバーチ●ルボーイがあれば」



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提督と速吸と魔女の棲む家

季節感を利用する回

【登場人物】

速吸(3)
久々の登板、速吸クン
バカだらけの中で珍しいまともな稀少な人材、大鯨ホエールズのクローザー

グラーフ・ツェッペリン(3)
クール&スタイリッシュな魔界に生まれし無双の者、長門とは違うベクトル


朝、あまりの寒さに股間が縮み上がる中、速吸クンと日課のキャッチボールをしていると制球を乱した速吸クンのジャイロレーザーが股間に直撃し、危うく大惨事となるところだったが、寸でのところでコ●カケを使用する事で難を逃れた俺は速吸クンの作った朝からメガ盛りサンドイッチをベンチで食べていた

 

「どうぞ!温かいココアです」

 

「ありがとう」

 

速吸クンは持って来た水筒から温かいココアを淹れて俺に手渡す、うちのバカどもの中でこれほど気の付くよく見るとかわいい子はそうはいない

 

「今度の新外国人もかなりヤるらしいぞ、もう会ったか?」

 

「あ、サラトガさんですね!はい、先日会いました」

 

アイオワと違い、サラトガはマリーンへの入隊前の半年はマイナーに居たらしく地区優勝にも貢献したそうだ

 

「やっぱりオーラがありますね、強打者の風格と言うか…なんて言いますか、色々大きいものを感じました!」

 

「そうか、まぁたしかに色々大きいな」

 

既にメジャー入り確実と言っていいあの凶器のようなバストは並みの艦に出せるものじゃない

無駄に大ボリュームなサンドイッチをココアで流し込んでいると、広場の向こうに大きな紙袋のようなものを抱えた顔色の悪いヤツが歩いているのが目についた

 

「ナニやってるんだ、グラーフ」

 

「む?Admiralか……それと、グラーフ・ツェッペリンだ」

 

ドイツの白色乳デカ空母、グラーフ・ツェッペリン、常に顔色が悪いが体調はいつだって良好ゥ!らしい

 

「面倒くせぇな」

 

「人の名を面倒くさいなどと言うな、それと……貴様は、ハヤ?ハヤズリだったか?」

 

「速吸です!」

 

「すまん…ハヤズイ、ハヤズイだな、よし、今覚えた、失礼したな」

 

コイツ、顔色もそうだが表情も変わらんから本当に反省しているのかしてないのかわかりにくいな

 

「ところでそのグラーフ・ツェッペリンくんは朝から一体ナニをやっているんだ?芳醇な人間のエキスでも求めてさまよっていたのか?」

 

「言っている意味がわからんな」

 

グラーフ・ツェッペリン、未だ、一部の艦やアホなキッズ達から血を吸うと噂されている

 

「その紙袋はなんだ?」

 

「コレか?コレは母国より取り寄せたStollenだ」

 

「シュトレン?」

 

「Stollenだ」

 

8っちゃんさんがよく食ってるアレか、前に食べるかと勧められて食べてみたがなかなかアレな感じのモンだった、しかし…今、グラーフが持っている紙袋に入っているシュトレンはアレだな、そう…

 

「デカいな」

 

「まだ切ってないからな」

 

「ふ~ん、そんなデカいのを食うとは、なかなか剛毅だな」

 

「そのまま食う訳がなかろう、これをクリスマス用に飾り付けてお菓子の家風にするのだ」

 

「お菓子の家か…」

 

まさかこの吸血おっぱいからそんなメルヘンな単語が飛び出るとは思わなかったぞ

 

「へぇ、お菓子の家ですかぁ~…昔、実家でそんな本読んだコトありますね!」

 

速吸クンは速吸クンでお菓子の家に興味津々らしい、やはり女の子はそーゆーメルヘンなのが好きなのだろうか?いや、速吸クンの事だ、きっとト●コを愛読していたのだろう

 

「オマエ、そんな器用なコトできたのか?」

 

「当然だ、何故なら私はグラーフ・ツェッペリンだからな」

 

何故ならじゃねーよ、グラーフ・ツェッペリンだからなで済ませようとするんじゃないよこの乳袋は

 

「すごいですね!私なんか蒸しパンぐらいしか作れない尊敬します!」

 

「速吸クンは蒸しパンが作れるのか」

 

「はい、田舎に居る時はよく作りました、最近も……え~っと、2ヶ月ぐらい前に作りましたね、駆逐艦の子達と」

 

「ほぉ…」

 

グラーフが駆逐艦の子と言う単語に反応した

 

「その話、詳しく聞かせては貰えないだろうか?」

 

「詳しく…?ですか?」

 

「あぁ、相応の謝礼はしよう」

 

グラーフはポケットからブ厚い財布とユーロ紙幣を取り出した

 

「いやいやいや、そんなお金貰う程では…」

 

「いや、このグラーフ・ツェッペリン、十分な謝礼をしなければ気が済まないタチでな、まぁ貰っておいてくれ」

 

「やめておけ吸血空母、速吸クンが困っている」

 

「む」

 

「やめておけ」

 

「そうか…ならば仕方あるまい、謝礼は後日振り込みと言う形で」

 

わかった、コイツバカなんだな、クールでスタイリッシュを装ってだけのバカなんだな!

 

「グラーフ」

 

「グラーフ・ツェッペリンだ、次に略したらAdmiralと言えど体に風穴が開くぞ」

 

「こんな話を知っているか?」

 

…ある基地にとある戦艦姉妹が居た、姉は普段は寡黙で近寄りがたく人生を背中で語る神話の時代からのアニキであり中身は駆逐艦をクンカクンカスーハーしたい生粋のロリペド野郎、妹は近寄り易く女子力の塊、子供達にモテモテのパーフェクトお姉さん

ある日、姉は妹に“どうしてオマエばかり駆逐艦のエンジェルス達にモテモテなんだ!ズルいぞ!”と言い、妹はこう答えた“はぁ?今、忙しいからその話、後でいい?”と…

 

「まぁ、普通に聞いただけでは見苦しい姉の話でしかないな」

 

「グラーフ・ツェッペリン、お前もこの見苦しい姉と同じだ、なんか近寄り難いオーラを醸し出している」

 

「なんと!」

 

まぁそれだけではなく、第一印象で血液をベロベロしそうと言う点もあるんだが…

 

「な…なんと言うコトだ、Admiral!では私のお菓子の家でキッズ達と楽しいクリスマス大作戦はどうなる!?」

 

「このままでは確実に失敗するだろう」

 

「Sitzsack!なんと言うコトだ……このままでは、私はまた犬しか居ない孤独なクリスマスを過ごさねばならないのかッ!」

 

「大丈夫ですよ!グラ……グラペリンさん!グラペリンのお菓子の家ならきっと駆逐艦の子達も興味を持ってくれますよ!」

 

「は…ハヤズリ!」

 

「グラペリンさんに足りないもの……あ、そうだ!笑顔!笑顔とかどうですか!」

 

「………笑顔か」ニマァ

 

邪悪ッ!!なんて邪悪な笑顔だ、これは並の駆逐艦なら確実に漏らす!!

 

「その意気です!」ニコッ

 

「ありがとうハヤズリ、このグラーフ・ツェッペリン、勇気が湧いてきたよ」ニマァ…



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提督と北方海域とヒゲサンタ

燃え上がるアツき魂のサンタあらゆるトナカイを統べる皇となる回

【登場人物】

木曾(4)
中二病、ルックスもイケメン

五航戦
登場は久々、イベントでは最終海域で登板したのでそれなり稼いだ、重装甲

利根(2)
通称も自称もワガハイ
かけ算は7の段でつまづく

筑摩(2)
利根姉さんの妹、利根姉さん至上主義の過激派


たまには真面目に仕事でもするかと考え、机の上に置いた書類に目を通していると今月に入って北方海域に行ってない事に気付いた

 

「サミダットリーくん、そういや北方海域に誰か行かせたっけか?」

 

「五月雨です、私は記憶にないですね」

 

五月雨も特にやる事がないらしく、明石の店で買った漢字のクロスワードに頭を捻っていた

 

「とりあえずいつものメンバーに行かせとくか」

 

別に絶対に行く必要は無いが、月一回は制圧しておかないと本部からの心証が良くないしな、こーゆー地味なところでキチンとポイントを稼いでおくのが健全な基地の運営、そして俺の評価に繋がるのだ、俺は内線を手にとり、木曾(イケメン)に電話をかけた…

 

‐‐‐

 

「大変だァァァァァ!!提督ッ!大変だァァァァァ!!」

 

「ノックしたまえ、ノックを」

 

木曾に北方海域に行って来いと指示をして数分後、立てこもる為に重厚に造られた執務室の扉が勢いよく開き、ルックスもイケメンな木曾がハァハァ言いながらやって来た

 

「大変だァ!!」

 

「何が大変なのかね?」

 

なんかついこないだも似たような事があった気がするが…

 

「北方海域に行こうと思っていつものメンバーを集合したら………変なヒゲサンタと変なエロトナカイが居るんだッ!!」

 

「…はぁ?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレてるのか?

 

「まぁ落ち着きたまえ同志木曾、サミダンテくん、ミスターにアツいティーを淹れてやりなさい」

 

「五月雨です、あと、木曾さんはイケメンですがミスターではありません、オレンジジュースでいいですか?」

 

五月雨は冷蔵庫からバヤ●ースを取り出しグラスに注ぎ、木曾に手渡した

 

「…ふぅ、ありがとう、少し落ち着いた」

 

「それはどうも」

 

「で?なんだってエロサンタとトナカイがどうのこうのって…オマエ、エロ本読みすぎなんじゃねぇのか?疲れてんだよ」

 

イケメンのくせにエロ本なんか読み漁りやがるとはふてぇヤツだと叱りたいところではあるが…

まぁ、コイツのトコは姉ちゃんが怖いから鬱屈した欲望を溜め込んでいるのだろうし、大目にみて、後で貸しもらうか

 

「違う!ヒゲサンタとエロトナカイだ!」

 

「はぁ?」

 

「とにかくヒゲサンタとエロトナカイなんだよ!あー…説明するのが面倒くさい!とにかく提督も来てくれよ!」

 

「おいおい、そんなに引っ張るなよ」

 

木曾に袖を引っ張られ、とりあえず、俺と五月雨は北方海域制圧メンバーのところに行く事にした

 

‐‐‐

 

「あ、提督さんじゃん」

 

港に行くと、どちらかと言えばまだまともな空母、五航戦の2人が立っていた

 

「なにそれ?お菓子?差し入れ?」

 

俺が持つコンビニ袋を目ざとく見つける五航戦の妹、瑞鶴、姉から厳しくも甘やかされてノビノビと育った当基地には珍しい普通の空母

 

「駄目よ瑞鶴、お菓子なら部屋にあるでしょう?」

 

五航戦の姉、翔鶴、妹の前でのみパーフェクト姉を演じる事ができるある意味欠陥空母、若いのに頭が白いのはその反動だろう

 

「よぉ、オマエらも居たのか?」

 

「居るよ、仕事だし」

 

「大切なお仕事ですから」

 

真面目で結構な事だ、クサレ外道の一航戦パイセンにも見習って貰いたいものだ

 

「それで?サンタとトナカイはどれだ?俺自ら修正してやる」

 

「アレじゃないですか?」

 

「あ?」

 

五月雨が指差す方向に、たしかに………変なヒゲと変なトナカイが居る

 

「…なんだアレ?」

 

「な?変なヒゲサンタと変なエロトナカイだろ?」

 

たしかに、木曾の言う通りだな…しかし、ナニやってんだコイツら?コスプレ?いや、そーゆープレイなのか?

 

「変なヒゲではない!ワガハイじゃあ!」

 

「知ってるよッ!」

 

バカみたいに胸を張る変なヒゲサンタこと航巡、利根

 

「ワガハイが利根じゃあ!」

 

「だから知ってるっての、なんなんだオマエは?なんだその格好は」

 

「見てわからんか?ワガハイはサンタじゃ、サンタはワガハイでありワガハイはサンタであるのじゃあ!」

 

「素晴らしいです、利根姉さん」

 

そして、ワガハイに対して一切の光を感じない暗黒空間のような瞳で恍惚な表情を浮かべるエロトナカイ、航巡の筑摩

 

「サンタは利根姉さんであり利根姉さんはサンタであり利根姉さんは利根姉さん…」

 

ダメだ、まったく意味がわからねぇ…宇宙の心が彼とか言われるぐれー理解できねぇよ、なんなんだ?新手のプレイなのか?

 

「さぁ行きましょう利根姉さん、深海のゴミクズどもに鉛弾と言うプレゼントを届ける殺戮のパレードに」

 

怖ぇよ!!なんだこの妹ォォォ!!

 

「うむ、筑摩の言う事は難しくてよくわからんがわかった!」

 

そしてこの姉、バカだよこの子ッ!!



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提督と夕張と日替わり神話

本日二本立て

太陽を背に倫理観と戦う回

【登場人物】

夕張(11)
倫理観ゼロ、カロリーゼロ


綾波型10番艦、平均的な駆逐艦のサイズを超えるキ●キの世代に近いアレを持つ駆逐艦


「新しい装備を開発しました!ハッキリ言って自信作です!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「あふんッ!!………なんでいきなり叩いたんですか?」

 

紙オムツからズワ●スまで、クレイジーな思考とカミワザの技術力で造り出す現代に生まれた稀代のプッツン造形者、夕張はいつもの自信作とやらを自信満々に持ってきたのでついビンタしてしまった、反射行動とは恐ろしいものだ

 

「どうせまたロクでもねぇアレな感じの発明だろ?今度はなんだ?人語を話すキメラか?」

 

「違いますよ、もっとちゃんとした武器です、武器!ほら!」

 

そう言って夕張は今回の発明らしい1本の槍を取り出した

 

「…足がないな」

 

「足なんか飾りです」

 

しかし槍か…まぁ、昔は叢雲も持ってたし、コイツにしては意外とまとなモンを作ってきたな

 

「この赤い布はなんだ?」

 

「あ、それ取っちゃったらエネルギー全開なんで気をつけて下さい、あと、困ったコトにこの槍、普通の人には使えないっぽいんですよ」

 

「使えねぇモン作ってくるなよ」

 

「う~ん、原因はよくわからないんですよねぇ」

 

「一応聞いておくが、この槍の成分は?」

 

「え~…たしかニッケルと隕鉄と純鉄と銅と……」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「さばとッ!!………なんで叩くんですか?」

 

「完全に獣の●じゃねーかッ!!なんてモン造りやがるんだオマエはッ!あ゛?言え!誰を溶鉱炉に放り込んだァァァァァ!?」

 

倫理観など生まれた時から持ち合わせていないコイツだ、おそらくはその辺に居たヤツを…

 

「えっと、駆逐艦の潮ちゃん」

 

「ウシオォォォォォ!!!」

 

「…が秘密裏に池で飼っていたイ級を放り込みました」

 

潮……本人じゃないのか、ひとまずは安心したが、っーかイ級とか飼ってたのかあのヤロー、乳デカいからって許される事じゃないぞ

 

「ホントは潮ちゃん本人でも良かったんですけど、基地から1人居なくなって疑われると厄介ですし、アリバイ作るのが面倒だったので」

 

…コイツ、面倒じゃなければ間違いなくヤるつもりだったな

 

ゴン!ゴン!

 

夕張の倫理観に戦慄していると、執務室の重厚な扉がノックされ、丁度その潮がやって来た

 

「あの…提督、ちょっとお話が、あ、夕張さん」

 

「ハァイ、夕張さんですよぉ」

 

「何の用だ?」

 

「あの…裏の池で飼っていたイ……いえ、フナが居なくなってしまって、もしかして何か知らないかと…」

 

フナか…まぁ、イ級とは言い難いな、本来なら嘘を吐く事を咎めたいところだが、不思議とそのおっぱいを見ていると許してやりたくなる、だが誤解してはいけない、俺はロリコンではないのだから

 

「そのフナなら溶鉱炉にブチ込んでこの槍になりましたよ?」

 

「…は?」

 

夕張は1ミリの悪びれた様子もなく爽やかに言い、手にした槍を潮に手渡してやった

 

「え?槍…?え?溶鉱炉…?」

 

「おかげで完成しました、●の槍」

 

「うん…まぁ、そーゆーコトらしい、言っておくが悪いのは全部コイツだぞ」

 

「え?私なにか悪いコトしたんですか?」

 

潮は槍を手にポロポロと涙を流した

 

「そんなぁ…ひどい、ひどいよぉ!痛かったよねぇ!怖かったよねぇ…!辛かったよねぇ!!」ポロポロ

 

「あ~…オマエのせいだからな、ちゃんと誠心誠意謝れよ」

 

「許さないッ!許さないッ!憎いッ!憎いッ!憎い憎い憎い憎いッ!」

 

「お…おい!なんか潮の様子がなんかおかしいぞ?」

 

心なしか、元々長い髪がさらに伸びている気がする…

 

「これは……提督!獣の●の真の力が目覚めたんですよ!そう、潮ちゃんこそこの槍の伝承者なんですよ!」

 

あきらかに凶暴性を増した潮は槍を手に、驚くべきスピードで夕張の背後に回り込んだ

 

「このクソ野郎がァァァァァァ!!」

 

潮の振るう槍が夕張のア●ルに突き刺さった

 

「ひぎぃ!!」

 

「この野郎ォォォォォ!!タローの仇ッ!仇ッ!仇ッ!」

 

「ちょ!痛ッ!痛い痛い痛い!マジで痛い!!」

 

そうか、飼っていたイ級はタローって名前だったんだな

 

「あっ…!あ!アッー!!」

 

 

この後、怒り狂う潮にタローとの別れを見せる幸せな邪眼をかけて事無きをえ、獣の●は怨みを晴らしたのか、光になって消えてしまった



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足柄と大淀とFatalFury2‐新たなる戦い‐

提督不在のワイルド礼号回

【登場人物】

足柄(2)
通称、ワイルドウルフ
男なら拳一つで勝負せんかい

大淀(2)
通称、デスマシーン
データに無い事にはめっぽう弱い


「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、かつて南町商店街を仕切る闇の帝王をビルから落下させたこともあり駆逐艦のキッズ達から憧れの対象とされている

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

足柄とはマジでダチ、略してマジダチの関係らしく、よく二人で夜の水族館に行ってはお気に入りの服の袖をギザギザにして帰ってくる

 

「ここは楽しい談話室だぜ?キッズ達がビビってトランプできねーじゃねぇか?」

 

大淀の言う通り、駆逐艦のキッズ達はビクビクと怯えながらいつでもワイルドウルフのパワーウ●イブが飛んできてもいいように下段ガードの体勢をとっていた

 

「む?そう…そうね、オイ!オマエらァー!悪かったな!コイツでクッキーでも買いなァ!」

 

足柄はバー●リーの財布から数枚の紙幣を取り出し、一番近くに居た朝潮にスタイリッシュに投げ渡した

 

「ヒュー!足柄サンオトコマエーッ!」

 

「さすが足柄サン!マジワイルドウルフッ!」

 

キッズ達は足柄に頭を下げてキャッキャ言いながらマミーヤ・ママの店にクッキーを買いに行った

 

「…で?ナンで荒れてたんだオメー?また合コンでも行ったのか?」

 

「あ゛?行ってねーし、っーか先週オマエと行ったろーが」

 

つい先日、足柄と大淀は提督に頼み込み、若手イケメン将校との合コンをセッティングしてもらったのが、三対三のスリーマンズマッチだったので、とりあえず自分達より積極性と自己主張が無く、可愛いさと美しさを備えていない(これ重要)チームメイトを誰にするか悩み“そうだ!ほら!なんかあの田舎のJKみてーな重巡いたろ?ほらアイツアイツ!たしかそう…古鷹!そう古鷹だ!”と結論付け、古鷹さんを最後のチームメイトとして声をかけ、いざ決戦の場に向かった

 

『スイマセン、遅れてしまいましたぁ』

 

決戦の場に現れたのは足柄も大淀も知らない都会的に洗練され、美しさと可愛いさを兼ね備えたスタイリッシュ重巡

足柄と大淀は知らなかった……改二改装され、洗練された古鷹さんの姿を…

 

結果、その日は古鷹さんと言う無双セイバーが火縄大橙DJ銃、若手イケメン将校達をおっふ!させてカチドキを挙げるには十分な破壊力を振るった

 

「…チッ、思い出すのも忌々しい!」

 

「まったく、まさかあのヤボスケがあれほどのポテンシャルを秘めていたとは計算違いだったぜ」

 

足柄と大淀は苦々しい思い出に溜め息をついた

 

「で?先週の合コンじゃねーならなんで荒れてたんだ?」

 

「いや、昼間キヨシとアサシとカスミとデパート行ってよぉ~」

 

「なんで誘わねーんだよ、は?ナニ?仲間ハズレ?私だけ仲間ハズレ?」

 

「いや、誘おうと思ったんだけど私の車4人乗りだしさぁ」

 

「は?ナニ?ス●オ?ス●オかなんかなのオマエ?いいよ、オモテ出ろよ、タイマン張ろーや」

 

大淀は指をバキバキと鳴らして椅子から立ち上がる

 

「まぁハナシは最後まで聞けって、まぁ座れ、な?お茶でも飲むか?アッサーム」

 

「いただきます」

 

「…まぁ、そんなワケで4人でデパート行って、ガキどもは玩具売り場かゲームコーナーに放って私はバッグでも見ようと思ったワケよ」

 

「オカーサンか、オメーは」

 

大淀はアッサムに砂糖を角砂糖を3個入れてカップをかき混ぜる

 

「そしたらよぉ、なんか広場?なんかほら1Fとかにあるじゃん?広場的なの」

 

「催事場ってヤツな」

 

「そこでクリスマス?子供クリスマス抽選会みてーなのやってんの、サンタだけじゃないですげーモフモフっぽいトナカイいんの」

 

「ふ~ん」

 

「もうキヨシとアサシが大ハシャギ、サンタすげートナカイすげーって袖引っ張んの」

 

「まぁ、アイツらピュアだしな」

 

「カスミも興味なさげっぽくしてんのに内心めっちゃトナカイに興味津々っぽいのな」

 

「っぽいな!」

 

「で、なんかレシート千円分で一回抽選できるしサンタとトナカイと撮影できるっーからキヨシとアサシがめっちゃ撮影してーってゴネるのな」

 

「まぁ、そうなるわな」

 

「カスミも内心めっちゃトナカイ触りたいのモロバレなのにキヨシとアサシにダセーダセー言ってんの」

 

「誰に似たんだろーなぁ」

 

「まぁ、私もそのぐれーならいいやと思って3人に上で遊●王カードでも買って抽選して来いよって五千円渡したのな」

 

「オカーサンか」

 

足柄は自分のカップに紅茶を注いで角砂糖を8個入れてかき混ぜた

 

「で、私は5階行ってバッグ見てたのな」

 

「買った?」

 

「いや、買ってない、で鼻歌唱いながらゴキゲンにバッグ見てたら館内放送でキヨシちゃんとアサシちゃんとカスミちゃんの保護者の方呼び出し、もうこの時点で嫌な予感しかしねーのな」

 

「あ~…」

 

「で、1階に行ってみたらカスミガン泣き」

 

「カスミかよ!キヨシじゃねーのかよ」

 

「なんだよチクショウと思ってよく見たらクビがもげたトナカイが横たわってんのな…」

 

「あ~…」

 

店員曰わく、撮影する際、霞はトナカイのクビの辺りに抱き付いたらしく、子供ではありえないぐらい過度な力で締め付けたのか?トナカイのクビがもげたらしい

 

「まぁ、でも中の人が機転を利かせたらしく中の人はカメみてーに頭を胴体に引っ込めて顔バレは阻止して中の人などいませんよと子供のユメは守ったそーだ」

 

「アルデバ●ンか」

 

「まぁ、でもカスミからしたらトナカイを惨殺したよーなモンだし、周りの子供から見ても楽しいクリスマスイベントが一転、惨殺ショーなワケよ、カスミだけじゃないで周りの子供も泣きまくり」

 

「うわ~…行かなくて良かった」

 

「で、結局いたたまれなくて頭下げまくってソッコーでガキども連れてデパートを後にしたワケよ」

 

「まぁ、なんっーか…まぁ、ゴクローサン」

 

「で、帰りの車ん中でキヨシとアサシがカスミに元気だせよーって抽選で当たったお菓子ボリボリ食って車内に食べカス落としまくり、マジあの顔面にサニーパ●チ叩き込んでやったわ、心の中で」

 

「心広いなオマエ…マジワイルドウルフ」

 

「まぁ、カスミを元気付けようとした結果だしな、ハァ…今度こそアイツらとはデパート行かねー、マジ決めた、ゼッテー行かねー、今度オマエ連れてけよ」

 

「え?ムリ」



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提督と白露型とベンキョー回

冬休みを制するドエロス淫乱ベンキョー回

【登場人物】

夕立(3)
ハイスペックなバカ、村雨とはマジダチ

村雨(4)
ハイスペックなバカでありビッチ予備軍、夕立とはマジダチ

春雨(3)
村雨の2つ下の妹で五月雨の姉、わりと普通だが隠しステータスに淫乱の項目がある


「やべーっぽい、やべーっぽい」

 

喫煙所で煙草を吸いながら来週の予定についてぼんやり考えていると、見るからに頭の悪そうな駆逐艦と頭の軽そうな駆逐艦がヤベーヤベー言いながら歩いていた

 

「ナニがヤベーんだ?」

 

「あ、提督っぽい」

 

駆逐艦夕立、白露型キセキの世代のエースアタッカーでその火力はハンパじゃない、そして、そのバカさもハンパじゃない

 

「また煙草吸ってるぅ」

 

駆逐艦村雨、白露型キセキの世代のセンターガードでその体格は並みの駆逐艦をヒネり潰す圧倒的ポテンシャルを秘めていると同時に圧倒的なクソビッチ予備軍

 

「期末テストで赤点3つ以上とったら冬休みに冬季集中講座に監禁されるっぽい」

 

「冬季集中講座?」

 

あぁ、そういや香取先生からなんかそんな感じの書類を貰ったな、さすがは香取先生だ…如何なる時でもクズどもへの熱血指導を忘れないアツい教育者の鑑だ

 

「ふ~ん、ま、ガンバレよ、冬季集中講座」

 

「だからさぁ、村雨達、それを受けたくないんですけどォ?」

 

「なら赤点をとらなければよかろう」

 

「そう思って昨日から村雨と春雨とベンキョーしてたのに気が付いたら朝まで桃鉄してたっぽい」

 

「ふ~ん」

 

そういや、夏にも似たような話を聞いた気がするな、まぁ、バカが集まってベンキョー会なんて無駄でしかなかろう…

 

「とりあえず、今日から心を入れ替えてテツヤでベンキョーするから明石さんのお店に栄養ドリンク買いに行ってるっぽい」

 

「あと、夜食のカップメン」

 

「ふ~ん…それで?もう1人はどうした?」

 

「もう1人?」

 

「今の話だと、オマエら2人と春雨が居たろ?」

 

「春雨なら裏切って時雨様に頭を下げてベンキョー教えて貰うってゆーから近所の大型雑貨店で買った強靭なロープで縛って部屋に置いて来たっぽい」

 

「1人だけ良い子ちゃんのフリするとかお姉ちゃん感心しないわぁ~」

 

なんてヤツらだ…コイツら、下の妹を地獄に引きずり込むのに何の躊躇も無い、むしろそれを当たり前の事としているッ!

 

「あ、そーだ、提督ベンキョー教えてよ、ベンキョー」

 

「お断る」

 

「えー?なんでー?」

 

「おとなしく冬季集中講座で生まれ変わって来い、冬休みを制する者は受験を制するってダイレクトメールに書いてたぞ」

 

「ケチっぽい」

 

「ケチじゃない、提督だ」

 

「ふ~ん、いいよ~だ!こんなゲスチンヤローに教えてもらわなくてもベンキョーぐらいできるし」

 

「ゲスチンヤローじゃない、提督だ」

 

なんて言葉使いやがるかねこの駆逐艦は、コイツ、一歩側溝に足を落とせば鈴谷と同じくエンコーまっしぐらだぞ

 

「ったく……わかったわかった、俺がわかる範囲で教えてやろう、言っておくが俺は文系だから理数は小学生以下だからな」

 

「提督、メガネなのに計算とかできねーっぽい?」

 

「フフッ、データ通りですねとか言いそうなメガネなのに」

 

「メガネがみんなデータ野郎と思うな、うちに居るメガネを思い出してみろ」

 

「…たしかに」

 

「…みんなデータ以上っぽい」

 

武蔵、霧島、ローマ、この3人だけでも“そのデータはさっきまでのオレだぜーッ!”と言って殴りかかるタイプだしな

 

とりあえず俺達は明石の店で買い物を済ませ(俺の金で)春雨が放置されている夕立らの部屋へとやって来た

 

ーーー

 

「     」ビクッ!ビクッ!

 

「…」

 

扉を開けると、白目で失神した春雨が転がっていた…

 

「あ、電マのスイッチ切り忘れてたっぽい」

 

「あ~…電池切れてる、もしもーし?春雨ぇ?春雨ちゃ~ん?ノックしてもしもぉ~し?」

 

ビタンビタン!(ビンタ)

 

村雨は春雨を引き起こして往復ビンタしてやると春雨の意識は一応戻ったらしい

 

「ぅ……ぅぅ、ぁ~」

 

「提督がコクゴ教えてくれるってー」

 

「ぅぅ…月が……月がキレィィ…ィ」

 

「栄養ドリンク飲ませるっぽい、はい、口開けてー!ちゃんと全部飲むっぽい!吐くなよ?吐いたら殺すっぽい」

 

どこで覚えてくるんだ?そんな鬼畜な台詞を…

 

「き…」

 

「き?」

 

「キクZENAAAAAAAAAAァァァァァ!!」

 

カッ!と目を見開いた春雨から目に見える程のスパーキングが迸るッ!!

 

「オイ、なんだ今の栄養ドリンクッ!?っーか栄養ドリンクなのか今の!?」

 

「明石さんが勧めてくれた深海棲艦の体液から作った恐ろしいほど身体がビンビンになるドリンクだけどぉ?」

 

「それ違う意味でビンビンだろ!?エロ同人とかでよく見る感じのヤツだろォ!?」

 

「Fuuuuuuu……生まれ変わった気分ですよ、夕立姉さん、村雨姉さん、この身体の奥底から湧き上がるパワーッ!もはや私はただの春雨ではありません、そう…スーパー春雨だッ!」

 

なにスープ春雨みてーな名前言ってんだコイツ…?しかし、さすがにエロ同人みたいな効果はないようだな

 

「じゃ春雨も元気になったトコでベンキョーするっぽい」

 

「そうねぇ、ほら提督も座って座って」

 

「ん?あぁ、オマエも座れよ」

 

俺はちょうどいいところにある春雨の頭に手を置いた

 

「ーーーーーッ」ビクビクビクーッ!!

 

「春雨ェェェ!!」

 

「春雨が漏らしたっぽい!」

 

「うわっ…キタなっ!!」

 

やっぱ効いてるじゃねーかッ!!

結局、春雨はアヘ顔から立ち直る事なく戦う前から戦線離脱、俺と夕立と村雨は途中で桃鉄をプレイし、後日の試験では姉妹仲良く冬季集中講座送りになったそうだ



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提督と山風と奇妙なダンボール

コミュニケーション能力が問われるルーキー回

【登場人物】

提督(73)
妖精さんが見えない心の汚れた大人、見えないけどなんとなくはわかる

山風(2)
改白露型のルーキー、コミュニケーション能力がちょっとアレ

明石(5)
野望の工作艦


そろそろクリスマスも近いのでクリスマスツリーでも出そうと考え、普段は使わない倉庫に来てみたら、見た事の無いダンボールが山積みしてあり、なんか緑色のファンキーな頭をしたチビスケが立っていた

 

「なんだコレ?」

 

「…あ」ビクッ!

 

後ろから声をかけた俺に、チビスケはビクーンと跳ね上がり挙動不審に視線をさまよわせていた

誰だっけ…?こんなヤツうちに居たか?

 

「なんだコレは?あと、キミは誰だ?」

 

「ダンボールは、知らない……あと、山風」

 

「山風?」

 

あぁ、そういやこないだうちに来たルーキーか、そういや五月雨からまだうちに馴染めず困ってるらしいからそれとなく皆の輪に入れるようにしてやれとか甘えた事を言っていたな…

 

「まぁそうビクビクするな、チョコレートをあげよう」

 

「……どうも」

 

俺はポケットに入れても大丈夫な溶けにくいチョコレートを山風に渡した、だが誤解してはいけない、ポケットにチョコレートが入っているからって俺はロリコンじゃあない

 

「しかし…なんだこの邪魔なダンボールは」

 

「…ここ」

 

「あ?」

 

「…ここに、アカシメイト宛って、書いてある」

 

たしかに、荷札にはアカシメイト宛と書いてあるな、とりあえずダンボールを1つ開封して中身を確認すると乙女がマジきゅん!するであろうイケメングッズが詰まっていた…

 

「あの野郎ォ…」

 

コレ全部店の商品か?売れるし需要があるからお願いしますと土下座されたのである程度は許してやっていたが、さすがにこの量は容認できんな

 

「チビスケェ」

 

「チビスケやめて…なに?」

 

「このダンボール、全部海に棄てるから手伝いたまえ」

 

「え゛?」

 

「そこの台車持ってきてくれ」

 

「え……あ、うん」

 

とりあえずアイツには一度痛い目をみせてやらんといかんな、あの変なスカートの横にあるスケベ穴から手を突っ込んでデモンズハ●ド喰らわせてくれる

 

ズッ…ズッ…

 

「ん?」

 

ダンボールに手をかける俺の腕に何か違和感のようなものを感じる気が……

 

パパパパパパパパ!

 

「な!?なにぃぃぃぃ!?」

 

俺の腕に突然痛みが走り、いつの間にか無数に空いた小さな穴から出血したッ!!

 

「なんだこれはァァァァァ!!ヤバい!なんかヤバいぞォォォ!!」

 

「…なにしてるの?提督」

 

台車をゴロゴロと押しながら山風が戻ってきた

 

「チビスケェ!!このダンボール!何かヤバいぞッ!」

 

「ヤバいって…?提督、周りに妖精さんがたくさんいるけど…?」

 

「妖精ッ!?」

 

さっきの不可解な攻撃は妖精かッ!?

 

『フッフッフ、カカッタナ阿呆メェ…コノ妖精サン達ハミンナますたー・明石ノシモベヨ!』

 

『我々ハますたー・明石カラコノだんぼーるヲ無断デ手ニカケル輩カラ守ルヨウニ依頼サレテイルノダ!』

 

『ソウ!自動的ニ!盗人ヲ攻撃スルヨウニナァ!』

 

「…って、言ってる」

 

とりあえず、妖精が見える系の山風から通訳して貰い状況は理解した、明石の野郎…なかなかヤるじゃねぇか

 

「チビスケェ、妖精はどのぐらいの数だ?」

 

「100…?100はいると、思う、うん…たぶん」

 

「明石の野郎がァ…コケにしやがって、たかが妖精ぐれー全部ブッ潰してや………ぐあっ!?」

 

「提督っ!?」

 

右足に激痛が走るッ!さっきの機関銃みたいなマメ鉄砲じゃあない!もっと重い大砲みたいな一撃ッ!!

 

「あ…足をやられたッ!!」

 

「コイツめ!コイツめ!あっちいけ!あっちいけ!」

 

『ギャース!』

 

『ギャース!』

 

山風は俺の足に憑いていたらしい妖精を追い払った

 

『商品ニ近寄ル者ニ死ヲ!』

 

『商品ニ近寄ル者ニ死ヲ!』

 

『消去セヨ!』

 

『消去セヨ!』

 

「うわ…なんか…いっぱいでてきた…」

 

「くっ!!」

 

コイツはなかなかヘヴィな状況だぜ、まさか明石のヤツがここまでヤるとはッ!!

 

「こうなりゃ本体を叩くか…チビスケ」

 

「…チビスケやめて、山風」

 

「その台車に俺を乗せて倉庫から脱出するんだ!」

 

「え~…」

 

「あとでチョコレートパフェ奢ってやるから早くしろォォォ!」

 

「…わかった」

 

俺を載せた台車を押し、山風は倉庫の出入り口へと走る、見た目はガキでもさすがは駆逐艦、大人1人を台車で載せてもなかなかのパワーだ

 

ぶーん……ぶーん……

 

「ん?」

 

なんかハチみたいな音が聞こえるような気が…

いや!!コレはッ!!

 

『ヒュー!ハンティングノ始マリダゼー!』

 

倉庫の上空から急降下してくるオモチャみてーな艦載機ッ!しかもあの機体は江草殿かッ!!

 

「チビスケェ!上だ!」

 

「チビスケやめて」

 

山風の意外と器用なコーナリングで江草殿の急降下爆撃をかわし、台車は更に走るッ!

 

『ヒュー!逃ガサナイゼ!カワイコチャ~ン』

 

正面にこれまたオモチャみてーな艦載機と友永殿ッ!?

 

「くっ!」

 

「くっ!じゃねーよチビスケ、ガンバレ!チョコレートパフェ以外に何が欲しいんだ!?プレ●テか?3●Sか?」

 

「……ケーキ、食べたい」

 

「ケーキかッ!?嗚呼わかった!クリスマスケーキのサンタの部分やるからガンバレ!な?」

 

「………チキンも、食べたい」

 

「焼いてやる!ドードーでもモアでも焼いてやる!クリスマスにはお誕生日席に座っていいから!な?」

 

「…………プレゼント交換とか、したい」

 

あーもう!面倒くせぇなコイツ!!どんだけコミュ障こじらせてんだ!?

 

「わかったわかった!オマエの望みは全部聞いてやるから!今はここから脱出するんだよォォォォ!」

 

「やくそく」ニコッ

 

◆◆◆

 

みんなの店、アカシメイト…

 

「ありがとうございましたー」

 

小さな紙袋を手に、古鷹さんがゴキゲンな様子で店を後にする、やはりうた●リ関連のCDはよく売れる、来月はDVDとブルーレイも出るし、予約も上々だ…

バカ正直に燃料とか弾薬とか売っている余所の真面目な基地や鎮守府に比べてうちの売上は常に上位をキープしている、今やこの明石こそ明石の中の明石、キング・オブ・明石となり全ての明石チェーンを支配する日は近いだろう

 

「笑いが止まらんとはこのコトですねぇ」

 

妖精さんの協力もあり、商品の管理も楽だし、もうちょっと入荷を増やしても…

 

「あ、いらっしゃま…」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

「明石ィ…」

 

「ヒッ!?」

 

て…提督ッ!!しかもこの様子はいつもの缶コーヒーやジ●ンプを買いに来た様子じゃあない、もっとヘヴィな内容だ…

まさか…?私がため込んでた在庫がバレた?

いや、私の“商品”を見たものは妖精さんが“自動的”に全て“消して”いるハズッ!!

 

「…俺の言いたいコトはわかるなァ…?」

 

「…た、煙草ですか?」

 

「いや…“商品”の交換をしてもらおーと思ってな、俺の“チケット”でなァ…」

 

「ヒッ!?ヒイイイィィィィィ!!」

 

‐‐‐

 

「実にすがすがしい気分だ、思わずマジL●VEレジェンドスターでも歌っちまいそーな気分だぜ」

 

“ゴミ”は“ゴミ箱”に捨て、俺は煙草に火を点けて煙を吐き出した

 

「ごほっ…ごほっ…!ケムい」

 

「む、それは悪かったなチビスケ」

 

「チビスケやめて」

 

「よし、ファミレス行くかファミレス!好きなモン食っていいぞ」



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提督と鈴熊と日本語解釈

ビッチな単語が飛び交う破廉恥回

【登場人物】

提督(74)
基地内にまことしやかに蔓延するホ●疑惑

鈴谷(25)
基地内にまことしやかに蔓延するエンコー疑惑

熊野(12)
ヤツの中途半端なアクロバティックがクマノに火を点けちまったようだ


「ナニ?鈴谷にナンか用なの?」

 

「あぁ、お前に用だ」

 

先日、香取先生と忘年会を兼ねてママの店でアツい今後必要になるであろう特別授業についてアツく話し合い、この件に関しては鈴谷が適任だろうと結論に至ったので、後日、早速鈴谷を呼び出す事にした

 

「ふ~ん、あれ?サミーは?休み?」

 

「休みだ」

 

たしか今日は姉妹でストバスするとか言ってたな…このクソ寒いのに元気な事だ

 

「ふ~ん、で?鈴谷にナンの用?手でするの?足でするの?鈴谷高いよ?」

 

「ナニ言ってんだオマエ?イカレてるのか?」

 

「ジョーダンだし、小粋なスズヤジョークってやつ」

 

「何がスズヤジョークだ、売女が」

 

「売女ぁ!?………クッ!ナンかビッチよか傷つくんですけど…っ?」

 

「まぁオマエが売女だろうがビッチだろうがどうでもいい、オマエに1つ仕事を頼みたくてな」

 

「仕事?出撃ならできればラクなトコがいいんだけど」

 

「誰が出撃と言った、カスが」

 

「カスゆーな!じゃあナニよ?口でするの?」

 

コイツ、小粋なスズヤジョークを挟みながらじゃないと会話できんのか、このビッチは…まぁいい、だからこそ、この仕事はコイツに相応しいのだろう

 

「今度駆逐艦のクソガキどもを集めてトクベツな授業をしようと思ってな、オマエにその講師をやって貰いたい」

 

「…講師?講師って…え~、アレ?先生的な?」

 

「まぁそんな感じだな」

 

「う~ん…まぁ、別にできるっちゃできるケドぉ~、先生かぁ~…ちょっと照れくさいなぁ~」

 

先生と言う単語に何か憧れでもあるのだろうか?何が照れくさいのかは知らんが…

 

「ちなみに鈴谷なんの先生するの?鈴谷こー見えて因数分解とかスラスラだよ?」

 

「ん?あぁ、安易な援助交際に潜む犯罪と破滅の危険性についてだが?」

 

「………は?」

 

「は?じゃねぇよ、安易な援助交際に潜む犯罪と破滅の危険性についてだよバカヤロウ」

 

さっきまで締まりの無い顔でヘラヘラ笑っていた鈴谷の笑顔が静止した

 

「現役援航巡の先生からの生々しい体験談を語って貰いガキどもに援交はとても怖いことなんだよと教えるカンタンな仕事だ、どうだ?楽な仕事だろ?」

 

「いやいやいや!え?ちょ、え?ちょ!待てよ!」

 

「なんだ?」

 

「なんだ?じゃねーよ!ハァ?鈴谷そーゆーのシテないから!生々しい体験談とかないから!」

 

「嘘つくんじゃないよこの子は」

 

「嘘じゃねーし!」

 

「じゃ、生々しくなくていいからオブラートに包んだ感じな」

 

「包むモンがないっーの!!」

 

「面倒くさいヤツだな、何が不満だ?アレか?顔バレか?アレだったらアレするか?なんかほら、微妙に透ける白い板置いて声を変えるアレ使うか?」

 

「全部だよッ!!全部不満だよ!鈴谷のコトなんだと思ってんのさ!?」

 

「ビッチ」

 

「クッ!!………わかっていたけど一刀両断ッ!」

 

まったく、プライバシーの配慮も考えてやろうってのに何が不満なのかねこの子は

 

「誰がそんな仕事やるかっーの!バーカ!」

 

「バカとはなんだバカとは、立て、修正してやる」

 

「もう立ってるよ!むしろオマエが立てよ!」

 

「フッ、たかが航巡のボウヤがこの俺に立てとはおこがましい、オマエではこのハンサムを椅子から動かす事すらできんよ」

 

「ほぉー…おもしれーコト言うじゃん?じゃ鈴谷が提督を立たせたら一万円ね!」

 

「やってみるがいい」

 

「上等ォォォ!!」

 

‐‐‐

 

実家からお歳暮のハムが届きましたわ、せっかくですし上司の方にも分けなさいと書いてあったので非常に面倒ですがハムを持ってきましたわ

 

ゴン!ゴン!

 

「熊野ですわよー!入りますわよー!」

 

執務室の無駄に重い扉を開くと、そこにはブレザーとスカートをズタズタにしてハァハァする鈴谷が床に片膝をついていた…

 

「…ナニ昼間からハァハァとハシャいでますの?」

 

「く、熊野ッ!手を出すんじゃあない!コレは鈴谷と提督のバトルよ!」

 

「はぁ?ナニ言ってますの?イカレてますの?」

 

「イカレてねーし」

 

とりあえず状況はよくわかりませんわね

 

「とりあえず説明してくださいまし、説明を」

 

「鈴谷が提督を立たせたら一万円ッ!」

 

「ほぉ…」

 

鈴谷が提督を勃たせたら一万円…

 

「それはまた…なかなかにアレですわね?と言うか、それ鈴谷の得意分野では?」

 

「そうでもないよ、あのヤロー!ピクリともしねーの!」

 

「なんと!?」

 

今の鈴谷はまぁ…中破とは言いませんがなかなか殿方的にはズキィーンとキそうな破廉恥スタイルに見えますが、ピクリともしないと!やはりあの噂は本当なのでは…?

 

「視覚的にダメなら、こう!いっそ、手とか足とかでどうですの?」

 

「へへ…それもなかなか難しい感じでね、まさに手も足も出ないってワケよ」

 

なかなか剛の者ですわね、いえ、実は不能なのでは…?

 

「フッ、どうだ?なんならお友達の手を借りても構わんぞ」

 

「え゛っ!?」

 

冗談じゃありませんわ!

 

「クッ!ホントはヤだけど……熊野、一緒にヤってくんない?」

 

「イヤイヤイヤ!イヤですわよ!そんな…私、こう見えて奥手でナイーヴですわ!」

 

「大丈夫だって!私と熊野のダブルスならイケるって!私がボレーかますから、熊野は得意のアクロバティックで…」

 

「冗談じゃありませんわ!!は…初めてでアクロバティック!アクロバティックなプレイを求めるなど…っ!高難易度過ぎますわ!無理無理無理!絶対無理ですわ!」

 

「いつもヤってんじゃん、とぉー!って」

 

「ヤってませんわよ!アナタと一緒にしないでくださいましこのアバズレビッチ!」

 

「ハァ!?誰がアバズレビッチだとコラァ?オモテ出ろ!タイマンだよ!タイマン!」

 

「上等ですわ!このクサレビッチ!」

 

私の大事な純潔をなんだと思ってますのこのクサレビッチは、今日こそキレましたわ!マジでキレましたわ!略してマジギレましたわ!



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提督と妙高型とナイトクラブ14

なんとなくチラッとだけ出ていた妙高型の頂点登場

【登場人物】

妙高
妙高型の頂点に君臨する長女、入隊前は地元で千人単位のチームを従えていた伝説のヘッド、同じ穴のムジナである高雄型とは絶望的に険悪

那智
妙高型の次女、ルックスもイケメン
単車に詳しく、かつてはデッドハウリングの二つ名で呼ばれたバイク乗り


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「ママ、アツいの1つツケてくれるかな?」

 

「ツケ払ってからいいなボンクラが」

 

「ハッハッハ、ママにはかなわないなぁ」

 

ママの無駄に長い煙管で額を強打され、頭蓋骨が砕けるのではないだろうかと思える痛みを味わった、やっぱママはハンパじゃねぇ、強くてクールで度胸がある…

俺はたまらん痛みを堪えつつ空いてるテーブルへと着席した

 

「フーッ~…」

 

そう言えばケーキの予約をしてる馴染みのクサレ洋菓子店から着信が来てたな、後で連絡しとくか

 

「妙高です」

 

「那智だ」

 

テーブルに現れたのはヤンチャ系重巡、高雄型に並ぶ、これまたヤンチャ系重巡、妙高型ッ!その中でもナンバー1と2!

 

「…まぁ、座りたまえ」

 

「どうも」

 

妙高型姉妹の頂点に君臨する長女、妙高、一見すると純和な魅力を感じる妙齢のスケだが、その実は些かキレやすいプッツン系で、特に、その髪型をサ●エさんみてーと言われるとマジでキレる

 

「今日は楽しくヤろうじゃあないか」

 

そして妙高型のナンバー2、勝って兜のなんとやらと言いながらスタイリッシュにワンカップを取り出す、ルックスもイケメンだ

 

「何をお飲みになりますか?」

 

妙高は精密に作られた笑顔と声色で静かに言う

 

「…いや、キモいんでマジやめてもらえます?」

 

「あ゛?」

 

「あ゛?じゃねーよ」

 

おっぱいモンスター、高雄と愛宕同様、コイツらも基本的にゲスなので今更愛想笑いとか吐き気がするわ

 

「チッ…人がせっかく真面目に接客してやろーとしてんのによォ、那智、注げ」

 

「冷やで?」

 

「ったりめーだろボケ、膝の皿叩き割るぞ?」

 

早速本性を見せやがったよこのヤロウ…

 

「あとフルーツ盛り合わせとロゼ」

 

「勝手に注文すんな妙齢型がァ!」

 

「ア゛ァ?誰が妙齢型だコラ?キン●マ蹴り上げるぞ?」

 

「やかましい、オイ那智、テメーの姉ちゃん全然ヤンチャじゃねーか、何が姉ちゃんも大人になってだいぶ落ち着いただボケ」

 

「そんな事はないぞ、以前の姉さんなら既にビール瓶で頭カチ割っているところだ」

 

那智のヤロウ…コイツ、しれっと勝手に飲んでやがる

 

「まぁ提督も姉さんも、ここは酒を飲む店だろう?とりあえず今日のトコは水に流して飲もうや?」

 

「ま…それもそうだな、那智、オマエ頭いいな、サスガ私の妹だよ、ダブらねーで卒業しただけあるな」

 

「ハハ、誉めるなよ姉さん」

 

「チッ…まぁいい、おい、俺も焼酎、お湯割り」

 

「芋か?」

 

「ん~…まぁ芋でいいや」

 

妙高型のナンバー2こと那智、姉妹で唯一危険物と毒劇物の資格を有しており、それなりに勉強ができるタイプらしい

 

「そーいやこないだ那智と羽黒と街コン行ってよォ~」

 

「何が街コンだ、っーか足柄は?」

 

「足柄ぁ?あぁ、アイツはダメだ、子持ち処女だからな」

 

サラッととんでもないディスり方してるよこの長女

 

「なんか羽黒ばっか声かけられんのな、マジで」

 

「まぁ、黙ってれば見た目はアレだしな」

 

妙高型の末妹にしてファイナル禁断革命、羽黒

一度キレると手がつけられないそのヤバさは妙高や那智ですら戦慄するらしい

 

「で、羽黒に寄ってきた害虫とラ●ンド1にボウリング行ったのな」

 

「害虫とかゆーな」

 

「そしたら別の街コン行ってた高雄のクソどもとバッタリ遭ってよォ~」

 

考えうる限り最悪の組合わせだな

 

「あのパッキンおっぱいがボール重~いとかキメぇコト言ってんのには笑ったわ」

 

「あぁ、あれはなかなかキモかった」

 

「そしたらあのクソども、急にキレて、そっからはもうガチよ!」

 

「おい、まさかラウ●ド1破壊したんじゃないだろうな?まだ請求書届いてないだけじゃないだろうな!?」

 

「那智、注げ」

 

妙高はグラスを那智の前に出す、那智は手慣れた様子でスタイリッシュに日本酒を注ぐ

 

「フーッ……美味いッ!!」

 

「美味いッ!じゃねぇよ!ヤったのか?何か壊したのか?」

 

「そんなヤンチャするワケねーだろ?ちょっとガチでボウリングしたんだよ」

 

「ガチでボウリングか…そもそもオマエらボウリングとかできたのか?」

 

「勿論だ、こう見えて姉さんは地元じゃ敵無しのプロボウラーだったからな」

 

「ふ~ん」

 

ちなみに、ボウリングの腕に関しては地元のボウリング場を溜まり場にしていた時期があり、その際に磨いたらしい

 

「姉さんと高雄の7ゲーム連続のパーフェクト合戦はなかなか見応えがあったぞ」

 

「なにそれ超見たい!」

 

コイツそんなに上手いのかよ!?っーか高雄も!

 

「いつの間にかギャラリーが増えて、共に来ていた男は金を置いて居なくなってたがな」

 

「まぁ、その気持ちはわからんでもない、で?結局どっちが勝ったんだ?」

 

「ま……最終的には殴り合いになったけどな」

 

「なんでだよッ!大人のオマエらは穏便にボウリング勝負したんじゃなかったのかよ!?」

 

「いや、なんか投げる度におっぱい揺れるの見てたらついイラッときて」

 

「あぁ、あれはイラッときたな」

 

「那智、注げ」

 

「うむ、提督も、グラスが空いているぞ」

 

「あ?あぁ、じゃ俺も日本酒でいいや」



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提督と神秋姉妹とティラ・ミス

冬の心温まりそうでよく考えるとそうでもない回

【登場人物】

神風(2)
神風型の長女、すきやきが好き

春風(2)
神風型の三女、すきやきの白菜が好き

朝風(2)
神風型の次女、すきやきの肉が好き

秋月(2)
秋月型の長女、通称AKI、常に最高に粋でイナセなカッコいいアネキ

照月(2)
秋月型の次女、通称TERU、姉妹一のスケベボディ

初月(2)
秋月型の四女、通称HATSU、姉ちゃん達をリスペクトしている妹の鑑


「コーヒー、あとこの糖分の塊みてーなのくれや」

 

「糖分の塊じゃありません、ティラミスです、お持ち帰りですか?」

 

「こちらでお召し上がりだよ肉●器が」

 

「肉●器じゃありません、間宮です、訴えますよ」

 

甘いもの食ってエネルギー充填すっかと考え、俺と五月雨は間宮の店に来ていた

 

「あ、私も同じもので」

 

「はいは~い、お会計は御一緒で?」

 

「御一緒でいいから早くしろよブタチチ女が」

 

「ブタチチ女ゆーな、お会計2980円になります」

 

相変わらず高いなコイツの店、まぁ、高いだけあって不味くはないと思うが…それにしても高い、ぼったくり禁止条例に引っかかるんじゃないのか?

 

「ありがとうございましたー」

 

俺と五月雨はそれぞれ受け取ったスイーツを手に、適当な席に座る

 

「クソッ!甘めぇ!」

 

「たまには悪くないですよね」

 

「たまにはな」

 

上等な甘さを摂取しつつ、味わい深いインスタントのコーヒーを飲んでいると、モダンでハイカラな女学生みたいな奴らがキャッキャ言いながら店にやって来た

 

「ゲェーッ!テイトク」

 

「ゲェーッ!じゃない、提督だ、君はたしか……緋村くん」

 

「誰よ緋村くんって、神風よ!神風!」

 

神風型の長女、神風、ナリは小さく、大変キレ易い身も心も小さい奴だ

 

「そして…HALだったか?」

 

「馴れ馴れしく呼ばないでくださいね?春風ですよ?」

 

神風型の三女、春風、妙に重量のある傘を持ち、ロールパンみたいなモミアゲをしている、見た目では気付きにくいがワリとキレ易い

 

「なにその茶色のやつ、美味しそう!」

 

「ティラミス様だ、こー見えてSだ」

 

そして最近加入したルーキー、神風型の次女、朝風、例によって短気だが、現在、見えていけない何かが見えている心の病を患っている、よっぽど好きなのだろう、悪魔の馬が

 

「神風姉!コレ食おーぜ!コレ!この茶色の!」

 

「えー…芋羊羹食うって言ったじゃん」

 

「いいじゃん!こっちの方が美味そうだって!」

 

「…でもそれ、お高いんでしょう?」

 

神風は財布を開いて中身と相談する、どうやら調子に乗って妹に奢ってやるつもりだったらしく、見たことの無い洋菓子、洋菓子=高級品みたいに思っているようだ

 

「2つで2980円のぼったくり価格だったぞ」

 

「2980円ッ!?ムリムリ、アサ、やっぱ羊羹にしなさい」

 

「えー!!いいじゃん、たまには洋菓子食べても!春風も芋臭い芋羊羹よかお洒落な洋菓子食べたいって言ってるし」

 

「芋羊羹の何が芋臭いよ!」

 

「神風姉は相変わらず鎖国しすぎだっての、早く文明開化しないと行き遅れちまうわ、KUR●FUNEに」

 

「あ゛?おいアサ、今なんっつたコラ?」

 

神風と朝風は互いにメンチを切り合いバチバチと火花を散らす、どうやらこの姉妹のパワーバランスは長女絶対君主性ではないらしい

 

「人が食ってる前で喧嘩すんな雑魚どもが、ゴチャゴチャ言ってないで芋羊羹でもティラミスでもいいから買って来いよ」

 

「買ってくるし、芋羊羹」

 

「じゃ、私はてぃらみすってのにする、自分で出すからね!」

 

「あーはいはい、春風は?芋羊羹?」

 

「私はそうですねぇ、本日のお勧めを聞いてからにします」

 

神風姉妹はゴチャゴチャ言い合いながらカウンターへと向かった

 

「仲が良いですね」

 

「仲良いのか?アレは」

 

まぁ、なんやかんや仲が良いように見えなくもないが……インスタントのコーヒーを飲みつつその背中を見ていると、新たな来客が店に来た

 

「ここがスイーツショップ・マミヤ…」

 

「すげぇよAKI姉ちゃん、すげぇ甘ったるい匂いがするよ!」

 

「本当に僕達が此処に入っていいのかい?」

 

「TERU、HATSU!今日は姉ちゃんが出すからなんでも好きなもん選べ!遠慮なんかすんな!」

 

「でもッ!AKI姉ちゃん!」

 

「いいから!おら!行くぞ、HATSUも!」

 

最近の子は発育が良いと香取先生も頷くスーパーモデル姉妹、秋月姉妹ッ!

 

「あ、提督」

 

「おつかれっす」

 

「よぉ、お前らも甘いモン食ってエネルギー充填しに来たのか?」

 

「はぁ、まぁ…たまには妹達に贅沢ってのをさせてやりたくて」

 

コイツらの稼ぎからしたらそこまで贅沢でもないハズなんだがなぁ

 

「あ…あの、その茶色のヤツ」

 

秋月姉妹の次女、照月はやや遠慮がちに俺の皿に載る物は一体何物かを問う

 

「ティラミス様だ、こー見えてSだ」

 

「ティラミス……」

 

「なんだTERU?オマエ、コレ食いたいのか?」

 

「え?いや…まぁ、美味そうだなってな、なぁ?HATSU!」

 

「あぁ、一体…どんな味が…」

 

「よし!じゃ!そのティラミス買うか!なぁ?TERU、HATSU!」

 

「いいのかよ!?AKI姉ちゃん!」

 

「AKI姉ちゃん、でもコレ、お高いじゃ…」

 

初月が不安そうな顔をしているのでとりあえず先に値段だけ教えてやるか

 

「2つで2980円」

 

『『『2980円ッ!!』』』

 

3人の驚愕ッ!そして秋月の膝が折れ、その場に崩れ落ち………ない、耐えた、秋月は耐えた、長女としてのプライドがそうさせたのか、秋月は見事に耐えきった

 

「ヤバいよAKI姉ちゃん!ムリだよ!」ガクガク

 

「そうだぜAKI姉ちゃん!!」ガクガク

 

「大丈夫…大丈夫よ、大丈夫だオマエらァ!!姉ちゃんに任せとけ!行くぞォ!」

 

「でもAKI姉ちゃん!」

 

「僕達、別にほら!角砂糖でも!」

 

「ゴチャゴチャ言ってるじゃねぇよ、たまには姉ちゃんにも姉ちゃんらしートコ、カッコつけさせろ?な?TERU、HATSU」

 

「あ…AKI姉ちゃん!」ポロポロ

 

「AKI姉ちゃん!」ポロポロ

 

秋月は2人の妹達をアツく抱きしめ、間宮の待ち受けるカウンターへと向かった

 

「…五月雨クン」

 

「なんですか?」

 

「…コレで、ティラミスを買ってきたまえ、切ってないデカいヤツがあったろ?」

 

「おひとつで?」

 

「おふたつ」

 

その日の午後、部屋に戻った神風姉妹と秋月姉妹の部屋の前に伊達●人と書かれたカードと間宮印の箱が置いてあり、タイガーマ●クが来たと基地内で噂されたそうだ




次回はザ・ビッチ・オブ・ビッチサンタ・オーバーロード


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提督と鈴谷とサンタナイト

本日二本立て
これはもう、そーゆープレイでは?を考える回

【登場人物】

提督(75)
登場から退場まで安定のクズ

鈴谷(26)
まさかのサンタコス、パンツは黒

ヒメ(2)
提督の後輩で同僚、女性将校、今回は電話先だけ登場、軍の闇に足を突っ込み気味のワリとギリギリを楽しんでいる


男には一杯のカミュを求める夜がある、酒場の隅で歯を喰いしばりながら喉の奥に号泣を呑み込んで、それでも肩の震えを隠しきれずに咽び泣きつつグラスを煽り、明日には何事も無かったようにする為に…

 

しかし、一杯のグラスだけでは足りない夜ってのが生涯に何度かある

 

そんな夜はどうするかって?そりゃオマエさん、アレだよ?アレ

 

「あ、もしもし?デ●ヘル頼みたいんですけどー?おっぱい大きい娘で」

 

‐‐‐

 

本日の業務は全て終了した夜の執務室、暇つぶしの秘書業務も終了した五月雨は既に自室に戻っている

 

「フーッ~…」

 

男にはムラムラする日がある、そう、冷静なって考えたまえよキミ、ここは男女比100対1みたいな職場だよキミ、ムラムラしない方がおかしいじゃあないか?

 

ブー!ブー!

 

「む、電話か…」

 

えらく早いな、そう思いつつ俺は素早く携帯電話を手に取りスタイリッシュに受話ボタンを押す

 

『あ、もしもしセンパイっすかー?私私、私っすよ私ー』

 

「…」

 

なんだ、間違い電話か…俺は通話終了のボタンを押した

 

ブー!ブー!

 

「…チッ、なんだ?」

 

『なんで切るんすか』

 

電話をかけてきた相手は会議にも来ていた士官学校の後輩、非常にウザいヤツだ

 

「なんの用だと聞いている?俺は忙しいんだよ」

 

『またまたぁ~、センパイのコトだしクリスマス前だしどうせ世のアベックに殺意を抱いてムシャクシャした気分を発散しようとデリ●ルとか呼んでるんじゃないっすか?』

 

「そんなワケないだろう」

 

相変わらず勘のいい女だ

 

『まぁ、そんなこたぁどーでもいいとして、センパイ、正月は実家には戻るんすか?』

 

「あ?まぁ、元旦ぐらいはな、それがなんだ?」

 

『や、せっかくなんでセンパイと一緒にご挨拶しよーと思いまして』

 

「なに言ってんだオマエ?イカレてるのか?」

 

『イカレてねーっすよ、まぁ冗だ…』

 

ブチッ!ツー…ツー…

 

よし、電源も切った、これでよし!

さて、あとは大人しく大人の時間を楽しむとしよう

 

ゴン!ゴン!

 

「む」

 

重厚な扉を叩く音、来たか!俺の希望の光がァ!

 

「どうぞ、入りたまえ」

 

「ティーッス、鈴谷が遊びに来ましたよ~めりくりめりくりぃ~」

 

やって来たのは………なんかビッチ臭がプンプンするどっかで見た事あるような馴染みの顔

 

「あ、まだ灯り点いてたから居ると思ったし、どぉ?コレ、サンタコス、ムラムラする?」

 

「…ムラムラするもなにも、え?オマエやっぱそーゆーバイトしてたの?」

 

「は?」

 

「え?なにその服?え?フェア?あぁ、そーゆーフェアやってんの今?」

 

「は?ちょ、ちょっとナニ言ってるかわかんない、え?」

 

参ったなぁ、まさかデ●ヘルで顔馴染みが来るとか、どんな罰ゲームだよ

いや、なんだ?罰ゲームっーかなんだろうな?この敗北感、今、俺の精神は神の域に達している気がする

 

「鈴谷」

 

「ナニ?あ、もしかしてお小遣いくれるの?じゃ、この袋の中に」

 

「…このビッチがァ!!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「さたんっ!!」

 

「痛いか?先生も痛い」

 

「…マジ意味わかんないんですけど、っーかなんで今ぶたれたの?」

 

「エンコーだけならいざ知らず、まさかデリ●ル嬢までこなすとは…」

 

「ハァ!?で、デ●ヘル!?」

 

「今年のヨゴレ!今年の内に!その腐った性根、この俺が叩き直してくれる、オラ!立てェ!壁に手ぇついてケツこっちに向けろコラァ!」

 

「ちょ!意味わかんないんですけど!鈴谷エンコーとかしてないし!っーかデリ●ルってナニ!?」

 

「やかましい!オラ!早く四つん這いになるんだよォ!」

 

「ヒッ!?お…犯されるッ!?」

 

ジリリリリリン♪ジリリリリン♪

 

デリ●ル鈴谷に熱血指導しようとした矢先、内線の電話が鳴ったので俺は反射的に受話器を手に取った

 

「はいもしもし?」

 

『あ、提督ですか?明石ですけど』

 

「何の用だ?」

 

『何の用もなにも今、基地の正門の前にデ●ヘルのお姉ちゃん来てるんですけど、コレ提督でしょ?』

 

「は?」

 

『は?じゃないですよ、私1人だったら気を利かせたりできましたけど、さすがに今日は長門さんもいるし無理です』

 

「ナニ言ってんだオマエ?デ●ヘルならもう来てるぞ」

 

『そんなワケないじゃないですか、今、ここに居るし、今日はもう帰って貰いますからね、じゃ』

 

「え?なんだって?オイ!明石!明石ィ!もしもーし?」

 

ツー…ツー…

 

あの野郎、切りやがった…アイツ、正門にデリ●ル来てるとか言ってたが………じゃ、何か?このプレイサンタはまさかとは思うが、単純に、サンタコスを見せにきただけのバカだと言うのか?

 

「…鈴谷」

 

「ナニ?」

 

受話器を置き、俺は努めて紳士的に四つん這いで半泣きのサンタにハンサムスマイルで言った

 

「よく似合っているぞ、それ」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「へぶすっ!!」

 

スナップの効いた健康的でハリのあるビンタが俺の頰で炸裂する!!

 

「うるせーバーカ!死ねッ!マジで死ね!っーか死ねッ!ありえねーし!とにかく死ね!いや…もう!ホント死ねッッッ!!」

 

コイツ、この短時間に5回も死ね発言を!

 

「悪かった悪かった、いや、ホントに悪かった」

 

「ハァ?悪い?ホントに悪いと思ってんなら誠意見せてよ!誠意!っーかまず頭が高い!土下座して!土下座!」

 

このヤロウ、ここぞとばかりに…

 

「土下座してぇ~…あ、そうだ、足を舐めて貰おっかなぁ~?」

 

「いくらだ?」

 

「は?」

 

「いくらだしたら勘弁してくれるんだ?」

 

「金で解決する気ぃ?鈴谷犯そうとしたのにぃ?」

 

「してねぇし、っーか、よく考えたら俺悪くないじゃん、お前がビッチなのが悪いんじゃねーか」

 

「ハァ?ビッチじゃねーし!」

 

「よしわかった、とりあえずカレー食いに行こう!な?カレー食って今日の事はお互い水に流そう!な?」

 

「カレーねぇ、ナニ?高いの食べていいの?鈴谷ここぞとばかりに大盛でありえないぐらいトッピングするよ?」

 

「おかわりもしていいぞ」

 

「やったぁ!!よし行こ!すぐ行こ!」

 

 

こうして、俺とサンタコスの鈴谷は夜の街にカレーを食いに繰り出し、カレー屋に着くまでに5回の職質を受けた、きっとサンタコスの変態プレイ中に見えたのだろう、言っておくが俺は悪くない

 



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提督と山城と難易度A

今年最後の姉様と妹、でも姉様分は少ない

【登場人物】

扶桑(4)
菩薩、菩薩オブ菩薩

山城(4)
妹、筑摩とは違うベクトルの妹、この世には姉様と自分とその他しか存在しない

提督(76)
連続登板の連続ビンタの敗戦提督

コマンダン・テスト(2)
名前だけ登場、サンタコスをしているらしくキッズ達の人気も高い国際派エリート


「…山城、実は昨日、サンタさんにお会いしたのよ」

 

「なんと!?サンタさんは清い心の持ち主の前にしか現れない存在と聞きます、さすが姉様、この世で最も清い心をお持ちでいらっしゃる」

 

「…せっかくお会いできたのでくりすますには妹が前々から欲しがっていた物を是非にとお願いしたの」

 

「尊いッ!!さすが姉様……この世で最も尊い御方でいらっしゃる!」

 

◆◆◆

 

「っーワケよ、クソ虫」

 

「誰がクソ虫だ」

 

暖かさの欠片も感じない匠の造ったコンクリート執務室、やって来た扶桑姉妹の妹の方は今にも反吐が出そうと言った感じの態度の悪さでコトの次第を淡々と説明した

 

「サンタとかいるワケねぇだろ?バカじゃねぇの」

 

「いるのよ、少なくとも姉様が見たサンタが」

 

「サンタねぇ」

 

まぁ、最近サンタのコスプレしたヤツがやたらとうろついているからそいつらだろ

 

「姉様が言うには日本語が通じなくて困ったけど一生懸命お願いしたらD'accordと了解してくれたらしいわ」

 

「何語だよ!っーか発音いいなオマエ!」

 

「フランス語よ、それぐらいわかりなさいよクソカス」

 

「わかるかボケ、俺は英語少々なんだよ」

 

しかしフランス語か…なんか最近フランス語について困った事があったような気がするな

 

「それ、コマンダン・テストさんじゃないですか?」

 

「なに?」

 

「知ってるの?さみ……さみ、アナタなんだっけ?」

 

「五月雨です」

 

五月雨はクロスワードパズルを解くペンを置き、微妙に背中を伸ばして椅子に座り直す

 

「たしかコマンダン・テストさんもサンタっぽい格好してましたよ」

 

「そうなのか?」

 

「さぁ?私、姉様以外の存在は便所に吐かれたタンカスより興味無いから」

 

とんでもない妹だよコイツ、どんだけ姉様以外のその他に興味無いんだよ

 

「とりあえず、そのコマンドラカマンドラが犯人なのね」

 

「違うぞ山城、コマンダーテントだ」

 

「馴れ馴れしく私の名前を口にするな、ゴミが」

 

「どちらも違います、コマンダン・テストさんです」

 

五月雨曰わく、そのコマンダン・テストさんが最近サンタルックでブラブラしており、キッズ達のハートを鷲掴みにしているらしい

 

「なるほど…つまり姉様は低俗なコスプレとは違うモノホンの外国人のサンタだから本物と思い込まれてしまった可能性が高いと」

 

「まぁ、ありそうだな」

 

「さすがは姉様、見る目が違っていらっしゃる」

 

まぁ、そのコマなんちゃらサンタも低俗なサンタコスなんだろうが…

 

「で?どうすんだ?そのコマさんを実はコマさんでしたと説明すんのか?」

 

「は?死ねよオマエ」

 

「ツッコミが厳しいッ!!なんなんだオマエは!?」

 

「姉様がサンタを信じる以上、私もまた、サンタを信じる姉様を信じるのが必然…」

 

「なんだそのオマエの信じるオレを信じろ的な解釈は…」

 

「クソ虫、そのコマンちゃらなんちゃらにプレゼントを持って来させるのよ!」

 

「アホか、自分で頼めよ」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「パウッ!!」

 

「いいから、金なら出すわ、そのサンタデリバリー料金とプレゼント代、現金でいいの?」

 

コイツ…自分のプレゼントを自分でッ!コイツの覚悟はホンモノだ!自分の為じゃあない、全てが姉の為、オールフォー姉!ワンフォー姉の違法建築艦橋のような揺るぎ無き気高き精神ッ!

 

「山城ォ!オマエの命賭けの行動ッ!僕は敬意を表するッ!」

 

「馴れ馴れしく呼ぶな、ゴミ」

 

そして、相変わらずコイツの俺を見る目と生ゴミを見る目は変わらない

 

「コマサンタについては俺から伝えておこう」

 

「頼んだわよ、あ、あとそのコマなんたらに日本語喋ったら“殺す”って言っておいて、姉様はモノホンのサンタと信じておられるから少しでも疑われる行動をしたら八つ裂きにしてケツの穴から角松ブッ刺して正月の愉快なオブジェにするわ」

 

「狂気かッ!!」

 

国際問題になるわッ!!陛下じゃないにせよ他国の預かり艦がそんなホラーな死に方してたら間違いなく俺のクビが飛ぶわ!

 

「あと、この話を聞いてしまったアンタと、え~サ、まぁいいわ、アンタ」

 

「五月雨です」

 

「この話を少しでも漏らしたら殺すわよ、知ってる?獅子舞って命を刈り取る形してるのよ?」

 

そう言い残し、山城は狂気と狂喜の入り交じったスキップをしながら去って行った…

 

「五月雨」

 

「はい」

 

「コマサンタを呼べ、今すぐ、難易度Aのミッションだ」

 

「最高難易度ですね…」



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提督と洋菓子店とたまには昔の話

提督の過去にメスを入れてるようで案外そうでもない話

【登場人物】

提督(77)
安定と安心のクズ物件

香取先生(10)
エレガント練巡、オンオフがわりと激しい

御影
提督の同期で友人、指揮官レベルと戦術眼が異常に高く、士官学校時代の仮想戦闘では負け無しの有望株だったが軍には入らなかった、現在は色々と複雑なストーリーの末に引き取った娘を溺愛するバカ親


注文していたケーキを取りに来いと電話があったので店に向かおうと駐車場に行くと、香取先生が見覚えの無い真新しい車をピカピカに磨いていた…

 

「これはこれは香取先生、新車ですか?」

 

「はい、先日納車されまして」

 

エレガントな香取先生によく似合うムースピンクパールの軽自動車、右隣にある足柄のDQNカーと左隣の大淀の鉄仮面が、そのエレガントな佇まいをより一層際立たせてくれる

 

「これから鹿島と街にドライブに行くんですよ」

 

「ほぉ、鹿島先生と」

 

「もし、御都合がよければ提督もご一緒にいかがですか?」

 

「あ~…いえ、自分はちょっと街の洋菓子店に行く用事がありまして」

 

「街の?あ、では、ドライブついでに提督の用事にご一緒すると言うのはどうでしょう?」

 

香取先生はエレガントに微笑み素敵な提案をしてくれる、まったく…なんて素敵な御方だ

 

◆◆◆

 

市街からやや離れた所に居を構える洋菓子店ナインテイル…

 

士官学校の同期である男が店主兼パティシエをやっているこの店は地域ではそれなりに人気の店らしい

 

「いくらだ?」

 

「4980円」

 

甘さとふわふわ感を売りにすべき洋菓子店にあるまじき凶悪な眼光と目ツキを持つ男、店主兼パティシエ、御影は俺から金を受け取り、釣り銭と領収書を出す

 

「なかなか繁盛してるじゃねぇかコノヤロー」

 

「まぁな」

 

この御影と言う男、士官学校を卒業したが軍に入らず、その凶悪なルックスに似合わず街の洋菓子屋になった変わり者で、学生時代はコイツと以前うちに来たホウオウくんと俺でよく夜の校舎窓ガラスを割って回った仲だ

 

「お前はどうなんだ?そろそろ海軍本部大将ぐらいになったのか?」

 

「なれるワケねーだろ」

 

「四皇のクビでもとって来いよ、四皇の」

 

この野郎、俺が相手してるのは海賊じゃねーっての

 

「そういや今年は1人で来たのか?去年は~…ほら、なんか青いのと来てたじゃねーか?」

 

「青い…?あぁ、五月雨か、アイツは置いてきた」

 

「俺は去年、てっきりお前がロリコンに目覚めたのかとビビって皿割りそうになったがな」

 

「誰がロリコンだクソが」

 

どこぞの子とも知れないガキを引き取って養子にしたコイツにだけは言われたくないな

 

「なかなか良いお店ですね、提督」

 

ざわっ……

 

御影は俺の肩に手を回し小声で舌打つ

 

「オイ!誰だこの超絶美形女教師ッ!」

 

「あ?俺のスケだよ、スケ、香取先生な」

 

「マジかッ!!リアル女教師か!毎日か?毎日個人授業ってヤツか!?」

 

フッ、さすがの御影も香取先生にはおっふせざるを得なかったようだな、ヤツの憎しみと歯軋りが聞こえてくる

 

「あ、コレ、美味しそうですね」

 

「そうね、お土産に買っていきましょうか?」

 

ざわっ…ざわっ…

 

「オイ!!なんだあのふわふわエッチ系超絶美女は!?」

 

「あ?俺のスケだよ、スケ、香取先生の妹で鹿島先生だ」

 

「マジかッ!!リアル女教師か!!え…?ナニ?課外授業?課外授業してんの?」

 

特殊な性癖持ち以外なら、ほぼ100%の男子がおっふせざるを得ない歩くザー●ンモンスター、鹿島先生

 

「バカな…ッ!まさかの女教師プレイ、いや!ダブル女教師プレイとは…ッ!大したヤツだと言わざるを得ないな」

 

「ハッハッハ、まぁそーゆーワケだ御影クン、キミはここで街の洋菓子屋として腐って死ね」

 

勝ったッ!!士官学校時代、同期の誰一人として仮想戦闘だけは勝つ事ができなかった不敗の男を今、この俺が沈めたのだッ!

 

「………いや、冷静に考えたらあり得んな、どうせただの上司と部下だろ?」

 

「そんなワケないだろう、毎日補習授業だよ、股人レッスンだよ」

 

「ないない、それはない、若手有能イケメン提督ならいざ知らず、よく考えたらお前にそんなエロ同人みたいな展開も度胸もないな」

 

この野郎、冷静に考えて全否定か!?

俺と御影がアツいプライドの戦いを繰り広げる中、香取先生と鹿島先生は商品を買おうと店のエプロンを付けた少女に声をかけていた

 

「こちらを頂きましょうか?」

 

「…む」

 

「あ、かわいい子、バイト……ではなさそうですね、お店の子ですか?」

 

「…そう」

 

「お家のお手伝いですか?小さいのに偉いですね」

 

香取先生はやたらと小柄な少女の頭に手を置いて撫でる

 

「小さいゆーな」

 

「あ、どーすっか?ウチの看板娘、かわいいっしょー?なんでしたら写真とか撮りますか?」

 

御影はヘラヘラと笑いやたらと気合の入ったカメラをカウンターから取り出した

 

「親バカかッ!」

 

「あ?うるせぇな、ウチの娘をバカにするヤツは軍だろーが将軍だろーが殺すぞ」

 

あかん、親バカじゃないでバカ親だった…

 

「…やめて、そーゆー恥ずかしいのホントやめて」

 

良かった、娘はわりとまともだった

 

「オマエ、変わったな」

 

「あ?」

 

士官学校時代は俺やホウオウくんと同じくバカのジェットストリームアタックとか言われたが…

今のコイツを見ると、俺より才能があったコイツがガキ1人の為に軍に入らなかった理由がなんとなくわかる

 

「まぁな」

 

「ま、今度飲みにでも行こうや、同期の集まりで」

 

「そうだな、あ、そう言えば姫島は?元気してんのか?まぁアイツはなかなか死なないだろうが」

 

「してるんじゃねぇの?」




次回は通常運転のクリスマス回

守護らねば…


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提督とアツかりしクリスマス 前編

本日二本立て
予定とは違ってアツかりし前後編仕様、なんか色々出てたり出てなったり

【登場人物】

提督(78)
スタートから抜群の変態性、子供に甘くビッチに厳しいバッドガイ、好きな技はガンフレイ……かかったなッ!

海風(7)
改白露型のヘッド、言うこと聞かないヤツは拳骨でわからせる

江風(7)
改白露型のバカな方、やればデキる子

山風(3)
改白露型のある意味問題児、弱ローキックの連射性は高い


フウウウウ~…“浜風ちゃん”って居るじゃあないですか?ほら、あの“陽炎型”の子、あの浜風ちゃんの駆逐艦とは思えない“それ”…あれ、初めて見た時に、なんて言うか…その下品なんですが…フフ……“勃起”しちゃいましてね…

 

「いや、ホントそーゆーのいいですから」

 

「コイツ!!オレの心をッ!?」

 

「や、結構口に出てましたよ、正直ドン引きしました」

 

執務室から体育館へと向かう五月雨と俺は小粋なクリスマスジョークを交えつつ廊下を歩いてたが、今の会話で目算で30cm程度距離が開いた気がするが俺の何が悪かったのだろう?

 

◆◆◆

 

「っーワケで、今日は楽しいクリスマスパーリーを開催します、ささやかではあるが福利厚生費で落とすから酒と料理を楽しんでくれたまえ」

 

それぞれが手にしたグラスを手に、ウェーイ!とアホな学生の如く乾杯してパーリーは幕を開ける

夢の無いバカな大人達には酒と料理を、夢見るアホなキッズ達にはトイザ●スで仕入れた玩具を、意外にもそこら辺は当基地は健全経営だった

 

「うめー!なにこの肉!なんて豚?」

 

「あー!リベも!キヨシ!リベもその肉食べたい!」

 

「It's wrong、それはPorkではなくBeefですよ」

 

アホなガキどもが陛下の周りでキャッキャとハシャいでいるが、まぁ余程の失礼でない限りは今日は勘弁してやるか…

 

「あ、テイトクじゃねーすか?ティーッス」

 

「コラッ!江風、なんて口の聞き方しているの!」

 

館内をブラブラしていると、ビッチ予備軍の着る人が着ればドエロス衣装であろうドエロスサンタコスの改白露型の赤いのと、美少女ラノベヒロイン顔の白いのと遭遇した

 

「この……骨付いた肉……うめーですよ」

 

「江風!食べながら喋らない!」

 

ゴンッ!(拳骨)

 

「痛てェ!!ご…ゴメンネーちゃン」

 

「スイマセン提督…ほら江風!頭下げなさい!頭!」

 

「スィマセェン」

 

「…江風」ギロッ!

 

「スイマセンしたァー!!」

 

相変わらず学習しない妹だな、この学習しなさぶりは更なる上の姉である村雨と夕立に通じるものがある

 

「あ、提督…山風を見ませんでしたか?」

 

「山風?」

 

…誰だ?そんなやつウチに居たっけか?

 

「一応、アタシのネーちゃンなンすけどー…ほら、なンかちっこくて緑の頭の」

 

「あぁ、あのチビスケ」

 

っーかこの赤いのの姉になるのか、あのチビスケは…随分と発育の悪いやつなんだな

 

「知らん、どっかに居るだろ?」

 

「そうですか…」

 

海風曰わく、コミュニケーション能力が少々アレだからどこかでオロオロしているのでは危惧しているそうだ

 

「まぁ見かけたらオマエらが探してるぞと伝えておこう」

 

「宜しくお願いします」

 

バカだらけの白露型の中でも突然変異ではないだろうかと思えるぐらいデキた姉の海風は一礼し、江風を引っ張りながら去って行った

 

‐‐‐

 

「ティーッス、ナニ食べてんの~?」

 

適当に料理を皿に取り、適当な椅子で座って飲み食いしていると、デリバリービッチがビッチ臭を撒き散らしつつヘラヘラ笑いながらやって来た

 

「息が臭い、喋るな」

 

「ひどッ!」

 

「何の用だ?」

 

「何の用って…別に用があるワケじゃないけど、っーかナニそれ?」

 

「ナニとはナニだ?」

 

鈴谷は俺、いや、俺の膝に座るナニかを指差していた

 

「いや…そいつ、ナニ?」

 

「俺が聞きてぇよ」

 

俺の前に座る目ツキの悪い緑の頭のチビスケが俺がとって来たチキンをガツガツと食べていた

 

「オイ、勝手に食うなチビスケ」

 

「チビスケゆーな」

 

改白露型のルーキーでこれまでに無いタイプの問題児、山風…

適当なテーブルで酒と料理をつまんでいると、なんか俺の周りをウロチョロしていたのでウロチョロすんな鬱陶しい!と一喝したら最終的には俺の膝の上で落ち着いた

 

「なくなったら、とりにいこう!」

 

「ん?あぁ、そうだな」

 

まぁ、大した害は無いので放置してるんだが…

 

「え?ナニそれ?対応超甘いんですけど?え?ロリコンなの?」

 

「あ゛?誰がロリコンだビッチが」

 

「ビッチじゃねーし、いや、あきらかに鈴谷と対応違うよね、鈴谷が提督のチキン食べたらスネークバ●トするよね?」

 

「当たり前だ」

 

「即答かッ!」

 

なに言ってんだコイツ?イカレてるのか?

 

「テイトク、アレ!アレ食べよう!アレ!」

 

山風は俺の袖を引っ張りアホみたいに山盛りしたパスタを持った赤城の皿を指差す

 

「ん?あぁ、いいんじゃね?どっこら、せっくすと…」

 

「ちょ!待てよ!」

 

パスタでも取りに行こうと腰を上げた俺にビッチサンタ、鈴谷がやたらとデカい声をあげる、なんなんだコイツは…?

 

「え?ナニ?とりに行くの…パスタを?」

 

「は?行くけど?」

 

「は?じゃないよ!…え?提督、パスタ食べたいの?」

 

まぁ、そう問われると別に俺は食べたい気分ではないが…

 

「別に俺はどうでもいいが…」

 

「はやく!はやく!」

 

「はいはい、ちょっと黙ってろチビスケ」

 

「チビスケゆーな」

 

「それだァァァァァ!!なんだその提督にあるまじき鬼畜の所行ッ!え?ナニ?なんなの?なんでそのチビにそんな甘いの!?おかしくね?」

 

うるせぇなコイツ、いきなりナニ言ってんだ?

 

「別に甘くねぇだろ」

 

「いや甘いッ!なんなの?普通ならブッ殺すぞクソガキがとかゆーじゃん?」

 

「言わねーよ、そもそもなんだオマエは、ケンカ売ってんのか?」

 

「売ってねーし……っーかこのガキ!なんかさっきから執拗に鈴谷の臑を蹴ってんだけど!」

 

「…」ビクッ!!

 

「ビッチがムカつくんだろ、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーって言ってんだろクソがァ!いい加減にしろよテメー!!」

 




次回は後編


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提督とアツかりしクリスマス 後編

クリスマス当日です
後編です

【登場人物】

鈴谷(27)
アフターサービスはキチッとシメられた

ポーラ(4)
見た事全てを学習し、さらに即座に応用する天才

五月雨(31)
よくデキた秘書艦、とにかくポジションがブレない


「ところでテイトク」

 

「なんだ?」

 

提督の隣で骨付きチキンにワイルドに噛みついていると、ふと、恐るべき事実に気付いてしまった

 

「こー見るとアレだね、鈴谷と提督とそのチビスケと並んでると仲良しファミリーみたいじゃね?」

 

「は?ナニ言ってんだ?マジキモい」

 

「キモくねーし」

 

よく見たら、このチビスケと鈴谷の髪の色はちょっと似てる気がするし

 

「ときに鈴谷」

 

「ナニ?」

 

「クリスマスだしプレゼントをあげよう」

 

「は?」

 

「は?じゃねーよ、現金でいいか?」

 

提督は懐からスタイリッシュに紙幣の束を取り出し、クーリッシュに鈴谷に手渡す

 

「え…?いや、え?マジ?こんなにくれるの?」

 

「鈴谷は温泉が好きなんだろう?それで別府温泉にでも行って来なさい」ニコッ

 

「え?えぇ?いや、え、まぁ…たしかに、鈴谷、お風呂とお金大好きですけど…え?マジ?マジでくれるの?」

 

「もしかして、足りないのかね?」

 

「いやいやいや!足りるよ!全然足りる!むしろお釣りでバーバリー買えちゃう!え?マジでいいの?マジで貰うよ!?」

 

「メリークリスマス」

 

「あ…ありがとう…っ!ありがとう…っ!!いいのかなぁ?鈴谷ッ!こんなに幸せでいいのかなぁ!」ポロポロ

 

提督がこんなに鈴谷に対して優しい…っ!まるでユメみたいだッ!! ありがとうッ!ありがとう!私は提督の手を握り締め謝りたいと感じている、だから感謝と言うのだッ!

 

◆◆◆

 

「あの…?鈴谷、なんできっしょいアヘ顔さらして寝てますの?」

 

「…さぁ?クリスマスだし、良い“ユメ”でも見てるんじゃねーの?」

 

巻きグソみたいなクリームを乗せたよくわからない甘い物を持った熊野は1つ上の姉がアヘったまま達している姿を見てドン引きしていた

 

「オマエのキョーダイだろ?ちゃんと部屋に連れて帰れよ」

 

「うえ…正直、イヤですわね…なんか股から垂れてるし」

 

「尿だろ」

 

さて、とりあえず鬱陶しいビッチは始末したし、更に鬱陶しいチビスケは改白露型の美少女ネーちゃんに引き渡したし、煙草でも吸いに行くか…一応館内禁煙だから外に行かなにゃならんのが面倒だ

 

ドンッ!!

 

「ぐあっ!!」

 

歩く俺の足に、ハシャぎ回っていた暁ちゃんが衝突した

 

「あ…!暁のアイスがぁぁぁ」

 

「悪いな暁ちゃん、俺のズボンがアイスを食っちまった、次は五段のを買うといい」

 

なんか以前もあったような気がするが…ロ●アの俺に平然と攻撃をぶつけてくるとは、大した覇気だ、彼女はきっと大物になるだろう

 

「さて…煙草煙草」

 

ドンッ!

 

「ぐほぉ!!」

 

館内を出ようとする俺に、更に何か大きな衝撃がぶつかり上着がアルコールまみれになった

 

「あ~…ポーラのお酒ぇ~…もぉ~」

 

イタリアから来たアルコールモンスター、ポーラッ!ポーラは俺に酒をBUKKAKEた事を悪びれる様子も無くニコニコしながら俺の前に両手を出した

 

「…なんだこの手は?」

 

「え~?ポーラ見てましたよぉ…テイトクの上着がポーラのお酒飲んじゃったんで次は5桁のお酒を買えばいいって………アダッ!!痛い!痛い痛い痛い!ちょ!痛い!割れるッ!ポーラの頭割れるぅぅぅぅぅ!!」

 

所謂、アイアンクローの形でポーラの頭を持ったまま持ち上げ、そのまま勢い良く地面に叩きつけた

 

「ナポリッ!!」

 

「テメーに“ユメ”は勿体ねーよ」

 

クリスマスにはバカが増えるから困る、さっさと煙草吸って帰るか…

 

とりあえず体育館から出て、胸元のポケットに入っている煙草を取り出して火を点けた

 

「フーッ~…」

 

あとは好きにやらせてさっさと私室戻って陸奥から借りた最●記のDVDでも見るか

 

「お疲れ様です」

 

「ん?あぁ、お前もな」

 

オシャレケーキを持ち、いつもの髪長秘書艦がぬらりと現れた

 

「おひとつ如何ですか?」

 

「もう食った、腹ァいっぱいだぁ」

 

「そうですか」

 

静かな外とは対象的に、館内はカラオケが始まったらしく、無駄に高い歌唱力とよく訓練された合いの手が聞こえてくる

 

「オマエもキャーキャー言ってこいよ」

 

「ケーキ食べてから行きます、提督はもうお帰りで?」

 

「あぁ、帰って最●記見るんでな」

 

「幻想●伝ですか?」

 

「幻●魔伝」

 

「ちなみに私はアリだと思ってます、ホ●ラ」

 

「俺もなんやかんや好きだよ、ホ●ラ」

 

ちなみに陸奥は当時、悟浄にハマったらしい

 

「まぁ、ハメ外すのも大概にしとけよ」

 

「無駄だと思いますが伝えておきます」




次回から通常運転ですって


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鹿島先生と熱血指導と余計なお世話

今年最後の先生回
伏せ字の多い熱血指導

【登場人物】

鹿島先生(10)
一見まともなものの、完全にあちら側に両足突っ込んだ素敵な先生、陸奥とは世代が違う

香取先生(11)
眼鏡がステキなエレガント教師、なんやかんやあるものの、キッズ達からの信頼はアツい


皆さんこんにちは、鹿島です、皆さんはステキなクリスマスをお過ごしになられましたか?私は適度にお酒と料理を頂いて部屋でハイ●ュー!!見てました

 

「おはよう、鹿島」

 

やや寝不足気味の眼を拭い、欠伸をしていると香取姉さんは既に起きてビシッとした格好をしていた…香取姉さんの朝は早い、毎朝のランニングとストレッチをこなし、私にアツい珈琲と焼きたてのトーストを毎朝用意してくれる、色々差し引きするものはあるがそれを引いても自慢の姉だ

 

「…今日から冬期講座だっけ?」

 

「そうよ、姉さんは先に行ってるから鹿島は後からいらっしゃい」

 

「…うん、わかった」

 

トーストを珈琲で流し込み、イマイチまだ覚醒しきれない頭で返事をすると香取姉さんは愛用の鞄を持って立ち上がった

 

「あ、冷蔵庫にヨーグルトが入っているから、後で食べなさい」

 

そう言い残し、香取姉さんは部屋を出て、颯爽と職場へと向かった…

正直、姉がここまで完璧だと尊敬と同時に自分に対してそれなりにヘコむものがある、ただ…姉さん、男の趣味悪いんだよなぁ~…なんでだろ?

 

◆◆◆

 

「いいかクソ虫ども!私の楽しみは貴様らの苦しむ顔を見ることだ!ジジイの●●●●みたいにヒイヒイ言いおって!みっともないと思わんのか!この●●めッ!」

 

講義の準備を済まし、冬期集中講座というのが行われてる基地内にある特別訓練棟、通称“夢島”なる場所に行くと、駆逐艦の子達が丸太を持ってヒーヒー言いながら走っていた

 

「このグズどもが!トロトロ走るんじゃない!●●●か!この●●●●●がッ!」

 

…未だに思うのだが、オンの姉さんとオフの姉さんがとても同じ人物だとは思えない…

 

「…重いっぽい、重いっぽい」

 

「クッ!香取ーヌのヤロー、ワシらをなんじゃと思っちょるじゃあ」

 

「ミカのヤツ、ただでさえ重い丸太を持ってるって言うのにあのスピード、やっぱすげぇよミカは、ハンパじゃねぇ…」

 

うわ、なんか1人だけスゴい子がいる、なんでアホの祭典とまで呼ばれる冬期集中講座に来てるんだろ…?あぁ、そっか、アホなんだ

あ、誰かコケた!姉さん!1人コケちゃったよ!

 

「ぅぅ…」

 

「フン…所詮は貴様の根性などその程度、部屋に帰ってお前が大好きな速水●ロとやらの抱き枕でも抱いて寝るがいい……ま!もっとも!貴様のような腰抜けが惚れているプリ●ムボーイだ!さぞや救いようのないヤンホモなのだろうなァ!」

 

「なん…だとッ!」ギロッ!

 

「ヒィ!!弥生がキレたびょん!!」

 

「何度でも言ってやる!速●ヒロはヤンホモだ!違うと言うのならガッツを見せろォ!!」

 

「クソッ!クソッ!クソォォォ!!」

 

弥生ちゃんは丸太を抱え、再び走り出す…うん、まぁ、ヤンホモだけどね、速水ヒ●は、ごめんね弥生ちゃん、私、カ●キ派なんで擁護できない

 

「…ほぉ、さすがは香取先生、素晴らしい熱血指導ぶりだ」

 

「あ、提督…」

 

手に持ったファイルを見たところ、基地内の設備点検でもしていたのであろう提督がこっちに歩いて来た

 

「お疲れ様です、香取先生」

 

「あら、提督、こんなところまでご足労頂くなんて…」

 

「いやぁ、たまには先生の熱意溢れる指導ぶりを拝見したくなりましてなぁ」

 

「あらあら…」

 

香取姉さんはアラアラウフフといつものエレガントモードに切り替わっていた

 

「あ、そう言えばコレ、昨日の残りのシュトレンなんですが…」

 

「あらあら、もう!お気遣いまでさせてしまって」

 

「鹿島先生もどうぞ」

 

「あ、はい、ありがとうございます」

 

「オイゲンのダボが無駄に大量に作ったらしく、いっぱいあるんで、休憩時間にクソガキどもにも…」

 

「まぁまぁまぁ…」

 

所謂、恍惚のヤンデレポーズに近いポーズで香取姉さんは余り物のシュトレンの差し入れに感動している……いや、ホント、何がいいんだろう?香取姉さんの男の趣味だけは理解できない

 

「では………喜べクズどもーッ!提督からシュトレンの差し入れがあった!終わった者から休憩時間に入って食ってよしッ!」

 

たぶん、朝から何も食べていないであろう駆逐艦の子供達は今の香取姉さんの声に反応し、文字通り、目の色変えて走り出した

 

「それでは提督、ここではなんですから、どうぞあちらへ…あ、珈琲もお淹れしますね」

 

「いやぁ、恐縮です」

 

…いや、ホントわかんない

 

‐‐‐

 

そして…

 

『私はお前らを憎み軽蔑している!私の仕事は…貴様らの中から●●●●●野郎を見つけ出し切り捨てる事だ!』

 

『貴様らは人間ではない!兵器だ!殺戮の為のマシーンだ!』

 

『なんだその●●●はァ!!立て!それともそのまま●●●野郎になりたいか!この●●●がッ!』

 

後日、香取姉さんの熱血指導の甲斐あり、あの、可愛かった駆逐……いや、元々そうでもないけど、とにかく駆逐艦の子達は誰も彼も一人前の面構えを見せるようになった…

 

「ただいまぁ~」

 

「お帰り、香取姉さん」

 

「あら?今日はカレー…?鹿島が作ってくれたの?」

 

「まぁね」

 

まぁ、香取姉さんが作るのと違って普通に市販のルーの普通のカレーですけど、女子力なんて言葉が世の中にはあるけど、正直、コレぐらい作れれば問題無いと私は思っている、市販品ならカレーは不味く作る方がよっぽど難しい

 

「…ところで香取姉さん」

 

特に気兼ねない姉妹の食卓、仕事の話やらSM●P解散の話やらしていたが、私は前々から不思議…いや、不審に思っていた事を香取姉さんに聞いてみる事にした

 

「なに?」

 

「香取姉さんは、その……提督の事をどう思ってる?」

 

「…そうねぇ」

 

ここでケッコンしたいだのまぐわいたいだの言われたらどうしよう…?

これは賛成していいのだろうか?

 

「とても尊敬していますよ?」ニコッ

 

「そ…尊敬?」

 

予想外の回答ッ!!尊敬?尊敬って……え?好意?好意的ではあるけどアレ?LikeであってLoveではない的な?う~ん、そうなのかなぁ、Likeであの表情は…?

 

「へ…へぇ~、尊敬かぁ~、その…どんなトコが?」

 

「そうねぇ…その話、幕末ぐらいから始まるから長くなるけど、いい?」

 

「なんで幕末ッ!?」

 

結局、香取姉さんからは何も聞けず、その日の話は終わり、逆に、香取姉さんからは休日にゴロゴロしてワ●トシくんワカ●シくん言ってないで合コンにでも行って来いと返された、余計なお世話だよ!



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提督と鳳翔と荒野と言うダイヤモンド

冬の劇空間ダイナマイトファミリーワンアウト回

【登場人物】

鳳翔(4)
通称、ビッグママ
クラブを経営する軽空母
ヤキュウが好きらしく、よくラジオを聞いている

サラトガ(2)
秋の大型新人、投打に優れている

アイオワ(4)
メジャー出身の強打者、枕元にはピストルが無いと眠れず、寝間着はジーンズ一丁


「死ね!ファ●クボール!」

 

「もうちょっと捕りやすいの投げてくださいよ」

 

執務室でダラダラとNARUT●を読んでいると、五月雨から寒くなると運動不足になり様々な症状を併発するのでは?と言う話になったので俺と五月雨は外にキャッチボールをしに来ていた

 

「悪い悪い」

 

「まったく…」

 

五月雨の特に何の変哲も無い返球、いや……これは低回転ストレート!

 

「…チッ」

 

「捕りにくいわッ!っーか今、舌打ちしたろ!舌打ち!」

 

「してませんけど?」

 

この野郎、いけしゃあしゃあとなんて球を投げやがる……次の球種について考えていると、グラウンドに珍しい人物がやって来た

 

「ママ!」

 

「…ん?あぁ、ボーイとサミーじゃないかい?アンタ達もヤキュウかい?」

 

当基地初の空母、ビッグママこと鳳翔、現在は滅多な事では出撃する事はなく、もっぱら自前の店のカウンターに立っているのが仕事になっている

 

「ボーイはやめてくれよ、俺達はキャッチボールしてるだけさ」

 

「そうかい、サミーも久しぶりだねぇ、今度そこのバカとウチに来な、オレンジジュースでも飲ませてやるよ」

 

「ありがとうございます」

 

俺もそうだが、ママには五月雨だけでなく最初期組の誰もが頭が上がらない

 

「ところでママ、なんでまたこんなところに?」

 

「あぁ、例の新人?あの娘が投げるって言うから見に来たのさ」

 

よく見ると、グラウンドにはどこからかやって来たバカどもがゾロゾロと集まって来ている

 

「例の大型新人ですか…」

 

ママの言う新人とはアイオワと同じく、あの国から海を渡って来た期待のスーパールーキー、サラトガだろう

 

‐‐‐

 

「Hey!SARA!Nice ball!」

 

マスクを被ったアイオワがサラトガの球を受けている、なるほど、なかなか良い球を投げるじゃあないか

 

「トーキューレンシューはこのぐらいにしとこーか?」

 

「そうね」

 

「Hey!そこのBattleship!打席に入らない?SARAの球を外野に飛ばしたらburger奢るワ」

 

アイオワはマスクを外し、フェンスの向こう側に立つBattleship、しかも、よりによって強打に定評のある武蔵に挑発をカマす

 

「ほぉ…」

 

もののふの本能を刺激したか、武蔵はニヤリと笑い木の棒を手に取ろうとしたその時!

 

「よっしゃー!!その挑戦受けたーッ!」

 

陛下の授業のおかげで英語力がちょっと上がった大戦艦清霜が金属バットを持ってバッターボックスへと走ってきた

 

「あー!リベも!キヨシ!リベも打ちたい!」

 

「リベは後な!後!まずは清霜から!」

 

「Oh…Girl、ケガするワ?」

 

「は?清霜打つけど?早くマスク被ってM字開脚で座れよショーガール」

 

「SARA」

 

清霜の言葉に、アイオワは笑顔でマスクを被り直し、サラトガに首をカッ切るサインを送った

 

「えー…(マジで?)」

 

「いいから(殺れ)」

 

どうやらサインは決まったらしい…

サラトガとはワインドアップモーションから第1球ッ!

 

ズドォン!!!

 

「チッ……Strike」

 

ヤキュウとは思えない擬音と共に、サラトガの豪球がアイオワのミットに収まった

 

「あ……あ?」

 

「ヘーイ!SARAー(次こそ当てろ)」

 

「はいはい…(大人気ないなぁ)」

 

ダメだ、キヨシは最初ので完全にビビっている、まるで本気の現役メジャーリーガーにリトルリーグに入りたてのヤングボーイが挑戦するようなものだ、そう、たった1球でキヨシは心の底から震え上がった、真の恐怖と決定的な挫折に…

 

「ぅ…ぅぅ」ジョー…ドボドボ

 

恐ろしさと絶望に涙を流し、ついでに尿も漏らした

結局、キヨシは手加減されたスローボールを2球とも空振り打席を去った

 

「ぅぅ…チクショウ!チクショウ!」ポロポロ

 

「泣くなよキヨシ!リベが!リベがカタキとるから!」

 

「む…ムリだ、あんなの打てるワケがない」

 

「フッ、では今度こそ武蔵がお相手しよ…」

 

木の棒を手に、今度こそ大打者武蔵が前に出ようとしたその時!

 

「その通りですLibeccio……次は私がお相手しましょう」

 

「陛下ッ!」

 

「陛下ァ!」

 

失意の清霜の頭を優しく撫で、陛下がその高貴なる御椅子から立ち上がった

 

「Oh……まさかヘーカが立ち上がるとは」

 

「ちょ…ちょっとアイオワ、どうするの?これ本気で投げていいの?ブラッシングとか怖くて投げられないわよ!」

 

「No Problem、SARAはミットめがけてGOよ」

 

もし、高貴なる陛下に死球でも当てようものなら第三次世界大戦の開幕になるであろうこの打席、バッターボックスに入る陛下、そしてアイオワはサラトガにサインを出す

 

「…(インハイ)」

 

「…(ムリムリ)」

 

「…(投げろ)」

 

「…(外!まずは外で様子見!)」

 

「…(早くしろ!)」

 

「…(調子に乗るなShowgirl!)」

 

サラトガの第1球…

 

ズドォン!!!

 

ストライクゾーンギリギリに入る外角低め、アウトロー

 

「…チッ」

 

「…ふむ」

 

まずはワンストライク、アイオワの次なるサインは…

 

「…(インハイ投げろって言ってんだろバァカ!)」

 

「…(やかましい!アンタ責任取れんの?)」

 

第2球……外角低め!

 

カーン!

 

「おぉ!!」

 

「当てた!陛下当てた!」

 

「いや、ファウルだな」

 

これでカウントは追い込む形になったものの、アイオワはやや不満そうにしているが座り直した

その後、第7球までファウルが続き、アイオワはサインを送る

 

「…(ド真ん中)」

 

「…は?」

 

「…(は?じゃないワ、ここは勝負、力でねじ伏せる!Statesの威信に賭けて)」

 

「…(OK、最初からそのつもりよ!)」

 

‐‐‐

 

「フーッ~…どうだい?」

 

「どうだいも何も陛下がバッターボックスに入った時点で第三次世界大戦を告げるギロチンの音が聞こえてきたね」

 

勝負の結果より、第三次世界大戦と地獄断頭台は回避された事が俺としては喜ばしい、ママは煙管の火種を落として懐にしまった

今、マウンドにはインチキナックルボーラーの鈴谷が上がり、古鷹さんが空振りをしている

 

「来年の開幕が楽しみになってきたじゃないかい」

 

「そうですね」

 

「さて、開店準備でもするかね…サミー、来る時はボーイのツケにしとくからいつでも来な」

 

「はい、ありがとうございます」



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提督と夕張とNYの変人

年の瀬KENZEN回

【登場人物】

提督(78)
ユーレーだの妖精だのふわふわしたものは信用しないが自分の中の宇宙は信じる

夕張(12)
ユーレーだの妖精だのふわふわしたものを信じないニューロンの申し子、たぶん妖精が見えてない


「最近、出るらしいです」

 

「何が?」

 

読んでいた文庫本を机に置き、珍しく神妙な様子で喋る五月雨に視線を遣った

 

「夜に、なんかこう…白いのが?」

 

「ふ~ん」

 

あぁ、まぁ、そーゆー夜もあるな、こうアレだよなアレ、ムラムラくるっーか、猛る己自身を抑えられないアツい衝動みたいな

 

「一応言っておきますが、今お考えの性的なものではなく、霊的なものです」

 

「ハァ?そんなの考えてねーよ?考えてねーし」

 

たまに思うが、コイツ、俺の心が読めるんじゃないか?だとするとコイツは邪眼の天敵なのでは…?

 

「っーか、霊的なもんってなんだ?霊的って」

 

「なんか駆逐艦の寮の廊下に半透明の白い影が出るらしいですよ」

 

「ふ~ん」

 

「ふ~ん、じゃないですよ、ほら、目安箱にも投書がいっぱいあるんです」

 

そう言いながら五月雨は目安箱をひっくり返して投書とゴミを机の上にブチ撒ける、誰だよゴミ入れたヤツ…

とりあえず五月雨は適当な投書を手にとって読み上げる

 

『幽霊がどーのーこーの言って暁が夜中にトイレに行けなくて困る』

 

『幽霊が出るっ!とか言って暁が夜中に便所に行けなくて困るじゃない』

 

『幽霊怖いとか言って暁が朝、アレ●ガルドの地図作ってマジウケる』

 

『ヤバいっぽい、路上で重巡マジヤバいっぽい』

 

『この磯風、今度G●Dを調理しようと思う、あーんしてやるのもやぶさかではないので是非食べてくれ、逃げるなよ?この磯風、決して逃がしはしない』

 

「…まぁ、こんな感じです」

 

…たしかにユーレー関係の投書があるな、軽い殺害予告みたいなのがあるが、見なかった事にしよう

 

「どうしますか?」

 

「ふぅ…バカバカしい、ユーレーとかいるワケねぇだろ?」

 

「でも目撃情報がいっぱいありますよ?」

 

「アレだよアレ、みんな疲れてんだよ?どうせアレだろ?どいつもこいつも昼間にツチノコでも探して無駄に体力削ってんだろ?」

 

「…」

 

「とりあえず寝る前にパン●ース穿くかペットボトルにする、これで解決だ」

 

「…もしかして、怖いんですか?」

 

「…は?ナニ言ってんだオマエ?そんなワケないだろ?」

 

コイツ、なかなか鋭いな…いや、鋭くない、だってユーレーとかマジ怖くねーし

 

「じゃ、今夜、寮の見回りをお願いします」

 

「は?」

 

「は?じゃないですよ、もし出たら撃退してくださいよ、間違っても恐怖の叫び声とかあげないでくださいよ?みんな寝てるんで」

 

真面目な顔して何言ってんだコイツ!?

 

「ちょ!待てよ!」

 

「本来なら私もお付き合いしたいところですが、私も夜は早く寝ちゃうんで、最長でも0時までなんですよ」

 

「シンデレラかッ!」

 

「シンデレラじゃないです五月雨です、じゃ、お願いしましたからね」

 

「待て待て待て待て!ステイ!ステイだよステイ!ステイアウェイだよ!なんなのオマエ?生まれながらの無法地帯なの?」

 

「大丈夫です、提督が1人じゃ怖くて失禁気絶して朝起きた駆逐艦のみんなにみっともない姿を見られないように手は打ってますから」

 

「しねーし!!誰が漏らすかよ!」

 

◆◆◆

 

02:00 駆逐艦寮、通称男●寮

 

この草木も眠る丑三つ時に、男●寮の前に集まった2つの人影…

 

「フーッ~…異常無し、よし、帰るぞ」

 

「まだ中に入ってないじゃないですか」

 

五月雨が事前に声をかけていたアンチオカルトの急先鋒、スーパーサイエンスネットワークの申し子、軽巡夕張

 

「俺にはわかる、今日は出ない」

 

「大丈夫ですって、ユーレーだの妖精だのそーゆーふわふわしたよくわからない物は科学の前には無力に等しいと言うことを教えてあげますよ!」

 

新たな煙草に火を点ける俺の横で自信満々に喋るこのアホンダラ…背中に背負った機械はゴーストをバスターするアレだろうか?

 

「この………ドリルの前ではね!」

 

ジャキィーン!!

 

「ドリルかよ!」

 

背中の機械からにょきっと生えたアームに搭載されているのは紛れもなくドリル!

 

「もうちょっとアレじゃないのか?なんかよくわからんビーム的なモノが出る装置じゃなかったのか?それ?」

 

「何言ってるんですか?このドリルさえあれば何でも出来ます!不可能だって可能です!ドリルの持つ無限の可能性を信じる事で、この閉ざされた宇宙に風穴を開ける事も出来るんです!信じるんです!ドリルを!」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレてるのか?よく見ると夕張の両目は螺旋状にグルグル回っている気がするが……たぶん変なクスリでも打ってるんだろう

 

「さぁ!行きましょう提督!」

 

「ざらっと見たら帰るからな?いいな?ざらっとだぞ?」

 

寮内に進入した俺達はとりあえず入口付近をぐるっと見回す、特に物音もなければ非常灯の薄い光だけが灯っている

 

「…何もいませんね?」

 

「よし、帰るか」

 

「待ってください、コレを使いましょう」

 

そう言って夕張はフリー●一味が使っている戦闘力を測る例のアレみたいなものを取り出して左目に装着した

 

ピピピピピピピ!

 

「ありましたよ!反応が!」

 

本来なら、でかした!と言いたいところだが今日は言いたくない、夕張はこっちですと言って俺を置いて先に進もうとするので俺は仕方なく夕張の後を追う、別に1人になるのが怖いじゃあない、俺はあくまで夕張を心配しているだけだ

 

「50000……55000…70000!スゴい!まだ上がるッ!」

 

「何が!?」

 

「え?戦霊力ですけど?…う゛っ!」

 

ボンッ!!

 

夕張のス●ウターが小さく爆発して壊れた

 

「…これはかなりの強敵ですね!」

 

「アレか?今の爆発はポルターなんちゃら的な感じか?そんな感じで壊れたのか?そうなんだな?」

 

「…居ました!」

 

「あ?」

 

夕張の指差した方向、たしかに………なんか白いもやっとしたなんかふわふわした感じの、いや…髪の長い女みたいな?

 

「髪長い女とか鉄板ネタじゃねーかッ!ハハ…ないない、どうせアレだろ?長門かなんかだろ?」

 

「提督、実はこの寮、以前は墓地だったそうですよ」

 

「なんで今それ言うんだよ!!」

 

クソッ!!なんで長門じゃねぇんだよ!忍べよ!カメラ持って駆逐艦寮に忍び込んどけよ!!

 

「フッ…たかが髪の長い女の霊ぐらい、このドリルでブチ抜いてやりますよッ!」

 

ドリルアームが螺旋回転の唸りをあげ、夕張は髪の長い女に突貫する!コイツ…意外と早く走れるじゃないか!

 

「因果の輪廻に囚われようと残した思いが扉を開く!無限の宇宙が阻もうと!この血のたぎりがサダメを決める!DNAの一片まで完全消滅せいやァァァァァ!!」

 

幽霊にDNAがあるのかはさておき、夕張はまるでスレードゲル●ルの如きカットインを決めて走っ………

 

ズシャアッ!!!

 

「ウボァー!!!」

 

「コケたァァァァァ!!!」

 

あの野郎ォォォォォ!!この大事な場面でコケやがったァァァァァ!!なにやってんだアイツ!!

 

ぶすッ!

 

「ンホオォォォォォ!!ドリル!ドリルゥゥゥ!!奥まで衝いてくるゥゥゥ!!二重螺旋くるぅぅぅぅ!!」

 

コケた拍子に背中のドリルアームが夕張の尻に刺さり超螺旋エナジーから夕張の中でビッグバンしたようだ…

 

正直、その様子は俺もドン引きだが幽霊もドン引きだったらしく、俺達はごく当たり前のように互いに夕張の姿に敬礼をしていた

 

「ちょっと…うるさいんですけどぉ」

 

「なんなんですか…」

 

「また暁かよ…」

 

どうやら今の騒動で何人か起きてしまったらしく、パジャマだったりパン1だったり全裸だったりのアホどもが部屋から出て来た

 

「…なにコレ?」

 

「夕張…?夕張さんじゃないコレ?」

 

「あ、提督もいる…なんなんすか?新手のプレイですか?」

 

ぞろぞろとガキどもが部屋から出てくると、いつの間にか幽霊らしき女の姿は居なくなっていた

 

「変なプレイは部屋でやってくださいよ」

 

「アレですか?ケツに挿したまま散歩とかそんな感じの…?」

 

「うわ…引くわぁ」

 

「ってか、これはヒドい」

 

「とりあえず写メ撮ろ、写メ」

 

いかん、このままでは俺が変態プレイヤーされてしまう

 

「誤解すんなクソガキども、俺達はユーレー退治に来てたんだよ」

 

「ユーレー退治に来てなんでケツにドリル挿入ってんだよ!」

 

「ありえねーだろ!」

 

「もうちょいマシな言い訳考えろよなー!」

 

‐‐‐

 

翌日の基地スポ…

 

深夜の徘徊プレイ!問われる駆逐艦寮の安全と基地の風紀!

 

『いつかヤると思ってました 練習巡洋艦K島』

 

『引くわーマジ引くわ、マジ変態じゃん 自称航空巡洋艦S谷』

 

『駆逐艦寮に行くなら何故このビッグセブンにも声をかけないのか、誠に遺憾だ 大戦艦N門』

 

…ちなみに、五月雨の野郎はあの騒ぎの中も普通に寝てたそうだ



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提督と謹賀新年

あけましておめでとうございます、新しい気持ちで通常運転

【登場人物】

提督(79)
正月はアツい餅

五月雨(32)
正月は雑煮に餅

鈴谷(28)
正月は力うどん


新品のパンツを穿いた元旦の朝のような爽やかさの漂う執務室…

 

「五月雨くん」

 

「五月雨です、合ってますけど…何ですか?」

 

「お年玉をあげよう」

 

懐から茶封筒を取り出し、スタイリッシュに五月雨に投げ渡した

 

「はぁ、一応ありがとうございます」

 

「一応とはなんだ?一応とは」

 

「せめてお年玉っぽくポチ袋に入れてくださいよ」

 

「ゴチャゴチャ言ってるんじゃないよ、この髪長駆逐艦が、だいたいなんだその髪は?テ●モテを使い切るつもりか?」

 

当基地の正月は基本的に休暇を与えている、一部のヤツは実家に帰省しており、そうでない者は初日の出暴走に出掛けたり、寮で寝ゲロしたりと過ごし方は様々だ…

 

ゴン!ゴン!

 

ブ厚い鋼鉄の扉に流れ弾が当たったようなノック音、朝二番の来客がやって来た

 

「ティーッス、鈴谷がお年玉貰いにきましたよぉ~」

 

正月から雌の匂いをプンプン漂わせるザ・ビッチ・オブ・マスタービッチ、鈴谷がヘラヘラ笑いながらやって来た

 

「おめでとう」

 

「おめでとうございます、お年玉ください」

 

「お年玉か…君には3つの選択肢がある」

 

「マジ?鈴谷3択強いよ!マジ強い」

 

「では下記のプランから選びたまえ」

 

①スネークバ●トォー!

②スネークバ●トーッ!

③スネークバ●ト!

 

「スネークバ●トしかねぇよ!!なんなの!?せめて良いユメ見せるとかないの?」

 

「無い」

 

「正月から厳し過ぎるッ!!夢が無さ過ぎるッ!」

 

「ゴチャゴチャ言ってるんじゃないよ、このビッチは、だいたいオマエに邪眼とかもったいねーんだよ」

 

「どーでもいい時に使うじゃん、っーか金!ほら!金!お年玉!お年玉ちょうだい!ちょうだい!ねぇ?チョーダイよ!鈴谷もう欲しくて欲しくてたまんないじゃん!」

 

「やかましい」

 

ゴン!ゴン!

 

重厚な鋼鉄の扉を叩き、おそらくは昨日はさっさと寝たのであろう第六駆逐隊のキッズ達がやって来た

 

「あけましておめでとう、なのです!」

 

「ハラショー」

 

「あけましておめでとうじゃない」

 

「暁ちゃんのくせになのですが被ってるのです」

 

「うむ、おめでとう」

 

俺は懐からポチ袋を取り出して1人1人丁寧に手渡し、アツいシェイクハンドを交わした

 

「やったぁー!」

 

「ハラショー」

 

「これでドル●ゲドンX引くじゃない!」

 

「イ●ンモールに行くのです!」

 

キッズ達はキャッキャとハシャぎながらお年玉を手に走り去った

 

「…」

 

「…」

 

「…なんでガキどもには気前よく渡すのに鈴谷にはくれないんですか?」

 

俺は胸元から煙草を取り出し机の上でトントンしてから口にくわえる

 

「…五月雨、火」

 

「煙草なら外でお願いします」

 

「なんで鈴谷にはくれないんですか!?」

 

まったく、相変わらず細かい事にうるさいビッチ野郎だな

 

「クソガキどもには渡したじゃん!ナニそれ?おかしくね?」

 

「ちなみに私も貰いました」

 

五月雨はシレッと茶封筒を取り出してみせる

 

「ほらっ!サミーも貰ってるじゃん!!」

 

「やかましい、だいたいオマエはなんだ?重巡か?」

 

「航巡だよ!ナニ?航巡にはくれないとかそんな感じなの!?」

 

「ん?あぁ、まぁ、それでいいや、うん、それな」

 

「テキトー過ぎるッ!渡さない理由がテキトー過ぎるッ!!」

 

「ったく…うるさい野郎だな、ほら、金やるから缶コーヒー買って来い、釣りはやる」

 

「わーい………って!!500円かよッ!万札出せよ万札!」

 

ゴン!ゴン!

 

三度叩かれる重厚なる真理の扉、開かれたその向こう側から来たのはインターナショナルパッキンボインと言う名のKUROFUNE!アイオワ

 

「Hai a HappyNewYear、どう?このFURISODE?」

 

「…おっふ」

 

「…おっふ」

 

「よくお似合いで」

 

その衝撃は俺と鈴谷がおっふせざるを得なかった

 

「…アイオワくん」

 

「ナニ?」

 

「コレ、少ないがとっておきたまえ」

 

「ナニこれ?OTOSHIDAMA?」

 

アイオワとアツいシェイクハンドを交わし、アイオワはゴキゲンに去って行った…

 

「…」

 

「…」

 

「なんでボインにお年玉あげたの?」

 

「ボインだからだ」

 

「鈴谷もまぁそこそこある方だと思うんですけど?なんで鈴谷にはくれないの?」

 

「釣りはやると言ってるだろーが」

 

「そんなついでじゃないで鈴谷もお年玉袋に入ったやつが欲しいんですけど!」

 

「ゴチャゴチャ言うんじゃないよこの子は」

 

ゴン!ゴン!

 

またか、どいつもこいつも暇なのか?

 

「うるせぇ!!今、取り込み中だよ!!鈴谷がお年玉貰う番なんだよ!」

 

「あら?鈴谷、居ましたの?」

 

「熊野ェ…」

 

「あけましておめでとうございますわ」

 

やって来たのは鈴谷の妹、エセガント航巡熊野

 

「うむ」

 

懐にはもう無いので尻のポケットからポチ袋を取り出し、スタイリッシュに熊野に投げ渡す

 

「イヤッホー!これで新しいウルトラダッシュモーターを買いますわー!」

 

「ハッハッハ」

 

「ちょ!待てよ!」

 

「なんですの?」

 

「なんだ?」

 

「や……そんなナニコイツみたいな顔されてもマジ困るんですけど、じゃない!お年玉ッ!甘い!熊野に甘いッ!」

 

「別に甘くありませんわよ、ねぇ?普通ですわ」

 

「あぁ、別に甘くないな、普通だ」

 

「甘いッ!どう考えても甘過ぎるッ!っーかやっぱ仲良くね?提督と熊野仲良くね!?」

 

「そんな事はないぞ、たまに歯ブラシ借りるぐらいだな」

 

「そうですわね」



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提督と磯風と雑煮似

新年の2回目、年始のテロリスト襲来

【登場人物】

磯風(3)
帰ってきたグルメ駆逐艦、とにかくフーフーしたい難しい年頃らしい、浜風ちゃんと仲が良いらしい



「あけましておめでとう提督、この磯風、早速だが年始らしく雑煮を作ったので食べてくれ」

 

机の上に置かれた見た目は普通の雑煮、だが、食さなくてもわかる、味は普通でなかろう雑煮

 

「マウスで試したか?」

 

「勿論だ、食後15秒程で上半身が有り得ないぐらい肥大化し、鉄の檻の柵をまるでバターやチーズのように折り曲げるヤンチャぶりだったぞ」

 

そうか…血管から直接注入べる感じのタイプか

 

「人体は試したか?」

 

「谷風に勧めたらただ一言“死ね”とだけ言われたよ、この磯風、正直メンタルは弱いのだがな」

 

「そうか」

 

あの最高にイキでイナセな谷風クンに死ねとまで言わせるとはなかなか出来るコトじゃないな…

 

「さぁ!おあがりよ!」ドヤァ!

 

「え?普通にイヤですけど?」

 

「あぁそうか、アツいのは苦手か、そうかそうか、よし!ではこの磯風がフーフーしてやろう、さぁ!遠慮するな、我慢は身体に良くないからな!」

 

「我慢とか我慢じゃないとかじゃない、単純に食いたくねぇんだよ!」

 

「…本気か?」

 

「あぁ、マジだぜ」

 

何が驚愕なのか、磯風は信じられないぜ承●郎といった表情で雑煮と言う名のBC兵器を取りこぼしそうになった、しかし!そこは歴戦の武勲艦として名高い磯風、マイナス修正は1ターンしか影響が無いのか、すぐに立ち直り、いつもの根拠ゼロで自信満々な表情に戻った

 

「しかし提督よ、この磯風のフーフーは希少価値が高いと思わないか?」

 

「フーフー吹くだけなら、この俺の為にファンファーレでも吹いてくれる方がよっぽど有り難い」

 

「ふむ…」

 

「わかったらその破壊力満点の重火器を下げろ、な?」

 

破壊力だけで言うならばメガバ●ーカランチャーに匹敵すると噂されているISO's kitchen、かつて処分に困り適当に海に廃棄した際、鎮守府近海のイ級をレッドリスト入りに追い込んだ事もある

 

「わかった、この磯風、ここは退くべき時だな」

 

「わかってくれて嬉しいよ」

 

「この磯風、物分かりは良いと自負している!」

 

意外とアッサリ引き下がったな、まぁゴネられても困るんだが…

 

「それはそうと提督、この磯風、実はカレーを作ってきてな、是非食べて貰えないだろうか?」

 

「本命はそっちかァァァァァ!!」

 

なんかカレー臭いとは思ってたがこの野郎ッ!まだ隠し弾を用意してたかッ!

 

「おせちもいいけどカレーもね!と思ってな、どうだ?なかなか気が利くだろう?この磯風、我ながら良妻賢母の才能はズバ抜けていると思うのだ」

 

「あぁ、ズバ抜けてるぜ」

 

「ではこの磯風がカレーをよそってやろう……うむ、アツいから気をつけろよ?もしアレならこの磯風、フーフーしてやるのもやぶさかではないぞ」

 

コイツの中で流行ってんのか?フーフーすんのが?なんか変な漫画でも読んだのか?

 

「さぁ!会心の一食や!」ドヤァ!

 

「一応聞くが、ラットで試したか?」

 

「あぁ、ラットには少々スパイスが効き過ぎていたのだろうな、のたうち回ってウレションを撒き散らしながら昇天したよ」

 

「そうか…」

 

「まぁ、1つ気になる事があるとするなら……谷風から刃物を渡されて自決しろと言われたコトぐらいか」

 

あの谷風クンにそこまでは言わせるとはな…大したヤツだ

 

「さぁ遠慮なく食べてくれ提督、ほっぺた落ちちまうZE!」

 

「なにがZEだ、カッコつけやがって!」

 

磯風と俺の位置関係上、この場を抜ける為には磯風のブロックを抜ける必要がある…

今の俺のコンディションは先日の餅つき大会のダメージから察するに30%ぐらいか…

 

「ほらほら、早く食べないと固まってしまうではないか」

 

「なんでカレーが固まるんだよ!おかしいだろォ!」

 

「早く!早く食べるんだ!」

 

「チッ……わかったわかった、一口だけな、一口」

 

仕方ない、まぁ一口だけなら死にはしないだろう、俺は勇気を出してカレーにスプーンを挿入す……

 

「…ん?」

 

ガギィン!!

 

挿入す……んん?

 

「なんだコレ?硬いぞッ!」

 

スプーンが通らないッ!なんだコレは!カチカチ!いや、カチカチだッ!!

 

「嗚呼ッ!提督がモタモタしているからカレーが固まってしまったではないか!!」

 

「だからなんでカレーが固まるんだよ!おかしいだろォ!なんだコレ?速乾コンクリートか!?」

 

「そんなワケがないだろう」

 

何をブレンドしたらこんなカチンコチンになるんだよ?おかしいだろ、固形ルーよかカティンコティンとか…

 

「はぁ、もういいから海にでも棄てて来い」

 

「むぅ…残念ながら仕方あるまい」

 

結局、磯風はカレーっぽい何かを海に廃棄し、待つ事10秒ぐらいすると白目を剥いた19が浮いて来たそうだ



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提督と羽根突きとドッグファイター

新年の三日目、新年に飽きたので次回から通常営業ですって

【登場人物】

長門(10)
バーチ●ルボーイはなんやかんやウケたらしい、現在は酒匂が所持している

時津風(4)
時津風本人としてはトラブルの無い平凡の生涯を望んでいる

グラーフ・ツェッペリン(4)
意外にもシルヴァニアファミリーを購入するメンタルの持ち主


小気味良い日光の降り注ぐ正月三日目…

執務棟の外ではアホどもが正月スポーツにアツい新春の汗を流していた

 

「ゆくぞォ!敗北の淵に案内してくれるぅ!」

 

「なんてサーブだ!」

 

「いや!回転がかかっている!168ゾーンだッ!」

 

カコンカコンとうるさいの古き良き日本の伝統文化、羽根突き…

現在コート上では実力派エリートの潜水艦168と超戦艦武蔵のアツい試合が繰り広げられていた

 

「どっちが勝ってるんだ?」

 

「む、同志提督ではないか、フッ…お前も駆逐艦のエンジェルス達の試合を見に来たのか?」

 

とりあえずそこら辺に立っている長門のアホンダラに声をかけてみたが、どうやらコイツはキッズどもの試合以外には興味が無いらしく、いそいそとカメラを組み立てていた

 

「同志じゃねぇよ」

 

「次は雷電コンビと弥生タンとうーちゃんのダブルスだぞ!まったく!胸が熱くなってきたな!」

 

羽根突きにダブルスとかあるのか…

 

「出た!零式!168のヤツ本気だぜーッ!」

 

「あの武蔵が手も足も出ねぇ!これが全国区の実力なのかーッ!」

 

「アーン?168なんざ大したコトねぇよ、あのヤロウ…まだ実力の半分も見せてねぇ」

 

「ウス」

 

どうやら試合は168の方が終始優勢らしい、ダテにスマホとかで遊んでいるワケではないんだな、アイツ…

168のたまらんスマッシュが決まり、ゲームは168が勝った、58や26がウェーイと言いながら168に勝利のハグをしながら観客に手を振っていた

 

「よし…」

 

「よし、じゃねぇよ、なんだそのメガバ●ーカランチャーみたいなカメラは?」

 

「フッ、前回の作戦で良い給金が出たからな、奮発して買ったのだ」

 

「ふ~ん、バカじゃねぇの?」

 

「バカではない、ビッグセブンだ」

 

コイツと一緒に居ると俺もロリコン盗撮犯にされかねん、さっさと離れるか…

そう考えて喫煙所へと足を向けた俺に何かがぶつかった

 

「ぐはァ!ロ●アの俺に攻撃を…ッ!」

 

「グゥゥゥゥ!!」

 

俺の足に衝突して唸りをあげる人には決して懐かない犬、時津風

 

「オイ長門、時津風が放し飼いされてるぞ」

 

「フッ、大丈夫だ、時津風は懐っこくて大人しいヤツだからな」

 

自信満々な長門に悪いが、既に周囲から被害の声が聞こえている

 

「噛みましたわぁぁぁぁ!!コイツ!私を噛みましたわァァァァァ!」

 

「バカヤロウ!早くそのチューインガムを隠すんだァァァァァ!」

 

「ファーックス!蹴り殺して差し上げますわ!このド畜生がー!」

 

熊野のエレガントキックを回避し、時津風はさらなる追撃のハウンドタックルを喰らわせた

 

「ごでぃばぁ!!」

 

「オマエ、キライ、ニンゲン、コロス」

 

時津風は奪ったチューインガムを妙にムカつく顔でクチャクチャ食べて余裕の屁をこいている

 

「オイ、全然人懐っこくねーぞ!むしろ狂犬ぶりが悪化してるだろォ!!」

 

「そんな事はないぞ、このビッグセブンの前ではとても良い子だ」

 

「それダメな飼い主の思考だろーが!!」

 

コイツとは飼い主責任について一度徹底討論しなければならんな…

 

まさに誰も手がつけられない狂犬、しかし、その狂犬の前に一人の勇気ある者が歩み出した

 

「…ここは私に任せて貰おうか」

 

ドイツから来たおっぱいデカい空母、グラーフ・ツェッペリン

 

「…」ビクッ!!

 

「フッ、怯える事は無い、かわいいワンちゃんじゃあないか、さぁ、このジャーキィーをあげよう」ニマァ

 

「ヒッ!!ヒイイ!ヒイイィィィィ!!」ジョー…ドボドボ

 

グラーフは精一杯の笑顔の前に、時津風にブクブクと泡を吹きながら白目を剥いて気絶した

 

「すげぇ“覇気”だ!」

 

「なんて強力な“覇王色”ッ!ハンパじゃねぇ…」

 

「これが乳武海の実力か!」

 

ざわ…ざわ……

 

「………ジャーキィーを」ポロポロ




次回はリクエストもありました三日月回

…すげぇよミカは


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提督と三日月とチャーハン

ミカがヤっちまう回

【登場人物】

五航戦
意外と普通の妹と、妹の前以外ではすぐ吐血する姉、装甲空母

三日月
睦月型の10番、とにかくすごい

秋月(3)
秋月型の長女、三日月さんと仲が良いらしい


「北方AL海域か」

 

「ですね」

 

本部から届いた1枚のFAX、燃料資材を少し融通してやるから少々面倒な任務をやって来いとの事だが…

 

「え~…空母旗艦の駆逐艦2か」

 

あの海域、なかなかタフな敵が多いから普段は駆逐艦出さないんだよなぁ

 

「私が出ましょうか?」

 

「小粋な五月雨ジョークはやめてくれ」

 

◆◆◆

 

北方AL海域…

 

「はいもしもーし?こちら瑞鶴ぅ」

 

『こちら瑞鶴ぅ、じゃねーよ、現場の状況はどうなんだ?』

 

信じて送り出したAL殲滅部隊、現場の映像を撮影するカメラ係を日向のバカに任せたら2秒で水没させ、そのまま進撃、現場の状況がまったくわからないので仕方なく瑞鶴に電話をかけてみた

 

「ん~…今、ガキ姫のトコ、あ!翔鶴姉ぇ!それ私のキ●トカットじゃん!ちょ!やめてよね!」

 

『何がキットカ●トだ、ナニヨユーこいてんだオマエらァ!?』

 

北方AL海域に生息する戦慄の悪鬼、北方棲姫、見た目はクソガキでもさすがに上位種の姫級、ヤツの恐ろしさと手強さは決して侮る事はできない

 

「うるさいなぁ、ちょっと翔鶴姉ぇに代わるから、はい」

 

『あ゛?』

 

「あ、もしもし?妹がお世話になっております、姉の翔鶴です」

 

『あ、どうも………じゃねーよ!知ってるよ!状況を伝えろ!状況を!勝ってんのか?負けてんのか?』

 

「勝ってます」

 

『勝ってるのか…』

 

「はい、今、三日月さんがスゴいヌルヌル動きながら鈍器みたいなのでボッコボコに殴ってます」

 

‐‐‐

 

『イタイ!!ナニソレ超イタイ!!』

 

出撃る前にビッグママが持たせてくれたWG42、最初は使い方がよくわからず使い難いなコレと思っていたその装備…

 

「あぁ…やっとわかってきた、コレの使い方」

 

本来、潜水艦に搭載し陸上施設に大打撃を与える為に作られたその兵器、陸上施設型の深海棲艦に有効なダメージを与える事が可能だが、三式弾とは違い決定打に欠けると言われている…

ただ、あくまで本来の用途を無視し、殺す気で使えばその力は三式弾に匹敵する狂気の力を発揮する

 

「ウロチョロするなよ」

 

『ギャアアアアア!!』

 

WG42の尖った部分を北方棲姫に突き刺し、足を止める

 

「それ晴れ着?なんでそんなの着てるの?」

 

『ヒッ!ヒイイィィィィ!!』

 

「ま、どうでもいいか…」

 

パンパンパンパン!

 

『…』死ーン

 

「終わったよ」

 

三日月は懐からソ●ジョイを取り出し、間違った使用法のせいでひしゃげたWG42をブンブンと振って戦闘の終了を報せた

 

◆◆◆

 

「すげぇよミカは…可愛くて、燃費がよくて、愛嬌もある、初めてのWG42も使いこなすし、今度は分数のかけ算まで…」

 

無事任務を終えて帰還した部隊に特別手当を渡し、俺は喫煙所で胸元から取り出した煙草をくわえ、ライターを探していた

 

「…ところで、なんでその三日月は秋月に担がれてるんだ?」

 

給料を渡した後、マミーヤにチャーハン食いに行くと言ってたが、新感覚の遊びか何かだろうか…?

 

「あぁ…テイトク、なんか歩くのが面倒くさくなって」

 

「面倒くさくなったからって秋月に担がせるなよ」

 

悪魔のような活躍をする三日月だが、基本的には殺戮の為のマシーンみたいなヤツなので殺戮以外については大変面倒くさがりらしい

 

「大丈夫です!秋月は三日月さんをマジリスペクトしてますから!」

 

「ふ~ん」

 

意外と仲良いんだな、コイツら

 

「テイトク、チャーハン作ってよ、チャーハン」

 

「なんで俺がチャーハン作らにゃならんのだ」

 

「お金ならポッケに入ってるから」

 

「三日月さん!チャーハンなら秋月が作りますよ!」

 

「…でも秋月のチャーハン、肉入ってないし」

 

「ぐっ!……チャーハンってお肉入ってるんですか?」

 

秋月姉妹のチャーハンには肉が無いらしい

 

「給食おばちゃんに作って貰えよ、マミーヤママのママチャーハンを」

 

「食堂閉まってた」

 

「そうなんです、年始は6日から営業するそうです、なんでも伊良湖さんと海外行ってるらしいですよ?ワイハですかね?」

 

何考えてるんだあのブタチチ乳牛は、そんなに儲かってるのか?あのヤロウ…

 

「チッ…まぁいい、チャーハンでいいのか?」

 

「チャーハンで」

 

秋月に担がれたままで返事する三日月は実にシュールな光景だな



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足柄と大淀とFatalFury3-遥かなる闘い-

阿修羅は三度黄泉返る
帰ってきたワイルド足淀回

【登場人物】

足柄(3)
通称、ワイルドウルフ
妙高姉さんから子持ち処●とディスられている

大淀(3)
通称、デスマシーン
愛車はス●イラインR30


「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、かつて裏社会一帯を牛耳る暗黒の帝王をシュトロハイム城ごと倒した事もあり駆逐艦のキッズ達から憧れの対象とされている

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

足柄とはベストなフレンド、略してベストフレンドの関係らしく、昨年末も二人でおせち料理の買い出しに市場へ行き、お気に入りの服の袖をギザギザにして帰ってきた

 

「まぁそうクサクサすんなよフレンドォ~…見ろ、キッズどもがビビって楽しいビンゴができねぇじゃねーか?」

 

大淀は右手の親指を震えながらパンツに黄色い染みを作る駆逐艦のキッズ達に向ける

 

「そうね、フッ、私としたコトが…」

 

足柄はポール・ス●スの財布から数枚の紙幣を取り出し、一番近くに居た満潮にスタイリッシュに投げ渡した

 

「オマエらァー!コイツでバーガーでも買いなァー!」

 

「ヒュー!足柄サンオトコマエーッ!」

 

「さすが足柄姉サン!愛すべき永遠の餓狼ーッ!」

 

キッズ達は足柄に頭を下げてキャッキャとハシャぎながらファーストフード店へと走って行った

 

「…で?ナンで荒れてたんだオメー?また合コンでも行ったのか?」

 

「あ゛?行ってねーし」

 

大淀は手近な椅子に腰を下ろし、机の上に置いてあったピーナッツを指で弾き、口を開けてダイレクトに口に放り込んだ

 

「昼間、キヨシとアサシとカスミとデパートに福袋買いに行ってよぉ~」

 

「は?なにそれ?聞いてねーんですけど?」

 

「は?」

 

「は?じゃねーよ、なんで誘わねーの?足柄オマエコラ、ちょっと舐めてね?この大淀サンを軽く見てね?」

 

大淀と足柄のメンチ合戦は思わずイタズラなKISSをしてしまいそうな距離まで迫り、お互い気持ち悪くなってやめた

 

「で?デパート行って福袋買ったんか?」

 

「買ったよ、福袋、C●ACH入ってた、C●ACH」

 

「ヒュー、いいじゃん」

 

「で、キヨシとアサシが上でメロンソーダにアイス乗ったなんかほら、アレだよ、アレが食いたいって駄々こねるから上に連れてったワケよ」

 

「フロートなフロート」

 

「それな!それ、フロート!まぁ、私も目当てのヤツ買ったしちょいゴキゲンな気分だったワケよ」

 

足柄はお気に入りのマイ●ンのカップにミルクを2つ入れてグルグルとかき混ぜる

 

「で、エレベーターで上に昇ってたら屋上でなんか豪華景品が当たる抽選会があるよーとかなんとかアナウンスが言ってんのな」

 

「あー」

 

「それ聞いたキヨシとアサシのテンション上がりまくり、クジ引きたいクジ引きたいうるさいワケよ」

 

「まぁそうなるわな」

 

大淀はお気に入りのティフ●ニーのカップにコーヒーを注ぎ、角砂糖を3つ入れてグルグルとかき混ぜる

 

「で、あんまうるせぇから屋上行ったワケよ」

 

「ふ~ん」

 

「まぁ豪華景品とか言ってもギフト券とか宿泊券みてーな景品だったからアサシとキヨシ超ガッカリ」

 

「まぁ、キッズには興味ねぇわな」

 

「ただ、4等のなんかキッショイ鳥のヌイグルミ見たカスミがめっちゃソワソワしてんの」

 

「キッショイとかゆーなよ」

 

「それ見たキヨシとアサシのバカどもがカスミあれ欲しいんかーとか煽る煽る、マジ煽ってカスミ半ギレ、あんな鳥欲しくないわーって目ウルウルさせてガチ泣き」

 

「あー…あるある、あったわー、私もまだ近所で評判の美少女だった頃にガッコでそんな感じの煽りあったわー」

 

「は?」

 

「は?じゃねーよ、なんだその顔、オモテ出ろ、タイマン張ろーや」

 

大淀と足柄はアンアン言いながらメンチを切り合い、5秒程して途中で面倒くさくなったのか、互いにコーヒーを豪快に飲み干してひと息ついた

 

「で、とりあえずキヨシとアサシにゲンコ入れてカスミに頭下げさせて握手させた後にクジ引いたワケよ」

 

「ま、キョーイクは必要だわな、で?引いたの鳥?」

 

「あ?4人ともティッシュでしたけどォー?」

 

「引いとけよ!そこは引くトコだろ、ガッカリだぜーッ!足柄ガッカリだぜーッ!そこはオマエがママになるトコだろォ?空気読めよォ~」

 

「まぁ落ち着けって、この話には続きがあんだよ、っーか誰がママだ、ブッ殺すぞ任務眼鏡」

 

「あ゛?」

 

「あ゛?じゃねーよ、ヤんのかコラ?立てよ、ほら、処●捨てる前に眼鏡なんか捨ててかかってこい、ほら!」

 

「●女じゃねーし、処●とか入隊前に捨てたし」

 

「…は?マジで…?」

 

「マジ」

 

「え?ナニ?バ●ヴで?え?バ●ヴだろ?あのベッドの下にあった太っといヤツ」

 

「なんで知ってんだよッ!」

 

「ほら!あんトキ!夏休み夏休み!オマエんち行った時にオマエがウ●コしに部屋出た時にエロ本ねーかなと思ってベッドの下漁ったら出てきた、アレはマジ引いたわー、あの極悪サイズはマジ引いたわー、羽黒でもあの凶悪サイズはないわー」

 

「使ってねーから!未使用だから!アレちょっと興味で買っちゃった感じのヤツだから!ほら!通販ってまとめたら送料お得やん?」

 

「あーはいはい、お得お得」

 

「ってか!そのハナシはいいから、クジ引きの続きは?」

 

大淀は再び注いだコーヒーにドボドボと角砂糖を入れガチャガチャとかき混ぜた

 

「あー…クジね、まぁ結局4等当たらなかったからカスミマジガッカリ、キヨシとアサシが元気だせよーって励ましてんの」

 

「仲良いなアイツら」

 

「で、帰ろうとしたら丁度キッショイ鳥のヌイグルミ持ったガキ肩車した提督とバッタリ遭ってよォ~」

 

「そういや昼間見ねぇなと思ったらナニやってんだよあのオッサン、っーかなんでガキ肩車してんだよ?隠し子か?」

 

「いや、なんかほら、ウチにいるヤツ、なんかほら、緑のアタマしたヤツ」

 

「あのパンツ見せるのが仕事のJKみてーなヤツ?」

 

「違う違う、ほら、なんか最近配属された目ツキ悪いガキ」

 

「あー…いたいた、いたわ、そんなの、ナニ?あのオッサンやっぱロリコンなの?」

 

「なんか改白露型?改白露型の白いのに頼まれて一緒に福袋買いに来てたらしーのな」

 

「あー…あのラノベヒロインみてーな美少女、海ナントカ」

 

「それそれ、その海ナントカはもう1人の妹連れて下で服買ってるらしーで、提督はその間に緑のヤツと屋上でゲームやってたんだと」

 

「マイホームパパか」

 

「で、なんかクジ引き始まったから引いたらキッショイ鳥のヌイグルミ当たったらしいのな」

 

「ふ~ん」

 

「で、ウチのカスミがそれマジ欲しがっててこのままだとこのデパートが戦場に変わるって頼んだらくれたワケよ」

 

「脅してんじゃねーよ」

 

「大丈夫だって、緑のガキも普通にキッショイからいらないって言ってたし、あ、ちなみにコレ写真な」

 

足柄はスマホで撮影したヌイグルミの画像を大淀に見せた

 

「…キッショイな」

 

「キッショイだろ?で、その後、フードコート行ってキヨシとアサシにここぞとばかりに注文させて提督に全額負担させて帰ってきた」

 

「オマエ、マジワイルドウルフ」

 

「やっぱガキども連れてデパート行くモンじゃねぇわ、大淀、次ゼッテーオマエ連れてけよ、マジで」

 

「は?私の鉄仮面ガキは出禁だし」

 

「は?じゃねーよ」

 

「ふ〜ん、あ、そうそう来週イケメン将校と合コンあんだけど…」

 

「マジ?行けるっしょ!っーか行くっしょ!」



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提督と阿賀野型とナイトクラブ15

今年最初のナイトクラブはHO‐SHOWランキングが牙を剥く

【登場人物】

阿賀野(2)
約三ヶ月半ぶりに登場、最新鋭の最新鋭たる真価を見せる

能代(2)
長女共に約三ヶ月半ぶりの登場、よく見ると口調が変わった

提督(80)
本物のゲス、最近子供優しい良い人ぶっていたが基本的にはゲス


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「ママ、コレお土産のトラフグ、死にたてだよ」

 

「フグねぇ…誰か調理できんのかい?」

 

「え?ママ捌けないの?」

 

「フーッ~…捌けるよ、免許無いけど」

 

さすがビッグママだ、今の発言を聞いただけで捌いたの出されても食わない事を神に誓ってしまいそうだ…

俺は口をパクパクするトラフグをママに押し付け、悠然と空いてる席に座った

 

「いらっしゃいませーHO‐SHOWへようこそー、阿賀野でーす」

 

「能代です」

 

軽巡とはまた珍しいな、暴力的な発育の良さに定評のある阿賀野型姉妹、その長女と次女がやって来た

 

「とりあえずビールで」

 

「ビール?能代、ビールとって、ビール」

 

「ビールねぇ、コレでいい?」

 

能代はいつもの微妙に冷えてないオリ●ンビールの瓶を取り出し、阿賀野に手渡した

 

「栓抜きないの?栓抜き」

 

「栓抜き?あぁコレ?」

 

なんだコイツら?このグダグダ感とは程遠いキビキビとした姉妹の連携プレー、軽巡とは言えさすがに最新鋭と言うコトなのか?しかも姉妹揃って性的な肉感、コレは意外と当たりなんじゃないのか?

 

「ハイ!ビールです!」

 

阿賀野はイヤな顔1つせずにニコニコと笑ってグラスを俺に手渡す、まぁ泡が4割なんだがこれはまだ許せる範囲、つまりはセーフッ!生き残りッ!阿賀野驚異の踏みとどまりッ!

 

「まぁ、オマエらもテキトーに飲んでいいぞ、あと、たまにバランスが崩れてオパーイにシャバドゥビタッチするけど笑って許せよ」

 

「了解☆」

 

「阿賀野姉ェ…」

 

確信した、これは大当たりだ、正直なところ軽巡はちょっと性的な目で見るには躊躇いがあったが、これはもう誘っている流れだろう、俺のエールはタッチオーケーだ

 

「阿賀野もビールにしよーっと、能代は?シャンパン?シャンパーニュ?シャンパーソン?」

 

「そうねぇ…じゃ、シャンパンで」

 

「オッケー!じゃ阿賀野もオ●オンビールで能代はコレでいい?モエロゼ?」

 

「あ~…うん、じゃそれで」

 

どうやら能代の方はよくわかっていないらしいな、阿賀野もモエシャンがわかっているのかわかっていないのか微妙だが…まぁいいや、サービス料だ、気持ち良く払ってやろう、俺の右手は自然な流れで阿賀野のパイにスネークパイトしてるしな

 

「ハッハッハ」

 

「あははははは☆」

 

「阿賀野姉ェ…」

 

「ところでなんでオマエらこんなトコで働いてるんだ?軽巡はもう寝る時間だよキミぃ、オジサン、タイーホしちゃうよキミぃ」

 

「いやぁ~、最近出撃の仕事ないから生活苦しくって~☆」

 

「矢矧は大和サン大和サンって大和さんの子分でパシリして働かないし、酒匂はコンビニクビになるし」

 

能代曰く、酒匂が勤めていたコンビニによくわからん言葉を話す強盗が来たらしく、丁度レジに立っていた酒匂が丁度レジの後ろに立てかけてあった鉄パイプで強盗の顔面をフルスイング強打し、丁度いいところにあった虎ロープで強盗を拘束し、丁度いい感じでアツアツになったおでんを1つ1つ丁寧に口に挿入れたそうだ

 

「ぴゃークビになったーとか言って警官と帰ってきた時はさすがに紅茶噴いたわ」

 

「アレはねー☆」

 

まだクロスロード発祥の最終禁断の力が残っているのだろうか…?それともあの子はもともとサイコな子なのだろうか…?

 

「だから阿賀野が働かないとおバカな矢矧ちゃんとサイコな酒匂にご飯食べさせてあげられないのー☆」

 

「阿賀野姉ェ…」ポロポロ

 

コイツ今、サイコって言っちゃったよ、かわいい末妹をサイコって言っちゃったよこの長女

 

「ふぅ~…アツくなってきちゃったなぁ、テイトクさん、阿賀野もシャンパンいい?」

 

「あ?あぁ、構わんぞ」

 

「どれにしよっかなぁ~…あ、ドンペリとペリーって似てるよねー?オマエらみんなKAIKOKUだーって☆」

 

……まぁ、スネークパイト、いや、今日は俺が“ユメ”を見るのも悪くない、まぁ今日のところはベンキョーしてやるか

 

「じゃ阿賀野モエ白で、能代は?」

 

「え?あぁ、じゃ同じので…」

 

「えー☆同じのじゃつまんないじゃん?ねぇテイトクぅ?」

 

「あ?あぁ、つまんないじゃね?」

 

「阿賀野のオススメはコレ☆クリュッグー☆」

 

「あ、じゃそれで…」

 

「ブッッッ!!」

 

「どうしたの?テイトクさん☆喉に詰まっちゃった?」

 

コ………コイツ!!阿賀野、まさかコイツは…?

 

「待て、待て待て待て、ステイ!ステイだ」

 

「能代能代、能代もこっち来てテイトクさんの背中さすってあげて☆」

 

「え?あ、うん」

 

阿賀野型の上位姉妹による左右からのダブルドライブ!阿賀野のヤツは間違いなく故意に密着体勢、そして能代も阿賀野を倣ってか密着体勢!

この圧力、これが…軽巡だとでも言うのか!!

 

「クリュッグでいいかな☆」ボソッ

 

そしてこの囁き戦術、この阿賀野………間違いない、コイツは……エースだッ!!

 

阿賀野【日本】

最新鋭軽巡【艦種】

HO‐SHOWランキング【3位】

 

あの山城よりランキングが上の存在ッ!思えば能代の分も普段ならクソがと言って却下する良い値、まさか最初から全てが擬態ッ!あえて素人くさい能代を利用する狡猾さッ!全てが金を落とす為に張り巡らされた周到な罠ッ!

 

「新しい財布も見つけたし………そろそろ狩るか☆」ボソッ

 

なんてヤツだ……なんてヤツだッ!!嵌められたのはオレだったのかッ!!



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提督と夕張とサイボーグ怪獣

今年最初の夕張のハッキリ言って自信作回

【登場人物】

夕張(13)
好感度0、調教度MAXの超ド級M、ある意味ではまごうこと無き天才

五月雨(33)
誇り高き殺人バリスタ、その高い尊厳を生かす方向が致命的に間違っている


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

食堂で五月雨と七草粥を食い、今年の健康についてアツい議論を交わしつつ執務室に戻るとカルマ値がヤバい感じで高いマイナス数値を記録する軽巡夕張がやって来た

 

「見せてみろ、使えねーモンだったらテメーのケツ………いや、アツいシェイクハンドをしてやろう」

 

「え゛?」

 

「え?じゃねーよ」

 

「そうですか…」

 

なんで残念そうなんだコイツ、やっぱとんでもねード変態だよ

 

「いいからとっととその自信作を見せろ、俺は忙しい」

 

「特にやる事なんて無いじゃないですか、NARUT●の続き読むとか言ってませんでした?」

 

「サミダンバインくんは黙ってろ、暇なら夕張にコーヒーでも淹れてやれ」

 

「五月雨です、そうですね、では…」

 

「あ、結構です、五月雨ちゃんのコーヒーマズいんで」

 

ガチャン!!

 

甲高い陶器が割れる音が鳴り、いつぞやにデパートに行った際に奮発して買ったらしいお気に入りのウェ●ジウッドのティーカップが砕け散った…

 

「今……なんと?」ブルブル

 

あまりの衝撃に、五月雨の肩が小刻みに震えている、まさかここまでハッキリ言うヤツはそうは居ない…

 

「まぁそんなコトより今回の自信作はスンゴイですよォー!」

 

「いいからモタモタしてねーで早くしろよクソが」

 

「では今回の自信作はこちら!ガイ●ーンッッッ!!起動ゥゥゥ!」

 

どーん!!

 

破壊音と共に窓の外にそびえ立つ強大な影!力強さを感じる濃紺っぽい外皮、必ず殺っちゃうぞと決意を秘めたカマみてーな両腕、ゴーグルのような単眼、見るからに悪役の雰囲気を持つ巨大怪獣ッッ!!

 

「…足があるな」

 

「足なんか飾りです」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな」

 

バカだバカだと思っていたが、そういやコイツ、前にウチの資材でモ●ラ作った事もある本物のプッツンヤローだったな、その才能をより良い方向に使えば地球だって救えたかもしれんのにな…

 

「名付けてェ!サイボォーーーグ怪獣ッ!ガ●ガンですーっ!」

 

「知ってるよ、昭和の頃からな、っーかテンション高けぇなオイ!」

 

「こちらのガイ●ン、まぁ上手に使えばメッチャ強いです、空母ヲ級ぐらいなら鼻息1つでフランスまで飛ばせます」

 

「すげーな鼻息」

 

「さらに!両腕のカマはより凶悪なチェーンソーに換装できます」

 

ジャキィーン!!

 

「そして!胸から丸ノコみたいなの鋭利なヤツが飛ばせます!」

 

ギュウウウウン!!

 

「…昭和の面影を残す素晴らしい造形だ、誉めてつかわす」

 

「恐悦至極」

 

「…で?コイツの欠点はなんだ?」

 

「そうですね、バカなトコでしょうか?」

 

やっぱあるんだな、欠点

まぁコイツの作るアホ兵器なんだからあるに決まってるよな

 

「自分の武器で自分の首を落としてしまうぐらいバカです、ってか、コレX星人じゃないとまともに言うコト聞かない感じなんですよね」

 

「なんだよX星人って…コレ、オマエが作ったんじゃねーのかよ。」

 

「まぁだいたい一万二千年ぐらい前にX星人が地球に侵略してきた時に蛾みたいヤツにやられて海に沈んでたのを私が回収して修理しました」

 

「つまりなんだ?今のコイツは手のつけられないモンスターってコトか」

 

「あ、その辺は大丈夫です、自爆スイッチつけましたから、コレ押したら自爆します、半径3キロの生物は確実に死滅します」

 

「今それ押したらマジ殺すからな」

 

コイツ…なんてモノを作りやがるッ!当然ガイ●ンの事じゃあない!ガ●ガンに取り付けているモノの方だッ!!

 

「これはもうアレですかね?もうオシオキ確定ですかね?確定ですよね?」

 

夕張は気持ちの悪さと邪悪さが絶妙に混じり合った笑みを浮かべてウヘウヘ言いながら不気味に口角を上げる

 

「…バカヤロウ、ドMのド変態のア●ルフェチだとは思っていたがまさか基地と引き換えにこの俺を脅すとは…」

 

当基地に迫る最大の危機、選択を間違えた瞬間ドカン確定のこの場面、俺は夕張をアツく抱き締めた

 

「な゛!?」

 

がばっ!!

 

「そんなバカを、それでも愛そう」

 

「な…な……?」

 

「基地ごと自爆しようなんざアホなコト考えやがって、だがなぁ夕張よ、オレ達は家族だぜ、家族を巻き込んで自爆なんかしちゃあならねぇ…」

 

「て……テイトクッ!!」ポロポロ

 

俺のアツい説得を聞いてくれたか、夕張はアツい涙を流してフラフラと歩きながらスイッチから手を離…………さない!

 

「テイトク……なんか手にスイッチあると無性に押してみたくないですか?なりますよね…?なりますよね?」ブルブル

 

「バカ!!やめろォォォ!!」

 

コイツ!!押しボタンを見ると連打するタイプかッ!!

 

「いいや限界だッ!押すねッ!!」

 

「やめろォォォ!!」

 

ドカッ!!

 

「あ」

 

突如として繰り出されたキックに、夕張の手からスイッチが蹴り飛ばされた

 

「…夕張さん、私の聞き間違いだと思うのですが、私のコーヒーが、不味いと…?」

 

五月雨ェ…まったく、やれやれだぜ、やはりオマエは頼りになるヤツだよ、ムカつく程に

 

「ちょっとお話があるんでいいですかね?」

 

「ちょ!ちょい待ち!ちょい待ち五月雨ちゃん!今ちょっと取り込み中…」

 

「提督、少し夕張さんとお話があるので席を外します」

 

「ちょ!痛い!ナニこのパワー!?五月雨ちゃん!肩!肩砕ける!肩砕けるゥゥゥ!!」

 

「あぁ、行ってこい、あと、夕張のクソはガイ●ン処分するまで帰ってこさせなくていいぞ」

 

五月雨はズルズルと不気味な音を立てて夕張を引きずりながら退出して行った………窓の外には唸りを上げてそびえ立つガイ●ン、海軍基地とは思えないシュールな光景だ

よし、NARUT●読むか!



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鈴谷と熊野と電話相談

まさかのしょーもない思いつきを拾って頂いた事に対する返しの刃回

【登場人物】

鈴谷(29)
ビッチ、悩み多き年頃
カレーが好き

熊野(13)
エセガント、ズイウンバトルに情熱を燃やす多感な年頃、ズイウンバトルで世界征服する組織とか地球が危ないとかよくあるコトですわっ!


重巡寮、さわやか寮…

 

「あのさぁ~鈴谷こないだ電話相談窓口ってのに電話したワケよ」

 

特にやる事も無い休日、部屋着のダサいシャツとパンツ1枚、ベッドの上でゴロゴロと古鷹さんから借りた蒼の祓●師を読む鈴谷は同室の相棒に話しかける

 

「電話?テレクラですの?」

 

「テレクラじゃねーし、電話相談だし、っーか熊野よくテレクラとか知ってるな!?」

 

「じゃあダイヤルQ2ですの?」

 

「電話相談って言ってるだろォ!!」

 

「あぁ…電話相談、ってか、そのハナシ長くなりますの?私、今、新しいズイウンのチューニングに忙しいんですけど?」

 

ズイウンの足まわりをチューンするのは実に繊細な作業だと言いながら熊野は手にしたヤスリを机に置いた

 

「なんかネットで見た艦娘お助けダイヤルとかゆーのに電話したワケよ?」

 

「なんですの?それ」

 

「知らない、なんか職場環境がどーのこーの書いてたから、ちょっと鈴谷に対して上司が厳し過ぎる件を相談したワケよ」

 

「へぇ~、で?ハイハイ言われて切られたと」

 

「なんでわかったの!?」

 

「どうせイタズラ電話の類と思われたに決まってますわ」

 

「クッ!!…言われてみるとなんかそんな気がするっ!」

 

「話はそれだけですの?暇なら自販機でティーでも買って来て頂けません?」

 

「は?なんで鈴谷がパシられなきゃなんないワケ?自分で行けよ、ってか鈴谷今超忙しいんですけどー?」

 

「部屋着のシャツとパンツだけでゴロゴロ転がってエロ本読んでるヤツに言われたくありませんわ、あとチ●ビ勃ってますわよ」

 

「勃ってねーし!ってかエロ本じゃねーし!蒼エクだし!」

 

熊野は溜め息をついて椅子から立ち上がり、ポケットに小銭入れを入れた

 

「私、自販機でティー買ってきますわ」

 

「鈴谷コーヒーね、微糖」

 

「死ね」

 

「妹からも厳しいッ!!」

 

妹である熊野から汚物を見るような視線と憎悪を込められた罵倒…

熊野は最高のチューニングについてブツブツと呟きながら部屋を出て行った

 

‐‐‐

 

「…遅いし」

 

熊野が自販機にティーを買いに行って1時間は経ったであろうか、鈴谷はそろそろ不浄王編が佳境にさしかかるところまできていた

 

「たかがティー買うだけでどんだけかかってるんだっーの」

 

鈴谷は蒼エクを閉じ、枕元に置いてある携帯電話を取り、熊野に電話してみた

 

「…」

 

『もしもし?熊野で御座います』

 

「あ、熊野、私私、私じゃーん」

 

『私私…?ハッ!コレは噂に名高い“ママ!助けてママーッ詐欺”ですわね!』

 

「鈴谷だよ!!っーか着信登録してるだろッ!」

 

鈴谷はイライラしながらツッコミを入れ枕に拳を叩き込んだ

 

『あら?鈴谷でしたか、何か用ですの?』

 

「ナニか用もなにも…たかが自販機にティー買い行っただけでやたら時間かかってるからナニかと思って電話したワケよ」

 

『あぁ、そんなコト…』

 

「ってか熊野どこにいんの?なんか周り騒がしくね?」

 

『ちょっとお高いカレー屋ですわ』

 

「なんで自販機にティー買いに行ってちょっとお高いカレー屋に行ってんの!?」

 

『まぁ手短に説明しますと、自販機でティー買おうと歩いてたら丁度提督と髪の長い秘書の、え~……サミダンテさんとお会いしまして、え?違う?サミダレ?あぁそうでしたわね、サミダレさんでしたわ、熊野うっかりですわ』

 

電話の先からまるでアメリカンホームコメディのようなアットホームで陽気な笑いが微妙に聞こえてきた

 

「サミーの名前とかどうでもいいわ!っーかナニ?今、提督とサミーと一緒に居るワケ?」

 

『いますわよ、提督がカレー食いに行くから付き合えとお誘いされ、ちょうど小腹も空いてましたし』

 

「ファーック!!!」

 

鈴谷は携帯電話を枕元に思いっきり叩きつけた

 

「フゥー…フゥー…!」

 

『なんですの今の音?』

 

「なんでもねーし」

 

『まぁそーゆーワケで今は食事中なので切りますわよ、は?交換?う~ん、まぁいいですわ、では私のメンチカツと提督の茄子を交換で…』

 

ブチッ!!!

 

「…熊野の野郎ォ、切りやがったし」

 

ナチュラルにカレー食いに誘われただけでなく、しかも!トッピング交換までする仲の良さッ!!

前々から疑問に思っていた鈴谷と熊野に対するこの扱いの差ッ!!

 

「フフフ、ハハハ…アーッハッハッハ!」

 

…鈴谷はベッドの上でひとしきり笑い、深く、闇より暗い瞳で再び携帯電話を手に取りプッシュボタンを押して番号をダイヤルする…

 

プルルルル…プルルルル…ガチャ!

 

「………あ、もしもし?鈴谷とゆーモンですけど、ちょっと相談したいコトあるんですけどー」



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提督と龍驤と内蔵テレビ

ママ以外は滅多に出ない軽空母登場回

【登場人物】

木曾(5)
イケメン雷巡、姉ちゃん達にビビってる

天龍(4)
イケメン軽巡、妹の出番は無いがちゃんと居る

龍驤
ママ以外の軽空母としては瑞鳳祥鳳以来の登場、ママとはわりと仲が良いらしい


憩いのスペース、談話室…

 

「オレのターン、オレはナイトでオマエのキングにチェックしてターンエンドだぜッ!」

 

「フッ、俺のターン!俺は特殊効果キャスリングを発動!場のキングとルークの位置を交換する!」

 

「なにィ!?」

 

俺のキャスリングに驚愕する天龍、そう、切り札は最後まで隠してこその切り札なのだ

 

「それはどうかな?」

 

「木曾ッ!」

 

「提督、チェック後のキャスリングは反則だぜ!つまりこの効果は無効となる!」

 

横から俺達の戦いを見ていた木曾がルール違反を指摘した、チッ、コイツ知ってやがったか!

 

「クッ、ターンエンドだ!」

 

特にやる事もない午後、俺と天龍と木曾は談話室でアツいチェスに興じていた

 

「オレのターン!ポーンを移動し…ひとつの魂は光を誘い、ひとつの魂は闇を導く!疾走れオレのポーン!カオスフィールドを駆け抜けろ!そして超戦士の力を得よ!プロモーション発動!オレのポーンはカオスクイーンへと超進化する!」ドンッ☆

 

「コイツっ!」

 

「アタックだ!カオスクイーン!」

 

「ウオオオォォォォォ!!!」

 

本来チェスは無駄口叩いたりせずクールにやる遊戯だが、俺達のチェスは無駄口と煽りと囁きと精神攻撃が重要になる

 

「よっしゃー!!勝ったぜ木曾!」

 

「あぁ、いいゲームだった、天龍のチェスリストとしての魂を感じたぜ」

 

天龍と木曾はアツい握手を交わし共に勝利の喜び分かち合う、まったく友情とはいつ見ても良いものだ、俺の心をアツくしてくれる

 

「よし、次はオレとやろーぜ」

 

「いいぜ!ギタギタにしてやるよ!」

 

「しかしノド乾いたな、オマエらァ、自販機でジュース買って来るけど何がいい?」

 

「え?マジ?提督奢り?じゃオレンジジュース!」

 

「オレもー!」

 

天龍と木曾はキャッキャとハシャぎながら新しいゲームを始める為に駒を並べ始め、俺は自販機に行くべく談話室を後にした…

 

しかし、まさか自販機でジュースを買っている間にあんな事があろうとは、この時、俺は予想だにしなかった…

 

◆◆◆

 

自販機でジュースを買い、談話室に戻って来た俺の前にはテーブルに突っ伏した木曾、そして、あまりの恐怖に震えが止まらず歯をカチカチと鳴らす天龍ッ!

 

「どうしたァ!?一体ナニがあったァァァ!?」

 

「バ…バケモンだ」

 

「バケモン?」

 

「あ…あんなつえーヤツは見たコトがねぇ、オレも!木曾も!まったく歯が立たず!立たずにッ!」ポロポロ

 

天龍はポロポロと涙を流し木曾は白目を剥いて気絶している、わからん、俺がジュースを買いに行っている間に一体何が…

 

「…クイーンや」

 

談話室の隅、スーパーフ●ミコンテレビ内蔵テレビが置かれた座敷の一角からの声、そこに居たのは昼間からワンカップを片手にダービース●リオン2に興じていた軽空母、龍驤ッ!!

 

「アンタがおらん間にクイーンが来てそこのチンケな二人をボコボコにしたんや…」

 

「バカな、この二人とて素人ではないハズ…」

 

「そんなん知らんわ、ただ、結果はそれや、ウチは遠巻きからちょっと見てただけやけど、まぁアレやな?完全に遥かな高みから見下ろされとったわ」

 

「クッ!一体何者なんだクイーン!龍驤ッ!教えてくれ!」

 

「ハァ?教えるもナニもクイーンはクイーンやろ?」

 

「クイーン………ま、まさかッ!?」

 

「なんやったっけ?ほら、ウォーズマンみたいな名前の」

 

「ウォースパイト陛下だ!」

 

この野郎、ゲラゲラ笑いながら陛下の御名前を間違えるとは、なんて不敬なヤツだ

 

「あーそれそれ、スパ子やスパ子、あの外人メッチャ強いわ、ノータイムで打って瞬殺やったで」

 

「略すな!!せめて陛下とお呼びしろ!陛下と!」

 

「ハァ?イチイチそんなん気ぃ遣っとられるちゅーの、まぁうちが失礼ゆーならジャリどもの方がよっぽど失礼働いてたで、ヘーカの膝乗ってビスケット食ってカスポロポロ落としよったし」

 

キヨリベェェェェェ!!!

 

「ま、せいぜいギロチンまでの間にその首をキレーにして待っとき」

 

「やかましい!!っーかテメー!談話室で酒飲むな!」

 

「ハァ?」

 

「ハァ?じゃねーよ、そんなに飲みたきゃママんトコ行け、ママんトコ」

 

「鬱陶しいカスやなぁ、よっこらせっと!」

 

龍驤はスーパーフ●ミコン内蔵テレビの電源を引っこ抜き、めんどくさそうに持ち上げる

 

「ちょっと待てコラァ!備品!そのテレビここの備品だぞ」

 

「ハァ?うちまだダビ●タ途中やん?ママんトコ持っててやるんやけど?」

 

「置いていけ!」

 

「ったく…チ●コ小さいオトコやなぁキミは、っーかチ●ポついとるんか?チ●ポ、アレのコトやで?保健体育の教科書的にはペ●スのことやで?ペ●スついとるんか?」

 

「女の子がチ●コだのチ●ポだのペ●スだの連呼すんな!」



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提督と長門と妹なワケない

駆逐艦にモテたくてモテたくて仕方ないヤツの回

【登場人物】

長門(11)
駆逐艦が選ぶアツくて広くて頼れる雄々しき背中を持つ神話の時代からのオレ達のアニキランキング第1位

グラーフ・ツェッペリン(4)
駆逐艦が選ぶ夜の眷属にして銀の弾丸で頭をブチ抜いたぐらい死なない本物のフリークスランキング第1位


「なぁ、陸奥よ」

 

「なに?」

 

戦艦寮の一室、日課である朝のバーベルトレーニングを終え、シャワーで汗を流してひと心地ついた長門は明石の店で買った中古ゲーム、シ●タープリンセスをプレイしていた

 

「この長門、妹が欲しいのだがどうすればいいのだろうな?」

 

「…はぁ?」

 

「どうすればいいのだろうな?」

 

陸奥の目に写る長門の目は真剣そのものだ、一点の曇りすらない綺麗な瞳、見る者によってはその気高き魂の輝きはまさに聖者と言えよう

 

「…そうね、とりあえず私の存在を全否定するのやめてくれるかしら」

 

◆◆◆

 

「…と言うワケだ、同志提督よ」

 

「何がと言うワケだ、あと同志じゃない」

 

執務室にやって来た長門は陸奥に喰らった虎砲のダメージに時折顔を歪めつつ、己のアホな失敗話をしていた

 

「このビッグセブン、妹が欲しいのだ」

 

「オマエ妹いるじゃん」

 

「アレは妹ではない、修羅だ」

 

「修羅か…」

 

「なぁ提督よ、なんとかならんか?このビッグセブンに血の繋がらない多数の妹を紹介してくれ」

 

「五月雨、金属バット持って来い、金属バット」

 

なに言ってんだコイツ?イカレているのか?いや、イカレてるんだったな

 

「はい、コレでいいですか?」

 

「おう」

 

俺は五月雨からミ●ノVステージを受け取り、深く深呼吸してスタンスを大きく開き、思いっきり長門の腹にフルスイングした

 

バシンッ!!!

 

「んほぉ!!!」

 

普段ならば並みの金属バットは折り曲げる強度を誇る長門の腹筋、しかし、今日は陸奥から喰らったダメージの為か、その衝撃を長門の内臓に確実に刻み込んだ

 

「お、効いた」

 

「い…痛いじゃないか」

 

「バカなコト言ってんじゃないよこの性犯罪艦が」

 

「まぁ待て、同志提督よ、このビッグセブンとて突然血の繋がらない妹を増やすのは実際に難しいであろう事は重々承知している」

 

「難しいじゃない、不可能だ」

 

「そこでこのビッグセブンは考えた、この際、このビッグセブンの妹を広く募集してみては…と」

 

「募集してみては…と、じゃねーよ、陸奥に謝れ、陸奥に」

 

「フッ、我ながら天啓とも言えるこの閃き、このビッグセブンの妹になれるビッグチャンス、駆逐艦のエンジェルス達は黙ってはおくまい」

 

その自信がどこから湧いてくるかは知らんが、そのエンジェルス達はお前に対して畏敬の念が強過ぎて応募してこないだろう

 

バンッ!!!

 

「話は聞かせて貰った」

 

突然、執務室の重厚な扉が開き、顔色の悪い空母がズカズカと入って来た

 

「ゲェーッ!お、オマエはーッ!」

 

「その話、このグラーフ・ツェッペリンも参加させて貰おう」

 

ドイツから来た見た目は不健康、身体は不健全空母、グラーフ・ツェッペリン!

 

「貴様は…独逸から来た白いヤツ!」

 

「グラーフ・ツェッペリンだ、戦艦ナガト」

 

長門とグラーフ、遂に出逢ってしまったこの似て非なる両者の間に火花が散る!

 

「このグラーフ・ツェッペリン、恥ずかしながら駆逐艦のキッズ達と仲良くしたいと常日頃から考えているのだが、何故だかどうして避けられている」

 

「ほぉ…」

 

「そこでグラーフ・ツェッペリンは考えた、そうだ!妹と言う体ならばシャイガール達もこのグラーフ・ツェッペリンに歩み寄り易いのではないか…と」

 

ダメだコイツ、そして何故コイツも無根拠とも言える自信に溢れているのだろう…

 

「同志ナガトよ」

 

グラーフ・ツェッペリンは手袋を脱ぎ、長門へと握手を求め、長門はフッと笑いその手をアツく握り返す

 

「フッ、こちらこそ宜しく頼む、同志グラーフ・ツェッペリン」

 

「フッ、グラーフで構わない、同志ナガト」

 

何がフッだ、カッコつけやがって…しかし、今、ここに駆逐艦のキッズ達にモテたくてモテたくて仕方ない悪魔のコンビが誕生した、この絶望感…まるでネプチ●ーンマンとマンモ●マンが組んだ以来の絶望を感じやがる

 

「では同志提督、募集要項について詳しい話を詰めよう」

 

「そうだな、このグラーフ・ツェッペリン、近所に良いカフェを知っている、話はそこで…」

 

「だから同志じゃねーって言ってるだろーが、いい加減にしろよオマエら」



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提督と山風とまた奇妙なダンボール

コミュニケーションレベルの上がったルーキー回

【登場人物】

山風(4)
改白露型の緑のやつ、台車の扱いが上手い

明石(6)
野望の工作艦、夕張といい、この基地に居る個体は何かがおかしい



寒い寒いとは言いながらも煙草は吸わねばならないスモーカー、自販機で缶コーヒーを買い、喫煙所で煙草を吸っていると、段ボール箱を台車に載せた山風が廊下を歩いていた

 

「よぉ、なにやってんだオマエ?」

 

「…あ、提督」

 

「なんだその箱?」

 

「…明石さん、のお店の商品…だって、倉庫に取り行くアルバイトしてる、1回500円」

 

あの野郎、安価で済むガキの小遣いで経費削減か…まぁ誰が損するワケでもないし、目は瞑ってやるか

 

ガタ…ガタ…

 

「ん?」

 

「…なに?」

 

「なんかその箱、今、なんか動かなかった?」

 

「…動いてる、運んでる時も、たまに、変な声もする」

 

怪しさ満点の謎の段ボール、明石のヤツ、まさか変なクリーチャーでも取り扱ってるんじゃないだろうな

 

「ちょっと開けてみるか」

 

「え゛?…でも、明石さん、から決して…誰にも触らせたらダメって…特に、提督には…」

 

「構わん、提督権限だ」

 

あの野郎、怪し過ぎだろ…特に俺には見られてはマズいとか完全に黒じゃねーか

俺は段ボール箱に貼られたガムテープを剥がし、中身を確認すると…

 

『ニ゛ャー』

 

「…」

 

「…なにコレ?」

 

山風は段ボール箱の中身、オシャレなケージに入った毛の無い猫のようなものが入ったケージを持ち上げてみせる

 

「キモいな」

 

「…猫?」

 

「猫だな、たしか毛のない猫とかいう珍種だ」

 

「…ふ~ん」

 

なんだったっけかな?たしかスフィンクスとかそんな名前の珍種だったような…っーか大丈夫かコレ?ワシントン条約とかに引っかかる感じの生物じゃねぇだろうな?

 

「しかし実物は初めて見たが……キモいな」

 

「…そう?」

 

山風は珍しそうに珍種猫に興味を示している、まぁ、猫と言われても近所の野良猫とは品種どころか違う生命体にも見えるしな

 

「しかし明石の野郎、アイドルグッズどころかペット・ショップまで始めやがったのか…」

 

「…明石さん、のお店、ペット売ってるの?」

 

「知らん、まぁ本人問いただせばいいだけの話だ」

 

◆◆◆

 

「ありがとうございましたー」

 

ちょっとお高い熱帯魚の餌が入ったビニール袋を手に、古鷹さんがご機嫌な様子で店を後にする

最近手を出したペット販売の効果はなかなか上々だ、ペットとは一度飼い始めるとその世話をする為に何度となくペット専用の商品を買い求めに来る魔性の存在、そして、ちょっと専門的な知識を囁けば普段は固く閉ざされている財布も可愛いペットの為ならば仕方ないかとどいつもこいつも財布の紐を緩める

特に、他人とは違うちょっとお高いブランドペットを買った人間はなおさらッ!ペットへかけた金額の高さこそが同じブランドペット仲間達に対するステイタスになるッ!

 

「フフフ…」

 

バカの一つ覚えみたいに真面目に商売する余所の明石チェーンとこの明石は違う!フフフ…笑いが止まらんわい!ゆくゆくはワシントン条約に引っかかる希少種・珍種も取扱い、この明石こそが全国の明石チェーンの全てを掌握し、この国の流通を支配する帝王になる日は近いッ!!

 

「ハハハ…ハァーッハッッハッハ!」

 

そういやおつかいに出した山風ちゃん帰って来ないな…どこで道草食ってんだろ?

 

ガラッ!!

 

「…ただいま」

 

「あ、山風ちゃん遅いよぉ~、オネーサン心配しちゃったじゃな~い?外寒かったでしょ?あったかいミルクココア飲む?」

 

私は大事な商品をちゃんと持って来てくれた山風ちゃんに笑顔で保温器に入れてあったミルクココアの缶を差し出し…

 

「あぁ、飲むぜ、ただし…明石、お前が、上の口からだがな」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

「ゲェーッ!!お、おまっ!!」

 

提督はアツアツに加熱されたミルクココアのプルトップをスタイリッシュに開け、そのまま中身を私の口に流し込んだ

 

「お゛ぶっ!?あば!あづ!あばばばばばばっ!アバァー!!」

 

「オイオイオイ、吐くんじゃねぇよ、全部飲むんだよォ!オラァ!」

 

「げほっ……ぶほっ!!な…なんでテイトクがッ!?」

 

「あ?煙草吸ってたら途中でコイツに会ってな、あまりにも怪しいんで中身を改めさせて貰った」

 

「…ごめんなさい」

 

クッ!!なんてツイてない!いや、やはり安い金で雇ったキッズではこんなものか!

 

「で?なんだこのキモい猫は?売り物か?」

 

「売り物ですけどぉ?」

 

別に法には触れていない、ここは正直に話すのがベスト!最良の選択!

 

「基地内で動物販売してんじゃねーよ、っーかペット売る資格持ってんのかテメー?」

 

「え?動物売るのに資格いるんですか?」

 

「いるよ、国家資格じゃねーけどな」

 

…ヤバい、持ってない

私の頰に冷たい汗が伝う、それ見た提督はポケットから携帯電話を取り出した

 

「もしもし?ケイサツですか?」

 

「ちょ!ちょ!待って!待ってください!ケイサツやめて!ケイサツ!」

 

「うるせぇなこの違法ブリーダーが、ちょっと檻の中で反省してこいよ、っーか他になんかあるなら全部喋ってキレーな身体になって来い」

 

「スイマセン!出来心なんですぅ!今は反省してますぅ!!」ポロポロ

 

クッ!!まさか資格が必要だったとは!なんと言う失態!失念!致命的ッ!致命的ミス!

 

「…これ売り物じゃないんだ」

 

山風ちゃんはケージに入ったスフィンクスを見ながら溜め息をついている、もしかして欲しかったかな?

 

「明石、販売はダメだが個人的な譲渡ならいいじゃあないか?」

 

「譲渡ですか…?ハッ!?」

 

コイツ!!なんてコトを考えやがる!?この男、今までの件については問わない、だからこのスフィンクスを無料で!無償で!タダで引き渡せと言っているッ!なんて悪魔的ッ!まさに悪魔の発想ッ!

 

「でもそれ……ケッコーな仕入れ価格が」

 

「あ、もしもし?ケイサツですか?」

 

「わかった!!わかりましたよ!!あげますよそれェ!!」

 

やられたッ!!クソッ!クソッ!クソッたれェェェ!!

 

「山風」

 

「…なに?」

 

「明石がそいつオマエにやるってよ」

 

「…ホント!?いいの?」

 

「………遠慮なくどーぞ」

 

「…やった」

 

…クッ、私のスフィンクスが!販売価格55万が!

 

「良かったなぁ、ちゃんと世話するんだぞ」

 

「…うん」ニコッ



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提督とZara級と奇妙な始まり

きれいなポーラ回、たぶん

【登場人物】

ポーラ(5)
イタリアから来た禁断ビッグバン、飲む吐く脱ぐは当たり前

ザラ(3)
通称ザラ姉様、近い内に新たなる力を獲る予定らしい


「Ciao,il mio nome e Pola」

 

「…は?」

 

「Admiral Cattivo umore?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

姉であるザラと共に執務室にやって来た稀代のアルコール依存艦ポーラ…

しかし、いつものポーラとは様子が違うみたいだが …

 

「なんなんだ?一体」

 

「実はそれをご説明しようと思いまして…」

 

ザラはなにやら非常に申し訳なさそうな顔をしているが、この姉妹に何かあったのだろうか?まさかアレか…?

 

「まさか…レ●プされたのか?」

 

「ハァ!?ち…違いますよっ!」

 

「そうか、コイツの事だから普通に泥酔姦でケツからスクリュードライバーでも流し込まれたかと思ったが…」

 

「その……ポーラを禁酒させまして」

 

「…はぁ?」

 

「禁酒させたんです、十日間」

 

ザラ曰わく、正月から吐いて飲んで脱いで、吐いて飲んで脱いでを繰り返すヤンチャ妹にとうとうキレ、十日前に手足のところに皮のベルトが出てくる椅子にポーラを座らせ強制断酒をさせたそうだ…

 

一日目『あ゛あ゛ァァァァ!!酒ェー!酒ェー!アルコール!アルコールをくれェェェ!』

 

三日目『アルアルアルアル……ウヒ!ウヒョヘ!ヒョヘヘヘヘ!コロスーッ!コロスコロス!コロシテクレー!』

 

五日目『ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ、ポーラ変わります、生まれ変わりますゴメンナサイ』

 

七日目『アー…アー…妖精サン…コンニチハー』

 

九日目『…そら、きれい』

 

…そして、壮絶なる十日間を乗り越えたポーラからは尿とか涙とか体内の巣くう今までのアルコール分を流し尽くし、まさしく別人のように生まれ変わった

 

「やりすぎだろォ!!」

 

「正直、ちょっとやりすぎたと思ってます」

 

なるほど…道理でいつもは居るだけでアルコールランプみたいな匂いがするポーラからアルコールの匂いがしないワケだ

 

「Non guardare cosi peccato」

 

「…オイ、なんて言ってんだコイツ?」

 

俺がポーラに視線をやるとポーラはサッとザラの後ろに隠れた

 

「恥ずかしいからあまり見つめないでください、と…」

 

「…キモいッ!」

 

「キモいはないでしょう!キモいは!?」

 

「いや、普通にキモいわ、今までが今までだしな」

 

「まぁ、それはそうですけど…」

 

しかしアルコールの呪縛から解き放れたポーラか、まぁ、アルコールが入ってても見た目だけなら美少女と言っていい容姿だっただけに、アルコール分が無いとかなりハイレベルな美少女なんじゃないのか?乳デカいし

 

「っーか日本語はどうした?日本語は」

 

「アルコールと一緒に流れ出たみたいです」

 

「えげつねぇな」

 

「でも!これでポーラは真人間になったんです!これがZara級重巡の真の姿なんです!」

 

なんとも誇らしげに胸を張るザラ、まぁザラとしてもやり過ぎ感は感じたものの結果オーライな感じなのだろう

 

「…まぁ正直キモいがそのうち慣れるか」

 

「キモいとか言わないでください」

 

俺は五月雨が棚の中に置いてる一口チョコレートの入った瓶から中身を一つ貰い口に放り込んだ

 

「オマエらもいるか?高価いヤツだぞ」

 

「あ、いただきます」

 

「Grazie per il vostro」

 

俺は二つ取り出し、それぞれに渡すと二人はそれを口に入れる

 

「うん、これは美味しいですね」

 

「…」カッ!!

 

「…ほのかにブランデーが入っているような感じが……ッ!」

 

このチョコレートには微量なアルコールが入っている事に気付いたザラはすぐに動きを止めたポーラに視線を遣った

 

「KUAAAAAAAA!」ニマァ

 

「ポーラァァァ!!」

 

「アルコール!摂取らずにはいられないッ!」

 

怪物が、甦った

ポーラはまるで猫の猛獣のような躍動感溢れるポーズで跳び、棚に置いてあった貰い物の日本酒を奪取して流れるように上の口から飲み干す!

 

「URYYYYYY…足りませんよぉ、まだまだ全然足りませんねぇ」

 

「ポーラァ!!」

 

「ザラ姉の貧弱な波紋などポーラには効きませんよぉ~、しかし今はポーラも万全ではありませぇん~」

 

ザラの鉄拳を右手で捌き、ポーラは高圧で日本酒を口から発射する!

 

「グッ!?」

 

名付けて空裂酒刺驚(スペースリバー・スティンギーゲロズ)!

 

「それではザラ姉様、オサラバでぇ~す」スタコラサッサ

 

「ポーラァ!!クッ!なんてコト!またあの怪物を解き放ってしまった!!早くなんとかしなければ!提督!早くなんとかしなければ!」

 

 

こうして、ザラとポーラ、二人の奇妙な戦いは今年も何事もなく始まる

 

←To Be Continued



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提督と鈴谷とリターンオブ全裸

あっちを勃てればこっちが勃たない回

【登場人物】

提督(81)
その美しさは88の聖●士の中でも随一と言われていたりいなかったり

鈴谷(30)
プロのビッチ、略してプロビッチ


チラつく雪にうんざりする冬の日、今日は五月雨も見たい番組があると休暇をとっており、一人、執務室で開放感を感じようと前々から考えていた瑞鳳イチオシの足がかわいいと定評のある九九艦爆でヌいてみるのはどうだろうかと思い立ち、俺は服を脱ぎ捨て鏡の前に立ち、己の美しさに勝てるのはギリシャの神々でも難しいだろうと考えていると、運悪く鈴谷がやって来た

 

「へ…変態ッ!変態かッ!?」

 

「変態じゃない、提督だ」ググ…

 

「服ッ!ちょ!まず服…いや!パンツ!せめてパンツ穿いて!」

 

「パンツか、ふむ…」グググ…

 

股間のフキダシが少年誌の限界を見事に守護りきり、俺は脱ぎ捨ててあった服を着直した

 

「で?何の用だ?」

 

「何の用だ?じゃないよ!なんか前にもあったけど用事を忘れる衝撃すぎるわ!」

 

忘れるなら大した用事ではないのだろう、しかしコイツほどのプロビッチならばたかが男の裸など見慣れているだろうに…

 

「ご覧の通り、俺は忙しいのだが?」

 

「や、どー考えても忙しくないでしょ、完全に暇を持て余して奇行に走ってたじゃん」

 

「奇行ではない、己自身を姿見で写す行為、君にもあるのではないかね?」

 

「や、そりゃあるけど…風呂入る前とか」

 

「だろう?」

 

「だろう?………じゃねーし!ちょっと納得しかかったけど、冷静に考えたらおかしいじゃん!昼間っから執務室で全裸!やっぱ奇行以外の何物でもないよ!」

 

チッ、なかなか賢しい子だね

 

「大人はふとした時、全裸になりたくなるものだよ」

 

「はぁ?」

 

「それが大人の特権だよ」

 

「や、意味がまったくわかんねーし」

 

俺は冷蔵庫から買い置きの缶コーヒーを取り出しプルトップを開けてひと心地き、机の引き出しから新品のLED電球を取り出した

 

「それで?何の用だ?」

 

「だからその用事を忘れたってば…まぁいいや、お小遣い頂戴、鈴谷新しいゲーム欲し…」

 

「千円ぐれーでいいか?」

 

「や、できればもう一声ぐらい…」

 

「千一円」

 

「ケチか!!」

 

「ケチじゃない、提督だ」

 

「クッ!でも無条件でお小遣いが貰える数少ないチャンス………わかった、千一円で!」

 

「誰が無条件と言った、カスが」

 

「え゛?タダじゃないの!?」

 

何をそんなに驚愕する事があろうかね、このカスは

 

「や、お小遣いってフツータダで貰えるもんじゃないかと…」

 

「なに、大した事ではない、ちょっとその若さ故に持て余し気味の身体に奉仕作業をして貰うだけだ」

 

「ほ…奉仕ッ!?」

 

「とりあえずそこで四つん這いになって貰おうか」

 

「いやいやいや!ちょ!ちょい待ち!ステイステイ!ちょ!待とう!や、いきなりそれはなんっーか、いや!ちょっと安過ぎるっーか」

 

「ゴチャゴチャ言ってるんじゃないよ」

 

「せ…せめて!せめて五桁!せめて五桁頂ければ鈴谷的にもまぁ納得できるっーか、そーゆーのはお互いがお互いの利益と言いますか、提督の猛りはしずまり、鈴谷はお小遣いを頂けて双方納得の上で致す方が良いものかと?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?俺はただ、電球を替える踏み台が欲しいだけなのだが…

 

「それに五桁と言ったものの、一万円では些か安過ぎると言うかぁ~…まぁほら?アレじゃん?鈴谷もそれなりに人気者なワケだし、まぁ一万円なら手か足か…や、口でいいや!大サービス!口で!」

 

「ナニ言ってんだオマエ?イカレているのか?」

 

「イカレてねーし!」

 

ゴン!ゴン!

 

執務室の重厚な扉を叩く音がして、返事をする間もなく緑の頭をした駆逐艦が入ってきた

 

「…あそびに、きたよ」

 

「む、山風か…」

 

改白露型のチビスケ、山風は毛の生えてないキモい生物を両手に抱えていた

 

「ナニそれ?キモっ」

 

「…キモくない」

 

「チビスケ、電球替えたいから手伝え」

 

「…電球?いいよ」

 

俺はスタイリッシュに山風を肩車し、執務室の切れかかっていた電球をLED電球に交換させた

 

「…できたよ」

 

「よくやった、お小遣いをあげよう」

 

俺は山風を下ろし、千円札を手渡した

 

「ちょ!待てよ!」

 

「なんだ?プロビッチ」

 

「ビッチじゃねーし、プロでもねーし!え?ナニ?電球替えるって…」

 

「だから四つん這いになれって言ったろーが」

 

「あの…もしかしてアレでしょうか?鈴谷を踏み台にする気だったと?」

 

「それが大人の特権だよ」

 

「ファーック!!意味わかんねーし!!」



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提督と飛鷹型とナイトクラブ16

提督の疑惑にメスを入れるハードボイルド復讐活劇

【登場人物】

飛鷹
飛鷹型一番艦、提督から“よっ!今日もイイケツしてるね!ガッハッハ”とフランクに声をかけられているのが原因

隼鷹
飛鷹型二番艦の新世紀創造主空母、汚物の消毒に定評がある、実家が金持ちで荒れた青春を送った結果が現在


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「ケツだな!ケツ!やっぱ女はケツだよ!」

 

「アンタ乳がデカいのが好みじゃなかったのかい?ボーイ」

 

「ボーイはやめてくれよ」

 

執務棟の裏で栽培している穫りたてフレッシュな辛味大根をママに渡し、俺はまるで阿●羅閃空のようにスムーズな足取りで空いている席に座った

 

「どうも、飛鷹です……ゲッ!提督」

 

美しいケツに定評のある軽空母の飛鷹、そして…

 

「ヒャッハー!水だァー!」

 

紙幣をケツ拭く紙に使うと噂されている軽空母の隼鷹、以前、禁酒させた際に水が酒になるように邪眼をかけた後遺症が残っているらしく、今でも水道水をガブ飲みする姿がたびたび目撃されている

 

「まぁ座りたまえ」

 

「隼鷹そっちね」

 

「ヒャッハー!」

 

隼鷹を俺の隣にコール、自身は俺の対面に座りターンエンド、特に何かした覚えはないのだが、この飛鷹は俺の事が嫌いらしく、気さくに声をかけてもどうにも邪険にされる

 

「だが、それもイイ!」ズギューン!

 

「キモッ!スイマセン、出来るだけこっち見ないでくれませんか?」

 

「オイオイ、客商売だろォ?料金分はキチンとサービスしたまえよキミぃ」

 

「クッ…」

 

飛鷹の嫌悪感と屈辱感のこもった視線、フフ…そんなに見つめるなよ、興奮しちゃうじゃあないか

 

「で…?何飲むんですか?水ですか?できれば高価いの頼んでください」

 

「焼酎、芋、お湯割」

 

「あ、アタシも焼酎、冷やで」

 

「アンタもサービスする側でしょ!!」

 

実に的確なツッコミ、やはり君は素晴らしい逸材だ、飛鷹

 

「まぁ構わんよ、飛鷹くんもキミも好きなものを飲みたまえ」

 

「じゃ、ピンドンで、ママ、ピンドン入ります」

 

「クッ…さすが飛鷹くんだ、まぁいいだろう」

 

「よっしゃ!カンパイしよーぜ!カンパイ!」

 

俺達はそれぞれのグラスを手にウェーイとグラスをブチ当てる

 

「そーいや提督よォ、アンタアレなんだって?ホモじゃないでロリコンなんだって?」

 

「ブッ!!!」

 

「あ、それ私も聞いた、提督がある島で海賊らしからぬ父親の顔をしていたとか…」

 

海賊王か!!っーか海賊じゃねぇし、俺、海軍の方じゃん!?なんだその噂!

 

「ちょ……ちょっと待て、なんだその噂は?」

 

「まぁ、前々から提督はホモってのがワリとメジャーだったけどさぁ」

 

「一応聞くが、そのホモ話はどこ出だ?」

 

「サミー」

 

「私は陸奥さんから聞いたわ」

 

アイツらァ……!!

 

「っーか基地の7割が提督はホモで納得してるしな」

 

「ホモじゃねーし」

 

「ところが最近はアイツ実はホモじゃないでロリコンなんじゃない?って説が強くなってるのよ」

 

「一応聞くが、その話はどこ出だ?」

 

「サミー」

 

「長門さんよ」

 

ビッグセブン!!どうなってんだビッグセブン姉妹ッ!っーか五月雨ェ!!アイツなんか俺に恨みあんのか!?

 

「で?実際どーよ?ホモなの?ロリコンなの?」

 

「ホモでもなければロリコンでもない」

 

「は?」

 

「は?じゃねーよ、なんだヒヨー?そのツラはレ●プされてーのか?」

 

「け…ケダモノ!!」

 

「ケダモノじゃない、提督だ」

 

なんてことだ…威厳と誇り高い事に定評があると自認している俺がとんだ風評被害を被っているとは、これは由々しき事態と言えよう

 

「だって提督アレじゃん、未だにミコンじゃん」

 

「そうね、これは動かし難い事実であり決定的な裏付けよ」

 

「アレはそう、アレだよ、俺はほら、アレだよ、カッコカリとかシステム的に名前あってもほら、ケッコンってのはほらアレだ、幸せで幸せで幸せで幸せの絶頂でだな…」

 

「乙女かッ!!」

 

「ギャハハハハハ!!幸せの絶頂ッ!ヒッ……ヒヒヒ!幸せの絶頂ーッ!」

 

「何が可笑しい!!」

 

こ…このクサレ軽空母どもめッ!人の純情を…ッ!!

 

「あー…笑った笑った」

 

「あーホント、今年一番笑ったわ」

 

「オマエらちょっとオモテ出ろよ、キレたよ、久々に」



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鹿島先生と龍鳳と進化の言葉

そう思うだろう?アンタもッ!回

【登場人物】

鹿島先生(11)
天下無敵の練習巡洋艦

龍鳳
柔らかなる乳と剛なる右太腿と剛なる左太腿を持つ軽空母

痴女風
私が遅い?私がSlowly?冗談じゃないよ!


「鹿島ァァァァァ!!」

 

「龍鳳ォォォォォ!!」

 

鹿島と龍鳳、決して相容れない二つの矜持、繋ぐ事のできない“無法”と絶対にして確固たる“正義”が激しくぶつかり火花を散らす

 

「すげェ戦いだ…すげェ戦いだッ!」

 

「すげー!練習巡洋艦と軽空母ってあんなコトできるんだー!」

 

両者の戦いに瞳をキラキラと輝かせて見つめる駆逐艦のキッズ達

 

「あそこで戦ってるのねー、一人は私の元同僚で、一人は私の妹分、ヘヘッ…まぁよく頑張っちゃいるけど私よりは下ね」

 

パラソルを地面に刺し、オシャレなティーセットを並べて優雅にティータイム中なのであろう、一人の痴女みたいな格好の駆逐艦がキッズ達に声をかける

 

「は?痴女風ちゃんそんな強いの?」

 

「ありえねーし」

 

「嘘じゃないよ!私はね、世界を縮める艦だし…」

 

「だったらまずキチンとした格好しろよなー」

 

「オイ!そんな痴女ほっとけよ!マジすげー」

 

キッズ達はキャッキャとハシャぎながら二人の戦いを再び追いかけ、痴女風と呼ばれた痴女のウサギの耳のようにそびえ立つリボンが折れ曲がった…

 

「鹿島ァ…お前は限界を超えちまったんだなぁ…だったら進め!徹底的になァ!龍鳳…少しくらい時間が出来たら戻ってやれよ…瑞穂サンの……ところに」

 

…死ーン

 

◆◆◆

 

話は二時間程前に遡る…

 

「演習ですか?」

 

「演習ですよ」

 

座学の授業を終え、提出する書類を提督に渡しに来た私に提督からの指示が下った

 

「鹿島先生、今日は香取先生が休暇をとっておられるのはご存知かと思います」

 

「え、えぇ…」

 

確かに、今日は香取姉さんは休暇をとっており、昨日の夜から夜行バスで湯●院に温泉旅行へと向かっている、まったく、羨ましい限りだ

 

「たしか演習の予定は入ってなかったハズでは?」

 

「それが少々手違いがありましてね、先方への連絡ミスと言いますか…まぁ、あちらさんはウチを殺す気満々なんですよ」

 

演習で殺す気とはこれ如何に?と言いたいところだが、逆に、ウチが毎回殺す気で演習に臨んでいるので何とも言えない…

 

「そこで鹿島先生、急な事で申し訳ないのですが、今日は鹿島先生の指揮でお願い出来ればと…」

 

「は…はぁ?別に構いませんが」

 

「素晴らしい!さすがは鹿島先生だ!いやぁ!ありがとう!本当にありがとう!」

 

提督は私の手を握りアツい握手をする…あとで手を洗おう

 

「あの…それで、演習に出す子は?」

 

「あぁ、それはこちらに書いてますので今すぐ呼び出してください」

 

「はぁ…」

 

提督から受け取った書類には睦月型の子が数名と痴女みたいな子と軽空母……

 

「龍鳳…」ギリッ

 

「は?」

 

「あ、いえ、なんでもありません!すぐに準備に取りかかります、はい!」

 

私は提督に一礼してそそくさと執務室を後にした

まずは駆逐艦の子達に準備させて……

 

あの忌々しいおっぱい軽空母にも声をかけないと…

 

◆◆◆

 

いつもと違い、演習場を包む歓喜と狂喜…

既に大破判定を受けたであろう敵部隊が海面プカプカと漂うバトルフィールドで争う二つの艦

 

「………フーッ~、なんでウチの艦とウチの艦が争っとんのかね?」

 

書類仕事を終え、煙草を吸いがてら演習でも見に行こうと考えた俺は自販機で缶コーヒーを買い、演習場へとやってくると、銀河ギリギリぶっちぎりの爆乳ハイパーバトルが展開されていた

 

とりあえず、俺はその辺に居た夕張にこれは何事か尋ねることにした

 

「あ、提督、お疲れ様です」

 

「なんで身内で争ってるんだ?」

 

「さぁ?なんかよくわかんないんですけど、最初は普通に相手方を殴ったり蹴ったりしてたんですけど、演習終わったかな~って時に急に二人で殴り合いを始めました」

 

「…ナニ言ってるんだ?イカレているのか?」

 

「イカレてないです」

 

夕張曰く、鹿島先生と龍鳳は出逢ったその日からDNAレベルで仲が悪いらしく、スケベ女教師とスケベ新妻、属性の違いから反目し合っているのでは?との事だ

 

「ゲイは軽空母になってスケベ若奥様辞めたろ」

 

「まぁ、どっちも精●絞りとる形してますし、アレですよ?同族嫌悪みたいな感じじゃないですか?●ーメンモンスターVS●ーメンモンスターみたいな」

 

「●ーメンとかゆーな」

 

そうか…仲悪かったんだな、アイツら

既に戦いは最終局面らしく、スケベ女教師、鹿島先生とスケベ新妻、龍鳳はもはや艤装も砕け、拳と拳でお互いにフラフラになりながらの原初のファイト!

 

『あ……ァァ!アアアアアアアア!ウルアアアア!』

 

『ぅ……カアアアアアアア!!!』

 

『ヴォ…ルァァァァァ!!』

 

『グッアウォォォォォ!!』

 

荒々しく、激しく、雄々しい死闘の末、二人は互いに拳を向けたまま海面に前のめりに倒れた



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提督と熊野とレアモノ

帰ってきたカスタム瑞雲ショップ回

【登場人物】

熊野(14)
ワガママボディじゃないワガママガール、必殺技はマグ●ムトルネード

日向
カスタム瑞雲ショップZ-DRIVERSの店主、表情が変わらない一枚立ち絵みたいな顔でカウンターに立っている

ローマ(2)
イタリアから来た魔女、カスタムRo44、通称ディ●スパーダのアディオなんちゃらはとても強力


基地内にひっそりと存在するカスタム瑞雲ショップ、Z‐DRIVERS

ズイウンの走りと速さを求めるズイウンレーサー達御用達のメーカー非正規ショップ…

 

「よぉ、今日はどんなパーツをお探しだい?」

 

カウンターの向こう側でズイウンのボディを磨きあげながら気さくに声をかけてくる店主、日向

かつてジャペンカップ七連覇を達成したこともあるらしいズイウンレーサー界のレジェンド

 

「えぇ…今日はニューマシンをと思いまして」

 

そして、ズイウンの魅力に取り憑かれたアホな航巡、熊野…

 

「そっちのアンちゃんも好きに見ていってくれよ」

 

「そっちのアンちゃんじゃない、提督だ」

 

最早、日向の佇まいは航空戦艦ではなく武器と防具の店か冒険者に仕事を斡旋する酒場兼ギルドの店主と言っても過言ではない…

 

「早く選べ、モタモタすんな」

 

「ゴチャゴチャうるさいですわよ、私のズイウン壊したくせに」

 

「地面スレスレを飛ばしてる方が悪いんだろーが」

 

つい1時間程前、俺が喫煙所に向かって力強く歩いていると、廊下を高速で走るナニかが視界に入ったのでつい反射的にネオタ●ガーショットをぶち込んだら、それは熊野の瑞雲だったらしく、瑞雲はたまたま近くを歩いていたオイゲンをふっ飛ばし、さらにグラーフの左腕を弾いてゴミ箱のネットを貫いた

愛機である瑞雲を破壊された熊野は大いに悲しみ、オイゲンは大いに怒り狂って俺とリアルバウト、グラーフはまさか自分がゴールを抜かれるとはと大いに嘆いた…

そんなワケで、俺は熊野のズイウンを弁償する為にこのカスタム瑞雲ショップへと一緒にやって来たワケだが…

 

「そう言えば最近、コイツを入荷してな…」

 

「そ…それはッ!?」

 

日向がカウンターの下から取り出したピカピカのマシンに熊野の目がキラキラと輝いた

 

「紫雲、なかなか市場には出回らないレアなマシンだ」

 

「うわぁ~…すげー!マジカッケーですわ!提督!ほら!マジカッケーですわよ!」

 

「あ?あぁ、うん、カッケーんじゃない?」

 

正直、あまり興味がないんだが…

 

「店主!触らせて頂いても?」

 

「あぁ、構わない」

 

「嗚呼…イイ!イイですわぁ、コレ!火星エンジンと美しい二重反転プロペラ、さらに投下機構を備えたフロート!」

 

「オイオイ、気をつけて扱ってくれよ、そいつはかなりのレアモノでどうしても欲しいマニアから所有者が自殺に追い込まれるぐらい追い込みをかけられる逸品だ」

 

「青眼かッ!」

 

「?、なんのコトだ?」

 

日向の野郎、なんでよりによって今日、そんな上等品を出しやがるんだよ…見ろ!熊野の野郎、完全に欲しくて欲しくてたまらない目をしてるだろーが!

 

「提督」

 

「ダメだ」

 

「私、コレが欲しいですわ」

 

「ダメだ」

 

「ほーしーい!ほーしーい!私コレがいいですわー!いえ!コレじゃないと提督を許せませんわー!」

 

「駄々こねるんじゃないよこの娘は、ほら、このズイウンなんてどうだ?このデチューンはなかなか出来る事じゃないぞ?」

 

俺は特価品コーナーに置いてあったフロートがないズイウンを手に取り勧めてみたが熊野は頑なに紫雲を欲しがり駄々をこねる、まったく、ワガママボディじゃないのになんてワガママなヤツだ…

 

「ハッハッハ、パパ買ってやりなよ」

 

「誰がパパだ、ブッ殺すぞ航空戦艦が」

 

「ハッハッハ」

 

「…日向、一応聞くが、コレ、お高いんだろ?」

 

「そうだな…まぁ、提督も熊野も知らない仲ではないし………コレくらいでどうだ?」

 

日向は電卓に数字を打ち込み、俺に見えるようにその数字を提示した

 

「ちょっと0が多過ぎるんじゃないか?」

 

「レアモノだからな、これでも勉強した数字だぞ」

 

「熊野、諦めろ」

 

「イヤですわ!!」

 

「ほら!こっちの六三四空とかカッコ良くねぇか?うん、カッケーよ、やっぱ男は水偵じゃないで水爆だよな!」

 

「絶対ッ!イヤですわ、私、コレを買うまでテコでも動きませんわよ!風林火山で言うなら山ですわ!」

 

「駄々こねるんじゃないよこの娘は、何が風林火山だ」

 

こうなるとこのアホは面倒くさい、チッ…仕方ない、この特価品ズイウンを紫雲に見える邪眼でここは一時撤退をと考えていたら、カスタム瑞雲ショップの戸を叩き、新たなる客が入ってきた

 

「Buon Giornov、ヒューガはいるかしら?」

 

「ん…オマエは、ゾーマ?」

 

「ローマよ」

 

イタリアから来た魔女みたいな戦艦、ローマ

 

「なんだ?オマエもズイウン買いに来たのか?」

 

「違うわ、私のRo.44のパーツを受け取りに来たのよ」

 

「よく来たな、パーツなら入荷しているぞ」

 

「Grazie………ところでアナタは何してるの?」

 

「ご覧の通り、アホな航巡が高い玩具欲しいって駄々こねて困っているところだ」

 

「買ってあげれば?」

 

「軽くゆーなッ!」

 

この魔女め、他人事だと思って軽く言いやがる…

 

「まぁ、多少良いマシンに乗り換えたところで次の大会でも私に負ける未来は変わらないと思うけど?」

 

「………は?」

 

ローマの何気ない挑発に、紫雲欲しい欲しいと駄々をこねていた熊野の駄々が止まった

 

「今、なんと仰りましたの?このパスタ野郎は?」

 

「多少良いマシンに乗り換えた程度じゃ私と私のマシンとは勝負にならないと言ったのよ」

 

「上等ですわ!多少良いマシン?いえ!私の魂を込めたズイウンでそのメガネをギトギトにして土下座させて差し上げますわーッ!」

 

熊野は特価品………ではなく、素人目にもわかる輝きを放つズイウンを手に取りカウンターに置いた

 

「コレをお買い求めしますわ!お持ち帰りで!」

 

「そいつに目をつけるとはな、フッ…」

 

まぁ、紫雲よりは安いんだが…それでも俺の財布がスカスカになる

ローマと熊野はメンチと言う名の火花を飛ばし合い、ローマはメガネをクイッと上げて“フッ…楽しみにしているわ”と言い残し店を後にし、熊野の早速カスタムしますわーと息巻いて去って行った…

 

「まぁ、そうなるな」

 

「何がだよ!!」

 

 

今日もどこかでアツかりしズイウンバトル!



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提督と夕張とオーバーロード

本日二本立て
変身したいんだ!もっと強くて何でもできる自分に!

【登場人物】

夕張(14)
前回の反省を生かした結果が今回の結果

清霜(5)
戦艦に憧れるピュアなアホ、誰よりも強い力を欲した結果が今回の結果



「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作で…」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「まぶちっ!」

 

いつもニコニコ、今日も悪気の欠片もない生まれついての純粋悪、M巡夕張は人類を新たなステージへと誘うロクでもないものを作ってきたらしい

 

「…な、なんでいきなり叩いたんですか?」

 

「スマン、お前の顔見たらついな」

 

「そうですか…」ニマァ…

 

なんでちょっと嬉しそうなんだよコイツは、なんなんだよこのMっ娘は、コイツ実は痛みが“んんぎもぢぃぃ!”とか快感に変わるヤバいクスリとか作って服用してるんじゃないだろうな…

 

「とりあえず今回のアイテムはこちら!アーマードラ●ダー、名付けてアーマードラ●ダー・キヨシです」

 

『力こそ正義!』

 

「…足があるな」

 

「足なんて飾りです」

 

またバカな子供を騙してロクでもない実験に利用するとは、コイツも懲りないが清霜も懲りないな

 

「こちらのアーマードラ●ダー・キヨシですが、ベルトに装着したロ●クシードを交換することで様々なタイプにチェンジできます、私のオススメはバナナです、バナナスピアーならル級でも心臓一突きで地獄送りです!」

 

「何がバナナだ、舐めてんのかオマエ」

 

『このアーマードラ●ダー・キヨシこそ最強!』

 

ほら、清霜の野郎また変な方向にチョーシに乗ってるじゃねぇか、キヨゴルディの反省がまったく生かされてないじゃねーか

 

「さぁアーマードラ●ダー・キヨシ!提督にオマエの力を見せてやるんです」

 

『誰に命令している?このメロン野郎め!』

 

反逆のアーマードラ●ダー、清霜のバナナスピアーが夕張の無防備な腹筋を叩いた

 

「イイーッ!!痛ァ!!…クッ!アーマードラ●ダー・キヨシ!お前に力を与えた私に反逆する気か!」

 

『この力を与えてくれた事は感謝している、だがお前みたいな危険な軽巡は生かしておけないな!』

 

「オイ、また反逆されてるじゃねーか、学習能力ゼロなのかオマエら?」

 

「フッ…心配ご無用」

 

夕張はポケットからなにやらスイッチを取り出して流れるようにボタンを押すと、アーマードラ●ダー・キヨシのベルトが爆発し、変身が解けて普通のアホな子供に戻った

 

「グワッ!!……な、なんでェ!?なんで清霜の変身が!?」

 

「ハァーッハッハッハ、バーカーめェー!こんなこともあろうかとドライバーにはキルプロセスが仕込んであるのだー!」

 

「そ…そんなっ!」

 

夕張は高らかに笑い、自らに逆らった清霜に容赦なく大人げゼロの夕張キックをぶち込んだ

 

「グハァ!!」

 

「ハッハッハ、調子に乗るなよこの下等駆逐艦!この夕張に同じ手が二度通じるとでも?」

 

「クッ!ぅぅ……そんなぁ!そんなぁ!」

 

「ハァーッハッハッハ!!」

 

高らかにバカ笑いする夕張、床に這いつくばる清霜、なんと残酷な縦社会の絵面だ…

 

「チクショウ!チクショウ!私にもっと力があれば………ん?あれは…?」

 

這いつくばり泣いて悔しがる清霜は何かを見つけたらしくそれを手に伸ばす

 

「む、あ…それヘルヘ●ムの果実!何故……そうか、さっきポケットから自爆スイッチを取り出した時に一緒に出てしまったんですね」

 

「オイ、なんだヘルヘ●ムの果実って?」

 

「ロ●クシードの原材料です、見た目はメチャ不味そうですけど意外と美味しいらしいですよ?」

 

「なんだ?らしいって…」

 

「食べるとほぼ100パー自我の無い怪物になります」

 

「なんでそんな危ねぇモンを原材料にしてんだよ!バカか!?」

 

100パーバケモンになるとか危な過ぎだろ!っーかどっから仕入れてくるんだそんな危険な果実!

 

「クッ…ククク、ユーバリさん、アンタ実験は大好きだろ?この戦艦になりたくてなりたくて仕方ない清霜がコイツを食ったら一体どうなるか…」

 

「な!?よせ清霜ちゃん!死ぬ気か!」

 

清霜はフラフラと立ち上がり、夕張の制止を無視してどう見てもヤバそうな果実にかじりついた

 

「う……ウオオオォォォ!!!」

 

強靭な精神力でヘルヘ●ムの毒に打ち勝ち、清霜の身体はオーバーロード、ロード・キヨシへと進化したッ!

 

『フシュー…』

 

「バ…バカなッ!有り得ない!私のドライバーも無しに!」

 

「オイなんかヤバいぞ」

 

「有り得ない!私の才能と研究こそが唯一価値のあるもの!この世界の真理なんです!」

 

夕張はイマイチ威力があるのかよくわからない夕張キックを繰り出すものの、ロード・キヨシに片手で止められた

 

『キサマの真理など机上の空論だーッ!』

 

ドゴォン!!(全力パンチ)

 

ロード・キヨシの全力パンチが夕張のやわらか腹筋を貫き、夕張は5回転程しながら勢い良く執務室のコンクリ壁にメリ込んだ

 

「グヘァ!!!」死ーン

 

「夕張ィィィィィ!!」

 

その後、オーバーロード、ロード・キヨシは下等生物どもを支配してやるぞーと言って執務室を飛び出し、たまたまタイヤキを食べながら廊下を歩いていた武蔵に喧嘩を売ってボコボコにされ、後日、いつものアホなキヨシに戻ってしまった



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提督と卯月と冒険の旅

ちょっとバタバタしてたんで遅くなりました、再開です、はい

【登場人物】

提督(82)
最近ブラックラビを思い出した

卯月(4)
通称、うーちゃん、意外と可愛がられている

鈴谷(31)
通称、ビッチ、かわいがりと言う名のビンタはよく受ける


「あ、クソ!やっぱコイツつえーな、マジつえー」

 

駆逐艦のキッズから超戦艦級まで様々な艦娘達が利用する憩いのスペース、談話室、かつては喫煙OKだったがいつの頃からか分煙化が進み、ついには禁煙にされた、まったく喫煙者には生きにくい世の中になってしまった

 

「テイトク!もうまんまるドロップがないぴょん!」

 

「パックンチョコは!?」

 

「ないぴょん!あ、アンジェまた死んだぴょん!」

 

「ガッデム!こうなりゃ自棄じゃあ!最後まで美しく散ろうじゃねぇか!」

 

談話室に設置されたスーパーフ●ミコン内蔵テレビ、文庫本でも読もうと談話室にやって来た俺は先に談話室に来ていたうーちゃんに誘われ、聖●伝説3を一緒にプレイしていた

 

「ぷくぷくぷー!このバケモンマジつえーぴょん!」

 

「こりゃダメだ、もうちょいレベル上げねぇとムリだわ」

 

「えー…レベルあげダルいぴょん」

 

「ダルいとか言うんじゃないよ、獣人ルガーはそんな甘い相手じゃないんだよ、コイツはマジヤバいんだよ」

 

獣人ルガーは別だ、月夜の森で獣人ルガーはマジヤバイ、そこらのウェアウルフとは全然違う、月夜の森で獣人ルガーはマジヤバイ…

まず、魔法は使えない、使えば最後、カウンターで必殺の青竜なんちゃらか朱雀なんちゃらでアンジェは死ぬ、ワケもなく地面に叩きつけられて死ぬ、一発でお終いだ…

そして、レベル2以上の必殺技も使えない、カウンターで必殺されてシャルでも死ぬ

 

「と言うかうーちゃんよ、まず、パーティーの選別から間違ってるだろ」

 

よりにもよってうーちゃんが選んだ主人公も仲間も全員女キャラというメスブタ仕様、しかも主人公がアンジェだからラスボスは一番強いヤツだよ

 

「ぷくぷくぷー、うーちゃんじゃんけんに負けて男キャラは全部弥生が選んじゃったから仕方ないぴょん」

 

どうやらこのゲーム、うーちゃんと弥生の2人で別々にプレイしているらしく、うーちゃんの陵辱不可避メスブタメンバーとは対照的に下のセーブデータはなんとも雄々しいメンズだけで構成されている

 

「とりあえずレベルあげだ、レベルあげ」

 

「ぷくぷくぷー」

 

俺とうーちゃんはセーブデータを再開し、とりあえず月夜の森をうろうろしてレベル上げする為に再びコントローラーを手にとった

 

◆◆◆

 

「ダビデとバネッサダビデとバネッサー♪………お、提督とウサ子じゃん?なにそれ?ゲーム?鈴谷にもやらせてやらせてー!」

 

談話室でテレビでも見ながらティーを飲もうとやって来たら、提督とウさ…ウサづき?まぁいいや、なんかぷくぷく鼻を鳴らす駆逐艦がゲームをしていた

 

「うーちゃん!早くまんまるドロップを!」

 

「もうないぴょん!」

 

「ガッデム!」

 

「ねー!鈴谷にもやらせてよー!なにそれ?協力プレイってやつ?鈴谷協力プレイマジうめーよ」

 

「うるせぇぴょん!!」

 

「お…おぅ!」

 

ば…バカな、この鈴谷が駆逐艦如きに退いた?なんて覇気だ!!

 

「チクショウ!こうなりゃ自棄ぴょん!うーちゃんの“だっしゅ”をブチ込んで眼に物見せてやるぴょん!」

 

「な゛!?やめるんだうーちゃん!うーちゃんのシャルは“生きなければならない”!このパーティーで唯一!魔法による回復ができる貴重な存在!回復アイテムが尽きた今!シャルを失えば俺達に勝ちはなくなるんだぞォォォ!!やめろAボタンから指を離せッ!」

 

「いいや限界だ押すぴょん!」

 

‐‐‐

 

「やっぱ乳ばっかデカい魔法使いはダメぴょん、次!」

 

「やっぱレベル上げねーとダメだってばよ」

 

どうやらゲームオーバーになったらしく、提督とウサづきは溜め息を吐きながらコントローラーから手を離した

 

「ねー!鈴谷にもやらせてよー!ねぇってば!やらせてよー!」

 

「さっきからヤらせてヤらせてうるせーな、なんだオマエ?欲求不満か?」

 

「欲求不満じゃねーし」

 

「チョコレートやるから消えろ、俺は今うーちゃんとアツかりし冒険の旅の途中なんだよ」

 

「鈴谷も冒険の仲間に入れてよぉ~!ねぇ~!入れてってばぁ~!」

 

「挿入れて挿入れてうるせーよ!なんだオマエ?欲求不満か?」

 

「だから欲求不満じゃねーし!」

 

このオッサンは鈴谷のナニをして欲求不満とか言うのかね、鈴谷は単純にゲームしたいだけ、そう!ゲームしたいと言う欲求に駆られているよ!

 

「ぷくぷくぷー、このゲームは2人用だからダメぴょん」

 

「じゃ鈴谷と替わって」

 

「イヤぴょん」

 

「じゃ提督でいいや、鈴谷と替わって」

 

「イヤぴょん」

 

「イヤぴょんじゃねーよ!!キモいわ!」

 

「キモくない、提督だ」

 

クッ!どうしても仲間ハズレにするつもりだよコイツら!仕方ない、ここは鈴谷が大人になって頭を下げて仲間に入れてもらおう…

 

「お願いします!鈴谷にもヤらせてください!」

 

「だってよ、どうする?うーちゃん」

 

「土下座しろぴょん」

 

「ハァ!?オイコラウサづき、テメーあんまチョーシにノってんじゃねーぞコラァ?」

 

コノヤロー、たかが駆逐艦の分際に舐めた口利きやがって…

 

「まぁ待てうーちゃん、二人でダメなら案外三人だとなんとかなるかもしれんぞ」

 

「アレぴょん?三人寄ればモンジュぴょん!」

 

ウサづきは手持ちのポーチからSFC用マルチタップとコントローラーを取り出して機械に挿した

 

「コレで三人できるぴょん」

 

「よし、オレはアンジェでうーちゃんはシャル、鈴谷は触手姫な!」

 

「了解ーッぴょん!」

 

「え?ナニその名前?」

 

触手姫ってナニよ?エロゲーかよ…とりあえず渡されたコントローラーを握りキャラクターを動かし……

 

「ん?」

 

あれ?なんかコレ動かないんですけど?

 

「ねぇ、鈴谷のキャラクター動かないんですけど?」

 

「バカだな、オマエちゃんと“練”使ったか?」

 

「ハァ?え…?ナニ?れん?」

 

「最低でも“練”が使えないとゲームする資格ないぴょん」

 

え?なにこのゲーム?ハンター専用なの?提督もウサづきも当然のように“念”使ってるの?

 

「…え?マジ?」

 

「マジぴょん」



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提督と長門と雪辱戦

寒い日のアツかりし雪の回

【登場人物】

長門(12)
写る●ですを愛用する青葉より良い機材を使っている

Warspite(5)
とても高貴な御方、駆逐艦のキッズ達からは絶大な人気を誇る高貴な御方



寒波の影響で先日未明から降り続けた雪、この地方では年に一回、積もるか積もらないか微妙なところだが今回は積もった

駆逐艦のキッズ達がキャッキャと雪遊びしてハシャぐくらい積もった

 

「雪遊びに興じる駆逐艦か…フッ、胸が熱いな」

 

グラウンドに来てみると、ハシャぐ駆逐艦達をイ●オン砲みたいなカメラで激写する悪質なカメラマン、長門がトレビアンとか言いながらシャッターを切っていた

 

「オイ、あっちに浜風ちゃん居るから浜風ちゃん撮れ、浜風ちゃん」

 

銀世界に浜風ちゃんの姿はよく映える、そこに居るだけでまるでルネサンス期を感じさせる一枚の絵画のようだ、出来る事なら大判写真にして部屋に飾っておきたい

 

「やはり暁ちゃんはいいな!最高だ!なぁ?同志大尉」

 

「同志じゃねぇし大尉でもねぇよ、いいから浜風ちゃん撮れよ、余計なモン写っても浜風ちゃんのトコだけ切り取るから」

 

「浜…?浜、あぁ、アイツか……このビッグセブン、フィルムの無駄使いはしない主義でな」

 

「何オマエ浜風ちゃんディスってんだコラ?オモテ出ろよ、タイマンだ」

 

「ここはもうオモテだ、同志提督」

 

俺と長門の間にアツかりし火花が散る、被ダメージの無いコイツを殺るには俺も命を賭ける必要がある

 

「あ、テイトクと長門サンだ!」

 

「テイトクとナガトサンも雪合戦やろーよ!雪合戦!」

 

俺と長門がメンチ合戦と言う名のワンサウザンドウォーズを繰り広げていると、アホの侵略ZERO革命、キヨシとリベッチオがやって来た

 

「あ゛?」

 

「なんと!?こ…このビッグセブンも雪合戦に参加していいのか!?」

 

「いいよー!」

 

キャッキャとハシャぐ無邪気な悪鬼の言葉に、ビッグセブンの目から熱い涙が溢れ出した

 

「なぁ同志提督…」

 

「なんだ?」

 

「このビッグセブン、今日、この命燃え尽きても悔いは無い」

 

「そーゆーのは最終決戦のアツい戦場で言ってくれ」

 

「よぉーし!!このビッグセブンの力投を見せてやるぞォ!!同志提督、肩を作るから相手をしてくれ!」

 

コイツの力投は駆逐艦に死者が出るような気がするんだが…

俺と長門は駆逐艦どもキャッキャとハシャぐ戦場へと行く事にした

 

‐‐‐

 

「じゃ、テイトクと長門サンはドンスコイさんチームね!」

 

見たところ総勢で30人くらい居るだろうか?それをドンスコイさんチームとサーバルキャットさんチームと言うファンキーな名前で2つのチームに分けていた

 

「しかし清霜よ、このビッグセブンが加入したチームとそうでないチームは戦力に差が出てしまうのではないか?」

 

「大丈夫!」

 

「リベ達のチームにもバロシいるから!」

 

…バロシ?あぁ、戦艦か、まぁこんな庶民派雪遊びに付き合う面倒見のいい戦艦と言えばキッズ達に人気の陸奥……

 

「陛下ァ!こっちこっち!」

 

白銀の世界をゆっくりと歩くその決して抑えきる事が出来ない高貴な輝き…

 

「Snowballing?いいわね、とても面白そう」

 

陛下ァァァァァァ!!このガキどもォ!!よりにもよってこの庶民派雪遊びに最も高貴な御方を連れてきやがったァァァァァァ!!

 

「あら?Admiralとナガトも居るのね」

 

「へ……陛下ッ!陛下のような高貴な御方がこのような俗世の庶民派雪遊びなどしては高貴なお召し物が…」

 

「良いのです」ニコッ

 

バキィ!!(小指)

 

降臨するだけでキッズ達の心臓を鷲掴みになさる陛下、その高貴な微笑みの前に屈しかけた膝を、俺は左小指の痛みと引き換えに耐え抜いた

 

「陛下はリベ達と同じチームね!テイトクとナガトサンは敵だよ」

 

「I understood、頑張りましょうね」ニコッ

 

「なんだよ陛下はサーバルキャットさんかよ!」

 

「ハラショー、サーバルキャットさんじゃないのが残念だよ」

 

陛下の加入に沸き立つサーバルキャットさんチーム、そして…

 

「クッ!ウォースパイトめッ!このビッグセブンの人気をッ!投網一発!根こそぎ!一瞬で持っていかれたッ!人気と言う名の魚群ッ!」

 

さっきまでビッグセブンビッグセブン讃えていたドンスコイさんチームのキッズ達も陛下の降臨に大興奮が面白くない長門は雪玉を執拗に圧縮していた

 

「とりあえずドンスコイさんチームのオマエら、間違っても陛下には絶対に当てるなよ!いいな!?」

 

「えー?雪合戦なんだから当てないと意味ないっぽい」

 

「そうそう、キレーな顔フッ飛ばしてやらないとぉ」

 

「黙れクズどもが、いいか!陛下にはパウダースノーを掠らせる事すら許さん!」

 

もし陛下の高貴なお身体雪玉が触れようものなら国際問題、御尊顔に当てようものなら裁判無しの即ギロチンが待った無しだろう

 

「そうだぞ同志提督、雪合戦とは殺るか殺られるか、どちらかが滅びるまでがルールだ」

 

「特にオマエに言ってんだよこのクソ戦艦が」

 

もはや圧縮し過ぎてブラックホールでも発生するんじゃないかと思われる長門のスノーボール、おそらく喰らえばナノラミネート装甲すら貫くだろう

 

「みんな!雪玉は持ったな!行くぞォ!このビッグセブンに続けェェェェェ!!」

 

「やめろォ!!」

 

唸り上げて放たれる長門の豪球が陛下に向かって一直線に飛ぶ、確実にインハイで殺る気だッ!

 

「うぼぁー!!」

 

「う…浦風ェ!!」

 

しかし、その豪球はたまたま陛下の前を横切った浦風の左胸になんとか弾かれ、浦風は反吐をブチ撒けながら倒れた、おそらくは谷風くんなら即死だっただろう

 

「浦風ェ!!クソッ!浦風が殺られたァ!」

 

「チクショウッ!浦風の胸がパンパンに腫れてやがる!パンパンに!」

 

「ホントじゃあ!まるでマシュマロみたいにモチモチじゃあ!」

 

「…チッ、運のいいヤツだ」

 

長門は次弾を握り締めて舌打ちした

 

「やめろオマエ!今のは浦風だったから良かったが望月さんなら死んでいるぞ!」

 

「ふむ、加減が難しいな」



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提督と悪雨と春雨

優しさにアツい涙が止まらない回

【登場人物】

提督(83)
評価と出世を気にする小物臭漂う将校

五月雨(34)
評価と出世を気にする小物を支える屋台骨

夕張(15)
帰ってきたドリルアームズ

春雨(4)
オチ担当


「提督ッ!大変ですーッ!」

 

「何が大変なのかね?」

 

昨日までの曇天を払拭する冬の晴天、俺と五月雨は特にやる事もなく執務室で録画していたアタ●ク25を見ていたら、ヘソ丸出しで焦った様子の夕張が執務室へ駆け込んで来た

 

「タイヘンタイヘンタイヘンなんですよ!」

 

「タイヘンタイヘンゆーな、放送禁止で走りてーのか?」

 

「すぐ近くに深海棲艦が来ています!!」

 

「どうせイ級だろ?いつものコトじゃねーか」

 

基地の近海に生息しているイ級、たまに釣りに来たオッサンも引っかけるらしく、海沿いの釣具屋にはイ級の魚拓が何枚も飾られている、ちなみに、難易度は高いが調理出来ればその味は大変美味らしい

 

「姫級です」

 

「は?」

 

「は?じゃないです、姫級です」

 

夕張はポケットから例の戦闘力を計る機械みたいなものを取り出した、夕張曰わく、この深海スカウターをイジっていたところ、急に物凄い戦闘力を持つ光点が現れたらしいのだが…

 

「おそらく、もう基地に来ているハズ…」

 

「さすがにそれはマズいな」

 

せっかく貯めた資材を燃やされでもしたらシャレにならんし、むしろ、姫級の襲撃で基地が壊滅的打撃を受けたとか上に知られたらオマエのトコのザル警備どうなってんの?ねぇ?どうなってんの?とかネチネチ言われて俺の評価に致命的な傷がつき出世への道が閉ざされてしまう

 

「夕張、場所はわかるか?」

 

「はい!この深海スカウターでバッチリですよ!」

 

「よし!夕張、五月雨、ついて来い!」

 

下手に人数を動かすと上にバレる可能性を考慮し、今いる人員、俺と五月雨と夕張で秘密裏にこの件は処理しよう

 

◆◆◆

 

ぴこーん…ぴこーん…

 

「近いですね」

 

夕張の深海スカウターをアテに、俺達は執務棟から駆逐艦達が勉学を学ぶ教育棟へ来ていた

 

「あの…今更ですけど、姫級相手に私と夕張さんだと些か戦力不足では?」

 

五月雨の言う事はもっともな気がするが、正規の作戦行動として人数が動かせない以上は仕方がない、まぁコイツにしても夕張にしても地味に練度は限界に達してるし、夕張に至っては以前、夕張のア●ルを掘ったドリルアームズを装備している

 

「大丈夫だ、俺はオマエ達を信じている!」

 

「はぁ、じゃ…とりあえず提督がまず不意打ちスネークバ●トでメリメリしたら後は私と夕張さんでなんとかする感じで」

 

「近い!近いですよ!ここです!この教室にいますッ!!」

 

ドドドドドドド!!!

 

教室か……今日は香取先生のアツい熱血指導の日らしく、数人のバカどもが教室内にいるようだが…

 

「特に変わった様子はありませんね」

 

「そうだな」

 

俺と五月雨が教室を覗き込んでみたものの、特に教室内に変わった様子はない、休み時間のバカトークしてるみたいだが…

 

「オイ夕張、それ壊れてるんじゃねーのか?」

 

「ししし!失礼な!このッ!この私の発明は常に完璧!完璧ですよッ!」

 

「何が完璧だ、姫級が教室に居たらそこはもう暗殺教室だろーが、殺意のミッション発生中だ」

 

「待ってください提督、夕張さんも!ちょ…ちょっとアレ見てください!」

 

五月雨は何かに気付いたらしく俺と夕張にも教室内を見るようにハンドシグナルで合図するので俺達は教室内を覗き込んだ

 

「なんだよ、別に…普通のパンツ丸見え女子校トーって!!………いたァァァァァァ!!」

 

「声ッ!声が大きいです!!」

 

‐‐‐

 

「あー…マジダリぃっぽいわー、補習とかマジダリぃっぽい」

 

「夕立ィ、終わったらゲーセンいこーぜゲーセン、春雨も」

 

『ソウデスネ』

 

白露型キセキのバカコンビ、夕立と村雨、そして、そのバカコンビに常に足を引っ張られている薄幸の妹、春雨………ではなく、春雨に良く似た深海棲艦

 

「春雨宿題見せてっぽい」

 

『エ?イヤデスヨ』

 

「何をー?春雨のくせに生意気っぽい!」

 

‐‐‐

 

「悪雨じゃねーかッ!」

 

「駆逐棲姫ですね」

 

なんでアイツら普通に接してんだよ!明らかに春雨じゃねーじゃんそいつ!顔色悪いし!髪白いし!足がな………いや、足はあるな、なんか鉄の足が付いてる

 

「ゼス●スですね」

 

「ゼ●モス!?」

 

夕張曰わく、ゼス●スとは念動力の一種で“繋ぎ止める力”、サウナのような高温多湿の部屋で自らを追い詰めるハードなトレーニングを積めば習得可能らしい

 

「っーか、なんでフツーに馴染んでるんだよ、アイツらバカなのか?バカなんだよな?」

 

「まぁ、夕立姉さんと村雨姉さんがバカなのは認めますけど…」

 

‐‐‐

 

「っーか、春雨ェ…」

 

ようやくネイルの処理を終えた村雨が春雨?に鋭い眼光を向けた

 

「村雨さぁ~…さっきから気になって気になって仕方ないコトがあるんだよねぇ~」

 

さすがは来週は期待していい淫乱ビッチ候補生村雨だ、この異常事態に気付いたか…

 

「春雨ェ…」

 

『ナ…ナナナナニカナ?』

 

ほら見ろ、アイツめっちゃ焦ってるよ、っーか今まで気づかれなかった方がキセキだよ、よし!ツッコめ!

 

「春雨………シャンプー変えた?」

 

『ア?ワカル?深海エキスノエクストラバージンオイル』

 

「あ、夕立もそれ思ってたっぽい!」

 

バカだよッ!!やっぱりコイツらバカ以外の何者でもねぇよ!!

 

◆◆◆

 

深海秘密基地…

 

『オマエノ仲間助ケニ来ナイナ』

 

「…そうですね」

 

頑丈なロープでぐるぐる巻きにされて吊された春雨、深海の戦士達は仲間を取り戻しに来る艦娘達を今か今かとワクワクしながら待っていたが、一向に敵が来る気配がなく、飽きてオセロしたりテレビを見ていた

 

『オ腹空イテナイ?ピザトローカ?』

 

「大丈夫です、お気遣いなく…」ぐー

 

『ホラ、オ腹空イテルジャン、集チャン、ピザ屋ニ電話シテ、ピザ屋』

 

毛先まで深海エクストラトリートメント、戦艦棲姫の優しい気遣いに、春雨の目から自然とアツい水が溢れ出した

 

『モウスグ迎エクルカラ、ネ?ピザ食ベテ待ッテヨ?ア、ゲームスル?集チャンゲームイッパイ持ッテルカラネ?』

 

「ありがとうございます…ありがとうございますぅ」ポロポロ



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明石と野望のキングダム

提督不在の野望の工作艦回

【登場人物】

明石(7)
野望の工作艦、ありったけの金をかき集めて探しもの探しに行く気は特にない、提督とは利害がそれなりに一致するズブズブの関係

古鷹(2)
通称古鷹さん、浜風ちゃんと同様、名前だけはよく出るタイプ、提督曰わく、このイカレた世界に降臨した天より舞い降りしエンジェル


工作艦、明石

 

大淀と並び、だいたいどこの鎮守府・基地にも一人は配属されている簡易量産機のようなよくわからない艦娘

主に、軍が消費するであろう資材の流通を生業にしており、状況によっては破損した艦を修理する技術を持つ者もいる…

 

普通の奴、とにかくスケベな奴、悪用しかできない薬を作る奴、未来型ブッ飛びマシンを作る奴、世の中にいる明石の個体差も様々で、普通の明石が排出率0コンマ以下のレアリティ詐欺ではないだろうかと疑われているが、現在でも大本営は沈黙を貫いている、海軍の闇は深い…

 

「ひーふーみー…クックック、たまらんわい」

 

そして、この基地に配属されている明石はとにかく金が大好きだった…

現金!キャッシュ!マネー!唸りをあげる魔性の怪物!金ッ!明石はとにかく欲していた!円を!ドルを!ユーロを!

 

「修理?ツバつけときゃなおりますよ!資材が欲しい?最近入荷してないんですよ、売れないから!」

 

◆◆◆

 

「ありがとーございましたー」

 

あん●んぶるスターズ!略してあん●タのキャラソンCDを手に、古鷹さんはニコニコと頬を緩ませながら店を去って行った…

 

「ふぅ…」

 

そういや提督から注文されてたS●Dだかカリ●アンドットコムだかのDVD入荷してたっけか…後で連絡入れとこう、っーか私の店でいかがわしいモン注文するなってのな、小さい子には駄菓子も販売してる健全な店だよ、ウチは

 

「あ~…なんかいい商売ないかなぁ~」

 

この明石には黄金のような夢がある

いずれは全国に広がる明石チェーンを全て掌握し、この明石こそが明石の中の明石、キング・オブ・明石となってこの国、そして世界の流通を支配する王となる、それこそが私の夢、明石キングダムだ

 

「遊●王カード買いに来たじゃない!」

 

「今日こそ神のカードを引くのです!」

 

「いらっしゃ~い、はいはい遊●王カードね、遊●王カード…はい、いいの入ってるといいね」

 

子供達がお小遣いで遊●王カードで買い、キャッキャとハシャぎながら去って行く…

ダメだ、子供にカード売ってるようなショボい商売じゃ明石キングダムの建国にはほど遠いッ!小学生だった自分にショボい人生でゴメンなと謝りたいぐらいショボいよ!

 

「ウフフ…ウヘヘ…明石さん、お酒、お酒売ってくださぁ~い、お酒ェ…」

 

「はいはい、200円です」

 

イタリアから来たアルコールモンスター・ポーラちゃんはワンカップ●関を受け取り、ひと息に飲み干す、その堂々たる姿はまさに酒神バッカスの如く神々しく、誇らしささえ感じる

 

「ッ……っく!!ブハァー!!美味いッ!悪魔的ですぅ!」

 

「ご一緒に焼き鳥も如何ですかー?」

 

「焼き……鳥?」

 

ポーラちゃんはポケットから財布を取り出して中身を確認してガックリとうなだれた

 

「…ポーラ、お金ないんで」

 

ポーラちゃん曰く、お小遣いはお姉さんに厳しく管理されているらしく、この200円も提督の肩を揉んで貰ったなけなしの金だったそうだ

 

「ふぅ…ポーラちゃん」

 

私は新たなワンカ●プ大関と焼き鳥を3本取り出してカウンターの上に置いた

 

「こ!?コレ……でもポーラお金はぁ…」

 

「いいのよ、慣れない日本で頑張っているポーラちゃんに………お姉さんのおごり」ニコッ

 

「おごぉ!?おご…!おごごごご?」

 

や、そんないきなり凶悪なオークチ●ポぶち込まれたみたいな声出されても…私そんな趣味ないんですけど

 

「い…いいんですかぁ?コレ、ポーラ貰ってもいいんですかぁ!?」

 

「えぇ」ニコッ

 

「クッ!!ありがてぇ…ッ!ありがてぇ…ッ!!」

 

ポーラちゃんはアツい涙を流しワンカ●プ大関を喉に流し込み、アツアツの焼き鳥を頬張る

 

「チクショウ!美味めェ…!チクショウ!明石サン…明石サンッ!なんて良い人…ッ!なんて優しい人!善人…ッ!」

 

「いやぁ~それほどでも」

 

「ポーラは忘れません…ッ!この恩を…ッ!」キリッ!

 

イタリアと言えばギャング、ギャングと言えば金、恩を売っておいて損はない…そのうち何かの役に立つ日もあるだろう

ポーラちゃんは深々と頭を下げながら去って行った…

 

「さて…そろそろ店閉めようかな」

 

カウンターを離れ、シャッターを閉めようかなとシャッターを引っ張る棒を手に取った

 

「オーイ、明石ィ~」

 

「なに?もう店閉めんの?」

 

「ん?あぁ、大淀と足柄さん、なに?もう閉めるよ?」

 

やって来たのは見た目だけはインテリ、プッツン眼鏡の大淀と、合コン行った時にゲーセンに寄ってたまたま設置してたガロスペでつい本気出してリ●ウ・サガザキをブッ倒して男がドン引きした足柄さん

 

「合コン行こーぜ」

 

「面子足りないのよ」

 

コイツらと行くと最後に介抱しながら歩かないといけないからイヤなんだけど…

 

「ダイジョーブ!オマエのスケベスリットならダイジョーブ!マジ悩殺よ!」

 

「や、アンタもスリットあるし、ってかスケベとかゆーな」

 

「今日は医者よ医者!カーッ!漲ってきたなァ!オイ!なぁ淫乱ピンク!」

 

「淫乱ピンクとかゆーなッ!!」



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深海最前線

※今回は深海翻訳機能をONにしてお送りしております

【登場人物】

戦艦水鬼
戦艦棲姫の上位種、黒ドレスが似合うエロい人、ムラムラします

戦艦ル級
深海きってのはヤンチャボーイ、とにかくヤンチャで道中ワンパンチ完了は当たり前

軽巡ツ級
説明不要のとにかくデカい、手が

中枢棲姫
メチャ怖くてメチャシブい

戦艦棲姫
通称、ダイソン
砲弾に回転かけて吸い寄せる吸引力抜群の手●ゾーンの使い手


人類の敵、深海棲艦

 

深く暗い海の底からやって来たかつての大戦の怨霊の類、軍の些かヤンチャな部門が造り出した禁忌の生体兵器、この星が産み出した人類と言う名のゴミを排除する守護神

その諸説は色々あるものの、詳しい事は現在もわかっておらず、とりあえず人類に攻撃してくる事からとりあえず敵と認定されているふわふわした存在で、それを疑問に感じて深海棲艦の謎に迫ろうとした将校は勇敢な若手のイケメンだろうが家に帰れば美人な奥さんと可愛い盛りの娘がいる有能将校だろうが行方不明なり二階級特進するハメになる、海軍の闇は深い…

 

そして…今日はそんな謎多き深海棲艦に迫る

 

◆◆◆

 

深海棲艦の棲み家、深海秘密基地…

 

「とゆーワケで、誰かいい案ない?」

 

海で拾った黒板の前に立つ艶やかな黒髪ストレート、戦艦水鬼は白いチョークを手に集まった深海の戦士達に良案を尋ねる…

今日の深海定例会議、議題はもちろん海軍壊滅作戦についてである

 

「ル級、アンタは?」

 

「ハァ?真っ直ぐ行ってブッ飛ばす!やっぱコレだろ?」

 

戦艦ル級、最初にして最強と呼ばれる深海きってのヤンチャボーイ

 

「ヒュー!ル級クンマジカッケー」

 

「メチャシブっすよ!」

 

「真っ直ぐ行ってブッ飛ばす、っと……はい他にはー?できればもうちょっと頭良い感じの答えで」

 

律儀に真っ直ぐ行ってブッ飛ばすと黒板に書き込み、戦艦水鬼はややウンザリした様子で次の意見を求める

 

「集ちゃん、何かない?」

 

「…」

 

集ちゃんこと集積地棲姫は海で拾った携帯ゲーム機をスタイリッシュに操作しながらその画面を凝視していた

 

「集ちゃん?」

 

「よぉーし!!ディアブ●ス殺ったァ!!コラァ!見たかコラァ!」

 

スパーン!!(深海ビンタ)

 

「でめにぎすッ!」

 

「会議中にゲームすんな、没収」

 

「ちょ!待てよ!!」

 

戦艦水鬼は集積地棲姫の携帯ゲーム機を没収して胸の谷間にINして溜め息をついた

 

「早く良い案出さないと会議終わんないから、全員帰れないから」

 

「ハイ!」

 

「はい、ツ級!」

 

元気良くその無駄に大きな手を挙げたのは軽巡ツ級、とにかくデカい

 

「とりあえずアイツらのアタマを殺るのはどうでしょうか?」

 

「アタマ……司令官ってこと?」

 

「ハイ!そうすればアイツら基本バカなんで勝手に瓦解するのでは?」

 

「ふむ…」

 

戦艦水鬼はアタマを殺ると書き込みうんうんと頷いた

 

「ツ級オマエ頭良いな!」

 

「やっぱ深卒のインテリは違うわ」

 

「アイツらのイヤがるコト考えさせたら天下一品…いや、深海一品だなオイ!」

 

いやぁ~それほどでもと謙遜しながらツ級は着席した、顔はよくわからないがたぶん照れてるのだろう、彼女はきっとこれからの深海を担う良い戦士になると戦艦水鬼は感じていた

 

‐‐‐

 

会議開始から三時間…

 

「え~…とりあえずこんなもんかな」

 

1:真っ直ぐ行ってブッ飛ばす

2:アタマを殺る

3:輸送船を片っ端から襲う

4:目が合った奴は皆殺し

5:誇りある講和

6:女は殺す、男は犯す

 

「……」

 

冷静に見たらロクな案ねぇなと思いつつ、戦艦水鬼は溜め息をついた、誰だよ講和推進派…

 

「…オマエらよォ~」

 

お誕生日席と言う名の上座に座り、今まで一言も発言しなかった中枢棲姫がついに重苦しい口を開く

 

「どいつもこいつもアタマ悪りぃーコト言いやがって、ヤル気あんのか?ア゛ァ?」

 

「ちゅ…中枢クン!」

 

「中枢クン!」

 

中枢棲姫、ラスボスの風格すら漂う深海棲艦の大物で見た目が超怖い、その傷だらけの姿は夜中にトイレに行こうとして不意に遭ってしまえばお漏らし確実ぅ!と言えるぐらい怖い、しかし、見た目は超怖いがペットのリュウグウノツカイを可愛がるなど深海魚に優しい一面もある

 

「アイツらブッ潰すにはこっちが有利なトコに引き込めばイイんだよォ?ナァオイ?」

 

「し…しかし引き込むと言っても」

 

「人質でもナンでもとりゃイイだろーが、カンタンだろォ?」

 

「ヒュー!さすが中枢クン!マジ凶悪ーッ!」

 

「なるほど!人質とは思いつかなかったぜ!」

 

「やっぱ中枢クンはすげぇよ、ハンパじゃねぇ…」

 

たしかに、人質をとってこちらのフィールドに引き込むと言う作戦はアリだろう

 

「とりあえずテキトーなヤツ攫って来い」

 

「しかし攫って来た後にどうやってアイツらに伝えるんです?アイツら基本チンパンジー以下だから話し通じるか怪しいですよ?」

 

いつも問答無用で殴りつけてくるアイツらに果たしてこの作戦は通用するのだろうか…

 

◆◆◆

 

「とゆーワケで、君を攫って来たワケよ」

 

「はぁ…」

 

深海秘密基地、十二畳ほどある暖色系の家具で揃ったリビングで意外と美味しい深海ココアを飲みながら私は疲れた顔をした戦艦棲姫さんの話に耳を傾けていた

 

「で、君を攫ったから帰して欲しければ取り返しに来いって伝える役目に出した駆逐棲姫はまだ帰って来てないってワケね」

 

「たぶんですけど、あの人達バカだから気付いてないんじゃないかと…」

 

最初は聞き取りにくかった深海語も今ではペラペラです、はい

 

「…え?そんなにバカなの?」

 

「はい」

 

特に、夕立姉さんと村雨姉さんはバカだから私に良く似た駆逐棲姫さんをシャンプー変えた?とか言ってそのまま私と思ってそう…

 

「あー…そっかー、そこまでかぁ~、やっぱワ級に行ってもらった方が良かったかなぁ~、あの子だったら日本語ペラペラだし」

 

輸送ワ級は日本語ペラペラだが見た目がキモいのでいきなり撃たれるかもしれないので、とりあえず見た目は艦娘似の子をと選んだらしいです、はい

 

「あ、おかわりいる?」

 

「あ、いただきます」

 

◆◆◆

 

地域密着型左遷海軍基地…

 

「先日の九九のテストだが~…なんと春雨が百点をとった!はいみんな拍手ぅ~」

 

パチ…パチ…

 

「春雨のくせにすげーっぽい」

 

「お姉ちゃん鼻高いわぁ~」

 

「よく頑張った!先生感動したッ!」

 

『アハハ……アリガトウゴザイマス』

 

教室内に温かい拍手が響き、照れた様子の春雨?がみんなにヘコヘコと頭を下げている姿を俺と五月雨は廊下から見ていた…

 

「………まだいる」

 

「どうするんですか?アレ、普通に馴染んでますけど…」

 

「なんで誰もツッコまないんだよ!誰かツッコめよ!」



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提督と山風と高貴な猫

ブランドペットと言う名の仁義無きステイタス回

【登場人物】

提督(84)
ボラ●ノールは友達

山風(5)
猫の名前は猫、それ以上でも以下でもない

ビスマルク(3)
ドイツが誇る大戦艦、だいたい悪意が無い上から属性、変態から好かれるらしい

プリンツ・オイゲン(4)
ビスマルクさんを敬愛する変態メイト、提督とはビスマルクさん大好き変態メイト同士で非常に仲が悪い


寒いとケツが痛くなるウ●コには優しく無い季節、俺は執務棟に唯一設けられている紳士専用トイレで必殺のビッグベン・エッジを放ち、激闘の痛みと共に喫煙所へと向かっていた

 

「あ~…さみぃ~」

 

前に夕張のバカにウォシュレットを作らせてみたが、水の勢いがダイヤモンドカッターと較べても遜色無い凶悪マゾ仕様を完成させたので自分で座らせてやったら“んほぉーア●ルこわれりゅー”とか言ってアヘっていた

やはりちゃんとした業者に手配しないとダメだな

 

「…あ、テイトク」

 

「む、オマエは……山颪?」

 

「…山風」

 

廊下を歩いていると、改白露型のややアレな奴、キモい猫を抱えた山風と出逢った

 

「ナニやってんだ?散歩か?」

 

「…違うよ、今から猫の予防接種?に行くの」

 

「ふ~ん」

 

山風曰わく、今日、町の公民館に動物ドクター的な人が来ているらしいのでペットを飼っている人は予防接種をしに行っているそうだ…

そう言えば朝、長門のヤツが時津風を米俵みたいに抱えてハッハッハと笑いながら歩いてたな…

 

「まぁ、頑張れよ」

 

「…テイトクも、行かない?」

 

「行かない、何故なら用事が無いからな」

 

「…そう」

 

キモい猫を抱えた山風は心なしか肩を落として残念がっている気もするが知った事ではない、ただでさえ最近基地内で俺のロリコンの疑いが強まっている中、コイツを甘やかしていたらアツい疑惑が更に高まる事は必至ッ!

 

「あら?提督じゃない?こんなところで何してるの?」

 

「あ゛?」

 

ふと、後ろから声をかけられたので振り向いてみると、そこには獅子の如き豪奢な金髪を靡かせる美しすぎる美女…

 

「びッ!びびび!ビスマルクさんッ!!」

 

ドイツが誇る大戦艦、ビスマルクさん、その美しさは万人がおっふせざるを得ない美しさ…

クソッ!ダメだ、美し過ぎて目が合わせられねぇよ!チクショウ!

 

「それと……えっと、誰だっけ?」

 

「…山風」

 

「そうそう、ヤマカゼね……なにそれ?」

 

「猫」

 

ビスマルクさんは山風の抱えている毛の無い猫に興味を持ったらしく珍しそうに眺めている

 

「珍しい猫ね、あ、もしかしてアナタもヨボーセッシュに行くの?」

 

「…そう」

 

「奇遇ね、私もよ」

 

そう言えばビスマルクさんも猫飼ってるって話を聞いた事があるな、しかも、大層可愛がっておられるとオイゲンが歯軋りしながら言っていたからにはそれはもう大層可愛がっているのだろう

 

「…おねえさんも、猫飼ってるの?」

 

「えぇ、まぁアナタのその変な猫より200倍は可愛いわ」

 

「…」イラッ

 

ビスマルクさんの言葉には悪意は無い、悪意は無いが変な猫と言われた山風はややイラッとしたらしく、ただでさえ悪い目ツキが更に悪くなった

 

「あの…それで、ビスマルクさんの愛猫はどちらに?」

 

「プリンツが連れて来てる筈だけど…あぁ、プリンツ、こっちよ、こっち」

 

ビスマルクさんの寵愛を受ける愛猫か、ある意味憎悪すら感じるがまぁ高貴なビスマルクさんに相応しい高貴な猫なんだろう…

 

「痛ァァァァァ!!痛い痛い痛い痛い!アネゴ!噛んだ!コイツ私のお尻噛みましたーッ!」

 

「なに言ってるの?ジャレてるのよ」

 

オイゲンの尻に牙を立てる真っ黒な獣、なるほど…高貴なビスマルクさんに相応しい高貴な猫……

 

「って!!デカァァァァァァァ!!」

 

「…」ビクッ!

 

俺の叫びに山風も授業中に突然ローターの電源がONになったみたく跳ねた

 

「紹介するわ、私の愛猫ロデムよ」

 

「こ…このクッ…クソ、クソ猫ッ!私のお尻ぃぃぃ!」

 

「クソ…?プリンツ、アナタ今、クソ猫って…」

 

「言ってませんッ!よぉ~しよしよしよォ~し!可愛いですねぇ~、あ~…コレはジャレてるんですねぇ?あは、あは…あははは」

 

頭を丸かじりされながらも笑顔でよしよしよーしするオイゲンの身体を張った気高き覚悟ッ!敵ながら見事と言える

 

「どう?可愛いでしょう?」

 

バ●ル二世かル●ールしか飼ってなさそうな猛獣を可愛いかと問われるとなかなか返答に困るな

 

「…猫のほうが、かわいい」

 

「は?」

 

「…おねえさんのより、こっちの猫のほうが、かわいい」

 

「…フフ、面白い冗談ね、ねぇプリンツ?」

 

ビスマルクさんは予想外の山風の返答にややイラッときたが、そこは大人のレディ、すぐに余裕ある高貴な笑みに戻った

 

「痛ッ!このバカ猫ホントやめて!ホントやめて!痛いからホントやめて!………あ、はい!カタハラ大爆笑です!」

 

「ちょっとプリンツ、今、バカ猫って言わなかった?なにかバカ猫って言葉が聞こえたんだけど…」

 

「言ってないですッ!」キリッ!

 

「そ、そう…」

 

さすがはプリンツ・オイゲン、素晴らしいナイスガッツを魅せてくれる、それでこそ俺の宿敵よ

 

「アネゴ!基地の前にタクシー呼んでますから急ぎましょう!」

 

「そ…そうね、じゃ、提督とヤマ…ヤマカゼも後でね、行くわよプリンツ」

 

「はい!アネゴ!あぅ…ぅぅぅ…アガッ!動脈ッ!動脈ヤバい…」

 

ビスマルクさんは颯爽と、オイゲンはフラつきながら去って行った…

 

「…」

 

「…」

 

「車出してやるから乗ってくか?公民館」

 

「…うん」



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提督と五月雨と君の名がッ!

提督と五月雨が通常運転回

【登場人物】

提督(85)
コーヒーはブラック無糖

五月雨(35)
コーヒー以外は割と普通、ミロも普通

夕張(16)
和式肉●器


最高の機材と最上の技術、そして最も重要な物、それは美味しいコーヒーを淹れたいと想い続ける情熱…

 

「マズっ……」

 

何故これだけ揃ってるのにこの味を淹れる事が出来るのか、毎日飲んでいたら確実にノイローゼになるであろうこの味を何故にそんなに誇らしげに勧める事が出来るのか、着任以来のそこそこ長い付き合いだが俺には未だに理解出来ない

 

「…甘いモンでも食いに行くか、口直しに」

 

「甘い物ですか…いいですね、あと、口直しは余計な一言です」

 

五月雨は机に置かれたコーヒーを下げて給湯室へと持って行く、一応、俺が上司である自覚はあるらしく俺が不味いと言う分にはタフなスピリットで耐えている

 

「また間宮さんですか?」

 

「アイツんとこ高いんだよなぁ~」

 

「まぁ、高いだけあって美味しいですけど」

 

「でも高いんだよなぁ~」

 

スイーツショップもといスウィーツショップ間宮、ここに配属される前はグルメ刑務所に懲役2億年で入所していたが自主退所したグルメ給糧艦間宮、乳はデカいが心は狭い

 

「あ、それならコレに行きませんか?」

 

「あ?」

 

五月雨は自分の机から実にカラフルなA4用紙大のチラシを取り出して俺の机に置いた

 

「え~…白●沢学園オンリーイベントUSHIWAKA祭り?」

 

「あ、間違えました、それ鹿島先生に渡すやつでした、こっちです」

 

「え~…女子限定スウィーツバイキング・THE・ウィンターカップ」

 

何がTHEだ、カッコつけやがって…

 

「今度姉妹で行こうって話になってるんで、どうせなら一足先に偵察してみたいかなと…」

 

「オマエら地味にキョーダイ仲良いよな、っーかコレ、女子限定とか書いてるじゃん、俺無理じゃん」

 

「大丈夫ですよ、ほら、前に夕張さんが作った未完成ハマカZでトランスフォームしたじゃないですか」

 

「2度と飲むかァ!あんなモン!」

 

正直、あの時は元に戻れて心底ほっとしたものだ、だってないんだぜ?アレが、生まれた時から俺と共に居た相棒が

 

「正直、結構美人でしたよ?」

 

「やかましい」

 

何が美人だ、エロ本じゃあるまいし…自分が美女になっても嬉しくねぇっての

 

「フッ…話は聞かせて頂きましたーッ!」

 

執務室の重厚な扉を勢い良く開き、発育不良の出荷落ちメロンみたいなヤツがゴロゴロと転がりながら執務室に入ってきた

 

「女子限定スイーツバイキングに行きたい!でも女子じゃないからイケないッ!そうですね!?」

 

ビタン!(ビンタ)

 

「メタファ!!」

 

「うるせぇよ、なんなんだテメーは?」

 

親父にはぶたれた事ないらしい頬を触り、気色の悪い笑みを浮かべる開発系ドM軽巡、夕張

 

「そんな提督の為に本日ご用意致しましたアイテム、名付けてまして“君の名がッ!”です」

 

そう言って夕張が取り出したのはチャチな玩具のようなリング

 

「このリングを装着した者同士の精神を入れ替えるアイテムです」

 

「あ~…あるある、そんなアイテム、エロ本とかエロゲで見たわ」

 

「使い方は至って簡単、このAリングを提督が嵌め、Bリングを任意の人物に嵌めると入れ替わります」

 

「ふ~ん」

 

「さぁ提督!こちらのAリングを嵌めてください!」

 

グイグイくるなコイツ…

 

「…ちょっと待て、まずそのBリングを俺に渡してから渡せ」

 

「え゛!?…いや、それはちょっと…ねぇ?ほら?」

 

コイツ……俺がAリング嵌めたらすかさずBリングを自分に嵌めて俺に成り代わるつもりかッ!

 

「早くしろ、3秒待ってやる」

 

「クッ!……五月雨ちゃん!そいつ抑えてッ!!早くッ!」

 

「本性見せるの早過ぎだろーがッ!」

 

‐‐‐

 

「…で?俺に成り代わってこの基地を支配するつもりだったか?あ?」

 

叛逆者夕張にAリングを嵌め、トラロープでぐるぐる巻きに縛りあげて床に転がしたまま反乱の動機について尋ねる

 

「クッ!殺せ!」

 

「何がクッコロだ」

 

俺は今朝水揚げされたビチビチと跳ねる新鮮なイ級の足にBリングを近づける

 

「ヒィ!?イ級はイヤ!イ級はヤダァァァァァァァ!!」

 

「クックック、どうだ?イ級になって新しい艦生も悪くないじゃないのか?」

 

「言います!動機言いますからイ級だけは勘弁してくださいィィィ!」

 

俺はビチビチと跳ねる新鮮なイ級を五月雨に手渡し、五月雨は窓を開けて思いっきり海の方へぶん投げた、運が良ければ海に帰れるだろう

 

「て…提督に成り代わってこの基地を支配したかっただけなんですぅ…出来心なんですぅ!」

 

「ゲスか!?」

 

「普通にゲスな理由でしたね」

 

コイツ、ただのドMの変態かと思いきやなんて野望を秘めてやがる

 

「五月雨」

 

「なんですか?」

 

「間宮行くぞ、間宮」

 

「はぁ、別に構いませんが…」

 

「ちょ!待って!待ってください!放置するんですか!?私を放置して行くつもりですか!?」

 

「心配すんな、土産にアツアツの肉まん買ってきてやるよ、そんで上の口からねじ込んでやる」

 

「ヒッ!?」

 

だからなんでちょっと嬉しそうなんだコイツは

 

「私は今日はカスタードの気分ですね」

 

「俺はヌルっとしてないチョコレートだな、俺のチョコレートと交換しよーぜ」

 

「考えておきます」



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提督と球磨型とナイトクラブ17

アニマルガールに癒やされたいと考えているヤツの回

【登場人物】

球磨
球磨型の長女、よく見ると美少女、今風に疎い、鉄拳制裁には躊躇いがない

多摩(2)
球磨型の次女、よく見ると美少女、今風に疎い、木曾曰わく、球磨ねーちゃんよりは優しい

提督(86)
すげぇよミカは…強くてクールで愛嬌もあって、今度は子供まで…
あの目は裏切れねぇ、まっとうな教育が必要だ


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「ママ、三日月からすげー真面目な顔して子供作ろうぜ言われたんだが…」

 

「フーッ~…良かったじゃないかい」

 

「いや全然良くねぇよ!」

 

一度、アホなガキどもを集めて真剣に特別な講義を開いた方がいいのではと考えさせられる今日この頃、ママは割とどうでも良さそうに長い煙管から煙をモクモクと出すだけで俺に正しい答えをくれない、教えてくれママ、俺はあと何回殺せばいい?知ったコトじゃないよボーイとママは何も答えてくれない、まったくママにはかなわないな

 

「フーッ~…」

 

とりあえず、俺はいつものようにテキトーな席について煙草に火をつけて一服した

 

「よく来たクマね」

 

「まぁラクにするニャー」

 

席にやって来たのは球磨型軽巡、戦慄のケダモノフレンズ、球磨ねーちゃんと次女の多摩ニャーの球磨型姉妹上位種

 

「なに飲むクマ?」

 

「あ、あぁ…じゃ焼酎の水割りで」

 

球磨型の頂点に君臨する恐怖の覇王、球磨ねーちゃん、あのイケメンの木曾がビビって金出しそうになるぐらい怖い、俺と天龍をかわいい妹の木曾に悪い遊びを教える不良仲間かなんかと思っているらしく、心証はよろしくない、昨年の秋とクリスマス頃にフラリと行方不明になってた

 

「多摩と球磨ねーちゃんもいただいて良いかニャー?」

 

「あ?あぁ、構わんよ」

 

そして次女の多摩ニャー、球磨ねーちゃんに継ぐ上位カーストでイケメンの木曾がビビってチビりそうになるぐらい怖い、あと球磨ねーちゃん程ではないが俺と天龍をかわいい妹を悪の道に誘う悪い友達かなんかと思ってるらしく、心証はよろしくない、秋に行方不明になってた

 

「じゃ、多摩はオレンジジュースにするニャー」

 

「球磨はサイダーにするクマ」

 

健全ッ!!ちょっとアレなお姉ちゃんが酒を提供する店なのに健全だよコイツら!?

 

「じゃ、カンパイするニャー」

 

「カンパイクマ!ほら、提督もやるクマ」

 

「は、はぁ…じゃ、君の瞳に映った僕にカンパーイ」

 

なんだ?今日は随分と友好的だなコイツら、いつも顔合わせる度に木曾に悪い遊び教えるんじゃねーぞってメンチ切ってくるのに…アレか?接客業ってのがワカってる感じなのか?

 

「…しかし、まさかオマエらがママの店で働いているとはな」

 

「最近出撃とか遠征とかまともな仕事がないからクマ」

 

「木曾が寒そうにしてるから新しいフカフカモコモコのコート買ってやる資金の為ニャー」

 

「木曾のヤツ、寒いからってなんか黒いゴミ袋みたいな切れっぱし上から着ててねーちゃんとしては恥ずかしいクマ」

 

それファッション!木曾流のオレカッコいいファッションだからァァァ!!木曾の中二ファッション全否定だよこの姉達、恥ずかしいとか言われてるよ!

 

「北上と大井は木曾もちょっとアレな年頃だからすぐに飽きるとか言ってるけど、ちょっとアレもクソもないニャー」

 

「木曾は今が大事な時期クマ!そう、今が大事な時期クマ!」

 

「ま…まぁ、木曾も木曾なりにファッションとか流行とか勉強してるんだよ」

 

「そう言やこないだ提督と天龍と何か盛り上がってたみたいクマね」

 

「は?」

 

「談話室でキャッキャ言ってるの見たニャー」

 

「あ、あぁ…アレね、アレ、百人一首だよ!百人一首!俺達百人一首同好会なんだよ」

 

まぁ、普通にカードゲームですけど

 

「百人一首で煉獄より生まれし黙示録の龍とか万能なる魔界の支配者とか禁断ビッグバンとか言うものニャー?」

 

「新しいからね!今の百人一首はッ!球磨ねーちゃんとかが知ってるのとはちょっと違うかもねーッ!ルールとか今風になってるからッ!」

 

「ふむ………まぁ、最近の遊びは詳しくないけどそんなもんクマか」

 

セーフ!セーフ…生き残りッ!良かった、球磨ねーちゃんが今風ってトコで納得してくれて、ちなみに、木曾の部屋は大変取締が厳しいので木曾のカードは天龍で預かっており、木曾はいつも天龍の部屋でアツいデッキの試行錯誤をしている

 

「まぁいいクマ」

 

「木曾が楽しそうならなによりニャー」

 

良かった、このケダモノフレンズ姉達は基本的に木曾に厳しいようで甘いので追求は振り切った、感謝しろよ、同志木曾

 

「あ、サイダーなくなったクマ、多摩、サイダーくれクマ」

 

「多摩は100%中の100%リンゴジュースにするニャー、提督もなんか飲むニャ?」

 

「あ?あぁ、じゃ焼酎のお湯割りを貰おうか」

 

「お湯ないからサイダーで割れクマ」

 

「とってこいよ!!ママー!お湯!お湯用意してェー!」



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提督と超戦艦と悪魔

提督暗殺編への序奏回

【登場人物】

提督(87)
前聖戦の時はキ●ンサーで御座いました

長門(13)
逆賊の汚名着せられ非業の死を遂げる

大和(3)
本当は海上の愛と正義の為に戦いたかった


「提督、大和型戦艦大和と長門型戦艦長門、参りました」

 

「フッ、何の用だ?同志提督よ」

 

未明から微妙な小雨が降り続ける暗雲立ち込める天気、執務室に呼び出された大和と長門はいつもとは様子が違う提督に怪訝なものを感じていた

 

「うむ、よく来た二人とも、実はサンクチ●アリが誇る大戦艦級の君達を呼んだのは折り入って話があるからだ」

 

「はぁ?」

 

「フッ、折り入って話とは水臭いじゃあないか」

 

「君達も知っての通り、深海棲艦との戦争が始まって早数年、我々は海上にはびこる悪を打ち払う為に戦って来たワケだが…」

 

提督は買い置きの缶コーヒーを一口飲んでひと息つく

 

「新たなる聖戦の幕開けの前に、私もそろそろ提督の座を退こうと思ってな、そこで君達二人のどちらかに譲ろうと考えた」

 

「…はぁ?」

 

「なんだとォ!?」

 

突然の提督引退発言に、さすがに大和、長門の両者とも驚きを禁じえず動揺が走った

 

「まぁ色々考えた結果、仁・恥・勇を兼ね備えた長門、これよりお前に提督の座を任せる事にする」

 

「は?………このビッグセブンが?」

 

「…」

 

「まぁ、ウチの戦力はそこそことは言え性格と素行に少々問題があるヤンチャなヤツばかり、だが遅くとも二月中頃には必ず聖戦が起きる、その時の為に多くの艦娘達を立派に育てて貰いたい」

 

提督は缶コーヒーを飲み干し、缶をダストシュートに放り込んだ

 

「大和よ」

 

「はぁ?」

 

「聞いての通りだ、長門に力を貸してこれからのサン●チュアリの為に尽くしてくれ、よいな?」

 

「…はい、フフ…長門さんこそ次期提督に相応しい立派な艦娘だと私も考えていました、この大和、これからも一命を尽くしましょう」

 

◆◆◆

 

この基地には提督しか立ち入れない場所が三つある、一つは提督の私室、一つは男子トイレ、そして最後の一つは提督専用の高台…通称、ス●ーヒル

 

「むぅ…やはり何度見ても北斗七星の横に禍々しいアレが見える」

 

最近始めた趣味の天体観測、星はいい、あの満天の星を見ているとこの星の小ささと、そこに立つ自分がとてもちっぽけな存在であると認識できる

 

「…む?」

 

何者かの気配を感じ振り向くと、そこには大和が立っていた

 

「大和か……貴様、たとえ大戦艦級と言えど立ち入る事は困難なこのス●ーヒルにどうのようにして」

 

「別に私には困難ではなかったですけど?まぁ、世界最大最強の戦艦と言われてますし」

 

「ふむ…で?何の用だ?まさかわざわざそんな事を言う為にここに来たのか?」

 

「………提督、何故、世界最大最強の私ではなく、次期提督に長門さんを?」

 

「言ったはずだ、仁・恥・勇を兼ね備えた長門こそ提督に相応しい艦娘だと」

 

「…仁・智・勇ならば決して長門さんに勝りこそすれ劣るとは思ってません、いえ…むしろ私の方が長門さんに勝っていると思いますが…何故ですか!?」

 

なんか心なしかハァハァと肩を震わせている気がするが…もしかして誘っているのだろうか?

 

「そんな事か、私はな…お前の中にとてつもない悪魔が住んでいるような気がしてならんのだ」

 

まぁ、これが取り越し苦労ではあれば良いのだが…

 

「フッ……ふふふ」

 

「どうした?具合でも悪いのか?それとも、やっぱ誘ってる…」

 

「見抜いていましたか…私の秘密を、さすがは提督、ただの窓際族の冴えないボンクラと言えど海軍将校」ギロッ!

 

「な…なんだ!?大和!キサマいったいッ!?」

 

「死ねッ!提督ーッ!!」

 

突如として牙を剥いた大和の拳が俺の胸を貫いた

 

「ゴバァ!!…や……やま、と…やはり私の目に狂いはなかった、お…お前は…邪悪の化身」

 

「フッ……老いぼれめ、なまじ私の正体に気付くからこうなるのです、幸いな事にこの提督帽子を被っていればウチにいる娘達はだいたいバカだから気付かないでしょうし」

 

大和は死んだ提督から提督帽子を奪い取り頭に被った

 

「こうなった以上、私が提督になりすましてこの基地を掌握するまで!そう!この大和こそが提督になって海を支配するんです!ハーッハハハハハ!」

 

◆◆◆

 

「…と言う夢を見ましてな」

 

「なるほど…」

 

本日快晴の執務室、外では駆逐艦の子達がキャッキャとハシャぐ声とたまに何かが崩れる音が聞こえる…

五月雨さんは姉妹でスイーツバイキングに行くとかで休暇をとっており、現在、執務室には私と香取姉さんが来ていた

 

「…って!夢オチかよッ!!」

 

「コラ、鹿島、なんて言葉遣い!姉さん感心しませんよ」

 

「あ…はぁ、スイマセン、まさか長々と尺使っての夢オチには何かイヤな思い出があって…」

 

「ハッハッハ、鹿島先生は繊細な方でいらっしゃる」

 

「そうなんですよ、我が妹ながら少々神経質なところがありまして…」

 

香取姉さんは口元を隠して優雅に笑う、なんでこう…スイッチ入ってない時の香取姉さんはエレガントなんだろうか

 

「…姉さんはなんでこんな変人に好意があるんだろう」ぼそっ…

 

「鹿島?何か言った?」

 

「いえ!何も言ってないです!何も言っておりません!サー!」

 

「そう……しかし提督、例え夢の中とは言え、提督に害意ある逆賊には少し厳しい躾が必要なのでは?」

 

逆賊とか言ったよ、普通に逆賊とか言っちゃったよこの姉

 

「ハハ…それには及びませんよ先生、何故なら俺はこの基地の者達を皆、ファミリーと思って愛しています、たとえ刺されようともそんなバカをそれでも許します」

 

「嗚呼…素晴らしいお考えです、提督」

 

何言ってるんだろうこの人達は…ってか、それ海軍じゃないで海賊




次回から本当の提督暗殺編

海軍の闇は深い…


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提督暗殺編 前編

シリアスパートに突入する全3回

【登場人物】

提督(88)
主人公、勲章モノの活躍は特にない

五月雨(36)
最も付き合いが長い秘書艦、趣味はコーヒーとクロスワードパズル

大将殿
横須賀の大将殿、入隊前から配属まで提督に色々と便宜を図っており提督の後ろ盾とも言える人物、優れた艦隊司令能力を持っているものの、最近は軍内部の政権闘争で第一線から退いている


生きている上で、背に腹は代えられない状況と言うものが何度かある…

人生もエロゲーと同じく選択肢の連続であり、その選択肢の中にはパンにするかご飯にするかぐらいどうでもいいものから、これからの人生を決定付けてしまう重要なものまで様々で、人はある程度それを見極めながら生きている…

 

そして今、俺はその重要な選択肢を選ぶ岐路に立っている…

 

◇◇◇

 

「それはつまり、栄転と?」

 

『まぁ、そうなる、キサマにも悪い話ではなかろう?』

 

「まぁ、そうっすね」

 

『追って正式な通達が届く、楽しみにしとれ』

 

大将殿の相変わらず豪快な笑い声が耳に残り、俺は受話器を本体の上へと戻した

外気は寒いが日差しはある冬の執務室、俺は胸元から煙草を取り出して火を点ける

 

「煙草なら外でお願いします」

 

「灰皿、あとコーヒー淹れてくれ」

 

「今……なんと?」

 

「…灰皿よこせ、あとコーヒー淹れろ」

 

一瞬、五月雨は何を言われたのかよくわからず機能停止したが、すぐに元に戻って灰皿を用意してコーヒーを淹れる機材を用意する

 

「フーッ~…」

 

正式な辞令とあっちゃ断るワケにもいかんよなぁ、昇進だけならまだしも、まさかの転属、しかも大本営直轄の部署…

大将殿は俺をコキ使いたくて仕方ないのか?

 

「コーヒーです」

 

「うむ」

 

見た目は普通、香りも芳醇、一流の機材と一流の技術と一流の情熱で淹れた至高の一杯

 

「…相変わらずお前の淹れるコーヒーは不味いな」

 

「悪かったですね」

 

普段なら静かに怒気を撒き散らす俺の不味い宣言に、五月雨は珍しく素直に応じた、思えば初めてではないだろうか?コイツが自分のコーヒーが不味いと認めたのは…

 

「それで…」

 

「まぁ、正式な辞令なら仕方ないわな」

 

「ですよね」

 

転属となれば、この基地には新たな別の将校が来る事になるだろう

幸いにもここはさほど激戦区でもないし、戦力もそれなりに揃っているので若手の新人とかならやりやすいかもしれない

 

「次は優秀なイケメンが来るぞ、たぶん」

 

「そうですね」

 

「最初はバカどもに多少面喰らうかもしれんが、まぁすぐに馴染むだろ、たぶん」

 

「そうですね」

 

「もしかして勲章モノの活躍してくれるかもな、たぶん」

 

「そうですね」

 

「…そうですねしかないのか?テメーは?」

 

「提督こそ、たぶんが多すぎです」

 

俺達は互いに苦笑し合い、今まで互いのどうでもいいところをよく見てるもんだと感心した

 

「とりあえずは正式な辞令まではこの件はお前のその無い胸に秘めとけよ」

 

「無い胸は余計です」

 

「…無いだろ?」

 

「ありますよ、失礼な」

 

「よし、じゃ触って確かめてやるから動くなよ」

 

「触ったらマジで折りますよ」

 

折るか……まぁ、殺すって単語が出ないだけまだマシだな

 

◆◆◆

 

大将殿の電話から数日後、大本営付きの特務佐官なる人物が来訪するとの連絡があり、基地内では壁の落書きを消したり、破損した建物の修理をしたりと大掃除の様相を呈していた…

 

「クソッ!届かねぇ!」

 

「誰だよあんな高いところに書いたヤツ!」

 

「ミカァ!やってくれるか?」

 

駆逐艦のキッズ達が魍魎だのうんこだの書かれた壁をピカピカに磨く作業を見守っていたビッグセブンこと大戦艦長門…

長門はこの時を待っていた、キッズ達では届かないであろう高さの落書きに達するこの時を、困り果てたエンジェルス達の前に颯爽登場し、よし!このビッグセブンが肩車すれば届くだろう!キャービッグセブン素敵!好き!大好き!の流れになるこの時を…

豪放にして狡猾!ビッグセブンこと大戦艦長門ッ!

 

「ハハ…お困りのようだなエンジェルスた…」

 

「あったよ!たまたま夕張さんが持ち歩いていた脚立が!」

 

「でかした!」

 

「クッ!なんて高さだ…チクショウ!なんてグラグラしやがる!」

 

「ミカァ!」

 

「すげぇよミカは…あの高さをモノともしねぇで」

 

爽やかに声をかけようとした長門は静かに踵を返すと夕張が脚立を追いかけてハァハァと息を切らせて走ってきた

 

「…ハァ、ハァ…私の脚立、あ、長門さん、こないだビキニで発揮した長門さんのファイナル禁断パワーを倫理観とか道徳とか無視した人体実験したいんでサンプ…」

 

「フンッ!!」

 

ドゴォン!!(腹パン)

 

「オゴォ!!」

 

「すまん、手が滑った」

 

「オ゛ヴエェェェェェェェ…」

 

夕張は口から光る吐瀉物を吐き出して、前のめりに倒れた

 

◇◇◇

 

ご心配なく、階級なら上がりますよ、二階級特進です

 

そりゃ嬉しいね、ところでどうだ?お互いに銃をおろして話をしないか?銃口突き付け合って会話するのは趣味じゃないんだ

 

それもそうですね

 

じゃ、お互い123で下げよう、な?

 

わかりました、では…3

 

…2

 

1ッ!!

 

パーーーンッ!!!

 

夜の闇に、2つの銃声が重なった

 




次回は中編ですって


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提督暗殺編 中編

全3回の2回目

【登場人物】

天海《アマミ》中佐
大本営直轄第五特務所属の特務中佐、非の打ち所が無く、ルックスもイケメン
艦隊司令の適性は無いので妖精さんは見えないし聞こえない


受話器を電話機本体の上に戻し、買い置きの缶コーヒーを冷蔵庫から取り出して一口含む

 

「五月雨ェ」

 

「なんですか?」

 

「お前明日から休暇な、旅行とか行って来たらどうだ?楽しいぞ」

 

「…はぁ?」

 

◆◆◆

 

海軍には派閥がある、大きく分類分けすればタカ派とハト派の二つ、強硬派と保守派みたいなもので、将校として軍に属している限り、だいたいどちらか寄りになり、上の政権闘争が下の現場指揮に介入してくるのは当たり前、人事異動などは現場ではなく全て上の都合が絡んでいると考えていい

 

「天海です、よろしく」

 

「どうも」

 

大本営直轄、第五特務部なる部署からやって来た天海中佐はなかなかのイケメンで、人当たりもいい、見慣れない人物だと思って駆逐艦がメンチ切っても爽やかに微笑み返しできるイケメン特有の余裕もある

 

「それで?アレですかね?わざわざ来られたのは辞令の件で?」

 

「まぁ、それが半分ですね」

 

「もう半分は?」

 

「それはちょっと…」

 

「あぁ、差し支えあるならお聞きしません、なんと言っても特務殿ですしな」

 

「ハハハ…」

 

一口に特務と言っても色々あり、所属している派閥や関連している人物で内情も毛色も大きく異なる、噂やゴシップの範囲だが深海棲艦を人為的に造りだしてるところや人道倫理一切無視の人体実験に精を出してる悪魔の研究機関も秘密裏に存在する、ゴールデンタイムのミステリー特番でよく見る話だ

 

天海中佐の第五特務はどちらかと言えばハト派、情報調査が強い部署らしく、暗諜の面もある

 

「で、まずはその辞令の件ですが…」

 

「はぁ?まぁ行けと言われたら行かざるを得ないかと…」

 

「断りませんか?」

 

「………は?」

 

ナニ言ってんだコイツ?

 

「この人事には高度な政治的事情がありましてね、出来れば断って頂けると助かる人も居るもので」

 

「ちょっと待て、なんでたかが窓際一人の異動に高度な政治的事情が絡むんだよ?」

 

いかん、素が出た…まぁいいか、階級的に一応、俺の方が上だし

 

「まぁ、知っての通り上層部は常に陣取り合戦で忙しいものですから」

 

「…煙草いいか?」

 

「どうぞ」

 

胸ポケットから取り出した煙草に火を点けて肺に紫煙を吸い込む

 

「フーッ~…それで?俺がその特務に異動になると誰かの白い駒が黒に裏返るのか?」

 

「まぁ、平たく言ってしまえばそうなります」

 

「なるほどなぁ~」

 

「お願いできませんかね?」

 

「これ、断ったらどうなるんだ?」

 

「そうですねぇ」

 

天海中佐は参ったなぁといった感じで手を後ろ頭を掻いてみる、とりあえずいきなり懐の拳銃が火を噴くってのは無いらしい

 

「ヒットマンでも来るんじゃないですか?」

 

「爽やかに穏やかじゃないコトゆーな!なんだよヒットマンって!?」

 

「誰かの子飼いの関連会社の下請けのさらに関連の取引先の孫請けの構成員じゃないですかね?」

 

「ヤ●ザかよ!?」

 

「まぁ、異動が決まった後日にイ●ンモールとかに買い物に行ったらファンシーショップでヌイグルミ見てると射殺の可能性はありますね」

 

「そこまで把握してんならなんとかしろよ第五特務ッ!?」

 

「ハハハ…無理ですよ、出来れば死んで貰った方がこっちは楽ですし」

 

この野郎、笑顔でなんて事言いやがる…ッ!

 

「フーッ~…天海中佐よォ、悪いがこっちも面子ってのがあるんだ、正式な辞令を蹴るってのは大将殿の顔を潰しちまう、俺が泥食うのは構わねぇが、この件に色々と便宜を図ってる大将殿にまで泥かけるワケにはいかねぇ」

 

「なるほど…」

 

「俺は異動しない、大将殿に現状からの迷惑がかからない、そんなウルトラCがあるならその話は呑んでも構わない」

 

「ふむ…」

 

「あと、出来れば昇進はしたい!」

 

「強欲ですか、貴方は」

 

天海中佐はわかりました、考えてみますと言って執務室を後にした

 

◇◇◇

 

部署に定時連絡を入れ、電話機を胸元に仕舞う

 

「ふぅ」

 

彼の異動で利する者、害ある者、様々な思惑が入り交じっているようだ

 

「さて、どうしたものですかね」

 

上が意図的にゴタゴタしている為、正式な辞令が降りるにはあと五日はある…

 

そもそも、この辞令自体が撒き餌のような物で上ではそれを含めた高度な交渉が静かな牽制と共に行われている

 

おそらく辞令は取り下げられるだろう…

個人的にはこのまま座して状況を待ちたいところだが、急先鋒は“事故”を望んでいる

 

「あまり気は進みませんけどね」

 

あちらを立てればこちらが立たないでは困る、彼には少々イヤな顔されるかもしれませんが、こっちも仕事があり、面子がある

 

◆◆◆

 

明石の店で煙草と缶コーヒーを買い、廊下を歩いていると相変わらずキモい生物を抱えたチビスケが掲示板の前で立っていた

 

「よぉチビスケェ…」

 

「…チビスケゆーな、山風」

 

「掲示板になんかあるのか?」

 

そういや今度プロレスがどうのこうの熊野のバカが言ってた気がするが…

 

「…今度、日曜日に、授業があるって」

 

「ふ~ん、脱ゆとりってヤツか?」

 

「…知らない、なんかペットボトルでミサイル作るとか、なんとか…」

 

ペットボトルロケットって聞いた事はあるが、そうか…ペットボトルでミサイル作れるのか

 

「暇だし見に行ってみるか」

 

「…ホント?」

 

「男の子はロケットとかミサイルが好きだしな」

 

たまには香取先生の熱血指導を授業参観するのも悪くない

 

「…ちゃんと見に来てね」




次回は後編

裏切りの銃口が火を噴くですって!


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提督暗殺編 後編

全3回の3回目

【登場人物】

提督(89)
銃は苦手
こいよ!銃なんか捨ててかかってこい!楽に殺しちゃつまらんだろう?ナイフ突き立て俺が苦しみもがいて死ぬ様を見るのが望みだったんだろう?


「色々考えてみたんですけど………やっぱり死んで頂けませんかね?」

 

再び来訪した第五特務、天海中佐に食事でも如何ですかと誘われ街に繰り出した俺達、自他共に認めるハンサムメガネ男子である俺と、爽やかでイケボ、ルックスもイケメンの天海中佐が並んで歩いている姿を見て古鷹さんがなんか写メ撮ってたが、帰ったらキチンと誤解を解く必要があるだろう…

 

天海中佐予約済のオサレなレストランでディナーを済まし、基地への帰路と向かう筈の車は明らかに基地とは違う方向へ向かい、実に見晴らしの良い場所で停車したので俺達は車を降りた

 

「煙草いいか?」

 

「どうぞ」

 

胸ポケットから煙草を取り出して火を点ける

 

「フーッ~……で?なに?随分とロマンチックシチュエーションだが、告白とかやめてくれよ?」

 

「まぁ、ある意味告白ですが」

 

天海中佐は拳銃を取り出して銃口をこっちに向ける、その手馴れた姿はまるで映画俳優の様に実にサマになっている

 

「私も手ぶらでとなると色々とカドが立つもので…」

 

「偉い人にはお土産にひ●こ饅頭持って帰ったらどうだ?なんなら明日の朝イチで買ってく…」

 

パァン!!

 

銃声、そして、鉛玉が俺の頬を掠めた

 

「…だよなぁ」

 

「まぁ、お互い上の面子と言うものがありますからね」

 

「たしかに」

 

パァン!!

 

二発目の銃声が鳴る直前、俺は指に挟んでいた煙草を天海の顔に弾き、今度は当てる気だった銃弾は狙いを外した

 

「…チッ!」

 

「悪いが明日は大事な用事があるんだ」

 

俺は天海から停車してある車を挟んで距離をとる

明日はクソガキどもの工作教室を見た後にイ●ンモールでお買い物して、夜は香取先生と一杯、大人の店で飲む約束がある

 

いまいち使い馴れない拳銃を抜き、天海に銃口を向ける

 

「得意ではないと聞いてますが?」

 

「勿論、得意じゃない」

 

耳は痛いし、動く奴には当たらないし、どうにも達成感が薄いからあまり好きじゃない、しかし、当たる気はしなくても牽制するにはもってこいのアイテムだ

 

「そこで天海、どうだ?銃なんか捨ててかかって来いよ」

 

「イヤです」

 

「よし!わかった、俺も捨てるからかかって来いよ!な?」

 

「イヤです」

 

チッ、男なら拳一つで勝負せんかいって流れにはならねぇか、さすがは第五特務、シリアスパートで生きる奴ァ違うな

 

「私が銃を手放したら撃ってくるのが目に見えますから」

 

「バカ言うな、俺がそんな卑怯で卑劣な男に見えるのか?」

 

「見えます」

 

パァン!!

 

三発目の銃声、銃弾は再び俺の頬を掠めて飛んで行く…

コイツ、この暗さでなんて腕してやがるんだ?ほぼ正確にアタマを狙ってやがる、マズいな…こっちは銃なんか使い馴れてないからたとえ明るくても相当距離詰めないと当たる気がしないんだが…

 

「ったく…そんなに職務に忠実だと疲れねぇか?」

 

「疲れますねぇ、たまには休暇でもとって温泉にでも行きたいものです」

 

「温泉か…いいな」

 

「この仕事が終わったら休暇の申請を出そうと思います」

 

「いいんじゃねぇの?休暇、初めて申請した有給は家族揃って温泉、行ったその日に事故って泣いた、ロックじゃねーか」

 

パァン!!

 

四発目が鳴ると同時に俺は車の影から飛び出して天海との距離を詰める、その間に五発目が左の肩を貫いたのは少々余計だったが…

 

「痛ッ……ってぇなコノヤロー」

 

距離にして約1~2メートルぐらいか?たとえ夜でもこの距離なら撃てばどっかに当たるだろう…

まぁ、逆に、あっちも同じ条件なんだが…

 

「とりあえず、お互いに銃を下ろして話し合いといかないか?」

 

「こちらからは特にお話する事はないのですが」

 

「俺の昇進についてだよ、考えとくって言ったろ?」

 

「あぁ、ご心配無く、二階級特進ですよ」

 

「あっ…そ」

 

いかん、肩めっちゃ痛くなってきた、これはマズい…

 

「天海よ、1、2、3で銃を下ろそう、1、2、3で!な?」

 

「ふむ…まぁいいでしょう」

 

こちらの意図を察してくれたか…さすがはイケメン、心までイケメンだ

 

「3」

 

「2」

 

『『1ッ!!』』

 

パァン!!!

 

2つの銃声が重なる、天海の弾は俺の左肩を更に貫き、俺の弾はどうやら当たらなかったらしい

 

「アダッ!!いだだだだだ、こ…殺す気テメーはッ!?っーか撃つかフツー!?」

 

「1、2、3の撃ち合おうって言ったのはそっちじゃないですか」

 

「銃を下ろすって言ったろーが!!」

 

「ハハ…もし、そちらが本当に銃をおろしていたら今頃は罪悪感に苛まれてたかもしれませんね」

 

まぁ、天海の言う事はごもっともだ、なにせこっちも撃ってるから言い訳もクソもない

 

ヴヴヴヴヴヴ…ヴヴヴヴヴヴ…

 

「…む」

 

「なんですか?」

 

「ちょっと電話出ていいか?」

 

「どうぞ」

 

銃口がキッチリとこっちを向いている以上、下手な事言った瞬間パンだろう、俺はポケットでブルブル震える携帯を取り、受話ボタンを押した

 

「はいはい、オレオレ、痛ッ!いだだ……あー、はいはい、あー…今取り込み中なんですけど?はい?別に構いませんが……天海中佐」

 

「はい?」

 

「電話替われって、上司が」

 

俺は携帯を天海に渡し、ようやくひと息つけると地面に背を預けた

 

「はい……えぇ、なるほど、了解しました、はい」

 

天海は通話ボタンを切り、俺の携帯を投げて寄越した

 

「どの時点から気付いて動いていたんですか?」

 

「大将殿から電話があってすぐだな」

 

この辞令はもっと大きなモンを喰いつかせる為の撒き餌、そして出来るだけ生きが良く動いてるように見える疑似餌だ

 

「俺が撒き餌でお前さんが疑似餌なワケだ」

 

おかげで大きな魚がかかったらしい、これにて餌はお互いに役目を終えたワケだが…

 

「第五特務そのものが仕掛の一つに使われた、と言うワケですか…」

 

「上に居座ってるヤツらはどいつもこいつもバケモノだらけだぞ」

 

「そうですね」

 

海軍と言う名の大所帯、上に行けば行くほどその闇は深かく、濃い物になっており、そこに棲む奴らは同じ人間なのかどうかすら疑わしい、まぁ、そのバケモノどもに大将殿も含まれているけどな

 

「ふぅ…ま、これで私も仕事が一つ減ったので良しと考えますか」

 

「ゴクローサン、ただ天海よォ…最後にもう一つ仕事があるんだよ」

 

「はい?」

 

「病院連れてってくれねぇか?緊急外来」

 

肩めっちゃ痛いし、血は止まらんし、これはマジでヤバい感じがするんだが…

 

◇◇◇

 

後日…

 

基地近郊の大学病院

 

「リンゴ食べますか?」

 

「俺リンゴはウサギ型に切って貰わないと食べれないんだが」

 

第五特務の息がかかった大学病院の一室、俺は新聞を読みながら五月雨が持ってきたフルーツ盛り合わせを食べていた

 

「ウサギはちょっと難しいですね………う~ん、あ、コレならどうですか?朱鷺」

 

「お前すげーな!」

 

案外手先が器用なんだなコイツ

 

「…しかし、今回はワリと危機一髪でしたね」

 

「まったくだ」

 

後から天海中佐に聞いた話ではこの件に関して正体不明瞭な髪の長い女が色々とヤンチャな口利きして回っていたそうだが…とりあえず、はぁそうっすか?としらばっくれた

 

「サミーよ」

 

「五月雨です、なんですか?」

 

「いや、そろそろオ●ニーしたいから出てってくんないかなと…」

 

「………はぁ」

 

「なんだその溜め息は!?」

 

「いえ、なんでもありません、なんでしたら鈴谷さんでも呼びましょうか?」

 

「そんなオマエ……デリ●ル感覚で呼ぶなよ」

 

「と言うか、早く退院してくださいよ、来週から次の作戦始まりますから」

 




次回は200回目
提督と五月雨が通常運転でレ●プと言う単語が乱発


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提督と五月雨と罠の橋

ダラダラっと200回目、定期的に読んで頂いてる方もそうでない方も感謝です
節目回なので初心に帰りました

【登場人物】

提督(90)
様々な疑惑を持つ快男児
本懐を遂げるべき刻、来たれり!

五月雨(37)
なんだかんだ付き合いは良い秘書艦の鑑

浜風ちゃん(3)
100回目ぶり3回目の登場、真面目な良い子


「あー!クソ!浜風ちゃんレ●プしてェー!」

 

朝夜の寒暖差を身に染みるこの季節、俺は執務室に備えられた黒檀のデスクを両手でワイルドに叩き、このアツかりし真実の奥の更なる真実に辿り着いていた

 

「よっしゃ!レ●プ行くぞ!レ●プ!五月雨、俺に続け!」

 

「…はぁ?」

 

五月雨は何言ってるんだコイツ?イカレているのかと言いたげな顔を上げ、再び机に開いたクロスワードパズルを解き始めた

 

「クロスワードなんてくだらねーコトは後だ!後、俺達は今から浜風ちゃんをレ●プしに行くんだよォ!」

 

「くだらないとか言わないで下さい、あと、ナチュラルに俺“達”って、私も含めるのやめてください」

 

「カタいコトは言いっこナシだぜブラザー、カタくしていいのは俺の逸物とオマエの絶壁だけにしろよ」

 

「何が絶壁ですか…今のはちょっとカチンときました」

 

「さて、それでは今回のプランだが…」

 

「もう諦めましょうよ」

 

過去数度、浜風ちゃんと言う頂への登頂を試みた我々だが結果は惨敗、その頂までの道は険しく、むしろ入山すらままならないのが現状である

そこで俺は今までの失敗が何故起きてしまったのかをP≠NP予想、計算複雑性理論を交えながら考察し、一つの結論へと達した…

 

「俺自身が浜風ちゃんになることだ」

 

「…すいません、ちょっと何言ってるかわからないです」

 

「あぁ、自分でもよくわからない!」

 

「提督、たった3回とは言え慣れないアクションしたから疲れてるんですよ」

 

「メタいコトゆーな」

 

たしかに、ここ最近少々真面目なふりして気を張っていた分、疲れも溜まっている気がする

 

「とりあえずコーヒーでも飲みますか?」

 

「そうだな、冷蔵庫に缶コーヒー入ってるから出してくれ」

 

「ご自分でどうぞ」

 

この野郎、自分でコーヒー勧めたくせになんて厳しい対応だ…

俺は冷蔵庫から買い置きの缶コーヒーを取り出して蓋を開けて一口啜る

 

「…で、だ!俺はとにかく浜風ちゃんをレ●プしてぇんだよ、とにかくくわえさせて、とにかく挟んで、とにかくブチ込みてぇんだよ、とにかくイライラしてんだよ」

 

「何がとにかくですか、行って来たらいいじゃないですか?」

 

「は?オマエも行くんだよ」

 

「は?じゃないですよ、なんで私もその鬼畜の所行に同行する必要があるんですか?」

 

「え…?だってほら、一人だとなんか寂しいじゃん、こーゆートクベツなイベントってやっぱ誰かと一緒に行って感動を分かち合いたいっーか、後から感想言い合って盛り上がりたいっーか」

 

「JKか!?」

 

「JKじゃない、提督だ」

 

さすがは五月雨だ、低めいっぱいアウトローギリギリにキレのいいストレートを放ってきおるわい

 

「いいから行くんだよ!後でチョコレートパフェ奢ってやるよ」

 

「じゃ、こうしましょう、まずはチョコレートパフェを食べてから行きましょう」

 

「先に奢れと?」

 

「はい、とりあえず糖分を摂取しつつ作戦を練る、如何ですか?」

 

「なるほど…」

 

さすがは五月雨だ、糖分で頭の回転を上げつつ綿密なプランを組み上げ、その足ですぐにレ●プへと動ける、幸いにもチョコレートパフェを購入出来るのならば生クリーム、乳製品、練乳、バター、 ハチミツ、プレイに必要であろう製品もお買い得価格で購入出来る

 

「…卿の意見を是とする」

 

「そうですか」

 

「よし、では早速間宮に行くか、ついて参れ!」

 

◆◆◆

 

生クリームとそーゆーふわふわした甘いモン売ってる店、間宮

 

「今日のオススメは季節のカスタードエクレールです」

 

「チョコレートパフェ一丁」

 

「あ、私も同じもので」

 

給糧艦間宮、心は狭いが乳とケツはデカい、給食おばちゃんと親しみを込めて呼んだらコルク入りのアオダモ製の麺棒でめっちゃ殴る

 

「今日のオススメは季節のカスタードエクレールです」

 

「ガタガタ言ってねーでチョコパ出せよ乳牛が」

 

「乳牛じゃないです間宮です、次、乳牛って言ったら私キレますから」

 

もう一度と言おう、心が狭い、ワンルームかってぐらい狭い

間宮は注文通りのチョコパを2つカウンターに置いた

 

「お会計一緒でいいんですよね?3980円です」

 

「高けェ!!」

 

「高くありません、最高の材料と最高の機材と最高の腕で作られた至高のチョコパですから」

 

「チッ、ぼったくりも大概にしとけよホルスタインが!」

 

カウンターに金を置き、俺と五月雨は窓際の空いてる席に座った

 

「さて、では浜風ちゃんレ●プ作戦についてだが」

 

「はぁ?あ、これ美味しいですよ」

 

「うむ、悔しいが美味い」

 

悔しいがクソ高いだけはある、味の調和?味の調和っーんすかね?コレ

 

「まずはお前が正面から行き水平チョップで奇襲をかける」

 

「はぁ?」

 

「そして隙をみて、スピンダブルアームで浜風ちゃんを宙にあげる」

 

「はぁ?」

 

「そしてラスト・ワン、魔性の一撃にて浜風ちゃん意識を刈り取る、ここまではOKだな?」

 

「いえ、何一つOKじゃないです、なんで気絶させるだけでそこまでやるんですか!?ってか、それ全部私がやるんですか!?」

 

「如何にも」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「…一応聞きますが、提督は何するんですか?」

 

「うむ、意識を失った浜風ちゃん胸をとりあえず揉む、こう…なんて言うか、こねくり回す感じ?」

 

「…はぁ?」

 

「勿論服の上からだぞ!いきなり脱がすなんて紳士として恥ずべき事だからな」

 

「いや…レ●プとか言ってる時点で既に紳士として恥ずべき事かと…」

 

‐‐‐

 

そして、俺達は綿密の作戦を組み上げ、実行に移す時がやって来た…

場所は執務棟の裏手側、どうやら浜風ちゃんはゴミ箱を焼却炉に持って行ってるようだ

 

「よし…では行くぞ」

 

俺は紳士として力強く歩き出した

 

「やぁ!浜風クン」

 

「あ、提督…お疲れ様です」

 

「ゴミ捨てか?実に感心だ」

 

「まぁ…当番制ですし、あ、提督、そこは……」

 

よし、俺の距離まであと5歩、4歩…とにかく一撃だ、一撃ボディに喰らわせて悶絶させて即テイクアウトだ、できる、俺ならやれる、何度もシミュレーションした、スピード、パワー、角度、全て計算通りのパフォーマンスが発揮できる

 

あと3…2………つるっ

 

「ん?」

 

なんだ!?なんだこの床、なんだここは滑るぞ!?

 

「そこは、さっき磯風がワックス塗ったとこで滑りや…」

 

「がああああ!があああああああー!」

 

ワックスで滑った俺は床に転倒し………てない、柔らかいクッション素材か何かが前のめりに転倒する俺を支えているのかッ!?

 

「間に合って良かったです、大丈夫ですか!?」

 

頭の上から声がする…

そうか、これが我々の求めた神秘の霊峰…

 

「大丈夫だ、すまない、ありがとう」

 

俺は何事もなかったように体勢を整え、最近風邪が流行っているから気をつけたまえと言ってその場をクールに去った

 

‐‐‐

 

「もう諦めた方がいいですよ」

 

「五月雨よォ…俺はもう、登ったさァ…もう、満腹さァ…」

 

「え!?」




次回は足淀回

咆哮する永遠の餓狼!
南街商店街のヒーローが帰ってくる


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足柄と大淀とFatalFury SPECIAL

本日二本立て

月イチペースの談話室足淀回

【登場人物】

足柄(4)
通称、ワイルドウルフ
提督に天海中佐紹介してくれと頼んだ

大淀(4)
通称、デスマシーン
足柄に一歩先んじようと頑張っているがたぶん失敗する


「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、かつて復讐の為に格闘の世界へ身を投じたが普段はその後ろ暗い背景を感じさせない陽気で気さくなナイスガイっぷりは駆逐艦のキッズ達から憧れの対象とされている

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

足柄とは入隊前のシャカリキボーイ時代からの相棒、足柄とはよくつるんで東急ハ●ズに行く仲である

 

「まぁ落ち着けよ相棒ォ~…見ろ、キッズ達がビビって楽しいレゴブ●ック組み立てられなくて震えてるじゃねぇか?」

 

たしかに、ここは誰しも憩い求めてやって来る憩いのルーム、談話室

キッズ達は足柄のハイアングルゲ●ザーを警戒してブルブルと震えていた

 

「フッ…私としたコトが、オマエらァー!コイツでスナック菓子でも買いなァー!」

 

足柄はC●ACHの財布から数枚の紙幣を取り出し、スタイリッシュに一番近くにいた霰に投げ渡した

 

「ヒュー!足柄サンオトコマエー!」

 

「さすが足柄サン!復讐を誓う飢えた狼ーッ!」

 

キッズ達は足柄に頭を下げてキャッキャとハシャぎながら明石の店へと走って行った

 

「で?今度はナンだ?また合コンでライジングタッコォしちまったんか?」

 

「あ゛?行ってねーし、っーかライジングタックルとかしてねーし」

 

大淀は手近な椅子に座り、テーブルの上に置いてある誰の物ともしれないペットボトルのフ●ンタオレンジに間接KISSして喉を潤す

 

「ぶはぁ!!うんめー!」

 

「昼間、アサシとカスミとデパート行ってよぉ~」

 

「は?聞いてねーんすけど?オマエ誘えよ!なんでいつも誘わねーの?」

 

「誘ったじゃねーか」

 

「え?」

 

「え?じゃねーよ、デパート行くって言ったら後でぇ~とか言ってたろーが」

 

「えー?言ったかぁ?んなの?いつ?いつ誘ったよ?」

 

「なんかオマエがニヤニヤしながらキショい顔して電話してるトキ」

 

「あ~…いや、言った?いやいや、言ってねぇだろ?」

 

「いや、言った」

 

大淀は記憶の糸をなんとか手繰り寄せてみるがイマイチ思い出せない、たしか足柄がナンかピーチクパーチク言ってた気がするが…

 

「そうだっけかぁ?まぁいいや、っーかキヨシは?」

 

「キヨシインフルで隔離中」

 

「アイツインフル罹るんだな、バカなのに」

 

「インフルと風邪は別モンなんじゃねーの?」

 

駆逐艦清霜、現在インフルエンザで闘病中、病気になるとみんな優しいし陛下がやべー美味いプリンくれるし、インフルエンザを満喫している

 

「まぁそんなワケで3人でデパート行ったワケよ」

 

「オマエデパート好きだよな」

 

「とりあえずアサシとカスミにゲームコーナーでテ●リスでもして来いよって千円づつ渡して、私はコスメ見に行ったワケよ」

 

「ナンか良いのあった?」

 

「あったあった、マジ肌年齢5歳は若返る!」

 

「マジ?」

 

「マジ」

 

足柄はデパートで購入した小綺麗な小袋を取り出してテーブルの上に置いた

 

「いいじゃん!ちょっと使わせろよ!」

 

「バァカ!お高価いんだゾ!テメーで買えバァカ!」

 

「いいじゃんかよォ、足柄ァ~…オレらマジダチじゃん?」

 

「土下座して靴舐めたら貸してやんよ」

 

「は?」

 

「は?」

 

足柄と大淀の間にメンチビームの火花が散り、お互いに一触即発になりかけたがなんとなくバカバカしくなってやめた

 

「で、コスメ買ってウキウキ気分でエスカレーター乗ってアサシとカスミ迎えに行ったらアイツら2人でゲーム機蹴って飴落として店員に怒られてんの」

 

「あー…アレな?なんかクルクル回ってるやつ」

 

「そう、それ、スウィートなんちゃら」

 

「で、バカ2人を回収して帰ろうかって思ったらアサシが屋上で節分?節分的なイベントがあるから超見てーって駄々こねんのな」

 

「節分ねぇ…アレか?豆撒いたりする」

 

「そう、それ」

 

足柄はテーブルの上に置いてあった抹茶キットカ●トをスタイリッシュにパキり口に放り込んだ

 

「で、屋上行ったらニチアサでも通用できるハイクオリティな鬼みたいなのが歩いてんのな」

 

「なんで鬼が歩いてんだよ」

 

「なんか鬼が子供を脅かして後からプレゼント配る系のイベントなんだよ、ほら、アレだよアレ、なま●げみてーな?」

 

「あー…な●はげな」

 

「で、その鬼がこっちに来たワケよ」

 

「あー…なんとなくオチが読めるわ」

 

大淀は抹茶キ●トカットをパキって口に放り込んだ

 

「まずカスミ、鬼の想像以上のクオリティにブルってんのな、もうメチャブル」

 

「あー…」

 

「で、アサシが来いコノヤロー!アタイが相手だーとか言ってキャオラとか叫びながら鬼にキック」

 

「アサシつえーな」

 

「アサシの無鉄砲さは私がまだ小さかった頃を思い出すわ、私も昔は羽黒の前に立って羽黒守護ったわ~」

 

「は?」

 

「は?じゃねーし」

 

今やその羽黒も妙高姉妹で一番、姉妹ギリギリぶっちぎりの危険なヤツと呼ばれ、あの妙高姉さんも一目置いている

 

「で、鬼はアサシのパンチキックでビクともしないのな」

 

「鬼すげーな」

 

「もうその時点でカスミの太ももから垂れまくり、私にピッタリついて離れないから私の服に染みまくり」

 

「最終的にはアサシが鬼の肩に乗って頭ポカポカ叩いてんのな」

 

「なんっーかアレだな、話だけ聞いて想像するとまるで肩車みてーに尊いものを感じるな」

 

「で、アサシも飽きたのか肩からおりてオッサンマジつえーなってガッチリ握手してんの」

 

「握手してくれんのかよ!?優しいな鬼!」

 

「まぁ…そんでさすがに私もいたたまれないから鬼の人にウチのバカがスイマセンって頭下げたら“鍛えてますから”ってこう…シュッって感じで挨拶されたのな」

 

「それ鬼だよな?それガチの鬼だよな!?」

 

「で、帰りにカスミにパンツ買って車ん中で着替えさせて帰ってる途中に鬼から貰った節分豆を2人でボリボリ食って車内に落としまくり」

 

「まぁ…なんだ?アレだな、ゴクローサンだな」

 

「もうゼッテーアイツらデパート連れて行かねー!大淀、今度はゼッテーオマエが連れてけよ!」

 

「え?普通にイヤだけど?」



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提督と鈴谷と表裏一体

ヒロ引力に魂を引かれた俗物の為の回

【登場人物】

鈴谷(32)
金と権力とカレーが好き、金さえあればカレーばっか食っている

提督(91)
カレーは最終的にはご家庭のカレーが普通に美味いなに行き着く

山風(6)
激甘


「ヒロインとは何か!?」

 

週末から新たな作戦が開始されるとの話を聞いたので執務室で真面目に仕事をしていると、重厚な扉を勢い良く開き、遊ぶ金が欲しそうなJKみたいなのがワケわからん事を叫びながらズカズカと入って来た

 

「お久しぶりです!鈴谷だよ!」

 

「ノックしたまえ、ノックを」

 

「鈴谷が遊びに来ましたよ!」

 

「近い、距離が近い、なんなんだテメーは」

 

なんだコイツ、今日はやたらとグイグイくるな、誘ってんのか?

 

「約二週間ぶりのご無沙汰ヒロイン鈴谷が遊びに来たんですけど!!」

 

「うるせぇよ!なんなんだテメーは、何がご無沙汰ヒロインだ」

 

そう言えばここ最近コイツのツラ見てなかった気がするな、まさかシリアスパート中ずっとスタンバっていたのだろうか?

 

「スタンバってましたけど!鈴谷の出番を今か今かと待ってましたけど!気合入れて新品のパンツ穿いてましたけど!」

 

「そ…そうか」

 

「いつ出番が来てもいいように熊野とブルペンで投げ込みしてましたけど!」

 

「それは御苦労だったな、まぁ無駄だったがその頑張りは評価しよう」

 

俺は机の引き出しから板チョコを取り出し鈴谷に渡してやった

 

「あざーっす!あと、鈴谷新しいゲーム買いたいんでお小遣いとか頂けると嬉し…」

 

「調子に乗るな、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーし」

 

鈴谷は板チョコの銀紙を剥がしてワイルドに板チョコをパキった

 

「そういやサミーは?」

 

「休みだ」

 

「ふ~ん」

 

アイツも最近忙しかったからな、たまには部屋でダラダラして飯食ってテレビ見てオ●ニーして寝たい日だってあるのだろう

 

「テイトク!カレー食いに行こーぜ!カレー!鈴谷カレーがめちゃ食べたい気分なんだけど!」

 

「カレーか……そうだな、そういや最近食ってねぇな」

 

「だっしょ?ね?カレー!カレー食べに行こ!鈴谷マジ今すぐカレーをかきこみたくてウズウズしてるじゃん!」

 

「なんでそこまでカレー食いてぇんだよ」

 

普段からシャブ入りカレーでも食っているのだろうか、コイツは…

 

「まぁいい、久々にカレーも悪くない、よし…行くか」

 

「よし行こう!すぐ行こう!鈴谷マジ美味い店知ってるし!」

 

「は?」

 

「は?………え?カレー食べに、行くんですよね?」

 

「行くけど?」

 

「あの…鈴谷もカレー食べたいかなって…」

 

ナニ言ってんだコイツ、イカレているのか?

 

「食べれば?」

 

「いや、食べますけど…え?提督、コレ、提督鈴谷に奢ってくれる流れとかじゃ…」

 

「ないけど?」

 

「ない……ッ!?」

 

「奢りませんが?」

 

「奢ってくださいッ!」

 

鈴谷はナイスガッツ体育会系部員のように気合を込めて頭を下げた

 

「鈴谷お金無いんです!でもカレーがめちゃ食べたいんですッ!もう食べたくて食べたくてたまんないですッ!」

 

「そうか」

 

「そうです!」

 

「お前のそのアツい熱意はたしかに伝わった!」

 

「じゃあ…」

 

「…調子に乗るな、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーし!!熱意伝わったんじゃねーの!?」

 

「伝わったよ、だがそれとこれとは別だ、俺はBitchには厳しい男でな」

 

「発音ッ!発音が流暢ッ!?」

 

俺はカレーを食いに行くべく席を立ち上がり、壁に掛けていた上着を手に取った

 

「ちょ!待てよ!」

 

「待たない、俺は腹減ってんだよ」

 

「勝負ッ!なんか勝負しよ!勝負!鈴谷が勝ったらカレーを奢るで!」

 

「じゃオマエが負けたら俺に奢れよ」

 

「う゛っ!?」

 

「言っておくが俺はメチャ腹減ってるからここぞとばかりに食うからな、大盛を」

 

「………パンツ脱ぐとかじゃダメですか?」

 

俺はゆっくり首を横に振り静かに言った

 

「駄目」

 

「そこをなんとかッ!!何卒ッ!何卒お願い致しますッ!あ、そーだ!足を舐める!足を舐めます!どーよ?」

 

コイツプライドとか無いのか…一体何がコイツをそこまで追い詰めているのだろう

 

「だいたい、お前が勝てば問題無いだろう?」

 

「…たしかに」

 

「じゃ、俺も暇じゃねぇしジャンケンでもすっか?」

 

「ジャンケンか……ちょっと待って、鈴谷ジャンケンはワリと得意だけど提督はどうなの?」

 

「まぁ…普通じゃね?勝ったり負けたり」

 

「………乗った、いいよ、ジャンケンで!」

 

「じゃいくぞ、最初…」

 

「ちょい待ち!」

 

「なんだよ?」

 

「最初はグーで?最初から!っとかナシで」

 

チッ…勘の良いヤツだ

 

「最初はグーで一回勝負な、コレでいいか?」

 

「あと、イカサマは無し!コレ大事じゃん」

 

「ジャンケンでどうやってイカサマすんだよ」

 

「あと、邪眼禁止」

 

「疑り深いヤツだな、もう邪眼かもよ?」

 

「今邪眼中なら鈴谷の勝ちだからね!いい?」

 

「わかったわかった、俺は腹減ってムシャクシャしてんだよ、いいからヤるぞ」

 

鈴谷は右手を引いて、ありったけを込める…コイツ、この勝負で終わってもいいと言うのか!?そこまでの“誓約”と“制約”を賭けるのか!

 

「最初は…」

 

「グー…」

 

「ジャンケン、ポン」パー

 

「ポン」グー

 

「はい俺の勝ちな」

 

「あ…?あ…?」ぐにゃあ~

 

コイツ………よわっ

 

「あ…あ…あああああああああ」ポロポロ

 

鈴谷は床に手を付き、その慟哭に執務室が震える

 

ゴン!ゴン!

 

「入ってます」

 

「…提督…あ、居た」

 

「何の用だ?」

 

お気に入りのキモい生命体を抱えた改白露型の小さなグリーンジャイアント山風

 

「…なにしてんの?なんで…そのおねえさん泣いてんの?」

 

「腹痛いんじゃねぇの?カレー食いに行くがお前も来るか?」

 

「…行く」

 

「ちょ!!ま!待て!ちょ!待てよオイ!オイコラァ!なんで鈴谷に奢らないでそいつはフツーに奢るの!?」

 

慟哭タイムから再起動した鈴谷がなんかよくわからん事にキレて俺の胸倉を掴む、っーか近い、顔が近い

 

「奢るとは一言も言ってないぞ」

 

「でも出すんでしょ?」

 

「そりゃオマエ、子供に払わせるのもなぁ~」

 

「ちょっとチビスケ!この鬼畜眼鏡に鈴谷にも奢ってやれって頼んでよ!このロリコンヤローに!」

 

「わかった、お前にだけは絶対に奢らん、そのまま飢えて死ね」

 

「じょ…冗談です、ヘヘ…冗談ですよテイトクぅ、あ、パンツ見ますか?鈴谷のパンツ」

 

「…おねえさん、カレー食べたいの?」

 

「そうですが?」

 

「…提督、おねえさんも食べたい、って」

 

「そうらしいな、まぁいい、3人で食いに行くか」

 

「激甘かッ!?」

 

「なんか言ったか?」ギロッ

 

「…いえ、何にも言ってないです、はい」



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提督と白露と真実の奥の更なる真実

白露お姉さんが白露お姉さんの回

【登場人物】

提督(92)
文庫本からエロ本まで、本はわりと読む

白露(7)
久々に帰ってきた白露型の長女、妄想力たくましい思春期ガール



母なる海を守るため、立ち上がった選ばれし希望の戦士、青い海を取り返す、戦いの刻は今だ!ウォーウォー!誇り高きレボリューション、ウォーウォー!気高きエボリューション、深海(深海!)深海(深海!)深海合神シンカイザー…

 

「…ヤッベ、シンカイザー始マッテルジャン」

 

「前回ガスゴイ気ニナル引キデシタカラネ、モウ今週待チ遠シクテオレ全裸待機シテタッスヨ!」

 

深海秘密基地ローカル番組、深海合神シンカイザー…その視聴率は平均65%、第13話の夜明けの超合神!誕生!グランドシンカイザーの回は最高記録92%を叩き出している深海の人気番組で、小さなお子様がゼロなんかいらねーよ!シンカイザーシンカイザーと玩具売り場で駄々こねて爆乳のお姉ちゃんを困らせるそうです、はい

 

「皆さん、お茶を淹れましたけどー…集ちゃんさんはココアですよね」

 

「アザース!」

 

「悪イネー、ハルサメチャン」

 

「気ガ利クナァオイ、ハルサメチャン、オバチャントケッコンスッカ?ギャハハハハ」

 

「あははは…」

 

◆◆◆

 

「ナイッシュー!ハルサメェ!」

 

「速攻行くぞォ!!」

 

いつの間にか開幕していたらしい駆逐艦バスケ冬の祭典、ウィンターカップ、雪がチラつくこのクソ寒い中よくやるものだ…

 

「うぉー!ハルサメ止まんねー!」

 

「まるでキセキの世代5人を同時に相手してるみたいだぜ…ッ!」

 

「あのヤロウ、夏に比べたらまるで別人だ」

 

別人なんだけどな、チームメイトも相手チームも応援してるバカどもも誰もツッコまないだけで、そいつは春雨じゃないんだけどな

 

「まさかこれほど力を付けているとはね…」

 

そして俺の隣に座るイイ女筆頭、陸奥もその驚異的なプレイスタイルに冷や汗を流していた

 

「これは対策を練り直す必要があるわ」

 

「陸奥さん、ちょっと陸奥さん」

 

「なに?」

 

「陸奥さんにはあの白髪が春雨に見えるのかね?」

 

「見えるけど…?」

 

陸奥は何言ってんだコイツ?イカレているのかと言いたげな顔をしている

 

「そうか…」

 

「まぁ、以前に比べたらまるで別人のようなキレね、元々素質が高かっただけに急激な成長を遂げていても不思議じゃないわ」

 

なんか良い事言っている気がするが陸奥、別人なんだよそいつ

しかし、誰かがツッコんでくれると思ってとりあえず放置してみたが今の今までスルー状態、最近は五月雨ももうアレが春雨で良いんじゃないですかと言い出す始末だ、俺はどうしたものかと考え、とりあえず煙草を吸うべく体育館の外へ向かった

 

「やべーよやべーよ」

 

体育館の出入り口に隠れ、なんかブツブツ言いながら白露姉妹の長女、白露がコート上で行われてる試合を覗いていた

 

「よぉ、ナニやってんだオマエ?」

 

「ヒッ…て、提督ッ!?」

 

「何がヒッだ、レ●プされてーのか?」

 

「て…提督、あ……あのさ、ちょっといいかな?」

 

「なんだよ?小遣いならやらねーぞ」

 

「いいからッ!ちょっと来て!」

 

白露は俺の上着を掴んでグイグイと引っ張り、体育館の外へ連れ出した

 

「あ…あのさ、提督が気付いてるかどうか知らない……いや、もしかしたら私が一番先に気付いてるのかもしれないけど…」

 

「なんだよ?村雨の乳がムラムラする事か?」

 

「違うし!っーか村雨をそんな目で見てるの!?」

 

「見てねーけど、目にはつくな」

 

「ま…まぁ村雨のおっぱいとか今はどうでもいいや、そんなコトより……提督、今から話す私の話を信じてね!」

 

妙に必死さの漂う白露の表情、これは決意と覚悟を決めた者の目だ

 

「なんだよ?もしかしてアレか………孕んだのか?」

 

「は?違うし!?」

 

「冗談だ、で?何だ?」

 

「……実は、春雨のコトなんだけど」

 

「な!?」

 

こ…コイツ、とうとうツッコんでくれるヤツが現れたのか!?

 

「最近さ、春雨の様子が変だなって思って色々調べてみたんだ、私」

 

白露曰わく、何故か春雨の靴がサイズが二種類に増えていたり、なにやら漢字の練習していたり、嫌いだった筈のしいたけを食べていたりと何か変だなって思う事が続いており、この間も、あの恥ずかしがり屋さんが一緒にお風呂いいかなぁ~?とぬらりとやって来て入浴したそうだ

 

「私は一番疑っている、私の“妹”は“妹”じゃあない!別の誰かだって!」

 

ドドドドドドド!!

 

「し…白露ッ」

 

ようやく…ようやくツッコんでくれるヤツが現れたのか!白露姉妹の頂点に立つ長女白露が遂に真実へ到達したのだッ!

っーか靴のサイズとかしいたけ食えるの前に、見た目で気付けよ!

 

「最初は時雨様に相談してみたんだけどさ…」

 

『それで?より強い者なら大いに結構じゃないか?僕は僕に逆らわない者ならそれでも構わない』

 

「って…」

 

長女からも様付けされるんだな、時雨様

 

「白露よ」

 

「なに?」

 

「俺はお前が一番先に気付いてくれると信じていたよ、お前がナンバーワンだ」

 

俺は白露の両手をアツく握り抱き締め過ぎだぜと注意されかねないほどアツく抱き締めた

 

「ぐえっ!?いだ!痛い痛い痛い痛い!」

 

「ソーリー、ついカッとなってやってしまったよ」

 

「提督は、信じてくれるの?」

 

信じるもなにも俺はツッコミ待ちだったからな

 

「当たり前だぜ、よく今まで一人で孤独な戦いをしてきたな!」

 

「ぅぅ…提督ぅ~」

 

「……だが、知られてしまった以上、君を“始末”する必要がある」ニマァ…

 

「!?」

 

「フッフッフ…」

 

「ど…どーゆーコト!?ま…まさか提督!提督は既に深海の手の者でこの基地ではもう全艦娘深海棲艦化計画が始まって…」ガタガタ

 

「冗談だ、っーか妄想力すげーなオマエ」

 

全艦娘深海棲艦化計画とかスラスラ噛まずに言えるのは天龍と木曾ぐらいだろうと思っていたが、コイツなかなか才能あるな

 

「もーっ!!心臓に悪い冗談はやめてよ!」

 

「ハッハッハ、悪い悪い」

 

「で?どうすんの?あの偽春雨二人でやっつけるの?」

 

「そうしたいのはヤマヤマだが、白露よ…あれが偽者だとすれば本物はどうしたと思う?」

 

「本物…?ハッ!?ま…まさかもう本物は深海棲艦に…なんかアレな成分を分泌する液を出す触手で未成熟な身体も頭も改造されてアヘ顔晒して苗床にされてボテ腹からの出産をもう数えきれないぐらい繰り返して…ッ!ゴメン春雨ッ!お姉ちゃんが間に合わなかったばっかりにッ!」

 

「だから妄想力すげーなオマエ!?なんなの!?エロ本読み過ぎだろォ!?」

 

◆◆◆

 

深海秘密基地…

 

「深海麻婆春雨ですっ、はい」

 

「ヒュー!待ッテマシタ!」

 

「ヨダレガ止マラネーゼ!」

 

「コラ集チャン、ゴ飯デキタカラゲームヤメナサイ!」

 

「チッ…ウッセーナ、ババア」

 

「誰ガ空母オバサンダコラァ!!オモテ出ロテメー、タイマンダヨ!」

 

ゲーム大好き集積地さんと赤城さんと加賀さんの悪いところだけ混ぜ合わせた空母の空母棲姫さんがメンチ切り合って立ち上がる

 

「ヤメネェカテメーラァ!!」

 

「チュ…中枢クン!」

 

「ヘ…ヘヘ、冗談、ジョーダンダゼ中枢クン、オレラマジフレンドダカラヨォ~」

 

見た目は超怖いけど深海魚には優しい一面のある中枢棲姫さんの一喝で二人は大人しく自分の席に座った

 

「全員席ニツケ、ヨシ…………イタダキマス」

 

『『イタダキマース』』

 

「ヒョー!ウンメー!」

 

「コノ辛サガヤミツキニナルゼーッ!」

 

「タ級クン、深海醤油取ッテー」

 

「マッタク!ハルサメチャンノ深海麻婆春雨ハ最高ダゼ!」

 

「深海美食屋ノオレトコンビ組モウゼ!」

 

「あははは…考えておきます」

 

拝啓、白露型駆逐艦、五番艦の春雨です

ここでの生活もだいぶ慣れてきました、はい…




【おまけ】

深海合神シンカイザー
バリッバリのスーパー系、深海レッグなんたらと深海チェストなんたらと深海コアなんたらの三機が合体して完成するスーパーロボット
第12話にてダイコンゴウに破れて爆散したが13話にて奇跡の深海エナジーで復活、超深海合神グランドシンカイザーの超必殺マグナムシンカイソードにてダイコンゴウを撃破した


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続 提督と作戦とミーティング

作戦開始前ですって!

【登場人物】

提督(93)
えー、が多い、事前にカンペを熟読しない派


「えー…皆さん、寒い日が続いておりますが、今日、私は皆さんの元気な顔が見れてなによりです、えー…今日とか明日とかそんな感じで冬の作戦海域が始まりますが、皆さんが日々積み重ねてきた練習の成果を、えー…出し切る、えー…出し切って!作戦終了後に、また、皆さんの元気な顔が見れる事を信じております」

 

糞寒い日の続く冬の体育館、俺は壇上から所属する全員に向けての激励と共に挨拶を終わる

 

「はい、提督のお話でした………続きまして、雪の彫刻大賞の表彰を行いますので、名前を呼ばれた方は元気良く挨拶して下さい」

 

マイクを握る姿もエレガント、絶妙な声量で喋る声もエレガンス、今日も眼鏡が素敵なエレガンテ、熱血ティーチャー、香取先生…

 

「銅賞、夕雲型駆逐艦、代表、清霜」

 

「ハイ元気です!」

 

インフルエンザから無事回復したアホガキ、清霜は元気良く立ち上がり壇上へと向かう、その堂々たる姿は夕雲姉さんが“写ル●です”で激写してしまう程の堂々たる姿だ、おそらく何度となく壇上へ上がる練習をしたのだろう

 

「えー…表彰状!夕雲型駆逐艦殿、貴艦らは雪の彫刻大会にて優秀な成績を収められたので、えー…ここに表彰します!」

 

俺はカンペを読みながら清霜に賞状を渡してやった

 

「キヨシー!カッコイイぞー!」

 

「キヨシマジカッケー!」

 

「清霜があんな立派に…」

 

「夕雲姉さん!ほら拍手!拍手してやんないと!」

 

温かい拍手に包まれ、清霜はヘコヘコと頭を下げながら壇上をスキップしながら降りてゆく、きっと今日は夕雲型でお祝いでもするのだろう

 

「続きまして銀賞、メイジン・カワウ……」

 

◆◆◆

 

「お疲れ様です、珈琲を淹れましたので、良ければ…」

 

「やや!これはありがとうございます」

 

全艦集会も終わり、執務室に戻った俺は自分の執務机で作戦について書かれた書類を手にしていると、全ての所作が優雅、香取先生が珈琲を机の上に置いてくれた

 

「五月雨さんもどうぞ」

 

「…はぁ、ありがとうございます、頂きます」

 

物凄く面白くなさそうなツラした五月雨は香取先生の珈琲を啜る

 

「上品であり味わい深い濃厚なコク…実に香取先生らしい味ですなぁ」

 

「あらあら、お上手で…」

 

「チッ…」

 

なんか五月雨の野郎が露骨に舌打ちした気がするが、まぁいつもの事なのでは気にしていけない

 

「とりあえず資材も練度もそれなりに整ったが…」

 

なんか事前に彩雲用意しとけって事らしいので誰が倉庫に返さず借りパクしてるのか確認しとかねぇとな

 

「まずは情報か、オイ五月雨、作戦の名前なんて言ったか?」

 

「光作戦と聞いてますが?」

 

「…インターネット開設キャンペーンみてーな名前だな」

 

「とりあえず軍の偉い人に謝っといた方がいいですよ」

 

たしかに、本部から届いたFAXには光作戦と書いてあるな、俺は机から画鋲を取り出し“オイ!高波”と書かれた手配書の横に本部から送られて来た書類を貼り付けた

 

◆◆◆

 

「長期休暇ーッ!」

 

「ヘイ!168!ヘイ!」

 

「ウェーイ!ヘイ!ヘイ!」

 

サムソナ●トのトランクに、ありったけの希望とオシャレな服を詰め込んで、実力派エリート集団である潜水艦のバカどもがハイタッチしながら楽しい旅行の準備をしていた

 

「あ、テイトクだ!」

 

「ろーちゃん達、湯●院行くんですって!バスで!」

 

「ふ~ん」

 

今回は国内か、前回は作戦開始と共に潜水艦が有効とかなんとかでやや焦ったが、まぁ今回はそんな事はないだろう

 

「オマエらぁ、必要になったら即呼び戻すからな、それだけはアタマに入れとけよ」

 

「ウェーイ!」

 

「ウェーイ!」



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光作戦準備①

通常回もつかの間にイベント編

【登場人物】

提督(94)
鬼畜な台詞はエロ本とエロゲーで覚えた社会派提督

潜水艦
実力派エリート集団
相変わらず大雑把にひとまとめ


「潜水艦か」

 

「潜水艦ですね」

 

作戦期間中は喫煙解禁の執務室、手にした書類を机に置いて煙草に火を点け、吸い込んだ煙を鼻から噴出する…

 

「あのバカどもは?」

 

「湯●院バスツアーに行きましたけど」

 

「五月雨、電話」

 

…知ってたよ、昨日の昨日、アイツらワクワクしながら温泉の旅の準備してたよ、すげーキラキラした笑顔で湯●院ガイド見ながらキャッキャ言ってハシャいでたよ

 

ただな、そりゃ夢なんだよ、ハハ…なんか良い夢見させて貰っちまったよってぐれー夢なんだよ…

前回はなんやかんやでダブルドラゴン先輩に任せてラス●ガスツアーを満喫させてやったが今回は呼び戻し確実ぅ!だよ

 

「どうぞ」

 

「うむ」

 

俺は五月雨から受け取った受話器を手に、168のスマホみたいなヤツに発信した

 

『おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか電源が入ってないためかかりません』

 

「…」

 

きっと電波が悪いんだろう、うん

 

『おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか電源が入ってないためかかりません』

 

「…」

 

「コーヒー淹れましょうか?」

 

「いらん」

 

あの野郎ォ…電源切ってやがるな、クソが!まぁいい、この俺から逃げられるとでも思っているのか?

 

「五月雨、川内を呼べ」

 

「はぁ?川内さん、ですか?」

 

「そうだ」

 

◆◆◆

 

湯●院行きバス車内…

泳ぐのと潜るのが得意な実力派エリート集団達はキャッキャとハシャいでた…

 

「カーッ!美味めぇ!悪魔的なのねッ!」

 

「19さん!26まだまだいっぱい用意してきましたよ!」

 

バスの後部座席を陣取り、事前に用意してきたお菓子や飲み物でハシャぐ迷惑な客、潜水艦達のテンションは既に最高に達していた

 

「明日はアフリカンサファリ見にいこーぜ!なぁ、ろーよ!」

 

「ろーちゃんオーロックス見たいって!」

 

湯●院から少々離れた場所に存在するキュウシュウ自然動物公園アフリカンサファリ、ふれあいジャングルバスツアーで園内を周り、間近でけもの達と触れ合えるんだって!すごーい!

 

「ユーは……ゼブラが見たい」

 

「おうおう、キッズどもはハシャいでるでちなぁ、なぁ?8ちゃんさん、コイツらにビッと言ってやってくだせーよ」

 

「ぅぅ……気持ち悪い」

 

「やべぇ!!8ちゃんさんがバスに酔ってるぅぅぅ!!」

 

「車内で魍魎●匣なんて読んでるからだァァァァァ!!ビニール袋ォ!誰かビニール袋をーッ!」

 

「チクショウ!ビニール袋がねぇよ!!」

 

「仕方ない、26、パーカー脱げ」

 

「え?」

 

「オマエのパーカーのポッケに出すしかねぇ!時間がねぇ!早く脱げ!」

 

「え?え?いや…やだやだぁ!!」

 

「脱ーげ!脱ーげ!」

 

「脱ーげ!脱ーげ!」

 

車内から沸き起こる脱げ脱げコール、それは、仲間である潜水艦のフレンズ達だけではない、同じく湯●院行きバスに乗る熱き魂を持つ屈強な男達にも火を点け、今や誰もが26に期待の眼差しを向けていた

 

「ぅぅ…」

 

「やべェ!!8ちゃんさんはもう限界だッ!」

 

「脱ぐしかねぇよ!」

 

「チクショウ…チクショウ!!わかったよ!脱げばいいんだろォ!脱げばァァァァァ!」

 

26がパーカーに手をかけたその時…ッ

 

◆◆◆

 

「おかえり」

 

「…は?」

 

何故かいきなりパーカーを脱ぎ捨てた26、如何なる状況であったのかは問うまい…

 

「…え?なんで提督いるの?え?」

 

「なんで…168達はバスの中に居たハズ!?」

 

「う゛ぇぇぇ!?なんで?なんでぇ?」

 

突然の状況に混乱する潜水艦のバカども…

まぁ無理もないだろう、本来なら楽しい温泉旅行で今はバスの中だったのだから…

 

「仕事だ、出撃ろ」

 

「は…?は…?」

 

「仕事だ」

 

「ちょ!待てよ!ヘイおっさん!コイツぁ一体全体どーゆーコトだ!?」

 

「おっさんじゃない、提督だ」

 

とりあえず58が胸倉掴んできたので俺は優しく質問に答える事にした

 

「潜水艦が必要になったので貴様らを呼び戻した、川内の“口寄せの術”でな!」

 

忍なら敵味方問わず憧れるニンジャマスター……ではなく、スーパーニンジャ川内、その忍術は千は下らないと言われている大したヤツだ

 

「く…口寄せッ!?」

 

「ば…バカな、19達はいつの間にかマーキングを!?」

 

「こんなコトもあろうかと、貴様らには呪印をつけていたのだよクズどもめ」

 

俺は眼鏡をクイッと上げ、財布から出した紙幣を川内に渡すと川内はドロリと消えてしまった、どうやら影分身だったらしい…大したヤツだ

 

「この俺から逃げられると思ったかクズどもが」

 

「クッ!」

 

「ゼブラ…見たかった」

 

せっかくの楽しい温泉旅行に水を差したのは心の底でちょっぴり悪いとは感じたが、まぁ仕方がない

 

「所詮貴様ら肉●器どもはこの俺から逃げられん運命よ!ガハハハハハ!さぁて…お前らにはお前らに相応しい格好をして仕事をして貰わんとなぁ~」

 

「ヒッ…き、鬼畜ッ!」

 

「なんてヤツ…アンタなんか人間じゃない、人間じゃないわ!」

 

「チクショウ!チクショウ!」

 

「さぁ立てクズどもが、いつまでもメソメソしてるんじゃあない」

 

俺はさっきからうずくまっている8ちゃんさんの肩を掴み、そのかわいい顔を上げさせた

 

「ヴッ!!で…出るっ!!オヴェェェェェェ!!!」オロロロ

 

「ギャアアアアアアア!!!この野郎ォ!俺に!この俺にゲロをォォォォォ!!」




次回は②

深海に響く、モーツァルト交響曲は死のフラグ


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光作戦準備②

八百長疑惑すら感じるズルズルのその②

【登場人物】

五十鈴(4)
ウズウズしている

潜水棲姫(2)
通称サンドバッグ、ボコられるのが主な仕事



「みんな魚雷は持ったな!行くぞォ!」

 

第一作戦海域、もはや常識と化した輸送作戦、栄えある開幕スタメンを飾るのは伊168号潜水艦率いる実力派エリート集団…

 

「ヘイヘイ!空母カカシよォー!」

 

「シマってこーぜ!サァー!」

 

全員が即一軍戦力として登録可、弱者など何処にも居ない、メンバー全てが強打の可能性を持ち、常に最高のチームワークを発揮し、チームに勝利をもたらしている

 

‐‐‐

 

「フーッ~…」

 

「順調ですね」

 

さすがに完封勝利とはいかないが、ここまでに撤退無し、許したバケツは1のみ、これを順調と言わずして何を順調と言うだろうか…

 

「こりゃボーナスは弾まねぇとなぁ」

 

「そうですね」

 

ゴン!ゴン!

 

執務室の重厚な扉を叩き、胸が立派な軽巡がズカズカと胸を揺らしながら入室して来た

 

「提督ッ!何故私を出さない!?相手はあのクサレサンドバッグが出てるんだろォ!?何故この五十鈴を出さねぇんだコラァ!?」

 

人類最強の潜水艦狩りの達人、五十鈴さん

その、悪魔的対潜力は他の追従を許しはしない潜水艦殺しの鬼札、五十鈴さんの姿を見ただけで潜水艦なら敵味方問わず漏らし、大抵の潜水艦はその場で命を諦める

 

「まぁ落ち着きたまえ五十鈴クン、サミダルくん、彼女にアツいコーヒーでも淹れてあげなさい」

 

「五月雨です、コーヒーですね!」

 

「あ、コーヒーはいいわ、オレンジジュースある?」

 

五十鈴さんの当たり障りの無いお断りとリクエスト、五月雨は少し残念そうに、冷蔵庫からバヤ●ースを取り出してグラスに注ぎ、五十鈴さんに手渡した

 

「ありがと………ブフーッ!美味いッ!」

 

「それでだ、五十鈴クンよ、ナニもキミを出さないと言ってるワケではないんだよキミぃ」

 

「じゃ早く出してよ、こっちはもうヤリたくてヤリたくてウズウズしてんのよ…ウズウズが止まんねぇのよ」

 

「今回、五十鈴クンの出番はまだ後半になるから、そのつもりで肩を作っていたまえ」

 

「…ふ~ん、わかった」

 

とりあえず納得してくれたらしい

 

「私はいつでも投げられるからいつでも声かけてね」

 

五十鈴さんは長い髪とおっぱいを揺らし、笑顔で去って行った

 

「フーッ~…五月雨、電話、168に繋げ」

 

「168さんですか…」

 

◆◆◆

 

『今回ハアイツ来ナイナ…』

 

『来ナイッスネ』

 

第一作戦海域、先遣侵入潜水艦隊、見た目だけは超強そうと噂される姫級潜水艦、潜水棲姫

潜水棲姫は同僚のカ級と深海ビスケットを食べながら今回は楽な任務だぜと浮かれていた…

どうやら軍のヤツら、今回は潜水艦を投入してきてるらしく、先程からこっちにやって来ては軽くアイサツして去って行くのズルズルの関係で済ませていた

 

『潜水姫クン、アイツラマタコッチ来タッスヨ』

 

『イインジャナイ?ホットイテ』

 

潜水艦VS潜水艦は現在のところ暗黙のルールで禁止されているらしく、放置しておいて問題無いだろう

 

「おーい!おーい!」

 

『…?潜水姫クン、アイツラ手ェ振ッテルケド』

 

『ナンカ用事カナ…』

 

近付いてきたファンキーな頭、スマホみたいなモンを手にした潜水艦、伊168

 

『ナンカ用?』

 

『深海ビスケット食ベルッスカ?』

 

「さ…さっき、ウチのBOSSから電話あってさぁ」ガタガタ

 

『BOSS…?ア~…アノオッサン』

 

「後で五十鈴さんが前回のお礼を兼ねて挨拶に行くって、401と511用意して待ってろって…」ガタガタ

 

『ヒッ!!ヒイイィィ!!』ジョードボドボ

 

『ヤベェヨ!潜水姫クンヤベェヨ!』

 

「まぁ…その、なんだ?ガンバレよ」

 

『ナントカナンナイッスカ!?ア、深海ビスケットアゲルンデ!ホラ!コレデナントカ!』

 

「無理じゃね?まぁ…後半戦で手間取ったら来ないかもしれない事を期待するしか…」




次回Vについて


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提督と磯風とチョコレートの日

本日二本立て
季節感は積極的に取り入れて雑に吐き出します、はい

【登場人物】

磯風(4)
年始以来の登場、フーフーする事に凝っている難しい年頃

熊野(15)
庶民派エセガント航巡
ボリボリ食べる

鈴谷(33)
サルモ●ラ菌



「この磯風、早速だがチョコレートなる菓子を作ってみた、是非食べてくれ」

 

明石の店で缶コーヒーとあんまんを買い、喫煙所で煙草を吸っているとニコニコと笑いながら黒髪の死神が44マグナムをハンマーコックしながら歩いて来た

 

「もし食べ難いと言うなら、この磯風、フーフーしてやる事もやぶさかではないぞ」

 

「そのチョコレートはフーフーしながらでないと食せない温度なのか…」

 

生まれついてのグルメ犯罪艦磯風、その前科はグルメ刑務所の脱獄を含め千を超える生粋のグルメ犯罪者、グルメに関しては己の“美学”のようなものを持っているらしく、その基本理念は“見た目は普通”にあるとの事だ

 

「今回はジューシィでありながら後味を残さない濃厚な甘さを追求してみたぞ!」

 

「ラットで試したか?」

 

「モチロンだ!あまりの美味さに、文字通り、ほっぺたが落ちてしまったよ」

 

「そうか…」

 

ほっぺたが落ちるのか、コレは…

 

「さぁ!おあがりよ!」ドヤァ!

 

ほっぺたが落ちてしまう危険物を何故これだけ誇らしげに人に勧める事が出来るのだろうか…

 

「悪いが俺は腹一杯でな、海にでも捨て……いや、海は良くないな、なら山にでも埋めて来てくれないか?」

 

「フッ、提督よ、そこは後で食べるよと言ってポッケに仕舞うところではないのか?」

 

「俺がイケメンで、お前のそれが毒劇物でないならそうしたかもな」

 

「だがこの磯風!出来ればこの場で包みを開封し、目の前で食してくれる事を期待している!」

 

「あー…ムリムリ、それはムリ」

 

「なんと!?」

 

それは心までイケメンじゃないとムリだわ、悪いが俺はそんなお人好しではない

 

「クッ!」

 

「クッ!じゃねーよ、まず人体にどれほどの影響を与えるのか、谷風クンに食わせろよ」

 

「フッ、谷風は浦風と朝からデパートに出かけていてな、朝起きたらチンして食べなさいと書かれた紙と500円が置いてあったよ」

 

「容赦ねぇな」

 

あの最高に粋でイナセな谷風クンにここまでさせるとは…

 

「かく言う私も、昼から高価なチョコレートを買いに浜風と行く予定だがな!」

 

「………ちょっと待て、その話を詳しく聞かせてくれ」

 

浜風ちゃんが?チョコレートを…?高価なチョコレート、高価……安価ではなく高価、安価ならばバラまきバンバンヴァレンタインの可能性があるが、高価となれば話が違う、バラまきバンバンヴァレンタインではないッ!つまりは本命ッ!圧倒的本命!意中の相手への必殺!となれば、それはつまりアレだ………俺だな、俺に違いないッ!圧倒的確信ッ!

浜風ちゃんがチョコレートを渡す→俺、受け取る→好き!抱いて!→HAPPY END…

 

完璧だ、完璧な流れじゃあないか…なぁオイ!

 

「なぁオイ!!」

 

「何がだ?」

 

「ありがとう磯風クン、生きる希望が湧いて来たよ…」

 

「うむ…よくわからんが、この磯風、何かの役に立ったのなら何よりだ」

 

「さぁ行きたまえ磯風クン!デパートへ!そうだ………コレ、とっておきたまえ!デパート行ってみんなで美味しいもの食べなさい!」

 

俺は財布から数枚の紙幣を取り出して磯風の手に握らせてやった

 

「う…うむ、何かよくわからんが、受け取っておこう」

 

‐‐‐

 

「あ、提督じゃん」

 

「相変わらずモクモクしてますわね」

 

新たな煙草に火を点け、これから起こるであろう美しい展開に胸躍らせていると、今回も特に仕事の無いクサレ航巡姉妹、鈴谷と熊野が何か食いながら歩いていた

 

「よぉ、クズども」

 

「誰がクズよ」

 

「クズはアナタですわ」

 

「フッ、普段ならその不遜な発言、鈴谷にケツバットしてやるところだが今日の俺は機嫌がいい、見逃しやるから消えろ」

 

「意味わかんねーし、っーかなんで鈴谷だけ!?熊野には!?」

 

「私のケツバットは鈴谷のケツバット、鈴谷のケツバットは鈴谷のケツバットですわ」

 

「もっと意味わかんねーし!」

 

「そうそう…提督、手をお出しなさい」

 

「手?」

 

熊野は手に持っていた袋からウサギの糞みたいな粒を俺の手にバラ撒いた

 

「なんだコレ?」

 

「麦チョコですわ、美味しいですわよ」

 

「ふむ…麦チョコか」

 

「今日はヴァレンタインですし、提督にもお裾分けしてあげますわ」

 

正直、1ミリも嬉しくないのだが…

 

「あ、鈴谷もあげよっか?鈴谷食べかけの板チョコだよ?」

 

「いや、いい」

 

「なんでェ!?」

 

「えー…だって、お前の食いかけとかサル●ネラ菌が付いてそうじゃん」

 

「ハァ!?付いてねーし!?鈴谷をなんだと思っての!?」

 

「ビッチ」

 

「ビッチですわ」

 

「ビッチじゃねーって言ってんだろ!っーか熊野ォ!!」

 

 

ちなみに、日付が変わる夜まで執務室でワクワクしながら待っていたが、泥酔状態のアルコール依存艦しか来なかった…

 

後日、浦風から浜風ちゃんから貰ったチョコレートすげー美味かったと聞いて腹にパンチした後にとりあえず胸を揉んでいたら谷風クンに膝蹴りを喰らい、ほろ苦い思い出となった




次回は小笠原諸島哨戒線強化!


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小笠原諸島哨戒線強化①

イベント海域その②
悪魔のエギゾーストがスピードの向こう側へ誘う回

【登場人物】

山城(5)
姉様以外は全てゴミ

神風(3)
神風型の長女、実は今回がデビュー戦


「また輸送か、しかも連合艦隊」

 

「連合艦隊ですね」

 

机に並べた書類には資源輸送と連合艦隊編成、あと出来れば高速艦の起用を推奨する情報が書かれている、五月雨のアホンダラと共に、縦なり横なりから色々と海域を攻める為に関係各所から情報を都合して頂いた結果がここに在る

 

「灰皿」

 

「はい」

 

「フーッ~……アレ、使ってみるか?」

 

「アレ?」

 

「なんか前にお知らせ来てたろ?タービンと強化缶であら不思議、鈍足なノロマがみるみる一等賞になるとか、なんか胡散臭い広告が」

 

「あ~…ありましたね、そんな感じのが」

 

一応、軍の公式な書類だった気がするが、どう見ても胡散臭いので今まで試した事もなかったが、仮に、本当に低速艦が高速艦にモデルチェンジ出来るのならそれは素晴らしい事だろう

 

「フーッ~…とりあえず実験体が必要だな、山城を呼べ、山城」

 

「山城さんですか?あの人、そんな胡散臭い実験に付き合ってくれますかね?」

 

「大丈夫だ、嫌なら姉様の白く美しく肢体を実験体にするって言えば喜んでその身を差し出すだろ」

 

「もう発言が鬼畜以外の何物でもないですね」

 

◆◆◆

 

第二作戦海域、小笠原諸島哨戒線…

 

栄えある連合艦隊旗艦に就いた山城は思わず鼻歌を歌ってしまいそうになるぐらいゴキゲンだった…

 

提督から胡散臭い実験の話を聞いた時は殴り合いになったが、姉様が“まさか山城が高速艦になれるなんて…山城は本当に自慢の妹ね”と言ってくれたのでついテンション上がって承諾してしまい、胡散臭い実験に付き合ったがどうやら実験は成功らしく、高回転でゴキゲンなサウンドを奏でる艤装のエギゾーストは山城をスピードの世界へと導いてくれていた

 

「良い感じですね!山城サン!」

 

山城に声をかけるドラム缶を背負った幕末の人斬りみたいなチビスケ、神風型一番艦、神風

 

「コイツはかなりゴキゲンね、ところでアナタ………誰?敵?」

 

「神風です!神風!味方ですよっ!」

 

「そう、私、姉様以外はだいたいゴミにしか見えないのよ」

 

山城率いる第一艦隊と鬼怒率いる第二艦隊、今のところ輸送任務は順調、頭にデカい口のついた空母がやや鬱陶しいと感じるが、まぁ順調と言っていい感じだ

 

「さっさと終わらせて姉様にご報告しないと…」

 

「報告って……提督にじゃないんですか?」

 

「どうせカメラかなんかで見てるんでしょ?必要ないわ………で?アナタ、誰?敵?」

 

「神風ですって!味方!味方ですから!」

 

「山城サン!なんかさっきから潮の流れ変わってねーっすか?」

 

「あ゛?」

 

山城に進言する大発を牽いたチビスケ、睦月型の3Pシューター、皐月は何やらさっきとは潮流が変わっている事に気付いた

 

「そうかしら?ってかアナタ誰?敵?」

 

「皐月です!」

 

「皆々様、どうやら今までのコースを逸れているみたいですよ?」

 

雅な唐傘を差し、先日購入した洋菓子っぽいものを口に入れる神風型の三番艦春風は怪訝な表情を浮かべていた

 

『ヨウコソー!ココヘー!』

 

『遊ボーゼ!パラダイース!!』

 

「待ち伏せっ!?」

 

潮流の先に待ち構えていたのは下を穿かないパンツ見せ健康法を実践する深海スタイリッシュパンモロリスト、戦艦タ級率いる一団…

 

『ヨォ~…“ココ”デ“”遊ンデ”行ケヨォ~』

 

「上等ォ…ブチ殺してそのパンツ剥いでキン●バスターして写メ撮ってSNSで拡散してやんよォ…」

 

◆◆◆

 

「…ただいま」

 

「よくそのツラ俺の前に出せたなクソが」

 

まさか潮流が変わるとは思っていなかったが、それにしてもなかなかの強敵らしいな、あのタ級

 

「次、大破して帰ったら晴嵐取り上げるからな」

 

「…チッ」

 

「チッ、じゃねーよ、反省しろよ、反省」

 

コイツ、姉様以外にはマジで反抗的だな、姉様以外には反抗期かよ

 

「…高速艦実験は成功したし、日向のヤツを姉様に替えてよ、やる気が出ないわ」

 

「ダメだ、この先、もしかしたら姉様が必要になる場面があるかもしれん、日向と行け、あと、仲良くしろ」

 

「チッ…」

 

「だから!露骨に舌打ちすんな」




次回は②!

戦艦タ級の脅威!
ゴールデンドラゴンフライが火を噴く!


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小笠原諸島哨戒線強化②

キングギ●ラではなく、三つ首のドラゴンの回

【登場人物】

空母棲姫
穿かない事に美学を感じる変態

二航戦パイセン
生まれついての邪悪

雲龍(3)
仙人みたいな長女、それいらないの?なら頂戴と言って貰った

天城(3)
脱衣系次女、生チョコレートが好き


順調かと思われていた小笠原諸島哨戒線強化、しかしッ!作戦完了への大手をかけてからが大破ッ!圧倒的大破ッ!命からがらの撤退ッ!敗走ッ!

強打を誇る打線はバクハツせず、焦ったところに守備の甘さが際立つ体たらくッ!噛み合わないッ!圧倒的にチームが噛み合わない…ッ!

 

「コイツだ!コイツが雷巡の雷撃なんぞ喰らってるから!」

 

「あのぐらい避けろよタコ!一発大破とかねーわ!」

 

「んだとコラァ!そーゆーテメーらだってバカみてーに艦載機に当たりやがって!カカシか?あ?カカシかなんかか?ア゛ァ?」

 

「ア゛ァ?オモテで…ガハァ!やりやがったなコラァ!」

 

「ブッ殺してんやんよォ!」

 

輸送部隊、まさかの6連敗を喫する事態!勝利から遠ざかるだけではなく、チームの不和、チームメイト達の関係は最高にギスギスしていた…

 

‐‐‐

 

「フーッ~…コーヒーくれ、冷蔵庫の」

 

「ご自分でどうぞ」

 

コイツ、お茶淹れてくれとかは普通に対応するくせに、俺の缶コーヒーに対しては異常に厳しいな

俺は冷蔵庫から缶コーヒーを手に取り、再び椅子に腰をおろす

 

「しかし…あのバカどもも限界だな」

 

「いっそ、部隊を変えてみますか?」

 

「編成か?う~ん、しかし姉様を出すのはなぁ~」

 

「違いますよ、部隊編成ではなく、もういっそ輸送部隊やめて水上か機動かで行くのはアリじゃないですか?」

 

「ふむ…」

 

たしかに、資源輸送自体はあらかた終わっている、ならいっそ敵通商破壊機動部隊を叩き潰せる戦力を出しても問題ないような気がする

 

「サミダレン、お前、たまには頭良いな」

 

「ンが余計です、五月雨です」

 

「よし、ヤツらを呼べ!空母には空母だ!」

 

◆◆◆

 

パンツなど不要、吹き抜ける風がオレをアツくさせてくれる真の下半身丸出し健康法を実践する深海スタイリッシュ痴女、空母棲姫率いる深海通商破壊機動旗艦隊…

 

『ヤツラガ来タゾォ!』

 

『ナンダトォ!?』

 

『ヤツラ…オレ達ノ鉄壁ディフェンスヲ破ッテキヤガッタノカ!』

 

今回の我々は一味違う、事前に念入りに作戦を練って臨んだこの作戦、みんなで活発に意見を出し合った甲斐は十分にあった、序盤は良い感じで撒き餌を与えて後半で巻き返す頭脳的采配、今までの我々には無かった新しい戦術にタ級もヲ級も大興奮!

 

“あの人達、たぶんバカだから執拗にこっち通ると思うんで、ここに伏兵とか良いと思いますよ?”

 

この空母棲姫がマジ怖くてブルっちまう中枢棲姫クンも感心したように頷いていたぐらいだ…

どうやら私達は最高のチームメイトを得たらしい…

 

『フッ…マァ落チ着ケヨ、オ前ラァ~』

 

『空母棲姫クン!』

 

『空母棲姫クン!』

 

『何モ問題ネェ!!コッチハ虎ノ子連合艦隊ダァ!ココマデ来タンナラマタブッ潰シテヤルマデダァ!!』

 

『ヒュー!空母棲姫クンノ言ウ通リダゼー!』

 

『バシット守ッテトット帰ルゾォー!帰ッタラ勝利ノ女神ガ深海麻婆春雨作ッテ待ッテンダカラヨォー!』

 

‐‐‐

 

「あ゛ー?なんか言ったか?カス」

 

「空母ヲ級?あぁ、居たな、そんなの…まぁ才能以前に存在感無さすぎてプチっと潰しちまったよ」

 

深海通商破壊機動部隊に絶望の雨を降らせる双頭の龍、二航戦、その凶悪かつ暴力的な制空力でここまで、ほぼ無傷でやって来た

 

「雲龍ちゃん、雲龍ちゃ~ん…コイツらまだワカってねーみたいだからもうちょっとオシオキしねぇとワカんねーみたいだわ?」

 

「もっぺん自分がカスだってコト、ワカらせてやろーぜ」

 

「……はぁ、いいですけど?」

 

そして、今日は双頭ではなく三つ首の龍、二航戦だけではなく雲龍を加えた超攻撃的フォーメションの更なる進化系

 

「姉さん、なに食べてるの?」

 

「……提督から貰ったチョコレート、天城もいる?あげないけど」

 

「いらないし…ってか、姉さんアーモンド食べるんだ、嫌いだと思ってた」

 

提督が食べないアーモンドチョコをボリボリと食べ、雲龍は仙人みたいな杖と巻物を取り出し、葛城からカツアゲしたピカピカの艦載機を取り出した

 

‐‐‐

 

まさか部隊編成そのものを変えてくるとは…ッ!想定外ッ!圧倒的想定の範囲外ッ!どうせまたあのショボいヤツらが来ると思っていたらこの制空力ッ!空母棲姫率いる旗艦部隊は焦っていた

 

『クソガァ!!』

 

『グワアアアアア!』

 

『ネ級クン!グハァ!』

 

『チクショウ!チクショウ!』

 

『マダダァ!マダ諦メンナァ!来イコノヤロー!空母棲姫様ハココニイルゾォー!!』

 

このままでは全滅は必至!旗艦であるプライドに賭けてこのままでは終われねぇ!空母棲姫は果敢に応戦する…

 

「なかなか手こずらせてくれたな」

 

「よぉ………やっと逢えたなァ、クサ●ンヤローがァ」

 

妙高型の二番艦と四番艦、那智と羽黒

 

『クッ!重巡風情ガァァァァァ!!』

 

最後の力を振り絞り、目の前の重巡姉妹に一矢報いようと身構えた空母棲姫、重巡姉妹は微動だにしない、しかし…!!

 

「ミカァ!………やっちまえ!」

 

『!?』

 

波間から飛び出して来た駆逐艦、それは両手に握る魚雷を鈍器のように空母棲姫の頭に叩きつけた!!

 

『グワアアアアアアアア!!』

 

「あれ…?使いにくな、コレ」

 

「ダメですよ三日月さん!その魚雷、敵に投げて使うんですよ!」

 

「へぇ…そうなんだ、秋月は物知りだね」




次々回から最終海域編、たぶん全3回

栄えある最終戦の旗艦


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提督と夕張と高速化

演習行くと5人に2人は高戦4とちよちよの気がする今日この頃…

【登場人物】

提督(95)
権力と権威にめっぽう弱い大人

夕張(17)
たまには普通に仕事もする

あの御方
さる、高貴な御方…


最初は胡散臭い物だと思われていた低速艦高速化計画、第二海域にて被験体ナンバーY10M(航空戦艦)と被験体ナンバーZ02(航空戦艦)をサンプルとして実証実験を敢行、そして、この実験は見事に成功し、身体には特に後遺症・副作用もないらしい事がわかった…

 

「ちなみにタービンに関しては艤装に専用の特殊なアタッチメントを搭載する事が可能です」

 

「うむ、よくやった」

 

たまにはマトモな仕事をする兵装実験軽巡、夕張

夕張は持っていた書類をファイルに纏めて机に上に置いた

 

「撫でてやろう、きなさい」

 

「え…?」

 

夕張の中に戦慄が走るッ!聞き違い?間違いない!言ったんだ!私を撫でてやるとッ!何よりあの手のカタチッ!動かぬ証拠…ッ!撫でるしかないカタチッ!

 

「な…ナニ言ってるんですか?」

 

「嫌なら別にいいが」

 

「あ…いや、別に嫌ってワケでは」

 

「サミー、彼女にアツいティーを淹れてやりたまえ」

 

「あ、冷たいのあります?出来れば炭酸系で」

 

五月雨は面倒くさそうに立ち上がり、冷蔵庫からパチモンコーラみたいな変な缶を取り出し、中身をグラスに移し替えて夕張に手渡した

 

「はい、どうぞ」

 

「ありがとー………って甘ァ!!ナニコレッ!?」

 

「たしか…なんちゃらペッパーとか名前の飲み物です、前にちょっと旅行に出てた際に立ち寄った場所で勧められて買ったんですよ」

 

ちなみに、五月雨的にはなんか不味そうだったのでそのうち誰かに飲んで貰おうと冷蔵庫に保管していたそうだ、缶だけに

 

「五月雨、茶淹れてくれ、茶、アツいの」

 

「熱いヤツですね」

 

「さ…五月雨ちゃん、私もアツいお茶頂戴、出来れば濃い目」

 

「はいはい」

 

‐‐‐

 

「しかし、これで低速艦の高速化が安心かつ安全に御使用頂けると証明されたワケだが…」

 

「そうですね」

 

「はい!提督!はい!」

 

元気良く挙手する夕張は先程の書類とはまた別に、なんとも可愛いらしいアニマル表紙のファイルを取り出した

 

「なんだ?」

 

「実はこの高速化試験ですが、更なる先がありまして…」

 

「まぁ、一応聞いてやる」

 

「タービンや強化本缶の代わりに、このGNド●イヴ(コーン型)を搭載する事により安心かつ安全にトラ●ザムを…」

 

「ほぉ…GNドラ●ヴか、ちょっと貸してみろ、まずオマエのケツに挿してト●ンザムバーストしてみるから」

 

「と…トラ●ザムバーストはちょっと…」

 

何がGNド●イヴだ、コイツ、いつの間にかロクでもねぇモン作りやがって…

 

「まぁいい、それよか高速化についてだ」

 

「はぁ?」

 

「第三海域、まぁ最終海域の後半戦では高速戦艦による水上部隊が使えるらしい」

 

「高速戦艦……あぁ、コレは完全にモメる流れですね」

 

そう、高速戦艦だ、うちには暴力の化身と言われている高速戦艦姉妹、金剛姉妹、イタリアから来たズイウン積めるキレエロパスタ姉妹、ステーツから来たダイナマイトパッキンガール、アイオワ

そしてドイツから来た美の化身、ビスマルクさん

 

さっき五月雨がモメると言ったが、高速戦艦はだいたいプライドが高いのが多く、特に金剛姉妹は旗艦金剛でない場合は舌打ちして金剛以外の旗艦に従う気が全くない、旗艦アイオワで金剛以外の金剛型を編成すると露骨にやる気を無くし、金剛とアイオワを組ませるとメンチ切り合って先に進まずチームワークどころの話ではない

 

「まぁ、普通に考えたらモメる流れでついでに血も流れる流れだ」

 

「あ、そう言えば今回の作戦期間、ビスマルクさんお腹痛いから休むって言ってましたよ」

 

「そーゆーコトは早く言え」

 

「ついでに、ビスマルクさんに付きっきりのマンツーマン看護するのでオイゲンさんも休むそうです」

 

必要があれば速攻で部屋から引きずり出してくれるわ、あのクソプリン野郎が…そして、後でビスマルクさんの部屋に間宮の店で買った最上級のプリンを持って馳せ参じよう

 

「では、今回は金剛さんかアイオワさんが旗艦の流れで…」

 

「バカめ、話は“高速化”についてだと言っただろうが」

 

「はぁ?」

 

賢い五月雨は話がイマイチよくわかってないらしく曖昧な返事を返してきたが、夕張のアホはわかったらしく元気良く挙手した

 

「あ、わかりました!低速艦を高速化する感じで……!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「だるびっしゅ!!………な、なんで叩いたんですか?」

 

「なんとなくだ、悪かった」

 

「い…いえ」

 

相変わらずちょっと嬉しそうにキショい笑みを浮かべ、夕張は頬をさすった

 

「低速艦の高速化………あ、まさか…ッ!?」

 

「気付いたかサミー」

 

「ま…まさか“あの御方”を!?“あの御方”に連合艦隊総旗艦として御出陣を頼まれると…?」

 

さすがは五月雨だ、どうやら俺の意図に気付いてくれたらしい

 

「そう………“あの御方”だ」

 

「最大最強の大和さんでもなく、栄光のビッグセブンでもなく……“あの御方”を?」

 

「五月雨、三●に行くぞ!“あの御方”への謁見に手土産無しなどは有り得ないからな!」

 

俺は壁に掛けてあった上着を羽織り、外出の準備を整える

 

「あ、私も行っていいですか?新しいカーディガン買いたかったんですよ」

 

 

こうして俺と五月雨、そして夕張の三人は●越へと向かう事にした




次回は最終海域、発動!光作戦………たぶん!


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提督と改白露型と動物園

改白露型が全員揃ってる珍しい回

【登場人物】

提督(96)
自称、空気が読める大人

海風(8)
改白露型のラノベヒロインみたいな美少女、膝が弱い

山風(7)
改白露型の小柄で目ツキの悪いやつ、炭酸は苦手

江風(8)
改白露型のキセキと同種のエース、最近読んだ漫画はキン●ダム

涼風(2)
通称、凶暴な方の五月雨
不良は動物に優しい傾向がある


寒い日と暖かい日がなにやらごっちゃになっている冬の日が続く今日この頃、最終決戦が間近に迫った当基地…

そんな緊迫化した状況の中、俺は動物園のベンチで煙草の煙を吐き出すマシーンと化していた

 

「うわっ!このゴリラ!ウ●コ投げてきやがった!?」

 

「江風、檻から離れて!檻から!」

 

最終決戦を控え、とりあえず喫煙所で編成やらなんやらを考えていると、改白露型の美少女みたいな姉と赤いのと緑のと五月雨Bがなにやらお出かけ準備万端で歩いていたので何事かと声をかけたら、なんでも懸賞で動物園の入園券が当たったらしく、4枚あるのでそれなら改白露型の姉妹で行こうとの話になったそうで、良ければ一緒にどうですかと誘われたワケだ

 

最終決戦を前に、はよ戦えや!とツッコミ入れたくなる徹底した引き延ばしはその昔、水曜の夜にやってた大人気アニメでやっていたので何も問題無いだろう、たしか次回予告は最終海域突入ぅ!みたいな事を書いてた気がするが、念の為に“たぶん!”と入れてたのでこれも問題無い

 

「フーッ~…」

 

さて、前置きは長くなったが、とにかく俺は改白露型の4人と動物園に来ているのだ、美少女姉ちゃんは世話好きだからいいとして、江風とチビスケは動物に興味がある多感な年頃なのはわかる、ただ、あの凶暴な五月雨Bも来ているのは意外だったが…

 

「誰が凶暴な方だ、殺すぞ」

 

「…ん?」

 

俺の居るベンチに、いつの間にやらジューシィな匂いのする紙袋を持った五月雨Bが来ていた

 

「独り言がうるせぇよ、あと、五月雨Bじゃねぇ、アタイは涼風だ」

 

「悪い悪い」

 

改白露型のラストナンバー、涼風、他の改白露型姉妹には似ておらず、見た目は五月雨によく似ているが、非常に凶暴な性格をしている

 

「アイツと間違われるのだけは我慢ならねぇんだよ」

 

そしてこの涼風、五月雨とは絶望的に仲が悪く、見た目が良く似ているので一部の艦からは秘書艦の命を狙うドッペルゲンガーか何かと勘違いされているらしい

 

「それ美味そうだな、一口くれよ」

 

「あ゛?自分で買って来いよヤボスケ」

 

「一個食いたくねぇんだよ、一口食いたいだけだ」

 

「ゼッテーやらねぇ」

 

ケチくさい奴だな…

 

「他のヤツらは?」

 

「江風はゴリラにウ●コ投げられてた、海風は江風のTシャツ買いに売店行った、山風はクジャク見てた」

 

「ふ~ん」

 

「っーか動物園来たんだから動物見ろよおっさん」

 

「おっさんじゃない、提督だ」

 

「さっきから見てりゃベンチに座ってモクモク、モクモク煙ばっか出しやがってスチームボーイか、テメーは」

 

「スチームボーイじゃない、提督だ」

 

「立てコラ、プレーリードッグ見に行くぞ」

 

「なんで俺があんなカワウソの出来損ないみたいなヤツを見なけりゃいかんのだ」

 

「プレーリードッグはリスの仲間でカワウソはイタチの仲間だろーが!全然違げーよ」

 

コイツ詳しいな、もしかして、可愛いらしい動物が好きな趣味でもあるのだろうか?

 

「いいから来いよ」

 

「へいへい」

 

‐‐‐

 

プレーリードッグ、ネズミ目、リス科の動物だよ、だいたい北米に居て穴を掘るのが得意だよ

 

「ふ~ん」

 

「お、穴から顔出した!」

 

穴から顔を出したプレーリードッグを激写する涼風、そしてさっき合流した海風らと俺はプレーリードッグを眺めていた

 

「このホットドッグ美味めぇな」

 

「マジで?テイトク!江風にも一口くれよ!」

 

「コラ!江風!自分のがあるでしょ!それに、くれ!だなんて…提督になんて口の利き方を…ッ!」

 

「ご、ごめン!ネーちゃン!」

 

相変わらずコイツらも平常運転だな、しかし、ゴリラにウ●コ投げられて着替えた江風のTシャツ、海風が売店で買ってきたらしいが、背中に鐘を持った侠客のプリントには海風のセンスが感じられるな…

 

「…よく見えない」

 

そして、姉妹の中で最も低身の山風はプレーリードッグがよく見えずにヒョコヒョコと跳ねていた

 

「お、山風のアネキ!江風が肩車してやろーか?」

 

「…いい、江風の頭トゲトゲしいから痛いし」

 

「トゲトゲしくねーよ!ちゃンとコンディショナーしたよ!」ガーン!

 

「江風、山風にもプライドがあるのよ、妹に肩車させるとか姉のプライドが許さないのよ………さぁ!山風!私の肩に乗って!」

 

「…いい、海風姉はすぐヘバるし、前もすぐ膝にキてたし」

 

「ヘバらないよ!」ガーン!

 

バカな江風に続き、優秀なハズの姉も撃沈した

仕方ない、ならここは俺が大人として最適なアドバイスを贈ってやろう

 

「あっちのベンチの上に立ったらどうだ?」

 

「…いい」

 

なんか露骨に残念そうにしてるぅ!?おかしいな、俺は最適解を示したハズだが……まさか、計算以上!この僅かな期間でデータを超えたとでも言うのか!?

データに無い事態に狼狽える俺に、江風が首に手を回して顔を近づけてきた

 

「バカ!テイトクバカじゃねーの?空気読めよ!」ヒソヒソ

 

「あ?読んでるよ?俺は空気読める大人だよ?」ヒソヒソ

 

「江風!提督になんて言葉遣いしてるの!」ヒソヒソ

 

海風も前屈みになって良い香りのする美少女顔を近づけてきた、顔が近い!顔が!

 

「ごめン!ネーちゃン……ってか、今はそれいいから!」ヒソヒソ

 

「そうね、まぁその件は後にして……提督、今のは海風もダメだと思います」ヒソヒソ

 

「何が?」ヒソヒソ

 

「山風は提督に肩車して貰いたかったんですよ」ヒソヒソ

 

「え?マジで?」ヒソヒソ

 

「マジで?じゃねーよ、空気読めてねーじゃン、乙女心ワカってねーよ」ヒソヒソ

 

「ナニが乙女心だ、ワカってるよ?乙女心ぐらい、だって俺、ママ●ードボーイ全巻読んだし」ヒソヒソ

 

「それダメなヤツぅ!?」ヒソヒソ

 

「とにかく!提督は山風を肩車してください、自然な流れですよ?いいですか?自然な流れでお願いしますよ?」ヒソヒソ

 

「わかったわかった」ヒソヒソ

 

俺達は作戦会議を終え、再び立ち上がった

 

「よし!山風ェ!今、俺は自然な流れで肩車したい気分になったァ!」

 

「不自然ッ!!テイトク!それ不自然以外の何物でもねェよ!?」

 

ごく自然な流れで山風を肩車しようとしたその時…

 

「うるせーよ、プレーリードッグがビビって穴蔵に引っ込むだろーが」

 

「…いい、涼風がしてくれてるし」

 

山風は普通に涼風の肩に乗っていた

 

「山風の姉、あっちのヤツ撮ってくれ」

 

「…あっちのヤツね」

 

海風と江風は嫌なのに涼風はいいんだな…コイツ

 

「…」

 

「…ネーちゃン」

 

「なに?」

 

「もしかしてアタシらは嫌われてるンじゃ…」

 

「そんなコトない!そんなコトないから!ね?提督!そうですよね!?」

 

「え?あ、あぁ…うん、そうじゃね?」

 

「だよなぁ~…よし!テイトク!肩空いてるなら江風を乗せてくれよ!」

 

「え?普通にイヤだが?」




次回から最終海域、光作戦!


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発動!「光」作戦①

僕達は負けないように抗うしか無いって事を考える回

【登場人物】

重巡棲姫
悲鳴がうるさい事に定評がある今回の被害艦その1、ちなみにその2は離島ちゃん

潜水艦
実力派エリート、その結束力はアツく、高い実力とルックスも抜群のスター集団


最終第三海域、まずは潜水艦による彩雲の輸送作戦と言うコトで、実力派エリートの潜水艦達を再びスタメンに起用、そして、今回は第一海域ではベンチを温めていた伊26が先発として登板していた…

 

『グワアアアア!』

 

『ト級ーッ!イ級ーッ!クッ!汚ネーゾテメーラ!対潜可能ナ軽巡ト駆逐艦狙イヤガッテ!』

 

「対潜爆雷がどうした?イヤならさせるな、そんな自信もないやつがアンチサブマリン気取ってプライドなんか語るんじゃねえ!」

 

「26ちゃんメチャシブいですって!」

 

「おーおー、ルーキーがイキがってるじゃねぇの?こりゃ負けてらんねーな、58さん!」

 

◆◆◆

 

「フーッ~…なかなか頑張っているようじゃないかね?」

 

ここまでに許したバケツは0、小破1、立ち上がりに僅かなミスがあったものの、ほぼ完璧なゲーム展開だ、第一海域での肩慣らしでどいつもこいつもドルンドルンとエンジンがかかっているらしい

 

「それで?ボスは居るのかね?」

 

「報告では重巡棲姫が確認されてますね、なかなかの重装甲ですよ」

 

「ハッハッハ、問題なかろう」

 

強打を誇る58と呂500、そして影の主砲の異名をとる168の3割打線から逃れる術はないだろう、本来なら401も強打列に加えたいところだが今回は晴嵐運用とあって打線の戦力には加えていない

 

「まるで完全武装のハイキングだな」

 

「それ、負けフラグですよ…」

 

◆◆◆

 

深海任務部隊強襲戦隊旗艦…

 

『来タゾォ!!奴ラダーッ!』

 

『チクショウ!アイツラ潜水艦ナンテ汚ネー真似ヲ!』

 

モーツァルトの旋律を響かせて忍び寄る、姿無き敵にビビりあがる深海の戦士達、そんな戦士達を旗艦である重巡棲姫が一喝した

 

『ビビルコタァネェ!コッチハ連合艦隊ダ!』

 

『重巡棲姫クン!』

 

『重巡棲姫クン!』

 

『アイツラガドンナニ雷撃シヨーガ数ハコッチガ上ダ!全員死ヌ気デ避ケレバ勝機ハアル!』

 

『スゲェ…サスガ重巡棲姫クンダ』

 

『アァ、ナンカ勇気ガ湧イテ来タヨ、オレ!』

 

『勝ッテ帰ッテミンナデ特製深海すーぷ春雨食ウンダカラヨォー…死ヌンジャネーゾオメー………ヴェアアアアアアア!!!』

 

なんかカッコいい事を言っていた重巡棲姫のわき腹に、強烈な打撃が突き刺さった

 

『重巡棲姫クン!ナンダコレハ…グワアアアア!!』

 

『マサカ…航空機ッ!!』

 

『ソンナ!?アイツラ下カラダケジャ…グワアアアア!!』

 

飛来する基地航空隊の重爆撃に、1人、また1人と深海の戦士達がブクブクと気泡を残して沈んでゆく、そして…絶望の重爆撃が去った後、重巡棲姫が目を開くとそこには誰も居なかった…

お喋りでムードメーカーのハ級、口数は少ないが誰より友情に厚いロ級、今度深海合コンに行こうぜとバカな話で盛り上がったリ級…さっきまでそこに居た仲間達は誰も居なかった

 

『ハハ……オイ嘘ダロ?ツ級!ハ級!オマエラドコ行ッチマッタンダ?ヌ級ッ!隠レテンジャネーヨ!』

 

誰もいない海で必死に仲間達を探す重巡棲姫、その耳に、僅かにモーツァルトの旋律“怒りの日”が聞こえてきた

 

『………上等ジャネェカ、来イコノヤロォ!!殺ッテミロヤァ!!』

 

猛る重巡棲姫、部隊の全滅だけはさせない!敵は姿無き潜水艦、だが生き延びてみせる!誰よりも厳しく!戦士として!

 

「カイザー…なんちゃらですって!!!」

 

『この魚雷はッ!ヴェ!ヴェアアアアアアアー!!!ニクラシヤァァァァァー!』

 

重巡棲姫のお腹に勢いよく魚雷が突き刺さり、重巡棲姫は断末魔と共にブクブクと気泡を残して沈んでいった…

 

「やったぁ!ろーちゃんが殺ったですって!」

 

「おーし、けーるべけーるべ」

 

「MVP譲ってやったんだから後でチョコレートパフェ奢れよ」

 

「よぉーし!帰りはみんなでクロールすっぞ!負けたヤツがジュースな!」

 

『『ウェーイ!!』』

 




次回は②

離島ちゃんが出オチする


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発動!「光」作戦②

最終海域その②陛下出陣!

【登場人物】

Warspite(6)
通称、陛下
売り出しアイドル並みのゴリ押しで高速化して総旗艦、脱がない

Iowa(5)
メジャー出身、わりとすぐ脱ぐ

Italia(3)
元リットリオの珍しい良識派、まぁまぁ脱ぐ

Roma(2)
魔女みたいな妹、そこそこ脱ぐ


最終海域、深海離島守備隊…

 

『ココマデ来ルトワネー!イイデショウ!相手ヲー…グワアアアア!!!』

 

「出たーッ!金剛姉者の非情なる三式弾!」

 

「コレでアイツのキ●タマはグシャグシャだぜーッ!」

 

深海離島守備隊旗艦、離島棲鬼、基地航空隊と支援艦隊の容赦無き丸太投げと金剛姉者の金剛拳の前に………舞う

 

◆◆◆

 

「さて、いよいよ後半戦に突入と言うワケだが~」

 

とりあえず、誇り高き高速戦艦どもがモメない為の人事的配慮、離島なんちゃらとか言うシャバ僧は金剛姉妹が担当、本命は陛下率いるアイオワとパスタ姉妹が担当と、今回お腹が痛くて休んでいるビスマルクさん以外の高速戦艦ども全てに活躍の場を与えると言う事で陛下の総旗艦を納得させた

 

「サミダリューン、卿から何か無いか?」

 

「五月雨です、手元の資料によりますと、本命の敵はなんか二人で一人みたいな深海棲艦らしいですよ?」

 

「…ナニ言ってんだオマエ?イカレているのか?」

 

「イカレてないです、ほら」

 

たしかに、書類には深海双子棲姫と書かれた名前と共に、気合の入った変なヤツらの写真が記載されている、名前から察するに双子か何かだろうか?

 

「双子か…これは気を引き締めてかからんとな!」

 

「…珍しいですね、いつもなら俺が許す、殺せ、で済ますのに」

 

「フッ、古来より双子は88の中の12、12の中でも上位カーストの実力を誇るエリート中のエリートよ、これを警戒しない男児はおるまい」

 

「はぁ?」

 

「まぁいい、早速だが陛下の御活躍を拝見させて頂くか、カメラは誰が持ってるんだ?」

 

「たしか…千代田さんが持ってたと思いますけど」

 

「よし、繋げ」

 

俺は現場の状況と陛下の御活躍を見る為、執務机の上に置いたテレビの電源を点けた

 

◆◆◆

 

深海環礁大規模泊地集結艦隊…

 

「Ememy ship is in sight Openfire!」

 

栄えある連合艦隊総旗艦、陛下率いる第一艦隊

 

「僕から制空圏を取るつもりかい?頭が高いよ」

 

見下ろす事を許さない時雨様率いる第二艦隊

 

『ア、ヤベ、制空圏取ラレタ』

 

『ヤベ、ジャネーヨ!ドウスンダヨォォォ!』

 

深海環礁大規模泊地集結艦隊を率いる二人で一人のユニット、深海双子棲姫

今回がデビュー戦と言う事でそれなりに期待されて送り出された二人は双子ならではの息の合ったコンビネーションプレイを得意としており、必殺の深海ラブハリケーンは、あのメチャシブの中枢棲姫ですら讃辞を贈った程である

 

『制空圏ガナンボノモンジャア!ナァ姉チャン!』

 

『エー…ヤバイッテ、海上デ制空圏ハマジデヤバイッテ』

 

‐‐‐

 

「ヘーカ、アイツらDIEしていいのかしラー?」

 

アメリカから来たダイナマイトパッキンガール、アイオワはたぶん大将首であろう変な双子をロックオンする

 

「でも…二人いますね?どっちが旗艦でしょうか?」

 

「別に、二人とも始末すればいいんじゃない?」

 

当基地には珍しい良識派のイタリアと当基地には珍しくない目が合った奴は皆殺し派の妹、ローマ

 

「そうですね……どちらかがFlagshipあるいはどちらもFlagshipの可能性はあります、それに…」

 

陛下は手を顎に添えて何かを考え、ゆっくりとそれを口にする

 

「…The nameの必要性を感じます」

 

「Oh…たしかに」

 

アイオワはステーツ特有のオーバーな身振り手振りで納得した

 

「何か良いNameはありませんか?Iowa」

 

「ン~…黒いのがJohn、白いのがJaneハ?」

 

「や、それはさすがにテキトー過ぎかと…」

 

「別に、タローとジローでいいんじゃない?」

 

そして、アイオワ以上にテキトーなローマは更にテキトーな名前を挙げた

 

「Oh…いいですね、それ、ではそれでいきましょう」

 

陛下は第二艦隊にも攻撃目標はタローとジローである事を告げ、最終戦の火蓋は切って落とされた

 

‐‐‐

 

『グワアアアア!!』

 

『ル級ーッ!!』

 

『ヤベェヨヤベェヨ!』

 

『アノ雷巡ト軽巡!ハンパジャネェ!!』

 

『イヤ…本当ニヤバイノハアノ駆逐艦ダ…』

 

ごく自然に、当たり前のように旗艦を務める駆逐艦

 

『アンナニ自然ニ人ヲ従ワセル駆逐艦ヲ普通トハ言ワネェヨ…』




次回は③
誰カー!誰カ姉チャンヲ助ケテクダサーイ


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続・五月雨と鈴谷と職業斡旋

③と言ったがあれは嘘です、嘘ぴょんです

【登場人物】

鈴谷(34)
負け確ヒロイン
地味に、鈴谷回だけ微妙にアクセスが多い、何故だろう…

五月雨(38)
出撃系の仕事は特にしてない専業秘書艦


「ティーッス、鈴谷が遊びにきたついでにお小遣い貰いに来ましたよ~……って、アレ?サミーしかいないじゃん、テイトクは?」

 

「提督なら冥●士の群れが迫ってるから始末してくると言って魔宮薔薇の陣に出かけましたよ」

 

「意味わかんねーんですけどォ!?え ?ナニ?聖●士?聖●士なの?あのおっさん軍人じゃないで黄金聖●士なの?」

 

「さぁ?」

 

しかし参った、お小遣い貰おうと喜び勇んで来たもののアテがハズレたねこりゃ、っーかこのパターン、前もあったような…

 

「まぁいいや、なんかバイトない?基本何もしなくてお金だけ貰えるやつ」

 

「ありますよ」

 

「あるのォ!?」

 

サミーは引き出しから数枚の書類らしきものを取り出して机に広げた、そんな甘い仕事あるワケねーしと思ったものの、意外と言ってみるもんじゃん

 

「コレですね、基本何もしなくていいそうです、先方はマグロがお好みらしく、変に頑張られるよりは自分が頑張りたい系なそうです」

 

………ん?マグロ?

 

「ヘイ!ヘイ!サミー!ヘイ!スタァップ!え?ちょい待ち、鈴谷の聞き間違えかどうか確認したいんだけど、え…?マグロ?それはアレだよね?魚的なアレだよね?」

 

「違いますけど」

 

「…」

 

「違いますけど?」

 

二回否定したよコイツ

 

「まぁ、何もしなくていいけどナニはされる感じですね、100パープレスはされますし、88%は孕みます」

 

「却下ァァァァァ!!!なんでそんなの鈴谷に勧めんの!?っーかナニ?その募集ッ!?深いわ!闇が深いわッ!」

 

「鈴谷さんなら大丈夫かなと…」

 

コイツ、可愛い声と顔してんのにとんでもないポイズンモンスターだよ、触ると痛いバブルス●イムどころか猛毒の息を吐き続ける毒吐きハイ●ラだよ

 

「とりあえず却下、それ却下で」

 

「はぁ、そうですか」

 

「じゃ、ちょっとくらい労働していいから時給とか日当がいいのない?口でも手でもこの際使うから」

 

「そうですね…」

 

「あ、先に言っとくけど性的なのはナシね、口ってのはトーク的な意味だから」

 

「…ありませんね」

 

「ないのかよ!?」

 

「えぇ、ありません」

 

言い切ったよコイツ、そんなにいっぱい募集案件みたいな紙あるのに、っーかそれ全部性的な仕事なの?どんだけ艦娘とヤりたいんだよ…

 

「とりあえず魚雷磨きと芋の皮剥きなら常時募集してますけど」

 

「えー…」

 

前にマジで金が無い時にやったけど、どっちもやってたら鬱になるんだよなぁ~、魚雷延々と磨いてるとそのうち自分自身が魚雷なのでは?と考えさせられるし…

 

「もうちょいマシなの無いの?」

 

「そうですね……あ、個人的なコトでよければありますよ?」

 

「個人的?」

 

「はい、私の個人的なお願いです、勿論、お金は払います」

 

「ナニ?シャーペンの芯でも買ってくりゃいいの?」

 

「いえ、以前、コーヒー豆の買い付けにコロンビアに行った際に知り合ったコーヒー農家の方から連絡がありまして、以前壊滅させた麻薬カルテルの残党が……」

 

………ん?

 

「ヘイ!ヘイ!サミー!ヘイ!ちょい待ち、今なんかコロンビアとか麻薬とかカルテルとか…」

 

「言いましたけど」

 

「…」

 

「言いましたけど?」

 

二回言ったよコイツ、可愛い声と顔で壊滅とかとんでもない事言ってたよコイツ

 

「まぁ、平たく言えば私の大事な仕入れ先にちょっかいかけないように出来る限り平和的な交渉を…」

 

「無理ッ!無理無理無理無理無理!っーか出来る限りってナニ?出来なかったらどーすんの!?」

 

「まぁ、その時はまぁ…そんな感じですかね」

 

ナニこの娘、マジ怖いんですけど…っーかなんなのコイツ?

 

「あ~…腹痛てぇ~」

 

「あ」

 

サミーの闇に戦慄していると、丁度提督が帰ってきた

 

「ナニやってんだ?オマエ」

 

「ナニって…遊びにきたついでにお小遣い貰いに来たんですけど」

 

「ふ~ん」

 

「ふ~ん、じゃないし、お小遣い頂戴」

 

「悪いな、ビッチにお小遣いやっちゃダメっておばあちゃんから言われてんだ」

 

「ビッチじゃねーし!いいから頂戴!肩揉むよ!」

 

「悪いな、ビッチに肩揉ませちゃダメっておばあちゃんから言われてんだ」

 

「ビッチじゃねーし!なんなの!?おばあちゃん!?なんでそんなビッチに厳しいワケ!?」

 

「うるせぇな…じゃ、脱げよ」

 

「は?」

 

え?脱げ…?今、すげー自然にとんでもないコト言ったよね?

 

「は?じゃねーよ、脱いでサミーの机で角●ナしたら千円な、あ、ニーソは穿いてていいぞ」

 

「変態かッ!!しかも安過ぎるッ!!」

 

「私の机汚れるからやめてくださいよ」

 

「しねーよッ!!もういいし!オマエら二人とも地獄に堕ちろよバーカァ!」




次回こそ③


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発動!「光」作戦③

イベント編最終回、双子の真実

【登場人物】

深海双子棲姫・姉
通称タロー、白い方、花粉症に悩まされているのでマスクが手放せない

深海双子棲姫・妹
通称ジロー、黒い方、姉と違ってファッションオシャレマスク、ちょっと頭が悪い

北上
球磨型3番艦、イケメンの木曾の姉ちゃん、球磨姉ちゃんは怖い

大井
球磨型4番艦、イケメンの木曾の姉ちゃん、球磨姉ちゃんは怖い


最終海域、陛下の華麗なる御活躍の甲斐あり、順調に敵戦力を減らし、おそらくは後一度の突撃にて大将首を討ち取れるまでに深海棲艦の蛮族どもを追い詰めた…

 

「さぁ~て、今日もケチョンケチョンに負かしてやろうかねぇ~」

 

「あの黒パン引きずり下ろしてケツに魚雷ブチ込んでやりましょうよ、北上さん」

 

「そうだねぇ」

 

時雨率いる第二艦隊、北上と大井はヘラヘラと笑いながらこれ終わったら牛丼食いに行こうだのプラーダのバッグを買おうだの話をしていた

 

「あ、そろそろ現場じゃね?」

 

「サクッと殺って帰りましょう、あ、そう言えば今日球磨ねーさんが鍋するから早く帰って来いとかなんとか…」

 

‐‐‐

 

『ウワァァァァァァ!!死ヌナァァァァ!姉チャン死ヌナァァァァァ!!』

 

艦隊が現場に到着すると、タロー(仮)が死んでいた

 

「死んでるゥゥゥゥゥ!!」

 

「ちょ…待てよ!今日はまだナニもやってねーぞ!」

 

『ウワァァァァァァ!誰カー!誰カオ医者様!オ医者様ハイマセンカー!姉チャンヲ!姉チャンヲ助ケテクダサーイ!』

 

まさかの緊急事態、今からブチのめしてやろうと思っていたボスの片割れが、現場に着いてみると既に一匹死んでいると言う緊急事態ッ!!見るからにぐったりとした姉、タロー(仮)を抱きかかえた妹、ジロー(仮)はワンワンと泣いていた

 

「えー……ナニコレ?」

 

「や…やりにくい」

 

「どうすんのコレ?このまま殺っていいの?時雨様」

 

「無論だよ、僕に逆らう者は双子でも殺す、全員、手を抜く事は許さない」

 

とりあえず、躊躇ってはみたが第二艦隊旗艦の時雨様が殺ると判断を下したのでメンバー全員、殺る気のフルスロットルで攻撃をかける事にした

 

◆◆◆

 

艦隊が来る少し前…

双子棲姫率いる大規模泊地集結艦隊は追い詰められた事に焦りを感じていた

 

『ヤベーヨ姉チャン』

 

『タシカニヤベーナコリャ、アイツラマジハンパジャネェ』

 

制空圏はアッサリ取られるわ、基地航空隊から爆撃されるわ、敵戦艦からの砲撃はボカスカ当たるわ、夜戦に持ち込まれたらありえないぐらい強烈なボディ喰らわせてくるわ……まぁ、ボディは主に姉が喰らい、妹はケツにダメージを受けているせいでもう腰はガクガクだ

 

『私ノオ尻ハモウ限界ダヨ!』

 

『ダッテアンタ、アンナ誘惑スルミテーニ尻向ケテリャ誰ダッテ尻叩クッテ』

 

『エー?マジ?』

 

『マジマジ、私ダッテスパンキングシタクナルシ』

 

『ソウカナァ~自覚ナカッタワ~』

 

たぶん、次攻撃を受けたら此処を放棄せざるを得ないまでに追い詰められている現状、何か奴らをうまく追い返す方法を姉妹は考えていた

 

『ア、ソーダ!姉チャン!私スゲー良イコト思ツイタ!』

 

『オマエノ良イ考エハこん●いグレーロクナ考エジャネェカラナァ~…マァイイヤ、ナニ?』

 

『フッフッフ、聞イテ驚クナヨォ~……名付ケテ!可哀想ナ姉妹作戦ッ!』

 

『ヘェ~』

 

『ヘェ~、ジャナイヨ、聞イテヨ!チャント聞イテヨ!』

 

『聞イテル聞イテル』

 

『次アイツラガ来タ時ニサ、姉チャンガ死ンデルノ』

 

『…ハ?』

 

作戦名だけで妹のバカさ加減がなんとなくわかっていた姉だったが、作戦内容もいきなりバカっぽかった

 

『デ、私ガ姉チャンヲ助ケテクダサーイッテ言ッテ泣クフリシテリャアイツラモ撃ツノ躊躇ウンジャナイカナッテ…』

 

『エー…無イワー』

 

『大丈夫ダッテ!ヨシ!ソレデ行コウ!ソレデ行ケル!』

 

『マァイイケドサ…』

 

◆◆◆

 

双子棲姫の妹が考えた敵の人間性に訴える鬼畜の作戦、その結果…

 

『ア゛!痛ッ!痛イ痛イ痛イ!』

 

『チョ!オマ!オマエーッ!全然効イテネージャン!ムシロサッキヨリ容赦ナクナッタジャン!?』

 

「可哀想にねぇ~…でも、すぐ同じ場所に送ってやるからさぁ~」

 

「お姉さん一人じゃ寂しいでしょうしねぇ」

 

容赦無い砲撃と、慈悲の無い雷撃が艦隊に突き刺さり、一人、また一人と気泡を残して双子の前から沈んでいく

 

『チョ!!痛イ!痛イ!』

 

『生キテル!私生キテルカラ!騙シタリシテホントゴメンナサ…』

 

「身分の違いを教えてあげるよ、この場に居る者全てに」

 

「出た!時雨様だ!」

 

「なんてスピードだ!ハンパじゃねぇ!!」

 

『チョ!待ッ…!!』

 

「絶対は、僕だ」

 

ありえないぐらい速いスピードで距離を詰めてきた時雨の雷撃が双子のボディに炸裂し、深海双子棲姫は気泡を残して仲良く沈んでいった

 

「作戦終了だ、阿武隈、全員帰投すると連絡を入れておけ」

 

「は…はい」

 

 

こうして、二人でならヤれる、二人でなら勝てると期待されて送り出された深海双子棲姫は沈み、今作戦は終了した…





とりあえずイベント編はこれで終了、新艦+1はイベント期間終了日に登場予定です


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提督と足柄とアツかりし保護者

駆逐艦は保護されているッッッ!!

【登場人物】

提督(97)
この基地で一番偉い人、それなりに話がわかる大人で大人の特権を使いたがる

足柄(5)
キッズ達から絶大な人気を誇るワイルドウルフ、長女からの評価は渋い


特にこれと言って急ぎの仕事もない今日、俺は香取先生に少しお時間宜しいでしょうかと誘われ、コレはきっと“特別な個人授業”のお誘いなのでは?と期待に胸と股間を膨らませ香取先生の待つ教務室に行くと、何故か俺と同じく香取先生から呼び出しを喰らったらしい足柄が来ていた…

 

「え~…それでは、保護者説明会を始めます、まずはお手元の資料が揃っているか確認を~…」

 

「は?」

 

「ちょ!待てよ!」

 

「なにか?」

 

いつも優雅なエレガント、香取先生は資料を捲る手を止めて俺達を見る

 

「先生、ちょっと僕の聞き違いとかそんな感じと思うんですが……今、保護者会、と?」

 

「はい」ニコッ

 

「いやいやいや!意味わかんないだけど!?提督はいいとして、なんで私まで!?」

 

「ア゛ァ?なんで俺はいいんだコラァ?この子持ち処女がァ!」

 

「ハァー?言いやがった!このオッサン言いやがったよッ!誰が子持ち処女だコラァ!タイマンだよ、オモテ出ろ!」

 

「はいはい、お二人ともお静かに」

 

パァァァン!!!

 

凄まじい衝撃音と衝撃波が一触即発で向かい合う俺と足柄の間に炸裂し、床があり得ないぐらい削られた…香取先生の鞭とはこれほどの、これほどのレベルかッ!!

 

「へ…ヘヘ、冗談、冗談ですよ先生ェ…」

 

「オレらマジフレンドだからよォ~、ちょっとコーフンしてじゃれついてただけですよ先生ェ~」

 

その、圧倒的な戦力を前に、俺と足柄の間に言葉は無く、心で利害は一致した

 

「…では、改めてお手元の資料ですが」

 

「ちょっと待って!一つ!一つだけ質問いいかしら?」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「提督はほら、まぁここの責任者的なアレだし、この会に呼ばれるのは当然だと思うけど…なんで私まで?私関係なくない?」

 

足柄の至極最もな質問、たしかに、俺は一応この基地の一番偉い人なので仕方ないと納得できるが、足柄は違う、あくまで一重巡洋艦だ

 

「あぁそんな事ですか……大淀さんからキヨシとアサシとカスミの保護者は足柄さんと伺ったもので」

 

「大淀ェ!!!」

 

足柄はパワーMAXのゲイザーを机に叩き込んだ

 

「……あの野郎、ゼッテー許さねぇ、ゼッテー殺す」

 

「もう質問は宜しいですか?では資料の2ページ目を…」

 

‐‐‐

 

「先生!キヨシはちょっと算数はアレですけどやる気はあるんです!」

 

「先生!うーちゃんはやればできる子なんです!ちょっとぷくぷく言ってますけど友達も多いし!」

 

「は?キヨシの方が友達多いし?なにより可愛いし」

 

「は?オマエなにうーちゃんディスってんの?キヨシなんてただのバカガキじゃん」

 

「は?」

 

「は?」

 

保護者会は思ったよりヒートアップしていた、開始当初、香取先生のありがたいお話を黙々と聞いていた俺と足柄だったが、個別生徒の授業態度や成績の話辺りから俺達はいつの間にかヒートを上げ、互いに目をかけている子は実は良い子なんです!と先生にアピールしていた

 

「アサシなんてぶっきらぼうに見えて自分のチョコフ●ークをキヨシとカスミに分けてくれる優しい子なんですぅー!自分より他人に気を遣える優しい子なんですぅー!よく見ると超可愛いし!」

 

「弥生タンなんて趣味はちょっとアレだけど掃除の時は自ら率先してチリトリ係やってくれる良い子なんですぅー!しかもよく見ると超キュート!」

 

「あ?」

 

「あ゛ぁ?」

 

バチバチバチバチ!(メンチビーム)

 

「はいはい、お二人のお話はよくわかりました、とりあえずメンチ切るのはやめて下さいね」ニコッ

 

「あ、はい」

 

「サーセン」

 

香取先生のエレガントな執り成しがなければ既にこの場でK●Fが開幕していただろう、それ程に、俺達のヒートゲージはアツく燃え上がっていた

 

「とりあえず保護者の方のお話は今後の授業の参考にさせて頂きますね」

 

「先生!ウチの子をお願いします!ちょっとバカっぽいけど良い子達なんで!」

 

足柄は香取先生の手をアツく握った

 

「では今日はこれくらいで……ご協力、ありがとうございました」

 

「はい!ありがとーございますセンセー!」

 

「こちらこそありがとう御座いましたー!」

 

俺達は香取先生に深々と一礼し、教務室を退出した…

 

「…」

 

「…」

 

「提督」

 

「なんだ?」

 

「私、少しアナタを誤解していたわ…アナタなかなか見所のあるアツいガッツがあるじゃない」

 

「フッ、俺もオマエを侮っていたよ、キッズ達の将来に…あんなにアツく考えてるとはな、足柄、大した奴だ」

 

俺達はアツく握手を交わし互いを認め合った

 

「よし!今日はママんトコ行くかァ!」

 

「いいわねッ!付き合うわ!………あ、その前に」

 

「なんだよ?」

 

足柄はスマホみたいなものをポケットから取り出しポチポチと操作し耳に当てる

 

「………あ、オイ!大淀コラ、ちょっとオマエなに?マジで?マジで?マジで殺すぞオマエ、は?……は?いやマジ殺すから、え?今から提督とママんトコ飲み行く、あ゛?おぅ?おー…いやいやいや、ムリ、っーか来い、来なかったらマジぶっ挿入すから、オマエのクサ●ン破壊すっから」

 

「俺の前でクサ●ンとか生々しいコトゆーな」

 

「大淀来るって」

 

「来るってじゃねーよ、まぁいいけど」



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提督と男●寮とGバスターズ

VSふわふわしたよくわからないモノ回リターンズ

【登場人物】

提督(98)
ケガはないかよ、ビビリくん

夕張(18)
超科学の申し子、ドM

長門(14)
ステゴロなら長門と評判の大戦艦、ロリコン

グラーフ・ツェッペリン(5)
魔界貴族と評判のドイツからきたおっぱい空母、キッズ達にちやほやされたい


「最近、また“出る”らしいんです」

 

日替わりで寒暖差を感じる今日この頃、執務室で文庫本を読んでいると五月雨が珍しく神妙な顔でよくわからない事を言ってきた

 

「“出るっ”と?」

 

「えぇ」

 

五月雨曰わく、昨年末に男●寮を恐怖のズンドコに叩き落とした髪の長い半透明の女が最近また目撃されているらしく、暁ちゃんがビビって夜中にトイレに行けない日々が続いているらしいとのコトだ

 

「…しかし、前回、我々の調査でユーレーなどと言う非科学的でふわふわした存在は無かったものとして結論付けたのだよキミぃ」

 

昨年末、俺と夕張の科学調査隊が深夜の寮を探索、機材のアクシデントで夕張のア●ルホルンがガンギマリスして翌日の基地スポで叩かれると言う結果に終わったのだ

 

「でも提督も見たんでしょ?髪の長い女の人」

 

「あー…見てない、そんなヤツぁ見てない、たぶんアレだろ?プラズマとかそんな感じの何かだったと結論付けたハズだが?」

 

そうだ、俺は何も見ていない、間違っても髪の長い半透明の女とか見ていない、そう、たぶんアレだ、あの時の俺はポーラと一杯引っかけて気を大きくして行ったのでおそらく泥酔状態だったのだろう、断じてそんなものは見ていない

 

「…もしかして、ビビってるんですか?」

 

「ハァ?ビビってねーし、っーかそんなふわふわしたモン、ハナから信じてねーし?」

 

そう、断じてビビっているワケじゃあない、幽霊とかそんな感じの奴がいるとか信じてないし、仮に居たとしても生きてる俺に死者がかなうワケねーし?っーか、まずそんなのいねーし

 

「では今夜、寮の見回りをお願いしますね」

 

「…は?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「は?じゃないですよ、別にビビってないなら夜の見回りくらい楽勝でしょ?」

 

「いや…そりゃオマエ、楽勝だよ?っーかヤるまでもねぇ、不戦勝確実ぅ!だよ」

 

「ではお願いしま…」

 

「待て!待て待て待て!ちょっと待て!いや…別にビビってねぇけど、ほら?アレじゃん、なんかほら?廊下歩いてたら突然プロジェクションマッピングとか始まるとさすがに俺もちょっとビックリするよ?うん」

 

「大丈夫です、前回同様、早寝早起きタイプの私はお付き合いできませんが、ビビリくんの提督の為に頼れる仲間に声をかけておきましたから」

 

「誰がビビリくんだ」

 

◆◆◆

 

02:00 駆逐艦寮、通称男●寮…

 

この草木も眠る丑三つ時に、男●寮の前に集まった新生科学調査隊

 

「フーッ~…異常無し、帰るぞ」

 

「まだ中に入ってないじゃないですか」

 

毎度お馴染み、200年先の未来科学を行くドM軽巡、夕張

 

「フッ、そうだぞ同志提督、お楽しみはコレからじゃないか?」

 

GNバズーカみたいなカメラを持つ新メンバー、ビッグ・ロリコン・セブン、性犯罪艦、長門

 

「このグラーフ・ツェッペリン、夜目は利く方でな、動くものは猫の子一匹見逃さんぞ」

 

深夜にバッタリ遭ったら確実に漏らす自信がある薄気味悪い不健康な顔色、夜の眷属艦、グラーフ・ツェッペリン

 

「よし、後はオマエらに任せる」

 

「何を言ってるんだリーダー」

 

「貴様がいなければ意味が無いだろう、リーダー」

 

「そうですよ提督!大丈夫です、この夕張、前回は仕損じましたが今回は違いますよ!」

 

夕張は前回同様、ゴーストをバスターしそうな機械を背負っており、自信満々かつ不敵に微笑んだ、前回の反省から今回は何かを学んだのだろう

 

「この………ドリルでね!」

 

ジャキィーン!!

 

「またかよ!?」

 

コイツ…前回の反省がまったく生かされてねぇ!背中の機械かにょきっと生えたアームからは前回同様、この宇宙に風穴を開ける形をしたドリル!

 

「なんでビーム的なモンとか吸い込む的なモンじゃねぇんだよ!?バカなのか?オマエやっぱバカなんだろ?」

 

「大丈夫です、科学とは即ち愛、愛無き科学は無に等しいと言うコトを教えて差し上げます!」

 

ダメだコイツ…

 

「よし…同志Admiral、同志ナガト、Mellon、突入するぞ」

 

そしてグラーフと長門はさながら歴戦の軍人のように身を低くし、慎重にハラキリ寮の扉を開きハンドシングナルで突入を促していた

 

「GO!GO!GO!」

 

「AHEAD!AHEAD!GO AHEAD!」

 

こうして、俺達は非常灯の心許ない光だけが灯る寮内へとスタイリッシュに侵入した

 

「…何もないな、よし、帰るぞ」

 

「まだ入り口だぞ同志提督、まずは…フッ、睦月型の部屋がある辺りを入念に調べるか?」

 

「待て同志ナガト、このグラーフ・ツェッペリン、経路的には先にアサシオ型エリアの方がいいと思うのだが…」

 

「ふむ…どう思う?リーダー」

 

「リーダーの意見を聞こう」

 

「リーダーじゃねぇよ、あと同志じゃねぇ、テキトーにフラっと見て回って帰る、これだけだ、いいか?仮に何かあっても何も見ないし何も聞こえない」

 

「まぁお待ちください皆さん、こんなコトもあろうかとこの夕張、コレを持ってきました」

 

そう言って夕張がポッケから取り出したのはお馴染みの戦闘力を測る例のアレ的なものを左目に装着してスイッチを入れた

 

ピピピピピピ!

 

「…ふむ、この反応は暁ちゃんですね、心拍数的にどうやらおもらし寸前と言ったところですか」

 

「なんだとォ!?ちょ…な、なぁ夕張、その、それ、ちょっとこのビッグセブンにも貸してくれないだろうか?ちょっとだけ!ちょっとだけでいいから!」ハァハァ

 

「狡いぞ!同志ナガト!Mellon、その……なんだ?可能ならばこのグラーフ・ツェッペリンにも少しだけ使わせて貰いた…」

 

コイツら……っーかその機械はそんなコトまでわかるのか、もしかして、その機械は浜風ちゃんの健康状態もわかるのでは?

 

ピピピピピピ!!

 

「む!」

 

「なんだ?」

 

「この戦霊力……80000!85000!90000!凄いまだ上がる……うっ!」

 

 

ボンッ!!

 

夕張のス●ウターが小さく音を立てて爆発した

 

「…これはかなりの強敵ですね」

 

「オイ!壊れたのか?それは壊れてしまったのか?」

 

「落ち着け同志ナガト、まだ焦る時間ではない」

 

「皆さんこっちです!」

 

夕張がこっちですと先導した先、白露型の部屋があるであろう部屋の付近の廊下に、白い、もやっとしたふわふわしたナニか、なんかよく見たら髪の長い女みたいに見えなくもないようなナニか

 

「いましたよ!」

 

「あー…また出たよ、アレだ?ほら、プラズマ的なアレ、断じて霊的なモノじゃないアレな!」

 

「同志Admiral、怖いのはわかるがとりあえず私の胸を鷲掴みにするのは頂けないな」

 

「ハァ?怖くねーし!!ビビるとかねーし!ちょっと揉みたくなっただけだし!」

 

そう、断じてビビっていない、俺はそーゆーふわふわした感じの非科学的なものは信じない男だからだ

 

「フッ、アレが暁ちゃんを困らせている元凶か、よかろう…このビッグセブンの拳で粉砕してくれる!」

 

ビッグセブンこと長門は猛然と半透明のアレへと突撃し、自慢の右ストレートをそのボディへと叩き込む………がッ!

 

スカッ!(MISS)

 

「な゛!?」

 

効かないッ!物理攻撃無効なのか!?

 

「ぐわあああああああ!!」

 

しかもヤられたッ!?あの屈強なビッグセブンがよくわからん内にヤられ、ケツを突き出したまま前のめりに倒れた

 

「同志ナガト!クッ……どうやらこのグラーフ・ツェッペリンの出番のようだな!」

 

魔界生まれの万能なる支配者、グラーフ・ツェッペリンはその爪を尖らせて猛然と半透明のアレにタックルを仕掛ける

 

スカッ!(MISS)

 

「なんと!?ぐわあああああああ!!」

 

「グラーフゥゥゥ!!」

 

そ…そんなバカな、ビッグセブンだけでなく、あの魔界貴族グラーフまでヤられるとは…グラーフもケツを突き出したまま、前のめりに倒れ伏した

 

「フッ、やはりヤツを倒すには…ドリルしかないようですねっ!」

 

「夕張ッッッ!!」

 

唸りを上げて回転するドリルアーム、夕張はドリルを前面に突き出したまま半透明のアレに向けて走り出した

 

「真っ向勝負!我がドリルを受けてみよーっ!」

 

その、真っ向勝負を仕掛けたバカ2人はさておき、夕張はスレードゲル●ルの如き、最高にイキでイナセなカットインをキメて走っ……

 

ズシャアッ!!

 

「ウボァー!!」

 

「コケたァァァァァ!!!」

 

あの野郎またコケやがったァァァァァ!!なんなのアイツ!?ドジっ娘?コケるのが仕事のドジっ娘メイドかなんかなの!?

 

ぶすっ!!

 

「ンホオォォォォォ!!!ドリル!ドリル様キター!ドリル様奥まで挿入ってくりゅぅぅぅぅ!!」

 

そして、コケた拍子に背中のドリルアームが夕張のア●ルに突き刺さり、夕張の中で新たな宇宙創造のビッグバンが行われていた

 

正直、結局このオチなのはわかっていたが、やはりドン引きせざるをえない絵面と言えよう…

 

「夜中にうるせぇよ!!」

 

「なんなんですか…一体?」

 

「……ねむい」

 

今の騒ぎで何人か起きたらしく、パジャマっ子だったりジャージ族だったりパン1だったりのアホどもが部屋から出てきた

 

「ナニコレ?」

 

「夕張さンじゃン…」

 

「なんなんすか、またプレイですか?」

 

「あっちには長門さんとグラペリンが寝てるけど…」

 

「うわ…ちょっとマジ、引くわ、このプレイは引くわー」

 

いつの間にやら半透明のアイツの姿は無く、残っているのはケツを突き出して倒れた長門とグラーフ、ケツにドリルが刺さった夕張、そして俺……

いかん、また俺にあらぬ誤解がかけられる状況ッ!?

 

「待て待て待て、クソガキども!俺達はアレだ、ユーレーとかそんな感じのアレを退治しに来た勇敢なるゴーストバスターズでだな」

 

「ゴーストバスターズがケツにドリル刺すとかないわー」

 

「引くわ、さすがにこの変態性は引くわ」

 

「目を合わせちゃダメよ!孕まされるわ!」

 

「とりあえずケーサツ電話しよ、ケーサツ」

 

‐‐‐

 

翌日の基地スポ…

 

繰り返された深夜の変態プレイ!問われる駆逐艦寮の安全保障!

 

『あー…またですか 練習巡洋艦K島』

 

『変態か!マジの変態か!? 自称航空巡洋艦S谷』

 

『フーッ~…あのボーイも落ち着かないねぇ、あと、とっととツケ払いな 倶楽部経営者H翔』



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提督と秋雲とラブの大革命

なるほど!で話が進むイヤなテンション回

【登場人物】

提督(99)
陸奥と意外と漫画の趣味が合うらしい

秋雲(3)
アツかりし漫画家、色々と画風が変えれる多芸


「…どうすかね?」

 

軍なんてヤバい仕事はさっさと辞め、週刊少年誌での連載を目指すアツかりし自称漫画家、秋雲…

 

「う~ん、ちょっとパンチが弱いな」

 

秋雲の描いてきた新作、アツかりし本格ベースボール漫画“なんと五十六”不良少年である五十六が五十六ボールを武器に高校野球からプロ、そしてメジャーにまで挑戦する合間にゴルフしたりヒットマンに狙われてケンカしたりするアツい内容の作品だった

 

「そうっすか、今回は自信あったんすけど」

 

「ところで秋雲よ」

 

「なんすか?」

 

「この……背景とかにチョイチョイ描かれてるマツ毛の長いモブキャラはなんだ?」

 

スタンドにいる観客や街中に描かれているキャラクターはどう見ても無駄に濃い作風と合っていない少女漫画の美男美女みたいな絵なんだが…

 

「あ、それ夕雲の姉さんが描いてるんすよ」

 

「夕雲?」

 

「ちなみにトーンは巻雲が貼ってるっす」

 

なるほど、チョイチョイあきらかに緊迫したシーンに合ってない点描トーンとかあったが…なるほど、それで納得がいった、ひょっとしてこれはギャグか何かだろうかと疑っていたが…

 

「って!!ダメだろォ!?アシスタント使い方おかしいだろ!?」

 

「やっぱそうっすか!?いやぁ~…なんとなくそんな気はしてたんすよ、完成した原稿読んでみて………なんか違うなって」

 

「たまに五十六の顔がベルばらみたいな顔になってたのもそのせいか、ギャグの一環かと思ってたぞ」

 

「や、私が寝落ちしてる間に夕雲の姉さんが替わりに描いてくれたらしいんすけどね」

 

ちなみにこの秋雲、以前は一人で描いていたが限界を感じ、最近は夕雲、秋雲、風雲と秋雲組なるチームを結成して漫画を描いているそうだ

 

「とりあえずオマエ、絵だけは上手いんだから今風のキャッチーな絵柄に変えてみろよ」

 

秋雲が好んで描く絵柄は少年ジ●ンプではなく、どちらかと言えば漫画ゴ●ク寄りなので、このままでは連載を勝ち取るのは難しいだろう

 

「まぁ、描けなくはないんすけど……あ、そういや前に話してたラブコメなんすけど、一応ネームだけできたんすよ」

 

「なんだ?一応って」

 

「う~ん、なんか描いてみてなんか違うなって、どうにもそこから先に進まなくて困ってるんすよ」

 

「ふ~ん」

 

秋雲から受け取ったネームをパラパラと読んでみたが、たしかにこれでは弱い気がする

 

「主人公は冴えないボーイか、よし、イケメンに変えよう!」

 

「イケメンっすか!?」

 

「バカヤロウ、冴えないシャバ憎がなんかよくわからんけどモテモテになるなんてのは古いんだよ、今はイケメンだよ、イケメンが無双して好き!抱いて!の時代なんだよ」

 

「なるほど…」

 

「よく考えろ、冴えないシャバ憎だと読者がなんでコイツが?って思うが、イケメンだったらイケメンなら仕方ないって思うし、ヒロインだってイケメンだから仕方ないって股を開くんだよ」

 

「なるほど……たしかに、時代のニーズっすね!」

 

「あとはそうだな……よし、主人公はイケメンで中二病にしよう」

 

「中二病っすか!?それはちょっとどうかと…」

 

「それがいいんだよ!完璧過ぎるイケメンだと読者も飽き飽きしてるからな、ちょっとぐらい残念な要素ってのがある方が好感が持てるだろ?」

 

「な…なるほど」

 

「あとはそうだな……あ、そうだ、イケメンで中二病で姉ちゃん達のせいで女が苦手!コレだな!」

 

「姉ちゃんっすか?」

 

「そうだ、この設定なら女に対して鈍感だったり幻想抱かなかったり自然とできるからな!ちなみに姉ちゃんは1人じゃダメだぞ、複数必要だ」

 

「なんでっすか?」

 

「1人の姉だと主人公に依存するダメなブラコン姉の割合が比較的多い(提督調べ)それ故に、姉は複数居て、主人公に対して柔和だったり横暴だったりと様々な属性で主人公がこの属性への耐性がありますよってコトを読者に説明し易くなる」

 

「なるほど……!たしかにそれなら作中の色々と面倒なコトを解決できそうな気がするっすよ!早速考えるっす!」

 

こうして、俺と秋雲は主人公とその家族構成についてアツく話し合い、大雑把な設定が完成した……

 

「コレっすね…」

 

「あぁ、完璧だぜ」

 

主人公:イケメン、中二病、女が苦手で原因は4人の姉

 

長女:厳しく優しい長女、怒ると怖いクマ!

 

次女:厳しいけど長女より甘い次女ニャ!

 

三女:あんまり厳しくないけど次女より優しくない三女、オレ様属性

 

四女:あんまり優しくないけど長女より甘い四女、三女と仲良し

 

「…完璧っすよ、こりゃジ●ンプの看板確定っすよ」

 

「あぁ、コイツはラブコメ界の大革命……マジのレボリューションになるぜ」

 

この設定と秋雲の超絶美麗画力さえあればイケるだろう、俺達は互いにアツい握手を交わしてこの感動を分かち合っていると、スーパーの袋を持った五月雨が執務室へとやって来た

 

「…お疲れ様です、ん?秋雲さんじゃないですか、珍しい」

 

「お邪魔してます!」

 

「オレンジジュース飲みますか?今買ってきたばかりですから冷えてないですけど…」

 

「いえ!お構いなく!もう帰りますんで!」

 

秋雲は勢い良く立ち上がり、今から原稿を描くんで完成したら持ってきますと言って元気良く去って行った

 

◆◆◆

 

後日………

 

「………コレ、木曾だな」

 

「…えぇ、自分も描いててなんかそんな気がしてたんすけど」

 

完成した原稿を机に置き、俺はファミレスでも行くかと呟き、うなだれたままファミレスへ行った



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続続・提督と作戦終了と…

作戦終了回も3回目、えーが多いヘタレ回

【登場人物】

提督(100)
Mじゃないと言い訳するヘタレ


「えー…今回の作戦海域も無事に完了しました、えー…皆さんも精一杯頑張り、えー…日頃の訓練の成果を出せたものと感じております、えー…提督から皆さんへのお話は以上です」

 

光作戦を終了し、体育館に集まった当基地所属の艦達はキャッキャとハシャぎながら隣の子と楽しくおしゃべりしていた…

 

「さて…ここからは楽しいお給料の時間だァ!!」

 

ざわ…ざわ…

 

台車に載せたジュラルミンケース、その中身こそ現金!金!キャッシュ!唸りをあげる欲望の魔王!

 

「今回、MVPチケットランキング第1位は………潜水艦のお前達だァ!」

 

「ウェーイ!」

 

今回、先発から始まり終盤の要所までキッチリとシメたエリート集団、潜水艦、被弾数・被バケツ数共に1桁、全試合をほぼ完封と言う驚異的な記録を打ち立てた彼女達は文句無く今回のMVPだ

 

「よっしゃー!!焼き肉行くぞォ!焼き肉!」

 

「バーバリー買うか?バーバリー!」

 

「8っちゃんは女騎士団長殺し買おうかな…」

 

「ウシー!ウシー!牛の肉!牛の肉!ヘイ!ロー!牛の肉!ヘイ!」

 

「モーモーさんのお肉ですって!モーモーさんのお肉ですって!」

 

…テンション高けぇなコイツら、まぁいいか

 

「よ~しドンドン行くぞぉ~、名前を呼ばれたらハイ元気ですと大きな返事をするよーに、では第2位、時雨様」

 

‐‐‐

 

「…で最下位、時津風」

 

「グルルルル!!」

 

「痛ッ!?噛んだ!コイツ噛みやがったァァァ!!」

 

無事、お給料の時間は終わり、ここからは作戦完了後恒例のささやかなパーリィーの用意がしてあるので、俺はシメの言葉で括ると集まったバカどもはヒャッハー!水だーと叫びながらテーブルへと走り出した

 

「クソッ!美味めぇ!」

 

「オイ誰だオレのカラアゲ盗ったヤツァ!殺すゾ!」

 

「キヨシ!キヨシ!このケーキなんかウ●コみたいな形!」

 

「すげー!あ、でもコレ知ってる!前に足柄姉さんがデパ地下で買ってたやつ!」

 

「…ちょっとそこのバカガキ、今、私の作ったモン●ランをなんて…?」

 

間宮の麺棒から生と死の狭間で会得できる超神速の奥義が唸りをあげ、バカガキが宙を舞う…

 

さて、俺も適当につまんでさっさと帰るか、とりあえず皿に適当な炭水化物をとり、俺は体育館の隅へと移動した

 

「お疲れ様です」

 

「まったくだ」

 

いつものようにぬらりと現れた五月雨、皿を見るに、どうやら今日は甘味中心で行くらしい

 

「今回も甲→乙→丙と順調にヘタレましたね」

 

「まぁな」

 

実際のところ、途中までは甲→乙→乙とイッており、戦力撃破寸前まではイッていたのだが途中で、よく考えたらコレ、後が苦しいんじゃないのか?別に俺、Mじゃねーしと考え、ヘタレると言う判断になったワケだが…

 

「コレ、昇進に響くよなぁ」

 

「響きますね」

 

ま、仕方ねぇわな…昇進とか勲章とか欲しいものは色々あるが、別に喉から手が出るほど欲しいワケではないし、こうして幸せそうに料理をつまむ浜風ちゃんを見ているだけで俺は満足だ………ん?オイ磯風、ちょっと浜風ちゃんにくっつき過ぎじゃあないのか?オイ!それは揉んでいるんじゃあないのか?

 

「磯風ェ…」ギリッ

 

「なんですか?いきなり」

 

「いや、なんでもない、私はCOOLだよ、そう、COOL」

 

「そうですか…」

 

今日はせっかくのパーリィーだ、多少ハメを外しても笑顔で対応してやるのが大人だろう

たとえキヨシが陛下の御椅子に座ってキャッキャとハシャいでいてもCOOLに対応だ、陛下は御心の深い御方なのでキヨシに天下の大戦艦の見える景色を見せておられるのだろう

 

「あ、そうそう、明日は新人さんの面接ですからビシッとした格好でお願いしますよ」

 

「ビシッとした格好な、ビシッと格好」

 

「ちゃんとクリーニングしたやつ着てくださいよ」

 

「へいへい、オカーサンかテメーは」

 

新人か…前回はいきなり言葉を通じない系のフランス艦が来たが、まさか今回も言葉が通じない系の海外艦とかいないだろうな…




次回は新人登場回
ヘタレた結果で得た新メンバー+1


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続続・提督と新人と面接①

分割2回の新人回、前半戦

【登場人物】

松風
神風型4番艦のキラキラボーイ、メンタルが弱い

藤波
夕雲型11番艦のタフネスボーイ、頭が弱い

高波
夕雲型6番艦のシャイボーイ?長らくウチに居なかった最後の戦士


冬の光キャンペーンみたいな名前の作戦海域も終了し、暦も変わった小春日和の執務室、今日は当基地に加入した新人の面接を行う事になっていた…

 

「僕ァは神風型4番艦!松風とは僕のことさァー!」

 

プッツン少女、神風を頂点とする神風姉妹、その4人目、松風

 

「…いきなり濃い目のがきたなオイ」

 

「えぇ、思った以上に」

 

よく通るハスキーなボイス、そして、まるでタ●ラジェンヌのように一動作がキラキラを撒き散らしている

 

「ヨロシク頼むよ!」

 

「うむ、性能面はボンクラ姉ちゃんども同じく期待はしていないがな」

 

「フゥー!コイツァ手厳しいーッ!」

 

イチイチとイラッとくるな、コイツ

 

「まぁいい、とりあえず下で徹底的に鍛えてやる、わからない事があればキレた姉ちゃんにでも聞いてくれ」

 

「了解したよ」

 

「それと…」

 

「なんだい?」

 

実はコイツを最初に見た時から気になって気になって仕方がない事がある、もしかして目の錯覚だろうかと思ったり、眼鏡の度数が合ってないのではないかと疑ってはみたが…

 

「その帽子、ちょっとサイズが小さ過ぎなんじゃないのか?」

 

「!」

 

いや、だって…小さいよね?それ、そんなのマウチューだって被れないよね?

 

「ちょ…提督!アレ、ファッションですよ!松風さん流の僕カッコいいファッション!」

 

「え!?アレ、ファッションなの?ワザとなの?俺はてっきり朝、慌てて出てきてサイズ間違っちゃったのかなと…」

 

「そんなわけないじゃないですか、正直、私的にもちょっとないわーとか思いますけど、アレがファッションなんですよ」

 

なるほどなぁ、まぁ言われてみたらコイツの姉もバカみたいにデカいリボンつけてたりするしな…オシャレしたい難しい年頃なんだな

 

「…」ブルブル

 

「ほら!松風さん恥ずかしくて泣きそうじゃないですか、謝ってください」

 

「そうかそうか、ファッションか……いやそれはすまなかった、許せ」

 

「なんで上から!?」

 

「う…」ブルブル

 

「う?」

 

「うるせぇバーカ!!死ねよ!」

 

‐‐‐

 

「次の方どうぞ~」

 

神風型の僕っ子ボーイが退室し、次なる面接が始まる…

ちなみに、執務室の外で妹の面接を待っていたらしい長女が泣いて出て来た妹に、怒り狂って俺に殴りかかってきたのがさっきまでの話だ

 

「夕雲型6番艦の高波です」

 

「ふむ…高波クンか」

 

…ん?高波?

 

「高波クン?」

 

「そうかもです」

 

アレ?おかしいな、たしか書類には藤波って名前が書いてたような…っーかなんでコイツ、ラジカセなんか持ってるんだ?ラジカセから喋るCOOLな人か何かか?

 

「あ~…今回は2人1組なんですよ、ほら、高波さんはうちに配属遅れてたからその関係で、同じ夕雲型だし一緒にやっちゃえと思いまして…」

 

「あぁ、そーゆーコト」

 

まぁ、その方がめんどくさくなくていいな

 

「で?高波クンはいいとして、その藤波クンの姿がないようだが?」

 

面接に遅刻するとは新人のくせになかなか調子にノっているじゃないか、これは少し厳しい躾が必要なようだなと考えていたその時、高波クンが持っていたラジカセのスイッチを入れた

 

「…この曲は!?」

 

「知ってるんですか?」

 

「あぁ…この曲は、ある人物、そしてある技を象徴すると言っていいだろう、その曲名こそ!ドラゴン・スー●レックス!」

 

そして、重厚感溢れる執務室の扉を開き、夕雲型駆逐艦、期待のニューフェイスが堂々入場ッッッ!!

 

「夕雲型駆逐艦11番艦!藤波だよーッ!」

 

「藤波ィー……って!小さッ!?俺の知ってる藤波じゃねぇよ!期待させてなんだテメーはァ?」

 

「まぁまぁ、ある部分では似ていると言うコトで!」

 

何がある部分だよコノヤロウ、何も似てねーよ

 

「藤波ちゃんの入場演出に高波を巻き込まないで欲しいかもです」

 

どうやら高波と事前に打ち合わせていたらしく、高波はラジカセを置いて藤波をボカボカと殴っている

 

「さぁ~そんじゃ面接しようか!面接!ナニ見せたらいい?」

 

藤波は高波の片足を両腕でとり、足首を抱えて自らの脇腹で抑えつけ、素早く内側にきりもみ状態で高波の膝を捻った

 

「痛ぁぁぁぁぁぁ!!!痛いかも!痛い…かもッ!!」

 

「ドラゴンス●リュー!!」

 

「やめて!痛い!痛いかも痛いかも!やめてやめてやめて!……やめろって言ってんだろォ!!ブッ殺すぞォ!!」

 

キャラを捨てた高波がマジギレした

 

「悪い悪い、姉ちゃん、ダイジョーブ?」

 

「ハー……ハー……は?オマエ殺すぞマジで?………あ、いえ、かもです」

 

「いや、もういいから、そーゆーキャラ頑張るのはいいから、高波クンも自然なままがきっとキュートじゃないかなと提督思うな、うん」




次回は②
あー…もしかしたらアレですか?これはもう誘ってるってコトでいいんですか?いいんですよね?


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続続・提督と新人と面接②

本日二本立て
新人回の後半戦、新たなる魔界貴族

【登場人物】

伊14
伊号潜水空母、ご覧の通り、元気が良い

伊13
伊号潜水空母、ご覧の通り、エロい


「次の方どうぞー」

 

夕雲型のちょっとアレな新人2人も退室した執務室、とりあえず今から夕雲主催の夕雲型パーリィーに行くらしく、お腹を空かせて去って行った…

 

「…伊13です」

 

「そしてェ!伊14です!」

 

…潜水艦か、しかし、なんかよく似た感じのアレだな?もしかしたらご兄弟か何かだろうか?

 

「ふ~ん、え~…お姉さんが13で妹が14ね、性能面は~…うん、まぁいいんじゃないかな?うちは潜水艦の福利厚生は勿論、無理の無い労働形態のホワイティな職場だから、わかんないコトは優しいセンパイが懇切丁寧にイチから教えてくれるから、以上、下がってよし!」

 

「え゛!?」

 

「ちょ…待てよ!」

 

面接を終了しようとすると、姉…?いや妹だったか?妹みたいなのが立ち上がって待てよとそれを制止してきた

 

「え?ナニ?なんかあんの?」

 

「いやいやいや!終わり…?え…?終了、もっとほら!14達に聞きたいコトとかないの?」

 

「…ないけど?」

 

「いやいやいや!あるでしょ!ほら!なんかほら!あ、ほら、例えば14にムラムラするとかさぁ!」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「あ~………うん、今日面接だし別に普段着で良かったんだが、五月雨クン、彼女達にウィンドブレイカーを」

 

「違ぁぁぁぁう!!いいよ別に!寒くないし!」

 

テンション高けぇなコイツ、なんだ?何が一体気に入らないんだ?

 

「まぁ落ち着きたまえ、伊14クン」

 

「それだよ!14だよ!イヨって呼んでいいんだよ!なんか伊14ってなんか機械的って言うか…」

 

「あ~…なるほどな」

 

言われてみると、俺は8っちゃんさん以外の潜水艦には特に愛称で呼ぶ事もなかったな、そうか…愛称で呼ぶ事を煩わしいと感じ、マシーンとして扱っていたのか…

 

「俺程の男が…なんて度量の小さいッ!」

 

「何が!?」

 

俺は両手を机を叩きつけ、マシーンと扱っていた事に深く反省した

 

「よしわかった、オマエは14だからイヨだな」

 

「そうです!」

 

「そして君は~…13、13か……う~ん、よし、ジュウゾー!ジュウゾーなんてどうだ?」

 

「ジュウゾー!?」

 

「ヒトミだよ!ヒトミって呼んであげてよ!」

 

「ジュウゾー……ジュウゾー……」ポロポロ

 

「ほらぁ!姉貴泣いちゃったじゃん!謝れよ!」

 

「断る」

 

「なんでだよ!?」

 

「ならば聞こう、何故ヒトミなのかね?彼女は13なんだろう?ともすれば愛称はやはりジュウ……いや、イゾーでもアリか?どっちがいいかね?」

 

「…イゾー?……ジュウゾー?」ポロポロ

 

「やめろよォ!姉貴メンタル激弱なんだから!っーか、1がヒトで3がミでいいじゃん!?」

 

「1がヒト、3がミ……なるほど、オマエ頭いいな!」

 

コイツ天才か!なるほどな、その発想はなかった

 

「そうか、いや、イゾーもジュウゾーも嫌ってなら後はフーミンかゲロシャブしか候補がなかったのだよ」

 

「最悪だよッ!!なんだよこのオッサン!もういいよ、姉貴、帰ろーぜ」

 

「…そうだね、それでは、失礼します」

 

妹はバーカと捨て台詞を残し、姉はキチンと一礼して退室した…

 

とりあえず、これで今回の面接はこれで全部か…

 

「お疲れ様です、コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「……」

 

「提督?」

 

「あー……緊張したァ!!」

 

「なんですか?唐突に」

 

五月雨にはわかるまい、この俺の身体を通し出る力が…これほどの緊張を味わったのは久しぶりだったぜ

 

「緊張も何も、いつも通りのクソ提督だったじゃないですか」

 

「クソ提督じゃない、提督だ」

 

「で?何が緊張したんですか?」

 

「…オマエ、あのお姉ちゃんを見て、何も思わなかったのか?」

 

「お姉さん…?13さんですか…?特にも何も、まぁ、可愛い方だな~ぐらいしか」

 

「俺はな………一目見て、勃ったよ」

 

「…はぁ?」

 

「なんなのあの娘?最初っから最後まで、しゃぶりたそーにじっとりこっち見て、誘ってたの?あれ誘ってんだよな?なんなの?サキュバス?サキュバスかなんかなの?魔界出身の上級サキュバスだろォ!?」

 

「…はぁ」

 

「なんだその溜め息はァ!!」

 

あの目はヤバい、舐めるようで、エロくて、扇情的過ぎる、あの目が聞いてくるんだよ…次はどうする?次はナニをヤればいい?次はどんなワクワクすること(性的な意味で)を見せてくれるんだ?ってな…

面接中に絶頂したらマズいと考え、さっさと面接を切り上げようとしたのに妹がプンスカしたせいで余計な淫気を浴びてしまったよ

 

「…まぁいい、ちょっとトイレ行ってくる」

 

「あ、じゃ私、今日はもう帰りますんで」

 

「そうか、ゴクローサン」




次回から通常運転

三人官女っぼい子が出るかもっぽい


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提督と山風とやっぱり奇妙なダンボール

季節グラになってましたが季節グラ要素はゼロ

【登場人物】

提督(101)
大人は言い訳ばかりする、それが大人の特権だよ

山風(8)
改白露型の緑のやつ、ムラムラしない

明石(8)
ゴキゲンな工作艦、提督とは性的ではない大人の関係


速吸クンとのキャッチボールを終え、近所のコンビニで缶コーヒーとカレーパンを買って喫煙所へと向かっていると、改白露型の緑頭が台車を押しながら歩いていた

 

「ナニやってんだ?チビスケェ…」

 

「チビスケゆーな、山風…明石さんにお使い頼まれた、550円で」

 

あの野郎、まったく反省の色が見られんな、しかも駄賃が50円も値上がりしてやがる

 

「ナニ取りに行くんだ?」

 

「…人形?人形が入った、箱」

 

「人形?」

 

「…ひな祭りだから…お店に飾るとか、なんとか…だから、倉庫に取りに行って欲しい、って…」

 

「ふ~ん」

 

今回は意外と普通だな、しかし雛人形か、そんなモンが倉庫にあったんだな…初めて知った

 

「そうか、ガンバレよ」

 

「…暇なら…テイトクも、一緒に…」

 

「お断る」

 

「おことッ!?」

 

「何故なら俺は暇人ではないからな」

 

「…そう」

 

なんか露骨にがっくりしている気がするが、俺は本来子供には厳しい男だ、目が合ったらパンチ、痛いと言ったらパンチ、やめてと言ったらパンチ、終わりなき暴力と恐怖こそが真にあるべき調教なのだ

 

「…じゃあね」

 

チビスケは台車をゴロゴロと押しながら倉庫の方へ歩き出した

 

「……そう言えば、俺も倉庫に用事があったんだったな」

 

「?」

 

「まぁ、別に急ぎの用事でもないんだが、まぁ…後回しにするのもアレだ、俺も倉庫に行くとしよう」

 

「…うん、行こう!」

 

‐‐‐

 

そんなワケで倉庫へとやって来た俺と山風、相変わらずテキトーに積まれたダンボールだな、なんだコレ?弾薬か?

 

「…本がいっぱい入ってる」

 

「その本は君にはまだ早い」

 

「?」

 

「まだ早い」

 

いつの日か、この子も足を踏み外す日が来るのだろうが今はまだ早い、願わくば、あの笑顔がかわいい弥生タンみたく光る棒を六爪みたいに装備してプリズムボーイにキャーキャーしない事を祈るだけだ

 

「提督的にはこっちの本がオススメだぞ、百万回死んだ猫」

 

「…百万回?」

 

「ちなみに俺は猫が嫌いだ」

 

「…嫌いなんだ」

 

そういやコイツ、なんかキモい猫飼ってたな…同室の海風姉ちゃん曰わく、ちゃんと世話をしているらしく、江風がヨーダと呼んでは、江風をフルスイングで殴りつける過激な面もあるらしい

 

「で?どれが雛人形なんだ?」

 

「…さぁ?明石さん、が言ってたのは……ちゃんと、箱に、雛人形って書いてる…って」

 

「ふ~ん」

 

たしかに、いくつかの箱には太いマジックで書いたであろう文字が書かれている、ただ、R18と18禁の文字がやたら多いな

 

「あ、あれ…!」

 

「あ?」

 

「…あれかな?」

 

山風の指差した先、少々高い場所に、たしかにヒナニンギョーと書かれたダンボール箱があった、ただ…ヒナニンギョーの文字の横にR元服と書いてあるのはなんなのだろう?

とりあえず、チビスケでは届かないその箱を手に取り、床へと置いてみた

 

「コレか」

 

「…たぶん」

 

「とりあえず中を確認してみるか」

 

ガムテープを剥がし、中を開けてみると、別段、普通っぽい雛人形セットみたいなのが入っていた

ただ、このお内裏サマだっけか?どことなくなく武蔵に似てる気もするが…

 

「普通だな」

 

「…うん」

 

『オ…オオオォォォ』

 

今、なんか声が聞こえた気がするが…

 

「チビスケ、今、なんか言ったか?」

 

「チビスケゆーな、山風…何も言ってない」

 

『タスケテ…タスケテ…』

 

「いや、やっぱなんか言ったろ?なんかタスケテーとか言ったろ?」

 

「…言ってない」

 

『コッチダヨォ…コッチダヨォ…』

 

よし!まずは落ち着こう、深呼吸だ、そう深呼吸…スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ!クンクン!んはぁ!………よし、落ち着いた!

 

「チビスケェ…」

 

「チビスケゆーな、山風、なに?」

 

「最近の人形は喋るよな、普通、だってほら、ペ●パーくんだって喋るしな」

 

「…たぶん」

 

『オオオォォォ…タスケテ…タスケテ…』

 

ズズズズズズ…ズズズズズズ…

 

なんか人形がひとりでに動いている気がするが、たぶん電池が入っているのだろう

 

「山風」

 

「山風ゆーな、チビスケ……ん?」

 

「逃げるんだよォォォ!!」

 

俺は速やかに山風を抱えて台車に乗せ、初速から最高速でダッシュした

なんなのアレ?なんなのアレ!?超ホラーなんですけどォ!明石の野郎!なんであんなホラー商品扱ってんだァ!

 

『マッテー…マッテー…』

 

『イカナイデ…イカナイデ…』

 

『ツレテイッテ…ツレテイッテ…』

 

「あ゛あああああああ!!!見えない聞こえない見えない聞こえない見えない聞こえないーッ!」

 

ス●ンド!そう!きっと新手のスタ●ド攻撃だ!断じて霊的なモノではない!パワーあるヴィジョン!側に立つ事から俺は幽●紋と名付けたね!

 

「…テイトク!テイトク!前!前!ぶつかるっ!」

 

「うるあぁぁぁぁぁ!!!」

 

◆◆◆

 

みんなの店、アカシメイト…

 

「ありがとーございましたー」

 

入荷したてのDVDを手に、古鷹さんがゴキゲンな様子で去って行く、最近はコレと言ったキラータイトルもないが、やはりイベント先行チケット入りはよく売れる、ゴキゲンな売上だ…

 

「しかし、お使いに出した山風ちゃん遅いなぁ」

 

やはり甘いモンばっか食ってるチビっ子はダメだな、すぐに寄り道する

毎回ではないにしろ、今日はお姉さんもガツンと言ってやらねば…

 

「…ただいま」

 

「あ、山風ちゃんおかえり~遅かったじゃない?お姉さん心配しちゃったよ、ミルクココアでも飲む?」

 

保温器からミルクココアの缶を取り出し、山風ちゃんに渡そうとしたその時…

 

「アアアアカシィィィィィ!!!」

 

「ゲェーッ!提督ーッ!!な、なんですか!?」

 

「なんだオマエアレ!なんだオマエアレ!なんだオマエアレ!」

 

提督は私の両肩を掴んでブンブンと身体を揺らした

 

「ちょ…ちょ!やめて!やめてくださいよ!なんですか一体!?ヤる気ですか!?」

 

「ハー…ハー…」

 

「…明石さん、コレ、頼まれてた人形」

 

「あ、ご苦労様……って!?壊れてるし!ちょ!なんでェ!?」

 

山風ちゃん曰わく、人形に追い回され、逃げ回っていたところ、香取先生に出くわし、香取先生が私の生徒に手を出すなーと言って叩いたら壊れたそうだ

 

「…ごめん、何一つ理解できないんだけど、え?なんで人形が追い回すの?」

 

「知るかァ!!オマエんトコの商品だろーが!」

 

「とりあえず…弁償してくださいよ、ベンショー、高いんですよコレ!」

 

「いくらだ?」

 

「そうですね、まぁ提督とは知らない仲ではありませんし…これからも持ちつ持たれつの良い関係でいたいので、まぁ、コレぐらいで」

 

私は電卓を弾いて提督に数字を見せた

 

「高い」

 

「雛人形舐めないでください」

 

「呪われてた分をサービスしろよ、呪われてた分を」

 

「何が呪いですか、私は呪いとかそーゆーフワフワした類は信じないんです」

 

何が呪いですかバカバカしい、中二病も大概にしとけって言うんですよこのオッサンは…

 

「ほら、こんなにかわいいのに!職人の魂を感じる素晴らしい造形ですよ!」

 

『オオオォォォ…オオオォォォ…』

 

「ん?」

 

今、何か聞こえたような…

 

「アアアアカシィィィィィ!!」ガクガク

 

「なんですか!?ヤる気ですか!先に言っておきますけど、この明石!ケンカつえーですよ!5対1でも勝ったコトあるんですからね!」プンスカ

 

『オオオォォォ…タスケテ…タスケテ…』

 

「ギャアアアアアアアアア!!」ガクガク

 

お、コレ、提督ったらもしかして私にビビってる?ビビってるよねコレ?えへへ~言ってみるもんだなぁ、よ~し!

 

「ヤる気かァー!テメェー!」

 

「ギャアアアアアアアアア!!明石!後ろ!後ろォォォ!!」

 

「…後ろ?」

 

 

←To be continued



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提督と早霜とコールオンミー

提督が持つ謎のスキルが遺憾なく発動した結果の回

【登場人物】

提督(102)
部下とのコミュニケーションを適度に図る大人

早霜
2つのとんでもない正体


自販機で缶コーヒーを買おうと考え、自販機の設置している場所に来ると夕雲型っぽい服を着た駆逐艦が同じく自販機にジュースを買いに来ていた

 

「む、君はたしか…」

 

誰だっけかなコイツ?たしかキヨシと同期ぐらいだったような…待て待て、ちゃんと覚えてるよ俺は、ファミリーの名前を覚えているのは当たり前だ、みんな俺の大事な“家族”だぜ

 

「え~…キタローくん?」

 

「早霜です」ボソボソ

 

「え?ハヤ…ハヤシ?」

 

「早霜です」ボソボソ

 

夕雲型のよくわからないが妙に小柄で前髪の長い奴、早霜、そうそう、そんな名前だったな、勿論知ってたよ?

 

「ここで会ったのも何かの縁だ、提督が奢ってやろう、何がいい?」

 

「では…缶コーヒーで」ボソボソ

 

「缶コーヒーな、缶コーヒー、微糖でいいか?」

 

「無糖で」ボソボソ

 

大抵の駆逐艦のバカガキどもはバカの一つ覚えみたいにオレンジジュースと言うのだが…なんだコイツ?缶コーヒーだけでも珍しいのに、しかも無糖だと?なるほど、小柄な割に大人である事をアピールしたい難しい年頃か…

俺はご所望通りの無糖のボタンを押し、出てきた缶を渡してやった

 

「ありがとうございます」ボソボソ

 

「ん?あぁ、まぁ気にするな」

 

キタローくんはベンチに座ると缶の蓋を空けてチビチビと飲みだしたので、とりあえず俺もそれに習ってベンチに座って飲む事にした

 

「キタローくんはアレかね?最近元気しとるかね?」

 

「えぇ、まぁ…」ボソボソ

 

「そうか、明日は晴れらしいぞ」

 

「そうですか」ボソボソ

 

だ…駄目だァァァァァ!会話が続かねぇぇぇ!!もう最後の手段である天気の話しちゃったよ!もう話題がねぇよ!なんだコイツ!コミュ障か?これがいわゆるコミュ障ってヤツなのか!?

いや、待て待て、落ち着け、まずは落ち着いて素数を数えよう、2…3…5…7、よし!落ち着いた!

 

「キタローくんは~…なんか趣味とかないのかね?」

 

「趣味ですか…?」ボソボソ

 

「そう!趣味!」

 

「趣味かどうかはわかりませんが…漫画は好きですね」ボソボソ

 

「漫画!いいね漫画!提督も漫画好きだよ!ちなみにキタローくんどんな漫画を読むのかね?やっぱり水木し●る?」

 

「…あ、いえ、読む方ではなく描く方で…」ボソボソ

 

「なんとォ!?」

 

意外だな、秋雲以外にも漫画描く趣味が他にもいたのか、しかもこの見るからに暗そうな少女が…う~む、人は見かけに、いや、漫画描くのに暗いも明るいもないか

 

「…読んでみますか?」ボソボソ

 

そう言ってキタローくんはどこからともなく取り出した大判茶封筒から原稿用紙を取り出した

 

「あ、あぁ…是非」

 

このコミュ障女が一体どんな漫画を描いているのかは非常に気になるな

 

パターン①ギャグ漫画

パターン②ホラー漫画

パターン③少女漫画

 

…おそらくはこの内のどれかと提督はみたね!提督的には①にマルをつけたいところだが…

 

‐‐‐

 

俺は缶コーヒーと原稿用紙をベンチの上に置き、一息入れて正直な感想を述べる

 

「……コレ、メチャメチャ面白いんですけど?」

 

「そうですか」ボソボソ

 

絵も話も商業誌でカンバン張っていてもおかしくないレベルだ、躍動感溢れる絵と魅力的なキャラクター、そして次のページが気になってしまう話の構成ッ!コレだよ!今のジ●ンプに必要な天才は!コレに比べたら秋雲の漫画なんぞチンカスじゃねーか!

 

「オマ…オマエすげーな、コレもうプロレベルじゃねーの?」

 

「まぁ…一応、プロですから」ボソボソ

 

「は?」

 

「…一応、団地妻エージという名前で何度か連載を頂きました」ボソボソ

 

「え?マジ?」

 

「マジです」ボソボソ

 

「え…?なんで普通に連載やらないの?」

 

「編集部の方からは軍を辞めてこっち一本でやらないかとは誘われてるんですけど…私、本職は艦娘なので」ボソボソ

 

マジかよコイツ……しかし団地妻エージか、なんかどっかで聞いた名前のような…

 

「まぁ、秋雲が聞いたら怒り狂ってフルネルソンするだろうな」

 

「だと思います」ボソボソ

 

「まぁ、退役したくなったらいつでも言ってくれ、提督的には止めないから」

 

これほどの才能をここで埋もれさせるのはあまりにも酷!今の低迷する漫画界への多大なる損失だろう

 

「提督が居る間は絶対に退役しません」ボソボソ

 

「は?」

 

「いえ…なんでも」ボソボソ

 

「…ま、よくわからんがわかった、これからもボチボチでいいから連載とかしてくれよ?楽しみにしている」

 

「………はい」

 

俺は空き缶をゴミ箱に入れ、キタローくんにじゃあなと言って執務室へと戻った

 

◆◇◆

 

ハァ…ハァ…ハーハー!んんっ!嗚呼!ハァん…緊張したぁ~…提督っ!提督っ!面接以来?出撃以来?提督に話しかけられたぁ!しかもキタ…キタローって!愛称までぇぇ、ハァ…ん、ハァ…ハァ…!提督と!同じ!缶コーヒー!缶コーヒー!買い続けて!提督と同じ味!同じ!提督の味っ!無糖!甘み無しでッ!ハー…ハー…んくぅ!私の漫画、ハァ…ハァ…提督は漫画好きって聞いたから頑張って描いた漫画!好きって!私の漫画好き!私の好き!メチャメチャにしたいって!提督が一枚一枚丁寧に!でも興奮しながら原稿を捲る横顔っ!嗚呼!コーフンしてッ!それで私もコーフンして!ハァ…ハァ…はぁぁぁん!!

 

「キヨシなんにする、アタイはオレンジジュース」

 

「私もー!あ、ハヤシだ、ナニやってんの?」

 

朝霜と清霜か……フッ、相変わらずバカでヒマそうで悩みがなさそう

 

「別に…」ボソボソ

 

「ん?オイ、キヨシ、なんかゴミ箱いっぱいみてーだな、捨てに行くか」

 

「アサシかっけー!マジエコロジー!」

 

「ヘヘッ…よせよ、兵が見てるぜ」



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提督と武蔵と反則合戦

インテリジェンス眼鏡回

【登場人物】

提督(103)
たまにはクリームパン

武蔵(3)
物事大雑把大戦艦、実はクリームパンはあまり好きてはない


前回までのあらすじ

 

神話の時代から誰一人突破した事がない戦艦十二寮に突入した清霜達若き駆逐艦達、最強の大戦艦級達の力に苦戦しながらも清霜と朝霜は第四の部屋へ到達したッ!

 

「ぅぅ…なんだこの薄気味悪い部屋は!」

 

「清霜!足下!いや壁!?」

 

「げ、ゲェーッ!なんだこの部屋はーッ!壁床一面に扶桑さんの写真が張ってあるぞー!」

 

「フフフ…よくここまで来たわね、駆逐艦の小僧如きが」

 

「お、お前はーッ!!」

 

扶桑型の大戦艦、山城ーッ!!

 

「フフフ…この一面を彩る姉様のお姿こそが私の力の象徴、わかる?力こそ正義、正義とは姉様、姉様こそ正義なのよ」

 

「フッ、キヨシ、コイツはアタイに任せて先に行きな!」

 

「し、しかし朝霜!お前1人では!?」

 

「心配すんな、コイツを倒したらアタイすぐに追いかけるさ、さぁ!先に行けキヨシ!」

 

「わ…わかった!死ぬなよ朝霜!」

 

‐‐‐

 

「…と、言うのが前回までのあらすじだったワケだが…」

 

「ねーよ、そんな展開無かったよ、舐めてんのかテメーは」

 

小春日和の執務室、今日は五月雨も休暇をとっており、秘書艦不在のナイスデイの予定だったが、朝、缶コーヒーを買いに行った際に、近代●雀を読みながら暇を持て余していた武蔵がそれならこの武蔵が秘書艦をしてやろう、暇だしな!と言い出したので今日は武蔵が秘書艦を勤めていた

 

「まぁ、特にやることもないんだがな」

 

ちょいちょいイラッとくるが、流石に秘書艦歴の長い五月雨、休暇の前にはコレといった事務仕事を全て片付けている、こーゆー痒いところに手が届くのがイラつくなアイツは

 

「しかし、暇だな」モグモグ

 

「あ、テメー!それ俺のクリームパン!ナニ勝手に食ってんだ!?」

 

「なんだ?食ったら悪かったのか?」

 

特に反省のみられない武蔵はクリームパンを咀嚼しながら冷蔵庫を開け、俺の買い置き缶コーヒーをグビリと飲み干した

 

「…ふぅ」

 

「ふぅ、じゃねーよ!ブッ殺すぞ!とりあえず謝れよ」

 

「うむ、すまなかった」

 

そう言って武蔵は戸棚を開けて俺が買い置きしていた徳用コ●ラのマーチの袋を破り、口にコ●ラを放り込んだ

 

「反省してねぇじゃん!なんなのオマエ!?」

 

「まぁそうカッカするな提督よ、この身体はひどくお腹が空くのだ」

 

何がお腹が空くだコイツ、常にナンか食ってないと死ぬのかオマエは?

 

「しかし提督よ、何かこの武蔵に仕事はないのか?暇なのだが」

 

「そうは言ってもなぁ、事務仕事はだいたい五月雨が片付けてるし…正直、何もない」

 

「そうなのか?ふむ………そうだ!ならこの武蔵と一つゲームでもしないか?」

 

「ゲーム?なんだ?ぷよ●よか?」

 

とてもじゃないがコイツと格ゲーで勝負する気にはなれない、望月さんよりランキングは下と言えど俺の遥か上をいく上位ランカー!その鬼畜の超反応から付いた二つ名は“吹き荒れる木枯らしの武蔵”!

 

「そうだな…次に執務室に入って来た者が男か女かなんてどうだ?」

 

「ほぼ女じゃん、ゲームにならねぇよ」

 

「それもそうか、そうだな…では次に執務室に入って来た者が駆逐艦かそうでないか、と言うのはどうだ?」

 

「駆逐艦かそれ以外か…」

 

なるほど、それならたしかにアリかもしれんな、当基地の比率的には駆逐艦とそうでない艦の割合はほぼ互角ぐらいか?

 

「そして負けた方が昼食を奢る、どうだ?」

 

「…いいだろう、乗った、そのゲーム」

 

「フッ、さすがは提督だ、ではこの武蔵は駆逐艦を選ぶ、異論が無ければ今よりゲーム開始だ」

 

こうして、俺と武蔵の闇のゲームが開始され、武蔵は俺の机の前へとやって来ると机に置いた電話の受話器を手に取った

 

「あぁ清霜か?武蔵だが、そう、武蔵だ、今すぐ執務室に来い、提督がハンバーグを奢ってくれるそうだ」

 

ガチャン!

 

「ふぅ…これでよし」

 

「ふぅ…!じゃねーよ!ナニ普通にキヨシ呼んでんだァ!汚ねーだろ!反則!反則だろォ!?」

 

「反則ではない、異論無くスタートしたからな」

 

「クッ!」

 

武蔵は知的キャラみたく眼鏡をクイッと上げてニヤリと笑う、コイツ!!なるほど…いや、たしかに俺が甘かった、勝負ってモノを甘くみていた

 

「そうだな、勝負の世界にイカサマだの汚いだの…ヤられる方が悪いんだったな」

 

「そう言うコトだ」

 

俺はポケットから携帯電話を取り出し、スタイリッシュにコー…

 

「フンッ!!」

 

武蔵の手刀が俺の携帯電話をまるで卵を割るよう叩き割った

 

「チッ!」

 

「無駄無駄無駄ぁ、貴様はもう詰んでいるのだ、大人しくこの武蔵に昼食を奢るのだ、大盛りをな」

 

「…武蔵、確認するが次に執務室に入って来たヤツだよな?」

 

「その通りだ」

 

「ふむ…」

 

俺は執務室の扉を開け、廊下に出て、再び執務室へと戻った

 

「はい、俺の勝ちな」

 

「は?」

 

「は?じゃねーよ、次に執務室に入った来たヤツだろ?俺は駆逐艦じゃない、俺の勝ちだ」

 

「むっ………!?」

 

「バカが、この俺をハメよーなんざ243年早いわボケ!」

 

そう、これは頭脳のゲーム、より高度な反則をした方が勝ちだ

 

「なるほど…たしかにこの武蔵の負けだな、認めよう」

 

「だがなかなか面白い趣向だったぞ、褒美に清霜のハンバーグは俺が出してやるから自分の分は自分で出せよ」

 

「よかろう」

 

俺達が互いにアツい握手を交わしていると、アホの清霜とリベッチオがハンバーグハンバーグ言いながらやって来たので、俺達は知的に眼鏡をクイッと上げてファミレスへと歩き出した



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足柄と大淀とRB FatalFury

本日二本立て

3月のワイルド足淀回

【登場人物】

足柄(6)
通称、ワイルドウルフ
授業参観には気合入れるタイプ

大淀(5)
足柄と話しているだけでただれた性癖が暴露されている、ある意味の被害者


「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、因縁の宿敵との決着の際、思わず転落する宿敵を助けようとするワイルド漢気は駆逐艦のキッズ達から憧れの対象とされている

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

足柄とはヤンチャな時代を共有するヤンチャメイトらしく、一緒にヤンチャした夜は共に袖をギザギザにして帰った仲

 

「まぁ落ち着けよ足柄ァ…見ろ、キッズ達がビビってジェンガできねーじゃねーかよォ~」

 

たしかに、ここは艦種問わずに誰しも憩いを求めてやって来る部屋、談話室…

キッズ達は足柄のバーンナックルハリケーンを恐れてブルブルと震えていた

 

「フッ、私としたコトが、オマエらァー!コイツでマカロンでも買いなァー!」

 

足柄はVuitt●nの財布から数枚の紙幣を取り出し、スタイリッシュに一番近くにいた雷に投げ渡した

 

「ヒュー!足柄サンオトコマエー!」

 

「さすが足柄サン!咆哮する狼ーッ!」

 

キッズ達は足柄に頭を下げてキャッキャとハシャぎながらマカロン売ってそうな明石の店へと走って行った

 

「…で?今度はナンだ?街コンか?」

 

「あ゛?行ってねーし」

 

大淀はテキトーな椅子に腰を下ろし、机の上に置いてあったゴマ煎餅をくわえてスタイリッシュにパキった

 

「昼間、キヨシとアサシとカスミと動物園行ってよォ~」

 

「だからナンで誘わねーの!?ナンで私だけハブんの!?私ら同じ礼号組じゃね?礼号組鉄の結束なんじゃね?」

 

「だってオマエ寝てたじゃん」

 

「いや…まぁ、寝てましたけど、いや、起こせばよくね?普通起こさね?」

 

「っーかオマエ、バ●ヴ挿したまま寝オチすんなよ、マジ焦ったわ、キヨシとアサシがオマエ呼びに行って大淀にチ●コ生えてるーとか言ってマジ焦ったわ」

 

「あ~……あ~…うん、ごめん」

 

「いや、もう…マジで、ホントマジな、マジ焦ったから、マジどう言い訳すっか考えてとりあえず言い訳したから」

 

「ホント?ホントに?」

 

「あぁ、大淀は大人だから月1回チ●コ生えるって言ったら納得してくれたわ」

 

「それダメじゃん!!それ私が月1でチ●コ生えるって誤解されただけじゃん!?」

 

大淀はあーありえねー死にてーと言いながら頭を抱えて机に突っ伏した

 

「まぁいいじゃねぇか、常時チ●コ生えてるワケじゃないし、月1で」

 

「よくねぇよ!!」

 

大淀は机をバンバン叩いて己の不覚とまるでナイスでない足柄の言い訳に憤るしかなかった

 

「もういいわ…で?動物園行ったんか?」

 

「行ったよ、で、まずゴリラにウ●コ投げられてキヨシ撃沈」

 

「あー…あるある」

 

「で、キヨシ号泣、とりあえずそのままじゃマズいんで売店に行って新しいシャツ買ったワケよ」

 

足柄の選んだ背中に鐘を背負った侠客Tシャツが気に入ったのか、キヨシはすぐに機嫌を直し、アサシとマッハ突きごっこするぐらいにハシャぎ回ったらしい

 

「で、改めて動物園を見て回ってたらペンギンのショーがありますよーって場内アナウンスがあったワケよ」

 

「動物園にペンギンいんの?」

 

「いるよ、ペンギン」

 

「ふ~ん、ペンギンは水族館と思ったわ」

 

「で、キヨシとアサシがペギー見てーペギー見てーって騒ぎまくり」

 

「まぁ、そうなるわな」

 

「カスミも口ではペギーとかぶっさい鳥じゃないとか言ってるけど、さっき売店でペギーのぬいぐるみ見てメッチャ欲しそうにしてたのな」

 

「ツンデレか」

 

「で、どうせ見るのはタダだしペンギンふれあい広場にペギー見に行ったワケよ」

 

「いたの?ペギー」

 

「いたよ、めっちゃ居た、なんかフンバリペンギンとかゆーヤツ」

 

「フンボルトだろ」

 

「あ~…それそれ、それだわ、フンボルト、オマエペギー詳しいじゃん?」

 

「まぁ昔、よくデートで水族館とか行ってたし」

 

「は?ナニそれ?聞いてねーんですけど?オイ大淀ォ、コラ?え?」

 

「言ってねーし、っーかなんでオマエに言わなきゃなんねーだっーの」

 

「ま………昔の話か、今はチ●コ生えてるしな」

 

「生えてねーよ!!足柄ァ!オマエマジで!マジでヤるぞ?ヤっちゃうぞ?」

 

「キャーこわーい」

 

「棒読みやめろ!チッ……で?ペギーのショー見たの?」

 

「見たよ、なんかすげーイライラしたわ」

 

「イライラしたとかゆーなよ」

 

「で、キヨシとアサシは純粋にペギーペギー言って大興奮」

 

「カスミは?ツンツンデレデレのカスミちゃんは?」

 

「ペギーって叫びたいけどめっちゃ我慢して金魚みてーに口パクパクしてたわ」

 

「めっちゃかわいいなオイ!」

 

「ちなみにコレ、写メな、勿論ムービーも撮った」

 

「後でコピーな」

 

「で、ショーが終わってペギーを触れるふれあいタイムってのが始まったのな」

 

「あー…あるある、あるところにはあるわ、私も昔彼氏と水族館行ってキャー可愛いって触ってやってたわ」

 

「チ●コ生える前な」

 

「………足柄ァ、ちょっとオマエ立て、タイマン、タイマンはろーや」

 

「まぁ落ち着け、ハナシはまだ終わってねーよ」

 

「マジで、温厚な私もマジキレたわ、久々に」

 

大淀と足柄は時間にして20秒程メンチを切り合い、大淀は後で殺すと呟いて再び席に座った

 

「で、ペギーペギーってキヨシとアサシが袖引っ張りまくり」

 

「そりゃそうなるわな」

 

「カスミも仕方ないから付き合ってあげるわーとか言ってるけどもう頬緩みっぱなし」

 

「だよなぁ、そうなるわなぁ」

 

「で、ペギーのトコ行ったらペギーがなんか殺気立ってんのな」

 

「なんでだよ!?」

 

「なんか私が近寄ったらありえねーぐらい素早く逃げんの、群で」

 

「群で!?」

 

「あまりに逃げるからキヨシとアサシがめっちゃヘコんでんのな」

 

「カスミは?」

 

「今にも泣きそう」

 

「だよねー、泣くよねー」

 

「で、今日はペギーの虫の居所悪いんだろと思って3人置いて私は自販機にジュース買いに行ったワケよ」

 

「…あ」

 

「何が、あ、だ!まぁ、その…ナニ?察しの通りなんだけど」

 

「ジュース買って戻ってたらなんかペギーが普通にアイツらの周りにウヨウヨいんのな」

 

「まぁ、うん…まぁアレだな、ペギーの眠っていた野生、DNAが狼と言う捕食者の存在に気付いてたんだろーな」

 

「久々にヘコんだわ」

 

「まぁ…うん、仕方ないわ」

 

「まぁ、ガキどもはペギーの羽根触ったり頭叩いたりして超満足したみてーだし、最後に売店に寄って帰ったワケよ」

 

「ペギーのぬいぐるみ買った?」

 

「買ったよ、キヨシとアサシも空気読んでぶっさい鳥のぬいぐるみ欲しいって言って、カスミもお揃いで買うってなら仕方ないわねーって流れで買ったよ、ぬいぐるみ」

 

「仲良いなアイツら、尊いわ」

 

「尊いわ」

 

「…ハナシ終わり?」

 

「終わり」

 

大淀と足柄はお互いに狂暴な笑みを浮かべてユラリと立ち上がり、楽しい談話室から立ち去った



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提督と潜水空母とナイトクラブ18

最近ご無沙汰だったナイトクラブ回
期待のスーパールーキーが早々と登場

【登場人物】

伊14(2)
伊号潜水空母のアホな方、アルコールが好きらしいが、アルコールランプにゴクリと鳴らすポーラほどの末期ではない

伊13(2)
伊号潜水空母のエロな方、少々アレだが妹スキーの姉の鑑


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「今日のオススメは?」

 

「高雄と愛宕」

 

「フゥー!まったくママにはかなわないな!」

 

間違っても、あのゲロマブシスターズはつけないで下さいと頭を下げ、俺はいつものようにテキトーな席に座り、煙草に火を点けた

 

「13です…」

 

「14だよ!」

 

やって来たのは期待の新戦力、伊13と伊14の2人…

いや、早いだろォ!いくらなんでママの店に墜ちてくるの早過ぎだろ?まだマトモに働いてすらねーじゃんコイツら!

 

「14はこっち座るから、姉貴はそっちねー」

 

「わかった…」

 

見るからにアホそうは妹は俺の左隣に、そして見るだけで性的な姉が俺の対面に座った

 

「で?ナニ飲む?何%飲む?」

 

「パーセントじゃねぇよ、とりあえずビールくれ、ビール」

 

「ビールね!ビールってどれかな?姉貴そっちある?」

 

「これじゃないかな…」

 

姉が取り出したいつものオリ●ンビール……いや、オ●オンビールじゃない!ラベルが違うッ!キ●ン!キ●ンビールだッ!バカな…この店にオリ●ンビール以外のビールが存在していると言うのかッ!?

 

「あの……どうぞ」

 

「あ…あぁ、ありがとう」

 

俺の驚愕を余所に、姉はおずおずとグラスに注いだビールを俺に手渡してくれた、しかもこれはッ!

 

「!」

 

冷えてやがるッ!キンキンにッ!!

 

「姉貴、14にもちょーだい」

 

「駄目、今、仕事中で…14ちゃんはお客さんじゃないで…えっと…お客さんに、この場合は提督さんに一杯頂いていいですかって…」

 

「いんだよ!細けェーコトは!なぁ?テイトク!」

 

ビールと言ったらオ●オンビール!しかも、どいつもこいつも微妙に冷えてないガッカリビールを出すママの店でまさかのキンキンに冷えたビールがスムーズに出るとは…っ!

 

「悪魔的美味さだ…っ!」ざわっ…

 

「姉貴、なんか提督の顎とか鼻とか尖ってね?」

 

「そうかな…?」

 

「ま、どうでもいいや、ねー?14も飲んでいいー?ってかボトル入れていいー?」

 

「14ちゃん、いいー?じゃなくて…いいでしょうか、って…それに、まだ接客とか何も…」

 

む、悪魔的一杯に感動を覚えている場合ではなかったな、そう、俺は客だ、とりあえず合法的にコイツを舐め回すように視姦でもするか

 

「ねー?14もう我慢出来ないんだけどー、ねー?」

 

「ねーねーうるせぇよ!」

 

「いいじゃん!ってか、センパイ達から飲み放題って聞いたんですけどー」

 

「そんなワケないだろ」

 

「え゛!?」

 

妹は持っていたお手拭きをボトリと落とし、その顔色が絶望に染まった

 

「ウソ…だろ?」

 

「14ちゃん、飲み放題とかじゃないよ…ママさんのお話、ちゃんと聞いてなかったの?」

 

「え…?だって、19さんはちょっとおっぱい揉ませりゃ好き放題飲んでいいって……あ、そっか!まだ揉んでないからか、テイトク!14のおっぱい揉んでいいよ!」

 

「14ちゃん!?」

 

え!?いいの!と言いたいところだが…俺はCOOL、そうCOOLな男だ

 

「悪いな、俺、バスト88以下に興味無いんだ」

 

「マジで!?」

 

「あぁ、マジだぜ」

 

「クッ!しまった…たしかに14のおっぱいは大してデカくねぇ」

 

「14ちゃん…」ポロポロ…

 

「あ、そーだ!太もも!太ももを撫で回すのもアリって168さんが言ってたよ!前に超イヤらしい手つきで下卑た笑いをしながら撫で回されて吐き気がしそうだったけど渾身の愛想笑いで耐えたって!」

 

え゛!?マジで?そんなにイヤだったの!?提督超ショックなんですけど!

 

「よし…太ももで行こう、よし、14の太ももを這い回るようなイヤらしい手つきで撫で…」

 

「14ちゃん!!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「イヨッ!!」

 

「なんでもっと自分を大事にできないの…?」ポロポロ…

 

「ぶ…ぶったね!」

 

「ぶったよ!」

 

「お…おい、ケンカはよくないぞ、ケンカは、キョーダイは仲良くしないと」

 

「うるさいっ!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「よはねッ!!」

 

「今、14ちゃんと大事な話をしてるんです…ちょっと席を外して頂けますか?」

 

「え…?あ、はい、スイマセンでした」

 

え?俺が席を外すの?俺、客なのに

 

「14ちゃん、ちょっとここに座りなさい、ここに!」

 

13お姉ちゃんは瓶ビールを口をつけて一気に飲み干し、妹に自分の隣に座りなさいとバシバシとソファーを叩いた

 

「お姉ちゃん、14ちゃんがセンパイ達と仲良くするのは良いと思うの、事実センパイ達はみんな気さくで面倒見良くて良い人達だってお姉ちゃんも思うよ?でもね、14ちゃん聞いてる?聞いてるよね?こっち見なさい!……うん、でね、センパイ達は良い人達よ、とても尊敬できるし学ぶところはいっぱいあるよ?それはお姉ちゃんもわかってるし14ちゃんにも学んで欲しい事はいっぱいあるよ?わかってる?聞いてる?うん、聞いてるよね?でね、お姉ちゃんもセンパイ達を見習いたいと思ってるけど、それは全部が全部ってコトじゃないの?センパイ達は良い人達ばかりだけど良い事ばかりだけでもないの、見ていたらちょっと考えさせられる部分があるのね?それはちょっとどうなんだろうってところね、わかる?ほら、58さんとかよく股間のところ掻いたりしながら歩いてたりするでしょ?そういう時あるでしょ?………14ちゃん?スマホ扱わない!今、お姉ちゃんが大事な話してるでしょ!ほらこっち見る!お姉ちゃんの方見なさい!今お姉ちゃんが大事な話してるでしょ!」

 

今、一瞬だが、たしかに妹と目が合った俺は言葉ではなく心で感じた………“タスケテ”と…

そんな妹に、俺は静かに首を横に振り“駄目”と伝える事しかできなかった

 

「つまりね14ちゃん、お姉ちゃんは14ちゃんにこう言いたい訳、お姉ちゃんは14ちゃんの事を憎く思って言っている訳じゃなくて…」

 

よし…カウンター行って飲むか



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提督と夕張と星の天敵

狂気の研究が運命を狂わせる回

【登場人物】

夕張(19)
狂気の紙一重

提督(103)
必殺技は獄門



「新しい装備を開発しました!ハッキリ言って自信作です」

 

執務室で優雅にグリーンティーを飲んでいると、グリーンな制服のヘソチラ軽巡がニコニコと笑いながら入って来た

 

「そうか、死んでくれ」

 

「いきなりィ!?」

 

「出来れば自殺して欲しいんだが、そうだな…五月雨、そこのロッカーにニホントウ・オオワザモノが入ってるから出してくれ」

 

「これですか?」

 

「あぁ、それそれ」

 

俺は五月雨から受け取ったニホントウを抜刀し、その切っ先を夕張に向けた

 

「待ち!ちょ!待ってくださいよ!せめて私の研究成果を見てからにしてくださいよ!」

 

「見なくてもわかる、どうせしょーもないモンだろ?」

 

「ちょ!痛い痛い痛い!ゆっくり刺さってる!ゆっくり刺さってりゅうぅぅぅぅぅ!!」

 

なんで刺されながら感じているんだコイツは…あぁ、Mなんだったな

 

「まぁいい、とりあえず見せてみろ、結果次第ではケツから尖った木に串刺しにして湿地帯に放置してやる」

 

「は…はいっ!」

 

だからなんでちょっと嬉しそうなんだコイツは…真性のMか?もう引き返せない本物のマゾなのか?

 

「では改めまして………今回の発明はこちら!ジ●ノバ細胞です!」

 

「…足がないな」

 

「足なんて飾りです」

 

夕張の取り出したいかにも胡散臭いガラスケースの中にはどう見ても胡散臭い菌がいるらしく、全てにおいて胡散臭かった

 

「とりあえず斬っていいか?」

 

「まぁお待ち下さい、話はまだ終わってないのです、こちらをご覧下さい」

 

何が終わってないのですだ、舐めてんのかコイツは…

夕張はポケットからタブレット端末を取り出して何やら映像を表示して俺に見せる

 

「…キヨシと武蔵だな」

 

「はい!清霜ちゃんには戦艦を超えた究極のパワーが手に入ると説明して魔洸ジュースを飲んで貰いジ●ノバ細胞を注入しました」

 

「だから、ピュアなアホガキを騙すなよ!」

 

「ジュースはいいけど注射はイヤがったので無理矢理しました!」

 

「無理矢理すんなァ!!」

 

俺は夕張の頭を掴んで黒檀の机に勢い良く顔面を叩き付けた

 

「いだぁ!!…ま、まぁ映像を見てくださいよぉ~…今から超生物となった清霜ちゃんが武蔵さんとファイトするんです!」

 

「ア゛ァ?」

 

この時点で夕張の処刑はもう決まっているが、とりあえず俺はタブレットの画面に映る武蔵と清霜を再び見る、っーかコレ、リアルタイム映像なのか

 

『ウォー!謝ってももう許さねーぞォー!』

 

『ハハ、そんなパンチではこの武蔵は倒せんぞ?パンチとは………こうだ!!』

 

『オゴォ!!』

 

笑顔であしらう武蔵の大人気なさすぎスーパーブローが清霜のボディを貫き、清霜は錐揉み状に回転しながら宙を舞って頭から床に激突した

 

「やりすぎだろォ!!」

 

「さすが武蔵さん!手加減とか大雑把なコトはできない雑ぶりィー!」

 

ナニやってんだアイツは…オイ、これ、清霜のヤツ死んだんじゃあ…

 

『ヘッ…ヘヘ、さすがは武蔵さんだ』

 

『ほぉ…今のパンチを受けて立ち上がるか』

 

立ったッ!!清霜はあの超絶悶絶ダイナミックボディブローをその身に受けて立ち上がった!しかしッ!

 

『キヨォォォ!!』

 

『むっ!?』

 

清霜は奇声を上げ、その身体がなにやら巨大に!禍々しく!っーか気持ち悪く変化してゆく

 

「キモっ!!」

 

「これこそ新しい進化の形!ヘレティック・キヨシ!」

 

「キモいわッ!オイ!アレ元に戻れるんだろーな!?あんな清霜、夕雲が見たら泣くぞォ!」

 

っーか、夕雲じゃないでも泣くレベルだぞアレ、問答無用で射殺されるモンスターだよ

 

『オラァ!!』

 

『オゴォ!!』

 

武蔵のスーパーブローがヘレティック・キヨシの腹を貫き、ヘレティック・キヨシは再び錐揉み状に回転しながら宙を舞って頭から床に激突した

 

「弱っ!!ヘレティック・キヨシ弱いぞ!なんだアレ!?」

 

見た目の凶悪クリーチャーに反して、ヘレティック・キヨシは武蔵の一撃で沈み、その場でピクピクとしていた

 

「アレー?おかしいですね、もうちょいヤれるかと思ったんですけど」

 

「何がおかしいだよ!清霜、クリーチャーに成り損じゃねーか!見た目に反して弱過ぎるだろ!哀れ過ぎるだろ!」

 

「む…お待ちください!今、ヘレティック・キヨシが最後の進化を遂げる時が来たみたいです!」

 

「あ゛?」

 

タブレット端末の映像、瀕死っぽくピクピクしていたヘレティック・キヨシが輝き、更にその姿を変化させた

 

『むっ…』

 

『フシュュュ、初めてですよ武蔵さん…この清霜を完全体にさせたのは…』

 

さっきまでとは打って変わったスタイリッシュ、無駄の無い洗練された?デザインとなった清霜…うん、まぁスタイリッシュと言っても普通にキモいの変わらんが

 

「遂に…遂に進化しやがった!極限生命体にッ!終わりだ……この星はもう!」ガタガタ

 

「何が極限生命体だ」

 

夕張は戦闘民族のバカ王子みたいな顔をして映像を食い入るように凝視する、たしかに、禍々しい肥大化から一転しての凝縮された小型化は変身のテンプレだと思うが…

あの夕張がここまで怯えるぐらいだ、極限生命体キヨシは相当ヤバいモンスターなのでは…

 

『オラァ!!』

 

『オゴォ!!』

 

三度炸裂した武蔵のスーパーブローが極限生命体キヨシNAの腹を貫き、錐揉み状に回転しながら宙を舞って頭から床に激突した

 

「弱っ!!」

 

「アレー?」

 

「何が極限生命体だ!フツーに雑魚じゃねぇか、フツーにワンパンチ完了じゃねーか!?」

 

「おかしいですね、私のデータではもうちょい頑張れるハズだったんですが…」

 

極限生命体キヨシNAはピクピクとしていたが、やがて動かなくなった

 

『なんだ清霜、だらしないぞ?そんなコトでは戦艦までの道はまだまだ遠いぞ?ハッハッハ』

 

っーか武蔵、お前清霜の変化をスルーし過ぎだろ、物事大雑把過ぎるだろ

 

「…夕張」

 

「はいっ!四つん這いですか?壁に手をつきましょうか?」ニコッ

 

 

後日、なんやかんやあって清霜は元のアホな清霜にも戻った

あと、夕張は重りを付けて湿地帯に放置し、デカい蛇に追いかけ回されたそうだ




おまけ

ヘレティック・キヨシ
超キモい、本体・右腕・左腕で構成されており、倒すと変身する、超キモく、超弱い

極限生命体キヨシNA
キモい、最終形態に相応しいパワーはまるでなく、やっぱり超弱い


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提督と鈴谷と秘書艦業

本日二本立て
この春、鈴谷がセカンドステージに進化するとの報せが…

【登場人物】

提督(104)
ビッチに厳しいバッドガイ

鈴谷(35)
なんやかんや二週間ぶり、高いヒロイン力を持つ事故物件

熊野(14)
鈴谷が戦慄する驚異の不良物件


爽やかな朝、小鳥さんオハヨウと挨拶をし、快便を済ませて今日はきっとナイスデイになるだろう思いつつ執務室に行くと、朝から鈴谷が人の机でナニかしていた…

 

「ナニしてんの?オマエ、角●ナか?」

 

「ちげーし!見てわかんない?机を拭いてるんですけどー?」

 

「ふ~ん」

 

「ふ~ん…って、それだけ?」

 

俺は執務机には向かわず、来客用の椅子に座って基地スポを読む事にした

 

「俺の頼れるライトハンド、サミダリューンは?遅刻か?」

 

「サミーなら今日は休みだよ」

 

「は?聞いてないんですけど?」

 

「そりゃそーよ!だって朝イチで代わって貰ったからね!」

 

鈴谷曰わく、朝、食堂で丁度五月雨と会い、目玉焼きあげるから今日の秘書艦代わってよと頼んだらアッサリと代わってくれ、さらには貰ってばかりでは悪いからとピーマンまで進呈してくれたそうだ

 

「とゆーワケで、今日は鈴谷が秘書艦です」

 

「チェンジで」

 

「チェンジとかゆーな!キャ●クラか!?」

 

「やかましい、ったく…勝手なコトしやがって、今日は俺の番からで一生懸命考えてきたのに」

 

「ナニよ?俺の番って…?」

 

「将棋だ」

 

「…は?」

 

「は?じゃねーよ、将棋だよバカヤロウ」

 

作戦海域も終わって特にやる事も無く、ここ最近、俺と五月雨は執務室でアツい将棋カツドウに興じており、昨日は業務時間内に終わらなかったので盤面をそのままにしておいたのだ

 

「仕事しろよ!提督業!」

 

「してますぅ、最低限はしてますぅ~」

 

「クッ!腹立つわ……でもまぁ、言われてみるとここに遊びに来た時ってだいたいサミーのヤツ、クロスワードパズルしてる気が…」

 

「まぁいい、対局は明日に持ち越しだな、せっかく素晴らしい手を考えて来たのに」

 

「あ、そうそう、そう言やサミーからナンかメモ紙みたいなの預かったっけ…」

 

鈴谷はポケットから電話の横のメモ用紙みたいな紙を取り出した

 

「ん~…たぶんコレ、将棋のコトじゃないかな?ここに兵とかなんとか書いてるし」

 

「なんだ?アイツそんなモン用意してたのか」

 

相変わらず変に痒いところに手が届くムカつく野郎だな…それならと考え、俺は昨日のそのまま盤面を取り出した

 

「喰らえ!神の一手を!」

 

「え~っと…はい」

 

「む………チッ」

 

「え〜…こっちに金?金だっけ、はい」

 

「むっ!?」

 

な…なんだ?俺が昨日一晩一生懸命考えた手がたった二手で抹殺された…?あ…ありえない

 

「…チッ」

 

「じゃ、こっちで」

 

「鈴谷、ちょっとその紙見せろ」

 

「え?」

 

俺は鈴谷からメモ紙を奪い取って内容を確認する、その内容は…今日最初の手から十三手目に俺が投了するまでの手がスラスラと書かれてマース……マース

 

「オーマイガ!オーマイガァァァ!!」

 

「え?ナニ!?なんなのォ!?」

 

…引退しよう、今日限りで

 

‐‐‐

 

午後、刺激的な敗戦のショックから立ち直った俺は執務机の上に足を置いて今週のジ●ンプを読んでいた

 

「おい五月雨、コーヒーくれ、冷蔵庫の」

 

「サミーじゃねーし」

 

…そういやそうだったな、結局のところ、特に秘書艦業務の無い鈴谷は午前中、執務室の掃除をしていたのだが、高いところを掃除する時にいちいちパンツ見せてきたのは何かの嫌がらせかナニかだろうか?

 

「ねー!暇なんですけどー」

 

「ふ~ん」

 

「ふ~ん、じゃねーし!」

 

「暇ならその辺でスクワットでもしていろ」

 

「誰がするか!バーカ、そもそもなんでスクワット?あ、アレですか?鈴谷にスクワットさせて上下に揺れる鈴谷のオパーイガン見する気でしょ!?」

 

「誰がするか、オマエのビッチパイ見るぐらいならチョコ●イ食いながら3DOでスー●ーパイでもするわ」

 

「ハァ!?ちょっと聞き捨てならねーんですけど!っーかビッチパイってナニ?ビッチじゃねーし」

 

「うるさいヤツだな、今、巻末コメント読んでるんだから静かにしろ」

 

「鈴谷の意見は巻末コメント以下か!」

 

うるさいヤツだな、もう面倒くせぇから邪眼でもかけて追い払った方が良い気がしてきた、そんな事を考えていると、重厚なブ厚い扉をノックする音が聞こえてきた

 

ゴン!ゴン!

 

「はいってまーす」

 

「トイレかッ!ったく…はいはいどーぞ、今日は鈴谷が秘書艦様ですよぉ~」

 

扉を開けて入って来たのは鈴谷とよく似た制服の妹、プッツン航巡熊野

 

「あら?鈴谷、珍しく朝から居ないと思ったらこんなところで遊んでましたの」

 

「遊びじゃねーし、仕事だし、で?ナンの用?今日の秘書艦鈴谷様がまず用件を聞いてやるし」

 

「アナタではハナシになりませんわ」

 

「なんだとー!!ば…バカにして!」

 

「提督、今週末ですけど何時にどこに集合ですの?」

 

「あ~…まぁ9時ぐらいに正門でいいんじゃねぇの?」

 

「9時ですわね」

 

熊野はアニマル柄のスケジュール帳に時間を書き込む、アナログではあるがそこら辺は実に感心だ

 

「ちょ…ちょ待てよ!」

 

「なんですの?」

 

「え…?ナニ?熊野、週末提督とどっか行くの?」

 

「えぇ、街におデートに」

 

「おデートォォォォォ!!!?」

 

鈴谷はあまりの驚愕に膝を折り、その場に崩れ落ちた

 

「はぁ…冗談ですわ、小粋なクマノジョークですわよ」

 

「あ……ジョーク、ジョークね、小粋なクマノジョークね、あー…ビックリした、マジ心臓止まるかと思ったわ」

 

何故そこまでビビる必要があるのだろう、相変わらずコイツの思考回路は理解に苦しむ

 

「ちょっと街に映画を見に行ってお洒落なお店でお買い物してお食事してくるだけですわ」

 

「あー…なるほどねー映画見て買い物して食事するだけねー………って!!そーゆーのをおデートって言うんだよォ!!」

 

再起動した鈴谷は熊野に吼えた後、ズカズカと歩いて来て俺に掴みかかった

 

「どーゆーコトですかぁ!?えぇ!?ナニ?どーゆーコトォ!?」

 

「顔が近い、顔が!あとビッチ臭い」

 

「ビッチじゃねーし!臭くねーし!説明!鈴谷に納得いく説明をお願いします!」

 

「なんでオマエの納得がいるんだよ、単に週末暇だから遊びに行くだけだろーが」

 

「なるほど…」

 

「納得したか?」

 

「したよ、納得」

 

「わかってくれて嬉しいよ」

 

鈴谷は俺の胸ぐらから手を離して納得するように何度か首を縦に振った

 

「って!!わかるかボケェ!!1mmも納得できるかーッ!!」

 

「お…おぅ!」

 

「え?ナニ?テイトクと熊野はおデートする仲なの?鈴谷が知らないだけでステディな仲なの!?」

 

「単に仲良しなだけですわ、もちろんセ●クスはしておりません」

 

「あぁ、してないな」

 

「…え?ナニ?コレ鈴谷どう解釈したらいいの?熊野がおバカなの?テイトクが不能なの?」

 

鈴谷は片手で額を抑えてフラフラと机から離れた

 

「誰が不能だ」

 

「誰がおバカですか」



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提督と夕村とアイツ

馴染んできたアイツの回

【登場人物】

夕立(4)
白露型の野性的エース、それでも勝つのはユウダチや!でなんとかなる

村雨(5)
白露型の巨大な破壊神、言動がいちいちいやらしい悩まし系

春雨・偽
日本語も上達し、最近では俗っぽいものにだいぶ染まってきた

春雨・真(5)
深海語も上達し、最近では深海一個大隊を任せてもいいんじゃないかと中枢クンから信頼されている


俺のベストプレイス、喫煙所で煙草を吸いながら缶コーヒーを飲んでいると、白露型きってのバカコンビが菓子パンを食ってゲラゲラ笑いながら歩いていた

 

「このクリームデニッシュ、メチャ美味っぽい」

 

「マジでー?村雨にも一口頂戴」

 

「は?やらねーし」

 

「…あ?ゴチャゴチャ言ってねーでよこせよ、ケツの穴にエアーサ●ンパス吹き付けるぞ」

 

ナニやってるんだアイツらは…白露型はだいたい問題児だが、その中でも頭一つ抜けた問題児、夕立と村雨は廊下でアンアンとメンチを切り合っていた

 

「ナニやってんだオマエらは」

 

「あ、テイトクっぽい」

 

「あ、ホントだぁ~…うわ、煙草クサっ!ちょっとこっち来ないで貰えますぅ?」

 

「……」

 

俺は紙煙草の煙をミリミリと吸い込み、健康に害を与えるホワイトランチャーとして村雨に吹き付けた

 

「ブホォ!!ちょ!…マジ!ナニ?最悪!最悪なんですけどぉ!」

 

「ギャハハハハハ!!マジウケるっぽい!マジウケるっぽい、って!ブホォ!!ゲホッ!ちょ…テイトク、夕立にも被害が出てる…っ!夕立の健康が殺されてるっぽい!」

 

「フーッ~…」

 

「フーッじゃないし、マジありえないわ、このおっさん」

 

「おっさんじゃない、提督だ」

 

しかし相変わらず乳デケぇなコイツ、ナニ食ったらこんないやらしい身体になるんだろうな…

 

「…そういやオマエら、妹はどーした?妹は?」

 

「妹?」

 

「妹と言われてもいっぱい居るからわからないっぽい」

 

「夕立の妹で五月雨の姉」

 

「春雨?あ~春雨なら部屋で漫画読んでるかオ●ニーでもしてるんじゃない?」

 

「最近古鷹さんからキン●ダム借りてきたっぽい」

 

「ふ~ん、っーか村雨、女の子が平然とオ●ニーとか言うんじゃないよ」

 

そうか、部屋で漫画読んでるかオ●ニーしてるのか…春雨、いや……春雨じゃないけど

 

「オマエら、最近の春雨を見て何か思うところはないか?」

 

「思うところ?」

 

「ん~…あ、嫌いだったシイタケをムシャムシャ食べてるっぽい」

 

「オ●ニーの回数が減ったぐらいかな?」

 

「あー、それはあるっぽい」

 

「だから、女の子がそーゆーコト平然と言うんじゃないよこの淫乱ビッチ候補生が」

 

っーか、清純派みたいな顔してどんだけ盛ってたんだあのピンクは、姉どもにヴァレヴァレじゃねーか

 

「そんなに春雨が気になるなら見に来たらいいっぽい」

 

「そうね、あ、ゲームしよ!ゲーム、ボ●バーマン」

 

‐‐‐

 

駆逐艦寮、ハラキリ寮…

 

「ゲッ!テイトク!」

 

「よぉ」

 

春雨(偽)はベッドに転がってポテチを食いながら古鷹さんから借りたキン●ダムを読んでいた…コイツ、どんだけウチに馴染んでんだよ、誇り高き深海の戦士のプライドの欠片も見えねぇよ

 

「な…なんスか?」

 

「なんすかじゃねーよ、ベッドでポテチ食ってんじゃねーよ、どんだけ怠惰なんだテメーは」

 

「春雨ェ!ボ●バーマンしよーぜ!ボン●ーマン!」

 

「負けたヤツが一枚づつ脱いでいくルールっぽい!」

 

「えー…マジダルいんスけどぉ~、っーかキ●グダム読んでるから三人でやればぁ~?」

 

春雨(偽)はダルそうにベッドにそっぽ向いた

 

「あっ、そ…じゃ春雨不戦敗ね、まず一枚」

 

「まずパンツ脱がすっぽい」

 

「ハァ!?誰が脱ぐかっ…て!ちょ!やめ!やめて!」

 

「暴れんなっぽい!提督!そっち抑えるっぽい!」

 

「あんまゴチャゴチャ言ってるとパンツ口に突っ込んで股間にデュア●ショックONにするけどぉ?」

 

鬼畜かッ!なんだこの姉妹!?

 

「チッ!わーかったよ!やりまスよ!やればいいんでシょ、やれば…」

 

「わかればいいのよ、わかれば」

 

「姉に逆らうとか時雨様でも許さないっぽい」

 

◆◆◆

 

深海秘密基地…

 

「アー!マタ殺ラレター!」

 

「クソ!ヤッパ集チャンツエー」

 

「オレ知ッテル、集チャンミタイナノくそげーまーッテ言ウンダヨ」

 

「誰ガくそげーまーヤ!」

 

集ちゃんこと集積地棲姫の部屋に集まった誇り高き深海の戦士達、集積地棲姫が海で拾ってきたゲームは大変面白く、深海メイト達の心を鷲掴みにしていた

 

「ッーカ乱入スンナ!ヤットぼすマデ来タノニ…」

 

「オ、ぼす初メテ見タ!」

 

「オレ知ッテル、コイツ牧師ッテヤツ」

 

「フッ、コノ深海ゲーマーSYUニ倒セネーヤツハイネーゼー!」

 

『ここですか?ここですか?ここですか?ここですか?』

 

「アレ…?チョ!待テヨ!エ?ナニ?チョ!ヤバ…!ナニコイツ!?」

 

『お別れです!』

 

『このままでは終わらんぞぉー…終わらんぞぉーぞぉー』

 

無敵を誇った集積地がなす術もなくヤられた

 

「………ナンダコレェ!!勝テルカァァァァ!!!」

 

「ウ…嘘ダロ、アノ集チャンガ手モ足モ出ナイナンテ…」

 

「マジカヨ…」

 

初めて見る脅威の超反応に戦慄する深海の戦士達、そこへ、深海アップルパイを持った春雨(真)がやって来た

 

「皆さんでも深海アップルパイでも如何ですか~……って、あれ?どうしたんです?」

 

「イヤ、アノ集チャンガボコボコニサレテサァ」

 

「マジヤベーヨ」

 

「あ~…強いんですよね、その人、あ、でも私、前に大淀さんだったか望月さんだったかがパーフェクトで勝ってるの見たコトありますよ」

 

「ハアァ!?」

 

「マジデェ!?」

 

「え…えぇ、なんかパターンがどうとか聞きましたけど、まぁ、あの人達は基本的に頭がおかしいんですよ」

 

「ヤベーヨ、ヤベーヨヒューマン、マジヤベー」



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提督と改白露型と資格講座

緑とBがいない改白露型回

【登場人物】

提督(105)
暇つぶしでなんとなく読む人

海風(9)
改白露型のラノベヒロインみたいな方、妹を優先する姉の鑑

江風(9)
改白露型のヤンチャボーイみたいな方、犬を描いたらドラゴンと言われた


特にやる事の無い小春日和の午後、自販機で缶コーヒーを買い、誰かがベンチに放置したらしい資格講座の冊子を読んでいると改白露型の白いのと赤いのが俺と同じく自販機に潤いを求めてやって来た

 

「お、テイトクじゃねーすか?チーッス………じゃない、こンにちは」

 

「こんにちは」

 

そろそろ姉ちゃんからぶたれる事を学んだのか、江風は姉ちゃんから修正を受ける前に訂正した、改白露型の闇は深い…

 

「ナニ読ンでンすか?……じゃない、読ンでいるンですか?」

 

「これか?資格講座の冊子だ」

 

「資格?テイトク資格取るンす……取るンですか?」

 

江風は興味津々と言った様子で食いついてきた

 

「まぁ、俺も微妙な資格は持ってるがコレってのがないしなぁ」

 

「マー●ーライセンスがあるじゃないすか?」

 

「あるにはあるが微妙なんだよなぁ」

 

江風はマーダーライ●ンスに心惹かれるアホな年頃らしく、どうにか美少女姉ちゃんこと海風に黙って秘密裏に取得したいらしいが現在のところそれは叶っていない

 

「ダメよ江風、お姉ちゃんそんな免許取るの許しませんからね」

 

「わ、わかってるよ…」

 

「まぁ、普通は持ってても案外使えないぞ、職業として使いたいならやっぱ大型だしな」

 

「マーダーラ●センスに大型とかあるンすか!?」

 

「あるよ、大型、戦闘力53万以上は大型」

 

「へ、ヘェ~…」

 

「ダメよ、絶対許しませんからね」

 

美少女姉ちゃんに釘を刺されたものの、江風は物凄く興味を持ったらしく、耳みたいに尖った寝癖みたいな横ッパネが上下に動いていた

 

---

 

オレンジジュースを買った2人は俺と同じくベンチに座り、海風がその冊子を見せて貰っていいですかと尋ねてきたので俺は海風に冊子を手渡した

 

「テイトクはナンか新しい免許とか取らねーンすか?」

 

「そうだなぁ~…昔は一級フラグ建築士が欲しくて何回か受けたが全敗したんだよなぁ~、アレ以来は特に資格試験受けてねぇし」

 

「一級フラグ建築士ッ!?え…?一級フラグ建築士って……え?アレ、免許いるンすか?」

 

「いるよ、国家資格だよ」

 

「国家資格ぅ!?」

 

一級フラグ建築士所持者だとギャルゲエロゲラノベ主人公はかなり採用有利になるんだよなぁ、その分、倍率も高いし試験も難関だが…

 

「ヘェ~…知らなかった」

 

「江風、コレなんてどう?ボールペン字講座、江風字が汚いからピッタリよ」

 

「やだよそンなの、ってか、それ資格じゃねーし」

 

「今なら万年筆1本と洗剤がついてるって!ほら!」

 

「やらねーし!姉ちゃンがやったらいいじゃン!」

 

「そう…江風にピッタリだと思うのに、あ、じゃコレはどう?フラワーアレンジメント!花を扱う事で心が豊かになるなんて江風にピッタリ…」

 

「やらねーし!テイトク、ナンかもっとスゲー免許とかないの?もっとこう…ほら!胸がカーッてなるヤツ!」

 

「カーッとなるねぇ……あ~そういや、俺の学生ん時のダチがマーダーライ●ンスと併用するって医死免許取ってたな」

 

「一番併用しちゃダメじゃねーっすか!マーダーラ●センスと医師免許って!?」

 

「アイツは腕も良いからな、侵殺はかなり評判が高い」

 

「診察の評判が良くてもダメじゃねーっすか!?どんなドクターっすか!?」

 

どうも認識に齟齬が生じている気がするが…まぁいいや

 

「そうだなぁ…あ、アレなんかどうだ?アレ」

 

「アレってナンすか?」

 

「ゲ●ター線取扱者」

 

「ゲ●ター線ッ!?え!?アレ資格いるンすか!ァ?」

 

「いるよ、国家資格が」

 

「っーかマジであるンすか?ゲ●ター線」

 

「あるよ、ゲ●ター線取扱者持ってると就職超有利だぞ、研究所待ったなしだからな」

 

「へ、ヘェ~…」

 

ちなみに、研究所で働いているともれなく最近の身体の調子が良くなったり若返った気がしたり人の考える事がわかった気がしたりするそうだ、GETTERの闇は深い…

 

「ちょっと興味あるかもっすね…」

 

「だろぉ?」

 

「江風、コレなんかどう?油絵入門!今なら油絵セット一式と洗剤がついてるって!」

 

美少女姉ちゃんは三度冊子のページを見開き妹にズズいっと詰め寄った、ってか、どんだけ洗剤ついてんだよ

 

「やだよそンなの、っーか資格じゃねーじゃン!」

 

「そう…江風、字だけじゃなくて絵も下手だからお姉ちゃんとしてはコレがいいかなって…」

 

「下手じゃねーし!鹿島センセはちょっと個性的って言ってたし!」



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提督とイタリア艦とdue

衝撃のdue現る!の回

【登場人物】

提督(106)
何気によく脱ぐ脱衣系

Italia(4)
イタリア系良心

Roma(3)
イタリア系悪魔

Aquila(3)
イタリア系ガッカリ性能

Libeccio(4)
イタリア系合法駆逐艦

Zara(4)
イタリア系姉様、妹にビンタする姉の鑑

Pola(6)
イタリア系アルコールモンスター、意外と嫉妬深い


速吸クンとの劇空間パワフルキャッチボールを終え、シャワーで汗を流しながら新しいオモチャも手に入ったし、そろそろと狩るかと考え、まずはこの飢えた腹を満たそうと間宮の店へとやって来ると、陽気なイタリアンファミリーがゲラゲラと笑いながらアツアツのピッツアを喰らいながらフィーバーしていた

 

「ナニやってんだ?オマエら」

 

「あ、テイトク」

 

イタリア系戦艦イタリア、ちょっと前はリットリオとかそんな感じの名前だったがいつの間にか改名していたイタリアンファミリーの良心、男受けするドスケベエロボディだが妹曰わくVergineらしい

 

「私は辛いのは苦手なんですよねぇ…ホント、うん、苦手なんですよ、ホントに」

 

辛いのは苦手と言いながら少々ピリ辛なパスタを食べる手が止まっていないイタリア系空母、アクィラ、ショボい性能だがドスケベエロボディ

 

「え~っと…ろくご30だから、え~っと…あ!リベわかった!28!ヘヘ~どう?当たってる?」

 

香取先生から渡されたバカ専用たのしい算数ドリルをテーブルに広げ、目の前のご馳走を食べる前に宿題に勤しんでいるのはイタリア系合法駆逐艦リベッチオ、当基地ではキヨシと並ぶ本物のバカだが、潜水艦を狩る天性の才能を秘めているらしく、天下の大軽巡、五十鈴さんから大変可愛がられているガッカリボディ

 

「…このロリペドがァッ!私を舐めてるの?え?何回教えたら理解できるのよ?ア゛ァ?ろくご30って計算してなんで30より減るのよ!この……クサレ脳ミソがァーーーッ!」

 

ドグシャアッ!!

 

そして、リベッチオの頭をメシメシ掴みテーブルに叩きつけているのがイタリア系武闘派戦艦、ローマ、口と目ツキと性格が悪い魔女みたいなヤツだがドスケベエロボディ

 

「グヘァ!!!」

 

「おいおい、やりすぎだろ!」

 

「あらテイトク、何か用?」

 

「何か用じゃない、せめてビンタくらいにしとけよ」

 

「あら?意外と優しいのね、そうね…少し興奮してしまったわ」

 

「わかってくれて嬉しいよ」

 

ローマは知的に眼鏡をクイッと上げて痛い痛いと唸るリベッチオを膝の上に乗せた

 

「じゃ、お尻を叩きましょう」

 

「ヒィ!!やだやだぁ!!」

 

「リベッチオ、恨むなら提督を恨みなさい、幼女が尻を叩かれている様を見る事に快感を覚える嗜虐的な嗜好の提督が全て悪いから」

 

「テキトーなコトゆーな!!ってか、なんで俺に罪をなすりつけてるんだよ!悪魔かッ!?」

 

コイツは魔女なんて可愛いモンじゃない、まさに悪魔ッ!ディアブロだよコイツは…

 

「冗談よ」

 

「いや、お前の顔は冗談ではなかった」

 

「冗談よ、さぁリベッチオ、もう宿題はいいわ、後で姉さんにやらせるから、先にピッツアを食べなさい、冷めてしまうわ」

 

「わーい!」

 

さっきまで恐怖の表情で震えていたリベッチオはハジける笑顔でアツアツのピッツアにかぶりつきウメーウメーと口に放り込む、もしかしてこの子はバカなんじゃないだろうか?

 

「ねぇローマ、今、なんか変なコト言わなかった?」

 

「言ってないけど?」

 

「宿題がどうとか…」

 

「言ってないけど?」

 

「そう…そうなんだ」

 

イタリアは何かを諦めたかのように俯き、テーブルの白ワインに口をつけた、どうやらイタリア系戦艦は姉を立てる風習はないらしい

 

「テイトク、テイトクもよければご一緒に如何ですか?」

 

「いいのかね?」

 

「えぇ、アクィラ、もうちょっと席詰めて」

 

イタリアに勧められ、とりあえず俺も空いているスペースに着席するとイタリアが早速ワインとパスタと用意してくれた

 

「いやぁ、邪魔をしたようで悪いね」

 

「いえいえ」

 

「ってか、今日は一体ナニかね?なんかのパーリーか?」

 

「えぇ、ザラがイタリア艦初の第二改装したとの事で…」

 

「ふ~ん」

 

ザラ…?誰だったけ……あぁ、思い出した、ポークの姉ちゃんか、そういやアイツ最近ポークとよく走り込みとかしてたな

 

「で?そのザラ姉様と、ポークの姿がないようだが…」

 

「ザラは御披露目用に着替えてから来るのでもう少ししたら来るかと…あと、ポークじゃないでポーラ…」

 

「あぁ、ポーラか…そのポーラは殊勝にも姉ちゃんの着替えでも手伝ってるのか?」

 

よくザラ姉様からビンタされてる姿しか思い出せないが、まぁ姉妹だけあって仲もいいのだろう、実に感心じゃないか

 

「いえ…ポーラは自分を置いて更なる高みに足を踏み込んだ姉にありえないぐらい嫉妬と劣等感を覚えてオロチマルセンセイのところへ行ってポーラも変わるんだーとか言って朝早くに出て行きました」

 

「それダメなヤツじゃねーか!?」

 

なんであのアル中!そんな闇抱えてんだよォ!嫉妬と劣等感深過ぎだろォォォ!!

 

「あ、でも朝、秘書さんに相談したら一応ポーラ奪還部隊に手の空いてる駆逐艦を何人か出しますって…」

 

「誰だよ、奪還部隊って…」

 

「え~…たしかユキカゼさんとシグレサマとハツシモさんと…」

 

「殺す気だよッ!奪還する気ねぇよそれ!奪還じゃないで討伐部隊じゃねーのかッ!!完全に殺る気だよ!?」

 

何考えてんだあの青髪ロングは…っーか提督、そんな重大な事案聞いてないんですけど

 

「お待たせしましたー」

 

重大な事案に頭を抱えていると、大きなトランクケースをゴロゴロと押して、新しい力を得たザラが食堂へとやって来た

 

「ザラ、dueになりました!」

 

「おぉ~」

 

「Fantastico!いいわねぇ」

 

「へぇ…何食べたらそんないやらしい身体つきになるのかしら?」

 

「リベ知ってる!そーゆーのびっちって言うって言ってた!」

 

なるほど…これがあのガッカリ性能だったザラの超進化した姿か、たしかにコイツは力といやらしさを感じる

 

「なかなかいいじゃないか」ググ…

 

「あ、テイトクもいらしたんですね?どうですか?ザラの新しい姿」

 

「いいんじゃないかね?」グググ…

 

「あの…テイトク、謎の白い光が股間の辺りで光ってるんですけど?」

 

「気にしないでくれたまえ」ズキューン!!

 

「は…はぁ」

 

何故かザラくんがドン引きしている気がするが、まぁきっと照れているのだろう、フフ…シャイな子だ

 

「ところでザラ、そのトランクはなにかしら?」

 

「あ、コレですか?なんかよくわからないんですけど部屋の前に置いてあったから持って来た方がいいのかなって思って持ってきたんですけど?」

 

イタリアはザラの押してきた大きなトランクについて質問してみたが、どうやらザラも中身はよくわかってないらしい

 

「開けてみましょうか?」

 

「そうですね」

 

「あ!リベが開けたい!リベが開けたい!」

 

「じゃ、リベッチオちゃん、どうぞ」

 

リベッチオがキャッキャとハシャギながらトランクのロックを外すと、全裸で白目を剥いた何がゴトリと音を立てて転がり落ちた

 

「…」死ーン

 

「ポ……ポーラァァァァァァ!!!」

 

 

ちなみにこの後、ポーラはアルコールをかけると何事もなかったように甦り、何事もなかったように全裸で飲み食いを始め、何事もなかったようにザラ姉様からビンタされて何事もなかったように全裸で土下座させられた



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提督と秋雲と合成着色料

のっけからアクセルが故障してるドストレート回

【登場人物】

提督(107)
辛党、サディスト

秋雲(4)
甘党、パシフィスト

早霜(2)
どちらでもいい、それが貴方のお好みなら

時津風(5)
グルメ、とりあえず匂いを嗅ぐ


ハー!ハー!ハァ……ハァ…今日は、提督と同じパン…っ!提督と同じ味!ハァ…ハァんん、この味が……ンン!提督と同じ!私と!提督が同じ!ハー~はあぁん、ンンクっ!甘い、あゥ…クリームの濃厚な甘さとっ!あ!ぁ…トロけるような甘さ、この甘さが…提督っ!ンン!いつもとは違ンンっ!あっ!あ!濃密で…ハー…ハァハァ…んんっ!!

 

「…ごちそうさま」ボソボソ

 

明石さんのお店で買ったクリームパンの袋をゴミ箱に捨て、私はベンチから立ち上がった、普段、金曜日以外はカレーパン派の提督がクリームパンを買っている事に少し驚いたがたまにはそんな日もあるのだろう、提督も辛みだけではなく甘みを求め日もある、大事な日課である提督と同じ物を口に入れて提督と同じ意識を共有する儀式を終えた私は走り込みでもしようと外に出る事にした

 

◆◆◆

 

「…そんで、明石さんの店行ったら珍しくクリームパン売り切れててなかったんすよ」

 

「ふ~ん」

 

特に急ぎの仕事もない晴天の午後、自販機に缶コーヒーを買いに行くと同じくジュースを買いに来たらしい秋雲とベンチに座って話をしていた

 

「コレだろ?俺は朝買ったぞ、後でおやつに食べようと思ってな」

 

「マジっすか」

 

「マジだ」

 

「それ、この秋雲に譲ってくれねーっすか?」

 

「やだよ」

 

「いいじゃないすか!私、明石さんトコで売ってるギトギトのクリームパンじゃないと頭に糖分いかないんすよー!原稿進まないんすよー!」

 

秋雲は俺の袖を掴んでグイグイと引っ張った

 

「えぇい!離せ!離さんかこの下郎め!」

 

「いいじゃないすか、この秋雲を助けると思って!ね?」

 

「マミーヤのトコにも他に甘いモン売ってるだろ、マミーヤのトコで買えよ」

 

「ダメっす、間宮さんのトコのはしっとり感があって上品な甘さなんすよ、私は合成着色料がふんだんに使われた科学的な甘さじゃないとしっくりこないんすよ」

 

たしかに、変に上品なモノではない下々の者御用達の味と言うものは我々にとってなくてはならないモノだ、庶民にとって合成着色料とはある意味オフクロの味とも言えるだろう

 

「その熱意や良し!心意気や良し!」

 

「わかって頂けたっすか?」

 

「だがダメだ」

 

「わかって頂けてねーしッ!!」

 

「丁度いい、お前の目の前でコイツを食してやろう…」

 

「なんたるサディスト!なんたるサディシズム!」

 

俺はクリームパンの袋を破り、中身を取り出してみせる

 

「ククク…」

 

「一口!せめて一口でいいからくださいっす!」

 

「一口か、そうだな……よかろう」

 

「マジっすか!?提督マジ天使っす!」

 

俺はクリームパンを千切ってアヘ顔寸前にハァハァ息をする秋雲に渡してやった

 

「あざーす………って!!コレ、クリームの部分ないんすけどォ!」

 

「ないよ?当たり前じゃない」

 

「なんたるドS!なんたるサドT!」

 

「バカめ、俺はただお前の苦しむ顔が見たいだけよ」

 

俺は千切ったパンから僅かに見えるクリームの部分をレロレロと舐めると秋雲が俺の袖を力強く引っ張った

 

「ファーックス!!」

 

「あ!テメー!コラ邪魔すんなよ!」

 

「クリーム!クリーム!よこせェ!クリームくれよォ!クリーム!」

 

こ…コイツ!クリームジャンキーかッ!?渡すまいとする俺、かじりつこうとする秋雲、俺達の間にアツい火花が散る

 

「よこせェ!!」

 

「やめろォ!!」

 

ボトッ!!

 

「あ」

 

「あ」

 

しまった!!クリームパンが床にッ!だがルール上はまだ大丈夫だ、3秒以内ならセーフと神話の時代から決まっている!

 

「貰ったァ!!」

 

「僕のだぞ!!」

 

俺達はほぼ同時に床に落ちたクリームパンに手を伸ばした………がッ!

クリームパンは俺達の手ではなく、一瞬の隙を突いて現れた野犬がカッ攫っていた

 

「ガフッ!ガフッ!」

 

「あ!時津風っす!」

 

「あ!テメーコラ!それ俺のだぞ!」

 

時津風は俺達を一瞥し、クリームパンをペロリと一口で飲み込んだ

 

「あまい……うまい……」クッチャクッチャ

 

「あ~ぁ」

 

「このド畜生がァ!蹴り入れてくれる!」

 

俺のド畜生がキックをヒラリとかわし、時津風は俺の足に喰らいついた

 

「グルルルル!!ガァーッ!!」

 

「あ、痛ッ!コイツ噛んだ!噛みやがったァァァ!!」

 

◆◆◆

 

走り込みを終え、冷たい飲み物でも買おうと自販機に立ち寄った…

提督と……秋雲だ、何故か2人とも疲れた様子でベンチでうなだれている

 

「こんにちは」ボソボソ

 

「ん…?あぁ、キタローくんか」

 

うなだれてる姿、ややレア

 

「提督、マミーヤ行かないっすか?マミーヤ、チョコパ食いましょ、チョコパ」

 

「そうだな、マミーヤ行くか…キタローくんもついでにどうかね?」

 

「いいんですか?」ボソボソ

 

……………秋雲邪魔だな、消えてくれないかな、今すぐ



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深海最前線・リターンズ

※今回は深海翻訳機能ONにしてお送りしております

【登場人物】

戦艦水鬼(2)
どちらかと言えばネグリジェっぽいのは棲姫

集積地棲姫
深海ゲーマーSYU、俗っぽい

駆逐棲姫
現在、春雨となって基地に潜入中、俗っぽいの染まっている


「えー…ハルサメちゃんを処刑します」

 

「は?」

 

「ハァ?」

 

「ハアアァァァ!?」

 

人類に仇なすよくわからないフワフワした存在、深海棲艦、その生態や実態はよくわかっていないらしく、どこで生まれてどうやって泳いでくるのか、ウナギぐらいよくわかってないらしく、イカレた専門家が日夜必死に研究している

 

そして本日………その深海棲艦の棲む深海秘密基地にて、恐るべき計画が進みつつあった

 

「ちょ!待てよ!」

 

「処刑とかオマ…!オマエッ!」

 

「ネグリジェは寝る時にしとけよババア!」

 

深海会議室に集まった深海に住むフレンズ達は会議の議長を務める戦艦水鬼から出た驚きの発言にざわめき立つ

 

「はいはい、話は最後まで聞けー…あと、ババアって言ったヤツ後で殺すから」

 

深海棲艦の大物、戦艦水鬼は手を叩いて場を鎮めて一つ咳払いをした

 

「まぁ、みんなも知っての通り以前実行したテキトーな艦娘拉致って帰して欲しかったらここまで来いやバーカバーカ作戦は失敗した訳ですが~」

 

※詳しくは190回と192回を参考にしてくださいよォ~

 

テキトーな艦娘を攫ってくるまでは良かったが、とりあえずカタコトだけど日本語イケるし見た目もキモくないし、問答無用で殺られないだろうとメッセンジャー役に駆逐棲姫を行かせ、みんなでワクワクしながらカエリウチダァと待っていたが、一向に海軍のバカどもは来ず、メッセンジャー役の駆逐棲姫も一向に帰って来なかった…

 

当初、あまりにも連絡がないので、もしかして駆逐棲姫は海軍に捕まって、それなりに権力がある脂の乗ったオーク似の海軍の偉い将校のマグナムチ●ポで種付けプ●スやらエロ同人みたいにヒドい事されてるのでは?と心配していたが、最近では集ちゃんがプレイしている大規模MMORPGに頻繁にログインしているらしく、集ちゃん曰わくなかなかの重課金者になっているそうだ

 

「だからと言ってハルサメちゃんを処刑するこたぁねーだろぉー?」

 

「そうだぜェ!」

 

「ハルサメちゃんを殺るってならまずこのネ級を殺れよ!ネ級を!」

 

「っーかオマエが死ねババア」

 

再びざわつく深海メイト達に、戦艦水鬼は静かにしろよと手を叩いた

 

「はいはい、話は最後まで聞けー………っーかババアって言ってんのバレてないと思ってんの?オイ、オマエだよオマエ、オマエ後で絶対殺すからな」

 

戦艦水鬼は海で拾ってきた黒板に深海チョークで今回の作戦についてと書き込んだ

 

「今回はもうメッセンジャーとかまわりくどいコトはやめて、バカにもわかりやすくメッセージを送ります」

 

「ほぅ…」

 

「具体的にはどーするんすか?」

 

「新聞に載せるのよ!新聞に!いついつにどこでハルサメちゃんを処刑しますって新聞に載せるのよ」

 

戦艦水鬼は黒板に新聞で大々的に宣伝すると書き込んだ

 

「ハルサメちゃんが言うには、さすがに新聞沙汰ならいくらなんでも見過ごせないでしょうって事よ」

 

「なるほど」

 

「で、ノコノコやって来たアイツらを返り討ちにしてやろうってコトだな!」

 

「とりあえず、ハルサメちゃんには処刑台に上がって貰って、今から処刑するぞーってコトを演出して貰う役をして貰います」

 

そうして、ノコノコやって来た海軍どもを逃げ場の無い湾内に引き込んで深海主力艦隊で囲んでフルボッコにしようと言うのが今回の作戦

 

「ちなみにこの作戦、我らがハルサメちゃんが考えてくれましたー、はいみんな拍手ぅー」

 

「スゲェ!」

 

「さすがハルサメちゃんだ!」

 

「あぁ、これほど高度な作戦を思いつくなんて…やはり天才」

 

「フフ…私は知ってたよ?彼女はタダ者じゃないって」

 

深海メイト達の温かい拍手に恐縮しながら一番前の賓客席に座っていた春雨は立ち上がってヘコヘコと照れ臭そうに頭を下げた

 

「ハルサメ!ハルサメ!」

 

「オレ達を導く新しい光ーッ!」

 

「はいはい、静かにー、静かにーッ!はいみんな、今回はこんな感じでいくから、マジ今度こそ海軍滅ぼすから」

 

戦艦水鬼はみんなの士気が高まっている事、そしてみんなの心が一つの目標の向けて一致団結している事を感じ、心から嬉しさと喜びを感じた

 

「チッ……接続悪いな、あ、繋がった」

 

「コラ!集ちゃん、今会議中だからゲームしない!」

 

「えー?もう終わったろぉ~?」

 

「ったく…」

 

集ちゃんこと集積地棲姫はカタカタカタッターンと器用にキーボードを叩いて何やらゲームを起動させた

 

「お、駆逐棲姫のヤツ、またログインしてる…」

 

「そんなのわかるの?」

 

「わかるよ、ほら」

 

フレンドリストに載ってる名前が白くなってるとログインしてる状態と戦艦水鬼に説明して画面を見せた

 

「WARUSAME…コレがそうなの?」

 

WARUSAME 神聖騎士 レベル234

 

「そうだよ、メッセとか送れる」

 

「めっせ?」

 

「メッセージな」

 

「ふ~ん………集ちゃん、今、そのめっせって出来る?」

 

「できるよ」

 

「じゃ私が殺すって言ってるって送ってみて」

 

「殺すね…」カタカタカタッターン

 

【集積眼鏡:戦艦水鬼がオマエ殺すって】

 

【WARUSAME:マジ?】

 

【集積眼鏡:マジ】

 

【WARUSAME:あんなババア、返り討ちにして全裸で土下座させて私の足ペロペロ舐めさせてやるわ】

 

【集積眼鏡:オマエ足ないやん】

 

【WARUSAME:ありますぅー!赤ちんの店で買ったマグナムスチールの超カッコイイ足がありますぅー】

 

【WARUSAME:あのババア、今度その角へし折って子●と直●に二本刺ししてヒーヒー言わせてやんよ!】

 

【集積眼鏡:あのさぁ】

 

【WARUSAME:なに?】

 

【集積眼鏡:今、後ろに戦艦水鬼いる】

 

【WARUSAME:マ?】

 

【集積眼鏡:マジ、めっちゃブルブルしてる】

 

【集積眼鏡:オマエ死んだわ(笑)】

 

【WARUSAME:(笑)じゃねーし!ナニしてんのオマエ??】

 

【WARUSAME:冗談、本当に冗談ですから!】

 

【WARUSAME:本気にしないでください!】

 

【WARUSAME:私は水鬼様マジリスペクトしてますから!】

 

【WARUSAME:あ、実は私の後ろにも艦娘がいるんです!脅されて無理矢理書かされたんですぅ!】

 

【WARUSAME:ホントです!】

 

【WARUSAME:信じて!】



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提督と鈴谷と暇な日

よく訓練された兵士回

【登場人物】

提督(108)
ニーソにはこだわる変態性

鈴谷(36)
特定の猜疑心がやたらと高い


「ティーッス、鈴谷が遊びに来ましたよぉ~」

 

微妙に寒が戻ってきた春の執務室、相変わらず特に急ぎの仕事もない俺は読みかけの文庫本を読んでいた

 

「消えろ」

 

「厳しいッ!対応が厳し過ぎるッ!」

 

「…チッ、何の用だ?ご覧の通り、俺は今、めちゃんこ忙しい」

 

「や、暇そうじゃん、どう見ても暇そうじゃん」

 

「暇じゃない、提督だ」

 

「知ってるよ!ってかサミーは?休み?」

 

鈴谷は室内をキョロキョロと見回し、いつもの五月雨が居ない事を尋ね、ついでに冷蔵庫からよくわからん缶ジュースを取り出して口につけた

 

「…ブフッ!!な…ナニコレ?」

 

「知らん、五月雨の買ったナニかだろ?」

 

「なんか薬品みたいな味がするし…もういいや」

 

「開けたんならちゃんと全部飲まんかいダボハゼが」

 

「へいへい…うわ、やっぱヘンな味、提督飲まない?」

 

まったく、たるんどる!上も下もズブズブな口しやがって…

 

「誰がテメーの体液が付着した汚染水飲むか、冗談はパンチラだけにしておけ」

 

「鈴谷に対する汚物扱いなんなの!?なんか今日はいつにも増して厳しい気がするんですけど…」

 

「気のせいだろ」

 

「そうかなぁ」

 

「まぁいい、用がないなら早く消えろ、俺の理性が残っている内にな」

 

「そこまでェ!?なんでそんなに激しく怒り狂ってるの!?」

 

いちいちうるさいヤツだな、もう面倒くさいから問答無用のスネークバ●ト→下段弱キック→スネークバ●トの地獄ループで黙らせるか…

 

「まぁいいや、提督暇なんでしょ?ゲームしよーぜ!ゲーム!鈴谷が勝ったら一万円」

 

「…負けたら?」

 

「は?負けねーし」

 

柔軟な揉み応えと幅広いプレイに対応可能であろうサイズの胸を張って、フンスと自信満々に宣戦布告と勝利宣言をする鈴谷、コイツのこの無根拠とも言える自信はどこからくるのだろうか?やはり胸だろうか?

 

「じゃ、負けたら土下座しろ」

 

「フッ、いつもの全裸土下座か…じょうと……ん?土下座?」

 

「土下座だが?」

 

「…提督、一つ確認して宜しいでしょうか?」

 

「なんだ?」

 

「その土下座は、着衣を全て脱いでの土下座でしょうか?」

 

真面目な顔してナニ言ってんだコイツ?

 

「そんなわけないだろう」

 

「…脱がなくてもいいと?」

 

「左様」

 

「…え?普通?普通の土下座でいいの?あ、もしかしてパンツは脱ぐとかそんな感じで…」

 

もしかしてコイツ脱ぎたいのだろうか?本気の心と身体を見せつけたい露出癖でもあるのか?ビッチな上に露出狂とは、いや…ビッチ故に露出狂なのだろうか?どちらにせよコイツの心の闇は深いんだな、今度アイスでも買ってやるか

 

「必要ない、ただの土下座だ」

 

「………ホントに?」

 

「本当だ」

 

「マジで?え…?いや、本気の本気でマジでホント?え…?いいよ!パンツぐらいなら脱ぐよ?脱ぎたてホカホカの鈴谷パンツ!」

 

「ナニ言ってんだオマエ、イカレているのか?っーかそんな汚物いらねぇし」

 

「イカレてねーし!っーか汚物じゃねーし!って……マジでただの土下座でいいの?マジで脱がなくていいの?提督、なんか変なモン食べたんじゃないの?」

 

「疑り深い奴だな」

 

「だっていつもなら脱げって言うじゃん!とりあえず全裸みたいな感じで脱げって言うじゃん!脱げって言ってもニーソは残せよとかそこはかとなく変態性を感じるフェティシズムで言うじゃん!」

 

鈴谷は俺の胸倉を掴んでブンブンと俺の身体を揺らす

 

「やめたまえ、あと、顔が近い」

 

「ハッ………?まさか邪眼ッ!?既に鈴谷に邪眼を!わかったよ!どうせアレだろォ!ゲームして鈴谷が勝っても万札が蛇かなんかに変わってギャーってなったトコにパリーンってなってユメは見れたかよとか言われてスネークバ●トーッ!の流れなんだろォ!?」

 

どんだけ疑り深いんだコイツは…コイツに必要な物は金ではなく“しんじるこころ”なんじゃないだろうか?

 

「読めたぜ!たぶん鈴谷が入室した時から既に邪眼なんでしょ?ハハッ!その手はくわねーぜーッ!」

 

「面倒くさいヤツだな、ほら、500円やるか缶コーヒー買ってこい、釣りはやるから」

 

「500円ッ!……ハッ?それが蛇になるんでしょ!?そいつが鈴谷の服を引き裂いて鈴谷のナカに強引に侵入してくるんでしょ?」

 

鈴谷は狂気に満ちた眼で室内をキョロキョロと見回しどこから攻撃が来るのか警戒しだした

 

「フゥー!!フゥー!!来いやぁー!!」

 

ゴン!ゴン!

 

執務室のブ厚い鉄の扉を叩く音がし、誰かが入ってきた

 

「…きたよ」

 

「フゥー…!」ギロッ

 

「ヒイッ!」ビクッ!

 

改白露型の緑のやつ、山風はいきなりJKみたいなヤツに睨まれて怯んだが、勇気を持ってダッシュしてこっちに走ってきた

 

「…テイトク、なんなの?この人」

 

「ビッチだ」

 

「…ビッチ」

 

「で?何の用だ?」

 

「…食堂に、行かないかな…って」

 

「行かない、何故なら腹が減ってないからだ」

 

「…そう」

 

「丁度いい、オイ鈴谷、コイツマミーヤに連れて行ってくれ、三千円やるから二人で好きなモン食って来い」

 

「………ハァ?」

 

鈴谷はぐるり首を回してこっちを見る、コイツ、関節柔らかいんだな

 

「マミーヤに行けと?鈴谷が?そのガキと?」

 

「その通りだ、ほら、金やるから行って来い」

 

「お断りします!」

 

「なんでだよ!?」

 

「…私も、イヤだし」

 

「オマエもかよ!?」



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提督と雲龍姉妹とたき火

ガラの悪くない仲良し空母姉妹回

【登場人物】

雲龍(4)
仙人みたいな長女、ワガママで卑しい女

天城(4)
路線変更してもイマイチ売れない次女、気が弱い女なのでア●ルが強い

葛城(2)
瑞鶴パイセンをリスペクトする三女、瑞鶴パイセンが絡まなければ意外とイケメン


たまには真面目に仕事をしようと思い立ち、基地施設の点検でもするかと考えながら執務棟の廊下を歩いていると、なんか窓の外から煙が上がっていたので何事かと思い、下まで降りてみると雲龍姉妹が落ち葉を集めて火を点けていた…

 

「ナニやってんだオマエら、放火か?」

 

「…見ての通り、火を放ってるのよ」

 

常にレ●プされたようなハイライトの入ってない目をした仙人みたいな長女、雲龍、爆乳

 

「ちょっと姉さんっ!その発言は誤解しかないから!」

 

脱げば脱ぐほど強くなる小●宙の勝負に着衣は不要を体現するポールダンサーみたいな次女、天城、爆乳

 

「集めた落ち葉でたき火してるのよ」

 

五航戦の妹の方に憧れてこの世界に入ったものの、あまりにもリスペクトし過ぎて憧れのズイカクパイセンを直視出来ず、未だに話しかけるどころか話しかけられただけで失禁してマジイキする三女、葛城、貧乳

 

「せめて焼却炉に持って行けよ、ここでたき火なんかしてんじゃねーよ」

 

「ここがベストポジションなのよ」

 

雲龍曰わく、今日の風水的にはここでたき火するのがベストらしく、芋を放り込んでおくと最高の焼き上がりになるコト間違いなしと風水的なお告げなそうだ、コイツはいつから風水師にジョブチェンジしたのだろう…

 

「やかましい、オイ、バケツないか?バケツ」

 

「やめて」

 

「やめない、BUKKAKEる」

 

「やめて」

 

雲龍は仙人の杖で俺の膝を躊躇なく殴りつけた

 

「痛てぇ!!こ…この野郎ォ…」

 

「ちょっと姉さん!まずは話し合いとか…」

 

「天城、話し合いは無意味よ、私はとにかく私が食べる芋を焼ければそれでいい」

 

な…なんてヤツだ、これほど強烈かつ強固な我が儘はそうはいない、自身への絶対的自信、さすがにこの俺が思わずゴクリとするワガママボディなだけはある

 

「まぁいい、俺は寛大だから許そう」

 

「わかればいいのよ」

 

「どんだけ偉いんだ、オマエは」

 

「まぁ、雲龍姉はヒトの話を聞かないしね」

 

葛城はポケットから取り出したおしゃぶり昆布をクチャクチャと噛み、集めた木の葉を更にたき火に放り込んだ

 

「そーいや提督さん、こないだなんかカッコいい艦載機くれたけど…アレ、私が貰って良かったの?」

 

「ん?あぁ、友永殿か…」

 

「なにそれ…?葛城、私それ聞いてない」

 

「天城も聞いてないんですけど」

 

「ゲッ!しまった……」

 

葛城はヤベェと言った顔をしたが既に遅い、二人の姉が葛城の貰ったと言うカッコいい艦載機について言及しだした

 

「待て待て、たしかに葛城に友永殿を与えたが、五航戦の妹の方に自分のお古だが葛城に是非にと頼まれてな」

 

「へぇ」

 

「あ、そうなんですか」

 

瑞鶴的には葛城と仲良くしたいらしいが、どうにも避けられている気がするので提督から渡してくれと頼まれ、面倒くさいから一度は断り、瑞鶴は自分で渡しに行ったのだが…

 

 

『あ、葛城!ちょっといいかなぁ~?』

 

『ズ!ズズズイズイ!ズイッ!ズイカクカク…カクカク…カクカクカクセン、パ…イーーーッ!!』

 

 

いざ、葛城にフレンドリーに声をかけようとしたものの、怒りの業火で強靭にして無敵のしもべが全滅したカードゲーマーみたいに避けられるので、やっぱり提督から渡して欲しいと頭を下げられた

 

「え?アレ瑞鶴センパイのなのォ!?」

 

「言ってなかったか?」

 

「聞いてないんですけどォ!今初めて聞いたんですけどォ!」

 

「そうだったか?まぁいいや、今度会ったらちゃんとお礼言っとけよ、ありがとうございます、いい艦載機でした、って」

 

これでお互いに少しは会話をし易くなっただろう、職場の人間関係を円滑するのも提督の仕事だ、いや、いい仕事をした

 

「まぁ、そう言う事情なら姉さんも可愛い妹の葛城から取り上げたりしない、でもたまに姉さんに貸してね」

 

「瑞鶴さんからプレゼント貰えるなんて…良かったね葛城、でもたまに天城にも貸してね」

 

「あばばばばば…」ジョロロロ

 

葛城はあまりの衝撃に嬉ションしながら白目を剥いて倒れた

 

「漏らしてるぅぅぅ!!!葛城ッ!気をしっかりもって!葛城!姉さん!葛城のバイタルが!」

 

「どいて」

 

雲龍が仙人みたいな杖を葛城の胸の辺りに当てると葛城の身体は高圧電流を流したようにビクンビクンと跳ね回った

 

「ふぅ、もう大丈夫」

 

「オイ!なんだ今の?カウンターショックか!?オマエの杖から高圧電流出るのか!?」

 

「杖じゃないで私からでる」ビリビリ

 

雲龍の変なクセ毛が青白い火花を散らしてる、コイツ……そんな能力があったのか?知らなかった

 

◆◆◆

 

後日、執務棟の自販機前…

 

「あのさぁ、テイトク、ちゃんと渡してくれた?友永隊」

 

「渡したぞ」

 

丁度、ジュースを買いに来た瑞鶴と会ったのでキチンと友永殿は渡したと報告した、なんでもあまりに勿体無くて使えず、神棚に祀っているそうだが…

 

「や、あの子が友永隊使ってるトコ見ないから…ホント渡した?実はあのおっぱいデカいアメリカ空母とかにあげてないよね?コレあげるから今夜どう?とか使ってないよね?」

 

「………その手があったか、オマエ頭いいな」

 

「アンタが悪いんだよ!って!ホント渡したのォ!?」



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提督と明石と飛べない鳥

野望の明石ファーム回

【登場人物】

提督(109)
卵焼きは甘い方を好む

明石(9)
卵焼きはネギを入れる

山風(9)
よく明石とつるんでいるが、明石からは可愛がられている


「………なんだコレ?」

 

「エミューです」

 

基地の南区間には俺が着任する更に以前から広大な空き地がある、その昔、ここには何かの施設を作ろうとした計画があったらしく、大人の事情がなんやかやあって計画は頓挫、現在は特に使う予定も無いだだっ広いだけの土地が広がり、一時は国有地売却についても考えられたそうだが偉いセンセイ方のスキャンダラスなお話やらなんやらでそちらの計画も頓挫、結局のところ、南区間についてはだだっ広いだけの広場と化しており、一部では、暇な奴らがジャガイモなどを栽培しており、農園として暇な奴が艤装を担がず、クワを担いで労働の汗を流していた

 

そして今、その南区間に用があって訪れた俺の前に、ダチョウのようなワケのわからん生物が居た

 

「エミューです」

 

明石はヨォ~シヨシヨシとエミューの頭を撫でてコミュニケーションを図っている、このエミューとか言う生物、どうやら明石が飼っているらしく、よく見ると数頭……いや、数羽か?その数羽がヴォーヴォー鳴きながら柵の向こうで闊歩していた

 

「かわいいでしょ~?」

 

「明石」

 

「はい!なんでしょうか?」

 

「なんだコレは?」

 

「ですから、エミューですって」

 

「エミューだかリュシュフェルだかはどうでもいいんだよ!俺はこの鳥ファームはなんだって聞いてんだよクソが!」

 

南区間に広がる広大な土地を一部囲む木の柵と“ふれあいアカシファーム”の看板、この野郎、いつの間にこんなワケのわからん物を…

 

「いや~、最近エミューの飼育を始めてみたんですよ、肉も卵もイイ感じですし、丈夫で飼い易いですし!何より金の匂いがプンプンするんですよ!」

 

「今すぐ殺せ」

 

「ヒドッ!!い…命をなんだと思っているんだ!アンタはーッ!」

 

「オマエこそ軍の施設をなんだと思ってるんだクソが、そのスケベスカートのスケベスリットから手ぇ突っ込んでパンツごと引きずり下ろすぞ」

 

大淀といいコイツといいスケベなスカート穿きやがって、もしかして誘ってんのか?いや、この制服を採用した上の人間がスケベなのか?だとすれば並のスケベではない、相当にハイセンスのキレたスケベだろう

 

「だいたいオマエ、誰に許可取ってんだ?俺は聞いてないぞ」

 

「さ……サミーダレちゃん?うん、サミーダレちゃんに鳥を飼っていいですかってちゃんと聞きましたよ?うん、ほら!ちゃんと許可証も貰いましたよ!」

 

「ナニ鳥とかふわっとした言い方してんだテメーは」

 

「鳥ですぅー!鳥なコトには変わりありませんー!」

 

「飛べねぇ鳥は鳥と認められんな、皆殺しだ」

 

「なんでそんな鳥に厳しいんですか!?ってか飛べなくてもいいじゃないですか!鳥差別ですよ!」

 

「やかましい、ウチで飼っていい鳥はセキセイインコかフェニックス響だけって規則で決まってんだよ」

 

「そんな規則聞いてないんですけど!ってかフェニックス響って鳥じゃないし!」

 

「ゴチャゴチャうるせぇな、オラ、鳥集めろよ、今日はここで鳥肉メインのバーベキュー大会だよ」

 

「イヤやぁぁぁ!カンニンしてェ!!エミューは!エミューは悪くないんですぅ!エミューファームは私の全財産の5分の3をつぎ込んだ私の夢なんですぅ!それにほら!よく見たら可愛いでしょ?ね?ね?」

 

「えぇい!離せッ!離さんかこの下郎め!」

 

明石が俺にしがみつきゴチャゴチャとエミューの存命を嘆願していると、一匹……いや、一羽か?まぁいいや、その一羽は背に何故か山風を乗せており、そいつが俺と明石の立っている場所へとやって来た

 

「…明石さん、餌あげたよ」

 

「あ、山風ちゃん、ありがとー、おねーさん助かるわーホント助かるわー」

 

「なにやってんだ?オマエ」

 

「…あ、テイトク」

 

「山風ちゃんにはエミューの餌やりのバイトをして貰ってるんです!」

 

「…1回500円」

 

コイツ、またガキの小遣いで安価な労働力を…

 

「ちょっと聞いてよ山風ちゃん!提督がエミュー殺すって!皆殺しにするって言ってんのよ!山風ちゃんからもやめてって頼んでくれないかな!」

 

「…殺すの?」

 

この野郎、明石ィ…俺がガキには少々甘いと思ってやがるな、だが俺はそんな甘い男ではない、今から殺戮のパレードが始まる事に変更は無いッ!

 

「…殺すの?」

 

「………まぁ、今日はお腹の調子が良くないし、また今度にしておくか」

 

「…そう、良かったね!今日は大丈夫だって」

 

山風はエミューの頭をバシバシと叩き、エミューの背に乗ったまま再び広大なエミューファームへと去って行った

 

「…」

 

「…フッ」

 

「フッ、じゃねーよ!テメー!あ゛?何がフッだ?ア゛ァ?バカにしてんのか?ア゛ァ?」

 

俺は明石の顔面を掴んで力の限り握り締めてメリメリした

 

「ア゛ァァァ!!痛い痛い痛い!割れる割れる割れる!痛い!やめてやめて!スネークバ●トやめてぇぇぇ!!」

 

「まぁいい、とりあえず今日のところは下の口からエミューの卵ブチ込んで下っ腹に蹴り入れるだけで勘弁してやろう」

 

「死ぬぅ!!そんな大きいの死んじゃう!!ってか!なんでそんな鬼畜エロゲみたいなコト考えつくんですか!鬼畜なんですか!?」

 

「鬼畜じゃない、提督だ」



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提督と天海中佐と内偵監査

話せばわかる第五特務課回

【登場人物】

提督(110)
叩けば埃が出ないように努力はする埃高き提督

天海中佐(2)
シリアスパート出身のチート性能イケメン主人公


先日、上から春の監査が入るからヤバい書類とかアレなデータとかキチンとまとめとけよダボがと連絡があったので、五月雨と共に些かアレな書類やらデータやらをイイ感じにアレし、上から監査役が来るのを待ち構えていた

 

「正門から連絡です、なんかイケメンが来てるそうですが?」

 

「俺が許す、殺せ」

 

「そのままお通しして下さい、その人、監査の人なので」

 

五月雨は受話器を置いてお客様用のお茶菓子を用意しますと言って執務室を出て行った、しかし…監査役のくせにイケメンとはふてぇ野郎だな、コレはアレだ、もう完全にアレだ、性格悪いエリートみたいなのがネチネチ因縁つけてくパターンだろう、で、秘書艦とかそんな感じのポジションにキミの大事な司令がどうなってもいいのかな?ん?とか言うアレだろう

 

---

 

「お久ぶりです、その後、お元気そうで安心しましたよ」

 

海軍大本営直轄第五特務課所属、天海中佐は爽やかなイケメンスマイルで挨拶をし、五月雨にお土産だとなんか高価そうな菓子詰を渡した

 

「久しぶりだな、どうだ?最近、人、殺してるか?」

 

「僕の仕事をなんだと思ってるんですか」

 

「殺し屋だろ」

 

この天海中佐、所属部署柄、表向きは軍部の内偵が主な仕事だが、時と場合によっては些かアレな仕事もこなしており、先日、上のゴタゴタに利用された俺はこの天海中佐に命殺られかけて緊急入院コースになった

 

「ハハ…人聞きの悪い」

 

「やかましい」

 

「まぁまぁ、今回だって先日のお詫びも兼ねて、少々甘めに監査しようと思って僕が来たんですから、ね?それでチャラにして下さいよ」

 

「フン…まぁいい、そもそもウチには叩いても埃とか出ないがな」

 

「………そうですか、ではこの明石酒保の異常な仕入れや申請許可の無い風俗営業店舗についてですが、提出された書類に記載されてな…」

 

「ちょっと待とう天海クン、少し大人の話をしようじゃないか!サミー!サミー!中佐にティーを淹れて差し上げたまえ!極上のティーを!」

 

この野郎ォ…チッ、さすがに内偵監査のプロフェッショナル、非常に気に入らないがここはお互い大人になってより良い方向で話をまとめるか…

 

「どうぞ」

 

「ありがとうございます、え〜…駆逐艦の五月雨さん、でしたかね?」

 

「はい、白露型駆逐艦六番艦五月雨です、それがなにか?」

 

「ハハ…いえ、以前、他所の基地で見た同じ五月雨さんとは随分と雰囲気が違うなと思いまして」

 

「あ〜…昔は私もたぶん中佐の言っておられる雰囲気だったと思います、ただ、私の場合上司が少々アレでしたので…」

 

「オイ、誰がアレだコラ」

 

「正直、私も中佐のようなイケメンの上司だとやる気出たんですけど…」

 

「ハハハ…残念ですが、僕には妖精とやらが見えないので同じ海軍所属の軍人でも艦娘を率いる役目はできないもので…」

 

天海曰く、昔はそれっぽいのが見えていたらしく、昔は基地司令的なものを目指していた時期もあったらしいが、まぁ、そこはシリアス畑出身の少々アレな過去があるんだろう

 

「妖精と言えば…提督、提督も妖精さんが見えないんでしたね」

 

「は?妖精とかそんなフワフワしたモン信じてねーし」

 

「よくそれでこの仕事に就けましたね」

 

「ゴタゴタした事情があったんだよ、ゴタゴタした」

 

---

 

「…さて、とりあえず形式上、特に問題は無いようですね」

 

「当たり前だろ、ウチはクリーンな基地運営だからな!」

 

天海は書類のファイルを鞄に入れ、とりあえずの監査を終わらせた

 

「ハハハ、どうせならこちらで深海棲艦を使った非人道的な悪魔の研究とかしていたなら面白かったんですが、平和そうでなによりです」

 

「誰がするか、そんな物騒な研究」

 

「…まぁ、それはもっと上の根深いトコでやってますし」

 

オイ、コイツ今、サラリととんでもないコト言わなかったか?まぁいいや、関わり合いにならないのが身の為ってヤツだな

 

無事に監査も終わり、俺は天海と飯でも食いに行こうやと誘い、基地を出て街に出ようと執務棟の廊下を歩いていると、白露型のバカどもがゲラゲラ笑いながら自販機の前でたむろしていた…

 

「ギャハハハ!でよぉー!マジでワンパンで沈めてやったわ!」

 

「村雨は頭悪いっぽい」

 

近所のヤンキーかなんかかコイツらは…

 

「ナニしてんだクズどもが」

 

「あ、テートクっぽい」

 

「チィース、ん?ナニこのイケメン、マジイケメンじゃん、あ、もしかして新しいテートク!?」

 

「んなわけねーだろ、コイツは大本営から来た監査役様だ、シツレーな口利いてんじゃねーよ」

 

「天海です、よろしく」ニコッ

 

「え?あ、よろしくお願いしますぅ!」

 

何がよろしくお願いしますぅだ、さっきまでウ●コ座りしてたのに、なんで顔赤らめてんだよ、なんで髪気にしてんだよ、ナメてんのかコイツらは…

 

「ん?」

 

「どうした?天海中佐殿」

 

「いえ、そちらの白い髪の子…」

 

「白い………?」

 

いたァァァァァァァァァ!!!確実に監査でクロが出る!問答無用で軍事法廷で裁かれる真っ黒な要因がァァァァァ!!

 

「…あの、もしかして深海棲…」

 

「やだなぁ中佐!アレは春雨!春雨ですよぉ!白露型五番艦の!」

 

「白露型五番艦の春雨…たしか以前、資料で見た時は鮮やかなピンク色の髪だったような…」

 

「イメチェンですよ!イメチェン!ほら!今の若い子はみんなオシャレだから!髪の色なんて次の週には変わってますよォ!あの子ほら!春だし!気合い入れて金髪に染めようとしてちょっと薬剤強すぎっちゃったんですよ!」

 

「はぁ…なるほど」

 

「なぁハルサメェ!な?」

 

ヤバいヤバいヤバい、さすがにズルズル監査の天海でもコイツに目を瞑るワケがない!ウチで深海棲艦、しかも姫級を飼ってるとかバレたら最悪極刑だ!

 

「え?ナニ?…あ、イケメンだ」

 

「天海です、よろしく」

 

「あ、どーもー…くち、ハルサメでス」

 

「…少し発音が独特なようですが」

 

「外国暮らし長かったんです!な?外国暮らし長かったんだよな!?ちょっとほら、中佐に気の利いたセリフでも言ってやれ!な?」

 

俺はハルサメ(仮)に至高のアイコンタクトを送る“コイツにバレたら狩られぞ!とにかく春雨をやりきれ!”と…

その想いが通じたのか、ハルサメ(仮)はニヤリと笑って親指を立てた

 

「ヤラセハ…シナイ…ヨッ!」

 

ダメだァァァァァ!!コイツ全然わかってねぇよ!なんでよりによってそれ言っちゃうんだよ!もう疑惑じゃねぇよ、中佐すでにポッケの黒いブツに手ぇかけちゃってるよ!

 

「村雨、春雨、お腹空いたから食堂行くっぽい」

 

「そうねぇ、今日の給食ナニ?」

 

「麻婆豆腐だって」

 

そして、空気の読めない白露型のバカどもは腹減ったーと言いながら俺達に一応、頭を下げて食堂へと去って行った

 

「…」

 

「…」

 

「天海中佐殿」

 

「なんでしょうか?」

 

「今日は俺が出しますから好きなモン、じゃんじゃん食ってください、あ、あとそっちの店も電話しときましょうか?」

 

「…そうですね、まぁ、提督には少々お聞きしたい事がありますし、どこか静かに話せるお店にしましょうか?」

 



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提督と夕張とバイク型生命体

【登場人物】

提督(111)
たまたま机の引き出しに色々入っている

夕張(20)
あり合わせの資材で大したマシンを作る本物の天才、天才の思考と嗜好はよくわからない


「新しい装備を開発しました!ハッキリ言って自信作です」

 

作る物は常に自信作、自信が無い?無いなら作るな、そんなヤツが開発者なんて気取ってんじゃねぇ!が信条らしい誇り高いがア●ルはユルユルの多目的肉●器、軽巡夕張はいつものよくわからない自信に満ち溢れた顔でやって来た

 

「ちなみに、提督は自動二輪の免許はお持ちでしょうか?」

 

「あるよ、昔はスピードの世界でドルンドルンしてたしな」

 

以前はよく、天龍や木曾と共にハシャいだな…冷静に考えると、何故あの時はDホ●ールと当たり前のように合体していたのか、俺にはもう、よくわからない

 

「そうですか…では!今回の発明はこちらぁー!名付けまして!バトルホ●パーです」

 

「足がないな…」

 

「足なんて飾りです」

 

夕張が作り出したと言うなんともバッタ的なバイク、なんと言うか…なんだ?バッタだな、これを街中で颯爽と乗りこなすのはなかなか難易度が高い

 

「まぁ正式にはバイクではなく、世●王専用バイク型生命体なんですけど」

 

「生きてるのか?コレ」

 

「生きてます!もうバルンバルンですよ!」

 

夕張曰く、最近、夕張會なるよくわからないネットの集いでバイクがアツいらしく、バック機能があるサイバーパンクなバイクとかロボットに変形するスーパーマシンだとか話が出たので、バイクと言う名の生命体に挑戦してみたそうだ

 

「最高出力415馬力、最高速度500キロのまさしく公道最速理論です!」

 

「公道で出しちゃダメな速度だろ」

 

「ちなみに動力はモトクリスタルを採用しており、給油は不要でとてもエコです」

 

「ふ〜ん」

 

「あれ?お気に召しませんでした?提督、こーゆーの好きかなと思ってたんですけど…」

 

夕張は俺が思った以上に淡白なのが引っかかったらしく、なにやらカタログを片手に焦りだした

 

「でもオマエ、それアレだろ?世●王だか創●王だか専用なんだろ?」

 

「はい!実はそんな感じです!ぶっちゃけ誰も乗れません!」

 

コイツ自信満々に言いやがったよ、誰も乗れないバイク型生命体と言う名のガラクタ作っておきながらどうしてこう、自信に溢れているのか俺には理解出来ない、コイツ、ウチじゃなくてゴル●ムとかクライ●ス帝国とかで働いた方が才能活かせるんじゃないだろうか…

 

「夕張」

 

「はい!ケツバットですか?」

 

「なんで嬉しそうなんだオマエは、キショいわ」

 

「は?べ…別に嬉しゅ…嬉しいとかないですよ?人をヘンタイみたいに言わないでください!さぁ、都合良く私は両手にベルトが絡まって両手が使えず不覚にも転んでしまい臀部を突き出してしまった状態にたまたまなっています!たまたまです!」

 

たまたまこれから起こるであろう陰惨なる陵辱の宴に覚悟完了しましたと言わんとする真性ドMはフーフーと興奮していた

 

「まぁ、たまたまそんな日もあるわな」

 

「えぇ!たまたまありますよ!そんな日が!」

 

俺は机の引き出しにたまたま入っていたスタン警棒を夕張の尻に刺し、スイッチをONにした

 

「ん〝お〝お〝ぉぉぉぉぉぉぉ!!!」ビクビクビクーッ!!

 

「さて…」

 

とりあえずこのバイクどうしたモンかな、無機物ならバラバラにして鉄クズとして処分するが、一応生命体なので殺処分と言うのもアレだな…

俺は夕張をバ●ルホッパーのシートに乗せ、バ●ルホッパーにコイツを海に捨て、その足でオマエの本当の主人を探してきなさいと伝えると、バ●ルホッパーはライト?をチカチカと点滅させてアヘ顔でマジイキ1000%中の夕張を乗せて夕陽に向かって去って行った…

 

 

後日、自販機で缶コーヒーを買う為に廊下を歩いていると外からなにやらキャッキャとハシャぐ声がするので何事かと思って見てみると、世●王専用バイク型生命体に乗ってドルンドルンする秋月と2人の妹達がこれでもう買い物する時に通る坂道でもヘッチャラだねと言って喜んでいた



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深海棲艦と三●とWILD AMBITION

帰ってきた三●コラボ
ウチの近所の●越はコラボしてません、はい

【登場人物】

重巡棲姫
前回、実力派エリートの潜水艦達に完封負けを喫した

深海双子・姉
前回、死んだふりしてたがヒューマンは容赦なかった

深海双子・妹
姉より頭が残念な感じ

集積地棲姫
通称、集ちゃん、ヒューマンカルチャーに詳しい深海ハカセ

空母棲姫
名前だけ登場、痴女
ハードな路線の趣味がある


「三●だよネーちゃん!」

 

「●越ね妹!」

 

「周りがヒューマンだらけだってのに、ワクワクしてきたよネーちゃん!」

 

「こんなにヤベーのにワクワクしてきたわね妹!」

 

「オマエらー、ちょっと黙ろうかー?初めて三●来てハシャいじゃった気分はわからんでもないがちょっと黙ろーかー?」

 

江戸時代に創業した越●屋から現代まで連綿と続く歴史と伝統ある百貨店、三●

先日の深海会議にてヒューマンどもを打倒するにはヒューマンについて理解を深める必要があるのでは?との画期的な意見が飛び出し、いいね!それで行こう!と盛り上がった結果、あみだくじで選ばれたメンバーがナウなヒューマンが集まるという百貨店へと来ていた…

 

「オマエらマジでしっかりしろよ、マジこんなヒューマンどもの巣で深海棲艦ってバレたら即ヒューマンからフクロにされてワケわからん研究所に送られて170時間耐久レ●プ!精神が壊れても帰れま10が待ってんだから」

 

「ナニそれ超怖いッ!」

 

「ヤバイよヤバイよ、ネーちゃんヒューマンマジヤバイよ」

 

空母棲姫(痴女)から借りたヒューマンどもが描いた本から得た知識、今回の選抜メンバーである重巡棲姫は同じ選抜メンバーの双子姫にとにかくバレないよーにと念を押した

 

「あと、知らないヒューマンにはついて行かない」

 

「ハイ!もし間違って知らないヒューマンについて行っちゃったらどーしたらいいですか!」

 

双子の妹、髪が黒い方が元気に挙手した

 

「よし妹!いい質問だ、とりあえず知らないヒューマンについて行った場合は…」

 

「場合は…」

 

「トイレでレ●プされます」

 

「早いッ!?レ●プされる早過ぎるーッ!」

 

空母棲姫(集ちゃんに頼んで通販してる)から借りた本から得た知識、ヒューマンとはもはやオークと同義である、重巡棲姫は本で読んだ知識を最大限に活用し、この、ちょっと頭が残念な双子姫を守護らねばと心に決めていた

 

「とりあえず、2人とも私に離れずついてくるよーに!いい?」

 

「ハイ!」

 

「ワッカリマシター!」

 

「よし!お財布は持ったなァ!行くぞォ!」

 

◆◆◆

 

「………マジかよ」

 

三●に入店し、順調に色々なフロアを見て回っていた我々深海選抜メンバーだったが、今、まさに緊急事態が発生していた

 

「………迷子かよッ!」

 

あー!もう!ないわー!アイツらマジないわー!離れるなってあれだけ言ったのにキャッキャ言ってハシャぎ回んなって注意したのに!ないわー、マジないわー

 

「サテ…ドウショウ」

 

こーゆー時はヒューマン文化に詳しい深海ハカセ、集ちゃんに電話して聞いてみるのが一番だろう、私は深海携帯電話を取り出しスタイリッシュに集ちゃんの電話にコールした

 

ぷるるるる……ぷるるるる……がちゃ!

 

『ウェーイ、モシモォーシ?』

 

「ア、集チャン、私私」

 

『ア?ウチいんたーねっとトカ間ニ合ッテルンデ、ブレッツ闇回線ナンデ』

 

「重巡棲姫ダヨ!重・巡ッ!勧誘ジャナイヨ!」

 

『アー…ナンダ、ヴェアーカ、ナンカ用?』

 

「誰ガヴェアーダ、ブッ殺スゾ……マァイイヤ、チョット困ッタコトニナッタノヨ、緊急事態発生ナノヨ」

 

『エ?ナニ?捕マッタノ?』

 

「捕マッテネーシ、ジャナイ!双子ガ迷子ニナッタノヨ!ドウシタライイノ?」

 

『ナンダ迷子カ…ツマンネ』

 

「オマエマジ帰ッタラブッ殺スカラナ」

 

『ヘイヘイ、迷子ネェ…受付ミタイナトコ行ッテ迷子ガイルンデスケドーッテ言ッタライイヨ』

 

「マジ?」

 

『マジマジ』

 

「ワカッタ、助カッタワ」

 

『ア、オ土産ニ地下デろーるけーき買ッテキテー』

 

「ブッ殺スゾ……ト言イタイトコダケド、ワカッタワ」

 

通話終了のボタンを押し、私は早速受付っぽい所へ行く事にした

 

◆◆◆

 

「ヤベーヨヤベーヨ」

 

「ネーチャンヤベーヨ」

 

ついテンション上がってハシャいでしまい、重巡棲姫とはぐれた双子姫はヤベーヨヤベーヨと言いながらベンチで頭を抱えていた

 

「このままじゃトイレで●されるよネーチャン!」

 

「大丈夫よ妹、いざと言う時は私が犠牲になって●されるから!私がするから妹には手を出さないでって言えばなんとかなるよ!」

 

「それ私もいつの間にか●されてるパターンじゃん!最終的には姉妹仲良くダブルピースしてるやつじゃん!」

 

「…え?そうなの?」

 

空母棲姫(痴女・陵辱派、和●とかイチャラブとかないわー)の持っていた本の知識から察するに、双子は一歩間違えばこれから起きるかもしれない淫靡なる陵辱の宴に震え上がった

 

「と…とりあえず重巡棲姫サンを見つけよう」

 

「そうだねネーチャン、わかったよネーチャン」

 

双子が持つ特殊な能力、通称ツ●ンズシンクロでお互いの考えを再確認し、2人はベンチから立ち上がり、店内をうろつく事にした

 

「しかしヒューマンの文化はすげーよネーチャン」

 

「そうね、カルチャーがショック、まさしくデカルチャーね」

 

「深海スーパーみたいなシャバい店じゃこうはいかな……あ、スイマセン」

 

通行人に肩がぶつかったので、対ヒューマン文化深海マニュアルに則り頭を下げて謝った

 

「ぐわー!肩が砕けたー!」

 

「キヨシィ!ダイジョーブかキヨシィ!オマエらよくもアタイの妹を…!こりゃ誠意見せるか、壁に手ぇつくかしかねぇな!」

 

「ヒィ!ヤンキーだよネーチャン!」

 

「だだだだ大丈夫よ妹!!」

 

ガラと頭の悪そうなキッズに絡まれた深海双子は深海マニュアル、ヤンキーに絡まれた場合の対処法を必死に思い出そう頭をフル回転させていると、夕雲型の後ろから来た女がガラの悪いキッズの頭をそれぞれ、グーで叩いた

 

「アサシ!キヨシ!離れるなって言ったろーが!玩具買わないわよ!」

 

「ご、ゴメン!足柄サン!」

 

「ゆ…ゆるして!!」

 

「ったく……あー、ごめんなさいね、ウチのバカどもが、コイツらバカだから、謝るから許してあげてね?」

 

「ずい゛ばぜん゛でじだぁー」

 

「ぎよ゛じも゛が悪がったでずぅ~」

 

「あ、いえ…」

 

「大丈夫です、はい」

 

「よし、それじゃ行くわよアンタ達、次、なんかやらかしたらパワーダ●クするからね」

 

気高き餓狼のようなオーラの中に確かに感じる強さ、そして優しさ、双子達は自分達を助けてくれた存在を、まるでヒーローを見るようにいつまでも、いつまでもその後ろ姿を見つめていた

 

「か…カッコイイ~」

 

「ネーチャン!カッコイイヨ!私漏らしそーになったよ!」

 

「超カッコイイ…」ウットリ

 

‐‐‐

 

その後、双子は迷子センターにしょっぴかれ、重巡棲姫からアツい説教を受け、深海へと帰路についていた

 

「………ハァ~」

 

「チョット妹、姉、ドウシタノ?」

 

もしかして自分と離れている間に何か変なものでも食べたのだろうかと心配になり、双子妹に尋ねてみた

 

「ヘヘッ!“ヒーロー”ニ会ッタノサ!」

 

「………ハァ?」



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鹿島先生と映画とラストゲーム

上映中はルールとマナーを守って鑑賞回

【登場人物】

鹿島先生(12)
休日は趣味を満喫する事でストレスフルな毎日を乗り切る大人、ガン●ムはS●ED世代

古鷹(3)
通称、古鷹さん、明石の店でよく買い物してる翼は白いが輪っかが黒ずんできた天使、鹿島先生とは趣味が合う



皆さんお久しぶりです、鹿島です、最近あまり出ませんでしたがきちんと仕事はしてました、はい

 

「やっぱり香取姉さんのタマゴサンドは美味いなぁ~」

 

朝のニュースを見ながらそろそろ桜とか開花するのかなとぼんやり考えながら香取姉さんの作った朝食を食べる、今日は休日なので朝はゆっくりでいいのだが相変わらず香取姉さんの朝は早い、それでいて私の起床時間に合わせて朝食まで準備してくれる至れり尽くせりだ

 

「鹿島、今日は街にお買い物に行くとか言ってなかった?」

 

「ん~…行くよ、昼前ぐらいに、映画に見て買い物かなぁ」

 

「あら映画、いいわねぇ」

 

香取姉さんはエレガントに微笑んでいるが、おそらく香取姉さんの中の映画とは字幕とかある感じで最後に幸せなKISSをして終了みたいなイメージだろう、しかし、今日私が見に行くのは劇場版黒バ●、過去にあった総集編映画ではなく完全新規のエクストラストーリーが満を持しての映像化だ、正直楽しみ過ぎてここ数日、何度か吐きそうになった

 

「私もたまには映画でも見に行こうかしら」

 

「提督さんでも誘って行って来たら?」

 

「それもいいかもねぇ…提督はどんな映画がお好みかしら?」

 

「さぁ?キ●グコングとかそんな感じじゃない?」

 

香取姉さんは“ほぼ”パーフェクトな姉だ、そんな香取姉さんの男を見る趣味だけはどうにも理解しきれない…

 

◆◆◆

 

「ぷくぷくぷー」

 

喫煙所で煙草を吸いながら基地スポを読んでいると、うーちゃんと弥生タンがなにやらお買い物準備した感じで廊下を歩いていた

 

「よぉ、お買い物か?」

 

「あ…テイトク」

 

「うーちゃん達は今から映画見に行くぴょん」

 

「ふ~ん」

 

そう言えばなんか色々公開されていたな、駆逐艦のキッズのコトだ、きっとひ●ね姫でも見て意識高い系でもアピールしたい難しい年頃なんだろう

 

「黒●ス見に行ってタ●ガを全力で応援するぴょん!」

 

「黒バ●かよッ!」

 

「弥生から光る棒借りたからコイツをブンブン振り回してやるぴょん!」

 

※現実の劇場版黒子のバ●ケは応援上映はしておりません、全力応援は各自心の中でしてください、また、上映中に光る棒を振り回すキャーキャー叫んだりすると他のお客様の御迷惑になり、容赦無くつまみ出されてアツい説教を受けます、ご注意ください

 

「今回は…私も見る」

 

「弥生タン…」

 

うーちゃんはアツいタ●ガ推し、弥生タンはそこまでアツくはないが誰かと問われたら笠●先輩が好きなそうだ

 

「テイトク!テイトクも暇なら一緒に見に行くぴょん!テイトクも感動のオレとオマエのラストゲーム見るぴょん!」

 

「まぁ、たしかに今日は暇だが…」

 

「劇場でXLサイズのコークとポップコーン買ってくれぴょん!そんで見終わった後にテキトーなお店で美味しいモノ奢って欲しいぴょん!うーちゃんはジャンボパフェとか食べたいぴょん!」

 

「正直かッ!」

 

「それに、テイトクに車出して貰えば電車代浮くし…」

 

コイツらは……だが、正直で宜しい、嘘はつけない性分のうーちゃんと持ち球ストレートのみの弥生タン、その遊び球無しの初球からストレート勝負は気に入った!

 

「いいだろう、車を出してやるからちょっと待ってろ」

 

「やったぴょん!」

 

「電車代、浮いた…」

 

◆◆◆

 

 

「C4、C4……あ、あった」

 

ここですね、私は席に座り、バッグから新品のネオンスティックを取り出して準備する、色はもちろん緑だ…正直なところ、空中装填式3Pをキ●キコンビでやるのは私としても複雑だ、高●の気持ちがよくわかる

 

「C5……C5、あ、前ちょっとスイマセン」

 

「あ、ハイ」

 

隣に誰か居るんだ、まぁ変な人じゃなければいいけ………ど?

 

「…あれ?もしかして、鹿島先生では?」

 

「はぃ?」

 

「私ですよ!私!ほら!」

 

「あ、古鷹さんっ!」

 

伊達メガネを外し、片目がピカーっと光るその人は間違いなく、古鷹さん

 

「き…奇遇ですね」

 

「え…えぇ」

 

なんとなく噂では古鷹さんもそっち系とは聞いてましたが…

 

「鹿島先生もこーゆーの見るんですね、私、もっと意識高い感じかと思ってました」

 

「いやぁ、低いですよ、全然低いですって!」



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提督と秋雲と秋雲組

秋雲組鉄の結束とイケたらイク回

【登場人物】

提督(112)
自称、漫画には少々うるさい面倒くさい大人

秋雲(5)
自称、アツかりし漫画家、一般的な秋雲と違ってエロへの興味が薄い

夕雲
秋雲組、画風が少々アレながら悪意はなく善意でやってるタチの悪さ

巻雲
秋雲組、センスが少々ハイで手先が器用、夕雲と組んだ方がその実力を発揮できるのではと噂されている

風雲
秋雲組、だいたいなんでも出来る秋雲組の生命線

早霜(3)
プロ漫画家、提督への好感度はやたらと高い


秋雲組ッ!

 

それは憧れの週刊少年誌での連載を目指すアツかりし漫画家(自称)秋雲の漫画をサポートするプロフェッショナルアシスタント集団、略してプロアシ集団である

 

「…どうすか?」

 

「そうだなぁ」

 

今回の漫画は飛び散る汗と熱気がムンムンと伝わってくる自転車競技に青春を賭けるアツかりし漫画、ムキムキ体育会系主人公が仲間達と共にナイスガッツに力を合わせて全国制覇を目指す物語らしい

 

「その、必殺のマッスルトレインの見開きはかなり気合い入れたトコっす」

 

「たしかに、迫力が伝わってくる絵ではあるが………この薔薇トーンのおかけで色々台無しだな」

 

「まぁ、私も完成した原稿見て、なんか違うなって思いました」

 

「わかってんならそのまま完成するなよ!明らかに合わねーじゃん!っーか主人公とライバル以外のキャラがほぼオ●カルじゃん!なんで全員フランス革命に参加しそうな顔してんだよ!」

 

「私はメインキャラに全力注いでモブっぽいのは夕雲の姉さんに任せたんすけど……まぁ、いざ完成した原稿見ると、なんか違うなって…」

 

「気付くのがおせーよ!!」

 

俺は原稿用紙を机にバシバシと叩きつけ、缶コーヒーの蓋を開けて一気に飲み干した

 

「…ふぅ」

 

「ナニが悪いんすかねぇ~」

 

「いや、どう考えても秋雲組だろ、なんなんだその役立たず集団は」

 

「ナニ言ってんすか!夕雲の姉さんが描くこの躍動感溢れるキャラクター!」

 

「あぁ、全員もれなくバスティーユ監獄にカチ込みしそうなキャラだがな」

 

「私では思いつかないハイセンスな巻雲の芸術的なトーン貼り!」

 

「指定しろよ!トーンを指定しろよ!バカか!?バカなのか?バカなんだろ?」

 

「モブ!背景!トーン!ペン入れ!ベタ塗り!ホワイト!消しゴム!効果線!痒いトコほぼ全部やってくれる風雲!」

 

「風雲すげぇなオイ!!」

 

使えるの風雲だけじゃねーか!っーか、あきらかに夕雲と巻雲が足ひっぱってるじゃねぇか!間違いなくその2人がいらんコトしてるじゃねーか!

 

「…秋雲よ」

 

「なんすか?」

 

「夕雲と巻雲クビにして、風雲と二人でやれよ」

 

「ナニ言ってるんすか!私達は4人で1つのチームっすよ!秋雲組はたとえ生まれも系列艦も違えど鉄の結束を持った家族ッ!決して散る事の無い秋の雲なんすよッ!」

 

「や、姉妹艦じゃねーのオマエだけじゃん」

 

まぁ、秋雲に関しては陽炎型なのか夕雲型なのかフワフワした感じなのでなんとも言い難いものもあるが、一応、陽炎型って話だしな

 

「とりあえず夕雲と巻雲の使い方について考え直してみたらどうだ?ほら、喉渇いた時にジュース買いに行く役とか、寂しい時に歌でも歌ってもらう役とか」

 

「それ必要なんすか!?」

 

むしろ、原稿に関わらない方が物事が順調に回るような気がするしな

 

「必要だろ」

 

「必要すかね?」

 

「必要だろ」

 

「…言われてみると、必要な気がしてきたっすね!」

 

「だろぉ?よし、決まり!夕雲はジュース買いに行ったり飯を用意する役、巻雲はスーパーヒットセレクションジュークボックス役な!」

 

「なんかやる気がMORIMORI湧いてきたっすよ!カーッ!テイトク!この秋雲!なんかすげーワクワクしてきたっすよ!」

 

「だろぉ?こんなにやべーのワクワクしてきちまったろぉ?ハッハッハ」

 

「ワハハハハハ!」

 

これで秋雲の漫画も少しはマシになるだろう、元々コイツは才能に溢れているんだ、そもそも、一般的な秋雲は生唾ゴックンのビシバシもんのドエロいエロ同人を得意としていると余所で聞いた事があるしな、ちょっと方向性が違うだけでコイツだってやればデキる子だ!

 

「よし、腹減ったし何か食いにでも行くか!」

 

「いいっすね!この秋雲、今日はガッツリ!カツドゥーンとか食いたいっすね!」

 

「カツドゥーンか!いいね、ロックじゃねーか!よし!今日は俺の奢りだ!秋雲、秋雲組の仲間達も呼んできなーッ!」

 

「ヒュー!!」

 

◆◆◆

 

依頼されていた読切原稿を無事にバイク便に渡し、たまには贅沢でもしてみようと考えた私は間宮さんのお店で今日のオススメ、季節のスプリング・スプラッシュ・スウィーツ、通称トリプルSなるジェラートを食べていた…

 

「…」

 

なるほど、これはなかなかだ…口の中でもう4度も味が変化した

 

「カツドゥーンを一丁!みんなは何にするっすか?」

 

静かにこの上質な甘さを堪能していると、なにかやかましい声が聞こえてきた、あれは………秋雲と、夕雲姉さん達……

 

「私はきつねうどんにしましょうか、巻雲さんは?」

 

「巻雲はカレーうどんにしますかねぇ、風雲は?」

 

「私は…う~ん、あ、サラダでいいや」

 

「ヘイ!風雲!サラダなんてロックじゃねーっすよ!テイトクの奢りなんすからもっとガッツリいけよ!ガッツリ!ヘイ女将!このポニテにスペシャルツインハンバーグを!ライス大盛で!」

 

「ちょ!」

 

相変わらず五月蝿い子………ん?今、テイトクの奢りって……?

 

「よぉ、キタローくんじゃないか?君も来ていたのかね?」

 

て…提督ーーーっ!?提督!提督がッ!提督がァ!提督がわ…わわ私に?私にも!私に声をッ!ハーハー…うっ!あまりに突然過ぎ!て………ンンはぁん!アッ…アア…ァ、フー…フゥ…ンクっ!!!

 

「ゴフッ!!ごほぉ!!エフッ!エフッ!」

 

「だ…大丈夫かね?」

 

「…大丈夫です、少し噎せただけですから」ボソボソ

 

……ふぅ、あまりの不意打ちに上の口だけでなくて下の口も甘酸っぱくなってしまったわ…フゥ~…よし、少し落ち着いた!ハァ…ハァ…ンン!よし、ハァァン!落ち着いた、よし!

 

「ん?お、早霜じゃん?イイモン食ってるっすねー?」

 

「…別に」ボソボソ

 

秋雲の奴、提督の奢りでカツドゥーンとはなんて羨ましい…

思えばこの子、よく提督と漫画の話で楽しくお喋りしているみたいだし、私もこの子みたいに提督と楽しくお喋りできたら………ウッ!!ハァ…ハァ……ハー…ん!く!ハァン……想像っ!しただけでっ!!

 

「…ふぅ」

 

……ハー…ハー…よし、今週はコレでイこう

 

「体調でも悪いんすか?」

 

「…別に」ボソボソ

 

「そうっすか…まぁいいや、さぁ食うっすよ!カツドゥーンを!あ、テイトク、秋雲のカツとテイトクのカツ交換しねーっすか?」

 

「フェアプレイの精神だな、よし、なら俺の食いかけのカツとお前の無傷のカツを交換してやろう」

 

「それフェアじゃねーっすよ!」



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提督と球磨型②とナイトクラブ19

球磨型姉妹のズラ型顔回

【登場人物】

北上(2)
球磨型3番艦、安心安全のクローザー、否レズ

大井(2)
球磨型4番艦、すぐに舌打ちする安定のストッパー、否レズ


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「なんか日本酒増えた?」

 

「増えたよ、アンタ変なトコめざといねぇ」

 

ママといつものクールな挨拶を交わし、俺は手身近な空いてる席へスパイラル着席をキメ、胸元から取り出した煙草に火を点けた

 

「フーッ~…」

 

「北上さんだよ」

 

「大井です」

 

席にやって来たのは球磨型姉妹後半のフレンズ、三女の北上と四女の大井、姉妹としては球磨ねーちゃんと多摩ニャーの下位に属する球磨型姉妹、鉄の上下関係

 

「よく来たねぇ、なに飲む~?紅茶?紅茶あるよ?貰いモンのちょっと高いティーバッグ」

 

「なんで紅茶なんだよ!」

 

球磨型姉妹の三女、北上

一見すると田舎のおばあちゃんを思い出してしまう謎の安心感を持つが、その戦闘力は凄まじく、まだこの基地がシャバ憎の集まりだった頃は第一線で猛威を振るい、深海棲艦のクソどもはコイツが出てきたらもうゲームエンドだと震え上がったそうだ

 

「いやだわ北上さん、こーゆー店ではロックかストレートかバーボンなのよ?」

 

「お前、知ってる単語テキトーに並べただけだろ?」

 

球磨型姉妹の四女、大井

北上が謎の安心感を持つ田舎のおばあちゃんなら、コイツはたまには街のジ●スコに買い物に行く田舎の叔母さんみたいな謎の安心感があり、北上同様、その凄まじい戦闘力はかつての革命の徒、アグ●カ・カイエルを想い起こさせる

 

「しかし……前に球磨ねーちゃん達も見たが、まさかお前らまでママの店で働いていたとはな」

 

「ん~…臨時バイトってやつ?」

 

「春だし、Av●ilで木曾にオシャレな服を買ってあげようと思ってね、臨時収入が欲しいのよ」

 

そうか、ここでAva●lか…なるほど、三●には触れていたがこっちは無視なんだなと思っていたが、なるほど…そうか、今日、北上と大井だったのはそういうコトか…

 

「で?何飲む?」

 

「焼酎、米の~…そうだな、お湯割を貰おうか」

 

「…チッ、めんどくさ」

 

「オイ、大井コラ、めんどくさいとかゆーな」

 

コイツ気に入らない事があるとすぐ舌打ちするんだよな

 

「提督、私らも何か飲んでいい?」

 

「ん?あぁ、まぁテキトーにな」

 

「じゃ、私紅茶にしよ、せっかく貰ったし、大井っちは?」

 

「私も同じもので」

 

健全かッ!!球磨ねーちゃん達といい、コイツら球磨型姉妹はどいつもこいつも健全なのかッ!いや……そう前に木曾も見たが、アイツ、あん時は俺と天龍とピッチャーイッキしてベロベロに酔って、翌日、3人で球磨ねーちゃんに土下座させられたな

 

「はい、お湯割」

 

「おう」

 

「はい、紅茶」

 

「ありがとう北上さん」

 

「じゃ、カンパーイ」

 

『『カンパーイ』』

 

焼酎お湯割と紅茶×2で乾杯とは実にシュールな光景だな…

 

「しかし…お前らなんやかんや木曾に甘いよな」

 

「そう?まぁ、ほら、ウチは球磨ねーちゃんが厳しいしさぁ、その分甘くなるんだよねぇ」

 

…おばあちゃんか、コイツは

 

「それにほら、あの子、私服ダサいし、オシャレなもの着ないと」

 

ダサいとか言われてるよ木曾、オマエ、すぐ上の姉からダサいとか一刀両断されたよ、今、この場に木曾が居たら木曾のPRIDEがバーニングソードブレイカーされてたよ

 

「お小遣いで服でも買いなさいって言ってるけど、いつもワケわかんないカード買ってるし」

 

「まぁまぁ大井っち、木曾くらいの子はみんな集めるのが好きなんだよ、ほら、昔あったじゃん?ラブアンドなんちゃらみたいな?」

 

北上その世代なのォォォ!?え?意外と若いの!?

 

「ありましたね、そんなの…そう言えばたくさん集めたファイルはどこにいったのやら」

 

「実家の押し入れじゃない?たぶん」

 

そういやコイツら、あのズラ型駆逐艦と同じ村出身とか聞いたことあるような、ないような…

 

「まぁ、木曾は木曾なりにオシャレを追求してるんだからあまり押し付けるのは…」

 

「ダメだよ~提督、木曾は今が大事なんだからさぁ~」

 

「そうよ、木曾は今が大事!今が大事なのよ!」



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提督と大と小

激突!ヒロイン力の真っ向勝負回

【登場人物】

提督(113)
浜風ちゃんと楽しくお喋りしたい、自分を信じて『夢』を追い続けていれば夢はいつか必ず叶う!と信じるポジティブ思考

鈴谷(37)
改二待機中、ポジティブ思考

山風(10)
三●待機中


急を要する仕事を片付け、自販機で缶コーヒーを買って喫煙所へと歩いていると、毛のない猫と言う名のキモい生命体を抱えた山風が歩いていた

 

「よぉ、チビスケ」

 

「…チビスケゆーな、山風」

 

「ナニやってんだ?」

 

「…猫の散歩」

 

「ふ~ん」

 

自らの脚で歩かねば散歩にはならないのではないだろうか?よく見ろよ、そいつには立派な脚がついてるじゃないか……と言いたいところだが、まぁ、変にフラフラさせてどこぞの野良猫とズッコンバッコン大騒ぎしてくるよりはマシか…

 

「…提督、暇なの?」

 

「ご覧の通り、大忙しだ」

 

「…ご覧の通り、暇そう」

 

「暇じゃない、提督だ」

 

俺は知っている、この流れは暇なら散歩に付き合わないかと言ってくる流れだろう、しかし山風よ、俺は今から喫煙所でどうすれば浜風ちゃんと楽しくお喋りできるのかを徹底解析、1箱吸うまで帰れま10を行う予定なので貴様に付き合っている暇などないのだよ

 

「お、提督とチビスケだ、ナニやってんのー?」

 

「…む」

 

丁寧かつ紳士的にその場を去ろうとしたその時、廊下の向こうから明石の店で買ったらしいパンを持った鈴谷が歩いてきた

 

「ナニやってんのー?あ、もしかしてゲームするの?鈴谷も仲間に入れてよー」

 

「仲間じゃない提督だ、あと、ゲームもしない」

 

「ふ~ん、よ!チビスケ」

 

「…チッ」

 

「ナニこのチビ、ナニ舌打ちしてんの?は?ナニ?鈴谷に上等ですかー?」

 

「…チビスケじゃない、山風」

 

「はいはい、って…ナニその生物!キモっ!」

 

「…キモくない」

 

「や、普通にキモいわー、マジキモい」

 

コイツ、ことごとく地雷を踏み込んで行くタイプなのだろうか?ただでさえいつも不機嫌そうな山風がみるみる不機嫌さを増しているように見える、もしかしてコイツら仲が悪いのだろうか?

 

「まぁいいや、あ、パン食べるコイツ?鈴谷様のパン分けてあげよーか?」

 

「…いらない、変な菌つく」

 

「つかねーし!!」

 

鈴谷はパンを袋から取り出して豪快にかぶりついた

 

「う゛っ!!」

 

練乳パンの練乳が勢いよく鈴谷の口内に噴出し、口に入りきらなかった練乳が口の端から垂れた

 

「うぇ…うぇぇ……ナニコレ?濃い、っーか量多すぎ」

 

「バカかオマエは、っーかなんだそのパン」

 

「明石サンとこで買った新商品、練乳タップリ中身パンパンパン……うぇぇ、甘めぇ…テイトク、そのコーヒー頂戴」

 

「お断る」

 

「ケチか!」

 

「ケチじゃない、提督だ」

 

明石の店はたまに変な菓子パンを入荷するんだよな、妙な商売にやたら手を出す悪い癖だが、たまに当たりもあるからこればかりは注意できん

 

「…提督、行こう」

 

「ん?あぁ、そうだな」

 

山風に袖をグイグイ引っ張られてその場を去ろうとする俺……

 

「って!待て、俺は別にお前の散歩に付き合ってないぞ」

 

いかんいかん、普通に流されるところだった、こやつめ、チビスケの分際でなかなかやりおるわ

 

「俺は今から喫煙所に行くんだよ、じゃあな」

 

「あ、ちょい待ち」

 

「なんだ?」

 

「喫煙所行く前に鈴谷にお小遣い頂戴」

 

「小遣いか……いいぞ、その、山風が持っている猫の頭を撫でる事ができたらくれてやる」

 

「ラクショーじゃん、チビスケ、そいつ貸し…」

 

「…ダメ」

 

「いいじゃん!ちょっとだけ!ちょっと頭撫でるだけだし!」

 

「…変な菌つく」

 

「つかねーし!!いいからゴチャゴチャ言ってねーで撫でさせろォ!」

 

鈴谷は強引に山風の抱えている猫に手を伸ばす、しかしッ!!

 

ガリッ!!

 

「ぐわああああああ!!!コイツ噛んだ!噛みやがったーッ!!」

 

『愚かなるヒューマンよ、この俺の頭を撫でるなどなんたる不遜』

 

山風の腕からヒョイと飛び出した猫は警戒態勢で尻尾を垂直におっ立てた

 

「喋ったァァァァァ!!!」

 

『喰い散らかしてくれるわ!』

 

「ヒィ!!ヒイイィィィィ!!」

 

‐‐‐

 

「あばばばばばば…」

 

「…ナニしてんの?このおねえさん」

 

「さぁ?もしかして動物と今ごろドッタンバッタン大騒ぎしてるユメでも見てるんじゃねーの?」

 

立ったまま白目を剥いて失禁する鈴谷を不審そうに見る山風、そして、鈴谷の食いかけ練乳パンを食べる猫…

 

「…ダメ、汚いよ」

 

「汚くない、鈴谷だ」

 

「…?」

 

「まぁいい、俺は煙草吸いに行く、じゃあな」

 

「…わかった、あ、テイトク」

 

「なんだ?」

 

「…今度、海風姉達が三●にお買い物に行くって言ってたから一緒にどうかな…って」

 

「覚えてたらな」

 

「…うん」



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提督と五月雨と普通の話

他の追従を許さない圧倒的ポジショニングについて考える回

提督(114)
なんやかんや、たまに飲んでは不味いと言える大人

五月雨(39)
熟練秘書艦、アレ持ってこいや、アレだよアレで話が通じる熟練

夕張(21)
胸も含めてスレンダースタイル


五月雨の淹れるコーヒーは不味い

 

最高の機材と、最上級の豆、そして常に美味しい一杯を目指し研鑽を続ける飽くなきコーヒーへの情熱、これだけの条件を揃えながらも何故か淹れるコーヒーは不味い

苦いとか苦くないとかそーゆーコトじゃない、なんと言うか………我慢すれば決して飲めない事はないが、我慢しなければならないのだ、これは一杯のコーヒーにブレイクを求める者にとっては致命傷と言っていい

 

「…マズっ」

 

当基地では、新しく配属されたヤツに五月雨がコーヒーを淹れ、その後、二度と飲まなくなる風習がある

 

「進歩しねぇな、オイ」

 

「失敬な」

 

しかし……不味いなコレ、この微妙に飲めない事はない絶妙な不味さを作り出す技術はもはや、THE世界遺産に申請していいだろう

 

「まぁいい、腹減ったしメシでも食いに行くか、メシ」

 

「そうですね」

 

‐‐‐

 

近所の定食屋にやって来た俺と五月雨、とりあえず昼間からガッツリ食いたい気分でもないのできつねうどんでも食うか…

 

「俺はきつねうどんを選択してターンエンドだ、さぁ、お前のターンだぜ」

 

「ん~…私も同じものにしましょうかね、あ、かしわのおにぎり食べます?一皿頼んで分けましょう」

 

「チッ、好きにするがいい」

 

五月雨は店員を呼んで注文を伝える、たしかに、うどんだけでは健康的な成人男性では少々物足りないものがあるかもしれない、かと言ってメインでないものをガッツリ食べたいほどでもない、そんな時に、適度な量のライスがあるの実に有難い、有難い………が

 

「なんですか?その面白くなさそうな顔は」

 

「いや、そーゆートコがムカつくなと思ってな」

 

「そうですか」

 

五月雨は温かい茶を啜りながらどうでもよさげにため息をついた

 

「なんだそのため息は………ん?」

 

五月雨の後方、俺の視線の先になんか見覚えのあるミドリボンが新しく店に入った来た

 

「あ、テイトクと五月雨ちゃんじゃないですか、お二人も昼食ですか?」

 

「よぉ、お前もか」

 

緑のリボンと腹出しスタイル、目の錯覚を利用してなんとなく細く見える気がする黒タイツを愛用する軽巡、夕張…

 

「私も同席してもいいですか?」

 

「構わんぞ」

 

「どうぞどうぞ」

 

夕張は五月雨の横の椅子に座り、店員のお姉さんを呼ぶと天ぷらうどんを注文した

 

「お前、うどんとか食うんだな」

 

「そりゃ食べますよ、え?私うどん食べないイメージなんですか?」

 

「三食S●YJOYとか食って生きてるかと思ってた」

 

「どーゆーイメージですか、私だって色々食べますよ、天ぷらうどんだって食べるし、天ぷらそばだって食べるし、天丼だって食べるし」

 

「天ぷらから離れろよ」

 

どんだけ天ぷら好きなんだコイツ…

 

「それだけ天ぷら食べてヘソを見せつけるスレンダースタイルはみんなムカついてますよ」

 

「え゛!?ウソ、マジで?五月雨ちゃんマジで!?」

 

「えぇ、村雨姉さんなんか死んだらええねんって言ってますし」

 

艦娘とは言え、女社会の闇は深い…

 

「そう言われても、ほら、私あんま太らない体質みたいだし…」

 

「やめておけ夕張、それ以上は天ぷら油火災にマヨネーズを注ぐだけだ」

 

「はぁ?」

 

コイツ、己の興味ある分野以外ではポンコツらしく、何故死んだらええねんとまで言われるのか、その理由がよくわかってないようだ

 

「お待たせしましたー、きつねうどんとかしわにぎりでーす、天ぷらもすぐにお持ちします」

 

「ほぉ、テイトクと五月雨ちゃんはきつねうどんですか…」

 

「やらねーぞ」

 

「いや、別にいりませんけど…」

 

「だが、お前がどうしても言うのならこのカマボコと海老天を交換してやる事もやぶさかではない」

 

「それメイン!天ぷらうどんのメインじゃないですか!絶対交換しませんよ!」

 

「ケチくせぇ野郎だな」

 

「テイトクにだけは言われたくないです」



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提督と五月雨と最終回

オレとオマエのラストゲーム

【登場人物】

提督(115)
マンモス哀れなやつ

五月雨(40)
今日は適度にツッコミ


遂に発見した深海棲艦のアジトへの一斉攻撃、その戦闘は苛烈を極め、多くの仲間達が一人、また一人と散っていく、とうとう姿を現した深海帝国皇帝シンカイエンペラーとの最後の決戦を制した我々は勝利の声を上げて帰還を果たしたのだった…

 

「と、まぁ…こんな感じで深海棲艦との戦いも終わり地上に愛と平和が戻ったワケだ」

 

「はぁ?」

 

季節は弥生タンからうーちゃんへと移り変わった四月の日、俺と五月雨は特にやる事もなく執務室でこれまでの激戦について振り返っていた

 

「サミダス、今までよく尽くしくれた」

 

「五月雨です、なんですか?今までって…」

 

「え?だって深海棲艦との戦いも終わったし、今日で最終回だよ」

 

「…はぁ?」

 

「今回は最終回らしく今までの戦いを振り返りつつ、希望の未来へレディゴーな感じでいくから」

 

「…はぁ?」

 

そう……思えばあの日、俺がコイツと会ったあの日から全ては始まっていた

 

‐‐‐

 

「出ろ、俺と帰るぞ」

 

「消えな」

 

鉄格子越しに対面した俺と五月雨、当時の五月雨はいわゆる不良のレッテルを貼られている札付きのワルだった

 

「およびじゃないですよ、私の力になる?冗談は眼鏡だけにしといてくださいよ」

 

‐‐‐

 

「と、まぁこんな感じだったな」

 

「何一つ合ってませんよ、なんですかその捏造」

 

「捏造じゃない、提督だ」

 

そして俺は五月雨と共に、この、ワクワクと冒険に満ちた海に出航だーと叫び海に出て、様々な出会いと戦いを経てきた…中でも思い出深いと言えばまず、凶羅大四●殺だろう

 

『ウオオオォォォ!舐めんじゃねー!これが白露型駆逐艦白露の男じゃあー!!』

 

『し、白露ーッ!』

 

『ヘヘッ、お前らと一緒に居るのも、悪くなかったぜ…勝てよ!この戦い!』

 

マグマの中に消えていく白露には全員がアツい涙を流したものだ

 

「や、なかったですよね、そんな戦い」

 

「あったよ、忘れっぽいなお前」

 

「忘れる以前に無いもの覚えてないです」

 

そして、次に思い出深いのはやはり十二宮の戦いだろう…

 

『ウオオオォォォ!!お前もオレと一緒に死ぬんだーッ!』

 

『バカな!よせ白露!死ぬ気かーッ!』

 

『老師!この白露、禁を破ります!ウオオオォォォ!喰らえ!廬山●龍覇ーッ!』

 

『し、白露ーッ!』

 

光の龍となって天に昇る白露には俺達の目からアツい涙を止まらなかったものだ

 

「また白露姉さん!?さっきマグマに消えましたよね!?」

 

「そうだったか?」

 

そして、全宇宙の存亡を賭けた宇宙の帝王との最終決戦、ついに改を超えた改二へと進化を果たした胸アツ展開もあったな…

 

『あの駆逐艦…?白露のことか?白露のことかァァァァァ!!』

 

『な、なんなのだキサマはー!』

 

『とっくにご存知なんだろう?穏やかな心で激しい怒りに目覚めた佐世保生まれの軽巡、スーパー北上様だーッ!』

 

全宇宙が絶望したあの宇宙の帝王を圧倒するスーパー北上さんには俺達も涙が止まらなかったな

 

「また死んでるッ!また白露姉さんが死んでるし!」

 

「でぇーじょーぶだ、白露は人気キャラだから何度でも甦るんだよ」

 

「ある意味ヒドい地獄ですよ、それ」

 

地獄か……そう言えばこんな事もあったな、そう、あの戦いもなかなかの激戦だった…

 

『カッカッカ、弱体チームには大会参加をご遠慮願おうか、ねぇ、白露姉さんに大鯨さん』

 

『な、なにィ!?弱体チームだと!その言葉を取り消せー!』

 

『カッカッカー!地獄のコンビネーション!』

 

『ぐわああああああ!!』

 

『し、白露ーッ!!』

 

あの戦いで披露された長門ドライバーと陸奥バスターの合体技ナガムツドッキングは当時キッズ達がこぞって真似をして大怪我したものだ…

 

「…なんか白露姉さんに恨みとかあるんですか?ってか大鯨さんが巻き込まれ事故してますけど」

 

「ないけど?」

 

「そうですか」

 

「かわいいよな、白露姉ちゃん」

 

「まぁ、可愛い…?えぇ、まぁ可愛いじゃないですか」

 

常に一番である事を義務付けられた帝王かと思いきや、すぐ下の妹がボクサカとか言い出す始末だが…

 

「さて、最終回らしく最後に俺から衝撃の事実を伝えたいと思うのだが……実は特に何もない」

 

「そうですか、あ、この書類にサイン頂けますか?」

 

「サインね、サイン…はいはいっと」

 

俺は五月雨が差し出した書類にスタイリッシュに名前を書き込んだ

 

「…ん?オイ五月雨、ここに入ってたデ●ノートの紙、破ったか?」

 

「えぇ、ちょうど紙がなかったんで、今サインして頂いた紙がそうですけど」

 

「なんだとォ!?」

 

「なんですか?突然?」

 

「死ぬのか!?僕は死ぬのか!?」

 

「…はぁ?」

 

「嫌だァァァァァ!!逝きたくない!逝くのは嫌だァァァァァ!!」

 

ドクンッ!!!

 

「う゛っ……!!!」死ーン

 

◆◆◆

 

突然の心臓麻痺で提督は死に、基地は衝撃に包まれました…

しかし、幸いな事に提督の仕事自体はさほど重要でもなく、日常的な業務も私が把握していたので基地運営には大きな影響を与えませんでした…

現在、新たな提督が着任するまでは私、五月雨が基地運営を任されています…

次はきっとイケメンで有能な提督が来てくれると信じて…

 

ゴン!ゴン!

 

「…どうぞ」

 

執務室の無駄に重い扉が叩かれ、新しく着任予定のイケメンが……

 

「げ、ゲェーッ!!お、お前はーッ!」

 

「フッ、甦ったのよ、冥王ハー●スに忠誠を誓う冥●士としてなッ!!」





次回以降も普通にありますのでよければお付き合い頂ければ幸いです、はい


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提督と春の基地祭り

最終回とか何事もなかったように通常運転中

【登場人物】

提督(116)
地域の偉い人に頭下げる事に余念がない小物

明石(10)
明石だってダメージは受ける


春!その素敵な季節が提督を行動させた!

地域の皆様に愛される基地でありたいと普段から考えている我々は常日頃から地域の清掃活動やしょーもないイベント活動にも積極的に参加し、大丈夫!この拳は怖いものじゃないんだよと己の凶器を安全物だと偽る超手加減の精神に勤めてきた

 

「っーワケで、今年も基地開放、春の地域密着型春祭りなワケだが……サミー、現在の来場者数は?」

 

「二千人弱ですね」

 

常々、財政難に悩むところがある当基地にとって、基地を挙げての大イベントは地域へのふれあいアピールと同時に運営資金を獲る為の資金稼ぎでもある、こちらの手札は見た目だけは可愛い艦娘だ、調子に乗って攻めきたところを罠カードオープン!オマエの財布はゼロだぜッ!のコンボが待ち受けているとも知らずにバカどもがやって来る、ククク…この可愛いだけかと思ったか?残念だが俺の手札は牙を持つカードだぜッ!

 

「あ、浦風さんがお好み焼きの手が回らないと連絡がありましたけど…」

 

「鋭意、努力したまえ」

 

「暇そうな人に応援に行くように連絡しておきます」

 

お好み焼きなんぞショボい売上などどうでもいい、問題は今日のメインイベント、鉄の城・長門VS伝説の修羅・陸奥のエキシビジョンマッチだ、

 

「さて…俺はちょっと外を見てくる、ここは任せるぞ」

 

「わかりました、あ、外に行くついでにお好み焼き買ってきて下さい」

 

「覚えてたらな」

 

◆◆◆

 

『コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!』

 

基地特設リングではメインイベントの他に三試合が組まれており、現在は第二試合、天龍VS藤波の対決が行われていた

 

「いったー!ドラゴンスクリュー!」

 

「天龍苦しい!天龍苦しい!これは苦しいーッ!!」

 

「天龍!ギブアップ?」

 

「NOーッ!!」

 

「OK!!ロープブレイク!!」

 

メインでもないのに会場のこの熱気、アツい戦いを繰り広げられているのは意外だったが、まぁコレはコレでありだろう

 

「フーッ~…」

 

「あ、提督」

 

「ん…?お前はトリコ?」

 

「明石ですよ、ビール買いませんか?ビール、今ならなんと900円」

 

背中にビールサーバーを担いでニコニコと笑う明石、コイツ…またしょーもない小銭稼ぎを考えたか

 

「っーか高いな、オイ」

 

「えー?普通ですよ、普通」

 

ニコニコとぼったくり価格を提示する明石の後ろから緑色のトゲトゲしい頭がやって来た

 

「…明石さん、ビールなくなった」

 

「お疲れ様~山風ちゃん、あ、じゃこっちの使ってね、そっちのは新しく補充してくるから」

 

明石と同じくビールサーバーを担いだ山風は明石のビールサーバーと交換しようとビールサーバーを地面におろした

 

「オマエ、また明石に雇われてんのか?」

 

「…うん、1杯50円」

 

「仕入れ1杯が約200円、それを900円で売って700円から山風ちゃんに50円バックで利益650円、笑いが止まらんですよ」

 

明石はゲラゲラ笑いながら今日の利益に目を輝かせている、コイツ…もう転職した方がいいじゃないのか?むしろ、コイツが工作艦の仕事してるの殆ど見た事がないんだが…

 

「ちなみにそのビールサーバー、満タンでどのぐらい出るんだ?」

 

「ん~…だいたい50杯ぐらいですかね」

 

50×50で空になれば山風に2500円か…なかなか良い商売をしやがる

 

「…よい……しょ」

 

「チビスケ」

 

「…チビスケゆーな、山風」

 

「ちなみに、今日はそれ、何回ぐらい交換したんだ?」

 

「…15回ぐらい?」

 

な……750杯だと!?コイツ、1人でどんだけ売ってるんだ!?売りすぎだろ…T●KYOドームでもこうはいかねぇ…

 

「山風ちゃんはスゴいですよぉ~、黙っててもバンバン売ってきますからねぇ~、もうお姉さん大助かり~」

 

「…やめて、頭撫でるの」

 

山風曰わく、歩いてたらオッサンが買ってくれるらしく、その姿を見たオッサンがオレも!オレもと買ってくれ、悪魔的美味さッ!と涙を流すそうだ

 

「ちなみに明石、お前は?」

 

「2杯!」

 

「ダメじゃねーか!オマエ全然売れてねーじゃん」

 

「おかしいですよね、私それなりに可愛いくないですか?」

 

明石は明石でダメージを受けているらしい

 

「ビール1杯でそのスケベスリットに1まさぐりとかしたら売れるんじゃねーの?」

 

「イヤですよそんなの、まるでビッチじゃないですか」

 

「じゃ、こう…カップを胸で挟んで注ぐとか」

 

「なんでそんなのばっかなんですか!私も普通に売りたいんですよぉ!山風ちゃんみたいに立ってるだけでちやほやして欲しいんですよぉ!」

 

「クズが…ッ!」

 

まぁ、コイツから漂うどうしようもなく金が好きッ!みたいなオーラをどうにかしないと無理な話だろうが………いや、無理か、圧倒的天賦の才能の前にたかが淫乱ピンク如き凡才の努力がかなう筈がない

 

「アーカーちーん、ビールなくなったー」

 

「ん?」

 

打ちひしがれる明石の後ろから、ビールサーバーを担いだ新たな売り子がやって来た

 

「ゲッ!テイトク」

 

「オマエは……ハルサメ」

 

ビールサーバーを担ぐ白髪のそいつ、白露型のハルサメ、あぁ…ハルサメだ、うん、断じて人類の天敵、深海棲艦ではない、しかも姫級とかヤバいヤツでもない

 

「あ、ワルサメちゃんもお疲れー」

 

「どもっス」

 

「オイ明石、オマエ、コイツも雇ってたのか?」

 

っーかコイツ、今ワルサメって言ったよな…?もしかして気付いてるのか?

 

「バイトしたいから是非にって」

 

「いやぁ~今月課金しスぎて」

 

この姫級、どんだけ闇堕ちしてるんだ…誇り高き深海の戦士のプライドとかどうなってんだ?

 

「オイ、オイ明石、ちょっと来い」

 

「な、なんですか?もう!こんな人前で提督も結構大胆ですね」

 

俺は明石の肩に手を回して小声が聞こえる範囲に引き寄せた

 

「オマエ、コイツが春雨っぽいアレって知ってんのか?あ?」

 

「え?だってどう見ても駆逐棲姫でしょ?アレ、なんか白いし」

 

「…気付いててよく使うな、オマエ」

 

「まぁ無害っぽいし、ってかあの子よくウチの店にカップ麺買いに来ますよ、ジャージで」

 

「ジャージかよ」



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足柄と大淀とRBS FatalFury

四月の足淀回

【登場人物】

足柄(7)
通称、ワイルドウルフ
子持ち処●とディスられてるいる子持ち●女

大淀(6)
足柄のマジダチ、昔は眼鏡っ子じゃなかったらしく、最近はコンタクトについて考えている


「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、先日、たまには地元に帰ろうと考え帰郷するもなんやかんやあって秘伝書を巡る戦いに巻き込まれたが持ち前の力業と男気でこれを解決した件は駆逐艦のキッズ達から憧れの対象とされている

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

足柄とは眼鏡を着用するようになる前からの付き合いらしく、昔はよく夏休み終了前に宿題の見せっこを行った仲である

 

「まぁ落ち着けよ足柄よォ~…ここは憩いの談話室だぜ?キッズ達がビビって楽しいスゴロクできねぇじゃねぇかよォ~」

 

憩いのスペース、談話室

朝潮がみんなで遊ぼうと考え、お小遣いをはたいて購入した人●ゲームM&Aと言う名の少々なアレな感じのボードゲームを朝潮型のキッズ達で楽しく遊んでいたが、今はいつ飛んでくるやもしれない足柄のスターダンクボルケ●ノに怯えて部屋の隅でガタガタと震えていた

 

「フッ…私としたコトが、オマエらァー!コイツでチューインガムでも買いなァー!」

 

足柄はPR●DAの財布から数枚の紙幣を取り出し、スタイリッシュに一番近くにいた荒潮の胸ポッケに入れてやった

 

「ヒュー!足柄サンオトコマエー!」

 

「さすが足柄サン!まさに餓狼!本物の餓狼だー!」

 

キッズ達は足柄に頭を下げてキャッキャとハシャぎながらチューインガムとついでに遊●王カードを買う為に明石の店へと走って行った

 

「…毎度毎度荒れてんなオマエ、ガクシュー能力ないのか?オマエ」

 

大淀は手近な椅子を器用に足で引き寄せ、足柄の対面に座った

 

「ガクシュー能力とかオマエにだけ言われたくねーよクソメガネ」

 

「あ゛?」

 

「あ゛?やる気か?」

 

「…いいじゃねーか、立てよ足柄ぁ…タイマンだ」

 

足柄と大淀の間に電気溶接でよく見る裸眼で見てると目を痛める火花がバチバチと散り、お互いアンアン言いながら顔を近づけたが、途中でお互いの顔見てたらなんか変な気分になったのでやめた

 

「…で?今回はナニにキレてんだ?どうせアレだろ?また私は置いてけぼりだろ?ハイハイ知ってますよ、礼号組鉄の結束とか所詮はポーズですよね?ホントは礼号組で一番強くて美しい私にみんな嫉妬してるんですよねー」

 

「うるせーよ、誰がテメーなんぞ嫉妬すっかボケ」

 

「ハイハイ負け犬負け犬、あ、負けウルフか」

 

「見苦しいヤローだな……大淀、ちょっとあっちの壁見てみ?壁」

 

「はぃ〜?」

 

談話室の壁には先日の授業で駆逐艦のキッズ達に描かれた“わたしのそんけいするかん”と題された似顔絵が画鋲で貼られており、大淀は目を細めてその絵を凝視した

 

「!」

 

その中に汚い字で“おおよどさん”と書かれている絵があった…

正直言って決して巧くはない拙い絵だが大淀にはハッキリとわかった、この絵には心が籠もっていると!大淀にとってはこの絵はルーベンスの聖母被昇天よりも、ベラスケスのラス・メニーナスよりも価値あるモノなのだと!

 

「か…カスミッ!!なんて良い子ッ!」

 

「ちなみにキヨシはワケわからんロボット描いて、アサシはマグロみたいな魚描いてた」

 

「うっ……ぅぅ、なんて…なんて優しい子っ!天使……カスミこそ天使や、この薄汚れた世界に光臨した白き翼の乙女や!それに比べて私は…私はっ!」

 

涙が、涙が溢れてくる、大淀の目からアツい感動の涙がとめどなく溢れ、足柄はポケットから取り出したお気に入りのバー●リーのハンカチを大淀に渡してやった

 

「ブンッ!!フンーッ!!あー…スッキリした」

 

「ちょ!オマエ!オマエ鼻かむとかやめろよッ!あ~…っーかマジか、マジかオマエ?」

 

「はい、返すわ」

 

「洗って返せ」

 

鉄の結束、礼号組には獣は居てものけものは居ない事を確信した大淀はバーバ●ーのハンカチをポッケにしまった

 

「で?ちなみに今日はなんでキレてんの?また合コン行ったんか?」

 

「行ってねーし、っーか来週行くぞ、来週、若手将校」

 

「マジ?」

 

「マジ」

 

「ウチの提督散々小突いたら渋々どっかに電話してセッティングしてくれた」

 

「やるじゃん、クソメガネのくせに」

 

「オマエがゆーな、オマエが、オマエもクソメガネだし」

 

「は?」ピキッ!

 

「は?」パキッ!

 

足柄と大淀は再びメンチビームて火花を散らし、唇が触れ合うか触れ合わないか微妙なところでメンチ切るのをやめた

 

「…で?ハナシは戻るけど、今日はナニ?なんでキレてんの?」

 

「いや、さっきキヨシとアサシとコンビニにアイス買いに行ったワケよ」

 

「今日はデパートじゃねーのな、私のは?」

 

「ねーよ」

 

「マジ?」

 

「…で、まぁ普通にアイス買ったワケよ、ガリ●リ君」

 

「キレるトコねーじゃん、普通じゃん」

 

「待て待て、今からキレるトコなんだよ」

 

「あ、今からね」

 

大淀はテーブルに置いてあった誰かのフ●ンタオレンジを開けて一口飲んだ

 

「で、帰ろうかと思ったら丁度コンビニに買い物に来た妙高姉さんにバッタリ会ったワケよ」

 

「妙高姉さんかよ…死んだな、オマエ」

 

妙高型重巡の頂点に君臨する絶対的な姉妹の王、妙高、入隊前から地元で数々のレジェンドを作り上げてきた生きるレジェンド、現在でも地元では妙高姉さんと言ったら当時のワル達が震え上がって数多の脚色された伝説を居酒屋で酒の肴にしている…

 

「駐車場に見覚えあるF50の●ーマ来た時にイヤな予感はしてたのよ」

 

「ナニ?妙高姉さんにカツアゲでもされたんか?」

 

「や、妙高姉さん、キヨシとアサシにお菓子買ってくれた」

 

「優しいじゃん」

 

「あと、キヨシとアサシに1万円づつお小遣いくれた」

 

「めっちゃ優しいじゃん、ナニ?妙高姉さん優しくね?」

 

「で、いくらなんでも1万円とか多すぎるからって返そーとしたらいいからとっとけって、オモチャでも買えやって…」

 

「……私らガキんトキはパンチしか貰った覚えねーよ」

 

「で、キヨシもアサシも妙高姉さんありがとーありがとーってハシャぎまくり」

 

妙高姉さんの懐の深い羽振りに、足柄の買ったガ●ガリ君など投網一投、一瞬にして人気と言う名の魚群を持っていかれた足柄…

 

「……まぁ、つまりアレか?今回はガキどもが原因じゃなくて妙高姉さんだと?」

 

「まったく……ガキどもを甘やかすなってのな」

 

「別にいいじゃねーかよ、心狭いなオメー」



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提督と香取先生と未確認生物(妖怪)

香取先生の趣味は読書

【登場人物】

提督(117)
幽霊とかフワフワしたものは信じないけど妖怪は信じる

香取先生(12)
アツかりし熱血指導を行う真の教育者



「てぇへんだてぇへんだー」

 

うららかな春の日、香取先生と新年度のアツい教育カツドウについて話しながら歩いていると、夕雲型のコスプレをした陽炎型、秋雲が手ヘんがどうのこうの騒ぎながら廊下を走っていた

 

「よぉ、ナニが手へんなんだ?」

 

「あ、テイトク……と香取先…」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「じゃぶろ!!」

 

「廊下を走るな、廊下を…あ゛?」

 

香取先生のアツい熱血指導が秋雲の頬に炸裂し、なんて言いますかね…こう回ったんですよ、ぐるんぐるんって、いや、1回転2回転とかじゃなく何回も…えぇ、その時思いました、人って回るんだなって…

 

「ぁ…ありがとうございます、香取先生ェのご指導…ありがとうございます!」

 

香取先生の廊下を走ってはいけないと言う熱血指導を受けた秋雲はよろよろと立ち上がって香取先生に感謝の礼を示す、香取先生のアツい熱血指導が生徒達の心にガッチリ伝わっているようでなによりだ

 

「で?何がてぇへんなんだ?まさかフ●ーザがパパと一緒に地球に来たのか?」

 

「や、なんか川に変なのがいるんすよ!」

 

「はぁ…?」

 

秋雲曰く、そろそろ花見の季節だし桜並木のベストプレイスをみんなで抑えよーぜという話になり、基地の外れを流れている川になかなかいい場所があると情報を得たバカどもが現場に行くと、なんか変なのがそこを占有していたそうだ…

 

「だいたい…その変なのってのはなんだ?変なのってのは」

 

「や、よくわかんねーんすけど、なんか緑色で甲羅があってスゲー汚い声なんすけど…」

 

「亀だろ」

 

「や、それが亀じゃねーんすよ!二足歩行するんすよ」

 

「カワウソだろ」

 

「アレ絶対カッパすよ!だって頭に皿乗せてたし!」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「バカバカしい、カッパなんかいるワケなかろう」

 

「ホントなんすよ!今もいるんすから!なんだったら今から見に来てくださいよ!」

 

秋雲の話は些か信憑性に欠けるが、一応、軍の施設内の話だしな、もしかして侵入者的な何かだと後々に問題になるのもアレなので、俺は香取先生と共に問題の現場へと行ってみる事にした

 

‐‐‐

 

「コイツめ!キュウリを喰らうのです!」

 

「おんどれぇ!うちのリンゴを受けてみぃ!」

 

「出た!浦風のフォーク、すげぇ落差だ!」

 

問題の現場へと着いてみると、大小様々な駆逐艦のアホどもがナニかに向かって近くのアカシファームから穫ってきたらしい野菜などを投げていた…

 

「オイ、変な生物ってのはどれだ?」

 

「あ、テイトク」

 

「ハラショー、UMAなら川の側にいるよ」

 

何がUMAだ、カッコつけやがって、どうせUMAじゃないでUMRさんかなんかだ……

 

『ゲギョ……』

 

「…」

 

子供ぐらいの体躯に緑色の体色、背中に背負った甲羅らしきナニかと頭には皿っぽいナニか…

 

「…」

 

「提督?」

 

「香取先生」

 

「はい」

 

「アレはもしかしなくてもアレですかね?」

 

「えぇ…おそらく」

 

河童だァァァァァァ!!どう見ても河童だよ!UMRじゃないUMAだよ!モノホンの妖怪みたいな生物だよアレ!たしか…こうアレだ、尻の玉を抜くとかなんとか過激な尻プレイに定評があるヤバいヤツだよ

 

「アイツがいるせいで花見の場所が取れないじゃない!」

 

「なんとかして追い払って欲しいんだよ」

 

『ゲギョギョ…』

 

…いや、冷静に考えれば、世の中には深海棲艦とかワケわからん生命体もいるし、河童ぐらい存在してても不思議ではないか

 

「しかし、河童を追い払うと言ってもなぁ…」

 

「さっきから野菜を投げつけてるけど効かないのよ!」

 

「うちのフォークも通じんかったしのぉ」

 

なんで野菜で河童を倒せると思ってんだコイツら、どこの迷信だよそれ

 

「河童を追い払う方法か………やはり一番効くのは環境破壊か」

 

「それガチのヤツじゃあ!」

 

「大人はそうやってすぐ地球を汚すのです!」

 

「ハラショー、地球がもたん時が来ているんだよ」

 

俺のナイスなアイデアは駆逐艦のアホどもから痛烈な批判を受けて却下された、バカバカしい、大人はただ地球を汚すのではない、地球を汚した事は認め、次の糧にすればいいのだ

 

「あ、そうそう」

 

「なんでしょう?香取先生」

 

「以前、河童は相撲が大好きと何かの本で読んだ事がありまして…」

 

「ほぉ…相撲ですか」

 

なるほど、相撲と言う力と力のぶつかり合いで力を示せばヤツを追い払う事もできるかもしれないな

 

「よし、オマエら誰かアイツと相撲して来い」

 

「イヤなのです」

 

「イヤじゃあ」

 

「ハラショー、なんかヌメってそうだからイヤなんだよ」

 

「バカ野郎、オマエらの場所をオマエらで勝ち取ってこそだぞ!」

 

駆逐艦どもは仕方ないので誰が河童とヌメヌメ相撲をとるか、平和的にジャンケンで決める事にしたらしく、そこらでジャンケンを始めた

 

「…負けてしまいましたね」

 

「もう後がないズラ」

 

熾烈なジャンケンサバイバルに残ったのはズラ型……ではなく世界を変える機体、吹雪型の長女、吹雪と………浜風ちゃん

 

「絶対勝つズラー!」

 

「クッ!もう負けませんよ!」

 

よし!勝て吹雪!オマエなら勝てる!世界を震撼させた特型駆逐艦、その一番艦の力を見せつけてやれ!だが誤解してはいけない、俺は決して浜風ちゃんのヌメヌメ相撲が見たいワケじゃあない、ヌメヌメ相撲が見たいワケじゃあない!!

 

「ぽーん!」グー

 

「ぽん!」パー

 

「あー…負けたズラー」

 

空気読めッ!!吹雪ッ!空気を読めッ!ったく、使えねーズラ型だなあのヤロー

 

「まぁ仕方ないズラ、みんなにオラの力を見せて…」

 

「フッ、その取り組み、待って貰おうか…」

 

「駆逐艦達を困らせるMonsterが居ると聞いてな、そのMonsterVernichtung、我々に任せて貰おうか」

 

河童の待ち受ける川へ向かおうとした吹雪を制止し、駆逐艦達の中から恥ずかしい大人達が颯爽と現れた

 

「ゲェーッ!お、オマエらはーッ!長門!グラペン!」

 

「フッ、遅くなったな、同志提督」

 

「グラーフ・ツェッペリンだ」

 

幼女大好き一級ロリコンの長門、そして、見た目で避けられる新鮮な血液を吸ってそうな魔界貴族、グラーフ・ツェッペリン

 

「フッ、あの程度のチビ、この長門がグチャグチャに粉砕してやろう」

 

長門は足で描いた雑な土俵に上がると河童も戦いの空気に応じたのか、土俵へと上がった

 

「貴様程度の体格ではこの長門には勝てん!相撲とは体格がモノを言うのだ!チビは引っ込んでいるがいいー!」

 

『ゲギョギョ…ッ!』

 

とりあえずひとしきり少年漫画によくあるフラグを積み終えた長門が勢い良く河童にぶちかまし、その直後に長門の身体が土俵へと叩きつけられ、尻●玉を抜かれた

 

「ぐへぁ!!」

 

「同志ナガトー!!」

 

百千夜●堕ッ!あの河童…強いぞッ!!

 

「クッ、同志ナガトを倒したぐらいでいい気になるなよ……クク、今ので貴様の弱点は見えた、致命的な弱点がな、私の勝つ確率は100%だ」

 

新たなフラグを着実に積み、土俵に上がったグラーフが河童へと激しくぶちかました直後、河童の鬼炎万丈百千夜●堕の前に土俵へと叩きつけられ、尻●玉を抜かれた

 

「グハァ!!で…データ以上だと…」

 

何しに来たんだコイツらは…?尻●玉抜かれに来ただけじゃねーか、っーか河童、コイツマジ強いな、これがカッパーの真の性能だってのかい

 

「しかし、まさか長門とグラペンがヤられるとは…」

 

アイツらはバカだがその戦闘力だけは本物だった、それを軽く倒してのけるとは……まさに無敵ッ!実は河童こそ究極の生命体なのではないだろうか?ダメだ、勝てる気がしねぇ…人類はもう終わりだ、この究極生物の前に人類は蹂躙されるしかないんだ…

 

「クッ!俺達はなんて無力なんだ…ッ!」

 

「あの…提督」

 

「なんでしょう?香取先生」

 

「私に一つ考えがありまして…」

 

そう言って香取先生は地面に落ちていた手ごろなサイズの石を拾った

 

「えいっ!」

 

パカーン!

 

『ギャアアアアアアアアアス!!』

 

香取先生の投げた手ごろなサイズの石は河童の頭の皿を割り、河童は断末魔の叫び声をあげてその場に崩れ落ちた

 

「………弱っ!!」

 

「河童は頭の皿が弱点と以前読んだ本にありまして…」

 

…言われてみるとそうだった気がする、よく考えたらコイツ、弱点無防備に丸出しとかただのバカだったのでは?

 

「香取ーヌ先生が河童を退治したぞぉー!」

 

「スゲェ!さすが香取ーヌ先生だ!」

 

「へへっ、やっぱオレ達のセンセイだ、頼りになるぜ!」

 

「よしみんな!香取ーヌ先生を胴上げじゃあ!」

 

駆逐艦達のアツい香取ーヌ!香取ーヌ!コールと共に香取先生は胴上げされ、皆と共に喜びを分かち合った、これもきっと香取先生のアツい熱血指導のたまものだろう…実に感動的なシーンだ

 

「う…ぅぅ…ア●ルが、クッ!」

 

「あ…Admiral、尻が…尻が痛いのだが」

 

…とりあえずコイツらには後でピンポン球でも挿入れてみよう





次回
真の絶望が始まる!新たな力を身につけた航空巡洋艦が地獄より帰って来る、予定、たぶん

90以上あるし、設計図もあるし、たぶん大丈夫


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提督と熊野と世間話

航空巡洋艦と言ったな、あれは半分本当だ!地味に時間が空くので半分の前半戦

【登場人物】

熊野(15)
最上型の末妹、オシャレな航巡を自称するが寝る時はオシャレパジャマでなく全裸


4月5日…

 

1945年、太平洋戦争末期、海軍少佐、伊佐●光の裏切りによってサマン島が襲撃を受け2813人の同胞達が散った日である

 

「…はぁ?」

 

自販機に缶コーヒーを買いに行くと、ちょうど熊野も自販機にジュースを買いに来ていたので俺達はベンチに座り、今日の出来事について世間話をしていた

 

「そして、奴は戦後、藤堂●衛と名を変え、ヤミ物資を横流しで得た巨万の富を元に、この国を裏から支配している影のフィクサーとなっておるのだ」

 

「それはそれは……悪いヤツですわね!」

 

おそらく今度の天兆五●大武会は過去に例のない死闘となるだろう、フッ、一体何人の艦娘達が桜咲くこの基地へ戻ってこれるだろうか…

 

「ところで熊野」

 

「なんですの?」

 

「お前1人とは珍しいな、お前の相棒はどうした?相棒は」

 

「相棒……?あぁ、亀山さんのコト?」

 

「そっちじゃねーよ、っーかなんで亀山なんだよ!もうアイツだいぶ前に消えたよ!」

 

「ジョークですわ、小粋なクマノジョーク」

 

何がクマノジョークだ、熊野は神戸居●地なる如何にも安物くさいジュースを飲んでふぅとひと息ついた

 

「鈴谷ならさっき、精神と●の部屋に入りましたわよ」

 

「精●と時の部屋ッ!?」

 

「えぇ」

 

熊野曰わく、今日はこの中で過酷な修業を積み、出て来た時にはキサマを遥かに超える圧倒的な力を身につけてやる、クマノット、キサマの出番は無い、セ●を倒すのはこの鈴谷だ!キサマは指でもしゃぶって見ているがいい!ハーッハッハッハと言いながらお泊まりセットを持って扉の向こうへ消えて行ったそうだ

 

「相変わらず所々頭悪いな発言が目立つなアイツは」

 

「えぇ」

 

「まぁ、たしか今日辺りに鈴谷の新しい改装がどうのこうの上からお達しが来てたし、その関係か…」

 

「たぶん………しかしマズいですわねコレ、提督、その缶コーヒーと交換してくださらない?」

 

「やだよ、っーかマズいなら飲むなよ」

 

「私の高貴な口には合いませんでしたわ、まだ半分くらい残ってますわ」

 

熊野は如何にも安そうな缶をズイズイと俺に押し付け、俺の持っている缶コーヒーを奪おうと手を伸ばした

 

「いらねーし、やらねーし!全部飲めよ!」

 

「イヤですわ!ほら!それを私によこしなさい!」

 

「やかましい、ワガママ言うんじゃないよこの子は!」

 

「ワガママな美女、それが私ですわ!」

 

「何がワガママな美女だ、デンドロビウムに謝れ!」

 

‐‐‐

 

「お腹が空きましたわ」

 

「まぁ、小腹は空いたな」

 

俺と熊野の醜い争いは両者とも缶を落とし、中身を流出させると言う結末を迎え、モップを持ってきて床を掃除すると言う結果に終わった、勝者などどこにも居ない、人類全てが敗者なのだと互いに感じつつ再びベンチへと座った

 

「私、ハンバーガーとか食べたいですわ」

 

「俺は青椒肉絲とか食いてぇなぁ~」

 

「私、ハンバーガーを豪快に丸かじりするのが夢なんですの」

 

「レバニラ炒めでもいいなぁ~」

 

「あまりの大きさとジューシィーさにもう入らない!と感じつつも強引に口の中を蹂躙する感じなど想像しただけでヨダレが止まりませんわ」

 

常々思うのだが、やはりコイツと鈴谷は姉妹なのだと思う時がよくある、姉妹揃って考えているのやら考えてないのやらよくわからないアホな発言はそっくりだ

 

「よし、なんか食いに行くか」

 

「そうですわね」

 

俺達はスタイリッシュにベンチから立ち上がった

 

「お安いのはイヤですわよ、私はグルメなので」

 

「お安いので我慢しなさい」

 

その後、俺達はお安いファースト店へ行き、熊野はマスタードを舐めながら食べられたものじゃないと言いながらベロベロと舐めていた




見て、やる気が出れば今日の夜に、もう1回ですって


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提督と鈴谷と改二ナイト

パンツ見せるのが仕事みたいなアイツ回

【登場人物】

提督(118)
ディスイズ・クズ

鈴谷(38)
改二は赤ブラ、航改二は黒ブラ


【前回までのあらすじ】

鈴谷が精神と●の部屋に入った

 

 

「さ~て、今日も頑張ったし今日は店仕舞いにするか、サミー、あがっていいぞ」

 

「特に頑張ってませんけどね、では、お疲れ様です」

 

五月雨は一応、俺にペコリと頭を下げ、そそくさと執務室を退室して行った、まぁたしかに今日はトクベツ頑張ったかと言われたら別に普段と変わらないが…

 

「…ふぅ」

 

何か忘れているような気がするが…まぁいい、本日の業務は終了している、今からアダルティックな大人の時間を過ごしても何も問題はない、そう、ナニも問題はないのだ…

俺はポケットからスタイリッシュに携帯電話を取り出し素早くダイヤルボタンを操作する

 

「あ、もしもし?デリ●ル頼みたいんですけどー?あ、はい、おっぱい大きめな感じで、ん~…JK風?そうっすね、たまにはそんな感じもアリ?じゃ、そんな感じで」

 

たまにはJK風と言うのもアリだろう、うん

 

‐‐‐

 

全ての業務が終了した夜の執務室、この時間に執務室に来るようなヤツはそうはいない…

 

「フーッ~…」

 

男にはムラムラする日がある、そう、冷静になって考えてほしい、この職場は男を徹底排除した深夜の美少女動物園アニメ並みに男と言うモノがいない、もうオマエらみんなレ●なんじゃないのかと真剣に問いたくなるぐらい居ないのだ、そんな職場に居てムラムラしない方がおかしいじゃあないか?

 

ゴン!ゴン!

 

「む」

 

重厚な扉を叩く音、来たか!っーかえらく早いなオイ!

 

「入ってまーす」

 

「ティーッス、新しくなった鈴谷が提督に制服見せびらかしに来ましたよぉ~」

 

元気よく扉を開き、入って来たのは………これはもう完全に遊んでますわ、援交力1億超えは当たり前、新たなるステージは神に挑む場所に踏み込んだビッチ臭漂うJK風の馴染みの顔…

 

「どーよ?この新しく生まれ変わった鈴谷様は!どーよ?」

 

「…あ、スンマセン、チェンジでいいすか?」

 

「ナニがぁ!?」

 

なんだ鈴谷か…

 

「っーかチェンジってナニ?え…?あ~……なるほど、さすがテイトクじゃん!フフ…そーよ!この鈴谷はもう一段更に変身を残しているのよ!」

 

「はぁ?」

 

「ナニその絶望的に興味無さげな顔はーッ!」

 

「いや、いいんで、そーゆーオプションとかマジでいいんで、できれば見た目だけは清楚系の娘とかにチェンジしてもらっていいすか?」

 

「意味わかんねーし!ナニそれ!?鈴谷よく見ると清楚じゃね?」

 

参ったなぁ、まさかデリ●ルで顔馴染みとかないわーコレ完全にない流れだわーないわーコレはないわー

 

「…鈴谷」

 

「ナニ?」

 

俺は財布から千円取り出して鈴谷に手渡した

 

「もう帰っていいぞ、お疲れ」

 

「あざーっす……って少なっ!千円かよ!せっかく鈴谷改二になったんだし、もーちょっとお小遣いくれてもよくない!?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレてるのか?

 

「フーッ~…でもなぁ、鈴谷、提督的にはもうちょっと自分を大事にする事をオススメするぞ、うん」

 

「…はぁ?」

 

「エンコーもアレだが、デ●ヘルってのも実は危険が伴って…」

 

「ハァ!?鈴谷エンコーとかしてねーし!っーかデリ●ルもしてねーし!」

 

「嘘つくんじゃないよこの子は」

 

「嘘じゃねーし!」

 

ナニ言ってんのかねこの子は…っーかこの野郎、俺は今ムラムラしてんだよ、俺のムラムラは今、限界突破サ●イバーなんだよ、やれやれ今夜は壁をブチ破る気寸前なんだよ、これはもうアレだ………大人として与えねばなるまい、罰を!

 

「よぉーし!わかった、とりあえず四つん這いになってケツこっちに向けろ」

 

「は?」

 

「は?じゃねーよ、お前のその援根性を叩き直してやる、俺の魔王剣デ●スキャリバーでな!」

 

「は…?え?ちょ!ちょい待ち!ちょい待ち!ちょっと話合おうよ!え?マジ?っーかデ●ヘルとかマジやってないけど!?」

 

「やかましい!オラ!とっととそのカーディガン捲れオラァ!」

 

「ヒッ!?ひぃぃ!お…犯されるッ!!」

 

ジリリリリリン♪ジリリリリリン♪

 

デリ●ル鈴谷にランブリングディスキ●リバーを叩きつけようとした矢先、内線の電話が鳴ったので俺は受話器を手に取った

 

「はいもしもし?」

 

『あ、提督ですか?明石ですけど』

 

「何の用だ?」

 

『基地の正門前にデ●ヘルのお姉ちゃん来てますけど、コレ提督でしょ?』

 

「あ?ナニ言ってんだオマエ」

 

『あ?じゃないですよ、ゲッ!香取先生来た!と…とにかく帰って貰いますからね!じゃ』

 

「え?なんだって?オイ明石!もしもし?もしもーし?」

 

ツー…ツー…

 

なんかデリ●ルのお姉ちゃんが正門前に来てたとかなんとか言ってた気がするが……

 

「鈴谷」

 

「…な、なに?」

 

…そう言えば昼間、熊野が鈴谷が新しい改装がどうのこうので精神と●の部屋に入ったとかなんとか言ってた気がするな…

いや、よく見るとコイツ、なんかいつもの制服と違う気が…

 

俺は受話器を置き、努めて紳士的に半泣きの鈴谷に笑顔を向けた

 

「改二、おめでとう」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「ぜぶらッ!」

 

スナップの効いた健康的でハリのあるビンタが俺の頬で炸裂した!

 

「死ねッ!マジで死ねッ!ホント死ね!ナニ考えてんの!?え?マジで、マジで、死ね!クッ……もーホント!なんなのさ!?死んで!ホント死んで!っーか死ね!マジありえねーし!ハァ?っかマジで!マジありえない!死ねよ!本気でッ!」

 

コイツ……この短時間に死んで2回、死ね6回発言を…間違いない、ホンモノだ

 

「あ~…悪かった悪かった、うん、悪かった」

 

「土下座!」

 

「は?やだし」

 

「土下座して!土下座!そしたら頭踏むから!どーよ!」

 

「調子に乗るなよこのビッチが…」

 

「ビッチじゃねーし!」

 

そもそもアレだ、コイツの援航力が高すぎるのが悪いんじゃねぇか、俺悪くねーじゃん

 

「お小遣い!はい!」

 

「千円やったろーが」

 

「足りませーん!鈴谷の受けた屈辱料には全然足りませーん!」

 

「何が屈辱料だ」

 

「じゃ、お小遣いはいいからカレー奢って!カレー!高いヤツ!」

 

「カレーか…」

 

まぁ、丁度腹減ってるし今日はカレーでも悪くないな

 

「いいだろう、よし、辛いモン食ってエネルギー充填すっか!」

 

「あざーっす!鈴谷上から高いヤツ順に頼むよ!」

 

「わかったわかった、今日は好きに頼むがいい」

 

「やったぁ!よし行こ!すぐ行こ!」

 

 

こうして、俺と鈴谷はカレーを食いに夜の街に繰り出し、繁華街を歩いていると3回ほど職質を受けた、きっとこの時間にJKみたいなのと歩いていたのでエンコーに見えたのだろう、言っておくが俺は悪くない



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提督と鈴谷と攻撃型

なんだ?この提督の瞑想を邪魔をする攻撃型軽空母は!回

【登場人物】

提督(119)
設計図に余裕がある大人

鈴谷(39)
ボーガンはネット通販で買った

夕張(21)
メカなどに造詣の深い有識者、意外な一面もある


「攻撃型軽空母です」

 

「ふ~ん」

 

先日、新たなる進化を果たした鈴谷だが、本人曰く、更にもう一段上のパワーアップを残しているらしく、その次なるステージこそ“攻撃型軽空母”なるよくわからないモノなそうだ

 

「つまり…どーゆーことだってばよ?」

 

とりあえず、鈴谷の説明ではよくわからなかったので、今日はメカ的なものに造詣の深い有識者の夕張を執務室に招き件の攻撃型軽空母についての説明を聞く事にした

 

「軽空母とその攻撃的小宇宙はナニが違うんだ?」

 

「攻撃的小宇宙じゃねーし、攻撃型軽空母だし」

 

「オマエは黙っていろ、俺は今、夕張に質問している」

 

鈴谷はつまらなそうに舌打ちし、五月雨の淹れたお茶を一口飲んでアツゥイ!と言ってパンツ見せながら椅子から転げ落ちた

 

「まぁ、わかりやすく言えば、軽空母さんは敵艦隊に潜水艦が居ると執拗に潜水艦を狙いますよね?」

 

「まぁ、狙うな」

 

夕張はホワイトボードに一目で緻密な書き込みとわかる潜水カ級とただでさえおっぱい大きめなのにそれを更に増量したアクィラの絵を描いた

 

「絵で描くとこんな感じですね」

 

「オマエ絵上手いなオイ!」

 

「そうですか?えへへへ…ちょっと照れますね」

 

まぁ、アクィラはハッキリ言ってシャバい性能だが軽空母ではなく、一応、正規空母らしいがな

 

「で、攻撃型軽空母なんですが…なんと潜水艦を狙いません!」

 

「ほぉ」

 

「しかも、耐久性、回避などは航巡性能のままなので非常にガッツがあります」

 

「いいじゃないかね」

 

「ただ、搭載機が少々アレで、祥鳳さんと瑞鳳さんにやや劣ります」

 

夕張はホワイトボードに祥鳳と瑞鳳の絵を描いてアクィラの目に黒い線を引いた

 

「まぁ、名は体を表すと言った通り、非常に攻撃的な軽空母と言ったところですね」

 

「なるほど名は体を表すか………しかし、夕張クン、もしその名前が偽りだとすれば、その存在そのものが偽り…と言う事になるのかね?」

 

「然り」

 

夕張は頷いてホワイトボードマーカーに蓋をし、机の上に置いた

 

「ちょっと!なんで偽りなの!?鈴谷は此処にいますケド!?」

 

「やかましい」

 

「で?どーよ?鈴谷の新しい性能について理解したの?」

 

「とりあえずアレだろ?オマエはもう鈴谷じゃないで鈴谷を超えた鈴谷、鈴谷を超える者としてあえて鈴谷の名を外したダブルオーラ●ザーってコトでいいんだろ?」

 

「わかってねーじゃん!!ナニ1つ理解してねぇよコイツ!」

 

「違いますよ提督、鈴谷さんは所詮鈴谷さんです」

 

「ナニが所詮鈴谷だよこのクソメロン!」

 

「あえて名を冠するとすれば………鈴谷改二ダブルツインマークⅡセカンドです」

 

「2がいっぱいだよチクショウ!!なんだよこのヘソチラ!真面目な顔してナニ言ってんだよ!」

 

鈴谷はテーブルをワイルドに叩き、五月雨の淹れた紅茶を一口啜りアツゥイ!と言ってパンツ見せながら椅子から転げ落ちた

 

「とりあえず、よくわからんがわかった」

 

「わかって頂けて幸いです」

 

「全然わかってねぇし…」

 

とりあえず攻撃型軽空母だか攻撃的小宇宙だかについてはなんとなく理解した、要は気合ってコトだな

 

「では続きまして、後に来るべき未来、熊野さんへの強化プランについてですが……今回、試験的に鈴谷さんの艤装に搭載しましたSEシステム、暫定的空間粒子消失制御システムを更に発展させ…」

 

「ちょ!ちょい待ち!え……?ユウバリン、ステイ!ステイステイ!え?今、ざんていてき……何て?」

 

「暫定的空間粒子消失制御システムです」

 

「…ナニそれ?鈴谷それ初耳なんですけど」

 

「まぁ平たく言えば、暫定的空間粒子、ダークマターとエーテルとかよくわからないフワフワしたものを制御するよくわからないシステムです」

 

「よくわからないモノを搭載すんなァ!!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

鈴谷の改二ビンタが夕張の頬に炸裂し、夕張は壁に激突した

 

「痛ァ!!クッ…この売女が!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「ぶべらっ!!」

 

お返しとばかりに夕張のメロンエナジーソニックビンタが鈴谷の頬に炸裂し、鈴谷はイタァイ!と言いながら椅子に当たってパンツ見せながら転げ落ちた

 

「やめんか貴様ら」

 

…夕張のヤツ、反撃とかするんだな、いつもはキショい顔でありがとうございますとか言うのに、さっきの憎悪に満ちた顔はなかなかレア顔だろう

 

「とりあえず熊野についてはまだ上から音沙汰がないから今から考えても仕方なかろう」

 

「たしかに…」

 

「ハッ?まぁ、熊野が私と同じステージに上がってきても鈴谷優位に変わりはないけど」

 

何が優位なのかはよくわからんが、鈴谷はとりあえず納得したらしい

 

「まぁ、熊野の時はみんなで進化祝いに基地を挙げて大々的にパーティーしてやろう」

 

「そうですね!」

 

「ちょ!待てよ!鈴谷は!?鈴谷の進化祝いは!?パーリーは」

 

「ねぇよ、そんなモン」

 

「なんでッ!?なんで熊野の時は大々的にパーリーして鈴谷にはナシ!?おかしくね?」

 

「おかしくない、提督だ」

 

「祝えッ!!鈴谷を…っ!そう……アレよ、祝福!改二には祝福が必要よ!」

 

「ナニ言ってんだオマエ?イカレているのか?」

 

「イカレてねーし!!」

 

鈴谷は五月雨の淹れたコーヒーを一口啜り、マズ……ッと言いかけて、なんとか耐え、パンツを見せつつ片膝をついた、コイツはどうしてもパンツを見せないとならない深刻な病にでも罹っているのだろうか?



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提督と花見とAモンスター

手綱を握る姉が居ないと手がつけられないモンスター回

【登場人物】

Pola(7)
ウヘヘヘ、オトモダチになりましょうよぉ

伊14(3)
ゲヘヘヘ、オトモダチになろうぜぇ

Warspite(7)
高貴な御方
高貴故に、お友達募集中



煙草でも吸おうと喫煙所へ向かって歩いていると、前方からアルコールランプの匂いがプンプンする重巡と、エタノール臭い息をハァハァ吐く潜水艦が歩いて来た

 

「あー、テイトクだ」

 

「テイトクー!ウェーイ!ウェーイ!」

 

「ナニやっとるんだキサマらは」

 

人体を構成する水分がアルコールで出来ている生粋のアルコールモンスター、ポーラ

そして、ポーラほどではないが、既にアルコールがないと手がブルブル震える領域に足を踏み入れてる潜水空母、14

 

「今日はお花見ですからぁ~もうジャブジャブ飲んでいいって話を聞いたんで~」

 

「14達今からお花見場所に行くんですよォ~」

 

「何が邪武邪武だ、舐めてんのか?」

 

今日は当基地の福利厚生イベント、春の花見祭り2017‐飛翔‐が行われており、今年のテーマである飛翔と言う漢字は矢矧ちゃんが書いてくれたそうだ

 

「テイトクも行きましょーよ、テイトクも」

 

「そうだぜテイトク!14のおっぱい揉み放題だよ!揉み放題!」

 

「やかましい」

 

コイツらなんで飲む前からもうラリってんだ?酒以前にシャブでもヤってんのか?

 

「だいたいキサマら、保護者の方はどうした?保護者の方は」

 

「保護者ぁ?あぁ…ザラ姉様なら死にました、ポーラが殺しました」

 

「ハァ?」

 

「なぁーんて!嘘でーす!小粋なポーラジョークでーす!ギャハハハハ!」

 

「ポーラさんマジウケルー!ギャハハハハ!」

 

腹立つなコイツら…マジ殴りたい、女を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだ

 

「まぁ、無理だと思うが周りに迷惑をかけない程度にルールを守って楽しく飲めよ」

 

「ポーラ了解っ!」

 

「14も了解ですっ!」

 

「じゃあな」

 

「あー!待って待って!テイトク待って!」

 

「お花見場所まで連れて行ってくださいよぉ~、ちょっと歩くの面倒なんで軽トラかなんかでヒョイって」

 

「マジぶっ殺すぞオマエら」

 

たしかに、花見場所は先日河童が現れた基地の外れなので歩いて行くのは少々面倒だ、たしか間宮だかゲイ子だかが軽トラで料理を運ぶとかなんとか言ってたのでそれに同乗させて貰うか…

 

「料理運搬車にでも乗せて貰えよ」

 

「いやぁ~…それがさっきトイレに行ってる間に最終便が出てしまいましてぇ~」

 

「ポーラさん長グソ過ぎですよ」

 

「女の子が長グソとかゆーな」

 

「スィマセェーン」

 

しかし参ったな、じゃ、歩くしかないか…

 

「あ、ポーラいいコト思いつきましたー」

 

「なんだ?」

 

「なんか倉庫に夕張サンが作った●ンバインがあったのでアレに乗って行きましょー、アレに」

 

「遅過ぎるだろ、っーかなんでウチの倉庫に●ンバインがあるんだよ、農家か!」

 

「え~?遅くないですよ~?ヒューンとひとっ飛びですよぉ~」

 

「…ポーラ」

 

「なんですかぁ?」

 

「●ンバインだよな?」

 

「●ンバインですよぉ~」

 

‐‐‐

 

花見祭り2017会場…

 

「ヒャッハー!水だぁー!」

 

「コイツらまだこんなレアカード持ってやがる、こんなモン!ケツ拭く紙にもなりゃしねーよ!」

 

満開の桜の下、クズどもが酒と料理を存分に喰らっていた…

 

「もう始まってますねぇ 」

 

「出遅れたっ!14達、完全に出遅れたっ!致命的!この遅れ…致命傷!」

 

ブルーシートの上はどこの場所も満席状態だな、まぁ、そりゃそうなるわな、木曾なんて姉ちゃんに言われて昨日から孤独に場所取りしてたぐらいだし…

 

「あ、テイトクテイトクぅ!あそこ!あそこなんか人少ないですよぉ!あそこにしましょー」

 

「ホントだ!誰かいるけど…スィマセェーン!14達も一緒にいいですかぁ~?」

 

ポーラと14にズルズルと引きずられ、俺はなんか微妙に空いている場所へと座った

 

「すいませんね、このアホどもが」

 

「No problem、オハナミの席は大勢の方が盛り上がるのでしょう?」

 

「アハハハ……ですよねー……ハハハ?」

 

この聞く者全てをごく自然に人を従わせる優雅な御声…

 

「どうしました?Admiral?」ニコッ

 

陛下ァァァァァァ!!しまったァァァァ!!ここ陛下専用の高貴なスペースだったァァァァ!!

 

「す、スイマセンスイマセン!!す…すぐに場所を変えますッ!オイ、ポーラ!14!」

 

「え~?なんですかぁ?」脱衣ッ!

 

「なんでもう脱いでんだよッ!!」

 

「ビアー最高ーッ!」脱衣ッ!

 

「なんでオマエまで脱いでんだ!バカか!?バカなのか!?バカなんだな!?」

 

よ…よりよって陛下の御前でなんてコトをッ!ダメだ、早くコイツらを“始末”しないとッ!このままでは…

 

優雅な席に露出狂

陛下大激怒

国際問題、俺ギロチン

 

もしくは…

 

高貴な席でコイツらがデビルリバース

陛下大激怒

国際問題、俺guillotine

 

………死ぬ、間違いなく俺は死ぬ、俺の死と共に大英帝国を敵に回した第三次世界大戦が開始される

 

「へ…へへへ陛下、こ、ココ、コイツらはですね!アレ!そう!アレなんですよ!日本の伝統芸能!脱ぎ芸の芸人なんですよ!お花見の席を盛り上げる為の!」

 

「…I see is it so?」

 

「そうなんです!」

 

「なるほど…少し驚きましたが、なるほど…」

 

「テイトクテイトクぅ!みんなでスピリタスルーレットしましょ~よぉ~スピリタスルーレットぉ~」

 

「いいねー!ヘイ!そこのパッキン!え~っと…誰だっけ?まぁいいや、パッキンのお姉さんも!」

 

14ォォォォォ!!ナニ言ってんだオマエはッッッ!!陛下!それ陛下!オマエとは身分が違い過ぎる高貴な御方ァァァァァァ!!

 

「Spirytus roulette?なにかしら?面白そうね……是非」

 

「よぉーしキマりぃー!!」

 

ダメだッ!陛下のワクワク庶民文化を刺激しやがった!!よりにもよって陛下が一番興味持っちゃダメなヤツだよそれ!

 

「あ…あの、陛下…」

 

「No problem、どんなgameかわかりませんが、皆様と交流を深める良い機会です」ニコッ

 

バキッ!!(小指)

 

戦略級の破壊力を誇る陛下のロイヤルスマイルを小指一本を犠牲に陛下への忠誠に屈しかけた俺の心は耐えた…

ダメだ……止まらねぇ、陛下は、そうさ、止まらねぇんだ陛下は…王の前に道はない、王の後ろにこそ道ができるんだ、なら止まらねぇよ

 

「…オイ、ポーラ、14、ちょっと耳貸せ、耳」

 

「はいはぁ~い?」

 

「なになにぃ~?」

 

かつてこれほどまでに嬉しくない半裸達に耳打ちする状況はあっただろうか?頭はアレだが身体はむしゃぶりつきたいレベルのポーラ、頭と乳はアレだがどう見ても高水準の美少女の14、普通なら鼻血的状況だが今は違う、世界の命運がかかっている

 

「間違っても陛下にハズレ引かせるなよ、いいな?真っ先に飲めよ」

 

「ポーラ了解~」

 

「14も了解でェ~す」

 

ホントにわかってんのかコイツら?

 

「はい、準備できましたぁ~」

 

「スピリタス3、水1だよ~」

 

用意された4つのショットグラス、ナニもわかってねぇよコイツら!!なんでハズレ高確率なんだよ!バカかコイツら!?

 

「え~?ハズレって水じゃないんですかぁ~?」

 

「水はないよねぇ~、水は」

 

だ…ダメだコイツら、舐めていた、コイツらは生粋のアルコールモンスターだった…アルコールこそ当たり、水がハズレと考える純度100%のアルコール依存艦だった

 

「じゃ、ポーラこれ」

 

「14はこれ!」

 

おそらくコイツらは迷うことなくスピリタスに手をつけたハズ、ならば確率は2分の1…どっちだ?どっちが当たり……いや、ハズレだ?

 

「ハー……ハー…」

 

「Admiral?私が先に選びましょうか?」

 

「ちょ…ちょっとお待ちください陛下!すぐ決めます!」

 

この選択が第三次世界大戦の引き金になる…ッ!クソッ!震えが止まらねぇ…ッ!どっちだ?どっちを選べばいい?右か?左か?

 

「Admiral、顔色が優れないようですが…?」

 

左ッ!!よし!左だ!イケる、そう…強く死ぬ!強く死ぬんだ!俺は震えを抑えて左のグラスを手にした

 

「では、私は最後のこちらで…」

 

「じゃ、みんなでカンパーイ!」

 

「カンパーイ!」

 

俺達は乾杯を交わし、一斉にグラスの中身を一気に口に入れ………ッ!う゛っ!!

 

「あ~…カーッとキますねぇ~」

 

「うんめー!」

 

「………あら?私のは水だったようですね、Admiral?Admiral?」

 

アルコール度数96%のどう考えてもアレな酒、スピリタス、日本では500mlを超える場合、消防法の都合上、第4類危険物として扱われており、間違ってもイッキとかしていけない…

 

「Admiral?Admiral?……困りましたね、貴女達、誰か人を呼んで頂けますか?」

 

最後に見たのは陛下の柔らかさと高貴さを兼ね備えたロイヤルな膝…

 

やはり……私は……間違ってなかった…が……ま…

 



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提督と白露型とエキシビジョン

久々に帰ってきた白露型キセキの世代ドリームチームVS最凶の深海外!

【登場人物】

白露型キセキの世代
時雨、村雨、夕立、春雨、五月雨の5人の天才プレーヤー、春雨はいつの間にやらイメチェンして白髪になったが特に誰もツッコまない、実力至上主義

最凶深海チーム
駆逐艦のスペックを凌駕する海から来た刺客、全員がハイスペックで弱点と言う弱点が見当たらない、あえて弱点とするなら防空棲姫が深刻な虫歯を患っている



明石の店で缶コーヒーとカレーパンを買い、外のベンチで浜風ちゃんらが走り込みする姿でも見ながら食おうと考え、外に向かっていると、なにやら体育館の方から大きな歓声が上がっていたので、何事かと思って覗いてみると、いつものアツい駆逐艦バスケットのゲームが繰り広げられていた…

 

「…あ、テイトク」

 

「ん?よぉチビスケェ」

 

「チビスケゆーな、山風」

 

改白露型のさまよえる緑の子、山風

山風は高価だが毛のないキショい猫を抱え、俺のいる出入り口へとやって来た

 

「今日はなんか好ゲームみたいだな、どこがやってんだ?」

 

「…白露型キセキ+江風、海風姉と………なんか、よくわかんない人達」

 

「なんだよ?なんかよくわかんない人達って」

 

‐‐‐

 

「なんてバケモノだ!ホントに同じ駆逐艦かよ…ッ!」

 

「ムラサメ!アツくなりすぎるな!」

 

「ハァ?わ~ってるしぃ~……っかマジ捻り潰してやるっての」

 

「防空棲姫か………正直これほどの力とは、ユウダチの野生的敏捷性にムラサメにも劣らない駆逐艦離れした体格とパワー」

 

「ククク、島国ノ艦娘ドモジャ相手ニナラネーナ」

 

「よォーし!ここ!1本集中するぞォー!」

 

「ナ…ナニィ!!コ…コイツラァ!」

 

「防空棲姫にユウダチとハルサメのダブルチームだーッ!!」

 

‐‐‐

 

なんてヤツだ、あのキセキの世代が二人がかりでなんとかってレベルか、まさに駆逐艦とは思えないバケモノ…

 

「じゃ!ねーよッッッ!」

 

「!」ビクッ!

 

あの相手チーム!あきらかにウチの体育館でバスケしてたらダメなヤツじゃん、アレ完全に深海棲……いや、うん、アレだ

 

「どうなっとるんじゃオラァ!責任者!責任者はどいつじゃあ!」

 

俺は白露型ドリームチームの監督席に座るスケベボディ、長門型二番艦、陸奥のところへと歩み寄る

 

「どうなっとるんじゃオラァ!?」

 

「ハッキリ言って一瞬たりとも油断は許さない状況ね」

 

陸奥は苦々しい顔で俺に視線を向ける事無く答えた

 

「試合状況とかどうでもいいんだよ!相手!相手チームなんだアレ!?アレここにいちゃダメなヤツらだろ!?」

 

よく見ると相手チームのヤツ全員顔色悪い感じじゃねーか!防空以外にも古姫だか古鬼だか水鬼だかがいるよ!こっち以上にあっちもドリームチームだよ!十分、海軍基地を滅ぼせる感じの戦力じゃねーか!なんで普通に基地内入れてんだよ!コレ上にバレたら裁判無しの銃殺待ったなしだろォ!

 

「海風、江風、出られる?」

 

「はいっ!」

 

「こっちはもォブチ切れ寸前っすよォ!」

 

「人の話を聞け!なんなんだこのゲームは!?」

 

陸奥曰く、ウィンターカップ終了後、なんか海外チームからエキシビジョンの誘いがあったらしく、面白そうだから受けてみたそうだが………まぁ、海外っちゃ海外のチームだな、たしかに、海の向こうから来たのは間違いない

 

「っーか、海の底じゃねーか!」

 

‐‐‐

 

「キターッ!!ハルサメのゾーン+完全無欠の模倣!」

 

「スゲェ!!あの防空を1人で抑えてやがるーッ!」

 

誰もが確信する、今、このコート上で最強なのは間違いなくハルサメなのだよと…

 

「ッシャ!!1本!速攻でス!」

 

「オイオイ、ハルサメェ~1人で目立ちやがって…」

 

「こりゃ負けてらんねーっぽい!なァ!」

 

「イタイ!イタイ!ちょ…痛いでスよ、ユウダチ姉サン、ムラサメ姉サン……まぁ、深海のクソどもに私らの力を見セてやりまシょう!」

 

…どの口がクソとか言っているか、もうアイツ、自分が一体何なのかを忘れてるんじゃないのか?今、あきらかに自分の本当の仲間達にクソって言ったぞアイツ

 

「野郎ォ……オイ、水鬼、ボール回セ、ブッ潰シテヤル」

 

「アノ裏切リモンガァ……生キテコートカラ出ラレルト思ウナヨ」

 

‐‐‐

 

その後も白熱のゲーム展開は一進一退を繰り返し、途中、時雨様が昔の時雨くんと合体を果たして真のボクサカを使ったり、クレイジーシューター五月雨の撃たれたが最後、メテオドライブがゴールに突き刺さりとキセキのゲーム展開、遂にゲームは最終局面を迎えた

 

「レーンアップダト!?舐メルナァァァ!!」

 

「ダメだーッ!防空高けェー!!」

 

「オイ!ナンダト…?ナンデ先ニ飛ンダオマエガマダ飛ンデル!?ナンテ滞空時間ッ!?」

 

「ウオオオオォォォ!!!」

 

「水鬼だーッ!!あの反応速度、ハンパじゃねぇ!!」

 

「いや……それでも最強は、ユウダチや!!」

 

‐‐‐

 

101対102、最後は劇的なブザービーターで決め、試合は無事、ウチが勝ち、コート上ではチームを率いた陸奥がワッショイワッショイされていた

 

「ワーッショイ」

 

「ワーッショイ」

 

 

「まさか勝つとは…」

 

「…すごかったね」

 

正直、あの状況から土壇場の底力を出すとは、コイツら普段はアレだがやる時はやる子達なんだな、何故このやる気を普段なり作戦海域で最初から出さないのだろう…

 

「しかしチビスケ」

 

「チビスケゆーな、山風」

 

「オマエはチーム入ってないんだな」

 

「…私は……ちょっと、苦手」

 

まぁ、姉どもから比べりゃ見るからに得意ではなそうだな、背ぇ低いし

 

「…涼風も入ってないし」

 

「そう言やそうだな、まぁアイツの場合は暴力沙汰しか起こしそうにないが」

 

「…そうでもない」



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提督と初春型と春の防災器具点検

MIYABIな御方と姉妹達

【登場人物】

提督(120)
陛下とは違ったベクトルで苦手

初春(2)
初春型の長女
雅な御方、ただ者なのか、ただ者でないのかよくわからない

子日
初春型の次女
正月時期に行方不明になる

若葉
初春型の三女
コミュ障、ホントはもっとお喋りしたい年頃

初霜
初春型の四女
初春型きってのスーパーエース、抑えの切り札、声が妙にクセになる珍しい善人


暖かくなったし、そろそろ防災点検の時期が近付いているので施設内の防災器具の点検をして回ろうと考え、ファイルを片手に基地内を歩いていると花壇の辺りに雅な駆逐艦と雅でない駆逐艦が座っていた

 

「これは黄色のぉ…」

 

「ハハッ!誠に黄色御座いますな!」

 

「子日よ、この花はなんじゃ?」

 

「ハハッ!この花はマリーゴールドに御座います!」

 

「ふむ…まりぃごぉるどか……春らしく、美しい色彩じゃ」

 

「ハハッ!大変美しゅう御座います!」

 

初春様と子日…だっけか?ナニやってんだアイツら?

 

「む?おぉ、提督ではないか?妾に何か用か?」

 

「いや、ただ通りがかっただけだ……です」

 

初春型の頂点に君臨する長女、初春様、見た目通り雅な御方である

俺がこの基地を任されてワリとすぐにこの御方も配属されているので付き合い自体は結構長い、当初は五月雨や由良さんとあの人絶対高貴な生まれで何かしら事情があり、やんごとなき身分を偽り、こんな辺境に身を隠している高貴な御方だよと噂していたものだ

 

「今日は良い天気ですなぁ!」

 

「ん?あぁ、そうだな」

 

初春型の次女、子日、基本的には初春様とつるんでおり、初春様の問いに見事に答えてくれる初春様の知恵袋的なアレらしく、見た目に反して大変博識なそうだ

 

「で?オマエらはナニやってんだ…です」

 

「うむ、今日は良い天気じゃから花壇の手入れでもしようと思っての」

 

「ふ~ん」

 

なるほど…っーかこの花壇、誰が手入れしてるのかと思ったら初春様が手入れしてたのか、知らなかった

 

「初春様、お手が汚れまする」

 

「ん…?まぁ、よかろう」

 

「……では、こちらの軍手をお使い下さい」

 

「む、軍手か………これは妾とした事がウッカリしておったわ、子日は準備良いのぉ」

 

「滅相も御座いません」

 

ウチのアホンダラどもは基本的に長女至上主義制が多いが、なんだろうな…この初春姉妹に関しては長女至上主義ではなく、長女絶対君主制でも採用しているのだろうか

 

子日は恭しく初春様に軍手を手渡し、初春様はそれを褒めて遣わした

 

「…して、提督は散歩か何かか?」

 

「いや、今日は防災器具の点検をして回ろうとな……です」

 

「防災器具点検か、ふむ…そう言えば以前、妾も付き合った事があったのぉ」

 

「あぁ…そう言えば」

 

五月雨と防災器具点検しながら歩いてたら暇なので妾も付き合おうと点検の列に加わり、最終的にはなんか大名行列みたいに人がゾロゾロと付いて来るよくわからない事になったっけな…

 

「まぁ、今日は花壇の手入れがある故、妾は手伝いはできぬが…」

 

「いや、別に急ぐ仕事でもないし……です」

 

「子日よ」

 

「ハハッ!」

 

子日がピーッ!と甲高い口笛を鳴らすと、執務棟の上からなんか大型の猛禽類みたいなのが飛んできて、子日の腕にガッチリと止まった

 

「デカっ!?なんだそれ!?」

 

「子日の飼っているハヤブサじゃ」

 

「ハヤブサぁ!?」

 

これ絶対国の許可とかいる感じのアレだろ、っーかハヤブサとか生で初めて見たぞ、コイツ、絶滅してなかったのか…

 

「行け!」

 

ハヤブサはキィーと鳴きながらどこかへ飛んで行った

 

「…なんなんだ?一体」

 

「提督よ、妾は手を貸せぬ故、若葉と初霜をお主に付ける、存分に使ってやれ」

 

「は?」

 

「遠慮はいらぬ、すぐここに来る故、暫し待つがいい」

 

「いやいやいや、別にそこまでして貰う必要は…」

 

別にそこまでして貰う必要は無いのでやんわりと断ろうとしたが、雅な初春様の背後から、子日がサ●コガンみたいなの銃口を俺のアタマに向けていた

ヒュー!どうやら美女の誘いを断るって手はないらしい!

 

「は…はぁ、ありがとうございます、です」

 

「うむ」

 

どうにもこの御方は苦手だなと悩んでいると、アナログハヤブサメッセージを受け取ったらしい新たなる初春姉妹の刺客がやって来た

 

「フッ、若葉だ」

 

初春姉妹の三女、若葉

上二人の姉とはあまり似ておらず、どっちかと言えば暁ちゃん姉妹や睦月姉妹に似ているが、なんか複雑な家庭事情でもあるのだろう、意外と読書が好きらしく、よく明石の店でハードカバーを買っている姿を見るが、コイツとは殆ど話をした事が無い、たぶんシャイボーイなのだろう

 

「初霜です」

 

初春姉妹の四女、初霜

これまた上二人に似てない複雑な事情の妹、一見地味だが、妙にクセになる個性的な声をしており、雪風、時雨に並ぶ抑えの切り札として強力打線をバシバシとシャットアウトする初春姉妹きっての稼ぎ頭としてチームに貢献している

 

「お主ら、今日は提督の防災器具点検に同行してくれぬか?」

 

「フッ」

 

「いいですよ」

 

なんかすげーアッサリ了承したな、似てないけどやっぱ仲良いのか?この姉妹

 

「じゃ、まぁ頼むわ」

 

‐‐‐

 

とりあえず、若葉と初霜を引き連れ防災器具点検に回り、途中、長門がオマエだけ駆逐艦のエンジェルスと仲良く防災器具点検だと!ズルいぞ!とか言ってたが、通りがかった陸奥に虎砲を喰らってズルズルと引きずられて行った

 

「まぁ、今日は助かったぞ、なんでもテキトーに食ってくれ」

 

「ありがとうございます!」

 

「フッ…」

 

防災器具点検を終え、小腹が空いたのでマミーヤにやって来た俺達は、若葉と初霜にテキトーな甘味を、まぁ上の姉ちゃん達にはコイツらになんか持たせて帰るか…

 

「さて、何にするか………ん?キタローくんじゃないか」

 

席に座ろうとすると、窓際の席に夕雲型のキタローくん……いや、早霜だっけか?いまいち名前が曖昧だが

 

「どうも」ボソボソ

 

「君もアマイモン食ってエネルギー充填かね?」

 

「まぁ…そんな感じです」ボソボソ

 

「良ければ君も一緒にどうかね?」

 

「お邪魔でなければ…」ボソボソ

 

◆◆◆

 

…私は知っている、さっきからコイツは提督と同じものを食べていると言う事を

 

「フッ…」

 

「どうしたの?若葉」

 

「いや…」

 

…初霜は気付いていない、あの前髪に隠れた右目が血走っている事を、そしてその右目は常に提督を見ている事を

 

「このクレープ美味しいね」

 

「フッ…」

 

◆◆◆

 

ハー…ハー……ハァハァ!!このバニラエッセンス!んんっ!甘っ…ハァ…ハァ…提督が口にしたものと同じものが私のナカに!んはぁ…フーッ……フーッ!濃厚なミルクレープが私のナカで溶け出し…て!ンンぁ!あっ…アッ!ハァハァ…次は……コーヒー、提督の喉を通ったコーヒーと同じコーヒー…同じインスタントのコーヒー…ハァ…ハァ…ハー!あはぁ……焼け付くみたいなアツさッ!アッ…アッ…!

 

「…あ、ヤベ、スプーン落とした」

 

「新しいのをどうぞ」ボソボソ

 

「ん?あぁ、悪いね」

 

「後で、私が返しておきます」ボソボソ



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提督とプリンツと不倶戴天

蹴りたいお尻回

【登場人物】

提督(121)
私は変態ではないと声を大にして言える大人

プリンツ・オイゲン(5)
自称ビスマルクさん一の舎弟、ビスマルク以外は基本、便所に吐かれたタンカスと思っている

ビスマルク(4)
ドイツが誇る大戦艦、大変お美しい御方、男女問わず熱烈なファンがいる


自販機に缶コーヒーを買いに来たら、自販機の前にまるで蹴ってくださいと言わんばかりのケツがあったので、ノンファイヤーで蹴りを喰らわせると、ケツの主は無様な声をあげて自販機に激突した

 

「イダァ!?」

 

「さっさとどけ、俺は一刻も早く缶コーヒー買いてぇんだよ」

 

「チッ、クソアトミラールがァ!」

 

「ア゛ァ?誰がクソアトミラールだクソプリンが」

 

ドイツから来た刺客、もとい、ドイツから来た重巡プリンツ・オイゲン

俺の敬愛するビスマルクさんの周りをウロチョロする鬱陶しい害虫のようなヤツだ

 

「さっさとオレンジジュースでも買って帰れや、祖国にな」

 

「ハァ?誰がビスマルクのアネゴをこんなクソ島国に残して帰るかボケ、お前が帰れや」

 

「ア゛ァ?」

 

「あ゛?なんだコラ?ヤる気かコラァ?この…プリンツ・オイゲンとよォ~?」

 

お互いにピキッ!パキッ!とメンチを切り合いアンアン言い合いながら距離を詰める、本来なら乳デカ、腰細、ケツデカ、金髪美少女とこんな間近に急接近!と心ときめく状況だろうか、コイツに関してはそんなモノを一切感じない、おそらく、俺たちは神話の時代からの天敵同士だったのではないだろうかとすら思う

 

「ダンボールにグチャグチャに詰めてクール宅急便で祖国に“転属”させてやるよ」

 

「やってみろよ、チンカスクン!」

 

「上等ォ!」

 

神話の時代からの聖戦の幕が上がる、おそらくこの戦いは互いに死力を尽くした神々のアツき戦いにも匹敵する後世に残る神話となるだろう、互いの小宇宙を極限まで燃やし、俺達は確実に相手の息の根を止める為の奥義を繰りだ……

 

「あら?テイトクとオイゲンじゃない?なにしてるの?」

 

「び…ビスマルクさん!」

 

「ビスマルクのアネゴォ!」

 

今から死力を尽くして殴り合おうとしたその時!デカい猛獣を連れたビスマルクさんが俺達の居る自販機コーナーの方へ歩いて来た

 

「あ、このミルクティー、ここの自販機にしかないのよね」

 

ビスマルクさんはミルクティーがお好みなのか…

 

「すぐに施設内全ての自販機に入れさせます!」

 

「そう?助かるわ」

 

俺はスタイリッシュに携帯を取り出し、素早く明石へとコールする

 

『はいはい、なんですか?』

 

「俺だ、今すぐ施設内の全ての自販機にミルクティーを入れろ」

 

『え?ムリ』

 

「ムリじゃない、今すぐやれ、できなければ殺す、できないと言っても殺す、できませぇーんと叫んでも殺す」

 

…ったく、クズが、ビスマルクさんがお求めになっているんだ、緊急事態発生と言うのがわからんのかあのスケベピンクが、今度会ったらあのスケベスカートのスケベスリットにアツアツの糸コンニャク流し込んでくれる

 

「別にそこまで急がなくていいわ」

 

「ハッ!しかし…」

 

「いや、ホントにいいから…」

 

ビスマルクさん、なんて慈悲深く遠慮深い方なのだろう、尊い!尊い御方だよ!

 

「ところでビスマルクさんは愛猫のお散歩でしょうか?」

 

「えぇ」

 

ビスマルクさんの愛猫、ロ●ム

どう見ても可愛いらしい猫と言うよりは、あきらかに肉食の猛獣だがビスマルクさんが猫と言うならば猫なのだろう、その愛猫ロ●ムは今、プリンツの尻に牙を突き立てていた

 

「痛ッ!痛い痛い痛い!噛んだ!このバカ猫なんでいつも噛むのォ!?」

 

「バカ猫…?オイゲン、今、バカ猫って…?」

 

「まさかッ!よしよぉ~し!可愛いですねぇ~、ロ●ムくんは可愛いですねぇ~ジャレてるんですねぇ~」

 

プリンツは牙を突き立てられながらナイスガッツの精神で耐えた

 

「フッ…私の聞き間違いね、オイゲンがそんな事を言うわけがないわ、そうでしょう?」

 

「はいっ!」

 

「テイトク、見ての通りロ●ムはとても賢い子よ、人は決して襲わないわ」

 

ビスマルクさんの背後で、現在進行形で襲われている気がするが、まぁ、見なかった事にしよう

 

「テイトク、良かったらアナタも撫でてみてもいいのよ?」

 

「え?」

 

…いや、ムリ、アレはムリ、確実にどこか食いちぎられるッ!

 

「いや、今日ボクお腹痛いんでまた今度にしようかなと…」

 

「まぁ、そう言わずにィ…」

 

プリンツの野郎が凄まじい力で俺の肩を掴む、コイツ!殺る気かッ!この猛獣に俺をズタズタにさせるつもりか!?

 

「ほら…ダイジョーブですって、私にも全然懐いてるしィ…」

 

「ちょ…オマエ、オマエ、やめろマジで!シャレにならん!シャレにならんマジで!」

 

ロ●ムの強烈な前脚パンチが俺の内臓に確実なダメージを刻んだ

 

「オゴォ!?」

 

「ロ●ムったら…早速じゃれてるのかしら?」

 

び…ビスマルクさんには愛猫と俺がふれあう姿に見えているのだろうか?今の一撃でアバラが砕けた気がするんだが…

 

「ククク……そうだ!殺れ!殺れロ●ム!そのゲスチンヤローの喉元を喰いちぎってしま……って痛ぁい!!なんで噛むのぉ!?あっち噛んで!あっち!」

 

「フフ…やはりロ●ムはオイゲンによく懐いているわね、もしかして私より懐いているんじゃない?」

 

「そ…そそそうですかね?」

 

「…び、ビスマルクさん、ちょ…ちょっと用事思い、いえ体調が悪いんで…」

 

「そう…?言われてみると顔色が悪いわね、オイゲン、テイトクを医務室まで連れて行ってあげなさい」

 

「は……はぃ」

 

こうして、ビスマルクさんは愛猫と共に、プリンツに先に寮に戻っているわよと言い残して去って行った…

 

「ハァ…ハァ…」

 

「ハー…ハー…」

 

「…オイ、ケツプリ」

 

「…なんですか?」

 

「決着は、また…今度な」

 

「そうしましょう」

 

 

その後、互いに力尽きた俺達は自販機の缶ジュース補充にやって来た明石に発見、緊急搬送され、翌日を知らないベッドの上で迎えた



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提督と夕張と駆け抜ける嵐

悪魔の研究、夕張
上から下までオレもオマエもガ●ダムだ!

【登場人物】

提督(122)
大人の特権を使いたがる少年の果ての大人

夕張(22)
尊敬する先生はイン●ラム先生、デッドエンドシュートしたい年頃

清霜(6)
アホの子、とにかく力が欲しい多感な年頃



「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

自分に自信を持つと言う事は決して悪い事ではない、自信を持つ事により、向上心が増したり、性格的にも前向きになったりとプラス方向のメリットがある、まぁ、持ち過ぎてもアレだし、かと言って持つ方向性が違ってもアレだが…

今日もそんな自信に満ち溢れる兵装実験軽巡、夕張は自信に満ちた顔でやって来た

 

「今回の作品はこちら!その名もグ●イズ・キヨシです!」

 

窓の外にそびえる20メートル級はあろうか、雄々しく立つ巨大なマシーン、頭部のセンサーらしき部分にグレ●ズの面影を残す素晴らしい造形だ

 

「…足があるな」

 

「ないんですけどね」

 

「一応聞くが、グ●イズ・キヨシと言う名を冠するところから察するに、アレには清霜が乗っているのか?」

 

「はい!厳密には乗っている……と言うよりは、清霜ちゃん自体がグレ●ズ・キヨシですね」

 

「…なんだ?その、俺がガ●ダムだみたいな妙にフワフワした説明は?」

 

つまりアレだろうか?オレとオマエとシャイニングガ●ダムは一心同体的な何かだろうか?

 

「まぁ、簡単に説明しますと、高感度阿●耶識システムをパイロットの思考と機体に直接リンクしてまるで生身の身体のように扱う事ができます!あの巨体でそれはもうキショイぐらいヌルヌル動けます、まぁ、ぶっちゃけて言えば清霜ちゃんを機体に直接組み込んで生体パーツにしたんです!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「あふんっ!」

 

「ナニやってんだオマエは!?」

 

あの殺戮の為のマシーンみたいなのがキヨシだって言うのかい!?

 

「アヒャヒャヒャ!さぁグ●イズ・キヨシよ!復讐の時は来ました!今こそ腐敗しきった軍に鉄槌を下すのです!」

 

『誰に命令している?このメロン野郎』

 

「なにッ!?」

 

清霜ことグレ●ズ・キヨシが執務室の壁をブチ壊し、その腕で夕張の身体を掴んだ

 

「き…キサマ!ナニをしている!離せ!えぇい!離せ!誰がキサマにその力をくれてやったと思っているんだッ!?」

 

『アンタには感謝している、だがアンタのような危険な軽巡は生かしてはおけない!』

 

「ヒッ!?」

 

ダメだコイツ……キヨ●ルディとアーマード●イダーキヨシの反省がまるで生かされてない、しかも今回は相手が20メートル級とか余計にタチが悪いぞ

 

『死ね!』

 

グレイズ・キヨシは夕張の身体を宙に放り投げ、ドリルキックで夕張を蹴り飛ばした

 

「グヘァ!!!」

 

「ゆ…夕張ーッ!!」

 

『これでもう邪魔は入らない……まずは武蔵さんだ!武蔵さんを倒してこの清霜が最強だと言う事を証明してやるぞー!わははははー!』

 

清霜ことグレイズ・キヨシはゲラゲラと笑いながらその巨体でピョンピョン跳ねる

 

『しれーかん、武蔵さんはどこ?武蔵さんとヤらせてよ!武蔵さんと!でないとメチャメチャに暴れるよ!』

 

「調子に乗りやがって…」

 

しかしマズいな、たしか今日、武蔵は休暇をとって街のイ●ンモールになんか意識高い感じの映画を見に行っているハズ…

 

「ちょっと待ってろ」

 

『早くしてよねー、でないとこのメロン野郎にドリルパンチするよー』

 

別にメロン野郎がどうなっても構わんが、マズいな、武蔵が街に行っているとバレたらコイツも今すぐ街に行って大暴れする可能性が高い、万が一にも武蔵が負ける可能性は無いとしても、そこら辺をメチャメチャに壊してシャレにならない損害賠償請求され、せっかく地域への貢献活動で好感度を上げていたのに愚かな民衆達に軍がヤバいと言う印象を植え付け、最悪、小さなお子様を生体パーツに使う非道の実験を行う悪魔の組織に仕立て上げられるかもしれん…

 

なんとしてもコイツをここで止める必要がある!

 

「すげぇですわ!スーパーロボットですわ!鈴谷!ほら!スーパーロボットですわ!」

 

「すげー、写メ撮ろ、写メ」

 

「筑摩ァ!なんじゃアレは!スーパーロボットじゃあ!スーパーロボットがおるぞォ!?」

 

「えぇ、スーパーロボットですね姉さん」

 

チッ…野次馬共が集まって来たか、まぁそりゃそうだわな、あの巨体だ、注目にならん方がおかしい、しかしどうする?どうすれば……ハッ!そう言えば倉庫に聖戦士のオーラマ●ンがあったような…だが俺のオーラ力では地上人に劣る!やるしかないか!ハイパー化を!

 

ゴン!ゴン!

 

緊急事態発生中の執務室の扉を律儀に叩き、誰かが執務室へと入って来た

 

「失礼しま……って、なんですかコレ!?なんで壁壊れてるんですか!?」

 

「秋月か…何の用だ?ご覧の通り、今、忙しいのだが」

 

「遠征終わったから、ハンコ」

 

秋月と一緒にやって来た三日月はワクワク遠征スタンプカードを俺に差し出す、このワクワク遠征スタンプカード、遠征する毎にスタンプが貯まり、スタンプを貯めると明石の店で使えるお得なクーポンが貰えたりする

 

「はいはい、ハンコね、ハンコ、ゴクローサン」

 

「三日月さん150個になったですね!」

 

「…もうちょっと貯めようかな」

 

ちなみにスタンプ200でプレイス●ーション3に相当するお得なクーポンが貰える、ミカは本当に頑張り屋さんだなぁ………ん?

 

「なに?」

 

「ミカァ…」

 

俺は三日月の肩を叩き、俺の後ろにそびえ立つ黒い巨体を親指でクイッと指した

 

「やってくれるか?」

 

「いいけど?」

 

俺はロッカーから金属バットを取り出し、三日月に手渡すと三日月は破壊された壁の縁に立って俺に問う

 

「どのぐらい?」

 

「徹底的にだ」

 

「了解」

 

三日月は壁から元気良く飛び出し、グレ●ズ・キヨシのアタマを思いっきり殴りつけた

 

『イダァ!?なんだテメェ……ヤる気かー!』

 

「使い難いな…コレ」

 

 

後に、この激しい戦いを見ていた者達は皆一様に言った、その戦いぶりはまるで悪魔のようだったと…

 

グレ●ズ・キヨシは徹底的に破壊され、清霜はなんやかんやで無事に回復し、元のアホな子供に戻り、三日月は今日もお得なクーポンと交換する為に遠征に行っている…

 

そして…

 

「何か言いたい事はあるか?メロン野郎」

 

「クッ!殺せ!」

 

兵装実験軽巡夕張、懲役1年!!

 

 

しかし、どう考えても闇が深い研究、グ●イズ・キヨシ開発計画は基地破壊の真相隠蔽の為に闇に葬られ、罪状は消滅、服役途中で夕張は釈放された

 



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提督と陸上部とナイトクラブ20

なんやかんやで20回目のナイトクラブ回
今回はナイスガッツ溢れるドリームチーム

【登場人物】

提督(123)
コーチと言えばいやらしい響きと思ってるダメな大人

鳳翔(5)
通称ビッグママ、めっちゃ長い煙管を愛用している、提督もサミーも頭が上がらない大人

長良(2)
長良姉妹の長女、長良主将と呼ばれる陸上部の主将で根性とガッツで生きている

大鳳(3)
ア●スの緩さに定評がある装甲空母、ガッツ溢れるタフ・ガイらしいがア●ルは緩い

速吸(4)
スポドリ係のよく見るとかわいい気がするナイスガッツマネージャー、最近制球が乱れている

鬼怒(2)
名前だけ登場、陸上部のナイスガッツメイトらしい、よく見ると美少女


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「春は夜桜、夏には星、秋には満月、冬には雪、それで十分酒は美味い」

 

「フーッ~…良い台詞じゃないかい」

 

「つまり、病んでいるのだよ!」

 

「台無しだよ」

 

それで不味いと思えるのなら、なんか色々自分が病んでいるとかそんな感じの師匠の良い台詞だった気がするが…まぁいいか

ママといつものテキトーな大人の挨拶を交わし、俺はいつものテキトーな席に座って煙草に火を点けた

 

「フーッ~…」

 

「ッシャー!長良です!」

 

「大鳳です!」

 

「速吸です」

 

お…おぅ、これまた艦種を問わないナイスガッツ溢れる面子が来たな、なんなんだ?これは何かのパーティーか何かだろうか?

 

「長良です!」

 

長良姉妹の頂点に君臨する長女、長良、その軽巡とは思えないナイスガッツ溢れる性能はチームメイト全員にアツいナイスガッツを与えてくれるナイスガッツ主将

 

「大鳳です!」

 

呪われし悲運の装甲空母、大鳳、その空母とは思えない中破でも艦載機を乱射するナイスガッツ溢れるタフさはチームメイト達にタフ&ハードのナイスガッツを見せてくれる

 

「速吸です」

 

給油艦と言う名のスポドリ係、速吸クン、そのスポドリ補給技術はチャカとポントウが入り交じる戦場においても決して揺るがず、常に最高にナイスガッツ溢れるスポドリをチームメイトに提供してくれる

 

「…これはまた、随分と珍しい奴らが来たな」

 

右隣に大鳳、左隣に速吸クン、正面に長良主将…これほどまでに屈強な体育会系トライアングルはそうはないだろう

 

「提督!ナニにしますか!」

 

「え?あ~…あ、じゃ、とりあえずビールでいいや、ビールな」

 

「ッシャ!ビール一丁ーッ!」

 

「ビール一丁ーッ!」

 

長良主将のナイスガッツ溢れるオーダー、そして、オーダーを復唱するナイスガッツを忘れない大鳳はいつものオ●オンビールを取り出し、ナイスガッツにグラスに注ぎ、俺の前へと置いた

 

「お待ちどーさまでした、ビールです!」

 

「あ、あぁ」

 

…いや、泡じゃん、コレただの泡じゃん、ナニナイスガッツな流れで誤魔化そうとしてんだコイツ、誤魔化されないよ?俺は

 

「いや、泡だろ」

 

「主将!」

 

大鳳はしまったとばかりに長良主将に向き直り、長良主将のアツいビンタが大鳳の頬を打った

 

ビタン!(ビンタ)

 

「たういッ!」

 

「やり直し!提督!もう一度……もう一度大鳳にチャンスを与えてやってくださいッ!もう一度!もう一度だけトライさせてやってください!」

 

長良主将はアツく俺に頭を下げた、大鳳にもう一度チャンスを与えて欲しいと…たった一度のミス、それがチームにとってもしかしたら取り返しがつかないミスである場面がある、それでもコイツを信じて最後まで全員でヤりたい!そのナイスガッツが俺の胸を打った

 

「…その心意気や好し、熱意や好し!」

 

「提督っ!」

 

「大鳳クン」

 

「はい!」

 

「見せて貰おうか、君のナイスガッツを!」

 

再び瓶とグラスを手に取った大鳳、その手は僅かに震えている、このプレッシャーの中、果たして大鳳はベストを尽くす事ができるのか…

 

「ッ!!」

 

再び注がれるビール、しかしダメだ大鳳クン、ダメ!ダメ…っ!そんな真っ直ぐなグラスじゃあ駄目、失敗するっ!圧倒的失敗…ッ!

 

しかし、そんな大鳳の手にしたグラスを横から伸びる手が優しく傾けた

 

「センパイ、グラスはこうやって傾けた方がいいって、田舎のおじいちゃんが言ってました!」

 

「速吸…っ!そう…そうなのね!」

 

そうだ、大鳳は一人じゃあない!共にチームを支える仲間達がいる、大鳳の手は震えを止め、みるみるうちにグラスに注がれる黄金色の液体、目に見えてわかるハジケる気泡、そして理想的な白い泡、大鳳の肩に手を置き、長良主将も無言だが確かなアツいエールを贈る

 

「…お待ちどうさまでした、ビールです」

 

「うむ」

 

……悪魔的美味さ…っ!!いつものオリ●ンビールだが、この一杯には当基地陸上部全員の……いや、そういや鬼怒がいないな、まぁいいや、とにかくアツい情熱で注がれた一杯だ

 

「フーッ~…」

 

「大鳳!よくやった大鳳!オマエならできるってよォ!」

 

「センパイ!おめでとうございます!センパイ!」

 

「長良主将…速吸…クッ!ありがてぇ……!こんな私を信じてくれて、ありがてぇ……ッ!」

 

陸上部のナイスガッツメイトはガッシリと抱き合い、喜びを分かち合った

実に泥臭い青春のアツい一ページだ

 

「っーかオマエら、なんでオマエらみたいな泥臭いのがこんな雌臭いトコでバイトしてるんだよ?」

 

「いや、実は今日、練習終わった後にみんなでガッツリ牛丼でも食うかーって話になりまして」

 

「それで、食堂が開いてなかったのでじゃあ鳳翔さんのお店で食べようと言うコトになりまして」

 

「みんなでガッツリ食べたのはいいんですけど、そのぉ~……お恥ずかしながら、誰も財布を持っていなかったコトに後から気付きまして」

 

…ただのバカだった、長良主将と大鳳がワリとアレなのは知ってたが、速吸クンでもウッカリする時があるんだな

 

「それでまぁ、ママから食った分は身体で払いなァ!ってコトになったんです」

 

とりあえず、長良主将は自分が働くからチームメイトはカンベンしてくれとママに頼もうとしたが、そこはアツいチームメイト達、チームの責任は主将だけの責任じゃないっすよとアツい熱意に折れたそうだ

たぶん、ママもこのナイスガッツを煩わしく感じ、テキトーなバイトとして扱ったのだろう

 

「ビッグママほどのママが、なんて器量の小さい」

 

遠くから“聞こえてるよ、ボーイ”と聞こえた気がするが、まぁ、ママとしてもこの店に存在してはならないアツい体育会系集団をさっさと追い払いたい気持ちもわかる、さっさと稼がせてやるか

 

「…オマエらいくら分食ったんだ?」

 

「さ…三万円分ぐらい?」

 

「牛丼だけで食い過ぎだろォ!?」

 

見た目はスリム&スポーティだがさすが体育会系、食べ放題以外は入ってはならない類だ

 

「……はぁ、まぁいいや、オマエらもなんかテキトーに飲んでいいぞ、小腹空いてるなら軽食でも…」

 

「え?いいんですか?ッシャース!じゃ、私オレンジジュースで!あと、このガッツリチリミートのディップポテトで!」

 

「じゃ、私もオレンジジュースで、あと、このとろ~りカマンベールチーズのベーコン焼きで!」

 

「私もオレンジジュースと~……う~んダブルミートボール&ウィンナーデニッシュで」

 

「食い過ぎだろォ!?なんなのオマエら!?」

 

 

この日、長良、大鳳、速吸、この三人は今週の最高売上を上げ、一時的にだがランキング10位の五十鈴さんをランキング外に蹴落すナイスガッツ快挙を上げたそうだ



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提督と鈴谷とオイオイオイ

提督と鈴谷が通常運転、ポロリもないよ!

【登場人物】

提督(124)
稀有で非凡なイマジネーションを持つ大人、その戦闘経験は千を超える

鈴谷(40)
着実にフラグを積み重ねる負け確ヒロイン、軽空になったので艦載機の妖精に餌やろうとしたら殴られた


「ティーッス、新任務する前にチョーシコイて軽空になった鈴谷が遊びにきましたよぉ~………って、ナニやってんの?」

 

「ご覧の通り、シャドーだが?」

 

女心のように移り変わりの激しい春の空、昨日は小春日和の晴天、今日は強烈な打ち下ろしの右のような豪雨、とにかくコロコロと天気が変わる

そんな春の日に、俺は執務室でリアルシャドーを行っていた

 

「…ハァ?」

 

「用が無いなら消えろ、この星からな」

 

「厳しいッ!星規模で消えろって!?」

 

コイツが近くにいると濃厚な雌の匂いがプンプンするので気が散って仕方ない、たぶん実家はサキュバスか何かなのだろう

 

「ってかサミーは?休み?」

 

「休みだ、今日は夕張のアホンダラと街のイ●ンモールにお買い物に行くとか言ってたな」

 

「ふ~ん」

 

普段は特に仲良さげでもない五月雨と夕張だが、たまに買い物に行くぐらいは仲が良いらしい、五月雨的には色んな意味でドストレートな夕張にそれなりに好感を持っているそうだ

 

「まぁいいや、そのシャドーだがシャトーだかはもういいからゲームしよーぜ!ゲーム!マ●オゴルフしよーぜ!」

 

「マ●オゴルフじゃない、提督だ、あと、シャドーレ●プだ」

 

「…ハァ?」

 

「っーかちょっと黙ってろ、そろそろ出るから」

 

「ハァ?出るって?ナニが…?」

 

シャドーファイト、中国拳法における独闘!存在しないものを眼前にありありと創造り出すイマジネーション!

 

「お…ぉ…?え?マジ?え?」

 

「来たッ!」

 

何もないはずの執務室の壁、目の前に確かに現れる執務室に存在しない筈の確かな存在感!片目が隠れた銀髪巨乳の駆逐艦ッ!!

 

「えっと……え?マジ?なんかマジ見えるんですけど?」

 

ダメだ…それじゃダメだ!もっとだ!さらに強力く!さらに敏捷く!さらに怖く!さらに狡猾く!………現実より強くッ!!

 

「キャオラァ!」

 

後に、軽空母鈴谷(攻撃型)は青葉の取材にその時の事をこう語る…

 

ん?あ~、たしかに見たよ?アレは間違いなく駆逐艦のくせに無駄にデカい乳袋の…え~……なんちゃら風?え?ハマカゼ?まぁ名前とかどうでもいいや、うん、提督はそのなんちゃら風に勢い良くタックルしたじゃん?なんっーか、もう確実にレ●プする目だったよ、エロ同人でよく見る感じの、っーかシャドーレ●プってナニ?どんだけ溜まってんのかーっの………え?あぁハイハイ、結果ね、結果、フツーだったよ?うん、フツーにパツイチでヤられてなんか提督が壁にメリ込んでた

 

「グヘァ……」

 

「弱っ!?っーかシャドーが強すぎだろォ!?なんでシャドーレ●プですら失敗してんの!?バカなの!?ただのバカじゃん!」

 

「フッ……ふふ、想像、以上だ」

 

常に、浜風ちゃんをレ●プしたいと考える俺にとってこのリアルシャドーは日常茶飯事に過ぎない、フフ…しかし、これほどのレベルの差とは

 

「もうちょっと難易度落とせばいいじゃん、バカなの?」

 

「バカじゃない、提督だ」

 

「まぁ、難易度落としてエアレ●プってのも相当ヤバい奴な気もするけど…」

 

「現実はより厳格しいからな、現実では浜風ちゃんと目を合わせるのも難しい!」

 

「ヘタレかッ!!」

 

「ヘタレじゃない、提督だ」

 

‐‐‐

 

アツいリアルシャドーを終え、俺はシャワーで汗を流し、ひと心地ついたところで執務室に戻ってくると俺の机に脚を置いて漫画を読むビッチが居た

 

「ん?あ、帰ってきた、マ●オカートしよーぜ、マ●オカート」

 

「ブッ殺すぞビッチが」

 

「せっかく待ってたのに厳しいッ!」

 

「まずはそのクセー脚を机からおろせ」

 

「くさくねーし!ってかこの漫画続きないの?続き超気になるんですけど」

 

「ねぇよ、陸奥が持ってんじゃねーの?」

 

「ふ~ん」

 

鈴谷はよっこらせいと言いながら机から脚をおろして椅子から立ち上がった

 

「まぁいいや、ドクターマ●オしよーぜ、鈴谷ドクターマ●オ超つえーよ」

 

「なんでそんなマ●オにこだわるんだ、マ●オに」

 

コイツ、任●堂信者かナニかだろうか?どんだけマ●オがしてーんだコイツ…

 

「わかったわかった、いい加減鬱陶しいし、もう二度と俺に刃向かう気が起きないぐらい徹底的にズタズタにしてやろう」

 

「そこまでッ!?フッ……まぁいいじゃん、その言葉!そのまま返してやろーじゃん!鈴谷が買ったら一万円ね!」

 

「いいぞ、負けたら炭酸抜きコーラ2リットルをケツから流し込むからな」

 

「ヘンタイッ!!ヘンタイか!」

 

「変態じゃない、提督だ」

 

「クッ……まぁいいや、やったろーじゃん、まぁ鈴谷が勝てば何も問題ねーし」

 

「よしこい!かかってこいよ!パンツなんか脱いでかかってこいよ!」

 

「脱がねーし!」

 

◆◆◆

 

近所のイ●ンモール…

 

「う~ん、充電くんですか…コレはちょっと欲しいですね」

 

「なに見てるんですか?」

 

「え?発売予定表、コレちょっと欲しいかな~って」

 

「はぁ?」

 

先取り夏物のまぁまぁオシャレな服を買い、施設内のオシャレカフェでティーを済ませた五月雨と夕張はこれまた施設内の大型模型店に来ていた

 

「いいじゃないですか?」

 

ぶぶぶぶぶ(メール)

 

「あ、メール」

 

「提督から?」

 

「どうせシャレオツな菓子買ってこいとかそんな感じじゃないですかね…」

 

最近買ったスマホを操作し、メールを開くと“シャレオツな菓子買ってこい”と言う文面と共に、ケツにペットボトルを挿した画像が添付されていた

 

「オイオイオイ…」

 

「死んだわ、アイツ」



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提督とシャルトリューと旅路の果て

朝起きたらアレだった系

【登場人物】

提督(125)
誰か、我が名を呼んでくれ…我が名は提督にあらじ…我が呼ばれたき名は…

夕張(23)
意外とロマンティック

五月雨(41)
意外とアレルギー

磯風(5)
意外と可愛がり

明石(10)
本当に金が好き

山風(11)
明石の店でバイト中


我が輩は猫である、名前は………あるにはあるが、よく考えたら誰も俺の名前を呼ばないのであまり意味はない、とりあえず、スーパーとかで店長の事を店長と呼ぶように、この基地では提督と呼ばれている…

 

『じゃねーよ!オイコラメロン、オイ!どーなってんだオイ?』

 

「いやぁ…まさか猫になるとは」

 

「何故夕張さんはその科学力をもっと地球の為に生かす事ができないんでしょうか…」

 

朝から激しい雨の降る春の執務室、今、この執務室には俺と五月雨、そして夕張の三人……いや、正確には二人と一匹が集まっていた

 

『説明しろォ!説明!』

 

俺の首からぶら下がる防犯アラームのようなチャチな機械からアイドル声優みたいな声が響き、俺は手……いや、今は前脚か?その前脚で机をバシバシと叩いた

 

「提督、昨日の夜に自販機のところで私と会ったのは覚えてますよね?」

 

『覚えてるからテメーを呼んでるんじゃねぇか、ブッ殺すぞ』

 

昨日の夜、たまには紙コップのコーヒーでも飲むかと考え、自販機のところに行くと、丁度、夕張も自販機にココアを買いに来ていたので俺達はベンチでどうでもいい世間話をした…

 

「実は昨日、提督の飲んでいたコーヒーに隙を見て試作品のクスリをサーッと混ぜたんです」

 

『ナニがサーッと混ぜただ!殺す気か!?』

 

「大丈夫ですよ、ラットの実験はワリと大丈夫でしたから」

 

『ワリとってなんだ?ワリとって…っーかなんのクスリなんだコレは?猫になるクスリか?』

 

「いえ、知性の低い獣のように本能に忠実になるクスリだったんですが…」

 

夕張曰わく、飲むとアラ不思議、己の中に眠る獣欲が解放され、男ならギンギンのマグナムオークチ●ポに、女なら絶頂くの止まらない!止まらにゃくて頭バカになっちゃうー…効果をもたらすエ●ゲーやエ●同人でよく見る夢の薬を開発していたそうだ

 

「まぁ、獣にはなりましたね………ヘックシ!」

 

「えぇ、失敗かと思いましたが貴重なデータです」

 

『貴重なデータじゃねぇよクソが』

 

ちなみに、今の俺は猫なのでニャーしか言えないのだが、俺の声を代弁してくれるニャイリガルと言う名のどっかで聞いた気がする胡散臭い玩具みたいな装置を夕張が作った

 

『とりあえず今すぐ元に戻せ』

 

「別にそのままでもいいんじゃないですか?」

 

五月雨は俺の一大事にわりとどうでも良さそうに冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出し、二人分のグラスを用意した

 

『よくねーよ、これじゃ提督じゃないでテレビの前の隊長さんだよ!』

 

「はぁ?………ヘックシ!」

 

「とりあえず、元に戻す薬を作ってみますのでちょっと待っててください」

 

『さっさとしろよ』

 

「あ…」

 

そう言って夕張が執務室を去ろうとすると、五月雨がちょっと待って下さいと夕張を引き止めた

 

「夕張さん、提督も一緒に連れて行ってください」

 

「別にいいけど?なんで?」

 

「私、猫アレルギーなんでその猫がいるとクシャミが………ヘックシ!」

 

『オマエ、猫アレルギーだったのか?』

 

意外だな、まさかこの青髪ロングにそんな弱点があろうとは…

 

『そうかそうか、それは大変だなサミーヌよ』

 

「五月雨です、あと、近付かないでください、蹴りますよ」

 

コイツの目はマジだ、やると言ったらやる目をしているッ!

 

『フッ、まぁいい、行くぞ夕張』

 

俺は華麗にジャンプし、壁を蹴って夕張の頭にヒラリと着地した

 

「重ッ!!………ちょ、提督、重いんですけど…」

 

『ガタガタゆーな』

 

「はいはい、じゃ、行きましょうか」

 

◆◆◆

 

夕張の頭に乗り、悪魔の夕張研究室へと廊下を進んでいると、何人かの暇な艦娘どもとすれ違った…

 

「あ、夕張サン、なんすかそれ?」

 

「ネコっすか?夕張サン、ネコっすかー?」

 

「あー…うん、猫なんだけど、実はコレ猫じゃないでテイト………痛ァ!!」

 

俺は前脚で夕張の目を全力でブッ叩いた

 

「ちょ……ナニするんですか?」

 

『余計なコトゆーな』

 

今の俺が無力な猫だと基地中に広まったりしたら、もしかしたらクーデターを起こす奴も出るやもしれん

 

「夕張サン、そのネコ触らせてー」

 

「え?あ~…ダメダメ、実は人には決して懐かない猫なのね、ごめんねぇ~」

 

「ハラショー、残念だよ」

 

とりあえず、人目につかない程度にさっさと夕張研究室に行き、とっとと元の美しいボディに戻らなければ、俺は夕張の頭から降り、ネコダッシュで廊下を走ると前方から

パンツが歩いてきた

 

「む…?」

 

「あ、猫」

 

見上げると、パンツの主は浜風ちゃん!………と磯風か

 

「ほぉ、シャルトリューか…珍しいな」

 

「なにそれ?」

 

「フッ、この磯風、猫には少々詳しいのだ」

 

磯風は俺の首根っこを掴み、ヒョイと持ち上げた

 

「うむ、チ●コがついてるからオスだな」

 

「磯風、真顔でチ●コとか言わないで…」

 

「実はこの磯風、性別問わず、猫を思いっきりギューっとしたい年頃でな」

 

「そうなんだ」

 

オイちょっと待て、オマエじゃない、ギューっとしていいのはオマエじゃない、浜風ちゃんと替われ

 

「こう…ギューっとだな!」

 

『アガァ!!』

 

バキッ!!ミシミシッ!メリッ!メリッ!

 

コ…コイツ!なんて力だッ!?ヤバい死ぬッ!死ぬ!抱き締め過ぎだ………これが、死か

 

「テイトク、ちょっと待ってくださいよぉ~……って、捕まってるし」

 

「あ、夕張さん」

 

「む………そうか、これは夕張さんの猫か?」

 

「え?えぇ、まぁ、そんな感じ…かな?」

 

「そうかそうか、飼い主がいたか、では名残惜しいが返すと………いや、その前に浜風も抱いてみるか?」

 

「いや、私は別に…」

 

「そうか」

 

磯風はブランブランに揺れる俺を夕張に手渡し、また触らせてくれと言って去って行った

 

‐‐‐

 

『死んだかと思った』

 

「私も死体かと思いましたよ」

 

パンツ見放題だが、生命の危機に溢れるので自分で歩くのをやめ、再び夕張の頭に戻った俺は身体の痛みと戦っていた…

 

「もうすぐ着きますから」

 

『早く人間になりたい』

 

一刻も早く、ケモノのような身体と言う名の暗いさだめを吹き飛ばしたくて仕方ない

 

「あ、夕張だ」

 

「…こんにちは」

 

夕張研究室へと急ぐ俺達の前に現れる次なる刺客、明石と台車にダンボール箱を載せた山風

 

「なにやってんの?ってか、ナニそれ?夕張、猫飼ってたの?」

 

「いやぁ、まぁ…」

 

「しかも結構お高そう!餌ならウチで色々取り扱ってるから!色々取り扱ってるから!」

 

どんだけ売りつけたいんだ、このピンクは…

 

「…」じーっ

 

「なにかな?山風ちゃん?」

 

「…それ、おねえさんの猫?」

 

「え~…まぁ、そんな感じ?うん」

 

なんで疑問系なんだよ、コイツ、前々から思ってたが嘘つくのが致命的に下手だな

 

「…ふ~ん」

 

「山風ちゃん山風ちゃん、アレたしかシャトーなんとかって名前の高価い猫よ!高価い猫!」

 

推すポイントが高価いしかねぇのか、このピンクは

 

「…なんとかなく、テイトクに似てる気がする」

 

…コイツ、なかなか勘がいいな

 

「え~?どこがぁ?こっちの方が全然オシャレで価値がありそうじゃない?」

 

明石の奴がヘラヘラ笑いながら手を伸ばしてきたので全力クローでその手を斬り裂いた

 

「イタァァァァァ!!ナニこの猫ッ!攻撃してきたァァァ!」

 

「人には懐かない猫なんですよ」

 

「っ…先に言ってよ、先に!まったく、山風ちゃん行こ!ジュース買ってあげるから」

 

「…うん、じゃあね」

 

まったく、君のような勘のいいガキは嫌いだよ

 

‐‐‐

 

神も越え悪魔すら倒せる研究が日夜行われているワリに意外と小綺麗な夕張研究室…

 

「たぶん、コレで元に戻れるハズです」

 

『もし元に戻れなかったらオマエの身体を貰うぞ』

 

「えっ!?え~……エヘヘヘ、それはちょっと照れますね」

 

『ナニが照れるんだ、バカなのか?』

 

「私の身体が欲しいとか…」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレ………あぁ、イカレてるんだったな

 

「ドストレートに身体目的もいいですけど、私としては人生の半分やるから人生の半分をくれ的なロマンティックなのも憧れます」

 

『俺の黄金のような人生と貴様の汚物のような人生が等価高価できると思うな、カスが』

 

俺は夕張の用意した微妙に不味そうな液体をベロベロと舐めた

 

『う゛っ!!』

 

この身体の奥底から溢れ出るパワー…っ!!遂に俺本来の若く!美しい肉体へと戻る時がきたッ!

 

フシュュュュュ!!

 

「…ようやく戻ったか、我がボディ」

 

研究室にある姿見で己の身体を確認する

この白く!きめ細かい肌、美しさと力強さを備えた四肢!浜風ちゃんをも圧倒するであろう凶悪かつ暴力的サイズのバスト!まさしく完璧な………

 

「って!!違ぁぁぁぁぁう!!」

 

女だよッ!!チ●コついてねーじゃん!いつぞやの美女じゃねぇか!?

 

「人間には戻れましたね」

 

「俺は元に戻せって言ったんだボケェ!!」

 

ビタン!(ビンタ)

 

「ゴブァ!!!」

 

俺のビンタが夕張に炸裂し、夕張は首を変な方向に向けて転がった

 

「あ…ヤベ、やりすぎた」

 

そういやこの美女フォーム、長門よか強いんだった…

 

「…」死ーン

 

「オイ!夕張死ぬな!死ぬんじゃない!死ぬなら俺を元に戻してから死ね!オイ!生きろ!オイ!生きろォォォ!!」

 

 

後日、再び現れた万能戦艦女への復讐に燃える長門とのリベンジマッチとか、アメリカからの刺客、アイオワの挑戦など、なんやかんやあったが無事、俺は元の姿に戻る事ができた

 



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提督と萩嵐とエキサイト

春の健康回

【登場人物】

提督(126)
不健康、だいたいモクモクしてるモクモク人間

萩風(2)
陽炎型17番艦、人と地球に優しい

嵐(2)
陽炎型16番艦、イケメン、腰のベルトからたまにク●ス・ペプラーみたいなイイ声がでる


「お待たせしました、シイタケの炒め物とシイタケの煮物とシイタケのサラダと…」

 

テーブルの上に次々と並ぶ並ぶシイタケの載った皿、かつてこれほどまでに執拗にシイタケを食わせようとする皿を見た事があっただろうか…

 

「あと、デザートのシイタケです」

 

ハジケる笑顔で俺達の前にシイタケを並べ終えた萩風はさぁおあがりよと言いたげに胸を張っている

 

「嵐クン」

 

「なんすかァ?」

 

「コレはナニかね?」

 

「シイタケすかねェ?」

 

「ではコレは?」

 

「シイタケすかねェ?」

 

何故こんな事になってしまったのか……話は小一時間ほど前に遡る

 

‐‐‐

 

昼下がり、今日はガッツリとカツドゥーンでも食うかと考えながら廊下を歩いていると、執務棟の外にあるベンチで何かのパンフレットみたいなものを片手にアツく喋る萩風と、それをゲンナリとした様子で聞く嵐の2人が座っていた

 

「よぉ、ナニやってんだオマエら?」

 

「あ、テイトク」

 

陽炎型駆逐艦、萩風

どことなくキラキラしたアイドルみたいな顔をしている気がする見た目は美少女、舞風曰く、脱げばスゴい健康的なドエロスボディらしい

 

「お、丁度いいトコに…ちょっとテイトク、オレを助けてやってくださいよォ~」

 

同じく陽炎型駆逐艦、嵐

ご覧の通りのイケメンで、その、あまりのイケメンぶりに初めて会った際、チ●ポついてるんですか?と尋ね、白手袋が赤手袋になるまで殴られた

 

「聞いてください、嵐がさっきコーラ飲んでたんですよ!」

 

「…はぁ?」

 

「別にいいじゃんかよォ~」

 

「いいワケないでしょ!嵐!アナタ死にたいの!?」

 

萩風は嵐の胸ぐらを掴みその身体をガックンガックンと揺らす

 

「まぁ、そうエキサイトせず落ち着きたまえ萩風クン、たかがコーラを飲んだ程度で死ぬワケが…」

 

「あんな黒い液体が身体にいいワケないでしょ!ねぇ?死にたいの嵐!?ねぇ!?」

 

「ちょ!揺らすのやめッ!はな…ッ!ちょ!タスケテー!」

 

更にエキサイトする萩風は嵐の身体だけでなく、確実に脳を揺らし、嵐は今やグニャグニャの世界へ足を踏み入れていた

 

「黒いだけならまだしも!あんなシュワシュワした液体を体の中に入れてタダで済むわけないでしょ!死ぬわよアナタ!わかってるの?ねぇ?死ぬのよ!?」

 

「まぁ待ちたまえ萩風クン、少し落ち着いて」

 

「ハッ!?………私ったらついエキサイトして、嵐ッ!?どうしたの嵐ッ!どうしてそんなにグッタリしてるの!?」

 

「おま……オマ…エが揺らすからだろ~がよォ~…」

 

「コーラね!やっぱりコーラがいけなかったのね!だからあれほどコーラなんて飲んじゃいけないって日頃から口を酸っぱくして言ってたのに…」

 

「ッ………ちげーし、っか離せよ、殺す気か」

 

「あ、ごめんなさい、私ったらついエキサイトして」

 

「ついエキサイトが多過ぎなんだよォ…」

 

健康オタクとは聞いていたが、これはなかなかエキサイティングな健康ぶりだな

 

「テイトクは今からメシっすかァ?」

 

「あぁ、たまにはカツドゥーンでも食おうと思ってな」

 

「カツドゥーンっすかァ~いいっすねェ~」

 

俺と嵐はアツアツのカツドゥーンを思い浮かべ、身体中のグルメ細胞が今すぐこの空腹を満たしたいと涎を垂らした

 

「いいワケないでしょ!!」

 

しかし、そんな俺達の活性化するグルメ細胞を力業で黙らせる萩風の両腕が俺達の首を締め上げた、コ…コイツ!この健康的な細腕でなんと言うパワーだ…ッ!

 

「あんなカロリーの塊みたいなモノが食べたいの?カロリーの暴君、いえ!カロリーモンスターなのよ!!豚肉!卵!タマネギ!出汁!醤油!砂糖!米!これだけ一度に人体に加わってタダで済むハズないでしょ!………アナタ達死ぬわよ?」

 

「ぐるッ!ぐるグルぐる゛じぃ!!」

 

「ギブッ!ギブギブギブ!ハギェ!ギバーップ!!」

 

「ハッ!?………私ったらまたエキサイトして、ごめんなさい」

 

「殺す気かァ!」

 

「…まぁ、萩風クンの言わんとするコトもわからんではないが、たまには良いじゃないかね?」

 

「そうですね、スイマセン、私ったらカッとなりやすいタイプで…」

 

「そうだぜ、こないだなんてちょっとピザポ●ト食ってただけで手袋が赤くなるまで殴られたしなァ」

 

「あれは嵐が悪いのよ、おやつには炒った豆を用意してたでしょ?だいたいあの袋菓子どうしたの?なんであんなの持ってたの?どこで買ったの?明石さん?明石さんのお店?明石さんのお店なのね?あぁもうッ!!なんでそんな健康を害するものばかり売るのかしらあの淫乱ピンクはッ!よく考えたらあのお店には合成着色料がふんだんに使われた袋菓子だとか清涼飲料水だとか平然と棚に並べて!毒よッ!毒を並べてるのと同じなのよ!あのムカつく笑顔で毒を販売して私達を殺そうとしているのよッ!許せない…許せない許せない許せない許せない許せない許せない!許せないッッッ!!………そうよ、殺せばいいのよ、明石さんが死ねばみんな健康になれる、もう合成着色料にも科学調味料にも怯えずに済む、人が人として天然自然の下に生きていける世界になる、そうだわ…それがいい!それが一番だわ!アハ…アハハ……アハハハハハハハハ!!」

 

萩風は狂ったように笑いを上げ、急にピタリとその動きを止めた

 

「…よし、殺そう」

 

「よし!じゃねーよ、ハギェ!目を覚ませェ!」

 

「…目ならとうに覚めてるわ」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

嵐が萩風の健康的にハリとツヤのある頬にビンタした

 

「しまむっ!………ハッ、私ったらまたエキサイトして」

 

「もォ…カンベンしてくれよォ」

 

「大変だな、オマエも」

 

俺は嵐の肩に手を置いてその心労に心の底から同情した

 

「すぐカッとなるのは私の悪い癖」

 

「わかってんなら自重しろよォ」

 

これ以上コイツらに関わるとロクな事なさそうだし、さっさとこの場を去るか…

 

「とりあえず、俺ハラ減ってるから食堂行くわ、じゃあな」

 

「…そうだわ!テイトク!なんかご迷惑をおかけしたみたいですし、私が健康的な料理を作りますのでそちらを食べて頂けませんか?」

 

「いや、俺、カツドゥーンが…」

 

「遠慮なさらずにッ!」

 

萩風の両腕が俺の両肩を掴み、その健康的な細腕からは考えられない想像を絶する超パワーに俺の肩がミシミシと悲鳴を上げた

 

「アガァ!!ちょ…痛い!痛い!わかったッ!わかったから!食べるから離せッ!」

 

「そうですか、嵐、アナタもお腹空いてるでしょ?一緒に食べなさい」

 

「あ゛?」

 

「食べなさい」

 

「…はい」

 

この後、俺は嵐にあの健康オタクが作るぐらいだからさぞかし健康的な料理を作るのかと尋ねたら、嵐は一言、ハギは料理ダメだぜとだけ答え、俺達は全てを諦めた



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提督と天津風とスカート付き

陽炎型フェア実施中の連続登板

【登場人物】

提督(127)
風紀に厳しい大人

天津風
陽炎型9番艦のホロいやつ、下着の発想が天才のそれ、意外と真面目

連装砲くん
天津風に憑いてる超カッコイイロボ


上から次期作戦についてのお達しが書かれたFAXが届き、どうにも今回は北方海域辺りがどうのこうの書かれていたが……北方海域か、イヤな事を思い出させやがる

 

「フーッ~………ん?」

 

イヤな事を思い出しつつ、歩き煙草しながら工廠の裏辺りを歩いていると、連装砲くんが草刈りしながらその辺をウロウロしていた

 

「よぉ、連装砲くん、今日もメチャシブいな」

 

連装砲くんは俺に気付いて一旦作業を停止し、二秒ほど目を点滅させ、再び除草作業を開始した、実に働き者で提督としては感心だ

 

「連装砲くん、どこに行っ………ゲッ!提督っ」

 

「なにがゲッ!だ」

 

除草作業を続ける連装砲くんを捜していたのか、建物の裏から痴女みたいな格好をしたヤツが現れた

 

「だいたい、誰だオマエは?敵か?」

 

「天津風よっ!」

 

「天津風ェ~…?聞き覚えがない名前だな、新手の敵か?」

 

「なんで聞き覚えがないのよ!陽炎型9番艦の天津風っ!ケッコー前からこの基地に居ますケドっ!」

 

陽炎型…?陽炎型はなんかいっぱい居るし、似てない姉妹が多いので未だに区別がつかねぇんだよな、とりあえずどちら様なのか困った時は陽炎型ですか?と尋ねればいいと飲みの席で誰かが言ってたが…

 

「…言われてみると、陽炎型に見えなくもないな」

 

「言われなくても陽炎型よ」

 

「……あ、そうか!オマエ!アレだろ?なんかいつも連装砲くんの近くをウロチョロしてるオマケみたいなヤツか!」

 

「誰がオマケよっ!逆よ!逆っ!私の近くに連装砲くんが居るの!むしろ、連装砲くんが私のオマケなのよっ!」

 

「嘘つくんじゃないよこの痴女は、そもそも誰だオマエは?」

 

「天津風よっ!あ・ま・つ・か・ぜ!!ってか!誰が痴女よっ!」

 

天津風を名乗る痴女は頭の煙突みたいなものから黒い煙を噴出し、地面を力強く踏みつけて抗議してきた

 

「そんな朝慌ててスカート穿き忘れてきたみたいな服で痴女じゃないと言われてもなぁ」

 

「コレはこーゆー服なのよっ!!」

 

「嘘つくんじゃないよこの子は、そんないやらしい制服、エロゲーでしか見たコトないよ」

 

「ッ……じゃあ、雪風はどーなのよ?雪風は?私のとほぼ同じデザインの制服よ!あの子もスカート穿いてないじゃない?あの子も痴女なの?」

 

「雪風様はいいんだよ」

 

「様付け!?」

 

少々素行や成績に問題があっても力さえあれば全てが許される、圧倒的な力と才能の前では時にルールすらねじ曲げてしまう事すらある、常に勝ち続ける限りあらゆる我儘が通る、勝者とは絶対であり、雪風はまさにその勝者だ、彼女がスカートを穿かないスタイルを貫くのならばそれは仕方のない事だ

 

「じゃ…時津風は?あの子だって私のと似たデザイ……」

 

「俺は愛犬家だからな」

 

「犬じゃないわよっ!たしかに犬っぽいとこがある……いや、なんかウチのは人語すら怪しいけど、犬じゃないからっ!」

 

そういやこないだ、長門の奴が嫌がる時津風を歯医者に連れて行ってたな、まだ治ってなかったのか、虫歯…

 

「あ!そーだ、島風!島風がいるじゃない!あの子こそ痴女でしょ!あの露出狂は間違いなくどこに出しても恥ずかしい痴女そのものでしょ!まさに痴女の中の痴女、痴女オブザ痴女よっ!私なんかメじゃないわ!」

 

コイツ、どんだけ同僚をディスってるんだ…まぁ、あの穿く事の意味を考えさせられるスタイリッシュ露出ファッションはなかなか出来る事じゃない

 

「だが、天津丼くん」

 

「誰が天津丼よ!天津風っ!あ・ま・つ・か・ぜ!!次間違えたらその辺の石で殴るわよ」

 

ディーゼル機関車みたいに頭から黒煙をモクモク吐き、イライラした様子でこっちを睨んできた

 

「島風はスカート穿いてるから風紀的には問題無いのだよ」

 

「問題だらけよっ!!アレのどこが風紀的に大丈夫なのよ!ナニ?スカート?スカート付き?スカート付きならOKなの?スカート付きが大丈夫だってならド●だって許されるわ!」

 

「オマエ、●ムとか知ってんのな」

 

黒煙を撒き散らしてエキサイトする天津風の足元に、その辺の除草作業を終えたらしい連装砲くんがトコトコとやって来て、目を点滅させた

 

「あ、うん、終わったの?お疲れ様」

 

「お疲れ様なのだよ、連装砲くん」

 

しかし、連装砲くんに、除草機能があるとは知らなかったのだよ

 

「ハァ………まぁいいわ、なんか無駄に疲れたし、帰りましょ、連装砲くん」

 

「まぁ待ちたまえ天津風くん」

 

「あ゛ぁ?天津風よっ!………ん?」

 

「これで連装砲くんと美味しいものでも食べなさい」

 

俺は財布から紙幣を数枚取り出して手渡しやった

 

「ありがと……って!ちよ!コレちょっと多すぎなんじゃ…」

 

「それでスカートでも買うといい」

 

提督は最初からわかっていたのだよ、スカートを買うお金がなくて困っていたがそれを恥ずかしいと感じ、なかなか言い出す事ができなかったのだろう…

俺はできる限り彼女の尊厳を尊重し、爽やかな笑顔で…

 

「………だからっ!!こーゆーデザインだって言ってるでしょ!!」

 

 

…二時間後、たまたま通りがかった明石が頭部から血を流す俺を発見、医務室に緊急搬送された

なんでも、その辺で拾った固い石のようなもので頭を強打されていたらしい………よく覚えてないが、おそらく、深海の魔の手がここまで伸びていたのだろう、恐ろしい事だ



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提督とかげぬいと豊潤な餌

陽炎型フェア実施中のヌメヌメした回

【登場人物】

陽炎
陽炎姉妹の長女、気に入らない奴にはすぐに手袋をぶつける

不知火
陽炎姉妹の次女、知識に貪欲な陽炎型一の知識人、新聞はテレビ欄と四コマ漫画と占いしか読まない

川内
忍なら敵味方問わず憧れるニンジャマスター、破●の瞳で見られたら死ぬ


明石の店で煙草と缶コーヒーを買い喫煙所へと向かっていると、執務棟の裏にある雑草地帯で駆逐艦っぽい二人組が何かを捜していた

 

「ナニやってんだ?オマエら」

 

「ゲッ!テイテク!」

 

人を見るなりいきなりイヤな顔をする陽炎姉妹の頂点に君臨する長女、陽炎、陽炎型はその数もさることながら、最強の死神、雪風を擁する駆逐艦の最大派閥らしく、支援団体に阿賀野型や一部長良型などが存在し、中でも、最大の派閥を決定付ける最大の要因はあの金剛姉妹がバックに居るのが大きい…

 

「不知火達はバッタを探しているのです」

 

陽炎姉妹の次女、不知火

長女陽炎と共に姉妹カーストの最上位に君臨している次女、その駆逐艦とは思えない眼光の鋭さと重低音でイカせてやるぜと言いたげな声はこの俺ですら震えが止まらず、ビビって金出しそうになった程だ

 

「…バッタ?」

 

「バッタですが?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレてるのか?

 

「親潮がライギョ釣ってきたから寮で飼おうと思って餌を探しにきたのよ」

 

…ナニ言ってんだコイツら?そもそもライギョってバッタとか食うのか?と言うか、親潮って誰だ?

 

「我々はライギョに関して知識に乏しいのでライギョに関して知識が豊富と自称するライギョ博士の黒潮に尋ねたらバッタを食べると聞いたのです」

 

「まったく、めんどくさいったらありゃしないわ」

 

「何がライギョ博士だ」

 

そもそも、ライギョなんて川だか沼だかにいるんだから水の中にいるヤツを食ってるだろ…

 

「しかし、困った事にこの草むらにはバッタがいないようですね」

 

「えぇ、まさかバッタが既に絶滅しているとは思わなかったわ」

 

「してねぇよ、っーかライギョならバッタ以外でも食べるだろ、小魚とか…」

 

「ほぉ…」

 

「ナニ?提督、ライギョに詳しいの?」

 

「まるでライギョ博士だなですね」

 

「何がライギョ博士だ」

 

しかしライギョか……俺がまだガキだった頃、よく釣ってた気がするな、当時の若く、美しい俺からはライギョのドジョウみたいなキショい顔は戦慄を覚えたものだ

 

「あ、陽炎、バッタがいました」

 

「マジ?」

 

「マジです、ほら」

 

「ホントだ!しかも二匹!なんだっけコレ…?ショウユバッタ?」

 

「違います、これはオスがメスの上にまるでオンブしているように見えるファックをしているバッタ………セ●クスバッタです」

 

不知火の1ミリの澱みすら感じられない呼称ッ!!

 

「オンブバッタだよッ!なんて名前で呼んでるんだよこの子は…」

 

「ほぉ…さすが提督ですね、バッタにも詳しいと見えます」

 

「まるでバッタ博士ね!」

 

「何がバッタ博士だ」

 

ダメだコイツら、陽炎姉妹の最上位に君臨する長女次女とは思えないアホっぷりだ…

 

「陽炎、せっかくなのでここは提督の協力を仰いでみると言うのはどうでしょう?」

 

「提督に?」

 

「えぇ、我々は些か昆虫には疎い昆虫素人、しかし今までのやりとりで提督は昆虫に詳しいバグズ玄人と不知火は推察しました」

 

「なるほどね…さすがは不知火だわ」

 

「何がなるほどだ、っーか昆虫に詳しくねぇよ」

 

「つまりは………甲虫王者!」

 

何が甲虫王者だ、ムシキ●グに謝れよ

 

「では陽炎、ドンドン探しましょう」

 

「そうね、ライギョがお腹を空かせているわ」

 

「そうか、ガンバレよ」

 

付き合っていたらロクな事にならん、さっさとこの場を去ろう

 

「不知火!カエルよ!カエルがいたわ!」

 

「カエルですか、ふむ……カエルならライギョも食べそうですね、どうですか?カエル博士の提督」

 

「知るかよ!っーかカエル博士じゃねぇよ」

 

いや、よく考えたら…そういや昔、食わせた気もするが、まぁいいや

 

「このカエル、よく見ると背中に数字みたいなのが書いてあるわね」

 

「どれどれ………ふむ、これは暗号ですね、本物はいない、意味がわかりません」

 

「オイ、そのカエル、ここに居ちゃダメなヤツじゃないのか?」

 

陽炎はなんかキモいし、いらねーやとカエルを草むらに投げ捨てた…しかし不知火、コイツ、あの暗号を瞬時に解読するとは、大したヤツだ…

 

「あ、ヘビよ!不知火!今度はヘビがいたわ!」

 

「落ち着いてください陽炎、あれはヘビではありませんね、川内さんです」

 

草むらからヌルリと顔を出したヘビの口が大きく裂け、その口中からヌメヌメした川内がズルリと現れた

 

「よくわかったわね…」

 

ヌメヌメした川内は不知火を大した子ねと褒めヌメヌメを纏ったまま不知火の頭をヌメヌメに撫でた

 

「実は新しい口寄せを探していてね…」

 

「ほぉ…」

 

「口寄せってナニ?」

 

「実は不知火も知りません」

 

ほぉ…とか如何にも知ってそうに頷くなよ、なんなんだコイツは

 

「口寄せってのはアレだ?なんか召喚獣的なのを喚んだりするファンタスティックなビーストだ」

 

「ほぉ…さすがは提督、詳しいですね」

 

「あ~…アレ?ゾー●シーカーとかヴァリガルマ●ダみたいな!」

 

何故その例え!?もっとメジャーなのいるだろ!?バハ●ートとか!?陽炎のセンスもいまいちよくわからんな…

 

「アナタ達、この辺りに珍しいヘビがいると聞いてるんだけど…アナタ達見てないかしら…?」

 

「さぁ?」

 

「不知火は見てないですね」

 

「どんなやつなの?」

 

「全体的に紫っぽいやつよ…」

 

全体的に紫とか完全に毒ヘビだろ、そんなアブないのが基地の中うろついててたまるか

 

「剣食べて殴りかかってくるやつよ…」

 

「白蛇帝アル●ウスヴァイパーかよ」

 

「知ってるんだ…」

 

「まるでヘビ博士ですね」

 

「何がヘビ博士だ」

 

川内は見つけたら教えて頂戴ね…と言い残し、ヌメヌメしながら去って行った

 

「陽炎、とりあえずセ●クスバッタも捕りましたし、一旦寮に帰りましょう」

 

「そうね」

 

「だから、セッ●スバッタとかゆーな」



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鈴谷と熊野と足りないもの

陽炎型フェアじゃない提督不在の鈴熊回

【登場人物】

鈴谷(41)
天然ものの上級サキュバス、童●なら2秒で殺せる

熊野(16)
頼れる鈴谷の相棒、まったくかしこくない


「鈴谷に足りないものは何か?」

 

最近、些か生き急いで改二を超越し軽空母になった鈴谷、ハッキリ言って前々から鈴谷の可愛さはブッちぎりだったがここにきて更にブースト、いやマキシマムブーストがかかったと言えよう、しかし……ッ!!

 

「鈴谷は扱いの悪さを改善するように要求したい」

 

「………はぁ?」

 

寮の部屋で相棒である熊野にアツく相談するものの、熊野は特に興味なさそうに服を脱いで自分のベットにダイブし、昨日から読みかけていたらしい4コマ漫画を読み出した

 

「聞いて!マジ聞いて!」

 

「あーはいはい、鈴谷はビッチ可愛いビッチ可愛い、ビッチ可愛いですわ」

 

「ビッチじゃねーし、っーか真面目に聞けッ!」

 

この妹…ッ!!姉であるこの鈴谷を舐めくさり、いや、コケにしやがって…ッ!

 

「とりあえず、鈴谷的には何が足りないのかを徹底分析したいワケよ」

 

「はぁ…?」

 

「で?鈴谷に何が足りないと思う?怒らないから忌憚のない意見を言ってチョーダイよ」

 

「鈴谷に足りないものですねぇ~」

 

可愛さ、若さ、人懐っこさ、巨乳、これだけあってまだ足りないものがあるとは思えないけど…

 

「かしこさ?」

 

「それだッ!!」

 

それよ!鈴谷に足りなかったのはかしこさッ!圧倒的かしこさ!かしこさの低さ故に微妙に足りなかった火力ッ!メラ●ーマの破壊力ッ!そう、今までの鈴谷はメラ●ーマではない、メ●だ!

 

「さすが熊野じゃん………鈴谷の求め続けた解答をこうもアッサリと」

 

「まぁ、鈴谷のバカさ加減は群を抜いてますし」

 

「バカじゃねーし」

 

しかし冷静に考えてみればそうだ、ウチのサミーはよくクロスワードパズルしてるし、かしこそうな印象ッ!

 

「…つまり、鈴谷もクロスワードとかしてたらかしこそうに見えると?」

 

「見えませんわね」

 

「なんでッ!?」

 

「鈴谷の場合、まず、そのファ●リーズでも除菌しきれないビッチ臭がありますもの」

 

「ビッチじゃねーし、ビッチ臭とかしねーし」

 

「や、普通にしてますわよ、それは魔界出身の上級サキュバスのように当たり前のように」

 

「当たり前のビッチ臭ってナニ!?」

 

「歩くだけで限界まで精気を搾り取る色欲の魔王そのものですわ」

 

「いやいやいや、ほら!鈴谷も改二になって多少ポロリも減ったじゃん?ってか服が丈夫になったじゃん?」

 

ってか、今までの制服が脆すぎたんじゃないだろうか…?なんなのあの制服?よく考えたら航空甲板なかったらマジ大惨事じゃん

 

「これはもうかなりビッチ臭が抑えられたくね?」

 

「う~ん」

 

「何故悩むし、なんで悩むし」

 

っーか、今の全裸でベットに転がる熊野にビッチ臭とか言われてもよく考えたら何の説得力もねーし

 

「まぁいいや、とりあえず鈴谷に足りないのは“かしこさ”ってのがわかっただけマシか…」

 

「そうですわ」

 

「じゃ、まずはかしこさを身につけようと思うんだけど………まずは眼鏡いるかな?」

 

「眼鏡がみんなかしこいとは限りませんわ」

 

「マジ?」

 

「マジですわ」

 

そうかな?香取ーヌとか見た目だけで超知的に見えるけど…

 

「かしこさが必要でしたら、かしこさのたねでも食べたら如何です?」

 

「かしこさのたね!?実在するの…ッ?」

 

「おおくちばしがよく落としますわよ」

 

…かしこさのたねもそうだけど、おおくちばしも実在してんの…?

 

「ちなみに、そのおおくちばしはどこにいんの?基地の近くにいるの?」

 

「おおくちばしは絶滅しましたわ」

 

「ぜ…ぜつぜつ!ぜつ!めつ!絶滅…っ!?」

 

「えぇ、なんでも駆逐艦の子が作ってた野菜畑を荒らして害獣認定され、長門さんが一匹一匹丁寧に首と胴を引きちぎって殺して回ったそうですわ」

 

アイツ、首とかあるんだ…頭と足しかないと思ってたよ、っーか殺し方エグ過ぎるんですけど、なんなのあの戦艦、おおくちばしに何の恨みがあったの?

 

「なんでも、首と胴を引きちぎる際に血飛沫と共に叫ぶ断末魔はまるでカナリアのような声だったとかなんとか…」

 

「や、もういいから、その話はもういいから」

 

エグいわッ!!っーか引くわッ!!

 

「じゃナニ?もうかしこさのたねも絶滅したの?」

 

「明石さんのお店で売ってますわよ」

 

「普通に売ってんのかよ!?先に言えよ!先に!」

 

「えぇ、大袋に頭が良くなる豆とか書いてますわ」

 

「ナニそれ、超胡散臭いんですけど」

 

「これでおバカな鈴谷も種付け完了ですわね!」

 

「種付けとかゆーな!!意味が違うわ!!わざとか?わざと言ってんの?ねぇわざと言ってんのそれ?」

 

 

後日、明石の店で買った胡散臭い袋豆もボリボリ食べながら歩いてたら提督から相変わらずバカそうなツラだなと言われ、 部屋に戻って熊野の口に袋豆を全部ブチ込んだ



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提督と五月雨とアイドル

キラキラのアイドルとは、鎧袖一触

【登場人物】

提督(128)
アイドルに詳しくない大人、好きなアイドルは西条き●りちゃん

五月雨(42)
好きなアイドルはST☆RISH、プリ●イには毎年必ず申し込んでおり、意外とミーハー

那珂
通称NAKA、かつては勝者じゃなくて勇者になりたかった


世の中にはアイドルという名の職業がある

 

それは、歌って踊って笑顔を振り撒く事を義務付けられた最高にキラキラした職業であり、キラキラしていない者には基本的には向いていない職業でもある…

 

‐‐‐

 

執務棟や食堂の掲示板、本来は張り紙禁止の場所に至るまで最近よく見かけるポスターがある、大きく死刑執行と書かれた文字と、階段を登る誰かの後ろ姿…

 

「最近よく見るけどなんだコレ?」

 

「あぁ、NAKAさんのLIVEイベントですよ」

 

「何がNAKAさんだ、舐めてんのか」

 

俺は朝から五月雨と共に倉庫で貯めていた資材を指差し確認でチェック作業を行い、作業も終わったのでメシでも食いに行くかと廊下を歩いていた

 

「NANAじゃあるまいし、何がNAKAさんだ」

 

「意外と人気あるんですよ、見た事ないんですか?」

 

「あるよ、前にチラッと見た」

 

たしか去年だったか、なんか夜中に体育館がうるせぇなと思って見に行ったら、なんか壇上でサバトみたいな儀式やってて、オーディエンス全員マリファナでキマったヤツみたいに頭振ってたな…

 

「まぁ、アイドルのステージじゃなかったな」

 

「まぁ、アイドルのステージとは言い難いですね」

 

俺の知っているキラキラなアイドルはみんなを笑顔にし、その対価として財布から金を巻き上げる仕事だが、NAKAのステージは違う、ギラギラとした野心と欲望、傲慢・強欲・嫉妬・憤怒・色欲・、七つ中、五つも大罪に該当するまさしく大罪フェスティバルだ

 

「とりあえずラーメンでも食うか」

 

「いいですね、ラーメン」

 

「俺トンコツラーメンにするから俺のメンマとお前のNARUTO交換しよーぜ」

 

「イヤですよ、ってか、それトンコツラーメンじゃなくてもできるんじゃないですか?」

 

「バカ野郎、俺はキュウシュウ男児だからラーメンはホカホカのトンコツラーメンしか食わねぇんだよ」

 

豚骨ラーメンは濃いわ臭いわで苦手な人は本当に苦手らしく、先日、ポーラと飲んだ際にシメにラーメンでも食うかーとラーメン屋に入った際、ポーラはその濃厚でプリプリの●ーメンの臭気にアテられ、光るゲロをブチ撒け、危うく出禁になりかけたが、店員に気絶中のポーラのおっぱい揉ませたら許してくれた

 

「フッ…」

 

「ん?」

 

「どうしました?って…ゲッ、NAKAさん」

 

俺達が進む廊下の先、その丁度曲がり角の辺りで背中を壁に預けて両腕を組んだ那珂が立っていた

 

「久しぶりね、SAMIDAREちゃん」

 

「お久しぶりです」

 

三代目メイジン・カワウチこと川内姉妹の三女、那珂、軍なんてヤバい組織からさっさと抜け、一流のアイドルとしてちやほやされながら生きたい難しい年頃

 

「この間の話、考えてくれたかしら?」

 

「その話は断ったはずですが…」

 

「フッ、そこをなんとか!!」

 

「だから!イヤですって!」

 

「オイ、なんの話だ?」

 

なんだ?五月雨と那珂って実は仲良かったのか?意外だな

 

「私はただみんなに教えてあげたいのよ、SAMIDAREちゃんが作った歌で輝けるのはこの世でたった一人…………このNAKAだけだってことをなァ!!」

 

「え?オマエ作曲とか出来るの?」

 

「え?えぇ…まぁ、ちょっとだけですが」

 

コイツ、クソマズいコーヒー淹れる事以外はワリとなんでもこなせるんだなと感心していると、那珂が驚愕した顔で膝をガクガクさせていた

 

「テイトク、まさか知らなかったんですか!?」

 

「知らねぇよ、コイツの才能とか興味ねぇし」

 

「な……なんてコト!これほどの才能を埋もれたままにしているなんて!大罪!大罪ですよ!」

 

「だから、知ったコトじゃねーし」

 

「SAMIDAREちゃんはあの大ヒットソング、KAGAMI/SAKIを作ったんですよ!」

 

「いや、知らねーし」

 

そういや一時期、基地内でスラッシュメタルみたいな曲が流行ってたな、なんかやたらファックとか言う単語が出てくる些かアレな曲だった気がするが………そうそう、サビの部分でめっちゃ早口でKAGA‐KAGA連呼するんだよ、10秒間に100KAGAらしいが…

 

「アレ、オマエ作ったの?」

 

「えぇ、加賀さんから頼まれまして」

 

「ふ~ん」

 

「なんで加賀さんは良くて私には作ってくれないの!?」

 

「う~ん……気分ですかね?」

 

「気分屋ッ!?」

 

音楽に関してはよくわからんが、まぁ何事も気分と言うものは大事だろう、これは色々なものにも言える事だが気分の良し悪しで結果が大きく変わったりするものだ

 

「そう言うワケでお引き取りください、私達は今からラーメン食べに行くので」

 

「クッ!私は諦めないよ!」

 

那珂は諦めないと台詞を残し、窓ガラスを開けて元気良く飛び降りた、たしかここ二階だった気がするが……アイツ、アイドル路線で生きたいのかロックに生きたいのかよくわかんねぇな

 

「お腹空きましたし早く行きましょう」

 

「そうだな」

 

 

その後、食堂に行くと壁に背を預けて両腕を組んだ加賀が立っていたが、もしかして流行っているのだろうか?



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提督と山風と奇妙なダンボール・トライ

子ども達の為の夢の国!明石ランド!

【登場人物】

提督(129)
キサマのせいでレアカードに傷がついたわ!と殴れる大人

山風(12)
お金を貯めてゲーム買いたい多感な年頃

明石(11)
アナタって本当、最低の屑ね!と言える誇り低き野望の工作艦


来週前半から春の作戦海域が始まるとの正式な報せが上から届き、今回はどんなつえーヤツらとヤれるのか、こんなにヤベーのにオラワクワクすっぞとキャッキャとハシャぐバカどもは今日もグラウンドで走り込みやキャッチボールのトレーニングを行っていた

 

「フーッ~…」

 

今回も資材、練度共に問題ない水準だし、チームのやる気も溢れている…

喫煙所でアツい青春の汗を流す駆逐艦どもを眺めていると、緑のトゲトゲしい頭が台車を押しながら廊下を歩いてきた

 

「よぉ、また使いっぱか?」

 

「…あ、提督」

 

改白露型の緑のトゲトゲ、山風は台車を押す手を止めて立ち止まった

 

「…1回500円」

 

「ご苦労なコトだ、ふむ…チョコレートをあげよう」

 

俺はポケットに入っていた溶けにくいチョコレートを渡してやった

 

「…ありがと」

 

「しかし今日はまた重そうな箱だな」

 

「…結構重い」

 

「中身はなんだ?」

 

「…知らない、明石さんが絶対に開けたらダメって言ってた」

 

そうか、絶対に開けたらダメか…

 

「よし、開けるか」

 

「え゛っ!?でも…絶対に開けたらダメだ…って」

 

「構わん、どうせいつものロクでもない商品だろ」

 

アイツには基本、前科しかないからな、どうせトカ●フとかR●Gとか何も知らない子供に運ばせる運び屋にでもしてる可能性すらある、俺は1番上のダンボールを開封し、内容物を改めてみた………が

 

「カードだな」

 

「…カードだね」

 

どう見てもこれはアレだな、遊●王カードってヤツだ、この箱全部そうだとしたら……ふむ、大した量だ、アイツ、カードショップでも始めるつもりなのか?

 

「お、封印されたアレじゃねーか、懐かしいなオイ」

 

「…なにそれ?」

 

「手とか足とか5枚似たようなの揃えたら勝ちってヤツだ」

 

「…ふ~ん」

 

「他にも色々あるな」

 

…と言うか、ありすぎるんじゃないのか?もしかしてこの箱全部レアカードなのか?あ、オシ●スの天空竜がある

 

「………ふむ」

 

「…どうしたの?」

 

「いや、なんかこのカード、妙な違和感がな…」

 

「…そうなの?」

 

いや、むしろこの箱に入ってるカード全てに何か妙な違和感があるんだが…そう、なんと言うか、魂が入ってないと言うか、真作ではなくむしろ贋作のような…

 

「まさか…」

 

これほど精巧な贋作を…?アイツならやりかねんな、いや、やる、アイツならやる

 

「ちょっと1枚借りるぞ」

 

「…あ」

 

◆◆◆

 

みんなの店、アカシメイト…

 

「ありがとーございましたー」

 

最近全体の売り上げが微妙だけどやっぱカードはよく売れる、たかが印刷した紙キレごときが売れる売れる、まさに現代の錬金術と言ってもいい…ゆくゆくはソシャゲにも手を伸ばし、100連ガチャと言う名の賢者の石で大儲けしたいものだ

そして、バカみたいに真面目に資材とか指輪とか売ってる余所の明石チェーンを超越し、全ての明石チェーンを従えたこの私こそが全明石界の頂点に立ち、軍と癒着しまくって海軍側と深海側にマラ●イとか売りまくるアカハイムエレクトロニクスを設立し、その地位を不動のものとする…

ククク……そして、儲けた金で私の長年の夢、夢の国アカシランドを作り、オープン前日には子ども達を無料で招待するのだ!

 

「わはははははー!!」

 

まったく!笑いが止まらんわい!

 

「…ただいま」

 

「あ、山風ちゃんおかえり~、重かったでしょ?ごめんね~、あ、チョコレート食べる?」

 

「…いらない、あと、お客さん」

 

「え?客?」

 

山風ちゃんの後ろから腕にシルバーとか巻いた男がヌルリと現れた

 

「俺だぜ」

 

「ゲェーッ!!お、お前はー!」

 

「明石!お前こそ決闘者の風上にもおけねークズ野郎だぜ!」

 

チッ、提督ッ!!コイツ、いつもいつも私の邪魔を…ッ!ってか私、決闘者じゃないし!

 

「な…なんのコトでしょう?」

 

「しらばっくれても無駄だぜ!このクズ野郎ーッ!テメーがグー●ズのレアハンターだってコトはお見通しだぜーッ!」

 

「はて?何の事でしょう?」

 

落ち着け、落ち着け私!そうだ、素数を数えるんだ、素数はいつだって私に勇気をくれる…っ!製法から印刷技術まで私が心血注いで作り上げた偽造カードがバレる筈が無いッ!炭素14でもバレない究極の贋作よ!

 

「このカードは偽造カードだな」

 

「チガイマス」

 

「今吐いたら腹パンで許してやるぞ」

 

「贋作ぅ?ハハハ、言いがかりはやめて下さいよぉ~、ウチは真作しか扱ってませんよぉ~、なんなら炭素測定でもしてみますかぁ?」

 

「よし、わかった、山風、アレを出せ」

 

「…これ?」

 

山風ちゃんは腕に装着出来そうなゴツい機械みたいものを取り出し、それを私の腕に取り付けた

 

「なんですか?コレ?」

 

「決闘盤だ」

 

「…ハァ?決闘盤?」

 

腕超重いんですけど、ナニコレ?筋トレ?

 

「ちょっとそれでこのカード召喚してみろ」

 

「はぁ?」

 

「いいからやれ」

 

「はいはい、って…私、ぶっちゃけルール知らないんですけど?コレ、すぐ出しちゃっていいんですか?」

 

「たしか生贄が必要だった気がするが……まぁいいや、俺も曖昧だしな、とりあえず出してみろ」

 

「へいへい………立ち上がれ僕の分身っ!」

 

ゴゴゴゴゴ!と、よくわからない轟音と、室内なのに何故か暗雲がどこからとなく私の上に現れ、決闘盤から立体映像が飛び出した!

 

『ギャアアアアアアアス!』

 

おぉ!!なんかトリ頭みたいなモンスターが出たっ!!すげーよソリッドビジョン!!今度ウチでも入荷しよ!

 

「すごいぞー!カッコいいぞー!」

 

よしよし、よくわかんないけど腕の決闘盤がちゃんと作動したし、コレで真作と証明され……

 

「…ん?ギャアアアアアアアアア!!!」

 

ゴロゴロ……バンッ!!!!

 

「…ヒッ!?」ビクッ!

 

「やはりコピーカード…神の怒りに触れたか」

 

「て、提督!カミナリ!カミナリが落ちた!」ビクビク

 

「ギャアアアアアアアアア!!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬーッ!!カミナリイヤァァァァ!!なにコレ!?痛い!マジ痛い!ホント痛い!やめて!ホントやめてーッ!」

 

 

この後、明石の販売したシングルレアカードは全て回収され、代金もキチンと返金され明石の贋作工房は徹底的に破壊され、無事、グー●ズは壊滅させた



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提督とアツかりしレスリング

世界で一番なんちゃらしたい回

【登場人物】

提督(130)
好きな技は阿修羅バスター

五月雨(43)
好きな技は阿修羅稲綱落とし

白露(8)
No.1ファイティングアーティスト

浜風(4)
根が真面目な良い子、白髪ではない


「たまには童心に返ってプロレスごっこでもするか」

 

「はぁ?」

 

大人と言うものは、立ち止まってふとした時に幼き日の憧憬を思い出すものだ、いつの間にか大人としての立ち居振る舞いを覚え、過ちに対して感情を捨て、ただ、過ちを認めて次の糧にするようになったのはいつからだろうか?俺は読んでいた基地スポを机に置き、大人である事への疲れに溜め息を吐いた

 

「コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「いや、冷蔵庫に麦茶入ってるからそれでいい」

 

「そうですか」

 

五月雨は冷蔵庫から麦茶のペットボトルを取り出し、グラスを俺の前に置き、表面張力ギリギリに並々と注いだ、たぶん何かのいやがらせだろう、この青髪ロングも難しい年頃だ…

 

「で?なんですか?プロレスごっこですか?」

 

「あぁ、よしサミー、オレとファイトしよーぜ!」

 

「え?普通にイヤですけど」

 

「ルールはカベジェラ・コント・カベジェラな」

 

「だから、普通にイヤですって、私の髪をなんだと思ってるんですか?」

 

「アレだろ?なんか排熱機構を兼ねてるとかそんな感じだろ」

 

「兼ねてません、なんですかその設定」

 

俺はてっきり体温の上昇と共に髪が赤色化して90万度のバーンスパイラル熱線とか吐くバーニングサミーになると信じていたんだが…

 

「そんなにプロレスごっこしたいなら体育館に行ったらどうですか?週2ぐらいで暇な人達がレスリング的なコトしてますよ」

 

「ほぉ、そんな暇人がいるのか」

 

「えぇ」

 

「よし、見に行ってみるか、五月雨、付いて来い」

 

「え?普通にイヤですけど」

 

‐‐‐

 

体育館に行くついでに、明石の店でシャーペンの芯となんかチョコレート的なお菓子を買って来いと頼まれ、ややイラッとしたがたまにはこの青髪ロングのご機嫌をとっておいても損はないだろうと考えて快諾し、俺はなにやら歓声がする体育館へと来ていた…

 

「白露No.1白露No.1!」

 

「出たァァァァ!白露のはずかし固めだーッ!」

 

「これは厳しい!浦風!これは厳しい!」

 

体育館中央に設置されたリングを囲む熱狂的ファン達、そして、リング上は今まさにアツいファイトが行われていた

 

「浦風!ギブアップ?」

 

「ぐわああああ!!ノー…ノーじゃあ!」

 

はずかし固め、それは相手の股を開かせた体勢でホールドする関節技である、その目的は当然ながら関節を痛めつける事であり、決していやらしい技ではない

 

「フッ…やるじゃない」

 

「お…おんどれぇ…」

 

白露はニヤリと笑ってホールド解き、ハァハァする浦風を解放した

 

「白露がホールドを解いた!」

 

「あ、あの構えは…」

 

「出るぞ!白露のスペシャルNo.1フィニッシュ!」

 

白露は再び浦風の身体を上下逆さまで持ち上げて両腿をガッシリと掴み、股間丸見え体勢にして飛び上がった、あの体勢こそまさに五所蹂躙絡みッ!またの名を…キン肉バ!!

 

「おーっと!まだフックが終わってないぜーッ!」

 

「ぐえっ!?」

 

いや!さらに浦風の首を両脚でフックし、そのまま勢い良いリングに落下するつもりか!

 

「出たァァァァァ!!アルティメット・シラツユバスターだー!」

 

「アレを喰らって無事にリングから降りられた者はいないぜー!」

 

「浦風ェ!死ぬな!浦風ェェェ!!」

 

究極の名を冠した新世代バスターがリングに着弾し、どう見ても深刻なダメージを受けた浦風は白目を剥いたまま失禁してリングに転がり、レフェリー役であろう矢矧ちゃんが首を横に振った

 

「ナンバーァァァァァ!ワンッ!」

 

「白露No.1!白露No.1!」

 

「白露No.1!白露No.1!」

 

試合時間:23分11秒

白露○:アルティメット・シラツユバスター

浦風●:死亡

 

「…なんだこれ」

 

これ、ごっこじゃないで真剣じゃん、完全に殺る気じゃん、っーか浦風大丈夫なのかあれ?

色々と考える事はあるが、色々と考えていると勝者である白露がマイクを握り敗者をディスるパフォーマンスが始まった

 

「フッ、おっぱいデカいからっていい気になるんじゃないよ!このホルスタイン風情が!今度から白露型が廊下を通る時はそのおっぱいが邪魔にならないように道を空けるんだねぇ!」

 

「クッ!大丈夫か浦風!」

 

「ホルスタイン風!ホルスタイン風ェ!しっかりせぇ!」

 

敗者であるホルスタイン風を囲む第十七駆逐隊のチームメイト達、谷風クンはホルスタイン風を抱きしめ、磯風はとりあえず濡れているから気持ち悪いだろうとパンツをズリおろし、そして…

 

「…リベンジです」

 

「あ゛?」

 

「私!この第十七駆逐隊の浜風が浦風のカタキをとります!」

 

浜風ちゃんはマイクを握りしめ、白露に宣戦布告した

 

「あはははは!!面白い冗談言うじゃないかこの乳袋は!」

 

「冗談なんかじゃありません、私がアナタを倒すと言っているのです!」

 

「あはははは!聞いたかい?みんな!この私を倒すだって………プロレス舐めんじゃないよ!このニュージャージーが!」

 

珍しく怒っている様子のレアな浜風ちゃんを嘲笑うかのように、白露はヒラリと飛び上がってコーナーポストへと上がった

 

「この白露とヤりたいのならせめてコイツらを倒してからにしなァァァァ!」

 

白露が指をパチンと鳴らすと、跳び箱などが置いてある倉庫の辺りからスモークが噴き出し、何者かが現れた

 

「あ、アレはーッ!」

 

「白露残虐同盟だ!」

 

「なんだそれ!?」

 

白露残虐同盟ッ!それは、白露が集めた血も涙もない極悪ヒール集団、残忍・残酷・残虐!全てを兼ね備えたフダ付き達………らしい

 

「ダンク松風!」

 

「クレーン秋津洲!」

 

「JINTSU!」

 

「ミステリアスパートナー!」

 

残忍・残酷・残虐のノボリを持った最凶集団が舌を出しながら歩いてきた、っーかミステリアスパートナー!覆面コートの裾短過ぎだろ!足見えてるよ!“非理法権天”が見えてるよ!正体バレバレだよ!なにやってんだアイツ…

 

「フッ、次はチーム戦よ!私とヤりたいのならあと4人集めるコトね」

 

「クッ…4人ですか」

 

「貴様ァ!浜風に友達がいないのをいいコトになんて卑劣な策を!」

 

「コイツぁまさに卑劣だよコイツぁ!」

 

「いますよ!友達っ!いますから!」

 

磯風と谷風と味方からのアツいディスりに慌てる浜風ちゃんもかわいい、そうか、友達いないのか…

 

『そうだぜ!』

 

『オレ達が手を貸すぜーッ!』

 

館内の跳び箱倉庫とは真逆、壇上側の放送設備が備え付けられた側の扉の辺りからスモークが噴き出し、再び何者かが現れた

 

「旧ソから来た刺客!戦いの精密機械、ファイティングコンピューター!ヴェールヌイ!」

 

「妹の前では常に完璧を演じる完璧なる姉、どう見ても深刻な病を患っているガラスのエース!翔鶴!」

 

「そして………ミステリアスパートナー!」

 

新たなる3人の戦士達が現れた、っーかミステリアスパートナー被ってるじゃねぇか、なんで敵も味方もミステリアスパートナーいるんだよ、まぁ…こっちは足元までスッポリ隠れてるだけマシだが…

 

「あ…アナタ達は!」

 

「ハラショー、アツい友情を返す時が来たよ」

 

「えぇ…ビ●ン白髪染めに嫌われた白髪者同士、ぅぅ…ごぶっ!ゴフッ!」

 

「クココココ」

 

オイ、一人いきなり死にかけてるぞ、ミステリアスパートナーのコート赤く染めてるぞ

 

「フッ、試合は来月よ…それまでに後一人とせいぜい死ぬ準備をしておくことね!」

 

白露はマイクをリングに捨てコーナーポストから飛び降り、白露残虐同盟が作る騎馬の上に華麗に着地し、残虐同盟と共にゲラゲラ笑いながら体育館から去って行った…

 

「………なんだこれ?」

 

その後、体育館を出て明石の店に缶コーヒーとシャーペンの芯を買いに行こうと体育館を出ると、出店みたいなので藤波の顔がプリントされたTシャツが売ってたのでそれを買って執務室へ戻った…

 

‐‐‐

 

「ただいま」

 

「どうでした?」

 

「シャーペンの芯とチョコレート的なチョコレートだ」

 

「ありがとうございます」

 

「あと、提督からいつもガンバル君にプレゼント、藤波Tシャツだ」

 

「…ありがとうございます」



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鈴谷と軽空母と艦載機講座

提督不在の鈴谷回

【登場人物】

鈴谷(42)
ボウガンの使い方がイマイチよくわかってない難しい年頃

飛鷹(2)
通称、ケツデカセンパイ
美尻

隼鷹(2)
通称、ヒャッハーセンパイ
髪がトゲトゲしい

瑞鳳(2)
通称、卵焼きセンパイ
朝はいつも下痢気味

祥鳳(2)
通称、半裸センパイ
妹と似てない複雑な家庭事情がある

千歳
通称、お姉ェ
ガラが悪い

千代田
通称、千代田
ガラが悪い

龍驤(2)
通称、RJセンパイ
些かヤンチャでオイタばっかしてる


押忍、鈴谷です

今日は航巡辞めて軽空母になったんで軽空母のパイセンに艦載機の飛ばし方的なものを教えて貰う為に軽空母さんの住んでる寮に来てます

 

「え~っと、スズヤくんだっけ?まぁ座って、水でも飲んで」

 

「はぁ、あざっす………う゛っ!」

 

トゲトゲしい髪型の元客船、ヒャッハーセンパイが並々と注いだカップから漂う強烈な芋臭さッ!

 

「あざっすと言ったからには飲んで貰おーじゃねーか、それともヌルいから飲むのはイヤかい?」

 

「クッ!」

 

これが新人いびり!給湯室で絞った雑巾でお茶を淹れるかの如き陰湿な女社会ッ!そんな卑劣な洗礼に苦い顔をしていると、もう1人のセンパイがやって来た

 

「あら?隼鷹がお茶淹れるとか珍し………って、アンタ、これ芋焼酎じゃない」

 

「芋焼酎ですけど?」

 

「芋焼酎ですけど?じゃないわよ、昼間からなんてモン出してるのよ」

 

ヒャッハーセンパイの頬をスナップの効いた健康的なビンタでハタくもう1人の元客船、ケツデカセンパイ

 

「ごめんなさいね、サイダーしかないけどいい?」

 

「あざっす」

 

ケツデカセンパイはあまり冷えてないサイダーの瓶を置いた

 

「で?艦載機の飛ばし方とかそんな感じの話だっけ?」

 

「はぁ、正直こないだまで瑞雲と晴嵐しか使ったコトなかったんでよくわかんねーモンで」

 

「なるほどね」

 

ケツデカセンパイはケツがデカいだけあって話がわかりそうだ

 

「ヒャッハーセンパイに聞いても、こう…がーっとなって!ヒュュュン!ドドドドド!バルンバルン!とか言われてよくわかんねーんすよ」

 

「アンタそんな説明したの?」

 

「だってそんな感じじゃん?ほら、アタシ天才だから人に教えるとか向いてねーのよ」

 

「そんなワケで、ケツデカセンパイ教えてください」

 

「誰がケツデカセンパイよ」

 

ケツデカはややイラッとした顔をしたが、とりあえず艦載機を飛ばす理論、飛鷹艦載機理論について教えてくれる事になった

 

「………えー、一様流に対して垂直方向の力、揚力が働く現象ことなワケ?例えば球体が回転しながら粘性を有する流体中を一定速度で移動、または一様流に置かれた場合に、球体表面に接する流体が粘性で回転運動に引きずられて回転速度及び粘性に相応する循環Γが周囲に発生し……」

 

「はい!ケツデカセンパイ!」

 

「誰がケツデカセンパイよ、まだ説明の途中だけど?」

 

「まったくわかりません!」

 

「ハァ?」

 

いやマジ、ナニ言ってるかサッパリわかんねぇ、ヒャッハーセンパイの言ってる事も意味わかんなかったけど、ケツデカセンパイの言ってる意味もまったくわかんねー

 

「ほらみろ飛鷹ォ、やっぱオマエの説明じゃわかんねーだろ?」

 

「ハァ?アンタのズバババーン!ドルンドルンの方がわかんないわよ」

 

「や、どっちもわかんねーです」

 

◆◆◆

 

ヒャッハーセンパイとケツデカセンパイは天才過ぎて鈴谷にはよくわからなかったので、次は半裸センパイと卵焼きセンパイ姉妹の部屋へとやって来た

 

「まぁ座って、卵焼きでも食べて」

 

「あざっす……う゛っ!」

 

この強烈な卵の匂いは…ッ!!

 

「あざっすと言ったからには食べて貰おうじゃない、それともアツアツだから食べるのはイヤ?」

 

この卵焼きッ…なんか物凄く甘ったるい匂いがする、一体何キロの砂糖を使えばこれほどのスウィーツ臭が…ッ!

 

「瑞鳳、こないだ買ったグラニュー糖が全部ないんだけど?」

 

「全部使ったー」

 

半裸センパイは持っていた高脂肪牛乳のパックを開け、卵焼きセンパイの口に突っ込んだ

 

「がぶぉ!!ガフ!ガフッ!ちょ…やめ!やめて!!」

 

「ダメです、全部飲みなさい、全部です、ほら!全部!全部ゴックンしなさい!吐いたらダメよ、ほら!飲んだ?飲んだ?舌見せて」

 

背を伸ばす為、1日1パックのノルマらしい、そうか…なんかいつも朝下痢気味なのはコレのせいだったんだ、半裸センパイは空になった容器をゴミ箱にバックハンドシュートでINし、爽やかな笑みを浮かべた

 

「で?艦載機の飛ばし方を聞きたいと?」

 

「はぁ、まぁそんな感じじゃん?」

 

「そうですね……なんと言いますか、艦載機は己の一部、肉体の延長上と意識する感じですね」

 

「はぁ?」

 

「わかりやすく言えば感応波を機械語に翻訳し、ミノ●スキー通信を利用して思い通りに操るみたいな…」

 

「え?ミノ●スキー粒子って実在すんの!?」

 

「え?普通にその辺にありますけど?」

 

…え?それただのサイ●ミュじゃね?え?ナニ、この半裸、実はニュータイプ的なナニかなの?ってか、艦載機ってビ●トとかファ●ネル的なナニかなの?

 

「ほら、そこにも」

 

「や、そんなフォースはそこらへんにあるみたいに言われても…」

 

◆◆◆

 

半裸センパイと卵焼きセンパイが役に立たないと判断した鈴谷はテキトーにお腹痛いんでと言って退室し、次なる軽空母、最強軽空母と噂されているちとちよセンパイの部屋へと来ていた…

 

「要はよォ~…“必ず殺してやる!”っー気概だなァ」

 

「まぁ“ブッ殺す”って気持ちがありゃ、結果はついてくるっーか?」

 

…ダメだ、コイツらも高度過ぎて鈴谷的にはナニ言ってんのかまったくわかねぇ、っーかさっきから殺すしか言ってねぇよコイツら

 

「つまりだ、こう敵が飛んでくるだろ?」

 

「は…はぁ?」

 

「で、こうなって…はい!死んだーッ!」

 

「ギャハハハハハ!千歳お姉ェマジ意味わかんねぇ!」

 

「ハァ?今のでワカんだろ?千代田ァ…オマエ頭悪いんじゃねぇの?」

 

「…は?」ピキッ!

 

「あ゛?」パキッ!

 

「お姉ェさァ~…最近チョーシコイてね?っーかお姉ェマジウザいわ」

 

「はいキレたー…千歳マジキレたわー、妹の反抗期にマジプッツンしたわー」

 

しかも仲悪いし、なんなのこの姉妹…

 

◆◆◆

 

ちとちよセンパイが殴り合い始めたので巻き込まれない内にひっそりと部屋を出た鈴谷は寮内にある自販機へと来ていた…

 

「はぁ、どいつもこいつも使えねーし」

 

っーかよく考えたら今まで聞いたヤツら全員、巻物とか弓とか人形使いとか鈴谷の最新システムと違う別物じゃん、最初から聞くだけ無駄だったような気が…

自販機でオレンジジュースのボタンをポチってると、なんか背の低い人がやって来た

 

「おぅ、鈴……あ~、鈴屋やったか?」

 

「鈴谷だし」

 

やって来たのはRJセンパイ、たしかヒャッハーセンパイやケツデカセンパイと同じく巻物的もので艦載機を出したりなんたりするんだっけ…

 

「最近軽空になったらしいな、オマエ」

 

「なったんすよ、RJセンパイ、艦載機の飛ばし方レクチャーとか得意っすか?」

 

「どうやろなぁ…ウチも最近は艦載機とか触ってすらないしなぁ~」

 

RJセンパイはワリと昔からうちに居るらしく、ビッグママの次に古い古参らしい

 

「まぁ、RJセンパイは巻物空母だから参考にならないか…」

 

「そんなコトないで、ウチ最近は巻物とか使ってへんし」

 

「はぁ?」

 

「あんな虫干しせなあかんダサいもんいつまでも使ってられるかちゅーの、今のウチの相棒はコレや!」

 

そう言ってRJセンパイが取り出したのは十字架的な形をしたゴツいナニか

 

「人一人殺すには十分過ぎる最強の個人兵装や!」

 

「ナニそれ超カッコいい!!鈴谷もそれ欲しい!」

 

「あかんあかん、コレは子供の玩具やないで」

 

「いいなぁ、鈴谷のボウガンと交換してよ!」

 

「あかんて、っーかキミ、軽空やろ?」

 

「RJセンパイも軽空じゃん」

 

「ウチはえぇんよ」

 

RJセンパイ曰わく、コレは人外のイカレた改造手術と投薬、改造に継ぐ改造で反射神経、骨格強度、筋力、感覚器官を強化して初めて使える超兵器らしい、RJセンパイの闇は深い…

 

◆◆◆

 

重巡寮、さわやか寮…

 

「ただいま………って、熊野いねーし」

 

こんな夜中までどこほっつき歩いてんのかねあの不良は、とりあえず電話してみるか

 

『もしもし?熊野ですわ』

 

「ちょっと熊野、アンタ今どこ?鈴谷お腹空いたからメシでも…」

 

『食事なら今からですわ、あ…あぁ大した用件ではありませんわ、鈴谷ですわ、私こそスパイシーグリーンカレーを大盛りで』

 

「はぁ?ちょっと熊野、アンタ今どこ?誰といるの?」

 

『提督とお洒落でお高いカレー屋さんですわ』

 

「ファーック!!!」

 

通話終了ボタンを押し、携帯をベットに投げ捨て、その日はもう寝た



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続続 提督と作戦とミーティング

イベント開始直前回

【登場人物】

提督(131)
湯断せずに行こう!

五月雨(44)
油断の間違いでしょう?


本日未明より春の中規模作戦が開始される小春日和の午後、当基地では作戦前恒例のやってるやるぞとエイエイオー的な気合を入れる全艦集会が開かれていた…

 

「えー…皆さんの日頃の努力の甲斐あって、今回も燃料も弾も十分に準備できました、後の事は考えずジャブジャブ使って構いません、動くヤツには頭に2発、心臓に2発、動かなくなるまでキチンとブチ込んで下さい、出来れば深海の人には自殺して頂きたいのですが、それはまぁ…なかなか難しいアレなので、とりあえずアレです、それっ!虐殺ですの心意気とフェアプレイの精神を持って元気に、力一杯プレーして下さい、皆さんがまた元気な顔を見せてくれると提督信じております、以上」

 

「はい、提督のお話でした、続きまして先日開催されました作文コンクールの優秀賞の発表を…」

 

俺はマイクに頭をぶつけないように深く頭を下げ、今日も眼鏡が素敵な香取先生が次のプログラムを読み上げ、予定通りに粛々と進み、滞りなく全艦集会は終了した

 

‐‐‐

 

「さて…」

 

執務室に戻って来た俺は戸棚からお客様用のゴツいガラスの灰皿を取って机に置き、胸元のポケットから煙草を取り出した

 

「まだ作戦開始されてないので執務室は禁煙です、吸いたければ外でどうぞ」

 

「カタいコト言うんじゃないよこの子は、ちょっとくれーいいじゃないの!ランナーだって一塁をリーリーしちゃってるじゃないの?」

 

「ダメです」

 

当基地では作戦期間中は執務室で煙草が吸える人と地球に優しい変則ルールを採用している、やはり作戦期間中は色々とイライラする問題も発生し易く、イライラする度に喫煙所に行ってたら作戦指示が滞りがちになるのだ

 

「へいへい、わかりましたよ」

 

「とりあえずコーヒーでも淹れましょうか?」

 

「結構だ」

 

「そうですか」

 

「それよか、今回の作戦はなんなんだ?上から来たFAX真面目に見てねぇからよく知らねぇんだが…」

 

前回、冷静に考えると、深海棲艦はかなり本土近くまで接近していた気がするが…この国の防衛の要はどうなっているのだろう?どう考えても、ヤバい気がするんだが…

 

「今回は北東方面らしいですよ」

 

「ふ~ん」

 

「たしか第五艦隊がどうとかって…」

 

「第五艦隊ねぇ…」

 

誰だったか?まぁ、とりあえずは誰を指名されてもそれなりにヤれる水準には鍛え上げているとは思うんだが…

 

「あ、そうそう、潜水艦の人達がゴールデンゴールデン言いながらキャリーバッグ曳いてましたけど…」

 

「あぁ、一応、長期休暇の予定だからな、今のトコ」

 

「一応、ですね」

 

当基地の所属の実力派エリート、潜水艦どもには作戦期間中は長期休暇アリと謳い、手厚い福利厚生のホワイトな職場環境を整えているのだが……ごく稀に休暇取り消しもある

 

「前回は休暇取り消しされてブチ切れた潜水艦がMVPチケット総穫りしましたし、あ、今回は趣向を変えてエルミタージュ美術館行くとかなんとか…」

 

「何がエルミタージュだ、カッコつけやがって」

 

揃いも揃ってアホ面がナニ言ってんだアイツらは、まんだ●けにでも行って来いってのな

 

「はぁ……まぁいいや、どうせ本格的に作戦に参加するのは明日になるだろうし、メシでも食いに行くか」

 

「そうですね」





次回からイベント編
出撃!北東方面 第五艦隊!



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出撃!大湊警備府①

北東方面イベント編その①

【登場人物】

潜水棲姫(3)
グレた


「とりあえずいつもの様子見から始めるか…相手はどんな感じだ?」

 

「潜水艦みたいですね」

 

俺は本部から届いたFAXを机に置き、冷蔵庫から出したペットボトルの麦茶をグラスに注いで再び椅子に座り直し、煙草に火を点けた

 

「フーッ~…潜水艦か」

 

「えぇ」

 

◆◆◆

 

『…ハァ』

 

また来たよアイツが…もうホントなんなのアイツ?何の恨みがあんのアイツ?なんでいつもいつも執拗に狙ってくるの?何がイスズには丸見えなの?何がスケスケなの?目がレントゲンか何かなの?

 

『潜水棲姫クン!楽シンデイテコーゼ!』

 

『油断セズニイコーゼ!』

 

『ヤ、モウイイカラ、ミンナソンナヤル気出サナクテイイカラ、テキトーニ殴ラレテ、ヤラレタートカ言ッテ帰ロ』

 

とりあえず、事前の深海ミーティングでは開幕で私が出るとほぼ確実にイスズが来るだろうと予測されてたので仕方ないとして、とりあえずせっかく北に来たのだから蟹でも穫って帰ろう

 

『ナニ言ッテンダヨ潜水棲姫クン!』

 

『勝ツ事ヲ諦メンナヨ!ラシクネーヨ!』

 

『俺達ダッテ今マデノ俺達ジャネーゼ!』

 

イ級、ヌ級…なんていいヤツだろう、こんなやる気のない私にまだ何かを期待してくれている、でもダメなんだよ、圧倒的天賦の才能の前ではあらゆる努力が通用しない事を私は知っている

 

『セッカク北ノ海キタシ、蟹穫ローヨ、蟹』

 

そうだ、テキトーにヤメテヨォとか言ってさっさと蟹でも穫ろう、今の時期穫れるかは知らないけど…

 

『潜水棲姫クン!』

 

『潜水棲姫クン!』

 

『モォイイダロ!!意味ネーンダヨ!開幕雷撃スラネェ私ニ期待ナンカスンナヨ!姫級ダカラナニ?ウンザリダヨ!』

 

何が姫級だよ!そもそもなんだよこの装備!ビーム砲とか撃てそうな形してんのにまったく役に立たねぇし!無駄に重いし!なんなのマジで!?毎度毎度爆雷喰らってオデノカラダハボドボドダァ!

 

『潜水棲姫クン…』

 

『潜水棲姫クン…ソンナニ想イツメテ』

 

『ワカッタロ!私ナンカカ級ニスラ劣ルンダヨ!』

 

『イヤ……潜水棲姫クンニシカナイ“武器”ナラアル』

 

『ハァ?』

 

ねぇよそんなモン、この役立たずはビームどころか魚雷も吐かないし

 

『ソンナモン………ナイシ』

 

『アルサ!ソウダロミンナ!』

 

『アァ…ソウダナ!アルゼ潜水棲姫クンニシカナイ“武器”ガ!』

 

『ソレハ“タフ”ナ“スピリット”サ!』

 

『潜水棲姫クンノ屈強ナでぃふぇんすハ確実ニアイツラ苦シメテルヨ!』

 

『ソンナ姿ニ俺達ハイツモ“勇気”ヲ貰ッテタンダヨ!』

 

………ディフェンス、そうか、ディフェンス力、たしかに、タダではアイツらに負けたくない一心、もう撃沈するって痛みでも歯を食いしばって耐えぬいた、S勝利だけは渡したくない、A判定だよクソがって…

 

『フ……フフフ、ハハハ!』

 

『潜水棲姫クン!』

 

『潜水棲姫クン!』

 

『アー……ハハ、イヤ、ゴメンゴメン、ソウダッタワ、アァ…ソウダッタ』

 

私には、この………最高のチームメイト達がいる!たしかにヤツらはヤバい、この潜水棲姫が小便チビっちまうぐらいヤバいが、もう迷う事はない、全力でぶつかるだけだ!

 

「勝つのは五十鈴!勝つのは五十鈴!」

 

「勝者は五十鈴!勝者は五十鈴!」

 

心なしか、聞き慣れたヤツらの声援が近付いているような気がしてきた、いや…来ているッ!

 

「アーン?五十鈴には丸見えだぜーッ!」



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出撃!大湊警備府②

その②

【登場人物】

提督(132)
缶コーヒーとカレーパンはよく合うと考える大人


「ツルスケじゃねーの!」

 

『イタイ!ヤメテヨォ!』

 

作戦海域第一海域、目覚めた王の宣戦布告から放たれる失意への遁●曲が潜水棲姫を追い詰めるッ!

 

「勝つのは五十鈴!勝者は五十鈴!」

 

「勝者はイスズ!敗者はシンカイ!」

 

◆◆◆

 

「もしもし?俺だ」

 

俺は連絡係の伊勢に、現在の戦況についての確認の連絡を入れた

 

「あぁ…あぁ、そうか、まぁ、そうなるわな、あぁ、わかった」

 

「どうでした?」

 

「フーッ~…いつも通りだな」

 

「そうですか」

 

いつも通り、五十鈴さんが可愛がっているリベッチオと朝霜を連れてピクニックに行き、ドッタンバッタン大騒ぎしてハシャいでいるだけだ、彼女達にとっては潜水艦を狩るのは潮干を狩るのと何も変わらない、GWの楽しいハイキングにすぎないのだろう…

 

「フーッ~…ちょっと席を外す、電話があったらおかけになったハンサムは只今席を外してますって言っといてくれ」

 

「わかりました、ウ●コに行ってると伝えておきます」

 

「…女の子が真顔でウ●コとか言うんじゃないよ」

 

‐‐‐

 

明石の店で100円のカレーパン1つと130円の缶コーヒーを1つ買い、釣銭を確認すると270円でした、さて、提督は買い物する際にいくら払ったでしょう?

 

「100円と130円だから~…えーっと」

 

「バカね、提督は230円分買ったから230円とお釣りの270円を足せばいいのよ!」

 

明石の店でカレーパンと缶コーヒーを買い、喫煙所の近くにあるベンチで飲み食いしようと考えてベンチへ行くと、足柄と大淀のアホンダラが可愛がっている礼号キッズの清霜と霞がベイブ●ードで遊んでいたので暇つぶしに楽しい算数問題を出してやった

 

「230と270だから…え~っと、0と0を足したら0で3と7を足したら10?」

 

香取先生すらも手を焼くアホの中のアホ、故に、レジェンドオブアホ、清霜

 

「バカね!500じゃない!こんなの簡単すぎるわよ!」

 

礼号キッズの優等生、霞は自信満々に最適な答えを導き出したので俺はカレーパンの袋を空けて一口かじりついた

 

「正解した賢い霞クンにはチョコレートをあげよう」

 

「べ…別に!嬉しくなんかないんだから!」

 

「あと、惜しくも正解できなかったお馬鹿な清霜クンにはビンタをあげよう、尻を出しなさい」

 

「ヒッ!!?い…イヤだぁ!」

 

「やめなさいよ!清霜だって頑張ったのよ!アナタってホント最低の屑ね!」

 

誰が最低の屑やねん、何言ってんのかねこの子は、提督はこの子の将来が心配だよ

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョークってヤツだ」

 

「そ、そう…ならいいのよ!」

 

「正解できなかった清霜クンにもチョコレートをあげよう」

 

俺はポケットから溶けにくいチョコレートを出し清霜に手渡した

 

「わーい」

 

「良かったじゃない」

 

しかしなんでコイツこんなにアホなんだろう、これでよく艦娘に採用された、もしかして艦娘の採用には筆記試験とか無いのだろうか?

 

「まぁいい、お前らもベイ●レードなんかで遊んでないでいつでも出撃できる準備しとけよ」




次回は第二海域
艦隊集結!単冠湾泊地へ!

激突!ハルサメVSハルサメ


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艦隊集結!単冠湾泊地へ①

久々に本日二本立て

第二海域北海道沖の①

【登場人物】

春雨(偽)
ヒューマンのサブカル文化にデカルチャーして悪堕ちした誇り高き深海の姫級、普段着がジャージ
ネトゲでは姫級だけに姫プレイかと思いきやバリバリの斬り込み役

昔はヤラセハシナイヨ!とカッコいい事を言ってたが最近の口癖は、息をするのもめんどくせー


初戦となる津軽海峡攻防戦、深海屈指のディフェンス力を誇る潜水棲姫を下し、チームは次のステージ、北海道沖へと進む…

 

「で?新たなステージはどんな感じだ?神に挑む場所か?」

 

「とりあえず、まずは輸送作戦からですね」

 

「輸送か…面倒くせぇな」

 

物資だか資源だかの輸送しつつだと火力が少々欠けるが、まぁ仕方ない、油断せずに行こう

 

「まぁいい、輸送作戦ならとりあえず誰か暇そうなヤツに行かせるか」

 

「あ、それともう一つ…」

 

「なんだ?」

 

事前に調べていた資料を片手に、五月雨は珍しく言い難そうに思案してから口を開いた

 

「…敵の旗艦、駆逐棲姫らしいです」

 

「ふ~ん」

 

駆逐棲姫、駆逐棲姫か………たしかアレだったか?駆逐艦のくせに舐めた超性能してやたらと夜戦魚雷ブチ込んでくるイラっとくるヤツだったか?最近の作戦海域じゃ見なかった気がするが久々に厄介なヤツが出てきた………

 

「……ん?」

 

いや、よく考えたらごく最近見た気がする、あぁ、なんかすげぇ最近見た気がするよ、たしか今朝食堂でタマゴサンド食いながらスマホをポチポチイジってた気がするよ、あの白髪頭

 

「五月雨クン」

 

「なんでしょうか?」

 

「ワルサ……ハルサメを呼べ、この海域にはアイツに出てもらう」

 

「出撃させるんですか?」

 

「丁度いい、己の闇と決着をつけるにはいい機会だろう」

 

「どちらかと言えば、うちに居る方が春雨姉さんの闇な気がするんですけど…」

 

己自身の闇と戦うのは少年漫画には欠かせないアツい展開だしな、己の闇を乗り越えたり受け入れたりするとパワーアップするかもしれん

 

「あと、夕立と村雨を出撃準備させておけ」

 

◆◆◆

 

出撃予定の書かれた掲示板前…

 

「はぁ~…」

 

「出撃っぽい」

 

「村雨のちょっといいトコ見せるかぁ~」

 

掲示板に貼ってる海域情報には敵旗艦の名前に駆逐棲姫とか書いてるんですけど、コレヤバくね?コレ完全にヤバくね?私のポジション完全に乗っ取られたくね?え?誰だよ駆逐棲姫って…それ私じゃないの?ナニ?二代目?新型駆逐棲姫かなんかなの?どうすんのコレ?私、完全に帰る場所失ってるんですけど

 

「やべー…」

 

とりあえず集ちゃんに何か聞いてないか聞いてみよう、ポケットから取り出した深海phoneで集ちゃんの端末にメッセージを入れるとすぐに返信が帰ってきた

 

【集ちゃん:お前死んだわ(笑)】

 

(笑)じゃねーよ!舐めてんのかあのクソ眼鏡ッ!

 

「村雨!ハルサメ!誰が一番ミンチにするか競争するっぽい」

 

「え~…それちょっとダルいんですけどぉ」

 

「や、私もちょっと今日はお腹痛いんで…」

 

この作戦海域、下手したら私がミンチにされかねない気がするんだけど…水鬼のババア完全に私を亡き者にする気だよ、話せばわかる中枢様と違ってあのババア、完全に私を裏切り者扱いだよ、私が一体何をしたんだよ!艦娘の巣に潜入するとか超危険な任務を遂行してるんだよ?超危険なんだよ!美味しいモン多いし!ネット超便利だし!ネトゲ超ハマるし!課金額やべーし!

漂う猛烈にイヤな予感に頭を抱えていると、弾薬の箱を持った誰かがやって来た

 

「ユウダチ、ムラサメ、ハルサメ、ちょっといいかな?」

 

「あ、時雨様っぽい」

 

「ナニ?時雨様も出るのぉ?」

 

「いや、僕は待機だよ」

 

白露型の次女、時雨様

ただの駆逐艦とは思えない絶対的なカリスマ性を持っており、僕に逆らう者は提督でも殺すと明言しているヤバい人だ

 

「わかっていると思うが我々白露型が出撃するからには圧倒的な力で勝利しなければならない」

 

「へいへいっぽい」

 

「わかってるしぃ~」

 

「は…はぁ」

 

「わかっていると思うが、腑抜けなゲームをした場合、僕が粛正する」

 

やっぱやべーよ時雨様は…よし、頑張ろ




次回は②
戦慄!深海棲艦に悪堕ちしたピンク


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艦隊集結!単冠湾泊地へ②

第二海域その②、新型ハルサメVS旧型ハルサメ

【登場人物】

春雨(偽)
白髪

春雨(真)
ピンク

熊野(17)
エレガント系航巡

サラトガ(3)
サラにお任せください!

夕立(5)
とりあえず殴ってから考える

村雨(6)
とりあえず殴ってから考える

酒匂(3)
ぴゃー


「ハッ!!私、もしかしてガスの元栓を閉め忘れて来たかもしれませんわ!」

 

神戸生まれのエレガント系お嬢、熊野率いる北方道沖攻略部隊はドラム缶を片手に資源輸送するついでにこの海域を統べるヘッドを探していた…

 

「Oh…それは心配ですね、Baseにcallしてみては如何でしょうか?」

 

前回は特に出番無く、今回がデビュー戦となる米の国から来たダイナマイツドスケベボディ空母、サラトガ

 

「そうですわね、今すぐCall Nowですわ!え~…っと、たしか電話はポッケにっと…」

 

熊野は進撃の足を止めないままポケットからスマホを取り出した、しかし…

 

ボチャン!!

 

「ファーック!!落としましたわ!私のスマトーホンを水没させてしまいましたわー!」

 

「Oh…」

 

「クッ!なんてコトですの!私としたコトがッ!有り得ませんわ!」

 

「熊野さん熊野さん!」

 

「なんですの?」

 

「あっちに敵がいるっぽい!」

 

‐‐‐

 

北海道沖に展開する深海北方展開群、泊地襲撃部隊…

姫級2を含むこの部隊には駆逐棲姫と駆逐古姫のダブルプリンセスが居る

 

「ようやくこの時が来ましたか…」

 

「あぁ、お互い今までナニやってたんだろうな…」

 

相対する白髪とピンクの両者は互いに薄ら笑いを浮かべて一気に加速して距離を詰め激突した

 

「どうでしたか?艦娘として生きてみて!」

 

「あぁ!最高だったとも!」

 

砲身での鍔競り合いする距離から再び離れ、今度は海上を回るように砲撃戦を開始した

 

「ワタシは帰らないぞ!あの暗い海の底には!」

 

「いいえ、帰るのはアナタです!」

 

この戦いの前に、中枢棲姫から呼び出された春雨はこう言われた“オマエの居場所は此処ではない、光溢れる世界へ帰るんだな”と…

 

「あ、ハルサメとハルサメっぽいのがヤリあってるっぽい!」

 

「どっちが本物かしら?」

 

「そんなの簡単っぽい、死んだハルサメが良いハルサメだから、とりあえずどっちも殺ればいいっぽい」

 

「夕立、オマエ頭いいな!よし!それで行こう!」

 

夕立と村雨は狂気の笑いを浮かべ、相対戦する二人のハルサメに襲いかかった

 

「は?」

 

「え?」

 

「オラァ!死ねッ!汚い深海ハラワタをブチ撒けろォ!」

 

「グチャグチャのミンチみてーにしてやるっぽい!」

 

「ちょ!!姉さん!?」

 

「ちょ!待てよ!」

 

夕立の強襲ボディブローがハルサメのボディを貫き、ハルサメは光るゲロをブチ撒け、村雨の殺艦ローキックがハルサメの膝を破壊し、ハルサメはお皿がー!と言いながら海上をのた打ち回った

 

「ヒッ…ヒィ!!」

 

「や…やめて!ヤメテヨォ!」

 

「う~ん、こう並んで見てもホントに見分けがつかないっぽい」

 

「ホントにそっくりだわぁ~」

 

海上にうずくまる二人のハルサメに、夕立と村雨はどうしたものかと考え、とりあえず痛めつける以外の方法を提案してみた

 

「とりあえずオ●ニー週5回くらいやってそうなのがハルサメだと思うんだけどぉ」

 

「してません!」

 

「してねぇし!」

 

「もう面倒くさいから両方とも沈めてみて浮いてきた方が本物でいいっぽい」

 

夕立は身体をグルグルと∞回転させて痛めつける準備を始めた

 

「ヒッ!!」

 

「ヒィ!?」

 

「アナタ達、ナニやってますのー?もう帰りますわよー」

 

未だどちらが本物か鑑定がつかない状況の中、他の戦闘を終えたらしい熊野とサラトガがやって来た

 

「あ、熊野さん」

 

「あっちはもう片付けたのぉ?」

 

「えぇ、なんかもう一匹いた姫級は酒匂さんが気に入ったらしくて…」

 

…酒匂VS駆逐古姫

 

『グワアアアアアアア!!ヤメテ!ヤメテヤメテヤメテ!痛イ痛イ!』

 

「ぴゃ~…この日本人形かわいいなぁ~…酒匂コレ欲しいなぁ~」

 

『アガガガガガガ…』

 

「ぴゃ~……あれ?壊れちゃった」

 

壊れたお人形に興味を無くした酒匂はそれを海に捨てた…

 

「私、その凄惨な光景に恥ずかしながら漏らしかけましたわ」

 

「大丈夫です、サラはちょっと漏らしました」

 

「あの子ヤバいっぽい」

 

「村雨もヤバいと思うわぁ」

 

お気に入りのお人形から興味を失った酒匂は近くを泳いでいたトビウオの数を数えながら海上に座りぴゃーと言いながら待機していた

 

「ん?まだ一匹いましたの?」

 

「どっちがハルサメかわかんないっぽくて困ってるっぽい」

 

「ふむ…」

 

「真贋鑑定はサラにお任せください!」

 

「わかりますの?」

 

「えぇ、こう見えても私、入隊前はMetでCuratorやってたコトがあるんです!」

 

「キュレーターってナニっぽい?」

 

「さぁ?キュベレイの親戚かナニかじゃないの?」

 

サラトガは二人のハルサメをジッと見つめ、肌触りや匂いを確認してみる

 

「どうですの?」

 

「…正直難しいですね、どっちもなんか磯臭いし、肌触りはヌメっとしてるし、サラとしては大好きな絵の中に閉じ込めてやりたいぐらいです」

 

「さすが元Metですわね」

 

「サラとしては炭素14による年代測定をお勧めしますが、とりあえず現段階でわかる明確な違いとしてはピンクの方がOnanieの回数が多い事ぐらいです、週8ペースぐらいですね」

 

「ち!ちちち!違います!」

 

◆◆◆

 

「………で?」

 

無事、輸送作戦を終えて帰って来た部隊を迎え、俺は机を指でトントンと叩いた

 

「えぇ、とりあえずジャンケンして勝った方を連れてきましたわ」

 

爽やかに作戦終了報告する熊野の後ろに居るのは………白髪の春雨

 

「エヘヘヘ~…」

 

なんで帰って来てんだよコイツ、ゼロとエピオンみたいに機体交換して来いよ…




次回は③

早々と登板、メジャーの洗礼


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提督と改白露型と星を見る人

イベント海域ではない通常回

【登場人物】

提督(133)
別に!アンタの為じゃないんだからね!

海風(10)
改白露型の空気読める天性の世話焼きガール

江風(10)
改白露型の空気読めない天性のヤンチャガール

山風(13)
改白露型のよくわからないシャイガール

涼風(3)
改白露型の五月雨によく似たドッペルゲンガー、凶暴

夕張(24)
マゾ


春の大型連休も終わり、とりあえず煙草でも吸って今後の作戦海域と今日の晩飯について考えようと喫煙所に向かっていると、改白露型の仲良し姉妹がゾロゾロと歩いてたので声をかけてみた

 

「よぉ、ナニやってるんだ?」

 

「あ、提督」

 

「アタシら今からプラネタム見に行くンすよ」

 

プラネタムってなんだよ、ナニ言ってんだコイツ?アホなのか?いや、アホだったな

 

「…江風、プラネタムじゃない、プラネタリウム」

 

「近所の公民館みたいなのに出張プラネタリウムが来てんのさぁ」

 

「ふ~ん」

 

出張プラネタリウムか、噂には聞いた事があるが実在するんだな、まぁ、コイツらも天体に興味がある多感な年頃だろうから勉強してくるのも悪くない

 

「私達は特に出撃予定も入ってないし、せっかくなので姉妹で見に行こうと思いまして」

 

「ふ~ん」

 

「テイトクも一緒に行かねーすか?」

 

「やだよ面倒くさい」

 

「ンだよぉ!冷てーなぁ!」

 

「コラ!江風!提督になんて口の利き方してるの!!」

 

「ご…ゴメンねーちゃン!!ぶ…ぶたないで!」

 

しかしプラネタリウムか…俺も子供の頃、まぁまぁ近所の学術博物館みたいなところに行って何度も見たものだ、人工とは言え星の海に感銘を受け、我が往くは星の大海と決意し、宇宙を手に入れようと莫逆の友と誓った日をありありと思い出す…

 

「よし、アタイら先に駐車場行ってるからテイトクはとっと準備してきなよ」

 

「うむ………って、ちょっと待て、俺は行かないぞ」

 

「いいじゃねぇかよ、車ぐれー出せよ」

 

「やだよ面倒くさい」

 

「そうよ涼風、提督はこう見えてお忙しい方でいらっしゃるのよ」

 

海風姉ちゃんの言い方には微妙にトゲがあるが悪意はないのだろう

 

「んなこたぁねーって、どうせ今から喫煙所でエロ本読みながら煙草スパスパ吸うんだろ?んな機関車トー●スみてーにケムリばっか吐いてないでアタイらと一緒に星でも見よーZE」

 

「機関車●ーマスに謝れ、あと、何がZEだ、カッコつけやがって…」

 

‐‐‐

 

…それからなんやかんやあったが、俺は結局改白露型のオシャレな姉妹達と近所の公民館的なところへ来ていた

 

「アネキアネキ!なんか出店がある!」

 

「江風!ハシャがない!出店は後にしなさい」

 

「えー!?」

 

江風は出店のフランクフルトに興味津々の多感な年頃らしく、さっきからフランクフルトを眺めながら髪のよくわからない横っパネをピコピコと上下させている……動くんだな、アレ

 

「…テイトク、テイトク」

 

「なんだ?」

 

山風は俺の裾をグイグイと引っ張り何かの出店を指差した、コイツもアツアツのフランクフルトが食べたい年頃なのだろうか?

 

「…アレ、なに?」

 

「あぁ…ありゃ星座早見盤だ」

 

「…なにそれ?」

 

「星座と星を素早く探す事ができるスグレモノだ」

 

「…ふ~ん」

 

もしかしなくて欲しいのだろうか?いや、俺は空気の読める大人ではあるが子供を甘やかす大人ではない、そうだ、俺は女子供であろうが容赦しない、平然とボディを蹴り上げる事ができるクールで冷徹な大人だ

 

「…フッ」

 

俺は財布をポケットから取り出し、店員のお姉さんから星座早見盤を、磁石を搭載した暗闇でもボンヤリ光るタイプのそれをスタイリッシュに購入した

 

「…つい店員のお姉さんがお綺麗だったのでなんとなく衝動買いしてしまったが、実は俺は星座に詳しい星座博士なので俺には必要のない物だったな、お前にやろう」

 

「…いいの!?あり……ありがと」

 

べ!別に!いらないけど、なんとなく!つい!買っただけなんだからね!買ってから冷静に考えていらないって思ったから!たまたま近くにいた子にあげただけなんだから!そう!たまたまよ!たまたま!

 

「カーッ!ツンデレかい!」

 

「ツンデレじゃない、提督だ」

 

涼風のツッコミは適切ではない、何故なら俺はツンデレではないからだ

 

‐‐‐

 

そんなワケで、出張プラネタリウムへと入館してみた俺達…

 

「いらっしゃいませー」

 

「…ナニやってんだ?オマエ」

 

「え?バイトですけど?」

 

受付に立っていたのは綺麗なお姉さんではなく夕張だった…

夕張曰く暇なのでバイトしているらしく、受付だけでなく投光機材の取扱いや解説も兼ねているらしい

 

「今日は星の事を勉強して行ってくださいねー」

 

夕張はニコニコと笑いながら入館チケットとパンフレットを交換し手を振って俺達を館内に招き入れた、コイツ、もう軍辞めて転職した方がいいんじゃないだろうか?

 

『えー御来館の皆々様こんにちは、本日皆々様に星の解説をさせて頂きます夕張です、夕張は北海道にある地名ですが、なんと私は佐世保生まれの長崎っ子なんですよー、不思議ですねー、あ、ちなみに長崎と言えば長崎ちゃんぽんが有名ですが~…』

 

館内の照明が消え、夕張によるマイク解説が始まった

 

『…ちなみに夕張と言う地名の由来はアイヌ語からきておりまして、アイヌ語のユーパロ“鉱泉の湧き出る場所”と言う意味があるんですよ~』

 

星の解説しろよ!いつまで自己紹介してんだコイツ、どうでもいいわ!

だが、意外にも夕張お姉さんのマイクはウケているらしく、なんとなく周りから笑い声が聞こえる、コイツ、マジで転職した方がいいんじゃないのか?

 

『えー…では皆々様、西の空をご覧ください、なんかありますね?』

 

なんかってなんだよ!雑!解説が雑だろ!

 

『あれは太陽です、よく見てください、太陽が沈みますよー』

 

太陽が沈み、天井が暗くなると無数の星を示す光の点が現れた、そうそう、コレだよ

 

「テイトクテイトク!アレなに?」

 

光の点に目をキラキラさせた山風が俺の袖をグイグイ引っ張った

 

「ん?あぁ、夏の大三角形だ」

 

『えー…皆さんあちらをご覧ください、あそこになんとなく見覚えのある七つ星がありますねー、アレが北斗七星です』

 

紹介する星の光量が強まり、見る者にわかりやすくする為に星と星とを線で結んでいく、そうそう、プラネタリウムはコレがあるからわかりやすくいいんだよ

 

『ちなみに、北斗七星の横にある星が死兆星です、見たら死にます』

 

解説ッ!!その解説必要かッ!!

 

『え~…実はこの北斗七星、おおぐま座の一部にあたりまして、だいたい腰から尻尾の部分になるんですよー』

 

む…なんだ、意外とまともな解説もあるじゃないか

 

『はい、大きな星が点いたり消えたりしてますねー、大きい彗星でしょうか?いえ、違いますよー彗星はもっとバーっと動きますからねー』

 

解説ッ!!解説がイチイチ危ないッ!!ほら見ろ!なんか周りのお父さん達がちょっと暑苦しそうにしてるじゃねーか!出たがってるじゃねーか!

 

『え~…皆々様ご覧ください、太陽系の星が段々と動いてますねー…もうすぐ一列に並びますねー、はい!コレで太陽は完全に月に隠されましたー、グレイテスト・エクリップスの完成ですねー、地上は永遠の闇に閉ざされちゃいましたー』

 

プラネタリウムでハーデスの野望完成させるなッ!!ナニやってんだアイツは!?

 

…こうして、夕張お姉さんのしょーもない解説を挟みつつ、それなりにわかりやすく星座の解説をし、プラネタリウムの上映はつつがなく終了した

 

‐‐‐

 

「いやぁ~面白かったなァ~」

 

「あぁ、アタイも星座博士になれた気がするよ」

 

江風と涼風はゲラゲラ笑いながらフランクフルトの屋台へ走って行った

 

「どうだった?山風」

 

「…別に、まぁまぁ、ふつう」

 

海風曰く、普通に面白かったと言う意味らしい、トゲトゲしい頭だが根はシャイガールだな

 

「出張上映、またの御来館をお待ちしてまーす」

 

「二度と来るか!っーかオマエも帰ってくんな!」

 

「えー?あ、提督、私今日はもうあがりなんで一緒にご飯でも食べて帰りませんか?」

 

「あ゛?」

 

…まぁ、腹は減ってるな

 

「まぁ構わんが…」

 

「あ、では私達は姉妹で何か食べに行きますので帰りは電車で…」

 

夕張の誘いに、変に空気の読める子、海風が山風の手を引いて出店の方へ去ろうとすると、山風が夕張の膝を勢い良く蹴りあげた

 

「ギャアアアアアア!!お皿が!お皿がァァァ!!」

 

「山風っ!?なにしてるの!?」

 

「…別に」

 

山風はのた打ち回る夕張を養豚場の豚を見るような目で見下し、俺の裾をグイグイと引っ張り出店の方へ歩きだした

 

「…行こ、フランクフルト食べたい」

 

「ん?あぁ、まぁフランクフルトも悪くないか」

 

何がこの子を行動させるのかよくわからんが、俺達はお皿がー!と叫ぶ夕張を置いて出店に行く事にした、まぁアイツなら大丈夫だろう



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艦隊集結!単冠湾泊地へ③

第二海域最終戦、超大国のスパーブローが火を噴く回

【登場人物】

Iowa(6)
サラトガに続き、早々に出撃した米国出身のスーパースーター

重巡棲姫(2)
帰ってきた復讐の鬼、今回も特にいい事はなかった


輸送作戦を完了させ、続く北海道沖、第二戦

 

「Open Fire!」

 

出して出してミーを出して!オーケーオーケー!カムオンカムオンうるさいパッキンガール、アイオワの熱意に負け、俺はアイオワの出撃を決めた…

この采配に決して間違いは無い、出して出してと執拗に強請る金髪巨乳が俺の下半身を刺激したからではない、もちろん、出撃メンバーの選定に対して便宜を図る事を目的として性的なサービスを受けたわけでもない、たまたま、そう…たまたまその雄大なmountainにtouchしてしまったりのaccidentはあったが、決してそれがメンバーの選定に影響していない事を明言しておこう、あくまで俺はアイオワの熱意に負けたのだ

 

「あくまで!」

 

「何言ってるんですか?」

 

「…いや、なんでもない、ただ俺は、あくまで提督だと声に出して言いたくなっただけだ」

 

「そうですか」

 

五月雨は特に何も気にする様子もなく冷蔵庫からペットボトルの麦茶を取り出しグラスに注ぎ、自分の机へと戻った

 

「あの、五月雨クン、僕のぶんがないようだが?」

 

「はぁ…?指示がありませんでしたので」

 

いやだわ、この子ったらCP9かナニかなのかしら…

俺は仕方なしに席を立ち、冷蔵庫から買い置きしていた缶コーヒーを取り出した

 

「……それで?今のトコ状況はどんな感じだ?」

 

「先程の連絡では今のトコは順調なそうです」

 

「ふ~ん」

 

さすがは超大国から移籍したダイナマイトメジャーリーガー、アイオワ、そして輸送作戦から続投するサラトガのメジャー集団だ、この活躍だと年俸もメジャークラスになりかねんな…

 

◆◆◆

 

『ヤクタタズドモガァ……!シズメェ!』

 

重巡棲姫率いる深海北方展開群、泊地襲撃隊

 

「Fire!Fire!Fire!アハハハハ!沈め沈め沈めー!」

 

『痛イ!!チョ…!待テヨ!』

 

前回、実力派エリート集団、潜水艦部隊の前になすすべもなく部隊を全滅、屈辱的瞬殺の憂き目に遭い、今回こそはと復讐に燃える重巡棲姫のやわらかボディにアイオワのヘヴィなウェイトを十分に乗せたナッコォが突き刺さり、重巡棲姫は光る吐瀉物を海にブチ撒けた

 

『オヴェェェェェ!!』

 

「ヘイヘ~イ!Stand and fight!」

 

『ヴェェェ………クッ、ナンテ重イパンチ打チヤガルッ!』

 

『重巡棲姫クン!』

 

『重巡棲姫クン!』

 

まさかこんな序盤戦からこんな重量級の相手が現れるとは思わなかった、お供のハ級達は重巡棲姫を心配して声をかけるが、重巡棲姫はまだヤれると首を振ってファイティングポーズをとった

 

『米国製ガナンボノモンジャア!』

 

「Fuuuu…なかなかシブといわネ、このガラクタ」

 

「Iowa!そいつの眼はまだ死んでないわ!」

 

「…OKOK、心配無用よSARA、このラウンドでKOしてやるワ!」

 

アイオワはトドメを喰らわせるべく重巡棲姫に悠然と近寄り拳を握り締める

 

『ウオオオオオォォォ!!コレガ深海特攻一番機!重巡棲姫ノ“男”ジャアー!』

 

重巡棲姫も覚悟を決めたのか、両腕のガードを解き、必中=必死が確実であろうアイオワの鉄拳に臆する事なく飛びかかった

 

『ヨセ!重巡棲姫クン!重巡棲姫クンハ奴モロトモ死ヌ気ナノカーッ!?』

 

『野暮ダゼ!死ナセテヤレヨ!本気ノアイツハ誰ニモ止メラレネェー!』

 

「OK…Youの覚悟に最大限の敬意を払い、MeのMaxfinishblowで終わらせてやるワ!」

 

飛びかかる重巡棲姫に、アイオワのスーパーブローが火を噴く!!

 

『ヴェアアアアア!!コ…コレハーッ!!』

 

はじめは天も地も宇宙も全てが形なくただ闇がなんやかんやあり……これが第一日目である

 

『ヴェアアアアア!』

 

神は言った、大空よ水の間になんたらかんたら……これが第二日目である

 

『ヴェアアアアア!』

 

神はまた言った、天の下に水がどーのこーの……これが第三日目である

 

『ヴェアアアアア!』

 

神はまた言った、天の大空に、以下略!………これが第四日目である

 

『ヴェアアアアア!』

 

神はさらに言った、なんやかんや!………これが第五日目である

 

『ヴェアアアアア!』

 

神はまた言った、これが第六日目だーッ!!

 

『ヴェアアアアア!』

 

そして第七日目には神は全ての仕事を休み、その日を聖なる日としたのだ…

 

『ヴェアアアアアーッ!!』

 

グシャアッ!!!

 

重巡棲姫は錐揉み状に回転しながら宙を舞い、頭からワリとヤバい音を立てながら海上に叩き付けられた

 

『重巡棲姫クン!』

 

『重巡棲姫クン!』

 

『ダ……駄目ダ、死ンデイル!』

 

重巡棲姫、ネオ・バイ●ルの前に散るッ!しかしその顔はどこか満たされたようなヴェア顔だった…

 

「You're not my match、メじゃないワ」

 

「さすがアイオワじゃあ!」

 

「フッ、味方だとこれほど頼もしい奴はいないぜ…」

 




次回は前半戦最終海域

艦隊抜錨!北方防備を強化せよ!


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艦隊抜錨!北方防備を強化せよ!①

イベント海域その③
戦慄!護衛棲姫!

【登場人物】

護衛棲姫
ビッグな夢を夢見て都会に出てきたつもりが色々あって、現在
キッショい新型艦載機を飼っている


春の作戦海域、前半戦も大詰めを迎えた春の執務室、とりあえず、信じて送り出したフル装備艦娘達が敵旗艦をボコボコにしてアヘ顔ピースを撮ってくる事を期待しつつ、俺は自分の机で基地スポを読んでいた…

 

「そういや、ここの敵はどんなヤツだ?」

 

「さぁ?たしか姫級の軽空母とか聞いてますけど」

 

「軽空母か…」

 

ヌ級とかの親戚ってワケか、そういや今まで空母おばさんとかなんとか何度か出没してたが、軽空母の姫級って初めて聞くな、おそらく、今までのパターンから察するに、ただの痴女ではないのだろう…

 

「一応、手元の資料だとなんか見たことない新型っぽいキッショい艦載機を飼ってるらしいですよ」

 

「艦載機なんかだいたいキッショいだろ?ナニ言ってんだオマエ、イカレてるのか?」

 

「イカレてません、絵で描くと~……だいたいこんな感じですかね」

 

五月雨はメモ用紙になんか一つ目のキモい魔界生物みたいな鳥っぽいのを描いてみせた、たしかにコレはキモいな

 

「これはキモいな」

 

「えぇ、キモいかと…」

 

◆◆◆

 

深海北方集団、機動部隊旗艦艦隊…

 

『ネムッテ…イタノニ……ブスイナ…モノ…タチ……』

 

深海初の軽空母系姫級、護衛棲姫ッ!なんかキッショい艦載機を飼い慣らし、颯爽と現れた彼女には謎が多い…

 

深海棲艦の間でも謎に包まれた彼女……噂では、テレビも無く、ラジオも無く、クルマもそれほど走ってなく、ピアノもバーもなく、毎日お巡りさんがぐーるぐるしている村からやって来たらしいが、その真相は誰も知らない…

 

『護衛棲姫クン!ヤツラガ来ヤガッタゼ!』

 

『ヤツラニ俺達ノ、イヤ!俺達深海ノ力ヲ見セツケテヤローゼ!』

 

『敵ノ数ハ…?』

 

『…連合艦隊!連合艦隊ダァ!ヤツラ!無傷デココマデ突破シテキヤガッタゼェ!』

 

迫り来る敵の姿を視認し、護衛棲姫は目を閉じてかつての自分を思い出す、そう、あれはまだ自分がまだヤンチャなだけの子供だった日の事だ…

 

‐‐‐

 

「オラもうこんな田舎イヤズラ!オラ東京さイグズラ!」

 

「ナニ言ってるズラこの子は!」

 

「オラ東京行ってビッグになるズラよ!ここにはもう帰らねーズラ!」

 

「ナニ言ってるズラ!アンタには才能があるズラ!アンタも頑張ってアカギやカガみたいに…」

 

「イヤズラ!オラもっと都会的で洗練されたスタイリッシュな空母になりてぇーズラ!」

 

コ●シ艦とかくー●くろ艦みてーな空母になりたいズラ!そう言って私は村を飛び出し東京を目指した…

東京にさえ行きさえすれば私もスタイリッシュになれる、モガミセンパイやくまりんこセンパイと違って都会的で見た目ビッチなJKにだってなれる!そう信じていた…

 

しかし…ッ!!現実はそう甘くなかった!!

 

どう頑張っても私は都会的に洗練される事はなかった、都会的になってやろうと思い、まずは髪を金髪にしようと考えて薬剤かけたら薬剤が強過ぎて髪は真っ白になった、都会的ファッションになろうと思い色々試していたら、布面積がパない事になった…

 

……そんなある日、田舎から手紙が届いた、近所の吹雪姉妹んとこに突然変異みたいなのが産まれたとか今年は芋の収穫量が少なくて大変だと長々と近況が書かれていたが、最後に、いつでも村に帰って来いと………泣いた、ボロいアパートだったので隣の人が壁ドンしてきたが、私は声をあげて泣いた

 

そして、私は今更そんなカッコ悪いコトできないと考え、毎日浜辺で海を眺めていると、なんか素潜りしたい気分になったので私はつい素潜りしてしまい、海の中になにやら建物があったので興味を惹かれて入ってしまった

 

「こ……ここは」

 

『ナニ者カーッ!』

 

後から気付いたのだが、そこは深海棲艦の秘密基地だったらしく、いきなりでビビってしまった私はつい土下座してしまった

 

『ナニ者ダ?』

 

「え…え~っと、ご……護衛棲姫でございます!」

 

『護衛棲姫…?ソンナ奴居タッケカ?』

 

『エ?オマエ採用シタンジャナイノ?私担当ジャネーシ』

 

『ハァ?担当テメーダローガ!オイコラ空母ババア!』

 

『誰ガババアダコラァ!タイマンダヨ、オモテ出ロネグリジェババア!』

 

『誰ガネグリジェババアダ!オモテ出ロォ!』

 

ほぼ全裸の空母っぽい棲姫とネグリジェっぽい棲姫が熾烈なメンチビームを切り合っていると、後ろから顔が超怖くてオーラがパない人がやって来た

 

『ヤメネェカ!!鬱陶シイ…』

 

『チュ…中枢クン!』

 

『へ……ヘヘ、ジョ、冗談ダヨ中枢クン、チョットジャレ合ッテタダケダヨ』

 

中枢棲姫、見た目もオーラもパない深海棲艦の大物でラスボスの風格すら漂っている

 

『オマエ、護衛棲姫ッテ言ッタカ?』

 

「あ……え?あ、ハイ」

 

『私ト一緒ニ来ナ、コノ世デ二番目ニ強ェ空母ニシテヤルゼ…』

 

そう言って中枢棲姫クンは私を受け入れてくれた、私はその時固く誓ったのだ、この人に付いて行こう!この人と一緒にデカい“夢”を見ようと!

 

‐‐‐

 

『護衛棲姫クン!』

 

『護衛棲姫クン!』

 

『………総員、戦闘準備ダ』

 

護衛棲姫は目を開き、再びヤツらの姿を確認し、自分が育て上げた自慢の新型艦載機を空に解き放った

 

『ズタズタニシテクレルワ!』




次回は②

村の掟を破った者には容赦しない


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艦隊抜錨!北方防備を強化せよ!②

攻略法に関してはほぼ触れない安心の不親切

【登場人物】

大和さん(4)
久々に出撃した最大火力の切り札、グルメ

矢矧ちゃん(3)
大和さんの一の舎弟、見た目から真似する残念なタイプ

鈴谷(43)
今のところ出番の無い攻撃型軽空母、こんなこともあろうかと新しい鈴谷改二を用意してたが間に合ってない


「なんかキモい鳥みたいなのが飛んできた!」

 

「チクショウ!なんてキモさだ!」

 

泊地攻撃部隊旗艦からの航空攻撃、なにやら見た事のないキモい生物が飛んで来た

 

「あったよ!照月と10cm高角砲+高射装置が!」

 

「でかした!」

 

「僕に航空攻撃をするつもりかい?………頭が高いよ」

 

キーキー言いながら撃ち落とされる新種の魔界生物を見ながら、今海域へ意気揚々と出撃した連合艦隊旗艦、大和は魔界生物の返り血が服に付かないように傘の位置をズラし、ため息をついた

 

「まるでトンボとりをしているようですね」

 

「そーっすね、あ、大和サン、喉渇いてないすか?ジュースありますよ」

 

大和さんの一の舎弟、矢矧ちゃんはクーラーボックスからあまり自販機で見る事のなさげな缶ジュースを取り出し、大和へと手渡し、大和は礼を言ってそれに口をつけた

 

「ありがとう………って!!アマッ!!甘ぁぁぁぁぁいッ!!」

 

「大和サンッ!?ダイジョーブっすか!」

 

「な…なんですかコレ、甘い……しかも、なんか薬品みたいな味がするし、これは飲んで大丈夫なものなのですか?」

 

「ダイジョーブっすよ!なんたって名前がドクター……ドクターKとかそんな感じだったし、名前にドクターとかついてんなら身体に悪いワケないっすよ!」

 

「そ…そうですか」

 

矢矧ちゃん曰く、なんかだいたい提督と一緒にいる髪の長い人から、つい買ってしまったけど誰も飲まないし、処分に困ってるからと頂いたそうだ

 

「ふむ……とても飲めたモノではありませんね」グビッ

 

「あ、いらないんなら後は自分が…」

 

「ふむ……だいたいコレ、本当に清涼飲料水なんですか?」グビグビ

 

「たぶん!」

 

「ふむ…」グビグビ

 

「飲んでるじゃねーっすか!」

 

戦艦大和は破格の戦闘力と優美さだけではなく、艦内での食事面もとても優遇されていたそうだよ、特に、司令官や艦長クラスの調理場では有名な一流ホテルや豪華客船で腕を振るっていたような一流のコックが働いていたらしいんだ、軍艦とは思えないほどのグルメを楽しむ事ができたらしいよ

 

「………ふぅ」

 

「どうぞ、空き缶はこちらへ」

 

「ありがとう」

 

大和は空き缶を矢矧に手渡し、ひとここちつき、チーム全員へ攻撃の指示を伝える

 

「薙払え!」

 

◆◆◆

 

便りがないのは良い便り、特にやる事のない執務室…

 

「しかし…今回はえらく早々と切り札投入しましたね」

 

五月雨は冷蔵庫からペットボトルのオレンジジュースを取り出してグラスに注ぎ、俺の机に置いた

 

「まぁ、後半戦に超火力が必要になったとしても、まだ武蔵がいるしな」

 

まだ先はありそうだし、別に金剛姉妹の誰かでも良かったのだが、アイツらこんなシャバい海域に出たくないデースとか言ってまさかの出撃拒否しやがったからな、まぁ、お望み通り奴らにはもっとワクワクする敵を相手にして貰うとしよう

 

「そうですか」

 

ゴン!ゴン!

 

執務室のもしもの事態を考えて、無駄にブ厚く重厚な扉を叩き、誰かが執務室へやって来た

 

「ティーッス、鈴谷が遊びにきましたよー」

 

「帰れ」

 

「厳しいッ!遊びに来ただけでこの対応ッ!」

 

ハジケるビッチ臭をプンプン撒き散らし、ビッチのような足取りでズカズカと執務室へ入ってきた鈴谷はビッチのように自然に俺の机に腰掛けた

 

「机に座るな、ビッチが」

 

「別にいいじゃん、ってか、ビッチじゃねーし」

 

「オマエの座った場所がなんか水気を帯びて湿るだろーが、早くどけよ」

 

「湿らねーし!っーか水気を帯びてねーし!」

 

まったく、ナニ言ってるのかねこの上級サキュバスが

 

「あ、オレンジジュースもーらい」

 

しかも人のグラスに躊躇なく口をつけるとか、ビッチじゃなければなかなか出来るコトじゃないよ

 

「バー●ャ2しよーぜ!バーチ●2!鈴谷マジバー●ャ2極めたし!」

 

「やかましい」

 

「鈴谷の鉄●靠で提督とかマジ瞬殺よ!瞬殺!」

 

「やかましい、バー●ャ2極めたとか言うなら望月さんに挑んでこんかい」

 

「もち…?」

 

バーチ●2における望月さんの強さはハンパじゃない、あの、ランキング1位の大淀すら対戦を避けると噂されている

 

「誰それ?」

 

「誰じゃない、望月さんだ、ほら…あのメガネの」

 

「メガネって言われても、っーかゲーセン出入りしてるヤツみんなメガネじゃん、見分けつかねーし」

 

「メガネに謝れ、メガネに」

 

「まぁいいや、対戦しよーぜ!対戦!鈴谷が勝ったら1万円!」

 

何故コイツはここまで自分に自信を持つ事ができるのだろうか?もしかしてアホなんだろうか?

 

「…別に構わんが、負けたらパンツ脱げよ」

 

「フッ…」

 

「フッ、じゃねーよ、ナニが可笑しい」

 

「そう言われると思って!今日は最初から穿いてないんですぅー!ハァーッハッハッハ!残念でしたぁー!パンツ脱げとか言われても無いものは脱げませーん!」

 

「コ…コイツ!」

 

あえて自分を追い込んで行くスタイルッ!………じゃないな、たぶんアホなんだろう

 

「どーよ?失うものは最初から無い!つまり鈴谷こそ最強!強靭にして無敵!」

 

「…つまりなんだ?オマエは今現在、ノーパンで基地内をうろつくマジモンの痴女と言うワケか?」

 

「は?痴女じゃねーし」

 

「あのレジェンド・オブ・痴女とディスられてる島風ですらパンツ穿いてるんだぞ」

 

「………ハッ!た、たしかに…冷静に考えると今の鈴谷は相当にヤバいヤツなのでは…?」

 

「冷静に考えなくても相当にヤバいヤツなのだよ、オイ五月雨、扇風機持って来い、扇風機、ローアングルから強風でスカート上げて写メ撮って鎮守府裏掲示板に画像アップしてお小遣いくれるパパを募集してやるのだよ」

 

「ちょ!待てよ!マジやめて!マジやめて!」

 

ヤる前から既に敗北しているとは、なんて大したヤツなんだ

 

◆◆◆

 

「ア゛ァァァァァ!!喰らいやがれー!」

 

『ゴデュファ!!』

 

矢矧の俺式46cm砲と言う名の鉄拳が護衛棲姫の見た目とは裏腹にタフな腹筋に突き刺さり、護衛棲姫は光る吐瀉物を吐いた

 

『ウゲェェェ…イ、イタイカラヤメテ…イタイカラヤメテ』

 

チームは既に全滅した、しかし、護衛棲姫はそのタフなボディでなんとか耐え切っていた、あと1回…あと1回の攻撃に耐えきれば逃げ切れる!そのタフなスピリットだけが護衛棲姫の身体を動かしていた、しかし…

 

「改めて敬意を表する、護衛棲姫、そして北方展開群旗艦部隊、最後まで誰一人闘志を失わなかった………だが、届かない」

 

夜戦最後に立ちふさがる五連装酸素魚雷のカットイン

 

「絶対は僕だ、僕に逆らう者は提督でも許さない」

 

『ア゛ァァァァァァ!!!』

 

 

深海期待のスーパールーキー、護衛棲姫はブクブクと気泡を残して沈んでいった




次回は、迎撃!士魂の護り

…守護らねばならない


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足柄と大淀とRB2 FatalFury

五月の足淀回
季節とイベントは積極的に取り入れるスタイル

【登場人物】

足柄(8)
通称、ワイルドウルフ
もう取り返しがつかないレベルに両足を捕られている、長姉から子持ち処●とディスられている

大淀(7)
足柄とはすげー友達
姉妹がいない故に孤独の時代を過ごした過去があるってばさ



「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、宿命の決着!父を殺したあの男との壮絶な戦いの結末は駆逐艦のキッズ達から憧れの対象とされている

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

足柄とは共にヤンチャな青春を過ごし、恋、喧嘩、単車、二人の青春グラフィティは昔の週マガに載ってても遜色ないと噂されている

 

「まぁ落ち着けよ足柄よォ~…ここはキッズのリゾート、談話室だぜ?見ろ、キッズ達がビビってデュ●マできねぇじゃねぇかよォ~」

 

憩いのスペース、談話室

広めのフローリング、寝転がれる畳敷き、誰かが持って来て放置した微妙に巻数が抜けてる漫画本、そしてスーパーファミ●ン内蔵テレビ、艦種を問わずに誰しも楽しめるスペースである談話室で、暁ちゃん達姉妹はデ●エマを楽しんでいたが、荒れ狂う足柄にビビって部屋の隅でガタガタ震え上がっていた、ちなみに、暁ちゃんはあまりの恐怖にジュースをスカートにこぼして別の意味でも泣いていた

 

「…フッ、私としたことが」

 

足柄はその様子を冷静に分析し、財布から数枚の紙幣を取り出して一番近くにいた雷にスタイリッシュに投げて渡した

 

「どうやら私のスカートが暁ちゃんのジュースを飲んじゃったみたいね、次は500mペットボトルを買うといいわ」

 

「ヒュー!足柄さんオトコマエー!」

 

「さすが足柄サン!“強い男”と書いて足柄サン!」

 

「ハラショー!お前のデュ●マは周回遅れだよ」

 

キッズ達は足柄に頭を下げ、キャッキャとハシャぎながら談話室から去って行った

 

「………で?いつものコトだが、ナンで荒れてんだオマエ?合コンか?」

 

大淀は手近な椅子に座り、スマホをポチポチとイジりだした

 

「行ってねーし、っーかあのオッサンに優良物件のイケメン紹介しろって言ってんのにロクなヤツしか紹介しねぇし」

 

先日、提督に超イケメンで超性格がいい超優良物件紹介してくれと頼んだら、なんか大本営の技術なんたらとか所属のイケメン大佐ならアテがなくもないとか言ってたので詳しく話を聞くと、変態だった…

 

「変態じゃ仕方ないな」

 

「イケメンでも変態はさすがにないわ」

 

足柄は机に置いてあったミロの瓶を手に取り、粉をスプーンで拾いコップに入れてポットからお湯を注いだ

 

「…まぁ、アレよ?午前中にキヨシとアサシとカスミとデパート行ったワケよ」

 

「ハイ来たよ!またコイツ!ハイ、コレだよ!また礼号仲間の私をのけものにするよこのヤバンナウルフはーッ!」

 

大淀は机をバンバン叩き、いつものように置いてけぼりを喰らった事に怒り狂った

 

「ハァー?ナニ?なんでいつも置いてくの?なんで声かけねーの?おかしくね?私は礼号組の仲間じゃねーの?礼号組にはケモノもいるけどのけものもいるの?え?ナニ?のけもの?私はのけものってワケですかー?ねぇー?足柄クゥン?えー?足柄クゥン?」

 

「やかましい!っーか、朝、ちゃんと声かけたろーが!」

 

「寝てますぅー!朝とか普通に寝てますぅー!昨日ネトゲ終わって、なんかムラムラしたんでオ●ニーしてから寝たんで疲れてたんですぅー!」

 

「それ朝の話だよ」

 

「は?」

 

大淀はピタリと動きを止めた

 

「朝、キヨシとアサシがオマエ呼びに行ったら大淀さんが悪魔に取り憑かれたーとか言ってから何事かと思って覗いたら自家発電中とかマジ焦ったわ」

 

「…マジ?」

 

「マジ」

 

大淀は冷静になって考える、そう言えば、ネトゲをログアウトしたのは何時だったろうか?そもそも、自分の部屋の遮光カーテンはかなり遮光性抜群なので夜も朝もわかり辛い…

 

「マジかぁ~…」

 

「マジ自重しろよ、マジで、エクソシスト呼ばなきゃとか言われるとか、どんだけ激しいんだオマエ」

 

「……スイマセン」

 

「とりあえず、キヨシとアサシには大淀とサタンの争いは私達ではどうにもならないから大淀を信じろって言っといたから」

 

「……スイマセン」

 

‐‐‐

 

「で?デパート行ってナニ?ナンか買った?」

 

「別に、あ、お土産にデパ地下スウィーツあっから」

 

「ヒュー、さすが足柄」

 

特に意味はないけどデパ地下スウィーツと言うだけでテンションが上がる、コレ、ギ●ルの鉄則

 

「大淀、オマエ今日ナンの日か知ってる?」

 

「今日…?」

 

5月の14日、今年は5月の第2日曜日…

 

「………千代の富士が引退?」

 

「バカか」

 

ちなみに、大鵬も引退した

 

「まぁアレだ、デパート行ってブラブラしてたらなんか催事場でイベントやってたのな」

 

「何のイベントだよ?」

 

「母の日」

 

「あー………」

 

死んだ魚のような目をして母の日と呟く足柄を見て全てを察したのか、大淀はカップのミロを一口飲んだ

 

「なんかカーネギー?ほら、なんかカーネギーとかそんな感じの花売ってたのな」

 

「カーネーションな」

 

「で、今、カーネーションを買うとかわいいヌイグルミが貰えるよとかなんとか言ってんの」

 

「へぇ~…なんのヌイグルミ?」

 

「なんかビオラ●テみたいなやつ」

 

「かわいくねぇ!!それただの売れ残りの在庫処分だろォ!」

 

「で、それ聞いたキヨシとアサシが欲しい欲しいってゴネまくり、カーネーションカーネーションって私の袖引っ張りまくり」

 

「あー、あるある」

 

「で、隣のカスミはカーネーションとかバカじゃないの!カーネーションなんて臭いだけじゃない!スンスン…!うぷっ!なんて臭いなの…っ!臭い!スン…!臭すぎるわ!なんでこんなもの欲しいのか理解できないわね!って罵倒してるけどヌイグルミチラチラ見てそわそわしてんのな」

 

「礼号組のお姉さんとしてはカスミの将来が心配になってくるよ」

 

「で、あんまゴネられても鬱陶しいし、一番安いやつ買ってこいって金渡したのな」

 

「オマエ、ホントに子供に甘いのな」

 

キヨシとアサシはカスミの手を引いて売り場へ行きカーネーションを購入し、無事、バイオ怪獣みたいなヌイグルミも手に入れた

 

「で、だ…」

 

「なんだよ?」

 

「その、買ったカーネーションがコレだ」

 

足柄は机の下から3つの花束を取りだし、うなだれるように机に両肘をついた

 

「………貰ったんか?オマエ」

 

「………あぁ」

 

どんな形であれ、贈り物は嬉しいものだ、しかし、今日の花は違う…ッ!何故なら足柄にはその花を貰う資格がそもそも無いのだから…ッ!

 

妙高姉さんからディスられている現実を思い出し、足柄は声無き野獣の咆哮を上げた

 

「足柄ェ…」ポロポロ

 

大淀はそんな足柄の心中を察し、友の為に涙を流した

 

「わかるってばよ…足柄、オマエの気持ちすげーわかるってばよ…」

 

「大淀ェ…」ポロポロ

 

姉妹のいる足柄、最初から孤独だった大淀、2人の間にはたしかな絆があった

 

「ママの店に行こうぜ、今日は私が奢るわ」

 

「大淀ェ…」ポロポロ




次回は第四海域

激突!オタサーの姫!


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迎撃!士魂の護り①

後段作戦開始、安心で安全な船旅編成について考える回

【登場人物】

13ちゃん(3)
前回加入した新メンバー、妹が心配でならない姉の鑑


新種の芋臭い軽空母を沈め、我々は新たなステージへと突入した…

 

「さて、次の海域だが…」

 

千島北端、占守島に敵が上陸侵攻を開始したらしく、今回の我々も目的はこの敵を右ストレートでブッ飛ばす事にあるのだが…

 

「敵は陸上型か…サミダリューン、卿の意見を聞こう」

 

「五月雨です、とりあえず基地航空隊ぶつけて陸上施設に大ダメージな陸上キラーみたいな装備でブン殴るのが定石かと…」

 

「ふむ、卿の意見を是とする」

 

陸上キラー的な装備となると、三式弾とかWG42とかその辺か、ならば狂気の陸上ダメージを叩き出せる大淀か夕張、それに内火艇とか積める感じの駆逐艦が必要になる

唯一、心配があるとするなら、道中の火力と編成が貧弱になるがそこはガッツで補ってもらうか…

 

「提督」

 

「なにかね?」

 

「一応、余所からの情報で、この海域には潜水艦の登用が有効だと言う情報がありますが…」

 

「潜水艦か…」

 

アイツら、今頃エル●タージュ美術館でキャッキャとハシャいで審美眼を鍛えているのだろう

 

「潜水艦と航巡もしくは重巡、それと空母でかなり安全かつ安心に敵旗艦まで辿り着けるとの情報が多数寄せられてます」

 

「そうか」

 

俺は胸ポケットから煙草を取り出し、火を点け、窓を開けて大きく白煙を吐き出した

 

「フーッ~…そうか」

 

今日も良い天気だ、最高のトラベル日和ってやつだな

 

「五月雨、電話」

 

「168さんでいいですか?」

 

「168さんでいい」

 

五月雨はジーコロジーコロと電話機の番号を回し、受話器を俺に手渡した

 

ぷるるるるる……ぷるるるるる……

 

『………もしもし?』

 

「俺だ」

 

『イヤよ!絶対に帰らないから!今回の休暇は誰にも邪魔させない!絶対に屈したりしないんだから!』

 

いきなり取り付くシマもねぇなコイツ、いや、絶対に屈しないとか言ってるだけクッする感があるのか…

 

「まぁ待ちたまえ168くん、何も私も鬼や悪魔ではない」

 

『じゃあナニ?お土産なら空港でマカ●ミアナッツしか買わないんだから!』

 

「今回、我々が望む人員は1人だ、ただ1人だけで構わない」

 

『ひ…1人だけ?』

 

「仕事の内容も簡単、優秀な航巡もしくは重巡、それと正規空母を……そうだな、ダブルドラ……いや、トリプルドラゴンをつけよう、安心で安全な豪華旗艦待遇での船旅を約束しよう」

 

『………ちょっと考えさせて、すぐかけ直す』

 

ブチッ!ツー…ツー…

 

「…切りやがった」

 

「みんなで相談でもするんじゃないですか?」

 

◆◆◆

 

ロシア、サンクトペテルブルク…ネヴァ川を臨む地に立つ美術館、1764年、エカチェリーナ2世がドイツから美術館を買い取ったのがエル●タージュ・コレクションの始まりと云われている…

 

「なんだったのね?」

 

いつもは痴女待ったなしと言われている19も、旅先ではオシャレな服に身を包み、その様はまるで絵画から抜け出た天使と言われても過言ではないだろう

 

「…誰か1人、帰って来いって」

 

「1人…」

 

みんな仲良し、潜水艦達の間に緊張が走る、誰か1人、この、楽しいロシア満喫ツアーを切り上げねばならない

 

「もし、イヤだと言ったら?」

 

「おそらく全員口寄せの術は確実ぅ!でちな」

 

基地にまるで蛇博士のようなニンジャ、川内が居る、潜水艦全員、いつの間にかマーカーを付けられているらしく、ヤツがその気になればロシアだろうが仙人界だろうが何処にいようと、チョコパ食ってようがトイレでウ●チしてようが問答無用で喚び出される

 

「とりあえず58はパスで」

 

「8ちゃんもイヤです」

 

「19もイヤなのね」

 

「168だってイヤよ!」

 

むしろ、全員イヤ、これはもはや常識…

しかし誰かが行かねばならない、誰かを生贄に捧げなければこの楽しいツアーは終わり、最悪、川内の蛇にレロレロされる刑すら有り得る

 

「ろーちゃんもイヤですって!」

 

「ユーもイヤ」

 

「よし!ここは年功序列でいこう!年功序列!一番若い下っパが行く!これでどう?」

 

168から出た画期的意見!年功序列と言う名のパワーハラスメント、略してパワハラにアツい同意の声と賛同の頷き!

 

「異議なし」

 

「異議なしでち」

 

「異議なしなのね」

 

「で?1番新人なのは…?」

 

前回加入した新メンバー、14と13にアツい視線が注がれた

 

「アネキ…元気で」

 

「14ちゃん…」ポロポロ

 

「マカダ●アナッツ買って帰るから!」

 

「うん、うん…」ポロポロ

 

14と13はアツく抱き合い別れの涙を流し、168はポケットからスマホを取り出して素早く基地にコールする…

 

「あ?もしもし?168です、13ちゃんが帰るんで、はい、13ちゃんです、口寄せお願いします」

 

‐‐‐

 

その日の夜、宿泊しているホテルの部屋に戻った14は姉である13が置いて帰ったらしいビデオカメラを見つけたので再生してみた

 

ザーッ……ザッ

 

14ちゃん?いい?よく聞いてね?この包みの中には後でみんなで食べようと思ってたシベリアが入ってるの、後でみんなで食べてね?みんなが美味しいって言ってくれたら救われると思うの、ホントは私が直接持っていこうと思ったけど…

そうするのは、なんか違うなって思えて…ここで基地に帰らないと、自分が自分でなくなるような…

提督が憎いとか、深海棲艦をブッ殺したいとか言うんじゃないけど…うまく言えないけど………アイツと、離島姫みたいなのと戦ってみたくなったの、私が潜水艦だからかな?理由はお姉ちゃんよく分からない

14ちゃん、お姉ちゃんたぶん中破くらいはするだろうけど、その事で深海の人を恨んだりしないでね?彼らだって私と同じで自分のやるべきと思ったことをしてるだけかもしれないし、ね?これはお姉ちゃんのお願いね?

もし………もし、運良く作戦がすぐ終わったらね、必ずまたここに来るから、みんなと合流するから、約束ね?

じゃ、これでお別れね、14ちゃん、休暇を楽しんでね?センパイ達によろしくね?

 

ザーッ……ザーッ……




次回は②

戦慄!北端上陸姫!


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迎撃!士魂の護り②

第四海域その②
占守島に現れた惨劇の王者

【登場人物】

北端上陸姫
深海期待の陸上型新人、姫プレイヤー

13ちゃん(4)
豪華クルージングに当選したイヨティンのお姉さん、薄幸

利根(3)
自称も通称もワガハイ
好物はハンバーグ

筑摩(3)
利根姉さんの妹、如何なる時でも姉を立てる妹の鑑、些かサイコな面もあるらしいがサイコとはなんの事じゃ?


『勝ツノハ北端!勝ツノハ北端!』

 

『勝者ハ北端!勝者ハ北端!』

 

深海北方集団侵攻上陸本隊、深海期待の陸上型新人、北端上陸姫率いる、今、一番勢いのあるミラクル深海チームと噂されている…

 

『コリナイ…コタチ………!フフフ、ヒヒヒ!アヒャヒャヒャ!ドウ?コレドウ?カッコ良クナイ?コレカッコ良クナイ?』

 

『カッコイイヨ!』

 

『姫サママジカッコイイヨ!』

 

『離島ナンカメジャネェーヨ!』

 

占守島に見事上陸を果たした侵攻部隊、北端上陸姫はヤツらと会敵した際のビッとしたキメ台詞をみんなで考えようと部隊の北端深海ボーイズ達を集めて話し合いをしていた…

 

北端上陸姫、似たようキャラをしている離島棲姫だか棲鬼だかをやたらと意識しており、前回、よくわからない内に瞬殺された離島棲姫をバカジャネーノバカジャネーノのと小馬鹿にして殴り合いになったのは深海的にはよくある話だ

 

『マ、アンナチ●カスミタイナ奴ヨリ私ノ方ガヨッポド有能ッテノヲヨウヤク上ガ判断シテクレタワケヨ』

 

『ダヨネー!』

 

『今マデ姫サマガクスブッテタ意味ワカンネーシ』

 

『知ッテルカ?アイツ前回瞬殺サレタ責任取ッテ南氷洋ノ柱ニ左遷サレタラシーゼ』

 

『マジダセー!』

 

今回、北端上陸姫が率いる深海北端ボーイズは北端上陸姫の熱狂的ファンらしく、同じく離島棲姫に付いている離島ボーイズとは非常に仲が悪い事でも有名であり、一度激突すればまるでラ●トセーバーで戦う騎士のように光る棒で殴り合っている

 

『サァー!今日ハ海軍滅ボシテ勝利ノワンマンコンサートヨ!ボーイズ達!私ノ為ニ死ニナサ……』

 

立ち上がり、聖なる深海騎士団達を鼓舞しようと腕を真上に突き出した北端上陸姫、それに呼応して立ち上がり咆哮を上げる北端ボーイズ、のハズだった………

 

『ア?』

 

『オイオマエ、ナンカ刺サッテルゾ?』

 

『アレ…?ナンダコレ?弾丸?』

 

『キ…基地航空隊ダッッッ!!ヤツラァァァ!!既ニヤツラノ“射程”ニ入ッテイルゾォォォ!!』

 

上空から飛来するチャチな玩具……ではなく、精巧なスケールモデルのような陸上攻撃機部隊の強襲、北端上陸姫とボーイズ達めがけて重い弾をプレゼントして去って行った

 

『クソッ…!何人殺ラレタノ!?』

 

『ハ級!ハ級ーッ!』

 

『ロ級!クソッタレ!オマエ最前線デ姫ノパンチラ見ルノガ夢ダッテ言ッテタジャネーカ!チクショー!!』

 

『姫!ヤツ……ヤツラデス!』

 

『ウ……嘘ダロ、アイツラナンデコンナ島ニ来テルンダヨ!』

 

北端上陸姫が陸上型である以上、おそらく最大でも重巡、後は軽巡や駆逐艦だろうとタカをくくっていた侵攻上陸本隊に迫っていたのは悪名高き三つ首の竜ッ!!

 

◆◆◆

 

「あ゛ー?オイ蒼龍コラ、手ぇ抜いてんじゃねぇぞ、カス」

 

「抜いてねぇし、オメーのミスだろ、ル級くれー殺っとけよ」

 

「あ゛?」

 

「ア゛ァ?ヤんのか?」

 

二航戦、飛龍と蒼龍は互いにメンチを切りながらアンアン言って顔を近づける

 

「飛龍さん、蒼龍さん、あそこ、なんかカツオみたいなのが泳いでる」

 

そして、もう1人の空母、第3の首、雲龍は航空攻撃に飽きたらしく、カツオの群れのようなものを指差して2人のガラの悪い先輩に教えた

 

「お、マジじゃん」

 

「乱獲しよーぜ、乱獲、持って帰ってママんトコでタタキにしてもらおーぜ」

 

「蒼龍、オマエ頭いいな!」

 

「だっしょ?だっしょ?ギャハハハハハ!雲龍、オマエも手伝え!オマエも」

 

空母達は既に勝敗が決したゲームから興味を無くし、カツオを獲り始めた

 

「あ……あの、まだ、終わって……ないから」

 

空母3、航巡2を率いる安心で安全な豪華クルージング、今海域の攻略部隊旗艦を務める伊13はカツオ漁を始めた空母達を止めようと勇気を出してみたが、その声はまったく届かない

 

「あ…あの……」

 

「よいよい、あやつらの仕事はもう終わったのじゃ!あとはワガハイがおる!」

 

「そうですね姉さん」

 

フンドシ風のフンドシっぽい前掛けをバタバタと風で揺らし、利根はワガハイワガハイと大声で笑い、妹の筑摩はそうですね姉さんと輝く瞳で姉の全てを全肯定し、艤装に取り付けてあるプロ仕様のカメラのシャッターを絶え間なく切っていた

 

「行くぞ筑摩ァ!ワガハイの魂のこもる鉄拳であんなチンチクリンを沈めてくれるわー!」

 

「さすがです姉さん」

 

利根は敵旗艦である北端上陸姫のところへ全力で走り、その鉄拳をチンチクリンボディに叩きつけた

 

「うおおおおぉぉぉ!!衝撃のファースト三式弾!」

 

『オゴォ!!』ビチャビチャ

 

光る吐瀉物を吐き、北端上陸姫が大きくうずくまった

 

「まだじゃあ!げき……え、えっと…げき?」

 

「撃滅です姉さん」

 

「それじゃあ!げ…げき!撃滅のセカンド三式弾!」

 

『オゴォ!!』ビチャビチャ

 

クロスガードの隙間を抜け、利根の三式弾と言う名の鉄拳が再び北端上陸姫のボディを貫いた

 

「トドメじゃあ!!」

 

『チョ…調子ニ乗ンナァァァァァ!!』

 

「むっ?」

 

北端上陸姫の眼に怒りの火が点き、逆襲の北端上陸ナックルが利根のチンチクリンボディに突き刺さった

 

「オゴォ!!」

 

『ハー……ハー……舐メンジャネーゾ、コラァ』

 

逆襲の鉄拳に立場を逆転した、北端上陸姫は下腹と両膝に力を入れて立ち上がり、利根を見下ろした

 

「………おい」

 

『ア゛?』

 

深く、闇より暗い瞳をした長身の航巡に腕を掴まれ、右腕が力いっぱい砕かれた

 

『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ー!!』

 

「この腕が姉さんを叩いた悪い腕ですか?悪い腕ですよね?」

 

『ア゛ア゛ア゛ー!!痛イ痛イ痛イ痛ィィィ!!』

 

「さっき姉さんをチンチクリンとかディスりましたよね?」

 

『エ…?エェ!?でぃすッテナイ!でぃすッテナ……オゴォ!エオッ!オボォ!』

 

筑摩は悪い子だー悪い子だーと呟きながら北端上陸姫のボディに執拗に膝を叩き込み、残っていた左腕を躊躇なく折った

 

「これは……姉さんの分」

 

『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ー!!』

 

「これは……姉さんの分」

 

『痛ァァァァァイ!!』

 

「これは……姉さんの分」

 

『ヤメテヤメテヤメテ!!ホント!謝ル!謝ルカラ……ア、足!足ヲ舐メマス!』

 

その凄惨な光景に、13は震えが止まらなかった、海の中だから大丈夫だったが、あまりの恐怖に失禁を止めることもできなかった

 

「あ゛ー…筑摩の野郎、キレてやがる」

 

「こうなったらもう誰にも止められねぇべ」

 

カツオ漁に飽きた二航戦先輩が13のところへやって来て、13に飴でも食うかと飴を手渡した

 

「これは姉さんの…」

 

『カ…勘弁シテ……』

 

瞬殺のファイナル三式弾が北端上陸姫にメリ込み、北端上陸姫と北端ボーイズはブクブクと気泡を残して海に沈んでいった…

 

「…う~ん」

 

「姉さん!やりましたよ姉さん!さすが姉さん」

 

「ん?」

 

北端上陸ナックルで悶絶していた利根が目を覚ますと、筑摩は早速、姉の偉業を誉め讃えた

 

「さすが姉さんです」

 

「なんかよく覚えておらんし、お腹が痛い気がするのじゃが……そうか!さすがワガハイか!」

 

「今日のMVPチケットは全て姉さんです」

 

「そうかそうか!よし!早く帰って美味いモン食うか!なぁ筑摩ァ!」

 

「えぇ姉さん、今日は姉さんの好きなハンバーグにしましょう」

 

「ガッハッハッハ!そうじゃなぁー!」




次回は新しい装備を開発した回

次々回から最終海域、北の痴女……魔女!


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提督と夕張とFor Justice

昭和生まれの少年の心を忘れない大人の回

【登場人物】

提督(134)
正義の心はヒーローから教わった

夕張(25)
正義の心はママの中に置いてきた

長門(14)
正義の心はみんなの中にある!


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

朝からスッキリとした爽やかな五月晴れの執務室、残る最終海域攻略の為、どうしたものかと頭をひねりつつアツいティーを飲んでいると、夕張のアホンダラがニコニコしながらやって来た

 

「…今こそ汝が右手にその呪わしき命運尽き果てるまで、高き銀河より降りたもう蛇遣い……」

 

「なんでいきなり本気モードなんですか!?」

 

「どうせロクなモンじゃねぇんだろ?ならもう最初から殺っても文句ねーだろーが」

 

夕張の自信に満ち溢れた自信作はだいたいロクなものではない、これは既に常識、聖●士に同じ技が二度通じないぐらい常識だ

 

「大丈夫です!今回のスンゴイメカは必ずや提督もご満足頂けます!」

 

「いいだろう、もしご満足頂けなかったら…屈み弱P連打→斬●拳→屈み弱P連打→斬●拳の地獄ハメでハメ殺すからな」

 

「は、はぃ!きっとご満足頂けると信じております!はい!」

 

なんでちょっと嬉しそうなんだよコイツは…そんなにハメられるのが好きなのか?

 

「今回開発した作品はこちらァ!」

 

狂った科学者特有の大仰な身振り手振りで大きく仰け反った夕張の後ろから現れたのは重厚かつメタリックな紫色のボディのメタルヒーロー!

 

『Janpers●n、For Justice!』

 

「名付けまして、特捜ロボ、ジ●ンパーソンです」

 

「…足があるな」

 

「なんと100mを6.5秒で走れます」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな」

 

…どことなく、以前作った悪魔の研究、バイオボーグ・キヨゴルディに似ているような気がするが、もしかしなくても中身は清霜なのだろうか?

 

「このジ●ンパーソンですが、基本スペックとしてはパンチ力15t、キック力35t、ジャンプ力は20mは跳べます」

 

「ふ~ん、で?中に清霜が入ってんのか?」

 

「いえ、このジ●ンパーソンに中の人などいません!純度100%!純粋なロボットです!」

 

「本物のロボットか」

 

『ジ●ンパーソンだ、ヨロシク』

 

「え?あぁ、はい」

 

ジ●ンパーソンは爽やかに、そのメタルな手を差し出して握手を求めたので俺もとりあえず握手で返した、なんだろうなこの感じ、幼い頃にデパートのヒーローショーに行ってヒーローと握手した懐かしくもアツかりし少年の日を思い出すのだよ…

 

「このジ●ンパーソン、ロボットですが悪を憎む正義の心を持ってまして、人の痛みや悲しみを理解する事ができます」

 

「すげぇなオイ!」

 

「えぇ、我ながらなんで私がこんな正義漢を作れたのか理解に苦しみます!」

 

「作った本人がゆーな」

 

たしかに、夕張には正義を愛する心だとか人の痛みや悲しみを理解する高尚な脳ミソはない

 

「とりあえずこのジ●ンパーソン、パンチでル級も倒せますし、キックでタ級もメリ込ませます!」

 

「すごいじゃないか」

 

「えぇ、たぶんジ●ンパーソンを深海棲艦の秘密基地に放り込んだら70時間以内で殲滅可能です」

 

「すげぇなオイ!」

 

これが特捜ロボか…何が特捜なのかは知らんが、もうコイツだけでいいじゃないか、そうだ、せっかくだし、北の魔女とか呼ばれてる新しい敵もコイツに任せれば全部OKなんじゃないのか?

 

「しかしこのジ●ンパーソン、1つ問題がありまして…」

 

「問題?なんだ?燃費が悪いとかそんな感じか?」

 

「いえ、なまじ優し過ぎる分、生物に相手だと手加減してしまうんですよ」

 

「…ハァ?」

 

「平たく言えば、相手がロボットなら容赦なく破壊しますが、生物的な感じだと良心の呵責的なアレで躊躇うトコがありまして…」

 

「…ハァ?」

 

「相手が悪の犯罪ロボットでも、悪の意志を失った場合とかでも見逃しちゃう悪い癖があります」

 

なるほど、とりあえず悪だとしても改善の余地やその心があるならトドメは刺さないってワケか、まさしくヒーロー的なロボットだ、メタルなボディにヒーローの心を持つ、これまさにメタルヒーロー!

 

『夕張、悪の反応をキャッチした』

 

「マジですか?」

 

『あぁ、すぐ近くにいるようだ!』

 

「よし!ジ●ンパーソン!出動です!」

 

ジ●ンパーソンはメタルヒーロー特有のガシャンガシャンとロボット的足音を鳴らしながら執務室から出て行った

 

「提督!私達も行きましょう!ほら!早く早く!」

 

「ん?あぁ」

 

まぁ、ジ●ンパーソンの性能を見ておくにはいい機会かもしれんな、っーか、すぐに近くにジ●ンパーソンに感知される悪って誰だよ…

 

◆◆◆

 

執務室棟から出てすぐ、ヤキュウもサッカーもマラソンでもできる基地内グラウンド…

今、この基地内グラウンドで睦月型の姉妹達が走り込みと言う名のアツい汗を流していた

 

「フフッ…いいぞ、いいぞ」

 

そして、そんな睦月型の姉妹達を遠巻きから見守るように立ち、GNバズーカのような望遠レンズで撮影する1人の戦艦、長門ッ!

 

「まったく、駆逐艦のエンジェルス達は最高だな」

 

睦月型の姉妹達は走り込みを終了したのか、指導者である陸奥の周りに集まり、陸奥はそんな姉妹達にあらかじめ用意していたクーラーボックスから冷たい飲み物を渡していた

 

「クッ!陸奥め!陸奥め!陸奥めッ!」

 

なんて羨ましいッ!何故このビッグセブンではなく陸奥なのだ!何故エンジェルス達は私に指導を仰いでくれないのか!長門は歯軋りして陸奥への殺意を募らせていたその時!

 

「むっ!?」

 

長門の頬をかすめ、JPと書かれた銀色のカードが地面に刺さった

 

「なんだこれは…?」

 

『貴様、あの子供達を盗撮していたな』

 

「なんだキサマは?」

 

『Janpers●n For Justice!』

 

「ジャン…?なんかよくわからんが、私は盗撮などしていない、何故なら私はビッグセブンだからな!」

 

‐‐‐

 

ジ●ンパーソンを追いかけ、夕張と外までやって来ると、ジ●ンパーソンは今、まさに犯罪者との死闘を演じていた…

 

「ナニやってんだ…?アイツ」

 

ジ●ンパーソンと戦っている長門、どうせいつものように駆逐艦のキッズ達を激写していたのだろうが………問題はその姿だ、今、長門の服には駆逐艦のキッズ達の写真が10枚くらい遺影のように貼り付いていた

 

「アレが噂に聞く長門改二・コンプリートフォーム!」

 

「あんな改二イヤすぎるわ!!」

 

夕張曰わく、なんか近日、長門の第二改装が実装されるのでは?との噂があるらしい……それにしてもアレはヒドい

 

「キャオラッ!」

 

『グハァ!』

 

長門(遺影フォーム)の殺人キックがジ●ンパーソンを蹴り飛ばし、ジ●ンパーソンは大きく仰け反った

 

「オイ!ジ●ンパーソンが負けそうだぞ!」

 

「まさか長門さんの力がこれほどとは…」

 

どんだけ強いんだアイツ…

 

『クッ!夕張、ヤツを倒すには今の俺を捨てなくてはならない……MX‐A1に戻るしかない!俺の回路を切ってくれ!』

 

なんだ?MX‐A1って?

 

「バカ言うんじゃないですよ!それは理性を…良心を司っているアナタの命ですよ!」

 

『いいんだ、だがこれしかない!敵に対する徹底的な攻撃と破壊本能、それが今の俺には必要なんだ!………頼む!回路を切ってくれ』

 

「…わかりました」

 

夕張はジ●ンパーソンの胸を開け、なんか尖った針みたいなもので回路を刺すと、ジ●ンパーソンは電源が切れ、MX‐A1として再起動した

 

『………ターゲット・ナガト、抹殺スル、破壊スル』

 

「む?」

 

MX‐A1が非情の15tパンチを長門に叩き込んだ

 

「ぐぼぉ…!!」

 

『抹殺スル、破壊スル』

 

「コイツ!急にロボットっぽくなったぞ!面白い……このビッグセブンに勝てると思うなよ!」

 

『抹殺スル』

 

 

長門とMX‐A1の死闘は二時間に及び、最終的に爆発と爆炎の中から現れたのはMX‐A1、いや、ジ●ンパーソンであった

善悪判断の回路が切れた筈のジ●ンパーソンは人間とロボットの境界を越え、本物の心を手に入れたのだろう…

 

そして………

 

「行くのですか?ジ●ンパーソン」

 

夕張はジ●ンパーソンにこれから必要になるであろう機材を手渡した

 

『あぁ、この世界にはまだ倒すべき悪がいる、俺は人々の為にこの力を使いたい』

 

「そうですか、でも、たまには帰って来てくださいね!」

 

『あぁ、また会おう!』

 

こうして、ジ●ンパーソンは夕日を向かって愛車で走り出した、ありがとうジ●ンパーソン!君達こそ人間とロボットを繋ぐ真のヒーローだ!さらば僕らのヒーロー!

 

Janpers●n For Justice!!

 

◇◇◇

 

「オイ、夕張、なんか鋼材が異常に減ってるんだが…?」

 

「ジ●ンパーソンの修理ってお高いんですよねー」

 

にこやかに笑う夕張の顔を掴み、容赦無く執務室の壁に叩きつけた

 

「スネークジェノサ●ドーッ!!」

 

「オゴォ!!」

 

「立てコラァ、テメーはユメじゃ済まさねーぞ!」




次回は最終海域、北の魔女


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北の魔女①

最終海域突入!前哨戦と言う名の出オチ

【登場人物】

提督(135)
和菓子なら案外食べる

五月雨(45)
姉妹でスウィーツバイキング行くぐらいは食べる

夕張(26)
板チョコはパキる


今作戦最終海域!大ホッケ海北方…

 

深海北方艦隊精鋭集団を率いるのは、前回珍しく休暇を貰っていた深海棲艦が誇る屈強なるタフ・ガイ、戦艦棲姫ッッッ!

 

『フゥーハハハ!ナンドデモ沈ンデイケェ!!!』

 

勢い良く飛び出してきた戦艦棲姫の中段突きをかわしざまに合わせた右は顎の先端を正確に捉え、脳を頭骨内壁に激突させ意識を刈り取る

 

既に意識を分断された戦艦棲姫の下顎にダメ押しの左アッパー

 

さらに、左背足による廻し蹴りは、戦艦棲姫を更なる遠い世界へと連れ去り………前のめりに倒れた、その間、実に2秒!!

 

「ヘーイ、比叡、タオルくれネー」

 

「お疲れ様です!金剛の姉者!」

 

これが、当基地が誇る暴力パート担当の頂点に君臨する金剛姉妹、その長女のベストコンディションの姿である

 

◆◆◆

 

「とりあえず、前哨戦は勝ったそうですよ」

 

「そうか」

 

五月雨は受話器を置いて現場の状況を簡潔に報告し、冷蔵庫からペットボトルを取り出してグラスに麦茶を注いだ

 

「フーッ~…前哨戦はストレート勝ちか、なかなか幸先がいいじゃないか」

 

「そうですね」

 

今作戦では、支援を含めて今まで出番が一切無く、イライラと不満と殺意を募らせていた金剛姉妹を満を持して出陣させてみたが、やはりアイツらはハンパじゃない

 

「…で?前哨戦はいいとして、ここからが本番ってワケか、サミダンデライオンくん、敵旗艦艦隊と海域の情報はどうだ?」

 

「五月雨です、一応それなりに揃えておきました、これです」

 

「フーッ~…ふむ、なるほどなるほど」

 

敵は相変わらずのよくわからん超装甲バリア搭載の新型か、ふむふむ、なるほどなるほど………しかし、なんだろうなコイツ、今までも深海棲艦のファッションセンスには光るものを感じていたが、コックさんみたいな長帽子はいいとして、ほぼ全裸にマントとかコイツもかなりブッ飛んだセンスをお持ちらしいな

 

「どうしますか?このまま金剛さん達を主力に行きますか?」

 

「そうだなぁ~…」

 

まぁ、現場の空気としてはこのままヤる気の空気みたいだし、ここで武蔵とか投入してチームとしての流れを切るのは良くないだろう

 

「ま、とりあえずこのまま行くか」

 

ゴン!ゴン!

 

煙草を灰皿に押し付け、とりあえずの方向性を決めたその時、執務室の重厚な扉を叩き、常にヘソを丸出しで無駄にスレンダーな下腹を見せつけてくるスタイルの軽巡が入って来た

 

「お疲れ様です!夕張です!」

 

「何の用だ?」

 

「今日は提督にとびっきりワクワクする情報を伝えに参りました!サー!」

 

何がサーだ、舐めてんのかコイツは?

 

「くだらねぇ情報だったらケツ穴にホース突っ込んで水道の蛇口チョロチョロ開で時間を掛けてダメージを与えるからな」

 

「全開じゃないんですね」

 

「はいっ!かならずや御満足頂ける情報です!」

 

五月雨はペットボトルの麦茶をグラスに注ぎ、夕張に手渡し、夕張はそれを一息にグイっと飲み干し大きく息を吐いた

 

「美味いッ!そして心なしか!身体がアツくなってきた気がしますね!コイツぁ!」

 

「媚薬入りですから」

 

「マジで!?五月雨ちゃんマジで!?」

 

「冗談です、小粋な五月雨ジョークですよ」

 

「マジかーッ!五月雨ちゃんマジかーッ!」

 

コイツら、たまに一緒に買い物行ったりとかジョーク言うぐらいは仲良いんだな

 

「さて提督、前回……いえ、前々回ですか?昨年の秋を覚えてますか?」

 

「去年の秋?」

 

なんだったっけかな?たしかなんとか第三法とかそんな感じだったか?なかなか俺をアツくさせるファイトだった気がしなくもないが…

 

「昨年の秋、ビキニ沖に出撃した長門さんや酒匂ちゃんが悪魔もブッ飛ぶ超絶パワーを発揮した件を覚えてますか?」

 

「あ~…あったな、そんなの」

 

ビキニ沖に漂う禁断のアトミックパワーを解放させたあの惨劇か

 

「今回はさすがに禁断開放とはまでは行きませんが、特定の娘がヤる気を出せるでしょうとのデータが出てます」

 

「特定の娘?また長門か?」

 

「いえ、今回は那智さん、木曾さん、阿武隈さん、初霜ちゃん、潮ちゃん、霞ちゃん、そしてヴェールヌイちゃんですね」

 

「ふ~ん」

 

「………あれ?意外と食いつきが悪いですね」

 

夕張曰く、なんかよくわからんエネルギーでちょっとやる気が湧いてくるらしい

 

「話はそれだけか?」

 

「え?あ、はい、そうですけど」

 

「わかった、下がりたまえ」

 

「…え?あ、はい………あの、ホースは?」

 

「くだらない話ではなかったからな、なんなら褒美に饅頭でも食べるかね?」

 

俺は机に置いてあった梅ヶ枝餅を一つ手に取り、夕張に渡してやった

ちなみにこの梅ヶ枝餅、俺は饅頭と言ったが正確には饅頭ではなく餡子入りの焼餅である

 

「あ、はい、ありがとうございます…」

 

「なんだ?梅ヶ枝餅は嫌いかね?」

 

「いえ…」

 

人が誉めてんのになんで残念そうなんだコイツは……アレか?誉められるのが恥ずかしい多感な気難しい年頃なのだろう




次回は②

イベント海域最終回


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北の魔女②

イベント海域最終回
北の魔情事…

【登場人物】

北方水姫
全裸マント(ほぼ)
本人曰わく“マエバリがあるから痴女じゃない、痴女ってのは空母棲姫とか装甲空母とか穿いてないバカどものコトであり、自分は痴女ではない”と言い張れる


最終海域!大ホッケ海北方、見事前哨戦を抜けた艦隊に立ちはだかる深海北方艦隊旗艦艦隊ッ!

 

『コノワタシト…ヤルトイフノカ………!オモシロヒッ!』

 

艦隊総旗艦を預かる新種の深海棲艦、北方水姫

オシャレな深海長帽子に、ほぼ全裸にマントと言う斬新かつスタイリッシュなその出で立ちは敵味方問わず震撼させ、敵味方問わず、付いたアダ名は北の魔女ッ!

 

『サスガ北方水姫サンダ、ハンパジャネェ』

 

『アァ、アノ堂々タル着コナシ…ハンパジャネェ』

 

深海メイト達すらも戦慄させた春を制するDAITANモテカワコーデ

過去にも服を着る事の意味を考えさせられた姫級やら鬼級は存在していたが、彼女達とは違う自信に満ち溢れたオーラ!それはまるで15世紀の北方美術を彷彿とさせ、後に到来するであろうシュールレアリスムを予感させていた…

 

「ヘ~イ、シスターズ……ワタシがDIEしていいゴミはアレですかネー?」

 

ここまでの道中、無事故・無違反で下してきた連合艦隊、その総旗艦金剛は指をバキバキと鳴らしながら後ろに控えるシスターズに片付けていいゴミを確認した

 

「はい!アレで間違いないです!」

 

「DIEしても榛名は大丈夫です!」

 

「目が合った奴は皆殺しかと」

 

シスターズの返答に満足し、にこやかに微笑んだ金剛の後方で基地航空隊による開幕爆撃が炸裂し、多くの深海メイト達が断末魔の叫びを上げながらブクブクと気泡を残して沈んでゆく

 

『ギャース!』

 

『ヤーラーレーター!』

 

『コノママデハ終ワランゾォー!終ワランゾォー!ランゾォー…ゾォー…』

 

基地航空隊による先制ひき逃げアタックが去り、金剛は不気味な笑みを浮かべて残敵へと向き直った

 

「全艦、動くヤツは全てDIEデース」

 

◆◆◆

 

現場から届く映像を執務室のテレビで見ながら煙草でも吸おうと考え胸ポケットに手をやったら、煙草は既に無くなっていたらしく、空袋が入っていたので丸めてゴミ箱に放り込んだ

 

「おいサミー、煙草買ってきてくれ」

 

「イヤですよ、自分で行って下さい」

 

「お釣りでジュース買っていいから行ってこいよ」

 

「イヤですよ」

 

「まったく、なんてケチな子だい、これだから青髪ロングは…」

 

「青髪もロングも関係ありません、むしろ禁煙でもしたら如何ですか?」

 

「やだね」

 

五月雨曰く、睦月型のキッズ達からはモクモクの実(笑)とかディスられてるらしいがそんな事は知った事ではない

 

「…そう言えば、今回は陛下に出て貰わなかったですね」

 

「あぁ、陛下は前回、前々回と大変な御活躍をなされたからな、今回は休暇だ、それに……」

 

「それに?」

 

「今回は北海が舞台と聞いてたしな、そんな寒くて身体に悪そうな海域に陛下が御出陣して、もし風邪でも引かれて体調を崩されでもしたら大変だろう?」

 

「過保護ッ!?」

 

「過保護じゃない、提督だ」

 

◆◆◆

 

『コイヨォ!武器ナンカ捨テテカカッテコイヨォ!』

 

第一艦隊による暴力パートが終わり、既に壊滅状態に追い込まれた深海北方艦隊旗艦艦隊…

お気に入りのオシャレな帽子も燃えて無くなった北方水姫は吐血しながらも決して膝を折らず、ファイティングポーズをとり続けていた

 

「なかなかしぶといなコイツ…」

 

「最初っから大破したみてーな格好してる分、タフなんだろ?」

 

北方水姫にはまだマエバリがある、そう、この股間のマエバリこそが北方水姫最後のプライド、痴女か痴女でないかを分ける線引き、このマエバリがなければただの全裸マントだが、マエバリがある限り、まだ全裸ではない!深夜アニメでもギリギリ許される!そのギリギリが北方水姫に溢れるパワーと興奮を与えてくれるのだ

 

「ハラショー、どうやらヤツを倒す為にはヤツのタフネスを超える必要があるようだね」

 

「ゲェーッ!お、お前はーッ!」

 

「ファイティングコンピューター!ヴェールヌイ!」

 

暁ちゃん率いる第六駆逐隊の頭脳、非情なる旧ソからの刺客、ヴェールヌイは両手に魚雷を構えた

 

「雷装89に五連装酸素魚雷と五連装酸素魚雷で雷装+24加え113!」

 

『ムッ!?』

 

「さらに!いつもの2倍のジャンプ力を加えて113×2の226!」

 

ヴェールヌイはジャンプした先で、さらにグルグルと回転を始めた

 

「そして!いつもの3倍の回転を加えれば226×3、キサマの装甲値を超える678パワーなのだよ!」

 

『ハアァ!?ナニソノ理論!?』

 

ヴェールヌイは678パワーの光の魚雷となってグルグルと回転しながら北方水姫のボディ………ではなく、股間に直撃した

 

『グエエエェェェェ!!!オゴッ!オゴォ……イ……!』

 

強烈な打撃に加え、回転による振動、マエバリの上からとしてもその衝撃は北方水姫がイくには十分すぎる破壊力があった、北方水姫の最後のプライド、股間のマエバリが文字通り、内と外から決壊した

 

『グワワワワァァァァァァ!!ウソダ……コノワタシガ…モウ……ツメタイ……アアァァ…アタタカイ…アタタカイノ…モレテ……』

 

戦慄の北の魔女、北方水姫は股間からのスプラッシュに満足してアヘりながら冷たい海にブクブクと気泡を残して沈んで行った…

 





終了回を挟んで、恒例の新人面接回!

なんとか無事に新艦全員来てくれました、はい


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続続続・提督と作戦終了と…

ダラダラした結果、丁度イベント終了日当日に重なってしまった回、ってか由良さんよか先に長門改二轟臨してる!?

【登場人物】

提督(136)
だらしない提督ですまない…

五月雨(46)
だらしない秘書艦ではなく、ワリと仕事は速い


「えー…皆さんの熱意溢れる健闘の甲斐ありまして、今回も無事に作戦海域を終える事ができました、えー…皆さんのガッツ溢れる姿に提督も勇気を貰いました、えー…」

 

作戦海域を無事に終え、基地体育館の壇上で恒例のワリとえーが多い挨拶を終え、台車に載ったジュラルミンケースが運ばれて来た

 

「えー…では皆さんお待ちかねのお給料の時間だ、名前を呼ばれたヤツぁ元気な声でハイ元気ですと返事して立つよーに」

 

ジュラルミンケースから唸りを上げる紙幣の束を取り出し机の上に重ねた

 

「今回、MVPチケット獲得ランキング第1位は~………抜群の安定感と安心の超火力を見せてくれた大和さん、はいみんな拍手ぅ~」

 

パチ…パチ…

 

壇上に上がってきた大和とアツいシェイクハンドを交わし、笑顔で現ナマ手渡した

 

「はい次ぃ~…ドンドン行くぞぉ~、次、高雄と愛宕………じゃないで、金剛」

 

「さすがは金剛の姉じゃあ…」

 

「あぁ、金剛の姉は我ら姉妹の誇りだぜ」

 

アツい金剛コールの中、シェイクハンドを交わして現金を手渡した

 

「はいドンドン行くぞぉ~ドンドン、はい高雄と愛宕ぉ~」

 

‐‐‐

 

「え~…最下位は、望月さん」

 

「だよねぇ~……ジュース買お」

 

200円で特に不満はないらしい、もっちーこと望月さんは小銭をポケット入れて壇上から飛び降りた

 

「え~…皆さん、とりあえずお疲れ様でした、え~…とりあえず毎度お馴染みささやかではありますが~………と、言いたいところだがァ!今回はそれなりに予算を使って酒と料理を用意したァー!」

 

「スゲェ!いつもより品数が多いぞ!」

 

「でかした!」

 

「さぁさぁみんな、グラスを手に取って!遠慮無く飲んでくれたまえ、そう…よく、味わってくれたまえ」

 

お給料の時間を粛々と終え、いつもの宴だー!を始めたバカどもは、それぞれ用意された飲み物や食い物を楽しみだした

 

「ア……アルコール、アルコール」ブルブル

 

「ダメよポーラ、アナタ今回何もしてないでしょ?はい、オレンジジュース」

 

「アルコール……アルコール……」ブルブル

 

「ダメよ隼鷹、今回私達何もしてないわよね?はい、オレンジジュース」

 

「あああ…あぁぁアルコールッ!アルコールッ!アルコールペロペロしてぇー!」

 

「ダメよ14ちゃん………休暇中にバカみたいに飲んだよね?お姉ちゃん知ってるよ…はい、井戸水」

 

アルコールを求めるアルコールモンスター達はガチガチに拘束されノンアルコールの液体を上の口から流し込まれていた

 

「なんだこの肉!超美味めぇ!」

 

「それ、北海で獲ってきたアザラシの肉らしーぜ」

 

「マジかよ!クソッ!ジューシィー!ジューシィーって言うのかコレ?味のハーモニーっーかシンフォニーっーか」

 

…コレ、アザラシの肉なのか?誰が獲ったんだよ、アザラシ…

 

俺は適当にツマミ的な軽食を皿に取り、煙草を吸うべく阿●羅閃空のようにスムーズに移動した、途中、なんかビッチみたいなヤツと肩がぶつかりナンだテメーとケンカを売られそうになったがジェノサイドカ●ターを叩き込んで事なきを得た

 

「フーッ~……」

 

「お疲れ様です」

 

「お前もな」

 

いつものように、皿に適度な甘味を載せてぬらりと現れた五月雨はパクパクと生チョコ的なものを口に放り込んでいた、どうやら今日はそーゆー日らしい

 

「今回も上に怒られるか怒られないかの微妙な戦果でしたね」

 

「いいんだよ、俺が欲しいのは勲章じゃねぇし」

 

「そうですか」

 

そりゃ出来れば欲しいが、まぁ、昇進に響かない程度に頑張っとけば現状なんとかなるだろう…

 

「あ、そうそう、明日は新人さんの面接ありますからビッとした格好でお願いしますよ、最初ぐらいは」

 

「ナニ言ってんだオマエ?俺はいつだってビッとしたハンサムガイだろーが」

 

「はいはい、クリーニングしたヤツありますからそれ着て下さいよ」

 

「オカーサンか、テメーは」

 

しかし新人か…なんか毎回ロクな人材が来てない気がするが、今回は俺の心もアツくさせるニューフェイスは居るのだろうか?いや…ないな、それはない、何故なら俺は浜風ちゃんが好きだからだ

 

「今回の新人は6人ですからね、結構多いですよ」

 

「6人ッ!?」

 

「えぇ、一応、書類上では全員がスペック的に問題を抱えた………まさにキセキの世代」

 

「………今からウンザリなのだよ」




次回は新人回

春イベントキセキの世代現るッ!


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続続続・提督と新人と面接①

分割2回の新人回、前半戦
これはペドくない!

【登場人物】

春日丸
春日丸級1番艦、3回の改装する度にパワーが増すタイプ…らしい

神威
神威型1番艦の補給艦
アザラシは撲殺しない

ガングート
ガングート級1番艦、共産主義



春の作戦海域2017、出撃!北東方面第五艦隊…

前段作戦3、後段作戦2の海域を誇る超強豪海域…

その輝かしい海域の中でも特に“新艦”と呼ばれた10年に1人の天才達が6人同時に居た世代はキセ……

 

「はい、面接始めますので名前を呼ばれた方からどうぞ~」

 

「まぁ待ちたまえよサミダンテⅩⅡくん、まだアバンパートが終わってないのだが…」

 

「五月雨です、そーゆー無駄な時間はいいんでサッサと済ませましょう、サッサと」

 

まったく、美しく様式化された様式美と言うものがわかっていないようだねこの子は……しかし、如何なる時でも自分の名前を丁寧に訂正する訂正美には感心する

 

‐‐‐

 

「軽空母の春日丸です」

 

「軽空母か…」

 

なんだろうな、この新鮮なポテトが収穫できそうな村から出てきたような顔は…

 

「ちなみに性能は~…」

 

俺は基本性能が記載された書類に目を通し、衝撃を受けた……ヤダっ!この子、激弱なんですけど!?びっくりするほどカスなんですけど!?

 

「…とりあえず、最初は友永殿貸してやるから、それなりの水準まで頑張ろうな」

 

「あの…スイマセン、自分、艦攻積めないんで」

 

「は?」

 

「艦攻はちょっと積めなくて……艦爆なら少々」

 

「そうか、艦爆なら少々か…」

 

艦爆か…たしか江草殿が余ってたし、とりあえず貸してやるか

 

「あ、でも、一応改装を重ねれば先制対潜とかできる自信あるんで…」

 

「そうか、まぁ最初は下で徹底的に鍛えてやるので安心したまえ、うちの方針はどんなカスにも一攫千金のチャンスがあるだ」

 

「………カス」

 

しかし、空母とか言ってたが先制対潜か、そういや前にヌ級みたいなのでヒトミちゃんにいきなり撃ってきたとかなんとか報告があった気もするが…

 

「ときに春日丸くん」

 

「なんですか?」

 

「実は提督、さっきから気になってたんだが……なにかね?その…腕に乗せてるのは?」

 

「九六式艦戦改ですが?」

 

「…九六式艦戦改か」

 

「はい、九六式艦戦改です」

 

「…それ、餌とか食べるのかね?」

 

‐‐‐

 

「次の方どうぞ~」

 

鍛え上げれば一流の仲間入り出来そうな可能性を持つ春日丸が退室し、次なる可能性の天才が入室してきた

 

「補給艦の神威です」

 

「補給艦…だと?」

 

「ハイ!補給艦です!」

 

これは速吸クンとはまた違った路線を攻めていくタイプだな、速吸クンが部活動で汗を流したキャプテン俺に爽やかにスポーティードリンクを差し出してくれてそれから大会やら怪我やらなんやかんやイベントをこなして順調にフラグを重ねてイイ感じになって誰も居ない部室でアーンなイベント→幸せなエンディングのタイプなら、この神威は部活動に汗を流してヘトヘトになって寮に帰ってきたキャプテン俺に美味しいカレーを振る舞ってくれて、それからなんやかんやあってアーンなイベントをアーンな感じでアーンして貰うアレだろう、つまりアレだ、エロい!

 

「基本性能は~…」

 

書類に記載されている基本性能を見るに、戦闘向きではないみたいだな

 

「とりあえず神威クン」

 

「はい!なんですか!補給ですか!」

 

「そのフンドシみたいな服捲って貰っていいかな?」

 

「………は?」

 

神威クンの笑顔が凍りついた

 

「提督、神威さんがドン引きしてます」

 

「む、つい小粋なテイトクジョークが出てしまったね、ハッハッハ」

 

「あ…ジョーク、ジョークですね、はい」

 

「ハッハッハ」

 

「ジョークでなければ弱カ●イリムセで永久ハメした後にアペフチカ●イリムセでブチ殺すところでした」

 

コイツ………修羅かッ!?

 

「ハッハッハ、まぁ宜しく頼むよ神威クン、あと、胸を揉ませてもらっていいかね?」

 

小粋なテイトクジョークを交ぜながら神威クンの肩を叩くと、神威クンからア●ヌムツベと言う名の強烈な下段蹴りをベンケイに喰らった

 

「ギャアアアアアア!!ベンケイがッ!ベンケイがァァァ!」

 

‐‐‐

 

「次の方どうぞ~」

 

ア●ヌムツベと言う名の執拗な下段キックで俺の脛を破壊した神威クンが退室すると、次なる天才メイトが入室してきた…

 

「三連装主砲を持つロシアの弩級戦艦!Гангутだ」

 

「………は?なんだって?」

 

3人目は、なにやら全体的に白っぽい旧ソからやって来た戦艦、ガン……ガン?なんちゃら

 

「え?ナニ?ガンダーX78?」

 

「ガングートさんですよ」

 

五月雨が日本人にも優しい発音で名前を訂正して教えてくれた、コイツ、フランス語はアレだったがロシアなら大丈夫なのだろうか?

 

「え~…ガングートくんは戦艦?と言うコトで?」

 

「Это положительный」

 

「あ゛?」

 

「肯定だ、まぁ宜しく頼むぞ」

 

なんか偉そうなヤツだな、とりあえず基本性能は……なんだ、カスか、ん?

 

「オイ、オマエ魚雷積めるのか?」

 

「積めないが?」

 

「でもオマエ、コレ書類には雷装がどうのこうの数字が書いてるぞ」

 

「あぁ、それは単に雷装値が0と言うのもカッコ悪いので水増しして申告しただけだ」

 

「なんだ、水増ししただけか…」

 

「ハァーハッハッハ」

 

「ハッハッハ……って!!堂々と虚偽書類を提出すんなァァァ!!」

 

「細かいコトは気にするべきではないぞ、同志提督!」

 

「同志提督ってゆーな、同志じゃねぇよ」

 

本人曰わく、一応、改装を重ねると魚雷積めるようになるらしく、あの、強く美しいビスマルクさんに匹敵する夜戦火力になるらしい、本人曰わく

 

「まぁいい、スタメンで使えるようになるまでファームで徹底的に鍛えてやるからカクゴしとけ」

 

「フッ、このГангут、すぐに開幕一軍登録になるぞ」

 

「やかましい、話は終わりだ、とっとと消えろ」

 

「まぁ待て同志提督、たしかこの基地には同志提督の他にも同志Верныйが居るらしいじゃないか?」

 

「あ゛?う゛ぇ…?誰だそれ?」

 

「今夜は親愛なる同志諸君らと共に革命について存分に語り明かそ…」

 

「だから同志じゃねぇって言ってるだろーが!!とっとと出て行けェ!!」




次回は②

まったく!海防艦も最……


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続続続・提督と新人と面接②

分割2回の新人回、後半戦
生き埋めにされたいんしゅか!

【登場人物】

占守
占守型海防艦の1番
ボールを持ったらパスしないタイプ

国後
占守型海防艦の2番
ボールを持ったらクレバーに徹しようとして失敗するタイプ

択捉
択捉型海防艦の1番
声を掛けるだけで事案になるタイプ


ロシアから来た革命同志ガングートとのアツかりしファイナル革命を制した俺は次なる天才達を呼ぶ前に窓を開けて深い溜め息を吐いていた

 

「五月雨、お茶」

 

「あったか~いですか?つめた~いですか?ぬる~いですか?」

 

「…アツいヤツな」

 

なんだよ、ぬる~いって選択肢は誰が選ぶんだそれ?多摩ニャーか?多摩ニャーが選ぶのか?

五月雨は俺の要求通りにアツいお茶を湯呑みに淹れ、机に置いた…

 

「…はぁ、あと3人も居るのか?」

 

「はい、あと3人です」

 

正直、今までの3人の時点でもう俺は心身共にうんざりなんだが…っーか神威クンに蹴られた右足超痛いし、コレ絶対折れてるよ、だって痛いもん

 

「はぁ…まぁ、うんざりするコトはとっとと済ますか、次だ、次」

 

「あ、次は3人まとめてでお願いします」

 

「ハァ!?聞いてねーんですけど!?提督聞いてないよ?」

 

ナニしれっと言ってんだこの青髪ロングは…

 

「残りの3人は同じ海防艦ですし、いっそまとめた方が効率が良いと思いまして」

 

「海防艦…?なんだそりゃ?聞いたコトねぇ艦種だな………敵か?」

 

「敵じゃないです、海防艦は………まぁ、平たく言えば小型艦ですかね?」

 

「ふ~ん」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?まぁいい、とりあえずさっさと済ませてしまうか

 

「よくわからんがわかった、よし、呼べ」

 

「はい、では海防艦の方どうぞ~…」

 

五月雨の呼び声の後、執務室の重厚かつ堅牢な無駄に重い扉を開き、残っていた3人の可能性を秘めたメイト達が入室してきた

 

「では1人づつお名前を…」

 

「サミーダレくん」

 

「五月雨です、なんですか?」

 

「いや……いい」

 

なんだろうな?ウチは軍であって私学のエレメンタリー・スクールでは無いのだが…

 

「占守型海防艦の占守っす!」

 

「占守型海防艦の2番艦、国後よ」

 

「択捉型海防艦1番艦、択捉です」

 

「あぁ、うん、ヨロシク、帰っていいよ」

 

俺は書類に目を通して期待以上のダメっぽい基本性能を確認すると、それ以上話す事もないので右手のジェスチャーで去れと手をプラプラした

 

「ヒドいっすよ!まだ何も話してないっすよ!もっとこう…ほら!楽しくお喋りとかしたいっすよ!たとえばほら…好きな子の名前言いっこしたり!」

 

「やかましい、え…キミはシ…シ、シュミセンくんだったか?」

 

「占守っす!シムシュ、っす!」

 

「はいはいシムシューくんね、シムシューくん、ホイップたっぷりの美味しそうな名前じゃないの、うん」

 

「シューじゃないっす、シュっす!ほら、クナも文句言うっすよ!」

 

クナと呼ばれたシムシューくんとよく似た服を着たもう1人、あぁ、これはアレか、妹さんとかなんとかアレなヤツか

 

「や、別にこっちも話すコトあんまないし…」

 

「そうだぞ、え~…クマムシくんだったか?」

 

「国後よッ!!」

 

「そうっすよ!クナはクナっすよ!間違えるとかよくねーっすよ」

 

テンション高いなコイツ、まぁ、たしかに間違えるのは良くないか

 

「…ちょっと待って姉さん」

 

「なんすか?」

 

「私の名前、言って」

 

「クナ」

 

「略称じゃないで、私の名前」

 

妹からのまさか知らないワケないでしょプレッシャーを前に、シムシューくんは勇気を出して妹の真の名を口にした

 

「クナ……クナシュー?」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「シムッシュッ!!」

 

「妹の名前間違えんなァァァ!!」

 

妹からのアツいビンタを受け、シムシューくんは床に転がった

 

「…痛いっしゅ」

 

「痛いっしゅじゃないわよ、バーカ」

 

「まぁまぁ、キョーダイは仲良くしたまえよ、ほら、チョコレートでもあげよう」

 

俺はポケットから溶けにくいチョコレートを取り出し、2人の海防艦娘に渡してやった

 

「……」

 

「そういやもう1人いたな、え~…択捉くんだったか?君にもあげよう」

 

同じ海防艦でもあんま似てないし、たぶんコイツらのご兄弟の方ではないのだろうか?

 

「…ありがとうございます」

 

「なんで択捉は間違えねーんすか!?納得行かねーっすよ!洗面器に顔突っ込んでやるっすよ!」

 

「占守うるさい!口にガムテープ貼るわよ!」

 

とりあえずこの3人の海防艦、基本性能は雑魚っぽいが対潜能力に優れているらしく、本来なら3ケタ必要な対潜値を60で先制対潜できる可能性を秘めているそうだ…

 

「とりあえず面接は終わりな、終わり、今日はもう帰れ」

 

「マジっすか!提督!占守ファミレスとか行きたいんすけど!ファミレス行って軽食とドリンクバー頼んで成績とか部活とかどうでもいいコイバナとかしたいっす!」

 

「あー…わかったわかった、今度連れてってやるから帰れ」

 

「約束っすよ!クナと択捉もっすよ!ハンバーグとか頼むっすからね!」

 

「わかったわかった、はい、さよーなら」

 

なかなか元気良く騒いでいった新手のワンパク艦、海防艦の3人はそれぞれ頭を下げて退室して行った

 

---

 

「はぁ~…これで終わりか?」

 

「はい、お疲れ様でした」

 

今回もなんか使えるような使えないような、ロクな奴らじゃなかった気がするな……まぁ、よく考えたら、上はウチには些かアレな人材しか回さないのは今に始まった事じゃない

 

ゴン!ゴン!

 

「ん?」

 

執務室の重厚な扉を力強く叩く音がする、まさかまだ誰かいるのか?一抹のイヤな予感を感じているとデカい何者かが入ってきた

 

「フッ…水臭いぞ、同志提督」

 

「オマエは……?」

 

…誰だコイツ?

 

「あ、そう言えば長門さん改二になったんですよ」

 

なんだ長門か、言われてみると長門だな、あぁ、たしかに長門だ

 

「フッ…同志提督、このビッグセブン、噂の新たなるエンジェルス、海防艦に挨拶したくてな…で?その海防艦はどこだ?」

 

「同志じゃねぇよ、っーかアイツらなら帰ったぞ」

 

「なんと!?」

 

「海防艦の子なら提督からチョコレート貰ってハシャいでましたよ」

 

五月雨ェ、話の前後をキチンと説明せずに余計な事をッ!!

長門は俺の胸ぐらを掴みあげ、その超絶パワーで俺の身体をガクガクと揺らす!

 

「貴様ァ!抜け駆けか!甘いお菓子でエンジェルス達のハートをキャッチして1人好感度アップ大作戦か!ズルいぞ!何故このビッグセブンも誘わないんだ!同志提督ーッ!」

 

「成り行きだ、成り行き!っーか同志じゃねぇよ!放せッ!放せコラァ!」




次回から通常営業

ヒロインが颯爽登場


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提督と鈴谷と通常営業

ちょいと間が空きましたが再開ですって

【登場人物】

提督(137)
欲望に忠実な快男児

鈴谷(44)
金とカレーが好きなスペシャルなビッチ


「てぃーっす、鈴谷が遊びに来ましたよぉ~」

 

新たなるメイトを無事に迎えた春の執務室、今日は連戦の疲れを癒やす為に五月雨も休暇をとっており、俺は1人、読みかけで放置していた文庫本を読みながらこれからの地球と人類の歩みについて真剣に考えていると、ビッチ臭を撒き散らすビッチモンスター、略してビチモンがやって来た

 

「…」

 

俺は机の引き出しから普段から持ち歩いてないリボルバー式の拳銃を取り出し、机の上に置いた

 

「ナニコレ?」

 

「その銃で自ら命を絶ちたまえ」

 

「厳しいッ!!鈴谷に対して厳し過ぎるッ!」

 

久々にツラ見たと思ったらコレだよ、このビッチオブビッチは、俺の爽やかな休日にまるでYOKOZUNAやO-ZEKIの如く激しいぶちかましを当ててきやがる

 

「厳しくない、提督だ」

 

「まぁいいや、サミーは?休み?」

 

「休みだ」

 

「ふ~ん」

 

何がふ~んなのかは知らないが、鈴谷は戸棚を開けてカールの袋を取り出し、冷蔵庫を開けてペットボルトに入ったオレンジジュースを取り出してグラスに注いだ

 

「なに勝手に飲み食いしてんだテメーは、前歯折られてーのか?」

 

「いいじゃん別に、ってか鈴谷遊びに来たんですぅ、お客様だよ?お客様」

 

「何がお客様だ」

 

「とりあえず提督ヒマでしょ?ゲームしよーぜ!ゲーム!」

 

「暇じゃない、ご覧の通り、俺は忙しい」

 

「や、暇そうじゃん……なんか本読んでるだけじゃん?」

 

まぁ、特に急いでやらねばならない仕事はない、しいて言うならば後でプランターのミニトマトに水やりでもするぐらいだろう

 

「ス●2しよーぜ!ス●2!鈴谷の地獄車で提督とかマジ地獄車よ!」

 

「やだよめんどくさい、お前弱いもん」

 

「は?弱くねーし、もし鈴谷が負けたらカメラの前でアヘ顔ダブルピースしてやるし」

 

どこからこの自信が湧いてくるのかは知らんが、これだけ言うならばある程度は練習してきたのだろう

 

「ふ~ん」

 

「ふ~ん、じゃねーし!アヘ顔ダブルピースだよ?鈴谷のアヘ顔ダブルピースだよ?マジ普通はちょっとお金出しても見れないレアな感じのヤツだよ?」

 

「何がレアだ、そんなエロ本、俺は36冊持っているよ…」

 

「え…?マジで?」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

「あ、あぁ~ジョークね、うん…ジョークね、うん、知ってるし」

 

鈴谷はグラスに入ったオレンジジュースをワイルドに飲み干し、大きく息を吐いた

 

「用がないならさっさと去れ、部屋にインモラルな匂いが充満してかなわん」

 

「インモラルな匂いとかしねーし!ナニ?溜まってんの?」

 

「そりゃオマエ、溜まるに決まってるじゃねぇか?どこかで欲望の捌け口を見つけて処理しないと大変な事になるぞ」

 

「お…おぅ、そうなんだ…へぇ~」

 

まぁ、俺は良識ある大人だから夜の街に行くが、世の中には秘密裏に作られた地下室で欲望を発散させたり、執務室で駆逐艦から遠征の報告を聞きながら机の下にいる誰かに欲望をぶちまけたりするトレンディな基地や鎮守府も多いと聞く、実に羨ましい話だ

 

「あ、じゃ~提督、一つ鈴谷からご提案が…」

 

「あ、ムリ」

 

「ムリってナニ!?まだ何も言ってないじゃん!?」

 

「聞くまでもないわ、そんなに小遣いが欲しいなら仕事紹介するぞ?仕事、地域の行政に強い発言力を持つ豚尻孕蔵議員(49)が見た目JKぐらいの若い秘書を探していてな…」

 

「絶対ヤダし!?ナニその名前!?オーク?オークかナンかでしょ?マジで!」

 

「失礼なコト言うんじゃないよこの子は、オークに失礼だろーが」

 

たしか経済誌に顔写真が載っていた気がするので俺はパラパラとページを捲り、鈴谷に見せてやった

 

「やっぱオークじゃん!?名は体を表しまくりじゃん!?」

 

「まぁ、些か脂の乗った年代ではあるな」

 

「ギトギトだよッ!これ絶対孕まされるヤツじゃん!?ワシの種●けプレスで生き残った者はおらんとかゆータイプじゃん!?」

 

「女の子が種付けプ●スとかゆーんじゃないよ」

 

ちなみに、お小遣いに関してはかなり良い額貰えるらしい

 

「絶対ヤダし!ってか提督!お小遣い!お小遣いくれるなら提督頂戴!鈴谷新しいゲーム買いたいし!」

 

「やだよ」

 

「いいじゃん!鈴谷今回の作戦海域出てないからお金無いんですぅ!」

 

「そうだったか?」

 

「そうだよッ!」

 

言われてみると、もがみんとくまりんこ姉ちゃん、そして熊野はなんやかんや活躍してた気がするがコイツは見なかった気がするな…

 

「鈴谷が出たいって言ったらタマゴ焼きセンパイと半裸センパイがダメだったら出してやるとか言ってたけど、普通に完封してきたせいで出番無いし」

 

あ~…そう言えば、なんか出して出して鈴谷もイきたいーとかゴネてたが、別に溜まってるワケじゃなかったのか

 

「っーワケで!お金がありません!」

 

「わかったわかった、あー…じゃ、こうすっか?オマエ新人連れて演習行って来い」

 

「え~…演習ぅ?マジだるいんだけど」

 

「見事勝ち越したら演習手当に加えてボーナスをつけてやる」

 

「ヤります!ヤらせてください!心を込めてヤらせて頂きます!」

 

こうして、鈴谷は海防艦の3人と神威と春日丸を連れて果敢に大和型や長門型や正規空母の群れに突っ込んで行った…

その熱意あるファイトは見るものを感動させ、戦争の意味を世界に問う充実した内容だったと後に提出された演習記録には記載されていた…

 

---

 

「………お小遣いください」

 

「演習手当は出してやろう、ほら、これでハンバーガーでも食べなさい」

 

5戦4敗か、まぁ、期待はしてなかったがそんなものだろう、むしろ1勝出来てるのが不思議だが…演習ではたまに、疑惑のジャッジがあるからな

 

「…少なッ」

 

「1勝しかしてないからな」

 

それでも、演習手当を貰った海防艦はビスケット買いに行くっすよとか言ってハシャいでたが…

 

「…提督」

 

「なんだ?」

 

「鈴谷、肩とか揉むのが超上手いけど?オパーイが頭に当たる感じのオプション付き、5000円で」

 

「…500円な」

 

「安いッ!!」



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提督と古鷹型とナイトクラブ21

お久しぶりナイトクラブ回

【登場人物】

古鷹(3)
明石の店でちょいちょい名前が出てた天より舞い降りしエンジェル、エンドレスワ●ツ版

加古
今まで名前も出なかった古鷹型のハンサムボーイ、ハンサムが服を着て腹を出している

鳳翔(5)
通称、ビッグママ
調理師免許は持っているらしい


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「ママ、コレ、昼間穫って来たお土産」

 

「なんだいこりゃ?」

 

「ムツゴロウ」

 

ムツゴロウは主に有明海の干潟の上にいる魚で見た目からしてヌルっとしているマッドなスキッパーでよく見るとキモい

 

「フーッ~……蒲焼きにでもするかね」

 

ビッグママこと鳳翔は長い煙管をトントンと叩き、灰を落としながらクーラーボックスの中でビクビクと動くムツゴロウをジッと見つめて蓋を閉めた、さすがはママだ、免許持ってないけど河豚捌けるだけはある、免許持ってないけど!

 

「焼いてやるからアンタも食って行きな、ボーイ」

 

「いい加減ボーイはやめてくれよ」

 

俺はママとのアダルティクスな大人の挨拶を済ませ、テキトーな空いている席に座り、煙草に火を点けて傍に置いてあった基地スポに目を通した

 

「フーッ~……大鯨ホエールズ泥沼七連敗か」

 

「いらっしゃいませー、古鷹です」

 

「加古でェ~す」

 

席へとやって来た本日の俺をアツくさせる重巡メイト、古鷹型姉妹の2人…

 

「まぁ、座りたまえ」

 

「じゃ、失礼しまして…」

 

古鷹型重巡の姉、古鷹さん

かつては田舎から出てきたばかりでモサっと感が拭えなかったが、改二改装された時期ぐらいから急激に洗練されスタイリッシュになり、出撃する時にはよくわからない羽根が舞い散る描写が差し込まれている、ちなみにこの羽根、あまりの神々しさに最初は目の錯覚かと思われていたが、実は装甲のガンダニ●ウムが剥離して、その粒子が集まったものらしい

 

「はぁ~…だるいんだけど、よっこらせっくす」

 

古鷹型重巡の妹、加古

古鷹さん同様、以前はどこか田舎のヤンチャボーイ的な姿だったが改二改装の時期から都会的に洗練され、今や俺や天龍や木曾を脅かすプリズムオーラを放つ見た目イケメン枠に入っている

 

「何を飲まれますか?」

 

「そうだな、まぁ、とりあえずビールで」

 

「ビールですね!」

 

古鷹さんはいつものオリ●ンビールの瓶を取り出し、ビール8、泡2の割合でグラスに注ぎ俺に手渡してくれた

 

「どうぞ」

 

「お…おぅ」

 

…普通ッ!ここまで圧倒的普通ッ!何の問題もなくグラスにドリンクが注がれる展開、さすがはエンジェルである古鷹さんだ

 

「テイトクぅ、アタシらもナンか飲んでいい?」

 

「あ?あぁ、構わんぞ」

 

「じゃ~…アタシはメガシ●キにしよ、古鷹は?」

 

メガシ●キかよッ!なんで睡魔と戦ってんだよコイツ

 

「あ、じゃ私はエンジェル・フェイスで…」

 

ジンベースの中でもワリと古典的なカクテル、エンジェル・フェイス、さすがはエンジェルと呼ばれる古鷹さんだ、俺の期待を裏切らない注文に俺の胸はアツく躍るのだよ

とりあえず、それぞれの手にドリンクが渡ったので俺達はスタイリッシュにカンパイを交わした…

 

「美味いッ!」

 

「すっぱいなァ!コレェ!テイトクぅ!コレすっぺーよォ!」

 

「目が覚めたか?」

 

「いや………あんまり」

 

加古はメガシ●キを飲み干し、アイスペールに入った氷をガリガリと食い始めた

 

「コラ!加古!氷なんか食べたらお腹が冷えるでしょ!」

 

「大丈夫大丈夫ぅ、あー…目ぇ覚めて来たァ~…腹の奥がドキンドキンでダムダムしてきたァ~」

 

「それお腹壊してるのよ加古ォ!食べるのやめなさい!」

 

「いやァ~でもよォ~…この氷なんかすげーうめーっーか、なんっーか口当たり爽やかな高原の風っーか、天然水?南極の天然水凍らせたみてーな混じりっけナシの天然素材っーか…」

 

「いいから食べるのやめなさい!」

 

ビタンッ!(平手打ち)

 

「カコッ!!………ぅ、お腹痛い」

 

「当たり前でしょ」

 

---

 

「あーテイトク、テイトクってアレだろ?ホモなんだろ?」

 

ダラダラとしょーもない世間話をしていると、加古から恐るべき単語が飛び出し、ついでに、俺の口からもアルコール汁が飛び出した

 

「ブッ!!………どこから聞いた話だ?それは?」

 

「サミー、なぁ古鷹」

 

「え?えぇ…」

 

ちなみにこの基地、俺が頑なにケッコン制度を利用しない為か、俺がホモであると言う話がワリと定説になっているらしく、ホモ79%、ロリコン18%、その他3%という実に屈辱的な目安箱アンケート結果がある

 

「ちなみに俺はホモではない、提督だ」

 

「なんだ違うのか…え?じゃナニ?アタシにムラムラすんの?」

 

「お前にはしないが古鷹さんにはするな、具体的には2週間に1回くらい地下室に監禁してヤバいクスリ打ってブチ●したい妄想をするぐらいだ」

 

「け…ケダモノッ!」

 

古鷹さんがドン引きしている気がするが、アツいホモ疑惑よりはマシだ

 

「ケダモノじゃない、提督だ」

 

「マジかァ~…古鷹の読んでる本に出てくる眼鏡提督はだいたいドSのホモだから提督もホモだと思ってたわ、アヒャヒャヒャ」

 

「ちょ!加古!今その話言わなくていいから!」

 

ちなみに、古鷹さんのお気に入りは“大佐の下でAGAKE”なるイヤな予感しかしないタイトルらしい……その大佐がテスタロ●サ大佐なら俺は古鷹さんときっと仲良くなれただろう…

俺はその残酷かつ過酷な運命の悪戯に心で涙を流していると、なにやら香ばしい匂いがプンプンと漂ってきた

 

「ボーイ、焼いたからアンタも食べな」

 

ビッグママこと鳳翔が先程渡したムツゴロウを調理してくれたらしく、俺達が座る席に持ってきてくれた

 

「ナニそれ?うわっ…グロっ!?」

 

「…なんですか?その変なの」

 

「グロくない、ムツゴロウだ」



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深海最前線・The Яe-birth

※今回は深海翻訳機能ONにしてお送りしております

【登場人物】

戦艦水鬼
戦艦棲姫になんとなく似てる上位種、最近見ない

北方水姫
帽子がオシャレな痴女

戦艦棲姫
ディフェンスとリバウンドに定評のある深海きってのタフ・ディフェンダー

ツ級
デカい

護衛棲姫
よく見るとすげー格好してる

新型艦載機
キモい

中枢棲姫
メチャシブい

春雨(6)
新型バーベキュー担当


人類を脅かす深く暗い海の底から来た人類の天敵、深海棲艦、その生態の多くは謎に包まれており、最近の研究ではマグロとか食って生きているのではないかとのデータも出ているが信憑性に関しては微妙らしい

 

「えー…今回は北方海域侵略、いつもみたく失敗したワケですが、ナンか言いたいコトある人ー?」

 

偉大なる航路のどこかにあるらしい深海棲艦の棲家、深海秘密基地!

青い海を取り戻す聖なる海の戦士達が集う深海のサンクチュアリ!

本日、その深海秘密基地にて先日の北方侵略作戦についての反省会が行われていた…

 

「ハイ!ハイハイ!ハイッッッ!」

 

「はい、北方水姫」

 

元気良く挙手した痴女、北方水姫、司会進行役である戦艦水鬼は北方水姫にどうぞと言って彼女に発言権を与えた

 

「戦艦棲姫のバカがキチンと盾にならなかったのがイケナイと思います!」

 

「ハアァ!?」

 

「ハアァ?じゃねーよ、死ぬ気で守れよ、死ぬ気で旗艦守れよタコが、それがオマエの仕事だろーが」

 

北方水姫の発言に、瞬間湯沸かし器の如く沸点を振り切った戦艦棲姫はメンチを切りながら北方水姫に詰め寄った

 

「ブッコロがすぞこの痴女が!だいたいテメーこそなんだその服……いや、服か?防御する気あんのか!?ねぇだろォ!?」

 

「オシャレですぅー、コレはそーゆーオシャレですぅー、だいたいダッサいネグリジェに言われたくないですぅー」

 

「ハイキレた……あー、久々にキレちまったよ、オモテ出ろオマエ、そのマエバリ引っ剥がしてチューブワームの巣に放り込んでやんよ」

 

「ジョートーだコラァ!」

 

戦艦棲姫と北方水姫はハジけるメンチビームをぶつけ合い、互いの唇が思わずKISSしてしまう事故がおきそうな距離まで詰め寄った

 

「はいはい、ケンカしない、お互い言いたいコトあるだろーけど今はケンカしない、後で2人っきりで邪魔の入らない場所で殴り合う」

 

戦艦水鬼はパンパンと手を叩いて両者を諫めに入った

 

「うるせぇババア!」

 

「出番ねーくせに偉そうにすんな!引っ込んでろババア!」

 

「ア゛ァ?とりあえず座れ………殺すぞ」

 

戦艦水鬼のマジギレ顔にビビった北方水姫と戦艦棲姫のは2人はヘヘ…冗談だよ、ちょっとジャレてただけだよと言いながら席に座り、戦艦水鬼は小さな声で後で殺すからと呟き再びいつものクール&ビューティーな顔に戻った

 

「ハイ!他、他になんかない?」

 

「ハイ!」

 

「はい、ツ級」

 

説明不要のデカさを誇る手を挙げたのは軽巡ツ級、とにかくデカい

 

「占守島の時に出てた敵の新人潜水艦の子がエロすぎて目のやり場に困りました!」

 

「嗚呼、たしかにアレはエロかったな、誘ってるかと思ったよ」

 

「オレなんかあまりにエロすぎて吐きそうになったよ」

 

「アレたぶんサキュバスかなんかですよ、あんな常にしゃぶりたそうにしてる娘とかサキュバス以外の何者でもないっすよ」

 

ヘ級やロ級、ヌ級達もアレはヤバいっすよと口々に例の潜水艦ヤバいと発言し、場内がヤバいとエロいでざわつくので戦艦水鬼は手を叩いてざわつきを一旦止めた

 

「はいはい、次!次なんかない?もーちょい建設的な意見」

 

「ハイ!」

 

「はい、サンドバッグ子」

 

「ヒドぉい!!」

 

やや遠慮がちに挙手したのは出て行くたびにボコられる、それがボコだからと言わんばかりにボコられる深海きってのスペシャルな潜水艦、潜水棲姫、今や仲間にすらサンドバッグと言う屈辱的なアダ名で呼ばれている見かけ倒しオブ見かけ倒し

 

「………いや、その…あのさ、もう最初は潜水艦で偵察的なコトとかやめない?なんかいつもすぐバレるし…と言うか、あのイスズサンとか言う人に会いたくないし…」

 

「却下」

 

「ヒドぉい!!」

 

「はい次、もーちょい前向きな意見出して、前向き」

 

「ハイ!ハイ!」

 

「はい、え~……なんだっけ?ポテト棲姫?」

 

「護衛棲姫です!」

 

元気良く手を挙げたのは先の戦いにてデビューを飾った姫級軽空母、護衛棲姫

 

「あー…ごめんごめん、で?ナニ?」

 

「最近育ててる新型艦載機なんですけど…」

 

「あぁ、そのキッショイ鳥みたいなの」

 

護衛棲姫の左腕に乗った魔界の空を飛んでそうな新種の艦載機、ヒューマンがキモいと言う声は聞こえていたが、正直、深海棲艦から見てもキモかった

 

「キモくないです、KAWAIIです」

 

「や、キモいから、フツーにキモいから、で?ナニ?」

 

「最近個体数を増やそうと頑張ってるんですが、最近飼育小屋が手狭になってきたんで新しい飼育小屋作りたいなと…」

 

「へぇ~…いいんじゃない?見た目は超キモいけど強いし」

 

「キモくないです、よく見てください、ほら、この口元とかチャーミングでしょ?」

 

「ごめん近付けないで、ホントマジで、マジで、ってかその口とか絶対噛む口してるから、パーフェクトナチュラルパワーみたいな噛み合わせしてるし」

 

---

 

「え~………じゃ、会議の最後に中枢棲姫クンにお言葉戴いて終わりにしたいと思います」

 

特に建設的ではないものの活発な意見の飛び出た会議も終了の時間になったので司会進行役の戦艦水鬼は上座に座っている深海の大物、見た目は超怖いがメチャシブくて発言に説得力のある中枢棲姫にマイクを手渡した

 

「………仲間を大切にしないヤツはクズだ、以上」

 

中枢棲姫はマイクを机に置いた

 

「さすが中枢棲姫クンだ…」

 

「嗚呼、中枢棲姫クンが言うとなんか説得力がある」

 

「そうだぜ!オレ達はみんなアツき血潮で結ばれた深海の兄弟だぜ!」

 

中枢棲姫の発言に感動した深海の仲間達はアツき友情と絆を再確認し、士気を更に上げた

 

「よし!じゃ会議はコレで終わり!今日はハルサメちゃんが深海バーベキューの準備してるから」

 

「マジで!」

 

「よっしゃ!今日はバーベをキューしちまうか!ギャハハハ!」

 

◆◆◆

 

深海バーベキュー会場…

 

「…はぁ」

 

皆さんこんにちは、白露型五番艦、春雨です

結局帰ってきてしまった深海生活、まさかあの偽者があそこまで馴染んでいるとは正直予想外でした、と言うか、もしかしてあの人は記憶を失って自分を本物の春雨と勘違いしているじゃないでしょうか?

 

「や、それはない」

 

「集ちゃんさん…」

 

「アイツ地上の娯楽にハマって悪堕しただけだから、ただのクズだから」

 

集積地さんは深海鳥肉の刺さった串を手に取り、ムシャムシャと噛みついた

 

「美味いなコレ、なんの肉?」

 

「鳥…ですかね?なんか飼育小屋みたいなところにいっぱい居たのでチョチョイって」

 

なんか魔界生物みたいにも見えたけど、まぁたぶん鳥かと…

 

「ブッー!!!」



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提督と重巡と丼もの

些か忙しくてペースが落ち気味ですって!

【登場人物】

高雄(5)
高雄姉妹の長女、乳がデカくてガラが悪い

愛宕(5)
高雄姉妹の次女、胸がデカくてガラが悪い

妙高(2)
妙高姉妹の長女、ガラが悪い

那智(2)
妙高姉妹の次女、一見するとまともっぽいが何がおかしい

熊野(18)
改二準備中、ぶっ飛ばしてさしあげますわ!


なんやかんやで五月も終わり、一年の半分に差し掛かった六月のわりとどうでもいい午後、俺は喫煙所で煙草でも吸おうと考え執務棟の廊下を歩いていると、外で駆逐艦のヤンチャボーイズ達がドッジボールに興じているのが見えた

 

「おんどりゃあ!くたばらんかいこのドグサレがァ!」

 

「出た!浦風のアックスショットだーッ!」

 

「あの殺人ショットを受けて無事なヤツはいねーぜぇー!!」

 

まぁ元気があって良い事だ、やはり子供は元気ハツラツ!闘球でもして遊んでいるのが相応しい、受けたら無事じゃ済まないアックスショットが普通に捕球されているのを見ながら俺はしみじみと感じていた…

 

「お、テイトクだ」

 

「ナニしてんのぉ?」

 

そんなしみじみを感じていると、廊下の先から豊胸界から来た無双の魔物、おっぱいモンスターズ、高雄と愛宕がやって来た

 

「よぉ、オマエらこそなんだ?妙高姉妹とケンカパーティーにでも行くのか?」

 

「行くかボケ」

 

「あんなチンカス相手にならねーし」

 

この高雄と愛宕、些かガラが悪く、当基地所属の艦が街で起こす問題行動の2割をしめており、一般人相手に喧嘩、深夜の暴走行為、器物破損、たぶん殺人以外の悪い事は全部やっている

 

「牛丼食いに行くんだよ、牛丼」

 

「今日は牛丼の気分なのよねぇ」

 

「ふ~ん」

 

牛丼か、まぁたまにはそんな日もあるだろう、俺だって意味もなく牛丼を食べたくなる日もある

 

「外行って食ってくるのはいいが間違っても問題は起こすなよ」

 

「へいへい、わかったわかった」

 

「うっさいわねぇ、オカーサンかっーの」

 

「誰がオカーサンだ、提督だよバカヤロウ」

 

高雄と愛宕はヘラヘラと笑いながらスィマセェーンとあきらかに反省の心が見えない頭を下げて去って行った、正直な話、コイツらがおっぱいでかくなかったら容赦なく顔面に膝蹴り叩き込んで鼻骨粉砕してやるのに…

 

---

 

クソブタ高雄姉妹と別れ、喫煙所に行って煙草でも吸おうと考えた俺は一番近くにある喫煙所へと向かっていると、今度は妙高と那智に遭ってしまった

 

「よぉ、ナニやってんだオマエら?」

 

「ん?おぉ、今から牛丼食いに行くんだよ」

 

「姉さんが今日は牛丼食いたい日らしくてな」

 

「ふ~ん」

 

あ~…あるある、なんか唐突に牛丼食いたくなる日があるよな、うん、なんかついさっきも同じような話をした気がするが……まぁ、気のせいだろ

 

「オマエらだけか?妹はどうした?かわいい妹達は」

 

「あ~…足柄のヤローはなんかマブダチのメガ……メガヨド?アイツと合コン行った、無駄なのに」

 

妙高はゲラゲラ笑いながらどうせ今回もゲロ吐いて帰ってくると断言した、さすがは長女、妹の成功を1ミリも信じてねぇ…

 

「無駄とかゆーなよ、アイツなりにガンバってるんだぞ」

 

「そうだぞ姉さん、足柄だってガンバってるんだ」

 

「ハァ~?那智ィ…オマエ私の嫌いな言葉知ってっか?ん?“頑張る”と“努力する”だよ」

 

妙高姉妹の頂点に君臨する長女妙高、軍に入隊する前に殺人以外のワルい事はたぶん全部やっている…

 

「フッ、そうだったな」

 

「ワカレばいいんだよ、ワカレばよォ!まぁいいや、牛丼食い行くぞ、牛丼」

 

「そうだな、羽黒には大盛持ち帰りを買って行くか…」

 

「あとプリンな、羽黒のヤローはプリンがねーとすぐスネるしなァ」

 

名前だけはちょくちょく出てくる妙高姉妹の末妹、羽黒

見た目のかわいさとプリンが大好きとだけ言えば所謂KAWAII感じのイメージだが、実際は見た目が80点、中身は4649点!長女妙高すらもビビっちまう程のヤバいヤツだ

 

「ま、外行くのはいいが問題だけは起こすなよ」

 

「へいへい」

 

「フッ、まるでお母さんだな」

 

「オカーサンじゃない、提督だ」

 

---

 

妙高姉妹のバカどもと別れ、一刻も早く喫煙所に行きニコチンを摂取しようと足早に歩いていると、廊下のカドを歩いてきた誰かに激突した

 

「痛ぁ……テメー!どこに目ぇつけて歩いてますの!ぶっ飛ばしてさしあげますわ!」

 

「ナニがブッ飛ばしてさしあげますわだ、お姫様かテメーは」

 

「…あら?提督じゃありませんの?」

 

激突してM字開脚でパンツ見せるバカ、自称、神戸産まれの……ヒップホップ育ちだったか?熊野はM字開脚に気付いてそそくさと立ち上がった

 

「こんなところでナニしてますの?」

 

「煙草吸いに行くんだよ、オマエは?」

 

「私?私はギュウドォーンを食べに行くところですわ!」

 

「ふ~ん」

 

ギュウドォーンか、なんだろうな、聞いた事の無い名前の筈だが今日はやたらとその名前を聞いた気がする…

 

「オマエの仲良しバディ兼実姉、鈴谷のアホはどうした?」

 

「鈴谷?鈴谷なら部屋で寝てますわよ?なんでも昨日食べたよくわからない魚が腹にキタとかなんとか…朝からウ●コしてベッドに戻ってウ●コしてベッドに戻ってを繰り返してますわよ」

 

「女の子がウ●コとか言うんじゃないよ」

 

「では、大便で」

 

「まぁ……色々と引っかかるものはあるが、それで落ち着いておくか」

 

間違いではないしな、と言うか、トイレとベッドを往復してるで意味は充分伝わる気がするが…

 

「提督もお暇なら私とギュウドォーンを食べに行きませんこと?」

 

「やだよめんどくさい」

 

「恥ずかしながら私!1人でギュウドォーン屋に挿入った事のないギュウドォーン屋ヴァージンなんですの!」

 

「やかましい、あと、変な言い方すんな!せめて牛丼屋初心者と言え!」

 

「では、それで」

 

そういやコイツもアホだったな、しかも結構致命的な、コイツが1人で牛丼屋に入り、なにかしらの問題を起こすだろう確率は非常に高い、むしろトラブル確実ぅ!と言えるだろう

 

「………はぁ、まぁいい、煙草吸ったら付き合ってやるからちょっと待ってろ」

 

「手早く頼みますわよ!モタモタしてたらぶっ飛ばしてさしあげますわ!」

 

「やかましい!っーか気に入ってのか?それ」



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提督とゆうさみとリングでかけろ!

指輪の真実について考える回

【登場人物】

提督(138)
愛が重い面倒くさいタイプ

五月雨(47)
愛無き強さは無に等しい

夕張(26)
愛とはくだらないデータに過ぎない


「…なんだコレ?」

 

爽やかな朝、普段はコーヒーとパン1で済ませるところだが今日は珍しくモリモリ食べたい気分なので食堂でモリモリ食べ、喫煙所で一服し、トイレに行ってモリモリ出した俺は洗面所の姿見で今日も惚れ惚れするほどハンサムである事を再確認し、執務室へとやって来るとなにやら見慣れないダンボール箱が置いてあった

 

「上からのお届け物です」

 

「上だぁ?大本営様からか?」

 

「いえ……もっと上です」

 

冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出し、グラスに注いで俺の机に置いた五月雨は件のダンボールについてイヤな回答を返してくれる

 

「イヤな予感しかしねぇな」

 

まぁいいや、とりあえず見なかった事にしよう、そうだ、配送中のトラブルって事で俺には届かなかった事にするのはどうだろう?俺の知らない間に海軍を揺るがしかねない大事件は起きて俺の知らない間に正義感溢れるラストアクションヒーローが事件が世に出る事なく解決する、実に完璧な流れだ……そうだよ、これだよ!ピュアな読者や視聴者ってのはこーゆーヒロイックな展開をいつだって絶賛お求め中だしな、約2時間尺の時間内でヒーローが巨乳なヒロインとのちょいちょいロマンスとアハーンを入れてラストは情熱的なKISSで締めるッ!これだよ!

 

「よし…」

 

俺は長くてハンサムな足でダンボール箱を部屋の隅にずらし、執務席に座り基地スポを読むことにした

 

「…アイオワは3HRか、やっぱメジャーはハンパじゃねぇな」

 

「いいんですか?開けなくて?」

 

「いいんだよ、どうせ1日2日開けなくも腐るモンとか入ってねぇだろ」

 

「まぁ、ナマモノではなさそうですけど」

 

イヤな事はとりあえず先延ばしにする、日本人特有の悪い癖だがまぁアレだ、とりあえず今日は気分じゃないし、見なかった事にする

 

「それが大人の特権だよ」

 

「はぁ…?」

 

五月雨はそうですかと言ってアニマル柄のファイルを閉じ、クロスワードパズルの雑誌を取り出した

 

---

 

「……ん?」

 

午前のしょーもない書類仕事中、机の引き出しに入った朱肉を取ろうとしたら何かがガツガツと引っかかった、おもしろい……たかが引き出し如きがこの俺に楯突くとは、力業には力業に対抗しようという俺のプライドに火を点けちまったよ

 

「ハアアアァァァァ!!!」

 

たかが引き出し如きが!この俺の前には無力と知れいッ!俺は全力で引き出しを引き抜いた

 

バギッ!!!

 

「ん?」

 

やべ、なんか壊れた音がした…

 

「…なんだコレ?」

 

とりあえず、取り出してみるとなんか小さな箱みたいなヤツの蓋が潰れただけらしい

 

「なんか見覚えのない箱だな、中身はなんだ…?」

 

とりあえず、潰れた箱を開けてみると中には微妙にひしゃげた指輪的な物が入っていた………指輪?

 

「なにやってるんですか」

 

「ナニじゃない、提督だ、ってかサミダミンくん、コレはなんだ?」

 

「五月雨です、あぁ…それ、かなり前に大本営から送られてきたケッコンお試しセットのヤツでしょ」

 

「あぁ~…あったな、そんなの」

 

そう言えばかなり前に上の事務局みたいな課から着払いで来たな、着払いで!なんか限界突破がどーのこーので試供品ですとかなんとか…

 

「失くしたと思ったら、こんなところにあったのか」

 

「試しに誰かにあげたらどうですか?」

 

「やだよ、俺はケッコンは幸せで幸せで幸せで幸せの絶頂の時って決めてるし」

 

「乙女ですか」

 

「乙女じゃない、提督だ」

 

まぁそれは小粋なテイトクジョークとしてだ、とりあえず嵌めるだけで限界を突き破れ!リミットブレイク!とか言われても胡散臭ささしか感じない代物だが、一応効果はあるらしい

 

ゴン!ゴン!

 

執務室の内部から犯行に備える為に無駄に強固にした重厚な扉がノックされたので、入れと応えると今日もヘソ丸出しのアヘ……アホ顔軽巡、夕張がやって来た

 

「失礼します、先週の開発日報を持ってきましたー」

 

「サミーに渡しとけ」

 

「了解です!はい、五月雨ちゃん」

 

「どうも」

 

夕張は五月雨にかわいい小動物の装丁されたファイルを手渡すと、俺が持っている物体に目ざとく目を光らせた

 

「あ、それって例の指輪ですよね?」

 

「ん?あぁ、かなり前に貰った試供品だがな」

 

「そんなヤバいアイテムどうするんですか?使うんですか?」

 

「ナニがヤバいアイテムだ、ケッコンカッコカリに謝れ」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「またまたぁ~!私知ってるんですよ?たしかその指輪って指輪を嵌めた人間を盲目的に愛してしまう呪いのアイテムなんですよ」

 

「マジか!?」

 

夕張曰く、限界突破するが副作用があるらしく、実際はこの人の為にもっと役に立ちたい!もっと役に立ってもっと愛されたい!と言う些か病んだ欲望を刺激して理性のタガを無理矢理外す、ある意味、洗脳装置のようなアイテムらしい

 

「そんな恐ろしいアイテムだったとは…」

 

そんな人の心を弄ぶ恐ろしいものを全国の明石チェーンに平然と流通させて販売するとは………海軍の闇は深いな

 

「もう嵌めただけで性奴隷確実ぅ!ですよ、どんなに嫌がっても抗えません、将来を誓った良人が居ても女の心変わりは恐ろしいのぉ~!ですよ」

 

「なるほど…まぁ、どのみち今までも今のトコも使う予定ないし、金庫にでもしまっておくか…」

 

「あ、いらないんなら私にくださいよ!実際どんなアイテムなのかちょっと興味あったんです」

 

夕張は呪いの指輪に別の意味で興味があるらしく、使わないならくれと言い出した、なんだろうな、このロマンティックの欠片すら感じない指輪のお求めは…

 

「悪いな、俺、童貞なんだ……テメェに俺の純潔は渡せねぇな!」

 

「えー!じゃ…じゃ!ちょっとだけ!ちょっとだけ触らせてくださいよ!」

 

「やだよ、明石の店で買えよ、量産品が売ってるだろ?」

 

「…あるんですかね?」

 

「…あるだろ、たぶん」

 

主力商品は二次元キャラアニグッズ、アカシメイトにはきっとそんなものは入荷してないだろう

 

「じゃ、私の持ってる指輪と交換してください」

 

「やだよ、っーかなんだそのゴツい指輪?」

 

「インフ●ニティーリングです」

 

「お前が最後の希望なのか!?」



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提督と熊野と滅多なサービス

戦慄!熊野改二!

【登場人物】

提督(139)
世間体を気にする大人

熊野(19)
とっくにご存じなんでしょう?私はアナタをぶっ飛ばして差し上げる為にやってきた神戸生まれのオシャレな重巡、穏やかな心でありながら激しいエレガントに目覚めた伝説の航巡


改二改装ッ!それは、改を超えた改の力、改と言う力の奥にある“門”を開けた者のみが進入する事ができる更なるステージ!

 

「熊野ですわーッ!」

 

「お、おう…」

 

喫煙所で煙草を吸う前に、自販機で最高にイキでイナセなドリンクでも買って行くかと自販機コーナーに来た俺は財布から小銭に取り出し、何を買うかを考えていると、自販機の近くにある扉が勢い良く開き、熊野っぽい何かが………いや、熊野か

 

「なんだ?イメチェンか?」

 

「イメチェンではありませんわ、私、改二になりましたの」

 

「ふ~ん」

 

あ~…そういや最上型が近日中にどーのこーのってなんか上からFAXが来てたな、コイツのコトだったのか、まぁイメチェンと言う程イメチェンでもないんだが…

 

「そりゃ良かったな、提督がお祝いにジュースでも買ってやろう」

 

「ではオレンジジュースで!」

 

「オレンジね、オレンジっと…」

 

俺は自販機に小銭を入れ、オレンジジュースのボタンを押してやった

 

「ありがとうございま………む!?」

 

「なんだ?」

 

「コレ、オレンジジュースではありませんわ」

 

「バカ言うんじゃないよ、俺はオレンジジュースのボタン押したろーが」

 

熊野は取り出し口から取り出した缶をずいっと俺の目の前に押し付けた、むしろ目の前っーか、目にだが…冷てぇーよ!

 

「近い近い!ってか冷たい!」

 

「この赤さ………コークですわね!」

 

たしかにコーラっぽいな、たまにあるんだよな、缶を補充する時に間違ったスロットに補充して見なかった事にしようってそのままスルーする事が……たぶん明石のアホンダラがそのままスルーしたんだろう

 

「たしかにコーラだな、ちょっと貸してみろ」

 

「?」

 

俺は熊野から受け取ったコーラの缶を全力で縦横無尽に振り、再び熊野に手渡してやった

 

「ほらよ」

 

「ファーックス!なんで振りましたのォ!?」

 

「親切心だ、あとFAXじゃないFuckだ」

 

「クッ!なんて外道………ありえませんわ!アナタこそまさに最低のクズ…ッ!」

 

「最低のクズじゃない、提督だ」

 

まぁ、上手に炭酸を抜けばマラソンランナーも愛飲するきわめてエネルギー効率の良い飲み物になるらしいしな、良い事した後は気分がいい、思わず鼻歌でも歌ってしまいそうだよ

 

「まぁ、これは後で鈴谷にあげましょう」

 

「お前こそ最低のクズだよ」

 

熊野は炭酸爆弾と化したコーラの缶をポッケにしまった

 

「では改めてオレンジジュースを買ってくださいまし」

 

「やだよ、もう小銭ねぇもん」

 

「ファーックス!!」

 

熊野は相変わらず微妙に間違った英語を叫びながらエレガントさの欠片もないキックで壁を蹴った

 

グギッ!!(鈍い音)

 

「うぎゃああああああ!!折れたァァァ!私の足が折れましたわー!!」

 

鈍い音がした蹴り足を抑え、熊野は床を転げ回った………ナニやってんだコイツ、アホなのか?ってか壁に負けるとか何を強化したんだよ、改二改装したんじゃねぇのか?

 

「痛い痛い痛いですわァァァァァ!!」

 

「アホか、オマエは」

 

「い…医務室っ!医務室へ運んでくださいまし…っ!」

 

「甘えるなゴミが、立って歩け、前に進め、オマエには立派な足がある」

 

「その立派な足が今は緊急事態なんですのよ!ほら!早く運んでくださいまし!早く!ハリー!ハリー!ハリー!」

 

「吸血鬼かオマエは」

 

このアホをこのまま此処に放置して立ち去りたいところだが、後に誰かが通りがかった際にこのアホから俺が助けなかっただのあることないこと吹聴されるのも困る

 

「肩を貸してやるから立て」

 

「イヤですわ!」

 

「なんでだよッ!?」

 

「私、ONBUを所望致しますわ!」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「…はぁ?」

 

「さぁ背負いなさい!私を!丁寧にですわよ!」

 

「やかましい、何様だテメーは」

 

「失敗は許されませんわよ!無事に持ち上げるんですわよ!」

 

…女を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだ

まぁいい、持ち上げろと言うなら持ち上げてやろうじゃないか、俺は熊野の身体を持ち上げて肩の上に仰向けに乗せ、顎と腿を掴んだ

 

「ぐわああああああ!!痛い痛い痛い痛いですわァァァァァ!」

 

所謂、アルゼンチンバックブリーカー!またの名をタワーブリッジ!

 

「やかましい、このまま医務室どころか病院に直行させてくれるわい」

 

「ギバップ!ギバップですわァァァァァ!!」

 

ギバーップと叫ぶ熊野があまりにもうるさいので、とりあえず下ろしてやった

 

「さ…更なるダメージを負ってしまいましたわ、これは立てませんわ…」

 

「だらしないヤツだな、それでも改二か?」

 

「誰のせいだと思ってますの!責任!責任をとってくださいまし!」

 

熊野は床をバシバシと叩き、とにかくおぶれと駄々をこねる、駆逐艦のキッズじゃあるまいし…どんな駄々っ子だよコイツ

 

「…はぁ、しゃーない、トクベツだぞ?」

 

「でかしたですわ!」

 

俺はこんなサービス滅多にしないんだからね!と念を押して熊野の身体を背負った

 

「………重い」

 

「失礼ですわね、生き埋めにしますわよ」

 

「やかましい、ドブに捨てるぞ」

 

「ごめんなさいですわ」

 

とりあえず、医務室に向かって廊下を歩き出した俺、なんだろうな?背中に当たるもの的な役得が何もないこの残念な感じは…

 

「こうやって歩いてますと、幼き日を思い出す……アレですわ!ノストラダムス!」

 

「思い出さねーよ、あと、ノスタルジックだ」



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提督と早霜とエレベーターアクション

帰ってきた闇より深いDARK!

【登場人物】

提督(140)
大人であることを自覚的に武器にしたがるが、如何せん、威力が貧弱な武器

早霜(4)
エリート駆逐艦、夕雲型の17番、同世代のキヨシやアサシに比べておませな思考を持っており、遊び球無しのキレのあるドストレートが武器



「…あかんな」

 

「そうですね」ボソボソ

 

エレベーターに閉じ込められ早1時間弱、非常ボタンの連打と階数ボタンの特殊コマンド押しに飽きた俺は無駄に疲れたので床に腰を下ろしていた

 

「はぁ…早く復旧しねぇかなぁ~」

 

「そうですね」ボソボソ

 

正直、煙草が吸いたいのだがこの密室、1人なら気兼ねなく火を点けるがキタローくんも居るのでそう言うワケにもいかない

 

…さて、何故俺とキタローくんがエレベーターに閉じ込められているのか?話はだいたい1時間程前に遡る…

 

---

 

そろそろ夏物の白が欲しくなって来た今日この頃、俺は街のデパートの紳士服コーナーへと来ていた

 

「清汗素材か…」

 

あまり汗がダラダラと出るタイプではないが、暑いものは暑い、本来なら夏はパンツ一丁で生きていたいが、俺は変態ではないのであまり刺激的な格好で基地内をうろつくワケにもいかず、かと言って執務室で布面積を減らしても五月雨が露骨にイヤな顔しやがる、と言うか、アイツは人の格好にイヤな顔する前にあの暑苦しい髪をなんとかして欲しいものだ

俺は札に書かれたサイズを確認し、さっさと勘定を済ませた

 

「よし、これでこの夏はモテモテ待ったなしだな」

 

シャツを数枚購入し、後は地下にでも行って五月雨のクソにデパ地下スイーツでも買って帰ってご機嫌でもとってやるかと考えた俺はエレベーター前へ行き、下行きのボタンを押した

 

「ったく、早く来いよコノヤロー」

 

待つこと30秒弱、上の階からエレベーターがやって来て扉が開いたので中に入ると、上からの先客が1人立っていた

 

「む?」

 

「あ…」

 

上の書店で買い物をしたらしい紙袋を手に下げたどこかで見たような顔……なんか前髪長い、え~と、名前は~…

 

「たしか君は………キタローくん、だったかね?」

 

「…どうも」ボソボソ

 

そうそう、スーパーエリート駆逐艦、夕雲型の子だったな、今日は休暇を取ってデパートでお買い物に来たらしく、普段の私学のJSみたいな制服と違い、オシャレな私服を着ていた

 

「キタローくんも買い物かね?」

 

「…はい、書籍を少々」ボソボソ

 

「ふ~ん」

 

相変わらず何を言ってるか聞き取り辛いな、まぁどうでもいいが…

 

ガクンッ!!!!

 

「ん?」

 

「…なんでしょうか?」ボソボソ

 

なにやらエレベーターが変な感じに停止し、照明が薄暗くなってしまった

 

「おいおいマジか」

 

「…停電か何かでしょうか?」ボソボソ

 

「マジかよオイ」

 

エレベーターはあきらかに止まっているようなので、俺はコンソールに付いている非常ボタンを押し、マイクに向かって話かけてみた

 

「もしもーし?停電かコラ?勝手に止まってるんじゃねーよ、もしもーし?聞いてますかー?」

 

しーん……

 

「…通じてなさそうですね」ボソボソ

 

「参ったなこりゃ」

 

---

 

そして話は現在へと戻る…

 

「おーい、出して下さいよ!ねぇ!」

 

しかし暑苦しいな、たぶん停電なのだろうが密室な上に空調も切れてるから段々暑苦しくなってきた

 

「…あの、提督」ボソボソ

 

「なにかね?」

 

「…携帯電話で助けを呼ぶのはどうでしょうか?」ボソボソ

 

さすがはキタローくんだ、この状況下において最も的確であり、外部との連絡をとる為に確実性の高い手段を提案してくれた、だがキタローくんよ、提督は大人だからそんな方法は45分前には気付いていたよ

 

「残念ながら、実は提督の携帯はバッテリーがキレているのだよ」

 

「…なるほど」ボソボソ

 

「ちなみにキタローくんは携帯とか持ってないのかね?」

 

「…普段あまり使わないので自室に置いたままで」ボソボソ

 

「そうか」

 

万策尽き果てた…ッ!まぁ無いものは仕方ない、とりあえず大人しく復旧するのを待つしかないか…

 

「はぁ」

 

「…」

 

何よりも苦しいのは、このキタローくんと一緒に居ることなんだよなぁ、この子は基本的にシャイガールみたいだから何を話していいのか難しい、かと言って、黙ったままでいるとなんか無視してるみたいで感じ悪いヤツみたいに思われるのもアレだな………よし、ここは大人として上司部下のコミニュケーション戦術Ⅲでいくか!

 

「とりあえず、しりとりでもするかね?」

 

「…しりとりですか?構いませんが」ボソボソ

 

「よし、じゃ俺からな、まず最初はシムシュシュシューのユだ!」

 

「………ユニコーン」ボソボソ

 

終了ッッッ!!!可能性の獣が俺と言う古い血を容赦無く断ちに来たよ!開幕ビームマ●ナムで瞬殺だよ

 

「よ…よし!2回戦!2回戦目いこーか、次はキタローくんから始めたまえ!」

 

「…私からですか?では………早霜のモで」ボソボソ

 

「モか、ふむ…モル●ンレーテ?」

 

「………天剣絶刀ガ●ダムヘブンズソード」ボソボソ

 

まさかこの見るからに内気で暗そうな子の口から天剣絶刀ガン●ムヘブンズソードとか言う単語がスラスラと飛び出るとか提督予想外だよ!

 

 

…そんなワケで、俺とキタローくんはダラダラとしりとりをしながら小一時間ばかり過ごすと停電が復旧したのか、エレベーターがゴキゲンな駆動音とエギゾーストを鳴らして動き出し、俺達は無事にエレベーターから生還を果たした

 

「あ~…やっと出れたなぁ」

 

「…そうですね」ボソボソ

 

「さて、俺は今から事務所にエレベーターに閉じ込められた件について責任者にネチネチと文句つけてくるが…キタローくんも来るかね?」

 

「…いえ、私は帰ります、少々汗をかきすぎたので…」ボソボソ

 

俺もあのクソ暑苦しい密室に居たせいで汗臭い気もするが、たしかに、キタローくん位の多感な時期の難しい年頃の子となるとそれを気にしてしまうのだろう

 

「わかった、気をつけて帰りたまえよ」

 

「はい、ありがとうございます」ボソボソ

 

◇◇◇

 

六月○日、晴れ

今日は休暇をとってデパートに作画資料の本を買いに行ったらなんとエレベーターで提督と運命的な鉢合わせをした、いきなり過ぎて吐きそうになった、でも耐えた

エレベーターと言う密室に二人きりで乗り合わせると言う奇跡的状況だけで胸がレッドゾーンを振り切っていたが神は更なるギフトを与えてくれた、なんと停電でエレベーターが停止し、提督と二人きりでエレベーター内に閉じ込められたのだ、二人きりで!正直、吐きそうになった、でも耐えた

私の目の前で提督はボタンを連打したりノックしてもしもーしとマイクに話かけたりしている御姿を見ているだけでもう下から大洪水になりかけたが………耐えた

エレベーターが復旧するまでの間、提督と楽しくしりとりをした、提督が私にしりとり言葉を投げかけてくるだけで軽くイッてしまった、しりとりとは言え、提督が私に…!私だけ…!私だけを見て!私に話かけてくれている!正直、何度イッたかよく覚えてないが十は軽く超えている、むしろ、今も提督の御顔と御声と匂いを思い出すだけでイキそう、う゛っ!………ハァ…ハァ…

 

「ハヤシー!メシ食いに行こうぜェ!メシ!」

 

「今日はカレーにメンチカツ載ってるらしいって聞いたー」

 

いつものようにノックなしで扉を開き、姉妹である清霜と朝霜のおバカな子供達が部屋に入ってきたのでノートを閉じた

 

「…そう」ボソボソ

 

「なに書いてんのー?まさか宿題!?」

 

「マジか!?アタイやってねぇよ!香取ーヌに殺されるッ!」

 

「…違う、日記よ」ボソボソ

 

「ふ~ん、まぁいいや、メシ食いに行こーぜ!」

 

「メンチカツだよ!メンチカツ!最高のオカズだよ!」

 

…最高のオカズならもう手にしてるわ、私には必要ないものだし、この子達にあげようかな…




次回か次々回から節目の度にやってくる前後編“提督の花嫁編”です


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提督と黒親と肘の鉄

陽炎型フェアその4

【登場人物】

黒潮
陽炎姉妹の三女、インチキ関西弁、バスケはユウダチを擁するチームのキャプテン

親潮
陽炎姉妹の四女、びっくりするほど無個性に見えて下着が


上に提出する書類を無事に作成し、喫煙所で一服でもするかと考え、執務棟の廊下を歩いていると前方から陽炎型っぽい服の二人組が歩いて来た

 

「お、司令官やん」

 

「こんにちは」

 

陽炎型のなんだっけか…?なんかわりとウチに長く居るヤツと……なんだっけか?誰だコイツ?こんなヤツ居たっけか?

 

「よぉ、え~………お前ら」

 

「オッサン、うちらの名前覚えてないやろ!?」

 

「オッサンじゃない、提督だ、ちゃんと覚えてるぞ、え~…なんとか風かなんとか潮だろ?」

 

「覚えてないやん、っーか曖昧か!!」

 

なんだ?違うのか?じゃ雲でも付いてる系か?

 

「うちはほら、黒潮やん?」

 

「黒潮…?嗚呼、いたな、そんなやつが」

 

たしか陽炎姉妹の中でも陽炎と不知火に次ぐ上位種だったな、バスケでは人のイヤがる事させたら右に出るものはいないとか陸奥が言ってた気がする

 

「ふ~ん、で?キミは誰だ?Who are you?」

 

「親潮です」

 

「親潮………?」

 

え…?誰?マジで、こんなヤツうちに居たか?こんなに存在感を感じさせない陽炎型が存在していると言うのか…

 

「うちの妹やん、いっこ下の」

 

「言われてみると制服とか似てる気がするな」

 

陽炎姉妹と言うどいつもこいつも個性的な才能を持つ一癖も二癖もあるスター集団の中において異色とも言える存在感の無さッ!!どう見ても才能の欠片すら感じさせない劇的な無個性ッ!

 

「まぁ、親潮は生まれながらに地味やからな」

 

「ヒドッ!気にしてるんですよ!?ってか生まれながらってヒドくないですか!?」

 

「そうだぞ黒潮、お……お、彼女だって頑張ってるんだ」

 

「親潮ですよ!」

 

「冗談だよ冗談、小粋なテイトクジョークってヤツだ」

 

---

 

「で?お前らはお散歩中ってヤツか?」

 

「や、うちら寮で飼ってるライギョの餌買いに行くとこやん」

 

「ふ~ん」

 

そういや以前、コイツらの姉が草むらでバッタとか探してたな、陽炎姉妹の間ではライギョを飼う事がステイタスか何かなのだろうか?

 

「さすがに毎回毎回バッタ穫りに行くのしんどいってコトで、最近は明石さんのお店でフリーズドライの川エビを買ってるんです」

 

「ふ~ん、まぁ、ライギョは雑食だから食えれば何でもいいっぽいしな」

 

「司令官は煙草でも吸いながらランニングするカイボーカンを視姦でもするんか?」

 

「誰が海防艦なんか視姦するかボケ、ケツにトゲトゲしいキュウリ突っ込まれてーのか」

 

「なんや違うんか」

 

「どうせ見るならランニング中の浜風ちゃんの揺れるおっぱい見に行くわ、浜風ちゃんのハマカゼッパイを!」

 

縦に揺れるそれはまさに凶器と言えるだろう、だがよく考えて欲しい、その凶器とはあまりに大きく、あまりに柔らかく、あまりに刺激的過ぎるのだ、まさに男と言う名のドラゴンを殺す為だけに作られた浜風ちゃんにピッタリの武器だろう

 

「うわ…引くわぁ」

 

「正直、親潮もドン引きです」

 

「引くんじゃないよこのナイチチ地味シスターズが」

 

「誰がナイチチやねん」

 

「そうですよ、浜風さんや浦風さんがアレなだけで私達は平均です」

 

「まったく、ナニ食ったらあんなやらしい身体になるんか聞いてみたいわ」

 

ちなみに、似たようなモン食ってる筈の谷風クンはやらしい身体に育っていない不思議、おそらくは食生活以外の何かがあるだろう

 

「まぁえぇわ、あんま司令官と話しよったら孕まされるかもしれんし」

 

「そうですね」

 

「大丈夫だ、間違ってもお前らにムラムラする事はない」

 

「ハァ…?なんやそら?うちらにムラムラせんとかカチーンとくるわ」

 

「なんでカチーンとくるんだよ」

 

なんだコイツ、変なところにスイッチがあるな

 

「よし!親潮!パンツ見せたれ!」

 

「は?」

 

「は?やないやろ、ほら!親潮の見た目地味やけど下着は誘う気満々の黒パン見せてムラムラさせたれや!」

 

「は…?って!なんで知ってるんですか!?」

 

「そりゃオマエ………姉ちゃんやからな!ほらスカート捲れ!チラっとやで!いきなり全開やのーてチラチラっとやで!」

 

黒潮は親潮のスカートを掴み、親潮はさせまいと両手で必死に抵抗しだした

 

「オラァ!はよ脱がんかい!」

 

「ちょ!待っ…ちょ!やめて!ホントやめて!」

 

「やかましいわ!今から司令官がオマエをパコるんや!」

 

女の子がパコるとか言うんじゃないよ、ナニ考えてんだコイツ

 

「やめ!やめて!やめろォ!!」

 

ドゴンッ!!(肘鉄)

 

「オゴォ!!」

 

親潮の強烈な肘が黒潮のボディに突き刺さり、黒潮はビチャビチャと光る吐瀉物を吐きながら膝を折った

 

「ハー…ハー…」

 

「うぅ…なんて肘や!内臓が…内臓が破裂したわ、しかもちょっとおしっこ漏れそうや…」



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提督と鈴谷と即興劇場

予定にはなかったけど求められたからには仕方ない

【登場人物】

提督(141)
ビッチに厳しい対応を忘れないバッドガイ

鈴谷(45)
負け確ヒロイン、純愛ルートも陵辱ルートもなく、主にバッドエンド担当


速吸クンとのアツいキャッチボールで汗を流し、喉が渇いたので自販機にジュースを買いに行くと自販機の下に手を伸ばす男を誘う事とウ●コする事しか能のなさそうなケツがしゃがんでいたのでとりあえず蹴りをブチ込んでやった

 

「イダァ!!ナニすんだコラァ!?」

 

「ナニやってんだ、オマエ?」

 

勢い良く立ち上がった鈴谷は俺の胸倉に掴みかかってきたので反射的に正面から頭突きをブチかまし、お互いに大きく仰け反った

 

「イダぁ!!」

 

「…痛いじゃないか」

 

「アンタのせいだろ!?アンタの!なんなんですか?え!?鈴谷に何の恨みがあんの!?」

 

「いきなり掴みかかるんじゃないよこのビッチが、思わずKISSされるかと思ったじゃねーか」

 

「するかッ!!!っーかビッチじゃねーし!」

 

世の中にはこんなにも残念なオデコとオデコがゴッチンコがあるものなのだな、まぁどうでもいいが…

 

「で?ナニやってんたんだオマエ?誘ってたのか?」

 

「や、自販機の下に100円落としたから拾おうと…」

 

「ふ~ん」

 

「ってか取れねーし、提督なんか棒みたいなの持ってない?良い感じの長さと硬さの棒」

 

「そりゃオマエ、持ってるが……オマエにはぜってー貸さねぇ」

 

「なんでさ!?ケチか!」

 

「ケチじゃない、提督だ」

 

まぁ、言い方と取り方に語弊と言うか齟齬があるのはわかってはいるが、コイツが言うとどうしてもアレな意味にしか聞こえない不思議…ファッションビッチではなく、性根からビッチのコイツだからこそ為せる高等技術だろう

 

「じゃアレしてよ、アレ!ほら!提督がちょっと自販機持ち上げてる間に100円とるから」

 

「やだよ面倒くさい、っーか自販機とか持ち上がるかよ、俺は箸より重いモンは持ちたくねぇ主義なんだよ」

 

「いいじゃん、ほら!いつものスネークバ●トォー!ってアレで自販機ぐらい持ち上がるっしょ?」

 

「スネークバ●トに謝れ、スネークバ●トに」

 

コイツ、スネークバ●トを一体なんだと思ってるんだ、中二感とロマンに溢れる呪われた設定なんだぞ

 

「いいじゃん!ってか、100円ないと鈴谷ジュース買えないし!」

 

「あそこの蛇口は水飲み放題フェアやってるぞ」

 

俺は窓の外に見える体育館横の蛇口を指差してやった、今はまだそうでもないが夏場はチーム陸上部達が蛇口に唇を近付けてガブガブと飲む姿を見かける青春の体育会系スポットだ

 

「やだし、鈴谷コーラ飲みたいんですけどー」

 

「贅沢言うんじゃないよこのビッチ売りの少女が」

 

「だからビッチじゃねーし!しかも売ってねーし!」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「あ、そーだ、提督、鈴谷に奢ってよ」

 

「やだよ、なんでお前に奢らにゃならんのだ、そのまま渇いて死ね」

 

さっさと缶買ってこの場を去るか、俺は自販機に小銭を入れて缶コーヒーのボタンを押……

 

ピッ!………ゴトンッ!

 

「フッフッフ、油断したね!鈴谷はこの瞬間を待っていたのよ!」

 

俺が缶コーヒーのボタンを押す前に、鈴谷のアホンダラがコーラのボタンを押し、取り出し口にはコーラの缶が落ちてきた

 

「うへへへ~…あざーっす、って!ヒイィ!?」

 

「き………キッ!キサマァァァ…!」

 

「え…?え?そ、そんな怒らなくてもいいじゃん、こ、小粋なスズヤジョークじゃん!」

 

「キサマァァァァァァ!!!」

 

俺は怒りの咆哮と心の弱い者なら即座に気絶するであろう覇気を撒き散らした

 

「ひいいぃぃぃ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!鈴谷調子に乗りました!ごめんなさい!許して!許してください!ぶ、ぶたないで!!」

 

「………だが許そう」

 

「え?」

 

「一瞬とは言え俺の油断を利用するとはな、大したやつだ」

 

「え…?え?な、な~んだ、うへへへ、どーよ!」

 

俺は意外性と援交性No.1ビッチ、鈴谷の成長と健闘を爽やかな笑顔で誉めつつ取り出し口からコーラの缶を取り出して縦横無尽に振ってから鈴谷に手渡してやった

 

「ウオオオォォォォォ!!!………はい、君の物だ、受け取りたまえ」

 

「なんで振ったのォ!?」

 

「なんとなくだ、さぁ、遠慮なく飲むといい」

 

「開けたら炭酸が吹き出るじゃん!?炭酸が鈴谷にかかって頭からベトベトになるじゃん!!」

 

「大丈夫だ、炭酸を振っても缶の横を叩くと大丈夫って最近なんかで見たからな」

 

「はぁ…?意味わかんないですけどー」

 

「モノは試しだ、ちょっとやってみるか」

 

俺は鈴谷の手のひらに缶を立てて乗せ、右手でチ●クラを練り乱回転を球状にして圧縮したものを缶の横っ腹に叩きつけた

 

パアアァァァァン!!

 

「ちょ!ぶあッ!ぶああああああああ!!冷たい!冷たいぃぃぃぃ!!」

 

俺が叩いた側の反対側、鈴谷の方向が大きく裂けて缶の中身が鈴谷に直撃した

 

「うぇ……ちょ、ベトベトするぅ…うぇ…サイアクぅ」

 

「なんだ、やっぱダメじゃないか」

 

「やり過ぎじゃん!!なんでチ●クラ練ったの!?なんで螺●丸したのォ!?ってかナニ!?忍?提督、忍の者なの!?」

 

「忍じゃない、提督だ」

 

「うぇ……ってかマジ最悪、シャワー浴びよ…」

 

「待て」

 

「…ナニ?鈴谷マジ今すげーテンションダダ下がりなんですけど」

 

「床、掃除しとけよ」

 

プッツーン!(堪忍袋の緒)

 

「………オマエがしろォォォォォ!!」

 

この俺がッ!反応すら出来ない程のスピードで繰り出された鈴谷の蹴りが俺の腹に突き刺さり、俺は大きく仰け反って片膝を折った

 

「オゴォ!!!」

 

「死ね!バーカ!っーか死ね!マジで死ね!バーカ!バカ!ホント死ね!」





次回から節目の集中回“提督の花嫁編”です


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提督の花嫁編 前編

全三回予定の一回目

【登場人物】

提督(142)
本編の主人公、喫煙眼鏡
好きなカレーは肉なしカレー

五月雨(48)
初期艦でほぼ専属秘書、痒いところに手が届く

大将殿
海軍省、横須賀所属の本部大将、昔は前線でヤンチャしてたが現在は権謀でヤンチャしてるヤンチャオヤジ


「…ハァ?見合いっすか?」

 

俺は受話器を片手に五月雨の淹れたクソマズコーヒーを啜りながらワリとどうでも良さそうに通話先へと相槌を打つ…

 

『そうだ、悪いハナシじゃないから会え』

 

「ハァ…?普通にイヤなんすけど?コレ断ってOKすかね?」

 

『いいワケなかろう、相手の詳細資料は先日送ったハズだが………お前、見てないのか?』

 

「さぁ?そんなモン見てないっすねぇ~」

 

視界の先で五月雨がなにやら執務室の隅に置かれたダンボール箱を指差しているが……あぁ、たぶんアレか

 

『まぁ、お前の事だから腐るモンでもあるまいし、どうせロクなモンじゃないからと放置しとるんだろう』

 

「まぁそんな感じっすね」

 

『まぁいい、早急に中身を確認しろ、見合いの日まで三日しかないからな』

 

「三日ァ!?ちょ…ちょっと早過ぎじゃないすか?僕にも心の準備とか、美容室の予約とかエステの予約とか…」

 

『やかましい、いいか?逃げるなよ?逃げたらお前は海軍の裏切り者として本部中将五名率いる大和型含むガチ連合艦隊でこの世から消すぞ』

 

やだもー、ガチだよ!このオヤジ、俺を消す為にバスターコールとか何考えてんだよ、常々このオヤジマジヤベーとか思ってたけど、たかが見合い断るぐらいでコレだよッ!

 

「へいへい…行けばいいんしょ?行けば」

 

『それだ、わかればいいんだよ、わかれば、聞き分けのいい息子を持ってオレは幸せ者だぜ』

 

「誰が息子だ、っーかコレ、見合うだけ見合って後は断っていいんだよな?」

 

『は?いいワケなかろう』

 

「ハアァ!?」

 

『オレの顔を立てろよバカヤロウ』

 

‐‐‐

 

大将殿との通話を終え、受話器を置いた俺は棚に置いてあったお客様用のガラス製灰皿を取り出して執務机に置いた

 

「禁煙ですよ」

 

「コーヒー、アツいヤツおかわりくれ」

 

「アツいのですね」

 

俺は胸ポケから取り出した煙草に火を点け、これまた無駄に強固な防弾ガラスの窓を開けて白煙を吐き出した

 

「フーッ~…」

 

空は青いな、こう…アレだな、この澄み切った空の青を見ていると誰を殺せば世界が平和になるのか考えるのが馬鹿らしくなってくる、人もまた地球が生み出した天然自然の産物、人と人が分かり合えば世界はいつだってラブ&ピースじゃないだろうか…

 

「コーヒーです」

 

「うむ」

 

本日二杯目、五月雨のクソマズコーヒーを啜り、再び白い煙を吐く

 

「…相変わらずお前の淹れるコーヒーはマズいな」

 

「二杯目ですよ」

 

もしかしたら二杯目だと味が変化するんじゃないかと淡い期待をしてたが、やはりマズいものはマズかった

 

「箱、開けてみましょうか?」

 

「そうだな」

 

五月雨は引き出しからカッターナイフを取り出し、ダンボール箱を開封して中から無駄に厚そうなファイルを取り出し俺によこした

 

「ふ~ん…」

 

詳細を見るに、相手は技本に関わり合いのありそうな企業一族か、え~……特殊マテリアル加工を生業にしており、起源は江戸初期から続くどーのこーの………ふむ、よくわからんがワリとデカい企業体らしい

 

「あ、相手ってこの写真の人じゃないですか?」

 

「あ?あぁ、たぶんそうだろ」

 

黒髪ロングの如何にも感じのお嬢様の写真、まぁ最近の写真加工技術はマジパナイしな

 

「美人じゃないですか」

 

「美人なんじゃね?」

 

「あれ?反応薄いですね、美人さんですよ?」

 

「会った事もないヤツに興奮するかよ、写真なんざ清楚系AVのパッケージみたいなモンだろ」

 

「例えが最悪ッ!!」

 

「ハァ……まぁいいや、とりあえず会うだけ会ってみるか」

 

正直、かなり気が進まないが仕方ない、これも仕事だと割り切るしかない、結果はどうあれ嫌な仕事も割り切ってやるのが大人だ

 

「出かける準備しねぇとな、五月雨、お前も付いて来い」

 

「は?」

 

「は?じゃねーよ、お前は俺の何だ?」

 

「……部下、ですかね?」

 

「そうだよ、しかもタダの部下じゃないで俺の頼れる秘書艦様だろーが、秘書艦手当払ってんだぞ」

 

「まぁ…たしかに、ほぼ専属の秘書艦ですけど………え?私行かなくても良くないですか?」

 

ナニ言ってんだこの青髪ロングは、イカレてんのか?

 

「ナニ言ってだお前、あくまで大将殿お達しの業務の一環なんだから秘書連れててもおかしくないだろ?」

 

「まぁ…そう言われたらそうですけど」

 

「だろぉ?わかったらゴチャゴチャ言ってないお泊まりセットとかビッと気合の入った服とか用意しとけよ」

 

「…はぁ?」

 

五月雨は納得したような、納得してないような微妙な感情を眉間の皺で表したものの、わかりましたと言って同行に納得した

 

‐‐‐

 

そんなワケで、出発当日…

俺と五月雨は目的地まで運転していくのはさすがにダルいので公共の交通機関を利用して移動していた

 

「しかし中央に行くのも久しぶりだな~」

 

「そうですね」

 

いつ以来だろうな、勲章ものの活躍するワケでもなく、常に微妙な戦果しか挙げてないので偉い人の集まる魔窟……ではなく偉い人の集まる海軍省なんぞにお呼ばれするコトなんざ皆無だしなぁ~…もしかしたら提督の辞令受けた時以来か

 

「たまには鈍行列車の旅も悪くですね」

 

「そうだな」

 

「あ、もうすぐ陸橋ですよ、陸橋」

 

「俺が軍の偉い人ならここで爆破だな」

 

「そーゆーイヤなフラグ立てないで下さいよ」

 

「小粋なテイトクジョークだ、オイ、駅弁くれ、駅弁」

 

「はいはい」




次回は中編

ヤな旅、死のキブン


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提督の花嫁編 中編

全三回予定の二回目

【登場人物】

梶輪大将
通称、大将殿
ぬぅ、逸物が縮こまっておられぬ…

日女大佐
通称、ヒメ
提督の後輩で同僚、軍の闇に嬉々として足を突っ込む危険な性格

ヴェーちゃん
日女大佐のお気に入りの子、カレーパン大好き
標準サイズとされるヴェールヌイより二回りほど小柄


陸橋爆破や暗殺チームとの激闘などなど、息つく暇無く飽きさせないイベント目白押しの鈍行列車の旅を経て、俺と五月雨は無事、大将殿が待ち構える海軍大本営直轄の参謀司令部へと来ていた…

 

「さて、まずは遠い所をよく来たな」

 

「遠すぎて途中で何度も引き返したくなりましたがね」

 

「カッカッカ!相変わらず口は悪いが聞き分けは良くなったな!もう少し反骨心を見せてもいいだぞォ?」

 

「反骨心見せたらガチ装備のガチ連合艦隊が俺の帰る場所をガチファックするんだろーが、クソオヤジが!」

 

「カッカッカ!」

 

アホみたいに笑って済ませようとしてるがヤる時はマジでヤるヤンチャオヤジ、海軍大本営直轄参謀司令部大将、梶輪大将

軍学校をワリとギリギリな成績で卒業+妖精が見えてないと言う二重殺の俺が地方とは言え、一艦隊司令の仕事に回された元凶で、海軍と言う名のヤ●ザと言っていい

 

「しかしお前、見合いの席にと呼び出したのに女連れとは何事だ?ア゛ァ?」

 

「秘書艦だよ、秘書艦、一応提督の俺が秘書艦ぐれー連れてもおかしくないだろ?」

 

「ふむ」

 

まぁ、五月雨とは明日からステディな関係になって明後日にはステディな関係辞めるけどな、とりあえず、お断る口実を作っておかねば…

 

「………ま、よかろう」

 

大将殿は妙にアッサリ納得したが、まぁこのオヤジのコトだ、俺の意図に関しては気付いているだろう

 

「ところで大将殿」

 

「なんだ?」

 

「なんで俺達は全裸なんすかね?」

 

「サウナだからなぁ」

 

参謀司令部に到着した俺と五月雨は早速大将殿と明日の件について事前に打ち合わせをしようと大将殿に面会を求め、とりあえず同道して来た秘書艦を外し、まずは二人きりで話がしたいとのコトになり、俺達は司令部施設の地下に存在すると言う秘密のサウナに来ていた…

 

「っーか、俺サウナ苦手なんすけど?」

 

「バカヤロウ、ここでは一切の隠し事はしないって意味で全裸になるのがシキタリなんだよ」

 

「ふ~ん」

 

あ~…そーゆー感じの秘密会合する部屋なのか、っーかアツくて秘密会合もクソもねぇんだけど?今すぐ程良い冷水にダイヴしたいんだけど?

 

「では、早速本題に入るが~…」

 

「へいへい」

 

◇◇◇

 

提督と梶輪大将が二人きりで話をすると言って待合室みたいな部屋に通されて二時間弱……暇潰しに持ってきた漢字クロスワードの雑誌も最後の問題を解き、暇になってしまった…

 

「………ふぅ」

 

小腹が空いたのはいいとして、喉が渇いた私はここに来る前に廊下で見かけた自販機コーナーで飲み物でも買おうと考え、部屋を出て自販機コーナーを目指して歩いていると、なにやら見た事のある顔が立っていた

 

「おや…貴女は」

 

「ハラショー、ヴェールヌイだよ」

 

一般的な規格のヴェールヌイさんより何故か二回り小さいヴェールヌイさん、たしかこの人は日女大佐の……

 

「ヴェーちゃん歩くの速いっすよ~………って、ん?どっかで見た気がするただならぬ青髪ロングっすね」

 

廊下の先から歩いて来たのは以前にも会議でお会いした海軍でも珍しい女性将校、日女大佐

一応、うちの提督と同じく大佐と付いてはいるものの、上からの扱いが違うらしく、所謂上級大佐と言うものらしい

 

「ただならぬ青髪ロングではありません、五月雨です、お久しぶりです日女大佐」

 

「久々っすね、元気してたっすか?」

 

「まぁ、そこそこに」

 

「アヒャヒャヒャ、そこそこにっすか!」

 

相変わらず開いているのか閉じているのかよくわからない目をしているのでイマイチ思考が読みにくい…

 

「あ、サミーちゃんが居るってコトはセンパイも来てるんすか?」

 

「来てますよ」

 

「マジっすか!どこにいるんすか!?拷問部屋っすか?」

 

「拷問部屋とかあるんですか?ここ?」

 

「そりゃあるっすよ、海軍が誇る闇の溜まり場みたいなモンっすからね、他にも大きな声では言えないアハーンな施設とか悲鳴と嬌声が鳴り止まない倫理観ガン無視の実験が繰り広げられる施設とか…」

 

「はぁ?」

 

「あ、その顔は信じてない顔っすね、見るっすよ!ほら!ヒメさんの澄んだ瞳は嘘なんかつかねーっすよ」

 

「眼球が見えません」

 

「アヒャヒャヒャ!!」

 

提督がこの人をウザが………苦手としてる理由がよくわかる

 

「で?私の愛しい愛しいステディな関係のセンパイはどこっすか?」

 

「梶輪大将とお話中です」

 

「ゲェーッ!!」

 

ゲェーッ!!とか言ったよこの人…

 

「またあのオヤジになんかややこしいコト押し付けられてるんすか、センパイは」

 

「みたいですね」

 

「…ったく、早く私が上に行かないとダメっすねぇ、そしたら今の上層部全員首ハネて海に捨てて、センパイを合法的にオハヨウからオヤスミまで付きっきり補佐官に任命するんすけど」

 

とんでもないこと言ってるよこの細目

 

「ま、それはおいおいでいいとして…」

 

「はぁ?」

 

おいおいでもヤる気なのだろうか?この人は…

 

「サミーちゃんは厄介事の内容聞いてるんすか?」

 

「えぇ、明日、梶輪大将の紹介で提督がお見合いを…」

 

「………は?」クワッ!

 

あ、目が開いた

 

「え?センパイが…?え?ナニ?お見舞い?」

 

「いえ、お見合いです、なんでも軍に資材と技術を提供してるマテリアル関係の企業のお嬢様と…」

 

「へぇ~…お見合いっすか、ちなみに相手の名前わかるっすか?」

 

「え~っと…たしか有馬ゆ……」

 

「黒髪ロングの巨乳かッ!!!」

 

「え?あ、はい…たぶん、黒髪ロングは間違いないですけど巨乳かはどうか…」

 

写真を見るに、服装がゆったり系だったのでそこまで気にはならなかったが…

 

「フッ……フフフ、ハハハハ!!アーヒャッヒャヒャ!!コイツぁ傑作っすよ!」

 

「な…なんですか?突然」

 

「サミーちゃん、ヒメさんはちょっと用事思い出したんでコレで失礼するっす」

 

「あ、はい」

 

「ヴェーちゃん、行くっすよ」

 

「ハラショー、行くとはどこへ?」

 

「地獄の国盗りっすよ、ヴェーちゃんにはイの一番に勝利を味あわせてやるっす」

 

「ハラショー」

 

ロングコートを翻し、日女大佐は独特の笑いをあげながら颯爽と去ってしまった、もしかしたら、私はヤバい人にヤバい事を伝えてしまったのかもしれない……

 

「………でもまぁ、別にいいか」

 

とりあえず、自販機でジュース買って部屋に戻ろうかな

 

◆◆◆

 

司令部施設地下に設けられた秘密サウナ…

 

「牙を突き勃てろ!」

 

大将殿からの牙司令を受け、俺達は腹も減ったのでサウナを出て後はメシでも食いながら一杯ヤろうと一旦話を締め、脱衣場へ出ると、超素敵な一張羅を脱ぎ、エレクチ●ンした第三の腕にタオルを被せたイケメンがイケメン特有の自信と余裕に満ちた足取りで俺達と入れ替わりでサウナへと入って行った

 

「大した変態だ…」

 

「お前は人の事を言えんのではないか?」

 

むしろ、大将殿にも言われたくない

 

「とりあえずお前の秘書艦待たせてるのも悪いからな、今日はお前らの好きなモン食っていいぞ」

 

「言われなくても食うってのな、あと、飲む」

 

「カッカッカ!」




次回は後編

見合って見合って発気揚揚


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提督の花嫁編 後編

全三回予定の三回目
本編的にはここで終わりです

【登場人物】

提督(143)
何故こうなったのか!後から頭を抱えるものの正しい答えを絶望的に出せないタイプ
とりあえず名前は出さないスタイルなのでテキトーに“ああああ”とかそんな感じ


暗雲立ち込める今日の良き日、梶輪大将の手配したセレブリティなオーラと老舗感溢れる料亭にて見合いと言う名の決闘の幕が上がったッッッ!

 

「よし………と」

 

「何がよしですか、ネクタイ曲がってますよ、ネクタイ」

 

「うるせぇな、お前は俺のオカーサンかっての」

 

相変わらず痒いところと細かいコトにグダグダ文句言う五月雨の指摘を受け、ネクタイの位置を修正しつつ俺は見合い場所として用意された部屋“大灼熱の間”なるイヤな予感しか感じない部屋の襖を開けた

 

「ティーッス、遅くないけど遅くなりましたー」

 

「やかましい、まずは挨拶せい、挨拶」

 

部屋には既に大将殿と見合い相手とただならぬ気配を放つ初老の紳士が来ており、大将殿に促され、とりあえず今回の見合い相手である黒髪ロングに視線を向け………

 

「…ん?」

 

子供………?何故子供がいるのだろうか?目の錯覚かなんかだろうか?なんか相手が写真のイメージよか小さく見えるんだが、嗚呼、こりゃアレだな、小さく見えるってコトは俺が勝つ!ってコトでいいんだよな、うん

 

「………って!そんなワケあるかァ!!」

 

「!」ビクッ!

 

いやいやいや、コレ写真と違いすぎるだろ?あきらかにサイズ違い過ぎるだろ?全体的に、完全に写真はイメージですじゃねーかオイ!ファミレスのハンバーグぐれー写真とイメージ違い過ぎるだろ!?合ってんの黒髪ロングだけじゃん

 

「やかましい、まぁいいから座れ、席を始めるぞ」

 

「いやいやいや大将殿、え?大将殿?ちょっと俺の目を見て俺の質問に答えよーや?」

 

「いいから座れ」

 

大将殿は邪眼避けのサングラスを素早く着用し、とりあえず今はグダグダ文句言わずに座れと俺の肩を砕く勢いで掴んだ

 

「アダッ!!痛い痛い痛い!わかった!わかりましたよ!座りゃいいんしょ、座りゃ」

 

「さて、主役の二人も揃ったところで“見合い”の席を始めようか、有馬殿、こやつが地方支部ながらも艦隊司令を預かる私の部下で名を…」

 

ーーー

 

有馬優

海軍の技術関係部署にそこそこ大きな関係を持つ企業“有馬”のお嬢様で三人兄妹の末っ子、上には企業の実質的な経営に携わる兄と、企業の顔役・宣伝塔をこなす姉がおり、兄姉とはかなり歳が離れているせいか、街を歩けば親子にすら間違われる事もあるらしい…

 

「////!!」

 

両親だけではなく歳が離れた兄妹故か、兄姉にもかなり溺愛されているらしく、ただでさえ大企業のお嬢様、しかも超絶過保護+超箱入りとして育てられたせいか、外界との接触が極端に少なかったせいか、元々の気性なのか、非常に内気で人見知りな性格となってしまったそうな

 

「大将殿」

 

「なんだ?」

 

「この国の結婚出来る年齢知ってるか?」

 

「男は夢●したら、女は〜…まぁ、その気になったらだったか?」

 

「男は18で女は16だよッ!!」

 

ナニ言ってんだこのクソオヤジは、イカレてんのか?いや、イカレてやがる、このオヤジには自動ブレーキシステムどころかマトモなブレーキすら搭載されてねぇ…

 

「俺はまぁ…いいとして、え〜…お嬢様は何歳だよ?」

 

どう見ても犯罪適齢期だよ、タイーホ待ったなし案件だよ、とりあえず贔屓目に見ても発育の悪いJC、贔屓目に見なかったらJSと言われても納得するね、俺は!

 

「////!」

 

お嬢様はなにやら顔を赤くして言おうとして諦め、もう一度チャレンジしようと俺を見たがやっぱり顔を逸らし、後ろに控えているただならぬ気配を持つ老紳士になにやら耳打ちし、紳士は一つ咳払いして口を開いた

 

「お嬢様は今年で12で御座いますと仰られております」

 

やっぱアウトじゃねぇかァァァァァァァァ!!もしかしたら見た目に反してこのゲームの登場人物は全員18歳以上ですとか期待したけどやっぱアウトじゃねぇかァァァァァ!!見た目通りだったよチクショウ!

 

「大将殿」

 

「なんだ?」

 

「ちょっと僕お腹痛いんで帰っていいですか?」

 

「我慢しろ」

 

まぁ、冷静に考えたら仮に見合い話が上手くいったとしても今日明日にケッコンしろとかそんなルールないんだよな、とりあえずお付き合いとか、婚約とかはあるかもしれないが…そう考えると相手は良いとこのお嬢様だ、そーゆー話は庶民に比べて早いのかもしれん

 

「…はぁ」

 

「////!!」

 

しかしこのお嬢様、さっきから全然喋らないし、俺と目を合わせようともしないな、まぁ、まだ遊びたい盛りの多感な年頃だろうし気持ちはわからんでもない、ハッ!これは先方からお断ってくれる良い流れが来てるんじゃないのか?

 

「とりあえず、若い二人で庭でも散歩してきたらどうだ?定番だろ?」

 

「外、雨降りそうなんすけど?」

 

「降ったら建物に戻ればよかろう」

 

大将殿のテキトーな思い付きで、とりあえず俺とお嬢様は料亭内にあるワリと大きな庭をフラっと歩く事になり、俺は微妙どころかスネークバ●トの射程外を歩くお嬢様と外に出る事にした

 

「って、ちょっと待て」

 

「なんだよ?」

 

「お前も有馬殿も散歩中ぐらいお付きの者ぐらい置いていかんか」

 

「あ?」

 

俺の後ろにはただならぬ青髪ロングと定評のある頼れる俺の秘書、五月雨、そしてお嬢様の後ろにはこれまた戦後日本で闇のファイトでもして生計を立てていたかの雰囲気を持つ老紳士、たぶん、お嬢様お付きの執事だろう

 

「しかし梶輪殿、お嬢様にもしもの事があれば…」

 

「私は別に構いませんよ、ここで待ってますから」

 

「むぅ…」

 

老紳士と五月雨の間に一瞬、バトル漫画特有の緊張感が走った気がしたが、まぁ気のせいだろう、老紳士は俺に近付き、くれぐれも…!と短く説得力溢れる耳打ちをした

 

ーーー

 

「はぁ〜…」

 

ダメだ、ため息しか出ねぇ、外とは言え、さすがに煙草吸うワケにも行かず、俺は二酸化炭素を吐き出すマシーンと化していた

 

「////」

 

お嬢様はお嬢様で俺の3歩後ろどころか9歩くらい後ろにいるし、っーかナニ話したらいいんだ?現役JSのお嬢様なんかと話す話題なんかねぇよ、っーかどう扱っていいのかすらわからん

 

「…ふ〜む」

 

いや待て、よく考えたら俺には駆逐艦のキッズをドッカンドッカン笑わせる小粋なテイトクジョークがあるじゃないか!よし、それでいこう!

 

「え〜…お嬢様?」

 

「////////!?」ビクッ!

 

あかん、コレはあかん、ウチのアホガキどもと同列に扱ったらあかんやつや、お嬢様は小柄な身体を撥ねて俺から更に距離をとってしまった

 

「あ〜…その、なんだ?今日は天気悪いっすね?」

 

「////」コクコク

 

お嬢様は大きく何度も頷いた、とりあえず意思の疎通は出来るらしいな…

 

「お嬢様も若いのに、大人の事情でこんなしょーもない場に呼ばれて大変っすね」

 

「////!」フルフル

 

「まぁ、俺がこんなコト言うのもなんですが…お嬢様まだ全然若いし、普通に可愛いし、人生これからっすよ」

 

「/////////!」

 

「あと、ケッコン相手は可能な限り自分で選んだ方がいいっすよ」

 

ケッコンなんてのは幸せで、幸せで、幸せの絶頂でやるのが理想的だ、まぁあくまで理想であって現実ではないが…

血と硝煙とヤニで汚れきった大人である俺から真っ白で輝かしい未来溢れるキッズへのせめてものエールを贈ろう

 

「////」コクコク!

 

俺のちょっと良い言葉にお嬢様は何度も頷いた、よかったよかった、良い事した後は気分が良いものだ

 

◇◇◇

 

「サミちゃんよォ」

 

「なんでしょうか?梶輪大将」

 

提督と有馬のお嬢様が庭に出ている間、私と梶輪大将と執事の人は外の様子を眺めながら普段味わう事が無い高級な茶葉を味わっていた…

 

「一応聞いとくが、お前さん野郎に気はないのか?」

 

「はぁ?」

 

「や、仮にそうだったとしたら流石に悪りぃなと思ってなぁ」

 

「そうですね、とりあえず今日は朝から提督とステディな関係ってコトになってます、明日には別れますけど」

 

「………デキた部下を持ってるのぉ、アイツも」

 

「よく言われます」

 

特別、好きでもなければ嫌いでもない、提督との付き合いはこの距離感が一番ラクでいい

 

「今日限定の交際関係……やはりあの男、小癪な策を講じておりましたか…」

 

有馬様のお付きの老紳士然とした執事さんが苦々しいとばかりに口を開いた

 

「えぇまあ、基本的に提督は小癪で姑息で小狡い小物ですから」

 

「クッ………何故にお嬢様はあのような下衆に興味を持たれたのか」

 

「はい?」

 

思わず聞き返してしまった、え?お嬢様が興味を持ってるって…?

 

「今日の席はオレが任されて仕切ってはいるが、有馬側からの希望で設けた席だぞ」

 

ナニ言ってるんでしょうかこの大将殿は、もしかしてイカレているのでしょうか?

 

「………え?マジですか?」

 

「マジ」

 

………提督、貴方がいつどこでナニをしてしまったのかは知りませんが、これは本格的にヤバいかもしれません、と言うか、ホントなにしたんですか!?

 

◆◆◆

 

とりあえず、無事に見合いと言う名のエンターテインメント決闘も無事に終わりを迎える事ができたようだ

正直、最初は写真詐欺にビビって手札事故をおこしかけたが流石は俺、一流の提督は引きたい時に引くべき札を運命的に引くものだ

 

「じゃ〜…とりあえずお互い前向きに検討するってコトで、お疲れしゃーっしたー」

 

前向きに問題を先送りにする、まぁ時間は十分にあるし、後は時間が全てを曖昧にして解決してくれるだろ

なんか執事の爺さんみたいなのがスゲーメンチ切ってる気もするが、まぁ二度と関わり合いになることもあるまい

 

「じゃ、そーゆーワケで、帰るぞ五月雨」

 

「はぁ」

 

用事さえ終わればこんなとこにゃ用はない、さっさと帰っていつもの怠惰……ではない、熱意とガッツ溢れる職務に戻らねば

 

「あ!あの……っ!」

 

俺達が席を立ち部屋を出ようとすると、背後からなにやら聞いた事のない鈴の音のような声が聞こえたので振り向いてみると、有馬のお嬢様が相変わらず赤面してオロついた様子で立っていた、って………今の声、見た目を裏切らない綺麗な声じゃないか

 

「ま…また」

 

「あぁ、次はもうちょい楽しくお喋りでもしたいもんだな」

 

「////////////!!」

 

まぁ、次があればの話だが…

余程の変人でもない限り、次はないだろうし、お嬢様はエレガントであって変人ではないだろう、うん

 

こうして、上司主催の見合いと言う名の降って湧いた嫌がらせのようなイベントも終わり、俺と五月雨は中央で一泊してから再び鈍行列車の旅で基地への帰路についた…




次回は通常回ではなく延長戦!

ヤツの目が開く時!そこは地獄と化す!


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提督の花嫁編 延長戦

全三回の余分な回、とりあえず今回で花嫁編は終了です

【登場人物】

日女大佐(4)
通称、ヒメ
色々とめんどくさい性格とめんどくさい行動力を持つめんどくさい女性将校

有馬貴子
通称、有馬姉
有馬優の実姉で黒髪ロングの巨乳、件の見合い写真は優と言うよりは貴子に似ている


「あ、そう言えば…」

 

基地への帰路、行きと同じく鈍行列車の旅の途中で五月雨がふと何かを思い出したように手を叩いた

 

「提督と大将殿が全裸会議してる間にヒメさんに会いましたよ」

 

「ヒメだと…?」

 

何の用事かは知らんがアイツも来てたのか、別にこっちから会いたいって気は1ミリもないが、珍しく顔を合わせなかったな

 

「ふ〜ん、まぁ俺はアイツに用事ねぇし、相変わらずウザかったか?」

 

「えぇ、まぁ、そこそこ」

 

アイツが俺に会わずにとっとと居なくなるとは珍しい事もあるもんだ、いつもならしつこくまとわりつくが…まぁ、アイツはアイツで忙しいんだろう、職務に忠実で良い事じゃないか

 

「ちなみに、なんか言ってたか?」

 

「コレと言って特には……あ、でも提督がお見合いするって話をしたら、目がこう……カッ!!と開きました」

 

「ふ〜ん」

 

「それで、どこの誰とお見合いするって話をしたらなんか用事があるとか言って去って行きました」

 

「………イヤな予感しかしねぇな」

 

「えぇ、私もちょっと失敗したかなって思ったんですけど〜……当日は意外と何事もなかったですね」

 

「そうだな」

 

はて?あのアホンダラのコトだからそんな他人事の面白イベント、面白がって見に来るぐらいは平然とやるだろうとは思ったが、たしかに何事もなかったな…

 

「まぁどうでもいいか、五月雨、茶くれ、茶」

 

「はいはい」

 

◇◇◇◇

 

有馬

海軍にて様々な用途で使用されている特殊マテリアルを扱う国内を拠点とする製造業、その企業規模は広く、一見すると関係のなさそうな服飾や食品業にもグループの会社が存在している

 

「それで?海軍の大佐殿が唐突に何の用だ?」

 

最近建てられた真新しい社屋、有馬企業グループ広告会社の応接室で、顔馴染みとは言え突然やって来た海軍将校と面談をするのは腰まで届く長い黒髪とキレ長の眼、なんとなくネコ科の猛獣を連想させる雰囲気を持つ女性、有馬貴子

有馬の長女であり、有馬優の実姉

 

「ちょいとタカティン!ナニ人のオモチャに手ぇ出してるんすか!」

 

そして、応接室にて有馬貴子と向かい合って座るのは開いてるのか閉じているのかよくわからない糸みたいな目をした海軍の女性将校、日女

 

「………ハァ?」

 

「あ、しらばっくれる気っすか?」

 

「しらばっくれるもナニも、何の話かわからん」

 

有馬貴子はナニ言ってるんだコイツと言う表情で急須から湯飲みに熱い茶を注いだ

 

「ヒメさん知ってるんすよ!今日センパイとお見合いするんしょ?そーはいかねーっすよ!」

 

「……ハァ?」

 

「このヒメさんを倒さねー限りお見合い会場へは一歩たりとも近付けねーすからね!カクゴしろっすよ!」

 

日女はソファーから立ち上がり、袖から取り出した鞘に収まったままの短刀を有馬貴子に向けた

 

「………日女、お前が何を言っているのか、まったくわからんのだが?」

 

「まだしらばっくれる気っすか!」

 

「たしかに、私も立場上、見合いだの縁談の話はアホほど来てはいるが………今日はその予定は無い」

 

有馬貴子は内ポケットから取り出したスケジュール帳を開き、改めて本日の予定を確認するが見合いだのなんだのスケジュールは入っていない、むしろ、そーゆー話は可能な限り断っている、たまに渋々受けているぐらいだ

 

「………マジっすか?」

 

「真剣だ」

 

有馬貴子の言葉にも表情にも偽りは無い、基本的に物事を常に真剣を旨とする彼女は嘘を吐かない

 

「え〜…でも、ヒメさん確かなスジから確かな情報を得たハズなんすけど」

 

「そんな事は知らん、ならばその確かなスジとかやら誤情報なのだろう」

 

「マジっすかー!クッソ!マジっすかサミーちゃん!」

 

「そのサミーちゃんとやらに苦情を入れておくといい、あと、オマエは今日の私のスケジュールの邪魔をした代償に平手打ち1発で済ませてやろう」

 

「鬼かッ!!」

 

「鬼ではない、有馬だ」

 

話はこれで終わったとばかりに有馬貴子は席を立ち、突然の来客のせいで時間の詰まった本日の仕事をしようとキャリーバッグに入れてあった現在進行中の案件に必要な資料一式を取り出し机に広げた

 

「そう言えば……今日は妹が見合いの日だからと朝からバタバタしていたな」

 

「妹?タカティン妹居たんすか?」

 

「あぁ、歳は離れているがな、あとタカティンと呼ぶな」

 

「へいへい………ってマジ初耳なんすけど?兄妹ってお兄様だけじゃなかったんすね」

 

「あぁ、まだ11…だったか、それに、あまり表に出たがらない子だからな」

 

「ふ〜ん」

 

日女は特に興味なさげに急須から湯飲みに茶を注ぎ、御茶請けに出された豆大福を口に放り込んだ

 

「ちなみに写真を見るか?ん?写真を、どうだ?可愛いだろう?」

 

「近い近い近い!んな目の前に出されても見えねーっすよ!」

 

有馬貴子は妹の写る写真を取り出し、珍しく少しハシャいだ様子で嬉々として日女に見せた

 

「優といってな、どうだ?可愛いだろう?うん、まさに目に入れても痛くない子とはこの子の事だろう、どうだ?あ、言っておくがこの写真はやらんぞ、私のお気に入りの1枚だからな、だがオマエがどうしても言うなら私が納めている写真ファイルの中から1枚を選び、その時に撮影した状況と妹の可愛いさを詳しく説明してやっても構わんが…」

 

「近い近い!マジ近い!ってかそんなヒマあるんすか!?」

 

「まぁ別に急ぐ仕事でもないしな、その気になればすぐに終わる」

 

「さっきスケジュール邪魔したからビンタするって言ったじゃねーっすか」

 

「それはそれ、これはこれだ」

 

ーーー

 

「ハナシはとりあえずイヤってほどわかったっす」

 

「そうか、オマエにもわかって貰えて嬉しいぞ」

 

結局、午前中全てを消費し日女は有馬姉から有馬妹が如何に可愛いかをウンザリするほど聞かされた

 

「ところでタカちゃん」

 

「タカちゃんではない、有馬貴子だ」

 

「そんな眼球に挿入れても痛くない妹がお見合いとか普通に一大事なんじゃないすか?」

 

ここまで聞いた話から察するに、この有馬貴子は妹を溺愛している、クラスの男子と会話しただけで自慢の愛刀、こてっちゃんで惨殺するレベルで溺愛しているだろう、龍●閃ではなく、龍●閃・惨で

 

「…まぁ、一大事ではあるが、妹の意志を尊重するべきと思ってな」

 

「ハァ?」

 

「あのいつも引っ込み思案な優がどうしてもと駄々をこねるなど初めてだったのだ」

 

有馬貴子曰く、引っ込み思案だが聞き分けの良い可愛い末っ子のおそらくは初めてのお願いに、自分を含め、兄と両親の心は一撃でヘシ折られて快諾してしまったそうだ

 

「まぁ、会いたい相手はどこぞのチンピラではなく一応、海軍の将校らしいが…」

 

「へぇ〜…まぁ海軍なんてだいたいチンピラっすけど……………ん?」

 

「なんだ?」

 

「タカちゃん、妹ちゃん、今日がお見合いなんすか?」

 

「タカちゃんではない、有馬貴子だ、さっきそう言っただろう?朝、慌ただしく出かけたと…」

 

「んんん〜?」

 

日女の脳内を電撃的に駆け巡る思考、五月雨から聞いたのはお見合いが今日と言うコトと、相手は有馬のお嬢様と言う情報…それ故に、相手は旧友でもあるこの目ツキの鋭い黒髪ロングの巨乳だと断定し、こうして乗り込んで来た日女だったが、それは大きな勘違いだったのでは…?

 

「クソッ!ヤラれたッ!!」

 

「なんだ?唐突に」

 

「いやいやいや、でもまぁセンパイはそーゆー趣味の人じゃねーし、まぁ相手が黒髪ロングで巨乳のタカちゃんじゃなかっただけ結果オーライな気が…」

 

「なんの話かはよくわからんが、その豆大福食べたらもう帰れよ、こう見えても私は忙しい身だ」

 

◆◆◆

 

「あー…やっと帰ってきたなぁ」

 

「そうですね」

 

鈍行列車の旅を終え、駅からタクシーに乗って懐かしの我が家?いや、我が基地へと帰還を果たした俺と五月雨、俺はタクシー料金を支払い、基地正門の前へと降り立った

 

「おーい!大提督様の帰還だぞー!」

 

門に向かって声を上げてみたものの、反応がない

 

「この時間だから正門は閉まってますよ」

 

「自分の城に入るのに、裏口から入らねばならない理由があるかね?」




次回は通常運転

大ビッチの帰還


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提督と鈴谷と世界で一番

その名は鈴谷改二!マスタービッチ見参!

【登場人物】

提督(144)
風紀と良俗に厳しいバッドガイ、格闘技とセ●クスは似ていると感じている

鈴谷(46)
とにかく八稚女が当てたいのがバレバレ過ぎてどうにもならないマキシマムダメゲーマー


『このままでは終わらんぞぉー…終わらんぞぉー…らんぞぉー…ぞぉー…』

 

お決まりの断末魔と共に画面上を舞うイカした髪型のニイちゃん、そして、敗北を告げるKOの画面

 

「おかしくね?鈴谷今勝ったよね!?鈴谷勝ちを確信してたのに負けとかありえなくね!?」

 

向かい対戦側に座る如何にも頭も股も緩そうなJKみたいな元K巡で今K母のゴキゲンなビッチは台をバンバンと叩きながら己の敗北を認められずに叫んでいた

 

「うるさいぞ、負け犬が」

 

「ハァ!?負けてねーし!鈴谷負け犬じゃねーし!」

 

「あーはいはい、罵多悪怒愚、罵多悪怒愚」

 

「バタードッグでもねーし!?っーかヘンタイか!死ね!ヘンタイ!死ね!」

 

なんで勝者の俺がヘンタイだの死ねだの罵倒されにゃならんのだ…まぁいいや、全ては過去、終わった事だ、勝利者である俺の心は広い、だが闇のゲームに負けたからには罰ゲームは受けて貰うぜ!

 

「とりあえずパンツ脱げよ」

 

「クッ!」

 

「クッ!じゃねーよ、そーゆーのは姫騎士か対魔忍になってから言え、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーし!クッ…!脱げばいいんだろ!脱げば!トイレ行ってくるし!」

 

「待て」

 

意外と潔く敗者の罰を受けようと席を立った鈴谷に俺はちょっと待てと声をかけた

 

「ナニ?………ハッ!?まさかここで脱げっての!?ヘンタイか!え?マジで?ヘンタイか!死ね!マジ死ね!」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ、あと、お前が死ね」

 

寂れたゲーセンとは言え、神聖たる格闘者達のサンクチュアリ、格ゲーコーナーで脱ぐのはあまり宜しくない

 

「冷静に考えたのだが、お前の薄汚いパンツなんぞ貰っても俺には何の利益もない事に気付いたのだよ」

 

「薄汚いとかゆーな!薄汚くねーし!ってか、フツーなら鈴谷の脱ぎたてとか100ドル出しても買えないプレミアム商品だよ!」

 

「ナニがプレミアム商品だ、汚物が」

 

「汚物じゃねーし!ってかナニ?もしかしてパンツ脱がなくていいとかそんな感じ?」

 

「いや、どうせならもっと陰惨かつ凄惨で屈辱と恥辱にまみれ、二度と俺に逆らおうなどと考えないぐらいの思い出すだけで失禁する強烈なトラウマを与えたいと思ってな…」

 

「悪魔かッ!!」

 

「悪魔じゃない、提督だ」

 

ーーー

 

とりあえず鈴谷への処分を保留にし、俺達は小腹を空かせたのでゲーセンの近所にある微妙な味に定評のあるカレー屋に来ていた…

 

「いらっしゃいませー、二名様ですか?」

 

「いえ、お一人様です」

 

「え!?二名様じゃん!?」

 

店員のお姉さんにこのJKみたいなのはたまたま同じタイミングで入店しただけで知り合いでもなんでもありません、間違われるなんて不愉快だわ!と懇切丁寧に説明した

 

「出来ればこのビッチ臭いのとテーブルを20フィートは離して貰いたいんですが」

 

「ちょ!待てよ!オッサンコラ!鈴谷と同じ席でいいじゃん!?なんで他人のフリすんの!?」

 

「オッサンじゃない、提督だ、あと馴れ馴れしいんだよ、このクソヤローが」

 

「ヒドッ!?」

 

店員のお姉さんに懇切丁寧に説明した結果、ガタガタ言ってないで同じテーブルにしろよクソヤロー、後片付けが面倒くせーだろーがと言われ、俺達は仕方なく窓際のアツい陽射しが照射する席へと案内された

 

「さ〜て、鈴谷大盛りにしよっかなぁ〜」

 

「言っておくが会計は別だぞ」

 

「え?」

 

「え?じゃねーよ、ナニ普通に奢って貰おうとしてんだテメーは、季節の夏野菜下の口から突っ込まれてーのか?」

 

「ヘンタイか!ってか!き…季節の夏野菜って、な…茄子とか?」

 

なんだコイツ?季節の夏野菜に興味がある多感な年頃と言うやつだろうか?

 

「そうだな………トウモロコシ?」

 

「いやいやいや!トウモロコシとかゼッテー嫌だし!なんかツブツブじゃん!?鈴谷そーゆー特殊なのはムリってゆーか、出来れば初めてはもうちょっとロマンスってゆーか…」

 

「ナニ言ってんだオマエ?イカレてんのか?」

 

「イカレてねーし!っーか死ね!」

コイツ、さっきから死ね死ね言いやがって…上司の事をなんだと思っているのだろうか?一度香取先生の再教育プラグラムを受講させて殺戮の為のマシーンに教育して頂いた方がいいだろう

 

「まぁいいや、俺は茄子カレーにするか、お前はなんだ?水道水か?」

 

「クッ!」

 

鈴谷は財布の中身を確認し、メニュー表をチラ見して再び財布の中身を確認してうな垂れた

 

「…クッ!テイトクェ…少しご相談が」

 

「聞いてやろう、言ってみたまえ」

 

「鈴谷カツカレーとか食べたいとか思っているのですが、些か資金繰りに難航してまして、出来れば資金的な援助の方を…」

 

なるほど、これが噂に聞く援助交際……略して援交か、なんて悲しい現場なのだろう、潜入提督24時、遂にその瞬間が訪れた気分なのだよ

 

「お断る」

 

「いいじゃん!ってかテイトク!熊野にはケッコー奢ってるんでしょ!?なんで熊野はよくて鈴谷はダメだし!?」

 

「だって熊野は、すげー………友達だから」

 

「NARUT●かッ!!ってかたまには鈴谷にも奢ってよ!あ、アレしよーか?ほら!アレ!食べる前にフーフーしてやってもいいし!こんなサービスマジ滅多にないよ!超お買い得!」

 

「やだよ、変なウィルスつきそうじゃん」

 

「つかねーし!!ビョーゲン菌かッ!」

 

「…はぁ、じゃ、奢ってやってもいいが後でニーソと制服のリボンだけ残して全裸で土下座しろよ」

 

「ヘ、ヘンタイ!!マジのヘンタイか!っーかリボンとかナニその変なコダワリ…うわ、引くわ、マジで引くわ…っーか引くわ」

「やかましい、そのぐらいパパの前ではよくやってるだろーが」

 

「パパとかいねーし!!ってか鈴谷そーゆーのやってないから!」

 

「で?どうなんだ?やるのかやらないか、3秒で決めろ」

 

「短いッ!?え…や、やら…」

 

「さーん、にー、いち、ハイ終…」

 

「やります!やらせてください!」

 

やるのかよ!?コ…コイツ、どんだけカレー食いたいんだ、カレーの為に全裸で土下座を敢行するとは………認めるしかないな、大したやつだと

 

「じゃ!鈴谷カツカレー!大盛りで!辛さ激辛で!」

 

「お…おぅ」

 

こうして、俺達は無事にカレーを注文し、それぞれのカレーを食した、アツいカレーを心の底から嬉しそうに頬張る鈴谷、おそらく、その瞬間だけは世界で一番幸せな女の子なのだったのだろうと後に俺は思い出す事になる

 

ちなみに、基地に戻ってからゴネたのでワルい“ユメ”見させてからスネークバ●トの必勝コンボで床に叩きつけられた後に土下座を敢行する鈴谷は世界で一番カッコ悪い女の子だった

 

 




次回は初心に戻る300回目

ついでにちょっと早いですが、なんと1周年


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提督と五月雨と呪われた巻物

300回目の初心に戻るブチ込み回

【登場人物】

提督(145)
じゃない、提督だ

五月雨(49)
ではありません、五月雨です

浜風(5)
SGGK



北方海域を舞台にしたアツき戦いやら司令部に呼び出しで写真詐欺のお見合いやら幻の絵画を取り戻せ!やら南洋のクーデター事件やら息をつかせぬバトル展開目白押しの昨今だったがようやく落ち着いた今日この頃、俺は確かな自信と手応えを胸に、執務室へとやって来た…

 

「いやぁ…強烈だったよ、陽炎型13番艦…」

 

「…はぁ?」

 

「でも、姦ったのはオレだ…」

 

俺はところどころ破れてボロボロになった上着を脱ぎ、自分の机でナンクロをしていた五月雨に新しい上着を用意したまえと命じると、ご自分でどうぞと言われたので仕方なく自分でロッカーからクリーニング済みの上着を取り出した

 

「五月雨クン」

 

「なんですか?」

 

「俺、今から浜風ちゃんをレ●プするんだ」

 

「はぁ?」

 

「はぁ?じゃないよキミィ、もっとテンション上げていこうよキミィ」

 

千を超える浜風ちゃんとのシャドーレ●プによるリハーサル、最早今の俺にレ●プ出来ない浜風ちゃんは居ないだろう、それほどまでに俺は自信に満ち溢れていた

 

「行くぞ五月雨、ついてきな!お前をこの世で二番目に強えー駆逐艦にしてやるよ」

 

「え?普通に嫌ですけど」

 

「…え?」

 

「え?じゃないですよ、前にも言いましたけど、同僚をレ●プするとかどう考えても協力的になるワケないじゃないですか」

 

「ナニ言ってんだオマエ?イカレているのか?」

 

「イカレてません、と言うか、その言葉をそのままお返しします」

 

まったく、この青髪ロングもなかなか難しいヤツだな、おそらくはアレだろう、気難しい多感な年頃ってやつだな、本心は同じ駆逐艦である浜風ちゃんとの圧倒的な胸囲格差にハラワタが煮えくり返るどころか、二度と甦らないようにハラワタを喰らってやりたい思っているに違いない

 

「まぁ、どうせいつものように失敗するのがオチでしょうし………もう面倒くさいから諦めて浦風さんとかで妥協したらどうですか?浦風さんなら軽く頼めばパイ●リくらいしてくれますよ、たぶん」

 

「女の子が平然とペェズリとかゆーんじゃないよ」

 

いやだわこの子ったら、どこでそんないやらしい知識を覚えたのかしら?村雨?村雨か?村雨だな、間違いない、村雨だな!くそッ!あのファッキンビッチ予備軍が!

 

「まぁいい、アイス買ってやるからついて来いよ」

 

「なんでそんな毎度毎度、私を同道させたがるんですか?そーゆー特殊な趣味なんですか?」

 

「や、なんかほら…一人だと寂しいし、やっぱ仲間がいた方が心強いし、アレだよアレ、ほらアレだ!撮影したくなったら撮影係とかいたほうがいいじゃん?」

 

「ヤる前からヘタレ過ぎるッ!!」

 

「ヘタレじゃない、提督だ」

 

ーーー

 

こうして、俺と五月雨(マミーヤのスイーツ5000円分で承諾した)は浜風ちゃんをレ●プするべく施設内にて浜風ちゃんを捜索し、香取先生から浜風ちゃんなら体育用具室にボールを返しに行ったと有力な情報を得たので体育館の横にある用具室へと向かった

 

「体育用具室か…もはやコレは誘っていると思って間違いないな」

 

「そうですかね…」

 

「あぁ、もはや学校公認と言っていいファッキングスポットだ、間違いない」

 

体育用具室、または体育倉庫に閉じ込められるのはエロゲーやエロ本ではよくある日常茶飯事、所謂、様式美と言うヤツだ

 

「作戦はこうだ、俺が爽やかなイケメンスマイルで挨拶しながら体育用具室に入る、お前は外から“あれれー?鍵が空いてるぞー?キチンと閉めないとー”と言いながら鍵を閉める、ここまではOKだな?」

 

「その台詞必要ですか?」

 

「必要だ………よし、突入までカウント5!」

 

俺はスタイリッシュに姿勢を低くし、体育用具室のドアの横へと移動し、ハンドシグナルでカウントの合図を始めた

 

「3、2、1!GO!GO!GO!」

 

AHEAD!AHEAD!GO!AHEAD!俺は姿勢を低くしたまま薄暗い体育用具室に突入し、ボールの入った籠にサッカーボールを入れていた人物にFREEZE!と叫んだ

 

「…え?あ、はい?」

 

浜風ちゃんは突然の出来事に理解が追いつかないらしく、サッカーボールを持ったまま振り向いた

 

「あ、提督、お疲れ様です」

 

「あ、あぁ、うん…お疲れ様」

 

「あの…何かご用でしょうか?」

 

腕にサッカーボール、胸にやわらかくにゃっとボール、計三門のトリプルメガソニック砲を持つ浜風ちゃんはやや遠慮がちに俺に視線を向けた

 

「え?あ、あぁ…」

 

…待て、俺は千を超えるリアルシャドーによるリハーサルを繰り返したが浜風ちゃんは違う、このままではフェアではない…

 

「あの…?」

 

そうだ、昔、とあるレ●パーが言っていた、歳なんか関係あるか!女はみんなブチ込むんだよ!と……そうだ、俺はブチ込む為にここに来たッ!そう!ブチ込む為に!

 

「浜風クン」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「そのサッカーボール、貸してくれないか?急に反動蹴速迅砲をゴールにブチ込みたくなってね」

 

「あ、はい、どうぞ」

 

「ありがとう」

 

俺は浜風ちゃんからボールを受け取り、スーパーグレートグラマラス駆逐艦、略してSGGKの浜風ちゃんはそれでは失礼しますと一礼して去って行った…

 

「…」

 

そして、俺はサッカーボールを手に体育用具室を出ると、草むらで待機していた青髪ロングがやって来た

 

「ヘタレかッ!」

 

「ヘタレじゃない、提督だ」

 

そう、レ●プとはやはりお互いにベストの状態でないとフェアとは言えない、俺はまた大切な事を思い出したよ…

 

「もう諦めたらどうですか?」

 

「夢は、いつか必ず叶う!」

 

「なんでそんな超ポジティブ!?」

 

この後、俺と五月雨は反動蹴速迅砲の練習でもするかとボールを蹴り、五月雨の殺人ノンファイヤーを蹴り返した俺の反動蹴速迅砲は美しい螺旋を描く龍の如く飛び、たまたまソフトクリーム美味いかもーと言いながら歩いていた秋津洲のやわらかボディに突き刺さり、秋津洲はオゴォ!と叫びながらブッ飛んだ…

そして秋津洲は全治二週間、俺の足は全治一週間の深刻なダメージを残した




次回は久々にナイトクラブ回、野望の工作艦と後で感想を求める軽巡


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提督と明張とナイトクラブ22

お久しぶりのナイトクラブ回

【登場人物】

明石(12)
野望の工作艦、現金とキャッシュとマネーが本当に好き
金こそ全てと思っているマネーモンスター

夕張(27)
ハッキリ言って自信作でない時はワリと大人しい謙虚メロン、謙虚さは胸に比例してる


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ

 

「フーッ〜…なんだい?そのカゴ」

 

「ウシガエル、ママ捌ける?」

 

大きめの虫カゴ的な物の中でモ〝ーモ〝ーと最高にイキでイナセな重低音を発する生物、ウシガエル、執務棟の裏でキヨシとリベッチオのアホガキどもがチクショウ!デケェとか言って追いかけ回して捕まえたそうで、あまりのデカさにたまたま近くを歩いていた龍田に自慢してやろうと見せたところ、マジギレされ、今すぐ捨ててくるか今死ぬか選べと迫られたそうだ

 

「フーッ〜…前に何度かあるさね」

 

長い煙管から吸った煙をモクモクと吐き出し、ママはモ〝ーモ〝ーさんの入ったカゴに一瞥くれ、そこに置いときなと言って煙管でトントンと火鉢を叩いた

 

「テキトーな席にでも座ってな、ボーイ」

 

「ボーイはやめてくれよ、ボーイは、俺もう見合いするトシだぜ?」

 

「ガタガタ言ってんじゃないよ、アンタなんざ私から見りゃまだまだ“若僧”だよ」

 

ママとの挨拶を済ませ、週末でもなければ座る席には特に困る事はないテキトーな席に座り、胸ポケから取り出した煙草に火を点けて基地スポを広げた

 

「フーッ〜…サラトガ今期絶望かぁ〜」

 

「いらっしゃいませッッッ!明石です!」

 

「お待たせしましたー!夕張です!」

 

席にやって来たのは、お金大好き狂乱ピンク明石と自信作と言う名の問題作を作る狂気の天才夕張、当基地きってのロクデナシが手を組んだと言うのかッ!

 

「………チェンジで」

 

「まぁまぁ、チェンジとかヤボなコト言わないでくださいぉ〜」

 

明石のヤツはヘラヘラ笑いながら俺の横に座り、ヘイヘイ疲れてんのかブラザーと肩に手を回してきた

 

「そうですよ!あ、なんならウェルカムビンタしても大丈夫です!頰にしますか?尻にしますか?」

 

なんだよウェルカムビンタって、ウェルカムドリンクじゃねぇのかよ、とんだドMサービスだよ、っーかそれ、俺がサービスする側じゃねぇか、なんでコイツの痛みを俺が満たしてやらにゃならんのだ

 

「いいから消えろ、もうアレだ…あ、鳥海クン呼んでこい、鳥海クン、今日鳥海クン指名するわ」

 

「まぁまぁ!今日はこの明石で我慢してくださいよ!ね?ね?」

 

「やかましい、っーかオマエ、店はどうした?店は?なんでオマエがママの店に居るんだ?」

 

「…少々現金が必要になりまして」

 

明石は俺から目を逸らして非常にバツが悪そうに顔をそむけた、おそらく、なんかアホなコトでもして生活費が危うくなっているのだろう、まぁ深くはツッコまないでおくか…

 

「で?夕張、オマエは何事だ?オマエはボチボチいい給料払ってるハズだが…」

 

「私はキタ●ンブラックとかゆー馬に給料全部突っ込んだらお金がなくなりました!」

 

予想以上にダメな理由だった…コイツもしかしてバカなんじゃないだろうか?

 

「だって五月雨ちゃんがこのウマがいいらしいですよ〜って言ったんですもん」

 

五月雨ェェェェェェ!!とんだ蒼い死神だよ!あの子は!まぁ、そのしょーもない言葉で給料全額ぶっこんだコイツも大概アレだが…

 

「フーッ〜…まぁいいわ、とりあえず今日はオマエらでカンベンしてやる」

 

「あざーっす!そんじゃ提督!何か飲んでいいですか?モエ白とか?」

 

「ブッ殺すぞクソピンクがッ!」

 

客商売!サービス業!客に酒出す前にいきなり飲んでいいですかとかどんだけ舐めてんだこのクサレ工作艦は、俺は明石の顔面を掴み、生卵を握り潰すかの如く力を込めた

 

「ギャアアアアアアアア!!痛い痛い痛い!割れる割れる割れるーッ!!ヘッド割れちゃうぅぅぅぅ!!脳漿ブチ撒けちゃうぅぅぅぅぅ!!」

 

「艦娘ファイト国際条約第一条!頭を掴まれた工作艦は失格になるってハナシだぞ」

 

俺は明石の顔面を離し、二度とチョーシこいたコト言うんじゃねーぞと吐き捨て、明石は痛いよぉとか言いながらカンベンしてくださいと頭を下げた

 

「チッ、まぁいい…オイ夕張、ビールだ、ビール、キンキンに冷えた悪魔的美味さのヤツ」

 

「ビールですね!あと、私も何か頂いてもよろしいですか?」

 

「ん?あぁ」

 

「え?」

 

「え?じゃねーよ、早くビール注げ」

 

「あ、はい…」

 

夕張は心なしか、とても残念そうな顔でいつものオリ●ンビールをグラスに注いで俺に手渡した

 

「オマエもナンか飲んでいいぞ、俺が許す」

 

「あ、はい………じゃ、ウーロン茶で」

 

なんだ、意外に謙虚なヤツだな…よく考えれば、コイツはバカ兵器の開発に関しては紙一重のバカだが、それ以外の事はわりと質素で謙虚なんだよな、たまに一緒にメシ食いに行っても大して食わないし

 

「あ、夕張だけズルいですよ!提督!私も!この明石もドリンクをお願いします!シャンパンとか!」

 

「土下座しろ」

 

「厳しいッ!夕張に比べて明らかに私への対応が厳し過ぎるぅ!」

 

「やかましい、お前には謙虚さが足りんのだ、謙虚さが」

 

「チッ…わかりましたよ、じゃ、まずは私もウーロンでいいです」

 

明石の野郎、とりあえず前半大人しくして俺を酔わせて気分良くした後に高価いヤツを入れる作戦に切り替えやがった、っーかここまで露骨でバレバレとかコイツの頭はキヨリベ並にバカなんじゃないのか?

 

「とりあえずカンパーイ」

 

「カンパーイ!」

 

「カンパーイ!」

 

俺達はそれぞれのグラスを手に、とりあえずお疲れー!と言いながら乾杯をかわした、そういや最近は司令部行ったりとか無駄に疲れるコト続きだったし、たまにはこーゆーのも悪くない

 

「あ、そういや提督、お見合い行ったんでしょ?ケッコンするんですか?指輪売りますよ、指輪、ウチで買ったら今ならなんともう1個つけますよ」

 

「しねーし、っーか誰か聞いたんだ?そのハナシ」

 

「五月雨ちゃんですけど?」

 

おしゃべりさんか、アイツは…まぁ別にどうでもいいコトだが

 

「ってゆーか、提督ってホモなんじゃなかったんですか?アレですか?一応、世間体の為ですか?」

 

「ダ・レ・が・ホ・モだァァァァァ!!ア〝ァ?」

 

俺は明石の顔面を掴みアルミ缶を握り潰すかの如く力を込めた

 

「ギャアアアアアアアア!!痛い!痛い痛い痛い!割れるッ!!アカシヘッド割れちゃうぅぅぅぅ!?汚い液撒き散らして砕け散っちゃうよぉぉぉぉ!!」

 

「やかましい!オラァ!足をふんばり!腰を入れんかぁ!」

 

明石の頭蓋がメリメリ音を立て、ギブ!ギバーップ!と叫び、ママからうるせぇよ!と怒られたので俺は明石の顔面から手を離してやった

 

「ハァ…ハァ…ハー……砕けるかと思った、マジで」

 

「俺はホモでもなければロリコンでもない、わかったか?」

 

ヒィヒィ言って痛みに苦しむ明石を夕張は心なしか、とても羨ましそうに見ていた気がするが、まぁ気にしないでおこう

 

ーーー

 

「何のカラアゲですか?それ?」

 

適度に焼酎を飲みつつ、この夏に迫る大規模作戦、来たるべき対話の時について3人で話をしていると、ママがジューシィにカラッと揚がったカラアゲを食いなと言ってテーブルに持ってきた

 

「食っていいぞ」

 

「マジですか?提督のくせに優しい〜」

 

明石と夕張がジューシィな鶏肉ウメーと言いながらガツガツと皿に乗った肉をたいらげた、キヨシとリベッチオにはウシガエルはちょっと長い旅に……争いも、奪い合いもない場所、エデンへと旅立ったと伝えておこう

 



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提督と真田大佐と接待回

今回はマグロ軍曹様の好意で書かせて頂いております
本当に感謝です、はい

【登場人物】

眼鏡の人(146)
数字に弱い文系眼鏡

五月雨(50)
唯一無二の殺人バリスタ

真田大佐
マグロ軍曹様の『バカが鎮守府に着任しました』の主人公の人、殺戮・恐怖政治・血祭りがスローガン…らしい


マグロ軍曹様の以下略、当基地の漣とは別物

足柄(9)
人生経験豊富で実姉から子持ち処女とディスられている伝説の狼

大淀(8)
足柄のマジダチで思考と言動と愛車がDQN寄り、礼号キッズからは月1回チ●コ生えると未だに誤解されている


「研修?」

 

「はい、内容的にはそんな感じみたいですね」

 

上から届いた1枚のFAXを手に、五月雨はその文面を読み上げて公文書らしく面倒くさい言い回しの内容をわかりやすく要約した

 

「なんでも、参謀司令部の真田大将の親族の方らしいですよ、たしか弟とかなんとか…」

 

「そんな大将知りません」

 

大将なんて沢山居るし、イチイチ覚えているほど俺も暇人ではない、そもそも、派閥や所属が違って何処の偉い人とか覚えるほど俺は仕事熱心でもないし、そりゃ昇進とかしたい願望はあるが、いや、昇給してくれるなら昇進してくれなくてもいいが…

 

「まぁいい、どうせ研修っても“ガハハハ!最近コレ、調子はどうですか?私は80切りましてねぇ”とか話すだけだろ」

 

「そんなのでいいんですか?」

 

「いいんだよ、ちょっと遠出の出張なんてのはそーゆーモンなんだよ」

 

「はぁ?」

 

俺は五月雨から受け取ったFAXを眺めて内容を確認する、ふむ…真田大佐か、階級的には俺より偉くはないが、とりあえず、司令部に身内と言う名のパイプを持ってるらしいし、適度に接待しておくのが吉だろう…

 

「サミエール」

 

「五月雨です、なんですか?」

 

「ママにこの日接待に使いたいって連絡しといてくれ」

 

俺は五月雨に用件を伝え、上着を手に取って立ち上がった

 

「わかりました、どちらへ?」

 

「便所」

 

◇◇◇◇

 

こんにちは、綾波型9番艦、漣です

今日、私はウチのバ……ご主人様こと真田雪斗大佐と他所の基地へ研修と言う名の出張に来ています、正直、物凄く気は進みませんでしたが、大淀さんと明石さんと相談した結果、ここはやはり秘書艦が同行して、ウチのバ……提督がバカやらかした際に迅速に黙らせるべきだろうとの話になり、正直ハズレしかない貧乏くじを引かされ、ここまでやって来ました

 

「コーヒーをどうぞ」

 

「あ、ども」

 

この基地の司令官さんとウチのバ……提督が何やらガハハハ!とか笑いながら話をしている間、秘書艦のサミ…五月雨ちゃん?………あれ?五月雨ちゃんってもっとユルっとしてフワっとしてややドジなトコがある可愛らしい子だったような気がするんですが…

その、五月雨ちゃんが淹れてくれたコーヒーを受け取り、一口飲んでみたが……

 

「…」

 

マズッ!!不味いですよコレは!なんだろう、この、我慢したら飲めない事はないけど二度と飲みたくないと思わせる絶妙な不味さ、豊潤なコーヒーと香りと決して相容れない口の中に広がる産業廃棄物処分場のような濃厚なコク、そして、何故この五月雨ちゃんはこの殺人的不味さのコーヒーをお客に出して何故そこまで誇らしげな佇まいで居られるのか…

 

「あ、お菓子もありますよ、お菓子、バタークッキーですけど」

 

「あ、いただきます」

 

少しでもこの味を中和したい、私はいただきますと言ってテーブルに出されたバタークッキーを手に取った、すると…

 

「上等だぜコノヤロウ!オモテに出ろよタイマンじゃあ!」ピキッ!パキッ!

 

「へぇーやるんすかセンパイ?オレ、ケンカつえーっすよ?」ピキッ!パキッ!

 

さっきまでガハハハと笑いながら和やかに談笑していた眼鏡の人とウチのバカがピキッ!パキッ!とか変な擬音を出してお互いの胸ぐらを掴んでいた!?

 

「なんでェェェェェェ!?今まで仲良く話してたじゃないですかー!?」

 

「ナニ言ってんだザミー、さっきから俺達は地球寒冷化作戦について相容れない意見を話しあってたぞ」

 

「地球寒冷化作戦っ!?」

 

なんの話してんだよコイツら!?深海棲艦どころか地球を滅ぼすつもりだよ!?眼鏡の人とウチのバカはどこからか取り出した光る棒みたいなもので互いに斬り合いを始めた!

 

「エゴだよ!それは!」

 

「そうか、鈴谷はパパを求めていたのか…それを煩わしいと感じた私は鈴谷をビッチとして扱ったのか!」

 

…なんだコレ、いや、ウチのバ……もういいや、バカで、そのバカと真正面からバカをやれるなんて、まさかこの眼鏡の人も…

 

「バカですけど?」

 

「ですよねー…」

 

五月雨ちゃんは特に気にした様子もなく、コーヒーのおかわり如何ですかと聞いてきたので丁重にお断りし、眼鏡の人とウチのバカは激しい死闘の末、いつの間にやらガハハハと笑いながら熱い握手をかわしていた…正直、もう帰りたい

 

◆◆◆◆

 

倶楽部HO-SHOW…

それは、基地の中に存在する艦娘が多数在籍する決していかがわしくない、酒類などを提供する夜の店である…

 

「足柄よ」

 

「大淀です」

 

真田大佐とのアツいガンダ●ファイトを終え、軽く食事を摂った後に、今日はいい娘用意してますよぉ〜と下卑た笑み浮かべ今日の接待タイムが始まった、そう、あくまでこれは真田大佐への接待であり、もしよろしければ司令部大将のお姉様に良い口利きをお願いしますよぉ〜と言う下心は存在しない事を明言しておこう!

 

「オイ、わかってると思うが接待だからな」

 

「えぇ!身内に大将がいる有望な若手ね!」

 

「フッ、提督…私と足柄は百戦錬磨の猛者ですよ」

 

ダメだコイツら、しかしなんでよりによって今日はこのダメコンビしか用意できなかったのか!?

 

「ナニ飲みますぅ?焼酎は芋麦米、ウィスキー、ブランデー飲み放題ですけどぉ〜?あ、あとソフトドリンクもありますぅ」

 

さすがは足柄だ、まるで本職のような鮮やかな導入ッ!これが伝説の狼…ッ

 

「あ、じゃあ焼酎…米にしよっかなー!」

 

「米ね!」

 

「水割りでいいですか?」

 

そして、足を組んでスカートのスケベスリットを無駄に強調し、鮮やかにグラスにアイスを入れる大淀、その無駄の無い正確な動作はまさしく精密機械ッ!

 

「漣さんはオレンジジュースでいいですか?」

 

「あ、はい、ザーナミはオレンジで」

 

秘書艦として同行してきたサザ…サザビーくんだっけか?一応、彼女も店内に同席しており、俺と五月雨が座る席で物珍しそうに店内をキョロキョロと見回していた

 

「真田大佐、私達も飲み物頂いても?」

 

ナニが飲み物頂いても?だ、気色悪りぃ野郎だな、足柄と大淀、普段が普段だけに吐き気すら感じるのだよ…

 

「よぉーし!今日はパーっと出すぞォォォ!!ザーナミ!大開放祭じゃあああああ!!」

 

「大佐男前ーッ!」

 

「よっ!大佐の中の大佐ーッ!」

 

「………ただし、ザミー、テメーはダメだ」

 

「は?」ピキッ!

 

一瞬、漣クンがマジギレした顔を披露すると、真田大佐は流れるような腰から頭を下げ、ヘッ…へへ、冗談、冗談だぜベ●ータと謝罪した

 

「足柄、大淀、ちょっとちょっと、ちょっとこっち耳貸せ」

 

「チッ…なに?」

 

「いいか?間違っても頭からビールかけてシャンプー入りまーすとかするなよ?相手は身内に大将がいるんだ、もし下手打ったら大将の逆鱗に触れてバスターコールされるかもしれんからな」

 

「しねーし、そんなコト」

 

「まぁ見てろってオッサン、有り金全部とカード類巻き上げて免許のコピーとってやんよ」

 

ダメだコイツら……もしかしてコレはバスターコール待ったなしの流れなのではないだろうか?俺は嫌な予感だけを感じつつ、真田大佐へと視線を向け…

 

「フゥゥゥゥゥ!!脱・衣!」

 

突如として真田大佐の海軍的制服がハジケ飛び、制服の下からセーラー服的な服が現れた!

 

「フゥ、やはり夏はセーラーに限る」

 

清涼感のある夏色コーデ!アツいSUMMERをBOMMERに変える大胆モテカワ宣言ッ!

 

衝撃のコーデチェンジに戦慄する俺達の中、ただ一人、正気を保っていたらしい漣クンが立ち上がって吠えた

 

「このおバカァァァァァァァァ!!なんで脱ぐんですか!?せめて見た目だけは普通を装うって約束したじゃないですか!」

 

「反吐が出るぜ」ペッ!

 

「………スイマセン、なんか鉄の棒みたいなのありませんか?」

 

「金属バットでよければ」

 

五月雨から金属バットを受け取った漣クンは待て!話し合おう!話せばわかる!話せばわかると叫ぶ真田大佐の頭部めがけて腰の入ったスィングを振るったが、真田大佐はまるでトゥーンの住人のように身体を曲げてそれを避け、ゲラゲラ笑っていたところ、トゥーンワー●ドを破壊され断末魔を叫びを上げて砕け散った…

 

◆◆◆◆

 

後日、件の漣クンから手紙が届き、ウチのバ……提督は腹立つほど普通に元気ですと書かれた書面と野菜みたいなよくわからない生物にボコられて張り付けにされて吊るされながらもダブルピースする真田大佐の写真が同封されていた…

 

「…これはたしかに腹立ちますね」

 

「ダブルピースする余裕があるぐらいには元気なんだな」

 

俺は写真をゴミ箱に投げ、椅子に掛けてあった上着を手に取って立ち上がった

 

「どちらへ?」

 

「便所」



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提督と島風と孤独の毒

もしかしたら、逆だったのかもしれねぇ回

【登場人物】

提督(147)
それが大人の特権だよ

島風(4)
スカートの意味を考えさせる痴女、しかしスカートを穿いているので風紀的に問題はない

天津風(2)
よく見ると、スケスケだぜ!


島風型1番艦、島風

その、他の追従を許さないスタイリッシュ痴女ファッションはどこの基地・鎮守府においても目のやり場に困ると言う回答が多い実にけしからん格好をした駆逐艦である

 

さて、午後も元気ブリバリに仕事すっかーと考えつつ喫煙所で煙草を吸っていると、その、スタイリッシュ痴女の島風が菓子パンを持って廊下をうろついていたので声を掛けてみた

 

「よぉ、ナニやってんだ?」

 

「おう!?」

 

「昼飯か?そんなモンで足りるのか?」

 

「えぇ…まぁ」

 

オイオイオイ、食べ盛りのお子さんがクリームデニッシュ1つだけですか、まさに超人的な消化力と言えますね、それに、野●生活のフルーティ味も添えて実にバランスがいい

 

「テイトクはタバコですか?」

 

「タバコですが?」

 

この島風、見た目は些かアレだが話をしてみるとワリと謙虚で人見知りするタイプらしく、昔は地味でパッとしない子だったらしいが田舎から出て来る際、友達を作りたいと都会的ファッションをベンキョーし、ナニを間違えたのかそのカッ飛びファッションに行き着いたそうだ

 

「そういやオマエ、香取先生が今度廊下を走ったら殺すって言ってたぞ」

 

「殺っ!?」

 

「フーッ〜…俺は懐が深くてハンサムで優しいから許してやるが、香取先生には迷惑かけるんじゃねーぞ」

 

「おぅ!了解しました!」

 

ちなみにこの島風、香取先生には非常に懐いているらしく、香取先生もたまにこの痴女をラーメン屋に連れて行ってラーメンを食わせてやっているらしい、以前、色々あって、この島風がどのみちロクなヤツじゃねーから見つけ次第殺るぞ!って話になった時も香取先生だけは自分の生徒を信じた件もあったな、懐かしい話だ…

 

「フーッ〜…」

 

「テイトク!」

 

「なんだ?」

 

「前から気になってたんですが、それ、美味しいんですか?」

 

「…どうだろうな?旨いっーか、美味くないっーか…ケムリだしなぁ」

 

「へぇ〜」

 

「まぁアレだ、タバコの旨さとビールの苦さに旨みを感じるのは大人の特権ってヤツだ」

 

その苦味と引き換えに、若さを手放し、大人である事をただ認めて次に活かす、それが大人になると言うコトだろう、このスタイリッシュ痴女にもいつしかわかる日が来るだろう

 

「しかし、俺も小腹がすいたな…明石のカスんトコ行ってなんか買ってくるか」

 

食堂行ってガッツリ食いたい気分でもねぇし、こないだ間宮にウホッ!イイ尻してるね!と気さくに挨拶したら汚物を見る目をされたからあんま顔出したくねぇし…

俺は灰皿にタバコを投げ込んでベンチから立ち上がった

 

「じゃあな、便所飯もほどほどにしとけよ」

 

「便所飯じゃありません!べ…ベンチで!ベンチで食べるつもりだったんです!友達と!」

 

「あ?」

 

ナニ言ってんだコイツ?このどこへ出しても恥ずかしいスタイリッシュ痴女に友達とか居たのか…?初耳だな

 

「オマエ、友達とか居たんだな」

 

「いますよ!友達!テイトク失礼過ぎ!」

 

「すまんすまん、そういや友達居たな、連装砲ちゃんと連装砲ちゃんと連装砲ちゃんが」

 

陽炎型のあま…アマツ、アマツなんたらは連装砲くんしか居ないがコイツには3人も居るんだったな

 

「クッ!」

 

島風は悔しそうに顔をそむけた、どうやら友達とはマジで連装砲ちゃんと連装砲ちゃんと連装砲ちゃんらしい

いかんな、このままでは青春の甘酸っぱいイベント満載の多感な年頃をこの娘は孤独のまま過ごし、そうだよ!オレは最初から独りだった!オマエにはわかんねぇだろうな!温かい家族も!優しい姉妹も居たオマエには!とか言って闇堕ちするかもしれん…

 

「島風ェ…」ポロポロ…

 

「な、なんですか?」

 

「わかるってばよ…独りはつれーよな、ハンパじゃねーよな」ポロポロ…

 

「ちょ!なんですか!?なんでテイトクが泣くんですか!?ってか、別に連装砲ちゃん以外にもちゃんと…」

 

「よし!提督がラーメン奢ってやるぞ!付いて来い!」

 

俺は島風の頭の耳長族みたいな黒いアレを掴み、島風を引っ張って歩き出した

 

「ちょ!痛い痛い痛い!痛いです!それに私待ち合わせが…ッ!!」

 

「ハッハッハ!子供が遠慮なんかすんな!大盛りでもいいんだぞォ!」

 

このシャイガールめ!そうだ、こーゆー拗らせた子は無理矢理にでも連れ出すコトで変わっていく!そうですよね!香取先生!これが真の教育なんですね!香取先生!

 

「ハッハッハ!アーハッハッハ!」

 

「オーゥ!!痛い痛い痛い!もげる!リボンもげるぅぅぅ!!」

 

◆◆◆

 

提督が島風のウサ耳的なアレを引っ張りラーメン屋に連れて行かれた頃…

 

「…遅い」

 

執務棟の裏側にあるベンチで独り座る天津風は未だに来ない友達をずっと待っていた

 

「…遅いなぁ」

 

そんな天津風の足元に、ベンチ周りの除草作業を終えた連装砲くんが戻って来て目をチカチカと点滅させた

 

「………独りは辛いってばよ」ポロポロ…




次回は久しぶりに香取先生と鹿島先生


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提督と鹿島先生とミッドナイトB

お前はまた、走り出すしかないんだヨ…

【登場人物】

提督(148)
更新前と更新後に定期的にしょっぴかれてる青色ドライバー


香取先生(13)
安全運転の金色ドライバー

鹿島先生(13)
この車がいいんだよ!この車じゃなきゃダメなんだ!


季節は未だアツかりし夏を感じるには些か早いジメっとした梅雨、湿気を含んだ生温い風がビュービュー吹いてやがると感じつつ、俺はタバコを買いに行くついでに基地の施設内をブラブラと点検して回っていた…

 

「あら?提督、お疲れ様です」

 

「あ、お疲れ様です、提督さん」

 

駐車場の付近を歩いていると、今日も眼鏡がエレガントな香取先生と、珍しくニコニコと陽気なオーラを放つ鹿島先生と会った

 

「お疲れ様です、先生方、こんなところで奇遇ですなぁ」

 

「そうですねぇ」

 

香取先生は口元を手で隠してエレガントに笑う、まったく…香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる、ウチのバカどももこんな素敵でエレガントな先生に時に厳しく、時に優しく指導して貰えて羨ましい限りだ

 

「実は先日、鹿島が車を購入しまして、今日はこれから鹿島の車で初ドライブに行くんですよ」

 

「ほぉ…車を」

 

駐車場には俺のM●2の他に、妙高のDQNシー●、高雄のDQNセル●オやら些かアレな車種が並ぶ中、異彩を放つ香取先生のムースピンクパールの可愛いらしい軽自動車も駐車されている

 

「あははは、私は香取姉……香取姉さんと違って中古なんですけどね、値段も手頃だし、なんか気に入っちゃいまして」

 

たぶん、鹿島先生のコトだからきっとウチのバカどもと違って見た目の可愛い軽か、人生を守りに入った堅実な車種だろうか?………いや、案外鹿島先生もお若い方だから真っ赤なスポーツカーに憧れる世代かもしれないな

 

「ちなみに、どの車ですかな?」

 

「アレです」

 

ニコニコ笑う鹿島先生が指さす先に停まっているのは加賀のDQNヴェル●ァイア………の横、なにやら見慣れない車がある、鮮やか……と言うよりどことなく禍々しさを感じるミッドナイトブルーの車体

 

「ふぇあれでぃ?って車です」

 

鹿島先生はニコニコ笑いながら買ったばかりの愛車、ミッドナイトブルーのS30型フェア●ディZを紹介してくれた………あかん、コレ、ヤバいヤツや

 

「なんか過去に事故歴があるみたいですけど、今は綺麗に修理されてますし、それに…安かったし」

 

「あ、あぁ…うん、そうですか」

 

「鹿島ったら“淑女”って名前も気に入っているみたいで…」

 

「あははは…そうですね」

 

香取先生も妹の初の愛車に鹿島に淑女なんて洒落が効いてますねぇとエレガントに微笑んでいる、しかし……大丈夫かコレ?素人どころか玄人も乗っちゃダメな車な気がするんだが…

 

「じゃ、香取姉さん、行きましょうか!」

 

「えぇ、では提督、ちょっと湾岸線を走ったらすぐに戻って参りますので」

 

「あ、はい、とりあえず事故だけには、うん、事故だけには気をつけて下さいね」

 

2人の先生はそれではと頭を下げ、車に乗り込み、悪魔の咆哮が唸りを上げ、今、狂おしく身をよじるようにミッドナイトブルーの悪魔が野に解き放たれた!!

 

「………」

 

発進した車を眺めながら、俺は胸元のポケットからタバコを取り出して火を点けた

 

「一応、後を追ってみるか…」

 

正直、嫌な予感しかしないのだがこれを放置しておくとさらなる嫌な予感を加速させる事になるかもしれん

たしか湾岸線を走ってくるとか言ってたし…まぁ、香取先生も御一緒してるなら安全運転してるだろ、俺は車の鍵を取りに行くべく部屋に戻る事にした…

 

◆◆◆

 

「あ、姉さん、なんか前にヤ●ザみたいな車が居ますよ!」

 

「ホントねぇ、車間距離を開けましょう」

 

たしかロールスなんとかって凄い高級車だっけ?変に当てたりしたら怖いし、距離を取らないと…距離を…

 

「………姉さん」

 

「なんですか?」

 

…いや、今夜でなければダメなんだ、同じ夜は二度とやってこない…!

 

「鹿島、なんかスピード上がってますよ?鹿島?」

 

仲間でもなく、親友でもない、同じ感覚を求め合うのに、ケリをつけなければ気がすまない…!速さだけが全てでいい!

 

「鹿島?ちょっと鹿島、聞いてます?鹿島、減速減速」

 

「…行きます」

 

「鹿島?ねぇ聞いてる?鹿島、もしもし?ねぇ鹿島、もしもーし?」

 

ーーー

 

俺はこのM●2のミッドシップ、2シーターと言うところに無意識にカウン●ックの影を見ていたのかもしれない…

 

「オイやべぇぞ!悪魔のZとブラック・バックバッジがヤり合ってやがる!」

 

「クソッ!なんて夜だ!」

 

湾岸沿いのコンビニで缶コーヒーを買い、車に戻っていると近所のニイちゃん達が興奮した様子で大声を上げていた

 

「…」

 

俺は缶コーヒーの蓋を開け、胸ポケからタバコを取り出して火を点け、紫煙を吐き出した

 

「フーッ〜……お前はまた、走り出すしかないんだヨ」



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提督と夕張とマキシマムMX

ちょいちょい出てくる特撮話、今回は若い子にも優しく新しめ!

【登場人物】

提督(149)
女性の嫌がる事はしないフェミニーな痴漢

夕張(28)
前回大人しかった分、今回は大人しくない

清霜(7)
マックス大戦艦


暑い暑いと嘆きつつ、明石の店で買ったガリガリくんを冷凍庫から取り出し、俺と五月雨は執務室でガリガリくんをガリガリしていると、ガリガリではなくバリバリ感溢れる軽巡がドス黒く燃える太陽のような笑顔で執務室へとやって来た…

 

「新しい装備を開発しました!ハッキリ言って自信作です!」

 

「…見せてみろ、どうせくだらねーモンだろうが、そのくだらな度合いで俺も痴漢奥義のレベルも上げてやる」

 

「はいっ!!」

 

相変わらずなんでちょっと嬉しそうなんだコイツ、どっかおかしいのだろうか?いや、おかしいんだったな、頭が

 

「今回のアイテムはこちら!!マキシマムマイ●ィXガシャットです!」

 

夕張が取り出したチャチな玩具のようなアイテム、なんだろうな、もうこの時点で痴漢奥義ヘヴンズドア→ラビリンス→ヘヴンズドア→ラビリンスの地獄ループを叩き込んでいいような気がしてきた…

 

「足がないな…」

 

「足なんて飾りです!」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな」

 

とりあえずいつもの様式美的挨拶を済ませ、夕張は早速、そのマキシマムなんたらの説明を始めた

 

「こちらのマキシマムマ●ティXガシャットですが、これをゲーマドラ●バーにガシャーンして頂く事で最大級のパワフルボディにマックス大変身するコトができます!」

 

「ふ〜ん」

 

ナニがマックス大変身だ、バカにしてんのかコノヤロー

 

「ちなみに、今回は既にマックス大変身して貰いました清霜ちゃんにも来て貰ってます、清霜ちゃん!カマァーン!」

 

「ナニがカマァーンだ、バカにしてんのかコノヤロー」

 

夕張のカマァーン!の声の後、執務室の扉をメリメリとヘコませ、なにやら大柄なマシーンが執務室へと入ってきた

 

「マキシマムパワーえーっくす!!」

 

執務室に入ってきたのは頭はいつものバカヅラした清霜、身体はデカい顔みてーなクソダサアーマードスーツ的なナニか!?これまさに最大級のパワフルボディ!?

 

「で、デカッ!!っーかダセェ!?」

 

「いやいやいや、よく見てください提督、たしかに見た目のインパクトはなかなかパないですが、慣れてくると1周回ってカッコいい気がするんですよ」

 

「アホか、何周回ってもそんな時代くるか!」

 

「ちなみにこちらのマキシマムキヨシレベル99はパンチ力99t、キック力99t、ジャンプ力99mと破格の性能です!レベル99だけに!」

 

「ふ〜ん」

 

このクソダサ着ぐるみアーマーにそんな性能があるかどうかは非常に疑わしいんだが…

 

「さぁ!マキシマムキヨシレベル99!その力を提督に見せつけてやるのです!」

 

夕張は頭のおかしい科学者特有のオーバーな身振り手振りでマキシマムキヨシレベル99に命令を下した………がッ!!

 

「…フッ、誰に命令している!この腐りかけメロン野郎め!」

 

「なにぃ!?マキシマムキヨシレベル99!その力を与えてやった私に反抗する気か!?」

 

今までの反省がまるで生かされていないのだろう、夕張は清霜の反逆を受け、その、パンチしてくださいと言わんばかりにヘソを見せつけるスレンダーボディに最大級のパワフルパンチを喰らい壁に叩きつけられた

 

「オボォ!!」

 

「わはははは!!このレベル99の清霜こそ無敵ッ!そして頂点ッ!」

 

「オイ夕張、どうすんだコレ?また武蔵でいいか?いつもの武蔵クンにブッ飛ばし貰う感じでいいかー?」

 

俺は壁にメリ込んだ夕張の頰をペチペチと叩き意識の確認をし、要救助者意識なーし!と叫び、直ちに夕張の無い胸に右手を添えた

 

「フーッ〜………通・●・拳ッ!」

 

「ゴバァ!!!」

 

心臓マッサージでもダメか、まぁわかってたけど…っーか、なんで通●拳喰らってアヘ顔なんだよコイツ、マジキメぇ…

 

「五月雨、武蔵を呼べ、武蔵」

 

「さっき呼びました」

 

仕事はえーなコイツ、チッ、こーゆートコがムカつくんだよなこの青髪ロングは

 

「オイ、キヨシ、今から武蔵とヤらせてやるから存分にその最大級のパワフルパンチしてみろ」

 

「ウヘヘヘヘ…今の清霜なら武蔵さんとかワンパンだよ!ワンパン!なんたってマキシマムキヨシレベル99だからね!」

 

最大級のパワフルボディで大ハシャギする清霜、壁にメリ込んだまま失禁する夕張…

この後、週刊マガ●ンを読みながら歩いていた武蔵にマキシマムキヨシレベル99が襲いかかり、武蔵の鉄拳で最大級のパワフルボディは粉々に砕かれて清霜は医務室に緊急搬送され、翌日、ゾ●ビゲーマー・新・清霜として甦った



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提督と海防艦と3P

すぐそばにある罠、重大事案回

【登場人物】

提督(150)
巨乳派

占守(2)
事案メイトその1、テンションが高く接触事案が発生する

国後(2)
事案メイトその2、常識的だがよく転んでM字開脚する事案が発生する

択捉(3)
事案メイトその3、常識的で真面目だが声をかけるだけで重大事案発生

長門(15)
アツい腹筋とアツいバーニングソウルを持つ大戦艦、趣味は盗撮


みなさんこんにちは、本当にカッコいい事とは何か?その、単純にして難解なる終わりなき問いを常に考え続けるハンサムな提督は今、ファミレスに来ています

 

特に急ぎの仕事もないので、タバコでも吸いながら喫煙所で秦の秘伝書でも読もうと考え、喫煙所へと向かっていると、自販機コーナーで海防艦のヤツらに見つかる事案が発生し、海防艦の、え〜…シム?シムシューだっけか?そのシムシューくんが“いつファミレスに連れてってくれるんしゅか!膝の皿叩き割るっしゅよ!クナが!”とかワケのわからん事を言いだし、そういやそんな約束した事を思い出した俺は海防艦の事案トリオを近所のファミレスへ連れて行く事案が発生する事になった…

 

「好きなモン食っていいけど大人しくしてろよ、マジで」

 

「マジっすか!じゃあこのイチバン高いステーキ食べていいっすか!?」

 

無駄にテンションの高い占守姉妹の姉、占守、よく見るとかわいい気がするが俺はロリコンではないので何も感じない

 

「姉さんうるさい!って、そんな大きいの姉さんだけで食べれるの?」

 

無駄にテンションの高い姉に噛み付くよくデキた妹っぽい占守姉妹の妹、国後、よく見るとかわいい気がするが俺はロリコンではないので何も感じない

 

「私は…このサワーシェイクでいいですか?」

 

そして姉妹では無いが同じ海防艦の事案メイト、択捉、占守姉妹が犯罪ならこちらは大罪と言っていい重大事案発生装置だ、よく見るとかわいい気がするが俺はロリコンではないので何も感じない

 

「あー、はいはい、好きにしろ、好きに、あと、頼んだら残さず食えよ、残したら鼻の穴からねじ込むからな」

 

「よーし!オネーサン!このイチバン高いステーキとライス大盛りとガチ盛りメガフルーツパフェ頼むっす!」

 

「食べ切れるの!?無理でしょ!?姉さん話聞いてた?鼻の穴からねじ込まれるわよ!?」

 

「ダイジョーブ!クナ!死ぬ時は一緒っすよ!」

 

「イヤよ!1人で死んでよ!オネーサン、今のナシ!今の注文ナシで!ほら、食べきれる量で選び直してよ!」

 

「えー………食べきれる量っすか、じゃ、このおつまみセットぐらいっすかね?」

 

妹に怒られ、シムシューくんはメニュー表を凝視し、力強くメニュー表から選んだのはお酒のお供でお馴染みの一皿おつまみセット…

 

「ちょっとしか食べられないならステーキとか頼むなァァァ!!」

 

ビタんっ!!(平手打ち)

 

「シムッシュッ!!!」

 

妹のスナップの利いたナイスガッツビンタを頰に受け、シムシューくんはソファーから転げ落ちた

 

「オイオイ、キョーダイはもっと仲良くしねぇとダメだぞ」

 

「ハー…ハー…スイマスン、ついカッとなりまひ…いえ、なりまして」

 

「さすがクナっしゅね…クナのビンタを受けて倒れなかったのはシムが初めてっしゅよ」

 

いや、お前はそのクナビンタを受けてソファーから転げ落ちたがな、一応、考えないようにしていたのだが……どうやらコイツは他の2人と違って頭1つ抜けたアホみたいだ

 

ーーー

 

注文したメニューがテーブルに揃い、俺たちはこの世の全ての食材に感謝を込めいただきますと食事を開始した、ちなみに、俺はあまり腹が減ってないのでコーヒーのみだが…

 

「うん!ウメーっしゅ!」

 

「…姉さんうるさい」

 

「……」ズズズ…

 

結局、肉を頼んだシムシューくんはナポ…モニュ…とワケのわからん擬音を立てながら肉を頬張り、ついでに、妹の山盛りのキャベツをシャクシャクと食べ、妹は妹で山盛りのキャベツとついでに姉の肉を食べる実にシェアな関係で落ち着き、択捉くんは冷たいシェイキーを美味そうに啜っていた

 

「そういやオマエら最近近海につるんで出てるらしいな?どんな感じだ?」

 

この事案トリオ、潜水艦を狩る天性の才能があるらしく、あの人類最強の潜水艦狩りの達人、五十鈴パイセンが“まるで先制対潜のバーゲンセールだな…”と苦虫を潰したような顔で呟いたそうだ

 

「ヨユー過ぎて赤子の首を捻るぐらいっす!」

 

「手ね、手、首じゃないから」

 

「意外となんとかなる感じです!」

 

「ふ〜ん」

 

ここに配属された当初、ただの重大事案発生装置かと思っていたがまぁなんだ?まったく、海防艦って最高だな…この対潜力、素直に凄いと思う、五十鈴パイセンも実力と才能ある後輩が増えてさぞ嬉しかろう

 

「…む、コーヒーがないな」

 

「シムが注いでくるっすよ!」

 

「いや、自分で行く、いいから黙って食ってろ」

 

「了解っす!あ、ついでにオレンジジュースいいっすか!」

 

このガキ、上司をなんだと思っているんだ…?まぁいい、俺は余裕と威厳に満ち溢れた大人だからな、クチャクチャと肉を頬張るシムシューくんとそれを横目にイヤな顔をする国後くん、そしてシェイキーを飲み干した択捉くんにそれぞれ飲み物を聞き、俺はドリンクバーへと向かった

 

◆◆◆

 

「聞いたぞ、同志提督」

 

「…あ?」

 

喫煙所で基地スポを読みながらベンチで寝転がっていると、この世の負を全てを煮詰めたようなドス黒い怒りの顔をした大戦艦が立っていた

 

「…パンツ見えてるぞ」

 

「そんな事はどうでもいい、それよりも聞いたぞ同志提督」

 

「チッ…っーか同志じゃねぇよ、何のハナシだよ?アレか?こないだ陸奥と俺の部屋で一夜を共にしちゃったコトか?」

 

「そんな事もどうでもいい」

 

ちなみに、こないだ陸奥と朝まで幻想魔伝最●記一気見大会!を敢行、誰かが捨ててしまった昨日を拾いつつがむしゃらに手を伸ばし、翌朝をイヤなテンションで迎えたものだ…

 

「先日、海防艦のエンジェルスと仲良くファミレスに行って楽しくお喋りしたそうだな?」

 

「………さぁ?何のコトだからわからないな」

 

俺の回答と同時に、長門の殺人パンチが炸裂して俺が寝転んでいたベンチが粉々に砕けた

 

「む…?かわしただと…?この長門の拳を」

 

「あーあー、基地スポに穴が開いあいちまったじゃねぇか、由良さんのグラビア台無しじゃねーか」

 

コイツに邪●は通用しない、どうする?ステゴロ最強と名高いこのタフ・ガイは些か相手が悪すぎる

 

「何故このビッグセブンも誘わないんだ!ズルいぞ!アレか!エンジェルス独り占めか!アレか?海防艦トリオだけにエンジェルスと3Pか!」

 

「ナニが3Pだバカヤロウ、っーかそれだと俺入る隙間ないじゃん、俺入ったら4Pじゃん」

 

「たしかに……ならばこのビッグセブンも含めれば5Pだな」

 

ナニが5Pだ、そこまで来たらもうPじゃなくて大乱交だよ、っーかナニ言ってんだコイツ?イカれ………てるんだったな

 

「よし!それで行こう!」

 

「ナニがそれで行こうだ、アホか」

 

「同志提督、今日のところは見逃してやろう、後で娯楽室に来るがいい、同志グラペンも交えてアツい会議を開催する、逃げるなよ」

 

そう言い残し、長門は改二になって無駄に長くなった裾を翻してスタスタと去って行った…

 

「フーッ〜……」

 

俺はタバコに火を点け、一服、紫煙を吐き出してタバコの袋を握り潰した

 

「…見逃してやるだと?この提督を?………ジョートーだよテメー」



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提督と大監査と導入編

今回から全3回の特別編
Zero-45様のご厚意のもと書かせて頂いております

【登場人物】

提督(151)
大佐、子供にアイスぶつけられるレベル

五月雨(50)
通称、青髪ロング、痒いところに手が届く

吉野中将
Zero-45様の『大本営第二特務課の日常』の主人公
髭で眼帯の勇ましさやこれまさに武将、所属する艦娘からの好意の多さやこれまさに快男児

時雨
Zero-45様の以下略、当基地所属の頭が高い時雨様とは別物




アツかりし夏の日差しになんか絶対負けない!と決意する冷房のパワフル送風を全開にした夏の執務室、基本ロクな話のない軍の回線を使った電話が鳴り、イヤな予感を感じつつも取らないワケにもいかないのが大人である

 

「もしもぉーし、ウチはピザの配達とかしてないですよぉ〜」

 

『そうか、じゃ寿司でも持って来い、上をな』

 

相変わらずガハハハうるせぇクソオヤジこと大将殿と小粋なテイトクジョークを交えつつ、次は大規模作戦だとか最近どーよ的な話をし、イヤな予感だけを膨らませつつ早く電話切りたいと考えていると、声のトーンが変わり、大将殿は今回の本題を話しだした…

 

『オマエんトコに監査が入るぞ』

 

「はぁ?監査っすか?」

 

『しかも中将直々に』

 

「は?」

 

ナニ言ってだこのオヤジ、イカレているのか?

 

『中将直々とかなかなかないぞォ?』

 

「………中将ォォォォォ!?ちょ!ちょ…待てよ!ハァ?ちょっと待て大将殿!なんでそんな大物がウチに来るんだよ!?」

 

『知らん、今回はオレの与り知らんトコで決まっておったし、まぁ色々事情があってオレも今回の話は手が出せん』

 

「いやいやいや、え……?マジで?」

 

『マジ』

 

いや、まぁ、そりゃ上には上のお付き合いっーか勢力図的なモンがあるのはわかるが、さすがにいきなりまったく知らん派閥の中将が来るとかタダ事じゃないだろ

 

『しかも少々ヤバいヤツらしいからなァ、まぁ、アレだ?いい感じにアレしとけ』

 

とりあえず、事前に連絡ぐらいはしてやる親心に感謝しろよガハハハとか笑い、大将殿は電話を切りやがった…っーかいい感じにアレしとけってなんだよ、どんだけふわっとした指示なんだよ、相変わらず腹立つなあのクソオヤジは…

 

「………はぁ」

 

「監査、ですか?」

 

「あぁ、しかも中将様直々のな」

 

軍なんてのは上に行けば行くほどアブないヤツだらけの組織だ、しかも中将クラスとなるとおそらくは全員が覇気の使い手、俺の子供にアイスぶつけられる能力じゃフルボッコ確実ぅ!だ

 

「なんかよくわからんが艦娘オタスケ課がどーのこーのでウチに問題があるとかなんとかで一度見に来るとかなんとか…なんなんだ、一体」

 

「艦娘オタスケ…?」

 

「なんだ?知ってるのか?」

 

「えぇ、なんか電話相談みたいなヤツですよ、たしか、前に開設のお知らせとかなんとかチラシが届いてましたね、今も掲示板に貼ってるハズですけど…」

 

そういやなんかそんな紙が貼ってたような気がするな、大して気にもしてなかったが…もしかしてアレだろうか?フリーダイヤルをいいコトに、ウチのバカどもがイタ電しまくってるとか…

 

「鈴谷さんとかよく電話してるそうですよ」

 

「………ほぉ」

 

あの野郎ォ…いらんコトばっかしやがって、ヤンチャか?ヤンチャやろワイ?オイタばっかしよんねんか?

まぁいい、上からゴチャゴチャ言われるのは今に始まった事でもない、どのみち監査は逃れられんし、偉い人なんてちょっと頭下げて誠意見せりゃ大抵はそれで満足するもんだ

 

「サミー、とりあえず監査に来る中将様の事を調べといてくれ、ざっくりで構わん」

 

「はぁ、構いませんけど……何処のなんて方ですか?」

 

「たしか……大坂鎮守府の吉野とかなんかとか…」

 

「はぁ、大坂の吉野中将ですね」

 

◇◇◇◇◇

 

市街地からは車で30〜40分程度、微妙な高さの地域密着型の山とレジャーにも漁業にも適さない海の近くにその基地はあるらしい…

 

「提督、お茶はいるかい?」

 

「ん?貰おうか」

 

ローカル線の鈍行電車のシートは硬く、長時間座っていると尻と背中に深刻なダメージを受けかねない、今回の旅に同行して来た秘書艦の時雨くんからペットボトルのお茶を受け取り、駅で購入したかしわ飯弁当を流し込んだ

 

「田舎と言ったら田舎だけど、微妙な田舎だね」

 

「まぁ、深刻な田舎ってワケでもないねぇ」

 

窓の外の景色を見ながらお互いに率直なようで曖昧な感想を告げる、そもそも今回の監査、足柄からちょいちょい受けてた例の問題基地、なんか全裸で土下座させたり執拗にア●ルを開発したりとロクでもない話や、艦娘の給料を完全出来高払いにしてるやら基地所属の艦娘がゲーセンでたむろし、街でチンピラまがいの事件をたびたび起こしているやら、調べれば調べるほどホコリしか出てこない…

 

ただ、職務には意外と忠実らしく、大本営からの海域作戦などにも参加、勲章もののとは言わないが毎回微妙な戦果を挙げ、上から怒られないギリギリのラインを保っており、それを意図してやっているのか否かでかなり評価は分かれる事になると思う

 

「お土産は何にしようか?せっかくの提督との二人旅なんだし、何か記念になるものを買いたいね」

 

「時雨くん、言っとくけどコレ、旅行じゃないからね?仕事だからね?」

 

「あ、帰りは温泉に寄って帰るのはどうかな?行きに着いた駅にあるバスターミナルから直行バスがあるらしいよ?」

 

「もしもし?時雨くん、提督の話聞いてる?仕事、仕事だからね?」

 

“同行”秘書艦の時雨くんは湯布院・別府を満喫!湯けむりガチファックとか書かれた旅本をグイグイと見せてくる、ってか近い!本が近い!ってかナニその本!?

そもそも、ここに来るにあたり、誰が提督の出張に同行するのか?仁義なきカンムスファイト!が開催され、戦って、戦って、戦い抜いた結果、時雨くんの同行が決まったらしい…正直、提督としては戦い抜いた後にふと、振り返ってみて積み上げられた屍と己の所業に虚しさを覚えて何がカンムスファイトだ!何が理想的な戦争だよ!と後悔して欲しかったよ…

 

「楽しみだねぇ………温泉」

 

「温泉に行くんじゃないからね、仕事!提督達は件の問題基地に監査に行くんだからね?」

 

「………もう面倒だし、叛意アリって報告上げて大将率いるガチ連合艦隊で殲滅してもらったらどうだい?」

 

やだ、ナニ言ってるのこの子、マジ怖い…

 

「そんなコト出来るワケないでしょ!?」

 

「やだなぁ、冗談さ、冗談」

 

いや、今のは絶対冗談の目じゃなかった…

 

◆◆◆◆◆

 

吉野中将来訪三日前……

 

「相当ヤバい人ですよ」

 

五月雨は数枚の書類を俺の机に置き、率直かつ簡潔な意見を述べる

 

「そんなやべぇのか?」

 

「えぇ、大佐から中将に異例の昇進をしてますし」

 

なんだそりゃ?大佐から中将って…オイオイ、そりゃなんだ?四皇の首でも挙げてきたのか?どんな出世だよ

 

「あと、これはあくまで噂ですが…以前、軍の査察部隊に目をつけられてコレを追い払ったとか…」

 

「えー………ナニそれ、超ヤバいヤツじゃねぇか」

 

「だから、相当ヤバいって言ってるじゃないですか」

 

五月雨から受け取った書類には小難しい報告がツラツラと書かれており、ところどころ、キナ臭さがプンプンする単語が目に付く…

 

「ちなみにその書類、天海中佐からです」

 

「ハァ?」

 

なるほど、あのイケメンなら部署は違えどコレぐらいの情報は持ってるってワケか、っーか五月雨のヤツ、天海と連絡取れるくらい仲良かったのか?そっちの方が俺は驚きだよ

 

「…まぁいい」

 

俺は書類を机に置いて胸元のポケットにタバコがあるかを確認した

 

「中将殿には最上級でエグゼクティブなおもてなしをするしかあるまい…」

 

「はぁ?」

 

「そう!誰もが羨むゲスト・アドミラルにしてなァ!!」




次回は戦慄!大監査 前編 です


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戦慄!大監査 前編

このお話はZero-45様のご厚意で書かせて頂いております、かしこ

【登場人物】

提督(152)
大佐、上にヘコヘコする事に躊躇いがないクソメガネ

吉野中将
中将、上にヘコヘコする事に躊躇いがあるどころか噛み付いてグルグル回る髭眼帯



最高級でエグゼクティブなおもてなしは駅を降りた時から始まる、常に上質を求める我々は決してお客様の期待を裏切らない事を胸に抱き、最高をお届けするのだ…

 

 

「タクシーでも呼ぼうか?」

 

「いや、なんかあちらさんから迎えの車が駅まで来てくれるらしいよ」

 

「へぇ」

 

鈍行電車を降り、駅を出るとあまり車通りのない駅前ロータリーに1台のムースピンクパールの可愛いらしい軽自動車が走って来た

 

「あ、もしかしてアレかな?」

 

「ははは…まさか、提督、自分の階級を忘れているのかい?海軍の中将だよ?不動産屋のアパート紹介じゃあるまいし、監査のお迎えに軽自動車を寄越すようなアホな将校が…」

 

時雨くんがないない、それはないと言っていると、件の可愛いらしい軽自動車が停車し、運転席から見覚えのある眼鏡の女性が降りてきた

 

「あ、お待たせしました、え〜…大坂鎮守府の吉野中将様でいらっしゃいますか?」

 

「え?あ、はい……え〜、君は練習巡洋艦の香取、さん?」

 

「はい、どうぞどうぞ、狭い車で申し訳ありませんが、どうぞ」

 

「あ、はい…」

 

エレガントなようで妙に気さくな雰囲気を醸し出す香取ーヌ先生に促され、軽自動車の後部座席に座る提督と時雨、なるほど、たしかにこぢんまりとしているが別段そこまで狭いワケでもない、自分達を乗せた車は何事もなく発進した…

 

「提督、提督」ヒソヒソ

 

「なにかな?」

 

なにやら小声で話しかけてきた時雨にイヤな予感を覚えつつも意見は聞いてみる

 

「…これはもう、死刑でいいんじゃないかな?」ヒソヒソ

 

「言わない!そんなコト言わないの!ほらアレだよ!ほら、迎えに出す予定の車が急なトラブルで出せなくなったとか…」ヒソヒソ

 

「そうかな…」ヒソヒソ

 

「そうだよ………たぶん」ヒソヒソ

 

正直、提督にも自信はない………そして、この吉野がさっきから気になっているコトが1つある、それは、助手席にチラっと見えるスーパーのレジ袋的な何か…なんだろう?これはまるで買い物ついでにお母さんに駅まで迎えに行って貰う的な…

 

「まるでスーパーに買い物に行くお母さんがついでに子供を迎えに行くみたいなノリなんじゃないかと…」ヒソヒソ

 

「言わない!時雨くん!そーゆーのは思ってても言わない!」ヒソヒソ

 

「あ、音楽でもかけましょうか?」

 

運転する香取ーヌ先生はなんとなく居づらい車内に気を遣ってくれたのか、左手で音楽の再生ボタンを操作し、スピーカーから音楽が流れ出した…

 

燃やせ燃やせ燃やせ炎上盤上大炎上!UTAGEが始まる魔界のUTAGE!100万獄のmillion!カチンときたぜオマエはkillon!GUY-SYU一ッッッッ蝕ゥゥゥゥ!アアアアアーッ!KAGAKAGAKAGAKAGAKAGAKAGAKAGAKAGAKAGAKAGAKAGAKAGAァァァァァァ!!

 

「…」

 

「…」

 

…えっと、なんだコレ?

とりあえず、提督と時雨はこの可愛いらしい軽自動車に絶望的に合ってないカーサウンドを聴きつつ、件の問題基地へと向かった…

 

◆◆◆◆◆

 

「ハッハッハ、お待ちしておりましたよ中将殿、ハッハッハ」

 

「どうも、大坂鎮守府を預かる吉野三郎中将です」

 

「ハッハッハ」

 

俺は最高のスマイルで握手をかわし、中将殿にどうぞどうぞ座って下さいと着席を促した、ついにやって来た監査の男、相当ヤバいヤツとは事前に聞いてはいたが………なんだコイツヤベェよ!?髭で眼帯とか武将どころか猛将じゃねーかッ!自分の目を食べちゃって更に大アバレしちゃいそうな羅漢じゃねーかァァァ!ウチはこんなヤバいのに睨まれてたのかァァァァァ!

 

「ハッハッハ、五月雨クン、中将殿と秘書艦殿にティーを、極上のティーを淹れてやってくれ」

 

「はい」

 

ヤベェ、マジヤベェよ、コイツは1つ選択を間違えれば即切腹コマンドで切腹を言い渡されかねない、相手は大佐から中将にブッ飛び昇進とかする猛将伝だ、とにかく落ち着いて対処しなければ…

ただでさえ、中将殿のお迎えの車に軽をよこしたワケだし、既にキレていてもおかしくはないが……まぁそれは仕方ない、まさかDQNカーとかヤン車をお迎えに向かわせるワケにもいかなかった苦肉の策ッ!

 

「とりあえずこちらの方で準備しておいた書類です」

 

「あぁ、どうも…」

 

書類上に不備はない、ウチはいたって健全営業だ、潜水艦だって無理なし安心の4交替、長期休暇ありのホワイトぶりだからな

 

「でもまぁ、書類的なものは後で構いませんよ、出来れば基地の様子を見て回ったり所属している艦娘にお話をさせて頂ければと…」

 

「ハッハッハ、大丈夫ですよぉ」

 

やはりきたか!自分の目で直に確かめてみるタイプの監査ッ!大丈夫、そう、大丈夫だ、ここまでは想定内だ

 

「コーヒーをどうぞ」

 

「あ、どうも」

 

「ありがとう」

 

五月雨ェェェェェェ!!!オマエなんでコーヒー淹れたのォォォォォ!!俺ティーを!極上のティーって言ったろォォォォォ!!

吉野中将と同行秘書艦殿の前に置かれた豊潤な香りのする黒い液体、俺は五月雨に笑顔の視線を向けると五月雨は自信アリ!と言った具合に親指をグッと上げた、どっからその自信がくるんだよ!バカか!?自分の殺人兵器を理解してねぇよコイツ!

 

ーーー

 

「…いただきます」

 

秘書艦らしい五月雨くんの淹れたコーヒーを啜る

………口に含んだ瞬間、口内に広がる絶妙な不快感、絶望感と嫌悪感を混ぜ合わせ、更に悪いところだけをあえて抽出したようなデストリップ、一瞬、毒殺かと疑ってしまいそうになったがコレはアレだ、そう、単純に不味いんだ…

もし、このコーヒーを毎日飲まされでもしたら確実にノイローゼになるだろう…そして、そのコーヒーをどうしてそんな誇らしげな佇まいでこの子は人に勧める事ができるのか…

 

「…」

 

「…ふぅ」

 

一流のスポーツプレーヤーとなると、一瞬のアイコンタクトでチームメイトと意思の疎通が可能になると聞く、時雨くんは“もう全員死刑でいいんじゃないかな?”と言っているが吉野的にはきっと悪意はない、悪意はないんだと努めて平静に落ち着くように諭した

 

「…とりあえず、基地の中を見せて頂いても?」

 

「えぇイエスです、イエスです中将閣下!イエスです!」

 

ここに居たらおかわりを勧められる可能性がある、早めに退散させて貰おう…

 

◇◇◇◇◇

 

辺境の地にある基地だけに、敷地の面積はそこそこらしく、色々見て回るとさすがに時間がかかりそうなのでまずは所属している艦娘が居そうな場所へ行こうと執務棟から外に出た提督と時雨…

 

「KAGAKAGAKAGA〜」

 

「もしもし?時雨くん、もしかしてそれ、気に入ったの?」

 

「…なんだろうね、妙に頭に残るよね」

 

たしかに、なんて曲だったんだろう?もしかしたら誰かCDとか持ってるかもしれないし、帰ったら誰か持ってそうな娘に聞いてみよう…

 

「ヘイヘーイ!バッターカカシよー!」

 

「ヘーイ!ABU、今のはボールとバットが5フィートは離れてたぜー!」

 

「HAHAHA!ダンスならお遊戯会でやりなー」

 

外に出てすぐに、グラウンド的な場所で十数人の艦娘達が野球みたいな事をやっていた、ってか…口悪いな

 

「ハッハッハ、彼女達はスポーツで汗を流しているのですよ」

 

大佐曰く、アレはバッターとピッチャーのタイマン勝負でバッターは外野まで打てば勝ち、ピッチャーは三振か内野で打ち取れば勝ちと言うワンナウト勝負らしい

 

「なるほど…」

 

口は悪いけどスポーツで汗を流している姿を見ると意外とみんな根は良い娘で健全なのだろう

 

「あー!打たれちまったー!」

 

「ヘイ!今のはインハイだろ!バカじゃねーのか!」

 

「ったく…しゃーねぇな、大損だぜ!」

 

どうやら今のは勝負はバッターが勝ったらしく、ギャラリーの汚い野次と、財布から取り出される紙幣………ん?紙幣?

 

「…って!!賭博じゃないか!?」

 

全然健全じゃなかった!?あの口の悪さに相応しい不健全ぶりだったよ!?

 

「お、テイトクじゃねーの?」

 

「ナニその武将みたいなの?タケダシンゲン?」

 

「バァカ、オマエ、眼帯してっからアレだよ!えー…ほら、アレ、パーリィのやつ」

 

「あー…なんだっけ?え〜、あ!アレだアレ、ケンシン・マエダだよ!ケンシン・マエダ!」

 

誰だよケンシン・マエダって……ってか、ホントガラ悪いな、艦娘にはある程度個体差があるのは知ってるけど…これはヒドい

 

「バカかオマエら、この御方は監査に来られた中将様だ、挨拶せんか、挨拶」

 

ーーー

 

場所を移し、次なる場所は体育館…

ここでも数人の艦娘達が室内スポーツに汗を流していた…

 

「キター!舞風のスリー!」

 

「まったく落ちねぇ!今ので何本連続だー!」

 

室内ではくちくかんの子達がバスケットをしているらしく、なかなか目まぐるしい攻防が行なわれていた

 

「大佐殿」

 

「ハッ!なんでありましょうか中将閣下!」

 

「コレ、賭け試合じゃないですよね?」

 

「ハッ!賭けているのは己のプライドとチームの勝利だけであります!」

 

さすがに賭け野球を見たばかりなので健全かどうかがまず疑わしいが、試合内容と、くちくかんの子が一生懸命に汗を流す姿を疑うのは気が引けるか…

 

「バスケットか…」

 

「ナニ?時雨くん興味あるの?」

 

「まったくないと言えば嘘になるね、それに、見ていると少し身体を動かしたい気分にもなるよ」

 

「ふむ…」

 

「あ、なんでしたらちょっとゲームに出てみます?」

 

大佐は時雨に気を遣ってくれたのか、ちょっと遊んでみるかと提案してくれた、まぁ、こっちとしては時雨がいいなら別に構わないけど…

 

「いいのかい?」

 

「えぇ!モチロン!いいですとも!」

 

そう言って大佐はチームの監督をしているらしい瑞穂とゲームをしている子達を集めてなにやら話を始めた

 

ーーー

 

「いいか?ウチの時雨様じゃないから、いい感じにアレしてやれよ?気持ち良くプレーして貰うんだ」

 

「ヘイヘイ、わかったわかった」

 

「コラ!江風!提督になんて口の利き方してるの!」

 

「ヒッ!ご…ごめン!ネーちゃン!ぶたないで!」

 

中将殿の秘書艦にはチーム瑞穂に入ってプレーして貰い、いい感じにアレして好印象を与えなければ…

とりあえず、準備完了した中将殿の秘書艦を含め、俺は中将殿のいる席へと戻り、新たにゲームはスタートした

 

「…まずは速攻か」

 

ジャンプボールを制し、まずは江風が時雨の守備範囲へと切り込んで……

 

「!」

 

時雨の遥か上を往くレーンアップからの超々高度から防御不能の一撃がゴールに突き刺さった!!ま、まさかあの野郎……

 

「入ってるわね、ゾーンに」

 

いつの間にやらやって来た陸奥が俺と中将殿に有難い解説をしてくれた

ってかあのバカがァァァァァ!!なんでいきなり全開なんだよ!いい感じにアレしろって言ったじゃねぇかァァァァァ!!

 

「えー…」

 

中将ドン引きしてるじゃねぇかァァァァァ!ナニ考えてんだあのバカは!?バカか?バカなのか!?バカなんだよ!そうだよ!アイツバカだったよチクショウ!

 

「なるほど…」

 

ただ、コート上の秘書艦時雨は何やら面白いものを見たみたいな様子で笑っている、なんだ…?今ので大丈夫なのか?ならいいんだが…

 

「っしゃ!このまま一気にイクぜェ!」

 

江風のバカは再びボールを手にバカ全開のフルドライヴで敵陣へと切り込み、秘書艦時雨を抜き去…

 

パシッ!!

 

「なっ!?」

 

江風が抜けない…ッ!?っーかボールカットされただと!?嘘だろ…ゾーンに入ってたんだぞ!?

 

「調子に乗りすぎは良くないな…」

 

ボールを手にした秘書艦時雨は悠然とコート上を進み、ブロックを抜き去り何事もなくゴールを奪った

 

「どうやら彼女も持っているようだね…僕と同じエン●ラー・アイ、いや………ベ●アル・アイを」

 

いつの間にやらやって来たらしいウチの時雨様が有難い解説をしてくれた、っーかなんだそれ!?

 

「えー…うちの秘書艦そんなの持ってるとか聞いてないんですけどー」

 

中将殿も違う意味でドン引きだよ

 

「提督、ベンチに伝えてくれ、僕が行こう、あの眼に対抗出来るのは僕ぐらいだろう」

 

「え?あ、うん、出るの?あー…うん、いいじゃね?」

 

こうして、エン●ラー・アイVSベリ●ル・アイの頂上決戦が始まり、ちょっと身体を動かすでは済まないアツいエクストラゲームが展開された…

 




次回は後編

倶楽部HO-SHOWが牙を剥く


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戦慄!大監査 後編

後編、このお話はZero-45様のご厚意で書かせていただきました、いい感じにアレするを多用する大人の社会

【登場人物】

提督(153)
ダメな大人、中身ボドボドの空虚な器

吉野中将
実力派快男児、あやうく、イエス・マイロードと膝を折りかけたが耐えた

鈴谷(47)
開幕アホビッチ、わりと正直者



話は吉野三郎中将が来訪する前日に遡る…

 

「鈴谷ァァァァァ!!テメーワケわからん電話相談とかなんとかナニしてくれんだよォォォォォ!おかげでヤバい中将に目ぇつけられたじゃねぇかよォー!反逆か?ア〝ァ?上司を売る気かテメーは!頼むよぉ〜鈴谷クンよぉ〜これ以上俺をイライラさせないでくれよぉ〜…提督のパサパサの胃にサブマシンガンをオートで連射するのはやめてくれよぉ〜?なぁオイ、鈴谷クンよォ〜?少しは妹の熊野ちゃん見習ってくれよォ?見ろ!熊野なんて基本アホだがシトラス系のイキでイナセなエレガント臭だぞ?それをオマエはなんだ?サキュバスみたいなビッチ臭をプンプンさせやがって!アレか?発情期か!?あ?発情期なんですかー?パンツ見せてみろ!パンツ!どうせアレだろ?男を誘う黒とか調子コイて穿いて………って!なんで今日に限って白とか穿いてんだよ!そーゆートコもムカつくんだよ、このアホビッチがァァァァァ!!」

 

執務室に呼び出しを喰らった鈴谷は、とりあえずいきなりキレてた提督からのアツい説教+八つ当たり+マグナムビンタのロマンキャンセルを含みガトリングコンビネーションで執務室の床を転がった

 

「ぶべらぁ!!」

 

「ったく…ビッチの貴様をここまで取り立ててやった恩を忘れおって、このカテ●リーFめ!」

 

「クッ!!」

 

たしかに、電話相談の内容は些か盛った感はある、毎日レ●プされてるだの座学の講義中にバ●ヴのスイッチONされてるだの、かわいい妹を盾にとられ、フフッ…お前がイヤだと言うなら妹に協力して貰うしかないな、大好きなお姉ちゃんの為ならきっと拒むまい、健気なコトだ…など言われ脅されているなどだが…

 

「…だがまぁ、来るモンは仕方ない」

 

「ってか、マジで来るの?中将が?」

 

「マジだ、白銀本気の本気と書いてマジだ」

 

本気!みたいな顔をした提督は机の上に並べてある書類をトントンと指で叩き、深くため息を吐いた

 

「そこで鈴谷、お前にはこの事態を招いた元凶の一因として責任とチャンスをくれてやる」

 

「ハァ…?責任って鈴谷カンケーないじゃん、提督がクソなのが悪いんじゃん」

 

「やかましい、ゴチャゴチャ言わんと協力しろ!うまくいったらカレー奢ってやるから」

 

「ホント?やったぁ!やるやる!ナニやればいいのー?」

 

提督はどんだけチョロいんだコイツと呟き、とりあえず監査に来た中将をママの店で接待するので隣についていい感じにアレしてやれと鈴谷に説明した

 

「調べによると、中将殿はおっぱい大きな娘をはべらすなかなかの快男児らしくてな(天海中佐調べ)」

 

「ほぅほぅ!それでアレだ!おっぱい大きくて、しかもかわいい鈴谷に白羽の矢が立ったと!」

 

「そうだ」

 

「提督もなかなか見る目あるじゃん!うへへへ、そうかそうか〜、やっぱ鈴谷ってかわいいんだ」

 

「そして、お前の磨き抜かれた援交テクさえあれば必ずや中将も御満足頂けるだろう!」

 

「ハァ!?鈴谷援交とかしてねーし!!」

 

「いいか!とりあえずアレだ、いい感じにアレしろよ」

 

「いい感じにアレしろとか、ふわっとし過ぎだし……ってか!援交とかしてねーから!」

 

◇◇◇◇◇

 

大佐の案内で基地施設内を回り、色々と頭の痛いものを見て執務室へと戻って来た提督と時雨、なにやらガラの悪い艦娘、アニメショップみたいな明石酒保、倉庫の奥にチラリと見えたオーラバ●ラー、そして、ウチのスパ子とは違うマジモンの王の力を持った女王………処理しきれない情報に頭が痛く、時雨くんは“あれ、全員死刑でいいんでしょ?”としか言わないので余計に頭が痛くなった…

 

「ハッハッハ、お疲れ様でした中将殿」

 

「えぇ、色々とアレですが…」

 

と言うか、一言で言うなら疲れた

 

「中将殿、実は本日中将殿の来訪に合わせましてささやかながら宴の準備させて頂いておりまして…中将殿はアレですか?こちらの方、イケる口でしょうか?」

 

大佐は右手でグラスを傾ける仕種をする、こちらの方、つまりは酒類などはお好きですか?と言うわかりやすいジェスチャー…

 

「や、自分はあまり得意ではないのですが……まぁ付き合い程度ならば」

 

「いやいやいや!実に御立派でいらっしゃる!アレですよね?やっぱ酒は飲んでも呑まれるなですよねー!」

 

「は…はぁ、まぁ付き合い程度に一杯ってだけで…」

 

グイグイくる大佐に少々辟易していると、大佐は時雨からは見えない絶妙なアングルに立ち、胸の辺りを持ち上げるジェスチャーと小声で囁いた

 

「コレ、大きい娘、用意してますんで」ヒソヒソ

 

「えー…」

 

あー……そんな感じかぁ、なるほど〜…まぁ、あるよね、大人の社会には、正直な話、吉野としても度を越さない接待や酒の席自体は嫌いではないし、むしろそれがある程度組織の潤滑油となり、物事が円滑化されるのなら問題ないと考えている、むしろ…自分が接待を受ける立場になっている事にあまり自覚がなかった

と言うか、なんだよ!コレ、大きい娘って!どこ情報だよ!?

 

「どうですか中将殿?」

 

「そうですね…」

 

この男、中身スカスカなのかと思いきや大人の特権を自覚的に使用してくるな…まぁ、多少はくだけた席で話をしてみてもいいか…ただ、大佐の言う店にウチの秘書艦を同行は色んな意味で不味い気が…

 

「五月雨クン!ヘイ!五月雨クン!」

 

「なんですか?」

 

「提督と中将はHO-SHOW行くから!ほらコレ!コレでほら!秘書艦殿となんか美味しいモン食べてきなさい!な?」

 

「はぁ?」

 

大佐は財布からスタイリッシュに数枚の紙幣を抜き、時雨と話をしていた大佐の秘書艦らしい五月雨の手に握らせた

 

「私は別に構いませんけど…時雨さんもそれで?」

 

「…」

 

時雨くんは一瞬、めっちゃこっちを睨んだが、すぐに五月雨にそれで構わないよと笑顔で応えていた、よく出来た秘書艦で提督は嬉しいよ、後が怖いけど…

 

「では時雨さん、私達は焼肉でも食べに行きましょうか?」

 

「焼肉かい?いいね」

 

「五月雨クン!領収書!領収書貰ってきてね!領収書!」

 

経費で処理する為に必要な社会派アイテム、領収書

こうして、後が怖い気がするけど時雨と別れ、提督は大佐と共に夜のお店へと向かう事になった、念のために言っておくがこれは組織の潤滑油と言うか、大人のお付き合いの一環である、吉野は決して大佐の言うコレのおっきな娘に興味があるワケではない

 

「さて…行きますか」

 

「えぇ」

 

提督と大佐はお互い詰襟のフックを外し、颯爽と肩で風を切って歩き出した

 

ーーー

 

主に、酒類などを提供する風俗営業許可に則ったKENZENな夜の店、倶楽部HO-SHOW…

重厚な木製の扉を開くと、やや薄暗い店内とシックでエグゼクティブな雰囲気が貴方をお待ちしています…

 

 

「いらっしゃい………なんだい?そのヤクザみたいなのは?」

 

「中将様だよ!中将様!」

 

「フーッ〜………ふ〜ん、まだ若いのに大したもんさね、ウチのボンクラと違って」

 

………これは、鳳翔…さん?なのだろうか?え?なんか場末のスナックのバ……いや、ママみたいな、え?いやいやいや、え?ってキセル長っ!?

その、鳳翔さん?はこちらにジロりと視線を向け、なにやら品定めするように見られた、っーか怖い!?ナニこの鳳翔さん!?ホントに鳳翔さんなのぉ!?

 

「あの…大佐、こちらは?」ヒソヒソ

 

「倶楽部HO-SHOWのオーナー兼軽空母、ビッグ・ママです」

 

ビッグママ…ッ!?ってか軽空母って…やっぱ鳳翔さんなんだ、ってか、倶楽部?倶楽部鳳翔?え?居酒屋でも小料理屋でもなく?倶楽部ッ!?

 

「フーッ〜…あ、アンタあれかい?もしかして大坂のヨシノとか言う提督さんかい?」

 

「あ、はい…そうですが、大坂鎮守府を預かる吉野三郎です」

 

「そりゃ丁度良かった、コレ、帰ったらアンタんトコの鳳翔に渡しといてくれないかい?」

 

そう言って、鳳翔さんことビッグママはなにやら分厚い茶封筒と薄いノートみたいなものをカウンターの裏から取り出して机の上に置いた、と言うか、茶封筒からはちょっとだけ中身であろうキャッシュがコンニチワしてるんですけど…?え?ナニこの金?

 

「あの…コレは?」

 

「フーッ〜…会費と回覧板、渡しゃわかるよ」

 

「は、はぁ…では、お預かりします」

 

鳳翔会には吉野の知らない深い闇があるのだろうか?

 

「ママ、今日はせっかく中将殿が来られてるんだし、中将殿に相応しい最高級のヤツ開けてよ!最高級の!」

 

「あ、いや、正直な話、自分はあまり酒は…」

 

「最高級ねぇ…」

 

ビッグママこと鳳翔さんはカウンターの裏から何やら高価そうな酒の瓶を何本か取り出して机の上に置いた

 

「そうそう、そんな感じの………って!!コレ全部俺が少ない給料でちょくちょく買い集めたヤツじゃねーか!どっから持ってきやがったババア!!」

 

「誰がババアだいこのボンクラがァ!!文句があんならツケ払って言うんだねこのロクデナシが!」

 

「クッ!」

 

◆◆◆◆◆

 

「ティーッス、鈴谷で〜す」

 

「熊野ですわ!」

 

…そんなワケで、中将殿をエグゼクティブなシートにご案内し、俺達の席におっぱいデカくて頭スカスカのアホなJKみたいな鈴谷と、一応、念には念を入れて中将殿がおっぱいあんまり好きではない事態を想定し、いつでもリリーフできるように呼び出した熊野が来た

 

「中将さんなんだってぇ?ちょーカッコいい」

 

「えぇ、これまさに益荒男ですわ」

 

とりあえず、鈴谷のアホには中将殿への対応に応じてボーナスを支払うと言ってある、手段は問わん、ただ、思いきりで行けと命じたのでまぁいい感じにアレしてくれるだろう

 

「中将さんナニ飲むぅ?ビール?焼酎?ウィスキー?ブランデー?あ、ウーロン茶とかソフトドリンクあるよぉ」

 

「え、あぁ…じゃ、とりあえず最初だけビールで、あまり酒が飲めないので」

 

「マジでぇ?あ、鈴谷達も一緒に飲んでもいい?」

 

「あ、はい、どうぞ」

 

「優しぃ〜!やっぱ中将さんともなると優しい〜」

 

さすがは鈴谷だ、まるで本職の如き流れるようなドリンクサービス、そして自分にも自然な流れでドリンク追加、大したやつだ…提督は鈴谷の思いきりを評価するぞ!

 

「じゃ、鈴谷もビールにしよっかな〜?熊野は?」

 

「フッ、女将!この店で一番お高価い酒をお持ちなさい!一番お高価な酒を!」

 

熊野のアホは手をパンパンと叩きアホなコトを言っていたのでスピーディに口におしぼりを詰めて右肘で腹に一撃入れてやった

 

「オブッ!?」

 

「熊野はウーロン茶でいいそうだ」

 

とりあえず、それぞれ飲み物が揃ったところでカンパイをかわし、本日の接待タイムが始まった

 

「あの、もしかしなくても君が例の電話相談の鈴谷くんで?」

 

「電話相談?あ〜…うん、したした!電話!」

 

「せっかくなんで色々話を聞いておきたいんだけど…」

 

「あ〜…アレね、正直ちょっと盛ってたっーか、鈴谷も疲れてたっーか」

 

よし!いいぞ、その調子でいい感じにふわふわした感じに濁せ!行け鈴谷!忌まわしき記憶と共に!お前なら出来る!

 

「じゃあ、下着を脱ぐコトを強要されたとかは…」

 

「あ、それはしょっちゅう!」

 

鈴谷ァァァァァ!!ナニ言ってんだオマエはァァァァァ!?

 

「…では、全裸で土下座を強要されるとかは…」

 

「あ、それはたまに」

 

たまにじゃねぇよ!!やべぇよ、中将殿の疑惑の目がやべぇよ…

 

「ウチのテートク、ア●ルならセーフとか言って前は厳しいけど後ろはマジ容赦ないし」

 

「へぇ…」

 

マズい、コレは非常にマズい流れだ、よし!ここはキチンと誤解を解かねばなるまい、俺はあくまで退屈な日常に飽き飽きしている女性や、痴漢願望、露出願望のある女性……いわゆる“牝”の資質を持つ女以外には手を出さない紳士であると言うコトを!

 

「ハッハッハ、中将殿、小粋なスズヤジョークと言うやつですよ、ハッハッハ」

 

「提督提督、私、カシオレが飲みたいですわ!カシオレ!」

 

悶絶肘ボディからいつの間にやら回復した熊野はアホづらで俺の袖を引っ張った

 

「やかましい、好きにしろ、好きに」

 

「女将!カシオレ!カシオレをお持ちなさい!お高価なカシオレを!」

 

コノヤロウ…マジダチじゃなかったら今すぐ腹に貫手ブッ刺したまま持ち上げて爆散させてやりたいところだ

 

「大佐、出来れば後でお話が…」

 

「ハッ!」

 

…そう、過ちを気に病むことはない、ただ認めて次への糧にすればいい、それが大人の特権だ

とりあえず、なんかいい感じにアレな言い訳でも考えるか…

 

◆◆◆◆◆

 

吉野中将の監査から数日後…

 

「お久しぶりです中佐、先日は災難でしたねぇ」

 

相変わらず爽やかなイケメン特有のスマイルを浮かべる天海中佐、なんかこっちの方で別件の用事があるついでに上から俺宛の書類を届けに来たそうだ

 

「まったくだ」

 

だがまぁ、特に何のお咎めもなく帰って頂いて正直ホッとしている、鈴谷のアホが股間にドリンクぶちまけていい感じに執拗に股間を拭いたりのサービスが効いたのだろう、たぶん

俺は天海から受け取った封書を開け、中の書類を確認してみる…

 

「………ん?」

 

あれ?おかしいな、ちょっと目が…いや、眼鏡の調子悪いのかな?んん?大佐→中佐?

 

「どうしました?中佐?」

 

天海のイケメンスマイルは、よく見るといつもより愉快度が増して見える…オイオイオイ、なんですかコレは?え?ナニ?下記の将校を三ヶ月の降格と減俸処分に……

 

「ギャアアアアアアアア!!」

 

降格してるじゃねぇかァァァァァ!!

 

「あ…?あ…?嘘だ!嘘だ?、なぁ天海!嘘だろ?嘘だど言っでぐれよぉ!ウソダウソダドンドコドーン!」

 

「まぁまぁ中佐、落ちついて」プークスクス

 

「アマミザァン!ナズェミテルンディスー!!」

 

◇◇◇◇◇

 

一方、監査から帰還した大坂鎮守府…

 

「ちょっと評価が甘過ぎじゃないかい?」

 

「ん?まぁ、妥当だと思うよ」

 

正直なところ、あの基地を率いる提督を含めて問題だらけだけど、不思議とあの基地に所属している艦娘からの提督の評価は悪くなく、話を聞いてみると、それなりに好感を持っているとの艦娘からの評価を反映した結果だ

 

「じゃ、提督があの基地の問題を抱えている娘をウチで引き取るって話になったらどうする?」

 

「………それは、ちょっとゴメンだね」

 

「だろ?」

 

あの問題抱えた艦娘達が他で上手くやっていけるかと言えば、たぶん無理だろう、なら、とりあえずはあの大佐……いや、中佐か、彼に任せた方がいい

 

「…ところで提督」

 

「なにかな?」

 

「提督はオパーイ大きい頭スカスカのJKみたいな子が好みなのかい?」

 

「ブーッ!!!」

 

ごぼっ!…ごふっ!時雨くんが手にしたスマホには何故かあの時の画像が表示されている

 

「なかなかのデレだね?あ、もしかしてアレかな?提督はツンデレなのかな?」

 

「し…時雨くん、何故それを…?」

 

「さぁ?そうそう、これは関係ないけど、帰り際にあっちの秘書艦とアドレスを交換したんだ…」

 

…やられたッ!!まさか、あの男………なるほど、蛇の毒はゆっくり回ると言うコトか

 

「詳しく話を聞きたいね、お茶でも飲みながら…」ハイライトオフ

 

「は…ハハハ……」




次回
メチルモンスターが真面目に勤労


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提督とPolaとロー●ン

3度目のロー●ン回

【登場人物】

提督(154)
久々の開幕クズ、そして終始クズ

Pola(7)
見た目だけは超絶美少女のアルコールモンスター

Zara(5)
通称ザラ姉様、妹が心配で仕方ない姉の鑑


降格の腹いせに、ちょっと馬でも見に行くかと馬が元気いっぱい走っている場所に行き、現金いっぱい失った俺は基地への帰路、煙草でも吸うかとポケットに手を突っ込んでみたらライターしかない事に気付き、仕方ないので近所のロー●ンに寄ると、店の外からハチミツブロンドのボンキュッボンのオネーちゃんがチラチラと店内の様子を伺っていた…

 

「ナニやってんだ?オマエ」

 

「あ、テイトク…」

 

ボンキュッボンのオネーちゃんことイタリアから来た刺客、Zara級重巡のザラ姉ちゃん、イタリア艦としては初のセカンドステージへと超進化を果たした逸材

 

「エロ本でも買いに来たのか?なんなら提督がついでに買ってきてやるぞ?ペンギンク●ブか?」

 

「違いますっ!」

 

「なんだ、違うのか」

 

「今日はポーラがこのコンビニのバイト初日なので心配で見に来たんです」

 

「ポーラぁ?」

 

たしかに、店内をよく見るとカウンターのところに見た目だけは超絶美少女の頭のネジとBORUTOがユルユルそうな

見覚えのあるアホ面が立っていた

 

「ナニやってんだ?アイツ」

 

「バイトです!なんとポーラが真面目に働くと言って今日からここでアルバイトを始めたんです!」

 

ザラ姉ちゃん曰く、最近出撃やら演習やら遠征やらの仕事もなく、金に困っていたポーラは現金輸送車を襲う綿密な計画を立てていたので、姉としてはこれはいけないと感じ、ポーラにアツい2時間説教をし、改心したポーラは真面目に労働に勤しむ事にしたそうだ…

 

「ふ〜ん」

 

「ところでテイトクは何故ここに?」

 

「煙草買いに来たんだよ」

 

「なるほど…」

 

丁度ムシャクシャしていたところだ、あのアルコールモンスターには俺の憂さ晴らしにでも付き合って貰うか、俺は財布をポケットから取り出してコンビニの店内に颯爽と入店した

 

ーーー

 

「いらっ〜しゃいませぇ〜………あ、テイトクだ」

 

「よぉ、真面目に働いとるかね?」

 

「モチロンですよぉ〜、ポーラは仕事中は飲まない真面目な良い子ですからねぇ〜」

 

たしかに、根は真面目で良い子なのかもしれないが、よく見るとポーラの右手はプルプルと小刻みに震えている、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

 

「いっぱい買って行ってくださいねぇ〜」

 

「いいだろう」

 

俺はまず雑誌コーナーに行き、今週の漫画雑誌を立ち読みし、次にドリンク類の入ったコーナーから500ml6缶パックのビールを取り出し、適当な乾き物を手に取ってレジカウンターに立つポーラの前に置いた

 

「あと煙草の42番3つと、横にあるホットスナック全部くれや」

 

「全部ですかぁ!?」

 

「そうだ、モタモタすんな、スピーディに、なおかつ丁寧に袋に詰めろよ」

 

「うぇ〜…めんどくさぁ〜」

 

ポーラはマジかよコイツ面倒くせぇ客みたいなコトをブツブツと呟きながらから●げクンなどのホットスナックを保温器から取り出して袋に詰める…

ただ1つ、そうたった1つだけ提督が気になることがあるとすれば、レジカウンターの横にしれっと置かれている募金箱…まぁ募金箱自体は珍しい物ではない、だいたいどっかの災害とかなんとか募金とか書いて常に置いてあるからな、だが!この募金箱は違ったッ!

 

「オイ、ポーラ」

 

「なんですかぁ?今ポーラ忙しいんですけどぉ〜、テイトクのせいで」

 

「この募金箱はなんだ?」

 

「募金箱は募金箱ですよぉ?あ、テイトクもしかして眼鏡の度が合ってないんですかぁ〜?」

 

「この募金箱に書かれている“ポーラの酒代復興支援金”とはなんだ?」

 

「あ、それいいでしょ〜?それ置いてたらみんなお金入れてくれるんですよぉ〜」

 

締まりのない顔でヘラヘラ笑いながらポーラは私って頭良いですよねぇ〜とか言ってケラケラ笑う、ポーラ曰く、主に男の客に釣り銭渡す際にちょっと手を握ってやればすぐに入れてくれるらしい、真面目な勤労者どころかコイツはとんだディアブロだよ…

 

「はい、コレで全部ですよぉ、とっととお金くださいよ、お金」

 

「ガタガタ言うなクズが、ほら」

 

俺は支払いを済ませ、ポーラのアホンダラから購入した商品を受け取り、店を出………ない!店を出ずに店内の一角に設けられたイートインスペースへと向かい、適当な椅子に座った

 

「な〝!?」

 

「ここはお客様が飲食していいスペースだろう?ポーラくぅん?」

 

「え?えぇ…そうですけどぉ…」

 

ポーラの美少女顔が青ざめていくのがわかる、クックック、そうよ…そのまさかよ!!俺は今しがた購入したホットスナックとビールの缶を取り出し、スタイリッシュに缶のプルトップを開けて一口に喉に流し込んだ

 

「うぅ…っ!キンキンに冷えてやがるっ!!」

 

「あ…あ…あああ!」

 

「ありがてぇ…!涙が出るっ!犯罪的だっ………うますぎるっ!」

 

「あ…ぁ、あぁ……あああ」

 

ポーラはたまらん絶望顔のままアウアウ言いながらレジカウンターからこっちを見ている、ハッハッハ!愉快愉快!染み込んできおるわい!クズどもの労働を眺めながら飲む一杯は!格別…っ!

 

「そしてこのか●あげクン…っ!スパイスが効いている!くーっ!!」

 

「あ…あ……」

 

ポーラはレジカウンターから出て、何かに取り憑かれたかのようにこっちにフラフラと歩いて来た

 

「なんか用か?アルバイト店員のポーラくぅぅぅん?」

 

「ビール……ビール……っ!うぅ!!でもっ!でもポーラは仕事中で!」

 

「ウヒャヒャヒャヒャ!!たまらんのぉ!どうだポーラくぅぅぅん?提督のコレ、分けてやっても構わんぞぉ?その代わりオパーイ揉ませろよ、ヒャーハッハッハッハ!」

 

「あうっ!!くれ……くれるんですか!?ポーラにお酒を……駄目っ!駄目駄目!まだ仕事中、まだ仕事中……そうザラ姉様にポーラは真面目になるって約束して…約束して…」

 

ーーー

 

邪『せっかくテイトクがタダで奢ってくれるんですよぉ?チャンスですよぉ!』

 

うぅ…邪悪なるポーラがッ!!邪悪なるポーラが誘惑を!

 

聖『ダメよポーラ!ザラ姉様と約束したでしょう?』

 

アナタは!?聖なるポーラ!生きていたのですね!?

 

聖『だからポーラ、お酒はバックヤードでこっそり、ね?』

 

聖なるポーラもダメな子でしたぁ!?

 

?『フッ…見ちゃいられませんねぇ』

 

邪『ゲ、ゲェーッ!!』

 

聖『ア、アナタはーッ!』

 

シシリアン・ダンディのポーラ!!まさか来ていたとはーッ!!

 

シ『クールさをなくしたらダンディではなくただのキザ野郎ですよぉ』

 

さすがドン!なんてクールな御方でしょう、そうですぅ!ポーラはこの御方についていけば…

 

?『唸れ!!オレのニュースーパーブロー!』

 

シ『ナニぃ!?ぐ、ぐわああああああああ!!』

 

嗚呼!!シシリアン・ダンディのポーラがぁぁぁ!!

 

?『フッ、出来たてホヤホヤのパンチなんでつい加減を間違えちまったようですねぇ』

 

邪『ゲェーッ!!』

 

聖『ア、アナタはーッ!!』

 

スーパースター!御曹司のポーラーッッッッ!!!

 

ーーー

 

なにやら立ったまま白目を剥いてガクガクと震えていたポーラの身体が急に停止した、どうやら内なるポーラとの戦いに決着が付いたらしい…

 

「…」ニヘラァ…

 

ポーラはいつもの締まりのない笑いを浮かべ、レジカウンターへ戻ると、奥に居た店長らしき男に“ポーラバイト辞めます!クソありがとうございましたー!”と叫び、豪快にロー●ンの制服を脱ぎ捨て、俺の居るイートインにまるでラファエロの絵画のような躍動感溢れるジャンプで飛んできた!

 

「ウヒャヒャヒャヒャ!!ウェーイ!テイトク!ウェーイ!イタダキマース!」

 

ポーラはスタイリッシュにビールのプルトップを開け、一息に喉に流し込んだ

 

「あー…うますぎるっ!この一杯の為なら強盗だってやりかねない…っ!」

 

「よぉーしポーラァ!飲め飲めぇ!今日は俺の降格祝いじゃあ!トコトンいくぞぉー!あとオパーイ揉むぞ!」

 

「ウェーイ!!トコトンいきますよぉ〜!ハイ、好きに揉んでいいですよぉ〜!」

 

 

こうして、ポーラはバイトを初日で辞め、俺たちはそのまま近くの公園に行きウェイウェイ言いながら飲みまくり、後で2人してザラ姉様からアツい説教を受け、俺とポーラは泣きながら正座で反省文を50枚程度書かされた



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提督と秋雲と灼熱ディスカッション

アツかりし漫画家のシンデレラストーリー、ちなみに継母も義姉も優しく、魔女は居ない

【登場人物】

提督(155)
自称漫画にうるさい大人、野球部でもないのにバッセンで子供に偉そうに指導してるお父さん的なウザさ

秋雲(6)
謎の自信に溢れるアツかりし一般漫画家(自称)
提督とは変なところでウマが合うらしく、わりと仲良し
キタローくんの右目から羨望と嫉妬と殺意の目で見られているが本人は知らない

風雲(2)
秋雲組のなんでも出来る生命線、秋雲のアツい絵柄に惚れ込んでいるが、自分の絵で描くとB′sL●G掲載待った無しな絵になる、ある意味の天才


秋雲組ッッッ!!

それは、少年達の心をワクワクさせ、たまに股間をカチンコチンを忘れないサービス精神溢れるアツかりし漫画家(自称)秋雲先生をサポートするプロフェッショナルアシスタント集団、略してプロアシ集団である!

 

「…どうすか?」

 

キンキンに冷房を利かせた夏の執務室、俺は秋雲の持って来た原稿を読みながら冷たい麦茶を飲んでいた…

今回の秋雲の作品は家庭環境に問題がある主人公がバイクで走行中、突如として中世ヨーロッパに似た世界に召喚され、ハゲの王様からロボットっぽいもの渡されて敵マシンみたいなのと戦い、なんやかんやあって王様を裏切り、ファンキーな髪の人の仲間になり、数多の戦いを経てついに聖戦士として覚醒していく…

 

「若者受けを狙い、最近流行りの路線にしてみたっす!異世界なんとか!」

 

「ふ〜ん」

 

なんかコレすげー見たコトある気がするんだが、っーか相変わらず画力だけは無駄に高いなコイツ、まぁ主要キャラの顔は全部濃いが

 

「とりあえずコレはダメだな」

 

「なんでっすか!?めちゃ面白い会心の一作っすよ!」

 

「バカヤロウ!偉い人から怒られてぇーのかオマエは」

 

ーーー

 

結局、秋雲は会心の一作“聖戦士グモバイン”を諦め、仕方ないのでまた、一から新たなる話を考える事にしたらしく、俺と秋雲はホットな議論をクールダウンする為、マミーヤに行ってアイスでも食いながら続きを話す事にした…

 

「今日のオススメはフローズンサマーフロート-修羅-です」

 

「ナニが修羅だ、羅刹もあるってのか?あ?」

 

「羅刹は販売終了しましたー」

 

あるのかよ……カウンターに立つムチっむちボインの男を誘うドエロいボディに定評がある給糧艦間宮は執拗に本日のオススメを勧めてきたが、俺と秋雲は普通にカキ氷を注文し、間宮は露骨に舌打ちしてクズがと吐き捨て、ご注文の商品をカウンターに置いた

 

「なんなんだあのヤローは、エロい身体してるからチョーシに乗りやがって」

 

「まぁまぁ、アレっすよ!きっとツンデレってヤツですよ!ツンデレ!」

 

「マジか!?」

 

「そーっすよ!実はあのそっけない態度は照れ隠しでホントはメチャメチャにして欲しいんすよ!見てくださいあのドエロい水着を!!もう完全に誘ってるっすよ!」

 

「ハッハッハ、そうかそうかぁ〜」

 

「ヒャヒャヒャ、そうっすよぉ〜」

 

そうか、どうやら間宮は俺を誘っていたらしいが、俺はそれに気づかずにマシーンとして扱っていたのか…よっしゃ!後で調理場であのドエロい尻をブチ●してやる!

俺と秋雲はゲラゲラ笑いながら適当な席に座ろうとすると、そこには既に先客が座っていた…

 

「おや?風雲じゃないすか?アンタさんもゴキゲンなおやつタイムっすか?」

 

「ん?あぁ…秋雲、と…テイトク、こんにちは」

 

秋雲と同じく、無駄に長い髪を頭の後ろで縛るなんたらテールの夕雲型姉妹の三女、風雲

一見すると真面目そうに見えるが、夕雲や巻雲と同じく秋雲組の一員らしい

 

「ちょっと冷たいモンでも食べながら絵の練習でもしようかなって…」

 

「さすが風雲っすね、その向上心やよし!熱意やよし!」

 

俺たちは特に断られなかったので風雲と同じ席に座り、とりあえず冷たいカキ氷を口にかきこみ、キンキンに冷えてやがる…っ!と言いながら頭を抱えた

 

「ところで風雲、そっちのヤツはなんすか?」

 

「え?あ、こっちは個人的に描いた漫画って言うか…まだ練習中って言うか」

 

秋雲は風雲がテーブルに放置していたクリアファイルを手に取って中に入っていた原稿をマジマジと見つめ、フッと笑った

 

「テイトクテイトク、テイトクも見てやってくださいよぉ〜、この風雲の泥臭い漫画を〜」

 

「ちょ!ちょ待ってよ!恥ずかしい!」

 

「ナニ言ってんすか風雲!漫画なんて見せて見られてナンボっすよ!ってか、テイトクには私の漫画見て貰ってるんすから、別に風雲の絵を見るの初めてじゃないんすよ?」

 

「や、それはほら、秋雲の漫画であって私のじゃないし…それとこれとは別って言うか…」

 

「ナニ言ってんすか!ほらテイトク、見てやってくださいよぉ〜」

 

秋雲はグイグイと俺に原稿用紙を押し付けてくるので、とりあえず俺は原稿を受け取ってパラパラとその内容をナナメ読みしてみた

 

「…」

 

「どーすか?」

 

「恥ずかしいなぁ、私のはほら、秋雲みたいに躍動感がないし」

 

………あれ?コレ、普通に面白いんですけど?多少ホモ臭さは拭いきれないが、以前見たキタローくんの漫画にも劣らぬ面白さ!これは天賦の才能を感じずにはいられない…ッ!

 

「風雲のは線が細いんすよ、線が!もっとこう…ドッゴーラ!みたいな感じの力強い線をっすね…」

 

「う〜ん、それがなかなか難しいのよね」

 

…もしかして、風雲は秋雲組を抜けて1人でデビューした方がいいのではないだろうか?まぁ、そうなると秋雲組には役立たずしか残らないが…

 

「私ももっと練習して秋雲みたいに力強い絵を描けないと!」

 

「その意気やよし!熱意やよし!」

 

なんでオマエは上から目線なんだよ!バカか!?なんでオマエはこの才能に気付いてねーんだよ!この風雲、完全にオマエの上位互換を行く高性能だよ!?

 

「…うん、まぁアレだ、普通に良いんじゃないかね?うん」

 

「そうですか?」

 

「またまたぁ〜!テイトクは審査甘めなんすから!もっとバシっと言ってやっていいんすよ!バチコンと!」

 

「ナニがバチコンだ、秋雲、口を開けろ」

 

「口っすか?………ウボォ!?」

 

俺は自分のカキ氷を秋雲の口にブチ込み、いいか?全て飲み込むんだ残すなよ?と言い、飲み込むのを確認してから再度口を開けさせて緑色の舌を引っ張った

 

「あだだだだ!いひゃい!いひゃいッス!って!!ナニするんすか!」

 

「美味かったか?」

 

「美味かったっす」

 

…この後、俺たちは秋雲、風雲と共に秋雲組の新作についてアツい義論をディスカッションし、今の少年誌に必要な物はやはりチャカとポン刀で鍛えた本物の男気溢れる笑いあり!涙あり!恋!喧嘩!友情!を兼ね備えたバイブル的な漫画だろうとの結論に達した

 

そして、アツいディスカッションを終え、マミーヤを出る際、調理場で尻を振っていた間宮に“よっ!いいケツしてるね!おじさんムラムラしちゃうよ”と気さくに声をかけたら、一言、恐ろしく冷たい声で“…訴えますよ”と言われ………ちょっと興奮した

 

 

 




次回

その怪物は古き時代を生き続け、今新たな鎧を身にまとい、次なる歴史を紡ごうとしている
かつて深海に死をもたらせた力をこの時代にも解き放とうとしている、長良型四番艦改二、それがその怪物の名前であった…



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提督と由良と五月雨

今更登場、由良改二!

【登場人物】

提督(156)
賢くない眼鏡

五月雨(51)
髪長駆逐艦

由良さん(2)
何度かちょいちょい名前だけ出てた髪長軽巡


「……です、えー…本日からこの基地の責任者を任されました、ヨロシク」

 

たった3人しか居ない執務室、俺の目の前には微妙な顔とテンションで拍手をする青髪ロングと白髪?白髪のような淡いなんか一味付いたような色のこれまたロングが微妙な顔とテンションで拍手をしていた

 

「とりあえず、最初だし自己紹介でもして貰おうか、まずは…青髪の」

 

「白露型駆逐艦の五月雨です!一緒懸命頑張ります!」

 

配属の任を受ける際、大将殿のとこで既に会っていた青髪ロングはこれから始まるであろう胸ワクワクの海洋ロマンと言う名の大冒険に目をキラキラとさせていた

 

「で?もう1人、えー…君は?」

 

「長良型軽巡四番艦の由良です、ヨロシクね」

 

軽巡か…たしか駆逐艦よりタフでガッツがあるんだっけか、一応、大将殿から最初だしトクベツに超カッコいいのを配属してやろうと言われ、とりあえずなんか数字を選べみたいな事を言われた俺は迷わずオール300を選択、狂気の沙汰程面白い…っ!ギリギリまでいく!と貰った全資材を全て賭けた………どうやらその結果、この白髪ロングが配属されたらしい

 

「由良さんな、わかった」

 

とりあえず、俺たちは手にした紙コップを持ち、カンパーイとカンパイを交わし、我ら3人、アメリカ生まれのヒップホップ育ちであろうとも死する時は何があろうと他の2人を引きずって地獄への道連れにしような!と誓い、着任の初日を終えた……

 

◆◆◆

 

長良型四番艦由良、五月雨と同じく、この基地では最古参であり、結成当初のチームを支えた偉大なる大エース

結成当時の無茶振り作戦に何度となく参加し、その白髪を振り回して暴れ回る姿はまさしく夜叉、自慢の白髪が赤く染まって帰投しても、“ラムレーズン”が“ストロベリーチップ”になっちゃったネ♡と小粋な由良ジョークが言えるプッツンぶりもあり、今でもあの高雄や愛宕がビビって頭が上がらない…

 

そして、そんな由良さんが改二と言う名の新しい力を手に入れた事を皆が喜び、今日は倶楽部HO-SHOWを貸し切りにして由良さんの為に祝宴が開かれていた…

 

「チッス!由良さん!本日はおめでとうございます!」

 

「新しい由良さんメチャシブいっす!」

 

普段はチンピラ同然の高雄や妙高などがヘコヘコと頭を下げ、メチャシブいっすとかマジカッケーっすとか言いながら花束やら無駄に気合いの入った包装の箱を次々に並んでいき、由良さんは由良さんで、いいからいいからと言いながら今日はBreak-onでいこうよと気さくに話しかけていた

 

「相変わらず由良さんは人気者だな」

 

「そりゃ人気者である事に悪い気はしないけど…」

 

「ふ〜ん、そうそう…これは提督からのお祝いだ、受け取ってくれたまえ」

 

俺はポケットから無造作に取り出したブツを由良さんの手に渡してやった

 

「ナニコレ?指輪?」

 

「あぁ、それをウィザード●イバーにかざせばシャバドゥビタッチヘンシーンしてイーンフィニティーして俺が最後の希望になれるそうだ」

 

「…普通にいらないんだけど?」

 

「だろうな、提督もいらない」

 

夕張のアホから貰った普通にいらないゴミをダストシュートに超々高弾道シュートで放り込み、俺は眼鏡をクイっと上げてポケットから取り出したガムを由良さんに渡した

 

「ショボっ…」

 

「ショボくない、提督だ」

 

「まぁ今更だし、どうでもいいけど…」

 

由良さんは空になったグラスをテーブルに置き、一言、ビールとだけ言うと隣に座る五月雨が雑にビールを注ぎ、泡がドボドボと溢れ出した

 

「…相変わらず下手くそね」

 

「苦手なんですよ」

 

「ギスギスすんな、ギスギス」

 

とりあえず、俺たちはそれぞれグラスを手に取り、激突しても割れない絶妙な力加減でカンパイを交わした

 

「それじゃ、3人の友情に友情カンパーイ」

 

「は?」

 

「友情とかあるワケないじゃない?ね?」

 

「2人して全否定するんじゃないよ、提督だって傷つく時は傷つくんだぞ」

 

コイツら……付き合いが長いからって俺を舐めくさりやがって、よし決めた!俺が軍の上にいったらコイツら海軍本部の広場で処刑してやる

 

「ときに由良さん」

 

「ナニ?」

 

「新しくなった由良さんってなんか変わったのか?」

 

「………服?」

 

いや、そりゃ見ればわかるってばよ、そうじゃない、そうじゃないんだ、俺が聞きたいのはそーゆーどうでもいいコトじゃない

 

「性能的なコトですよ、たぶん」

 

「あぁ、そーゆーこと…」

 

五月雨はオレンジジュースをテーブルに置き、パサついたクラッカーをボリボリと食べながら由良さんの皿にパサついたクラッカーを置き、チューブ状のチーズをブリュブリュとかけた

 

「とりあえず、大発とか内火艇積めて、甲標的積めて、水爆と水戦積めて、高角砲で対空できて、先制対潜できるぐらいじゃない?」

 

「はぁ?」

 

「すごいじゃないですか」

 

「まぁ、先制対潜は前からできたらしいけど……出撃る機会なかったし」

 

由良さんは空になったグラスを置き、テーブルに置いてある皿からパサついたクラッカーを手に取って握りつぶし、コナゴナになったそれを五月雨のオレンジジュースのグラスに投入した

 

「なるほど、つまりアレだ、ABUとKINUの利点を兼ね備えたストライカーIWSP的なアレみたいなヤツか」

 

「器用貧乏ってやつですね」

 

「器用貧乏じゃないで万能って言ってくれる?」

 

しかし仲悪いなコイツら、まぁ、コイツらはコイツらで付き合い長いし、提督の知らない恐怖の女社会の闇とかあるのだろうと考えていると、釣りたて&死にたてのフレッシュな魚を皿に載せ、ママが俺たちの席へとやってきた

 

「フーッ〜…なんだいなんだい?主役の席がつまらなそうにするんじゃないよ」

 

「ビッグママ!」

 

「お久しぶりです!ママ!」

 

「フーッ〜…由良とサミーが一緒に居るのも久しぶりに見たねぇ」

 

「まぁ、昔と違って今は2人とも出撃機会がないですし」

 

「同じ基地に居ても用がないとなかなか顔を合わせないってのもあるしね」

 

「寂しいコト言うんじゃないよこの娘らは、なかなか顔を合わせる機会がないってなら、いつだってウチに来な」

 

ビッグママは2人頭をポンポンと叩き、小気味よい笑みを浮かべて笑った

 

「あははは、そうですね」

 

「もう!ママったら!由良も改二になったんだら!」

 

さすがママだ、この気難し屋で気分屋のコイツらのハートをこれほどアッサリとキャッチするとは……へへっ、やっぱママには頭が上がらねぇや!

 

「飲み代はこのメガネにツケといてやるからいつでも遊びに来な」

 

「ハァ!?ちょ!ちょ…待てよ!」

 

「そうですね、では中佐のツケで」

 

「そうね、中佐のツケで」

 

「誰が中佐だァ!!クッ…!チクショウ!チクショウ!見てろよテメーら!次の作戦で大金星挙げて返り咲いてやるからなクソがァ!!」



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提督と陸奥とギラギラサマー

心が躍るなァ!ムツゥ!回

【登場人物】

陸奥(5)
姉から妹と認識されてないハクいスケ、幼い日から干した布団に拳を当てて打ち抜く訓練した拳は姉の腹筋すら大ダメージを与える

瑞穂(2)
太ももが超エロい水母、通常グラってなんだろうと考えさせられる


「ナイッシューキサラギィー!」

 

「うおおぉぉぉ!!ここで一気に瑞穂を突き放す!ダメ押しの追加点!」

 

「両エースまったく譲らねぇぇぇ!!」

 

チクショウ!クソ暑いなクソッタレと思いつつ、ガリ●リくんを食べながら廊下を歩いていると、体育館の方からなにやら歓声と熱気がMORIMORI溢れているので覗いてみたら、駆逐艦のキッズ達がこのクソ暑い中、バスケでアツい青春の汗を撒き散らしていた…

 

「よぉ、どっちが勝ってんだ?」

 

「うち」

 

俺はベンチに座る陸奥の隣に座り、クーラーボックスに入っているスポドリを1本取り出してダイナミックに口に流し込んだ、うむ、やはり夏はスポーツドリンクに限る

 

「ちょっと、それうちの子たちのなんだから勝手に飲まないでよ」

 

「細けぇコト言うなよ、どうせ余分に用意してんだろ」

 

「まぁね」

 

今日のゲームは因縁の宿敵、陸奥率いるチーム睦月とハクい女カントク瑞穂率いるチーム瑞穂の伝統の一戦、序盤から睦月型の優勢が続いているらしく、舞風のスリーは皐月に封じられ、中での激しい戦いが繰り広げられているらしい

 

「これは……シュート!?いやッ!」

 

「1人アリウープだとォ!?」

 

ゴール板に激突して跳ね返ったボールをそのまま空中でキャッチしてゴールに叩き込む超絶美技、やっぱすげぇよミカは…黒くて、アホ毛で、愛嬌もある

 

ーーー

 

その後も攻撃の手を緩めないチーム睦月、96-78のスコアでゲームは終了し、練習試合とは言え、チーム瑞穂に快勝したチーム睦月のキッズ達は汗臭くハァハァ言いながらもチームの指導者陸奥と喜びを分かち合い、陸奥からキンキンに冷えたアイスを貰っていた

 

「チクショウ!美味めぇ!」

 

「まったく!アツい日のガリ●リくんは最高だぜ!」

 

「はいはい、アンタ達、アイス食べたらシャワー浴びて汗を流しなさいよ、汗臭いから」

 

「へいへい」

 

「よっしゃ!シャワー浴びてみんなで洗いっこしよーぜ!」

 

睦月型のキッズ達はキャッキャとハシャぎながら誰のオパーイが一番デカいか比べっこしよーぜだの非生産的であまりにも無駄なコトをゲラゲラと笑いながら喋り、陸奥にッシャース!やッシャシター!と頭を下げてシャワーを浴びに行った

 

「はぁ…元気な子達だこと」

 

「元気、大いに結構な事ではないかね!」

 

「まぁ、それはそうだけど………なんと言うか、あの子らを見ていると、しみじみと若さを感じると言うか…」

 

「ナニ言っとんのかね陸奥クン、君もまだまだ十分若いじゃないかね」

 

「若さって何なのかしらね…」

 

「…振り向かないことなのだよ」

 

昔、ある宇宙刑事が教えてくれた、若さとは振り向かないこと、愛とは躊躇わないことだと…俺と陸奥は互いに古い血は絶たねばならんなと話しつつ、そういや今週のリロブラ見た?と世間話をしていると、ハクいスケが俺たちのいるベンチへやって来た

 

「お疲れ様でした〜」

 

「あ、お疲れ様、今日はうちの勝ちね」

 

「そうですね、今日のゲームで良い課題ができました」

 

チーム瑞穂を率いるハクいスケのカントクこと瑞穂、一見すると運動とは無縁そうに見えるが、なかなかの指導者らしい、あと、ちょいちょいエロい、太ももとか超エロい

 

「でも、次は負けませんよ」

 

「返り討ちにしてやるわ」

 

指導者同士のアツい火花の散り合い、そして、両者はこのクソ暑いトコで話すのもなんだし冷たいモノでも食べながら話ましょと言って手早く片付けを済ませた

 

「あ、提督も来る?提督の奢りで」

 

「なんで俺が奢らにゃならんのだ」

 

「イイ女の誘いは断るモンじゃないわよ?」

 

まぁ、イイ女である事は否定すまい…陸奥クラスのイイ女の誘いともなれば普通なら生唾ゴックンのビシバシモンだからな

 

「1人1000円な、1人1000円までなら出してやろう」

 

「ケチくさいわね、好きなモンなんでもくらい言えないの?」

 

「バカヤロウ、マミーヤのバカ高い高級スイーツ選ばせたら俺の財布がクリティカルフィニッシュだよ、シウエンノトキィ…とか言い出すわい」

 

「はいはい、そういや降格+減給の刑だったわね」

 

「やかましい!」

 

この野郎ォ…陸奥じゃなかったら阿修羅バ●ターで股裂の刑を執行してやるところだが、まぁいい、俺は寛容な男だ、常にcool、そう、coolな男だ

 

「はいはい、じゃ、行きましょうか?」

 

「そうですね」

 

「チッ…」

 

俺たちは体育館を出て歩いていると、陸奥はスマホを取り出し、スタイリッシュに操作して耳に当てた

 

「あ、もしもし?提督がみんなにアイス奢ってくれるからシャワー浴びたらマミーヤに来なさい、え?舞風たちもいるの?そこに?あ、うん、じゃ一緒に来て、ちゃんと身体拭いて着替えてきなさいよ、じゃ」

 

ピッ!(通話終了)

 

「って!オイイイィィィィィ!!陸奥!陸奥!陸奥ェ!今なんっつたテメェェェェェェ!!」

 

「ケチケチするんじゃないわよ、チ●ポついてるんでしょ?あ、瑞穂さん、なんか舞風達も一緒みたいだからついでに呼びました」

 

「あら、ありがとうございます」

 

「この野郎ォ……チッ!わかったよ!わかりましたよ、提督が出しますよ!クソが!」

 

 

結局、この後マミーヤで3万近く奢らされた俺の財布はパーフェクトとノックアウトされ、心が躍らないと咽び泣く事になった…

 



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提督と鈴谷とイチャLOVEレジェンドスター

イチャラブとは何かを考え、導き出した答えがコレだった

【登場人物】

提督(157)
マジでBADなバッドガイ、好きな技はガンフレ…かかったなァ!

鈴谷(48)
マジでBADなバットビッチ、好きな技はライジングふぉーす!


「キレた天使と悪魔のぉ〜ハーフなんだぜオレたちぃ〜♪………お、提督じゃん、ティーッス」

 

自販機で冷たいティーでも買って飲もうと廊下を歩いていると、丁度提督があっち側から歩いてきた

 

「む、鈴谷か…丁度良かった、お前に用があったのだよ」

 

「マジ?ナニ?何の用?あ、もしかしてお小遣いくれるとか?」

 

「いや、今からカレー食いに行くからお前を誘おうと思ってな…」

 

「………は?」

 

え?ナニ言ってんの…?え?おかしいな、鈴谷の聞き間違えかな?いやいやいや、うん、たぶんアレだ、暑いし、なんかこう幻聴的なアレだよ、うん

 

「カレー食いに行くぞ」

 

「………え?なんだって?」

 

「ラノベ主人公かお前は、提督様が奢ってやるって言ってんのに、まぁいい、嫌なら別に構わんが…」

 

「いやいやいや!行かないとか言ってないし!え?ホントに…?」

 

「2秒で決めろ」

 

「行きます!行かせてください!おね…お願いしますッ!鈴谷も…鈴谷も行きたい!行きたいんです!行かせてください!」

 

なんだコレ!?なんだこのチャンス!なんだっけ?ほら、アレだ!アレ!犬も歩けば棒に………なんだっけ?棒で殴られるだっけ?まぁいいや、とにかく!あの提督が鈴谷にタダでカレーを奢ってくれる年に一回あるかないかの大チャンス到来ッ!乗る…っ!いや!乗らなければ…っ!この追い風!上昇気流!起死回生!一発逆転の昇竜風…っ!

 

「ハァ…ハァ…行きたくて、行きたくて我慢できません!」

 

「お、おぅ…」

 

なんか提督がドン引きしている気がするけど気にしない、この鈴谷はそれほどまでにカレーが好きなのだ、おそらく、その一口の為なら強盗だってやりかねない…っ!

 

「よし、じゃ行くか」

 

「あざーっす!テイトクあざーっす!」

 

嗚呼、今日はなんて良い日なんだろう…さっきまでやるコトなくて部屋でゴロゴロしながら漫画読んで、熊野から部屋で屁をコくなくせーよとか理不尽なコト言われ、最上ねーちゃんからはスクワットでもしてろとか言われ、くまりんこねーちゃんからはくまりんこ!とか言われ、今日はマジでBADなDoomsday!とか思ってたけど、いやぁ〜捨てる神あれば拾う神ってヤツだね!

 

「あ、そうそうテイトクテイトクぅ!そーいや鈴谷、新しい水着欲しいからお小遣い欲しいかな〜…って」

 

「水着だァ?」

 

「そ!水着!」

 

「ナニ言ってんのかねこの子は、去年買ったのがあるでしょ?去年買ったのが」

 

「それは去年のモデル!今年は今年のじゃないと、去年の着てたら笑い者にされるじゃん!」

 

「俺の海パンなんぞ10年前のモデルだぞ」

 

「ねー!いいじゃーん!新しいのぉー!最上ねーちゃんもくまりんこねーちゃんもエグいの買ってるし鈴谷もエグいの欲しいー!」

 

「妹はどうした?妹は」

 

「熊野?熊野ならこないだ買ってたよ、レーザー●ーサー」

 

「…アイツはオリンピックでも目指してんのか」

 

「まぁ、熊野はミジンコ泳法しかできないけどね」

 

その昔、まだ姉妹が幼かったあの頃、みんなで市民プールに行き、足が届かない深いプールで最上ねーちゃんとくまりんこねーちゃんにアトラ●ティスドライバーを掛けられたトラウマから熊野は泳げなくなったが、己のトラウマと立ち向かった努力の末、熊野はミジンコ泳法を獲得した、まぁ正直、キモいけど…

 

「水着ねぇ……よし、アレだ、アレなら買っていいぞ、水に溶ける水着」

 

「ヘンタイかッ!!ってかそれ水着じゃねーし!水に溶ける水着とか意味ワカんねーし!」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョークってやつだ」

 

「全然小粋じゃねーし、で?どうなの?ね?買っていい?鈴谷今年は超エグいの買うよ!もうムスコのムスコさんがビンビンになるぐらいすげーの買うからさぁ〜」

 

「…ま、いいだろ」

 

「マジ!?」

 

「買ったらとりあえず見せろよ、あ、出来れば挟みやすく挿入し易い感じにスリットがあるヤツな」

 

「ヘンタイかッ!!どーゆー前提だよ!?」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ」

 

「………ま、お小遣い次第では鈴谷もやぶさかではないと言うか〜、そーゆーサービスも考えなくもないとゆーか…」

 

「しかし水着か………女物の相場は知らんが、5万ぐらいあれば足りるか?」

 

「ごまっ!?」

 

提督の財布から唸りを上げて召喚される欲望の魔王、現金!キャッシュ!マネー!呼び名は色々あれど、その力は人の心を支配する魔界に生まれし万能なる支配者!その凶悪な性能は未だに環境を席巻し続ける魔性の一枚!それが一気に五枚も…っ!凌げるか!鈴谷にこのターンを!

 

「なんだ?足りんのか?」

 

「い…いえ、足ります、全然足ります」

 

凌げませんでしたぁ…

 

「よし、カレー食いに行くついでお前の水着でも買いに行くか!」

 

「マジで!?」

 

「なんだ?どうせ外に食いに行くんだから一緒に済ませた方がいいだろう?」

 

「え…?えぇ、そりゃまぁ…そうだけど」

 

「そういや、今日はあっちの二級河川で花火やるらしいから時間が合えば見て帰るか」

 

「花火かぁ〜…いいよねぇ〜花火」

 

嗚呼………今日はなんて良い日なんだろう、まるで夢を見ているみたい、提督がカレー奢ってくれて、水着買ってくれて、花火も一緒に見て、アレかなぁ〜鈴谷今日死ぬのかなぁ〜………いやいやいや!死なねーし、アレだよ!たぶんようやく鈴谷のヒロイン力がバクハツしたんだよ!これはもうアレだね、他の追従を許さない圧倒的ヒロイン力、そう…鈴谷は今、ヒロイン力の限界を超え、強く、穏やかになり冷静にヒロイン力を使いこなす神のステージへと昇ったのだろう…

 

「あ、そうそう、そういや鈴谷よ」

 

「ナニ?」

 

「この人が鈴谷にアイサツしたいんだって…」

 

廊下のかげからなんかデカい人がヌゥ…っと現れた

 

「フッ…」

 

…………ん?ゲェーッ!戦艦長門ォー!?い、いつの間に…

 

「このビッグセブン、ステゴロでは最強と言われているのだが…」

 

………んんん?

 

「それはこのビッグセブンではない、鈴谷、オマエだ」ニマァ

 

えええええええええぇぇぇ!?

 

「そんなんアタリまえじゃん!」

 

「やっぱりそうか?ハッハッハッハ!」

 

あー………コレやっぱアレか、うん、だよねぇ〜…だと思った、うん、出来れば私の夢は現実ですでお願いしたかったけど、うん、だよねぇ〜…ないない、よく考えたら提督が鈴谷のコト1回もビッチって呼んでないし、こーゆーのは大抵そう、ほら………

 

夢ーーーーー!

 

◆◆◆

 

邪●からの怒りのスネークジェ●サイドを叩き込み、鈴谷の頭を壁にメリ込ませ、さらにケツにキックをブチ込んでやると、なにやら汚い染みをスカートに滲ませた

 

「…クズが、新しい水着が欲しいだァ?寝言は“ユメ”ん中で言ってろ」

 

このクソ暑い中、汗臭せーのにベタベタしてきやがって、このメガプレイビッチが、あまりの不快指数に怒りの蛇殺までこの俺に使わせるたぁー良い度胸だぜ

 

「少しやり過ぎではありませんの?」

 

「俺はビッチには厳しいんだよ」

 

熊野は壁から鈴谷の頭を大きなカブみたいに引っこ抜くと、うげぇ!なんか股下が染みてますわー!汚い!汚いですわー!と鈴谷を床に投げ捨てた

 

「ウボェ!!」

 

「まったく、私のオシャレな服が汚れてしまいますわ」

 

「起きたら言っとけ、水着が欲しけりゃ俺の海パンくれてやるってな、夏の視線を独り占め間違いなしだぞ」

 

「タイーホ待ったなしですわね」

 

---

 

…後日

 

「新しい水着買ったじゃん!」

 

「ほぉ、ビッチに相応しいなかなかドエロスな水着だな」

 

「いやぁ〜、なんか提督から貰った海パン、オークションに出したら思わぬ高値で売れちゃってさぁ〜」

 

「ふ〜ん」

 

10年前の海パンってそんな高く売れるんだろうか?しかも中古が、もしかして実はすげーブランド物とかそんな感じだったのだろうか…?惜しい事をしたものだ

 

 

おまけ

 

【コメント】

ID:Kitaro-H お願いします、どうしても欲しいんです!いくらでも出します!とにかく売ってください!

 

 

 




次回

陛下 in MIT●UKOSHI


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提督と陛下とRoyalshopping

8月の遥かなるロイヤル回

【登場人物】

提督(158)
大和男児でありキュウシュウ男児、ラーメンはホカホカのトンコツラーメンを好む

Warspite(8)
陛下、とても高貴な御方

清霜(8)
夏休みの自由研究は朝顔の観察日記

リベッチオ(5)
夏休みの自由研究はひまわりの観察日記


連日の猛暑になんか絶対に屈しない!いいじゃない、できるものならやってみなさい!と決意を新たに、冷房の温度を連打して下げていた8月の日、そう言えばお中元とか送らないとなぁと思い立ち、頼れる右ハンド、五月雨にお中元買いに行くからデパートに行こうぜ!と陽気に誘ったが“見たい番組があるので嫌です”と断られ、仕方ないので1人で行くかと歩いていると、当基地きってのアホガキどもがサマーコーデのオシャレな服を着てゲラゲラ笑いながら階段の下にたむろしていた…

 

「よぉ、アホガキども」

 

「あ、テイトクだ」

 

アホの1号、キヨシこと清霜、オシャレでオマセな者が多い夕雲型きってのバカヤロウ、その頭の悪さはブッちぎりであり、あの香取先生ですら35点以上を取らせた事がない

 

「ホントだ!テイトクだ!」

 

アホの2号、イタリアから来た刺客!合法駆逐艦ことリベッチオ、その頭の悪さは清霜にすら匹敵し、最近はローマも算数を教えているらしいが、よくクサレ脳ミソがぁー!と机に顔面を叩きつけられている

 

「随分とシャレた格好してるじゃねぇの?お買い物にでも行くのか?」

 

「うへへへ〜清霜達、今からMITSUK●SHIに行くんだ!」

 

「リベも!リベも行くよ!」

 

「ふ〜ん」

 

ナニがMITSUK●SHIだ、カッコつけやがって、どこの発音だよ、ネイティヴか?ネイティヴな感じか?あ?このネイティヴが!!ったく…どうせ、ガキどもに甘い足柄の野郎に連れてけ連れてけ駄々こねたのだろう

 

「ま、足柄の言うコトよく聞いて大人しくしてるんだぞ」

 

「足柄サン?足柄サンは行かないよ?」

 

「イかないよ?」

 

「あ?」

 

ナニ言ってんだコイツら、イカレてんのか?いや…イカレる以前に深刻なアホだが

 

「足柄のカスじゃねぇなら誰と行くんだよ?」

 

「ダチンコ!」

 

「ダティンコー!」

 

「ナニがチ●コだ」

 

『……あら?Admiral?』

 

アホガキどもの頭の悪さにうんざりしていると、廊下の向かい側から隠し切れない高貴さと優雅さを併せ持つ美の王者がゆったりと歩いてきた

 

「へ…ッ!陛下ァァァ!!」

 

「あら?やっぱりすぐバレてしまいましたね…」

 

陛下はいつもの女王然とした絶対女王スタイルではなく、超絶エレガントなサマードレスをお召しになっておられ、さらに、一目でお高価とわかる黒眼鏡を着用する、これまさにお忍びスタイル!

しかし駄目…っ!駄目駄目!隠しきれてない…っ!圧倒的っ!圧倒的高貴さ!輝き…っ!平民では膝を折るしかない絶対的な王のオーラ!

 

「…陛下、その御姿は……?」

 

「似合いませんか?」

 

「いえ!大変お美くしゅう御座います!その御召し物、とても良くお似合いになっておられます!」

 

「Thanks a lot、有難う」ニコッ

 

陛下は気品と格調高きロイヤルスマイルと共に短い謝辞を述べ、俺はその破壊力に膝を折り、思わず祖国を捨て、陛下への忠誠を誓いかけたが、なんとか足をふんばり、腰を入れ、自らの左小指をパキるコトで耐え抜いた

 

「いえ…お気になさらずに」

 

「ヘーカ!早く早く!早くいこーぜぇー!」

 

「ヘーカの準備遅くてリベ達ヘソがティー沸かすかと思ってたー」

 

「I make them wait and I'm sorry to do、お待たせしてすいません…」

 

このガキどもォォォォォ!!陛下に!よりによって陛下に謝らせやがったァァァ!!ナニやってんだオマエら!謝るのオマエらの方だよ!アホでスイマセンだろーが!い…いくら陛下が御心の広い御方とは言え、これはマズい、王である陛下が謝罪させられる屈辱!この屈辱に対しアレだ、陛下大激怒→一族郎党処刑台、もしくは、陛下大激怒→日英開戦!第三次世界大戦勃発の可能性すらあり得る…

 

「す、スイマセン陛下!コイツらアホなんです!生まれついての純度100%混じりっけなしの純粋なアホなんです!オラァ!貴様らァ!陛下に謝らんかい!」

 

「I don't come to that、よいのです、子供が純粋で、そして素直である事は素晴らしい事です」ニコッ

 

「ガハァ!!!………そ、そうですか」バキッ!!

 

左手の中指と薬指を犠牲に、陛下のロイヤルスマイルに耐え抜いた俺は生温い汗を拭い、努めて冷静さを装いつつ笑顔で対応した

 

「ヘーカ、その変なメガネなに?」

 

「コレですか?」

 

オイィィィィ!!変とかゆーなッ!!陛下のお洒落サングラスをッ!死にたいのかオマエは!?

 

「清霜にも貸してー!」

 

「どうぞ」

 

清霜のアホンダラは陛下からお洒落サングラスを受け取ると早速それを着用し、頭の悪さが+50された

 

「うへへへ〜…大戦艦様のサングラスかぁ〜、どぉ?カッコいい?」

 

「あー!キヨシだけズルい!リベも!リベにも貸してー!」

 

「新しい時代を作るのは老人ではない」キリッ!

 

「スゲェ!キヨシ戦艦みたいだ!」

 

何が戦艦だ、それ戦艦じゃないで大尉だよ!

 

「ねー!リベにも!リベにも貸して!ねー!キヨシ!ねー!」

 

「オ…オイ、壊すなよ、ホント壊すなよ、なぁオイ、なぁ?へ…陛下、陛下ァ!本当に…ッ!本当にスイマセン!コイツらアホなんで…ホント悪気とかないんで」

 

「よいのです」ニコッ

 

嗚呼、陛下…陛下ッ!御心の広い御方、まさにこの御方こそ王に最も相応しい御方、まさしく王の中の王!誓ってしまいたい!忠誠を…ッ!この御方に身命を捧げるとはなんと名誉な事か………だが、俺は耐えた、膝を折りかけた心身を鼓舞し、自らの左腕を破壊する事で大和男児の尊厳を守護り通したのだった…

 

「Admiral…お顔の色が優れないようですが?」

 

「ハハ…ちょっと熱中症気味かな?水分が足りてないのかもしれません」

 

「Oh…それはいけません、十分な水分と休息を取る事をお勧めします」

 

「ハハ…御気遣いありがとうございます」

 

流石は陛下だ、俺のような下々の者への体調配慮まで……あ、やべ、これかなりやべーわ、今すぐ叫び回って転がりてーわ

 

「あ、ヘーカ!外にタクシー来たって!」

 

「タクシー来たって!」

 

「I see…それでは、Admiral、行って参ります」

 

「あ、はい………どうぞ、お気をつけて、あとガキども、間違っても陛下にご迷惑をおかけすんなよ、いいな?ホント、いや、マジで、マジだから!いいな?後でアイス買ってやるからマジで大人しくしてろよ、わかったな?」

 

 

こうして、陛下はアホな子供達を連れてMITSUK●SHIへと楽しい庶民的shoppingへと向かい、俺はその御姿を見送った後、あまりの激痛に雄叫びを上げ、その場でゴロゴロと転げ回っていると、キモい猫を持った改白露型の緑のチビスケが何やってんのと聞いてきたので、パンツ見えてますよと答えると顔面を踏まれた




次回は懲りずにトクベツヘーン
倶楽部HO-SHOWの上位ランカーに挑むのは、通称『艦娘たらし』と呼ばれた男…


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提督と北国の中佐 前編

今回のお話は輪音様のご好意で書かせて頂いております
いざ、書いてみると長くなったので前後編の全2回

【登場人物】

提督(159)
よくわからない美学を持つ変態ではないモレスター

天海中佐(3)
有能イケメン特務中佐、提督とは一方的に友達

函館の男
輪音様の『はこちん!』の主人公、艦娘たらしと言うとんでもない二つ名を持つDT




真夏日MASSAKARIのアツかりし8月、ロクでもない内容に定評のある軍の回線を使用した電話が鳴った…

 

「…ハァ?艦娘ごろしぃ?」

 

『“艦娘殺し”ではありません、“艦娘たらし”です』

 

オイオイオイ、艦娘殺しとかすげーなオイ、アレか?艦娘殺しのジャバウォッキーの爪とかそんな感じのアレか?

 

『艦娘たらしですよ、中佐』

 

「中佐じゃない、限りなく大佐に近い中佐だ」

 

通話先の天海のイケメンジョークに多少イラっとしたものの、俺の小粋なテイトクジョークはイケメンになんか絶対に屈しない

 

「で?その艦娘殺しだか艦娘たらしだかなんだか知らんが、それがなんだ?お前の暗殺対象か?」

 

『貴方は私をなんだと思ってるんですか…』

 

「殺し屋」

 

大本営直轄第五特務課、表向きはただの情報課との話だが実情は軍内部の暗諜が主な仕事内容らしく、場合によっては平然と人をハジくかなりのアンダーグラウンドぶりで、俺も以前、上のゴタゴタのアオリを喰らってコイツに殺られかけた

 

『まだ根に持ってるんですか…』

 

「当たり前だバーカ」

 

まぁゴタゴタの縁もあり、天海とはそれ以来、なんやかんや連絡を入れてきたり情報をくれたりとそれなりの付き合いをしている、五月雨曰く、気に入られてるんじゃないですか?と吐き気のするようなコトを言っていたが、俺はホ●ではないのでスルーした

 

『ハハ…まぁ、冗談はここまでにして、その艦娘たらしと呼ばれる男ですが……今度キュウシュウに行くらしくて、どうにも中佐の基地にも寄るそうですよ』

 

「中佐じゃない、限りなく大佐に近い中佐だ………っーか、そんな話聞いてねぇが?」

 

『今日明日中に正式な連絡があると思いますよ』

 

「ふ〜ん」

 

なるほど、天海の野郎、わざわざ先に俺に教える為に連絡してきたワケか…

 

「ってか天海、さっきから言ってるその艦娘たらしってのなんだ?」

 

ある意味、とんでもないアダ名だぞ、それは…ナニやったらそんなとんでもキャッチコピー貰えるんだよ、アレか?24時間耐久駅伝ファックとかそんな感じか?

 

『…まぁ、彼を表すに最も適した通称ですかね』

 

天海曰く、北の大地にある函館鎮守府と呼ばれる地方基地の司令官であるその男は、凄まじい数の他拠点所属の艦娘の引き抜き率を誇っているらしく、その男が一度訪れた地では翌日から所属艦娘の函館への転属願いが殺到しているそうだ

 

「ほぉ…そりゃすげーな」

 

そりゃアレだな、魔性を持つ美少年で相当なテクニシャンで一度味わえばもう他では満足できなくなる恐るべきマグナムチ●ポの持ち主なのだろう…

 

「天海ぃ、そいつハジぃちまえよォ〜」

 

『理由もないのですが?』

 

「バカか、イケメンなんて生きてるだけで大罪なんだよ、イケメンはもれなく絶滅しろよ、お前も含めて」

 

『嫌ですよ、と言うか…その函館鎮守府の提督はイケメン……とは些か違いますね』

 

「あ?」

 

『年齢で言えば私や中佐より上、40代ですし』

 

「ナイスミドルかッ!?」

 

カッコ良さと思慮深さを兼ね備えた中年層ナイスミドル、なるほど……大人の抱擁力と色気、そしてダンディズム、若くてイケメンなだけのヤンチャボーイにはない魅力がそこにある…ッ!

 

『まぁ、中佐のところの所属艦はちょっとアレですし、ないとは思いますが一応、先に伝えておきます』

 

「ぬぅ…」

 

まぁ、天海の言う通り、うちのバカどもがナイスミドルに靡くとはイマイチ考え難いが……

 

『情報が不十分な点もありますが、その魅力は艦種を問わずに多岐に渡り、ちょっと会話をするだけで陥落確実らしいですよ』

 

「すげーなオイ」

 

………その男、もしや俺と同じく“逸脱者”かッ!?

“牝”の資質を持つ女を見抜き、その願望を解き放ち極上の快楽を与える事を至上とする、狩人ッ!

 

「ふ、フフフ…なるほどな」

 

『何がなるほどなんですか?』

 

「いや、なんでもない、情報の礼にお中元でも贈ってやろう、揖●乃糸でいいか?」

 

『あ、結構です』

 

ーーー

 

天海との通話を終え、俺は胸ポケに入っているタバコを取り出して机に置いた

 

「タバコなら喫煙所でどうぞ」

 

「置いただけだろーが、五月雨、茶、麦茶くれ、麦茶」

 

「はいはい…」

 

五月雨は冷蔵庫から麦茶の入ったボトルを取り出し、嫌がらせのように並々と注いだグラスを俺の机に置いた

 

「表面張力と言うモノを知っとるかね?サーミーくん」

 

「五月雨です、勿論知ってますよ」

 

何が知ってますよだコノヤロー、地味な嫌がらせしやがって…アレか?1つ下の妹が生唾ゴックンのビシバシモンみたいなドスケベ水着姿だったのが気に入らなかったのだろうか?

 

「チッ、まぁいい、五月雨、ママんトコに連絡入れといてくれ、また接待デーがあるってな」

 

「はぁ?それは構いませんが…」

 

まぁ、今度は中将とか大物でもないし、さほど気を遣う必要はないが…とりあえず天海がわざわざ伝えてきた“艦娘たらし”だ、そのナイスミドルな技を余すコトなく完全無欠の模倣……いや“奪って”やるぜェ〜、そうすりゃこの俺もモテまくり待ったなしだろう、アレだよアレ、目指せ!モテ道だよ!

 

◇◇◇◇◇

 

湿度を帯びた真夏の暑さ、キュウシュウ…

 

「…暑い」

 

電車を降り、駅を出た瞬間から照りつける灼熱の日差しに汗が吹き出してくる

 

「提督、タクシー乗り場、あっちだって」

 

「あぁ、うん」

 

函館鎮守府を預かるその男と、帽子を被り、彼に付き従う大柄でグラマラスな女性は荷物のトランクをゴロゴロと押しながらタクシー乗り場へと向かい、タクシーに乗車すると目的地である海軍の基地を運転手に伝えた…

 

「あー…暑いねぇ」

 

「ホント」

 

「お客さん軍の人?この暑い中御苦労だねぇ」

 

「ハハハ…まぁ、仕事ですから」

 

「そっちのセクシーな人も軍の人?なんか頭に角みたいなのあるけど?あー…アレか、ファッションってヤツか、ファッション!」

 

陽気にお客に話す運転手の後部座に座っているのは、函館鎮守府の提督、そして………人類の敵と呼ばれる深海棲艦、戦艦棲姫




次回は後編、です


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提督と北国の中佐 後編

前後編の後編
このお話は輪音様のご厚意で書かせて頂いております

【登場人物】

提督(160)
クズでヘタレでホモでロリコンのアツい疑惑をかけらている元大佐、色々あって降格した

北国の中佐
北国は函館から来た見た目は冴えないオッサン、提督はこの男、実は特A級の企業戦士なのではと疑っている


「ハッハッハ、わざわざ遠いところまで御苦労ですなぁ、ハッハッハ」

 

「どうも」

 

先日の天海からの連絡後、上から正式な連絡が届いた、今回は視察目的であると小難しい文書でダラダラと書かれていたが、とりあえず、前回みたく中将みたいな大物ではないのでかなり気はラクってヤツだ、しかも相手はヒラの中佐、いざとなったら行方不明になっても問題はなかろう…

 

しかし…

 

「ハッハッハ」

 

たしか“艦娘たらし”とかスゲー二つ名持ちのスゲーヤツと聞いていただけに、イキでイナセなダンディハウスみたいなナイスミドルなのだろうと思っていたのだが………これは一体どう言うことだってばよ?どう見ても、今、俺の目の前に居るのは冴えないオッサンにしか見えない…

正直なところ、この冴えないオッサンを誰もが羨むモテまくり主人公にするのは無理ゲーに思えるのだが…

 

…そして、このハンサムな提督がさっきから気になって気になって仕方ない事がある、それは、彼の後ろに控えているバンキュッバン!なグラマラスレディだ…

最初はこの男、マブいナオン連れてやがると思ったが……よく見ると、そのマブいグラマラスレディの頭にはロングホーンみたいなのが生えていた…

 

「提督」ヒソヒソ

 

「なんだ?」ヒソヒソ

 

どうやら五月雨も気になっているらしく、一応、念の為の確認をしたいらしい

 

「アレ、どう見ても深海棲艦の……しかも姫級のアレですよね?」ヒソヒソ

 

「バカヤロウ、そんなワケないだろーが」ヒソヒソ

 

「や、絶対そうですよ、三ヶ月に一回くらい見ますもん、あの人」ヒソヒソ

 

たしかに、どう見ても深海棲艦の姫級で、タフなディフェンスと影分身に定評のあるアイツにひじょーによく似ているが、そんなワケがあるハズない、だって深海棲艦は人類と敵対する謎の生物だぜ?そんなのが堂々オモテを歩いてたり、ましてや敵である海軍の人間と行動を共にするワケがない

 

「深海棲艦なワケねぇだろ、アレはほら…アレだ、アレ、バッフ●ローマンだよ」ヒソヒソ

 

「えー…」ヒソヒソ

 

「ほら、あのロングホーンとかまさにハリケーンミ●サーしそうだろ?」ヒソヒソ

 

そうそう、ないない、そんなワケない、そんなワケない、ヤツらは決して相容れる事のない敵なのだ、そう!どちらかが滅びるまでなァ!

 

ゴン!ゴン!

 

重厚なハガネの扉を叩き、ダサいジャージを着た頭の白いのが執務室の扉を開いた

 

「っれーしまース、テイトクぅ、なんかネット繋がらないんだけどぉ〜、今イベント中だからマジで困っ………って!?ゲェーッ!お、オマエはーッ!戦艦棲…っ」

 

「ハイハイハイ!ハルサメくん!話は外で聞こうかーッ!今ね!お客様来てるからお外でお話ししよーねぇー!さみ!五月雨クン!中佐殿にティーを!ティーを出してあげて!」

 

俺は素早く立ち上がってダサジャージのハルサメの顔面を掴み、中佐殿に少し失礼と頭を下げてハルサメと共に執務室を出た

 

ーーー

 

「ヤベェよヤベェよ…ついにここまで刺客が来やがったよ“あの御方”がとうとうワタシを始末スる気だよ!」

 

「やかましい、オマエが始末されよーがしまいがどうでもいいが、今んトコ、オマエはウチの春雨だ!いいな?間違っても駆逐なんたらとかゆー姫級じゃない、いいな?オマエはあくまで春雨だからな?髪の色は薬剤強過ぎて失敗したバカな春雨だ、わかったな?」

 

「て…テイトク、ソんなにワタシのコトを…」キュンっ!

 

そう、間違ってもウチに深海棲艦が、しかも姫級とかゆーヤバい危険生物は居ない、居てはならない、もし上にバレようモンなら良くて裁判無しの銃殺か、悪くてバスターコールだ

 

「アリガトウ…アリガトウテイトク……こんなワタシを守護ってくれるんだ…」ポロポロ

 

「やかましい、いいな?とにかくオマエは春雨だ、わかったら部屋に帰ってオ●ニーでもしてろ」

 

「シ!シねーからっ!………ってかテイトク、なんでババアが居るの?」

 

「…やはりアレはそうか?」

 

「や、どー見てもソーっしょ、あのロングホーン」

 

駆逐棲姫もとい、春雨が言うのだから間違いなしってワケか、しかし何故、海軍中佐と共に…?ハッ!?もしやあの男!実は海軍中佐ではなく深海軍中佐なのか!?そうか、そして今日、俺を始末するか仲間に引き入れるかをしにここへ来たと言うワケか…なるほどな

 

「…でも、アイツよく見たらワタシの所属んトコのババアと違うかもっぽい」

 

「ナニがかもっぽいだ、秋津洲クンとオマエの姉に謝れ」

 

扉の隙間から中の様子を窺う俺とワルサメ、中佐殿と戦艦棲姫らしきグラマーは五月雨の淹れたコーヒーを飲み、なんとも微妙な顔で曖昧に笑っておかわりを断っていた

 

「ま、ワタシを始末シに来たワケじゃないならいいや、あ、テイトク、ネット繋がらないんだけど」

 

「やかましい、ほら!金やるからネカフェにでも行って来い!明日まで帰ってくんな!」

 

「ウェーイ!テイトク、やっさしぃー!」

 

◇◇◇◇◇

 

私の名は戦艦棲姫

 

この基地の艦娘は些かヤンチャに生きている

まず、基地に入ってすぐ、すれ違った駆逐艦達からメンチ切られ、駐車場で車を洗っていた軽巡や重巡からはメンチ切られ、執務棟の付近を歩いていた戦艦四姉妹からも今アネゴ見て笑ったかコラァ!誰の髪型がサ●エさんみてぇーだとコラァ!とインネンを付けらた…

 

正直、私を含め、提督もこんなパターンは初めてらしく、提督は“そもそもこんなオッサンだしね、普通はこんなものだよ”と言ってはいたが私としては納得がいかない、この基地に居るバ……頭の悪そうな艦娘達は何故、私の提督の魅力に気付かないのか…

 

「ありえないわ」

 

「何が?」

 

「何故提督の魅力に気付かないのか理解に苦しんでいるのよ」

 

「いや…だから、それはないって、艦娘とは言え若い娘さんだからね、見も知らないオッサンの評価なんてこんなもんだよ」

 

「理解に苦しむわ」

 

…まぁ、逆に、変に提督にちょっかい出してくるヤツが居ないのは安心と言えるかもしれない

 

◆◆◆◆◆

 

当基地内に存在する酒類などを提供する風営法に則った決して法には触れていない夜の店、倶楽部HO-SHOW

オーナーである軽空母、鳳翔の名を冠したエグゼクティブな空間で最高級の寛ぎを貴方にお約束します…

 

 

「大人3名、内1名がグラマー」

 

「フーッ〜…奥、空けてるから座ってな」

 

ビッグママはいつもの様に異様に長いキセルをトントンと叩き、一瞬、中佐殿の後ろに居るグラマーをギョっとしたように見つめたが、すぐに興味を失ったらしく再びキセルを咥え、煙を吐いた

 

「ハッハッハ、中佐殿、まぁラクにしてくださいよぉ、中佐殿ぉ」

 

「はぁ…」

 

冴えない企業戦士みたいな中佐との冴えない資料で冴えない事務的な会談を済まし、冴えなく基地施設内を回った俺は、まぁ出張の醍醐味と言うか、その為の出張と言うか、まぁ、冴えない仕事はとっとと終わらせ、夜のビジネスツールであるママの店へと来ていた…

中佐殿はグラマラスなボインを同伴でここまで来るぐらいだ、おそらくはグラマラスなボインがお好きなのだろう

 

「いらっしゃ〜い……って、あら?提督じゃない?」

 

「お前は…トリコ?」

 

「陸奥よ」

 

俺達の席へやって来たのは、倶楽部HO-SHOWでも1、2を争う売り上げ上位ランカー、陸奥ッ!もはや指名出来るだけで奇跡と呼ばれる伝説の修羅が来てくれたッ!!

 

「陸奥、ちょっと、陸奥ちょっとこっち来い」

 

「なによ?」

 

俺は陸奥の肩に手を回し、小声で今回のステキ接待ミッションについて陸奥に伝えた、オーダーはオンリーワン、とにかく楽しませろ、気持ち良く飲んで頂き、明日にはお帰り頂くのだと…

 

「まぁ、そもそもそーゆー仕事だから別にいいけ………あ、じゃ、一つ私のお願い聞いてくれない?」ヒソヒソ

 

「なんだ?金か?女か?」ヒソヒソ

 

「金はわかるけど女はないでしょ…はぁ、ま、いいケド…や、実は今度あの子達と合宿ついでに小旅行にでもって計画してるんだけど、ちょっと予算が不安かな〜って」ヒソヒソ

 

「俺が許す、行け」ヒソヒソ

 

「OK、商談成立ね」ヒソヒソ

 

陸奥は並の男ならカチンコチン必至な悪魔的ウィンクをして中佐殿の隣へと移動した、恐るべし陸奥よ…今のはこの俺ですら“ケッコンしたい…”と一瞬ときめきかけたぞ

 

「初めまして、陸奥です…北海道からわざわざ来られたんですって?」

 

「えぇ、函館から」

 

「へぇ〜…函館、あ〜…アレだ、五稜郭があるトコだっけ?」

 

「えぇ、そうですね」

 

まずは陸奥お得意の絶妙な間合い取り、先手を取りつつも相手も仕掛け易い地域性のある話題…この距離なら、まずは互いに出方を窺う事になるだろう、艦娘殺し……じゃない、艦娘たらし!その実力、見せて貰おうか

 

「あら?グラス……ウィスキーでいい?」

 

「えぇ、水割……いえ、ロックグラスをいいですか?」

 

「ロックね」

 

ーーー

 

……陸奥と艦娘たらし、そのやり取りはまさに出張に来たビジネスマンと嬢との時にアツく、そして時にクールな高度な技術戦の様相を呈していた、あわよくばバックの大きいアルコールを入れたい陸奥、しかし中佐はそれをのらりくらりとかわしつつも不思議と嬢に不快感を与えない…ッ!むしろ、接待の席なのに俺の支払いに気遣いすら感じさせているのか……この男、かなりビジネス慣れした企業戦士ッ!ホントに軍人か?実は取引先企業の人とかじゃないのか?

 

「あらあら、ちょっと前を失礼…」

 

アイスペールを取るとみせかけ、陸奥が仕掛けたッ!中佐の腕に自らの胸を密着させ、その弾力を伝える技、虎砲!

並の童貞ならおっふせざるを得ない!

 

「いえ、大丈夫です」

 

効いていない!?陸奥の虎砲を受けてこの男!少しの顔色すら変わらない…?さすがは艦娘殺…じゃない、艦娘たらし、陸奥レベルの相手にまるで鼻の下が伸びない豪傑ぶりは伊達ではない

 

「…」イライラ

 

「あ、グラス注ぎましょうか?」

 

ちなみに、中佐殿の連れであるグラマラスレディは先ほどから目に見えてイラついており、俺はさっきからこの暴れ出したら確実にヤバそうなモンスターのグラスにアルコールを注ぐマシーンと化していた

 

「芋ロック!あと、冷たいおしぼり!」

 

「あ、はい、芋ロックとおしぼりですね!」

 

…なんで俺がサービスを提供する側に回ってるんだ、ってかコエーよ、なんだよコイツ、さっきから陸奥に殺意の篭った視線と舌打ちとたまに小声でコロス…って言ってるだけじゃん、いつハリケーンミ●サーで俺がバラバラにされてもおかしくねーよ!

 

…こうして、中佐殿は深夜12時前には明日の電車に遅れるといけないので今日はここまでにしましょうと僅か2時間ばかりで切り上げ、終始、紳士的な態度を崩す事なく夜のビジネスツールを終了した…

 

ちなみに、この日の支払い額はいつもニコニコ現金払いで済む額であり、前回、中将殿を接待した際は鈴谷のアホンダラがチョーシに乗ったのでカード払いだった…まぁ、アレは中将殿も鈴谷のビッチパイに思わずニコニコだったから仕方がない、それが大人の特権だよ

 

◆◆◆

 

中佐殿とグラマラスモンスターが去った後日…

いつものマックス大冷房の執務室…

 

「結局、艦娘たらしの技はよくわからなかったな…」

「あくまで、噂でしたからね」

 

天海の野郎がわざわざ要警戒の連絡入れてくるぐらいだから、どんなすげーモレス●アーツの使い手かと思ったら、びっくりするほど冴えないオッサンだったし、ウチのバカどもは相変わらず虫捕りだのヤキュウだのバカやってるし…

 

「あ、そう言えば転属願いが来てますよ」

 

「誰だよ?鹿島先生か?」

 

まぁ、最近は減ったが鹿島先生はワリと定期的に転属願い出してくるんだよな…

 

「いえ、香取先生です」

 

「ハァ!?マジか!?」

 

バ…バカな!?あのエレガントで眼鏡な素敵な香取先生がウチから居なくなるだと…?も、もうダメだぁ…もうおしまいだぁ…

 

「冗談です、小粋なサミダレジョークですよ」

 

「…オマエ、マジぶっとばすぞ、そーゆー笑えないジョークはやめろ、いや、やめてくれ、俺に効く」

 

この青髪ロングが………まぁいい、許そう、俺は心が広いからな、そんなジョークでいちいちキレるボゥイではない大人だからな

 

「ティーッス!提督いるぅー?鈴谷おこ……」

 

「スネークバ●トォー!」

 

「づがいぃぃぃぃぃぃ!!!グヘァ!!」

 

開いた扉から出て来たアホ面を掴み、情け無用の毒蛇の牙が床と顔面をコンニチワさせた

 

「クズが…」ペッ!

 

「どこが大人なんですか…」



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提督とアツかりし革命同志

イベント前の通常営業回

【登場人物】

提督(161)
モクモク人間、モクモクしてるけど普通に殴られる

ガングート(2)
旧ソから来たアツかりし革命戦士、ダメな方のビッグセブンと同じく、同志提督と呼ぶものの、意味がまるで異なる不思議

占守(3)
革命同志その2、かーげーべーを恐れている

国後(3)
革命同志その3、夏は水分摂って寝て、朝に後悔する



そろそろ夏の大規模作戦があるとかなんとかお達しが来ていたなと思い出しつつ冷たい麦茶を飲んでいたアツかりし夏の日、今日のスモーキングタイムでもとるかと考え、喫煙所へとやって来ると、俺のサンクチュアリである喫煙所は先客である東側に占領されていた…

 

「よぉ、オマエも喫煙タイムか?」

 

「…ん?おぉ、同志提督じゃないか、奇遇だな!まぁ座れ!ほら、ここに座れ!」

 

旧ソから来たアツかりし革命戦士、戦艦ガングート

戦艦としては足が遅かったりと些かアレな性能ではあるが、魚雷を装備できない癖に雷装値があるよくわからないガッツを持っており、メカに詳しい有識者である明石と夕張に聞いたところ、要は気合ってコトですよ!と説明された…

 

「ハッハッハ!しかしアツいなァ同志提督!ハッハッハ!」

 

「触んな、馴れ馴れしい」

 

ガングートは俺の背中をバシバシと叩きゲラゲラと笑っているが、一体何が可笑しいのか…そして、そもそも何故このアホンダラは俺を東側の同志と認定しているのだろうか?

 

「同志提督よ、そう言えば近い内に大規模な作戦があるらしいな?」

 

「ん?あぁ、あるらしいぞ、オマエのデビュー戦もおそらくある、間違ってもワンパンKOで帰ってくんなよ」

 

「ハッハッハ!任せておけ同志提督、ハッハッハ!」

 

どっから来るんだ、このよくわからない自信は…まぁいい、自信がないよりある方がいいだろう、腐ってもコイツも戦艦、同志ヴェールヌイとは腹筋と胸筋のタフさが違うハズ…

 

「あ、同志ガングートと提督っす!」

 

「ホントだ、こんにちは」

 

喫煙所の横にある廊下からなにやら声がしたのでそっちを見てみると、歩く声掛け事案と名高い海防艦キッズの占守姉妹が明石の店で買ったらしいガリガリくんを食べながら歩いていた

 

「よぉ………ってか、同志?」

 

「そーっすよ!シムとクナと択捉は同志ガングートの同志っす!」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?えー…占守だっけか?占守は同志ガングート!とアツい挨拶を交わし、妹の国後はそれをウンザリした様子で見ていた

 

「オイ、妹」

 

「妹じゃない国後、ナニ?」

 

「オマエら同志だったのか?」

 

「同志と言うよりは…同期?ガングートさん、あぁ見えて結構優しいし、おね……姉さんも択捉も結構懐いてるし」

 

「ふ〜ん」

 

そう言う国後もガングートには悪い感情はないらしく、ガングートとはたまに一緒に飯食ったりしているそうだ、さすがは東側の革命戦士、遊びたい盛りの難しい年頃のキッズ達の心も難なく革命チェンジする本物のレヴォリューツィヤと言うコトか、大したヤツだ…

 

「マジっしゅか!焼肉っすか!?焼肉奢ってくれるんしゅか!?」

 

「ハッハッハ!こうアツくては身も心もアツさに参ってしまうからな!肉でも食ってガッツをつけようではないか!

なぁ同志シム…シム……まぁどうでもいいか、同志オマエ!ハッハッハ!」

 

「占守っすよ!」

 

「うむ、よくわからんがわかった!」

 

大した革命戦士、ガングートはシムシューくんを肩車しながらシベリアンエ●スプレスとか声高く叫び、低速らしく、ノロノロと廊下を走ってハァハァと息を切らせながら喫煙所へと戻って来た

 

「ハー…ハー…同志提督、水、水をくれ…ないならウォッカでいい」

 

「ねぇよ、っーかどんだけ体力ないんだオマエ」

 

「体力がないワケではない、全てはアツいのがいかんのだ」

 

バカかコイツ、いや、バカなんだな、たぶん

 

「私、お茶持ってるけど……ガングートさん、どうぞ」

 

「む?オマエたしか同志妹…」

 

「国後です!国後っ!」

 

「ハッハッハ!助かったぞ、同志…同志、え〜…同志、キミ」

 

ダメだコイツ、たぶん同志が多すぎて顔と名前が一致してなくてキミとかオマエとかアンタで済ますワリとテキトーなタイプだ…

 

「よし!では行くか同志達よ!ところで同志エトロフはどうした?」

 

「択捉なら部屋で扇風機にアーって言ってたっす」

 

「ってか、なんで択捉だけ名前を…」

 

「よし!では同志エトロフと同志ウコチャヌプコロと合流次第焼肉店へと行くぞ同志シムシリ!」

 

「交ざったっす!」

 

「うぇ…姉さんと交ぜられるのはちょっと嫌かも」

 

「クナ!?ナニ言ってんしゅか!オマエも革命してやるっすよ!」

 

「は?ナニ、姉さん、殴られたいの?」

 

「ハッハッハ!喧嘩は良くないぞ同志達!喧嘩は良くない、いいか?殴っていいのバケモノどもと資本主義のブタどもだけだ」

 

まだ目をキラキラさせる多感な年頃のピュアなキッズ達になんてコト教えるのかねこの革命戦士は…

 

「では、そろそろ行くか…同志提督も共にどうだ?」

 

「やだよ、めんどくさい」

 

冗談じゃない、コイツらに付き合ってたら俺までアツかりしファイナル革命されかねない、俺はさっさと消えてしまえと手をヒラヒラと振ってアツかりし革命同志達を追い払った

 

ーーー

 

「フーッ〜…」

 

そういや大規模作戦がどうのこうのだったな、後でサミーに確認しとくか、タバコ吸ってから

 

「フッ、そこに居るのは同志提督ではないか?」

 

「まるで煙を吐くマシーンだな、同志Admiral」

 

ようやく落ち着いて喫煙タイムをとれると思った矢先、今度は同じようで意味が全く異なる“同志”がやって来た

毎度お馴染み、趣味は盗撮のアツかりし性犯罪艦、大戦艦長門と、キッズ達と仲良くしたい事を夢見るドイツから来た魔界空母、グラーフ・なんちゃら

 

「よぉ、長門と…グラペン」

 

「グラーフ・ツェッペリンだ、同志Admiral」

 

「へいへい」

 

ちなみにこのドイツから来たおっぱい空母、いちいちフルネームで呼ばないとグチグチ文句をつけてくるおっぱいの大きさのワリに心の狭い野郎だ

 

「フッ、同志提督よ、今からこのビッグセブン、そして同志グラペンとどうすればこの夏、駆逐艦のエンジェルス達からちやほやされるかアツいディスカッションを行う予定でな、お前にも是非参加して貰いたい」

 

「やだよ、めんどくさい…っーか同志じゃねぇし」

 

「フッ…」

 

「同志ナガト、このグラーフ・ツェッペリン、ドリンクバーのサービス券を持っているぞ」

 

「流石は同志グラペン、よし、では行くとしようか、同志提督」

 

「だから!同志じゃねぇし、っーか行かねーし」

 




次回より導入編を挟んでから夏にイベント編の予定、予定でさぁ


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続続続・提督と作戦とミーティング

毎度お馴染みイベント連動、極力ネタバレしないイベント編

【登場人物】

提督(162)
夏だけはキラっと輝く勲章を欲しがるバッドガイ
AL/MIのトラウマ持ち


夏のアツい風物詩、大規模作戦と言う名のフェスティバルの開幕を目前に控えた当基地、今年もキレのあるストレートや、喰い気味のストレート、そして、力のこもった全力ストレートがオレの心をアツくさせるだろう…

 

「えー…今回は大規模作戦と言うコトで、初回からやる気のある娘はガンガン使っていきます、ガンガン使って、散々使い倒してボロ雑巾のようになってもでぇじょうぶです、バケツがあります、今回も皆さんの為に一杯用意してありますのでジャブジャブ使って構いません」

 

いつもはスポーティーな施設の体育館にて、作戦前恒例の全艦集会に集まったバカどもに壇上からアイサツをし、作戦開始の火蓋が切って落とされたコト、そして、夏休み中にバカなコトするんじゃねーぞとバカにもわかりやすく、なおかつ丁寧に伝え、俺はマイクを置き、香取先生はエレガントに次のプログラムを読み上げる

 

「え〜…続きまして、夏のインターカンの表彰を行います、優勝、チーム西村艦隊総合…」

 

ーーー

 

「ワイハー!」

 

「ワイハですって!」

 

喫煙所で一服し、執務室へと戻っていると、執務棟と寮の間にあるロビー的な広場で、実力派エリート集団と名高い潜水艦のアホンダラどもが夏を彩るオシャレでKAWAII服に身を包み、大きなトランクをゴロゴロと押していた…

 

「よぉ、カスども」

 

「あ、テイトクなのね!」

 

「168達、今からハワイだから、電話とらないから!」

 

当基地の潜水艦どもには期毎に長期休暇を取る事が約束されている(ただし、場合によっては休暇出撃もあり得るが、その場合は日当の135%が別途支給される)…

平均練度98、安心の三交代シフト、小破以上即休憩あり、新人にも優しいセンパイ達が丁寧に教えてくれる実にホワイトな運営がこの実力派エリート集団である

 

「ろーちゃん新しい水着買ったですって!」

 

「…ユーも、買った」

 

「誰か26のパスポート見なかった!?ねぇ!?ねぇねぇ!」

 

今回の長期休暇はハワイか…コイツら本部作戦以外の普段から稼いでるから金だけは持っている、たぶん、ホ●ト遊びにハマっても大丈夫なぐらいは稼いでるが、近所にホ●トクラブはないので、こうして長期休暇の際に散財して来るのだろう

 

「あ…ああぁぁ…酒ぇ、姉ちゃん…酒ぇ」

 

「ダメ、14ちゃん……でも、飛行機内は飲み放題だから…」

 

「飲み放題っ!?いいんですか!姉ちゃん!え…飲み放題って?え?それは、いくらでも飲んでいいと…?14は飲んでいいと!?」

 

「…いいよ」

 

「クッ!ありがてぇ…っ!ありがてぇ!!」

 

そっくりお姉ちゃんにガッシリと抱きつき、アル中の14はアツい涙を流して慟哭する、飛行機にさえ乗れば飲める!それも…っ!好きなだけっ!こんなに嬉しい事はない…ッ!!14の心はきっと希望に満ち溢れているのだろう、楽しい旅!楽しいバカンスの幕開けだと…っ!

だが、そんな14を優しく抱く13ちゃんの腕には時計型麻酔銃が巻かれている、たぶんお姉ちゃんはヤるだろう、目的地までグッスリだ…

 

「…まぁ、あんまハメハズさず節度を持って遊べよ、あと、必要になったら即リターンさせるからな」

 

俺は一番近くに居た58と8っちゃんさんの肩に手を置いて楽しんできたまえよと理解ある上司のエールを贈った

 

「へいへい」

 

「気安く触らないでください」

 

まったく、相変わらず8っちゃんさんは社会派だけに厳しい娘なのだよ…

 

ーーー

 

作戦期間中は喫煙解禁のアツかりし執務室…

 

「で?今度はどこだ?スリガオか?ついに姉様出陣か?」

 

当基地には珍しい菩薩の如き優しさを持つ姉様がたまに思い出した様にレイテがどうのこのう呟く姉様達のトラウマポイント…おそらく、レイテを乗り越える事で姉様は新たなるステージに進む事が出来るのだろう…

 

「違います、なんか欧州救援とかなんとか、そんな感じらしいです」

 

「奥州か…」

 

ふむ、どうやら今度の作戦はかなりレッツパーリーな事になりそうだな

 

「欧州ですからね、欧州」

 

「知ってるよ、奥州だろ?大丈夫だって、オレケッコー得意だよ?まず小田原ブッ潰してホウジョー滅ぼして…」

 

「違います」

 

青髪ロングは麦茶を俺の机に置き、上から来た通達と、天海辺りに調べて貰った今回作戦概要の書類を机に置いた

 

「…ふむ、思った以上にめんどくさそうだな」

 

「ですね…」

 

さて……どうしたモンかね、とりあえず開幕戦はいつもの五十鈴パイセンでいいとして……ま、なんとかなるか

俺は胸ポケのタバコを確認し、席を立ち上がった

 

「…どちらへ?」

 

「散歩、付いてくんなよ」

 

「あ、そこの戸棚にお酒ありますから」

 

「あいよ」

 

俺は五月雨が事前に用意していた墓参り用の酒の入ったビニール袋を手に、執務室を出た、まったく…こーゆートコもムカつくんだよな、コイツ

 




次回は開幕初戦!
立ちはだかる新たる強敵!五十鈴王国崩壊の危機!


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再打通作戦発動!①

夏の大作戦編その1、傷だらけの戴冠式!

【登場人物】

五十鈴(5)
お馴染みの開幕先発、面倒見が良くて乳が大きい

潜水新棲姫
深海期待のスーパールーキー、潜水棲姫?あぁ、アイツなら辞めたよ、才能ねぇから
北方一強時代を終わらせに来た幼女、見た目は可愛らしいが中身はかなりプッツンしてる


遂に作戦開始の火蓋が切って落とされた夏の大作戦!

この、アツかりし戦いに勝ち抜く為の準備は十全に整えてきた自信はある、俺には見えているぜ、出世へと続く戦いのロードが!

 

「潜水艦です」

 

「潜水艦か」

 

アツかりし真夏の執務室、栄えある開幕スタメンのオーダーを考えるべく、俺は冷たい麦茶を飲みつつ五月雨の用意した海域の資料に目を通していた…

 

「五十鈴パイセンだな」

 

「そうですね」

 

今回もまた性懲りもなくあのサンドバッグか、懲りないなあのヤローも、毎度毎度ボコられる為に出てくるとかアイツ実はマゾなんじゃないだろうか?いや、たぶんマゾ子さんなのだろう、若いのに将来が不安になる大したヤツなのだよ…

 

「よし、スタメンは五十鈴に任せる、テキトーにお前好みのメンバーを連れて行けと伝えておけ」

 

俺はそれだけ五月雨に伝え席を立ち、執務室を出るべく力強くドアノブに手を掛けた

 

「はぁ、別に構いませんが…どちらへ?」

 

「便所」

 

◆◆◆

 

リンガ泊地沖、栄えある開幕戦を率いるのは人類最強の潜水艦狩りの達人五十鈴と、五十鈴が特に目をかけて可愛がるリベッチオと朝霜、そして期待の新人、択捉、さらに先制対潜のスキルを持つ軽空母の春日丸改め大鷹…まさに潜水艦を殺す為だけに選抜されたオーダー…

 

「さぁ〜て、今日もケチョンケチョンに負かしてやろうかねぇ〜」

 

「イスズさんマジカッケー!」

 

「五十鈴さんマジイケメン!マジおっぱいのついたイケメン!」

 

期待のルーキーを含んだ新体制で臨むチームは自信に満ち溢れ、どうせいつものあのしょーもないサンドバッグが出てくるだろうし、いつもの心地良いサウンド、イタイ!ヤメテヨォ!でも聴きながら優雅におやつでも食べよう、そう、この対潜武装で負ける筈がない気分はまさに完全武装のゴキゲンなピクニック…

 

「あ、なんか居ます」

 

「あー?」

 

期待の新人、択捉が指差す先にブクブクと気泡が上がり、いつもの叩けばゴキゲンなサウンドを奏でるサンドバッグが………がっ!違う…っ!いつものサンドバッグではない…っ!いつもの超重力砲でも撃ちそうな見かけ倒しオブ見かけ倒しのアイツとは違う…っ!初めて見るナニか!?

 

『アナナタチ…ハ……トオ…サナイ……カラ……』

 

「…なんだアレ?」

 

「初めて見るヤツだ!」

 

いつものマゾサンドバッグとは違い、今回現れたのは初めて見るちっこいの、なんと言うか…その、ちっこいの、声をかけるだけで事案発生、タイーホ待ったなしであろう深海期待のスーパールーキー、潜水新棲姫

 

「イスズさん!なんかいつものと違う!」

 

「アーン?ビビるこたァねぇ…ボロくなったサンドバッグが新品のサンドバッグに替わっただけだろ?」

 

「たしかに…さすが五十鈴さん、マジカッケー」

 

「勝つのは五十鈴!勝つのは五十鈴!勝者は五十鈴!敗者は深海!」

 

別にビビる事はない、ちょっとデキるルーキーを投入して来た程度では五十鈴キングダムは揺るがない、何故なら五十鈴には丸見えであり、どんな潜水艦であろうとも骨格レベルでツルスケじゃねーの!だからだ

 

「ぐわあああぁぁぁぁ!!!」

 

しかし…ッ!!今日は違うッ!何かが違っている!いきなり期待のスーパールーキーが爆発、水上を転げ回った!!

 

「カス…!大鷹をォォォォォ!!」

 

「カス!カス鷹ォ!!五十鈴さん!カスがヤられたァ!!」

 

「アーン?」

 

あのヤロウ……開幕で撃ってきやがった、五十鈴のインサイトに映る新型サンドバッグの性能、いや、どうやら今までのマゾサンドバッグと違い、ただのサンドバッグで終わるつもりはないらしい…

 

「コゾー、面白れーじゃねーの?」

 

「出たッ!五十鈴さんの破滅へのなんちゃら!」

 

「これであの潜水艦のハラワタはメチャメチャだぜーッ!!」

 

五十鈴の機械の如く精密な対潜爆雷が新型サンドバッグにのボディに炸裂し、新型は見た目の可愛らしさと裏腹にウゲェ!と光る吐瀉物を吐き出した!

 

「オラァ!痛がりやがれ!痛がりやがれ!痛がりやがれェ!」

 

『イタイ!!………ヤメテヨッ!!!』

 

新型サンドバッグこと潜水新棲姫はイッパツやられたコトに、その可愛らしい容姿からは予想外にキレた…

 

今までのマゾサンドバッグとは違う、ヤメテヨォ!ともう殴らないで哀願してきたサンドバッグとは違う、ナニすんだコノヤロウと闘志を新たに燃やすヤメテヨッ!だ

 

「お…おぅ」

 

『ヤメテヨッ!!』

 




次回は②

白●叉降誕!!


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再打通作戦発動!②

君は自分の中に宇宙を感じたコトがあるか!

【登場人物】

由良さん(3)
開幕からまさかの展開に緊急登板した偉大なるエース、エースとは出て来るだけで流れを変える人材

鈴谷(49)
航巡とは違う、もう負けないぞ!カ●ドキアームズいざ出陣エイエイオー!




「……負けた、だと?」

 

夏らしく、たまには執務室にオシャレなものを飾ろうと買ってみた掛け軸はまるで故人を偲ぶ尊い気分にさせてくる…まぁ、そんなコトはどうでもいい、今はまさかの敗北宣言だ、信じて送り出した五十鈴パイセン率いる部隊が敗北を喫したと言う衝撃的事実ッ!

 

「フーッ〜…つまり、どーゆーコトだってばよ?」

 

煙草に火を点け、吐き出した紫煙に露骨にイヤな顔をする五月雨にその衝撃的事実関係を訊ねる

五月雨曰く、今回、深海の先発はいつものアイツではなく、データにないルーキー!しかも、その性能は今までのアイツを凌駕し、さらには開幕雷撃も撃ってくる!

 

「潜水新棲姫と言うらしいです、で、こちらがその画像です」

 

「ふむ…足がないな」

 

「や、たぶん普通にありますよ、コレ乗り物的な感じじゃないですか?」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな」

 

件の深海スーパールーキーの画像を見るに、なるほど……コイツはナマイキそうなクソガキ臭がプンプンしやがる、まだ若いのに高性能、まさしく、The genius submarine girl、やはり天才か…と言うワケだ

 

「それで?五十鈴さんはなんと?」

 

「メンバーチェンジで」

 

「メンバーチェンジか…」

 

五十鈴さんからの報告では、カス…大鷹が思ったよりザコ過ぎて使えないので他のヤツに、あと、択捉もザコ過ぎて使えないので換えろとのコトだ、ふむ…まさかの期待を込めて出したウチのルーキーが向こうのルーキーに負けた形だな

 

「まぁ、しゃーなしだな、カス鷹くんの代わりの軽空母は…」

 

「五十鈴さん的には潜水艦よりヌ級がうぜぇから潜水艦ではなくヌ級をブッ殺すヤツ募集中だそうです」

 

「ムチャゆーな」

 

そんな正規空母じゃあるまいし、潜水艦を狙わない軽空母なんて都合のいいヤツいるワケねーだろ、あのヤロー、ちょっとおっぱいデカいからってチョーシに乗りやがって

 

「いますよ、潜水艦を狙わない軽空母」

 

「あ?ナニ言ってんだオマエ?イカレてんのか?」

 

「アレですよ、アレ、攻撃型軽空母ですよ」

 

「ハァ…?攻撃的小宇宙……あぁ、そう言やなんか前に誰かがそんな話をしていたような…」

 

たしか潜水艦を狙わない超攻撃的陣形をとるよくわからん軽空母、その、第1号と2号…

 

「…よし、鈴谷を呼べ」

 

「鈴谷さんで?熊野さんではなく?」

 

鈴谷の野郎、前回何もしてないせいか、今回は出たくて出たくて仕方ないのだろう、真面目にプルペンで艦載機の投げ込みしている姿を見かけた事を提督は評価しているのだよ

 

「見せて貰おうか、攻撃型軽空母の性能とやらを」

 

「鈴谷さんですね、あと、択捉さんの代わりはどうしますか?五十鈴さん的にはとにかく潜水艦をブッ殺すヤツ希望ってコトですが」

 

「とにかく潜水艦をブッ殺すヤツか…」

 

あの五十鈴さんが攻めあぐねているぐらいだ、おそらくはハンパな性能では太刀打ちできまい、それに、序盤の序盤から詰まらされるのは俺の精神衛生上よろしくない、ならば………ハンパではない、あの方を出撃すしかあるまい

 

「五月雨、由良さんを呼べ」

 

「…マジですか?」

 

「マジだ」

 

◆◆◆

 

『アナタタチハ…トオサ……グヘァ!?』

 

再び帰ってきたリンガ泊地沖、深海東方侵入艦隊…

 

『グワアアァァァァァ!!』

 

『ヌ!ヌ級ーッ!!ヌ級ガヤラレタ!』

 

『チクショウ!!アノイカニモ遊ンデル頭スカスカノJKミタイナ奴!的確ニ潜水艦以外ヲ仕留メニキヤガッタ!』

 

攻撃の手を制限する為に考え出された無敵の深海フォーメーションが突破された事に戦慄が走る潜水新棲姫擁する旗艦艦隊、まさか潜水艦を狙わない空気読めない軽空母が居るとはまったくの予想外…っ!理解の外…っ!常人である深海棲艦にはない、悪魔的発想ッ!

 

「キンモー…マジキモいわー、うぇ、変なの付いたし!」

 

『チクショウ!』

 

頼みのヌ級がブクブクと気泡を残して沈んだ、しかし、潜水新棲姫の心に焦りはない、たとえヌ級はいなくても自分にはこのタフなスピリットがあるのだから!今まで潜水艦を恐怖のズンドコに叩き落としていたイスズだろーが負ける気がしな………

 

『イタイ!ヤメ!イタイ!ヤメ!イタイ!ヤメ……ヤメ!ヤメロォ!?』

 

…がっ!!無理…っ!一転、もう負ける気しかしない!あきらかにさっきまでの手と違う、確実にこちらの弱いところを突き刺してきてる!この可愛い見た目でも容赦なしだ!

 

「ね?今から手足バキバキにするけど、なんか言いたいコトある?」

 

潜水新棲姫の頭をまるでバスケットボールのように無造作に掴み、さっきまでのメンバーには居なかった髪の長いヤツ、白髪っぽいようなそうでないような不思議な色の髪は微妙に朱に染まっている

 

「ね?」

 

『マタクルワ…ッ!ヒ…ヒヒヒ…アギャア!?』

 

折れたっ!?何の躊躇もなく折りやがったコイツぅ!?

 

「え?ナニ?」

 

『マ…マタクル…ワギァァァ!!』

 

「ね?こっちが痛い?ね?どうなの?ね?」

 

なんだコイツ超怖ぇ!!ダメだ…!早く!早くごめんなさいしないとバッキバキにされてガヴ●ークに変形させられるぅ!?

 

「ね?ね?」

 

『ア〝ア〝ア〝ア〝ア〝ーッ!!イタイイタイイタイ!ヤメ?ヤメテ!ヤメテ!ホントヤメテッ!!』

 

 

「さすがは由良さんだ…ハンパじゃねぇ」

 

「リベちょっと漏らしたー」

 

「汚ねーなオイ、ズーヤさん、リベにパンツ貸してやってくれよ」

 

「え?やだし、ってかパンツ貸したら鈴谷ノーパンじゃん」

 

こうして、リンガ泊地沖の死闘は敵旗艦である新人をバッキバキにして海に投げ捨てて幕を閉じた…

しかし、あの見た目だけは可愛い新人潜水艦、由良さんの執拗な洗礼の前に吐血しても泣き叫んでもおしっこ漏らしても、最後までゴメンナサイしなかった事には誰もが感動し、愉快なオブジェのような形で沈んでいく潜水新棲姫に自然と敬礼をして見送った…




次回はリランカ戦、です


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リランカを越えて

マジでBADなE2編

【登場人物】

重巡ネ級
マジでBADな重巡、もしかしたら航巡なのかもしれない

武蔵(4)
早々と登板、最強戦艦、マジでBADな燃費

清霜(9)
武蔵さんの活躍を間近で見られるツアーに参加したアホな子供

大鳳(4)
中破でも飛ばすガッツ溢れるマジでBADな陸上部


夏の大作戦第2回戦、続く西方攻略はリランカへと舞台を移し新たな激戦の予感を漂わせていた…

 

『デヨォー!チョットコヅイテヤッタワケヨー!』

 

『ヒュー!ヘ級クンマジ悪党ー!』

 

深海東方緊急展開主力部隊、艦攻を飛ばす新たな技をひっさげ、見た目は特に変わらない重巡ネ級がヘッドを務めるゴキゲンな連合艦隊…そう、最近流行りの深海フォーメーション、連合艦隊

 

『オイオイオマエラァ〜…ダベッテンジャネェゾォ』

 

『ネ級クン!』

 

『ネ級クン!』

 

『今日ハアイツラ来タラマジ半殺シデ侘ビ入レサセッカラ、マジアイツラ今日コソボコッカラ』

 

深海一のネット依存症であり、深海一の情報通である集積地からの情報では、憎っくき海軍の奴らは通常艦隊で侵攻して来ているらしく、なんか眼鏡の戦艦だかなんだかが来ているらしいからマジ気をつけてとのハナシだった…

 

『マ、霧島ダカろーまダカ知ラネーケド、マジブッコロガスカラ、アノ眼鏡叩キ割ッテ、チョコレートパフェニ刺シテ愉快ナおぶじぇニシテヤンヨ』

 

『ヒュー!ネ級クンマジハンパネー!』

 

『マジネ級リスペクトッスワ〜…』

 

あんな脳ミソまで筋肉で出来てそうな高戦くらい、マッスルインフェ●ノでサーフボードにしてやんよと小粋な深海ジョークに和む深海連合艦隊、オレ帰ったらハルサメちゃんの春雨スープ飲むだーとか、見てくれよツ級、オレのカミさんと娘可愛いだろ〜と着々とフラグを積み重ねていると、遂に敵である海軍のヤツらがこの旗艦艦隊までやって来た…

 

『オイオイオイ…』

 

『死ンダワ、オレ』

 

『オイマジカヨ……マダ2回戦ダゾ、出テクンノ早過ギダロォ…』

 

遂に姿を現した海軍の侵攻部隊、その艦隊を率いているのは眼鏡を掛けているものの、霧島でもローマでもない、本来ならもっと“上”のステージに現れる上級モンスター!最強の超戦士、戦艦武蔵!

 

「ハッハッハ、超戦艦清霜様だー!ハッハッハー!」

 

そして、その武蔵に肩車されているいかにも頭の悪そうなお子様…

 

「このムテキセンカン清霜様とぉー!武蔵さんがチョウキョウリョクプレーで!」

 

「敗者に相応しいエンディングを見せてやろう」ニマァ…

 

上の頭の悪そうなお子様のバカ笑いとは違う、下のモンスターが獰猛な笑みを浮かべて最大級のパワフル火力を積んだ砲を向け、深海連合艦隊と絶望の海軍侵攻部隊との戦いの火蓋が切って落とされた

 

◆◆◆

 

「武蔵を呼べ」

 

「………はぁ?」

 

「二度言わすな、武蔵だ」

 

初戦からまさかの由良さん投入の緊急事態発生、正直なところ、初戦からこれほどモタついているようじゃこの先の海へは進めねぇ!そう、大提督に俺はなる!そう考えた俺はもう手加減とかエコとか知ったコトじゃねぇ!こうなりゃ最大火力を投入し、ノーコンテニューでクリアしてやるぜーと作戦方針を決めた

 

「はぁ?別にいいですけど…他はどうしますか?空母1と軽空1なら出しても一応大丈夫みたいですけど」

 

「そうだなぁ〜…とりあえず空母は大鳳で行くか」

 

「武蔵さんといい、序盤からどえらいの投入しますね…まだ序盤戦ですよ」

 

「バカヤロウ、チマチマやってたら余計に痛手で広がるんだよ、こーゆーのは最大火力で一気に突破した方が意外と余計な出費がかからないのだよ」

 

「はぁ?」

 

本来なら雲龍とか出してエコロジティクス&スタイリッシュに次のステージへ進みたいところだが、今回はそんな悠長なコトは言ってられん、っーかなんやのん、あのキモい鳥、どんだけ増やしてんだよ!

 

「あと軽空は……あぁ、熊野にでも行ってもらうか、攻撃的軽空母」

 

「攻撃型軽空母ですね」

 

先の戦いで、鈴谷のヤツがめざましい活躍をした事は記憶に新しく、作戦から帰って来た鈴谷がチョーシにノって褒めらて伸びる子ですぅーとか言ってベタベタと磯臭い手で触ってきたのでピラニア●ローズを叩き込み、薔薇園に投げ込んでやったが……まぁ、たしかにヤツの実力はホンモノだ、ヤツがビッチでなければ褒美として一万石はくれてやっただろう…

 

「とりあえず、鈴谷のアホが良い実験台になったから熊野も十分使えるだろう」

 

「そうですね、意外と良いですね、攻撃型軽空母」

 

「あぁ、意外と良いな、攻撃的軽空母」

 

今までは千歳と千代田の凶悪姉妹の独壇場とも言えた高速軽空母の世界に、新たなるスピードの可能性が見えた気がするヨ…

 

◆◆◆

 

天を掴めキヨシ!(うぉー!)刻めコレクション!(うぉー!)今こそ時は極まれりぃー!

 

「ハッハッハー!艦隊これく●ょんは絶版だァー!」

 

伝説の超戦士キヨシモの前に1人、また1人と散っていく誇り高き深海の戦士達……正確には、伝説の超戦艦、武蔵の前に散っているのだが…

 

「さぁて…そろそろキメてやるかぁ」

 

「あ、あの構えはーッ!」

 

「我が師の師武蔵最大の奥義!」

 

武蔵は清霜を掴んでおろし、両手を組んで頭上に上げるポーズをとった

 

『戦艦武蔵最大の奥義!試製51㎝砲の構えッ!』

 

深海連合艦隊は既に壊滅状態ッ!もはやヘッドであるネ級を残すのみ、このままでは夜戦突入と同時に戦艦武蔵最大の奥義をブチ込まれるのは確実、あんなものブチ込まれてしまえば確実に壊れる!

 

『ヒッ!?ヒイイィィ!』

 

「出るぞ!武蔵さんのマキシマムクリティカルフィニッシュが!」

 

「コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!」

 

「コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!」

 

誰もが武蔵のマキシマムクリティカルフィニッシュを期待し、暗黒武●大会でお馴染みのコールが戦場に響く中、ネ級は死を覚悟した、お母さん、そしてお義母さん、愛してくれてありがとう!最愛が2人と言う奇跡!最愛が2人と言う祝福!

私は今日死にますと顔を上げ、前を向き覚悟を決めたネ級の後頭部に不意打ち流星改の轢き逃げアタックが炸裂した…ッ!!

 

『ウゲッ!?』critical250!

 

戦艦武蔵最大の奥義が炸裂する事なく、流星改の轢き逃げアタックで、ネ級はブクブクと気泡を残して海に沈んでいった…

 

「やった!やりましたよ!」

 

夜戦まで突入する事なく、昼戦での華麗なフィニッシュをキメた大鳳は朝からちょっとお腹が痛いのを忘れて喜んだ………しかし!

 

「陸上部!空気読めよー」

 

「マジかよ陸上部、ちょ…オマ!ここは武蔵さんのマキシマムクリティカルフィニッシュでキメるトコだったろー!」

 

「マジでBADな屁こき空母ですわ」

 

「ヒドォ!?え…?ナニ?なにこの仕打ち、なんで私、仲間からディスられるのぉ!?」

 

こうして、カレー洋リランカ島のマジでBADな死闘は終わり、帰って来た大鳳はマジでBADな屁こき空母と罵られ、泣きながら自販機でジュースを買いに行く途中、犬のウ●コを踏み、マジでBADなMVPだと思っていたら自販機のところに居た扶桑姉妹の菩薩みたいな姉からコーラを奢って貰い、マジでBADなワケないと持ち直したら、マジでBADな炭酸スプラッシュを浴び、部屋に帰って泣いた…




次回はステビア海の先ェ…


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ステビア海の先へ①

第三海域にして、安心のヘタレ

【登場人物】

提督(163)
安心の大佐に限りなく近い中佐、人間は諦めが肝心と思っている

重巡夏姫
去年もいた重巡棲姫夏バージョン、黒い液体は身体に悪いけどやめられない

山風(14)
意外と久々に登場のシャイチビスケ、アイスは1日1個と海風姉ちゃんから厳しく制限されている

明石(13)
意外と提督とフランクな仲のダメ工作艦、とりあえず下痢気味の日はトイレで言ってみる


「憧れるのはもう、やめる!」

 

2回戦を最大級のパワフル火力で決め、続く第3回戦へとステージを進めた当艦隊、リンガ泊地沖で由良さん、リランカでは武蔵と言う激レアカードを早々に切った俺たちの前にさらなる苦難が待ち受ける事は必至ッ!未だ序盤と言える海域なのに提督の身体は既に副流煙にてズタズタになり、五月雨はもはや提督そのものにフ●ブリーズをブチ撒けていた…

 

「はぁ?」

 

「よし、勲章ものの活躍は諦めよう!」

 

そして、提督は安心のヘタレを選んだ

かつて学んだ海軍学校ではこの丙提督を選べば死してなお未来永劫鬼畜にも劣る賊の烙印を押されると教官殿の有難い座学で聞いた気がするが、現在進行形で既に賊なので俺には関係ない

 

「よし、引き続き武蔵で行くぞ!武蔵で!」

 

「連投させるのですか?武蔵さん」

 

「当たり前だろ、クックック…深海のヤツらめ、この俺を舐めた罰として死すら生温いこの世の地獄を味合わせてやる」

 

「完全に悪の台詞ですよ、それ」

 

「悪じゃない、提督だ」

 

「はいはい、中佐中佐」

 

「中佐じゃない、限りなく大佐に近い中佐だ、間違えるな青髪ロング子」

 

「青髪ロング子ではありません、五月雨です」

 

ーーー

 

「で?次はいよいよ連合艦隊か…」

 

「まぁ、とりあえず最初はお馴染みのジャブ程度に輸送任務からですけど」

 

続く第三海域ステビア海、五月雨の用意した書類には、とりあえず資材を輸送してからこの海域をシメるヘッドの重巡なんちゃらを倒してネと書かれており、ところどころ変なラクガキも描いてあるが、まぁ、暑いのだから仕方ない…

 

「輸送ねぇ、ミカに行って貰うか…」

 

「三日月さんに?」

 

「あぁ、この仕事を任せられるのはアイツしかいねぇ、アイツなら必ずやってくれる」

 

最近アイツもヒマなのだろう、たまに自販機の前とかで会うと特に何も言うワケじゃないが、その目が俺に訴えかけている、次はどうする?次は何をすればいい?ダメだよ提督まだ立ち止まれない、そこに着くまでは立ち止まらない立ち止まれない、決めたんだ、あの日に決まったんだ、ねぇあと何人殺せばいい?あと何人殺せばそこへつける?ってな…

 

「じゃ、三日月さんはいいとして、輸送ですし、適当に大発持てそうな人に声をかけますか」

 

「そうだな、とりあえず睦月型のアホガキども中心に呼び出すか…」

 

そういや最近、フミ…?文月だっけか?アイツもリベイクされてフルシティになったとかなんとか誰かが言ってたな、たぶん大発とか持てるデキる子になっているだろうし、アイツも起用してやるか

 

◆◆◆

 

ゴキゲンな真夏の陽射しが照射するステビア海…

 

『アー…暑イワー、マジ暑イワー』

 

暑いわーと言いながら手持ちのフルーティなジュースを飲み、仕事と言う名のゴキゲンなバカンスに興じている重巡棲姫もとい重巡夏姫、今回のマジでBADな欧州侵攻大作戦の出撃シフトに入ってしまった彼女は、せめて気分くらいは夏休みにしようとやる気なさげにアイスをガリガリと齧っていた…

 

『重巡棲姫クン!』

 

『重巡夏姫ナ、夏姫、デ?ナニ?』

 

『ヤツラガコッチニ向ッテ来テルッテ!』

 

『フ〜ン』

 

リランカから伝わっている情報ではまだ序盤だと言うのにセンカンムサシだとかクリティカルクルセイドだとかワケのわからんコトを言っていたが、たぶんキリシマだかローマだかの見間違えだろう、そんな早々とムサシとゆーモンスターが出てくるワケがない、たしかリランカ担当はネ級だっけか?きっとみんな疲れているのだろう

 

『ヤバイヨ重巡夏姫クン!アイツラマジヤベーヨ!』

 

『ムサシトカマジヤベーヨ!』

 

まだ新人のナ級や手のデカいツ級達はヤベーヨヤベーヨと恐怖し、艦隊に不安の色が広がっていた…

 

『バカ言ッテジャナイヨ、ムサシトカ出テクルワケネーダロ?見間違エダヨ、見間違エ』

 

『デモ重巡棲姫クン!』

 

『重巡夏姫ナ!夏姫!………マ、モシ仮ニムサシトカ来テモ私ガパツイチデ沈メテヤンヨ、モゥ勘弁シテクダサァ〜イッテ言ワセテ詫ビ入レサセッカラ』

 

『ヒュー!サスガ重巡夏姫クン!』

 

『デカイノハ尻尾ト態度ダケジャネーゼーッ!』

 

小粋な深海ジョークに和む深海連合艦隊、後に、あの時あんなコト言うんじゃなかったと重巡夏姫は後悔する事になるのだが今はまだ、ステキなステビア海のバカンスを彼女は楽しんでいた…

 

◆◆◆

 

アツさと寒さが同居するクール&ホットな執務室を出て、明石のアホンダラの店に煙草とコーヒーを買いに行っていると、改白露型の緑頭が毛のない猫を抱えて歩いていた

 

「よぉ、チビスケェ…」

 

「…チビスケゆーな、山風」

 

「ナニやってんだ?散歩なら熱中症に気をつけて水分をこまめに摂れよ、これはマズいなと思う前に木陰や冷房の効いた室内などで十分な休憩をとるのだよ」

 

「…知ってるし、テイトクは何してるの?」

 

「明石の店に行くのだよ」

 

「…私も、猫の餌、買いに行くところ…」

 

「猫の餌か…」

 

たかが猫ぐらい、残飯でも食わせとけばいいと思うのだが…まぁ、世の飼い猫は飼い主より良いモン食ってるなんてハナシはザラにある、それに、たしかこの毛のないキモい猫はなかなかお高価なお値段のするお上品なお猫様だ、きっとペティグリーチ●ムでも食うのだろう

どうせ目的地は一緒なので俺は山風と共に明石の店へと向かう事にした

 

「…ねぇ、テイトク」

 

「なんだ?」

 

「…私の予定、まだない」

 

「なんだ?出たいのか?出たいなら出してやるぞ、最終海域の栄えある連合艦隊旗艦で」

 

「…そこまでしなくていいっ!」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

まぁ、チビスケどころか次の出撃シフトも決めてないしな………小粋なテイトクジョークでドッカンドッカン笑わせ円滑なコミュニケーションをとりつつ、俺たちは明石の店へとやって来た

 

「いらっしゃいませぇ〜、あ、提督と山風ちゃん」

 

明石はニコニコと愛想良く笑いながら生命保険に入りませんかー?と本日のオススメを勧めてきたので、とりあえず腹パンしてやると愛想の仮面が外れてウボォ!と言いながら腹を抱えてうずくまった

 

「煙草とコーヒー、あとアイスくれや、2つ」

 

「うぇ……ぅぅ、お腹痛いよぉ〜お腹痛いよぉ」

 

「いいから早くしろ、モタモタすんな淫乱ピンクが」

 

「誰が淫乱ピンクですか、え〜…煙草と缶コーヒーと、アイスが2つ?」

 

「あ、悪い、やっぱ3つな」

 

「食べ過ぎですよ、お腹壊しますよ!お腹、後でトイレでゲリゲリう●ち止まらないよぉぉぉと言っちゃいますよ」

 

「やかましい、誰が3つも食うかボケ、チ●ポついてんのか?」

 

明石のアホはついてませんよ!と言いつつ、煙草と缶コーヒーとアイスを袋に入れ、俺はお釣りはいらないと言って、代金と丁度の額を渡してやった

 

「ほれ、チビスケェ…」

 

「…チビスケゆーな、山風………くれるの?コレ」

 

「暑い時はやはりアイスに限るのだよ」

 

まぁ、たかがガリガリくんぐらい奢ったところで提督の財布は大して痛まない

 

「よかったねぇ山風ちゃん!このオッサン、人間のプリミティブな部分を集めた最低最悪のクソ提督だけどたまぁ〜に優し………アダァ!!痛い痛い痛い痛い!お腹!お腹の肉つまむのヤメてッ!!お腹に毒蛇の牙ヤメてェェェェェェ!!」

 

「え?なんだって?」

 

明石の腹の肉を引き千切る勢いで引っ張り、ついでに逆の手で顔面を掴んでカウンター台に叩きつけた

 

「ハー…ハー……痛いじゃないですか」

 

「お前以外とタフだよな」

 

「ところで提督、あと1つはもしかして私の為に買ってくれたんですか?優っさしぃ〜!」

 

「んなワケあるかカスが、アイスケースにでも入ってろ」

 

「ヒドォ!?」

 




次回は②
さらばヴェアー!重巡夏姫、ステビア海に死す!


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ステビア海の先へ②

第三海域その2、わざわざ穴開けて投入する大戦力

【登場人物】

重巡夏姫
深海ビールと深海バーベキューは自費で用意した上司の鑑

鈴谷(50)
今回は軽母ではなく航巡仕様、パンツ見せるのが仕事のJKみたいな奴


さて皆さん、ついに第三海域ステビア海に到達しました…

ですがその為に栄えある甲勲章と昇進への最短ルートを犠牲にしなくてはならなかった限りになく大佐に近い中佐でハンサムな提督………その心境は如何ばかりのものでしょう

ですが、非情にも夏の大規模作戦はまだまだ続くのです!

そう!重巡棲姫改め重巡夏姫と当基地が誇るヤンチャシップ達の正真正銘最後の最後の決戦として!

それではァー!ステビア海侵攻、最終決戦!レディゴー!

 

 

『オイオイオイ…』

 

『死ンダワ、俺』

 

重巡夏姫率いる深海東方方面艦隊迎撃集団の前に、遂に海軍のヤツらが姿を現した……まだ前半戦、まだ序盤海域、まだ大したヤツじゃないと心の中では一抹の不安を抱えながらも重巡夏姫が買ってきた深海ビールと深海バーベキューでゴキゲンなバカンスを楽しんでいた深海棲艦のフレンズ達は誰しもが絶望した、そう、どうしようもない絶望を…

 

「戦艦大和、推して参ります!」

 

「次に死にたい奴、前に出ろ」

 

伝説の超戦士、戦艦大和と戦艦武蔵が揃い踏みする最終海域などでは稀に見る状況…

 

『重巡夏姫クン』

 

『ア、大キナ魚ガ飛ンダリ跳ネタリシテル……トビウオカナ?イヤ、トビウオハモット、ヴェアーッテ飛ブモンナ…』

 

『重巡夏姫クン!コッチ見テ!コッチ!マダ逝カナイデェェェ!!』

 

ツ級は重巡夏姫の肩を掴んでその身体をガックンガックン揺らし、既に現実から目を逸らしていた重巡夏姫を現実に呼び戻した

 

『ッテ!!バカカァァァァァァ!!ナンナノ!?バカナノ!?ナンデコンナトコデ最強カード切ッテンノ!?ナンナノ!?燃料トカ弾薬トカ大丈夫ナノ!?ナニ考エテンダ海軍ノヤツラァァァ!?』

 

たぶんアレだろう、サテラ●トキャノンに狙われる気分とはきっとこんな気分なのだろうと真夏なのにヒヤリとした………重巡夏姫は生まれて初めて心の底から震え上がった、真の恐怖と決定的な挫折に…恐ろしさと絶望に涙すら流した、これも初めてのことだった…

 

『ヨシ、死ノウ!』

 

『重巡夏姫クン!』

 

重巡夏姫は爽やかに笑い、生きる事を諦めた

そして、そんな深海連合艦隊の前にいかにも頭の悪そうな子供がグルグルと回りながら飛び出して来た

 

「ハッハッハー!怯えろー!すくめー!この最強の超戦士!ムテキセンカン清霜が来たからには…」

 

『ヨシ、撃テ』

 

『アイアイサー』

 

重巡夏姫は即座にタ級に砲撃を指示し、タ級のゴキゲンな弾がアホな子供の股間に直撃した

 

「ぐわあああぁぁぁぁ!このままでは終わらんぞぉー!終わらんぞぉー!わらんぞぉー…」大破!

 

◆◆◆

 

冷房と麦茶のゴキゲンな執務室…

 

「怖いんだね?死ぬのが、だったら初めから戦わなければいんだよォォォ!」

 

現場から送られてくる映像をテレビで見つつ、俺は麦茶を飲みながら実に愉快な気分で笑っていた、カッカッカ!クズどもを蹂躙しながら飲む麦茶は格別じゃわい!カッカッカ!

 

「…大人気ない」

 

「なんか言ったか?青髪ロング」

 

「別に、あ、あとコレ燃料弾薬の使用明細です」

 

「はいはいっと……」

 

んほおおおぉぉぉぉぉ!!しゅごいいいぃぃぃ!せっかく貯めた資材がブリュブリュ減ってりゅうぅぅぅ!!止まんないぃぃぃぃ!!

 

「…マジか?」

 

「マジです」

 

さすがは牙を持つカード、高いコストを支払う価値はあるが…さすがにこの消費ペースはマズいな、冷静に考えればまだ前半戦だし…

 

「まぁ、次はちょっとおとなしめにするか…」

 

「そうですね」

 

「なんならオマエも久々に出るか?由良さんも久々に出たし」

 

今回は同期の由良さんが久々の復活登板&大活躍したんだ、何気にコイツも実は出たいのかもしれん…

五月雨はちょっと考える仕草をしてみて、やはり出ないと答えた

 

「出ろと言われたら出ますけど、どっちでもいいならやめときます、私、完全平和主義なので」

 

「何が完全平和主義だ」

 

「小粋なサミダレジョークですよ」

 

「やかましい」

 

完全平和に必要な人を思いやり、理解してやる強い心がコイツには致命的に足りていない

 

◆◆◆

 

『ヴェアハッハッハ!ドウシタァ!ソンナモノカ!足ヲ踏張リ!腰ヲ入レンカァー!ソンナコトデハ重巡ノ私1人倒センゾォー!』

 

「うるさい!鈴谷は今日こそ褒めらて伸びる子になってみせ……ぐっ!」

 

『何ヲシテイル!自ラパンツヲ見セルナド…勝負ヲ捨テタ者ノスルコトゾォー!立テイ!立ッテミセイ!』

 

「うるせぇぇぇぇぇ!!喰らえ!愛と怒りと悲しみのォォォ!ビッッッチィィィィ!フィンガァァァァァァ!」

 

鈴谷の援航!ビッチフィンガーが重巡夏姫のやわらかいようでバッキバキの強度を誇る腹に突き刺さった

 

『ヴェアァァァァァ!!…………ヨロシイ、今コソオマエハ、本物ノキングオブビッチ……ヴェハァ!!』

 

こうして、重巡夏姫は夏の楽しいバカンスと夏の楽しくない思い出と共にブクブクと気泡を残し沈んでいった…




次回は前半戦最終海域、遥かなるオーガ……ではなく遥かなるスエズ、たぶん!


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遥かなるスエズ①

前半戦最終海域、とりあえず水着のアイツ

【登場人物】

空母夏鬼
空母棲鬼水着バージョン、鬼は穿いてるけど姫だとノーパン健康法、股間にビュービュー吹く風がたまらない

二航戦パイセン
飛龍と蒼龍の極悪コンビ、非常にガラが悪いが実力と結果は本物なので色々許されている


紅海!その、素敵な海が空母棲鬼を行動させた!たちまち空母棲鬼は水着となり、その生唾ゴックンのビシバシもんの身体を包む買ったばかりの最高にゴキゲンな水着を仲間達に見せつけた!

 

『ドーヨ?ドーヨコレ?イケルッショ?』

 

『アァ!最高、超エチャッテルヨ!』

 

『ダベ?ダベ?マジ超エチャッテルベ?ギャハハハハ!』

 

去年の夏はなんやかんやでバタバタして忙しく、後回し後回しと水着の購入を伸ばしていたせいで結局着る事が出来なかった水着、だが今年は違う!今年はキチンと計画的に予定を立て、深海一のネット依存症である集積地にあらかじめ今年の流行りを調べてもらい、厳選に厳選を重ねて選んだ最高にイキでイナセな水着を選び、今日、この紅海にてそのお披露目となった…

 

『オマエラミンナKAIKOKUダーッ!』

 

『空母夏鬼クン!マジイケテルッショ!』

 

『ウッ…!ダイナマイト…ッ!』

 

『ヌ級ノヤツ!鼻血フキヤガッタ!』

 

『デェジョウブダ!ヌ級!ダッテオメー、鼻、ネェジャネーカ!』

 

そう、空母夏鬼はゴキゲンだった、この夏はきっと素敵な全力サマーになる、この、最高の仲間達とならどんな艦娘どもが来てもKAERI-UCHIできると………その時、彼女は信じていた

 

ーーー

 

「ア゛ー?なんか言ったか?カス」

 

「オイ、誰がパンツ穿いていいったよ?土下座しろ、土下座」

 

一部、深海棲艦の間では恐怖の代名詞とされている凶悪な空母コンビがいる、機動連合で二航戦はマジヤバい、マジヤバいんだ…航空戦でいきなり友永殿の轢き逃げアタックを喰らったと思ったら、次は容赦無き急所攻撃だ…

 

「とりあえず服全部脱いで土下座しろ、写メ撮っから」

 

「マジヒリュー極悪過ぎっしょ?極悪っしょ?っーかマジヒデー!」

 

いつもより凶悪さが些か増している気がする二航戦を含む機動連合艦隊の前に敗北した空母夏鬼は、買ったばかりのオシャレな水着と艦隊の仲間達を失い、泣きながら頭を下げていた

 

「オラ!もっとケツあげろボケ、もっとみんなに見えるよーにせんかいダボが」

 

「はい笑って笑って〜!オラ、ピースしろ、ピース」

 

『ズミバゼンデシタァ〜…ッ!!ウゥゥ…ヂクジョウ!ヂクジョウ!』

 

◆◆◆

 

「…チンピラか、アイツらは」

 

執務室のテレビで現場の映像を見ていた俺の携帯がメールの受信したので内容を確認してみると、なかなかアレな画像が添付されていた、とりあえず画像保護しておこう

 

「とりあえず前半戦は勝ったみたいですね」

 

「勝ったみたいだな、サミデルン、コーヒーくれや、コーヒー」

 

「五月雨です、ブラックでいいんですか?」

 

「あぁ、冷蔵庫に入ってる缶コーヒーな」

 

「ご自分でどうぞ」

 

この野郎、テメェで淹れたコーヒー以外はぜってー出しやがらねぇ、まったく、便所のネズミのクソにも劣るくだらんプライドよ、俺は冷蔵庫から缶コーヒーを取り出して自分の机に戻った

 

「フーッ〜…で?次が本番ってワケか?」

 

「そうですね、一応、手元にある資料によると、この先にいるのは戦艦仏棲姫ってスンゴイのがいるそうです」

 

「なんだよ仏って、どんだけ尊い存在なんだよ」

 

「ちなみにこちらが画像です」

 

五月雨から受け取った資料に記載されている写真には、たしかになにやらスンゴイのが写っている、なにがスゴイってそりゃその爆乳も目を引くが、なによりも尻尾がスンゴイのだ

 

「…つーかコレ尻尾か?」

 

「たぶん」

 

どんだけ極悪サイズなんだよコイツ、ナニ食ったらこんなバカデカい尻尾になるんだよ、マグロか?マグロ食ってたのか?やっぱマグロ食ってるヤツは違うな

 

「とりあえず次が本番だ、カスどもに気合入れとけって言っとけよ、気合」

 

「はいはい、ちなみに、どちらへ?」

 

「便所、ついてくんなよ」

 

「行きませんよ、あ、ついでに空母寮の浄水器のフィルター取り替え時期らしいんで取り替えて来てください」

 

「へいへい」

 




次回は②、シツコイヒトハ、キ・ラ・イ!


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遥かなるスエズ②

ボチボチ忙しめな昨今…
とりあえず前半戦最終海域の②

【登場人物】

戦艦仏棲姫
前半戦のBOSS、迫力の超重量を誇る超装甲、しつこい人は嫌い

扶桑(5)
扶桑姉妹の姉の方、常に薄幸感漂う薄幸美人

山城(5)
扶桑姉妹の妹の方、姉様以外は死んでいいと断言できる妹の鑑

足柄(9)
好きな技はサニーパンチ、得意な技はパワー植木鉢




「…見て山城、あれが仏様だそうよ」

 

「まるで大仏ですね、姉様」

 

「…なんて尊い御姿なのかしら、山城、一緒に拝みましょう…」

 

前半戦最終決戦、第一艦隊に自称超弩級戦艦姉妹の扶桑姉妹を投入し、遂に艦隊はこのスエズ運河の最奥へと到達していた…

 

『コナクテ………イイ…ノニ』

 

待ち受けるのは最近流行りのご当地系深海棲艦、戦艦仏棲姫ッッッ!!その、重量感溢れる抜群の存在感はメチャシブくて見た目がメチャ怖い事に定評のある中枢棲姫が認める新世代残虐戦艦と噂されている…

 

「…見て山城、きっとあの仏様から見たら私達など手のひらで踊るサルに過ぎないのね」

 

「斉天大聖の喩えですね、さすが姉様…博識でいらっしゃる」

 

扶桑姉妹の姉の方は薄い笑みを浮かべるとこれ以上近付くとあまりの尊さに目をやられてしまうと言い、その場で両膝をついて戦艦仏棲姫を拝み始めた

 

「…皆と山城が健康でありますように」

 

「さすが姉様!まるで菩薩!姉様こそ菩薩でいらっしゃる!」

 

◆◆◆

 

「…なにやってんだ?姉様は」

 

執務室のテレビで現場の様子を見ていると、扶桑姉妹の姉の方がガッツリ拝みだしたので何事かと思ったが………あ、姉様に弾が当たった

 

『このクサレ深海魚がァァァァァ!!今、誰に弾を当てたァァァァァ!!殺す!殺す!殺す殺す殺す殺す殺す殺す!姉様の体力-1につき、深海棲艦100匹殺すッ!』

 

一発大破の姉様の御姿を見た妹はブチギレ、とりあえず一番近くを泳いでいた運の悪いイ級だかロ級だかの口を掴んで力いっぱい引っ張ってその身体を真っ二つに裂いた

 

『うわっ!?キモっ!っーかグロっ!?』

 

『惨劇の始まりですわ……惨劇の始まりですわー!』

 

『ナンダアイツ!?ヤベェヨ!』

 

『モウダメダァ…モウオ終イダァ…』

 

敵も味方もドン引きだよ、なにやってんだあのプッツン妹は…

 

「サミダンテくん」

 

「五月雨です、なんですか?」

 

「麦茶くれ」

 

「麦茶ですね」

 

◆◆◆

 

『ヤメテッ!ホントヤメテ!シツコイヒトキライ!ホントキライ!痛イ!ヤメテ!』

 

第一艦隊のマグナムパンチだけでも既に死にそうな目にあっていると言うに、戦艦仏棲姫は未だ健在、その恐るべき重量感+重装甲は伊達ではなかった

 

『ハー…ハー…クダラナイコ、ダメネェ』

 

大丈夫、耐えられる!この尻尾がある限り沈みはしない!いざとなってもこの尻尾さえあれば浮いていられる自信がある!戦艦仏棲姫は決して焦っていなかった…

大丈夫、このターンさえ凌げば…!

 

『オルァ!!』

 

「痛っ!?」

 

戦艦仏棲姫は手に持っていた小人みたいなもの全力投球し、小人みたいなものは霞の右足に直撃した

 

「テメェー!!よくもウチのカスミにやりやがったなーッ!!」

 

「足柄サン!」

 

「足柄サン!」

 

しかしそれがマズかった!夜戦で最大の脅威となる駆逐艦を狙ってきた外道の所業が、誇り高き狼の怒りに火を点けたッ!

 

「何が高速戦艦だ!テメーの性能はでたらめだよ!」

 

『ウルセェ!!シツコインダヨ!』

 

「つくづくどうしようもねぇ野郎だぜーッ!!」

 

怒りに燃える狼のスーパーバーンナ●クルが戦艦仏棲艦の重量級ダイナマイトボディの下っ腹に突き刺さり、仏棲姫は光る吐瀉物を吐きながらうずくまった

 

『ウゲエェェ!!ゲボッ…ッ!』

 

「拳に道具はいらねぇ!魂のはいった拳なら……どんなもんでも打ちぬくぜーっ!」

 

『ア…?ア…?』

 

「Livewire!Go bang!」

 

足柄渾身の主砲・主砲・主砲、通称トリプルゲ●ザーが仏棲姫の重装甲ボディに炸裂し、ついにその巨体が崩れ落ち、戦艦仏棲姫は断末魔の声をあげながらブクブクと気泡を残して沈んでいった…

 

「男なら拳一つで勝負せんかい!」

 

 

「スゲェ!さすが足柄サンだ!」

 

「さすが足柄サン!オレ達の憧れる南街商店街のヒーロー!」

 

「狼はまだ死んじゃいねぇぜーッ!」

 

 

こうして、チームの温かい歓声を受けつつ、よせよ!照れるじゃねーかと笑う足柄の拳でスエズ運河攻略戦は無事終了した…

 




次回は特別編、長期休暇でハワイへと旅立った実力派エリート集団、潜水艦達の前におそるべき男達が…!


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海外旅行はスマホートンと共に 前編

今回のお話は坂下郁様のご厚意で書かせていただいております、はい

【登場人物】

潜水艦娘
実力派エリート集団、提督らが人類の未来を賭けた熾烈な決戦を繰り広げている間に長期休暇を満喫中



長期休暇!その、素敵な休暇が実力派エリート集団を行動させた!作戦期間中以外は毎日毎日素潜りしてコツコツと資材を集める地味な仕事に勤しむサブマリンガールはキャリーバッグにお洒落な服を詰め、念のためにと靴下の中に100ドル紙幣を挿れ、彼女達は今、この夏の休暇を利用し、ハワイへと遊びに来ていたッ!!

 

「ワイハー!」

 

「ワイハーですって!ワイハですって!」

 

空港を出た瞬間から大はしゃぎする401と呂500は常夏の日差しを受けてゲラゲラ笑いながら些か頭がアレなテンションでウェイウェイと手を叩き合っていた…

 

「うるせぇよ!ちょっと落ち着け、な?」

 

「58さん!」

 

実力派エリート集団である潜水艦の中でもまとめ役に定評のある伊58はハシャぎ回るバカどもの股間を蹴りあげ、58は168にとりあえずホテル行きてーからナビしろ、ナビと言ってベンチに腰を下ろした

 

「とりあえずホテル行って荷物置いて、そっからまずみんなでメシでも食う!わかってんでちか?」

 

「押忍!26は早くホテルに行って全裸でベッドにダイブしたいです!」

 

「押忍ー!14も早くホテルに行って酒を浴びるほど浴びたいです!」

 

「…14ちゃん、ちょっと黙ろうね」

 

58はとりあえず26と14の股間を蹴りあげ、168にさっさとホテル行きのバス的なモン探せよと急かした

 

「うっさいわね、今探してんのよバーカ、このモッコリ股間が」

 

「ア゛?オマエ今なんっつた?」

 

「あ゛?っーか誰にメーレーしてんのよ?」

 

58と168の間にメンチビームのアツい火花が散り、両者はアンアン言いながら詰め寄り、思わずKISSしてしまいかねない超距離でアンアンとメンチを切る一触即発の状況となった

 

「やめるのね!ケンカはやめるのね!」

 

楽しい旅にケンカは良くない、19は一触即発の58と168の間に割って入った

 

「うるせぇ!このマリファナ野郎が!」

 

「ハーブでキマってろ!」

 

「ア゛ァ!?んだとぉコラァ!!ブッ殺すぞこのクサレ●●●どもがァ!まとめて●●して、●●●されてぇーのか!この●●●●●ども!」

 

19の右拳が58の頰を撃ち、58の膝が168の股間を蹴りあげ、168の右手刀が19の喉に炸裂し、3人の潜水艦によるステキなオウガバトルが開幕した

 

「もー!センパイ達やめてくださいよー!」

 

「ちょ!8っちゃんさん、この人達止めてくださいよォ〜、8っちゃんさんの無敵のブックオブなんたらで止めてやってくださいよォ〜」

 

8っちゃんさんこと、伊8は読んでいたハードカバーから少し視線を上げ、3人の乱闘をチラ見して、再び本に視線を落とし“2人死んだら止まるし…”とだけ呟いた

 

「それダメな感じじゃん!?一番サイアクなパターンじゃん!」

 

「…Uも、そう思う…」

 

◆◆◆

 

「スマホが壊れたんですけどっ!!」

 

3人のバトルロイヤルは、熾烈を極めた…

1人が膝を折れば2人が襲いかかる、生存闘争とは常に、弱った獣から狩られるのが掟であり、3人の戦いはまさにそれだった………

 

「グシャったでちな」

 

「グシャったのね」

 

そして、エキサイトする戦いの中、誰の拳だか蹴りだかはわからないが、それは168の大事な大事なスマホを直撃し、その画面は親でも区別つかないぐらいグシャっと割れていた

 

「どーすんのコレ!?」

 

「機種変したら?」

 

「海外で?できるの…?」

 

「そんなコト知らないのね」

 

軽くスマホ依存性である168にとってスマホが壊れるのは非常に困る事であると同時に、168のスマホは提督への定時連絡をする為のアイテムなので、使用不可能になると非常にマズかった…

 

「もし、定時連絡できなかったらあのオッサン、間違いなく私達全員強制送還されるのよ…」

 

「そいつはマズいでちな」

 

「そいつはマズいのね」

 

潜水艦娘の身体にはスーパーニンジャ(自称)川内からいつの間にやら打ち込まれたマーカーと言う名の呪印が仕込まれており、世界中のどこにいようが、メシ食ってようが、女抱いてようがおかまいなし 喚び出されてしまう…

 

「イヤですって!!ろーちゃんまだ来たばっかりですって!」

 

「イヤだァァァァァ!!口寄せられたくない!口寄せられるのはイヤだァァァァァ!」

 

「Uも……困る」

 

定期連絡を欠かしたら問答無用、絶望が潜水艦娘達を襲うが……とにかく、まずは168のスマホをなんとかする!潜水艦娘の心は今、ハッキリと一つに重なった!

 

「しかし海外で機種変…」

 

「この際、修理でもいいんだけど…」

 

「8っちゃんさん、なんか良い知恵ないっすかー8っちゃんさん、無敵のハードカバーでなんとかしてくださいよォ〜」

 

潜水艦娘一の知恵者、社会派潜水艦の8っちゃんは読んでいた本から視線を上げると、電柱に貼ってある広告を指差した

 

【スマホートンなど修理し〼】

 

海外だと言うのに日本語で書かれた広告ッ!しかも微妙に誤字なのかどうか怪しさ溢れる広告ッ!

 

「す、スマホートン?」

 

「スマートフォンじゃないんだ…」

 

「とりあえず、ここで診て貰おうか?一応日本語だし」

 

「そうでちね、一応日本語でち」

 

「超不安なんだけど…」

 

とりあえず、一応日本語で書かれた広告を信じ、書いてある住所の店へと行ってみる事にした…

 

ーーー

 

「ここが書いてあるハウスなのね」

 

「ここが書いてあるハウスですね!」

 

とりあえず、19と26は店の扉を開けてー!開けなさいよー!言いながらドンドンと叩き、58から丸めたガイドブックでブッ叩かれた

 

『どうぞ、開いてますよ』

 

扉の向こう側から開いてますよと返答が聞こえた

 

「アネキぃ!イケボだよ!」

 

「…イケメンボイスだね、14ちゃん」

 

なにやら胡散臭い店だと思っていたものの、潜水艦娘達はまさかのイケボに期待に胸を膨らませ、扉を開けて店内へと入った

 

「ようこそ、お客様」

 

店の中に、仮面舞踏会でよく見る紳士的アイマスクのみを着用した男………紳士的アイマスク“のみ”を着用した全裸の男が雄々しく立っていた

 

「ヘンタイだァァァァァ!!」

 

「へンタイ!ヘンタイですって!」

 

「失敬な、私は変態ではありませんよ」

 

窓から振り込む南国のサンシャイン光が男の股間をイイ感じに照らし、ギリギリを守護っているッ!!

 

「私は………おや?君達はもしかして…」

 

「な…ナニよ?」

 

「ふむ、潜水艦娘の放し飼いとは珍しい……飼い主はいないのですか?」

 

男は腰をグイッと動かしサンシャイン規制が外れるかと思いきや、今度は鏡に反射した謎の光が男のギリギリを守護った

 

「コイツ……!私達が艦娘、しかも潜水艦ってコトまで知ってる!?」

 

「何者っ!?」

 

潜水艦娘達の間に一気に緊張が走った、ただの人間からすれば見分けなどつく筈ないのに、艦娘、しかも艦種すら特定したほぼ全裸の男に警戒の色を強めた

 

「そうですね、話せば長くなるのですが………まぁ、私のコトは仁………いえ、フロ・フルンタルとでも呼んでください」

 

「フロ?」

 

「…フロンタルじゃないんだ」




次回は後編!

また敵となるか、カンムス!


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海外旅行はスマホートンと共に 後編

戦慄!スタイリッシュKENZEN元大佐!

【登場人物】
仁科大佐
坂下郁様の“逃げ水の鎮守府-艦隊りこれくしょん-”の主人公……ではなく、敵役、ラスボスではなく中ボス
そのスタイリッシュな言動は一味違うスパイスの効いたイケメンぶり

大鳳
ナイスガッツ陸上部ではない別物の大鳳、仁科大佐を病的にリスペクトしてやまない闇の深い装甲空母


元海軍技術将校、仁科大佐…

かつて海軍内部で闇の深い些かアレな実験やら研究に従事していた男、しかし…現在はなんやかんやあって軍を離れ、この南国で悠々自適なスルーライフを満喫している…

 

「ほぉ……長期休暇で」

 

とりあえずティーでも如何ですかと促された潜水艦娘達は絶妙に股間が見えないギリギリのポージングで足を組んで椅子に座る紳士マスクとテーブルを同じくしていた…

 

「まぁ、アンタが何者でもこの際なんでもいいけど…」

 

「ヘンタイですって…ヘンタイですって」ガタガタ

 

「Uも…ヘンタイだと思う」ガタガタ

 

「とりあえずコイツのスマホ修理できねーでちか?」

 

58は168から取り上げたグシャったスマホをテーブルの上に置き、男はそれを手に取ってみた

 

「ふむ…まぁ、これなら15分もあればできますよ」

 

「15分っ!?」

 

「はやっ!?ウソでしょ!?」

 

「ふふ…こう見えても私は機械いじりが得意でしてね、この程度なら赤子の首を捻るよりカンタンですよ」

 

こう見えても何もタダの全裸にしか見えないのだが、妙に自信満々な男のよくわらない説得力に、とりあえず修理できると言うのだから168はスマホを預けてみる事にした

 

「すぐに修理しますのでジュースでも飲んで待っていてください、あ、そうそう、そう言えばクッキーがあった気がしますが………はて?大鳳の奴、どこへしまったのやら…」

 

ビッと引き締まったケツを見せつけながら戸棚を漁る紳士マスク、丁度そこへ、店の扉を開き小柄な人影が入ってきた…

 

「ただいま戻りました〜、大佐、今日はお野菜が安か……」

 

「丁度良かった、大鳳、お客様にクッキーをお出ししなさい、あと、私は大佐ではありません」

 

「…はい?って、お客様…?潜水艦!?まさか追手がッ!?」

 

とっさに、エコバッグから撲殺ニンジンソードを引き抜いた大鳳は潜水艦娘達を威嚇するように唸りをあげた

 

「大鳳、彼女達は通りすがりの旅行者でお客様です」

 

「は…はぁ、大佐がそう仰るのなら」

 

「あと、私は大佐ではありません」

 

そう言って紳士アイマスクはスマホを片手に引き締まったケツをグイグイッと振りながら奥の部屋へと引っ込んでしまった

 

「…コイツ、陸上部なのね」

 

「いや、コイツはウチの陸上部とは別物でちな」

 

「たしかに、ナイスガッツは感じないわね…」

 

潜水艦娘達は自分達の知っているお腹の緩いナイスガッツ体育会系陸上部の大鳳と、目の前に大鳳が別物であるとヒソヒソと話しあっていると、ナイスガッツ陸上部ではない大鳳は大佐と呼んだヘンタイの指示通りに戸棚からクッキーを取り出してテーブルに置いた

 

「うんめー!!」

 

「なんだコレ!メチャウマじゃねーの?」

 

「あー!ろーちゃんも!ろーちゃんも欲しいですって!」

 

ーーー

 

「修理りましたよ」

 

「はやっ!?」

 

紳士マスクが奥に入って僅か10分強、ただでさえ早いと思っていた修理時間を更に縮め、男はスタイリッシュにキュッキュッと歩きながら戻って来た、ちなみに、スタイリッシュに歩いている最中も謎の光や、イイ感じに設置された観葉植物が男のギリギリを執拗なまでにガードをする事を忘れていない健全な少年少女にも優しい安心の否R18仕様!

 

「ホントだ…直ってるし」

 

「言ったでしょう?その程度のオモチャは私にとってはカンタンと」

 

「さすがですっ!大佐っ!」

 

「大鳳、私は大佐ではありません、何度言えばわかるのですか?」

 

「も、も…申し訳ありません、では、私は大佐の事をなんとお呼びすれば?」

 

「そうですねぇ…」

 

紳士的アイマスクの全裸は腕を組んだまま鏡の前に立ち、なにやら考え出した

 

「普通にヘンタイでいいのね」

 

「ってかいい加減、服を着てよ、服を」

 

むしろ、全裸男を今までわりと自然に流していた潜水艦娘達の心の闇にも深いものを感じるが、それは、彼女達の上司がわりとよく脱ぐタイプなので仕方の無い事のなのかもしれない…

 

「おや、コレは失礼、艦娘とは言え、年頃の少女達には少々刺激が強すぎましたかね?」

 

「刺激が強いとか弱いとかじゃねーし」

 

「ケーサツ呼ばれなかっただけマシですって」

 

紳士風アイマスク男は机の引き出しからコレまた蝶ステキなビキニパンツを取り出し、それをスタイリッシュに穿きこなした

 

「よし…と」

 

「や、全然よしじゃないし!」

 

「…14ちゃん、でもちょっとマシになったかも」

 

紳士感アイマスク+ビキニパンツのナイス・ガイは適当な椅子に座り、そうそうと言って168に修理したスマホについて説明を始めた

 

「修理するついでに、電波の受信感度を上げて、強度・耐水性を上げてますよ」

 

「へぇ〜」

 

「えぇ、スペック的にはマリアナ海溝の底でも楽しくおしゃべりする事が可能です」

 

「や、それ168のスペックが保たないんだけど…まぁ、いいけど」

 

「それから、アフターサービスの可能性を考慮しまして、私の電話番号を登録させていただきました」

 

「ハァ?ちょ!ナニ勝手に168のスマホに番号登録してんの!?っ!ナニこれ?ちょ!この番号アドレス帳から消せないんだけどぉ!?」

 

「ちなみに、その番号は消せまんし、拒否もできません、電話機の電源が入っていなくても強制的に電源を入れる機能も搭載しておきましたので、いつでもどこでも私とおしゃべりできますよ」

 

紳士アイマスクはビキニパンツからスタイリッシュに自分の携帯電話を取り出し、爽やかイケメンスマイルで白い歯をニカッと見せて笑った

 

「いらねぇ!!ナニそのイヤな機能っ!?ってそのケータイ!今どっから出した!?」

 

「そうそう、あと、電話とメールの着信音もサービスでステキにカスタマイズしておきましたよ」

 

【フフッ…お嬢様、お電話ですよ、フフッ…お嬢様、お電…】

 

168のスマホが着信し、168のスマホからスタイリッシュヘンタイエロボイスが流れてきた

 

「無駄にイケボなのが腹立つわ!!」

 

「あと、1時間ごとにアラームで時間をお知らせします、フフッ…こんなサービスは滅多にありませんよ、あ、ちなみに削除も変更もできませんので…」

 

「いるかァァァァァ!!そんないらんサービスいらないから!!戻して!168のスマホをスタンダードな感じに戻して!」

 

お気に入りのハズのスマホを床に叩きつける168…

そして、そんな168のスペシャルなスマホを大鳳は羨ましそうに唇をプルプルと震わせていた

 

「いいなぁ……あの、た、大佐、私もスマホとか欲し……」

 

「大鳳、アナタにはこの前ラクラクホンを買ってあげたばかりでしょう?」

 

「うっ……ぁ、はぃ、でも…」

 

大鳳が168のスマホを心の底から羨ましそうに見つめていたので、168はどうせなら168のスマホとラクラクホン交換しない?と提案した

 

「いいんですかぁ!?」

 

「いいよ、こんなモン、ってか168的には今はラクラクホンですら羨ましいよ」

 

「て……天使っ!168さん!アナタこそ天使です!嗚呼、なんて心の広い御方っ!」

 

「お…おぅ」

 

◆◆◆

 

こうして、168のスマホは無事、普通のラクラクホンへと機種変更され、潜水艦娘達は一応お礼を言いながら去って行った…

 

「ふぅ、まさか潜水艦の群れに遭遇とは思いもしませんでしたねぇ」

 

「大佐、お茶です」

 

「ありがとう」

 

少し話を聞くに、あの潜水艦達は参謀司令部の梶輪大将が色々便宜を図っていたキュウシュウの基地所属らしいですね、たしかなんとか……えぇ、名前をド忘れしましたが眼鏡の彼の、そうそう、彼とは以前、どこかの会議で“姫騎士におけるクッ殺とナビエ–ストークス方程式の解の存在”についてアツいディスカッションをしましたね…

 

「まさか軍が大佐の命を狙って刺客をさし向けてきたのかと思っちゃいました…」

 

「今更私を消したとこで意味はありませんよ、それに…」

 

お尋ね者は私ではなく、あの男の方でしょう、せっかく拾った命で、またどこかの戦場で野垂れ死にたいのならそれで良しですが、まぁ、彼の場合はそれは無いでしょう

 

「大佐?」

 

「なんでもありませんよ、大鳳、ところで今日のディナーはなんですか?」

 

「ハイ!野菜炒めとピーマンのピーマン詰めと3種の野菜を包んだロールキャベツです!」

 

「………アナタには色々教える事があって退屈しませんねぇ」

 




次回からはイベント海域後半の海!強者達がゴロゴロいる新世界への船出!


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地中海への誘い

フッフッフ!強者だけが生き残る後半の海!地中海!フッフッフ!

【登場人物】

Italia(5)
イタリアから来たイタリア、ザラ姉様よりも良心を持ち合わせている

Roma(4)
イタリアから来たマックス大戦艦、幼少期はセリエAのスター選手に憧れる可愛いらしい面もあったが、現在はやかましい!鬱陶しいぞババア!と言える成長を遂げた

Pola(8)
イタリアから来たメチルモンスター、ミラノで服飾の勉強をしていたが、色々あって酒に溺れ、現在に至る

戦艦夏姫
帰ってきたケツダイソン、これはもう誘っているとしか思えない


紅海付近のゴミクズども無事に殲滅し、スエズ運河を確保した我々は遂に運河の先、手に負えない強者がウヨウヨする後半の海!地中海へと突入したッ!!

 

『ナンドデモシズメテ………ッテ!イタイ!!』

 

「オラァ!!なんだそのケツはー?あ゛ぁ?誘ってるんですかー?なぁオイ?そのプリンプリンなケツは誘ってるのかしらー?」

 

スパーン!!(尻ビンタ)

 

『イタイ!?チョ!待テヨ!』

 

後半の海に満を持して登板したイタリアから来た刺客、ローマとイタリアの大戦艦級姉妹は、地中海東部に蔓延る深海棲艦を絶滅するべく順調に海域を侵攻、そして今、この海域を統べるヘッドである戦艦棲姫改め戦艦夏姫とのアツかりし戦いを繰り広げていた

 

「このブタ尻女が、そのブタみたいな尻で何人の雄を誑かしたのかしら?………って、姉さんが言ってたわ」

 

ローマはスナップの効いた健康的なビンタを繰り出す手を止め、戦艦夏姫の尻にツバを吐き、姉であるイタリアの方を見た

 

「言ってないよ!?私言ってないよ!」

 

「え?こっちの穴が空いてるじゃない?…さすが姉さんね、悪魔もブッ飛ぶ鬼畜の発想だわ」

 

「言ってないよ!?ローマ!なんで私のせいにするのぉ!?」

 

イタリアは妹の肩を掴んでその身体をガックンガックン揺らし、なんでウソつくの!ねぇなんで!?ローマ私になんか恨みあるの!?ねぇ!と力いっぱい聞いてみたが、ローマはあくまで冷静に眼鏡をクイッと上げ、艤装の中に収納していたピッツアを取り出し、午睡の時間を始めた…

 

「…ワインが欲しいわね、姉さん、ワイン持ってない?」

 

「持ってるワケないでしょ!!」

 

「ポーラ、アナタ持ってるでしょ、出しなさい」

 

ローマは姉にガックンガックン揺らされつつも今回、同じく出撃メンバー入りをしていた同郷のポーラに声をかけると、ポーラはまるで人類ではとても耐えきれない凶悪オークチ●ポをいきなりブチ込まれたかの如く、その身をビクンッ!と震わせた

 

「も…持ってないですよぉ〜、うへへへ…ポーラお酒とか持ってないですぅ〜」

 

「胸の谷間からコルク栓がコンニチワしてわよ」

 

「ヒッ!!ち…違うんです!こ…コレはアレですぅ!ビタミン剤!ビタミン剤ですよぉ!」

 

「別に全部よこせとは言わないから出しなさい、帰ったら新しいの好きなだけ買ってあげるわ、姉さんが」

 

「ホントですかぁ!?」

 

ポーラのアルコールに淀んだ瞳が一気に光を取り戻し、明日への希望に輝きを放つ

 

「ねぇローマ、今なんて言った?ねぇ、ちょっとローマ」

 

「いやっほーい!!早く!早く!早く帰りましょ!早く!」

 

ポーラはまるで遠足を前にした子供のようにハシャぎ回り、ウッホホーイとか言いながらローマさん!ローマさんメチャシブ!メチャカッケーっすと小躍りしていた

 

「まぁ待ちなさい、まだコイツをファックしないと帰れないのよ」

 

「え?このケツ出しオバ……おばさんですかぁ?」

 

『誰ガオバサンダコラァ!!モォー怒ッタ!!オマエラミンナブッ殺シ…』

 

スパーン!!!(ケツビンタ)

 

『イタイ!?』

 

「うるせぇーですよぉ………クズ」

 

◆◆◆

 

「あー…今日も暑いし、う●こは臭い、お疲れー」

 

トイレでのビッグ・ベンと言う名の死闘を終え、執務室へとやって来た俺は何やら意識の低そうな雑誌を読んでいた五月雨に爽やかな挨拶をしつつ椅子に腰掛けた

 

「とりあえず後半戦の初戦は勝ったみたいですよ」

 

「あ?ナニ言ってんだオマエ、イカレてんのか?」

 

「イカレてません、ほら」

 

五月雨は現場からの簡易的な報告が記された書類と、記録係が記録していたであろう戦艦ケツ姫が赤く腫れ上がったケツ丸出しでメリ込んでいる画像を机の上に置いた

 

「…美しいな」

 

「はぁ?」

 

これまさに、見よ!ケツ姫の尻は赤く燃えているぅ!と言ったものだろう、今回は地中海ってコトで海外艦中心のメンバーで組んでやったが、おそらくはローマあたりがヤンチャしたのだろう、まったく、ヤンチャなメガネだ…オイタばっかしやがるのだよ

 




次回はマルタ沖、かもしれない


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続続・五月雨と鈴谷と職業斡旋

イベント中でもたまには普通の話、でも提督は不在

【登場人物】

鈴谷(50)
自称、気は優しくてちょっとエロくてワリとかわいい、自称ヒロイン的存在、ビッチである

五月雨(52)
青髪ロングの秘書艦的存在、エロくもないしビッチでもない

明石(14)
金と権力が好きなピンク、淫乱でもなくビッチでもない

山風(15)
改白露型のトゲトゲした緑髪、最近の悩みは海風姉ちゃんの作るピーマンのピーマン詰め


「ティーッス、軽空でも航巡でも八面六臂で無双の活躍してる鈴谷が遊びに来ましたよぉ〜………って、あれ?サミーだけ?テイトクは?」

 

「提督なら瞑想するとか言って自室にこもってますよ」

 

「な、なにーッ!?瞑想に!?」

 

まいったな、提督の瞑想は邪魔をしたら厳しい罰を受けると聞く…っーか、瞑想なんなの?瞑想って、ただ寝てるだけのじゃないの?普通にサボってる感じじゃん?

 

「…まぁいいや、あわよくばお小遣い貰おうと思ったけど、冷静に考えたら鈴谷今回の作戦でかなり稼いでるし」

 

「そうみたいですね」

 

こりゃ今回のMVPチケットランキングが楽しみだわい、ウヒャヒャ!ナニ買おっかなー?新しいゲーム買ってー、オシャレな服買ってー、オシャレな下着買ってー、ちょっとお高いカレー食ってー……まったく!笑いが止まらんわい!

 

「とりあえず、コーヒーでも飲みますか?」

 

「あ、いえ、鈴谷喉渇いてないんで、もうお腹タプタプなんで」

 

「そうですか」

 

サミーは露骨に残念そうな顔をし、冷蔵庫からカルピスを取り出してグラスに注いで自分の席へと戻った

 

「あ、そうそう鈴谷さん、バイトしませんか?バイト」

 

「バイトぉ?」

 

「えぇ、基本的にはどんなマヌケにもできるカンタンな仕事なんですが…」

 

「ヘイ!ヘイサミー!なんか今すげー聞き捨てならないコト言った?なんかマヌケとかなんとか聞こえた気が…」

 

サミーは机の引き出しからファイリングされた何枚かの紙を取り出してパラパラとめくって内容を確認している

 

「あ、言っとくけど鈴谷エンコーとかしてないから、身体売ったりしてないから、非売品だから」

 

「そうですか、じゃ、こっちはダメですね」

 

そう言ってサミーはファイリングされた紙のほぼ9割を机の横にあるペーパーボックスの中に投げ込んだ

 

「ほぼ全部じゃん!?」

 

「えぇ、ほぼ全部ですけど?」

 

や、そんなナニ言ってんだコイツ?イカレているのかみたいな顔されても………っーか、どんだけそんなバイトあるんだよ、え?ナニ?また豚尻議員?豚尻孕蔵議員とかそんな感じなの?

 

「まぁ全部が全部鈴谷さんでOKってワケでもないですよ、中にはJKビッチ臭のしない清純派を希望する場合もありますし」

 

「鈴谷ビッチじゃねーし」

 

「他にも、JS風とか業の深いのもありますよ」

 

「アウトじゃん、それ完全にアウトじゃん、その募集したやつ早くタイーホしたほーがいいよ」

 

軍の闇が深いッ!どうなってんの!?艦娘の運用ってか、仕事ってか、どーなってんの!?

 

「あ、そうそう、コレなんかどうですか?簡単なエミューの世話です」

 

「はぃ?」

 

「はい、ふれあいアカシファームで飼育してるエミューに餌を与えるバイトですね」

 

ふれあいアカシファーム…?なんだそれ…?ってか、エミ…エミュ?エミューってナニ?アレ?Λuci●erのライバル的なアレ?

 

「その、エミューってナニ?」

 

「鳥ですね、ダチョウの出来損ないみたいなやつです」

 

「出来損ないとかゆーな、かわいそーじゃん!」

 

この青髪ロング、鈴谷には劣るとは言え、かわいい顔してなんてコト言うのかね…まぁ、そのエミューってのがなんなのか知らないけど、ダチョウ?ダチョウの仲間的なナニかなんだ、エミュー

 

「ちなみに時給680円です」

 

「うわ…安っ、なんか他にないの?他の、性的じゃないやつ」

 

「ないですね」

 

「ないのかよ…」

 

ってか、そのエミューの世話以外は全部アレな募集なワケ?世間はどんだけ艦娘に対して歪んだ欲望持ってんだっーの

 

「ま、ないならいいや、どーせもうすぐ大金が手に入るし」

 

「ちなみに、今現在のMVPチケットランキングの暫定一位は大鳳さんです」

 

「なんでぇ!?フツー鈴谷じゃね?鈴谷ワリと最初から活躍してるよね!?」

 

◆◆◆

 

その頃、基地施設のハズレにあるふれあいアカシファーム…

 

「よぉ〜しよしよし、かわいいですねぇ」

 

安価な仕入れ値と比較的容易な世話と強い生命力、そして余すコトなく使える卵と肉、まったく!エミューは最高ですね!

 

「私の為に生き、私の為に死ぬ、まったく!キミたちは素晴らしい商品……痛っ!?痛い痛い痛い!なんでつつくのぉ!?」

 

「…明石さん、餌やり終わった」

 

「イダダダダ!!やめて!痛い!ちょ!山風ちゃん!山風ちゃんも止めて!痛いってんだろぉ!このバカ鳥ィ!」

 

ドリルクチバシ連打をガードしつつ、エミューのお腹にパンチを叩き込むと、エミューからリベンジカウンターの悶絶な鳥キックが私のお腹に炸裂した

 

「おごぉ!?」

 

「…なにやってるの?」

 

「うげえぇぇぇぇぇ…」ビチャビチャ…

 

こ…この鳥野郎ォ、フライドチキンにして………いやいやいや、このエミュー達にはまだ商品価値がある、そう!私の野望!明石キングダムへの大いなる第1歩としてその身を余すコトなく捧げて…

 

ドスッ!!!(鳥キック)

 

「おごぉ!?」

 




次回はE6、たぶん


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マルタ島沖海戦①

ダルさ漂う第6ステージ前半戦!

【登場人物】

港湾夏姫
港湾系中ボス、美人でやる気に溢れているが基本ヘタレ

熊野(20)
姉と同じ今回活躍めざましいエセガント系エセガント、提督とは地獄のコンビネーションするぐらいは仲がいい


新時代の強者達が蠢く後半の海、地中海!後半戦初戦をメンバー全員安定のチームワークで見事にケツ姫をくだし、我々は次の海域へと駒を進めていたッ!!

 

「まずはお馴染み、輸送作戦です」

 

「へいへい、輸送作戦ね、輸送」

 

五月雨から渡された書類を見るに、まずは例によって最近流行り輸送作戦を終わらせてからこの海域のBOSSへの挑戦権を得る感じのアレらしい、正直な話、ウチの子らはみんな短気でキレ易いのでダルさが漂う輸送作戦を嫌っているが、俺も嫌いなので何とも言えない

 

「とりあえず大発とか持てる人に声をかけましょうか?」

 

「そうだな、大発とか積めるヤツな」

 

ステビア海だかは睦月型のボンクラ姉妹どもを出したが、今回は朝潮型のチンカス姉妹でも出してみるか、アイツらはアイツらで意外にも真面目に走り込みしてたり、外でフライ捕る練習してたりと努力してる姿を見かけたしな、提督はそーゆー努力を評価するよ

 

「とりあえず朝潮とか何とかに声かけといてくれ」

 

「わかりました」

 

「あとはなんかあるか?」

 

「そうですね……あ、そう言えば輸送作戦では港湾なんとかって深海の人が出没するそうです」

 

「港湾なんとか?」

 

港湾なんとか、か……となると、必要なモノは抹殺のファイナル三式弾辺りが必要になるか、とりあえず、後でテキトーな暇そうでかつやる気溢れる従順なヤツに声かけとこう…

 

「さて…」

 

「トイレですか?」

 

「違いますぅー、マミーヤですぅー」

 

そう毎度毎度トイレに行くほど俺の尿は近くない、今はマミーヤで甘いモン食ってエネルギー充填すっか!って気分なんですぅ

 

「お前も来るか?いや、むしろ、来い!お前が必要だ!」

 

「…はぁ?」

 

五月雨はナニ言ってんだコイツ、イカレているのか?と言った顔をしているが、断じて俺はイカレていない

 

「だって、イイ大人が1人で甘いモン食いに行くとか恥ずかしいじゃん?」

 

「恥ずかしいじゃん?じゃないですよ、どんだけカッコ悪いんですか…」

 

「カッコ悪くない、提督だ……で?行くのか行かねぇのか?上の口でハッキリ言うんだな」

 

「はいはい、行きますよ、他人の金で高級スウィーツですし」

 

「やだ、この子ったら容赦無さすぎ!」

 

◆◆◆

 

中ボス的存在、水着が眩しい港湾夏姫率いるマルタ島展開深海戦闘集団…

 

『イタイジャナイノ!?イタイジャナイノ!?』

 

ドルンドルンとゴキゲンなエギゾーストをあげるR仕様に改造された大発動艇の連隊を引き連れた海娘達の執拗な打撃を繰り返され、港湾夏姫お気に入りのバカンスルックはズタズタにされ、今も、執拗なまでに膝に蹴りを入れらていた…

 

『フザケタヤツラメ…ッ!ココデシズメ……イタイジャナイノ!?ッテ!イタイタイ!オ皿ガ!オ皿ガァァァァァ!!』

 

大潮の内火艇キックを受け、ついに港湾夏姫の膝が破壊されたらしく、港湾夏姫はお皿がー!お皿がー!と言いながら海上をのたうちまわった

 

「どぉだ!」

 

「ダメだ!大潮の殺人キックでもまだ死んでねぇ!なんてタフな野郎だ…」

 

「やっぱ乳デカいヤツはタフだな、ナニ食ったらあんなヤラシー身体になるんだ」

 

港湾夏姫は片膝を抑えつつも何とか立ち上がり、果敢にファイティングポーズをとってまだヤれると首を力弱く横に振り、必殺のヒットマンスタイルで左腕をユラユラと揺らした

 

「フッ、その心意気や良し!熱意や良し!最後は私の手で葬ってさしあげますわーッ!」

 

「出たーッ!熊野サンの地獄のフルコース!!」

 

「もはやヤツの全身は最上級コースだぜーッ!」

 

熊野は片膝をプルプルさせている港湾夏姫にダッシュで近寄り、流れるように大雪山落とし→スピンダブルアームソルト→ダブルニークラッシャー→兜割りの順に丁寧に痛めつけ、モォ勘弁シテクダサイ…と泣く港湾夏姫ににこやかにエレガンテスマイルで応え、エレガンテ握手をすると港湾夏姫の膝がガクリと崩れ落ちた

 

『グエエェェ…ア、足ニ力ガ入ラ…』

 

ほぉ……あやつめ“柔”を使いおるか、皆が頷く中、熊野は港湾夏姫をダブルアームスープレックスの形でグルグルと回し、その身体を上空に放り投げた

 

「くたばりやがれですわーッ!!」

 

「ゲェーッ!あ、アレはーッ!」

 

「出たーッ!熊野サンの地獄の断頭台!」

 

勢い良く落下しつつ、白パンを見せつける熊野の地獄の断頭台が港湾夏姫に炸裂し、港湾夏姫はグヘァ!と短い断末魔と、ブクブクと気泡を残して沈んで行った…

 

「私にタテつこうなど9年早いですわ!」

 

「さすが熊野サンだ!パンツ見えてるけど!」

 

「あぁ、まったく…熊野サンは最高だぜ!パンツ見えてるけど!」

 




次回は②


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マルタ島沖海戦②

帰ってきたnightmare!空母おば様再び!

【登場人物】

空母夏姫
赤城と加賀の悪いところを混ぜたジョグレス進化、水着なのにいつもより布面積が多い不思議




『ヒノカタマリニナッテ…シズンデシマエ!』

 

紅海で無惨にもダブルピースの刑に処されて散った空母夏鬼、しかしッ!彼女はまだ死滅していなかった!怒りの力が彼女を新たなるステージへとevolution、革命ではない、進化が彼女を空母夏姫へと進化させたのだッッッ!!

 

「ゲェーッ!あのクサレ空母のヤツ!生きちょったんかーッ!」

 

「なんてしぶてぇ野郎だ、恐ろしい執念を感じるのぉ」

 

「フッ、ヤツはどうやら地獄の鬼どころか閻魔様にも嫌われているらしいな」

 

マルタ島沖海戦後半戦、港湾夏姫をくだし、この海域に居座るBOSSへの挑戦権を得た当基地所属の艦隊は、道中の激戦を制しつつ、敵旗艦の待つステージへ到着すると、なにやら見覚えのある空母的なナニかが怒り狂った顔でシューシュー鼻から蒸気を噴いて立っていた…

 

『行ケ!キモイ鳥!ヤツラノハラワタヲひっちこっくシテヤレ!』

 

前回の初登場から今回にかけて、一気に繁殖に成功したキモイ鳥こと新型艦載機、見た目はキモイが強く、このキモイ鳥量産の暁には世界の空を制圧出来るのでは?と期待が寄せられており、キモイ鳥ブリーダーの護衛棲姫は受注が多くて参ってますよと忙しさの中に喜びの声をあげている

 

「チクショウ!なんてキモさだ!」

 

「あいた!?噛んだ!コイツ噛みやがったーッ!」

 

ギャース!ギャース!と鳴き声もややキモイ感じのキモイ鳥は、その鍛えぬかれたトゥースで襲いかかってきた

 

「チクショウ!なんとかならねぇのか!?」

 

「あったよ!秋月と10cm高角砲+高射装置が!」

 

「でかした!」

 

◆◆◆

 

「コーヒーくれ、冷蔵庫の」

 

「ご自分でどうぞ」

 

夏の猛暑とお別れを告げたいつもの執務室、現場から送られてくる映像をテレビで見つつ、缶コーヒーの蓋を開けてタバコに火を点けた

 

「フーッ〜…AKI姉ちゃんはホントに使える子だな」

 

「そうですね、まぁ、秋月さんだけではなく妹さん達もですけど」

 

AKI姉ちゃんこと秋月姉妹は些かロックなところがあるが、基本的には真面目で良い子ちゃん達だ、給料だってかなり稼いでいるが何故かいつも貧乏そうに見える不思議

 

「とりあえずここまでは順調みたいだな」

 

「そうですね、あ、ボディ刺さりましたよ、ボディ」

 

「うむ、あ、吐いたな」

 

「たぶん内臓破裂しましたねコレ」

 

武蔵のメガトンパンチが空母夏鬼だか夏姫だかのやわらかボディに突き刺さり、音声無しの映像だけでもオゴォ!!と言っているのが解る、むしろ、あの殺人パンチなら一撃で殺して欲しいものだろう

今回のカメラ係である阿武隈はこれ以上凄惨なシーンは撮り辛いのか、第二艦隊の仲間達へとカメラを向けてみた

 

『ア゛?ナニ撮ってんだコラ?オイ、オイィィ!』

 

『アタマパンパカされてぇーのか?オ゛?オイオマエ、えー…なんだっけ?アブ?アブラハム?』

 

う●こ座りで待機中の第二艦隊メンバー、残酷・残忍・残虐の揃ったハイスペックカノジョこと高雄と、無軌道・無計画・無秩序の悪行エリートのクソビッチ愛宕はカメラ係の阿武隈に絡んできた

 

『あ…阿武隈です』

 

『阿武隈ぁ〜?…あぁ、由良サンの妹』

 

『ヤベーよ高雄っちゃん、コイツ由良サンの妹だべ』

 

『あぁ、たしか阿修羅の阿に日本武尊の武、檜隈民使博徳の隈と書いて阿武隈だ、間違いねぇ…っか高雄っちゃんとかゆーな、キメぇわ、デブ』

 

『は?オイ今なんっつたコラァー!!』

 

…ナニやってんだ?コイツら、阿武隈はカメラを落としてしまったのか、ザーザーと乱れた映像とブッ殺してさしあげっぞバカめがァ!とか私はデブじゃない!ポッチャリ系よォー!とかやめてくださぁい!とか現場の混乱する様子だけがわかる音声だけが流れてきて、唐突にプツンと切れた、たぶん、誰か踏んだのだろう…

 

「フーッ〜…サミダリューン、この戦、後は卿に任せる」

 

「五月雨です、トイレですか?」

 

「いや、お買い物だ」

 

次のステージは“あの御方”に御出陣を願わねばならんしな、手ぶらでお願いするワケにもいかんのでお高価な菓子折を買っておかねば…

 

◆◆◆

 

『ウゲエェェ…』ビチャビチャ

 

『空母夏姫クン!』

 

『空母夏姫クンドウシタンダ、イツモノキレガナイゼ!』

 

『マサカ慣レナイ地中海ニ緊張シテルジャア…』

 

深海チームメイト達にも見てわかる空母夏姫のあきらかな不調!いつもならキレのあるストレートで戦艦だろうが空母だろうがバシバシと切って落とす筈なのに今回に限って何故か不調!

 

『イヤ…タブン原因ハアレダナ』

 

『軽母ヌ級!原因ガワカルノカ!?』

 

顔はデカいが知識は広い、深海きってのクールな有識者、軽母ヌ級は空母夏姫の不調の原因を科学的に分析したらしく、愛用の深海ノートを広げて見せた

 

『オソラク不調の原因ハ空母夏姫クンノ布面積ニアル、コノでーたヲ見テクレ』

 

『タ…タシカニ!』

 

『イツモノ、ノーブラ・ノーパンニ比ベテぽてんしゃるガ30%モ低下シテイル!』

 

『ツマリ!アノ水着ハ空母夏姫クンノ真ノ力ヲ抑エツケル拘束具ニナッテイルノダヨ!』

 

いつもの空母夏姫もとい、空母棲姫はノーブラ・ノーパンのベストオブ痴女スタイルなのに対し、今年はオシャレな水着スタイル、その布面積が仇となっていた!

 

『ナラ話ハ早イゼ!空母夏姫クン!脱ゲ!脱グンダーッ!』

 

『ソウダー!脱ゲ!脱ーゲ!脱ーゲ!』

 

『脱ーゲ!脱ーゲ!』

 

深海チームメイト達からのアツい脱げコールが響く中、空母夏姫は考える………誰が脱ぐかッ!と、たしかに、脱いだ方が色々気持ちイイし晴々とした気分になれるが、今年は違う!去年、あのケツババアはすれ違う度にケツ振って見せつけてきて、え?オマエまだ水着買ってねーの?プフーって笑いやがる、そんな屈辱に耐えて買った今年の水着!脱ぐワケにはいかない!

 

「オラァ!!」

 

『オゴォ!?』

 

「お前にはできないかもしれない」

『チョ!待テヨ!?』

 

無敵の重巡コンビのダブルハードパンチャーに交互に殴られ、膝ガクガクで尿漏れしそうになっているが未だ耐える空母夏姫の頭に、時雨様の強烈なカカト落としが炸裂した

 

「頭が高いよ」

 

最後に見た景色は白パン、空母夏姫はブクブクと気泡を残して地中海へと沈んでいった…




次回から最終海域!女王陛下VS姫騎士、たぶん


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ドーバー海峡沖海戦①

最終海域ドーバー海峡ーッ!

【登場人物】

提督(163)
空気の読める大人、天龍と木曾はマジダチ

五月雨(53)
空気の読める秘書艦、いっこ下の妹のドスケベ水着には内心殺意すら感じている



幾つもの哀しみと海を越え、遂に到着した今作戦最終海域、ドーバー海峡ッ!!ここまでの道中、立ち塞がった強敵達とのアツかりしバトルを胸に刻んだ我々は決意を新たに最終海域に臨むのだった…

 

「こちらが情報やらなんやら書いた資料です」

 

「うむ」

 

五月雨はブサイクな動物が描かれたクリアファイルから数枚の紙を取り出して俺の机に置き、俺はタバコに火を点けて紫煙を一服吐きながらそれを眺めてみる…

 

「広い上にメンドくさそうだな」

 

「最後らしく、今回もギミック満載、鬼姫満載のステキなイベント目白押しの布陣みたいですね」

 

「ナニがステキなイベントだ」

 

だいたいアレだ、謎の超装甲ギミックやらルート制限ギミックやらアイツらのギミックはデタラメだよ、男なら拳一つで勝負せんかい!っーのな

 

「で、そっちの二枚目に記載されてるのがこの海域のボスなそうです、名前はたしか〜…ヨーロピアンシ●ガーコーンとかなんとか…」

 

「ナニがヨーロピアンシ●ガーコーンだ、バカにしてんのか」

 

「とりあえず見た目はスンゴイですよ」

 

「そんな庶民的に美味しそうな名前のヤツがスンゴイわけあるかっーの………って!スゲェ!!」

 

書類をめくってみると、たしかにスンゴイ奴の画像が記載されているッ!?なんだコイツ?いきなりエクスカリバーカリバーンでもブッ放してきそうなトンデモ野郎じゃねぇか…

 

「クッ、カッコいいじゃねぇか…」

 

「そうですか?」

 

青髪ロングはナニ言ってんだコイツ?みたいな顔してるが、まぁそれも当然だろう、この一目でタダ者じゃないとわかるカッコ良さを理解できるのはおそらくこの基地でも俺と天龍と木曾、つまりは闇の住人だけであろう…

 

「まぁいい、とりあえずはアレだ、ギミックとかなんとか面倒事を全て片付けてから陛下にご出陣頂くから誰か暇人でも出すか…」

 

「暇人ですか……あ、金剛さんとか暇を持て余して姉妹で桃鉄してましたよ」

 

「桃鉄か、仲良いなアイツら」

 

「あとは〜……あ、あの人あの人、ほらこないだ来たばっかりの、ほら、名前がちょいちょい変わる人」

 

「誰だよ?そんなヤツいたか?」

 

「あの人ですよ、ほら、旧ソみたいな」

 

「あ〜…アイツな」

 

アツかりし革命戦士、同志ガングートだったか…そういやアイツ、今んトコ出番なかったな、昨日喫煙所で会った時になんかチラチラこっち見て片目バチコーンとしてたが、もしかして出撃したいアピールでもしてたのだろうか?

 

「まぁ、暇みたいだし、デビュー戦も兼ねてアイツに行かせてみるか」

 

「うわ、すごいなげやり」

 

「なげやりじゃない、提督だ……あ、そうそう、オマエの妹もついでに出してやるか」

 

「妹?あぁ、頭の白いドスケベ水着の子ですか?」

 

「妹になんてコト言うのかね、この子は」

 

海風ねーちゃんに対して厳しいなコイツ、まぁ、ドスケベなのは水着ではなく海風ねーちゃんのドスケベバディだと思うのだが、まぁ、俺は空気の読める大人なのでわざわざコイツの機嫌を損ねるような真似はしない

 

「海風ねーちゃんじゃないで、緑のトゲトゲしいチビだ」

 

「…あぁ、山風さんですね、提督のお気に入りの」

 

「上司に対してなんてコト言うのかね、この子は」

 

そーゆー何気ない発言がいらん誤解を招くのだよ…

っーか、あのチビスケは俺ではなく明石が可愛いがっている気がするが…

 

「その山風を呼んどけ、開幕スタメンで行くってな」

 

◆◆◆

 

北大西洋海域、ドーバー海峡奥、深海欧州主力艦隊旗艦艦隊…

 

『バカナノ?オロカナノ?』

 

北大西洋海域を統べるビッグBOSS、航空旗艦ッ!欧州棲姫率いる旗艦艦隊はニクラシキ奴らが来るのを今か今かと、こんなにやべーのにワクワクすっぞ!と敵艦隊が来るのを待っていた…

 

『オマエタチデハ……デキナイッ!』キリッ!

 

そして、そんなやる気とガッツ溢れるチームメイト達に囲まれ、今回デビュー戦の航空旗艦、欧州棲姫は手書きのアンチョコを見ながらセリフの準備に余念がなかった

 

『姫ッ!御茶ノ準備ガ整ッテオリマス』

 

『…ウム、スグニ行ク』キリッ!

 

欧州棲姫は優雅に片手を挙げ、すぐに行くから先に行ってなさいと呼びに来たナ級に促した

 

『クソッ!ヤッパ姫カッケーヨナ!』

 

『アァ、アノ絶対ニ屈シナイ感ナンテイイヨナ』

 

『姫ハ一見スルト厳シク見エルケド、実ハ深海魚ニ餌ヤッタリトカシテルンダゼ』

 

『マッタク!姫騎士欧州棲姫サマハ最高ダゼ!』

 

深海チームメイト達は欧州棲姫の持つ絶対的なカリスマ性に心酔しており、皆、姫の為なら俺は死ねるぜーッ!と言える逸材達が揃っている………しかし

 

『………ハァ、ドウシテコンナコトニ…ッ!』

 

欧州棲姫は一人、目を閉じて考える…

そもそも自分はちょっと内気でコスプレ趣味があるだけの善良な、いち深海棲艦なのだが、集ちゃんオススメの姫騎士風ファッションをキメてみたら意外と反響があり、あれよあれよ言う間に一気にこの欧州主力艦隊の旗艦に抜擢、しかも航空旗艦とかワケわからん艦種ッ!ホントはすごい断りたかったけど中枢棲姫クンとかマジコエーし、退くに退けない状況になった…

 

『………ハァ』

 

とりあえず、今回は大規模侵攻だから深海予算いっぱい出たらしく、この海域には鬼姫ラッシュで配備されているので海軍のヤツらも無事では済まないだろうし、此処に来るのすら危ういだろう

 

『欧州棲姫サマガ物憂ゲニ瞑想シテル姿メチャシブイッス…』

 

『キット海軍ノ屑ドモニ、アノ聖剣ヲブッ放シタクテウズウズシテルンダゼ…』

 

ごめんね、コレ、聖剣とかエクスカ●バーとかじゃないの、よく見て、アルミ貼ってるだけでしょ?ケッコー自信作だよ

 

『………ハァ』

 

とにかく、早く帰りたい、ってかコレ脱ぎたい、誰だよ深海の姫級はラフな格好で現場に行っていいって言ったの…まぁ、さすがノーブラノーパンはありえないけど…

 




次回はイベント編最終回の②

Without changing a look with me, it's only a person with me to permit speaking…
The person who disobeys doesn't permit for how many people also to look down with adequacy.


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ドーバー海峡沖海戦②

イベント海域編最終回、前半戦は雑に頑張る仕様

【登場人物】

欧州棲姫
見た目は誇りと頭が高い深海姫騎士、深海ソードが思ったより役に立った

Warspite(9)
通称、陛下
陛下に睨まれた先はバベルガグラ●ドン状態



「何か言いたい事はあるか?なに?聞こえん!キサマは銃殺刑だ!」パンパンパンパン!

 

『ウボァー!!』

 

アツかりし革命戦士、ガングート率いる連合艦隊はギミックだかなんだかよくわからないふわふわしたモノを解除し、ついでに目が合ったヤツは銃殺刑にして無事に帰投した、途中、新型潜水艦のクソガキとまた会ったらしいが由良さんにゴ●ドバードチェンジさせられて海に沈められたり、ハルサメ対ハルサメの光と闇のアツき死闘が繰り広げられたらしい………ちなみに、ウチに帰って来たハルサメは頭が白い方だったのでとりあえずビンタしてやった

 

◆◆◆

 

『来ゾォ!!海軍ノヤツラダァー!!』

 

『全員生カシテ帰スナー!』

 

『海軍ヲ滅ボセーッ!!!』

 

数々の強敵と死闘を潜り抜け、深海欧州主力旗艦艦隊の前に、遂に姿を現した海軍の連合艦隊…

 

『コンナトコマデ…キタノ……?バカナノ…?オロカナノ……ッ?』

 

マジで来やがったよコイツら、深海予算を贅沢に使った鬼姫ラッシュを潜り抜けて来やがったよ……欧州棲姫は内心マジ勘弁してくれよと思いつつも台本通りの高圧的姫騎士キャラを守る事にした

 

「スゲェ!!なんだアイツ!」

 

「あの聖剣っぽいヤツからたぶんビームでるぞォ!ビーム!」

 

『ココデムダニ、シズミナサイ!』キリッ!

 

キマった……意外とこのキャラでもなんとかなる、と言うか、あっちのヤツらも勘違いしてるよ、この剣、ビームとか出ないから、深海ホームセンターと深海100均で買った材料費なんと2580円!

 

「…なるほど、我が領土たるStrait of Doverを厚顔にも占有している輩はあの者達ですか」

 

姫騎士欧州棲姫コールに沸く深海艦隊の間に戦慄が走る、現れた海軍のチンピラどもの中に、一人だけ“格”の違う!生まれながらにして持つ絶対的な王のオーラを纏った艦は深々と王の椅子に座ったまま領土を侵す不遜な者達に視線を向けた

 

『グヘァ!?』

 

『ナ級ッ!!クッ!ナンテおーらダ!ハンパジャネェ!!』

 

『膝ガ!膝ニ力ガ入ラネェ!!』

 

深海チームメイト達はウォースパイトから溢れ出る王の風格の前に誰もが膝を折りかけた、しかしッ!!

 

『見ロ!欧州棲姫サマハマッタククッシテネェ!!』

 

『スゲェ!サスガハ俺達ノ姫…ッ!イヤ!姫騎士!』

 

『ドウダー!姫騎士欧州棲姫サマハ絶対ニ、クッ!シタリシネェゾー!』

 

絶対なる王の力の前に、絶対にクッ!しない欧州棲姫の姿は深海チームメイト達に勇気を与え、クッ!しかけた弱い心に再び立ち上がる力を得た!そして、絶対にクッ!しない欧州棲姫は自作の姫騎士ソードを支えに、ワリといっぱいいっぱいで立っていたッ!!たぶん、姫騎士ソードがなかったら真っ先に膝を折り、あの高貴な足を舐めて忠誠を誓う自信が欧州棲姫にはあった…

 

「ふむ…話し合う気はなさそうですね」

 

「では陛下、開戦の号令を…」

 

「Please wait a moment…少し待って、開戦の前に、あの者達の公称を何とするか考えましょう」

 

ウォースパイトはそう言って艦隊の仲間達に何か良い案がないかを尋ねた

 

「敵」

 

「エネミー」

 

「カス」

 

「ふむ…」

 

不良偏差値高めの艦隊の仲間達からは陛下のご満足頂ける回答は難しいらしく、その他に、ザコ、ゴミクズ、チンカスなど案が出たものの、なかなかしっくりこず、どうしたものかと頭を悩ませていると、ハムサンドを齧っていた雪風から画期的な案が出た

 

「賊軍、と言うのはどうでしょう!」

 

「なるほど………良い案です」

 

これには陛下もご満足、雪風に御褒美用の高貴な王室御用達クッキーを渡し、全艦にヤツらは賊軍、ヤツらにも聞こえるように伝えてやりなさいと言った

 

「Enemy ship is in sight. Open fire!」

 

◆◆◆

 

陛下のご活躍をデジタルかつ高画質に録画中の執務室…

 

「フーッ〜…」

 

「勝ってますか?」

 

明石の店でなにやら買い物を済ませて来たらしい五月雨は紙袋を手に持ったままテレビを眺める俺の横にヒョコっと顔を出した

 

「んな野球中継みたいに聞くなっーの」

 

「似たようなモンじゃないですか」

 

とりあえず開幕から基地航空隊による轢き逃げアタック六連打→暇人の金剛姉妹率いる決戦支援と言う名の丸太投げ→空母の中ではワリと良識派の五航戦による友永殿轢き逃げアタック、後は現場の判断で、目が合ったヤツは皆殺しとかそんな感じの作戦だろう

 

「あ、今ケツ姫にイイの刺さりましたよ、イイの」

 

「女の子がケツ姫とか言うんじゃないよ」

 

テレビ画面の向こうでは今回何度目だかのケツ出し戦艦夏姫だかなんだかが友永殿の轢き逃げアタックをボディに受けて光るゲロを吐き、蹲っているところに時雨様のズガタカカト落しを喰らって、讃えるポーズでブクブクと沈んでいる、えげつねぇな…

 

「しかし、あの姫騎士欧州棲姫はなかなかエ●スカリバー撃ってこないな」

 

「アレじゃないですか?パワーを充填するのに時間がかかるとか」

 

「パワーを充填してから来いよ、バカじゃねぇのコイツ」

 

「もしくは、何か事情があって使えないとか…?」

 

なるほど、姫騎士たるもの、常に常勝無敵であってはならない!自分が頼る最強アイテムの力が封じられ、思うように力が出せない状況下に身を置くとは……大した姫騎士だ、俺が魔族なら七日間の味方が助けに来る猶予を与えた上で純潔を奪う以外の陵辱の限りを尽くし、七日間クッ!するコトなく耐えきったら最後に淫紋で雌ブタに堕ちきった仲間を見せつけて絶望させてファックするだろう

 

「フッ、大したヤツだ」

 

「正直、 私としては提督のその妄想にドン引きです」

 

◆◆◆

 

絶対なる王を椅子から動かす事すら出来ず、深海チームメイト達は次々と沈み、残るは旗艦である姫騎士欧州棲姫を残すのみッ!

 

『ヤメテ!ホントヤメテ!………ヤメテッテイッテンダヨ!キコエナイ!?』

 

「お…おぅ」

 

『ハー…ハー…ホントヤメテ、ソノ砲ハ私ニ効ク』

 

死ぬ、これは本気で死ぬ、たぶん夜戦にまで持ち込まれたら確実に殺られる、だってほら、あのクッキーバリバリ齧ってるヤツ、めっちゃシャドーデンプシーしてるし、たぶんあのパンチ喰らったらタダじゃ済まない………ならばッ!

 

『欧州ブレード!』

 

「痛いっ!?」

 

欧州棲姫は手にしていた剣をクッキーをバリバリ齧っている駆逐艦らしき艦娘に全力で投げつけた、たぶんアイツが一番ヤバい、欧州棲姫の持つ危機回避センサーが一番ヤバいヤツを教えてくれたのだ…っ!

 

「くっ…足を痛めた」

 

「雪風クン!」

 

「雪風クン!チクショウ!よくも雪風クンを!」

 

『ハーッハッハッハッハ!オマエタチニハデキナイ!』キリッ!

 

アイツさえ凌げばなんとかなる、ハイパームテキの雪風様さえいなければ…ッ!ハイパームテキの雪風様さえいなければ…ッ!しかし、今日、この場に来た本物の恐怖は雪風様ではなかった…

 

「あらら、雪風クンどうしたのぉ?」

 

「北上さん、この子、足を怪我してますよ!足を」

 

「あらら、そりゃ残念だねぇ」

 

無敵の雷巡コンビ、無傷で残してはいけなかった北上と大井は雪風の足の様子をあららと観察した

 

「駆逐艦を狙うなんて………こりゃメチャ許せんよねぇ」

 

「えぇ、こりゃメチャ許せませんよ!」

 

…北上と大井は、子供には優しいタイプだった

 

---

 

『アハハ…スコシ…シッパイシタケドネ……コンナノ……ゼンゼン……ワタシ……ワタシ…ウソダ……ベツニ、ワタシハ……コンナノ……』

 

「うるせぇーよ」

 

『アブロッ!?』

 

大井の地獄スタンプで頭を踏みつけられ、誇りと頭が高き深海姫騎士、欧州棲姫は海面に顔面をメリ込ませた

結局、夜戦に追い込まれた結果、大井の●LAPと北上のキタカミバスターによる、KITA→LAPが炸裂、あきらかにオーバーキルなダメージを受けて欧州棲姫は撃破された…

 

「ニ度とツラ見せんじゃねーぞ」

 

「次会ったら全殺し確定だかんな」

 

こうして、欧州棲姫は深く暗い海へと敗れ去り、今回の大規模作戦は無事に我々の勝利となった




次回は作戦終了回、かもっぽい


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鹿島先生と香取先生と夏の宿題

夏を忘れない今更感抜群の今日この頃

【登場人物】

鹿島先生(14)
自称文系、本はまぁまぁ読むけどだいたいホ●同人

香取先生(14)
エレガント練巡、トラベルミステリーを愛読している


皆さんこんにちは、鹿島です

夏の大規模作戦真っ盛りの時期も過ぎ、ついでに夏休みの時期も過ぎた今日この頃、私と香取姉さんは駆逐艦の子達から提出された夏休みの宿題の採点をしています…

 

「え〜……1582年6月21日、本能寺の変にて織田信長は暗殺されましたが、その暗殺実行犯は誰でしょう」

 

白露の解答【明智光秀】

時雨の解答【明智光秀】

 

「ふむ、まぁ問題的にはカンタン過ぎましたね…え〜っと他はっと」

 

夕立の解答【KYO】

村雨の解答【鬼眼のKYO】

 

「誰だよKYOってッ!!」

 

宿題のプリントを机に叩きつけ、白露姉妹のバカコンビの解答に思わずツッコミを入れてしまったが、とりあえず香取姉さんの淹れてくれた紅茶で気分を落ちつかせた、よし!次、次行こう次!

 

「え〜…江戸時代後期の長州藩士、幕末に長州藩の尊王攘夷の志士として活躍し、奇兵隊など諸隊を創設し、長州藩を倒幕に方向付けたのは誰でしょう…」

 

涼風の解答【人斬り抜刀斎】

五月雨の解答【高杉晋助】

 

「び、微妙に惜しい気が…」

 

いや、まぁ、長州派維新志士ではあるけど…うん、長州派だけどコレは違うよね?ってか、追憶編で出てたよね、そして五月雨ちゃんのは………うん、違う、惜しいけど違う、それ晋助様の方、テラ●安の方………よし、次!次行こう次!

 

「え〜…リョウスケくんは30キロ先の目的地に1キロあたり1分かかる速度で運転しています、リョウスケくんが残り10キロの地点でケイスケくんが同じ地点からスタートしました、ケイスケくんは1キロあたり30秒の速度で運転しています、リョウスケくんが目的地に到着した際、ケイスケくんは何キロの地点にいるでしょう」

 

陽炎の解答【その時、挑 戦 者 現 る!】

不知火の解答【カッ!!ゴガアァァァ!!ゴアァアアーーツ!ギャアアアア!!!こいつすげえ……とんでもないヤバイのがでた!!】

 

目的地に行けッ!!ナニ考えてんだコイツらは!?って問題の意味!問題のどこにバトル要素があった!算数!簡単な算数問題!私は机に両手を叩きつけ、赤ペンでスタイリッシュに×を書き込んだ…

 

「ハァ……なんでこんな採点に疲れるんだろ」

 

「鹿島、珈琲飲む?ひと息いれましょうか?」

 

「え?あぁ、うん、そうね…うん、そうしようかな」

 

香取姉さんは既に採点を終えたらしく、私の倍以上の量に積まれた宿題のプリントを綺麗にクリアファイルに仕分けしていた…相変わらずスゴいな香取姉さんは、こーゆートコだけは見習いたい…

 

---

 

香取姉さんの淹れてくれた珈琲に口をつけ、少し休憩中

 

「内容はアレだけどみんな真面目に提出してくれましたね、宿題」

 

「そうねぇ、先生としては嬉しいような…残念なような」

 

一体何が残念なのか、香取姉さんは愛用の鞭で宙を叩くと、パンッ!と甲高い破裂音が響き、窓ガラスが少し振動した…そうか、前に部屋のガラスを超強化ガラスに替えたんだっけ…

 

「まぁ、提出率100%は良い事ですし、提督もきっとお喜びになってくれるでしょう」

 

「あ、あ?あぁ、うん、そうじゃないかな?」

 

香取姉さんは片手を頰を添えてややウットリとした表情をしているが………うん、未だに香取姉さんの趣味はよくわからない

 

「あ、そうそう鹿島、アナタの採点してるトコにミスがあったわよ」

 

「え?ホント?」

 

「ダメでしょう、先生なんだからしっかりしないと」

 

「あ〜…うん、ゴメン」

 

しまった、香取姉さんはミスには厳しいタイプッ!またグダグダと小言を言われると長くなるッ!

 

「ちなみにどれ?私、どれが間違ってた?」

 

「コレよ」

 

コレよと言って、香取姉さんは漢字の読み書き問題が書かれている宿題のプリントをクリアファイルから取り出し、テーブルに置いた

 

「………どれ?」

 

読みを書きなさい 問1 拳銃(けんじゅう)

 

「あってるけど?」

 

「違います、正しくはこうです」

 

読みを書きなさい 問1 拳銃 (ハジキ)

 

「いやいやいや!おかしい!その答えはおかしいよ香取姉ェ!!」

 

「他にも色々ありましたよ、例えば…」

 

問3 刺青(いれずみ)

問7 服役(ふくえき)

問9 注射器(ちゅうしゃき)

 

「全部あってるよ!普通に正解だよ!」

 

「何を言ってるんですかこの子は、正しくは〜…あ、浦風ちゃんは全問正解ですね、コレです」

 

問3 刺青(モンモン)

問7 服役(オツトメ)

問9 注射器(ポンプ)

 

「病院だよゥッッ!!!」

 

私はテーブルを叩き珈琲カップがガチャン!と鳴ってソーサーの上を勢い良く跳ねた

 

「そう言えば鹿島は昔から漢字が苦手だったわねぇ…」

 

「や、コレは苦手とかそーゆーのじゃないよ香取姉ェ…」

 

「じゃあ鹿島、姉さんが今から問題を出すから解いてみなさい、解いたらそうねぇ……何か甘い物を買ってあげましょう」

 

「えー…正直めんどく…」

 

「鹿島」

 

「ハイ!頑張ります!」

 

こうして、香取姉ェはテキトーな白紙に綺麗な字でサラサラと文字を書き込み、ではどうぞとその紙を私の前に置き、私はその問題に対し、どう考えてもベストな解答を書いた…

 

問1 同時攻撃(どうじこうげき)

問2 魔都(まと)

問3 気功(きこう)

問4 本拠地(ほんきょち)

問5 強い男(つよいおとこ)

 

「………鹿島」

 

「なに?」

 

なに?そのため息、なに?その残念な妹を見るような目は!?

 

「………ふぅ、甘い物はお預けですね、正解はこうです」

 

問1 同時攻撃(ダブルアタック)

問2 魔都(サウスタウン)

問3 気功(パワーウェイブ)

問4 本拠地(いどころ)

問5 強い男(アシガラ)

 

「なんでだよッッッッ!!!」

 

勢い良く振り下ろした両手がテーブルを叩き、ついでに私の額も勢い良くテーブルに激突した、意味わかんねぇよ!なんだよダブルアタックって!なんだよサウスタウンって!っーか問5ッッッ!!問5が一番納得いかない!?

 

「やれやれ…鹿島、どうやらアナタにも教育者として些か指導が必要なようですねぇ」

 

「いやいやいや!!香取姉ェ!納得いかない!コレ全然納得いかないよ!?」

 

◆◆◆

 

特にやる事のない暇な執務室…

 

「ナニやってんだ?漢字クロスワードか?」

 

「えぇ」

 

暇人の青髪ロング子は明石の店で買ってきたらしい漢字クロスワードを解いていた…

 

「よし、提督が一つ教えてやろう……横のそれは“サンクチュアリ”だな!」

 

「普通に………“せいいき”ですね、それだと三文字多いです」

 




次回はお給料回なのだよ


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続続続続・提督と作戦終了と…

お給料の回

【登場人物】

提督(164)
今回も勲章ものの活躍してない安心のヘタレ提督
甲勲章はマゾの証


「えー…みなさんお疲れ様でした、今回も序盤からハゲしく、アツい展開で俺をイライラさせる場面もいくつかありましたが、みなさんの頑張りの甲斐あり、無事、今回の作戦も成功で終わる事ができました、えー…みなさんはこんな話を知っていますか?あるところに一匹のドラ猫が……」

 

ハゲしく!アツかりし夏の大規模作戦を終えた当基地、恒例の全艦集会の挨拶を壇上からする俺の目には既に話が長げーよタコだの、はよ終われやオッサンなどアツい声援が贈られていた…

 

「……えー、提督からのお話は以上………では、みなさんお待ちかねお給料の時間です」

 

毎度お馴染みのジュラルミンケースの載った台車を五月雨がゴロゴロと押してやって来た

 

「えー…今回のMVPチケットランキングを発表しますので、名前を呼ばれた奴はハイ!元気です!と元気に挨拶して壇上に上がるように、では、栄えある第1位〜………由良さん」

 

ざわ…ざわ…

 

「由良さーん!!メチャカッケーでーす!」

 

「さすが俺たちの由良サン!」

 

「由良サーン!由良サーン!キャー!こっち見たーッ!こっちに手を振ってるー!」

 

怒涛のアツき由良コールの中、声援に応えて手を振りながら壇上に上がってきたユラっとゆらめくデンジャラス軽巡、由良さんに俺はジュラルミンケースから取り出した現金の束をスタイリッシュに手渡した

 

「よくやった、感動した!」

 

久々の一軍登板ながら開幕の第1海域、そして最終海域と悪魔もブッ飛ぶ活躍を見せ、その姿、まさしく夜叉ということを俺を含め、以前の由良さんを知る者達は再認識し、ここ最近新しく入ったばかりのルーキーズはその姿に戦慄したらしい

 

「普通のお給料とか久々ね、あ、提督、なんなら由良と飲みに行く?提督の奢りで………ね?」

 

「ナニが、ね?だ、可愛いく言っても言ってる事は鬼畜か」

 

とりあえず俺は由良さんに週末なら空いてるぞと伝え、由良さんは唸る現金を適当な紙袋とポッケにしまって壇上を降りた、ちなみに、降りる時も由良コールの中、きちんと手を振るサービス精神……大した由良だ

 

「えー…次、次いくぞー名前呼ばれたら大きな声でお返事しろよー………次、鈴谷と熊野、略して鈴熊」

 

「よっしゃあ!!大金ゲットォ!!」

 

「やりましたわ!鈴谷!やりましたわ!」

 

今回同率2位の最上型のツラ汚し鈴谷と最上型のアホガント熊野はキャッキャとハシャぎながら壇上へと上がってきた

 

「よくやった、感動した!」

 

「はい、お給料!お給料頂戴!」

 

「鈴谷、がっつくじゃありませんわ、ちゃんと額を数えるんですわよ!」

 

俺はヘラヘラ笑う鈴谷の頰に札束で往復ビンタし、ポッケと胸の谷間にキャッシュをねじ込み、熊野にも鈴谷の股間を全力で蹴りあげた後にスタイリッシュに現金を手渡ししてやった

 

「次、ドンドン行くぞ、ドンドン、名前呼ばれたらさっさと出ろよ」

 

ーーー

 

「え〜…最下位、秋雲」

 

「マジっすかー、テイトクマジっすかー」

 

「マジだよ、ほれ」

 

秋雲のアホンダラに500円硬貨を渡し、秋雲はマジっすかー、マジっすかーと呟きながら壇上を降りて行った

 

「えー…では、皆さんお疲れ様でした、今回もささやかではございますが飲み物や食事を用意しましたので、皆さん遠慮なく飲み食いし、明日からのアツい艦隊活動への英気を養ってくだ……」

 

「ヒャッハー!水だーッ!」

 

「オイ誰だオレのカラアゲ獲ったヤツはァ!」

 

「スゲェ!口の中でもう3度も味が変化しやがった!」

 

…ヒトの話を最後まで聞かんクズどもめ、まぁいい、どのみちこうなる事はわかっていたのだよ

 

「姉さん、タバスコとって」

 

「Tabasco?え〜…っと、ハイ」

 

「Grazie、ありがと」ドボドボドボドボ…っ!ドプッ!

 

「ねぇ、ローマ………なんで私のピッツアにTabascoかけたの?ねぇ?」

 

イタリアは妹の肩を掴んでガックンガックンその身体を揺らしているが、妹は特に気にすることなくナポリタンをズルズルと食していた………もしかして、リットリオ級の闇は深いのだろうか?

 

俺はいつものようにテキトーかつ適度な量を皿に載せ、スタイリッシュな足取りで館内の隅に移動していると、俺の肩に何かが激突した

 

「あ、スイマセン」

 

「む?海風ねーちゃんか…前を見ないと危ないぞ」

 

「スイマセン、あ、提督、江風を見ませんでしたか?あの子、肉ばかりとってたから野菜も食べさせないと…」

 

「江風ならあっちでアイスキャンデーをジュポジュポ食ってたぞ」

 

「あの子ったら……そうですか、ありがとうございます!」

 

そう言って頭を下げ、海風ねーちゃんはパタパタと小走りに去って行った、相変わらずオカーサンみたいなヤツだな、あの白髪

 

ーーー

 

「お疲れ様でした」

 

「よぉ」

 

体育館の隅で焼き鳥的なものを食べていると、いつものように青い髪ロング子がぬらりと現れた

 

「あ、その串…」

 

「やらねーぞ、俺のだからな」

 

「ケチくさいですね」

 

「ケチで結構、俺はケチでイナセな快男児だからな」

 

しかしこの焼き鳥的なモノ美味いな、きっと由緒正しき名の通ったブランド的なナニかだろう…

 

「あ、そうそう、明日は新人さんの面接ですからビシッとした感じの格好でお願いしますよ」

 

「ナニを言っとんのかねキミは?俺はいつでもビシッとしているのだよ」

 

「朝、クリーニングした制服出しときますからそれでお願いします」

 

「ヘイヘイ、オカーサンか、テメーは」

 

相変わらず、こーゆーカユいトコに手が届くのがムカつくなコイツ…

 

「オカーサンではありません、五月雨です」

 

「ヘイヘイ、俺はカーチャンの奴隷じゃないっーの」




次回は面接回、なるたけ早め


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続続続続・提督と新人と面接①

面接回その①、前半戦は国産、後半戦は海外からの刺客

【登場人物】

旗風
神風姉妹に五女、イエローポジションらしい
三女の縦ロールをリスペクトしており、長女はあまりリスペクトしてない

狭霧
綾波姉妹の六女、見た目は薄幸、中身も薄幸、どことなく五航戦の姉に近いものがある

天霧
綾波姉妹の五女、チャーミングなメガネとバッキバキの腹筋が特徴のオラついたメガネ、好きな食べ物は山盛りのキャベツ

松輪
歩く事案発生装置択捉の妹の事案発生装置、姉に対して思い出補正とフィルターがある





「今回新しく配属された方は7名です」

 

「………多いな」

 

夏の大規模作戦も無事終わり、朝夕には肌寒さを感じる気がしてきた秋の執務室、前回の6名でも多いなオイと思っていたら、今回は更にその数を増やし7名ときたか、正直、面接するだけでも嫌気がさすんだが…

 

「まぁいい、どのみちロクなヤツらじゃねーだろ」

 

「会っても無いのになんてコト言うんですか、この上司は」

 

だいたいアレだ、上がウチに配属するヤツはだいたいアレなヤツばっかだよ、たぶん上でもどうしたモンか考えて、とりあえず下に落として使ってみたらどうかねキミぃ?って考えだろう…

 

「とりあえず面接なんてダルいのはさっさと終わらせるぞ、俺、今日の業務終わったら先生達とオシャレな居酒屋行く予定だから」

 

「はいはい、では最初の方どうぞ〜…」

 

五月雨は扉の向こうで待機中らしい最初の1人目にどうぞと声をかけると、やや控え目なノックの後に、やや控え目な黄色いのが入室してきた

 

「神風型五番艦、旗風です」

 

神風型か……神風姉妹って言うと、あの人斬り大好き抜●斎みたいなプッツン長女を筆頭に、リボンのデカいプッツン次女、ロールパンみたいなモミアゲのプッツン三女、タ●ラジェンヌ感ゼロの残念ヅカ系のプッツン四女とだいたいロクなプッツンしかいない前例があるが…

 

「あの……何か?」

 

しかしどうだろう?この神風型五番艦を名乗る彼女は!今までのプッツン姉妹どもと違い、どこか気品を漂わせている気がする

 

「旗風クンか、ふむ…」

 

提出された資料を読むに、性能的には神風姉妹特有のワリと残念なアレらしいな

 

「とりあえずでファームからスタートしてもらう事になるが、安心したまえ、ウチはどんなカスでも安心の熱血指導で鍛え上げ、常にマウンドに上がるチャンスはある」

 

「はぁ…?」

 

「まぁ、最初は稼ぎ口がないから魚雷磨きのバイトでもするといい」

 

「魚雷磨き…?ですか?」

 

「うむ、魚雷を舐めていいぐらいピカピカに磨きあげるカンタンな仕事なのだよ」

 

特に、神風のヤツは出撃の仕事が殆どないせいか、このバイト、かなり極まっており、安心のピカピカ鏡面仕上げにする事に定評がある、アイツにこそ次期工場長と言っても過言ではないだろう…

 

「ま、ガンバリたまえ」

 

ーーー

 

「次の方どうぞ〜」

 

気品溢れる謎の神風型五女が退室し、五月雨は次なる天才達を執務室へと招き入れると、微妙に後ろ向きなノック音の後に、なにやら幸の薄そうなのといかにもオラついた感じのベストメガネが入ってきた

 

「あの…綾波型駆逐艦の、あ、綾波型6番艦の狭霧といいます、よろしくお願いします」

 

「綾波型5番の天霧だぜ!」

 

「ホゥ……アヤナミ型ですか」

 

綾波型っーとアレか、長女次女以外はワリと似てない複雑な家庭の事情のありそうな闇の深いアレか、まぁ提督は空気の読める大人なのであえてその件に関しては触れないが…

 

「まぁいいや、とりあえず座りたまえ、あぁ、ラクにして構わんよ」

 

「あ、はい」

 

「あいよ」

 

俺が紳士的に着席を促すと、ベストメガネ天霧はソファーに深く腰かけ、テーブルの上に一目で程良くしなやかさと強靭さを併せ持つとわかるスラリとした両脚を置いた

 

「ちょ!あま!天霧…っ!?め……面接で!その、提督さんの前でそれはちょっと…」

 

「え?だって、ラクにしていいって言ったじゃん?」

 

「いや…ラクにし過ぎと言うか、さすがにいきなりそれは失礼過ぎると言うか…」

 

薄幸気質っぽい妹の方が焦った様子でオロオロとし、スンマセンスンマセンと俺に頭を下げた

 

「ハッハッハ、別に構わんよ、ルーキーたるもの、やはりそのぐらいの破天荒さがないと!ハッハッハ」

 

「あ……はい、良かった、天霧、提督怒ってなさそう」

 

「アタシら怒られるコトしてなくね?」

 

「してるよ!天霧が現在進行形でしてるからっ!」

 

ベストメガネ天霧はナニ言ってんだコイツ?みたいな顔して耳をホジり、指に付着した耳くそをフッ!と息で飛散させた

 

「ハッハッハ、五月雨クン、彼女らにコーヒーでも淹れてやりたまえ」

 

俺は努めて笑顔で五月雨にコーヒーでも淹れてやりなさいと伝え、五月雨は提督にも淹れましょうか?と聞かれたので俺にはまだ缶コーヒーがあるから結構なのだよと答えた

 

「あ、アタシもコーヒーダメなんで、サギーの分だけでいいっすよ、あ、できりゃオレンジジュースとかないすか?」

 

「そう言えば……天霧ってコーヒー飲まないね、カフェオレは飲むのに」

 

「アタシは甘党なんだよ」

 

フッ、このベストメガネ、大した危険回避能力だ、さすがはかつての大戦でJFKに水をぶっかけただけはある

 

「コーヒーと………オレンジジュースです」

 

「あんがと、えー……髪長い人」

 

「天霧、五月雨さんよ………あ、ありがとうございます、いただきます」

 

一目見てただの薄幸少女である狭霧は専門店で出てきてもおかしくない芳醇な香りを愉しみ、五月雨の淹れたコーヒーを笑顔で啜った…

 

ーーー

 

「次の方どうぞ〜」

 

五月雨の殺人コーヒーを勧められるまま断わりきれずに三杯ものコーヒーをおかわりし、笑顔のまま椅子から転げ落ちてパンツを丸見せにした妹・狭霧

その狭霧を米俵を持つようにワイルドに担ぎ上げた姉・天霧の姉妹が退室し、次なる刺客が入ってきた!

 

「海防艦、松輪です…」

 

海防艦のシムシリくん、択捉に続く新たなる刺客か………なるほど、うん、なるほど、これはもうアレだな

 

「海防艦か…」ギロッ!

 

「ひ、ヒイッ!?」

 

あ、ダメだコイツ、ちょっと目を合わせただけでもうチビりそうになってる、むしろブザー的なモノを引っ張る態勢だよ

 

「まぁそう畏る事はない、チョコレートでもどうかね?」

 

「は…はぁ、ありがとうございます」

 

俺はポケットから取り出した溶けにくいチョコレートを渡し、とりあえずのコミュニケーションを図る事に成功した

 

「とりあえずウチにはほかの海防艦のアツき血潮のキョーダイ達もいるし、わからない事があればキョーダイ達に聞きたまえ」

 

「キョーダイ……あ、択捉ちゃんも、いるんですか?あ、いえ…でしょうか?」

 

「いるぞ、この夏は扇風機の前でアーッと言いながら過ごしてそうだ」

 

「……はい?」

 

「扇風機の前でアーッと言いながら過ごしてたそうだ」

 

「そ、そんな……あんなに真面目で、つよくて、優しい択捉ちゃんにいったい何が……?」

 

松輪は信じられねぇよチクショウ!といった感じで小柄な身体をガタガタと震わせた、コイツの知る択捉とウチにいる択捉ではなんかイメージに差があるみたいだが…まぁアレだろう、択捉からすればオマエの勝手なイメージを押しつけるなと言いたいだろう

 

ゴン!ゴン!(ノックしてもしもし)

 

その時、執務室の安全性に配慮したブ厚い扉が叩き、何者かが執務室へと入ってきた

 

「松輪…」

 

「え、択捉ちゃん!」

 

執務室へとやって来たのは運河ギリギリブッちぎり事案メイトの海防艦、択捉………そして

 

「ほぉ…このちっこいのが同志エトロフのキョーダイか」

 

旧ソからの刺客ッ!アツかりし革命戦士、ガングート!

ガングートは択捉の頭に手を置き、松輪の方を見てニヤリと革命的スマイルを浮かべた

 

「ヒイッ!?だ…誰、誰ですか?アナ…あなたは…っ!」

 

「この人は同志ガングート」

 

「同志…?択捉ちゃん!な…なにを言ってるの!?」

 

「同志は同志以上でも以下でもない」

 

「なにを……?なにを言ってるの択捉ちゃん!目を覚ましてぇ!?」

 

松輪は択捉の肩を掴みガックンガックン揺らして目を覚ませーと哀願したが、択捉からオマエの勝手なイメージを押しつけるなと胸を押されて転んでしまった

 

「ぐえっ……ぅぅぅ!択捉ちゃんが…っ!択捉ちゃんが…っ!」

 

「ハッハッハ、キョーダイ喧嘩はよくないぞ同志エトロフ、それと〜…同志エトロフの妹」

 

「触らないで…っ!!」

 

「ハッハッハ、元気のいいちびっ子だ!なぁ同志エトロフ!」

 

「フーッ!フーッ!なんなんですかアナタ!択捉ちゃんを返してください!私の…っ!私の択捉ちゃんを!」

 

先程までの弱気でオドオドしていた松輪はもういない!今、巨大なる共産主義に立ち向かい、松輪は怒りと殺意に焔をメラメラと燃やしていた

 

「ハッハッハ、同志提督、もう面接はいいだろう?皆、イモートの歓迎会の準備をして待っているからな!コイツは連れて行くぞ」

 

そう言って革命戦士ガングートは松輪をお米様抱っこし、ハッハッハと笑いながら去って行った…ちなみに、松輪は放せーっ!殺すぞーっ!とその可愛いらしい容姿に似つかわしくない怨嗟の声を上げて抵抗していた




次回は後半戦、戦慄!伊・仏・英からの刺客!


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続続続続・提督と新人と面接②

世界の実力を知るワールドワイドインターナショナル面接回、後半戦

【登場人物】

Richelieu
ネオフランスから来た自称最強の戦艦、日本のアニメや漫画好きらしく、好きな漫画家はア●ラ・トリヤマ、好きな映画はAK●RA

Luigi Torelli
ネオイタリアから来た合法潜水艦、あと3回の変身を残している

Ark Royal
細身の槍持って天馬に乗ってそうな第一印象の英国式ロイヤル空母、でも弓兵



喫煙所で一服し、軽く廊下でリアルシャドーをして執務室に戻った俺は提督様専用のエグゼクティブチェアーに座り、机の上に置かれた資料を一瞥した

 

「海外艦か」

 

「えぇ、イタリア、フランス、イギリスと三ヶ国です」

 

今回は欧州からの刺客が多いな、まぁ、そういや夏の大規模作戦が欧州方面だったからその辺の兼ね合いだろうか?

 

「とりあえず最初はフランスから来た戦艦の人です」

 

「フランスか…」

 

そういや以前、フランスから来たコマ……コマンドーなんたらクンの時はフランス語ペラペラだったから困ったなと考えていると、執務室の扉を開きヒラヒラと薔薇の花びらが宙を漂ってきた…

 

「フッ……Richelieu級戦艦一番艦、Richelieuよ」

 

漂う薔薇の香りと花びらの中、薄い金髪のなにやら全体的に白っぽいのが入って来た

 

「自由・平等・博愛の国で生まれた最強の戦艦といったほうが話が早いかしら?」

 

この薔薇の香り……魔宮薔薇ッ!?なるほど、このフランス女、どうやらこの俺と同じく天と地のはざまに立つ美の闘士と言うワケか

 

「しかし最強の戦艦とはな………フッ、笑わせてくれる」

 

「なんですって?」

 

「リシュリーくん程度ではこのサンクチュアリでは雑兵に過ぎんよ」

 

「Richelieuよ、間・違・え・な・い・で」

 

どこからその自信が湧いてくるかは知らんが、正直、こーゆー夢見ちゃったアホは最初にその鼻っぱしらをヘシ折って二度と寝言はほざかんようにするべきだろう

 

「ここで最強の戦艦を名乗りたいなら、まずはムテキセンカン・キヨシを倒してからにでもするがいい」

 

「ムテキセンカン…?な、なにその強そうなナマエ…」

 

心なしか、ムテキセンカンにちょっとワクワクしてる感のあるリシ……リシュリー?いや、リシュフェルくんだっけか?まぁいいや、どうやら彼女はムテキセンカンに興味を持ったらしい

 

「ハッキリ言ってヤベーやつだぞ」

 

「へぇ……ヤベーやつなの、ふぅ〜ん」

 

思いの外、興味津々丸だよ!なんかソワソワしだしたよコイツ、見た目に反し、こんなにヤベーのにワクワクしてくっぞ!みたいな頭してんのかコイツ…

 

「まぁ、興味があるなら呼んでやるぞ」

 

「え!?ホント?いいの?」

 

ーーー

 

「次の方どうぞ〜」

 

最強戦艦武蔵に肩車されるだけと言うお手軽マックス大変身したマキシマムキヨシレベル99の前にドゴズバンされたフランスから来た刺客リシュリューくんは医務室に緊急搬送された…

 

そして!次なる刺客はイタリアからの潜水艦…

 

「Regia Marinaから来たよ、パスタの国で生まれた潜水艦、Luigi Torelli」

 

「潜水艦か…」

 

イタリアから来た合法駆逐艦より更にタチが悪くなった気がするが、うむ…まぁアレか、合法潜水艦か

 

「ルイージくんか……」

 

ふむ、性能はまぁ…うん、特にケチつける点は無さそうだな、うむ

 

「君は開幕一軍でスタートなのだよ」

 

「1 militare?やったぁ!」

 

「ウチは潜水艦の福利厚生は勿論、無理の無い労働形態のホワイトな職場だ、わかんないコトは優しいセンパイが懇切丁寧にイチから教えてくれるのだよ」

 

ルイージくんは嬉しそうに飛び跳ねて開幕一軍を喜んだ、うむ、元気の良いキッズは嫌いではないのだよ

 

「やったぁ!」

 

「うむ、嬉しいのはわかるが顔が近い、顔が」

 

「ルイージさん、その人はAmanti di ragazza piccolaなのであまり近寄ると●されますよ」

 

「幼女愛好家じゃない、提督だ」

 

っーかイタリア語ペラペラか、この青髪ロング!いや、むしろ、この為だけに学んだ可能性すらある…

 

「幼女愛好家ってナニ?」

 

ルイージくんはどちらにしてもあまり意味を理解をしていないらしく、グイグイと距離を近づけてくる……まぁ、俺が生粋のロリペド野郎ならこの時点でジッパーを下ろし、猛る己自身を取り出して歪んだ欲望をブチ撒けていたかもしれんが、残念ながら俺はおっぱいは大きい方がお好みの快男児だ

 

「性犯罪艦のコトだ、具体的に言えば長門だな」

 

「ナガト?」

 

「それはさすがに長門さんに失礼では……いえ、そうでもないですか」

 

「あぁ、そうでもない」

 

ーーー

 

「次の方どうぞ〜」

 

イタリアから来た合法潜水艦が退室し、いよいよ面接も最後の1人、さっさと終わらせて今日の業務は終了ッ!後は先生達とアダルスティックなアフター5なのだよ

 

「私は、Her Majesty's Ship Ark Royalだ」

 

「あー?」

 

「Ark Royalだ、よろしく頼むぞ、Admiral」

 

………アークロイヤルくんか、ふむ、なんだろうなこの感じ、あぁ、アレだ、なんかこう…アレだよ、アレ、なんかこう、説得したら仲間になる系の敵みたいな顔してるなコイツ、アレだよ、提督の知ってる手強いシミュレーションにこんなのケッコーいたよ

 

「アークロイヤルくん、ふむ……空母か」

 

手元の資料を読むに、まぁそんなに残念な性能と言うワケではなさそうだが………なんだコレ?備考欄になんか書いてるな、えー…なになに?特定の条件下なら夜でも航空機を飛ばすとかなんとか…

 

「アークロイヤルくんは夜でもイケるクチかね?」

 

「あぁ、Swordfish限定だが」

 

そう言ってアークロイヤルくんはロイヤルな胸の谷間からビチビチと動く新鮮な生臭いサンマを取り出した

 

「これがSwordfishだ」

 

「…ほぅ」

 

…ひょっとしてそれはギャグのつもりなのだろうか?

アークロイヤルくんは新鮮なサンマを俺の机の上に置き、ニヤリと笑ってみせた

 

「実に新鮮だな、獲れたてかね?」

 

「あぁ、今朝水揚げされたそうだ」

 

「ふむ、そうか…」

 

「まぁ冗談はここまでにしておいて……どうだAdmiral?英国式Rolayjokeはお気に召して頂いたか?」

 

あ、やっぱりジョークだったんだな…なんかすげー真面目な顔してるからマジなのかと思いきや、どうやらこのアークロイヤルくん、真面目な堅物に見えてジョークが好きらしい

 

「実に大爆笑なのだよ」

 

「そ、そうか!うん……そうかそうか、やはり面白いか、うんうん」

 

アークロイヤルくん曰く、先日、明日はこのネタでいこうと思うと陛下の前で披露したら、陛下から物凄く微妙な顔をされ、アナタは疲れているのよと言われたそうだ

 

「女王陛下はイマイチお気に召されなかったみたいだが、フフッ…Admiral、貴方とは話が合いそうだ」

 

「や、それはどうだろうか…」

 

「まぁ、これからよろしく頼むぞ」

 

そう言ってアークロイヤルくんは姿勢正しく腰を折って頭を下げると胸のロイヤルバレーがワリとナイスアングルになり、ガン見するついでに素早く写メを撮った

 

「そうだ!Admiral、これから一緒にDinnerでもどうだ?勿論、女王陛下も御同席なさるが…」

 

「や、それはまたの機会にしておこう、この後、大事な用事があるのだよ」

 

「そうか…まぁ、それなら仕方あるまい」

 

こうして、アークロイヤルくんとの面接もつつがなく終了し、新たなる戦士達、鋼鉄の7人全員の面接は全て終了した…

 

「あー…終わった終わったー」

 

「まったく、アークロイヤルさんの胸チラは最高でしたね」

 

五月雨の野郎はイマイチ感情のこもらない棒読みで俺の机にアツいお茶を置いた

 

「女の子が胸チラとか言うんじゃないよ」

 

「はいはい、あ、私、今日はもうあがりますんで、この後、陸奥さんと鎧伝サムライ●ルーパー一気見大会する予定があるんで」

 

「好きにしろ、俺も今日はもうあがりだ」

 




次回から通常運転、パンツ見せるのが仕事のJKみたいなのがカレーを食べるホンワカ回


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提督と鈴谷と通常営業【その2】

誰もが羨むメインヒロインによるメインヒロインの回、たぶん

【登場人物】

提督(165)
性風紀に厳しい大人、巨乳好きながら選り好みが激しい

五月雨(54)
専業秘書艦、そろそろ休暇でも取りたい

鈴谷(51)
誰もが羨まないただのビッチ、ビッチじゃないと言い張ってはいるものの、ユニコーンは認めてくれない



「ティーッス、金持ち鈴谷様が遊びに来ましたよぉ〜.」

 

アツかりし夏が去り、初秋を感じる執務室に、超A級サキュバス臭をプンプンさせながら頭の悪いJKみたいなヤツがヘラヘラと笑いながら入って来た

 

「消えな、お呼びじゃあないぜ」

 

「提督暇っしょ?鈴谷とゲームしよーぜ!ゲーム!鈴谷の闇払いで提督とかマジどぉしたぁ!でそのまま死ねしてやるし」

 

「やかましい、むしろお前がそのまま死ね」

 

弱いくせにイキがりだけは一丁前な野郎だな、このビッチは…何がそこまでコイツを勝利に駆り立てるのか知らんが、いかんせん、ゲージがあるとすぐに八稚女撃ってくる仕様をどうにかせん限りコイツに良い未来はないな…

 

「俺は忙しいんだよ、お前の相手なんぞしてる暇なんかねぇんだよ」

 

「暇そうじゃん」

 

「暇じゃねぇよ、これから秋の大運動会やら秋の基地開放祭とか色々あるから上への確認やら地域の偉い人に挨拶とかワリと忙しいんだよ」

 

「ふ〜ん」

 

鈴谷のアホンダラは如何にも興味なさげにポケットからチョコバットを取り出し、俺の机によっこらせいとか言いながら腰掛けた

 

「ふ〜ん、じゃない、わかったら消えろ、あと、机から降りろ、ビッチ臭い」

 

「ビッチじゃねーし、ナニ?あ、もしかしてアレですか?後で鈴谷が座ったここに頬ずりとかしたい感じですか?」

 

「いや、お前が消えた後に126℃の高温高圧水蒸気による滅菌処理を行うが?」

 

「除菌どころか滅菌か!っーか鈴谷をなんだと思ってんの!?」

 

「Bitch」

 

「無駄にいい発音ッ!?っーかビッチじゃねーし!!」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレてんのか?いや、イカレているのだろう

 

「鈴谷こー見えてもユニコーンに乗れるぐらいキレイだから!もうピカピカよ!」

 

「ウソつくんじゃないよこのビッチは、お前が乗れるのは一角じゃないで二角の馬だろーが」

 

キィーキィーうるさいビッチの尻を叩き、机からハタキ落とし、とりあえず机の引き出しから取り出したフ●ブリーズで除菌し、俺は椅子から立ち上がって壁ハンガーに掛けていた上着を手にとった

 

「オイ、五月雨、さっさと行くぞ、さっさと」

 

「もう行くんですか?まぁ、別に構いませんけど」

 

「ナニ?提督とサミーどっか行くの?」

 

「えぇ、提督が今日はカレー食いたい気分なので昼はカレーでも食べに行こうと…」

 

チッ!五月雨め、余計なコトを…

 

「ハイ!鈴谷も行きます!」

 

鈴谷のアホンダラは自分も行きますと元気良く手を挙げた

 

「………行けば?」

 

「や、どうせカレー食いに行くんなら一緒に行こうってば!いいじゃん!サミーと一緒には行くのに鈴谷とはイヤっての?」

 

「イヤですが?」

 

「そ……そこまでドストレート言われると、さすがに鈴谷でも傷つくんですけど…」

 

「大丈夫だ、オマエの強靭なハートはこの程度の傷は自己修復出来る、不死鳥の如くな」

 

「え?そうかなぁ?うへへへ〜」

 

コイツ、どこまでアホなんだろうか?提督としてはアホ過ぎて悪い大人に騙され、散々使い倒されてボロ雑巾のように捨てられるコイツの未来しか見えないのだが…

 

「まぁいい、そんな行きたいなら店の前まで同行を許可する、あ、入るのは俺らが入店してから5分後にしろよ、あと席は離れたところに座れ」

 

「徹底的かッ!!なにそれ!?いいじゃん!今日は鈴谷自分で払うから別に一緒でもいいじゃん!」

 

「えー………?オイ、ステディな仲のサミダリューン、卿の意見を聞こう」

 

「五月雨です、あと、いつの間にステディな仲になったんですか?」

 

「今しがただ、40分後に別れるが」

 

「はぁ?………そうですね、別に私は鈴谷さんが居てもいいですよ、心が広いので」

 

「だ、そーだ、良かったな鈴谷」

 

俺と五月雨のクール&スタイリッシュな話し合いで、これ以上モメてもさらに面倒くさいとの高度な判断を下した

 

「な…なんか釈然としないんですけど、え?ナニ?この鈴谷が悪いサブヒロインみたいな流れ?」

 

「バカ言うんじゃないよ、オマエは誰もが羨むメインヒロインだぞ、胸を張れ!胸を!」

 

まぁ、陵辱系NTRエロ漫画のだが…

 

「うへへへ〜そっかそっか〜!やっぱ鈴谷ってヒロイン的なアレかぁ〜」

 

とりあえず、その一級品とも言える大きな胸を張り、鈴谷のアホンダラはウヒャヒャと笑いながら俺の肩をバシバシと叩いたので股間を蹴り上げた

 

ーーー

 

基地の近くにあるカレーショップ“インド人を右に”

適度なスパイシーさと今流行りのインスタ映えしそうなオシャレな見た目で人気のカレー店、毎週木曜日定休日

 

「俺メンチカツにするからオマエの豚シャブと交換しよーぜ」

 

「なんで私が豚シャブ注文するの前提なんですか、私もメンチカツにしようかな…」

 

「君はバカか?オマエがメンチカツ頼んだらメンチカツとメンチカツ交換しなきゃならねーだろーが」

 

「なんでオカズの交換前提なんですか、アレですか?アレも食べたい、コレも食べたいJKかなんかですか?」

 

「JKじゃない、提督だ」

 

通されたテーブルで本日のメニューを選ぶ俺と五月雨、なるほど、このオレにタテつこうとは大した青髪ロングだ

 

「鈴谷この喉に絡みつく濃厚スパイシーのホワイトカレーにしよっと、テイトク!テイトク!鈴谷のとちょっと交換してやってもいいよー」

 

「息が臭い、喋るな」

 

「ヒドっ!?っーか臭くねーし!!」

 

「お前は俺が質問した時にハイかノーで答えていればいい」

 

「ハイかノーって………うん、意外と普通じゃん、っーか臭くねーし!」

 

鈴谷のアホンダラはテーブルをバシバシ叩き抗議の声を挙げてみたが、店員のオネーちゃんからうるせぇよと怒られて銀のお盆で頭を殴打され、顔面からテーブルに叩きつけられた

 

「痛てェ!!」

 

「スイマセンねオネーさん、この子アホなんですよ、大目に見てやってください」

 

「アホじゃねーし!!」

 

「スイマセンねオネーさん、この子ビッチなんですよ、大目に見てやってください」

 

「ビッチじゃねーし!!おかしくね!?鈴谷に対する世間の仕打ちがヒドくね!?」

 

鈴谷は再びバシバシとテーブルを叩き抗議の声を挙げたので俺は店員のオネーさんより早く、鈴谷の口にスプーンをつっこんでやった

 

「ウゲェ!?」

 

「やかましい、オネーさん、メンチカツカレー2つとコイツに水道水を1つ」

 

「違うし!喉に絡みつく濃厚スパイシーホワイトカレー!あ、大盛りで!」

 

ーーー

 

「頂きマッスル」

 

「いただきます」

 

「うめー!コレめっちゃ………うっ!濃い…っ!」

 

ワザとやってんのかコイツは…?しかしアレだな、なんか妙に白いカレーってのもアレだが、コイツが白いカレー食ってるともはや食●ーにしか見えん

 

「…ナニ?その目は?あ、もしかしてちょっと欲しい?あげないよ」

 

「五月雨、お前のメンチカツと俺のメンチカツ交換しよーぜ」

 

「それ、なんか意味あるんですか?」

 

「無視かよッ!!」




次回は新しい装備を開発する回、たぶん


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提督と夕張と殺戮の天使

狂気の天才M巡Y張

【登場人物】

提督(166)
1%足りないSAMURAIの血はガッツで補う

夕張(29)
痛みが生と性を実感させてくれる人の痛みがわかる根はいいやつ、根は


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です!」

 

爽やかな秋晴れの執務室、どうやったらサラトガのオパーイを合法的かつメチャメチャに揉みしだく事ができるのか、ゲーデルの不完全性定理に当てはめつつこの難問に挑んでいると、完璧無乳大数軍の刺客“完熟”のメロン野郎がニコニコと笑みを浮かべながら入って来た…

 

「ハッキリ言って自信作です!」

 

「二度言うな」

 

二度も自信作と言うぐらいだからこれは相当ロクでもないものを作りやがったなこのヘソ出しメロンは…

 

「とりあえず見せてみろ、見てから修羅の左か、菩薩の右か判断してやろう」

 

「はいっ!」

 

俺は世紀末救世主の如く指をバキバキと鳴らしながら夕張にとりあえず見せてみろと伝え、夕張は相変わらずちょっと嬉しそうに元気良く返事した

 

「今回開発………と言えばやや語弊がありますが、まぁ細かいコトは抜きにして、今回開発しましたのはこちら!モビルアーマー!ハシ●マルです」

 

「…足がないな」

 

「足なんか飾りです」

 

夕張の指差した窓の外にそびえ立つ全長30メートルはゆうに超える巨大なマシーン、そのスタイリッシュなデザインはまるで今にも飛び立つ巨大なる鳥を彷彿させてくれる

 

「こちらのハシュ●ルですが、あの巨体で参るほどの高い機動性、しかもレールガンでも傷一つ付かないナノラミネートアーマーの高い防御性能があります」

 

「ほぉ」

 

「そして!なんとこのハシ●マル!頭にビーム砲を搭載しており、その絶大な破壊力は戦艦タ級ぐらい消し飛びます」

 

それ、すげぇのかそうでもないのか微妙な威力だな…まぁ、ビームである以上、射程は相当なものがあるんだろうが…

 

「あと、このハシ●マル、完全自律型のAIを搭載してまして、とりあえず人を見たら殺す事を前提に動きます、まさしく殺戮の為のマシーンです」

 

「それダメなヤツじゃねぇか!?なんでそんなヤバいAI積んでんだよ!」

 

「さぁ?正直なところ、コレ、地面に埋まってたのを拾って修理しただけなので詳しい事はよくわからないんですよねー」

 

ギャオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

まるで雄叫びの咆哮のような駆動音が唸りをあげ、窓の外に立っていた殺戮の為のマシーン、モビルアーマー・ハシ●マルは空にビームをブッ放しながら動き出した

 

「ヒイィ!?動き出した!?」

 

「ちなみにこのハシ●マル、目標を破壊するだけではなく、自ら思考し効率的な戦闘を行う高度でヤンチャなAIで、とにかく人が多く居る場所を真っ先に攻撃します!徹底して人類殺戮の効率を高めた機体です!ぶっちゃけ厄祭戦もコイツが暴れ回ったせいじゃないかと…」

 

「とりあえず止めろ!」

 

「あ、無理です」

 

この野郎、なんてヤバいバケモノを蘇らせやがったんだ…

その人類抹殺マシーン・ハシ●マルはビームを撃ち終えた後、ノソノソと基地の外へ向かって動き出した

 

「オイ、なんか動いてるぞ」

 

「たぶん街に行くつもりですね、たぶん今日辺りだとイ●ンモールとか人がめっちゃいるんで」

 

「アホかァァァァァァ!!」

 

ビタンッッ!!(ビンタ)

 

「だるびっしゅ!!………痛い、痛いじゃないですかぁ」

 

痛いと言いつつも気色の悪い笑みを浮かべる夕張に、さらに下腹に蹴りを入れると、おごぉ!と言って腹を抱えて光る吐瀉物をビチャビチャと吐き出した

 

しかし、あんなのが街に行ったら殺戮のパレードが始まるのは確実ぅ!だ、しかもこのままでは俺が秘密裏に開発した殺戮マシーンを解き放って民間人を虐殺したとかあらぬ誤解でダースの罪状を付けられ、良くて裁判無しの処刑、悪くて裁判無しの処刑の二択だ………なんとか、なんとかしなければッ!

 

「…ハッ!長門!こーゆー時は長門だ!」

 

そうだ!こーゆー時こそ、いや、こーゆー時にしか用はない頼れるタフ・ガイ、あの古代殺戮兵器オ●ガにも殴り勝った事のある長門ならあのバケモノにも勝てるハズ…っ!

 

「五月雨!長門だ!長門を呼べ!」

 

「長門さんなら今日は休暇で居ませんよ、なんか“フッ、もしかして私も作曲活動をして動画サイトに公開していたらかわいいJSから曲を作ってくださいとお願いされるメールが来るのではないだろうか?”と言って朝からグラーフさんと出かけましたよ」

 

「長門ェ!!」

 

何考えてんだあの性犯罪艦は!そんなラノベ特有の上手いハナシあるワケねーだろーが!っーか、そんなの仮にあってもただしイケメンに限るだよ!オマエじゃダ………いや、長門はワリとイケメンか、うむ、そこは意外にも大丈夫だったな

 

「チッ!なら武蔵だ!最大!最新!最強の超戦艦武蔵ならあのバケモノも…」

 

「武蔵さんなら今日は薬局に新しいブラ買いに行くとか言って朝から出かけましたよ」

 

「アイツにブラ必要ねぇだろ!っーか薬局にブラってなんだ!包帯か!?新しい包帯買いに行ってんのか!?」

 

どいつもコイツも使えねぇ……仕方ない、あまり気は進まないが、金剛率いるダイヤモンド・フォースどもならあのバケモノもなんとか…

 

「オイ、金剛姉妹は?アイツら暇人だろ?」

 

「たぶん、まだ寝てるんじゃないですか?」

 

「イイ身分だなオイ」

 

俺が身を粉にして働いていると言うに、あのクサレ姉妹どもは……しかしヤツらの実力は本物だ、特に金剛は常に俺の心臓を狙う野心家でもある

 

「アヒャヒャヒャ…っ!ハシ●マルはもう誰にも止められませんよォ!」

 

「やかましい!」

 

夕張は狂気の科学者特有の片手を額に当てて狂ったように笑っていたのでとりあえずヘソに一指拳をブッ刺すと、んほぉ!と言って両膝から崩れ落ちた

 

「誰のせいでこーなってんだ、誰のせいで」

 

「全部私のせいです…っ!」キリッ!

 

「そ・う・だ・よ!全部オマエのせいだよ!」

 

「アギャ!アギャヤアアア!ひた!ひた…っ!ひたひはらないひでぇぇぇ…!」

 

夕張は舌を引っ張られつつも痛い痛いと手で降参のタップをしていた、ついでに、窓の外では運悪く外を歩いていた自称フランスから来た最強戦艦がハシ●マルの前脚?に掴まれてギャーギャー言いながらブンブン振り回されていた

 

「クッ!人類にヤツを止める手段はないのか!」

 

絶望の殺戮マシーン・ハシ●マルに、最早打つ手がないのかと頭を抱えていたその時、執務室の扉をノックし、なにやら黒くてちっこいのが入って来た

 

「遠征したきたから、ハンコ」

 

「ミカァ!」

 

遠征ワクワクスタンプカードを片手に、資材調達の遠征から帰ってきた三日月…っ!俺は三日月の肩を軽く叩き、右の親指で窓の外で最強フランス戦艦をクチバシ的なものでブンブン振り回す巨大な殺戮マシーンを指した

 

「ミカァ、やってくれるか?」

 

「…いいけど、アレなに?鳥?」

 

「デカい鳥だ」

 

俺はロッカーから取り出した鉄パイプを三日月に渡し、三日月はアレがあると提督の邪魔なんだよね?と確認してきたので、俺はやっちまえ!とだけ指示し、三日月は鉄パイプを持ったまま果敢に窓から飛び出した……まったく、すげぇよミカは、強くて、クールで、度胸もある、アイツの背中を見ているとこの先の海へ進めねぇコトはねぇ、俺達は何処にだって行けるって気がしてくるぜ…

 

ーーー

 

三日月の悪魔的活躍の甲斐あり、モビルアーマー・ハシ●マルの脅威は去った…

 

「何か言いたい事はあるか?」

 

「ハハッ!全部私のせいですっ!」

 

執務室の床でニコニコと笑いながら正座するまったく反省の見られない狂気の天才軽巡、マゾ張

 

「スネークバ●トぉー!ですか?それとも怒りのスネークジェノ●イドですか?あ、もしかしてもっと痛いコトですか?」

 

コイツ…今から自分に起こるであろう凄惨なる痛みにワクワクしてやがる…っ!とんでもないドヘンタイだよコイツは

 

「五月雨、ロッカーにダンビラ入ってるから出せ」

 

「ア●ルですか!?それともア●スですか!?ヤるんですね!メチャメチャに!エロゲーみたいに!」

 

「やかましい、ちょっと黙ってろこのマゾメロン」

 

五月雨から受け取ったダンビラを引き抜き、切っ先を今にもメロンエナジースパークリングしそうに息を荒くする夕張に向けた

 

「斬るんですね…っ!龍●閃ですか?龍●閃ですか?龍●閃・旋→凩→嵐ぃ!ですか?」

 

「フーッ〜………みずちィ!!」

 

「………あの、特にナニもないんですが?むしろ、なんか心地よい風が吹いたような…………ブハァ!!!」

 

「お前にも聞こえただろう?風の、清響が…」

 



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提督と秋雲とガニメデの空

たまに帰ってくるアツかりし漫画家(自称)回

【登場人物】

提督(167)
漫画にうるさい漫画素人、ちなみに絵心はない

秋雲(7)
アツかりし少年漫画家、団地妻エージをライバル視している、一方的に

Iowa(7)
ネオアメリカから来たバトルシップガール、バーガーはラージサイズでもやや足りない




「どーっすか?」

 

特に急ぎの仕事もない秋の執務室、俺は自称・少年漫画家、秋雲の原稿をパラパラとナナメ読みしながら缶コーヒーを飲んでいた…

 

今回のアツかりし少年漫画家秋雲センセイの新作はあえて自らの得意分野である80年代風のアツい画風を封印し、今風のキャッチーな絵柄で描かれたアツかりし漫画“うらら人別帖”……キャッチーで萌え的な絵柄のどちらかと言えばキュートで躍動感あるキャラクター達がキャッキャウフフする漫画ならアニメ化すら視野に入るのではないだろうかと思うのだが、残念ながらこの漫画はキュートで躍動感あるキャラクター達が不戦の約定を解かれた事をいい事に驚天動地!人外魔境の占術合戦を繰り広げる殺戮のパレードみたいな漫画である…

 

「秋雲的にはこの、また死んでおられるぞーってトコにちょっと笑いの要素を入れてみたんすけど」

 

「オマエ、相変わらず絵だけは上手いよな」

 

「そーっすか?」

 

まぁ、絵だけなんだが……しかしダメだな、これでは今のジャ●プを救う救世主にはなれないッ!人気漫画が立て続けに終わり、さらにはあのこ●亀すら連載終了した今のジャ●プを再び輝く黄金のような絶頂に押し上げるにはパワーが足りなさ過ぎるッ!

 

「しかし今回はまた画風をガラッと変えてきたな」

 

「えぇ、秋雲組内でも相談してみたんすけど、どうせならガラッと変えてみた方がイケるんじゃないかと…」

 

しかし正直なところ、秋雲的にどうしてもガクランの男や腹マイトのアツいキャラクターが描きたいらしく、ちょいちょい背景のモブに本宮ひ●志的なキャラクターが描かれていた

 

「やっぱアレっすかね?時代のニーズ的には最強主人公が無双してヒロイン的存在とズッコンバッコン大騒ぎする系がウケるんすかね?」

 

「女の子がズッコンバッコンとかゆーんじゃないよ」

 

「じゃ、おセ●クス」

 

「おセッ●スじゃないよ、ナニふわっとした感じで言ってんだよ、“お”を付けたぐらいで誤魔化されるワケねーだろ」

 

まったく、どこでそんないかがわしい単語を覚えてくるのかね、この駆逐艦は…インターネッツか?インターネッツがやはり性の温床になっているのか?ふむ…やはり駆逐艦のキッズが使用する事を考えて厳しい閲覧制限を視野に入れないといかんな

 

「まぁいい、とりあえずマミーヤ行って連載会議でもするか、提督様がパフェぐらい奢ってやろう」

 

「マジっすか、あざーす!テイトクあざーす!」

 

「褒めるなよ、兵が見ている」

 

そんな俺たちのやり取りを見ていた五月雨は、ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?といった顔をしていたが、俺たちは別にイカレてはいない、俺たちはこれからのジャ●プの事について真剣に憂うまさしく生粋のジャ●プっ子であろう…

 

ーーー

 

「本日のオススメはバターとメープルシロップたっぷりホットケーキ-ヒマワリの丘-です」

 

甘いモンも辛いモンも扱うこだわりの店、間宮

そのこだわりは和洋問わず、材料や製法は当然、そして器材に環境、さらには調理時におけるコンディションまでもこだわりを持つ美食の求道者、間宮が自ら作り上げる品は常に最高であると噂されている………まぁ、俺としては熟れたボディを持て余し気味の安産ヒップが作っているだけと言う付加価値しかないが…

 

「ふ〜ん、このチーズケーキ2つとコーヒーくれや」

 

「本日のオススメはバターとメープルシロップたっぷりホットケーキ-ヒマワリの丘-です」

 

「いいから早くしろよ、モタモタすんな乳牛が」

 

「乳牛じゃありません間宮です、訴えますよ、レ●プされたって」

 

こ…この乳牛、いや間宮め…ッ!なんて卑劣な脅し文句を!だが俺は心の広いグッドガイだ、間宮、いや、マミーヤよ、オマエにその良き子を産めそうな尻に敬意を払い、その無礼を笑顔で許そうではないか

 

「ゴメーヌ」

 

「わかればいいんですよ、ちなみに今日のオススメはバターとメープルシロップたっぷりホットケーキ-ヒマワリの丘-です」

 

「チーズケーキ2つ」

 

ーーー

 

間宮とのアツい駆け引きに競り勝ち、俺と秋雲はチーズケーキの載った皿を手にテキトーに空いているテーブルに座った

 

「やっぱ秋雲さん的には上半身裸の男達が奥義を繰り出して見開きでグシャー!とかBAKOOON!とかがウケると思うんすよ」

 

「それオマエが描きたいだけだろーが」

 

「まぁ、そうなんすけど」

 

たしかに、秋雲本来のアツい絵柄には友情!努力!勝利がよく合うし、俺個人としては好みなんだが残念ながら最近の流行りと合っていないのも事実…ッ!

 

「どうせならエロ漫画でも描いたらどうだ?オマエ絵だけは上手いしな」

 

「エロ漫画っすか〜…う〜ん、前に練習で描いてはみたっすけど、どうにもチ●コが上手く描けないんすよね〜」

 

「女の子がチ●コとか言うんじゃないよ」

 

「じゃなんて言ったらいいんすか?」

 

「…ペ●ス?」

 

「ぺ●スっすか」

 

「女の子がぺ●スとか言うんじゃないよ」

 

「じゃなんて言ったらいいんすか!?」

 

一般的な秋雲はどエロい漫画を得意としているらしいが、残念ながらうちに居る秋雲はどエロい漫画をまったく得意としていないらしく、濡れ場と言えばどうしてエレクチ●ンしないのよォー!とチ●コを殴る系ならワリと描けるらしい、そんなアツいチ●コ話を俺たちがしていると、マミーヤの扉をOpenし、新たなる客が入って来た

 

「Oh、Admiralと〜…エー……アキグモ!」

 

「ん?」

 

「あ、アイオワサン、チーッス」

 

米国からやって来たダイナマイツパッキンガール、アイオワはマミーヤバーガー・ラージサイズセットのトレイを片手に、俺たちの座るテーブルによっこらS●Xと小粋なアイオワジョークを交えつつ座った

 

「ナンのハナシしてたノ?meもまぜテー」

 

「漫画についてだ」

 

「マンガ…?」

 

「Cartoon…いや、どちらかと言えばComic bookの方か?」

 

「Oh!MANGAネ!meも好きよ!昔は大きくなったらmeもX-M●Nに入るんだって言ってたらMummに叱られたワ、X-M●Nより先にCheer leading clubにしなさいってネ!」

 

陽気なアメリカンファミリーか、まぁ、その後は残念ながらX-M●Nにもアベン●ャーズにも入れず、カレッジではエースで4番のメジャー確実視されていたが何の因果かネービーに入隊、最新鋭の恐竜みたいなガンガン殴られても平気な浮かぶパンチングマシンとしての人生を送っている、人生とはわからぬものだ…

 

「ソレで?AdmiralとアキグモはナンのMANGAのハナシしてたの?NAR●TO?meも好きよ!NARUT●!」

 

「秋雲の描いたマンガについて話をしていたのだよ」

 

「アキグモの描いた……?Oh!アキグモ!アナタMANGA描けるの?アナタ、センセイだったノ!?」

 

「いやぁ、センセイってほどでは〜」

 

初めて見る日本の漫画を描くセンセイに大興奮のアイオワは目をキラキラさせながらアクシュアクシュと秋雲に手を硬く握り、秋雲は秋雲でまんざらでもないのだろう、いやぁ〜と言いながらヘラヘラと曖昧な笑みを浮かべていた

 

「マサカこんな身近にセンセイがいるとハ…後でサラにも教えてあげないト…」

 

「サラトガもマンガとか読むのか?」

 

「えぇ、サラは私より日本のMANGAに詳しいワ、最近はえ〜……エー……あぁそうそう、カシマ、カシマによく借りてるみたいネ」

 

「ほぉ、鹿島先生に…」

 

「でもサラったらケチなのヨ、カシマから借りたトクベツな本はmeには見せてくれないのよ、ケチよネ」

 

サラトガェ………そう言や最近明石の店でちょいちょい見かける気がしてたが…

 

「ところでアキグモのMANGAはどんなヒーローが出てくるの?」

 

「え…?ヒーローっすか?う〜ん、ヒーロー……そういやヒーローモノって描かないっすね」

 

「ヒーローって言えばやっぱ変身モノか」

 

「変身ヒーローモノっすか、なるほど!なんか閃いてきたっすよ!テイトク!この秋雲に妙案アリっすよ!」

 

秋雲は椅子に座ったままの姿勢からまるで見えない力に圧されたかのように飛び上がり、床に着地した

 

「こうしちゃいられねぇ!!今すぐネームっすよ!今すぐ!」

 

「よし!その熱意や良し!心意気や良し!」

 

「よくワカらないケド完成したら読ませてネ!」



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足柄と大淀とFatalFury -戦慄の魔●街-

伝説には続きがある、帰ってきた戦慄の足淀回

【登場人物】

足柄(10)
キッズ達から絶大な人気を持つ伝説の狼、ケッコンとかそんな感じのアレは幸せで幸せで幸せの絶頂でと考える昨今珍しい身持ちの堅さ

大淀(8)
見た目だけはインテリ眼鏡系軽巡、足柄とマジダチ
通販でつい買ってしまったアイテムをついムラムラした日につい試してしまう私の癖、ワリと激しい


「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、復讐と言う名のワリと重いバックストーリーを持ちながらも、陽気で面倒見がよく、私生活は些かだらしないものの駆逐艦のキッズ達から憧れの目で見られている…

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

足柄とはキンダーガーデンの頃からの腐れた付き合いらしく、伝説の狼の伝説には常に立ち会って来たベストフレンド…

 

「まぁ落ち着けよ足柄よォ~…ここはキッズのリゾート、談話室だぜ?見ろ、キッズ達がビビってババ抜きできねぇじゃねぇよォ~」

 

憩いのスペース、談話室…

広めのフローリング、寝転がれる畳敷き、誰かが持って来て放置した微妙に巻数が抜けてる漫画本、そしてスーパーファミ●ン内蔵テレビ、艦種を問わずに誰しも楽しめるスペースである談話室で、吹雪姉妹はおやつを賭けたババ抜きをしていたが、荒れ狂う狼にビビり部屋の隅でガタガタと震えていた

 

「フッ…私としたコトが」

 

足柄はポケットから取り出したC●ACHの財布から紙幣を抜き、一番近くにいた磯波にスタイリッシュに投げ渡した

 

「悪かったなオマエらーッ!コイツでナニか美味いモンでも買いなーッ!」

 

「ヒュー!さすが足柄サンズラー!」

 

「もんげーワイルドズラー!」

 

キッズ達は足柄に頭を下げ、キャッキャとハシャぎながら談話室から去って行った

 

「………で?今日はなんで荒れてんだオメー?」

 

「あ゛ー?」

 

大淀はテキトーに空いてる椅子に座り、テーブルの上に置いてある瓶の中からマシュマロを取り出して口に放り込んだ

 

「まぁ……ほら、アレよ、昼間デパート行って来たワケよ」

 

「ふ〜ん、え?ナニ1人?1人?お独り様で?」

 

「いや、アサシとキヨシとカスミもいたけど?」

 

「ハイハイハイ!またキタよコレ!ハイハイ!またハブられたよ!礼号組鉄の結束!礼号組はみんなファミリーとか言っときながらまたナチュラルにハブりやがったよォー!」

 

大淀はテーブルをバンバンと叩きながらありえねー!っーかありえねー!ねーわー!マジねーわーと言いながら近くにあった椅子を蹴り飛ばした

 

「え?なんなの?オマエらマジなんなの?ファミリーじゃねぇの?家族じゃねぇの?礼号組は決して散る事のない鉄の結束じゃねぇの?ってかナニ?この大淀サンは礼号組じゃねーの?なんでいつもいつも誘わないの?おかしくね?な?おかしくね?」

 

「おかしくねーし、っーかちゃんと誘ったわ」

 

「は?誘われてませーん?ナチュラルに誘われてませーん!」

 

「………朝、アサシとキヨシがオマエんトコ行ったら“大淀さんまたチ●コ生えてたー”とか言って戻ってきた」

 

「………あぁ、うん」

 

大淀はとてもバツが悪そうに足柄から視線を逸らし、瓶の中にあったマシュマロを1つ口の中に放り込み、うん、うん、あー…うん、と1人頷いた

 

「や、オマエマジ……まぁ、アレだよ、ムラムラする日とかあるし、スるなとは言わないけど、うん…せめて鍵くらい閉めようぜ?な?」

 

「や、閉めたと思ってたんだけどね?うん、アレかな?昨日はちょっとベロベロだったから気が大きくなってたとかそんな感じだったのかなー私、うん」

 

「アサシに至っては“なぁ!アタイも大人になったらチ●コ生えんのかー!”ってワクワク全開で聞いてきてマジ困ったわ」

 

「あ、うん、ゴメンね、ホントゴメン」

 

「まぁ、とりあえずアサシには大人って言ったものの心の汚いダメな大人にしか生えないからアサシには生えないって言っといたわ」

 

「オマエなに言ってんの?え?なにそれ?なんでナチュラルに私ディスられてんの?」

 

「うるせぇーよ、っーか挿したまま寝るとかどんだけハゲしーんだオマエ」

 

ーーー

 

「で?ナニよ?荒れてた原因は?」

 

大淀はアツアツのインスタントコーヒーを一口啜り、テーブルに肘をついてナンでも話してみろよフレンドよォ〜と先程までの反省と猛省から立ち直ったかの如くメガネをキラリと光らせた

 

「まぁアレよ、例によってデパート行ってきたワケな」

 

「ナンか買った?」

 

「あー…今回は見てるだけーで」

 

「あーあるある、見てるだけーって日な」

 

「でだ、いつものように私はアイツらにゲームでもしてこいよって小銭渡してブラブラとウィンドーショッピングしてたワケよ」

 

足柄はインスタントコーヒーのコナをティーカップにタップリと投入し、電気ポットのボタンを押してジョードボドボとお湯を注いだ

 

「ナンかいいのあった?シャレオツなヤツ」

 

「あったあった、正直ちょいイイとか思ったけど衝動買いは良くねーわと自制したわ」

 

「どぉしたよウルフぅ?ナニ人生守りに入ってんだよぉ?攻めろよ、そこは攻めるトコだろぉ?」

 

「うるせーよ、ブッ殺すぞクソメガネ」

 

「あ゛ヤんのかコラ?いいぜオイ、立てよ足柄ァ〜タイマンだよ」

 

大淀はピキッ!パキッ!とよくわからない擬音を鳴らしながらティーカップを片手に椅子から立ち上がった

 

「うるせーよ、っーか座れ、ハナシ進まねーじゃねーか」

 

「…それもそーな」

 

大淀は再び椅子に座るとコーヒーを一口啜り、マシュマロを一つ口に放り込んだ

 

「でだ、見るモン見たし、ファミレスでも行って帰るかと思ってガキどものいるゲームコーナーに行ったワケよ」

 

「ふ〜ん」

 

「そしたらキヨシとアサシが太鼓?ほらアレ、太鼓叩くやつドンドコドンドコ叩いてんのな」

 

「あぁアレ、太鼓ドンドコ叩くやつ…」

 

「でだ、ガキども回収してさー撤収と思ってたら、丁度、屋上であの大人気ヒーローショー的なイベントがあるから見に来てねーとか館内アナウンスが流れてきたワケよ」

 

「あー…」

 

「で、キヨシとアサシが見たい見たいってゴネまくり」

 

「まぁ、そうなるわな」

 

「ビ●ドビ●ドうるせーのな、なんだよビ●ドって思ってたらなんか新しいヤツなのな、ビ●ド、一目見てキカ●ダーかと思ったわ」

 

ちなみにカスミは、バカじゃないの!そんなくだらないもの見たいなんてアナタ達ってホント最低のクズね…っ!と口では言っていたが実はちょっとカッコいいと思っていた

 

「で、見に行ったワケよ、ビ●ド」

 

「居た?ビ●ド」

 

「いや………まぁ、結論から言えばビ●ドじゃなかったわ」

 

「は?ビ●ドじゃねーならナニがいるんだ………あ!アレか、いっこ前のヤツだったんだろ?えー…ほら!なんだっけ?アレ!エム?エムなんとか!」

 

大淀はたしか以前、アホなおキッズ様たちが外でキャッキャとハシャぎながら遊んでいたのを思い出した、たしかキヨシが今ポーズ中だから動くなよなーとか言ってリベッチオに絶版だーと言って尻にキックしていたような…

 

「や、エグ●イドでもなかった」

 

「んだよ、ちげーのかよ」

 

「出て来たのはアレだ、ウルト●マンだったわ」

 

「ウル●ラマンかよ、まぁ……ヒーローっちゃ、ヒーローだわな」

 

「もうビ●ドじゃないからキヨシもアサシもガッカリ、カスミもバカじゃないの!とか言ってたけど私の袖引っ張りながら内心超ガッカリ」

 

「っーかちょいちょいカスミかわいいな、足柄、オマエちょっと私とそこ代われよ!」

 

「でだ、ウルト●マンが“これからこのデパートのガキども攫ってくれるわー!ハァーッハッハー!”とか言ってオラつきだしたのな」

 

「それホントにウルト●マンかよ!?」

 

「や、私もよく知らねーけど悪いウル●ラマンなんだって、よく見たら爪とか超なげーし」

 

ちなみに、このステージを観覧していた小さなお友達に交じって眼帯をした見た目イケメンの大きなお友達2名がベリアルー!だの、カイザー!だのアツい声援を送っていたらしい

 

「でだ、そのベリアルだかシリアルだかが誰を攫ってやろうかぁ〜とか言いながらこっち来たワケよ」

 

「ふ〜ん」

 

「もう見た目超怖いからキヨシとか膝ガクガク、アサシも強がってたけど膝ガクガク、カスミに関してはもう半泣きで私にしがみついてんの」

 

「オイ足柄、やっぱオマエ代われ、私とそのポジション代われ」

 

「そしたらベリアルだかカイザーだかがキヨシに目をつけてオマエにしようかァーと言ったワケよ」

 

「あー…」

 

「で、キヨシマジガン泣き、助けてー!助けてー!イヤだー!とか叫びながらマジガン泣き」

 

「あー…うん」

 

「で、アサシがやめろー!キヨシの代わりにアタイにしろーとか言ってベリアルにキック」

 

「ベリアル空気読んで、じゃ、オマエもだーとか言ってアサシもステージに連れてったのな」

 

「ベリアルサービス精神あるなオイ」

 

「カスミはキヨシとアサシのピンチをなんとかしたいけどベリアルが怖すぎてもう蚊の鳴くような声で精一杯勇気を出して“こ…このクズ!や、やめなさいよー”って言ってんのな」

 

「カスミかわいいなオイ!天使かよ!」

 

「でだ、キヨシとカスミのピンチにようやく正義のヒーローっぽいウルト●マンが“もう許さないぞ!カイザーベリアル!”って言いながら出てきたのな、イケボの」

 

「イケボかよ」

 

足柄曰く、ガンダ●マイスターやら銀河美●年みたいなイケボのウルト●マンらしく、そのイケボのウル●ラマンはベリアルにキックして見事キヨシとアサシを取り返した

 

「で、キヨシとアサシはそのイケボのウルト●マンにありがとー!ありがとー!ってマジ感謝」

 

「いいハナシじゃねぇねーの…」

 

「………で、そのイケボのウル●ラマンがステージから私のトコに来てキヨシとアサシに“もう大丈夫だ!さぁ!おかあさんに大丈夫だと言うんだぞ!”って何の悪びれもなく、むしろ爽やかに言ったのな」

 

「あー………」

 

「………マジあのウル●ラマンの顎に問答無用のライジングアッパー叩きこんでやったわ、心の中で」

 

足柄はワイルドにコーヒーを飲み干し、そこら辺にあった罪のない椅子を蹴りあげた

 

「アイツらマジ二度とヒーローショーに連れて行かねぇ、今度オマエ連れてけよ、マジで」

 

「え?ムリ」




次回

姫騎士アークロイヤル-ふむ、オマエはアレだな、あー…アレだ、最低のクズ的なアレだ、うん-


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提督とアークロイヤルと白き翼

クッ!殺せ!

【登場人物】

提督(168)
手強いシミュレーションゲーマーレベル50、命中率100%以外は信用しない

Ark Royal(2)
誇り高き上級女騎士風ロイヤル空母、田舎出身




爽やかな秋晴れのどちらかと言えば暇な日、明石のアホンダラの店で菓子パンと缶コーヒーを購入し、喫煙所でタバコでも吸いながらダラダラしようと考えながら歩いていると、廊下の先で赤い髪の女がチラシのようなものを片手に何やら立ち止まって考えていた…

 

「よぉ、こんなトコでナニやってんだ?えー……」

 

「Ark Royalだ、Admiral」

 

「あ〜そうそう、アークロイヤルくんだ、アークロイヤルくん」

 

最近ウチに配属された英国から来た刺客、英国式ロイヤル空母のアークロイヤル、そのいかにも気高く誇り高そうな外見はまさに戦場を駆ける女騎士を彷彿とさせ、具体的には特定のユニットをコイツの居るマスに隣接させると“はなす”とか“かいわ”とか特殊なコマンドが出て、話しかけると即説得に応じて仲間になってくれそうな上級職の綺麗なお姉さんと言ったところだろう…

 

「で?そのアークロイヤルくんはこんなトコでナニしているのかね?」

 

「Admiralか…いや、実は今日、コレを買いに行こうと思ってな」

 

そう言ってアークロイヤルくんは手に持っていたチラシをずいっ!と俺の顔の前に押し付けてきた、っーか近い、紙が近い、紙が

 

「…なんだこれ?パン屋?」

 

「あぁ、このパンなのだが…先日、女王陛下がこのチラシを御覧になられながら実に美味そうだとうっかり口を滑らせてな」

 

「へぇ〜」

 

っーか、それはただの見た目の感想な気がするんだが…え?なんなの?ちょっとパンが美味そうってコトすら陛下は言うとナニかマズいもんでもあるのだろうか?

 

「そこでこのアークロイヤル、女王陛下に日常の中の小さな驚きを与える為に今日は内密にコレを購入しに行こうと思ったワケだが…」

 

「ふ〜ん、ま、ガンバレよ」

 

得意げに話す気高き上級女騎士、そして、そんな上級女騎士に対して俺の長年の経験則と勘が告げている、コイツには関わるな!キケンがアブナイぞ!と…

 

「ところでAdmiral、もしかしてAdmiralは暇人ではないか?」

 

「誰が暇人だ、どっからどう見ても大忙しだよ」

 

「そ…そうか、それはすまなかった」

 

そう言ってアークロイヤルくんは折り目正しく丁寧に腰を折って頭を下げた、なんだろうな……真面目か?いや、きっと彼女の本分は大真面目なのだろう、あぁ、きっとそうだ、俺はそんなアークロイヤルくんの頭を下げた体勢からチラッと見えるロイヤルバレーを見つつ今日は良い事がありそうだと予感していた

 

「まぁ、提督が暇だったら街まで車を出してやるのもやぶさかでもなかったが…」

 

「車…?あぁ、あのなかなかのパワーとスピードのあるヤツのコトか」

 

なかなかのパワーとスピード?ナニ言ってんだコイツ、イカレているのか?

 

「このアークロイヤルが生まれ育った村には馬車しか走っていなかったからな…」

 

「どこの田舎だよ!」

 

アークロイヤルくん曰く、生まれ育った村は農業が盛んなどこにでもある何のヘンテツもない村らしく、昔はよく村のチンピラどもと一ヶ月のお小遣いを賭けて賭けボクシングをしていたそうな…

 

「しかし車がないと街まではワリと遠いが……まぁ、提督としては公共の交通機関をオススメする」

 

「大丈夫だ、街まで行く足はちゃんと用意している」

 

なんだろうな、このアークロイヤルくんの自信に満ちた顔からは猛烈にイヤな予感しか感じないのだが…

 

「そうだ、せっかくだからAdmiralにも紹介しておこう!少しだけ時間を良いか?」

 

「え?あ、あぁ、まぁちょっとだけなら」

 

紹介………?なんだろうな、もうこの時点でイヤな予感が確信に変わっているが、とりあえず俺はアークロイヤルくんにグイグイと肘を引っ張られて執務棟の外へと出た

 

ーーー

 

「あ、テイトクだ」

 

「テイトクとアー……アーなんとかサンだ」

 

執務棟を出て、俺はアークロイヤルくんと共に倉庫の方向へと向かっていると、アホな顔したキヨシとアホな顔したリベッチオが蟻の巣らしき穴にホースの水を流し込むアホな子供特有の大人になった時に振り返れば無邪気とは言え残酷なコトしたなぁ〜としみじみと思うアホなコトをしていた

 

「アーなんとかではないぞ子供達、私はArk Royalだ」

 

アークロイヤルくんはアホなガキどもに心広く接し、ポケットからサクサクのクッキーを取り出してアホなガキどもに渡してやり、アホなガキどもはお礼を言いつつもスゲーまるで女騎士みてー!だの、クッ殺せって言ってーだのキャッキャとハシャいでいた

 

「クッ!殺せ!………これでいいか?」

 

「スゲー!カッケー!」

 

「リベ知ってる!“殺せ!”じゃなくて“殺した!”なら使っていいってローマさんが言ってたー!」

 

…あのパスタ野郎はピュアなガキになんてコト教えてるのかね

 

「テイトクとアーッさんはナニしてんの?なんか食べに行くの?清霜ハンバーグ食べたい」

 

「行かねぇよ、っーか調子に乗るなクソガキが」

 

「なんだ、じゃ、陛下にお願いしよ」

 

「あー!キヨシズルい!リベも!リベもハンバーグ食べたい!」

 

「オイやめろ、マジで、マジで、ホントやめろ」

 

陛下は大変御心の広い高貴な御方だが、このクソガキどもが何かの拍子で陛下の逆鱗にでも触れでもすれば日英開戦待った無し、そして第三次世界大戦勃発になりかねない

 

「わかったわかった、ファミレスでもなんでも連れてってやるから陛下に無茶を言うのだけはやめろ、な?」

 

「マジで!?ウェーイ!テイトク!ウェーイ!」

 

「ウェーイ!」

 

…このクソガキどもが、本来ならその下っ腹に全力キックブチ込んで水平線まで蹴り飛ばしたいところだが、まぁいい、今日はカンベンしてやる

 

「ところでアークロイヤルくん、そう言えば我々はどこに向かっているのかね?」

 

「ん?あぁ、もうすぐそこだ」

 

アホなガキどもを仲間に加え、俺たちは倉庫前を暫し歩くと、倉庫横になにやら木で造られた小屋?小屋的なナニかが現れた、なんだコレ?提督こんな施設知らないんだが…

 

「紹介しよう、私の愛馬だ」

 

アークロイヤルくんは小屋的な施設の中に入ると、上級騎士御用達に真っ白な馬を連れて外へと出てきた

 

「スゲー!馬だ!」

 

「リベ知っている!これペガ●スだ!」

 

アークロイヤルくんが颯爽と跨っているのは、まるで天馬の翼の如く広がる白くて長いタテガミを持つ純白の馬!これまさに戦慄の白き翼ッ!

 

「私の愛馬、エルアル●ンだ」

 

「ア●コンかよッ!?」

 

まさかの白の一族かよッ!!っーかやっぱコイツ、空母じゃないでペガサ●ナイトかなんかじゃないのか?三人揃ってトライア●グルあたーっく!ってヤツだろ!?

 

「スゲー!馬スゲー!アーッさん!乗せて!清霜も乗りたい!」

 

「あー!キヨシズルイ!リベも!リベも乗りたい!」

 

「…あの、アークロイヤルくん」

 

「なんだ?Admiral」

 

「もしかして、それで街まで行こうと?」

 

「………何か?」

 

アークロイヤルくんは何か不思議なコトが?とも有りげな顔で首を傾げているが………わかった、コイツ、アホなんだな、あぁわかったよチクショウ!ただの美人じゃないでやっぱアホなんだな!!



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提督と革命同志と籠球部

たまに秋刀魚が釣れる今日この頃…

【登場人物】

提督(169)
暇なようで暇ではない大人、今年も秋刀魚漁はイマイチが気が乗らない




夏の暑さもどこへやら、朝のアツい缶コーヒーが俺の身も心もHOTにしてくれる秋の季節……上からは去年と同様、秋刀魚漁しろだのワケのわからんお達しが届き、イマイチ気乗りしないがとりあえず誰か暇人にでも行って貰うかと考えながら廊下を歩いていると、大漁旗みたいな旗を持った超絶美少女とすれ違ったが………あれは誰だったのだろう?

そう言えばマジダチの木曾が最近球磨ねーちゃんと多摩ねーちゃんが居なくなり、なんか部屋に見たコトない超絶美少女がいるんだけど…とワケのわからんコト言っていたが、ラノベじゃあるまいし、そんな超絶美少女同居展開などあるワケがない、たぶんあいつラノベの読み過ぎだろう…

 

「よぉ、どっちが勝ってんだ?」

 

「あら?提督、珍しい」

 

スポーツの秋に相応しくアツかりし青春の汗が飛び散る汗臭い秋の体育館、俺は自販機で買った缶コーヒーを飲みながら観覧席のベンチに座る陸奥の横に座った

 

「今のトコいい勝負って感じかしらね」

 

「なんだ?今のトコって、含みがあるなオイ」

 

「まぁね」

 

陸奥曰く、由良さん率いるチームは夕立のアホが寝坊して絶賛遅刻中なのでまだ本気ではないらしく、エースを欠いた状態なのだがやはりそれでも強豪、性格の悪さに定評のあるPGの黒潮を中心に序盤から高いチーム攻撃力を見せてはいたが………問題は、その対戦相手、全体的に小柄なメンツが揃い、今もコート上をちょこまかと走り回っている…

 

「ヘーイ!クナ!パスパース!」

 

「姉さんうるさい!ってかそんなマーク厳しくてパスとか無理っ!」

 

……今日の対戦カードは最強攻撃力を誇るチーム由良と、新進気鋭の新チームの練習試合らしい

 

「…ナニやってんだ?アイツら」

 

「今季から参入した新チームだけにデータがないのよ」

 

「ふ〜ん」

 

チームベンチの方を見るに、チームを率いる監督は旧ソから来たアツかりし革命戦士ガングートらしく、ガングートは隣に座るチタタプもといチチタプなドエロス民族衣装的な服の補給艦となにやらファイルを見ながら話をしていた

 

「あぁ、アカンなぁ〜…ウチはユウダチだけが怖い選手やないで」

 

「うぉー!またクロシオだーッ!」

 

「相変わらずイヤなところで決めてきやがる!」

 

「ハラショー、1本、切り替えていこう」

 

さすがは人のイヤがるコトさせたら右に出るものはそうは居ないと言われる黒潮、連続ポイントで勢いに乗りたいチーム革命同志の勢いを抜群のタイミングで切ってきやがる、大したやつだ

 

「同志エトロフ…っ!」

 

「…む」

 

「なんやと!?」

 

見事、天使のようにボールを奪い取った択捉は天使のようなドリブルで相手のゴールめがけて天使のように突き進み、そして………センターの陽炎をブッ倒しつつ悪魔のようなワンハンドリバースダンクをゴールに叩き込んだ、その姿、まさに悪魔ッ!

 

「よぉーし!いいぞ同志エトロフ!天使のように細心に!悪魔のように大胆にだーッ!」

 

「ありがとうございます同志ガングート」

 

「よぉーし!ヤツら資本主義のブタどもに我々の力を見せつけてやれ!」

 

「了解、同志ガングート」

 

「同志シム…シム、シムなんとか!同志ヴェールヌイここからは戦術No.3だ!」

 

「戦術No.3!アレを使っていいんしゅか!?」

 

「構わん、ヤツらにシベリアのブリザードにも勝るバスケ地獄を見せてやれ!」

 

………ナニやってんだアイツは、っーか択捉!択捉なんかさっきスゲー難易度高い技してたぞ、しかもワンハンドとかハンパじゃねぇ、あのレベルの技はそうそう見られるモンじゃない

 

「よぉーし!同志ウコチャヌプコロ、例のドリンクを」

 

「用意してます、同志」

 

第2クォーター終了、ベンチに下がってきた同志達に何やらマズそうな色をしたドリンクを手渡すドエロス補給艦、たぶんあのドリンク、尿検査したら確実に何かに引っかかる成分がふんだんに使われているだろう…

 

「………オイ、陸奥」

 

「なに?」

 

「アレ、いいのか?」

 

「どうかしら?たぶん尿検査したら何かに引っかかると思うけど」

 

ーーー

 

アツかりし練習試合はヘラヘラ笑いながら遅刻してきた夕立が第3クォーターから参加、チームの指導者である由良さんから遅刻の罰にノルマ2倍ねと言われていたが、結果的には264得点の内、夕立1人で62得点を挙げ、やはり白露型キセキの世代はハンパじゃねぇと戦慄するコトとなった…

 

264対88のトリプルスコアでの敗北にさぞやガッカリしているだろう…

 

「よぉ、まったく惜しくなったけど惜しかったな」

 

「む?なんだ……同志提督か、見ていたのか?」

 

「あぁ、たまたまな、あと同志じゃない、提督だ」

 

ガングートは分厚いファイルを神威に預け、ハッハッハ!見に来るなら見に来ると言っておかないか!水臭いぞ同志提督とかワケのわからんコトを言いながら俺の背中をバシバシ叩き、まぁ座れ座れ!ほら!ここに座れとベンチを叩いた

 

「あ、提督っす」

 

「ホントだ、こんにちは」

 

アホのシムシューくんと違い、アホじゃない国後は目上の大人に頭を下げる事が出来る礼儀正しい子らしい、ファンキーな頭の色をしているが人は見かけで判断してはならないと言うコトだな

 

「択捉ちゃん、もう試合は終わったし帰りましょう!」

 

「まだミーティングがある」

 

「そんな汗臭いコト択捉ちゃんはしなくていいです、早く帰りましょう!早く!」

 

最近新加入した新しい事案メイツ、松輪は姉である択捉の肘をぐいぐいと引っ張りさっさとこの場を去ろうとしていた…

 

「ハッハッハ、まぁ待て同志エトロフ、あと同志エトロフの妹」

 

「同志ガングート…」

 

「同志じゃない!松輪!あと択捉ちゃんを同志とか言うのもやめてください!」

 

見た目清楚の黒髪ロングはありえないほど憎悪を込めた目でガングートを睨みつけて威嚇している、はて?この子はもうちょい弱気と言うか、内気な子だった気がするのだが…

 

「ハッハッハ!相変わらずイキがいいなァ!同志エトロフの妹!ハッハッハ!」

 

「触らないでくださいっ!」

 

「まったく!やはり子供はこれぐらい元気が良くないとな!ハッハッハ!」

 

同志占守曰く、同志ガングートからの誘いではチームメイトになる事をイヤがった松輪は同志択捉からの頼みに即堕ちし、とりあえず択捉がいるからとしぶしぶチームへ加入したらしい

 

「ハッハッハ!」

 

「こ……殺す!殺してやる…っ!」

 

松輪のマジ殺意をじゃれているだけと扱うガングート、ある意味、コイツの懐の大きさには感動すら覚えるな…



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提督とリシュリューと最強への道

地元じゃ最強とちやほやされてたアイツ回

【登場人物】

提督(170)
偏ったニホンのマンガ知識の大人、ワインとチーズはよく合う

Richelieu(2)
ネオフランスのカンムスファイター、地元じゃ最強最強言われてたものの喧嘩したコトはなく、ついたアダ名は不戦勝のリシュリュー


「………はぁ」

 

速吸クンとの朝のダイナミックキャッチボールを終え、自販機で朝のワンダフルコーヒーでも買うかと考え、自販機コーナーへと行くと、朝から爽やかさゼロの深いため息を吐き出しながら色白金髪美女がベンチに座って項垂れていた…

 

「よぉ、リシュリーくん」

 

「…あら?amiral、Bonjour……あと、私はRichelieuよ、Richelieu、ま・ち・が・え・な・い・で」

 

「へいへい、リシュリューくんな、リシュリューくん」

 

「発音に美しさがないわね、やり直し」

 

「リシュリュー」

 

「Richelieu」

 

「Λucifer」

 

「Richelieuよっ!ケンカ売ってんの!?」

 

色白金髪美女のリシュリューくんはエキサイティングに立ち上がって吠えた、どうやら色白なだけあってカルシウムが足りていないらしい

 

「まぁ落ち着きたまえリシュリューくん、ミルクティーでもどうかね?」

 

「間に合ってるわ」

 

リシュリューくんは既に自販機で購入していたミルクティーの缶をずいっと俺の鼻先に突きつけた、っーか近い、缶が近い、しかし、どいつもこいつも何故そんなにズイズイと人の目の前にブツを突き出すのだろうか?流行っているのか?

 

「で?リシュリューくんは朝っぱらナニをそんな憂鬱ヅラでため息を吐き出していたのかね?」

 

「誰が憂鬱ヅラよ」

 

「小粋なテイトクジョークなのだよ」

 

「何が小粋なテイトクジョークよ………はぁ、まぁいいわ、amiral、少しお時間宜しいかしら?」

 

「構わんよ、なんなら部屋に来るかね?ミルクティーしかないが」

 

「ここでいいわ」

 

小粋なテイトクジョークで場を和ませつつ、俺はリシュリューくんの隣に座り缶コーヒーの蓋を開けた

 

「実は………このRichelieu、ちょっと自信を失いかけているのよ」

 

「ほぉ、自信を」

 

「えぇ、このRichelieu、地元じゃ敵なしの無敵の王者だったのよ、それがここに来てから連戦連敗の日々…」

 

リシュリューくん曰く、祖国では最強最強とちやほやされてたせいか自らを最強と信じて疑わずにいたのだが、初日のマキシマムキヨシレベル99との歴史的敗戦、翌日、武蔵に挑むもワンパンチ完了、後日、さらに大和さんに挑むも蹴り足ハサミ殺しを突き抜ける大和パンチに反吐をブチ撒け、さらに後日、自信を取り戻そうと挑んだ先がよりによって金剛姉妹からまさかの日に4連敗と言う阿呆ぶりで全治二週間のベッド生活を余儀なくされ、現在に至るそうだ

 

「なるほど、それでアレか?最強最強と信じて送り出してくれた祖国の皆様に無様なアヘ顔失禁KOが続いている事を報告し辛いと…」

 

「…アヘガオシッキンって日本語はよくわからないけどバカにされているコトはわかるわ」

 

「そりゃオマエ、アレだよ、アレ、たしかに地元じゃ敵なしだったかもしれねーけど世間ってのは広いからな」

 

「…まぁ、たしかに舐めていたコトは認めるわ」

 

色白金髪美女はその極彩にボリューミーな髪をぶわーっとかき流し、意外にも素直に敗北の事実を認めた

 

「正直、私の予定では初日にここで1番強いのを華麗に倒してテッペンをとる気だったのよ…」

 

「ナニがテッペンだよ、ヤン・キーかオマエは」

 

「ヤンキーじゃない、Richelieuよ」

 

「それでナニか?もう地元に帰って実家のブドウ畑でワイン作りでも始めたいってのか?」

 

「Il n’est pas une blague!このまま帰ったりしたら信じて送り出してくれた祖国になんて言えばいいのよ!?そんなコトしたらもうParisの街を歩けなくなるわ!」

 

「いいじゃねぇーの、パリなんか行かなくても、ボルドーでワイン作れよ、ワイン、で、毎年写真付きで俺宛に送ってくれよ」

 

「Je ne veux pas!そもそもなんでウチがブドウ農家って知ってるのよ!履歴書に書いてなかったでしょ!?」

 

「え?あぁ、実はオマエが来た初日にオマエの実家から国際電話があってな、ウチの娘がご迷惑おかけしてないでしょうかとか、見た目だけはパリっ子気分でちょっと高飛車なトコあるけど根は内気で繊細で良い娘なんでよろしくお願いしますって言ってたぞ、お母さんが」

 

「Mensonge, droite!?」

 

「良いお母さんじゃないか、お母さん心配してたぞ」

 

「MAMAN……」ポロポロ…

 

どんな不良にもやはり親と言うものは絶対らしい、ブドウ農家なんてダセーことやってられねー!私はパリでスーパーモデルになってシャンゼリゼ通りを肩で風を切って歩くんだー!とか言って実家を飛び出したバカ娘の目に涙が浮かんだ

 

「今度ちゃんと元気にやってますって電話でもしてやれ、な?」

 

「え…えぇ、えぇ…!」ポロポロ…

 

これが刑事ドラマならリシュリューくんはここで逮捕、後は俺がなんかちょっと良い話風のコト言って、Cパートのママの店で一杯やりながらイヤな事件だったよとか言ってエンディングの流れなのだが、残念ながらこれは刑事ドラマではなく、俺と言う不世出の英雄が軍で成り上がり、最終的にはカイザーとなって宇宙をお手に入れる英雄譚なのでそれはない…

 

ーーー

 

「私、考えたのよ」

 

リシュリューくんの反省タイムも終わり、ミルクティーを飲み干して空き缶箱に放り投げてリシュリューくんは何やら良い考えがあると言った…

 

「ここはやはり、シュギョーパートを入れるべきじゃないかと…」

 

「シュギョー…?あぁ、修行な、修行」

 

ジャ●プ漫画ではよくある修行パートってやつ……しかしここ近年はその伝統芸能たる修行パートも減っており、最近の子供は最初から最強!ってのを好むらしく、修行パートとか汗臭い行為をイヤがる傾向があるらしい、時代の流れとは哀しいものだ…

 

「強敵が出てくる→倒す→また強敵が出てくる→シュギョーする→倒す→さらに強い敵が出てくる→シュギョーするって文化をニホンのマンガで学んだのよ」

 

「まぁ、最近はあんまねぇけどな」

 

「amiral、このRichelieuに相応しいシュギョーはないかしら?」

 

「………スクワットとか?」

 

「Je ne veux pas、そんな汗臭いのゴメンだわ、もっとこう…ナニかないの?こう…ワクワクすっぞ!みたいなナニか」

 

「そうだなぁ〜、とりあえずパッとは思いつかんが、まぁその心意気と熱意は買おう!よし!戦艦リシュリュー、俺についてきな!………この世で二番目に強ぇ艦にしてやるぜーッ!」

 

「さすがamiralね、ハナシがわかるわ!」

 

俺とリシュリューくんはガシッとアツい握手を交わし、これから始まるであろうアツかりし修行の日々に心を躍らせ、とりあえず腹減ったんでメシ食いに行こうぜとメシを食いに行った…



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提督と青葉とナイトクラブ23

三ヶ月ぶりの倶楽部HO-SHOW

【登場人物】

提督(171)
無責任の極意とは何だろうと朝から考えている大人

青葉(2)
青葉型の1番、死んだ魚のような目をしている


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ…

 

「フーッ〜…どうだい?秋刀魚釣りは?」

 

「ボチボチじゃねぇの?っーか秋刀魚漁とか興味ねーし、意味わかんねーし」

 

「そーゆーコト言ってるから昇進出来ないんだよ、ボーイ」

 

「ボーイはやめてくれよ、っーか秋刀魚漁で昇進とかしたくねーし、漁業長とかなりたくねーし」

 

ママとの小粋なアイサツをしつつ、俺は胸ポケからタバコを取り出してテキトーに空いているテーブルに座り、置いてあった基地スポを手に取った

 

「フーッ〜……大鯨ホエールズ連夜の逆転劇、悪夢の4連続アーチか…」

 

「どもっす、青葉です」

 

「ん?あぁ、また珍しいのが出たなオイ、まぁ座れ座れ、ほら、ここ空いてるぜ」

 

今宵、俺を楽しませる為にテーブルに来た刺客はいつも死んだ魚みたいな目をしていると定評のある重巡、青葉

ワリと前からウチの居るのだがその生態には謎が多く、わかっている事は衣笠さんのお姉さんであるコト、基地スポを編集しているコト、愛用のカメラは撮りっきりコ●カであると言うコトぐらいだろう…

 

「どもっす、キョーシュクです」

 

「今日はなんだ?小遣い稼ぎか?それとも夜の店に潜入取材か?」

 

「んー、小遣い稼ぎ半分潜入取材半分ですかね、なんかいいネタないですか?最近基地スポがちょっと寂しいんですよ」

 

「いいネタか、そうだなぁ〜…青葉ヘ●解禁ぐらいしてみたらどうだ?」

 

「やですよ、ってか私生えてないし、青葉パイ●ンです」

 

「女の子がパ●パンとか言うんじゃないよ、なにサラリとトンデモねーコト言ってんだよテメーは」

 

「今の時代、女の子だって普通にパイ●ンぐらい言いますよ、アレですか?提督的には女の子はやっぱ恥じらいとか慎み持ってないとダメとかゆー前時代的なアタマの固いアレですか?」

 

「誰がアタマの固いアレだ」

 

小粋なトークを交えつつ、とりあえず俺はいつものビールを注文し、いつものオリ●ンビールの瓶を取り出した青葉は妙に手慣れた手つきでビールをグラスに注いだ

 

「青葉も一杯頂いていいですか?」

 

「いいぞ、その微妙なオパーイ揉ませたらな」

 

「微妙じゃないです恐縮してるだけです、あ、別に揉んでもいいですけど写真撮りますから出来るだけゲスな顔でお願いします」

 

「ゲスな顔な」ニマァ…

 

「あ、いいですねー!イイ感じですよ!イイ感じに清廉可憐なカノジョに変態プレイを強いてる鬼畜眼鏡っぽいです!」

 

とりあえず、青葉の撮りっきりコ●カのレンズを指で突いて破壊し、俺はテキトーに高くないのにしろとだけ言ってやると、青葉はテキトーにあまり高くないカシオレを作り、俺たちはそれじゃお疲れーとグラスをぶつけ合った

 

ーーー

 

「あ、サンマどんな感じですか?サンマ、青葉まだ今年はサンマ食べてないんですよ」

 

「ぼちぼち獲れてるんじゃねぇの?よく知らねぇけど」

 

「なんで知らないんですか、責任者!一応この基地の責任者!」

 

「バカヤロウ、責任者ってのはだいたい知らなかったで済むんだよ、下が勝手にやりました、管理が行き届いてなかったんでこれからはちゃんとやります、てへっ♪って言ってちょいと頭下げりゃいいんだよ」

 

この腐敗と自由と暴力の蔓延する基地ではまともな奴ほどFeel so bad、正気なヤツほど運がいい

 

「なるほど、まぁたしかにそれもそうですね」

 

「だろ?オマエはハナシのわかるヤツだと思ったよ、尻を撫でてやろう」

 

「やめてくださいよ、そう言って青葉の尻を撫でるフリして唐突にケツ穴に指を突っ込むつもりなんでしょ?やめてくださいよー」

 

「突っ込まねーよ、俺をなんだと思ってやがる」

 

「提督?」

 

「提督じゃない、提督だ………む?合っていたか」

 

さすがは青葉、俺の小粋なテイトクジョークに付き合っても目に光が宿らない心の壊れたヤツなだけはある、大したヤツだ、だが、提督としてはオマエのそのケツ穴に異物をブチ込んだら目に光が宿るのではと期待しているのだよ

 

「なんですか?その目は?あ、アレですか?青葉をメチャメチャにしたいんですか?」

 

「まぁ、それが半分だな」

 

「ではもう半分は?」

 

「オマエ、よく見るとアザラシみたいな顔だなと…」

 

「アザラシと青葉に謝ってください」

 

とりあえずアザラシと青葉に深い哀悼の意を示し、ついでに俺の焼酎と青葉のカシオレを新たに注文し、俺たちは軽快かつオシャレなトークを継続する事にした

 

「提督、小腹空きません?小腹」

 

「ん…?あぁ、まぁボチボチ空くな」

 

「サンマ食べましょーよ、サンマ!サンマお高いから青葉自費で食べたくないんで、今ならママに頼んだら焼いて貰えるし!」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな」

 

「恐縮です」

 

「まぁいいだろう、ママに秋刀魚の塩焼き2つな」

 

「ども!」

 

「あ、ちょっと待て」

 

立ち上がろうとした青葉のズボンに手をかけるとズボンがずり落ちた

 

「なにするんですか?ヤる気ですか!?」

 

「ヤらねーよ、っーか色気のないパンツ穿いてんなオマエ、もーちょいエグいの穿けよ」

 

「やです、で?なんなんですか?青葉早く塩焼き食べたいんですけど」

 

「店終わったら〆にラーメン食いに行くから付き合え」

 

「いいですよ、青葉払いませんけど」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな………まぁいい、提督様がラーメンぐらい奢ってやる」

 

「恐縮です」

 

 

こうして、ママのところでイイ感じに飲み食いし、俺たちは夜の街へラーメンを食いに飛び出し、帰って来た時には駆逐艦のキッズ達が元気にラジオ体操を始めており、そのまま執務室に行くと、五月雨から軽蔑と侮蔑の目で迎えられ、シャワー浴びて小綺麗になってから出直して来いと追い出された…



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提督と秋の大運動会

季節感を出涸らしになるまで利用するスタンス

【登場人物】

提督(172)
守護るって…?ダレを?

香取先生(15)
エレガント練巡、いつもエレガント

海風(11)
世話焼き駆逐艦、とにかく世話を焼きたいので妹からウザがられている

足柄(11)
子持ち処●




10月10日は体育の日!………そんなふうに考えていた時期が、俺にもありました

 

ポカポカ日和の秋晴れの空、本日、当基地ではアホな駆逐艦達のアホな駆逐艦達によるアホな駆逐艦DIE運動会が開催されていた…

 

「提督、コーヒーをどうぞ」

 

「やや!香取先生…これはこれはありがとうございます、うん……エクセレンツ!!」

 

3000メートル競争をヒィヒィ言いながら走る駆逐艦のキッズども眺めつつ、俺は運営テントの椅子に座って香取先生の淹れてくれた極上の珈琲を飲む、まったく!香取先生の珈琲は常に上質で最高な味わいを俺に与えてくれるのだよ…

 

「五月雨ちゃんもどうぞ」

 

「はぁ、いただきます」

 

まったく、五月雨のアホンダラも香取先生を見習って欲しいものなのだよ

 

「え〜…次の競技は〜…ツナ引きか」

 

「えぇ、この競技が終わったらお昼休憩を挟んで保護者の方参加型のリレー競技です」

 

「ほぉ、保護者の参加型ですか」

 

イベント進行のプリントを見ながらこれからのプログラムを丁寧かつエレガントに俺に教えてくださる香取先生、そして、運動場に台車に乗ったまま運ばれて来る新鮮なマグロ……これから駆逐艦のアホンダラどもに頭から尻尾からと全力で引き千切られる運命を待つ哀れなる魚よ…

 

「よぉーし!引けーッ!!」

 

「オーエス!オーエス!」

 

「チクショウ!カテェ!なんだこのツナは!?」

 

「もっと気合入れんかいダボ!」

 

ギチギチミチミチと活きたまま裂かれるツナの断末魔が運動場に響く実に凄惨な競技なのだよ…誰が考えたんだよコレ

 

ーーー

 

お昼の休憩時間、様々な場所にブルーシートを貼り、主に姉妹でつるんでお弁当を食べるアホな子供達を遠目に眺めつつ、俺は一応、端っこの方に作られた喫煙所と言う名のバケツの前でタバコを吸っていた…

ちなみに、香取先生は本物の孤独を知る痴女……ではなく、姉妹がいないので1人はつれーってばよとメソメソと菓子パンを食べているかもしれない島風の為にお弁当を作り一緒に昼食を摂っている、まったく香取先生の教育者魂はいつだって俺の心をアツくしてくれる

 

「フーッ〜…」

 

「…あ、いた」

 

「あ?オマエは………ト●コ?」

 

「…ト●コじゃない、山風」

 

激アツの喫煙タイム真っ只中の俺の居る喫煙所に、改白露型の緑のチビと美少女ヒロインみたいな白髪の姉がやって来た

 

「なんか用か?」

 

「…別に」

 

なんだ、ただの通りすがりか、たぶんアレだな、姉妹でツレションにでも行くところだったのだろう

 

「提督ッ!提督ーッ!ちょっと!ちょっと宜しいですかー!ちょっと!」

 

「え?なに!?うえっプ!!」

 

改白露型の美少女ラノベヒロイン顔の姉が凄まじいパワーとスピードで俺の首に手を回し、俺たちはくるりと回りながら地面に座り込んだ、ってか顔が近い、顔が、あとコイツ、やっぱ乳でけーな

 

「提督、午後の最初の競技がナニか知ってますか?」ヒソヒソ

 

「さぁ?なんかリレーとかなんとか聞いた気がするが…」ヒソヒソ

 

「保護者の方参加型のリレーです!保護者の方!」ヒソヒソ

 

「ふ〜ん」ヒソヒソ

 

そういや先生がそんなコト言ってた気がするな…まぁ、保護者と言っても基本は重巡以上のイカレたお姉さん方なんだが…

 

「山風は提督とリレーに出たくてお願いしに来たんですよ、空気読んでください、空気」ヒソヒソ

 

「え?マジで?やだよメンドくさい、ってか海風ねーちゃんが出ればよくね?保護ピッタリじゃね?」ヒソヒソ

 

「私は〜……私はほら!江風!江風の時に出ますからダメなんです」ヒソヒソ

 

「スズカはどーすんだ?スズカは、可愛い末妹だろ?スズカ」ヒソヒソ

 

「あ、涼風も私が出ます」ヒソヒソ

 

「山風のも出ろよ!なんだその歪んだ姉妹愛!?」ヒソヒソ

 

「いいから!提督はとにかく山風の保護者でリレー出てください!いいですね?ね?」ヒソヒソ

 

海風ねーちゃんの、この細い腕のどこから出てくるのかわからない万力のようなパワーに俺の脊髄が悲鳴をあげるのが止まらないので俺は海風ねーちゃんの程良く将来性抜群の胸にタップし、ギバップ!ギバーップ!と伝えた

 

「じゃ、お願いしますね、自然な流れで」ヒソヒソ

 

「任せとけ、自然な流れでな」ヒソヒソ

 

俺と海風ねーちゃんはごく自然な流れで立ち上がり、心なしか不審そのものを見る目をしている山風に向き直り、俺は力強く言ってやった

 

「山風クン」

 

「…なに?」

 

「提督は今、急に走りたい気分になってね、そう…まぁ具体的にはリレーとか出たい気分になのだよ」

 

「…へぇ」

 

「あらあらあら!丁度良かったじゃない山風!提督に午後のリレー出て頂いたらどう?ね?ね?」

 

俺のごく自然な流れをアシストする為か、海風ねーちゃんは手をパンパン叩き、ごく自然なアシストを敢行する、まさしくこれは一切の談合の疑いすら持たれないごく自然な流れを作ったと俺たちは言葉ではなく心で確信し合った

 

「………ものすごく腑に落ちないものを感じる」

 

俺たちの真心が通じたのか、山風は俺のリレー参加を快諾、若干引いているようにも見えたがまぁアレだ、照れていたのだろう、感性が豊かさと同時に気難しさも同居する難しい年頃と言うヤツだろう、うん

 

◆◆◆

 

午後の第1競技、父兄参加型リレー…

参加人数の都合上、1レース6名で走るこの競技、俺と山風は厳正なる抽選の下、Dブロックに振り分けられた

 

「フッ…まさか腰の重い提督がこの競技に出るとは……随分と日和ったわね」

 

「げ、ゲェーッ!お、オマエはーッ!」

 

順番待ちの列!俺たちの行く道を遮るように立つのは礼号キッズの些か口の悪い子、霞と………ワイルドウルフッ!!

 

「ゲェーッ!餓狼・足柄ーッ!!」

 

「フッ、ま、私と霞には勝てないけどね、お互い全力で頑張りましょう」

 

「アナタ達ってホント最低のクズね!」

 

足柄の野郎、そうか…ヤツもまた荒ぶり猛るモンスター保護者ッ!フッ、そうこなくては面白くない、どうやらこのリレー…オレをアツくさせてくれそうだぜ

 

「あぁ!お互い全力を尽くそう!」

 

俺と足柄は互いにアツい握手を交わし、ナイスファイトになる事を誓い合った

 

「おぅ〜?足柄じゃねぇか?オマエもDか?あ?」

 

「げ、ゲェーッ!!オマエはーッ!」

 

「みょ…妙高姉さんーッッッ!!」

 

俺たちの前に現れたのはスポーツだの正々堂々だのには1㎜たりとも縁がなさそうなヤンチャ系重巡!妙高ッ!バカな…何故コイツがここに!?

 

「な…なんで妙高姉さんが?」

 

「あ?あー…アレだよ、アレ、初風に頼まれてなぁ〜…ま、しゃーねぇって感じか?」

 

初風ッ!?な…なるほど、そうか、たしか初風は妙高に懐いていると風の噂で聞いた事があり、妙高もまた、初風を妹より可愛いがっていると何か酒の話で聞いたコトがある…ッ

 

「ま、そーゆーワケだかんよ足柄ァ………ワカってるよな?あ?」

 

「クッ!」

 

足柄にとって長女である妙高に逆らう事は死を意味するッ!長女である妙高に勝つ事など許される筈もない、だが…ッ!今日の足柄は違った

 

「ざ…残念だけど、私にも負けるワケにはいかない理由があるのよ!」

 

「あ?………オイ足柄ァ〜、足柄ァ〜?今なんっつた?あ?」

 

礼号キッズの天使である霞を勝たせやりたい、長女への絶対的恐怖を乗り越え、今、誇り高き狼は初めて長女にその牙を剥いた

 

「ハッハッハ、ジョーダンだよ!ジョーダン!な?足柄ァ…まぁアレだ、フェアに闘おうぜ」

 

妙高の言うフェアな闘いとは血で血を洗うデスマッチを指すのだろう…緊張感漂う俺たちの間に、さらなる挑戦者が姿を現す!

 

「ヘーイ浦風、コイツらデスカー?ワタシがDIEしていいヤツらはー?」

 

「げ、ゲェーッ!お、オマエはーッ!」

 

「戦艦金剛ーッッッッ!!」

 

ば…バカな!金剛まで出るのかこのリレーは!?クッ…!さすがに予想外だ、金剛と言ったらこの基地の影にもう何年も君臨する恐怖の帝王ッ!しかも常日頃から俺の心臓を狙う相当ヤベーヤツだ…そうか、ヤツもまた、浦風を可愛いがっているクチか!

 

「…足柄」

 

「なに?」

 

「どうやらこのリレー、生きてトラックから出られるかの勝負になるな」

 

「えぇ、提督…もし、もし生きてトラックから出られたら飲みに行かない?私、良い店知ってるのよ」

 

「そいつは名案だな」

 

俺と足柄は言葉ではなく心で理解し合い、互いの拳を当てて互いに生きてまた会おうと誓い合った………

 




次回はサンマ持ったアイツとオラついたジャージのアイツ


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提督とあまさぎとノベール文学

軽い小説とは何が軽いのだろう…?

【登場人物】

提督(173)
最近のラ●ベはエロ本みたいな表紙だなオイと感じている大人

天霧(2)
腹筋バッキバキ眼鏡、バーベルトレーニングなどアンナチュラルでないトレーニングを好む汗臭い系

狭霧(2)
薄幸文学少女、バーベルトレーニングしたらナチュラルに潰されるシトラス系


特に急ぎの仕事もない秋の日、執務室でNARUT●を読んでいた俺は買い置きの缶コーヒーでも飲もうと執務室に常設している冷蔵庫を開けたら入っておらず、五月雨に缶コーヒー買って来てくれと努めて紳士的に頼んだら自分で行けと言われるどころかシカトされ、仕方ないので自分で買いに出かけていた

 

「あの青髪ロング子が、ちょっと青髪ロングだからってチョーシに乗りやがって……まったく、俺に“適応”しろってのな、テキオー」

 

ブツクサと文句を言いつつ自販機コーナーへと向かっていると、自販機コーナーのベンチに座る先客がいるのが見えたので俺は大人として、努めて紳士的に挨拶をする事にした

 

「よぉ、元気しとるかね?」

 

「あ?なんだコラ?オッサン、やんのかコラ?」

 

チューインガムをプープー膨らまし、アンアン言いながら果敢にメンチ切ってきた腹筋バッキバキの期待のスーパールーキー、天霧

 

「オッサンじゃない、提督だ」

 

「ちょ!天霧…っ!天霧!なんでいきなりケンカ売ってるの!?す…スイマセン!スイマセンスイマセン!ごめんなさい!わ…悪気はないんです…っ!」

 

そして、天霧クンと同じく最近ウチに配属されて来た微妙な新人、サギ……サギだっけ?いや、トキだったか?まぁ、些細な事だろう、このサギだかトキだかクン、見た目の薄幸感と正比例する薄幸属性の持ち主らしく、その見た目の清涼感たるや、まるで清浄な空気の森でひっそりと暮らすエルフかなんかじゃないかとすら思うのだよ…

 

「ハッハッハ、まぁそう気に病む事はないよ、ナマイキなルーキー!大いに結構!」

 

「オッサン、ハナシがワカるじゃねーの」

 

「天霧ぃ!?」

 

「ハッハッハ」

 

しかし実に対照的なヤツらだな、コイツら……まぁ、姉妹でワリとよく似てないコトなど多々あるし、些細な事だろう

 

「スイマセンスイマセンスイマセン!ホントにスイマセン!悪気は!ホントに悪気はないんです!ですのでどうにか厳しい処分とかは…」

 

「ないない、そんなモノはないよ、えー……サギーくんだっけ?」

 

「…狭霧です」

 

「あー、そうそう狭霧クンね、狭霧クン」

 

ヘコヘコではなくペコペコと頭を下げる狭霧クンに過ちを気に病む事はない、ただ次の糧にすればいいと大人の意見を述べてみたが、冷静に考えると狭霧クンは何も悪くない気がするな……

 

「で?君たちはナニかね?休憩中かね?」

 

「え…えぇ、ちょっと気分転換にと…」

 

気分を転換しなければならない程ウチのトレーニングはハードだったろうか?まぁ、アレだろう、まだウチに来て日が浅いし、緊張しているんだろう

 

「サギリの奴、趣味でなんとかノベル書いてんだよ、なんとかノベル、で、なんかちょっと煮詰まったって言うからジュース買いに来たんだよ」

 

「なんとかノベルって……まぁ、間違いじゃないけど」

 

「ほぉ、サギーくんなんとかノベルを書くのかね」

 

それまた今までにない趣味をお持ちらしいな、この森のエルフ的な薄幸少女クンは、まぁ、ウチには金やちやほやして欲しいからとか俗っぽい動機ではなく読んで欲しいからとアツい情熱で漫画を描く少年漫画家(自称)の秋雲もいるし、なんとかノベルを書く趣味を持つ子が居ても不思議ではあるまい…

 

「え、えぇ……まぁ、はい、あまり面白くはないのですが」

 

「アレかね?やはりサギーくんの書いてるのは大陸の南側にある辺境の呪われた島で、後に英雄となる青年と深い森の貧乳エルフ的な美女が出てくる感じのファンタジー的なアレかね?」

 

「い…いえ、ファンタジー的なものではないのですが…」

 

なんだ、違うのか……いや、もしかして後に神王との終わらないエンドレスバトルに突入する黒衣の騎士と褐色おっぱいエルフ、そう、褐色おっぱいエルフ的なものが出てくる系だろうか?

 

「……気に病む事はない」

 

「なにがですか!?」

 

自分にないものを求めるのは仕方のない事だろう、俺はサギーくんの肩に手を置き、これからカルシウムとβカロチンを摂取すれば大丈夫だろうと適切なアドバイスを贈った

 

「こー見えても狭霧の書いてんの人気あるらしくってよ、今度本が出るんだぜ」

 

「マジか!?」

 

「え?あ、はい……一応、なんか小説投稿サイトでちょっと人気があるみたいで、なんかそんな話を頂いて…」

 

「凄いじゃないかね、ちなみにアレかね?やはりペンネームはホモマンガ先生とかそんな感じかね?」

 

「い…いえ、山田ゼレフです…」

 

エルフじゃねーのかよ、なんだよその人の命を超軽く見なきゃならん呪い受けてそうな名前…

 

「本が発売されたら教えてくれたまえ、提督も一冊買ってみるとしよう」

 

「え!?あ……いや、て…提督に買って頂く程の作品ではないかと……うん、できればやめた方が…」

 

「ナニ言ってんだ狭霧ィ!このオッサンに100万冊ぐれー買わせて印税生活しよーぜ!印税生活!で、アタシにフィットネスマシン買ってくれよ、印税で」

 

「やだよ……自分で買ってよ、ってか、今現在の時点で部屋に変なトレーニングマシンいっぱいあるし…これ以上部屋が狭くなるのは…」

 

「じゃ家買おうぜ、庭付きの家、アタシSAS●KE攻略の為のセット作りてぇーからさ」

 

「やだよ!自分で買って自分で作ってよ!?」




次回はヒロ引力がバクハツする回、とびっきりの最低対最低!


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提督と鈴谷とスーパーデルモ

最新のものも借りパクし、とびっきりとびっきり強くなってぶち当たる回


【登場人物】

提督(174)
海軍三大奥義、テイトク・リベンジャーの間違った使い手

鈴谷(52)
誰もが羨むメインヒロイン、ビッチである

Richelieu(3)
誰もが妬むスーパーモデル、ビッチではない


「よぉーし!いいぞ!天使のように細心に、悪魔のように大胆にだー!」

 

執務室の裏を歩いていると、テイトクとなんか最近ウチにやって来たキンパツのモデルみたいなのが丸太に手足が生えたみたいなヤツを殴ったり蹴ったりしていた…

 

「ティーッス、ナニやってんの?」

 

「む?鈴谷か…」

 

「鈴谷ですよ?で、ナニやってんの?」

 

「ご覧の通り、俺とリシュリーくんはトレーニング中なのだよ」

 

…ナニ言ってんだコイツ?イカレてるのだろうか?ってか、なんでテイトクがこのキンパツデルモ女と付きっきりマンツーマントレーニングなんかしてるの?え?ナニ?実はテイトクはこーゆーキンパツデルモ系が好きだったりするの?

 

「Richelieuよ、いい加減ヒトの名前間違えるのやめてくれる?」

 

「ハッハッハ、すまんすまん」

 

「フッ……まぁ、amiralだから許してあげるわ、あとでミルクティーでも奢ったらね」

 

「いいだろう、ミルクたっぷりのな」

 

え?ナニコイツ?なんでそんな仲よさげ?え?マジか?ちょ…ちょ!待てよ!ちょっとデレるの早くね?え?マジか?このキンパツデルモ女が提督と良さげとかマジでBADだよ

 

「ヘイヘイヘイ!え?ナニ?なんでテイトクとそいつ仲良いの?え?奢るの?ミルクティー」

 

「奢りますが?」

 

「え?マジで?鈴谷にはジュースすら奢ってくれないのに?」

 

「なんで俺がお前にジュース奢らにゃいかんのだ、寝言は寝てから言えや、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーし、ってかナニ!?なんでそのキンパツとそんな仲よさげなワケ!?一緒にトレーニングとかどんだけ仲良しなワケよ!?」

 

基本的には香取ーヌに任せるか本人の自主性に任せるのがスタンダードモデルであるハズのテイトクがまさかの付きっきりのマンツーマン特訓!このキンパツデルモ女にはテイトクをそうさせる為のナニかがあるとでも!?

 

「そうだ……丁度いい、オイ鈴谷、オマエ、リシュリューくんとファイトしてみねーか?」

 

「ハァ?やだし」

 

「リシュリューくんに勝ったらカレー奢ってやろう」

 

「ヤります、ヤらせてください!」

 

とは言え、相手の艦種は戦艦、恐竜みたいにガンガン殴られても平気な浮かぶパンチングマシンみたいなヤツだ、そのパンチ力はまともに受けたら鈴谷でもただではすまないだろう…ここは鈴谷の知性溢れる頭脳的ファイトでこのキンパツデルモ女をくだし、鈴谷の有用性を不動のものとする!そしたらアレよ!鈴谷勝利!→ひぃぃアナタ様にはかないません!→フッ、オマエがナンバー1だ→好き!抱いて!の流れになる事は必至ッ!!

 

「フッ、アナタのような無名の航巡にも教えてあげるわ、最強の戦艦が、誰なのかを…」

 

ーーー

 

“難攻不落のビッチ兵”鈴谷改二VS“無秩序・無軌道・無慈悲の国から来た残虐戦艦”リシュリュー

 

その戦いは熾烈を極めた……

 

「げ、ゲェーッ!!あ、あの技はーッ!」

 

「鈴谷のフェイバリットホールド!ビッチベン・エッジ!」

 

おそらくは金的以外の全ての反則技が使用され、最終的にはリシュリューのフェイバリット、海軍三大奥義の一つ、テイトク・スパークを鈴谷に仕掛けたもののこれが不発!返す刃で宙に放たれたリシュリューの身体をホールドし、今、ビッチベンの鐘が鳴り響いた

 

「グヘァ!!」

 

「この鈴谷、今まで百を超えるビッチベンを放ってきたけど今のは今までで最高の手応えだった…」

 

ビクンビクンと痙攣し、やがて動かなくなったリシュリューの身体から手を離し、鈴谷は天に拳を突き上げて勝利の雄叫びをあげ………ず、右手を額に当て、クスクスと可笑しそうに笑った

 

「フフフ…ハハハハハ……ハァーッハッハッハッハ!!」

 

勝った!!航巡鈴谷大勝利!希望のカレーにレディゴー!とはまさにこの事だろう、まだルーキーとはフランスから来た戦艦をも倒した鈴谷に対して称賛と喝采の声が聞こえてくる中、鈴谷は笑顔で手を振った…

 

◆◆◆

 

と、ゆー感じでいこーと思うんですが?どうでしょうか?

 

鈴谷改『いいんじゃない?』

 

鈴谷改はスマホをボチボチいじりながら賛同してくれる

 

鈴谷改二航『え?や、コレはないっしょ?ないない、コレはない』

 

む、鈴谷改二航はどちらかと言えば否定的らしい

 

メンヘラビッチ鈴谷『うぅぅ…血が、血が止まらないよぉ』

 

天使の鈴谷『誰か!誰か救急箱!救急箱を持ってませんか?』

 

デビル鈴谷『っせぇな、っーか死ねよメンヘラ女、マジキメぇ!』

 

ダメだ!?他の鈴谷は聞いてすらない!?ってかなんでコイツ手首切ってんの!?

 

円光ビッチ鈴谷『ま、アレじゃない?ってか戦艦とタイマンはろーとかするのがそもそも間違いじゃん?』

 

だよねぇ、的確な意見をありがとうそこのスカート短過ぎの鈴谷

 

鈴谷改『とりあえずアレじゃん?まずはナニが悪かったのか考えてみよーし』

 

円光ビッチ鈴谷『ま、フツーに戦艦パンチじゃん?』

 

デビル鈴谷『あ〜…アレはいきなり致命傷だったよねぇ』

 

メンヘラビッチ鈴谷『ああああぁぁぁぁ』

 

天使の鈴谷『ほら、血は止まったから!ね?血は止まったから!』

 

まぁまぁまぁ!!みんな落ち着くじゃん!ってか、もうヤられたワケだし、もうどうしようもないじゃん?

 

鈴谷改二航『たしかに…』

 

鈴谷改『もうヤられたし…』

 

◆◆◆

 

地面に大の字になって転がった鈴谷はときおり不気味な笑い声を漏らしながらスカートからもナニか漏らしていた…

 

リシュリューくんとのファイトは熾烈を極めた、容赦なく目突きから入ってきた鈴谷の残虐ファイトを超えるリシュリューくんの残虐ファイトは見る者をアツくさせた、俺とのハードなトレーニングの末、スーパーモデルを超えたスーパーモデル、スーパーモデル・ゴッド・スーパーモデルの力を身につけていた…

 

「これがシュギョーの成果…」

 

「まさしくスーパーモデル・ゴッドの力を持ったスーパーモデルなのだよ」

 

「フッ……フフフ!イケる!イケるわ!amiralこれならニホンの戦艦どもに勝てるわ!」

 

「…だがリシュリューくん、残念だがその程度の力ではまだ…」

 

「行ってくるわamiral!!今こそシュギョーの成果、超リシュリューを見せつけてやるわー!」

 

「あ、待…待つんだ!」

 

リシュリューくんは身につけた力に大興奮し、勢い勇んで走り去って行った…

 

「う……ぅぅ、うへへへ〜……鈴谷もう入らないって、ちょ、もぉ〜…無理矢理とかマジ無理ぃ」

 

…コイツはコイツで何か良いユメでも見ているのだろう、俺は時折不気味な笑い声を漏らす鈴谷を持ち上げ、そこら辺にあったベンチに座らせてやり、財布から千円取り出して胸元に挿してやった

 

その後、リシュリューくんは廊下を歩いて武蔵を発見“ウスノロ…”だの“勝てんぜ、オマエは…”などのフラグを順調に積み重ね、武蔵の殺人パンチをボディに喰らって緊急搬送されたらしい…

 



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提督と会議と秘書艦

今回は導入編で次回から前後編の会議編

【登場人物】

提督(175)
世間体を気にする大人、世間体、大事

五月雨(55)
専業秘書艦、ドジっ子


「上から提督宛ての封書が来てますよ」

 

秋雨前線にウンザリ気味でメランコリックな気分の秋の執務室、意図せずにクソマズコーヒーを淹れるドジっ子の面影を残す青髪ロング子は軍本部から郵送された茶封筒を机の上に置いた

 

「ふ〜ん」

 

「読まないんですか?」

 

「どうせロクなコト書いてねぇんだろ、今日は気分じゃねぇし見なかった事にする」

 

イヤな事はとりあえず先延ばし、ここは様子見と言う名の日本人に多い典型的なアレを使い、俺は茶封筒を机の引き出し………だと忘れるので、とりあえず一日一度は目につく書類ケースに放り込んだ

 

ーーー

 

「あ、そう言えば会議がありますよ、会議」

 

「ふ〜ん」

 

「ふ〜ん、じゃないですよ、クリーニングした制服ありますからちゃんとそれ着て下さいよ」

 

「へいへい、てめーは俺のオカーサンかっての」

 

しかし会議か……とりあえず提出して大丈夫な書類とか報告書とか作っとかないとな、まぁ、俺らみたいな下っ端将校はこーゆーデカい会議では会議場でざわ…ざわ…するのが主な仕事だが…

 

「今年はどうしますか?また私ですか?それとも香取先生にでもお願いしますか?」

 

「そうだなぁ〜」

 

会議に同行させる秘書艦か……去年は鹿島先生に頼もうと思ったが、なんやかんやでコイツだったな、別に五月雨でもいいが、やはり会議に同行させる秘書艦っーとアレだ、やっぱこう…ほら、アレだよアレ、なんっーかブランド物みたいなアレなんだよ!

やっぱデキる将校なんかはみんなキラッキラに煌めく秘書艦連れてんだよ、もうアレな、高級車みたいなモンだよ、例えば同じ五月雨でもどっかの大将の秘書艦の五月雨とか最高グレードのフルオプションの正規ディーラー点検も付いちゃってる感じだよ、あと、かわいい系、頑張り屋でドジっ子の本物の輝きだよ!

ウチの五月雨なんて頑張ってクソマズコーヒー淹れるぐれーしかドジっ子の面影残ってねぇよ

 

「しかし香取先生はなぁ〜」

 

以前、香取先生にも同行して頂いた事があるが……まぁ、うん、些か調子に乗っていた将来有望な若手をSからMに変えてしまい、ちょっとした問題になった

 

「あ、由良さんはどうですか?由良さん、帰りに高い御飯奢るって言ったら来てくれますよ、たぶん」

 

「由良さんなぁ〜」

 

さらに以前、俺がまだ中尉だった頃に由良さんと会議に行き、些かオラついた将校にインネンをつけられ、よりによってヘアスタイルをバカにされたコトにプッツンした由良さんは親でも区別つかねーぐらいグチャグチャに整形する問題を起こした…

 

「お前はどうなんだ?」

 

「別に私でもいいですけど……あ、春雨姉さんなんてどうです、春雨姉さん、かわいいし、大注目ですよ」

 

「別の意味で大注目だよ」

 

あんな白髪のパチモンハルサメ連れて行けるかっての、あんなバケモン連れて行ったらその場で俺共々即射殺だよ

 

「っーかあのヤロウ、いつまでウチにいるんだ?あ?オマエのねーちゃんだろ?」

 

「さぁ?まぁ、本物の春雨姉さんならきっとどこかで元気にしてますよ、今頃マ●オカートでもしてるんじゃないですか?」

 

そういや、こないだの大規模作戦にも敵の中に春雨が交じっていたらしいが……もしかしたら本物の春雨は既に頭の中をイジり回され、身体の中もイジり回され、股間の辺りに淫らな紋章刻まれ、洗脳&調教完了してるんじゃないだろうか…

 

「まぁ、ウチにいる白髪の姉さんも快適ネット回線と歩いてすぐのコンビニで自堕落完了してますけど…」

 

「とんだ堕落ぶりなのだよ」

 

まぁ、本物と同じく夕立と村雨のバカコンビからパシられるのは変わらないようだが…

 

「とりあえずアレだな」

 

「なんですか?アレって」

 

「やっぱ秘書艦連れて行くんだから誰もが羨むメインヒロイン的なのを連れて肩で風を切って歩きたいのだよ」

 

「はぁ?」

 

「はぁ?じゃねーよ、青髪ロング子が」

 

五月雨はナニ言ってんだコイツみたいな顔をしながら冷蔵庫からオレンジジュースのペットボトルを取り出し、自分の分と俺の分をグラスに注ぎ、一つを俺の机に置いた

 

「まぁ、気持ちはわからなくもないですけど、同行する身としてはアレですよ、しょーもないボンクラ中佐の秘書艦とかセレブリティな秘書艦の集まりが眩しすぎて居場所に困るんです」

 

「誰がボンクラ中佐だ」

 

たしかに、秘書艦の社交場的なものを兼ねているので同行する身としてもアレだろう、セレブリティな秘書艦は会場の真ん中でマイ●ンのカップで優雅にティー、セレブリティでない秘書艦は会場の隅っこで紙コップ片手に上司の悪口、艦娘とは言え女社会の闇は深い…

 

「ま、誰も行きたくないなら私が同行しますので、テキトーに誰かに声をかけてみたらどうですか?浜風さんとか」

 

「バカヤロウ、浜風ちゃんにそんな惨めな思いさせるワケねーだろーが」

 

「その優しさをもうちょい私にも分けて欲しいものですね」

 

◆◆◆

 

偉大なる航路のどこかにある深海棲艦の深海秘密基地…

 

「ハルサメチャン!?コノげーむヲヤリコンデイルナ!?」

 

「さぁー?どうでしょうかー?」

 

集ちゃんさんこと集積地棲姫さんとのマ●オカート勝負、このゲームは夕立姉さんや村雨姉さんに散々ボコられたのでちょっと自信があります!

 

「スゲェ!SYUガ負ケソウダ!」

 

「マッタク!俺タチノハルサメチャンハ最高ダゼ!」

 




地味に、誰でイクのか未だに考え中………誰にすっか


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定例会議Ⅱ 前編

激震!司令部!辿り着いたこの場所でperiod!!

【登場人物】

提督(176)
中佐、もうすぐ大佐(予定)

日女大佐(5)
大佐、野望の女将校、えーのん避けてー?死ぬで…あの子と、笑顔で刺せる


皆々様こんにちは、最近めっきり寒くなってきましたね!喉元過ぎればアツさを忘れる、アツかりし灼熱の夏から季節は秋に、そして、ゆらりとゆらりと冬の気配を感じつつある今日この頃、皆々様はどうお過ごしですか?え?僕ですか?アハハハ…僕ですか、アハハハ…僕は今……………

 

 

地獄に来ています

 

 

「アレでしょ?死刑でいいんじゃないですか?」

 

「まぁ待たんかい、そう結論は急いじょらんのじゃあ…」

 

「何も話するコトなぞありゃあせん!」

 

目の前で繰り広げられるアツかりし会議の様子を、努めて平静に、そう…努めて平静に様子を眺めつつ、俺は隣に座る大変に高貴で大変にエレガントな御方の御様子をチラリと確認する

 

「どうしました?Admiral?」

 

「いえ!なんでもありません」

 

「そう……」

 

この会議の場で、最も高級な椅子に座り、最も偉い人の居るべき場所にごく自然な御様子で居る大変に高貴な御方は微笑を浮かべ、白熱する会議の場に向けてエレガントに発言なさった

 

「Everyone, why not take a break?」ニコッ

 

「ア゛ァ?」

 

「…たしかに、一度休憩を挟みましょうか?」

 

「そうじゃのぉ〜…」

 

陛下の大変に高貴な御言葉に、アツかりし義論をぶつけ合っていた海軍将校のエラい人達はそうじゃのぉ〜だの、一度喫煙休憩を取らんとのぉ〜だの言いつつ、とりあえず会議は一度中断、休憩時間に入ることとなった…

 

「あ……あの、陛下?」

 

「Admiral、我々もお茶にでもしましょう」ニコッ

 

「は、はぃ!!」バギッ!!

 

この場で最も高貴な御方の手を取り、俺は努めと平静に会議場から休憩の取れる場所へと陛下を御案内する事にした……

 

◆◆◆

 

秋の大本営主催定例会議、年に一度、東西に別れてはいるが少尉以上の将校が大本営直轄のデカい司令部に集められ、やれ深海のゴミクズどもを皆殺しだとか、やれ生かして帰すワケなかろーがだの話合う海軍将校の社交場的な場であり、儀式的なものでもある…

ちなみに、頑張っている基地や鎮守府には頑張ったで賞的な賞を貰え、頑張ってない基地や鎮守府にはなんで頑張らんのじゃボケカスが!オノレ海軍舐めちょるんか?あ?舐めちょるんか!?あー!?あー…アレな、アレ、野球しよっか?的な全員悪人的に叩かれる公開処刑の場でもある

 

そんな秋の定例会議に、今日、俺は来ていたのだが……

 

「セ〜ンパイ♪お久しぶりっす!」

 

「………チッ」

 

バス停でバスから降り、とりあえずタバコでも吸うかと内ポケットをまさぐっていると、背後からクロスチョップを喰らわせ、開いてるのか閉じているのかよくわからない細い目でニコニコ笑う顔見知りが立っていた…

 

「チッ!ってなんなんすか?可愛い後輩にいきなり舌打ちとかヒドくないっすか?」

 

「うるせぇよ、しかもナニがセ〜ンパイ♪だ、キメぇわ、っーか吐き気がするわ」

 

「ヒドっ!?」

 

「ヒドくない、当然だ」

 

いきなり俺にブチかましを敢行してきたのは、いつもニコニコ、ウザくて鬱陶しい事にかけては右に出る者はそうはいないであろう選手権で上位が狙える逸材、日女大佐

一応、俺の後輩ではあるが昇進速度は速く、ウザいのに有能らしい

 

「アヒャヒャヒャ、もう!センパイってば中佐のくせに超偉そう!」

 

「やかましい!っーかもうすぐ大佐に戻るわい」

 

そう…以前、中将相手にやらかした罰を受け降格&減俸の憂き目にあった俺だがもうすぐその刑期を終え、俺は海軍大佐として甦る事ができる…ッ!クックック…この俺の大佐として完全復活した時こそ!俺の降格を喜んだ下郎どもは全員処刑だァ!1人も生かしてはおかんぞ!

 

「ま、センパイが中佐でも大佐でもなんでもいいっすけど、私の方が最終的にエラくなるし」

 

「やかましい、寝言言ってんじゃねーぞテメー、俺が上に行った暁にはテメーは真っ先に公開処刑してやる」

 

「アヒャヒャヒャ、じゃ、私が上に行ったら今の上層部全員処刑してセンパイを私専用のお茶汲み係にしてオハヨウからオヤスミまでお茶淹れてもらうっす」

 

このクソ野郎が……ナニがそんなに楽しいのか、いや、コイツはおそらく俺が苦しむのを見るのが好きな生粋のSなのだろう、恐ろしいヤツよ…コイツだけは上に行かせるワケには行かねぇ

 

「あ、そうそう、そーいやセンパイ独りっすか?」

 

「あ?」

 

「あじゃないっすよ、いつものあの子、ほら!髪長い子、えー…サミーダレちゃん?」

 

「五月雨?あぁ、アイツなら置いてきた」

 

「マジっすか?アレっすか?ハッキリ言ってこの戦いにはついてこれそーにないって感じっすか?」

 

「アイツはウチの万騎長だからな、こんなしょーもない会議に連れてくるまでもない」

 

「へぇ〜、じゃ、今日はセンパイお一人様っすか?じゃ、今日は私とヴェーちゃんとお昼一緒しねーっすか?」

 

「誰がお一人様だ、秘書艦なら来てるぞ」

 

「え?マジっすか?どこにいるんすか?」

 

「………まぁ事情があってな、ウチの秘書艦は俺とは別に自家用車でこっちに来ているハズだ」

 

「ハァ…?」

 

そう………自家用車でここに向かって来ている、たぶんそろそろ此処に着く頃だろう、ほら、アレだよ、耳を澄ませば狂おしく、身をよじるようなエギゾーストが……

 

「お、オイ!!なんだアレは!?」

 

「こっちに向かって来ているぞ…」

 

「なんだアレは……クルマ、いや、馬車ッ!!馬車だ!」

 

甲高い蹄に蹄鉄音を鳴らし、匠が造り上げたであろう重厚かつエグゼクティブな車を引き、まるで翼ように広がる真っ白なタテガミを靡かせた白馬がカッポカッポと会議会場である司令部に前へとやって来た…

 

「どぉーどぉー…フッ、待たせてしまったかな?Admiral?」

 

「…いや、全然」

 

行者席に座り、手綱を引く赤い髪の女は何がそんなに誇らしいのか、ニヤリと笑って俺を見た

 

「ちょ!センパイ!馬車!馬車っすよ!?」

 

「あぁ、馬車だな」

 

周りに居る有象無象の将校同様、さすがのヒメもビックリしたらしく、俺の肩を掴んでガックンガックンと俺の身体を揺らした…

まぁ、なんだ?ホントはアレだよ、俺のクルマじゃアレだし、とりあえずレンタカー屋にでも行ってクラ●ンでも借りてくるかと思ってたよ?ホントは、でもな、アレだよ、コイツがどーしても!自分が御送迎をする!って聞かなかったんだよ、で、アレだ、一応公道とか走るしアレだろとか思って念の為にナンバープレート出してもらったらナンバー“く56”だった時にはさすがの俺も戦慄したね…

 

「陛下、会場に到着致しました」

 

赤髪の白騎士は恭しく馬車の扉を開き、開いた戸から誰もが敬う、そう…ごく自然に下郎でスイマセンと頭を下げたくなる絶対的な王の力を持つ美しき御方が姿を現した

 

「ありがとう………Admiral、お待たせしたかしら?」

 

「いえ!陛下におかれましては遠路へのご足労大変お疲れ様でした!」

 

「ふふっ…まだ来たばかりですよ、Admiral」ニコッ

 

馬車から地に降り立った陛下の殺人的破壊力を誇るロイヤルスマイルが早速炸裂し、周囲に居た俺と同じく会議に呼び出されであろう将校達の内、結構な数がその膝を屈してしまった……おそらくは俺と同じく佐官程度の階級ではこの覇気に耐えきれまい、ちなみに俺は左手の小指を自ら折る事で耐えた

 

「な…なんて覇気だ…!」

 

「クッ!このオーラ、ハンパじゃねぇ…」

 

「心の弱い者は退がれ!覇●色だッ!」

 

ある者は膝を折り、またある者は意識を失い、さらにある者は同行してきたのであろう秘書艦から叱責を受けていた…しかし、さすがは中将以上であろう将校と秘書艦どもは違う!この覇●色を前に平然と立っている!

 

「あらら?えれぇの連れてるじゃないの?」

 

「どこの所属じゃあ……?あのボンクラはァ?」

 

「おーおー、怖いねぇ」

 

さすがは半分ヤクザみたいなモンである海軍将校、やはり“上”に居るヤツらは違うな、うん

 

「ではAdmiral、参りましょうか?」

 

「ハッ!御案内させて頂きます!」

 

陛下の御手を恭しくとろうとすると、赤い髪の女ことロイヤル空母のアークロイヤルくんがちょっと待てAdmiralと割ってきた

 

「Admiral、ちなみに私はどうすればいいのだ?」

 

「ん?あぁ、とりあえず駐車場?駐車場で待機しててくれるか?」

 

「フッ、駐車場だな…了解した」

 

馬車って駐車場でいいのだろうか?まぁ、いいよな、馬車だし…

 

「では…」

 

こうして、俺と陛下は会場のある建物へと歩き始めた…

なんだろうな?こう、誰もが羨む最高級のブランドを連れて自信に満ち溢れた姿で肩で風を切って歩く………うん、なんか違うな!コレ!俺が求めていたものと致命的に何か違う!

 

ーーー

 

会場へと入った俺と陛下、ちなみに、ここに来るまでにたぶん300人ぐらいの提督が自ら膝を屈したが俺は悪くないし、会場に入った瞬間も数人が椅子から転げ落ちたりしたが俺は悪くない、そう、俺は悪くない、俺はただ、秘書艦と共に呼びされた会議に来ただけの話だ、俺は悪くない

 

「え〜…席は」

 

しがない中佐である俺に用意された席は当然ながらしがないパイプ椅子、まぁ、普通は提督同様に秘書艦もパイプ椅子なのだがまさか陛下をパイプ椅子に座らせるワケにもいくまい……さて、どうしたもんか?

 

「Admiral、そんな隅ではなく、あの席が空いているようですし……あの席にしましょう」

 

「え?あ、はい」

 

どうしたものかと考えていると、陛下はなにやら良い席を見つけたらしく、その優雅な御手で俺を引いて歩き出した

 

「ほら、ここです」

 

………うん、いいね、この席、まさに会議の主役が座るべき場所だよ、いわゆるお誕生日席的な、うん、こう…アレだね、この場で最も位の高い者が座る為に空いてるであろうエグゼクティブチェアーじゃないかと…

 

って!!そこ元帥殿の席ィィィィィィ!!!

 

「Admiralもこちらへ」

 

陛下はごく自然にその席に座り、その隣に空いているフカフカエグゼクティブチェアーを俺に勧めた

 

「ア゛ァ?」

 

「おーおー、怖いねぇ〜」

 

「…オイ、アイツどこの凡骨じゃ?」

 

元帥席のすぐ近くに居並ぶ大将達と言う名のバケモノ達からのアツい視線!?だ…ダメだ、殺される…!い…命を諦めるしかない…ッ!そうだ!陛下!今ならまだ陛下にこの席はマズいのでどうにかあっちの席へとお願いすれば…っす!?

 

「ハッ!?」

 

焦る俺の視線の先、会場の入口方向から明らかにただ者ではない雰囲気を持つ勲章みたいなのをいっぱい付けた老人がこっちに向かって歩いて来ている………間違いねぇ、元帥だ…ッ!ヤバい!ヤバいヤバいヤバい!こ、殺される!?ただでさえもう大将クラスが何人か今にも俺を殺しそうな殺意をぶつけて来てんのに!元帥とか一番やべーヤツじゃん!

 

「あ…あの、陛下…」

 

早く!早くなんとかしなければ!!このままでは自分の席を取られた事に腹を立てた元帥と陛下の間で外交的軋轢が生まれ、日英開戦確実ぅ!ついでに俺の死も確実ぅ!

 

…しかし、こちらに歩いて来ていた筈の元帥殿はここに来る前に立ち止まった

 

「ほぉ………」

 

そして、元帥殿は何やら可笑しそうに肩を揺らし、本来俺が座るべきパイプ椅子の席へと歩き、そこに座った!!

何考えてんだあのジジイ!?アレ?なんか面白そうだからって好々爺的なアレ!?っーかテメーの周りの将校もドン引きしてるじゃねーか!佐官の中に元帥とか誰だって緊張するわ!空気読めよジジイ!!

 

「Admiral、顔色が優れないようですが?」

 

「あ、アハ…アハハハ、アレですかね、たぶん緊張してるんだと思いますよ、たぶん」

 

「No problem…大丈夫ですよ、Admiral、アナタはもっと自信を持つべきです」ニコッ

 

陛下の高貴で有り難いお言葉と優雅でエレガントなロイヤルスマイル………

こうして、一番偉い人が座る席に、ある意味では間違いではない御方が座った今年に定例会議は始まる事となった…

 




次回は後編

中佐、最後の戦い


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定例会議Ⅱ 後編

会議の後編、戦わなければ生き残れない!

【登場人物】

提督(177)
中佐、今度も壁をブチ破る

Warspite(10)
陛下、とても高貴な御方、大変に御心の広い御方だが最近やってきた女王陛下の騎士には頭を痛めている

Ark Royal(3)
女王陛下のロイヤルナイツ、女騎士型の究極体カンムス
ド美人で真面目で礼儀正しい頼れる存在だッ!………たぶん!

天海中佐(4)
イケメンの主人公属性の特務中佐、オチ要員


オッス!オラ、ハンサムな提督!西の陣営の海軍将校達が集まる会議が遂に始まり、周りは見たコトもねぇスゲー実力者達ばっかりでスゲーワクワクしてっぞ!カーッ!早くオラも戦いてぇーっ!!

 

「って!そんなワケねーだろォォォォォ!!」

 

午前の会議を終え、昼休憩を挟んでから再開なので、俺は陛下と共に昼食を摂る為に建物の外へと向かっていた…

一応、この施設内にも食堂があるらしく、会議参加者の多くはこの食堂を利用するか、あらかじめ用意して来た弁当を施設内のどこかで食べるのが一般的である

ちなみに、弁当持参の場合は86%が秘書艦のお手製(これ重要)、10%が購入した弁当、4%が提督自身が作るといったデータがあるらしく(ヒメ調べ)弁当持参組はとりわけ上司部下の関係が良好ぅ!な感じらしい

 

「センパイセンパイ、むしろ万騎長よかヤバいんすけど、殿下どころか陛下とかナニ考えてるんすか?」ヒソヒソ

 

「色々あるんだよ、色々」ヒソヒソ

 

俺達と同じく、昼食を摂る為に建物の外へと向かっていたヒメとその秘書艦は俺にヒソヒソと小声で話しかけてきた

 

「まぁアレだよ、アレ、男には自分の世界があるんだよ」ヒソヒソ

 

「はぁ?よくわかんねーっすけど、わかったっす」ヒソヒソ

 

とりあえず、俺は弁当なんて気の利いた物は用意してないし、陛下が自らお手製の弁当などお作りになるワケもない、しかし、女王陛下の騎士こと陛下のセ●ム、アークロイヤルくんが勿論女王陛下の昼食も万全の準備をしておくと事前に言っていたので何か用意しているのだろう…

俺達は建物の外へ出て、駐車場に待機しているであろう馬車へと……

 

「…ん?」

 

「なんすかね?コレ」

 

「ハラショー、芳ばしい香りだよ」

 

建物を出てすぐの広場、俺達の他にも多くの将校やその秘書艦達が居るのだが………なんだろうな?その、広場の中で一際目を引く屋台的な何かと、新鮮な何かを焼く食欲を刺激する芳ばしい香りと、何かをパタパタと焼く赤い髪の女…

 

「…ナニやってんだ?オマエ」

 

「フッ、待っていたぞAdmiral」

 

赤い髪の女騎士ことロイヤル空母のアークロイヤルくんは金網に乗った貝を金属的なハサミで掴み、クルリとひっくり返した

 

「実は先日、女王陛下がテレビを御覧になっている際、お祭りの出店に大層興味しんし●丸な御様子で見入っておられてな…」

 

「何が興味し●しん丸だ」

 

「そこでこのアークロイヤル、女王陛下の御心を察し、この機会に、女王陛下の日常に小さな驚きを味わって頂こうと屋台的なモノを用意したワケだ」

 

「用意したワケだ、じゃねーよ」

 

しかも焼いてんの牡蠣だよ!どっから仕入れて来たんだよこの牡蠣!?っーか、なんでランチタイムに牡蠣小屋開店してんだよ!ナニ考えてんだコイツ!バカか!バカなんだな!?嗚呼わかった!バカなんだ!

 

「おねーさん、牡蠣一丁」

 

「む、ちょっと待ってくれ、すぐ焼けるからな」

 

「ハラショー、コイツは新鮮さを感じる」

 

…しかもこの野郎、女王陛下の為とか言いながら普通にそこらのヤツにホイホイ焼いて振舞ってやがる、よく見るとあっちにもこっちにも牡蠣の乗った紙皿を持った提督やら秘書やらが居るし…

 

「フッ、どうだAdmiral、こうやって新鮮な牡蠣を振る舞うコトで軍内部におけるAdmiralの人気もまさに投網一発だろう?」

 

「何が投網一発だ」

 

ま、まぁ…コイツなりに俺と陛下の事を考えてやっているコトなんだろうが、あの海より深い御心を持つ陛下ですら頭を抱えるこの女騎士風ロイヤル空母……

 

「Admiral、どうかArk Royalについては…」

 

「いえ……心中、お察し致します!」

 

「…Thank you for your concern」

 

まぁ、悪気が無いだけでなく、むしろ本人的には良い仕事したと誇らしげに胸を張っているのでなおタチが悪い

ちなみにこのアークロイヤルくん、焼いた牡蠣を手渡す際にキチンと腰を曲げて頭を下げるので、そのロイヤルバレーが圧倒的コンニチハするせいか、手渡される際にガン見してしまった他所の提督さんが秘書艦からブン殴られて口論になる姿をちょいちょい見かけたが、俺は悪くない

 

「っーか、アークロイヤル、オマエまさか陛下にもここで牡蠣をむしゃぶりつかせるのか?」

 

「ハハッ!まさか、陛下にはこちらのテーブルに特製のSandwichを御用意してある」

 

「牡蠣の意味は!?」

 

「?、これは女王陛下に庶民的文化を間近で御覧になって頂く目的だが…?」

 

だ…ダメだコイツ、早くなんとかしないと…

 

「Admiral、どうか寛大な御心を…」

 

「え…えぇ、わかっております、わかっております陛下」

 

◆◆◆

 

「舐めてんじゃねーぞバカヤロー!殲滅するって言ったらみんな殺すって意味じゃねーかバカヤロー!」

 

「もう殺す殺さねーのハナシじゃねーんだよバカヤロー、もうちょい考えろやバカヤロー」

 

「講和だァ?ナニ日和ってんだオメーはァ?生き恥を晒すなゆーとるんじゃワレェ…」

 

午後の部、午後も元気にアツい議論が飛び交う会議場…

深海棲艦に対してなのか、俺に対してなのか、殺意溢れる活発な意見がホイホイ飛び出ている

 

「…はぁ」

 

隣に座る陛下はアツい会議の様子にとても満足しているようでなによりだ……と言うか元帥!本来この席に座るべき人物の元帥は少佐やら中佐に交じって退屈な会議の中でヒソヒソとなにやら内緒話をしているらしく、オマエあの娘好きなんだろー?告っちゃえよーだの、ヒュー!あの練巡パイオツでけーだの楽しくお喋りをしている……大丈夫か?軍上層部

 

「……はぁ」

 

さて、とりあえず会議が終わった後について考えてみるか…

まぁ、こちらに陛下が居る以上、外交的要因からこの場で処刑と言うコトはないだろう、だが………万一の事態を考えればこの場で第3次世界大戦開戦もあり得なくもない

そこでこのハンサムな提督は今後に対して何パターンかの予想をしてみた…

 

①会議は無事に終了

②ここから先は公開処刑だァ!

③ワシが逃がさん言うたら命を諦めんかいバカタレェ…

 

モチロン俺がマルを付けたいのは①だが、どう考えても無理だろう、運良くこの会場から脱出!この施設の格納庫にあるYF-21を奪取してリミッターカットしたら逃げ切れる可能性はあるが…

 

「………やるか」

 

………まぁ、死なばなんとやらか

 

ーーー

 

今年の定例会議も無事に終了し、会場が俄かにざわざわとしだした…

 

「あの…陛下、少しよろしいでしょうか?」

 

「なにかしら?Admiral」

 

「…陛下、申し訳ありませんが私はこの後、少々タフな用事があります故、後から参ります」

 

「そう…?ArkRoyalが帰りはAdmiralも是非御一緒にと言っていたのですが………仕方ありませんね」

 

「ハッ!申し訳ございません!」

 

「よいのです」ニコッ

 

俺は陛下から最上級のロイヤルスマイルと、アナタも気を付けて帰ってくるようにとの御言葉を頂き、出来る限り最高の笑顔で陛下を会場から送り出した…

ちなみに、陛下の御退場の際は、誰からとでもなく、ごく自然に全ての将校達が敬礼していたのは言うまでもあるまい…

 

「さて………」

 

会議場の重厚な扉が閉まると同時に、背中からヒシヒシと伝わる殺意の嵐ッ!!!

 

「…生きて帰れる思うちょらんよのぉ〜?」

 

「元帥殿、アレ、死刑でいいんでしょ?」

 

「えぇ覚悟しとるやないかワレェ?」

 

千を超える将校達が集まるこの会場はたった今から会議場から処刑場へと変わったのだッ!!俺は上着を脱ぎ捨て、殺意と覇気を撒き散らす将校達に向き直って吠えた

 

「こいやァァァァァァ!!言っとくが半分は地獄に道連れにすっからなァァァァァァ!!」

 

 

その咆哮が、ステキなパーティーに始まりとなり、こうして海軍名物ケンカパーティーが始まったのです…

 

◇◇◇◇◇

 

後日、海軍特務課御用達病院……

 

「お久ぶりです、中佐」

 

「………よぉ」

 

ベッドの上で海スポを眺めていると、イケメン特有の嫌味のない爽やかな笑みと、お見舞いらしいフルーツセットを手にした天海中佐がやって来た

 

「あ、天海中佐、お久ぶりです」

 

「五月雨さんもお久ぶりです、お元気でしたか?」

 

「えぇ、まぁ…」

 

何がえぇまぁだ、五月雨は微妙に器用だか不器用だかよくわからない形で切ったリンゴを俺を口にねじ込んできた

 

「フガフガ……ぐっ!」

 

「聞きましたよ中佐、今回はまた派手にやらかしましたねぇ」

 

「む……ごふっ!!ゲーフッ!」

 

「それに、ご無事そうでなによりです」

 

「オマエにはコレがご無事に見えるのか?」

 

頭蓋骨骨折及び脳挫傷、鼻骨骨折、第7歯から第4歯欠損、第1歯及び第2歯欠損、頚椎捻挫、左鎖骨不完全骨折………まぁ、正直、全部言ったらキリがないのでアレたが、どう見てもメチャメチャにヤられてるんだが…見た目はもう志士雄さんよりヒデーんだが?

 

「むしろ、よく生きて帰れましたよね」

 

五月雨は再びリンゴの皮を剥き始める、っーかコイツ、さっきからリンゴしか剥かねぇな

 

「やはり中佐は興味深くて面白い人ですねぇ」

 

「やかましい」

 

結局、あの後会議場は隣に居る誰かをただブン殴るだけの大乱闘!スタイリッシュケンカパーティーと化した、まぁ元々、海軍なんて半分ヤクザみたいなゴンタが多いし、誰かが祭りじゃ祭りじゃ!喧嘩祭りじゃーとか言い出したらもう誰にも止められない、動き出した新時代のうねりは誰に止められねぇよ!な感じで狂乱の坩堝と化し、俺を含めて参加者の8割が病院送りとなる大惨事となった…

 

「あ、そうそう、コレ、日女大佐から中佐にと…」

 

天海はひ●こ饅頭の箱をテーブルの上に置いた、っーかヒメの野郎、アイツ絶対あんトキ俺を刺してきやがったぞ!躊躇なく心臓狙いやがって…俺じゃなきゃ見逃しちゃうトコだ 、ちなみに、ヒメの野郎は病院送りにならなかったらしい

 

「あと、最近中佐宛てで上から書類が届いてませんでしたか?」

 

「…あったか?そんなの」

 

「ありましたよ、読まずに放置してるのが」

 

「あぁ、アレな」

 

あったな、そーいやそんなのが

 

「その書類は破棄していいそうです、で……こちらが私が預かってきた新しい書類です」

 

「はぁ?」

 

なんだよ破棄して書類って、破棄していいなら最初から送ってくるなってのな…とりあえず俺は今、両手が絶賛使用不可中なので五月雨に開けてくれと頼んだ

 

「え〜………読んでいいんですか?」

 

「構わん、わかりやすく簡潔に述べよ」

 

「とりあえず提督、明日から大尉です」

 

「………は?」

 

「明日付けで大尉です」

 

ナニ言ってんだこの青髪ロング子……イカれているのか?え?ナニ…?大尉、オイオイ…一文字間違えてるんじゃないのか?尉じゃないで佐だろ?

 

「いえ、大尉です」

 

「二階級特進ならぬ二階級特退ですか………なかなか出来る事じゃありませんよ、中佐」

 

「なんだよ二階級特退って!?っーかただの降格じゃねーか!?」

 

「や、むしろ降格で済んでる時点で良かったじゃないですか」

 

「よくねぇよォォォォ!!!アダっ?あだだだだ!痛い痛い!」

 

「大丈夫ですか大尉?」

 

「大尉じゃねーよッ!!痛い!さみ!さみだ!ナース!ナース呼んでくれ!おっぱいデカいナース!」

 

「大尉、尿瓶ならここにありますよ」

 

「やかましい!!ブッ殺すぞ天海ェ!!」

 

 

海軍のHOTな情報満載新聞海軍スポーツ、略して海スポ!

 

四年に一度の祭典!海軍名物喧嘩祭り開催!参加者の多くは爽やかな汗とリットル単位の血液を流し、日頃溜まった鬱憤を解消しましたと笑顔で次回の開催が楽しみですと答えてくれました、また舞鶴所属のある将校は“ナンでこんな楽しそーな祭りにオレを呼ばねーンだよ!ズリぃーぞォ!”ととても悔しがったそうです

 

あと、今回の会議に参加した将校の何割かに牡蠣に当たった症状が見られ、当日、無許可で牡蠣小屋をやっていたと言う赤い髪の女が居たらしく、現在もその行方を追っているとの事です

 



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提督と鈴谷と昼勤病棟

病院だよゥゥゥ!!!

【登場人物】

提督(178)
大尉、入院中

鈴谷(53)
現役援航巡、変なビョーキは持ってないが先日の健康診断で尿検査に引っかかる



「ティーッス、病院のベッドの上でタイクツでタイクツでムラムラしてる提督のお見舞いに来ましたよぉ〜」

 

「帰れ」

 

「やだし、来たばっかだし」

 

先日、定例会議と言う名の海軍名物喧嘩祭り、MASURAO-festivalでメチャメチャにヤられた俺は即日病院だよゥ!と緊急搬送、未だに基地に戻れず、特務中佐天海オススメのやたらと包帯を巻きたがる病院にて入院生活を送っていた…

 

「あ、クッキーがある!もーらい!」

 

「ナニ勝手に人のお見舞いの品開けてんだテメーは、帰れって言ったろーが」

 

「なにコレ、うんめー!」

 

「病室の床にクッキーの食べカスポロポロ落としてんじゃないよ、っーか帰れよ」

 

とりあえず、俺が入院している間も基地の運営は特に問題ないらしく、事務的な仕事は五月雨や香取先生が何事もなくこなしている

先日の蛮行で中佐から大尉に叩き落とされた俺だが、一応、基地司令の座は剥奪されていないらしく、引き続き提督業を続けよ、あと、さっさと退院しろ、殺すぞ、と大将殿から俺宛にお達しが来ていた…

 

「まぁまぁ、せっかく病院でタイクツしてるカワイソーな提督の為に鈴谷様が遊びに来てあげたんじゃん、ナニする?テレビあるからゲームしよーぜ!ゲーム!マ●オゴルフ」

 

「やかましい、っーか両手が使えねーのにゲームなんぞ出来るか、帰れ」

 

「チッ、つまんねーの…まぁいいや、じゃ鈴谷だけしよっと、テレビ点けるよー」

 

「帰れ」

 

入院生活中、五月雨や香取先生の他にも暇なアホどもが俺の様子見にちょいちょいやって来ており、アホどもは人のギプスにマッキーでう●こだの天下無敵だのラクガキし、お見舞いの品をボリボリと食べてはキャッキャと人の病室でハシャいでいた…

しかし、見舞いはアホガキだらけかと思いきや、キタローくんのように良識ある子も居る、彼女はわざわざ俺に新品の下着を買ってきてくれたな、で、使ったのは“洗濯する”と言って持ち帰ってくれた、彼女は将来きっと良いお嫁さんになるだろう…

 

「っーか帰れよテメー、ウゼーんだよ」

 

「ウザいとかゆーなし」

 

「だいたい、テメーが来るのは病室じゃないで診察室だろーが、お医者様に中●しますか?●絶しませんか?の選択肢出して貰いに行って来いよ」

 

「ハァ!?そんなワケねーし!そもそも鈴谷、そーゆーのしてな……」

 

「はいはい鈴谷さんはビッチかわいいビッチかわいい」

 

「ビッチじゃねーし!!」

 

ナニ言ってんのかね、この伝説のスーパービッチは、たおやかな身体でハゲしいプレイに目覚めた超戦士のくせにナニがビッチじゃないだよ、パンツ見せるのが仕事みたいなJKみたいなやらしい匂いプンプンさせやがって

 

「そもそもナニ?鈴谷が居たらナンか都合の悪いコトでもあるんですかー?あ、もしかしてアレですか?なんかこう…ムラムラしてナニを致したい的なアレですか?」

 

「まぁ、そーゆー気分もなきにしもあらずだが………そーゆー場合、ナースコールを押すが?」

 

「…え?ナースがヤってくれんの?」

 

「まぁ、オプション料金とか払えば…」

 

「マジで!?」

 

実際は頼んだ事がないので可能かどうかは定かではないが、まぁアレだろう、世の中と言うものはだいたい“金”でなんとかなるモノだ、出来れば若くてエッチで巨乳のナースのお姉さんに頼みたいところだが、今のところ、この病室に来るナースは採血だけは上手そうなカップクのいいおばちゃんしか見ていない、天海の野郎、ナニが綺麗なナースがいっぱいですよだ、俺が求めてんのは心が綺麗なナースじゃないで見た目が綺麗なナー………いや、この際女医もアリか

 

「ふ〜ん……あ、じゃ、鈴谷がしましょうか?手で、3万円で」

 

「帰れ」

 

「2万円!手で!」

 

「帰れ」

 

「クッ…じゃ、1万円!」

 

「いいから早く帰れよ、俺見たい番組があるんだよ」

 

「大サービス!1万円で手とか口とか!あ……あと、まぁ、胸を使うのもやぶさかでは………や、やっぱ胸はオプションで1万5……いえ、1万3千円で!今だけお買い得価格!お申し込み時に鈴谷に聞いたと言って頂ければ…」

 

何が鈴谷に聞いただ、ラジオかっーの…

 

「そもそもオマエ、金持ってるだろ?こないだたっぷり稼いだろーが」

 

「…や、ちょっと豪遊し過ぎまして」

 

クズ…っ!このビッチ!ビッチなだけでは飽き足らず真性のクズ…っ!救えない…っ!!

 

「まぁいい、ぺえずりフルオプション3千円」

 

「安過ぎる…っ!!ちょ!待てよ!1万さんぜ……わかった!1万2千!」

 

「4千円」

 

「クッ……わかったし、はいはい!わかったじゃん!8千円!フルオプションに顔騎付きで8千円!どうよ?」

 

「女の子が顔騎とかゆーんじゃないよ、5千円」

 

「5千円…ッ!クッ………あの、できればもう一声欲しいかな〜って」

 

「500円」

 

「下げんなァ!!!もう一声ってフツー上げるモンでしょ!?なんで下げたの!?」

 

「うるせぇよ、そもそもなんで病院で変なビョーキ伝染されにゃならんのだ、バカか」

 

「変なビョーキとか持ってねーし!!」

 

鈴谷は人にギプスをバシバシと叩き猛抗議をしてきたが、硬度10を誇るダイヤモンドギプスの硬さに、逆にダメージを負っていた

 

「いいから帰れ、なんならセンセイに診てもらって行ったらどうだ?あ?産婦人科の比良坂センセイは命の尊さを知る実に素晴らしいセンセイだ」

 

「興味ねーし!っーか産婦人科とか用事ねーし!っーか死ね!マジで死ね!そのまま死ねッ!」

 

包帯巻き巻きオプション中でベットに転がる上司に対し、死ね死ねと暴言を吐いて乱暴にドアを閉めて去って行った、どうやらカルシウムが足りていないのだろう…

 

「はぁ………テレビでも見るか」

 

今度五月雨にDVDでも持ってくるように頼むか…




おまけ

【登場してない人物】

早霜(5)
フーッ!フーッ!スーハースーハー!スゥゥゥゥ!ハァン!フーッ!あ…っ!あっ!んんっ!スゥゥゥゥ!ああ…あっ!ハァァン……スーハースーハー!ハァハァ…んん…っ!ハァン!と……トレッビアーン!!

比良坂先生
産婦人科医、命の大切さを知る名医


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提督と天海中佐と夜●病棟

昼勤じゃない夜勤、まさか続いた入院編

【登場人物】

提督(179)
大尉、五月雨にDVD頼んだらテニ●ュだった

天海中佐(5)
ルックスもイケメンの特務中佐、今の上層部に疑念を抱き、腐敗を一掃したいと考えている



「そう言えばこの病院、でるらしいですよ」

 

「ふ〜ん」

 

誰かが持ってきたお見舞いのリンゴの皮を剥き、器用にウサギっぽい感じでカットして紙皿に並べ、天海はどうぞと言ってわざわざ俺に手渡してくれた

 

「なんだよオマエ、ホモかよ」

 

「なんでリンゴ切って渡すだけでホモ認定されないといけないんですか…」

 

大本営直轄第五特務中佐の天海、ルックスもイケメンだ…

しかしコイツ、ちょいちょい俺のトコに顔を出すが、もしかしてワリと暇なんだろうか?

 

「大尉は見てないんですか?白い影とか」

 

「バカバカしい、いいか天海、ユーレーだの半透明だのそーゆーふわふわしたモノは存在しないんだよ、いいか?居ないんだ、え?わかってるか?そーゆーのはアレだよ、ビビっちまってるんだよ、ホンのちょびっと心に恐怖があるんだよ、え?わかるか?甘ったれてんだよ、ママっ子なんだよ」

 

「はぁ?」

 

天海はカットしたリンゴをサクサク食べながら気のない返事をしやがった、この野郎…イケメンだからってチョーシに乗りやがって、怪我治ったら真っ先に半殺しにしてイケメン特有の謝罪させてくれる

 

「まぁ、そう考えるのもアリですね」

 

「アリじゃない、そうなんだよ」

 

「さすがは大尉、幽霊相手に一歩引かない姿勢に僕も感動しましたよ、あ、そうそう、コレ、大尉宛にアツいお便りがいっぱい来てるので是非読んでください」

 

「決して嬉しくねぇお便りなのだよ」

 

先日の海軍喧嘩祭り以降、俺のところには主に若手の将校やら将兵からアツい励ましのお便りがやたらと届いていた…

天海曰く、先日の俺の蛮行は上司や現体制、パワハラに悩む多くの若手達にMORIMORIと勇気を与えたらしく、無理・無茶・無謀!最高の褒め言葉だ!気に入らねぇなら反逆する!そう思うだろ?アンタもッ!!と随分と物騒で野蛮な考え方で広まっているらしい

 

「今や大尉は反体制の急先鋒ですからねぇ」

 

「何が反体制だ、俺は現体制の中で植物のように穏やかに生き、たまに“彼女”と公園でまるでピクニックに来ているような気分でサンドウィッチを食べたいだけなのだよ」

 

「またまたぁ〜、大将4、中将12、少将47を病院送りにした人がよく言えますね」

 

「やかましい」

 

しかしあの乱戦でよく死者が出なかったもんだ、俺も小宇宙を爆発させて奇跡を起こさなかったら何度死んでたかわからんし

 

「大尉、やっぱり特務に来ませんか?大尉向きの仕事いっぱいあるから大尉ならすぐに少佐ぐらいになれますよ、たぶん」

 

「イヤだね、っーかオマエの部下になるとかマジでBADなのはゴメンだ」

 

「むぅ……何故か嫌われてますねぇ、僕達友達じゃないですか?」

 

「誰が友達だ」

 

「ハハ…まぁ、僕が上に行ったら今の上層部を全員処分して大尉を第五特務の室長にしますよ」

 

天海の野郎は爽やかなイケメンスマイルでとんでもない事を言いつつリンゴを口に放り込んだ…

コイツといい、ヒメといい、どうしてこう…俺より上に行きたがるのか、俺に仕えて共に宇宙をお手に入れくださいと言う謙虚な気持ちはないのだろうか?いや、むしろ、コイツら今の上層部に何か恨みでもあんのか?

 

◆◆◆

 

深夜2:00、草木も眠るUSHIMITSU-DOKI…

 

「…小便したい」

 

参ったな、俺とした事が今日に限って寝る前に小便と神様にお祈りを失念しておったわ…

とてもじゃないが、このままではイイトシこいておもらし確実ぅ!のレッテルを貼られる可能性が大だ

 

「………しゃーなしだな」

 

悩んでいても仕方がない、俺はとりあえず動く身体を総動員し、折れてる骨はなんとなく関節が増えたようなイメージを働かせ、トイレへと行く事にした…

 

ーーー

 

「震えるぅ〜左手にぃ〜マインダァ〜ほ〜え〜る〜ときぃ〜♪」

 

夜の病院ってのは静かで暗くていかんなぁオイ、思わず歌でも歌いながらじゃないとおしっこ漏らしそうになってしまうよ、なぁオイ、だが誤解してはいけない、俺は決してビビっているワケじゃあない、深夜にトイレに行けなくてビビっちまうのが許されるのは暁ちゃんぐらいで俺は決してビビっているワケじゃあない、そう、決して昼間、天海の野郎が言っていた事を今になって思い出したワケじゃない…

 

カタッ…

 

「ヒィィィ!?」

 

……気のせいか、まったく、ビビらせやがって……いや、決してビビったワケじゃない、ほんのちょっぴりビックリしただけだ

 

「たしかトイレはこの先だったな…」

 

まったく、なんでこんな深夜に限って誰もいないのだよ、通りがかりのナースステーションにも誰もいなかったし…

 

『ォ……ォ…ォォォ……』

 

「!」

 

…何か聞こえた気がしたが、気のせいだ、そう、気のせいだ、おそらく風で枯葉が揺れている音だろう

 

『…ハハッ!』

 

なんか白いのが見えたし聞こえた気がするが大丈夫だ!たぶんアレだ!灰色の古い柳的なナニかだ!

 

『ハハ……ツウカイダナァ…』

 

目をしっかりと閉じたまま立ち止まり、その場で深く、そう深く深呼吸する、深呼吸、そう…呼吸だ、正しい呼吸法で落ち着き、生命のエナジーを感じるんだ…身体の内から溢れ出る生命の波紋!フーッ…スゥー…ハーッ……スーハースーハークンカクンカスーハースーハー!フーッ!よし、整ったッ!!

 

「くたばれやボケェ!!喰らえ生命の波紋!山●色の波紋疾走ぅ!」

 

俺は目を閉じたまま目の前にいるであろう白い影的なナニかに俺は人間の溢れるエナジーを込めた掌を叩き込んだ

 

バアアァァァァァン!!!

 

「キタァ!まるで分厚い鉄の扉に鉛弾がぶつかったようなこの音ォ!………ん?」

 

いや…むしろ柔らかいぞッ!!なんだこの弾力はッ!?柔らかいぞッ!!まるで上等な低反発素材のようで、それでいて温かみのある柔らかさッ!!俺は覚悟を決めて目を開いてみると…

 

「…随分と気易いな、Admiral」

 

なんか怒った様子の白い顔の幽霊………ではない、よく見知った顔、ドイツから来たおっぱい空母のグラペン…?

そして、この母のような無償の柔らかさは………そうか、なるほど、これがグラッパイと言うものか?うん、実に弾力があり迫力の揉み応えだ、うん

 

「とりあえず、鷲掴みはやめてくれ」

 

「お、おぅ…」

 

俺は努めて紳士的にグラーフのオパーイから手を離した

 

「…え?ってかナニ?え?オマエ、グラーフだよな?」

 

「グラーフ・ツェッペリンだ」

 

…いや、そもそもなんでこのおっぱい空母が草木も眠る丑三つ刻の深夜の病院に居るんだ…?アレか?吸血か?新鮮なヒューマンのエキスを吸いにでも来たのだろうか…?

 

「フッ、このグラーフ・ツェッペリン、実は深夜のジョギングが趣味でな」

 

「あぁ、うん、そうなの」

 

グラーフ曰く、深夜の時間帯は人や車通りも少ないのでついつい遠出しちまうぐらい、ハイ!になってジョギングをしてしまうらしい…

 

「それでだ、今日もジョギングをしていたらついついAdmiralが入院中と聞く病院の前を通りがかってな、せっかくの機会だし、予告なしにお見舞いでもして日々退屈なベッドで過ごすAdmiralに驚きを与えようと考えたワケだ…」

 

「や、いらねーよそんなサプライズ、っーか怖えーよ」

 

ちなみにグラーフのヤツ、見舞いに来たはいいが俺の病室は知らないので各階各部屋をしらみつぶしに回っていたらしい…

 

「っーか帰れ、マジで、面会時間知らねーのかオマエは?」

 

「面会時間…だと?」

 

コイツ……面会時間すら知らんのか

 

「フッ、まぁいい、ところでAdmiralの部屋はどこだ?このグラーフ・ツェッペリン、そろそろ睡眠の定刻なので一眠りしたいのだが?」

 

「やかましい、ロビー行って長椅子にでも寝てろ」

 

「まぁそうツレないコトを言うなAdmiral、なんならこのグラーフ・ツェッペリン、Admiralが眠るまで歌でも歌って構わんぞ、こう見えてこのグラーフ・ツェッペリン、歌には少々自信がある」

 

そう言ってグラーフはコホンと一つセキ払いをして息を吸い込み…

 

「Dies iræ, dies illaーッ!Dies iræ, dies illaーッ!Dies iræ, dies illaーッ!solvet sæclum in favillaーッ!」

 

「うるせぇよ!!っーか帰れ!マジで!お願いだから帰って!!」

 

 

この後、無駄に良い声したグラーフの怒りの日に、院内から苦情が殺到、翌朝、朝っぱらから怒りの日を迎えた婦人科局長の神宮寺先生からメチャメチャ怒られた

 

…でも、神宮寺先生から怒られるのはちょっぴり興奮した




次回

帰ってきた男と、ハッキリ言って自信作です


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提督と夕張と容赦のない思い出達

大提督の帰還

【登場人物】

提督(180)
鬼畜眼鏡系上司、ルート分岐でセーブしない退路を捨てたプレイを好む

五月雨(56)
サラサラストレート系髪長駆逐艦、シャンプー代がハンパない

夕張(30)
意外にも攻略難易度の高いM、純愛ルートは屈指の難易度を誇る


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

生命力を活性化させる人体の不思議、波紋呼吸法により意外にも早く退院した俺は懐かしの我が城へと帰還を果たした……モチロン、自分の城に入るのに裏口から入らねばならない理由はないので正面から堂々と入ったが、さすがにトシだな、全盛期に比べて身体がついてこない

 

「サミエンタール、アレ持ってこい、アレ、ペタっと貼って電気がビリビリするやつ」

 

「五月雨です、腰でも痛いんですか?」

 

「いや、どうせいつものロクでもないガラクタなのは見なくてもわかるしな」

 

今日のオシオキコースは比良坂先生に教えて頂いた絶頂!逝くイク電極地獄責めにでもするか、本来は本格的なカウンターショックでYOUR SHOCK!なプレイが望ましく、AED等を使ってもいいが、用意するのが面倒なので今回は健康グッズで代用する

 

「まぁまぁ、ロクでもないかどうかは御自身の目で見てから判断してくださいよぉ、ホント自信作なんで」

 

「そうさせて貰おうか」

 

既に、机の上に置かれた低周波治療器をチラチラと見つつ気持ちの悪い笑みを浮かべている夕張は何を考えているのだろうか…

「今回開発しました最高にゴキゲンなメカはこちらァ!12.7cm連装砲C型改二です!」

 

「………足がないな」

 

「足なんて飾りです」

 

意外ッ!?なんかマトモなモン作ってきやがったよコイツ!?12.7cm連装砲C型ってアレか?Cって言うぐらいだからBよりスンゴイのだろう

 

「こちらの12.7cm連装砲C型改二、12.7cm連装砲B型改二に比べ命中+1、装甲+1、120mm連装砲に比べ装甲+1&改修可能と現状考え得る最強の12.7cm連装砲です、はい」

 

「夕張ェ…」

 

「はいっ!ビンタですか!平手打ちですか!尻を出します!」

 

「オマエ、たまにスゲーの作るよな」

 

「はいっ!あ、尻を出す前に壁に手をつかないとアレでしたね!あ、もしくは机に腹這いの方が…」

 

夕張はニコニコと嬉しそうに気色の悪い笑顔でアホなコトを言っているが……コレを作って怒るなどとんでもない、良い子には褒めて伸ばすのが教育だと常に香取先生も仰っておられた、そう、香取先生は仲間を大切にしないそれ以上のクズでも見捨てないアツき教育者の鑑…ッ!

 

「夕張ェ…」ポロポロ…

 

「な…なんでしょうか?」

 

「提督は知ってたよ、オマエはホントはスゲーやつなんだって…やれば誰よりもデキる子なんだって…」ポロポロ…

 

「は…はぁ、それはどうも」

 

俺は低周波治療器を机に引き出しに入れ、ワリと華奢な夕張の身体をアツく抱きしめ、よくやった!よくやった!感動した!とアツく褒めちぎった

 

「え?え?や、ちょ…?え?ナニ?え?五月雨ちゃん、提督なんか変なモン食べたのぉ!?」

 

「食べてませんよ」

 

五月雨も12.7cm連装砲C型改二を物珍しそうに眺めたり触ったりしつつ、ほーほーコレは良いものですねーと感心していた

 

「ちょ!な…なんですか!ヤる気ですか!今日は電気ビリビリと見せかけての抱きしめ過ぎだぜオヤジぃ!な感じのアレですか!?」

 

「ナニ言ってんだオマエは、褒めてるんだぞ」

 

「褒める………?え?ナニ言ってるんですか?イカれてるんですか?」

 

「むしろオマエが何を言っているのか理解に苦しむのだよ」

 

「…え?だってテイトク、私、朝からおしっこ我慢してもう膀胱パンパンなんですよ?たぶん内股エレパ●スの刑レベル7で我慢出来ずにスプラッシュしそうなトコなんですよ?」

 

「トイレに行け、トイレに」

 

「…え?じゃ、しないんですか?エレパ●ス」

 

「しねーよ、なんなら肩にでも貼ってやろーか?」

 

夕張はとても残念そうな顔をしてガクリと肩を落とした、コイツ…褒められる事にあまりにも不慣れ過ぎて思考と本能がラリっちまっているのだろうか?

 

「………いえ、結構です」

 

「まぁそう言うな、そうだ、今日は提督様が晩飯でも奢ってやろう、肉かね?魚かね?好きなものを言いなさい、ガッハッハ!」

 

「………いえ、特にないです」

 

「若いモンが遠慮するんじゃないよキミぃ!」

 

「………はい、じゃ、うどんでいいです、高速のPAとかにあるたまにソバが交じってる雑なやつで」

 

謙虚かッ!コイツ……人が珍しく褒めてやっているのに恐ろしいまでの謙虚ッ!

 

「オイ、サミッターマイヤー」

 

「五月雨です、なんですか?」

 

「コイツ、なんか変なモン食ってるんじゃないのか?」

 

「さぁ?むしろ、夕張さんが今一番食らいたいのは提督のボディブローじゃないんですか?ほら、あの腹立つくらいスリムなヘソチラウェストとか世の女性の70%が殺意を抱いてブン殴りたく思ってますよ」

 

70%か…多いな、女社会の闇は深い…

 

「白露姉さんなんか夏が終わって厚着して油断して、最近イモばっか食べてるせいでブーブー屁をコキながら歩いてますよ」

 

「白露姉ちゃんの闇も深いな」

 

五月雨曰く、春雨姉さん(仮)もイモばっかり食べて部屋でゴロゴロしているせいか、同室の夕立と村雨からブーブークッションとディスられているらしい

 

「まぁそれはいいして、とりあえず腹パンでもしたらどうですか?」

 

「…オマエ、夕張と仲良いんだよな?」

 

「えぇ、まぁ、それなりに…好きな音楽のジャンルは知らない程度にはですけど」

 

微妙な関係だな、コイツらたまに一緒に近所のイ●ンモールとか行ってるし仲良いのかと思っていたが…

 

「まぁいい、オイ夕張」

 

「………なんですか?私、トイレに行きたいんですけど」

 

「そこの窓からしろ」

 

「…はい?今………なんと?」

 

「掃除するのもされるのも面倒くせぇからそこの窓から外に向かってしろ、録画しててやるから」

 

「は、はい…っ!やります!やらせて頂きます!」

 

なんで嬉しそうなんだよコイツ…相変わらずキメェな、っーかどんな闇を抱えてんだよコイツは

 

…翌日、なんか執務棟の裏を歩いていた熊野が天気は快晴だと言うに雨が降ってきましたわー!あれはきっとキツネ雨ってヤツですわー!となんか嬉しそうにハシャぎながら俺に話しかけて来たので、俺はとりあえず“雨だよ…”とだけ答えておいた

 



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提督と168と最新ケータイ

ケータイ依存艦!168

【登場人物】

提督(181)
スマホが使いこなせない大人

伊19(2)
エロい身体をしている

伊58(2)
エロい肢体をしている

伊8(2)
エロいボディをしている

伊168(2)
まぁまぁスケベなカラダをしている、ケータイ大好きっ子







「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

明石の店で缶コーヒーと基地スポを買い、喫煙所でダラっとしようと廊下を歩いていると、自販機コーナーの近くで実力派エリート集団の潜水艦が何人かでたむろしていた…

 

「何やってんだ?アイツら…」

 

実力派エリート、潜水艦の168はお気に入りのスマホ…?いや、スマホか?なんか普通の携帯に見えなくもないが…まぁ、とにかくアレだ、168はスマホだか携帯だかをおもいっきり壁にブン投げていた…

 

「よぉ、クズども、元気しとるかね?」

 

「あ、テイトクなのね」

 

実力派エリートの19、いやらしい身体つきをしている

 

「ダレがクズだ、ダレが」

 

実力派エリートの58、いやらしい身体つきをしている

 

「クズにクズと言われたくないです」

 

実力派エリートの8っちゃんさん、見ての通り頭の良い潜水艦だ

 

「ハッハッハ、正直で結構!提督は君たちを高く評価しているのだよ」

 

安心の四交替、無理のないシフト、小破以上のキズには保険適用の即治療、長期休暇有り、アットホームな雰囲気の職場で優しいセンパイ達が丁寧に仕事を教えてくれるホワイトぶりの実力派エリート集団、潜水艦…

健全な基地運営の為に、常に生と死の狭間で力強く左足を踏み込んで資材を集めてくる孤高の労働者集団だ

 

「で?168クンはナニしとんのかね?」

 

「あ?あ〜…168ならアレだよアレ、なんかケータイが勝手にアップデート?してキレてるんでちよ」

 

「いつものコトなのね」

 

「ふ〜ん」

 

自動アップデートでキレるとはまた心の狭いヤツだなオイ、まぁ、たしかに時と場合によっては鬱陶しい機能ではあるが………ん?

 

『ギ…ギ………ギギ……』

 

気のせいだろうか?なんか壁に激突して床に転がったスマホだかケータイだかが、今、なんかひとりでに動いたような気が……

 

「チッ!まだ動くかぁ!!」

 

168は廊下に置いてあった消火器を手に取り、躊躇いなく床に転がったスマホだかケータイだかに勢い良く叩きつけたッ!?なにやってんだアイツは………どんだけアップデートに憎しみ持ってん………ん?

 

『フゥ、危ナカッタ』

 

避けているッ!?あのスマホだかケータイだかは手足を伸ばし!168の殺人消火器アタックを回避している…ッ!!正直、自分でもナニ言ってんのかワカらねぇが、とにかくあのスマホだかケータイだかに手足が生えて………いや、やっぱよくワカらねぇ、イカれているのか?

 

「ってオイイイィィィィィィ!!?なんだそのスマホ!?っーかスマホか?スマホなのか?そいつはァァァァァ!?」

 

「うるせーよオッサン」

 

「オッサンじゃない!」

 

「こないだハワイ行った時に168のスマホ機種変したのね」

 

「海外製か!?」

 

19曰く、先日の長期休暇にてハワイに行った際、168のスマホが破損してしまうと言うトラブルに見舞われ、現地で修理したのだが、なんか気に入らず、とりあえずその場でスマホからラクラクホン的な機種に機種変更したらしい…なるほど海外製か、さすがは海外製、手足が伸びて動くとは………海外の技術も侮れぬものなのだよ

 

「とりあえずワイハから帰って、すぐに普通に最新のヤツに機種変しよーとしたらしいけど、なんかケータイ屋に行ったらお客様のケータイは機種変できませんって言われたそーでち」

 

「ふ〜ん」

 

なんか色々なケータイ屋にケータイ屋を持って行ってお店のお姉さんに見せたら、みんなどこイッちまったような虚ろな目になり同じ答えを返してきたらしく、これはさすがに変だなと思った168は機械に詳しい夕張に診てもらうと、なんか機種変しようとすると画面からヤバい電子ドラッグが出る仕組みになっていたらしい

ちなみに夕張はフィルターなしで電子ドラッグの画面見ながら、なんでみんなこんなのでハッスルできるんでしょうねーと笑っていたそうだ

 

「で、なんか今もちょいちょい自動的にアップデートしてるのね、アレ」

 

「最初は手とか足とか生えなかったんだけど、いつの間にやらウロウロしだしたらしいでちよ」

 

「ふ〜ん」

 

すげぇな海外の新技術は、この国の五十年先はイッちまってるんだろう…

168はなおも自らのスマホみたいなケータイに攻撃を加えるべく、激しいラッシュを繰り出していたが、168のスマホ、略して168ホンはその小さなボディを活かしてひょいひょいと168ラッシュを避けていた…

 

「キャオラッ!!」

 

『ヤメテクレ168、私ノ何ガ気ニ入ラナイノダ、気ニ障ル点ガアレバ改善スルヨウ努力シヨウ』

 

「全部じゃあ!!っーかケータイが喋るなァァァァァ!!」

 

『ナルホド、168、君ノ気持チハ受信シタ』

 

「うるせぇ!!!」

 

…すげぇな、海外製のケータイっておしゃべりできるんだな

 

『ム、168、着信ガ入ッタゾ………ピッ!あー…あー…もしもぉーし?どうですアップデートした新しいOS、ver5.24の調子は?これは我ながら自信作でしてねぇ、あの国の人工衛星を個人的に利用してネットワーク速度はなんと2億TBを実現…」

 

なんかケータイくんからメカメカしいロボボイスではなく、なんか微妙に癇に障るイケボが聞こえてきた

 

「男からなのね」

 

「男でちな」

 

「マジか?なんだ、168のヤツもスミにおけねぇなぁ、そうかそうか!男かぁ〜」

 

そうかそうか、潜水艦168、色を知る年齢かッ!!

 

「うるせぇぞそこッ!!ブッ殺すぞォ!!」

 

『オシャレなスウィーツショップを探す片手間にミサイルの軌道まで………む、大鳳、そこはもう少し焦げ目をつけるコトをオススメします、あぁ失礼、こちらの話です、えぇと…なんでしたっけ?そうそう、某国の諜報機関の情報をハッ……』

 

「通話切って」

 

『…………了解シタ』

 

唐突にイケボが止まり、168ホンはトコトコと歩いてジャンプし、168の手に収まって手足を引っ込めた

 

「………はぁ」

 

「最近のスマホだかケータイだかはスゲーな」

 

「…テイトクにあげよーか?コレ、代わりにテイトクの頂戴」

 

「あぁ!お断る!」



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提督と香取先生と進路アンケ

秋のアツかりしトレンディ教育現場

【登場人物】

提督(182)
トレンディ大尉、若さとはキラッキラ

香取先生(15)
トレンディ練巡、その指導はアツくハゲしい

鹿島先生(15)
ドエロスボディに定評のある練巡、ツッコミ不要


「提督、先日実施した駆逐艦の子達の進路希望調査をお持ちしました」

 

朝晩に寒いなチクショウと呟く秋の日、執務室で書類仕事をしていると、今日も眼鏡が素敵な香取先生と、妹の鹿島先生が執務室へとやって来た…

 

「これはこれは先生方、お疲れ様です、先日から面倒な仕事をさせてしまい申し訳ありませんなぁ」

 

「そんなコトはありませんよ、ねぇ鹿島?」

 

「え?あ、うん…いえ、はい!正直、提督が居なくてもワリとなんとかなるって言うか…」

 

定例会議から先日迄まで入院している間、先生方には御迷惑をおかけしただろう、ここはやはり大人として先生方を食事にでも誘い日頃溜まっているウッフンを発散する場を一席設けないとな…

 

「あれ…?提督、今日は五月雨さんは休みですか?」

 

鹿島先生はいつもの席に座ってない青髪ロング子の代わりに置かれたく●モンのぬいぐるみを手に取ってみる

 

「えぇ、今日は休暇を取って夕張と近所のイ●ンモールにに行くとかなんとか…」

 

「へぇ〜、あの二人って仲良いんですね」

 

「えぇ、好きな音楽のジャンルは知らない仲なそうですが」

 

「は…はぁ?」

 

まぁ、好きな音楽のジャンルは知らないが変なところで気は合うらしいので問題ないのだろう、鹿島先生は曖昧な笑みでそうなんですかと呟いたが、そこはやはり鹿島先生、笑みは曖昧でもそのドスケベボディは曖昧ではなくメリハリが利いておられるのだよ…

 

「それで?進路希望調査と?」

 

「はい、先日実施しました進路希望調査ですが、こちらにまとめております」

 

「ふむ…」

 

エレガントに香取先生が手渡してくれた書類を手に、とりあえずパラパラとめくってみたが…………

進路希望調査とか頼んだっけかな?あ〜…そういやなんか前に先生とそんな話したっけかなぁ〜…あ〜…うん、したした、なんか夏前に居酒屋的なトコで新時代の教育についてアツく話し合ってた時、なんか微妙に覚えがあるわ、うん

 

香取先生曰く、いつまでも軍のような組織に縛られる必要は無く、未来ある子達は将来に向かって目標を持つべきであり、我々はその“黄金”のような“夢”に向かう子らの背中を少し後押しするのが本当にあるべき教育の姿だとアツく説いてくれた……まったく、香取先生はいつだって俺をアツくさせてくれる…ッ!先生のような真の教育者に時に厳しく、時に優しく指導される駆逐艦のクズどもには殺意すら覚えるね!俺は!

 

「ふむふむ、え〜…まずは暁ちゃんか…」

 

【暁:アーマーロ●ド・レディ】

 

「ヒュー!」

 

さすが暁ちゃんだ!目指すレディの難易度が宇宙一高いレディだぜ!ただ、暁ちゃんよ、提督としては暁ちゃんには暁ちゃんらしくノビノビと育ってくれて欲しいね!

 

「しかし、そんな暁ちゃんを提督は応援したい」

 

「素晴らしいお考えです、提督」

 

「え?……あの、提督、香取姉ぇ……じゃない、香取姉さん、それ進路とはちょっと違う気が…」

 

「ではドンドンいきましょう、ドンドン」

 

【吹雪:メジャーリーガー】

【綾波:スーパーサ●ヤ人】

【朝潮:超大型●人】

 

「…ふむ」

 

どいつもこいつも“夢”があって大変よろしい!こう…アレだな、クソガキ特有のキラッキラの“夢”とはかくも眩しいものか…へへっ、汚れちまった大人のオイラにゃコイツのキラッキラが眩し過ぎるぜ

 

「しかしアレですな、難しいとは思いますが………自分を信じて“夢”を追い続ければ“夢”はいつか必ず叶う!」

 

「素晴らしいお考えです、提督……この香取、提督のお考えに感動しました」

 

「や、どうかな…?あの香取姉ぇ?メジャーリーガーはまだいいとして、スーパーサ●ヤ人も超大型●人もちょっと難しいじゃないかな…って」

 

「何を言っているの鹿島、私達が、私達指導者がそんな弱気でどうするんですか!姉さん感心しませんよ!」

 

「え…?いや、常識的に…」

 

「鹿島」ニコッ

 

「…な、なんでもないです、なんでもありません」ガタガタ

 

鹿島先生はへへっ…じょ、冗談だよ、冗談だよ香取姉ぇと言いたげに小刻みに震えているようにも見えるが、もしかしてアレだろうか?小の方でも我慢しておられるのだろうか?

 

「あ、コレなんて可愛いらしいですよね!夢があって!」

 

【白露:お嫁さん】

 

「オイオイオイ…マジかよ白露姉ちゃん」

 

「えぇ、これは少し厳しい指導が必要ですね」

 

「なんでッ!?提督も香取姉ぇもなんでそこは応援してあげないの!?」

 

しかしさすがはヤンチャボーイズに定評のある白露姉妹の頂点に立つ白露姉ちゃんだ、神をも恐れぬ最高にロックな進路希望…っ!

 

【時雨:常に勝つ僕の進路は常に正しい】

【夕立:ガン●ム】

【村雨:ガン●ム】

【春雨:ガン●ム】

 

…そしてあのバカどもはどんだけガン●ムになりてーんだよ、バカか?バカなんだな?バカでいいんだよなッ!

 

「時雨ちゃんの進路もどうかと思いますけど…」

 

「提督、こちらもなかなか夢が溢れてますよ」

 

【清霜:勝者じゃなくて勇者!】

【りべ:セリエAのスター選手よりギャングスター!】

 

知ってた、さすがはこのアホどもはひと味違うスパイスだってコトは提督は見なくても知ってた

 

とりあえず、ひと通りパラパラと見てみたものの、他にもケーキ屋さんだのプロ野球選手だのF1ドライバーなど、どいつもこいつもキラッキラの“夢”に溢れている、むしろ、思ったよりお嫁さんと書いてヤツが多いのに提督的には驚きを禁じ得ないのだよ

 

ーーー

 

「提督、珈琲を淹れましたので……どうぞ」

 

「やや!これはこれはありがとうございます」

 

やや疲労感を感じつつある俺の気分を的確に察し、少量の糖分を加えたクリィーミィなコーヒーを淹れてくれる、まったく、香取先生はどこまでも素敵な先生だ

 

「…む?この仄かに感じる香り…薔薇ですな?」

 

「えぇ、少し薔薇のエッセンスを…」

 

まったく、香取先生は常にエレガントでいらっしゃる…

 

「ハッハッハ、香取先生にはかないませんなぁ、ハッハッハ」

 

「まぁ、お褒め頂いてもこれ以上は何もでませんよ」

 

「うわ…相変わらずイラっとくるわ、このトレンディ小芝居」ボソッ…

 

「鹿島、今なにか言った?」

 

「なんでもありません!何も言ってません!サー!」



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提督と明石と犬

生類憐みのなんちゃら

【登場人物】

提督(183)
嫌いなものは、ガキとケダモノとハネっ返りの強い女

明石(13)
嫌いなものは、カード払い


特に急ぎの仕事もない秋の日、菓子パンと缶コーヒーでも買って談話室で大魔王を倒す為にアツき冒険にでも旅立とうと考え、とりあえず明石の店に寄ってみると、明石の足元にハァハァ言ってる白黒のケダモノが居た…

 

「なんだコイツ?」

 

「グラーフさんが飼ってる犬らしいですよ」

 

「ふ~ん」

 

そういや前に寮の前でレーベきゅんとマックスきゅんが餌かなんかやってた気がするな、たしかいつぞやからグラーフの横に居て、レーベきゅんが“それはグラーフの犬か?”と聞いたらグラーフは“ふむ、私の犬に見えるのか?”と言っていた事から付いた名前はグラーフ・ツェッペリン犬とかなんとか…

 

「で?なんでそのグラーフ・ツェッペリン犬がここに居るんだ?残飯でも食いに来てんのか?」

 

「さぁ?ウチには残飯なんてないんですけど…」

 

「じゃあアレだな、お前を獣姦しに来たんだろ」

 

「冗談じゃないですよ、私にも選ぶ権利ありますよ」

 

「モテモテだな淫乱ピンク、子供は何匹出産予定だ?」

 

「淫乱ピンクじゃないです、あと、子供は出来れば男の子2人ですね、兄のおさがりを弟に使い回せるのが理想です」

 

さすがは工作艦明石、安心の将来設計プランを既に立てているとは……大したヤツだ

 

「で?飼い主はどうした?飼い主は?」

 

「さぁ?なんかよくわかんないですけど、この犬だけみたいですよ」

 

「放し飼いか、気に入らんな」

 

「まぁ、犬が嫌いな人からしたら公の場で放し飼いなんて狂気の行動ですしね」

 

自分や家族が噛まれないからアカの他人も噛まないとか無根拠に信じているアホンダラは愛犬家ではないと提督的には思うね、首輪や紐がカワイソーと思うのは結構だが、そーゆーのは自分のナワバリの中でのみ実践してもらいたいね

 

「まぁいい、飼い主を見かけたら股間を蹴りあげてくれるわ」

 

「女の子の股間を蹴るのはどんなものかと………あ、そーだ、コイツ菓子パン食べますかね?菓子パン、賞味期限切れたやつですけど」

 

「さぁ?食うんじゃね?」

 

「ちょうどさっき、賞味期限切れたやつ見つけて後でおやつにでもしようと思ってたんですよ」

 

明石はレジカウンターの裏に回り、なにやら下に置いていたらしい箱から袋に入った菓子パンを取り出した

 

「よぉ~しよしよしよし!このパンが欲しいですか~?」

 

明石は犬をよぉ~しよしよしよしよぉ~し!カワイイですねぇ~!とまるで愛犬家の如くワシワシと撫でる、まぁ、犬の方はなんかイヤそうだが…

 

「はい、じゃ、お手」

 

ガブリシャス!(かみつき)

 

グラーフ・ツェッペリン犬のかみつき、明石の右手は大ダメージをうけた

 

「ウッギャアアアアアア!!噛んだァァァァァァ!!コイツ噛みやがったァァァァァァ!!」

 

「バカじゃねぇの?」

 

「このド畜生が!蹴り殺してやりましょーか!?」

 

「やめておけ明石、お前では勝てない」

 

「クッ…!バカにして…ッ!」

 

見た目老犬とは言え、この犬は万能なる魔界生まれの血を吸う上級魔界貴族と噂されているグラーフの飼い犬だ、実はただの野良犬ではなく、とんでもない魔界ハウンドの可能性は捨てきれないだろう…

 

「やめておけ」

 

「クッ!しかし……この明石にもPRIDEと言うものがあります、たかが犬っころ一匹に遅れをとったとあっては私は前に進めません!そう!この明石にはこの国の流通・経済を裏から支配する“明石キングダム”を作り上げ、王となって君臨しバスタブにドル札いっぱいで満たしてゲラゲラ笑うとゆー黄金のような夢があるんです!」

 

クズ…っ!コイツ、本物の!根っからの!クズ…っ!救えない…っ!

 

「…だが気に入った、その“覚悟”…ッ!」

 

「フッ、さすがは提督、アナタならわかってくれると信じていました」

 

俺達はまるでスーパーロボットのようにガッチリとアツい握手をかわし、俺は明石の手から賞味期限の切れたパンを取った

 

「その右手じゃギターも弾けないだろう?」

 

「提督…」

 

「後は俺に任せるがいい、さぁ、このパンを食うがいい」

 

俺は賞味期限の切れたパンをグラーフ・ツェッペリン犬の鼻先にグイグイと押し付け……

 

ガブリシャス!(かみつき)

 

「ウッギャアアアアアア!!噛んだァァァァァァ!!この犬、俺を噛みやがったァァァァァァ!!」

 

「やっぱり!?」

 

「やっぱりじゃねぇぇぇぇ!?クソッ!離せこのド畜生が!蹴り殺してくれるわーッ!」

 

このクソ犬っころがァ!この俺をコケにしやがって…

明石に続き、俺の右手も繊細なギターテクが使用不能になり、俺達はとりあえず血がドクドクと流れる右手を心臓より高い位置にかざしてみた

 

「クッ!どうやら賞味期限切れのパンはお好みではないらしい」

 

「そのようですね、犬のくせにグルメなヤツです…」

 

「大したヤツだ」

 

「えぇ」

 

同じ駄犬でも時津風のヤツはすぐに拾い食いしてお腹を壊している姿をよく見かけるが、さすがは万能なる魔界の支配者、グラーフの飼い犬となると犬としてのレヴェルが違うと言うコトか…

 

俺達が魔界ハウンド、グラーフ・ツェッペリン犬に戦慄の冷や汗を流していると、飼い主ではないドイツからの刺客が明石の店へとやって来た

 

「コンニチハー」

 

「あ、居た」

 

「レーベきゅん、マックスきゅん……」

 

戦慄のドイツJr.!!レーベリヒトなんちゃらクンとマックスなんちゃらクン……

 

「こんにちはなのだよ」

 

「いらっしゃいませ」

 

「…ねぇマックス、なんでAdmiralとアカシは血を流してるんだろう…?」ヒソヒソ

 

「…さぁ?」ヒソヒソ

 

俺達鮮血のブラッドブラザーズを見て二人はなにやらヒソヒソ話をしているみたいだが……おそらくはツレションにでも行こうと相談でもしているのだろうと高度な推察をしていると、グラーフ・ツェッペリン犬が立ち上がり、のそのそとマックスきゅんの足元へと移動した

 

「よしよし、ダメじゃない、勝手に出歩いたら」

 

「寮に帰って餌にしよう、グラーフが鶏肉を買って来てるよ」

 

レーベきゅんはグラーフ・ツェッペリン犬の頭を撫で、それじゃ失礼しますと俺達に頭を下げ、グラーフ・ツェッペリン犬を連れて去って行った……

 

「…」

 

「…」

 

「明石」

 

「なんですか?」

 

「絆創膏とかないか?」

 

「ありますよ、あ、キズスプレー的なアレもありますよ、780円」

 

「金取るのかよ」

 

「取りますよ」

 

この野郎、なんて金に汚いヤツだ…

 

「だが許そう」

 

「ありがとうございます、780円です」

 

しかし俺の右手を心臓より高い位置に挙げたままなので財布を取る為にポッケに手を突っ込むコトができない…っ!仕方ないな…

 

「明石」

 

「なんですか?」

 

「右のポッケに財布入ってるから自分で取って自分で抜け」

 

「えー…私も右手がアレなんで面倒なんですけどー」

 

「ゴチャゴチャ言ってるんじゃないよこの淫乱ピンクが」

 

「淫乱ピンクじゃないです、清純派ピンクです」

 

明石は左手を俺のポケットに突っ込もうとしたがイマイチうまくいかず、とりあえず俺の正面にしゃがんで体勢を安定させて再びトライした

 

「ちょ!あんま動かないでくださいよ」

 

「動いてねーよ、失礼な野郎だな」

 

ナニモタモタしてんだコイツは、早く抜けってのな…………ん?

 

「………なにやってるの?」

 

明石の店の扉を開き、毛のないキモい猫を抱えた改白露型の緑のやつがやって来た

 

「よぉ、チビスケェ…」

 

「…チビスケゆーな、山風……それよりテイトクと、明石さん、なに……やってるの?」

 

緑チビこと山風は心なしか驚愕しているようにも見えるが………まぁ、コイツはいつでもビビっちまってるみたいな顔してるか

 

「ご覧の通り、明石に(財布を)抜かせているのだが?」

 

「へ………へぇ…」

 

「オイ、ダラダラすんなよ、早くしろ」

 

「うっさいですね、ってかどんだけパンパンなんですか?(財布が)溜めすぎですよ(小銭を)」

 

「………し、失礼しま、失礼しました!」

 

山風は珍しく慌てたようにさっさと店から出て行ってしまった、買い物しに来たんじゃなかったのか?最近の子は気まぐれでよくわからんな…



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提督と宝くじとリターンオブ扶桑姉妹

帰ってきた麗しき航戦姉妹

【登場人物】

提督(184)
最低のクズじゃない、提督だ

扶桑(6)
扶桑姉妹の姉の方、お優しい

山城(6)
扶桑姉妹の妹の方、姉様以外は死んだらええねん


「…山城、なんと次回の作戦海域は懐かしのスリガオに突入作戦らしいわ」

 

「なんと!?」

 

主に、戦艦級の者が住む戦艦寮の一室…

秋の肌寒さを感じつつあるこの日、扶桑姉妹は姉妹の部屋でそれぞれ新聞を読んだり包丁を研いだりして過ごしていた…

 

「…私達の青春はスリガオとの青春、これから私達はその青春に決着をつけるのよ」

 

「嗚呼…尊い!尊いです姉様!なんて尊い…っ!」

 

珍しく、作戦海域に対してやる気をみせる姉、扶桑から漂うただならぬオーラに妹はあまりの眩しさに感涙し、ただただ、菩薩の如く微笑む姉に感謝の礼をした…

 

「…それはそうと山城」

 

「なんですか姉様!誰を殺してきたらいいですか?後何人殺せば姉様は微笑んでくれますか!?」

 

「…あまり怖い事を言わないで頂戴」

 

ギラッギラに研いだ包丁を手に、姉様の為に誰でも殺る!覚悟に溢れた妹を、扶桑はにこやかに諭し、とりあえず包丁を机に置くように伝えた

 

「…実は先日、街に行った時に運試しにと宝くじを買ったの」

 

「さすがは姉様、年始でもないのに自らの運を試す強靭な意志!これまさに強靭にして無敵…っ!」

 

「…本当はいつものなんとかジャンボを買おうと思ったんだけど、ふと、横に置いてあったマークシートが気になってね、店員さんにこれは何かしらと尋ねたら、これは自分で数字を選ぶ宝くじですよ丁寧に教えてくれたのよ」

 

「ほぉ…」

 

マークシートの数字を購入者が自ら選ぶタイプのくじ、ロト、販売期間の長いジャンボくじとは違い、販売期間は短いものの週に一度抽選をして当選発表をしているので毎週買って毎週ドキドキを楽しめる手軽さ………その説明に、深く感心した扶桑は試しにと一口購入していた

 

「…それで、今日がその当選発表らしいの」

 

「なるほど、それで姉様は先程から熱心に新聞を読んでいらしたのですね」

 

「…そうなのよ、ただ、最近かすみ目がひどくて細かい字が見えにくくてね、老眼かしら…?」

 

扶桑は目頭を抑えつつ老眼鏡を買わないとダメかしらと呟き先日購入したロ●7を袖の中から取り出して机の上に置いた

 

「…山城、私は厠に行ってくるからよければ番号を見ておいてくれない?」

 

「はい!お任せ下さい姉様!」

 

◆◆◆

 

「………と言うワケよ、クソ虫」

 

「誰がクソ虫だ、誰が」

 

執務棟にある自販機コーナーのベンチに座り、缶コーヒーを飲みながら誰かが放置して行ったバイクブ●スを読んでいると、不幸……ではなく扶桑姉妹の妹の方が自販機コーナーにダッシュでやって来て、流れるような動作で水を購入し、イッキに飲み干してハァハァ言ってたので声をかけてみたら今の今まで宝くじどーのこーのクソみたいな話だ…

 

「で?ナンだ?300円ぐらい当たったのか?300円」

 

最初こそアレだったものの、改二と言う新たなステージへと昇っている扶桑姉様さんの運気は不幸ではなく平凡レベルになっていたハズ、まぁ、見た目不幸から見た目薄幸に変わった程度だが…

 

「当たってたわ……………7億」

 

「………は?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「Pardon?」

 

「何がパードンよ、ってかその無駄に良い発音ムカつくわ、クソ人間」

 

「誰がクソ人間だ、クソ航戦が」

 

っーかコイツ、さっきなんて言った?当たった?不幸姉様が買ったロ●7が?しかも7億…?え……?7億?

 

「…山城クン」

 

「気安く私の名前を呼ぶんじゃないわよゴミ、私の名前を呼んでいいのは姉様と姉様に従う西村艦隊のチームメイトだけよ」

 

「やかましい、じゃクソシロでいいか?あ゛?」

 

「誰がクソシロよ、ブチ殺すわよ、ヒューマン」

 

山城は袖の中からギラッギラに輝く包丁を取り出してその刀身をベロリと舐めた

 

「痛っ…!?いひゃい!?き……きっひゃ!?」

 

「バカかオマエ」

 

なんで刃の立ってる方を舐めるんだよ、バカかコイツ…

 

「クッ…誰がバカよ!殺…殺す!殺してやるわ!」

 

「うるせーよ、っーかバカシロ、さっきなんて言った?当たった?7億が?」

 

「そうよ!姉様が当てたのよ!7億を!」

 

オイオイオイ…マジかよ、え?マジかよ、姉様マジかよ、え?7億って言ったらアレだろ?え?100万円の札束が約1センチ、約1メートルで1億……っ!作れる…っ!金の橋!

 

「…マジか?」

 

「マジよ」

 

山城曰く、何度も何度も執拗に確認し、あまりにエキサイトし過ぎて新聞が千切れ飛んだので手持ちのスマホで確認し、やはりどう見ても当たっていた…

そして、自分が手にしていた紙キレが突然神のカードに変わったコトにビビった山城はとりあえず気持ちを落ち着ける為に自販機に水を買いに来たワケだ…

 

「で…?退役するのか?」

 

「そうね、7億あれば姉様と2人、田舎に家でも買って慎ましく暮らすのも悪くないわ」

 

「そうか、寂しくなるな…」

 

「…なに?止めないの?辞めないでくださいお願いしますと言って土下座するなら考えてもあげても良かったのに」

 

「誰がするかボケ、辞めたきゃ辞めろ、お前らが抜けても伊勢と日向が酷使され散々使い倒してボロ雑巾のようになるだけだ」

 

「アナタってホント最低のクズね」

 

「誰がクズだ、それと、その台詞を言っていいのは姫騎士と礼号メイトの霞だけだ」

 

まぁ、口と性格は悪いがこの山城と、口も性格も尊い存在である姉様が抜けるのは正直戦力的には痛いが、ウチはブラックな職場ではないので去る意思を持つ者に無理を言うつもりはない

 

「…あら?山城、ここに居たの?」

 

「姉様…っ!?」

 

む?噂をすればなんとかか……今をときめく7億の女!姉様がやって来た

 

「…あら?提督も御一緒に………こんにちは」

 

「こんにちは」

 

「…山城と提督が御一緒に………ハッ!?まさか、山城が何か提督に失礼な事でも…?」

 

姉様こと扶桑は青ざめた顔で袖の下からいつでもリストカットできるリストカッターを取り出……

 

「いえいえいえ!姉様!私は提督と楕円曲線E上の有理点と無限遠点Oのなす有限生成アーベル群の階数がEのL関数 L(E, s) のs=1における零点の位数と一致するかについてのお話をしていただけです!えぇ!」

 

「そうそう!俺達は定期的にBSD予想についてのアツいディスカッションする仲なんですよ姉様!」

 

「…そう、ふふ……山城ったら、姉さんに内緒で提督と仲良しなのね…」

 

姉様は何か勘違いしているのか、俺達をまるで菩薩の如く温かい瞳で見ている…

 

「…そうそう山城、さっきの宝くじなんだけど…」

 

「宝くじ…え?あ、はい!実はさっき確認して結果は…」

 

「…窓から落としてしまってね、そしたら、下で駆逐艦の子達が焚き火をしていたの…」

 

「…はい?」

 

「…どうせ当たってなかったのでしょう?それで、駆逐艦の子達からお芋をどうですかー?って貰ったのよ」

 

姉様は袖の中からホックホクに焼けた焼き芋の入った袋を取り出した

 

「…はい、どうぞ」

 

「は…はぁ、ありがとうございます姉様」

 

「…提督もよければどうぞ」

 

「あ…ありがとうございます」

 

菩薩の笑みを浮かべる姉様から受け取った焼き芋を手に、俺と山城は互いに複雑な笑いを浮かべるしかなかった…

 

「山城」

 

「なに?」

 

「辞めるか?」

 

「もうちょい続けるわ」



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提督と鈴谷と懇親会

引力=愛(ラブ)

【登場人物】

提督(185)
たまには真面目に仕事する提督の鑑、地域への癒着疑惑がある

鈴谷(54)
ファ●リーズでも消臭できないビッチ臭のする見た目頭スカスカのJKみたいな航巡、提督とはこの世に生きる喜びと悲しみの事を語り合う仲


「ティーッス、今日も爽やかフローラルな香りの鈴谷が遊びに来ましたよぉ〜……って、アレ?テイトクどっか行くの?」

 

「あぁ、どっか行くが?」

 

健全な基地運営の為には地域社会との親密な連携が欠かせない、地域の有力者や企業、関係各所には年賀状やお中元は当然の事、たまに地域へと挨拶回りをして周るのも提督の立派な仕事の1つである…

 

「ふ〜ん、あれ?サミーは?」

 

「アイツなら今日は休みだ、見たい番組でもあるんじゃねぇの?」

 

「ふ〜ん、あ、じゃ今日は提督お一人様でどっか行くの?鈴谷が付いて行ってやろーか?」

 

「………別に来ても構わんが、今日は地域の偉い人が主催する懇親会だぞ」

 

いつもは五月雨と行くが、アイツの主な仕事はニコニコしながらひ●こ饅頭を配り、俺は最近こっちの調子はどうですかな?いやぁ私はクラブを替えてから散々ですよぉ!ガッハッハと大人の会話をするだけの会だしな

 

「コンシン…?なんかよくわかんねーけど!鈴谷にお任せっ!」

 

「なんかよくわかんねーじゃないよバカ娘が、とりあえずオマエはニコニコ笑ってひ●こ饅頭を配れ、あと、よろしくお願いします、いつもお世話になっております、今後とも是非、この3つ以外の言葉は喋るなよ」

 

「ハァ!?ナニそれ!?」

 

「やかましい、イヤなら来なくていいぞ」

 

「…ヘイヘイ、わかった、わかりましたよぉ〜、ニコニコ笑って提督の後ろでエレガントに笑ってりゃいいんでしょ?エレガントに、カンタンじゃん」

 

ーーー

 

「で?ちなみにコンシンカイってなんなの?パーティー的なナニか?」

 

「平たく言えばそうだな」

 

街に向かう道中、今日は飲まない予定なので自家用車を運転しながら隣に座るビッチ臭にテキトーに相槌を打つ、しかしビッチ臭すげぇなコイツ、最早カーに乗ってるだけでカーセ●クスに誘ってる臭がプンプンしやがる、大したビッチだ…

 

「今日はたしか〜…あ〜…アレだ、国政にも強い影響力を持つ地域の有力者、中荷出蔵先生の主催だったか、たしか」

 

「名前…っ!?名前がっ!!豚尻孕蔵もヒドかったけど!?」

 

国政にも強い影響力を持つ地域の有力者、中荷出蔵(ナカニダスゾウ)先生、もう還暦は迎えられたが議員としては脂の乗った年代と言えよう

 

「まぁ、脂ギトギト感ハンパないけど…」

 

「豚尻先生の他にも代議士の阿久目士郎(アクメシロウ)先生や、近代印象派絵画作家の清石カケル(セイシカケル)先生も来るぞ」

 

「名前ェ!!どいつもコイツも名前が体を現してんの!?行く前からもう完全にヤバいパーティーじゃん!?これ確実に闇のオークションとかある感じのヤバいやつじゃん!?」

 

「失礼なコト言ってんじゃないよこの子は」

 

「いやいやいや、ってかなんでエラい人がそんな名前ばっかなの!?なんなの!?おかしいじゃん!」

 

「おかしくない、提督だ」

 

「知ってるよ!!」

 

まったく、失礼なビッチだなコイツも……阿久目先生は高齢化が進む地域の医療体制に警鐘を鳴らす立派な先生だし、清石先生は現代絵画、得意とするジャンルは少……いや、幼女か?実に深みと味のある筆使いで現代画壇を唸らせる逸材だ

 

「………え?マジ大丈夫なの?これ今更アレだけど鈴谷行って大丈夫なの?なんかジュースとか飲んでちょっとイイ感じに眠くなって一眠りして起きたらガッツリ拘束されててお待たせしましたー処●膜姦通ショーでございまーすとかないのよね?ね?ね?マジないよね?マジで!」

 

「あるワケねぇだろ、どんだけシツレーなヤツなんだお前は、皆々様に土下座させるぞ」

 

「土下座………ハッ!?まさか全裸で!?」

 

「鈴谷、オマエ疲れてんだよ」

 

「あ?ナニそのカワイソーなモンを見る目は、え?ナニ?バカにしてんの?鈴谷をバカにしてんの?」

 

…やっぱコイツを連れて行くのは失敗だったかもしれんな、見た目ビッチだけでなく脳ミソまでビッチの末期ビッチとはコイツのコトだろう、おそらくスーパードクターのKAZUYA先生でも手の施しようがないと諦めるレベルなのだよ…

 

◆◆◆

 

翌日…

 

「で?どうだったんです?誰もが羨むメインヒロイン(笑)を連れての懇親会は」

 

五月雨の淹れた朝専用モーニングクソマズコーヒーを飲みつつ基地スポを読んでいると、珍しく上機嫌な五月雨が自分用に買い置きしているお菓子を皿に出して執務机の上に置いた…

上司と部下の円滑な人間関係の為にはこうしてたまにクソマズコーヒーを飲んでやる事も必要である

 

「…マズっ、っーか相変わらずマズいな」

 

「失礼な」

 

最上の豆と最高の機材と常に研鑽を重ねる技術とその一杯に賭けるアツい情熱を持ちながら何故これだけ不味いコーヒーが淹れられるのか…

 

「っーか誰もが羨むメインヒロイン(笑)ってなんだ、(笑)って、オマエワリとヒデーやつだな」

 

「そうですか?」

 

「まぁいい、とりあえず何事もなく挨拶して回ったぞ」

 

「へぇ、意外ですね、私はまたてっきりパンツでも脱がせたのかと…」

 

「アイツも空気読んで愛想良くしてたぞ、まぁ、何故か頑なに飲み物と食い物に手をつけなかったが」

 

「遠慮でもしてたんですよ、たぶん」




次回はイベント前の最後の通常営業

絶望への反抗!残された声かけ事案!択捉と松輪!


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提督と松輪とVS革命

殺意と友情の歌は未完に終わりそうだよぉ…

【登場人物】

提督(186)
空気が読める大人、溶けにくいチョコレートをポケットに入れているチョコレートの人

択捉(4)
択捉姉妹の長女で革命同志、全ては、レボリューション

松輪(2)
択捉依存症の些かアレな妹、革命同志ではないらしく、同志ガングートを苦々しく思っている、かなり


自販機で缶コーヒーを買い、喫煙所にでも行って休憩するかと廊下を歩いていると、自販機コーナーになにやら小さいのが居た…

 

「択捉ちゃん!択捉ちゃん!択捉ちゃんは苦いのも炭酸も苦手だからクリィミィーなのでいいですよね?ね?ね?」

 

「あー…うん」

 

「じゃあ択捉ちゃんカフェオレにしますか?それともカフェラテにしますか?どっちにしますか?私としてはカフェラテがオススメです!あ、択捉ちゃんの好きなチョコレートもあります!一緒に食べましょう択捉ちゃん!」

 

「あー…うん」

 

誰が言ったか、声をかけるだけで事案発生と名高い歩く声かけ事案発生装置、海防艦キッズの択捉と、たしか……えぇ、なんだっけか?まぁ名前なんてどうでもいい、自称択捉の妹が仲良くベンチに座ってキャッキャとハシャいでいた…

 

「よぉ、元気しとるかね?」

 

「あ、テイトク…」

 

「ヒッ……!?こ、こんにちは」

 

健全な風紀を旨とする上司として、とりあえず俺は声かけ事案発生装置の二人にきわめて紳士的に挨拶をした、念のために言っておくがこれは声かけ事案ではない、紳士として当然の行為、挨拶と言う上司と部下のコミニュケーションの一つである

 

「松輪、離れて、ウザい」

 

「う、ウザ!?え…択捉ちゃん、私、択捉の何か気に触るコトでも!?」

 

「距離が近い」

 

択捉は距離の近い妹の身体をグイグイ押してひっぺがすと、微妙に空いたスペースにテイトク、ここが空いてる、ほら!ここ座れ!ここ!と言いたげにベンチをバシバシと叩いた

 

「やだよ、姉妹なんだろ?仲良くしろよ、仲良く」

 

ライトに択捉をコール、レフトに妹をコール、センターに俺とか間違いなく俺の人生がファイナルフェイズだよ、そんな姿誰かに見られたら間違いなく轟斬!ガルガンチュアパ●ッシャーで俺の世間体とPRIDEが真っ二つにされ、ロリペド野郎の烙印を押されるのだよ

 

「私と択捉ちゃんは仲良しですっ!」

 

「…松輪、ウザい」

 

「仲良しですよね?仲良し以上の私達の間には何人たりとも入れない仲良しですよね?」

 

択捉の妹こと松輪は再びグイグイと択捉との距離を詰めようとしているが、択捉はそれを阻止すべくグイグイと押し返す、もしかしてコイツら、実は仲悪いんだろうか?

 

「まぁそう邪険にするなよ、可愛い妹だろ?」

 

「可愛い妹なのはそうだけど………正直、ウザい」

 

「択捉ちゃん!チョコレート!チョコレート食べますか択捉ちゃん!択捉ちゃんの好きなミルク入り!択捉ちゃん!ほら!」

 

「………ね?」

 

グイグイくる妹を押し戻しつつ、択捉はどーよ?このウザさと言わんばかりこちらに同意を求めてきた

まぁ、たしかにこれはウザいな、ウザくはあるが、択捉的には可愛い妹でもあるので邪険に扱うワケにもいかずに困っていると言うワケか…

 

「………あ、そう言えばそろそろ同志ガングートと約束してるスペツナズ体操の時間だ」

 

「択捉ちゃん!?」

 

択捉は閃いた!と言わんばかりベンチから立ち上がり、礼儀正しく俺に頭を下げてダッシュで去って行った

 

「ま、待って!!行かないで!行かないで択捉ちゃん!あ……ああぁぁぁ!うああぁぁぁ…択捉ちゃんがッ!択捉ちゃんがッッッッ!!」

 

「まぁ、同志ガングートとスペツナズ体操なら仕方ないわな」

 

まるで鬼畜レ●プされたかの如く、ベンチに座ってガックリとうなだれた松輪は小声でブツブツと択捉ちゃん択捉ちゃんと呟いている………こえーよ、なんだよコイツ、択捉好き過ぎだろ、さすがの提督もこの露骨な落胆ぶりにはドン引きなのだよ…

 

「まぁ、そう気を落とすな、え〜…松輪くん?そうだ、提督がジュースでも奢ってやろう、オレンジでいいか?それともオレンジは100%じゃないとダメかね?」

 

「………ょめ」

 

「はい?」

 

「ま…………め…」

 

なんかブツブツ言ってやがるよこの子は…やだなぁ、提督はこーゆーおとなしめで繊細な今風の子は苦手なんだが…

 

「魔女めェェェェェェ!!魔女め!魔女め!あの魔女めェェェェェェ!!!」

 

「お…おぅ!?」

 

「私のッ!!私の択捉ちゃんを!!私の択捉ちゃんを!よくも私の択捉ちゃん……ッ!あの強くてクールな択捉ちゃんを堕落させる魔女めッッッッ!!」

 

何がおとなしめで繊細な今風の子だよ、提督もドン引きのとんだエキサイティングぶりに、海防艦松輪は呪いの怨嗟がこもった声をあげてベンチをバシバシと叩いた

 

「ま…まぁ、落ちつきたまえよ松輪くん…択捉はほら、同志ガングートとなんか仲良いみたいだし…」

 

「はぃ?」ギロッ!

 

「あ、はい、サーセン」

 

やだ、この子、超怖い……この俺が無意識のうちに後退りしているだと?

 

「提督は知らないんです!昔の択捉ちゃんはああじゃなかった…もっと強くて、気高くて、クールで、カッコよくて…嗚呼、最高ですよ!ふふふ…そう、最高なんですよ択捉ちゃんは…私の択捉ちゃんは」

 

「お…おぅ」

 

深く、暗き闇より暗いドス黒い瞳を輝せながら松輪はウットリとした表情で択捉の素晴らしさを語る…

 

「あれはそう……まだ私が小さい頃です」

 

「今も十分小さいがな」

 

「私が択捉ちゃんのお人形を持って外で遊んでいると、近所のガラの悪い少年達からお人形を取り上げられてしまい困っていたんです…」

 

「あー…あるある、あるよね、男の子には、そーゆー紳士的じゃない年頃って」

 

「いじわるな少年達は私が返してくださいと言っても聞かず、あまつさえ、よし!人形の服を脱がせてやるぜ!あそこが本物と同じかどうか見てやる!とまで言うのです」

 

「あー…あるある、あるよね、男の子には、男の子ってはいくつになってもとりあえず美少女のフィギュアのスカートは下から覗いてみるのだよ」

 

とりあえず話の流れからするとアレだろう、この大ピンチに択捉が紳士として見過ごせずに現れ、ボコボコにされても別にキミの為じゃあない!紳士として恥ずべきコトだからだ!って紳士的にハンカチーフを落として行く感じだろう…

 

「そこへ颯爽と択捉ちゃんがやって来てッ!!」

 

「やって来てェ!!」

 

『いいぜ松輪、よく吠えた…この勝負、最後までこの姉を信じ抜いたお前の勝ちだ』

 

やだ!!超カッコいい!?

 

「さらに択捉ちゃんは年上のイタズラ男児達にこう言ったのです!」

 

『大きなお兄さん達が全力を出しても倒せない少女が、こうして目の前に立ってやっているんだぜ』

 

「っーかイケメン過ぎるだろォ!?それホントに択捉か!?」

 

「択捉ちゃんです」

 

…コイツのドス黒い瞳には択捉に対する美化フィルターかなんかかかっているのだろうか?

 

「………それが今の択捉ちゃんはあの魔女のせいでッ!!魔女めッ!!魔女めェェェェェェ!!」

 

「まぁ落ちつきたまえ、ほら、チョコレートでもどうかね?」

 

…ダメだコイツ、まぁ、あのアツかりし革命戦士ガングートに真っ向勝負でケンカ売れる心意気だけは買おう、心意気だけは




次回はイベント導入編、たぶん


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続続続続・提督と作戦とミーティング

秋のイベント編開始の巻

【登場人物】

提督(187)
大尉、夏から秋にかけて、メイドインUSAのボイン空母を誘うのに入れ込みすぎてボーキの5分の3を失った

五月雨(56)
ほぼ専業秘書、もう3年近く出撃した覚えがない


「えー…皆さん、今回は今年を締めくくる大事な大事なゲームになります、一部の皆さんは既に、先日から並々ならぬやる気に溢れているらしく、提督も皆さんの熱の入った練習風景を見て、今回のゲームは皆さんの日頃の練習の成果が遺憾なく発揮されるであろうと確信しております、えー…話は変わりますが、先日、私が公園を散歩をしていますと木々が紅葉しておりましてね、日々冬の足音が聞こえてくるような…」

 

「うるせー!!引っ込めー!!」

 

「堂々と遅刻して来てエラそーに喋んなボケェ!!」

 

「まず謝れやオッサン!!」

 

珍しく上から情報がちょいちょい小出しにされていた秋の本部作戦が開始される今日この頃、恒例の全艦集会に集まったバカどもの前で壇上から提督からの有難い話をしていると短気でアホンダラなバカどもからヤンチャな声が挙がった

まったく、ちょっと遅刻したぐらいでコレだよ、だってほらアレだよ、アレ、確変終わんねーのが悪いんであって、俺は悪くない

 

「うるせぇ!!ブチ殺すぞ!ゴミらめ…っ!」

 

まったく、どいつこいつも偏差値低めの不良偏差値高めのバカどもめ…目上の者に対してなんてシツレーなヤツだ、俺の心が寛大でなければ全員一人づつ超人絞殺刑でアヘ顔にして失禁KOしてやったのだよ…

 

ーーー

 

「茶、アツいの」

 

「はいはい」

 

「ハイは一回だよ青髪ロング子が」

 

開戦のご挨拶を済ませ、執務室に戻った俺は机の引き出しからお客様用のガラス灰皿を取り出して机に置き、早速タバコに火を点けた

 

「フーッ〜…あー殺したいわー、メチャメチャ殺したいわー、深海のクソどもを」

 

「お茶です」

 

「ありがとう…………ゔっ!熱いッ!!」

 

「アツめですからね」

 

湯呑みの中でもお茶がフットーしちゃっているとは、大した温度だ…

五月雨はお茶と一緒に本部から送られてきた今回の作戦海域についての詳細の書かれた書類を置いたので手に取って眺めてみた

 

「捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(前篇)か……なんだよ、前篇って?え?舐めてんのか?」

 

「さぁ?まぁでも、前篇があるってコトは後篇もあるんでしょうね」

 

「ナニが前篇だよカッコつけやがって、アレか?流行りの分割商法ってやつか?一作でまとめりゃいいモンを薄めて伸ばして毎回ランダムの特典付けてお目当てが出るまで何度も何度も通わせて骨までしゃぶり尽くす鬼畜の商法ってやつか?」

 

「さぁ?」

 

青髪ロング子はわりとどうでも良さげに相槌を打ちつつ冷蔵庫からオレンジジュースのペットボトルを取り出してグラスに注いだ

 

「フーッ〜…」

 

「窓開けますよ」

 

「やめてくれ、寒いじゃないか」

 

「ケムいよりマシです」

 

何がケムいよりマシだよ、まったく、喫煙者に住みづらい世の中になったものだ

 

「まぁいい、とりあえず初戦はなんだ?また五十鈴さんとユカイなヤンチャボーイズ達の出番か?」

 

「う〜ん、今回はいつもとちょっと違うみたいですよ」

 

「あ?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?いつもとちょっと違うって……とりあえず、作戦海域の詳細を見てからスターティングメンバーを………?

 

「………うわ、なんだコレ?超メンドくせぇ」

 

「いきなり超メンドくさそう感が全開ですよ」

 

「…はぁ、まぁいい、とりあえず開幕スタメンでも考えるか、サミダストくん、コーヒーくれ、缶コーヒー」

 

「五月雨です、缶コーヒーなら冷蔵庫に入ってますよ」




次回、第二遊撃部隊、抜錨!①

妾の舞を見て生き残ったものはおらぬ


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第二遊撃部隊、抜錨!①

イベント編その①、今回は開幕からボーキに優しくない

【登場人物】

初春(3)
通称、初春様、一目でただの駆逐艦じゃないとわかる雅な駆逐艦

初霜(2)
初春姉妹の四女、初春姉妹きってのスーパーエース、先発から抑えまでなんでもこなす出来た妹


「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

秋の作戦海域、捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(前篇)の開幕初戦、いつもの開幕メンバーから外れた五十鈴は五十鈴キングダムのキングダムメイト達を連れてスウィーツヴァイキングに出かけており、今回のスタメンはいつもと毛色の違うメンバー達が選出されていた…

 

『オゴォ!!………ウゲエェェェ』

 

柔らかストマックに突き刺さる狼の拳を受け、光る吐瀉物を吐いてうずくまる戦艦棲姫はお供のツ級達に首を振り、まだやれるとファイティングポーズをとり、足柄もそれに応えるように左腕を振り子のように揺らした

 

「スゲェ!!さすが足柄サンだ!」

 

「あの眼光はまさに狼…っ!“狼”はまだ死んじゃいねぇぜーッ!」

 

◆◆◆

 

栄えある開幕メンバーに選出された駆逐艦、初霜、潮、雅な御方である初春様、軽巡に阿武隈、重巡の那智と足柄…

 

「とりあえず旗艦は初春様にお願いする」

 

「うむ、妾に任せるが良い」

 

ただの駆逐艦とは思えない相当に雅な御方、初春様、おそらくは身分の高い御方なのだろうがきっと何かしらの事情があって今は身分を隠されているのだろう…

 

「オマエらァ!!初春様にメーワクかけるんじゃねーぞ、いいか?わかってんのかボンクラどもが、特に足柄ァ…テメーは初春様が危ないと思ったらすぐに盾になれよ、テメーのその難産ヒップがメチャメチャになっても初春様だけは守護れよ」

 

「は?ダレが難産ヒップよ、ちょっとオモテに来なさい、タイマン張りましょ」

 

「あ?ダレにケンカ売ってんだテメー、上等だよ、オモテに出ろよ」

 

俺と足柄は互いにアンアンとメンチを切りつつ思わずイタズラなKISSしちまいかねない距離まで顔を近づけ、ヤんのか?あ?ヤんのか?と偏差値高めのメンチビームを撃ち合った

 

「のぉ初霜よ、テートクと足柄は接吻する関係かえ?」

 

「初春様、アレはKISSに御座います」

 

「きす?………ふむ、鱚か、なかなか面白い喩えじゃな、褒美に金平糖を一つやろう」

 

「ありがとうございます」

 

初春様のあまりに似てない妹、初霜は長女から恭しく金平糖を賜わり口に放り込んでいる姿を見て、俺と足柄は自分達を恥じ、お互いにちょっと照れ臭い感じで距離を取った…

 

「まぁ、俺は巨乳派だから別にオマエのコトなんかどうだっていいけどな」

 

「私も普通にイケメンが好きだからテイトクのコトとかどうだっていいんだけどね」

 

べ…別に、足柄ってよく見たらキレーな顔してるじゃんとか思ってないんだからね!

 

「…と、まぁ小粋なテイトクジョークはいいとして、足柄よ」

 

「ナニよ?言っとくけど帰ったらケッコンしようとか言われても嬉しくないんだからね!」

 

「やかましい、誰がゆーか!そんなコト!」

 

「じゃナニよ?作戦?別に難しいコトはないわよ、まっすぐ行ってぶっ飛ばせばいいんでしょ?右ストレートで」

 

「わかってるなら良し!!」

 

本来、艦隊司令としての提督の仕事は海域ルートやら陣形やらを細かく指示を出し、帰って来たら温かいココアを出すことだがウチのバカどもは基本バカなので細かいギミックやらなんやらを説明すると“要は気合ってコトだな!”で済ますので俺が今更何も言う事はない…

 

「よし!では栄えある開幕スタメン出撃だ!深海の奴らを海より深い地獄へ突き落としてやれ!!」

 

「任せときなさい!目が合ったヤツは皆殺しよ!」




次回は②


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第二遊撃部隊、抜錨!②

遅くなりました②

【登場人物】

戦艦棲姫
通称、ダイソン、今回はなんと初戦海域から登場してる


「あ、クソ!コイツつえーな…この!このっ!」

 

「なにやってるんですか?」

 

「ご覧の通り、ス●2だが?あ、クソ!あー…負けたじゃんよ」

 

作戦海域絶賛開催中の秋の執務室、俺は執務机の上に置いたテレビにゲーム機を繋ぎ、アツいストリートファイトに興じていた、男には急に拳を天に向けて突き上げたくなる時もあるのだ、昇●拳、波●拳、竜巻旋●脚、これだけできればスーパーヒーローの仲間入りだろう…

 

「作戦部隊の様子を見なくていいんですか?」

 

「大丈夫だろ、なんたって旗艦は初春様だぞ?初春様、そんじょそこらのヤワな駆逐艦とはオーラが違うからな」

 

「まぁ、ヤワかヤワでないかはどうかと思いますがオーラはアレですね」

 

「だろ?たぶん最低でも千年は生きてるな、初春様は」

 

おそらくは名の知れた大妖怪と言われてもなんら違和感がないからな、初春様は…

 

「まぁ、とりあえずあっちの様子でも見てみるか…たしかアブ沢くんがカメラ係だったな」

 

「阿武隈さんですね、由良さんの妹の」

 

そんな名前だったか?まぁ由良さんの妹の名前などどうでもいい事だが…とりあえず俺はテレビのリモコンを手に取り現場の状況を映しているであろうチャンネルのボタンを押した

 

 

『ダウンッッッ!!足柄ダウンッッッ!!』

 

『立てなーいッ!足柄立てなーい!!』

 

『立て!立つんだ足柄ァ!天使のように細心に!悪魔のように大胆にだー!』

 

 

え…?ナニこれ?なんか足柄がKOされてるんですけど…?え?ナニこれ?エンターテインメント?

 

「足柄さんがKOされてますね」

 

「あ、あぁ…そうだな」

 

とりあえず、現場に状況でも確認してみるか…

俺は電話機を手に取り、ビデオ係のアブサムくんのケイタイに電話してみるコトにした…

 

◆◆◆

 

深海きってのタフ・ディフェンダー、戦艦棲姫…

そのタフ&ハードなディフェンス力のイメージに隠れがちではあるが、なかなかのハードパンチャーでもある

 

ある日、深海コンビニで深海からあげと深海ビール(6缶パック)を購入した戦艦棲姫は自らの今後について考え直していた、実家からはいい加減フラフラしてないで実家の深海軟弱野菜の栽培を手伝えだのアンタそろそろケッコンとか考えないかだの言われ、戦艦棲姫的にもそろそろ年相応に落ち着いた方が良いのではないだろうか…

いつまでもシズミナサァイ!だの言ってても仕方ないのでは?

 

『もう私のカラダはボドボドな気がする…』

 

そんな事を考えていたその時、深海秘密基地内にあるキモい鳥みたいな新型艦載機小屋の前を通りかかると、なんかいつの間にやらウチに居た芋っぽい軽空母みたいなのがキモい鳥に餌をやっていた

 

『キモくないです、ほら、よく見てください、この歯並びとか可愛い系です』

 

いや、どう見てもキモい、そう答えた戦艦棲姫だったが、キモイ鳥が放り投げられた餌にパクついた瞬間閃いた!戦艦棲姫の脳内を駆け巡る!β-エンドルフィン!チロシン!エンケファリン!バリン!リジン!ロイシン!イソロイシン!………自らの仕事について思い悩んでた戦艦棲姫、起死回生のニュースーパーブロー…ッ!

 

ーーー

 

『名付ケテ……キモイバードブロー』

 

全ては、この一撃の為ッ!!伝説の狼を沈めた渾身のスーパーブロー、それがこの技の名…ッ!!

なんか芋っぽい軽空母、護衛棲姫が飼育しているキモイ鳥に餌をやってる姿から閃いた必殺の一撃、執拗にボディを狙い撃ち、ガードが下がったところで開いた顎に渾身の一撃を叩き込む戦艦棲姫最大のスーパーブロー

 

「足柄!足柄立てるか!?足柄立てるか!?」

 

「アーッと!足柄まだ死んでない!足柄はまだ死んでない!」

 

戦艦棲姫渾身のスーパーブローを受け、大の字に伸びていたはずの足柄はフラフラと立ち上がり、再びファイティングポーズをとった

 

『オイオイオイ………マジカ』

 

「ゴバァ……!!ハァ…ハァ…今のは、効いたわ…」

 

◆◆◆

 

「開幕戦からなかなか見応えのあるナイスファイトでしたね」

 

「あぁ、正直提督的にもビックリなのだよ」

 

作戦的には初戦海域突破を勝利で飾った形だが……まさか初戦からこれほどハードな殴り合いになるとは思わなんだな

結果的に、足柄は立ち上がりはしたものの大破まで追い込まれており、まだやれると首を振ったものの初春様のMIYABIなタオルを掛けられ、後は任せよと諭されてそのまま大破KO

残った敵戦力は初霜クンのナパームスト●ッチで海の藻屑となった…

 

「フーッ〜…まぁ、勝つには勝ったが、この先が心配になるな」

 

「そうですね」

 

「…ま、とりあえず次の海域への準備でも考えるか、五月雨、コーヒーくれや、戸棚にインスタントがある」

 

「ご自分でどうぞ」




次回は生クリームを上の口から流し込む話


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提督とスウィーとショコラーて

作戦期間中でも甘い話

【登場人物】

提督(188)
上司と部下の円滑なコミュニケーションツールを使う大人

間宮(8)
美食四天王、スウィーツは甘いが、味噌汁はちょっとしょっぱい

鈴谷(55)
最上型の面汚しその1、超ポジティブ思考

熊野(21)
最上型の面汚しその2、提督とは仲が良い


初戦からアツいファイトが繰り広げられている秋の中規模作戦、相変わらずどころか今回は輪をかけて、何が中規模作戦だよ!テメーの中規模はでたらめだよ!と言いたいのは俺だけではないだろう…

 

「本日のオススメは秋の彩りパウンドフォーパウンドケーキです」

 

「上の棚に置いてるやつ1個づつくれや」

 

「本日のオススメは秋の彩りパウンドフォーパウンドケーキです」

 

「いいから早く包めやブタ乳女が、ケツにバールぶっ刺されてテコの原理を応用されてーのか?」

 

甘いモンも辛いモンも置いてあるこだわりのスイーツショップ間宮、そのこだわりはハンパではなく、スイーツはスウィーツと呼ばないとスナップの効いたビンタをされ、徹底的な品質管理の名の下に作られたそのスイーツはまさに悪魔もブッ飛ぶダイタンモテカワスイーツと言っても差支えがないだろう…

 

「ブタ乳女ではありません、訴えますよ、伊良湖ちゃん電話貸して」

 

「へいへい、スイマセンスイマセン」

 

この野郎、ちょっとむしゃぶりつきたいナイスバディだからってチョーシに乗りやがって……いつかその美尻をブッ叩いてヒーヒー言わしてやるわい

間宮はぶつくさと文句を言いつつも上の棚にあるケーキを丁寧に箱に詰め、カウンターの上に置いた

 

「8980円です」

 

「高けぇよ!なんでたかがケーキ5〜6個でそんなぼったくり価格取られるんだよ!」

 

「高くありません、適正な価格です」

 

「何が適正な値段だ、そもそも誰向きの商売なんだ?あ?」

 

間宮曰く、厳選された最高の素材を用い、最高の環境で、最高の腕をふるって作られたスイーツに対してこれ以上はない適正な値段設定とのコトだ

 

「あと、食べ過ぎじゃないんですか?太りますよ」

 

「誰がこんなモン1人で食うか、そもそも俺は甘いモンが大して好きじゃねぇんだよ、2〜3口で上等、1つ食ったら吐き気がするわ」

 

「私の作るケーキは吐き気なんて催しません、頭おかしいじゃないですか?」

 

コイツ、俺の嗜好やら味覚を疑う前に頭を疑うとは……

 

「しかし提督も頭おかしいくせにワリとマメですね、秘書艦ちゃんにたまにスウィーツ買って行ってゴキゲンとりするし」

 

「上司と部下の円滑なコミニュケーションの為に必要なツールだからな」

 

「あと、たまに“小さい子”にスウィーツ奢るし……“小さい子”に」

 

「オイ、ケンカ売ってんのかテメーは?なんですか?この店はケーキの他にケンカも売ってるんですか?あ?」

 

よし!決めた、コイツだけは許さねぇ…いつか必ずその安産ヒップにキャリバーねじ込んで己が肉●器だと言うコトをわからせてやる

 

◆◆◆

 

間宮の店で甘いモンを買い、喫煙所でタバコでも吸ってから執務室に戻るかと考えつつ廊下を歩いていると、自販機コーナーの前で頭の悪いJKみたいなヤツらがたむろしていた…

 

「最上ねーちゃんが腕につけてる1YBってなんか知ってる?」

 

「アレじゃありませんの?1年後にジャポンディー諸島で!ですわ」

 

最上型の面汚しコンビ、鈴谷と熊野はオレンジジュース的な何かを飲みながらだっしょ?だっしょ?マジ最上クンヤバイっしょ?だの頭悪そうなJKトークで盛り上がっていた…

 

「よぉ、クズども」

 

「あ、テイトク、ってかクズじゃねーし」

 

「アナタにクズと言われたくありませんわ」

 

「うるせぇよ、っーかオマエらもこんなトコでバカトークしてないで走り込みでも投げ込みでもしてこいよ、作戦期間中はいつでもイケる気でいろよ」

 

「ふふん、鈴谷はいつでもイケるしぃ!」

 

「私はいつでも………とは言いませんわ、やはり私、シチュエーションを大事にするタイプなので」

 

「やかましい、俺がイケって言ったらイクんだよ、イキたくないとか泣き事は聞かんぞ、むしろイキたくてイキたくてイキっぱなしのイキ狂いにしてやるわい」

 

「外道…っ!まっこと外道ですわ…っ!」

 

「や、熊野と提督………え?コレ、そーゆー話だったの?」

 

鈴谷はしまった!乗り遅れた…っ!この軽快なジョークと言う名のビッグウェーブに…っ!と言いたげな顔をしているが、俺は何もジョークなど言っていない、作戦海域に必要とあらばもうカンベンして下さいと泣いて謝っても出撃させると言うだけの話だ

 

「ところで提督、その箱はなんですの?」

 

「間宮のトコで買ったケーキだが?」

 

「ほぉ…ケーキですの、なかなか気が利きますわね」

 

「言っとくが、オマエにくれてやる気はないからな」

 

「鬼畜…っ!まっこと鬼畜生ですわ…っ!」

 

「どうしても欲しいのならおねだりしてみるがいい、自分の口でな」

 

まぁ、正直な話、俺も五月雨も買ったもののそんなに食わないので普段は運良く執務室に来たヤツに与えているんだが…

 

「よし、じゃ3秒以内な、おねだりスタート!3、2…」

 

「くださいませ」

 

「………合格!」

 

「やったですわー!!」

 

さすがは熊野、俺からケーキを引き出すとはな、大したヤツだ…俺はチョコレートっぽいケーキを箱から取り出し、熊野のアホみたいに開いた口にねじ込んでやった

 

「んごぉ!?………あっ……あっ……うん、うんうん、美味いですわぁ〜」

 

「え!?そんなのでいいの…!?テイトク!鈴谷も!鈴谷も欲しいんですけど!」

 

「間宮のトコに売ってるぞ」

 

「厳しい!!鈴谷に対して厳し過ぎる…っ!チャンス!鈴谷にもチャンスを…っ!!」

 

鈴谷は欲しい欲しい頂戴頂戴と俺の肩を掴んでガクガク揺らすので、とりあえず下腹にパンチを入れてやった

 

「おごぉ!!」

 

「うるせぇよ、じゃ、今から俺と殴り合いして勝ったらくれてやる」

 

「き……厳しい!熊野に対して鈴谷への条件が厳し過ぎる…っ!」

 

「厳しくない、提督だ」

 

「っ!!………よぉ〜し、いいじゃん、やったろーじゃん、ボッコボコにしてその箱の中身全部鈴谷が頂いてやろーじゃん!」

 

立ち上がった鈴谷は不遜にも上司である俺を指差し、宣戦布告を吠え、殴りかかってきた

 

「甘いわボーヤですわーッ!」

 

「グヘァ!!く…熊野っ!?」

 

奇襲!!鈴谷の背後から突如として熊野の蹴りが鈴谷の背中に炸裂した

 

「ヘイ!テイトク!ヘイ!」

 

「オーケー!ブドー!」

 

前後から挟み込む俺と熊野のラリアットが鈴谷の首を刈り取り、鈴谷はグヘァ!と汚い断末魔を残してその場に崩れ落ちそうになったところを熊野はその首根っこを掴んで立たせた

 

「く……熊野ぉ……」

 

「お〜っと、まだパンツ狩りの儀式が終わってませんわよ……って!クサっ!?鈴谷のパンツマジクサイですわー!」

 

「くさく…ねーし…」

 

熊野的にはなんかアンモニア臭がするのでやはりパンツ狩りの儀式はイヤですわと鈴谷を床に放り投げた、なるほど、これが完璧に足りなかった慈悲の心か…

 

俺は熊野とハイタッチを交わし、その後、慈悲の心に殉じ、その場で気絶した鈴谷の口に生クリームたっぷりのパイシューをねじ込んでやった、勝者も敗者もない、リングを降りればノーサイドの精神を俺は改めて教えられたよ…

 




次回は捷一号作戦、発動準備

引き続きのシーマ艦隊


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捷一号作戦、発動準備①

第2作戦海域です

【登場人物】

那智(3)
妙高姉妹の次女、長女からしてヤンチャな妙高姉妹の中では珍しい良識派、でもどっか頭のネジはおかしい

足柄(12)
妙高姉妹の三女、長女から子持ち処●とディスられるヤンチャ系重巡、キヨシとアサシとカスミには甘く、大淀とはマジダチ


「第三艦隊で七隻編成の遊撃部隊を作れるそうです」

 

「…はぁ?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?七隻編成…?ちょっとナニ言ってるかわかんねーですねと正直な感想を言いつつタバコに火を点けると、青髪ロング子は露骨に顔をしかめて一枚の書類を執務机の上に置いた

 

「ふ〜ん………遊撃部隊に警戒陣ねぇ」

 

なるほど、これは今の環境を席巻する新たな新要素になるのか否か、とりあえずアレだ、ウイッチーの人も言っていたが“やってみなくちゃわからない!”だ、とりあえずやってみて考えるか

 

「さて、次なる海域に出撃する面子だが…」

 

「一応、手元の資料によりますと奄美群島沖/台湾沖に行った人がそのまま行っても大丈夫みたいですね」

 

「ふむ…」

 

「ちなみに足柄さんはイップスにかかってるので次は出ないとのコトです」

 

「甘えたコト言ってるんじゃないよ、何がイップスだ」

 

◆◆◆

 

「チクショウ!!また空襲マスだ!」

 

「あったよ!照月と10cm高角砲+高射装置が!」

 

「でかした!」

 

前海域からのメンバーに一部と新メンバーによる新編成+新陣形を加え、台湾沖/ルソン島沖を進む攻略チームは順調に海域の奥へ奥へと進んでいた…

 

「アナタってホント最低のクズね!」

 

那智、足柄、阿武隈、初霜を続投し、新メンバーのに照月、霞、朝潮を迎えた七隻編成の遊撃部隊

 

「足柄、オイ、足柄」

 

「なに?那智姉、今忙しいんだけど?」

 

「忙しいんだけど?じゃない、オマエの仕事は敵を倒す事であって霞の活躍を写真に撮る事ではない」

 

「那智姉ェ…わかってないわね」

 

足柄はナニ言ってんだこの那智姉、イカレているのか?と言いだけな顔で一つため息を吐き首を振った…

 

「深海棲艦を倒す、礼号組の天使である霞の活躍を余す事なくファインダーに収めてシャッターを切る、両方やらなきゃならないのが年長者の辛いところよね…」

 

「あぁ、ちなみにオマエはさっきからシャッターしか切ってないがな」

 

那智のマグナムパンチを紙一重で避けつつも足柄のカメラポジショニングは決してブレる事なく、常に最高の霞を捉え続けており、その集中力たるやもはや破壊神ですらも到達は困難と言われる勝手気儘な極みと言えよう…

 

「とにかく働け、オマエ、マジで、妙高姉さんに言いつけるぞ」

 

「ハッ?妙高姉さんなナンボのモンよ、っーか妙高姉さんは人にイチャモンつける前にまずがオマエが嫁に行けってのよ………お!いいね!今のイイ表情!見た?那智姉!見た見た?今の!」

 

「………まぁいい、アブ…アブルホールだったか?物資の輸送はいいか?」

 

「阿武隈です……とりあえず積み込みOKみたいです」

 

「うむ、では先に進むか、オイ足柄、くだらない写真なんか撮ってないで先に行け、先に」

 

「はいはい、ってか、くだらないとは聞き捨てならないわね、天より舞い降りしエンジェルである霞の写真は何より貴重なのよ?」

 

「わかったわかった……む」

 

那智はポケットの中に入れていたポケベルを取り出し、ちょっとだけ考えてから足柄に声をかけ、妙高姉さんからオマエ宛だと伝えて画面を見せた…

 

【1132210491259533】

 

「………!」(サッー)

 

「さて、行くか」

 

「いやいやいや!ちょ!ちょ…!待てよ那智姉!那智姉さん!ちょ!待って!え?マジで…?え?マジ、マジこれ妙高姉さんから?」




次回は②

初春姉妹の稼ぎ頭


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捷一号作戦、発動準備②

E2のその②、能力はモチロン覚醒している

【登場人物】

重巡棲姫
出オチ要員、かつては最終海域の大ボスを務めた事もある本格右腕、趣味は深海ガーデニング


深海通商破壊部隊 主力戦隊旗艦艦隊…

 

『ヴェアッハッハ!無粋ナヤツラメ!オマエ達デハコノ先ノ海ヘハ進メネェ!!』

 

この海域をシメるヘッド、毎度お馴染み出オチに定評のある重巡棲姫はヴェアヴェアの実の力を見せてやる!モチロン能力は覚醒しているとイキまいて飛びかかってきた

 

「トアッ!!」

 

『オヴェ!?』

 

…深海棲艦の間では毎年、深海ビンゴブックなる広報誌を発行している、主な内容はアイツはヤバイだのコイツはマジパナイだの注意書きと獰猛性・残虐性などがわかりやすいイラストと共に描かれている

その中でも、危険駆逐艦リストに毎度名を連ねているのが三人居る………一人目はコイツに出遭ったらもうお終いだと噂されている陽炎型最強の死神、雪風、二人目はコイツと目が合ったら命を諦めていいと噂されている白露姉妹の絶対王者、時雨、そして三人目が雪風・時雨にも勝るとも劣らない影の主砲、初霜である

 

『ゲェーッ!!ア、アレハーッ!!』

 

『重巡棲姫クンヲ釣鐘固メニ固メテ回転シナガラ上昇シテオルゾー!!』

 

作戦海域での活躍機会が少なく、稼ぎの悪い初春姉妹の全てを賄う大金を稼ぐ初春姉妹の四女にして最強のフィニッシャー、それが初霜

 

『ウヴェアアア!?』

 

初霜に釣鐘固めをキメられたままの重巡棲姫はさらにそのまま急降下し、その際の空気抵抗を受け重巡棲姫の胸がまるでアルファベットのHのような文字が刻まれる様に裂けた!

 

「出たーッ!初霜のフィニッシュホールド!ナパームストレ●チ!」

 

「アレを喰らって無事に晩飯が食えた深海棲艦はいねぇぜーッ!」

 

『ヴェアアアアァァァァァ!!』

 

重巡棲姫はそのまま胸から海面に叩きつけられ断末魔のヴェアー!と同時に反吐をブチ撒け、そのままブクブクと気泡を残して沈んでいった…

 

「どうやらこの海域作戦はこれで終わりらしいな」

 

「そーみたいです」

 

那智は阿武隈に提督に終わったから帰ると連絡しておけと伝え、未だに霞の写真を撮る足柄のナイスヒップにマグナムキックを叩き込んだ

 

「痛いッ!?なにすんのよ!?」

 

「やかましい、遊んでないで帰るぞ、勝って兜のなんとやらだ」

 

◆◆◆

 

「そうか、勝ったか…」

 

アブ……アブクラックスくんからの報告を受け、俺は壁に貼ってある作戦海域の描かれた書類に机の引き出しから取り出したカッターナイフを投げつけた

 

「ククク…深海のクズどもめ、私に逆らった者がどうなるか思い知るがいい」

 

「提督、お茶淹れますけど?」

 

「アツめのヤツな」

 

五月雨は俺の悪のカリスマごっこに対し、特に気にした様子もなく急須にお湯をドボドボと注ぎアツい茶を湯呑みに淹れて持ってきた

 

「意外と順調ですね」

 

「あぁ、意外とな」

 

前回は初戦から由良さんを投入する緊急事態が発生し、たぶん三年ぶりぐらいに現場に出た由良さんのゆらっとゆらめく非情の正義執行が炸裂したっけな…

 

「次が前半戦の最終ステージか…」

 

「そうらしいですね、たしか手持ちの資料によると久々に防空なんちゃらって駆逐艦詐欺みたいな人が出て来てるらしいですよ」

 

「なんだよ?防空なんちゃらって…」

 

「ほら、あの人ですよ、あの人、何年か前の夏に、最後に出てきた人」

 

「あー………居たな、そんなのが」

 

駆逐艦詐欺も大概にしろよと文句言いつつ、なんとかブチのめし、あの海域には二度と来るかバーカ!と吐き捨てて帰ったんだっけな…

 

「って、やべーじゃん!?またあのモンスターが出て来たのか!?」

 

「だからそう言ってるじゃないですか」




次回はたぶん、捷一号作戦、作戦発動!

たぶん!


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提督と龍田とナイトクラブ24

圧倒的カリスマ!恐怖の将!!

【登場人物】

提督(189)
作戦期間中でも一杯のカミュを求めに行くまっことクズ

龍田
天龍姉妹の妹、頭によくわからない輪が浮いているが誰もその正体は知らない


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ…

 

「フーッ〜…ぼちぼち順調らしいね、ボーイ」

 

「ボーイはやめてくれよママ」

 

相変わらずカウンターで妙に長い煙管からプカプカとケムリをふかすビッグママこと軽空母の鳳翔は今日はわりかし暇そうに基地スポを眺めていたので、俺は小粋なテイトクアイサツをしてテキトーな空いている席に座りタバコに火を点けた

 

「フーッ〜…」

 

「あらぁ〜…テイトクじゃないですかぁ〜、お久しぶりぃ」

 

「お、お前は………TATSUTA!?」

 

今宵、俺の席へとやって来たのは天龍姉妹の妹の方、龍田ッッッ!!過去、何度か天龍からその存在を示唆されていたものの今まで姿を現す事のなかった伝説の軽巡…ッ!!

や、まぁ、普通にうちに居たんだけど…

 

「お隣座っても?」

 

「構わんよ」

 

…この龍田、俺のマジダチである天龍と違い、比較的まともな感性の持ち主らしく、未だ中二病から抜け出せずにいる天龍を温かく見守ってくれているらしい

 

「何をお飲みなりますか?」

 

「そうだな、とりあえずビー……いや、ブランデーを貰おうか」

 

「ブランデーですねぇ」

 

…ニコニコと微笑みを浮かべつつ、流れるような動作でグラスにX●を注ぎ、ごくごく当たり前のように俺の前にグラスを置く龍田…ここまでは完璧ッ!いつものグダグダ感をまるで感じさせない圧倒的完璧ッ!

 

「…君も何かどうかね?」

 

「いいんですかぁ?では………私もブランデーを一杯頂きますね」

 

「あぁ…」

 

コイツ、なんかやっぱ最初は乾杯したい俺の気分を的確に察し、ごく自然な流れで己のドリンクを俺に頼ませるとはな、龍田、大したヤツだ……この手練れ、おそらくは阿賀野すら上回るHO-SHOWランキングの上位ランカーと見た!!

 

「じゃ、お疲れー」

 

「お疲れ様で〜す」

 

俺達のグラスが鳴り、戦いの火蓋が切って落とされた、面白い…見せて貰おうじゃないか、HO-SHOWランキング上位ランカーの実力とやらを、先に言っておくが龍田よ、この先、俺に隙はない!貴様は本日の時給と一杯のドリンクバックだけを持って部屋へ帰る事になるだろう………

 

ーーー

 

1時間後…

 

「やだぁ〜…テイトクさんオトコマエぇ〜♪」

 

「よぉ〜し!パパ今日はボーナス全部使っちゃうぞォ〜!ギャハハハハ!!」

 

「テイトクさんテイトクさん、こっち見て、こっち、はい、ピース♪」

 

「アヘェ…」ダブルピース

 

「やだもぉ〜」

 

勝てませんでしたぁ〜………なんだよコイツ、しゅごいよぉ…天龍の妹だからって油断してたよぉ、天龍のアホなんかと女としての完成度が全然違いしゅぎるよぉ〜、パーフェクトラージナンバーだよぉ〜

 

「あ〜………飲み過ぎた、ちょっと便所行ってくるわ」

 

「大丈夫〜?歩ける〜?」

 

「ダイジョーブダイジョーブ」

 

俺は鍛え抜かれた三半規管を頼りに、しっかりと床を踏みしめてトイレへと入り、ジッパーを下ろして猛る己自身から欲望を解放する………まぁ、ただのションベンなんだが

 

「さて…」

 

とりあえず、鏡の前で財布の中身を確認する

正直、少々調子に乗りました、はい、ホント、チョーシに乗りました、サーセン、まさか龍田がこれほどの実力者とか思ってませんでした、正直、阿賀野に毛が生えた程度だろうと思ってたが、予想を遥かに超えるとんでもない量の剛毛だったよ、もう龍田から見た阿賀野なんてパ●パンだよ!ツルツルのスケスケ、ツルスケじゃねーの!と言いたいぐらいだよ!

 

「とりあえず、現金払いでなんとかなりそうだな…」

 

さすがにコレ以上はヤバい、ちょっとコンビニ行って来ていいっすか?の領域になる、よし、あと1セットだけ、あと1セットだけにしよう、龍田のヤツもわりと飲んでたし、もう飲まないだろう、うん…

 

「よし、行くか…」

 

…ひと心地ついたし、そろそろ狩るか

 

ーーー

 

1時間後…

 

「ドン・ペリィー入りまぁーす!」

 

「テイトクさんオトコマエぇ〜♪」

 

勝てませんでしたぁ………なんだよコイツ、とんでもない女だよコイツ、マジであの天龍の妹か?天龍って言ったらアレだぞ?“オレの侵略ぅ!レ●ドゾォォォン”とか言ってドルンドルンしてるだけのただの中二病だぞ?物事はだいたいカードファイトでなんとかなると思ってるイタイだけのヤツだぞ…

 

「フーッ〜…あ〜飲んだ飲んだ」

 

「テイトクさん、はい」

 

龍田は請求書の挟んである黒革のバインダーを俺の手元にそっと置いたので俺はスタイリッシュに中身を確認する………だよなぁ、うんうん、まぁ、こうなるよな…ちょっとアレかな?かすみ目かな?なんか0が多い気がするな

 

「………あの、龍田ちゃん」

 

「はい?」

 

「カード使えるかな?」

 

「天龍ちゃんのハマってるカードじゃなかったらOKですよぉ〜」

 

小粋な龍田ジョークを交えつつ、俺のカードをスタイリッシュに受け取った龍田はママにカードでお願いします、あ、領収書の宛名はいらないですぅ〜と伝えた

 

「ありがとうございましたぁ〜、また来てくださいねぇ〜」

 

◆◆◆

 

「…と、言うコトがあってな、ターンエンド」

 

「ドロー、ふ〜ん、そういや最近龍田がコート買いに行きましょとか言ってたっけな」

 

昼下がりの談話室、俺と天龍と木曾はアツいカードファイトをしながら負けたヤツはマインドクラッシュするルールで遊んでいた

 

「お、きたきた!オレの風がビュービュー吹いてきたぜ!」

 

…う〜む、天龍はこんなにアホなのにな




次回は前半戦最終海域!

アツかりし友情!努力!勝利!


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捷一号作戦、作戦発動!①

前半戦の前半戦!ここより痛みを教えてやろうかー!

【登場人物】

防空棲姫
痴女、いつぞやの夏に猛威を振るった脅威の駆逐艦、実は潜水艦を狙わないらしく、やっぱ駆逐艦じゃないのでは…?

天津風(3)
痴女、わりと真面目な性分

島風(5)
痴女、瞬間的には7000万パワーを発揮する



『ヘェ…キタンダァ〜…フ〜ン、キタンダァ…』

 

いつぞやの夏、いくつもの悲しみと海を越えてやって来た歴戦の提督達に圧倒的絶望を与えた恐怖の防空駆逐艦がこの秋、新たな力を身に付けずに戦場に帰還した

 

「クッ!相変わらずツエーぞコイツ!」

 

「チクショウ!なんて硬さだ!!」

 

「この鉄壁のディフェンス力!まるでカテナチオかよ!」

 

以前のような超装甲は無いにしても鍛え抜かれた一見やわらかそうな腹筋は、あの見た目はメチャ怖いが最高にイキでイナセでメチャシブい深海棲艦の大物、中枢棲姫クンをして“まさに鋼!鋼の防空駆逐艦!”と評されたコトもあるらしい…

 

『オマエモイタクシテヤローカァー!?』

 

『ヒュー!防空棲姫クンマジドSー!』

 

『マッタク!防空棲姫クンハ俺タチヲ導ク新タナ光ダゼー!』

 

◆◆◆

 

激突!第三海域!VS深海任務部隊水上打撃部隊…

気合入れて行くんでヨロシクぅー!と元気ブリバリに出撃して行った攻略部隊はまさかの強敵の出現に手を焼いているようだった…

 

「んんんんー、許るさーん!!私の遊びを邪魔しおって!!」

 

「コーヒー淹れましょうか?」

 

「コーヒーはいいから紅茶を淹れてくれんかね?前に貰ったティーバッグがそこにあるのだよ」

 

「紅茶ですね」

 

執務室のテレビで現場の様子を見ているものの、あの駆逐艦詐欺子の強靭なタフネスをなかなか削り切る事ができずにチーム全体にイライラムードが漂っているらしく、どいつもこいつもさっきから二言目には殺すぞ!とやる気溢れる台詞を吐いてやがる…

 

そしてチームの不協和音の原因としてもう一つ、深海棲艦の生存を決して許さない殺戮マシーン、雪風クンの不調もあるだろう…

何故か今日の雪風クンはお腹の調子が良くないらしく、いつものキレがない…

 

「まさか雪風様のお腹が急降下とはな…」

 

「えぇ、まさかのお腹急降下でしたね」

 

「なんか変なモン食ったのか?」

 

「さぁ?」

 

しかしフィニッシャーである雪風クンのデッドエンドシュートが期待できないとなるとあの重装甲をブチ抜くのは容易ではない、一応、今回は酒匂とクサレプリンツを投入しているが、酒匂パンチはわりと貧弱、クサレプリンに至ってはビスマルクさんが同じチームに居ないので露骨にやる気を失くして軽く流してやがる、あのクサレプリン女、帰ったら執拗にボディ叩き込んでゲーゲー吐かせてくれるわい

 

「…まぁいい、五月雨、電話繋げ、電話」

 

「はぁ?何か良い考えでもあるんですか?」

 

「当然だ、この知将に妙案アリだ」

 

「はぁ?恥将ですか…?」

 

俺は五月雨から受話器を受け取り、今日の連絡係である天……あま?アマツ?アマツなんだっけか?なんか連装砲くんの横に居る痴女みたいなヤツに通話が繋がった

 

『もしもし…?天津風だけど…?』

 

「俺だ」

 

『…なに?今ワリと忙しいんだけど?』

 

「天津丼クン、島風のアホンダラはそこにいるな?」

 

『誰が天津丼クンよ、あ・ま・つ・か・ぜ!天津風よっ!』

 

何が天津風だよ、連装砲くんのオマケみたいな顔しやがって…

 

『で?ナニ?さっきも言ったけどワリと忙しいんだけど?イタズラなら切っていい?』

 

「まぁ待ちたまえ痴女津風クン」

 

『誰が痴女よ…っ!?』

 

今回、雪風クンの他に島風と天津風の仲良し(笑)コンビを実戦投入したチーム、正直な話、雪風クン以外はわりとどうでも良かったのだが雪風クンが不調となると話は違う、島風と天津風…この最先端痴女ファッションガールズにファイナルフェイズを制して貰う必要がある…

特に、友達がいない事で有名な島風は今回のチームで友情パワーを深めたいらしく、昨日は興奮のあまり眠れなかったそうだ

 

「連装砲くんのオマケ風クン、よく聞きたまえ」

 

『誰が連装砲くんオマケよ!?逆!連装砲くんが私のオマケなのよ!!あ………ちが、違うの連装砲くん!オマケってのはそーゆー意味じゃなくて』

 

「謝れよ、連装砲くんに謝れよ」

 

『うっさいわね!!そもそもアンタが悪いのよ!』

 

まったく、痴女のワリにキレ易いとは…最近の子はどうしてこう……アレかね

 

「まぁいい、いいか天津風クン、とりあえず君の役目は島風にこう言ってやるコトだ………………と」

 

そう、コレを言ってやれば今の島風は限界と言う壁を乗り越えるだろう…

 

『………え?ホントにそれ言うの?言わなきゃダメ?』

 

「オフコース!」

 

『えー……言わなきゃダメ?』

 

「ゴチャゴチャゆーな、上手くいったらチョコレートパフェ奢ってやるからさっさとしろ」

 

『うっ……わかったわよ』

 

◆◆◆

 

「あ…あのさ、島風…」

 

「なに?」

 

たしかに、今日の島風はナニかが違う、心なしかいつもに比べてやる気があるように感じられる…そう、友情・努力・勝利、この三大要素が今の島風からは感じられるのだ…

「この勝負!アンタの雷撃でゲームを終わらせたなら!たった今からアンタは私の“親友”よ…っ!!」

 

「おう!?」ガガーン!!

 

言ってやった…なんか取り返しのつかないコトを言った気がするけど

 

「オモイヤリ+ヤサシサ+アイジョウ=………友情っ!!」

 

島風からハッキリと見てわかるほどに立ち昇る巨大なプレッシャー!?ウソ??ここまで効果あんの!?

 

「見ろ!痴女風が燃えている!」

 

「努力と勝利は裸足で逃げ出してやがる!友情!!それだけでいいんか!」

 

えー…引くわー………私が言っといてなんだけど、引くわ

島風は、喰らえ!私と天津風ちゃんのバーニングラヴとか言いながらあの防空なんちゃらに飛びかかる、ってか、ラヴは友情じゃないで愛情なんですけど…

 

「ショラーッ!!」

 

『グエッ!?』

 

島風は防空なんちゃらをダブルアームスープレックスで捕らえ、グルグルと回転しながら防空なんちゃらを上空に投げ飛ばした後、自らも飛び防空なんちゃらの首筋をまるでギロチンの如く膝で捉えた

 

『グゥゥゥ!!バ…バカメ!コノ防空棲姫様ニソンナ二流ノ技ガ…』

 

「防空なんちゃら!あの夏以来たえず研鑽を積んできたこの技が同じ技だと思うなーッ!!」

 

『グエッ!?ハ…ハズレン!?』

 

島風の膝を力業で外して脱出しようとした防空棲姫、しかし!島風は首に落とした左足の上に右足を乗せ!さらに右膝の上に右肘を乗せ固定することで強力な力を加えてそのまま勢い良く落下する!!

 

「死刑執行ーッ!!!」

 

『ドヘアァァァァァ!?』

 

島風の完璧な奥義が防空なんちゃらに炸裂し、ついにあの重装甲を誇った駆逐艦詐欺女を海に沈め、島風は誇らしげに指をビシッと指して言い放った…

 

「これが友情の力よ…っ!!」




次回は②
空母おばさんが惨殺される回


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捷一号作戦、作戦発動!②

傲慢なる前半戦の後半戦!

【登場人物】

空母棲姫
通称、空母おばさん、赤城と加賀の良心がジョグレス進化した究極体


防空棲姫の鉄壁のディフェンスを抜け、攻略部隊は更に奥の海、深海任務部隊空母打撃群旗艦へ………ちなみに、なんか途中で日本人形みたいなのが居た気がするが酒匂がバッキバキにヘシ折って壊した

 

『ヒノカタマリニナッテ………ッテ!?イテェ!?イタイイタイイタイ!!チョ!待テヨ!』

 

この海域をシメるヘッド、空母おばさんこと空母棲姫の頭から開幕火の塊が降り注ぎ、ちょ!待てよ!熱い!熱ぅい!とか言いながらモンキーのようにその場で舞った…

 

『ハー…ハー…イキナリナニスンダコラァ!?』

 

「瑞鶴サン、あの痴女なんかゆーてますよ?」

 

「アレっしょ?アレ、生まれてきてスイマセン、ゴミなのにとかゆーてるんしょ?」

 

最強軽空母と噂されるヤンチャ軽空母、ちとちよ姉妹を含む空母機動部隊…

 

「フッ、誰にケンカ売ってんのか教えてやろーじゃないの?見てなさい!この瑞鶴様の航空隊があのキレーな顔フッ飛ばしてやるわ!」

 

「ヒュー!瑞鶴クンマジクール!」

 

「こりゃ一航戦パイセンもガクブルっすわー」

 

「え?そ、そうかな?今、私、そんなカッコ良かった?」

 

◆◆◆

 

アロマエッセンスの香り漂うエレガントな執務室…

 

「後半戦は危なげなく勝てそうですね」

 

「そうだな」

 

青髪ロング子の淹れたアツい茶を啜りつつ、俺は現場の様子をテレビで見ながら電極ビリビリマッサージ器で肩と首に電気的刺激を与えていた…

とりあえず、あの赤城と加賀がポタったみたいな空母なんちゃら姫の航空攻撃はいつものように“あったよ!初月と10cm高角砲+高射装置が!→でかした!”の流れでなんとかなったらしく、今や空母なんちゃらおばさんは第二艦隊から死のフルコースを受けていた…

 

『出たーッ!島風の苛烈・残虐・残酷なあの技がーッ!』

 

『あ、あわわ…虐殺王!』

 

…しかし島風のヤツ、今回は絶好調だな、一体何があの娘をそこまで強くしたのか…?やはり毎日のコーンフレークと眠る前の温かいミルクだろうか?

 

ジリリリリリン♪ジリリリリリン♪

 

「む?」

 

「電話ですよ、天津風さん」

 

「天津風…?誰だそいつは?敵か?」

 

五月雨から受話器を受け取り、ハイお電話かわりました提督ですと爽やかに応対するとなんか妙に暗く沈んだ声が聞こえてきた…

 

『もしもし…?どーすんのコレ?あの子ヤバいんだけど、島風、想像以上にヤバいんだけど?』

 

「ナニ言ってんだ?友達だろ?友達なんだから帰ったらツレションでもしてお互いのチ●コでも見せっこしてオマエのチ●コマジでけーな、まるでタンカーみてーじゃんとか小粋なフレンドジョークでも言ってやれよ」

 

『イヤよ!!ってか、ないわよ…っ!!なんで私達にチ……チン、あぁ!もう!!』

 

「え?なんだって?」

 

『うっさい!!バカ!死ね!執務棟の階段から足滑らせて死ねっ!』

 

まったく、上官に対して死ね死ねと連呼するとは…なんてガラの悪い駆逐艦なのかねこの痴女は、香取先生の熱血指導の甲斐あり、うちのバカどもも毎日がワルのオリンピック状態から脱したものと思っていたが………クズは所詮クズなのだよ

 

「もしもし?もしもぉーし?あ、あの野郎…切りやがった」

 

「そりゃ切りますよ、ってか訴えられたら負けますよ」

 

「バカ言うんじゃないよ青髪ロング子が、俺は負けない!あの時そう誓ったんだ!」

 

「あの時がどの時かは知りませんけど、既に結構負けてますよ」

 

クッ、このヤロウ、オレの小粋なテイトクジョークをサラリと……大したヤツだ

 

『死刑執行ーッ!!!』

 

『ウッギャアアアー!!ナンドデモクリカエスーッ!!』

 

あ、勝った…テレビの画面にはまるで愉快なオブジェみたいに全身がバッキバキにされて海面に叩きつけられた空母おばさんがブクブクと気泡を残して沈む姿と、これが溢れる友情パワーだーッ!と吠える島風の姿が写っていたので俺はチャンネルを変えた…

 

「さて、ニュースでも見るか」

 

「他人事ですか」

 

「うるせぇな、勝った後なんかどうでもいいんだよ、サミダックスフンドくん、コーヒーくれや、冷蔵庫の缶コーヒー」

 

「ご自分でどうぞ、あと、五月雨です」




次回は後半戦で最終海域

絶対王者 西村艦隊VS73年目の亡霊


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あの海峡の先へ──①

最終海域その①!海域で待つSISTER!

【登場人物】

扶桑姉妹
姉様と山城による姉妹コンビ、必殺技は艦橋ドッキング

海峡夜棲姫
海峡姉と海峡妹による姉妹コンビ、必殺技は海峡ドッキング


最終海域、スリガオ海峡沖…

 

「ヘーイ、コイツですか?ワタシがDIEしていいゴミはー?」

 

金剛率いる連合艦隊による殺戮のパレードに始まり…

 

「“ムカつき”が止まんねーよ…」

 

妙高姉妹の次女、那智率いる元気ブリバリでゴキゲンな志摩艦隊による海域の集団暴走暴走行為に続き…

 

「キタ!!絶対王者!西村艦隊だ!」

 

「オーラパネえ!!」

 

「最終海域だってのにあの落ち着きぶり、やっぱ王者の風格があるぜ…」

 

スリガオ海峡深海海峡旗艦艦隊に挑むのは今回のゲームの為、入念に準備してきた扶桑率いるチーム西村艦隊、本来なら、山城が今回のチームを率いるに相応しいらしいが、謙虚な山城は姉様を差し置いて旗艦などあまりにも畏れ多いと扶桑に譲ったそうな…

 

「…さぁ行きましょう、私達の青春はスリガオとの青春、私達は今日、その青春に決着をつけるのよ」

 

「嗚呼姉様、なんて凛々しい御言葉を……っ!この山城、涙が……熱い涙が止まりません」

 

◆◆◆

 

「行ったか…」

 

「えぇ、行きました」

 

今日はなんかちょっと違う日、出撃して行ったチーム西村艦隊ども見送った際、朝雲、山雲、満潮、フッ…どいつもこいつも男の顔をしておったわい、おそらくはこの死闘、歴史に残る名勝負となるだろう、俺はチーム西村艦隊の名前が刻まれた蝋燭を前に確信していた…

 

「なんですか?そのロウソク…」

 

「これか?これは寿命蝋と言ってな、この蝋燭の火が消えた時、その者の寿命が尽きるのだ」

 

「また変なルーレットといい、不吉なモノを…」

 

「バカ言うんじゃないよ、これはほら、アレだよアレ、親心ってやつなのだよ」

 

ちなみに五月雨の言う変なルーレットとは、出撃前のチーム西村艦隊に提督からのアツい心尽くしのつもりで用意したアイテムで、盤面には99の“勝利”と1つの“死”が刻まれており、勝利以外に針が止まることはまずないだろう景気付けアイテムである、まぁ、姉様が回したら針は“死”で止まったんだが…

 

「出撃前に士気は下がりましたけど提督に対する殺意は上がりましたね」

 

「俺は悪くない」キリッ!

 

「そうですか………あ、そろそろ海域の最奥に着く頃じゃないんですか?テレビテレビ」

 

「む、そうか…」

 

◆◆◆

 

『オイオイオイ…』

 

『死ンダワ、俺』

 

『マサカ……全員“ゾーン”…ダト?』

 

VSスリガオ海峡深海海峡旗艦艦隊との激突、夜→昼の昼夜逆転の変則的な流れとなる今回のゲーム…

五月雨曰く、今回の時雨様はまだボクサカとかズガタカとか言い出す前の綺麗な時雨クンに戻っているらしく、チームの力を最大限に引き出す時雨クン本来の能力により、チーム西村艦隊は限られた天才しか入れない極限の集中状態、ゾーンに限りなく近い状態に全員が入っていた

 

「朝雲ナッコオ!」

 

『ブベラァ!?』

 

「山雲ドライバー!」

 

『オブシッ!!?』

 

その破壊力は尋常ではなく、駆逐艦のキッズ達ですらあの戦艦ル級をまるでバターやチーズのように裂き、それはそれは美しい丸みを帯びたオブジェを作るように深海の仲間達を叩き潰してゆく………しかしッ!!

 

『ココ…ハ…トオレナイシ……トオサナイ……ヨ……ッ!』

 

『海峡夜棲姫クン!』

 

『海峡夜棲姫クン!』

 

スリガオ海峡を守護する謎の艦種、戦艦姉妹!海峡夜棲姫は姉妹ならではの息の合ったコンビネーションで限りなくゾーンに近い状態に入っている筈のチーム西村艦隊に切迫していた

 

『フフフ…私達仲良シ姉妹ノこんびねーしょんハ無敵ヨ』

 

『…ソウネ、私達ノ仲良シニハ勝テナイワ』

 

海峡夜棲姫から感じる抜群のタッグパートナー感………それが、扶桑姉妹のPRIDEに火を点けた

 

「フッ、何が仲良し姉妹よ、この2Pカラー風情が……私と姉様の前に滅びるがいいわ」

 

「…そうね、山城、私達も仲良しだものね」

 

戦艦姉妹海峡夜棲姫と扶桑姉妹、どちらが本物の仲良し姉妹か、互いの妹はアツく!ハゲしいメンチビームをバチバチと撃ち合いながらア"ァ?殺すゾ?だの殺しちゃうゾ?だの言いながら軽く拳を当てて距離を取った…

 

『ハラハァー!!』

 

「ショラァー!!」

 

まずは山城と海峡妹がハゲしくブツかり合い、おそらくは金的以外の全ての反則が使用される凄惨なファイトとなった、しかしこれはあくまで姉妹のPRIDEを賭けたタッグマッチ…ッ!!

 

「死ねっ!!艦娘絞殺刑ーッ!!」

 

『ウゲェ!?タ……タスケ!タスケテ姉様ァ…タスケテェ…』

 

『…ヤメテ頂戴』

 

海峡妹のピンチに、海峡姉はトゲトゲアームでそのピンチをカットして救出した

 

『…大丈夫?』

 

『ウゲェ……クッ、アリガトウ姉様、姉様!アレヲヤリマショウ!』

 

『…アレヲ使ウノネ………ワカッタワ』

 

海峡姉妹は背中合わせのように立ち、姉が妹を背中合わせの体勢で担ぎ上げる、その姿はまさにキラメキの流血列車!凶悪なロングホーンを突き刺さす死のトレイン

 

「どこまでも舐めた真似を………姉様!私達も!」

 

「…山城もアレがしたいの?ふふ、そうね、昔はよく姉様姉様とおんぶを強請ったものね、懐かしいわ…」

 

扶桑姉妹も海峡姉妹と同じくロングホーント●イン発進態勢スタンバイ、その姿たるやまさに勝利のイマジネーションすら彷彿させる死の超特急

 

「死ねェェェェェェェ!!!」

 

『地獄ニ行ケェェェェェ!!!』

 

正面からぶつかり合うロ●グホーントレインVSロングホーント●イン!!その破壊力は一方的に喰らえばただでは済まないのは確実ぅ!………だが

 

「うぎゃああああああああ!!」

 

『ウギャアアアアアアアア!!』

 

ロン●ホーントレイン正面衝突事故で、山城と海峡妹は互いに大ダメージを負って転げ回った

 

◆◆◆

 

「…なにやってんだ?アイツは」

 

「たぶんアレじゃないですか、同族嫌悪的な」

 

「あぁ、そんな感じな」

 

執務室のテレビで現場の様子を見ていた俺と五月雨、五月雨が先日買ってきたお徳用の一口チョコでも開けましょうかと言って棚から出してきたので俺は一つ取って口に放り込んだ

 

「しかし強いな、あの2Pカラーみたいなヤツら」

 

「そうですね」

 

夜→昼となると時雨クンのマグナムフィニッシュも難しい、どうやらこの戦い、あの姉妹に託すしかないようだな…




次回は②
死闘のタッグマッチを制するのは姉妹か姉妹か


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あの海峡の先へ──②

今日は珍しく二本立て、決着!姉妹のTAGMATCH!

【登場人物】

扶桑(7)
扶桑姉妹の姉、今回の怒りのフィニッシャー

海峡夜棲姫-壊-
海峡姉妹の山城似の妹、タフ&ハードなしつこいやつ


死闘が続くスリガオ海峡沖…

 

『死ネェェェェェェェ!!!!』

 

「ドヘァァァァ!!!」

 

海峡姉妹の殺艦フェイバリット、FUKO↓LAPが山城に炸裂し、山城が戦線を脱落、しかしそれと同時に海峡姉も力尽きたのか、海峡姉も後事を海峡妹に託して戦線を脱落した…

 

『…フフフ、アナタト一度、胸ガスクヨウナつーぷらとんヲ決メテミタカッタノヨ…』

 

『嗚呼…アァァア……姉様、後ハ、後ハコノ妹ニオ任セクダサイ……』

 

『…フフフ、フフフフフ………ウゲェ!?ガバァ!!』死ーン

 

『姉様ァァァ……アアア!姉様ァァァァァ!!』

 

最愛の海峡姉を失い、怒りと憎しみの炎を燃やす海峡妹は決意を新たにオマエラ全員マップタツにしてやんよーッ!と気合い十分に吠え、急襲の飛び蹴りを扶桑めがけて放った………しかし!

 

「…この足は、なに?」

 

『ウゲェ!?ナ……ナンダトォ!?』

 

「…この足が山城を蹴った悪い足ね」

 

扶桑は片手で受けた海峡妹の足を躊躇なく折り、海峡妹はウッギャアー!と叫びながら海面をのたうち回った

 

「ふ…扶桑サンが怒っているっ!」

 

「そうか、最愛の妹を大破KOに追い込まれた事であの扶桑サンの逆鱗に触れちまったんだ…」

 

「ククク、死んだぞテメー…」

 

普段、とても穏やかで優しくその尊さたるや菩薩とまで謳われ滅多な事で怒ることはない………いや、むしろチーム西村艦隊の仲間達ですら見た事のない戦艦扶桑、菩薩面転じて修羅の顔が今、スリガオ海峡に降臨した

 

「…ふふふ、悪い子ね…悪い子ね」

 

『ウゲェ!?』

 

扶桑は海峡妹の後首を掴みボディに膝蹴りを連打して執拗なダメージを与え、再び海面な投げ捨て、強烈なサッカーボールをキックを叩き込んだ

 

『ウボァ!?……ヒッ!ヒイィ……姉様ァ…タスケテェ……姉様ァァァ…』

 

【海峡妹……海峡妹、私の可愛い海峡妹…】

 

『嗚呼…姉様』

 

【ガンバ!】ニコッ

 

海峡妹は見えてはいけないイマジナリー姉様の幻影に手を伸ばし助けを求めたが、その手を優しくとったのは今や阿修羅と化した扶桑だった…

 

「…ふふふ、さぁ、これでフィニッシュよ…っ!」

 

『ゲ、ゲェーッ!!アノ技ハーッ!!』

 

『五所蹂躙絡ミ!イヤ!サラニ艤装ノ砲塔ヲ使イ手脚ヲ完全ニロックシテイルーッ!』

 

所謂、キン●バスターの型で飛び上がった扶桑、さらに!

 

「いや!さらに両足を使い首をロックしたーッ!」

 

「うぅむ…まさに完璧!完璧なバスターだ!!」

 

究極の名を冠する21世紀の究極爆裂弾、アルティメット扶桑バスターが今、海峡妹にトドメを刺すべく勢い良く落下を始めた

 

「せりゃああああああ!!」

 

『ウギャアアアアアアアア!!姉様ァァァ!タスケテー!姉様ァァァ!!』

 

「…や、やましろ?」

 

『嫌ァァァァァァ!!姉様ァァァ!姉様ァァァァァァァァァ!!』

 

姉様助けてと叫ぶ海峡妹に山城を重ね、ほんの少し動揺したのか、アルティメット扶桑バスターの両足のロックが少しだけ緩んだ…

 

「あーっと!無秩序!無軌道!無慈悲の権化、扶桑が泣いているーッ!」

 

『ヤハリ非情ニナリキレナインダー!』

 

しかし、もはや海峡妹にアルティメット扶桑バスターから抜け出す体力はなく、究極爆裂弾が海面に被弾し、海峡妹は全身を砕かれ反吐をブチ撒けた

 

「せりゃああああああ!!」

 

『ゴバァ!!』死ーン

 

『海峡妹ーッ!』

 

『海峡妹ーッ!』

 

この瞬間、チーム西村艦隊の扶桑姉妹とスリガオ海峡戦艦姉妹のタッグマッチは決着となり、驚異のタフネスを誇った海峡夜棲姫は深海へと沈んでいった…

 

4ゲージマッチ

扶桑姉妹○-海峡夜棲姫● アルティメット扶桑バスター

 

「…終わったわ」

 

「やったよ扶桑サン!」

 

「さすが扶桑サンだ!」

 

遂にスリガオ海峡を守る敵を沈めたチーム西村艦隊…

喜びに包まれたチームの輪に、扶桑はどうしていいのかわからずに戸惑いを浮かべていたその時…

 

「ふ……ふふふ、さすが姉様」

 

最上の肩を借り、山城がニヤリと気色の悪い笑みを浮かべて歩いてきた

 

「山城!?大丈夫なの?」

 

「ふふふ……死に損なったみたい、どうやら私、地獄の鬼にも嫌われているようです」

 

「…滅多な事を言わないで頂戴、さぁみんな、帰りましょう」

 

さぁ帰ろう、その空気の中、1人、時雨だけはまだ雨は止んでいない事に気付いていた

 

「………いや、そうもいかないみたいだよ」

 

「え?」

 

「まだ隠れているヤツがいる」

 

◆◆◆

 

「なんだとォ!?あの海峡姉妹がBOSSではないと言うのか!?」

 

「そうらしいですね」

 

受話器を机に叩きつけ、再びテレビに視線をやるとスリガオ海峡の最奥に現れた新たなる敵の姿…っ!なんだコイツは…?なんだってんだYO!まさかあの海峡姉妹のバックに真のラスボスが控えていたとでも言うのか!?

 

「え〜っと、一応、調べによると防空埋護姫って名前の人みたいてすね」

 

「は?防空…?え?防空なんだって?UMRさん?」

 

「埋護姫らしいです」

 

「………なんかよくわからんが、防空って付いてるからにはあのイタクシテヤル姫の親戚かなんかか?」

 

「たぶん」

 

まさか真のボスがいる系とは………ヤツらめ、どこまでも俺をアツくしてくれるじゃないか




イベント海域最終回、真のラスボスUMAじゃないよUMR


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あの海峡の先へ──③

終了日には間に合わなかったのだよ…

【登場人物】

防空埋護姫
今回のホントのラスボス、防空シリーズ第2段、脅威の防空性能だけでなく脅威の谷間も目を引く逸材

時雨(3)
常に一番である事を義務付けられ、それに見合った才能を持ってしまった白露姉妹のエース、今回はいつも以上にやる気のアツい面が…


海域のBOSS!海峡夜棲姫を倒しメデタシメデタシと言ったのも束の間、あの2Pカラー不幸姉妹は前座に過ぎなかったッ!真の恐怖が今、幕を開け………

 

「朝雲ナッコオ!!」

 

「山雲ドライバー!!」

 

『キカナイ…ッ!キカナイ…ッ!ッテ!?ウッギャアアアー!!』

 

未だ極限の集中状態に最も近い状態にあるチーム西村艦隊の猛攻を受け、真の海域BOSSである防空埋護姫とチームUMRは1人、また1人とその命と臓物を散らしていた…

 

「モガミン!ヘイ!モガミン!」

 

「OKミチシー!」

 

満潮は防空埋護姫を羽交い締めにし、その隙にと最上から嵐のような水平チョップの連打を浴びせられ、羽交い締めから解放されると前後から満潮と最上から強烈なドロップキックを喰らい、防空埋護姫は海面に転倒した

 

『キ……キカナイ!キカナイシ!』

 

「コイツ、なんてタフなヤツだ…」

 

「さっきの海峡姉妹もタフだったが、コイツもなかなかのタフだぜ」

 

海峡姉妹ほどではないものの、さすがに真BOSSとして現れた以上、なかなかのタフネスぶりを見せる防空埋護姫は頭のオシャレなフードで今にも泣きだしそうな情けない顔を見せないように隠し、果敢にもファイティングポーズをとった

 

「…ありがとうみんな、後は僕がやろう」

 

「時雨クン!」

 

「時雨…っ!やれるの………いや、聞く必要すらないな」

 

この戦い、昼まで持ち込んでしまえば後は扶桑と山城に託すしかなくなる、既に海峡姉妹との激闘で内臓はズタズタ、髪はトリートメントが必要なほどベタついている最悪のコンディション…

 

「雨はすぐに止むさ…」

 

チームメイトのポテンシャルを最大限に発揮させる時雨クン本来の能力と、主に僕の命令は絶対だにしか使ってなかった時雨様のボクサカの能力、綺麗な時雨クンと絶対は僕だの時雨様の二つの人格が融合を果たし、パーフェクト時雨となった時雨は理想的な脱力感のまま構えを作り、静かに息を吸い込んだ…

 

『マダ!マダオワラナイ…ッ!』

 

「いいや、終わりだよ」

 

『ナンダ……ウゲェ!?ア、足ガ…ッ!?』

 

時雨の前でバランスを崩して盛大にスッ転ばされた防空埋護姫の頭上に容赦なき振り下ろしの踵が炸裂した

 

『ウギャッ!?』

 

「これが僕たちの………チーム西村艦隊みんなの力だよ!」

 

時雨は防空埋護姫のオシャレフードを掴んで身体を頭上に持ち上げ、両腕をクロスさせて相手の頭と両足をホールドした、その力はまさしく最上!テクニックは山雲!スピードは朝雲!そして残虐性は山城!さらにボディの強靭さと残念さは満潮!

 

「いくよ必殺!!イリーガルパゴダマスト・ネイキッド!」

 

グワキィィィ!!!

 

『ウッギャアアアアアア!!!折レル折レル折レルゥゥゥ!!ヤダァ!痛イ痛イ痛イ痛イィィィィィ!!』

 

「スリャアアアーッ!!!」

 

『アギ…アガッ!?ガガ……ウソ…ワタシガ…ッ…モドルウミ…ナンテ…ソンナモドレナィ…エッ…?ウデ…ガ、ジユウ…』

 

「せいっ!!」

 

バギイィィ!!!

 

『ガバァ!!!』

 

奇跡の西村艦隊パワー全開の時雨が放った西村艦隊・ザ・フェイバリット、所謂、アルゼンチンバックブリーカー的な殺人技、イリーガルパゴダマストの進化系、イリーガルパゴダマストネイキッドにより全身を砕かれた防空埋護姫は断末魔の反吐をブチ撒け、ブクブクと気泡を残して沈んでいった…

 

「………雨はやんだようだね」

 

「さすが時雨じゃあ!!」

 

「まったく!味方になると恐ろしいほど頼りになるわい!」

 

「フッ、どうやら俺達の大将はとんでもない奴らしい…」

 

こうして、作戦海域の制圧を終了…

今回の本部作戦である捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(前篇)を無事に完了する事が出来た…

 

「さぁ、帰ろうか、来週はまた天気が悪いみたいだよ」

 

◆◆◆

 

「…勝ったな」

 

「勝ちましたね」

 

執務室のテレビの前、テレビの前の良い子は絶対に真似しちゃダメそうな殺人技を見ていた俺と五月雨はとりあえず手にしていた湯のみを軽くぶつけ合った

正直、ダメかとすら思ったがまさか夜の内に勝負を決めてしまうとは………さすがは時雨様だ

 

「やっぱスゲーな、時雨様は」

 

「そうですね、あ、そうそう、実は私の姉なんですよ」

 

「ふ〜ん」

 

「実は」

 

「知ってるよ、オマエのネーちゃんで白露姉ちゃんの妹だろ?ってか白露はどうした?白露は、あのバカ、まだ芋食ってブーブー屁コイてんのか?」

 

「さぁ?この前見た時はバイクブ●ス読んでましたよ」




海域攻略編は今回で終了、次回は作戦終了回で次々回は新人回ですって


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続続続続続・提督と作戦終了と…

なんやかんやで終了回も6度目…

【登場人物】

提督(190)
クズ的な大人、今回も安定の甲勲章なしのヘタレ


「えー…おかげ様で、今回の作戦海域も無事に終わる事が出来ました、えー…提督としては皆さん日頃の努力の成果を遺憾無く発揮する事が出来たものと感じており、やはり日頃からの努力の積み重ねが大事であると皆さんの頑張る姿を見て、えー…改めて再認識致しました、えー…皆さんはこんな話を知っているでしょうか?えー…あるところに一匹のドラ猫が……」

 

秋の中規模作戦を無事に終了した当基地、恒例の体育館にて作戦終了の提督からの有難い挨拶をしていると、壇下から話がなげーよだのさっさと終われオッサンだのクズどもの声が聞こえてくるがそんなコトは知った事ではない、膝ガクガクになるまでキサマらのクズどもに有難い談話を聞かせてくれるわい…

 

ーーー

 

「………えー、以上で提督からの挨拶を終わります」

 

「はい、ありがとうごさいました」

 

今日も眼鏡が素敵な香取先生はマイクを取ってクズどもを一同礼をさせてくれる、まったく香取先生はいつもエレガントでいらっしゃる…

 

「えー…じゃ、皆さんお待ちかねのお給料の時間でーす、五月雨、アレ」

 

「準備してますよ」

 

五月雨の押してきた台車からジュラルミンケースを持ち上げて中身を開封すると壇下からの空気がざわざわと騒つくのがわかる、現金!キャッシュ!マネー!まさしく人を支配する魔性の王よ…っ!

 

「では、今回のMVPチケット第一位は〜………姉様、じゃなかった、扶桑クン、はいみんな拍手〜」

 

「…まぁ、私が…?」

 

やはり今回最大の強敵、海峡なんたらを見事に沈めた姉様こそ第一位に相応しいとの事から今回の結果だ、俺はよくやった!感動した!と姉様の手を柔らかくてスベスベした手をガッチリ掴み、ジュラルミンケースから取り出した札束を手渡した

 

「…まぁ、こんなに……ありがとうございます」

 

姉様はありがとうございますと深々と頭を下げ、みんなからの温かい拍手と妹からのやかましい拍手に包まれ、現金を手に壇上から降りた、正直な話、姉様の柔らかくてスベスベした手を握った時、勃●してしまったのだよ…

 

「はい次、島風クゥゥゥン、はいみんな拍手ぅ〜」

 

「おう!」

 

「よくやった!感動した!」

 

「いえ、今回の成果は私だけの力ではありません!みんなと私のアツい友情が!アツい友情があったからです!」

 

島風は拍手の中、ありがとーありがとーと手と札束を振り、なんか下にいる連装砲くんのオマケの痴女みたいなヤツにバチコーンとウィンクしていたが、痴女みたいなヤツはすげー微妙な半笑いをしていた…

 

「はい次、どんどん行くぞ、どんどん、はい次、初霜くーん」

 

ーーー

 

「えー…最下位、ズイホー」

 

「なんで!?」

 

「うるせぇよ、ガタガタ言ってるとアツアツのゆで卵ア●スにブチ込むぞ」

 

ウソだウソだドンドコドーンとかうるさい瑞鳳に200円を手渡し、今回も無事に給料の時間が終わった…はぁ、相変わらずムダに労力を使うな、この時間は、本来ならスタイリッシュに振り込みとかで済ませるのがイチバンなんだろーが……まぁ、こうやって上司と部下のコミニュケーションを図る俺のイキな計らいなので仕方ない

 

「さて、そんじゃ改めて今回もお疲れ様でした、今日はキサマらのクズどもの為に忘年会の意味も兼ねていつもより豪勢な食事を用意した、遠慮なく飲み食いするがいい」

 

 

「ヒャッハー!水だァー!」

 

「スゲェ!このピッツア!スゲェアツアツだぞ!なんだこのチーズは……!?伸びるぞ!」

 

「オイ!誰だ今オレのカラアゲ獲ったヤツ!」

 

…まったく、クズどもが、厳粛なる式が終わった途端にコレなのだよ

 

「なるほど…これがペペロンチーノと言うやつか、うん、これはいいな!なぁ?谷風よ」

 

「え?あ、いいんじゃね?あ、スイマセーン、調味料ください、全部」

 

磯風のアホはパスタを食べながら、なるほど…これが“じょしぢから”と言うものかとアホな事を言いつつ、隣に居る浜風ちゃんから鴨肉的な物を分けて貰っている、クッ!なんて羨ましいヤツだ…ッ!

 

……とりあえず俺も適当なモンでも取っていつもの隅っこにでも行ってあわよくばスカートの中でも覗くか…

 

「パスタか……よし、たまにはパスタでも獲るか」

 

ーーー

 

「お疲れ様です」

 

「よぉ、パンツ見えてるぞ」

 

「踏んでいいですか?」

 

床に寝転んでダラダラと酒を飲みつつ乾き物をつまんでいると、いつもの青髪ロング子がぬらりと現れたので親切心からパンツ見えてますよと伝えたらさっきまで俺の顔があった場所に震脚かっーぐらい強烈なスタンプを叩きつけてきた…

 

「踏みながらゆーな、っーかなんだ今の!?殺す気か!?」

 

「大丈夫だったじゃないですか」

 

避ける前提か!チッ…!なんだコイツ、ちょっと青髪でロングだからってチョーシに乗りやがって

 

「…まぁいい、許す、俺は心の広い男だからな」

 

「そうですか………あ、そうそう、明日は新人さんの面接なのでパリッとした服でお願いしますよ、パリッとしたやつ、クリーニングから帰ってきてるのありますから、あと靴もいつもの鉄板シューズじゃないで皮靴を…」

 

「うるせぇよ、オカーサンか!っての…」

 

「オカーサンじゃないです、五月雨です、あ、ちなみに明日の面接予定はなんと4人です」

 

「………4人か、なんか少ないな」

 

「むしろ、ここ最近が多すぎたのでは?」

 

「たしかに…」



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続続続続続・提督と新人と面接

今年最後の面接回+!

【登場人物】

伊400
期待の新人、401のお姉さんらしい

佐渡
期待の新人、クリスマスにはベ●ブレードが欲しい

対馬
期待の新人、危険が危ない

涼月
期待の新人、あったよ!涼月と10cm高角砲+高射装置が!

木曾(5)
ルックスもイケメンの中二病、姉ちゃん達が怖くて仕方ない主人公属性の塊


「潜水空母の伊400、しおんです」

 

「ふむ、潜水空母かね…」

 

秋の作戦海域も終わり、灰皿が撤去されてしまったゴキゲンな執務室で今日は新たにチームに加入した新人の面接が行われていた…

 

「え〜…伊400クンはアレかね?伊401クンのキョーダイか何かかね?」

 

「あ、はい、キョーダイ…?姉妹です、姉の方です」

 

「ふ〜ん」

 

書類を見るに、性能的な数字は401クンと似たようなアレって感じか、まぁまぁ優秀な感じじゃないかな、うん

 

「わかった、400クンは開幕一軍入りなのだよ」

 

「ホントですか!?え…?いきなり?え?いいんですか?」

 

「モチロンなのだよ、ウチは潜水艦の娘は特に実力派エリートとして厚い待遇で歓迎しているのだよ」

 

安心の四交替、無理のないシフト、小破以上のキズには即治療、長期休暇有り、アットホームな雰囲気の職場で優しいセンパイ達が丁寧に仕事を教えてくれるホワイト環境は伊達ではない

 

「今日は潜水艦のカス………潜水艦のセンパイ達に挨拶するとして、明日から頑張ってくれたまえ、君には期待しているのだよ」

 

「あ、はい…ありがとうございます」

 

潜水空母の400クンはヘコヘコと頭を下げて退室した…

どうやら401のバカと違ってまだまともな感じだと言う事に提督的には安心したね、だいたい、潜水艦は実力派エリートだがどこか頭のボルトが摩耗しきったプッツンヤローが多い気がするしな…

 

ーーー

 

いきなりまともな人材だったな、今日は幸先良いスタートな気がするぞとスゲーワクワクしていると、秘書艦の青髪ロング子が俺の机に湯呑みと同時に二組の書類を置いた

 

「次は二人同時でお願いします」

 

「え?やだよめんどくさい」

 

「めんどくさいかもしれませんけど、海防艦の子二人ぐらいまとめて下さいよ」

 

「海防艦………だと?」

 

海防艦、それは声をかけるだけ事案発生、視界に入れるだけで犯罪者の烙印を押されかねない脅威の艦種…

一応、全員が潜水艦キラー的なエッヂの効いた特徴は持ってはいるものの、それ以外の性能は全て残念だ

 

「オイオイオイ、ウチをなんだと思ってんだ?あ?海軍なめてんのか?上はウチをキンダーガーデンかなんかと勘違いしてんじゃねぇのか?なぁオイ?五月雨クンよォ?」

 

「私に言われても知りませんよ」

 

五月雨は俺に対してまったく容赦する様子もなく、次の方どうぞーと扉の向こう側に呼びかけると、扉が開き、なんか小さいのが入って来た

 

「択捉型の佐渡さまだー」

 

「択捉型の七番、対馬はここに…」

 

あー………うん、間違いなくアレだ、これはちょっと肩が当たるだけで逮捕待った無しのゴキゲンなアレだ、択捉型?択捉型って言ったか?択捉ったらアレだよな、あの択捉だよな、間違いない

 

「えー…海防艦な、はいはい海防艦、よし、面接おわり!帰っていいぞ」

 

俺は書類を一瞥だけして机の前に並んだガキ2名に帰ってよしと努めてスタイリッシュに伝えてやった

 

「マジか!?」

 

「これは対馬も予想外…」

 

「マジかー!?おっさん!マジか!」

 

「おっさんじゃない、提督だ、だいたいオマエなんだその口の利き方は、言っとくが俺は女子供でも容赦なくケツをひっぱたく男だからな」

 

新しい海防キッズのなんか頭の悪そうな方がマジかーマジかーとうるさいので俺はガツンと言ってやる、こーゆーのはアレだ、最初にガツンと言ってやらないとこのぐらいのナマイキな年頃は調子に乗るからな…

 

「いいかクソガキ、この基地に所属する全ての艦は俺のファミリーであり俺の所有物だ、俺だけがいじくる権利を持っている」

 

「違うね!全ての艦娘は佐渡さまの敵であり佐渡さまの所有物だ!佐渡さまだけが壊す権利を持っている」

 

………コイツ、ただのナマイキッズのクソガキ様かと思ったが…

 

「海防艦佐渡さまか、フッ…その名は覚えておく」

 

「イヒッ!!」

 

俺と佐渡さまは互いに感じた確かな何かを確信し、ヘヘッっと照れ臭さそうに笑い合った、そしてその俺達のやりとりを見ていたもう1人の子は、ドSサミット…?とつぶやきながら俺達に若干引き気味だったがそんな事は雑事に過ぎない…

 

「南方航路は危険がいっぱい…鎮守府も危険が…いっぱい?」

 

ーーー

 

「最後は駆逐艦の人です」

 

「ほぉ、今回は戦艦だか空母だかは居ないんだな」

 

将来が楽しみな海防艦の佐渡さまと、なんか大人しめなの対馬?対馬だったかが退室し、今日の面接は次で最後らしい、五月雨は次の方どうぞーと扉の向こうに伝えるとキチンとノックした後、新しいメイトが入室してきた…

 

「秋月型防空駆逐艦の三番艦、涼月です」

 

「秋月型か…」

 

…なんか白いな、うん、コイツは白い、うん、秋月姉妹の例に漏れずに美形だが…うん、白い

 

「三番ってコトは秋月と照月の妹で初月のねーちゃんか」

 

「そうなりますね、他にも妹はいますが…」

 

「ふ〜ん」

 

手元の書類を見るに、他の姉妹同様にごくごく平均的な数値か、まぁ、秋月型に関しては破格の対空性能と言う素晴らしい長所があるので大歓迎だ、秋月型と言えば海域攻略の道中、煩わしいタコヤキみたいなヤツやキモい鳥に悩まされる俺達を“あったよ!●月と10cm高角砲+高射装置が!→でかした!”の流れでなんとかしてくれる頼れる姉妹だ、その対空力はまるで丸太のような安心感であり、俺達にとってのエクスカリバーに等しい

 

「まぁ、最初は下で徹底的に鍛える感じだが君ならすぐに開幕一軍入りは間違いないだろう」

 

「期待して頂きありがとうございます、ガンバリます」

 

「うむ、その意気や良し!熱意や良し!」

 

ーーー

 

「さて、今回はこれにて終了か」

 

「そうですね、お疲れ様でした」

 

「まったくだ、オイ、お茶淹れてくれや、お茶、アツいの」

 

ここ最近は新人の配属が六人だの七人だのやたら多かったり、海外からのワケわからん刺客が多かったりと無駄に疲れてただけに今回はやたらとアッサリ終わったな、まぁ、良いコトだ、よし!今日はもう仕事あがりにしてちょっと飲みに出かけ……

 

「大変だァァァァァァ!!テイトク!大変だァァァァァァ!!」

 

執務室の扉が勢い良く開き、漆黒の外套に身を包み、禁断の力を手にしたダークナイト(自称)、ルックスもイケメンの木曾が転がり込んで来た

 

「よぉ木曾、どーしたよ?」

 

「お疲れ様です、木曾さん」

 

「ハァ…ハァ…み、水を…」

 

五月雨から受け取った湯呑みをイッキに飲み干し、ようやく落ち着いた木曾は大きく息を吐いた

 

「大変だ!提督!」

 

「何が大変なんだよ?アレか?また球磨ねーちゃんか?球磨ねーちゃんなんだろ?」

 

昨年、部屋に見た事のないサンタルックの美少女がいると言って駆け込んできた木曾、俺はその場に居た天龍と一緒にそんなワケねーだろと木曾の住む球磨姉妹の部屋に行くと、部屋には見た事もないサンタルックの超絶美少女がいた、いや、マジで

 

後に、あの超絶美少女は誰だったのか、俺達は三人揃って悪いユメでも見たんじゃないだろうかと木曾の部屋で真剣に話し合っていると、球磨ねーちゃんから“オマエらそこに並べ、正座しろ、正座”とメチャメチャ怒られ、あの超絶美少女の正体が球磨ねーちゃんだったのだと薄れゆく意識の中で理解したんだっけか…

 

「球磨ねーちゃんじゃないんだよ!や、球磨ねーちゃんも今年もサンタ服着てるけど……でも違うんだよ!球磨ねーちゃんじゃないんだよ!なんか知らない超絶美少女なんだよ!」

 

「木曾、木曾、木曾よぉ〜…お前疲れてんだよ、ナニか?部屋に帰ったら見知らぬ超絶美少女がってナニか?主人公かオマエは?ナニか?オマエアレだよ、ラノベの読みすぎなんだよ、イマドキ流行らねーぞそんなベタ展開」

 

「ホントなんだって!マジで!マジで知らない美少女なんだよ!にゃーとか言ってんだよ!」

 

「バカ言ってるんじゃないよこの子は」

 

とりあえず、俺と五月雨は木曾と共に球磨姉妹の部屋へと行ってみる事にした……コイツ、イケメンのくせにとんだヘタレだな、部屋に見知らぬ超絶美少女とか迷う事なく即ファックだろ、もうヤってくださいって誘ってるようなモンだぞ

 

「…開けるぞ」

 

「モタモタすんな」

 

球磨姉妹の部屋の前へとやって来た俺達、木曾は何かを覚悟したかの如く気合を入れ扉を開く…ッッッ!!

 

「む、木曾、やっと帰ってきたにゃ……寒いから灯油買ってこいにゃ」

 

………え?誰この超絶美少女?

 

「…ん?テイトクと髪長子も居るにゃ?珍しい…」

 

 

「どーよ?テイトク!?どーよ?ダレよこの美少女?」ヒソヒソ

 

「ちょ…ちょ!待てよ、え?美少女…?え?美少女…?え?なんなの?オマエどんな関係?なんなのあの超絶美少女」ヒソヒソ

 

「や、アレ、多摩さんですよ」

 

ナニ言ってんだこの青髪ロング子は、イカレているのか?アレが多摩ねーちゃん?ハハ…ないない、それはない

 

「………多摩は球磨ねーちゃんより優しいけど、怒る時は怒るにゃ、木曾と提督、ちょっと後でツラ貸すにゃ」




次回から通常運転
来週から年末までなにやら忙しいけど、できるだけ書いてみます、はい


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提督とクリスマ鈴谷とハードファック!

帰ってきたクリスマ鈴谷とゲームするKENZEN回

【登場人物】

提督(191)
エキサイティング大人の提督、前は厳しいけど後ろはセーフで生きている

鈴谷(56)
今年もやって来たプレゼント要求型サンタ、ただ、プライズ品の出来はあまり良くない


「約三週間ぶりにご無沙汰のお久しぶりです!メインヒロイン属性ZENKAIの鈴谷様が遊びにきましたよ!」

 

「帰れ」

 

今年最後の本部作戦も終わり、特に急ぎの仕事もない冬の執務室……今日は秘書艦の青髪ロング子も休暇をとって近所のイ●ンモールに買い物に行っており、俺は一人、執務机にてどうすれば浜風ちゃんと楽しくおしゃべりしつつあの胸をタテタテヨコヨコと揉みしだく事が出来るのかを真剣に、Xを非特異な複素射影多様体とすると、X上のすべてのホッジ類は、Xの複素部分多様体のコホモロジー類の有理数係数の線形結合となる事に当てはめつつ考えていた…

 

「三週間ぶりのご無沙汰メインヒロイン様が今年もちょっとエロカワサンタ服で遊びにきましたよ!」

 

「帰れ」

 

「遊びにきましたよ!」

 

「うるせぇよ!!なんなんだテメーは!?」

 

ビッチである事に関しては右に出るものはそうはいないマスター・オブ・マスタービッチ、鈴谷は相変わらずバカそうな笑いをヘラヘラと浮かべながら、よっこらせっくすと言って俺の机に腰かけた

 

「ゲームしよーぜ!ゲーム!鈴谷のライドザライトニングでテートクとかマジ失禁アヘ顔KOよ!KO!」

 

「やだよ、オマエ弱いもん、俺は余裕で倒せるレベルのやつとしか対戦しないんだよ」

 

「ハァ!?弱くねぇーし!マジボコボコよ!ボコボコ!あと、鈴谷が勝ったら一万円ね」

 

ふむ、随分と自信アリじゃないか…どうやらこの野郎、相当に鍛錬を積んだと見た

 

「…まぁいいだろう、負けたらパンツ脱げよ、オマエが今穿いているくっさい液体の染み付いた汚物をな」

 

「ハァ?負けねーし、ってか臭くないし!鈴谷のパンツとか超良い匂いだし!良い匂い!」

 

「ナニが良い匂いだ、よし、もし俺が負けたらオマエのそのビッチ臭がプンプンする谷間に札をねじ込んでやろう、五枚」

 

「五枚…っ!?」

 

「不満かね?」

 

「あの………それはモチロンですが、諭吉さんでしょうか?夏目さんとかじゃないですよね?」

 

「左様」

 

「よっしゃあ!!やる!やるし!ってか今の台詞後悔すんなし!むしろ鈴谷が負けたら土下座もつけてやんよ!土下座!」

 

ーーー

 

『ゴタクはいらねぇー!!』

 

『お前には、勝てないのかぁぁぁー!……勝てないのかぁー!……勝てないのかぁー』

 

画面の中でぶっ飛び、地面に倒れる、若くイケメンのナイスガイとライターみたいな鈍器を床に刺し、坊やだからさとキメ台詞を吐くバッドガイ様………ってかコイツ、弱っ!?なんでこの腕で俺に挑んで来たんだ?あの自信はどっから来たんだ?

 

「は……ははは……あははは……あははは…」

 

コントローラーを手に、プルプルと震える自称エロカワサンタ服のビッチは信じられねぇぜチクショウと言いたげに敗北のKO画面を見つめている…

 

「パンツ脱げよ」

 

「ヒッ!?」

 

「あと、土下座しろ」

 

「あ、あー…うん、あー…土下座、うん、土下座ね…」

 

コイツ、マジで自分の勝利を信じて疑わなかったのか…鈴谷のアホはまるで想定外だ、データにない!こんな数字データになかったぞと言いたげにカクカクと首を振った

 

「………あの、テイトク」

 

「なんだ?」

 

「実はコレ、十本勝負なんですけど…十回対戦して一回でも鈴谷が勝てば鈴谷の勝ちってゆーか…」

 

「ほぉ…初耳だな」

 

「あ?アレー?言わなかったっけ?鈴谷最初に言ったよね?うん!言った言った!ほら!鈴谷ちゃんと言ったよ?そしたらテイトクしゃーなしだなーって快く快諾してくれたってゆーか…なんてゆーか…」

 

クズ…っ!このビッチ……っ!まっことクズ!救えない…っ!普通に考えたらわかるだろ?そんな理不尽な条件…っ!誰が呑むか…っ!

まぁ、鈴谷自身もこれがかなり苦肉の策ってのは理解しているのだろう、俺と目を合わせずにビュービューと口笛を吹いておっかしいなー?言ったハズだけどなー?とか言ってやがる

 

「まぁいいだろう、あと九回殺ればいいんだろう?」

 

「そ!そーだし!ね!そうそう!あと九回!」

 

コイツ、あと九回やれば一回くらいは俺が油断するとかズル賢しい事を考えてやがる、なんて汚い…っ!心底汚い…っ!

 

「まぁいい、あと九回俺が勝ったらその自称エロカワサンタ服とパンツ脱げよ、あ、ニーソと首のリボンは残せ」

 

「ヘンタイかッ!?なにその微妙なチョイス!?」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ、この条件になんか異論があるか?」

 

「クッ…!」

 

自分の理不尽を出す以上、俺の理不尽を呑むしかない鈴谷はクッ!わかったし…とか言って条件を承諾した、バカめ、今ならサンタ服は残るのがわからんのが…

 

ーーー

 

『ヴォルカニックバイパー!』

 

『寝てろォー!』

 

『落ちろォー!』

 

『…坊やだからさ』

 

…………弱っ、ダメだコイツ、才能ねーわ

 

「あははは……あははは……ははは…」

 

隣に座る自称エロカワサンタ服はマインドがクラッシュされた人みたいにカクカクと動きつつ変な笑いをしていた

 

「ニーソとリボンだけ残して土下座」

 

「ヒッ!?」

 

「あとついでに、クリスマスらしくシャンパンでもプレゼントしてやろう、直腸にな」

 

「ヒイイィィ!?なにそれ!?最後の聞いてないんですけど!?」

 

「そりゃオマエ…今思いついたからな、提督様からのプレゼントだ、ありがたく思えよ」

 

「いらない!!そんなプレゼントいらねぇーし!って直腸ってナニ!?直腸って………え?それは鈴谷の尻の穴に注ぐと?」

 

「注ぎますが?」

 

「注ぎますが?じゃねーし!!ヘンタイかッ!ってか……いや!ヘンタイかッ!」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ、オラ、早く脱がんかい、あと自分で広げろよ」

 

「やだし!!そんなプレゼントいらねーし!どうせなら上の口から飲みたいし!」

 

「やかましい、ゴチャゴチャ言ってるんじゃないよ敗者が、早く脱がんかい!」

 

「ヒィ!?た、タスケテ!タスケテー!おかあさーん!」

 

「おかあさんじゃない、提督だ、あと、オマエの父親はこのワシだ」

 

「ノォー!ノォー!ノオオオォォォォ!!!」

 

◆◆◆

 

近所のイ●ンモール…

 

「やっぱアクションがある大作を見るなら映画館ですねぇ」

 

「そうですね」

 

特に急ぎの仕事もないので休暇を取り、夕張と近所のイ●ンモールに来ていた五月雨と夕張は今しがた見終わった映画について感想でも話そうとパスタのあるテナントへと歩いていた…

 

「あ、メールだ」

 

「提督?なんかお土産買って来いって?」

 

「まぁ、文面はそんな感じですけど…添付されてる画像はそんな感じはないですね」

 

五月雨は夕張にメールに添付されてた画像を見せ、夕張はクッ!なんてコト…!なんてコト!と唸った

 

「はぁ………人が居ないとロクなコトしませんね、あの大尉」



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提督と秋雲と醜い妖精

今年最後のアツかりし漫画家回

【登場人物】

提督(192)
ジャ●プの今後を憂う大人、友情!努力!勝利はジャ●プから教わった

秋雲(8)
ジャ●プの今後を憂う子供、アニメ化したらケッコンの約束したいピュアな年頃

早霜(6)
夕雲姉妹一のおませな年頃、天才漫画家、団地妻エージ先生

狭霧(3)
幸の薄そうな薄幸美少女、ラノベを書いており、ペンネームは山田ゼレフ


「どーっすかね?」

 

歳末に向け、特にやる事もない執務室…

俺は缶コーヒーを飲みつつ、週刊少年ジャ●プでの連載を目指すアツかりし天才少年漫画家(自称)秋雲の描いた原稿を読んでいた…

今回の秋雲の作品はやはり最近の若者ウケを狙ってか、異世界に行ってみたりなんたりするアレだが、3人のJCがなんか高いタワーで社会見学中にいきなり剣と魔法の異世界的なところに転移させられ、転移先で合法ショタボーイからこの世界を救うためになんちゃらロード姫を救ってくれと依頼され、剣と魔法のドキドキの大冒険!途中で少年達の心をくすぐるスタイリッシュロボまで出てくる王道ストーリーなワケだが………最終的に、魔王を倒し姫を助けたものの、恋人である魔王を倒された事で姫ブチギレ、ラストは襲いかかってきた狂乱のブチギレ姫をSATSUGAIして異世界から帰ってくるこんなのってないよぉーな重厚かつ後味が良くないストーリー…

 

「秋雲的にはもうちょい筋肉量を増やしたいトコなんすけど…」

 

「オマエ、相変わらず絵だけは上手いよな」

 

「絵だけってなんすか!絵だけって!」

 

正直、頑張ればアニメ化すら視野に入りそうな気がするが、これはなんかアレだ、うん…なんか偉い人とかK談社からメチャメチャ怒られそうな気がするのだよ、っーかまず、ジャ●プ向きじゃない

 

「ダメだ、こんなチンカスじゃジャ●プには載れねぇ!」

 

「ち…チンカス!?」

 

「秋雲よォ〜…ジャ●プ舐めてんのか?ジャ●プを、偉大なる名作を次々と生み出し、社会現象は当たり前の先人達を舐めてんのかオマエは?今のジャ●プに必要なのはこんな中途半端な漫画じゃねぇんだよ!もっと少年達が毎週ワクワクしちまう浪漫溢れる漫画なんだよ!今のジャ●プに必要なのはそんな天才なんだよ…っ!」

 

「クッ!た…たしかに」

 

たしかに秋雲の絵は上手い、ハッキリ言って内容なんて必要ないドエロい漫画でも描けばそれはもう少年達の股間がカチンコチンになるどころか右手の本当の使い方を教えてくれるだろう、だがこの秋雲は違う、少年達の為に本当にアツい漫画を描きたい!そんな熱意にだけは溢れている!

 

「…フッ、この秋雲、どうやら金やちやほやされたいが為に大切なものを見失っていたみたいっすね」

 

「わかってくれて嬉しいよ」

 

まぁ秋雲の焦りもわからなくもない、つい先日、秋雲のライバル(一方的な)天才漫画家、団地妻エージ先生の読み切りが本誌に掲載、正直、このまま連載してほしいと思える抜群の面白さだった事が秋雲の焦りとPRIDEに火を点けてしまったのだろう…

 

「この秋雲、もう一度自分を見つめなおしてみるっす」

 

「うむ、その意気や良し!熱意や良し!」

 

「よぉーし!なんかやる気がMORIMORI湧いてきたっすよ!かーっ!甘いモン食ってエネルギー充填してぇー!」

 

「よし!じゃ甘いモン食いに行くか!」

 

「マジっすか?テイトク!マジっすかー?」

 

「本気!!(マジ)」

 

「さすがテイトク!この秋雲!どこまでもテイトクに付いて行くっすよ!ウヒャヒャヒャ!」

 

「よし付いて来な秋雲ォ…この世で二番目に強ぇ漫画家にしてやるぜェ…」

 

俺達が肩をバシバシと叩きながらよっしゃマミーヤ行くか!マミーヤ!と言って肩を組んでいる姿を見ていた青髪ロング子がナニ言ってんだコイツらみたいな目をしていたが、まぁアレだろう、コイツにはちょっと俺達の熱意がよくわかっていないのだろう…

 

ーーー

 

「今日のオススメはウィンターカップリン2016です」

 

クソ高ぼったくり価格に定評のあるスイーツショップ間宮、今日もカウンターに立つだけでなく、立っているだけでムチッやらキュッやらたゆんなど謎の擬音を立てる店主の間宮がいつもオススメを勧めてきた…

 

「チーズケーキ2つ、あとコーヒーくれや」

 

「秋雲さんはオレンジジュースを」

 

「今日のオススメはウィンターカップリン2016です」

 

「チーズケーキ2つとコーヒーとオレンジジュースだ、早くしろ、モタモタすんな、デブ」

 

「………は?」ピキッ!パキッ!

 

バカな!?この俺が無意識に退いた…?いや、この殺気…ッ!!ヘヘッ、何が給糧艦だ、戦艦なんかメじゃねぇ、コイツこそまさに殺意の塊だ

 

俺と秋雲は、ヘヘッ悪かった…悪かったよ、ヘヘッ少しに調子に乗りすぎちまったよ、と間宮に謝った…

 

「わかればいいんです、では、今日のオススメはウィンターカップリン2016です」

 

「チーズケーキ2つとコーヒーとオレンジジュース」

 

ーーー

 

美食四天王・間宮とのアツかりしバトルを終え、俺と秋雲はとりあえずテキトーに空いている席へと座り、エネルギーを充填しつ秋雲の漫画に足りていないものは何か、そのアツかりし議題をディスカッションする事にした…

 

「しかしアレだな、アレだよ、アレ」

 

「まぁ秋雲的にもアレかなって思ってはいるんすけどねぇ〜」

 

秋雲自身もアレだが、秋雲のアツい漫画カツドウを支援する超絶アシスタント集団、秋雲組にもかなり問題がある、モブキャラ描かせたら全てベルバラチックな夕雲、やたらと点描トーンを多用する巻雲、そして秋雲を現時点で明らかに超えているのに何故か秋雲の漫画に惚れ込んでいる風雲…

せめて秋雲組のバカの中に1人ぐらいまともなヤツがいれば………ん?

 

「む?あれは…」

 

「なんすか?」

 

俺達の座る席よりやや離れた席に座り、見た目でわかるアンニュイな様子で文庫本を読みながらコーヒーを飲んでいるなんか髪の長い子………えぇと、なんだっけか?名前がちょっとアレだが……

 

「そうそう!キタローくんだ!キタローくん」

 

「キタロー?あぁ、早霜っすか」

 

「キタローくん!キタローくん!ちょっといいかなー?」

 

俺は理解と親しみある爽やかな大人として、キタローくんに声をかけると、キタローくんはいつもと何も変わらず、ややダウナーな感じで視線を上げた

 

「どうかね?キタローくん、この秋雲の漫画!ちょっとキタローくんの忌憚のない意見を聞かせてくれないかね?」

 

「え〜?早霜みたいなネクラにこの秋雲の漫画の良さとかわかるんすかねぇ?」

 

「バカ言ってんじゃないよ、アレだよアレ、こーゆーのは一般的かつ忌憚のない意見ってのが必要なんだよ」

 

まぁ、秋雲は知らないがこのキタローくんこそ秋雲の敵視するライバル(一方的な)団地妻エージ先生その人なんだがな…

俺から原稿を受け取ったキタローくんはパラパラと原稿を捲り、最後に小さなため息をついた…

 

「…まぁ、絵は上手いと思います、絵は」ボソボソ

 

「え?なんだって?」

 

「…この絵が生かせる原作を書ける人材を探しては如何でしょうか?」ボソボソ

 

「かーっ!コレだからシロートは!原作者とか知った風なコト言ってくれちゃってるっすよこの子はー!」

 

や、そいつシロートじゃないから、編集部が土下座して連載してくださいってお願いしてくる真の天才だから

 

「やっぱダメっすよテイトクぅ、こんな月刊サス●リア定期購読してそーなネクラっ子じゃ、この秋雲の漫画の良さとかゼッテーわかんねーっすよ」

 

「まぁそう言うな、すまんな、キタローくん」

 

「…いえ」ボソボソ

 

しかし原作者か………そういや前にも秋雲に勧めた事があるが、その時は結局見つからずじまいだったなぁ

 

「あ、提督と……え〜と、夕雲型の人…?」

 

「ん?」

 

俺達のいる席に、女子力高めのふわふわカップケーキを皿に乗せた幸の薄そうな、え〜……?なんだっけコイツ?なんか森のエルフみたいな…

 

「サギ………いや、トキだったか?」

 

「…狭霧です」

 

「そうそう!サギーくんだ!サギーくん」

 

「ちなみに秋雲さんは夕雲型じゃないで陽炎型っす」

 

「…早霜は夕雲型で間違いありません」ボソボソ

 

「あ、す…スミマセン、なんか制服似てたのでつい…」

 

サギーくんはスンマセンスンマセンとヘコヘコと頭を下げて秋雲とキタローくんに謝る、まぁ秋雲の場合、自分が陽炎型なのか夕雲型なのかよくわかってない名は体を表す偽りのような存在だが…

 

「あ………そう言えばサギーくんはアレだったな、たしか小説とか書いてるんだったな?」

 

「え?あ、はい…」

 

そうそう、たしか彼女は新進気鋭のライトノベル作家、山田ゼレフ先生とかなんとかでプロデビューしているとかなんとか…

 

「山田ゼレフ先生よぉ、ちょっとコイツの為にビッとおもしれー原作でも書いてやってくれねぇか?」

 

「は…?はい?原作?」

 

「ちょ!ナニ言ってるんすかテイトク!こんなどこの森出身とも知れない幸薄そうなヤツにこの秋雲さんの絵に相応しい原作とか書けるワケが…」

 

「バカ言ってるんじゃないよ、いいか?サギーくんはあの有名なライトノベル作家の山田ゼレフ先生なんだぞ」

 

「や、知らねーっすよ、私ゃライトノベルとか読まねーし」

 

「大丈夫だ!山田ゼレフ先生を信じろ!いいか秋雲!山田ゼレフ先生はライトノベル界では最も凶悪だったとまで言われ、その作品は悪魔の書とすら呼ばれるそれはそれはスゲーヤツなんだぞ!」

 

「マジっすか!?」

 

「あぁ、あの8っちゃんさんが大事そうに持ってるハードカバーだって実は山田ゼレフ先生の本だ、腹筋バッキバキの最強の悪魔AMGが封印されている」

 

「マジっすか!?」

 

秋雲も山田ゼレフ先生に俄然興味を持ったらしく、その目をキラキラさせながらその場でスクワットを開始しだした

 

「かーっ!こりゃ俄然やる気がMORIMORI湧いてきたっすよー!シャーッス!山田ゼーロフ先生シャーッス!」

 

「よし!その意気や良し!熱意や良し!山田ゼレフ先生と秋雲!今ここに力と技の最強タッグ!技巧コンビの誕生だぜー!ガッハッハッハ!」

 

俺と秋雲は若干ドン引き気味の山田ゼレフ先生の肩をバシバシ叩き、ほら!ここ座れ!この席空いてるから座れと促し、着席させるとアツい乾杯を交わした

 

「よし!今日はテイトクの奢りだ!好きなものを頼みなさい!予算3000円までで!」




次回はクリスマス回、たぶん


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提督と長門と運転する免許

たぶん!と言ったのだよ、たぶん!と

【登場人物】

提督(193)
たまに“牙を突き立てろ”と謎の電話がかかってくる

長門(15)
握力×体重×スピード=破壊力

陸奥(6)
陸奥には長門の…知らぬ技がある


「なぁ、陸奥よ」

 

「なに?」

 

主に戦艦の者達が住む戦艦寮の一室、長門と陸奥の部屋…

特にやる事もない陸奥は五月雨と貸し借りしあった合法ショタボーイ課長とヤンチャ新入社員が深夜のオフィスで“今日もオレ達の残業が始まる…っ!”な感じの本を読みながらダラダラとしていると、日課の汗臭いバーベルトレーニングから帰ってきた長門が声をかけてきた…

 

「この長門、実は車を購入しようと思ってな、この…ハイ●ースと言う車なんだが」

 

「ふ〜ん………いいんじゃない?」

 

長門は中古車雑誌のページをめくり、ほら!コレだコレ!と陸奥に見せるものの、陸奥は興味なさげにテーブルのポテチを一つ手に取り口に放り込む

 

「やはり車は大きくないとな!うむ!コレならアレだ、いつでも駆逐艦のエンジェルス達を集団で乗せることだって出来るしな!」

 

「ふ〜ん………なるほどね」

 

「だろ?フフッ、さすがはこのビッグセブン!我ながら目のつけどころが違う」

 

「ふ〜ん………すごいすごい」

 

「フッ、そう褒めるなよ陸奥、まぁアレだな!むしろ何故今までこの長門はこの画期的な案を思いつかなかったのか…」

 

「ふ〜ん………そうね、アナタは悪くないわ」

 

陸奥は五月雨から借りた本を読みながらポテチを食べつつ、うるせぇなコイツと思いながらワリとテキトーな返事をして実姉の話を聞き流していたが、ふと、ある重要なコトに気付いた

 

「ところで長門…」

 

「なんだ?」

 

「アナタ、運転免許持ってるの?」

 

「…運転免許?」

 

◆◆◆

 

「と言うワケでな…」

 

「ナニがと言うワケでなだ」

 

季節感など1mmも感じさせない匠の造ったコンクリート打ちっぱなしの執務室、たまには真面目に仕事でもするかと書類を眺めていたら、突如としてやって来た長門のアホンダラのくだらない話を聞かされ、俺はもうウンザリだよ

 

「そこでだ、同志提督よ、この長門に運転免許と言うものはくれないか?」

 

「教習所行け、教習所に」

 

「ハッハッハ、そうケチケチするな提督よ!さぁ!早くこう…ちゃちゃっと書いてくれ!」

 

「できるか!っーか運転免許の発行なんか提督の業務じゃねーだよ!海軍舐めてんのかテメーは!」

 

「なん………だと?」

 

長門はウソだろ承●郎みたいな顔をしているが、コイツ、マジで知らないのか…?バカだバカだと思ってはいたが、まさかここまでバカだったとは…

 

「ま…待て待て!ステイ!ステイだ提督だ!」

 

「ナニがステイだ、犬か」

 

「陸奥は…?陸奥は持っていたぞ!ほら!アイツはたまに駆逐艦のエンジェルス達を連れて街に買い物に………駆逐艦のエンジェルス達を連れて!!クッ!陸奥め!なんて羨ましい!」

 

「本音ッ!本音が何もオブラートされてねぇよ!」

 

ちなみに陸奥は普通に入隊前に免許取ってたらしく、ただ、車は持ってないので車を使う場合はもっぱらレンタカーで済ませているスタイリッシュ都会派スタイルだ

 

「とりあえずそんなに免許欲しけりゃ教習所にでも行けよ」

 

「なんだ?その強襲所とやらに行って免許下さいと言ったら貰えるものなのか?」

 

「貰えねーよ、教習の意味を考えろ」

 

「…フッ、この長門、強襲には些か自信があるぞ」

 

「スマン、俺が悪かった」

 

俺は秘書机でクロスワードパズルに興じていた五月雨にティーを淹れてくれと頼み、執務室の壁に吊るしてあるホワイトボードに大きく“教習所”と書いた

 

「…なんだ、そっちの教習か、フッ、同志提督ともあろう男が、人が悪い」

 

「俺は悪くない、あと、同志じゃねーよ」

 

「で?その教習所で何をすれば免許が貰えるのだ?何人くらい倒せばいい?」

 

「何事も暴力で解決しようとすんなァ!!教習所で運転の技術やら交通ルールをベンキョーすんだよ!ベンキョー!」

 

「……………面倒だな」

 

ダメだコイツ、コイツは間違いなく免許取らせたらダメな類のヤツだ

 

「もっとこう……てっとり早いのはないのか?」

 

「まぁ…直接、試験場に行くって手もなくはないが…難易度は高いぞ」

 

「ほぉ…死拳場か、フフッ…なるほど、それは難易度が高そうだ」

 

たぶん、何か勘違いしているであろう不敵な笑み浮かべる長門のバカの勘違いを正すべく、俺はホワイトボードに“試験場”と大きく書き込んだ

 

「………なんだ、つまらん」

 

「何がつまらんだ、物事全て暴力で解決出来ると思うなよ」

 

「フッ、この長門、欲しいものは全て己の力で手に入れる主義だからな!」

 

ダメだコイツ、暴力が支配する良い時代でもないと社会適応性に大きな問題がある、おそらくはコイツなら札束がケツ拭く紙にもならねー時代になっても十分にやっていけるだろう…

 

「お茶です」

 

「うむ」

 

五月雨から受け取った湯呑みの中身をグイッと飲み干し、俺は長門のバカの鍛え抜かれた鋼鉄の6-packを見てため息を吐いた

 

「フーッ〜…諦めろ」

 

「何故だ!?」

 

「何故だもクソもあるかァ!テメーのその鋼鉄の6pack-core wonderにでも聞いてみろやァ!」

 

「鋼鉄のしっく…?なんかよくわからんが、とにかくこの長門は諦めんぞ!教習所も試験場もダメだと言うならば仕方あるまい………同志、お前の免許を奪うまでよ!」

 

「アホか!?」

 

この後、他人の免許を奪ったところで何の意味もない事を俺と五月雨の2人がかりで懇切丁寧に説明し、一応納得した長門にどうしても欲しいなら陸奥が今穿いてるパンツ持って来いと言うと、長門はよし!すぐ戻るから待っていろ!と勢い勇んで執務室から飛び出して行った…

 

…後日、基地の裏にある雑木林で冷たくなった長門が発見された、死因は不明、ただ、その顔はどこか満ち足りたものだったらしく、おそらくは陸奥に“四門”を開けさせたのだろう…




次回こそクリスマス回、今年も前後編


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提督とキンキラキンなクリスマス 前編

今年もやってきたクリスマス回
前半戦はおとなしめ

【登場人物】

提督(194)
良い子にはご褒美をあげよう…

白露(8)
白露姉妹の長女、地味に器用で、地味にスタイルがよく、地味に可愛い

海風(12)
改白露姉妹の長女、とても器用で、とてもスタイルがよく、とても可愛い


「っーワケで、今年もキラっとキラめく楽しいクリスマスパーリーを開催します、ささやかではあるが福利厚生費で落とすから酒と料理を楽しんでくれたまえ」

 

それぞれが手にしたグラスを手に、ウェーイ!とアホな学生の如く乾杯してパーリーは幕を開ける…

夢の無いバカな大人達には酒と料理を、夢見るアホなキッズ達にはトイザ●スで仕入れた玩具を、KENZENな基地運営に定評のある当基地である

 

「やったぁ!ベイブ●ードだぁ!!よし!対馬!あっちで遊ぼーぜ!」

 

「新しいカードパックなのです!みんな分けてブードラするのです!」

 

「スゲェ!新しいグローブ……それも軟式じゃなく硬式用だ!」

 

日頃の香取先生から受ける熱血指導の甲斐あってか、クソガキどもはキチンと一列に並び、用意してあったプレゼントを鹿島先生から順番に受け取ってはキャッキャとハシャぎ回っていた…

 

「オイ高雄コラァ…?誰にガンくれてんだ?あ゛?」

 

「あ゛ー?ミョーコぉー…誰に上等クレてんだ?相変わらずサ●エさんみてーな髪型だなオイ」

 

「ア゛?」

 

「ア゛ァ?」

 

…そして、酒の入った勢いもあるだろう、普段から険悪なバカどもがメンチ切りながら腹パンしたり腹パンしたり腹パンしたりして光る吐瀉物を吐き散らしたり、せっかく着飾ったオシャレな一張羅の袖をギザギザにしていたが、まぁ今夜は所謂アレだ、聖なる夜と言うやつなので聖戦の一つや二つ起きるだろう…

 

俺は適当にテーブルに並んだカラアゲなどを皿に乗せ、適当に空いているテーブルを探していると、なんかトゲトゲしい緑の頭がウロウロしているのが目に入ってしまった…

仮にだ、仮にエ●ゲーならここで選択肢が現れ、声をかけるor声をかけないの選択を迫り、前者を選べば好感度UPもしくはルートの為のフラグ回収確実ぅ!後者ならば俺はドイツから来た美しきあの方とのエンディングまっしぐらのルートへと到る事が出来るだろう…ならば、俺が選ぶ選択肢は決まっている

 

「あ、テイトクだ、ナニやってんのー?」

 

「ん?……なんだ白露か」

 

「なんだとはなにさ、なんだとは…」

 

「そのチキン美味そうだな、くれよ」

 

「やだ!自分でとれば?」

 

選択肢を選ぼうとした俺に急襲か……なるほど、そーゆーパターンもあるのか…

プッツン姉妹と定評のある白露姉妹の長女、白露ねーちゃんは骨付きチキンをクッチャクッチャと食べながらアホみたいな顔をしていた

 

「あ、ここ空いてるよ、ここ、座っていいよー」

 

「座って下さいお願いしますだろーが、まぁいい、では失礼して…」

 

俺はアホ面でチキンを食べる白露ねーちゃんが座ったままの椅子を後ろに引き、その柔らかそうな膝に落下による強烈なGで加速させたマッスルヒップを叩きつけた

 

「ウッギャアアアアアア!!違うしぃ!なんで私の膝ぁ!?隣の椅子空いてんじゃーん!!」

 

「なんだ?この椅子…?喋るのか?」

 

「Sか!ドSか!?」

 

「ドSじゃない、提督だ」

 

とりあえず、白露ねーちゃんの膝で屁をこき、俺はスタイリッシュに立ち上がった

 

「クセェ!?サイアク!マジサイアクだよ!なんなの!?私になんか恨みでもあんの!?」

 

「まぁそうエキサイトするなよ白露クゥゥゥゥン、せっかくのクリスマスにカワイイ顔が台無しだゾ?」

 

「うるせぇよ!あー!もうサイアク!」

 

白露はチキンをワイルドにナポ…っとかぶりつき、モニュ…モニュ…と咀嚼し、テーブルに置いたオレンジジュースを飲み干した

 

「ふーっ………まぁいいや、プレゼントちょーだい、プレゼント」

 

「いいぞ、何が欲しい?信頼できる友達か?愛してくれる家族か?」

 

「重すぎる…っ!!や………いらないから、もうちょい普通な感じでいいから」

 

ワガママ美少女、白露ねーちゃんが手を出してほら!なんかくれ!なんかくれよとねだって来た、超うぜぇなコイツ…ちょっと美少女だからってチョーシに乗りやがって

 

「あ、テイトクと……白露姉さん」

 

「む?」

 

「アンタは………海風ェ」

 

俺たちのいるテーブルを通りがかったのは改白露型の姉にして白露型の妹、海風姉ちゃん…

 

「楽しそうですね、あ、江風見ませんでしたか?江風」

 

「赤いのならあっちでカードファイトしてたぞ」

 

「そうですか…またあの子ったらチョーシに乗って」

 

「海風クンもチキンでもどうかね?チキン」

 

俺はテーブルに置いてある皿を指差し、チキンでもどうかねと海風姉ちゃんに勧めると海風姉ちゃんは、あ、いただきますと言ってチキンを何本も皿にひょいひょいと乗せた

 

「ヘイヘイヘイ!海風ェ…そんなにチキンにがっつくなんて随分とYOKUBARIガールじゃなーい?」

 

白露は海風姉ちゃんのチキン盛り皿をここだと言わんばかりに責めた、自分と違い、下の妹達から慕われている海風が気に入らない心の狭さ……なんて心の狭い長女だ

 

「あ、コレは山風や江風や涼風達の分です」.

 

「クッ!!ちょ……長女気取りめッ!」

 

白露はチキンにかぶりつき、小さくファックス!と呟いてオレンジジュースを呷った

 

「まぁそう荒れるな白露ねーちゃんよ」

 

「て…提督」

 

俺はがくりとうなだれる白露の肩に手を置き、笑顔で優しい言葉をかけてやる…

 

「海風ねーちゃんは、希少さ、性能、可愛さ、姉力、おっぱいのデカさ、全ての面でお前を上回る言うなれば新型の長女だ、旧型長女の白露ねーちゃんでは勝てない」

 

「励ませよっ!!!なんでトドメ刺しにくるんだよ!」

 

「バカ言うんじゃないよ、俺は白露ねーちゃんのコト好きだぜ?あと5年したら俺の部屋来な!忘れられない記念日してやるぜ」

 

「うっせバーカ!死ね!死んでしまえ!バーカバーカ!あと、ロリコン!」

 

「誰がロリコンだコラァ!!」




次回は後編、汚い大人回


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提督とキンキラキンなクリスマス 後編

クリスマス当日です、なんとか間に合ったのです
後編です

【登場人物】

PolaとZaraねーちゃん
見た目だけなら超絶美少女の闇は深い…

14と13ちゃん
見た目だけなら健康的美少女の闇も深い…

明石と山風
クズ大人とわりと素直な子供、栄光のロード!明石キングダム


幻の一番艦、白露姉ちゃんに別れを告げ…再びパーリー会場をさまよっていると、オシャレかつ大変魅力的な装いでゴキゲンな様子の8っちゃんさんが居たので、俺は紳士として爽やかに“よっ!8っちゃんさん!その服似合うねぇ!オジサン興奮しちゃうよ!”と気さくに声をかけたらただ一言“…ケダモノ”とだけ言われた………まぁ、それはそれで興奮しちゃったネ…

 

『俺達が目指すのはjust now!勝者じゃなく勇者だろ♪』

 

『ウワアアアァァァァァ!!』

 

酒と料理とプレゼントと狂気が行き渡った会場…

壇上では既にバカどもがカラオケ大会を開始しているらしく、炎をバックに空を飛ぶ加賀の歌を聞いた那珂のPRIDEが真っ二つに裂かれて膝をついていた…

 

「あ、テイトクだ〜…」

 

「ホントだ!テイトクだ!テイトクウェーイ!ウェーイ!」

 

「ゲッ!ポーラと14か………っーか、酒クサっ!」

 

当基地きっての工業用アルコールモンスター、ポーラと14がウェイウェイが言いながら左右から俺の肩に手を回してきた、っーか酒クセェ!なんだコイツら!!美少女特有の良い匂いなんざまったくしねぇ!!メチルアルコール臭…ッ!圧倒的メチルアルコール臭…ッ!

 

「テイトクも〜…ポーラたちと一緒にぃ〜飲みませんかぁ〜?」

 

「今なら14のおっぱい触りホーダイプランがなんと月々3000円からー!って…ギャハハハハ!」

 

「息が臭い、喋るな」

 

半裸の美少女二人組にグイグイこられると言うのは普通に考えれば最高にHOTな状況であり、こんな時こそ頭と股間は最高にCOOLにするのが紳士だ……っーか酒クセェ!マジで

 

「いよっし!テートクぅ!今から三人でプロレスごっこしよ!プロレスごっこ!」

 

「いいですねぇ、ポーラはレッグスプレッドとか得意ですよぉ〜」

 

「うるせぇよ、っーか顔が近い、あと息がクサい」

 

14とポーラはゲヘヘヘとまるで蛮族のような笑いをあげて、さぁープロレスリングだプロレスリングだーと言いながら俺をグイグイと引っ張る………そこへ

 

「へぇ…プロレスごっこね、私も仲間に入れて貰おうかしら…」

 

「え?」

 

にこやかに笑うザラはポーラの腰を背後から両手で抱え、へそのあたりでしっかりとクラッチさせて体をブリッジさせる勢いで体を後方へと反り投げられポーラは脳天から床に叩きつけられた

 

「ドヘァァァァ!?」

 

「ポーラサンーッッッ!!ウゲッ!?」

 

「…14ちゃん、14ちゃんも……少し、大人しくしよう、ね?」

 

「ね、ねーちゃ……!!」

 

13ちゃんは強烈な力で14の頭を自分の股の間に挟み込んで胴体を両手で抱え込み、腕を14のへそのあたりでクラッチして体を垂直に持ち上げながら勢い良く尻餅をついて14の脳天を床に叩きつけた

 

「ポーラ…ポーラ?ねぇ?ポーラ?いい?私が怒ってるのはね?ポーラの心の弱さなの、そりゃ今日は楽しいクリスマスだものね?ちょっとぐらいハメを外してもいいと思うの…」

 

「ねぇ14ちゃん……14ちゃん?なんでお姉ちゃんの言うコト聞いてくれないの?ねぇ?わかってる?ねぇ?14ちゃんお姉ちゃんちょっと14ちゃんを甘やかしすぎたかもね…」

 

ザラ姉ちゃんと13ちゃんはアイアンクローで愚妹どものキレーな顔を掴み上げ、往復ビンタで頰を打ち、ポーラと14はそのままズルズルと会場の隅へと引っ張られて行った……

 

ーーー

 

「クックック……どいつもコイツもセールと言う単語に釣られて財布の紐が緩みよる、クリスマス商戦サマサマじゃわい…」

 

「…明石さん、オレンジジュースあるよ」

 

「まぁ!?ありがとー山風ちゃん!お姉さん嬉しいわー、マジ嬉しいわー」

 

………当基地きってのクズ大人、明石は尊い!山風ちゃんマジ尊いわーとか言いながら受け取ったオレンジジュースを呷り、悪魔的美味さだ…っ!とか言っていた

 

「よぉ、クズ」

 

「提督にだけは言われたくないですね、メリークリスマス」

 

「メリークリスマス」

 

俺と明石はメリークリスマスと言う名のスタイリッシュ挨拶を交わしガッチリとアツいシェイクハンドもかわした

 

「しかし随分と景気が良さそうじゃないか淫乱ピンク、そんなに儲けてんのか?」

 

「まぁ…ボチボチですかね、ようやくエミューが食卓に並ん……」

 

明石は慌てて美味いわー、このチキンマジ美味いわーと言いつつ山風の視線に気にしながら俺にバチコーンとウィンクしてきた…

明石の野郎、山風の可愛がっているエミューを“出荷”し、既にこのテーブルに並んでいる大人的事情を敢えて伏せようと言うワケか、まぁいい、工作艦明石!その大人的配慮に俺も乗ってやろう

 

「あぁ、やっぱチキンは死に立てに限るな!」

 

「ですよねー!あはははははー」

 

まぁせっかくの楽しいクリスマスパーリーの夜だ、子供は良い“ユメ”ってのを見る権利がある、汚い大人である俺も明石も見る事が出来ないユメってヤツをよ…

 

「よし!山風!明石が肩車してやるってよ!肩車!」

 

「…え?」

 

「よっしゃバッチコイですよ!バッチコイですよ山風ちゃん!」

 

明石はスタイリッシュに屈み、よっしゃ来いと手を叩きヘイヘイ!遠慮なんかするなガールと言ってさらに手を叩いた、まぁ、心なしか山風は引いているように見えるが、やはり子供、肩車の誘惑には敵わないのであろう、ちょっと遠慮がちに明石の肩に跨った…

 

「フンオオオオオッッッ!!」

 

「…明石さん、大丈夫?」

 

「だ…ダイジョーブ!全然ダイジョーブですよこの……くらい…ッ!!」

 

膝をガクガクしながら立ち上がる明石………コイツ、どんだけ貧弱なんだよ、貧弱すぎるだろ

 

「…わわっ!?」

 

膝ガクガクの安定性の悪さにバランスを崩した山風は明石の肩の上で明石の首を両足で締めつけながらグルリと身体を回し、そのまま膝を崩して仰向けに倒れる明石の顔面に強烈なGの乗った肘を叩きつける型で落下した!

 

「ガバァ!!」

 

「…明石さん!?ごめ…明石さん?」

 

「 」死ーん

 

あれは死んだな、まさかこんなところでエンメイリュウを見るコトになるとは…

 

ーーー

 

「お疲れ様です」

 

「よぉ」

 

ブラブラする事に疲れ、いや、正確にはブラブラしていたらバカどもに絡まれる事に疲れた俺は会場の外に出て煙草を吸っていると、髪の長いのがぬらりと現れた

 

「もう食べないんですか?」

 

「食ったさ、ハラいっぱいだぁ」

 

「そうですか」

 

青髪ロング子こと五月雨はケーキにフォークを入れ、さっさと食えばいいものをチマチマと食っている、女子か?あ?女子か?

 

「俺はもう帰るわ、バカどもにはあんまチョーシに乗るなってそれとなく伝えといてくれ」

 

「それとなくですね、無駄でしょうけど」

 

「フーッ〜………無駄だろうなぁ〜…」




次回はたぶん年内、たぶん


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提督と夕張と最終兵器・改

今年最後のハッキリ言って自信作回

【登場人物】

提督(195)
とりあえず宝箱開けてタイダ●ウェイブで即死した

夕張(31)
狂気の天才メカニックM、Mではあるが誰からでも良いワケでないM



「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

クリスマスが終わった瞬間年の瀬が迫る世間同様、年の瀬が迫った冬の執務室…まぁ、年の瀬だからと言って基地的にはなんと言うコトでもなく通常営業なのだが…

そんな通常営業中の執務室に今日も制服の丈が合ってないダメメロンが自信に満ちた笑みを浮かべてやって来た

 

「ハッキリ言う、気に入らんな」

 

「まぁまぁ、まずは見てから言ってくださいよ!今回はマジスンゴイですよ!来年ってか今年こそ深海の命日オブジイヤーですよ」

 

「やかましい」

 

今年もあと一週間切ってんのにナニ言ってんだコイツ、イカレてんのか?いや、イカレてるんだったな…

夕張はスンゴイですよースンゴイですよーとヘラヘラ笑いながら今回のビクーリドキーリメカ!カマァーン!と言って無駄にデカいシートを捲り、シートの下からなんか前にも見た事があるきっしょいマシーンが姿を現した!

 

「名付けましてオ●ガ改です」

 

「…足があるな」

 

「足なんて飾りです」

 

………オ●ガ改ったか?コイツ、っーかオ●ガって言ったらアレだよな、以前、どっからか拾って来たのを修理したとか言ってた制御不能の殺戮の為のマシーンだよな(第101話参照ですって!)

あの時はたまたま執務室を訪ねてきた長門の鉄拳のおかげで事無きを得たが…

 

「こちらのオ●ガ改ですが、以前の古代殺戮機械オ●ガに比べレベル以外の全てのパラメータがオ●ガを上回っており、ただでさえ強かったオ●ガを超えるその強さはまさに相対する者全てに絶望を与えてくれます!もう生まれて初めて心の底から震えあがらせて真の恐怖と決定的な挫折をさせて恐ろしさと絶望に涙すら流させます!」

 

ガショーン…という微妙な駆動音の鳴る中、夕張はオ●ガ改の素晴らしい性能を力いっぱい説明している…

 

「このオ●ガ改!火炎放射、波動砲、マスタードボム、ロケットパンチ、ブラスター、アトミックレイなど多彩な攻撃手段にさらなる進化、バリアチェンジを加え、弱点属性を変える事が可能です!」

 

ガショーン!!

 

「すごいな」

 

「えぇ、これほどゴキゲンなメカはそうはありませんよ、そうは」

 

夕張は無い胸を張り、誇らしげに鼻を鳴らした

 

「で?コレ、改ってぐらいだから制御はできんのか?」

 

「え?できるワケないじゃないですか?」

 

ビタンッ!!(マグナムビンタ)

 

「まぶちッッッ!!」

 

「何故そこを頑張らないんだオマエはァァァァァ!?ヤバい殺戮マシーンがさらにヤバくなっただけじゃねーかァァァァァ!!」

 

俺のビンタで床に転がった夕張はちょっと嬉しそうな気色の悪い笑みを浮かべて立ち上がった

 

「ちなみにオ●ガと同じく壊れるまで止まりません、むしろこのオ●ガ改は一体なんなのか?誰が、いつ、何の目的で作りあげたのか、そもそも改ってコトは誰かが手を加えているハズですがその一切が不明なまさしくオーパーツ的なナニかです」

 

「ナニがオーパーツだ、オパンツ見せろよこのヤロウ!」

 

「オーパーツです、って!ちょ!スカート!スカート捲らないでください!今日はちょっと汗臭いんで!」

 

妙なところで恥じらいの心がある夕張はスカートを手で抑えて抵抗していると、件の最終型殺戮機械オ●ガ改のモノアイがチキチキと動いてこちらを見た

 

ガショーン!(ターゲッティング)

 

「オイ、アイツ、なんかこっち見てるぞ」

 

「あ、たぶん波動砲きますよ、波動砲、波動砲マジやべーですよ、波動砲」

 

「知ってるよ!」

 

喰らえばタ級どころか重巡棲姫すらイッパツで消し飛ぶらしい恐怖の波動砲がこちらに向かってターゲッティングされているッッッ!?

ダメだ、早くこの場をトンズラしなければ俺も夕張も青髪ロング子も………って!!あの野郎!いねーし!いつの間にやら執務室からトンズラ完了してやがるよ!

 

「大丈夫です!いざとなればこの自爆スイッチを押せば自爆します」

 

「そんな便利なモンあるなら今すぐ使え!この世に塵一つ残さないぐらい完璧に爆破してしまえ!」

 

「ですがこの自爆スイッチ、一つ問題がありまして…」

 

「なんだ?威力が強すぎるとかそんな感じか?基地ごと消すみてーな感じか?」

 

「いえ、ボタン電池を入れ忘れまして……CR2025なんですけど」

 

なんで自爆スイッチみてーな重要なアイテムにそんなコンビニでも売ってそうな、しょーもないボタン電池使ってんだよ、バカか!?っーかバカか!?コンビニで買っとけよ

 

とりあえずアレだ、窓にはダイヤモンドより硬いマグナムスチール製の鉄格子、壁はアツいコンクリート、唯一の出入り口にはあの殺戮マシーン……選択肢は限られている

 

①完璧!夕張ディフェンダー!

②伝説!夕張カーテン!

③無敵!夕張シールド!

 

「…やはり③か」

 

「たぶんですけどアレですよね、全部私が死ぬ感じのアレを考えてますよね?」

 

「あぁ、全部死ぬ」

 

「ですよねー」

 

夕張では波動砲を何秒受け切れるのかわからんが、まぁ、俺が逃げるだけの数秒さえ稼げればそれでいいと考えていると、最終型殺戮機械オ●ガ改の後方、つまり執務室の外の方からなにやら声が聞こえてきた

 

「同志提督ーッ!同志提督はいるかーッ!?………む?なんだこれは?新しい掃除機か?」

 

この声………旧ソから来た革命戦士ガングートか!?

俺はとりあえず真裏に居るらしいガングートに助けを求めた

 

「ガングートか!?ガングート!そこに居るのはガングートか!?」

 

「あ?その通りだが……同志提督よ、なんだこの邪魔な機械は?草刈機か?」

 

「ガングート!!コイツは資本主義のブタだ!遠慮なくブッ壊せ!」

 

「なァ〜にィ〜………?資本主義のブタだとぉ?」

 

よし…っ!アツかりし共産革命ガングートのPRIDEに上手く火を点けたらしい、ガングートは貴様ァ!銃殺刑に処するぞーとか言いながらオ●ガ改の脚をガンガン蹴り始めた

 

「同志の命を狙ってきたかこの鉄屑が!生かしては帰さんぞ!」

 

ガショーン!!(ロケットパンチ)

 

「ゴデュファ!!!」

 

オ●ガ改の殺人ロケットパンチをどてっ腹に受け、ガングートは反吐をブチ撒けながら倒れた

 

「ガ、ガングートォォォォォ!!」

 

「ハーッハッハッハ!どうですかこのオ●ガ改の圧倒的なパワー!たとえ大戦艦級と言えど一撃ですよ一撃ぃ!最強!そして無敵ィ!アーッハッハッハ!」

 

夕張の野郎はナニが面白いのか、狂った科学者特有の片手を額に当ててゲラゲラと笑っていたのでとりあえず股間を蹴り上げた

 

「オゴォ!?」

 

「クッ…やっぱ革命ばっかしてるヤツはダメだな」

 

もうダメだ、もう死ぬしかないのかと諦めかけたその時、ポケットの携帯電話がブーブー震えているので引っこ抜いて受話ボタンを押した

 

『あ、まだ生きてますね』

 

「五月雨ァ!!テメーいつの間にトンズラしてんだコラァ!!」

 

『まぁそう怒鳴らないでくださいよ、せっかく頼もしい援軍を呼んであげたんですから』

 

「援軍だぁ?」

 

五月雨からの通話を維持しつつ、オ●ガ改の様子を伺おうとすると、強烈な轟音と共にオ●ガ改のマシンティクスボディが浮き、その強固なボディがヘコんだ…

 

「ヘ〜イ、ポンコツマシン、テイトクのHeartを掴んでいいのはワタシだけデース」

 

せ…戦艦金剛ッ!!バ…バカな、この基地の裏にもう何年も君臨するまさに鎮守府の帝王!ヤツが動いたと言うのか!?五月雨のヤツ…なんてことを!!

 

「でた!金剛姉者必殺の奥義!大金剛流真空殲●衝ッ!」

 

「アレを喰らって大丈夫な牛を榛名は知りませんねッ!」

 

「フッ、まったく私達の姉者はとんでもない御方のようですね」

 

オ●ガ改を拳で圧倒する金剛と、そんな姉を誇らしげに見守る金剛シスターズ…

 

「マッタク………このガラクタが、テイトクをDIEするのはワタシデース?OK?」

 

当基地きっての暴力の化身、金剛によって古代から来た最終型殺戮マシーンは無事に破壊された…

 

そして、それは新たなる戦いの幕開けでもある…俺は傷つき、股間から汚い水を流す夕張に肩を貸し、続きはまた今度にしないかと提案したが、DIEシマースと唸りをあげる金剛パンチを夕張でガードし、もはやヤるしかないと覚悟を決めた俺は夕張の手足を巧みに掴み、夕張ヌンチャクにて金剛拳との死闘を開始したッッッ!!



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深海最前線-BETRAYER-

今年最後は提督不在回

※今回は深海翻訳機能ONにしてお送りしております

【登場人物】

深海棲艦
人類の天敵にしてこの海を支配する海の王、その目的はよくわかっておらず、人類との来たるべき対話の時を待っているとかいないとか…



人類の天敵ッ!深海棲艦、深く、暗い深海からやって来たと言われている謎多き生物、一説には、ヤツらは母なる青い海を汚す人類に誅を下す為にこの星が産み出した真なる星の守護者なのではないかと囁かれており、深海棲艦もまた天然自然の中から生まれたもの、それを忘れて何が自然の地球の再生だ!そう!共に生き続ける深海棲艦を抹殺しての理想郷など……愚の骨頂!!と提唱する有識者は少なくないとか………

 

「えー…皆さん、今年も無事、シーズンを終える事ができました、まぁ正確には次月もしくは次々月の冬期作戦にて年間のシーズン終了とはなりますが、まぁそれはそれとしまして、今年も皆さんの元気な顔が欠ける事なく…」

 

この、どこまでも広く果てない海のどこかにあると噂されている偉大なる航路、その、偉大なる航路のどこかにあると噂されている深海棲艦の棲家、深海秘密基地…

本日の業務内容、深海秘密基地の大掃除を終えた誇り高き深海の戦士達は深海秘密基地内にある深海講堂に集まり、壇上では戦艦水鬼が挨拶を読んでいた…

 

「うるせぇーぞ引っ込めババア!」

 

「ババアのくせに偉そうにしてんなババア!」

 

「もしかして熟れた身体持て余してるんですかー?ギャハハハ!」

 

集まった深海の仲間達を前に、戦艦水鬼はオイ!今ババアって言ったヤツ後でゼッテー殺すからな!オマエとオマエとオマエ!顔覚えたからなとマジギレ顔で注意し、一つ咳払いをした…

 

「では最後に、中枢棲姫クンからの御言葉、中枢棲姫クン、どうぞ…」

 

「………仲間を大切にしないヤツはクズだ」

 

「ハイ?中枢棲姫クンからのありがたいお言葉でしたー!ハイみんな拍手ーッ!」

 

パチ…パチ……

 

深海の誰しもがやっぱ中枢棲姫クンメチャシブいだのメチャクールだよなだの感心しつつ中枢棲姫の言葉に拍手を贈り、アツい感動の涙を流した

 

「はい、では続きまして今年の危険!深海棲艦ランキングを発表したいと思います、名前を呼ばれたヤツは大きな声でハイ元気です!と返事するよーに」

 

【緊急企画!危険!深海に潜む超危険深海棲艦ランキング2017!】

 

「え〜今年、ヒューマンどもを苦しめたと思われる深海の仲間達をランキング形式で表彰するこの企画、見事、ベスト5までに入賞したバ……ヤツは深海マネー金一封と、ハルサメちゃんから深海麻婆春雨のセット、あと浪漫溢れる深海エス●ールより深海ダイヤモンドジュエリーが贈られます」

 

「ヒューッ!」

 

「戦艦水鬼クンドテっ腹ーッ!」

 

「バカ、ドテっ腹じゃねーよ、アレだよアレ、ボテっ腹だよ」

 

戦艦水鬼の額にピキッ!パキッ!とアオスジが浮んでいたが、戦艦水鬼は大きく息を吐いて耐え、手にした紙を読み上げた…

 

「はい第5位、衝撃のマエバリスト!北の痴女!北方水姫〜…はいみんな拍手〜」

 

北方海域を制するダイタン痴女コーデの魔女、北方水姫は壇上に上がり、深海軍五千人将ハルサメから金一封と賞品を受け取ってガッチリとアツい握手をかわした

 

「おめでとうございます」

 

「ありがとう…っ!こんな私にアリガトウ…っ!」

 

「今日はアレですね、なんかワリと普通と言うか…暖かそうと言うか…」

 

「や、私寒いの超苦手なんで」

 

ーーー

 

「はい、じゃ次、第4位、欧州から来た絶対にクッ!しない深海姫騎士、欧州棲姫〜…はい、みんな拍手〜」

 

この夏、ドーバー海峡沖で海軍のヤツらとアツく!ハゲしい戦いを繰り広げた誇り高き深海の姫にして騎士!その姿まさには戦場に在るだけで仲間達を鼓舞するコト間違いなし…っ!

 

「おめでとうございます」

 

「フフッ、馬鹿なの?愚かなの?」

 

ハルサメから金一封と賞品を受け取り、満足そうにガッチリと握手をかわし、欧州棲姫は手にした深海エク●カリバーを天に掲げて歓声に応えた

 

「欧州棲姫クン!踏んでくれーッ!」

 

「罵ってー!その上から目線で罵ってくれー!」

 

欧州棲姫はハルサメからマイクを借り、アナタ達ってホント最低のクズね!とファンである深海の仲間達に応える、ファンサービスを忘れないその誇り高さやまさに姫にして騎士!略して姫騎士!

 

ーーー

 

「はい、第3位〜…深海期待のナマイキなスーパールーキー!The Genius submarine girl!潜水新棲姫〜…はいみんな拍手〜」

 

今夏!どうせまたあの見かけ倒しオブ見かけ倒しのサンドバッグ姫だろうとタカを括っていた海軍のヤツらをいきなり苦しめた深海期待のスーパールーキー、潜水新棲姫!

 

「おめでとうございます」

 

「ヤッタァ!ベイ●レード買おっと!」

 

性能はプロ真っ青でも見た目は子供、潜水新棲姫は受け取った金一封と賞品にキャッキャとハシャぎ回った

 

「…そういやあのサンドバッグ最近見ねーな、死んだの?」

 

「あぁ?アイツなら実家に帰ったよ、実家の深海コンビニでレジ打ってる」

 

今夏の作戦前、突如として現れた超新星に、今まで深海チームの正レギュラーを務めてきたサンドバッグ姫こと潜水棲姫は当然反発、ナマイキなルーキーにオシオキしてやるぜーッ!とイキってタイマン勝負を挑んだものの惨敗、それはヤバいくらい惨敗、観ていた周りがドン引きするほどの惨敗を喫し、それを機に引退を決意、実家に帰ったそうだ…

 

ーーー

 

「はい続いて第2位ですが、第2位はなんと2人います、拍手で迎えてあげてください、先のスリガオ海峡戦で抜群のタッグ力を見せてくれた海峡夜棲姫姉妹と防空うまる…?ナニコレ?埋護?埋護姫って読むの?まぁいいけど、両名で〜す」

 

しーん…

 

「…ん?あれ?」

 

「戦艦水鬼さん、戦艦水鬼さん」

 

「ナニ?ハルサメちゃん」

 

「海峡夜棲姉妹さんと防空埋護姫さんはまだ入院中だそうです」

 

「あ、そうなんだ」

 

先のスリガオ海峡戦にて、扶桑姉妹とのタッグマッチの激戦によるダメージから緊急入院し、深海ICUに入っていた海峡姉妹だったが今は無事に回復に向かい深海一般病棟に移ったらしい…

しかし、防空埋護姫は未だに深海ICUから出られないらしく、同じく前回致命的なダメージを負った防空棲姫と仲良く並んで深海ICUで眠っている…

 

「じゃ、これハルサメちゃんにあげよーか?」

 

「いやいやいや!回復してから渡しましょうよ」

 

ーーー

 

「えー………じゃ、栄えある危険深海ランキング第1位はー………キモい鳥!」

 

拍手と歓声の中、キモい鳥ブリーダーのなんか芋くさい姫の腕に乗ってギィーギィーとキモい声で鳴くキモい鳥が壇上へと上がり、戦艦水鬼はハルサメから受け取った金一封と賞品を芋くさ姫に手渡した

 

「おめでとう!キモいけど!」

 

「キモくないです、かわいいです、ほら」

 

『ギャース!ギャース!』カチカチカチ!

 

歯をカチカチと鳴らし、翼をバタバタとする新型艦載機ことキモい鳥を見て、戦艦水鬼は“や、普通にキメーわ”と言って微笑んだ

 

「や、だってフツーにキモいよね?ねぇハルサメちゃん」

 

「え?あ…まぁ、見た目はちょっとアレですけど」

 

「クッ!どいつもこいつもヒドいズラ!!………じゃなかった、ヒドいです!」

 

◇◇◇

 

深海危険生物ランキング発表も終わり、深海忘年会を兼ねた深海立食パーティーが開催され、新鮮な魚介類や深海焼酎などが振る舞われる会場…

 

「ちっ、バフおせーっての」

 

「集ちゃんさん、深海オレンジジュースいりますか?」

 

「ん?あ〜…そこ置いといてー」

 

集ちゃんさんこと深海一の深海ネトゲ依存症の集積地棲姫は持ち込んだノートパソコンをカチカチとイジっていた

 

「あ、WARUSAMEのヤロー!ナニ勝手に落ちてんだ!?バカか!?バカなのか!?ちょ!ヤバいヤバい!回復間に合わねェェェェェ!」

 

「…楽しそうですなによりですね」

 

…私の名前は白露型五番艦春雨、深海棲艦に攫われてもうどのくらい経ったでしょうか、最初はきっと助けが来るとか夢見ちゃったりしましたが、ワリとすぐに諦めました

あれから色々あって深海棲艦の勢力争いなどの数々の戦いを経て、平艦から深海百人将に、それからなんやかんやあって深海千人将に、今では深海五千人将にまで取り立てて貰い、深海大将軍への道をひた走っています…

 

その……なんて言いますか、みなさん、来年は良い年になるといいですね?はい




皆々様、今年もこんなのにお付き合い頂きありがとうございました、謝りたい感じているから感謝です、はい


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提督と謹賀新年Ⅱ

あけましておめでとうございます、本年も新しい気持ちでダラっと書いてみます、はい

【登場人物】

提督(196)
ハッピープロジェクト推進派

五月雨(57)
ハッピー●ーン買い置き派

香取先生(16)
ハッピーサ●ーウェディングは人の式で何度なく聴いた派

Richelieu(3)
ハッピーさん?知ってるわ!モチロン知ってるわ!アレでしょ…えぇと……そう、アレ、アレよね!モチロン知ってるわ!




新品のパンツを穿いた元旦の朝のような爽やかさの漂う執務室…

 

「今年からはお年玉制度を廃止し、代わりにこの一粒飲めば笑いが止まらないクスリを配布しようと思う」

 

「…はぁ?」

 

青髪ロング今年からは元旦の朝からナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?と言いたげな顔をしているが俺はイカレていない、いや!むしろ俺は金と言う人を狂わす魔王ではなく、みんなを笑顔にしたい!俺のエンタメイトでみんな笑顔でウルトラハッピー!海軍ハッピープロジェクトを推進したい!

 

「それ、どーゆー成分なんですか?」

 

「さぁ?とりあえず取説によれば依存性と中毒性が強く、一粒飲めば笑顔と上の口から下の口から涎が止まらないそうだ」

 

「…はぁ?」

 

「よし!早速だがみんなを笑顔にしてくるか、五月雨、付いて来い」

 

「え?普通にイヤですけど?」

 

◆◆◆

 

執務棟を離れ、外へと続く廊下を歩いていると、窓の外では駆逐艦のクソガキどもがゲイラカイトを持ってキャッキャとハシャぎ回ったり、いっけー!オレのドラ●ーンとか言いながらベイ●レードを回したりして遊んでいる姿があり、五月雨曰く、グラウンドでは新春ニューイヤー駅伝を絶賛開催しているらしいので俺達はニューイヤー駅伝開催中のグラウンドへと行ってみる事にした…

 

「長良クゥゥゥゥン、どうや?ウチのRJの履き心地は?悪くないやろ?」

 

「えぇ、悪くないです」

 

「キミには期待しとるんやで、な!コレ履いて!ビッと優勝してくれや!」

 

「…ですが龍驤さん、大変申し訳ないのですが……コレは履けません」

 

「なんでや!?」

 

龍驤に頭を下げ、長良主将はシューズ袋からRJとは違うなにやら手造りくさい感じのシューズを取り出した

 

「今回は………この“明石MAX2020・HASHIRI”でいきたいと思います!」

 

「なんでや!?」

 

龍驤はなんでや!?と連呼し、クソっ!後悔するでぇ!後悔するのは自分なんやでー!と言っていたが、長良主将は感動の涙を流す明石のバカとガッチリ握手をし、アツい抱擁をしつつ背中をバシバシ叩きあった…

 

「………なんだあの茶番劇」

 

「さぁ?」

 

俺は五月雨から受け取ったミルクティーの缶を開け、喉に流し込んだ………甘いなコレ

 

「あら、提督と五月雨さん、あけましておめでとうございます」

 

「おぉ!これはこれは香取先生!あけましておめでとうございます、本年も私ともどもウチのク……艦娘どもを宜しくお願い致します!」

 

「まぁまぁ、これはご丁寧に…こちらこそ宜しくお願い致します」

 

年始らしく、晴れ着姿の香取先生はいつにも増して更にエレガントでいらっしゃる、まったく…香取先生はいつだって俺をアツくしてくれるのだよ

 

「ところで香取先生は何故こんなところに?あ、もしかしてアレですかな?駅伝に興味がおありな感じで?」

 

「いえいえ、私と鹿島はあちらで羽根突きをと…」

 

「ほぉ…羽根突きですか」

 

「えぇ、羽根突きを…」

 

「アレですかな?やはり香取先生となると羽根突きもお上手であると噂を…」

 

「いえいえ、私なんて当てるだけで精一杯でして…お恥ずかしい限りです」

 

まったく、香取先生はご謙遜も得意でいらっしゃる…

昨年の全基地羽根突きオープンベスト4の腕は錆びつくどころか益々キレを増しておられるだろう

あちらを見れば、既に全身にダメージを受け満身創痍の鹿島先生がハァハァ言いながら胸を揺らして立っている、もしかして誘っているのだろうか?

 

「では…鹿島ぁ〜……続きを始めますよ〜」

 

「ひ…ヒイッ!?香取姉ぇ!もうムリ!もうやだ!やめて!死んじゃう!?」

 

「いきますよ〜……それっ!」

 

香取先生の羽根は鹿島先生のケツのあたりでありえないほどスパーキングな音で炸裂した、これが香取先生の処刑羽根突き・電気椅子…ッ!!

 

「いっ…たあああぁぁぁぁぁぁい!!」

 

「コラ!鹿島!せっかく提督がご覧になっておられるのになんて情けない声で、恥を知りなさい!恥を」

 

「や……マジ、マジムリ、香取姉ぇ…ホントムリ………ってウゲェ!?」

 

出た!香取先生の処刑羽根突き!コロンビア・ネクタイ!!………まったく香取先生は新年の羽根突きだってエレガントでいらっしゃる…

 

◆◆◆

 

五月雨と共にダラダラ基地の中を歩いていると、なんかパッキンのヤンチャ成人式みたいなのが自販機コーナーでおしるこのボタンをバシバシ叩いていた

 

「Merde!なんで出ないのよ!この私を舐めてるの!このRichelieu様をバカにしているの!」

 

「ナニやってんだ、オマエ…」

 

「ん?あらamiralと………なんだっけ?」

 

「五月雨です」

 

「そうそう、サミダレね、サミダレ、知ってたわ!」

 

苛烈・残虐・残酷の国からやってスーパーモデルを超えたスーパーモデル、スーパーモデル・ゴッドの力を持ったスーパーモデルのスーパーモデル、フランスから来た自称最強戦艦リシュリューくんはモチロン知ってたわー!と高笑いしていた…

 

「ってかオマエなんだその格好は?成人式か?」

 

「セイジンシキ?」

 

この野郎、知らずに着てたのか…アホだアホだとは思っていたが、やっぱアホなんだな

 

「まぁいいや、ちょっとそこに立ってろ、動くなよ、ほら動くなよ、笑って笑って、はい、バター」

 

「ナニ?Une photo?フフッ、いいわよ?私のUne photoを欲しいなんてamiralもスミに置けないわね!」

 

「誰がテメーの1mmもシコれねー写真なんかいるかボケ」

 

「シコ…?」

 

五月雨から美しすぎるって意味ですよと懇切丁寧に説明を受け、満足そうに高笑いするリシュリューくん、五月雨には後でジュースでも買ってやるか…

 

「………よし」

 

「ナニがヨシなの?」

 

「オマエの晴れ着姿をボルドーのママに写メ送ってやったんだよ、感謝しろよ」

 

「Sérieux!?ちょ…待ち!待って!待って待って待って!え………なんで?なんでMAMANに…?え?amiral?え?」

 

「お母さんにこまめに連絡しろよ、このパリっ子気取りのボルドーのワイン農家娘が」

 

「いやいやいや!amiral!どーゆーコト!?なんでMAMANとそんな仲良い感じなの!?」





次回は新年メインヒロイン無双


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提督と鈴谷とイチャLOVEキングダム

新年早々汚い話、春は夜桜、夏には星、秋には満月、冬には雪………つまり、病んでいる

【登場人物】

提督(197)
今年もビッチに厳しい風紀委員長的ハレンチ提督

鈴谷(57)
自称メインヒロイン的存在の背景キャラ

熊野(22)
自称オシャレな重巡、最近の流行りは豹柄に金のモール入り


「あけましておめでとうございます!他の追従を許さない絶対的ヒロイン力を持つ鈴谷がお年玉を貰いに来ましたよ!」

 

新年早々ビッチ臭をプンプンと撒き散らすビッチ界に産まれし無双の勇者、鈴谷は俺の机によっこらcenturyとか言いながら腰かけ、ヘラヘラと如何にも頭悪そうに笑いながらハイ!お年玉くれよ!お年玉!と言って手を出したので俺はその手を優しく握り……

 

「零の悲劇ーッ!」

 

「ウッギャアアアアア!!痛い痛い痛い痛いーッ!!」

 

鈴谷はコレはヤバいと察したのか、余った左手で俺の首にチョップを連打し、俺が怯んで右手の力が弱ったところで一気に右手を引き抜いた

 

「ハー……ハー…殺す気かッ!?」

 

「ほぉ…新年早々良い状況判断だ、とっさに俺を怯ませる為に選んだ攻撃も的確、褒めてやろう」

 

「は?」

 

「撫でてやろう、来なさい」

 

「え?マジ…?いやぁ〜照れるなぁ〜…」

 

鈴谷はいやぁ〜マジ照れるなぁ〜マジ鈴谷褒められるコトにあまりにも不慣れすぎるし照れるなぁ〜とか言いながらヘラヘラ笑って不用意に近付いて来たので、俺は大きくバイスクローした右手で鈴谷の頭を掴んだ

 

「零の悲劇ーッ!!」

 

「ウッギャアアアアアア!!痛い痛い痛い!割れる割れる割れるーッ!」

 

鈴谷はコレはヤバいと察したのか、すぐに右脚で俺の横っ腹を蹴り、俺が怯んで右手の力が弱ったと同時に零の悲劇から脱出して執務室の床を転がった

 

「ハー……ハァ…ハァ!ナニすんだこの野郎ーッ!殺す気かッ!」

 

「咄嗟とは言え良い状況判断だ、褒めてやろう」

 

「クッ…!新年早々褒められて伸びる鈴谷をバカにして…」

 

さすがに三度目は警戒しているか、まぁいい

 

「ってかサミーは?サミー、今日休み?」

 

「休みだ、今日は姉妹で近所のイ●ンモールにでも行ってるんじゃないか?」

 

「ふ〜ん」

 

「わかったら去れ、俺はさっきからお前を殺したくてウズウズしてるんだよ」

 

「なんで!?鈴谷まだナニもしてなくね!?」

 

「お年玉要求したろーが」

 

「そんだけじゃん!ってかお年玉要求しただけで殺したくてウズウズするって…どんだけ鈴谷に対して厳しいの!?」

 

「厳しくない、提督だ」

 

「知ってるよ!」

 

まったく、何が気に入らんのか知らんが、鈴谷の野郎はぶつくさと文句をタレつつとりあえず冷蔵庫の開けて俺のサイダーのペットボトルを取り出してグラスに注ぎ、さらに流れるような動作で戸棚を開けてお徳用コ●ラのマーチを取り出してお客様ソファーによっこらsexualと座った

 

「うめー!」

 

「ナニ勝手に飲み食いしてんだテメーは、っーか我が家のような勝手さか!」

 

「お菓子とジュースくらいいいじゃん、ケチくせー、あ、ってか提督ヒマっしょ?ゲームしよーぜ!ゲーム!マ●オゴルフ」

 

「死ね」

 

「厳し過ぎるッ!返答が死ねの一言とか厳し過ぎる…ッ!」

 

「厳しくない、提督だ、っーか帰れよ、ヒマならそこらのパパにでも頼んでお年玉貰って来いよ、お年玉、鈴谷タマ舐めんの大好きぃ〜だろ」

 

「ハアァ!?べ…別に好きじゃねーし!ってか鈴谷そーゆーのはしないし!」

 

「ナニ言ってのかねこの現役援航巡は」

 

「現役援航巡じゃねーし!!鈴谷的にはほら、アレよアレ、アレ!そーゆーのはやっぱ好きな人っーか、将来を誓った感じの…」

 

「ふ〜ん」

 

「ふ〜ん、じゃねーし!!真面目に聞けよ!?」

 

「…チッ、うっせーな……ナニ今更清楚系キャラ作ろーとしてんだ?バカか?あ?アレか?清楚系ビッチか?清楚系ビッチにジャンル替えか?あ?このビッチ系清楚が」

 

「ビッチじゃねーし!ってか清楚でもねーけど………ってか、今更だけど清楚ってナニ?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか…?しかし清楚か、ふむ、清楚、よくAVコーナーで見る単語だがキチンとした意味自体はあまり考えたコトなかったな……まぁ、たぶんだが俺的なイメージでは清楚と言えば浜風ちゃんな気がするし、浜風ちゃんと言えば清楚、つまりだ、ここから導き出される結論は………

 

「…おっぱいが大きいコトだな」

 

「とんでもない答えだよ!!ゼッテー違うよ!」

 

「なんだとコラァ!浜風ちゃんに謝れよ!」

 

「なんで!?」

 

ーーー

 

「お年玉を頂きに参りましたわー!って………なんのプレイですの?」

 

執務室の無駄に丈夫な鋼鉄の扉を開き、今度は熊野がやって来た…

 

「ご覧の通り、福笑いだが?」

 

日本が誇る正月の伝統的遊戯、福笑い…

ルールは単純、適当な布等で目隠ししたプレイヤーが人の顔の形を模した枠内に、目、鼻、口、眉などのアイテムを置き、より、人の顔に近く作りあげた方が勝利するのがスタンダードルールだが、今回は目隠しだけでなく手足を拘束、さらに口も拘束、ついでに耳には大音量のヘッドホンを装着するエキスパートルール2018を採用している

 

「うごごご…」

 

「…新年早々おバカなコトしてますわね」

 

「お前の姉ちゃんだぞ」

 

「こんな人知りませんわ、はい、お年玉くださいませ、お年玉」

 

「やだよ、俺と福笑いして勝ったら考えてやろう」

 

「イヤですわ」

 

「あとついでに、今なら参加賞にこの肉便器もくれてやろう」

 

「いりませんわ、汚らわしい」

 

熊野はエキスパートルール2018で転がる鈴谷のケツを思いっきり蹴り上げた

 

「ウガアアアアアア!!」

 

「ゴチャゴチャ言ってないでお金くださいまし、お金!私、ニューマシン用のスプリントダッシュモーターとローハイトタイヤ&カーボン強化ホイール買いたいんですわ!」

 

「もはやお年玉ではなく金と言い切る欲望に忠実なその意気や良し!熱意や良し!いいだろう、持っていきたまえ!全てを!」

 

「ありがとうございますわ!でもこのビッチ臭いのはいりませんわ」

 

熊野は俺からポチ袋を受け取るとウッヒョー!これで強化パーツを買いに行きますわーとハシャぎながら執務室から飛び出そうとしたが、床に転がる鈴谷につまづき、前のめりで盛大にコケて壁に顔面を強打し、パンツを全開にしたまま気を失った…

 

「…」死ーン

 

「ウゴゴゴ…」ゴロ…ゴロ……

 

なんてヒドい…

 

「………はぁ」

 

俺はポケットから携帯電話を取り出し、とりあえず五月雨に電話し、執務室にゴミが落ちてるから拾ってくれと用件を伝えると、ただ一言“死ね”だけ返答されて通話を切られた………なんて冷たいヤツなのだよ




次回はグ●メ四天王が全員集まるグルメ回


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提督と死のフルコース

帰ってきたグルメ犯罪艦!全員合わせて懲役19879524年

【登場人物】

伊良湖(3)
通称、間宮の子分

磯風(5)
グルメ死天王、季節の逆転シェフ

比叡(4)
グルメ死天王、知性溢れる天才シェフ

間宮(9)
グルメ死天王、グルメ神に最も近いシェフ
今回は出ない


当基地にはグルメ四天王と呼ばれる生粋のグルメ犯罪者達が居る…

 

その、恐るべきグルメ拳は空を裂き、そのグルメ蹴りは大地を割ると言い伝えられており、あの地球一のタフ・ガイと言われた長門や、鍛える事は女々しいの体現者である武蔵ですら正面からヤり合う事を避けるとまで言われている……

 

 

『お久しぶりです大尉、その後、お身体の方は如何ですか?』

 

「おかげさんで元気ブリバリよォ〜…今度テメーのツラ見たら思わずフラッシュ・ピストン・マッハパンチ喰らわしてやりてーぐれによォ〜」

 

春は曙、年始の執務室……上からお達しのあった任務を可能な限り速やかに遂行し、書類に印鑑を押して処理済み棚に放り込む、やはりこーゆー細かい事でチマチマとポイントを稼ぎ上からの心象を良くしないとな!そんなふうに考えていた矢先、珍しく軍の回線を使った電話が鳴った…

 

『お元気そうでなによりです』

 

「で?ナンの用だ?テメーからの電話なんてだいたいロクなモンじゃねぇしな、で?なんだ?軍がヤバいのか?」

 

『まぁ、ヤバいと言えば前々からヤバいですが』

 

オイ大丈夫か?コレ軍の回線使ってるけど大丈夫か?

 

『まぁ、用件なんですが近い内に私がそちらに……いえ、よく考えたら大尉が来る事になりますか、まぁ、詳しいのその時にでも』

 

「オイちょっと待て天海!オマエなんだそのちょっとヤなフラグ立ててんだ?オイ」

 

『ではまた…』

 

「もしもし?オイ!もしもぉーし?チッ………あの野郎、切りやがった」

 

あの野郎、新年早々なんてイヤなフラグ立てやがるんだ…アレか?たまにやってくるシリアスに挑戦したい難しいお年頃を煩ってるアレか?ムリムリ、やめときゃいいんだよ、そーゆーのは他所に任せてウチはウチらしく、執務室で漫画読んだり喫煙所でタバコ吸ってりゃいいんだよ

 

「相変わらず仲の良さそうなコトで」

 

「今の会話のどこに仲良し要素があったんだ?あ?このクサミダレが」

 

「クサミダレではありません、五月雨です、お茶飲みますか?」

 

「貰おうか、マグマのように熱いやつをな」

 

ーーー

 

午前の仕事を済ませ、俺と五月雨はたまには間宮の店でオシャレなスイーツ的なモンでも食うかと間宮の店へとやって来たのだが………

 

「閉まってるじゃねーか!」

 

「閉まってますね、あ、でも中に誰か居ますよ、ほら」

 

「あー?」

 

たしかに、五月雨の指差す先になにやらセコセコ動いている女給さんみたいなのが居る、アイツ誰だったっけか…?

ウチにあんなキュートな女給さんいたか?

 

「サミー、ウチにあんなテーブル拭き中の立ちバック専用みたいな尻いたか?」

 

「テーブル拭き中の立ちバック専用かどうかは知りませんが前々から居ましたよ、間宮さんの弟子の伊良湖さん」

 

「伊良湖…?あぁ、思い出した、間宮の子分な」

 

【給糧艦:伊良湖 グルメレベル25】

オードブル-白身魚のムース

スープ -甘海老のポタージュスープ

魚料理 -舌平目のムニエル

肉料理 -仔羊のハーブロースト

主菜 -明石ファーム産牛フィレ肉のポワレ

サラダ -アボカド生ハムのカプレーゼリースサラダ

デザート -伊良湖スペシャルケーキ・無明逆流れ

ドリンク -100%フレッシュオレンジ

 

「オイ、間宮の子分オレだよオレ!オレオレ、開けてくださいよー」

 

とりあえず俺は中に居る間宮の子分に気付かせるべくドアをバシバシと8ビートなリズムで叩いた

 

「…ん?ゲッ!?テイトク…っ!?ちょ…!やめてくださいよ!ドアが壊れるじゃないですか!」

 

「ハッハッハ、すまんすまん、ついとカッとなった」

 

「何がカッとなったですか……で?何の用ですか?言っときますけど間宮さんなら居ませんよ」

 

間宮の子分こと伊良湖クンは俺の顔をジロジロ見てなにやら露骨にイヤそうな顔をしているが、まぁたぶんアレだろう、そーゆー気難しい年頃ってやつだな

 

「なんだ?あの乳牛はどっか行ってんのか?」

 

「えぇ、なんでも…グルメショーウィンドーの熟成がどうのこうの言って年末から休暇取って出かけてますけど」

 

「そうか…」

 

さすがはグルメ四天王の中でも最もアクティブ派と名高い間宮……感じたか、センチ●リースープの鼓動を…ッ!

 

【A級グルメ犯罪艦:間宮 グルメ懲役4545072年】

 

オードブル-サタンフィッシュのタタキ(捕獲レベル推定60000)

スープ -?

魚料理 -?

肉料理 -?

主菜 -?

サラダ -?

デザート -?

ドリンク -オレンジジュース

 

「そーゆーワケで、間宮さんが帰ってくるまでは開店休業中です、お湯と電子レンジなら使って構いませんよ」

 

「仕事せーよ!仕事、間宮の子分クンよォ!」

 

「間宮の子分ってなんですか!間宮の子分って!私の名前はイラ…」

 

「しゃーなしだな、サミー、あっちの飲み放題ティーバッグのティーでも飲むか」

 

「そうですね」

 

「聞けよ…ッ!!提督はまだしも…!さみ……さみ?さみ?すず?や、やっぱさみ!五月雨さん?までヒドくないですか!?」

 

コイツ、五月雨の名前が曖昧なのか……命拾いしたな、間違ってスズカゼとか呼んでたらそのキレーな顔が親でも区別つかねーぐらいグチャグチャに整形されていたのだよ

 

「ヒドくないです、あと、五月雨です」

 

ーーー

 

とりあえず、五月雨と共に安いティーバッグにお湯を淹れた安いティーを飲みながら今年こそオレ浜風ちゃんに告ろうと思ってんだいいじゃん言っちゃいなYO!勇気を出しTE!と言うアツい議題で話をしていると、なんか皿がテーブルの横から流れてきて俺の前で停止した

 

「…オムライスだな」

 

「オムライスですね」

 

俺たちがオムライスの流れてきた方向に視線をやると、そこには、脚を組み、テーブルに片肘をつき、さぁ!おあがりよ!言いたげにバチコーンとウィンクする超A級グルメ犯罪艦が座っていた…

 

「フッ…」

 

「フッ、じゃねーよ!誰がこんな殺人兵器頼んだ!」

 

「殺人兵器…?フッ、まぁ…ある意味間違いではないな、この磯風会心の一食、食べれば天にも昇る気になれると自負しているぞ!」

 

【A級グルメ犯罪艦:磯風 グルメ懲役1192296年】

 

オードブル-秋刀魚っぽいやつを焼いたやつ(捕獲レベル推定30000)

スープ -鰯水(捕獲レベル5)

魚料理 -なんとかいう魚を煮たりしたやつ(捕獲レベル推定55000)

肉料理 -?

主菜 -?

サラダ -?

デザート -浜風と作ったプリン

ドリンク -オレンジジュース

 

「ほっぺた、落ちちまうぜ?」バチコーン☆

 

「誰が食うかボケ!自分で食えよ」

 

「まぁそう言うな提督よ、もしかしてアツアツは苦手か?なんならこの磯風、フーフーしてアーンするのもやぶさかではないぞ?」

 

「うるせぇよ、テメーのフーフーもアーンも何の価値もないわい」

 

まぁ、それが浜風ちゃんならば俺はこの殺人兵器を果敢に口にし、前のめりで死ぬがな

 

「フッ、まぁそう言うな提督よ、この磯風、朝から一生懸命作ったのだ、その心意気を買うのもまた、男ではないか?」

 

「やかましい」

 

ちなみに、朝から試行錯誤している最中、匂いにつられてやってきた時津風が試作品を食い、ウレションしながら泡を吹いたので浦風がすぐに病院だよぅぅぅ!と連れて行ったそうだ

 

「ったく…誰がわざわざ自ら死を選ぶかっー……」

 

ゴトッ………(カレー)

 

俺の背後から、磯風のオムライスを横に退けるように、新たな皿が置かれた…

 

「おせちもいいけどカレーもねです」

 

「お…オマエは」

 

「あ、比叡さん、こんにちは」

 

当基地の“暴”に君臨する金剛姉妹、その次女にして超A級グルメ犯罪艦ッ!比叡ッ!

 

「あ〜ぁ〜…ダメですねぇ、提督はグルメな人なんですから、こんな弱小オムライスをテーブルを置くのはご遠慮頂けますかねぇ〜」

 

【A級グルメ犯罪艦:比叡 グルメ懲役141421356年】

 

オードブル-なんかの鳥の卵(捕獲レベル推定28000)

スープ -?

魚料理 -?

肉料理 -なんかこう…飛ぶやつを焼いた肉(捕獲レベル測定不能)

主菜 -?

サラダ -すごい草(捕獲レベル推定120000)

デザート -豆大福(150円)

ドリンク -金剛姉者が買ってきたなんかお高価い紅茶

 

「クッ!貴様ァ!誰が弱小オムライスだ!今のセリフを取り消して貰おうか!」

 

殺人オムライスをバカにされた磯風は、果敢にも同じく殺人カレーを手にした比叡につっかかった

 

「オイオイオイ、喧嘩すんなよ殺人シェフ同士で…」

 

「いーや!これはこの磯風の名誉の問題……いや!散って行った第十七駆逐隊の名誉の問題だ!」

 

散ったのか!?それ作る過程でオマエの仲良し姉妹散ってんのか!?

 

「フッ…たかが駆逐艦のボウヤ如きが、戦艦と駆逐艦では神と虫ケラほどの差があると言うコトがわかっていないらしい」

 

比叡はある意味敗北フラグのような事を言ってはいるが、まぁ、あながち間違いってワケではない、しかし比叡よ、戦艦と駆逐艦の優劣を分けるのは艤装の強さではない……小宇宙の大きさだ

 

「戦艦比叡!キサマに食●を申し込む!」

 

「ほぉ……この比叡に●戟を挑むとは、フフッ…せっかく見逃してあげようと思ったのですが」

 

「この勝負の審査はモチロン提督だ、異存ないな?」

 

「いいでしょう!この比叡に挑んだ事を後悔させてあげますよぉ!」

 

「ちょ!待てよ!異存あるわい!!ナニ勝手に人を審査員にしてんだ!殺す気かッッッ!!」

 

 

………この後、なんやかんやあって厳正なる抽選の結果、審査員に俺、明石、松輪が選出され、とりあえず松輪は邪眼による幸せな夢を見ながら磯風のオムライスを食し死亡、俺と明石は互いに奥義、グ●メ・デ・フォアグラを繰り出す死闘となったが最終的には互いに身体の変調→意識の混濁→絶命へのロードを突っ走った………

 

あとついでに、間宮食堂をいらんこと汚した磯風と比叡は帰って来た間宮に麺棒でしこたま殴打され、泣いて謝った

間宮の子分は間宮からアイアンクローされて床にビッタンビッタン叩きつけられて泣いて謝った



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提督と開幕!ウィンターカップ2018

忘れた頃にバスケする難しい年頃

【登場人物】

提督(198)
女子供にも厳しいバッドガイ、バッドガイ

涼風(4)
通称、五月雨B、凶暴な方の五月雨と言われており、よく間違えられる

山風(14)
地味に最近あまり出番のなかった小さい方の緑、扱いが難しい


「オラァ!!」

 

「キター!江風のアリウープ!」

 

「今どっからパスがきたんだーッ!」

 

午前中の仕事を済ませて自販機で缶コーヒーを買い、喫煙所でタバコでも吸いながらヤン●ガでも読むかと考えながら廊下を歩いていると、体育館からえらくやかましい歓声が聞こえてきたので覗いてみたらバカどもがボールを取り合って飛んだり跳ねたり走ったりしていた…

 

「フーッ〜…やっぱ前言撤回するわ、江風ェ…オマエサイコーっぽい!」

 

「こっちはハナから全開だぜェ!夕立ェ!」

 

冬の全基地バスケットボール大会、通称ウィンターカップの開幕初戦、夕立擁するチーム由良VS江風&海風擁するチーム鳥海の激突とあって初戦から大盛況、両エースが互いにゾーンに入門する熱戦となっていた…

 

「速すぎてナニしてんのかまったくわからねー!」

 

「ホントに同じ駆逐艦なのかよ!?」

 

「大したヤツやでぇ江風クン…!ただ、それでも最強はユウダチや!」

 

両エース互いに一歩も譲らない目まぐるしい攻防が繰り広げられるコートを見つめるギャラリーの中には夕立と同じ白露型キセキの世代の天才達の他に、勝ったり負けたりしてる微妙なチームを率いる陸奥と睦月型のアホガキども、全国区のシューター舞風を擁するチーム瑞穂レギュラーとハクいスケでお馴染みの瑞穂、そして新進気鋭の新チーム、旧ソビエト式近代的トレーニングで鍛えあげた鉄の軍団、ガングート率いるチーム声かけ事案…

 

「…あ、テイトクだ」

 

「ん?よぉ、オッサン、オッサンも見に来たのか?」

 

「オッサンじゃない、提督だ」

 

客席ベンチの近くに立っていると、改白露型の緑のトゲトゲチビと改白露型の五月雨B………ではなく、涼風がやって来た

 

「なんだそれ?缶コーヒーか?あたいにも一口くれよ」

 

「やだよ、自分で買って来いよ、自販機コーナーで絶賛発売中だぞ」

 

「カーッ!ケチくせぇなこのクソメガネは!」

 

「メガネはカンケーねーだろーが!メガネは、お前は今、望月さんを敵に回したぞ!」

 

「あ゛?上等だよ、っーか望月さんってダレよ?」

 

望月さん、睦月型唯一のオシャレメガネっ子で格ゲーが超強い、もうヤバいぐらい強い、俺や鈴谷のレベルからしたら神と虫ケラのレベルであり、望月さんが対戦台に座っただけで相手が泣いて謝り、心臓発作を起こす場合すらあり、100円入れただけでKO、むしろ金も入れず勝ったことすらあるらしい…

 

「………と、まぁ、これが望月さんだ」

 

「ふ〜ん」

 

涼風の野郎、1mmも興味なさげな顔で鼻ほじりやがって…

 

「ま、どうでもいいわ、なぁ山風の姉貴ィ」

 

「…ワリとどうでもいい、あと提督、ここ座って、ここ」

 

「あ゛?なんだって?」

 

「…いいから」

 

珍しく機嫌良さげな山風がベンチをほらここ座れ!ここに!とバシバシ叩くのでとりあえず俺はベンチに腰掛けると、俺の膝に山風かケツを乗せて着席してきた…

 

「〜♪」

 

「……なんだコレ?」

 

「ギャハハハハハ!!さすが山風の姉貴ィ!アタイらには出来ないコトを平然とやってのける!っーかやらねぇけど」

 

「わからん………まったく、わからん」

 

なんかよくわからんが、妙に上機嫌そうなクソチビだと言う事だけはわかるが………ハッ!?そうか、山風は冷たいベンチではなく、暖かい座椅子を求めていたと言うことか……それで、それを私は迷惑に感じ、マシーンにしたのだな…っ!

 

「俺ほどの男が!なんてケツの穴が小さい!」

 

「缶コーヒーくれよ」

 

「自分で買って来い」

 

ついでに、隣に座った涼風が俺の缶コーヒーに手を出してきたのでその右手をこちらも右手で迎撃し、無事に缶コーヒーを守護った…

 

「ケチくせぇオッサンだな」

 

「オッサンじゃない、提督だ、っーかテメーさっきからなんだその口の聞き方は、俺はこの基地で一番偉い提督様だぞ、俺だって怒る時は怒るからな、本気と書いて本気‼︎で怒るからな」

 

「へいへい」

 

「…テイトクテイトク!それ!それちょっと頂戴!」

 

五月雨Bの1ミリバールも感じられない反省に若干イラっとしていると、今度は緑チビが缶に手を伸ばしてきた

 

「あ?ブラックだぞ?」

 

「…いいから!」

 

大きな森の小さな巨人、動くと髪がいちいちトゲトゲしい山風は俺の缶コーヒーをひったくり、豪快に飲み………干さず、やはりブラックである事にビビったのか、チビチビと口をつけ、案の定、苦味ーッ!と言いたげな顔で俺に返却してきた

 

「…苦い」

 

「BLACKだからな」

 

だから言ったのだよ、人の話を聞かんヤツだな……とりあえず、俺はポケットに入っていた溶けにくいチョコレートを取り出し、山風の鼻をつまんでやり、息苦しくなったところにチョコレートを放り込んだ

 

「…む!?………ぷはぁ!む!?……う…ぅん」

 

「チョコレートだ」

 

「…知ってる、普通にくれたらいいのに」

 

「甘えたコトを抜かすなフヌケが」

 

チョコレートでさらにゴキゲンになったらしい山風は人の膝の上で貧乏ゆすりして足をブラブラしだした、っーか膝が痛い、あと、足も痛い、蹴るなよこのクソガキ

 

「カーッ!!ラブコメかい!アレかい?駆逐艦だけど子供じゃない的なアレかい!」

 

「ナニ言ってんだオマエ?イカレてんのか?」

 

ナニ言ってだこの五月雨Bは、イカレてんのか?いや、よく考えたらイカレてたわ、AもBもプッツンしてたわ、うん

 

◆◆◆

 

「バカな!?カワカゼの方が速いやと…!?いや、ゾーンのタイムリミット!!」

 

白露型最強の敏捷性と野性を誇る夕立が遂に江風によって止められ、ターンオーバーを許した…ッ!

 

「勝たなきゃ面白くないっぽい!」

 

「うるせぇンだよ!テメーのお返しはもういンねーよ!なぜなら…これで終わりだからなァァァァァァ!!」

 

ターンオーバーに追いついた夕立の頭の上からゴールにボールを叩き込むと同時に終了のブザーが鳴った

 

「よっしゃァァァァァァ!!勝ったァァァァァァ!!」

 

「やったわね江風」

 

「ようやく…ようやく勝ったぜ、なぁ!海風の姉貴ィ!」

 

そして、勝利に湧くチーム鳥海のメンバー達を見下ろし次の試合に備える強豪達…

 

「…フッ、まさかあのユウダチがやられるとは…」

 

「これはどうやらデータを書き換える必要があるな」

 

「面白いものを見せて貰ったよ」

 

ウィンターカップ初戦は波乱のスタートを切ったッッッ!!



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提督と香取先生と冬休みstudy

冬のトレンディ執務室

【登場人物】

提督(199)
文系、数学は算数の時点で諦めた

香取先生(16)
メガネが素敵なエレガントティーチャー、できるまで熱血指導

鹿島先生(16)
可愛い顔したエロガントティーチャー、転属願いは一向に受理されない


「提督、珈琲をどうぞ」

 

「やや!これはこれはありがとうございます!」

 

香取先生の淹れてくれた珈琲は洗練されていながら多様で深い陰影を感じさせ、それでいて荒々しさと繊細さを秘める実に深い味わいが口に広がる大人の味である…

 

「んんんー……!エクセレンツ!さすがは香取先生ですなぁ、教育者としてだけでなく珈琲の腕も一流でいらっしゃる」

 

「まぁ……提督ったら、褒めても何も出ませ……あ、チョコレートがありました、よければこちらもどうぞ」

 

「やや!これはこれは…いけませんなぁ、まるで催促したようで、いや、実に恥ずかしい!」

 

「あらあら、ふふふ…」

 

「ハッハッハッハ」

 

まったく、香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる、こんな素敵であると同時に素晴らしくアツい教育魂を持つ先生に指導をしてもらっているウチのバカガキどもは実に運が良いだろう、なんと言っても香取先生はどんなクズでも見捨てないワルの更生のスペシャリストだ

 

「…うわ、相変わらずイラッとくるわ、姉さんと提督のトレンディ小芝居」

 

「鹿島、何か言った?」

 

「いえ!何も言ってません!何も言っておりません!サー!」

 

鹿島先生は姉である香取先生を心から敬っておられるのだろう、完璧…まさに完璧、下等艦娘には真似出来ない完璧艦娘に相応しい完璧な敬礼をしている、心なしか、香取先生の笑顔に鹿島先生の膝が震えているようにも見えたが…まぁ気のせいだろう

 

「ところで鹿島先生、その書類はなんですかな?」

 

「え?あ、はい、コレは駆逐艦の子達から集めた冬休みの宿題です、まだ採点途中ですが…」

 

「なるほど、宿題ですか」

 

そう言えば最近、夜中に談話室に集まったクズどもが削除…削除…とか呟きながら何やらカリカリとノートのようなものに書き込んでいたな、あれは冬休みの宿題をしていたのか、特に冬休みを設けていたワケではないが、あえて宿題を出していたとは…まったく、如何なる時でも教育の心を忘れない先生方には感動すら覚えるのだよ

 

「そうそう鹿島、夕立と村雨のクズどもはちゃんと提出したかしら?」

 

「え?あ〜…うん、たしかあった気がするかな、たぶん」

 

「ダメじゃない鹿島、キチンと確認しないと…姉さん感心しないわね」

 

「あ〜…うん、ごめんなさい」

 

鹿島先生は素直にごめんなさいと頭を下げる、まぁアレだ、数も多いし、そりゃ鹿島先生がお美しい先生とは言えミスだってするだろう

 

「まぁまぁ香取先生、鹿島先生もまだ正月疲れが残っておられるのでしょう」

 

「我が妹ながらお恥ずかしい限りです」

 

「いやいやいや、先生方にはご苦労をおかけっぱなしで!私の方が至らぬ点が多くて恥ずかしい限りです」

 

「まぁ、そんなご謙遜を…ふふふ」

 

「いやいやいや、ハッハッハッハ」

 

香取先生は口元に手をやりエレガントに笑う、まったく、香取先生はいつだって俺をアツくしてくれる素晴らしい先生だな…

 

「………あの、ところで香取姉ぇ………じゃなかった、香取姉さん、この問題なんだけど…?」

 

「なに?」

 

「やっぱこの問題はおかしいと言うか…なんか変と言うか…」

 

「どれ?」

 

「これなんだけど…?」

 

鹿島先生は香取先生に宿題のプリントを手渡し、香取先生はナニ言ってるのかしらこの子は?イカれているのかしら?と言いたげにクスクスと笑い、俺にもそのプリントを見せてくれた

 

「まったく、相変わらず鹿島ったら漢字が苦手みたいで…」

 

「や、コレ漢字が苦手とかそんなのじゃないよ!?」

 

「ほぉ…どれどれ、なるほど」

 

下線の漢字の読みを書きなさい

問1

妹が朝からお腹が緩くて下痢便気味と言っていたのでとりあえず腹パンした

 

答え げりべん

 

問2

可愛い顔した妹は後ろの穴も相当使い込まれているので腸内環境が心配だ

 

答え ちょうないかんきょう

 

「…ほぉ、コレはアレですな、昨年流行ったとかなんとかドリル的な」

 

「えぇ、やはり子供達の興味を引きやすいと思いまして参考にいたしました」

 

「や、参考どころかとんでもない改悪だよ!」

 

さすがは香取先生だ、クソガキどもが楽しみながらお勉強出来るように、良い物、そして良い点を取り入れ、さらにはそれをワンランク上のスタディとして昇華している

 

「…はぁ、まったく、鹿島にも一度改めて教育が必要かしら…我が妹ながらお恥ずかしい限りです」

 

香取先生は執務机に置いてあるメモ紙を一枚失礼しますとエレガントに取り、手にしたボールペンでサラサラと美しい字を書き込んだ

 

「鹿島、ちょっとこの問題を解いてみなさい」

 

「え?やだよ、どうせまた納得いかない感じの…」

 

「鹿島」

 

「ハイ!喜んで!」

 

香取先生のキラッとキラめく素敵なメガネに、鹿島先生のおっぱいと身体がビクッと跳ね、早速問題の書かれたメモ用紙を手に取った

 

「………ん?」

 

「どうしました?」

 

「んんんー?か、香取姉ぇ…あの、ちょっといいかな?ちょっと!」

 

「なんですか?あと、今は仕事中ですよ、香取姉ぇはやめなさい、香取先生か、せめて香取姉さんと呼びなさい」

 

さすがは香取先生だ、公私はしっかりと分ける生真面目さ、まったく…香取先生はいつだって俺の心に感動と感謝を与えてくれる…

 

問1

3以上の 自然数nに対して、Ⅹn+Yn=Znを満たすような自然数 Ⅹ、Y、Zは存在しない、これを証明せよ

 

「………って!!解けるかァァァァァァ!!これアレでしょ!?なんか懸賞金とかある系の数学でしょ!?」

 

鹿島先生はメモ用紙を勢い良く床に叩きつけた

 

「あら?バレた」

 

「バレるよ!!そもそも香取姉ぇに解けるの!?」

 

「解けるけど?」

 

「………え?」

 

「解けるけど?」

 

さすがは香取先生だ、鹿島先生は床に叩きつけたこの難問……いや、過去、360年に渡り数学界最大難問として君臨し続けたこの難問を既に解いておられる

 

「…はぁ、鹿島、アナタには少し再教育が必要なようですね、申し訳ありません提督、我が妹ながらお恥ずかしい限りで…」

 

「いやいや、香取先生もまさかのフェ●マーの最終定理を出すとは、御冗談も一流でいらっしゃりますなぁ!ハッハッハッハ」

 

「まぁ、提督ったら…ふふふ」

 

この後、俺は香取先生とどうです?今日は小洒落た夕食でも一緒にと誘い、二つ返事でOKしてくれた香取先生とオシャレなディナーを楽しんだ後、ママの店でこれからの教育についてアツい話し合いを楽しんだ…

 

 

「わからない……香取姉ぇの趣味も、このトレンディ小芝居も、わ…私には難易度が高すぎる」



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提督とさどつしとサドマゾ

子供の心はだいたいサド

【登場人物】

提督(200)
過ちを気に病まない次の糧にする大人

佐渡(2)
通称、佐渡さま、自称も佐渡さま、子犬を可愛がる一面もある

対馬(2)
自称つ・し・ま、目が怖い、この子の目はなんか怖い

川内(2)
ニンジャマスター




喫煙所でタバコを休憩をとり、明石の店でカレーパンと缶コーヒーでも買うかと考えながら歩いていると、体育館の側でなんか小さいのがキャッキャとハシャいでいた

 

「あ、テイトクだ!」

 

「こんにちは」

 

…コイツら、たしか最近ウチに来た事案待ったなしメイト、択捉型のアレだったか、名前はたしか…

 

「…キミは、佐渡さまだったかな?」

 

「そうよ!そのまさかよ!」

 

択捉姉妹の三女、佐渡さま、ご覧の通り、Sだ

 

「そしてキミは〜………退魔?」

 

「つ・し・ま、です」

 

択捉姉妹の七女、退魔ではなく対馬、モチロン退魔忍ではない

 

「ナニやってんだ?こんなところで?」

 

「蟻の巣にジョウロで水を入れてたんだぁ!」

 

佐渡さまはスゲー良い笑顔でサラリと鬼畜な行為を言ってのける、まぁこれはアレだ、アホな子供特有のアホな所業だな、提督だって身に覚えがあるのだよ

 

「佐渡さまがジョウロで水入れて、水と一緒に出てきた蟻に対馬がゴキ●リ殺しの冷凍スプレーでトドメさしてんだ!スゲーだろ!」

 

「なるほど、隙を生じぬ二段構えか」

 

佐渡さまはジョウロを蟻の巣にブッ挿し、水を注ぐと、ピンポイントな大量の水に耐えきれない蟻の巣から逆流した水と共に蟻がチョロチョロと這い出し、佐渡さまは対馬の頭にチョップした

 

「やれっ!対馬!やれっ!」

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」

 

対馬はごめんなさいごめんなさいと言いつつ冷凍スプレーのボタンを押し、ダイヤモンドダストで水を氷へと変え、このア●ナに守られた光溢れる大地を極寒の死の大地へと変えていく…

 

「うっ…うぅぅ…ごめん…なさい……でも、こうしないと佐渡さまにおやつを取られて…」

 

「いいぞ対馬ぁ!天使のように細心に!悪魔のように大胆にだぁー!」

 

なるほど、おやつをタテに蟻の巣大虐殺に無理矢理荷担させるとは…大したSだ、ウチのバカどもも多くは無軌道・無秩序・無慈悲ではあるがこれほど悪魔的な者はそういない、海防艦佐渡!まさに悪のエリートと言えよう

 

「あー…面白かったー!よし、次はカエル捕まえて尻にバクチク入れて遊ぼーぜ!」

 

「え…?やだよ、カエルが可哀想…」

 

「よし、じゃカエル捕まえよーぜ!カエル!なるだけでっかいのがいいなー!なぁ?テイトクもやろーぜ!」

 

「やだよメンドくさい」

 

悪のエリート海防艦佐渡さまは、てぇ〜…してぇ〜…爆破してぇ〜…と言いながら向こうの草むらに入って新たなる美しき獲物を探し始めた

 

「え〜…対馬くん?」

 

「つ・し・ま、です」

 

「まぁアレだ、ホントにイヤならスネを蹴るとかしたらいいんじゃないかね?あと、長女に言いつける」

 

「そうします」

 

まぁ、コイツの姉である択捉は旧ソから来た革命戦士ガングートの革命エリート思想に染まり、革命チェンジで極限ファイナル革命した結果、今や立派な革命エリートだが…

 

「ところで対馬くん」

 

「つ・し・ま、です、なんでしょうか?」

 

「一応聞いておくが、キミは…その、アレかね?長女のお姉さん好きだったりするのかね?」

 

「…?はぁ、まぁ…特に嫌いとかそんなのはないかと?普通に好き、でしょうか?」

 

「そうかね…」

 

…良かった、択捉の妹が全員エトロフスキーだったらどうしょうとドキンドキンだったのだよ、正直、この子もなんかおとなしめだし、もしかしたら次女みたいに可愛い顔して突然“あの魔女がァァァァァ!”とか言ってキレる幻●虎徹レベルMAXかもしれないと疑っていたのだよ…

 

「対馬ァ!オマエもはやく手伝えよー!また電気アンマくらわすぞー!」

 

「ヒッ!?……やだ、やだからぁ…」

 

対馬くんは恐怖の電気アンマになにかトラウマでもあるのか、急いで草むらに行って佐渡さまと一緒にカエルを探し始めた、あと、しゃがんだらすぐに佐渡さまに尻をキックされていたが……なんだろうな、心なしか、対馬くんの顔はちょっと嬉しそうに見えたがきっと気のせいだろう、あぁ、気のせいだ

 

「………あ」

 

「どーした?いたかー?」

 

草むらで探すこと3分、対馬くんの手が止まった

 

「へ…ヘビを…見つけてしまいましたぁ…」ガクガク

 

「ヘビ?って…ヘビでかぁぁぁぁぁ!!」

 

草むらからヌルっと顔を出したヘビは……いや、それはヘビと言うにはあまりにも大きすぎた、大きく、分厚く、重く、そして大雑把すぎた、それはまさに大蛇だった

 

「ぎゃああああああああああああ!!」ガクガク

 

「た…食べ!食べられ!?食べられる…っ!?」ガクガク

 

まさかの大蛇登場にビビりあがり、二人で抱き合う佐渡さまと対馬はガクガクと震えてへたり込んで失禁していると、大蛇が口をパカっと開いて喋った

 

『失礼な子ね、食べないわよ…』

 

「ぎゃああああああああああ!!喋ったァァァァァァ!!」ガクガク

 

「ヒイ!!ヒイイィィィ!!」ガクガク

 

パカっと開いた大蛇の口からナニかヌルっとしたものがズルリと出てきて、ヌルヌルしたまま立ち上がった

 

「アナタ達最近ウチに来た子達ね、聞いてるわよ……潜水艦に強いんだってねぇ」

 

忍なら敵味方問わずに憧れるニンジャマスターと呼ばれる軽巡川内、川内はヌルヌルした手で佐渡さまと対馬に期待しているわよと頭を撫でた

 

「あわわわ…」ぶくぶく

 

「ここは危険がいっぱい…草むらも危険がいっぱい…」ぶくぶく

 

どうやらお子様にはニンジャマスター川内は刺激が強すぎたらしいな

 

「オイ川内、もうちょい普通に出てこれないのか?オマエは」

 

「あら提督じゃない…?やる気かしら?私と?」

 

「オイオイ川内クンよぉ、この提督様を見くびってもらっちゃいけねぇな、今の俺ならオマエと刺し違えるぐらいは…」

 

「できればだけど……」

 

「!」

 

さ…刺し違える!?バカか俺は…っ!ダメだ、コイツはレベルが違い過ぎる

 

「今度お茶でもしましょう…あぁ、それと、その子達のパンツ替えてあげた方がいいわよ、風邪を引くといけないわ」

 

川内はごくごく当たり前の世間話をしながら去って行った……そして、俺は己の無力を感じて立ち尽くしていると、たまたま通りががった青葉に“まさか………ヤったんですか!?”と問われとりあえず腹パンした

 

翌日、執務室にやって来た長門からどーゆーコトだ同志と胸ぐら掴まれたので腹パンしたら、こっちの腕が破壊された



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提督と五月雨とK・K・K

微妙な忙しさなせいでお久しぶり、です

【登場人物】

提督(201)
大本営から貰ったお試しセットはなんか微妙に曲がった

五月雨(58)
ほぼ専業秘書艦


「そういやこないだよぉー、月刊海軍読んでたらよぉー…なんかケッコンカッコカリ特集ってのがあってよぉー」

 

「ふ〜ん、ノワっち、醤油頂戴」

 

一日三食、朝昼晩に考え抜かれた栄養バランスに優れた食事を提供する間宮食堂…この日、食堂で食事を摂っていた誰かが何気なく言ったこの言葉…ケッコンカッコカリ

 

所謂、K・K・K(ケッコン・カッコ・カリ)と呼ばれるこの制度は、通常到達する最高練度である99と言う壁をブチ破り、可能性のドアのロックをこじ開けて限界突破!更なる修羅の域を求める者御用達の制度である…

 

「なにそれ?流行ってんの?」

 

「知らね」

 

「っーかノワっち、醤油頂戴って!」

 

そしてこの制度、練度99に到達した者は誰でも申請可能、専用のKKKセットに封入されている指輪を装着するだけ!痛くない!安心!簡単!お手軽!大本営への面倒な手続き不要!直属の上司からの承認があれば今日からキミもスペシャルな存在に!

 

「あ〜…そういや明石屋に売ってたわ、それっぽいの、なんかスゲー前に見た」

 

「ふ〜ん、あ〜…そういや私も前に見た、なんかダンボールの下に積んであったわ、たぶんアレ賞味期限とかヤバいわ」

 

「ノワっち!醤油!」

 

………直属の上司、つまりはその艦隊を指揮する提督の承認を必要とするこの制度、そのケッコンと言う嫌がらせ感溢れる名称と相まって微妙に特別感を持つ者が多く、大本営としてはせっかく明石酒保経由で流通させてるんだからYOU!もっとガンガン渡しちゃいなYO!お試しで配ったヤツだけで一人なんてケチなコト言わないでSA!ハーレム王に!俺はなるーッ!ぐらい言っちゃないYO!との考えらしい…

 

「っーかウチのテイトク、なんでそのKKDとかYKKだかしてねーの?」

 

「さぁ?ホモだからじゃね?」

 

「え?マジで?私テイトクがスゲーいい顔して小学生って最高だな…って言ってたって聞いたよ」

 

「や、ホモでしょ?あの眼鏡はホモ、ハッキリわかんだよ」

 

「っーかチ●ポついてんのか?あのオッサン、いや……まさかオッサン?いや、オッサンなのか?」

 

「まるでオッサン博士だなですね」

 

「立て野分オラァ!!タイマンじゃあ!!」

 

◆◆◆

 

「…と、ゆーワケで、当基地所属の皆さんの疑惑に答える意味もありまして色々と調査をしてきました」

 

「ナニがとゆーワケだ」

 

寒風が吹き荒れる屋外からビュービューと俺の風を感じる冬の執務室、今日も相変わらず白と青の寒色系駆逐艦の五月雨は手にした書類を俺の机に置いた

 

「っーかナニ提督様に黙ってシツレーな調査してんだテメーは、舐めてんのか?あ?舐めてんのか?この青髪ロングは?あ?ケンカ売ってんのか?あ?」

 

「とりあえず、皆さんには仮に提督からケッコンカッコカリ、略してKKKを申し込まれると想定したアンケート的なもの答えていただきました」

 

「シカトすんな!シカト!」

 

「最も多かったアンケート結果は“やはり提督はホモ、ハッキリわかんだね”でした」

 

「やめてくれ、マジで、その回答は俺に効く」

 

オイオイオイ…マジか、っーかマジか、ちょっと待てよ、俺だって傷つくんだよ?えぇ…?ちょ、マジかよアイツら、俺そんなふうに見られてんの?

 

「やめてくれ」

 

「次に多かったのは、オブラートに包んだ言い方をするとガチロリコンのペド野郎ですね」

 

「誰がガチロリコンのペド野郎だ、っーかオブラートに包んでそれか?なぁオイ?それは本当にオブラートに包んであるのか?」

 

「包んでますよ、包まない感じで言い変えましょうか?」

 

「いや………いい、やめておく」

 

この青髪ロング子、可愛い顔してとんでもない事を平然と吐きおるわい

 

「あ、一応、好意的な回答も何点かありましたよ」

 

「あるのかよ、好意的な回答が」

 

「えぇ、例えばですね……あ、コレなんてどうですか?」

 

【ケッコン…?フフッ、まぁ、こんな世界早く足を洗ってボルドーに帰って夫婦でワイン農家も悪くないわね R】

 

「プライバシーに配慮して実名は伏せてあります」

 

「…それ伏せてんのか?っーか実名以外で正直心当たりがありまくりなんだが」

 

っーかあの自称最強戦艦、ケッコンカッコカリの意味理解してんのか?っーかなんで俺までボルドー行き確定なんだよ

 

「あとはそうですね、あ、コレもなかなか好意的です」

 

【ケッコンか……なるほど、良い響きだ、そうだな、これを機に祖国に戻り、共に女王陛下の騎士として大英帝…(中略)…誇り高き血統、そして我らがロイヤル・ダイナスティの再興!そうだ!それがいい!きっと陛下もお喜びになる! A】

 

「プライバシーに配慮して実名は…」

 

「伏せてねぇ!!ナニも伏せられてねぇよ!コレ完全にアイツだろ!赤い髪の女だろォ!?」

 

ナニ考えてんだあの残念女騎士は……ナニがロイヤル・ダイナスティだよあの田舎騎士が、国に帰ってビール麦でも作ってろっーの

 

「あとは…あ、コレなんか超好意的ですよ、モテモテですね」

 

「ナニがモテモテだ、どうせまたロクなのじゃねーんだろ?」

 

【同志提督もようやく革命の旗を掲げる覚悟を決めたか、長く諜報活動に専念してきたがいよいよと言うワケだな同志よ! революция】

 

「プライバシーに…」

 

「いい加減にしろよコノヤロォォォォォ!!っーかさっきからなんだ!?なんで外人枠ばっかなんだよ!おかしいだろ!?」

 

「たまたまですよ、たまたま」

 

ナニ澄ました顔してシレッとたまたまとか言ってんたこの青髪ロング子は、どう考えても悪意しか感じねーぞ

 

「たまたま、変な人は海外艦に多いってだけです」

 

「変な人とかゆーなッ!!ナニか!?俺に好意的なのは変な人限定なのか!?」

 

「あと、パスタの国の人が好意的な回答ですけど…」

 

「ハッ?どうせあの魔女みてーな戦艦だろ?どうせコイツにスパゲティを食わせてやりたいんですがいいですかねー?とか書いてんだろ?いい、いい、聞かなくていい」

 

「はぁ…?そうですか」

 

クッ!どいつもこいつも舐めやがって、ナニがローマだ、休日みてーな名前しやがって!

 

「はぁ………もうちょいマトモなのないのか?マトモなの」

 

「マトモですか………あ、コレなんか良いですね、深い愛情を感じますよ、ほら」

 

「深い愛情ねぇ…」

 

五月雨から手渡されたアンケート用紙を見た俺に衝撃が走る…ッ!!

 

【好き好き好き好き好き好き好き愛してます愛してます愛していますいつも貴方の事を考えています貴方の事を目で追っています貴方の匂いを貴方の空気を感じています何気なく私の前を歩く姿を見るだけでもう幸せ過ぎて夜も眠れません貴方の事を考えない日も時間もありません片時も忘れる事なく貴方の事を好きでいますいつもいつもいつもいつもいつもいつも貴方の事を好きです誰よりも何よりも好きです貴方の為になら誰であっても殺してみせます貴方が居てくれるなら何であっても壊してみせます貴方が笑ってくれるだけで私は死んでしまう貴方か触れるだけでもう私は全てを許せてしまいます本当に本当に本当に本当に本当に本当に好きで好きで好きで好きで好き好き好き】

 

「ギャアアアアアァァァァァ!!」

 

ヒッ!?ヒイイィィィ!!なんだコレェェェ!?こ、こわ…ッ!怖いわ!!

 

「ハー…ハー……怖過ぎるわッ!!なんだコレ!?」

 

「深いですよね」

 

「深過ぎるわ!っーかどんなタチ悪いイヤがらせなんだよ…怖過ぎるわ!ったく」

 

まったく、アンケートを逆手にとんでもないイヤガラセを仕掛けてくるとは……いったいどこのどいつだよ

 

「ハァ………もういいわ、とりあえずわかった」

 

「そうですか、とりあえずこの用紙は渡しておきますから暇な時にでも読んでみてください」

 

「へいへい…」

 

五月雨から受け取った用紙の束を机の引き出しにしまい、俺は湯飲みを手にすると既に中身がないコトに気付いた

 

「オイ、お…」

 

「アツいお茶ですね」

 

「お、おぅ…」

 

チッ、こーゆートコがムカつくんだよなこの青髪ロング子は…



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バトルフィールド・オブ・対立主義 前編

このお話は坂下郁様の『それでも僕は提督になると決めた』の登場人物が出てきます、御許可頂き感謝です、はい

【登場人物】

提督(202)
大尉、所謂クソ大尉
お茶会で私のケーキはないのか?と尋ねる恥ずかしい大人、軍の学校は下から三位で卒業した

日南中尉
坂下郁様の『それでも僕は提督になると決めた』の主人公、所謂、才気溢れるイケメン主人公、軍の学校は上から三位で卒業した


「はぁ?へいへい、わかりました、じゃ、そーゆーコトで頼みます、はぁ?あぁはいはい、わかってますって、アレでしょ?なんかこうイイ感じなアレでしょ?わかってますわかってますって、じゃ」

 

受話器を戻し、机に置いてあった書類に再び目を通してみるが……うぅむ、見れば見るほど憎らしい面構えよ、此奴め、学生の時分よりさぞかしキャーキャー言われていたであろう事は容易に想像できるわい

 

「受けるんですか?演習」

 

安いティーバッグの紅茶と安い特売品のクッキーを俺の机に置き、五月雨は既にわかっているであろう回答を聞くべく尋ねてきた

 

「まぁな、よくわからんが中将殿からの依頼だ、紳士として受けて立たねばなるまい」

 

先程までの電話はクソオヤジこと大将殿だったが、用件的にはこうだ、なんでも、大将殿とは派閥は違うもののワリと話す仲の桜井とかいう中将から俺に演習の申し込みが来たらしく、俺としては中将なんかと接待ファイトなんぞ御免被りたかったのだが、話をよく聞くと、なんでも、その桜井中将とかいうジジイの子飼いである若手将校との演習らしい…

 

「紳士としてですか、なるほど…相手の方はなかなかのイケメンですね」

 

「あぁ、イケメンだ」

 

五月雨は机に置いた書類を手に取り、ほぉ〜…中尉さんですか、まだお若そうなのにイケメンで、中尉さんで、イケメンで、ほぉ〜軍の学校を三位の成績で、これは優秀でイケメンで有望なイケメンですね〜…と当てつけがましく言っていたのでとりあえずその書類をそこの壁のトコに貼れと命じた

 

「クックック…若手のエリート将校様かなんか知らんが、この俺にタテついたコトを後悔させてやるわい」

 

「いや、別にこの中尉さんがタテついたワケでは…」

 

俺は机の引き出しにしまってある自決用兼いざと言う時用ナイフを取り出し壁に貼られた書類にブン投げた

 

「クックック…この俺にタテついた代償は高くつくと言うコトをこのヤングボーイに教えてやる、クックック…ハッハッハッハ…ハァーッハッハッハッハ!!」

 

「や、刺さってませんよ」

 

◇◇◇

 

宿毛湾泊地…

 

「なかなか来ないね、相手」

 

「来るのおっそーい!ねぇ!ホントに今日なの?時間と日にち間違ってない?」

 

たしかに、もうすぐ演習の開始時刻だと言うのに相手の艦隊どころか、先方の将校もまだ来ていない……もしかして、何か移動の途中でトラブルでもあったのだろうか…

 

「う〜ん、何度か確認したんだけどね」

 

先日、桜井中将からとびっきりイキのイイ演習相手を用意したから準備を入念にしておけと指示があった…

桜井中将曰く、相手将校は大尉ではあるが一時は大佐にまで昇りつめた人らしく、大規模作戦への参加も何度かあり経験はかなり豊富な男とのコトなんだが…

 

「そもそも大佐から大尉に落とされるってかなり危ない奴なんじゃないの?」

 

「だよねぇ〜…」

 

「たぶん………相当に悪いヤツ」

 

先方を待つ間にみんな好き勝手な事を喋っているが、正直な話、そう言う事は誰が聞いているのかわからないからあまり口に出してはいけないと注意した方がいいのだろうか…?

 

「とりあえず桜井中将に連絡してまだ先方が到着してないってコトを伝えるか…」

 

「そうだね」

 

時雨に桜井中将への連絡を手配しようとしたその時、島風があっちから誰か歩いて来たよーと声をあげたのでそちらを見ると、たしかに………誰かが、ん?誰か…?

もしかしてあの人が先方の大尉………でいいのか?い、いや…たぶん

 

「ノースリーブにサングラスだね」

 

「あ、あぁ…」

 

さすがに時雨も含め、ウチの艦娘達もドン引きのスタイル……いや、ノースリーブでサングラス自体もアレだけど、今の季節は冬ッ!圧倒的なまでに冬…ッ!外気温は最高気温一桁の今日ッ!

 

「やぁ、お待たせしたね」

 

「あ、いえ……はい、あの……本日の演習をお受けして頂いた大尉………ですよね?」

 

やばい、思わず疑問形で聞いてしまったが、ノースリーブサングラス大尉は特に気にした様子も見せず肩をすくめて見せた

 

「ご覧の通り、軍人さ」

 

…軍人?ご覧の通り?

 

「遅れてしまってすいませんでした、このノースリーブサングラス大尉が電車を一本間違えたせいです」

 

ノースリーブサングラス大尉の横に居る長い青髪の艦娘がすいませんでしたと頭を下げる、たしかこの娘は……え〜と、白露型の…たしか時雨の姉妹艦の子だったかな、たしか、名前は…

 

「すず…」

 

「五月雨だよ、中尉」ボソボソ

 

「失礼、五月雨さんですね、教導艦隊日南司令部候補生です」

 

危ない危ない、時雨が小声で教えてくれなかったら間違えるところだった、危ない危ない

 

「私のコトは気さくに大尉とでも呼んでくれたまえ」

 

「は、はぁ…」

 

ノースリーブサングラス大尉はフェアに戦おうぜと言いつつ握手を求めてきたので、こちらもその手を握り返………

 

「甘いぜボーヤ!」

 

「!?」

 

ノースリーブサングラス大尉は握手と見せかけて膝蹴りで飛びかかってきたので思わず避けてしまった

 

「チッ………やるじゃないか」

 

「な、な!?」

 

なんだいきなり!?ノースリーブサングラス大尉の強襲に、ウチの艦隊達がざわめき立って抗議の声をあげた

 

「いきなり何するんだコイツ!」

 

「ひなみん!敵だよ敵!コイツやっぱ悪いヤツだよ!」

 

「ま、待つんだみんな!な?落ちついて!まずは落ちつこう」

 

抗議の声と殺気立つ艦娘達を宥め、再びノースリーブサングラス大尉と向き合うと、ノースリーブサングラス大尉は不敵な笑みを浮かべた

 

「なるほど、突然の不意打ちにも動じない良い将校だ、悪かったね、試すような事をして」

 

「試す…?」

 

あ、あぁ…なるほど、今のはそーゆー意味だったのか、びっくりしたなぁ、色々な意味で今までに会った事のないタイプの将校だな

 

「い、いえ…こちらこそ」

 

改めて握手を交わし、秘書艦を交えて本日の演習についての確認をする…

演習内容は通常戦の6対6の艦隊戦、お互いに事前の編成は知らないブラインドゲームだが、桜井中将曰く、ノースリーブサングラス大尉の指揮下には大和型まで居るらしいので、ある程度はこちらの練度に合わせた編成内容で来るとのコトなのだが…

 

「え〜と…大尉の方は、あの、見たところそちらの五月雨さんしか居ないみたいですが」

 

「私はただの同行秘書艦なので演習には参加しません」

 

「あ、そうですか…」

 

じゃあ、他に6人の艦娘が……あれ?もしかしてまだ来てないとか

 

「フッ、日南中尉……お見せしましょう、今日!君を地獄に突き落とす我が精鋭達を!」

 

「はぃ?」

 

ノースリーブサングラス大尉は大仰な身振り手振りでいでよ我が精鋭達よー!と叫ぶと、どこからともなく不気味な笑い声が聞こえてきた

 

「な、なんだ!?」

 

「ひなみん!アレ!あそこ!」

 

「ゲェーッ!通信用鉄塔のところに誰かがー!」

 

…たしかに、通信塔のところになにやら頭の上から足の先までスッポリとマントのようなものを被った6人の影がいる!?

 

「紹介しましょう、まずはミステリアスパートナー1号!」

 

「バゴァ!バゴァ!」

 

「ミステリアスパートナー2号!」

 

「グギャギャギャギャ!」

 

「ミステリアスパートナー3号!」

 

「フショー!フショー!」

 

「ミステリアスパートナー4号!」

 

「ジョアジョアジョア!」

 

「ミステリアスパートナー5号!」

 

「グロロロロ…」

 

「ミステリアスパートナー6号!」

 

「グフォフォフォ」

 

ろ…6人の艦娘…?いや、艦娘なのか?え…?艦娘だよな、たぶん、うん、ノースリーブサングラス大尉に紹介された6人の見るからに怪しいマント集団が降り立った、や、むしろなに一つ紹介されてない気もするけど…

 

「これが我が部隊!若手のイケメン将校を始末するべく集めた精鋭達よ!」

 

「は…はぁ?」

 

…ダメだ、ミステリアスパートナーってコト以外は何もわからない、いや、ブラインドゲームって…?え?これがブラインドゲームなのか…?

 

「さぁ、始めようじゃないかね日南中尉クン、殺戮のパレードを…ゴングを鳴らしたまえ」

 

「え?あ、はい…」

 

【宿毛湾教導艦隊】VS 【6人の精鋭達】

 

Warspite - ミステリアスパートナー1号

島風 -ミステリアスパートナー2号

神通 -ミステリアスパートナー3号

祥鳳 -ミステリアスパートナー4号

瑞鳳 -ミステリアスパートナー5号

時雨 -ミステリアスパートナー6号

 

「えー………」

 

改めて見るに、なんなんだよミステリアスパートナーって!!これ演習だよね?これ桜井中将知っててこの演習斡旋したの!?

 

「さぁ行くがいい我が精鋭達よ!ヤツらに本物の戦いと言うヤツを教えてやるのだ!ハハハ…ハッハッハ…ハァーッハッハッハッハ!」

 

ノースリーブサングラス大尉は何がおかしいのか、ゲラゲラと笑い、秘書艦の五月雨はクズですいませんでしたとこちらに頭を下げる

とりあえず、一応正規の演習である以上、たとえ誰が相手でも全力を尽くそう…




次回は後編
激突!教導部隊VS知性溢れぬ外道集団!


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バトルフィールド・オブ・対立主義 中編

このお話は坂下郁様の『それでも僕は提督になると決めた』の登場人物が出てきます、御許可頂き感謝です、はい

【登場人物】

ミステリアスパートナー
正体不明の謎のマント集団、暇人

桜井中将
日南中尉の上司、ワリと話がわかる系、たぶんビ●クコミックとかスピ●ッツを読んでそう

翔鶴
桜井中将の秘書艦、吐血しないまともな翔鶴、意外とノリがいい系


宿毛湾泊地特設演習場…

 

知性溢れるイケメン中尉率いる教導部隊と、突如として現れたノースリーブサングラス大尉率いる6人の悪魔艦娘達による戦いのゴングの鳴った!

 

「なにが知性だ!その賢いおつむを秋津洲よ!そのクレーンで破壊してやれーーーーっ」

 

外套を脱ぎ捨てたミステリアスパートナー1号こと秋津洲は果敢にも教導部隊で最も強敵であろう英国戦艦ウォースパイトに飛びかかった

 

「さぁ!とどめを刺してやるかもー!」

 

「…Fire」

 

「ぐわあああああぁぁぁぁかもー!!」

 

【秋津洲 轟沈】

 

「………一体なんのつもり?」

 

いきなりの急襲に少し驚きはあったものの、ウォースパイトの冷静で的確な判断で玉座型艤装が火を吹き、まずはノースリーブサングラス大尉の精鋭達の1人を沈めた

 

「つ、次!あきつ丸出ろ!」

 

「特種船丙型揚陸艦あきつ丸!行くであります!」

 

元気良く外套を脱ぎ捨て、次なる精鋭、ミステリアスパートナー2号ことあきつ丸がグオゴゴゴとよくわからない声?を鳴らしつつ英国戦艦ウォースパイトに向かう

 

「…Fire」

 

「ギャーッア!!」

 

【あきつ丸 轟沈】

 

ウォースパイトの玉座型艤装が再び火を吹き、次なる轟沈判定の旗が上がり、電光掲示板の轟沈リストに名前が点灯した…

 

◆◆◆

 

「いきなり2人もやられましたよ」

 

「あぁ、まさかいきなり2人もやられるとはな…」

 

まさか我が精鋭部隊をこうも簡単に倒してのけるとは、日南中尉か、なるほどただのイケメンではないらしい…

五月雨から缶のレモンティーを受け取ってひと息入れ、とりあえず今の現状について認めてみた

 

「そもそも、なんでよりによって戦闘向きじゃない人達を連れて来てるんですか」

 

「や、アイツらなんか暇そうにしてたし、演習行くけど一緒に来るかって聞いたら行く行くーって言ったし」

 

「なんでそんなちょっと買い物行くけど来るかみたいなノリで誘ってるんですか…」

 

「ま、まぁ…!大丈夫だ、なんたってこっちにはまだ4人の精鋭達がいる!大丈夫だ!」

 

「そもそも、私もあの怪しいマントの中身知らないんですけど、誰を連れて来たんですか?」

 

◇◇◇

 

いきなり2人も轟沈か……とりあえず、幸先の良い先制パンチを打てたと言うコトでいいのだろうか?

 

「でも…」

 

まだ油断は出来ない、相手はこちらの練度に合わせた編成をしているらしいし、今の2人は言い方的にはあまり好きではないけどかませ犬のような存在だった可能性もある、気を引き締めていこう

 

「ほぉ…なかなか幸先が良いじゃないかね」

 

「ん…?あ、桜井中将!」

 

艦隊の指揮をするべく備えつけられた指揮所に、桜井中将と秘書艦の翔鶴さんがやって来た

 

「だが油断は禁物だ、相手はあの“海軍1022事件”にて大将4、中将12、少将47を病院送りにしたフダ付きだ」

 

あのノースリーブサングラス大尉が…?そんなヤバい人なのか、いや、そもそも海軍1022事件ってなんだろうか?聞いたらマズいかなと考えていると、秘書艦の翔鶴さんがこちらを見てとても曖昧な笑みを浮かべていたのでとりあえず聞かない事にした

 

「相手が誰であろうが、とにかく…今の自分は、いえ、自分達はベストを尽くすだけです」

 

ーーー

 

敵艦2を沈め、勢いづく教導艦隊の面々達、祥鳳・瑞鳳の航空支援を受けつつ、まずは神通が先陣を切って残る4人の怪しい外套集団へと突撃を仕掛ける

 

「…行きます!」

 

水柱を上げつつ、右へ左へ動きながら隙を伺い、一瞬の好機と判断した神通は水柱を切り裂きながら目の前に立っている外套に砲を向けて撃ち抜いた

 

「直撃…っ!」

 

手応えあり!今の距離からの直撃は無事では済まない!轟沈判定とは言わないものの中破判定を確信した神通だったが…

 

「なかなかやるじゃないの…」

 

「な!?」

 

当たっていない!?あの距離で避けた!?………止まる事なく水上を疾走する神通の真横にピッタリとつくように外套を脱ぎ捨てた敵が並走している

 

「でも私とヤるにはまだ早いわね…」

 

川内型1番艦の川内、しかもこの敵は神通の知る川内とは違う高練度仕様、つまりは改二改装をした川内

ミステリアスパートナー3号ことニンジャマスター川内は並走しながらも特に砲を向けるワケでもなく、ただ、左腕を神通へと向けると袖から蛇が飛び出した

 

「な!?へ、蛇ぃ!?って!!イヤァァァァァァァ!!」

 

飛び出した蛇は神通の首に巻きついてその顔をチロチロと舐めただけだったが、さすがに神通とてお年頃の女の子、突然の、それも予期もしない緊急自体に意識を失って海上に倒れた

 

「あら…意外とだらしないのねぇ」

 

【神通 轟沈】

 

「………ん?」

 

水上で卒倒した神通を抱え、どうしたものかと考えている川内の頭に祥鳳・瑞鳳の放った艦載機からの支援攻撃が見事に突き刺さり、川内にも轟沈判定の旗が上がった

 

【川内 轟沈】

 

「やった!祥鳳姉ぇ!やったよ!」

 

「気を抜いちゃダメよ、まだ油断できないわ」

 

「あ、うん…そうだね、よし!次の索敵っと………ん?」

 

「どうしたの?瑞鳳」

 

艦載機を通して見る映像、瑞鳳はその映像になんとなく違和感を覚えた、なんだろう?さっきの変な感じは、今のは間違いなく轟沈の判定だったハズ………瑞鳳はなんとなく気になり、先程沈めた川内へ再び視点を移すと…

 

『シャアアアアアアア!!』

 

水面に浮かんだ川内の首が180度回転し、あり得ないほど大きく裂けた口から新たな川内が飛び出した

 

「うっぎゃああああああああああ!!!」

 

「ず、瑞鳳!?」

 

「あわわ、あわわわわ…」死ーン

 

【瑞鳳 轟沈】

 

ワリとスプラッタな衝撃映像に、瑞鳳は恐怖のあまり気を失った

 

「ちょっと!瑞鳳どうしたの!?何があったの?ねぇ!?」

 

まさか一発の打撃すら受けていないのにいきなり卒倒した瑞鳳を心配し、瑞鳳を抱き抱えた祥鳳はとにかくこの不可解な現状を伝えねばと日南中尉へと通信を飛ばした

 

◆◆◆

 

「鬼ですか」

 

「鬼じゃない、提督だ」

 

五月雨の冷静で的確なツッコミはさておき、さすがは伝説の外道ニンジャ川内だ、残念ながら轟沈判定は受けてしまったがヤツこそ不死の忍、ヤツを殺るには最低でも万華鏡写●眼か破●の瞳ぐらい持ってないとムリだろう

 

「しかしよく来てくれましたね、川内さん」

 

「あぁ、なんか新しい術を開発する生贄がどうのこうの言ってたがな」

 

「とんでもない悪魔と取引したんですね…」

 

しかしこれで3対4、相手は戦艦1、駆逐艦2、軽空母1か…できればあと1人ぐらいは殺って欲しかったがまぁいい、残る3人の悪魔達がヤツらを……いや、あの若きエリート様を地獄へと突き落とすのだよ

 

「あ、新しい轟沈判定出ましたよ」

 

「勝ったなガハハハ……って!オイイイィィィィ!!」

 

【神威 轟沈】

【速吸 轟沈】

 

電光掲示板に点灯したのはミステリアスパートナー4号ことムチムチエロス艦、神威クンとミステリアスパートナー5号こと世界最速の肩、速吸クンの名前が点灯していた

 

「ちょ!待てよ!」

 

「ちょ!待てよじゃないですよ、だから戦闘向きじゃない人連れて来てるんですか?神威さんも速吸さんも補給艦じゃないですか!」

 

「や、だってなんか暇そうにしてたからちょっと付き合ってくれってな」

 

「だから!なんでそんなコンビニ感覚で演習に誘うんですか!?マトモなの川内さんだけじゃないですか」

 

たしかに、本来ならば口からゲロゲロ吐く川内はマトモじゃない枠に入るのだが、相対的に川内がマトモに見える不思議ってヤツだな、こりゃ…

 

「…ちなみに、最後の1人は誰なんですか?」

 

「え?明石」

 

【明石 轟沈】

 

轟沈判定の電光掲示板が点灯し、試合終了を告げるサイレンが鳴った………そう、まるで最後の夏を終えるかのように無情なサイレンの音が…

 

◇◇◇

 

「まさか我が精鋭部隊6人を撃破するとは、なかなかやるな、中尉」

 

「は、はぁ…恐縮です」

 

教導艦隊と大尉率いる6人の精鋭…?精鋭との演習は無事に終了し、結果的にはこちらの轟沈判定2、小破0、中破0、大破0、対して相手は轟沈6とかなり一方的とも言えるワンサイドゲームになった……結果的だけ見れば…

ただ、練度的にはノースリーブサングラス大尉の部隊は平均練度97と高かっただけに、あえて戦闘向きでない艦で編成をしてきたと思うと個人的にちょっと悔しいものがある

 

「今回は色々と考えさせられるものがありました、ありがとうございました大尉」

 

「ハッハッハッハ、褒めるなよ、兵が見ている」

 

ノースリーブサングラス大尉か……まぁ、たしかに変な人ではあるけど、中将が言うほど悪い人ではないのでは…?大尉はこちらこそと言いつつ握手を求めてきたので今度こそ、その手を握り返した…

 

「零の悲劇ーッ!!」

 

「アダッ!?痛い!イタタタタタタ!!痛い痛い痛い!」

 

大尉はあり得ないぐらい凄まじい力で握った手を締めつけてきた!!

 

「ハァーッハッハッハッハ!バカめェ!この俺がイケメンなんぞと和解するワケがなかろうがーッ!全てのイケメンはすべらかく粛清じゃあ!」

 

前言撤回、このノースリーブサングラス大尉は中将の言った通りのフダ付きだ…

 

「このクソ黒メガネ!ひなみんにナニすんだこの野郎ーッ!」

 

「ウゲェーッ!!」

 

島風がノースリーブサングラス大尉の股間を蹴り、右手の力が緩んだところでなんとかの悲劇から脱出すると、殺気立った艦娘達が僕の前に立った

 

「グゥゥゥム!なんと言う強固な信頼関係、戦いに情けは無用!大切なのは怒りと憎しみの悪のパワーだけと思っていたが………フッ、日南中尉、君を見てそれは間違っていたとわかったのだよ」

 

「は…はぁ?」

 

「色々とすまなかったね、君がイケメンな事にSITTOしていたのだ、許してくれ」

 

ノースリーブサングラス大尉はサングラスを取り深く頭を下げた

 

「い、いえ……頭を上げてください大尉」

 

深々と頭を下げる大尉の手を取り、今度こそ和解を…

 

「零の悲劇ーッ!!」

 

「痛ァァァァァ!!痛い痛い痛いーッ!!」

 

「ハァーッハッハッハッハ!!バカめェェェ!!イケメン死すべし!イケメン死すべし!イケメン死すべしィィィ!」

 

ダメだこの人、完璧な外道だ…まさかここまでの外道とは!?ノースリーブサングラス外道大尉は島風だけでなく時雨や初雪なども加わった艦娘達に死ねやら地獄に落ちろなどと罵倒されながら蹴られて転がった

 

「クッ……!大したヤツだ、日南中尉、かくなる上は中尉!リングに上がるがいい、6人の精鋭達最後の刺客!この俺自らキサマを屠ってくれるわ!」

 

「な、ナニ言ってるんだ…アンタは」

 

ノースリーブサングラス外道大尉はベンチに座っていた6人の精鋭の1人、工作艦明石の首根っこ掴んで上空に放り投げ、まるでサッカーボールのヘディングをするようにガツンガツンと頭突きをして上空に跳ね上げた

 

「ぬぅ…アレは」

 

「えぇ…まさしく」

 

桜井中将と翔鶴さんが何かに気付いたように思わせぶりな顔と声で頷く…

ノースリーブサングラス外道大尉は上空に跳ね上げた明石を空中で両腕と足を極め、逆さまの状態で固定しつつ勢い良く落下して明石の頭を地面に叩きつけた

 

「ウッギャアアアアアアアア!!」ガゴォ!!

 

「ぬぅ…アレはまさしく海軍三大奥義の1つ、テイトクリベンジャー」

 

「て……テイトクリベンジャー?」

 

「その通り、日南中尉…君は軍の学校で見なかったかね?海軍三大奥義の壁画を?」

 

「海軍三大奥義の壁画…?」

 

そう言えば、校庭の隅になんか変な落書きみたいなのがあった気がする、たしか昔の卒業生のイタズラ書きとかなんとかだった気がするけど…

 

桜井中将曰く、テイトクリベンジャー、テイトクインフェルノ、テイトクスパーク、海軍が長い年月をかけて開発したという選りすぐりの3つの奥義はいずれも絶大な破壊力を誇る文字通りの必殺技であるが強靭なパワーとテクニックを必要とする難解な技であり、かの有名な連合艦隊司令、山本五●六はこの技を用いてかつての大戦にて名だたる強敵達を屠った事はあまりにも有名な話である………とのコトだが

 

「まさかテイトクリベンジャーを習得しているとは…」

 

「えぇ、さすがは梶和大将の隠し球と噂されているだけあるかと…」

 

ってか、桜井中将も翔鶴さんも妙に詳しいな…

ノースリーブサングラス外道大尉はテイトクリベンジャーの餌食となった明石を投げ捨て、こちらに向かって声をあげる

 

「ハァーッハッハッハッハ!さぁ上がって来い!日南中尉!」

 

「え〜……」

 

やるの?え…?やるの?演習はもう終わったんだよね?これは付き合う必要ないよね?とりあえず桜井中将と翔鶴さんの方を見ると、中将は力強く頷き、翔鶴さんはガンバ!と言いたげに両手を胸の辺りでグッとしている

 

「え〜…」

 

そして、周囲の艦娘達も僕がリングに上がるコトに物凄く期待を込めた眼差しをしていた、やるよね!ひなみん!やるよね!あんなヤツやっつけちゃうよね!と言いたげな期待の眼差し、そして、あのウォースパイトすら、その瞳は“ヒナミ、ぶっ飛ばしてさして上げなさい”と言っているのが言葉ではなく心で理解できた…

 

「はぁ………わかりました、やります、やりますよ」

 

その言葉に、大きな歓声が上がり、もはや逃げ場なしと覚悟を決めるしかなくなった…

 

「フッ、来るがいい中尉!!そのキレーな顔をフッ飛ばしてやる!」

 

「あぁ…はい、ではお手柔らかにお願いしますよ!あと!終わったらもう帰ってくださいよ!」

 




まさかの三回続く系、まさか…


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バトルフィールド・オブ・対立主義 後編

このお話は坂下郁様の『それでも僕は提督になると決めた』の登場人物が出てきます、御許可頂き感謝です、はい
ただ、今回は著しくキャラがおかしいのでご注意ご容赦をです…

【登場人物】

提督(203)
提督強度1500万パワーの完璧クソ提督
ストロングな技を好む傾向がある

日南中尉
提督強度96万パワーのイケメン中尉
バランス重視の初心者に優しいタイプ

桜井中将
今回一番のちょっとアレな人、本当はこんな人じゃないんです、本当にすいません


日南中尉率いる宿毛湾泊地教導艦隊とノースリーブサングラス大尉率いる6人の精鋭達との演習は宿毛湾泊地教導艦隊の勝利に終わった…

 

しかし、それは真の戦いの序曲に過ぎなかったッ!!

 

ルックスもイケメンな日南中尉に嫉妬の炎を燃やす大尉は日南中尉に“日南よ!決着は生身でつけようぞ!そう、今さらなんで艦娘に頼ろうものかァ!!出ろォ!貴様も武闘家ならば、自分の体で闘ってみろーッ!”と大人気なさの極みとも言える難癖を付け、なんか周りの期待の眼差しと空気になってしまった日南中尉はノースリーブサングラス大尉との真の決着を付けるべくリングに上がるコトになった…

 

「トゥアーッ!!」

 

ノースリーブサングラス外道大尉は日南中尉とまるで力比べするかのように両腕を絡めてガッチリと組み合った

 

「ぬぅ…アレは、審判のロックアップ!」

 

クソ大尉とイケメン中尉の戦いの審判役を買って出た桜井中将は秘書艦の翔鶴、あと、ついでにクソ大尉の秘書艦である五月雨と並んでちょっと立派な観戦席に座っていた

 

「あの男め、まずは日南の力量を測るつもりか…」

 

中将は力強く頷き冷静で的確な解説を入れてくれるらしく、秘書艦の翔鶴は曖昧に笑い、五月雨は翔鶴にこの中将なかなかノリがいいんですねと言ってレモンティーを啜った

 

「クックック!提督強度96万と言ったところか、下等提督めが!」

 

「……その提督強度がなんなのかは知りませんが、やる以上は負けませんよ!」

 

「その意気や良し!熱意や良し!」

 

ロックアップを外し、クソ大尉と日南中尉は互いに距離を置いた

 

◇◇◇

 

さて…どうしたものか、一応、兵学校で格闘術の訓練はあったからある程度はやれると思うけど、この男のタイプはよくわからない、さっきのテイトクなんたらみたいな大技を受けたら流石に立つ自信はない、まずは距離を取りつつ様子見か…

 

「どうしたボーヤ!ビビってんのか!こい!打ってこい!」

 

そんな考えを察してか、大尉は両腕を下げ、ノーガード状態でヘイヘイ打ってこいよと誘っている、やはり近接戦闘にかなり自信があるのか…?

 

「やっちゃえ!ひなみん!その黒メガネカチ割ってマットに沈めちゃえ!」

 

「あのムカつくツラをぶっ叩いて誰に喧嘩売ったのか後悔させてやるんだ!」

 

「そんな降格野郎、もっと落としちゃえ!」

 

……声援かな?これ、ってかウチの所属艦ってこんな口悪かったっけ?

 

「そうですイケメンの中尉!あのクソメガネをギタギタにしてやってください!」

 

「生まれてきてすいませんゴミなのにって土下座させてやるかもー!」

 

「イケメンの中尉殿!天使のように大胆に!悪魔のように大胆にであります!」

 

…よく見ると、大尉の部下であるハズの艦娘も交じってる気がするけど、どんだけ人望ないんだあの人は…

 

「グウゥゥゥムム!貴様ら後で必ず後悔させてやるからな!まぁいい、中尉よ…距離を取って安心と思って油断してはいないか?」

 

「なに…?」

 

「死ねっ!ピラニアンローズ!」

 

大尉はどこからともなく取り出した黒い薔薇を投げつけてきた、って……え?薔薇?

 

「って!痛…ッ!?こ…この薔薇、刺さった…!」

 

「フッ、ピラニアンローズはその名の如くまるでピラニアが獲物を食い散らす如く敵をズタズタにする 」

 

こ…この男、なんとかの悲劇とかテイトクなんとかのパワータイプの技だけじゃなく遠距離からも攻撃してくるのか、ってか……薔薇?一応、審判役の桜井中将に凶器攻撃では?と言う意味で視線を送ったが、中将は問題無しと言いたげに首を振った

 

「汚いぞテメェー!!」

 

「凶器!凶器攻撃だよ! あれは凶器攻撃だよ!」

 

「なんて汚いヤツ、なんて卑怯なヤツ、なんて卑劣漢…っ!許されないよ!」

 

黒薔薇凶器疑惑にブーイングに沸く艦娘達に、立ち上がった桜井中将は一同を一喝した

 

「黙らんかーッ!!小宇宙を込めた黒薔薇は立派な技!これは既に常識」

 

桜井中将の一喝にみんなはマジかよとかあり得ないしとか言ってざわついているが、中将がそう言っているので黙るしかない、ってか中将、小宇宙ってなんですか?兵学校でそんな常識教わった覚えないんですけど…

 

「グフォフォフォ、ハナシのわかる中将様で助かるぜェ…」

 

「クッ!」

 

「クックック、さぁ…トドメを刺してやる、眠るがいい中尉!薔薇の葬列に送られてな!ロイヤルデモンローズ!」

 

今度は赤い薔薇か…っ!足を止めて防戦一方では無駄に体力を使わされる!攻めないと!とにかく、相手に掴まれないように上手く立ち回る事を考えないと…

 

「むっ!こやつ!ロイヤルデモンローズに臆することなく向かってくるとは!」

 

「クッ!!」

 

よし!ちょっと痛いが、要はただの薔薇だ!全部躱す事はできなくても前に進むぐらいはできる!とにかくこっちも攻撃できる距離へ…

 

「うぅぅ…!うわあぁぁぁぁ!来るな!来るなァァァァァ!!ヒイィィィ!!」

 

「…は?」

 

一転し、大尉は怯えた様子で無意味とも言える薔薇を投げつけだした、なんだ…?何か近付かれる不味い事でもあるのか?それなら…ッ!!

 

「ヒイィィィ!!」

 

「よし!この距離なら…っ!」

 

「ちょ…調子に乗ってスンマセンしたァァァァァ!!い、命だけは!命だけは助けてくださいィィィ!」

 

大尉は助けてくれぇーと言いながら両手を挙げて抵抗の意思がないポーズを示した

 

「え…?あ……あぁ、はい、え?それは、あの、降参すると?」

 

「アナタ様のイケメンオーラには敵いません〜」

 

さっきまでの威勢はどこにいったのか、大尉はヘコヘコと頭を下げ、ごく、自然な流れでこちらの手をとり……

 

「零の悲劇ィィィィィ!!」

 

「痛ァァァァァァ!!痛い痛い痛い!ってか!痛ァァァァァァ!!」

 

「カーッカッカッカ!バーカーめェェェ!誰がイケメンなんぞに負けを認めるかぁ!」

 

ーーー

 

「汚い!なんて汚いヤツだー!!」

 

「そうだそうだー!死ね!お前なんか死んじゃえー!」

 

「日南中尉ーッ!そんな卑怯なヤツに負けないでー!」

 

観客席からの殺意溢れるブーイングにノースリーブサングラス大尉は実に気分良さげに鼻唄を歌う…

 

「カーッカッカッカ!キサマらの罵声などこの俺にとっては心地良い応援だわい!冷酷・冷徹・冷血!我が基地の教えでは当然のコトよ!」

 

さらに、ノースリーブサングラス大尉はなんちゃらの悲劇で膝をつく日南中尉を掴みあげた!!

 

「これでいよいよ……最後の審判だーッ!!」

 

日南中尉の背後から頭をブルドッキングヘッドロックのような形で掴みあげ、自分の右膝上に当てた状態で膝を高く抱え上げて一気に膝に叩きつけた

 

「ぬぅ…!あの技は!」

 

「知っているのですか?アナタ」

 

「かつての大戦にて立ちはだかる幾人もの強敵を血祭りにあげ海に沈めた海軍少将!ストロング・ザ・多聞丸の得意とするフェイバリット!“兜砕き”!!」

 

「まぁ、要はただのココナッツクラッシュなんですけど…」

 

迫真の顔で解説する桜井中将と秘書艦翔鶴、そして、レモンティーに飽きた五月雨の冷静で的確なツッコミはさておき、必殺の兜砕きが炸裂した日南中尉はマットに転がった…

 

「がはっ…!?」

 

「フッ…アディオス、中尉」

 

ノースリーブサングラス大尉は咥えていた薔薇をマットに転がる中尉に投げて背を向けた…

 

◇◇◇

 

き…効いたァ〜…今のはさすがに効いた、ヤバい、見た目だけじゃなくて破壊力も十分にあるまさにストロングな技、これは…

 

「負けないでー!!立ってー!立ってー!ひなみん」

 

「そうだよ中尉!中尉がこんなコトで負けるもんか!」

 

「ヒナミ!何を這い蹲っているのですか!それでも私のAdmiralですか!Stand and Fight……立って、そして戦いなさい!そして勝つのです!」

 

み……みんなの声が聞こえる、まだ立てる、僕なら勝てると…

 

『そうだぜ日南!海軍兵学校でのミーとの特訓を思い出せ!』

 

なんかこの場に居ないはずの人物の声まで聞こえてきた………ってか、猪狩?お前そんなキャラだったっけ?

 

『日南中尉!俺も君との熱い戦いで目が覚めたんだ!君はいつだって奇跡を起こしてきたじゃないか!』

 

樫井大佐まで………って、な、なんか違いますよね?大佐もそんなキャラじゃなかったですよね?

 

…そんなよくわからない声援だか激励だかはいいとして、みんなの前で、このままってワケじゃあ…いかないよな

せめて、せめて…あの黒メガネをカチ割るぐらいの一矢は報いてみせないと、このままじゃカッコ悪くて……みんなの前に立っていられない!

 

「そう……負けてなんか、いられないんだ…」

 

◆◆◆

 

「な…なに?バ……バカな、アレをその身に受け、なお立ち上がろうと言うのか!?」

 

こ…コイツ!必殺の完武・兜砕きを喰らったハズ…ついこの間まで少尉だったヒヨっ子が立ち上がれるワケがないのに、なんだ?この中尉から感じる強大な少宇宙は…!?

 

「ま…まさか!?」

 

まさか!この男!命尽きようとする極限の状態で目覚めたと言うのか!

 

「その通りだ、中尉は今まさに目覚めのだよ、少宇宙の真髄、セブンセン●ズにな!」

 

審判役の桜井中将殿は力強く、そして無駄に説得力のある濃い感じで頷きながら有難くわかりやすい解説を入れてくれた、しかしノリいいなこの中将…

 

「グゥゥゥムムム!セブン●ンシズに目覚めただとぉ〜?たかが中尉程度のボウヤ如きが…?そんなバカな話を認めるワケには行くかーッ!」

 

俺は必殺の黒薔薇を中尉に向けて放つ!しかしッッッ!中尉はまるで黒薔薇の飛んでくる方向があらかじめわかっていたかのような動きでそれを躱した!

 

「バ…バカな!俺のピラニアンローズを!」

 

「大尉!貴方は間違っている…っ!何がどう間違っているとかは説明し辛いですが、ただ!間違いだらけの貴方にだけは負けるワケには行かない!」

 

「グゥゥゥムムム!!」

 

こ…こやつ!まるでイケメン主人公のようなコトを…

 

「そうだそうだー!!ひなみんはお前なんかに負けないよーだ!バーカバーカ!」

 

「やっちゃえ中尉!あのゲスヤローを!」

 

「勝ちなさいヒナミ!アナタにはそれが出来る!」

 

「そうだァァァ!殺せェ!そのクサレメガネをズタズタにしてやってくださいよぉ!中尉殿ぉ!私のカタキをとってくださいよぉ!」

 

「反吐ブチ撒けさせてやるかもー!」

 

「中尉殿!天使のように大胆に!悪魔のように大胆にありますー!」

 

ひ・な・み!ひ・な・み!ひ・な・み!ひ・な・み!

 

観客一丸となって沸き起こる日南コール!グゥゥゥムム!な…なんだこの声援は…っ!まるで日南中尉が今から奇跡の逆転劇を起こす事を誰もが信じて疑わぬとでも言うのか!?それほどまでに信じる事が出来るのか!?

 

ーーー

 

「あやつめ、本物の主人公、そして仲間達との本物の信頼関係をその目で見て揺らいでおる」

 

「えぇ、そのようですね」

 

桜井中将と秘書艦はまるで我が子を見守る熟練にして練達の夫婦のように立ち上がる日南中尉を見守っていた…

 

「まだ若かりし日、かつての海軍兵学校で幾度も見た光景を思い出す……そう、あの当時の私は今の日南中尉と同じ嘴の黄色いルーキーで、超新星の白き狼と噂され…」

 

「あの……桜井中将」

 

「なにかね?五月雨君」

 

「その話、長くなりますかね?」

 

五月雨は茶菓子にと出されていた丸ボーロを全て食べ、秘書艦の翔鶴にスイマセンお茶のおかわりいいですか?熱めで、と頼んでリング上を指差した

 

「あ、ほら、桜井中将、翔鶴さん、そろそろ決着つきそうな感じですよ」

 

◇◇◇

 

「グロラァァァァ!!ナニが仲間との信頼だ!ナニが友情パワーだ!そんなものはまやかしに過ぎん!力こそが正義!この光溢れる地上を守るには絶対的な力が必要なのだーッ!」

 

トドメを刺すべく掴みかかろうと突撃した大尉のタックルを躱し、逆に、大尉の正面から首を絞める形で掴みかかる!出来るかどうかはわからない…っ!でもやるんだ!この一撃に全てを賭ける!

 

「この俺にパワー勝負を挑むか!こんなクラッチすぐに外し………な、なに!?バ、バカな!外れんッ!!クッ!ちゅ…中尉の提督強度がドンドンと上がっている!1000万…1500万…3000、5000!バカな!まだ上がると言うのか!?」

 

その、提督強度とやらが一体なんなのか最後までわからず終いだったけど…まぁ、仕方ない、たぶん桜井中将も知ってそうだったし、今度暇な時にでも聞いてみよう…

 

「行くぞ大尉ーッ!!」

 

「グオッ!グオオオオオォォォ!!こ…これはーッ!」

 

残念ながら僕には大尉のようなワケのわからない派手な必殺技みたいなものはない!だからこそ地味なりにも威力のありそうなこの技に賭けるッ!!

 

『フロントネックロックーーーッ!!』

 

ーーー

 

海軍兵学校のカリキュラム、格闘術の講座にて教わる事になるこの技は正面から前屈みにした相手の頭部を抱え込んで前腕部を頸部に回し、もう片方の腕で相手の片腕の上腕部を抱え込んで絞めつける地味ながらもその威力に定評がある技である…

 

「フロントネックロック、またの名をギロチンチョーク!」

 

桜井中将は興奮のあまり机を大きく叩き、いつもの有難くもわかりやすい解説を述べ、秘書艦の翔鶴は空気を読んで夫を立てる古き良き妻のごとく頷き、五月雨はへぇ〜そうなんですね〜と興味なさげに相槌を打つ…

 

「絞める!絞める日南中尉!耐える!耐えるクソ大尉ーッ!」

 

「行けーッ!ひなみんーッ!!」

 

「天使のように細心に!悪魔のように大胆にだよーッ!」

 

圧倒的、そう…圧倒的ヒナミコールとおとせコールの鳴り響く中、リング上の2人は力の限り攻防を繰り広げる…ッ!そして、奇跡の提督強度7000万パワーに達した日南中尉はなおも抵抗をする大尉の身体を絞め上げつつも持ち上げた!

 

「グロラァァァァ……!??」

 

そして、大尉は見た……日南中尉の背中を押す奇跡のパワーを、そして、大尉の背中から確かに感じる鬼の如き力を…ッ!!

 

「ガ……ガハァ………」

 

大尉の全身から力が抜け、グッタリとうなだれたところで桜井中将は試合終了のゴングを鳴らした…

日南中尉とノースリーブサングラス外道大尉の熾烈なる戦いは、遂に終結したッッ!!

 

○日南中尉 VS ●ノースリーブサングラス大尉

試合時間44分44秒 フロントネックロック

 

◆◆◆

 

………教導艦隊との演習を終え、基地への帰路につく電車に揺られる俺達…

 

「普通に負けましたね」

 

「あぁ、普通に負けたな」

 

まぁ、あのミステリアス編成で勝てたらそれはそれで問題がある気がするが…

 

「お茶くれや、お茶」

 

「はいはい、はい、どうぞ」

 

五月雨からペットボトルの茶を受け取り、痛めた喉を爽やかに癒すべくワイルドに飲みながら世界の車窓を眺めていると、五月雨が珍しく質問ありげに人のスネに蹴りを入れてきた

 

「なんだ?」

 

「なんで兜砕きだったんですか?いつもならスピンダブルアームから情け無用のあの技の場面だったのでは?」

 

五月雨としては、何故俺が地獄に一直線なアレを使わなかったのかが疑問との事だが、この野郎…どうせある程度の察しがついてんのにわざわざ聞くまでもなかろうに

 

「フン……青髪ロング子!言っとくけど、べ…別に手加減してあげたわけじゃないんだからね!こっちはもう完全に殺る気だったんだから!日南中尉が生き残っていたのは、たまたまよ!そう!たまたまなんだから!別にこれからの日南中尉がどう成長していくのか見てみたくなったなんて思ってもいないんだからね!」

 

「ツンデレか」

 

「ツンデレじゃない、提督だ」

 

そうだ中尉よ、上がってくるがいい…この俺の立つ高みまで!その時こそ、この俺も全てを賭した全身全霊を持ってお前を正面から叩き潰す事ができる、クックック…楽しみにしているぞ中尉よ…

 

「や、たぶん日南中尉だと大尉に追いつくどころかすぐに追い抜かれますよ」

 

「俺の心の声にまでツッコミ入れんじゃねーよ」

 

◇◇◇

 

…悪魔のような演習から数日後

 

「イタタ…」

 

大尉との戦いから数日、だいぶ良くはなってきたけどまだ全身に痛みがあるな…

 

「ひなみん、大丈夫?」

 

「ん?あぁ、大丈夫大丈夫」

 

執務机の隣に立っている島風が心配そうに声をかけてきたが、こんな事で心配をかけてはいられない

 

「ヒナミはもっと身体を鍛えるべきですね…」

 

「は…はぁ」

 

そして、執務室にどう見ても不釣り合いな頭の高い玉座に座り、高価そうな紅茶を飲むウォースパイトから厳しいお言葉…

 

「ん〜…別にムキムキマンにならなくてもいいんじゃない?あ、やば、死んだ」

 

さらに、執務室にあってはならない筈のこたつに寝そべり、よくわからないけど携帯ゲーム機のようなものでゲームをする初雪…ここ最近、マッスルなんとかなるゲームに興じているらしい

 

「そう言えば日南中尉、桜井中将が風邪引いたとかなんとか…」

 

「あ、あぁ…聞いているよ」

 

先日、桜井中将は海軍三大奥義の習得とかなんとか言って、こんなコトもあろうかと鍛えておいたこの身体とか言って年齢のワリには若々しさを感じる上半身を出してたらニコニコと笑う秘書艦の翔鶴さんに後頭部に拳骨を喰らっていたが……あれは痛そうだったな、うん

 

「………まぁ、海軍には色々とあるんだよな、色々と…」

 

正直なところ、二度と関わり合いにはなりたくない、そう思う冬の日だった…

 




次回は通常営業で鈴谷の尻がピンチな話、たぶん


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提督と見参!村雨改二!

戦慄!!村雨改二!!

【登場人物】

提督(204)
実力派のベテラン、ただ、浜風ちゃんの前ではいつだってルーキー

村雨(6)
右目のギ●スがオフにならなくなった、

鈴谷(58)
催事場のチョコレート売り場で考える難しい年頃



「あ、テイトクだ!おーい!おーい!」

 

「あ?」

 

明石の店で菓子パンと缶コーヒーを買い、喫煙所に行くべく廊下を歩いていると、なんかビッチ臭いのが廊下の先から歩いて来た

 

「…誰だオマエ?敵か?」

 

「誰だと何さ!誰だとは!どうよ?この新しい村雨は?どうどう?」

 

「村雨ェ…?」

 

そう言えば、なんか天龍姉妹のどっちかだかに改二改装の許可証だとかなんとかFAXが来てた気がするが……村雨?村雨っーとアレか、白露姉妹のバカコンビの片割れのアレか?

 

「どーよ?」

 

たしかに、この駆逐艦とは思えない超肉体はあの村雨だろう…ナニ食ったらこんないやらしい身体になるのかね、この子は

 

「もう完全にビッチだなオイ、なんだその胸は、重巡か?」

 

「駆逐艦ですぅー、白露型の駆逐艦ですぅー、お小遣いくれたらちょっとぐらい触ってもいいよー」

 

「お小遣いか……」

 

俺はポケットに入っていた一万円札を取り出し、村雨に渡さ………ずに、改めて財布にしまった

 

「ちょっと!くれるんじゃないの!?」

 

「なんでお前に小遣いなんかやらにゃいかんのだ、そんなに金が欲しけりゃ街にでも行ってぺえずりでもして来い、で、ホイホイ変なのに付いて行って中毒性は無いって言い張るクスリでも打って貰ってダブルピースでもして来い」

 

「やだよ!ねー!いいじゃーん!村雨改二のお祝いにお小遣いくれてもぉー!ねー!村雨新しい服とか欲しいしぃー!」

 

「えぇい!触るんじゃないよこのメスガキが!パパにでも買って貰え!パパに!」

 

「いいじゃーん!!オマエがパパになればいいじゃーん!」

 

「離さんか!この下郎め!」

 

村雨の野郎は人の腕を掴んでグイグイと己の凶器を使用してきた、なるほど…これが村雨改二、大した破壊力と言えるだろう、俺がただのおっぱい大好きのピュアなグリーンボーイならこの弾力に思わず財布の紐が緩んでしまうやもしれんが、だが村雨よ、この提督は経験豊富な実力派のベテランだ

 

「離せビッチが!」

 

「クッ…!なかなか手強いじゃない、この村雨っぱいにエレ●チオンしないなんて、ハッ!?ま…まさかやっぱりホ…」

 

「ホモじゃない、提督だ」

 

「じゃエレ●チオンしてよ、エレ●チオン、はい!3・2・1!はい!」

 

「するか!」

 

新しくなった村雨改二と不毛な言い争いを繰り広げていると、廊下の向こうから本物だけが持つ本物の輝きとビッチ臭を放つ本物のビッチが缶ジュース片手に歩いてきた

 

「お、テイトクじゃん、ナニしてんの?ゲームすんなら鈴谷も交ぜてよ、鈴谷も!」

 

「うるせぇよ、今取り込み中だ、消えろ」

 

「ハァ!?消えねーし!………っーかコイツ誰?新人?」

 

「新人じゃないですぅー!新しくなった村雨改二ですぅー」

 

「村雨…?あぁ、あ〜…え〜っと、あ、思い出した、なんか駆逐艦のくせにナマイキな乳してるヤツ」

 

鈴谷はゲラゲラ笑いながら村雨を指差してナニその服、狙ってんの?オ●サーの姫狙ってんの?ウケるーマジウケるーと村雨をディスった

 

「ハァ…?誰がナマイキだって……オバハン」

 

しかしビッチ界のスーパールーキー村雨も負けてはいない、鈴谷のPRIDEを刺激する冷静で的確な反撃で鈴谷をディスった

 

「オバ…!?はいキレたー………鈴谷久々にキレちまったよォー」ピキッ!パキッ!

 

「やる気っすかセンパ〜イ、言っとくけど村雨ケンカつえーですよぉ?」ピキッ!パキッ!

 

難攻不落のビッチ兵の異名を持つ実力派ビッチ、鈴谷と白露姉妹1のビッグボディを持つ村雨はメンチビームの火花を散らしながらアンアンと言いながらパイ合わせしつつ睨み合った

 

「とりあえず殴り合いして勝った方がテートクからお小遣いを貰う、OK?」

 

「村雨オッケーよ!」

 

「待て、何故俺がキサマらビッチどもに小遣いをやらにゃらいかんのだ」

 

コイツら、ナニごく自然な流れで俺の財布狙ってんだ、アレか? I am your fatherか?オマエの父親はこのワシだとかそんなアレか?そんなビッチどもに頭を痛めていると、俺の足元にナニかがぶつかった

 

「あ、あああああ!暁のアイスがぁぁぁ!」

 

……暁ちゃんが俺のズボンにアイスをぶつけていた

 

「悪いな暁ちゃん、俺のズボンがアイスを食っちまった、次は5段のを買うといい」

 

俺は財布から1万円札を取り出し暁ちゃんに渡してやると、暁ちゃんはウチには珍しい素直な良い子なのでありがとうございますなのですとお礼を言って頭を下げた、しかしこの子そそっかしいな、俺のズボンになんか恨みでもあるのだろうか…

 

「…やっぱりロリコン」

 

「これはもう言い逃れできねーし…」

 

村雨と鈴谷はやはりマダラか…みたいな顔をしてこちらを見ていた

 

「ロリコンじゃない、提督だ」

 

「でもお小遣い渡してたし…」

 

「アイスを弁償しただけだろーが」

 

「しかも1万円も…」

 

「暁ちゃんには良い物を食べ、素直な良い子に育って欲しいとの提督からの心尽くしだ」

 

そう、提督は暁ちゃんの一人前のレディを目指す向上心を高く評価しているのだよ、他意はない

 

「あ、鈴谷も素直な良い子になりたいんでお金貰っていいですか?」

 

「じゃ、村雨も素直な良い子目指すんで、はい」

 

「………よしわかった、オマエらとりあえずそこ並べ、よし、で、壁に手ぇついてケツこっちに向けろ」

 

鈴谷と村雨もきっと根は素直な良い子なのだろう、いや、素直と言うよりはアホなのか…2人は壁に手をつき、その、いやらしさ抜群のケツをこっち向けた

 

「ハァァァァァ………通・●・拳っ!!」

 

「おがぁぁぁ!!」

 

「もう一発ッッッ!!!」

 

「オゴォ!!」

 

とりあえず、村雨のいやらしヒップに通●拳が炸裂させ、さらに連続して震脚を踏む事で隣の鈴谷のサキュバスヒップにも通●拳をブチ込み、村雨と鈴谷は通●拳の衝撃で壁に激突し、お互いにケツを上げたままの状態でピクピクしながら前のめりに倒れ込んだ…

 

「ケッ……!ビッチが、反吐が出るぜ」

 

さて、手ぇ洗って帰るか…



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提督と絶対遵守の王様ゲーム

提督とサブマリンガールズによる王に挑む回

【登場人物】

提督(205)
KENZENな店でKENZENな遊びを楽しむ大人、手は滑る

潜水艦ズ
実力派エリート集団、みんな仲良し

女王陛下と田舎騎士
英国から来た高貴なる御方とちょっと頭が残念で胸元がスカスカな田舎騎士


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

軽空母、鳳翔がオーナーを勤めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だが………今日は実力派エリート集団、潜水艦の新年会の為にこの店は貸し切られており、喫煙所でタバコを吸っていた俺はたまたま通りがかった潜水艦どもに誘われて本日のこの席に同席しているワケだが……

 

「王様ゲームですってー!」

 

「ウェイ!王様ゲーム!ウェーイ!」

 

既にイイ感じにアルコールが入った潜水艦のアホな子達はウェイウェイとテンション高めにゲラゲラと笑い、優しいセンパイから上の口が限界なら下の口からじゃあ!とアルコールを注がれた26は既に緊急搬送が必要な感じでアヘっていた…

 

「ギャハハハハハ!!オイオイ、こんな若い娘ばかりの席だとオジサン興奮しちゃうなぁ!なぁオイ!おっと…手がスベーったのだよ」

 

「もー!テイトク超わざとらしいのね!」

 

「ちょ!膝触んなでち!ブッ殺すぞ!」

 

まったく!潜水艦は最高だぜ!と言いたい気分なのだよ、まぁ、基本的に潜水艦のアホどもはだいたい水着の露出狂集団なだけあって羞恥と言うのがワリと薄い傾向にある、故に、ちょっと揉むぐらいは笑って済ませられるのだが…

 

「触らないでください、訴えますよ」

 

まぁ、中には8っちゃんさんみたいな気難しい娘もいるが、それはそれでイイ…っ!オイオイ8っちゃんさんよ、そんなに見つめないでくれよ、興奮しちゃうじゃないか…

 

「イイ…っ!」ズギュュュン!

 

「ちょ…!やめてよオッサン、168達は長い分耐性があるからいいとして、ルイ子とかに変な影響与えるでしょ!」

 

「ルイ子…?誰だそれ?」

 

ウチに居たか?そんな変な名前のやつ…?頭を捻って考えていると、なんかキンパツの合法潜水艦みたいなのがヒョコっと顔を出してきた

 

「Luigi Torelliだよ!」

 

「あぁ、ルイジくんな、ルイジくん」

 

そういや居たな、そんな子が…昨年ウチに配属され、実力派エリート集団である潜水艦のセンパイ達に可愛がられてノビノビと成長している頑張り屋さんらしく、その頑張りぶりからSGGK、スーパー・ガンバリ・ゴウホウ・キッズと称されているそうだ…

 

「テイトクお酒飲むー?ルイが注いであげるよー?」

 

「おう!悪いなぁ、ガハハハ!コレ少ないけどとっておきたまえ!」

 

「Grazie!アリガトー!」

 

「ガハハハハハハ!」

 

ちなみにこのルイジくん、イタリア潜水艦だが、ドイツから狙われている身らしく、ドイツから来たおっぱい空母から“我が国に来い、お前にはその資格がある”としつこく誘われているらしい…

 

「テイトクテイトク!王様ゲームしよーぜ!王様ゲーム!」

 

「ガハハハ!構わんよ、しかし先に言っとくがイヨティン、俺が王になった暁にはイヨティンは少女から大人の女なるやもしれんがなぁ!ガハハハハハハ!」

 

「ギャハハハハハ!ウケるー!テイトクマジウケるー!」

 

「…14ちゃん、あまり調子に乗らない方が…」

 

姉である13ちゃんの心配を他所に、俺とイヨティンは肩を組んでガハガハ笑いつつ王様ゲームに参加するメンバーとテーブルを囲み、テキトーな紙にそれぞれ王の命令を書き箱に入れてゲームの準備をした

 

「よーし!やるぞー!」

 

「おー!14エロいコト書いたからねー!」

 

「ハッ?ケツの青いルーキーが生意気言ってんじゃないでちよ、この海にはオマエ程度のルーキーはゴロゴロいる」

 

ゲームに参加するのは8っちゃんさんと13ちゃんと新人の400くんを除き、俺、168、58、19、401、26、14、U511と呂500、そしてルイジ…なるほど、これはなかなかアツく、そしてハゲしい戦いになりそうだ、すげーワクワクすっぞと期待に胸を膨らませていると、本日貸し切りの倶楽部HO-SHOWの扉を開き、なにやら闖入者が入店して来た…

 

「ほぉ………ここが和のIZAKAYA、ホーショーか」

 

やって来たのは英国から来た赤い髪の女、PRIDE高き弓騎士アークロイヤル…ッ!

 

「む、そこに居るのはAdmiralと………submarine達ではないか」

 

「よぉ、騎士サマがこんなトコに何の用だ?」

 

「オイオイオイ、ここは騎士サマが嗜むみたいな上等な酒はないぜぇーッ!」

 

「ママぁー!この騎士サマにミルクでも出してやったらどうだい?ギャハハハハハ!」

 

倶楽部HO-SHOWは風営法に則って営業するKENZENな店である、決して街の荒くれ者達が集まり今日のクエストについてや、勇者の仲間を探しに来る場所ではない…

アークロイヤルは何がわかったのか、ふむふむと手を顎に当てて頷いていた…

 

「なるほど……これがアレだな、庶民的飲み会と言うヤツだな」

 

「誰が庶民だ、この田舎騎士が」

 

「騎士サマも参加するでちか?王様ゲェェェェム?」

 

「王様ゲーム…?なんだそれは?」

 

アークロイヤルは実に興味津々と言った感じに潜水艦のバカどもから王様ゲームの簡単な説明を聞き、なるほどなるほど実に庶民的だと頷き、これはまさに庶民文化だなと手をポンと叩いた

 

「よし!その庶民文化!王様げえむに参加させて頂こう!少し待て、今、女王陛下をお呼びする」

 

「は?」

 

「へ?」

 

「え?」

 

え…?今、コイツなんて言った…?今、陛下って…?

 

「女王陛下、こちらで御座います」

 

「Thanks a lot……突然お邪魔させて頂いてご迷惑ではないかしら?」

 

陛下ァァァァァァァァ!!!この女!まさかよりによってこの陛下が一番関わり合いになってはならない最低庶民文化の風俗営業店に陛下を連れて来やがったァァァァァァァァ!!

何考えてんだこの残念田舎騎士!アホか!?アホなのか!?本物のアホなのか!?

 

「女王陛下は日頃から庶民文化に大層興味を持たれているとても立派な御方でな、今日は貴君らに女王陛下を交え、庶民文化的げえむとやらの楽しみ方を教えて欲しい」

 

田舎騎士ことアークロイヤルはよろしく頼むぞと言ってすげーイイ顔で俺達に親指をグッと上げた

 

「ちょ!ヤバいって!」ヒソヒソ

 

「どーすんのよ!?王様ゲームに本物の王様降臨とかシャレになってないじゃん!?」ヒソヒソ

 

「ヤバいですって!ヤバいですって!」ヒソヒソ

 

「下手したら潜水艦一族郎党みんな断頭台送りなのね!?」ヒソヒソ

 

とりあえず、俺達はテーブルで円陣を組んで陛下降臨と言う名の緊急事態についての緊急対策会議を始めた

 

「落ち着け!みんな落ち着くんだ!cool!そう俺達はcoolだ、こんな時こそ最高のcoolだ!」ヒソヒソ

 

「そ…そうだね、coolだよ!」ヒソヒソ

 

「とりあえずアレだ、かしこいオツムのオマエらにもわかっているとは思うが相手はあの陛下だ、いいか?とにかく陛下に楽しんで頂く!いいな?とにかく陛下に楽しんで頂くんだ!」ヒソヒソ

 

俺達は円陣の中でそれぞれ目配せを完了し、互いに“死ぬなよ…”と言葉ではなく心で理解して円陣を解いてそれぞれのポジションに付いた

 

「では………」

 

そしてこの王様ゲーム、実は全員が書いた命令の他にゲームを終了と書かれた紙も入っているエキスパートルールを採用している、これは、ゲームの長期化を防止する狙いで発案されたものだが、まさかここでそのルールが役に立つ日が来るとは…

 

『王様誰だァァァァァァァァ!!』

 

まず最初の王は………陛下ッ!!まずは陛下ッ!当たりクジを引いたのは陛下…っ!

 

「これは当たりですか?」

 

「はい、当たりで御座います、女王陛下、続いてこちらの箱から命令をお引きください」

 

残念田舎騎士サマが恭しく陛下に箱を差し出し、陛下はちょっと楽しそうに箱の中をかき回して1枚の紙を取り出して中を開いた

 

「え〜っと………3番が王様にパイ…?パイビンタ?」

 

誰だそれ書いたのォォォォォ!!!バカか!?バカなのか!?誰だよ!って19か!19だな!オマエだよオマエ!ナニ目ぇ逸らしてんだテメー!

 

「ふむ…3番の方はどなたですか?」

 

陛下はパイビンタに関してよくわかっていないらしく、とりあえず3番の者に挙手を求めた

 

「お…押忍、に……26です」

 

26はビクビクと手を挙げ、陛下はではそのパイビンタとやらを私にしてくださいとにこやかに伝えた…

 

「え…?え…?やる……やるんですか?」

 

「はい、どうぞ」ニコッ

 

さらば26………断頭台で会おう、俺達は勇敢なる英雄26に敬礼を送り、26は泣きそうな顔で覚悟を決め、その凶器のようなオパーイを振った

 

「え…えぇ〜い!ニムニムバーン!」

 

ベシッ!

 

「…?」

 

陛下は何が起こったのか理解できないと言った感じで呆然としている、まさか陛下の高貴なる頰にパイビンタなど初めての経験だろう…

 

「えっと……終わりですか?」

 

「は、はい!終わりです!です!」

 

「なるほど………これがパイビンタ」

 

陛下は実に興味深いと言って深く頷き、残念田舎騎士はキサマァ!女王陛下にあまりに無礼なー!と吠えていたが、陛下から黙りなさいと言われてシュンとしていた…

 

続いて第2ラウンド!

 

『王様誰だァァァァァァァァ!!』

 

第2ラウンドの王は………陛下!圧倒的陛下!やはり引いてくる、当たりを!当然…っ!王である陛下には当たりを引くことなど当然…っ!

 

「えっと………王様が1番にガンメン騎乗…?」

 

誰だァァァァァァァァ!!!バカか!?死にたいのか!?なんでそんなご褒美……もとい、そんなメーレー書いたのは!?168!オマエか!目ぇ逸らしてんじゃねーよ!なんだよオマエ!欲求不満か!あ?欲求不満か!?

 

「ガンメンキジョー?…よくわかりませんが、1番の方はどなたですか?」

 

「ろ…ろーちゃんですって……」

 

さらばろーちゃん、来世では良い出会いを、俺達は無双の勇者ろーちゃんに敬礼を送り、ろーちゃんは泣きそうな顔でソファーに寝転び、陛下にろーちゃんの顔に跨がってくださいと頼んだ

 

「…いいのかしら?大丈夫?」

 

「大丈夫です!大丈夫ですって!さぁ!!」

 

「そ…そう?では……」

 

陛下のロイヤル顔騎と言う名の一足早い断頭台を受け、ろーちゃんは手足をバタつかせてイッて…いや、逝ったか…

 

「少し……くすぐったいのね」

 

陛下はやや曖昧な笑みを浮かべていたが、ご満足頂けたらしくクスクスと笑い、残念田舎騎士はキサマァー!陛下に対してなんたる無礼をーッ!と吠え弓を構えたが、陛下から黙りなさいと言われてシュンとしていた…

 

そして、続く第3、第4ラウンドも…王様は当たり前のように陛下、ただし、王の命令は王様をニムニムするだの王様から股間を踏まれるだの頭のおかしい命令で、王様をニムニムして逝ったのは19、股間を踏まれて逝ったのは401だった……

 

そして、ゲームが動いたのは第5ラウンド!!

 

「王様は………58!58が引いた…っ!王を!」

 

驚異の運70を誇る絶対女王の強運に競り勝ち、ついに新たな王が誕生した!

 

「よし!よし…ッ!58!オマエならイケる!引け…っ!引くんだ!」

 

「頼むよ58サン!」

 

「…でちセンパイ、ガンバって!」

 

「フッ、任せるでちよ!」

 

俺達の期待をその身に背負い!58は王の命令が書かれた箱に手を突っ込んだ!狙うはただ1つ!ゲームを終わらせるゲーム終了のカード!!

 

「ヘヘッ…このドローは重いぜ!でも58は引く!たとえこの指が、ペッキリ折れようと!!見せてやるでち!58の熱血潜水魂!ドーロ、ドロドロドロドロドロドロドロドロドロ…ドロォオーーーーーーッ!!」

 

勝った…ッ!!これは完全に58の切り札を引く流れ…ッ!!しかし!

 

ペッキリッ!!(骨折)

 

「ウッギャアアアアアア!!折れたァァァァァァァァ!」

 

「58ァァァァァァァァ!!」

 

箱の中でペッキリと折れた指で、58は1枚の紙を取り出し、中を開いた…

 

「に……2番が王様にビンタ……でち」

 

「2番……あら、私ですね」

 

陛下は初めての王様以外の役に大変ワクワクしていたらしく、それでは軽く…軽くですよと伝えてから58の頰をペチリと叩き、その…あまりに高貴なロイヤルビンタに潜水艦最大の強運艦、58は逝ってしまった…

 

「あ…?あ…?」

 

「そ…そんな58パイセンが…っ!」

 

「も…もうダメだぁ…もうお終いだぁ…」ガタガタ

 

か……勝てない!強運!高貴!誰もかなわない…完全にして完璧!強靭にして無敵!唯一無二の絶対なる王!これが究極女王…アルティメット・クイーン!ウォースパイト陛下ァァァァァァァァ!

 

「王様げえむ………少し戸惑う点もありますが、とても面白いですね」ニコッ





次回から節目の前の連続回、第五特務壊滅編
たぶん全4回!


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第五特務壊滅編 前編

400手前の節目の連続話、たぶん全4回!
難しいコトにも挑戦したい気難しいお年頃

【登場人物】

提督(206)
前回潜水艦とウェイウェイ言ってた人、今回の口癖は、なんてこった!クソったれ!

天海中佐
主人公オブ主人公、イケメンで、有能で、過去になんかある、ナイス主人公の鑑



「どうして戻って来たのですか…?」

 

何故、俺がこの場に戻ったのか、その理由がまったく理解出来ないとマヌケな顔をした天海に予備の弾倉を投げ渡し、俺は火の点いたタバコを指で弾いてそこら辺に捨てた、本来ならポイ捨てはしない主義だが………まぁ、ここなら辺り一面灰皿みたいなモンだろ

 

「仲間だから!!」

 

「………はぁ?」

 

天海はナニ言ってんだコイツみたいな顔をしているが、うん、まぁ、今のちょっとアレだったな

 

「あー……悪い悪い、間違えたわ、やっぱナシ、今のナシな」

 

「は、はぁ?」

 

「では改めて………友達だからっ!!」

 

天海はさらにナニ言ってんだコイツみたいな顔をしていたが、どうやら俺の言いたい意味を汲んでくれたらしく、いつものイケメン特有の嫌味のない笑みを浮かべ、そうですかそうですかと苦笑しながら立ち上がった

 

「なるほど………持つべきものは、友ってワケですね」

 

「どうだ?燃えるだろ?」

 

「えぇ、燃えてきましたよ…」

 

どうやら天海も少年漫画的なアツい展開は嫌いじゃないらしく、力強く立ち上がった姿には先程までの敗色感も疲労感もない、まぁ、むしろこの辺一帯がワリと燃えてるケッコーヤバい感じなんだが…

 

「さっさと用事片付けて帰るぞ天海、明日はお嬢様とお買い物の約束してるんでな、お前にゃ運転手兼荷物持ち兼財布っー重要な役目があんだよ」

 

「それはそれは………大役を任されましたねぇ」

 

新しいタバコに火を点けて煙を吐きだし、改めてこのヘヴィな状況にうんざりしたものの、まぁ、こうなっちまったものは仕方がない…

 

「さぁ〜て、こっからは俺とオマエで、女子供にゃ見せられない!ドキッ!男だらけの大乱行パーティーと行こうかァ!」

 

「では………付き合って貰いましょうかッ!」

 

──────脱出限界時間迄残り、20分

 

◆◆◆

 

クソほど寒い冬の執務室、五月雨から大将殿から電話ですよイヤな予感を感じながら受話器を受け取ったが、案の定イヤな予感が的中する内容だった…

 

「…はぁ」

 

「コーヒー淹れましょうか?」

 

「アツめでな」

 

五月雨は一瞬目を丸くしたがすぐにコーヒーですね!コーヒーと言ってそそくさと愛用のコーヒー機材の準備を始める、しかし、機材も原料も腕も一杯に注ぐ情熱も、全てが一流であろうコイツのコーヒーは何故あんなにマズいのか…

 

「はぁ……オイ、クリーニングした俺の制服どこにあるか知ってるか?」

 

「そこのロッカーに入ってますよ」

 

「ロッカーね、はいはい、ロッカーロッカー…ロックじゃねーの」

 

ロッカーを開けると、たしかにクリーニング済みと一目でわかる俺の制服が掛かっている、基本は会議んトキとかしか着ないのでそもそも自分でどこにあるのかすら曖昧なんだよな

 

「…それで?中央にお呼ばれでもしたんですか?」

 

「お呼ばれしたんだよ、バシッとした格好で来いってな」

 

「お土産はどうしますか?ひ●こ饅頭で?」

 

「そうだなぁ〜…あのクソオヤジにゃひ●こ饅頭ぐれーで上等だ」

 

「わかりました」

 

五月雨は今しがた淹れたばかりのクソマズコーヒーを執務机に置き、ついでに、自分用に買い置きしていたちょっとお高い生チョコも出して俺の前に置いた…

 

「………相変わらずマズいな」

 

「失礼な」

 

マズいものをマズいと言える大人である俺は相変わらずマズいコーヒーをちょっとお高い生チョコでダメージ緩和した

 

「今回は何のお話ですか?」

 

「さぁな、まぁ…あの口ぶりはロクなコトじゃないのは確かだ」

 

ま、直接会ってじゃないと話せない内容ってコトには察しがついたが…それだけに、今回の呼び出しはイヤな予感が警戒レベルいきなりMAXだ

 

「とりあえず、明日明後日には出るからオマエもお泊まりセットとか準備しとけ」

 

「はぁ?私も行くんですか?」

 

「当たり前だ、オマエは俺のなんだ?」

 

「部下ですね、たぶん」

 

「ナニがたぶんだ、オマエは部下、俺は上司、オマエが万騎長なら俺は大王だ、わかったか青髪ロング子が」

 

「はいはい、そうですね」

 

◇◇◇

 

白く、飾り気のない病室で眠り続ける少女のベッドの傍らに立つ青年は、眠り続ける少女に何かを語りかけ、そして、右手で少女の頰を触ろうとして………やめた

 

「……」

 

昔とは違う、今はもう、自分の汚れた手で少女に触る事は出来ない、青年はその手に改めて決意と殺意を確認し、最後に一言、行ってくるよ、とだけ言って病室を後にした…

 

 

眠り続ける少女の名は天海優…

 

海軍参謀司令第五特務部、天海特務中佐に残された唯一の家族であった…

 




次回は中編、です


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第五特務壊滅編 中編

誰得尻アスパートその2、開幕牙司令

【登場人物】

提督(207)
功を焦る軍隊に良い未来はないな

梶和大将
通称大将殿、海軍三大奥義を使える

五月雨(59)
髪の長い駆逐艦、超長い

天海中佐
主人公オブ主人公


「はぁ…?それはアレっすか?」

 

「まぁ、要はアレじゃな、アレじゃアレ、最近よく聞く………DG」

 

海軍中央司令参謀部施設の地下に作られた上級将校専用のサウナ室、使用頻度も利用者も少なく、また、実はこんな部屋がある事自体を知らない者も多く、ハッキリ言って予算の無駄遣い施設だが、こーゆーコトに公金を突っ込めてシレッとしていられるのが大人の特権である

 

そして今、その無駄遣いサウナには全裸の男が2人で向かい合って座っている…

 

「ナニがDGだ、BGだろ」

 

「そうじゃそうじゃ、カッカッカッカ!」

 

そっちじゃったわー!と大将殿は何がそんなにおかしいのかゲラゲラ笑い、ついでに大きな屁をコイた

 

「クサっ!この狭い部屋でなんてことしやがんだこのクソオヤジ!」

 

「カッカッカッカ!まぁ、そーゆーワケでヨロシク頼むぞォ!」

 

「何がヨロシク頼むぞだよ、くだらねぇ…そーゆーのはキ●タクにでも頼めよ、冗談じゃねーっの」

 

…今回大将殿から呼び出された厄介オブ厄介事の用件、それは、平たく言ってしまえば以前、大人の事情で見合いした超絶箱入りお嬢様(JS)の社交界的お披露目を兼ねた企業のパーリーが開催されるらしく、俺はそのパーリーにてお嬢様(JS)の身辺警護をやれと言うハナシなのだが…

 

しかしこの仕事、普通に考えれば、栄えある海軍大尉である俺がやる仕事ではない、そんなものはキム●クに頼めばいい話なのだが、どうにもこのパーリーに乗じて軍の後ろ暗い部署と裏社会の国際的な大手が絡んで色々とやらかしているらしく、当日はかなり高い確率でドンドンパチパチ、ドンパチパーリーが開催される可能性大とのコトだ

 

「まぁそう言うな特佐、ワシにも色々ある、色々なぁ」

 

「ナニが色々だよ、テメーの色々に巻き込むなっーの」

 

ちなみにこの任務に併せ、俺の階級は例外的に大尉から特佐とか言うふわふわした感じの階級に引き上げられるらしく、理由としてはお嬢様の護衛がしょーもない尉官では格好がつかんとのコトらしい、とりあえず少佐相当にあたるよくわからないふわふわした佐官に限定的に引き上げるそうだ

 

「はぁ………ってか、身辺警護がなんで武器の持ち込み禁止だよ?おかしくね?チャカは?ハジキは?ピストルは?俺はナニをどーやって護ればいいの?」

 

「大丈夫じゃ、お前には硬度4.5!肉のカー●ンがあるじゃろーが」

 

「ねぇよ、っーかさすがに銃が出たら分が悪いわい!死ねっーんかい!」

 

「そうじゃ、有馬のお嬢様だけは護って死ね」

 

このクソオヤジ、なんてコトをハッキリと言いやがる…

 

「言っておくが、有馬の現当主兄妹からは妹にカスリ傷一つけようものなら、カスリ傷一つにつき、百回殺すとのお達しだ」

 

「あ、悪魔か…っ!」

 

有馬の現当主兄妹、今の有馬グループの実質的なトップらしく、お嬢様(JS)の歳の離れた兄と姉なそうだ、兄の方は政経雑誌で、姉の方はたまにテレビで見たコトぐらいはある…

 

「だいたいオマエ、チャカ持っとっても役に立たんじゃろ」

 

「役に立たんとかゆーな!苦手なだけでちゃんと使えるわい!」

 

「嘘をつけ」

 

「嘘じゃねーし、こないだ基地で開催した射的大会じゃ一番多く屋台をブッ壊したしな!」

 

まぁ、当日使った銃は夕張に三千円握らせて作らせたジャイアントガトリングを使用し、射的を破壊した後“俺はまだ弾丸を撃ち尽くしてはいないッ!”と思い立ち、たまたま近くを歩いていた鈴谷に乱射したのだが………あと、射的大会の成績は満場一致で反則負けだった

 

「まぁいい、ま、精々頑張るがいい、お嬢様の護衛、身辺警護人、DGを!」

 

「BGだよ!」

 

◆◆◆

 

隠し事無用、秘密の会談を終えた俺と大将殿は、とりあえず最後の晩餐になるやもしれんし、オマエとオマエの秘書子に美味いモン食わせてやろうと些かお高価い肉を食べに来ていた…

 

「ほれほれ、ドンドン食え、ドンドン、パチパチ焼けるからのぉ、ほれ、髪長お嬢ちゃんの〜……え〜?髪?髪なんとかちゃん」

 

「はぁ、いただきます、あと、五月雨です」

 

「そうじゃったそうじゃった!カッカッカッカ!」

 

クソオヤジは焼いた肉をひょいひょいと五月雨の取り皿に入れガハガハ笑っている…

 

「おいジジイ、俺の肉がないんですけどぉー?」

 

「あ?勝手に焼いて、勝手に食え」

 

「俺が焼いてる肉までこの青髪ロング子に渡すな!ってか、いつからそんな甘くなったんだよ?あ?アレですか?ロリコンですか?いい歳コイたジジイがロリコンですかー?」

 

「ロリコンじゃない、大将じゃあ………ま、ほら、アレじゃな、孫は可愛い的なアレじゃ、アレ」

 

「ナニが孫だよ、おいサミー、オマエからこのお爺ちゃんに言ってやれ、早く死ねって」

 

大将殿は五月雨に甘い、そう、会った時には必ずお小遣いを渡すぐらい甘い、まったく、ウチの子を甘やかすのはやめて欲しいのだわ

 

「あ、これ良い感じに焼けてますよ、はい」

 

「ん?あぁ、悪いな」

 

五月雨はここぞとばかりにお高価な肉を食べつつも俺の取り皿に肉を放り込んでくる、コイツのこーゆーところがムカつくんだよ、こーゆートコが

 

「サミ……?サミなんとかちゃん、ワシにも…」

 

「ご自分でどうぞ」

 

「厳しい…ッ!!オイ!この子ワシに対して厳しいんじゃあないか…?ワシのシルバーハートがズタズタになるぞォ!?」

 

「ズタズタになりゃいいじゃん、おいサミー、タレく…」

 

「どうぞ」

 

嗚呼………本当に腹が立つ

 

◇◇◇

 

「お久しぶりです、大尉………ではなく、特佐でしたね」

 

「よぉ、天海」

 

大尉……ではなく、特佐はやる気なさげに煙草の煙を吐き、吸殻を灰皿に押し付けて深くため息を吐いている

まぁ、彼からすればため息以外の息は出ないのだろう…

とりあえず行きましょうかと声をかけ、特佐と共に車に乗り込みエンジンを始動する

 

「………で?どーよ?やるの?やらないの?」

 

「やるやらないで言うならやるでしょうね、正直、僕はこの為にここに居たと言っていいですし」

 

「そうかぁ〜…やるかぁ〜」

 

特佐は上着の中から煙草を取り出し、火を点けようとしていたので禁煙車ですと伝えるとイヤそうな顔でヘイヘイわかりましたーと煙草を上着の中に戻した

 

「…ま、オマエの事情は仕方ないとして、とりあえずコレだけは言っておく」

 

「はい?」

 

「危なくなったら守ってね」

 

「ヒロインですか、アナタは…」

 

…正直、これほどまでにまったく嬉しくない守ってねはそうは無いだろう、特佐はゲラゲラ笑いながらですよねーと言っているが………まぁ、これが彼の好きな小粋なテイトクジョークと言うやつだろう

 

「特佐こそ、今回は本気で危ない橋ですが………ちゃんと五月雨さんに色々と伝えてるんですか?」

 

「バカ言うんじゃないよ、アレは俺が選んだ秘書艦だ、俺とアレの間に余計な遺言など要らねぇな」

 

「そうですか」

 

ーーー

 

…子供だった頃、僕には妖精が見えました

妖精が見える者は艦娘を率いる海軍司令としての適性が高い、そう言われ、その日から将来はきっと僕も大勢の艦娘を率いて共に戦う立派な海軍の将校になるんだと信じ、日々、勉学や運動に励んできました、いつの日か、皆の前に立つ司令として恥じる事のないようにと…

 

ただ、その夢はある事件を境に消え…

 

妖精は僕の眼には映らなくなり…

 

そして、僕には新しい夢………いや、必ず果たすと誓ったドス黒い目的が産まれ、僕の手に一縷の希望だけが残されていた





次回は後編、ちなみに最後は完結編


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第五特務壊滅編 後編

細かい説明要素はゼロで雑に進む尻アスパート、その3

【登場人物】

有馬優
提督の花嫁編 以来の登場の超絶箱入りお嬢様、全国平均を下回る小柄さ、見た目も実年齢も声かけ事案待ったなし
驚くほど好意的ながらとても消極的

美音少佐
第五特務部少佐、天海の同僚で後輩、無乳




さて皆さん、僕は今、年収億に届いてるのが当たり前的なセレブリティな方々が沢山いらっしゃるセレブリティな会場に来ています、右を向いてもセレブ、左を向いてもセレブ、隣にはガタガタ震える全国平均より下回るであろう小柄なJS、そして正面には………

 

サブマシンガン的なモノを持った屈強なマスクマン達がイキってよくわからない言葉でナニか吠えてます、はい

 

「…!……!!」ガタガタ

 

「あ〜…大丈夫、大丈夫ですよお嬢様、こーゆーのはなんだかんだでなんとかなるんです」

 

「……?」ガタガタ

 

「とりあえず、お嬢様だけは俺が命に代えても………いや、やっぱ代えるのはナシで、うん、ナシで」

 

この状況に、混乱と恐怖で震えるお嬢様を安心させるべく、とりあえず気の利いたコトでも言ってみようとしたが特に思いつかないのでやめた、ヤダなぁ、俺こーゆーおとなしめで繊細そうな今風の子ニガテなんだよなぁ〜…

 

「ま、とりあえず怖いなら目ぇ閉じて俺の裾でも掴んどいてください」

 

「…!///!」コクコク

 

素直なお嬢様は目を閉じて俺の裾あたりをガッツリ掴み、俺にぴったりと寄って来た、まぁ…素直なコトは良いコトだ、ウチのアホガキどもにも是非見習って欲しいものなのだよ…

 

「さて…」

 

この状況がワザとなのかワザとでないのかは知らんが、天海クンよぉ〜………もうちょいしっかりやってくれねぇかな〜

 

◇◇◇

 

サカキさんとの連絡が途絶えて3分、状況的には既に行動は起こされた後だろう、元々、第五特務部自体が人手不足感は否めない部署だったのでこの結果は仕方ない…

 

『中佐、今どこにいますか?』

 

「47Fです」

 

『47ァ!?なんでそんなトコに!?中佐の持ち場は…』

 

「そんなコトはどうでもいいでしょう、ちょっと忙しいので切りますね」

 

取り外したインカムを踏み潰し、予め設置されていた起爆装置を無力化しながら歩く、時折、銃撃もあるがそこはまぁ…こちらも躊躇する程お人好しではない

 

「さて……」

 

ある程度は予測範囲内ではあるが、色々と誤差も生じている、会場が抑えられるのは思ったよりも早く、こちらが手を打つのが遅れてしまった…

たぶん、特佐が今頃有馬の末妹の手前、涼しい顔して安心しろ、安心しろよお嬢様、ゲロを吐くほど怖がらなくていいじゃないかとか言いながらも内心ではブーブー文句をタレているだろう

 

『Fuck it!』

 

『This Damm bastard!!』

 

………幾らで雇われたか知らないが、武器と数だけはよく集めたものだ、こちらの接近に気付くのに遅れた武装集団の兵を速やかに処理し、手にしていた起爆装置の回路を切っていると、彼ら持ち物であろう電話がバイブの振動と共に淡い発光をする画面を見て、その通話ボタンを押す

 

『…What is the situation?』

 

「I'll go and kill you right now」

 

通話先の相手は一瞬戸惑ったようだが、すぐに落ち着いて現状を把握したらしい

 

『………誰だオマエ?』

 

「国際交流ビルの事件を覚えているか?」

 

『………さぁ?覚えがねぇな、似たようなモンはそこらでやらかしたな』

 

「そうか」

 

床に落とした携帯を踏み潰し、耳障りな忌々しさを振り払う

 

「………まずは、人質か」

 

すぐにでも殺しに行きたい、その衝動を抑え、予備の弾倉を詰めて再び歩き出した

 

◆◆◆

 

ちょっと訛りはあるがたぶん英語っぽい国際色溢れる屈強なマスクマン達がインカムっぽいもんに怒鳴りながらファーックスだのなんだの言ってるのはなんとなくわかるが…

俺としてはそろそろトイレ休憩とかタバコ休憩とか取りたいんだが…

 

「……!!」

 

「あ?」

 

なんかマスクマンが1人こっちに向かって歩いて来た、これはアレだろうか?もしかしてムシャクシャしてきたし!1人づつ射殺すっぞ!みたいな流れだろうか?

 

「…!…!…!」ガタガタ

 

マズいな、もしお嬢様がこっちに来いやオラァ!とか言って腕でも掴まれようモノなら、お嬢様の細腕じゃ脱臼確実ぅ!いやいや暴れて頰にビンタされてもおかしくない流れだ、ハッキリ言ってそれはよろしくない、そう、大変よろしくない、俺がよろしくないのだ

あっちのババアんトコ行けと祈ったものの、屈強マスクマンはやっぱりこっちに来た、どうやら屈強なマスクマンはロリコンらしい…

 

『Hey……』

 

「まぁまぁ待ちましょうよ、ミスターマスクマン」

 

『Ah…?』

 

「その超汚い手で、この真っ白なお嬢様に触るんじゃねーよ、バーカ」

 

とりあえず、小粋かつフレンドリーにミスターマスクマンの肩をバシバシ叩き、一瞬、ナニ言ってんだコイツ?みたいな間が空いたところで、大きく振りかぶった左腕をミスターマスクマンの首元目掛けて叩きつけ、ミスターマスクマンのマスク狩りを完了した

 

「や……」

 

やっちまったァァァァァァァァ!!なんか流れ的についやっちまった!いかんなぁ、マスクなんか被ってたらそりゃマスク狩りの儀式したくなるのが男の子だろ?まぁ、つまりアレだ、俺は悪くない

 

「////!?」

 

…まぁ、やっちまったモンは仕方ない、マスクマンはまだ見えるだけで5人はいるし、全員サブマシンガン的なものを携行済みだ、こうなりゃお嬢様だけは抱えてそこらのセレブを盾なり壁にしつつ全力ダッシュしかないか…

 

マスク集団はなにやらファーックスとか言いながらこっち向かって銃口を向け…

 

ゴトッ………!

 

「ん?」

 

天井から、マスク集団の足元に落ちてきた何かが爆発し、激しい閃光と爆音が部屋の中を包み込み、誰のものともわからない悲鳴が部屋中に響いた

 

「チッ…!」

 

とりあえず、俺はお嬢様の盾になるようにマスク集団に背を向ける形でお嬢様の正面から抱きしめるように抱えこんでしゃがむ、って……!痛てッ!カスった!なんかカスった!!

 

「大丈夫ですか?特佐」

 

「大丈夫に見えるか?」

 

「えぇ、ワリと」

 

天井からスタングレネードを放り投げ、混乱の間にマスクマンを一通り無力化したらしい天海はいつもの嫌味のない爽やかイケメンスマイルで俺に手を伸ばしてきた

 

「おせーよ!危うくサブマシンガン相手にマスク狩りとか無理ゲーするトコだったろーが!」

 

「こっちも色々あったんですよ、まぁ、特佐も人質もご無事でなによりです」

 

「まったくだ」

 

しかしさすが天海だな、何人殺ってきたかは知らんが見たところ大した怪我も………?

 

「天海、オマエ…」

 

「とりあえず、ここで待っていても美音が助けには来ますが、爆発の危険もなきにしもあらずなのであちらの扉から階下に降るコトをオススメします」

 

「……そうかい」

 

はいはいそーですかと応えたものの、天海のイケメンスマイルも虚しく、おそらくは上層から爆発音的なものが聞こえ、なにやら震動でグラグラしてきた…

 

「特佐は誘導をお願いします、僕はまだ他にやる事がありますので」

 

「へいへい、とりあえずガンバレよ」

 

「えぇ……」

 

ーーー

 

セレブリティな皆々様をこちらへどうぞー!こちらから真っ直ぐ、一列に並んでお進みくださーいと華麗に誘導していると、階下からマスク集団ではない集団と、天海のものと似た特務部制服のヤツが上がってきた、はぁ………ようやくかよ

 

「すまない、キミは…?」

 

「ご覧の通り、軍人だよ」

 

「軍人…?ご覧の通り…?あぁ、有馬優嬢の護衛に回されたとか言う噂のゴロツキ大尉か」

 

「誰がゴロツキだ」

 

偉そうに人をゴロツキ呼ばわりするのは天海曰く、第五特務唯一無二の良心、美音少佐、キレーな顔してるが天海とは違うベクトルの美少年と言うヤツか…

 

「まぁいい、遅れて来た分キリキリ仕事しろよ美少年、ほら、キリキリセレブ様をお助けせんかい」

 

「やかましい、言われなくてもやる…!………あと、私は美少年じゃない、私は女だ!」

 

「…はぁ?美少年じゃないと?」

 

「…なんだ?悪いのか?」ギロッ

 

ミネミネ少佐は、中佐はこのカス男のナニを買っているのやらとぶつくさと言っていたが、そーゆーのは本人を目の前で言うのはどうだろうか?天海よぉ、このボーイッシュガールはホントに第五特務部唯一無二の良心なのか?

 

「まぁいい、とりあえずミネミネくん」

 

「美音だっ!」

 

「このお嬢様を無事に安全な場所まで頼んでいいか?」

 

俺は未だにスタングレネードで目が痛いのか、俺を掴むのとは違う片手で目をこすっているお嬢様をずいっと美音少佐に預けた

 

「ハァ!?ちょ…ちょっと待て、それはお前の仕事だろぉ!?」

 

「俺にゃ他の仕事があるんだよ」

 

焦る美音少佐はさておき、俺はお嬢様にこのボーイッシュ少佐に付いてりゃ安心安全だから、先にあったかい部屋にでも戻ってココアでも飲んでくれと伝えた

 

「あ…!あの……っ!」

 

「…ん?」

 

お嬢様はやや口をパクパクしていたが、たぶん気の利いたコトを言ってみたい年頃なんだろう

 

「……待って、ます、帰るの」

 

「あぁ、今日はつまらない日になったし、明日はどっか楽しいトコに遊びにでも行きたいモンだな!」

 

「は……////!!//!?」コクコク

 

俺は美音少佐に押しつけたお嬢様に片手を挙げて別れを告げ、来た道をダッシュで戻る、後ろから美音少佐が、ちょ!待てよ!みたいなコトを言っている気がするが、まぁ、大丈夫だろう…

 

 

………天海の野郎、ナニが大丈夫だっーの





次回はようやく第五特務壊滅編 完結編!
慣れない難しい…えぇ難しい、とっても!


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第五特務壊滅編 完結編

ようやく終わりなチャレンジシリアスパートその4!

【登場人物】

提督(208)
主人公、外道

天海中佐
主人公、邪道




「下にアンタの死体が転がっていたよ、自分は死んだ事にして後は身を替え名を替えるつもりだったんだろう?」

 

「なるほどな、察しがいい生徒だ………しかし今は、君のような優秀な弟子をもてた事を師として喜ぶべきか、それとも苦々しく思うべきか…」

 

第五特務部の長であった男は己が育て上げた優秀な生徒を前にし苦笑を浮かべている…

 

参謀司令部直轄機関、第五特務部の室長、山原迅…

かつての俺を拾い、復讐の智と力を教えた師である山原は軍内部の暗諜に携わる者として極めて有能な男だ、そして、その有能ゆえの野心なのか、それとも俺の知らない何かがあるのか……俺はそれを知りたいと思わないし、思う事もない…

今、俺と山原は銃口を突きつけ合う関係になった、それだけの話だ…

 

「妹の事はもういいのかね?」

 

「………あぁ、世話になったよ」

 

俺が忠実な犬として働く事を条件に、眠り続ける妹にかかる莫大な治療費をみてくれた事には感謝している、これは本音だ

 

「そうか………ではキョウヤ、最後の授業だ」

 

両手の二丁拳銃……“教授”と呼ばれた山原の最も得意とするスタイル、その技は既に全盛期を過ぎたと自嘲しているものの、並の使い手なら苦もなく圧倒する

 

並の使い手なら、だ…

 

◆◆◆

 

天海を追い、とりあえず上層階へと進む途中、俺はイングリッシュペラペラのマスクマン達と遭遇していたた…

 

「うぉー!このド外道がーッ!!」

 

『Fuck!』

 

『Kill!Kill!Kill!!』

 

「うるせェーッ!外道に人権はねぇー!!」

 

愛銃のスタームルガー・ニュースーパーブラックホークを上着から取り出し、目につくマスクマン達を殴る、蹴る、そして殴る、たまにアイアンクロー、そして蹴るのウルトラコンビネーションアーツでブチのめす

え?銃は使わないんですか?アレですよ、なんでわざわざ苦手分野を使う必要があるんですか?

 

「クソッタレがーッ!!」

 

…手にしたスタームルガー・ニュースーパーブラックホークの銃身でおもいっきり頭をぶん殴ってカチ割る………なるほど、コイツの使い方がだんだんわかってきた

 

目につく5人目をブチのめすと、マスクマンではない高級仕立てスーツの男が髪をガリガリと掻きながら俺に銃口を向けてきた

 

「チッ…なんなんだテメェは?テメェがヤマバラの言ってたキョウヤとか言う野郎か?」

 

「…なんだ、日本語OKのヤツもいるのか?」

 

「仕事柄色々取り引きがあるからな」

 

「なるほど、テロ屋もインターナショナルだ」

 

コイツが天海の個人的ブッ殺すリストNo.1のなんちゃらとかゆーヤツか、あの野郎…こーゆー因縁の宿敵的なのはアイツの相手だろ?フツー

 

「悪いが人違いだ、俺はそのキョーヤくんじゃねぇよ」

 

「あ?じゃ、誰なんだ?テメェは?」

 

まぁ、何と問われれば、今日の俺はBG、お嬢様の身辺警護人、ボディーガードなんだが………せっかくだし、ここは主人公らしくカッコ良く名乗ってみるか、主人公らしく!

 

「フッ、外道に名乗る名はねぇが、人は俺をドーベルマンと呼ぶ…」

 

「ドーベルマン…?っーかテメェに外道とか言わたくねぇぞ外道ヅラが」

 

「外道ヅラじゃない、特佐だ」

 

◇◇◇

 

さすがに教授………満身創痍とは言わないが手負いで勝つには難しい相手だ

 

「ハァ……ハァ……」

 

弾も尽きたか、対して教授は予備も十分、こっちの手札を一つづつ確実に潰してくる、教えられた身とは言え、まだこれ程の差があるのか…?

 

「さぁどうするキョウヤ、次は徒手空拳でくるかね?」

 

「…」

 

「この場合、私は君が体術は些か不得手と判断し、それ以外を伸ばしたのが功を奏したと言えるかね」

 

「そうだな…」

 

銃口を向ける教授を前に、この次に打つべき手が浮かばない、いや、浮かぶだがそれは全て教授には読まれているだろう…どうする?何か教授の予測を超える何か……いや、考えれば考える程ドツボにハマる

 

「これにて授業は終了だ、キョウヤ…」

 

どうする?

 

「君は卒業だ」

 

教授の引鉄を前に、とにかく一か八かの勝負しかないと思考停止染みた選択肢を選んだその時、甲高い音でガラスを突き破り、ズタボロになったスーツの男が床に転がり落ちて来た!

 

「!」

 

「…なんだ?」

 

そして、スーツの男が落ちて来たガラス窓から見覚えある彼がヌッと姿を現した

 

「よぉーう!天海クゥゥゥゥン、元気しとるかねー?」

 

「…特佐?」

 

特佐は、オマエがチンタラしてるからそこのテロ屋は俺がブチのめしちまっぞ!もー!しっかりしてよ!もー!とか言いながら窓枠をよっこらせいと飛び越えて歩いて来た

 

「どうして戻って来たのですか…?」

 

有馬嬢の件以外には関わり合いになる必要はないハズなのに…?って、え?この人、ガレムソンを倒したのか…?いや……あれ、ガレムソンだよな?俺がこの手で殺したくて殺したくて何度でも殺したいと願った復讐の対象、ガレムソン・グリーバー…

 

「仲間だから!!」

 

…ナニ言ってるんだ?この人

 

「………はぁ?」

 

いや、わからない……ホントにわからない

 

「あー……悪い悪い、間違えたわ、やっぱナシ、今のナシな」

 

「は、はぁ?」

 

「では改めて………友達だからっ!!」

 

特佐は少し照れくさそうに鼻の下を拭い、なんか言えよと言わんばかりの目をしている…

嗚呼なるほど、これがアレですか、ツンデレってやつですか?なるほどなるほど……これが、友達か

 

「なるほど………持つべきものは、友ってワケですね」

 

「どうだ?燃えるだろ?」

 

「えぇ、燃えてきましたよ…」

 

正直、友達なんて言葉はただの方便だったが………特佐は本当に人が良いんだな、俺と違って…

 

だが……それでいい

 

「さっさと用事片付けて帰るぞ天海、明日はお嬢様とお買い物の約束してるんでな、お前にゃ運転手兼荷物持ち兼財布っー重要な役目があんだよ」

 

この借りは、ハゲしくアツくなりそうだ…

 

教授に勝つ、それは俺だけでは無理だ、だが彼となら…

 

「ほぉ……友達かね?キョウヤ」

 

「あぁ、アンタには一人で勝てそうにないからね」

 

「ふむ…」

 

教授はなるほどなるほどと言いながら苦笑している、どうやら教授には俺に友人が居るのが大変意外らしい、正直、自分でも意外だが…

 

「相手は銃か……よし、天海、お前が前で盾になって走れ、で、俺が近づいて金的かましてやる」

 

「何サラッとド外道な作戦言ってるんですか」

 

「ド外道じゃない、特佐だ」

 

たぶん勝てる、たぶん……っ!

 

 

──────────────────

 

 

ところどころ、爆発と煙が立ち上るビル…

既に脱出している来場者や関係者、そして警察や軍関係の者達が大勢居るビルの周りには、先ほどまでその渦中に居た有馬優の姿もあった

 

「有馬嬢、ここはまだ危険です」

 

「で…もっ!」

 

「とにかく危険なんです!」

 

第五特務部美音少佐はこの扱いに困る少女にかなり困っていた、ただでさえ子供は苦手であり、どう扱って良いのかわからないのに、このお嬢様は最優先とも言える護衛対象にあたる超VIPだ、こーゆーのは私の仕事じゃないと内心でぼやきつつも可能な限り危険域から脱しようとしていた

 

「カッカッカ!あやつ、なかなか派手にやりおるのぉ」

 

「まぁ、本人的には冗談じゃないと吐いてるでしょうけど」

 

有馬優と美音少佐の居る場所に、海軍の上級将校であろう壮年の男と、青髪ロングの少女がやって来た

 

「なんだオマエらは!?」

 

「あ?ワシは名乗る程の者ではないが、参謀司令部将校の梶輪だ」

 

「私は名乗る程の者ではありませんが白露型六番艦の五月雨です」

 

「梶輪ァ…?五月雨ェ…?」

 

美音少佐はナニ言ってるんだこの野次馬はと思いつつ、いい加減にしろよクソがと内心で毒吐いていると、青髪ロングの五月雨と名乗った方が有馬優に、まぁ、あのメガネならなかなかしぶといから大丈夫ですよと言っていた

 

「……?」

 

「たぶんアレですよ、そのうち窓でもカチ割ってハリウ●ドアクションばりに大脱出でも…」

 

五月雨の言葉を遮り、一際大きな爆発音が鳴り、それと共に上階から落ちて来たズタボロスーツの男、そして………一台のハーレーダビットソン的なバイクが何度か地面にバウンドし、強烈なスピンターンをして停止した

 

「はー………死ぬかと思ったー」

 

「えぇ、今のは死んだと思いましたよ、ナニが今、お前に生命を吹き込んでやる!ですか!」

 

「まぁそーゆーな、ちゃんとコイツの魂が応えてくれたじゃねーか」

 

「まったく…」

 

男達はゴチャゴチャと文句を言い合いながらバイクから降り、メガネのない特佐は天海中佐に肩を貸し、目の前でなんだこれと呆然としている知り合い達に片手を挙げた

 

「よぉ」





次回は後始末編、さらば天海中佐


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提督と天海と遥かなる旅路

後始末も雑に行くだらしないスタイル
シリアスパート編最終回です

【登場人物】

提督(209)
奪られたものを奪り返せのアフターサービス精神

五月雨(60)
申し訳程度の艦娘要素要員、だって艦これだもの




笑いあり、涙あり、強敵達との息つく暇ない激闘ありの胸ワクワクの奇妙な冒険の旅を終え、俺たちはいつもの鈍行電車ルートにて懐かしき我が家への帰路についていた…

 

「しかし今回は意外にも病院一直線じゃないんですね」

 

「そう毎度毎度入院なんかしてたまるかい」

 

大将殿や天海が関わるとだいたいろくな事がない、今回は後で読もうと買っておいた月マガを腹に挟んでいなかったらなかなかヤバかっただろう、なんたって鉄拳チ●ミどころか仮面ラ●ダーSPIRITSまで貫通していたからな…

 

「茶くれ、茶」

 

「はいはい、おにぎりはしそにぎりでいいですね」

 

「チッ、相変わらずムカつくなテメーは」

 

ペットボトルの茶と駅で買った握り飯弁当を俺に渡し、自分はリッチーにもなんかお高価そうな分厚いサンドイッチ弁当的なものを袋から取り出しやがったよコイツ…

 

「それ美味そうだな、くれよ」

 

「そうですね、半分くらいならあげていいですよ」

 

「何が半分だ、一口でいいのだよ」

 

五月雨は一言、女子か!と俺をディスった後小さくサンドイッチにかじつき、うん…これはいいですねとか言いながらモゴモゴ食べる、もっとガッツリかじりつけよ、アレか?女子か!

 

「そう言えば……あのガリクソンだかガムリンだかってどうなったんですか?」

 

「誰だそれ?」

 

「自分がやっつけたじゃないですか……ほら、テロ屋の人」

 

「あぁ、あのアゴヒゲ外人か…」

 

おそらく、真面目に銃とかでブチ抜かれたら俺は死んでいただろう、だがヤツは元あの国の特殊部隊出身だったらしく、俺の“来いよ!銃なんか捨ててかかってこい!”と言う伝統的挑発に乗ってくれたのが幸運だった…

かくして俺とテロ屋はタフ&ハードがモノを言う肉体勝負となり、大雪山落とし→スピンダブルアームソルト→ダブルニークラッシャー→兜割り→ストマッククラッシュ→パイルドライバー→提督圧搾機でテンカウントとなった…

 

「とりあえず身柄は押さえられたみたいだな、後はどうなるかは知らん」

 

「提督が空気読まずに天海中佐の宿敵をとっちゃうとから…」

 

「俺は悪くない、あれは天海が悪い」

 

まぁ、あのアゴヒゲ外人は余罪もかなりあるらしいし、どこの誰がサッヴァークことになるかは知らんが、大脱走でもしない限りは生きてシャバに帰ってくるコトはないだろう……天海としては自分の手でくびり殺してやりたかっただろうが…

 

「あ、そうそう、それと山原特務大佐ですけど…とりあえず死体はあったそうですよ」

 

「ふ〜ん」

 

「一応、今回の一連の第五特務部の責任の所在は死人になったそうです」

 

「ふ〜ん」

 

「なんですか、興味なさげですね」

 

「興味ねぇからな」

 

第五特務部の長であり、天海の師らしいあのオッサンか…

正直、俺と天海の二人がかりでも倒しきれたかどうかすら怪しいんだよな、俺と天海のガトリングコンビネーションをブロッキングしつつカウンターとか入れてくる本気でヤバいヤツだったのだよ…

最終的に、天海の捨て身アタックを喰らってビルから落ちて行ったのだが………あのパターンは死んでないだろう、だって落ちる時笑ってたんだぞ?あれは間違いなく後に新技ひっさげて帰ってくるパターンだ

 

五月雨曰く、死体はビル内にあったそうなのでほぼ間違いないだろう

 

「ま、今回の件で第五特務部の主要メンバーの大半が死亡、事実上の解散になったワケか…」

 

「そうなりますね」

 

長である山原の裏切りで有能な人材は軒並み始末され、天海も色々と裏でやらかしたせいで書類上では死亡扱い、残ったのは第五特務部ド新人の美音少佐

所属部がなくなり路頭に迷いかねなくなったものの、新たに新設された参謀司令部秘書部に回され、大将殿付きというイヤな役になったそうだ…

 

「ところで…」

 

「なんだ?」

 

「どうするんですか?これはもうストップ高待ったなしですよ」

 

「ナニ言ってんだオマエ?イカレてんのか?」

 

「イカレてません、五月雨です、じゃなくて………あのお嬢様です」

 

「お嬢様?あ〜…まぁアレだわな、お嬢様には素敵なパーティーがとんだトラウマ体験になったわな、ハッハッハ」

 

「そのトラウマ体験がとんだ光学補正されてますよ、きっと」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?あぁ、まぁアレだろう、超絶的なお嬢様ともなると、恐怖体験を光学補正して楽しい体験に変換にでも出来るのだろう、大したお嬢様だ…

 

「…あの、もしかしてアホなんですか?」

 

「アホじゃない、提督だ」

 

「いや、さすがにあの穢れなき恋する瞳に気付かないほどアホなのかと…」

 

「………いいかサミー、アレだよアレ、子供の好きっての真に受けて無駄なんだよ、アレだ、今は好き好き言っててもどうせ2〜3年後にはくせーよオッサンとか言われるのがオチだ」

 

「はぁ…?そんなもんですかね…」

 

「そんなもんなのだよ」

 

例えばアレだ、今はかわいい暁ちゃんだって思春期入れば“お風呂…一緒に入ってもイイかな~…パパと…久しぶりに…”とか言ったらキャーキャー死ね死ね言うんだぞ、たぶん

 

「そういや五月雨よ」

 

「なんですか?」

 

「妹の件は問題なかったか?」

 

「はい、梶輪大将の手配して頂いた便で無事に…」

 

「そうか…」

 

まぁ、アフターサービスくれーキチっとシメないとなぁ、なぁオイ、天海クンよ

 

──────────────────

 

目が覚めると………南の島に居た

 

なんかあったかいし、窓から見える海はとても青いし、たぶん南の島なんだと思う、うん

 

ずっと寝ていた為か、身体は思うように動かないけど、お医者さんらしき白衣の人がちょっと慣れればすぐに元通りに元気に走り回れます、嗚呼、なんでしたら100m5秒ぐらいで走り回れるように改ぞ…と言いかけて、小柄なナースさんみたいな人にツネられていたのがおかしかった

 

それから何日か経ったある日、ナースさんに海まで行ってみましょうと誘われて砂浜にやって来た、なんとなく、昔、誰かと海水浴に行った事があった気がする、いや、きっとあるんだろう、たぶん

、誰かと海水浴に行った事があった気がする、いや、きっとあるんだろう、たぶん

 

「………」

 

浜辺に誰か立っている、誰かな……あの人、誰かに似てるような…

 

「…こんにちは」

 

「こんにちは」

 

こちらに気付いたらしいカッコいい男の人が挨拶をしてきたので、こっちも挨拶を返す、なんだろう……物凄く見覚えがあるような、いや、絶対にある!………たぶん

 

「ここは良い所ですね、静かで、落ち着いていて…」

 

「そうですね、あ、私、なんか目が覚めたらここ居たから実は良くわかってないんですけどねー、アハハハ」

 

「そうですか」

 

「なんかお医者さんが言うにはずーっと眠りっぱなしだったらしいですよ?で、都会のお医者さんじゃどうにもならなかったんですけど、ここのお医者さんはスゴイお医者さんなんでなんとかしてくれたそうです」

 

ただ、白衣の下がくーるびずなのはきっと南の島だからだろう、たぶん

 

「それは………良かったですね」

 

「はい…っ!良かったです!」

 

「本当に…」

 

カッコいい男の人は他人事なのに本当に嬉しそうな顔をしてくれた

 

「あ、それから、私、もっとちゃんと元気になって動けるようになったらやりたい事があるんです」

 

「へぇ、それは…?」

 

「お医者さんが言うには、私の両親は昔事故で死んじゃったそうなんですが、まだ兄が生きているそうなんです」

 

「………ほぉ」

 

「ですから、兄を探しに行きたいな〜……って、難しいですよね?やっぱり、手がかりも何もないし、でも、やっぱり会いたいな〜…って、たぶん、兄も私を探してるかな〜…って、たぶんですけど、えぇ、たぶん」

 

「そうですか…」

 

そうですかと言ったカッコいい男の人は上着の内ポケットからタバコを取り出し、口に咥えて火を点けた…

 

「フーッ〜……っ!!ゴホッ!ゴホッ!!」

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「だ……大丈夫です、えぇ、スイマセン」

 

カッコいい男の人は、やっぱ慣れない真似はやるモンじゃないなと呟いてタバコを携帯灰皿に入れて消した、そして…

 

「その………もし良ければ、その、兄を探す旅、僕にも手伝わせて頂けませんか?」

 

「はい?」

 

「………あ、いや、迷惑ならいいんですが」

 

「いやいやいや!メーワクとかないですよ!え?いいんですか?手がかりとか何もないし!むしろ見つからないかもですよ?」

 

「それでも、構いませんよ」

 

「え…?あ、じゃ……お願いしても?メーワクかけますよ私、たぶん」

 

「えぇ、こちらこそよろしくお願いします」

 

カッコいい男の人は嫌味のない笑みで私の無謀な旅に付き合ってくれると言ってくれた

 

「あ、え〜…えっと、そうだ、名前!名前、私、天海優って言います、天の川の天に、海の海、で、優しいって字です、えっと……お兄さんの名前は?」

 

「僕ですか?僕の名前は……そうですね、名乗る程の名前ではありませんが、ドーベルマンと呼ばれてますよ」

 

「アハハハ!変な名前ですね!って………ごめんなさい!変じゃないです、たぶん!えー…うん!」

 

自称ドーベルマンさんは困り顔でやっぱ慣れない真似はやるモンじゃ……と呟いていたが、やがて、ま、それでいいかと苦笑し、私達はお互いに笑いあった

 

「これからよろしくお願いします、ドーベルマンさん」

 

「えぇ、こちらこそ」






【登場人物】

ドーベルマンさん
元第五特務部天海中佐、私怨で色々やらかしたせいで軍をクビどころか公的に死亡扱いにされてしまった
今回の件では己の命は最初から勘定に入れてなかったので特に本人的には問題なく、むしろ、たぶん死ぬ予定だったので今後どうしていいかよくわかっていないが、とりあえずは一番大事な物を手放さないように生きてみる事にしてみた

天海優
天海元中佐の妹、口癖がたぶん、イケメンの中佐の妹ゆえか、わりと美少女、眠っている期間が長かったせいか、性的な身体のわりに性格は子供っぽい

お医者さん
なんなら右手をサ●コガンにしましょうか?どうですかサ●コガン?



次回は400回目の節目回、いつものダラっとした感じで浜風ちゃんについて考えます


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提督と五月雨と大変動

おかげさまで400回目ですって!読んでくださる皆々様に本当に感謝です、今回は節目の初心を忘れるべからずです

【登場人物】

提督(210)
前回爆破ビルアクションした人と同じ人と思えないクズ、しかもヘタレ

五月雨(61)
専業秘書艦、戸棚におやつを入れてる

浜風(6)
通称、浜風ちゃん、素直で真面目な良い子


ゴキゲンな寒気が列島上空を覆う冬の執務室…

中央から帰ってきた俺は提督様専用のエグゼクティブチェアーに腰掛け、明石の店で買った巨乳大作戦なるいかがわしいDVDを手にしつつ、ある一つのアツかりし難問について考えを巡らせていた…

 

「コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「…卿のジョークはいつもつまらんな、サミダリューン」

 

「失礼な、あと、五月雨です」

 

五月雨はややイラっとした様子で眉を寄せたが、じゃ、お茶でいいですねと言って安い茶葉の入った茶筒を叩き始めた、こやつめ…戦士の中の戦士(マルダーンフ・マルダーン)と称されおるがジョークのセンスはまだまだデビューしたての小僧っ娘(グリーンガール)よ…

 

「ときに我が万能なる右腕(ライトアーム)五月雨よ」

 

「…万能かどうかはさておき、なんですか?」

 

「実はこの提督、浜風ちゃんを立ちバックでレイープしたくてレイープしたくてたまらぬのだが…」

 

「…はぁ?そうですか」

 

「こやつめ、まるで興味がない体を装いおって…」

 

「や、普通に興味ないんですけど…」

 

「そこでこの提督、今日こそ浜風ちゃんの浜風ちゃんに挿入したく思うのだが………どうかね?」

 

「いや、どうかね?と言われましても…」

 

俺は執務椅子からスタイリッシュ立ち上がり、壁に掛けてある黒板に真っ白なチョークで、浜風ちゃんをレイープする具体的かつ緻密なプランを懇切丁寧にわかりやすく書き込んだ

 

「では、卿の意見を聞こう」

 

「とりあえずケーサツでいいですか?」

 

五月雨はポケットから携帯電話を取り出しスタイリッシュにプッシュボタンを押そうとしたので、俺はやめたまえと言ってチョークを投げつけた

 

「痛っ!」

 

「私としてはやはり一人でいる時を狙い、ハンカチーフに染み込ませたクロロフォルムを嗅がせ、速やかに誰も来ないであろう倉庫的な部屋に連れ込み、視界と手足を封じた上で容赦なくブチ込むのがベストではないかと思う」

 

「はぁ?」

 

「私はこの作戦を神々の黄昏≪ラグナロック≫作戦と名付けたいと思うのだが………どうかね?」

 

「いや、どうかねと言われましても……とりあえずラインハルト様に謝って欲しいですね」

 

こやつめ、なかなか痛いところを突きおるわ、しかしさすがは我が秘書艦、この冷静で的確な意見はなかなかできることじゃあない

 

「ふむ………卿の意見を是とする」

 

「はぁ」

 

「では次に、役割分担だがまずは浜風ちゃんの注意を逸らす為に囮役が必要になるが、囮役にはもちろんお前が行く」

 

「イヤですよ、ナニしれっと卑劣な事を当然のように言ってるんですか、あと、なんで毎度毎度私を頭数に入れるんですか?アレですか?寂しがり屋ですか?」

 

「カッカッカッカ!こやつめ、言いおるわ!」

 

五月雨は戦国武将か!と冷静で的確なツッコミを吐き、さきほど額に当たったチョークを俺に投げ返してきた

 

「痛ーっ!!」

 

こやつのチョークめ、ジャイロ回転しとるやんけとは……まったく、大したヤツだ、流石は俺の秘書艦様と言えよう

 

「どうせ言うだけ言って今回もヘタレるのがオチなんでしょう?たまには変化球で攻めてみたらどうですか?変化球で」

 

「変化球か、なるほど……では我が秘書艦サミダルゴスよ、その変化球について何か提案があると?」

 

「五月雨です、そうですね……まぁ、どうせヘタレて失敗するのがオチですし、いっそ適当な人で練習してみたらどうですか?」

 

「練習…っ!」

 

こやつめ!レイープの練習を勧めるとは…っ!なんたる鬼畜…っ!まさに冷酷!まさに冷血漢!我が秘書艦ながら恐ろしいヤツよ、だが……

 

「素晴らしい、まさに理想的意見だ」

 

「はぁ」

 

俺は褒めてつかわすと言って戸棚に入っていたエンゼル●イの箱を取り出し、それの中身を一つ五月雨に投げつけた

 

「痛い…っ!」

 

「卿の意見を是とする」

 

「………はぁ、そうですか」

 

「では、早速だが浜風ちゃんをレイープするべく理想的かつ実践的な練習相手を考えたいと思う、卿も忌憚のない意見を聞かせたまえ」

 

「とりあえず執務室出て、目についた人でいいんじゃないですか?」

 

まさに外道…っ!こやつめ、これほどまでにゲスな案を提示しようとは、まさに非情!まさに卑劣漢!我が秘書艦ながら恐るべき悪鬼よ…

 

「しかしサミュートス、浜風ちゃんをレイープする俺の至高なる目的に対し、浜風ちゃんと似ても似つかぬ者を相手を練習に選ぶのは些か愚策ではないか?」

 

まぁ、そもそも浜風ちゃんの代わりとなり得る人材など存在しないだろう、百歩譲って浦風と言いたいところだが、浦風では俺の欲を満たす事は不可能だろう

 

「だからいいんですよ、まったく別のタイプ、まったく想定外の事態、これを上手く対処出来れば自ずと自信がつき、失敗してもそれを認める事ができます、あと、五月雨です」

 

「素晴らしい、まさに理想的意見だ」

 

俺はエンゼ●パイを取り出し、五月雨のキレーな顔に投げつけたが、さすがに一度見たエン●ルパイは通じないらしく、左手で上手くキャッチした

 

「こやつめ、ニクいコトをしおるわい」

 

「はぁ、ってか、そのエンゼ●パイ、私のなんですけど、後で新しいの買って来て下さいよ」

 

「よかろう、では行くぞ、我が秘書艦五月雨よ、ついて参れ」

 

「…はいはい、あと、五月雨で………ん?」

 

◆◆◆

 

執務室を出た俺と五月雨、とりあえず最初に目についたヤツを“狩る”と決め、最初の美しき獲物を探して歩いていると、執務棟の廊下を歩く香取先生が目についた…

 

「香取先生か…」

 

「はい、じゃ、行きましょうか」

 

「いや、でも、ちょ!待てよ、オマエ?香取先生だぞ!?香取先生なんだぞ!」

 

「大丈夫です、まずは気さくに声をかけてからキツい一発喰らわせてやってくださいよ」

 

この青髪ロング子、可愛い顔してとんでもないコトを平然と吐きよるわい…

 

「…わかった、とりあえずアレだ、これは練習、そう、練習だ」

 

「そうです、練習です、練習なので遠慮なくどうぞ」

 

五月雨に後ろを押され、とりあえず練習だから大丈夫!やってみなくちゃわからない!と納得し、俺は香取先生に気さくに挨拶をする事にした

 

「やぁ、香取先生、今日も冷え込みますなぁ」

 

「あら提督、お疲れ様です、ホントに…今日はまた一段と冷え込みますねぇ」

 

まったく、こんな寒い日だと言うのに香取先生はエレガントでいらっしゃる……俺は香取先生と小粋なテイトクジョークを交えつつ、軽快なトークをしていると、廊下の曲がり角で待機中の五月雨から早くヤれと小粋なハンドシグナルが飛んだ

 

「………ところで香取先生」

 

「はい?」

 

「お前に一目惚れじゃあ!抱くぞ!」

 

「………はい?」

 

俺は出来る限りのキツい一発を放ち、香取先生に僕急用があるので失礼しますと一礼し、速やかにその場を立ち去り、あちらで待機中の五月雨と合流した

 

「どうだ?」

 

「なかなかキツい一発でしたね、イイ感じでしたよ」

 

「だろ?うんうん、我ながら実に強烈だと思ったのだよ、こりゃ楽勝だなぁ!よーし!自信ついてきたーッ!ガハハハハ!」

 

ーーー

 

提督の去った執務棟の廊下…

提督の印鑑が必要な書類を持った鹿島は寒い寒いとぼやきながら歩いていた…

 

「はぁ、寒いなぁ〜…あ〜寒い寒い、私もタイツ穿こうかな、あ、香取姉さん」

 

「………あら?鹿島」

 

「何してるの?こんなところで」

 

「………ねぇ鹿島」

 

「なに?」

 

熱血指導中ではない姉は基本的にはエレガント、鹿島はどこかアンニュイな表情をしている姉に何かあったのか聞きたげに首をかしげた

 

「………姉さん貯金くずそうかなって思ってるの」

 

「はい?」

 

「………私もいつかはと思いつつ、夢だった丘の上の真っ白なチャペルで式を挙げる為に貯めていたんだけどね、嗚呼鹿島…そうね、そうよ、この時の為に貯めていたのだから当然よね」

 

「ちょ…ちょ!姉さん!って香取姉ぇ!ハナシがちょっとよくわからないんだけど?え?なに?」

 

「あ、そうそう鹿島、ちゃんと公私は分けてお義兄さんと呼ぶのはプライベートだけよ?」

 

「何が!?」

 

◆◆◆

 

次なる新たなる美しき獲物を探し、近くをうろついていた俺と五月雨、その視線の先に新たなる練習台がこれから起きるであろう惨劇を知らずに歩いていた…

 

「…ほぉ、キタローくんか」

 

「早霜さんですね」

 

なるほど、キタローくんならば浜風ちゃんと同じく駆逐艦、同じく!駆逐艦、これは素晴らしい練習になるだろう

俺はさきほどの手ごたえを思い出しつつ、キタローくんに爽やかに声をかけた

 

「やぁキタローくん、元気かね?」

 

「…こんにちは」ボソボソ

 

俺はキタローくんに、どう?最近?人、殺してる?と小粋なテイトクジョークを交えつつ軽快なトークをしていると、例によって五月雨がハンドシグナルで戦術No.スペシャル0の指示を出してきた

 

「ところでキタローくん」

 

「…なんでしょうか?」ボソボソ

 

「君の作った味噌汁が飲みたい」

 

「………はぁ?」

 

俺は確かな手ごたえと同時に何か違うなと感じつつ、提督は急用があるのでこれで失礼すると片手を挙げその場を速やかに立ち去り、五月雨と合流した

 

「なんですか?味噌汁作れって、バカなんですか?」

 

「バカ言ってんじゃないよこの子は、アレだよ、今の子は知らねーかなー?この伝統芸を」

 

「や、今のじゃただ単に味噌汁作れってだけじゃないですか、毎日作って欲しいとか飲みたいとかならわかりますけど…」

 

「それな!」

 

「それな!じゃないですよ…はぁ」

 

ーーー

 

「あ、ハヤシだー」

 

「よぉー!豆食うか?豆、落花生だけど」

 

エリート駆逐艦夕雲型にして礼号のキッズのアホコンビ、朝霜と清霜は落花生をボリボリ食べながら歩いていると、姉妹である早霜がボーっと立っていたので気さくに声をかけてきた

 

「落花生だけどー」

 

「落花生だけどー」

 

朝霜と清霜が早霜に落花生をぶつけ、ゲラゲラ笑っていると早霜は口角を大きく吊り上げる非情なる早霜スマイルを浮かべた

 

「…」ニマァ…

 

「ヒギイイィィィ!?」ジョー!ドボドボドボ!

 

「ご…ゴメン、ごめんよぉ……こ、殺さないで?殺さないでっ!」ガタガタガタ

 

朝霜と清霜はガタガタと震えながら命だけは助けてください、足を舐めますと涙ながらに訴えていたが、早霜は特に気にした様子もなく、どちらかと言えば機嫌良さげに小粋なスキップをしながら去って行った…

 

◆◆◆

 

そして迎えた本番……コンディションはベスト、この時の為に作ってきた肉体、合言葉は練習は裏切らない、そう、練習は裏切らない!

 

「やぁ!浜風クン!」

 

「ん…?お疲れ様です、あ………丁度良かった、これ、少し早いですがチョコレートをどうぞ」

 

「わー!嬉しいなぁ!いいのかい?こんなオジサンにさぁ?オジサン参っちゃうよー!ガハハハハ!」

 

ガハハハハ!ガハハハハ!ガハハハハ!

 

ーーー

 

浜風ちゃんにありがとねーと手を振って別れ、チョコレートを手に五月雨と合流を果たした俺…

 

「ヘタレ」

 

「ヘタレじゃない、提督だ」




次回は帰ってきたロー●ンコラボ回、黄身も卵焼きにしてやるソワール


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提督と瑞鳳とロー●ン

帰ってきたロー●ン回でソワール

【登場人物】

提督(211)
責任感溢れる大人、ただしア●ルは無許可で無責任

瑞鳳(2)
今回のバイトメイト、卵を焼き尽くすのが趣味

祥鳳(2)
瑞鳳の姉、妹とはあまり似てない


久々に外で良い感じに飲み歩き、寒いしさっさと帰って寝るかと考えながら歩いていると、上着のポケットにタバコがない事に気付き、とりあえず、改白露型のラノベヒロインみたいな顔のンミカゼくんがバイトしてる近所のロー●ンに寄る事にした…

 

「いらっしゃいませー、あ!テイトク」

 

「あ?」

 

誰だっけコイツ?なんか見覚えがあるような……ないよな、いや、たぶんないな、ないない、こんな知り合い俺には居ないハズだ

 

「テイトクじゃない、ハンサムな提督だ」

 

「何がハンサムだよ!」

 

「むしろキミは誰だ?who are you?」

 

「瑞鳳っ!軽空母の瑞鳳だよ!なんで自分のトコの艦を把握してないの!?ってか今更ぁ!?私、けっこー前から居るよ!?」

 

「瑞鳳…?あぁ、あの半裸の人の妹のヤツか」

 

「お姉ちゃんに謝れェ!!!」

 

そうそう、ズイホーくんだ、ズイホーくん、なんか見覚えのあるガキだなと思ったが…そう、合法軽空母のズイホーくんだ

 

「ハッハッハ、まぁそうエキサイトするんじゃないよズイホーくん、他のお客様に迷惑がかかるぞ」

 

「…クッ!」

 

まぁ、他のお客様は居ないようだが…相変わらず流行ってねぇな、このコンビニ、場所悪いんじゃないのか?

 

「まぁ、バイトを頑張っている顔見知りのよしみだ、提督様がここでお買い物してやるからありがたく思えよ」

 

「クッ…!ふん、じゃ、いっぱい買って行って下さいよ、いっぱい!」

 

「承知したーッ!」

 

俺はまず、スタイリッシュに雑誌コーナーへと歩き、とりあえず今週のヤン●ガを手に取ってパラパラとページをめくった

 

「すげぇよこの鳥頭、なんて鳥頭だ!」

 

「立ち読みすんなァ!!」

 

スタイリッシュに雑誌を読んでいた俺のケツにズイホーくんの勢い乗った力強いキックが炸裂し、俺の膝が危うく崩れかけた

 

「んほぉ!!こ、このガキ!ろ……ロ●アの俺に攻撃を…っ!?」

 

「立ち読み禁止ッ!立ち読むな!ヤン●ガを!」

 

「チッ、うるせぇなオイ…へいへい、ヤン●ガ読まなきゃいいんだろ?ヤン●ガを…」

 

俺はヤン●ガが棚に戻し、近代麻●を手に取ってページをパラパラとめくっていると、再びズイホーくんのキックが俺の尻に軽快かつ小気味よい音を立てて炸裂した

 

「んぎいぃぃ!!コイツ…!武装色を!」

 

「立・ち・読・み!立ち読み禁止!」

 

「クッ…!大したヤツなのだよ、しかしいいのかなズイホーくん、レジに居なくて」

 

「いいよ、どうせお客さん居ないし!ほら!早く買い物してよ!買い物!」

 

ズイホーくんは普段は絶対に使わない買い物カゴをズイズイと俺の顔に押し付けてきた

 

「痛い!ってか近い!近い近い!わかった!わかりました!わかったってばよ!買いますよ!買えばいいんでしょ!お金払えばいいんでしょ!お金払えば!」

 

「万引き主婦か!ふん、早く買ってよね!」

 

ズイホーくんはさっさとしろよグズがと可愛い顔してとんでもない暴言を吐いてレジへと戻って行った、まったく、可愛い顔してとんだ狂犬なのだよ、お姉さんの顔が見てみたいものだわ

 

「さて…」

 

とりあえず本当に必要なものはタバコだけだが、とりあえず発泡酒と適当なつまみでも買って行くか………いや、ついでにコイツも買っておこう

俺は買い物カゴに発泡酒とつまみとゴムを放り込んでレジへと持って行き、カゴをレジカウンターに置いた

 

「………こんだけ?」

 

「あとタバコの42番3つ」

 

「………チッ!」

 

この店員舌打ちしやがったよ!お客様を目の前にこれでもかと言わんばかりに可愛い顔して舌打ちしやがったよ!とんでもない店員だよコイツ!絶対客商売向いてないよコイツ!

 

「タバコタバコ〜……コレかな」

 

「違う、もっと上だ」

 

「チッ…!別にいいじゃん、コレで」

 

「よくねーよ」

 

ズイホーくんは足踏み台に乗り、よっこらせいとババくさいコトを言いながらタバコを取り、レジに持ってきてバーコードを読み取った

 

「ボタン押して、ボタン、私はスモーキーですってやつ!」

 

「スモーキーじゃない、スモーカーだ、あと、このボタンは喫煙者ですじゃないで私は大人ですボタンだ、大人でない者が押せば神の逆鱗に触れ、裁きの稲妻に処されるんだぞ」

 

「え!?ホントにぃ!?」

 

ズイホーくんはウソだろ承●郎みたいな顔をしてバーコードリーダーを持つ手がプルプルしていた

 

「試しに押してみるかね?大人のズイホーくん」

 

「え……?いや、うん……それはまたの機会に…」

 

「まぁそう言わずに!」

 

俺はズイホーくんの華奢な腕をズイっと掴み、年齢認証ボタンへとズイズイと近付ける!

 

「嫌ァァァァァァ!!電気ビリビリヤダァァァァァァ!!」

 

「ウヒャヒャヒャ!叫べ叫べ!無様にみっともなく泣き叫べ!その悲痛なる悲鳴が俺の“欲”を満たすのだよ!」

 

「やだやだやだやだぁぁぁぁ!!裁かれたくない!裁かれるのは嫌ァァァァァァ!!たすけて…たすけてー!!たすけてお姉ちゃーん!お姉ちゃぁぁぁぁん!!」

 

ズイホーくんは本気‼︎と書いて本気で嫌なのだろう、残った片手でレジカウンターに必死にしがみついてイヤイヤと涙ながらに訴えているが、俺もそこまで鬼ではない、俺はただ、ズイホーくんが跪き、許しを乞う姿が見たいだけだ…

 

「ファファファ、さぁ…ズイホーくんを大人にしてやろう」

 

「嫌ァァァァァァ!!お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!お姉ちゃぁぁぁぁぁん!!」

 

年齢認証ボタンにズイズイと引っ張り、もうすぐ押すぞ!押すんだよ!とあと一歩まで迫ったその時!!ズイホーくんの細腕を掴む俺の腕にどこからか飛んできた鋭利な矢じりのような金属が突き刺さった!

 

「む…?これは……羽根?」

 

矢じりのような羽根的なものが飛んできた方向を見ると、コンビニの自動扉が開き、まるでデスクイーン島のマグマのような攻撃的小●宙を撒き散らしながら新たなる客が入店して来た…ッ!!

 

「お、お前はーッ!!」

 

「お、お姉ちゃん!!来てくれたんだね!」

 

しょ……祥鳳型軽空母、祥鳳ーッ!!

 

「フッ…妹からその汚い手を離して頂けますか?」

 

この列島大寒波の中で、平然と肩出しファッションを敢行しサブイボ一つ見せぬとは、軽空母祥鳳、まさしく闘争こそ本性!煉獄こそ故郷!戦士の極みとはこやつにこそ相応しい…

 

「お、お姉ちゃん!!」

 

「フッ、遅くなったわね瑞鳳、ユン●ルを買いに来たわ」

 

「ユン……!?あ、あの………お姉ちゃん、すごく言いにくいんだけど、実はもうユン●ル全部売れちゃって…」

 

ズイホーくんは物凄く言いづらいそうにごめんねーと言って姉に頭を下げた

 

「な、なにーッ!!ば……バカな、あのユン●ルが!?全て売れてしまっただとーッ!」

 

「いやぁ〜…なんか、うん、ケッコー売れたよ?」

 

地獄をみた戦士、祥鳳くんはガクンッと片膝をつき大きく吐血した

 

「ブハァ!!」

 

「大丈夫か祥鳳くん!?おま……お前!ズイホー!お前なんてコトするんだ!?」

 

「えぇぇ…!?」

 

「クッ……!まさか瑞鳳が1人でユン●ルを売り切るなんて、フフッ…まさかね、まだまだ青二才のボウヤだと思って侮っていたわ」

 

祥鳳くんはフラフラと立ち上がり、妹の手をアツく握り締め、男の顔になったわね…!と姉として複雑な想いを抑え、妹の成長を認め讃えた

 

「え…?あ、あぁ…うん、ありがと」

 

「私はてっきりユン●ルが売れなくてメソメソと泣きべそをかいているのかと……フフッ、もう私の後ろにいた泣き虫さんはもう居ないのね」

 

「いつのハナシだよ!!やめてよ!」

 

美しい姉妹の絆にえぇハナシやと感動していると、祥鳳くんは俺の方を向き、妹が立派にレジ打ちをしている姿を見せてくださいと頭を下げた

 

「妹のレジをよろしくお願いします!」

 

「お…おう!」

 

「やめてよ!恥ずかしいじゃん!?」

 

…とりあえず、なんか色々空気がアレになったので俺は年齢認証ボタンを押し、ズイホーくんは他の商品もカゴから取り出してバーコードリーダーで読み取る

 

「え〜っと、ビールと〜…鶏皮と〜…裂けるチーズと〜」

 

「頑張って!瑞鳳、頑張って!」

 

姉が見守る中、ヒョイヒョイと商品をピッピするズイホーくんの手が止まった

 

「ん?ナニこれ?お菓子?……化粧品?」

 

なにやらオシャレなパッケージの小箱を手に取り、頭をひねるズイホーくんは、まぁいいやーとバーコードを読み取った、そして…

 

「…………提督」ピキッ!パキッ!

 

姉の背後に確かに見える攻撃的イメージ………この小●宙はまさに、不死鳥ッッッ!!

 

「え…?いや、祥鳳クン?提督だって大人だからさぁ、これぐらい買ってもいいじゃないかなぁ?責任ある大人だしさぁ?」

 

「何故、わざわざ瑞鳳がレジに居る時にタイミング良く買う必要が…?」

 

あかん、コレ完全にキレてる、キレてるわー…メチャメチャキレてるわー

 

「ねぇ?コレなんなの?香水…?にしては軽い?」

 

「え?ゴ………ムっはぁぁぁぁぁ!!」

 

ズイホーくんの質問に、極めて紳士的に答えようとした俺の頰を驚くほど強烈な拳がメリ込んで殴り抜けた

 

「瑞鳳は知らなくていいのよ」

 

「えぇぇ…?でもお店の商品だし、知ってないと…」

 

「知らなくていいの」ギロッ

 

「は…はぃ、し…知りません、知りたくないです」ガタガタ

 

ズイホーくんは小刻みに震え、お姉ちゃんごめんなさい良い子にするからぶたないでと呟きながらレジ会計の数字を出し、祥鳳くんは俺に早く金出せよ…っ!と腹パンして財布を出させて会計を済ませ、俺は襟を掴まれたままズルズルとコンビニの外まで引きずられて店を後にした…

 

「あ、ありがとーございましたー」ガタガタ





次回は前後編で北の刺客と演習回、メインヒロイン様もでるよ!たぶん!


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ハッスルリターンズ 前編

今回のお話は輪音様のご提案を基にしたハズなのに、書きながらなんか違うと色々考えていたらよりヒドい感じになった例です、はい

【登場人物】

提督(212)
開幕クズ、まっことクズ、昇進した

北国の中佐
北国は函館から来た見た目は冴えないオッサン、おそろしいほどまっことモテる


「えー…では皆さん、提督の昇進を祝って、乾杯」

 

列島震撼の寒気もズルズルとスライドして去り、それでも寒いなぁチクショウ!と愚痴がこぼれる冬の日、大将殿からの連絡にイヤな予感を感じつつ出ると、先日のテロ屋をやっつけた件の功績を認められ、俺の階級は中佐へと昇進を果たした…

なんと二階級ですよ!二階級も!なんでも、あのガリガリだかガリソンだかアゴヒゲ外人、かなりの首級だったらしく、単純にその功績と、有馬のお嬢様がいたく俺の喧嘩ボンバーに感動し、軍と企業のより良い関係の為にも俺の評価を上げては如何か?との大人の都合により俺は破竹の二階級特進となったそうな…

 

「ウェーイ!テイトク!ウェーイ!」

 

「ウヒャヒャヒャ!ヒャッハー!水だー!」

 

「ハッハッハッハ!お前らァ!ちょっとこっち来い!こっち!隣!隣座れ!隣!」

 

俺はライトにイヨティン、レフトにポーラ、センターに俺の鉄壁のフォーメーションでエグゼクティブソファーに座り、この素晴らしい栄光の日を盛大かつエグゼクティブに祝っていた

 

「ウヘヘヘヘ〜…テイトクぅ、イッキ飲み大会しましょうよぉ〜イッキ飲みぃ〜、ポーライッキ飲み大得意ですよぉ〜」

 

「ナニがイッキ飲みだオラァ!そのきたねーケツこっちに向けろオラァ!直腸にイッキしてやんよ!オラァ!自分で広げてみせろォ!」

 

「ウヒャヒャヒャ!ポーラさんのイイトコ見てみたい!ハイ!見てみたい!ウヒャヒャヒャー!」

 

今日は中佐様の為にBREAK-ON!ママの店を貸し切って愉快な酒を飲む俺たちを止める者は誰もいない、13ちゃんとザラねーちゃんも今ごろは俺たちがサーッ!と差し入れたフレッシュオレンジでグッスリさ…

 

「よぉーし!!今日はトコトンまで行くぞォー!ポーラ、おっぱい揉ませろ!」

 

「ウヘヘヘヘ〜!ウェーイ!テイトク!ウェーイ!ウヘヘヘヘ〜テイトクの触り方超やらしい〜」

 

「ウヒャヒャヒャ!14も!14もポーラさんのオパーイ揉ませてくださいよぉ〜……って!スゲェ!マシュマロか!?スゲェ!!」

 

こうして、今夜の俺は止まらねーぜー!とブレーキホースを切っていた俺たちはTOKO-TONまでこの素晴らしくろくでもない夜を大いに楽しんだ………

 

◆◆◆

 

「おはようございます」

 

「おぅ……相変わらず髪なげーな、オマエ」

 

翌日、朝からデビルをリバースしてキャ●ジンのお世話になりつつ昼前に執務室へとやってきた俺を、五月雨は汚物でも見るような目で見ながら爽やかさのカケラも感じられない挨拶をしてきた

 

「あー………今日はなんもやる気ねぇわ、マジやる気ねぇわー、何か急ぎの仕事とかあんのか?」

 

「特にはありませんが……あ、特別演習の斡旋来てますよ、特別演習」

 

「あー…?特別演習だぁ?」

 

通常の演習とは異なる特別な演習、通称、東西戦…

通常、演習は西と東と区分されて行われており、西は西、東は東の基地同士でやるものだが、たまに東西の交流戦的な演習も行われており、特に正式な呼び名はないが、一般的にはこれを東西戦と呼んでいる

 

「メンドくせぇな」

 

東のセ●ズリーグ、西のパ●ズリーグぐらいメンドくさいこの演習、ワリと上からの評価に直結しているらしく、勝てばいいが負けるとワリに合わないので評判は宜しくない

 

「あ、でもこの名前…」

 

「なんだ?知り合いか?」

 

「知り合いと言うか………ほら、コレ」

 

五月雨から渡された資料を見るに、対戦相手は俺と同じく中佐、ミドルウェイト階級の〜……ん?ハコダテ?

 

「…なんか見覚えあるな、コイツ」

 

「アレですよ、ほら、前にウチに視察に来た人、スンゴイロングホーン連れて」

 

「あ〜…」

 

あったな、そんなコトが…スンゴイロングホーン連れて来た企業戦士…(※その辺の詳しくは316・317回参照だってばよ)

 

「あ〜…あの超A級企業戦士みたいなおっさんか」

 

「たぶんそうですよ、見覚えありますもん」

 

「ふ〜ん、あのおっさんも大変だなぁオイ」

 

書類を見るに、演習場所はこっちか……わざわざキュウシュウくんだりまでご苦労なこった、その労を多少は労う意味としてホカホカのトンコツラーメンと絶望的敗北S

をプレゼントしてやる事しか俺にはできないが…

 

「ルールは艦種・練度問わないデスマッチルールか…」

 

以前、イケメンの中尉とやり合った際はさすがに俺へのレギュレーションから制限を喰らったが、今回は戦艦6を並べても問題ない力と力のぶつかり合い、いわゆる、力の大会でいいらしい…

 

「よし、誰か暇そうな……オイ、大和さん呼べ、大和さん、あと武蔵」

 

「ガチか…っ!」

 

「いいんだよ、相手はそもそもアレだぞ?あの凶悪なロングホーンレディを引き連れるヤバいヤツだぞ、こっちも最強カードバシバシ切って1キル狙いよ、1キル、オマエの演習は周回遅れだってな」

 

「はぁ、とりあえず声はかけておきますけど…」

 

「良きに計らいたまえ」

 

話は終わりだとばかりに、俺は机に置いてあった基地スポを手に取って広げると、執務室の重厚な扉をドンドコドンドコと乱暴なノックで叩き開き、イタリア出身のナイスバディっ娘、ザラ姉ちゃんがズカズカと入室してきて俺の胸グラを掴みガックンガックンと揺らし始めた

 

「テテティィィィィィトォォォォォク!!!どーゆーコトですか!?えぇ!?どーゆーコトですかァァァァァ!?」

 

「え?え…?ナニが!?ってか顔が近い!顔が!」

 

「説明…!説明を求めます!なんですか!?テイトクはザラのUn fratelloなんですか!?」

 

「ハァ…?ってか揺らすな!あと顔が近い!なんだよ!?好きなのか?アァ?好きなんですかー?」

 

「morire!!」

 

ザラ姉ちゃんは俺の胸ぐらを離して頭を掴み、この!クサレ脳ミソがァァァァァ!!と知性溢れる罵倒を吐きつつ俺の顔面を机に叩きつけた

 

グシャアアアアアア!!!

 

「ごでぃばッ!!」

 

「ハー……ハー……ふぅ、テイトク、ザラは説明を求めます」

 

「…あ…暴れてから落ちつくなこのアマァ!!だいたいなんだそのいやらしい服は!誘ってんのか!?」

 

「いいから説明してください!!説明!!」

 

「何の!?」

 

「コレです…っ!!」

 

ザラ姉ちゃんは机の基地スポを広げて俺の顔にグイグイと押しつけてきた、ってか近い!近い近い近い!ナニも見えねーよ!

 

「ったく、え〜……今季に賭ける!サラトガ執念の復活!これがMAJORだ!か…」

 

「違います、そっちじゃないです、こっちです!こっちの記事です!」

 

「え〜…深夜の快進撃!炸裂!夜のフラッシュ・ピストン・マッハ・パンチ!………って!なんじゃこりゃあああァァァァァ!?」

 

紙面に載る写真には目の辺りに黒線が引かれているものの、ほぼ全裸の俺とガンギマリスなアヘ顔で聖なるポーズをキメるポーラとイヨティンがダブルピースする些かアレな写真が掲載されていた…

 

「説明っ!説明してください!これからザラはテイトクを義弟として接したらいいんですか!?」

 

「知らん知らん知らん!ってヤってねーよ!なんだこの写真!?」

 

「昨日、ママの店で3人でバカやってた写真じゃないんですか?」

 

五月雨の冷静で的確な意見はごもっともだが……いや、待て、たしかに俺は昨夜ポーラとイヨティンと飲んだ、たしかに飲んだ、よし…!ここまではOKだ、そして朝、気がついたらほぼ全裸のポーラとイヨティンが何故か俺の布団に寝てたので邪魔くせーと思って蹴り飛ばした、よし!………よし?

 

って!!ダメじゃねぇかァァァァァァァァ!!!心当たり!心当たりしかねぇよォォォォォ!!

待て待て待て!こーゆー時こそクール、クールになるべきだ、そうbe cool !私は冷静だ、冷静に考えろ……こーゆーホットな時こそクレバーに徹するのだ

 

「………知らんな」

 

「ウソつけェ!!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「ハオッ!!」

 

ザラ姉ちゃんの健康的でスナップの効いたビンタが俺の頰に炸裂し、俺は執務椅子から転げ落ち、口元を拭った

 

「これが若さか…」

 

「ヤったんですね?」

 

「ヤってないです」

 

「ヤりましたね?」

 

「ヤってないです」

 

「ポーラに聞いたらお尻痛いって言ってました」

 

「ア●ルならセーフだと思います」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

ザラ姉ちゃんのビンタが再び俺の頰に炸裂し、俺は勢い良く執務室の床を転がった

 

「パウッ!!」

 

「アウトです!アウト!ザラは見損ないましたよテイトク!テイトクはホモでロリコンで人間のプリミティブな部分を集めた最低最悪の人間です!」

 

「い、いや…さすがに言いすぎじゃないかなザラくん?あと、提督はホモでもロリコンでもないのだが…」

 

「テイトク!何もザラはテイトクとポーラが大人な関係な事を悪いとは言いません!」

 

「あ、そこはいいんだ…」

 

「当たり前です、ポーラもああ見えて大人ですし、黙っていたら美少女の自慢の妹です」

 

たしかに、ポーラのヤツは黙っていたら屈指の超絶美少女ではあるな

 

「テイトク、私が言いたいのは別にテイトクがポーラと、えっと…誰でしたっけこの子?なんか潜水艦の子」

 

「イヨティンな」

 

「それです、そのイヨティンとポーラとテイトクが仲良くアモーレを致すのは構いません!」

 

「あ、それはいいのか…」

 

さすがはアモーレの国、そこら辺は寛容なんだな

 

「我が国にはダンディを失えばそれはただのキザ野郎と言う言葉もありますので、テイトクのダンディがダンディをするのごもっとも解釈してます」

 

「なるほど」

 

しかしザラ姉ちゃんよ、失ったらダンディでなくなるのはクールさではなかっただろうか?

 

「しかしこうなった以上、テイトクはザラ達のファミリーとして迎える他ありません」

 

「なんでだよッ!?」

 

「黙まらっしゃいテイトクーッ!男というものはあまりしゃべるものではありません!両の眼で静かに結果だけを見ていればよいのです!」

 

グッ…ぐぅぅむ、なんと言う威圧感!まるで経験豊富な年長者のごとき深みのある説得力を感じるわい

 

「そしてゆくゆくはファミリーの為、ポーラと共にこの島国を裏から支配し、ファミリーの拡大を…」

 

「ギャングか!?」

 

「ザラはテイトクに期待しています!いいですかテイトク!テイトクはファミリーに尽くす!ボスも倒す!その“黄金”のような“夢”にザラも賭けましょう!」

 

グイグイくるザラ姉ちゃんの柔らかオパーイを押し返しつつ、やめてください、ホントやめてください、ちょ…今急いでるんでと返答していると、執務室の重厚な扉を勢い良く開き新たなる影がゴロゴロと転がりながら入って来た

 

「…それはできない相談!」

 

「げ、ゲェーッ!お、オマエはーッ!」

 

「13ちゃん!なんですか!今、ザラはテイトクとファミリーについて大事な話中です!」

 

ザラ姉ちゃんが13ちゃんを睨むと、いつもは回遊魚のような目をしている13ちゃんは低い唸りを上げてまるでシャチのような眼光でザラ姉ちゃんを睨み返した

 

「…提督は13の義弟、つまり、提督は私達潜水艦の者になったんです」

 

「な、なんじゃとー!?」

 

ナニ言ってんだこの娘は!?え?俺、13ちゃんの義弟なの!?

 

「…正直、14ちゃんにチャペルの先をこされたのは悔しい複雑なお姉ちゃん心もあるけど、私は…14ちゃんのお姉ちゃんだから14ちゃんを“祝福”する義務がある」

 

「あ…あの、ヒトミちゃん?ナニ言ってんの?」

 

「…提督は14ちゃんと共にこれからの潜水艦界を率いて世界中のシーレーンを支配し、この海の王となるんです」

 

「なぁんですって!!そんな勝手!ザラは許しませんよォォォォォ!!」

 

ザラ姉ちゃんはまるでミケランジェロの彫刻の如き躍動感溢れる芸術的なポーズで13ちゃんに飛びかかり、13ちゃんはそれを迎撃する形で足刀蹴りを放ち、掴み合いになったザラ姉ちゃんと13ちゃんはキィーキィーと言い合いながら世界で一番醜いファイトを始めた

 

「このデブ!ピザくせーよナポリデブ!アバズレ!」

 

「なぁんですって!!このブス!ブス!!」

 

そんな醜いファイトに、あわわわ…ぎゃ、虐殺王と震えながらよろよろと立ち上がった俺に、五月雨は相変わらずの汚物を見る目で極めて冷静で的確な意見を述べた

 

「祝言二つ、挙げるもいいじゃないですか?」

 

「いいワケねーだろ!!ナニ言ってんだこの青髪ロング!!」

 

◆◆◆

 

………そして、最悪の空気の中迎えた東西戦

 

基地内での俺の評判は大きく下がった、それはもう今流行りの仮想通貨ぐらい急落した、廊下で駆逐艦のキッズとすれ違えばケダモノだー!ギャハハハ!ケダモノー!と罵られ、食堂に行けば間宮の野郎からケダモノと冷たく罵られ、工廠で重巡なり軽巡のクソどもからヒュー!ヤるじゃねーのケダモノ!と背中をバシバシ叩かれ、見たことないオシャレな美少女から提督も男の顔になったクマね、いいクマ?男は黙って三歩先を歩く!お手手繋いでなんてチャラチャラするとか日本男児の恥クマ!とアツく説教された………ってか、あの美少女は誰だったのだろう?

 

「さて、そろそろか…」

 

「そろそろですね」

 

そんなケダモノムード溢れる中、俺の声に応えて東西戦に名乗りを挙げる者は少なく、むしろ、俺に死んで欲しいと思ってるんじゃないだろうかと思えるほど空気は殺伐としていた、ちなみに、ザラ姉ちゃんと13ちゃんは醜い殴り合いの末和解し、ファミリーと潜水艦が互いに手を取ればお互いに組織は更に盤石となると言う結論に行きついたらしく、今や情熱のパッショーネが彼女達のハートをアツくしている

 

「テイトクー!ガンバってー!」

 

「…天使のように細心に、悪魔のように大胆に……ですよー」

 

ザラ姉ちゃんと13ちゃんは仲良く肩を組み俺へのアツい声援を送ってくれているので、俺は曖昧かつ微妙な笑みで手を振ってそれに応えた

 

「いいんですか?アレ」

 

「まぁ、仲良いのは良い事なんじゃねーの?」

 

タバコを携帯灰皿に押しつけていると、なにやらバラバラと轟音が鳴り響き、俺たちの真上にヘリっぽいのが飛んできた!

 

「げ、ゲェーッ!!あ、アレはー!」

 

函館鎮守府!黄金のヘリ編隊ーッ!!

バ……バカな、実在していたのか!神々の軍団と云われている伝説の戦士達ッ!

そんな黄金のヘリ編隊から、以前にも見た覚えのある企業戦士然としたおっさんと、頭から足元までスッポリと覆った外套を着た者達が降りてきた

 

「どうも、お久ぶりです中佐、今回はまたお世話になると思いますが一つ、お手柔らかにお願いします」

 

「は、はぁ…どうも」

 

そして、つまらない物ですがとつまらない菓子折りの入った紙袋を五月雨に手渡す企業戦士、クッ!一分の隙もない完璧な流れだ、おそらくこの男、提督強度1000万パワーは超えているだろう

 

「ところで……中佐、見たところ、まだ演習に参加する艦娘が揃ってないように見えますが」

 

クッ!この冴えないおっさんにすら気づかれる始末!たしかに、ここ最近の俺へのうなぎくだりの評判のせいで誰も演習に出たくないと言う最悪の状況!こうなれば……

 

「俺と五月雨の2人でやるしかあるまい…っ!」

 

「え?普通にイヤですよ」

 

「ナニ言ってんだオマエ、オマエは俺のなんだ?」

 

「部下……ですかね?」

 

「その通りだサミーよ、言うなれば俺とオマエとシャイニングガ●ダムは一心同体だ」

 

「すいません、ナニを言っているのかサッパリわかりません」

 

五月雨はナニ言ってんだコイツみたいな顔をしているが、グゥゥム、なんと冷徹なヤツよ、まさに冷酷、まさに冷血漢!コイツにはアツき友情の血潮が存在しないとでも言うのか!?

どうやらこの戦い、俺1人の孤独な戦いをやるしかない、そう覚悟を決めかけていたその時だった…

 

『フッ、我々に声をかけないとは…』

 

『水臭いじゃないか、同志提督』

 

「げ、ゲェーッ!!お、お前らはーッ!!」

 

逆光の中、客席スタンド最上段から走ってくる4つの人影はトアーッ!と元気良く飛び降りた

 

「フッ…待たせたな、同志提督」

 

パラサ●ト四天王!一級ロリコン!天神創世剣の長門ッ!

 

「フッ、少し道に迷ってしまってな」

 

パラサ●ト四天王!一級魔界貴族!天地崩滅斬のグラーフ・ツェッペリン!

 

「フッ…ヤツらが資本主義のブタどもか!生きて帰れると思うなよクズどもが!」

 

パラサ●ト四天王!一級革命戦士!重爆雷斬刃のガングート!

 

「フッ、最強の戦艦である私に黙ってるなんて…アナタどういうつもりかしら?」

 

パラサ●ト四天王!一級自称最強戦艦!武神光臨剣のリシュリュー!

 

「お…オマエ達ッ!!」

 

どいつもこいつもフッ…とか言いやがって、ヘヘッ…!どいつもこいつも死にたがりの馬鹿野郎達だぜ

 

『おーっと、この私を忘れてもらっちゃ困るぜー!』

 

『提督へのアツき友情!今こそ返す時がきたーッ!』

 

さらに、スタンド最上段から勢い良く走ってきた2つの人影がグルグルと回りながら着地した!

 

「お、お前らはーッ!!」

 

「フッ、このナンバー1サブミッションアーティスト!白露と!」

 

「ナンバー1エレガント重巡、熊野ですわー!」

 

白露と熊野はヘヘッと鼻の下をこすりながらイタズラキッズのようにはにかんだ

 

「お、お前達…ッ!」

 

これで揃った!俺の6人のアツき友情の仲間達が!勝てる…ッ!コイツらとなら…っ!そう確信した俺は最高のコイツらの手を握り締め、アツい友情を確かめ………

 

『おーっと、そいつはいただけませんねぇー』

 

『仮にも最強チームを名乗るならそれなりの人材を用意しないとねぇ〜、ねぇ?白露姉さんに熊野サン?』

 

突如、スタンドから飛び降りてきた2つの人影の正体は………難攻不落のビッチ兵!鈴谷と、完全無欠の完璧ビッチ!村雨!

 

「なにーッ!?」

 

「誰が弱体艦娘ですと!その言葉を取り消せですわー!」

 

白露と熊野は誰が弱体艦娘だー!ゆるさんーっ!と吠えながらクコココと不気味にニヤニヤと笑う鈴谷と村雨に飛びかかった、しかし!!

 

「ショアーッ!!」

 

「ツアーッ!!」

 

鈴谷と村雨の冷静で的確な反撃で空中に放り投げられ、熊野はビッチベンの型で、白露はテイトクスパーク・地の型でそれぞれニャゴフッ!とか言いながら血反吐を吐き、そのまま地上に叩きつけられた!!

 

「「ウギァーッ!!」」

 

「し、白露!熊野ー!!」

 

戦慄のツープラント、肉便キングダムを喰らった白露と熊野はオモシロオブジェみたいな形になって地面に転がり、対し、鈴谷と村雨はウェイウェイ言いながらハイタッチしてスマホで自撮りしていた…

な、なんてヤツらだ……こやつらこそまさに無秩序・無軌道・無慈悲の塊!まさに悪魔の中の悪魔よ!

 

「さ〜て、お待たせしました皆さん、メインヒロイン鈴谷様ですよぉ〜」

 

「今週の村雨も居ますよぉ〜」

 

 

………こうして、【神々の軍団・函館鎮守府】VS【艤装(ク●ノテクター)装着!四天王の脅威+はぐれビッチ清純派】の神々熱き戦いの火蓋が切って落とされた!




いよいよサンクチ●アリ決戦の時!俺達が戦う相手は、並の相手じゃない小宇宙の究極を極めた黄金艦娘だ!俺は素晴らしい仲間達と、平和な未来を絶対守っていかなければいけない!見ていてくれ!俺達の青春の爆発を!

次回『行くぞ!俺たちの旅立ち』

君は、小宇宙を感じたことがあるか?


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ハッスルリターンズ 後編

このお話は輪音様のご提案を基になんやかんやいじり廻して書いております、はい
あと、後編なのに今回では終わりません

【登場人物】

パラサ●ト四天王
全員が一級の幹部クラス集団、ちなみに、長門とグラーフ以外は特に仲が良いワケでもなく、単純になんかノリで名乗っているだけの細かい事は深く考えない思考

鈴谷と村雨
全国のパパから金銭と●ーメンを搾り取る事に特化した技巧コンビ、それはもう技巧

戦艦棲姫
偉大なるあの御方に付き従うグラマラスレディ


「よぉし!行くぞォ!ゴングを鳴らせーッ!戦闘開始だー!」

 

神々の軍団函館鎮守府の精鋭達が乗りつけた黄金のヘリコプターを持ちあげてジャーマンスープレックスで海面に叩きつけ、まず先陣を切ったのは史上最高にアツく!ハゲしい!燃える革命ガングート!

 

「フッ……ヌルいわ」

 

「なにィーッ!?」

 

ガングートの殺人革命キックを軽く避け、まずは第1の刺客が外套を脱ぎ捨てその姿を現す、いや、まぁ、あの人に限っては頭のところから隠しきれないロングホーン伸びてたから正体バレバレだったが…

 

「我が提督にして偉大なる“あの御方”に捧げる勝利ーッ!!」

 

「ぐわああああぁぁぉぁぁ!!!」

 

「「ガングートォォォ!!」」

 

【一級革命戦士ガングート 轟沈】

 

ガングートはどう見ても戦艦棲姫のそれのロングホーンから繰り出されるハリケーンミ●サーでバラバラにされ、無惨にも海上というリングにブチ撒けられた

な…なんと言うコトだ、あのかませ犬のガングートがこうもアッサリと…

 

「嗚呼…見て頂けましたか、我が偉大なる御方…」

 

1000万パワーの深海発電所!戦艦棲姫はウットリとした瞳で己の上司、偉大なる御方なる冴えないおっさんにバチコーンとウィンクをしているが、その偉大なる御方はあの轟沈した戦艦を早くストレッチャーにと冷静で的確な指示を出していた

 

「グウゥゥム、やはり出おったか、あのロングホーンレディ」

 

「やはり出ましたね」

 

俺は五月雨から缶のミルクティーを受け取り、忌々しいとばかりに缶を握る手に力を込めた、やはりあの凶悪なロングホーン女をなんとかしなければ我々に勝利はないだろう、そんなふうに考えていると、残る3人のバ……四天王達は相変わらずフッとか笑いながら腕を組んでいた

 

「フッ、ガングートがヤられたか…」

 

「フッ…ヤツは四天王の中でも最弱」

 

「Ouf…戦艦棲姫如きにやられるとは私達のツラ汚しね」

 

残る3人のバ……四天王達はいつものダメそうなフラグを立てているが、大丈夫かコイツら?

 

「よし、次はこの長門が…」

 

「待て!同志ナガト、次はこの私に任せて貰おうか!このグラーフ・ツェッペリンにな!」

 

「フッ、そう強がるな同志グラペン、ヤツはオマエとは些か相性が悪かろう、ここはこのビッグセブンに………いや、まとめて相手をしてやろう」

 

「ズルいぞ同志ナガト!そうやって1人で良いカッコしてキッズ達のハートを鷲掴みにする気だな!」

 

長門とグラーフが次は私がいや次は私がとモメていると、再び黄金のヘリコプターにジャーマンスープレックスをかまし、まるで黄金の獅子のごときゴージャスな髪をぶわーっとしたフランスから来た刺客!自称、最強の戦艦リシュリューが海上という名のリングに上がった

 

「フッ、行くわよ!ゴングを鳴らしなさい!戦闘開始よーッ!」

 

リシュリューはトアーッ!とか言いながら戦艦棲姫に飛びかかったが、戦艦棲姫のズドンッ!!とヤバい感じの音が響く強烈な腹パンを喰らった

 

「ウゲェ!!?」ビチャビチャビチャ…

 

「雑魚が…」

 

ボゴォ!!!(腹キック)

 

「ウボァー!!」

 

さらにダメ押しの腹キックを受け、黄金の獅子は汚い吐瀉物を吐きながら海上に叩きつけられた

 

【一級パリっ子気取りの農家の娘リシュリュー 轟沈】

 

「り、リシュリュー!!」

 

やはりダメだったか!っーかなんでアイツまでヘリコプターにジャーマンスープレックスしたんだ!?流行ってんのか?誰が弁償するんだよアレ!絶対高いぞアレ!

 

「嗚呼、我が提督、アナタに捧げるこの勝利…」

 

例によって、偉大なる御方こと冴えないおっさんを潤んだ瞳でバチコーンとウィンクしているヤバいロングホーン女だったが、冴えないおっさんは早くストレッチャーをと冷静で的確な指示を出していた

 

「ガングートとリシュリューがやられるとは…」

 

「一応、戦艦が2人もやられたのはかなり痛いですね」

 

「クッ!わかっていたがこれ程までの強敵かッ!」

 

さすがは神々の軍団、未だ正体を見せない残る5人もかなり不気味だが…

 

「フッ、口程にもないヤツよ」

 

「フッ…所詮は四天王の器ではなかったか」

 

残る2人の四天王、長門とグラーフは相変わらずフッとか言いながら敗者に対して厳しいダメ出しをしているが……大丈夫なのかコイツら?正直、ここまでのパターンは完全に負けるパターンだぞ

 

「じゃんけんぽん!ぽん!ぽん!Schön!次はこのグラーフ・ツェッペリンの出番だ!文句ないな同志ナガト!」

 

「フッ、まぁ仕方あるまい」

 

バカ2人はフッとか言いながら互いにアツく手を握り、一夜にして駆逐艦のキッズ達を恐怖のズンドコに叩き落とした魔界に生まれし上級魔界空母、グラーフ・ツェッペリンがトウアーッ!とか言いながら海上に飛び降り、黄金のヘリコプターにジャーマンスープレックスをした

 

「Lichten des Ankers!ゴングを鳴らせ!戦闘開始だ!」

 

だから流行ってんのかそれ!?なんか意味あんのかそれ!?バカなのか!?四天王は揃ってバカなのか!?いや、バカなんだな!!

グラーフは魔界貴族特有の闇のオーラをプンプンと発散させながら戦艦棲姫に飛びかかった!

 

「フンッ!!」

 

戦艦棲姫のマグナムパンチがグラーフの胸に突き刺さっ………いや!突き刺さっていない!戦艦棲姫のマグナムパンチはグラーフのあまりにも豊かなそのバストに弾かれているッ!!

 

「フッ、これこそ我がドイツ海軍の誇る戦術、Großer Tittenschutz!キサマのヤワなパンチではこのグラーフ・ツェッペリンを倒す事は不可能と知れ」

 

「クッ…!」

 

おぉ!!すごいぞグラペン!まさか高雄型重巡に伝わる鉄壁の防御法!肉のカーテンを!………いや、寄せて上げる事によりさらに密度と弾力を上げたパーフェクトディフェンダーと言えるだろう

 

「行くぞ!キサマの未来は死だーッ!」

 

「この…ッ!!ふざけるなァァァァァ!!」

 

グラーフと戦艦棲姫は海上で激しい殴り合いを演じ、一進一退の攻防を繰り返していたが、やはりそこは戦艦と空母、殴り合いでは分が悪く、次第に押されてゆくグラーフの腹に非情のロングホーン突き刺さった!

 

「グハァ!!」

 

「フフフ…あの方に捧げる勝利、これで3つ目…」

 

「ぐ……グゥゥゥ!」

 

もうダメだ、しかしグラーフよ、オマエはよくやった、四天王の名に恥じない戦いぶりだった、俺はグラーフの負けを確信し、せめて絶命する前にタオルを投げ入れてやろうとすると………

 

「ガンバってー!ガンバってグラペーン!」

 

「そうだぜー!アンタはアタイらの仲間なんだぜー!」

 

「死なないでー!!」

 

客席スタンドから、グラーフに声をかけられただけで涙目になり、小便をチビりそうになって逃げだす駆逐艦のキッズ達からグラーフへのアツいエールが聞こえてきた

 

「フフフっ…無駄よ、このドイツ空母はもはや死に体…」

 

ピクッ!

 

「な、ナニ!?コイツ!?動いた!?」

 

グラーフは戦艦棲姫のロングホーンを引き抜いて脱出し、戦艦棲姫の顔にキックをブチこんだ!

 

「フッ……フフフ、このグラーフ・ツェッペリンにもタダでは死ねないワケがある」

 

「この死に損ないがーッ!!」

 

戦艦棲姫のハリケーンミ●サーが炸裂し、非情なるロングホーンが再びグラーフの腹に突き刺さったがグラーフだったが、そこから戦艦棲姫の首を両脚で締めつけ始めた

 

「バ…バカな!コイツ!こんな力がどこに残されているというの…!?」

 

そして、グラーフは客席のキッズ達に“ま…魔界貴族なんか応援してたら……ろくな大人にならないぞ…”と言い、最後の力を振り絞って戦艦棲姫ごと海に転落した!

 

「ゴバァ!!キサマ!放せッ!放せぇぇぇ!」

 

「オマエもHölleに付き合って貰うぞーっ!!」

 

そして、戦艦棲姫とグラーフが海に転落して数分後………ゴポゴポと気泡をあげ、海面に戦艦棲姫のロングホーンがニュっと姿を現した

 

「か、勝ったのは戦艦棲姫なのか!」

 

「い、いや!!待て…っ!アレを見ろ!」

 

「ゲェーッ!!あ、アレはー!!」

 

海の中から、アルゼンチンバックブリーカーを戦艦棲姫ににキメる形で姿を現したのはグラーフだった!間違いない!勝ったのはグラーフだ!しかし……

 

「ゴバァ…」死ーン

 

「………」死ーン

 

もはやピクリとも動かないグラーフ、強敵、戦艦棲姫を道連れに、誇り高きおっぱい空母グラーフ・ツェッペリンもまた、その命を散らしたのだ…

 

【神々の軍団函館の壱 戦艦棲姫 轟沈】

【一級魔界空母 グラーフ・ツェッペリン 轟沈】

 

2つの轟沈判定ランプが点き、ついに我々は最初の勝利を手にした、そう…それはあまりに重く、辛い勝利ッ!

 

「…フッ、同志グラペン、あの程度と刺し違えるとは情けないヤツめ」

 

「長門!キサマ、グラーフのマジダチじゃないのかオマエは!?」

 

「フッ、マジダチだと…?このビッグセブンにマジダチなど必要ないな」

 

な…なんて言うヤツよ、まさに非情!これが栄光の連合艦隊総旗艦たる者なのか、い、いや…アレはッ!よく見ると、長門は腕を組んで一見クールに徹してはいるが、その指で腕に散っていった仲間達の名を刻んでいるッ!

 

「ぬぅ…それは血誓痕生、長門、キサマ…」

 

「フッ…」

 

血誓痕生、その由来は中国大陸で名を馳せた勇猛果敢な蒙古ジンギス汗が、戦で戦死した者の名を己の腕に刻み、永遠の復讐を心に誓い必ずカタキをとったという故事にちなむと聞く…ッ!

 

「次はこの長門が相手だ、残っている5人、まとめて出ろ」

 

スタンドに足をかけ、海上に堂々とリングインした長門、その実力、そして威圧感たるやまさしく四天王最強、一級パラ●イトに相応しい豪傑よ…

 

「5人まとめて出ろとは舐められたモノですねぇ」

 

「フフッ…戦艦棲姫は私達の中でも最弱」

 

「あの御方に捧げる完璧なる勝利に泥を塗った函館鎮守府のツラ汚しよ…」

 

神々の軍団、外套を脱ぎ捨てた函館鎮守府の次なる刺客!ヲ級っぽい格好をした翔鶴、レ級っぽい格好をした吹雪、港湾…?なんだアイツ?港湾なんとかか?

 

「フッ、たった3人でこの長門に挑むとは…」

 

長門は降りてきた3人に背を向け、黄金のヘリコプターの停まっている場所まで行き、とりあえずの黄金のヘリコプターにジャーマンスープレックスしてヘリコプターを破壊した

 

「さぁ!ゴングを鳴らせ!戦闘開始だッ!」

 

最強にして最後の四天王、長門は猛然とダッシュをして待ち受ける3人に飛びかかる!っーかなんでヘリにジャーマンスープレックスする必要があるんだ!?やっぱ流行ってんのか!?それ何の意味があるんだ!?

 

「喰らえ!この長門の鉄拳を!」

 

猛然とダッシュしつつ、あの古代殺戮兵器オ●ガすら破壊した無敵の鉄拳を繰り出す長門!しかしッ!!

 

バシイイィィィ!!!

 

「な、なに…?この長門の拳を正面から受け止めた…?」

 

新たにリングインした5人目の外套の者は、あの長門の拳を受け止めていた!!バ…バカな、あの長門の拳を受けて無事で済むハズが…

 

『フフッ…相変わらずデタラメな威力ね』

 

外套を脱ぎ捨て、正体を現したそいつの名は………陸奥!!長門型二番艦にして、長き陸奥の歴史の中でも最も武の神に愛されし者!

 

「キサマ………陸奥、どういうつもりだ?」

 

「フフッ、アナタや提督には悪いとは思うんだけど……今回、私はこっち側で戦わせて貰うわ」

 

「なんだと…?」

 

え?ナニあの陸奥、函館所属の陸奥とかじゃないでウチの陸奥なの?な……なんというコトだ、まさか陸奥が裏切るとは…!

 

「テメー!!陸奥!テメーコラァ!!ナニ裏切ってんだコラァ!なんだ?えぇ?なんだ?アレか?この俺様よりその冴えないオッサンのマグナムチ●ポの方がいいってのかー!?」

 

「ちょ!失礼ね!私はそんな尻が軽いオンナじゃないわよ!」

 

「じゃなんだ?理由を言え、寝返りの理由を、アレか?金か?女か?」

 

「失礼ね………まぁ、実はほら、前に私、バスケ教えてる子達とちょっと小旅行行くって言ってたじゃない?ってか、行ったのよ、北海道」

 

「あ〜……?そういやそんなコト言ってたな」

 

北海道くんだりまで行って何が小旅行だと思いつつ、領収書にハンコ押したっけか、たしか

 

「で、行った先でこっちの人に色々とお世話になったのよね」

 

「ふ〜ん、っーかなんだ?お世話って、アレか?観光案内か?」

 

「え?カニ奢って貰ったり…」

 

「そうか、カニか…」

 

カニか………じゃ、仕方ねぇな、まぁカニの借りなら仕方ないわな

 

「ハナシはわかった、それなら仕方ないな」

 

「でしょ?」

 

陸奥はイイ女特有のイタズラっぽいウィンクをしてニコニコと微笑み、いやー良かった良かったー、これで心置きなくやれるわーと言って笑った

 

「長門、遠慮はいらん、陸奥を倒せ」

 

「フッ、任せておけ同志提督よ、この長門には陸奥の………知らぬ技がある」

 

長門のバカは立ててはいけないフラグを立て、自信満々に薄ら笑って構えをとり、同様に、陸奥もいつもの何を考えているのかわかりづらい薄ら笑いを浮かべて構えをとった…

 

長門対陸奥、歴史の影と闇に生きてきた両者が今、光あるこの表舞台で雌雄を決する!

 

 

──────────────

 

「グヘァ!!!」

 

海面に叩きつけられた長門は絶命の吐血をブチ撒けて動かなくなった……実姉である長門に対し、躊躇いなく巖颪をブチ込んでくるとは、まぁ、虎砲をも耐える鋼のタフネスの長門を相手になら当然と言えば当然か…

しかしおそるべしエンメイリュウ、おそるべしムツ…

 

「まさか四天王が全て敗れるとは…」

 

「残ってるのは鈴谷さんと村雨姉さんですね」

 

「あぁ、残ってんのはよりにもよってあのバカどもだが…」

 

鈴谷と村雨は態度の悪いメジャーリーガーのようにチューインガムをクチャクチャ噛みながらHAHAHAと笑いつつなんか自撮り棒で自撮りしているが……大丈夫かコイツら?

いや、マジで、なんか自信満々にツープラトンして乱入してきたが大丈夫なのか?

 

「おい、クソビッチども!」

 

「ハァ…?ビッチじゃねーし」

 

「ってかテイトクぅ、アイツらやっつけたらお小遣い頂戴ね、お小遣い」

 

「やかましい、勝てばくれてやるしカレーだって奢ってやる」

 

鈴谷と村雨はウェイウェイ言いながらその言葉覚えとけよー!と吐き、陸奥を除く3人の相手に飛びかかり、まずは一番弱そうなレ級っぽい吹雪の上段下段に同時に容赦なく蹴りをブチ込んだ

 

「ぐわっ!!こ…このっ!」

 

「ツアーッ!!」

 

「トアーッ!!」

 

さらに、鈴谷と村雨はそれぞれヲ級っぽいのと港湾っぽいの掴み、お互いにジャーマンスープレックスで勢い良く後方に投げつける要領でヲ級っぽいのと港湾っぽいのの頭を激突させ、2人同時に始末した!

 

「グハァ!!」

 

「イタぁぁぁ!!」

 

つ…強いぞあのビッチども!な…なんだ!?なかなかヤるじゃないかアイツら!これは期待していい感じなんじゃないのか!!

 

【神々の軍団函館の弐 翔鶴 轟沈】

【神々の軍団函館の参 港湾なんとかっぽい人 轟沈】

 

「ヘイヘイヘーイ、どーよ?これがメインヒロイン様の実力ってワケですよぉー!」

 

「ヘイヘーイ!お小遣いちゃんと用意しててよー!」

 

バカ2人はヘラヘラ笑いながらこっちに手を振っているが、まさかあのクソビッチどもがまさかの活躍を見せるとは…

 

「この…っ!調子に乗るなよ!」

 

「あ゛ー?」

 

レ級っぽい吹雪のパンチを躱し、鈴谷はそのままその両腕を捻り上げて空中に放り投げて自身も飛び、空中で相手の両腕と片脚を固めた状態で勢い良く落下して脳天から海面に叩きつけた!

 

「ビッチベン・エッジーッ!!」

 

グワシャアアアッッッ!!!

 

「グハァ!!」

 

【神々の軍団函館の肆式 レ級っぽい吹雪 轟沈】

 

「っしゃー!ヘイ!ヘイ村雨!ヘイ!」

 

「ウェイ!ウェーイ!」

 

バカ2人はハイタッチしながらウェイウェイ言っているが………強い!コイツら自信満々に出てきただけはある!一気にこの絶望的な状況をイーブンにまで戻しやがった!

 

「いいぞクソビッチどもー!よーし!その陸奥と残りの1人を始末してやれ!売女のように大胆に!ビッチのように淫乱にだー!」

 

「だからビッチじゃねーし!」

 

「さぁ〜て、あと2人だしぃ、ケチョンケチョンに負かしてやりましょうかねぇ〜」

 

勝てる…っ!これなら勝てる!そう確信した俺だったが、対面側スタンドに座るあの御方こと冴えないオッサンは特に焦った様子を見せるワケでもなく、残る最後に1人になにやら指示を出しており、その、神々の軍団函館最後の1人がついに外套を脱ぎ捨て海上にリングインした

 

「げ、ゲェーッ!!アイツはーッ!」

 

『フッフッフッ…ヤラセハシナイ…ヨッ!』

 

たしかアイツ、なんか春雨っぽい深海棲艦の………

 

「…足があるな」

 

「ソりゃあるよ、だって明石サンに作って貰ったシ」

 

コイツ……まさか、ウチの春雨(仮)!?まさか、陸奥に続いてコイツまで裏切りやがったのか!?

 

「ソうよ!ソのまさかよ!」

 

「キサマァァァァ!今まで飼ってやった恩を忘れおって!このカテゴリーFが!」

 

まさかの裏切り…っ!裏切りの銃口!陸奥に続き、たぶんしょーもない理由で裏切ったであろう春雨(仮)は陸奥と共に急造コンビ、新星!ヘル・ミッションエンジェルスを組み、はぐれビッチ清純派コンビと相対した…

 

ってか、これウチの所属同士じゃん……これもうウチの勝ちでいいんじゃねぇのか?

 

そんな事を考える俺を他所に、特別演習、東西戦はいよいよ最終局面へと突入する




次回、ハッスルリターンズ 延長戦
すきっと2回でまとめられないだらしない私ですまない…


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ハッスルリターンズ 延長戦

ゴングを鳴らせ!戦闘開始だ!

このお話は輪音様の提案を基にやりたい放題した結果です


【登場人物】

提督(213)
ザ・あやつ、メガネのくせにストロング系

北国の中佐
ザ・こやつ、冴えないおっさんだけど、実は誰もが羨むメイン主人公でもある

鈴谷(59)
ザ・メインヒロイン、ビッチである

村雨(7)
ザ・駆逐艦にあるまじき肉感、右目のギ●スがオフにならずに深海棲艦は皆殺しとか言ったら大変な事になった


はぐれビッチ清純派コンビと新星!ヘルミッションエンジェルスの死闘は苛烈を極めた!おそらくは金的以外の全ての反則が使用される一見すると凄惨かつ残虐なファイトだったが、そのハゲしく!アツかりしファイトはスタンドを総立ちさせ、会場を二分するエールが演習場と言う名の四角いジャングルに響いていた…

 

「グフォフォフォ…まさかクソビッチと罵倒されるのが当たり前だった私達が応援されるとはね」

 

「だがしかし…!こんなにも声援が力になるとは、思ってもみなかったぜーッ!」

 

鈴谷と村雨は肩を組んで立ち上がり、そのままダッシュでドロップキックを放った!

 

「ドヘァ!!」

 

「クッ!なかなかやるわね…」

 

対する、悪魔に魂を売った(快適ネトゲ生活)駆逐艦こと春雨(仮)と陸奥は慣れないタッグに四苦八苦していた、それもその筈、そもそもこの2人は好きな音楽のジャンルは知らない程度にしか仲良くはない急造コンビ…!

しかし、春雨(仮)には負けるワケにはいかない理由があった!何故自分があのクソメガネ提督を裏切るような真似をしたのか、そう………あれはつい先日、メールボックスに届いた一通のメールが…

 

「ねぇ、春雨ちゃん、そのハナシ、長くなりそう?」

 

「え?あ、はい、ワリと…」

 

あの海賊漫画で言うならば4週は使う必要があるであろう内容…

 

「じゃ、それは後にして頂戴」

 

陸奥は春雨の両足を掴み、自身を中心にしてグルグルと回転を始める、所謂、ジャイアントスイングと言うヤツだが、さすがに戦艦陸奥のパワーから繰り出されるジャイアントスイングはパワーが違う!!下手に近づけば粉・砕!確実ぅ!であろう

 

「ギャアアアアアアアア!!もげる!もげるもげるもげる!陸奥サァァァァァン!足がもげるーッ!!」

 

ーーー

 

一進一退の攻防の中、マウントにとった春雨(仮)にエルボーの乱打を浴びせる鈴谷はさらにキャメルクラッチの形で春雨(仮)を始末するべく技をキメた

 

「あががが…タスケテー、ね…ねぇ…姉ちゃーん、タスケテー」

 

「ハーッハッハッハ!白露型駆逐艦春雨ェ!おーまーえーは死ぬのだー!」

 

「ね…ねえちゃーん…!ねーちゃーん!」

 

まさに苛烈!まさに残忍!まさに残酷!ゲラゲラと高笑いする鈴谷の延髄に、ビッチパートナーであるはずの村雨の駆逐艦にあるまじきいやらしい肉感溢れる蹴りが炸裂した!

 

「トアーッ!!」

 

ドガァツ!!(延髄斬り)

 

「グハァ!!!む…村雨ェ…!キサマぁ!」

 

村雨はキャメルクラッチから解放された妹の肩を抱き、その手を優しく握り締めた

 

「フッ……フフフ、春雨、お姉ちゃん間違っていたわ、悪魔に魂を売ってまでお小遣いを得ようとしていたなんて、こんなお姉ちゃんを許してくれるかしら?」

 

春雨(仮)は強く、優しい姉が帰ってきた事を確信し、その手と駆逐艦にあるまじき柔らかさとデカさの村雨っぱいを掴み、己の中にまだ残っている最後の力を村雨に託し力尽きた…

 

「ニャゴフッ!」(吐血)

 

【神々の軍団函館 駆逐艦春雨 轟沈】

 

「鈴谷さん……悪いんだけどタッグは解消よ!今、この瞬間から私は正義艦娘・村雨として戦うわーッ!」

 

「バゴアバゴア!!ナニが正義だ!貴様も所詮はビッチと言う烙印に背を向けた軟弱な者よ!無秩序・無軌道・無慈悲のビッチ道を捨てた貴様如きがこの鈴谷様に勝てると思うなーッ!」

 

鈴谷と村雨はガッツリと手ぇ四つで組み合いつつパイ合わせで正面からの真っ向勝負!力の勝負を開始した

 

「ナニが正義だ!このブス!駄肉!駄肉駆逐艦!」

 

「ハァ!?なんですってこのババア!!誰が駄肉よこのボンレスハム!」

 

「ボンレスハムぅ!?許さんーッ!!」

 

「痛っ!!ナニすんのよこのアバズレ!!髪引っ張るんじゃないわよ!」

 

「イタぁ!!このクソガキぁ!!」

 

リング上で始まったこの世で一番醜いファイトは凄惨を極めた、互いに容赦なき急所攻撃を繰り出し、デブだのブスだの罵倒責めの応酬、そして弾ける服と弾ける下着、既に体力気力と布面積の大半を失った鈴谷と村雨だったが、そこはやはり航巡である鈴谷、駆逐艦である村雨とはタフネスが違っていた

 

「これで終わりだーッ!!」

 

鈴谷は村雨を空中にブン投げ、身体をブリッジさせる要領で何度も村雨叩き上げ、空中で荒々しい関節技を極める!

 

「ニャゴフッ!!」

 

「死ねッ!!」

 

あ、あの技はテイトクスパークではない!!先の戦いで島風があの空母棲姫に放ってみせた傲慢なるあの技だーッ!!

 

「まさか鈴谷さんのヤツ!アレを使う気かー!?」

 

「あわわ…虐殺王!」

 

観客スタンドからも鈴谷が今から放とうとする禁断のフィニッシャーに戦慄が疾る、そして、空中で関節を解いて落下を始める村雨に鈴谷はさらなる関節を極めて勢い良く落下してきた

 

「ぐ…おっ!い…いかん!やはりとてつもない技だ!………だがしかぁーし!!鈴谷はキメてみせる…ッ!!鈴谷こそメインヒロイン!鈴谷こそ誰もが羨むメインヒロインじゃーッ!!」

 

グシャァッ!!!

 

血塗られし傲慢なる禁断のフィニッシャーが炸裂し、海面に叩きつけられた村雨はニャゴフッ!と吐血しながら色々なところが丸見えのポーズで白目を剥いて海上に倒れた、しかし…

 

「ウゴゴゴ………ガハァ!!」

 

技をキメたハズの鈴谷の方も吐血し、海上に倒れた

 

「な…何故なんだ!鈴谷サンの技は完璧に決まったハズ!」

 

「何故鈴谷さんまであれ程のダメージを…」

 

海面に倒れる2人と観客スタンドに広まる動揺、正直、あの冴えないオッサンもドン引きするこの事態の中、俺の隣に座る五月雨は電話ですよと言って袖を引っ張っるので出てみると、いつぞやのジジイ……ではない、桜井とかなんとか中将だった

 

「はい、もしもし」

 

『傲慢なるあの技はそんなに甘いものではない、必殺技とは与えるダメージが大きいほど技の掛け手にそのダメージが大きく跳ね返ってくる、そしてあの血塗られし禁断のフィニッシャーは言うならば………“孤独の塊”!姉妹艦や友達など甘えた者がいる者には決して使えぬ奥義よ………ブチッ!ツー…ツー…』

 

冷静で的確な解説をありがとう桜井中将………ってかどっかで見てんのかコレ?え?中継されてんの?

 

白目を剥いて倒れる村雨、そして立ち上がろうとしたものの、やっぱり倒れて、挿入してくださいと言わんばかりにケツをあげて気絶する鈴谷………つまり、この結果は

 

「え?私の勝ち?」

 

ジャイアントスイングに飽き、スマホをポチポチとイジっていた陸奥は、私?と言って自分を指差した

 

【はぐれビッチ清純派 駆逐艦村雨 轟沈】

【はぐれビッチ清純派 現役援航巡鈴谷 轟沈】

 

この瞬間、電光掲示板の西軍全ての戦士達の名前が消灯し、演習終了のサイレンが鳴った………

 

◆◆◆

 

「良い試合でした」

 

「さいですか…」

 

リングを降りたらノーサイド、俺と北国の中佐は握手を交わし、互いの健闘を讃えあった、ってか…このおっさん何もしてねーし、ってか俺も何もしてないが

 

「しかし、まさか純粋なこちらの人員が全員敗れるとは思いませんでした」

 

「そう思うなら勝ちを譲ってくれよ、中佐殿」

 

「ヘリコプターの件ですが…」

 

「サーセンしたァ!!」

 

バカどもが意味なくジャーマンスープレックスして破壊した黄金のヘリコプターの請求されてはかなわんのだよ、そもそもアレ、一機でおいくらなんだよ?そもそも金とかバカなのか?ビームコーティングでもしてんのか?

 

「いいんですか提督、この負けは評価に響きますよ?」

 

「仕方なかろう、負けは負けだ」

 

五月雨はいつもならみっともなく駄々こねてインネンつけるのに珍しいと隣で言っていたが、俺とてそう毎度毎度ゴネるワケではない、特にだ、先日の中尉はイケメンだったからゴネたが、別にこの中佐殿はイケメンではないのでゴネる理由もない、しかし…

 

「タダで帰すのも癪だな…」

 

せっかくなので、想い出に中佐殿にはこの美しい黒薔薇をプレゼントしてやろうと黒薔薇を取り出したが、俺の身体はそれ以上動く事ができなかった

 

「ぬぅ……これは!」

 

俺の身体にいつの間にやら薄い氷の輪のようなものがまとわりついている!これは……氷結リングか、こやつめ味な真似を…

 

「だがこの程度の子供の遊びでこの俺を止めたつもりでいるのか?」

 

「いえ、無理でしょうね」

 

「な、なに!?」

 

バ…バカな、俺の将校服が凍っている…!?少将でも-150℃で凍結・破壊、中将なら-200℃、大将クラスともなれば絶対零度−273.15 ℃を必要とする絶対零度を極めていると言うのか?この男は!

 

「フッフフフ…面白い、中佐殿、気が変わったぞ、ヘリコプターの代金、支払いましょう」

 

「ほぉ…」

 

「ただし!この俺に勝つ事ができたらなーッ!!」

 

──────────────

 

福●国際センター、1981年に建設されたそこは、毎年夏にはボリシ●イサーカスの興行が、秋には大相撲が開催される博多湾を臨む一大コンベンションセンターの一画にただずむ建物である、しかし、本来その場所は古来より完璧提督達が修練に励む格闘の聖地であり、後年、近くに建造された福●タワーは古来より完璧提督達が昇る修練の山を模して造られたと言う話はあまりにも有名な話である…

 

そして今、その伝統溢れ聖なる完璧の地に戻ってきた完璧なる提督…

 

「出たーッ!!とりあえずヘリコプターにジャーマンスープレックスだー!」

 

「そこら辺にいた虎にもジャーマンスープレックスだー!!」

 

アホな駆逐艦のキッズの声援溢れる中、俺はとりあえず黄金のヘリコプターにジャーマンスープレックスし、ついでに、そこら辺をウロウロしてた虎にもジャーマンスープレックスし、猛然とリングにダッシュした!!

 

「行くぞォ!ゴングを鳴らせ!戦闘開始だーッ!」

 

リングに飛び込み、北国の中佐殿の腕をとり、とりあえず挨拶代わりに審判のロックアップ!!

 

「グロロロ…提督強度3000万といったところか!さすがにやりおる!」

 

「レスリングはあまり得意ではないのですが…!」

 

「こやつめ!言いおるわい!だがその余裕がいつまで保つかーッ!!」

 

俺と中佐殿のストロングな戦いは熾烈を極めた、俺のスピンダブルアームソルトからの魔性の一撃をまさかの力業で破り、あれではただの首へのニードロップとディスられ、たしかにそんな気はしていたと思ってはいたが、いざ言われるとちょっと悲しかった…

 

「ハー……ハー……こやつめ、やりおる!」

 

「南国のヌルい中佐かと思っていたが…クッ、まさかこれほどまでにダメージを受けるとは」

 

「死ね!積尸気冥●波ーッ!!」

 

俺の積尸気冥●波と言う名のボディブローが炸裂し、北国の中佐はくの字に折れ曲がった、積尸気冥●波はゲロと一緒に魂を吐きだす無敵のパンチよ!さぁ吐きだせ!

 

「クッ…!なんて威力だ」

 

「こやつめ!まだ息があったか!ならば何度でも地獄に行くがいい!!積尸気冥●波!積尸気冥●波!積尸気冥●波

ーッ!」

 

俺の執拗なボディ打ちを喰らいながらもなお倒れないこの男………クッ!この男は不死身だとでも言うのか!?何がこの男を支えていると言うのだ!?

 

「フッ………フフフ、これでも、函館鎮守府を率いる提督として、負けるワケにはいかない理由があるんでね」

 

「な、なにィ!?」

 

よく見ると、スタンドからはガンバレー!おっさーん!だとか負けないでー!おっさーん!だとかこの男に対する声援が飛んでいる、っーかお前ら誰の応援してるんだ!?誰の!?

 

「バ…バカな、声援や友情など強さへの不純物に過ぎん!そんな力は幻想に過ぎんのだー!!この技で!キサマを屠り完璧提督界と下等との決別だー!!」

 

俺は北国の中佐を掴み、完璧なるあの技を仕掛けるムーヴへと移行する!!

 

「ゲェーッ!!あ、あの技はーッ!!」

 

「島風が決め、鈴谷サンが失敗した完璧なる一撃!!」

 

そうだ!!テイトクスパークでは生温い!!鈴谷よ!お前の遺志は受け取った!この一撃で決着とする事でオマエの手向けにしよう!

 

ーーー

 

「ニャゴフッ!!」(吐血)

 

そして………傲慢なるあの技を仕掛けたハズの俺は、いつの間にやら逆に技を仕掛けられる側へと回っていたらしく、空中で両腕を固定しエビ反りになるようにクラッチされていた…

 

「長かった戦いよさらばーッ!!!」

 

そして、中佐殿は俺と背中合わせの姿勢で手足を固定して勢い良く落下し、俺の頭と体を地面に叩きつけた!!

 

グシャアアアアアアアッ!!!

 

「グハァ………!!」死ーン

 

「か……勝った」

 

この瞬間、ゴングが鳴り、遂に長かった東西戦の真の決着となった!

 

○偉大なる御方・北国の中佐 VS ●完璧なるクソメガネ中佐

 

試合時間 42分564秒 テイトクスパーク

 

◆◆◆

 

「あー………肩痛いわー、マジ肩痛いわー」

 

特別演習東西戦が終了し数日後、俺は執務室で基地スポを読みながら身体のふしぶしの痛みと戦い、五月雨に背中にサロ●パス貼ってくれと頼むとイヤそうな顔をしていたが一応、貼ってくれた

 

「はい、貼りましたよ」

 

「ご苦労、あと、茶を淹れてくれ、茶」

 

「はいはい」

 

色々あったが、とりあえず今回は痛み分けと言う評価に収まったらしく、俺の地位は特に変動はなく、また、さんざんブッ壊した黄金のヘリコプターについてもなんか有名な企業が補償してくれたらしく、特に弁償だのなんだのの請求書は回ってこなかった…秘書課の美音少佐曰く、お嬢様に感謝しろよクズ男とのコトだが、何の話だかはサッパリわからないな

 

「ふ〜ん、サラトガ柵越え15本か〜…やっぱスゲーな、アメリカさんのおっぱい空母は、スゲーおっぱいだ」

 

「それ柵越えと関係ないと思いますけど…はい、アツいですよ」

 

「へいへい…」

 

あとついでに、先日の俺とポーラとイヨティンの爛れた記事だが、同店にいたママがほぼ全裸で酔い潰れた俺たちをウチはモーテルじゃないんだよと蹴り飛ばしたところ、クズの青葉が偶然通りがかり、せっかくなのでピューリッツァー賞狙う感じの写真を撮りたいと撮影したらしく、とりあえず写真だけ撮って俺の部屋に全員放り投げたそうだ

 

モチロン、青葉は後で半殺しにした

 

あと、ポーラの尻が痛いのは最近辛いモン食べ過ぎたんですよぉ〜ウヘヘヘ〜とザラ姉ちゃんに悪びれなく説明し、半殺しにされた

 

ついでに、イヨティンも13ちゃんにマウントからまるで精密なマシーンのように一切の澱みも加減もない拳を浴び、半殺しにされた

 

そして、俺のケダモノレ●プ魔疑惑は晴れた…

 

「あ、そうそう、そう言えば鈴谷さんがカレー食べたいって言ってましたよ」

 

「ふ〜ん、そこの棚にボ●カレーあるから持って行ってやれば?」

 

ちなみに鈴谷はまだベッドから起き上がれないらしく、オ●ニーするのも大変だなオイと小粋なテイトクジョークを言ったら一言、死ね、とだけ言いやがった




次回は普通に通常回、新しい装備を開発するハッキリ言って自信作回、たぶん


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提督と神風となんかデカい棒

たぶんと言ったらたぶんなのだよ…

【登場人物】

提督(214)
モクモクしているモクモク人間

神風(3)
沸点が低いプッツン長女、メルヘン思考

朝風(3)
デコが広いプッツン次女、好きなライスはハヤシライス

松風(2)
ボーイッシュ四女、なんやかんやで姉は怖い


クソ寒くはあるがタバコは吸いたい、そんな一流のスモーカーである俺は、執務室でギシギシしていると五月雨からうるさいんでニコチンでも摂取して来て下さい、あとシャーペンの芯買って来て下さいと300円渡され、おつりでジュースを飲んでいいですと執務室から叩き出された…

 

「あのヤロウ、俺はカーちゃんの奴隷かっーの」

 

まったくあの寒色系駆逐艦が、俺を一体誰だと思ってやがるんだ、だいたいなんだ白と青って、そーゆートコもムカつくんだよ、あの青髪ロング子は………ん?

 

「……右よし!左……よし!」

 

廊下の曲がり角に、なんかデカいのを持ったチビが曲がり角の向こう側を窺うように見ながら立っていた、誰だっけアイツ?なんか見覚えがあるような、ないような…まぁいいや、提督として気さくに挨拶ぐらいしとくか

 

「よーう!そこのシビスケェ!ハッピーかーい?」

 

「誰がチビよ!!って、しまっ………なんだ、提督か」

 

「なんだとはなんだ、だいたい誰だオマエ?敵か?」

 

「神風よ!!」

 

デカい棒みたいな物を持ち、キィーキィーと喚くのはたしかにアレだ、そう、アレ、神風クン、長州派維新志士の人斬りみたいな子でルックスもイケメンだ

 

「カミ……?あぁ、あの有名な神風クンか」

 

「え?有名?ホントに?」

 

魚雷磨きのバイトでは右に出る者はいない驚きと感動の鏡面仕上げを創り出すまさに魚雷磨き界のレジェンドと言っていいだろう

 

「いやぁ〜…そっかそっかぁ〜、やっぱ有名になっちゃうか〜、だって我ながら可愛いんじゃないかな〜って思える容姿だし、やっぱオーラは隠しきれないって言うかぁ〜」

 

何が隠しきれないオーラだよこのチビ、隠しきれてないのは人斬りの過去なのだよ

 

「で?その神風クンはこんなトコでナニやっとんのかね?」

 

「え?あ、いや…」

 

神風クンは手にした妙にデカい包みを背中に隠そうとしたが、いかんせん包みがデカすぎてナニ一つ隠せていない

 

「だいたいなんだその鈍器みたいなのは?アレか?丸太か?」

 

「なんで丸太なのよ!」

 

長女のくせに煽り耐性ゼロの神風クンは手にした丸太のような包みを俺に打ちつけて来たので、とりあえず右手でそれガードした

 

「ほぉ…これはいい丸太だな」

 

「だから丸太じゃないわよ!離しなさいよ、バカ!」

 

「バカじゃない、提督だ、だいたいキサマ、なんだその口の利き方は!立て、修正してやる」

 

「うっ……ま、まぁ、口の利き方に関しては謝るわ、ごめんなさい」

 

煽り耐性ゼロだが素直に頭を下げられる子らしい神風クンは素直に頭を下げてごめんなさいと謝った、なるほど、なかなか素直で良い子じゃないかね、提督はそーゆー素直な点を評価するのだよ………しかし

 

「ダメだ」

 

「なんでよ!?謝ったじゃない!」

 

「誠意が感じられんな」

 

「せ…誠意?お、お金なら………ないわよ」

 

誠意=金か、なるほど…さすがは神風姉妹の長女、妹達を食べさせる為に魚雷磨き、芋の皮剥き、お風呂掃除から洗濯まで、とにかく日がな一日忙しく働く女給さんのようにハードな仕事をこなしているだけはある

 

「金など不要だ、口を開けなさい」

 

「は?」

 

俺は手にしていたビニール袋から黒光りする棒を取りだし、それを神風クンのブチこんだ

 

「もがぁ!!?」

 

「どうかね?九三式酸素エクレアの味は?ほら、もっと美味しそうにしゃぶりなさい」

 

「ちょ!も……ぢ!甘…っ!んんん!?」

 

普段から倹約家で、食事は麦飯や炒った豆などが中心と聞く神風クンに俺からのビッグボーナスなのだよ、きっとアレだろう、以前、デカリボンの妹にまだ鎖国してんのかよーとかディスられてたぐらい文明開化してない子だ、乗せてやるよ!九三式酸素エクレアって名前のKUROFUNEに!

しかし……わりとクリーム多いなコレ…ちょっと乱暴に持ったらハミ出そうだな

 

「もががががが!」

 

「こぼすなよ…っ!全部舐めとれ、丁寧にな」

 

「うぅぅ……げほっ!うぇぇ……甘ぃぃぃ!でも…美味しぃぃぃ」

 

良かった良かった、神風クンは初めて食べたのであろうエクレアに、なんだコレ?甘いぞ!くそっ!なんて甘さだ!と感動に身震いし、ちょっとハミ出て頰に付いてしまったクリームをペロペロと舐めて恍惚な表情をしている、まったく…良い事をした後は気分がいいな!

 

「クッズィッスィズ!スリラー!スリラーっナイ!」

 

「アハッハッハ、姉貴は本当に音痴だなぁ、耳が腐りそうだよ」

 

「ハァ!?松風ェ!?アンタ喧嘩売ってんの!?」

 

良い事をした後は思わず鼻歌でも歌ってしまいそうに気分が良いと思っていると、神風姉妹の次女と四女がアホな話をしながら廊下の先から歩いて来た

 

「よぉ、シャバ僧ども」

 

「誰がシャバ僧よ!」

 

神風姉妹の次女、デカリボンこと朝風、姉妹一の文明開化通らしく、洋食や洋楽に興味津々丸らしい

 

「アハッハッハ、たしかに姉貴はシャバ僧さ!」

 

神風姉妹の四女、ヅカ風こと松風クン、一見するとチ●ポついてそうなハンサムボーイだが、チ●ポはついてない

 

「そもそも提督、こんなトコでナニやって…」

 

「あ、姉貴ィィィ!!」

 

「なによ!!いきなり大声出さないでよ!殴られたいの!?」

 

朝風は松風の胸ぐらを掴んだが、松風があ…あれを見ろと言わんばかり指差していたので、ナニよとか言いながらこっちを見た

 

「ヒイイィィィ!!か…神風姉ェ!?」

 

「や、ヤバいよ…ヤバいよ姉貴」ガクガク

 

「か…神風姉ェ………いや、様子がおかしいわね、どうしたの!?神風姉ェ!」

 

朝風は未だ恍惚から抜け出せない神風の両肩を掴みガックンガックンと揺らした

 

「て……提督からぁ〜…黒くて、甘い棒をぉ〜口に入れられてぇ〜……中から、白くて…?あれ?黒かったかな…?なんか濃くて、喉にからまるのが〜…」

 

「な、なんですってー!?」

 

「それは本当なのか神風姉っ!」

 

「嘘でしょ神風姉ェ!!開国しちゃったの!?まさかの硬度10並のカタさを持つ神風姉ェが開国しちゃったの!?」

 

長女をガックンガックンと揺らす次女はそれは本当なのか!?オマエの文明はホントに開化してしまったのか!大正浪漫どころかオマエは一気にトレンディ高度成長期に行ってしまったのかー!とか言いながらガックンガックン揺らしていた

 

「な…なんてこと!なんてこと!」ぶるぶる

 

「こ、このケダモノ!まさかよりにもよって神風姉に獣欲をブチ撒けるとは思ってなかったよ!これで普段から口うるさい神風姉も少しはおとなしくなってくれるコトを期待するよ!」

 

「ナニ言ってんだオマエら?俺がオマエらみたいなクソチビのアホガキなんぞにコーフンするワケないだろーが」

 

「じゃあ!あの神風姉ェはナニ!?」

 

俺はとりあえずナニやら勘違いしているらしい朝風と松風に、懇切丁寧にここまでの流れを説明してやった、おやつにでも食うかと買ってみたエクレアを神風クンに与え、神風クンはそのあまりの美味さに、今やその心は此処にあらず、きっとその心は今、マハラジャで踊りまくっているのだろうと…

 

「まぎらわしいわ!」

 

「まったくだよ!」

 

「やかましいわい、っーかおませさんか、オマエらは、ったく…どっからそんないらん知識を…」

 

やはりインターネッツか!インターネッツが若年層への性風紀に深刻な乱れを助長させているのかッ!

 

「まぁいいわ………で?神風姉ェの横にあるそのデカいのナニ?丸太?」

 

「知らねーよ、丸太なんじゃねーの?」

 

「そう言えば神風姉、こないだ僕ら殴るのにビンタじゃ足りないわねとか怖いコト言ってたね…」

 

「マジ?ちょ…松風、怖いコト言わないでよ」

 

この2人、長女から日常的にビンタされるぐらいの落ち度にまみれているのか…

 

「な、何が丸太よ!そんなモンにビビる朝風さんじゃないですよーだ!」

 

「でも姉貴、こないだ部屋で神風姉から大和撫子がスリラースリラーうるせーとか言われてビンタされてたし…」

 

「あれはまぁ…アレよ、神風姉にも洋楽の良さをわかって貰おうと…」

 

ちなみに、三女の縦ロールからも音痴とディスられ、五女からも不快音とディスられたらしい

 

「まぁ音痴だかはどうでもいい、とりあえず長女を部屋に連れて帰ってやれよ、その丸太も」

 

「ハァ!?なんで私が!?」

 

「いいよ姉貴、僕が丸太を持つから姉貴は神風姉を…」

 

こうして、神風クンと謎の丸太は朝風&松風のバカコンビに背負われて去って行った…

よし!喫煙所に行ってタバコ吸って帰るか!

 

ーーー

 

…後日、神風の持っていた謎の丸太は意外にもチョコレートだったらしく、神風はいつも粗食に付き合わせている姉妹に美味いモンを食わせてやりたいとコツコツと貯金し、遂に購入したのだが、いざ買って持って行くとなると恥ずかしくなりどうしたものかと攻めあぐねていたところだったそうだ…

丸太チョコレートは無事に姉妹達に贈られ、今まで鬼とか言って悪かったよと次女と四女はアツい感動の涙を流し、姉妹の結束はより一層強固なものになったそうだ…

 

「ハァ………えくれあ食べたいなぁ〜」ボソッ…

 

「な、ナニ言ってんの神風姉ぇ!?」

 

「ヤバいよ!神風姉がヤバいよ!」

 

その後、神風クンはたまにボーっとして妙にニヤける時間が増えたらしいが、俺は悪くない



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提督と天木曾とチョコレートの日

ギリギリギリギリで時事に走る回

【登場人物】

提督(215)
未だ中二病から抜け出せずにいる大人、恥ずかしい大人とも言う

天龍(4)
深刻な中二病、オレカッコいい!と思っている背景には妹から無償の愛で天龍ちゃんカッコいいと褒め称えられてる点にある

木曾(5)
重度の中二病、言動がオラついてるキャラで通してるものの、姉ちゃん達が怖くて仕方ない末っ子


2月14日、その、素敵な日付けが俺達を行動させた!

 

特にやる事もなく、談話室でおしゃべりしながらお菓子を食べていた俺と天龍と木曾、誰かが何気なく点けっぱなしにしていたテレビから、今日はバレンタインデーですねーとの話題が聞こえてきたので、俺達は、よっしゃ!誰が一番チョコ貰えるか競争しよーぜ!と盛り上がり、早速各々散って、再びこの談話室に戻って来たのだが………

 

「…何故だ」 【提督:1】

 

「クッ!ありえねーぜ!」 【天龍:1】

 

既に談話室に戻っていた俺と天龍はそれぞれの戦果をスタイリッシュにパキりつつ、何故自信満々に出て行った結果がこれなのかと互いに机をバシバシと叩き、敗北感と言う名のビターテイストを噛み締めていた…

 

「おうおうおーう!シケたツラじゃねーか敗者どもー!」

 

そんなビターな俺達の前に、木曾のアホンダラがゲラゲラ笑いながら帰ってきた

 

「木曾ォ!」

 

「敗北者…?取り消せよ!今の言葉!」

 

「オイやめろ天龍!」

 

「でもアイツ提督をバカにしやがった…!」

 

「オマエもバカにされてるんだよ!」

 

なにコイツ自分の方が勝った気でいるんだよ、テメーも俺と同じく1つ、しかも妹からしか貰ってねーじゃん

 

「っーか木曾、オマエそんだけ自信満々に帰ってきたぐらいだから余程の大戦果なんだろーな?」

 

「フッ、オレを誰だと思ってるんだ?漆黒の衣を纏い禁断の力を手にしたダークナイト、木曾様だぜ」

 

木曾は懐から、計4つのチョコレートっぽい箱を取り出してテーブルの上に置いた

 

「4つか…」

 

「4つだぜ!」 【木曾:4】

 

「………オマエ、コレ、姉ちゃん達から貰ったろ?」

 

「は、ハアァ!?そ、そそそそ!そんなワケねーし!!」

 

ナニ自信満々に言ってんだコイツは、4つとか間違いねーだろ、っーかコレ“球磨姉ちゃんより❤︎”って思いっきりカードが刺さってるじゃねーか、完全に身内からじゃねーか

 

「なんだよビビらせやがって、ヘヘッ…木曾、案外シャバいじゃねーの?」

 

「ハアァ!?天龍!じゃ、オマエは誰から貰ったんだよ!」

 

「龍田」

 

「身内じゃねーか!!じゃ、提督は?」

 

「俺?五月雨」

 

あの野郎、執務室に行ったら、今日バレンタインらしいんでどうぞと言って執務机に置いていたが……なんだろうな、この1ミリとも込み上がらない嬉しさは

 

「………つまりアレだ、俺達全員、ほぼ身内からしか貰ってねーってコトか?」

 

「あぁ…」

 

「チッ!何故なんだ!」

 

俺、天龍、木曾、この基地では他の追従を許さないスーパーハンサムボーイズである俺達がまさかの大敗北を喫する結果になろうとは誰が予想できたであろう、俺達と言うハンサムに何が足りないと言うのか…っ!?

 

「いや…待てよ」

 

「どうした天龍?何か気付いたのか?」

 

天龍はハッとなったのか、唐突に何かに気付いたようにテーブルをバシッと叩いた

 

「何故今日俺達が基地内を歩いても誰もチョコレートを渡さなかったのか………それは誰もチョコレートを持っていなかったからだぜ!」

 

「な…なに?」

 

「それはどーゆーコトだ!天龍!」

 

天龍は眼帯を抑えながらユラリと立ち上がり、スタイリッシュにぐるりと回った

 

「俺の考えはこうだ!おそらく今日の朝、チョコレートを持っていたハズのみんなは基地内に余計な物を持ち込んではいけないって没取されちまったんだ!」

 

「没取………ハッ!まさか、香取ーヌか!」

 

「さすが木曾だ…あぁ、その通りだぜ」

 

「ま…まさか香取先生が」

 

天龍のヤツ、まさかそこに気付くとは……コイツ、かなりのキレ者!いや、やはり天才か…

 

「そして…おそらく香取ーヌに没取されたチョコは俺宛に溢れているハズだぜ」

 

「いや、それはない、たぶんこのオレだろう」

 

「オイオイオイ、天龍クンに木曾クンよぉ〜!オマエらが俺に勝てると思うちょるんか?」

 

オイオイオイ、だとすればこの勝負…まずは香取先生のところに行って本日の没取物を改めさせて頂かねぇと決着が付きそうにないな、まぁ、勝つのは俺だが…

 

「いや、勝つのはこの俺、天龍様だ!」

 

「フッ…いや、勝つのはオレ、この木曾だ!」

 

「よっしゃ!とりあえず香取先生んトコ行くぞ!香取先生んトコ!」

 

こうして、俺達スーパーハンサムボーイズは談話室を飛び出し、香取先生が居るであろう執務棟の教務室へと行くコトにした…

廊下を歩いている最中、通りがかりで何人かに声をかけられたが、今ちょっと急いでるんで、すいませんプライベートなんで、とスーパーハンサム特有の断りを入れて俺達は廊下を練り歩いた…

 

そして、俺達は香取先生が居るであろう教務室へとやって来た…

 

「失礼します!」

 

「邪魔するぜぇー!」

 

「お邪魔する!」

 

教務室の扉を開けると、自分のデスクで忙しそうにペンを走らせる香取先生がそこに居た、まったく、デスクワークする姿もエレガントでいらっしゃる

 

「ん…?あら、提督……と、天龍さんと木曾さん、何か御用ですか?」

 

「何か御用じゃねーぜ!チョコあるんだろ?出しな!」

 

「言っとくがオレ達はマジだぜ!」

 

天龍と木曾はチョコ出せ、チョコと!香取先生に詰め寄り、香取先生はナニ言ってんだコイツら?みたいな顔をしていたが、とりあえず2人にビンタを浴びせた

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「テンシューッ!!」

 

「キソッ!!」

 

「………とりあえず、話がまったく見えないのですが?」

 

香取先生はエレガントに頰に手を添え、これはいったい何事ですかとエレガントに俺に問うてきたので、俺は冷静かつ的確に香取先生に本日の没取物はありませんかと尋ねた…

 

「没取物ですか………あぁ、ありますね、ほら、コレ」

 

香取先生は机の横に置いた小箱から、べ●ブレードを取り出した

 

「海防艦の子から没取しました」

 

…たぶんサドさまだろう、そういやさっき、通りがかりの廊下でサドさまが“わ゛だしのずぶりがんれぐいえむ゛ー!”とかガン泣きしてた気がするが…

 

「…そうですか」

 

「夕方には返しますよ?あ、なんでしたら提督から返して頂いても…」

 

「いえ、香取先生からの方が良いでしょう」

 

「そうでしょうか…?まぁ、提督がそう仰るなら」

 

将来有望な悪のエリートである佐渡さまも、香取先生にはかなわないらしい、まったく…香取先生の教育姿勢には感動すら覚えるのだよ

 

「ま…待てよ香取ーヌ!」

 

「チョコは…?オレ達のチョコは…?」

 

「はい?チョコ…?」

 

香取先生の熱血指導ビンタから立ち上がった天龍と木曾はチョコくれよチョコォ〜とまるで戦後の日本を思わせる風態で香取先生に縋った

 

「あぁ……そう言えば今日はバレンタインでしたね、あらあら、私としたコトが、提督、せっかくわざわざ教務室まで足を運んで頂いたのに御用意していないなんて…」

 

「あ、いえ…」

 

「今日の仕事が終わったらすぐに買ってきますので…」

 

あくまでも仕事を優先する、素晴らしいお考えです先生、まったく…香取先生こそ教育者の鑑だと俺は改めて確認させて貰ったのだよ

 

「ねーのかよ!チョコ!オレのは!?」

 

「あるんだろ!?俺宛のヤツあるんだろ!?」

 

「あの……提督、この2人はいったい…?」

 

「気にしないでやって下さい、コイツら糖分が足りないだけなんで」






次回こそハッキリ言って自信作、たぶん


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提督と夕張とポ●●ン

カクカクしたやつがカクカクする回

【登場人物】

提督(216)
初代しか知らない単三電池ボーイ

夕張(32)
地味に、年末以来の久々の登場


いよいよ開幕する今季最終戦を控え、それぞれ最終調整に励むチームメイト達に、イケる…!コイツらとなら!と自信に満ちた仕上がりに満足しつつ執務室で入念にスタメンのオーダーを考えていると、これまた自信に満ちた笑顔で執務室へとやって来た軽巡は自信に満ちた台詞を言い放った…

 

「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です!」

 

「夕張ェ…」

 

誰もが熾烈な正レギュラー争いを勝ち取るべく過酷なトレーニングに励んでいると言うに…まったく、こやつめ、まるで戦船としての意思を感じられぬわい

 

「今回はかなりスンゴイですよ、えぇ、かなりスンゴイです」

 

「そうか、とりあえず見るだけ見てやるから見せてみろ、案の定くだらないものならオマエのケツは明日からだらしなく腸液垂れ流しだからな」

 

「ヒッ…!だ、大丈夫です!」

 

心なしか、ちょっと嬉しそうに顔を引きつらせた夕張はもうスンゴイですよーマジスンゴイですよーと言いながら、今回開発した商品はこちらーっ!と勢い良く布を取り去った

 

「ゲェーッ!こ…これは!?」

 

赤と青のシンプルなカラーリングに、全体的にカクカクとしたボディ!!それでいてその佇まいは未来的を思わせる気品に溢れている…ッ!

 

「名付けまして、でんのうせんしポ●ゴンです」

 

「足がないな」

 

「足なんて飾りです」

 

コイツ、またとんでもねーモン作ってきやがったよ、マジでとんでもねーモンだよコレ、え?なにこれ?大丈夫なの?

 

「最高の科学力を使い、ついに完成しました」

 

「なんでオマエはその最高の科学力をもっと地球の為に活かすコトができんのだ…」

 

しかしポリ●ンか……なんか昔、カジノ的なトコでコイン9999枚集めて交換したっけな、で、苦労したワリに使えねーなコイツとか思って速攻で預かり所的なとこに預けて二度と姿を見なかったが…

 

「こちらのポ●ゴン、このカクカクした見た目の通り、かくばるコトができます」

 

『¥÷3→8+€〆☆247÷€♪』かくばるーん

 

ポ●ゴンはポリ●ン特有の変な電子音みたいな鳴き声を出すと、なにやらそのカクカクしたボディがかくばった………っーか、そもそも最初からかくばってるみたいなボディだから違いがわからねぇ

 

「さらに!テクスチャーで自分のタイプを相手と同じにするコトができます!」

 

『〆々〒\=+48○・33°』しゃきーん

 

…見た目ではまったくわからんが、なんか変わったのだろうか?コイツ

 

「どうですか?」

 

「いや、どうと言われてもな…」

 

夕張のアホンダラはどうですかこのポリ●ン!スンゴイでしょー!ねー!スンゴイでしょー!とポ●ゴンを抱えてこっちにグイグイと押し付けてきた、ってか痛い!なんかカクカクしてるトコが当たって超痛い!

 

「あと、サイケこうせんが撃てます、サイケこうせんはスンゴイですよ、当たったらタ級ぐらいなら一発でケシ炭です」

 

「サイケこうせんスゲーなオイ!?」

 

サイケこうせんってそんなヤバい光線だったのか!?

 

「どうですか?スンゴイでしょ?」

 

「…まぁ、たしかにスンゴイのはスンゴイが」

 

「そして!このポリ●ンにはかつて全国のちびっ子達を病院送りにした最大の奥義!パカパ……」

 

「ポ●ゴンは悪くねぇ!!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「あふんっ!!」

 

俺の全力ビンタで夕張は床に転がり、これが痛み……この痛みとかブツブツ呟きつつ気色の悪い笑みを浮かべていた

 

「…ポリ●ンは悪くない」

 

「そうですね、だってポリ●ンはこんなにも可愛いんですから」

 

かつて百人以上のちびっ子達を病院送りにしたと言うレッテルを貼られた赤と青のカクカクしたそいつは気色の悪い笑みを浮かべつつ頰を撫る夕張のところに近寄り、その、感情のまったく感じられない目で夕張を見ていた

 

「おぉ…ポ●ゴン、私の心配をしてくれるんですか?」

 

『>3+>3^×÷21・1¥1☆々0…|』

 

「なんて良い子なんですかアナタは!!素晴らしい!素晴らしいですよ!アナタこそ私の最高傑作です!」

 

夕張はポリ●ンのカクカクしたボディを抱きしめ、まったく!オマエってヤツは最高だぜー!とか言いながらガンガン体力を削られていた…

 

「どうですか提督!このポリ●ンは!」

 

「いや、どうと言われてもなぁ」

 

まぁ、タ級も一発で消し炭になるらしいサイケこうせんはかなり魅力的ではあるな、実はコイツ使えるヤツなのだろうか?

 

「あ、そうそう、実はこのポリ●ン、一つ難点がありまして」

 

「なんだよ?難点って…」

 

「レベルが高いので言うコトを聞いてくれません」

 

「やっぱ使えねーじゃねーか!!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「ばるさっ!!」

 

俺のビンタを受け、夕張は再び床に転がってちょっと嬉しそうな顔をして右手でスカートを抑えつつ再び立ち上がった

 

「…はぁ、まぁいい、とりあえず使いモンにならんガラクタってのがわかった」

 

「ガラクタじゃありません、ポ●ゴンです」

 

俺は床をウロウロするポリ●ンを手に取り、とりあえず夕張に壁に手ぇついてケツこっちに向けろと言うと、夕張は元気な声で返事をして、そのイマイチ完熟さが足りていない尻をこっちに向けたので、俺はポリ●ンの鼻?鼻先を夕張のケツにネジ込んだ

 

「…あらよっと」

 

ブスッと!!!

 

「ンギいいイィィィィ!!な……な!ナニ!?なんですかぁ!?」

 

「かくばる」

 

「お、お!お!おおおおおお!!」

 

「かくばる、かくばる、かくばる、かくばる、かくばる、こうそくいどう」

 

「あ、あっ!アッーーーーー!!!」

 

とりあえずかくばるだけかくばったポ●ゴンの高速の動きに、夕張は目の色をパカパカとさせて失神した

 

………なるほど、これがポリ●ンショックというものか






次回からたぶんイベント海域編
最近通常回少なめなので今回はちょいちょい通常回挟みめでいく予定ですって!


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続続続続続・提督と作戦とミーティング

冬のイベント開戦ですって!

【登場人物】

提督(217)
中佐、なんやかんやで作戦海域はキッチリこなしてる頑張り屋さん

潜水艦ズ
実力派エリート集団、金だけは貯め込んでいる



「俺が許す、殺せ」

 

どいつもこいつも早く命じてくれよ、楽しみで仕方ないんだとワクワクを隠せない様子でソワソワしている作戦海域開始を告げる恒例の全艦集会、俺はそんな暴れたくて暴れたくて仕方のないおきゃんどもに、シンプルかつ丁寧に今回の作戦海域開幕を宣言すると、どいつもこいつもウヴォーさんみたく雄叫びを上げるナイスガッツ、俺はそんなコイツらを見て、イケる!コイツらとなら…と満足に頷いた

 

「よぉーし野郎どもォ!革命じゃあーッ!!」

 

こうして、今期最終戦、捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(後篇)が燃える革命の炎と共に開幕した

 

◆◆◆

 

「長期休暇ーッ!」

 

「長期休暇!長期休暇ですってー!」

 

やる気と気合いに満ち溢れたバカどもとはまた、違った方向に元気いっぱいやる気に満ちたアホな集団、実力派エリート集団、潜水艦どもは待ちに待ったバケーションへの旅立ちにウェイウェイとハシャぎながらトランクに夢と着替えを詰め込んでいた…

 

「よぉ、クズども、今度はどこに行くんだ?」

 

「あ、テイトクですって!」

 

「ウェイ!テイトク!ウェイ!」

 

いつもの水着を脱ぎ捨て、余所行き用のオシャレな服を着た500と401のアホコンビは相変わらずバカそうにゲラゲラ笑いながらマックス大テンションで俺の両肩をバシバシと叩いた

 

「今回は近場よ、京都・大阪・神戸のゆるふわ食べ歩きツアー」

 

「やっぱたまには美味いモン食って女子力充填したいのね」

 

「…ユーも、楽しみ」

 

ほぉ、三都物語ですか…若いのになかなか小洒落たツアーをセレクトし無難にまとめてきおったわい、さすがは実力派エリート集団潜水艦、大したヤツらだ…

 

「まぁ、今回もないとは思うが、もしキサマらの力が必要となった場合は休暇中だろうが食事中だろうが小便中だろうが呼び戻すからな」

 

「チッ…っせーな、言われなくてもわかってるでちっーの」

 

「そもそもクズにクズと呼ばれたくありません…」

 

「ハッハッハ、まぁそう気を悪くしないでくれまたえ、提督は君達を高く評価しているのだよ」

 

作戦海域時でない時期に、我々の為にどこぞかから資材を集めてくる孤高の狩人達である彼女達サブマリンガールズも、思えば昔に比べて共に働く仲間達が増えたものだ……かつては58と168と19と8っちゃんさんのJETピストンだったが、今や安心安全働き易い職場環境で新人の子もニコニコ笑顔だ

俺はそんなサブマリンガールズ達に、これで何か美味しいものでも食べなさいと一万円札を渡した

 

「少なっ!テイトク!少ないよ!ガキの小遣いだよ!」

 

「…14ちゃん、そう言うコト言うのはお姉ちゃんどうかなって…」

 

「ご…ごめんネーちゃん、ぶ…ぶたないで!ぶたないで!」ガタガタ

 

イヨティンは怯えながら姉ちゃんに命乞いし、タスケテよ…良い子にするから殺さないで…っ!と呟きながらガタガタと震えていた

 

「Luigi Torelliだよ!」

 

「む?君はたしか……ルイジくん」

 

「ルイはオミヤゲ買ってくるよー」

 

「ハッハッハ、ルイジくんは良いヤツだな」

 

俺はルイジにこれでジュースでも飲みたまえと100円を渡すとルイジくんはGrazieー!と言いながらハシャいでいた、イタリア艦はだいたいセリエAのスター選手よりギャングスターに憧れる頭のおかしいヤツだらけだが、このルイジくんは違うらしい…

 

「ルイ子、そのオッサンすぐ殴るから近寄ったらダメよ、かわいい女の子に腹パンして苦悶に歪む顔を見るのが趣味なアブないヤツなんだから」

 

「誰がそんなアブない趣味だ」

 

168はそいつに近寄ったら子供が産めないカラダにされるわとか失礼なコトを言ってルイジくんの手を引いてあっちに行ってなさいと指示を出していると、168のポケットからステ●セキングみたいな顔をしたケータイみたいなヤツがヒョコっと顔を出した

 

『168、Admiralニソウ言ウ謂レナイれってるヲ付ケルノハ感心シナイナ』

 

「黙れ、喋るな…………ケータイ電話」

 

『168、私ハタダノけーたい電話デハナイ、私ノ名ハ7ト…』

 

「黙れッ!」.

 

168はポケットから取り出したケータイ電話を壁にブン投げたが、ケータイ電話は手足を伸ばして壁に激突することなくシュタっと着地した

 

『マッタク…168、けーたいハ投ゲルモノデハナイ』

 

「だから喋るなっての!ホントやめて!ホント!メールとかマジ読み上げるのとかやめて!あと着信音なんとかして!」

 

『ワカッタヨ168、君ノ気持チハ受信シタ』

 

相変わらずすげぇな168のケータイ、略して168ホン、以前、海外で購入したらしいが……いや、さすがは海外製だ、信頼のメイドインジャパンと違ってブッ飛んでいる

 

「…ま、気ぃつけて行けよ、あと、くれぐれも問題行動起こすなよ、くれぐれも」

 

◆◆◆

 

「レイテ沖海戦、後半戦です」

 

「後半戦か」

 

作戦期間中は喫煙OKの執務室、しかし喫煙OKと言ったものの人がタバコ吸ってると露骨にイヤな顔をする秘書艦様に気を遣い、とりあえず最近買ってみた加熱式タバコを吸ってみる…

 

「フーッ〜………マッズいな、コレ」

 

「マズいんですか?」

 

「まぁ、マズいっーか、すげークセが強いっーか、慣れるとまぁこれでもいいのかってなるのかもな」

 

五月雨はそんなものですかと言いつつペットボトルのオレンジジュースをグラスに注いで執務机に置き、ついでに、上から送られてきた今作戦海域の資料みたいな書類を机の上に置いた

 

「ナニがレイテ沖海戦後編だっーの、次は熱闘編ですかってのな」

 

「そんな文句は上に言ってくださいよ、上に」

 

俺は加熱の終わったタバコを捨て、胸ポケからいつものタバコを取り出して火を点けた

 

「フーッ〜………やっぱ普通が一番だな」

 

「ケムいんですけど」

 

「ケムくない、提督だ」




次回は第一海域、パラワン水道/作戦海域!
戦慄!革命軍!


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パラワン水道前路哨戒戦

第1ステージ、VSクソガキ様

【登場人物】

潜水新棲姫
潜水棲姫に代わる深海正レギュラー、ナマイキなルーキー

ガングート(3)
革命軍の革命戦士、メラ●ラの実を食った




遂に開幕した今期最終戦、まずはお馴染みの対潜水艦とのアツいバトルが繰り広げられるであろうパラワン水道にて、待ち受けるは前々回衝撃のデビューを飾り、早くも深海正レギュラーに定着したクソガキ様こと潜水新棲姫…

 

『奴ラダ!奴ラガ来タゾォー!』

 

『ビビルコタァネェ!!野郎共!海軍ヲ滅ボセェー!!』

 

潜水新棲姫率いる深海潜水待伏部隊は士気も高く、どいつもこいつもこの偉大なる航路を生き残ってきた歴戦の勇者達であり、そして、そんな勇者達を率いる深海正レギュラー期待の超新星!潜水新棲姫は目が合ったヤツは皆殺しだーとチームを鼓舞していた

 

しかし…ッ!!!

 

『グワアアアアアアアアア!!』

 

『ヨ、ヨ級ーッ!!ソ…ソンナ馬鹿ナ!ッテ、グワアアアアアアアアア!!』

 

非情の先制対潜爆雷の前に、1人、また1人と深海の勇者達が抵抗することなく命を散らしてゆく、その様はまさしく蹂躙…っ!圧倒的蹂躙!

 

「この資本主義のブタどもが、1人も生かしては帰さんぞォ!」

 

「同志ガングート!ハラショー祖国!」

 

「同志ガングートっす!ハラショー祖国っしゅ!」

 

「ど…同志ガングート、はら…?ハラショー?」

 

史上、最もアツかりし燃える革命!革命戦士ガングート率いるパラワン水道前哨戦攻略部隊は同志ガングート!ハラショー祖国!とアツいコールを繰り返しつつ、今、潜水新棲姫率いる深海潜水待伏部隊とのアツい戦いへと突入した

 

「クナ!声が小さいっしゅ!ハラショー祖国!ハラショー祖国っしゅ!」

 

「うっさい!ってか顔が近い!顔が!」

 

「フッ、同志なんとかっしゅ、そう言ってやるな…同志なんとかっしゅの妹は恥ずかしがり屋さん、それも美点であり美徳であろう」

 

「さすが同志っしゅ!」

 

「いや、私の名前国後なんですけど…むしろ姉さんもツッコんだ方がいいんじゃ…」

 

アツかりし革命戦士ガングート率いる革命同志、同志ちっこいのことヴェールヌイ、同志なんとかっしゅこと占守、同志なんとかっしゅの妹こと国後、このアツかりし海軍改め革命軍のメンバー達は開戦早々に潜水新棲姫以外の潜水艦を滅ぼし、あとはあのクソガキだけだエイエイオーとナイスガッツ革命ミーティングを始めていた…

 

「よーし!同志達、あのイ級的な資本主義のブタはこのガングートが狩る、お前達はあのちっこいのを狩れ」

 

「マジっしゅか!?」

 

「しかし同志、あのクソガキ様は敵旗艦、同志の給料に影響が…っ!」

 

「そーっす!同志ガングートが焼肉奢ってくれなかったら誰が焼肉奢ってくれるんしゅか!?」

 

「いや姉さん…焼肉くらい普通にスーパーで肉買って来て焼きましょうよ、ウチそんなに貧乏じゃないし…」

 

革命軍唯一の良心、頭の色は些かファンキーではあるがワリと常識的で挨拶もキチンとできる国後は、姉さんやめて、ホントなんか情けないし、ホントはずいからやめてと姉の袖を引っ張った

 

「フッ、同志達よ……このガングート、たかがMVPチケット獲得ランキングよりも大切だと考える物がある、それは……同志!お前達新しい時代の革命の火を絶やさぬこと!ここでお前達の力で旗艦級の資本主義のブタを粛清することに大きな意味があるのだ!たしかにお前達1人1人の革命の火はまだ小さい!だが今!ここで戦果を挙げる事で小さな火はやがて大きな炎となり、新たなる時代を輝かせる革命の灯火となるのだ!」

 

「う…ウラー!!同志ガングート!ハラショー祖国!」

 

「同志ガングート!同志ガングート!さすが同志ガングート!女の中の男っす!」

 

「ハッハッハッハ、おいおい、褒めるな同志達よ、ハッハッハッハ」

 

アツき感動の涙を流す同志達とアツかりしナイスガッツ円陣を組んでハッハッハッハ、同志達、ハッハッハッハと笑うガングート…

そして、そのアツき革命にイマイチついてはイケてない国後と、楽しそうねぇ〜と微笑む龍田はとりあえず非情の爆雷をクソガキ様の頭にブン投げて当てていた

 

『イタイ!!ヤメテヨッ!!』

 

「あらぁ、このガキまだ息があるのねぇ」

 

『ナ…ナンダコイツ、ナンダコイツ……コ、怖ェェェ』ガタガタ

 

龍田、いや龍田様から感じる得体の知れない絶対的支配感に、潜水新棲姫は生まれて初めて心の底から震え上がった、真の恐怖と決定的な挫折に…恐ろしさと絶望に涙とおしっこすら流した……これも初めてのことだった

 

『コ……コロ!殺サナイデ!殺サナイデ…ッ!』ガタガタガタ

 

「ん〜………駄目っ」

 

ちょっと考えてみたものの、龍田は首を横に振り、笑顔で死の宣告を告げ、潜水新棲姫は命を諦めた

 

「ウラー!!火竜の鉄拳ーッ!」

 

『グワアアアアアアアアア!!』

 

「出たッ!革命同志ガングートの竜の鉤爪!」

 

「さすが革命同志ガングート!イ級にも容赦ないっしゅ!」

 

「いや、なんかそれちょっと違う気が…え?鉄拳?」

 

国後は燃える革命にイマイチついて行けない常識的な子だったのでとりあえずツッコんでみたが、誰も聞いてくれないのでちょっと悲しかった

 

『タ……タスケ…』

 

「うわ、ナニこいつ!キショ!!」

 

国後の足元に、ズタボロにされた潜水新棲姫みたいなのが転がってきたので、つい蹴っ飛ばした

 

『ウゲェ!!………ゴフッ!』

 

「あ、やっちゃった……あ?やば、死んだ?」

 

こうして、潜水新棲姫はブクブクと気泡を残して沈んでいき、我々は第1ステージを無事に突破する事に成功した…

 

◆◆◆

 

冬のトレンディ執務室…

 

「…ナニやってんだ?アイツらは」

 

「胴上げですかね」

 

執務机に置いたテレビで、とりあえず初戦突破したらしい革命同志ガングートと革命軍がファンキーな頭の同志をわっしょいわっしょい胴上げしている映像を見ていた…

 

「まぁ、勝ったならいいか」

 

「そうですね、勝ったみたいですし」

 

海防艦のアレどもも今回はなかなかイイ感じな働きを見せたが、やはりTATSUTA様だな……新たな力、自動潜水艦殺害機能は伊達じゃない…

 

「そう言えば、五十鈴さんはどうしたんですか?」

 

「ん?あぁ、五十鈴さんはまだ温存だ、今頃走り込みしてるかコンビニで肉まんでも買い食いしてるだろ」



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シブヤン海海戦①

第2ステージその1
なんかちょっと微妙に忙しくて疲れ気味ですって…ですって

【登場人物】

西村艦隊
通称、絶対王者、扶桑山城最上満潮朝雲山雲時雨で構成される硬いキズナで結ばれたアツき血潮のキョーダイ達らしく、その結束は超硬い、カテナチオかよ!と言われるぐらい硬い


初戦を無事勝利で飾り、続く第2ステージ、シブヤン海海戦へと進むべく、この海域を制圧するベストな部隊を考えていた…

 

「まずは西村艦隊だそうです」

 

「まずは西村艦隊か」

 

執務机に置かれた資料を見るに、まずは西村艦隊でなにやら下の方に行って誰だかよくわからんが、とにかく目についたヤツをブッ飛ばし、その後、栗田艦隊によるBOSSとの戦いになるとのコトだが…

 

「どうするんですか?普通に西村艦隊の皆さんに声をかけますか?」

 

「まぁ、普通にアイツらでいいだろ、むしろアイツらの中に変なの交ぜたら空気悪くなるしな」

 

前回の作戦海域ではフィニッシャーを務めた絶対王者西村艦隊、まさか今回も出番があるとはな…

西村艦隊と言えば前回、西村艦隊の中に一部潜水艦的な子を交ぜておくとBOSSまでの道中を安定したクルージング出来たらしいのだが、その件を時雨様に相談してみると…

 

『出撃制限札を付けた見てくれだけの西村艦隊と違い、私たちオリジナル西村艦隊は………鍛え方が違う!精根が違う!理想が違う!決意が違う!』

 

…と、時雨様の有難いお言葉に押され、普通にアイツらに行って貰ったのだが…

 

「オマエ時雨様の代わりに入るか?西村艦隊」

 

「普通にイヤですよ…」

 

◆◆◆

 

「朝雲!ヘイ!朝雲!」

 

「オーケー山雲!」

 

山雲に羽交い締めにされた小鬼は朝雲の逆水平チョップの連打を浴びピギィ!と情けない声を上げながら海へと沈んでいく…

 

「ミチシー!ヘイ!ミチシー!」

 

「オーケーもがみん!」

 

そして、満潮と最上の最高に息の合ったダブルジャーマンスープレックスホールドで1人、また1人と深海の仲間達が海へと沈んでいく…

 

「…まぁ、みんなあんなにハシャいで、あんなに楽しそうにプレイする姿をいつ以来かしら、フフフ…」

 

チーム西村艦隊を率いる旗艦、まるで菩薩のように尊い御方に定評のある姉様こと扶桑は、最高のチームワークを発揮するチームメイト達を慈愛に満ちた目で見つめながら微笑み、帰ったらもしかして宝くじでも当たってるかしらと小粋な姉様ジョークを交えつつ妹に話しかけていた

 

「チーム一丸とはまさにこの事です姉様、そして、そのチームを纏めるチームの頂点こそが姉様…」

 

「…山城は本当に謙虚な子ね」

 

「姉様こそが食物連鎖の頂点に立つに相応しい御方、これは既に常識!」

 

「…フフフ、小粋な山城ジョークね」

 

「あちらをご覧ください姉様、ほら!あの深海のゴミクズどもも姉様の尊さに前に讃える姿で沈んでますよ!」

 

「…あら、本当に?」

 

全てを許す菩薩の如く微笑む扶桑の視線の先に、たしかにそこには讃える姿で思い知って沈んでゆくル級がブクブクと気泡を残していた…

 

「僕と目線を変えずに話すことを許しているのは西村艦隊のチームメイトだけだよ、逆らう者は何人たりとも見下ろすことを許さない」

 

『ナンダ…!?ア、足ガ』

 

「頭が高いよ」

 

よくわからない力でアンクルをブレイクされ、すっ転んだル級の脳天に勢い良くカカトを叩きつける時雨は、次は誰が逆らいたいんだい?と残った深海棲艦に尋ねる、そして…

 

「僕ら西村艦隊を討とうなど………百年早いよ」

 

◆◆◆

 

執務室の中の執務室、ザ・執務室…

 

「やっぱ強いな、絶対王者西村艦隊」

 

「えぇ、前回みたいな奇跡のパワーは無さげっぽいですが」

 

こうして映像で見ていてもまるで隙がねぇ、チーム全員のポテンシャルはまぎれもなく全国区、それも、恐ろしいほど高い完成度を持ってやがる…

 

「とりあえずこれでBOSSへの挑戦権を得たみたいですよ」

 

「うむ、では次はヤツの出番か…」

 

ヤツ!………この基地の裏にもう何年も君臨し、幾度となく俺の心臓を狙うまさに危険オブ危険の象徴とも言える闇の帝王、金剛…ッ!!

 

だが、強いッ!ヤツは強い…ッ!

 

普段は自身ら姉妹が住む専用の寮“天動宮”から動く事は無いが、どうやらこの戦い、ヤツの力が必要になるらしい…






次回は②ですって


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シブヤン海海戦②

第二海域その②
バイオレンス夕雲姉妹が活躍する日

【登場人物】

藤波(2)
夕雲姉妹の十一女、テクニカルスタイルの知性派

沖波(2)
夕雲姉妹の十四女、眼鏡、見た目だけはインテリ


「ヘーイ、アレですカー?私がDIEしていいゴミは?」

 

第二海域後半戦、金剛率いる連合艦隊はとりあえず目につくゴミをDIEしながら順調に海域を制圧しつつ完全武装のハイキングを楽しんでいた…

 

「ゴミはゴミ箱に入れなくても榛名は大丈夫です」

 

「ノォォォ〜…榛名、バカを言ってはいけまセーン、ゴミはゴミ箱へ、クズはクズ籠へ、そして…テイトクのハートを掴むのは私デース」

 

金剛は右手でコロコロと転がしていたクルミをグシャリと握り潰し、その欠片をそこら辺に居たヌ級の目にぶつけた

 

『ギャアアアアアアアス!目ガ!目ガァァァ!』

 

『ヌ、ヌ級ーッ!!キ…汚イ!ナンテ汚インダ!オマエ達ハるーる無用ノ悪魔海娘ナノカーッ!』

 

「ヘイ榛名、このゴミは喋るのですカ?」

 

「ゴミが喋っても榛名は大丈夫です」

 

◆◆◆

 

…やはり強い、とりあえず姉妹全員とはいかないので金剛と榛名を出してみたが、アイツらは容赦とか手加減とか情けとはそんな甘ったれた感情は持ち合わせていない、まさしく正真正銘、生まれついてのワル!

 

「普通になんとかなりそうですね」

 

「あぁ、特に心配する必要はないらしいな」

 

金剛榛名に利根と筑摩、さらに重巡最強と名高い殴り屋コンビ、ツーメンアーミーの高雄と愛宕も投入しているだけあって隙が見当たらない、しいて挙げるなら、第二艦隊が若干頼りないかなと心配してみたが、スーパーエリート駆逐艦・夕雲姉妹がなかなかのアツいファイトを見せてくれている、特に、藤波のドラゴンスクリューはやはり観る者をアツくさせてくれるのだよ…

 

「コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「フーッ〜…紅茶を淹れてくれないか?ブランデー入りで」

 

「はぁ…?紅茶ですか」

 

五月雨は若干イヤそうな顔をしていたが、さすがに付き合いだけは長い、すぐに気を取直して戸棚を開け、たしかリプ●ンがありましたねとか言いながらリプ●ン的なティーバッグを取り出し、ポットの湯をスコスコと淹れ、ブランデーをドボドボとティーカップに注いだ

 

「はい、どうぞ」

 

「オイ、コレほぼブランデーだろ!?あきらかに今、湯より多かったぞ!?」

 

「ブランデー入りって言ったじゃないですか、アレですか?ヌルいから飲むのはイヤですか?」

 

こ…この青髪ロング子が、可愛い顔してなんて厭らしい子なのかね、この子は…

 

「ま、いいけどな…」

 

大人である俺はブランデーを飲んでも問題無いので何も問題ないしな、さて…続きでも観るか、続き

 

「フーッ〜……お、今のはイイな、たしか沖波クンだったっけか?」

 

「あー…今のはイイ感じに刺さりましたね、かなり殺意に溢れてる感じの思いきりを感じました」

 

◆◆◆

 

「出たーッ!藤波のドラゴン・スリーパー!またの名を飛龍裸絞め!」

 

「ル級抜けれない!ル級抜けれなーい!ヘイ!ヘイ!ギブアップ?」

 

『ノ…ノオォォォォォ!!ギバップノオォォォォォ!!』

 

アツき戦いの終盤戦、第一艦隊の蹂躙が終わり、第二艦隊によるガチンコマグナムファイトが行なわれる海上では、藤波のドラゴンスリーパーがル級に炸裂し、ル級はアオアオーンと叫びつつ痛みに耐えていた

 

「ギブアップしろォォォ!」

 

『ノォォォ!!ギブアップノォォォ!』

 

「ヘヘッ…オーケーわかったぜ!さすがは戦艦ル級、窒息死結構!命に代えてもアタシらを斃せっーカクゴだなコラァァァァ!!」

 

さらなる絞めつけを加える藤波のドラゴンスリーパーに、戦艦ル級はグヘァと血反吐を吐いて力なく沈んだ

 

「よっしゃあ!!次は誰じゃあ!」

 

そして、この海域のBOSSの大役を任された軽母ヌ級…

姫や鬼をさしておいてのまさかの海域BOSS抜擢、最初は耳を疑ったが、深海上層部はヌ級の日頃の努力、そしてチームの為に頑張る姿勢、それらを買ってこの栄誉ある大任を任せてくれたのだ…

ヌ級は海域BOSS抜擢の夜、久しぶりに実家に電話をした、実家を飛び出して以来、ロクに連絡も取らなかったヌ級だったが、この喜びをどうしても自分を育ててくれた両親に伝えたかったのだ…

 

そして……

 

「死ねェェェェェ!!!」

 

『ドヘァ!!!』

 

そんなヌ級を上空に蹴り上げた沖波は、さらにヌ級の背中にサーフィンの要領で乗って頭から海面へと激突させた!

 

「ゲ、ゲェーッ!!あ、アレはテイトクインフェルノ!!」

 

「沖波の野郎……フフッ、毎日毎日なんとか図鑑を読んでいたのはこの為だったか」

 

「大した眼鏡だ…」

 

エリート駆逐艦、夕雲姉妹の十四女、沖波…

他の姉妹からは見た目だけはインテリ眼鏡とディスられており、特に藤波と仲が良いせいか、よくプロレスごっこに付き合わされて泣かされた幼少期の経験から、現在は対藤波用のスペシャルホールドを研究している努力の子である

 

「チッ………もう死にやがった」

 

沖波はポケットから取り出した可愛いゾウさんがプリントされたハンカチで眼鏡を拭き、改めて眼鏡を着用し直すと姉の藤波がオキティンやるぅーとか言いつつヘラヘラ笑っていた

 

「なかなかイイヒッサツ技な感じじゃん?なぁオキちん」

 

「…ヒッサツ技?違うわね、藤波、私にとってヒッサツ技とはその技ひとつでアンタを沈められるかどうかよ!私にとってはそれが唯一の基準!それを越えないとおこがましくてとてもヒッサツ技とは呼べないわ!」

 

「あー…あー、へぇー…そんな感じなんだー」

 

藤波はヘラヘラと笑いながら、じゃ、いつかそのヒッサツ技ってのを完成させてアタシを倒す日を楽しみにしてるわーと言いながら沖波の肩をバシバシ叩いた

 

「あ、帰ってマミー屋いこーぜ、マミー屋、ケーキ買ってやんよ」

 

「行く!藤波お姉様大好きっ!」

 

こうして、第二海域シブヤン海海戦を無事に勝利で飾り、チームはよっしゃ今日はパーリーだーとか言いながら海域から帰投した…




次回は通常回、頭のハチマキをずりおろすついでにパンツずりおろすJKみたいなアイツ回


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提督と大と小と仁義ある戦い

作戦期間中の通常回、あと、なんか書く暇がなさげ…

【登場人物】

提督(218)
間違ったらごめんなさい、それが大人の特権だよ

鈴谷(59)
間違ったらごめんなさい、足を舐めます!

山風(13)
間違ったらごめんなさい、ぶたないで!


「ティーッス、今日も元気ブリバリ!ちょいエロ話も軽く流せるTHEヒロインオブヒロインの鈴谷様が遊びに来ましたよ〜」

 

秘書艦不在の開店休業中の執務室、我が屈強にして勇敢なる兵隊達を次なるステージへと進めるべく、超絶悶絶ダイナミックなチーム編成を考えていると、いかにも遊んでいそうな頭スカスカのJKみたいなのがやって来た…

 

「何がTHEだ、カッコつけやがって」

 

「サミーは?休み?」

 

「休みだ、見たい番組でもあるんだろ」

 

ウチはホワイトな職場なので休みに関してはワリと寛容に対応している、まぁ、あの青髪ロング子もたまには意味なく惰眠を貪りたい日もあるのだろう

 

「じゃ、今日秘書艦居ない系?鈴谷がやってやろーか?」

 

「何が秘書艦居ない系だ、よく見ろ」

 

「………いなくね?ハッ!?まさか机の下ッ!!机の下でアレをアレしちゃってる系か!?」

 

ナニ言ってんだコイツ、イカレているのか?鈴谷のアホンダラはなんたる不潔!なんたる鬼畜とか言いながら机をバシバシ叩いていたのでとりあえず鼻に掌底を喰らわせてやった

 

「へげっ!!」

 

「うるせーよ、なんなんだオマエは?あ?ビッチか?あ?」

 

「び…ビッチじゃねーし、っーか鼻痛いし、なんで叩いたの!?今、鈴谷何もしてなくね!?鈴谷悪くなくね!?」

 

「うるせーよ、ビッチ臭い、それ以上の理由はない」

 

「だからビッチじゃねーし!なんなの!?アレですか?提督は人を見かけで判断する感じのアレですか?そんなケツの穴の狭いアレですか?ア●ルキツキツ洲クンですかー?」

 

「何がア●ルキツキツ洲くんだ、秋津洲くんに謝れ、秋津洲くんに」

 

しかしさすがは鈴谷だ、秋津洲くんのア●ルがキツキツである事を見抜くとは大した慧眼だ、よし、今度暇な時にでも秋津洲くんを倉庫に呼び出してベルト的なもので拘束してスライム浣腸2ガロンぐらいブチ込んでスライム排泄ショーでもしてみるか…

 

「まぁいいや、で?やっぱ秘書艦いなくね?」

 

「いるぞ、ほれ」

 

俺は執務机の下に手を突っ込み、机の下に潜り込んでいた緑色のトゲトゲしい頭をしたチビスケェ…の後ろ襟を掴んで引っ張り上げた

 

「…くるしい」

 

緑頭のトゲトゲチビこと山風は俺の手を払い除けて立ち上がり、執務机の正面に立つ鈴谷を一瞥すると、今度は俺の膝に腰を下ろした

 

「お……オマワリさーん!!犯罪者が!犯罪者がいますーッ!今、鈴谷の目の前でいたいけな少女を机の下でちんしゃぶさせる鬼畜のロリペド野郎がァァァァァ!」

 

「誰がロリペド野郎だ、消しゴム拾ってただけだっーの」

 

「…そう」

 

緑チビは拾った消しゴムを握りしめたまま誇らしげに手をあげ、消しゴムをキチンと机に置いた

 

「…テイトク、ちんしゃぶってなに?」

 

「部屋に帰って海風ねーちゃんにでも聞いてみろ、殴られるから」

 

「…じゃ、聞かない」

 

まぁ、聞いたら山風どころか俺までブン殴られるだろう、それはもう健康的でスナップの効いたビンタで…

山風は鈴谷を一瞥してから俺の膝で貧乏ゆすりをブラブラと始めた

 

「あ?オイ、オマエコラ、チビスケェてめー!今、鈴谷のこと見て笑ったろ?なんかすげー小馬鹿にしやがったなテメー!」

 

「…してないし」

 

「嘘つけコラァ!確かに見たぞコラァ!」

 

鈴谷がメチャ許されんぞー!とか言いながら山風の頭を掴んでキィーキィーとインネンを付け、山風は山風でバーカバーカとか言いながら俺の膝に深刻なダメージを刻む

 

「うるせーよ!!ケンカすんな!ケンカぁ!っーかチビスケ、おりろ」

 

「…イヤ」プイッ

 

「いいから降りんかいクソガキが!」

 

とりあえず山風の後ろ襟を掴んで持ち上げ、容赦なく尻から床に叩き落とした、そうだ!俺は女子供にも容赦しない冷徹な大人だ、どうにも誤解されがちだが俺は子供だろうと平然と腹パンするからな!ホントだぞ!

 

「…痛いっ!」

 

「ウヒャヒャヒャ!バカなお子様でやんのー、マジウケるんですけどー」

 

「…」イラッ

 

「あー…マジウケる、心なしか鈴谷のモヤモヤした感じがスッキリと晴れるみたいなー………って!痛い!!って痛い!マジ痛い!」

 

山風はウケるーマジウケるーとゲラゲラ笑っていた鈴谷の脛に執拗な小キックを叩きつけた

 

「痛い痛い痛い痛いって!やめろよこのチビガキがァ!」

 

「…どっか行け、ビッチ女」

 

「誰がビッチだコラァ!あー…キレたわ、鈴谷久々にキレちまったわー、マジこれ完全にキレたわー」

 

鈴谷と山風は執拗なローキックの撃ち合いをしながら、クソがだのファックスだの汚いようなそうでもないようないがみ合いを始めた……っーか、コイツらナニしに来たんだよ、邪魔くせぇな

 

「やめんか見苦しい、ケンカすんじゃないよ、ケンカ、基地の仲間はみんなファミリーだ、ファミリーは仲良くしないと俺ァ悲しいぜ」

 

「…まぁ、提督がそーゆーなら………やめるし」

 

「あ、このクソガキなに1人で良い子ぶってんのさ、じゃ、鈴谷もやめたし」

 

「そんなファミリーであるオマエらに俺からの最後の提督命令だ、全員生きて新世界に帰還しろ、以上だ」

 

「ワケわかんねーし、ってか提督、鈴谷超お腹空いてるんですけど、カレーとか食べたい気分なんですけどー」

 

そう言って鈴谷は俺の肩に手を回し、執拗にカレー食べたい気分なんですけどーとグイグイその柔らかさと感度に定評のあるらしいオパーイを押し付けてきた

 

「離れろ、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーし、あ?もしかしてアレですか?鈴谷の鈴谷っぱいにコーフンしてる感じですかー?」

 

「うるせーよ、ハァ………仕方ない、ほれ、金出してやるからそこのチビスケとカレーでも食ってこい」

 

俺は財布から二千円出して鈴谷の目に叩きつけた

 

「痛い!痛いって!って………え?金出してくれると?」

 

「出してやったろーが、いいからそのチビスケと仲良くカレーでも食いに行けよ、鬱陶しい」

 

「な……なんか釈然としないような、ってかコイツとぉ〜?」

 

鈴谷は露骨にイヤそうな顔で山風を見ると、山風も露骨にイヤそうなオーラをプンプンと発して顔をそむけていた

 

「…1人で行ってきたら」

 

「あ?なんだこのガキ、鈴谷様と行きたくないっーか?」

 

「…私はあとで提督とホットケーキ食べるし」

 

え?そうなの?俺そんなコト言ったっけかなぁ?まぁ、意外と提督はホットケーキが嫌いではない、むしろ好きと言っていいだろう、ただ、間違ってはいけないのは俺が好きなのはあくまでホットケーキであり、パンケーキなどと言う頭ふわふわ女子力ZENKAIの紛い物ではない

 

「なるほど…ホットケーキですか」

 

「バカな!?提督が揺らいでいる…!?」

 

「こう見えても俺はホットケーキに目がなくてね、おそらくはホットケーキの為ならば殺人すら厭わないだろう」

 

「そこまでッ!?」

 

「と、まぁ…小粋なテイトクジョークはいいとしてだ、フロイラインチビスケェ、さっさと行って来たまえ、このビッチと」

 

「…コイツとは、イヤだし」プイッ

 

「だからビッチじゃねーし!っーかこのガキ、今、この鈴谷様をコイツ呼ばわりしやがった!」

 

鈴谷はこの野郎ォー!とか吠えながらキィーキィー言いだしたので、とりあえず俺は鈴谷の腕を掴んで捻り回した

 

「痛ぁぁぁぁぁぁい!!痛い痛い!ちょ!待て!痛いってば!」

 

「まぁ落ち着け、そうカッカするんじゃないよ、オマエはなんだ?アレだろ?頭脳は大人、身体もオトナ、名ビッチ鈴谷さんだろ」

 

「…ま、まぁ、たしかに……そうだね、たしかに鈴谷は大人、この程度でカッカするほど心狭くねーし!」

 

「わかったらさっさとそのお子様を連れて部屋から退室したまえ、俺、今からオ●ニーするから」

 

「変態か!!」

 

「変態じゃない、提督だ」

 

昼間から執務室で行うと背徳感とドキドキ感はなかなかオツなものがあるのだよ…鈴谷はドン引きしているが、山風は特に気にした様子もなく子供特有の火の玉ストレートを投げ込んできた

 

「…オ●ニーってなに?」

 

「………海風ねーちゃんに聞いてみろ、殴られるから」

 

「…じゃ、聞かない」

 

いつの日か、そう…いつの日かこのチビスケにもわかる日がくるだろう、だが、それは今じゃない

 

「………はぁ、わかったわかった、じゃ、みんなでカレー食いに行くか?カレー」

 

「え?提督行くの?じゃ、お高価いの頼もー」

 

「お前は俺と山風が入店後15分開けて入店しろ、あとテーブルは3席以上離れろよ」

 

「鈴谷に対して厳しすぎるッ!!なんなの!?ファミリーはみんな仲良くってさっき言ったじゃん!?」





次回は作戦海域その3


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第一次エンガノ岬沖海戦

第三ステージ、カチドキズイカクいざ出陣エイエイオー

【登場人物】

五航戦
タフ&ガッツ溢れるプレーに定評のある超装甲姉妹
姉が病んでいる(精神ではなく、肉体が)

多摩(3)
よく見ると美少女に定評のあった木曾の姉、球磨ねーちゃんよりは優しい、らしい…


第三ステージ、エンガノ岬沖へと進むチームは特に危なげなく安定した航打に優れ、相手からの攻撃はキチンとシャットアウトしていた…

 

「っーか誰だコイツ?」

 

執務室で現場から送られてくる映像を見ながらアツいティーを飲む……ゴキゲンなティータイムだ、まぁ、ゴキゲンかどうかはいいとして、誰だコイツ?ウチこんなイケメン居たか?

 

「瑞鶴さんです」

 

「ズィーカク?」

 

「えぇ、瑞鶴さんです」

 

同じくテレビを見つつ茶請けのマルボーロに手を伸ばして口に放り込む五月雨はズィーカクさんですよとかワケのわからんコトを言っていた…

 

「ナニ言ってんだオマエ、イカレてんのか?」

 

「イカレてないです」

 

「オマエ、アレだよ……ズィーカクったらアレだろ?五航戦の妹の方だろ?たしか」

 

「えぇ、翔鶴さんの妹さんですね」

 

どいつもこいつもプッツンしてる空母の中でも比較的まともな五航戦姉妹、姉の方は日頃のストレスのせいか、まだ若いのに頭が真っ白になり、よく吐血しているが、妹を可愛がる事におそらくは人生の全てを捧げている姉の中の姉、姉の鑑オブ姉の鑑と言えるだろう…

そして、そんな姉に可愛がられて育ったらしい妹はやや口は悪いが素直な良い子である…

 

「しかしサミダバートよ、この映像に映るのは私が知るズィーカクとはやや趣きが異なるのだが?」

 

「アレですよ、アレ、なんかお姉さんが今回の決戦の為に夜なべしてあつらえてくれた超素敵な一張羅らしいですよ、あと、五月雨です」

 

「なるほど………超素敵な一張羅か」

 

まるでこのまま舞踏会に参加して大丈夫……いや、どちらかと言えば武闘会か、なるほど、あの白髪姉が無理して吐血して仕立ててくれた最高の陣羽織と言うワケだな

 

◆◆◆

 

第三ステージ、エンガノ岬沖を進む御大将、ジンバーズイカクいざ出陣エイエイオーと気合い湧く瑞鶴率いる空母機動艦隊…

 

「くたばれ加賀ァァァァァァァ!!!」

 

『加賀ァ!?誰ダヨ!?』

 

迎え撃つは最近仲間達からも空母おばさんとディスられる空母棲姫率いる深海連合艦隊、とびっきり空母対空母の戦いは熾烈を極めていた…

いつものようにケチョンケチョンに負かしてやろうかねぇ〜…と息巻いていた空母おばさん率いる連合艦隊は、まさかやって来た敵が戦国武将のような出で立ちだとは予想だにしておらず、むしろ戦国武将を中心に伊勢だか日向だかの猛将伝に、ちとだかちよだかよくわらない絡繰師みたいなヤバいヤツが揃う鉄壁かつ完全武装の布陣…ッ!

 

『チョ!待テヨ!』

 

『空母オバサン!!ヤバイ!コイツラヤバ…グワアアアアアアアアア!!』

 

『ツ…ツ級ーッ!?』

 

圧倒的破壊力と突破力、あの陣羽織…ッ!只者ではない…ッ!!戦慄が走る深海連合艦隊に、この戦、おそらくは勝てぬと思わせるには十分であった…

 

『ソウ言エバ聞イタ事ガアル……海軍ノ怪鳥!ずぃーかく将軍!』

 

『バ…馬鹿ナ!ずぃーかく将軍ハ練度最大トナリ既ニ引退シタノデハ!?』

 

『帰ッテ来タンダ…!戦場ニ!海軍ノ怪鳥ガ!』

 

海軍の怪鳥、瑞鶴…

閻魔の一航戦、鬼の二航戦、奴隷の五航戦と数えられた正規空母寮でも最下位カーストの地位に甘んじていたものの、改二改装を経て中破状態でも牙を剥くタフ&ガッツを持つ装甲空母へと超進化を遂げた

 

ちなみに、装甲空母に超進化したものの、一・二航戦パイセンには頭が上がらず、地味な嫌がらせを受けている、主に姉が

 

「あームカつくわー!なんっーかアンタ見てるとムカつくセンパイ思いだすのよ、ごめんね」

 

『ゴ…ゴメンジャネーヨ!ナンダヨ!ナンナンダヨ!?火ノ塊ニナルトコダッタジャネーカ!見ロ!オマエラノ攻撃デ私ノ艦隊モ下着ハボドボドダヨ!』

 

「ごめんごめん、ってかアンタ下着穿いてたの?」

 

穿いてたよクソがとキィーキィー文句を言う空母棲姫に悪かった悪かったとイマイチ誠意の感じられない態度で頭を下げる瑞鶴に、今回も可愛い妹の為に一緒について来た白髪の姉がまぁまぁと妹を窘めた

 

「瑞鶴、早くこのアカガ……じゃない、空母棲姫をサジナワセてヤマコトバニしてあげましょう?」

 

「ん、まぁ……そうだね、うん」

 

『誰ヲさじなわせるッテ!?アァ!?舐メテンジャネーゾコノ糞鶴ガァァァァ!』

 

空母棲姫はまるでダヴィンチの絵画のような躍動感溢れるポーズで飛びかかってきた、が!その躍動感を凌ぐであろう野性的かつ闘争本能に満ちた一撃が空母棲姫の腹に突き刺さった

 

「にゃー!!!」

 

『オゴォ!!オ……オエエェェェェェ』ビチャビチャ

 

さらに、空母棲姫に馬乗りなった猫化の猛獣を思わせる圧倒的な野性がちょ!待てよ!ちょ!やめ…やめてと懇願する空母棲姫の顔面を容赦なく滅多打ちにし、空母棲姫が動かなくなったところでようやくそのキャットパンチの連打を止めた…

 

「ふーっ………久々にハシャいだにゃー」

 

軽巡多摩、闘争本能の塊である

 

「コイツたしか大将首だから給料期待できるにゃ、明日は木曾の大好きなハンバーグにしてやるにゃー」

 

「おー、さすが多摩ねーちゃん、私ビビって金出しそうになっちゃったよー」

 

「北上、帰ったら正座にゃ」

 

「えー…マジでぇー」

 

 

こうして、第三ステージも無事にエイエイオーとカチドキをあげ、艦隊は帰還した…



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レイテ沖海戦①

前半海域最終ステージ、キラキラした勲章は早々に諦めただらしない提督

【登場人物】

西村艦隊
扶桑山城最上満潮朝雲山雲時雨のみに名乗る事を許された決して散る事の無い華の如きキョーダイ達、絶対王者として大胆に振る舞いたいからこそ日々の精進は怠らず、7年あれば2555日の全ては訓練の日々らしい

護衛棲水姫
芋姫センパイの後輩の軽空母、実家は深海ニワトリ飼ってるのでキモイ鳥の世話はわりと得意



前半戦最終ステージ、レイテ沖海戦ッッッ!!

まずはBOSSへの挑戦権を得る為に再び出陣する菩薩のような尊さと定評のある扶桑率いる西村艦隊…

 

「ヘイ!山雲!ヘイ!」

 

「オーケー!朝雲!」

 

朝雲は空中でル級をロメロ・スペシャルで固めたまま落下し、海上で山雲にロメロ・スペシャルで吊り上げられたル級は落下してきたル級と鉢合わせる形で激突した

 

『『ウギャアアアアアアアア!!』』

 

「ミチシー!ヘイ!ミチシー!」

 

「オーケーもがみん!」

 

満潮と最上に掴まれたル級はそのまま左右の足を固められて空中に飛び上がり、勢い良く海上に落下した衝撃で全身に深刻なダメージを負って血反吐をブチ撒けた

 

『ドヘァ!!』

 

選ばれし精鋭、王者西村艦隊に逆らう者は冷酷!冷徹!冷血の信念の下に1人、また1人と無惨かつ愉快なオブジェのようにされて沈んでゆく…

 

「ふふふ…皆あんなにハシャいで…」

 

「見てください姉様、あそこ、飛び魚の群れが飛んでますよ」

 

「…あら本当、飛び魚の群れね…」

 

ハシャぎ回るチームメイト達を慈愛に満ちた温かい目で見守る扶桑は飛び魚ってあんなに高く飛ぶのねと感心したように頷き、せっかくだから写真でも撮りましょうと妹にカメラを向けて頂戴と頼んだ

 

「はい!ですが姉様、せっかくですので動画の方も残しましょう!最近のビデオカメラは大変高画質で撮影出来ますし、なんでしたら撮影した動画からジャストな静止画を残す事も出来ます」

 

「…まぁ、最近のびでおは凄いのね……ふふ、山城は博識ね」

 

◆◆◆

 

…現場から送られてくる映像はまるでディス●バリーチャンネルでやってそうな母なる海を飛び魚が飛ぶ様子をひたすら映している、正直、これでは現場の様子はまったくわからないのだが、小さくタスケテ!やウギャギャー!など悲痛かつ凄惨な音声を拾っているのがなんとも言えないものを感じずにはいられないのだよ…

 

「とりあえず前半戦は大丈夫そうですね」

 

「みたいだな」

 

俺は机の上に置いてある資料を手に取って目を通してみるが………なるほど、後半は連合艦隊で敵は護衛棲水姫とか言うよくわからないヤツか、写真だけ見た印象ではかなりオラついたヤツみたいだが

 

「後半戦も金剛さん達で行く感じですか?」

 

「まぁ、なんやかんや言ったもののヤツらは強いしな」

 

「えぇ、まぁ…」

 

「ふむ…では西村艦隊が戻り次第、せっかくだ、金剛姉妹全員で行くとしようか!!」

 

とりあえず素行と言動に問題はあるがアイツらならやってくれるだろう、後はまぁ…適当に暇そうなヤツにでも声をかけてみるか

 

「とりあえず手元の資料によるとシブヤン海と同じく栗田艦隊の人を使うと有利に立ち回れるらしいですよ」

 

「ふ〜ん、栗田艦隊ねぇ…」

 

「あ、鈴谷さんと熊野さんも栗田艦隊っぽいですよ、ほら」

 

「紙が近い、紙が」

 

五月雨がグイグイと目にTHE栗田艦隊と書かれた資料を押しつけてきたのでそれ手に取ると、たしかに、妙に汚い字で鈴谷・熊野と書かれていた…誰が書いたんだコレ?まぁ、どうでもいいが

 

「まぁアイツらも最近真面目に艦載機の投げ込みやってたし、起用してみるか…」

 

「いいんじゃないですか」

 

◆◆◆

 

レイテ湾、深海レイテ侵攻主力輸送船団…

 

『キヤガッタカ……!バカナヤツラメ!』

 

今回デビュー戦となる深海期待のルーキー、護衛棲水姫、一応軽空母らしく、普段はセンパイである護衛棲姫と共にキモい鳥の世話をしながらいつかロックミュージシャンになる事を夢見ている若者でもある

今回の大事なデビュー戦、大の仲良しであるキモカワいい犬みたいな艤装的なものを連れているが、この犬的な相棒は護衛棲水姫がまだ深海駅前で歌っていた頃、暑い夏の夜は枕になり、寒い冬の夜は危うくルーベ●スの絵の前で死にかけた護衛棲水姫を温めてくれた…

 

『ケズッテアゲルヨォ!スコシズツネェ!ギャハハハハー!』

 

『ヒュー!護衛棲水姫クンオラツイテルゥー!』

 

『初メテでびゅーシタ海域ハ前半戦最終海域!出会ッタソノ日ニ喧嘩デ壊ニサレタ!ろっくジャネーカ!』

 

『ヨッシャ行クゼー!!コノ護衛棲水姫ノろっくハ誰ニモ止メラレネェー!!』

 

満を持して海軍供を迎え撃つべくその姿を現す護衛棲水姫、ここから彼女のレジェンドが始まるのだと力強く踏み出したそのステージに立った、しかし……ッ!!

 

「Booooooo!!」

 

「ブ─────!!」

 

「ブウウゥゥゥゥゥ!!」

 

とりあえず投げ込まれる容赦なき基地航空隊と艦載機のひき逃げアタック!そして無慈悲なるブーイング!!流れる流血に膝を折りそうになった護衛棲水姫に深海チームメイト達が駆け寄った!

 

『護衛棲水姫クン!』

 

『護衛棲水姫クン!』

 

『イ……イクラ撃ッタネェ……無駄ナンダヨォォォォ!!』




次回は②
あの海域には知らない子が2人もいるらしいです、そこを襲撃して滅ぼしてはどうでしょうか?


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レイテ沖海戦②

前半戦最終ステージ、通り魔的犯行現る

【登場人物】

金剛姉妹
平均練度98のヤンチャガールズ、艤装がAGP

鈴谷と熊野
攻撃型軽空母、レップーを借りた

能代
阿賀野姉妹の次女、やる気元気だって無敵


前半の海最終戦!VS深海レイテ侵攻主力輸送船団!

 

『野郎ドモ!海軍ヲ滅ボセーッ!』

 

『何ガ海軍ダ!生カシテ帰スナーッ!!』

 

護衛棲水姫率いる深海連合艦隊に対するは金剛率いるレイテ沖襲撃部隊、まずは挨拶代りの基地航空隊による轢き逃げアタックを敢行、続いて艦載機による轢き逃げアタックを………

 

「や、鈴谷レップーしかないんだけど?」

 

「えぇ、レップーしかありませんわね」

 

今回は軽空母として起用されている鈴谷と熊野は、とりあえず基地に居た暇そうな空母の人になんかカッチョイイの貸してーと頼んだ結果、烈風と烈風と烈風と烈風を借りるコトに成功した…

 

「まぁいいや、とりあえずレップーでも飛ばしとこ」

 

「これはまさにアレですわね!熊野攻撃隊ならぬ、これまさにヤ●キー烈風隊ですわー!」

 

「…前々から気になってたけどさ、熊野ワリと変なの知ってるよね」

 

「変とはなんですの!変とは!」

 

ケチなセンパイ達が量産型友永殿を貸してくれなかった結果、とりあえず護衛棲水姫率いる深海連合艦隊の艦載機とのアツかりし空のバトルを繰り広げ、鈴谷と熊野の戦いはこれで終わった………かと思いきや、そんな鈴熊に肩を叩き、金剛姉妹の末妹は努めてCOOLに次の指示を与えてくれた

 

「航空戦が終わったアナタ達の役目は盾になることよ、腕が捥げようが足が千切れようが私達の盾になりなさい」

 

「ハアァ!?」

 

「い、イヤですわ!」

 

「大丈夫よ、人間、一つなくても大丈夫なように大事なものは二つづつあるのよ?目だって耳だって肺だって腎臓だって心臓だって二つあるでしょう?」

 

霧島の言葉には迷いも躊躇いもない、ただ、その眼光にはヤレと言ったらヤル!というスゴ味があるッ!つまり霧島はこう言っているのだ、お前達は死ね、死んで男にならんかい、と…

 

「な……なるほど、たしかに二つありますわ!」

 

「や、熊野、冷静に考えよ!冷静に!心臓は一つしかないから!」

 

「ですが、ハ●ラーには心臓が二つありましたわ…」

 

「それハ●ラーだからァァァァァ!!」

 

鈴谷は熊野の肩を掴み目を覚ませ!とガクガク揺らしてみたが、そんな鈴谷の襟首を掴んだ金剛姉妹の次女、比叡は飛んで来た砲弾に対して鈴谷をコールすることでインターセプトした

 

「グヘァ!!痛いッ!?って痛ぁぁぁぁい!!」

 

「まだよ!!」

 

ガード!ガード!ガード!完全ガード!と立て続けに飛んできた砲弾をガードするその様子はまさに一流のファイターそのもの…ッ!!そのアツいファイトは見る者を常にアツくしてくれる

 

「艤装が変な形になっても榛名は大丈夫です」

 

そして、三女である榛名は艤装をまるで巨大な手のように変形させ、手近に居たワ級を握り潰して爆散させた…

 

『ウギャアアアアアアー!!』

 

「なるほど…デッドエンドフィ●ガーとはこういうものですね!」

 

ーーー

 

こ…コイツら、キレてやがる…ッ!キレてやがる…ッ!

仲間?を平然と盾にする卑劣さ、相手を潰す事に一切の躊躇いもない残虐性!芋姫センパイがヤベーんだよ、海上で戦艦マジヤベーと言っていたが……まさかここまでヤベーとは

 

『ウギャア!護衛棲水姫クンーッ!』

 

『コノママデハ終ワランゾォー!終ワランゾォー!ゾォー…!』

 

一人、また一人と散っていく深海連合艦隊のチームメイト達……あの戦艦どもが全員ヤバイ奴なのは確定だが、中でもあの頭にポン●リングみたいなヤツ載せてるヤツのヤバさは飛び抜けている…ッ!

 

「………フゥゥゥム、まだ、足りないですネェ〜…この拳ではまだ届かないデース」

 

対・誰対策を想定しているのか謎だが、あの長女らしき戦艦の拳は腹にでも喰らえば三日はダイエット生活確実ぅ!のゲロリンになるだろう…

 

「倒すためではなく勝つための拳、なかなか難しいものデース」

 

『ケズッテアゲルヨ…! スコシズツネェ!』

 

「ん?」

 

だが私は勝つ!!こんなとこでビビってちゃロックじゃねぇ!躊躇わないこと!振り向かないこと!それがロック!!

 

「DIE!」

 

ズドオォン!!!(腹パン)

 

『ゲェーッ!果敢ニモ飛ビカカッタ護衛棲水姫腹カラブ厚イ鉄ノ扉ニ流レ弾丸ノアタッタヨウナ音ガーッ!』

 

『ダ…大丈夫ナノカーッ!?』

 

『ウゲェエエェェェェ』ビチャビチャ…

 

ダメだ、これ死ぬ、ダメ…マジ死んだわ私…

 

◆◆◆

 

「キレーに刺さりましたね」

 

「あぁ、キレーに刺さったな」

 

執務室のテレビで現場の中継を見ながらアツい茶を飲む、ゴキゲンなティータイムだ………しかし金剛め、拳がインパクトする瞬間に波動を叩きつけるとは大したヤツだ、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

 

「あやつめ、あの殺意の塊みたいな拳を俺に向ける気か…」

 

「むしろ、なんで提督がそこまで金剛さんから執着されるのか未だにわかりませんね」

 

「俺にもわからん」

 

一般的な金剛はバーニングラヴと言う名の執着を持つ者が多いと風の噂で聞くが、ウチに居る金剛様に関しては悪い意味でバーニングしているバーニングソウル金剛様らしく、出逢ったその日から俺の事をLOVEではなく、DIEしたくて仕方ないらしい…

 

「覚えてないだけで何かしたんじゃないですか?冷蔵庫のヨーグルト食べたとか?」

 

「してねぇよ、ってか、そんなしょーもないで心臓狙うとかどんだけ心狭いんだアイツ」

 

「冗談ですよ、小粋なサミダレジョークってやつです」

 

「…サミダリューン、卿はジョークの才能もないな」

 

「失礼な、あと、五月雨です」

 

五月雨はややイラッとしたようだがすぐに気をとりなおし、冷蔵庫から取り出したペットボトルのオレンジジュースをグラスに注いだ

 

「あ、夜戦いくみたいですよ、夜戦」

 

「ん?あぁ、夜戦か」

 

さっきから、火を噴く能代のシャークナッパーが執拗にあの護衛なんちゃらのボディを貫いているので、まぁ、今回もなんとかなるだろう…能代のシャークナッパーでも見ようとテレビを見ると、なにやら現場に動きがあったらしく、カメラを持つ手がガタガタと震えだした…

 

「オイ、なんか画面がブレブレだぞ」

 

「何か変なものでも見つけたんですかね?」

 

「ったく、使えねー野郎だな、誰だよカメラ係は…」

 

舐めてるんじゃないですよ電話でもしてやろうとしたその時、テレビの画面に、本来映っている筈のない高貴な輝きが………

って!!陛下ァァァァァァァ!!陛下が御出陣しちゃってるぅぅぅぅぅ!!

 

「あれ?提督、陛下に出陣お願いしたんですか?」

 

「するワケねーだろッ!?オイ!なんで陛下が御出陣されてるんだ!?オイ、五月雨!聞いてねーぞ!」

 

「私も聞いてないですけど…」

 

ど…どういうことだってばよ?何故陛下が…?いや、アレは本当に陛下なのか?いやいやいや、陛下が御出陣されているワケがない、きっと見間違え………いや、まさか………邪眼!?

 

「五月雨」

 

「なんですか?」

 

「ちょっと俺の頰を殴ってみろ」キリッ!

 

メメタァ!!!(全力パンチ)

 

俺の頰にメメタァ!!!とよくわからない擬音を発しながら一ミリの躊躇もない鉄拳がメリ込み、俺は勢い良く椅子から転げ落ちた

 

「ゴブァ!!ガ……ガバァ!!…ハー……ハー……て、手加減なしかッ!!」

 

「だって殴れって言ったじゃないですか」

 

こやつめ、普通はちょっと痛みを感じる程度の平手打ちで良かろうに、普通にグーできやがった、普通にグーで

っーか痛てぇ、なんなんだコイツ?人間相手ならまず負けないレベルかなんかか?俺じゃなきゃ死んじゃうね

 

「まぁいい、だが許そう、俺は心が広いからな」

 

「そうですか」

 

こやつめ、後で膝に蹴り喰らわしてくれるわい

 

◆◆◆

 

舞台は再びレイテ沖、最終局面…

 

「な…なんだあの女騎士!格好良く現れてソードフィッシューしたと思ったら普通にハズしやがった!」

 

「なのに何故あんな誇らしげな顔が出来るのか…」

 

通りすがりの女王陛下による通り魔的ロイヤルファイヤーが過ぎ去り、既に膝ガクガクで立っている事が奇跡な状態の護衛棲水姫は、あかん、死ぬ、コレはマジで大事なナニかがベッキリ折れるコトを確信し、どうにか逃げ切る算段だけを考えていた…

 

『死、死ヌ………イヤダ、イヤダァァァァァ!』

 

「オイオイ、大破してもーたら即退散とはとんだ腰抜け水姫じゃのぉ!」

 

「まぁ、仕方ないけぇ…所詮深海棲艦なんぞ敗北者の集まりじゃあ…」

 

しかし、その余計な一言が既に折れていた護衛棲水姫のなけなしのPRIDEを再び奮い立たせた!!

 

※提督からの注意ですって!

大破撤退は腰抜けの選択ではありません、大事な艦娘が大破したらすぐに帰りましょう、大破撤退を気に病む事はありません、ただ認め、次の糧にすればいいのです、それが大人の特権だよ

 

『敗北者……?取リ消セヨ!』

 

ただ、護衛棲水姫は煽り耐性0だった…

 

『敗北者ジャネェ!コノ海域ノBOSSガ!護衛棲水姫ダーッ!!』

 

「よく言ったァ!この能代最大の拳で沈むがいいわーッッッ!!」

 

パワーを最大限に込めた能代殺人ナックルが護衛棲水姫のボディに突き刺さり、その身体がくの字に折れ曲がったものの、護衛棲水姫の身体の内から湧いてくる不思議なパワーはまだ膝を折らない!不倒!不屈!そのタフなスピリットが肉体を凌駕したのか!

 

しかし…

 

「早く死ね」

 

次順、大井の打順にて大井のヘッドスピード抜群にフルスイングした魚雷がキレーに顔面に炸裂、これが決勝打となり、護衛棲水姫はブクブクと気泡を残して沈んでいった…

 

「今日は姉妹で焼肉するから早く帰って来いって言われてんのよ、手間かけさせんじゃないわよ、カス」

 

 

こうして、大井の決勝打でこのレイテ沖戦を制し、チームは次なるステージへの挑戦権を無事に獲得して帰ってきた…





次回は通常回
提督が喫煙所でモクモクする回


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提督と鳳翔と13人目のクーリエ

作戦期間中の通常回、通常と言う名の異常

【登場人物】

提督(219)
アイツなら許してくれる、だって俺達友達だからなァ!

鳳翔(5)
通称、ビッグ・ママ
鳳翔会と言う組織はだいたい舐めてんじゃねーぞバカヤロー殺すぞコノヤローで話が伝わる組織らしい


前半戦を大井のマグナムフルスイングで決め、勝利を飾った我がチームは来たる後半戦、今までとはレベルの違う強者達がウヨウヨ棲む後半の海へ挑む準備を進める中、俺は、喫煙所でケムリを吸って吐くだけのマシーンと化していた…

 

「フーッ〜………」

 

こう、白いケムリを見ているとアレだな、この一服毎にケムリと共に己の健康を吐き出しているような気がするのだよ………そういや先日、コンビニに立ち寄った際にレジに立っていた改白露型のラノベヒロインみたいな美少女顔に定評のあるンミカゼねーちゃんから執拗に加熱式タバコを勧められて購入してみたが、どうにもクセがあり過ぎて俺には合わない…

 

「おや、ボーイじゃないか…丁度いいトコに居たねアンタ」

 

「あ?………なんだママか」

 

喫煙所でボーッとしていると、相変わらずクソ長い煙管を手にした場末のスナックのバ……いや、ママみたいなカンロクのある軽空母、鳳翔ことビッグ・ママに声をかけられた

 

「アンタ暇だろ?ちょっと車だしな」

 

「オイオイオイ〜…ママ、ご覧の通り、俺が暇に見えるってのかい?」

 

「ご覧の通り暇だろ、いいからガタガタ言ってるんじゃないよボンクラが」

 

ママの手にしたクソ長煙管で頭を小突かれ、ちょっとかさばる荷物の受け渡しだかなんだかあるんだよと雑な説明を受けた、かさばる荷物ってなんだよ、かさばる荷物って、そんなモン運送業者に手配しとけよっーのな

 

「へいへい、ってか俺の車、荷物乗らねーよ?」

 

「心配しなくてもトラック用意してるからそっちを使いな、アンタ中免あるんだろ?」

 

「…なんで知ってんだよ、ってかトラック用意する量かよ、メンドくせぇ…」

 

「フーッ〜…ま、タダとは言わないさね、帰ったら今日の飲み代ぐらいはもってやるよ」

 

「へいへい」

 

ーーー

 

そんなワケで、俺はレンタカー的なトラックを運転し、ママと共にとりあえず荷物の受け取りをするべく目的地へと向かっていた

 

「ちなみに何の荷物の受け取りなんだよ?食材的な、アレか?」

 

「フーッ〜…ま、美術品さね」

 

「美術品?」

 

美術品とか買ったのか、まぁ…よく考えりゃママの店にはなんかよくわからん絵とか皿とか飾ってるし、定期的に入れ替えとかなんとかそーゆーコトやってるのかもしれん、興味ねぇけど

 

「フーッ〜……本来は私の仕事じゃないんだけど、大阪のが、なんかどーしても外せない仕事が入ったらしくてねぇ、ま、その代わりさね」

 

「大阪…?なんの話だよ?」

 

「“鳳翔会”の仕事さね」

 

鳳翔会………

それは、軽空母鳳翔による互助組織らしく、定期的に連絡を取り合って情報を交換したり、よくわからない季刊誌みたいな会報を発行していたりする鳳翔の鳳翔による鳳翔の為の組織らしい

ちなみに入会金は35万、年会費26万となかなかエグゼクティブで敷居の高さを感じさせるが、ワリと多くの会員がいるそうな

 

「………ちなみにママ、今から受け取る美術品は全て贋作でしょうか?」

 

「フーッ〜………真作さね」

 

「オイ!ババアこっち見ろ!こっち!なんで目ぇ逸らしてんだコラァ!?」

 

「誰がババアだい!いいからゴチャゴチャ言ってないで前見て運転しなァ!」

 

こ…このババア!!俺に犯罪の片棒を担がせるつもりだよ!!いや、まだ犯罪かどうかは何とも言えないが……っーか現役海軍将校の俺になにヤバイ橋渡らせようとしてんだこのババア…っ!!もしマネーロンダリング的なアレの片棒だったとしてバレたりしたら俺の輝かしいキャリアに傷が付くじゃねーか!

 

「フーッ〜…ま、心配しなくても海軍クビになったらフランスでもイギリスでも旧ソにでも亡命すりゃいいさね」

 

「なんで亡命確定なんだよ!なんで国を追われなきゃいけねーだよ!!」

 

っーか、ドイツとアメリカは亡命先に無いんだな…

フランス行ってボルドーのワイン農家EDか、イギリス行ってさる高貴な御方にお仕えする騎士EDか、旧ソに渡り革命軍参謀総長になるEDか………どれもイヤな予感しかしねぇな

 

ーーー

 

そんなワケで、美術品の受け取りにやって来た俺とママ

場所はコンテナヤードのあるとある埠頭とだけ言っておこうか…

 

「Hey MAMA!」

 

「オーゥ、ミックじゃないかい、久しぶりだねぇ」

 

あきらかにこの国の男児ではない屈強なマッスルガイと久しぶりだねぇ元気してかい?Oh!MAMAには敵わないなー的な和やかなインターナショナルトークで盛り上がるビッグ・ママこと鳳翔…

 

そして、次々とトラックに運び込まれる木箱…

 

とてもじゃないがこの木箱を運ぶマッスルガイ達が美術品輸送に長けた美の信奉者に見えないし、むしろ、密かに美術品を輸送する事に長けているのだろう…

 

「紹介するよ、コイツはミック、入隊前はメジャーにも2年居たさね、今でも100マイルはイケるよ」

 

「Hi!Guy!」

 

俺はミックなるマッスルガイとガッツリ握手を交わし、ヘイヘイブラザーブラザーと背中をバシバシ叩き合う…

なるほど、たしかにこのマッスルから繰り出される本格右腕は100マイルだろう

 

………そして、今、行なわれている美術品輸送作業はきっと犯罪確定だろう

 

「His name is?」

 

「……天海キョウヤです」

 

「Oh!ママミ!OKOK!ママーミ!」

 

ミックは俺の肩をバシバシ叩きHAHAHAと陽気に笑っている、きっと気のいいマッスルガイなんだろう…

 

とりあえず、美術品の積み込みはつつがなく終了し、俺達はマッスルガイ達に別れを告げ、再びトラックに乗り込んだ…

 

「フーッ〜…」

 

こう、アレだな、タバコのケムリを見ているともやもやした気分を吐き出し、新しい自分に生まれ変わっている気がするなぁ〜

 

「前見て運転しな、前」

 

「へいへい、ババア、有料乗るから、金」

 

「誰がババアだい、このボンクラが」

 

 

こうして、俺とママは受け取った美術品を別の倉庫へと無事に輸送を済ませ、帰りにラーメンを食って帰った…






次回から後半戦に行きま…行きますん


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提督と五月雨と勲章の謎

だらしない提督ですまないと謝りたいと感じているから感謝と言うのだろうなのだよ

【登場人物】

提督(220)
だらしない提督、甲勲章と言う名の最強の華を墓に添えたい修羅道は卒業した

五月雨(62)
だらしない秘書艦、有能に見えてコーヒーはマズいドジっ娘


甲勲章…

 

それは、数年前に海軍本部から通達される中〜大規模作戦にて輝かしくも雄雄しき益荒男のごとき大戦果を挙げた提督に贈られる名誉ある勲章である…

そして、提督はこの勲章を持っているか否かで周りからの評価は神と虫ケラほどの差があり、しかも、持っているだけで宝くじが当たり仕事が順風満帆になり彼女も出来る効果があるとかなんとか…

 

「甲勲章?あぁ、アレな、マゾ御用達の」

 

「何がマゾ御用達ですか、甲提督に謝って下さい」

 

「すいませんでした」

 

「あれ!?結構素直にっ!?」

 

そして、これはワリと提督業も長いのに未だに甲勲章を持ってないだらしない提督のお話…

 

◆◆◆

 

「アレですよ、アレ、会議とかで他所の秘書艦さんが集まると、ンマー宅の提督ったらまた勲章頂いちゃってー、ンマー置き場所に困るのよねー、ンマー宅はサイドボード新調したアマス………みたいな話してますね」

 

「ナニがンマーだ」

 

一雨ごとに春が一歩一歩と迫り来る春の執務室、俺は湯呑みに入ったアツいティーを飲みつつ次なる海への編成を考えていると、ふと、資材の申請はお早めにとかなんとか書かれた上から来たFAXが目につき、その紙に甲勲章の交換がどうのこうの書かれていた…

 

「甲勲章ってたしかその気になれば資材と交換してくれるらしいですね」

 

「らしいな、持ってないから知らないが」

 

「せっかく頑張った栄光の証を資材と交換するってどんな気分なんでしょうね」

 

「さぁな、オリンピックの金メダルをオークションに出す気分じゃねぇの?」

 

「なるほど…」

 

いや、むしろ過去の栄光に縋らず、常に最高の戦果だけを出し続ける決断こそ最高のCOOLなのではないだろうか?まったく……アーン?どいつもこいつも最高にCOOL!COOL!COOL!じゃねーの?

 

「そう言えば、甲勲章って持ってると軍の保養施設とか割引されたり、艦隊司令免許の更新期間が3年から5年になったり講習受けなくて済むらしいですよ」

 

「え?マジで?」

 

「まぁ、聞いたハナシですけど、あ、お菓子食べますか?」

 

五月雨は戸棚からハッピー●ーンを袋を取り出してそれを皿的な物に入れて俺の机に置き、既に空になっていた湯呑みにアツいティーを注ぐ………こーゆートコがムカつくなコイツ

 

「講習かぁ〜…講習ダルいんだよなぁ〜」

 

「まぁ、提督の場合は長い講習ですしね」

 

「まったくなのだよ」

 

年四回の作戦海域の内、最終戦二つを丙で攻略完了すると丙提督講習なる講習に呼び出される、ちなみに、この講習は一日中みっちりと何故丙だったのか?恥ずかしくないのか?やる気はあるのか?と、有難いお話を拝聴する事になる…

 

「そういや講習のお知らせ来てましたよ、一日講習」

 

「ンマー、一日講習とかギガント面倒アマス」

 

「ナニがギガント面倒ですか」

 

「まぁいいや、どうせ行かにゃならんし、行くだけ行って有難いお話を聞いてくるかぁ〜、サミダックスフンド、切符買っといてくれ」

 

「自由席ですか?不自由席ですか?あと、五月雨です」

 

なんだよ不自由席って……アレか?到着まで手とか足とかをベルト的な何か拘束され、アイマスク装着とヘッドホン装着する感じのアレか?

 

「自由席だ、俺は何より自由を尊ぶ男だからな」

 

「自由席ですね、じゃ、私は指定席にします」

 

「何が指定席だ、お前…普通アレだろ?俺が自由席ならお前も自由席だろ?あ?なんだ?お前は俺のなんだ?」

 

「部下…?ですかね」

 

「部下だよ、そうだよ!部下だよサミダイソーくんよォ?………いや待て、部下…?」

 

よし、たまにはこの小憎たらしい青髪ロング子にイキでイナセな提督様流の反撃でもしてやるか、クックック…今から貴様が恐怖に慄く顔をみせると考えると胸がこう……高鳴るわい!

 

「なんですか?」

 

俺は一つ咳払いをし、前髪をかき分けて爽やかなイケメンスマイルを五月雨に向け…

 

「いや、サミ……サミダ、五月雨くん?いや……… Mein Freund (我が友)よ」

 

「………すいません、超吐き気がして目眩がするんで早退していいですか?」

 

五月雨は口元を抑えて心底嫌そうに片手を挙手した

 

「そこまでかッ!?」

 

「………えぇ、小粋なテイトクジョークだとわかってはいるのですが、私の予想以上の破壊力と言うか……うっ、早く部屋に戻ってアイナナでも観ないと…」

 

「オイオイオイ、おじさん、そんな火の球ストレート受け止めきれないぞ、おじさんだって傷つくんだぞ」

 

「これはアレですね、珍しく……痛み分けですね」

 

「まったくだ」

 

この後、互いに気分の優れない俺たちは、とりあえず甘いもん食ってエネルギー充填すっか!との結論に達し間宮に行ってなんかチョコレート垂れ流しみたいな何か食べた






次回から後半戦ですって


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多号作戦改

後半戦突入、戦慄!志摩艦隊!

【登場人物】

足柄(13)
提督とは同じ穴のキジムナーとかディスられている三女、よく見ると良いオンナ

那智(4)
妙高姉妹の唯一の良識派、でも拳系


海の猛者どもがウヨウヨ後半の海、新世……レイテ湾、この作戦の目的である七本(ピラー)を破壊し、この光溢れる地上を守る為、勃ち上がったアツき血潮の正義の戦士達は五本目の(ピラー)を破壊するべく向かっていた…

 

「デッドハウリング!」

 

『オゴォ!?』

 

そして、まずはお馴染みの前半輸送任務、妙高姉妹の次女那智の鉄拳が軽巡棲姫のオシャレマスクを破面し、軽巡棲姫はこのままでは終わらんぞォーと言いながら深く暗い海に転落していった…

 

「さすが那智クン!ハンパじゃねぇ!」

 

「あぁ、那智クンこそオレたち志摩艦隊の誇り…」

 

「思わずガイドビーコン出しちまいそうになっちまったぜ…」

 

ドラム缶や大発を積んだ駆逐艦のキッズ達からキャッキャと持て囃される那智は、よし!今度お前達にデッドハウリングを教えてやる!と満更でない様子で応えていた…

 

そして…そんな駆逐艦のキッズ達にちやほやされる那智とは対照的に、一人、ガリガリと爪を噛む重巡が居た…

 

「クッ!那智めッ!那智めッ!那智めッ!礼号キッズのハートを鷲掴みにするなんて!」

 

清霜、朝霜、霞、それは足柄と大淀が特に可愛いがっている礼号組のファミリー達、いつもは足柄さん足柄さんと懐いてくる可愛いキッズ達が今日は那智さん那智さんと春の那智祭りを開催する屈辱!足柄はファーックスと叫びながらその辺にいた貝を蹴りあげた

 

「お、落ち着いてくださいよぉ、足柄さん」

 

「あ?なんだっけオマエ…?アブ、アブラゼミ?」

 

「…阿武隈です」

 

「フッ、私はCOOLよ、そう…常にCOOLな大人、だって私は足柄よ?当然じゃない?」

 

「はぁ…?」

 

自称COOLな大人はファーックスとか言いながら勢い良く貝を蹴り飛ばしたりませんよぉ〜…喉元まで出かかった言葉だったが、阿武隈は大人なのでそれを飲み込んだ、そして、今日の晩御飯なんだろう?たしか長良姉ちゃんがプロテイン鍋とかワケのわからないコト言って五十鈴姉ちゃんに殴られていたなと思い出した…

 

「アブ…あぶ、アブグマ?まだ敵は居るのよね?本命が」

 

「え、えぇ…本命が、たしかヴェアーって鳴く人だとかなんとか、ってか阿武隈です!」

 

「フッ…あのヴェアヴェアの実を食ったヴェアヴェア重巡ね、相手にとって不足なしだわ」

 

「はぁ…?」

 

本命のBOSSである重巡棲姫を“狩る”…そうする事により、今は離れてしまっている礼号キッズ達の心は再びこの足柄の元に戻る!子供とはゲンキンなもので、新しいヒーローに目移りし易いが、これで本物のヒーローが誰なのかをきっと思い出してくれる!ここには来れなかった大淀だってきっとそう言って足柄の背中をバシバシ叩いてくれるハズ!

 

「よし!アブ……あぶ、阿武隈ァ!初月と10cm高角砲+高射装置は持ったわね!行くわよォ!!」

 

「物扱い!?」

 

ーーー

 

そして、迎えた海域後半戦………VS重巡棲姫!

 

「Are you OK?」

 

久々にやる気を出した狼の牙は遺憾無く発揮されていた…

 

「でた…っ!足柄さんのあの動作(ムーヴ)はーッ!!」

 

「足柄さんのフェイバリット!!バスターウ●フぅー!!」

 

「これでヤツのキン●マはグチャグチャだぜーッ!」

 

礼号キッズ達の声援をそのアツく!雄々しき背中に受け、伝説の狼が今、そのワイルドな牙を剥き獲物を狩るべくマグナムパンチを重巡棲姫の柔らかボディにその拳をメリ込ませた、その破壊力はまさに超必殺技、まともに喰らえば

全身の骨が砕けて死ぬ事は必至ッ!

 

『ヴェアアアアア……!!ガフッ…!!ゴフッ!』

 

しかし!足柄渾身のバスターウ●フをそのボディに喰らい、重巡棲姫の膝は未だ屈してはいなかった!

 

「こ…コイツ!足柄さんのバ●ターウルフを受けてなお立っているなんて…ッ!」

 

「ふ…不死身!ヤツは不死身だとでも言うのかーッ!?」

 

『ヴェアッハッハ…!馬鹿ドモメ……!』

 

ニヤリと笑う重巡棲姫はそのお腹の辺りをゴソゴソとまさぐると、一冊の雑誌を取り出してみせた

 

「あ、アレは…ッ!!月●ガ!」

 

「あの野郎!まさかお腹に月マ●を仕込んでやがったとは…クッ!月マ●をブチ破るのはたとえ武蔵さんでも無理だ…ッ!」

 

『ヴェアハッハッハ!バーカーメェー!!今日ノ私ハ一味違ウノヨ!一味!』

 

そう…今日の重巡棲姫は一味違った、彼女は今回の海域登板に辺り、深海A●G損保からリスクマネジメントを受けていたのです…

もしかしたら凶暴な狼が出現するかもしれない、そんな危機に備えたリスクを知れば人生が変わるプランを、重巡棲姫はバッチリと対策して来たのです

 

『ヴェアハッハッハッハ!!オマエノ能力ジャ私ニハ勝テネェ!!』

 

勝ち誇る重巡棲姫と、その、あまりの超装甲に絶望すらしかけた礼号キッズ達………しかし、狼はまだ死んでいなかった

 

「…それはどうかしら?」

 

『ナニィ?』

 

「たしかに月●ガをブチ破るのは至難の技、この足柄が命を燃やし、全てを賭けてもおそらくは鉄拳チ●ミにすら届かないわ…」

 

だが!!ボディではなく、そのキレーな顔にこの拳を叩きつけるのどうかしらね!?

 

『ナ…ナンダト!?タ……確カニ、ボディノ防御ハ完璧デモソノ他ハ丸裸同然ッ!?』

 

「スゲェ、さ…さすが足柄さんだ」

 

「天才……まさに足柄さんこそ戦いの天才だ!戦いの天才だ!」

 

「狼ッ!狼はまだ死んじゃいねぇぜぇーッ!」

 

◆◆◆

 

執務室でテレビを見ていると、ヴェアーとか言いながらキレーな顔した重巡みたいなのがGo bang!されてきりもみ状に回転しながらブッ飛んで頭からグシャァッ!と、どう考えてもただ事では済んでいないであろう擬音と共に海上に叩きつけられて沈んでいた…

 

「あれは死にましたね」

 

五月雨もオレンジジュースを飲みつつ実に冷静で的確な感想を述べる、人は守護るものさえあればどこまでも強く、そう、強くなれる…!そんなシンプルで当たり前の強さを教えてくれるのは常にアイツだったな、フッ…さすが足柄、そうでなくては面白くない

 

「んんんんー、許るさーん!私の遊びを邪魔しおって!」

 

「え?なんでキレるんですか?」

 

「キレてない、提督だ」

 

テレビ画面の向こう側ではアシガラワッショイアシガラワッショイと喜びの胴上げが行なわれており、あ、足柄が落ちた……バカでー、しかもあの野郎、アブ…アブドラくん?だっかにテメー手ぇ抜いたなとかインネンつけてやがる、最悪だなアイツ

 

「狼と言うものはキレやすく獰猛である、そんな狼によるリスクを回避する為にアブドゥルくんにはA●Gのリスクマネジメントを紹介したい」

 

「阿武隈さんですけどね」






次回は第6ステージ、新たな力を身につけたタフなアイツがやって来た!


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追撃!第ニ遊撃部隊①

第六ステージ前半戦、新たなステージは改に挑む場所

【登場人物】

Italia(5)
パスタの姉、比較的常識人のメルヘン思考

Roma(4)
パスタの妹、見ての通り頭の良いやつ





熱戦!烈戦!超激戦!血で血を洗う死闘もいよいよ第六海域、パラワン水道方面攻略へと乗り出した地上の愛と平和を守る為に命の小宇宙を燃やす戦士達…

 

『ヒッ!ヒイィィ!来ルナ!コッチニ来ラァトカ言ッタケドアレハ嘘デス!嘘ォ!ウゲェェェェェ!!』

 

海域攻略初戦、前回に続き志摩艦隊の登板だが一部メンバーを交替、暇人のイタリア戦艦を起用し、なんか瑞穂様っぽいのブン殴りに向かわせたが…

 

「WAAAAAAAANNABEEEEEEEEEE!!」

 

『ウゲェェェェェ!!!』

 

「そう…一味、違うのね…」

 

見ての通り、頭のいいヤツであるメガネパスタの一味違う拳の前に瑞穂様っぽいヤツは特に何をするわけでもなくKO、抵抗する事なく、命を差し出すのは良いコトだ…

 

「…チッ、服が汚れたわ」

 

「ローマ!?なんでアナタはそんなに暴力的なの!?」

 

服が汚れた事に腹を立て、沈まないように腹の辺りを執拗に死体蹴りする見ての通り頭のいいヤツである妹をなんとか制止し、姉のイタリアはどうか成仏してくださいと沈みゆく水母棲姫を見送った

 

「反吐がでるわ」

 

「ローマ、何か悩みでもあるの?お姉ちゃん相談に乗るよ?」

 

「悩み?別にないけど?」

 

「ないんだ…」

 

いつからだろう、妹がこんなに暴力的になったのは…?イタリアは目を閉じてまだ姉妹が幼かった日を思い出してみる、そう…ローマだって昔はお姉ちゃんお姉ちゃんと可愛い時期があったはず…

 

ローマ5歳 「ギャハハハー!こいつ名前占いで『大地獄』行きだぜェーッ」

 

ローマ8歳 「ボスを倒したのならよォー 実力から言って…次の幹部は私ね」

 

ローマ13歳 「オマエは蹴とばされやすいように…しゃがんでいるんだ」

 

ローマ15歳 「このチンピラが私をナメてんのかッ!何回教えりゃあ理解できんだコラァ!ろくご30ってやっておきながらなんで30より減るんだ!この・・・・・・クサレ脳ミソがァァァ!!」

 

………あれ?可愛いかった時期がない?あれ…?おかしいな、たしかローマにも可愛いかった時期かあったハズ、私の事を慕ってくれてた時期があったハズ!そう、あれはたしか……えぇと、つい最近、たしかお姉ちゃんって呼んでくれたような…

 

ローマ最近 「掃除しろ…?ハァ?誰に言ってんの…?オネーちゃん?」ピキッ!パキッ!

 

うん……なかった、ローマに可愛い時期がなかった

イタリアは記憶のムーディーをいくらブルースしても可愛いローマを思い出す事は出来なかった…

 

「お腹空いたわね、姉さん、帰るわよ、ピザ焼いて」

 

「え?」

 

「帰ったらピザ焼けって言ってるのよ、あと姉さん、何食べたらそんないやらしい身体になるのかしら?ピザ?」

 

「今その話必要!?ってか、体型的にはローマもそんなに違いないでしょ!?」

 

「そうね、ただ、姉さんの男受けするドエロスボディには敵わないわ、大したエロスね」

 

「やめて!人をそんなエロスの権化みたいに言うのはやめて!」

 

◆◆◆

 

初戦、水母棲姫を突破し、無事ガイドビーコンの灯りの下に戻ってきた志摩艦隊…

 

「言わんこっちゃない…」

 

「次はまた栗田艦隊による連合艦隊ですね」

 

「またかよ…」

 

また金剛様の出番か、今回は稼ぐなアイツ…っーか燃料の減りがやたらと早い気がするが、まだこっちは切札である最強カードである超戦艦を切ってないんだがな…

 

「そういや、あやつはどうなっている?」

 

「あやつ?」

 

「そう、あやつだ」

 

最強の超戦艦、武蔵……今回の作戦に合わせ、上から更なる改装の許可が下りた武蔵、ちょっと改装してくっぞ!と、なんかコンビニ行くような感覚で基地の奥にある改装工廠、通称、精神と●の部屋に入って行ったらしいが…

 

「武蔵さんならまだ見てませんけど…」

 

「ナニちんたらしてんだアイツは…」

 

ヤツこそこの作戦の切札、燃料もボーキも少ない逆風がビュービュー吹いていても追い風に変えてくれるであろう俺の切札なのだが…

 

「よし、ちょっと見に行ってみるか、サミー、付いて参れ」

 

「はぁ?」

 

俺は執務椅子からスタイリッシュに立ち上がり、五月雨と共に基地の地下にある改装工廠へと向かうと、改装工廠の扉の前で大和さんがハァハァ言いながら体操座りをし、矢矧ちゃんから飲み物を受け取っていた…

 

「ハァ…ハァ…」

 

「大和さん!サイダーです!」

 

「あ…ありがとう、でも…大和的にはサイダーより水の方が…」

 

「大丈夫っす!急いで買ってきたんで!キンキンに冷えてるんで!」

 

「あ…あぁ、うん、ありがとう」

 

大和さんは矢矧ちゃんから受け取ったサイダーのプルトップを開けると、キンキンに冷えたサイダーが勢い良くスプラッシュしサイダーまみれになった…

 

「うええぇぇぇ…ベトベトだぁ…」

 

「大丈夫っす!サイダーまみれの大和さんもメチャシブいっす!」

 

矢矧ちゃんから“男樹”と書かれたタオルを受け取り、サイダーを拭き取る大和さん……どうやら矢矧ちゃん的には大和さんの全てがメチャシブいらしい

 

「よぉ、まだ武蔵は改装中か?」

 

「あ、提督…」

 

「提督、シャーッス!提督!」

 

比較的常識人である大和さんと、その舎弟、矢矧ちゃんは比較的常識的挨拶をすると、武蔵はまだ改装中で、今は長門のアホが武蔵と共に部屋に入っていると教えてくれた

 

「…なんで長門まで?」

 

「武蔵の相手が出来る戦闘力を持った修行相手が必要ですから…」

 

「へぇ…」

 

そうか、第二改装ってそんな感じなのか…おそらくはこの扉の奥で、今も武蔵と長門のアホが限界突破する為のブッちぎりZENKAIバトルを繰り広げているのだろう…

ちょっと覗いてみるか…

 

「やめた方がいいのでは?」

 

「まぁ、ちょっと覗くぐれー大丈夫だろ」

 

五月雨から女性の着替えを覗くのは如何なものか?と一応止められたが、興味には勝てない、そしてこれは着替えを覗くワケではない、あくまで改装を覗くだけだ、俺は重くるしい扉を少しだけ開け、中を覗いてみる…

 

「いい加減にしろ…この星をメチャクチャにしやがって、キサマら一体いくつの星を壊せば気が済むんだーッッッ!!」

 

「ハッハッハッ!この武蔵は大和とは違うと言ったろう!この星ごと消えてなくなれぇーッ!!」

 

………扉を閉め、ついでに取っ手をチェーンでグルグル巻きにして南京錠で鍵をし、鍵は窓から海に向けブン投げた

 

「どうでした?」

 

「ヤツらをこの星に解き放つな」

 

◆◆◆

 

パラワン水道攻略第二戦、栗田艦隊の前に立ち塞がる次なる敵…

 

『ナンドデモ……シズメテアゲル!!』

 

深海ガード下きっての屈指の防御力を誇る戦艦棲姫…………ではないッ!!

 

「ち…違う!ヤツは今までのヤツとは違うぞ!」

 

「今までと気の質が違う…っ!ヤツめ、いったいどんな修行をしやがったんだ」

 

戦艦棲姫改め、戦艦棲姫・改!この戦いの為、戦艦棲姫が到達した新たなる境地、今まで“壊”という境地に達した姫級は何人か存在していたが、それとは別次元の進化“改”に到達した唯一無二の力!

六人の正しい心を持つ深海棲艦の深海パワーを身体に注入する事により、戦艦棲姫は新たなる境地へと足を踏み入れたのだった…

 

「なかなか楽しめそうなゴミが出てきたデスネー…」

 

『海軍ドモメ………破壊ヲ楽シンデンジャネェゾーーー!!!』

 






次回、とびっきり最強対最強!激突、金剛様対戦艦棲姫・改、あと空母おばさん


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追撃!第ニ遊撃部隊②

今だ起こせ最強の風!とびっきり最強ぱっわー!

【登場人物】

金剛
金剛姉妹の長女、決め台詞は、たしかみてみろ!

戦艦棲姫・改
深海棲艦の間に伝わる伝説の超戦士の力を持った戦士の伝説の超戦士、羽織りものは深海ユニ●ロで買った

雪風
陽炎姉妹最強の死神、深海ビンゴブックの危険生物ランキングにてぶっちぎりの危険度





激突!戦艦棲姫・改率いる深海任務部隊増援支援集団と金剛率いる海域侵略チーム!

 

「ぬぅ…!あ、あれはーッ!!」

 

「知っているのですか利根姉さん!?」

 

戦艦棲姫・改は胸元から取り出した一匹の毒蛇を己に噛ませ、そして、戦艦棲姫・改からその毒蛇を受け取った金剛も己の腕を毒蛇に噛ませた

 

蛇血誓闘(スネークブラッドコントラクト)……まさかアレを行う気か!」

 

蛇血誓闘……それは、古代ギリシャのコロシアムにおいて、因縁のある試合に完全な決着をつけるために行われた伝統的決闘法である、互いに死に至る毒を身体に入れた状態で戦い、勝者がたった一人分の血清であるビクトリーワインを飲む事が出来る…

 

『ダリャアッ!!!』

 

「ぬぅ…ッ!!」

 

新たなる境地、改のステージへと到達した戦艦棲姫の拳が唸りを上げ、クロスガードをとる金剛の身体を大きく後退させた

 

「なかなかのパワーとスピードデース……まともに喰らえばDIEされるかもしれまセンネェ」

 

『勝テンゼ…オマエハ』

 

ニヤリと笑う戦艦棲姫に今度はお返しとばかりに金剛の殺人Fuckパンチが戦艦棲姫のガードを貫いて柔らかボディに突き刺さった

 

「Fuck!!」

 

『ウ……ウゲエエェェェェ!!ゴボォ!』ビチャビチャ…

 

「ヘイ、Stand Up……まだまだ、こんなモンじゃないでショー?オマエもあのイキった軽空母のように木っ端微塵にしてやりマース」

 

『イキッタ軽空母…?護衛水棲姫ノコトカ……?護衛水棲姫ノコトカーーーッ!!』

 

◆◆◆

 

「よく考えたら連合艦隊じゃないで遊撃部隊でしたね」

 

「あぁ、よく考えたら連合艦隊じゃないな」

 

栗田艦隊=連合艦隊と勘違いするうっかりさんですまない、俺は幸いにも誰にもツッコまれなかった事に安心と同時に一抹の寂しさを覚えてタバコに火を点ける…

まぁ、実はそんな事は些細なことなのかもしれないな、そう…この、とびっきり最強対最強の戦いを見ているとあらゆる事が些細な事にすら感じるのだよ…

 

「フーッ〜………いつかの日か、あの殺人パンチが俺に向けられると思うと気が滅入るな」

 

「そうですね」

 

「そうですね、じゃねーよ!この髪長駆逐艦子が」

 

この野郎、完全に他人事か!まぁいい、ヤツとはいずれ雌雄を決する、だが今はその時ではない、それまではヤツの、金剛の力をせいぜい利用させて貰おうじゃないか

 

「クックック…」

 

「ゲス特有の悪い顔してるところアレですが、さっき下から連絡がありまして、大和さんと長門さんだけじゃローテ厳しいんで他の暇人を回してくれとのコトです」

 

「あぁ?あのバケモンの相手できるヤツとかいねーだろ?」

 

「アイオワさんとかどうですか?」

 

「アイオワか…」

 

そう言えば居たな、あのモンスターに匹敵するであろう最大最新最強のダイナマイツパッキンガールが、最近特に出番がないのでバーガーとコークを食っちゃ寝食っちゃ寝してカトゥーンを読んでゴロゴロしているらしいが…

 

「よし、アイオワに連絡しろ、地球の命運を賭けるのはいつだってステーツの仕事だってな」

 

「………あの、味方ですよね?武蔵さんって」

 

◆◆◆

 

「DIE!!」

 

『ゴブッ!!………ゴハァ!バ…馬鹿ナ!改ノ力ヲ極メタ私ガ…コノ私ガァァァ!!』

 

拳がインパクトする瞬間に波動を体内に叩きつけて炸裂させる業深き拳、提督のHeartを掴む為に研ぎ澄ませ続けるその拳は未だ、一撃必殺、風の拳には届いていなかった…

 

「う〜ん………やっぱりなんか違いマース、こう……なかなか難しいですネェ」

 

『マダダ……マダ倒レルワケニハ……』

 

戦艦棲姫・改は折れかけた膝に再び力を入れて立ち上がる、そう、この改と言う力は戦艦棲姫だけで辿り着いた力ではない、たくさんの仲間達と共に辿り着いた深海棲艦のチームメイト皆の思いを背負った力なのだ、そのアツき想いがある限り戦艦棲姫は決して負けはしな…

 

「倒れるワケには?なんですか?」

 

『ア…?ア…?』

 

ふと、声のした方向に視線をやると…自分のすぐ前、目下目の前に小柄な何かが立っていた

 

「なんですか?」

 

戦艦棲姫・改のボディに今までとは比ではない強力な一撃が炸裂し、戦艦棲姫・改はグルングルンと回りながら海面に何回か叩きつけられ………沈んだ

 

「ヘイ、雪風ガール、なんてコトするデース」

 

「金剛さんがチンタラしてるから悪いんです」

 

雪風は右手をアルコール除菌してハンカチで拭きながら特に悪びれた様子もなくポケットから取り出した堅パンを取り出して齧り始めた

 

「深海棲艦に生きる資格はありません」

 

「Fuー…雪風ガールは相変わらず過激デスネー」

 

「堅パン食べますか?」

 

「No、遠慮しておきマース…」

 

ーーー

 

続いて栗田艦隊、第六ステージ最終戦、VS深海任務部隊増援集団旗艦艦隊…

 

「ゲェーッ!あ、アレはーッ!」

 

「雪風の不沈艦殺しの殺艦奥義ーッ!バトルシップシ●クーっ!」

 

背中合わせの状態で手を後ろに回されてホールドされたまま逆さまに落下して脳天を海面に叩きつけられた空母棲鬼は色々なところが丸見えのセクシー&無様な格好で沈んでいった…

 

「海面の味はKISSの味です」

 



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提督と由良とナイトクラブ25

最終海域前でも通常回、そしてお久しぶりな夜の店

【登場人物】

提督
自称ハンサムガイのバッドガイ、自称女子供にも容赦ない鉄拳の持ち主、サディスト

由良さん
長良姉妹の四女、サディスト

鳳翔
通称ビッグママ、さすがに着る自信は無かった


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ…

 

「よぉ、ママ」

 

「フーッ〜………ん?なんだ、ボーイかい」

 

「ボーイはやめてくれよ、ってか何その箱?お中元?」

 

作戦もいよいよ大詰め、残すは最後の戦いとなった我々地上の愛と平和を守る正義の戦士達…そんなアツき血潮の戦士達は今日もやる気溢れる走り込みやヒッティングの練習に汗を流しており、俺はそんな仲間達を見て、いける!コイツらとならと確信し、ママの店で大人の英気を養うべく足を運んだワケだが…

 

「服、アンタ着るかい?」

 

そう言ってビッグママが服から取り出した服は、一目でただの生地じゃないとわかる高級な素材をふんだんに使った贅沢な仕立て物、エレガンテの中に光る大人の余裕と言うか、大人らしさと言うか…これを着こなす事こそまさしく大人である証明であり、その溢れ出る優美さとエレガンテは既製品には決して出せない本物の上質を演出してくれるだろう………しかし!

 

「バニーですか?」

 

「フーッ〜……バニーじゃないよ、ほら、ツノあるだろ?ツノ」

 

「あ、ホントだ」

 

よく見ると、ウサギ耳だけではなくたしかにツノがある、これはきっとアレだろう、夜のアリア●ン近辺とかに出てくるラリホーしてくるアレ的なものだな、たぶん

 

「え?なに?ババア、いい歳コイてナニ買ってんの?え?なに?無理すんなよ」

 

俺の冷静で的確な指摘に、誰がババアだいとマジギレした心の狭いババ……ビッグママからマジギレキセルで頭を殴打され、俺は顔面からカウンターに叩きつけられた

 

「誰がババアだい!あ?もういっぺん言ってみなァ!」

 

「サーセンしたァ!!」

 

「フーッ〜…わかりゃいいんだよ、ったく、口の利き方に気をつけな」

 

「へいへい」

 

心の狭いビッグママ曰く、このアル●ラージ的なセクシー&ラグジュアリーなバニー的な服はとある知り合いからの贈り物らしく、いちいち気を遣う必要はないんだけどねぇとケムリを吐いてキセルの火種を落とした

 

「…で?着るの?それ」

 

「………まぁ、貰っといてなんだけどねぇ」

 

まぁ、そうなるわな、っーか店に入ってママがバニー的な服着てたら店間違えたどころか異世界バーかなんかと間違えたと思って扉閉めるレベルだわ

 

ーーー

 

ママとの小粋なアイサツを済ませ、テキトーに空いている席に座り、タバコに火を点けて基地スポに目を通してみる…

 

「フーッ〜……電撃移籍!メジャーからの刺客かぁ〜」

 

「いらっしゃいませー」

 

「ん?おぉ………って!ゲェーッ!!」

 

本日、テーブルに現れた俺の予想を凌駕する刺客!五月雨と同じく、俺がここに配属された当初からの付き合いであり、まだ戦力と言えるものが整っていなかった頃、その白い髪と青い海を赤く染め上げ、チーム最初期のエースとして君臨した悪鬼の中の悪鬼…

 

「ゲェーッとはナニ?ゲェーッとは?」

 

「ゆ…由良さん、何故ママの店に…?」

 

「暇潰し」

 

暇だから、手短かかつ的確にそう言って由良さんは席に座りアイスペールのアイスをグラスに放り込んでグルグルと回した

 

「ち…ちなみにその服は?」

 

「コレ?さっきママから借りたのよ、アンタかわいいんだから似合うんじゃないかい?って、ね?」

 

控えめに言って、惨劇の王者と呼ばれたコトもある由良さん、その由良さんは今、つい先程、ママがどうしたモンかねぇと頭を悩ませていたラリホーウサギ的な着る者が着ればヨダレがジュピッ!確実ぅ!なハクい衣装を着て耳をピコピコと動かしていた…

 

「ね?どう?」

 

「………」

 

「ね?どうなの?」

 

俺は由良さんの両肩に手を乗せ、力の限り叫んだ

 

「スカスカじゃないかッッッ!!」

 

バニー的な衣装に存在するべきハズの谷が!峡谷が!デスバレーがッ!………嗚呼、なんてこと!なんてこと!これじゃあテーブルマウンテンじゃないか、盆地!圧倒的盆地ッ!

 

「ちくしょう!」

 

「提督さん、それ以上喋ったら殺すけどいい?」

 

由良さんは俺の両腕をありえないほど強力万力のような力で掴み、そのままの俺の腕を引いて鋭く尖った由良ニーに俺の鼻っぱしらをブチ当てた

 

「ウギャ!!」

 

「なかなか良い男に整形出来たんじゃない?ね?」

 

「さ…サーセンした…あと、ティッシュとかないっすか…?」

 

「なに?由良のセクシーな衣装に鼻血が止まらないの?ね?」

 

なにがセクシーだよこのヤロウ…まったく、いくつになってもバイオレンスぶりが止まらねぇなコイツ、まるでバイオレンスが服を着ているようなのだよ…

俺は鼻を捻じ曲げて軌道修正し、由良さんから受け取ったスコ●ティを鼻の穴に挿入した

 

「で?ナニ飲む?由良のおすすめはマッド・カクテル」

 

「それ飲み物じゃねーよ、錠剤だよ!錠剤の飲み方だよ!ちくしょう!」

 

「あ、そうなんだ〜」

 

ナニがそうなんだ〜…だ、コイツ、テキトーに知ってるそれっぽい名前を言いやがった

 

「まぁいいや、じゃ、氷食べる?」

 

「いらねぇよ、フーッ〜………とりあえずビールくれや、ビール」

 

「は?」

 

「は?じゃねーよ、ビールくれって言ってるんだよコノヤロー」

 

「なに?由良にビール注げって言ってるの?」

 

ナニ言ってるんだコイツ…?イカレているのか?

 

「そう言ってるのだよ」

 

「ビール注げって言ってるの?」

 

「言ってるのだよ」

 

俺と由良さんは思わずKISSしてしまいそうな超近距離でメンチを切り合ってバチバチと火花を散らした

 

「タイマンだ、オモテ出ろよ」

 

「へぇ……いいよ、久々にヤろうか?由良、今結構ムシャクシャしてるし」

 

そうそう…昔はよく由良さんとは殴り合いの喧嘩したっけな、給料が安いだの、疲れたから他の奴に替えろだのゴチャゴチャ言ってその度に殴り合いして執務室の壁にメリ込んだりメリ込ませたりしたな

 

そんなワケで、ハンサムが服を着たハンサムな提督である俺と、バイオレンスがウサギ的な衣装を着たバイオレンス軽巡の由良さんはゆらっと立ち上がり…

 

ゴスッ!!(煙管アタック)

 

「アダッ!?」

 

「痛い!?」

 

「ケンカすんじゃないよバカども」

 

俺たちの頭を愛用のキセルで強打し、ビッグママがゴチャゴチャ言ってるんじゃないよと言いながら新鮮な殺したての魚の刺身盛り合わせをテーブルに置いた

 

「痛いのだよ」

 

「ちょ…ママ、痛いんだけど!」

 

ママはケムリを吐きつつ空いている席に座り、アンタらも座りな、ほら!さっさと座りな!と急かすので俺たちは渋々座り直した…

 

「ボーイも由良も仲良くしな、仲良く」

 

「ボーイはやめてくれよ」

 

「ママ、由良は別に提督と仲悪くないよ?ね?ほら、仲良し仲良し、カラオケでデュエットしちゃうくらい仲良いから、ね?」

 

「あ?下賎な者が私とデュエットできるはずもないわい」

 

「あ?」ピキ!

 

「あ゛ぁ?」パキッ!

 

「…もう一発ぐらいブン殴られないとわからないかい?」

 

「サーセン」

 

「ご…ごめんママ、ぶたないで…」

 

ーーー

 

俺も由良さんもママには頭が上がらない以上、互いに今日のところは見逃してやると言う結論に達し、とりあえず接客業適性0の由良さんに注がせるのは無理だと悟ったので手酌で飲む事にした…

 

「ん」

 

「ん、じゃねーよ、テメーで注げよ」

 

ナニ呷る先から無言でグラス押しつけてきやがるんだこの髪長軽巡は…

 

「ケチくさい」

 

「ケチくさいじゃない、俺は客だぞ、ってか由良さんマジ何しに来たんだよ」

 

「暇潰し、あと嫌がらせ」

 

…女を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだ……いや、由良さんに限ってはそうでもないか

 

「由良はね、提督が苦しむ顔が見たいだけなの」

 

「とんだサディストなのだよ」

 

「ジョークよ、ジョーク、ゆらっとゆらめくユラジョーク」

 

「ナニがユラジョークだ、まったく笑えねーよ」

 

俺は胸ポケからタバコを取り出し、口に咥えて火を点けようとすると由良さんが手にしたZippoライターで素早く火を点けた…

 

「お…おぅ、悪いな、って由良さんZippoとか持ってんのか」

 

「いいでしょ?ね?」

 

まぁ、俺も以前はZippoを使っていたが、なんっーか使い込むと味があるっーか愛着が湧くっーか……俺のお気に入りのアレ、どこかで失くしてしまって以来、新しいのを買う気になれずに………

 

「って!!それ俺のじゃねーか!!なんで由良さんが持ってんだ!?」

 

「え?覚えてない?」

 

「あ?」

 

ナニ言ってんだコイツ?覚えてないかだと……?いや、覚えがないな、うん

 

「返せッ!」

 

「ふ〜ん、絶対やだ」

 

「絶対かッ!」

 

「そ、絶対」

 

そう言って由良さんは俺のライターを胸元の内ポケットにしまい返して欲しいなら焼き土下座しろと要求してきたので、とりあえず今日のところは諦めることにした…

 






次回は最終海域、目覚める究極パワー!レイテで一番スゲェやつ!


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暁の水平線に勝利を──①

決戦最終海域!その①、早く…早く来てくれ…!がなかなか来ない笑顔ウルトラZ仕様

【登場人物】

リシュリュー
フランスから来た自称最強戦艦、実家はブドウ農家のパリっ子気取りの田舎者

戦艦水鬼改
戦艦棲姫と同じく、神のステージに到達した深海棲艦の逸材、深海会議の司会とかやってる

長門
タフ&ハードな鉄の城、知ってる人は皆一様に、まぁ…ステゴロなら長門でしょうと答える、ただしロリコンである

陸奥
長門の妹、比較的まともな常識的イイ女、基本的には面倒くさがり屋でおおらかだが根はバトルジャンキーらしく、対戦相手の本気を引き出したがる



今期最終戦の最終海域、幾つもの哀しみと海を越えて辿り着いたエンガノ岬にて待ち受ける深海任務部隊岬沖艦隊支援集団、その、熱き深海集団を率いるのは戦艦棲姫と同じく、新たな力に目覚め、より強く、そして穏やかになり、冷静に闘えるようになった深海棲艦の大物、戦艦水鬼・改!

 

「戦艦リシュリューよ!退きなさい!」

 

『役ニ立タヌ…忌々シイガラクタドモメ!』

 

挑むのは自称最強戦艦、フランスから来た天と地のはざまに立つ美の戦士、リシュリュー率いる腕っこきのハンターを含めた連合艦隊!

 

「フッ…ナニが水鬼よ、笑わせてくれるわね…このリシュリューに勝てるつもりかしら?」

 

『アァ?』

 

「アナタに絶望を教えてあげるわ、どうしようもない絶望をね…」

 

リシュリューはその黄金の獅子の如き豪奢なキンパツをぶわぁーっと掻き流し、自信に満ちた表情と余裕に満ちた強い言葉で戦艦水鬼改に、どうだ?かかってこいよ?と言わんばかりに指をクイクイと動かした

 

『フンッ…ナカナカ自信ガアルヨウダナ』

 

「フッ…このリシュリューのスーパーブローを受けてその余裕が保てるかしら?私には見えるわ、今から数秒後、無様に倒れたアナタが、跪き許しを乞う姿がね!」

 

『ムッ!?コ…コレハ!?』

 

リシュリューの背後から大量の薔薇が飛び散る!!Mon amiralとの高電圧エリアでの過酷なトレーニングで編み出した戦艦リシュリュー最大のスーパーブロー、その名もデビルプロ…

 

『忌々シイガラクタガーァ!!』

 

BAKOOOOOOOM!!(黄金の右ストレート)

 

戦艦水鬼改の黄金の右ストレートがリシュリューの腹をカウンターで貫き、リシュリューはグルグルと錐揉み状に回転しながら上昇して落下し、頭から海面に叩きつけられた

 

グシャァッ!!!

 

「リ、リシュリュー!!」

 

「リシュリューさんがヤラれた…ッ!た…たったイッパツで!」

 

「たったイッパツで!」

 

◆◆◆

 

最終決戦を大迫力のパノラマ映像と見よう!そう考えた俺は会議室に置いてあるプロジェクターにテレビとアンテナケーブルを接続し、明石のアホンダラの店で買ったコークとチートスを食べながらチームの戦いを観戦していた…

 

「スゲェ戦いだ…っ!スゲェ戦いだ!」

 

「頑張れ…っ!チクショウ…!頑張ってくれ…!」

 

「スゲェよミカは、急に眠くなった時の為に枕まで用意して…」

 

…しかしだ、本来なら大画面を独り占めする予定だったのだが、明石の店でたまたまお菓子を買いに来てた陸奥と睦月型のクソガキどもに会ってしまったが為に今や会議室は応援上映会と化している

 

「うるせぇよ、陸奥、このクソガキども黙らせろよ」

 

「いいじゃない別に」

 

「よくねぇよ、あと俺のチートス食うな」

 

「いいじゃない、ケチケチしない」

 

このヤロウ…イイ女でなければ容赦なく阿修羅バ●ターしてやるところだが、まぁいい…俺はイイ女にはそれなりに優しい男だ

 

「そういや五月雨ちゃんは?」

 

「便所、ウ●コじゃねーの?」

 

「…そーゆーコト言わない、あの子は心が広い子だけど殴られるわよ?」

 

心が広い…?アイツが?ナニ言ってんだコイツ、イカれているのか?

 

「ふん、まぁ…仮にヤツが牙を剥いたとすればその身に教えてくれるわ、誰がこの基地の絶対支配者なのかをな…ッ」

 

「はいはい、できたらいいわね」

 

「だから、俺の!俺のチートス!」

 

「みんなー、テイトクがいいもの持ってるわよー、みんなで食べていいってー」

 

陸奥は俺のチートスをボリボリ食べるばかりか、さらなる追い討ちとして睦月姉妹のお菓子に飢えた子供達を呼び寄せ、俺のチートスは屍肉を貪るジャッカル達に奪われてしまった…

 

「うめー!うめー!」

 

「テイトク、コーラちょうだい」

 

クッ…!このクソカスがァ……よし!決めた、コイツら後で全員ケツバットの刑に処する、必ず処する!そう心に誓った俺の腕をつつき、陸奥がなにやら話しかけてきた

 

「ねぇ提督?」

 

「なんだ?」

 

「武蔵はどうしたの?武蔵は、まだ改装終わってないの?」

 

「…終わってねぇみたいだな、まだ出て来てないらしい」

 

「ふ〜ん」

 

あのヤロウ、何をチンタラしてやがるんだ…っ!早く!早く来てくれ悟●!じゃない、早く来てくれ武蔵!オメーの力が必要なんだ!地球の未来はオメーにかかってっぞ!

 

◆◆◆

 

「で、出たーッ!!長門サンの48の殺艦技+1!ナガトドライバー!」

 

「あのフェイバリットを受けて無事なヤツはいねーぜぇー!」

 

自称最強戦艦リシュリューがみんなに胴上げされる幸せな夢を見て気持ちの悪い寝顔で吐血しているその頃、連合艦隊と深海連合艦隊の激戦は最終局面へと突入していた…

戦艦水鬼改とタフ&ハードな殴り合いを繰り広げる長門、その戦いは苛烈を極めた、超スピードで移動しながらの殴り合いでそこら辺から衝撃音がドンドコドンドコ鳴り、衝撃波がその辺の岩を容赦なく破壊していた…

 

そして、ついに戦艦水鬼改はその力を全て出すフルパワー状態、戦艦水鬼改の力を持ちながら壊の力を使う完全形態、戦艦水鬼改-壊-へと超進化を果たし、長門と互角の殴り合いを演じていた

 

「死ねえええェェェェぇ!!」

 

『グハァ!!!』

 

長門渾身のナガトドライバーを受け、ニャガハァ!と吐血した戦艦水鬼改-壊-…ッ!どう考えても死んだと思われる超破壊力のナガトドライバーを受けてなお、戦艦水鬼改-壊-は幽鬼のごとく立ち上がり、まだやれるとファイティングポーズをとった…

 

『スゲェ…!スゲェヨ戦艦水鬼改サマハ…!』

 

『アァ…ハンパジャネェ…コイツハ俺タチモ負ケテラレネーゼーッ!』

 

戦艦水鬼改の不屈のファイティングスピリッツに、せめて俺たちも最後まで美しく散ろうや!と鼓舞したナ級達の決死のアタック!あのイチバンヤバイヤツ…そう、ヤツだけは夜戦までに生かしておいてはいけないと突撃した!

 

『コレガ駆逐ナ級ノ男ジャー!!』

 

「痛い…っ!」

 

この世で最もヤバイヤツ、雪風を大破に追い込み、ナ級は戦艦水鬼改に“勝てよ、この戦い!”と言い残し、笑顔で暁の水平線に散っていった…

 

『オマエ達……嗚呼!嗚呼!オマエ達ノ魂ハシッカリ受ケトッタ!!一緒ニ行クゾォ!』

 

最強最悪のフィニッシャー、雪風を倒してくれた事にアツい感動と感謝の涙を流し、戦艦水鬼改-壊- はまだ戦える!この身体にアツいキセキのパワーが溢れてくることを感じていた…

 

しかしッ!!

 

「北上さん、この子ケガをしてますよ!」

 

「あ、ホントだ」

 

「駆逐艦を狙うなんて………こりゃメチャ許されんですよ!」

 

「そうだねぇ〜…こりゃメチャ許さんよねぇ」

 

無傷で残してはいけなかったのは雪風だけではなった…絶望、どうしようもない絶望が無傷で立って魚雷を手に素振りをしていた…

 

『ア…?ア…?』

 

◆◆◆

 

会議室大興奮の応援上映、大迫力の画面で見る大井と北上のツープラトン、KITA↓LAPが戦艦水鬼改に炸裂し、ナガトドライバーには耐え切ったタフ・ガイもさすがにこれには耐え切れずにニャゴフッ!と吐血し、海の底へと沈んでいった…

 

「勝ったか…」

 

「相変わらずえげつないわね、あの娘ら」

 

「まったくだ」

 

安心の縦社会、球磨ねーちゃんを頂点とする球磨姉妹に隙は無い、俺は陸奥から貰った飴玉を口に放り込んでレロレロしてみた

 

「レロレロレロ……しかしコレで終わりか、相変わらず長い戦い……レロレロ…だったな…レロレロレロ」

 

「ハァ…レロレロするか喋るか、どっちかにしたら?」

 

「レロレロレロレロレロレロ」

 

「ハァ…」

 

とりあえず今回の本部作戦もこれにて完ッ!よし!アイツらが帰って来たら宴だな!なぁオイ!

 

「まだ終わりじゃないですよ」

 

「む?」

 

飴玉をレロレロする俺の目に一枚の書類を差し出す五月雨はまだ終わってはいないと言った………コイツ、なかなか長糞だったな、便秘か?

 

「便秘じゃないしトイレにも行ってませんよ」

 

「コイツ…!俺の心を読んだ!?………能力者か!」

 

「そんな能力ありませんよ、ほら、もう一枚、コレ、なんかもう一匹いるらしいですよ、姫級」

 

「マジかよ…」

 

マジかよコイツ…え?まだ居るのかよ、マジ面倒くせぇ…

 





次回はイベント海域攻略最終回、イケメンの瑞鶴センパイが眩し過ぎて前が見えない


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暁の水平線に勝利を──②

作戦攻略編最終回、また終了日に間に合ってないですって…

【登場人物】

深海鶴棲姫(BOSS)
今回の真BOSS、イキってる

瑞鶴(イケメン)
イケメン空母、イケメンすぎてキラキラしてる

翔鶴(艦載機0)
役立たず

葛城(艦載機0)
役立たず

武蔵(極)
遂に極まった最終形態、イケメン

雪風様(神)
イライラさせたら、こうなる




最終海域、戦艦水鬼改を退けた我々が挑む真の最終戦…

待ち受けるのは深海の名を冠するスーパールーキー、深海鶴棲姫…ッ!見た目も言動もかなりイキってはいるが、それだけの自信を持つだけの本格派空母…

 

「……見せて貰おうか、新しい武蔵の性能とやらを」

 

会議室のプロジェクターに映る映像を眺めつつ、香取先生の淹れた極上の珈琲を口に含み、これから起きるであろうとびっきりワクワクする超決戦を静かに見守って……

 

「ム・サ・シ!ヘイ!ム・サ・シ!」

 

「M U S A S H I!ム・サ・シィィィィィ!ウェェェイィィィィィ!!」

 

静かに、見守って…

 

「頑張れェェェェェ!!頑張ってくれェェェェェ!」

 

「ウエエェェェェェイ!!」

 

………うるせぇよ、ってか、マジうるせぇ、先の戦艦水鬼改に続き、会議室はさらに増えた駆逐艦のクソガキによる応援上映が行なわれており、キャーキャーうるせーわ、画面の前でライトセイバー的なモンぶんぶん振るわ、繊細な俺の神経をこれでもかと逆撫でしてやがる…

 

「提督、大したものはご用意しておりませんがクッキーをどうぞ」

 

「やや!これはこれは、ありがとうございます香取先生……もしかして、香取先生がお焼きに?」

 

「いえ、買って来たもので……申し訳ありません、今度作りたてをご用意致し……あ、でも私、お菓子作りはあまり精通していないので提督のお口に合うものが作れるかどうか…」

 

「いやいやいや、香取先生はご謙遜もお上手でいらっしゃる、ハッハッハ」

 

「まぁ、謙遜だなんて…フフフ」

 

まったく、香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる、今日だって駆逐艦のアホガキに後学の為にとびっきり最強対最強の戦いを見せてやりたいとの申し出があり、この応援上映の場となったワケだが……エレガントでありながら常にクソガキどもへのアツい教育を忘れないその姿勢はまさに教育者の鑑と言って過言ではないだろう

 

「うわ……相変わらずイラッとくるわ、香取姉と提督のトレンディ小芝居」

 

「鹿島?何か言った?」

 

「サー!姉さん!何も言っておりません!サー!」

 

鹿島先生は力強く右手を挙げて応え、姉さんは常に最高です!と続けた、相変わらず姉妹の仲も良好なようでなによりだ………しかし鹿島先生のお顔は心なしか、汗をかいているようにも見える、もしや体調が優れないのではないだろうか?

 

「そろそろ始まるみたいですよ…」

 

「む」

 

俺と同じく、香取先生の淹れてくれた珈琲を啜っていた五月雨はなにやら不満げな顔をしながらも自分の淹れた物と何が違うのか考えているらしく、ブツブツと何かを呟いていたが、開戦に気付いて俺の袖を引っ張った…

 

「そうか、では見るとしようか……惨劇の始まり、ヤツらが奏でる絶望の交響曲を」

 

「何が交響曲ですか」

 

◆◆◆

 

エンガノ岬沖に巣食う真の敵、深海任務部隊岬沖艦隊支援集団…

 

『ノコノコトキタノ……?ハッ…バカ…ネ……ワザワザ…シズミニ…シズムタメニ…キタンダネェェェェェ!!』

 

待ち受けるのは深海の名を冠する真の敵、深海鶴棲姫に真っ向から対峙するのは、この時の為に、この時の為だけにイケメンとなり、何をしても“ただしイケメンに限る”の恩恵、イケメン補正を得た迷い羽ばたける極上の空母、瑞鶴!

 

「くたばれェェェェェ!!」

 

『ギャアァッ! コンノォ…ッ!!』

 

イケメンだけに許されるイケメン艦載機アタック、借りてきたルックスもイケメンな友永殿と村田殿もいつもとは違うイケメン特有のゴキゲンなアタックを決め、ヒュー!悪いねー!カワイコちゃーんとか言いながらビュービューと飛んでいた

 

「よしっ!イケる…っ!このまま押し切ってやる!」

 

イケメン特有の自信に満ちた笑みを浮かべ、瑞鶴の手から二の矢、三の矢と連続→追撃→突撃の死ぬまで射るのをやめない必殺の矢を放ち続ける…

そして、そんなイケメン補正全開!マジイケメン1000%L●VEな瑞鶴を二人の空母が涙を流しながら見つめていた…

 

「瑞鶴…嗚呼瑞鶴、なんて……なんてこと…っ!嗚呼なんてこと…っ!」

 

妹のあまりのイケメンぶりと凛々しさに涙が、アツい涙が止まらない、そして、そんな妹があまりにも尊い存在すぎて直視できずに只々涙を流し続ける姉、翔鶴…

 

「うあああああぁぁぁ!!カッコ良すぎるッ!瑞鶴センパイカッコ良すぎて……眩しい!眩しすぎて前が!前が見えねぇ……ッ!」

 

憧れの瑞鶴センパイ、その、憧れの瑞鶴センパイと同じ艦隊に選出されたどころか、お声をかけられただけでも気絶必至のマジ近距離、眩しすぎて直視できずに只々涙を流し続ける後輩、葛城…

 

「瑞鶴のこんなにも立派な姿が見られるなんて………私、今日死ぬのかしら…?」ポロポロ…

 

「尊い……尊すぎる…ッ!センパイと同じ艦隊に編入され…されり、されるだけでも光栄すぎるのに…ッ!」ポロポロ…

 

………艦載機も撃たずに涙を流し続ける、バカ二人

 

「ちょっと!!翔鶴姉!葛城!ナニやってんのォ!?真面目にやってよ!」

 

「えぇ……えぇ…でも瑞鶴、残念だけど視界が雨で曇って見えないみたいよ…」ポロポロ…

 

「ず、ずずず瑞鶴センパイが私の名前をーッ!嗚呼…きぜ、気絶しそ………ハアッ!!ダメだァ!せ…せっかく瑞鶴センパイがお声をかけてくれてるに…ッ!」ポロポロ…

 

ーーー

 

「…ナニやってんだアイツら」

 

「さぁ?」

 

中破状態でも飛ばせるタフ&ハードがウリの装甲空母の姉といい、憧れのセンパイのカッコいい姿を特等席で見せてやろうと言う提督様が粋な計らいしてやった後輩といい……アイツら帰ったら説教だな

 

「まぁいい、しかし…さすがは真ボス、なかなかやりおるわ」

 

「えぇ、これはなかなかタフな戦いになりそうで……あ」

 

五月雨は冷静で的確な意見を言いかけたところで画面を指差した

 

「なんだ?」

 

「いいの入りましたよ、ほら、たぶんアバラの5〜6本はイきましたね

 

あの白髪……そうか、あれが完全なる身勝手のなんちゃらか…

 

ーーー

 

『ギャアアアアァッ!コ……コンノォ…ッ!ウボェア!!』ビチャビチャ…

 

内臓に突き刺さる強烈なダメージに、思わず光る吐瀉物を海に吐き出す深海鶴棲姫の前に立つ今まで見た事もない新手の艦娘……

 

『ナ……ナンダオマエ!?一体ナンナンダヨォ!?』

 

「フッ…とっくにご存知なんだろう?私は佐世保からお前を倒しにやって来た戦艦、服を着ることで激しい怒りとパワーで目覚めた伝説の超戦艦……武蔵改二だァァァァァァ!!」

 

『ム……武蔵改二……!?』

 

「あぁ、オマエを倒す為に今まで服を着ては破り、服を着ては破るちゅー想像を絶する地獄を見てきたぜ……そして遂に極めた、服を着ると言う文化をッ!今の私にとっては服を着る事はまるで全裸のような開放感に等しい……フフッ、皮肉なモンだな、今までは服を着る事が煩わしくして仕方がなかったが、今では服を着ていても股ぐらがスースーするぐれー快適だ」

 

『………ゴメン、チョットナニ言ッテルノカヨクワカンナイ…エ?ナニ?服着タ……ダケ?』

 

服を着るというカルチャーを身につけた武蔵、その力は服を着る前より格段に上がった、どういうメカニズムかはわからないがとにかく上がった、一応、有識者である夕張と明石の見解によれば…要は気合ってコトですよ!と雑な見解らしい

 

「フッ…」

 

『ソンナ……ソンナ馬鹿ナ話ッ!フザケンナヨコラァ!!ゼンリョクデ…シズメテアゲルヨ!ウミノソコデ……!クルシミト…カナシミヲ……オモイダセェッ!』

 

「勝てんぜ、お前は…」

 

武蔵は深海鶴棲姫の攻撃をまるで身勝手に避け、カウンターで再び殺人パンチをボディにメリ込ませ、深海鶴棲姫は光るゲ●を吐きながら海上をのたうちまわった

 

ーーー

 

「これが武蔵の新たな力か…」

 

なんてヤツだ……ただでさえ強かったが、まさか服を着る事でさらにパワーを増すとは、むしろ、俺が前にチラ見した修行はいったいなんだったのか?

 

「さすがに強いですね、武蔵さん」

 

「あぁ、さすがに最後の最後まで出番を散々引き伸ばしただけはある」

 

「武蔵さんの改装が終わるまで、あと5分……のくだりで1クールは使った気がしますね」

 

「まったくだ」

 

◆◆◆

 

…そして、イケメンの瑞鶴と武蔵改二の猛攻に完堕確実ぅ!と思われていた深海鶴棲姫だったが、意外にも耐えた、それはもう見事に耐えきった、ガード!ガード!完全ガード!それはどうかな?残念だったな!絶甲●盾!と言わんばかりのタフさとしつこさで昼戦を耐えきった…

 

そして…

 

「You're Not My Match!メじゃないワ!」

 

突然フラリとやって来たアイオワと海外艦のエンガノ観光ツアーの通り魔的犯行でさらにボコボコにされたものの、深海鶴棲姫はなんとか耐えきった…

ちなみに、赤い髪の女騎士みたいなヤツは相変わらず一際目立つシャバいカスダメを叩きだしながら何故か誇らしげな顔をして去って行った…

 

『コ……コレデカッタツモリ…?ハッ…ジョウダンジャナイッ!カエリタ……ジャナイ!カエサナイカラ!』

 

「あのヤロウ…まだやる気だぜ」

 

「なんてタフなヤロウだ…」

 

あまりにもタフなスピリットをみせる深海鶴棲姫の前には、まだ大井北上の完璧球磨型コンビが、そして…

 

「みんな邪魔です、退いてください」

 

今回の作戦にて、何故か執拗に集中砲火を浴び、満足のいくプレーが少なくイライラが限界達していた雪風がとうとう………キレた

 

『ハ?ウボァ!?』

 

スナイパーポジションから拳の衝撃波を飛ばす遠距離射撃ガンブレットから始まり、アサルトポジションからの突攻射撃ガンダイヴァーで突撃ざまに殴りつけ、そこから蹴りと拳の連携射撃ショットガンエアシュートで深海鶴棲姫を気絶寸前まで大きく仰け反らせた………そして

 

「雪風のヤツ!右腕をハンマーコックしやがった!」

 

「で…出るぞ!雪風の絶対破壊攻撃(アブソリュート・ブレイク・シュート)が…ッ!」

 

血流操作により、筋肉の伸縮と急速な活性化を利用して驚異的なスピードで拳を放つ本気の雪風が用いる本気の拳…ッ!!その名を…っ!

 

雪風は沈みません!(44マグナム)

 

ズドオォン!!!

 

『ゴベア…ガバァ……ガァァアァ……』

 

防御無視の絶対破壊攻撃を受け、遂に膝を折った深海鶴棲姫は盛大に吐血し、海面に前のめりに倒れた

 

『フウゥ……モウ…イイヤ……ヤルダケ ヤッタカラ……ソウダ……ワタシハ…ヤルダケ、ヤッタンダ…!モウ………満足ダァ…………ッテ!?ウギャア!?』

 

海面の味はKISSの味です(早く死ね)

 

容赦なき後頭部踏み潰しを喰らい、なんかいいコト言ってたげな深海鶴棲姫はブクブクと気泡を残して沈んでいった……

 

「………ふぅ、あー…スッキリしたぁ」

 

晴れやかな笑顔で真のBOSS殲滅を終えた雪風…

 

 

こうして、長かった戦いの日は終わり、今期最終戦も無事、我々は勝利を飾る事ができた…





次回は終了編、その後、全2回の面接回ですって


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続続続続続・提督と作戦終了と…

いつもの作戦終了回、戦いが終われば宴するKAIZOKUスタイル

【登場人物】

提督(風邪気味)
季節の温度変化にダメージ受け中、ちなみに今回も甲勲章なんてものは貰ってない安心のヘタレ

五月雨(カミナゲーナ)
いよいよ第1期中に出撃する出番が1度もないまま終わった専業秘書艦


「えー…今期最終戦も無事に勝利で終わる事が出来ました、えー…これもひとえに皆さんの頑張りがあっての事かと思います、えー…皆さんはこんな話を知っているでしょうか?あるところに一匹のドラ猫がいました」

 

無事に作戦も終了し恒例の全艦集会、俺の挨拶に引っ込めだの話が長げーだの毎回同じ話するんじゃねーよなど心温まる野次が飛ぶものの、そんな事は知った事ではない、特に中身のない長々とした話を聞く、これは儀式のようなものだ

 

「………えー…つまり私が何を言いたいかと言いますと、私は猫が嫌い、と言うコトです、以上!」

 

「はい、提督からのご挨拶でした」

 

たっぷり40分かけ、クソガキどもが思わず何度も屈伸してしまうぐらい長々と挨拶と談話を終え、香取先生に頭を下げ、次のプログラムへと進行する…

 

「えー…じゃ、次は皆さんお待ちかねのお給料の時間でーす、今回はMVPチケットいっぱい出てるんでメチャメチャ稼ぎがデカいぞー」

 

ざわ…ざわ…とざわつくクズどもを眺めつつ、俺は五月雨にアレを持ってきたまえと指示を出すと、いつものジュラルミンケースを台車に乗せて押してきた…

 

「さて、では今回のMVPチケットランキング第1位だが………これはなかなか僅差だったぞ、そんな第1位は〜…金剛ォ…オメーだ!はいみんな拍手ぅ〜」

 

歓声と拍手の中、壇上へ悠然と上がってくる金剛…ッ!現金を手渡しする程の超近距離に金剛を入れる緊張感、それはまさにもう少しで手が届く距離、心の臓を狙うには十分過ぎる間合い…

 

「ヘーイ、そう身構えなくても大丈夫デース、今は誓ってDIEしまセーン」

 

「…どうだかな」

 

俺は金剛に現金を手渡したが、なおも緊張状態は継続中だ、コイツのDIEしまセンほど信用ならないものはない

 

「モチロン、今は、デース……今は見逃してあげマース」

 

「あ?」

 

金剛は軍艦島のチャイナブリッジで待ってマースと囁き、現金を手にスタスタと壇上から降りて行った……見逃してやるだと?この俺を?上等だよテメー………

 

「提督、顏、顏がアレです」

 

「あ゛?」

 

五月雨の冷静で的確な進言に平静を取り戻した俺は、メガネを拭き、いつものハンサム顏へと戻った

 

「まぁいい、えー…次、第2位はイケメンすぎる空母、ズィーカクゥークゥゥゥゥン、はいみんな拍手ぅ〜」

 

歓声と拍手の中、いやー照れるなーとか言いながらいつもの格好に戻った瑞鶴が壇上へと上がってきたのでガッチリと手を握り、よく頑張った!感動した!とアツい激励とアツい札束を手渡した

 

「うわ…結構ある…っ!え?いいのコレ?」

 

「いいに決まってるだろ?ほら、遠慮すんな!どーん!と無い胸張って、みんなに応えてやれや」

 

「無い胸は余計よ!無い胸は!」

 

瑞鶴はよっしゃー!今日は私の奢りじゃー!とか言いながら壇上から下へダイブし、ズィーカクわっしょい!ズィーカクわっしょい!と胴上げウェイブされてあっちに流されていった…

 

「え〜…次、ドンドンいくぞー、ドンドン、名前を呼ばれた大きな声でハイ元気ですだぞー」

 

ーーー

 

「最下位、高波くん」

 

「…500円」

 

硬貨を握りしめ、トボトボと歩く高波くんが壇上から降り、楽しい楽しいお給料の時間は終わった…

 

「えー…では皆さん、ささやかですが今回も福利厚生費で酒とか料理とか用意してますんで、テキトーに飲み食いを〜…」

 

 

「ヒャッハー!水だーッ!」

 

「なんだこのからあげ!スゲージューシィっーか、スゲーコクがあるっーか!まろやかで、それでいてガツンとくるっーか」

 

「プップー!アルコール入りまーす、アルコール満タン入りまーす……がふっ!ごぶっ!ひゃー!うんめぇー!」

 

 

………クズどもがッ!人の話を最後まで聞く気ゼロか!アイツらは……まぁいい、どうせいつもの事だ、1時間もしたらカラオケと殴り合いが始まるだろうし、巻き込み事故に遭う前にテキトーにつまんで帰るか

 

「さて、今日の気分は……」

 

…肉だな、ガッツリ焼肉でも入れたい気分だ、さて、どうしたものか、テーブルにはそれなりにカロリーの高い炭水化物も用意されている

 

「…よし、たしか分厚い肉を雑に焼いたヤツがあったな」

 

俺は雑に焼いた肉でも取りに行くかと肉の置いてそうなテーブルへと行くと、たしかに俺好みの分厚く、大雑把な、串に刺した肉が置いてあった……これは所謂アレですか、うん、たしかアレだ、アレ…

 

「シェラハ、ですか」

 

「シュラスコだよ…なんでそんな邪神みたいな名前…」

 

「む、なんだ白露ねーちゃんじゃないか?今日も地味に可愛いな」

 

「地味に可愛いとかゆーな」

 

白露は俺と同じくシェラ……?シュラ?シュラスコー?の串を取りに来たらしく、串を手に取りワイルドに肉に齧りついた

 

「…うん、うん」ナポ……モニュ…

 

「白露ねーちゃんは地味に美味そうに食うなぁ」

 

「地味に美味そうとかゆーな」

 

プッツン姉妹、白露姉妹の長女、白露ねーちゃん…

よく見ると地味に美少女だが、学業成績は地味に普通、艦としての性能も平凡、趣味は使用済み切手の収集とスイーツ食べ歩きと取り立てて目を惹くものが何もない、レア度、性能、姉力、美少女度、おっぱいの大きさ、その全てが改白露姉妹の姉、海風ねーちゃんに劣る言うなれば旧型の長女である

 

「だが、そんな白露ねーちゃんを、それでも愛そう!」

 

「はぁ?」

 

「そう悲観するこたぁねぇ、そんな白露ねーちゃんもこの基地の家族だぜ…」

 

「はぁ…?ってか提督、そこのコショウ頂戴」

 

俺はそんなシャイガールである白露ねーちゃんにコショウを手渡さ………ない、敢えて渡さず、この俺自らコショウを白露ねーちゃんの手にする串にブチ撒けてやった

 

「ぶえっ……!?ちょ!ナニすんの!?」

 

「コショウはお嫌いかね?」

 

「嫌いじゃないけー……けー…ぶえっしょい!!」

 

「ちょ!やめろよ、汚ねーなぁ」

 

「テートクのせいだよ!!」

 

俺自らの心尽くしにキィーキィー文句を言う白露ねーちゃんのソフトチェストタッチを捌きつつワイルドに肉にかぶりつく……うんうん、これでいいんだよ、これで、なんと言うか…食べてる!って気がする、ジューシィな肉汁に雑に分厚く肉…

 

「Hi!Admiralと〜…え〜……ソバツユ?」

 

「白露だよ!!」

 

そんな肉食系な俺達のところに、これまた見た目だけで肉食系確実ぅ!のレッテルを貼られてもOKなパッキンボイン、アイオワがやって来た

 

「お前も肉か?肉orビーフか?」

 

「シツ・レーね、ワタシはキチンとcalorieをケーサンする女ヨー」

 

そう言いながらアイオワはまるで馬イクに跨る独眼竜のように肉の刺さった金ぐしを片手3、両手6とワイルドに持ち上げて齧りついた…

 

「ウン…ウン……」ナポ……モニュ…

 

さすがはアメリカンサイズ、カロリーの計算も俺たちジャパニーズとは規格が違う国際規格だな、地味美少女の白露ねーちゃんもドン引きだよ、地味なのに

 

「うわ……すげぇ」

 

「白露ねーちゃんも真似したらどうだ?」

 

「え?無理」

 

◆◆◆

 

テキトーに飲み食いし、体育館の外に出て胸ポケから取り出したタバコに火を点ける………フーッ、ゴキゲンなタバコだ

 

「フーッ〜…」

 

「お疲れ様です」

 

「よぉ、相変わらず髪なげーな」

 

アイカワラズ・カミナゲーナこと五月雨は既にデザートタイムなのだろう、男ならワイルドに一口で消える色とりどりのケーキ的なものを皿に載せていた

 

「お一ついかがですか?」

 

「悪いな、おばあちゃんから青髪ロングでコーヒー淹れるのがクソ下手な女から女子力の塊みてーなケーキ貰っちゃいけないって言われてんだ」

 

「へぇ」

 

五月雨は大した気にする様子もなくフォークをケーキにブッ挿して口に入れている、そこはブッ挿しじゃなくて小さく切るとかそんな感じじゃないのか…?まぁ、いいけど

 

「明日は新人さん面接あるからパリッとした格好してくださいよ、パリッとした、制服はクリー二ングしたもの出しておきますので、あ、靴下も新しいの用意してます」

 

「うるせぇな、お前は俺のオカーサンかっーの」

 

「あと、今回の新人さんはなんと7名、内4名が外国の方らしいですよ」

 

「マジかよメンドくせぇ……フーッ〜…まぁいいや」

 

俺はタバコの火を消し、宴が終わったらとっと撤収させろよと指示を出して海の方へ歩き出した…

 

「どちらへ?」

 

「便所」

 

…オレを舐めたツケがどうなるか、教えてやろうじゃねーの、金剛ォ…





次回は面接回、輝き続ける7人!その名もリアルジャ●ン7!


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続続続続続・提督と新人と面接①

戦慄!7人の刺客達、前編!

【登場人物】

日振
日振型の長女、レベル1から先制対潜できる逸材

大東
日振型の次女、一目で違いがわかる逸材

浜波
夕雲姉妹の十三女、可能性を秘めたシャイガール

Jervis
戦慄のJ級駆逐艦、グイグイくる


「とりあえず、最初は海防艦の子です、しかも2人」

 

「またか…」

 

ったく、何が海防艦だ、いい加減にしろよコノヤロー…ウチはガキの相手するエレメンタリースクールじゃねぇっーんだよ、こう…毎度毎度、海防艦ばっか配属しやがって…

 

「まぁいい、配属されたモンはしゃーなしだからな、よし、とっとと呼べ」

 

五月雨が部屋の外にどうぞーと声をかけると、執務室の扉を開き、これまでの海防艦とはまた毛色の違う感じの、そう、どこか泥臭いとゆーか芋臭いとゆーか…

 

「日振型海防艦、一番艦、日振です!」

 

「日振型海防艦、その二番艦大東さぁ〜」

 

「ほぉ…」

 

なるほど、まるで水兵さんみたいな格好だな…とりあえず手元の資料を眺めてみるが、ふむ、今までの海防艦とだいたい同じぐらいの性能か

 

「ヒブーリくんとダイトーくん、だったかね?まぁ、最初はファームで徹底的に鍛えてやる、わからない事があれば海防艦のセンパイになんでも聞くといい」

 

「はい!」

 

「おぉ!日振日振!なんか聞いてたハナシよりマトモっぽいぞ!このおっさん」

 

「そうだね!」

 

ヒブーリくんとダイトーくんはキャッキャとハシャぎながらわりとシツ・レーな事を言っている気がするが、そーゆーのは本人を前にどうかと思うのだよ…

 

「まぁいい、何か質問はあるかね?」

 

「はい!」

 

「はい、ヒブーリくん、なにかね?」

 

「提督はおっぱい大きい女の人がお好きでしょうか?」

 

「勿論なのだよ」

 

…正直、予想外の質問なのだよ、え?なに?今時の子はそーゆーコト平気で質問しちゃう感じなの?参ったなぁ、おじさんが経験豊富なベテランじゃなかったら今の質問答えられなかったよ

 

「大東、提督おっぱい大きい女の人が好きだって!大東の言った通りだったね!」

 

「だろ?あたいは一目見てわかったね!このおっさんはきっとぺえずりとか好きだって!」

 

「そっかそっかー」

 

…今の子は進んでるなぁ、おじさんビックリなのだよ

 

ーーー

 

芋臭い見た目に反してとてもオマセな海防艦コンビが退室し、とりあえずアツいティーを飲み、次なる刺客を待つ執務室…

 

「次の方どうぞー」

 

執務室の扉が静かに開き、夕雲姉妹的な制服を着た、これまた個性的なヘアスタイルの子が頭を下げながら入室してきた…

 

「あ…ども……あ、あたし、夕雲型13番の、浜波、です…ヒヒ…」

 

「浜波クンか…」

 

「あ、はい…浜波、です」

 

俺はまぁ座ってくれたまえと着席を促し、冷蔵庫から麦茶を取り出していた五月雨にちょっとこっちに来たまえとハンドシグナルを送った

 

「なんですか?」

 

「なんですか?じゃねーよ、オマエ、あの浜波クンを見て何か感じないのか?」

 

「そうですね……前髪邪魔かな〜…ってぐらいしか」

 

「それだよ!その前髪邪魔かな〜…ってそれだよ、いいかサミー、あんな前見えてるかどうかわからない髪型、エロゲの主人公か美少女しかいないぞ」

 

「…はぁ?」

 

モチロン、浜波クンは女の子なのでエロゲの主人公ではないだろう、とすればだ…残されたもう一つの選択肢、隠れた目を露わにすることにより、これまで地味に好感度やフラグを重ねてきた他ヒロインを圧倒するであろう、超絶美少女降臨しかあるまい

 

「……はぁ?まぁ、超絶美少女かどうかはなんとも言い難いですが、まぁ、可愛いんじゃないですか?ちょっとシャイみたいですけど」

 

「いや、俺にはわかる、一目でただの美少女ではないとわかったね!」

 

「はぁ?」

 

五月雨はナニ言ってんだコイツ?みたいな顔をしているが、まぁアレだろう、これはまぁ女の子にはわからない浪漫と言うものだろう

 

「じゃあ、せっかくなので浜波さんに前髪上げて貰ったらどうですか?」

 

「バカお前、いきなりそーゆーのはダメなんだよ、こーゆーのはキチンとイベントと言うか段階を踏んでだな…」

 

最初は特に意識してなかったけど、ふとしたある日、本当の素顔を垣間見て、あれ?コイツってもしかして…?ってドキドキするのが良いのだよ、わかってねーなコイツ

 

「…はぁ?」

 

「あ、オマエ、なんだその目、俺をバカにしてるな?」

 

「いえ、ちょっとキモいなって思っただけです」

 

「誰がキモいだ」

 

とりあえず、俺はそんなに疑わしいのならちょっと浜波クンに頼んで、ちょっと前髪上げてみてくれと頼んでみろよと五月雨に勧め、五月雨はそんなバカみたいなハナシ…エロゲーも大概にしてくださいよと言いつつも浜波クンに頼んでみた

 

「え…?ま、前髪?ですか?」

 

「えぇ、ちょっとだけでいいんで」

 

「は、はぁ…じゃ、ちょっとだけ…」

 

ちなみに俺からは五月雨の背中が邪魔になって浜波クンの姿は見えていないのでネタバレの危険性はない…

 

「!」

 

「な、なんですか!?な…なにか?」

 

「あ、いえ……ありがとうございました」

 

五月雨は浜波クンにキチンとお礼を言い、俺の方を向くと“マジかよコレ…”言いたげな目をしていた、どうやら五月雨にもわかったらしい、彼女の……浜波クンの持つおそるべき性能が

 

「…正直、半信半疑でしたが………これはヤバいですね」

 

「そうか、ヤバいか…」

 

後に五月雨曰く、おそらくはバルゴのシ●カぐらいヤベーとのコトなそうだ

 

ーーー

 

夕雲姉妹戦慄の美少女、浜波クンが退室し、次なる刺客を待つ執務室…

 

「あと4人は外国の人です、アメリカ2、イギリス1、ロシア1ですね」

 

「ふ〜ん」

 

海外の刺客はだいたいロクなヤツがいねぇ気がするな、むしろ旧ソとか会う前からほぼ確実に革命軍のメンバーだろうと確信すらある…

 

「では次の方どうぞー」

 

執務室の扉か勢い良く開き、なにやら元気の良さげなキンパツのリトルガールが入室してきた

 

「Nice to meet you. Lucky jervis!来たわ!そう、もうゼッタイよ!任せておいて!」

 

「はぁ…?えー…ナニ?ジャーキー?」

 

「Jervisよ!ジャーヴィス、アナタがAdmiralネ!」

 

「如何にも、俺がこの基地で一番偉い絶対支配者の提督様だ」

 

キンパツガールのジャーヴィーくんは絶対支配者である俺に臆する事なくヨロシクねーと言い、俺が着席を促すと、遠慮なく座った、そう、ゼッタイ的に遠慮なく…

 

「…ジャーヴィーくん、だったかね?」

 

「ナニ?Darling?」

 

俺はたしかに着席を促したが、何故このガキは俺の膝の上に着席をしたのだろうか?これはなんだ…?英国式着席と言うものだろうか…?あと、今コイツなんて言った?ダージリン?ダージリンだよな?

 

「うわ…」

 

五月雨のヤツは既に受話器を手に取りいつでもプッシュボタンを押す準備が出来ている…

 

「ArkからAdmiralはとっても良いGentleだから良くして貰いなさいって!」

 

「へ、へぇ〜…」

 

Ark…?あの田舎騎士か、あのヤロウ…いったいナニを吹き込んだんだ!?五月雨は既に1のボタンを1回プッシュしたらしい…

 

「ところでジャーヴィーくん、ジャーヴィーくんの国だと年上の男はDarlingと呼ぶのかね?」

 

嗚呼きっとそうだ、そうに違いない、間違ってもダーリン好きだっちゃとかそーゆー類のDarlingではない、きっとアレだ、パパとか親戚のアンクルを呼ぶのと同じとかそんな感じだろう、きっとそう…ゼッタイ!

 

「アハハハハ!ないない!DarlingはDarlingにしか言わないよー」

 

五月雨は更に続けて電話機のプッシュボタンの1を押した

いかん、このままでは未来永劫鬼畜にも劣るはロリコンのペド野郎の烙印を押されてしまう…ッ!

 

「だ………大雪山落としーッ!」

 

俺はジャーヴィーくんの両肩を掴んでその身体を持ち上げて床に叩き落とした

 

「ぎゃっ!?な、なにするの!?」

 

「ハー……ハー……危なかった、ジャーヴィーくん、椅子、そっちの椅子に座りたまえ!椅子に!」

 

「う…あ、うん、Darlingがそーゆーナラ」

 

「あと、そのダーリンってのはやめてくれ、そんな呼び方は俺には効かない」

 

「え?なんで?」

 

「やめてくれ」

 

俺は努めて紳士的にやめてくれと頼み、ジャーヴィーくんはしぶしぶと言った感じでワカッ・ターと目に見えて不満げな顔で答えた…

 

「マァいいや、あ、そーだ、Darling!今日のdinnerは一緒にしましょう?ArkもWarsもきっとそれがOKよ!」

 

「いや、今日は遠慮しておこう」

 

っーかDarling言ってるし、グイグイ来すぎだろ、なんだコイツ………ってかこのガキ、今、陛下の事をウォースとか呼ばなかったか?

 

「そう、じゃ!明日にしましょう!そうね!ゼッタイよ!」

 

う〜む、なんとも扱いに困るガキだなオイ




次回は後編、新たな革命軍とボクの国からやって来たボイン空母


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続続続続続・提督と新人と面接②

面接回の後半戦ですって

【登場人物】

Ташкент
Ташкент級の1番艦、革命軍の新たな革命戦士、わりとデカい

Gambier Bay
Casablanca級19番艦軽空母、ワガママおっぱい

Intrepid
Essex級5番艦正規空母、あの加賀パイセンにも迫る搭載数を誇るメジャーからの刺客、実家はアイダホ




さて、戦慄の英国駆逐艦ジャーヴィスくんを引き取らせるべく田舎騎士を呼び出し、さっさと退室願ったワケだが…

 

「ロリコンのペド野郎」

 

「ロリコンのペド野郎じゃない、提督だ」

 

青髪ロング子の冷静で的確な俺への死体蹴りにこちらも負けじと冷静で的確に反撃し、とりあえず俺たちは互いに落ちつくべく麦茶を飲んだ…

 

「で〜…?次は誰だ?またクソガキ様か?」

 

「さぁ?クソガキ様どうかは知りませんが、次の予定は旧ソからの刺客ですね、たしか」

 

「旧ソか…」

 

なんだ、革命軍か…よし、テキトーに話を合わせてさっさとガングートにでも引き取って貰おう、今夜はマーマのボルシチよとか言ったらさっさと出て行くだろ、たぶん

 

「では改めまして……次の方どうぞー」

 

五月雨の次の方どうぞコールから3秒、執務室の扉が勢い良く開き、いかにも北の方から来たであろうファッションをしたヤツが入って来た…

 

「Здравствуйте!嚮導駆逐艦、タシュケント、はるばる来てみたよ!同志提督!」

 

「…え?ナニ?駆逐艦なの?君?」

 

「駆逐艦だよ」

 

そうか、駆逐艦か……なるほど、駆逐艦にしてはややデカい気もするが、うん、まぁ、駆逐艦なんだろうな、本人がそう言ってるし

 

「よろしく頼むよ!同志テイトクー!」

 

そしてアレだ、また俺は何もしてないのに同志認定だよ、意味わかんねーよ、ガングートといい……いつから俺は東側になったのだろうか?

 

「ここには同志ガングートも居るらしいね!」

 

「あぁ、毎日資本主義のブタどもを根絶やしにする革命的アイデアを同志達とアツく話し合っているぞ」

 

「それは楽しみだよ、ところでテイトクー…1ついいかな?」

 

「なんだ?」

 

ニコニコと笑うタシュケントくんは、にーん!とか言いながら背中から鉄パイプのような金属バットをスルスルと取り出し……

 

「ウルアァァァァァァァ!!」

 

「ハァ!?」

 

ブンッッッ!!(殺人フルスイング)

 

な、なんだコイツー!!顔…っ!俺の顔めがけて思い切りフルスイングをしてきやがったァァァァァ!!と…とうとう俺のタマ狙う暗殺者が!K●Bの刺客が来てしまったのかッッ!?

 

「あ、避けたね」

 

「よ…避けるわァァァァ!!殺す気かテメェェェェェ!!」

 

「うんうん……今のを避けるとは、常に暗殺に警戒する心構え!さすがは同志ガングートが認める革命軍参謀総長だよ!いいね!」

 

タシュケントくんはさすが同志だよと言って俺の手を握りブンブン振って親愛のハグを敢行してきた、うぅぅむ…なるほど、自称駆逐艦にしてはなかなかのモノをお持ちらしい…

 

「うんうん、共に資本主義のブタども根絶やしにしようよ!同志テイトクー」

 

ーーー

 

新たに加わったアツかりし革命戦士タシュケントくんが退室し、残る面接はあと2名…

 

「ここまで濃いヤツだらけだな…」

 

「えぇ、かなり」

 

特に、外人枠の濃さがパない…既に俺は疲れきっている、これ以上の濃厚さは身体に悪いどころでは済まない気がするのだが…

 

「次の方どうぞー」

 

息つく間のない連戦、次なる刺客は西の超大国から来た一際目を引くワガママバスト!そう……ワガママバストOK!

これだよ!提督はこーゆーのを待っていたんだ!

 

「It's a pleasure to meet you、ワタシ、護衛空母Gambier Bayです」

 

「OKガンビアくん!OK!ようこそ我が基地へ!提督は君を歓迎するのだよ!」

 

「ふえっ!?あ…はい、ど…どうも」

 

俺はとりあえずガンビアくんに座ってどうぞと着席を促し、五月雨に彼女にティーを!極上のティーを……あ、それと冷蔵庫にティラミスが入っていたのでそれも出してあげなさいと伝えた…

 

「え〜…と、ガンビアくんは護衛空母………と言ったかね?」

 

「あ、はい…正直なところ、あまり役に立てる自信とかは…ちょっと」

 

「ハッハッハ、正直で結構!」

 

たしかに、手元の書類には2スロットしかありまセーンとか残念な事が書いてあるが、もしこれがガンビアくんではなかったら即ダブルアームスープレックスに処していただろう……俺はガンビアくんのデスバレーにデスバレーボムしたい衝動に駆られたが、グッと我慢した

 

「ハッハッハ、とりあえずガンビアくんはファームで鍛えてからになると思うが、頑張ってくれたまえ」

 

「あ…はい」

 

しかし随分と謙虚な娘だな、今までのあの国から来た奴らはたしかにガンビアくんに負けず劣らずのワガママバストの持ち主だが、アイオワもサラトガもどちらかと言えば陽気なアメリカンでバストも自信もメジャー級なんだがな…

 

「ま、ガンビアくんには期待しているのだよ」

 

俺は気さくなナイスガイらしく、ガンビアくんの肩をフレンドリーに叩いた………

 

「Fuck!!気安く触るんじゃないですサルがーッ!!」

 

「えっ!?」

 

ガンビアくんは恐ろしい剣幕で俺の手をはたき、ギリギリと歯ぎしりして睨みつけてきた

 

「え……?えぇ〜…?え?ナニ?ガンビアくん?」

 

「フーーンフ フーーンフーーーンフーーーーンフーーン…フーーーンフフーーーーンフーーーーンフーーーーンフーーン♪」

 

ガンビアくんは鼻歌を歌いながらゆらりと立ち上がり、胸の谷間からゴツい拳銃を取り出した

 

「…すいまセーン……ワタシ、ウソついてまーしたー……日本食とか反吐が出るほど嫌いデース、ワタシの国ではみんなハンバーガーとバーベキューしか食べませーん…着物?あんなゴツゴツした布キレありえまセーン…ワタシの国では夜寝る時は………裸にGパンだって決まってマース…この紙と木だらけの建築も気が滅入りマース…自然と共存?クソくらえデース………ワタシの国ではホームランが打ちたかったら薬物とコルクバット使いマース」

 

えー………なにこの娘、超アレなんですけど?超愛国心ある感じのアレなんですけど…

 

「あと、寝る時はコイツが枕元にないと眠れまセーン…」

 

そう言ってガンビアくんは取り出した拳銃をペロリと舐めて凶暴な愛国スマイルを浮かべた…

 

「そもそもmonkeyがニンゲンに敵うわけがありまセーン……ワタシにとって、Admiralはmonkeyなのデース…」

 

「オイ五月雨、コイツなんかヤベーぞ!」

 

「えぇ、やっぱりワリと濃い人でしたね」

 

「濃いで済ますな!濃いで!とんでもない濃厚だよ!」

 

なんてこった!クソったれ!まったく…おっぱいには気をつけろよ、ってな!!

 

ーーー

 

良くも悪くも、見た目通りの強烈なワガママおっぱいのガンビアくんが退室し、残すは今回の新人界最後の刺客…ッ!

 

「よし、これ終わったらメシでも食いに行くか、サミー、ついて参れ」

 

「はぁ、別に構いませんが……何にしますか?私、肉って気分ではないですが」

 

「ふむ、奇遇だな…私も同じ事を考えていたところだ、サミダリューン…卿の考えを聞こう」

 

「そうですね………回転寿司、とかどうですか?あと、五月雨です」

 

「…ふむ、よかろう、卿の意見を是とする」

 

こやつめ、互いの気分を合わせて総合的に判断し実に的確な解を述べよるわい…

本日のディナーが決まったところで、本日最後の面接を行うべく、五月雨が次の方どうぞーと声をかけると、ノック音の後に執務室の扉が普通に開き、最後の刺客が入って来た…

 

「Hi! Essex class航空母艦5番艦、Intrepidよ」

 

「Oh…え〜…いん?イント?」

 

「Intrepid」

 

「OKOK!イントレピッドくんね、OK」

 

俺はとりあえず、まぁ座ってと着席を促すと、イントレピッドくんは小さく頭を下げて椅子に着席した…

なんだろうな……今までのあの国から来たバリバリのメジャーリーガーとは違う印象を受けるが、それでいてメジャーを思わせる風格を感じずにはいられないのだよ

 

「えー…イントレピッドくんは、え〜…アレかね?アイダホ出身かね?」

 

「え?えぇ、住まいはマンハッタンですけど、実家はアイダホですネ」

 

やはりそうか、おそらくは大規模ポテト農家でも営んでいるカントリーファーマーだろう…

俺は手元の資料を眺めてイントレピッドくんの性能について確認する……ゲェーッ!こ、コイツ!あの加賀にも迫る搭載数か、すげぇな…

 

「ふむふむ…性能は申し分ない、君ならすぐに一軍登用だろう」

 

「マァ!ありがとうございます!頑張りますネ!」

 

「ハッハッハ、何か困った事があれば同郷のセンパイにでも相談するといい」

 

…しかもなんかすげー普通だぞ、なんと言うか、最後の最後で今日一番の普通、唯一無二のまともな人材な気がするな

 

「はい、あ、ソーダ!Admiral、よければ今度ワタシのCollectionでも見に来て下さい」

 

「コレクション…?ほぉ、イントレピッドくんは何か集めているのかね?」

 

「えぇ、AircraftのPlastic Modelです」

 

「ほぉ、それはなかなか良い趣味だ、是非一度見させて貰おうか…」

 

ーーー

 

最後の最後にようやくまともな人材が来た春の面接会も終わり、俺は五月雨の淹れたクソマズコーヒーを飲みながらひと息入れて背中を伸ばした…

 

「相変わらずお前の淹れるコーヒーはマズいな」

 

「失礼な」

 

マズいものをマズいと言える大人になりなさいとおばあちゃんに言われて育った大人である俺には仕方のないコトだ、ちなみに、おばあちゃんがたまに淹れてくれたコーヒーもマズかったが…

 

「…よし、寿司食いに行くか、寿司、回るやつ」

 

「そうですね、回るやつ」




次回からは通常回、鈴谷が遊びにきましたよ!


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提督と鈴谷とファイナルロマーンス

自称メインヒロインとゲームするゲーム回

【登場人物】

提督(メガネ)
自称、知性溢れるメガネ男子、好きなカレーは母さんのカレー、どんな名店のどんな名シェフのカレーを美味いと感じても、最終的には男は母さんのカレーに落ち着く

鈴谷(ただしビッチである)
自称、誰もが羨むメインヒロイン様、好きなカレーは人に奢らせた高いカレー、空腹は最高の調味料だと思っている


「ティーッス、作戦海域終わって暇そうな提督のトコに鈴谷様が遊びに来ましたよぉ〜」

 

特にやる事のない春の執務室、今日は五月雨も特にやる事もないので休暇を取って夕張のアホンダラと近所のイ●ンモールに遊びに行っており、俺は1人、執務室でヨガのポーズに興じていた…

 

「…って、ナニやってんの?」

 

「ご覧の通り、ヨガのポーズだが?」

 

「いや……ご覧の通り?え?それ、大丈夫な感じなの?」

 

ヨガのポーズ、それは肉体のダメージを回復し、提督強度を6倍に高める効果がある…

 

「まぁいいや、暇ならゲームしよーぜ!ゲーム!近所のゲーセンにワールド●ーロズ2JETに入荷したってば!」

 

「マジか!!」

 

「マジ!アツいっしょ!こりゃもうヤるしかないっしょ!ヤらざるを得ないっしょ!さぁ行こう!すぐ行こう!マジ鈴谷のシャークナッパーで提督とかKOよ!KOよ!」

 

「やめておけ、そんなものは俺には効かない」

 

鈴谷はさぁ行こうぜ!すぐ行こうZE!と俺の腕を掴んでグイグイ引っ張るので、とりあえず俺は鈴谷の下腹に鋭さと強靭さを込めた肘を叩き込んだ

 

「おごぉ!?………ちょ、なんで…?今、肘…?」

 

「気安く触んな、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーし………っ、クッ!忘れていた、そういや提督の鈴谷への厳しさは氷河期のごとき厳しさだと言うコトを…ッ!」

 

ーーー

 

そんなワケで、俺は鈴谷と共に近所のゲーセンこと格闘者達の聖地、ゲームセンター覇我亜怒へとやって来たワケだが…

 

「多いな」

 

「多いじゃん」

 

さすがに導入初日と言うだけあって台には覇我亜怒ランキング上位の格闘者達が群がって並んでいる、前作である無印2は些かアレだったがどうやらJETは対戦ツールとしてはそこそこイケる仕様になったらしい…

 

「さすがにコレはないな」

 

「えー!マジでー!」

 

順番が回ってきたとしても、速攻でニューチャレンジャーされて瞬殺確実ぅ!は目に見える、上位ランカーは俺や鈴谷とは比べものにならない怪物だらけだ、仮にあそこに居る鳥海クンがコインを入れただけでKO、霧島ならコインすら入れずにKOされるレベルだ

 

「よし、諦めた!別のにすっぞ!別の」

 

「まぁ、しゃーなしじゃん……じゃ、ナニする?K●F?」

 

「やだよ、だってオマエ弱いもん」

 

「弱くねーし、提督とか鈴谷の八稚女でKOよ!KO!」

 

コイツ、何故執拗に八稚女に拘るのか……むしろそれしか狙わない姿勢に敗北の原因がある事を学ばないのか、ある意味前向きではあるが、前向きすぎてボディがガラ空きである事に気付けばいいものを…

 

「まぁいいや、ZER●3すっか、ZER●3」

 

「えー…鈴谷6ボタンはちょっと」

 

「誰がオマエと対戦なんかするかボケ、おひとり様でプレイするわい、あっちの斬紅郎無●剣でもやってろ」

 

「やだし、じゃ、斬紅郎で対戦しよーぜ!斬紅郎!」

 

「やだよ、オマエ弱いもん」

 

「弱くねーし!提督とか鈴谷の無限砲でKOよ!KO!」

 

コイツ…躊躇うことなくラスボスを使用する気か、まぁ、そんなものは関係ないレベルでこのゲームは色んな意味でブッ飛んだ仕様なんだが…

 

「うっせーなぁオイ、俺は弱いものイジメはしない主義なんだよ」

 

「ハァ!?鈴谷弱いものじゃねーし!強いものだし!」

 

「やかましい、強いものってのはあそこで即死コンボの撃ち合いしてるメガネの人達のコトを言うんだよ」

 

…そして、その怪物達の頂点に立つ最強の存在、バトルキングこそ唯一無二の真なる強いものと言って過言ではなかろう

 

「もうなんでもいいから対戦しよーぜ!対戦!とにかく鈴谷は提督とヤりたくてヤりたくてウズウズしてるじゃん!とにかく提督とヤりたいって鈴谷の“欲”が疼くんだよォ〜…」

 

「ヤリたいヤリたいうるせーよ、欲求不満か?あ?」

 

いかんな、こんなところで如何にも遊んでそうなJKがヤリたいだのヤラせろだの言って揉めている姿を有識者に見られたら通報されるかもしれん

 

「欲求不満じゃねーし」

 

「そんな勝負したいってなら〜……お、アレにするか、アレ、エアホッケー」

 

「エアホッケー!いいじゃん!」

 

…エアホッケー、ゲームセンター以外にも温泉やらボウリング場にも置いてある事が多い大型ゲームマシン、エアーで浮いたパックをマレットと呼ばれる道具で叩いて相手のゴールに叩き込むとてもシンプルなゲームである

 

「鈴谷エアホッケー超強いよ!マジ提督とか瞬殺よ!瞬殺!」

 

「何が瞬殺だ」

 

「あ、鈴谷が勝ったらいちま……五千円ね!五千円!」

 

「いいだろう、俺が勝ったらファイナルハ●ンの鞍に三角スケール置くからその上に乗れよ」

 

「へ…変態っ!!変態か…ッ!!」

 

「変態じゃない、提督だ、やるのかやらねーのか?」

 

「………やる」

 

やるのか、この条件で…とんだド変態だなコイツは…

そんなワケで俺たちはエアホッケーのところへ行き、コインを投入するとパックが出てきてゲーム開始のエアーが噴き出した

 

「よし!先行は鈴谷のターン!死ねェェェェェ!!」

 

「右の確率80%」

 

鈴谷が打ち込んできたパックを弾き、俺はメガネをクイッと上げた

 

「な!?」

 

「データ通りだよ」クイッ!

 

「こ…コイツ!メガネキャラみたいなコトを…ッ!メガネだけど!」

 

…俺と鈴谷のエアホッケー勝負は熾烈を極めた、互いにパックを叩き合い、ときにパックを上から叩き潰し、ときにマレット投げと言う禁じ手まで使用する文字通りのデスマッチとなった…

格ゲーではゴミ以下の鈴谷だが、どうやら体感ゲームではゴミ以下ではないらしく、そこそこやれるらしい…

ただ、その激しいアクションのせいでいちいちオパーイが揺れ、スカートが激しく上下するので周りにはいつの間にやら近所の中高生くらいでイキリボーイ達がやや前屈みで集まっていた…

 

「フー!フー…!これで、終わりじゃあァァァァァァァ!!」

 

点差は同点、鈴谷が叩いたパックは勢い良く俺のゴールへと吸い込まれ………ない!止まる!パックの勢いが止まる…っ!!

 

「は?え…?なんで…!?」

 

「時間切れだな」

 

既にマシンからは噴き出るエアーが止まっており、点差は8対8でピカピカと点滅してゲーム終了を告げていた

 

「カーッ!引き分けかーっ!!もう一回!もう一回しよーよ!」

 

「やだよ、疲れたし」

 

「は?逃げるんですか?」

 

「…あ?誰が逃げるって?」

 

このビッチが、俺が逃げるだと…?随分とチョーシに乗ってくれるじゃねーの、上等だよ

 

「その舐めた口をきいたコト後悔させてやんよ、言っとくが負けたら全裸でファイナルハ●ンニーさせるからな」

 

「へ…変態ッ!!変態ッ!!」

 

「変態じゃない、提督だ」

 

◆◆◆

 

近所のイ●ンモール…

 

「あ、充電くんの色違い出るんだ〜…買おっかな〜」

 

「なんですか?それ?」

 

休暇を利用し、近所のイ●ンモールにお買い物に来ていた夕張と五月雨は適当に春物を見て回り、軽くパスタ的なものを食べ、夕張の用事であるプラモ的なものを見ていた…

 

ブー!ブー!(振動)

 

「あ、メールだ」

 

「なに?提督?甘いもんでも買ってこいって?」

 

「ん〜………まぁ、そんな感じですかね」

 

五月雨は一言、うわ…引くわーと言って携帯電話をポケットにしまった



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足柄と大淀とFatalFury -DOMINATED MIND-

春の新生活スタートなこの時期に、帰って参りました!狼が!

【登場人物】

足柄(つよいおとこ)
妙高姉妹の三女にして伝説の狼、足柄にとって拳とは…
拳>戦車>>>車>>>バイク の格付けであり、魂のこもった拳ならだいたいなんでも打ち抜ける、魂さえこもればダンクでビルも破壊する

大淀(まるで知性を感じない)
足柄のマジダチ、見た目だけはインテリ
足柄との付き合いは長く、昔はお泊まり会で好きな子の名前を言いっこしたぐらいの仲




「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、かつて南街商店街を仕切る闇の王と裏格闘技界の帝王を倒し、伝説の狼と呼ばれた何よりも自由を愛する女の中の男として今なお無邪気な駆逐艦のキッズ達からは憧れの対象とされている…

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

足柄とは小学校の教室で教科書の見せっこもしたコトがあるぐらい長い付き合いのベスト・フレンド…

 

「まぁ落ち着けよ足柄よォ~…ここはキッズの遊び場、談話室だぜ?見ろ、キッズ達がマリカーできねぇじゃねぇよォ~」

 

憩いのスペース、談話室…

広めのフローリング、寝転がれる畳敷き、提督や明石が暇つぶしに買って読んだコンビニコミック、そしてスーパーファミ●ン内蔵テレビ、艦種を問わずに誰しも楽しめるスペースである談話室で、睦月型のキッズ達は提督から借りたマ●オカートでハシャいでいたのだが、荒れ狂う狼にビビり部屋の隅でガタガタと震えていた

 

「フッ…私としたコトが」

 

足柄はポケットから取り出したBURBE●RYの財布から紙幣を抜き、一番近くにいた文月にスタイリッシュに投げ渡した

 

「悪かったなオマエらーッ!コイツでナニか美味いモンでも買いなーッ!」

 

「ヒュー!さすが足柄サンー!」

 

「デキるオンナのCharismaハンパねー!」

 

キッズ達は足柄に頭を下げ、キャッキャとハシャぎながら談話室から去って行った

 

「………で?今日はなんで荒れてんだオメー?」

 

「あ゛ー?」

 

大淀はテキトーな椅子に座り、テーブルに置いてあったティーバッグを開けてカップに入れ、スタイリッシュにポットのお湯をカップに注いだ

 

「まぁ…アレよ、アレ…」

 

「ハァ…?アレ?あ〜…アレね、アレ、うん、アレ」

 

大淀と足柄は互いにテーブルに置いてあったチ●コパイの小袋を開けスタイリッシュに口に放り込んだ

 

「で?ナニ?」

 

「ナニ?じゃねーよ、なにアレとか言ってワカったフリしてんだテメーは、1mmもワカってねーじゃん、あ?そのメガネは度入ってんのか?あ?」

 

「入ってんよ、もうマジキツキツのがよォ」

 

「ま、いいや………まぁ、アレよ、春休みってワケで、キヨシとアサシとカスミ連れてデパート行ったワケよ」

 

「オマエさぁ、え?オマエさぁ?え?足柄さぁ〜…え?なんで私に声かけねーの?ナニ?礼号組にはメガネ枠いらねーの?え?ナニ?舐めてんの?もう私プッツンするわ、マジプッツンだわ、ク●ニさせっぞコラ?」

 

「舐めてねーよ、テメーのチーズ臭いアソコとかマジ吐き気がするわ」

 

「はいキレた、マジプッツンしたわー…誰のアソコがチーズくせーだとコラァ?このサゲマ………あ、悪い、アゲサゲどころか新品未開封だったわ、っーかまだ工場から出荷すらされてなかったわ」

 

「ア゛ァ!?誰が新品未開封だとコラァ!?え?ナニ?この足柄をディスってんの?あ?コラ?オイ、メガネコラ、立てよ、タイマンだ、オモテ出ろやクサマンティスがァ!」

 

「誰がクサマンティスじゃコラァ!!上等だコラァ!吐いたツバ呑まんとけよォ!」

 

足柄と大淀の間にハゲしいメンチビームの火花が飛び散り、空気中を漂う微粒子に反応してスパーク光を放ち、お互いに思わずイタズラなKISSをしてしまいかねない距離まで顔を近づけ…

 

『『あ』』

 

…唇と唇がフレンチな接触事故を起こし、お互いになんか気まずくなり、まぁ…今日はカンベンしてやんよと椅子に座り直した

 

「…で?ナニ?デパート行ったワケ?」

 

「行ったワケよ」

 

足柄曰く、この春に進学や就職、転勤や引越しなどで新生活を送る人達向けに様々なニューアイテムが並んでいるらしく、足柄としては春物のニューアイテムの物色、ついでに、礼号キッズ達も春休みにちょいと小粋なお店で遊んだら満足するだろとの考えだった…

 

「で?ナンか買った?」

 

「買った買った、バッグとレースアップシューズ」

 

「マジ?マジで?良さげ?マジ良さげ?見して、あとで見して!」

 

デパートに行った足柄と礼号キッズ達、とりあえず足柄は自分の買い物をするためにキッズ達に千円ずつ手渡し、それでゲームでもやってきなさいとゲームコーナーへと解き放ち、自分は下の階でオシャレにショッピングを楽しむいつもの流れだったワケだが…

 

「でだ、買い物したし、ガキども回収して上のレストランでメシでも食って帰ろうと思ってゲームコーナー行ったワケよ」

 

「ほぉ?それで?」

 

「でよ、ゲームコーナー行ったらなんか知らねーけどえらい人が多いワケよ」

 

「ふ〜ん、なんかやってたの?」

 

「なんかアレな、アレ、最近流行りのVRゲームがどーのこーので体験イベントみたいなのやってんのな」

 

「ふ〜ん、VRねぇ〜」

 

大淀はVRとかVRVマスターしか知らねーわと言ってポットのお湯を再びカップに注いで二番出汁ティーを口に含み、マッズ…と呟いた

 

「で、案の定、キヨシとアサシが私を見るなりやりてーやりてーゴネまくり」

 

「ま、案のJOEだわな」

 

「で、それ見てカスミが“VRに興味があるなんてアナタたちってホント最低のクズね!”って言ってんのな」

 

「相変わらずカスミ、口悪りぃーのな、でもそこがチャーミング」

 

「あぁ、マジチャーミング」

 

大淀はバチコーンとウィンクし、足柄はフッ…と笑い、互いに手を握り合った

 

「で、やったワケよ、VR体験」

 

「やったワケか、VR体験」

 

足柄曰く、イベント用に設置されたVRマシーンは、ヘッドマウントディスプレイを被ると、まるで高層ビルの屋上からせり出した鉄骨を歩く的な体験ができるゲームらしく、現実世界的には平均台のようなものを歩くのだが、VR効果でものスゴい高い所に立っているように感じるらしい…

 

「ふ〜ん、最近のゲームはスゲーのな、で?そのゲームナニ?渡りきったら黒服が拍手してくれんの?」

 

「さぁ?知らね」

 

「知らねーのかよ」

 

「でだ、キヨシとアサシとカスミがやってみたがいいが、まずキヨシが速攻でビビっちまって膝ガクガクしてんのな」

 

ちなみに、足柄はふと茶目っ気を出してプレイ前に、鉄骨には電流が流れてるから触ったらビリっとするとか言ってしまったせいでキヨシは足場に触るコトもできずにガクガクとバランスをとっていた…

 

「で、アサシがキヨシに前に進め…っ!進め…っ!って言ってんの、半泣きで」

 

「アサシもビビってんじゃん」

 

「で、キヨシとアサシがイヤだー!死にたくないー!死にたくなーい!とか言ってマジ迫真」

 

「ふ〜ん、で?カスミは?」

 

「カスミ?あぁ…カスミね、カスミはねぇ〜………落ちたわ」

 

「落ちたのかよっ!?いつ!?」

 

キヨシとアサシが前に進めない…っ!そして自分も前に進めない!そんなカスミはキヨシとアサシに心配をかけない為に落ちた!あの怖がりでツンデレなカスミが悲鳴一つ上げずに…っ!

 

「キヨシとアサシとしては後ろに居たはずのカスミが居ないってわかってマジ絶叫、死んだー!カスミが死んだー!ってマジ大絶叫」

 

「あー…」

 

「で、2人して助けてー!かあさーん!かあさーん!ってルーク・ス●イウォーカーばりに助けを求めてんの、係員さんも周りの客もマジドン引き」

 

「あー…そりゃ引くわー」

 

「で、係員さんが気を利かせて“あの…お母さん、ちょっとアレなんで、ここで中断しますね”って苦笑いしてくれたワケよ」

 

「あー…まぁ、そーゆーのもあるわな」

 

「………で、VR体験終わって死にたくねぇ…!死にたくねぇよ!とかグズグズ言ってたガキども連れてレストラン行ったらホットケーキばっかアホみたいに注文しやがった」

 

「いいじゃんかよ、それで機嫌直ったら…」

 

「あのレストラン、高いうえに小せーんだよ………ってか大淀、今度はオマエ連れてけよ、マジで、コレマジで、マジだから」

 

「え?無理」



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提督とJervisと轟く侵略!

英国式ロイヤル侵略者 Jervis!!

【登場人物】

提督
ロリコンじゃない、提督だ

Jervis
英国から来た新たなる刺客、とにかくグイグイくる脅威のスピードアタッカー

山風
改白露型の守護らねばならない欲を駆り立てる緑の子
一目見たときから尋常ではない天敵と気付いた

アークロイヤル
英国から来た誇り高き騎士サマ、敵に囚われたら迷わず死を選ぶ



穏やかな晴天が続く春の日、俺は明石の店で缶コーヒーとサンドイッチを購入し、執務棟の外にあるベンチでダラリン時間を過ごしていた……こう、アレだな、この青い空を見ていると人類を狙う謎の存在と戦争しているのがバカバカしくなってくる

 

「あ、Darlingだ!オーイ!オーイ!ダー……」

 

「あ?」

 

「リン…ッッッ!!」

 

ドゴンッ!!(ロイヤルタックル)

 

「おごぉ!!」

 

ベンチに座る俺めがけ、力の限り英国式タックルを敢行してきたサラサラキンパツのチビはヘラヘラと笑いながらダリーン?ダリーン?大丈夫?とかワケのわからんコトを言いつつ俺の隣に座った

 

「…痛いじゃないか」

 

「Darlingナニやってたの?もしかしてヒマなの?あ、じゃあ、あたしとお喋りしまショー!」

 

「いや、提督はヒマではないのだが…」

 

「あ、sandwichだ!あたしも食べていい?ねぇ?ねぇ?ねぇ?」

 

「あ?あぁ…好きにしたまえ」

 

「やったぁー!!じゃ、一緒に食べましょ?あたしがDarlingに食べさせてあげル!ハイ!口開けて!口!ハイ、アーン」

 

「いや、いいから…提督はそーゆーのマジ無理な硬派な男だから、ホントいいから!」

 

英国から来たサラサラキンパツの刺客、ラッキー・ジャーヴィス……アホな駆逐艦特有の大変元気な子で、なんとか言うか……グイグイくる、すげーグイグイくる、提督こーゆーグイグイくるのは苦手なんだよな、マジで

 

本来、提督様にタックルを敢行してくるような頭の悪いクソガキには提督自ら火竜の鉄拳が火を噴くのだが、このジャーヴィスというガキは少し扱いに困っている…

英国出身と言うワケで、クッ殺パラディンのアークロイヤルとは仲が良いらしく、アークと呼んで懐いているようだが、問題はそこではない………このガキは、高貴な御方である陛下を“lady”と呼んでおり、陛下も特にそれを咎めるわけでもなく、むしろ陛下はこのジャーヴィスというガキを大変可愛いがっているのだ…

 

俺個人としては今すぐこのガキの両肩を掴んでダブルニークラッシュで九所にダメージを与えて馴れ馴れしいんだよ!このクソ野郎が!と言いたいのだが、もし仮に、このガキが陛下に並ぶ高貴な身分であった場合、俺は間違いなく処刑台を昇ることになるだろう、そして、仮に高貴な身分でないにしても陛下が目をかけて可愛いがっているお子だ、それを傷つけたとなれば間違いなく陛下の逆鱗に触れ、俺は断頭台にて地獄へ一直線、そして日英開戦!第三次世界大戦の幕開けとなるだろう…

 

「コーハ?コーハってナニ?」

 

「メチャシブいコトだ」

 

「メチャシブ…?なんかよくわからないけど、わかっター!あははは!」

 

…つまり、とても扱いに困るのだ、この危険物に周りにウロチョロされるだけで、いつ第三次世界大戦の引鉄を引くコトになるのかわかったものじゃない…

 

「…あ、テイトクだ」

 

「む…?」

 

そんなカラミティトリガーに絶讃指かけ中の俺のいるベンチに、相変わらず毛のないキモい猫を抱えた改白露型の緑のトゲトゲチビこと山風がやって来た

 

「…ナニしてんの?あと……………そいつ、誰?」

 

山風はいつもよりトゲトゲしい目ツキで俺の横に座っているサラサラキンパツのチビに視線を向けている…

 

「Lucky Jervisよ!アナタこそ誰?」

 

「…山風」

 

「フーン…ヘェー…ヤマカゼね、OKわかったワ、今、JervisはDarlingと楽しクお喋りしてたノー」

 

「…ふ〜ん」

 

なんだろうな、心なしか、もともといつも機嫌悪そうな山風ガールの機嫌がさらに悪化したような気がするのだよ、なんと言うか……そう、アレだ、アレ、大いなる闇の力を感じたと言うか…

 

「…で?テイトクは今から私と猫の餌買いに行くから」

 

え?提督そんな約束したっけ?はて……今日は終日ダラリンモードで夜は香取先生と食事しながらこれからのアツい教育の方針について話し合う予定なんだが…

 

「行くから!」

 

山風は俺の腕をあり得ないほど強力な力で掴み、グイグイと引っ張った

 

「ちょ!痛い!イタタタ!痛いってばよ!山風クン?ちょ!山風クン!?」

 

「ちょっと!!このトゲトゲチビ!Darlingが痛がってるじゃナイ!離しなサイ!」

 

「…トゲトゲチビじゃない、山風!私にメーレーすんな!パッキンチビ!」

 

「Really!?なんですっテー!!このトゲトゲチビ!誰がチビよ!」

 

ジャーヴィスと山風はお互いにクソチビだのゲロブスだのキィーキィー言い合いって取っ組み合いを始め、ゴロゴロと転がりながらマウントを争っていた

 

「やめんか見苦しい、ケンカするんじゃないよ、ケンカを」

 

「…でも!テイトク…っ!」

 

「だって!Darling!」

 

本来ならば“女の子同士だ、ケンカの一つぐらいするだろう!しかし今のは紳士的な行為ではないぞ!罰だ!二人とも罰を与える”と紳士的な対応をするところだが、今回に限ってはなんともし難い、特に、あのキンパツチビが怪我でもしようものなら第三次世界大戦開戦になるかもしれん

 

「でももだってもないのだよ、いいかオマエら?オマエら同じこの基地のファミリーだ、ファミリーがケンカするモンじゃねぇよ」

 

「…わかった」

 

「わかっター」

 

トゲトゲとサラサラのチビはとりあえず納得してくれたらしい、可愛い顔して舌打ちしていたが…

 

「わかってくれて嬉しいよ」

 

とりあえず世界大戦の危機を回避した俺はベンチに座り直すと、執務棟の裏側から赤い髪の女騎士みてーなヤツがザルに山盛りの人参を持って歩いて来た

 

「む?そこに居るのはAdmiralではないか?フッ、奇遇だな」

 

「よぉ、騎士サマ、ナニやってんだ?」

 

「フッ、ご覧の通り、馬の餌と手入れをな……そうだ!Admiral、私の馬を見に行かないか?」

 

ナニがフッだ、アホかコイツは……いや、まぁ、アホなんだよな、見た目は美人だが…

 

「あ、Arkだ」

 

「ん?おぉ、ジャーヴィスじゃないか……フッ、オマエも見に行くか?私の馬を」

 

「キョーミないからヤダ」

 

「そうか、あぁ…そうそう、ジャーヴィス、先程、我が女王陛下が捜しておられたぞ」

 

「Ladyが?ウーン……わかっター」

 

残念女騎士アークロイヤルから陛下が探していると聞いたジャーヴィスはどこか不満気にわかっターと頷いてベンチから立ち上がった

 

「あ、そーそーDarling」

 

「なにかね?」

 

「ホッペタ、パンクズついてルー」

 

「む、そうか…」

 

さっき食べたサンドイッチか、俺はジャーヴィスくんの指さした頰に手をやろうとすると、ジャーヴィスくんがズイっと顔を近づけて俺の頰に付いていたらしいパンクズをズギュウウウン!!と唇で吸い取った

 

「えへへへ〜…♪」

 

こ……これが英国式ロイヤルオベントーツイテマスヨーか…ッ!?ジャーヴィスくんは上機嫌に笑い、俺と同じく何事が起こったのかよくわかっていない山風の方を見てニヤリと笑い…

 

「DarlingともうKissはしたカシラー?まだだよネー…?初めての相手はトゲトゲチビじゃあない!このJervisネー!!」

 

いや、ジャーヴィスくん、提督はこう見えても大人なのでホッペチューとかよりもっとアレなコトをとっくにヤってるんだが……と考えていると、隣に居た山風が今まで見たコトもないキレっぷりで吼えた!?

 

「ジャアァァァァヴィィィィィー!!!」

 

「ホォ……あたしの名前を気安く呼んでくれルじゃないノー?」

 

山風とジャーヴィスはそのまま取っ組み合いをスタートし、飛びかかった山風を肘のカウンターで迎撃したジャーヴィス優位かと思いきや、よくわからない土壇場の爆発力を見せた山風の海風ねーちゃん直伝ビンタでジャーヴィスを滅多打ちにする大惨事となった…

 

ーーー

 

「…まぁ、女子たるものケンカの一つもするでしょう」

 

しかし紳士的な行為ではありません、罰として今日の夕食は抜きです………さる高貴な御方である陛下の前で正座させられたジャーヴィスくん泣きながらゴメンナサーイと謝っていた…

 

山風とジャーヴィスの苛烈!残忍!残酷!な戦いの後、たまたま通りがかった陛下から“これは一体何事ですか?説明してくださる?”とロイヤルプレッシャーをかけられ、女王陛下に誓って嘘偽りなき真実を伝えた…

 

「…Admiral、Jervisがご迷惑をおかけしました、私からよく言って聞かせますのでどうかAdmiralには寛大な心を…」

 

「あ、いやいやいや!頭を!!どうか頭を下げないでください陛下!ホントいいんで!ホントいいんで!」

 

じょ…冗談じゃない、王の中の王、高貴なる陛下の頭を下げさせるとか胃に穴が開くどころじゃ済まされない…

 

「なんて慈悲深い………ありがとうございます、Admiral…」ニコッ

 

「ハイッ!!」バキッ!!

 

見るもの全てが頭を垂れ、思わず忠誠を誓ってしまいかねない陛下の高貴なるロイヤルスマイルに、膝を屈し生涯を陛下と英国の為に使う事を誓いかけたが、俺は鋼の精神力と左手の中指と薬指を自らへし折る事で耐え抜いた

 

「山風、今日はピーマンだけよ」

 

「…えっ!?や…ヤダ!」

 

「ヤダじゃないでしょ!まったく………提督!本当にすいませんでした!本当に!」

 

改白露姉妹を守護らねばならない改白露姉妹の姉、海風ねーちゃんは山風に反省しなさい!反省!と強く言い、俺に深々と頭を下げた

 

「いや、とっさとは言え止める事が出来なかった俺にも非はある、すまなかった」

 

「いえいえいえ!!提督は悪くないですから!」

 

 

…こうして、緑のトゲトゲチビこと山風と、キンパツのサラサラチビことジャーヴィス、おそらくは神話の時代からの不倶戴天の天敵同士であったのであろう2人の戦いは終わった、だが……これが新たなる聖戦の始まりだと言うコトに、その時、俺たちは気付く事が出来なかった…



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提督と秋雲と春のマンガカツドウ

マジっすか!でだいたい物事が進む雑なお話

【登場人物】

提督(自称ジャ●プ歴20年)
少年漫画にうるさい自称漫画玄人のめんどくさい大人、グチグチ文句言うわりに絵は絶望的に下手

秋雲(自称漫画家)
少年達がワクワクするアツい少年漫画を描くアツい自称漫画家、本宮ひ●し先生を愛している

狭霧(ラノベ作家)
山田ゼレフの名義でライトノベルを書いている新進気鋭のラノベ作家、デビュー作は“オレの妹がナンボのもんじゃい!”


「どーすかね?」

 

「ふむ…」

 

小春に日和った春の執務室、俺は買い置きの缶コーヒーを飲みつつ秋雲が今回は自信作っすよ!マジ自信作っすよー!と、どこぞのマゾ軽巡みたいなフラグを立てながら新作の原稿を見てやってくださいよーと持ってきた原稿を読んでいた…

 

たしかに、今回の秋雲の漫画はいつも以上に気合いが入っていた………話の内容としては、聖なる力(チャクラ)と呼ばれる能力を使い、法では裁けない悪を裁くことを家業とする現代の必殺的なファミリーの話で、話が進んでゆくと聖なる力に敵対する邪なる力を使う一族が登場し、世界各地で激闘が繰り広げられると言うものだ…

 

「秋雲的にはこれならジャ●プでイケそーな気がするんすけど」

 

「まぁ、ジャ●プでイケそうではあるな」

 

ただ残念なことに秋雲よ、提督的には全然アリなのだが、今の進むべき方向を見失っているジャ●プと、現代のチャラい少年達にはこーゆー汗くさ……いや、男臭い漫画はウケない気がするのだよ、たぶん、長くて4巻で打ち切られるだろう…

 

「…まぁ、個人的には好きだが、ジャ●プには難しいかもしれんなぁ」

 

「マジっすか!?提督マジっすか!?」

 

「マジっすよ」

 

とりあえずキミの熱意を送るだけ送ってみたらどうかねソワールと言って秋雲に原稿を返し、飲み干した缶コーヒーをダストのシュートにシュートし、缶は投入口に触れることなく吸い込まれていった…

 

「地味にスゲェ!!」

 

「人事を尽くしている俺の空き缶は絶対に落ちないのだよ」

 

「マジっすかー!提督マジっすかー!」

 

まぁ、二回に一回は普通に外すけどな、人事を尽くしてもダメな時はダメなので、そーゆー時は普通に拾いに行って拾って捨てるが…

 

「そういや秋雲よ、オマエ、原作の山田ゼレフ先生はどうした?山田ゼレフ先生は?」

 

「山田…?あぁ、山田ゼレフ先生の原作のも一応あるっすよ?見るっすか?」

 

そう言って秋雲は別の大判茶封筒から原稿用紙を取り出して俺に手渡した、ただ、秋雲的には描いてみたものの、なんか違うなって感じらしいのだが…

 

「どれどれ…」

 

山田ゼレフ先生原作、秋雲作画の漫画…

話としては古代中国に似た世界に突如として召喚された主人公のJCとそのマブダチのJC、主人公は召喚された先でイケメン達と胸キュンネオロマンスを繰り広げていたが、別のところに召喚されたマブダチの方は街のゴロツキにレ●ープされ、悪いイケメン達に唆されて、ネオロマンスにキャッキャしてる主人公を激しく憎悪!あの女をメチャメチャにして!と言わんばかりにブチギレ、空気読めない主人公はなんでや!うちら大親友やんか!みたいなコト言ってさらにブチギレ、さらにイケメンも交じっているので愛憎渦巻くドロリッチぶりのネオロマンスアドベンチャー……

 

「…重いな」

 

「えぇ、我ながら描いてて思ったっす」

 

作画的には少女漫画寄りに描いてみたとのコトだが、まぁ、それが当たりだろう……コイツ本来の絵柄は、秋雲が敬愛する本宮ひ●志風な絵柄になるしな

…しかし山田ゼレフ先生はどこか病んでいるのだろうか?これほどまでに爽快感を感じず、むしろ、読むと気が重くなる内容はなかなか出来るコトじゃあない…

 

「しかしさすがは新進気鋭のラノベ作家、山田ゼレフ先生だ…今までの秋雲にない知性を感じるのだよ」

 

「ちょっと秋雲さんには知性高すぎて描いてて意味わかんねーなコレってなったっすけど」

 

「たしかに、山田ゼレフ先生にはもうちょっと秋雲のレヴェルに合わせた原作を書いて貰う必要があるな」

 

「マジっすか提督!マジっすかー!」

 

「よし、今からマミー屋に行ってミーティングすっか!ミーティング!五月雨、山田ゼレフ先生に至急連絡を取れ!」

 

俺は執務机をバシバシと叩き、冷静で的確な指示を己の机でクロスワードパズルを解いていた五月雨に伝えると、五月雨は面倒くさそうに顔を上げ“そもそも山田ゼレフって誰ですか?”と冷静で的確なカウンターを放ってきた…

 

「バカお前、アレだよアレ!ちょっと前にウチに来たなんか幸薄そうな森のエルフみてーなヤツだよ」

 

「………あぁ、狭霧さんですか」

 

「そう!それなのだよ」

 

五月雨はハイハイ狭霧さんですね、狭霧さんとか言いながら電話機を手にとってボタンをポチポチと押し始めた

 

「カーッ!ミーティングっすか!この秋雲!なんか元気とやる気がMORIMORIと湧いてきたっすよー!」

 

「だろぉ?よっしゃ秋雲!秋雲組も呼んでこい!秋雲組も!マミー屋で好きなモン食っていいぞ!1人1000円まで!ガハハハハ!」

 

「ヒュー!提督ボテっ腹ーッ!アヒャヒャヒャ!」

 

◆◆◆

 

甘いモン食ってエネルギーを充填するこだわりの店、マミーヤ……思わずゴクリ!となっちまいそうなビシバシボディの店主、間宮が作るこだわりの甘いモンは常に最高の味を提供し続けている…

 

「さて…どうやら揃っているらしいな」

 

秋雲と一旦別れ、便所で最高のビッグ・ベンを放ってからマミーヤへ行くと、既に秋雲と秋雲組の面子、そして新進気鋭のライトノベル作家、山田ゼレフ先生ことサギ…?サギーくんが座っていた…

 

「では、始めようか…秋雲の漫画について大いに語る会-春の陣2018 天翔-を」

 

「ウェーイ!テイトク!ウェーイ!」

 

「は…はぁ…?」

 

俺はとりあえず空いているサギーくんの隣に座り、テーブルの上に並んだティーとケーキ的なものを見て、私の分は?と尋ねると、サギーくんは曖昧な笑みを浮かべ私のでよければと言ったので丁重にお断りした

 

「さて、では今回も秋雲の足りない脳ミソの為に忌憚のない活発な意見交換をしようと思う」

 

「みんな!この秋雲の為にありがとう!こんな秋雲にありがとう…っ!」

 

秋雲はアツい涙を流してアツく集まったメンバー達に頭を下げた

 

「まぁまぁ秋雲さん、私は好きですよ?秋雲さんの漫画」

 

無能アシスタント集団秋雲組の1人、夕雲、主にモブキャラなどを担当!ただし画風がベル薔薇チック!

 

「巻雲も好きですよ、秋雲の力強い絵!」

 

無能アシスタント集団秋雲組の1人、巻雲、主にトーンなどを担当!やたらと点描トーンを多用する!

 

「そうです!秋雲の躍動感溢れる絵はなかなかデキることじゃありませんよ!」

 

無能アシスタント集団秋雲組の1人、風雲、モブ!背景!トーン!ペン入れ!ベタ塗り!ホワイト!消しゴム!効果線!秋雲組唯一の有能アシスタントで秋雲より面白い漫画が描けるのに秋雲の漫画に心酔するちょっと残念な子!

 

「ありがとう…っ!!みんな!ありがとう…っ!」

 

秋雲は秋雲組のナイスガッツ・バカどもとガッシリとスクラムを組み!秋雲組フォイオー!フォイオー!とアツく声を上げる、実に感動的な光景なのだよ……コイツらなら、コイツらにならいつかきっとジャ●プのカンバン漫画を創り出す事が出来るだろう…

 

「そうは思わないかね?山田ゼレフ先生」

 

「え…?何がですか?」

 

山田ゼレフ先生ことサギーくんは、この熱意にドン引きしているようだが……まぁ、先生にもいずれわかる日がくるだろう

 

「ところで山田ゼレフ先生、そちらは…?」

 

「え?あ、コレですか?」

 

サギーくんの膝元に置かれた大判茶封筒……なるほど、さすがは先生だ、もう新しい原作を用意しているとは…

 

「えっ…と、コレは今度出版社に出す予定の…」

 

「オマエらァ!!山田ゼレフ先生がさっそく秋雲の為に胸ワクワクで夢がとびっきりな新作を書いてくれたぞォー!!」

 

「マジっすか!山田ゼレフ先生!マジっすか!」

 

「まぁまぁ…」

 

「さすがオレタチの山田ゼレフ先生!史上最悪の黒ラノベ作家と恐れられた悪魔の中の悪魔だぜーッ!」

 

「まったく!山田ゼレフ先生ほど読者の命を軽んじている作家はいないわね…!」

 

ゼーレフ!ゼーレフ!ゼーレフ!と山田ゼレフ先生コールの響くマミーヤ………今、まさに秋雲組と山田ゼレフ先生の心が一つに!そう、剣と魔法は一つになるようにガッシリと重なったのだよ…

 

「フッ………そんなアツかりしオマエ達に、俺も感動したよ、秋雲と秋雲組、そして山田ゼレフ先生よ、今日は予算は無しだァ!好きなもの食べろォ!」

 

「マジっすか!?提督!マジっすか!?」

 

この時代では何もできないと思っていたが、俺にもただ一つやれる事があった、それは秋雲やサギーくん達、未来ある子……オマエらに好きな物を食わせる事!

 

「あぁ、何も心配しなくていい!全ての勘定を払ってやる!」

 

ーーー

 

………全ての財力(チカラ)を使い果たした俺は1人、もう閉店時間となったマミーヤの椅子に座っていた…

 

「さぁ〜て、閉店閉店〜…って、ゲッ!提督…ッ!まだ居たんですか…?」

 

「どうしたの?伊良湖ちゃん」

 

「あ、いや……まだ提督が居たんだなって…」

 

「ふ〜ん………チッ!閉店時間だよ!早く出て行けェ!!」

 

非情なるキング、間宮に蹴り飛ばされ、俺は店の外に転がった…



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提督とナショナル寮とArmor wandering

第三次科学調査隊in海外艦寮

【登場人物】

提督(近接パワー型)
ゴーストタイプにはからっきし

夕張(ア●ルアームズ)
天才的な科学力を持つ科学の子、科学で説明できないものは信じない

プリンツ・オイゲン(近接パワー型)
提督とは一目合ったその日から尋常ではない天敵
ビスマルクさんを敬愛している


「最近、出没るらしいです」

 

「…はぁ?」

 

春はAKEBONO!YO-YO-白くなりゆく山際!少し明るい春の執務室、特に急ぎの仕事もないので古鷹さんから借りたゴールデンカ●イを読みながら鼻毛を抜いていると、五月雨のアホンダラが一枚の書類を俺の机に置いた…

 

「…出没るとはナニかね?熊でも出没るのかね?」

 

「いえ、最近、深夜に海外寮でよくわからないジャパニーズホラーが出没しているそうです」

 

「ナニがジャパニーズホラーだ、舐めてんのか」

 

「で、正体不明のジャパニーズホラーにビビってビスマルクさんが夜トイレに行けなくて困っているそうです」

 

「よし、直ちに殲滅部隊を編成しろ、生かして帰すな、むしろこの世に生きる喜びと悲しみをその身にわからせてやれ」

 

俺の敬愛する気高く美しいビスマルクさんを困らせるとはなんて野郎だ!生かしちゃおけねぇ…!ナニがジャパニーズホラーだ!っーかジャパニーズホラー…?

 

「…しかしサミーよ」

 

「なんですか?」

 

「ジャパニーズホラーってなんだ?」

 

「う〜ん……平たく言えばなんかスカッとしない感じのジメっとした感じの後味悪い恐怖ですかね、ほら、アレですよ、アレ、ビデオから出る不気味な女とか、きみ悪い子供とかそんな感じの」

 

「あー!あー!知らない!そんなヤツぁ知らねー!そんなヤツは存在しねぇ!アレだよアレ、そんなのは人の心の弱さが作りだした幻覚的なアレだ!」

 

冗談じゃねぇよ!!仮に、そう仮にだ、そんなヤツらと遭遇したら卒倒するわ!いやいやいや、別にアレだよ?別にビビってるワケじゃねーよ?ただアレだな、そう、アレだよアレ、相性?相性的なものが合わないっーか、ほら?アレだよ、俺なんかほら、俺の拳が血を求めている系だしー!やっぱ拳が通じない相手にはちょっと相手悪い的なー?

 

「…まぁ、そう思って今回も1人で深夜の見回りできないビビリくんの提督の為に頼れる仲間に声をかけておきました」

 

「ハァ?誰がビビリくんだって?オイコラァ?」

 

「まぁ、今回も私はお付き合いできませんので、頑張ってください」

 

「オイ、誰がビビリくんだとコラ?ビビってねーし、っーか見回りぐれー1人できるしー?」

 

「そうですか、では声をかけておいた人達には断りを…」

 

「いや、せっかく声をかけたんだ、そのまま来て貰おうじゃないかね」キリッ!

 

「…ビビリくん」

 

「ハァ!?ビビってねぇーしぃー?」

 

◆◆◆

 

AM02:00 基地施設内にある海外艦の住む部屋、ナショナル寮…

 

「フーッ〜…異常なし!帰るか」

 

「まだ来たばっかりじゃないですか」

 

深夜のナショナル寮に前に集まったアツき見回り組の精鋭、今回もバックパックを背負ってやって来たアンチオカルトの申し子、スーパーサイエンス軽巡夕張…

 

「っーかテメーなんかいらねーんだよ、クソアトミラールが、今すぐ死ねよ」

 

俺の敬愛するビスマルクさんにまとわりつく害虫、ケツプリことプリンツ・オイゲン…

 

「あ?なんだとコラァ?オイ、なんだこのクソプリンが、賞味期限切れてんのか?あ?」

 

「ア゛ァ!?ブッコロすぞォ!?」

 

俺とプリンツは互いにメンチを切りつつアンアン唸り上等か?あ?上等か?と上等合戦を繰り広げていると夕張が空気読めずにまぁまぁまぁと仲裁に入って来たので俺の腹パンとプリンツの股間蹴りが炸裂した

 

「おごぉ!!」

 

「チッ、まぁいい…今日はビスマルクさんの夜の安心の為に見回りだ、足引っ張んじゃねーぞ」

 

「ペッ…!!テメーこそ足引っ張んなよ、クソザコが」

 

ったく、なんでよりによってコイツに声をかけてんだ五月雨の野郎は………いや、これはもしかしてアレか?このチャンスに乗じてこのクソプリンをブチ殺すか

 

「オイ、夕張、いつまでアヘってんだ、とっとと行くぞ」

 

「お……ぉぉぉ…ちょ、ちょ…待ってくださいよぉ」

 

夕張はお腹と股間を抑えつつ気色の悪い笑みを浮かべてフラフラと立ち上がった

 

こうして、俺と夕張とプリンツの3人、アンチジャパニーズホラー科学隊は深夜のナショナル寮へと足を踏み入れた…

 

ーーー

 

さて、まずは1Fなワケだが…先頭を歩く夕張は手持ちに懐中電灯を照らしてフンフンと鼻歌交じりに歩いていた…

 

「ちょ、夕張クン!もうちょっと、もうちょっとゆっくり歩こうか!」

 

「そ、そーですよ!ユーバリーさん!そんな焦らなくてもいいと思うなー!私ーっ!」

 

夕張はそんな急いでるつもりはないんですけどねーと言いながらヘラヘラ笑い、いざって時は大丈夫ですよと言って背中のバックパックから1本のロボットアームを取り出した

 

「この………ドリルでね!」ドヤァ!

 

コイツ、なんでそんな執拗にドリルをこだわるんだよ…今までの反省がまるで活かされてねぇよ、今までそのドリルがオマエのア●ル以外を衝いたコトあったか?バカかコイツは…

 

「…っーかプリン、オマエなに?アレか?オマエアレだろ?ビビってんの?」

 

「は、ハァ!?ビ…ビビってねーしぃ!ってかユーレーとかいるワケねーしぃー!アトミラールこそナニ?ブルってんの?え?ブルってんの?」

 

「ハァー?ブルってねーしぃー!オマエこそナニ?パンツちょっと濡れてんじゃねーのぉー?」

 

「ハァ!?濡れ!濡れてねーし!仮に濡れてたにしてもおし●ことかじゃねーし!アレよ?アレ!ビスマルクのアネゴのお美しいお姿を思い出して……ハァハァ…うっ!アネゴ!」

 

「あのー………ちょっといいですか?」

 

俺とプリンツがアツいビスマルクさんトークに火花を散らしていると、夕張の野郎がちょっといいですかー?と話しを割った

 

「なんだ?」

 

「なんですか?」

 

「いえ、大したコトではないんですけど、なんか足音が聞こえませんか?」

 

「あー?足音だぁ〜?」

 

………たしかに、なんか廊下の先からなんか足音っぽいのが聞こえる気がするが、なんと言うか…足音と言うか、重厚な金属の鳴る音と言うか…

 

ガシャン!!……ガシャン!!……ガシャン!!

 

「…なんだ?」

 

なんか廊下の先から歩いて………歩いて……

 

『コオオオオオオォォォォォ…』

 

歩いて来たのは隻眼鬼面を付けたジャパニーズサムライアーマー…!!って!!鎧武者かよォォォォォォォォォォ!!え!?ナニ!?そっち系!?ジャパニーズホラーってそっち系なのォォォォォ!?

 

「バカな…!わ…私のレーダーに引っかからなかった!?」

 

夕張はいつもの戦闘力を測るアレみたいなのをカチカチと押しつつ珍しく戦慄していた

 

「クッ!あんなガラクタみたいなのがこの私の!この私の最高の科学力を上回るステルス性能を有しているとでも言うのですか!」

 

夕張はそんなオカルトミトメラレナイワー!とか叫びながらドリルアームを取り出し、目の前に現れた恐怖の鎧武者に向かってダッシュした!

 

「この時代遅れのさまようよろいがーッ!!」

 

ザンッ!!!

 

鎧武者の間合い入った瞬間、夕張は己の信じる自慢のドリルを届かせることなく一刀両断されて床に転がり、その衝撃でアームが変な角度に曲がったドリルは夕張のア●ルを衝いた

 

「んほぉ!!ンギィイイイィィィィ!!」

 

…夕張はア●ルにドリルを突っ込んだまま汚い水溜りを作って動かなくなった

 

『我、強者と、死合う…』

 

オイオイオイ!なんだこのさまようよろい!?メチャメチャ強えーぞオイ!?なんだコイツ!なんでこんかヤベーのがウチの寮をウロついてんだよォォォォォ!!

 

『我、強者と、死合う…』

 

ま、まぁ…アレだ、足がなかったり、なんか半透明だったり、貞●だったり、俊●クンとかじゃねーってなら話は通じるよな、よし!話し合いだ、真心を持って話せば誠意は伝わるハズ…

 

「あ…あの、鎧武者さん?鎧武者さんはどちらの武将さんで?アレですか?源氏ですか?」

 

『我、強者と、死合う…』

 

「ですよねぇー!違いますよねー!やっぱ時代は平氏にあらんずばですよねー!」

 

『我、強者と、死合う…』

 

あ、ダメだコレ、話し合いとか無理なタイプだわ…

 

「…プリンツ」

 

「気安く名前呼ぶな、なに?」

 

さっきの夕張を一刀両断した一撃から、コイツが尋常ではない鎧武者だと言うことを見抜いた俺とプリンツはとりあえずどうしたものかと互いに身構えている

足がある以上、ユーレーじゃねぇんだからこっちのパンチも効くだろう、そして、コイツがウロウロと徘徊しているせいでビスマルクさんが困っているってなら俺たちの答えは一つしかない

 

「やるぞ、手ぇ貸せ」

 

ヤツは強い、おそらく1人では勝てないだろう…それは俺だけではなくプリンツも本能的に理解しているらしい

 

「ハッ?足引っ張らないでよ、クソアトミラール!」

 

「上等だよテメー!アイツを殺ったら次はテメーだからなァ!!行くぞォォォォォ!!」

 

神話の時代から続いていたのであろう不倶戴天の天敵同士が、今、一つの目的の為に手を組み、かつてない強大な敵へと挑む………!!

 

◆◆◆

 

翌日、史上最悪の敵との激戦を繰り広げた俺とプリンツ、そして夕張の3人は朝、女王陛下の朝食を用意する為に早起きしているクッ殺女騎士に発見され、医務室へと緊急搬送された…

 

「…で?ナニやってたの?アナタ達は?」

 

「ハッ!寮の見回りです!」

 

「そうですアネゴ!昨日は見回りしてました!」

 

ベットから動けない俺とプリンツを心配し、ビスマルクさんが医務室に来てくれた

 

「ふ〜ん………まぁいいけど、プリンツ、さっさと起きてロ●ムに餌をやって頂戴」

 

「はい!」

 

「あ、そうそうテイトク…寮の自販機、100円玉が入りにくいんだけど」

 

「ハッ!すぐに修理します!」



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提督と茶会への誘い

前後編の導入編ですって!

【登場人物】

提督(大人の男)
過ちを認め、次の糧にできる大人を目指す大人

五月雨(秘書の人)
めんどうくさがり屋さん


「ンマー、お茶会ですって」

 

「何がンマーですか」

 

特にやる事もない午後の執務室、本日届いた郵便物に目を通していると、なにやら他の郵便物とは違う一際輝く封書を発見、とりあえず何事かと思って目を通してみると、以前、大人の事情で見合いをしたJSのお嬢様からのお便りだったワケだが…

 

「………マジめんどくせぇな、サミー、オマエ行って来いよ」

 

「イヤですよ、そもそもその招待状、提督宛じゃないですか、私が行ってどうするんですか…」

 

「バカ、オマエ、アレだよアレ、アレだ、俺は忙しいので主君の名代として参りました次第ですとかなんとかあるだろ?察しろよ」

 

「ナニが主君の名代ですか、戦国武将か」

 

こやつめ、戦国武将とは……実に冷静で的確な意見だ、さすがは我が軍になくてはならぬ戦士の中の戦士(マルダーンフ・マルダーン)よ、俺はそんな頼れる秘書艦である五月雨の意見を是とし、机の上に置いていたチ●コパイを褒美として投げつけた

 

「痛っ…」

 

「カッカッカ、遠慮はいらぬ」

 

「…まぁ、貰いますけど、で?どうするんですか?行かないなら行かないでカドが立つ系なんじゃないですか?それ」

 

「立つワケねーだろ、アレだよアレ、お嬢様もアレだ、気ぃ遣ってくれてんだよ、ほら?アレな、一応招待状だけ出しとくってアレだよ」

 

「そうでしょうか…」

 

まったく、若い内から汚い大人の事情に振り回されるお嬢様も大変だなぁ、ほら?見てくださいよこの手紙なんて、普通に印刷の書面でもいいのに、なんと直筆ですよ!直筆!綺麗な字だなぁ〜と感心しつつもJSらしさも感じられる少しあどけない感じなんてなかなか出来るコトじゃないですよ

 

「いや、それ普通にガチですよ、ガチ招待」

 

「カッカッカ!こやつめ、言いおるわい!」

 

そんな戦国的遣り取りをしていると、なにやら執務室の電話が鳴り、五月雨がはいはい提督ですか?えぇ居ますよとか言って俺に受話器を差し出してきた

 

「誰だ?」

 

「美音少佐です」

 

「…誰?」

 

「アレですよ、天海中佐のトコの……今は大将付きの秘書課ですけど」

 

「あぁ、あのボーイッシュガールか…」

 

あの口悪い女な、そういや第五特務が解体されて大将殿の下に付けられたらしいんだっけか、俺は受話器を受け取りお電話代わりましたハンサムな提督ですと小粋なテイトクジョークからスタートした…

 

『誰がハンサムだクソが、ハンサムってのは中佐みたいな人のコトを言うんだ』

 

「中佐ァ…?あぁ、俺のコトか、カッカッカ、よせよ、照れるじゃないか」

 

『オマエじゃない、天海中佐だ!バカッ!』

 

バ…バカだと?こやつめ、言いおるわい……っーか天海の奴はもう軍には居ないし、中佐どころか公的には死亡扱いにされているのだが…

 

『まったく………何故中佐はオマエなどに目をかけていたのか』

 

「やかましい、っーかなんだテメーは?ケンカ売ってのか?用件はケンカの販売しておりますが是非ご検討頂けませんか?ですかー?」

 

『チッ………用件だが、先日、有馬のお嬢様からオマエ宛てに郵便が届いているだろう?』

 

「届いてるぞ、さっき読まずに食べたが」

 

『山羊かッ!!』

 

「山羊じゃない、提督だ」

 

俺の返答に何がジョークだブッ●すぞクソが!とキィーキィーうるさい声が聞こえてきた、まったく、小粋なテイトクジョークを理解できぬとはなんとも心の狭いヤツだ、天海のヤツ、ちゃんと後輩の教育しとけよなー…

 

「で?お嬢様の招待状がどうしたって?行かねーけど」

 

『行かねーけど、じゃない、行け』

 

「ハァ…?誰に命令してんだテメー、行ってくださいお願いしますだろーが」

 

コノヤロー、元特務だからってチョーシに乗りやがって…たかが少佐風情が中佐であるこの俺に命令しようなんざ10年早ぇーんだよ

 

『………言っておくが、これは梶輪大将からの命令だ“関係ない、行け”とな』

 

「…ハァ?」

 

『あと、ガタガタ言ってると三等兵まで叩き落とす、との伝言だ』

 

「オイちょっと待てコラ、ちょっとクソオヤジに代われ!」

 

『大将殿は先日から休暇を取ってゴルフ三昧満喫ツアーに行かれている』

 

「ハァ!?なんだとコラ!?」

 

『大将殿の命令はたしかに伝えたからな、いいな?必ず行けよ、あと、これは私の個人的な話だがもし中佐への連絡先を知っているなら教え……』

 

ブチッ!!!ツー…ツー…

 

…アホかコイツ、公的に死んだやつの連絡先なんか軍の回線使って話せるかっーの、ってか、俺もあいつが今、どこでなにしてるのかすら知らねーってのな

 

「………はぁ」

 

「行くんですか?お茶会」

 

「行かざるをえないらしいな、ティーパーティー」

 

正直、1mm足りとも行きたくないのだが……いや、本当に

 

ーーー

 

「…さて、ではティーパーティーに赴くにあたり、供の者を連れて行くのだが、サミダリューン、卿の意見を聞こう」

 

「お茶会くらい1人で行ってくださいよ、そもそも招待されてるの提督だけじゃないですか、あと、五月雨です」

 

「こやつめ、言いおるわい」

 

さすがはこの俺が厚き信をおくMein Freund(我が友)だ、実に冷静で的確な意見を言いおるわい……しかし惜しいかな、卿の意見では些かこの俺の描く高次元的発想に一つ及んではいない

 

「だって1人でお茶会に行くなんて恥ずかしいじゃない」

 

「ナニが恥ずかしいじゃないですか」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!」

 

小粋なテイトクジョークはさておき、大なり小なり軍とつるんでるような裏表のある清濁併せ呑む企業、その創業者一族のティーパーティーだ、こちらとしてもハイそーですって!と行くワケにはいかない、警戒する必要がある

 

「いざとなれば俺の盾となる護え……ではない、せっかくのセレブなティーパーティーだ、後学の為の社会見学を兼ねて2人ほど連れて行こうと思うのだが……卿の考えを聞こう」

 

「………はぁ?いいんじゃないですか」

 

「ふむ、では俺と五月雨とあと1人を誰にするか…」

 

「え?私は必須なんですか?」

 

「いや、別に必須ではないが………何か断る理由でもあるのか?」

 

「そうですね………正直、めんどくさいかなと…」

 

こやつめ、なかなか小粋なサミダレジョークを吐きよるわい、だがそれでいい、ハッキリと自分の意見を言える環境こそ、この俺が目指す基地運営のホワイトぶりと言うものが伺える

 

「まぁ、どうしてもと言うなら行きます、あと、提督の人望がなさすぎて誰も一緒に行きたくないって時に」

 

「カッカッカ!こやつめ!」

 

さて…では誰か暇そうなヤツに声をかけるとして、とりあえずまた基地を数日空ける事になるので後の事を香取先生にでもお願いしてくるか…

 

ーーー

 

執務棟の一階にある教務室…

俺は数日の間不在になるのでその間、風紀と規律溢れた健全な基地運営をお願いするべく教務室へ行くと、丁度、バカどもへの今日の授業を終えた香取先生と鹿島先生が仲良くティーを飲んでいた…

 

「なるほど………数日の間ですね、わかりました、この香取にお任せください」

 

「いやぁ、いつもいつも申し訳ない、しかしこういった事に関しては香取先生になら安心して任せられる」

 

「まぁ、提督ったら…褒めても何もでませんよ」

 

香取先生は右手を口許に遣りエレガントに笑い、貰いものですがどうぞと九十九島せんぺいを取り出して手渡してくれた

 

「ほぉ…九十九島せんぺいですか」

 

「えぇ、友人からのお土産で…」

 

「九十九島、一度行った事がありますがなかなか良いところです、一度、皆でピクニックにでも行きたいものですなぁ」

 

「ピクニックですか、なるほどなるほど………素晴らしいお考えです、提督」

 

香取先生は俺の意見にいたく感動して頂いたらしく、実に素晴らしいと賛同してくれた、まったく…香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる、ウチのクズどもにも香取先生のエレガントオブエレガントを見習って欲しいものだよ…

 

「ハッハッハ!」

 

「提督ったら、フフフ…」

 

そんな俺たちを見ながら、鹿島先生はトレンディ小芝居がどうのこうの言っていた気がするが………まぁ、そんな些細な事は気にする事はない

 

 

 

…後日、この、俺と香取先生の何気ない会話がとんでもない事態を招く事を、この時俺は予想だにしなかった




※お知らせ
活動報告のところで事前に書いてますが、このイベントに同行するゴキゲンな人材案を広〜く募集中、ですって!


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香取先生と鹿島先生と動乱の幕開け

今回は提督不在時、ティーパーティーの裏モード

【登場人物】

香取先生(熱血指導)
提督への好感度がマズい方向に振り切れている艦の1.2を争う大変にエレガントな先生、上司の深いお考えを皆にわかりやすく説明してくれる悪魔みたいな人

鹿島先生(転属は諦めた)
香取先生の妹、比較的まともで常識人だが趣味は腐ってる
あと、リューホーとは非常に仲が悪い


提督がお供の者を連れて基地を出立した翌日…

執務棟内、小会議室には提督不在時の基地運営を任されている香取と妹の鹿島、そして数名の艦娘達が集まっていた…

 

「皆さん、お集まり頂きありがとうございます、早速ですが………佐世保殲滅作戦についての概要をお話しさせて頂きます」

 

「ハアァ!?ちょ…香取姉ェ!?ナニ言ってんの!?」

 

ホワイトボードの前に立ち、教鞭を手にベシベシと叩く姉の口から出たとんでもない発言に、鹿島はナニ言ってんのこの姉はと驚愕し、思わず姉の両肩に手をかけてしまった

 

「…ナニって?鹿島、アナタ、提督の話を聞いていなかったの?」

 

「提督の話って……?アレでしょ?ちょっと出かけるからその間はお任せしますって…?」

 

「………はぁ」

 

香取は本当に残念なものを見るような目で妹を見て、アナタには本当に失望したわと言いたげに首を振り、教鞭をベシベシと手に打ちつけてため息をついた…

 

「まったく……鹿島、提督は不在を任せるの他に重要なことを仰っておられたでしょう?」

 

「重要なこと…?」

 

はて?そんな重要なことを言っていただろうか…?鹿島は先日のやり取りを思い出して頭をひねってみた…

たしか提督が教務室に来て、どっかに出かけるので数日の間基地と艦隊の運営をお任せしますとかなんとか言って、姉から貰った九十九島せんぺいを食べながらハッハッハだのホッホッホだのトレンディ小芝居をしていたぐらいしか覚えがないが…

 

「………はぁ、鹿島」

 

「な、なに…?香取姉ェ、その残念な妹を見る目は?」

 

「提督は仰っておられたでしょう?“九十九島ですか、皆でピクニックにでも行きたいものですなぁ”と…」

 

「あ〜…」

 

たしかそんなコトを言っていた気がするが…それと佐世保殲滅に何の関係があるのだろうか…?

 

「…まぁ、たしかそんなコト言ってた気がするけど」

 

「…鹿島、提督の言葉の意味をよく考えなさい」

 

「いや、言葉の意味も何もピクニックに行きたいですなぁって意味以外に何の意味が…?」

 

香取は本当に可哀想なものを見る目で妹を見てため息をつき、首を振って今度はホワイトボードをベシベシと教鞭と叩き、ペンを手に取った

 

「…九十九島にピクニックにでも行きたい、これはつまり長崎に存在する四大鎮守府の一つ、佐世保を攻略せよと仰られているのです」

 

「なんでッ!!?」

 

「九十九島に行く際、最も邪魔になる拠点は佐世保でしょう?提督はおそらく、私達の想像を遥かに超えたお考えをお持ちになって今も自ら動いておられます、そして、この程度の事は我々だけで十分と厚い信を置き、私達はその信に応えねばなりません」

 

「いやいやいや、香取姉ェ…いやいやいや!考え…ッ!考え過ぎなんじゃ…」

 

ナニ言ってんだこの姉、イカれ……いや、もうイカれてるそんな段階じゃない、この姉は完全にヤバイ方向にしかイッてないと戦慄する鹿島は、誰かこの姉を止めてくれると小会議室に集まった面々に視線をやるが…

 

「なるほど……さすがは同志提督、まずはキュウシュウ征伐か」

 

「えぇ、Mon amiral…私達の考え付かない深い鬼謀の持ち主…」

 

「大したヤツだ…」

 

小会議室に集まった面々の大半は基本的には深く物事を考えない偏差値低めの不良偏差値高め、毎日がワルのオリンピック常態であるこの基地では当たり前の事…そんなワルのオリンピアン達はどいつもこいつもフッ…だの笑いつつこれから始まるIKUSAに胸をワクワクさせていた

 

「いやいやいや!皆さん!え…?皆さん!?」

 

「つきましては皆さんにはそれぞれ駆逐艦及び海防艦を率いてそれぞれの方面への任務を遂行して頂きます、宜しいですね?」

 

「ヘイ、教師カトーリ」

 

「なんでしょう?金剛さん」

 

不良偏差値0120、暴力の化身こと戦艦金剛が静かに挙手した

 

「目に付いたヤツをDIEするのではナニかイケナイのデスカー?」

 

「はい、目に付いたヤツを片っ端からDIEするのは提督の望むところではありません、提督は慈悲深き方……軽くDIEする程度で良いかと…」

 

「フ〜ム………ま、オーケーね、OKOK、軽くネ」

 

軽くでもDIEはするんだ………鹿島は心の中でそう呟き、おそらくはもうこの姉も、この不良偏差値高めの軍団も止めらない、止める事はできない、諦めるしかない………それでも!

 

「………あの、香取姉ェ」

 

「なに?鹿島」

 

「一度、そう…一度!提督にちゃんと確認したらどうかな!?そうだよ!確認…っ!うん、確認は大事!」

 

鹿島は姉の両肩に手かけてアツくその身体を揺らす、そう!キチンと確認すればトンデモ拡大解釈だったと思い直し、佐世保殲滅など物騒な考えは改めてくれるハズ……

 

鹿島のただならぬ熱意溢れる進言を受け、香取は妹もなかなか考えるようになったのねと感動し、ポケットから取り出した携帯電話のプッシュボタンを押して耳に当てた…

 

「…もしもし?提督、今お時間宜しいですか?」

 

『これは香取先生…何かありましたかな?』

 

「えぇ、少しご相談したい件がありまして…はい、えぇ…先日仰られていた件なのですが……駆逐艦と海防艦を中心の編成にしようと考えているのですが…」

 

『………先日?あぁ、先日の!あぁ先日のね!えぇ!例の件!例の件ですね?えぇ!………いいですとも!』

 

「なるほどなるほど…では万事滞りなく」

 

『えぇ、全てお任せ致します、なんなら大和でも武蔵でも空母機動艦隊でも登用して頂いて構いません(演習に)』

 

「まぁ……ありがとうございます、必ずや提督に御満足頂けるよう、基地所属艦一同、より一層の働きをしてみせます(殲滅を)」

 

ブチッ!!ツー…ツー…

 

「………こほんっ、では皆さん、作戦の概要ですが」

 

「なんで!?香取姉ェ!提督やれって言ったの!?マジで言ったの!?」

 

「…鹿島、アナタはもっと考える事を覚えなさい、そして提督の仰られる言葉の意味を、その御心を察する……それが出来ればアナタも一人前ですよ」

 

香取は優しく妹の肩を叩き、これからも基地の、そして我々の提督の為に励みなさいと微笑み、鹿島は全てを諦めた…






次回から前後編ティーパーティー、まだ人選を考え中のだらしない提督ですまない…


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提督とトライティーパーティー 前編

ママのお茶会、はーじーまーるーよぉー…ですって

【登場人物】

提督(ロリコンじゃない、提督だ)
捨て台詞は、156㎝になったら受けて立つ!いつでも来い!

山風(牛乳と野菜は嫌い)
海風姉ェはおっぱいデカいけどグチグチうるさい、あと、おっぱいデカい

Jervis(侵略ゼロトリガー)
ladyは怒らせたらマジでBADネ!あと、Arkは意外とイビキがうるさい

有馬優(/////)
……///!…/////!!

有馬貴子(シスコンではない、可愛がりだ)
複合企業有馬グループのトップを担う双璧の1人、黒髪ロングの巨乳、超偉そう





さて皆さん、皆さんはおっぱいがお好きでしょうか?えぇ、はい、おっぱいです

かつて時速60キロで走行中に手をかざすとDカップのおっぱいを揉んだ感触と同じと言う幻想を信じ、ママチャリで脚力を鍛え抜いた若かかりし日々、そんな経験のある方もきっとおられるのではないかと思います…

さて、その大人の女性の象徴と言って過言ではないその身体的部位は母性や優しさを現すと同時に、使い方一つでとても強力な武器になるのです、当てる、挟む、押しつける、バリエーション豊かなその用途、そしてそれを使いこなす熟練の技術………例えば質実剛健で真面目一辺倒で男子校出身で男臭い職場に就いたガタイの良い海軍中佐が居たとしましょう、彼が職場のセンパイとキャバ●ラに行き、ちょっと腕を組んで当ててやるだけでもうフォーリンラブです、正面からの豪拳には何発でも耐えられる益荒男ですが、その破壊力たるや一撃で彼の歴史を変えてしまいます、南極事件発生です…

 

さて、前置きが長くなりましたが僕が今、何を伝え、何を言いたいのかと言うと……

 

「ハハハ…いい天気ですなぁ、ハハハ…」

 

「/////!」

 

暑すぎず、寒すぎない春特有の過ごしやすい行楽日和…

俺はとある大企業の重箱入り令嬢(ただし、JSである)を国際テロ組織から見事に護りきったお礼を改めてしたいと誠に丁寧な文書にてお招きされ、有馬系列のグループが経営する庶民的にはちょっと無理したら泊まれるかもしれないホテルに来たワケだが…

 

「いやぁ〜…良い天気ですなぁ」

 

「///」

 

今、俺たちは完全武装のリゾートホテルを飛び出し、街をブラブラ、これまさに、街ブラと言う名の散歩をしていた…

 

「///!」

 

「はい?あぁ、はいはいアレですか?はいはいアレね、アレは庶民的コーヒーショップですよ、はい、なんかペルグランデとかウーンドウォートとか魔法の言葉みたいなの言って注文する系の店です」

 

お嬢様はやや遠慮がちにクイクイと俺の袖を引き、あの店はなんだろうと尋ねているっぽいので、俺は紳士として懇切丁寧にアレは庶民的コーヒーショップですよと説明した

 

「なんなら行ってみますか?」

 

「!!……//////!」

 

お嬢様は首を縦に振る、よし………このまま街をブラブラする危険よりは遥かにマシだ、あの店で誰かが来るまで時間を潰す!徹底的にだ!俺はお嬢様の手をとって店へと歩き出した

 

…とりあえず、話は4時間ほど前に遡る

 

◆◆◆

 

「お待ちしておりました」

 

最寄りの駅を降り、招待状に書かれていたホテルへタクシーで行くかと駅の前を歩いていると、どっかで見たコトある気がする老紳士みたいなのが俺たちに声をかけてきた……

 

「有馬玲一郎及び有馬貴子から御迎えに行くように仰せつかっております」

 

「有馬…?あぁ〜…?アンタたしか見合いの時にお嬢様に付いてた」

 

「はい、瀬長…と申します」

 

そうそう、なんか俺にスゲーメンチ切ってきたおっかねぇ爺さんだよ

 

「………それで?そちらのお嬢様方は?」

 

「Darlingの付き添いでース!」

 

「…秘書艦代行」

 

…俺の左右、ライトとレフトを執拗なまでに陣取って付かずに離れない秘書艦代行と言う名の同行者2人、英国からの刺客ジャーヴィスと改白露型最後の刺客山風はキャッキャとハシャぎながらバトラー的爺様に元気に挨拶していた…

 

「………ほぉ」

 

バトラー爺様は山風とジャーヴィスにそうですかそうですかと和やかに接し、俺には大型の肉食獣が獲物に向けるそれのようなメンチを一瞬切ってきた…なんと言うか、こう…アレだね?“こやつ、お嬢様だけではなく同じ年頃であろう少女を…”と

 

「いや、この子らがどーしてもと聞かないんですよ、どーしてもって、ハハ…秘書艦とかなんとかに憧れちゃう難しい多感な年頃なんですよ、ハハハ…」

 

この件に関し、俺は嘘は言ってない…っ!

 

先日、誰か有能でおっぱいデカい系のお供の者にでも声をかけるかと探してみたところ、運悪くこの2人の耳に同時に入ったらしく、自販機前でキィーキィー言い合いながらマウント争いを開始、ゴロゴロ転がりながら取っ組み合いをしていたところをまた陛下に見られ、陛下大激怒、30分におよぶロイヤル説教を受けた山風とジャーヴィスは深く反省し、その反省する態度にロイヤル感銘を受けた陛下からAdmiral、出来ればこの2人を連れて行く事をお許し出来ませんかとロイヤル上目遣いされ、俺は左手の人差し指を犠牲に膝とPRIDEを屈する事なくそのロイヤルお願いを承るコトとなった…

 

「ほぉ…」

 

「いや、僕としては同行させる秘書にはもうちょっとおっぱいデカ……いえ、大人の者を思ったのですが、あ、もしかしてアレですかね?やっぱご迷惑ですよね?あ、わかりましたー!すぐ帰らせます!すぅーぐ!帰らせますから!」

 

よっしゃ!!ナイス判断!これで当面の胃痛の原因は確実に減らせる!俺は財布から紙幣を取り出し、山風とジャーヴィスにこれで仲良く美味しいモノ食べて帰りなさい!ね?ほら!あのお店のハンバーグとか超美味そう!ね?食べたら駅はあっちだから!わかんないコトは駅員さんに聞いて!と言って紙幣を握らせた

 

「えー!!ヤダ!!じゃ、私があの店でDarling待ってるからコイツだけ帰らせて!」

 

「…ハァ?オマエが帰れキンパツ」

 

「ハァ!?なんですって!このトゲトゲ!」

 

山風とジャーヴィスはキィーキィー言い合いながらガッチリと手ぇ四つに組み合った

 

「…いえ、それには及びません、秘書艦代行のお嬢様方もご招待として問題ないでしょう」

 

「え?ホント!?」

 

「…じじい、話がわかる」

 

山風とジャーヴィスはじじい話がワッカ・ルーだのなんだの言いながらキャッキャとハシャぎ、ではこちらへどうぞと案内されたお金持ち専用機の黒くて妙に車体の長い車へと乗り込んだ

 

「どうぞ、中佐殿……でしたか?今は、どうぞ、お乗りください」

 

「あ、はい…」

 

バトラー的爺様の凶暴な猛禽類の鋭い眼光でメンチを切られ、俺は仕方なしに件の高級車へと乗り込んだ…

 

◆◆◆

 

そんなワケでやって来た庶民には些か敷居の高いリゾートホテル…

 

「有馬貴子だ、オマ………いや、君の話は聞いているよ、先日は本当によくやってくれた」

 

「はぁ、どうも」

 

まず、有馬貴子と名乗るお嬢様の姉と挨拶を交わす俺……なるほど、テレビとかで何度か見たコトはあったが、直に見ると乳デケーなこの人、コレだよ、コレ、提督はこーゆーのを待ってたんだよ、うん

 

「…で?その子らは?」

 

「Darlingの付き添いでース!」

 

「…秘書艦代行」

 

ですよねー…やっぱり聞きますよねー、俺のライトとレフトに取り憑いてグイグイ引っ張るこのトゲトゲとサラサラのお子はいったい何なのか気になっちゃいますよねー……お嬢様の姉、有馬貴子嬢はお子らをチラッと睨んだものの、すぐにエリート様特有の余裕のある笑みに戻った

 

「そうかそうか…ふむ、瀬長、彼女らも丁重にもてなしてくれ」

 

「はい」

 

有馬貴子嬢は一瞬“ロリ●ンのゲスチンヤローが…”と言いたげな目で俺を睨んだ気がするがきっと気のせいだろう、うん、気のせいさ…

 

「ところで有馬さん、妹さんは…?」

 

「あぁ…優はあまり人の多いところは好きではないのでな、たぶん部屋に居ると思うが………まぁ!妹に代わって先日の礼は尽くすつもりなのであまり気を張らずに楽しんでくれ」

 

「さいですか…」

 

そんなワケで、俺たちは見るからに高価そうなお部屋の高価そうなテーブルに並んだ高価そうなお菓子でもどうぞとそれぞれ椅子に座る………ん?

 

「!」

 

………柱のトコになんか見えた気がするが

 

「///…」

 

………いや、居るな、見えた気がするじゃないで、柱の後ろになんか見覚えあるのが居る、おそるおそるこっちに顔を出して引っ込めること5回、さすがにこれは声をかけるべきか…いや

 

「…はぁ」

 

テーブルにあったクッキーを一つ手に、椅子から立って柱のところまで歩いて行き、 柱の後ろから出たり入ったりしているシャイな子に声をかける

 

「お嬢様も一緒にどうですか?なかなか美味いですよ、コレ」

 

「/////!」

 

お嬢様はこれまたおそるおそると言った感じで柱の後ろから出てきて、なにやら聞き取れないほどか細い声で頭を下げている

 

「あ〜………まぁ、お久しぶりです、元気してました?」

 

「//!!」コクコク!

 

「そうですか」

 

まぁ、元気なコトは良い事だな、うん

 

ーーー

 

その時、山風とジャーヴィスに電撃が走る…ッ!!

 

提督に手を引かれ、歩いて来た少女の圧倒的な戦力…ッッ!!絶対的な強大さ…ッッ!!

 

互いに天敵と認識し合い、息をするコトすら気に入らない2人は、ただ現れた、ただそれだけの行動で目の前に現れたその少女をかつてない最大の強敵と言葉ではなく心が理解した…ッ

 

その強敵を前にし、山風はかつて海風姉が大事にしていたお気に入りの湯呑みを割り、バレないように土に埋めたが速攻でバレ、ピーマンと言うピーマンを一週間、口に執拗にねじ込まれたことを……っ!

 

その強敵を前にし、ジャーヴィスはかつてLadyが大事にしているレガリアの変な部品を折り、セメダ●ンでなんとかしようとしたがゼリー状瞬間でバレ、まるでmonkeyのように腫れ上がるまで尻をぶたれたことを……っ!

 

「ヘイ、トゲトゲチビ、今は、見逃してアゲ・ルー」

 

「…あ?見逃されてるのはオマエ、キンパツ」

 

勝てないかもしれないではない、勝つ、あと、ついでにこのウザったいチビもどっかで消す、2人の心は決まった

 

ーーー

 

「/////…」

 

「…テイトク、砂糖何個?」

 

「ヘイ!ヘイDarling!Jervisとお喋りしまショー!聞いて聞いて!この前Arkったら馬にsecret horseshoes付けて身長伸ばしみるかとかッテー…」

 

ライトに山風、レフトにジャーヴィス、センターにお嬢様……アレだろうな、ほら、アレだよアレ、カードゲームとかにあるじゃん?直接殴り合わずに相手の動きを制限する系のアレ?いわゆる、ロックされた状態ってこーゆーアレだよね…

 

今はまだ、このライトとレフトもTPOを弁えてかおとなしいモンだが、コイツら根本的にはクソガキ様なのでいつ取っ組み合いを始めるかわからん、そして……その取っ組み合いにお嬢様を巻き込む大惨事を引き起こせばたぶん俺は生きて此処から出られないだろう…

たぶん此処に来るまでにすれ違った黒服は全員チャカ持ってそうだったし、バトラー爺様はたぶんマッハ殺人パンチしそうだし、有馬・姉に関してはあっちで長ドスの素振りしてるし…

 

「む…?」

 

電話…?香取先生か、俺はちょっと失礼しますと言って席を立ち、廊下へと一旦避難する事にした…




次回は後編、なんやかんでキィーキィー言います


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提督とトライティーパーティー 中編

前→中→後になりました、なんか増えました、はい
そんなワケで中編

【登場人物】

提督(紳士道を尊ぶ大人)
厳しいだけが教育じゃない、それを教えてくれたのは先生でした

山風(キレる子供)
そのアタックはまるで重機関車

Jervis(キレる子供)
ティー!飲まずにはいられない!

有馬優(キレない子供)
今回もおとなしい





前回までのあらすじィィィ!!

 

オッス!オラ提督!未来の世界は人造艦娘ちゅースゲー悪い奴らにメチャメチャにされた世界になってるらしく、戦える戦士はみんなその人造艦娘ちゅーのにやられちまったらしい、カーッ!悔しいなァ!で、現代に居るドクター・モロってヤツを見つけてとっちめねーと未来はメチャメチャにされちまうってんだ!ただ、そのドクター・モロってのはとんでもねー変態力を持ったド変態らしく、同じ変態力を持つオラでも勝てるかどうかわからねぇ!そいつに勝つ為にはオラも色々捨てて変態を超えた変態、スーパード変態になるしかねぇ!!

 

「………さて」

 

香取先生からのよくわからない電話を終え、窓の外を見ながら空はこんなに青いのにと考える、香取先生の言っていた例の件は一体なんだったのか?たぶん演習とか遠征とかそんなコトだったとは思うが……まぁ、香取先生にお任せしておけば問題ないだろう

 

しかし、このまま部屋に戻るのも鬱で仕方ないな…とりあえずタバコでも吸って戻りたいところだが、喫煙所がどこにあるのかわからんし、あの険悪ガールズから目を離しているとマズい気がするので俺は大人しくステキなティーパーティーを開催している部屋へと戻るコトにした…

 

◆◆◆

 

「やったなヤマカゼ!またワタシ達のコンビネー!」

 

「ありがとうJervis!だがキミあっての勝利さ!」

 

…ティーパーティーの会場に戻ると、なんか山風とジャーヴィスはガッチリと握手してお互いの背中をバシバシ叩き合っていた

 

「さぁ!この勝利を早く提督に伝えないと!」

 

「えぇ!きっとDarlingも喜ぶワ!」

 

なんかよくわからんが、俺がちょっと席を離している間に、なにやらボールを使ったレクリエーション的なゲームをしていたらしく、その辺にいたメイドさんみたいな人曰く、山風とジャーヴィスはとても息の合った絶妙なコンビネーションを見せてくれたそうだ…

 

そうかそうか、お互いに険悪ガールズと思っていたが……俺はてっきりコイツらならお嬢様を巻き込んでキィーキィー取っ組み合い始める大惨事を起こしかねないと考えていたが、どうやら杞憂だったらしい…

 

「あ、提督だ」

 

(…今、ジャーヴィスとあんな会話をしていたが、私はあのクソチビキンパツにまったく友情を感じていない!)

 

「Darlingおかえりー!」

 

(フン!友情だと?キレイ事を並べてニコニコするなよなぁ、クズどもが!このトゲチビと表向き仲良くしていたのはこの機を待ったからネ!)

 

「ハッハッハ、仲良き事は素晴らしきコトですなぁ」

 

「///」

 

俺は席に座り、お嬢様の無事を確認して一安心……いや、マジで、マジでコイツら目ぇ離したらナニすっかわからない恐怖があったよ、マジで

 

「ヘイ!Darling!アタシがお茶持ってきてアゲ・ルー!」

 

「ん?あぁ、悪いな」

 

ジャーヴィスはソーサーに載せたティーカップを俺の前に置き…

 

「待て…っ!!」

 

「チッ!!」

 

山風はそんなジャーヴィスの腕を掴み、ティーカップを俺の前に置くのを止めた!な…なんだ?一体

 

「…今、提督のティーにサーッと混ぜた白い粉、なに?」

 

「し、シロイコナァ…?」

 

なんか明らかにジャーヴィスは動揺し、ビュービューと下手くそな口笛を吹いている、嘘下手かッ!!嘘下手かこの子は!?

 

「しゅ…Sugarネ!そう!Sugar!Darlingは甘めがスキよ!そう!ゼッタイ!決してArkから貰った“私の村に昔から伝わる気になる意中のDarlingに飲ませるマホーの媚薬”とかジャないカラー!」

 

ナニ渡してんだァ!あのクッ殺田舎騎士はァ!!アホか!?アホなんだな!ナニが私の村に昔から伝わるだボケ!!民間療法か!!昔のお婆ちゃんが作ってるよくわかんねー薬かッ!

 

「…出して、それ、調べるから出して」

 

「チィ!!」

 

山風はギリギリとジャーヴィスの腕を握り、ジャーヴィスもギリギリと歯ぎしりし、お嬢様はそんな2人にどうしていいのかオロオロしている…

 

「ヘ…ヘイ、ヤマカゼ、このSugarを疑うってコトは友情を疑うってコトネー……友情を失うネ…」

 

「…友情?じゃあ、そのシュガーがホントにシュガーかヘーカに誓える?」

 

「れ…Ladyに!?」

 

「…誓ったら謝る、どう?」

 

「う…ウ〜ン、Ladyにはちょっとムリだけど……ウ〜ン、やっぱりムリだけど〜」

 

黒だよッ!!真っ黒だよこの子!女王陛下に誓えないよ!だが……一応やましいことの意識はあるんだな、うん

 

「せめてArkぐらいになら………Arkぐらいになら………ウ〜ン、ウ〜〜〜〜ン!!」

 

(ハハ!ジャーヴィス!馬に乗れないなんてダサダサだぞ!)

 

(ハハ!ジャーヴィス、ピーマンも食え!ピーマンも!私?私はいいんだ、大人だからな)

 

(ハハ!ジャーヴィス、そう言えばこの前Admiralとマミーヤでヨーカンを食べてな、アレは美味かったぞ、うん、それでだ、やはり互いの親睦をより深めるべく食べさせっこをしてみたりだな…)

 

「あんなクズに誓う名誉なんかあるかァァァァァァァ!!」

 

突然キレたジャーヴィスは山風の手を振りほどいてその山風の右頰にパンチし、山風はお返しとばかりにジャーヴィスにパンチを返した

 

「…やはり私達には友情なんか無かった!ジャーヴィスェ…!」

 

「フン!仲良しごっこはここまでヨ!ヤマカゼェ…!」

 

遂にTPOと言う名の仮面を脱ぎ捨てたヤンチャガールズは互いに椅子を蹴って互いに飛びかかる!!………とは行かない!俺はそんな山風とジャーヴィスを両脇に抱え、ちょっと向こうで話をしようかー!な?ちょっとこっち来い!な?と壁際まで引っ張り込んでドンした!

 

どんっ!!(壁に)

 

「オマエらァァァ!わかってるよ?うん、オマエ達がスゲー仲悪いってのは提督よくわかってるから!でもなッ!ちょっとだけ!今はちょっとだけおとなしくしよーなッ?な?おとなしく大人のレディになろうな?な?」ヒソヒソ

 

「…お、おぅ…」ヒソヒソ

 

「う…ウン、お…OK」ヒソヒソ

 

「な?コレ終わったら帰りにハンバーグ食べていいし!ゲームでも玩具でも欲しいものなんでも買ってやるから!な?ホント今だけ!ホント今だけ提督を困らせるのはやめような?な?」ヒソヒソ

 

俺の熱意ある説得を理解ってくれたか、2人のヤンチャガールズは若干引き気味な顔してたが首を縦に振ってわかってくれた……そうそう、提督は素直な子は好きなのだよ、うん、俺は2人の頭に手を置いて適度に撫でた

 

「わかってくれて嬉しいよ」ヒソヒソ

 

「…提督、じゃ、帰りに…お買い物、したい…」ヒソヒソ

 

「よし!いいね!下着以外なら何でも付き合うぞぉ!」ヒソヒソ

 

「あ、じゃ!アタシCinemaとか見たい!」ヒソヒソ

 

「いいねー!ジャパニーズホラー以外なら何でも付き合うぞぉ!」ヒソヒソ

 

よしよし、とりあえずコイツらもコレでおとなしくなるだろう、ヘヘッ、チョロいモンだぜ…ガキなんてのはよぉ、仮に、おヨメさんにしてーとか言ってきたら156㎝になったらまた来いや!で済む、フフフ…これが大人の特権だよ

 

こうして、俺たちは何事もなかったように、結束も新たにテーブルへと戻った…

 

「失礼しました、お嬢様」

 

「/////」ふるふる

 

お嬢様は特に機嫌を損ねたといった様子もなく首を振って少し笑った………まったく、お嬢様はまだ若いと言うのに人間が出来ているなぁ、ウチのバカどもにも是非見習っ欲しいものだよ、ま、ムリだろうが…





次回こそ後編、お嬢様のターン


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提督とトライティーパーティー 後編

ティーパーティーの最終回、お嬢様の本気!

【登場人物】

提督(悪手打ちの王手詰み)
浜風ちゃんの前ではいつだってデビューしたてのグリーンボゥイ

有馬優(準備はしてた)
おとなしく見えて、やる時はやる

有馬玲一郎(イケメン眼鏡)
優と貴子の兄、本物のイケメン眼鏡男子
過保護の貴子とはまた違ったベクトルに優には激甘、優のお願いはだいたいなんでも聞く姿勢




前回までのあらすじ

友情を失った

 

 

とりあえず山風とジャーヴィスのクソガキ様達もおとなしくなり、お嬢様と上辺だけでも仲良くお喋りしたり、有馬姉や執爺ともなんやかんやお喋りしている姿を見ながらあまりアツくないティーを飲んでいると、なにやら俺の袖が微妙に引っ張られている気がするので何事かと思って見てみるとお嬢様だった

 

「///!?」

 

「え〜…っと、あ〜…何か?」

 

参ったなぁ、提督こーゆーどう扱っていいかわからない繊細でおとなしい子苦手なんだよなぁ、本来ならめんどくさけりゃ丁度いい高さにある顔に問答無用の膝をブチを込むのが俺と言う快男児だが、さすがにこの相手にはそうはいかない……もし実行すれば黒服全員+メイド全員が瞬時にチャカを抜き、俺はミンチよりひでぇやになるだろう…

 

そんな事を考えていると、お嬢様は部屋の扉を指さしてクイクイと俺の袖を引っ張る………なるほど、これはアレだな、ウ●コだな!!

 

「///」

 

まったく…そりゃそうさ、お嬢様だって天然自然の中から産まれたこの地球の産物、アイドルだってウ●コするんだ、お嬢様とてウ●コぐらいするだろう

そしてそのウ●コをする為にトイレの前まで付いて来て欲しい、なるほど……お嬢様ともなるとツレションなどした事は当然ない、きっと映画やドラマの物語の中、いや、もはや神話の域とも言えるぐらいの伝説なのだろう…

その、庶民的カルチャーであるツレション……いや、この場合ツレウンか、それを実行したみたいと言うワケだな

 

「…わかりました、お付き合いしましょう」

 

「!?……////!?」

 

俺はお嬢様の手を取り、ミスディレクションをオーバーフローしながら扉の前に、そして部屋の外へと移動した

 

……一応、そう!一応、念の為に声を大にして言っておくが俺はあくまでトイレの前にまでしか行かない!勿論、中に入るなどもってのほかだ、俺はあくまで紳士としてごく当たり前の事をしているだけに過ぎない、俺の紳士道に女子便に入りそのまま聞き耳を立てるなど紳士として恥ずべき行為は当然ない!勿論ないからな!

 

ーーー

 

さて、そんなワケでティーパーティーから抜け出し、廊下を歩く俺たちだが………はて?トイレってあっちにあるのか?俺はお嬢様に付いて歩く形で歩いているが……さっきからどうにも下の階に向かっているようにしか思えないんだが……あと、なんかここ従業員用の通路とかじゃないのか?

 

「///……♪」

 

…まぁ、よくわからんがご機嫌そうなのでいいか、ハッ!?まさか実はウ●コじゃなくてちょっと散歩したかった的な!?

そんな事を考えながら歩いていると、お嬢様は従業員用の通用口みたいな扉を開けて建物の外へと出ると、その先に一台のバイクと一人の男が立っていた

 

「…優、来たか」

 

「/////!」

 

お嬢様はバイクの横に立っていた一目で見ただけで尋常ではない良い仕立てのモノとわかるスーツを着た冷徹鬼畜上司系眼鏡男子の腰の辺りに抱きついた

 

「…うむ、まぁ……うん、元気ならそれで良い」

 

一目でわかる只者ではないイケメン眼鏡男子はお嬢様の頭を軽く撫で、お嬢様も手を離してイケメン眼鏡男子に頭を下げる……はて?どっかで見た事あるな、このニイちゃん…

 

「///」

 

「…優の兄、有馬玲一郎だ、君の話は何度か聞いている…」

 

有馬玲一郎……?あぁ、アレだ!!政経雑誌とかガ●アの夜明けとかでたまに見るアレだ!?妹と違ってどっちかと言えば露出は少ないが、大企業様である有馬の現トップ…ッ!!

 

「あ、どうも…」

 

マジかよ、あらら…えれぇのと会っちまったよオイ、俺はとりあえず有馬兄と挨拶を交わす、なるほど…あのデカパイ妹も相当なエリート特有のエリート覇気を持っていたが、兄はそれ以上だ…

俺との挨拶もそこそこに、有馬兄はお嬢様をひょいっと持ち上げて後ろに停めてあったバイクの後部シートに乗せてヘルメットを手渡した

 

「…大丈夫だ、貴子には俺から伝えておく、行ってくるといい」

 

「///」

 

…え?何が?正直よくわからんのだが、え?なに?お嬢様、お兄さんとお出かけするの?と考えていると、有馬兄はバイクのキーっぽいものを俺にぽいっと投げ渡し…

 

「…任せたぞ」

 

一言、ただその一言だけ言い残しスタスタと建物内に去ってしまった…

 

「え…?ナニこれ?もしかしてお嬢様連れてどっかフラッと遊びに行けとかそんな感じ?」

 

「////」コクコク

 

「あー……そーゆー感じなんだ…」

 

ってか!!オイ!!口下手か!兄!有馬兄ェ!!口下手過ぎるだろ!?アレをいい感じにアレしとけ的なアレか!通じるか…っ!そんなもの…っ!いや、まぁ、通じたけど…

 

「ハァ〜………ま、しゃーなしだな」

 

別に誘拐じゃねぇし、正直、あーゆー場よりはその辺をブラブラする方が俺としても性に合う、俺は有馬兄の用意したバイクに跨り、キーを挿し込んでエンジンを始動させる……なるほど、なかなか良い感じに整備されている、コイツはゴキゲンらしい、よしよし、いい子だ、今、お前に生命を吹き込んでやる!

 

「お嬢様、しっかり掴まっといてください」

 

「//////!?」

 

◆◆◆

 

…そんなワケで、お嬢様を連れて街へとやって来たワケだが………とりあえずバイクは駐車場に停め、街をブラブラしてみる、ただ、さっきからズボンに入れてる俺の電話が鬼電に震えっぱなしで、チ●ポジ的にチ●コに刺激を与えているが、まぁ…とりあえず無視の方向で

 

「///…♪」

 

ま、籠の鳥だって少しぐらい自由に羽根を伸ばしてもバチは当たらんだろ

 

…しかし陽射しが暑いな、オイ、タフ・ガイである俺はいいとしてお嬢様にこの暑さは身体に良くないやもしれぬ、どっか適当なとこで適度なご休憩など………ん?

 

「いや、とりあえずアレか…」

 

ーーー

 

「お嬢様、ちょっといいか?」

 

「?」

 

物珍しげにそこらを眺めていたお嬢様を手招きし、人を疑う心を持ってるのかすら怪しいお嬢様の頭にそこらの店で買った白いつば広帽を被せてやった……まぁ、安物ですけど

 

「その帽子を預ける」

 

「///!?///!!」

 

ついでに、いつかきっと返しに来い!156㎝ぐらいになったらな!と気の利いたテイトクジョークを交えてみる、よし、これでUV対策も万全だ…

 

「………はぃ、かならず……」

 

「え?なんだって?」

 

お嬢様は帽子の両つばを掴んで恥ずかしそうにしているが……まぁきっとアレだ、UVがキツいんだろ

いや、良い事した後は気分がいいなぁオイ!やっぱアレだな!ママ●ードボゥイとか読んで女の子の気持ちを機敏に察する俺もなかなかのモンってワケだな!ガハハハ!ガハハハハハ!

 

「あ、とりあえずあの店でも入りますか?あの店」

 

「/////」コクコク!

 

まぁ、そのうち迎えのモンでも来るだろ、たぶん…

 

◆◆◆

 

………その後、コーヒー飲んでたら黒塗りの高級車で乗りつけた有馬姉率いる黒服の皆さんにFreeze!とチャカ突きつけられ、執爺からスゲーメンチ切られ、有馬姉からどう見てもキレてらっしゃるのにスゲー丁寧な礼を言われ、山風とジャーヴィスから執拗にローキックの連打を浴びた俺の両足は既にズタズタになっていた、やっぱ仲良いのか?コイツら…?

 

「…チッ!」

 

「Darlingからpresentを…ッ!Darlingからpresentを…ッッ!!」

 

…山風とジャーヴィスはお嬢様にもはや隠す気すらなくスゲーメンチを切りガリガリと爪を噛んだりしている

 

「いや、まぁ…本日はありがとうごさいました、お兄…有馬玲一郎氏にも宜しくお伝え下さい」

 

「あぁ、伝えておこう」

 

有馬妹はボソッと“この拳でな”と呟いていた気がするが、まぁ、聞かなかった事にしよう

 

「では、我々はこの辺で…」

 

「あぁ、瀬長、彼らを駅まで……本当に駅まででいいのか?」

 

「えぇ、帰りの道中に寄るトコあるんで」

 

俺の左右に引っ付いて離れないこのヤンチャキッズ達のゴキゲンとりをしとかねぇとなぁ〜…

 

「わかった………まぁ、優も今回の茶会は十分に満足したみたいだしな、その点だけは感謝する」

 

「はぁ、どうも」

 

その点だけ、と、おっぱいを強調し、有馬妹は一応社交的な礼を言い、執爺に俺たちを駅まで送るように伝え、ようやくこの色々と内臓に悪いティーパーティーは終わりとなった………

 

そして、車を降りた駅前…

 

「…買い物、買って欲しいもの、ある!」

 

「Darling!アタシもボーシ欲しい!」

 

「いや、被ってるじゃん‥オシャレなやつ、提督的にはそれ似合うと思うよ?」

 

さて……適当にコイツらの機嫌とってさっさと基地に帰るか、帰ったらまずはカレーでもダシにして鈴谷のアホをおちょくってここ数日のウサでも晴らすか…






次回から和やかティーパーティーの裏モード

提督から下された主命、必ずや…


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鈴谷と熊野と最後の勝利者

キュウシュウ征伐編と思った?残念!鈴谷でした

【登場人物】

鈴谷(誰もが羨むメインヒロイン様)
難攻不落のビッチ兵の異名を持つパンツ見せるのが仕事のJKみたいな航巡、たまに軽母になる
メインヒロインであることに異常な執着を持っている

熊野(ダチッコクマノ)
最上姉妹の末妹でエレガントのオーバーボディを被りきれてないエセガント航巡、たまに軽母になる
提督とは深夜のアニメ一気見大会するぐらいは仲が良い


皆さんこんにちは、鈴谷です、えぇ、誰もが羨むメインヒロイン様でお馴染みの鈴谷様です、そこ、頭が高いぞ!あと、姿勢が前屈みだぞ!ハハァ〜ン?アレだね?まぁ、この鈴谷様を前にして立っていられないっーか、勃ってしょーがないっーか、アレっしょ?とりあえずアレっしょ?………うわ、キンモー☆

ま、このあふれる知性とヒロ引力を前にしたらそうなるわ、なんたって!メインヒロインの鈴谷様だし!

 

「まぁ…ビッチですけど」

 

「ビッチじゃねーし!」

 

基地からそう遠くない近所のファミレス…

今日、私は一応妹の熊野と共にたまにはファミレスで食事兼これからの鈴谷についての方向性について大いに語るディスカッションを開催するべくファミレスへ来ていた…

 

「さて、それでは最近メインヒロイン様の扱いがペラッペラな件についてですが………熊野、なんかある?」

 

「まぁ、もともとペラッペラでしたけど…」

 

「もともとペラッペラとかゆーな」

 

なんと言うかアレだ、そうアレ、このメインヒロイン(これ大事)鈴谷様は最近まったく出番がない気がするし、むしろ、鈴谷の出番であるべきところをどこぞのクソガキどもに掻っ攫われている気がしてならない…っ!

 

「そこで、この鈴谷様の存在意義(レゾンデートル)をより明確かつ前面に押し出して行こうと思うワケよ?」

 

「ビッチであることをですの?」

 

「だからビッチじゃねーし」

 

「黙らっしゃい、この売女」

 

「ば…売女は、ちょ……ちょっと言い過ぎじゃね?さすがにそれは鈴谷も傷つくんですけど」

 

熊野はオレンジジュースをズズズーと吸いながら、そうですわね、さすがに売女は言い過ぎましたわ、ゴメーヌと言って反省してるのかしてないかよくわからない謝罪に頭を下げ、呼び出しボタンを押して店員を呼び季節のチーズタルトを注文した

 

「あ、鈴谷も同じモンを」

 

「かしこまりましたー」

 

380円か………まぁ、写真だけ見ると美味しそうだし、ちょっと興味はある

 

「とりあえずアレですわ、アレ、鈴谷にはビッチであること以外の武器がないんですわ」

 

「だからビッチじゃねーし、っーかナニか?鈴谷からビッチをとったらナニも残らねーってのかオイ?」

 

「ないですわ」

 

「ないのかよ!?」

 

こ…この妹、妹を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだし…

 

「特に、最近は侵略(ジャーヴィス)やら革命(タシュケント)やら新たな環境が席巻しているだけに環境について行けない鈴谷には不利…っ!そう…っ!圧倒的不利ですわ!」

 

「え?ナニそれ!?鈴谷なんか超不利なの!?」

 

「えぇ、ただでさえ負け確ヒロイン待ったなしの鈴谷ではかませ以下ですわ」

 

「誰が負け確ヒロインだ」

 

クッ…!熊野の言ってるコトの意味は正直よくわからない点も多いが、たしかに最近、提督は駆逐艦のクソガキどもがバスケする姿を見て”まったく、駆逐艦って最高だな…この吸収力、素直に羨ましいなと思う” とか軽く引くコト言ってたし…

 

「まぁ、そんな負け確待ったなしな鈴谷にこの熊野様が勝ち確ヒロイン道をレクチャーしてあげますわ」

 

「押忍、お願いします!」

 

「では第1に………ヒロインとは何か?」

 

ヒロインとは何か!?い、いきなり核心を突いてきやがったよこの子は…

 

「メインヒロインとは何ぞ……?いつからエロ同人に出なくてはならなくなった?いつからスケベボディと決められたのだ?いつから減点法によってしか価値の評価をしないようになった?なぜこんなにも周りを気にして不自由になった?なぜつまらん規則で自分達の首をしめ続けるのか……」

 

「お…おぅ」

 

正直、熊野の言ってる意味は半分以上理解できねーけど、なんか良いコト言ってるような気がしてきた…

 

「つまり、メインヒロインとは即ち愛、愛無きメインヒロインに価値はありませんわ!」

 

「愛…ッッッ!!」

 

愛…ッ!愛と来たかぁ〜…なるほど、たしかに愛、よくわかんねーけど、愛!あのラ●ウだって恐れた脅威の力…っ!引力=(ラブ)とかなんかの漫画で読んだコトあるし…

 

「鈴谷、アナタの好きなモノを言ってごらんなさい」

 

「カレー」

 

「カレー以外、他には?」

 

「お金」

 

「カレーとお金以外、他には?」

 

「権力」

 

「アナタって本当に最低のクズですわね」

 

「誰が最低のクズだっーの」

 

だって好きなもん言えって言ったじゃん、それのナニが悪いっての?カレーはみんな好きだし、お金だってみんな好きじゃん?鈴谷悪くなくね?

 

「まぁいいですわ、ではヒロイン戦法のNo.2……“相手の誘いには絶対に乗るな!”ですわ!」

 

「え?乗っちゃダメなの!?」

 

「当たり前ですわ、メインヒロインとはライオンの如き獰猛さとジャッカルの如き狡猾さ、そして丸太のような足蹴りで股間を潰す紳士さが必要ですわ」

 

「いや、最後の………いる?」

 

熊野曰く、例えメインヒロインと言えど一瞬の気の緩みから悪漢どもに攫われ、輪●される時は●姦されるらしいので必要らしい、っーかいきなり悪漢に攫われるとかとんだオウガストリートだよ、ってか悪漢とか久々に聞いたよ

 

「メインヒロインとは常に、誘われるものではなく誘うもの……例えばヤキュウしよーぜとか」

 

「ナカジマかッ!」

 

ま…まぁ、誘うものってなら難しくない、ってか、鈴谷よくゲームしよーぜって誘ってるし、あれ?コレ鈴谷もうメインヒロインじゃね?もう既に勝ち確じゃね?

 

「しかし逆にグイグイ行き過ぎるのもよくありませんわ、特に、ゲームしよーぜ〜とか言っておっぱいグイグイ押し付けとかマジありえないですわね、ハッキリ言ってドン引きですわ」

 

「ナニがドン引きだよ、ナニ?鈴谷ディスってんの?ねぇ?ディスってんの?」

 

熊野は特に気にした様子もなくチーズタルトをペロリと平らげ、次はガトーショコラにしますわとか言いながら呼び出しボタンを押し店員を呼び出した

 

「ガトーショコラ1つ」

 

「あ、鈴谷ガトーモカで」

 

「かしこまりましたー」

 

まったく、甘いモン食ってなかったら今すぐここは殴り合いのステージになってるよ、っーか熊野の野郎、お姉様に対してなんてコト言うのかねこの子は…

 

「では第3に、地球がリング、ですわ」

 

「知ってるよ!なんで宇宙にまで行く前提なの!?っーか雑か!?その3にして急に雑か!?」

 

「ヒロインとはこの地球上、ありとあらゆる場所が戦場、女子トイレの個室の中ですら心休まる安寧の地ではありませんわ」

 

「マジか!?」

 

「マジですわ、ヒロイン道とは修羅道、悪鬼羅刹となりて目の前の敵の股間を全て蹴る、のですわ」

 

「ナニがのですわ、だよ、なんでそこまで無理にですわにこだわるんだよ…」

 

「ただ安寧の地があるとすれば………男子トイレの個室ぐらいですわね、とっぽいニイちゃんがおタバコ吸ってたり、おカツアゲしてたり、お隣の個室でおファックしてる可能性も捨てきれませんが、基本的に男子トイレでは個室の上から水をぶちまける女子特有の陰湿さはございません、ですわ」

 

「ですわ、じゃねーし、って熊野なんでそんな男子トイレ事情に詳しいの!?」

 

「では、誰もが羨み歯軋りして指を噛むメインヒロイン道、第4!!」

 

「無視かッ!!」

 

「と、その前に……私、ドリンクバーとりに行きますわ」

 

「あ、じゃ私も〜」

 

「私のオススメはオレンジ2、コーラ3、アイスコーヒー4、麦茶1割ですわ」

 

「小学生かッ!誰がそんな恥ずかしーコトするか!」

 

 

結局、メインヒロインとはナニか?このテーマへの明確な答えは出ず、とりあえずおっぱい押しときゃなんとかなるとの結論に至り、後日実行してみるとすげーイヤそうな顔してビッチ臭いと言われて怒りのスネークバ●トを喰らった、超痛かった、でもその缶コーヒーくれた、くれたけど飲みかけ寄こすとかマジでイラっとした、でも飲んだけど…




次回からVS四大鎮守府、佐世保編、ですわ!


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提督と完全武装のpicnic

戦慄!!四大鎮守府現る!
※今回登場する九頭中将はzero-45様の大本営第二特務課の日常からお借りしております、はい


【登場人物】

九頭路里中将(強力)
佐世保鎮守府を預かる巨躯の男、ただのビッグボディだけではなく知性も持ち合わせているらしく、強力の神にそそのかされたりはしないが、ロリ●ンの神にはそそのかされる

提督(残虐)
袖から蛇がでる

提督(クソ知性)
スネークがバイトしたりジェノサイドしたりする




海軍大本営が誇る直轄区、四大鎮守府…

横須賀、呉、舞鶴、佐世保、各地に大小様々な鎮守府もしくは海軍基地はあれど、その大小様々の上に燦然と君臨する大本営直轄のこの四拠点は並大抵のエリートではない、エリートの中のエリート…そのまたエリートの中のエリート、所謂、スーパーエリート将校だけが所属する誠のもののふエリート鎮守府と言われており、兵学校を所属するグリーンボーイ達もいずれはこの四大鎮守府に!と誰しも夢を見る、まぁ………平たく言ってしまえば、昔の巨●にドラフトで指名されるくらい嬉しい事である

 

そして……その、四大鎮守府の内、キュウシュウを拠点とするのが佐世保鎮守府、最近なんか街が賑やかになったとかなんとかと噂の佐世保の街に存在するその鎮守府は今、最大級の警戒を強いられていた…ッ!

 

『我々はただ、ここを通りたいだけだ、君達はそれを見ているだけでいい』

 

佐世保鎮守府内、司令部施設の大型モニターに映るメガネの男は有無を言わさぬと言う姿勢を示している…

一時は大佐まで昇り詰め、現在は色々やらかした結果中佐に収まっている男だが映像越しからでもわかる絶対的威圧感は佐官の持つそれではない、もっと上の……いや、それとはまた違う凶々しさすら感じさせる

 

『3時間後、我々はここを通過する………懸命な抵抗か、賢明な判断か、好きな方を選ぶといい、もっとも…前者はあまりお勧めはしないがな』

 

溢れる知性のメガネをギラリと光らせ、通信は切れた…

 

「どうするんだ?提督」

 

通信の切れたモニターを前に、小柄で些か目ツキの悪い秘書艦は隣に座る上官にこの事態についてどうするのか、平たく言えば、やるのか、やらないのか、その指示を求めた

 

「…まぁ、好きにさせるワケにもいかんよな」

 

「なら、やるってコトでいいのか?」

 

深く椅子に座る大柄な偉丈夫は腕を組んだままその返答をすぐには答えずにいた、それだけ事態は複雑で難しいのだろう…

 

「若葉、例の艦隊の映像をもう一度見せて貰えるか?」

 

「…まぁ、いいが……」

 

秘書艦若葉は若干何か思うところはあったようだが、今は、自身の上官の指示に従って件の艦隊を捉えた映像をモニターに映した

 

「………ふむ」

 

その男、野獣の肉体に神技の指揮能力を持つ不世出の天才……そう称される事もある四大鎮守府の一角、佐世保鎮守府を預かる男、九頭路里中将は鋭き野獣の眼光でモニターを凝視する

 

『暁のリュックに入ってたチョコレートないんだけど!?』

 

『ハラショー、こいつは力を感じない』ポリポリ

 

『生意気にも無糖じゃない』ポリポリ

 

『暁ちゃんには無糖とか100年早えーのです』ポリポリ

 

…現在進行中で空撮カメラが捉えている映像には件の艦隊の姿が映る、その数は軽く50は超え100にも迫る勢いの大艦隊ではあるが、不思議なことに駆逐艦や海防艦ばかりしか存在せず、戦艦や空母どころか重巡軽巡も交じっていなかった、そして、映像から見るに……彼女達は艤装を纏っているものの、まるでこれから戦いに行くといった雰囲気は無く、むしろお菓子を食べたりお喋りしたりと、まるで楽しい遠足に行くアホな子供のようにハシャいでいる様子に見える…

 

「…若葉タソ、もうちょっとズームで」

 

「この距離でいいだろう」

 

「いや、もうちょっと、もう一声ぐらい」

 

「ダメだ」

 

「暁ちゃんマジ暁ちゃん」キリッ!

 

スパーン!!(便所スリッパ)

 

若葉は履いていたスリッパで上官の頭を力強く叩き、九頭は、ンンイったー!!と言いながら机に顔面を強打し、若葉はその頭をギリギリと上から抑えつけた

 

「…真面目にやれ」

 

「お…おふっ!真面目でござるよ!拙者はいつでもくちくかんのエンジェルス達には紳士で真面目でござ…」

 

佐世保鎮守府を預かる海軍中将九頭路里、彼は生粋のロリコンだった……

 

◆◆◆

 

「ま〜じ〜たいむと〜りくじゃない〜♪」

 

さて、無事ママのお茶会もといセレブのお茶会を終えてキュウシュウへと帰還したワケだが……たしか香取先生が駅に迎えに来ると連絡があったな

 

「オイ起きろ、立って歩け、前に進め」

 

「…ん」

 

「ウヘヘヘ〜…Darling〜…」

 

電車の旅に飽き、既にアホな子供特有のアホヅラで寝ていた山風とジャーヴィスを起こし、自販機で缶コーヒーを購入して駅の外に出ると、駅前のロータリーに見覚えのあるムースピンクパールの可愛らしい軽自動車が停車していた…

 

「お帰りなさいませ、提督」

 

「これはこれは香取先生、すいませんなぁ〜わざわざ」

 

軽自動車から降り、丁寧に頭を下げる香取先生……まったく、香取先生はいつだってエレガントな佇まいでいらっしゃれる、この眠気と睡魔に絶賛完堕中のクソガキどもにも香取先生のエレガントを1ppmぐらい見習って欲しいものだよ

 

「では参りましょうか…」

 

トゲトゲとサラサラを後部座席に放り込み、香取先生はどうぞどうぞと言って助手席の扉を開け、俺はすいませんなぁと言いつつも助手席のシートに座り、香取先生は運転席に座ると車を発進させた

 

「すいませんなぁ、お迎えに来て頂いた上に運転まで」

 

「いえいえ」

 

ちなみに、俺は電車の旅なのをいい事に電車内ではアルコール少々お召しになっていたので運転は出来ない、飲酒運転、ダメ、ゼッタイ

さぁ〜て、明日からは基地運営に戻っていつも通り、軍の狗として日々の仕事に従事し、地域の皆様方と密に連携を強化しつつ人と地元に愛される海軍基地として邁進しないとなぁ〜…

 

「………ところで香取先生」

 

「はい?」

 

「この道は高速へ向かう方向では?」

 

「えぇ、高速道に入りますが……あ、もしかして高速を使わずに一般道を通った方が?」

 

はて?基地に戻るのに高速を使う必要など皆無なハズだが…むしろ、高速使ったら基地からドンドン離れちゃうのだが…?

香取先生は高速の入り口を通過し、音楽でもかけましょうか?とカーステレオを操作し、高速道路に相応しいゴキゲンなmusicが流れ出す…

 

煌めけwonder!割れろ6-pack!極めろMolester!罪と言う名のtrainに狩人が集う(キセル乗車)狩場を求めて彷徨うオレ達はそう!罪深きNAKAの奴隷!DO-REI!DO-0!DO-礼ィィィィィ!!(Fuck in my self…)GO TO THE POLASTARS!NAKAと言う一等星!輝きの硬度10#!硬度10#!(ロンズデーライ!ロンズデーライ!)……

 

「………」

 

カーステの下段に入っているCDをチラリと見てみたが………そこにはアイドルと言う方向性がよくわかってないであろう艦隊のアイドル、NAKAさんがデカデカと写ったCDジャケットが入っていた…

 

「香取先生」

 

「なんでしょうか?」

 

「一応、念の為に確認したいのですが………これは長崎道方面へ向かっておられますか?」

 

「えぇ、長崎道方面へ」

 

何故長崎道方面へ…?いや、待てよ……?おそらくは香取先生の事だ、きっと何か深い考えがあるのだろう

 

「提督が出かける前に仰られていたお考えですが……現時点でほぼ9割の作戦を終わらせております、さしでがましいようですが……やはり最後は提督自らが赴き、艦隊を前に高らかに勝利を謳うのが宜しいかと思いまして……」

 

「ほぉ…9割を」

 

…作戦?…9割?え?なにそれ?

 

「素晴らしい、さすがは香取先生です」

 

「ありがとうございます」

 

…とりあえず、よくわからんが香取先生は俺が居ない間に何かめんどくさげな作戦をやってくれてたんだな!なるほどなるほど…

 

「佐世保湾は戦艦空母を中心に包囲、念の為に湾内に潜行させている潜水艦が市街地への攻撃射程圏にて待機させております」

 

「ふむ……市街地を」

 

「はい、それと…佐世保工廠に流入される予定である資材は陸路にて奪取しております」

 

「ほぉ………資材を」

 

………ダメだ、言ってる事が何一つ理解出来ん!っーかさっきからあきらかに危険な単語がバリバリと飛び交ってないか?ってかバリバリか?不穏な風がビュービュー吹いて止まんなくないか?

 

「さすがは香取先生、なるほど…資材についても考えておられていたとは……私の予想以上ですな」キリッ

 

「ありがとうございます、でも……きっと、提督は全て予想されていたのでしょう…」

 

「ハハハ、そんなコトはありませんよ」

 

いや、マジで………むしろ状況がまったくわからん、いや、全然わからん!後部座席でグースカグースカ69の形で転がって良いユメ見てるクソガキ様どもに殺意が湧くぐらいわからん、ジャーヴィスの屁が山風の顔面に炸裂し、スゲーイヤそうな顔してる山風がジャーヴィスの尻をビタビタと叩いている、コイツら寝てても仲悪いな…

 

………そして、事態がイマイチよくわからないまま香取先生の軽自動車は無事に高速を降り、一般道をちょっと走ってから海の方へと行くと、海沿いになにやら見慣れた小型の船が停まっていた、アレ、ウチの釣り船じゃん…まぁ、正確には巡視艇とかそんな感じのアレだけど、普段はもっぱらイカ釣りとかに使ってるが

 

「あ、提督、やっと来ましたね」

 

「やっと来ましたね、じゃねーよ」

 

船から顔を出した見覚えのある青髪ロング子は俺の顔を見てよっこらせとか言いながら船から飛び降り、普通に着地した

 

「危ねーなオイ、ケガしたらどうすんだ?」

 

「まさか受け止めてくれる気でしたか?」

 

「オマエのジョークは面白くないのだよ」

 

見た目はただの青髪ロング子でもさすがは艦娘、鍛え方が違うと言うワケか……だが、この前、熊野が木のぼりしてたら降りられなくなりましたわーとか言って木から落ち、無様に痛いですわーとか言いながら転げまわっていたが…

 

「あら?ようやく本物が来たのね…」

 

「ん?」

 

船から聞こえたもう1人の声、そいつも船から躊躇うコトなく飛び降りて見事に着地した…………がッ!?

 

「遅かったじゃない?」

 

「……え?誰コイツ?」

 

降り立ったそいつの姿は………まさしく俺!!俺自身!?え?なにこれ!?ドッペル!?ドッペル的なゲンガーとかそんな感じのアレか!

 

「私よ」

 

そう言って、目の前に立っていたドッペル俺はル●ン三世みたく顔の表面をベリベリと剥ぎ、その正体を現した…っ!!

 

「なんだ、川内か…」

 

「なんだとはご挨拶ねぇ」

 

SHINOBIならば敵味方問わずに憧れるニンジャマスターと呼ばれる不死身のニンジャ、川内は着ていた服も脱ぎ捨て、驚異の早着替えでいつものスタイルになった

 

「提督の代わりにキチンと提督してあげたのよ?感謝して欲しいものねぇ」

 

「はぁ?俺の代わり…?」

 

「とりあえずお話は中でしましょうか?」



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提督と完全無欠のAdmiral

ちょいとバタバタしてたので遅れ気味、待ってる人なんかいるのかしら?

【登場人物】

提督(完璧・●●式)
クズ・ゲス・カスの三重殺が揃った本物の外道

五月雨(秘書艦)
頼れる秘書艦、No.2不要論推奨派

九頭中将(ガチムチマッスルガイ)
生粋のロリ●ンながら中将に相応しいキレも持ち合わせている快男児


「さて、とりあえずコーヒーでも貰おうか」

 

「残念ですが機材と材料がないのでお出しできません」

 

知っている、当然わかっているコトだ、いつもの執務室なら小粋に小躍りしながら唯一無二の殺人コーヒーを淹れるだろうが、生憎この船にそんなものは持ち込まれていないであろう事は一目見てわかっていた…

そんな俺の小粋な嫌がらせにややイラっとしたであろう五月雨は海水か塩水ならありますよと小粋な刃で仕返ししてきた…

 

「まぁいい、で?頼れる我が秘書艦サミヒアイスよ、この状況を俺にわかりやすく懇切丁寧に説明してくれるか?」

 

「あれ?説明が必要ですか?私達には及びつかない深いお考えと鬼謀の持主と香取先生が絶賛される提督ともあろう御方が…」

 

こやつめ、さっきの返しだけではまだ物足りぬか…

あと、五月雨ですとキチンと名前を訂正し、五月雨はペットボトルのお茶を俺に差し出してきたのでそれを受け取った…

 

「…相変わらず卿にはジョークのセンスがないな」

 

「そうですね」

 

「それで?ジョークはいいとして、この状況について説明して貰おうか…」

 

何故、俺は組織の最高戦力と名高い四大鎮守府に対して喧嘩を売り、なおかつ佐世保の街を人質とし、さらには資材まで強奪する最高にCOOLな蛮行に及んでいるのか…

 

聞けば、既に佐世保鎮守府のヘッドであるクズだかカスだかに俺は会っており(川内が)その際に、袖から蛇を出したり口から蛇を出したり、初代佐世保提督と二代目佐世保提督を穢土から口寄せる卑劣な忍術を使ったりとやりたい放題したい放題しているらしく、既に俺は海軍のビンゴブックでS級の危険人物に指定されたらしい…

 

「どうせアレじゃないんですか?酒の話で香取先生にこの春はキュウシュウ征服などいいかもしれませんなぁ〜…とか言ったんじゃないですか?」

 

「言ってねぇよ」

 

たぶん言ってない、そう、たぶん…

 

「とりあえず現状から言いますと、卑劣にも佐世保の街を人質とし、あちらからは下手に手を出すことが出来ない感じですね」

 

「実に卑劣なのだよ」

 

「海上封鎖は勿論、陸路も高雄さんや妙高さんの昔馴染みの“友達”が協力してくれてるそうで、ゴキゲンな“検問”張ってるそうです」

 

「ナニが検問なのだよ」

 

そういやここに来る途中、やたらとゴキゲンな二輪の集団を見たな…

 

「あと、佐世保市街には夕張さんが暇な時にシコシコ作ってた殺戮マシーン、プロトタイプって名前のキモいメカがウジャウジャ徘徊してるそうです」

 

「ナニがプロトタイプなのだよ、オ●ガじゃねーか」

 

見た目は古代殺戮兵器オ●ガそっくりだが性能面はオ●ガに比べるとチンカスらしく、波動砲も搭載しておらず、その気になれば“あやつる”で“じばく”させて処分できるそうな…

 

「もはや魔王以外の何者でもないですね」

 

「ナニが魔王だ、俺は悪くない」

 

…そしてこの悪魔の所業の全てを、この俺が行っていると言うレッテルが貼られているのだ、これはもう俺は退くに退けないどころか、約束されたバッドエンドに直行便なのではないだろうか?アレか?アレだろうか?ほら、ゲーム的には第1期も終わったコトだし、このしょーもないお話もこの機会に第1期終了、全滅エンドからの復活第2期再開的なアレだろうか?

 

「いいじゃないですか、第2期は提督死んだことにして新しい若くて有望でイケメンの新提督に替えましょう」

 

「バカ言ってるんじゃないよ、この子は」

 

「冗談ですよ、小粋なサミダレジョークです」

 

「ナニがサミダレジョークだ、まぁいい……この文句無しの反逆者確定ルートをなんとかしなければ俺にとって良い未来はない、とりあえずこの誤解をなんとかするか…」

 

「ひ●こ饅頭でも持って謝りに行きますか?」

 

「そんな安い謝りで許してくれる心の広そうなヤツだったか?佐世保の中将様は?」

 

「あー……どうでしょうね?見た目で言うならかなりガチムチでしたよ、ガチムチ」

 

「ガチムチか…」

 

最悪、中将との戦いは避けられないだろう……だが、これから先、俺が“上”に行く為には海軍中将だからってビビっているワケにはいかねぇ、四大鎮守府だろーが、海軍大将だろーが全部ブッ倒さねーと俺たちはこの先の“海”へは進めねぇ!この海では最も“自由”なヤツが“王”なのだ、そう!

目指すは勝者じゃなくて勇者!FREEDOMだ!

 

「行くぞサミヒアイス、俺と共に来い」

 

俺は立ち上がり、五月雨に出掛ける準備をと伝えると、こやつめ…既に用意してあったらしい俺の上着を腕に掛けたまま渡してきた

 

「こやつめ…」

 

「あと、五月雨です」

 

◆◆◆

 

我々の力を十分に御理解頂けたであろう佐世保鎮守府九頭中将に今度はより良いお話の場を持ちたい、そう連絡を入れた俺は、川内のバカがヤンチャして警戒度MAXとなっている佐世保鎮守府へと来ていた…

 

「はじめまして、九頭中将」

 

「はじめましてだと…?キサマ!」

 

「待て、若葉」

 

聞いた通りのガチムチマッスルガイの九頭中将は右手を挙げて秘書艦であろうワカ……?若葉だっけ?コイツ、その若葉を制し、一拍置いてから俺にはじめましてと握手を求める右手を出した

なるほど、さすがは四大鎮守府の一角、佐世保を率いる中将、つい先日暴れ回った川内のバカと俺とが別人である事に一目で気付いたらしい

 

「それで……九頭中将、出来る事ならば秘書艦を交えずに私と中将、2人でお話をしたいのですが」

 

「キサマ、ふざけるなよ!誰がそんな…」

 

「若葉、それで構わない、たしか第2会議室が空いているだろう?あの部屋は防音もある」

 

「しかしだな…」

 

「若葉」ギロリ!

 

「………わかった」

 

さすがは海軍中将、大した威厳と覇気…ッ!心の弱い艦娘ならあのガチムチマッスルガイにひと睨みされればおもらし確実ぅ!だろう…

俺は五月雨にここで待機するように伝え、九頭中将に案内され第2会議室へと足を踏み入れた

 

ーーー

 

「さて、この部屋での会話は外部には決して漏れないと…?」

 

第2会議室に入室し、九頭中将に念入りの確認を入れると、中将はその丸太のような太い首を縦に振り、御安心をと言った…

それを確認して頷き、俺は床を力強く蹴ってまるで氷上を舞うゴールドメダリストのように見る者全てを魅了する4回転半を舞ってまるで絶壁から落ちた猛虎が痛がる姿を彷彿とさせる姿勢で力強く着地した

 

「スイマセンでしたァァァァァァァ!!!」

 

平たく言えば、ジャンピング土下座である

 

「本当にッ!本当にスイマセンでしたァァァァァ!!全てはこの私の不徳の致すところ!」

 

この国で最も誠意に溢れる姿勢、それこそ土下座!謝罪にはもちろん、気になるあの子にセ●クスさせてくれと頼む場合にも効果がある…!らしい

 

「まぁ…頭を上げなさい、中佐」

 

「ハッ!!………まさかこのバカを、このバカをお許しになると…?」

 

さすがは四大鎮守府の一角を率いる海軍中将、なんと慈悲深い…っ!

 

「いや、普通に許しませぬが…」

 

ですよねー…普通に許しませんよねー、どう考えても俺の首一つじゃ済まない感じの狼藉働いてますもんねー………仕方ない、こうなりゃ殺るしかないか

とりあえずあと一歩でも踏み込んで来たら手加減無用のスネークジェ●サイド叩き込んでその分厚い胸板ブチ抜いてくれるわい…

 

「しかし中佐……某としても中佐程の同好の志をこのような形で失うには些か勿体無いと思うのでござるよ」

 

「………は?」

 

なんだ…?なんか目の前のガチムチ、なんか急に態度が軟化したぞ…?俺は視線を上げ、九頭中将を見ると、中将は先程までの威厳溢れるガチムチマッスルガイ的な威圧感が減り、どこか薄気味悪いと言うか、一方的な親近感と言うか…とにかく、敵意とかではないが……

 

「噂には聞いておりましたぞ、同じくキュウシュウをシマとする超一流のエンジェルマイスター…」

 

「…はぁ?」

 

ナニ言ってんだこのガチムチ、イカれているのか?なんだよ、エンジェルマイスターって…?

 

「曰く、流れるようにくちくかんのエンジェルス達と戯れ、そのハートをガッチリとキャッチする魅技は最早達人の領域…我々許されざる求道者(アンフォーギブン・インベスティゲーター)の中でも随一…」

 

「はぁ?」

 

なんだよ、許されざる求道者って…?え?っーか今、駆逐艦って言ったか?駆逐艦って!?

 

「その力、まさしく完璧!付いた二つ名は“完璧・ペド式(パーフェクト・ペド)!!その(ロ●コン)の中の(ロ●コン)の如き生き様から我々の業界ではその男を“ザ・あやつ”と呼んでいるのでござるよ!!」

 

「………はぁ?」

 

はぁ…ザ・あやつ?………って、待て、え?ナニ?パーフェクト・ペド?え…?ナニそれ?

 

「って!!なんじゃそりゃあァァァァァァァ!!?」

 

「ハッハッハ!またまたぁ〜!某は一目で中佐が尋常ではないザ・あやつだと気付いたでござよぉ!」

 

ガチムチマッスルガイ中将は気さくなマッスルスマイルで笑い、俺の肩をバシバシと叩き、完璧なる同好の志よ!と言ってガハガハと笑っていた…

 

「まぁそうカタくならずに、まずはお茶でも飲んで……今後の事について“交渉”しようではありませぬか」

 

「こ…“交渉”………だと?」

 

「そう……この事態をより良い形で決着させる交渉を…」

 

こ…この男、一体何を考えているんだ…?わからん、だか相手は四大鎮守府の一角!佐世保鎮守府を率いるエリートの中のエリート!どうやらタフに交渉になりそうだな…






次はもうちょっと早くってよ!


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提督と自作自演のOgre Battle

激突!四大鎮守府を率いる絶対なるマッスル!

【登場人物】

提督(知性溢れる天才テイトク)
ガハハハ!あんなチンケな技でこの提督さまに喧嘩を売ろうとは10年早いぜーっ!!

九頭中将(マッスル)
恵まれた体格を活かしたストロングスタイル、生半可な攻撃は硬度4.5を誇るその超肉体には効かない


「行くぞォ!ゴングを鳴らせ!戦闘開始だーッ!」

 

佐世保鎮守府最終決戦!!大胆不敵にも再び佐世保鎮守府に乗り込んで来た“絶対なる知性”を名乗る卑劣なる海軍中佐!しかし、我々の信じる正義、この平和な海と街を守護る絶対なる筋肉の神、ジ・アルティメット・マッスルに愛されしマッスルガイ!九頭路里中将は卑劣なる中佐などには決して負けない!

佐世保鎮守府天守閣に飛び出した2人の、いや…2匹の超雄同士は今更なんで艦娘などに頼ろうものか!決着は生身でつけようぞ!と全艦娘、そして佐世保の市民達が見守る中、超雄同士の対決が幕を上げたッッッ!!

 

「ツアーッ!!」

 

「ぬぅ…!!なんだ中佐?正面から組み合いを避けたか…?審判のロックアップとやらはいいのか?」

 

「フッ!貴様と正面から組み合う危険は避けたいのでな」

 

「なるほど…ただのキレた中佐と言うワケではないらしいなッッッー!!」

 

九頭中将の丸太のように太い足から中佐の股間を蹴り潰すべく放たれた蹴りを開脚ジャンプで回避し、放たれた足を軸として掴み、中佐は胴回し浴びせ蹴りを九頭中将に喰らわせた

 

「ヌゥゥゥ………!!フンッ!!」

 

「ぬおっ!?」

 

胴回し浴びせ蹴りを受けてなお、まったく怯みもしない九頭中将は丸太のような豪腕から放たれる豪拳を中佐に打ち込むが中佐はこれを寸でのところでガードし、豪拳の勢いのままに後方へと跳ぶ

 

「防御の上からこの衝撃…ッ!さすがは海軍の中でも選りすぐり、四大鎮守府の一角を任せられるだけはある!」

 

「ほぉ、よくガードしたな、中佐…だがこれならどうかな?」

 

「む!?」

 

九頭中将はまるでアメリカンフットボウルのプレイヤーのようにセットポジションを取り、強烈な覇気と裂帛の気合を発し、その巨体からまるで重機関車のようなタックルをぶちかましてきた!!

 

「グボァ!!……あの巨体でこのスピード、参るぜ…ッ!」

 

「中佐に教えてやろう……四大鎮守府の一角、佐世保鎮守府を率いる海軍中将の力と言うものを」ギロッ!

 

九頭中将は世紀末の荒野を往く暗殺拳の使い手の如く指をボキボキと鳴らし、力強くその丸太のように太い足を踏み出す、おそらくは心の弱い者ならその威圧感と覇気だけで気絶必至だが……中佐はその覇気を物ともせず不敵に笑った

 

「フッ、あふれる知性で返り討ちにしてやろう」

 

◇◇◇

 

九頭VSカスメガネの激闘が始まる数時間前、第2会議室で行なわれていた中将と中佐の会合…

 

「………なるほど、つまり、これら全てを“大規模演習”として銘打ってしまうと?」

 

「如何にも」

 

佐世保襲撃と言う前代未聞のこの事態を円滑かつ平和的に終結させる手段とし、俺たちが行ったこの蛮行を、佐世保鎮守府が領内における突発的危機意識を持たせる為の大規模な演習作戦と称し、これを終わらせる…

これが俺と九頭中将が導き出したより良い形であり、誇りある講和…

 

「つきましては中将には私めと一騎討ちを行って頂き、私を打倒する、この線でいかがでしょうか?」

 

「ふむ…」

 

佐世保鎮守府を率いる提督である九頭中将自らが敵の首魁を打倒する事によりその威厳は保たれつつ人気も急上昇し、そして、あくまで襲撃犯“役”である俺はその役を全うした事になり反乱や襲撃などと言う事実はあくまで迫真の“演戯”と言う名目で片付けられる…

 

「この提案で呑んで頂けるならウチの暁ちゃんから中将様に出来るうる限りの御奉仕をさせて頂きたいかと…」

 

「乗った、その話」キリッ!

 

………即答かよ、さすがは海軍中将、ハナシがわかる

そして暁ちゃんには悪いが後でアイスを買ってやろう、五段のやつを…

 

「さすがはザ・あやつ殿、ハナシがわかるでござるなぁ」

 

「いえいえ、私などはとてもとても……あ、そーだ、コレ手付け代わりと言ってはなんですが…」

 

「むむっ!?こ…これは……!?」

 

俺は以前スマホで撮影した満面の笑みを浮かべる弥生の画像を見せる、それはもうヤバいぐらいのシャイニースマイルなのだが…

 

「な……なんて、表情が堅く、その顔筋はまさしくカテナチオと言われている弥生タンにこれほどの笑顔を……やはり完璧・ペド式(パーフェクト・ペド)……如何なる技を用いたらこれほどのパーフェクトスマイルを引き出せるのか…っ!?」

 

「…まぁ、それはおいおいで…」

 

まぁ、その笑顔を弥生タンから引き出したの俺ではなくプリズムボーイのHIR●なんだがな…

 

「ハッ…!?ま、まさか…これがザ・あやつ殿が用いると噂されている幻の奥義、手を握っただけでくちくかんのエンジェルスがメロンメロンになると言う技!ペドの悲劇!!」

 

零の悲劇な、零の悲劇!なんだよそれ1mmも役に立たない技、そんなモン使えるかっての…

 

◇◇◇

 

「がんばれ…!がんばれ九頭提督!」

 

「そうだーッ!私の提督はそんな邪悪なヤツには決して負けないー!」

 

「私達の提督はいつだって残り5秒からの逆転劇を見せてくれたんだー!」

 

全ての佐世保所属の艦娘、そして全ての市民達の期待と願いを一身に背負って戦う男、男の中の男!九頭路里中将と絶対なる知性の戦いはアツく!そしてハゲしい激闘はおそらく佐世保鎮守府史上に後世まで語り継がれるであろう………まぁ、ヤラセだが

 

「ヌオォォォォォ!!」

 

「ふんぬっ!!」

 

「カーッカッカッカッカ!さすがは四大鎮守府の提督!これほどまでやるとは!その力!認めてやろう!」

 

俺は天守最上段に立ち、そのまま急降下ニードロップを九頭中将に浴びせる、そして…九頭中将がわずかに仰け反ったところでその身体を掴んで空中に放り投げてまるでサッカーボールをヘディングするように下から頭突きを繰り出す!

 

「あ…あの動作(ムーヴ)は!?」

 

「間違いない!アレは提督の必殺技(フェイバリット)!あの技への前奏(プレリュード)だーッ!」

 

戦いを見守るウチのバカどもがあの技を喰らって無事なヤツはいないぜーッ!などアホなコトを言って盛り上げてくれているところで俺は九頭中将の身体を空中で固めて天守最上段に勢い良く落下を開始した!

 

「ぬうっ!?こ…これは!?海軍三大奥義!」

 

「これが本物のテイトクリベンジャーだーッ!!」

 

ガゴォ!!!

 

「グハァ!!!」

 

「カーッカッカッカッカ!カーッカッカッカッカ!」

 

俺は勝利を確信し、右手を高く上げて勝利の笑いをあげる………と、まぁ、ここまでが俺のターンだ、あとはこの完璧に決まった風に見えるテイトクリベンジャーから九頭中将が立ち上がり、バ…バカな!何故立ち上がれる!この男のどこにそんな力が!と狼狽えて急に弱体化して九頭中将の友情だとか信じる力だとかふわふわした奇跡の逆転パワーの前に敗れる、完璧な流れだ…

 

「もはや勝負は決した!四大鎮守府の一角はここに落ちたのだ!取るに足らん人間と艦娘どもよ、支配してやるぞ…我が知と力の前にひれ伏すが………な、なにぃ!?」

 

周りから聞こえてくる九頭コールの中、完璧に決まった(ヤラセ)テイトクリベンジャーを受けたハズの九頭中将が立ち上がった!

 

「フッ………フフフ、今のはなかなか効いたぞ」

 

「バ…バカな、テイトクリベンジャーをまともに喰らってなお立ち上がるとは……!?か…怪物!この男は本物の怪物だとでも言うのか!?」

 

「ただの地方中佐にしておくには勿体無い才能よ、もしその才能をこの海の愛と平和の為に使えたならばどんなに良かったものか…」

 

「あ…あり得ん!そんなバカなコトがあるワケがあるかーッ!!」

 

オスカー級の名演技で狼狽えつつ、俺はそんなバカな話があるかー!叫びながら九頭中将に飛びかかると、九頭中将からカウンターを受けて宙を舞った…

 

「この技で終わりにするぞォ!!中佐ァァァァァ!!」

 

「こ…この技の動作(ムーヴ)は!?グオッ!!」

 

九頭中将は俺を筋●バスターの体勢で捉えたまま空中へ高く上昇する!!

 

「クッ!!バ…バカめ!こんな使い古されたバスターなどがこの俺に通用するものか…っ!!」

 

「ヌウウゥゥゥゥゥゥン!!」

 

「ゴハァ!!こ…これはッ!ただの筋●バスターではない…ッ!?より高く飛び上がることにより落下時に強烈なGをかけ…っ!?」

 

九頭中将の完璧なるマッスルが強烈なGを纏い、勢い良く天守閣へと激突し俺の身体をワリとヤバい感じでヘシ折った!

 

「ゴバァ!?ゴブッ……!!ニャゴフッ!!」

 

ズガアアァァン!!!

 

「き、決まったァァァァァ!!九頭中将のアルティメット・フェイバリット!」

 

「あの邪悪なる中佐を完膚なきまでに粉砕したーッ!」

 

「すげぇ…すげぇよ九頭提督は!私の九頭提督!ナンバーワンマッスル!」

 

マッスルナンバーワン!マッスルナンバーワン!マッスルナンバーワン!マッスルナンバーワン!

 

全佐世保の声!マッスルコールを受けて九頭中将は立ち上がり、勝利の拳と雄叫びを上げてマッスルコールに応える!ジ・アルティメット・マッスル、筋肉が今!佐世保の心を一つにした歴史的瞬間になったのだ!

 

 

○九頭中将 VS ●絶対なる知性

試合時間 1時間12分24秒 マッスルG 完全決着!

 

 

九頭中将と俺との壮絶なるマッチポンプは今、ここに終結した

 

◆◆◆

 

「あー………マジ痛てぇ、五月雨、湿布くれ」

 

「サ●ンパスしかありませんが」

 

「サ●ンパスでいいから早くよこせ、っーか貼ってくれ」

 

聖悪提督戦争もとい、佐世保鎮守府大規模演習作戦から3日後…

俺は執務室でジャ●プを読みつつ五月雨のアホンダラの淹れた安い紅茶を飲んでいた………あの戦いの後、九頭中将からこれは鎮守府内と市民の皆様への危機意識を高める為のヤラセ、大規模な訓練演習だった説明をして貰い、俺たちはあくまで襲撃役を買って出ただけの、いち善良な地方基地の艦隊とその提督と言うコトで話はついた…

本来ならば事前に何の相談もなく市民を巻き込むような演習は許されるようなものではないが、佐世保は意外にも地方行政区としては寛容だったらしく、特に、最後の佐世保を守護する守護神たる九頭中将のアツいファイトが皆の胸を打ったそうな…

 

「しかしさすがは提督……この香取、提督の深いお考えには感動しました」

 

「ハハハ…」

 

「強奪ではなく返礼と言う形で大量の資材を手に入れ、なおかつ四大鎮守府に対し、戦力の一部を見せる事で我々には更なる強大な力があると誇示するとは…」

 

分厚い書類のファイルを手に、今回のげんきょ……いや、香取先生の事だ、俺には考えつかない深いお考えを持っておられる御方、おそらくは俺の知らない何かがあるのだろう……そんな香取先生はあくまで俺の案であるかのように立ててくれる、まったく、香取先生は常に男を立てる事を忘れない慎ましい御方だ

 

「提督、ちょっと両腕上げてください」

 

「両腕?おらよ」

 

ビタンッ!!(サ●ンパス)

 

「あ痛ァァァァァ!!ちょ!オマエ!もうちょい優しく貼れんのか!?」

 

「ナニ言ってるんですか?サ●ンパスは貼る時に痛ければ痛いほど効果があるって言ってましたよ、誰かが」

 

こやつめ…どこで知った知識か知らんが体育会系特有の真意不明で雑などうでもいい知識を……!強烈な貼り手で貼られたサ●ンパスを撫って確認していると、執務室の電話が鳴り、五月雨は受話器を手に取り一言二言はいはい言って俺に受話器を差し出した

 

「誰だ?」

 

「九頭中将です」

 

「あぁ…はいはい、あの件ね、あの件ね」

 

はいはい、アレね、アレ…





次回、倶楽部HO-SHOWに居てはならない一人前のレディ!


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提督と九頭中将とNight club!

ティーパーティーから続く妙に長いお話も今回でようやく最終回、無駄に長かったのです

【登場人物】

提督(中佐)
接待する大人、ツキはだいたいそこにある

九頭提督(中将)
接待される大人、天国なんてあるのかな?




風営法に則り、主に酒類などを提供する夜の店、倶楽部HO-SHOW…

オーナーであるビッグ・ママこと軽空母鳳翔が経営するこの店は若いは軽巡以上から働く事が許され、日々のお小遣いに困る重巡や酒が本当に好きな空母、短時間でラクして稼ぎたいと言うニーズを叶えてくれるのと引き換えに、おっさんのいやらしいセクハラに耐え忍ぶこと、忍道を教えてくれる…

 

さて、あとは重要なコトをもう一つ言っておかないとな……え〜…アレだ、アレだよ、このお話に登場するキャラクターは全て18歳以上です!

 

これを最初に明記しておけばだいたいなんとかなる、エ●ゲーとかやったコトあるそこのオマエ!わかってるよな?いいか?18歳以上だ、あきらかにコレはJCとかJSだろォォォ!とかツッコミ入れても18歳以上ったら18歳以上だ!だから色々許される!見た目はアホガキそのものである駆逐艦や海防艦が酒類を提供してもOK!そう……セーフ!圧倒的セーフ…っ!生き残り…っ!とどのつまり……合法…っ!

 

「前置きが長いんだよ、ボーイ」

 

「ボーイはやめてくれよ、ママ」

 

ビッグママこと鳳翔は無駄に長い煙管をトントンと叩き、ま、今回は協力してやるけど次はないからねと言っていつも通りにカウンターの奥にある椅子に座って新聞のスポーツ欄を読み始めた…

 

「フーッ〜…アイオワまた完封!無傷の4連勝か……やっぱアメリカさんは違うねぇ」

 

「アイツは今季もやりますよ、特に今季は肉体改造したサラトガにも注目したい」

 

「フーッ〜……肉体改造ねぇ」

 

来週からの大鯨ホエールズとの4連戦、アイオワ、サラトガ、そして新加入のイントレピッドをどこで使うかがゲームの鍵になるだろう…

 

「フーッ〜………ボーイ、ボチボチ時間じゃないのかい?」

 

「オーゥ!さすがママだ、そろそろ時間だよ!それじゃ、今日は無理言って悪いね!ホント悪いね!」

 

今日、この店に来店するお客様は先の佐世保決戦編にて俺とアツい死闘を繰り広げた海軍中将、九頭路里中将…

 

…そして、その九頭中将を迎え撃つべく今回この倶楽部HO-SHOWに集められし精鋭達が倶楽部HO-SHOWの重厚かつエグゼクティブな扉を開いた…!!

 

◆◆◆

 

「おっさんマジでけーなオイ!」

 

「まるで岩みたいだなオイ!」

 

「すげぇ!!なんだこの丸太みてーな腕!すげぇ筋肉量だなオイ!」

 

倶楽部HO-SHOWのエグゼクティブソファに深く座り、注がれたオレンジジュースのグラスを手にとるコトなく、まるで古代からそこに存在する巨木のようにどっしりと座る九頭路里中将の周りには………睦月姉妹のアホどもがおっさんおっさんと群がってキャッキャとハシャいでいた

 

「………中佐殿」

 

「なんでしょうか?九頭中将」

 

「ちょっと某の頰を殴ってはくださらぬか?ワリと強めに」

 

不動なる巨岩、九頭中将の目は“まるで夢を見ているみたい”と言いたげな眼をしているので、俺はそこらでチーズを食べていた三日月を手招きし、九頭中将の頰の辺りを指差した

 

「ミカァ…やってくれるか?」

 

「いいけど…どのくらい?」

 

俺は“遠慮なんかすんな、思いっきりブチかましてやれ”とだけ指示を出してやると、三日月はテーブルにあったガラス製のゴツい灰皿を手にして思いっきり九頭中将の頰をブン殴った

 

ゴシャアッッッ!!(灰皿)

 

「んごぉ!!?ご…ほぉ…!!」

 

すげぇ、三日月の灰皿殴打を喰らってなおソファーから転げ落ちねぇなんて…こいつぁとんだタフ・ガイだぜ

 

「ごふっ……三日月タンからの一切の容赦のない一撃、ふ、ふふふ……ありが……」

 

パンパンパンパンパン!(往復ビンタ)

 

「ナニやってんだミカァ!?」

 

「…え?だって、なんかキモいし…」

 

すげぇよミカは、たとえ海軍中将が相手だろうがまるでメじゃねぇ、三日月はこいつは別に死んでもいい提督でしょ?と言って再びチーズを食べる、そうさ、三日月にとっての提督は俺だ、こいつの前では俺は常に最高にイキでイナセな提督じゃなきゃならねぇ…

 

「しかし同志中佐……某、てっきり暁ちゃん居るものと胸をワクワクさせて来たのですが……あ、いやいや!決して睦月型のエンジェルス達が不満と言うワケではないでござるよ?ござるでしょう!」

 

「誰が同志中佐だ」

 

「はぃ?」

 

「あ、いや、失礼」

 

いかんいかん、この唾棄すべきガチロリコンのペド中将は何の因果か俺を“同志”と思っているらしく、とりあえず大人である俺は話を合わせる形でなあなあの対応をしているが、たまにこうしてボロが出そうになる…

 

「暁ちゃんなら少し遅れて……いや、そろそろ来る頃です」

 

「なるほど」

 

暁ちゃんにはここに来る前に、俺が事前にマミーヤで注文しておいたケーキ、マミヤ・ザ・スペシャルフェイバリットシリーズの1つ“天地を喰らうサトゥルヌス”なるケーキを受け取ってから来る手筈になっている…

 

そして、噂をすればなんとやらと言うものか…HO-SHOWの扉をキチンとノックし、その身の丈以上にもなろう巨大なホールケーキを抱えた一人前のレディ!暁ちゃんがやって来た

 

「お待たせしたわ!暁がケーキを持ってきたわ!」

 

…そして、そんな暁ちゃんの後ろにもう1人の人物ッ!まるで黄金の獅子のように光るサラッサラのキンパツを靡かせて立つ一人前のレディ!ビスマルクさん!

 

「フッ…この私も来てあげたわよ、テイトク」

 

「び、ビスマルクさん…!?」

 

「何故…?愚問ね」

 

ビスマルクさん曰く、マミーヤでバウムクーヘンでも買おうと立ち寄ったところ、たまたまケーキの受け取りにやって来た暁ちゃんと会い、暁ちゃんの受け取ったケーキがとても美味そうだからそれに興味を持った……ただそれだけのコトらしい

 

ビスマルクさんはあくまでも優雅に俺の横に着席し、逆隣に座る九頭中将をチラリと視線を向けた

 

「ふ〜ん……アナタがサセボ?のテイトクなの?」

 

「はぁ、九頭と申します」

 

「ふ〜ん」

 

あの九頭中将の目を俺は知っている、まるで養豚場の豚を見る目だ…

 

「テイトク!暁の座るところないんだけど!?」

 

そりゃそうだ、暁ちゃんの席なんてものは最初から用意していないからな、だがこれも俺の完璧なる作戦の一つ!

 

「あれれー?おかしいなー?あ、そーだ、九頭中将の膝とかお貸し頂けないですかねー?」(棒読み)

 

「い……今、なんと……?」

 

「あ、いやー、九頭中将だったらお身体大きいし暁ちゃんぐらいなら膝に乗せても大丈夫かなーって?」(棒読み)

 

俺の殺人パスを受け、九頭中将はカッ!と眼を見開き“まことでござるか…!?それはまことなんでござるのか!同志!”と俺の脳内に直接話しかけてきた……中将ともなるとまるでNTのような技を使えるんだな

九頭中将は“かたじけねぇ…ッ、かたじけねぇ…ッ!”とアツい涙を心の中で流しているのだろう、俺には見えるのだよ

 

「も…勿論でござ……いや!勿論構わないですぞ!えぇ、構わない!イエスです中佐、イエス、えぇイエスです中佐!」

 

「じゃ、暁ちゃんはそっちで」

 

「はーい」

 

一人前のレディである暁ちゃんは特に何の疑いも迷いもなくクズロリ…じゃない、九頭中将の膝の上へと座り、暁です!とキチンと挨拶をした

 

「九頭路里中将ですぞ……ではない、んんっ!うん、まぁ、特に気を遣わないでくれて良いでござ……んんっ!げふんっ!」

 

勝ったなこの戦い…

 

「…ねぇ、テイトク」

 

「ハッ!なんでしょうか?ビスマルクさん!」

 

「…心なしか、あの大男、この私に対してとあのちっこいの……アカツキだっけ?に対してと随分と対応が違う気がするのだけど?」

 

「ハッ!それは………たぶんアレでしょう、そうたぶん…アレ、ビスマルクさんが美しすぎるのでやはり中将と言えど緊張しているのかと?」

 

「………フッ、なるほどね」

 

フゥゥゥゥ…セーフ!危ない危ない、あやうくビスマルクさんの誇り高く気高いPRIDEを刺激するところだった、正直、あのクズロ…九頭中将はガチロリコンのペド野郎なのでビスマルクさんは完全にストライクゾーンから外れている、頭部直撃のMAX165キロの殺人ストレートコースだ

 

「中将さん、暁がケーキをとってあげるわ!」

 

「キタコレ!………じゃない、あ、ありがとう」

 

「…そこの大男、この私、ビスマルクがドリンクをグラスに注いであげるわ、光栄に思いなさい」

 

言っておくけどこんなサービス滅多にないんだからね!とまるで銀河級の歌姫みたいなコトをビスマルクさんが言ってみるが…

 

「あ、はい」

 

九頭路里、塩対応、圧倒的塩対応…っ!圧倒的関心の無さ…っ!

 

「………テイトク」

 

「ハッ!なんでしょうかビスマルクさん!」

 

ビスマルクさんはあきらかにイラついた様子でこちらを睨み、これは一体どーゆーことかしら?この私、ビスマルクがサービスをしてやろうと言ってるのよ?と俺の腕をガクガクと揺らす

 

「ハッ!お、おそらくはビスマルクさんの発する美のオーラにやはりまだ緊張が取れていないものかと…?」

 

「緊張が取れていない男があんな顔するのかしら?」

 

暁ちゃんから受け取ったケーキを食べ、これは本当に美味しいですなぁ!とマッスルスマイルを浮かべるクズロリ……いや、もうクズロリでいいや

 

「…そこの大男、ちょっとこっちのチョコを食べてみなさい」

 

ビスマルクさん無言でケーキのチョコレート部分をカットし、皿に乗せてクズロリの鼻先にずいっと押し出し、クズロリはそれを食べ…

 

「………はぁ、まぁ、普通に美味いっすね」

 

クズ…っ!!圧倒的クズロリ…っ!いっそ清々しいまでのソルティな対応っ!

いかん!ビスマルクさんのPRIDEゲージがみるみるレッドゾーンへと突入している!このままではこの場は怒りの日が流れるバトルフィールドになりかねないッ!

 

「ビスマルクさん!ビスマルクさん!ビスマルクさァァァァァん!ザッハトルテ!ザッハトルテ食べませんかザッハトルテェェェェェ!!ママ!アレ出して!アレ!とっておきのアレェェェェェ!!」

 

「…あら?ザッハトルテがあるの?気が利くのね、丁度食べたかったのよ」

 

…セェェェフ!生き残り…っ!良かった、たまたま貰い物のザッハトルテがあって

 

「うんめー!なんだこのケーキ!メチャウマだぜオイ!」

 

「ぷくぷくぷー、あ、弥生鼻先にクリームついてるぴょん」

 

「だから?」

 

睦月姉妹のアホガキどももケーキに群がりゲラゲラ笑いながら食い、クズロリの周りでおっさんまだ食えんのか?おっさんまだ食えんのか?おっさんのイイトコ見てみたいとか言って生クリーム的なものをクズロリの口にグイグイとか突っ込んでいるが………うん、まぁ、クズロリコンが満足ならそれでいいか

 

◆◆◆

 

九頭路里中将の来訪から数日後、ようやく通常営業へと戻った執務室…

 

「提督、佐世保から色々書類が届いてますよ」

 

「…書類ケースに入れとけ」

 

「見ないでいいんですか?」

 

「今日はもう店仕舞いだ」

 

明日やればいいコトは明日やる、働き方改革ってヤツだな、こいつは…

 

「あと、倶楽部HO-SHOWとマミヤから請求書が届いてますよ、結構な額の」

 

「結構な額か…」

 

「えぇ、かなり」

 

「…よし、来月から経費抑え気味で営業しような!」

 

「そうですね」





次回は通常回……な気がする遅れてきた新人回、生きていた“B”の意思!

ハァ…ハァ…“B”はまた、必ず嵐を呼ぶ!


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提督とステーツからの遅れてきた刺客!

戦慄!!スーパーポリスアカデミーからの刺客!

【登場人物】

提督(巨乳派)
巨乳ならある程度なら許せる、ただし、巨乳にも質と言うものがあるのです

Samuel B.Roberts(護衛駆逐艦)
John C.Butler級姉妹の1人、お供に憑いてるクジラの名前はジェイソン

Iowa
ステーツから来たダイナマイツパッキンガール


「あ、そうそう、そう言えば…なんか新しい人が配属されるらしいですよ」

 

「ふ〜ん」

 

列島戦慄!春の行楽シーズンに湧く様子を映すテレビ中継は大蛇の如くうねる渋滞とゾンビのように人が蠢く行楽地を映しており、俺と五月雨そんな世間様の様子を見つつ古鷹さんから借りた東京●種を読んでいた…

 

「新しい人ねぇ…ナニ?おっぱいデカいのか?」

 

「さぁ?おっぱいデカいかはわかりませんが、アメリカさん出身の駆逐艦の人です」

 

「アメリカさんか…」

 

米国と言えばアレだな、どいつもこいつメジャー級のオパーイを持ち、ワールドクラスの実力を誇るスター集団……いや、若干一名、ワールドクラスとは言い難い実力の愛国者がいたな…まぁ、おっぱいは十分MAJORレベルだが…

しかしアレだ、だとすれば世界のヘヴィ級バストを輩出し続けるアメリカ出身の駆逐艦ともなれば、childの頃から“ワォ!コイツが駆逐艦だって言うのかい?俺はてっきりカリフォルニアでメェーメェー言ってるヤギかと思ってたよ、ソーリー、コイツはとんだマウントシープだ!HAHAHA”と小粋なジョークが挟めるBIG GIRLだろう…

 

「オーケー、サミー、それで?そのビッガァルはいつ着任かね?」

 

「もう来てますよ、扉の外で待って貰ってます」

 

「早ぇよ!!俺なんの準備もしてないよ!?」

 

「昨日言ったじゃないで……あ、すいません、言いませんでした」

 

この青髪ロング子……ナニしれっと、まぁいい、俺は寛大な心とフロンティア・スピリットを持つこの基地を統べる絶対支配者だ、そんな些細なミスを、許そうではないか…

些細なミスを必要以上に責めず、逆に、良い点はしっかりと褒め、たまに恩賞と言う名のマミヤスイーツを振る舞う………あれ?俺もしかしてスゲーいい上司じゃね?コレ完全にモテる提督のモテ道まっしぐらじゃね?今の俺なら間違いなく陸奥とヤれるくね?タダで!

 

「じゃ、呼びますんであんまり失礼のない感じでお願いしますよ、何かあったら国際問題なんで」

 

「へいへい」

 

五月雨がそれでは次の方どうぞーと扉の向こうに声をかけると、重厚な執務室の扉が開きステーツから来た新たなるおっぱいモンスターが入って………ん?

 

「私ね!ジョン・C・バトラー級護衛駆逐艦サミュエル・B・ロバーツっ!」

 

なんだコイツ…?え?ナニ?サミュ…?サミ?

 

「………五月雨」

 

「なんですか?」

 

「なんだコイツ?」

 

「ジョン・C・バトラー級護衛駆逐艦のサミュエル・B・ロバーツさんでしょ?たぶん」

 

………マジかよオイ、え?マジか?オイオイオ〜イ、ちょ!待てよ!おっぱいは!?俺が求めるメジャーおっぱいは!?マジかよコイツ…え?なんだっけ?サミ……サミュなんとか

 

「サミ……なんとかクン」

 

「サミュエル・B・ロバーツ!長いからサムでいいよー」

 

「オーケーオーケー、サムくんな、サムくん」

 

とりあえず、俺は五月雨から受け取ったサムくんの書類を眺めてみるが………駆逐艦で、2スロで、低速…っ!?マジかコイツ!本物のチンカスじゃねーか!?誰だよコイツ採用したの!?

 

「とりあえずアレかな、サムくんは下で徹底的に鍛えてからだな、今のままでは一軍登録は難しいと思うね、うん」

 

「OK!私ガンバルね!」

 

「あぁ、うん、ガンバってくれたまえ」

 

…まぁ、今のスペックはアレだが本人のガンバリ次第でなんとかなるだろう、それに、意外と素直な良い子みたいだし…

とりあえず特に話す事もないので面接はもう終わってどうぞと言いかけたその時…ッ!執務室の扉を豪快に開き!俺が求めた本物の超一流おっぱい(メジャーリーガー)が入って来たッ!

 

「フッ、ヨク来たわネー…Sam」

 

「あ、アナタは…!?あ…Iowa!Iowa teacher!?」

 

「スーパーポリスアカデミー以来ネ…フッ、もうオネショ癖は直ったかしら?」

 

「もぉー!teacherったら!そんなの無かったじゃないデスかー!」

 

なんだコイツら?知り合いなのか…?アイオワとサムくんは小粋なジョークを交えつつ再会の喜びとアツいハグでキャッキャとハシャいでいる、っーか今、スーパーポリスアカデミーって言ったか?

 

「Hey Admiral!Samはかなりデキる子よ、meが保証するわ」

 

「もぉー!teacherったら!やめてくださいよー」

 

「デキるも何もなぁ〜…駆逐艦だし、低速だし」

 

「フッ、Admiral…Samがqueueなだけのlittleと思わないコトね」

 

アイオワはどっかから持ってきたらしいサンドバッグを取り出し、それを執務室の天井にスピーディーに吊るして腕を組み、サムくんをサンドバッグの前に立たせた

 

「Hey Sam……4 7 2 5!」

 

パンッ!パンッ!パンッ!パンッッ!!

 

「な……ナンバーシステム!?」

 

今、サムくんが行ったのは間違いない!人体の各部をナンバリングし、それを順序良く正確に打つトレーニング…!こ…このリトルガールが……!?

 

「フッ…腕はナマってないみたいネSam……いや、ますますキレが増したわ」

 

「Thanks a lot!Iowa teacher!………えへへへ〜」

 

「どう?Admiral…?」

 

アイオワはステーツ出身のダイナマイツガール特有のフフンと鼻を鳴らしおっぱいを上げながら俺にサムくんの評価について尋ねる………嗚呼、神よ…神よ!なんてこと……なんてこと…っ!こんな才能溢れる子が、まさに神からのギフト…

 

「great…」ポロポロ…

 

「でしょ?ネ?ネ?ステーツじゃSamのコトはこう呼ぶワ……マッハパンチの“B”とネ」

 

アイオワはサムくんの頭をぐしゃぐしゃと撫で回し、サムくんはもぉー!やめてくださいよー!と言ってキャッキャとハシャいでいた…

 

後に、この面接に同席していた白露型駆逐艦五月雨はこう語る、提督はサミュエルちゃんを見て、まるで宝物を手に入れた子供みたい興奮してました、と…

おそらくはサミュエルの持つチャンピオンオブチャンピオンの才能に興奮していたのだろうが、側から見るとただ、可愛い子に大興奮してるアブない奴にしか見えなかったと言う…

 

「サムくん…」

 

「なに?Admiral?」

 

「私の………私のサンになってくれないかね?」ポロポロ…

 

「え?やだ」

 

「フッ、Sam……Admiralはこう見えてなかなかのメーハクラークよ、トレーナーとしての腕はmeが保証するワ」

 

「そうなの?じゃあ、なる!」

 

「よーし!サムくん!アイオワ!今日は新しいFamilyの歓迎会だ!肉食いに行くぞ!肉!何ポンド食べたい?お金なんか気にするな!好きなだけ食え!」

 

「ホントに!?やったぁ!!」

 

「フッ、さすがAdmiralネ……OK、Sam…上がって来なさい、meの居るところまで、次に会う時はリングの上よ!」

 

…こうして俺たちはサムくんを肩車して陽気なアメリカンファミリーのように街のステーキハウスへと走った、きっと後世歴史に名を残す偉大なるチャンプ、そしてそのチャンプを育て上げるトレーナーとして俺たちの戦いは始まったばかりだ!



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明石と野望の明石酒保

帰ってきた大人の明石回、大人の明石

【登場人物】

明石(クズ)
何よりも金が好きで好きでしょうがないクズ、クズすぎて子供の純粋な瞳には弱い

ポーラ(アル中)
何よりもアルコールが好きで好きでしょうがないアル中、ザラ姉!ぶたないで!

14ちゃん(アル中)
何よりアルコールが好きで好きでしょうがないアル中、ご…ごめん姉ちゃん!

提督(クズ)
金さえ払えば風俗と同じじゃないかしら?思考




「ダメだ、もっとだ…っ!もっと効率的かつ大胆に稼ぐナニかがいる…っ!」

 

この、工作艦明石には黄金のような“夢”がある…っ!この国の流通と経済を裏から支配し、札束のプールで平泳ぎして愚民どもが汗水流して労働している様を見て一杯飲りながら笑が止まらんわいと人生の“絶頂”を謳歌すると言う壮大な“夢”が…っ!その為にはいる…っ!円が!ドルが!ユーロが!元が…っ!

 

しかし、足らない…っ!全然っ!足らない!もうびっくりするほど足らない!………このまま、いち明石酒保のチェーン店で、所詮は雇われでいいはずがない…っ!

 

「今日こそ神のカードを引くのです!」

 

「明石さん!10パック買うじゃない!10パック」

 

「はいはい、10パックね、はい、いいの入ってるといいねぇ〜」

 

…なけなしのお小遣いでケツ拭く紙にもなりゃしないカードを買っていく駆逐艦の子達に手を振り、改めて自分の経営について考えてみる…

現在の主力商品はアイ●ナ、ツ●ウタ、刀●だが、男に比べて女の流行り廃りはかなり激しい、イケメンの取っ替え引っ替えが当たり前、一瞬燃え上がって即冷めるので実に扱いが難しく、一期が大ブームだったから二期もとか読み違えると大量のゴミを抱え込むコトになりかねない、男は前の女に執着と未練をズルズル持ち、女は躊躇無く捨てる、まさにこれだろう…

 

「とりあえずエミューをもうちょっと増やしてみよっかな…」

 

でもあんまり増やすと世話が大変だしなぁ〜…餌代だってかかるし、今は山風ちゃんがたまにバイトで手伝ってくれてるけど、これ以上増やすとなるとさらに人手を増やすことになるし、ファームを広げないといけなくなる……それをあのクソメガネが許すかと言えば、おそらくはNOだろう…たぶん1回ぐらいならチ●ポ咥えたら許してくれる気はするけど2回目はない

 

「何か…こう、もっと、ラクして稼げる…」

 

カウンターの棚に置いてある季刊誌、季刊AKA-SEEを手に取ってみる…このAKA-SEEは全国の明石チェーン向けの情報誌で、全国の様々な明石酒保についての情報が書かれており、今1番のトレンド商品やマニュアル外の販売方法など全明石の目を惹く情報盛りだくさんのマガジンである

ふむ……やっぱこの大阪だかなんだかの明石酒保売り上げパないな、ナニ売ってんだろコイツ…

 

「え〜メイド服やパジャマなど……ハッ?そんなモン、売れるわきゃねーっーの」

 

そんなモン売って利益出るなら即転職するわい、ってか、ウチの基地に居る子がそんなモン買うワケないし、アホらし……まったく参考にならねぇ

 

「アカシさ〜ん、お酒、ウヘヘへ〜…お酒売ってください〜」

 

「ん?あら、ポーラちゃんいらっしゃい」

 

たまにワンカップ大●を買って行くアル中のポーラちゃん、以前は提督の肩を揉んで貰ったなけなしの300円を握りしめてやって来ていたが、今は提督におっぱい揉ませて1000円貰ってるらしく、ちょっとリッチになった

前にちょっと興味があったので私もおっぱい揉ませて貰ったけど、ちょっとだけ提督の気持ちがわかった自分が悔しい

 

「はい、ワンカ●プ大関」

 

「あ、あとあと!コレください〜…」

 

ポーラちゃんはカウンターの横に置いてある見切り品のベビーチーズを手に取った、ぶっちゃけ明日廃棄すっかと思ってたんだけど、それ

 

「ポーラちゃんいつも買ってくれるから、それ、オマケに付けてあげる」

 

「オマケ!?く…くれるんですか!?タダで!?」

 

「うん、まぁ…みんなにはナイショですよ」

 

「あ……あぁ…あ、アカシさん、なんて……なんて良い人…っ!なんて心の優しい…善人…っ!」

 

私が良い人なワケないじゃないですか

 

「ザラ姉様にもアカシさんの優しさの100京分の1ぐらいあればいいのに…」

 

100京とか意外な単位知ってるなこの子…ってかザラ姉様どんだけ厳しいのよ

 

「アリ…ありが!ありがとうございます…っ!ありがとうございますアカシさん!ポーラこのご恩はきっと忘れません…っ!必ず…!必ずお返しします…っ!」

 

「あ、あぁ、うん」

 

相変わらず良い子だなぁ、アル中だけど…

ポーラちゃんは何度も何度もヘコヘコと頭を下げて去って行った、アル中だけど、あ…そーだ、ママからなんか酒の発注来てたっけ

 

「明石さん!明石さん!」ヒソヒソ

 

「………ん?」

 

なんか声がしたような気がしてカウンターの方を見たが誰も居ない…?はて、気のせいかしら?

 

「明石さん!こっちこっち!」ヒソヒソ

 

「ん〜?あ、なんだ14ちゃん、いらっしゃい」

 

「声!声が大きいよ!」ヒソヒソ

 

カウンターの下に、隠れるように座っている潜水艦の子、14ちゃんは水着の裾から500円をスルリと取り出し、ワンカ●プ大関を!とヒソヒソと話かけてきた

 

「はいはい、ワンカップ●関ね、はい」

 

この14ちゃん、ポーラちゃんと違ってお金は持っているアル中なんだけど、お姉さんが超怖いらしく、ウチに買いに来る時はいつも忍んでやって来る

前に、14ちゃんがワン●ップ大関買ってその場でイッキしてるところにたまたまお姉さんが現れ、それはもう悲惨なコトになったのは記憶に新しい、正直、この明石が心底ブルっちまった、14ちゃんのお姉さん……13ちゃんだっけ?なんかいつもチ●ポしゃぶりたそーな顔した子だな〜ってぐらいしか思ってなかったけど、あんなヤバい子とは思わなかったわ、マジで

 

「ありがとー!」ヒソヒソ

 

14ちゃんは受け取ったワンカ●プを大関を早速開け、グイッとイッキする、その姿はまるで大物主大神のごとき神々しさすら感じられる姿…まさにアル中オブアル中

 

「ぶっはぁ!!美味い…っ!悪魔的美味さ…っ!」

 

14ちゃんは犯罪的だ…っ!とか言いながら飲み干し、水着の中に手を突っ込んでさらにお財布を取り出して中身を確認する……水着の中をまさぐる14ちゃんの姿は軽くオ●ニーしているように見えるがそうでないのがこの子の不思議なところだろう

 

「あと3本ぐらいなら……いや、でも姉ちゃんにお財布チェックされたら…っ!」

 

「あ、13ちゃんいらっしゃい」

 

「ギャアアアアアアアア!!タスケテ!タスケテ姉ちゃん!ゆ…許し、て!」

 

14ちゃんは流れるようにヘコヘコと土下座してガタガタと震え、何度も何度も謝罪を繰り返す!

 

「まぁ、嘘だけど」

 

「嘘かよッ!ちょ!明石さん!マジでやめてよ!マジで!」

 

「あははは、ごめんごめん、お詫びにコレあげるわ」

 

カウンターに置いてある見切り品のベビーチーズを14ちゃんに渡し、14ちゃんはマジでカンベンしてよー言いつつ新しいワンカ●プ大関を買い、それを水着の中にしまい込んだ、しまい込んだのはいいけど、たぶんそれ、水着の下のモッコリ具合がチ●コにしか見えないんだけど……14ちゃんはありがとーとヘコヘコ頭を下げて去って行った、アレどう説明するんだろ

 

「…はぁ、しかしロクな客こないわー、マジで」

 

ガキかアル中かアル中ぐらいしか来ないとかマジやる気なくすわー…今日はもう店閉めてパチ●コにでも行こっかな、今日はなんか勝てる気がするわー………とか考えてると、新たな客がやって来た

 

「タバコとジャ●プくれや」

 

「きたよ、今日1番のろくでなし」

 

「誰がろくでなしだ淫乱ピンクが」

 

「誰が淫乱ピンクですか」

 

基地ろくでなしオブろくでなしの筆頭、今日もニコチンくさいニコチンニコチンの実を食ったニコチン人間の提督は1000円札を出し、モタモタすんなボケと暴言を吐く…

 

「はい、ジャ●プとタバコ」

 

「うむ、あと領収書くれ、手書きのな」

 

「イヤですよメンドくさい、どうせ経費じゃないんでしょ?コレ」

 

「うむ、ただのイヤがらせだ…俺はな、お前の苦しむ顔を見るのが何より楽しみなのだよ」

 

「クッ!サドめ!」

 

「佐渡様じゃない、提督だ」

 

誰だよサド様って……あぁ、そういや居たっけ、サド様だかマゾ様だか名前の子が、こないだズイウンみたいなの持って廊下でハシャいで香取先生に尻叩かれてたわ

 

「提督」

 

「なんだ?」

 

「他になんか買いませんか?不動産とか、株とか」

 

「オマエの店そんなの扱ってるのか?」

 

「えぇ、免許はこれからと考えてますが…」

 

「ブローカーか!」

 

「ブローカーじゃないです、明石です」

 

「ふ〜ん、じゃ、棺桶1つ買うわ、オマエ用の」

 

「あ、私、土葬より火葬の方がいいんで」

 

このクソメガネ……クッ!金さえ!金さえあればこんなヤツに!よし決めた!金さえ手に入れたらこのクソメガネを私専用の奴隷にする!毎日靴を舐めさてピカピカにさせてやる!

 

五指●炎弾(フィンガーフ●アボムズ)ぅ!」

 

ドンッ!!(腹パン)

 

「おごぉ!?……ウゲェェェ…って、ただの腹パンじゃない、ですか」

 

「まぁ、ただの腹パンだがな」

 

「ってか、なんで今、殴られたんですか…?私」

 

「好きな子にはアレしたいっー思春期特有のアレだ、アレ、わかるだろ?」

 

「嘘つけぇ!!ってかもーちょいマシな理由言えやクソメガネェ!!」

 



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提督と春の基地祭りⅡ-悪名の神々-

この間ジャスト1秒ッ!黄金の左腕ここに復活ッッ!

【登場人物】

提督(巨乳派)
揉み応え、大事

五月雨(髪長駆逐艦)
焼きそばの気分

祥鳳(スーパースター)
フッ、豚の座る席なんざこの日本にはどこにもねえよ

ガンビア・ベイ(巨乳)
かませ犬

夕張(貧乳)
提督専用マゾ隷奴

球磨(球磨ねーちゃん)
男の中の男と名高い硬派が服を着た軽巡

リシュリュー(オシャレは勉強する)
かませ犬




お金がありません

 

その、切羽詰まった財政難が提督を行動させた!

健全な基地運営に必要なもの………それは金、そう!金こそ全て!信じられるものは愛とか勇気とかそーゆーふわふわしたナニかではない、現金…っ!キャッシュ!マネー!即ち、金…っ!

 

「どうかね?今年の来場者数は?」

 

「三千人弱ですね」

 

毎年開催している地域へのふれあいアピール兼資金集め、基地開放祭だが今年もまぁまぁ集客できているようだ、来場者向けの屋台もイイ感じに売れているらしく、さっきも浦風のアホンダラが小麦粉がないとか人手が欲しいとかガタガタ言ってきやがったので、オマエのそのおっぱいは飾りかボケと追い払ったところだ…

 

「ククク…コロシアムのチケットも売れておるし、笑いが止まらんわい」

 

「そうみたいですね」

 

今年の基地開放祭の目玉はなんと言ってもやはり今世紀最大のデスマッチ!お茶の間では絶対みられないどちらかが死ぬまで戦う今世紀最大のライブパフォーマンスと銘打つ日米決戦!ステーツから来た最強の刺客達を迎え撃つ黄金の日本Jrに興奮しない者はいないだろう…

 

「よし、五月雨、俺はちょいと会場をブラっと見回りしてくる、後は任せるぞ」

 

「はぁ、あ…じゃ、ついでに焼きそばでも買ってきて下さい、あとお茶」

 

「オイオイ五月雨ちゃんよぉ〜?俺を誰だと思ってんだ?ん〜?オマエが今、パシリ同然におつかい頼もうとして俺をよぉ〜?もしかしてオマエの上司なんじゃないのかな〜?」

 

「はいはい、早く行って来てください」

 

「はいはい、じゃねーよ、ハイ!は一回なのだよ」

 

この野郎、上司であるこの俺を完全に舐めくさりやがって……コイツには近い内に己の身分とやらを思い知らせてやる必要があるな

 

◆◆◆

 

戦慄の日米決戦も遂に第四試合!無傷の三連勝でチームとしての勝利は確定している全日本!次なる目標、無敗での完全勝利を目指し、次の相手、最強ステーツ軍団の四人目!ガンビア・ベイに挑む…っ!

 

「フッ、島国のmonkeyどもに精密なコンピュータを作れてもボクシングヘヴィ級の王者は決して作れないコトを教えてあげマース…」

 

既にリングに上がっているガンビアは、なかなか出てこない次の対戦相手にヘイヘイカマーンどーしたどーした?ビビってんのかジャパニーズ?と日本側ベンチを挑発していると、突如として開いた会場の扉からデカい旗を持った長ランでリーゼントの軍団が歩いて来た…!

 

ザシャッ!ザシャッ!ザシュッ!(足音)

 

「あ…!あ…アレは!?」

 

「ヘヘッ…あのヤロウ、ニクい登場しよるわ」

 

「まったく、待っていたぜ!!」

 

祥鳳型軽空母の祥鳳!いや………スーパースター!!剣埼!!

 

「フッ、待たせたわね」

 

祥鳳ことスーパースター剣埼の登場に会場の興奮は最高潮!剣埼ガールズ(第四駆逐隊)もGOGO!let's goとパンツ見せながら踊っているので別の意味で会場の紳士達は大興奮!

 

「ホウ…すごい盛り上がりデス、そう…アナタがこのチンケな島国のヒーローというわけデスか、フフッ…日本の人材不足は相当深刻なようデスネ〜」

 

「フッ…やめるなら今のうちだぞ、お前じゃ勝てねえよ」

 

「なに…?」

 

リング上でバチバチと火花を散らすガンビアと祥鳳、そして、コーナーで祥鳳は渡されたグラブを左手だけに付けて右手はリングの外に投げ捨てた

 

「ヘイ、ジャパニーズ!右手のグラブを忘れてるぜ」

 

「フッ、必要ないわ」

 

「What!?」

 

「聞こえなかった?左手一本で十分って言ってるのよ、フフッ…遊びよ、遊び」

 

「Fuck……こ…このエテ公がァ〜!」

 

「フッ、おめぇ…笑いモンだぜ…」

 

ゴング鳴り!遂に始まった第四戦!試合開始と同時に両者がリング中央で激突する…ッ!

 

ーーー

 

体育館の外を歩いていると、体育館の頑丈なガラスをブチ破り、死体が飛び出して来たとの噂を聞いたが……まぁ、お祭りの会場だ、そんなコトもあるだろう

 

さて、そんなワケで会場をブラブラと見て回っていた俺だが、ブラブラ出店を見ていたらよそ見して走ってた暁ちゃんからズボンにアイスをぶつけられ、次は五段のを買うといいとお小遣いを渡した

 

「あ、提督じゃないですか、何してるんですか?」

 

「夕張ェ…」

 

今日もヘソがチラつくスレンダーウェスト、天ぷらそば的なものを手にした夕張は暇なら私と見て回りませんかー?と言ってきたので丁重に断った

 

「なんでェ!?」

 

「やだよ、なんで天ぷらそば持った奴と歩かにゃならんのだ、ってかオマエ、なんだそのヘソは?誘ってんのか?あ?あとなんだそのミニスカと黒ストとは?これはもう挿入してくださいって言ってるよーなモンだろ」

 

「や、だってこーゆー制服ですし……って、なんですか突然、アレですか?いきなり告白ですか?」

 

「オマエの胸がパイ●リできるサイズだったら俺はオマエに一目惚れして抱いてたろーな、提督の性を注ぎまくりだったかもな」

 

「はぁ…?え?なんですか?私、胸以外はオールストライクなんですか?」

 

「………そうだな、性奴隷としてはだが」

 

「うわ…聞きたくなかったイヤな真実ぅ〜」

 

夕張は天ぷらをバリバリと食べ、汁をズルズルと啜って一口どうですか?と言って俺に器を差し出してきたので、全部食べた

 

「一口って言ったじゃないですか!?」

 

「うるせぇな、健全な成人男子がそんな食べかけで満足するかボケ」

 

「ひどい……ま、いいや、後でまた買おうっと」

 

コイツの切り替えの良さもなかなかのモノなのだよ、科学の進歩には犠牲がつきもの、犠牲には犠牲が必要でありそれはつまり犠牲、夕張にとって犠牲とは日常的なものなのだろう

 

「しかしそば食ったら甘いモン食いたくなったな」

 

「あ、あっちでクレープ売ってましたよ」

 

「ほぉ…クレープですか」

 

なるほど、本来ならクレープなんてチャラいモノ、硬派が服を着ていると名高い俺が食べるモノではないが、今は違う!ここに服を着た性奴隷の夕張がいるではないか!一人だどちょっとアレだが、二人なら買える!よし…!買うぞ!チャラさ多めで甘さ控え目のヤツを……と歩き出したその時、目の前にハジける獣臭…ッッッ!

 

「ん?なんだ、提督と夕張じゃないクマ、なにしてるクマ」

 

「く…球磨ねーちゃん」

 

「あ、こんにちはー」

 

「こんにちはクマ」

 

球磨姉妹の頂点に君臨する長女、球磨ねーちゃん

多摩さん、北上、大井すら逆らう事が出来ない球磨型恐怖の縦社会の象徴とも言えるまさしく力の暴君、あの普段はオラついた木曾ですら球磨ねーちゃんの前ではオレとか言わない真面目な良い子になるぐらいだ…

 

「見回りクマか?感心クマね」

 

「えぇ、まぁ…ところで球磨ねーちゃんは…?」

 

「ん?まぁ…アレクマよ、アレ……あ〜」

 

なんだ?男の中の男と名高い球磨ねーちゃんにしては妙に歯切れが悪いな

 

「う〜ん……えぇい!!恥を忍んで聞くクマァ!“くれいぷ”ってドコに売ってるクマ?」

 

「く…苦麗布……っ!?」

 

「や、クレープですよね?クレープ」

 

「ま、まぁ…そーゆー名前のヤツクマ、なんか生クリームとかいっぱい入ってるやつクマ」

 

まさか球磨ねーちゃんからクレープなどと言うチャラい単語が出るとは思わなんだ…

 

「た…たまにはアレクマ?妹達にねーちゃんオシャレなモン買ってやりたいクマよ、ほら!ウチ普段は煎餅とかそんなばっかクマ?それにほら!くれいぷ食べたコトないからって木曾がクラスでバカにされるかもしれないクマ?」

 

「え?あ、はい」

 

いや、アイツ結構チャラいモン食べてますよ、球磨ねーちゃんの知らないとこで、アイツマジチャラ男っすよ

 

「クレープならあっちで売ってますよ」

 

「マジかクマ?よし、買いに行くクマ、提督、行くクマよ」

 

球磨ねーちゃんに腕を掴まれグイグイと引っ張られる、っーかなんて力だッ!?野性…ッ!圧倒的野性の力…っ!?ジャレるってレベルじゃねぇぞオイ!

 

「痛い!痛い痛い痛い!ちょ!痛い!折れるマジ折れるからァァァァァ!」

 

「失礼クマね、そんな力入れてないクマ」

 

か…バケモノっ!いや、怪物を超えた怪物…っ!これが野性における食物連鎖の頂点か……俺は夕張の肩を優しく叩き、その白魚のような手に万札を握らせた

 

「夕張、球磨ねーちゃんにクレープを買ってあげなさい」

 

「え?やですよ、噛まれたらどうするんですか」

 

「大丈夫だ、アレだよアレ、アレだ、いざとなったら死んだふりすりゃいいんだよ、死んだふり!もしくはアレだ、誠意を持って話せば真心はきっと通じるはずだ!」

 

「や、たぶん無理ですよ、ほら、見てくださいよ私のタイツ、さっきから絶対捕食者降臨で尿漏れが止まんないんですよ、膝とかガクガクですよ」

 

「オイそこのオマエら、球磨が聞こえてねーとか思ってねークマ?全部聞こえてるクマよ」

 

ーーー

 

「で?どれがオシャレで美味しいクマ?」

 

「さぁ?自分、普段クレープとかチャラいモン買わないんで、夕張、説明してあげなさい」

 

「そうですね…」

 

球磨ねーちゃんに片膝を破壊された俺と夕張は互いに肩を組み、二人三脚の体勢で球磨ねーちゃんのクレープ買いに付き合わされていた…

 

「やはりスタンダードにチョコレートやメープルバター、もしくは生クリームにブルーベリーとかバナナとかのフルーツ感、いやいや、このガトーショコラ生クリームとかラズベリーも、いや、やっぱここはキャラメルなど…」

 

「うるせぇクマァ!!」

 

ドゴンッ!!!(腹パン)

 

「ゴバァ…!!ガ…ガァァァ…ゴブッ……!オエ!オエォォォォォ!」

 

球磨ねーちゃんの殺人パンチを受けた夕張は血反吐をブチ撒けて地面をゴロゴロと転げ回る!

 

「ヒイイ!ヒイイイィィィィィ!!」ガクガク

 

「あ、スマンクマ、なんかワケわからん横文字ばっか言われてついカッとなったクマ」

 

つ…ついカッとなったで殺されるレベルかよォォォ!なんだよコイツ!怖ぇよ!なんでこんな特定危険動物が放し飼いにされてんだよッ!球磨ねーちゃんはでぇーじょーぶか?ほれ、仙豆だとか言ってポケットから豆を取り出して夕張の口にねじ込んだ

 

「ハァ…ハァ……死ぬ、死ぬかと思っ…」ガクガク

 

「大丈夫か夕張ェ!大丈夫なんだな!」

 

「で?どれがオシャレで美味しいクマ?妹達にたまにはねーちゃんらしいコトしてやる球磨に相応しいヤツはどれクマ?」

 

「………夕張、説明してあげなさい」

 

「え?イヤですよ、絶対イヤです!」

 

チッ…!このヘタレメロンめ、たった一度殺されかけたからってビビりやがって

 

「提督が説明してやってくださいよ、マジで」

 

「え?ムリムリ、だって俺、クレープとかチャラいモン自分で買わねーし、たまにサミーが買ってくるやつ食べるだけだし」

 

「仲良しかッ!ってか五月雨ちゃん良い子かッ!」

 

「オイ、早くしろクマ、球磨はこう見えても忙しいクマよ、あと30分で国会中継見るから早くしろクマ」

 

ヤバい、野性は短気だ…ッ!圧倒的短気ッ!どうする?どうすればいい?どうすればこの危機を乗り越えられる!?誰か…!誰か救え…っ!救ってくれ…っ!俺を!

 

「あら?amiralじゃない?ナニやってるの?」

 

「ハッ!?オ…オマエはーッ!」

 

俺たちの居るクレープの出店の前へとやって来たのは黄金の獅子のタテガミのようにぶわっとした金髪を靡かせるキンパツの自称最強戦艦!リシュリュー!

 

「amiralもcrêpe買いに来たの?奇遇ね…なんなら私のオススメを教えてあげてもいいわよ?」

 

「マジか!」

 

そうか…ッ!クレープはもともとフランスの菓子ッ!俺はリシュリューの肩をガシッと掴みそのスーパーモデル体型を揺らした

 

「え…?えぇ…?C'est vrai.…本当よ?ってか顔、顔が近いわ」

 

「よし、なら教えてくれ!球磨ねーちゃんに!」

 

「えぇ!任せて……って、え?クマネーチャン?」

 

「球磨クマよ」

 

「あ、うん………まぁ、いいけど?」

 

よし、生き残り…っ!セーフ!圧倒的セーフ…っ!生き残った、これでなんとかなるだろう、なんと言ってもオシャレに定評のあるリシュリューだ、パリっ娘気取りのボルドーの田舎モンだとしてもオシャレには詳しいハズ…

 

「いい?まずはNOS CRÊPES SUCRÉESだけど私としてはやはりMielかSucre, beurre、もしくはSucre, citronが外せないわね、気分的にはNutella, noix de cocoってところだけど、あ、そうだわ!私はNutella, noix de cocoにするから、amiralはCompote de pommeにしなさ…」

 

「日本に来たら日本語喋れクマァ!!」

 

ドゴンッ!!!(腹パン)

 

「オゴォ!!ゴボェ……ゲボォ……ウゲェェェェェ!」

 

球磨ねーちゃんの鋭い殺人パンチがリシュリューのスーパーモデル下腹部を鋭く貫き、リシュリューは光る吐瀉物をブチ撒けながら地面をゴロゴロと転がった

 

「あ、スマンクマ、ついカッとなったクマ」

 

「大丈夫かァァァァァ!リシュリューッッッ!」

 

「ゴブッ……ゴポォ…」ビクンッ!ビクンッ!

 

「でぇーじょーぶクマか?ほら、仙豆……ん?あ、仙豆もうないクマね、ま、球磨も本気でパンチしたワケじゃないし大丈夫クマね」

 

本気じゃない…?ジャレてるってレベルじゃねぇぞオイ!!も…もうダメだ、人類は勝てない…っ!人類はこの生態系の食物連鎖の中ではなんて無力なんだ…

 

「あの〜………?」

 

「ナニクマ?」

 

出店の店主、コマンダラなんたら…?だっけか?そのコマさんが、よければ私のオススメで良ければ包みましょうかと遠慮がち言ってくれたので、球磨ねーちゃんはじゃ、それでいいクマと言って自分のと妹達の分を買い、上機嫌で去って行った…

 

◆◆◆

 

「遅かったですね、ウ●コですか?」

 

「ウ●コじゃない、提督だ」

 

執務室に戻って来た俺はコマさんのクレープ屋で買ってきたクレープを五月雨の机に置いた

 

「…へぇ、また珍しいもの買ってきましたね」

 

「俺はオシャレさんだからな」

 

「…ハッ?」

 

「あ、なんだそのツラはケンカ売ってんのか?あ?」

 

「別に、ただ、私は焼きそば食べたかったんですけど…」

 

「いやだわ、ナニ言ってるのかね、この子は…」



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提督と鈴谷とノーブレーキヒロイン道

疲れてます、はい、すごく疲れてますん…

【登場人物】

提督(サディスト)
おばあちゃんから〜…が口癖、ではないサディスト

鈴谷(ポジティブ思考)
何度やられても立ち上がるタフなスピリットを持つ自称メインヒロイン


「で、出たーッ!見たもの全てが呪われる川内型地獄の人文字だァァァァァ!」

 

「さすがNAKAさん!オレ達とは生物としてのステージが違い過ぎるーッ!」

 

たまには真面目に基地の施設点検でもするかと施設内を歩いていると、体育館からなにやらキャーキャーと黄色い声援が聞こえてきたので覗いてみたら、真っ直ぐ自分を曲げないアイドル道が信条らしい那珂が二人の姉を引き連れて魔界の宴(コンサート)を絶賛開催していた…

 

「…相変わらずアイツの方向性はよくわからんな」

 

とりあえず、誰かにアイツにアイドルに必要なものはキラッキラの笑顔か、プリズムの輝きってのを教えてやるべきだろう、まぁ、今更ムダだとは思うが…

 

「お、提督じゃん、ティーッス!提督もNAKAさん見に来たの?」

 

「…」

 

「いや、なんか言えし」

 

「これは独り言だが…昔、おばあちゃんからビッチとは口利くなって言われたんだよ」

 

「ふ〜ん、ま、鈴谷はビッチじゃないですけどー?」

 

「…」

 

「だから無視すんなし!ナニ?イジメ?新手のイジメかなんか?ねぇ?ちょっと!オイ!こっち見ろし!」

 

鈴谷のアホンダラは不遜にもこの基地の絶対支配者である俺の顎を掴み、グイグイと自らの方向を見るように強要する、その様子はまるで見た者全てを石にするメドゥーサを思わせるが、それに対し、俺は勇者ペルセウスの如く力強く抵抗した

 

「…今こそ汝が右手にその呪わしき命運尽き果てるまで…高き銀河より降りたもう」

 

「ちょ!なんで右手にパワーを集中してんの!?それヤバいヤツだよね!?」

 

「あ?テメーをブッ殺す為に決まってんじゃねーか」

 

「なんでそこまでヤル気ッ!?」

 

鈴谷は右手にパワーを集中させた俺から即座に距離を取り、バックステップした先でバナナの皮で滑って後頭部を強打しつつM字開脚ですっ転んだ

 

「うげぇ!!……アガガガガ……痛てぇし」

 

「クズが」

 

「クズじゃねーし、なんなの?ちょっといきなり厳し過ぎじゃない?鈴谷なんかした?」

 

「そうだな………お前は俺から大切な物を奪っちまったんだよ」

 

「た…大切なもの!?」

 

よし、今日は虫の居所も悪いしコイツでもおちょくってウサ晴らしでもするか…

 

「大切なもの……?え?マジ心当たりないんだけど、え?もしかしてこないだ談話室に置いてあったRA●E31巻借りパクしたこと…?」

 

アレはコイツの仕業か!?ったく、なんてヤツだ…睦月姉妹のアホガキどもがなんでジーク死んでんのぉ!?誰に殺られたんだよォォォ!とかうるせぇと思ったら、まさかの骸骨伏線回収の大事な巻だけ無いと言う緊急事態発生でギャーギャー文句言ってきやがったが……そうか、コイツが犯人か

 

「…違うな」

 

まぁいい、その罪に関しては後でみっちりと裁いてやる、七つの星でな…

 

「え〜……マジ心当たりない、いや……うん、ない、ないかな、うん」

 

あるな、コイツ心当たりが考えれば考えるほどあるんだな、まぁいい…

 

「お前が俺から奪ったもの、それは………」

 

「それは?」

 

「俺の心さ」キラキラ

 

「………うわ、提督のコト、マジで殴りたいと思ったわー…いや、マジで」

 

「オイオ〜イ……俺、本気(マジ)………なんだけど?」キラキラ

 

「いやいやいや、ないない、それはない、いくら鈴谷が知らない間に邪眼にかかってたとしてもそれはない、うん、ないわー」

 

チッ、なかなか手強いなビッチの分際で……俺の考え抜いた52の浜風ちゃんをメロメロにする方法がまったく通じないとは、大したビッチだ

 

「とりあえず提督のつまんねージョークは措いとくとして…」

 

「オイオ〜イ、つまんねージョークとは手厳しいな!まったく、ワガママなプリンセスだよ!」キラキラ

 

「いや、マジ…超キモいんですけど、え?ナニ?なんか変なモン食べたの?昨日食べた変なモンが今更効果発揮しちゃった系?」

 

「フッ、昨日食べたのは()れたて新鮮シーフードカリーだったかな?たまたま会った熊野と楽しくおしゃべりしながらディナーしたね!」キラキラ

 

「ファーック!!あの野郎!鈴谷に黙って一人でカレー食ってやがったよ!クッ!どーりで部屋がカレーくさいと思ってたわ!ってナニ!?なんで熊野とは楽しくおしゃべりしながらディナーすんの!?ねぇ?鈴谷とは楽しくおしゃべりしながらディナーとか一回もしたコトないよね?」

 

鈴谷のアホンダラは俺の両肩を掴み身体をガクガクと揺らす、コイツ、どんだけカレーが好きなんだよ…

 

「オイオ〜イ、お前と一緒にディナー…?やめてくれよ、とてもじゃないが正気じゃいられなくなっちまうよ、大好きなカレーより………お前に夢中になっちまうから!」キラキラ

 

「うるせぇよ!っーかなんなのそのキャラ!?マジイラっとくるんですけど!」

 

「まったく、これ以上俺を夢中にさせないでくれよプリンセス!」キラキラ

 

「…わかった、じゃ、そのキャラでいいからカレー奢ってよ、カレー」

 

「OK!」キラキラ

 

「マジで!?そんなアッサリと…」

 

鈴谷はマジかよ承●郎…みたいな顔して戦慄していたが、すぐに気を取直したらしく、よし!じゃ!すぐ行こう!今すぐ行こうと俺の左腕を掴んでグイグイとその程よくデカくて弾力のある乳を押しつけてヘラヘラと笑い…

 

「スネークバ●トォォォォォ!!」

 

俺はヘラヘラ笑う鈴谷のヘラヘラフェイスを掴み、力強く床に叩きつけた!

 

グシャァッ!!!

 

「グヘァ!!ガ……アガガガガ……な、なんでぇ…?」

 

「プリンセスタイムは終了だよ、クソヤローが…」

 

「く……クソヤロー……え?ヒドくね…?」

 

「なぁ鈴谷よぉ〜…?俺はな、お前を苦めて絶望した顔を見るのが何よりも好きなのだよ」

 

「ひ……ひ、ヒドい、あまりにもヒドすぎる!まさに冷酷!まさに冷血漢!アンタには人間の温かさがないのかーッ!」

 

「あるよ、お前以外に」

 

「チクショウッ!」

 

しかしまぁ、ただ騙して絶望させるだけってのは後味が良くないものもある、あの有名なパン●ラの箱だって千億の絶望と、たった一つの希望が入ってたぐらいだ

 

「まぁ、小粋な俺の暇つぶしに付き合った褒美を与えてやろう、服を脱ぎなさい」

 

「脱ぐかッ!!なんなの!?その流れで脱ぐヤツいるの!?」

 

「なんだよ、せっかく下っ腹の辺りに淫らな発情が止まらない呪いの呪印を授けてやろうと思ったのに…」

 

「いるか!!そんなモン!ってかなんなのそれ!?エロゲーとかエロ本によくあるヤツか!?」

 

「よく知ってるな、大したビッチだ」

 

「ビッチじゃねーって言ってんだろォ!鈴谷こー見えても清純派だから!お嫁さんにならないとそーゆーコトしないから!」

 

「はいはい清純派清純派」

 

「うわ、イラっとくるわ…マジで」

 

「さて、小粋なテイトクジョークはいいとして………腹が減ったな、たまにはファミレスにでも行くか」

 

「あ、じゃ、鈴谷も行く、奢って」

 

「いいぞ、水道水か井戸水なら好きなだけ飲むがいい」

 

「それ奢りって言わなくね?」

 

「じゃ、上から高い順に頼んでいいぞ」

 

「マジで!?」

 

「ただし、全部食えよ、一滴も残すな、全部飲み込むんだ」

 

「…いや、その言い方どうにかならない?」



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提督とターヘルな穴とミア

KAITAIの闇に挑む闇の深いお話

【登場人物】

提督(任務に忠実)
捧げる

五月雨(任務にはまぁまぁ忠実)
提督に非があるなら叱ってやるのも仕事、もしそれでダメなら…

ハルサメ(白髪)
壮絶な拷問の末に髪が白くなり、両足を失ったものの、強い憎悪と復讐心で怒りの力ゼス●スに目覚めた、と言う設定で落ち着いた



デイリー任務とはなんぞ………?

いつから日12回出撃でなくてはならなくなった?いつからオリョール海と決められたのだ?いつから消費資材によってしか勤務の評価をしないようになった?なぜこんなにも周りを気にして赤疲労になった?なぜつまらん規則で自分達の首をしめ続けるのだ…?

 

今日は、そんなデイリー任務にまつわるお話…

 

 

「あ〜…まったく、毎日毎日めんどくせーなぁ、なぁオイ?」

 

「面倒くさいと言ったものの、日課ですからね」

 

今日も元気にブツを乗せた台車を押し、俺と五月雨は基地工廠の奥にある“あの部屋”へと向かっていると、通りがかりの自販機コーナーで、スカートに手ぇ突っ込んで大アクビしている白髪のヤツが居た…

 

「よぉ、ハルサメ、朝から自販機の前でオ●ニーとはふてぇヤローだな」

 

「ん…?ゲッ!?テイトク!」

 

「ナニがゲッだ、舐めてんのかテメーは」

 

白露姉妹の五女、ハルサメ………そう、コイツはハルサメであり断じて深海棲艦の姫級ではない、まさか徹底的正義を掲げし誇り高き海軍の基地に、人類の天敵である深海棲艦が、それも危険度で言えばブッちぎりでヤバい姫級が居ついてるなんてコトはありえない、もし仮にそんなコトがバレでもしたらバスターコール待ったなし!海軍最強艦隊がこんなチンケな基地を消し炭にするだろう…

 

「おはようございます、ハルサメちゃん」

 

「お、サミーじゃん、オハヨウ」

 

ちなみに五月雨のヤツ、最初こそ多少訝しんだものの、すぐに面倒くさくなったのか、厄介事は御免なのか、この危険生物を姉の春雨として受け入れ、今では普通に姉妹として接しており、たまにお買い物に行くぐらい仲が良いらしい…

 

「ってかアサから二人シてナニシてんの?」

 

「ご覧の通り、台車で箱を運んでいるのだが?」

 

「いや、ソれは見ればわかるけど……なんなの?ソれ?お菓子?」

 

駆逐棲…ではなく、ハルサメは台車に乗せてある箱に興味を持ったらしく、箱の中身がなんなのかを尋ねてきた

 

「肉だ」

 

「肉?」

 

「あぁ、今日の“解体”ノルマ分のな」

 

「か…解体ッ!?」

 

なんかよくわからんかハルサメのヤツはドン引きしたらしくヒィと小さく呻き声をあげて後退りした

 

「え………?ナニ?解体って……?誰かヤったの?」

 

「ナニ言ってんだオマエ、これは普通に食堂で余ったクズ肉だ」

 

「あ、ソうなんだ…」

 

ハルサメはなんだよビビらせやがってーとか言いながら五月雨の背中をバシバシ叩き、その、無駄に長い髪を手に取りトリートメントはしているか?と小粋なハルサメジョーク言って五月雨から水平チョップを喰らった

 

「で、このクズ肉を基地の地下にある“解体室”に……いや、解体室と言えるか?アレは」

 

「さぁ?どちらかと言えば“穴”っぽいですよ」

 

「まぁ、たしかに……穴だな」

 

「あの〜…え?ナニ、その解体室だか解体穴だかにソのクズ肉を持って行ってナニスんの?」

 

「ナニって………生贄に捧げるんだが?」

 

「イケニエ…っ!?」

 

まぁ、正確には生贄ではなく、ただの肉なので生贄の代わりと言ったところだが………毎日、だいたい駆逐艦のアホガキ二人分くらいの量の肉を用意し、穴に放り込むのがこの基地では日課になっている

 

「え?ナニ?イケニエってなんなの!?」

 

「上からのノルマでな、生贄に捧げないと大変なコトになるんだよ」

 

「いやいやいや、ノルマでイケニエって!ソんなの絶対おかシいよ!?なんなの!?海軍怖いよ!闇が深スぎるよ!」

 

ハルサメはこえーヒューマンマジこえーと小粋な深海ジョークを言いつつガタガタと震えているが、人類を襲う天敵である深海棲艦には言われたくないものだ…

 

「………ちなみに、ソのイケニエを捧げなかったらどうなるの?」

 

「どうって……そりゃオマエ、基地の奥に封印されてる終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストが封印をブチ破って復活してこの基地を灰にするに決まってんだろ」

 

「ナニソのモンスター!?え……?なに?アポカリョー?」

 

「終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストだ」

 

「えー………?ナニソの厨二病みたいな名前のモンスター…」

 

「オイオイ、終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストを舐めるなよ、昔、俺は解体任務なんかやらねー!ってゴネた基地があってな、解体ノルマをやらずに放置していたら、終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストが復活し、その海軍基地と3つの国と7つの町、そして2つの山を地図から消す大災害が起きたコトもあるんだぞ」

 

「ヤバスぎだろォ!!なんだよソいつ!!なんでソんなバケモノ海軍基地の地下に棲みついてんだよォォォ!」

 

「そして、その大破壊(オーバードライブ)の反省を経て、海軍基地では毎日生贄に捧げるようにキチンとノルマ制になったワケだ」

 

「いやいやいや、ソいつワタシらよかヤバいじゃん!?深海棲艦よかソいつ討伐シろよヒューマン!」

 

「無茶ゆーな、終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストは神、神に挑むなど俺たち人類には早すぎるのだよ」

 

しかしいつの日か、そう…いつの日か封印を破り、この世に完全復活した終焉の魔獣Ωアポカリプス・カラミティノヴァ・デスビーストが人類に審判を下す時が来るだろう

 

「…聞きたくなかった衝撃の事実だよ、いや、マジで」

 

「人類に逃げ場なし!ってヤツだなぁ、ガハハハ」

 

「や、笑い事じゃねーシ…」

 

ハルサメは缶のミルクティーを飲み干し、自販機の横にあるゴミ箱に投げつけたが、缶はゴミ箱のフチに当たって床に落ちた

 

「あ、やべ」

 

「やべ、じゃねーよ、横着するんじゃないよこの子は、キチンと捨てなさい、キチンと」

 

「ヘイヘイ…」

 

ハルサメは床に落ちた缶を器用に足のつま先で蹴り上げて空中に上げ、自身も飛び跳ねて片足で弧を描くように空き缶を切り裂き、真っ二つになった空き缶はゴミ箱内に落下した……こやつめ、明石の店で買ったとか言うナノテクの義足とゼス●スを使いこなしておるわい

 

「さ、部屋に帰ってゲームしよ…」

 

「ゲームしよ、じゃねーよ」

 

「いや……今、部屋戻ってもユウダチとムラサメの姉がイビキと歯ぎシりでうるセーシ、サミーの部屋でゲームシていい?」

 

「いいですよ」

 

いいのかよ!?なんだ…?コイツらマジで仲良いのか!?オマエはそれでいいのか五月雨ェ!そいつはオマエの本当の……いや、へへっ、本物とか偽物とか関係ねぇ、コイツはハルサメ、五月雨の姉、春雨さ…

 

「ゲームするのはいいですけど、ベッドでオ●ニーとかしないでくださいよ」

 

「シないよ!」



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提督と蒼き革命Ташкент!

革命軍の新たなる戦士!奥の奥まで見てみるかい?

【登場人物】

提督(駆逐艦への風紀には特に厳しい)
歌おう!(1000%)踊ろう!(2000%)

Ташкент(駆逐艦)
なんと驚異の4スロット駆逐艦、革命の闇は深い…



微妙な天気の続く春日和、明石の店で買った菓子パンと缶コーヒーを手に、駆逐艦のアホガキどもがヒィヒィ言いながら運動場を走る姿をベンチで見ていた俺は早速銀チョコの袋を開けて口に放り込む……まったく、アホガキどもが苦しむ顔を見ながら食べる菓子パンは最高だな

 

「やぁ、同志提督」

 

「…ん?」

 

そんな小さな幸せを満喫していると、あまり見慣れない顔の誰かがやって来た………誰だっけコイツ?たしか最近ウチに来た…

 

「君は………タスケ、だったかね?」

 

「Ташкентだよ、同志提督」

 

「あー…そうそう、タシュケだったな、タシュケ」

 

思い出した、面接でいきなりを俺を殺そうした東側来た新しい刺客、革命軍のヤツだ…

 

「座っていいかい?」

 

「ん?あぁ、座って構わんよ」

 

新たなる革命戦士、タシュケくんはニコニコと笑いベンチに座り、今日はいい天気だねだのそれはいったいなんだい?美味しそうじゃないか?だのごくごく普通の一般的とも言える感じでニコニコと俺に話しかけてきた…

ふむ、初対面の時にコイツもヤバいヤツだと思っていたが、意外とそうでもないのか…?と考えていると、タシュケくんはベンチから立ち上がり背中から金属バットをスルスルと取り出し………

 

「ウルァァァァァァァァ!!」

 

ブンッッッ!!(殺人フルスイング)

 

「はおっ!!」

 

俺をめがけて思いっきり振り下ろしてきたッ!!しかし、間一髪で俺はベンチからの華麗な脱出を図り、俺が座っていたベンチは見事に粉☆砕されたッ!!

 

「な……な……なにすんだテメェェェェ!!」

 

「素晴らしいよ同志提督!」

 

「あ?」

 

タシュケくんはさすがは革命軍参謀総長だよ!とか言ってキャッキャとハシャぎながら抱きついてきた……うぅむ、なんだろうな?本来、上司として部下の行き過ぎた蛮行を咎めるべきなのだろうが、不思議とこのタシュケくんには許してもいいのではないかと思える魅力がある…

 

「ま…まぁ、離れたまえ」

 

「そうかい?」

 

「それとタシュケくん、祖国ではどうだか知らんが、ここではみだりに異性に抱きつくものではない、うん、そうだ、みだりに抱きついたりしたら勘違いをさせてしまうからな!うん!」

 

「わかったよ、同志提督が言うならそうするよ」

 

タシュケくんはニコニコと笑って俺の言葉を了承してくれた………ただ、ちょっと思ったのだが、もしかしてこの娘、素直なんじゃないのか?いや、素直…?無邪気…と言うべきか?

 

「…タシュケくん」

 

「なんだい?」

 

「…ちょっと脱いでみようか?」

 

「いいよ」

 

タシュケくんは何の疑いもなく衣服に手をかけブチブチとボタンを外し、スカートに手をかけ…

 

「ちょっと待てェェェェ!なし!今のなぁぁぁぁし!ジョーク!小粋なテイトクジョークだから!な?脱ぐのなし!な?」

 

「…?、わかったよ!」

 

…あかん、この娘、相当ヤバいヤツだ、たぶんが俺が死ねと言ったら喜んで死ぬ系だ!?ちょっとしたジョークのつもりで日本人は皆殺しとか言ったら、それ!虐殺です!を実行するだろう、ま…マシーン!まさしくこの娘は命令を遂行する事を至上とする殺人機械(キリングマシーン)とでも言うかッ!?

 

「…タシュケくん」

 

「なんだい?」

 

「君は、その…アレかね?なんかこう…特殊な機関出身とかそんな感じのアレかね?」

 

「どうかな?別に普通だと思うけど?」

 

「普通か…」

 

おそらくだが、この娘の言う普通とは俺の知る一般的な普通とはだいぶかけ離れている気がしてならないのだよ…今度暇な時にガングートのアホにでも聞いてみるか、おたくではどーゆー教育しとんのかねと…

 

「まぁいい、タシュケくん、今から時間はあるかね?」

 

「今からかい?そうだね………1500に同志ガングート達とスペツナズ体操をする予定があるけど、他ならぬ同志提督の用件を優先するよ」

 

そう言ってタシュケくんは無邪気に笑って大丈夫だよ同志と親指をグッとあげた、しかしスペツナズ体操ってホントにあるのか…?前に同志エトロ……じゃない、択捉が口走ってたが、口からでまかせじゃなかったんだな…

 

「もんじゃでも食いに行くから付き合いたまえ」

 

「モンジャ?なんだいそれ?」

 

「もんじゃ焼きだ、まぁ…お好み焼きの親戚みたいなモンか…」

 

「モンジャヤ・キーねぇ…うん、いいよ!勿論付き合うよ!」

 

「うむ、君とは、まぁ…色々話をしておきたいからな」

 

まぁ、アレだ…ここは一つ、上司としてまだこの国に不慣れであろう部下とのコミニュケーションをとり、色々と意識改革を促さないとな、うん、意識改革を…

 

「あたしも同志とはいっぱい話したいコトがあるし、同志ガングートからも聞いてるよ、同志提督はいよいよ次の世界会議で資本主義のクソムシどもに“宣戦布告”をするだろうって…」

 

ガングートォォォォォ!!ナニワケわからんコト言ってるんだあの革命戦士はッッ!!アイツは俺をなんだと思ってるんだ!?レボリューションか!?あ?レボリューションなんか?あ?

 

「さぁ行こうか同志!」

 

タシュケくんは俺の腕をとるとグイグイと己の身体を押し当てながら俺を引っ張る………なるほど、これが驚異の4スロットル駆逐艦か、なかなかのモノをお持ちだな

 

◆◆◆

 

「聞いたぞ、同志提督…」

 

「あ?」

 

タシュケくんともんじゃ食った数日後、喫煙所でタバコを吸っていると、同じく喫煙所利用者のガングートのアホンダラがやって来てベンチに座って俺に隣に座れ!ほら!ここ空いてるから座れと言うようにベンチをバシバシ叩くので隣に座ると、ガングートは俺の肩に手を回した

 

「同志タシュケントとモン…モン……モンモンを食いに行ったらしいなぁ?」

 

「もんじゃ焼きな、あと、馴れ馴れしいんだよテメーは」

 

「あの気難し屋で冷酷と評判の同志タシュケントを手懐けるとは大した男だな同志提督!ハッハッハ!」

 

「うるせーよ、っーか気難し屋で冷酷…?」

 

「あぁ、同志タシュケントは我ら革命軍の中でもとびっきりのおきゃんと有名でな、祖国では彼女に関わった15歳以上の成人男子の生存率2%以下と言われていたぐらいだ」

 

「なんだそのヤバい数字は!?」

 

「ハッハッハ!さすがは同志提督だ!ハッハッハ!」

 

この野郎……他人事だと思って、しかし、そんなにヤバいヤツなのか、あの娘は…よし、出来る限り関わり合いになるのはやめよう!



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提督と夕張と人為的変態

帰ってきた自信作回、目覚める地球の力!この地球を舐めるじゃねぇ!!

【登場人物】

提督(提督ランキング低め)
メガネ男子、巨乳好き

五月雨(髪が長い)
長い髪は放熱を兼ねてるらしい

夕張(ヘソ出し軽巡)
ハッキリ言って自信作はたまに当たりがある、たまに

清霜(アホ)
戦艦になる為に日々、山盛りのキャベツはかかさない


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

上からきた米を集めろだのよくわからない任務の書かれたFAXを読みつつ五月雨のクソマズコーヒーを啜っていると、執務室の重厚な扉を勢いよく開き、クレイジーが服を着ているクレイジー軽巡がニコニコと愛嬌だけは抜群の笑顔でやって来た

 

「ハッキリ言って自信作です」

 

「…自信作か、サミュエル、卿の意見を聞こう」

 

とりあえず、自分の席に座って漢字クロスワードパズルを解いていた暇人秘書に俺は冷静で的確な意見を求めてみる

 

「たぶんいつものアレな感じだと思いますよ、あと、五月雨です、サミュエルさんは別人です」

 

「カッカッカ!こやつめ!」

 

そう言えばそうだったな、サミ……サミュ、サミュエルくんは最近ウチに配属されたゴールデンルーキーだったわい

 

「…で?今日はどんなゴミを作ってきたんだクソムシ」

 

「ゴミじゃありません、自信作です」

 

「ゴミかゴミでないかは私が判断する事だ、貴様は黙ってその自信作とやらを見せてみるがいい」

 

「はい!」

 

夕張のアホンダラは今日の自信作はすんごいですよー!もうすんごいですよーと言いながらニヤニヤと笑い、タブレット端末を取り出して画面を点けた

 

「こちらをご覧ください」

 

「………キヨシだな」

 

「えぇ、清霜ちゃんです」

 

タブレット端末に映る映像はどう見てもアホな子共のキヨシ………うん、どう見てもアホな子共にしか見えない

夕張曰く、この映像はリアルタイムで今現在のキヨシの姿を映しているらしく、夕張はポケットから電話的なものでキヨシになにやら連絡をしていた

 

「あ?もしもし清霜ちゃん?私、私!今から始めるからクスリをブスっと刺して!ブスっと!」

 

「オイ、クスリってなんだ?クスリって」

 

「まぁ見ていてくださいよ!ほら!」

 

タブレットに映るキヨシがなんかクスリ的なものをブスっと刺すと、キヨシの身体が……キヨシの身体が!!キヨシが何か別のナニかに変態していく…ッ!!

 

『ウオオオオォォォォォォ!!人為変態…ッ!』

 

キヨシ腕は何か平っぺたな翼のような腕に変化し!口元はまるで鳥の嘴のように尖る!!

 

「名付けまして、M●手術です!」

 

「M●手術…ッ!?」

 

M●手術、正式名称をモザイク・●ーガン・オペレーション!従来までの昆虫型しか出来なかったバ●ズ手術を、より進化させた手術で、地球上に存在するあらゆる生物をベースに強化手術が可能になった…ッ!!

 

「…足があるな」

 

「足なんか飾りです」

 

…とりあえず、俺たちはいつもの様式美を済ませ、俺は夕張のアホンダラにキヨシにいったい何の生物をベースに強化したのか尋ねてみた

 

「アデリーペンギンです」

 

「アデリーペンギンかよ…ッ!!なんかスゲー弱そうだぞ!?」

 

「いや、一応、清霜ちゃん本人に何の動物になりたいかなー?って聞きましたよ、私としてはホッキョクグマとかがオススメだったんですけど」

 

ちなみに、夕張が清霜に尋ねた時は姉妹で飯食いながらTVの世界のかわいい動物特集を見ていたらしい…

 

「しかし提督、アデリーペンギンをただかわいいだけのペンギンと侮ってはいけませんよ!」

 

「なん…だと?」

 

アデリーペンギン……ッ!!

 

コウテイペンギンと同じく南極をテリトリーとするこのペンギン、ペンギン的には中型サイズであり、最近は地球温暖化や観光や研究による乱獲!漁業による餌資源の競合などによる影響を受け一時的に減少したものの、ちょっと持ち直した!

このペンギン、主に海の魚を主食とし!シャチやセイウチには容赦なく狩られ!繁殖期にはカモメからも痛い目に合わさることもある!

 

「…いや、ダメだろ?それ、かわいいだけじゃん」

 

「えぇ、ぶっちゃけ、コレ!と言ってすごい特徴はありません」

 

「ダメだろ」

 

「大丈夫です、アデリーペンギンには巣作りの頃に落ちてる小石を仲間同士で奪い合う心の狭さがあります」

 

最高にゴキゲンです!と言って親指をグッと突き立てた夕張を見て、俺は大きく息を吸い込み己の中に気を充実させ、夕張のペラッペラな胸にソフトに触れ…

 

「通・●・拳!」

 

ドンッッッ!!(通●拳)

 

「オゴォ!!!」

 

「か〜ら〜のぉ〜」

 

まともに受けた通●拳の威力に膝を折る夕張の身体を優しく支え、俺は右手を夕張のペラッペラな胸に再びソフトに触れ…

 

「通・●・拳!」

 

ドンッッッ!!!(通●拳)

 

「ヒギイィィ!!!?」

 

通●拳の連打を受けた夕張は執務室の壁に激突し、2〜3回大きく痙攣したと思ったら、不気味な笑みを浮かべてフラフラと立ち上がった…

 

「コイツ…通●拳の連打を受けてまだ立ち上がるとは……なんてタフなヤツ!」

 

コイツ、もしかして陸奥の虎●を喰らっても立てる陸奥の歴史でも珍しいタフガイなんじゃないのか…?

 

「この痛み……そう痛み、提督からの痛みが私に“性”を実感させてくれます…」

 

「お…おぅ」

 

…まぁ、夕張が危ないヤツだってのは今に始まった事じゃないし、正直ドン引きだが…

 

「とりあえず提督、タブレットをご覧ください!M●手術により生まれ変わった清霜ちゃんの真の力をお見せしましょう!」

 

「真の力ねぇ…」

 

タブレットの映像にはM●手術で人為変態完了したアデリーペンギン・キヨシともう1人の姿………服を着る事により次のステージへと到達した最大最強の戦艦、武蔵ッッッ!!

 

『フッフッフ、武蔵さん、この戦いのキャッチコピーを知ってる?え〜っと……あ!そうそう!核兵器VS竹やり!』

 

『ほぉ…大きく出たな、だがその意気やよし!熱意やよし!いいだろう、オマエのそのガッツに応え、この武蔵…最大の奥義にてオマエを屠ろう…』

 

『あ…あの両手を組み、頭上に掲げた構えは……っ!武蔵さん最大の奥義!46㎝砲の構え!』

 

『フッ…』

 

あ、ダメだコレ、オイオイオイ、死んだわキヨシ…

 

『フッ!でも今の清霜なら武蔵さんにも勝てる…っ!身体中に満ち溢れるこの野性のパワーがあれば!』

 

駆逐艦 清霜

出身国 日本

M●手術 鳥類型-アデリーペンギン-

YU-GUMOランキング -19位-

 

「ちなみにYU-GUMOランキングとは姉妹環境下における姉妹の制圧能力を格付けしてます」

 

「キヨシ低いなオイ」

 

「えぇ、堂々の最下位ですから」

 

 

そして………キヨシ(アデリーペンギン)対武蔵の戦いは何事もなくイッパツで終わった、それはもう特に言う事は何もないぐらいの予定調和と言っていいぐらいのイッパツだった…

 

何事もなく入院コースを辿ったキヨシだったが翌日にはアホ仲間のイタリア駆逐艦とキャッキャとハシャぎながら川でザリガニを探していた…



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提督と五十鈴と悩み無用のactress

出たり引っ込んだりの姉妹間落差が激しい姉妹

【登場人物】

提督(女子供にも容赦しない鉄の拳)
年頃の娘は難しい

五十鈴(エンペラー)
人類最強の潜水艦狩りの達人、乳製品が好きらしく、乳製品をよく摂取している


明石の店で菓子パンと缶コーヒーを買い、喫煙所にでも行くかと歩いていると、執務棟と体育館のちょうど中間地点にある中庭のベンチで、黒髪ツーテイルの巨乳がうなだれてため息を吐いていた…

 

「………はぁ」

 

「よぉ、五十鈴パイセンじゃねーか、どうした?」

 

「…ん?あぁ、提督か………はぁ」

 

「人の顔を見てため息を吐くんじゃないよこの子は、なんだ?俺があまりにハンサムすぎて思わず恋しちゃったがなんか気恥ずかしくてため息で誤魔化したいのか?」

 

「なにその勘違い?死んで」

 

まったく、上司に対してなんて口の聞き方するのかねこの子は……もし、五十鈴パイセンが巨乳じゃなければ口にまるごとバナナを突っ込んでやるところなのだよ…

俺は五十鈴サンの横に座り、ビニール袋からまるごとバナナを取り出して袋を開け、ワイルドにかぶりついた

 

「何か悩み事かね?」

 

「…まぁ、悩みっちゃ〜悩みかなぁ〜」

 

「アレだな…………恋、しちゃってるんだな?」

 

「なんで悩み=恋一択なのよ…アホか、ってかマジキメぇわおっさん」

 

「おっさんじゃない、提督だ」

 

五十鈴サンは俺の手にあるまるごとバナナを千切ってそれを口に放り込み、ついでに、俺の持っていた缶コーヒーを強奪して一口飲む…

 

「…うえっ、苦っ!」

 

「ブラック無糖だからな、なんだ?五十鈴パイセンは苦いのお嫌いかね?」

 

「嫌いね、好きこのんで苦いもの飲むヤツの神経を疑うわ」

 

「オイオイオイ、コイツはとんだ毒舌子供舌だよ」

 

五十鈴パイセンはやかましいわと言って再び俺のまるごとバナナを奪い化学調味的バナナクリームで苦味を中和した…

 

「で?おっぱいデカいくせに味覚は子供な五十鈴サンはいったいナニを悩んでいるのかね?こう見えてもおじさん海軍の提督でね、君達の悩みとか気になるタチなワケよ?うん」

 

「誰が味覚は子供よ」

 

「さぁ、なんでも話してみなさい、お金がないのならおじさんイイ仕事紹介するよ、大丈夫!五十鈴クンなら〜…ん〜…?きっとすぅ〜ぐ稼げるよ」

 

「あからさまに怪しいわ!ってか、お金で悩んでるワケじやないわよ、お金ならあるし」

 

たしかに、五十鈴サンは相当稼いでるのでよほどアホなコトしない限りはなかなか極貧生活には転落しないだろう…

 

「じゃナニかね?」

 

「ん〜………ほら、最近さ、アレじゃない?なんか先制対潜とか対潜特化の海防艦とかなんか色々増えてきたじゃない?」

 

「まぁ、増えてきたわな」

 

まぁ、たしかに昔は五十鈴サンと由良さんが対潜を一手に担い、夜遅くまでカ級は魚雷を撃つ際に右肘がちょっと下がるだの、ヨ級は外角低めを苦手にしてるだのビデオテープが擦り切れるまで研究してたもんな……由良さんは寝てたが

 

「最近さ、なんかやる気ないのよねぇ〜…五十鈴的にはもう後進いっぱい居るし、そろそろ由良みたいに現役引退したいかな〜って考えるようになったワケよ」

 

「ふ〜ん」

 

「ふ〜ん、って!それだけ?」

 

「…いや、五十鈴サンの悩みってのは思ったより普通だなと」

 

「思ったよりってナニよ?思ったよりって」

 

「いや、五十鈴サンのことだからてっきりマミーヤに新しいスイーツ並んでるけど最近お腹周りが気になってるし、でも試しに1つぐらい食べてみたいぐらいの葛藤かと思ったのだよ」

 

「そんなしょーもないコトでため息なんか吐かないわよ、ってか、そんなの食べてから運動すればいいじゃない?悩む必要ゼロよ」

 

でたよ、ナイスガッツ体育会系理論、五十鈴サンの姉、長良主将ほどのナイスガッツ思考ではないにせよ、五十鈴サンもワリとナイスガッツ寄りの思考をしてるからな…

 

「で?どーなの?五十鈴現役引退してもいいの?」

 

「え?ダメ」

 

「なんでよ!?」

 

「五十鈴サンが現役退いたら五十鈴キングダムのキングダムメイト達はどうすんだよ?」

 

「大丈夫よ、あの子らは……五十鈴だっていつまでも現役じゃないんだから…そうね、あの子らもそろそろ見つけるべきなのよ、自分だけの“五十鈴コール”を…」

 

※五十鈴コールとは?

勝つのは五十鈴!勝者は五十鈴!と、どこかで聞いたコトのある五十鈴パイセン専用の声援、このコールが響いている間は潜水艦の骨格がスケスケになるらしい、五十鈴には丸見えよ!

 

「…なるほど、一応考えてたんだな」

 

「当たり前でしょ?五十鈴がおっぱいデカくて可愛いだけかと思ったの?」

 

そしてこの自信である、まぁ、たしかにおっぱいデカくて可愛いのは認めよう

 

「まぁな、ただ、提督的には五十鈴サンよか名取クンの方がお好みだな、特に、秋に見た浴衣姿なんてもう挿入してくださいって誘ってるかと思ったぞ、俺が鋼の精神力で自制しなかったらたぶん名取クンは今頃提督のち●ぽなしでは生きていけないド淫乱の性奴隷に堕ちていたのだよ」

 

「引くわッ!!ってか……ドン引きよ!ドン引き!アンタ五十鈴の妹でなんてコト考えるのよ!」

 

「えー…だって名取クン可愛いじゃん?たぶん五十鈴サンの姉妹で1番可愛いんじゃね?」

 

「は?五十鈴の方が可愛いわよ、ち●ぽついてんの?」

 

「女の子が真顔でち●ぽとか言うんじゃないよ」

 

「長良姉ェは脳筋でバカだからいいとして、由良は髪長いし性格悪いでしょ?あと鬼怒もバカだし、阿武隈なんて前髪長いし性格悪いじゃない?ほら、五十鈴が1番可愛いじゃない?」

 

コイツ、姉妹に対して容赦なくディスりよるわい…ってか、バカか髪長いか性格悪いしかねーのかよ

 

「まぁ、五十鈴サンはおっぱいデカくて可愛いわな」

 

「でしょ?」

 

「………名取クンには劣るが」

 

「はいキレた、立てやおっさん、タイマンよ、タイマン」

 

五十鈴サンは不遜にも上司であり、この基地の絶対支配者である俺の胸ぐらを掴みあげながらベンチから立ち上がった

 

「オイオイ、オレに売っとんのか?」

 

「売ってんのよ、買うでしょ?」

 

「…ふっ、躾のなっていない部下に教育をするのも上司である俺の仕事か、よかろう」

 

俺と五十鈴さんがバチバチとメンチビームの火花を散らしアンアンと額と額をごっつんこしていると、明石の店でなにやらお菓子を買って来たらしい由良さんがタラタラと歩いて来た…

 

「あら?提督と五十鈴じゃない?ナニやってんの?」

 

「あ?」

 

「由良は引っ込んでなさい」

 

「ナニよ、由良も仲間に入れてよ?ね?」

 

由良さんには俺と五十鈴サンが楽しそうに戯れているようにでも見えるのだろうか、ヘラヘラ笑いながら俺達の肩をバシバシ叩いてきた

 

「黙ってろ絶壁が」

 

「無い胸は黙ってなさい」

 

「ア゛ァ?」ブチィッッッ!!

 

 

こうして、一瞬にして堪忍袋の緒がプッツンした由良さんからの躊躇なき先制攻撃で俺達の戦いは幕を開け、俺と五十鈴サンと由良さんによるアツい殴り合いは30分ほど続き、最終的に、通りがかった長良主将に“戦いなんかくだらねぇ!走ろうぜ!あの夕日に向かって!”とアツく説得され、俺達はあの夕日に向かって走りアツい青春の汗を流した後、みんなで焼肉を食いに行った…



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提督とアークロイヤルと恋愛の達人

恋愛について考えるハードボイルドラブバイブル回

【登場人物】

提督(現代の産んだ歪み)
浜風ちゃんにはドキドキする

Ark Royal(覚醒の白き騎士)
ふむふむ、恋雨……コレか!

Jervis(侵略ゼロトリガー)
あのトゲトゲ?いつかストパーにしてやるワ

Warspite(女王陛下)
Arkにも頭痛いが最近はJervisにも頭が痛い




基地施設内にある海外艦の住む寮、ナショナル寮…

 

その、ナショナル寮の一室で一人の駆逐艦がお高価そうなマイ●ンのティーカップを手に昼間からティーを呷っていた…!

 

「Tea!飲まずにはいられないッ!」

 

最近、英国から来た新たなる駆逐艦、LuckyさんことLucky Jervisは飲み干したティーカップをこれまたお高価そうなテーブルに叩きつけた

 

「あのトゲトゲチビ!忌々しい!いつもいつもアタシの邪魔を…ッ!クソッ!」

 

「コラ、ジャーヴィス!食器をそんな乱暴に扱うんじゃない!あと、なんだその下品な言葉遣いは!」

 

「…チッ!またArk……まったく、いつもいつも細かいコトをグチグチと」

 

「なんだと?」

 

「なんでもないデース」

 

…ジャーヴィスは同僚であるアークロイヤルを舐めていたッ!それはもうベロンベロンにッ!正直、我らが女王陛下ことウォースパイトの事は尊敬しているが、この細かいコトにいちいち口うるさい女騎士に対し煩わしさすら感じている…ッ!やれ宿題はやったのかだの早く風呂に入れだのオマエはアタシのオカーサンか!ってぐらいに煩わしいのだ…ッ!

 

「まったく…勉強もせずにマンガばかり読んで、オマエには女王陛下にお仕えする者としての心構えが足りな…」

 

「ハイハイハイ!オセッ・キョーはウンザリよ!あと、今日の宿題はもー終わったシ!」

 

「む…そうか」

 

そして、アークロイヤルもこの歳若い駆逐艦、ジャーヴィスに対してどう扱っていいのかよくわかっていなかった…

 

「だいたいArkはアタマ硬いのよ、そんなアタマ硬くっちゃ今まで恋の一つもしてないんじゃないー?」

 

「恋………だと?」

 

「そう!恋!」

 

恋!その素敵な好奇心は英国紳士をも行動させる魔法の言葉!そして未知なる感情!たしかに!アークロイヤルは生まれてこの方、恋愛と言うものについて考えたことすらなかった…ッ!!

 

「恋のサヤアーテ!そして恋のツバゼリー!この国にも多くある恋の決闘術!」

 

「決闘術…ッ!?」

 

「Arkから見ればアタシはただマンガを読んでいるだけカモしれない、でもね!コレは恋と言う戦いの指南書なのよ…ッ!」

 

ジャーヴィスは持っていたマンガをアークロイヤルの眼前にズイッと押し付け、これは勝つ為に必要なBible!と力強く宣言した

 

「なん……だと?」

 

「…ま、身も心も硬度10#、Lonsdaleite bodyのArkにはワカんないでしょーケドー」

 

「む…むぅ」

 

「いい?アタシは遊んでるよーに見えてベンキョーしてるのよ、ベン・キョー!それを恋の一つもしたコトないArkにとやかく言われたくないネー!」

 

「クッ!」

 

アークロイヤルは戦慄した、この自分よりも遥かに小さな駆逐艦から感じる未知のプレッシャーに!たしかに、恋と言うジャンルにおいては自分はまったくの素人!対してジャーヴィスは玄人!

 

「ね?Ladyもそー思うでしょ?Arkはアタマ硬いって」

 

ジャーヴィスは今まで言葉を発するコトなく、ただ静かに紅茶を嗜んでいたウォースパイトに同意を求めた

 

「…え?え、えぇ……まぁ、たしかにArkは少々気負いすぎな部分があると言うか…」

 

「なんと!?」

 

「もう少し柔軟な考えが出来るようになればとは思いますが…」

 

…恋云々はいいとして、ウォースパイトとしてもアークロイヤルのちょっと残念なところと言うか、やや真面目すぎるところには頭を痛めるものがある

 

「クッ!じょ…女王陛下にまで指摘されるとは」

 

「ま、まぁ…そこがArkの良いところでもあるし…」

 

そして女王陛下はフォローも忘れない

 

「わかりました!このアークロイヤル!女王陛下の騎士としての尊厳に賭け!恋と言うものが一体何かを学んで参ります!」

 

「いえ、そこまで賭けなくても…」

 

「ジャーヴィス、次に会う時はもはや私はオマエを超える恋愛上級者だ、その首を洗って待っていろ」

 

「ハッ?ムリムリ、Arkにはムリネー、どーせ武器も尊厳も失ってクッ!殺せ!とか言ってるのがお似合いネー」

 

◆◆◆

 

「……と、言うワケでな」

 

「ナニが、と言うワケだ」

 

執務室で上から送られてきた米やら梅干しやら海苔やらのリストを眺めつつ、いったいコレは何のリストなんだよテメー!とツッコミを入れていたら、突然やって来た女騎士から今の今まで長々とくだらない話を聞かされた…

 

「このアークロイヤル、昔から剣や弓の稽古、あと家の手伝いに明け暮れくれる日々を送っていたせいか、たしかにジャーヴィスの言う恋とやらがイマイチよくわからなくてな…」

 

「ふ〜ん」

 

「そこでだ、ここは一つ、Admiralに恋とはいったいなんなのかを指南して貰おうと思ったワケだ」

 

ナニ言ってんだこの騎士様は…?そもそも俺に聞く必要なくね?おとなしく少女漫画でも読んでろよクソが…

 

「いや、別に俺に聞く必要ないだろ?」

 

「フッ、知っているぞAdmiral…最近、この国では、じぇいけーが冴えない中年男性に恋をする映画が流行りとかなんとか…」

 

…コイツ、またどっかでいらん知識を…ッ!

 

「ならばその冴えない中年男性に聞けば私にも恋と言うものが理解出来ると考えてだな…」

 

「誰が冴えない中年男性だ、冴えまくりだよ、こう見えても俺は恋愛の達人(マスター)と呼ばれた男だからな!」

 

「恋愛の達人(マスター)…ッ!」

 

だがそんな俺も、若かりし頃に君の恋愛はユニークすぎる、教授(プロフェッサー)にはなれない、せいぜい達人(マスター)だろうと指摘されたコトもあるが…

 

「そうかそうか!では教えてくれ!さぁ!この私に恋を!」

 

「待て待て待て、ちょっと待て!あと顔が近い!」

 

グイグイくるなコイツ……っーか、やっぱ見た目はスゲー美人だなコイツ、俺じゃなかったらこれだけ迫られたら即堕ちするぞ

 

「む、すまん」

 

「…はぁ、とりあえずアレだ、オマエ今現在、誰かを好きか?」

 

「あぁ!モチロン女王陛下に対し最大の好意と敬意を持っている!」

 

…ダメだコイツ

 

「そうじゃない、異性だ、異性、男だ」

 

「ふむ………田舎の父と祖父、兄弟達、あとは………Admiralだな」

 

「あーはいはい」

 

知ってた、たぶんそんな感じの答えだろうと予想してたのだよ

 

「よし、じゃ、オマエ、俺を見て胸がドキドキするとかあるか?」

 

「…?特にないな」

 

「よし、つまりオマエは俺に対して恋愛感情は持ってないと言うことが証明された」

 

「なん……だと?」

 

特定の異性に対し、胸がドキドキすることがステージ1の症状であると俺は騎士様に懇切丁寧に説明すると、騎士様はなるほどなるほどとメモをとった

 

「なるほど…心臓の鼓動が早くなると……」

 

「あぁ、だがコレはステージ1だがステージが上がれば危険な状態になる、動悸、息切れがあまりにも激しくなり場合によっては死に至るコトもある」

 

「なん…だと?」

 

「この症状を俺は“キュン死”と名付けた」

 

「キュン死………なるほど、恐ろしい症状だな」

 

たしかそんな感じだったろう、まぁ…大丈夫だ、うん、たぶん、大丈夫、だって俺、マ●レードボーイ全巻読んだことあるし、ちなみに、自分の席でシレっと週刊誌を読んでいる青髪ロング子はナニ言ってんだコイツ?みたいな顔をしているが、俺は間違っていない

 

「フッ、なるほど……つまりステージ1としては、その、心臓のコントロールをするコトだな?」

 

「え?あぁ、うん、そんな感じだな」

 

「よし、では早速実践するか、Admiral、こっちを向いてくれ」

 

アークロイヤルは強引に俺の顔を掴み、その、キレーな顔でじっと見つめて来た…っ!

 

「…う〜ん」

 

「…むぅ」

 

やっぱり美人だよなぁ〜…コイツ

 

やだ!こっちがドキドキしてきちゃったじゃない?え?もしかして、これって恋!?ウソ!こんな…こんな剣とか弓とかにしか興味ない騎士道バカに?まさか………ウソウソ!こんなのが私の騎士(ナイト)様っ!?

 

「………難しいな」

 

「あ、あぁ…そりゃ一朝一夕には難しいわな」

 

アークロイヤルは俺から顔を逸らし、クッ!とか言って悔しがっているが……危ない危ない、こっちが恋しそうだったのだよ

 

「…むぅ、おっと……そろそろ馬の世話をする時間だ、Admiral、今日はこれで失礼する」

 

「あ?あぁ」

 

アークロイヤルは“また私に恋を教えてくれ”と妙にカッコいい台詞を残し、執務室から去って行った……

ってか、またってなんだ?またって!アイツまた来る気かよ!?

 

「五月雨、今度アイツ来たらオマエが対応してくれ」

 

「え?普通にイヤですけど」



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提督と生意気な新入生

忘れられがちだけどクズの人

【登場人物】

提督(クズの人)
女子供にも容赦しないDV男

福江(10女)
2-4産、6-3は勝率悪いので早々に諦めた

五月雨(部下)
専業秘書艦、もう3年くらい出撃してない







「あ、そうそう、新しい人が来るんですよ」

 

「ふ〜ん」

 

五月も終盤戦に突入しつつある今日この頃、執務室で経費の書類を整理していると、机にアツい茶を淹れた湯呑みを置きながら無駄に長い青髪を揺らす青髪ロング子はしれっと大事なコトを言った………しれっと

 

「ちょっと前にもあったなこのパターン、で?今度こそおっぱいデカい系か?」

 

「さぁ?とりあえず艦種は海防艦の子です、択捉型の」

 

「はいきたよ!また来たやがったよ!ナニが択捉型だよ!もうウンザリだッ!」

 

俺はまるで正体不明の殺人鬼がうろついている洋館に閉じ込められた仲間達とバーベキューに来ただけの青年のように大きく身を振り手を振り、黒檀の机に両手を叩きつけた

 

「まったく…ウチは海軍のエリートを養成する幼年学校じゃねーっーの、それを上は一体ナニを考えている?あ?」

 

「さぁ?そんなコト私に言われても知りませんよ」

 

五月雨は履歴書っぽい書類を俺の机に置き、とりあえず配属の辞令出てるし文句があるならご自分でどうぞと言ってオレンジジュースの入ったグラスとカントリーマ●ムの入った小皿を置いた

 

「まったく……で?コイツはいつからウチに来るんだ?」

 

「もう来てますよ、扉の向こうで絶賛待機中です」

 

いやだわこの子ったら、なんて仕事が早いのかしら?コイツのこーゆートコがムカつくんだよ、とりあえず、イヤなコトはさっさと済ませて今日は熊野としゃぶしゃぶ食いに行く予定があるのだよ…

 

五月雨が扉の向こうに次の方どうぞーと声をかけると、珍しく執務室の扉をキチンとノックするなにやら小生意気そうなガキが入ってきた

 

「択捉型海防艦、福江だ!」

 

「ほぉ、なかなか元気があって宜しい」

 

履歴書的な書類を見るに、択捉型の10番か…ふむ、取り立てて目を引く数字もない、ごくごく一般的な海防艦…

 

「まぁ、最初はファームでガンバって貰うコトになるが、ウチはやる気のあるヤツはバンバン登用していくのが方針だ、是非ガンバってくれたまえ」

 

「了解だ!私は誰にも負けない…ッ!」

 

オイオイオイ、こりゃまた随分とやる気満々じゃねーの、たかが海防艦のルーキーと思っていたが…こりゃちょっとお灸をすえてやらないとなぁ

 

「誰にも負けないか……フッ、その心意気は良いが……福江クン程度のルーキーはこの海にはゴロゴロいる、そして、この先の海には途方もねぇ力を持った海の強者達がな」

 

「関係ない!全部ぶっ倒すんだ!」

 

「ククク、威勢の良さだけは一人前だ、いいだろう…君に教えてあげよう、絶望を…どうしようもない絶望を」

 

「やってみろこのヤロウ!私はナニをされても負けない!たとえこの身体をズタズタにされても心だけは負けない!」キリッ!

 

うん、今、提督はこの子の将来が心配になったのだよ…

 

俺は福江くんの小柄な身体に容赦なく真紅の衝撃を撃ち込んだ

 

「スカーレ●トニードルーッ!!」

 

「うっぎゃあァァァァァ!!」

 

福江くんはうっぎゃー!!と叫びながらゴロゴロと床を転げ回った

 

「鬼か」

 

「鬼じゃない、提督だ」

 

青髪ロング子は、コイツマジでやりやがったよ大人げねぇと言いたげな目をしていたがそんな事は関係ない、そもそもアレだ、忘れられがちだが俺は女子供にも容赦しない男だ

 

「ぅぅぅ…痛い、痛いよぉ…」

 

「痛いか?もう負けを認めるかね?」

 

「…ま、負け……?イヤだ!私は負けない!」キリッ!

 

「スカーレットニー●ルッ!」

 

「うっぎゃあァァァァァァァァァァ!!」

 

福江くん再びはうっぎゃー!と叫びながら床をゴロゴロと転げ回った

 

「痛ぁ…痛い、痛いよぉ…」

 

「負けを認めるかね?」

 

「負け……ない!絶対負けない!」キリッ!

 

このボウヤ、なかなか強情じゃないか…どうやらとどめのアン●レスまで撃ち込む必要があるらしい

 

「ならば受けてみせよ!真紅の衝撃をーッ!」

 

「はいはい、大人げない真似はやめてください」

 

さすがにこの惨殺劇を見かねたのか、いつもは面倒くさい事に積極性のない五月雨がこの辺でいいでしょう?と俺の放ったスカーレ●トニードルを掴んで容赦なくネジ曲げた

 

「うっぎゃあぁぁぁぁぁ!!指がッ!俺は指がァァァァァ!」

 

「福江さん、この人は上司ですけど基本的にはクズの人なので話半分くらいに聞いていたらいいですよ」

 

「あ、あぁ…ありがと、え…っと」

 

「五月雨です、とりあえずわからないコトがあったら姉妹の子や他の海防艦の先輩にでも聞いてくださいね」

 

「わ…わかった!」

 

ーーー

 

とりあえず面接も終了して福江くんも退室し、俺は破壊された右手の人差し指を固定した…

 

「鬼か」

 

「鬼じゃありません、五月雨です」



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提督と白露と強欲の理論

ナンバー1サブミッションアーティスト

【登場人物】

提督(チラ見はする、だって男だから)
クールを装ってドス黒い欲望を持つ快男児、ドス黒い

白露(長女)
白露姉妹の長女、意外にもすぐ下の次女からは姉さんとして慕われているとかいないとか

海風(長女)
改白露姉妹の長女、意外にも下の妹達からは口うるせーだのディスられている、前世が牛


「サラトガ2回6失点、無念のKOかぁ〜」

 

朝、速吸クンとキャッチボールをしてから自販機コーナーで缶コーヒーを買い、ベンチで基地スポを読んでいると朝っぱらからゴキゲンな鼻歌をフンフン鳴らしながら歩いている白露が目についたので声をかけてみた

 

「よぉ、朝からずいぶんとゴキゲンじゃねーの?」

 

「ゲッ…!テイトク…っ!」

 

「ナニがゲッ!だ、舐めてんのかテメーは」

 

俺はとりあえず白露にお茶でも飲んでちょっとハナシでもしよーやと誘い、ベンチをバシバシ叩き、ここ座れ!ほら!ここ空いてるぞ!と懇切丁寧なジェスチャーで着席を促しベンチに座らせた

 

「で?最近どーよ?白露ねーちゃんよぉー?」

 

「どーよ?って…ナニがどうって?」

 

「ナニって、ほら、アレだよアレ、最近ほらアレだよ?元気してるかー?とか、ムラムラしてるーとか、そんな感じのアレだよ、上司と部下のしょーもない話ってヤツだな」

 

そう、たまには部下としょーもない話をするのも上司と部下の円滑なコミュニケーションには必要であると俺は考える

 

「まぁ、元気がないワケじゃないけど……あ、そーだ!こないだパズル完成させたよ!1000ピースの!」

 

「パズルか…」

 

「あ、ナニその微妙な顔、ナニ?また地味な…とか思ってんでしょ?」

 

なかなか察しがいいなコイツ、さすがは白露姉妹の頂点に君臨する……ワケでもなく、むしろ一つ下の妹に刺されて転げ落ちた長女なだけはある

 

「思ってないのだよ、ちなみにアレ?なんか海の生物的な絵のパズルとかそんなアレ?クリスチャンラッセーラ的な」

 

「違うよ、べ●・ハーのやつ」

 

べ●・ハー!?いやだわこの子ったら、1000ピースとかシャバいなとか思ってたらとんでもない難易度だったのだよ…

 

そんな白露ねーちゃんのよくわからない趣味にドン引きしていると、廊下の先から紙袋を持った改白露型のラノベヒロインみたいな美少女顔のねーちゃんであり妹が歩いて来た

 

「あ、提督と白露姉さん、こんにちは」

 

「よぉ、海風ねーちゃん、今日も美少女じゃねーの?」

 

白露姉妹の後期型、自称、改白露型の長女である海風ねーちゃんは妹達の為に町のパン屋でパンを買いに行っていたらしく、今から妹達と仲良くちょっと遅めの朝食を摂るそうだ、まったく…美少女なあげくに面倒見も良いとは……あと5、いや、7年もしたら性奴隷になるまで●し続けてそのキレーな瞳からハイライト消してやりたいのだよ

 

「海風ェ…」

 

…そして、そんな海風ねーちゃんを憎悪を込めたドス暗い瞳で白露ねーちゃんは見つめながら爪をガリガリと噛んでいた

 

「どうしました?白露姉さん」

 

「は?なんでもないけどー?ちょっと爪切り残しあったから修正してただけだけどー?」

 

「そうですか、あ、そうそう提督、もしお時間あるならパンを一緒にどうですか?いっぱい買っちゃったので」

 

◇◇◇

 

海風ェ………妹の分際で長女を気取る罪深き妹よ

 

私には劣るとは言えなかなかの美少女で、まぁまぁのおっぱいを持ち、面倒見が良くて気立てが良くて下の妹達からは慕われ提督からの対応も驚くほど優しい…

 

まぁ、ぶっちゃけアレよ、アレ…

 

憎いッッッ!!!

 

私が持たない全てを持ちながら更にそれ以上を手にしようとするこの女がッ!強欲!強欲の塊!私が欲しくて欲しくて仕方ないものを持つこの魔女が…

 

だいたいナニ?その白髪?白髪なの?なにそれ?昔は黒かったけど地下牢で壮絶な拷問受けて白くなっちゃった系?あとそのおっぱいナニ?私には劣……うん、たぶん劣るけどその歳不相応なその乳!乳牛?乳牛かなんかなの?あ、わかった、牛ね!牛!前世が牛だわこの子、間違いない、だいたい制服からして白と黒とか私は乳牛ですってアピールしてるし、ってかさっきから距離!提督と距離近いよこの子、とんでもなくあざといよこの子、ほら!あのオッサン、クールを装ってるけどおっぱいチラチラ見てるから!ってかオッサンも最悪だよ!まぁ、私はいいとしてアレよ、五月雨とかすぐ上の姉が妹のそれとかマジ殺意持ってるから、クールを装ってるけどあの子もマジそのンミカゼっぱいに殺意持ってるから!あーぁ、アンタ明日の朝刊載ったわー

 

◇◇◇

 

…美少女の海風ねーちゃんにはよくわかっていないらしいが、俺にはわかる、白露のドス暗い瞳から憎悪、嫉妬、軽蔑、怨嗟……バリバリ裂けるドス黒い暗黒のクレバスから溢れ出るこの世の負が……

 

「あ、白露姉さんも一緒にどうですか?姉さんの好きなチョココロネもありますよ」

 

「行く!」

 

チョロ…ッ!?チョロいなオイ!白露!オマエの憎悪はチョココロネ程度に負けるのか!?

 

「じゃあ行きましょう、江風も山風も涼風も待ってますから」

 

 

こうして、俺と白露ねーちゃんは改白露姉妹の楽しい朝食にご相伴に与り、町のパン屋で購入した美味しいパンを食べた、ちなみに、チョココロネに関しては白露ねーちゃんと山風が奪い合いになり、大人げなさの極意を発揮した白露ねーちゃんがチョココロネの中身を全て吸い出すと言う暴挙に出て、完全に拗ねてしまった山風のゴキゲンを直す為に俺と白露ねーちゃんはパン屋まで走った、もうヤバいぐらい走った、走りすぎてパン屋の近くで吐いた俺に白露ねーちゃんは最高の美少女スマイルで飲みなよと言って牛乳をくれたのでストローを刺しておもいっきり握り白露ねーちゃんの顔に顔射してやった



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提督と五月雨となんやかなフィッシング

ザ・日常回

【登場人物】

提督(キュウシュウ男児)
フィッシャーマンズ・スープレックス

五月雨(白露姉妹の六女)
スクリュードライバー

秋月姉妹(あの高さに届くのかよ…ッ!)
基地には珍しい根が真面目で礼儀正しいロックな姉妹、かなり稼いでいるのに常な貧乏そうに見える不思議


「たまには釣りでもするか…」

 

おにぎりを作れだのお茶漬けを作れだのワケのわからん仕事を上に目をつけられない程度のなあなあな感じにこなす五月晴れの執務室、たまにはこの暑すぎず寒すぎないゴキゲンな陽気の下、魚釣りでもするかと考えた俺は五月雨と共に釣り具セットを持ち海へと来ていた…

 

「サミダリューン、今日は絶好の釣り日和だとは思わんかね?」

 

「まぁ、絶好かどうかは釣り博士ではないので知りませんが良い天気だと思いますよ、あと、五月雨です」

 

五月雨は被っている麦わら帽子のツバを掴み、微妙に風が強いですねと言いつつその辺に折りたたみの椅子を置き、クーラーボックスからペットボトルのお茶を取り出した

 

「ほぉ、卿は準備がいいな」

 

「むしろ提督の準備が悪いんだと思いますよ、はい、お茶、大事に飲んで下さい」

 

「うむ」

 

五月雨からペットボトルを受け取り、とりあえずそこら辺の堤防にでも座って釣るかと辺りを見回してみると、堤防の先に先客が座っていた…

 

「キタっ…!キタよ!AKI姉ちゃん!」

 

「落ち着いて!落ち着いて竿を引くんだTERU!そう、落ち着いて!違う違う!落ち着いて!ほら!全然落ち着いてない!」

 

対空防衛の要、その防空力たるや艦隊におけるエクスカリバーと言っても過言ではない頼れる防空メイト………貧乏姉妹こと秋月姉妹は竹竿的なもので海の魚達とアツいフィッシングバトルをしているらしい…

 

「大きい!コレ絶対大きいよ!すんごい引きだよ!」

 

「チクショウ!HATSU!網!虫とり網みたいなやつ!早く!」

 

「あったよ!虫とり網みたいなやつ!」

 

「でかした!」

 

…それ虫とり網じゃねーでタモ網って言うんだがな、いや、よくよく見たら初月が持ってきたアレは………虫とり網だ!?間違いない!あのシャバい見た目はまごうことなき虫とり網ッ!?

 

「今日の晩御飯…っ!クッ!釣るんだ…っ!みんなで食べるんだ!」

 

「TERU!ガンバレ!TERU!」

 

「もーちょいだよ!もーちょいだよTERU姉ちゃん!」

 

次女のTERU(巨乳)の身体を支えるAKI姉ちゃん(巨乳)

そして妹のHATSU(貧乳)は虫とり網を水面に構えている、実に仲の良い姉妹の連携プレイは見るものをアツくさせてくれるのだよ…

 

ーーー

 

「…さて、釣るか」

 

「そうですね」

 

貧乏姉ま……秋月姉妹の死闘を邪魔するのもアレなので、別のポイントへと移動した俺と五月雨は互いに釣竿を海面に垂らし、俺は手持ちの基地スポを、五月雨は最近買ったらしい文庫本を片手に魚信が来るのを待っていた…

 

「meたちは倒しに来たんじゃない、殺しにきたネ!問題発言連発のアイオワに非難殺到か…」

 

そういやイメトレ…?違うな、イントレなんとかだったか?アイツ、入隊前はアメフトのチアリーディングとかやってたらしいとアイオワから聞いたが、あのムッチムチバディで跳ぶ様はスカイ・ママと呼ばれて地元では大人気だったそうな

 

「しかし釣れねぇな」

 

「餌付いてないんじゃないですか?」

 

「んなワケねぇだろ、ちゃんと付いとるわい」

 

「ちなみに私のは餌も針も付いてません」

 

「仙人か、オマエは」

 

コイツ釣りをなんだと思ってるんだ?釣りってのはそう……アレだ、人と魚による釣るか釣られるか、食うか食われるかを賭けた聖なる戦い、聖戦に等しき戦いだぞ?ほら、あっちの堤防見ろ、今夜のメインディッシュを釣り上げて喜びのあまり次女を胴上げしてる貧乏姉妹を………あ、落ちた

 

「まぁ、そんなファッションフィッシングに興ずるオマエを、それでも許そう」

 

「はぁ、それはどうも」

 

五月雨は特に気にした様子もなく文庫本のページをめくり、ペットボトルのお茶を口に含んだ…

 

「しかし釣れんな」

 

「ポイントが悪いんじゃないですか?」

 

「ふむ…」

 

たしかに、こやつの言うコトも一理あるやもしれん、釣りにおけるポイントの選定とは言うなれば遠足の前日に購入するおやつの選定に等しい、300円と言う金額で如何に効率的に、なおかつバラエティと分量にとんだお菓子を購入するかを考え、最適な答えを導き出す事をこの国の子らは幼少期より鍛えられてきたのだ………だが!

 

「俺はここを動かぬ」

 

「はぁ?」

 

俺の導き出した答えは、まだ、この場に留まるコトだ

そう、安易なポイントの移動はするべきではない、男とは時に留まり、耐える時もあるとおばあちゃんが言っていたからな!

 

「まぁ、別に私は構いませんけど……あ、なんか引いてますよ?」

 

「よっしゃあ!!フィーッシュ!!」

 

俺は竿を掴み、リールをグルグルと巻いて全力で引き上げる!この引き……なかなかの大物とみた!!

 

「ぬぅ…!なかなかのパワーとスピード!五月雨、槍を持て!槍を!」

 

「ありませんよ、槍なんて、虫とり網ならありますけど」

 

「なんで虫とり網なんだよ!えぇい!まぁいい…!このさい虫とり網でもいいから獲物が海面に出てきたら掬え!」

 

オラオラオラオラオラオラオラァァァァァ!!これが人類の力じゃあ!たかが魚類如きが人間様に勝てると思うなよコラァ!!

 

「あ、なんか浮いてきましたよ」

 

「よし!掬え…っ!」

 

「…なんか思ったより小さいですね」

 

たしかに、浮いてきた魚影…?魚影かコレ?なんか四角い形に見えるんだが…なんと言うか、そう、アレだ、まるで折りたたみサイズの携帯電話のような…

 

『トウッ!!』

 

上手いこと虫とり網で掬い上げたそいつは勢いよく網から飛び出し、地面に着地した

 

「…なんだこれ?」

 

「アレじゃないですか?168さんのケイタイ」

 

「あぁ、そういやなんか変なケイタイ持ってたな、アイツ」

 

たしか海外製で手足が生えて動き回るよくわからんヤツだったか…

 

『マッタク、168ノヤツメ、ケータイハ投ゲルモノデハナイトイツモ言ッテイルノニ、困ッタヤツダ』

 

168のケイタイくんは俺たちに救出感謝すると礼を言い、スタスタと歩き去った………そうか、最近のケイタイってのはキチンと礼が言えるんだな、これまさにIT革命、ITレボリューションや…

 

「どちらかと言えばテクノスタブーに引っかかる系だと思うんですけどね、アレ」

 

「なんてコト言うのかねこの子は…」

 

 

その後、釣りに飽きた俺たちは釣り具セットやらを持って歩いていると、ダイコンの入った籠を背負った秋月姉妹のなんか白い子にAKI姉さん達を見なかったかと聞かれ、あっちで釣りをしていると教えると、お礼にダイコンを一本進呈された………きっとあの白い子は良いお嫁さんになるだろう





次回、戦慄!三すくみの戦い!日・英・露!


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山風とJervisと革命のエチュード

危険な2人!スーパー提督は眠れないかもっぽい!

【登場人物】

提督(キュウシュウ男児)
細麺派

Jervis(サラサラキンパツ)
熱いのはニガ・テー

山風(トゲトゲクセゲー)
うどん好き

Ташкент(ふわふわヘアー)
味噌ラメーン


自販機コーナーで缶コーヒーを買い、喫煙所でタバコでも吸うかと考えながら歩いていると、後方からナニかがぶつかるような強烈な衝撃を受けた

 

「おごぉ!!」

 

「あははは!Darlingだ!あはははー!」

 

「じゃ……ジャーヴィーくんか…」

 

後方からの高速ロイヤルタックルを仕掛けてきた英国からの刺客!ラッキー・ジャーヴィスくんは特に悪びれた様子もなくダーリーダーリー言いながら俺の腰に抱きついてキャッキャとハシャいでいる…

仮に、このバックアタックを敢行して来たのがジャーヴィーくんではなくキヨシあたりだったら俺は間違いなくスピンダブルアームソルトで両腕を痛めつけているところだが、このジャーヴィーくんのバックには“あの御方”がいるので俺としても下手に手を出すワケにもいかない政治的背景がある…

 

「Darling今ヒマ?良かったらJervisとティーでもしながら楽しくお喋りしましょ?ね?うん、それがいい!ね?」

 

「いや…提督は別にヒマではないのだが…」

 

「そーしまショ!そーしまショ!Jervisがいっぱいserviceしてアゲ・ルー!」

 

相変わらずグイグイくるなコイツ、マジグイグイきやがる、おじさんこーゆーグイグイくる今風の子は苦手なんだがなぁ〜…

 

そんなグイグイくるジャーヴィーくんをどうしたものかと頭をひねっていると、中庭の方からダチョウの出来損ないみたいなワケわからん鳥みたいなのに跨った山風がやって来た…

 

「…提督、なにしてるの?」

 

「それはこっちのセリフなのだよ、なんだその鳥は」

 

「…アカシファームで飼ってるエミュー、名前はDAISUKE」

 

「ナニがDAISUKEなのだよ」

 

あの野郎、まだ謎の鳥牧場やってたのか…俺は前に、殺せと命じたハズだが……まぁいい、あの金の亡者は後でア●ルプラグ刺して尿道からメ●ミルク流し込んでダブルピースの刑にしてやるわい

 

「うわ…ナニこの鳥、Struthio camelus?ってか……くさっ!トリくさっ!?」

 

「…やれ」

 

ガツン!!(くちばしアタック)

 

「あいったァ!!……こ、この!!Fuckin bird!ナニしてくれルノー!!」

 

山風の乗ったエミューのくちばしアタックを見事に顔面に喰らい、ジャーヴィーくんは鼻を抑えつつあまり紳士的とは言えないキングスイングリッシュでキィーキィー文句を言っているらしい、正直、早すぎてよく聞き取れないがたぶん紳士的ではないだろう

 

「…DAISUKEは心がキレイじゃないヤツには決して懐かない鳥、そう……ゼッタイ」

 

「こ…このトゲチビ…っ!アタシのセリフを…っ!」

 

「…そう、ゼッタイ」

 

「しかも二回も!!こ…こんな屈辱!生まれて初めてダワ!!」

 

心がキレイじゃないと懐かないのか……そういや、前に明石のアホがこのダチョウもどきからドリルくちばし連打を喰らっていたな、ふむ、あながち間違いってワケでもないらしい…

 

「ふっ、ま…!心がキレーイならこのJervisでもOKよ、トリ!ちょっとこっちに来なサイ!」

 

山風がダチョウもどきから降り、ジャーヴィーくんがダチョウもどきに手招きすると、ダチョウもどきは頭を若干下げ気味にジャーヴィーくんの手招きに寄って行き………

 

ボギャアアァァ!!(ヒザ蹴り)

 

ジャーヴィーくんはエミューの頭部に強烈な膝を叩きつけ、エミューはグェー!とか叫びながら転倒したッッッ!

 

「ダ…DAISUKEーーッッッ!」

 

山風は珍しく大きな声でエキサイティングに“な!何をするだァーッ!許さん!!”と叫び、ジャーヴィーくんはそれを見てニヤリと笑って微妙にナナメなポージングをキメている!そして…

 

「Darling!Darling!あのダチョー!またアタシをツッコーとしたノー!怖くて思わず蹴っちゃっター!」

 

「え?あぁ、うん」

 

ジャーヴィーくんコワカッ・ターと言いながら俺の腰あたりに抱きついてグイグイくる、そう、グイグイ

 

「こ…このっ!!」

 

「フッ、ヘイ!トゲチビ、その薄汚いダチョーもどきを連れてサッサと消えタラー?アタシは今からDarlingと楽しくお喋りして一緒にdinnerをとって夜は一緒のベッドで好きな子の言いっこしたりスルscheduleネ!」

 

なんだその予定!?聞いてない!提督は聞いてないよジャーヴィーくん?っーか、最後のトコはやっぱ子供だな、うん、おそらく、この年頃の子の性の限界はKISSぐらいでMAXだろう…

 

「テイトクから離れろバカキンパツ!」

 

「な、なんですッテー!!このトゲチビ!」

 

山風のローキックを喰らい、アイッター!!とか言いながら転がったジャーヴィーくんは、さらにマウントからの追い討ちを仕掛けてきた山風とキィーキィー言い合いながら熾烈なマウント争いの取っ組み合いを開始した

 

「やめんか、見苦しい」

 

「でも!」

 

「ダッテ!!」

 

「デモもダッテもないのだよ、喧嘩するんじゃないよオマエら、もうちょい仲良くできんのか?な?」

 

俺は2人をひっぺがし、俺達はこの基地の仲間、言うなればファミリーじゃねぇかとアツく2人に語りかけ、みんな大事な俺の家族だぜグラララと頭をバシバシ叩いてやった

 

「…ムリ」

 

「アタシもダメ、コイツマジキライ」

 

「あ゛?明日の基地スポ載ったゾ、キンパツ?」ピキッ!

 

「ア゛ァ?やんのかトゲチビ!」パキッ!

 

「だから、やめんか!」

 

バチバチとメンチビームの火花を散らし合う2人をさらにひっぺがし、仲良くしよ?な?仲良く!ラブ&ピースで世界はスマイル、ウルトラハッピーだよ?とアツく語りかけ、とりあえず落ち着かせる…

まったく、コイツら天敵中の天敵ってヤツなのか?いったいお互いのナニが気に入らないのか…

 

「まったく…」

 

未だ、キィーキィーいがみ合う2人をどうしたものかと考えていると、廊下の先からこのクソ暑いのに妙に厚着なのが歩いて来た……

 

「やぁ、同志提督、探したよ」

 

「お前は……タシュ、タシュ……タシュケくん」

 

「同志提督、ミソ・ラメーンを食べに行こうよ、ミソ・ラメーン」

 

旧ソから来た蒼き刺客、革命軍の戦士タシュケくんはニコニコと笑いながら俺の腕を掴み、グイグイ引っ張り己の身体を密着させてくる…!ってか近い!距離が近い!

 

「同志シムシリから教えて貰ったんだ、ゲロウマーって言ってたよ!」

 

「あ、あぁ、わかった、わかったからちょっと離れような?うん、顔が近いからな、うん」

 

「そうかい?」

 

タシュケくんは腕を離しニコニコ笑いながらさぁ行こうすぐ行こうと今度は俺の手をとってグイグイくる

 

「ちょ!Darlingにナニすんのよコイツ!」

 

「…グイグイするな、そもそも、誰?」

 

さっきまでキィーキィーいがみ合っていたハズの山風とジャーヴィーくんは、突如として現れたタシュケくんになんだテメーとインネンを付けだした

 

「?、同志提督、なんだいコレ?」

 

タシュケくんはlittle girl達を指差しまるでそこら辺に落ちている小石や名前も定かではないような虫ケラの名前を問うように尋ねる……

そう、その言葉には一切の迷いも躊躇いもない、そして、その瞳の光はコレにはまるで興味がないと語っているッ!

 

「まぁいいや、同志じゃないゴミクズは全部ゴミクズだし…」

 

タシュケくんは背中に手を突っ込みスルスルと金属バ…

 

「タシュケくぅーん!ちょっと!ちょっと!ちょっといいかなーッ!?」

 

「なんだい?」

 

俺はタシュケくんの両肩を掴んでその身体ごと壁まで移動させて壁にズドンすると、タシュケくんは相変わらずニコニコしながら何事かな?と問うてきた……

 

間違いない、おそらくこのタシュケくんには“同志”か“それ以外”の区分しかない、そして、同志には快く接するが、それ以外はゴミクズ同然なのだ…

 

仮にだ、このタシュケくんがあのキンパツリトルガールをバットでフルスイングし革命的ホームランを打っていたら確実に陛下大激怒、英国と革命軍の全面戦争、そして第三次世界大戦開幕!ハルマゲドン勃発!そして俺は全ての責任を負わされ、未来永劫鬼畜にも劣る賊の烙印を押され、

然る後、残酷な死を迎えるであろうコトは必至ッ!

 

「タシュケくん、彼女達は同志ではないかもしれないが……その、アレだ、ファミリーだ」

 

「ファミリー?」

 

「そう!ファミリー!ファミリーは仲良くするもんだ!な?だからこう…そう!アレだ!いきなりアレするのはやめような?な?」

 

「わかったよ、同志提督がそう言うならそうするよ!」

 

フーッ〜……良かった、話せばわかってくれて助かったのだよ、いやマジで、まぁ提督にもわかっているのだよ、このタシュケくんはびっくりするほど素直な子だ、うん、おそらく彼女はただ、俺とミソラーメンが食べたいだけ、そう、彼女が考えているのはそれだけなのだ…

 

「じゃあ、ミソラメーンを食べに行こうか!」

 

「あ、あぁ…」

 

よし、とりあえずハルマゲドンの危機は回避されたな、まったく…まだ夏前だと言うのにヒヤヒヤものなのだよ

 

「山風、そしてジャーヴィーくん、提督は急用が出来たのでコレで失礼する、ほら、これで2人でジュースでも飲みなさい」

 

俺は財布から千円札を取り出し、とりあえず近くに居た山風の手に握らせてやった

 

「…テイトク、そいつとどっか行くの?」

 

「アタシも一緒に行ってイイー?ね?ね?ね?イイでショー?ねー?Darling!」

 

「…オマエうるさい、黙ってろゲロチビ」

 

「ハァ?オマエが黙れ、トゲトゲ」

 

「仲良くしろ!仲良く!な?仲良くジュースでも飲め!な?」

 

このガキども…ッ!!

 

「あたしは別に構わないよ、だってコレ、同志提督のファミリーなんだよね?うんうん、いいじゃないかな、同志提督のファミリーならあたしのファミリーも同然だし」

 

そしてタシュケくんは我が師の師は師も同然的な理論で納得してくれたらしく、ニコニコと笑って2人の頭をバシバシと叩いている…

 

「…む」

 

「な…なんかシャク・ゼーンとしないわネ」

 

 

こうして、第三次世界大戦、そしてハルマゲドンを未然に防ぐ歴史には語られない俺のアツき戦いは終わり、とりあえずタシュケくんが聞いたと言う味噌ラーメンを食いに行った………まぁ、悪くはないが、俺はキュウシュウ男児なのでやはりラーメンはホカホカのトンコツに限る

 

◆◆◆

 

「山風ちゃん遅いなぁ〜…どこほっつき歩いてんだか」

 

山風ちゃんをお使いに出して1時間以上、未だに戻って来ないので探すついでに自販機でジュースでも買おうと歩いていると、中庭のところに私の運営する明石ファームの金の成る木、エミューが倒れてピクピクしていた…

 

「エ、エミューーッッッ!!」

 

な、なんでェ!?い…一体ナニがッ!?とりあえずエミューの頭の辺りを抱えて生死を確認する!

 

「だ…大丈夫!?死んでない?まだ死んでない?まだ肉にするには早……」

 

ズドン!(ドリルくちばし)

 

「グエッ!!!あ、あいったァ〜…!!こ、この鳥野郎!人が心配してや……あ、痛い!痛い痛い痛い!スイマセン!ホントスイマセン!





次回
ヒロイン様がヒロイン様するヒロイン回、たぶん


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提督と鈴谷とメガネがねえ

引力=愛

【登場人物】

提督(メガネ男子)
メガネなのにまるで知性を感じないメガネ、あふれる知性で返り討ちにしてやろう…

鈴谷(難攻不落のビッチ兵)
自称メインヒロイン様、ポジティブオブポジティブ

夕張(腹立つウエスト)
ハッキリ言って自信作でない日は以外はわりとマトモ






「ティーッス、鈴谷が遊びにきま……って、誰?」

 

「誰だじゃない、提督だ」

 

昨日の夜、明石と飲みに行った俺は久々にイイ感じに飲み歩き、久々に大人の夜を満喫し基地に帰って来たのだが………朝、起きてみるとメガネがない事に気付き、俺の部屋でグースカ寝てた明石に俺のメガネ知らねぇかと尋ねると、そんなモン知るワケないとまるで他人事のように言われたコトについカッとなり、腹キックぶち込んだら朝っぱら光る吐瀉物を俺のベッドにぶち撒ける大惨事となった…

 

「メガネじゃないじゃん?メガネは?」

 

「失くした」

 

「失くしたって……メガネってフツー失くすモンじゃなくね?」

 

「失くしたモンは失くしたんだよ、っーかオマエは誰だ?」

 

「鈴谷だよ!」

 

「なるほど……このビッチ臭はたしかに鈴谷か村雨だな」クンカクンカ

 

「ビッチ臭とかしねーし、ってかナニ?提督、メガネないとナニも見えない系?」

 

「まぁな、この距離だと輪郭が微妙にわかる程度か、ちなみに今、俺の目にはビッチ臭い長ねぎみたいなのしか見えん」

 

「誰が長ねぎだし」

 

たぶん鈴谷的なナニかはビッチじゃねーしとか言いながらこちらに歩み寄り、執務机によっこらせっくすとか言いながら座った

 

「机に座るな、殺すぞ」

 

「え?ナニナニ?マジ見えてないの?今、鈴谷スカート上げてお気に入りの超エロいパンツ見せてるけどマジ見えてねーの?」

 

「見えとるわい、オマエのクソ汚い黄ばんだ尿漏れパンツがな」

 

「ハァ!?クソ汚くねーし!ってか黄ばんでねーし!」

 

こんだけ近けりゃ見えるってのな、ナニが超エロいパンツだ、いつものしょーもない安物じゃねぇか

 

「ちなみにサミーは?今日休み?」

 

「休みだ」

 

「ふ〜ん、あ、じゃ、今日は鈴谷が秘書的なコトしてやろーか?日給1万円で」

 

「何が日給1万円だ、そもそも今日は大した用事もないし…新しいメガネでも作りに行くか」

 

「新しいメガネねぇ、あ、じゃ、鈴谷も付き合ってやろーか?メガネ屋行くんでしょ?」

 

「そうか……じゃ、付き合ってくれ」

 

「だよねぇ〜…ってか提督は鈴谷に対して厳しすぎ………ん?」

 

「なんだ?」

 

「あの……提督、今、なんと…?」

 

「なんだ?」

 

「その前ッ!!」

 

「付き合ってくれと言ったが?」

 

そもそもメガネがないと1メートル先も怪しいしな、間違っても車の運転も出来んし、誰か車持ってるヤツに街まで乗せて貰うつもりだったが……

 

「ほ、ほぉ〜…その、アレですか?今、提督は鈴谷の力が必要的なアレでしょうか?」

 

「まぁぶっちゃけオマエじゃないでもいいがな、足柄あたりなら暇してそうだし」

 

「いやいやいや!足柄サンなんか今日忙しそうだったよ!なんか朝からヘーイ!カモンカモーン!ハァイ!クラックシュ!とか行ってライン移動してたし!」

 

アイツ一体何と戦っているのだろう…?まぁ、足柄だって忙しい日もあるか

 

「じゃ、香取先生なら…」

 

「香取ーヌ!香取ーヌはほら!なんかテストの採点とかしてそーだし!たぶん忙しいよ!たぶん!」

 

「…そうだな、たしかに、香取先生のお手を煩わせるには少々気が引けるしな」

 

「だからほら!鈴谷ヒマだし?ね?鈴谷が付き合ってあげるって!ね?ドコ行く?街のメガネ屋?それともイ●ンモール行く?鈴谷どこだって付き合ってあげるよ!ヒマだし!!」

 

鈴谷の野郎はグイグイと俺の腕を掴み、じゃ行こう!すぐ行こう!と俺の腕を引っ張る

 

「うるせーよ、あと、ビッチ臭い、ちょっと離れろ」

 

「ビッチじゃねーし、あと、提督周りがあんま見えてないならちゃんと掴んでないと危ないじゃん?」

 

◆◆◆

 

そんなワケで、提督と街のメガネ屋へ行く事になったワケですが…

 

「しかし見えねぇなオイ」

 

「見えねぇなオイ、じゃねーし!なんでさっきから腕を動かす度に執拗に鈴谷の胸を鷲掴みにすんの!?おかしくね!?やっぱ見えてね?」

 

「見えないワケじゃないが、まぁ、見えにくいってヤツだな、まぁ許せ、ハッハッハ」

 

「ハッハッハじゃねーし!なに見えねーコトを良いコトに堂々とセクハラしてんの!?」

 

この野郎、やっぱ見えてるんじゃ……ってか、近くは見えるんだっけか、じゃ、やっぱ見えてるじゃん!ラッキースケベイ的なアレじゃなくてフツーにセクハラだったよ!サイアクだよコイツ!

 

「しかし提督って…」

 

「なんだ?」

 

「メガネないとちょい若く見えるくね?」

 

「ナニがちょい若く見えるだ」

 

「どーせならコンタクトにしてみたら?コンタクト?」

 

「やだよコンタクトなんて……目の中で割れたらどうするんだ?割れた破片で眼球が切り刻まれるだろーが」

 

「や、いくらなんでもそんなアブないモンじゃなくね?たぶん」

 

どうやらコンタクトはイヤらしい、フッ、まぁ実際はどうせコンタクトを挿入れるのが怖いとかチキンな動機なんだろーけど!プー!クスクス!

 

「いらっしゃいませー」

 

そんなワケで、メガネ屋へとやって来た鈴谷達……だったが、カウンターには見知った顔が立っていた

 

「アレ?ユーバリさんじゃん?ナニしてんの?こんなトコで」

 

「おや、鈴谷さんと……誰?」

 

「あぁ?夕張だぁ…?」

 

提督はカウンターに立っているユーバリさんにまるでメンチを切るように思わずKISSしてしまいそうなぐらいまで顔を近づけた、っーか顔!顔が近い!

 

「うむ、たしかに夕張だな」

 

「あ、もしかしてテイトクですか?どーしたんですか?メガネ」

 

「失くした」

 

ユーバリさん曰く、最近ヒマなので近所のメガネ屋でバイトを始めたらしく、レンズを付けたり外したりと日々の業務に従事しているらしい…

 

「なるほど、それで新しいメガネを………あ、どうせなら新しいメガネじゃなくて新しい眼とかどうですか?よく見えますよー写●眼、今ならコンタクト挿入れるよりカンタンに出し入れできますし」

 

「いらねーよ、そんなモン」

 

「そうですか、あ、じゃコンタクトとかどうですか?コンタクト」

 

「いらねーよ、どうせロクなモンじゃねーんだろーが」

 

「いえいえ、例えばこちらの次世代型ソフトコンタクトレンズ、メニ●ン2WEEKプレミオですが、うるおいがたまらねぇです、あと乱視用のメ●コン2WEEKプレミオトーリックは見え方がめちゃ安定するらしいです」

 

普通!?このヘソチラ軽巡!普通に普通なコンタクトの営業してる…っ!?

 

「メニ●ンの次世代型ソフトコンタクトレンズ、メ●コン2WEEKプレミオと乱視用のメニ●ン2WEEKプレミオトーリックはメ●コン独自の分子構造を採用した高性能素材シリコーンハイドロゲルで安全性(高い酸素透過性)と快適性(レンズのうるおいキープ)を兼ね備えたストレスフリーな2週間交換型のソフトコンタクトレンズです」

 

「ほぉ…」

 

「いやいやいや!ガチか!?ユーバリさんなんでそんなメニ●ン推すの!?え?ナニ?金?金貰ってんの!?」

 

「いえ、単にコンタクトレンズについての説明ですが?」

 

…この女マジパネェ、いつも天ぷらソバ食ってるだけの腹立つくらいウエストに悩みとかなさそうなヘソチラ軽巡かと思ってたわー、マジ思ってたわー、ほら!あのコンタクト嫌いの提督がなんか若干コンタクトって意外といいのか…?みたいな顔しちゃってるよ!メガネ>コンタクトだったのが徐々にメガネ=コンタクトぐらいに揺らいでるよ!

 

「で、でもぉ〜…やっぱ提督はメガネじゃないと提督って気がしないしぃ〜?やっぱフツーにメガネがいいんじゃないかと鈴谷的には思うんですけどー?」

 

「オマエの意見はどうでもいい」

 

「ヒドっ!?ちょ…!ヒトを付き合わせといてそれヒドくね!?」

 

「…たしかに、今までの俺はメガネ男子である事に固執し過ぎていた、そう…今の今まで何故浜風ちゃんが俺に対して少しよそよそしいと感じていたのか……それはおそらく、レンズと言う見えないフィルターがあるせいでちょっと近寄り難いものがあったのではッ!!」

 

「ねぇよ!!単に関わり合いになりたくねーから近寄らないんだよ!」

 

「なんだとこのビッチがァ!!そんなワケあるハズないだろーがァ!」

 

…ダメだコイツ、むしろどこからのその自信が湧いてくるのだろうか?ってかどんだけ前向き?

 

「まぁ、コンタクトがちょっと……と言うなら普通にメガネでもオススメがありますよ、ほら、こちらのフレームならレッド、ブルー、ゴールド、グリーン、ミラージュなど様々なシリーズを取り揃えてます、個人的にはゴールドフレーム天とかオススメですよ」

 

「クッ…!カッコいいじゃねぇか…」

 

黒と金のシックなフレームを見てちょっと心が揺らぐ提督、ま…まぁ、ちょっとオラついてる感あるっーか、ちょっとマトモな仕事してる人向けじゃないっーか、うん、まぁ、アリちゃアリかな…たぶん

 

「で?どれにしますか?」

 

「そうだな…」

 

「あ、コレでよくない?コレ、前のと同じやつ、提督にはやっぱ似合うって」

 

同じっーか、ちょっと違うんだろーけど、いつも提督が使ってるやつっぽいのを手に取り、提督の手に渡してやった

 

「…まぁコレでいいか、じゃコレでレンズ頼むわ」

 

「え!?そんなアッサリでいいの!?」

 

「まぁ、突然ガラっと変えてもアレだしな、あとなんだ…?似合うんだろ?コレが」

 

「え?あ、あぁ…うん」

 

提督は手渡したディスプレイ用のメガネをかけて同意を求めてきたので、ちょっとビックリした………いや、ちょっと?いや、マジで

 

「わかりました、じゃ、レンズ用意して作るのにちょっと時間かかるのでマンガでも読んで待ってるか後で取りに来てください」

 

「そうするわい、オイ鈴谷」

 

「な、ナニ?」

 

「近くにラーメン屋あっただろ?メガネできるまでラーメンでも食いに行くか、提督様が奢ってやるぞ」

 

「マジ!?なんで!?」

 

「…そこまで驚く程か?まぁ、暇とは言え付き合わせたからな」

 

…ま、マジか?アレ?もしかして提督ってメガネない方が鈴谷に対して優しいんじゃ……?ハッ!?もしかしてアレか!?普段はメガネかけててパッとしないけどメガネを外すとヤダ!カッコいい!的なアレなのでは…!?

これはもうアレだよ、アレ、もう確実に鈴谷メインヒロインルートに乗ったよ、どう考えてもメインヒロイン様だよ、嗚呼、もうアレね、見えるわ!見果てぬ先まで続く鈴谷様のメインヒロイン様へのロードが!

 

「なにキモい顔して笑ってんだオマエは…」

 

「え?別にぃー!笑ってないしぃー?ってキモくねーし!」

 

ーーー

 

こうして、鈴谷達は近所のラーメン屋でラーメンを食べ、無事、提督の新しいメガネを買って帰ったのです…

 

 

「…と、ゆーワケよ?熊野ちゃんよぉ〜?どーよ?ねぇ?どーよ熊野ちゃんよぉ〜?この鈴谷様の圧倒的なヒロイン力!これはもう勝ち確よ!勝ち確ぅ!」

 

「あー…はいはい、ってか私、今、忙しいから話しかけないでくださいまし、スクワットでもしてくださいまし」



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提督と閻魔の一航戦

異端の天才空母、赤城…

【登場人物】

提督(軍人)
基本的にはクズ…っ!救えない…っ!

加賀(青いやつ)
最強空母コンビ一航戦、イヤな先輩

赤城(赤いやつ)
最強空母コンビ一航戦、悪い先輩


当基地に所属する空母には絶対的な序列が存在するッッッ!!

 

閻魔の一航戦、鬼の二航戦、奴隷の五航戦と揶揄されるその絶対的な空母カースト制度は決して覆ること叶わず、決して変わる事のない不変の掟ッ!かつて、この基地の門をくぐる空母、一切の希望を捨てよとまで言われた事実は既に常識…

 

 

「…はぁ?赤城が町でバイトしてるだぁ?」

 

「そうらしいですよ」

 

「いやいやいや、ありえねーだろ?あの赤城だぞ?あのチンピラ空母が真面目に労働するとかフツーにないだろ?」

 

以前、加賀のヤローがコンビニでバイトを始めるも即日クビ、やりたい放題やらかし、給料どころか請求書を持ち帰って来たんだぞ?そして、その加賀と同類である生まれついてのワル、趣味は五航戦の苦しむ顔を見るコトと言ってのける生粋のドSぶり、その赤城が真面目にバイトするとかあり得るワケがない

 

「で?なんだ?加賀のヤローと同じくコンビニかなんかか?」

 

「いえ、なんでも話では町工場みたいなトコで働いてるらしいですよ」

 

五月雨から冷たい麦茶の入った湯のみを受け取り、んなワケないと麦茶をイッキに飲み干し、湯呑みを執務机にソフトに叩きつけた

 

「だいたい、誰から聞いたんだそんなホラ話」

 

「翔鶴さんです」

 

「翔鶴…?あぁ、五航戦の姉の方か…」

 

「翔鶴さんはウチの所属としては比較的真面目で常識的で嘘を吐くようなタイプでもないですし、まぁ、すぐに吐血しますけど…」

 

「そうだな、まぁ、たしかにすぐ吐血するが」

 

五航戦の姉の方、翔鶴………空母にしては珍しく礼儀正しく真面目でよく気のつく大人しめなタイプだが、病的なまでに妹を溺愛しており、妹の健康の為に日々のお百度詣りをかかさず、妹に最高の食生活を与える為に自らの命を削り続け、たぶん医者に診せたら健康な臓器は一つもないと言われるレベルで病んでいる…

 

「まぁ、なんか問題起こされる前に一応、確認しとくか…」

 

「それがいいと思いますよ」

 

「よし、では昼飯ついでに街に出かけるとしようか……サミダス、今日の昼飯について卿の意見を聞こう」

 

「そうですね………ざるそば、とかどうですか?あと、五月雨です」

 

「ざるそばか……ふむ、卿の意見を昰とする、では行こうか」

 

◆◆◆

 

五月雨と共に街へ行き、小粋でもなんでもない大衆向けうどん屋で昼食を摂り、件の赤城が働いていると噂されている町工場みたいなところへと向かっていると、道沿いにある自販機の前になにやら見知った顔が立っていた…

 

「アレ、加賀さんじゃないですか?」

 

「あぁ、加賀っぽいな」

 

自販機で買ったジュース的なものを購入している目ツキが悪くて性格が悪くて素行が悪そうな匂いがプンプンする女、いつもと違う街行きスタイルではあるが間違いなくアイツは加賀…ッ!赤城と並ぶ空母カースト最上位に立つ一航戦の片割れ!

 

「よぉ、加賀ァ…ナニやってんだオマエ?」

 

「あ゛?………ナンだ、テートクとサミーダレちゃんじゃねーの?そっちこそナニしてんだ?デートか?」

 

「んなワケねーだろ、ここら辺で赤城のヤローが真面目に働いてるとかウワサ聞いてな、ホントかどーか見に来たんだよ」

 

「ふ〜ん」

 

しかし加賀のヤローがこんなところに居るとは、まさか噂は本当だと言うのか…?加賀は興味なさげに缶のプルトップを開け、サイダー的なジュースに口をつけ…

 

「ってか赤城が真面目に働くとかマジありえねーっしょ?ギャハハハハ!」

 

「オマエも知らねーのかよ!ってか、じゃ!なんでオマエこんなトコうろついてんだよ!?」

 

「テメーにカンケーあるかっーの………いや、ま、隠すコトでもねぇか、ここら辺によ、腕の良い足袋屋があるっーから探しに来たワケよ」

 

「足袋だァ〜…?」

 

…そういや空母には足袋愛用者が多いな、コイツ、口と性格は悪いがその実力だけはホンモノだしな、意外とそーゆー繊細なトコには気を遣うのか、なるほど、なかなか感心じゃないか…

 

「自分ら用に何足か……あ、あと可愛い可愛い五航戦に買ってやらねーと」

 

「ほぉ」

 

なんだ、後輩の分まで買ってやるとは……趣味は五航戦いびりのイヤな先輩かと思いきや、なかなか良いところがあるじゃないか、いつまでもただのチンピラ空母ではないと言うことか……

 

「ま、五航戦には一足二十万ぐれーで売りつけるケドな!ギャハハハハ!!」

 

と、思ったけどやっぱちげーわ………ただのイヤな先輩で最悪のチンピラ空母だったわ

 

この最悪な先輩加賀に対し、何故か五航戦の姉の方は妙に慕っているらしく、過去にも幸運のお守りだの、うさんくさい健康食品などをとんでもない価格で売りつけては小遣い稼ぎをしている最悪っぷりだ…

 

「あー…笑った笑った、今度あの白髪ブリーチでピンクに染めるか」

 

「やめてやれよ、ったく…相変わらず最悪なセンパイだなオイ」

 

「あ?ナンだとコラ?アタマにくるぜ」

 

「うるせぇよ」

 

ーーー

 

…とりあえず、暇人の加賀を新たな旅の仲間に迎え、件の町工場へとやって来たワケだが……軍の者とは言え、いきなり中に入ってみるワケにもいかないよな、普通

 

「提督、あそこ、壁のスキマから中が見えそうですよ」

 

「でかした!」

 

たしかに、五月雨の指差した場所には微妙に壊れた壁の穴がある、なるほど.、これなら…

 

「どれどれ…」

 

「そもそも何を作ってる工場なんですかね、ここ」

 

「さぁ?知らね」

 

とりあえず俺と五月雨は壁のスキマから中を覗いてみる、まぁ、そもそもあの赤城がこんなトコで働いてるとは思えな…………って!!居たァァァァァ!!なんか工場のライン作業的な作業に従事する黒髪ロングの芋っぽい女ァ!!

間違いない……作業着的な服を着てはいるが、アイツは赤城だ…

 

「ナニやってんだ…アイツ」

 

「さぁ?ってか、オモチャ工場ですかね、ここ」

 

どうやら、赤城は猿がシンバルをシャンシャンするよくわからないオモチャを組み立てる作業をしているらしい…

 

『お、赤城さん相変わらず早いねー』

 

『仕事モ正確ダシ、赤城サン』

 

『まったく!このぶんだと次期工場長は赤城さんに決まりだなぁ!ガハハハハ!』

 

…そして、仕事仲間達からは妙に慕われているッ!これがあの赤城…?最強最悪の名を欲しいままにし、闇に舞い降りた天才と謳われた異端の空母赤城なのか…?

 

正直、今、目の前にある光景がまったく信じられずにいると、工場の終業時間になったらしく、従業員達は作業を終了し挨拶などかわしていた…

 

『えー皆さん、今月もお疲れ様でした、今日は給料の支給日ですので作業の片付けが終わった方から並んでください』

 

そうか、今日は給料日なのか……キチンと整列する従業員中に、赤城もいる、アイツが真面目に並ぶとは……

 

『はい、お疲れ様でした』

 

『…ウス』

 

この時、赤城が受け取った給料額は一万二千円、現代の貨幣価値に換算すると約十二万円になる(ざわ…っ)

 

「提督、アゴ!アゴ!尖がってますよ」

 

「ん?あぁ、すまんすまん」ざわ…

 

…しかしあの赤城がマジで真面目に働くとは、アイツは本当にあの赤城なのか?アイツは賭け麻雀で五航戦の姉から給料まきあげるどころか下の毛までブチ抜いて永久脱毛する悪鬼の中の悪鬼……

そんな赤城の変わり様を信じられない俺と五月雨は仕事が終わり、工場から出てきた赤城に声をかけるべきか否かを攻めあぐねていた…

 

「まさかあの赤城がな…」

 

「えぇ、私もびっくりです」

 

「まぁ、なんにせよ、真面目になったってなら良いコトだな」

 

「そうですね」

 

アイツに何があったかは知らないが、更生したのは悪い事ではないだろう、もしかしたら、赤城だけでなく他のチンピラ同然のヤツらにも更生する余地があるのやもしれんと希望を抱き、何も言わずに立ち去ろうとした俺の前を横切り、一航戦の青い方が工場から出てきた赤城に声をかけた

 

「ククク…らしくねーじゃねぇか、赤城」

 

「…加賀さん」

 

「似合わねぇコトしてるなよ、赤城、いつまでも遊んでるんじゃねぇ!」

 

チンピラ空母加賀は赤城にオマエならもっと稼げる!掴め!大金を…っ!と声をかけた!

 

「…五航戦に足袋を売りつける、加われ!赤城!オマエならやるハズ…っ!」ざわ…ざわ…

 

「ククク……いくらで売るんだ?」

 

「一足三十万、ビタ一文まからねぇ!」

 

「ククク……一足三十万か、相変わらずだな……加賀さん、いいよ、乗った、その話」

 

「赤城…っ!」

 

加賀はさすが赤城だぜとか言いながらその肩をバシバシ叩き、よし!行こう!前祝いだ!とか言いながら赤城と共に薄暗い町工場の路地へと消えて行った…

 

後に、不世出の天才と謳われた赤城の新たなる伝説の始まりである…

 

「である」ざわ…ざわ…

 

「である、じゃないですよ、アゴ!アゴ!」

 

「む、あぁ、すまんすまん」

 

 

後日、基地の自販機コーナーで缶コーヒーを買っていると、相変わらず青白い顔でゴホゴホ咳をしていた翔鶴に会い、加賀センパイから妹にどうかと素晴らしい足袋を買ったんですと嬉しそうに話していた…



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提督と浜●と美神法廷

神よ、私は美しい(ボロんっ)

【登場人物】

提督(モナリザってありますよね?)
大きいものは比較的すんなり覚えるタイプ

浜●(かわいい系)
マジかよオイ…

Richelieu(オシャレディ)
オシャレの勉強とスーパーモデル体型の維持はかかさない農家の娘


しょーもない書類仕事に飽き、タバコでも吸いに行くかと執務棟の廊下を歩いていると、階下の中庭でなにやら見覚えのないのがウロウロしていたので声をかけてみた

 

「よぉ、え〜……」

 

「あ、て、テイトク…コンニチハ」

 

…誰だっけかコイツ?イマイチ見覚えがないが、なんか見たコトある気がする誰か……?いや、待て待て、提督はこの基地にいる仲間は皆“家族”と心から思っているのでモチロン知っているのだよ?ただちょっとアレだ、ド忘れ的なアレだよ、アレ、家族と言ってもたくさんいるとたまにこんなコトだってある!

 

そしてこの提督は溢れる知性でこの前髪が妙に邪魔っぽい何者かが夕雲型の誰かだと気付いた、だって夕雲型の制服着てるしな!夕雲型じゃないのに夕雲型ヅラして夕雲型の制服着てる不届きなヤカラなどそうは居まいて…

 

「え〜………キミ」

 

「は、はぃ…」

 

メカクレガールは妙にキョドっており、その視線をそわそわさせている………たぶん、だって見えねーし

 

「キミは〜…そう、アレかね?最近ウチに来たアレだね、うんうん」

 

「は、はぃ…最近来ました、ここは…ふーちゃんと…なっちゃんも居るし、色々教えてもらってます」

 

「うんうん、そうかそうか!」

 

うんうん、ふーちゃんとなっちゃんか……うん!誰だそいつら!まったくわからん…ッ!!この子の名前すらわからないこの状況で新たに追加されたワケのわからん情報ッ!とりあえず、溢れる知性でこの子の名前がふーでもなーでもないコトは推察できたのだよ

 

「テイトクは……その、見回りかナニか……ですか?」

 

「まぁ、そんなところだな」

 

「そう……なんだ、じゃない…!ですか」

 

「ハッハッハ、別に構わんよ」

 

実際は書類仕事をバックレてタバコ吸いに行くところだが、まぁ、このメカクレガールがそう思っているのならそう言うコトにしておいてやらないとな、提督は子供の夢を守るタイプの大人だからな!しかしこの子の名前なんだっけか?たぶん夕雲型だからなんたら雲か…?

 

「あ……あの?」

 

いやいや、夕雲型と言ってもキヨシとかアサシとかキタローくんみたいに雲っぽく無いのもいるよな?むしろキタローくんってホントの名前なんだったっけか?キタローじゃないよな…たぶん

 

「あのぉ…」

 

思い出せ…っ!え〜……なんだっけ?このメカクレガールの名前は!?誰だ?夕雲か!?違う!夕雲はもっとこう…バァンって乳あるもんな!じゃ、巻雲か?いやいやいや、違うな、巻雲はたしかメガネだ

 

「あのぉ……テイトク?」

 

「ん?あぁ、すまんすまん、少し考え事をしていてな」

 

「そ、そうですか…」

 

メカクレガールは俺の顔を覗き込んでいたらしく、気がつくと顔が近かったが、その鉄壁の前髪で両目どころか片目すら見えなかった………しかし良い匂いするなこの子、なんと言うか、こう…まるで清涼感漂う美少女的な

 

「ふむ、トリートメントはしているかね?」

 

「え?あ、はい……一応、わた、私の髪、ちょっと痛みやすいって、なっちゃんが…」

 

「ふむ…」

 

なっちゃん………?そうだ、まずはそのなっちゃんとか言うヤツを思い出せば自ずとこの子の名前も思い出せるやもしれん、なっちゃん…一体誰のコトだ?なっちゃんとか言うからにはおそらく名前に“な”のつく人物、つまり、導き出される結論は……

 

「…長門?」

 

「はい?」

 

「いや、ないな、すまん、忘れてくれ」

 

ないな、長門だけはない、むしろこのメカクレシャイガールがあの長門をなっちゃんとか呼べる存在だとしたらこの子は戦艦を超えた戦艦、いや、戦艦を超えた戦艦、そのさらに戦艦を超えた戦艦と言っても過言ではない超戦士と言っていいだろう…

 

しかし長門じゃないなら誰だ…?ハッ!?那智!間違いない!妙高姉妹で唯一危険物乙種とフォークリフトの免許を持つインテリ次女!那智だ…っ!間違いない!

 

「なるほど、なっちゃんがな…フッ、まぁアイツもなかなかアレでハナシのわかるヤツだ、そうかそうか」

 

「え?あ、はい…なっちゃんは、ちょっと乱暴なトコ、ある…けど、実は優しくって…」

 

ちょっと乱暴…?アレが?

 

「あ、でも、ふーちゃんの方が乱暴って言うか…」

 

「ほぉ…ふーちゃんが」

 

とりあえず、なっちゃん=那智は判明したがこの子の名前は未だに判明せず、もう1人の謎の存在、ふーちゃんなる名前から推察するしかあるまい…

 

しかし、ふーちゃんか……これ一体誰を察しているのか?ふー、ふー…か、いや、もしかしてコレは名前ではなく、WHOでは?何者でもないWHO、もしくは世界保健機構……こいつはなかなかの難問だ

今わかっている事と言えばWHOちゃんは那智よりも乱暴者と言う僅かな情報のみ、正直、那智より乱暴なヤツなどごまんと居るしな…

 

「ふーちゃん、よく…おきちゃんに関節技みたいなのかけてて…」

 

「ほぉ…」

 

おきちゃん…?おき……ハッ!?オキシジェン・デスト●イヤーか!?なるほどな、ふーちゃんはおきちゃんに関節技をかける、つまりコレはいつでもゴ●ラを殺す準備は整っていると言う意味……となると、導き出される結論は

 

「…あ、でも、2人ともホントは仲良くて…」

 

「なるほどな」

 

うん!わからん!この子の名前がまったくわからん!と、言うか!誰なんだこの子は?なんかウチには珍しく可愛い系みたいな感じすぎるわい、そもそもなんだその前髪は?エロゲーか?エロゲーの主人公か?もしくは前髪あげたら超絶美少………

 

「ハッ!?」

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「思い……出した!」

 

そうだ、あの五月雨ですらその素顔をちょっと見ただけでマジかよオイ、なんだこの美少女ヒロイン!?みたいな顔して戦慄してたあの子………えっと、名前!名前が出ない!名前が、えー…なんだっけ?マジで、たしかハ……そう、ハ、ハマ?

 

「浜風ちゃん…?」

 

「え…?えぇ?浜風…ちゃん?」

 

違うな、浜風ちゃんはもっとこう…バァって大きいもんな、じゃない、浜だ!そう!浜…っ!この子の名前は…っ!何故だ、何故思い出せない!

 

「クッ!」

 

「あ、あの…」

 

俺はとりあえず浜なんとかちゃんの顔をジッと見つめてみる、透過率0%の鉄壁の前髪、色素の薄い髪の色と肌の色、そしてなんか美少女特有のなんかすげーイイ匂い、よく見ると、何故これほどの美少女が今までノーマークだったのか理解に苦しむレベルだがその理由はわかる、この子は性格的に自己主張に弱く、なおかつその前髪で真の顔を隠しているからだ!

 

「なんて惜しい存在だ…っ!」

 

「は、はぁ…?」

 

おそらくこの子が本気を出せばメインヒロインどころか、それまで居た誰もが霞む超絶美少女ヒロイン降臨となり世の男児達は熱狂するだろう、おそらくは………女神、この子は腕を失ったビーナスと同じく、そのポテンシャルを最大限に引き出してはいないのだ…

 

そんな現代のビーナスを前に、俺は己の無力に歯痒さを感じていると、薔薇のエッセンスを放ちつつ美しい鼻歌をフンフン歌いながら豪奢なキンパツが歩いて来た

 

「Tu crois, o beau soleil〜♩……ん?あら、amiralじゃない?ナニしてるの?こんなところで」

 

「ゲェーッ!オマエはーッ!」

 

フランスから来たパリっ子気取りの農家の娘!かませ犬!かませ犬のリシュリュー!!

 

「誰がかませ犬よ…っ!?」

 

「ハッハッハ、すまんすまん」

 

「まぁいいわ、私とamiralの仲だし……で?amiral、その子ナニ?」

 

リシュリューは浜なんとかちゃんを指差しコレなんですか?と重ねてフランス語で問いかけてきた

 

「…浜………ハマちゃんだ」

 

「ハマチャン?」

 

「は、はまちゃん!?」

 

なんかハマちゃんもびっくりしているっぽいが、まぁ、名前を間違えるよりは良いだろう

 

「そうだ、リシュリュー、オマエ、ハマちゃんに自己主張とはなんなのかを教えてやってくれないか?」

 

「…はぁ?なんで私がそんなコトを…」

 

「大丈夫だ!オマエなら出来る、何故なら俺はオマエを信じているからだ!」

 

「そ…そう?ふふ、そうなの?なら、教えてあげてもいいわね」

 

チョロいなコイツ……このリシュリュー、基本的には些かアレだがパリっ子気取りなだけあって自己主張性は強い、おそらくこのアホから学べばこのハマちゃんも誰もが羨み、そしてマジかよオイと振り返る超絶美少女としてその真の力を開放する事ができるだろう

 

「フンフン………ふ〜ん、ま、素材は悪くなさそーね」

 

「あ、あの…っ」

 

「ちょっと、動かないでくれる?」

 

「は、はぃぃ…」

 

リシュリューは早速ハマちゃんの顔や髪にペタペタ触ったりしトリートメントはしているかしら?と聞いたりしている

 

「ってか、前髪邪魔ね…」

 

「あ…」

 

「!?」

 

その時、リシュリューに電撃が走る…っ!丁度リシュリューが陰になって俺には見えなかったが、どうやらリシュリューはハマちゃんの素顔を見てしまったらしく、軽くブルブルと震えながら俺の方を見て“マジかよオイ”と言った顔をして首を横に振った…

 

「ど………どうだ?」

 

「Déesse………Déesseの降臨よ」ポロポロ…

 

当基地きってのオシャレディ!美の信奉者であるリシュリューは尊い…!尊すぎる…っ!と言って涙を流した、ば……バカな、あの己の美を信じて疑わないリシュリューですら膝をつき、敗北を認める真実の美だとでも言うのか!?この子は…っ!

 

「あ…あの、だい…大丈夫ですか?」

 

「Ma déesse, je vais donner ma vie…」ポロポロ…

 

「え?…え?す、スイマセン、英語?よくわかんなくて……あ、あの…あのっ!テイトク…っ!?」

 

 

この後、ハマちゃんと別れた俺とリシュリューは真実の美とは何か、我々、美の信奉者達はこれからもこの世界にあるまだ見ぬ美を見つけ、そして護ることを誓った…



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提督と海軍禁煙週間 前編

やめたんだ、禁煙10日目だよ(死亡フラグ)

【登場人物】

提督(喫煙者)
ショッピングセンターに行くと、まずは喫煙所を確認する生粋のスモーカーさん

五月雨(秘書艦)
ショッピングセンターに行くと、どうせ買い物には付き合わないので終わったら電話かメール


「五月雨ェ…」

 

「なんですか?」

 

今まで手にしたFAX用紙を執務机に置き、俺は努めて静かに、そして紳士的に我が頼れる秘書艦様に簡潔に用件を告げる…

 

「俺は軍を抜ける!」キリッ!

 

「…はぁ?」

 

ナニが海軍禁煙週間だ!バカじゃねぇの?一週間の間、海軍あげて禁煙し健康と環境に配慮し、人と地球に優しい海軍を目指しますだァ?オイオイオイ、優しい?優しいの意味を勘違いしておられぬか?これじゃ全喫煙者の抹殺だろ?上はいったいナニ考えてんだ?

 

「一週間ぐらい我慢出来ないんですか?」

 

「バカヤロウ、俺は我慢弱くセンチメンタルな男なんだよ、禁煙なんかしたらイライラするだろーが」

 

「イライラすればいいじゃないですか?」

 

「なんてコト言うのかね、この子は…」

 

「イライラする事によって身体の内から未知のパワーとか湧いてくるかもしれませんよ」

 

「…そうだな、そんトキは真っ先にお前をその未知のパワーで血祭りに上げて二度とこの俺に舐めた口が聞けないように永遠の隷属と忠誠を誓わせてやろう」

 

「それはちょっとイヤですね…」

 

五月雨は大して気にした様子もなく冷蔵庫からオレンジジュースの入ったペットボトルを取り出し2つのグラスに注ぎ1つを俺の前に置いた

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして、で?どうするんですか?一応、FAXには軍の施設内は勿論の事、地域へのアツい協力体制で軍の関係者にはタバコは一切販売しない感じとのコトですが…」

 

「バカめ、こんなコトもあろうかと……俺にはストックしているタバコが…」

 

机の引き出しを開けるとそこには先週買ったストックのカートンが………

 

「オイ、俺のタバコ知らないか?」

 

「今朝早くに憲兵みたいな人が来て押収していきましたよ」

 

「ハアァ!?ちょ、待てよ!聞いてねーぞ!?」

 

「そりゃそうですよ、今言いましたから」

 

こやつめ、なにをシレっとしてからに…

 

「あと、明石さんの店からも押収してましたよ、タバコと、ついでになんかいかがわしいDVD的なものも…」

 

「それ俺が注文してたヤツじゃね!?巨乳ファイナルウォーズじゃね?」

 

なんてコトだ…ッ!!せっかく楽しみにしてたのに、巨乳ファイナルウォーズまで押収して行くとは…憲兵とはかくも非情なる存在なのか!

 

「………まぁいい、じゃ、俺、休暇とるわ、一週間」

 

「休暇とるのは構いませんが、タバコは吸えませんよ、なんか喫煙者を感知するキラーマシーン的なものがそこら辺をウヨウヨ徘徊してるらしいんで」

 

「なんで軍はその無駄な科学力をもっと有効に活用できんのだ」

 

対喫煙者用殺戮機械 ニコチンX

 

喫煙を感知すると即座に反応し、喫煙者に対して催涙弾等の攻撃を加え、ひるんだところに接近して手にした鈍器で殴打し、なお抵抗があるようなら2億ボルトの電撃を叩きつける喫煙者を狩る為のまさしく非情のマシーン…

 

かつて海軍技本部門に在籍していたらしい一人の天才がランチを採る片手間に作り上げたらしいが、その当時はさすがにやりすぎだろうとの意見から採用されず、大量生産したものの日の目を見るコトなく倉庫に眠っていたらしい…

 

「ちなみにニコチンXは一週間すると勝手に自爆するそうで す」

 

「自爆かよ!機能停止とかじゃねーのかよ!?」

 

作ったヤツは相当にアタマのおかしいヤツだな………だが、機能停止ではなく自爆と言う点を採用するあたりロマンと言うものをわかっているな、そのアタマのおかしい技術者は…

 

「ま………とりあえず一週間だな?」

 

「えぇ、一週間とのコトです」

 

「やってやろーじゃねーの?一週間だろ?一週間、まぁその程度、俺の鋼の精神力があればラクショーよ、ラクショー」

 

「だといいんですが…」

 

こうして、和やかなムードの中、俺はオレンジジュースを飲み干し、海軍喫煙週間が始まった……

 

【禁煙1日目】

 

「あ、提督じゃん、ティーッス!ナニやってん…」

 

「……喰らえ!その毒蛇の牙を以て!!」

 

グシャァッ!!( 蛇咬(スネークバ●ト))

 

「グヘァ!!!」

 

【禁煙2日目】

 

「ティーッス、メインヒロイン様が遊びにきま…」

 

「……されば愚かなる者共に鉄槌を打ち下ろせ!荒ぶる神魔の怒りを以て!!」

 

グシャァッ!!!(蛇殺(スネークジ●ノサイド))

 

「ドヘァァァ!!!」

 

【禁煙3日目】

 

「ヒッ…!?な、ナニ!?鈴谷今日はナニもォ…!?」

 

「汝が神に我が身を捧げん!!!」

 

グシャァッ!!!(悪魔の腕(デ●ンズアーム))

 

「ヒギィィィィ!!!」

 

ーーー

 

あー…イライラするぜ、イライラが止まらねぇ…疼くんだよォ、とにかくイライラを止めてーって俺の“欲”が疼いて止まらねぇ、今ならアレだ、金剛のヤロウに会っても半殺しに……いや、全殺しにする自信がある、とにかくイライラが止まらねぇ…

 

「コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「あ?テメーのクソマズコーヒー飲むぐれーならぺ●シモンブラン一気飲みするわ」

 

「…さすがにそれは私もちょっとイラっとしますね」

 

禁煙3日目の執務室、俺は身体の内から湧き出る未知なるパワーではなく身体の内から湧き出るイライラと己の存在理由を賭けた壮絶な死闘を繰り広げていた…

 

「とりあえずイライラしてるからって人や物にあたるのは良くないですよ、ここ最近、比較的年少の子達とかテイトクが近寄り難いって言ってますし」

 

「フン、バカめ、提督は常に孤高の存在、近寄り難いなど当然のコトよ」

 

…たしかに、ここ最近アホガキどもが寄り付かん気がするな、まぁ、どうでもいいコトだが…

 

しかし禁煙とはこれ程までに苛烈なものとはな…ハッキリ言って予想外だ、このままではいつぞやの禁酒刑を受けたポーラみたく精神が破壊されるかもしれん…

 

「はい、禁煙パイポです」

 

「ほぉ…禁煙パイポか?」

 

五月雨はコンビニの袋から禁煙パイポを取り出し、俺の机に置いた…

 

「えぇ、それでも咥えてたら多少はマシになるんじゃないですか?」

 

こやつめ、ニクいコトをしおるわい…さすがは我が信の厚き秘書艦と言ったところか

 

「卿の心遣い感謝する、褒美は何がいい?拳か?蹴りか?」

 

「そうですね、私のコーヒーをクソマズと言ったコトを謝ってください」

 

「こやつめ!カッカッカ!こやつめ!カーッカッカッカ!まったく、卿はジョークのセンスだけは一向に伸びぬわい!」

 

「はぁ?」イラッ…

 

 

この後、五月雨からビンタされたが、俺は悪くない





次回は後編、タバコを吸う為に提督が走る


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提督と海軍禁煙週間 後編

喫煙者 対 海軍禁煙週間

【登場人物】

提督(欲の塊)
力技には力技で対抗する知性派

五月雨(青髪ロング)
大胆不敵でめんどくさがり屋さん




【禁煙四日目】

 

「ああああああああ!!色即是空空即是色!色即是空空即是色!!」

 

ガンッ!ガンッ!(マッハ頭突き)

 

「…あの、うるさいんでちょっと黙ってくれますか?」

 

執務室の壁に頭を打ち付け、己の内にあるアツい“衝動”と死闘を繰り広げている俺に対してなんてコト言うのかね、この髪長駆逐艦は…

 

「禁断症状ぐらいもうちょっと静かにしてくださいよ」

 

海軍禁煙週間も既に四日目、日を追う事に増してゆく己の内から湧き出るパワーは最早自分でも制御が効かないレヴェルへと達している…

 

タバコを禁じられた事で俺の“欲”は疼いて疼いて止まらねぇ、ついでに、イライラも止まらねぇ…あまりにイライラしすぎて覇王色を常時垂れ流しているおかげでクソガキどもが近寄って来なくなったが…

 

「………五月雨ェ」

 

「なんですか?」

 

「俺、旅に出るわ」

 

「はぁ…?休暇ですか?ちなみにどちらへ?」

 

五月雨は目に見えてウンザリした顔しているが、さすがは付き合いだけは長い俺の頼れる秘書艦様だ、既に俺の答えを予想しているのだろう……

 

「タ バ コ 吸 い に 行 く ん だ よ」

 

◆◆◆

 

さて、速やかに休暇の申請をしてから基地を飛び出したワケだが……とりあえず街中にはニコチンだのヤリチンだのワケわからん喫煙者抹殺マシーンが徘徊しておりタバコを吸う事はできない、おそらくこれはこの街だけではなく今やこの国のどこにも喫煙者安息の地は存在しないのだ…ッ!

 

ならば俺がとるべき手段はただ一つ!!

 

「…さて、どこに行くか」

 

電光掲示板に表示されたフライトスケジュールを見つつ缶コーヒーの蓋を開け、これから先、どこへ飛ぶかを考えてみる、そう…この国に安息の地がないのなら他所の国に行けばいいのだ、そこで俺は誰に気兼ねする事なく、大手を振ってタバコを吸えばいいんだよ!ガハハハ!

 

「もしもし、ちょっとお話し宜しいですか?」

 

「あん?なんだアンタら」

 

己の天才的ひらめきと発想に笑いが止まらんわいとゲラゲラ笑っていると、なんか憲兵隊みたいなのが声をかけてきた…

 

「我々は軍の喫煙取締隊の者です、アナタ海軍所属の将校ですよね?」

 

「そうですが?ナニか?今、休暇中なんで、プライベートなんで、そーゆーのは秘書に任せてあるんで」

 

「スイマセン、念の為に喫煙者かどうかチェックさせて頂けますか?いやぁ〜居るんですよねぇ、国内でタバコが吸えないからと言って国外に出ようとする人が、我々はそーゆー人達を取締り………あ!逃げたぞ!!追え!追えーッ!」

 

チクショウ!!ここまでやるのか…ッ!!ここまで本気だと言うのか海軍は…ッ!俺はにこやかに話しかけてきた憲兵隊の皆さんをノーモーションからのスタンディングスタートで振り切り、ダッシュで空港ロビーから飛び出し、そこらに停めてあったバイクに生命を吹き込み、マシンはその魂に応えた走りで加速した!

 

「チクショウ!許さねぇ、許さねぇぞ海軍!」

 

まさか空港が張られているとは……と言うコトは、おそらくは港も張られている!ヤツら、喫煙者をこの国から一歩も出さないつもりなのか!

 

「舐めやがって……!!そっちがその気だってならこっちもやってやろーじゃねーか!いつまでも喫煙者様がおとなしくしてると思うなよッ!!!」

 

◇◇◇

 

【禁煙六日目】

 

…提督が休暇をとってから早二日、憲兵みたいな人達が提督が基地に戻っていないかの確認をしに来たりしましたがすぐに何かの連絡を受けて足早に去って行きました…

 

「あ、そうそう、今朝また海軍の喫煙取締隊が襲われたらしいよ、なんとこれで三十件目だって」

 

「へぇ」

 

提督不在の執務室、今日の開発日報を持ってきた夕張さんにオレンジジュースの入ったグラスと買い置きしてるチ●コパイをテーブルに置き、テレビのスイッチを入れると三十一件目の速報テロップが流れていた…

 

「最初は少数だったらしいけど、なんかだんだん数増えてるみたいだね、コレ、私が思うに扇動者がいると思うなー、コレ」

 

夕張さんは名探偵だか刑事だかみたいに指をビッと立てて、いやぁ〜コレはかなり組織的な犯行ですよ〜とケラケラ笑ってテレビを見ている…

 

「あ、ところで提督は?たしか休暇中だっけ?もしかして実家にでも帰ってるのかな?」

 

「さぁ?」

 

たぶん実家のご両親が卒倒するコトやってると思いますよ、今現在

 

「提督の実家かぁ〜…うん、一回ぐらいご挨拶しないとねぇ、提督無しで生きられないア●ルですってキチンと挨拶するのがやっぱ大切だと思うよね、ね?五月雨ちゃん」

 

「どうですかね?ちなみに私と由良さんは一回同行したコトありますよ、提督の実家」

 

「え?ホント?初耳だよ!どんなだったの?豪農だった?」

 

「いえ、ワリと普通でしたよ」

 

ーーー

 

「居たぞ!喫煙者(スモーカー)だ!」

 

「待て!気をつけろ!アイツはSSSレートの喫煙者(スモーカー)だ!最低でも五人以上でかかれ!」

 

…取締隊どもが、まさかその程度の戦力で俺達を止められるとでも思っているのか?

 

「中佐、ヤツらは俺達が…」

 

「いや、俺がやろう」

 

イキり立つ同志(スモーカー)達を片手を挙げて制し、目の前に群がっている有象無象の取締隊に飛びかかった俺はとりあえず一番手近に居たヤツの顔を掴み、そのままその身体を振り回して周囲に居た取締隊に叩きつけた

 

「もぎたてのパイナップルみてェ〜…」

 

「こ…コイツ!!」

 

「片手で…っ!?バケモノかよ!」

 

「オイオイオイィ〜?禁煙中の喫煙者がどんだけ凶暴なのかワカってねぇーのかァー?イライラしてんだよォ?なァ?イライラしてんだよォ〜…?イライラしすぎて俺の“欲”が疼いて仕方ねぇんだよォォォ!」

 

そうだ…“欲”が疼きすぎて浦風にパ●ズリさせて喉奥にブチ込んでケツの穴にブチ込んでそんでまた喉奥にブチ込んでまたケツにブチ込んでも俺の“欲”はおさまらねぇ…

 

「止めてみろよォ…俺の“欲”をよォォォォ」

 

◇◇◇

 

【禁煙最終日】

 

………俺達は負けた

 

海軍のヤツらが本気を出してきたのか、ニコチンを断たれた事で湧き出る禁断の力がついに切れたのか、意外とアッサリと負け、ある者は取締隊に捕縛され、またある者は自ら嫌煙を受け入れた

 

そして俺は………

 

「なにやってるんですか?こんなトコで」

 

行き場を失い、最後に帰って来たところが自分の基地………それも喫煙所とは我ながら、笑えるな

 

「笑ってくれて構わんよ」

 

喫煙所のベンチに転がる俺を見下ろす青髪ロング子は手にしていたビニール袋から俺の吸ってる銘柄のタバコの箱を取り出して俺の顔面に投げつけた

 

「あ痛い!?」

 

「もうすぐ夏ですけど、そんなトコで寝たら風邪引きますよ、一服したら自分の部屋に帰ってください」

 

「………どうしたんだ?コレ」

 

「前にママからボーイにって貰ってたんですよ、渡すの忘れてました、3年くらい」

 

「………つくづく卿にはジョークのセンスがないな」

 

「失礼な」

 

だが、今、コレを受け取ったところでもはや動く力すら出ない、どうやら俺はここまでらしい…

 

「五月雨ェ………口に入れて、火を点けてくれ…」

 

「え?普通にイヤですけど」

 

「マジかよオマエ…」

 

普通ここまでしてくれるなら最後にそれくらいしろよな、なんてサービス精神のないヤツなんだ………俺は最後の力を振り絞り、タバコの包装を破り、一本咥えてライターで火を…

 

「あ、ちょっと待ってください、あと10秒くらい」

 

「マジかよオマエ…」

 

「5、4、3、2、1……はい、どうぞ」

 

とりあえず、どうぞと言われたので火を点け、一週間ぶりの一服を身体中に取り入れる…っ!

 

「フーッ〜………美味い」

 

「そうですか、ふぁ………じゃ、私寝ますので」

 

あと、深夜に無駄な残業したので明日休みますと言い残し、青髪ロング子は喫煙所から去って行った………そうか、もう日付けが変わったか、あやつめ……なかなか粋なコトをしよるわい、今度アイスでも買って……や……ら

 

「………り」

 

 

こうして、海軍喫煙週間は無事終わり、俺は後日、上からなんか呼び出し喰らってワケのわからん容疑をかけらたが知らぬ存ぜぬで押し通したのはまた別の話…



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提督と雲龍と定食の逆襲

凶悪なる三つ首龍!究極にして無敵のブレス!

【登場人物】

提督(チキン野郎)
迷ったら、チキンにする

雲龍(妖●仙人)
雲龍姉妹の長女、超絶ワガママ、ただし、ワガママボディである


「腹減ったな」

 

窓の外には梅雨のNAKA休みで穏やかな天気が広がるSORA、書類を読んでは捺印し、書類を読んでは捺印する精密機械のような作業に従事していると、ふと、自分のお腹がペコちゃんなコトに気付いた俺は、同じく執務室に居る髪の長いヤツに今日ランチなんにするー?キャハーっと親しみと理解ある上司風に問いかけてみると、マジキモいんですけどと言いたげな微妙なツラを返されてイラっときた

 

「マジキモいんですけど」

 

「マジキモくない、提督だ」

 

「はぁ…?あ、今日、私は春雨姉さんと外に食べに行きますので、提督はどうぞごゆるりと一人中庭のベンチでラ●チパックでも食べながらピク●ックでも飲んだら如何ですか?」

 

「いやだわこの子ったら、そこはアレだろ?アレ、よければ提督もご一緒にどうですか?って誘う感じだろ、ったく、髪なげーくせに空気読めねーなオマエは」

 

「髪長い関係ないですよ、なんです?提督も私達とちょっと意識高めでオシャレなスウィーツ付きバイキングに行きたいんですか?」

 

「ハッ?冗談じゃない、っーか春雨姉さんと…って、オマエら仲良いんだな」

 

「えぇ、まぁ」

 

まぁ、その春雨姉さんは春雨姉さんであって春雨姉さんではない春雨姉さん的なナニかなんだが……ワリと昔からそうだったが、五月雨は春雨に対してだけは妙に親近感を持っており、オモテに出す事はないが村雨と海風には憎悪に近いドス黒いものを持っている、その理由は………まぁ、アレだよ、アレ、まぁ、なんっーか…ほら、アレだよ

 

「ふむ、そうかそうか…まぁそうか、そうだな!姉妹はやはり仲良くしないとな!仲良く!カッカッカ!」

 

そう、姉妹は仲良くするものだ、仮にその姉が見た目だけよく似てる別人な気もしなくもないが、断じてそんな事はない、ウチに居る春雨は春雨だ、みんな大事の俺の家族じゃねぇか…

 

「そんな春雨(バカ)を、それでも愛そう!」

 

「はぁ?」

 

俺は財布から千円札を取り出し五月雨の手に握らせてやる…

 

「コレ、少ないけどとっておきなさい、二人で帰りにジュースでも飲みなさい」

 

◆◆◆

 

「さて…どうすっかな」

 

五月雨のアホンダラと別れ、執務棟をブラブラと歩きながら今、食べるべき昼食について考えてみる……今日はコレと言って何が食べたい的なものはないんだよなぁ〜

こーゆー時はアレだよ、アレ、ほら、選択肢選ぶ感じのエロゲーの主人公みたいに選択肢とか欲しくなるな………よし!でろ…っ!選択肢!でろ…っ!目覚めろ俺の主人公パワー!

 

【① 膣●に出す】

【② 膣●に出す】

【③ 尻●に出す】

 

あ、なんか出た!!でもなんか違う!今求めてる選択肢はそれじゃない!今そーゆーシーンじゃない!クソッ!もう一度だ!

 

【① 明石の店で菓子パンと飲み物買って中庭に行く】

【② マミーヤに行く】

【③ 殺してでも うばいとる】

 

よし!また出た!っーか③!③の選択肢は今じゃないだろ!今じゃ!誰から何を奪うんだよ!?

 

まぁいい、とりあえず五月雨の予言に従うのもシャクだし…俺が選ぶ選択肢は②!マミーヤのとこ行って日替わりでも食うか…

 

こうして、俺は②の選択肢を選びマミーヤの店へと移動した…

 

ーーー

 

「いらっしゃいませ、今日の日替わりはベーコンエッグとワカメ汁のみそ汁とサンマの塩焼きと山盛りのキャベツです」

 

…ごきげんな昼食だ、このブタ乳女め、俺が今、イチバン食べたいものってのをワカっていやがる…

 

「からあげ定食くれや」

 

「からあげ定食ですね、伊良湖ちゃん、鶏殺して来て、今すぐ」

 

こだわりの間宮からあげは鮮度が命、やはり死にたてが一番らしい、まったく…もし俺がもう少し若かったらこのアマ、調理台に押し倒して麺棒でファックしてやるところなのだよ

 

そんなワケで、間宮お手製からあげ定食(1980円税別)を手に、適当に空いている席を探していると、丁度空いている席があったのでそこに決めた

 

「はぁ、よっこらセメタリー」

 

「…む」

 

「ん?おぉ、なんだ、雲龍……オマエも居たのか?珍しいな」

 

よく見たら俺の合席には頭が白くておっぱいデカくて目に光のない仙人みたいなのが座って山盛りのキャベツをモサモサと口に入れていた…

 

雲龍姉妹の長女、雲龍、見てのとおり、おっぱいの大きいやつだ

 

「別に珍しいことないよ、私は毎日ここで食べてる」

 

「ふ〜ん、そうなのか」

 

「天城の作るご飯はヘドロみたいな味がするし、葛城に作らせたら濁ったドブ川みたいな味がするのよ、だからここで食べてる」

 

「サラっとヒデーこと言うな、っーか妹をディスる前に自分で作れよ」

 

「私が?嫌よ、めんどくさい、食事はお腹が空いたら妹が用意するものよ」

 

なんと言う傲慢…っ!なんと言う圧倒的長女…っ!長女絶対君主制の多い姉妹艦の中でもこれほどワガママでかつワガママボディの者が居ただろうか…ッ!!このワガママはまさしく猛るこの星の“我”!決して己を見失わず揺るがない“我”だ!

 

「でも、天城も葛城も料金以下のクソマズい料理しか作れないからここで食べるしかないのよ」

 

「ふ〜ん」

 

そう言って雲龍はサンマの塩焼きを口に放り込んで咀嚼し、ペッ!と骨組みだけを器用に吐き出した、ってか器用すぎるだろ!?どうやったんだコレ!?

 

「提督のそれ美味しそうね」

 

「美味いんじゃねーの?なんたって新鮮な殺したての間宮ランチだしな」

 

「頂戴」

 

「やだよ、オマエ自分のあるじゃん」

 

「全然足らない、むしろいつも足りてない、天城がケチだからいつも日替わりランチ分のお金しかくれない」

 

…そう言えば、天城のやつ、前に会った時に最近は温泉旅館でショーのアルバイトしてるとか言ってたな、たぶんあのワガママボディで棒をクルクル回ったりしてるんだろう

 

「違う、天城と葛城は手品ショーしてるって言ってた」

 

「こ…こいつ!俺の心を読んだのか!?」

 

さすがは仙人みたいな空母なだけはある、たかが人間の心を読むなど朝飯前ってヤツか…

 

「天城のおっぱいの谷間から鳩出したりしてる」

 

「なにそれ超見たい」

 

「私から言っておいてあげる、かわりにそのからあげ頂戴」

 

「ダメだ、っーかオマエ、何個とる気だ?」

 

「全部よ」

 

むしろその定食そのものをよこせと言って雲龍は俺のからあげ定食が載った盆をグイグイと引っ張る

 

「ちょ!おま!やめ…!やめろ!なんだよオマエ!今さっき日替わり食ってたじゃん!?」

 

「全然足らない、お腹空いてしょうがないのよ、くれないなら提督をもぎたてのパイナップルみてーにしてやるわ」

 

「それ禁煙中の俺ェ!?」

 

「いいからよこしなさい!お腹空いてお腹空いてお腹空いてしょーがないのよ、噛むわよ!」

 

な、なんてヤツだ…チンピラ空母の南雲機動組よかマシだと思っていたが、こいつもとんだモンスターだよ、まさしくモンスター空母か…ッ!

俺の盆をグイグイ引っ張る雲龍に対し、俺も自分の定食を守るべくグイグイと引っ張った

 

「チィ…ッ!」

 

バチバチバチバチバチバチ!(サン●ガ)

 

「あ痛ァ!!痛い!痛い痛い痛い痛い!ちょ!待てよ!痛いって!」

 

雲龍の横髪みたいなのから電気みたいなのが発射され、俺にビリビリショックを浴びせてきた!!

 

「ちょ…!おま、なんだその能力!?電気か!?」

 

「電気よ」

 

そうか………電気か、コイツはとんだカミナリ様じゃねーの?ってか、サラっとゆーなよな、コイツ

 

「よし、立て雲龍コラ、タイマンだ、俺に勝ったらそのお腹がパンパンになるまで食わせてやんよ、あと、俺が勝ったらお前のその腹がパンパンになるまで注いでやんよ」

 

「いいじゃない、やってみれば…?」

 

椅子からゆらりと立ち上がった雲龍は横髪からさらに激しい電気……いや、これはもう雷!稲妻と言っていいレヴェルだろう、へへっ…!面白しれぇ…これが“雷帝”ってワケか!上等だよこのヤロウ…

 

「行くぞォ!ゴングを鳴らせ!戦闘開始だァ!」

 

「消し炭にしてやる…」

 

俺達は互いに椅子とテーブルを蹴り、今、正面から激突しようとしたその瞬間、俺達の間におそろしく精密なコントロールで投擲されたであろう包丁が突き刺さった!?

 

「こ…これは」

 

「まさか…」

 

包丁を投げた主は恐ろしくニコニコと笑みを浮かべながら“私の店でうるせーよ、殺すぞ”と一言だけ言って床に刺さった包丁を拾った

 

「あ、そうそう雲龍さん、この包丁、最近セラミック製に変えたんですよ」

 

「へ、へぇ…」ガタガタ

 

あかん、完全に電気対策されてる、ってかあの雲龍が超ビビってる

 

「あと提督、黙って食べてください、食事とは言うものは誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんですよ…わかりましたか?」

 

「は、はい…スイマセンでした」ガタガタ

 

なんだこの女ぁ…超怖ぇぇぇ、ヤバい、俺ビビって金出しそうになった、ナニが給糧艦だ………!コイツこそ本物の悪魔(ディアブロ)だ!戦艦なんかメじゃねぇ本物の災害(カラミティ)なのだよ…



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提督と初夏の大戦争 前編

初夏の人類とヤツらとの壮絶な死闘!

【登場人物】

提督(英語ならなんとか)
中佐、クズ・ゲス・カスの三重殺

秋雲(自称少年漫画家)
自称陽炎型、先日陽炎姉妹で焼肉したらしいのに呼ばれなかった

早霜(おませな駆逐艦)
夕雲型、秋雲を見るその右目はだいたい殺意を込めている


「てぇへんだてぇへんだー」

 

梅雨の中休み、爽やかな晴れ間の広がるこの良き日……今日はきっとどんな素敵なコトが待っているのだろうと水先案内人脳で考えつつ執務室で今週のジャ●プを読んでいると、夕雲型のようで陽炎型のような気もするふわふわした存在、秋雲が執務室の重厚な扉を開き駆け込んできた…

 

「うるせぇよ」

 

「てぇへんなんすよ!」

 

「まぁ落ち着きたまえ、ナニがてぇへんなんだ?あ?」

 

俺は先日、夕張のアホから貰った“気持ちを落ち着かせ脳をリラックスするスプレー”を秋雲の顔にBUKKAKEてやると秋雲はアヘェ…とか言いながら両膝をついた

 

「…や、ヤツらが……っ!ヤツらが来たんすよ!」

 

「あ?誰だよヤツらって?アレか?深海怒涛の基地強襲か?溢れる知性で返り討ちにしてやんよ」

 

「違うっすよ!カッパっすよ!カッパのヤツらがまた現れたんすよ!」

 

「………はぁ?カッパだぁ?ナニ言ってんだオマエ、イカレているのか?だいたいオマエ、アレだよアレ、カッパとか実在するワケねーだろーが、アレだよ、ほらアレ、どうせカメとかカワウソとかだろ?」

 

「いやいやいや、マジなんすよ!ってか前にホンモノのカッパが出没たじゃねーっすか!」

 

「あったか?そんなの」

 

「あったっすよ!お花見の場所取りで丁度良さげな場所に居て相撲とかしたっすよ!」

 

「あ~…」

 

あったな、そういやそんなコトが………あんトキはたしか長門とグラペンのバカどもが駆逐艦のアホガキどもにいいトコ見せようとしてカッパに返り討ちに合い、香取先生がオレの生徒に手を出すなーッ!で鬼の手グシャーッ!みたいに撃退してくれたんだっけか?たしか…

 

「それにカッパのヤツら、前回よりパワーアップしてるんすよ!そりゃもうメチャパワーアップしてるっすよ!」

 

「はぁ?カッパがパワーアップとかまったく意味がわからんのだが…」

 

頭の皿が強化セラミック製にでもなったのか?

 

「とりあえず来てくださいっす!見たらわかるっすよ!百聞は一時の恥っすよ!」

 

「一見にしかずな、一見に」

 

とりあえず、秋雲のアホにマジヤベーんすよ!マジヤベーんすよ!と腕を引かれるのも鬱陶しいので、俺は再びやって来たらしいカッパを見に行く事にした…

 

◆◆◆

 

基地の外れにある小川…

 

『ぎょうじ』

 

『ぎょうぎょうじ』

 

全体的なカラーリングは上から下まで緑、背中に甲羅を背負い、口元はクチバシ的な感じでトンガリ、頭に皿的なナニかを乗せた奇妙な生命体………これまさに“河童”の特徴に溢れているのだが、以前、この小川に現れたカッパとは決定的に違うものがある

 

マッチョである

 

『ぎょうじ』

 

『ぎょうじ』

 

そう、マッチョである

 

カッパと言うには些か体格もデカく筋肉質で、見た目だけでコイツは強靭(つよ)いと確信するには十分すぎる体躯ッッッ!!そして、そのカッパ的なナニかが数匹、小川の側でたむしろ、よくわからないカッパ言語で会話をしていた…

 

「オイオイオイ、なんだいありゃ?」

 

「カッパっすよ、カッパ」

 

「いやいやいや、アレがカッパとかないだろ?ほら、前に見たヤツはもっとガリガリな感じだったじゃん?」

 

「たぶんアレっすよ、アレ、進化とかしたんじゃねーっすか?」

 

「進化か…」

 

まさかこの短期間の間にこれほどの劇的な進化を遂げるとは提督も予想だにしなかったのだよ、もはやアレはカッパではない、現代の汚れた川と言う過酷環境で生きる為に進化した生命体“川フォーマー”と言っていいだろう…

 

『ぎょうじ』

 

そんな川フォーマー達を草むらの陰から見ていた俺と秋雲だったが、川フォーマーと目が合ってしまった

 

「あ、やべ」

 

「こっち来るっすよ!こっちに!」

 

「待て待て、落ち着きたまえ秋雲よ、相手は進化したカッパ、川フォーマー……見たところ、先ほども仲間同士で会話的なものをしていたぐらいだ、きっと対話する事も可能だろう」

 

「なるほど、さすが提督っす、この秋雲、メチャ感動したっす」

 

「ハッハッハ誉めるなよ、弱く見えるぞ」

 

そして、そんな俺達のところに一匹の川フォーマーがやって来てクチバシを開いた…

 

『ぎょうじ』

 

「テイトクテイトク、コイツなんて言ってるんすか?」ヒソヒソ

 

「たぶんアレだよアレ、こんにちは的なアレだよ、今のは」ヒソヒソ

 

「なるほどー、さすが提督、略してさす提っす!」ヒソヒソ

 

…正直、行司だか行事だかに聞こえないが、たぶん大丈夫だろ

 

『ぎょうぎょうぎょうぎょうじぎょうじ』

 

「なるほど…」

 

『ぎょうじぎょうじ』

 

「スゴいな…」

 

『ぎょうぎょうぎょうじ』

 

「…あぁ、君は悪くない」

 

川フォーマー語を聞きつつ、とりあえず当たり障りのない相槌を打ってうんうんと首を振ってみるが………うん、まるでわからん、ナニ言ってんだこの生物

 

「さすがテイトクっす、川フォーマー語ペラペラっすね」

 

「秋雲」

 

「なんすか?」

 

「ちょっとオマエ、寮に行ってキタローくん呼んで来い、キタローくんを」

 

「キタロー…?あぁ、早霜っすか?あのネクラっ子呼んでどうするんすか?」

 

「ちょっとキタローくんにコイツらがナニ言ってるのか通訳して貰おうと思ってな」

 

「わかってなかったんすか!?」

 

「わかるワケねーだろーが!!ぎょうじ!にしか聞こえねーよ!」

 

とりあえずはアレだ、この川フォーマー達は俺達にコミュニケーションをとる気はあるらしい、そしてコイツらは所詮、進化したとは言えカッパ、つまりは妖怪的なナニかだ………なら、こちらも対・妖怪的なモノのプロフェッショナルを呼び寄せる必要があるだろう

 

「ってか、なんで早霜?」

 

「キタローくんなら妖怪に強いだろ、たぶん」

 

「なるほど、よくわかんねーけどわかったっす」

 

‐‐‐

 

「…早霜、参りました」ボソボソ

 

「待っていたのだよ、よく来てくれたね」

 

「いえ…」ボソボソ

 

秋雲に呼びに行かせて15分、意外とスピーディーかつ迅速に戻ってきた秋雲と、対・妖怪のスペシャリスト、キタローくん…

 

「ときにキタローくんは川フォーマー語とか得意かね?」

 

「川フォーマー…?」ボソボソ

 

「アレなのだよ」

 

俺はキタローくんの肩に左手を置き、右手で小川のほとりに居る川フォーマーを指差した

 

「………カッパですか?」ボソボソ

 

「たぶん進化したカッパだろう、で?どうかね?イケそうかね?」

 

「…やってみます」ボソボソ

 

そう言ってキタローくん川フォーマーのところへ行くと、ぎょうじぎょうじと話す川フォーマー達の話を聞いて頷いていた…

 

「早霜にわかるんすかね?」

 

「大丈夫だろ、彼女ならやってくれる」

 

「なんでそんな早霜に対してアツい信頼あるんすか?」

 

「だってオマエ、アレだよアレ、ほら、キタローくんって言ったらアレだよ、妖怪事にはめっぽう強そうっーか…」

 

「それゲゲゲの人であって早霜はただのネクラっすよ、あ、帰って来たっす」

 

秋雲の冷静で的確なツッコミを聞かなかったコトにしつつ、君は悪くないと相槌を打っていると、キタローくんが川フォーマー達との来るべき対話を終えて戻ってきた

 

「どうだったかね?」

 

「はい、彼ら……単純に“相撲”がしたいそうです」ボソボソ

 

「SUMOU…ッ!!」

 

「はい、相撲です」ボソボソ

 

相撲……だと?たしかに、カッパはキュウリと相撲と尻子玉が大好きなよくわからない生物ッ!そういや前回も相撲対決をして長門とグラペンが尻子玉ファックされ悶絶していたな…

 

「彼らはただ純粋に、私達との相撲を楽しみたいと考え、今回はカッパの中でも選りすぐりの相撲上手、力士型川フォーマーを集めたそうです」

 

「なるほど、力士型川フォーマーか…」

 

しかし純粋にSUMOUを楽しみたいか……なるほど、誰が強くて誰が弱いか、力と力の真っ向勝負、カッパと言うものもなかなかどうしてピュアな生物なのかしれないな…

 

そんなカッパ改め川フォーマーズからの宣戦布告の旨を聞いた俺がどうしたものかと頭を捻っていると…

 

「フッ、話は聞かせて貰ったぞ同志提督」

 

「フッ、私達に声をかけないとは……水臭いぞ、同志Admiral」

 

「お、オマエ達はーッ!!」」

 

どうやらあっちの草むらの陰でスタンバっていたらしいバカ二人……ステゴロならイチバンでしょうと誰もが噂する最強の6‐Pack!大戦艦長門…っ!そして、魔界生まれの上級を超えた王族級魔族と噂されている痛快空母グラーフ・ツェッペリン…っ!

 

「フッ、以前は不覚をとったがこの長門、負けっぱなしは性に合わんのでな」

 

「フッこのグラーフ・ツェッペリンも同様だ、同志Admiral」

 

「オマエ達…」

 

前回、駆逐艦のキッズ達からちやほやされたいが為に力士型ですらないフツーのカッパの前に無残にも敗北し尻子玉をブチ抜かれ、キッズ達の人気と称賛は香取先生にも持っていかれたダメコンビだが……この瞳の輝き、フッ、どうやら今回は一味違うらしい

 

「いいだろう、この戦い、オマエ達の力を借りるぞ」

 

「フッ、任せておけ」

 

「フッ、ヤツらクソカッパーどもに地球生物の力を見せてやろう」

 

とりあえず、長門とグラペンで二敗するとしてだ、あと三人は必ず勝てるヤツを呼ばないとな…

 

「…提督、お困りのようでしたら私が…」ボソボソ

 

「キタローくん………いや、キタローくん、君の心意気は嬉しいが相手はあのマッチョ……力士型川フォーマーだ、君のように華奢で繊細な子がぶちかましでも喰らったらケガしてしまうかもしれない、それを提督としても見過ごすワケにはいかないのだよ」

 

あのバカども違ってキタローくんはまだ子供だ、彼女にはまだ若さと未来がある、そして、天才漫画家としての圧倒的才能も、そんな彼女にこんなしょーもないコトでケガをさせるワケにはいかない

 

「わかったかね?キタローくん」

 

「はい、提督がそう仰るのなら…」ボソボソ

 

俺は努めて紳士的にキタローくんの頭に手を置き何も心配はいらないのだよと安心を大安売りしてやった、たまにはこうして良い上司ぶるコトで下の者との円滑なコミニュケーションをとる事を忘れない提督の鑑だな!

 

「よし、ではキタローくん、川フォーマーどもに伝えてくれ、明日のこの時間!我々は貴様らを撃滅(たお)す最高の戦力を連れてくる!人類を舐めるんじゃねぇ!とな…」

 

「わかりました」ボソボソ

 

 

こうして、初夏を迎えつつあるこの季節に、俺達人類と川フォーマー達との壮絶な戦いが幕を上げた…




次回は後編

ぎょうじ


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提督と初夏の大戦争 中編

前後の予定はアテにならない無計画性…

【登場人物】

青葉(目が死んでる)
常にレ●プ後みたいな目をしてる重巡、謙虚な事に定評があり、提督と食事に行くと提督より高いものは食べない謙虚さ

初春(雅な御方)
最低でも千年は生きてる大妖怪と噂されている雅な御方、さっかー?嗚呼、蹴鞠みたいなアレじゃな

長門(復讐に燃える鉄の城)
負け確フラグは、長門には陸奥の知らぬ技がある

グラーフ・ツェッペリン(復讐に燃える魔界貴族)
負け確フラグは、確率について喋る事


「さぁー始まりました、人類VSカッパの全面戦争!実況は私、恐縮なコトに定評のある青葉、相撲解説には相撲には些か詳しいと定評のある雅な駆逐艦の初春様をお招きしております、本日は宜しくお願いします」

 

「うむ」

 

「さて初春様、今回の対決ですが初春様的にどうでしょうか?聞くところによりますと、以前、カッパとの対決であの長門さんが手も足も出せずにア●ルファックされたとの情報があるのですが…」

 

「カッパとは古来より相撲上手じゃからのぉ、力だけでゴリ押ししても勝てぬのは既に常識…」

 

「なるほどー、あ、ちなみに手元の資料によりますと、今回の対決には前回屈辱的敗北を喫した長門さんとグラーフさん、あと、曙ちゃんと時津風ちゃんと大鳳さんがこの対決に臨むそうです」

 

「うむ、あやつめ…それっぽい名前だけで選びおったのぉ」

 

「はい!青葉としてもまったく勝てる気がしません!」

 

◆◆◆

 

…青葉の野郎、好き勝手言いおるわい、まぁいい…ヤツには後で練乳パンを上の口からネジ込んで中身が飛び出るほど咀嚼させてやるわい

 

そんな事より今はコイツらにヤツらとの戦い方ってのをレクチャーしてやらねばならない

 

「いいかオマエら、できませんでしたじゃ済まされないぞ、わかっているな?」

 

俺はとりあえずイイ感じにふわっとした感じで今から決戦に挑む戦士達に指示を伝えてみる…

 

「うるせー!気安く触んなよオッさん!」

 

綾波姉妹の八女、曙、口は悪いが態度も悪い生粋の反抗期だ…

 

「オマエ、キライ、ニンゲン、キライ」

 

陽炎姉妹の十女、時津風、ペットブームで可愛いがられたもののすぐに飽きた人間への不信感から心を閉ざし、凶暴化した現代社会の生んだアニマルモンスター

 

「わかってます!陸上部の予算ですね!」

 

かつては唯一無二の存在だった中破でも飛ばすナイスガッツ装甲空母、大鳳、ナイスガッツ感に溢れているが1日1回はウ●コ踏むほど運が悪い

 

「フッ、オマエ達に出番はないぞ」

 

「フッ、同志ナガトの言う通りだFrauen Kinder…このグラーフ・ツェッペリンがヤツらに絶望を与えてやろう、そう…どうしようもない絶望をな」

 

そしてこのバカどもは何故こんなにも自信満々でいられるのだろうか……コイツらが自信満々だと大抵はロクな事がないのは既に常識…

 

「まぁいい、まずは長門、できれば勝って白星スタートだ、できればでいい」

 

「フッ、できればだと…?正直、この長門1人でも十分すぎるぐらいだがな」

 

「待て同志ナガト、1人で大活躍してFrauen達の人気を独り占めする気か?狡いぞ!」

 

ーーー

 

「さぁー始まります注目の取組初戦、先ずはいきなりの超重量級!最大戦力の大戦艦長門の登場です!いやー、いきなり長門さんとはこれは思いきりましたね、初春様」

 

「うむ、まぁ、勝ち抜きである以上、やはり先鋒には勢いが欲しいしのぉ」

 

「手元の資料によりますと、妹の陸奥さんからの話ではウチのご先祖様は伝説の力士、雷電とやったことがあるそうです!これは期待できますね!」

 

「どうじゃろうのぉ〜…まぁ、アレじゃ、強い方が勝つ」

 

「はい、ありがとうございましたー!それでは始まります!」

 

【西ジャパンランキング 3位 戦艦長門 VS 九千坊河童連合球磨川連隊長 KIYOMASA】

 

「フッ、見せてやろう…貴様らに敗北を喫して以来、同志グラペンと共に作り上げた対カッパ用アーツを!」

 

『ぎょうじ』

 

大勢の観衆が見守る中、遂にNOKOTTA!のゴングが鳴り、長門とカッパは互いに正面から力と力のブチかましを炸裂させた!

 

「ぶちかましは互角ッ!しかし長門さん!すかさず次の動作(ムーヴ)へと移行!前屈みになった相手の両腕を相手の背中の上でクラッチして絞め上げたァァァァァ!」

 

「ほぉ…五輪砕きじゃな」

 

五輪砕き!相撲においては掛けられた側が頚椎を損傷する危険性がある為この体勢が取られた時点で掛け手側の勝利が決まってしまう決まり手である

 

「かーらーのぉー…ダブルアームスープレックスゥゥゥゥ!!」

 

「なんじゃとぉ!?」

 

長門はリバースフルネルソンからの渾身のダブルアームスープレックスでカッパを土俵に叩きつけ、カッパはぎょうじ!と短い断末魔を上げて動かなくった…

 

「フッ、これが同志グラペンとの特訓の末に編み出した対カッパ用スペシャルホールド、ナガトスペシャルだ!」

 

長門はウイイィィィィとか叫びながら右腕を大きく上げてて勝ち鬨をあげ、観衆からの大声援とカッパからの大批判をその身に浴び、当然ながらこの勝負には物言いが付いた……

 

◆◆◆

 

「はい、まさかの黒星スタートになりましたね初春様」

 

「うむ、何故五輪砕きの時点でやめなかったのか妾は理解に苦しむが…」

 

物言いの結果、五輪砕きで勝負が付いているにもかかわらずさらに追い討ちのダブルアームスープレックスをする鬼畜にも劣る外道の所業は許すまじとの結果から、長門は反則負けとなった…

 

「何故だ…」

 

「何故もナニもねーよ、バカかオマエは、ナニがナガトスペシャルだ」

 

ベンチに引っ込んできた長門の腹にパンチをブチ込んだらこっちの腕が破壊されそうになり、手をフーフーしていた俺はベンチにあったテキトーなクーラーボックスに手を突っ込んだ

 

ちなみに、ダブルアームスープレックスの所業に怒り狂うカッパ達ついてはキタローくんがうまいこと取り成してくれたらしい

 

「フッ、同志ナガト…オマエの仇は私がとってやる、そこでAdmiralの指でもしゃぶりながら見ているがいい」

 

「なんで俺の指しゃぶらせにゃならんのだ、いいからさっさと行ってこい」

 

ーーー

 

「さぁー次鋒戦は前回長門さんと同じく尻子玉をブチ抜かれる屈辱への復讐に燃えるドイツから来たおっぱい空母、グラーフさんです!」

 

「うむ」

 

「ちなみにグラーフさん、長門さんと同じく対カッパに向けてのトレーニングを積んでいたらしく、これは期待できますかねー?ねぇ?初春様?」

 

「正直、猛烈に悪い予感がするのぉ…」

 

【西ジャパンランキング ランク外 グラーフ・ツェッペリン VS 九千坊河童連合筑後川統括兵隊長 MUNESHIGE】

 

「フッ、このグラーフ・ツェッペリンに貴様が勝つ確率は0%、そして貴様の死ぬ確率は100%だ」

 

『ぎょうじぎょうじ!』

 

NOKOTTA!のゴングが鳴り、第二試合は先ほどとは打って変わって両者共に距離を置いて互いに後の先を読み合うかの如く牽制と警戒から始まった

 

『ぎょうぎょうぎょうぎょうじ!』

 

「フッ、痛快だな!」

 

強烈な張り手の連打を繰り出したカッパ!!喰らえば尻もち確実ぅ!とも言えるその張り手だったが、意外にも膝を付きかけたのはカッパの方だったッッ!!

 

「これは一体ナニごとだァァァァァ!初春様、今のは一体なんでしょう?」

 

「うむ…妾にもなんぞよく見えなかったのぉ」

 

「これは一体何が起こったのでしょう!観客席!観客席のビスマルクさん!教えてください!同僚なら何か聞いてませんか?」

 

青葉は観客席でソフトクリームを舐めていたビスマルクに向けて質問をぶつけると、ビスマルクはちょっとだけビックリした顔したがすぐにいつもの余裕に満ちた顔で口を開いた…

 

「…オイゲン、皆に説明してあげなさい」

 

「はい、今のグラーフさんの技を説明するにはまず、運動量保存則と弾性係数式との複合方程式を説明する必要があります、カッパの張り手の速度が0.1秒間に5発ということは、一発の値の平均値は0.02秒、グラーフさんの張り手の速度は私のデータでは0.018秒、カッパよりも0.002秒は早いです、つまり、カッパの張り手のスピード0.02からV1をグラーフさんのスピード0.018からV2の数値を算出し、それぞれに代入したとすれば………衝突後のカッパのうける衝撃は∞」

 

「フフッ…今、オイゲンが言った通りよ、さすがオイゲンね、私の言うべき事は何もないわ、完璧よ」

 

「あっはっはっは、ご謙遜を!私なんてアネゴに比べたらゾウリムシですよ!」

 

ーーー

 

「フッ、これでわかっただろう?貴様が私に勝つ事は不可能だKappa!」

 

『ぎょうじ!』

 

「そして!これが同志ナガトと共に編み出した対Kappa用のSpezielle!」

 

グラーフはすかさず次の動作(ムーヴ)へと移行!前屈みになった相手の両腕を相手の背中の上でクラッチして絞め上げたッッッ!!

 

「出たァァァァァ!!リバースフルネルソン!!」

 

「うむ、五輪砕きじゃな」

 

「かーらーのぉー…!ダブルアームパイルドライバーァァァァァ!!」

 

「またぞ!?」

 

リバースフルネルソンから掴み上げられ勢い良く脳天から硬い地面に叩きつけられたカッパはぎょうじ!と短い断末魔と血反吐を吐いて動かなくなった…

 

そして、例によって五輪砕きからの念入りなトドメ刺しと言う悪魔の掟は当然ながら物言いが付き、人類とカッパは再度一触即発の緊張状態になったものの、キタローくんがうまいこと取り成してくれ、勝負は第三戦に続く…





次回こそ後編

不知火とか雲龍も地味に迷った


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提督と初夏の大戦争 後編

ぎょうじが行司で行事

【登場人物】

大鳳(カ●リーメイトの謎)
ナイスガッツ体育会系空母、ラビリンスの怪物

曙(第七駆のヤンチャボーイ)
口癖はクソ、野良犬にクソ丸と名前を付けて菓子パンを与えるクソ優しい一面もある

時津風(状態異常)
長門曰く、他人には決して懐かない犬、主人の代わりに攻撃したり身代わりに防御したりするらしい

九千坊河童連合
カッパの集団、なんと兵隊は九千もいるらしい


人類と川フォーマーの熱戦!激戦!超激戦が繰り広げられる大SUMOU対決、長門とグラペンの安定の黒星発進からいきなり追い詰められた我々は絶対に負ける事の許されない大事な大事な第三戦に、地球一のタフなエア・キャリアーが来てくれたッッッ!!

 

「巨人・大鳳・卵焼きってヤツですね、初春様」

 

「まぁ、字はちと違うがのぉ」

 

「しかしコレは読めませんねぇ、提督の采配は相変わらず理解に苦しみます、この崖っぷちの状況に起死回生の作戦でもあるのでしょうか?」

 

「妾にもわからぬ、ま、そう願いたいところじゃな」

 

ーーー

 

『ぎょうじぎょうぎょう』

 

DOHYOと言う名の丸いリングに上がる強靭な力士型川フォーマーとどちらかと言えば小兵の部類に入る装甲空母、大鳳……当基地に配属された時、新しい駆逐艦の人と勘違いされ、駆逐艦寮に部屋を充てがわれた辛い過去もありクサって荒れていた時期もあったが、ナイスガッツ体育会系軽巡、長良主将からのアツいナイスガッツビンタを受けて更生し、今やナイスガッツ陸上部には欠かせないナイスガッツとなっている…!

 

「大鳳ォー!ファイオー!ファイオー!ファイオー!」

 

「T A I H O U !TAIHOU!ゴールデン!ゴールデン!」

 

ナイスガッツ陸上部達のアツいナイスガッツ声援をその身に受け、DOHYOにリングインした大鳳は力士型川フォーマーを見上げる形で一瞥し、力士型川フォーマーもまた、この小兵がただのナイスガッツではない事を本能で察したのか、頭の皿をキュキュッと拭いて気合を入れた

 

「大鳳でるわよ!」

 

『ぎょうじ!』

 

NOKKOTA!のゴングが鳴り、まるで子供とゴリラほどの体格差がある大鳳と力士型川フォーマーがハゲしくぶつかった!!

 

『ぎょう!?』

 

「ぐ…ぐぅぅぅ!」

 

『ぎょ…ぎょうじ、ぎょうじ!』

 

「くっ…!!くぅぅ!」

 

倍以上の体格差のある力士型川フォーマーのぶちかましを受けてなお、大鳳は踏みとどまっているッ!!何故この小柄な生物は自分のぶちかましを受けてひるまない!動かない!その、あまりにも不自然で不気味な現象が川フォーマーを戦慄させ、混乱させたッ!!

 

「これはいったいどうしたコトだァァァァァ!!あの怪物のぶちかましを正面から受けた大鳳さん!まったく動かなーい!そのどっしり感たるや、まるで大木だァァァァァ!」

 

「ほぉ……これは、ほぉ…」

 

「初春様、解説の初春様!これは一体なんなのでしょう!」

 

「これはおそらく………ミオスタチン関連筋肉肥大じゃな」

 

「………はぁ?え?ミオタスキンニク…?」

 

「ミオスタチン関連筋肉肥大じゃ」

 

DGF-8ミオスタチン、筋肉の成長抑制因子…

この遺伝子の突然変異と先天性の優れた筋骨により見た目は駆逐艦の方ですか?と問われるほど小柄な体格を持つ大鳳は、見た目とは裏腹にその重量は長門や武蔵にすら匹敵するッッ!!

 

異常な筋肉量を賦与するミオスタチン関連筋肉肥大により、人は人を超え、人智を超えた力を発揮したその姿たるやまさしく、超人!!

 

「かつての歴史の逸話にいくつか残る超人伝説の正体もこのミオスタチン関連筋肉肥大だったとも言われておる…」

 

「なるほど~…」

 

「しかしこのミオスタチン関連筋肉肥大は超人遺伝子であると同時に問題点もある、まぁ…わかりやすくざっくりと言えばじゃが、多量の筋肉に対して常に大量のカロリーを摂取せぬばならぬ、つまりアレじゃ、まぁ…すごく腹が減るワケじゃな」

 

川フォーマーは混乱していた…

 

こんな生物がいるのか…っ!?この体躯に合わない強靭無比な力!圧倒的に体格で勝る自分が、力で圧倒されている理不尽…!

 

『ぎょう…ぎょう!』

 

押されているッッ!!かつてない力で!!押される…!そしてDOHYOを割ったッッ!!

 

「電車道!電車道だァァァァァ!!大鳳まさかの電車道で川フォーマーを寄りきったァァァァァ!!」

 

「うむ、実に見事!」

 

「なんとあの圧倒的巨躯を持つ川フォーマーを力で制しました!なんと言うコトでしょう!観客席からは割れんばかりの歓声と屁コキ空母コールです!誰がこの屁コキ空母の勝利を予想していたでしょう!まさかの大番狂わせです!」

 

見事、川フォーマーから大事な大事な一勝をもぎ取った大鳳は観客席から飛び降りてきたナイスガッツ長良主将からカ●リーメイトを、そしてナイスガッツ女子マネージャー速吸クンからスポーツドリンクを渡され、アツいナイスガッツよくやったと背中をバシバシ叩かれている…

 

「やりましたよ提督!約束!ちゃんと守ってくださいよ!」

 

「あ、あぁ…任せておくのだよ」

 

勝ったらナイスガッツ陸上部まとめて焼き肉を奢ってやると約束したが……まぁ、食い放題でいいだろう、大鳳はカ●リーメイトをボリボリと食べながら腹減ってしょうがないですよ!と言い、長良主将からコイツぅ!とアツいナイスガッツ背中バシバシを受けてハシャいでいた…

 

◆◆◆

 

「さぁー!ここで連勝して次に望みを繋げたい人類軍!続いての登場は綾波姉妹!反抗期まっさかりの気難しくて繊細なお年頃!曙ちゃんの登場だーッ!」

 

「曙か…」

 

「取組前のインタビューでは“相撲は踊りじゃないわ!格闘技よ!”と気合十分なコメントをしてくれた曙ちゃんですがこれは期待できますねー!」

 

「うむ、まぁ…あやつが相撲上手かどうかは知らぬが期待はさせて貰おうかのぉ」

 

‐‐‐

 

「よし!勝ったら焼き肉食い放題だ!気合い入れていけよ!気合い!」

 

「うっさい!触んな!」

 

俺は今から戦場へと上がる曙に気合いとリラックスを与えようと尻をバシバシ叩き提督からのアツい激励を送った

 

「言われなくてもやったるわよ!言っとくけど焼き肉は第七駆全員だからね!」

 

「安心したまえ、腹いっぱい食わせてやるのだよ………勝てればなァ?」ニマァ…

 

「…ハァ?え?ナニそれ?私が負けるとでも思ってんの?」

 

「いやいやいや、提督はモチロン、ボノボノの勝利を信じているよ?うん、モチロン信じている、キミは勝つってネ」ニマァ…

 

「………ハァ?ナニそのツラ、ナニ?信じてないの?は?ナニ?バカにしてんの?あと、私のコトをボノボノってゆーな!」

 

とりあえず、曙の闘争心とPRIDEに火を点ける事に成功した俺は笑顔で曙を送り出した…

 

『ぎょうじ』

 

「フンッ…ナニが力士型川フォーマーよ、見せてやるわ!第七駆逐隊の恐ろしさってヤツを!」

 

HAKKEYOI!のゴングが鳴り、やはり体格を活かしたぶちかましを敢行してきた川フォーマーに対し、曙の取った戦法は………猫だまし!!

 

パチンッ!!!(猫だまし)

 

『ぎょ!?』

 

完全に虚を突かれる…ッ!この、小さな小兵が小さいなりに編み出した精一杯に…ッ!巨躯を持つ川フォーマーには考えつかなかった………否、長いカッパ相撲界の歴史にもたしかにこの技は存在していた…ッ!かつてのカッパ相撲史における第七十二代横綱“残酷丸”がこの小手先の技を使い、自分よりも大きな相手に勝利を挙げていたと記録にはある…

 

「しゃあッ!」

 

『ぎょうじ!ぎょうじ!』

 

虚を突いた曙、差し手で相手を引き、相手が寄って来る差した方の足を基点とし他の足を差し手の方に大きく開きながら差し手を返すように投げる、所謂、下手投げを仕掛ける曙だが…

 

「右下手投げか!いや…これは!」

 

「第七駆!潮ちゃんの必殺技!鬼車だァァァ!!し…しかし、鬼車は潮ちゃんのようなふわふわおっぱいがあってこその勢いと反発力が必要なハズ…!曙っぱいは潮っぱいには遠く及ばないのに何故…!これはいったいどーゆーコトでしょう初春様!」

 

「おそらくはアレじゃな、自分は一人ではない、第七駆の仲間達と一緒に戦っているのじゃと言う一種の覚悟的なアレじゃろう、ふむ…粋なコトをするものよ」

 

「なるほど!」

 

右下手投げこと鬼車が不発に終わり、再び冷静さを取り戻した川フォーマー…

 

『ぎょうじ…』

 

おそらく相手は今ので決めに来ていたが不発に終わった、ならばもう怖いものは何もない!一気に勝負を決める!川フォーマーの覚悟も決まった!自分の全力を出すに相応しい相手!

 

『ぎょうじぎょうじ!!』

 

パチンッ!!(猫だまし)

 

『ぎょ!?』

 

まさかの二度目の猫だまし…っ!?有り得ない…!初手以外に繰り出してくるなど想定の外、否、まさか同じ取組で二度も使用うなどカッパ相撲史にも無い!!

 

「しゃあッ!!」

 

『ぎょうじ!!』

 

再びの鬼車!否、下手投げ・鬼車と下手捻り・鬼嵐を同時に使用する必殺の薙ぎ…!!

 

『ぎょうじ!!?』

 

まさかの連続に、ついに川フォーマーの巨躯がDOHYOに地を付けた!!

 

「決まったァァァァァ!!百鬼薙ぎだァァァ!!曙ちゃんヤりました!人類軍まさかの連勝!まさかの勝利です!」

 

「うむ、見事な勝利じゃ」

 

「やりましたね!初春様!」

 

「うむ、妾も感動したぞ」

 

見事な曙の大勝利に、ベンチから出てきた提督と長門とグラーフがワッショイワッショイと曙を胴上げし、気安く触んな!クソが!と罵倒風照れ隠しに皆が感動した…

 

◆◆◆

 

人類対川フォーマー最終戦、環境破壊が作り出した進化した水棲モンスター、川フォーマーVS悲惨なペットブームの作り出したアニマルモンスター、時津風

人類の業と人類の業が今、DOHYOと言う名のバトルフィールドに上がる!

 

『ぎょうじ』

 

「ぐるるる…」

 

川フォーマー大将MITSUNARI と時津風は互いにメンチを切り、NKKOTA!のゴングが鳴るのを今か今かと待つ…

 

「いよいよ大将戦です、どうでしょう初春様、ここまでの試合、二連敗からの二連勝と言うドラマチックな展開でここまで来ましたが…」

 

「うむ、まぁ、内容自体は悪くはないのぉ」

 

「反則負けとは言え、長門さんもグラーフさんも一応、相手を倒してますしね」

 

「うむ」

 

‐‐‐

 

大将戦!NKKOTA!のゴングが鳴り、先に飛び出したのは海軍基地が誇るクレイジードッグ!時津風!

 

「ぐるるるる!!」

 

強烈なハウンドタックルをぶちかましたが!!川フォーマーの圧倒的体格に対し、その巨躯を揺るがす破壊力が足りていない!

 

『ぎょうじ』ニヤリ…

 

「ぐぅぅぅ!!」

 

ハウンドタックルが効かない敵……時津風は低く唸り、川フォーマーの様子を窺うようにDOHYOの隅でジリジリと移動し、ベンチから時津風の世話係である長門からの激励が飛ぶ

 

「よーし!よしよし時津風!まずは相手をよく見るんだー!」

 

「オイ長門、アイツ、ホントわかってんのか?」

 

他人には決して懷かない犬と定評のある時津風は低い唸り声を止め、今度はグルグルと前転運動しながら飛びかかった!!

 

「出た!!時津風の必殺技(フェイバリット)!絶・天●抜刀牙だー!!」

 

「あの技を食らってキン●マがグシャグシャにならなかったヤツはいねーぜー!」

 

「オイオイオイ、死んだわあのカッパ」

 

大歓声の中、グルグル回りながら飛びかかった時津風!!しかし、川フォーマー、これを冷静で的確な判断で打ち下ろしの右手ハタキ落としで迎撃!

 

ビタンッ!!(ハタキ落とし)

 

「ぎゃわんっ!!」

 

『ぎょうじ』

 

ハタキ落とされた時津風は、DOHYOの上でピクピクと痙攣し、やがて動かなくなった…

 

「決まったァァァァァ!!ハタキ落とし!決まり手はハタキ落としで決着ゥゥゥ!時津風敗れました!時津風敗れました!この瞬間、九千坊河童連合の勝利が決まりましまァァァァァ!」

 

『ぎょうじ』

 

『ぎょうぎょうぎょう!』

 

『ぎょうじ!ぎょうじ!』

 

カッパ達は勝利を決めた大将を祝福しようと大将MITSUNARIのところへぎょうぎょうと駆け寄るが、大将MITSUNARIはそれを制し、倒れたまま動かない時津風を優しく抱きかかえ、口からビーム的な光を時津風に浴びせると、ぐったりとして血色の悪かった時津風の顔色にみるみる生気が溢れてきた!

 

‐‐‐

 

「ぬぅ…アレは、カッパフラッシュ…!」

 

「なんだそれは?」

 

カッパフラッシュ!!それは、カッパの口から出るビーム的な光であり、その効果はドブ川を綺麗な川に変えたり、鋼鉄をひん曲げたり、死人を生き返らせたりと様々な奇跡を起こす聖なる光と言われている…

 

「へへっ、カッパのヤツら、リングを下りればノーサイド、お互いに健闘を称え合うってか…」

 

「フッ、意外にイイヤツらではないか、妖怪のわりに」

 

「フッ、見上げたフェアプレーの精神だな、ヨーカイのわりに」

 

そして長門とグラペンの恥ずかしい大人コンビは何がそんなにも誇らしいのか、フッとか笑いながら大したカッパだ…とか、やはりカッパか…とか言いつつ腕を組んで立っている…

 

「フッ、フェアなプレイに、この長門も感動したぞ」

 

「フッ、奇遇だな同志ナガト、このグラーフ・ツェッペリンもだ」

 

長門とグラペンにバカコンビもお互いに健闘を讃え合う仲間達やカッパどもの輪に入るべく、フランクに近くに居たカッパに話しかけ……

 

『ぎょうじぃ!!』

 

ブスッ!!(尻子玉ファック!)

 

「んほぉ!!」

 

「オゴォ!!」

 

『ぎょうぎょうぎょぎょぎょう!ぎょうじ!』

 

フランクに話しかけた瞬間、尻子玉をブチ抜かれた長門とグラペンは尻を突き出す姿勢のままその場に崩れ落ちた!

 

『ぎょうじ!ぎょうじ!』

 

カッパ言語に詳しい有識者のキタローくん曰く、今のは“ただしテメーらはダメだ、ペッ!”と言っていたらしい

 

こうして……俺たち人類と川フォーマーの壮絶な戦いは終わった………結果として、人類はヤツらに敗北したが、ヤツらは意外にもフェアで紳士的な妖怪らしく、良い勝負だった!お前とはまた戦いたい!とカッパ語で言っていたらしく、妖怪と言う不気味さと言うより、まるで黄金のような爽やか風を残し、カッパ達は川へ帰って行った…

 

しかしいつの日か、そう、いつの日か俺たち人類が再び天然自然への恩恵と感謝を忘れ、再び川を汚す時、彼らはきっと還ってくるだろう………この母なる自然を守る、守護者達が…!!

 

川フォーマーズ!! 【完】

 

◆◆◆

 

「…と言う感じでどーっすかね?」

 

執務室で缶コーヒーを飲みつつ秋雲の持ってきた新作漫画、人類とカッパの壮絶な戦い!川フォーマーズを読み終わり、原稿を丸めて秋雲の頰をブッ叩いた

 

「あふんっ!!痛いじゃないっすか!」

 

「いや………普通につまんねーよ、コレ」




次回

アツき侵略!ジャーヴィス!


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Jervisと悪魔の門

その名は現役援航巡!マスタービッチ見参!

【登場人物】

Jervis(ワリとアホ)
英国から来た轟速な侵略者、子供らしく、ストレート以外の持ち球がない

鈴谷(ワリとアホ)
最上姉妹の三女、ちょっと汗臭いのが気になる季節

熊野(ワリとアホ)
最上姉妹の末妹、提督式エステで尻の穴をほぐされた




英国からJ型駆逐艦Jervisは考える…

 

これまでの猛Attackで、何故Darlingは自分に対して振り向かないのか…?自分としてはあらゆる手段を用い、これでもかと好意を伝えているハズなのに、Darlingはいつも曖昧な顔をして“うん、まぁ…元気があっていいんじゃないかなぁ…”と目を逸らしている

そして、その逸された目はいつもアタシではなくアタシの後ろ、そう…アタシではないナニかを見ているような気がしてならない、そう!まるでアタシではない誰かに気を遣っているような…

 

ハッ!?まさかArk!?Ark…っ!?そー言えば、DarlingはなんだかんだとArkと仲良くしてるし、距離近くてもメーワクそうな顔されてないし!むしろちょっと口許が緩んでるような…

 

「Fu●k!Arkめ!ちょっと美人ダカラって!」

 

もしかしてDarlingはArkみたいな騎士っぽいオトナが好きなのかもしれないワネ、ウン!きっとソウ!ゼッタイ!

 

Arkへの憎しみと今後の方向性について考えながらローカを歩いていると、ちょうど曲がり角のところで向こうから歩いて来たダレかにぶつかった

 

どんっ!!(接触事故)

 

「アイッター!!」

 

「痛っ…っー痛いじゃんこのガキぁ」

 

「ご…ゴメンナサイ」

 

強運であるハズのアタシにしては運悪く、なんかジャパニーズJKみたいなヤツにぶつかってしまった

 

「ま、鈴谷今日機嫌がいいから許したげるけど……ってか誰コイツ?こんなガキウチに居たっけ?」

 

「知りませんわ、敵じゃありませんの?」

 

JKみたいな二人組はチューインガムをプープー膨らましながらヤっちゃう?ナニこのガキ、ヤっちゃう?みたいなソーダンをしているので、こ…こーゆートキはとりあえずアタシは誤解を解く為にジコショーカイネ!

 

「あ、アタシは英国から来たJ型駆逐艦Lucky Jervis!敵じゃないワ!」

 

「はぁ?ラッキージャーキー?」

 

「ヨダレが出そうな名前ですわね」

 

「jerkyじゃない!Jervis!」

 

JKみたいな二人組は、そうだ!今日はギュウドゥーンが食べたいですわー!いいねー!みたいはコト言ってゲラゲラ笑い、アタシの頭をバシバシ叩いた

 

「で?そのラッキーさんはこんなところでナニしてますの?」

 

「ナニって…ちょっと考えゴトーしながら歩いてたんだケド」

 

「ふ〜ん」

 

緑の方のオネーサンは廊下の窓を開けると噛んでいたガムをプッと吐き出し、考えゴトか〜…うんうん、考えゴトか〜…と何度か頷いた

 

「もしかしてアレ?外国…え〜イギリスだっけ?イギリスから来たばっかでニホンの文化に馴染めずお悩み中的なアレっしょ?いやぁ〜わかるわぁ〜」

 

「や、そーじゃなくテ…」

 

「ナニ?違うの?」

 

「そーじゃなくテ、Darli……テートクがもっとJervisのコト好きになってくれるよーに色々と…」

 

ここまで、ニコニコとナゴヤ・カーにアタシの話を聞いていた緑のオネーサンがアタシの頭に手を置き、思いっきりアタシの顔を床に叩きつけた

 

「アイッター!!ちょ…ナニすんのよ!!」

 

「オイオイオ〜イ、お嬢ちゃん?は?ナニ?テートクに好きになってもらう?ハッ…?いるのよねぇ〜この海には、そーゆーできもしねーコトを言う口先だけの新人(ルーキー)が…」

 

「ダレがナマイキな新人(ルーキー)よ!聞き捨てならないワ!」

 

「ハッ?どーせーアレっしょ?ガキであるコトをいい事にテートクにまとわりついてキャッキャとハシャいで微妙な顔されてるとかそんなアレっしょ?」

 

「うっ…!」

 

す…鋭い!!こ…このオネーサン、ただの頭悪そうなオネーサンかと思いきや意外と鋭いジャない…それに、よく見るとこのオネーサン、そこはかとなくオトナな感じが……いや、これは男をメロメロにする伝説の悪魔、Succubusのような吐き気を催すSuccubus臭スラ感じる…っ!

 

「ま、メインヒロインである鈴谷様には何でもお見通しってワケよ」

 

「め…Main heroine……っ!?」

 

「フッ…そう、誰もが羨むメインヒロイン様、それがこの鈴谷様よ、ま、この鈴谷様が本気を出せば落ちない男はこの世界に……いや、この地球(ほし)上には存在しないじゃん」

 

な…なんて自信…っ!!これがSuccubus特有のオトコをメロメロにするオーラ……いえ、Main heroineのオーラだって言うの!!こ……この人なら!Arkはポンコツだし、Ladyにはそーゆーの聞けないし、この人に聞けばアタシは更にもっと上のステージにイケ・ルー!

 

「ズーヤーサン!!」

 

「お?え?な、ナニ…?」

 

「アタシに!Jervisに!ズーヤサンみたいにオトナになる方法を教えてください!」

 

「………はぁ?」

 

「アタシもズーヤサンみたいにオトコをとっかえひっかえにデキる技を、オトコをメロメロにする技を教えてくだサイ!!」

 

「や、鈴谷とっかえひっかえとかは…」

 

ーーー

 

この、サラサラキンパツチビの言葉に、鈴谷に電流が走る…っ!

 

最上姉妹の三女、鈴谷は学生時代から結構モテた、その類い稀な容姿と話してみるとわりと気さくな性格から異性からの人気は高かった…

 

しかし、この鈴谷、エロさと気安さのある反面、そのガードは硬かった、それはもう硬度4.5 パーフェクトディフェンダーかッ!と言うぐらい硬かった、学生時代、おそらく異性と手を繋いだ…いや、手が触れたのは体育祭のフォークダンスの時ぐらいだろうと言われている…

 

そして、サキュバスだのビッチだの烙印を押されつつもとにかくモテた鈴谷は“よくわかんねーけど自分はモテる!”と言うよくわからない自信を持ったまま現在に至った結果………男に対して免疫力のないくせに発言だけは一丁前なファッションビッチと言う怪物へと育っていたッッッ!!(※一説には、さらに別系統の進化をする事で“子持ち処女”と呼ばれるアナザーフォームとも上位種とも言えない存在も確認されているらしい)

 

「………フッ、キンチビ、名前は?」

 

「lucky……lucky Jervisネ!」

 

「ジャーヴィスね、フッ……いいじゃん、付いて来なさい、この世で二番目にモテる女にしてやるわ」

 

「ズーヤサン…っ!!」

 

ジャーヴィスはまるで尊いものを見るように涙に瞳を潤ませ、鈴谷の前に膝をつき、それを見ていた熊野は鈴谷にちょっと耳をお貸しなさいませと耳を引っ張った

 

「ちょ!痛いし!」

 

「ちょっとちょっと鈴谷、いいんですの?こんなピュアな子騙して」

 

「は?騙してねーし?」

 

「男と言ったら実家の父か提督ぐらいとしかロクに話せないクソ雑魚ファッションビッチの鈴谷には到底無理としか…」

 

「は?フツーに話せるし?チ●ポついてんの?とかフツーにディスれるし?」

 

「…まぁ、どのみち痛い目みるのは鈴谷ですし、どうでもいいんですけど」

 

「は?痛い目とかみねーし?」

 

こうして、鈴谷によるジャーヴィスへのパーフェクトビッチアカデミーが始まった……

 

ーーー

 

「そこネー!Shoot!!」

 

どんっ!!(ロイヤルタックル)

 

「アイッ・ター!!」

 

よくわからない木人を相手に、いつもの提督に敢行するロイヤルタックルをぶつけるジャーヴィスは木人の硬さにアイッターと鼻の頭を抑えてゴロゴロと床を転がった!

 

「痛いよぉ…イタイよォ〜…」ポロポロ…

 

あまりの痛みに涙するジャーヴィスに、その様子を腕を組んで見ていた鈴谷は“貴様の誇りとはその程度のものなのか?”と問い、ジャーヴィスにドロップキックをぶちかました!

 

「アイッター!!!」

 

「今一度聞く!貴様の誇りとはその程度のものなのか!」

 

「…っ!」ポロポロ…

 

「悔しかったら〜…」

 

鈴谷は木人を掴み上げ、ジャーヴィスに向けてぶん投げた!!

 

「そのタックル一つで提督を押し倒せるくらいまで!徹底的に磨き上げてみろーっ!」

 

「そ……ソウ!ソウだワ!!アタシの名前はJervis!!lucky Jervisネーッッッ!!」

 

オトコをメロメロにするサキュバスオーラを身に付ける訓練は熾烈さと過酷を極めた!ビッチとして大胆に振る舞いたければこそ日々の精進は怠らない、7年あれば2555日の全ては訓練の日々!

 

そして…!!

 

「Shoot!!!」

 

BAKOOOOOOOON!!(木人クラッシュ)

 

「ハァ…ハァ……ヤ、ヤったワ」

 

「フッ、もう鈴谷がオマエに教える事はナニもないわ」

 

「ズーヤサン!!いや……マスターズーヤ!」

 

ジャーヴィスは鈴谷の手をとりアツい涙を流し、鈴谷はそんなジャーヴィスによくやった!オマエはもうパダワン卒業だ!と言ってその背中をバシバシ叩いた

 

「フッ、さぁ…!行きなさいキンチビ!オマエのそのタックルでもうテートクはメロメロじゃん!」

 

「Yes!マスターズーヤ!」

 

ジャーヴィスは失った自信と新たに得た力をパワーに変え、元気良く挨拶し、そんなジャーヴィスを見てニコニコと笑う鈴谷はジャーヴィスの成功を信じ………

 

『クックック、バァカめェ!テートクがそんな殺人タックルぶちかますよーな凶暴なガキにビンタしないワケあるかボケ!ぶちかませ!ぶちかましてテートクの腰骨砕いてアイッターして怒りのスネークジェ●サイド喰らってこいやバァカ!そして、腰を砕かれた提督に鈴谷が優しくカイホーしたらもうメロメロよ、好き!抱いて!の流れは確実ぅ!ってワケよ!アヒャヒャヒャ』

 

…最上姉妹の三女鈴谷、吐き気を催す邪悪なる上級サキュバス!!

 

◆◆◆

 

「いた…っ!!Darling!」

 

自販機で缶コーヒーを買っている!…狙うはDarlingの胸元!このイッパツでDarlingはメロメロよ!と自信に満ちた黄金の弾丸が…

 

「廊下を…」

 

「!?」

 

進行する廊下の隅に立っていたティーチャーに全力加速状態のジャーヴィスは顔面を掴まれ、そのまま身体ごと廊下に思いっきり叩きつけられた!!

 

「走るなァァァァァァァ!!」

 

「アイッ・ターァァァァァァァ!!」

 

勢い良く叩きつけられたジャーヴィスはアイッターと言いながら廊下をゴロゴロと転げまわった

 

「ん…?おや、これは香取先生………何事ですかな?」

 

「あ、提督……えぇ、この子が廊下を走っていたので少し指導を」

 

「なるほどなるほど…さすがは香取先生、いつだって教育熱心でいらっしゃる」

 

「まぁ、そんなに褒めて何もでませんよ?あ、提督、もしよろしければこれからお時間少しよろしいですか?少し相談したいことが」

 

「ハッハッハ、構いませんよ」

 

こうして、提督と香取は教務室にでもと言ってその場を去り、後にはアイッターとゴロゴロするジャーヴィスだけが残された……

 

 

 

 

…そして、ゴロゴロと転げ回るジャーヴィスのところに、緑のチビこと山風が缶ジュースを買おうと廊下を歩いてきた…

 

「…なにしてんの?」

 

「あ…?アンタにはカンケーないワ、トゲトゲチビ」

 

「あ?」ピキッ

 

「あ?あい、ったたた、ヤんの?あ?」パキッ

 

この後、山風とジャーヴィスはキィーキィー言いながら取っくみ合いになり熾烈なマウント争いをしているところを陛下に見られ、二人して陛下からロイヤル説教された…



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提督と夕張と全部乗せ万歳

帰ってきたハッキリ言って自信作回

【登場人物】

提督(麦茶しかないから麦茶を飲む)
もっと先に加速したくなった結果、膝を痛めた

夕張(麦茶も好き)
マゾ軽巡のM隷奴、今日は汗臭いですからとか変なところを気にする

五月雨(麦茶に文句がありますか?)
だいたい専業秘書艦、夕張とはたまに買い物に行く程度に仲が良いがウエストにはムカついている




「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

「へぇ」

 

「ハッキリ言って自信作です」

 

梅雨なのか初夏なのか曖昧なふわふわした時期である今日この頃、執務室のエアコンフィルターを掃除し、快適除湿ボタンを押して麦茶を飲んでいると、今日も変わらずDAITANにヘソチラするメロン色したメロンじゃない軽巡が執務室の重厚な扉を開けてやって来た…

 

「ハッキリ言って自信作です」

 

「三度も言うな、サミダレンコン、ゴキブリ殺しの冷凍スプレーくれ、冷凍スプレー」

 

「そこの棚に置いてますよ、あと、五月雨です」

 

五月雨はめんどくさげに棚を指差した後、冷蔵庫から麦茶の入ったペットボトルを取り出し、グラスに注いでお客様用のテーブルに置く、どうやら夕張の分らしいが……なるほど、大した気遣いだ、その気遣いと優しさを何故もっと地球の為に使えないのか…

俺は棚からゴキブリ殺しの冷凍スプレーを手に取り、自信作です!とヘラヘラ笑う夕張のお腹にBUKKAKEた

 

「ひゃあッ!!冷た!つめ!冷たい!!」

 

「そりゃお前、-85℃らしいからな」プシュー

 

「ちょ!やめ!やめて!お腹!お腹冷える!お腹が凍死するぅぅぅ!!」

 

「でぇーじょうぶだ、駆逐艦と軽巡の艤装は-150℃、重巡なら-200℃、そして戦艦ともなれば摂氏-273.15℃、則ち絶対零度を用いなければ凍結も破壊もできんのだ」プシュー

 

「それ艤装であって私のお腹はガリ●リくん2つ食べても壊れますって!ちょ、ホントやめて!ホントやめて!」

 

俺の執拗なダイヤモンドダ●トにお腹をかばう夕張はホントやめてくださいと懇願する目をしていたので俺はダイヤモンドダ●トを止めてやった

 

「ハー…ハー……お腹が凍るかと思った」

 

「そんなヘソばっか見せてるから悪いんですよ」

 

「あれ?五月雨ちゃん、なんか機嫌悪い?」

 

そういや五月雨の野郎、前に夕張のヘラチラウエスト見てナニ食ったらあんないやらしいウエストになるんでしょうねとか言ってたな……俺としてはいやらしいかどうかは微妙だが、同性から見ると、あの細腰はムカつくらしい

 

「で?今日はどんなガラクタ持ってきたんだ?」

 

「ガラクタじゃないです、自信作です」

 

「…それを判断するのは私だ、もしガラクタだと私が判断すればそうだな………お前の黒ストを膝ぐらいまで切ってスパッツみてーにしてやんよ」

 

「な…なんて恐ろしいコトを……なんて恐ろしいコトを!!」ガタガタ

 

ナニビビってんだコイツ、別にすね毛ボーボーってワケじゃいあるまいし…

 

「あ、あの……それから、それからナニをするんですか?あ、もしかしてスライム浣腸かナニか…?」

 

「なんで俺がテメーにスライム浣腸なんかせにゃならんのだ」

 

「そうですか…」

 

なんでちょっと残念そうなツラしてんだコイツは、アレか?変態か?変態なんだな?まるで妊婦みたく腹パンパンにブチ込まれたスライムをひり出すコトに何かを見いだしてんだな、うん…

 

「まぁいい、早く見せろ、早く」

 

「あ、はい」

 

細かい事にはあまり固執しない事に定評のある夕張は早速本日のよくわからないビクーリドキーリメカをよっこらセクメトとか言いながら置き、被せてあったビニールシートをベリッと剥いだ!

 

「本日の自信作はこちら!遠距離高火力(ブラスト)高機動(フォース)近距離戦(ソード)!その全ての特性を一つに纏め集約し、これを装備した者を単機であらゆる状況に対応できる万能機に変える夢のスーパー装備!その名もデステ●ニーシルエットです!」

 

「…足がないな」

 

「足なんて飾りです」

 

いつもの足がない事を確認する予定調和を済ませ、夕張の持ってきたデステ●ニーシルエットをペタペタと触ってみる…

 

「今までは作戦によってちょいちょい装備の載せ換えをしていた海軍将校の皆さんもさぞ多いと思われます、提督もモチロンそうですよね?」

 

「まぁな」

 

たしかに、いざ潜水艦だと見たら対潜装備に、いざ陸上型だと見たら対地ランチャーに、作戦内容によって様々な装備を載せ換えるのは面倒、あれ?ちょっとランチャー誰が持ってんの?四式、誰が借りパクしてんだコラァ!だのよく見る光景である…

 

「ですがこのデステ●ニーシルエットさえあればもう大丈夫!載せ換えの手間は一切ありません!コレ一つでどこに行くにも、ナニをするのもコレ一個!」

 

「ワォ!ホントにぃ〜?ちょっと信じられないわ」

 

「まずはコレ!テレスコピックバレル延長式ビーム砲塔!なんと超長々射程から戦艦ル級のお腹もブチ抜く火力を実現!」

 

「ワ〜ォ!コイツはゴキゲンだ!」

 

「そしてこのエクスカリバーレーザー対艦刀!ヒュー!見てださいこのサイズ!戦艦ル級を三匹並べてバーベキューみたいに刺してもまだお釣りがくる!まるで鯨のペ●スよりビッグサイズです!」

 

「オイオ〜イ、そんなビッグサイズ!ル級に刺しちまったら明日から旦那じゃ満足できなくなっちまうYO!」

 

「さらにスラスター部にはヴォワチュール・リュミエールの技術を盗用し、稼働時にはミラージュコロイド散布によって戦艦ル級の貧弱な電探と目を、電子的、視覚的に撹乱させちまいます!」

 

「参ったなこりゃ!まるでヴォワチュール・リュミエールのバーゲンセールだ!」

 

でもコレ、お高いんでしょう?と言いたいところだが、とりあえずアレだ、男と言うものは得てして、目からビームとロケットパンチ、あとZENBUNOSEと言うものが好きな生き物である(※提督調べ)

その理由は定かではないが、おそらく、遺伝子的なものか…いや、きっと理屈なんかじゃない、神話の時代からそう決まっていたのだろう、男の子はZENBUNOSEと…

 

「で?コレのメリットはいいとしてデメリットを聞こうか?」

 

「はい!めっちゃ燃費悪いです!」

 

だろうな、これだけゴテゴテしくて燃費が悪くないワケがない、同じコンセプトのIWSPやマルチプルアサルトにも同じ問題があったがコイツはさらに始末が悪い

 

「ざっくりした計算ですが、このデステ●ニーシルエットを装備した清霜ちゃんの燃費は大和さん三十人分、あと、負荷がかなりパないので無事帰ってきても全身がズタズタになり、もう二度とリングには上がれない体になります」

 

「なるほど…」

 

俺はデステ●ニーシルエットからエクスカリバーレーザー対艦刀を一本手に取り、夕張にとりあえず壁に手をついてケツこっちに向けろと指示すると、夕張はなんかちょっと嬉しそうな声でハイ!と元気良く答えた…

 

「なるほどぁ〜…へぇ〜…燃費悪いんだ〜…へぇ〜」

 

「え、えぇ…悪いです」

 

「ふ〜ん、どうにかなんない?燃費」

 

「そ…そうですね、改善策がないワケではないですけど…」

 

「ふ〜ん」

 

俺はエクスカリバーレーザー対艦刀で素振りしながら、へぇーそうなんだーへぇーとブンブン素振りを続けていると、夕張はなにやらそわそわした感じでキショイ笑いを浮かべ…

 

「あ……あの?」

 

「なにかな?ミス・ユーバリ」

 

「その……お尻、その、叩かないんですか?それで?」

 

「叩く?このエクスカリバーレーザー対艦刀で?私が?君のお尻をかね?サミダリューン、卿はどう思うかね?」

 

俺は自分の机で漢字クロスワードパズル雑誌を解いている我が頼れるライトアームであり秘書艦に私はどうするべきかね?と問うと、五月雨はめんどくさそうに顔を上げ“提督の思った事をなさるのが宜しいかと?あと、五月雨です”と95点の返答を返してきた、こやつめ……俺の考えはお見通しと言うワケだな

 

「ミス・ユーバリ」

 

「は、はぃ?」

 

「御苦労だった、下がって宜しい」

 

俺はエクスカリバーレーザー対艦刀を床にBUSSAし、突き出した夕張尻を軽く撫で、退室して宜しいと伝えてやった

 

「………はい?」

 

「そうそう、そのポンコツも持って帰れよ、明後日廃品回収に出すから」

 

「あの………?叩かないんですか?」

 

「ミス・ユーバリ、卿は私をなんだと思っているのかね?」

 

「提督…?」

 

「その通りだ、私は君の上司であり、君は私の部下だ、提督の仕事とはみだりにエクスカリバーレーザー対艦刀で部下の尻を叩くものではない、違うかね?」

 

「…はぁ、まぁ……言われてみると、そんな気がしますケド…」

 

「ならば結構、下がりたまえ」

 

「は、はぁ…?」

 

夕張はとても残念そうな顔をしてデステ●ニーシルエットをいそいそと片付け、とても悲しそうな顔でそれじゃ失礼しまーすと言って退室しようと執務室の扉を開け…

 

「逃すかボケェ!!喰らえ!キグナス最大の奥義ーッ!!」

 

ブスッ!!(冷凍スプレー)

 

「おごぉ!?」

 

俺は後ろを向いていた夕張のパンツを刹那でズリ下げ、ア●ルに冷凍スプレーのロングノズルをBUSSAして間髪を容れずに夕張のア●ルに必殺のダイヤモンドダ●トを解き放った!!

 

「アヒッ!!アガ!アギャギャギャーっ!ちょ!ヤバ!ヤバいですって!あっ、あっ、アッーーー!!」

 

夕張はアッー!とか言いながらキショイ顔で顔面からブッ倒れた………

 

「………まったく、卿は恐ろしいなサミダリューン」

 

「いや、私、ナニも言ってなくないですか?……あと、五月雨です」



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提督と陸奥と本気で本気か本気のショータイム

清貧マジシャンズ空母姉妹

【登場人物】

提督(クソ大人)
浜風ちゃんの前ではいつだってピュアグリーン

陸奥(良い大人)
意外と面倒見のいい大人のナオン、姉と違って良い匂いがする

天城(ボイン空母)
雲龍姉妹の次女、礼儀正しく真面目系なのに、どこか残念

葛城(ボインじゃない空母)
雲龍姉妹の三女、ズイカクセンパイの大ファン






「えー…ではこちらの杖をご覧ください」

 

「今から天城姉ェが鳩を出しまーす」

 

南西からの風がビュービュー吹く初夏の日、談話室でこの夏、どうすれば夏のビーチの岩陰で浜風ちゃんにぺえずりさせる事ができるのか真剣に考えていると、バスケの練習を終えてシャワーを浴びてSAPPARIしたらしい睦月型のアホガキどもと、チームを率いるイイナオン、陸奥がやって来てキャッキャとハシャぎながら俺の食っていたかっぱえびせんを食い散らかし、そろそろ狩るか…と立ち上がったところ、雲龍姉妹の次女と三女、天城と葛城が手品の練習をするべく談話室にやって来た…

 

「よーく見ててくださいねー」

 

雲龍姉妹の次女、天城…

仙人みたいな見た目に反し、想像を絶する超絶悶絶ワガママ長女、雲龍とは違い比較的常識人らしく、今の今まで問題らしい問題行動を起こしたと耳にした事はなく、かなりの優等生であり、また、姉に劣らないワガママボディであり、正直、二人きりになったらたぶんブチ込む自信がある

 

「鳩がでるよー、鳩がー、ぶわっ!って出るよー」

 

雲龍姉妹の三女、葛城…

ワガママボディの姉二人と違い、ワガママボディではなく、実にフラット………いや、スラッとしたスタイリッシュさを持っており、天城と同じく、長女と違って比較的常識人だが、五航戦の妹の方を宗教レベルで神聖視しているらしく、未だに憧れのズイカクセンパイを直視できないらしい

 

「そろそろ出ますよぉ~」

 

天城は手にした杖を力強く握りしめ、目を閉じて3秒……カッ!と目を開いた!!

 

「オンキリクギャクウンソワカ!!開け無月の門!勇猛にして果敢なる大空の獄鳥よ来ませーい!」

 

ぶわっ!!(鳩)

 

『キィー!』

 

「おぉ!!すげェ!」

 

「鳩でたよ!鳩が!」

 

「すげェ!手品ってすげェ!!」

 

…睦月型のアホガキどもは杖から出てきた鳩に、スゲースゲーとキャッキャとハシャいで俺の座っている椅子やらテーブルやらに蹴り入れてきた

 

「陸奥、なんとかしろ」

 

「男が細かいコトぐちぐち言わない」

 

「バカヤロウ、俺は細かいコトとチンポジにはうるさい男なんだよ、なんだ?なんならお前が俺のチンポジを正位置にポジショニングでもしてくれんのか?」

 

「イヤよ、なんで好きでもない男のチンポジ直さなきゃならないのよ」

 

「フーッ!コイツぁ手厳しい!」

 

まったく大した陸奥だ……しかしこの手厳しさ、もしかして俺のコト好きなんじゃないのか?たぶんそう、アレだ、アレだよアレ、ツンデレってやつだろう、ツンデレ

 

「……一応ツッコミ入れとくけど、たぶん今、提督が考えてるみたいな感情はないわよ?遺伝子レベルで無理」

 

「遺伝子レベルか…」

 

オイオイオイ、陸奥のヤツこれは完全に惚れてるな、1000%惚れてるわ、もう完全にマジLOVE2000%だわ

 

そんな陸奥からのLOVEの大革命を確信しつつ頷いていると、天城と葛城のマジシャンズ空母達は次はこの箱に鎖を巻きつけて剣をブッ刺して中の人は大丈夫でしたーをやりますと言って棺のような箱を取り出した…

 

「それじゃ、入りますよー」

 

「はい、葛城が入りましたよー、皆さんよく見ててくださいねー」

 

天城は葛城の入った箱の蓋を閉じ、サークルディフェースとか言いながら鎖をグルグルと雁字搦めに箱に巻きつけ、これまたどこぞから取り出した大剣を箱に容赦なくブッ刺した!

 

「覇気で刺したーッ!」

 

「死んだか!?葛城ィ!」

 

そんなブッ刺しアクションに大興奮のクソガキどもはキャッキャとハシャぎながら俺の座る椅子を後ろからガンガン蹴りを入れ、手にしていたポップコーンを俺は頭に撒き散らす………

 

「陸奥、マジでなんとかしろ」

 

「アンタ達〜…このオッサンがうるさいって」

 

「オッサンじゃない、提督だ」

 

陸奥の野郎が一応クソガキども注意したが、クソガキどもは大剣+追加12本がかかりましたね!に大興奮中なのでたぶん聞いちゃいねぇ………よし!決めた、コイツら後で全員にケツにビンタしてビィービィー泣かしたるわい

 

「しかし葛城の奴、死んだんじゃねぇのか?」

 

「あら?意外と気にはなってるのね?」

 

「まぁな、アイツらも意外と本格的な手品をやるモンだ」

 

…と言うか、俺が見たかったのは以前雲龍から聞いた天城の胸の谷間から鳩が出てくる手品なのだが……まさか雲龍の野郎、アイツ実はテキトーなコト言ってたんじゃねーだろーな

 

「はい!では箱を開けますよー」

 

クソガキども大興奮の中、天城は箱に巻いた鎖を俺じゃなきゃ見逃しちゃう手刀て切断し、箱の蓋に手をかけるとメリ…ッ!メリッ!ミシ…ッ!!と蓋をおもいっきり開き、そこには………っ!!

 

ゴロン…っ!!

 

「ぐふっ……」

 

身体中にダメージを負った葛城が箱の中からゴロリと転げ落ちてきた…

 

「失敗してるじゃねぇかァァァァァァァ!!」

 

「ちょっと、うるさいわよオッサン」

 

「オッサンじゃない!」

 

全然刺されても大丈夫じゃねーじゃねーか!?葛城、完全にノーガードから戒めの洗礼浴びてるじゃねーか!?なんだこのステージ事故!?

 

しかし!!そんな俺の心配を他所に、ニコニコと笑顔の天城は妹の頭を杖の先でちょっと小突いて“葛城葛城、早く立って、早く早く!”と俺じゃなきゃ聞き逃しちゃう小声で妹を急かし…

 

「………こ、このとーり!ダイジョーブ!」

 

見事立ち上がった葛城はダイジョーブ!と明らかに大丈夫でない膝ガクガクな姿で見事にビシッとポーズを決めた

 

「スゲー!!」

 

「スゲェ手品だ……っ!スゲェ手品だ!」

 

「スゲェよオイ!もっちー!もっちー!ほら!」

 

「え?あ、うん、スゲーんじゃね?」

 

そんな文字通り、葛城の身体を張ったアツいマジシャンズソウルにクソガキどもはクソ!なんてスゲー!まるで奇跡!奇跡じゃあ!と大興奮している…

 

「…いや、普通に失敗だろ」

 

「大人なんだから細かいコトはツッコまない、あの子らの純粋さに余計なチャチャ入れない」

 

陸奥は俺の脇腹に拳を当てて“あんまりぐちぐち言わない”と口を尖らせた

 

「オイ、なんだそのグーは?」

 

「当ててんのよ」

 

…長門曰く、陸奥の拳は天気の良い日に干した布団に拳を当て、それを撃ち抜くと言われている………そんな凶器が今、俺の脇腹にある…

 

「へいへい、黙ってりゃいいんだろ、黙ってりゃ」

 

「わかればいいのよ、フフッ…提督のそーゆー物分かりが良いトコ、私は嫌いじゃないけど?」

 

「じゃ、チンポジ修正してくれ」

 

「イヤよ」




次回
全編短じかめエンディング話


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提督とルート分岐のエンディング ①

今回から二周年なトクベツ編、短編エンディング回
色々ご提案頂いた中から色々雑な感じで書いてます、雑に

とりあえず第一回は二本立て

【楽園】
【さる、高貴な女性と…】

の二本です、ウフフフー


【① 楽園】

 

かつて、戦争があった…海軍と深海棲艦の頂上戦争からもう何年経っただろうか、人類と深海棲艦の熾烈な戦いは終わり、軍縮の名の下に今まで強硬派が主だった海軍組織は解体され、新たな海軍、ネオ海軍が誕生

 

そして、今まで妖精の姿を見る事ができた海軍将校達の多くは、その、妖精を見る力を失った…

 

◆◆◆

 

「天海クン天海クン天海クンよォ〜?ちょっとコレ、荷物を持って行くだけのカンタンな仕事じゃなかったか?なんか依頼と内容が違い過ぎるんじゃねぇのか?」

 

「まぁ、この業界ではよくある話です、あ、ちゃんと前見て運転してください」

 

「言われなくても俺は安全運転にはうるさい男だよコノヤロー」

 

生まれ育ったニホンではないどこぞの島国、中古で購入したMINIのハンドルを握り、可能な限りの安全運転で道路を走る俺に対し、隣に座る相棒が鼻歌交じりに後ろから迫ってくる車輌に四角いナニかを放り投げると後方からゴキゲンな爆発音と衝撃が響く

 

「オイ、やりすぎんなよ」

 

「大丈夫ですよ、この業界、あの程度では死にません」

 

天海の野郎は涼しい顔で拳銃の残弾を確認しつつ、次の角を左でと冷静で的確なナビをし、俺はそれに従い冷静で的確なドライビングで左折を…

 

「オイ、こっから先は通行止めだってよ」

 

「一方通行の間違いでしょう?頼みますよ、中佐」

 

「中佐じゃない、元・大佐だ!」

 

まったく天海の野郎……俺をなんだと思ってやがる、まぁいい、とりあえず今は目の前を突っ切る事が何より最優先だ、ハンドルを握り、シフトレバーを操作しつつアクセルを踏み込む………MK VII!今!お前に生命を吹き込んでやる!!

 

ーーー

 

「あ、おかえりなさーい、ドーベルさん、ワンワンさん」

 

「ただいま」

 

「誰がワンワンだ」

 

宅配便の仕事を終えて帰って来た俺達を、いつものようにユウ……天海の妹が俺たちを出迎え、ユウは最近ベンキョーしただの言うピザ的なナニかを作ってますからちょっと待ってくださいねーとか言ってキッチンに引っ込んだ

 

「ったく…なんでオマエがドーベルマンで俺がワンワンとかカッコ悪い名前で呼ばれにゃならんのだ」

 

「さぁ?まぁ…ユウの感性は独特ですからね」

 

「独特すぎるわ、なんだ?アレか?マ●オか?マ●オでもやってたのか?」

 

「そう言えば……あぁ、ハワイに居た頃にやってましたね、変態ドクターと」

 

「ふ〜ん」

 

天海の野郎もあれから色々あったらしいが、その、色々あった結果、自分がユウの兄だと名乗る事はしない事にしたらしく、現在はドーベルマンと名乗っており、同じく色々あって死んだ事になった俺はコイツとコイツの妹、ユウと真っ当とは言い難いが、まぁ、それなりに悪いばかりではない仕事をしている…

 

「ふ〜ん♩ふんふ〜ん♩」

 

キッチンから聞こえてくる微妙に音程がハズれた鼻歌と、誰かと会話する楽しげな声……

 

ユウには妖精さんってのが未だに見えるらしく、しかもおしゃべりまで出来るってんだから、提督適性はズバ抜けて高いんだろう………ま、今更カンケーないが

 

「そう言えばその変態ドクター、またなんかやらかしたらしく、ちょっと困ってるんですけどねぇ〜とか連絡がありましたが…」

 

「フーッ〜……無視無視、あんなのと関わるとろくなことねぇぞ」

 

「ですね、ま、勝手になんとかするでしょうし」

 

俺でもテロ屋にちょっと恨み買ってる程度なのに、あの変態はテロ屋どころか至るトコの国レベルで恨み買ってるからな、まぁ………どうせまたなんかの仕事でカチ合うだろと考えてると、ピザ的なナニかを手にしたユウが戻ってきた

 

「あー!!また家の中でタバコ吸ってる!家の中は禁煙ですよ!禁煙!」

 

「うるせぇな、ちょっとぐらいいいだろーが」

 

「ダメです!ケムリは身体に良くないってお医者さんが言ってました!たぶん!」

 

「そいつはヤブだな」

 

「え…?ヤブなんですか……?え?ドーベルさん?」

 

ユウはマジかよと言った顔でドーベルマンさんに顔を向け…

 

「……まぁ、ヤブかヤブでないかはアレですが、腕だけは確かです、変態ですが」

 

「ほらぁ!ドーベルさんだってヤブじゃないって!」

 

「へいへい、ったくガキのくせにうるせーな」

 

「ガキじゃありません!ちょ〜っと、寝てる期間は長かったけど、これでもオトナの女ですよ!オンナ!」

 

「はいはいオトナオトナ、無い胸張ってよくゆーわ」

 

「カッチーン!です!ワンワンさんは口も悪いし目ツキも悪いし性格も…まぁ、たまに優しいけどだいたい悪いし、そーゆーのはモテませんよ!たぶん!」

 

「やかましい、ドーベル犬、オマエもなんか言ってやれ」

 

「今のは中佐が悪いですね」

 

このシスコン野郎が……

 

「そんなワンワンさんにはピザ的なモノはあげません!飢えて苦しめばいいんです!」

 

「はいはい、そうですか………あ、ユウ、冷蔵庫にビール入ってるから出してくれ」

 

「ビールですね!はい、ドーベルさんも!」

 

「ありがとう」

 

………まぁ、色々となんやかんやあったが、今は軍も国も関係なく、余計なものは何もなくなったが、これはこれで悪くないか…

 

 

おわり

 

■□■□■□■□■□

 

【② さる高貴な女性に…】

 

かつて、戦争があった…

 

深海棲艦との戦いは終わり、なんやかんやあってニホンに居られなくなった俺に、自らの国へと戻る女王陛下は私と共に来なさいと手を差し伸べてくれた……

 

その時、俺は膝を折り誓った……この御方の為に生きよう、この御方こそ全宇宙の覇者となるべき御方だと…

 

◆◆◆

 

「Arkはどうですか?」

 

「…アークロイヤルですか、まぁ、些かヤンチャなところはありますが、将として決して劣ることはないかと…」

 

英国海軍の客員提督(ゲスト・アドミラル)となった俺は今日、麗しき我が女王陛下からの少々相談事があると呼び出しを受け、その御前へと来ていた…

 

「あぁ、いえ…そう言う話ではなく、Admiralもそろそろ身を固めてはどうかと…」

 

「………はぁ?」

 

「それで、その、出来ればArkを引き取っ……いえ、ArkならAdmiralの伴侶として相応しいのではないかと……その、ほら、Arkもアナタの事を悪い感情を持っていないようですし、よく2人で食事もするのでしょう?」

 

「え、えぇ…まぁ」

 

我が女王陛下はちょっと困った顔と言うか、ヤベ!ちょっと失敗した的な顔をしているが……まったく、そんな憂な御顔も御美しい……ってかオイィィィィィ!!勧めてるよォ!陛下自らアークのヤロウを引き取れって勧めてきてるよ!?どうすんだコレ!?断っていいのか!?

 

「Arkはああ見えてなかなか器量もあるし、容姿も美しいと思うし…」

 

「は、はぁ…」

 

ただし、色々と残念な娘である………陛下としてはそう付け加えたいのだろうが、それはやはり付け加えないところに陛下の御心の深さを感じられる

 

「そ、そうです、AdmiralとArkの2人……えぇ、それなら私も、いえ、国を挙げてのroyal weddingで祝福しましょう!royalだけに!」

 

「アークロイヤルだけに、ですな!」

 

ハッハッハ、さすがは女王陛下、ロイヤルジョークも一流でいらっしゃる…

ってかマズいぞ、陛下はマジで俺にアークのヤロウを押しつける気だ、国を挙げてのロイヤルウェディングと言う名の逃走防止策までお考えになるとは……まぁ、たしかにアークとはなんやかんやで仲は悪くない、頭はアレだが見た目は悪くないし、っーか美女だ

 

「どうですか?Admiral、そして出来ればArkと2人、これからも我が国を支えて頂けると…」

 

「そ…そうっすね、ちょ、ちょっと考えさせて頂けると嬉しいなと…」

 

「Admiral!」

 

ダァン!!(テーブルドン!)

 

女王陛下は珍しく大きな声をあげ、その高貴な御手でテーブルをダァンした

 

「紳士たるもの度胸……えぇ、度胸です!出来ればこの場にてAdmiralの真摯なお気持ちをお聞かせ願えませんか?」

 

さすがは女王陛下…っ!今、この場の攻勢にて畳み掛けるおつもりか!なんという…なんという王ラ!まさしく王たる者に相応しい覇気っ!

 

「どうなのですか?」

 

「そ……そうですね、ま、まぁ…アーク、うん、アークなら、うん……えっと、数いる候補の中の上の方に加えておこうかな………っと」

 

「そ、そうですか!」

 

陛下はとても嬉しそうな御顔で微笑み、しれっとその右手をグッと握り締めちょっとだけ肘を後ろに引いたのは俺じゃなきゃ見逃していただろう…

 

「うんうん、ですね!やはりAdmiralは私が見込んだ真の紳士……えぇ」

 

「あ、アハ…アハハハ……」

 

ダメだ、逃げきれるヴィジョンがまったく思い浮かばねぇ…

 

そんな半ば諦めかけた中、ティーラウンジの扉を大きく開き、陛下と同じくサラサラストレートのキンパツ美少女がファーックスとか言いながら転がりこんできた!

 

「Lady!今のはどーゆーツモ・リー!?あ、Arkと!Darlingが!ケ、ケケケ!ケッ・コーンなんてこのJervisはゼッタイに認めないワ!そうゼッタイ!」

 

「あらJervis、丁度良かった、アナタとKellyにはArkのVeil Girlをお願いしようかしら?」ニコニコ

 

「ハァァァァ!?ヘイヘイヘーイ!Lady!ナニそのroyal joke!ゼンッゼン!おもしろくないワ!」

 

「………ふぅ、Jervis、アナタ、少し口の利き方に勉強が足りないみたいね」ギンッ!

 

「ひぎぃ!!」

 

今のは……覇王色ッ!陛下の放った覇王色を受け、ジャーヴィスはブクブクと泡を吹きながらブッ倒れた…

すげぇ、なんて覇気だ………これが王の力!

 

「失礼しましたAdmiral、では、この話は前向きに考えると言うコトで…」ニコッ

 

「は…はぁ、前向きに…」

 

 

…後世の歴史家達はニホンから来た客員提督と英国空母のロイヤルウェディングが今世まで続く大英国の快進と躍進の契機となったと分析をしており、半ば定説となっているが、歴史の真実はその時を生きた者達にしかわからない、歴史家達はただ、ありもしない物語を夢想する語り部なのかもしれない…

 

英国の歴史に、また1ページ

 

 

おわり




次回は②

【提督と鈴谷のアナザー・ワン】
【喫茶五月雨軒】
【ナイスガッツ・ナイスラン】

の三本の予定です、ウフフフー


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提督とルート分岐のエンディング ②

ルート分岐のマルチエンディング第二回、三本立て…?アナタ何を言ってるの?二本に決まってるじゃない

そんな今回の二本は〜…

【提督と鈴谷アナザー・ワン】
【喫茶 五月雨軒】

三本目?気安いわね、次まで待てないの?ウフフフー



【提督と鈴谷アナザー・ワン】

 

かつて、戦争があった…

 

ただ1つのメインヒロイン・ザ・メインヒロインの座を賭け、メインヒロイン鈴谷の前に立ちはだかった運命の5メインヒロイン候補、鈴谷スーパーフェニックス、鈴谷ゼブラ、鈴谷マリポーサ、鈴谷ビッグボディ、鈴谷ソルジャー…数多の激戦の末、遂に鈴谷の必殺技(フェイバリット)ビッチベン・エッジが鈴谷スーパーフェニックスに炸裂し、長かった戦いの日々は終わった…

 

◆◆◆

 

…俺はどこでどう選択肢を間違えたのだろう?考えても、考えても、考えても、考えても、考えても、何が間違っていたのかわからない、どこから?いや、もしかしたら最初から全部間違えていたのか?何もかも!俺が今までしてきた努力は全部無駄だったんじゃないのか?

 

「だってさぁ!!」

 

「うるせーし!!ちょっと鈴谷今日チョーシ悪いんだから大声出さないでくれる?」

 

「ん?あぁ、スマン」

 

切り刻んだ野菜とバーモ●ト甘口を鍋に放り込み、グルグルと混ぜつつ俺は今までの人生について振り返っていた、思えばたぶんアレだろう、アレだ、酔った勢いだろうな、うん、っーかまさかイッパツでツモるとは思わなかったわ、うん、五月雨の野郎からは“提督は昼においても夜においても常勝の王者ですね”とディスられたし…

 

そして、なんやかんやで流れるように日々は過ぎ、今や俺は海軍中将となり、若くてエロい妻と、もうちょいで団体戦に出られるぐらいの数の子供も生まれ、日々の仕事と家庭を持っている…

 

「はいはい、アン●ンマンアン●ンマン、ね?おとーさん、アン●ンマンのDVDどこー?」

 

「あ?デッキに入ってるだろ?」

 

「入ってねーから聞いてるし、これト●ースじゃん」

 

ソファにダラダラ寝転がり、ガキどもの相手をしていた鈴谷はDVDの入ってるケースをテキトーに開き、アン●ンマンのDVDを探す、子供ってのは何故あれほどまでにアン●ンマンが好きなのだろうか…?長女も長男も最初に喋った言葉はアン●ンマン、どんだけアン●ンマンなんだよ

 

「ねぇし、って………オイィィィ!!」

 

「ん?って、アイッター!!テメぇコラ!DVD投げんな!」

 

「投げるわ!!なんでリビングのテレビのトコに、いか…いかがわしい!DVD置くの!?マジありえねーし!やめてって言ったじゃん!?」

 

「あ?あぁ、アレだよ、アレ、たまにはほら、デカい画面で見たい時とかあるんだよ」

 

「マジ最悪!マジでBADなんだけど!」

 

以前、若い時にノリと勢いでハメ撮りしたやつをDVDに焼き、アン●ンマンと書いてDVDケースに入れていたら間違って子供が見て、おとーさん、おかーさんをイジめないでと泣かれた事があり、さすがにその時ばかりは鈴谷もマジギレした、ってか俺もマジ謝りした、まぁ、アレは俺が悪い、ただ、その日の夜は、なんかちょっとムラムラして人妻物も悪くねぇなと思って新作ハメ撮りを敢行、そうしてデキたのが次女だ

 

「はいはい、悪かった悪かった、ん?どーした?」

 

鍋をグルグルまわす俺のズボンを引っ張り、三女がなにやらDVDのケースを差し出してきた

 

「…アン●ンマン」

 

「おう、なんだ、あるじゃねーかよ、どこにあった?」

 

「おかーさんが、こっちに、置いてた」

 

「そうかそうか、っーワケでオイ!アン●ンマンあるじゃねーか!ってか皿ぐらい用意しろダボが!」

 

俺は受け取ったDVDのケースをトドみてーに転がる鈴谷に投げつけ、鈴谷はアイッター!とか言いながらブツクサ文句を言って立ち上がった

 

「はいはい、やりゃいーんでしょ、やりゃ」

 

「はいはいじゃねーよ、ったく…」

 

「あ、そーそー、おとーさん、週末熊野が来るから、焼き肉とかしよーぜ?」

 

「熊野が…?」

 

「そ、なんかお高価い肉買って来なきゃウチの敷居跨がせねーぜって言っといたから」

 

熊野か……アイツもワリと暇人だな、まぁ、正直、アイツが来てくれるとガキどもの相手してくれるから楽なんだよな、たぶんアホすぎて子供心がよくわかってるんだろう

 

「ふ〜ん、まぁいいんじゃねぇの?お前とはマンネリ化してるし、たまには熊野に相手して貰うか」

 

「子供の前でそーゆーの言うなし、ってか、フツーに浮気すんな!」

 

「俺実は熊野が好きだったんだ、でも熊野は高嶺すぎて手が届かないから似たような遺伝子で妥協したんだ」

 

「妥協とかゆーな!!は?ナニ?え?鈴谷になんか不満あんの?あんだけヤっといてまだなんか不満?」

 

「ジョーダンだ、小粋なテイトクジョーク」

 

「小粋でもなんでもねーし、ったく………ジョーダンでも浮気とか言うなし」

 

………なんだろうな、俺はコイツのこーゆートコが意外と気に入ったのかもしれないな

 

「よし!今日はちょっと夜更かしすっか?なぁオイ?」

 

「え?あ、いや、今日はちょっと…」

 

「たまには仲良くマ●オカートすっか?マ●オカート」

 

「あ、そっち…?」

 

 

どこで間違ったのか、或いは最初から既に間違っていたのかは定かではないが、ある意味では、これはこれで良いのかもしれない……ただ、あの時の俺に戻れるとしたら、俺はまたきっと勇気を出して浜風ちゃんに一心不乱におっぱい揉ませてください!と頭を下げるだろう…

 

…で、ドン引きされる

 

あれ?もしかしてこれが分岐点だったくね?

 

 

おわり

 

■□■□■□■□■□

 

【喫茶 五月雨軒】

 

かつて、戦争があった…

 

長きに渡った人類と深海棲艦の泥沼の膠着状態は人類側の作り出した秘密兵器、オキシジェン深海デストロイヤーにより戦況は一変、深海棲艦達はこりゃマイッタ!と白旗を上げ、多数の同胞達と人類側の深海棲艦に理解ある一部の有識者達は新たなる新天地を求め、この星を去って行った

 

そして、敵性生物を失い、その役目を終えた世界各国の海軍は軍縮して行く事となった…

 

◆◆◆

 

キュウシュウのとある繁華街の街角に立地する雑居ビルの1Fにその店はある、かつてはメイドカフェだったらしいがそれも今は昔、テナント募集の張り紙が貼られて久しいその店を居抜きで借り、新たにオープンした喫茶店……本格珈琲専門店五月雨堂

 

軍を辞め、趣味が高じて退職金で喫茶店を始めた五月雨が始めたその店だが、まるで骨董屋みたいな名前だなと姉妹からディスられ、開店初日から殴り合いの大惨事を起こしたが、とりあえず無事営業は開始された…

 

しかし、趣味が高じて始めた程度………否、趣味と言うには些かユニークすぎたその味に、客が付く事などなかった

 

「いらっしゃいませー」

 

「チャーハン一丁、ご一緒にコーヒーもいかがですか?」

 

……調理場で中華鍋をブンブン振り、アツアツのチャーハンを皿に盛り付け、チャーハン一丁ーっ!と元気に声を張る俺と、そのチャーハンを客に出す五月雨…

 

何故本格珈琲専門店五月雨堂がこうなったのか、それには深いワケがある…

 

ーーー

 

「何故でしょうか…」

 

「何故もクソもねぇよ、なんで金出してヘドロ飲まにゃならんのだ」

 

五月雨と同じく軍を辞め、退職金を元手に何か商売でもするかと考えていた俺は、一応、それなりに付き合いのある五月雨の店で相変わらずクソマズいコーヒーを飲んでいた…

 

「提督は毎日来るじゃないですか」

 

「俺は優しいからな」

 

「正直イラっとしますが、ここ最近の売り上げが提督が毎日飲む380円しかないので我慢します」

 

コイツ、未だに自分のコーヒーが人類を破滅に追い込む殺人兵器だってのを認めないつもりか

 

「どうせならアレだ、村雨とか夕立とかねーちゃん達雇ったらどーだ?で、ちょっとパンチラさせりゃ客なんてホイホイつくぞ、10000円で1ポイントのポイントカード作ってさぁ」

 

「イヤですよそんな商売、私は純粋にコーヒーを楽しんで貰いたいんです」

 

「無理だな」

 

「イラっとします」

 

五月雨はコーヒーカップを丁寧に拭いて並べ、目に見えて大きく肩を落とした…

まぁ、アレだな、この店の問題はコーヒーの味だけで、全体的にシックな店の雰囲気も立地も悪くない、コーヒーの味がアレなだけだ

 

「どうせならアレだ、コーヒーだけじゃないで菓子とか出したらどうだ?菓子とか」

 

「お菓子ですか…」

 

女が大好きなふわふわスウィーツ的なモン出しとけばある程度はなんとかなるもんだろう

 

「パンケーキとかですかね?」

 

「パンケーキ………?取り消せよ、今の言葉」

 

「はぁ?」

 

「ホットケーキだッ!間違えるな!パンケーキなんてふわふわした名前は認めねぇ!」

 

「まぁ、私としてはどっちでもいいんですけど……ただ、私、コーヒーは得意ですけどパンケーキだかホットケーキだかは作った事ないんですけど」

 

「マジかよオマエ…」

 

女子力低いなコイツ、まぁ…よく考えたらコイツも含めてコイツの姉妹、全員女子力低いか……?いや、海風姉ちゃんならあるいは…

 

「ったく、仕方ねぇな…俺が見本作ってやるから覚えろ」

 

「え?提督、ホットケーキ作れるんですか?キモっ…」

 

「誰がキモいだ」

 

こうして、俺は喫茶五月雨堂で出すホットケーキを作り、その技を五月雨に伝授したら意外にもアッサリと覚え、五月雨堂の売り上げは1日380円から1日1万円台まで伸びた…

 

「意外と売れますね、コーヒーの売り上げは相変わらず380円ですけど」

 

「俺から容赦なく金とるのがスゲーよ、オマエ」

 

「売り上げは伸びましたけど、でも、コーヒーが売れなかったら本末転倒です」

 

コイツ、まだコーヒーに拘るのか………俺は1杯380円のクソマズコーヒーを飲みつつ、元部下の為に新たな案を考え…

 

「アレだよアレ、たぶんアレだ、まだオマエのコーヒーについてイケる客が来てねぇんだよ」

 

「はぁ?」

 

「だからそう…アレだ、オマエのコーヒーについて来れる客を探すべくアレだ、まずはコーヒーと並行して客を集めるメニューを作る、でだ、そしたらついでにコーヒーを飲んだ客の1000人に1人ぐらいは“んんっ!エクセレンツ!”とか言うかもしれねーぞ」

 

「なるほど、ただ、1000人に1人はちょっとイラっとします」

 

ーーー

 

「なんと10万円台です」

 

「フーッ〜………ま、今日は忙しかったしな」

 

本日の営業時間も終わり、売上集計をしていた五月雨は帳簿に今日の収支を書き込み、売上金を手提げ金庫に入れてダイヤルを回す

 

「儲かるのは良いコトだな、なぁオイ?」

 

「なぁオイ?じゃないですよ、最近ネットでウチの評判検索してみたら、ウチの紹介がラーメン屋になってるんですけど、キュウシュウの濃厚さとか細麺とか、あと、なんか知らないけどコーヒー勧めてくるクレイジーな若奥さんとか」

 

「クレイジーか!カッカッカ!クレイジーか!」

 

「笑い事じゃないですよ」

 

「ま、そのうち時代がオマエのコーヒーについていけるようになるだろ、世界が一巡ぐれーしたら」

 

「ステアウェイ・トゥ・ヘ●ンですか」

 

「メイド・イン・ヘ●ンな、っーかよく知ってるなオマエ」

 

「はぁ………もういいです、コーヒー淹れますけど、飲みますか?」

 

「貰おうか」

 

どうせ俺しか飲まないカワイソーなコーヒーだ、五月雨はコーヒーを淹れる準備をしつつ、俺に右手を差し出し…

 

「380円です」

 

 

…まぁ、コイツはこーゆーヤツだな

 

 

おわり




次回は③

【ナイスガッツ・ナイスラン!】
【MOW-THE LAST-】

ですって!たぶん!


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提督とルート分岐のエンディング ③

ルートが分岐したアナザーディメンション3回目、ダラっと二本立て

【ナイスガッツ!ナイスラン!】
【MOW-THE LAST-】

ですって!


【ナイスガッツ!ナイスラン!】

 

かつて、戦争があった…

人類と深海棲艦最後の頂上戦争から早数年、深海棲艦のヘッドは打ち倒され、頭を失った深海棲艦達は瓦解し、その多くは海へと帰って行き、二度と姿を見せる事はなかった…

 

「テイトク、ちょっと相談あるんだけどー」

 

「テイトクじゃない、トレーナーだ」

 

“いつか来る日の為に”…

もし、再び深海棲艦のような人類に敵意を持つ敵が出現する事もあるやもしれない、そんな思想の下、海軍は軍縮と同時に新たなる新世代正義艦娘育成にも着手していた…

 

海軍将校をクビになった俺は長良姉妹が作った民間の新世代正義艦娘育成機関“ナイスガッツ長良塾”通称、ヘ●クレスファクトリーにてトレーナーとして再就職した

 

「いや、だからこのプログラム、ヤバいでしょ?ちょっとテイトクからも長良姉に言ってやってよ」

 

「ムリだろ」

 

五十鈴パイセンはこんなムチャやってるから人が集まらないのよバカじゃない?なに?バカじゃない?とトレー二ングプログラムの書かれた書類をバシバシ叩きながら俺に文句言ってくるが、俺は悪くない

むしろ、今も窓の外から長良主将のアツいナイスガッツ成分を含んだもっとアツくなれよ!もっともっとアツくなれるだろ!とアツいナイスガッツが聞こえてくるがいつもの事だ…

 

「ハァ…やっぱムリ?」

 

「ムリだろ」

 

軍在籍時、五十鈴とは姉妹の愚痴をぐちぐち聞き、チームの話をぐちぐち聞き、たまに飲みに行ってはぐちぐち聞いていたが、ぐちぐちぐちぐちうるせーよ!もうウンザリだよ!と言っていたらいつの間にやらベッドの中でぐちぐち聞くようになっていた…

まぁ、なんやかんやあったが五十鈴は自認するだけあっておっぱいデカくて可愛い、そう……おっぱいデカい、なんだこれ!すげェ!モチモチじゃねーの?ってぐらいデカい

 

「ったく、長良姉におとなしくしろってのがそもそものムリなのよ、ムリ」

 

「まぁ、最初からわかってたがな」

 

長良塾の代表である長良主将だが、その、持ち前のナイスガッツを止める事は誰にもできず、代表自ら今もアツい汗を流しながらアツくなれよ!と明日のナイスガッツメイト達とアツいナイスガッツトレーニングをしており、会社経営とかそーゆー小難しいのはアツくなればなんとかなる!と言っており、長良塾の会社経営自体は姉妹の四女に…

 

「ノックしてもしもーし?提督さんいるー?」

 

「あ?」

 

「ナニ?由良じゃない、何かあったの?」

 

トレーナー室の扉をコンコンと叩き、ダークグレーのレディーススーツを着こなす髪の長いの………長良姉妹の四女、由良さんがビニール袋片手にゆらっとやって来た

 

「ナニって?別に、由良は提督が苦しむ顔を見たくて来たんだけど?あ、そうそう、ついでにアイス買ってきたよ、アイス食べる?」

 

「なんでナチュラルに俺が苦しむ顔見に来るのだよ、とんだドSなのだよ」

 

由良さんはビニール袋からバニラバーを1本取り出し、袋を破ると、ほら、冷たい内に?ね?と言いながら俺の口にBUSSAしてきた…

 

「ウゲェ!!」

 

「ちょっと由良、五十鈴のぶんは?」

 

「好きなの食べれば?」

 

由良さんは俺の口から引き抜いたバニラバーをベロベロと舐め、五十鈴にナニそのおっぱい?もしかしてパイ●リ専用?とディスりつつビニール袋を差し出した、っーか仲悪いなコイツら…

 

「そうそう、キヌとアブー見なかった?あの子達、今週末までに中学生以下にニホン記録タイで泳げる子作れって言っといたんだけど?由良の広告戦略台無しにするつもりかしら?ね?」

 

「ムチャゆーな」

 

「鬼怒と阿武隈なら有給取って温泉行ったわよ、ったく…あの子らも少しはアンタから離れてリフレッシュが必要だわ、ノイローゼ寸前だったわよ」

 

「ふ〜ん」

 

朝、青ざめた顔した鬼怒と阿武隈が有給くださいと言ってトランクに夢を詰め込んで出掛けたが………やはり原因はこの白髪鬼だったか

 

「ま、いいけど…」

 

由良さんは大して気にした様子もなく新たにチューチューアイスを取り出し、片手で2本にへし折って1本を俺の口にブッ挿し、もう1本をチューチューガリガリと食べ始めた

この元、髪長軽巡こと由良さんは一応姉妹の中では一番会社経営などに向いていたらしく、長良主将と五十鈴は小難しい事を嫌い、名取クンは経営とか無理ですと辞退、鬼怒と阿武隈は由良さんには逆らえない完全なる姉妹の隷奴関係にあるので現状、由良さんが会社のトップと言えるのだが…

 

「じゃ、プランAに変えよっかな…ね?どうかな?提督さん?」

 

「その、プランAがなんなのかよくわからんが…あと、俺は提督じゃない、トレーナーだ」

 

「ってか由良、アンタさっきからウチのダンナに馴れ馴れしすぎなんだけど?ナニ?ケンカ売ってんの?」

 

「別にいいじゃない?五十鈴姉ェのモノなら由良のモノも同然じゃない?ね?あれよ、和菓子の師は和菓子って、ね?」

 

「いいワケないでしょ、ったく…」

 

「いいじゃない?ね?あ、そーだ、提督さん、NTRごっこしない?NTRごっこ、提督さんがイヤがりながらも由良に逆らえずにされるとこを五十鈴姉ェに見せつけるとか?ね?」

 

「とんだドSなのだよ、ちょっとおたくの妹さんどうなの?五十鈴パイセン」

 

「我が妹ながらとんだドSよ、知ってるけど」

 

…だが、個人的には由良さんではなく名取クンならトレーナーの精を注ぎたいかもしれんな、できれば更衣室とか物陰とかで、あ、そーだ、名取クンもよく考えたら俺の義妹的なモンだし、今度ひと気のないプールにでも呼び出して…

 

「あ、由良知ってる、この顔の提督さんは背徳的にブチ込む妄想してる顔ね」

 

「そうなの?ちょっと後で説教するわ」

 

 

……後に、新世代の五輪戦士を多く輩出する事になるナイスガッツ長良塾、その後、ここはヘラク●スではなく、デーモンファクトリーと呼ばれ、数多くの悪魔的強さを持つナイスガッツスポーティーメイト達を作り上げ、スポーティーメイト界ではそれなりの規模の会社として成功した

 

 

おわり

 

 

■□■□■□■□■□

 

【MOW-THE LAST】

 

かつて、戦争があった…

人類と深海棲艦の戦争は深海棲艦達の本拠地で繰り広げられる戦いに、1人、また1人と倒れる仲間達の意志を継ぎ、遂に辿り着いたその場所には水槽に入った脳だった!!全てを知り、全てを悟り、そして全てに絶望した艦娘達だったが、ある艦娘だけは違った………決して希望は捨てない、この閉じ込められた世界と歪みをその拳で撃ち抜いたのだった…

 

そして、数年の時が過ぎた…

 

「なんともチンケな街じゃのぉ〜」

 

「かつて闇社会のBOSSがこの街を根城にしていたらしいが、ククッ…今や見る影もねぇ」

 

「ゲッヘッヘッヘ、ナニが“伝説の狼”だ、仮にそんなヤローが居たにしてもこのオレの敵じゃねぇぜ」

 

南街商店街(サ●スタウン)に現れた腕自慢のゴロツキ達はゲッヘッヘッヘとザコ特有の下卑た笑いをしながら近くにあったカフェテリアに入り、ザコ特有の早く酒を持って来いだのねーちゃんイイ尻してるじゃねーかと言いながらやりたい放題していた…

 

「アナタ達って本当に最低のクズね!」

 

「ゲッヘッヘッヘ、随分とイキのねーちゃんじゃねーか!なぁ!」

 

「まったくだぜ!」

 

カフェテリアで店員とそんなザコ特有のやり取りがされる中、カフェテリアのオシャレな木の扉を開き、新たな客が入って来てカウンターに座った…

 

「とりあえずナマ」

 

とりあえずナマを注文するとフーッと大きくため息を吐くいたその新たなる客に、ゴロツキ達はザコ特有のノシノシ歩きでカウンターに座った客に絡んできた

 

「ゲッヘッヘッヘ、オイオイオイ、ネーちゃんもなかなかハクいじゃねーか?どっから来たんだァ?」

 

「オレらと飲もうじゃねぇか!ゲハハハハ!」

 

「………息が臭いわね」

 

「あ?」

 

「息が臭いって言ったのよ、いつからこの店はケダモノの入店を許すようになったのかしら?」

 

カウンターの向こうに立つ男は少し困った顔をしたものの、肩をすくめただけでグラスを磨く手を止めず、女の方はゴロツキAの腕を掴み…

 

「ウゲェ!!イデ!イデデデデ!!て、テメー!ナニしやがる!」

 

「あら?このブタは喋るのかしら?」

 

「なんだとォ!!ナメやがってこのアマァ!痛い目見ねぇとワカらねぇみたいだなー!オイ!やるぞォ!」

 

「まったく………このも治安が悪くなったものね」

 

◆◆◆

 

「ゲッ!ゲェーッ!!そのマークはーッ!ま、まさか……まさか!アンタが伝説の…っ!?ひ、ヒイィィィィィ!」

 

…ゴロツキ達はザコ特有の転がり方でカフェテリアから転がりながらダッシュで逃げ出し、カウンターに座り直した女………伝説と呼ばれた狼、足柄はとりあえずもう一杯貰おうかしら?とカウンターに立つ俺にウィンクした…

 

「イイ歳こいてキモいんだよ」

 

「誰がキモいよ、ブッとばすわよ」

 

足柄は俺からグラスを受け取ると、カフェのカンバン娘である霞や、同じく店員のキヨシやアサシらにただいまと言ってその再会を喜んだ…

 

海軍が解体され、俺は足柄と礼号組のアホどもと退職金を元手にこの南街商店街(サ●スタウン)でカフェを始めた、しかし、ある日、足柄は謎の招待状を受け取ると“どうしてもケリを付けなきゃならねーな”と言い残し、俺にカフェの経営とアホガキどもを押し付けて旅に出た………そして

 

「で?終わったのか?」

 

「えぇ、終わったわ…」

 

「そうか………なら明日からお前、店に出ろ」

 

「え?イヤよ、ちょっと休息してもよくない?」

 

足柄はヘラヘラ笑いながらいやぁ〜テイトクがこの子らの面倒見てくれてマジ助かったわーとか言ってテーブルをバシバシ叩き、もう一杯!と言ってグラスを俺に押し付ける

 

「ブッとばすぞテメー、だいたいなんだテメーは?急にフラッと居なくなりやがって、しかもクソガキどもを押し付けてだぁ?誰が授業参観だの家庭訪問だの運動会のお弁当だのこなしてやったと思ってたんだ?あぁ?」

 

「それに今年のキヨシの誕生日にはケーキ作ってくれたんだぜ!」

 

「デカいの!」

 

「まったく!ホントにクズなんだから!」

 

礼号キッズのアホガキどもはキャッキャとハシャぎながら足柄にまとわりつき、明日はデパートに行こうぜだのハンバーグ食いてーだの言いたい放題言ってやがるし…

 

「へ、へぇ〜……?意外とやるじゃない?」

 

「やかましい、とにかく明日から真面目に働けよ、子持ち処女」

 

「ハァ!?なんですって!?」

 

 

伝説の狼の伝説はまだ終わらない、いつの日か、そう、いつの日かまた狼はその滾る血に従ってアツい拳で一つで何かを成し、そして再びここへ帰ってくるだろう……そう、この澱んだ街角、南街商店街(サ●スタウン)に…ッ!

 

 

おわり





次回もたぶん二本立て

【夕張と絶望の未来編】
【156㎝の恋人?】

の二本、じゃんけんニョロ!ウフフフー




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提督とルート分岐のエンディング ④

※現在の社会情勢などを考慮し、一部予定していた内容とは違う内容でお送りしております

ifエンド編は今回は一旦終わりです、はい

【絶望への反抗!残された希望!】
【チャペル・ザ・エバーグリーングリーン】

の二本です、二本です


【絶望への反抗!残された希望(HOPE)

 

かつて、戦争があった…

人類と深海棲艦との戦いは終わり、世界には平穏が訪れた………が!その平穏も長くは続かなかった、深海棲艦との戦争中、狂気の天才がシコシコ作り上げていた究極の殺戮マシーン“人造艦娘”が制作者である狂気の天才Dr.モロ(ハワイ在住)をSATSUGAIし暴走、戦える艦娘達は人造艦娘に挑むものの、その圧倒的な力の前に一人、また一人と倒されてしまい、世界は人造艦娘による恐怖に怯える事になった…

 

そして、そんな絶望の時代にも希望はまだ残されていた…

 

「タイムマシンだって!?」

 

「えぇ、ハッキリ言って自信作よ…」

 

既に廃墟寸前まで壊滅させられた町工場……母さんは足の付いたクソボロいドラム缶みたいなものをバシっと叩き、それを自信作だと言った……基本、夕張母さんが自信作だと言うものはロクなものがないけど、自信作だと言って作ってくれるオムレツだけは美味しい

 

「アナタはこのタイムマシンを使って過去に行き、父さんに会い、この絶望の未来を変えるのよ…」

 

「私が…?そんな!そんなの母さんがやったらいい!私はここに残ってアイツらを……アイツらがまた来た時にみんなを守らないと!」

 

「大丈夫よ、心配する事はないわ!こう見えても母さんは昔、軽巡だったんだから、それも…唯一無二の4スロット軽巡よ?」

 

「母さん…」

 

母さんは無い胸張って私に心配をかけまいと微笑むが私は知っている、夕張母さんが唯一無二の4スロット軽巡ではなかったと言う事を、しかも駆逐艦にも4スロット駆逐艦が現れて散々ディスられた事も…

でも夕張母さんは私に心配をかけまいとしているんだ、自分なら大丈夫だと…

 

「アナタはこの絶望の未来に残された唯一の希望なのよ、アナタだけは死んではいけないの、いい?アナタはこのタイムマシンで過去に行って父さんに会いなさい、そしてこの絶望の未来を、人造艦娘の事を報せて未来を変えるの」

 

「…でも、未来を変えるなんて」

 

「それに、もしかしたら過去で人造艦娘を倒すヒントがわかるかもしれないし…」

 

たしかに、夕張母さんの言う事にも一理ある、例え過去に行って未来を変えたにしても、今、私達がいる未来は変わらない、でも……過去に行けば、Dr.モロを締め上げて人造艦娘の弱点が何かわかるかもしれない

 

人造艦娘、ヤツら………そう、悪魔のようなヤツらさえ居なければッ!

 

私が物心ついた時には戦える艦娘の多くはヤツらにやられてしまっていたが、そんな中、最後まで倒されずに生き残っていた偉大な戦士、清霜さんに私は鍛えて貰った…

清霜さんは駆逐艦だったけど夕張母さんのたび重なる怪しい改造の結果、穏やかな心を持ちながら激しい怒りに目覚め駆逐艦を超えた(スーパー)駆逐艦になり、人造艦娘と唯一戦える希望だった………でも!清霜さんは私を守る為にッッ!!

 

「わかったよ、母さん…行くよ!過去に!」

 

「フッ、わかってくれたのね、さすがは父さんと母さんの子よ、理解が早くて助かるわ」

 

「ところでこのタイムマシン、どうやって動かすの?燃料とかは…?」

 

「あ、うん、動かし方なんだけどね、これ超次元エンジンってのを採用してるんで、動かす為にはア●ルにこのプラグを挿して直結して快感と絶頂を…」

 

「あ、やっぱ母さんが行って」

 

「ナニ言ってんの!今行くって言ったじゃない!?ガンバるって言ったじゃない!?」

 

夕張母さんは私の両肩を掴んでガクガクと揺ら尻、ナニが気に入らないの!?と叫ぶ

 

「言ってねーよ!!ナニそのブッといの!?なんでよりによってそんなブッといの!?アタマおかしいんじゃない!?ってかなんでお尻にそんなの挿さなきゃならないの!?バカなの!?なんでそんなふうに作ってんの!?」

 

「趣味よ」キリッ

 

「何が趣味よ!バカじゃない!?ただのヘンタイじゃない!」

 

「大丈夫よ、アナタは母さんの子、きっとア●ルの才能はあるわ!それはもうズブズブなハズ、ゼッタイあなたなら私と同じ……いえ!私を超える父さんのア●ル隷奴になれるハズ!!」カッ!

 

「イヤだよ!!なんなのそれ!ってかスゲー父さんに会いたくなくなってきたよ!さっきまで父さんに会えるんだってちょっとだけワクワクしてた気分台無しだよ!」

 

さ…サイアクすぎる、ここにきて聞きたくなかった両親のヘンタイぶり……マジで聞きたくなかった

 

「大丈夫!大丈夫よ!ほら、お尻!お尻こっちに向けて!母さんに何を恥ずかしがることが…」

 

「ちょ!スカート掴むな!パンツずり下ろすなこのヘンタイ!!イヤだって!マジでイヤだってば!そんなコトするぐらいなら私死ぬ!清霜さんみたいに戦って立派に死ぬんだ!」

 

「ゴチャゴチャゆーな!ほら、痛くない痛くない!すぐに良くなる!」

 

「放せッ!!ちょ!マジやめて!マジやめてマジやめて!!助けて!誰か!誰かァァァァァ!!イヤァァァァァ!!」

 

 

………こうして、私は絶望の未来を変える為に絶望を乗り越え、過去へと旅立つ、人造艦娘を倒す為に、未来を救う為に、あと………父さんを殺す為にッ!!!

私の名は兵装実験軽巡エイナス、絶望の未来に抗ってみせる!!

 

 

おわり

 

■□■□■□■□■□■□

 

【チャペル・ザ・エバーグリーングリーン】

 

かつて、戦争があった…

人類と深海から現れた謎の敵、深海棲艦との来たるべき対話は遂に為され、二つの種族は遂に対話と言うコミュニケーションでわかり合う事ができた、そして、人類は深海棲艦との対話により、より高度な人類へと進化を始めようとしていた…

 

そして、そんな新しい変革な時代の流れを迎えつつあるこの良き日に、俺は海の見える真っ白な建物が立つ岬の喫煙所で煙を吸って吐くマシーンと化していた…

 

「フーッ〜………」

 

まさか俺にこんな日が来るとは思いもよらなかったな、戦争も終わり、軍も縮小ってコトで職にあぶれるってところだったが上は何を思ったのか、俺を新設する軍の兵学校の校長に抜擢し、この、休日は釣りぐらいしか暇が潰せそうにない島へと島流しにされ、毎日毎日フィーッシュとか言ってリールを巻いては引き、リールを巻いては引くマシーンのような生活を送っていたが…

 

「あ、いたいた、こんなところで何やってるんですか!もう時間ですよ!」

 

「あ…?あぁ、これはこれは鹿島先生」

 

白基調のサマードレスが眩しい鹿島先生はもうすぐ時間ですから早く戻って来てくださいと言いながら歩いてきた

 

「いや、こりゃ失礼、時間を忘れる景色でしてなぁ、ハッハッハ」

 

「もう……香取姉ぇ、じゃない、香取姉さんもみんなもお待ちかねですよ」

 

「…はぁ、そうですか」

 

そういや今日の為に招待状出してた懐かしのクズどもも来てるんだっけか、軍を抜けたクズどもはそれぞれ別の仕事を始めたらしく、たしか妙高の野郎は金融と不動産を手掛けそれなりに儲け、高雄の野郎は手広く飲食をやってるらしい……あと、秋雲は憧れの少年ジ●ンプで連載を勝ちとるものの、漫画内で実在してる学校名と校章を無断で使用して連載打ち切りになり、今は秋雲よりよっぽど売れた風雲のホモ漫画のアシスタントをしてるらしい

 

「クズど………いえ、皆、元気でしたか?」

 

「えぇ、相変わらずちょっとアレですけど…」

 

鹿島先生曰く、あのバカどもは既にベロベロの実を食ったベロンベロン人間と化しているらしく、会場は既にサバト寸前になっており、鹿島先生もあわや剥かれそうになったもののをなんとか脱出してきたそうな

 

「ハッハッハ、そうですか」

 

「テイト……いえ、校長、時間がアレですのでそろそろ…」

 

「あぁ、はいはい、そうでしたな、時間でしたな、時間」

 

…なんだろうな、待ちに待ったこの日だと言うに、いざその時になるとやってくるこのダルさは、これがまぁ、男と言うものなのだろう…

 

ーーー

 

鹿島先生から聞いていた通り、会場は既にこの世の地獄と化していた……それはもう地獄の中の地獄と言って過言ではないだろうが、それはそれでアレだ、うん、懐かしいものでもある、あの長い戦争の中で、たまにこのバ……いや、信頼する部下達の労を労う目的でこうやって宴を開いた事があったな…

 

「ヒャッハー!!水だーッ!」

 

「なんだこのカラアゲ!すげージューシィっーか、なんだこれ!すげージューシィじゃねーの?」

 

「オイ誰だ!オレの手羽先とったやつ!オマエかコラァ!オラァ!」

 

「アイッター!!なんだぁ〜…?テメェ?」

 

…うむ、そうそうこの感じ、しっかし変わらねぇなコイツらも、人のケッコン式にお呼ばれしてんのに遠慮のカケラもありゃしねぇ

 

「あ、テイトクだー」

 

「よぉー!テイトク!久しぶりー!どう?最近?人、殺してる?ギャハハハハ!」

 

「やかましい、あと、俺はもう提督ではない、校長だ」

 

「別にいいじゃん?」

 

「そうだぜ!オレらにとってテイトクはテイトクじゃねーの?アレだよアレ、フォーエバーテイトクだな!ギャハハハハ!」

 

「やかましい」

 

ったく、どいつもこいつも………ロクでもないクズどもだが、それでも、あの戦争を俺と共に戦い抜いた仲間、いや、誰か一人が特別じゃない、みんな俺の大事な“家族”だったな…

 

俺は心中に微妙な懐かしさとウザさに感じていると、本日の宴の主役………いや、俺も主役なんだが、いやいや、この場合はやはり女性が主役であるべきだろう、うん

その、真の主役とも言うべき真っ白な花嫁衣装を纏ったエレガントな女性が会場への扉を開き、歩いて来た…

 

「出たァァァァァ!!香取ーヌだァァァァァ!」

 

「香取先生ェェェェ!!」

 

「おめでとー!!おめでとー!!香取先生ェェェェ!!」

 

ったく、うるせーなどいつもこいつも、アホかコイツら?いや、アホだったな、ギャーギャーうるさいアホどもの声援を受け、今、知性溢れる純白の花嫁が俺の居る場へとエレガントに並び…

 

「お待たせしました、提督…」

 

「お、お…おぅ、いえ、あ、はい…!」

 

エレガントォォォォォ!!さすがは香取先生ェ……花嫁姿も大変お似合いでいらっしゃる、まったく……香取先生はいつだって俺の心に瑞々しい感動を与えてくれる

 

「嗚呼……ようやく、ようやくこの日が来ましたね提督、夢だった真っ白な海辺のチャペルで二人、フフフ…」

 

「そ…そうですか、は、ハハハ…それはなにより」

 

…そうだったのか、ってかこの建物、ケッコン話が出てからすぐにどっかの業者が建設してたよな、タイミング良く

 

「さぁ、提督…皆の前で、高らかに宣言致しましょう…今日、私達二人は永遠のものとなると!」

 

「え?あ、あぁ…そうですな」

 

ってか重いな、永遠…永遠かぁ〜……う〜ん、男の俺にはピンとこないが、やはり女性にはそーゆーのがアレなんだろうな、うん

 

「では…」

 

「えぇ…」

 

俺は香取先生の手を取り、皆の前で二人の永遠を………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誓わなかった、いや、アレだよ?別に俺が誓うとか誓わないとかそーゆーアレじゃないよ?

なんかアレだよ、聞こえてきたんだよ、カランコロンカランコロンって、そしたらアレだよアレ、なんかこう………扉がバァ!!って開いてさ、カラス的なのがギャーギャー入ってきてさ、香取先生は香取先生で“やはりあの子には厳しい躾が必要なようですね”って言ってスカートの中から伝説級みたいな鞭を取り出して、扉のところに立っていた前髪が長い少女みたいなのとバトル漫画特有のアツいバチバチバチー!ってな感じでバトル開始して…

 

 

もぉー!私のケッコン、どーなっちゃうのかしら?プンプン!

 

 

おわり




とりあえずifエンド編は今回で一旦終わります、またやりますので何かあれば是非に…です

そして次回、戦慄!白露・ザ・セカンド!


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提督と戦慄!一番艦!

帰って参りました通常営業、帰って参りました!

【登場人物】

提督(貧乳はステイタスなどではない、甘えだ)
クソ大人の鑑、巨乳ならある程度は許せる

白露(長女)
改二になった、よく見ると美少女

時雨(次女)
改二、最近丸くなった

夕立(四女)
改二、バカコンビの右、気に入らないヤツはすぐ殴る

村雨(三女)
ちょっと前に改二になった、バカコンビの左、ビッチ臭がすんごい


夏本番と言う事で、日頃の労とおそらく来月には始まるであろう新たなる聖戦への英気を養って貰うべく、本日、当基地では福利厚生の一環として、夏本番!暑さに負けないMASURAO-FESTIVAL2018-灼熱(HEAT)-を開催していた…

 

「はい焼けたよ焼けたよォ〜浦風特製やきそば焼けたよォ〜、みんないっぱい食べていってえぇよぉ〜」

 

「おばちゃん、やきそば一丁!」

 

「誰がおばちゃんじゃあ!ブチくらすぞコラァ!!」

 

既に色々と問題は発生しているようだが、まぁ、いつもの事だ、艦娘とは言えみんな年頃の若い娘だ、ケンカの一つくらいはするだろう、様々な料理が並ぶエリアの他に、ステージではカリスマアイドルNAKAのドッ!ドッ!ドッ!ドッドッドドッ!とゴゴゴ!ガンガン!ギャラクシーでゴキゲンなサウンドが響き、会場の盛り上げに一役買っている…

 

「あ、テイトクだ!よーい!テイトクテイトク!」

 

「あ?」

 

「私だよーっ!ほら、どう?これこれ?見てよコレ!どう?似合ってるでしょ?」

 

………誰だコイツ?ウチに居たか?こんなの、見たところ、白露型みたいなツラしてるが……いや、白露型か?たぶん、しかしこんなヤツは見覚えがないのだが…

 

「…敵か?」

 

「なんでだよ!!白露だよ!白露!新しくなった白露改二だよ!!」

 

「白露だぁ〜?オイオイ、バカ言うんじゃないよこの子は、白露ってのはアレだ、そこそこ可愛いが地味なヤツだぞ、それをオマエ………なんだ?白露はそんな髪長くねーよ」

 

「伸びたんだよ!!ってか地味なヤツとかゆーな!」

 

「オイオイオイ、オマエが本当に白露だってならパンツ見せてみろよ」

 

「イヤだよ!!なんでパンツ見せなきゃならないの!?」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

まったく、この夏、急に髪が伸ばすとは……どうやら夏と言う季節は少女を女にする季節と言うのもあながち嘘ではないらしい、エキサイト駆逐艦、白露姉妹の中でも地味に可愛いと定評のある白露姉ちゃんもこの夏、もうすっかり雌の顔に……

 

「……ナニ?」

 

「いや、あんま変わんねーな」

 

「ナニが!?」

 

「あと、それなに?寝癖?寝癖かなんか?なんかスゲー外ハネしてるけど、なに?寝癖なの?ついでにアレだ、なに?袖、袖一本忘れてますよ?」

 

「オシャレだよ!!コレはこーゆーオシャレなの!!」

 

「あーはいはい、ジョークジョーク、小粋なテイトクジョークだから、ってか顔が近い、顔が」

 

白露姉ちゃんはキィーキィー言いながら俺の間合いにずいっと侵入し、その、キレーな顔と身体をグイグイと寄せ………む?な、なんだこの弾力性は?いや、弾力?クッション性か?まるで衝撃吸収材のようや柔らかなる柔軟性…!

 

「………ナニ?」

 

「オマエ、ホントに白露か?」

 

「白露ですけど?あと、なんで私の胸掴んでるの?」

 

「いや、白露姉ちゃんにしてはちょっと盛りすぎと言うか…」

 

「育ち盛りなんですぅー、ってか離してくんない?笛吹くよ?笛」

 

そう言って白露姉ちゃんは首から下げた笛を手に取ってフーフー吹く真似をしてみる、白露姉ちゃん曰く、この笛を吹くとどこからともなく低級なゴブリンが現れるらしく、そのゴブリンは白露姉ちゃんの言う事を聞いてくれるらしい…

 

「あ、テイトクっぽい」

 

「ホントだ、やっほー、ねぇーテイトクぅ、お小遣い頂戴〜」

 

そんな白露姉ちゃんと立ち話をしていると、姉妹のバカコンビ、夕立と村雨が焼きそば片手にヘラヘラ笑いながらこっちにやって来た

 

「よぉクズども」

 

「クズじゃないっぽい」

 

「テイトクにだけは言われたくないしぃ?ってかテイトク、誰コレ?新人?」

 

「見たことないヤツっぽい、オイオマエ、土下座しろよ」

 

「白露だよ!!アンタらの姉のッ!!」

 

バカコンビは見たことない新人に対していきなり恐怖の女社会的洗礼を浴びせてみたものの、まさかその正体が長女だとは思っていなかったらしく、二人揃ってゲ、ゲェーッ!とか言いながらドン引きした

 

「白露姉ちゃん、髪伸びたっぽい」

 

「あとなに?このナマイキなおっぱい、服の上からでも村雨は見逃さないわよ、なにこのナマイキなおっぱい」

 

「ナマイキなおっぱいとかアンタにだけは言われたくないわ!」

 

白露は村雨のナマイキな村雨っぱいにバシーン!とビンタし、それが新世代ビッチである村雨のPRIDEに火を点けたのか、村雨も負けじと白露っぱいにビン……

 

ドゴンッ!!!(腹パンチ)

 

「おごぉ!!」

 

村雨の殺人ブローが白露姉ちゃんの柔らかそうなお腹に突き刺さった

 

「む、村雨ェェェェ!!お前、オマエ!!そりゃねぇだろう村雨ェ!そこは白露っぱいにビンタし返すのが礼儀じゃねぇのか!?」

 

「ハァ?そんなルール知らないし」

 

な、なんてやつだ、無秩序・無軌道・無慈悲の権化である新世代のビッチにはルールなど存在しないと言うのか!村雨はバゴアバゴアとよくわからない笑い声で笑い、白露姉ちゃんは美少女にあるまじき光る吐瀉物を吐いて涙を流していた…

 

そこへ……

 

「ユウダチ、ムラサメ、そこまでにしないか…」

 

「!?」

 

「ゲ、ゲェーッ!!」

 

チョコミントのアイスを手に、絶対王者・西村艦隊と共に歩いて来たのは白露姉妹の次女、時雨様ッ!

 

「大丈夫かい姉さん、ユウダチとムラサメには僕が後からキツく叱っておくよ…」

 

「し、時雨ぇ…」

 

「さぁ、ユウダチ、ムラサメ、姉さんに謝るんだ…まずは、そう……頭を下げるんだ」

 

時雨様が夕立と村雨に視線を向けると、夕立と村雨のアンクルが強制的にブレイクされ、そのまま膝をついてしまった、これが時雨様にのみ許された天性のスキル!ズガタカ…っ!!

 

「じゃあ、二人とも両の目を抉り出して姉さんに心からの謝罪を…」

 

「い、いや…いいよ!いいよ!もういいから!時雨!ね?姉ちゃん気にしてないから!ね?村雨だってジャレてみたかっただけだよ?ね?」

 

「そうかい?姉さんは優しいね…」

 

白露は時雨様の肩を掴みやり過ぎだよテメーッ!と言うワケではなく、長女らしく長女な対応で次女を諌めると時雨様も納得してくれたらしく、何か困った事があったらいつでも相談してくれよと言い、チョコミントのアイスを白露に手渡し、王者・西村艦隊のチームメイト達とその場を去って行った…

 

「まさか時雨様がオマエを助けるとは…」

 

「あの子変わったのよ、前はボクサカとか言ってたけど、なんか去年のレイテ戦ぐらいからちょっと丸くなったってか…」

 

「あぁ…レイテな」

 

そう言えば、五月雨が時雨クンと時雨様が融合してパーフェクト時雨になったとか言ってたような…まぁ、どうでもいいか、俺は白露の手にあったチョコミントのアイスを一口齧った

 

「あーっ!!ちょ!なんで勝手に食べるの!?」

 

「………不味いな、毒にも薬にもなりゃしねぇ」

 

「チョコミントと私に謝れェ!!」

 

◆◆◆

 

白露姉ちゃんにバカだの死ねだの散々ディスられ、次は五段のを買うといいと言って100円渡してさっさとその場を離れて歩いていると…

 

「天龍ちゃんカッコいい!」キラキラ

 

「へへっ、まぁな、だってアレじゃん?オレってやっぱ世界で一番強くてカッコいいっーか………お、テイトクじゃねーか!」

 

「ん?………なんだオマエ、天龍か……ナニ?イメチェンしたの?」

 

「まぁーな、どーだコレ?新しいオレのブレード、チョーカッコいいだろ?」

 

天龍はヘラヘラと嬉しそうに新しい天龍ブレードを見せびらかしてきたが………なんだコイツ?おっぱいでけーなオイ、オイオイオイ、この夏急成長ですか?これじゃまるでおっぱいのついたイケメンじゃなくてイケメンのついたおっぱいだよ

 

「天龍」

 

「なんだよ?」

 

「何故天龍型に実体剣が装備されているかわかるか?………G●フィールドに対抗する為だ、計画の中には対ガ●ダム戦も入ってる、もしもの時はお前が切り札になる」

 

天龍は俺の言いたい意味を察してくれたらしく、ヘヘッ!と笑い任せろよと頷く…

 

「天龍ちゃんカッコいい!」キラキラ

 

「だろぉ?なぁ?やっぱオレ、カッコいいよな?ギャハハハハ!」

 

そしてこの妹からの無償のカッコいい賛辞……へへっ、天龍、オマエはやっぱり最高だぜ、オレとオマエと木曾、俺達ならどんなヤツ相手でも負ける気がしねぇと改めて確信したのだよ



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提督と熊野と猛暑でございますわ

暑いですわー!と叫びながらブラウスは引きちぎる

【登場人物】

提督(ミジンコ泳法)
アツさのあまり、水に飛び込みたい

熊野(ミジンコ泳法)
エセガント末妹、提督とはわりと仲が良い

鈴谷(小堀流踏水術)
ビッチ

ろー
救急救助が得意ですって!





「ティーッス、鈴谷が遊びにきましたよォ〜……って、あれ?サミーだけ?提督は?」

 

暑さZENKAI!とびっきりのアツさが続く真夏の日、提督とゲームでもして遊ぼうと考え執務室へ行くと、今日もディープブルーな髪色、サミーしかいなかった…

 

「提督なら今日は熊野さんと市民プールに行くとか行ってましたよ」

 

「………は?」

 

「提督なら今日は熊野さんと市民プールに行くとか行ってましたよ、あと、お茶でも飲みますか?」

 

サミーは冷蔵庫から麦茶の入ったペットボトルを取り出し、グラスに麦茶を注ぎ、どうぞと言って鈴谷に手渡してきたので、とりあえずそれをイッキに喉に流し込む………うっ!キンキンに冷えている…っ!

 

「ぶはぁ!!キンキンに冷えてやがるぅ!」

 

「えぇ、まぁ」

 

「………それで?サミー、今、鈴谷の聞き間違いじゃなければ提督は熊野と市民プールに行ったと?」

 

「えぇ、そう言いましたが?」

 

「熊野と市民プールに行ったと?」

 

あ……あの野郎ォ、こ…このメインヒロインである姉の鈴谷様を差し置いて提督と市民プールに遊びに行っただとぉ…!!わ…若い男女が…っ!いや、提督は若いか若くないかアレだけど、まぁいいや……若い男女が市民プールに遊びに行くなんて最早それはおデートに等しい…っ!!今頃あの野郎、カキ氷が食べたいですわー!とか言って無い胸張って提督にカキ氷を買って貰い、帰りは小粋なカレー屋でカレーでも食べて帰るに違いない!!

 

「ファーックス!!熊野の野郎ォ!ゆ…許さん!絶対に許さんぞォォォ!!」

 

「はぁ?とりあえずお茶でもどうですか?」

 

サミーから手渡されたグラスを再びイッキし、キンキンに冷えた悪魔的な麦茶を流し込み、グラスをプロージット!と言って床に叩きつけた鈴谷はサミーの両肩をガッシリ掴んだ!

 

「鈴谷も行く!!あ、でも水着ねぇよ!今年まだ買ってねぇよ!!去年のとかマジ恥ずかしいから着たくねぇし……あ、そーだ、サミー!水着買いに行こーぜ!水着!」

 

「普通にイヤですよ、あと、グラス割ったの片付けてください」

 

◆◆◆

 

市民プール、それは夏の市民の憩いの場である…

海に行くのは面倒くさい、大型レジャープールに行っても人が多すぎて流れるプールがまったく流れない芋洗い場的な感じはゴメンなのだよ、と言った点からこーゆーしょーもないプールに来る客もそこそこ多い…

 

「よーし!そこで息継ぎだ!タイミングはヒィヒィフゥー!ヒィヒィフゥーだ!」

 

「ヒィ…ヒイィィィ!ぶっ、ぶあっ!足、足が攣りましたわー!!」

 

先日、今年こそ25メートル泳ぎますわー!とかほざく熊野に25メートル泳ぐ為のティーチをしてくださいましと頼まれ、近所にある人のやたらと少ない事で有名なショボい市民プールにやって来たワケだが…

 

「足が攣りましたわー!」

 

「うるせぇよ、足は底に届くだろーが」

 

「そうでしたわ、でも足は攣りましたわ!」

 

熊野はヒィヒィ言いながらプールサイドまで腕かきでやって来てアブないところでしたわと言ってプールサイドのヘリを掴んだ…

 

「オマエ、よくそれで艦娘とか言う海が仕事の職に就けたな」

 

「えぇ、我ながらよくやってますわね」

 

「よくやってますわね、じゃねーよ、普段海で大破とかした時はどうしてんだオマエ?」

 

「どう……?と言われても、アレですわ、不思議な力が働いて沈みませんし、海に叩きつけられるのもコンクリートの床に叩きつけられるのも変わりませんわ」

 

「ふ〜ん」

 

なんだよ不思議な力って…?いや、冷静に考えるとコイツら全員、バカみたいに重そうなモン担いだり背負ったりして海に出てるのに沈まないんだよな、よくよく考えると不思議なモンだ

 

「休憩ですわ、休憩、提督、私カキ氷食べたいですわ」

 

「甘えるな」

 

俺は熊野のアホヅラに蹴りをぶち込み、浅く明るいプールへと叩き落とした

 

「痛いですわ!って…あ、痛い!痛い痛い!また足が攣りましたわー!」

 

熊野はヒィイ!ヒィイ!とか言いながらバシャバシャと愉快なオブジェみたいな形で溺れているので、俺はそんな熊野を見て、喉をトントンと指先で叩き“上がって来い、ここまでな…”と親切なジェスチャーをしてジュースを買いに行った…

 

ーーー

 

「さて…コークでも買うか」

 

やっぱ夏はコークだな、以前、誰かがあんな黒い液体が身体に良いワケがないと言っていたがやはり夏はコークだ

 

「あ、テイトクですって!」

 

「ホントなのね!」

 

「あ?」

 

自販機の前で何番目のコークにしようか悩んでいると、なんか見覚えにあるツラしたバカどもが歩いてきた…

なんで潜水艦のアホどもがここに…?

 

「よぉ、クズども、ナニやってんだ?こんなとこで」

 

「クズじゃないのね」

 

「ろーちゃん達、今日はここでタイムアタックするですって」

 

「ふ〜ん」

 

呂500曰く、一番泳ぎが上手い潜水艦は誰か?潜水艦なら誰もが一度は夢を見る地上最強の潜水艦、その、地上最強の夢を諦めきれなかったバカどもが今日、この市民プールでタイムアタック勝負して最下位は今日の酒代を奢りにしてるそうだ………ちなみに、14ティンは入口で泥酔者認定され戦う前に負けたらしい

 

「ま、ガンバレよ」

 

「テイトクも仲間に入れてやろーか?」

 

「冗談じゃないのだよ」

 

「ハッ?ムリムリ、こんなモクモクしちょるだけの敗北者、相手にならねーでち」

 

「あ゛?」ピキッ!

 

「ハッ?永遠にモクモクしちょるだけのミジメな喫煙者がテイトクでち、どっか間違ってるでちか?」

 

オイオイオイ……なんだァ?テメェ、どうやらこの俺にケンカを売っているらしいな、面白い、こう見えても昔はゲェーッ!まるで河童じゃあ!と讃えられた泳ぎ上手よ…

 

「面白ぇ、いいぜ、その挑発に乗ってやろーじゃねぇの三下潜水艦がァ…」

 

潜水艦どもはよっしゃあ!今日の飲み代ゲットォ〜だのキャッキャとハシャいでいるが、舐めやがって…貴様らのPRIDEと水着、ズタズタにしてくれるわい

 

そんなワケで潜水艦のクズどもと25メートルの深くて暗い本格プールへと歩いていると、浅くて明るい子供プールの側で熊野の野郎がまるで打ち上げられたマグロのようにビタンビタンとハネていた…

 

「ナニやってんだオマエ」

 

「あ…足、足が…足がぁぁ…げほぉ!!」

 

どうやら水を大量に飲んだらしい熊野は水を吐き出し、俺にBUKKAKEてからグッタリとして動かなくなった

これはまぁ……アレか、溺れてしまった場合のアレとかした方がいいのか?

 

「え〜…まずはなんだっけか?意識の確認だっけか?」

 

ビタン!ビタン!(ビンタ)

 

「いた…痛い、痛いですわぁ!」

 

「意識無し!意識なーし!次、え〜……周りの人に助けを呼ぶだったか」

 

「ろーちゃん救急救助得意ですって!」

 

「でかした!」

 

さすがはUと違って悪そうな潜水艦(やつ)はだいたいトモダチの褐色の弾丸呂500、最悪の世代と呼ばれる潜水艦なだけはある……呂500はまずこーするですってーと言って熊野の薄っぺらな胸に手を置き、一言“うわ…Kleine Brüste”と呟き、思いっきりその手で熊野の無い胸を押し…

 

「カウンターショックですって!!」

 

バチバチバチバチィ!!(カウンターショック)

 

「うぼぇ!!」

 

熊野の身体がビクーンとハネ上がり、あががが…とか言いながら再び水を吐き出した…ッ!フッフッフッ…なかなかやるじねぇか、なぁ、ろーよ…フッフッフッ

 

「………って!!痛いですわ!このクソヤロー!」

 

死の淵から蘇った熊野はろーの胸ぐらを掴み、オーバーヒー糸ーッ!とか言いながらプールにブン投げて吠え、潜水艦どもは仲間がヤられた事にブチギレた

 

「この野郎ォ!よくもアタシらのダチをーッ!」

 

「このプールから生きて帰れると思わないのね!」

 

「明日の朝刊載ったゾ!テメー!」

 

「フッ、上等ですわゴミクズども!全員まとめてそのオシャレな水着Tバックみたいに食い込ませてウォータースライダーに流し込んでやりますわー!」

 

こうして、アホの熊野と潜水艦どもは市民プールにて血を血で洗うデスマッチを開催し、最初、意外にも熊野は潜水艦どもを圧倒し善戦したものの、やはり数は力だったか、潜水艦どもにフクロにされてプールサイドからプールに向けて決着のブレーンバスターを喰らってKOされた…

 

◆◆◆

 

「………まったく、酷い目に遭いましたわ」

 

重巡寮、さわやか寮に帰ってきた熊野は痛む身体のふしぶしを気にしつつ、明日はエステに行きますわと決意を固めて自室の扉を開き…

 

「帰りましたわよー……って、ナニしてますの?」

 

姉であり、同室の相棒は鏡の前でなにやら怪しげなポージングをしていた…

 

「ご覧の通り、新しく買った水着の試着じゃん?どーよ?」

 

「そうですわね……下品な乳ですわ」

 

「うるせーよ!下品じゃねーし!」

 

「あとチ●ビ勃ってますわ」

 

「勃ってねーし!」



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提督と最上型とナイトクラブ26

久しぶりの夜の店かもっぽいですこと

【登場人物】

提督(ビールテイスト)
とりあえずビール、あと枝豆くれや

最上(長女)
最上姉妹の長女、その昔、チ●ポついてると思ってツレションに誘ってた

三隈(くまりんこ)
くまりんこ


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ…

 

「しかしこう毎日毎日暑いとウンザリするねぇ」

 

「まったくなのだよ」

 

今日もクソ長キセルをトントンしているオレ達のママ、鳳翔ことビッグママは新聞の高校ヤキュウ県大会の結果を見ながら赤ペンで丸を付けたり数字を書き込んでいた…

 

「ところで今日のオススメは?」

 

「高雄と愛宕なら居るよ」

 

「フーッ!相変わらずママのジョークは笑えないぜ!」

 

とりあえず、そのバカども以外でとママに念を押し、俺はスタイリッシュに奥のソファー席へと座り、タバコに火を点けて基地スポを広げた…

 

「フーッ〜…サラトガヘア解禁か〜…まさに黒船来航だなぁ、こりゃ」

 

そんな基地スポのエロ記事に目を通していると、本日、俺をワクワクさせてくれるであろうキャストがやって来たッッッ!!

 

「やぁ、最上だよ」

 

最上姉妹の頂点に燦然と君臨する絶対支配者、もがみんこと最上ねーちゃんッ!

 

「くまりんこ」

 

そして、最上姉妹序列第2位!次女、くまりんこさんことくまりんこ!!

 

ま…まさか、この2人とこんなところで出くわすとはッ!同じく姉妹の鈴谷と熊野のアホンダラと違い、この2人がまさかママの店でバイトするとは……一体何事だ?

 

「とりあえずビールくれや、ビール」

 

「ビールだね、三隈、ビール出してよ」

 

「くまりんこ」

 

くまりんこねーちゃんは毎度お馴染み、いつものオリ●ンビールを取り出すと栓を捻切り、それをグラスに注いだ…

 

「お…お、おぅ、お前らもなんか好きなの飲んでいいぞ」

 

「じゃあ僕もビールを貰おうかな?三隈もビールでいいかい?」

 

「くまりんこ」

 

………ここまでは圧倒的に普通、そう、びっくりするほど普通だ、俺たちはとりあえずお疲れー!とカンパイし、キンキンに冷えたビールを喉に流し込む!!やはり夏場のビールは最高だ…っ!涙すら出てくる!

そんな感動の一杯からスタートしたもがみんとくまりんこの一抹に不安を感じるキャストだったが、こうやって話してみるとまるで実家のような安心感があるなコイツら…

 

「そうそう提督、うちの妹達がいつも迷惑をかけてるじゃないかい?」

 

「妹…?あぁ、鈴谷と熊野か?まぁ、アイツらアホだが…」

 

「今度腕の一本くらい折っておくよ」

 

怖いよッッッ!!怖いよ最上BOY!今すげーサラリと腕を折るとか言ったよコイツ!鈴谷と熊野は必要以上にこの姉を恐れている気がしていたが……

 

「くまりんこ」

 

「そうだね、さすが三隈だ、やっぱ腕ぐらいじゃ足らないか…」

 

「イヤ足りるッ!!全然足りてるから!な?ほら、鈴谷と熊野だって基本アホだがああ見えて根は気のイイ奴らだし!な?暴力、うん、暴力は良くないなぁー!なぁ?うん!」

 

「暴力…?あははは、違う違う、提督、僕は可愛い妹達に暴力なんかふるわないよ、ただほら!鈴谷も熊野もちょっと華奢だから、ちょっとジャレるとすぐに必要以上に痛がる演技をするんだよ?」

 

これが頂点………鈴谷と熊野が恐れる最上姉妹至高の長女か、少しだけだがアイツらの気持ちがわかったような気がするのだよ

 

「くまりんこ」

 

そしてこのくまりんこさん、さっきから………いや、むしろコイツ、初めて会った日からコイツが“くまりんこ”以外のセリフを発しているの見たコトないんだが…

 

「ま、まぁ…姉妹は仲良くしないとな、うん、仲良く、たまにケンカするぐらいはあってもいいが、うん、基本は仲良くしないとな!うん、提督はこの基地にいる仲間は皆、家族と思っているからな!うん!家族はやっぱり仲良くしないとな!」

 

「さすが提督、大人だね……うん、僕すごく感動したよ!」

 

「くまりんこ」

 

「そうかそうか!うんうん、まぁわかってくれればそれでいい、さ、君達、好きなものを頼みなさい」

 

「じゃあビールも貰おうかな、1ダース」

 

「くまりんこ」

 

ビール党か…ッ!!こやつらめ…都会のJKみたいなツラした鈴熊と違い、どこぞの田舎のJKみたいなツラしているだけはある、まるで消防団の団員の如くとりあえずビール…っ!

 

「ハッハッハ、構わんよ」

 

…とりあえずこれであいつらが腕を折られる事もないだろう、まったく、感謝して欲しいものだな………べ、別に!アイツらの為にフォローしてあげたワケじゃないんだからね!そ…そう!たまたま!たまたまよ!

 

「ところで提督」

 

「ナニかね?」

 

「提督的には鈴谷と熊野、どっちが提督的にはファ●クしたいんだい?」

 

「ファ●クとかゆーな、なんなんだこの長女…」

 

「あははは、ちょっと気になってみただけさ、ついでに三隈も加えていいよ」

 

もがみんってば、酒の席だけになかなかアレなコト言うんだな、なんかこうアレだな、修学旅行の夜に好きな子の名前を言いっこする類のアレみたいなのだよ

 

「で?どうなんだい?」

 

「熊野」

 

「即答…っ!?もっとこう…迷いはないのかい?」

 

「ねぇな」

 

「へぇ〜…意外だね」

 

「ちなみに熊野とアイオワならDANZENアイオワだな!」

 

「さすがにそれは相手が悪いね」

 

「くまりんこ」

 

結局、この日は閉店時間までもがみんとくまりんこと楽しくお喋りしながら一杯1000円のクソ高ビールをガブ飲みし、閉店後にママから店を叩き出された後は3人でラーメンを食いに行った……

 

そして後日…

 

「あら、提督じゃありませんの?」

 

「…ん?よぉ、今日も色気ねーパンツ穿いてるな」

 

執務棟を歩いていると、階段の上のとこに居た熊野が声をかけてきたのでとりあえずスマホで撮影した

 

「失礼な、あと!勝手に撮らないでくださいまし!訴えますわよ!」

 

「でぇーじょーぶだ、この画像をSNSなど不特定多数が閲覧できる状態にしたり、販売目的で利用したりせず、個人で楽しむならアリなのだよ」

 

「…そ、そうなのですの?」

 

「そうなのですの」

 

良かった、ただのアホで





次回から帰ってきた陽炎型フェアー、たぶん


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提督と第十七駆とイキでイナセな夏

毎日毎日ボクらは鉄板の気持ちがわかるってばよ…

【登場人物】

提督(ゲス)
浜風に対し歪んだ欲望を持つ健康優良児

谷風(平板)
最高にイキでイナセな駆逐艦だよい

磯風(弾力には自信がある)
グルメ死刑囚

浦風(もっちもち)
テクニシャンと定評のある風評被害

浜風(ぺぇずり専用艦)
ハブられた


今日も照りつける灼熱の太陽を浴び、最高に心も身体もHOTな真夏の日、執務室には冷房を効かせているものの、残念ながら執務室は禁煙エリアなのでタバコを吸う事ができないので俺は灼熱の廊下を抜け、これまた真夏の外気に絶賛曝されているであろう喫煙所へと向かっていた…

 

そうだ、執務棟に喫煙所ではなく喫煙室を作ろう!よくよく考えたらなんでバカ正直に夏は暑く、冬は寒い喫煙所と言う名の灰皿にまで行かにゃならんのだ!よく考えたらおかしいじゃないか、よし!決めた!喫煙室作る!………そう心に決めた俺は少し軽くなった足取りで歩いていると、よそ見しながら走っていた暁ちゃんからズボンにアイスをぶつけられ、次は五段のを買うといいとお金を渡し、喫煙所へと向かい……

 

「…ん?」

 

なんだ…?この芳ばしい香りは?まるで夏の減退した食欲を刺激するような匂い……これは、鰻かッッ!!

しかし何故、鰻を焼く匂いが?その答えは案外早く出た、体育館の裏手にある日陰で、二つの風が七輪を囲んで団扇をパタパタさせていた…

 

「ナニやってんだ?オマエら」

 

「…ん?お、テイトクじゃないかい?」

 

陽炎姉妹の十四女、谷風クン、姉妹一の……いや、全駆逐艦一と噂されている最高にイキでイナセな駆逐艦だ

 

「フッ、提督もこのウナギの匂いにつられてやってきたか、この食いしんぼさんめ」

 

そして陽炎姉妹の十二女、グルメ刑務所でも手に負えなかった最強グルメ死刑囚、磯風…

 

「ご覧の通り、鰻を焼いてるのさぁ」

 

「そしてこの磯風はウナギがキチンと焼けているのか見守っている」

 

「ふ~ん」

 

なるほど、つまり谷風クンが鰻を焼き、磯風は見ているだけなんだな、ふむ……理想的な人員配置だ、やはり人材は適材適所でないとな

 

「しかし今年は鰻食ってなかったな、なぁオイ?谷風クン」

 

「あげねぇよ」

 

「美味そうじゃないかね?んん?」

 

「あげねぇよ」

 

谷風クンはパタパタと団扇で七輪に置かれた鰻を扇ぎつつもその強固なる意志を決して曲げる気はないらしい、まったく、最高にイキでイナセと定評のある谷風クンらしいな

 

「フッ、提督よ、なんならこの磯風がその辺で穫ってきた魚を焼いても構わないぞ?」

 

「いや、いいわ」

 

「フッ、まぁ遠慮するな提督、なんならこの磯風が焼いた魚をフーフーしてやるのもやぶさかでもないぞ?」

 

「いや、いいわ」

 

そして磯風の野郎は何がそんなに誇らしいのか、照れてるのかBOYと言いたげに片目をバチコーンとしている……神は何故彼女に食材を兵器に変えるスキルを与えてしまったのか理解に苦しむのだよ

 

「まぁいい、私は我慢強く寛容な男だ、せっかく谷風クンが焼いている鰻を分けてもらおうなどケチなコトは言わんよ」

 

「そうかい?」

 

「ところで、鰻を焼く係は谷風クン、それを見守る係は磯風、残りの仲良し姉妹はどうした?」

 

「浦風ならごはんを炊きに、あと、浜風は朝から釣りに行ってるよい」

 

谷風クン曰く、浦風は鰻の為にホカホカの白米を手に入れるべくマミーヤに行っており、浜風ちゃんは朝から釣りに行ったそうだ………そうか、浜風ちゃんは釣りが好きなのか、釣りが好き………よし!今度ごく自然に釣りに誘おう!ごくごく自然にだ、ごくごく自然に一緒に釣りに行った俺と浜風ちゃんはイイ感じに釣りをして、俺のロッドをイイ感じに浜風ちゃんに握って貰い浜風ちゃんのリールで…

 

「グヘヘヘ……」

 

「見てみい磯風、アレがホンモノのゲスの顔でい」

 

「フッ、大したゲス顔だな……まぁ、この磯風を前にしたのだから仕方あるまい」

 

「…おっと失敬、つい明日の天気について考え事をしていたのだよ、うん」

 

「何がお天気だい、どーせ浜風にぺぇずりさせるユメでも見ちょったんだろい?」

 

さすがは谷風クンだ、最高にイキでイナセなだけでなく洞察力も鋭いじゃないか

 

「ぺぇずりとはなんだ?」

 

そして、ぺぇずりとは何か?その哲学的とも言える質問を投げつけきたのはやはりグルメ死刑囚磯風、コイツそんな事も知らずにそのナマイキな乳してたのか…?

 

「ぺぇずりってのはアレでい?こう、乳でナニを挟んでだねぇ…」

 

「挟む…?谷風、オマエは一体何を言ってるんだ?」

 

「…まぁ、この谷風さんにはムリなんだけどね、ほれ、磯風!オマエならできる!」

 

そう言って谷風クンは磯風の乙を掴みまるでチーズやバターのようにタテタテヨコヨコとこね回した

 

「なるほど………ふむ、たしかにナニカを挟める気はするな、まぁ、さすがにこの磯風、浦風や浜風にサイズは些か劣るが弾力性には自信があるぞ」

 

磯風のアホンダラは何がそんなに誇らしいのか、ドヤァ!と言った顔でこちらを見てバチコーンとウィンクしていると、その、駆逐艦にしては凶暴すぎる乙を揺らしながら誰かが走って来た…

 

「谷風ェ!!白米じゃあ!白米を手に入れたぞォ!」

 

「でかした!」

 

やってきたのは陽炎姉妹の十一女、浦風ェ…

浦風はハァハァ言いながらホカホカの白米が入ったおひつを抱えており、どうやらマミーヤの所から走って来たらしい…

 

「ハァ……ん?お、テイトクさんじゃあ、ナニやっとるんじゃ?こんなトコで」

 

「それはこっちのセリフなのだよ」

 

浦風はアッついアッつい言いながら服をパタパタしハジける汗とハジける浦風臭をプンプンさせている、まったく、俺じゃなかったら理性を抑え込めずにこの場で受胎告知完了ぅ!するまでブチ込まれるだろう…

 

「あとは浜風だねぇ…」

 

「フッ、浜風の事だ…きっと釣りに夢中になって時間を忘れているのだろう」

 

「まったく、あのデカパイにも困ったモンじゃあ…」

 

とりあえず浦風にオマエがゆーなとケツにビンタしてやると、ヒギィ!なにするんじゃクソがァ!と掴みかかられたがボディに膝をブチ込むとおとなしくなった…

そうか、浜風ちゃんは時間を忘れて夢中になるほど釣り好きなのか……良い事を聞いたな、浜風ちゃんとフィッシング……フフフ、浜風ちゃんとフィッシング…

 

「フフフ…」ズキイイィィィン!!

 

「なんで勃っとるじゃあ!?」

 

「見てみい磯風、アレがモノホンのゲスでい」

 

「なるほど、フッ、まぁ仕方あるまい…何故ならこの磯風があまりにも美少女すぎるのだから」ドヤァ!

 

まったく、騒がしいクズどもめ…この俺にとって貴様らなど浜風ちゃんの後ろにいる背景モブにすぎないのだよ…

 

「そーいやテイトクさんよ?」

 

「ナニかね?谷風クン」

 

「テイトクさんが浜風にぺぇずりして貰いたい気はわかるけどよー、浦風じゃ駄目なんかい?」

 

「駄目だ」

 

谷風クンは浦風の乙を鷲づかみにし、なんでじゃあ!このモチモチのナニが駄目なんじゃあ!と俺に問う!なるほど、たしかに谷風クンの疑問は最もだ…

 

「だってコイツぺぇずり超上手そうじゃん?いきなりテクニシャンとかちょっと引くわー…ってな」

 

「なるほどなぁ」

 

「ちょ!待ちぃーや!なんじゃそのウチに対する偏見!?ウチやったコトないんじゃけどォ!?」

 

「え?マジで?でもオマエ超上手そうじゃん?俺、嫌がる浜風ちゃんに無理矢理したいんだよ、オマエなんか嫌がらなそーじゃん?」

 

「嫌がるわ!!フツーにイヤじゃあ!!」

 

「嘘つくんじゃないよこの子は、ナマイキなおっぱいしてからに」

 

「そうでい、ナマイキなおっぱいしてからに」

 

俺と谷風クンが浦風の乙を互い左右からビンタしてやると浦風はなんじゃあ!と言って掴みかかってきたのでボディに肘をブチ込んでやるとおとなしくなった…

 

「クソ!クソ…っ!みちょれよ…!金剛のアネキにチクったるからなァ!オマエら全員明日の朝刊載ったわー!アハ!アハハハハ!」

 

 

後日、俺は金剛から呼び出しを受けたが、その呼び出しはバックレた、あと、浜風ちゃんは結局あの場には現れず、その日の夜にいっぱい釣って帰ってきたらしく、終始ゴキゲンな様子でニコニコしていたと谷風クンから聞いた…



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提督と第四駆とダンスの達人

陽炎型フェア実施中のアツい陽炎カツドウ

【登場人物】

提督(いけないなぁ、神のことを悪く言っては…)
中間管理職上司

舞風(ダンサー)
…心が踊らない

野分(プリンス)
通称のわっち、趣味はシルバ●アファミリー

嵐(あらし)
健康(オタク)被害の第一人者、そのおかげか、健康

萩風(ハギぃ…)
健康オタク、笑顔が可愛いが健康オタク、あと、下着の色が誘っているが健康オタク


今日も元気に暑い中、喫煙所へと向かっていると、体育館の方からアツいナイスガッツ溢れる声とドッタンバッタン暴れる音が聞こえてきたので何事かと思って近付いてみると…

 

「ウゲエエェェェェ!!」

 

体育館の出入り口から笑顔がステキなアイドルみたいな顔した子、陽炎姉妹の十七女、萩風が転げながら外へ飛び出し、その、キラッキラなアイドルと見まごうルックスからキラッキラなゲロを吐いていた…

 

「だ…大丈夫かぁ……ハギィ!」

 

そして、その萩風を心配するように出入り口にもたれかかり足元がフラフラしている陽炎姉妹の十六女、嵐も口を抑えて前のめりになり、外に向かって光るゲロを吐いた…

 

………な、なんなんだ?一体?何故この二人がいきなりゲロ吐かにゃならんのだ?ハッ!?まさかアレか?俺か!俺の出す溢れるプレッシャーがコイツらに恐怖を与えてしまったのでは?これはいかんな、俺はこの基地に所属している艦達には常に友達になろうじゃないかと親しみを込めているつもりなのだが……参ったな、ゲロを吐くほど怖がらなくていいじゃないか

 

「と、まぁ…小粋なテイトクジョークはいいとして、体育館で一体ナニが…?」

 

俺は体育館の出入り口から館内の様子を覗いてみると、そこには金と銀の二人がハァハァ言いながら睨み合っていた…

 

「まったく!どいつもコイツも情けねー!もうヘバったんかー!あー!?ヤル気あんのかー!」

 

床板を踏み抜く勢いでバシバシと床ドンする金の方…

陽炎姉妹の十八女、舞風…っ!噂ではかつてあのチンピラ空母、赤城とケンカして勝った事もあるらしい第四駆一のおきゃんと噂されている…

 

「舞風ェ!やりすぎだよ!そんなのじゃ誰もアンタについて来ないよ!」

 

そして相対する銀の方、陽炎姉妹の十五女、野分…

クール&スタイリッシュなその容姿や性格から“レズの王子様”と皆に親しまれており、2月の基地スポのバレンタイン特集、チョコをあげてもいいメンズランキングで、俺、天龍、木曾のスーパーハンサムボーイズを抑えて堂々の首位を獲得しているッ!

 

「こんなレヴェルじゃあ来月のジャペンオープンは勝てないのよ!私達の目標はナニ?優勝じゃないの!」

 

「そうね、優勝よ……でもね、舞風ェ…今のままじゃ私達は絶対に上手くいかない、わかるでしょ?」

 

「クッ!!………野分ェ!!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

舞風のアツいビンタがのわっちの頬を打ち、のわっちは床に転がった…

 

「クッ!!アンタならわかってくれると、わかってくれると思ったのに…っ!」ポロポロ…

 

「舞風ェ…」ポロポロ…

 

………なんだこれ?よ、よくわからんが、うん、まぁ、よくわからんがケンカは良くないな、うん、ケンカは!よし、ここは理解ある大人として、そして責任ある彼女らの上司として止めに入るべきだな、うん

 

「まぁまぁ、待ちたまえ君達!ケンカは良くないぞォ!うん、提督は仲良し姉妹がケンカするのは感心せんなぁ!」

 

「提督ェ…」

 

俺はとりあえずスタイリッシュに舞風とのわっちの間に入り込み、これは一体何事か?私にわかるように説明したまえと溢れる知性で事情を聴いてみる事にした

 

「提督ェ…も知ってると思うけどさ、来月は大きな大会があるんだ…」

 

「大きな大会……?あぁ、あれな」

 

アレな、そういやこないだ上からFAX来てたわ、少し大きな中規模!ってやつだな、うん、アレか…

 

「私達、これまでも全国目指してたけど、今年こそは全国行きたいんだよ!」

 

「ほぉ…」

 

全国…?あぁ、アレか…?俺も詳しい概要は聞いてないが今年の作戦海域はワリと広いんだな、へぇ、知らなかった

 

「でもこんなレヴェルじゃまだ通用しない…!だから私は、みんなの為にもっと上手くなる練習を…!」

 

「みんなの為…?舞風ェ…それは違う、今、アナタがやってるのは自分の為よ、チームの為じゃない」

 

「野分ェ…!!」

 

「アナタはチームの為とか言って自分を押しつけてるの、ホントはわかってるんでしょ?」

 

「野分ェ…」ポロポロ…

 

「ま、まぁー!落ちつきたまえ!な?二人ともそうエキサイトせずに!な?落ちつきたまえ、Cool、こーゆー時こそBe cool…私は冷静だなのだよ」

 

…う〜む、提督的にはそんなにレベル低くはないと思うんだけどなぁ、とりあえず四駆全員85はあるし、それなりにやれると思っているんだが……随分と志が高いじゃないか

 

「とにかく、今のままじゃ舞風ェ…アナタにチームはついて行けないし、ついて行かない、ただ、勝ちに拘るだけのアナタのダンスは…」

 

…ダンス?あぁ、ダンスな、ダンス、そういや前に赤城が言ってたな、作戦中に事故るよーなヤツは舞風と(ダンス)っちまったんだよ…ってな、なるほど、コイツらにとってダンスとは、戦闘行為(ダンス)と言うワケか……随分とシャレているな

 

「野分ェ…」ポロポロ…

 

「舞風ェ…前はもっと楽しそうに(ダンス)ってじゃない、でも今のアナタはちっとも楽しそうじゃない、私だけじゃない、萩風も嵐もそう思ってる」

 

のわっちは舞風の肩を優しく掴み、まるでレズの王子様のように優しく舞風を抱きしめた、その破壊力たるやおそらく並みのレズならキュン死確実だろう…

そして、外で光るゲロを吐いていた二人、萩風と嵐もいつの間にやら口をゆすいでキチンと水分補給して戻ってきたらしく、二人もアツく舞風に抱きついた!

 

「野分ェ……萩風ェ、嵐ェ…私、私ぃぃぃ」ポロポロ…

 

「いいのよ舞風ェ…」

 

「そうよ舞風ェ…私達一緒のチームじゃない?」

 

「ヘヘッ!そうだぜ舞風ェ!」

 

な…なんかよくわからんが、とりあえずケンカは終わり、みんな仲良し第四駆の仲間に戻ったらしいな、うん…なんかよくわからんが…

舞風は変われるかなぁー?アタシ!変われるかなぁー?と言ってオイオイ涙を流し、空気読まない嵐が変顔で“ムリ”とか言って笑いを取ろうとして萩風からスゲー痛そうなビンタを喰らって床に転がったが、まぁ、とりあえず話は終わったらしい…

 

「ま、まぁ…仲直りできたならいいだろう、うん、まぁ…うん、なんだ?仲直りの印と言ってはなんだ?これで仲良くアイスでも食べなさい」

 

俺は財布から紙幣を取り出し、舞風に手渡してやると第四駆の仲良しチーム達は俺にキチンと礼を言って頭を下げ、嵐がよっしゃ!オレ、チョコミントーと言ってたら萩風からあんな歯磨き粉みたいな味!身体に良いワケないでしょ!とビンタされて床を転がった…

 

ーーー

 

「と、言うコトがあったワケだが…」

 

喫煙所で一服し、執務室に戻った俺は自分の席でクロスワードパズルの雑誌を読んでいた五月雨に第四駆逐隊達は来月の作戦海域に向けて頑張っていたぞと教えてやった…

 

「…はぁ?」

 

「はぁ?じゃないよこの子は、アレだよアレ、提督は頑張る彼女達に感動したのだよって話だ」

 

「へぇ…」

 

五月雨は大した興味もないらしく、クロスワードパズルになにやら書き込みしている、まったく、なんて冷たいヤツだ、白と青の寒色系コーデなだけあるのだよ…

 

「あ、そうそう、その第四駆逐隊の人達ですけど、来月有給の申請きてますよ、なんかジャペンオープンに参加するとかなんとか…」

 

「ふ〜ん、なんだそれ?ゴルフかなんかか?」

 

「ダンスですよ、たぶん」

 

「ふ〜ん」

 

……………ダンス?



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提督と革命のЮжные Курилы

戦慄!革命軍!

【登場人物】

提督(大人)
過ちを認めて次の糧にする大人

占守(シムシュシュ)
占守姉妹の姉、頭の中がファンキー、アホな子

国後(クナ)
占守姉妹の妹、頭の色がファンキー、真面目




夏はこまめに水分補給、自販機で水分でも買うかと廊下を歩いていると、外からなにやらキャッキャとハシャぐ声がしていたので見てみると、かい…かい?海防艦のヤツらがホースを手に取って水をBUKKAKEていた…

 

「クナ!ホースの水もマジいアツっすよ!」

 

「ちょ!やめ!やめて!やめて姉さん!やめて!アツい!アツいって!アツ……やめろォ!!」

 

「痛いっしゅ!!」

 

夏の外気でアツアツになったホースの水を妹に浴びせてゲラゲラ笑っていたシムシューくんは妹にケツを蹴り上げられ痛いっしゅ!とか言いながら灼熱の地面を転がった

 

「ナニやってんだ?オマエら…」

 

「あ、テイトクっしゅ!」

 

ケツを抑えつつ立ち上がり、キチンと挨拶をしてきたのは占守姉妹の姉の方、占守クン……革命戦士ガングートと同じく革命軍の同志らしい

 

「ゲッ………ま、まぁ、別に、おね…や、姉さんがちょっと調子に乗ってたから蹴り入れただけなんたけど…」

 

そして、水…?いや、お湯を浴びてビチョ濡れの方、占守の妹の国後クン、ファンキーな髪の色をしているがワリと真面目で礼儀正しい

 

「あんまり暑いんで水浴びでもしたら涼しくなるんじゃないかと…」

 

「浴びたの私なんだけど?ってか、水じゃないでお湯なんだけど?」

 

国後はホースを手に取り、水道の蛇口をZENKAIにし、ホースの先端を指で縮めて水圧を増し、強烈な勢いで飛び出すお湯を姉にぶつけた

 

「うっぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!痛い!アツい!イタアツいっしゅ!イタ…っ!やめ、クナ!!マジでやめて!」

 

「うるさい!!私だけびしょ濡れとか不公平よ!!」

 

「アツ……いや、なんかだんだん冷たくなってきたっしゅ……でも痛い!あ、でも、なんか気持ち良くなってきたっしゅ、冷たっ!アァァン!」

 

「うわ、キモち悪…っ」

 

国後はホースの先を挟むのをやめ、勢いを止めると水はジョボジョボと痛くない勢いに変わり、占守クンはぎもでぃぃぃとか言いながら頭からホースの水を浴びてアヘっている………まぁ、見るぶんには涼しげだが、なんだろうな…?今、ここに憲兵が居たら俺は謂れなき罪で拘束される気もする

 

「まぁ、水浴びもいいが後でちゃんと着替えろよ」

 

「バッチリっしゅ!ま、どーせ今からシャワー浴びて同志ガングートとアイス食べる予定っしゅから」

 

「ふ〜ん」

 

…同志ガングート、旧ソから来た史上もっともアツかりし革命戦士であり、魚雷も持ってないのに雷装値のあるよくわからない性能を持っているが、そこはまぁアレらしい、愛国心とかそーゆーのでカバーしてるらしい

 

「ちなみにテイトクはナニしてるんしゅか?」

 

「ご覧の通り、提督はドリンクを買いに行っているのだが?」

 

「いや、ご覧の通りと言われても…」

 

さすが国後クン、冷静で的確な指摘なのだよ

 

「マジっしゅか!テイトク!シムはオレンジジュース!オレンジジュースが飲みたいっしゅ!」

 

「触んな、っーかびしょ濡れでまとわりつくな、服が汚れるじゃねーか」

 

「大丈夫!外に居たらすぐ乾くっしゅよ、今だってシムもクナもパンツまでグショグショっす!」

 

「誤解を招くようなコトゆーな」

 

悪意もナニもなさげとは言え、なんてコトゆーのかねこの子は……アホの占守クンはオレンジー!オレンジ飲みたいっしゅよーと洗った犬みたいにまとわりついていたが、妹がテイトクにシツレーでしょ!と言って引っぺがしてくれた

 

「えっ…と、あの、おね……いえ、姉がスイマセン」

 

「ハッハッハ、構わんよ」

 

まったく、ファンキーな頭の色をしているがこの妹は本当によくデキた妹らしい、これほど常識的な妹はそうは居まい…そんな事を考えていると、廊下の向こう側から新たなる革命軍の同志、海防艦の択捉と松輪、そして……補給艦の神威が歩いて来た…

 

「あ、テイトクだ」

 

択捉姉妹の長女、択捉、あのガングートが唯一まともに名前を覚えている革命エリートの寵児

 

「こ…こんにちは」

 

択捉姉妹の次女、松輪、一見すると気弱で繊細そうに見えるが相当ヤバいヤツで、ガングートに対して本気の殺意を抱いている本物のヤバいヤツだ…

 

「よぉ、オマエらもホースで水浴びでもしに来たのか?」

 

「?、しないけど?」

 

択捉はナニ言ってんだコイツ?みたいな顔しているが、まぁ、それが本来当たり前だろう、占守クンがアホなだけであって

 

「喰らえっしゅ!!」

 

「?、うべっ!!」

 

占守クンは蛇口を捻り、手にしたホースを択捉に向け、ZENKAIハイドロキャノンを択捉にBUKKAKEた

 

「択捉ちゃん!?な、ナニをするんですか!?占守ちゃ…ぶべっ!!」

 

「シムシュシュシュシュ!シムシュシュシュシュー!シム達だけびしょ濡れとか許されないっしゅよ!択捉達もビショビショになるっしゅー!」

 

「ちょ、姉さん!ナニしてんのよ!?」

 

占守クンはヒャーハハハ的な独特の笑いをあげながらホースを振り回して択捉と松輪に水を浴びせ、最初はびっくりしたような択捉と松輪だったが、この暑さだ、冷たい水を浴びてちょっと楽しくなったらしい

 

「ふむ、無邪気なものよ…」

 

「そうですね」

 

やって来た神威と共にキャッキャとハシャぐアホガキども見ていたその時…

 

俺の脳裏に閃く…っ!

 

そう……今、この場にて水を浴びていないのは俺と新たに現れたこの女………服の上からでも一目でわかる、むしゃぶりつきたくなるよーなナイスバディの女ァ…!神威…っ!!そうだ……そう、正直、この海防艦のバカガキどもがいくらビチョ濡れになろうがどうでもいいが、あの神威が、そう、あのドスケベフンドシが制服の神威がビチョ濡れになればどうだろうか?

 

………透けるっ!確実に!あのドスケベ服は絶対にスケスケになり、もうツルスケじゃねーの?ってぐれー透ける!

 

「…シムくんシムくん、ちょっとちょっと」

 

「なんしゅか?」

 

俺はホース片手にキャッキャとハシャぐ占守クンに手招きし、ちょっとその肩に手を回した

 

「シムくん、ジュース買ってあげるから神威にも水ぶっかけてくれないかね?」ヒソヒソ

 

「マジっしゅか?オレンジっしゅよ?」ヒソヒソ

 

「あぁ、なんならポテトもご一緒につけてやっていい」ヒソヒソ

 

「マジっしゅか!やるっしゅよ!」ヒソヒソ

 

よし!さすがは占守クン!素直で欲望に忠実なアホの子だ!さぁやれ占守クン!あのドスケベア●ヌ衣装にその冷たい水をてBUKKAKEスケスケにしてやれーッ!

占守クンはシムリと笑い、その、手にしたホースを神威に向けて思いっきりフルバーストを…!!

 

「喰らえっしゅ!!………って、アレ?いねーっしゅよ?」

 

「バ…バカな、さっきまでそこに…」

 

バカな!今まですぐそこに居たハズだぞ!い…一体どこに…?と周囲を見回した俺の顔面に、神威の鋭い膝がブチ込まれたッッッ!!

 

「ウゲェ!!!」

 

そして流れるように俺を上空にブン投げ、落下して地面に叩きつけられた俺に馬乗りになった神威は強烈な打ち下ろしの拳を叩きつけるッッッ!!

 

「ゲェーッ!!あ、アレはーッ!」

 

「同志カモイの絶命必殺技(フェイバリット)ト●ルセ サンペ キク ムツベ(倒して心臓を叩く刃)ーっ!」

 

神威はその握り締めた鉄拳で執拗に俺を殴りつけてくるが……クッ!こんなマウント、本来なら返すのは容易だが…!だが!馬乗り体勢な為か、殴りつける度にもう上下に激しく揺れ動くカモイっぱいから目が離せねぇ!!

 

「グハァ!!な…なんて計算され尽くした技だ…ゴハァ!!」

 

さ、さすがはガングートのアホンダラが認める革命軍の同志と言うワケか……フッ、大したヤツだ

 

とりあえず、ひとしきり俺を殴り終えた神威は俺の上から降り、占守クンから借りたホースで手を洗い、全身ビショビショの革命キッズ達に早く着替えてきなさいと促して手を振り、ついでに、ダメージで動けない俺に死体蹴りをブチ込んで去って行った……

 

「あ……あの、あのアマァ…」

 

ちょっとおっぱいデカいからってチョーシに乗りやがって……クッ、今度会ったらあのドスケベフンドシ引っ張り上げてケツの穴にウェンカムイの洗礼ブチ込んでヒィーヒィー言わせてやる…っーか痛てぇ、マジ痛い…

 

◆◆◆

 

…後日、喫煙所でタバコを吸っていると腹筋バッキバキの戦艦がやって来た…

 

「聞いたぞ、同志提督、海防艦のエンジェルスとホースで水のかけっこしたらしいな、狡いぞ!!何故このビッグセブンにも声をかけないんだ!?」

 

「…知るかよ、っーか俺は見てただけだ」

 

「ズルいぞ!!」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか…?いや、イカれてるんだったな、ズルいズルいと言って人の胸ぐら掴み上げる長門の腹に虎砲をブチこもうと腹を拳を当ててみたが、俺の虎砲もどきでは長門に大ダメージを与える事はできず、逆に、陸奥も知らない長門の技を喰らって大ダメージを受け、医務室送りなった…



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提督と山風とミズギダイバーズ

八月最初はど真ん中に投げ込んできました

【登場人物】

提督(心頭滅却すれば……なワケない)
海風ねーちゃんは今年もドスケベだなぁ

山風(ドヤァ!)
海風姉ぇはドスケベ姉

五月雨(バニラ派)
海風?あぁ、スケベボディですよね


今日も猛暑日だか真夏日だかよくわからないがとりあえず一歩でも外に出るとデスバレーかと思わざるを得ないそんな日、執務室を冷房でキンキンに冷やし、冷たい麦茶を飲みつつ月初の書類仕事に従事していると、執務室の重厚な扉を勢い良く開き、緑色のトゲトゲしい頭をしたチビが入って来た…

 

「…どう?」

 

「いや、いきなりどう?と言われてもな」

 

「…どう?」

 

「いや、いきなりどう?と言われてもな、あと、顔が近い、顔が」

 

緑色のトゲトゲしい頭をした改白露型のプッツン姉妹の一人、山風は何事がよくわからんがこのクソ暑いのにグイグイきた、そう、物理的にグイグイきた…距離が近い、距離が、なんなんだ?一体…?

 

「あ、山風さん水着買ったんですね」

 

相変わらず自分の机でクロスワードパズルをやっていた五月雨はグイグイきてる山風を見て、一目でただのトゲトゲでない事に気付いたらしい

 

「水着だぁ?」

 

…言われてみると、たしかにいつもよりは薄着的に見えると言うか肌色多めと言うか……まぁ、たしかに水着っぽいな、そういや去年、海風ねーちゃんが似たようなの買ってたな、アレはアレでドスケベ水着だったが…

 

「ふ〜ん、まぁ似合う似合う、似合うからちょっと離れような、邪魔だから、サミー、彼女に冷たい麦茶を淹れてあげなさい」

 

「はいはい」

 

俺は張り付き気味の山風をひっぺがし、あっちのお客様椅子にでもいってなさいと懇切丁寧に右手でジェスチャーをし、五月雨は棚からカルピスの瓶を取り出して氷を入れたグラスに4:6の濃度で割ってぐるぐるとかき回して山風に渡し、ついでに、冷蔵庫に入っていた水羊羹もどうぞと出していた…

 

「オイオイオイ、五月雨クーン、その水羊羹、提督のなんだけどー?提督が香取先生から貰ったんだけどー?」

 

「何個かあるからいいじゃないですか」

 

「まぁ、何個かあるけどな」

 

先日、街に鹿島先生とお買い物に行った香取先生からどうぞと言って戴いた水羊羹、まったく……いつだって気遣いの心を忘れない香取先生には感動すら覚えるのだよ

 

「…ありがとう」

 

「どうぞどうぞ、外は暑いですからね」

 

五月雨にしては珍しく妹に優しいな……たぶんアレだろう、去年、一つ下の妹が買った水着姿がかなりドスケベだったコトにはイラついてたが、おそらく、二つ下の妹の水着は五月雨的にはまだイラつかないスケベ度なのだろう…

ただ、提督的にはこの山風の方が五月雨より未来を感じるのだが…

 

「…♪」

 

山風はカルピスと水羊羹にゴキゲンな様子でお客様椅子でパタパタと足を動かしている

 

「しかし水着か……ナニ?明石の店で買ったのか?」

 

「…そう」

 

「ふ〜ん」

 

そういや明石のヤロウもアツいアツい言って水着的なモン着てウロついていたな、アイツは仕事をなんだと思っているのだろうか?クールビズか?いや、クールビズの一環だろう、たぶん

 

「…帽子も」

 

「ふ〜ん」

 

山風は妙にデカい麦わら帽子のツバを摘み、珍しくドヤァ!と言いたげな顔して再びこっちにやって来た

 

「…どう?」

 

「似合う似合う、あと、距離が近い、距離が、麦わらがチクチクする、麦わらが」

 

「…帽子は、明石さんがくれた、日差し強いから帽子被ってないとダメだよ、って…」

 

「ふ〜ん」

 

明石のくせに随分まともなコト言いやがる、あのお金大好き淫乱ピンク、お金が好きで好きでしょうがない生粋のクズだがこのチビには甘いらしく、それはもうメープルシロップのように甘い

 

「…提督、それ、もう終わる?」

 

「まぁ、やる気だせばな」

 

出ないけど

 

「…それ終わったら、遊びに、行こう……海、浜とか」

 

「え?やだよ、メンドくさい、海風ねーちゃんに連れてって貰えよ」

 

「…海風姉ぇは………ちょっと、忙しい」

 

「大丈夫だって、海風ねーちゃんは頼めばナンだってしてくれるって、なぁ?五月雨クン」

 

「そうですね、ちょっと頼めばパ●ズリぐらいしてくれるんじゃないですか?あのスケベボディで」

 

「女の子が平然とパイ●リとか言うんじゃないよ、なんてコト言うのかねこの子は…」

 

五月雨の海風に対する憎悪の闇は深い…

そんなに一つ下の妹がスケベボディなのが気に食わないのだろうか?意外と心狭いなコイツ……いや、意外でもないか

 

「あ、そーだ、オマエ連れてってやれよ」

 

「え?普通にイヤですよ、暑いじゃないですか」

 

いやだわこの子ったら、可愛い顔して遊び球無しのストレート投げ込んできやがる

 

「バカお前、可愛い妹がわざわざ頼んでるんだぞ」

 

「提督にバカとか言われたくないです、あと、山風さんは私ではなく提督にお願いしに来たんですよ?空気読んでくださいよ、バカなんですか?」

 

「なん……だと?」

 

こ……このクソ暑いのに、俺に海水浴場に連れて行けと…?あ、ありえない…!なんて鬼畜…っ!まさに悪魔的発想!常人には考えつかないであろう悪魔的頭脳…っ!

 

「まぁ、普通にイヤだがな」

 

俺は山風をひっぺがしお客様椅子に放り投げて再び仕事を再開した

 

「…早く、終わらせてね」

 

「無理、今日は一日かかるなコレは」

 

「…さっき、すぐ終わるって言ったのに…」

 

冗談じゃないよこの子は、このクソ暑い中お出かけとか死ぬしかないじゃないの?

 

「…じゃ、今日はここでダラダラする」

 

山風はお客様椅子からゴロゴロと転がり、三度俺のところへやって来ると、今度は内側に潜り込んで俺の膝の上で座り込みを開始した…

 

「邪魔なんだが?」

 

「…邪魔じゃない、ほら、早く続き」

 

「いや、邪魔なんだが?」

 

「…いいから、それ、印鑑押すの?貸して」

 

「ダメダメ、遊びでやってるんじゃないんだよ」

 

「…いいから、貸して!」

 

 

結局、仕事自体は午前中に終わってしまい、その後も山風からまとわりつかれた俺は、面倒くさくなったのでマミーヤでかき氷でも食わせたらおとなしくなるだろうと考えマミーヤに行ったらクッ殺女騎士とナツヤス・ミーの宿題に苦しめられているジャーヴィスと鉢合わせし、山風のドヤァ!にプッツンしたジャーヴィスは直ちに殴り合いのケンカに発展し、キィーキィー醜い罵り合いをしながらゴロゴロとマウント争いを始め、マミーヤで暴れ回った結果、二人とも間宮から尻をブッ叩かれて正座させられた…

 

夏だからって調子に乗るとロクな目に合わないものだ



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提督とJervisとアンラッキーでい

言ったモン勝ちターン制バトル

【登場人物】

提督(いいこと思いついた)
男は度胸、女は愛嬌…………そんなふうに考えていた時期が、俺にもありました

Jervis(英国淑女、たぶん)
前回が山風のターンだったせいか、今回はジャーヴィスのターン、インハイは殺す気で投げるスタイル



今日も絶賛アツかりし猛暑日、こまめに水分補給するせいか、それともただのハル●ケアが必要な歳頃なのか、トイレトイレと呟きつつ便所へ急行していると、何者かが声をかけてきた…

 

「ヘイ!Darling、ズイブンとオイソ・ギーみたいネー…」

 

廊下の壁に背中を預け、自信ありげに立っているのは英国から来た小さなロイヤル刺客、自称ラッキー・ジャーヴィスことロイヤル駆逐艦、ジャーヴィスくんだった…

 

「ジャーヴィスくんか…」

 

正直、提督としてはこのロイヤル小娘は苦手な部類なんだが……むしろ、今はこのジャーヴィスくんの相手をしている暇も余裕も無いのだよ

 

「すまんが提督は急いでいるのでな、話はまた今度にしてくれないかね?」

 

「ちょ、ちょっと!ちょっと!待っテ!待っテ!ね?ちょっとだけJervisとオシャベリしまショー?」

 

「いや、すまんが提督は…」

 

「ホント待って!ホント!」

 

ジャーヴィスくんはホント待って!と言いながら廊下を通過しようとした俺の袖を掴み、俺の走行を妨げてきた…ッ!!こ……このガキ!このガキが“あの御方”の……高貴なる女王陛下が可愛いがっておられるロイヤルな駆逐艦でなければ今すぐその小さな身体を掴み上げて大雪山落としを敢行し、背中を痛めつけてやるところだが……

このロイヤル駆逐艦を痛めつける事は陛下の逆鱗に触れる事、つまりは第三次世界大戦の幕開けとなるやもしれんコトから提督としてはこの子への対応には細心の注意を払わねばならない…

 

「ホンのチョット!ホンのチョッ・トーでいいカラ!」

 

「…わかった、手短に用件を言いたまえ、手短に」

 

「ヨーケン?え…?あー………ウン、ヨーケンネ、ヨーケン!」

 

ジャーヴィスくんは妙に歯切れが悪くモジモジしており、いつもならダリーダリー言ってキャッキャとまとわりついてくるのだが……今日はまた新しいパターンか?

 

「ニ……ニホンのナツってアツいよネー!Jervisこんなアツいなんて知らなかったネー!」

 

「そうか、まぁ今年は特に暑いしな…しっかりと水分補給したまえよ」

 

「す…スイブーン!?え、えぇ…!し…シッカ・リーとネ!」

 

ジャーヴィスくんは新たなパターンでモジモ・ジーしつつ手を叩き、いつものバカヅラでアハ、アハハハーと笑っている

 

「では提督はこれで…」

 

「チョ!チョット!待っテ!チョット待っテー!待っテDarling!待っテ!!」

 

チッ!うるせぇなこのガキがァ…どんだけ提督に用事があるんだよコノヤロー、俺はトイレに行きたくて行きたくて仕方ないってのによォ〜…このままじゃ俺の膀胱が破裂しちまい………ん?

 

「ナ……ナニ?Darling…?」

 

そう言えば、さっきからこのジャーヴィスくんはずっとモジモジしてるな、そう…なんと言うか、アレだ、妙に内股気味に見えるな、これはそう……アレだ、たまに明石がションベン我慢してる時に見せるアレによく似ているようは…

 

「もしかしてジャーヴィスくん………催していないかね?」

 

「も…もよお?」

 

「まぁ、平たく言えばおしっこ我慢してるのでは…?」

 

「し!?シシシシ!シテナイヨー?」

 

ジャーヴィスくんはどう見ても挙動不振に目を逸らし、下手くそな口笛をビュービュー吹きながらソンナコトナイヨーと言っているが…………嘘下手かッ!!嘘下手すぎかこの子ッ!おそらく今、ジャーヴィスくんの頬を伝う汗を舐めれば“嘘”の“味”がするだろう

 

「ビュー♪ビュー♪」

 

そして提督は同時にこう考える、おそらく、ジャーヴィスくんのロイヤルダムは最早決壊寸前、既に一歩も動けない状態なのだろう……一歩でも動けばロイヤルダムの封印は解かれ、ロイヤルおもらしと言う名の惨劇の幕が上がり、ロイヤル屈辱とロイヤル恥辱に塗れ、洗面所で誰も来ない事を確認しつつロイヤルパンツ洗いをしつつ一人、ロイヤル涙を流しながら一日を過ごすのは確実であろう…

 

「シテナイヨー?」

 

「そうか、まぁ、ジャーヴィスくんがそう言うならそうなのだろう…」

 

「そ、ソウ!ソウネー!」

 

ナリは小さくとも流石は誇り高き英国淑女、ジャーヴィスくん…

英国淑女の誇りに賭けて間違ってもションベン漏れそうだぜーッ!など淑女的でない発言はしない事に提督は感動すら覚えるのだよ…

 

「そうか、じゃ、提督はこれで…」

 

そんな英国淑女に恥をかかせまいと、俺はCOOLにその場を去ろうと右手を上げて立ち去ろうとすると、ジャーヴィスくんが全力で俺の腕にしがみついてきた…ッ!!

 

「ま、待っテ!!Darling!!待っテー!!オシッコ!!オシッコ漏れそうなノー!!Jervisモーゲンカ・イーなノー!!オネガイ!Darling!!お…おぶって!JervisをRestroomに連れテッテー!!」

 

………前言撤回、ここには淑女など居なかった

 

「は…離したまえ!離したまえジャーヴィスくん!ダ…ダメだぞジャーヴィスくん、女の子がおしっこ漏れそうなど声を大にするのは…!」

 

「モー無理!!モー無理!タスケテ!!タスケテDarling!」

 

ジャーヴィスくん曰く、暑いからって朝からジュースをガブガブ飲み、昼はマミーヤで大盛りカキ・ゴー・リーなどバカスカ食べた結果、そのツケが今、まさにやってきたらしい…

 

「う……ぅぅ…」ブルブル…

 

 

『コラ、Jervis!ご飯の時はジュースを飲むんじゃない、この間約束しただろう?」

 

『ハァ?ったく、Arkはイチイチうるさいのよ、イチイ・チー、ArkはアタシのMumかっーの、ブハァ!!うんめー!』

 

 

「う……ぅぅ……ぅ」ブルブル…

 

どうやら身に覚えのありすぎるジャーヴィスくんだが、英国淑女として最後のPRIDEがそのダムを守っているらしい…

しかし英国淑女と言えどやはりジャーヴィスくんは子供、もし仮に、これが誇り高き女騎士のアークロイヤルならばおもらしするぐらいならば、クッ!殺せ!と言って無意味な抵抗を示したに違いない…

 

「しかしジャーヴィスくん」

 

「ナ…ナニ?」

 

「実は提督も小便がしたくてね、トイレに向かっている最中なのだよ」

 

「ホント!?」

 

「あぁ、だが……提督が向かう先は提督専用である男子便所であり、ジャーヴィスくんの行きたい女子便所は反対方向にあるのだよ」

 

そう、執務棟にトイレはあるが、建物の構造上、男子便所と女子便所は離れたところに作られている!!これは、圧倒的女子率を誇る海軍基地の都合上、男女の便所が同じ場所にあると入り口付近で提督がウロウロしていたら謂れなき誤解を受けかねないと考えられた環境と提督に優しい建築構造になっているのだ…!

 

「………じゃ、じゃあ……Jervisも、Darlingと同じトコでいい!」

 

「ハアアァァァァ!?」

 

な…ナニ言ってんだこの子は…ッ!しょ…正気なのか!?

 

「バ…バカを言っちゃいかんよジャーヴィスくん、うん、バカを言っちゃ…」

 

「イイノッ!!ベツにDarlingがアタシのオシッコの音聞いててもガマンする…っ!」

 

「いや、聞かないけどな!!普通に聞かないよ!?」

 

「あ、そ…それとモ、Darlingがアタシを持ちあげ・テー、その…Pee poseテキな…?ヤダ!ソレはチョット恥ずか・シーケド………ウン、でもDarlingナラ…」

 

ナニ言ってんのこの子ォォォ!!ダ…ダメだコイツ、最早おもらし寸前で正常な判断力が無くなっているのか!?

 

「ま、まぁまぁ!!まぁ待ちたまえジャーヴィスくん!落ち着きたまえ!な?」

 

「ヤダ!!モー!無理…っ!モーこれ以上無理…っ!」

 

なんてヤツだ……クッ!これがアークロイヤルなら“クソッ!私の小便する姿を…ッ!?そんな辱めを受けるなら…クッ!殺せ!”と言うに違いない、いや………意外といいなコレ、今度明石にやらせるか、アイツならちょっと金払えばやるな、たぶん

 

「あ……あああぁぁ……Darling、ヤバイ、ホント、ゃばぃ…」

 

いかん!ジャーヴィスくんが本格的にプルプルしてきた!ど…どうすればいい?俺は一体どうしたら!?このままではジャーヴィスくんはこの場でおもらし確実ぅ!英国淑女のPRIDEはズタズタ!いつも元気で明るかったあの子が急にヒキコモ・リーになり、心配した陛下がその理由をジャーヴィスに聞き、俺がトイレに連れていかなった事が判明し陛下大激怒→第三次世界大戦勃発→ギロ●ンの音、もしくは、緊急事態とは言え、男子便所にジャーヴィスくんを連れ込んだガチロ●コンのゲスチンヤローと言う未来永劫鬼畜にも劣る賊の烙印を負わされるか……むしろ、男子便所に連れ込んだ事が陛下にバレようものなら確実に陛下大激怒→ハルマゲドン勃発→ギロ●ンの音だろう…

 

クソッ!!こんな時に便器!!ここに便器さえあれば…ッ!!

 

「…ん?あ、提督とジャーヴィスちゃんじゃないですか?どうしたんですか?こんなトコで」

 

そんな極限の選択肢が迫る中!!アイスを片手に廊下を歩いて来たのは、今日も安心のヘソチラ軽巡!夕張…ッ!

 

夕張……そうか、夕張ッ!!あったよ!便器、いや、肉●器が…ッ!!助かったぞジャーヴィスくん!今、君の英国淑女としてのPRIDEは守護られたのだ!

 

俺はヘラヘラと締まりのない顔をした夕張の両肩をワイルドに掴み、こう言ってやった…!!

 

「夕張、オマエ、ションベン飲めよ」

 

「え………?」

 

「ションベン飲めよ」

 

「え………?あの、あ、そーゆー感じですか?え、えぇ…?でもちょっとジャーヴィスちゃん居るし、ちょっと恥ずかしいとゆーか…」

 

「ナニ言ってんだオマエ、ジャーヴィスのを飲むんだよ」

 

「え………?あ、あ……えぇ?えぇぇ!?ジャーヴィスちゃんのですか!?ちょ…ちょっと待ってください、ションベンもアレですけど、ちょっとイキナリでプレイの難易度と言うか特殊性と言うか…」

 

ナニ言ってんだコイツ、いつもはヘンタイみてーなコト言ってんのに、ナニ今更マトモぶってんだ?

 

「いいから飲むんだよ!この肉●器が!」

 

「いやいやいや!ちょ!ちょっと待ってください!ちょっと待ってください!私にも一応倫理観とゆーか、準備とゆーか…」

 

「あ、あああ!!あああぁぁぁ!!ムリムリムリィィィィィ!!Darling!モームリィィィィィ!!」

 

 

この後、ジャーヴィスくんは夕張から一時的におしっこを我慢できるツボとやらを圧して貰い、トイレへと走って行った……あと、俺はトイレ間に合わずちょっと漏らした



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提督と野望の灼熱ビーチ

ワンパターンと言う名の伝統の様式美

【登場人物】

提督(吹き荒ぶ風)
好きな菓子パンはマンハッタン

明石(渇いた大地)
好きな菓子パンはバナナクリームサンド




「っしゃ!!オラァ!!」

 

「うぉー!!あの高さで届くのかよッ!」

 

「速攻ォー!もう1点取るぞォー!」

 

今日も元気にアツかりし夏の日、本日、当基地では地元の砂浜を使いアツかりしビーチバレー大会を開催していた…

 

世間的にはお堅いイメージを持つ海軍だが、当基地では地域と共存し、皆様に愛される海軍となるべく地域との癒着……じゃない、日々、地域の有力者達と円滑な関係を築いてきた中で、観光資源の少ない寂れた砂浜に若者を呼び込みたいと言う地域の声を聞き、今回、このビーチバレー大会開催に至ったワケだが……

 

「S席8000円、S席8000円、チケットあるよー」

 

「史上、最もアツかりしエンターテイメント!目の前でアバレるワガママボディ!こんな機会、滅多にないんだからねー」

 

チケットは飛ぶように売れ、そして、このアツかりし炎天下にドリンクも飛ぶように売れている、明石の野郎はここぞとばかりにビールサーバーを持ち出し、自らも背負って今も元気に売り歩いているらしい…

 

「で?今どーなってんだ?」

 

「ベスト4が決まったところですね」

 

俺は主催者テントで冷たいドリンクをクーラーボックスから取り出し、夏の陽射し対策に麦わら帽子を被っている五月雨に冷たいドリンクを1つ渡してやった…

 

「今残っているのは長門さん陸奥さん組、アイオワさんサラトガさん組、イントレピットさんガンビアさん組、白露姉さん熊野さん組ですね」

 

「ふむ…」

 

大戦艦級に恥じない安定の実力を持つナガムツコンビ、そして世界最大・最新・最強のステーツの実力とそのダイナマイトバディを武器に集まったお兄さんお父さん達をカチンコチンにするアイオワとサラトガ、そして同じくステーツから来たダイナマイツな刺客!スカイ・ママと呼ばれる華麗かつワガママな空中殺法でコートのネットとワガママボディ揺らすイントレピットとガンビアのニューフェイス、ノースアメリカンコーポレーション………まさにベスト4に相応しい好カードが出揃ったな

 

「白露姉さんと熊野さんもいますけどね」

 

「アイツらはどうでもいい」

 

まぁ、白露ねーちゃんは最近多少おっぱい大きくなったらしいがそれでもこの好カードには劣る、まぁ、たぶんこの準決勝で消えてくれるだろう…

 

「あと、そのベスト4なんですけど、今、現在進行中で問題発生中なんですけど」

 

「あ?」

 

五月雨に言われ、ビーチの方を見てみると、勝ち残ったベスト4ではない謎のコンビがコートに颯爽登場し、腕を組んでおっぱいを強調していた…

 

 

『フッフッフ…ビーチバレー大会と言うのならそれなりのラインナップを揃えないと』

 

『弱体チームの参加はご遠慮願おうじゃない?ねぇ?白露姉さんに熊野さん』

 

 

見るからに頭の悪そうな二人組に煽られ、誰が弱体チームですわー!と飛びかかった白露ねーちゃんと熊野のコンビは戦慄のツープラトン!肉便キングダムを喰らい、グワシャ!!とアツいビーチと言う名のコートに沈んだッ!!

 

『カーッカッカッカ!』

 

『貴様らに名誉などあったものかーッ!』

 

ベスト4!最後のチームは帰ってきた戦慄のビッチコンビ!!難攻不落のビッチ兵!鈴谷と、最強のDNAを継がせる準備はOKの恵体!村雨のビッチボンバーズッ!!

 

「なんか前に同じモノを見た気がするんだが…」

 

まぁ、たぶん気のせいだろう……たぶん

 

「いいんですか?アレ」

 

「観客席は大興奮だしいいだろ、たぶん」

 

◆◆◆

 

とりあえず、運営テントの方は五月雨のアホンダラに任せ、俺は会場の見回りと言う名の買い食いツアーに興じていると、今日も本当に金が好きなオーラをプンプン放つピンクのヤツが歩いていたので声をかけてみた

 

「よう、クソヤロー」

 

「誰がクソヤローですか」

 

お金大好きクソヤローこと明石はビール買いませんか?ビールと勧めてきたのでとりあえず丁重に断った

 

「クッ!提督すら買わないとは…!」

 

「だって高いじゃん」

 

「高くありません、一杯950円の良心価格です」

 

「高けぇよ、どんだけボッタくってんだ、オマエは」

 

明石曰く、とりあえず今日は水着とか着てるし、水着効果でバカどもを悩殺して100杯は売る気マンマン野心マンマンでいたらしいが、現在のところ明石の売った数は僅か2杯、これは、現代の貨幣価値に換算すると1900円に相当する……

 

「ちなみに、アルバイトの山風ちゃんは既に800杯近く売ってくれました」

 

「アイツすげぇなオイ」

 

「えぇ、山風ちゃんはちょっと歩くだけで飛ぶように売ってきます、えぇ、飛ぶように」

 

世の中、山風に対して甘すぎるんじゃないだろうか…

提督は心配になってくるのだよ

 

「あと、今回は山風ちゃんだけでなく今回新しく雇ったバイトの子もメチャメチャ売ってます」

 

「新しいバイトだぁ?」

 

「えぇ、最初はちょっとどうかな?って思ったんですけど、マジビビるぐらい売ってきますよ、正直、ビビりすぎて脱糞しそうですもん」

 

「女の子が脱糞とか言うんじゃないよ」

 

しかしこのバカが思わず脱糞しそうなほど売ってくるだと………?そんな逸材がウチに居たとでも言うのか?

そんな新たな事実について考えていると、明石サーンとか呼ぶ声と共に、ビールサーバー的なものを担いだ何者かがやって来た…

 

「もうなくなったー!」

 

「新しいのが、欲しいです」

 

ビールサーバーを担ぎ、やって来たのは海防艦の事案コンビ、佐渡クンと対馬の二人…

 

「あーはいはい、もうなくなったの?早いねぇ、じゃ、おねーさんのを使ってね」

 

明石のアホはよっこらセンチュリオンとか言いながら自分の担いでいたビールサーバー(残48杯)を佐渡クンに手渡し、佐渡クンはそれは対馬に押し付けた

 

「オイ明石、オマエこんなガキどもまで雇ってんのか?」

 

「えぇ、1杯30円のバックで」

 

鬼…っ!!正真正銘、本物の鬼…っ!!原価1杯辺り約200円!販売価格950円!利益750円から30円をバックとして支払って純利益720円を荒稼ぎ…っ!それも、何も知らない“(ピュア)”な子供に売らせる外道の販売方法…っ!クズ…っ!正真正銘!救えぬクズ…っ!

 

「オマエ、マジで最悪だな」

 

「ハッ?なんとでも言ってください、いいですか提督、金こそ全てです」

 

佐渡クンと対馬は今現在で300杯は売っているらしく、単純計算で約9000円のバイト代…

 

「金こそ全てです」

 

「二度言うな」

 

明石は佐渡クンと対馬に助かるわーおねーさん助かるわーとか言って後でアイス買ってあげるからねーとか言って二人頭を撫で、もっと頑張ってきてねーと二人を送り出した………マジで最悪だよコイツ

 

「まったく、笑いが止まらんですよ」

 

「ナニがまったく笑いが止まらんですよだ、二杯しか売れてないクズが」

 

「………なんででしょうね」ポロポロ…

 

俺の冷静で的確な指摘に、一応、ちょっと傷ついてるらしく、明石は自分の腹をむにーっと掴んでなんででしょうねーと涙を拭いた

 

「まぁいいです、例え私が売らなくとも私には最強の売り子である山風ちゃんが居ます、それに!山風ちゃんに匹敵する新しい人材が〜…」

 

とんでもないクズだよコイツぁ〜…と正直ドン引きしていたその時、ふと、か細い声が後ろから聞こえる気がしたので後ろを見てみると、なんか前髪の長い子が立っていた…

 

「あ……あの、あ…明石、さん、その……」

 

「ん?」

 

「ヒッ!?あ……ぁ、テイトク、その、こんにちは…」

 

…誰だっけコイツ?なんか見覚えはあるんだが……

 

「あ、浜波ちゃん、もしかしてもう売っちゃったの!?」

 

「え?あ、え…あ、はぃ、それで……新しいやつを」

 

「ちょっと待ってねー、おねーさんのを……って、私のもカラだよ!よし、補充しに行こ!補充!」

 

「あ、はい…」

 

あぁそうだ、浜波ちゃんだ、浜波ちゃん、そうそう、浜波ちゃんだったな、このメカクレガール……へぇ、このシャイガールがバイトするとは…

シャイガールすぎてあまり売れてなさげだが、頑張っている姿とその姿勢に提督は大いにエールを送りたいのだよ

 

「ちなみに浜波クンはどれくらい売ってるのかね?」

 

「え…?」

 

「浜波ちゃんはスゲーですよ、今日だけでもう700杯は売ってます」

 

「ハァ!?」

 

ま…マジか、こ……このメカクレシャイガールが?

 

「浜波ちゃんはなんかよくわからないけどメチャメチャ売ってくるんですよ」

 

「ふ〜ん」

 

…明石の奴はよくわかっていないようだが、たぶんアレだ、この浜波ちゃんの前髪に隠された真実の“美”が、その力の片鱗を見せているのだろう…

 

「浜波ちゃん前髪邪魔くない?おねーさん散髪しようか?」

 

「あ、いや…いえ、いいです…」

 

そしてさすがは明石、金以外には何の興味も持たない金の亡者故に、浜波ちゃんが持つ“超絶美少女のオーラ-(きざし)-”が全く通用していない…

 

「…まぁいいわ、とりあえずバイト使うなとは言わんが、ほどほどにしとけよ、ほどほどに」

 

「はいはい、ほどほどに荒稼ぎしますよ、ほどほどに」

 

クズ…っ!!まっことクズ…っ!救えない……っ!!

 

俺は明石のクソヤローの股間を蹴り上げ、浜波ちゃんにガンバリたまえよとエールを送り、その場をクールに去った…

 

◆◆◆

 

「ただいま」

 

「ただいま、じゃないですよ、どこまで長糞しに行ってるんですか」

 

「女の子が長糞とか言うんじゃないよ、この子は」

 

運営テントに戻った俺は浦風の屋台で買った焼きそばを五月雨に渡し、ついでに、コマさんの屋台で買ったアイス的なものを与えた…

 

「で?どーなったんだ?バレーは」

 

「ナガムツコンビが優勝しましたよ」

 

「ふ〜ん」

 

ちなみに、はぐれビッチコンビはアイオワの殺人サーブで二人ともビーチにメリ込んだそうだ



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提督と五月雨と好感度について考える話

男は狼、狼は男、男は男であり狼は狼であり狼は男であり男は狼であり

【登場人物】

提督(バットエンドフィンガー)
真実の愛を求めさまよう狩人

五月雨(寒色系)
常な魂の一杯を求め淹れ続けるアツいコーヒー愛好家


「ほぉ…夏祭りですか」

 

「えぇ、花火とかやるアレですね」

 

このアツかりし酷暑の中、駆逐艦のバカガキどもがヒィヒィ言ってアヘ顔さらしながら走り込みをしている姿を冷房の効いた室内で眺めつつ、机の上に置いてあったチラシを手に取ってみる…

 

チラシの内容は地域の夏祭りの開催のお知らせであり、開催日や時間、協賛企業の名前が書かれている………ゴキゲンなチラシだ

 

「夏祭りか、まるでデートイベントでも起きそうな青春の甘酸っぱさとノスタルジックさを感じると思わないかね?サミダリューン卿」

 

「はぁ…?」

 

五月雨はナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?みたいな顔をしているが、まったく、こやつには浪漫……いや、定番と言った方がいいか?まぁ、夏祭りと言うイベントが持つ無限の可能性と言うものがワカっていないらしい…

 

「夏祭りとは古来よりエロゲー的には中盤戦の天王山と言われる大事なイベントなのだよ」

 

「ナニが天王山なのだよですか」

 

「浴衣・祭り・青●、これら全ての要素を兼ね備える重要性の高さ、卿にも理解でき……いや、●姦ではなく、野外フ●ックの方が今風で伝わり易いかね?」

 

「ナニが今風ですか」

 

五月雨は冷蔵庫から最高にCoolな麦茶を取り出して2つのグラスに注ぎ、1つを俺の机に置いた…

 

「なんなら誰か夏祭りおデートにでも誘ってみたらどうですか?」

 

「いやだわこの子ったら、夏祭りファ●クしろなんてよく言えるのだよ」

 

「言ってませんよ」

 

五月雨は若干イラッとしたような顔をしたが、すぐにニュートラル状態に戻り、どうでも良さげにため息を吐いた

 

「しかしサミダリューンよ、卿が考えるほど夏祭りおデートとはそう簡単なモノではないぞ」

 

「はぁ?」

 

「夏祭りおデートを発生させる為には、この時期までに一定以上の好感度を上げておく必要があるのだよ」

 

夏休み前までに好感度をひたすら上げ、夏休み前、もしくは夏休み中にフラグを立てる事、日々の弛まぬ研鑽と努力、そして執念を以てしてようやく夏祭りおデートイベントを勝ち取る事ができる事は既に常識…

 

「仮に、まったく好感度を上げていない者を夏祭りに行きませんかと誘ったとしよう…」

 

「はぁ?」

 

『夏祭りに行きませんか?』

『は?ナニ言ってんだオマエ?イカレているのか?』

 

…この流れになる事は必然、好感度が達していない場合、無惨に断られ、一人悲しいサマーデイズを過ごす事になるだろう

 

「なのだよ」

 

「なのだよ、じゃないですよ、あと、五月雨です」

 

「つまりは、まず好感度の確認が重要となる………そこでサミダリューン、卿の忌憚のない意見を聞きたい」

 

「忌憚のない意見ですか……」

 

あと、五月雨ですといつもの訂正を入れ、五月雨は好感度もクソも特に関係ないのでは?と身もふたもないコトを言ってグラスに再び麦茶を注いだ

 

「バカ言うんじゃないよこの子は、アレだよ、アレ、オマエは俺のなんだ?」

 

「…部下?ですかね」

 

「そう、部下であり、俺の最も信頼厚き右腕でもある」

 

「はぁ?」

 

「その右腕であるオマエなら今現在の好感度上昇度を答える事ができる、違うかね?」

 

「………スイマセン、何を言ってるかまったくわかりません」

 

つまりアレだ、自慢のライトアームであり頼れる秘書艦であれば、今、あの子の好感度はこのぐらいですよとスラスラ答えられる、好感度低なら気になっている、好感度中なら好きみたい、好感度高なら愛してしまったようじゃ!ぐらいは答えられるだろう…

 

五月雨はナニ言ってんだコイツ?みたいな顔をしていたが、とりあえずすぐにいつものニュートラルに戻り、そうですねとか言いながらひとつ咳をついた

 

「では、浜風ちゃんから俺への好感度を聞こうか」

 

「ゼロです、興味ないでしょうね」

 

「辛辣ゥ!!」

 

辛辣だよゥゥゥ!!いやだわこの子ったら、恐ろしいくらいハッキリ一刀両断しやがったよッ!!

 

「は……ハッキリ言う、気に入らんな」

 

「これでもオブラートに包みましたよ」

 

オブラートに包んでなおこの破壊力かッ!!ま…まさか浜風ちゃんからの好感度がゼロとは予想外だ、予想外すぎる…っ!何故だ!?やはりあの日あの時あの場面での選択を間違えていたのか!?俺はまた間違ってしまったのか!

 

「つ…つまり、今、俺が浜風ちゃんにおデートしませんかと電話をすれば、確実に断られると…?」

 

「えぇ、ほぼ確実に」

 

「ジーザスッッッ!!」

 

俺は黒檀の執務机を両手でワイルドにダァン!し己の無力を呪った!

 

「まぁまぁ、そう気を落とさず、あ、由良さんとか誘ったらどうですか?どうせ暇でしょうし、焼きもろこしでも買ってやるとか言ったら来てくれますよ、暇でしょうし」

 

「誰が由良さんなんか誘うかよ、っーか由良さんだって暇じゃねーかもしれないぞ?」

 

「や、絶対暇ですよあの人、今頃部屋で扇風機にアーっとか言ってますよ」

 

コイツ由良さんに何か恨みでもあるのだろうか?まぁ、五月雨と由良さんも付き合いだけは長いし、付き合い長いだけの憎しみもあるのだろう、たぶん

 

「どうせなら陛下でも誘ってみたらどうですか?庶民の夏休みとかきっと興味津々丸でお喜びになると思いますよ?」

 

「なんてコト言うのかねこの子は」

 

陛下と庶民的夏祭りに行けとか世界大戦を開始せよと言ってるのと同じだぞ、っーか陛下と夏祭りなんぞ、胃に穴が開くどころか胃が捻じれすぎて消滅するわい

 

「カッカッカ!こやつめ、俺に死ねと言いおるか!カッカッカ!こやつめ!」

 

とりあえず、陛下を誘うなら絶対に貴様を同行させる、どんなに嫌がっても必ず連れて行く!オマエも俺と共に死ぬんだと言ってやると五月雨は、じゃ、ナシでとアッサリと意見を取り下げた…

 

「…ま、冷静に考えたら夏祭りとかどうでもいいか」

 

「そうですね、あ、コーヒー飲みますか?」

 

「貰おうか、冷蔵庫に入ってる缶コーヒーを」

 

「ご自分でどうぞ」





次回は誰かと夏祭り的な話、見切り発車です


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提督とゆらさみと夏祭り

夏祭りイベントでCGを回収する前にセーブはキチンとしよう!

【登場人物】

提督(未だ中二病を患う大人)
フラグ?あぁ、アレはダメだ、一級フラグ建築士の免許は難関資格だからな!

五月雨(駆逐艦)
由良さんより事務ができるので秘書艦になった

由良さん(軽巡)
事務に挑戦してみたけどすぐ飽きた、やれば一応できる





『とりあえず、誰も一緒に行くアテがないなら私が行きますよ、暇ですし』

 

浜風ちゃんと夏祭りファ●クにはまだ早い、今の俺には未回収の浜風ちゃん攻略フラグが多すぎる、よく考えたら俺と浜風ちゃんはお互いに好きな音楽のジャンルも知らない仲だ……おそらく、今、事を急げば大失敗必至…っ!浜風ちゃんへのルートは閉じられ、俺はこのα世界線で然る後、残酷な結末を迎える事になるだろう…

それにアレだ、功を焦る兵隊に良い未来はないとある特佐も言っておられたしな!

 

そんなワケで、俺はおとなしく我が頼れる秘書艦とブラっと出かけてみるかー!との結論に至り、夕方、五月雨と共に出かけようと執務棟の廊下を歩いていると、運悪……たまたまジュース飲みながら歩いていた由良さんに遭遇、由良さんにどっか行くの?と問われ、夏祭りに行くのだよと懇切丁寧に答えると、由良さんは、じゃ、由良も行くーとか言い出したので俺は丁重にないわーと断った

 

「テイトクさん?」ニコッ

 

「なんだい?由良さん」ニコッ

 

にこやかな由良スマイルは一瞬、既に、互いの必殺の間合いに入っている!!由良さんはノーモーションからの喰らえば絶命必死の手刀を放ってきたが俺はその手刀を肘で迎撃して上に流し、そのまま肘を由良さんの鳩尾に叩きつけた!

 

「…くっ!!今のは……!エンメイリュウ、ね?」

 

「裏蛇●山、朔光…」ニィ…

 

前に陸奥のヤロウが長門の拳にカウンターで喰らわしているのを一度見た、しかし咄嗟とは言え陸奥の技が出るとは……どうやら染み付いた血ってのはカンタンには拭えないらしい

 

そんな背景白めの俺と由良さんの激戦は二十分に及び、壮絶な殴り合いの末、お互いに、このクソ暑いのに不毛な事はやめようと和解し、夏祭りと言う冒険の仲間に加えるコトになった…

 

ーーー

 

地域の夏祭り会場は人が多かった…

えぇ、そりゃもう、ごったがえって言うんですかね?地元の人にとっては年に一回の大きなイベントですし、花火とか上がりますし、えぇ、それはもう大変な人出でしたよ、え?そんなにイッパイじゃ歩くのも大変なんじゃ?ハハハ、ないない、それはないですよ、そりゃあ人が多いと言っても田舎の夏祭り、三万とか五万発アガってTV中継がある花火大会じゃあるまいし、田舎としては、ですよ?ハハハ…

 

「フーッ、よっこらせんずり」

 

俺は手近なベンチに座り、財布から紙幣を取り出して五月雨と由良さん、それぞれの手に渡してやった

 

「ナニこれ?お小遣い?」

 

「あぁ、それで仲良く二人で出店でお買い物して来いよ」

 

ハッキリ言ってこの浮かれポンチな人波の中をダラダラ歩くのは今の俺にとっては苦行でしかない、とりあえず、俺はそこらの店で買ったビールの蓋を開けてワイルドに喉に流し込んだ

 

「あー………うんめー、っーワケだ、俺はこのベンチから動かないからオマエ達は提督に遠慮する事なく夏祭りを満喫してくるといい」

 

「うわー…ナニこのおっさん、マジで空気読めないわ、ね?」

 

「まぁ、提督が空気読める人なら今頃神社の裏でファ●クしてますよ」

 

コイツら、言いたい放題言いやがって…まぁ、正直なところ、一緒に来たメンバーが浜風ちゃんでない時点で俺のテンションはダダ下がりのMAX最底辺だ

 

「そんなコト言わずに、ほら、立って、ね?由良が金魚掬いするの見てたらいいじゃない?ね?ほらアレよ?Stand and Fightよ、ね?」

 

なんで立って戦わにゃならんのだ…?由良さんは俺の胸ぐらを万力みたいパワーで掴み上げ、イヤがる俺を群衆の中へと引きずり込もうとする

 

「ちょ!痛い!痛いってば!ちょ…やめてよ!サミー!助けてサミー!」

 

「イヤです」

 

「なんでだよ!?」

 

五月雨にしては珍しく遊び球無しのストレートだなオイ!

そんなワケで俺達はまず、由良さんが金魚掬いしたいと言うので金魚掬いの屋台へと向かった…

 

「よし!今日はいっぱい獲るから、ね?」

 

「獲るのはいいが、キチンと責任持って飼えよ」

 

「大丈夫大丈夫、由良は金魚とか弱々しい魚は反吐が出るほど嫌いだけど、名取姉にでもあげたらキチンと餌やってくれるだろうし」

 

「最悪だよこの白髪女!!」

 

いや…?白髪と言うにはちょっと色味がかっているんだが、なんだろうなこの色、血?血だな、たぶん血の色だ、うん

 

「では…」

 

由良さんは500円と引き換えに手にいれたポイを悪魔のように大胆に水にブチ込み、悪魔のように大胆に水の中から引き抜いたッ!!

 

「………ね?」

 

「ね?じゃねーよ、ド下手かッ!?」

 

ナニ可愛く言った風に流そうとしてんだこの女、なんで悪魔のように大胆にしかねーんだよ!なんで天使のような細心さがねーんだよ!

 

「…まさか由良さん、一匹も獲れないとか、正直ウケますね」

 

「は?」

 

そして既に五匹も捕まえてプークスクスと笑う五月雨のいらん煽りが由良さんのPRIDEに火を点けた、っーかなんで煽るんだこの青髪ロング子は!?仲悪いのも大概にしろよ!!

 

「はー………キレた、由良久々にキレちまったよ、ねぇ?」ピキッ!パキッ!

 

「待て待て待て!落ちつこう!な?ほら、アイス!提督がアイス買ってやるから!な?サミー!ほら、オマエもごめんなさいしろ!」

 

「はぁ?スイマセン」

 

ーーー

 

一触即発!とびっきり最強対最強の危機はなんとか回避された、これもひとえに、俺と言うよく出来た大人であり、空気の読める上司のおかげである事を皆に知って貰いたいものなのだよ…

 

「…当たりませんね」

 

「見て見てテイトクさん、ほら、無駄にデカいヌイグルミ!見れば見るほどブッサイクよね?ね?」

 

射的屋台の戦いは由良さんに軍配が上がったらしく、由良さんは無駄にデカいヌイグルミをブチ抜き、五月雨はどうにも当たりませんねとオモチャの銃を店のおっさんに返却していた…

 

あと、コイツらさっきから最初の1回だけ自分のポッケから金出して、後全部をごく自然に俺に出させる鬼畜のスキルを持っているらしく、さすがに二人がかりで湯水の如く使われると俺の財布も悲鳴を上げっぱなしなんだが…

 

「オマエら、もういいだろ?もう祭りは堪能したろ?帰るぞ」

 

「テイトクさん、まだお金ある?」

 

「あるが?」

 

「じゃ、それ全部使ってから帰りましょ?ね?」ニコッ

 

な……なんて発想だ、常人には思いつかない悪魔的発想…っ!悪魔じみている…っ!搾り取る気だ…っ!何も残さない!全て奪い尽くす!狂気…っ!狂人の考え…っ!!

 

「ブチ●すぞアホンダラ、まぁいい、俺は帰るから後は二人で仲良く遊んで帰れよ、じゃあな」

 

「私も飽きたんで帰ります」

 

「ふ〜ん、じゃ、由良も帰ろうかな」

 

コイツら………まぁいい、飽きたなら飽きたでそれもよかろう、俺は手にしていた缶ビールの缶をゴミ箱に長いループを描くロングシュートして眼鏡をクイっと上げて歩き出した

 

「テイトクさんテイトクさん、帰りラーメン食べて帰らない?」

 

「ラーメンなぁ〜…ま、いいんじゃねぇの?サミーはどうよ?」

 

「いいんじゃないですか、ラーメン」

 

…そういや昔は三人でよくラーメン食いに行ったな、まだ基地がシャバかったその昔、俺の奢りでラーメン食いに行って作戦の方針だのル級のブチ殺し方だのよくエキサイティングに話し合ったもんだ…

 

「ま、ラーメンぐらい提督様が奢ってやるぞクズども」

 

「は?ナニ言ってるの?当たり前じゃない、ね?」

 

「そうですね、上司なんだからラーメン代くらい気持ち良く払って下さいよ」

 

………まったく変わらねぇなコイツら

 

この後、俺達はラーメン屋に寄ってラーメンを注文し、俺のチャーシューは由良さんに奪われ、由良さんのチャーシューは五月雨に奪われ、五月雨のチャーシューは俺が奪うと言う凄惨なループを繰り返してラーメンを食べた



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提督とRichelieuと●ーメンフェスティバル

※今回のお話し著しく最低な屑を含みます、ご注意ください

【登場人物】

提督(最低の屑)
クズの人

Richelieu(実家はボルドー)
オシャレ戦艦、凱旋門?モチロン知ってるわよ?



今日も暑いし昼はざるそばでも食うかと考えながら執務棟の廊下を歩いていると、廊下の先からまるで毒薔薇のような香気が漂ってきたので何事かと思っていたら自販機コーナーの自販機の前で色白キンパツ美女が右手を顎にやって何か考えていた…

 

「…フムフム」

 

「よぉ、リシュリューくん、水でも買いに来たのか?」

 

「…ん?あら、amiralじゃない?Bonjour」

 

フランスからやって来た自称最強のスーパーモデル戦艦、リシュリューくんは、獅子のタテガミのようなモッサリした金髪をぶわーっと流し、フフッと笑いながら財布をポケットにしまった

 

「Ça tombe bien……丁度いいわ、amiral、私にeau minéraleを買ってくださる?」

 

「あ?なんだって?」

 

「不勉強ね、コレよ!コレ!」

 

そう言ってリシュリューくんは自販機を指差し、コレコレとディスプレイのペットボトルの辺りをペシペシ指で押した

なんだ?あぁ、水か……水くらいテメーで買えよ、ナニ甘えたコト要求してんだこのボンクラ戦艦は

 

「お断る」

 

「オコトワル………?ちょっと待って、Un moment!……エ〜っと」

 

リシュリューくんはポケットから出したメモ帳、表紙に奇妙な動物が描かれた手書きの日本語丸わかりメモ(その③)なるメモ帳をパラパラとめくり美しい日本語の検索を始めた、わからない事や困った事はメモにとり、後に活かす事ができるこの娘はきっとやればできる娘なんだろう…

 

「………載ってないわね」

 

「まぁ、平たく言えば、バカ言ってるんじゃないよこの娘は、だな」

 

「ハァ!?なァんですって!?」

 

リシュリューくんはその、豪奢な金髪を靡かせ俺に詰め寄ってきたが、俺はとりあえずノーノー、フランス語ノー、アイドントスピークフランス語と言ってリシュリューくんの胸を押し戻した、なるほどこの柔らかさ……これはいい自由・平等・博愛をお持ちだ

 

「ちょ!」

 

「なるほど、さすがはリシュリューくん、自称最強戦艦は伊達じゃないな」

 

「え…?あ、え、えぇ!Exactement!当然よ!トーゼン!」

 

相変わらずチョロいなコイツ、これでよくボルドーから出て来てパリで女優にならないとかスカウトされてAV女優にならなかったモンだ、まぁ…パリにAVがあるのかは知らんが

 

「ところでamiralはこんなところで何してるのかしら?」

 

「腹減ったから飯食いに行くのだよ」

 

「メシ…?あぁ、Le déjeunerね!フ〜ン……ヘェ〜…」

 

「お前も来るか?」

 

「Ouf……amiral、アナタ、女性の誘い方と言うものがワカっていな…」

 

「来ないんだな、アバヨ」

 

とりあえずメンドくさそうなリシュリューくんへの社交辞令を済ませたのでさっさとその場を去ろうとすると、リシュリューくんから猛烈な勢いで肩を掴まれたッ!!痛い!ってか痛い!痛いよ!なんだこの力は…!?このスーパーモデルみたいな細腕のどっからこのパワーが出るんだ!?

 

「ちょ…ちょっと!待・ち・な・さ・い!Un moment!」

 

「お…おぉ、おぅ」

 

「フフッ、amiral、私もご一緒させて貰うわ!」

 

「あ?あぁ、うん、あぁ、構わんよ」

 

正直、ただの社交辞令だったのだが、まぁいいや、たまには見た目だけは最高級のブランドものみたいな女を連れて颯爽と麺類とか食べに行くのも悪くないだろう

そんなワケで、俺はリシュリューくんと共に街に食事へと出かけた……

 

◆◆◆

 

「それで?今日のLe déjeunerは何かしら?まず今日の気分的に前菜はmarinade acidulée à la kalamansiがいいわね、Crème vichyssoise glacéeも捨てがたいけど、ま、それは次にしましょ?それとfricassée de girollesも外せないわ、amiralもそう思わない?」

 

上機嫌にペラペラ喋るコイツが何を言っているかまったく理解できないが、ただ一つ、たった一つだけシンプルな事がわかるとすれば、そう、この場に球磨ねーちゃんが居たらブン殴られてフランスまでスッ飛ばされるだろう、それだけだ

 

「うるせぇよ、俺は今日は麺類の食いたい気分なのだよ」

 

「メンルイ…?Nouilles……?あ、ワカった!Ramenでしょ?知ってるわよ!」

 

「ラメーン…?あぁ、ラーメンな、ラーメン」

 

「田舎のmèreが昔作ってくれたコトがあるのよ!」

 

「ふ〜ん、いい母ちゃんじゃねーか、今度痩せろって電話してやれよ、あ、それと秋にワイン送ってくれって頼んどいてくれ」

 

「イ・ヤ・よ!なんで私が…ってか!なんでamiralがMamanの体重気にしてるのよ!?」

 

「こないだウチのバカ娘は元気でやってますかって電話があってな、そんトキ最近ちょっと食べ過ぎただの腰が痛いだの世間話してな…」

 

「Tu exagères!!あのババア…!」

 

「お母さん、田舎はイヤよとか言って飛び出したきりの不良娘が帰ってきて実家の仕事を継いでくれると嬉しいって言ってたぞ」

 

「……Maman」ポロポロ…

 

…まったく、お母さんを泣かせるモンじゃないぞこの不良娘が

 

そんなワリとどうでもいいリシュリュー家の話をしていると、今日の気分はそばからラーメンへと切り替わった俺達はとりあえず近場にある小汚いラーメン屋の駐車場へと入り、ラーメン屋の扉を開いた…

 

「ヘイラッシャーイ!」

 

「アラッシャーイ!」

 

「何名様ですか?2名?カウンター2名ーっ!」

 

トンコツラーメンが専門のこの店は小汚い、そして狭い、だがそれでいい、オシャレで小綺麗な女性のお客様でも安心して入れますみたいな店はラーメン屋ではない、それはラーメンがメニューにあるだけの店だ(※個人の感想です)

 

「ラーメン、カタ麺で、お前は?」

 

「え…?あ、じゃ……じゃ、amiralと同じで…」

 

リシュリューのヤツは店に入るとなにやらしかめっ面で鼻をフンフンしているが……そうか、コイツ、ラーメン屋に来たコトないんだな

 

「お待たせしましたー!ラーメン、カタ!」

 

「はいはい」

 

そして注文からこの提供までのスピード、忙しい社会人のランチタイムの為にあるような速さなのだよ

 

「さて、いただき……なんだ?」

 

俺の隣に座るこの店に似つかわしくない豪奢な金髪美女、リシュリューくんはラーメンのドンブリを手にし、フンフンと鼻を近づけ……

 

「スンスン!……うぷっ、な、なんて臭いなの!スン!……く、臭い!臭すぎるわ!」

 

「そりゃオマエ、トンコツラーメンだからな」

 

「クンクン、ううっ…すごい臭いわ……ンァ…んふぅ、コレは本当に食べていいものなの?」

 

コイツなんてこの言うのかね、ほら、店員さんちょっと睨んでるじゃねーか、お前が見た目わかりやすい外人さんじゃなかったらもう店員とリアルファイト待った無しだよ

 

「クンクン、うくぅ…!あ、あ、ああぁ…臭いわ、ホント?ホントにいいの?……クンクン…んっ!臭い!ハァ…ハァ…」

 

「うるせぇよ、いいから早く食えよ、俺が恥ずかしいだろーが」

 

店員だって菩薩じゃないんだ、こんなに臭い臭い連呼されりゃ外人だって叩き出さ……いや、なんかちょっと嬉しそうだぞ?綺麗な金髪美女だし仕方ねーなみたいな顔してやがるよ

 

「クンクン、ううっ…うはぁ……なんて、なんて匂いなの…んふぅ……!最低ェ…最低よ…っ!」

 

「最低とかゆーな!トンコツラーメンに謝れ!」

 

俺はカウンターにあったニンニクの瓶を手に取り、リシュリューのラーメンに入れてやった

 

「クンクン……ううっ…!さ、さっきより全然すごい匂いがするわ……!んあぁ、クンクン、んあぁ……さ、最低よ!」

 

「スイマセン店員さん、この娘、ニホンに来たばっかで悪気はないんです、ホント悪気はないんです」

 

俺は店員さんに本当にスイマセンでしたと頭を下げたが、優しい店員さんはにこやかに脂の乗った笑みを浮かべ右手の親指をグッと上げ、麺を茹でている店長らしき男は“まったく、どいつもコイツも仕方ないバカどもだぜ…”と言った顔をしていた

 

「は……ハフ、ハフ……ぁああ、口の中!口の中に臭いのいっぱい…っ!うぷっ……!んんん!んあぁ…」

 

「オマエちょっと黙って食おうな!な?もうちょい黙ろうな!?」

 

 

こうして、リシュリューくんは初めてのトンコツラーメンを堪能し、店を出る帰り際、俺は本当にスイマセンでしたともう一度頭を下げると、店員さんからいつでも使える割引き券を貰い、また来て下さいとアツくありあっしたーと言われた……

 

リシュリューくんは臭い臭い言いつつもキチンと残さず食べ、一応、満足したらしく帰りも終始上機嫌だった…

 

………コイツとは二度とラーメン食べに行かねぇ



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執務室と訪問者と提督はいませんよ

ファーストシーズン終了ですって!

【登場人物】

鈴谷(自称メインヒロイン)
セカンドシーズンでもメインヒロイン頑張りますとカメラの前で強い意志を見せてくれました

山風(自称とくにない)
セカンドシーズンではフィジカル面を強く、世界と戦えるようになるのが目標です

Jervis(自称lucky Jervis)
セカンドシーズンでは未だ見せていないものをお見せしましょう



「ティーッス、鈴谷が遊びにきましたよぉ〜………って、誰もいねーし」

 

サミーすらいねーし、なんですか?え?職務放棄ですかー?誰も居ない執務室に入り、とりあえず提督の椅子に座って執務机の中にナニかオモシロいものでもないかと漁ってみるが…

 

「ロクなもん入ってねーし、え〜…ボールペン、ボールペン、ボールペン、あとボールペン……ボールペンばっかじゃん!なんでこんなにボールペン!?」

 

バカじゃねーし?あ、ゴムがある、しかも開封済み……へぇ、ふ〜ん、へぇ〜…?そうなんだぁ〜…へぇ〜、よし、穴開けとこ、なんか針みたいなの無いかな?

 

「……って、はぁ、アホらし、やめやめ」

 

とりあえずコレは戻しておくとして…しかしどこ行ったのかね?せっかく鈴谷がゲームしよーぜって誘ってやろーと思って来てやったのに居ないとかマジで空気読めてねーじゃん

 

「ま、いいや、寝よ…」

 

どうせすぐ戻ってくるだろーし、ここで待ってりゃそのうち帰ってくるっしよ…

 

◇◇◇

 

…テイトクと遊ぼうと思って執務室に来たら、テイトクも五月雨姉ぇも居なかった

 

「…いないし」

 

誰もいないと思ったら、テイトクの机でビッチのおねえさんがグーカーグーカー寝ている、ナニしてんだろ?この人

 

「…起きて、ねぇ、起きて」

 

「ウヒ…ウヒヒヒヒ……すごいぞー、カッコいいぞー」

 

ビッチのおねえさんは起きる気配もなく、ワケのわからない寝言を言いながらキショい笑いを浮かべているので、とりあえず鼻にティッシュを詰めてやった

 

「ンゴ…!?んんん……んごぉ…ヒヒヒ…」

 

「…起きないし」

 

…まぁいいや、どうせすぐ戻ってくるだろうし、私も待ってよ、テイトクの机はこのビッチおねえさんはが占領してるので、残っているのはお客様の椅子と……

 

「あ」

 

…もう一つ、秘書艦机が目についた

いつもは五月雨姉ぇが座ってるそこは秘書艦の証!秘書艦だけが座っていい席!…って、海風姉ぇが言ってた

 

「…」ゴクっ…

 

………座りたい、すごく座りたい、アレに座ってたら私もテイトクの秘書艦に、そう、五月雨姉ぇみたいにテイトクのお仕事を手伝ったり、お昼にはいつもお昼ご飯一緒に食べたり、お仕事中にも小粋なジョークを交えつつおしゃべりしたりできる…っ!そう、私が秘書艦で、テイトクがテイトクで…

 

『山風、あの書類はどうなっている?』

 

『こちらで宜しいですか?テイトク…』ボイーン

 

『ふむ、完璧だ、ありがとう山風、君のように優秀さと美しさと可憐さを兼ね備え、しかも海風ねーちゃんよりおっぱいデカい秘書艦は居ないよ、ケッコンしよう』

 

………いい、うん、いい、すごくいい

 

よし、座ろう、さようなら五月雨姉ぇ、今日から私が秘書艦するからね!私はいつもは五月雨姉ぇの座っている椅子に座り、これから始まる秘書艦のお仕事にワクワクしながらテイトクが帰ってくるのを待つコトにした…

 

◇◇◇

 

「ヘイ!Darling!Jervisが遊びに来たネー!」

 

宿題やったかだのアサガ・オーに水やったかだのうるさいArkからようやく解放され、Darlingの待つ執務室へとやって来たら……アレ?

 

「アレ…?アレ?もしかして……イナ・イー?」

 

な…なんてコトッ!クッ…!あの口うるさいArkから解放され、ヨーヤクDarlingとのイチャイチャ・violenceの時が来たッ!と思ったのニ………!ん?

 

「ウヒ、ウヒヒヒヒ…もー入んないってばぁ〜、鈴谷もーお腹パンパンだってぇ〜…ウヒ、ウェヒヒ…イヒッ、辛ぁ〜い」

 

Darlingの机でbitch臭い匂いをプンプン発しながらヨダーレを垂らしているのは………マスタースズヤ?ナニしてんだろ?この人

 

「ウ〜ン、よくワカんないケド…マスター!マスタースズヤ!起き・テー!ネぇー!」

 

ダメだこりゃ、マスタースズヤの身体を揺すってみても起きる気配は無く、むしろ、マスタースズヤのオパーイの揺れにちょっとイラっとした

 

「ハァ……Darling居ないならシャー・ナシね、でも、まぁ、ここで待ってたらそのウチ………ん?」

 

ふと、Darlingの机から見える前の机、そこに視線をやると、なんか机にアロエみたいなトゲトゲしたのが目についた……タシカ、あの席はヒショ・カーンの席ネ

 

「ヒショ・カーン…」

 

そう言えばArkが言っていた、ヒショ・カーンってのはテイトクのオハヨウからオヤスミまでsupportするまさしくテイトクにとっての愛棒、無くてはならないmy wife的な存在と…!!

 

『Jervis、あの件はどうなっているかね?』

 

『It's as planned、全てperfect、Darlingの予定通りよ』ボイーン

 

『そうか、フッ…いや、それもこれも君と言う有能な秘書艦、いや、俺のMuse……のおかげかな、俺は嬉しいよ、Jervis、君のように優秀さと美しさと気品を兼ね備え、しかもArkよりオパーイのデカい秘書艦が居てくれて、ケッコンしよう』

 

………Excellent、な…ナンテコト…ッ!!え?ケッコン!?キャー!キャー!するする!今すぐシマ・ショー!!よし!シマ・ショー!式場の予約にドレスの発注?ダイジョーブ!ゼンブArkがヤルわ!

 

「エヘヘへ〜」ニヘラァ〜

 

ソーとワカれば今日からこのJervisがヒショ・カーンよ!Darlingが帰ってきたらSurpriseヒショ・カーン!もーコレでキマリネ!とりあえずヒショ・カーンのとこにある邪魔なアロエをどけ……

 

「……zzz」

 

「Jesus……ッ!」

 

ア…アロエかナニかと思っていたら!

こ…このトゲトゲチビ!アタシの座るべき席に…ッ!!

 

「ファーックス!!」

 

ヒショ・カーン席に座って寝ているトゲトゲチビのドテっ腹に全力のボディブローをブチ込んでやると、トゲトゲチビはウゲェ!!とか言いながら椅子から転げ落ちた

 

「…うげ……うえぇぇ、な、なに?」

 

「ヘイ!アタシのヒショ・カーン席に汚いHipで座るんじゃないワ!」

 

「…オマエ」

 

トゲチビはこちらをギロリと睨み、さっきのお返しだ!と言わんばかりの強烈なローキックでアタシの足をブッ叩いてきたッ!!

 

「アイッター!!こ…このトゲチビィ!」ピキッ!

 

「…この席は私のもの、さっさと帰れ、国に」パキィ!

 

◇◇◇

 

…執務室でなにやらドッタンバッタン物音がするので何事かと思って中を覗いてみると、緑と金の人達が取っ組み合いしてゴロゴロ転がりながらブスだのチビだのキィーキィー罵り合っていました…

 

「…なにやってるんですか?」

 

「ハァ…ハァ……あ、ヒショ・カーンの人」

 

「…ハァ…あ、五月雨姉ぇ」

 

…まぁ、なんとなく状況はわからなくもないんですが、とりあえず、二人でゴロゴロ転がり回ったせいで執務室の床に色々散乱しているので、片付けてくださいと言い、買ってきたビニール袋を机に置いた…

 

「って、この人はよくこれだけうるさくて寝られますね」

 

よく見たら、提督の机には鈴谷さんか寝てるし…みんな暇なんでしょうか?

 

「鈴谷さん、鈴谷さん、起きてください」

 

「ウヘヘヘ〜…もぉ〜……アン●ンマンのDVDあるじゃ〜ん、オトーサンったらぁ〜……」

 

とりあえず、鈴谷さんは良い夢を見ているみたいですが、あまり寝ていられても困るので、鼻からコーラを流し込んでみると、ウゲェ!!とか言いながら椅子から転げ落ちた

 

「ゴホッ…っ!が……ゴハァ!!な、ナニ!?何事じゃん!?」

 

「おはようございます」

 

「おはようございます、じゃねーし!!なんなの!?鈴谷に対するこの仕打ち!?」

 

仕打ちもナニも、どうせもうすぐ閉めるのに寝ていたら迷惑だから手早く起きて貰っただけですと懇切丁寧に説明すると、鈴谷さんは納得したようになるほどと頷いた…

 

「ってちょい待ち!提督は?」

 

「提督なら三日ほど休暇取ってますよ、実家に行ってくるそうです」

 

「ふ〜ん………って!!聞いてねーし!」

 

「ハァ!?Darling居ないノー!?」

 

「…聞いてない」

 

いや、知りませんよ、そんなコトは……





次回も提督不在、たぶん



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提督不在の世界の車窓から

第1部最終回、提督はいません

【登場人物】

新時代に生きる最悪の世代
各国、各勢力の一癖も二癖もある新時代の豪傑達

リシュリュー
かませ犬、最悪の世代には入れなかった






【実家に帰ります】

 

シンプルな書き置きを残し、姿を消した提督…

その衝撃的な事実は瞬く間に基地を駆け巡り、この海にひしめく猛者達の誰もが新時代の幕開けになるであろう事を確信していた…

 

 

「なぁんですって!?それは本当なの!?」

 

寮の外で犬に餌をやっていたレーベくんとマックスくんからAdmiralが突如として消えたと聞き、私はあまりの衝撃に持っていたドーナツの紙袋を落とした…ッ!

 

「ホントだよー」

 

「なんかいつの間にか消えていたらしいわ」

 

「ホラーだよね」

 

なんでも、執務室の冷蔵庫には飲みかけのコーラが残されたままになっており、まるで忽然と姿を消してしまったようだとの事だが…

 

「ふ、ふふふふ……あはははは!アーッハッハッハッハー!!そうとワカればこうしちゃいられないわ!レーベくん!マックスくん!」

 

Admiralと言う目の上のタンコ・ブーが消えた事により、この基地における不戦の約定は解かれたも同然!空席となっているテートクの座を巡って誰も見たコトがない戦いが起きる、そして………新たにこの基地を支配するのは我がドイツ、いえ、ビスマルクのアネゴ以外の何者でもない!

 

「豪傑どもの新時代の幕開けよ!レーベくん!マックスくん!ここから先は真の強者だけが生き残る…っ!アハ!アハハハハ!アーッハッハッハッハー!」

 

「…レーベ、プリンツはどうしたの?」ヒソヒソ

 

「さぁ?暑いし、ちょっとおかしくなってるんじゃないかな?」ヒソヒソ

 

Admiral Hipper級 3番艦 重巡洋艦 -Prinz(プリンツ)-Eugen

提督好感度 -3億8000万

 

◇◇◇

 

「ナニ…?同志提督が?」

 

そして、基地施設内に作られたサウナ室では革命軍のメンバー達が肌に粗塩を塗り込み、アツい革命の汗を流していた…

 

「Ер、忽然と姿を消したそうだよ」

 

革命軍幹部 元・暁型 2番艦 駆逐艦 -精密機械(ファイティングコンピュータ)-Верный

革命レベル 550万

 

「フッ………同志提督がな、なるほど」

 

「ん?同志テイトクーがどうしたって?」

 

革命軍幹部 Ташкент級 1番艦 駆逐艦 -伝説の禁断-Ташкент

提督好感度 2億7000万

 

「同志ちっこいの、そして同志ちっこくないの、どうやら我々革命軍も本格的に動く時が来たらしい、ククク…なるほど同志提督め、このタイミングで動くか、まったく、参謀総長自ら動くとは………だがそれでいい!」

 

ガングートはガバッと立ち上がり!男の中の男らしくタオルを振って自らの股をパンパンと叩き、流れ出る汗を飛び散らせた!

 

「よし、各地に散る革命軍幹部を全員召集だ!」

 

革命軍総司令 Гангут級 1番艦 戦艦 -極限(ファイナル)ファイナル革命-Гангут

革命レベル 10億

 

◇◇◇

 

「サラ、ショーユーとって、ショーユー」

 

「またショーユー?かけ過ぎは身体に良くないって言ってたわよ?」

 

「うっさいナー、サラはmeのmumかっーノ」

 

最近ファーストフードに飽き、健康的な日本食がマイブームになっているアイオワは醤油を受け取り、冷ややっこが黒く染まる程度にドボドボとかけた

 

「そんな黒い液体身体にいいワケないじゃない、ほら、こっち使ったら?」

 

そう言ってサラが取り出したのはキ●ーピーでお馴染みのアレ、マヨネーズ…

 

「Offu………no、サラ、サスガにそれはないワ」

 

「そう?mayonnaiseはサイコーよ、何にでも使えるし」

 

サラはマヨネーズを冷ややっこにブリュブリュとかけ、ゴキゲンな日本食ねと言いながらそれを口に入れる姿を見て、正直、アイオワはドン引きした………こう言っちゃなんだけどアレはもうイヌのエサねと思ったけどアイオワは空気読めるし根は心優しいので友情を優先し、それを口には出さなかった…

 

「………マ、いいわ、サラ、私、今日はサムとtrainingするワ」

 

「そう、あ、マヨネーズ持ってく?」

 

「………イラナイ」

 

Iowa級 1番艦 戦艦 -キンパツの悪魔- Iowa

艦娘強度 7800万パワー

 

Lexington級 2番艦 正規空母 -天使と悪魔が棲む技巧空母- Saratoga

艦娘強度 1億パワー

 

◇◇◇

 

「ね、ねぇ…ローマ、聞いた?なんでもテイトクが居なくなったらしいって…」

 

「へぇ…」

 

小粋な昼下がりの午睡、寮の自室でお茶を飲みながら週刊誌を読んでいたローマはオロオロとしている姉にチラリと視線を向け、再び誌面に視線を戻した

 

「いや、へぇ…って、大事件じゃないの?いや、大事件でしょ!?テイトクが居なくなったのよ!?」

 

「フーッ〜………どうせたまには実家に帰省してるとかそんなのでしょ?」

 

「そ、そうかなぁ…」

 

たしかに、提督は実家に帰りますと手紙を残しているとの話だが、ひっそりと姿を消したらしく、誰も提督が基地から出て行く姿を見たものはいないらしい…

 

「そんなことより姉さん、また太ったんじゃない?」

 

「太ってないよ!?」

 

「ナニ食ったらそんないやらしい身体になるのかしらね、ピザかしら?」

 

むしろアナタの方が食べてると思うんだけど……と言いかけたイタリアはやっぱりやめた、この妹であるローマに下手に食ってかかると痛い目にしかみない事を言葉ではなく心で理解しているのだ…

 

「あ、そうそうローマ、リベッチオが宿題教えてーって言ってたわよ」

 

「イヤよメンドくさい、あの子いくら教えてもわかりゃしないド●能だもの」

 

「ド●能とか言っちゃダメよ!?」

 

「はいはい、クサレ脳ミソね、クサレ脳ミソ…姉さんはいちいち細かいわね、そんないやらしい身体してるくせに」

 

「いやらしい身体関係ないでしょ!?ってか、そんなにやらしくないわ!」

 

 

Vittorio Veneto級 2番 4番 戦艦姉妹 -ネオヴェネチアの処刑人- Italia Roma

 

 

◇◇◇

 

提督が消えたと言う話は最強最悪と名高い戦艦姉妹、金剛姉妹の住む天動宮にも伝えられていた…

常日頃より、提督の命を狙う姉妹の長女にして頂点、金剛は座してその話を聞き、静かに目を開いた…

 

「ヤツが…?」

 

「はい!まるで夢か幻のように消え失せたと…」

 

次女、比叡からの報告に間違いはない、なにせ提督が去るその姿を誰もが見ていないのだから…

金剛にとって、提督とは必ずこの手で叩き潰すべき宿敵………もし、その提督が姉の、金剛の剛拳が永遠に届かぬものになっているとしたら、この姉はいったいどうなってしまうのか?提督の胸を貫く為に鍛え続けた日々は全て水泡に帰したとなれば、この溢れ出る力をどこにぶつけるのか…

比叡だけではない、榛名、そして霧島も長女金剛の静かな沈黙に生きた心地がしなかった…

 

「フッ……くだらない」

 

金剛は一笑に付した

 

「あの男は必ずワタシの前に現れマース、ソウ………必ず」

 

いつの日か必ず、命を賭けて死合うと拳と拳で誓った約束を違えるコトはありまセーンと言い、金剛は再び目を閉じた…

 

「フッ…まったく、私達の姉者はとんでもない御方ね」

 

「とんでもない姉者でも榛名は大丈夫でした」

 

「そうね………あ、そうそう、霧島、榛名、さっき廊下を歩いてたら自分が最強だとか勘違いして金剛の姉者に喧嘩売りに来たミジメなゴミクズがいたんだけど」

 

比叡は壁に大の字になってメリ込み、動かないフランス艦を指差し、妹達に後で捨てて来てねと言ってお茶を買いに立ち上がる…

 

「フッ、自称、最強ね……残念ね、この海にはアナタ程度では手も足もでないホンモノの怪物がいるのよ」

 

「いるんですよね、自分は最強だと勘違いしちゃってる残念なルーキーが」

 

金剛型 1番艦 戦艦 -風の拳- 金剛

危険度★★★★★★★

 

◇◇◇

 

陸奥には長門の知らぬ技がある…

 

全基地オープントーナメントはあまりにも凄惨な幕切れとなり、勝者である陸奥は長門を抱えて去って行った…

 

そして…

 

舞台はアメリカ、ブラジル、そして………密林へと消えて行く後ろ姿を見送りつつ我々はこう感じた…

 

伝説はまだ、終わらない……と

 

「……よし、これでいこう!」

 

この夏休み中に仕上げた原稿をトントンと重ね合わせ、大判茶封筒に入れ、憧れのジャ●プで連載する為の第一歩!テツカ賞へと挑戦する!そう、この原稿はハゲしく重いぜ!だがこの秋雲は投稿するッ!例えこの腕がベッキリ折れようともーッ!!

 

「ウヒャヒャヒャ!待ってろや団地妻エイジー!この天才漫画家秋雲さんがオマエなんかすぐに追い越してやるからなー!ウヒャヒャヒャー!」

 

 



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提督と絶望の始まり

愛が愛を重すぎるって理解を拒むセカンドシーズン開幕

【登場人物】

提督(2ndシーズン)
新主人公を抹殺して提督の座に居座った

五月雨(2ndシーズン)
1stと2ndの間に劇的な成長を遂げ………なかった

鈴谷(リベイク)
安心の自称誰もが羨むメインヒロイン

大和さん(超戦艦)
普段はおとなしめで遠慮がちなザ・大和撫子
矢矧ちゃんというパシリがいる





20XX年、突如として世界中の海に現れた謎の生物、深海棲艦により世界のシーレーンはズタズタに分断され、世界は混乱の時代へ突入した、海は征服され、資源は枯れ、全ての生物は死滅したかのように見えたが………

 

艦娘は死滅していなかった!!

 

「ヒャッハー!水だァー!」

 

「コイツらお菓子もタップリ持ってやがったぜ!」

 

「アーン?謎の夏作戦地図?こんなモン、今やケツ拭く紙にもなりゃしねぇってのによォー!」

 

世は再び、暴力が支配する時代になっていた…!!

 

◆◆◆

 

「…と言うワケで、セカンドシーズン開幕と言うワケだが」

 

「…はぁ?」

 

短い休暇も終わり、再び職場である基地へと戻って来た俺は執務机の上に置かれた山盛りの書類を眺めつつ、ゴキゲンな書類だと独白いた…

 

「しかしなんだ?ちょっと休暇取って帰って来たらまた海域封鎖されてるってなんだ?あ?おかしくないか?」

 

「まぁ、そーゆーコトもありますよ」

 

しかも微妙に今までの海域図と言うか、航路と言うか、なにやら違っているらしく、ヤツらから今まで奪って来た海域を再び奪い返す為に再び頑張ってくれたまえとの上からの有難いお言葉に涙が出そうなのだよ

 

「まぁいいや、とりあえず大和さん呼べ、大和さん」

 

「大和さんですか?」

 

「そうだ、ヤツらに再び教えてやるのだよ、人類の恐ろしさってヤツをよォ〜…」

 

ーーー

 

鎮守府近海航路…

 

「薙ぎ払え!」

 

『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ー!!』

 

南西諸島沖…

 

「第一、第二主砲斉射!始め!」

 

『ヒイイィィ!ヒイイィィィィィ!!』

 

製油所地帯沿岸…

 

「フルファイヤー!」

 

『ギャアアアアアァァァァァァァ!!』

 

南西諸島防衛線…

 

「あはは…あははは…あははははは!アーッハッハッハッハー!これが大和の、戦艦大和の力!私が求めていた戦場よー!」

 

『コノママデハ終ワランゾー…終ワランゾー…ランゾォー……ゾォー……ゾォー…』

 

ーーー

 

「さすが大和さんだな、鎮守府近海のゴミクズでは大和さんに擦り傷が精一杯か」

 

「新手のいじめみたいでしたね」

 

とりあえず奪われた鎮守府近海には最近水着で暇そうにしている大和さんに行ってもらった、こっちだけズルして無敵モードで最高に勃起モンだった、サテライトキ●ノンの射程に入るのがどれだけ危険な事か、深海の人にもきっとワカって貰えただろう…

 

それに、普段は弾薬と燃料とか気にして遠慮がちな大和撫子の大和さんに資材は気にせずに“俺が許す、殺せ”と言ってやると、まるで子供のように嬉しそうに提督にありがとうございますありがとうございますと手を握ってくれた、正直、大和さんの手はとてもスベスベで…なんていうか、その…下品なんですが……フフ、勃起、しちゃいましてね…

 

「どうせなら南西諸島海域も大和さん行ってもらうか?」

 

「私は別に構いませんが…」

 

あれだけ大和さんも上機嫌だと、もしかしたら頼めばパ●ズリぐらいしてくれるかもしれん、いや……たぶんしてくれる!だって大和さん水着なんだぜ?これはもう誘ってるだろ?もう完全に挿入してくださいって誘ってるようなモンだろ?

 

「よし、大和さんに頼んでみるか…」

 

「パイ●リをですか?」

 

「女の子が気軽にパ●ズリとか言うんじゃないよこの子は、それに頼むのはアレだ、南西諸島海域だ」

 

「はぁ?」

 

正直、資材的には些かアレだが、大和さんが好感度爆上げしてパイ●リしてくれるなら資材なんて安いものだ、特に、俺のはな…

 

そんな嬉し恥ずかし明るい未来について考えつつ受話器を手に取ろうとすると、執務室の重厚な扉を勢い良く開き、ゲーセンのプリクラとかでハメてる頭の悪いJKみたいなのが入って来た

 

「ティーッス、鈴谷が遊びに来ましたよぉ〜……お、テイトク帰ってきてるじゃん、ゲーセンいこーぜ!ゲーセン!近所の店に天●魔境真伝入ったらしいじゃん!」

 

「マジか!」

 

「マジ鈴谷の極楽ホームランでテイトクとかマジ瞬殺よ!瞬殺!」

 

ヘラヘラ笑いながら手を両手をクイクイ動かす鈴谷はマジ瞬殺よとか言いながら俺の腕をグイグイ引っ張る

 

「距離が近い、距離が」

 

「ハァ?あ、もしかしてアレですか?解像度上がって可愛いさ三割増しな鈴谷にもしかしてムラムラしちゃってますか?あーなるほどなるほど!ですよねー!よし!今ならなんと一万円で鈴谷が手でしてあ…」

 

ドゴンッ!!(腹パン)

 

俺は鈴谷のどてっ腹にマグナムブローをブチ込むと、鈴谷はウゲェとか言いながら執務室の床に転がった

 

「調子に乗るな、ビッチが」

 

「ビ……ビッチじゃねぇ…鈴谷、ビッチじゃねーし、うげっ……げほっ!げほ!」

 

「ゲーセン行きたきゃ一人で行って来い、ご覧の通り、俺は忙しいのだよ」

 

「暇そうじゃん、あ、もしかしてアレですか?鈴谷に負けるのが怖いんですか?プフー!ダッサ!」

 

「ア゛ァ?誰にケンカ売ってんだテメェは?」

 

このクソビッチが、どうやら俺は最近甘やかしていたらしいな……そろそろ思い出させてやろう、身分の違い……じゃない、この基地の絶対支配者が誰なのかを

 

「いいだろう、相手になってやる、負けたらその場でパンツ脱いでダンレボしろよ」

 

「へ、ヘンタイ…っ!!ヘンタイか!」

 

「なんだぁ?ビビってんのか…?ビビリくん」

 

「は?………ハァ?べ、別にビビってねーし!!いいじゃん!やったろーじゃん!ってか!鈴谷が勝ったら一万……いや、二万円で!」

 

「よかろう、今のうちにせいぜいパンツを湿らせておけよ、その方がより高く売れる…」

 

「ヘンタイかッ!!っーか売るな!!」

 

 

…後日、近所のゲーセンには痴女出没注意の看板が貼られたが、俺は悪くない



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提督とさどつしと夏休みのドモボーイ

ドSによるドSの為のサディスティック夏休み回

【登場人物】

佐渡(ドS)
自称も他称も佐渡さま、子供特有の無邪気をもつドS
ベ●ブレードが宝物らしく、よく香取先生に没取されている

対馬(綿100%)
佐渡さまの相棒、佐渡さまの凶行に付き合う辺り、優しさと危うさが同居しており、目はだいたい瞳孔が開いている



なんやかんやで八月も半ば過ぎた今日この頃、俺は喫煙所でタバコを吸いながら明石のアホのトコで買った缶コーヒーを飲みつつ基地スポを読んでいると、廊下でキャッキャとハシャぎながらバケツを持って歩くクソガキ様が目についたので声をかけてみた

 

「よぉ、このクサレ暑いのに元気だな」

 

「ん〜?あ、テイトクだ!」

 

バケツを持ってハシャいでいたのは択捉姉妹の三女、佐渡さま、自称も他称も佐渡さま、他者を痛めつけて苦しむ顔を見るのが大好きな生粋のドSらしく、その様はまさしく悪のスーパーエリート、いや…ドS艦娘界のプリンスと言われている………いや、プリンセスか?

 

「こんにちわぁ〜」

 

そして、そんな佐渡さまとだいたい一緒に居る姿を見かける佐渡さまの妹、択捉姉妹の七女、対馬

佐渡さまとは仲が良いらしく、よく尻にキックされているが、めげずに付いて回っているあたり、この子の性癖が将来歪んでしまうのではないか心配になるのだよ

 

「なんだそのバケツ?」

 

「見たいか!テイトクも見たいかー!じゃー見せてやろ、対馬、一匹出して!」

 

「え…?やだよ、また指挟まれるのやだし…」

 

「いいから出すんだよ!」

 

「ヒイィ!!やだ!やだぁ…!痛っ!痛い痛い痛い!」

 

佐渡さまはイヤがる対馬クンの手をバケツに突っ込むと、対馬は痛い!とか言いながら首をブンブン振り、佐渡さまはそんな対馬クンの手をバケツから引っこ抜いてみせると……

 

「ほぉ、ザリガニか…」

 

「カッケーだろ!さっき対馬と一緒にいっぱい獲ったんだぁ!」

 

「痛い痛い痛い痛い痛いぃ〜…」

 

とりあえず俺は対馬クンの指を挟んでいるザリガニのハサミを外してやると、対馬クンはありがとうござますとキチンとお礼を言って頭を下げ、佐渡さまは根性ねーな!と言って対馬クンの尻にキックする対馬クンはすっ転んだ

 

「ぎゃん!」

 

まったく、大したドSだ、まさに冷酷、まさに冷血…この若さでこれほどのSとは、将来が楽しみなのだよ

 

「で?そんなにザリガニ捕まえてどうするんだ?」

 

「ヘヘッ…!松輪の飼ってるグッピーの水槽に入れてやるんだぁ!」

 

「ね…ねぇ、佐渡さま、やっぱりやめない?松輪姉さん、普段は優しいけど怒ったらアレだし…」

 

「あ?なんだ対馬、オマエ、佐渡さまに意見する気かー!」

 

「や、そ…そうじゃないけど、前に松輪姉さんの大事にしてる人形を変なポーズで固定したら大激怒させてヒドい目に…」

 

「バッキャロー!!」

 

びたんっ!!(佐渡キック)

 

「ぎゃん!!」

 

佐渡さまの佐渡キックが再び対馬クンの尻を打ち、対馬クンは地面に転がった

 

「松輪がナンだコノヤロー!いいか!佐渡さまは自分にやりたい様にやるんだ!それをオマエはナンだ!ネーサンネーサンと…ネーサンにビビってばっかのアレか!乳臭さの抜けんヤツかー!」

 

佐渡さまはバケツに手を突っ込んでザリガニを一匹取り出し、その、ザリガニシザーで対馬クン鼻を挟んだ!

 

「痛い…っ!痛い痛い痛いー!」

 

「まぁまぁ佐渡クン、そうエキサイトせずに少しは落ち着きたまえ、ガムでもどうかね?」

 

俺はポケットに入っていたチューインガムを佐渡さまに渡してやり、対馬クンの鼻をグイグイしてるザリガニを引っぺがしてバケツに戻してやった

 

「まったく、チ●コついてんのかー!オマエは!」クッチャクッチャ

 

「つ…ついてないよぉ」

 

「女の子がチ●コついてんのかと言うんじゃないよ、この子は」

 

まったく、まるで自分にはチ●コがツイているかのような言い草だな、さすがは佐渡さまと言ったところか…

 

「じゃあ!このザリガニどうしたらいいんだ!グッピーと戦わせる為にいっぱい捕まえて来たんだぞ!」

 

「ぐ、グッピーとじゃ一方的な殺戮だよ……もっと強いのと戦わせないと…」

 

「じゃあ!ナンだ!長門さんか!」

 

「強すぎるよぉ!?」

 

長門>ザリガニ>グッピー………なるほど、子供にもわかる実にわかりやすい食物連鎖の図式だな

 

「バッキャロー!!」

 

びたんっ!!(佐渡キック)

 

「ぎゃん!」

 

三度尻に炸裂した佐渡キックに、対馬クンはパンツ丸出しにしてすっ転んだ、なるほど……綿100%ですか

 

「勝てる勝てないじゃない!佐渡さまは一方的に惨殺されるのが見たいんだ!イメージしろ!この今は元気にガサガサ動いてるザリガニが長門さんの手で真っ二つに引き裂かれる姿をー!」

 

「ヒイィ……や、やっぱりやめようよ、ザリガニが可哀想だよ…」

 

「可哀想か!」

 

「可哀想だよ…っ!!」

 

対馬クンにしては珍しく、語気を強めに反抗した………そして、そんな妹に対し、佐渡さまはちょっと驚いた顔をしたが、すぐに気をとりなおしたらしく、地面に転んだままの対馬をアツく抱きしめた!

 

「よく言ったァ!!対馬ぁ!感動した…ッ!佐渡さまは感動したぞォ!」

 

「え…?え…?」

 

「ヘヘッ…!まったく、オマエはいつも佐渡さまの後ろチョロチョロして、チ●コついてねーのかと思ってたけど、ヘヘッ!」

 

「え?つ…ついてないよ?」

 

「よし!このザリガニは全部逃す!カワイソーだからな!」

 

「え?逃すの…?せっかくいっぱい捕まえたのに?」

 

「当たり前だ!」

 

佐渡さまは執務棟の側溝の蓋を一枚開け、バケツいっぱいに入ったザリガニを全部側溝の中に流し込んだ!なんてコトするのかね、この子は…

 

………だがそれでいい、子供は自由だ

 

空になったバケツを投げ捨て、側溝に蓋をした佐渡さま…

そしてその顔は、もはや完全にザリガニに対する関心を無くしていた……

 

「あー腹減った」

 

「佐渡クン、提督は今からマミーヤでかき氷でも食べようと思うのだが………君も来るかね?」

 

「かき氷!?行く行く!対馬ぁ!テイトクがかき氷買ってくれるって!ほら!行くぞぉ!」

 

「え…?あ、うん」

 

 

こうして、佐渡さまブルーハワイなぁ!とキャッキャとハシャぐ佐渡さまとお尻をさする対馬クンを連れてマミーヤに行った俺は間宮から冷たい目で迎えられたが俺は悪くない、あと、小声でロリコン…とディスられたが俺はロリコンではない

 

ちなみに、かき氷を食べて頭がキーンとなった対馬クンの口に無理矢理かき氷をねじ込む佐渡さまの姿に悪のエリートとして将来性を感じたのは言うまでもあるまい…



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提督とSamuelと自由のクニ

奮い立たせろfreedom!たった一つのfreedom!

【登場人物】

提督(フラグ準備中)
女子供に容赦しない鉄拳の持ち主、男にはもっと容赦しない

Samuel B.Roberts(自由)
アメリカ、スーパーポリスアカデミーからの刺客
クジラ的なものはたぶん銀●万丈的な声で喋る、たぶん





「………はぁ?マジですか?」

 

執務室で鼻をほじりつつ大将殿からの電話に懇切丁寧に受け答えをしつつ頼れる秘書艦様にコーヒーを一杯貰えるかね?と催促するべく指をパッチンした…

 

「OKネ!」

 

…………ん?

 

『まぁ、特にオマエと天海元中佐には強い恨みを持っているからなァ、カッカッカ!』

 

「カッカッカ!じゃねーよ、何一つ笑えねーよ」

 

…そう言えば、今日は五月雨のヤツは休暇を取っているハズだが……?では、今、そこでコーヒーを淹れているのは誰だ?

 

青…?いや、違う、青と言うよりもっと薄い青、そう、まるで真夏のスカイブルーの爽やかさすら感じる空色、この子はたしかネオアメリカ!スーパーポリスアカデミーから来たスーパールーキー、名前はたしか…

 

「OK……OK……サムはデキる子、サムはデキる子……アツいCoffeeクライNo problem……No proble…」プルプル…

 

「!」

 

めっちゃブルブルしてるッッッ!!アツいコーヒーを載せたトレイをめっちゃブルブルさせたサミダ……じゃない、サミなんとかクンは全神経を集中させてブルブルさせながらこっちにコーヒーを運ぼうとしてい……

 

「あっ!ああっ!!」

 

期待を裏切らない子らしいサミなんとかクンはワイルドに前のめりなコケっぷりで転倒ッッッ!そしてトレイに載せていたアツいコーヒーはカップごと飛び、未だ通話中の俺の方へ………えっ…?浴びせる…?ぶつける?パスッッッ?えっ?

 

「って!!アツイィィィィィ!!」

 

『なんだッ?どうしたァ?オイ!』

 

「…な、なんでもねぇです、ただ…ちょっとアツいのぶっかけられただけで…」

 

『なんだ、つまらん』

 

つまらんじゃねーよ、このクソオヤジが…

 

『まぁいい、とりあえず用件は以上だ、あぁ…あと、今度の合同演習には五月雨ちゃんも連れて来い、大将サミちゃんに喜んで貰いたくて高い焼き肉奢ってや…』

 

「うるせぇよ」

 

田舎のお祖父ちゃんか…ッ!孫可愛いがりか!ったく…

俺は受話器を電話器に叩きつけて通話を終了し、まずは大きくため息を吐き、それから努めてクールに目の前でスイマセンスイマセンと頭を下げ続けるリトルガールに過ちを気に病む事はないと右手を挙げて応えた…

 

「Sorry!Sorry Admiral!アツかったでしょ?」

 

「気にする事はないよ、え~……サミ、サミ……」

 

「Samuel B.Roberts!サムでいいよー!」

 

「あー…そうそう、サムくん、サムくんだったな、ハッハッハ、サムくん」

 

そうそうサムくんだ、スーパーポリスアカデミーから来たボインじゃないアメリ艦、しかし今はボインでないにせよ、この子はいつの日か必ず生唾ゴックンのビシバシボディになるだろうと提督は予感しているのだよ

 

「Admiral、服ヨゴレたから脱いで脱いで!」

 

「ん?あぁ、そうだな」

 

コーヒーのガンコな染みを放置するのは良くないな、うん

 

「ハヤクハヤク!hurry!hurry!hurry!hurry!hurry!」

 

「ちょ…!ちょっと待とうな!ちょっと落ち着こうなァ!?サムくん!」

 

サムくんは俺の上着をブンどり、ついでに、ズボンのベルトをカチャカチャと引っ張りジッパーを下ろそうと必死になっている…っ!

 

「そ……sorry、チョ…ちょっとコーフンしちゃって…」

 

「う…うむ」

 

なんともそそっかしい子だな、とりあえず、提督のズボンは大丈夫、No problemなのだよと伝え、上着だけをサムくんに渡してあげた

 

「OK!サムがセンタクするネ!」

 

「いや、そうしてくれると助か……」

 

「クンカクンカ…スーハースーハー……!」

 

ちょ!ナニやってんの!?この子ォォォォォ!!本人!本人目の前でとんでもないコトしてるよッ!ドン引きだよ…!心が広くハンサムな事に定評のある提督だってドン引きだよ!

 

「ちょ!サムくん!サムくん!ナニやってんの!?」

 

「…え?あ、コレはアイオワティーチャーが教えてくれたネ、こーするとAdmiralがburger奢ってくれるって」

 

ナニ教えてんだあのパッキンボインは…

 

「そんなモンしなくともバーガーぐらい奢ってやるのだよ」

 

「ホント!?」

 

「勿論だ」

 

サムくんはキャッキャとハシャぎながら俺の上着をブンブン振り回して全身で喜びを表現している、なるほど……これはアレだな、たぶんこの子はアレだ、うん、アレなんだろう、うんうん

 

そんなサムくんの夏の宿題の進捗状況が心配になるところだが、まぁワカらないところはアイオワのバカに教え………いや、バカだった、あの女じゃダメだ、ならサラト………いや、サラトガも結構抜けてるって噂を聞いた事がある、やはりMAJORはだいたい大雑把なのだろうか…

 

「……ん?」

 

そんなワリとどうでもいい事を考えていると、サムくん………ではなく、サムくんの肩掛け鞄と目が合った、いや、正確には肩掛け鞄の中に入っている奇妙な生物となんだが…

 

「…サムくん」

 

「ナニ?Admiral」

 

「その……そいつ、それ」

 

「ソレ…?」

 

俺はサムくんの肩掛け鞄を指差してみると、サムくんは察してくれたらしく、そいつを鞄から取り出した

 

「この子はJason!唯一のトモダチ!」

 

「Jasonか…」

 

…っーか、唯一のトモダチとかこの子サラリととんでもないコト言いやがったよ

 

「しかしジェイソンとはまたエラくゴツい名前だな…」

 

俺は妙に男らしい顔つきをしている鯨的なナニか、ジェイソンを触ってみようと手を伸ばしてみると…

 

「No!Jasonは他人には決して懐かないネ!!」

 

「…え?噛むの?コイツ」

 

「噛むよ、前にガンビーが噛まれてベイベイ叫びながら緊急手術受けたネ」

 

…そうか、噛むのかコイツ、う~む…実はコイツ鯨的な生物じゃなくて宝貝的なナニかなんじゃないのか?

 

「………まぁいい、ときにサムくん」

 

「ナニ?」

 

「今更だが、君は提督に何か用があって来たのかね?」

 

そうだ、よく考えると今日は五月雨が居ないので執務室でノビノビとエロ本でも読もうと思っていたのだが、五月雨ではなくサミュエルくんがコーヒーを淹れてくれた不思議………いや、まぁ、正確には淹れた物を飲んでないが

 

「モチロン!今日はサムがヒショ・カンしてイイデスヨーってヒショの人に言われて来たネ!」

 

「…はぁ?」

 

サムくん曰わく、ベンチで紙パックのジュースを飲んでいたら、今から街にお買い物に行くところだと言うヒショの人から暇だったらヒショ・カンしてていいですよと言われてやって来たらしい…

 

あの野郎、俺が真面目に仕事しないか何も知らぬ刺客を放って来たか…ッ!

 

「アト!ヒショの人からAdmiralが指パッチンしたらCoffeeの合図って聞いたよ!」

 

「ふ~ん」

 

アイツ、テキトーなコト言いやがって…そんなルール、いつ俺が採用したのだよ

 

「二回鳴らしたら二杯!」

 

「いや、それは多分違うんじゃないかなぁ…」

 

 

結局、その日はサムくんに秘書艦業をやって貰ったのだが、まぁ……なんだろうな、この子はよくコケる子だと言うコトはよくワカった、そして………スカートの下はまさしく自由の国だと言うコトに戦慄した

 

まさに自由(フリーダム)………彼女こそが、ホンモノの女神なのかもしれないな



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提督と夕張とザ・デモリッション

久々にやってきたハッキリ言ってアレな回

【登場人物】

提督(しれぇ)
ア●ルならセーフが持論のバッドガイ

夕張(ミス・ユーバリ)
ア●ル隷奴


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

「ほぉ…」

 

台風来る来る詐欺からの蒸し暑さにイライラする夏の日、あまりのイライラに俺の“欲”が疼いて仕方ねぇ、とにかくイライラのあまり半径2メートル以内に入ったヤツに自動的に金的カマす自信すらある

 

そして、そんな俺の“欲”が疼いて止まらねぇ危険日に、図ったようにわざわざやって来たヘソチラサイコ軽巡夕張はいつも以上にニコニコしながら自信作と言う名のナニか見せに来たワケだが…

 

「言っとくが今日の俺は機嫌悪りぃからよォ、つまんねーモンだったら最低でもオマエのア●ルが捲れるぐれーじゃ済まねーからな」

 

「ひ、ひゃい!ちが…はい!大丈夫!大丈夫です!もう今日のかなり自信作ですから!きっと提督も御満足頂けるハズです!はい!」

 

俺の宣告に夕張はちょっと気色の悪い笑みを浮かべつつもダイジョーブです!と自信満々に応え、早速ですがと持って来た自信作とやらの梱包をベリー!っと勢い良く剥がした!

 

「今回の自信作はこちら!165mm多目的破砕・榴弾砲、デモリッション・ガンです」

 

「ほぉ…」

 

今回のゴキゲンアイテムはまたえらくゴツいな、そして、一見するとマトモに見える不思議…

 

「…足がないな」

 

「えぇ、足なんて飾りです」

 

とりあえずいつもの様式美を済ませ、夕張はデモリッション・ガンなる凶悪ロマン砲についての説明をと言って俺の射程ギリギリに立った

 

「こちらのデモリッション・ガンですが、本来は建築物や構造物に対して使用される工兵用の破砕砲でその威力はマジハンパじゃありません、マトモに喰らえばタ級のボテっ腹に風穴ぐらい済みません」

 

「ドテっ腹な」

 

「あと、長距離射撃形態、ガン・ハウザーモードでは最大射程約30kmを実現しております、30km先のタ級の臓物(ハラワタ)をブチ撒けてお魚さんの餌を提供できます」

 

「とんだブチ撒けぶりなのだよ」

 

しかしコイツはトンデモなくゴキゲンなエモノだなオイ

 

「ただ、難点としましてはご覧の通りの大きさですので使用には制限があります」

 

「だろうな、っーかこんなの誰が使えるんだよ、長門か?」

 

「そうですね、まぁ、長門さんとか武蔵さんならなんとかイケる気はしますが、そのお二人ともこのデモリッション・ガンはお気に召さなかったようで一目で断られました」

 

夕張曰く、長門も武蔵も五体を全て凶器と化した自分には必要ないと言って断られたそうだ

 

「じゃダメじゃねーか、誰も使用(つか)えねーのか」

 

「そうですね、とりあえず運用プランとしましてはラ●ダ・ドライバと併用すれば清霜ちゃんにも使用(つか)えるので、まずは清霜ちゃんにラ●ダ・ドライバを搭載してみようかと…」

 

なんで清霜なんだよ…っーかコイツ今、ラ●ダ・ドライバって言ったか?あ?ラ●ダ・ドライバ作ってるのかコイツ?

 

「ちなみに清霜ちゃんにはラ●ダ・ドライバを搭載したら戦艦より強くなれるよと甘い言葉で協力して貰うつもりです」

 

「とことんクズだな」

 

まぁ、仮にラ●ダ・ドライバ搭載したキヨシテインだかレーバキヨシになろうが武蔵の鉄拳にメリこまされるであろう未来は変わらないだろう…

 

「まぁいい、とりあえず夕張」

 

「はい!なんでしょうか!」

 

「手ぇ出してみろ」

 

「?、はぁ…?手ですか?」

 

俺は夕張の右手を取り、親指と人差し指の付け根の骨が交わる内側を力いっぱい刺激してやった

 

「痛ァァァァァァァ!!ちょ!痛い!痛いです!」

 

さらに、俺は夕張の手首の関節部分の小指側で、骨と筋の間のくぼみとなっているところをゴリゴリと押す!

 

「ア痛ァァァァァァァ!!な!な、なんなんですか!?って痛い痛い痛い!!」

 

俺は夕張の手を離して解放してやると、夕張は痛い痛いと言いつつ自らの右手をさすり…

 

「うっ!?こ…コレは!」

 

「どうやら気付いたようだな…」

 

………お腹が痛い事にッッッ!!

夕張は腹を抱えて膝を曲げ気味にガクガクとさせている

 

「あ…あが、アガガ……お腹、お腹がぁぁぁ」

 

「今、貴様に突いたのは合谷と神門と言う秘孔だ」

 

さらに、ヘソチラウエストの付近にある天枢を突くと夕張はおごぉ!とか言いながらお腹を抱えて床に膝をついた

 

「や……ヤバい、ヤバいヤバいヤバい……ヤバいです、で……でる、コレ、マジで、出そう…」

 

「大丈夫だ、とりあえずア●ルにガムテープでも貼ってやろう」

 

俺は机の引き出しからエアーサ●ンパスとガムテープを取り出し、とりあえずエアーサ●ンパスをア●ルに吹き付けた

 

「んぎぃぃぃぃぃぃぃ!!お、ぉ!オゴォ!!な、なんでェェェェェ!!」

 

「いや、なんとなく…」

 

 

…この後、限界突破!サバイバー寸前の夕張に、エアーサ●ンパスの缶でア●ルに栓をする機転で夕張のア●ル決壊!サバイバーと言う大惨事は免れた…

 

良い子のみんな!ア●ルにエアーサ●ンパスは危ないからやめような!



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提督と燃えるオン・ファイヤー

正々堂々と試合開始!

【登場人物】

提督(ド外道)
球種はファックボールのみのファックボーラー

鳳翔(ビッグママ)
バ…




たまには真面目にめんどくさい仕事しようと考え、五月雨と共に基地施設内の消火機器点検をしながら基地の中をブラブラ歩いていると、グラウンドの方からクズどものアツい声援が聞こえるので覗いてみると、クズどもが元気にヤキュウに興じていた…

 

「出たーッ!衣笠さんの44ソニック!」

 

「あの球を受けて無事にバッターボックスを降りたヤツはいねぇぜーッ!」

 

「あのMAJOR級の強打者に対して一歩も引かねぇピッチング……まったく!衣笠さんは最高だぜ!」

 

今日のゲームはMAJORの怪物を擁する読捨ジャイアニズムと重巡のみが所属する殺天エンジェルスのデイゲーム、先発のマウンドに上がったマグナムエースの異名を持つ大エース、衣笠さんのマグナムピッチングの前にジャイアニズムは手も足も出せない状況らしい…

 

そして、そんな白熱のゲームをフェンス越しに見ながらバカみたいに長い煙管をプカプカ吹かしている妙齢のバ…

 

「よぉ、ビッグママ!」

 

「ん…?誰かと思えばBOYとサミーじゃないかい、アンタらも見に来たのかい?」

 

「いや、通りすがりだよ」

 

「ふ~ん」

 

ビッグママこと鳳翔はフーッと煙を勢い良く吹き、そうかいとか言いながら五月雨にベンチ空いてるから座りなと言ってベンチを勧めた

 

「ジュースはないけどお茶もあるよ、ほら、飲みな」

 

「ありがとうございます」

 

五月雨は俺に対しては決して見せない満面の笑みでママからペットボトルを受けとり、ベンチに座った

 

「ママ、俺のは?」

 

「ないよ」

 

「ないのかよ」

 

このバ……いや、老けて見えるだけで意外と若いってハナシだが、実際のところはよくわからねぇが…

 

「で?どうなんだ?ママから見て、今日のゲームは」

 

「フーッ~………そうさねぇ、まぁ、今日のガッサはかなり良い仕上がりだからねぇ、アレを打ち崩すのはあの外人さん達でも難しいだろうね」

 

「ふ~ん」

 

たしかに、絶好調時の衣笠さんが打ち込まれたと言う話は聞いたコトすらない、そもそも衣笠さんの44ソニックは外野まで飛ばす事すら難しい…

 

◆◆◆

 

「打ったァァァァァ!!44ソニック敗れるーっ!ついに衣笠無敵の必殺魔球が打ち崩されたーッ!」

 

「イントレピッド!イントレピッド反撃の2ラン!やはりMAJORはハンパではなかった!MAJORの怪物!スカイ・ママーっ!」

 

7回、ついにMAJORが本気を出したか、無敵の44ソニックを打ち返され、マウンドで膝を折る衣笠はマジかよオイと天を仰いだ…

 

「ガサ!切り替えて行こう!」

 

「そうだぜガッサ!」

 

「オレ達はまだ負けちゃいねぇーぜ!」

 

高雄に妙高、普段は顔を合わせたら即殴り合いを開始する2人も今は同じチームメイト、いや、むしろ今もそんなに仲良くないが同じ殺天エンジェルスの仲間である…

 

思えばこのチームは最初はギスギスしていた、高雄姉妹と妙高姉妹と言う不倶戴天の敵同士であり、口を開けば“殺すぞ”としか言わないこの天敵達をチームのリーダーである古鷹がまとめ、チームとしてスタート、当初はラフプレー上等のダーティーなチームだったが、衣笠はそんなチームに仲間の大切さ、そして正々堂々と戦う素晴らしさを自らのプレーを通して皆に教えてきた…

 

「…オマエ達」

 

チームメイト達のアツいエールを受け、衣笠は再び立ち上がる、必殺の44ソニックはたしかに敗れた……だが、自分にはまだこんなに頼れる仲間達がいる!その想いが勇気となり、衣笠は再びマウンドに立った!

 

「そう、まだ負けてはいない、行くぞォ!この一球は激しく重いぜ!」

 

「が…ガッサ!」

 

「ガッサの眼に炎がッッッ!!」

 

「へへっ、ガサのヤツ…いよいよ本気になったらしい」

 

44ソニックではない、衣笠の新たな魔球…ッ!

 

◆◆◆

 

「フーッ~…勝ったねぇ」

 

「なんて球だ……なんて球だッ!!」

 

衣笠さんの新魔球!アステロイド・キャノン!

その破壊力はバッターをも吹き飛ばし、堅い地面すら抉るケタ違いの威力ッ!その、新魔球の前に、バッターボックスに立っていたサラトガはまるで死んだヤム●ャみたいなポーズでグラウンドに横たわっていた…

 

ちなみに、判定はストライクである(これ重要)

 

「提督のファックボールもアレですけど、やはり衣笠さんはレベルが違いますね」

 

「まぁ、衣笠さんから見れば俺のファックボールなんぞ児戯に等しいからな」

 

「ガッサとアンタじゃメジャーリーガーとヤキュウはじめたてのリトルボーイさね」

 

現在は“どんな相手にも正々堂々”が信条の衣笠さんだが、一時期、闇堕ちしていた時期にエレクトリック・デストロイヤーなる殺人ボールを投げていた事もあり、その破壊力たるや良くて病院送り、最悪天国直行となる…

 

「そう言えば衣笠さんは提督のこと嫌ってますもんね、卑劣・卑怯を信条とするスポーツマンシップの欠片もない外道って」

 

「ガハハハ、こやつめ!言いおるわい!こやつめ!」

 

だが、そんな衣笠さんを、それでも愛そう!

 

そして、試合はサラトガに続きアイオワもアステロイド・キャノンの前に三振に倒れ(物理的に)44ソニックを打ち破ったイントレピッドも三振に打ち取り、試合はエンジェルスの逆転でゲームセットに終わった…

 

‐‐‐

 

後日、ママの店で基地スポを眺めつつ煙草に火を点けた俺はママにバーボンと頼み、濃厚メ●ミルクの入ったグラスが出てきた…

 

「フーッ~…大鯨ホエールズ、泥沼12連敗か」

 

やっぱ速吸クンいないとダメだな

 





次回からたぶん長編回ですって、たぶん


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人造神話①

節目の前にやってくる、いつもの連続回、今回はたぶん全五回を予定しております、あと、今回のお話には坂下郁様の“逃げ水の鎮守府”に登場した中ボスがわりとガッツリ出てきます、はい
坂下郁様、本当にありがとうございます

【登場人物】

仁科大佐(変態)
今までもシレっとちょいちょいお借りしてましたが、仁科名義で出てくるのは初です
天才であり変態、外道でありド外道のまごうことなき最低の屑、ただ、変なところ律儀な面もあり
ロボットと言えばロケットパンチと目からビームと考える遊び心もある、でもド外道

大鳳(スペシャル)
仁科大佐に付き従うスペシャルな大鳳、大佐は本当に素晴らしい人だと信じる残念さと、大佐の為なら誰でも殺す残忍さを併せ持つノーガッツな娘
悪の組織の悪の科学者の隣にいる変なポンコツロボポジション

提督(中佐)
主人公、大佐の方が濃い?でも主人公








ニホンから遠く離れた太平洋上に浮かぶ南の島…

かつては常夏の楽園と呼ばれ、世界のあらゆる国からバカンスを楽しむ為に多くの観光客で賑わっていたその島も深海棲艦出没によるシーレーン分断の煽りを受け、最盛期より観光客は減ったものの今なお常夏の楽園の代名詞としてその名から輝きは消えてはいない…

 

そして、そんな常夏の島に居を構えている男の住む家には様々な来訪者がやって来る

 

ある者は家電修理の依頼に…

 

ある者は自身の健康相談に…

 

ある者は彼の知識と技術を求めて…

 

彼は島の人気者だった…

 

ある日、従者らしき少女と共にフラリとやって来て島の岬近くに家を作り住み着いた彼はあらゆる物を修理する確かな腕と知識、誰に対しても崩さない紳士的な態度、そして南国特有のファンキーで開放的なファッション(モロ出し的な意味で)はすぐに島の住人達に受け入れられた…

 

島の住人達は誰も彼の素姓を知らないが、彼を知る誰もが彼の恥じる事なき変態的な立ち姿から親しみを込めて彼をこう呼ぶ………

 

ドクター・モロと…

 

ーーー

 

「…それはなんですか?」

 

仁科良典、かつては海軍の暗部的な部署に所属し、口にするのも悍ましい非道な実験を日常的に行なっていた技術部所属の技術者であり、最終階級は大佐…

狂気の思考と発想力、そして、常人には不可能と思える神業の技術力、彼一人で技術を十年は進歩させたと言われており、今なお彼に並ぶ天才は海軍の後継には現れてはいない…

 

そんな仁科元大佐が、自らの淹れた爽やかなモーニングコーヒーの香りを愉しみつつ今日も良い日になるだろうと全裸で窓際に立っていると、同居人であり、自らの“自信作”と認める作品が朝の散歩を終えて自宅に戻って来たので朝食の準備をと命じようとしていた矢先、それは、何かよくわからないモノを持って帰って来た…

 

「はい!散歩中に見つけたんですが…」

 

数多の“作品”を作ったものの今、唯一自分の手元に残っている“それ”…

大鳳型空母の大鳳はなにやら大型犬サイズで血を流すナニかを持って帰って来た……

大鳳は“コレ、修理(なお)るんでしょうか?”と仁科元大佐に尋ねると仁科元大佐はそれを見てレモン75個分くらいですねと呟いた後に、その引き締まった尻をキュッと振りつつ大鳳へと近づいて来た

 

「大鳳、私を誰だと思ってるのですか?この程度は文字通りの朝飯前に済みます」

 

「さすがです大佐!」

 

「とりあえずは奥に運んで下さい、あと、私はそれを修理しますので大鳳、アナタは朝食の準備をお願いしますよ」

 

「はい!わかりました!」

 

………とは言ったものの、これは少し遅めの朝食になりますかねぇと大鳳に聞こえない声量で呟き、仁科元大佐は早速それを、その“少女”を修理する最適かつ最速の手順を考えながら壁掛けハンガーに掛けてあったパンツを手に取り、それをスタイリッシュに穿いた

 

「さて、始めましょうか…」

 

◇◇◇

 

自分の居た世界とは違う外の空気……まだ、人類が恐怖と絶望の前に恐れ、隠れないでいられる世界…

 

「…成功した」

 

乗って来た乗り物を適当な感じで隠し、今、自分が居る場所が目的の場所の近くに着いた事を確認した女はポケットから取り出した一枚の写真を見て、決意を新たにしつつケツを抑えてやるせない気持ちも抑え、ここに来た本当の目的を果たすべく動き出した

 

「まずは………“提督”に会わないと」

 

その男に会い、出来るならば全ての事情を話して協力をして貰う、それが彼女の目的の一つであり、絶望への反抗の始まりでもある

 

◆◆◆

 

遥かなる八月も終わり、世の大半のちびっこ達が絶望する二学期が始まる今日この頃…

 

「………ハァ?」

 

執務室で買い置きの缶コーヒーを飲みつつ、スポーツ紙のエロ小説を読んでいた俺は五月雨からイマイチよくわからない報告を聞いていた…

 

なんでも、基地近海の海で所属不明で正体不明のナニかが近海でうろついているイ級だのロ級だのを狩りまくっているらしいのだが………所属不明で正体不明ってのはどーゆーコトだ?もしかしてアレか?またどこぞの国から来たワケのわからんヤツなのだろうか?

 

「そこら辺も不明です、ただ…」

 

「ただ?」

 

「…確認できた手持ちの砲や艤装から判断して、どこぞの国ではなく、国産の可能性があるそうです」

 

「ふ〜ん」

 

試験運用中の新型ってヤツだろうか?まったく……迷惑なハナシだな、オイ

 

「………まぁ、どこの誰かは知らんがウチのナワバリでヤンチャされるのは良くないな」

 

「そうですね」

 

「とりあえずだ、サミダレンブラント、そいつにウチのナワバリでヤンチャするのはやめたまえと警告して来い」

 

「はぁ…?私だけでですか?あと、五月雨です」

 

「大勢で行ったらビビっちまうかもしれねーだろーが、こーゆーのはアレだ、まず相手を刺激せず、対話する姿勢が必要なのだよ」

 

「………まぁ、わかりました」

 

五月雨は微妙に不満そうな顔をしたが、とりあえずニュートラルに戻り、じゃ、行って来ますと言って執務室を出て港の方へ歩いて行った………あの野郎、チンタラ歩きやがって、駆け足だろーが、駆け足

 

「ったく…」

 

しかし所属不明で正体不明か、こないだの大将殿の話といい、随分とイヤな匂いがプンプンする話だな、もしかして呪われているのだろうか?いや、厄年!?厄年ってやつか?

 

◇◇◇

 

「ふむ…」

 

肉体的には問題ありませんが、意識の混濁が見られますか…やはり使用したベースの等級が低いと成功率が格段に下がりますね、一応、手持ちの中でもそれなりに純度が高くフレッシュなものを使ったのですが…

 

「まぁ、その他諸々と問題はありますが………ま、いいでしょう」

 

今は経過観察です、大鳳が色々と世話をしているようですし……今は好きにさせて問題ないでしょう

拾ってきた責任をキチンと果たそうとするのは良い傾向です

 

………そんなことより、まずは今日の素敵な一張羅を選ぶ方が重要ですかとドレッサーの扉を開こうとすると、自室の扉が勢いよく開き、大鳳が入ってきた

 

「大佐っ!」

 

「なんですか?あと、ノックしなさい」

 

「し、失礼しました」

 

「ふむ、で?何事ですか?」

 

「あ、いや…えーと、しーちゃんのコトなんですが」

 

「…しーちゃん?」

 

しーちゃん…?シー・チャン、はて?大陸系の知り合いは記憶に無いのですが、まぁ、忘れると言うコトはわりとどうでもいい人物でしょうかね

 

「あ、間違えました、えーと…サンプルF259のコトなんですが」

 

「あぁ…」

 

なるほど、理解しました

 

「アナタ、アレに名前を付けたのですか?」

 

「あ……はい、ダメでしたでしょうか?」

 

「いえ、構いませんよ、アレはアナタの好きに呼ぶといいでしょう」

 

「あり…ありがとうございます!」

 

なるほどなるほど……たしかに、過去にも研究室にはサンプルに愛称を付ける人も居ましたし、それはきっとごく自然なコトなのでしょうね

“愛情”を持って接する、実に良いコトです

 

「それで?そのシーマンがどうしましたか?」

 

「シーマンじゃありません、しーちゃんです」

 

「これは失礼、それで?話をどうぞ」

 

「はい、実は…」

 

 

………大鳳の話は実に興味深い話でした、なるほどなるほど、色々と……そう、アレですね、目からウロコと言うヤツでしょうか、大鳳には教える事が多い反面、教わる事も多い、彼女は本当に私を退屈させない



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人造神話②

絶望への反抗!が始まるその②!気の弱い女はアナ…

【登場人物】

提督(糖)
まるでSFを信じる柔軟性と中二病を患う大人、しかし、本当に患…

アヤセ(仮)
未来から来た謎の未来戦士、偽名






100%厄介事の火種であろう所属不明で正体不明で謎の艦娘?は遣いに出した五月雨の呼びかけに意外にも素直に応じ、とりあえずお茶でも飲んで話をと言うワケで当基地へとやって来たワケだが…

 

「コーヒーをどうぞ」

 

「ありがとうございます、いただきます………うっ!」

 

お客様用の席に座り、五月雨のコーヒーに口を付けた謎子さんはとりあえず顔をしかめ、マジかよコレと言いたげな表情でこちらに視線を向けてきたので俺は努めてCOOLで紳士的な対応をとるコトにした

 

「いただきますと言ったからには飲んで貰おうか、それともマズいから飲むのはイヤか?」

 

「クッ…!」

 

「誰のコーヒーがマズいですか、失礼な」

 

五月雨のヤツは誰のコーヒーがマズいんですか?と言いつつ棚からお茶菓子を出して皿にブッこんで謎子さんのテーブルに置く、ちなみに、謎子さんは苦笑いしつつもそれ以上カップに手をつけるコトはなかった…

 

「で?君は何者なのかね?軍の新型か何かか?」

 

「……違う」

 

え?違うのか……オイオイオイ、俺はまたてっきり俺の知らない新型的なナニかかと思っていたのだが

謎子さんは五月雨の方をチラリと見て、再び俺の方に視線を向けた

 

「その………あまり人に聞かれたい話じゃないから、できれば人払いをお願いしたいんだけど…」

 

「なに?」

 

なるほど、これは100パー面倒事系の厄介事だ、関わり合いになると絶対ロクな目に合わない感じのアレだろう、この謎子さん、俺は一目でただの厄介オブ厄介だと気付いたね!

 

「…ここには3人しか居ないが?」

 

「…この、青い人……えっと、その五月雨さんが居るのはちょっと…」

 

「フッ、そこの青髪ロング子は私自身も同様だ、卿はそんな事も知らんのか?」

 

謎子さんはナニ言ってんだコイツ、マジ面倒くせぇみたいな顔をしているが、なんとも失礼なヤツなのだよ…

 

「まぁいい、あえて聞かせたくない話があると言うコトだな、だが、後で私が話せば同じコトだぞ?」

 

「それは……まぁ、ご自由にどーぞ」

 

ふむ、まぁ、アーにはアーに向いた話を、ベーにはベーに相応しい任務と言うものもある、五月雨はとりあえず空気読んだらしく、じゃ、私はマミーヤ行ってアマイモンでも食べて来ますと言って退室してしまった…

あの野郎、隣室でブラスター持って待機しますぐらい言えんのか…

 

ーーー

 

「では、改めて話を聞こうか、Ms.」

 

「Ms.って何よMs.って…」

 

「私は君の好きな音楽のジャンルどころか名前すら知らんからな」

 

「あ、そーか………えっと、えー……これ言っていいのかな?いや、やっぱマズいかな…名前は」

 

「ナニぶつぶつ言っとんのかね?」

 

「え?あ、あぁ……えーっと、あ!アヤセ!アヤセって呼んで、うん、それで行こう!」

 

ナニ言ってんだコイツ、どんだけ胡散臭いんだよ、まぁいい……とりあえずMs.改めアヤセ(仮)は名前も名乗ったところで本題なんだけどと前置きを置き、あまりにも衝撃的な話を始めた…

 

まず、自分はこの時代の艦娘ではなく未来からやって来た未来艦娘であり、今から約20年後、深海棲艦の脅威は無くなったが深海棲艦を超える新たなる人類の脅威、人造艦娘が出現し、未来の世界は絶望の世界になる…

 

人造艦娘に立ち向かうべく、大和さんや武蔵を含む絶斗戦士達が何人も戦いを挑んだが全て返り討ちに遭い、戦える戦士はみんな人造艦娘に殺されてしまい、今、未来世界で戦える戦士はこのアヤセ(仮)だけになってしまい、アヤセ(仮)は未来から過去を変える為、タイムマシンに乗ってこの時代にやって来たらしい…

 

「…ハハッ、まるでSFだな」

 

「でも事実よ」

 

実に荒唐無稽な話だが、この女、アヤセ(仮)が嘘を言っているようには見えない、とりあえず俺はアヤセ(仮)が嘘を言っているのか確認すべく頬をベロリと…

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「アイタァァ!!」

 

「ナニすんのよこのクソ野郎!!」

 

なるほど、手首のスナップといい、腰の入り方といい、健康的なイイビンタだ!こんなスゴくイイビンタが出せる者が嘘を吐くとは思えないな

 

「フッ、信じよう、君が嘘を言っていないと言うコトを」

 

「…信じてくれたのは助かるよ、でも、私にそれ以上近付かないで」

 

「しかしアヤセ(仮)くん、君が未来から来たのは信じるが……何故ここに来たのかね?」

 

五月雨の話では、近海で暴れていたのも単に道に迷った成り行きだったらしく、そもそも、この基地に、いや、俺に会いに来たらしいのだが…

 

「………母さんがアンタならなんとかしてくれるって」

 

「はぁ?」

 

「母さんが、過去に行ってアンタに頼めばきっとなんとかしてくれるって言ったのよ!」

 

「ほぉ…お母さんが、ちなみにアレかね?その、タイムマシンを作ったのもお母さんとか…?」

 

「そうよ、母さん………夕張母さんは天才だもの、ある意味の」

 

「………は?」

 

コイツ、今なんて言った?夕張…?母さん……?夕張……夕張ってアレだよな、昨日、ツナギ着て棒アイスしゃぶりながらペルチェ素子で簡易クーラー修理してた…

え?ナニ?コイツ、夕張の娘なの!?嘘だろ!

 

「いや…しかし」

 

「なによ?」

 

夕張の娘と言われると、たしかに……どことなく似ている気がするな、期待性も将来性もなさげな胸板に、五月雨もイラつく細い腰と妙に丈が合ってないせいでヘソチラするファッション……ただ、夕張のアホ面と違い、その顔には凶暴性と同時に溢れる知性を感じる、おそらくは過酷な未来世界で育ったからだろう…

 

「そうか、夕張が…」

 

「夕張母さんは艦娘として戦う力を失い、人造艦娘との戦いには参加出来なかった事をいつも悔やんでいた、でも、夕張母さんは未来を救う為にタイムマシンの研究をしていたのよ…」

 

「なるほど……するとナニか?君は夕張から艦娘の戦い方も教わっていたのか?」

 

「違う…」

 

アヤセ(仮)は苦々しいと言いたげに顔を伏せ、ポケットから一枚の写真を取り出した…

 

「…この人が私に戦い方を教えてくれたのよ」

 

写真に写っているのは、まだ少女と言える幼さを残したこのアヤセ(仮)と、精悍な顔ツキと抜群のプロポーション、そして一目で一流の戦士とわかる見覚えのない大人の女……

 

「誰だコレ?」

 

「………清霜さん、偉大な戦士よ」

 

「えええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!き、清霜ォォォォォ!!?」

 

オイイィィィィィィ!!清霜、清霜ってアレだろ?アレ!あのアホで有名なあのキヨシだろォォォォォ!!ちょ、待てよ!キヨシ、昨日なんかリベッチオとカブト虫バトルするんだー!とか言った虫取り網振り回しながら廊下走ってるのを香取先生に見つかりオシリペンペンタイム突入して半泣きで反省文書かされてたアイツだろォォォォォ!!

え?キヨシ…?いやいやいや、ない!それはない、だってほら!この写真に写ってる人、完全に数多の地獄を見てきた感ある強キャラ感溢れる戦士だぞ!!

 

アヤセ(仮)くん曰く、大戦士清霜さんは怒りと悲しみの中で力に覚醒した伝説の戦士、戦艦を超えた駆逐艦、(スーパー)駆逐艦だったらしい

 

 

「…清霜さんは多くの仲間を失い、何度となく人造艦娘から人々を守ってきた偉大な戦士よ、でも、そんな清霜さんは最後に私なんかを守る為に…ッ!!」

 

一体、未来の清霜に何があったのかはよくわからんが、とりあえず、このアヤセ(仮)が今の清霜に会ったらどんな悲しい顔をするか……偉大な戦士清霜さんがアホなんて知ったら立ち直れないんじゃないだろうか

 

「そうか…」

 

「私は未来を救う為、託された想いを決して無駄にはできない……」

 

だから協力して欲しい!未来を救う為に!アヤセ(仮)は人造艦娘を作り出した狂気のマァァァドサィィエンティストォォォ!ドクター・モロを見つけ出し、この時代でそいつをブチのめす!そして、可能であれば人造艦娘の弱点的なものを知りたい!そう続けた…

 

「なるほどな…だから協力して欲しいと」

 

「そうよ」

 

「まぁ、話はわかったが………ちょっと気になるコトがあるんだが」

 

「なに?答えられるコトなら答えるよ」

 

「いや、未来の夕張が過去の俺に頼れって言って送り込んで来たのはわかったが………未来の俺は?」

 

まぁ、未来の夕張が過去の俺に頼れってコトは、その……なんだ?やっぱ俺はアレなんだろうな、一応、予想はついているが

 

「死んだよ」

 

「そうか…」

 

「私はよく知らないんだけどね、夕張母さんから聞いただけだし」

 

グゥゥゥム、そうか…幸か不幸か、絶望の未来に俺は居ないのか、やはりアレだろうか?心臓病的なアレでポックリと…?ある意味、絶望に打ちひしがれている俺に、アヤセ(仮)はポケットからなにやらカプセル状のクスリを取り出した

 

「…コレ、夕張母さんから預かったのよ、提督にって…」

 

「これは?」

 

まさか、心臓病の特効薬かッ!でかした!未来夕張!

 

「糖尿病の特効薬よ、提督の死因は“糖”だし…」

 

って!!糖尿病かよォォォォォ!!なんなの未来の俺ェェェェェェ!!!




次回は③

オッス!オラ提督!ひゃー!未来がそんなコトになってるとは、オラおでれーたぞ!それに、大和や武蔵でも勝てねぇ人造艦娘を作ったドクター・モロをブッ倒さねぇと未来はメチャメチャになっちまう!

次回、悪魔の野望を撃ち砕け!集結!100億パワーの戦士達!

ゼッテー見てくれよな!


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人造神話③

一秒ごとに世界線を越える羅刹の第三回

【登場人物】

提督(現代提督)
溢れる知性で小細工と卑劣な罠を使う知性の申し子

アヤセ(仮)
未来から来た夕張の娘、アヤセと言う名前には夕張を関係させる意味があったりなかったり…


前回までのあらすじ

 

未来から来た夕張の娘を名乗る謎の戦士、アヤセ(仮)

彼女が言う絶望の未来を変える為、そして、提督の糖を救う為に提督はアヤセ(仮)と共に全てが救われる変動率1%台のβ世界線を目指す…

 

 

「今日のオススメはパイナップルの酸味とココナッツの柔らかい甘味がアクセントな創作ピニャ・コラーダです」

 

「チーズケーキとコーヒー」

 

「私も同じもので」

 

「今日のオススメはパイナップルの酸味とココナッツの柔らかい甘味がアクセントな創作ピニャ・コラーダです」

 

とりあえず、アヤセ(仮)くんの語るの衝撃の未来は仕方ないとして、俺たちは今後をどうすべきか考えるべく、まずは甘いモン食ってエネルギー充填しようとマミーヤへ来ていた…

マミーヤは相変わらず執拗に今日のオススメをオススメしてきたが、そこはそう、アレだ、不屈のガッツで意見を押し通した

 

「2980円です」

 

「相変わらず高けぇなオイ」

 

「高くありません、適正な価格設定です」

 

相変わらずぼったくり価格なマミーヤで金を払い、俺たちは適当に空いているテーブルに座り、とりあえず甘いモン食いながら話でもするコトにした

 

「そーいや、その…ドクター・モロってのはなんなんだ?」

 

よくよく考えたら、俺はそのドクター・モロだとか言うイカレ科学者のコトはまるで知らんのだが…とりあえずアヤセ(仮)から今、わかる情報を聞いておかないとな…

 

「私もよく知らないし」

 

「知らねーのかよ」

 

「そもそも私が戦えるようになった頃にはドクター・モロはもう死んでるのよ、自分が造った人造艦娘に殺されてね」

 

「ふ〜ん」

 

自分の造った殺戮マシーンに殺されるとはとんだお間抜けさんだな、いや…むしろ、製作者も手に負えなかったぐらい人造艦娘ってのがヤバいのだろう

 

「夕張母さ………母さんが言うには、ドクター・モロは元は海軍のなんちゃらってトコの技術者で、なんか色々あって海軍をクビになってどこか南の島に移り住んだってコトらしいって」

 

「どんだけフワフワした情報なんだよ」

 

「うるさいなぁ、未来はそれどころじゃなかったんだよ……あ、一応写真あるよ、ほら、コレ」

 

アヤセ(仮)はポケットから写真を取り出し、テーブルの上に置き、俺はそれを見てみるが………が?

 

「なんだコレ?盗撮写真か?」

 

「知らないし、とりあえず、母さんが唯一手に入れたとか言ってたドクター・モロの写真よ」

 

写真に写るのは、なかなかハンサムで肉体派と言うよりは知性派と言った感が伺える男だが……何故か全裸の写真であり、股間の辺りには撮影時にイイ感じに配置された観葉植物があったおかげか、とりあえずR18な写真になっていないがなかなかのセクシーショットだ

 

「どう?見覚えとかない?」

 

「ねぇよ、なんだよこの変態ヤローは…」

 

「なんだ、知り合いとかじゃないんだ….」

 

「なんで俺が変態なんぞと知り………」

 

………ん?いや、待てよ、ちょっと待て、なんかコイツ、ちょっと見覚えがある気がするぞ、はて?どこで見たか…A●男優?いや、違うな

 

「…ふむ」

 

「ナニ?見覚えあるの?」

 

「あるような、ないような…」

 

「ハッ?使えないオッさんだね、ったく…なんで母さんはこんなのに頼れって言ったんだか…」

 

「なんだとコラァ?」

 

可愛いツラしてなんて口の悪いヤローだ、まったく、親の顔が見てみたいものなのだよ…

 

そんな写真の男について、思い出しそうなそうでないようなと頭を捻っていると、マミーヤの扉を開き、今日の仕事も上がりだぜチクショウとか言いながら潜水艦のクズどもがゾロゾロと入って来た…

 

「あ、テイトクですって」

 

「ホントだ、テイトク……と、見たコトない人」

 

実力派エリート集団、潜水艦…

昨今の海域大改革のせいで微妙に毎日の仕事内容が変わってしまい、今はわりと暇を持て余し気味になっているらしく、最近はオリョール行きてぇーだのぶつくさ言ってやがる、俺はそんな実力派エリート達に上司として気さくに挨拶をしてみる…

 

「よぉ、クズども」

 

「クズじゃねーし」

 

「オメーにだけは言われたかねーよ、真のクズ」

 

誰が真のクズだ、上司に対してなんてコト言うのかね、この娘らは……だが、たしかな実力に裏打ちされたスーパーエリートである彼女達だ、全て許そう

 

「ってかナニそいつ?新人?」

 

「バカオマエ、アレだよ、たぶんデリ●ルだろ」

 

「あー…デリね」

 

「デリってナニー?」

 

「ルイ子は知らないでいいよ、あと、このオッさん近寄った孕まされるから、鬼畜のボテ腹●出しされるから近寄ったらダメよ」

 

前言撤回、コイツら後で全員、邪●→ユメは見れたかよ?→蛇咬のスタイリッシュ必殺コンビネーションで壁にメリ込ませたるわい

 

「デリじゃない、客人だ」

 

「客ぅ?」

 

俺はとりあえずアヤセ(仮)くんを、ヨコスカとかその辺から来た将来は海軍業界を考えている学生さんなのだよと当たり障りのないふわっとした感じに説明してやり、クズど……潜水艦どもは一応納得したらしい

 

「ふ〜ん………ん?テイトク、その写真…?」

 

「あ?」

 

ふと、168はテーブルに置きっ放しになっているモロに刺激的な写真に気付いたらしく、俺はただの変態だと当たり障りのないふわっとした…

 

「や、知ってるし」

 

「っーか、そいつケイタイ修理屋なのね」

 

なん………だと?コイツら、この写真の男を知っている…?俺はとりあえず手近に居た14ティンの頭部を掴みあげ、写真を目の前に押し付けた

 

「この写真の男を知っているかァァァ!!」

 

「ちょ!痛い!痛い痛い痛い痛い!テイトク!痛い!」

 

カンムスファイト国際条約第一条!頭部を破壊されたカンムスは失格となるぅ!

 

「テイトク……やめて、14ちゃん痛いって言ってる…」

 

頭部破壊寸前、13ちゃんが俺のズボンをグイグイ引っ張り精子を……ではなく、制止を求めてきたので俺は14ティンの頭部を離してやると、14ティンはゲハァとか言いながら床に崩れた

 

「………っーかオマエら、マジでコイツ知ってるのか?」

 

「知ってるもナニも、168のケイタイ作ったのそいつだし」

 

『168、私ハケイタイデハナイ、私ノ名前ハセ…』

 

「はいはい、うっさいから黙れ」

 

一瞬、168の服の胸元からガラケーみたいなのがヒョコッと顔を……顔?いや、画面?まぁいいや、顔を出したが168はそれをうっさいと言って胸元に引っ込めた

 

「そんな見ただけでわかるヘンタイ、二人も三人もいないでしょ?168達、前にハワイに行った時にそいつに会ったよ」

 

「ハワイ……だと?」

 

アヤセ(仮)の知り得る未来の情報で、たしかにドクター・モロは南の島に潜伏しているとのコトだが……

俺はアヤセ(仮)の方をチラリと見ると、アヤセ(仮)もどうやら同意見だと目で語っている

 

「よし………オマエら、俺と南の島に行くぞ」

 

「は?」

 

「は?マジで?」

 

「マジだ、旅費交通費は出してやる、あと、お土産代も一人3000円まで出してやる」

 

「マジかッ!!」

 

「ヒュー!テイトク、ボテっ腹ですってー!」

 

「…違うよ、ユー知ってる、ボテっ腹じゃないで…ドテっ腹」

 

…とりあえず、アヤセ(仮)的にも事は出来る限り秘密裏に行動したいのはヤマヤマだろうが、相手は超科学に精通する狂気のマァァァドサイエンティィィストォォォ!だ、こちらもそれなりの戦力があった方がいい

 

「ちょ…ちょっと提督、この娘達もって…」

 

「とりあえず、コイツらには事情を説明して協力させる」

 

「…大丈夫なの?」

 

「大丈夫だろ、たぶん」

 

 

こうして、俺たち未来を恐怖に陥れる元凶…ドクター・モロを倒す為に集まった乙戦士はこの日より三日後、ドクター・モロの待つ南の島へ出発した…

 

ちなみに、出発までの僅かな期間…アヤセ(仮)は基地のアホどもと当たり障りのない交流をしたらしく、この時代の母さんには改めて幻滅したり、憧れの清霜さんには複雑なものを感じたものの、アナタならきっと強くなれます!とアツくエールを贈ったそうな





次回は④

遂に集まった乙戦士、南の島超決戦!死ぬのはオメーだ!


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人造神話④

南の島超決戦の第四回!破壊を楽しんでんじゃねーぞ!

【登場人物】

仁科元大佐
狂気の天才にして狂気の変態、腕が回転してターボスマッシャーするのは当たり前

提督
最低の屑、海軍三大奥義テイトク・リベンジャーの使い手

アヤセ(仮)
言えるワケありませんよ、既に母さんを超えてしまったなんて…


「ふむ……経過は良好ですね」

 

経過観察のカルテを眺め、自らの淹れたティーをソーサーに置き、椅子に深く座り直す…

 

サンプルF295…

 

保護した時は生物として生命活動の危機的状況、これを深海駆逐艦をベースにした“素材”を使用(つか)って施術し、無事に成功して今は元気に外を走り回っているワケですが…

 

この295、私が施術()る前に別の誰かに実験体として身体中をいじり回されているらしく、その痕跡から様々な用途を想定し、その、アプローチを試みたというコトが解りました、その中の一つに、おそらくは私と同じく深海棲艦由来のベースを用いた“堕天”を試みた痕跡がありましたが………まぁ、コレではダメでしょうね、意欲と野心は感じますが、もっと広い視野でアプローチしないと生涯を費やしても徒労に終わるでしょう、痕跡から見てとれる所詮は二流三流の腕と考え…

 

あと、感情を排除しようと試みていたようですが、そんな事は私に言わせれば愚の骨頂です

 

たしかに、感情を排除する事で性能の限界を維持しつつ精密かつ機械的に動かす事により完璧な作品になると言う考え方もあるでしょう、えぇ、まぁ………そんなふうに考えていた時期が、私にもありました…思えばあの頃はまだ私も若く(ピュア)なグリーンボーイでしたねぇ

 

そして、限界を設ける事でそれ以上への可能性を閉ざす事に気付き、私も人並みに悩んでいた時期に出会った浄階殿のオカルトは私にとっては実に刺激的なものでした、一口にオカルトと言ってもそこには理路整然で画期的、そして、数式として定義できる理論があり、私の研究はまるで翼を得たように羽撃き、そこで得た結論こそ“感情の有用性”

 

魂無きものは所詮容れ物に過ぎず、そこに魂が篭る事で私の予測を遥かに超えた結果を弾き出す、まぁ………我ながら“身を斬る”形で……いえ、斬られる形で結果を知るコトになりましたがね

 

「…ん?」

 

股間の辺りに微震を感じ、穿いているパンツに手を入れてナカに仕舞っておいた携帯電話を取り出すと、着信を報せるべくヴァイヴレーション機能が働いているのでそれを開き、通話ボタンを押した…

 

『オ客ガ来テイルヨウダ』

 

「客?」

 

『アァ、ナカナカノ団体様ラシイ』

 

「ふむ…」

 

はて…?団体様ですか、まぁ、心当たりがないこともないですが……なるほど、それなりに準備に時間が掛かったと言うワケでしょうね

 

『ドウスルツモリダ?』

 

「勿論、歓迎しますよ」

 

愚か者にはそれ相応の、おもてなし、ですがねぇ

 

◆◆◆

 

「ハワイですってー!」

 

「ハワイー!ウェーイ!ハワイ!ウェーイ!」

 

「うるせーぞオマエら、ちょっと静かにしろやクズどもが」

 

ニホンから空路で約7時間、常夏の島へとやって来た俺たちは空港から出たところで常夏リゾートにハシャギ回る500と401に鉄拳を下し、酒ぇ〜とか言いながらまとわりつく14ティンの股間を蹴り上げ、すぐに目的地であるドクター・モロが住んでいる家へ向かう事をバカどもに伝えた

 

「いいかクズども、とりあえずお買い物だのなんだのはこっちの仕事が終わったらだ!オマエらがやる気を出せばすぐ終わる!いいな!」

 

「へいへい」

 

「ケチくせー大人なのね」

 

「チ●ポついてんのかしら?」

 

聞こえてるぞ、このクズどもが……まぁいい、私はCOOLだ

 

「で?168クン、その、ドクター・モロは今、家に居るのかね?」

 

「居るんじゃない?ケータイ、どうなの?」

 

168はオシャレな上着を叩くと、ポケットからひょこっと顔を?いや、画面?いや…顔でいいや、顔を出したガラケーみたいなのが168の質問に答える

 

『反応ハアル、在宅シテイルノハ間違イナイ、シカシ168、私ノ名ハけーたいデハナク、セブ……』

 

「うっさい」

 

168はケータイをパタンと折り曲げ、ポケットの奥へとねじ込んだ

 

「居るってー」

 

う〜む、168のケータイ、かなり便利なヤツだな…しかし何故168はケータイに対してあんなに厳しいのか、やはり機械と人は相容れぬ存在なのだろうか…?

 

とりあえず、俺たちは空港近くのレンタカー屋でレンタカーを手配し、目的地であり決戦の地になるやもしれない場所、ドクター・モロの家へと向かう事にした

 

ーーー

 

「………」

 

やや手間取ってしまったが無事、小型のマイクロバスを借り、移動中の車内……

俺の近くに座っているアヤセ(仮)は潜水艦のバカどもと違い、ただ一人、ずっと緊張したように押し黙っていた…

まぁ、空路の時点から今みたいな調子なんだが…

 

「どうした?ビビってんのか?」

 

「は?ビビるワケない………と言えば、嘘になるよ」

 

アヤセ(仮)は素直に緊張を認め、曖昧な笑みで俺を見た

 

「人造艦娘を造り、未来をメチャメチャにした元凶だしね」

 

「まぁ、そうなんだろうな」

 

「仮に、今の時代のドクター・モロが人造艦娘の研究とかしてない善良なヤツでも、私は憎しみのあまり何をするかわからないくらい」

 

「出来れば穏便、と言いたいがな」

 

「ハッキリ言ってムリね」

 

血の気の多いヤツだなオイ、まぁ、しゃーなしか…

 

 

空港から陸路で約一時間半強、俺たちは、ようやく目的地へと辿り着いた…

 

時刻は現地時間で夜の23時前、周囲には他の民家などはなく、だだっ広い草原が広がる岬の先にポツンと建っている一軒家が目的地のそこらしい…

俺たちはまず、いきなり家へと近づかずにちょっと離れた所にある屈めば身は隠せる草むらの中へと入って座り込んだ

 

「さて…」

 

「さて、じゃないよ、どーすんの?とりあえず扉蹴破って中に入って動くヤツは全員ぶっ飛ばす?」

 

どんだけ野蛮なんだこの未来軽巡は、この野蛮ぶり…コイツ夕張の娘なのか疑わしくなってきたのだよ

 

「野蛮かッッッ!」

 

「誰が野蛮だよ、相手がどんなモンかよくわからない時はとりあえず、まっすぐ行ってぶっ飛ばす、右ストレートでぶっ飛ばす!が、母さんが現役だった頃の基地艦隊の作戦方針だって言ってたよ」

 

「フッ、そいつはとんでもないクソ提督だな」

 

「そのクソ提督はアンタだよ」

 

そいつは俺じゃない、そいつはおそらくは世紀末α世界線の俺であり、現在の俺ではない、なにより俺はそんな野蛮人ではないのだよ

 

「まったく、ゴチャゴチャとメンドくせーコト考える必要なんてねーぜ、ユー、ロー、アレを出せでち」

 

俺とアヤセ(仮)の作戦会議にイライラきたのか、58は噛んでいたチューインガムをペッと吐き出し、指をパチンと鳴らした

 

「はいですって!」

 

「ちゃんと…持ってきた」

 

実力派エリート集団サブマリンガールズのヘッド的存在58は、後輩であり、部下であり、パシリである511と500にアレを出しなと伝え、2人がどこからとなく取り出したのは最高にゴキゲンな得物…っ!

 

「ヒュー……WG42(Wurfgerät 42)か」

 

陸上型の深海棲艦に特効が期待出来る対陸戦ロケットランチャー、最近ではあまり出番がないが、以前は夕張や大淀が全てのスロットに積み、まるでコマンドー如く撃ち尽くして静かな海を火の海に変えた事もある最高にイキでイナセなウェポン…だ

 

「とりあえずコイツであの家に一発ブチ込んで死体があったらそれでmissioncompleteでち」

 

「なんてコト言うのかねこの娘は」

 

「仮に、運良く死なずに家から飛び出して来てもどーせロクなモン持ってない丸裸同然、囲んでフクロにして後はそこから突き落とせばサメの餌にでもなるでち」

 

「なるほど、隙を生じぬ二段構えってワケね」

 

アヤセ(仮)はなるほど大した作戦だと納得しているらしいが……コイツら、命をいったいなんだと思っているのだろうか?断言する、コイツらは来るべき対話の時が訪れても次のステージに進化できない人種だ

 

「よし!全員配置につくでち!特にロー!ヤツがハウスの中から転げ出てきたらダッシュで近づいてラヂオナイフで内臓ズタズタにしてやれ!」

 

「わかったですって!がるるるー!」

 

なるほど、これが群狼戦術か…

 

そんなワケで、俺たちは早速ハウスを囲む形でそれぞれ場所を移動しようとした、その時ッ!!

 

 

ドオオオオォォォンッッッッ!!!

 

 

「な!?」

 

ドクター・モロの家が突如として爆発し、炎上した!!

 

「な…なんじゃああぁぁぁ!お、オイ!オマエら!いきなり撃つとかさすがにやり過ぎだろォォォ!!」

 

「ユー………撃ってない」

 

「ろーちゃんも撃ってないですって!」

 

「なん……だと?」

 

たしかに、二人とも肩に担いだロケットランチャーをスーパース●ープ発射態勢にすらとっていない…

そして、今の爆発は、外からの砲撃と言うよりはむしろ内側から爆発したようにも見えたが……

 

「テイトクぅ!なんか居る!」

 

「あ?」

 

「あそこ!誰か立ってる!」

 

168と401が指さす先……爆発炎上する家屋の中に、確かに立っている人影がある、全身を包む炎をまるで意に介する事なく、その人影は右腕一本で掴み上げていた別のナニか無造作にブン投げた

 

『ハハハハハハ、どうしました?そんなモノですか?』

 

 

『This feces man!』

 

『Fall into hell!』

 

『You're enthusiastic!!』

 

 

『ふむ、いけませんねぇ…他人の事を悪く言っては』

 

 

…よく見ると、全裸の男以外にも完全武装の特殊部隊みたいなヤツらが居るみたいだが、そいつらは全裸に向けて発砲しており、どうやら仲良しのお友達同士と言うワケでなさそうだ

 

そして、おそらくは爆発で服が焼けて全裸になったであろう男はサブマシンガン乱射にも意を介する事なく、完全にビビって敗走を始めた特殊部隊みたいな人達に、指からビームだの遅いですねキックだので誰一人逃がさない気は満々らしい…

 

「オイオイオイ、死んだわアイツら」

 

「テイトク!なんか話が違うですって!」

 

「相手ターミ●ーターじゃん!?」

 

俺はアヤセ(仮)の方を見ると、アヤセ(仮)は、や、私も知らないし、みてーな顔してやがる…

 

っーか俺も聞いてないんだけどォォォォォォ!!なんだこのバケモン!? ただの貧弱マァァァドサイエンティィストォォォ!じゃなかったのかよォォォ!い、いや……まさか、コイツが!コイツこそが!未来の人類を絶望のズンドコに叩き落とす人造艦……!

 

「違う、私が知ってる人造艦娘はあんなやつじゃない」

 

「違うのか!」

 

いったい何がどうなっているんだ…?

 

『………さて、こんなモノですか』

 

全裸はどこかの国の特殊部隊の皆さんを無事、皆殺しにしたらしく、動かなくなったそいつらを無造作に蹴り捨て……

 

『ふむ、まだ隠れているオトモダチも居るみたいですねぇ』

 

…まさか、こっちに気付いてやがるのか!!クッ!まさかのターミ●ーターなだけはある、なんかセンサーとかレーダー的なモンは搭載してるってワケか…!

 

「……とう………提督」

 

「なんだ?」

 

アヤセ(仮)は拳を握り締め、こちらには視線を向けずに言った…

 

「私がやる、提督達は邪魔だけはしないで、ヤバいと思ったらすぐに逃げて」

 

「あ?おい、ちょ!待て…!」

 

「大丈夫よ、私はとっくに夕張母さんより強いから、まぁ…こんなコト、プライドの高い母さんには言えないけどね!」

 

アヤセ(仮)はニヤリと笑って飛び出した!!

 

 

「ドクター・モロォォォォォォ!!お前はだけは許さねぇぞォォォ!!」

 

ガンッッッ!!!(激突!)

 

「………ほぉ、これは………私の知らない艦ですね、艤装から察するに夕張型軽巡に近いですが、ところどころ未知の要素が、これは面白い!」

 





次回は⑤、たぶん本編最後の⑤

とびっきりの超決戦!激突!破壊神ア●スVSスーパード変態・神!


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人造神話⑤

珍しく予定通りに全五回、絶望の中の希望!

【登場人物】

アヤセ(仮)
未来夕張の娘、その、ストロングスタイルは誰かに似ている

仁科元大佐(天才・変態)
狂気の天才らしく人間性に関してはかなり怪しい、間違っても“善人”ではない

提督(メガネ・変態)
今回特に何もしてない人、糖の疑いがある



激突!絶望の未来からたった一人、未来を変える為にやって来た孤独の未来軽巡、アヤセ(仮)VS孤高なる狂気の天才マァァァドサイエンンティィストォォ!ドクター・モロ

 

全人類存亡の、いや、未来への希望を賭けた死闘はかなりアツく、ハゲしいものとなった…

 

未来で人類を絶望に陥れる人造艦娘を作った天才、ドクター・モロはただの貧弱インドア科学者ではなく、天才の頭脳を搭載した野獣の肉体に神技のメス捌きを持つホンモノのヤバいヤツだった、その、強烈なパワーはたった一人で某国の特殊部隊を撃退するだけでなく、艦娘であり軽巡のアヤセ(仮)をも圧倒した、度重なる己への強化手術によりドクター・モロはヒューマンを超えたヒューマン、その、ヒューマンを超えたヒューマンを更に超えたヒューマンと言ったところか…

 

……しかし、絶望への反抗を誓うアヤセ(仮)も負けていなかった、圧倒的な力を見せるドクター・モロに対し、未来夕張の作り上げた未来夕張型艤装・ハイヤーザンスカイフェイズを発動、南の島を舞台に互角の戦いを繰り広げ、キラウ●ア火山の火口で破壊を楽しんでんじゃねぇぞォォォ!とか叫びながら戦っていた…

 

そして…ッ!!

 

「ゲ、ゲェーッ!あ、あの動作(ムーヴ)はーッ!」

 

「まさかあの技への前奏曲(プレリュード)なのかー!」

 

全人類存亡を賭けた超決戦、両者一歩も譲らない戦いは最終局面!アヤセ(仮)はドクター・モロに強烈な浴びせ蹴りを喰らわせ、その身体を空中にブン投げると、まるでサッカーボールのヘディングをするように空中のドクター・モロに何度も打ちつけて上空へと飛ばし、一定の高度に上げた後、逆さまになったドクター・モロの両腕両足を固めて落下を開始した!

 

「まさか……海軍三大奥義!テイトク・リベンジャー!」

 

「何故ヤツがあの技を使えるんじゃー!アレはテイトクの必殺(フェイバリット)のハズ!」

 

ゲェーッ!だのうるさく騒ぐ潜水艦どもの疑問はたしかだ、そして、俺はこれまでのアヤセ(仮)の戦いを見ていてどこか奇妙なものを感じていた、未来夕張の手が加えられた艤装の性能はいいとしてだ、アヤセ(仮)はやたらとインファイトを好み、その、知性溢れるファイトスタイルはどこか見覚えがあると言うか、親しみあると言うか…

 

「ぬぅ…!こ、これは…ッ!」

 

「死ィィィィィィねエエェェェェェェ!!」

 

…可愛い顔してなんてコト言うのかね、この娘は

 

◆◆◆

 

「人造艦娘?」

 

アヤセ(仮)とドクター・モロの死闘は終わった…

必殺のテイトク・リベンジャーで決着かと思われた戦いは、テイトク・リベンジャーから立ち上がったドクター・モロが自らの故障箇所、いや、怪我か?まぁ、それをまさかの死合い中にオペ開始し、無事、修理完了したところで再開となりかけたが、アヤセ(仮)のエネルギーがガス欠し、ドクター・モロは紳士的に少し休憩を挟みましょうか?と提案してきたので、俺はその提案を受け入れた

まぁ、アヤセ(仮)はふざけんなコラァ!とか言って暴れたので8っちゃんさんに本のカドで殴って貰い、今はグッスリだ…

 

「そうだ、アンタが造るらしい」

 

「ふむ…」

 

爆破されたドクター・モロの家には地下室があったらしく、俺たちはそこへ招かれ、とりあえずティーでもいかがですか?とテーブルを囲んでここへ来た事情をドクター・モロ本人に説明した…

 

「まぁ、色々と心当たりはありますが……ふむ、それは本当に私が造った作品ですかねぇ」

 

「そいつは俺にはわからん、が……この自称未来軽巡が持ってる人造艦娘の一応のデータってのはある」

 

「良ければ見せて頂いても?」

 

「別に構わないが、その前に一ついいか?」

 

「なんでしょうか?」

 

「服を着ろ、服を」

 

「あぁ、これは失礼」

 

今の今まで普通に流していたが、よく考えたらコイツ、ずっど全裸だった、しかし、全裸ではあるが戦っている最中も、変なポーズでなんかカッコ良さげなセリフ吐いてる時も、爆発やら土煙やらビームやらで大事な部分は決して映らない18歳以下でも安心して見ていられる仕様を心得ているらしく、実に紳士的な男だ…

 

「よし…と」

 

「よし!じゃねーでち」

 

「なんでその衣装棚、パンツしか入ってないのよ」

 

無事、超ステキな股間モッコリパンツを穿きこなし、ビッ!とポーズをキメたドクターは、では話を続けましょうかとテーブルに戻ってきた

 

「………ふむ」

 

アヤセ(仮)が未来から持ってきた資料では、人造艦娘は艦娘と呼ぶだけあって男型ではないらしく、この、ドクター・モロのように話し合いをしましょうか?などの対話性も皆無なそうだ…

ドクター・モロは資料をパラパラと捲り、なんともつまらなそうに溜め息を吐き…

 

「コレは私の作品ではないですね」

 

「なん……だと?」

 

「まず、品性が感じられません」

 

たしかに、技術的には私の作品に類似する点はありますがこんな中途半端でつまらない物を自分が作るとは未来永劫ありえない、と断言した

 

「おそらくは私の技術を模倣し、名を騙ったどこかのバカの造ったガラクタでしょう、まぁ…察しはつきますが」

 

そう言ってドクター・モロはもはやそれに対して興味を失くしてしまったらしく、ティーをグィーっと飲み干し、むしろ、そんなガラクタよりもあの夕張型の方が私の興味を唆りますねぇと言いつつズキイィィィンとしていた

 

「どうです?少し私に預けてみませんか?嗚呼、モチロン今よりもっと……いえ、現在とは比べ物にならないレヴェルにしてみせますよ、ただ、多少色々と手を加えますが、ア●ル以外は」

 

なんでア●ル以外なんだよ、っーかコイツはとんだマッドサイエンティストだよ

 

「そいつを望むかは本人次第だが……まぁ、無理だろーな」

 

「えぇ、おそらくは」

 

◇◇◇

 

人造艦娘………まぁ、私としてもまるで心当たりがないワケではありませんが、そうですか

 

話を聞き、これでサンプルF295の謎に関してしっくりきました……“あの国”が秘密裏に行っている実験、おそらく、そう遠くない未来にその実験が実を結び、件の人造艦娘なる世紀の失敗作が造られる未来ですか…

 

まさか独自に開発し続けた結果がとんだ破滅の未来になるとは笑えますねぇ

 

「それで?私に何か協力できるコトがありますか?」

 

「そうだな……できるコトなら、未来で暴れてる人造艦娘をなんとかする良い方法、ってのは都合が良すぎるか?」

 

「そうですねぇ」

 

資料をざっと見るに、おそらくはF295と同じ実験ベースを発展させた形でしょうが……こればかりは実物を見てみないとわかりませんか

 

ドン!ドン!ドン!

 

「ん?」

 

「なんだ?」

 

天井から音…?と考え、私を含めて皆が天井を見上げてみると、地上からの穴が開き、大鳳が転げ落ちてきた

 

「うげっぷ!……ぺっ!ぺっ!た、大佐ぁ、ただ今戻りました、あの…なんで家が?あと、この人達は…?」

 

嗚呼そう言えば大鳳とF295には先日からちょっと遠くにおつかいに行かせてましたね、どうりで居ないと…

大鳳は買い物エコバッグから撲殺ニンジンソードを抜いてグルルルと警戒するように室内を見回した

 

「彼らはお客様です、大鳳」

 

「え?あ、そうなんですか……あ、よく見たら前にスマホートンを交換してくれた人!」

 

「ハハ…どーも、相変わらずでなにより」

 

そんな大鳳と、穴を通ってヒラリと着地したF295はこれまた見慣れない人物達に驚いたらしく、大鳳の背中に張り付いて恐々と周囲を見回す

 

「大丈夫ですよしーちゃん、この人達は旅先でスマホートンを壊したバカなお客様達です」

 

「スマホー……とん?」

 

「オイ、誰がバカなお客様達だ」

 

「壊したのはおバカなセンパイ達だけですって!」

 

潜水艦娘達はアァン?だの言いつつ互いにメンチ切り合いつつオモテでるかコラァ?だの醜い争いを始め、彼らの上司はとりあえず彼女らの股間を蹴り上げた

 

「さて、とりあえずは……」

 

未来夕張型に人造艦娘、家の修理にと………まったく、退屈しませんねぇ

 

◆◆◆

 

南の島烈戦!熱戦!超激戦から早5日……

 

「従来の性能から約75%はアップしたと思って頂いて結構ですよ」

 

「…ふ〜ん」

 

未来の技術が使われた未来夕張型艤装に、現段階で詰め込めるだけ詰め込める技術を投入した未来夕張型・改と言える艤装を展開し、アヤセ(仮)はドクター・モロこと仁科元大佐になかなかやるじゃないと一応礼を言った

 

「ま、設備や資材さえあれば母さんならもっと凄いモノ作れたけどね」

 

「ハハハ、ありえませんね、何故なら、私以上の天才は未来永劫存在しないからです」

 

「アァン?」

 

しかしコイツ、わりとマザコンだよな、なんやかんや言いつつ夕張をディスると怒るし

 

「頂いたデータの範囲内でならば、この人造艦娘とやらと互角以上に戦える数値です」

 

「たしかに……」

 

南の楽園とは別の島にある仁科元大佐の秘密の研究所で、アヤセ(仮)の艤装を強化し、いよいよアヤセ(仮)は乗ってきたタイムマシンで未来へと帰る時がやって来た…

 

「コイツがタイムマシンか…っーかこんなモン、どっから出したんだ?」

 

「フフン、母さんは抜け目ないからね、ボタン一つで小さなカプセルになるボタン付けてるのよ」

 

「すげぇな未来夕張」

 

アイツやっぱ天才なんじゃないのか?しかし何故その神がかり的な頭脳をもってして浜風ちゃんを俺の肉奴隷にするクスリを作れないのか…

 

「未来夕張型、一つ頼みたい事があるのですが」

 

「なによ?」

 

仁科元大佐とその部下大鳳、そして、大鳳にしがみついて離れようとしない白髪の少女だったが…

 

「このサンプルF295も未来に同行させて頂けませんか?」

 

「はぁ?」

 

「コレには少し事情がありましてね、今、この時代に存在する事で色々と厄介な事を引き起こしてしまうんですよ」

 

アヤセ(仮)も潜水艦ども知らない話だが、あの後、俺は仁科元大佐からこの白髪少女は未来における人造艦娘のプロトタイプ的なものらしく、過酷な実験の脱走後、自分の保護下にたまたま流れついたのだが………まぁ、やっぱ奪還だの処分だの色々厄介な火種らしく、先日の特殊部隊的なのもその類だったそうな

 

そこで、仁科元大佐は現代に居場所がないなら未来に居場所を求めればいいと考え、一応、俺には事前に話をしてある

 

「こう見えて、戦力としてもアナタに引けはとりませんよ」

 

「とりませんよって………いや、そりゃ戦力はあった方がいいけど、本人はいいの?」

 

アヤセ(仮)はどうなの?と白髪少女を見て問いかける

 

「…しーちゃん」

 

「………いくよ、わたし、いく!ままも……たいさも、それがあんしんって…」

 

「嗚呼…しーちゃん!」ポロポロ…

 

大鳳はしーちゃんなる白髪をアツく抱きしめ、とにかく色々なものをギューっと詰め込んだリュックサック手渡し、もう一度抱きしめた

 

そして、別れの儀式が済み、タイムマシンに乗り込んだアヤセ(仮)としーちゃんはいよいよ未来へと帰還するべく、タイムマシンを起動した

 

「じゃあな!アヤセ(仮)!未来はオメーに任せたぞ!」

 

『……』

 

「え?なんだって?」

 

タイムマシンが光り、その姿が消えてしまう前、アヤセ(仮)の口は俺に何か言っていたようだが……まぁ、俺は読唇術は得意ではないのだが…

 

 

-さよなら、とうさん-

 

 

ーーー

 

こうして、たった一人、未来からきた孤独の戦士は未来へ帰って行った、アイツのコトだ、たぶん絶望の未来をゼッテーなんとかしてくれるさ!

 

そんかふうに爽やかに考えていたら、俺の腕に一匹の蚊が止まったので容赦なく叩き潰した

 

「…フンッ!」

 

 

人造神話編 おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

後日、某国の研究機関が襲撃され、壊滅した…

 

 

未来艦娘、人造艦娘、なかなかに面白いモノを見せて頂きましたが………来たるべき未来への可能性はやはり確実に消しておきませんとねぇ

 

「ヒッ!ヒイイィィィィィィ!」

 

「たす…助け…っ!アバ!」

 

私の与り知らない未来で、私の名を騙り、まるで美しさも品性のカケラもないガラクタを造る予定のゴミどもには相応の罰を与え、未来永劫苦しんで頂きましょうか…

 

「大鳳、生きている者は全員回収しますよ、あと、死にかけている者も死なないようにしておきさない、嗚呼、あと、死体も必要な部位だけ摘出しておくので保存しておく準備を」

 

「はい!大佐」

 

「ヒイイィィィィィィ!あ、悪魔ァァァァァァァ!!」

 

「助けて!助けてくれぇぇぇ!!」

 

モチロン、駄目です。






次回から久々のイベント海域突入編

ただ、途中で初心に帰る回があります、はい


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続続続続続続・提督と作戦とミーティング

開幕2018夏!たぶん夏…?久々の作戦海域!

【登場人物】

提督(モクモクしちょるだけ)
最初だけはイキる安心のヘタレ提督、今回も資材は十分

五月雨(青髪ロング子)
たぶん今回も登板はない気がする安心の秘書艦


「えー…初夏の大水害に列島を襲う酷暑、さらに大型台風に大地震、そしてHTML5化にifエンディング編や未来艦娘編と色々ありましたが、えー…今日、皆さんの元気な顔を見る事ができて、えー…提督としても大変嬉しく思います、えー…皆さんはこんな話を知っているでしょうか?あるところに、一匹のドラ猫がいました」

 

「うるせぇー!」

 

「何回その話すりゃ気が済むんだテメェー!」

 

本日、基地体育館にて開催された全艦集会に集まったバ……艦どもは壇上で挨拶する俺に対し、引っ込めだの話のバリエーションねぇなだの温かい罵倒と野次を飛ばしてきたが、まぁ…そんなコトは知ったコトではない、オマエらの膝が悲鳴をあげるまで上司の有難い挨拶をくれてやるわいと心の中で誓い、たっぷり50分かけて挨拶を終えた俺は香取先生に次のプログラムをどうぞと目配せした

 

「はい、提督からのご挨拶でした、続きまして、夏の基地自由研究優秀賞の発表を行います」

 

ーーー

 

「えー……では皆さん、最後に、今回の作戦海域に臨む皆さんへ提督からの御言葉ですが…」

 

香取先生はコホンと一つ咳をつき、マイクを握り…

 

「一人も生かして帰すな、全員殺せ、深海のダニどもに絶対的な恐怖と絶望を与え、慈悲深く殺せ」

 

 

『『『ウオオオオォォォォォ!!』』』

 

 

集まったバ……いや、艦達は皆、ウ●ォーさんみたく雄叫びをあげて久々に始まるアツき戦いに誰もが興奮が止まらねぇぜー!と心を一つに一致団結するナイスガッツを見せた…

 

「よろしいですか?提督」

 

「あ、あぁ、うん」

 

俺はただ単に、皆に頑張ってくれたまえと激励を贈るつもりだったが……さすがは香取先生だ、バカどもにわかりやすく、懇切丁寧に伝えてくれるとは……まったく、香取先生の常に教育者たる姿勢はいつだって俺の心をアツくしてくれる、うん、まぁ、提督としてはあそこまで言うつもりはなかったけど、うん

 

◆◆◆

 

「さて、まずは今作戦の概要について聞こうか?」

 

作戦期間中は喫煙可となる執務室、その執務室にある提督様専用の提督様椅子に深く座り、我が右腕にして“戦士の中の戦士(マルダーンフ・マルダーン)”である秘書艦、五月雨に資料的な物を出すように伝えると、五月雨はよくわからない動物のイラストがプリントされたファイルを俺の机に置いた

 

「大まかには、いつものように前半戦と後半戦がある感じで前半戦3、後半戦2の少し大きめの中規模作戦……とのコトです」

 

「カッカッカッカ!こやつめ!」

 

中規模か、カッカッカッカ!中規模か!まったく……上からお達しがある中規模なんてのはデタラメだよ、ナニが中規模だッ!!!いい加減にしろよ!どうせ1海域3ゲージとかあるんだろ!騙されねーからな!

 

「ふむ……で?まずはお馴染みの水雷戦隊か」

 

「はい、敵旗艦には例の新型潜水姫が居るそうです」

 

「ヤツか…」

 

あの可愛いツラして口悪いクソガキ野郎か、なるほど…

かつて潜水艦の姫級と言えば、見かけ倒しオブ見かけ倒しのサンドバッグ姫が居たが最近見なくなったなアイツ、春雨のハナシでは深海辞めて地元に帰り、今はコンビニのレジ打ちしてるらしい…

 

「相手にとって不足はない、たつ……いや、五十鈴さんを呼べ」

 

「あれ?今回は龍田様じゃないんですか?」

 

「バカを言え、潜水艦と言えば五十鈴さん、五十鈴さんと言えば潜水艦、五十鈴さんに潜水艦は通用しない、これは既に常識…」

 

まぁ、こないだマミー屋でダベってた時、五十鈴さんが次の作戦海域は絶対出せよ!って胸ぐら掴まれて脅され、こっちもオパーイ掴んでOKしたのも常識…

 

「はぁ…?じゃ、五十鈴さんに声をかけておきますが……メンバーは五十鈴さん任せで?」

 

「そうだな、好きに選んで……いや、リベッチオだけはメンバーから外すように伝えておけ」

 

「はぁ?」

 

ざっと概要を読んだ限り、後半戦では海外艦になにかしらの役があるやもしれん、ならば、敢えてここはリベッチオの登板は控えさせるべきだろう…

 

「わかりました、じゃ、五十鈴さんにスタートで登板なのでメンバーをと伝えてきますので…」

 

「うむ……あ、待て、五月雨」

 

「なんですか?」

 

「コーヒーくれや、冷蔵庫に入ってる缶のやつ」

 

「ご自分でどうぞ」





次回は南西作戦海域方面バリ島沖

目覚めた王の戦線布告!


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作戦準備!後方兵站線確保

特にネタバレのない安心の雑な仕様
軽1駆4で行きました第1ステージ

【登場人物】

潜水新棲姫(潜水艦)
通称クソガキ姫、バカンスにやってきたら海軍に襲撃された

浦風(丁)
最近新しい力を手にいれたスペシャルな存在
谷風クンとは仲が良く、よくつるんでザリガニ釣りをしている


激突!南西作戦海域inバリ島沖…

 

チーム必勝の先陣を切りたい大事な開幕戦、人類最強の潜水艦狩りの達人、五十鈴パイセン率いる対潜正レギュラーはBOSSへの最短コースを抜け、新しい潜水棲姫ことクソガキ姫との戦いへと突入していた…

 

「出たーッ!五十鈴サンの破滅への輪●曲!」

 

「ソナーで弾き、爆雷で確実に仕留める五十鈴サンの美技!」

 

「勝つのは五十鈴!勝つのは五十鈴!勝者は五十鈴ー!」」

 

出だしから絶好調、ここまでパーフェクトゲームで深海通商破壊艦隊を一切寄せ付けない完璧なゲームを展開…

ここ最近、第一線からはやや退いていたとは言え、やはり五十鈴パイセンの実力に偽り無しだとチームの仲間達は改めて感じると同時に、チームになくてはならない存在だと確信していた…

 

「ツルスケじゃねーの!」

 

『イタイッ!ヤメテヨッ!!イタイ!イタイ!チョ…イタイ!』

 

今回のヤツらは出来が違うッ!おそらくはこの戦いの為に万全の仕上がりでゲームに臨んでいる…ッ!

 

遅めの夏休みをバリ島沖で満喫するんだぁ~ウヘヘヘ~……

 

そんな浮ついた心で来た自分達とは違う!潜水新棲姫はウッギャアー!だの叫びながら沈んでゆくチームメイト達にスマナイと謝りながら涙した…

 

『潜水新棲姫クン!』

 

『潜水新棲姫クン!ココハオレタチニ任セテ!』

 

『イ……イ級!?』

 

潜水新棲姫を守るように、二匹のイ級がここは俺達任せて早く逃げるんだ!とアツいナイスガッツと共に、五十鈴パイセン率いる部隊の前に立ちはだかった!しかし……ッ!

 

「なんだコイツ?カワイイなぁ?」

 

「アハハハ、イイ感じィ…」

 

イ級Aは皐月のニードロップで、イ級Bは文月のチキンウィングクラッチでそれぞれ破壊され、反吐をブチ吐きながら沈んでいった…

 

『イ級…ッ!チクショウ……チクショウ!オマエラ絶対許サナイカラナ!次ハカナラ…』

 

「なんじゃあ?随伴艦が沈んで即退散とはとんだ腰抜けサンドバッグじゃのぉ~?」

 

『…さんどばっぐ?』

 

一緒に遊びに来た仲良しの随伴艦も失い、涙していた潜水新棲姫を煽る一言…っ!今回五十鈴率いる対潜正レギュラーに抜擢された第十七駆からの刺客!新たな力、丁の力を手に入れた凶暴なるアバレ乳!浦風

 

『取リ消セヨ………!今ノ言葉!』

 

潜水新棲姫 煽り耐性 0

 

「アァン?何度でも言うちゃるわボケェ!」

 

◆◆◆

 

九月に入るとめっきり涼しくなった厳しくない残暑の執務室…

 

大事な大事な緒戦を執務室で五月雨の買ってきためんべいをボリボリと食べながらテレビで観戦していた俺は喉がアレなので五月雨にティーを淹れてくれたまえと懇切丁寧に伝えると、1リットル麦茶のペットボトルを机の上に置かれた…

 

「オイ、グラスは?」

 

「あぁ、いるんですか?グラス」

 

こやつめ……知ったふうなツラして地味な嫌がらせしおって…まぁいい、そんな青髪ロング子を、寛大なる心で許そうじゃないか

 

「で?どうなんです?チーム五十鈴さんは?」

 

「ん?あぁ、今、浦風が沈めた」

 

丁になった浦風のニュー必殺技(フェイバリット)!空中で逆さまにした相手の両足を掴み、両足で顎を抑えつけて落下して海面に叩きつける変形ドライバー、浦風ドライバーが炸裂し、クソガキ姫はまるで犬●家みたいにブクブクと気泡を残して沈んでいった…

 

「へぇ〜、さすがですね」

 

「伊達に丁とかワケわからん改装してたワケじゃなかったな、アイツ」

 

「そうですね」

 

浦風か……正直、ちょっと頭下げたらパ●ズリぐらいしてくれそうだなコイツぐらいにしか思っていなかったが、これは考えを改める必要があるな、ヤツはこれからの大対潜時代を席巻する台風の目になるだろう

 

「まぁいい、帰って来たらシャワーでも浴びて全身エステにでも行って来いと伝えてやれ」

 

「はぁ?」

 

「あぁ、そうそう、浦風は中破したまま執務室に来いと伝えておけ………一人でな」

 

「ゲスか」

 

「ゲスじゃない、提督だ」




次回は第2ステージ、海峡奪還作戦


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海峡奪還作戦

羅刹の第二ステージ
名前だけはちょいちょい出た四女が今更登場

【登場人物】

重巡夏姫(バカンスmode)
安心の出オチ

集積地棲姫(バカンスmodeⅡ)
ニホンの字は小さくて読めない、でも安心、このハ●キルーペなら!

羽黒(四女)
妙高姉妹の末妹、その翼はドス黒い




『ヴェアヴェアヴェア!ブスイナヤツラ………ッテ痛ァァァァァ!!チョ!痛イ!』

 

第二ステージ前半戦、チームを率いるのは妙高姉妹の末妹にして、姉妹で最もヤバいヤツと名高い姉妹の最終兵器、羽黒が出陣

 

あの、長女妙高にも羽黒だけはヤバい、この妙高すら思わずブルっちまうぐれーヤバいと言わしめ、天敵でありライバルでもある高雄姉妹にも羽黒とヤる時は最低でも三人以上でかかれと警戒されているまさしく悪鬼の中の悪鬼…

 

暗黒の羽根を広げた獄鳥の魔拳が実戦でバクハツし、重巡夏姫の内臓もバクハツした

 

『ヴェェェェェェ』ビチャビチャ…

 

「なに人の顔見て吐いてるんですか?失礼じゃないんですか?」

 

『内臓……チョ、内臓破裂シタ!モ…モォ無理…』

 

「じゃあ、死ねよ」

 

◆◆◆

 

執務室のテレビで輸送作戦の様子を見ていたと思ったらいつの間に惨殺劇になっていた不思議…

カメラ係である霞の手が震え、映像はブルブルと震えていたのがまたなんとも現場の空気、そして迫真のリアリティを演出してくれたのがたまらないのだよ…

 

「フーッ〜……ん、オイ、灰皿は?」

 

「さっき自分で吸い殻捨てるついでに洗うとか言って持って行ったじゃないですか」

 

そういやそうだったな、つまり灰皿はトイレの手洗い場に置きっぱなと言うコトか、まぁいい、とりあえず灰皿は空き缶で代用するとしよう…

 

「さて、我が秘書艦サミッフェルト、我々は次にどう動くべきか……卿の意見を聞かせてくれ」

 

「作戦的には次に集積地なんちゃらを燃やす感じらしいですけど…」

 

「うむ」

 

集積地なんちゃら……たしか何度か現れた事があるインドア眼鏡みたいなヤツだったな、うん

アイツはたしか陸上型的なアレなので衝撃の三式弾(さんしきブリット)やフルウェポンランチャーが有効打だったと記憶しているが…

 

「とりあえず対陸装備でぶん殴ればいいかと?あと、五月雨です」

 

「…ふむ、卿の意見を是とする」

 

◆◆◆

 

第二ステージ後半戦、前半戦と一部メンバーを入れ替え、新メンバー、スカイ・ママことMAJORからの刺客!イントレピッドを投入しての後半、チームは多少危なげない場面も目立ったものの、現在海域を制圧しているBOSS!集積地棲姫の居るポイントへと辿り着いていた…

 

『ヤメロォ!!ヤメテクレェェェ!!』

 

「おーおー、この物資はよう燃えるわい」

 

「オイ、ガソリン持ってこい、ガソリン」

 

『ヤメロォ!!』

 

………深海前線集積地、少し遅めの夏休みを過ごしていたら、突如としてやって来た海軍の部隊に、せっかく集めた資材に火をつけられた

 

「オイ、こっちの箱なんだ?」

 

「わかんね、とりあえず燃やすか」

 

『ヤメロォ!!』

 

燃えていく!!あの箱にはルネサンス期を代表する至高の絵画達が…!!

 

『チクショウ……チクショウ!!ナンデ、ナンデコンナ非道ナ事ガ!!ナンデコンナコトガデキルンダァァァァァァァ!!』

 

深海の仲間達に本物の“美”を間近で見てもらいたい!そんな情熱の元、深海初!ルネサンスを代表する名画達展を開催するべく集めて回った至高の名画達が燃えていく様に集積地棲姫は悔しさと悲しさ、そして、怒りに震えていた…ッ!

 

しかし!ヤツらは強く、そして集積地棲姫に、この蛮行を止める力は無かった

 

いきなりランチャーみたいな鈍器で後頭部を殴られ、フラついたところを羽交い締めにされ、執拗に内火艇パンチをボディに喰らい、光る吐瀉物を撒き散らしているのが現実…

 

『ヤメテ、ヤメテクレェェェ…』

 

「せっかく集めた資材を目の前で焼かれる気分はどーだ?あ?」

 

『オマエラハ……人間ジャナイ!!』

 

チームを率いる羽黒は集積地棲姫に“ハッ!そいつは最高の誉め言葉だ”と言い、下腹部に蹴りを入れ、霞と霰にそのゴミ片しとけと言って集積地棲姫から背を向けてその場を離れ、ポケットに入っている携帯電話を取り出すと素早くダイヤルボタンを押し、耳に当てた…

 

『もしもし?羽黒、どうかしたの?』

 

「あ、もしもし?足柄お姉ちゃん!私、うん!うん!大丈夫だよ!私ちゃんとできたよ!うん!今から帰るから!うん、え?今日はカレーなの?やったぁ!うん!急いで帰るからね!じゃあね!うん…」

 

ピッ…!(通話終了)

 

「…オイ、片付いたか?」

 

長女妙高すら手がつけられず、思わずブルっちまう悪鬼の中の悪鬼、羽黒…

そんな全身凶器・羽黒も、一つ上のお姉ちゃんにだけは末っ子として振る舞える事がこの世で生きる何よりも幸せな事だった………ぶっちゃけ、長女と次女はどうでもいい、目障りな高雄姉妹もどうでもいい、喫煙所でタバコ吸ってるおっさんもどうでもいい、羽黒にとって、足柄だけが全てであり、全は足柄、一は足柄、これがこの世界の法則である

 

「ハイ!終わりました!」

 

「まったく!最低のクズだったわ!」

 

霰のマグナム内火艇がありえない程メリ込み、集積地棲姫はガクガクと痙攣した後、動かなくなったので更に腹に蹴りを入れて海面に蹴り飛ばし、羽黒はチームメイト達におっさんに作戦終了のメール送っとけと指示を出した

 

「よぉーし、帰るぞオマエら」

 

「うィース」

 

「あ~…腹減った~」

 

「帰ってマミー屋行くべ、マミー屋」





次回は作戦期間中でもロー●ンコラボ回


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提督とガンビアとロー●ン

帰ってきたロー●ンコラボ回、ダンボールだけ買った

【登場人物】

提督(大人だよ)
鉄拳チ●ミ、DEARB●YS、なんと孫●を読んで育った大人

ガンビア・ベイ(米)
ボクの国から来た護衛空母、寝る時はハダカにGパンじゃないと眠れない開拓精神の塊


男にはたまには外で一杯ひっかけたい夜もある

 

そんな男の多分の例に漏れない男である俺は街の飲み屋でちょいと一杯ひっかけ、この夏なのか秋なのかよくわからない作戦海域を頑張ろうと改めて心にキメ、基地への帰路を歩いていると、胸元のポッケにタバコがない事に気付き、どうしたものかと考えていると、たしか近所にロー●ンがある事を思い出した…

 

「…よし、そろそろ行くか」

 

立ち小便を済ませ、スッキリしたところでロー●ンへと向かう……たしかあのロー●ンは海風ねーちゃんがバイトしていたな、ついでにからあ●クンでも買ってやるか…

 

そんな部下への気配りを忘れない完璧提督である俺は早足で深夜のロー●ンへと向かい、その、自動ドアをくぐり店内へと足を踏み入れ…

 

「有り金だァ!レジの中にある金全部出せ!」

 

「ヒイィ!!ヒィィィィィ!!」

 

…レジの前で、フルフェイスヘルメットを被った男が凶器を手に、レジにいたキンパツボインの店員さんを脅していた

 

「よし…」

 

とりあえずジャ●プでも立ち読みするか、それからヤン●ガでも読んで………あ、そーいや月マ●に俺の少年時代から学生時代、そして社会人になった後も長い付き合いと続き、2017年に24年間の連載に幕を閉じたバスケ漫画、DEAR B●YSがまさかのact4となって帰ってくるらしい、まったく……どうやらまた月マ●とは長い付き合いになるらしいな

 

「あ、テ!テイトク!テイトクですよね!」

 

その、ビッグボインにP90的なサブマシンガンの銃口を押しつけられている店員………たしか、この春ぐらいにアメリカから来た空母、ガンビアくんだったか…?

なんでこんなトコでバイトしてんだよコイツは……アレか?やっぱサラやインピみたくMAJOR級の活躍がない分、生活がアレなのか?

 

「ゴートー!ゴートーです!タスケ……タスケテくだサーイ!」

 

「テイトク?知らない名前だな、俺はただ、深夜のコンビニにタバコを買いに来ただけの善良な一般市民だ」

 

「ウエエェェェェ!?」

 

まったく、コンビニ強盗なんぞに関わり合いなってたまるかいメンドくせぇ、俺はただ、タバコを買いに来ただけなんだ

 

「チッ!まさかこんな深夜に客が来るとは………クソッ!はやく金をよこせ!あとそこのオマエ!両手を上げてこっちに来い!オレは本気だからな!」

 

コンビニ強盗は予期せぬ来客に焦ったのか、レジのガンビアを急かし、俺にも銃口を向けてさっさと来い!と命令してきた

 

「はいはい…っと、両手を上げてね、っと」

 

「よーし!おとなしくしてろよ!」

 

こーゆー時は逆らっても犯人を刺激するだけだしな、それに、俺はただタバコが買いたいだけだ、早く強盗を済ませてお引き取り願おう

 

俺はコンビニ強盗の指示通りにおとなしく両手を上げ、ガンビアくんはベイベイ嘆きつつレジを操作していると、店舗の外からパトカー特有のパトランプのサイレン音がこっちに近づいて来る…!!

 

「チッ!もう来やがった!………クッ!こうなりゃ立て籠もるしかねぇ!」

 

「ハァ!?」

 

「ウエエェェェェェェ!?」

 

ーーー

 

コンビニ強盗発生から40分……店舗はケイサツにより完全に包囲され、キャットの子一匹も逃げられないであろう状況となっていた…

 

「チクショウ!完全に囲まれちまった!」

 

フルフェイスヘルメットはなんてこった!クソッタレと言いつつイライラを募らせ、俺とガンビアはとりあえず犯人を刺激しないように、レジの前で二人して体育座りをしていた…

 

「テ、テイトク、わた、ワタシ達どーなるですかー?」ヒソヒソ

 

「大丈夫だ、とりあえずおとなしくしときゃいいだろ」ヒソヒソ

 

「ぅぅ…ナンデ、ナンデこんなコトにィ…」ヒソヒソ

 

ガンビアくん曰く、ぶっちゃけ金が無いのでどうしたものかと悩んでいると、JAPAN空母の加賀パイセンが“金無いならバイト紹介してやるよ、ダイジョーブ!キミ可愛いからすぐ稼げるって!な?やろーよ!な?ダイジョーブだって!”と紹介してくれたのがこのコンビニらしい

 

「そういやガンビアくん、キミ、たしかズボンにリボルバーとか入れてなかったかね?」ヒソヒソ

 

「無いデース、ワタシのGUNはロッカーに入れてマス」ヒソヒソ

 

う〜め、そいつは困ったなオイ、仕方ない……ここはおとなしくケイサツが事件解決してくれるのを待つか

 

「クソッ!もうこうなりゃ人質二人ともブッ殺して逃げるしかねぇ!!」

 

「ハァ!?」

 

「ウエエェェェェェェ!?」

 

ナニ言ってんだこの野郎ォォォォォ!?バカか!?バカなのか!?どんだけ短気なんだよコイツ!!

 

「待て待て待て待て!!まぁ待ちたまえ!強盗しに来ただけなのに罪を重ねるのは良くないと思うなー!ぼかぁー!」

 

「なんだと…?」

 

「ここはほら、出来れば穏便に強盗だけで済ませましょうよ!ね!ほら!ガンビー!ガンビーも言ってやれ!」

 

「エ?あ、そ、そーデス!レジにはなんと4万エーン入ってましたし!」

 

「しかし、外は既にケーサツに包囲されている…っ!キャットの子一匹逃げられねぇ!」

 

「諦めるなよッ!!まだ手はある!」

 

「そーデス!ほら、オデン!オデンでも食べて落ちついテ!」

 

とりあえず、俺たちはオデンを食べつつ彼が立派に強盗し、なおかつ安全かつ確実に逃走できる手段を話し合うべく、酒類などを交えつつディスカッションを始めた…

 

コンビニはいい、酒、タバコ、食い物、なんでもある…

まったく、こーゆー時はコンビニで良かったぜと感謝したくなるな

 

「とりあえずアレっすよ!アレ!せっかく人質取って立て籠もってるんすから、やっぱアレやらないと!」

 

「アレ…?」

 

「そう、アレ、こう……ほら、女に銃突きつけて一枚一枚脱がす的な?」

 

「ヒュー!アンタわかってるなメガネの人!……ま、まぁ、オレもアレだよ、ホントは銀行とか襲いたかったんだけどさ、寝過ごして15時過ぎちまって銀行閉まっちまったからどうしたモンかと思い、妥協してコンビニ襲っちまったけどよ」

 

「あー…だからP90とか持ってたんですか?いやぁ〜、だと思ったんですよ、普通コンビニには出刃包丁とかカッターナイフとかじゃないですか」

 

とりあえず、俺の助言の基、犯人はガンビアに撃たれたくなかったら脱げと脅し、ガンビアはベイベイ言いつつも上着を脱ぎ…

 

「んほぉ!!さすがアメリカさん!服の上からでもMAJOR級だったが、脱ぐとホームラン王だ!」

 

「オイオイオイ、俺のコルク入りバットがフルスイングしちまうぜ!」

 

「ウエエェェェェェェ…ナンデェ、テイトクも犯人の一味みたいにィィィ…」

 

アイオワやサラトガ、スカイママにも決してヒケを取らないMAJORの実力……まったく、コイツはとんだKUROFUNE来航だな!俺たちのサムライソードが思わずKAIKOKUしちまいそうだぜ

 

「よし、ガンビー、口開けろ、口!」

 

「ウエエェェェェ!?い、イヤですよ!レ……レ●プする気ですか!?マ●す気ですか!?あ……いや、まさか“オイオイ、こっちが空いてるじゃネーノ”とか言ってエロ漫画みたいに前だけじゃなく気軽にア●ルもFUCKするつもりですかァ!?」

 

「バカ言ってるんじゃないよこの娘は、ほら、オデンを食わせてやろう」

 

「あ、オデン…」

 

俺はアツアツのダイコンを箸で掴み、ガンビーの口に突っ込んでやった

 

「アヅゥイ!?アヅ!アヅゥゥゥ!!口が!アヅ!アヅ、胸に汁当た……アヅゥゥゥ!!」

 

「ちゃんと噛んで食えよ、味わってな…」ニマァ…

 

「スゲェ………このメガネ、なんてワルなんだ!キンパツボインっ娘の口に無理矢理オデンを挿入し、なおかつそのアツアツのオデン汁を胸に滴らせる事で痛みを…っ!あ、悪魔的発想………っ!!」

 

ーーー

 

おはようございます、五月雨です

朝、食堂で朝食を摂りつつテレビを見ていると夜に近所のコンビニであったらしい事件のニュースを流してました…

 

 

逮捕された模様です!今、逮捕された模様です!ケイサツの機動隊が突入し、今、犯人が逮捕されて店外に引きずり出されてきました!

 

『ヤメロォ!!』

 

『オレは犯人じゃねぇ!!オレは被害者だろーが!』

 

犯人の男は2名、人質となっていたのはアメリカ国籍のアルバイト店員、ガンビア・ベイさん、ガンビアさんは犯人の男達にレイ……いえ、レ●プはされなかったようですが服を脱ぐように強要され、あ、今、出てきました、泣いていま…

 

プッ…(テレビOFF)

 

「…間宮さん、お茶のおかわり貰えますか?」

 

「はいはい、アツいのでいい?」

 

………なにやってるんですかね、あの人




次回はたぶん第三ステージ
西方敵前線泊地を叩け!①

たぶん


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西方敵前線泊地を叩け!①

第三ステージ!戦慄!トリプルゲージ!

【登場人物】

港湾夏姫(!)
安心の陸上型夏姫、出オチ要員かと思いきや、まさかの後半戦最大の癌

泊地水鬼(M)
まさかの泊地じゃない泊地、M女

提督(ドS系鬼畜眼鏡上司)
説明はパラっと見て、だいたいわかった、で済ませる
マジでだいたいしかわかってない



前半戦の最終海域、第三ステージ!

 

前半戦だと言うのにトリプルゲージを採用してくる凶行にセンチメンタリズムな胸のドキドキが止まらないのだよと納得しつつ、とりあえずは港湾なんちゃらを叩く感じらしいので、マグナム内火艇やら陸戦隊が積めるヤツを使いたいところだが…

 

「ミカァ…やってくれるか?」

 

朝、食堂でまるごとバ●ナを食べていた三日月と目が合った俺は、コイツならやってくれる!そうさ、ミカならどんなタフな状況だって俺の期待に応えてくれる、まるごとバ●ナを口いっぱいに頬張りながらも死んだ魚みたいな目をしたミカ、あの目は裏切れねぇ……どう見ても何も考えてないか、今日の昼何食べてようかなぐらいしか考えてなさそうな目だが、ミカはいつだって俺を奮い立たせてくれる

 

ーーー

 

セイロン島南部 深海占拠港湾部隊…

 

『フザケタ…ヤツラメッ!ココデシズメテ…ヤルワッ!ッテ!!アイッタァァァァァ!!』

 

第三ステージにて待ち受ける最初の壁、港湾夏姫、二年前のマレー沖と、昨年のマルタ島沖に出没し、戦艦ビスマルクにボコられたり、膝の皿を割られて転げ回った過去を持つ彼女だが、今回こそバカンスを楽しみたくセイロン島へとやって来たのだが…

 

「衝撃のファーストブ●ットじゃあ!!」

 

『グエェェェェェェ!?』ビチャビチャ…

 

ボディに容赦無くメリ込む三式弾と言う名の利根の鉄拳に、思わず前のめりになり光る吐瀉物を撒き散らし、早々と命乞いをするか否を考えた港湾夏姫だったが…

 

「コレ………たしか、こう使うんだっけ…」

 

『ヒ、ヒィィィィィ!』

 

ロケットランチャー的な鈍器を両手で掴み、ブンブンと素振りする三日月に戦慄する港湾夏姫は、もし、アレで殴られたらタダじゃ済まないと直感した、そして、まだあっちで腕を組んで立っているだけの戦艦もヤバいと本能が察していた

 

「あー……やる気ないわー」

 

金剛姉妹の次女、比叡は長女金剛が此度の作戦海域には一切参加しないと明言し、己を見つめ直し“倒す”ではなく“勝ち”そしてその先にあるもの……“一撃必殺とは何か?”その答えを探すべく休暇を取ってフラリと旅に出てしまった…

それにより比叡は……いや、むしろ比叡だけでなく、榛名や霧島も、今回は特にやる気を失っていた…

 

『ト、トニカク…アイツニダケハ近寄ラナ………ウッギャアアアアア!痛ァァァァァァァ!ナンカ刺サッタァァァァァ!!』

 

「チッ…ちょっと外したか」

 

「赤城サン!やっぱ目ぇ狙わないと!目!」

 

「オイオイ…オレぁ加賀みてーにドSじゃねーんだからよォ~…そんなカワイソーなコトしねーのよ」

 

「ヒュー!赤城サンマジ菩薩!」

 

◆◆◆

 

すげぇよミカは……久々の出番だってのにカスリ傷一つしか負わねぇ超反応、機銃も持たず勘だけで小鬼を叩いちまう、それに、前は苦手だって言ってたWG42も今じゃまるで手足の延長みてぇに扱えている…

強くて、可愛くて、愛嬌もある、鹿島先生曰わく、今じゃ分数のかけ算だってスラスラらしい……ミカはいつだって情けねぇ俺に勇気をくれる

 

「まったく、三日月は最高だぜ!」

 

「…はぁ?」

 

執務室のテレビで現場の様子を見ていた俺に、五月雨は“あぁ、やっぱり…”みたいな顔をしていたが、間違っていけない、俺はたしかにミカの事を最高だと思ってはいるが、別にロリコンなワケじゃあない、ただ、ミカだけではなく、駆逐艦のアホガキどもを見ていると、その純粋さに照らされ、俺も自分を偽らずに素直に生きられると考えているだけだ

 

「とりあえず前半戦は勝ったみたいですね」

 

「みたいじゃないで勝ったのだよ」

 

さて、次は死のトリプルゲージ三連戦の二本目か…

俺は冷たい麦茶を机に置く五月雨に、資料を見せ、卿はどう思うかね?と問う…

 

「え〜………泊地水鬼、あぁ、たしかこの人、前にも見ましたね」

 

「うむ、いつだったかは曖昧だが…」

 

たしか三年ぐらい前にどっかで見たな、なんか殴ると痛い痛い言いつつ気色の悪い笑いを浮かべる生粋のM女だった気がするが…

 

「たしかコイツ、陸上型的なアレだった気がするし、例によって三式弾ナッコォでブン殴ればいいか…」

 

「はぁ?」

 

「よし、ではこれより新たに連合艦隊編成を編成する!サミンゴル、卿から何か言いたい事はあるか?」

 

「…そうですね、とりあえず、書類はよく読んだ方かいいんじゃないかと?」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!」

 

◆◆◆

 

セイロン島南西沖方面、深海前線用艦棲泊地…

 

『モウトベナイノ…ネェ?トベナイノ?ワカル…?』

 

帰ってきた戦慄の真性ドM深海棲艦、泊地水鬼…ッ!かつてステビア海にて我々の前に立ち塞がり、デンプシー三式弾をその身に被弾、M全開のセリフとM特有のキショい笑いを残し、提督だけでなく殴った本人達ですらマジキメぇと戦慄させたまさしくMasochism monster…

 

「撃滅のセカンドブ●ットじゃあァァァァ!!」

 

まずは第一戦から続投、利根が挨拶代りにボディにブチ込む三式弾ナッコォ…!しかし!!

 

「こ……コイツ!まるで手応えがないのじゃあ!!」

 

「なん……だと?」

 

弱点であるハズの三式弾がまるで通用していないッッッ!!帰って来た泊地水鬼は、その、柔らかそうなお腹をナデナデしてウフフ…ウフフ…と不気味な笑みを浮かべている

 

「ヤツに………三式弾は通用しない!」

 

「つまり、どーゆーコトだってばよ?」




次回②
戦慄!泊地水鬼!と芋くさい軽空母とキモい鳥!


………と、思ったけど、やっぱちげーわ
次回は何気に500回目、初心に帰ります


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提督と底なしの奈落

なんやかんやでダラっと500回、500回目もダラっと平常運転

【登場人物】

提督(ヘタレオブヘタレ)
甲勲章は一つも持たないヘタレ

五月雨(秘書艦)
めんどうくさがり屋、一応付き合ってくれる

浜風ちゃん(出番なし)
真面目な良い子


「さて、なんやかんやでハンサムな提督が有能かつ芸術的に部下達と共に勝利に導く一大叙情詩、ハンサムーン戦記も500回目を迎えたワケだが…」

 

暑いのか寒いのかよくわからない季節の変わり目に突入したであろう初秋の執務室、俺は自分のデスクでなるたけ重厚感溢れる感じに机に両膝をつき、秘書艦席に座る青髪ロング子に、卿はどう思うかね?と問う…

 

「はぁ…?そうですね、500回ですか……メタいコト言いますね」

 

こやつめ、実に冷静で的確なツッコミを……だが、全て許そう、何故なら私達は“完璧”なのだから

 

「さて、では…節目と言うコトで今回も浜風ちゃんをレ●プしたいと思う」

 

「そんな毎回レ●プしてるみたいなコト言って…」

 

「やはり私としてはクロロフォルムを用いて意識を狩りとり、薄暗い部屋に連れ込んだ後に四肢をベッドに縛るのが良いと思うのだが……卿はどう思う?」

 

「いや、毎回毎回同じコト言ってますけど、そもそもレ●プどころか未遂にすら持ち込めないヘタレオブヘタレな現実に対して目を向けるべきでは?」

 

「なん……だと?」

 

こ、こやつめ…!実に冷静かつ的確に痛いところを突いてきおるわ!たしかに……俺は未だに浜風ちゃんが好きな音楽のジャンルすら知らないし、楽しくお喋りしたコトすらない仲ッ!目を合わせただけでなんか気恥ずかしくなり目を逸らしてしまい、逸らした先の浜風っぱいをガン見してしまうぐらいだ…

 

「なるほど……ククク、そうか、なるほどなるほど、卿の意見は正しい」

 

「はぁ?」

 

たしかに、俺は今まで浜風ちゃんをレ●プしたいと言う欲望が先行し過ぎて大事なコトを失念していたらしい

 

レ●プとは則ち戦いであり、ヤるか、ヤられるか、レ●プをする者はモチロン自分がヤられる覚悟が必要なのだ、つまりは膣●射精していいのは腸●射精される覚悟があるヤツだけだ!

 

「つまりサミダリューン、卿の意見はこうだな?格闘技とセ●クスは似ていると…」

 

「…はぁ?」

 

五月雨はナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?みたいな顔をしているが……なるほど、さすがは我が頼れる秘書艦、10のレ●プを極めしレ●プマスターと呼ばれしまさしく真の勇者よ

 

「…まぁいい、たしかに今までの俺は些か後ろ向きであり、積極性に欠けていたのは認めよう」

 

「積極性はそれなりでしたよ?それなりに」

 

「だが!今回は違う、俺はヤると言ったら必ずヤる!」

 

「…はぁ?」

 

そう…“犯す!”じゃない!“犯した!”なら使っていい!“ブチ犯す!”と頭の中に思い浮かべた時には、既に“行動”は終わっているのだ!

 

「よし、では行くぞ…付いて参れ」

 

「え?ノープランですか?」

 

「ノープランじゃない、俺には既に視えているのだよ、未来が」

 

そう、見果てぬ先まで続く俺達の戦いのロードがなッ!!

 

◆◆◆

 

「本日のオススメはブルーベリー・カオス・MAX・パフェです」

 

「チー……いや、そこのティラ・ミスでも貰おうか、あとコーヒー」

 

「私も同じもので」

 

「本日のオススメはブルーベリー・カオス・MAX・パフェです」

 

甘い物も辛い物も販売する、常にゴキゲンな価格設定で販売するスイーツショップ・マミー屋、スイーツではなくスウィーツと呼ばないとイチイチ文句タレる心は狭いがケツはデカい間宮の営むこの店で、俺達は浜風ちゃんをイイ感じにアレするべく綿密なプランを立てる為、ま、お茶でも飲みながらハナシでもしよーやとやって来たワケだが…

 

「3550円です」

 

「高けぇよ、なんで恥ずかしげもなくそんなクソ高い価格で勝負できるんだよオマエは」

 

「高くありません、適正な価格設定です」

 

相変わらずタチ悪いなコイツ……だが、超強気の価格設定なだけあって味は確かだ、正直言って吐きそうになるほど美味い、一口で身体中のグ●メ細胞が歓喜の声をあげるのがわかる

 

「早く払ってください」

 

「うるせーな、オラ!釣りと領収書よこせ、手書きの」

 

「ウチ、手書きの領収書やってないんですよ」

 

「ウソつけ、いいから早くしろよデブ」

 

「あ゛?」ピキッ!パキッ!

 

---

 

正直、あの時は死んだと思いましたね、嗚呼…これは命を諦めるしかないな、と…

 

「さて、では浜風ちゃんを麺棒でフ●ックする画期的なプランについてだが…」

 

間宮から麺棒で強烈な打撃を浴び、右の奥歯がバイバイキンしたせいか、ティラミスとコーヒーがイチイチ傷に染みる苦痛を味わいつつ、俺は五月雨に卿の意見を聞こうと問いかけた

 

「そうですね……甘い物でも差し入れて油断したところにブスリとかどうですかね?」

 

「…て……天才か?」

 

オイオイオイ、ティラミス食べながらとんでもないコト言うよこの子は、準備も無しにいきなりブスリとはこいつはとんでもない鬼畜レ●パーなのだよ…

 

「まったく、恐ろしいヤツだなオマエは、なぁオイ?」

 

「そうですかね?」

 

「まったく、オマエとならどんな困難にも立ち向かえる気がするな」

 

「いいコト言ってるようで、困難=レ●プってところが残念でなりませんね…」

 

う〜む、このティラミス食ってるガールとは思えない殺人ストレート……だが、全て許す、何故なら私は理解ある提督なのだから

 

「よし、では早速甘い物を入手するか…」

 

幸いにもここは甘い物も辛い物も売っている店、マミー屋、ミル●ークからノンシュガーの角砂糖まで取り扱っているハズだ、しかし…

 

「…浜風ちゃんって、生クリームとか大丈夫なのかな?」

 

「さぁ?」

 

「いや、差し入れすんだし、出来れば好きな物がいいじゃん?生クリーム系とかチョコ系とか、もしかしたらアンコとか好きかもしれないじゃん?」

 

「はぁ…?」

 

五月雨はナニ言ってんだコイツ?みたいな顔をしつつコーヒーにカップミルクをドボドボと入れ、ブラック派の俺が使用しなかったカップミルクを手にとり、それもドボドボと入れる…

 

「別に差し入れはただの口実ですし、なんでもいいんじゃないですか?」

 

「バカオマエ!!例え口実だとしてもアレだ……ここでテキトーな物を買って行ったとしよう、おそらく浜風ちゃんは優しい子だ、きっと顔は笑って口ではありがとうございますとキチンとお礼を言ってくれるだろう…」

 

「はぁ?」

 

「しかし……内心では、このおっさんテキトーなモン買ってきやがったよ、ま、どーせスウィーツをスイーツとか言ってるんだろーし、ウケるー……と思うに違いない」

 

「だいたい事実じゃないですか、ってか、提督の考える浜風さん結構チャラいですね」

 

「浜風ちゃんはチャラくない!」

 

「はぁ?」

 

そう、浜風ちゃんは断じてチャラくない、朝はよく廊下の窓とか拭いてるし、磯風のバカが練成陣無しで練成した危険物もキチンと処分してるし、あ、そういや今度、危険物と毒劇物の資格取りたいとか言ってたと浦風から聞いたな…

 

「よし、では甘い物を仕入れる、卿の意見を聞こうか!」

 

「もうめんどくさいし、ショーケースに並べてあるやつ右から左まで1個づつとか言ったらいいじゃないですか?」

 

「……やはり天才か?」

 

◆◆◆

 

マミー屋で甘い物を仕入れ(総額11880円税抜)俺たちは寮の廊下で窓拭き掃除をしている浜風ちゃんを発見したのだが……

 

「浦風さんもいますね」

 

「邪魔だな」

 

「どうするんですか?」

 

「………消すか」

 

正直、浦風はどうでもいい、今、浜風ちゃんと仲良く世間話的なお喋りをしながら窓拭き掃除をしている浦風には殺意すら覚える

 

「五月雨、とりあえずアイツ消してこい、手段は問わん」

 

「普通にイヤですよ、めんどくさいし、この際、浦風さんもまとめてどうですか?」

 

可愛い顔してなんてコト言うのかねこの子は…

 

「ダメだ、何故なら俺はプロなのでターゲット以外を巻き込むなどプロでないコトはできない」

 

「何がプロですか」

 

「サミダリューン、何かないか?」

 

「そうですね………とりあえず気さくに挨拶する感じで近付いて浦風さんのボディに悶絶ボディ入れて、驚いた浜風さんにそのままブスリとかいいんじゃないですか?」

 

「オマエすげーな、よくそんなとんでもない鬼畜コンボがスラスラ思いつくな」

 

「そうですかね」

 

まったく、この俺ですらブルっちまう程の鬼畜だよ、コイツは…

 

「よし、では行くか…」

 

「はい、これ、スウィーツ入った箱です」

 

「…そんなお弁当忘れてますよ的に渡されてもな、まったく、オマエは俺のオカーサンかっーの」

 

五月雨からスウィーツ箱を受け取り、俺は窓拭き掃除に従事する浜風ちゃんと浦風へと近づく、射程まで約15メートル……まずはイッパツ、そう、イッパ…

 

「あ痛っ!」

 

足がもつれてコケた

 

「ナニやってるんですか?」

 

「バカ、ちょっとキンチョーしたんだよ、キンチョー……って、あ痛っ!」

 

立ち上がろうとして、またコケた俺は浜風ちゃんの居る先の廊下にとんでもないモノを見てしまった

 

「オイオイオイ…」

 

谷…っ!!絶壁…っ!!あり得ない…ッ!!何故寮の廊下がいきなり奈落の谷が…!いや……これはアレだ、そう、アレだ

 

「とんだところで……“護身”完成ってか」

 

「はぁ?」

 

危うきに近寄れず、つまりは浜風ちゃんはそれだけ危うき存在と言うワケだ…

 

「五月雨」

 

「なんですか?」

 

「肩を貸してくれ、どうやら俺は一人では行けないらしい」

 

「え?普通にイヤですけど」



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西方敵前線泊地を叩け!②

前半戦最終戦、恐怖のトリプルゲージだってばよ!

【登場人物】

泊地水鬼(M女)
トぶコトを何より願うブッ飛ぶチューン

護衛独還姫(ドッカン)
護衛棲姫の親戚的なナニか、服がエグい

北上さんと大井っち(球磨型)
最強のタッグコンビネーションを魅せる球磨姉妹の三女と四女、駆逐艦に優しい


前回までのあらすじ

 

帰ってきた泊地水鬼のGエボ発動!modeバカンス!modeバカンスには三式弾の効果が通用しないぜ!

 

 

戦慄!帰って来た真性M女、泊地水鬼の新たな力に衝撃が走る攻略部隊!陸上特効と言う弱点を克服した泊地水鬼はまさに無敵!強靱!最強の怪物へ進化したと思われたッ!!

 

しかし…

 

「なぁ、コイツ陸上じゃねぇならよォ~…“魚雷”効くんだよなァ~?」

 

「こりゃメチャ許さんよなぁ~」

 

ピカピカに磨きあげられた魚雷を片手に、噛んでいたチューインガムを海に吐き出してメンチを切る二人組……球磨型恐怖の縦社会、最強の雷巡コンビ…

 

『フフ…』

 

不気味に笑う泊地水鬼にもこの二人が如何に危険な人物達なのは一目見てハッキリわかった

おそらく自分は死ぬだろう……陸上特効を克服した代償は雷撃の恐怖、そして…この二人の雷巡は私に最高の“痛み”を与えてくれる、三式弾による痛みもなかなかだったが、あのブッといギョライを突き立てられる気分はどんなものなのか…?

陸上型である自分には経験がなく、水上型の仲間達からのヤベーヨヤベーヨと話を聞くだけで、あとは戦闘を録画してたビデオを見ながら一人で痛みを想像しながら右手で………その、フフフ…下品なんですが、興奮しちゃいましてね…

 

『フフ…フフフ…』

 

生半可な“痛み”じゃもうトべない!この“痛み”なら!自分はトべるかもしれない…ッ!!

 

「や、野郎…北上クンと大井サンを前にして笑ってやがるぜ」

 

「なんて不気味なヤツじゃあ…」

 

「ありゃ相当自信があるんだろう、オーラが違うぜ…」

 

ーーー

 

『ウッギャアアアアアア!!オオキナツバサァァァー!!グヘァ…!!』

 

 

「決まりましたね」

 

「あぁ、ワリとタフなヤツだったな」

 

執務室のテレビで現場の様子を見ていた俺と五月雨、第2ゲージを守護る戦慄の陸上風水上型、泊地水鬼は北上と大井によるツープラトン、KITA↓LAPをその身に喰らい、ようやく沈んだ…

かなりTOUGHなヤツだったが、やはり球磨新陰流活殺術の前には及ばなかったらしい

 

「で、いよいよ最後ってワケだな」

 

「そうらしいです、次の目的は護衛独還姫なる軽空母だそうです」

 

「どっかんひめ?」

 

「えぇ、どっかん」

 

オイオイオイ、なんですかそのギリギリ限界パワーみたいな名前は、俺を舐めてんのか?五月雨は資料を取り出してコイツですと言って机の上に置く…

 

「なんかコイツ、前にも居なかったか?」

 

「似たような人はいましたね」

 

なんだろうな、この例の村出身みたいなツラは……写真を見るに、以前現れたヤツと同じく、あの魔界生物みたいなキモい鳥を飼っているらしく、腕にキモい鳥を載せている、もしかして流行っているのだろうか?

 

「ふむ、まぁいい、キモい鳥はたしかに強力なキモさだが当たらなければどうと言うコトはない、引き続き空母機動艦隊で行くぞ」

 

「空母機動ですね」

 

「二航戦のチンピラどもと雲龍に声をかけておけ、ヤツらに、あと…念の為に赤城と加賀にも肩作っとくようにな」

 

◆◆◆

 

前半戦最終局面!泊地水鬼(M女)が敗れた今、立ち上がったのは今回がデビュー戦となる新人、護衛独還姫!

 

かつて、とある田舎の村で生まれ育ち、多感な少女期にオラもっとビッグになりてーズラ!都会に出てくー●くろ艦みてーにイケてる空母になるズラと言って皆の制止を振り切り村を飛び出し、色々あって、着ていた服は上着だけ残り下は布一枚、髪が白くなるほど絶望し、よし!死ぬか!と入水自殺しかけたところをキモい鳥に救われた過去があるらしい…

本来は戦いを嫌い、人を思いやり、理解してやる優しい心の持ち主だが…

 

『タタカイ…トカ……スキジャナインダ……ケド』

 

『ウッギャアアアアアア!護衛独還姫クンーッ!』

 

『死ニタクナイ!死ニタ……オバァ!!』

 

次々と突き刺さる無情の艦載機アタックが仲間達を沈めていく!しかもこの破壊力は並じゃない、確実に一人も逃さないつもりで撃ってきている、それに……ヤツらは見覚えがある、深海ビンゴブッグで危険度★★★★★の超危険空母コンビ!

 

「ストラィークぅ!ギャハハハハ!どーよ?今のマジゲージュツ的じゃね?」

 

「バァカ、オマエ…今のはちっと運が良かっただけだっーの」

 

恐怖のダブルドラゴン、二航戦……ッ!そして、ヤツらと別に、なにやらボーっと立っている仙人みたいな空母…

 

「オイ雲龍、オマエもヤレよ、オマエも」

 

「アイツらマジ皆殺しすっから、誰がイチバン殺るかキョーソーすっぞ、キョーソー!ギャハハハハ!」

 

ダブルドラゴンにさらにもう一つの首を追加したフォーメーション、ドラゴン・トリプル・ブレイカー…っ!!

 

『シズンジャエバ……イイノニ!!』

 

護衛独還姫は愛鳥のキモい鳥を解き放ち、あのクソうざったい芋臭田舎ヅラどもに噛み付いて来いと命令すると、キモい鳥はギャースギャースと吠えながら飛んできた………しかし!!

 

「クソ!相変わらずキモいぞコイツ!」

 

「あ、噛みやがったコイツ!!っーかウゼェ!なんとかならねーのか!」

 

「あったよ!!初月と10cm高角砲+高射装置が!」

 

「でかした!」

 

『ヤ、ヤメテヨ……ヤメテヨォ!』

 

空飛ぶキモい鳥をまるでトンボ捕りしているように冷静かつ的確に撃ち墜とされ、護衛独還姫はようやく自分が追い詰められている事に気付いた……このままでは確実に殺られる!!相手にはまだ無傷の雷巡……そう、先の戦いであの泊地水鬼(M女)を容赦なくヘシ折って海に沈めたヤツらが…!!せめて、せめてヤツらだけでも!

 

『シカタナイヨ…ネッ!!』

 

「あ、北上さん!なんか飛んできましたよ!」

 

「ホントだ、アブ、オイ!ちょっとアブ!こっち来て」

 

北上は中継用のカメラを持っていた阿武隈をちょいちょいと手招きして呼び寄せ、飛んできたキモい鳥にお尻を噛ませた

 

「ピギャアァァァァァァァ!!痛ァァァァァァァ!!痛い痛い痛いィィィィ!」

 

「ふぅ、危なかったよ」

 

「阿武隈さんが居なかったらお尻を丸齧りされるところでしたね」

 

阿武隈は犠牲となった、犠牲に、犠牲の犠牲、その犠牲に……しかし、キモい鳥アタックは第二艦隊の仲間である朝潮にもちょっと傷をつけていた

 

「うぅ…少し膝をやられました」

 

「北上さん!北上さん!この子ケガをしていますよ!」

 

「えー…駆逐艦の子が〜?ん〜……まぁ、そりゃアレだ、メチャ許せんよねぇ〜」

 

「えぇ、メチャ許せませんね!」

 

その小破未満のカスリ傷が!球磨姉妹恐怖の雷巡コンビの逆鱗に触れたッッッ!!

 

いい感じに昼戦にて半殺しにされ、ヤダァ…モウカエリタイ、カエリタイヨォ…と懐かしい故郷の村に救いの手を求めて手を出した独還姫の手を、おそらく同じ村出身であろう雷巡が優しくとり……

 

「で、出たァァァァァ!!北上サンの7000万パワーキタカミスパーク!」

 

「あの技を喰らって入院しなかった患者(クランケ)はいないぜぇーッ!」

 

 

「長かった第三海域よサラバー!!」

 

グシャァッ!!(7000万パワーキタカミスパーク)

 

『グヘァ!!マ…マタ、シズムンダ……コノヨルニ…クラ……ゴハァ!!』

 

7000万パワーキタカミスパークで海上に叩きつけられ、愉快なオブジェみたいな形になった護衛独還姫は何か言いかけていたようだが、北上からうっせーよ腹に死体蹴りを喰らい、ブクブクと気泡を残して沈んでいった…

 

「さー…帰るべ帰るべ、あー腹減ったー」

 

「北上さん、今日、球磨姉さんが帰りにヨーグルト買って来いって言ってたので買って帰りましょう」

 

 

こうして、作戦海域前半戦は無事に制圧完了し、艦隊は次なる海、強者達がひしめく後半の海へと突入する権利を手に入れた…





次回から後半戦だってばさ、だってばさ


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ジェノヴァの風

第四ステージ、アナタも聞こえたでしょう?風の清響を…

【登場人物】

イタリア&ローマ
イタリア戦艦姉妹、命中率は悪いが殺意は高い

リベッチオ
序盤を温存してここで投入、目標をテキトーに狙ってスイッチ

ポーラ
メチルモンスターの異名を持つアルコール依存艦、ザラ姉様だけは怖い、正直ブルってオシッコちびりそーになるぐれー怖い

アクなんとか
正規空母ヅラした残念空母、おっぱいだけは許される


「さて、いよいよ後半戦に突入と言うワケだが…」

 

執務室で缶コーヒーを飲みつつ、欧州征伐編に突入した艦隊の様子をテレビで眺めていた俺は、茶菓子がない事に激怒し、五月雨にナニかないのか?と尋ねると、貰い物のシュークリームでよければ?と冷蔵庫から雑に取り出した

 

「………甘いな、そして、少々酸味がある」

 

「リシュリューさんが作ったらしいですよ、それ」

 

「ふ〜ん」

 

アイツ、シュークリームなんぞ作れたのか?まぁアイツは地味に器用そうだし、シュークリームぐらい作れても不思議ではないか

 

「提督が便所で大の大冒険してる時にリシュリューさんが来て、なんかフランス語でペラペーラペラペーラ言って置いていきました」

 

「なんだよペラペーラって」

 

「フランス語はよくわからなかったのですが、たぶん“まるでアウトレット品みたいな出来だわ!こんな粗悪品、粗悪品が服を着ている粗悪オブ粗悪のamiralに相応しいわ、実家の犬の餌以下だけどありがたく食しなさい!この…屑っ!”と言ってたんじゃないかと…」

 

「あの野郎ォ…」

 

ツンデレか…!いや……ツンデレじゃないなコレは、つまりコイツはよォ……オレを舐めてるってコトでいいんだよな?なぁ?なぁ?

 

ーーー

 

同時刻 リシュリューの部屋…

 

「ウフフフ、Mon amiralは喜んでくれたかしら?いえ、きっと喜んでくれるわ!だってこのRichelieuが自ら腕を奮って作ったChou à la crèmeだもの!」

 

………この時、リシュリューは後に提督からダブルニークラッシュを受ける事になるとは、思いもしなかった

 

◆◆◆

 

「オラァ!なんだそのケツは!誘ってんのかオラァ!」

 

「舐めてんのかオラァ!ありがとうございますって言えやァ!このケツダイソンにありがとうございますって言えやァ!」

 

第四ステージ前半戦、輸送連合艦隊は待ち構えていた戦艦棲姫を完封で下し、チームは通常艦隊へと変わって後半戦へと臨んでいた…

 

「ゲェーッ!戦艦レ級ーッ!」

 

「野郎ォ…イベント出禁じゃなかったのかーッ!!」

 

途中、戦艦レ級に遭遇するアクシデントにも見舞われたものの、これを無事、戦艦ローマのマグナムブローで下し、チームはいよいよ海域最深部、この海域のBOSSである船渠棲姫の居るポイントへと来ていた…

 

『マァ……トオイトコロマデ……ヨクキタネェ…』

 

謎の艦種、入渠中駆逐艦!船渠棲姫、たぶん駆逐艦…

船渠棲姫はやって来た海軍ども………いや?海軍?あれ、イタリア海軍じゃない?

 

「当たれェェェェェェ!!!」

 

『ウッギャアアアアアア!!ヤメロヨォォォォォ!!』

 

『集チャン!?』

 

マラッカ海峡でズタズタにヤられ、泣きながらこっちにやって来た集積地棲姫こと集ちゃんは再び戦火に包まれて転げ回った、マラッカ海峡では内火艇アタックで内臓を破壊されたが、今度はランチャーが集積地に襲いかかる!

 

「スッゲー!ランチャー!スッゲー!キヨシに自慢しよーっと!うへへへー!」

 

両手にランチャーを持ち、ゴキゲンに笑うリベッチオだったが、ローマから拳骨を喰らい、痛い!と言って転げ回り、ローマに首根っこを掴まれ…

 

「リベ、リベ、リベッチオよォ〜?なんで今のランチャーで半殺しにしか出来なかったかワカるか?あ?たしかにWG.42はスゲー、私だってヤバいと思う!ただな、リベッチオ!オマエはビビったんだ、あ?ワカるか?オメーは“ママっ子(マンモーニ)”なんだよ、甘ったれてんだよ?いいか?“ブッ殺す”って心に思ったなら〜…!」

 

ドン!ドンッ!ドンッ!!!(三式弾)

 

『ウゲェアアア!!』

 

『シ…集チャアァァァァン!!』

 

「その時すでに行動は終わってるのよ…わかったわね、リベッチオ」

 

「うん!」

 

元気良く返事してウヘヘーとアホな子供特有のアホ面で笑うリベッチオに満足したローマは、リベッチオの頭を掴み、顔面をクサレ脳ミソがー!と、海面に叩きつけた

 

「ちょ…ちょっとローマ!なんてコトするの!今、リベッチオに悪いトコなかったような…」

 

「あら?姉さん、居たの?」

 

「居たの?って……えぇぇ…?」

 

最初から一緒に居たじゃん……イタリアは妹にそう言ってやりたかったが、グッと堪えた…この妹は姉の言う事を真面目に聞いた試しなどない、反抗期とか反抗期じゃないとかそんな甘っちょろいモノじゃあない、この、ローマには姉に対する遠慮や敬意など最初から持ちあわせが無いのだッ!

 

「まぁ、姉さんがそう言うなら仕方ないわね…ここは姉さんの“顔”を立てるわ、良かったわねリベッチオ、もし姉さんの生●が重めでイライラしてたならアナタ、ソルベにされてたわよ」

 

「しないよッッ!!あと!なんで私が重めって知ってるの!?」

 

ギャーギャー騒ぐ海軍どもの様子を観察しつつ、船渠棲姫はここから自分はどうすべきか、どう行動すれば生き残れるかを、その、賢いオツムをフル回転させて考えた…

こっちは既に部隊はズタズタ、集ちゃんが既に半殺し状態、対してあっちは軽空母みたいなボインがこっちのパンチでゲロ吐いてピクピクしながら転がっている、たしかアク……アクなんちゃらだっけか?マジで雑魚すぎて若干引いた

 

「フッ、ここは私に任せて貰いましょうかぁ~」

 

ザッ!!

 

「お、オマエは…!」

 

Pola…!Zara級重巡の一人!アル中のPola!!

 

「ポーラ…やれるのかしら?アナタに?」

 

「大丈夫ですよぉ~…一人も倒さないで帰ったりしたらザラ姉様に殺されてしまいますし~…ここは一つ!ポーラの顔を立てる感じでお願いしますぅ~」

 

本来、この海域のメンバーに抜擢されたのはザラであったが、ザラは自分ではなくポーラを起用して欲しいと提督に嘆願し、提督はザラの妹を想うアツい心意気と、ザラの胸の谷間に心動かされ、ポーラを起用したッ!!

 

「そーゆーワケでぇ~ポーラが殺されない為に死んでくださいねぇ~」

 

『ナ、舐メヤガッテ…』

 

船渠棲姫はヘラヘラ笑うポーラに舐めてんじゃねーぞ!と手にしていたスパナをブン投げた!

 

『ナニ!?』

 

殺す気で投げたスパナはポーラにブチ当たらず、ポーラはウヘヘヘ~と不気味な笑みを浮かべて立っている

 

『コ……コノ!!イヤナヤツメェェェ!!』

 

船渠棲姫のマグナムストレートが、マグナムキックが、マグナム肘鉄が全て当たらない…ッ!その全てがギリギリの所で、最小限の動きでかわされている!

 

「ウヘヘヘ~…三人がかりですかぁ?ちょっと汚いんじゃないですかぁ~?」

 

『三人……?ナニ言ッテンダ、コイツ…?』

 

フラフラとしながらも不気味な笑みを浮かべているポーラに警戒を隠せない船渠棲姫、コイツは一体なんなのか…?三人…?三人に見えているのと言うのか…?船渠棲姫にはわからなかった

 

「スゲェ!ポーラさんスゲェ!」

 

「よく見ておきなさいリベッチオ、アレが身体が勝手に反応して避ける重巡奥義、身勝手のゴクーイよ」

 

「身勝手のゴクーイ!?」

 

ローマの適当な説明に大興奮するリベッチオはスゲースゲーとハシャぎ回り、ローマから意味なくぶたれて海面に転がった

 

「いや…アレ、ただ酔ってフラフラしてるだけなんじゃ…どっちかと言えばスイ・ケーン的なアレな気が…」

 

「へぇ、そこに気付くとはさすが姉さんね…いやらしい水着着てるだけあるわ」

 

…なんでローマは事あるごとに姉さんをディスるのかな?イタリアはそう言ってやりたかったが、グッと堪えた…

 

「ザラ姉様ぁ~…見ていてくださいねぇ~!ポーラちゃんと仕事しますからねぇ~」

 

ポーラは中継用のカメラにVサインして、両手を重ね、なにやらグルグルと回りながら不気味な踊りを始めた…

 

「打ち上がれぇー!ポーラの正義ーっ!」

 

ウーノ!ドゥーエ!トレー!と叫びながら飛び上がったポーラは勢い良く船渠棲姫の顔にキックをぶち込み、船渠棲姫はイテェ!とか言いながら大きくのけ反り、ポーラはそのまま船渠棲姫からマウントを奪った!

 

『クッ!!コノヤロウ!ドケヨ!』

 

船渠棲姫はマウントから脱しようと仰向けからポーラのお腹に拳を連打した、そう…連打した

 

「う゛っ………」

 

『オ……オイ?チョ……オマ!!』

 

みるみる青ざめていくポーラの顔色、そして、口元を抑える仕草!!船渠棲姫は一瞬でコイツがナニをしようとしているのか理解した…ッ!

 

コイツ吐くつもりだ!!

 

しかも!私の上でおもいっきり!!

 

「ウ、ウゴゴゴゴ…」

 

『チョ!ヤメテ!ホントヤメテ!ホントヤメテ!謝ル!ホント謝ルカラ!!マジデヤメテ!マジデヤメテ!イヤァァァァァ!!タスケテ!タスケテェェェ!』

 

そんな限界ギリギリぶっちぎりのポーラに、ローマはまだやれるか?と問いかける…

 

「ポーラぁ~、まだ我慢できるのー?」

 

「………」フルフル

 

「無理、だそーよ」

 

『イヤァァァァァァァァァァ!!!』

 

 

船渠棲姫 再起不能(リタイア)

 

 

こうして、第四ステージを無事突破し、艦隊は次の海、最後の海へと挑戦する権利を得た……

 

この後、無事に帰投した艦隊だったが、ポーラは中継を見て大激怒したザラからマッハ往復ビンタを浴びて反省文を書かされる刑に処された…

 

ザラ姉から怒られない為に頑張ってみたら大激怒される

 

現実は非情である




次回は第五ステージ……ではなく、自称メインヒロイン様がカレー食ったりする回


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提督と鈴谷とフェアなカレー

近所のカレー屋でなんかやってたよ

【登場人物】

提督(辛い派)
カレーは最後に白いライスで〆たい人

鈴谷(辛い派)
自称カレー大好きっ子、実は自分で作れる




「カレー食べに行こーぜ」

 

「…はぁ?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

特に急ぎの仕事のない初秋の日、執務室でTarz●nを読んでいると、ビッチ臭をプンプン放つサキュバスハイスクールザー●ン絞りランキングタイトルホルダーみたいなのがやって来てワケのわからん事を言いながら執務机に腰掛けた…

 

「行こーぜ!」

 

「…とりあえず、そのビチグソ臭いケツを机からどけろ、あと、出来るだけ苦しみながら俺に迷惑をかけない形で自決してくれ」

 

「ヒドい…っ!?」

 

「ヒドくない、提督だ」

 

「っーか、なんで鈴谷に対してそこまで厳しいかな…もーちょい鈴谷に対して優しさとかあっても良くね?」

 

「ねぇな」

 

「即答すんな!」

 

ったく、キィーキィーうるせぇ野郎だな、発情期のうーちゃんかっーの

 

「今、町のカレー屋でフェアやってるってチラシ見てさぁ、カレー大好きっ子の鈴谷としては行かざるをえないっしょ!」

 

「ナニが行かざるをえないっしょ!なのだよ」

 

「っーワケで行こーぜ!」

 

コイツ、今日はまた一段とグイグイとくるなオイ、グイグイ押しつけてきやがるよ、物理的に、おそらくは兵学校を卒業したての若き青年将校程度の小僧っ子(グリーンボーイ)ならコイツのエナジードレインでキンタマをカラッカラに絞り穫られて変死にするぐらい容易いだろう…

 

だが、私のような経験豊富なベテランの実力派にはたかが鈴谷程度の下等サキュバスのエナジードレインは通用しない!!

 

とりあえず、ヘラヘラと締まりのない顔で行けるっしょ!とか言ってる鈴谷の右手をソフトに掴み…

 

「零の悲劇ィィィィィ!!」

 

「ウッギャアアアアアアアアア!!」

 

俺の完璧握手の危険性をすぐ察したらしい鈴谷は左腕で俺のボディを連打し、掴みが甘くなったところで即座に脱出、インファイトの射程から離脱した………なるほど、なかなか冷静な判断力だ

 

「ハー…ハー…」

 

「褒めてつかわす」

 

「…ハー…?ハァ?ナニが…?ま、まぁ…褒められるのは悪い気しないけど」

 

自称褒められて伸びる子である鈴谷はヘヘッとか笑いながらまるでイタズラっ子のように鼻の下を指で撫でた

 

「で?なんだっけ?近所のカレー屋でカレーフェアやってるとか言ったな、それでお前はそのフェア実施中のカレー屋に興味津々丸だと…?」

 

「平たく言えばそうじゃん」

 

「行ってくりゃいいじゃねぇか?」

 

「や、鈴谷、今ちょっとばかし持ち合わせがアレと言うか、懐事情が厳しいと言うか…」

 

「ほぉ…」

 

「それで、つきましては提督にカレーを奢って頂けないかとお願いしに参った次第で…」

 

「なるほど…」

 

鈴谷のアホンダラは、いやぁ~お恥ずかしい限りですとか苦笑いしつつ、とりあえずパンツで良ければ今すぐお見せいたしますが?とスカートの裾をエレガントに摘んだ

 

「つまり………“殺してくれ”ってコトでいいんだな?」

 

「言ってないじゃん!?今の話のドコにそんな要素あったの!?」

 

「まぁ、半分は冗談だ、小粋なテイトクハーフジョーク」

 

「あ、残り半分はマジなんだ…」

 

本来ならジョークもクソもなくそのアホ面に怒りのスネークジェ●サイド叩きつけて壁だか床だかにメリ込ませたいところだが、今日の俺は機嫌が良い、許してやろうじゃないか…

 

俺はポケットから財布を取り出し、100円硬貨を出して鈴谷に渡してやった

 

「ナニコレ?」

 

「100円やるから消えろ」

 

「オイオイオイ~…コイツぁマジでBADな対応だよぉ~、まさかこの鈴谷様が100円ぽっちで買えるとでも?」

 

「その100円でボンカレーでも買ってボンして食えよ、ボンして」

 

「やだし」

 

鈴谷は100円をポッケに入れ、再びズカズカとインファイトの間合いへと入って来た

 

「フェアだよッ!」

 

鈴谷は勢い良く黒檀の執務机をブッ叩き、フェアだよゥゥゥ!!と吠えた

 

「こりゃ食わざるをえないっしょ!だってフェアだよ!フェアじゃないとかじゃない!フェアなんだよッ!!」

 

「お…おぅ」

 

バカな……俺が気圧された?なんだこのプレッシャーは!?この航空巡洋艦には俺の知らない武器が内蔵されているとでも言うのか!?

 

「お願いします!食べたいんです!鈴谷!どうしてもカレーが食べたいんです!」ペコーリ

 

そして流れるように上体を45°傾ける美しさと気品すら漂う最敬礼…

 

「なるほど…卿の言い分は良く分かった」

 

「マジで!?」

 

「とりあえず着てるもん全部脱いで土下座しろ」

 

「ナニもワカってねぇ!!?」

 

「鈴谷ァ…ワカってないのはオマエだ、俺はな、オマエが苦しむ顔を見るのが好きなのだよ、絶望の中の微かな希望に縋り、それを掴んだと思ったらやはり儚い幻想だったと知り、より深い絶望の色に染まるのを見るコトこそ最高に愉快だ」

 

「な…なんと言うドS、まさに冷酷、まさに冷血漢、っーか魔王か!魔王かなんかか!?」

 

「魔王じゃない、提督だ」

 

そして魔王を討つのはいつだって人間の勇者だ、勇者でなき者では決して魔王を滅ぼす事はできないし、魔王を倒すのは勝者ではなくjust now、いつだって勇者だろ!

 

「まぁ、そんなコトはどうでもいい、脱ぐなら5秒以内にしろ、はい、ごー、よーん」

 

「はやっ!?ちょ…ちょっと!ちょっと待って!ちょい考えさせて!考える時間!考える時間頂戴!ね?ね?」

 

「よかろう、では考える時間を5時間与える」

 

「長っ………いや、まぁ…え?長くない?」

 

「不服かね?」

 

「や、別に不服とかねーけど……まぁいいや、ちょっと考えるから」

 

そう言って鈴谷は執務室のお客座ソファに座りブツブツと呟きながら熟考に入った、考えると言う行為は実に良い事だと提督的には思うが、アレだ

 

コレ、考える必要ないだろ…

 

普通に脱がないのがごくごく一般的だろ、バカじゃねぇのコイツ

 

「脱ぐだけでカレーが……いや、しかし鈴谷にも色々と失うものが……いやいやいや、しかしカレーが…」ブツブツ

 

バカだった

 

「俺ちょっとメシ食いに行ってくるわ、よーく考えとけよ」

 

「あ、うん、いってらっさい」

 

しかし鈴谷のヤツがカレーカレーうるさいせいか、カレー食いたくなったな、よし、カレーでも食いに行くか…

 

 

………5時間後、考える事に飽きたのか、むしろ疲れたのか、ソファーでグースカ寝ていた鈴谷にイラっときた俺は、鈴谷のア●ルにメン●スを入れてやるとウッギャアー!とか言いながら転げ回って執務机に後頭部を強打してアヘりながら気絶した…

 

おそらく夢の中でカレーを食べていただろう鈴谷に悪いコトをしたなと思った俺は、鈴谷のおっぱいをとりあえず揉み、胸元に1000円札をそっと挿入してやった





次回は最終海域、全力出撃!新ライン演習作戦の①

殺戮!恐怖政治!血祭り!


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全力出撃!新ライン演習作戦①

最終海域前半戦、まさかの前半が死闘だった罠…
援軍が来るまで待てない我慢弱いセンチメンタルな男だよ

【登場人物】

戦艦仏棲姫&港湾夏姫
集積&船渠とは比べ物にならない厄介さを誇る凶悪タッグ
圧倒的なタフネスと地味に高火力を誇り、小鬼や砲台も連れてバランスもいい

Richelieu
遂に覚醒めた自称最強戦艦、かませ犬?ふ・ざ・け・な・い・で


今作戦最終海域、安心のトリプルゲージで待ち受けるこの海域攻略の緒戦、前海域にも現れていた深海ナンバー1ディフェンダーの異名を持つ戦艦棲姫…ではなく戦艦夏姫が再び登板…

 

「オラァ!!なんだそのケツは!誘ってんのかオラァ!四つん這いになってケツこっちに向けろよコラァ!」

 

「それじゃ見えねーだろーが!もっとみんなによく見えるようにするんだよ!」

 

緒戦を何事もなかったように制し、続く第2ゲージの殲滅へと乗り出した攻略部隊…

 

しかし…ッ!!

 

第2ゲージを守護する北太平洋深海艦隊ブレスト軍港部隊は我々の予想を遥かに超えるフォーメーションで待ち受けており、攻略部隊は苦戦を………強いられていた!!

 

ーーー

 

「水上と陸上と小鬼が交ざるとここまで厄介とは…」

 

「しかも道中の潜水艦を無視できない感じがまたイヤらしいですね」

 

「フーッ〜………オイ、灰皿は?」

 

「知りませんよ、外じゃないですか?」

 

どこやったかな、灰皿は……まぁいいや、とりあえず俺は窓を開けてタバコの灰を外に落とし、缶コーヒーを飲み干して灰皿代わりに使うコトにした

 

「さて、どうしたものか…」

 

「まぁ、攻略部隊の人にガンバって頂く他はないかと?」

 

「五月雨よ、俺の好きな言葉を教えてやろう…“頑張る”と“努力する”だ」

 

「はぁ?私はまたてっきり“息をするのもメンドクセー”かと思ってました」

 

この青髪ロング子、なんてコト言うのかね…

 

◆◆◆

 

堅牢なディフェンスを発揮する北太平洋深海艦隊ブレスト軍港部隊!その、北太平洋深海艦隊ブレスト軍港部隊を率いるのは帰ってきた大いなる仏!戦艦仏棲姫、そして、先の海域でボコられてここまで逃げ込んできた港湾夏姫のダブルエースに加え、瞳孔が開いたチャーミングな瞳とコワレチャウが口癖の飛行場、さらには小鬼や砲台まで含めた鉄壁のフォーメーション!

 

このフォーメーションを打ち破るにはどうすればいいか…?

 

攻略チームメンバー達が考えに考えぬいた結論はシンプルな答えだった…

 

「まっすぐ行ってブッ飛ばす!」

 

「右ストレートでブッ飛ばす!」

 

『マジカコイツラ…!?』

 

『ウッソダロ…?ナニモ考エテナイチャウカコイツラ!?』

 

旗艦ビスマルク率いるチームの弾きだした答えはこうだ、相手のディフェンスはたしかに堅い、そして厚い、もう一歩、あと一発の力が足りないのならば、足りない分は“勇気“で補う!!

 

「フッ、戦艦リシュリューよ!どきなさい!」

 

『オゴォ!!』

 

リシュリューのマグナムパンチが戦艦仏棲姫のお腹に突き刺さり、仏棲姫はビチャビチャと光る吐瀉物をブチ撒けながら海上を転げ回った…

 

『コ…コイツ!』

 

『バカナ!デ、データニナイゾ!コイツハタシカ“かませ犬のりしゅりゅー”ノハズ…』

 

豪奢なキンパツをぶわぁっと流し、かませ犬のリシュリューとディスられていたハズのリシュリューはここには居ない、そう、リシュリューは生まれ変わったのだ…

あれは、そう…出撃する前日、執務室に呼び出された日の事…

 

『ア、回想スル気ダヨコイツ!』

 

『誰カ止メロヨ!』

 

…出撃前日

 

「ダブルニークラッシャーッ!!」

 

「ギャーッ!!!」

 

出撃メンバーに選ばれた私はamiralから執務室に呼び出され、意気揚々と執務室を訪ねると、amiralはよく来たな…と言って私をまるでオヒメサマ・ダッ・コーのように抱き上げたと思ったら、勢い良く落下させて両膝を破壊された…

 

「な、な…ナニするのよ!!」

 

「俺のダブルニークラッシャーを受けてまだ立てるか、なるほど、さすがは自称最強の戦艦なだけはある」

 

「じ…ジショー?」

 

そしてamiralは今の私に足りないモノをアツく指導してくれた、たしかにこのRichelieuは自由・平等・博愛を兼ね備えた戦艦かもしれないが、この国の戦艦を見ろ!無秩序・無軌道・無慈悲の権化であり、鍛え方が違う!精根が違う!理想が違う!決意が違う!と…

 

必要なモノは自由でも平等でも博愛でもない!残忍・残虐・残酷の心こそ、このRichelieuを強くするのだと!

 

そして、amiralは執務室置いてあった木人を持ち上げ、私に向けてブン投げてきた!

 

「悔しかったら…その技一つでコイツを倒せるくらいまで、徹底的に磨きあげてみろーっ!」

 

「!?」

 

「オマエの名前はなんだーっ!」

 

「私は……私は、私の名前は!戦艦Richelieuよーっ!!」

 

グワァキィィィィ!!!

 

…回想終わり

 

「強靭ッ!無敵ッ!そして最強!!このRichelieuが新たな力でアナタ達を粉・砕してやるわ!」

 

新たな力を得た?リシュリューはとりあえず手近にいた飛行場の身体を掴み上げ、amiral直伝のダブルニークラッシャーで両膝を破壊し、ついでにストマックもクラッシュしてやると飛行場は痙攣した後に動かなくなった…

 

『グヘァ!!』死ーン

 

『コ…コノ!コイツ!フザケンナテメェーッ!!』

 

大事なダチである飛行場を失い、港湾夏姫はとりあえず手近にあったバールのような鈍器でリシュリューの頭を強打すると、リシュリューは前のめりで海面に倒れたもののユラっとユラめきつつ立ち上がり、額から流れ出る血をペロリと舐めた

 

「………イタイわ」ニマァ…

 

『ヒッ…ヒイイィィ…』ガタガタ

 

◆◆◆

 

「意外とやるな、アイツ」

 

「リシュリューさん椅子に座らせて洗脳かナニか何かしたんですか?」

 

執務室のテレビで現場の様子を見ていた俺は、五月雨の淹れたアツい茶にアツゥイ!と言いつつ飲み、執務机に置いた

 

「失礼なコト言うんじゃないよこの子は」

 

「もうリシュリューさん、完全に殺戮の為のマシーンみたいな目ぇしてるじゃないですか、シュークリーム持って来てツンデレ発言吐いてたリシュリューさんの面影ゼロじゃないですか」

 

「バカ言うんじゃないよこの子は」

 

そうか、リシュリューは力を求めていたのか、そして…私はそれを煩わしいと感じ、マシーンとして扱ったのだ…

 

「あ、今いいの刺さりましたよ、仏姫のパンチ、今かなりイイ感じでリシュリューさんのボディ貫きましたよ」

 

「あぁ、ありゃ立てんな」

 

中継映像の中で、怒り狂った戦艦仏棲姫のカエル跳びアッパーがイイ感じでリシュリューのボディを貫き、リシュリューはきりもみ状に回転しつつブッ飛ばされた後にゴシャアッ!!と海面に叩きつけられ、動かなくなった…

 

まぁ、リシュリューとしては良くやったと俺は評価する

 

◆◆◆

 

昼戦の死闘を制し、決着の夜戦!!

まずはドイツJr.が誇る天才ッッッ!!プリンツ・オイゲンのマグナムが火を吹いた!

 

「唸れ!この、プリンツ・オイゲンのスパーブロー!!」

 

BAKOOOOOOOOOOOOOON!!

 

『オゴォ!!』ビチャビチャ…

 

「な、ナニィィ!!野郎、あのパンチを受けてなお倒れてないと言うのかーッ!」

 

「な……なんてタフなヤツ!何が一体ヤツを支えているのと言うのだ!」

 

プリンツ・オイゲンのスパーブローにも耐えぬき、なお沈まぬ不沈艦!!仮に、ヤツを沈められる可能性があるとするならば、無敵の北上か、最強の雪風、もしくは帝王・時雨、または初霜ぐらいしか可能性がないのでは…?と皆が戦慄しかけたその時、一人の駆逐艦が…

 

ザッ…

 

「…フッ、Jervis, enemy is in sight!」

 

オシャレな帽子の位置を直し、カメラの位置を気にするように前に出たLucky Jervisことロイヤル駆逐艦、ジャーヴィスは既に気力だけで立っているであろう戦艦仏棲姫にツアーッ!と言って蹴り上げ、空中でパワーボムの態勢から相手と背中合わせとなり、後ろ手に相手をホールドした状態で勢い良く落下した!

 

「喰らえ!ワタシとDarlingのBurning Love!!」

 

『ウゴ、ウゴゴゴゴ…!?動ケナ…!ウッギャアアアアアア!!』

 

勢い良く頭から海面に叩きつけられ、堅牢なディフェンスとタフな体力を誇った不沈艦、戦艦仏棲姫はジャーヴィスのバトルシップ・シ●クにより、遂に撃沈され、ブクブクと気泡を残し沈んでいった…

 

「Battle honor?Lucky! I'm glad I have been able to help! Darling!」ビシッ!

 

戦艦仏棲姫 42分42秒 撃沈KO(バトルシップ・シ●ク)

 

「あ…あの野郎、ヤリやがった……ナニ言ってるかワカんねーけど

 

「フッ、まさかあのチビがな…ナニ言ってるかワカんねーケドー」

 

「どうやら認めるしかないらしいな、ヤツの…“幸運”ってヤツをよぉ、ナニ言ってるかワカんねーけどよぉ」

 

 

……こうして、今作戦海域で最もタフ&ハードな死闘を繰り広げた戦いを制し、チームは遂に作戦海域の最奥部への挑戦権を手に入れたのだった…




次回は海域攻略最終回、後半戦
激突!謎のマスクマン!


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全力出撃!新ライン演習作戦②

ダラダラっと海域攻略編最終回、戦慄!偽りの仮面!

【登場人物】

Ark Royal(女王陛下の騎士)
ソードフィッシュ?あぁ、ソードフィッシュは置いてきた、ハッキリ言ってこの戦いにはついていけそうにないからな!

欧州水鬼(声高い)
今回の最終BOSS、声高くてスゲー楽しそう

山風(膝)
運はあまり良くないものの、天敵への剥き出しの対抗心でカバーした


最終決戦!謎の仮面深海棲艦、欧州水鬼率いる北太平洋深海艦隊旗艦艦隊VS女王陛下率いる連合艦隊…

 

道中、ほぼ、無傷の勝利でここまでやって来た艦隊は、敵旗艦艦隊との砲火を交えるにあたり、女王陛下からヤツらの呼称は“賊軍”とせよと御言葉を頂き、戦の幕が上がった…

 

「おぉ!素手(ベアナックル)での殴り合いじゃあ!」

 

「あ…あの騎士サマ、騎士のPRIDEを捨ててあんな泥臭い殴り合いを…」

 

「ヘヘッ、どうやらオレ達はヤツを、アーックロイヤルってヤツを勘違いしていたらしい、お高くとまった騎士サマかと思っていたが……ヘッ、カッコいいじゃねーか」

 

女王陛下と連合艦隊の仲間達が見守る中、海上にて欧州水鬼とガチ●コ真剣勝負を演じているのは、女王陛下の騎士ことアークロイヤル!

 

アークロイヤルは女王陛下に対して不敬の念を隠さない欧州水鬼に対し、騎士としてのPRIDEを賭けた一騎討ちを臨んでいた…

 

「トアーッ!」

 

『ソンナモノッ!』

 

見た目は些か拗らせた感じにアレだが、さすがに水鬼級、アークロイヤルの培ってきたテクニックがまるで通用しない欧州水鬼に対し、騎士としてのPRIDEを捨て、アークロイヤルは素手(ベアナックル)による原始の戦いを挑み、両者は闘争本能剥き出しに打ち合いを繰り広げていた!

 

「欧州水鬼よ……認めよう、貴様はたしかに強い、だがな、私が気にくわないのは、女王陛下の御前にてその仮面を取らんのが気に入らないのだ!」

 

『ナニ…?』

 

「私の推察から察するに、オマエの全力はその仮面を捨てた時に100%発揮されるのだろう事は殴り合ってわかった、そして……女王陛下の騎士であるこの私との決闘でもそれを捨てないとは、この私を……いや!女王陛下に対する侮辱に他ならない!負けた時の言い訳でも欲しいのか!そんな失礼な事はするなーッ!」

 

アークロイヤルは欧州水鬼を指差し、私は全力のオマエを倒したいのだー!と一喝し、欧州水鬼はそれに応え……

 

『フッ、コノ仮面!割レルモノナカラヤッテミルガイイ!』

 

応えない!あくまで仮面ファイターであるスタンスは崩さない!

 

「…あいわかった、ならばこのArk Royal、全力を持ってその失礼マスクを剥ぎ取らせて貰おう!」

 

『フッ、オマエニハデキナイカモシレナイ』

 

「行くぞォ!!」

 

アークロイヤルは両手を広げ、小●宙を極限まで高めるッ!その動きはまるで大空にはばたくソードフィッシュの軌跡を表すかの如き動作(ムーヴ)

 

「燃え上がれ私の小●宙!今こそ極限まで燃え上がれーッ!」

 

『ヌゥ…!コレハ…!?』

 

アークロイヤルは欧州水鬼の両腕を掴んで捻り上げ、それを解き放った反動で空中に投げ飛ばし、頭から降下中の相手の両腕と首を横から手足でホールドした!

 

「喰らえ!英国式超必殺技(ロイヤル・フェイバリット)!ブリティッシュスティール・エ●ジ!」

 

『ヌウゥゥゥ!!クッ!バカメ!コンナ不完全ナ技ガ余ニ通用スルカーッ!!』

 

「クッ!!」

 

…が!あっさり外されるッ!アークロイヤル渾身の英国式超必殺技(ロイヤル・フェイバリット)

 

そして、アークロイヤルはそのまま返す刃で欧州水鬼の必殺、欧州ドライバーを決められ、海面に叩きつけられて動かなくった…

 

「グハァ!じょ……女王陛下、も…申し訳あり…ませ…」ガクッ

 

『フンッ!次ハドイツダ…?ナンナラ全員マトメテカカッテキテモイイゾォ!アーッハッハッハー!』

 

◆◆◆

 

「普通に負けましたね、アークロイヤルさん」

 

「普通に負けたな」

 

まぁ、ヤツには最初から期待してなかったが…

そもそも、この戦いにあのクッ殺騎士を出す予定ではなかったのだが、クッ殺騎士本人が“女王陛下が御出陣なさるのに女王陛下の騎士であるこの私が出ないワケにはいかないだろう!”と散々ゴネ、陛下からも“Admiral、どうかArkの心意気を察してはくれないでしょうか”とお願いされ、陛下からの希望とあれば俺も断るワケにはいかない

 

「陛下も普段からアークロイヤルさんの扱いには困ってますしね」

 

「真面目なのは良い事なんだがな、残念なだけで」

 

「そうですね」

 

五月雨は冷たい麦茶を机に置き、菓子皿にお徳用パ●の実をドバドバと投入した

 

「あ、今、イイの刺さりましたよ、アイオワさんのストレート」

 

「ん?あぁ、ありゃ死ぬな」

 

テレビに映る現場からの中継では、MAJORの鉄拳、アイオワのダイナマイトストレートを顔面に喰らい、こう……ぐるんぐるんと回って海面に叩きつけられる欧州水鬼の姿が映っていた…

 

とりあえず、出撃前に陛下とも話し合い、あのクッ殺騎士ではどうにも不安なので、出陣の際には信頼出来るメジャーリーガーも帯同させます……と、陛下の不安を最大限拭う努力があったコトを知って欲しい

 

…しかし、恐るべきはMAJORの怪物達、たった今、強烈なマグナムストレートで欧州水鬼のマスクを叩き割ったアイオワ、正確無比なラッシュでもう何度もダウンを奪っているサラトガ、そして南雲機動部隊のチンピラ空母どもにも勝るとも劣らない容赦なさを見せるイントレピッド……MAJORの強打者達から三連打を浴びた欧州水鬼は膝と腰をガクガクさせて光るゲ●製造マシーンみたいになっていた…

 

◆◆◆

 

女王陛下率いるロイヤルナイツからの半殺しの洗礼を受け、続く第二艦隊との最終決戦、MAJORの洗礼を受けた結果、膝ガクガクで意識朦朧、希望なんてモノは持ち合わせていない欧州水鬼はそれでも自ら膝を折る事なく最後まで勇敢にファイティングポーズをとる…っ!

 

「…撃つよ、撃つからね」

 

第二艦隊旗艦ッ!改白露型の小さな巨人、山風…

 

その、癖のある緑髪に気難しげな表情……その姿に、一部の紳士達は飽くなき憧憬を感じずにはいられない…

しかしッッッ!!その山風が実際に戦う姿を見たものがいるのでしょうか!山風の活躍はいつだって演習の中ッッ!その、枯れた奥義が実戦の場で発揮されるのを見たものがいるのでしょうか!

山風教徒はもうそろそろハッキリ言うべきなのですッッッ!!

 

山風は保護(ほご)されているッッッ!!

 

『モゥ………カンジナイワァ…』

 

「…撃つよ」

 

先の戦いにて、不倶戴天の天敵であるキンパツチビが姫級の首級をあげると言う戦果を叩き出し、こりゃMVPticketとDarlingはJervisが頂きネー!とゲラゲラ笑いながらナチュラルに見下してきたコトにブチギレた山風は、チョーシにのんな!とJervisの膝を蹴り上げ、その足で執務室へ直行、提督に対し、出して!出して!と2時間余りまとわりつき執拗にお願いした結果、第二艦隊旗艦でならいいと許可を貰った…

 

ちなみに、その場に普通に居合わせていた五月雨は“へぇ…絶対沈まない第二艦隊の旗艦ですか?へぇ…”と言って提督から“べ、別に!心配してるとかそんなのじゃないからね!たまたまよ!たまたま!”とチ●コパイを投げつけられた

 

「…撃つからね!」

 

『イタイ!チョ…イタイワァ!!』

 

山風は欧州水鬼の膝に執拗にローキックを浴びせ、体勢が崩れて頭が下がったところで渾身に飛び膝蹴りを顔面にブチ込んだ

 

ビタンッ!!(飛び膝蹴り)

 

『イタァ!!』

 

「決まったァ!シャイニングウィザードォー!」

 

「やったか!」

 

「い…いや、まだだ!まだ倒れていない!なんてタフなヤツ…!!」

 

倒れないッ!!山風渾身のシャイニングウィザードでもまだ倒れない欧州水鬼ッ!まさに不死身、不死身の怪物(モンスター)…ッ!と戦慄しかけたチームと山風だったが……

 

死神の鎌は、既に首にかかっていた…

 

「沈むワケにはいきませんッ!!」

 

ズドンッ!!(腹パン)

 

『オゴォ!!?ゴハァァァァァァァァァァ!!オゴ……オゴォ…!カヒュー…カヒュー…ゲボォ…!』

 

暇潰しに腕をグルグル回していた雪風の絶対破壊攻撃(アブソリュートブレイク・ショット)が欧州水鬼の身体を貫き、タフを誇った仮面の怪物、欧州水鬼は今度こそ膝を崩して海面に倒れ込み、ブクブクと気泡を残して沈んでいった…

 

「手が汚れました」

 

 

…こうして、安心の雪風様の拳にて長い戦いは終わり、今回も無事に作戦完了となった





次回は終了編ではなく、たぶんしょーもない日常話の通常運転



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提督と夕村と友情の花

なんやかんやを多用する大人の社会

【登場人物】

提督(過ちを認めて糧にする大人)
悪魔にも友情はある、たぶん

夕立(ぽい)
白露姉妹の四女、キレやすく我慢弱い自称乙女座

村雨(はいはい)
白露姉妹の三女、キレやすく乳●は弱い自称乙女座



そうだ!喫煙所に行こう!執務室でハンコを押したり経費の領収書を整理していた俺は、タバコ休憩でもとるかと考え、缶コーヒーでも買ってから行こうと自販機コーナーへと行くと、ベンチのところでいかにも頭の悪そうな駆逐艦が座り込んでたむろしていた…

 

「でよぉー!腹にワンパン入れたらよぉー、もぉカンベンしてくださぃ〜!って泣いて謝んべ!で、もっぱつ蹴り入れてやったらヒキガエルみてぇにひっくり返ってよぉー!ギャハハハハ!」

 

「ギャハハハハ!村雨マジ鬼畜っぽい!」

 

自販機の前でウ●コ座りしてゲラゲラ笑いながらアホな話をしている白露姉妹のバカコンビ、夕立と村雨…

バカだが火力だけはある夕立と、バカだが身体つきだけは生唾ゴックンのビシバシモンの村雨

 

「よぉ、クズども」

 

「あ、テイトクっぽい」

 

「ジュース買いに来たの〜?村雨にも奢って奢って〜!」

 

村雨はヘラヘラ笑いながら俺の腕にまとわりついてきたので、俺は離せ下郎が!と言って即座に腕を振りほどいた

 

「馴れ馴れしいんだよ、このクソヤローが」

 

「ひどっ!?村雨なんかした…?」

 

「俺はビッチには厳しいんだよ、だいたいなんだその横乳は、誘ってんのか?あ?」

 

「誘ってません〜!コレはそーゆー制服なんですぅ〜!」

 

まったく、改二になる前からいやらしい身体つきに急成長していたが、改二になったらなったで更にいやらしくなったな!ガ●ダム!

 

「まぁいい、とりあえずそこをどけクズども、提督様は缶コーヒーを買うのだよ」

 

俺はスタイリッシュに財布を取り出し、中から小銭を取り出そうとすると、夕立と村雨は一瞬のアイコンタクトで連携を決めたらしく、俺と自販機の前にゆらりと立ちはだかった

 

「…なんだその手は?」

 

夕立のアホンダラはどーゆー理屈で動いているかよくわからない横髪をピコピコ動かし、右手を俺の前に出して最高に良い笑顔で言う…

 

「ジュース代」

 

「…」

 

「くれっぽい」

 

「…」

 

…女を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだ

俺は差し出された右手をじっと見て、然る後、その手をとって……

 

「ヤバい!!夕立!そいつ、零の悲劇するつもりよッ!!」

 

「っぽい!?」

 

村雨の言葉に瞬時に反応し、夕立は即座に右手を引き抜いて後方の自販機にぶつかる勢いで後退したッ!

 

「チッ…」

 

「ハー…ハー…ヤバかったっぽい、サンキュー!村雨!」

 

「フッ、いいってコトよ、だって私らダチじゃない?」

 

村雨は夕立にバチコーンとウィンクし、互いにフッと笑いあった、なるほど…クズどもにしてはなかなか好判断だと褒めてやろう

 

「だが、所詮は下等艦娘の考え、俺は貴様達に教えたハズだ、戦いに情けは無用!大切なのは怒りと憎しみの悪のパワーだと…」

 

戦いにおいて大切なのは誰かの為になど愛の精神だと言うものも居るが、そんなものはまやかしに過ぎない、友情パワーなどに頼るのは下等である証拠、完璧なる提督である俺には通用しない

 

「どーやらジュース代だけじゃなくお小遣いも貰えるっぽい」

 

「今日はファミレスでハンバーグね!」

 

「フン……下等どもが、だがいいだろう!その心意気や良し!熱意や良し!ちょっとパンツ見せればジュース代ぐらい恵んでやって良いとも考えていたが…」

 

「え!?マジで!?」

 

「夕立!ほら!パンツ見せて!パンツ!」

 

「あ、ナニしやがるテメー!!ちょ、スカートひっぱんなっぽい!コロすぞォ!っーかテメーが見せろ!」

 

「痛っ!やったわね!このバカ妹!!だいたいナニ!?そのおっぱい!生意気なのよ!」

 

「テメーにだけは言われたくないっぽい!」

 

夕立と村雨は互いにキィーキィー言い合いながら殴り合いを開始し、このブス!ブス!だの、うるせー!このビッチが!だの醜い罵り合いを繰り広げていた

 

「ぽいッ!!」

 

「あいったぁ!!こ…このッ!」

 

やはりタイマンだと夕立に分があるか、普段はポイポイうるさいだけのチンピラだが、その火力は重巡にも勝る天性のハードパンチャー!対して村雨はクロスガードと巨乳ディフェンスでその威力を凌いではいるが……

 

「ウッ!?」

 

突如として夕立の動きが止まった!!そう、まるで全身を見えない鎖で縛らているかのように…ッ!!

 

「フッ、村雨の束縛する中●の鎖(チェーンジ●イル)よ……捕らえた白露型を強制的に“絶”にするわ!」

 

「クッ!っぽい!」

 

捕らえた白露型って………っーかコイツは対・誰戦を想定して制約してんだよ、もっと他にあるだろ、せめてナ級とかツ級を“絶”にしろよ、むしろあの手に持ってた鎖、具現化系能力だったのか…

 

「さらにこの律する小●の鎖(ジャッジメントチェーン)を打ち込んで村雨の奴隷にしてやるわ!」

 

そしてこのゲスぶり、右目のギ●スがOFFにならなくなったとか言ってただけに、大したゲスぶりだ

 

「クッ!!って……ってか村雨、そのジャッジなんちゃらテートクに打ち込めば、ジュースも買ってくれるし、お小遣いもくれるっぽい?」

 

鎖でいやらしく縛られつつも、この冷静で的確な判断力……大した夕立だ、そして…

 

「て………天、才」ブルブル

 

村雨は、妹、夕立の冷静で的確な意見に驚愕して震えていた、まさかそんな使い道考えたコトなかった!村雨にとって、夕立の考えはあまりにも革新的だったのだろう

 

「そ、そうね!その通りよ!そうだったわ!喰らえテートク!律する小●の…(ジャッジメント…)っ!」

 

俺はそんな村雨の村雨っぱいにソフトに右手を添え、気功と共に力強く踏み込み、通●拳を叩き込んでやった

 

「ハアッ!!!」

 

ズドンッ!!(通●拳)

 

「ンギィィィ!!ゲホォ!!げほっ……!くっ!」

 

「コイツ、俺の通●拳の受けてなお倒れぬか…」

 

谷風クンなら即死するであろう技だが、どうやらあのブ厚い巨乳ディフェンスが通●拳の威力を半減させているらしい

 

「痛いじゃないッ!!村雨なんかしたぁ!?」

 

そしてこの逆ギレ、チェーンで奴隷にするとか言ってたヤツだよコイツは…

 

「まぁいい、俺の奴隷になるなら許してやらんでもないぞ、奴隷の証として村雨は提督様の忠実な肉●器ですと言ったらジュース代と千円やろう」

 

「だ、誰が言うモンですか!そんなコト!」

 

「そうか、ならばそこに転がっている夕立にジュース代と二千円与え、貴様にはさらなる苦痛を与えよう」

 

「村雨はテイトク様の忠実な肉●器です!」ドゲザァー!!

 

「村雨ェ!!テメー裏切りやがったなっぽい!許さねぇ!!ゼッテー許さねぇー!!」

 

鎖で縛られ、ゴロゴロと転がる夕立はこのクソヤローがー!と村雨を糾弾し、そんな夕立を邪悪な顔で見下し村雨は…

 

「アハ、アハハハハ!ナニが友情よ!ナニが姉妹の絆よ!大切なものは悪のパワーよ!アハハハハ!」

 

このゲスぶりである

悪の高笑いしつつ、鎖を振り回す姿はもはや悪の女幹部的なアレと言っても差し支えないだろう、しかし村雨よ…悪の女幹部とは最初はチョーシこいて部下に辛く当たったりしているが、後に、他の幹部に裏切られて下等な怪物達から怪物製造マシーンにされるのがオチなのだよ

 

 

この後、とにかく村雨をブッ●したいと願い、覚悟と覚悟の制約をキメた夕立(強化系)から、村雨はボッされ、執務棟から中庭ぐらいまでブッ飛ばされ、休憩中の陸上部達がレモンのハチミツ漬けを食べていた中庭の噴水に突き刺さったそうな

 

友情は成長の遅い植物である、それが友情と言う名の花を咲かすまではなんやかんや……




次回は秋刀魚についてのお話、たぶん


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未来軽巡ともう一つの結末

久々に今日は二本立て!人造艦娘編の真の最終回!

【登場人物】

エイナス(気が強い女)
夕張の娘で未来夕張型軽巡の未来艦娘、過去では夕張の仮の名前を使い、アヤセと名乗っていた
基本的にはシリアスな世界観で生きてきたので真面目な感じだが、ちょいちょい父譲りの短絡的でゲスな面もある

夕張(未来)
艦娘の力を失った未来の夕張、単独でタイムマシンを作り上げた天才で、娘にはわりと厳しく、若い時はマゾだったらしい

しーちゃん(実験体)
過去の世界で人造艦娘の実験体にされていた謎の子供







人造艦娘の恐怖に怯える絶望の未来を変える為、過去の世界へとやって来た未来艦娘アヤセ(仮)と提督の未来を変える戦いは終わり、アヤセ(仮)は無事、人造艦娘への対抗手段を手に入れて未来へと帰っていった…

 

そして、これは絶望の未来が辿ったもう一つの結末…

 

---

 

「この………クソだらァァァァァァ!!」

 

無事未来に帰還し、迎えてくれた母、夕張に人造艦娘の真実とその対抗手段を手に入れてきたと報告した未来夕張型軽巡エイナスは少し休んだ後、すぐに人造艦娘が暴れているという現場に直行!過去の世界で、天才 Dr.モロにより手を加えられたNEW未来夕張型艤装の力を全開にし、あれほど強く、誰も手も足も出なかった人造艦娘を圧倒的な力で粉☆砕したッ!

 

「なるほどォ!シャイニングフ●ンガーとはこういうものかーッ!!」

 

憎っくき人造艦娘のドテっ腹に手刀を突き刺し、そのまま胴体ごと持ち上げて人造艦娘を爆☆散したエイナスはガハハハハと父親譲りであろう品の無い高笑いをあげ、遂に、人造艦娘の恐怖にさらされていた未来の世界を救ったのだった…

 

そして、人造艦娘の脅威が去った世界は、僅かづつだが復興を始めていた

 

◇◇◇

 

「…ナニこれ?」

 

「炒った豆よ、好きでしょう?」

 

「いや、まぁ…別に嫌いじゃないけど、いや…なんかこう……もっと他にないの?私、オムライスとか食べたいかな~って」

 

未来世界を救った英雄の家の晩餐は質素だった…

いや、質素と言うか、そもそも未来ではワリとこれが当たり前であり、過去の世界に行った際、今まで見たコトないような美味しいモノを食べ、贅沢を覚えてしまったエイナスには炒った豆がとても悲しいものに見えた

 

「我慢しなさい、ただでさえ食い扶持増えたせいで余計に食料を切り詰めないといけないんだから」

 

「…はい」

 

母、夕張のド正論に、エイナスは頷いて炒った豆を口に放り込むと、隣に座っている白髪の子供ことしーちゃんも炒った豆をボリボリと食べ始め…

 

「おいしくない」

 

「知ってる」

 

「タイホーママのハンバーグたべたい」

 

「知ってる、アレ美味しかったよね、美味しい肉ってあんな味するんだねー」

 

エイナスとしーちゃんはお互いにため息ついてアレ美味しかったなぁ~と言いながら炒った豆をボリボリ食べていると、若干怒った夕張がテーブルをダァン!した

 

「ちょっとアンタら、黙って食べなさい!!」

 

「…はい」

 

「…はい」

 

「ったく……ま、明日は食料の配給あるから炒った豆よかマシなもの作ってあげるわ」

 

---

 

過去から未来に帰還したエイナスが持ち帰ったのは人造艦娘への対抗手段だけではなかった

 

過去の世界で、Dr.モロから預かった謎の子供ことしーちゃん…

Dr.モロ曰わく、おそらくは未来で暴れている人造艦娘のプロトタイプ的な存在らしく、色々と事情があってDr.モロの庇護下に居たそうだ

 

エイナスから人造艦娘の情報を得たDr.モロはその断片的な情報だけで“この私がそんな欠陥品作るワケがないでしょう?まったく……私を誰だと、いえ、作りましたね、欠陥品、いやいや…アレは欠陥を持つ事こそが完成であるとも言えますか、はい?あぁ、彼の話を聞きたいですか?あの男、槇…”………面倒くさいのでエイナスは聞かなかった

 

 

「えいなす、ナニこれ?」

 

「コレね、そう…コレはね、この世界を守る為に戦った戦士達のお墓よ」

 

街の復興が進んでいるよく晴れた日、エイナスはしーちゃんを連れて街外れに作られた簡素な墓地へと来ていた…

 

戦いの日々は終わったよ、と短く告げ、エイナスはそこらで拾ってきた花を墓に添える

 

「清霜さん、私、やったよ…」

 

幼いエイナスに、強さと優しさを教えてくれた偉大な戦士、清霜

過去の世界で、あんなに強くてカッコ良かった清霜さんがアホな子供だった事に多少目眩がしたが、やはりエイナスにとって清霜は特別な存在である事に変わりなかった

アホな子供の清霜に、強く…!強く生きてください!と伝え、清霜が持っていた光る球をコッソリ別のよく似た球にすり替えてきたが…

 

「えいなす、おなかすいた」

 

「はいはい、じゃ、帰ろーか」

 

「おー」

 

「今日たしか母さんがカボチャ貰ってくるから楽しみにしてろよコノヤローとか言ってたし」

 

「おー!」

 

エイナスは立ち止まり、もう一度、戦士の墓に頭を下げてから歩き出した…

 

絶望の未来はもうない、この先、どんな事があろうとも未来は自分が守る!そう心に決めて…




次回こそ秋刀魚っぽい話かもっぽい…

夜は秋刀魚行ってきます


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提督と秋の秋刀魚祭り

※先日、秋刀魚祭りに行ってきました、ただ、このお話はフィクションです、実在する店舗やら実際の秋刀魚祭りとは一切関係ないことをご注意ください

あと、これから行こうかな〜…っと考えている人は、このお話はまったく参考にならないので、ご自分で色々と情報を調べることをオススメします

【登場人物】

提督(おひとり様)
アレ…?オレ、水割りって言ったよね?これロックだよね?どう考えてもロックだよね?


キュウシュウから少し離れ、仕事の為に訪れたヒロシマ…

 

仕事は予定より早く終わったものの、今日中に基地に戻る必要はなく、時間の空いた俺はただ腹を空かせてこれからどうするべきかを考えていた…

 

いつもなら、秘書艦の青髪ロング子に卿から私に勧める飲食店はあるか?と尋ねるところだが、今回の出張に青髪ロング子は同行していないので、適当な店で食事をする必要がある、青髪ロング子は“出張に行くならネットとかで事前に近くにある美味しい店を探しておけばいいじゃないですか?”と当たり前のように言うが……まったく、そーゆートコもムカつくのだよ、あ、ヤベ、イライラしてきた

 

「さて…」

 

まぁ、落ち着こう、俺はただ腹が減っているだけなんだ…

 

とりあえず街をブラブラと歩いていると“さんま”と書かれた暖簾が下げられ、店先には海軍様歓迎と書かれた看板…なるほど、さすがは海軍最大戦力、四大鎮守府の一角、呉が近いだけはある…

 

先日、磯風が新鮮な釣りたての秋刀魚を調理した結果、秋刀魚は“コロシテ…コロシテクレ”と悲痛な声を出すワケのわからない物質になった事は記憶に新しい…

 

「よし…行くか」

 

とりあえず、腹も減っているコトだし、ここに決めてしまおう!俺は暖簾をくぐり店内へと入った…

 

---

 

店内に入ると、なるほど……どうやら海軍歓迎の看板に偽りはないらしく、客の多くは海軍の士官や将校らしい…

 

「だからワシはゆーたんじゃあ、深海のゴミクズどもを生かしちょってもしゃーないじゃろう?正しくなければ生きる価値はありゃあせん!とな」

 

「おーおー…怖いコトを言いなさる」

 

「まったく…甲勲章を諦めるゆーのは生き恥を晒すのと同じコトじゃろ?」

 

スイマセンでした、生き恥を晒してスイマセンでした

現在進行系で生き恥しか晒してないだらしない提督でスイマセン…(※注 甲勲章を諦めるのは生き恥ではありません)

 

やべー…なんだこの店、ヤバすぎだろ、もう全員アレだわ、俺以外は全員、当たり前のように覇気使ってて、当然のように自然系(ロ●ア)ブン殴れる感じの武装色だろ、あー…怖い怖い、とりあえずあっちのカウンターに座っとくか

 

「えー…とりあえずナマ一つ、それと…」

 

とりあえずナマ、そして、メニュー表にあるオススメ10種……か、まぁ、無難にコレぐらいにしとくか

速やかに注文を済ませた俺はメニュー表やお品書きを見るふりしつつ、店内の雰囲気、そして様子を改めて確認する…

 

どうやら今日の客は殆どが海軍の士官や将校で間違いないらしく、秋刀魚などを食いつつ和やかかつ、和気藹々とした様子に感じられる…

さっき俺の背後を通ったヤツなんか間違いなく“剃”とか使って移動したね、そして、俺の隣に座るこの男も並の将校ではないだろう…

 

「お待たせしましたー」

 

「おっ…!」

 

運ばれて来た小皿とメインであろう秋刀魚、なるほど秋刀魚か、ふむ……そうそう、こーゆーのでいいんだよ、こう…まずは冷たいビールでキューっとやってさ

 

「いただきます」

 

…うん、うん、秋刀魚だな、コレは、個人的にはもうちょい焦がす勢いでパリパリに焼いたのが好みだが、うん、悪くない…

 

刺身や秋刀魚、その他の小皿を満遍なく味わいつつ、どちらかと言えば酒に重きを置いて食べていた俺は、ふと、隣を見て…

 

「…っ!?」

 

早ェェェェ!!なんだコイツ!?ちょ!待てよ!アンタ俺と同じぐらいに料理きて、同じぐらいの量あったろォォォ!?なんでサラダしかねぇの!?あの量どこいったの!?牛丼屋に来た体育会系部員かよ!え?ナニ?俺が食うの遅い感じなの!?

 

「……スイマセン、ナマもう一つ」

 

「はーい」

 

…おそらくは俺なんぞモクモクしちょるだけの男と違い、きっと名のある御方なのだろう、たぶんアレだよアレ、執務室のサイドボードとかに甲勲章飾っちゃってる感じだよ、間違いないねー!

 

ってか、きっとこの店内!俺以外はみんな勲章とか当たり前な感じだよオイ!仮にだ、仮に、俺が何かの間違いで“甲勲章?アハハハハ、あんなのマゾの証じゃないですかー?”とか言おうモンならこの店の海軍将校全員を敵に回す恐れすらある

 

『モクモクしちょるだけのミジメな敗北者がァ!』

 

『海軍に相応しくない海のゴミクズが!」

 

『生きて帰れると思うちょるじゃろうなぁ〜?』

 

…ダメだ死ぬ、勲章一つない、俺は所詮モクモクしちょるだけのミジメな敗北者だ(※注 甲勲章を諦めても敗北者ではありません)

 

そんな事を考えつつ酒を呷り、ショボい人生でゴメンな!と小学生だった頃の俺に謝っていると、店内からなにやら歓声のようなものが聞こえてきたので、ふと、そっちを見てみると…

 

「あー!いかんかったのぉ!」

 

「今日はどうやら“ツキ”がないらしい!フッフッ!」

 

………なんかチンチロやってた、え?チンチロ?チンチロしてんのアレ?

 

「フッ…どうやら始まったらしい」

 

「え?ナニが!?」

 

思わず隣に座る男に聞いてしまったが、どうやらアレはチンチロではなく、今日、この店に出る限定品を購入する権利を賭けているらしい………屈強な海軍将校達が欲しがるとは、なんだ?まさかメラ●ラの実でも売るつもりなのか!?

 

そんな事を考えていると、賽子を持った店員がこちらにも回ってきたらしく、隣に座る男もチンチロリーンし、良ければどうぞ、と俺にも順番が回ってきた…

よ、よぉーし!メ●メラの実かー!たぶん!買って帰ったら暁ちゃんきっと喜ぶぞぉー!もしかしたら一緒にお風呂入ってくれるかもしれないなー!

 

…と、賽子を手に持ったら!!

 

「うおっ!!」

 

「どうしました?お客さん!」

 

「い、いえ……なんでも!」

 

重いッ!!な、なんて重いんたこの賽子…っ!なんだコレ!?アダマンタイトかなんかでデキてんのか!?嘘だろ、アイツら全員、コレを軽々と振ってたのかよ!?バ…バケモノ、バケモノ揃いだ!!俺なんか下っぱ中佐と“格”が違いすぎる!

 

「ふ……フンッ!!」

 

チンチロリーン(ハズレ)

 

「あー残念、ハズレですねー」

 

「アハ、アハハハハ…そーっすねー」

 

無茶ゆーな、振れるかッ!!あんなもん!!覇気か!?武装色しとかんとあかんのか!?

 

そんなワケで、メラ●ラの実は普通に諦めた、暁ちゃんには紅葉饅頭でも買い、モミモミの実とか言っときゃ喜ぶだろ、たぶん

 

ーーー

 

「アリアトアシター!」

 

………入店から約二時間、とりあえずは良い感じに飲み食いでき腹も満たされ、店の外に出た俺はタバコに火を点けてとりあえず一服した

 

「よし、ラーメン食って帰るか」

 

キュウシュウ男児である俺としては、やはり〆はラーメンが要る………トンコツじゃないのは少し寂しいが

 

「…ん?」

 

ポケットに入ってるケイタイに、メールの受信を報せるランプが点いているので何事かと思って確認してみると、五月雨からで、内容は……

 

【尾道ラーメンとかいいんじゃないですか?】

 

「………」

 

コイツのこーゆーところがムカつくのだよ





次回はたぶんイベント終了回、楽しいお給料の時間!
次回以降はいつもの新人圧迫面接回、今回もまた濃いのが…


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続続続続続続・提督と作戦終了と…

作戦終了ですって

【登場人物】

提督(敗北者)
永遠に甲になれない哀れな敗北者じゃあ!

Jervis(メガアンラッキー)
グイグイくるタイプのロイヤル禁断の豪速

佐渡さま(ノーリスペクト)
涼月が栽培していたピーマンを食べつくし、秋月姉妹に深刻なピーマン不足をもたらし害獣認定された


「えー…約半年ぶりとなる作戦海域、今回も皆さんの頑張りもあり、無事に完了する事ができました……と、まぁ、クソの役にも立たない前置きはいいとして、ここから先はお給料の時間です、サミー、アレを」

 

手押し台車に載り、運ばれてきた毎度お馴染みジュラルミンケース…

その中身は当然ながら現金…っ!キャッシュ…っ!マネー…っ!唸りをあげる欲望の化身…っ!!金ッ!!当基地ではみんなの頑張りをわかりやすいカタチにし、現ナマ手渡しで支給している…

頑張りとは何か?最高のチームワークとは何か?かつて鹿島先生に問いかけた事があるが、当時の鹿島先生はその答えを答える事ができなかったが、おそらく、今の鹿島先生なら大正解の答えを答えるコトができるだろう…

 

「はい、じゃ〜…今回のMVPチケット獲得第1位は〜…朝潮型の皆さんでーす、はい拍手〜」

 

「よっしゃあ!!」

 

「やったッッッ!1位よ!1位…ッ!」

 

「もしもしママ?私1番になったよ!お給料いっぱいでたから!うん!うん!大丈夫だって!」

 

今回のMVPチケットランキングはなかなかの混戦になったが、やはり今回、最も凶悪かつ衝撃のダメージ量を叩き出し続けた朝潮姉妹の成果は大きい、あの、タフなコトに定評のあった集積なんちゃらを目が合っただけで股間に金的カマすのはなかなかデキるコトじゃない…

 

俺は壇上に上がった朝潮姉妹、その、代表として前に出た長女朝潮にCongratulationsと声をかけてアツいシェイクハンドをし、ギッシリと欲望の詰まったブ厚い茶封筒を手渡した

 

「はいみんな拍手ぅ〜…」

 

パチ……パチ…(拍手)

 

「さて次、ドンドン行くぞぉ~ドンドン、次、MVPチケットランキング第二位のお友達は~………英国から来たスーパールーキー、ラッキー・ジャーヴィスく~ん、はいみんな拍手ぅ~」

 

「Battle honor? Lucky! I'm glad I have been able to help! Doing?」

 

うん、早口過ぎてナニ言ってるかはよくわからないが、とにかく嬉しそうに飛び跳ねているジャーヴィーくんは赤い髪の女騎士にさぁ!行って来い!と背中を押され、俺の居る壇上までかけ上がり、勢い良く俺の腹に向けてロイヤルダイヴを敢行してきた

 

「グヘァ!!」

 

「Darling!ワタシやったネー!やったネー!コレはモーケッコン待ったなしでいいでショー?ね?ネ?そーしまショー!それがいい!それが一番ネ!」

 

「ま……まぁ、ジャーヴィーくん、うん、ちょっと離れたまえ、うん、近い、顔が近い」

 

本来なら、提督様にダイヴを敢行してくるようなクソガキには必殺の合気で顔面掴んでグルングルン回転させて床に叩きつけてドロドロにしてやりたいところだが、今はマズい、今、この場には陛下もおられるのだ、陛下のお気に入りであろうこのクソガキに合気を炸裂させようものなら、陛下大激怒→第三次世界大戦勃発になるであろう事はもはや常識…

故に、俺はグイグイくるジャーヴィーくんを優しくひっぺがし、皆が見てる前でいきなり飛び込むのは良くないなと当たり障りなく注意した…

 

「エー!別にいいじゃナーイ?」

 

ジャーヴィーくんはケラケラ笑いながらDarlingはホント、ケン・キョーネーとワケわからんコト言っているが…

あと、壇下から、死ねー!だのブッ殺すぞクソガキャ!などアツい声援がそれなりに飛んできており、チラっと見えた緑のトゲトゲしい頭が海風ねーちゃんと白露ねーちゃんの二人がかりで押さえつけられて注射のようなものを打たれて外に引きずられて行く姿が見えたが……たぶんインフルエンザの予防接種かなんかだろう

 

「とりあえず、ほら、お給料だ、ほら、これ持って降りなさい、な?」

 

「うぉ!!ブ厚…!エ…?コレ、Jervis貰っていいノ?」

 

「いかにも、キミのモノだ」

 

「アリガ・トー!!Darling!」

 

ジャーヴィーくんは嬉しさのあまりか、再び俺にロイヤルダイヴで飛び付いてきたが今度は回し受けでキチンと迎撃し、丁重にお帰り願った…

 

ーーー

 

「えー…最下位、浜波クン」

 

「………500円」

 

無事にお給料の時間も終わり、最後の浜波クンがガックリと肩を落として壇上をトボトボと降り、降りた先で沖波クンや藤波クンに肩をバシバシ叩かれている姿を見て、彼女の持つ無限の可能性を改めて確信した…

 

「えー…じゃ、今回も無事に作戦終了ってコトで、皆の労を労うべくささやかだが酒と料理を用意した、皆、存分に飲み食いしたまえ」

 

いつものように、体育館に運ばれてきた料理と酒…

福利厚生を充実し、働きやすい職場である事を皆にアピールすることを忘れないコトもこの基地の絶対支配者である提督の仕事でもある

 

「ヒャッハー!水だぁー!」

 

「なんだこのチーズ!味が薄いっーか、普通にチーズっーか」

 

「馬鹿野郎、そいつぁトマトと一緒に食べ………って!ンマァァァァァァァ!!なんだコレェ!!」

 

クズどもはキャッキャとハシャぎながら酒や料理を目につく先からDAITANにブッこんでいき、宴の開始から僅か15分ほどで肩がぶつかっただのぶつかってねぇーよだの、いつもの殴り合いが始まった…

 

「さて……」

 

俺も何か食うかと考え、早速長テーブルのエリアへと行き、めぼしい食材を物色する…今日はアレだな、そう、なんて言うか肉の気分だ、うん、肉、悪くないな

 

「あ、対馬!なんだそれ!なんだよそれ!スゲー美味そうだなー!佐渡さまにもくれよー!」

 

「あっちにあるから自分で取ってきたらいいと思う……けど、まだ、いっぱいあったし…」

 

食材を物色していると、新世代の悪の申し子と名高い生粋のS、自称も他称も佐渡さまと、常に瞳孔が開いてる妹の対馬クンがいた…

 

「バッキャロー!佐渡さまはお前が持ってるやつが欲しいんだよ!」

 

「え、えぇ…?」

 

お前の大切なものを奪う喜びをくれないか?佐渡さまはすぐ手に入る串になど興味はない、他人の物を奪うと言うスパイスがより一層、味を引き立てるのだ……さすがは海防艦佐渡、まさしく邪悪の新世代よ…

 

「……じゃあ、はい、あげる」

 

対馬クンは言ってもムダだと既に悟っているのか、佐渡さまに持っていた串を手渡し、佐渡さまはヒャー!ウンメー!とか言いながらワイルドにかぶりついた

 

「ング…んぐっ!ブハァ!そーだ、貰ってばっかじゃ悪いし、対馬!佐渡さまのも分けてやるよ!」

 

「え!?」

 

「有り難く食えよー!」

 

そう言いつつ、佐渡さまは皿に載せていた山盛りのピーマンを対馬クンの皿にヒョイヒョイ載せ、箸でつまんで対馬クンの口にグイグイ押しつける!

 

「ちょ!やめて…!佐渡さま、やめて!」

 

「バッキャロー!!ピーマンは身体にイイんだぞ!フザケンナんよ!オラッ!口開けろ!オラッ!口閉じんなコラァ!」

 

「い、いらない…!そんなにいらな…んぐっ!!」

 

「よく噛めよ!オラッ!口の中でちゃんと味わってからゴックンしろよ!できなかったら対馬のオレンジジュースにウーロン茶とかメロンソーダとか混ぜるからな!」

 

「うぅ…ぅぅぅ」ポロポロ…

 

…さすがは新世代の悪のスーパーエリート、海防艦佐渡、フッ、これからの成長が楽しみで仕方ないな…

 

◆◆◆

 

それなりにテキトーに飲み食いし、タバコでも吸うかと体育館の外に出てそこらに座っていると、いつものしょーもない一口スイーツを片手に、寒色系駆逐艦がぬらりと現れた…

 

「お疲れ様です」

 

「おう、お前もな」

 

「まぁ、私は今回も出てないですけど…」

 

そう言って五月雨はケーキを口に放り込み、これは甘いですねとか言って頷いているが………たしかに、コイツ、いつから前線に出なくなったか?

 

「明日は新人さんの面接あるのでビッとした制服でお願いしますよ」

 

「バカ言うんじゃないよこの子は、それはナニか?いつもはビッとしてないっーのか?」

 

「してないですね」

 

「カッカッカ!こやつめ!言いおるわい!カッカッカ!」

 

五月雨曰く、クリーニングしたのがロッカーに入ってるからそいつを着なさいとのコトだ、まったく、相変わらず痒いところに手が届くのがムカつくわい

 

「しかし新人か……今度は何人だ?3人か?7人か?」

 

「5人です」

 

「5人か…」

 

また微妙な数だなオイ、まぁ、ウチに配属されるぐらいだ、さぞかし有望なんだろうなぁ〜………さぞかし




次回は新人面接回


敗北を知りたい…

集まった5人の最強新人艦襲来ッ!!


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続続続続続続・提督と新人と面接

敗北を知りにはるばるやって来た最凶新人艦ッッッ!!

【登場人物】

神鷹(元客船)
ドイツから来て色々あって名前も姿も変わった

岸波(ゆるふわヘアー)
目が笑ってない

Maestrale(合法駆逐艦)
マエストラーレ級の長女、合法

Gotland(軽巡的なナニか)
スウェーデンから来たよくわからない艦種

Nelson(大貴族)
英国から来た新たなる刺客


10月に入り最近肌寒さを感じるゴキゲンな執務室…

 

「で?最初は例によって海防艦のボンクラか?」

 

「いえ、今回は海防艦の子はいないみたいですよ」

 

「マジか」

 

どうやら上もようやく海防艦の新人を配属させる事に、なんか違うなと思ってくれたようだな、そうだよ、その通りだよ、ウチはワガママガールを精密なマシーンに育成するスクールとかじゃねぇんだよ

 

「とりあえず最初の人は空母の人です、軽空母」

 

「軽空母…?」

 

「はい、なんか潜水艦に強い感じの人らしいですよ」

 

「ふ~ん」

 

潜水艦に強いっーと、カス丸くんやガンビア・ベイみたいなアレか…

正直、イヤな予感しか感じずにいられないでいると、そんな俺の思いを察してか、五月雨は次の方どうぞーと扉の向こうに声をかけた、コイツマジあとでゼッテー腹パンしてやると心に決めると、扉を開き、最初の新人が入室してきた…

 

「Guten Tag…いえ、こんにちは…」

 

「ぐーてん?」

 

「私、神鷹って名前…その…航空母艦です」

 

なんだろうな…?一見、カス丸くんの2Pカラーみたいな感じに見えなくもないが……カス丸くんには無い気品のようなものを感じるのだよ

 

とりあえず履歴書的な書類を読み、この子が一体何者なのかを確認してみる………ふむ、なるほど

 

「キミはアレかね?ドイツ生まれのドイツ育ち的な…?」

 

「あ、はい、ドイツ的にはシャルンホルストって名前です」

 

「ふ~ん」

 

シャルンホルストか……なんかどっかで聞いたコトあるような、ないような…

 

「え~………お、キミ、いきなり3スロスタートかね?ハッハッハ、そうかそうか!3スロか!」

 

「え?あ、はい…」

 

正直、カス丸くんの2Pカラー的な見た目なので絶望の2スロで艦攻装備不可のカスかと思っていたが、いやいや、なるほど、うん、なかなか見所のある子じゃないかね

 

「うむ、まぁ、最初はファームで鍛えてからになると思うが、キミには期待しているのだよ」

 

「あ、え?あ、はい…ダンケ、じゃない、ありがとうございます」

 

「うむ、では下がってよろし………いや、サミダス、冷蔵庫にプリンがあっただろう?彼女に持たせてあげたまえ」

 

「90円のですか?150円のですか?あと、五月雨です」

 

◆◆◆

 

見所のある新人、金のカス丸の面接を終え、次なる新人を待ち受ける執務室…

 

「次は駆逐艦の人です、毎度お馴染み夕雲型の」

 

「毎度お馴染みだな」

 

駆逐艦の中でもエリートの中のエリート、スーパーエリート駆逐艦と名高い夕雲型の新人か…どうやら次はTOUGHな面接になりそうだぜ…

 

そんな予感を感じる中、次の方どうぞーと呼ばれて、ふわっとしたヘアーの子が入室してきた…

 

「夕雲型駆逐艦、その十五番艦、岸波です、貴方が提督…?そう………いいけど」

 

あ、コイツ、いきなり露骨に失望しやがったよ!間違いない、俺にはわかる、このガキ、イケメン提督じゃないコトにガッカリしやがった!

 

「そう、俺がこの基地の絶対支配者である提督様だ、宜しく頼むぞ、え~……岩波クン?」

 

「岸波よ」

 

「あぁ、そうだったな、スマンスマン、謝罪しよう」

 

「……チッ!」

 

態度悪いなコイツ、さすがはスーパーエリート駆逐艦と名高い夕雲型なだけはある、スーパーエリートのPRIDEと言うヤツか…

とりあえず、俺は手元の履歴書的な書類を読みつつ岩波改め岸波クンの性能について確認してみる…

 

「ふむ、まぁごくごく平均的な夕雲型と言ったところか、対潜がちょい強めの」

 

「そうよ」

 

「…ふむ、まぁ、下で徹底的に鍛え上げてからの実戦だな、ま、ガンバリたまえ」

 

「…チッ!」

 

また舌打ちしたよこの子、なんなの?え?俺なんかしたの?

 

「………岸波クン」

 

「なんですか?」

 

「ナニか不満があるのなら聞こうじゃないかね?ん?なんでも言ってみなさい」

 

「不満ですか…?そうですね、特にないですが…」

 

「いやいやそんなコトはないだろう?遠慮する事はない、提督は基地の仲間を皆ファミリーだと思っているのだよ」

 

「…チッ!」

 

また舌打ちしたよ!なんなのこの子!?面倒くさいどころの話じゃないよ!妹の教育どうなってんの夕雲姉さんよォ!

 

そんな気難しくて繊細な年頃であろう岸波クンに参ったなこりゃと頭を抱えていると、執務室の扉を勢い良く開き、夕雲型のアツき血潮の姉妹達が颯爽と現れたッ!

 

「フッ、待ってたぜ岩波ェー!」

 

「まったく、久しぶりね…トリートメントはしているかしら?岩波」

 

「朝ちゃん、沖姉……!あと、岸波だから」

 

夕雲姉妹のワイルド担当、いすゞさんにも目をかけらる対潜エリートの朝霜と、夕雲姉妹の知性溢れる天才担当の沖波クンは久しぶりねとか言いつつ馴れ馴れしく岸波クンの頭をバシバシ叩き、姉妹の再会を喜んでいた

 

「もう面接終わったんだろ?メシ食いに行こーぜ!メシ!」

 

「夕雲姉さんが鍋するから早く来いって」

 

「………チッ!」

 

この子また舌打ちしたよ!え?なんなの?もしかして姉妹仲悪いのか?それは些かアレだな、姉妹は仲良くしないと…

 

「岸波クン、ウザかったらウザいと言っても構わないんだぞ?」

 

「別に?ウザくありませんけど?」

 

じゃあ舌打ちすんなよ、どう見てもウザがってるじゃねーか………すると、朝霜と沖波はいやいやいやと言いつつズイっと前に出てきた

 

「テイトク、岸波は嬉しいコトや楽しいコトがあると舌打ちすんのが癖なんだよ」

 

「変でしょ?まったく、だからそんなゆるふわパーマなのよ」

 

「変とかゆーな」

 

◆◆◆

 

すぐ舌打ちする岸ちゃんが退室し、次なる挑戦者を待つ執務室…

 

「次も駆逐艦の人です」

 

「ほぉ…」

 

五月雨の淹れたアツいティーを飲みつつ、お茶菓子に出されためん●いをボリボリ食べながら残った履歴書的なものをチラ見した俺は、なんとも奇妙な点に気付いた…

 

「オイ、あと3人だよな?」

 

「はい、あと3人です、全員外人さん」

 

「全員かッッッ!!」

 

新人5人中3人が外人さんとかウチも随分とインターナショナルになったモンだなオイ、っーか待てよ、そもそも神鷹クンはドイツ生まれのHIP-HOP育ちとか言ってたし、冷静に考えたらほぼ外人じゃねーか!ほぼGermanyだろ神鷹クンは!?実質5人中4人が外人だYO!

 

そんな俺の悩みを気にする事なく、次の方どうぞーと呼ばれて元気IPPAI入って来たのはイタリアからの刺客ッッッ!

 

「Buon giorno♪マエストラーレ級駆逐艦!長女のマエストラーレです!テイトクぅ、私もどーぞよろしくお願いしますね!頑張りまーす!」

 

「うむ」

 

元気があってよろしい、なるほど…これが合法駆逐艦と言うものか

 

「えー…マエストラーレくんはアレかね?対潜とか得意な感じのアレかね?」

 

「ハイ!だいたい得意な感じです!」

 

「ハッハッハ、そーか!そーか!得意な感じか!」

 

マエストラーレはキャッキャとハシャぎながらまとわりついて来たので、俺は五月雨にマエストラーレくんに冷蔵庫のプリ…いや、エクレアを出してあげたまえと命じると、五月雨は俺に対して若干ドン引き気味にしていたが黙ってエクレア(580円)を出した

 

「delizioso!ありがとーテイトクぅ!私頑張るね!」

 

「ハッハッハ、あぁ…そうそう、今後の事だがマエストラーレくんは五十鈴に任せたいと思う、なに、乳はデカくてややキレやすいが優しいセンパイだ、きっと可愛がってくれるだろう」

 

「あ、その人知ってます!リベから聞きました!メチャシブいって!」

 

「五十鈴は私の信頼できる部下だ、困ったことがあればなんでも相談するといい、ハッハッハ」

 

◆◆◆

 

「次の方どうぞ~」

 

合法駆逐艦、マストラーレくんが退室し、次なる挑戦者がスルリと入ってきた…

 

「北欧、スウェーデンからやって来ました……航空巡洋艦ゴトランドです」

 

「え?なんだって?ゴト…?ゴトラタ…」

 

「ゴトランドです」

 

「ゴッド……ランド……だと?まさか!?GOLAN(ゴラン)!実在したのか!」

 

神の国(ゴッドランド)

自分達だけが神に選ばれた人間だと信じる最高にイカレた狂信者にして、その戦闘能力は冷酷無比、たった一人で500人のゲリラを殲滅できる殺人戦闘員(キラーコマンダー)と噂されている…

 

オイオイオイ、こいつはトンデモない刺客が来たモンだぜ…!

 

よく見ると、このGOLANクン、タダ者ではない目をしている…まるで睡眠中の暗殺を警戒してか、普段から快適な眠りをとっていないかの如き凶暴な目つき…っ!そして、あの太腿にチラリと見える短刀、おそらくは当たり前のように毒が仕込まれていると見たッ!

 

「…いえ、だから、ゴトランドです」

 

ゴトランドくんは若干イラっとしたような顔をして太腿の辺りに手をやったのを俺は見逃さない!先手必勝…ッ!俺は椅子を蹴って飛び出し、ゴトランドくんの左腕をとってそのまま身体を押して壁にダァン!した

 

「うにゃ!?」

 

「フー……フー……危なかった」

 

しかし相手は殺人戦闘員(キラーコマンダー)とまで名高いGOLAN、とりあえず、このナイフは奪っておくかと左の太腿に手をやると…

 

「ヒッ!?ヒィィィ!!!ナニすんのよ!!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「あべしっ!!」

 

ゴトランドくんからの強烈なビンタを浴び、大きく仰け反ると、ゴトランドくんは凶暴な目をさらに凶暴にして俺を睨みつけ…

 

「ハー……ハー…!さ、最低っ!!」

 

「なるほど…手首のスナップといい腰の入れ方といい、こーゆー元気なビンタが繰り出せるなら君の健康状態は間違いなく“良好”だ!」

 

「ヒッ…!?さ、最低!最低よ!最低!最低…ッ!!」

 

「最低じゃない、提督だ、しかし失礼したね、もしかして大事な物だったかね?」

 

「え、えぇ…今、まさに必要になってる大事なモノよ」

 

なるほど、さすがは神の国の名を持つ謎の艦種、軽(航空)巡洋艦…どうやら彼女と打ち解けられるのはまだまだ先らしい

 

◆◆◆

 

GOLANからの刺客が退室し、いよいよ最後になった最凶新人艦面接…

 

「最後は戦艦の人です」

 

「戦艦か…」

 

相変わらずまるでいい予感がしねぇな、戦艦と言えばアレだよ、恐竜みたいなもんだ、ガンガン殴られても平気な浮かぶパンチングマシンなのだよと考えていると、執務室の重厚な扉をワイルドに開き、これまたワイルド感と底知れぬ自信に満ち溢れたサラサラキンパツヘアーの美女が入ってきた…

 

「余がNelsonだ!貴様が余のAdmiralという訳か、フッ…なるほどな、いいだろう」

 

英国から来た新たなる刺客…ッ!超弩級戦艦ネルソン…ッッッ!!

 

「…スイマセン、ネルソン?さん、ちょっと秘書と作戦タイムいいですか?」

 

「作戦タイム…?フッ、構わないぞ」

 

俺は五月雨にちょっとこっち来いと手招きして呼び、作戦タイムを開始する…

 

「サミダリューン、卿も感じたか?」ヒソヒソ

 

「なにがですか?」ヒソヒソ

 

「オマエにもわかったハズだ…」

 

そう、ひと目で尋常でない面倒くさい奴だと見抜いたのだよ…

 

「………まぁ、些かアレな感じですね」ヒソヒソ

 

「だろ?絶対めんどくさいタイプだぞアイツ、だって“余”だぞ?“余”!ファラオかよ?」ヒソヒソ

 

「ファラオかどうかは知りませんけど、たぶんあの溢れる面倒くさげなオーラはタダ者じゃないでしょうね、貴族的な人なのでは?」ヒソヒソ

 

「貴族か……なるほど、卿の意見を是とする」ヒソヒソ

 

俺たちのヒソヒソタイムを寛容に許したネルソンは今も鏡の前でなにやらカッコいいポーズの練習的なものをしており、どうやら下々の者らしい俺たちの話し合いにはまるで興味がないらしい…

まさしく上に立つ者、高貴な者だけが持つ高貴な余裕というものだろう

 

「私見ですけど、たぶん、陛下以下ジャーヴィスさん以上の地位ぐらいの人なんじゃないかと?」ヒソヒソ

 

「なるほど…」ヒソヒソ

 

たしかに、唯一無二の絶対支配者にして究極女王(アルティメットクイーン)である女王陛下を頂点とするなら、このネルソンはおそらくそれに次ぐ大貴族と言うワケか……なんたって余だしな

 

「フッ、そろそろ良いか?Admiral?」

 

「え?あ、あぁ、うん、では始めようか」

 

「フッ…では改めて、私がNelson級1番艦Nelsonだ、よろしく頼むぞ」

 

「う、うむ…私がこの基地の提督、Admiralだ、よろしく」

 

っーか乳デカいなコイツ、ナニ食ったらそんないやらしい身体になるんだよ

 

「フッ…AdmiralについてはLadyやArkから先日聞いているぞ、なかなかの快男児だとな!」

 

「は、はぁ…?」

 

「特にArkはAdmiralの事をいたく気に入っていたな!今度共に狩りにでも行ってはどうだ?嗚呼、わかっている…sandwichだな?勿論用意させよう、最高のものをな」

 

「い、いえ…お気遣いなく」

 

「フッ、何も心配はいらん、Ladyには余から話を通しておいてやろう!」

 

あ、ダメだコイツ、あの残念女騎士アークロイヤルと同じタイプかと思いきや、精神が貴族すぎてなおタチが悪いタイプだ

 

「おっと……そろそろ時間だな、すまないがAdmiral、これから稽古の時間でな、余はこれで外させて貰う」

 

「え?あぁ、はい」

 

フッ、では今度、食事でもしながらゆっくり話そうではないか……そう言い残し、ネルソンは来た時同様にワイルドに扉を開けて去って行った……

 

「……」

 

「……」

 

「これで終わりか?」

 

「終わりですね、私、もう帰っていいですか?」

 

「そうだな、今日はもう店じまいにするか…メシ食いに行くから付き合え」

 

「え?普通にイヤですけど?」



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提督と戦慄!Nelson Touch!

必殺技?そんなもの……持っているのが当たり前だろう?

【登場人物】

提督(知性)
得意な痴漢技はア●ルアナライザー

Nelson(ビッグセブン)
驚異の必殺技、ネルソンタッチの使い手、ただし使用する為の条件は厳しい

長門(ビッグセブン)
48の殺艦技+2を使用するタフ・ガイ


晩夏の作戦も終わり、初秋になった今日この頃、秋の防災運動のポスターでも掲示板に貼って回るかと基地施設内を歩いていると、なにやら運動場の方からクソガキどもがキャッキャとハシャぐ愉快な声が聞こえてきたので何事かと思って覗いてみると、先日ウチに配属されたばかりの大貴族様がガキどもに囲まれていた…

 

「すげー!ネルソンタッチすげー!」

 

「たーのしーい、もう1回!もう1回やってー!」

 

「ハッハッハ、待て待て、順番だ、順番、子供達よキチンと並ぶのだ」

 

…ナニやってんだあの貴族様は?っーかネルソンタックルってなんだ?

貴族様はクソガキどもに順番に並ぶように伝えつつ、次なる順番らしい文月と皐月をヒョイっと持ち上げ、自分の艤装をまるでAGPのアレみたいにトランスフォームさせた

 

「フッ、見よ……各々方!コレがNelson Touchと言うモノだーッ!!」

 

まさにその形態こそ突撃形態ッッ!!2人を艤装に乗せながらも突進をやめない!なんという爆発力!なんという根性!まるで重機関車のようだッッッ!!

 

グシャァッ!!(Nelson Touch!)

 

これまさしく夢の超特急にして煌めきの流血列車!ネルソンタックルは勢い良く木人を木っ端微塵に破壊し、キラめく勝利のイマジネーションを輝かせながら停車した…

 

「フッ、これがNelson Touchだ…」

 

「スッゲー!次オレ!」

 

「私も!私も!私もー!!」

 

「ハッハッハ、順番だ、順番!ほら、良い子にはcookieをあげよう、最高級のな…」

 

「うんめー!」

 

「なんだコレ!陛下から貰ったヤツぐれーうめーゾッ!」

 

「ハッハッハ!」

 

…どうやら大貴族様はガキどもに大人気らしい、まぁ、仲良き事はそう悪いコトではない、むしろ歓迎すべきコトだろう、うん

 

そんな事を考えつつ、遠目から微笑ましき光景を見ていた俺だったが、ふと、その微笑ましき光景にバリバリと音を立てて裂ける暗黒のクレバスのようなドス黒い剥き出しの敵意と悪意を物陰から向けているヤツの存在に気付いてしまった…

 

「許さん、絶対に許さんぞ…このビッグセブンを差し置いてキッズ達の人気を独占しようとは……絶対に許さんぞあのクソスクラップが…」

 

「ナニやってんだ?オマエ…」

 

「…ん?おぉ、同志提督か」

 

「同志じゃねーよ、蹴っとばすぞテメー」

 

ステゴロなら“怪物”武蔵にすら殴り勝つと噂されている“怪物を超えた怪物”……その、広くてデカい背中がメチャシブいと駆逐艦のキッズ達から憧れと尊敬の眼差しを向けられているまさしく最強の名に相応しき(くろがね)の城、長門ッッ!!

 

ちなみに、ロリコンである

 

その(くろがね)のロリコン長門は、駆逐艦のアホガキどもに囲まれてちやほやされているネルソンに対し、ドス黒い感情を剥き出しにしながら爪をガリガリと噛んでいた

 

「フッ、やはり同志提督も気になったか?ヤツの……ネルソンの持つ特技、ネルソンタッチの恐ろしさが…」

 

「あ?あぁ?あネルソンタックル?いや、タッチか?」

 

「あぁ、たったイッパツで駆逐艦のエンジェルス達の人気を独り占めしたあの技……このビッグセブン、かつてない脅威を感じたぞ」

 

「ふ~ん、ま、スゲーんじゃねぇの?」

 

「そこでだ、同志提督」

 

「同志じゃねぇって言ってんだろーが、なんだ?もしくだらねーハナシだったら膝の皿叩き割るからな」

 

まぁ、イヤな予感しかしないのだが、そして…コイツのコトだから自分もネルソンタッチだかネルソンタックルにも勝る殺人技、ナガトタッチを考案したいと思うだの言うのだろう…

 

「フッ、ヤツ……ネルソンはこの長門や陸奥と同じくビッグセブンに数えられたと聞いている、それはつまりアレだ、この長門にもヤツのネルソンタッチにも劣らぬ必殺技(フェイバリット)が可能だと言うコトだ」

 

「ふ~む」

 

「勿論、自分も駆逐艦のエンジェルス達にちやほやされたいなど性根の腐った考えではない事を先に伝えておこう…」

 

「うるせーよ、性根の腐ったヤツが」

 

わかっていたけどダメだなコイツは

 

「だいたいオマエ、今更そんなモン必要ないだろ」

 

この長門、ステゴロ最強の名は伊達ではない、ハッキリ言ってただのパンチやただのキックですら必殺級の破壊力を持つ生粋のモンスターだ、鋼の腹筋に目がいきがちだが、その、バーベルトレーニングなど不自然(アン・ナチュラル)でないトレーニングでは決して獲得られない鍛え抜かれた打撃用筋肉(ヒッティング・マッスル)から繰り出される拳は、あの陸奥ですら“まともに受けるべきじゃあない…”と薄笑いを浮かべる程だ

 

「フッ…私はな、駆逐艦のエンジェルスにちやほやされたいんだッッッ!」

 

「こ…コイツ!あっさりと本音をッ!」

 

恐るべきはビッグセブン……そう言えばコイツ、駆逐艦と遠征に行きたい一心で大発を積めるように己の肉体を改造したぐれーだ……もしかしたら、コイツならヤれるかもしれん

 

「…いいだろう、長門、オマエには俺の、とっておきをくれてやる」

 

「本当か!?」

 

「あぁ、動機は不純以外の何物でもないが、オマエのそのアツい心意気は伝わった、ついて来い、早速教えてやろう…」

 

「うむ!」

 

こうして、俺と長門はネルソンタッチに対抗する為の新必殺技習得の為に行動を開始した…

 

◆◆◆

 

提督不在の執務室…

 

「やっほ〜…あら?やっぱ五月雨ちゃんだけしか居ないのね?」

 

「陸奥さん、こんにちは」

 

提督が仕事をサボって長門さんと地下にこもって丸3日…

執務室にやって来た陸奥さんから手土産にとケーキを貰い、せっかくですのでコーヒーでも如何ですか?と勧めたらやんわりと断られた…

 

「長門もまだ部屋に帰ってないのよねぇ、なんかネルソンタッチがどうのこうの爪をガリガリ噛んでたし、たぶんアレかな〜…って思ってたけど」

 

「まぁ、やっぱりそうなりましたか」

 

たぶん2人してネルソンタッチにも勝るとも劣らないワケのわからない必殺技でも練習してると思いますが…

 

陸奥さんとそんなアホどもの話をしていると、執務室の扉が開き、まるで3年は修行してきたような風貌の長門さんが……帰って来た

 

「フッ…」

 

とりあえず、長門さんはケーキをつまみつつ紅茶を飲んでいた陸奥さんに“オマエの不敗伝説は今日で終わりだ”とか言ってケンカを売り、陸奥さんはすごく面倒くさげにため息を吐いて立ち上がった…

 

「五月雨ちゃん、コレ?医務室送りにしてもいいのよね?」

 

「えぇ、まぁ…」

 

 

後日、怪物を作り出し、これ以上神様に喧嘩を売る事はできないと謎の手紙を残して失踪していた提督は近所のパチンコ屋の前でうなだれているところを発見され、とりあえず、サボってた分の仕事をしてくださいと窓のない部屋に放り込みました

 

あと、長門さんは陸奥さんから虎砲っぽく見えるけど全然別物の奥義を喰らって医務室送りされてました




次回か次々回から再び短編ifエンド回です
前回書ききらなかった話と、新たにナニかあればご提案あれば一考してみますのでお気軽るにどうぞですって


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提督とルート分岐のエンディング ⑤

帰って参りましたifエンド回、今回はキレのない変化と真っ直ぐから勝負しております

【TRUTH OF MISTAKE】
【よく見ると美少女はやっぱりよく見たら美少女】

こちらの二本立てです、はい


【TRUTH OF MISTAKE】

 

かつて戦争があった…

太平洋最終決戦、ビキニ環礁沖での連合海軍と深海棲艦軍の死闘は熾烈を極め、その最後の決着は因縁の二人、海軍大元帥と深海軍大首領、兄弟のファイトは大元帥の海軍三大奥義テイトクスパークの原型となった技、ゲンスイスパークで長かった戦いを決着させ、人類の勝利となった、そして、そのファイトは見るもの全てをアツくし、大元帥と大首領は兄弟再び手を取り合い、素晴らしき友情と言う名の永遠のパワーは世界を照らした…

 

そして、全ての戦いが終わり、世界の海軍が解体・軍縮され、海軍所属の将校だった俺は………

 

刑務所に収監されていたッッッ!!!

 

ーーー

 

合衆国アリゾナ州に存在する選りすぐりの凶悪犯達が収監されたまさしく犯罪エリートの巣窟、アリゾナ州立刑務所、またの名をブラック・ペンタゴンッッッ!!

 

軍縮となり、俺もこれからどうしたものかと考えていた矢先、アイオワからステーツのスーパーポリスアカデミーで再就職しナーイ?と誘われ、特に何も考えていなかった俺はオーケーオーケーと二つ返事にOKした、ちなみに、アイオワのアメリカンサイズのビッグバストで挟まれて迫られたとかそんな事実は無い、誇り高きヤマトダマシイを持つキュウシュウ男児である俺にはそんなものは通用しないからだ、通用しないからだ

 

そして、ステーツに渡った俺はBANA●A FISHなる麻薬を巡る陰謀に巻き込まれ、ホモから狙われたりホモに助けられたりホモを助けたりと色々とあったが、最終的に国家的な陰謀は阻止され、その結果が今なワケだが…

 

「いやぁ〜…しかし変なトコで会ったな〜オッさん」

 

「オッさんじゃない、テイト………いや、誰でもないか」

 

かつては提督をしていた俺だが、今は囚人ナンバーE92296だ………そして今、俺の隣に座っているのはかつての俺の部下、綾波姉妹五女、天霧ではなく囚人ナンバー4545072だ

 

「っーかオマエ、なんでこんなトコいるんだよ?ナニやったんだ?」

 

「あ?ダイトーリョーに水ぶっかけてやった」

 

天霧曰く、大統領に水ぶっかけてワザとここに収監されたらしいのだが…

 

「まぁ…その、アレだよ、アタシもなってみようと思ってね……“繋がれざる者(アンチェイン)ってヤツに」

 

バカだった、いや、昔からバカだバカだとは思ってたが、コイツ本物のバカだった

 

「オッさんもなるか?アンチェイン」

 

「なるかボケ、俺はな、こんなところでチンタラしてるワケにはいかねぇんだよ、MAJORの舞台でアイツらが待ってるんだ」

 

「カーッ!いいなそれェ!よしっ!一緒に脱走(ぬけ)よーぜ!」

 

「だから、脱走(ぬけ)たきゃ一人で脱走けろよ、俺は今、インピのヤツが弁護士雇って俺を出す準備してんだよ」

 

「インピ?誰だそれ?」

 

「イントレピッドだよ、ほら、空母の」

 

「空母の〜…?あぁ、あのデカパイのねーちゃんか」

 

コイツが誰を指してデカパイと言っているのかはわからんが、とりあえずデカパイである事に違いはない、ハッキリ言ってそのサイズはMAJOR級だ

 

「ま、そーゆーワケだ、脱走するなら一人でしろ、っーかオマエ、相棒はどうしてるんだ?相棒は」

 

「相棒?あぁ、狭霧ならたぶん今頃家でオナってんじゃねーの?」

 

「オナるとかゆーな、そもそもサギーくんは清らかな森でしか生きられない清純派なんだからオ●ニーとかしないだろ」

 

天霧の相棒、綾波姉妹の六女のサギーくん、見た目は薄幸の美少女であり性格も穏和、趣味は創作小説を書くコトとバリバリの文系少女だが、その作品はなかなかユニーク過ぎており、ライトノベル界で最も凶悪だったと言われている黒ライトノベル作家、山田ゼレフ先生その人でもある

 

「いや、アイツあぁ見えて結構激しいんだよ、マジで」

 

「やめて、聞きたくない、ホント聞きたくない、サギーくんは清純だから!ユニコーン乗れるから!」

 

「はいはいっと…アイツが清純ねぇ」

 

「やめて」

 

サギーくんは清純派(コレ重要)

 

ーーー

 

「Hi!Admiral!遅くなってゴメンネー!」

 

「おせーよ!マジで、危うく二代目(セカン)とか呼ばれるところだったぞ」

 

…アリゾナ州立刑務所最大のイベントが終了して一週間後、ようやくアイオワと再会し、無事、刑務所から出た俺はとりあえずアイオワのデカパイにビンタし、ステーツ的にアツいハグで迎えられた…

ちなみに、天霧は無事、刑務所の分厚い壁とミスターを拳でブチ抜いて“繋がれざる者”になり、一足先に出所した…

 

たぶん今頃、家に帰ってサギーくんのご飯でも食べているのだろう

 

「さ、行きまショ…MAJORの舞台が待っているワ」

 

「of course!(モチロン)」

 

アイオワの運転する車に乗り込み、アリゾナを後にする…

へへっ、これでようやく俺もMAJORに挑戦できるってワケか!見てろよギ●ソン!アンタのところまで、最短距離で駆け上がってやるぜ!

 

「あ、ソーソー、Admiralが収監されてる間にギブ●ン引退したワ」

 

「マジか!?」

 

「MAJI、とりあえずはNYにあるIntrepidの家に行きまショ?SamもAdmiralに会いたがってるワ」

 

「サムくんか…懐かしいな」

 

あの、宝石のように才能に溢れていたあの子か…今でもノーパンなんだろうか?彼女は

 

「SamったらAdmiralが出所したらすぐにHoneymoon行くんダーってもう大ハシャギよ」

 

「ふ〜ん、サムくんケッコンしたのか」

 

そうかそうか、ケッコンしたのか、俺以外のヤツと!まぁ、サムくんは可愛いかったしな

 

「?、ナニ言ってルノ?Sam、Admiralとmarriageしたじゃない?」

 

「Oh? What is it?」

 

「Sam got married to you?ok?」

 

「Really?」

 

「HAHAHA!Admiralったら、ホントにjokeが好きネー」

 

アイオワはハンドルをバシバシ叩きゲラゲラ笑っているが……ちょ、ちょ待てよ!え?なんで俺がサムくんとケッコンしてんの!?してねーよ!!

 

「ちょ!待てオマエ!車止めろ!っーか俺がいつケッコンなんかした!?」

 

「エー…?ステーツ来る前に書いたじゃナイ?Marriage registration(婚姻届)

 

「あ?」

 

…書いたな、たしか、コイツからは渡航に必要とかなんとか言われてよくわからん書類を何枚か書いたが……

 

「オマエ………ハメやがったな!!」

 

「チョ!あぶ、危ないワ!運転中!運転中ネ!」

 

「うるせぇ!!いいから車止めろォ!」

 

………こうして、俺は知らない間に可愛いアメリカン妻をGetしたらしく、もしかしたら俺が収監されている間にサムくんが俺好みのムチッムチでバインバインになっていたらと期待はあったが、再会してみるとあまり変わってなかったコトには泣けてきた

 

そしてこの後、俺はステーツでの事業にそれなりに成功し、それなりに陽気なアメリカンファミリーになり、毎日のジャンクフード最高さ!と言えるほどアメリカンなった…

 

◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 

【よく見ると美少女はやっぱりよく見たら美少女】

 

 

かつて戦争があった…

深海棲艦はこの地球が生み出した星の自浄作用の産物、人類は今まで破壊してきた環境を、そして母なる海を再び美しい青に戻し、この星を緑溢れる素晴らしい大地に戻してみせるべきだと過ちに気付き、深海棲艦達は再び人類が星を汚すその時までと去って行った…

 

そして、世界は次第に軍縮していき、俺も職を失っていいトシこいて社会と言う四角いジャングルへと放り込まれた…

 

「たっだいまー!」

 

「うるせぇよ、もうちょい静かに帰って来い」

 

「はいはいっと……あ、そうそう、見て見て!ほら!私テストで一番だったよ!一番!」

 

「はいはい、一番な」

 

帰ってきた娘の頭にトントンと手刀を叩き入れつつ鍋をグルグルかき混ぜていると、玄関のドアを開き、もう一人の一番が帰ってきた…

 

「たっだいまー………って、私が一番最後?」

 

「ププッー!ダッサ、お母さんが一番最後だよ!」

 

「なんだとコイツぅ!一番疲れて帰った母親に向かってこんにゃろめ!」

 

帰ってきた白露は娘に対してコブラツイストみたいな形でギューギュー締め付け、どうだコノヤロー!とか言ってハシャいでいるので俺は帰ったんならとっと脱いで着替えろと手近にあったミカンを投げつけた

 

「あ痛っ!ったく、ヘイヘイ、わかりましたよー」

 

………あの戦いからもう10年以上になるが、あれから色々あった、そう、色々とだ…

軍をクビになり、流浪人はまた流れるかと退職金を手に全国を回っていたある日、同じく退職金でオシャレなパン屋を始めたいとテナント巡りをしていた白露と再会、不動産に少々心得があった俺は白露の店作りに協力してやり、流浪人はまた流れるでござるよと去ろうとすると………まぁ、なんだ?白露ねーちゃんもよく見ると美少女、俺もこう、ちょい酒とか入ってたし、よく見たら美少女だし?

 

…まぁ、爽やかな朝を迎えちまったワケだ

 

「テートク今日早かったんだ?ゴメンねー、今日晩御飯私の番だったよね?」

 

「まぁ、早いもの勝ちだな」

 

「明日はお店休みだし、気合い入れてなんか作るからね!ナニがいい?」

 

ちなみに、俺は白露のパン屋とはまったく別の仕事をしており、時間にはわりと自由のきく業界に生きている…

 

「はいはい!私カツ丼とか食べたい!カツ丼!」

 

「アンタは黙ってなさい、私はテートクに聞いてんの!」

 

白露似の娘はハイハイ手を挙げてみたものの、白露からブレーンバスターでソファーに叩きつけられ、ンギィ!とか言って床にのたうち回った、正直、汚いのでやめて欲しいのだが…

 

「オマエ明日は妹達とメシ食いに行くとか言ってなかったか?」

 

「え?あ、あ〜………そうだっけ?」

 

自分でカレンダーにマルつけといてそりゃないぜセニョリータよ

 

白露の妹達……時雨様こと時雨は実家の稼業を継いだらしく、今ではSHIRATSUYUのCMを見ない日は無いぐらい急成長しているのは時雨様あってのおかげだろう、こないだテレビで時雨様が“僕に逆らう企業は親でも許さない”と言ってたし……他にも夕立や村雨、春雨と春雨、五月雨、海風ねーちゃん達も元気にやってるそーだ

 

「あ、じゃあさじゃあさ!みんなウチに呼んじゃうってのはどう?で、みんなでご飯食べるとか!」

 

「誰が用意するんだよ、誰が」

 

「え?そりゃ〜………私と、テートク?」

 

「あと、ウチは狭い」

 

「大丈夫だって!あと10人くらい余裕だって!ま、まぁ…そりゃちょい狭いかなって気もしなくもないけど」

 

以前、同じようにウチに招いたコトがあったが、その時に時雨様から“僕が家を用意しようか?部屋は30くらいで足りるかい?”と言ってたので丁重にお断りした事は記憶に新しい…

 

「エー……時雨おばさんお小遣いくれるからいいけど、夕立おばさんと村雨おばさん私のゲーム借りパクするから呼ばなくていいよぉ〜」

 

そしてヤツらはクズのままだった…

 

「………ま、どうするかはオマエに任せる、妹どもと出かけるなら俺はコイツと吉●家だ」

 

「エー!!もっと高いの食べよーよ!」

 

「じゃ、ジョ●フル行くか、ジョ●フル、なんでもあるぞ」

 

「やだ!」

 

まったく、なんてワガママなガキだ、誰に似……母親だな、うん

 

「あ、もしもし時雨ー?私私ぃー、明日さぁ〜…ウチに来てくれない?うん、そうそう!うん、ウチでやるからさぁー、え?ケーキ?わかった、うん、あはははー…大丈夫だって!そんな気遣いできるの時雨と海風ぐらいだし、うん、じゃあねー…」

 

ピッ!(通話終了)

 

「ってなワケで、明日はみんなウチきます!」

 

「オマエ、相談とかないのか?」

 

「したじゃん?相談」

 

「…さっきの相談じゃねーで雑談って言うんだよ、ったく…」

 

白露姉妹の長女、白露、よく見ると美少女だったコイツは今でもよく見ると美少女風に見えるヘラヘラした笑みを浮かべ、今日も明日も俺の横に立っているのだろう




次回もifエンド回!内容はまだフワフワしてますって!


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提督とルート分岐のエンディング ⑥

ifエンディングのその⑥

遊び球無しのエコ投球で投げるスタイル

【BAD END】
【Bordeaux rouge】

今回はこちらの二本立て


【BAD END】

 

かつて戦争があった…

人類と深海棲艦の戦争、それは人類が初めて人類以外の知性溢れる敵性生物と言う存在を相手に人種・国家・宗教の垣根を越えて手を取り合い、人類の力と英知を結集させて勝利し、人と人は互いに分かり合えるのだと予感させた…

 

しかし、人類は変わらなかった

 

深海棲艦との戦争の間にも水面下では人類同士の戦いは無くなる事はなかった、そして、深海棲艦の脅威が去った後に、再び人類は互いに武器を向け合った…

 

「おひさっす、センパイ」

 

「…ヒメか、誰も近付けるなと警備に厳命していたハズだがな…」

 

海軍本部より離れ、遠く、キュウシュウの地にある古い海軍基地の一角に設けられた墓地、かつての俺はここを拠点とし深海棲艦との戦いに明け暮れ、上に上がると言う野心に燃えていた時期もあった…

 

そして、今や中央の実権の大部分をその手に握っただけではなく、全ての大海を手に握れる場所まで上り詰めた…

 

「海軍元帥に、軍務尚書、統帥本部総長、艦隊司令長官っすか〜…ちょっと役職与え過ぎじゃないんすか?」

 

「そんな事は無い、これでもまだ少ないくらいだ」

 

「秘書ちゃん、そんなに仕事したくないんですけど?ってヴァルハラでブツクサ言ってるっすよ」

 

「だろうな、アイツならそう言う」

 

手当が付くなら秘書艦ぐらいで丁度いい、とな…

 

「…それで?何の用だ?無駄話をする為に来たワケではないのだろう?」

 

「無駄話する為に来たんすよ、たまにはいいじゃねーっすか?ウチのヴェーちゃんがアップルパイ作ったんすよ、コーヒーでも飲みながら一緒にどーっすか?」

 

「…悪いが遠慮させてもらう、すぐに中央に戻るつもりだからな」

 

「もー!マジつれねーっすね!」

 

「つれなくて結構だ」

 

深海棲艦との戦いは既に遠き日、戦争の終結と共に、戦う力を失った多くの艦娘達だったが、一部ではその力は失われておらず、深海棲艦のようにいつの日か人類に向けるのでは?と声があり、艦娘に軍での過分な地位を与えるのを危険視する声は少なくはなかった…

 

しかし、歴戦の将校達はその声に対して弁解も反論もなく、無視という形で過分な地位を与え続け重用し続け、それはやがて大きな不満となり、最悪の形で爆発した…

 

一部の思想に染まった過激派による艦娘の排除運動、それは、俺の半身を奪い、過激にはより過激による報復を是とする復讐鬼をこの世に誕生させた…

 

「また来る」

 

ここへ来る度に、まだ足りないと感じ、我が頼れる秘書艦に過剰なまでに地位を与えてきたが、やはりまだ足りないと感じる…

次は何を手土産にすればいいだろうか?この海の王にでもしてやればいいだろうか?いや、アイツのコトだ、きっと何も望んではいない、おそらくは似合わない邁進はなどやめてはどうですか?と言うのだろう

 

「ヒメ、中央に戻り次第、全ての元帥を呼べ」

 

「へいへいっす、あ、そうそう、なんか例の連邦政府の高官がセンパイに話があるとかなんとか…」

 

「斬れ」

 

「いやいやいや、話ぐらい聞いて………ま、りょーかいっす」

 

…五月雨よ、俺は邁進をやめんぞ、そしていつの日か、お前は俺を叱るのだろう?その時までに考えた謝罪の台詞をお前が飽きてもう結構ですと言うまで聞かせてやる

 

それから、コーヒーを淹れてくれないか?舌が火傷しそうなほど、アツいヤツをな…

 

 

◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 

【Bordeaux rouge】

 

かつて戦争があった…

海軍本部頂上決戦、仲間を取り戻しに来た深海棲艦のヘッド、永遠に王になれずにフワフワしちょるだけのミジメな敗北者である中枢棲姫は遂に倒され、深海棲艦達はヘッドを失い、失意の下に海の底へと帰って行った…

 

戦いの日々は終わり、俺は軍を辞め、退職金を手に、かつての夢であった“西欧文明ドナウ起源論”を証明するべく活動の場を欧州へと移す事にし、かつての部下達に、また会おうッ!ワシのことが嫌いじゃあなけりゃな!マヌケ面ァ!と言って颯爽と去ろうとしたら、欧州組から凄まじいパワーで肩を掴まれ肩を破壊され…

 

「BOSSは倒す、仲間を守る、そう難しいコトじゃあない…」

 

イタリア組から逃げ出した

 

「knight of one、これからも共に女王陛下に忠誠…」

 

イギリス組から逃げ出した

 

「ろーちゃんですって!」

 

ドイツ組から逃げ出した、たぶん総統から殺される

 

「は?触らないで、訴えますよ」

 

…ちなみに、GOLAN(スウェーデン)からは誘われなかった

 

そして、そんな欧州で俺を温かく迎えてくれた国は美と芸術の国、花の都………ではなく、ちょっと都から離れた片田舎だった

 

フランス、ボルドー地方…

 

「今年は当たり年ね!」

 

「そうかぁ?」

 

今年の収穫祭を終え、晩秋の暗がりは早く、町の火はもう既に各家に灯っている季節…俺は微妙にボロい納屋を改装した部屋で、チーズを口に入れつつ新聞を読んでいた…

 

「モォ!mon amiral!アナタ、ちゃんと聞・い・て・る・の?」

 

「はいはい聞いてる聞いてる、アレだろ?ブラックホールに落ちると時間が止まるんだろ?」

 

「言ってないわよ!むしろブラックホールなんて行けないわ!」

 

「バカ言うんじゃないよこの娘は、ブラックホールなんてテニスしてたら普通に設置するだろ」

 

「しないわよ」

 

ボロ納屋に似つかわしくないキラッキラの豪奢なキンパツをぶわぁっと流し、この家の家主である美女は机をダァン!と叩いた…

 

かつての部下、フランスから来た自称最強戦艦リシュリュー、地元じゃ最強最強言われてちやほやされてたせいか、ニホンに来た当初はお高くとまっていたが、ニホンのチンピラ戦艦どもにボコられて自信を失い、謙虚な性格に変わってしまった過去を持つ…

 

欧州での活動拠点を探していた俺は、リシュリューからウチの田舎……実家の納屋でよければ下宿させてあげてもよくってよ!と提案され、即飛びついた、まぁ、その提案した本人は“なんか違うな…”みたいな顔をしていたが、アレだろう、本来なら俺が“納屋…?冗談じゃない!まるで家畜の扱いだわ!こんな屈辱…!本当に最低よ!”と反抗してくるコトを考えていたのだろう

 

「まったく……mon amiral、食事の時はJournalはやめなさいな」

 

「あ?なんだって?」

 

「モォ!食事が冷めるって言・っ・て・る・の!ほら!貸しなさい!」

 

リシュリューは俺から新聞を奪うと、グルグルと手で巻いて壁にブン投げた、まだ4コマ漫画読んでないのに…まぁいいや

 

「今日はCèpes à la Bordelaiseにしたの、どう?」

 

「ふ〜ん、いいんじゃね?」

 

「そう?そうよね!」

 

しかしこのリシュリュー、家主様なのにわざわざこの汚い納屋まで食事を持ってきてくれる暇人だ

昔、こんな片田舎イヤよ!私はパリでスーパーモデルになるのよー!と言って飛び出して行った娘が心を入れ替えて帰ってきて、実家の家業を手伝い、両親も安心と言ったところだろう

 

「しかしオマエ、パリっ子はいいのか?パリっ子は?」

 

「は?ナニよ、急に…」

 

「オマエ、地元じゃ敵なしのスーパーモデルなんだろ?なんかたまにそれっぽい仕事来てるらしいじゃねーか?」

 

「………キョーミないわ」

 

「ふ〜ん」

 

フッ、大人になったな、リシュリュー…

 

「パリに行ったらさぞかしモテモテなんだろ?ちょっとそこらでイイ男引っかけてきたらどーだ?」

 

「は?」ギロッ!

 

「なんでもないです」

 

まぁ、コイツに釣り合う男などそうはいないだろう……しかし、こんなコイツは片田舎で葡萄踏みつけるにはあまりにも惜しい美を持っている、美とは実に罪なものだな

 

「mon amiral、それはなぁに?」

 

「ん?」

 

リシュリューは俺の後ろに立て掛けてあった画板を目ざとく見つけた

 

「ご覧の通り、画板だが?」

 

「画板は見たらわかるわよ、ナニ描いてるの?」

 

「秘密なのだよ」

 

「は?」

 

「は?じゃねーよ、完成したら見せてやろう、完成したらな」

 

「ふ〜ん………ま、いいケド…」

 

ちょくちょく描いてみてはいるが、やはり真実の美を描ききる技量は俺にはないらしい、悲しいコトだ

 

「と、見せかけて…ッ!!見せなさい!」

 

コイツ!!フェイントを!なんて高度なテクを…!まるでマルセイユルーレットの如きスピンで俺を抜き去り、画板を手に取ったリシュリューはそれを見て……

 

「………え?えっ〜……え?コレ、え?わ・た・し?」

 

「下手くそだろう?まだだ、まだ真実の美を再現しきれない己が憎い…ッ!」

 

「え…?い、いえ、と…とても良く描けてると思う気が…」

 

「まだだッ!!」

 

俺はテーブルをダァン!し、己の心のままを未だ表現できないコトを呪った!

 

「すまない、今の俺にはあるがままの美を表現するには難しいようだ」

 

「…え?えぇ…?」

 

「だが約束しよう、いつか必ず俺はオマエと言う“美”を描き切ると!それまで待っていてくれ!」

 

「え…?えぇ…?えぇ!Je l'ai eu、えぇJe l'ai euよamiral、えぇJe l'ai euです、えぇ…」

 

なんかリシュリューのヤツ、ドン引きしているようにもみえるが……っーか顔が紅いな、おそらくは風邪気味なのだろう、今夜は暖かくして寝なさいと伝え、リシュリューはなにやらヘラヘラしながら納屋を去って行った…

 

 

後に、一人の無名な東洋から来た美の信奉者がボルドーで数枚の作品を残し、この世を去った……しかし、彼が最後に遺したとされる“至高の美”と呼ばれた作品は未だに見つかっておらず、一説には、美は美と共にあるべきとモデルになった女性の手に渡り、最期は女性と共に天に召されたと言う…




次回はたぶん黄金のように爽やかな死闘と、提督の心臓を狙う話、たぶん


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提督とルート分岐のエンディング ⑦

微妙に間が空きましたが帰って参りました
第2回ifエンド集は今回で一旦終了です

【黄金の秋】
【深海20000】

たぶん年内にもう1回くらいやります、はい



【黄金の秋】

 

かつて戦争があった…

人類と深海棲艦の未曾有の大戦争はついに禁断の力、ターンタイプの起動を促し、その破滅の力を解き放たれたターンタイプは再び文明を破壊するかと思いきや、なんやかんやあって戦いは生身のリアルファイトでの決着、深海軍総大将はオ・ノーレ発言を残して消えてしまった…

 

戦争は終わり……退職金を元手になにか商売でも始めるかと考えていた俺は、何者かに鈍器のようなもので頭部を強打、拉致され、目が覚めるとそこは“(オーシャン)”だった…

 

そして……

 

「おめでとう!おめでとう!ポーラ!」

 

「スゲェ!見た目だけは超キレー!」

 

イタリア、シチリア島の切り立った海辺に立つ真っ白なチャペルで、俺は祝福されていた…

 

「うへへへ~…ザラ姉様ぁ~ポーラ幸せになりますぅ~」

 

そして、俺の隣でアルコール臭い息を吐きながら手を振るポーラは相変わらずのしまりのない顔でヘラヘラ笑っている…

 

「………なんでこんなコトに」

 

「え~?ナニかいいましたかぁ~?あ、もしかしてテイトクも飲み足りない感じですかぁ~?」

 

「そうだなぁ~…」

 

なんでこんなコトになったのか、そう……今日と言う日を迎えるまでに色々あった、自販機の前で拉致されたあの日、目が覚めるとイタリアへと来ていた俺は“入団試験”を受け“組織”に“貢献”する仕事に就いた、ローマ曰く、まずは“信用”を得て“幹部”になるコトだと!

 

……まぁ、それから色々あってBOSSと敵対したが俺達はBOSSを倒し、チームのリーダー、ローマは組織の新しいBOSSに姉、イタリアを据え、組織は“麻薬”を扱わないクリーンな組織へと生まれ変ったのだったッ!!

ちなみに、BOSSとの戦いで正規空母ヅラしたおっぱいデカいだけのアクなんたらの胸に“矢”が刺さったが、その、無駄に厚い巨乳防御で事なきを得た…

 

「…そもそも何故、今、俺はオマエとチャペルで“祝福”されてるんだろうな…」

 

「あははは~…いやですねぇテイトクぅ、アレですよ、アレ、ケッコンには“祝福”が必要なんですよぉ~」

 

「ちょっとナニ言ってるかわからないですね」

 

BOSSとの戦いは終わり、平和になったナポリで宴を開催した俺達、たぶんそう、アレだろう、ちょっとハメはずし過ぎたっ―か、やっぱアルコール入るのは良くなかったっ―か………ベッドに入ったのは覚えているが、気が付くと朝で、横にアヘ顔全裸のポーラが寝ていた

 

時間が飛んだ事を疑った俺はBOSSの能力か!?と戦慄し、チームの仲間達にキング・クリ●ゾンだッ!と警告したが、新しいBOSSイタリアからはドン引きの目で見られ、新幹部のローマからは“昨夜アレだけ激しくアモーレしてどの口が言ってるのよ?責任とりなさい、責任、とれないって言うなら掟に従ってソルベになってもらうしかないわね…”と脅され、現在に至る………

 

「テイトク!ポーラ!」

 

「あ、ザラ姉様ぁ~」

 

「テイトク!ザラは信じていました、テイトクならポーラを引き取っ……貰ってくれるって!」

 

「オイちょっと待て、今、引き取るって言いかけたよな?なぁ?なぁ?オイ!」

 

「………イッテマセン」

 

「ザラ姉、ザラ姉、ザラ姉ェよォ〜…?ちょっとこっち見てハナシしよーや?な?ナニ目ぇ逸らしてんだコラ?ちゃんとこっち見ろや、それとナニその胸元の穴は?誘ってんのか?あ?Please insert p●nisですか?あ?」

 

目を逸らすザラ姉ェの胸ぐらをワイルドに掴み、舐めてるんですか?え?舐めてるんですか?と問い詰めてみたが、ザラ姉から足を踏みつけられ、ヒギィ!と言いつつ地面を転がった

 

「テイトク、ザラは“祝福”します、ケッコンには“祝福”が必要なのです、そしてザラはファミリーの新しいfratelloとして迎えます」

 

「バカ言うんじゃないよこの姉は、ケッコンってのは幸せで幸せで幸せで幸せの“絶頂”でするもんなのだよ」

 

「ポーラに何の不満があると言うんですか!」

 

「全部」

 

「ぜ…全部ッ!?」

 

いや、まぁ、遠目でチラッと見るだけなら文句なく可愛いとは思うが、こうして今、俺の隣でテーブルに置いたアルコールをグイグイ飲むポーラには文句しかないが…

 

「まぁ、しかしヤってしまったものはセキニンをとる、それが大人だよ」

 

「grazie、さすがはテイトクです、そんなテイトクにザラは“敬意”を評します!」

 

俺とザラ姉はガッチリと手を取り合い、新しいファミリーとして結束をより強めた

 

「ポーラを引き取っ……いえ、貰ってくれたほどのテイトクの気高き“覚悟”と“黄金”のような“夢”に賭けましょう!テイトク!」

 

「いや、やっぱ引き取るっつったよな?なぁ?オイ、引き取るって言ったよなオイ?」

 

 

こうして、俺はイタリアの地で後の人生を実りあるものとしつつ過ごした…………ような気がしたが、後年、コロッセオの地下でまるで柱の中で眠る“男達”を発見し、世界の、いや…地球の命運を賭けた戦いへと身を投じることになったのはまた別の話

 

◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 

【深海20000】

 

かつて戦争があった…

深海棲艦と人類の最終決戦、その最後にして最大の戦いは人類に勝利に終わり、全ての深海棲艦達は海の底へと帰って行った…

 

そして、最終決戦の戦いには多くの海軍将校達も前線へと投入、軍の“人間兵器”として俺も前線で数多の深海棲艦を血祭りにあげたが、最後は何故か海上に居た猫を避けようと気をとられ、ピリオドの向こう側へと(ダンス)っちまい、海の底へと沈み、MIA認定された…

 

しかし!!

 

俺は死んでいなかったッッッ!!!

 

「はい、じゃ〜…今日はニンゲン0計画+深海立て直し計画の進捗について話合いま〜す、はい、誰か意見ある人」

 

「ハイ!ハイ!」

 

「はい、ツ級」

 

深海棲艦達が棲む深海秘密基地、古くはムーだの呼ばれていたらしいが、どうやら天地の創造期に地裏で見つけるのをスルーされ、地上へと姿を浮上できなかった大陸だとかなんとか…

 

そんな深海棲艦の根城では、今日もアツい深海復興計画が深海会議室にて徹底討論されていた

 

「やっぱアレでしょ、もう海に毒撒くとかそんな感じで行くしかないっしょ!」

 

「海を汚す系の計画はダメって言ってるでしょ、ったく…次、ホ級、なんかない?」

 

「南極や北極の氷を溶かして大陸ごと海に沈めてやるとか?」

 

「それもうニンゲンどもがやってるから、アイツらバカだから、はい次」

 

深海棲艦との最終決戦で、海へと沈んだ俺は、たまたま近くを泳いでいた深海棲艦の潜水艦に助けられ、アツい献身的な治療もあってか無事に回復した、まぁ、頭の色は白くなったし腰のあたりから鱗赫的なナニかが出るようになったが健康的回復した

 

「戦艦水鬼クン、そう焦る事はない、ヤツらとて今は疲弊しているがその力は未だ強大、今はこちらの戦力を整える方を優先なのだよ」

 

「むぅ……た、たしかに」

 

俺はかつてのここの主、中枢棲姫の座っていた椅子から会議の進行役を務める戦艦水鬼に意見を述べた…

 

中枢棲姫を喪い、チームとして瓦解寸前だった深海棲艦達、俺は命を救われたという恩義を返すべく、再び深海棲艦達をまとめるべく動いた、中には元は憎むべき海軍である俺に反発する者もいたが、そーゆーヤツには愛の溢れる7000万テイトクスパークを叩き込んで服従させた、そして、なんやかんやとあり、俺は深海棲艦達の新しい指導者“中枢棲姫の再来”として深海棲艦の残党“フダ付き”の首魁になっていた…

 

「まぁ、まずはお茶でも飲んで、落ちついてハナシでもしよーじゃないか、ワルサメくん、お茶出して、お茶」

 

「はい、皆さん!お茶ですよー!」

 

フダ付きの幹部ワルサメ、かつての俺の部下、春雨によく似ている深海には珍しいドピンクの髪色をした駆逐艦、たぶんピンクなのはド淫乱だからだろう

 

「まったく!ハルサメちゃんのお茶は最高だぜーッ!」

 

「オバちゃんとケッコンすっか?ギャハハハハ!」

 

深海のアホどもは今日はもう会議なんかくだらねーコトはやめてみんなでサッカーしよーぜ!サッカー!とか言いながらぞろぞろと席を立った

 

「………はぁ、ったく、どいつもこいつも」

 

「テイトク」

 

「なんだ?」

 

戦艦水鬼は頭を抱えつつ皆バカでスイマセンと頭を下げたが、慣れている、元気があって結構じゃないかと伝えるとなんて慈悲深いとさらに頭を下げてきた

 

「あ、そうそう…以前テイトクが仰られていた件ですが、どうやら太平洋……ゾ●ダーエプタ島付近がやはり有力との情報が…」

 

「そうか…」

 

ニンゲンどもめ……どうやら過ちを繰り返すなとの警告を聞く気はないらしい、俺は立ち上がり、指示を待つ戦艦水鬼に伝えた

 

「上位の姫級全員に伝えよ、今度の週末は上位種全員でハイキングにでも出かけるかとな…」

 

「は、はいっ!」

 

さぁ!ニンゲンどもよ、絶望だ…!絶望するがいい!!

下等な艦娘では我々、完璧深海棲艦には決して勝つ事はできぬのだからな!フフフ…ハハハハ…ハァーッハッハッハッハッハ!!



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提督と鈴谷と通常営業【その3】

約1年ぶり帰ってきた【その3】
忘れた頃に帰ってくる気難しくて繊細な年頃

【登場人物】

提督(Tの字)
最近のゲームには疎い気難しくて繊細な年頃、PS3以降は全て最新のゲームにカテゴリーされている

鈴谷(体液に特殊効果)
最近のゲームには疎い気難しく繊細な年頃、最近好きなゲームはく●おくんの超熱血!大運動会


朝晩の寒さをギンギンに感じる秋のゴキゲンな談話室…

 

『このままでは終わらんぞォー…終わらんぞォー…ぞォー…』

 

今日も元気に執務室にやって来て、よくわからない自信に溢れつつマジ提督と瞬殺よ!瞬殺!といつものビッグマウスで挑んできたおバカなJKみたいな航巡を返り討ちし、俺は手にしていたセガサ●ーンのパッドを机に置き、まだやるかい?と聞いてみた

 

「ま…ま、負けた…あんなに練習したのに…」

 

「才能ねーカスは死ねよ」

 

「ハァ!?死なねーし!もう1回!テイトク、もう1回だけやろ?ね?」

 

「やだよ面倒くさい、おら、さっさとディスク抜いてコレに変えろ、俺は今から野●村病院の人々するんだってばよ」

 

「ナニそれ?格ゲー?鈴谷もやる」

 

コイツ、野●村病院の人々のパッケージ見てどうやったら格ゲーと判断出来るのだろうか?相変わらず理解に苦しむのだよ…

 

「格ゲーなワケねーだろーが、ほら、負け犬はさっさと消えろ、俺に挑んで無惨に敗れた罰はカンベンしてやる」

 

「じゃ、別のゲームで勝負しよーぜ!別のゲーム!」

 

コイツ、イカれているのか?まるで人の話を聞いちゃいねぇ、鈴谷の野郎はゲームディスクの入った箱を漁りだした…

 

「あ、バーチャがある!バーチャしよーぜ!バーチャ!」

 

「やだよ、俺バーチャ苦手なんだよ」

 

「マジで!?じゃ、バーチャしよーぜ!」

 

俺は最高にイイ笑顔で執拗にバーチャをグイグイと押しつける鈴谷の目を突き、ヒギィ!とか言って大きく仰け反ったところに腹パンしてやるとオゴォ!とか言いながら床に転げ回った

 

「痛てぇぇぇ!!ってか痛てぇし!ナニすんだコラァ!!」

 

「そのまま死ね」

 

「雑…っ!ちょいちょい鈴谷に対する扱いが雑すぎる…っ!もう少し鈴谷に対して優しさと労りの心とか…あ、オレンジジュースがある!もーらい!………プハァ!!うんめー!」

 

目突き&腹パンのダメージは既に回復したのか、テーブルにあった俺のオレンジジュースに勝手に口をつけ、ペットボトルをテーブルに叩きつけた

 

「あーぁ、それもう飲めねぇな、お前にやるよ」

 

「え?マジで?ラッキー………じゃねぇし!!ハァ!?ナニその対応は!?ってかナニ?鈴谷が飲んだら飲めねーってコト!?」

 

「然り」

 

チッ、意外と早く気付いたなコイツ、バカだからスルーしてくれるだろうと思ったが…

 

「あ?もしかしてアレですか?鈴谷が口つけちゃったからハズかしくて飲めなーい的な?プフー!そっかそっかぁ〜!うん、なかなかテイトクもジェントルなトコあるじゃん!」

 

そしてこの絶望的なまでのポジティブ思考、数ある解の中で、何故躊躇うことなくその解を選ぶ事が出来るのか…

鈴谷はそっかそっかー!とか言ってゲラゲラ笑いながら背中をバシバシ叩いてきたので、とりあえずもう一発、腹にパンチをブチ込んだ

 

「オゴォ!!」

 

「テメーが口つけたキタネーもんは飲めねーって言ってんだよダボが、テメーの体液とか混ざったもん飲んだら身体の中ホカホカになってチ●コバキバキになるかもしれねーだろーが」

 

「は…?ハァ?え?ナニ?それはアレですか…?鈴谷の体液には媚薬的な効果があると…?」

 

「然り」

 

「なるほど………って!!そんなワケあるかァァァァァ!ナニ!?鈴谷はサキュバスかなんかかい!?」

 

キィーキィー言いながら再びつっかかてきた鈴谷に対し、それを煩わしいと感じた俺はとりあえず、鈴谷にHOTな“ユメ”を見せ、ジャスト1分後に必殺のスネークバ●トォー!で壁にメリ込ませ、再びゲームを再開した…

 

◆◆◆

 

「ねー!そのゲームつまんねーからなんか別のゲームしよーぜぇー!別のゲームぅ!」

 

「うるせぇな」

 

壁にメリ込んでる間は一人で静かに、そして豊かな気持ちでプレイできていたが、邪悪なるものは意外と早く封印から復活し、後ろでブーブーとブータレつつ畳をゴロゴロと転がっていた…

 

「まぁ、飽きたしやめるか…」

 

「マジで?じゃ、バーチャしよーぜ!バーチャ!」

 

何故コイツは執拗にバーチャを勧めてくるのか…俺は正直得意ではないが、コイツもどちらかと言えば3D格闘は得意ではないハズ…

 

「やらねぇよ、よし…ドラ●エでもするか」

 

「一人用じゃん!?せめて協力とかできるヤツにしてよ!あ、ほら!聖剣●説3!聖剣●説3あるじゃん!コレしよーぜ!」

 

「バカ言ってんじゃないよ、それは俺がうーちゃんと進めている魂のゲームだ」

 

ビ●&べ●、獣人●ガー、数々の強敵をうーちゃんと共に撃破してきた俺たちの戦いのロード…っ!最近やってないけど、とりあえず俺はスーパーファ●コン内蔵テレビにドラ●エ3のカセットをブッ挿入し、スイッチを入れた

 

「とりあえず冒険の書でもつくるか…」

 

なまえ:**** → なまえ:ジャガン

 

「なんで呪われた名前付けたし!!」

 

「うるせぇな、カッコいいじゃねぇか」

 

アランだのアルスだの情けない名前より、やはり血の祝福を込めた名前だ、名は体を表すと言うしな

 

「この勇者ゼッテー目の下クマあるって」

 

「そりゃあるだろ、ロトの者だからな」

 

「とりあえずアレっしょ、まずは王様のとこ行ってからルイーダの墓場っしょ?」

 

「酒場な」

 

ルイーダの墓場もとい酒場にやって来た俺はとりあえず戦士と武闘家、そして遊び人を仲間にすることにした…

 

「とりあえず遊び人の名前はスズヤにしてやろう、どうだ?これでお望みの協力プレイ感がでたろう?」

 

「でねーし、っーかなんで遊び人?ってかなんで性別男?」

 

「冒険の旅には女子供は不要、冒険の旅とは色無し恋無し情け有りだ」



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提督とリトルウィッチーとトリートorトリート

灰燼と化せ!冥界の賢者!七つの鍵を持て開け地獄の門!

【登場人物】

提督(深緑の智将)
そりゃムチムチでバインバインが好きですよ、当たり前でしょう?

朝潮(不動巨人)
朝潮姉妹の長女、真面目

由良さん(惨劇の王者)
長良姉妹の四女、暴君


自販機コーナーで缶コーヒーを買い、喫煙所にでも行くかと歩いていると、執務棟の入口付近に魔女みたいなのがウロついていたので声をかけてみた…

 

「なんだァ?テメェ…?」

 

「あ、司令官、コンニチハ」ペコォ

 

「こんにちは」ペコォ

 

…誰だコイツ?ウチにこんな可愛いリトルウィッチーさん居たっけか?

 

「お菓子をください、さもなくばこの棒で殴ります」

 

「オイオイオイ、こいつぁはとんだリトルウィッチーさんだよ」

 

…嗚呼、アレか、ハーロイーンってヤツか、トリックもしくはトリートを問い、菓子を貰うお祭りだったな、たしか

ウチのバカどもはナニを解釈したのか、合法的に菓子をカツアゲしてOK、断られたら暴行しても許されるイベントと勘違いしているらしく、毎年地域のケーサツに厳戒態勢を強いられている…

 

「え~…キミは、アサ……アサシ、いや」

 

アサシは違うな、アサシはもっとこう……バカそうな顔してるしな、誰だっけコイツ?名前をド忘れしたのだよ

 

「朝潮です」

 

「コレクト!朝潮クンだ、そう、朝潮クン」

 

そうそう朝潮クンだ、朝潮姉妹の長女であり、先日の作戦海域では集積地攻略戦にて内火艇と陸戦隊とランチャーの対地よくばりセットでクチャクチャの挽き肉みてーにしてくれたっけな、うん

 

そしてこの朝潮クン、アホな駆逐艦の中では比較的真面目な方で、待て!と命じられれば命尽きるまでその場を動かぬ程の“覚悟”を持ち、そして、その小さな身体に似合わぬ不動の意志はまさに巨人!小さな巨人!“不動巨人”と仲間達から評されているらしい

 

「ふむ、お菓子か…」

 

「あるんですか?」

 

「コレでいいかね?」

 

俺はポケットに入っていたオールシーズンチョコを取り出し、リトルウィッチー朝潮クンに渡してやった

 

「ありがとうございます、もっとないですか?」

 

「ねぇよ」

 

いやだわこの子ったら、オールシーズンチョコ5粒では満足はしない、もっと出せと…?

 

「ないなら仕方ありません、少し痛めつける必要がありますね」

 

「オイオイオイ、トリートを渡したのにトリックだよ、コイツぁとんでもない条約違反だよ」

 

「仕方ないんです、今日は姉妹みんなでお菓子を集めて来てパーリーするって決めてるんです、それなのに………長女の私がオールシーズンチョコ5粒なんて情けない収穫を持ち帰るワケにはいきません!」

 

「なるほど」

 

己の為、そして姉妹の為か…その気高い“覚悟”を提督は評価しよう

俺は財布から紙幣をスタイリッシュに取り出し、それを朝潮クンに渡してやった

 

「それでマミー屋に行って美味しいケーキでも買いなさい、キミの分と、姉妹の分をネ!」

 

これで朝潮クンも情けない戦果に後ろめたさを感じる事なく堂々と恥じない姿で姉妹達のところへ帰る事ができるだろう…

まったく、良い事をした後は気分が良いと思わず鼻歌でも唄ってしまいそうじゃないと思っていたら、朝潮クンは微妙な顔をして紙幣を俺に突き返してきた…ッ!!

 

「これは受け取れません!」

 

「なんと!?な……何故かね?もしかして、足りないのかね?」

 

オイオイオイ、さすが高級スイーツ店マミー屋、まさか2万で足りないとは…

 

「違います!司令官から貰ったお金を使い、マミー屋でお買い物してもそれはトリートをしたとは言えないからです!」

 

「なん……だと?」

 

「貰ったお金で美味しいお菓子を買い、それを持って帰ると事情を知らない妹達はたしかに喜んでくれると思いますが、トリートを成立させる事が出来ずお金で解決した!……と、私の心に後味の良くないものが残ります!」

 

「なるほど…」

 

真面目かッ!!真面目なのか駆逐艦朝潮ッ!なんて融通性の無さ!これまさに不動!不動巨人とはよく言ったものよ…

 

「つまり、そのお金で提督が自ら菓子を購入し、それをトリートしなければならないと?」

 

「それなら大丈夫です!朝潮もトリートできます!」

 

…うわ、面倒くせぇ、マジめんどくせぇ、え?ナニ?今から俺はこのリトルウィッチーにトリートさせる為にマミー屋に言って甘いモン買ってその場でトリートさせないといかんのか?正直、面倒くさいんだが…

 

「トリートできます!」

 

…だが、この妹想いのリトルウィッチー朝潮クンの気高い“覚悟”!無下にするワケにもいくまい、俺はリトルウィッチーに付いて来な、この世で二番目に強ぇトリートにしてやるぜ…と言ってスタイリッシュに歩き出した

 

◆◆◆

 

「いらっしゃいませ、今日のオススメは~…」

 

「ここからここまで1個づつ、全部くれや」

 

甘いモンも辛いモノも売ってる高級スイーツ店マミー屋…

リトルウィッチーを連れた俺はカウンターに立っている店主のムチムチボインにさっさと包めと言って紙幣を置いた

 

「プレゼント用ですか?」

 

「ゴチャゴチャうるせぇんだよデブ、早くしろや」

 

「伊良湖ちゃん、そこの棚に日本刀あるから持って来て、早く」

 

…間宮との生と死の狭間を感じずにはいられない極限の死闘を経て、無事、目的の甘いモン(税込み¥21800)を購入し、俺は甘い匂いがプンプンする箱を手に取ってカウンターから離れた…

 

「やぁ、待たせたね朝潮クン」

 

「大丈夫です!いつまでも待つ覚悟でした!むしろ司令官の頭部から流れる出血が大丈夫に見えないのですが」

 

「ありがとう、だが問題はないのだよ」

 

あやうく、せっかくのラムレーズンがストロベリーチップになっちゃったネになりかけたが、購入したスイーツは無事らしい

 

「では改めまして………お菓子をください、さもなくばこの棒で殴ります!」

 

「はいはいトリートね、トリート、はい、コレでいいか?」

 

「はい!たしかにトリートを頂きました!ありがとうございます!」

 

俺は今し方購入した菓子箱をリトルウィッチー朝潮クンに渡し、朝潮クンは丁寧に頭を下げてお礼を言った

 

まったく……朝潮クンは最高だな、その純粋さと素直さに照らされて俺も頑張ろうって気持ちになってくるのだよ、ただ、マミーヤの野郎がドン引きした目と小声で“…ロリコン”とディスっていた気がするが俺には関係ない事だ、何故なら俺はロリコンではないのだから…

 

そんなロリコンではない俺はガハハハと気分良く笑っていると、マミー屋の扉を開き、新たなる客が現れた

 

「あ、提督じゃない?ナニしてんの?ね?」

 

「ゲェーッ!お、オマエはーッ!」

 

「人の顔見てゲェーッ!は無いでしょ、ゲェーッは」

 

あからさまに不愉快そうに顔をしかめるのは、長良姉妹、狂乱の四女!かつて惨劇の王者とまで呼ばれ、敵味方問わずドン引きさせた絶対なるエース、由良さん…

 

「あ、お菓子だ、ナニそれ?提督が買ってくれたの?ってか誰コレ?魔女?」

 

由良さんは目ざとくリトルウィッチー朝潮クンが持っていた菓子箱に目を付けた

 

「いえ!コレは司令官からトリートしたお菓子です!あと、朝潮です!」

 

「トリート…?へぇ」

 

俺は知っている、由良さんのあの邪悪な笑みを……おそらく、由良さんはこの僅か数秒で俺が朝潮クンにトリートさせる為にお菓子購入した解答を導き出しただろう、そして、自分にもお高い菓子を買わせるべく行動を起こすハズだ…ッ!

 

「それでは、提督は失礼す……」

 

「ドコに行くの、ね…っ?」

 

即座に離脱しようとした俺にノーモーションからの直突きを放ち、どこ行くの?ね?と言って邪悪な笑みを浮かべている、どうやらコイツはタフな戦いになりそうだ…

 

「たしかハーロイーンはこう言うんだっけ?“発狂”か“死”か、ね?提督さん」

 

「そんな物騒な祭りがあってたまるか、オモテに出な、由良さん、ここじゃ狭くてお互いにやりにくいだろ?」

 

「ん~?由良としては別に構わないけど、ま、提督さんからせっかくのお誘いだし、ね」

 

由良さんはニコニコ笑いながら入ってきた扉を開けるべく背を向け、俺はその一瞬を決して見逃さない!マミー屋の椅子を即座に掴み、全力で由良さんの背中に叩きつけた!!

 

ドンッ!!(椅子アタック)

 

「っしゃあッ!!」

 

「ぐっ…!!!」

 

「誰がテメェとマトモにやり合うかボケェ!!日和ってんじゃねーゾ!ギャハハハハハ!」

 

「へぇ……提督さん、その気なんだ、へぇ…なら由良さんも遠慮はいらない、ね…?」

 

 

この後、俺と由良さんはマミー屋を飛び出し、血で血を洗う、おそらくは金的以外は全て使用された死闘を演じ、お互いにこれ以上は不毛じゃないかとの結論に至り、俺は由良さんとファミレスに行き、由良さんはドリンクバーの無料チケットを出す平和的解決に終わった…



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提督と秋の最大トーナメント

秋のくせしてやや仕事が立て込む忙しさ、ダラっと更新中

【登場人物】

提督(眼鏡男子)
提督の眼鏡は現実を見なかった事にする為によく曇る

香取先生(眼鏡教師)
眼鏡がステキな先生、好感度は非常に高い

鹿島先生(女教師)
全身良い匂いするゲロマブティーチャー、姉さんは怖い


戦艦(いくさぶね)として生まれたからには誰でも一生の内一度は夢見る海上最強の戦艦、グラップラーシップとは“海上最強の艦”を目指す格闘士の事であるッッッ!!

 

開幕ッッッ!!全艦種最大トーナメント!

 

最強を諦めきれなかった馬鹿野郎達によるこの秋最大の血で血を洗うライブパフォーマンス!全席指定チケット(ワンドリンクサービス)の一般発売は来週末!こんなチャンス、滅多にないんだからね!

 

 

「………と、まぁ、こんな感じでいこうかと」

 

「素晴らしいお考えです、さすがは提督……ねぇ?鹿島」

 

「え?あ、うん…えぇ、いいんじゃないでしょうか?」

 

秋の集金イベ……ではなく、秋の地域密着型ふれあいイベント、基地開放祭りの時期も近付く秋の日、今年の目玉イベントはどうしたものかと談話室に置いてあった格闘漫画を読みながら考えに考えぬいた結果、よし!今年は最大トーナメントすっか!カーッ!ワクワクすっぞ!と思い立ち、とりあえず説明の為に作った資料を手に、俺は香取・鹿島両先生にアツく説明していた…

 

「こちらに詳しい詳細は記載しておりますので目を通しておいてください、もし不備や意見があれば遠慮なくどうぞ」

 

「はい、遠慮なく」

 

そう言ってエレガントに微笑む今日も眼鏡がステキな香取先生……まったく、香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる…

 

「あの……提督、一つ、宜しいですか?」

 

「なんです?鹿島先生」キリッ

 

おずおずといった様子で小さく手を挙げて発言を求めたのは鹿島先生、まったく、今日もむしゃぶりつきたいナイスバディでいらっしゃる……だって鹿島先生って絶対良い匂いするもん、しかもめっちゃ柔らかそうだし、これはもう全身●器だろ?もし俺が強靭な精神力を持ってなかったら確実にレ●プしてるね!

 

「コレ、全艦種って………誰でも参加できるってコトですよね?」

 

「その通りです」

 

「あの……それって、戦艦の人と駆逐艦や海防艦の子とがヤる可能性も…?」

 

「如何にも」

 

艦種は問わない、目突き・噛みつき・金的、全てを認める、強くなりたくば喰らえ!を推奨する完全決着デスマッチルールである

 

「鹿島、そんな心配は無用よ」

 

「でも香取姉ェ……じゃない、姉さん、いくらなんでも実力差が、せめて艦種別とかにした方がいいじゃ…」

 

「鹿島、アナタにはまだワカっていないようね…」

 

香取先生は妹、鹿島先生にアナタには失望したわと溜め息まじりに小さく首を振り、愛用の教鞭を取り出した

 

「たしかに、戦艦と駆逐艦や海防艦の子達には圧倒的な実力差があるでしょう、鉄壁の硬度を誇る大戦艦級の艤装を打ち破るのは非常に難しいと言えます」

 

「はぁ…?」

 

「しかし、戦い決めるのは艦種の優劣ではありません、小●宙(コ●モ)の大きさです」

 

香取先生曰わく、たとえ駆逐艦や海防艦のチンカスくんであろうとも、小●宙(コ●モ)の究極、第七感(セ●ンセンシズ)まで燃やす事により決して大戦艦級にも劣りはしないと…

 

「素晴らしい、さすが香取先生です」

 

「いえいえ……私の考えなど提督には既にお見通し、そうですよね?提督」

 

まったく、謙遜なさる香取先生もエレガントでいらっしゃる

 

「…とりあえず、小●宙(コ●モ)云々はわかったけど、あ、そうだ、提督!コレって誰が出るんですか?」

 

「さぁ?とりあえずポスター貼って募集しようかと…」

 

鹿島先生の揺れるオパーイをガン見しつつ、俺は紳士として冷静で的確に答えた

 

「なるほど…」

 

「他には何かありますかな?」

 

「他に………あ、コレって優勝したら賞金とかあるんですか?」

 

「さぁ?特に考えてないですなぁ」

 

そういや優勝したらどーのこーのとか考えてなかったな…

 

「現金10万円ぐらいでいいですかね?」

 

「宜しいかと」

 

俺の冷静で的確な優勝賞金に、香取先生は笑顔で賛同してくれる、まったく…香取先生は笑顔もエレガントでいらっしゃる

 

「や、それはどうかなと…?」

 

しかし、鹿島先生は現金10万円には賛同しかねる様子…っ!

 

「鹿島、提督のお考えが間違っているとでも…?」ギロッ

 

「ヒッ…!?ち、ちが……」

 

俺は右手を挙げて香取先生に良いのですと制すと、香取先生は出過ぎた真似を…と頭を下げる、いや…別にそんなつもりはなかったのだが……

 

「それで…?鹿島先生の意見を聞かせてくれませんか?」

 

「え…?あ、え~っと、そうですね、賞金だけでなくもっとこう、ほら、やる気のでる賞品みたいなの……とか?」

 

「ふむ、賞品ですか…」

 

さすがは鹿島先生、俺に足りていない忌憚の無い意見、若さと瑞々しさと新鮮さを感じるお考えだ、素晴らしい

 

「香取先生、何か案はありますか?」

 

「そうですね………賞品としてSams●niteのスーツケースのペアセット、ダイヤモンド大●のプラチナダイヤモンドネックレス、ES●LLからグ●チの時計など如何でしょう?」

 

「素晴らしい」

 

さすがは香取先生、実に完璧なラインナップを提案してくれる、まったく…香取先生はいつだって俺をアツくしてくれる

 

「や……そんな視聴者参加型クイズ番組みたいな賞品はどうかと?」

 

しかし鹿島先生は香取先生の提案を微妙な感じなご様子…

 

「ふむ、では鹿島先生、ナニか他に妙案が?」

 

「え?あ、そうですね~……あ、そーだ、提督が1日なんでも言うコトを聞いてくれる券、とかどうでしょうか?アハハハ…」

 

ふむ、どうやら鹿島先生は大して妙案を思いついていなかったらしい、アハハと曖昧に笑う鹿島先生はいやぁスイマセンと頭を下げ…

 

「それでいきましょう」

 

「は?」

 

香取先生は鹿島先生の肩を軽く叩き、アナタはやればデキる子だと姉さん信じていたわとエレガントに囁いた

 

「え…?か、香取姉ェ…?え?」

 

「提督、鹿島の案でいきましょう」キリッ

 

「は?……はぁ?いや、しかし香取先生…」

 

「提督!」

 

執務机を勢い良くダァン!し、珍しく香取先生がグイグイくるッ!!ち…近い!顔が近い…ッ!あ、そしてとても良い匂いがする、おそらく毎日のトリートメントはかかしていないだろう…

 

「あ、あぁ……うん、いいんじゃないですかね、うん、鹿島先生の案で」

 

そんな香取先生のアツい熱意に圧され、俺は鹿島先生の案“提督が1日なんでも言うコト聞いてくれる券”通称、T-TICKETの発行を許可した

 

「さすがは提督………なんてお心が広い、この香取、感動いたしました」

 

「え?あぁ、うん…そうですか」

 

「鹿島、早速秋季祭の準備と告知に取りかかりましょう」

 

香取先生は鹿島先生の肩をガシッと掴み、それでは失礼しますとエレガントに一礼し、両先生方は執務室から去って行った…

 

「…フーッ〜…もう秋か」

 

なんか、とんでもない許可を出した気がするが、まぁ、大丈夫だろ、たぶん…





次回から最大トーナメント編
いつもの見切り発車なので、見たい対戦カードとかあればお気軽にどうぞです(他力本願)


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提督と死ぬには良い日なんて実はない

最大トーナメント開始!一瞬千撃!

【登場人物】

提督(知性的レスリング)
必殺技はテイトクリベンジャー

金剛(大金剛流)
平時は自身の住む寮、天動宮から動かず裏から支配する基地の帝王、しかし、基地に頭が二つあるのを良しとせず、提督とはいずれ決着をつける機会を伺っている

サラトガ(デカパイ)
説明不要のデカパイ、ホ●同人を隠し持ち、たまに読んでいる


秋の雲ひとつない青空、まったく今日はイイ気球日和だなと予感させる絶好の行楽日和と言う日であると同時に、今日はとても死ぬにはイイ日……船出の刻だと予感させてくれる

 

「客入りはどんな感じだ?」

 

「七千ぐらいですかね」

 

「七千か…」

 

まぁまぁと言ったところだな、とりあえずさっき浦風のアホンダラがお好み焼きの出店の手ぇ足らんからなんとかせいやー!とか悪質なクレームつけてきたのでお腹にパンチしてもんじゃ製造機にしてやるとオマエあとでゼッタイ後悔させたるからなぁ!とか捨て台詞を吐いて出店に戻って行った…

 

「よし、では俺は見廻りに行ってくる!ここは任せたぞ」

 

「…はぁ?」

 

五月雨はモニターを見ながら気のない返事を返してきた………珍しいな、サミーが見廻り行くならナニか買ってこいと俺にねだらないとは…

 

「気をつけてくださいね」

 

「ん?お、おぅ」

 

そして、気をつけろとの警告を………?オイオイオイ、今日は楽しいフェスタだ、いったいナニを気をつけるって言うのかね?この子は…

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

来ター!射程……!右!!!外レタッッッ!喰ラッタ!!ッッッ!!

 

「ダゥゥゥゥゥン!!MAJORの怪物サラトガ!たったイッパツでダゥゥゥゥゥン!!強い!強すぎるッッッ!まさに瞬殺劇だァァァァァ!!」

 

…秋の基地開放祭、今年の目玉イベント、全艦種最大トーナメント1回戦第1試合、MAJORの怪物サラトガと暴の頂点に君臨する拳の求道者、金剛ッッッ!

 

衝撃の瞬殺劇に大興奮の観客席の最上段で試合を見ていた俺を目ざとく見つけたらしく、金剛は不敵に笑い…

 

「テイトク、ワタシと戦ってくだサーイ」

 

ざわ…ざわざわ…ざわ…っ!

 

「この最大トーナメント優勝の権利を使い、ワタシはテイトクとヤり、金剛という戦艦の締め括りとしたい!」

 

金剛からの挑戦ッッッ!!それは、このトーナメントに必ず優勝するという宣言ッッッ!!

 

「飯を喰らい、気を喰らい、喜びを喰らい、悲しみを喰らい、愛を喰らい、嘲りを喰らい、女体を喰らう………取るに足らぬハズだった脆弱な子猫はいつしか、俺の視線をまともに受け止める獅子へと進化を遂げ、更なる変貌を諦めず、更なる熟成を諦めず…」

 

『み、認めています!!提督が金剛さんを敵として認めています!解説の初春様!これはどーゆーコトでしょうか!?』

 

『うむ……認めておるのぉ』

 

観客席から飛び降りた俺は金剛の前に立つ!!

 

「やがて、俺の“餌”として完成を見る」ニマァ…

 

『え…餌っ!?』

 

『な…なんと言う強い自負心ッ!』

 

俺は再び観客席に上がり、金剛を指差してから“上がってこい、ここまでな”と自らの喉元をトントンと差すと、金剛は“ブッ殺す”とわかりやすいジェスチャーで返し、闘技場から去って行った…

 

「フッ…」

 

………冗談じゃねぇぞォォォォォ!!あの野郎ォ!なんてコト宣言しやがるんだよ!誰があんなバケモノの挑戦なんか受けるかよッ!誰か!誰でもいい!アイツを止めてくれッ!

 

◆◆◆

 

デスマッチワンデイトーナメント、全艦種最大トーナメント1回戦…

 

第1試合は金剛の瞬殺劇に終わり、とりあえず喫煙席(立ち見)に来た俺は1回戦の対戦カードが書かれた紙を手にタバコに火を点けていた…

 

【ブロックA】

 

①金剛(戦艦) VS サラトガ(正規空母)

②潮(駆逐艦) VS 山風(駆逐艦)

③Samuel B. Roberts(駆逐艦) VS Jervis(駆逐艦)

④天龍(軽巡) VS 木曾(雷巡)

 

【ブロックB】

 

①武蔵(戦艦) VS 長門(戦艦)

②大和(戦艦) VS Iowa(戦艦)

③Nelson(戦艦) VS Гангут(戦艦)

④Richelieu(戦艦) VS 鈴谷(航巡)

 

【ブロックC】

 

①足柄(重巡) VS 羽黒(重巡)

②Ark Royal(正規空母)VS 大淀(軽巡)

③祥鳳(軽空母) VS 呂500(潜水艦)

④雲龍(正規空母) VS 日向(航戦)

 

【ブロックD】

 

①夕張(軽巡) VS 明石(工作艦)

②秋津洲(水母) VS 香取(練巡)

③清霜(駆逐艦) VS 早霜(駆逐艦)

④熊野(軽空母) VS 対馬(海防艦)

 

………っーかBブロックが死のブロックすぎるだろ!なんだこの悪意に満ちた組み合わせッ!もうここだけで最大トーナメント決勝でいいだろ!

 

「ったく、全員揃ってクジ運悪すぎか…」

 

まぁいい、あとは、負傷退場などした場合の為に超A級リザーバーを用意してあるのだが………正直、その正体は俺も知らない、全員、目深にソフト帽を被りトレンチコート着用のイタリアンマフィアみたいなヤツらだったが…まぁどうせロクなヤツらじゃないだろう

 

「フーッ〜…」

 

「あ、提督、ナニしてんのー?」

 

「ゲッ…!由良さん」

 

「ゲッ!は失礼じゃない?ね?」

 

アツアツのブタマンジュウの入ったビニル袋を片手に、ヘラヘラ笑いながら歩いて来たのはバイオレンス軽巡由良さん…

 

「由良ブタマンジュウ買ったから提督にもあげよっか?ね?ほら、口開けて、ね?」

 

由良さんはビニル袋から取り出したブタマンジュウを俺の口にグイグイねじ込み、ペットボトルの茶をくれるのかと思いきや目の前で飲み干した

 

「ゲーフッ………そういや由良さんは出ないのな」

 

「ナニが?」

 

「ナニって、最大トーナメントだよ」

 

「あぁ、別に由良お金には困ってないし、提督の言うコト聞かせる券とかなくても殴ってから頼めばいいじゃない?ね?」

 

「なんてコト言うのかね、この娘は」

 

バイオレンスが服を着ているバイオレンス軽巡由良さん、相変わらず言ってる事もやってる事もバイオレンスである

 

「提督も見るんでしょ?ほら、あっち空いてるから、ね?」

 

「やだよ、俺は喫煙席から動かねぇ」



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ブロックA

いつも以上にダラっと書いてます、ダラっと

ブロックA残る対戦は…
山風 対 潮
Samuel 対 Jervis
天龍 対 木曾

の三本です、ウフフー



最大トーナメント一回戦第二試合、第七駆ダチッコSUMO倶楽部の誇る“国宝”潮と改白露型のトゲトゲチビこと山風の激突!

 

「…シッ!」

 

「うぅ…強力です、なかなかやるっ!」

 

試合開始と同時に飛び出した山風は潮に対し執拗にローキックを浴びせるヤマカゼアーツの基本戦術に出る!ローキックでとにかく足を痛めつけ、体勢が崩れたところにめがけて必☆殺の飛び膝で相手のお腹なりキレーな顔面なりを粉☆砕するヤマカゼアーツの基本的戦法!

 

「シッ!シッ!」

 

「うぅ…!」

 

見るからに痛そうに顔をしかめる潮………しかし崩れないッ!執拗なローキックの打撃を受けても潮の体勢は崩れない、まるでその足は大地に深く根を張る巨木の如く微動だにしないッ!

 

「…シッ!シッ!」

 

執拗なローキックで攻める山風だが、なかなか崩れない潮に焦りを覚え始める……何故コイツは倒れないのか?これだけ蹴ったら痛みのあまり転げ回ってもおかしくないハズなのに…?何故コイツは倒れない!?

 

「そんなヤワな蹴たぐりでは私は倒せませんよ!」

 

「…!?」

 

ローキックの勢いが弱まったとみて、遂に今まで防御に徹していた潮が動くッ!山風の隙を突いてぶちかましを炸裂させ、山風はウゲェ!と小さく呻きつつ後方にブッ飛ばされた

 

「……カハァ!クッ…!」

 

しかし、潮からの追撃はない!倒れた山風を見下ろし、立つのを待ってから再びリングの中央で仕切り直すかの如く構えた

 

「…コ、コイツ!?」

 

「さぁ、まだやりますか?」

 

---

 

「解説の初春様、これはいったいどーゆーコトでしょうか?」

 

「うむ、この大会、目突きも噛みつきもチ●コ蹴りも容認されておるが、おそらく……潮はあくまで自らのルールでヤるつもりなのじゃろう」

 

第七駆のメンバー達で作られたダチッコ相撲倶楽部、夏の対カッパ戦で歴史的勝利をおさめた曙が所属するこの倶楽部には“国宝”と呼ばれる天才が居た…

その体躯は小柄なれど胸に秘めたる夢は大きく、むしろその夢に比例してか胸も大きい、その身の内に“鬼”が棲むと噂され、天下五剣の二つ名を頂くその者こそUSHIO!第七駆最大最強最乳のYOKODUNA!

 

「なるほど、つまり…天晴れと言うやつですね!」

 

「まぁ、そんなトコじゃな」

 

そして……試合は山風が突っ込んではブッ飛ばされ、突っ込んではブッ飛ばされるというループ状態になり、そのループが二十を超える頃、遂に潮がとどめと言わんばかりに動く!右下手投げ、左下手捻り、さらには足掛けを行う三点同時攻撃!

 

「出たァァァァァァァ!!百千夜●堕しだァァァァァァァ!!必殺の百●夜叉堕しが炸裂ゥ!初春様!さすがにコレは勝負アリでは!?」

 

「まぁ、相撲ルールならもう二十回は終わっておるが…」

 

 

…この後、十数回リングに転がった山風だったが、試合中に偶然にもダブルアームスープレックスの型を決め、潮は自らのスタイルが敗北したコトを潔く良く認め、リングから去って行く姿に誰もが感動し、喝采が送られた…

 

◆◆◆

 

第三戦、Samuel B. RobertsとJervisの激突!

 

序盤から攻めるジャーヴィスに対し、サミュエルはピーカーブースタイルでブロックしつつ、ちょいちょいジャーヴィスにヒットさせている…

 

ジャーヴィスのスタイルはアークロイヤルから教わったらしい貧民街ブースボクシングなる目の奥に指を突っ込んで殴り抜ける技を使い、対して、スーパーポリスアカデミー出身のサミュエルのboxingはアイオワと提督から“ラスト・サン”と呼ばれる天才…

 

「グヘァ!!」

 

「You are not my match!(メじゃないぜ!)」

 

サミュエルのフラッシュ・ピストン・マ●ハ・パンチを浴び、ブッ飛ばされたジャーヴィスは英国リトル淑女とは思えないほどワイルドにパンツ丸出しでリングに転がった…

 

「10countは要らないから、Iowa teacher!テイトクー!見てたー?」

 

ーーー

 

「まさに目にも留まらぬ早技!どうでしょう解説の初春様!」

 

「いや、どうと言われてものぉ…」

 

「手元の資料によりますとF.P.M.Pは0.7秒間に10発ものパンチを放つまさに電光石火のパンチ、これをまともに被弾してはさすがに……い、いや!」

 

リングに転がっていたジャーヴィスが勢い良く立ち上がり、そのままサミュエルの顔面に頭突きをぶちかまして逆にサミュエルからダウンを奪った!!

 

「なんと頭突きィィィ!!ジャーヴィスちゃん!まさかの英国淑女とは思えない荒技だァァァァァ!」

 

「ほぉ…」

 

「さらに馬乗りになって殴る!殴る!殴る!これが英国淑女の真の流儀なのかー!!どうでしょう解説の初春様!」

 

「まぁ、如何なる手段を使っても勝ちに行く意気は良しじゃが………流儀うんぬんは妾より、あそこに座っておるウォー……ウォーなにがし殿の姿を見ればわかるのぉ」

 

「なるほどー」

 

貴賓席に座る女王陛下は片手で顔を覆い、俯いていた…

 

「おっとぉー!ジャーヴィスちゃん、ここで殴るのをやめてサミュエルちゃんをリバースフルネルソンの体形に固め自ら後転して仰向けに!いわゆる、恥ずかし固めの型にぃ……って!ああァァァァァァァー!!これはいけません!これはいけません!よりによってパンツ穿いてないサミュエルちゃんにそれはマズいです!」

 

「……所謂、ま●ぐり返しじゃな」

 

 

この後、突如として会場の照明が消え、数分ほど会場は混乱したが照明が復旧するとサミュエルはキチンとパンツを穿いた状態でリングに転がっており、試合はジャーヴィスの勝利となった…

 

◆◆◆

 

第四戦、煉獄より生まれし黙示録の龍(自称)天龍と禁断の力を手にした黒き外套を纏いしダークナイト(自称)木曾

 

この二人の戦いはあまりにも自然な流れであり、避けらないラグナロクでもある…

 

「フッ、木曾…どうやら前にレットシュティールでブルート・アルテリエ無しでハイリッヒ・プファイルを使った時とはワケが違うらしい」

 

「フッ、あの時は違ったが……今は霊子収束力がレットシュティールより上のフォルシュテンディッヒならスクラヴェライの…」

 

天龍VS木曾、この戦いは当然ながらターン制を採用しており、なおかつ、よりオサレな方がポイントを得る事が重要である

 

ーーー

 

「はい、青葉にはナニ言ってるかまったくわかりません!どうでしょう解説の初春様!」

 

「妾にもわからん」

 

「正直、あの二人がなんでダメージ受けてるのかまったくわかりません!」



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ブロックB ①

戦慄!!死のブロック前半戦!
死傷者続出、戦わなければ生き残れないし、戦ってたら生き残れない!

前半戦は超雌対決!

武蔵 対 長門
大和 対 アイオワ


悪意と言う名の賽の目に満ちた最大級の組合せが揃ったブロックBッ!

 

一回戦五戦目に激突するのは誰もが事実上の決勝戦と噂する最大・最強の注目カード!

服を着る事により、新たなる力のステージに到達した戦艦を超えた超戦艦、その超戦艦を持った戦艦の超戦艦……武蔵改二・(きわみ)

対するは“ヤマト・ムサシ・アイオワと強い戦艦の御方は多くおりますが………やっぱりアレでしょうな、ステゴロならやはりナガトでしょう……”基地の誰もが口を揃えてその結論を述べる、怪物を超えた怪物!長門改二・フルパワー!!

 

誰もが期待した通り、その戦いはまさしくとびっきりの最強VS最強!小細工など無用、正面からの殴り合いはまさしく男雄漢比較(おとこくら)べッッッ!

 

そして、壮絶なベアナックルでの殴り合いは一進一退かのように見えていたが、時間と共に、やや長門の膝が沈んでゆき、遂にはその膝をついたッ!!

 

「ゴハァ!!……ハー……ハァ、ハァ…」

 

「ハァ…ククク、大したヤツだ、この武蔵の拳を喰らい、ここまで立っていたタフネスは認めてやろう」

 

殴り合いの末、立っていたのは戦艦武蔵…ッ!やはり正面きっての殴り合いならば武蔵か?と思われたその時、長門が再び立ち上がり…

 

「こ…このビッグセブンにも、負けるワケにはいかぬワケがあるのでな…」

 

「な…なんだ!?コイツから感じるただならぬ小●宙(コ●モ)は!まさかこの武蔵が知らぬ力があるとでも言うかーッ!」

 

立ち上がった長門に対し、底知れぬ不気味なプレッシャーを感じた武蔵!そして、長門は最後の力を爆発させ、武蔵の背後へと回り…

 

「な、ナニぃ!?」

 

「ウオオオォォォォォ!!オマエも地獄まで付き合って貰うぞォー!」

 

武蔵を羽交い締めにした長門!その力を極限まで燃やし、長門は武蔵と共に勢い良く天高くへと昇っていくッ!!

 

「バ、バカなーッ!長門ッ!貴様死ぬつもりかーッ!このまま上昇を続ければ摩擦熱に耐え切れずに溶けて天空のチリになってしまうのだぞーッ!」

 

「フッ、死はもとより覚悟の上ッ!」ニコッ

 

「な…なんて戦艦だ…」

 

二人の戦艦はみるみる天高く上昇してゆき、遂には成層圏に到達、さらに上昇高度を上げる…

 

「…フッ、どうやら間違っていたのは私らしい、艦娘として、ましてや戦艦として失格だ…」

 

 

…長門よ、オマエを死なせたくはない、だがもう遅いようだ、まもなく我らの体は溶け始める、そして…我らの体はチリとなってこの宇宙を永遠に漂う……これからせめて、せめて星となってこの武蔵と共に地上の愛と見守るか……なぁ、長門よ……

 

 

第五戦、武蔵・長門 共に死亡確認!勝者なし!

 

◆◆◆

 

壮絶な最後を遂げた武蔵・長門の戦いに続く第六戦、戦艦を終わらせた艦娘と呼ばれた戦艦界の最終兵器(リーサルウェポン)、大和とステーツから来たダイナマイツパッキンガール、アイオワの戦い…

 

「ワハハハハ!この虫ケラめがー!少しでもこの戦艦大和に勝てるとでも思ったかーッ!」

 

「グハァ!クッ!」

 

戦いが始まった当初、どちらかと言えばクリーンなファイトを見せていた大和だったが、アイオワに一度ダウンをとられた後、突如として豹変!クリーンさゼロのダーティーなファイトスタイルへと変貌し、ダウンしたアイオワに対し、お腹に何度も蹴りを入れてゲラゲラと笑っていた

 

「フンッ、虫ケラが…」

 

「クッ…ど、どーやラ、それがyouの本性みたいネ…」

 

---

 

「これはいったいどーしたコトでしょう初春様!大和さんと言えば仁・智・勇を兼ね備え、次期提督候補にも選ばれるほどの艦娘だったハズ……それが一体ナニが…」

 

「おそらくアレじゃろ、たぶんあやつの中にはとてつもない邪悪な心が棲んでいたのじゃろう」

 

「邪悪な心…っ!」

 

かつて提督が危惧していた通り、万人に愛され、神のように完璧だった大和の中に潜むとてつもない邪悪さ…それが今、姿を現したのだったッ!

 

「なんというコトでしょう!まさか大和さんが…ッ!」

 

「人は皆、陰日向を持つものよのぉ」

 

---

 

「クッ…!ぐぅぅ、やめろォ!わ、私の邪魔をするなッ!」

 

「…突然苦しみだしタ?」

 

邪悪な大和とアイオワとの戦いのさなか、大和は突如として苦しみだした、それは、大和の心の中に居るもう一人の大和、善良な心を持つ大和が邪悪な大和に抗っていたのだった!!

 

「クッ…!!早く、早く私ごとヤってください!(ふざけるなキサマぁ!)」

 

「グゥゥゥム!提督の座に相応しいのこの大和だ!!あのメガネに今まで一体何ができた!(もうやめなさい!正義の前では邪悪など無意味よ!)」

 

「………なんかよくワカンナイけどOK、meの拳で終わらせてヤルワー!」

 

アイオワは大きく脚を開いて構えをとり、必殺の拳にパワーを集中するッ!アイオワの自慢の必殺の拳、アルティメット・ジャスティス・マグナム!

 

「や、やめろォォォォォ!!(撃て!撃つんだァァァァァ!!私ごとこの悪魔をッ!うぅぅ…もう意識が保たない!!早く…早く私をッ!!私を大戦艦大和として逝かせてくれェェェェ!)」

 

「…Pray to God for your safety!」

 

「クソォォォォ!!バカなッ!この大和が!こ…この負けるなどッ!!そんなコトがァァァァァァァ!!」

 

BAKOOOOOOOOON!!(アイオワパンチ)

 

「グワアアアアアアアァァァァァァ!!」

 

アイオワのフィニッシュブロウを喰らい、大和はきりもみ状に回転しながらブッ飛ばされ、頭からグシャアッ!!とヤバい感じの音を付きでリングに叩きつけられ動かなくなった…

 

「You are not my match………メじゃないワ」

 

 

こうして、日米頂上決勝は米、アイオワが勝利した……

しかし、アルティメット・フィニッシュ・ブロウ、ジャスティスマグナムの代償は大きく、自らも拳を破壊したアイオワはこの先に行くのはNOネとここで棄権退場となった…



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ブロックB ②

死のブロック後半戦、苛烈!残忍!残酷!

死傷者続出の前半戦に続く後半戦は〜…

ネルソン 対 ガングート
リシュリュー 対 鈴谷


死のブロックB、第七戦!英国から来た誇りと格式高き大戦艦!ネルソンと旧ソからの刺客、史上、最もアツかりし革命の拳を持つ燃える革命、ガングートの激突ッ!

 

恐怖の殺艦技!ネルソン・タッチを引っさげ、その、堂々たる戦いはまるで戦いを完全武装のハイキングの如し!

 

「ウラァァァァァァ!!」

 

「うぅ…強力だ!なかなかヤるッ!」

 

観客席で自分にアツかりし声援を送ってくる“同志達”!燃える革命であるガングートは若き革命同志達の前で負ける事は許されない!たとえこの身が燃え尽きようともッ!

 

「フッ、ネルソンと言ったか……たしかにキサマのネルソン・タッチは強力だ、だが!その技には致命的な欠点がある、そう……致命的な」

 

「何…?フッ、面白い、余のネルソン・タッチの欠点か、面白い、良いぞ!許す!余に聞かせてみよ」

 

ネルソン・タッチの致命的欠点…ッ!

対戦相手が決まった当日、ガングートは同志達とビデオで撮影したネルソンのファイトを何度も確認、検証し、一つの事実に気付いた…

それは、ビデオに飽きた同志シムシューがお菓子を食べ始め、妹である同志シムシューの妹から尻を蹴られていた時だった、同志エトロフが気付いた完璧な技と思われたネルソン・タッチの意外な欠点…

 

「トアーッ!!」

 

「クッ!」

 

ガングートは巧みに立ち位置を右に左に変えつつネルソンのボディに執拗にパンチを打つ!!

 

「どうだ!複縦陣でなければあの技は使えまいーッ!」

 

「ほ……ほぉ?なるほどなるほど………フッ、如何にも下等が考えそうなコトだな!」

 

ネルソンはガングートの執拗なボディを弾き、高貴な脚を振り回してガングートの得意とするインファイトの射程から距離をとり、それまでファイトスタイルを変え、一転してフットワークを多様し始めた

 

「なにッ!?」

 

「フッ……複縦陣でないと使えないなら複縦陣を封じれば良い?まぁ、並の戦艦には通用するかもしれないが………貴様の相手はこのネルソンだ!そんな対策!余が怠ると思ってのコトかーッ!!」

 

ドンッ!!(ネルソンパンチ)

 

「ゴハァ!!」

 

「フッ、このネルソンに隙はない」

 

―――

 

「恐るべしネルソン!恐るべしネルソンッッッ!!ロシアンコンバットの覇者、ガングートさんを寄せつけない完璧な戦術です!この勝負、どう見ますか初春様!」

 

「まぁ、たしかにあの者は強い、が………ねる?ねるそん・たっぷじゃったかの?」

 

「ネルソン・タッチです、初春様」

 

「嗚呼、そうそうそれじゃ…その、ねるそんたつち、たしかに欠点がある」

 

初春は後ろに控えていた子日から湯飲みを受けとると、ズズィーっとアツい茶を啜った

 

「な、なんですって!?一見するとネルソン・タッチにはまったくの隙のない完璧な技に見えるのですが……ハッ!?まさか、6を返せば9になる的な!?」

 

「…まぁ、もっと単純なコトじゃが」

 

―――

 

「どうした…?使わないのか?至高の必殺技(フェイバリット)ネルソン・タッチを」

 

「ぐ、グゥゥゥム…貴様」

 

ネルソン・タッチを使えと要求するガングートに対し、ネルソンは苦々しげな表情で唸りをあげる………完璧な技であるハズのネルソン・タッチの欠点!それは!!

 

「欠点を聞かせろと言ったな!ならば教えてやろう!キサマのネルソン・タッチは一人では使えない不完全な技だからだーッ!!」

 

「クッ!!こやつ…!」

 

燃え革命ガングートのアツい拳はネルソンのガードとブ厚いロイヤル胸部を貫き、ネルソンは血反吐をブチ撒けた

 

「グッ…!カハァ!ば……バカな、このネルソンが血を、それに、膝にキている!?このネルソンが!?」

 

「大戦艦ネルソン、キサマはたしかに強い、正直、このガングート1人の力では敵わなかっただろう…!だが!!」

 

「まさか、余が……!!余が負けるとでも言うのか!!」

 

「独りきりのキサマと違い、このガングートには同志がいる!同志達とのアツい絆さえあれば我らは誰にも負けん!」

 

同志!絆!どれもこれも今までネルソンの持ち得なかったもの!生まれも育ちも高貴な身、幼き日より優れた才覚と高い実力を持っていたネルソンは完璧、しかしそれ故に彼女は孤独、孤高だった…!

そして、圧倒的な強者だったネルソンは生まれて始めて感じる未知の力に心底恐怖した、そして……独りきりの自分では勝てないと思った………その時だった

 

『どうしたNelson!!女王陛下の騎士であるオマエはそんなモノではないだろう!』

 

「あ……Ark!」

 

『オマエは独りきりなどではない、このArk

royal、それにJervisやAdmiralがオマエにはいるじゃないか!さぁ立てNelson!我らが女王陛下に勝利を捧げようじゃないか!」

 

「Ark………フッ、余としたコトが、まったく、たかが平民上がりの田舎者が、言ってくれる!」

 

 

アークロイヤルの激励を受け、再び闘志とPRIDEに火を点けたネルソンはガングートのアツい拳を前に再び立った

 

「余はNelson!Nelson級1番艦!くるがいい!貴殿のその拳と余の拳、どちらが上か教えてやろう!」

 

「フッ…よく言ったァァァァァァァ!!このガングートの拳はハゲしくアツぞ!たとえこの腕がペッキリ折れようが……見せてやる!ドロッドロに煮えたぎる!熱血!革命をッ!!」

 

 

ネルソン対ガングート、その戦いは熾烈を極めた…

そして、死力を尽くした二人の壮絶な殴り合いは互いにあと一歩、あと一発を繰り返し、試合開始から44分44秒、クロスカウンターの撃ち合いで両者共に崩れ、試合終了!女王陛下より両者を即座に最高のメディカルスタッフに診せなさいと緊急搬送された…

 

 

◆◆◆

 

ブロックB最終戦、現在までに、この死のブロックを突破した者はおらず、死者三名、重傷者3名の大惨事とも言える壊滅被害を出しているこのブロック…

 

最後の対戦はフランスから来た強さと美しさを兼ね備えた最強の戦艦(自称)…戦艦リシュリューと、難攻不落のビッチ兵の異名を持つ最上姉妹のツラ汚し、自称メインヒロイン鈴谷!

 

「フッ、まさか航巡のボウヤが相手とはね……理解しているかしら?戦艦と航巡では神と虫ケラほどの差があると言うコトを…」

 

くわえていたバラの花をプッと吹き、それはそのまま鋭い勢いで鈴谷の胸元に飛んできたが、鈴谷はそのバラを迎撃し、花弁が舞い散った…

 

「フッ、キザなヤローじゃん………でもね、鈴谷はアンタ以上に勝利が欲しいじゃん」

 

「勝てるつもり?」

 

「フッ、入院の受付は済ませた?まだなら鈴谷のケータイ貸してやろーか?」

 

「結構よ」

 

---

 

試合開始ッ!僅か15秒、先手必勝と飛びかかったリシュリューを足刀で迎撃し、そのまま相手の両腕を捻るように掴み、それを解き放つとリシュリューの身体は勢い良く空中に舞い、鈴谷は空中でリシュリューの身体をガッチリと極め、そのまま勢い良く落下しリングに叩きつけたッ!!

 

「出たァァァァ!難攻不落のビッチ兵!必殺のビッチベン・エッジが!今、まるでビッグベンの鐘を鳴らすかの如くリングに炸裂したァァァァァ!!」

 

「あー……ありゃ立てんのぉ、決着じゃな」

 

「まさかの秒殺ぅ!戦艦相手にまさかの大金星!最上姉妹のツラ汚しとディスられていた鈴谷さんがキンパツの獅子を真っ正面から切って落としたァァァァァ!」

 

まさかの秒殺に大興奮の会場に応えるかの如く、鈴谷は腕を挙げ、ついでに、何度か開脚ジャンプしてから勝利のポーズをとる!

 

「しかし……これでブロックBは勝者一人になったようじゃが、コレであやつは勝ち上がりが決まりかの?」

 

「いえ、とりあえず大会規定で棄権・退場などがあった場合を想定しておりますので、ブロックBには3人の超A級リザーバーが入るコトになります」

 

「ほぉ~…」

 

---

 

超A級リザーバー…?は?鈴谷聞いてないんですケド!?ナニそのルール!どこに書いてあったの!?クッ…!試合見ながら内心、やった!あのバケモノどもが全員●んだって思ったのに…

 

「ちょっとー!超A級だかB級だか知らないけど、鈴谷つぎ誰とヤんのー?」

 

『え?正直青葉もよく知らないんですよねー』

 

こ、このヤロウ…雑か!!仕事が雑か…ッ!!

 

『一応、手元の資料には“ノーリスペクト”と書かれてますね、はい』

 

『のーりすぺくとじゃとォ!?それは真実(まこと)なのか!?』

 

『知っているのですか!?初春様…!』

 

『うむ…』

 

ノーリスペクト………それは、基地艦娘界の中でもとびっきりのワル達、強欲・残虐・非道をエネルギーとし、数々の凶行を行なったとされるワルの中のワル!!

 

『そ…そんなワル達が…ッ!!』

 

「や、鈴谷そんな人達聞いたコトないんですけどー?っーか、強欲で残虐で非道とかワリと提督が推奨してね?」





次回はブロックC
最悪の世代が揃ういずれも劣らぬ魔人


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ブロックC

やっぱ多すぎたわー…と、絶賛後悔中

足柄(重巡) VS 羽黒(重巡)
Ark Royal(正規空母)VS 大淀(軽巡)
祥鳳(軽空母) VS 呂500(潜水艦)
雲龍(正規空母) VS 日向(航戦)

…の4本、ウフフ〜…


ブロックC 一回戦第九試合!リングに上がるのは数々の伝説を持ち、艦娘なら拳一つで勝負せんかい!の名台詞でキッズ達のハートを鷲掴みにする伝説の狼!ワイルドウルフ・足柄ッ!

 

そして、白虎の方角からリングに入ってきたのは妙高姉妹でイチバン危険な重巡と噂されている最凶の末妹、羽黒ッ!

 

「なんというコトでしょう!この極限ルールで姉妹が当たってしまうと言う悲運!なんという運命のイタズラ!この戦い、どう見ますか解説の初春様!」

 

「足柄に羽黒……ふむ、同じく近距離を得意とする者であり、姉妹故にその技も互いに熟知しておろう、おそらく、勝負は一撃勝負…」

 

「ハイ!ありがとうございます!」

 

リング上で向かい合う足柄と羽黒の間に殺伐した空気は漂っていない、むしろ、足柄は良い試合にしよう!互いに握手まで交わす程のフェアプレー感溢れる和やかなムード…

 

そもそも、今までが殺るか殺られるか、どいつもこいつも死はもとより覚悟の上過ぎたのだろう……殺るか殺られるかじゃない、食うか食われるかじゃない、ただ純粋な強さの比較べっこ、文化としてのファイト…!

 

そんな文化的ファイトのゴングが鳴った瞬間、羽黒の鋭い手刀が足柄を襲った!

 

「うおっ…!?」

 

…が、間一髪、その手刀を避けていた足柄はバックステップで距離を空け、妹・羽黒にニヤリと笑いつつ軽く口笛を吹いた

 

「へへっ…!アブねーアブねー、やる気満々ってワケね、いいわ!羽黒、久々にお姉ちゃんがケンカの仕方ってヤツを教えてやるわ!」

 

「ホント?えへ……エヘヘヘヘ……楽しみだなぁ~…久しぶりに、足柄お姉ちゃんが遊んでくれるなんて…」

 

「フッ、遠慮はいらないわよ?全力できなさい!」

 

「うん!」

 

足柄対羽黒の戦いは一進一退、あくまで攻めが主体の足柄とは対照的に羽黒は受けが主体、細かいカウンターを入れつつ、足柄の致命的な攻撃は必ずガードする戦い

 

そして試合が大きく動いた開始13分50秒…ッ!ラッシュの中、一瞬、ふとガードが下がった好機を狼は決して見逃さない、必殺のAre you ok?が羽黒の腹部をブチ抜いてブッ飛ばし、KOとなった

 

「へへっ…なかなかイイセンいってたわよ?ま、お姉ちゃんにはまだまだかなわないってトコね」

 

「エヘヘヘヘ……やっぱり強いなぁ~…格好いいなぁ、私の足柄お姉ちゃんは…」

 

「まったく、妙高姉さんや那智姉みたいに凶暴な姉とは似ても似つかないホントによくできた妹ね、アンタは!」

 

…あの妙高ですら思わずブルっちまうほど危険人物、羽黒、一つ上のお姉ちゃん大好きっ子である

 

◆◆◆

 

一回戦 第十試合ッ!!英国から来た覚醒の白き騎士(ナイト)!敵の手に落ちたとならば即座に死を選ぶ誇り高きロイヤルナイツ、アークロイヤルVS元連合艦隊旗艦アピールは忘れない!礼号組の知性溢れるメガネ軽巡、大淀ッ!

 

「フッ、このArk Royal…女王陛下に必ずや勝利を捧げてみせよう」

 

「いいだろう…溢れる知性で返り討ちにしてやろう」

 

リング中央で睨み合う二人の間にメンチビームの火花が散り、やんのか?あ?やんのかコラァ?とメンチ合戦しつつ思わずKISSしちゃいそうな距離まで急接近!もー!二人はいったいどうなっちゃうのー!☆

 

「フッ!ナニが知性だ!このArk Royalが……その賢いオツムを粉砕してくれる!」

 

試合開始と同時に一気に飛び出したアークロイヤル!しかし、飛び出したアークロイヤルに合わせて大淀の足刀がアークロイヤルのお腹にキレーに突き刺さり、アークロイヤルはウゲェ!と呻きながら光るゲ●をブチ撒けた

 

「アーッと!アークロイヤル!いきなり吐いてます!いきなり吐きました!これは騎士として如何なものですか!初春様!」

 

「騎士はどうかは知らんが……まぁ、サムライなら切腹じゃな」

 

「初春様の冷静で的確な解説ありがとうございます!」

 

いきなり大ダメージを受けたアークロイヤルは毅然とした顔で、クッ!と顔をあげると、さらに大淀からそのキレーな顔を蹴り飛ばされてリングをゴロゴロと転がった

 

「グボァ!!」

 

「クックック……いけないなぁ、神のコトを悪く言っては」

 

「な、クッ!言ってな……グワァァァァァァァー!!」

 

「死ねッ!!」

 

大淀の必殺技(フェイバリット)礼号牛裂き刑・礼ジング・オックスが炸裂しアークロイヤルはウギャア!女王陛下ーッ!と断末魔の叫びを上げてダウンして動かなくなった…

 

「ククク…ハハハ…ハァーッハッハッハッハッハ!これが礼号組の力よ!」

 

◆◆◆

 

一回戦第十一試合、リングに現れたのは今大会唯一の潜水艦、ドイツ生まれのジャパン育ち!悪そな潜水艦はだいたいトモダチ、悪そな潜水艦とだいたい同じ、裏の道歩き見てきたこの基地!死の内科医!呂500!VS…

 

『S!Y!O!レッツゴー!SYO!』

 

踊る第四駆逐隊を引き連れ、まるでスーパースターのようにリングへと歩いて来たのは、スーパースター剣埼こと軽空母…祥鳳!

 

「フッ…コイツは可愛い挑戦者さんだ」

 

「がるるる!ろーちゃんを舐めてると痛い目みますって!」

 

共に、実力派と名高い祥鳳と呂500の激突に大興奮の観客席、ついでに、剣埼ガールズのパンツが見えるナイスダンスにも大興奮である…

 

「さぁ注目のこの試合、死の内科医と呼ばれるろーちゃんとスーパースターSYOの激突ですが、初春様、この試合の見所はどこになるでしょうか?」

 

「ふむ、そうじゃのぉ~…互いに耐久力にはあまり自信はあるまい、故に、勝負は早めに決着をつけ…」

 

GASYAAAAAAAAAAAAAAN!!(ガラス)

 

初春様のありがたい解説の中、試合開始のゴングが鳴り、いきなり観客席上段の硝子戸が砕け散った

 

「フッ、できたてホヤホヤのパンチなんで的を外しちまったぜ…」

 

「あ…?あ…?」ジョー!ドボドボ…

 

祥鳳のスーパーブローは的である呂500を外し、空を切ったが………その、超絶的な威力は呂500、応援に駆けつけた潜水艦の仲間達、会場に集まった観客達……それら全てを戦慄させたッ!!

 

そして……呂500はそのあまりの威力に生まれて初めて心の底から恐怖した…あまりの絶望に涙も流し、おしっこも漏らした…

 

「か…勝てない、勝てないですって」ガタガタ

 

『バッキャロー!ろー!ナニビビってんだテメー!』

 

「で…でちセンパイ!」

 

『思い出せろー!今は亡きオリョール海で過ごした地獄のような訓練の日々を!その、訓練の日々に比べたらそんなモノはなんだーッ!』

 

『そうだぜ、ろー!』

 

『…ゆー、そう思う』

 

「でちセンパイ……みんな!」

 

今は亡きオリョール海……そう、たった一人、ドイツからこの国へ渡り、まだ右も左もわからないドシロートの頃でレベル1のまま放り込まれたオリョール海での戦いの日々、本来なら、新人は演習で経験を積み実戦に送り出されるが潜水艦は違う、レベル1から容赦なく実戦の超実戦主義!その、過酷な日々がドイツから来た内向的な少女を褐色の悪魔へ変貌させた…ッ!

潜水艦として大胆に振る舞いたいからこそ日々の精進は怠らない!7年あれば2555日の全ては訓練の日々…!

 

「…そうですって、ろーちゃんにも、負けるワケにはいかないワケがあるですって……みんな!ろーちゃんを身体をみんなに貸すですって!」

 

「フッ、なかなか男前のツラになったじゃねぇか、だが勝つのは私……妹が卵焼きを焼いて待ってるんでね、冷めるとマズくなっちまうのよ」

 

「うおおおおぉぉぉ!喰らえ!ろーちゃんの必殺!ガンマナイ…」

 

BAKOOOOOOOOOM!!!(マグナム)

 

祥鳳のマグナムがキレーに突き刺さり、ブッ飛ばされた呂500は割れた硝子戸の隣の硝子戸をブチ破って会場の外へと飛んでいった…

 

◆◆◆

 

ブロックC 最終戦、第十二試合!謎に包まれた仙人みたいなデカパイ空母、雲龍VSカスタム瑞雲専門店店主、航戦日向ッ!

 

「はい、これまた意外な顔合わせになりました雲龍さん対日向さん、この試合どうでしょう?初春様」

 

「うむ、正直、ヤツらに関しては妾もよく知らぬ故になんとも言い難いのぉ」

 

「一応、手元の資料によりますと雲龍さんは金●島出身のガチ妖怪と噂されているらしく、一説には、その、あまりのおきゃんぶりに金●を追い出されたのでは?と噂されてるそーです」

 

「ふむ」

 

「対する日向さんですが、航戦として高い実力を持つ実力派ですが普段は自身の経営するカスタム瑞雲ショップでカスタムした瑞雲を販売して生計を立ており、日向さんのカスタムした瑞雲はまるで狂おしく身をよじるよーに走るコトから通称、悪魔のZと呼ばれてるそーです」

 

「悪魔的じゃのぉ」

 

そして、試合開始ッ!!まずはお互いに相手の手の内を探ら……ない!雲龍は杖をブンブン素振りしながら日向にスタスタと近づき、日向はその杖を煩わしいと思ったか、片手で掴んで何事もなく粉☆砕した

 

「フッ…やるじゃない?」

 

「フッ、オマエもな」

 

お互いニヤリと薄笑いを浮かべ、雲龍はそのデカパイの谷間に手を突っ込み新たな凶器を取り出した!

 

「そ……それは!!激レアマシン!試製景雲(艦偵型)!!」

 

「葛城が提督から貰ったものよ、フッ…」

 

「なるほど……一目見てわかるぞ、なかなかチューンされている、少し見せてもらって構わないか?」

 

「いいわよ」

 

日向はゴクリと喉を鳴らし、雲龍から借りたマシンがただのマシンではない事に戦慄と同時に、歓喜を覚えた…

 

「やっぱりネ330はいいな、心情的にも特別なマシンだ、惹かれる……だが実戦ではやはり634空だ、新しい12型が出た今でも、ワケしり顔がこざかしい理屈で634空を評価する、12型より伸びたホイールベース、大きくなったボディ………」

 

「ちなみに、なんでか知らないけど私には使えないから腹立つわ」

 

「まぁ、そうなるな…」

 

ちなみに、貰った本人である葛城にも使えなかったのでどうしていいかよくわからず、普段は神棚に置いてあるらしい

 

「ありがとう、良いマシンだ…大切にしなさい」

 

「ぶっちゃけいらないけど…そうだ、アナタ、これあげるから負けてよ」

 

「フッ…」





次回はブロックD、激突!100億パワーの戦士たち!


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ブロックD

一回戦最終回、新しいステージは神に挑む場所


夕張(軽巡) VS 明石(工作艦)

秋津洲(水母) VS 香取(練巡)

清霜(駆逐艦) VS 早霜(駆逐艦)

熊野(軽空母) VS 対馬(海防艦)

ですって!




最大トーナメント一回戦ブロックDッッッ!第十三試合のリングに上がるのは貧弱な肉体に天才の頭脳を搭載した唯一無二の4スロット軽巡(過去の話)夕張ッ!そして、相対するは修理すも破壊すも思いのまま!基地のコンビニショップ、アカシメイト経営!工作艦明石…ッ!

 

「フッ、明石…この戦いのキャッチコピーを知ってるかしら?………“核兵器”VS“竹ヤリ”」

 

「フッ、私をタダの可愛いだけのショップ店員だと思わないコトね、夕張」

 

互いにメンチを切り合い火花を散らし、ニヤリと笑って両者は距離をとる…

 

「いやぁ~…夕張さん、いきなり見事な敗北フラグから入りましたねぇ、初春様」

 

「うむ」

 

「しかしどうでしょう?夕張さんはウェストとか細くてマジムカつきますけど一応軽巡、対して明石さんはイ級に噛まれて転げ回るぐらい戦闘力が無いとのコトですが…?」

 

「さすがにそれは分が悪いのぉ…」

 

場内の予想でも、さすがにこれは夕張が優勢かと思われつつ試合は開始され、夕張はスカートのポケットから注射器(ポンプ)を取り出した

 

「フッフッフ、コイツがナニかわかりますか?」

 

「…ビタミン剤?」

 

「違いますよォ!コイツはね!キンニクをモリモリにする恐るべき効果を持つ夢の薬!名付けまして、BARIMAXです」

 

「き…キンニクをモリモリにする薬ッ!夕張、アナタ…クスリに手を…!」

 

勝つ為に明日を捨てた夕張…ッ!夕張はまずは80%から行こうかーッ!と言いながら己の腕にポンプを刺し、禁断の液を注入するッッッ!!

 

「Fuuuuuuuuu!!きた来たキタキタァ!!この身体の内側から湧き上がるアツいパワァァァァァ!!」

 

夕張はポンプを投げ捨て、遂に禁断の力!BARIMAXの力を完全解放させ……

 

ブシャアアアアアッッッ!!!

 

「ウッギャアアアアアアアアアア!!」

 

「何事ォ!?」

 

「あ……アガ、アヒ…イヒャ……あああああ!イギッ!ィィィ!!アッー!!」

 

…夕張は股間から汚い液を垂れ流しつつ、アヘ顔失禁KOして動かなくなった…

 

「……え?ナニ?なんなの?」

 

とりあえず、明石は夕張の捨てたポンプを拾い、貼ってあるラベルを見ると“感度100億倍になるクスリ”と書いてあった…

 

「ひ……100億」ゴクッ

 

◆◆◆

 

第十四戦、リングに上がるのは配属当初、可愛いだけが取り得と散々ディスられクサクサしていた時期もあったが、香取先生の熱血指導の甲斐あってなんやかんやで練度上限まで鍛え上げられた可愛いだけが取り得のガン●ラマイスター・秋津洲!

 

「やってやるかも!」

 

相対するはッ!エレガンテが服を着てるメガネがステキなエレガントティーチャー、デキない子にはデキるまで熱血指導!真の教育は既に完成している!練習巡洋艦、香取!

 

「フフフ…」

 

「たとえ先生が相手でも負けないかも!」

 

「負けない…?フフフ…そうですか、ですが………」

 

たとえ自分を鍛え、育ててくれた先生相手でも容赦しないかも!可愛いさ全開の秋津洲は可愛いく香取先生に宣戦布告し、香取先生は右手を頬に添え、エレガントに……ただ、エレガントに微笑みを浮かべている…

 

そして、試合開始ッ!のゴングが鳴るッ!!

 

………と、同時にッッッ!!秋津洲は全身から血のシャワーを吹き出して倒れたッッッ!!

 

「アナタもう死んでますよ」

 

瞬殺ッ!!今大会最速記録、金剛VSサラトガ戦の2秒を上回る最速記録を塗り替える瞬殺劇ッ!

香取先生はエレガントな微笑みを崩さぬままリングを後にする…

 

「瞬・殺ッッッッッッ!!恐るべきスピードだァァァァァ!!初春様!初春様ァ!今のいったいナニが起こったんでしょうか!?」

 

「うむ、おそらくは恐ろしい速い手刀、妾でなければ見逃しておるな」

 

「マジですか!?マジっすか初春様ッッッ!」

 

「う、うむ……あと、オマエちとうるさいのじゃ、あと、顔が近い」

 

◆◆◆

 

最速記録0秒の興奮冷めやらぬまま試合は第十五戦!最強のDNAを継ぐ駆逐艦!スーパーエリート駆逐艦夕雲型のラスト・サン!清霜!このキケンな大会への出場はモチロンお姉様達にはナイショだ!

 

「屁のつっぱりはいらんですよ!」

 

相対するは、この極限ルールでの再びの悲劇!まさかの姉妹対決!対・妖怪のスペシャリストと噂されている夕雲姉妹の中でも謎の多きサラサラストレートヘアー、早霜!

 

「…早く始めましょう」ボソボソ

 

今大会三回目の駆逐艦同士の激突、そして、二回目の姉妹対決に会場のアツい声援が飛ぶ…

 

「さぁ帰って参りました禁断の姉妹対決、この試合どうでしょう初春様」

 

「そうじゃのぉ……清霜がアホなコトは妾でも知っている事実じゃが、ふむ…あっちのヤツは妾もよく知らぬ」

 

「え~っと、一応手元の資料によりますと、早霜に関しては大会への参加動機の欄に“戦いたいからここに来た”とシンプルな回答をしており、ぶっちゃけファイトスタイルとは不明です、でも、青葉的にたぶん暗器とか使いそーなツラしてるなと思ってます」

 

清霜対早霜、禁断の姉妹対決のゴングが鳴り、まずは清霜がトアーッ!と叫びながら早霜に襲いかかる!しかし…ッ!

 

「おっ?」

 

ビタンッッッ!!(大●山落とし)

 

「ウゲエェェェ!!!」

 

逆に早霜に掴まれた清霜は背中を痛めつけられリングを転げ回った

 

「だ…大●山落としだァァァ!姉妹一のネクラっ子と名高い早霜ちゃん!まさか姉妹相手にいきなり大●山落としだァァァァァ!」

 

「あれは痛かろう」

 

「さらにッ!清霜ちゃんの両腕を極め……あーっ!なんとスピンダブルアームだァァァ!両腕を破壊された清霜ちゃん!あまりの痛みに転げ回るゥゥゥゥ!」

 

さらに、早霜によって両脚と頭を破壊され、ウッギャアー!と叫びながら転げ回る清霜……

 

そんな、身も心もズタズタになり、今にも倒れてしまいそうな清霜だっだが、清霜の中にあるアツい小●宙(コ●モ)はまだ燃え尽きていない、そう……小●宙(コ●モ)さえ燃やせば何度でも立ち上がれる…

 

そして!そんな不屈の清霜の前に、奇跡が起こった!!

 

「お…おぉ……こ、コレは!!」

 

「…大和?いえ、武蔵さんの艤装?」ボソボソ

 

リング上に突如として現れた大戦艦の艤装(クロス)、大和型艤装(オブジェ形態)はまるで清霜を守るかのごとく清霜の前に降り立ち、そのバーツが眩い光を放ち清霜の体に装着されたッ!

 

「こ…これは!武蔵さんの艤装(クロス)!ち…力を貸してくれると言うのか!」

 

「…」

 

「この力!小●宙(コ●宙)が湧いてくる!………行くぞォ!目覚めろ清霜のセブンセ●シズ!」

 

最強の艤装、大戦艦級の艤装をその身に纏い小●宙をバクハツさせた清霜は夕雲型の軌跡を描きながら両腕をハアアァァ!とクネクネさせる!

 

だぁ~きしめたぁー…こ~ころのコ●モォ~(処刑用BGM)

 

「きましたァァァァァ!!さすがにコレは勝利確定でしょう!確定でしょう初春様!」

 

「あ?あぁ、うむ、あと、妾を揺らすでない」

 

激アツの処刑用BGM、信頼度90%オーバーであろうアツい展開に大興奮の青葉と観客席!これはもう勝ったなガハハと誰もが思った………

 

その時ッ!!

 

「ウッギャアアアアアアアアアア!!」

 

早霜のテリブルプ●ビデンスの前に、最強の硬度を誇る大戦艦級の艤装が粉々に砕かれ、そのまま清霜はきりもみ回転しながら頭からリングにズシャアッ!!と叩きつけられた

 

「ば……バカな、し……神話の時代から一度として砕かれた事のない大戦艦級の艤装が……」

 

「…残念ね清霜、もし、今日の私でなければアナタに勝たせてあげていたわ」ボソボソ

 

「お…オマエは……い、い……いった、い?」

 

「賞金はアナタにあげる、ベ●ブレードでも買いなさい……でも、副賞は誰にも渡さない、そう、誰にも、ウフフ…フフフフフ」ボソボソ

 

◆◆◆

 

無駄に長かった一回戦最終戦、第十六試合!

リングに上がるのは今大会唯一の海防艦、戦いたくないけどここに来た!海防艦対馬VS最上姉妹の末妹、最上姉妹のデンジャラスお嬢!熊野が軽空母名義で来てくれたッ!

 

「イヤだ……イヤだ…帰りたい…」ブルブル

 

「フッ…パツイチでキメてやりますわ!」

 

姉、佐渡さまに無理やり参加させられ、今すぐにでもこの場を逃げ出したくて仕方のない対馬だったが、佐渡さまから秘密裏に飼っているハムスターを人質に取られている…

きっと今も対馬のハムスターは佐渡さまから頬袋にひまわりの種をねじ込まれ、何個目に死ぬかなぁ~?とされている違いない……

どうしてもハムスターだけは助けたい!その一心で対馬はここに立っている!

 

「フッ…そんなにビビることありませんわ、優しくフォールしてあげますわよ?」

 

そんな対馬に優しく声をかける熊野はアナタはただヒトコト、マイッター!オレの負けだー!カンベンしてくれぇー!と言うだけですわ…と、耳もとで囁いた

 

そして、遂に開始った最終戦!まずは先手必勝、対馬は果敢に熊野にタックルを仕掛けたものの片手で止められ、そのまま掴まれてブン投げられた

 

「ぎゃん!!」

 

「ダヴァイ!ですわ!」

 

「ぅぅ……痛いよぉ、痛いよぉ…」

 

力の差は歴然、そして、そもそも対馬は争いや暴力が嫌いな心の優しいタイプ……この基地に居ない、他者を思いやり、理解してやる強い心の持ち主…

 

『バッキャロー!立て対馬ぁー!』

 

「ヒ、ヒィ…!さ、佐渡さま」

 

『戦え対馬ぁー!天使のように細心に!悪魔のように大胆にだぁー!行け対馬!戦術No.THE ENDだぁー!』

 

ハムスターの入ったケージをバシバシ叩きつつ、観客席からアツい声援を送ってくる佐渡さまに、対馬は再び足をふんばり、腰を入れて立ち上がった!

このままブザマな敗北を晒してしまったら、佐渡さまは対馬の大事な大事なハムスターの回し車にハイパーダッシュモーターを取り付け、拷問器具に変えるだろう、予感や予想じゃない……佐渡さまならヤる!その…素敵な確信が対馬にはあった

 

「う、うわあああ!せめてイッパツ、せめてイッパツ…」

 

「フッ、その意気や良し!覚悟や良し!ですわ!」

 

大事な大事なハムスターの為に、戦いの覚悟を決めた対馬は再び低空タックルを仕掛けるッ!今度のタックルはさっきとは違う、まるで己の命を無視したまさしく捨て身タックル!

 

しかしッッ!!

 

「グ●ートホーンですわーッッ!!」

 

熊野の放つ抜拳張り手を正面からモロに浴び、対馬はきりもみ回転しながら空高く舞い、頭から落下してグシャアッ!!とわりとヤバい音を立ててリングに叩きつけられて動かなくなった…

 

「キまったァァァァァ!これが黄金の神戸牛熊野!恐るべきブランド牛の破壊力だーッ!」

 

「うむ、コレは勝負アリじゃな」




次回から二回戦………ではなく、通常回
提督と五月雨が執務室に居る話


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提督と五月雨と秋の防災点検

最大トーナメントだけだと体と心に悪いのでちょっと休んで通常回、いつもの平常運転

【登場人物】

提督(クズの人)
寒くなってきたせいか、お尻が気になる

五月雨(秘書カーン)
専業秘書艦、陸奥曰く、心が広い子

白露(長女)
食欲の秋


爽やかな秋晴れに心躍る良き日、たまには真面目に仕事でもするかと考えた俺は執務机の上に長らく置いてあった書類が目に入ったので頼れる俺のライトアーム、五月雨にコレはナニかね?と訊ねた

 

「見ての通り、基地の防災機器点検のチェック表ですけど?あと、私からも一ついいですか?」

 

「ナニかね?」

 

「そのギザギザはなんですか?ファッションか何かですか?」

 

「これが気になるかね?」

 

「えぇ、ワリと」

 

たしかに、五月雨の疑問は当然かもしれんな…

今、俺が着ている制服の上着には袖が無く、ワイルドさを強調するようにギザギザしているが特にファッションと言うワケではない、両袖をおそるべき力で引っ張られて千切れてしまっただけだ…

 

朝、自販機コーナーで缶コーヒーを買っていたら金のサラサラジャーヴィーくん、緑のトゲトゲ山風クンの二人と運悪く遭遇し、俺は可能な限り穏便にシカトしてその場を去ろうしたが、クソガキ達のよくわからん口論の末、我が子を奪い合う母のように右から左から袖を引っ張られ、引きちぎられたと言うワケだ…

 

「へぇ…」

 

五月雨は大して興味もなさげに領収書に印鑑を押し、領収書箱に放り込む、こやつめ…自分で聞いておきながらこの興味の無さ………だが、そんな秘書を、それでも許そう

 

「とりあえずこの面倒な防災機器点検は片付けておくか、五月雨、共にチェック表にチェックを手に入れるぞ、付いて来い!」

 

「はいはい、あ、とりあえずそのダッサい上着は脱いで行って下さい、後で袖を付けます」

 

◆◆◆

 

「しかしなんでオマエの胸は絶壁なんだろうな…」

 

「なんですかいきなり…?ケンカ売ってるんですか?」

 

基地内の防災機器を点検しつつ歩き回っていると、ふと、シンプルな疑問が頭に浮かんだので絶壁の主である本人に問うと、若干イラっとした顔をしていたがすぐにニュートラルに戻った

 

「そりゃ私だって駆逐艦ですし、むしろ平たいのが当たり前じゃないんですか?」

 

「当たり前、ふむ…当たり前か、しかし卿の意見を是とするには些かパンチが足りないと私は考える」

 

「…はぁ?」

 

ニュートラルから2ndぐらいのイラっと具合だろうか?五月雨はチェック表を片手にボールペンを指でグルグル回して俺に投げつけてきたが、俺はそれをキャッチし、同じく指でグルグル回して五月雨に返球した

 

「例えばオマエの姉ちゃん達がいるだろう」

 

「春雨姉さんなら平たいですよ」

 

「達だ、達!複数なのだよ」

 

「冗談です、小粋なサミダレジョークですよ」

 

「ナニがサミダレジョークだ」

 

この青髪ロング子の姉には駆逐艦とは思えない超肉体、ハッキリ言って身体だけなら合法だよコイツぁ…と、思わず生唾ゴックンしちまうビシバシボディの村雨がいる

それに、村雨ほどではないが夕立も改二になった辺りから急成長し、将来性を期待させる身体つきになっている…

 

「まぁ、時雨様は絶壁寄りですね」

 

「姉に対してなんてコト言うのかね、この子は」

 

まぁ、時雨様はビシバシボディなどなくとも大抵の輩は身分の違いを思い知り膝を屈する…

そんな完璧なる時雨様について考えていると、廊下の向こう側からホカホカの焼き芋の入った袋を片手に抱え、もう一方の手で焼き芋を食い歩きするアホ面が歩いてきた

 

「ん?あ、テイトクと五月雨じゃん、ナニやってんのー?」

 

「白露ェ…」

 

「こんにちは白露姉さん、焼き芋ですか?」

 

「焼き芋だよ、一個あげよーか?」

 

狂気のヤンチャ駆逐艦、白露姉妹の長女にして歩く屁こきマシーン白露は袋から焼き芋を取り出して五月雨に渡した

 

「ありがとうございます」

 

「いいっていいって、テイトクは?いる?」

 

「いらねぇよバーカ、だいたいなんだその腹は?孕み袋か?お腹パンパンですかー?」

 

「孕んでねーし、ってか太ってね………や、ちょっと太ったかなぁ〜?アハ、アハハハ」

 

白露ねーちゃんは乾いた笑いをしつつ焼き芋を口に入れ、ゔっ!あづい!とか言ってゴホゴホむせ出した

 

「大丈夫か?救急車呼ぶか?」

 

「呼ばなくていいし、ってかテイトク、五月雨とナニしてんの?」

 

「ご覧の通り、防災機器点検だが?」

 

「や、ご覧の通りでわからねーから聞いたんだけど………まぁいいや、ふ〜ん、防災機器点検ねぇ」

 

「心配すんな、特にお前の部屋は念入りにしておいてやる、ベットの下からゴミ箱の中、あと、タンスの中も一枚一枚丁寧に取り出して危険な匂いがないかを確認してからジ●プロックしてやる」

 

「へ…変態…っ!!変態っ!!」

 

「変態じゃない、小粋なテイトクジョークだ」

 

「全然っ!小粋じゃないし………五月雨、ナニか困った事があったらお姉ちゃんに相談してね!」

 

「ありがとうございます、何か困ったら時雨様に相談します」

 

五月雨の殺人ストレートに多少のダメージを与えられたものの、そこはさすがに長女、震える手で焼き芋をワイルドにかぶりつき、心の安定を得た…

 

「そういや白露ねーちゃんも最近なんかエロくなったな」

 

「エロくなったとかゆーな、成長したって言え!」

 

「ちょっと妹の悩みを聞いてやってくれよねーちゃんよ、おたくの絶壁六女が絶壁なコトに悩んでんのよ?絶壁過ぎてスイマセンって、ちょっと白露ねーちゃんから絶壁を攻略するクライミングを教えてやってくださいよぉー?」

 

俺は白露ねーちゃんの肩に手を回し懇切丁寧かつフランクにお願いした

 

「ちょ!距離が近い!あと、手!しれっと胸揉むな!」

 

「ハッハッハ、小粋なテイトクジョーク」

 

「だから!まったく小粋じゃないし、五月雨!コイツマジなんとかしてよ!アンタの上司でしょ!?」

 

「まぁ、私だけじゃなくて白露姉さんの上司でもありますけど…」

 

五月雨はとりあえずため息を吐いた後、不遜にも俺のケツにキレのある蹴りを叩きつけ、激痛にのたうち回る俺に対し“あまり絶壁絶壁言ってたら夕張さんに失礼ですよ?”とまるで我が子を諭す母親のような感情のないマシーンの如く囁いた

 

「まぁ、私は特に気にしてませんけど…」

 

う…嘘つくんじゃないよこの青髪ロング子は……俺は知っている、コイツの一つ下の妹に向ける憎悪の目を、あれは身内に向けていい目じゃあない…コイツこそ無害なようでとんだ悪魔(ディアブロ)だよ

 

「まぁいい、よし…腹減ったし昼飯でも食うか、五月雨、卿からランチの提案はあるか?」

 

「そうですね……たまにはスパゲティとかどうですか?」

 

「スパゲティか…ふむ、卿の意見を是とする」

 

 

…こうして、俺達はキリのいいところで昼食を摂るべく近所のサイ●リアへと行き、普通にスパゲティを注文したらたまたまサイ●リアへと来ていた貧乏姉妹こと秋月姉妹を見つけ、秋月が財布を握りしめ、店員さんに“コイツらにスパゲティを食わせてやりたいんですが!いいですかねーッ!”と注文していたので、俺と五月雨は店員さんに自分の皿をあの貧乏姉妹に与えてくださいと頼んだ…





次回は二回戦!

たぶん


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ブロックA【二回戦】

最大トーナメント二回戦、緑と金の小さいのがこの海の強者に挑む!

金剛 VS 山風
天龍 VS Jervis

ですって!たぶん!


最大トーナメント二回戦ッッ!!

 

一回戦の死闘を勝ち上がったいずれも劣らぬ猛者達がぶつかる全ての試合が超雌対決ッッッ!

 

その、二回戦最初の試合……

 

試合開始2秒の秒殺劇で勝ち上がった目下優勝候補No.1!この基地の裏にもう何年も君臨するまさに“帝王”!一撃必殺のその先を求めし拳の求道者ーッ!戦艦金剛ッ!!

 

そして、その金剛に相対するは、折れない!曲げない!挫けない!不倒不屈の心で“国宝・潮”から勝利をもぎ取った触れるもの全て突き刺すアロエの如きトゲトゲ!山風ッ!!

 

「さぁ~始まります二回戦第一試合、いえ……これは試合と言えるのでしょうか?戦艦と駆逐艦、金剛さんと山風ちゃん……ここまで絶望的な、悪魔的なまでの戦力差を感じる対戦はあるのでしょうか?私は皆さんに問いたいッッッ!これは試合と言えるのでしょうかッ!言うなれば!これは……これは一方的な殺戮ッ!皆さんは殺戮ショーが見たいのでしょうかッッッ!!」

 

ざわ……ざわっ……

 

実況席、青葉のアナウンスによりざわめく会場…

たしかに、今日、この会場に足を運んだ観客達の誰もがこの試合、金剛の勝利を予想している、スルメを食べるおじさんも金剛がド本命、理系のお兄さんのデータでも金剛の勝利は100%、戦吉兆羅針盤も何度回しても99分の1、死のマスで止まる…

 

誰がどう考えても山風が、あの金剛に勝利するなど不可能…

 

「しかし我々はこの戦いを見守るコトしかできませんッ!金剛さんと言う超級の災害(カラミティ)を前に、山風ちゃんがオモシロオブジェみたいにされないコトを祈りましょう!ねぇ!初春様ッ!」

 

「うむ、あと、オマエちとうるさいのじゃ」

 

◇◇◇

 

『山風ェー!!サイコーだーッ!』

 

『お前がNo.1だー!』

 

『アリガトー!ヤマカゼ、アリガトー!』

 

あの大戦艦、金剛さんをイッパツで倒し、今まで見たコトないようなたくさんの歓声が聞こえる…

 

そして、金剛さんを倒した私を祝福する為にテイトクもリングに来て、よくやった!感動した!とぎゅーっとしてくれた

 

「感動した!」

 

「…うん、うん!」

 

…それから、あのキンパツチビがやって来てブルブル震えながら私に頭を下げた…?

 

「あ、アナタ様にはかないまセーン!」ブルブル…

 

「え…あ、うん、うん?」

 

…うん?コイツ、こんなヤツだったっけ…?

 

「あぁ、そうだ山風よ、そういや、なんかこの人がオマエにアイサツしたいんだって…」

 

「フッ…」

 

って……ん?ん~~~?戦艦長門ーッッッ!?長門…?長門さん、さっき死んだ……よ?ダメだよ長門さん死んだ人が出てきちゃ………死んだんだよ?

 

「このビッグセブン、地上最強の戦艦と言われているが………それはこの私の事ではない、山風、オマエさんだ」ニィ…

 

……あぁ、あー…そーゆーカンジかぁ~

 

「そんなんアタリ前じゃん!」

 

「やっぱり?ハッハッハ!」

 

…こーゆーコトってたいていはそう、たいていは……そう

 

“夢”!!

 

ーーー

 

「一撃ィィィィィ!!なんか自信アリげにリングに上がった山風ちゃんだったがやっぱり勝てなかったァァァァァ!」

 

「まぁ、ワカっていた結果じゃ…」

 

試合開始1秒、金剛のパンチでリングにメリ込んだ山風はオモシロオブジェにはならなかったものの、壊れたブリキ人形みたいに動かなくなった…

 

「しかし金剛さん、女子供にもまったく容赦がありませんねぇ、あの保護欲の塊と言われる山風ちゃんを正面からグーで切って落とすとかなかなかできるコトじゃありませんよ、ねぇ!初春様!」

 

「闘争の場に余計なモノは一切持ち込まない、前に立つ者はなんであろうが倒してのける、それがお主の道か……金剛」

 

初春は雅な扇子で口元を隠し珍しく神妙な面持ちで眉根を寄せた

 

「金剛さんって昔からそーゆー人じゃないですか?」

 

「フッ……お主は知らぬまい、かつての金剛は万人を愛し、万人に愛されし誰より優しく慈愛に満ちた高潔な人物じゃった、しかし…」

 

「あ、初春様そのハナシ長くなりますか?」

 

「あ?うむ、まぁ、ワリとな」

 

「あ、回想とかいいんで!」

 

「む?そ…そうか?」

 

ブロックA二回戦

金剛○ ‐ 山風●(強パンチ)

 

◆◆◆

 

二回戦第二試合、優勝候補金剛の鉄拳が緑のトゲトゲを下し、続く次の試合は英国から来たリトル淑女、一回戦、ステーツ期待のリトルガール、サミュエルを徹底的に痛めつけ、心と身体に傷を与えて勝ち上がった侵略のスピードアタッター、ジャーヴィス!

 

「アッハッハ!ワタシとDarlingのジャマするヤツはミナゴロ・シーよー!」

 

そして、相対するは互いのキャビネッセンスを奪い合う死闘を制し、見事勝ち上がった自称煉獄より生まれし黙示録の龍、天龍…ッッ!!

 

先にリングに姿を現したジャーヴィスはオイッチ・ニー!オイッチ・ニー!とストレッチをしつつ対戦相手である天龍の登場を待つ…

 

「さて二回戦第二試合、ジャーヴィスちゃん対天龍さんなワケですが初春様」

 

「うむ」

 

「どうでしょう?やはりこの試合、体格で勝る天龍さん有利と見るべきでしょうか?」

 

「まぁ、なんとも言い難しじゃな」

 

子日から受け取った湯呑みを啜りつつ、初春は昼は蕎麦でも食いたいのぉとお品書きを眺めながら呟いた…

 

「…しかし天龍さんなかなか現れませんね」

 

「う●こでもしとるのじゃろ」

 

「なるほど、う●こですか……まさか初春様からう●こなどと言う言葉を聞くコトになるとは、青葉びっくりです」

 

「妾とてう●こぐらい言うわい」

 

「びっくりです」

 

なかなかリングへと姿を現さない天龍、ジャーヴィスはとりあえずストレッチで身体を温め、スタートから万全の状態へと準備万端…ッ!

まずは低空タックルから入りボディを連打する、とにかく連打だ、執拗にボディを連打し、頭が下がったところで必殺のロイヤル右フックを叩き込み、転がったらリバースフルネルソンからリングに叩きつけてやる……ジャーヴィスの作戦は決まった

 

その時…ッッッ!!

 

グシャアッ!!

 

「な、ナニ!?」

 

ジャーヴィスの待つリングにナニかが勢い良く叩きつけられて転がった!!それは……

 

「て、テンリュウゥゥゥゥゥ!!」

 

「…」死ーン

 

それは、まるでオモシロオブジェみたいな型になった天龍…

 

そして、オモシロオブジェ天龍が飛んで来た方向……本来ならば天龍が歩いて来るハズのゲートからナニかが来る…っ!!

 

「な、ナニ?いったいナンなノ!?」

 

カツーン…カツーン…(足音)

 

『その方は体調が悪いようなので私と替わって頂きました…』

 

カツーン…カツーン…(足音)

 

「ば…バカな…っ!?ア、アナタはーッッ!!」

 

強烈な覇●色を放ちながらリングに姿を現したその女性は、あまりにも高貴すぎた、優雅で、美しく、そして気品がありすぎた…

 

それはまさに、女王だった

 

「女王陛下だァァァァァ!!まさかこの基地闘技場に女王陛下降臨ッッッ!!女王陛下降臨に観客席は覇●色に耐えきれずに気を失う観客が続出しておりますッ!」

 

「なんという覇気じゃ…」

 

「は…初春様!これは一体どーゆーコトでしょう?本来戦うハズの天龍さんがオモシロオブジェみたいにされていますが…」

 

ざわつく場内を宥めるように、女王陛下は静かに右手を挙げ、お静かに…とエレガントに仰り、未だ、戦慄を隠せずにいるリトル淑女ことジャーヴィスに向き直った

 

「まず最初に、これは“試合”ではありません」

 

「………は?な、ナニそれLady、それ、ドーユー…?」

 

「Jervis、私はね………アナタに“制裁”を与えにきました」

 

「せ……セーサイッッ!!?」

 

「…この国に来て以来、最近のアナタの行動、さすがに目に余るモノがあります」

 

本国ではあんなに良い子だったのに…

そう一言つけ加え、女王陛下はさらに続ける……そもそも、Arkだけでも頭が痛かったのにJervisがヤンチャし、最近ではNelsonも来たせいか、女王陛下の広い御心もさすがに許容できる範囲を超えた

 

「アナタの教育をArkに任せたコトがそもそも間違いだったのでしょう、えぇ……間違いは誰しもあります、そして間違えは正せば良いのです」

 

「つ、つまり…ドーユーコト?」

 

「Jervis、アナタはこの私が……このQueen Elizabeth class Battleship Warspiteが自ら教育をしましょう、いいですね?」

 

「ヒッ!?……れ、レレレ!Ladyがッッッ!!」

 

「そして………まずはJervis、アナタのその淑女としてあるまじき曲がりに捻曲がった性根を叩き直します」ギロッ!

 

「ヒイィィィ!!」

 

これは試合ではないッッッ!!制裁を与えるッッ!!

女王陛下自ら、自国の恥部を晒すリトル淑女を叩き直すべくこの場に来たッッッ!

 

「あの………初春様、コレ、ルール的にはどうなるんでしょう?」

 

「さぁ?とりあえず天龍はあそこでオモシロオブジェみたいに転がっとるしのぉ……まぁ、あの金の小さいのが女王殿に勝てれば良し、負ければ敗退で良いのではないか?」

 

「そうですね!それでいきましょう!」

 

突如として始まった女王陛下VSリトル淑女ッ!!まさかの激突に、観客席からは凄まじい歓声が湧く!女王陛下の戦いが見られるッ!まさしく降って湧いたようなサプライズッ!!

 

「クッ……!ドイツもコイツも人の気も知らずニ…っ!」

 

対天龍用に考えていたプランは使えない、ジャーヴィスはとりあえず混乱する頭でなんとか冷静に考えた…

我が女王であるWarspiteに下手な小細工はきっと通用しない、やるならば正面からしかない…っ!手数、そしてスピードなら自分の方が上回っている、それに、このジャーヴィスには誰にも負けない“lucky”がある…っ!!

 

「行くワ…っ!!」

 

ジャーヴィスはリングを蹴り、女王に向かって飛びかかる!!たとえ女王であろうがジャーヴィス必殺のロイヤルタックルを受ければ無事では済まな…

 

ガンッッッ!!!(王笏attack)

 

「………なんの“王”になるですって?Jervis」ギロッ

 

女王陛下の王笏でワンパンKOされ、リングに転がって白目を剥いてドクドクするジャーヴィスは二、三度痙攣した後に動かなくなった…

 

 

ブロックA二回戦

天龍● ‐ Jervis●(王笏attack)

Warspite襲来により勝者無し




次回はブロックB

鈴谷VS………


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ブロックB【二回戦】

ブロックB二回戦、戦慄!ノーリスペクトの恐怖!

鈴谷VSノーリスペクト サバイバルマッチ

であります


一回戦にて多くの死者と重傷者を出し文字通りの死のブロックとなったブロックB!

もはや戦える者は鈴谷しかいなくなったこのブロックには大会ルールにより3人の超A級リザーバーが送り込まれるコトになったッ!!

 

全員、未だ正体が謎に包まれる3人のリザーバー……その名も、ノーリスペクト!

 

そして、唯一実力で勝ち上がった鈴谷と、ノーリスペクト3人は不気味な笑いを浮かべながらリングの上へと集まっていた…

 

「はい、それでは!4人集まったところでそれぞれの対戦相手を決めたいと…」

 

『そんな必要はねぇーぜぇーッ!』

 

青葉の実況を遮り、ノーリスペクト1号は対戦相手を決める為に用意された荒縄をリングから蹴り飛ばし、ノーリスペクト2号はバク転しながらコーナー最上段へと飛び上がったッ!

 

『そんなまどろっこしいコトは必要ねぇーッ!今、この場で全員が殺り合って決めちまえばいいってコトだーッ!』

 

『ジョワジョワ!生き残った者が強い!強い者が生き残る!ここはそーゆールールのハズだぜぇーッ!』

 

ノーリスペクト1号と2号は不気味な笑い声をあげながら一回戦を唯一実力で勝ち上がってきた鈴谷を挑発するように指差した

 

「え……えー……?これはルール的にどうなんでしょうか初春様、アリなんですか?」

 

「ん?まぁ良いじゃろ」

 

「はい!初春様のOKが出たんでOKにします!ブロックB二回戦はまさかのサバイバルマッチ!4人の中で生き残るは誰だァァァ!!それでは初春様!ゴングを!」

 

「うむ、死ぬまでやれい」

 

ブロックB二回戦サバイバルマッチッッッ!!

鈴谷VSノーリスペクト1号VSノーリスペクト2号VSノーリスペクト3号の戦いの鐘が鳴ったッ!

 

「クッ…!こーなりゃ全員ギタギタにしてやるじゃん!誰もが羨むメインヒロイン様を舐めんなよ下等どもがーッ!」

 

鈴谷はとりあえず一番近くに居たソフト帽にトレンチコートのマフィアルックな大柄1号に仕掛ける!

 

「死ねッ!」

 

先手必勝ッ!鈴谷のフィッシャーマンズスープレックスが炸裂し、ノーリスペクト1号はリングに叩きつけられ………その身体がバラバラに砕け、中身が飛び出してきた!!

 

メリッ!メリメリ…!バリィィ!!

 

「な、なにィ!?」

 

「ウェッヘッヘ……世の中にはオーバーマスクとゆーのがありますがぁ~~…ポーラはオーバーボディを着ていたのですよぉ~」

 

ノーリスペクト1号!その正体はイタリアからの刺客メチルモンスター!ポーラ!

 

そして…ッ!!

 

ノーリスペクト2号も着ていたトレンチコートを勢い良く脱ぎ捨てその正体を現す!!

 

「テートクが秘蔵していると噂されているお高価な焼酎、これほどの勝利の美酒はそうはあるまいーッ!」

 

ノーリスペクト2号!戦慄の3スロットミズギダイバーエース、伊14!!

 

「優勝するのはイヨたちノーリスペクト改めノーアルコールズよーッ!」

 

「クッ…!こ、コイツら!」

 

14とポーラ、どちらかが優勝すればいいと手を組んだ2人は、アル中とは思えない抜群のコンビネーションでまずは鈴谷を仕留めにかかるッ!

 

「トアーッ!!」

 

「スリャーッ!!」

 

「クッ!!コイツら~…ぁ!2対1なんて恥ずかしいと思わないのかーッ!!?」

 

「ウヒャヒャヒャ!!バーカーめぇー!!イヨ達は勝てばいいのよ!勝てば!」

 

「勝ってカブトのなんとやら…?そう!なんとやらですよぉ~!」

 

‐‐‐

 

「2人がかりで鈴谷さんを攻めるメチルモンスターズ!まさに残虐!まさに残忍!まさに残酷ーッ!オマエ達はルール無用の悪魔艦娘とでも言うのかーッ!初春様!このまま鈴谷さんは負けてしまうのでしょうか!?」

 

「どーじゃろなぁ~…子日、茶を淹れてくれぬか?」

 

未だリングの隅で座ったまま動かない正体不明のノーリスペクト3号をよそに、2人がかりで鈴谷を攻める14・ポーラ組だったが、コンビネーションの一瞬の隙を突かれ、鈴谷に捕まった14はデスバレーボムを喰らった

 

「い゛よ゛っ!?」

 

「よっしぇあーッ!」

 

「イヨティン…っ!くっ……よ、よくもイヨティンを~!」

 

「フンッ!よく考えりゃたかがアル中ごとき!何人集まろーがメインヒロイン様の敵じゃないじゃん!」

 

ポーラからのテイクダウンを取り、流れるような動きでスコーピオンデスロックを仕掛けポーラはうっぎゃあー!と叫びながらリングをバシバシ叩いた

 

「うっぎゃあー!痛い痛い痛いですぅ~!!たす……タスケテー!タスケテー!ザラ姉さまーっ!ザラ姉さまーっ!」

 

「ハッ!助けなんて来ないじゃん!うりゃー!!」

 

「ギャアアアアアアアア!!!ザラ姉さまー…ッ!」

 

ミシッ!メリッ…!メリッ…!!

 

「こ…このヤロー!ポーラさんを放せコラァーっ!」

 

失禁KO寸前まで追い詰められていたポーラを救うべく、デスバレーボムから回復した14は隠し持っていたビール瓶で鈴谷を殴打した…っ!

 

「アイタッ!?って!痛い!って痛いじゃねぇかコラァ!!」

 

スコーピオンデスロックを解除し、14に逆水平チョップを浴びせた鈴谷はさらに14を再び捕まえてパワーボムでリングに叩きつける!!

 

「い゛よ゛っー!!」

 

2対1と言う不利をモノともしない!自称最強戦艦を討ち取った実力派、自称メインヒロイン!

観客席からは強い・エロい・可愛いと鈴谷へのアツい声援が徐々に大きくなっている!

 

「くっ…!まさかここまでやるとはぁ~…」

 

「ポーラさん、もうアレしかないよ!」

 

「アレ……?え?あぁ、アレですねぇ!アレ!ポーラもそう思ってましたぁ~」

 

ノーリスペクト1号・2号ことポーラと14はニヤリと笑い、それぞれ酒瓶を取り出した…

 

「フッ、なんのつもりじゃん?まさか酒飲んでパワーアップするとかそんな感じ?」

 

 

「違いますよぉ…」ニマァ…

 

「この手だけは使いたくなったケドね……へへっ、鈴谷サンが悪いんだからね!イヨ達を……いや!“恐怖の将”を本気にさせてしまったコトをーッ!」

 

「きょ…?“恐怖の将”!!」

 

ポーラと14は酒瓶を蓋を開け、それを飲………まないッ!!むしろ、その中をなみなみと満たしている液体をリングの隅にうずくまり、座ったままのノーリスペクト3号にブチ撒けたッ!!

 

「なんとーッ!!まさか命よりもアルコールを優先するアルコールモンスターの2人が命の源とも言えるアルコールをブチ撒けたーッ!初春様!これは一体どーゆーコトでしょう?それに“恐怖の将”とは…?」

 

「ふむ、たぶんアレのコトじゃろ?」

 

ノーリスペクト3号の頭からスッポリ包んだ外套にアルコールが染み込むと、今まで何の動きもみせなかったノーリスペクト3号がまるでもがくように動き始めたッ!!

 

「さぁ!よみがえれー!“恐怖の将”よぉー!」

 

「よみがえるのですぅ~!」

 

“恐怖の将”はゆらりと立ち上がり着ていた外套を乱暴に掴んで力任せに引きちぎった!

 

ビリッ!!ビリビリビリビリィーッ!!

 

「ゲ、ゲェーッ!!お、オマエはーッ!!」

 

かつて相棒である美尻姫こと飛鷹をマジギレさせて以来、長い禁酒生活を送っていたアルハラ界最凶最悪と名高いメチルモンスター……否、その、酒癖の悪さからメチルジェネラルと呼ばれた存在!!

 

「ヒャッハァー!水だァァァ!」

 

アルハラ界最後の刺客“恐怖の将”隼鷹ッッッ!!

 

‐‐‐

 

「なんとノーリスペクト3号の正体は隼鷹さん!隼鷹さんです!これはどーゆーコトでしょう初春様!」

 

「そういや最近禁酒しておったのぉ、あやつ」

 

命の水を浴び、甦ったメチルジェネラル隼鷹は仲間であるポーラと14に“ヘヘッ…アレをやるかい?”と伝え、それぞれが構えをとった…ッ!

 

「あ…あの構えはーッ!!」

 

「三位一体の構え、あやつら……まさかアレをやる気かッッッ!!」

 

「知っているのですか?初春様っ!」

 

「うむ…」

 

3人のアル中により使う事ができる禁断の技、メチル・エクス・ゲ●メーション…

極限まで体内のアルコール濃度を高め、三位一体の構えから放たれるこのゲ●は浴びた者に一生消えぬトラウマを与えると言われ、あまりにも卑劣すぎるとされし禁忌の技……

 

かつて提督がこの技を使用した際、その、あまりの卑劣かつ残虐な惨状をたまたま目の当たりにしてしまった暁ちゃんが一週間口を聞いてくれなかったと言う…

 

「バ……バカな、ゲ●とか浴びたら今まで積み重ねてきたメインヒロインとしての鈴谷のPRIDEがズタズタになるのは必至…ッ!」

 

自称メインヒロイン鈴谷はかつてない恐怖に戦慄した……もし、仮にここで鈴谷がゲ●まみれになろうものなら今まで守ってきたメインヒロインの地位は剥奪され、背景モブにすら劣るテキストのみの女子Aへと墜ちる…っ!

誰もが羨むメインヒロイン様(自称)である鈴谷にはもはやそれは死を意味するだろう…

 

「クッ…!」

 

鈴谷必殺のビッチベン・エッジでは1人が限界、1人を狙えば他の2人が撃ってくる、3人同時に倒さなければ確実にゲ●を浴びる追い詰められた状況ッ!

 

防御も回避も不能なこの絶望的状況に、鈴谷は考えた結論、それは………

 

「走ったァァァァァァァ!鈴谷さん!敵に後ろを見せて全力で走ったァァァァ!!逃げる!まさかの逃走!メチル・エクス・ゲ●メーションから逃げ出したーッ!」

 

逃げる…ッ!!とにかく逃げる!

 

「な、ナニぃ!!」

 

「うぇぇ…逃げるとかマジですかぁ〜」

 

「ゔっ……!!ヤバ、スマン……ヤベ、アルコール濃度が…!くっ!もぉ…抑えきれな…」

 

メチル・エクス・ゲ●メーションの発動の為に体内のアルコール濃度を高めていた事が仇になったか、恐怖の将こと隼鷹は高めていたアルコール濃度を抑え切れずに暴発した

 

「うぇっ…うええぇぇ……オボォォォォォォ…」ビチャビチャ…

 

「うえっ…!ジュンヨーさん汚いですぅ…って、ヴッ!ポーラももらいゲ●……ヴエエェェェェ…」ビチャビチャ…

 

「ゔっ……クサっ!ウゲエェェェェ!!」ビチャビチャ…

 

限界を超えたアルハラ界の刺客達の今日を捨てた汚いマックシングがリングにブチ撒けられるッッッ!その、あまりに汚い光景は観客席は静まりかえるほどだった…

 

そして、限界を超えた彼女達はそのまま前のめりに倒れこみ、動かなくなった…

 

「…」死ーン

 

「…」死ーン

 

「…」死ーン

 

 

「………け、決着ゥゥゥゥゥ!!ブロックBサバイバルマッチ!ノーリスペクト3人衆VS鈴谷さんの戦いはッ!限界を超えたノーリスペクトまさかの自滅と言う結果に終わりましたッッッ!誰が、誰がこんな結末を予想できたでしょうか!どうですか初春様!」

 

「…妾もちょっと気分悪くなったわい、はようアレ片付けよ」




次回はブロックC
礼号組頂上決戦、死ぬのはオマエだ!


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提督とXの献身

お久しぶりは通常回、なかなか時間とれなくて滞り気味のだらしない提督ですまない…

【登場人物】

提督(だらしない提督)
だらしない提督ですまない…

五月雨(寒色系駆逐艦)
だいたい秘書艦、淹れるコーヒーは不味い


季節はいつの間にやら師匠が忙しく走り回る師走!あったか~いから急につめた~いに激変する気温差に戸惑いとお尻の痛みを感じずにはいられない昨今…

12月と言うワケで、当基地もなんやかんやで年末に向けて慌ただしさを増してくるのだが、そんな中、提督には12月前半特有の仕事がある…

 

「はいこれ、いつものリストです」

 

「あ?リスト…?」

 

とりあえず執務机に置かれたA4用紙に、いったいなんのリストだよてめ――っ!と激読した俺は胸ポッケにタバコが入っているかを確認して溜め息を吐いた

 

「あぁ…クズどものプレゼントか、フーッ〜…もうそんな時期か…」

 

「今回も色々書いてますよ、ベ●ブレードとか」

 

当基地では福利厚生の一環として、クリスマスに駆逐艦や海防艦のクソガキには上限1万円(税抜き)までの欲しいものを1点与え、駆逐艦以上のゴミクズどもには酒や料理を大胆に振る舞うイキでイナセなクリスマスを用意している…

モチロン、福利厚生費で落とすが

 

「暁ちゃんの希望はなんだ?可愛いぬいぐるみか?」

 

「暁さんですか?え〜………あ、ぬいぐるみですね、え?なんでわかったんですか?キモっ」

 

「キモくない、提督だ」

 

誰がキモいだこの青髪ロング子は…本来ならばこの基地の絶対支配者である俺に対する暴言は万死に値し、一族郎等10歳以上の男子は皆処刑とするところだが………そんな秘書艦を、それでも許そう!

 

「ちなみに、可愛いかどうかは微妙なぬいぐるみですけど…」

 

「バカ言ってんじゃないよこの子は、暁ちゃんのコトだ、きっと大きなクマのぬいぐるみとかそんな感じだろう?いいさ!買ってやるさ!五段のヤツをな!」

 

「いえ、駆逐イ級のぬいぐるみです」

 

「イ級かよッッッ!!」

 

俺は両手で執務机をダァン!し可愛いかどうかは微妙どころが絶対キモいだろ!と吐き捨て、冷静に考えるとそんなキモいぬいぐるみ売ってるワケねーだろと我が秘書艦に問いかけた

 

「いえ、それがあるんですよ、ほら、二次元コ●パで定価4200円(税抜き)」

 

「あるのかよッッッ!!」

 

五月雨はタブレット端末で検索した画像を俺に見せるが………マジであるよ、なんだよ…意味わかんねぇよ、そしてよく見ると……なかなか可愛いじゃないの?

 

「じゃ、これは購入で…」

 

「2つな」

 

「…はぁ?」

 

しかし参ったな、俺、暁ちゃんはクマのぬいぐるみだろうと思ってイギリスの老舗玩具店でデカいやつ買っちゃったよ、まぁいいや…邪魔だし誰か欲しいヤツにでもやるか

 

「ちなみに卿の希望は何かね?」

 

「私ですか?」

 

「領地か?それとも階級か?ハハ…いや、卿のコトだ、おそらくは質素でつまらない物だろうな、ハハハ」

 

「そういや私はまだ書いてませんでしたね……そうですね、そう言われると質素でつまらない物にはしたくないですね」

 

「ハッハッハ、こやつめ!ハッハッハ!こやつめ!」

 

こやつめ!言いおるわい!まったく、これからの時期は見るだけで寒気を誘う寒色系駆逐艦なだけはある、五月雨はギフトカタログ的なものをパラパラと巡りつつコーヒーでも淹れましょうか?と尋ねてきたので冷蔵庫の缶コーヒーくれやと懇切丁寧に答えると軽く舌打ちして冷蔵庫に入っていたコーラを低速高回転で投げて寄越した

 

「ま、ナニが欲しいか決まったら記入しておきたまえ」

 

「そうします」

 



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ブロックC【二回戦】

ダラっと更新中、ダラっと

ブロックC二回戦ですって!


狂気と汚物のサバイバルマッチの清掃が終了し、続くのはブロックC二回戦!

 

最初の対戦は決して散る事のない鉄の結束力を持つ礼号組、その……礼号組を率いる二つのアタマが激突する…ッ!

 

その拳は戦車をも破壊する!神の拳を持つ聖なる餓狼!重巡足柄ッ!VS知性溢れる絶対的知性の申し子!軽巡大淀ッ!

 

「フッ…まさか大淀とはね、相手にとって不足はないわ」

 

「いいだろう…溢れる知性で返り討ちにしてやろう…」

 

リング上で激しいメンチビームをバチバチし合う両者に観客席からも大興奮の声援が飛ぶ…

 

「はい甲提督以外は下界の民、実況の青葉です、前試合の汚物清掃が終わってブロックCですが~…どうですか初春様、この対戦は?」

 

「マトモな殴り合いなら足柄じゃろ」

 

「なるほど、ではマトモでないなら大淀さん寄りかと?」

 

「なんとも言い難いのぉ」

 

礼号組頂上決戦のゴングが鳴り、足柄と大淀は互いに先手必勝ぶちかましから手四つで組み合ったッッ!

 

「カンムス強度50万パワーと言ったところか…カスめッ!」

 

「誰がカスよ、っーか大淀ォ~……オマエが一度でもこの私とケンカして勝ったコトがあるかぁ~?」

 

足柄は強引に組み合いを外し、強烈な前蹴りを大淀のボディに叩きつけ、大淀はウボォ!と呻きつつ後退した

 

「足柄ァ……!」

 

「来いよ!大淀ォ!眼鏡なんか捨ててかかってこい!」

 

「舐めてんじゃねぇぞォ!足柄ァ!!」ピキッ!パキッ!

 

大淀は眼鏡をワイルドに外してリングに捨て、グルグルと回りながら強烈な回転蹴りを足柄に浴びせ、足柄のガードが緩んだところで強烈なボディを連打で打つ!!

 

「オラァ!!足柄ァ!オラァ!!フザケんじゃねぇぞオラァ!」

 

「ガハァ!!」

 

「礼号組の礼はよォ………“無礼”の“礼”だろがよォ~…テメェこそナニおままごとみてーなキレーな“ケンカ”してんだコラァ?礼号組の“ケンカ”ってのはァ……」

 

大淀は足柄の髪を掴み、顔面をリングに叩きつけ、さらに上段からのフライングニードロップで足柄の背中から痛めつける!!

 

「ゴハァ!!」

 

「“礼”に始まり!“霊”に終わる…ッ!相手が死ぬまでヤんのが礼号組だろーがァ!!」

 

大淀はリングに倒れ込んだ足柄の両足を掴み、ジャイアントスイングで豪快にグルングルン回してリングに叩きつけ、リングロープを利用して足柄をリング中央で磔にしたッ!

 

「ゲ、ゲェーッ!あの技はーッ!一回戦にて誇り高きロイヤル空母を惨殺した必殺技(フェイバリット)!艦娘牛裂き刑!礼ジング・オックスだーッ!」

 

「ほぉ、意外とやりおるのぉ」

 

「大淀さんの礼ジング・オックスで一撃!また一撃と足柄さんの心臓に大ダメージを与えています!これはさすがに勝負アリでしょうか!」

 

礼ジング・オックスを受けてリング上に転がり血反吐をブチ撒けて痙攣する足柄の姿に、勝利を確信した大淀は先程投げ捨てたメガネを拾い上げて再び装着した

 

「…ガッカリだぜ足柄ァ、昔のオマエはそんなヤワじゃなかった、いつも近くに居て思わずブルっちまう程に……昔のオマエはまさに“飢えた狼”そのものだった、それがいつの間にかこんなフヌケに……ッ!」

 

大淀にとっての足柄、それは、相棒であると同時に最も憧れた存在ッ!強靭(つよ)く!屈強(タフ)で!それでいて人を惹きつける魅力(カリスマ)を持つ最も近いマジダチ……

 

それが今の足柄はどうだッ!?口を開けば医者と合コンしてェ~…だの、休日には子供達(礼号キッズ)を連れてデパートでお買い物ッ!まるでマイホームパパのように日和ってしまったッ!狼の誇りを失ったのだッ!

狼は生きろ!ブタは死ね!………今の足柄はもはやブタにすぎないッ!ならばマジダチとして、大淀はこの手で家畜に成り下がった友を屠畜しようと……

 

「なぁ…足柄よォ~…」

 

かつてまだ大淀が幼き時代、知性溢れるJSとしてクラスの番長、略してクラ番として君臨していた大淀は初めて敗北を味わった……彗星の如く現れ、それまで無敵の存在だった大淀を倒し、新たなクラ番となったJSこそ若き日の足柄だった

 

それから二人は何度も激突した、クラ番として、学番として、総番として、何度となく拳を交えた二人には不思議と友情が芽生えていた、そして遂には二人は町内最強から県内最強へ、礼号連合は今や県内のJSからJKまで誰もが憧れる最高のチームとなった…

 

『もう県内に敵はいねぇ、足柄ァ…次はモチロン全国編だよなァ!ギャハハハハ!」

 

『全国……そう、全国ね』

 

『んだよ足柄ァ!ノリ悪りぃな、あ?もしかしてアレか?SM●PのCDレンタルなかったんか?』

 

『違げーし、っーかオマエ、私の貸したNE●GE●はよ返せよボケ』

 

『もーちょい貸しとけよ、すぐオメーよか上手くなっから、っーかもう上手いけど!』

 

『は?殺すぞ?』

 

『ハイハイ殺してみろよ、逆に残影ハメして殺してやんよ』

 

『はいキレた、よし!今からゲーセン行くか!ゲーセン!』

 

夜の河川敷をバカ話をしながら後にする足柄と大淀…

この日、たった二人により県内最大規模3000人を誇るチーム呪璃亞奈(じゅりあな)は壊滅した…

 

「…立てよ足柄ァ!!オメーはそんなモンじゃねーだろーがッ!」

 

そんな大淀の声に応えるかのように、礼ジング・オックスを受け、既に半死半生の筈の足柄がゆらりと立ち上がった

 

「……ヘッ、へへへ……効いたぜ」

 

「足柄ァ!!」

 

「っーか久々にキレたわ、大淀ォ……半殺しぐれーにしてやろうと思ってたけど、やっぱオマエ殺すわ、全殺し確定だわ」

 

「面白れぇ…!やってみろよ!足が……ブバァ!!」

 

足柄の鉄拳が大淀の顔面にメリ込み、大淀は勢い良くリングに叩きつけられて2〜3度バウンドして転がり、足柄はそんな転がった大淀の腹を容赦なく何度も踏みつけた

 

ドスッ!!ドスドスドス!ゴスッ!ゴッ!!バギッ!!バギィィ!!(地獄スタンプ)

 

「あ……が…あ?…あ?」

 

「え?なんですって?」

 

ドスッ!!ドスドスドス!ゴスッ!ゴッ!!バギッ!!バギィィ!!(地獄スタンプ)

 

「……ぁ……ぁ」ひゅー…ひゅー…

 

「え?なんですって?」

 

足柄は大淀を掴み上げ、ノックしてもしもーし?と言いながら往復ビンタを繰り返した

 

「さ……さすがにこれは勝負アリでは?ね、ねぇ?初春様」

 

「そうじゃのぉ、はよう止めんと死ぬじゃろ、アレ」

 

「そうですね!勝負アリ!勝負アリです足柄さん!勝負アリですゥゥゥ!!」

 

この後、まったく止まる気配をみせない足柄に対し、観客席の中に待機していた腕っこきのハンターによる麻酔銃での狙撃+網を投げる作戦により足柄はようやく止まり、リングから下ろされた…

 

◆◆◆

 

二回戦ブロックC第二試合、一回戦を危なげなく圧勝!スーパースター剣埼こと軽空母祥鳳VS未だその力の全貌は明らかにならない不気味さだけが目立つ見た目は仙人みたいな空母、雲龍の空母対決!

 

「………の、ハズですが!試合開始時刻になっても両者共リングに現れません!これはいったいどーゆーコトでしょう初春様!」

 

「妾に聞かれてものぉ、う……厠にでも行っておるんじゃろ」

 

「あ、今う●こって言いかけましたね!初春様!今う●こから厠に軌道修正しましたね!」

 

「………まぁ、妾はそこまで気にせんのじゃが、さっき妹達に注意を受けてのぉ」

 

未だ姿を現さない両者にざわつきが広がる会場、そんな中、実況席の青葉の所に一通の手紙を持って初霜が走ってきた

 

「こ、これは…!」

 

「なんじゃ?」

 

初霜に駄賃の金平糖を与えつつ初春は手紙の内容を青葉に問い、青葉はマイクを握りしめて息を大きく吸い込んだ

 

「えー…会場の皆様、大変残念なお知らせです、ブロックC二回戦に出場する筈だった祥鳳さんはこの試合を棄権するそうです」

 

ざわ…ざわ…っ!

 

「祥鳳さんはアポロエクササイザーの使い過ぎにより腕を痛めてしまったらしく、これからすぐに渡米してアメリカにて最先端の治療を受けるそうです」

 

スーパースター祥鳳、まさかの棄権…ッ!!会場は大きくざわめきに包まれ、第四駆逐隊こと剣埼ガールズはイヤー!SYO!死なないでー!やSYOは大丈夫なのー!と悲痛な声をあげる!

 

「えー…ですが皆様ご安心ください、祥鳳さんから皆様へのメッセージもあります、えー…」

 

一回きりの艦生、長い短いは問題じゃねぇ……本物の軽空母ってのは自分のそういう一度っきりの大切な一日を………たった一度今日という日を感じ取れるヤツのコトをいうんだ…

 

スーパースター剣埼からのアツいメッセージに、観客席からもアツい涙が、そして第四駆逐隊こと剣埼ガールズ達もそんなSYOへのアツい想いが確かに感じたらしく、リングへと飛び出しレッツゴーレッツゴーSYOUHOUとアツいパフォーマンスを始め、観客席からはアツい感動の拍手に包まれた…

 

さらば軽空母祥鳳、さらばスーパースター……

 

「はい、感動のライブパフォーマンスに包まれる会場からでした!青葉もアツい涙が止まりません!それでは皆さん、また来週…」

 

「待てい」

 

「もぉー…なんですか初春様ぁ」

 

「祥鳳は良いとしてじゃ、もう一人がまだ来ておらぬ」

 

「………あ、忘れてました、青葉うっかりです」

 

「何がうっかりじゃ」

 

対戦相手棄権、不戦勝確実ぅ!になったとは言え、未だに姿を見せない雲龍…

やはりう●こじゃろうか…と初春様が言いかけたその時…ッ!再び手紙を持った初霜が実況席へと走ってきた

 

「え~………あ~はいはい、雲龍さんからですね」

 

「して?なんと?」

 

「お腹空いたからもうやめるそーです」

 

「なんという自由…っ!まるで雲の如き自由か!」

 

まさかの連続棄権ッ!両対戦相手が同時に棄権する緊急事態ッ!!

 

「え~…あと、とりあえず、妹に手品させるからそれでも見て、だそーです」

 

「手品?」

 

手品とはなんぞや?と青葉と初春が頭をひねっていると、二つの人影がリングへと走ってきた

 

「ハーイ!雲龍姉妹の次女天城とー」

 

「葛城でーす、今から皆さんに楽しい手品ショーのはじまりはじまり~!」

 

リングへ上がった天城と葛城の二人は軽快なダンスを踊りつつ手品!手品!楽しい手品!楽しい手品と妙に高いテンションで叫びながらクルクル回ってハーイ!と止まると天城のパイの谷間から鳩が飛び出した

 

「あ、鳩ですよ、初春様、鳩でましたよ」

 

「え…?あ、うん、そうじゃな」

 

「あれ?初春様、手品とか嫌いですか?」

 

「いや、別に嫌いではないが……うむ、正直、ちょっと引いたのぉ」

 

この後、天城と葛城の楽しい手品ショーは約15分ほど続き、意外と観客席のウケは良かったらしく、天城に関しては、姉ちゃーんぺぇずりいくらだー?だの汚いヤジにも笑顔で手を振り、退場する時はちょっと泣いていた…





次回はブロックD二回戦、アナタもう死んでますよ


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ブロックD【二回戦】

ダラっと更新中で二回戦最終戦、ブロックD

香取VS明石
熊野VS早霜

…だと思いますって


最大トーナメント二回戦ブロックD!一回戦、開始0秒の0ターンキル、圧倒的実力差で秋津洲を下した香取先生と最強の艤装、大戦艦級の艤装を粉々に粉砕し清霜を破った早霜が居る“真・死のブロック”…!!

 

二回戦最初の激突は死のティーチャー、ミス・Kこと香取先生VS最近好きな番組は知られざるガ●バー、小売店経営工作艦、明石ッ!!

 

「はい、いよいよ二回戦も残すはあと二試合、まずは香取先生と明石さんの試合ですが……どうでしょう?会場の予想でも賭けが成立しない状態です」

 

「そりゃ、のぉ…」

 

「かたや一回戦は圧倒的瞬殺、かたや相手の自爆ですからねぇ~…むしろ会場の注目は明石さんが何秒立っていられるかの予想に盛り上がっております、ちなみに青葉は0秒です」

 

「…もうちょい期待してよかろうに」

 

衝撃の0キルを再び期待する会場内の熱気をよそに、リング中央で試合開始のゴングを待つ明石の頭はクールだった、これはもうたった一つの冴えたクールくらいクールだった…

 

「フッ、前の試合は夕張が自爆したから見せられなかったけど…」

 

この試合、秋津洲と並び最弱候補のレッテルを貼られている工作艦明石には秘策があった…

 

そう………熱帯魚が好きな古鷹さんに売りつけようと店に入荷したドラゴンフィッシュに餌をやろうと水槽に餌を近づけたあの時、ヒントを得たのだ…ッ!バールより重い物は持ちたくない貧弱な自分にたぶんできる必殺のスーパーブロー…っ!!

いつかあのクサレメガネの眼鏡叩き割って顔面をメチャメチャに破壊してやると心に決めたあのパンチを放つ時は今…ッ!クサレメガネこと提督にブチ込む前に別の人の眼鏡をブチ割る事になるとは何の因果か…

 

「フフフ…」

 

「フッ、先生ェ…その余裕はいつまでも保ちませんよ」

 

「余裕…?フフフ」

 

香取先生は先程の試合前同様に、ただエレガントに微笑みを浮かべており、明石は自分が舐められていると確信し、そのキレーな顔フッ飛ばしてやるぜ!と心に決め、遂に試合開始のゴングが鳴っ…ッッ!!

 

「ぐわああああああああああああああー!!」

 

…たッッッ!!!

 

ゴングと同時に、全身から大量出血のスプラッシュを撒き散らしながら明石は死んだ…

 

「…だって、アナタもう死んでますよ?」

 

一回戦同様の圧倒的瞬殺ッッ!!開始0秒の0ターンキル再びッ!!

 

「瞬・殺ーーーッッ!!ブロックD二回戦、再び劇的な瞬殺劇だァァァァァ!つ、強い…ッ!強すぎる!教師・香取!あまりにも強すぎるーッ!!」

 

「…うむ」

 

「これはどうでしょう初春様!優勝候補No.1は金剛さんと思われましたが、これは香取先生もかなり可能性があります!香取先生はここまで二試合の時間を合わせて1秒もかかっていません!この強さはホンモノです!ってか、むしろ異常です!あの人ホント何なのでしょう!?」

 

再びの瞬殺劇にざわめく場内…

香取先生は勝者としてリングを降り………ない!リングサイドに待機させていた妹の鹿島先生からマイクを受け取り…

 

「えー…テステス、はい、マイクは大丈夫ですね、えー……会場にお集まりの皆さん、私からの提案なのですが、他のブロックは既に代表が決まっているようですし、ここでもうベスト4を決めてしまうと言うのは如何でしょうか?」

 

ざわ……ざわ…っ

 

香取先生からの提案…ッ!今、この場でベスト4を決めるッ!

青葉はその意味を問うべく香取先生に質問する!

 

『あ、あのぉ~…香取先生、ですが次の試合は早霜ちゃんと熊野さんでして…』

 

「えぇ、ですから熊野さんと早霜ちゃん、二人とも今、この場で二人とも消えて頂こうかと…」

 

『な、なんとぉーッ!!香取先生!まさか残っている二人をまとめて始末してやるとの超強気発言ッ!!なんと言う自信!なんと言う自信の現れだァァァ!!』

 

香取先生は“まぁ、二人だけでなく、今現在残っている五名、まとめてでもいいんですけど?”とエレガントに微笑みつつ小粋なカトリジョークを呟いていたが……リングサイドに立つ妹の鹿島にはそれがジョークなどではないと理解していた…

おそらく、この姉ならばどんなクズどもでも10秒で皆●しにしてのけるだろうと…

 

しかし…ッ!その、香取先生の超強気発言はここまで残る闘士達のPRIDEに火を点けたッ!!

 

「まったく………初めてですわ、この私をここまでコケにしてくれたおバカさんは」

 

消えて頂く発言にPRIDEを刺激された熊野は観客席から立ち上がりリングへと飛び降りる…!

 

「許さん……!絶対に許さんぞォ!!じわじわとなぶり殺しにしてやりますわー!」

 

「フフフ…なぶり殺しですか?なるほど…」

 

そんな熊野のエレガンテではない言葉遣いを気にした様子もなく香取先生はエレガントに微笑みを浮かべ、熊野がキェーッ!と奇声をあげながら飛びかか…

 

「アナタもう死んでますよ」

 

「ウッギャアアアアアアー!!!」

 

血のシャワーを撒き散らし、熊野はリングに転がった…

 

「瞬殺ッッッッッッ!!イキって飛び出した熊野さん!やっぱり瞬殺されました!もはや誰もこの怪物を止められない…ッ!」

 

「怪物は言いすぎじゃろ…」

 

「そうですね、怪物は言いすぎました!青葉反省します、先生、お願いだから青葉を殺さないでください、ホントお願いします」

 

青葉は実況席の机に勢い良く額をぶつけ命乞いした

 

「さて………では次、フフフ、そう、アナタですよ、アナタ」

 

「…調子に乗るなよ」ボソボソ…

 

熊野と同じく、観客席から試合を見ていた早霜はゆらっと立ち上がり、ゆらっとリングに飛んで降り立ち、香取先生とリング上で睨み合い…

 

「なるほど……ふむ、なるほど…えぇ、これは……油断なりませんね」

 

「…」

 

リング上には今までにない異様なオーラを漂わせる両者、スピード制限の無い0ターンキル!教師・香取 VS 対妖怪のスペシャリストと噂される夕雲姉妹の根暗っ子、早霜

 

その激突が…ッッッ!!

 

「チィ!!なるほど…」

 

「…やる」ボソボソ…

 

リング上で睨み合っていた両者が、一瞬の内にリング中央から別れて互いに流血しつつ片膝をついた!!

 

「こ…これはいったい何事だァァァァァァァ!!今の一瞬でいったい何が起こったのか!?解説の初春様!お願いします!」

 

「…たぶん、おそろしく速い手刀じゃろ、妾でなければ見逃しておったな」

 

「なんと言うコトだァァァァァ!!今の一瞬でおそろしく速い闘いが起きていたッ!!こ…これはもう青葉が実況できるレヴェルではありません!」

 

 

この後、リング上では人知を超えた戦い、基地まるごと超決戦!とびっきりの最強VS最強が始まり、リングと言う名の狭いフィールドでは足りなかったのか、空中へと飛び出し、至るところでドゴンドゴンとぶつかり合う音が響き、衝撃波で基地の窓ガラスが何枚も割れた…

 

苛烈さを増す戦いは両者が周囲に配慮したのか、いつの間にやら誰も居ない荒野へと戦いの場を移し、一進一退の攻防を繰り広げ、互いに限界を超えた限界を、当たり前のように壁をブチ破り今だ限界突破!の極限バトルとなった…

 

そして……

 

実況席の青葉はマイクを握り、会場のお客様達に懇切丁寧に事実を伝える

 

「えー………カウント20、両者リングアウトの為、この試合、両者敗北になりました」

 

「世知辛いのぉ…」

 

ブロックD 勝者無し





次回はたぶん通常回、轟く侵略再び!


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提督と禁断の豪速!Jervis

サラサラキンパツと赤い髪の女の通常運転回

【登場人物】

提督(拳系)
気に入らないヤツは誰でも殴るバイオレンス提督、権力に弱い

Jervis(サラサラキンパツ)
気に入らないトゲチビは誰でも殴るバイオレンスリトル淑女

Ark Royal
女騎士、騎士道大原則はだいたい覚えた


朝晩だけではなく日中の寒さも厳しくなってきた今日この頃、タバコでも吸って休憩するかと考えた俺は明石の店でアツい缶コーヒーと菓子パンでも買うかと廊下を歩いていた…

 

「あ!Darling!」

 

「あ?」

 

廊下の先50m、オシャレな帽子がトレンディーなキンパツの子供がおそるべきスタートダッシュを切り、こちらに向かって猛然とダッシュして来た!

その初速から加速、そして最高速への到達はおそらくは1秒にも満たないだろう……並みの将校程度ならその超速ダッシュからのタックルをまともに被弾しテイクダウンを奪われるだろうが、この俺は違う!その程度のスピードでは俺を捉えるコトは……

 

ドスンッッッッッ!!(ロイヤルタックル)

 

「オゴォ!!」

 

「あはははー!Darlingだー!Darlingナニやってるノー?ねー?ねー?ヒマならJervisとオシャベリしまショー!」

 

自●系(ロ●ア)の俺にダメージを…ッ!なるほど……大した覇気だ、暁ちゃんにも匹敵する武装色ッ!

 

俺はお腹に受けたロイヤルタックルのダメージに床を転げ回りたい衝動を抑え、苦悶を表情には出さないようににこやかにジャーヴィーくんを引っ剥がした

 

「ハハハ、元気があってなによりなのだよ」

 

「あはははー!Darlingヒマなんでしょ?ねー?」

 

「ハハハ、いや、残念だが提督はこう見えてなかなか忙しいものでね」

 

本来ならば、駆逐艦のクソガキが俺にタックルでもかまそうモノならアイアンクローで掴んでから画面端を右へ左へビッタンビッタン叩きつけて暗黒パワーの爆発を喰らわせてやるところだが、このジャーヴィーくんは“あの御方”が大層可愛がっておられる英国式リトル淑女、その身に何かしらあった場合“あの御方”の逆鱗に触れ、日英開戦の火蓋が切って落とされるかもしれない故に下手に扱えない政治的事情があるのだよ…

 

「ねー?あ、マミーヤ行きまショー!マミーヤ!アタシApplepie食べタ・イー!ねー?」

 

「あ?アプ…?あぁ、アレな、アレ、アッパーな」

 

俺の袖を掴んでグイグイ引っ張るグイグイくるタイプの子、ジャーヴィーくんは陽気に、そして無邪気にケラケラ笑っている、クッ………正直めんどくさいんだよな、俺はこーゆーグイグイくる気難しくて繊細な今風の子は苦手なのだよ

 

…そんなふうに考えていると、背後からジャーヴィーくんのものではない流暢な英語的なもので声をかけられたので振り向いてみたら、赤い髪の誇りと意識だけは高そうな女だてらに騎士みたいなのが手を振りながら歩いて来た…

 

「ハッハッハ、Admiral、ハッハッハ……ん?Jervisも居るのか?」

 

「よぉ、騎士サマ」

 

「ゲッ!Ark!」

 

ジャーヴィーくんはゲッ!と露骨に顔をしかめ、俺を盾にするように後ろに回った、たぶんジャーヴィーくんはこの騎士サマが苦手なんだろう…

 

「Jervis、我が女王陛下がお前を探していたぞ」

 

「ladyが…?」

 

「たしかdressをsizeがどうとか……まぁ、急ぐ話でもなさそうだったが」

 

「じゃアトでイイ、アトアト!今からアタシはDarlingとマミーヤでSweetie食べに行くんダカ・ラー!」

 

ジャーヴィーくん、提督はそんな約束してないのだよ

 

「…そうなのか?」

 

ロイヤル騎士ことロイヤル空母はそうなのか?と首をかしげて問いかけてきたので、俺はその千載一遇のチャンスを最大限に活かすべく冷静で的確な選択肢を選ぶ!

 

「いや、残念だが提督はこれから所用があってね、あぁ…そうだ!アーック・ロイヤルーンくん、なんならキミがジャーヴィーくんとマミーヤに行ってはどうかね?」

 

俺は財布からスタイリッシュに高額紙幣を抜き、騎士サマの騎士のワリにスベスベな白い手に握らせてやる!

ジャーヴィーくんをこの女騎士に押し付け、俺は大手を振って喫煙所へと行ける理想的展開…ッ!

 

「ふむ……残念だが私もそれほど暇でないのでな、それにAdmiral、あまりJervisを甘やかすのはやめて欲しいな」

 

「ハァ!?ちょ!Ark!DarlingがJervisをアマヤカ・シーてるッテ!?」

 

「女王陛下からも不要な甘やかしは控えて欲しいと言われていてな」

 

「いや、提督は別に甘やかしてるつもりは…」

 

………いや、陛下から見れば俺はこのガキに甘く見えているのか?そ…そうか、ならばそうなのだろう、自覚なかったな

 

そしてジャーヴィーくんも女王陛下の御名が出たとなればそれ以上の反抗は出来ないらしく、悔しげに頬を膨らませてアル中のポーラみたいにプルプルその身を震わせている…

 

「まぁ、そんなコトはどうでもいい、それよりAdmiral、少しだけ話をいいか?時間は取らせない」

 

「なんだよ?言っておくが金ならないぞ」

 

「そうなのか?」

 

コイツは小粋なテイトクジョークも通じんのか…

 

「金がない………ふむ、まぁそこは女王陛下に相談しよう、それでだ…」

 

「オイちょっと待て、今なんで陛下の名前が出た?ナニを陛下に相談するつもりだ?」

 

オイオイオイ、冗談じゃねーぞ!偉大なる陛下に俺が金欠に喘ぐ資金面に難あり男とか報告するつもりじゃねーだろうなオイ、冗談じゃねーぞコノヤロー

 

「いや、実は女王陛下からAdmiralと流行りの映画でも見て落ち着いた雰囲気の小粋なrestaurantで食事でもして来たらどうかと言われてな…」

 

「…はぁ?」

 

「女王陛下曰わく、国は違えどやはり共に戦う仲間として日頃より親睦を深めておくべきではないかと…」

 

ちなみに陛下はこうも仰られていたらしい……

“特に、ArkはAdmiralと親しい間柄みたいですし!特に!”と…

 

「そこでこのArk Royal、女王陛下に代わり、英国の代表としてAdmiralと立派に親睦を深めようと…」

 

陛下ァァァァァ!!!ナニ言ってんのあの方ァァァ!!押し付ける気だよ…ッ!このクッ殺女騎士を…ッ!!

 

「まぁ、金がないと言うなら仕方ないので、とりあえず資金については女王陛下に一応相談してNelsonにでも出して貰おう、なに、心配はいらない…アイツは貴族だ、金なら持っている!」

 

「ちょ!待て!あるよ!!映画見てメシ食う金ぐらいあるわい!」

 

「そうなのか?」

 

「そうなんだよ!!」

 

冗談じゃねぇぞクソが…英国サマに金なんか出させてみろ、どんだけロイヤルーンなコトになるかわからん…

 

「そうか、あぁ、あと、女王陛下から食事はこちらのリストから好きに選んでくれと…」

 

「………オイ、これ値段書いてないぞ」

 

「そうなのか?ふむ、印刷ミスか…」

 

そんなワケねーだろ!ないんだよッ!最初から値段なんて記載してないんだよ!そんなもの気にする客が来ていい店じゃねぇんだよ!

 

「私の好きなモノと問われてカツ・ドゥーン辺りで良いのではと言ったのだがな、何故か女王陛下から失意と諦観の眼差しを向けられたが…」

 

「だろうな…」

 

「あと、流行りものと言うコトで、私としてはこのガチムチでムキムキの男と肩口で袖捲りしてる青いムキムキ男が殴り合っているcinemaが良いのではと提案したのだが、何故か女王陛下は哀しそうなお顔をして両手を顔を覆われてな……」

 

「そりゃなるわい」

 

ちなみにその映画はアキラ・ト●ヤマの大ファンのリシュリューが見たいとか言ってたな…

 

そんなポンコツ女騎士に、俺も陛下ほどではないにしろ頭が痛いと感じ始めていたその時……ッ!!

 

「………ちょっと、黙っテ聞いテりゃ好きカッ・テー言いやがっテー…」

 

「ん?」

 

プルプルと身を震わせていたジャーヴィーくんがキッ!と顔をあげると、クッ殺女騎士のスネをおもいっきり蹴った

 

ビタンッ!!(ロイヤル・ローキック)

 

「ア痛ァァァァァ!!」

 

「cinemaだァ…?restaurantだァ…?」

 

「クッ…!Jervis…!!」

 

「そんな!まるで!!Dating CourseみたいナPlan!!Plan!!」

 

ジャーヴィーくんは怒り狂ったように地団駄を踏みクッ殺女騎士サマにビシッ!と指を向け…

 

「………そうなのか?」

 

そうなのか?とこっちに聞いてきた……嗚呼、やっぱダメだ、コイツ

 

「許せない!許せない!ユ・ル・セ・ナ・イィィィィ!!」

 

ジャーヴィーくんは私は許しませんよーッ!と吠え、荒ぶる力を持て余したのか、ファッークス!Ladyにヒトコト文句言ってヤル・ワー!!と叫びながら廊下を猛然とダッシュした!!

 

『廊下を走るな!』

 

『アフンッ!』

 

………なんか廊下の先で香取先生に殴られて転がった姿が見えた気がするが、見なかった事にしよう

 



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提督とギラっとギラめくクリスマス 前編

今年はちょっと早めにクリスマス回、ちょっと早めでカンベンしてつかぁさい

【登場人物】

提督(クリスマス?仕事なんだ、わかるだろ?今が大事なところなんだ!あぁ…!わかってる!わかってるさ、出来るだけ早く帰るよ、約束する)
フラグはない

睦月姉妹(むつきしまい)
エコな燃費のエコ姉妹、望月さんは寝ている

アクィラ(正規空母ヅラした正規空母)
乳だけは評価する、あと、ワキも

リベッチオとマエストラーレ(合法駆逐艦)
合法駆逐艦

アメリ艦(メジャー軍団)
サムくんを除けば全員がメジャー級の肉体を持つスター集団





クリスマス!その素敵なイベントが提督を行動させた!

健全な基地運営は健全な生活から、のびのびとした自主性と手厚い福利厚生に定評のある当基地では毎年クリスマスには基地に所属している仲間達に酒や料理を振る舞っており、クソガキどもにはクリスマスらしくプレゼントも用意してある…

 

「やったぁ!超Zヴァル●リーZ.Evだぁ!」

 

「新しいグローブ、それにバットも!」

 

「ゲーム●ーイアドバンス…!しかもSPだ…!マジかよ!えぇ…マジかよ!?」

 

キチンと一列に並び、今年もプレゼントを渡す係の香取先生と鹿島先生からプレゼント箱を貰ってハシャギまわるクソガキども、そして、クソガキどもとは違い、酒と料理にハシャギまわるクソ大人ども…

 

「誰の髪型がサ●エさんみてーだと?あ゛ー?高雄ォ!!オラァ!」

 

「やめとけ妙高ォ、おまんじゃ高雄にゃ勝てやせん…」

 

「くせーよ、デブ」

 

「誰がデブだァァァァァァァ!!私はデブじゃない!ぽっちゃり系よォォォ!!」

 

妙高と愛宕が早速殴り合いを始めたらしく、周りでは陽気でヤン・キーな仲間がやいやい煽っている、たぶん誰かが10ドル儲ける程度の喧嘩だろう…

 

俺は酒の肴でも探すかと料理の並ぶテーブルを眺めていると、会場の隅で睦月型のガキどもが集まってなにやら話し合いをしているのが目についたので、気さくな感じに声をかけたみた

 

「よぉ、クソガキども」

 

「あ、テイトクだ」

 

「テイトクだぁ〜…メリークリスマス!」

 

クソガキどもがメリーメリーうるさいので俺もメリーと返事し、とりあえず一番近くにいる睦月姉妹の長女、睦月にいったい何の話し合いかね?と気さくに尋ねてみた

 

「サンタ狩りの相談にゃしい」

 

「………はぁ?」

 

「知らないのぉ〜?サンタ狩り」

 

…ナニ言ってんだコイツら、イカれているのか?サンタ狩り…?サンタ狩りっーとアレか、クリスマスに暴れまわるアベックどもに天誅を下す感じの…

そうか……コイツらもまだ若いのにモテない事を気にして、いや、若いからこそモテない事を気にしてしまい、このクリスマスにハルマゲドンを起こそうと言うのか…

 

「その意気や良し!熱意や良し!」

 

そういや昔、大将殿が現役バリバリで前線基地で艦隊司令をやってた頃、同じくクリスマスにパーリーをしていたらしく、その当時は大将殿がガキどもに夢を与えるべくわざわざサンタの仮装をしていたらしいが、どいつもこいつも夢見る少女じゃいられないスレたガキどもだったらしく、大将殿はドリンクに睡眠薬、部屋に睡眠ガス、2億ボルトの電撃、超スピードからの首トン、毎年あらゆる手段で部下である艦娘を眠らせてプレゼントを置いていたそうだ…

 

「今日は寝ないでみんなでサンタをやっつけるよぉ〜!」

 

「どのみちロクなヤツじゃねーんだ!見つけ次第殺せー!」

 

睦月姉妹のアホどもは一致団結のエイエイオーして手にしていたジュースの入った紙コップを床にプロージット!して中身を床にブチ撒けた…

ただ、コイツらは一つ重要なことを見落としているのだよ…

 

そう…“サンタ”ってのはよぉ〜…“良い子”のトコにしか来ねぇってコトをよォ〜…

 

ーーー

 

適当なツマミを手に入れ、隅っこで缶ビールでも飲みながらパーリーを見ていたら、ポーラがザラ姉ちゃんに腹パンされ吐いている姿を見かけたが、見なかったコトにしよう…

 

「あら?テイトク、pizzaでもいかが?」

 

「あー?オマエは………?ト●コ?」

 

………誰だっけコイツ?たしかパスタの国あたりから来たヤツだったような、っーか乳デケーなコイツ、誘ってんのか?

 

「アクィラです!アクィラ、誰ですかトニオって…」

 

「あぁ…アクィラな、アクィラ、思い出した、恥ずかしげもなく正規空母ヅラしたチ●カスクンの」

 

「チ●カスクン…?よくわからないけど、アクィラのコトを貶してるのは言葉ではなく心で理解できたわ、うん」

 

チ●カス空母アクィラ、そのあまりのチ●カスぶりな性能から、軽空母にも劣るとまでディスられている

 

「あ、テイトクさんとアクィラさんだー!」

 

「あ、pizza!!リベも!リベもそれ欲しい!」

 

アクィラの乳をガン見しながらピザを食っていると、クリスマス的な真っ赤なコーデのゲンキッズが走ってきた…

いすゞパイセンも可愛いがる合法駆逐艦リベッチオと、最近やって来た新しい合法駆逐艦、マエストラーレの二人はピザピザ言いながらメチャウマだぜこれはー!とか言いながらがっつきだした

 

「がっつくんじゃないよこの子らは、オイ、アクィラ、コイツら普段ナニ食わせてるんだ、フツーじゃないよ、このがっつきは」

 

「さぁ?パスタじゃないの?」

 

アクィラ曰く、リベッチオもマエストラーレもネアポリスの裏路地でゴミを漁っていたものの、色々あって“入団試験”に“合格”したらしく、今でもハングリー精神は忘れてないらしい

そもそもなんだよ、入団試験って…入隊じゃないのかよイタリア海軍

 

「ゲープッ!もうなくなったー!」

 

「リベ!大変よ!あっちのテーブル!焼き立てのチキンが置かれてるッッッ!」

 

「な、なんだってェー!!やべぇ!コイツは……じゅるりだぜー!」

 

合法駆逐艦リベッチオとマエストラーレはウワッシャー!とか叫びながら再びテーブルへと走って行った、元気なコトはいいコトだ

 

「テイトク、ワインありますけど飲みます?」

 

「貰おうか」

 

ーーー

 

性能はチ●カスだが身体つきだけはむしゃぶりつきたいアクィラにぺぇずりしてくれと頼んだらスナップの効いたビンタされ、アクィラは怒ってどっかに行ってしまった

 

「…タバコでも吸うか」

 

どりあえず外でタバコでも吸うかと歩いていると、どいつもこいつも迫力のダイナマイトボディ!世界の正義(ジャスティス)!メジャー軍団がゲラゲラ笑いながらパーリーを楽しんでいた

 

「あら?Admilal!どーしたノー?」

 

「タバコ吸いに行くんだよ」

 

アイオワはmerry!merry!言いながら俺の背中をバシバシ叩きゲラゲラ笑っている………コイツ酒癖悪りぃな………ん?い、いや!コイツの手にしている缶!

 

「HAHAHAHAHAHA!」

 

Non alcohol!コイツ!ノンアルだと…!?ま、まさか……他のヤツらも!

 

「…ん〜?なんですかAdmilal?サラにオパーイにナニか?」

 

「Statesなら訴えられますよ〜」

 

よし、サラトガとイントレピッドは普通にアルコーラーだった、どうやら今日のアイオワはハンドルキーパー的なものらしい、そして………

 

「…ガンビアくん、それ、罰ゲームかナニかかね?」

 

「Yes…Yes、YesYesYesYes…oh…」ガタガタ…

 

ガンビアくんのなかなか攻めたスタイルのアメリカンサンタ、ここがグァムあたりならアリかもしれんが、残念ながらここはニホンでキュウシュウだ、俺はそんな寒そうはガンビアくんの攻めたバストにアツアツのフランクフルトを挿してやった

 

「アツゥイ!!」

 

「残すなよ、全部食べるんだ、丁寧にな」

 

まったく、良い事した後は気分がいいもんだと考えている、腰の辺りに何かが衝突した

 

「アハハハハ!テイトクだー!merry!」

 

「サムくんか、どうかね?楽しんでいるかね?」

 

「Yeah, very!テイトクもコレ飲むー?chanmery!」

 

シャンメリーシャンメリー言いながらまとわりつくサムだが………待て、ちょ!待て、なんかこの子酒臭いぞ!?俺はサムくんからボトルをひったくるとラベルを確認した…

 

「ああ…っ!それSamの!返して!かーえーしーてー!」

 

「………サムくん、これ誰から貰った?」

 

「え?Intrepid」

 

俺はあっちでワイルドにポテトをつまみながらゲラゲラ笑っていたインピの腹をボトルで殴った

 

「On!!Damage control!」

 

「やかましいわボケ!ナニガキにスパークリングワイン渡してんだテメーは」

 

「フッ……Admilal、IdahoだとXmasは大人も子供も皆同じもので祝……って!イタイ!イタイ!ぶたないで!訴訟するわよ!」

 

「やかましいわボケ!」

 

「それSamのー!かーえーしーてー!」





次回は後編
出来れば最大トーナメントを年内にどうにかしたいと思ってますが、たぶんムリかな…って?


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提督とギラっとギラめくクリスマス 後編

クリスマス回後編、酒!女!金!ハードボイルド海軍ロマン、真紅の秘伝説!

【登場人物】

提督(悪酔いするのが悪い癖)
悪い大人の典型例、飲んだら吐くな、吐くなら飲むながスローガン

鈴谷(ミニスカサンタ)
自称、誰もが羨むメインヒロイン様、メインヒロインとは何か?メインヒロインとは死ぬことと見つけたり、見つけなかったり

五月雨(常時ニュートラル)
信頼アツき秘書の鑑、グチグチ文句言う係



「ティーッス、鈴谷が遊びにきましたよ!」

 

体育館の隅、なんか壁にある何の為にあるかよくわからない木の梯子みたいなものがあるとこでサムくんから取り上げたスパークリングワインを飲んでいると、今年もハジけるビッチ臭……否!ビッチ以上のドビッチがそこにいたッッ!!そいつは風貌(サンタコス)だけで俺にワカらせた、全国の(ピュア)な男児達の精●(ザー●ン)は、この女に搾り取られたのだと…ッ!!

 

「プレゼントくれじゃん」

 

「うるせぇよ、っーかビッチ臭いんだよオマエ」

 

「ハァ?ビッチじゃねーし」

 

サンタがプレゼントをくれとねだる凶行!なるほど、大したビッチだ…

 

「ってかナニそれ?お高価いお酒?鈴谷にもちょっと飲ませてー」

 

「お断る」

 

「ケチか!」

 

「ケチじゃない、提督だ」

 

鈴谷のヤツはケチかよクソが!と汚い言葉を吐きつつ、胸元に手を入れると、一枚のハンカチーフを取り出した

 

「じゃ、鈴谷が今から手品するから、手品がスゲェ!ってなったらプレゼント頂戴」

 

「やだよ、だいたい手品ってなんだ?人体切断か?」

 

「そんなもんハンカチ一枚で出来るワケねーし、ね?どーよ?」

 

コイツ、どうせド●キで買ったしょーもないウズウズした手品セットを使いたくてウズウズしているのだろう、コイツこそウズウズなのだよ

 

「…ま、よかろう」

 

「っしゃ!じゃ、ビックリしたら5……3万円で!」

 

そして流れるように金を請求してくるこの外道ぶり、まったく、金!金!金…っ!遊ぶ金欲しさに自分を売る事を躊躇わない、まっことビッチよ!

 

「よかろう」

 

「じゃ、まずはこのタネも仕掛けもないハンカチがあるじゃん?」

 

「待て」

 

「………ナニ?」

 

「タネも仕掛けもないと言うのなら、まずは本当にタネも仕掛けもないかチェックさせて貰おうか?」

 

「………別にいいけど?」

 

鈴谷はナニ言ってんだコイツめんどくせぇみたいな顔をしていたが、じゃ、チェックしてみるじゃん?とハンカチを俺に手渡した

 

「ふむ…」

 

「どーよ?なんもないっしょ?」

 

「ふむふむ…手触りは悪くない、新品だな」

 

「新品ですが?こないだ買いましたけど?」

 

「ふむ、匂いは………フンフン……クンクンクン…スーハースーハー」

 

「ちょ!!やめろし!!やめて!ホントやめて!!」

 

「………さっきまで人肌に温められていた形跡がある、それに、些か鼻に付く匂いが付着している、これはおそらく発情期の雌が雄を誘う際に発するフェロモ…」

 

「ホントやめて!!ってかマジキモい!!キモいから!!」

 

「キモくない、提督だ」

 

鈴谷は俺からハンカチをひったくるとマジキメぇとかブツブツ呟き、若干引いている様子に見えたが……まぁ、そーゆー気難しい年頃なのだろう、あの可愛い暁ちゃんだってそのうち、洗濯物は一緒に洗わないで!と言う日は来るのだ…

 

「ってか、ただのハンカチだったっしょ?」

 

「あぁ、手触り、匂い共に問題はなかった、後は味をみておきたいのだが…」

 

「いやいやいや!無理無理無理!ダメ!キモい!マジキモい!」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

まぁ、ハンカチにタネも仕掛けもないことなど最初からわかっている…鈴谷の手を注意深く良く見ると、指にはサムチップと呼ばれる肌色の指サック的なものが嵌められており、たぶんハンカチを出したり消したりする感じのヤツでもする気なのだろう…

 

「じゃ、じゃ…そろそろ始めたいと…」

 

「待て」

 

「…ナニ?」

 

鈴谷はまたかよコノヤロウめんどくせぇみたいな顔をしている

 

「ハンカチにタネも仕掛けもない事はわかった、だが、それ以外にあるかもしれん、ボディチェックさせて貰おうか」

 

「…ハァ?」

 

「ボディチェックさせて貰おうか?」

 

「や、ムリ、マジムリ」

 

かつてこれほど恐怖と嫌悪の視線を向けらた事があっただろうか?思えば常に紳士であれ、紳士たるもの優雅たれと心がけてきた俺だが、たまにはハメを外してみるのもいいのではないだろうか?そう、自分と言う殻にこもり続けていてはいけないのだ、時には自分と言う殻を解き放ち、欲望と本能を解放させる事こそ大人には必要ではないだろうか?

 

「タネも仕掛けもないと言うならできるハズだ、尻を出しなさい」

 

「なんで尻…ッッッ!!?」

 

古来より、くノ一はア●ルとかそんな感じの穴に密書を隠す(参考資料 大人が読む薄い本)

 

「隠さねーし!!っーか………ウゲッ!!酒臭ァ!!テイトクマジ酒臭せぇ!テイトクマジ酔ってね!?っーか酔ってるっしょ!」

 

「大丈夫だ、酔っていない」キリッ!

 

「や、酔ってる人はみんなそーゆーし……って!ムリムリ!マジやめて!マジやめて!!公共の場!公共の場ァァァァァァァ!!イヤァァァィァァァァ!!」

 

◆◆◆

 

………クリスマスパーリーはなかなかに盛況らしく、現在はステージで一航戦と二航戦のアホどもが玉座で待ち望みつつ向かってくる者だけを認める感じに歌って踊って飛んだりしており、ステージ下ではキャーキャー黄色い声が聞こえている…

 

「…うるせぇな」

 

…しかし頭が痛いな、飲み過ぎたか?まるで頭をボトルで殴られたように痛みと流血しているような気がするが、まぁ大丈夫だろう

 

「…ナニやってるんですか?提督」

 

「よぉ五月雨、多重影分身をマスターしたのか?」

 

「してませんよ」

 

どうやらメガネのピントが合ってないらしい、もしくは五月雨は陸奥の奥義を使用(つか)っているのだろう…

 

「珍しく悪酔いしたみたいですね、水でも飲みますか?」

 

「貰おうか」

 

五月雨から受け取った水をスタイリッシュに飲み干すと、メガネのピントが合ったらしく、ブレブレだった五月雨がシャッキリした

 

「提督、気をつけないと酒の勢いでトンデモない過ちを犯しますよ、たぶん」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!言いおるわい!」

 

「いや、わりとたぶんですよ」

 

オイオイ、俺がそんなヤワな男に見えると言うのかねこの青髪ロング子は?まさか俺が酔った勢いで誰彼構わずブチ●して無責任●出しキメて責任を問われ済し崩し的に責任をとる事態に陥るとでも言うのかね?ハッハッハ、ないない、それはない!例えどんな世界線の俺でもそんなバカな俺はいないねー!

 

「まぁ………一応、進言はしましたよ」

 

「ハッハッハ、卿は心配がすぎる、が……!それでいい、サミダリューン、俺には卿のその意見が必要だからな!」

 

「…まだ酔ってますね、余計なコトする前にさっさと切り上げて部屋に帰った方がいいですよ、あと、五月雨です」




次回は最大トーナメント、ベスト4!たぶん


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準決勝【ベスト4】

準決勝二試合、今年のヨゴレ、今年の内にッッッ!

第一試合 金剛VS鈴谷
第二試合 足柄VSアナコンダ

………アナコンダ?


最大トーナメント準決勝ッ!!各ブロックから勝ち上がった闘士達が決勝へと進む為に激突する力と力の真剣勝負…ッ!!

 

準決勝第一試合ッッ!!その拳は一撃必殺の先を求め彷徨う求道の拳、サラトガ、山風を屠ってなお止まらぬ帝王破竹の前進!戦艦・金剛…ッ!!

 

VS!

 

冷酷!冷血!冷徹!デビル航巡養成工場、デーモガミンファクトリー出身の悪行艦娘!戦艦リシュリューとノーリスペクトをくだして勝ち上がった難攻不落のビッチ兵、航巡・鈴谷…ッ!!

 

「さぁいよいよベスト4です初春様、もう1ヶ月くらいこのシリーズやってますが年内に終わるんでしょうか!」

 

「メタいコト言うのぉ」

 

「青葉的には今年の汚れは今年の内にと思ってます」

 

「そうじゃのぉ」

 

※最大トーナメント決着編は31日、大晦日の予定です、ボノも出るヨ

 

---

 

互いのPRIDEを賭けた準決勝第一試合のゴングが鳴り、まずは速攻!金剛の殺人ストレートが鈴谷に襲いかかるッ!!

 

「あぶ!危ねっし!!」

 

「ほぉ…よく避けましたネ~…」

 

イッパツでも貰えば致命傷確実ぅ!絶命必死の殺意の塊、本来ならば組み付き(グラップル)近接戦(インファイト)を得手とする鈴谷も下手に近付く事を警戒せざるをえない…

 

そして、そんな鈴谷の様子を察したか、金剛は右手の指をクイクイ動かし、かかってこいよとアピールして不敵に笑った

 

「…な、なめやがってッ!このヒロインの中のヒロインであるスーパーエリートヒロインである鈴谷様をなめた事を後悔させてやるぞォ!!」

 

「ヘイ、カマン、ガール」

 

「トアーッ!!」

 

煽り耐性の低い鈴谷はクソッタレがーッ!とヒロイン力の低い汚い叫びをあげ、金剛に正面から向かって行き、ダダダダダ!トアッ!トアッ!ハアッ!と強烈なラッシュを仕掛けたが、その全てが捌かれ、逆にお腹に悶絶ボディブローを喰らってブッ飛ばされた

 

「オゴォ!!」

 

「ヘイ、ガール…そんなモンじゃないでショー?」

 

「クッ…ハァ…ハァ…さ、さすが戦艦金剛、ハンパじゃない、ただ……アンタのその殺人パンチを喰らっても、この通り!鈴谷はまだ元気に立っている…ッ!」

 

不敵に笑う金剛に対し、鈴谷は再び金剛に仕掛ける!!マトモな攻撃ではこの怪物からダウンを奪うのは到底不可能!ならばマトモでない攻撃を叩き込むしかない!鈴谷は金剛の身体を掴んで空中に投げてその身体に乗って背中から金剛をリングに叩きつけた!!

 

「ゲェーッ!!あ、アレはテイトクの得意技!何故鈴谷がーッ!」

 

「死のフルコース!ま、まさかあの技への前奏曲(プレリュード)だと言うのかー!」

 

さらにダブルアームスープレックスの型から高速にスピンし、金剛を後方へと投げ飛ば……

 

「…ヌルいデース」

 

「なにィ!?」

 

金剛はスピンダブルアームソルトで投げ飛ばされるどころか投げられた体勢から両足で着地し、逆に鈴谷の腕にダブルアームスープレックスを仕掛けてリングに叩きつけた!!

 

「うっぎゃあああー!!」

 

「フン……コレはテイトクの得意な技でしたネー…せっかくデース、続きはワタシがやってあげマース」

 

両腕を破壊されて転げ回る鈴谷の身体を抱え込むように持ち上げ、両脚に勢い良く膝を叩きつけて両脚を破壊した

 

「うっぎゃあァァァァァ!!!」

 

まさかの死のフルコース返し…ッ!!金剛の圧倒的武力の前に、誰もが羨むメインヒロイン(自称)がなすすべもなく叩き伏せられリングに転がる…

 

もう駄目だ、誰もこの怪物を止める事はできない…

観客の誰もがこの戦いはもう、決着だ…と思っていた、がッッ!!

 

「へ…へへっ、鈴谷にも…負けるワケには、いかないワケがあるんでね…」

 

掟破りの死のフルコース返しをその身に受けてなお、鈴谷は立ち上がり、この通り!鈴谷は元気に生きている!と力強く宣言した…ッ!

 

「な、なんてヤツじゃあ!あの強烈な攻撃を受けてまだ立ち上がるとは…!」

 

「なんて執念!一体ナニがズーヤさんをここまでに勝利に駆り立てると言うんだーッ!」

 

「がんばれ…がんばれズーヤ!」

 

観客席から誰からともなく自然に湧き上がるスズヤコール、その、アツいエールこそが金剛にはない未知の力、アツかりしク力を呼び覚ます!

 

「ウオオオォォォォォ!!!これがメインヒロインを超えたメインヒロイン!メインヒロイン・フルパワーだーッ!!」

 

「ホォ…」

 

上着のブレザーが弾け飛びさらに膨れ上がった胸を揺らし、鈴谷は強烈なハイキックを金剛に叩きつける!

 

バシィ!!(鈴谷フルパワーキック)

 

「ぬぅ…!!強力デス、なかなかやる…」

 

「オマエはもう!謝っても許さねぇぞォォォォォ!!」

 

「オモシロいjokeデース…」

 

鈴谷フルパワーを弾き飛ばし、金剛は不敵……否、不気味な笑みを浮かべ、今大会にて初めて、対戦相手に対して“構え”をとったッ!!

 

「ゲェー!こ、金剛さんがーッ!」

 

「み…認めているんだッ!ズーヤさんが“本気”を出していい相手だと!」

 

鈴谷フルパワーと金剛の極限の戦いは壮絶を極めた、殴られば殴り返し、メリ込んではメリ込まされるフルパワーバトル、しかし!やはり地力の差は大きすぎたか、必殺のビッチベン・エッジを力業で破られ、もはや力尽き、死に体となった鈴谷は本日何度目かもわからない金剛の殺人ブローをボディに喰らいリングに転がった…

 

「ガ……ガハァ……ハー…ハー」

 

「…まだ立つ気デスか?」

 

まるで後退のネジを外したかの如き執念!!膝ガクガクで幽鬼の如くフラフラと立ち上がるその姿は誰がどう見ても病院だよゥッッ!と緊急搬送されるレヴェル…ッ!!だが、それでも鈴谷は立ったッッ!!

 

「その執念だけは認めマース、スズヤガール…」

 

金剛は大きく腕を振り最早これまでと最後の技を繰り出す!その拳こそまさしく一瞬千撃!拳がインパクトする瞬間、相手の体内にハドウケンを直接叩き込み、それを破裂させる必殺必死の拳が炸裂し、鈴谷は血反吐と断末魔をブチ撒けながらブッ飛ばされてリングに転がり…

 

「………ゴバァ!!」

 

…動かなくなったところで試合終了ッ!!金剛は鈴谷に背を向けリングを降りた

 

「やはり勝てなかったッ!かなり善戦したと思われますが鈴谷さん!やはり優勝候補No.1!金剛さんには届きませんでしたーッ!しかし大健闘!会場からは大健闘した鈴谷さんにアツい拍手が送られています!」

 

「ほぉ、かませかと思ったが意外とやるものじゃのぉ、えぇと……なんじゃ?めいんひろ…?めいひろ…」

 

「初春様、メインヒロインに御座います」

 

「あぁ、そうそう、それじゃ」

 

◆◆◆

 

「はい、続きまして準決勝第二試合ですが、ブロックDには勝者が居ないのでぶっちゃけ足柄さん不戦勝で決勝出場で良いのでは?と本人に伝えたところ、足柄さん本人から“公平(フェア)ではない…”と男の中の男らしい発言を受け、大会運営の方でベスト4相当に相応しいと思われる“生物”を用意しました」

 

最大トーナメント準決勝第二試合ッッ!!

 

足柄 VS アナコンダ

 

『SYAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

「ちょっとォォォォォ!!聞いてない!?なにこのバケモノ!こんなの聞いてないんだけどォォォォォ!!」

 

全長はゆうに10mを超える巨大な蛇に追い回され、足柄はリング内を縦横無尽に走り回る!

 

「えー…こちらのアナコンダですが、正直、アナコンダかどうかは青葉にもよくわかりません、提督が川内さんに頼んで口寄せ的なものをしたものらしく、後で生贄100人な!と要求してくる些かヤンチャなタイプの蛇だそうです」

 

「それはマ●ダじゃな」

 

「そうですね、アナコンダと言うよりマ●ダですね」

 

足柄対マ●ダ、いつもならば男の中の男らしく戦う足柄がキャーキャー言いながら逃げ回る…

 

そう、いつだってイキでイナセな男の中の男と呼ばれる足柄にも苦手なものはある…

 

「ひぃ!!こ、こっち来るなーッ!!」

 

『シャーッ!!』

 

「も、もういい!私の負けでいい!カンベンしてェェェェェ!!」

 

男の中の男、足柄、敗北を宣言する

 

「決着じゃ…」

 

準決勝第二試合、伝説の狼の伝説、終わる

 




イベント海域開始されましたね、えぇ
次回はイベント開始のミーティング回、執務室の喫煙可能期間!


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続続続続続続続・提督と作戦とミーティング

冬の作戦海域開戦!生き残るのはヤツらか!人類か!
最大の衝撃に備える全海域超決戦!

【登場人物】

提督(オッサンじゃないと言えるオッサン)
そろそろいいだろ?オラとヤろーじゃねぇか?

潜水艦ズ(実力派エリート)
本当はみんな争いを嫌う優しい心の持ち主………だと思う



クリスマスも終わり、年末ですよコノヤローと慌ただしく過ごしつつある昨今、作戦海域開始の儀式である恒例の全艦集会の為に基地体育館に集まったヤンチャボー……ガールズ達は早く深海魚どもをブッ●したくてウズウズが止まらねぇぜウズウズが!とウズウズしていた…

 

「いやぁ~遅くなったのだよ、すまんすまん、今日は人生と言う名のSLに乗り遅れてな」

 

「うるせぇよオッサン!」

 

「言い訳ならもっとマトモな言い訳しろしオッサン!」

 

「シコってただけだろーが!ギャハハハ!」

 

クズどもの口汚い野次を今さら気にする事もなく、壇上に上がった俺はマイクを手に、えー…マイク効いてる?えー…とテストしたところで集まったクズどもにまずは提督からの有難い話

 

「えー…年末と言うコトですが、今年は例年までと違い、年末から年始にかけての本部作戦を敢行するとのコトで、我々も基地一同、一丸となってこの作戦を無事成功させたいと思っております、提督は皆さんの日頃の努力の成果がこの作戦で報われ、良い結果がでるものと信じております!えー…皆さんはこんな話を聞いた事があるでしょうか?あるところに一匹のドラ猫がいました…」

 

「またそれかよオッサン!」

 

「いい加減にしろよオッサン!」

 

「別の話ねーのかオッサンよォー!」

 

相変わらずクズどもがブーブー文句をタレていたが、香取先生が一言“静かに”とマイクで伝えるだけでクズどものオシャベリは静まった、香取先生の熱血指導の賜物だろう、まったく、香取先生の教育魂はいつだって俺をアツくしてくれるのだよ……

 

「………えー、以上で提督からの話は終わります、香取先生」

 

「はい、では続きまして秋の絵画コンテストの優秀賞の発表を行います、名前を呼ばれたら大きく返事をして壇上へ上がってください」

 

◆◆◆

 

遂に作戦の火蓋が切られた冬の作戦海域、今回は全三海域との話だが……まぁ、どうせまためんどくさい輸送と防空とかあるのだろう

 

とりあえず俺は自販機コーナーで缶コーヒーを買い、ついでに明石の店でタバコと菓子パンでも買うかと廊下を歩いているとトラベル準備は完了ゥ!大きなキャリーバッグをゴロゴロさせながらハシャぐ潜水艦どもが目についた…

 

「よぉクズども、旅行か?」

 

「あ、テイトクですって!」

 

「テイトク!ウェーイ!ウェーイ!」

 

実力派エリート集団、潜水艦ズには作戦海域中の長期休暇を認めている当基地ではだいたい毎度見る光景である、潜水艦の中でもどちらかと言えばアホなローと401はウェイウェイ言いながら俺の回りをグルグル回っているので、とりあえずローの足を引っかけて転がせた

 

「痛いですって!」

 

「今回はどこに行くんだ?リビアか?シリアか?イエメンか?」

 

「なんでレベル4のとこばっかなのよ…」

 

「冗談はメガネだけにしとけでちよ、オッサン」

 

「オッサンじゃない、提督だ」

 

実力派エリート集団のBOSS的存在の58はオメーら少しは静かにしねーか!とウェイウェイハシャぐ401の股間を蹴り上げ、168は最新ケータイことケータイ太郎をパカパカしていた…

 

『ヤメロォ!168!ケータイハムヤミニパカパカシテハイケナイ!』

 

「あはははは、おっかしー…あはははは…」

 

『ヤメロォ!』

 

…168のヤツ、死んだ魚みたいな目でパカパカしているが、ナニか辛いコトでもあったのだろうか?

 

「8っちゃんさん、168のヤツ、なんかあったんですか?」

 

「…さぁ?なんか抽選外れたとかなんとか…」

 

なんかアイドル的なモノのライブのチケット抽選に外れたらしく、最近元気がないらしい

 

「ふ~ん、ダフ屋から買えば?」

 

「あ゛?」

 

めっちゃメンチ切られたが俺は悪くない

 

「で?お前らどこに旅行に行くんだ?」

 

「別府、バスで」

 

近いな、いや………近いな、2時間ぐらいみとけば余裕なのだよ

 

「えらく近場だな、どうした?」

 

「年末年始に遠くに行くのもダルくね?ってコトでハナシがまとまったでち」

 

「ふ~ん」

 

まぁ、コイツら旅行と買い物の次に温泉が好きな生物らしいしな、しかし温泉か……提督も温泉にでも行ってゆるりとしたいモノなのだよ

 

「ルイはオミヤ・ゲー買ってくるよ!」

 

「君はたしか……?」

 

「Regia Marinaから来たよ!Luigi Torelli………じゃないで、今は伊504?でもルイでいいよ!」

 

「ルイ……?あぁルイジくんか」

 

パスタの国から来た合法潜水艦ルイジくん、なんやかんやあって一時はグラペンの誘いに乗ってドイツJr.のメンバーになったものの、やっぱドイツはちげーわと考え直し、明石の店で売ってた犯罪臭がプンプンする白スク水を買って現在に至るらしい…

 

「そうかそうか、オミヤ・ゲーをな、ハッハッハ、そうかそうか!」

 

俺は財布から紙幣を取り出し、ルイジくんに皆で美味しい物でも食べなさいと手渡してやった

 

「やったぁ!アリガトー!」

 

「ハッハッハ」

 

ルイジくんはキチンと礼を言ってから無邪気にハシャぎ回る、そんなルイジくんを見ていると潜水艦って最高だな…って気がするが、58や168から冷たい目で見られた…

 

「まぁいい、用があったら呼び戻すからそのつもりでいろよクズども」

 

「クズじゃないのね」

 

「むしろお前にだけは言われたくねーよ、ゲス●ンヤロー」

 

「ゲスチ●ヤローじゃない、提督だ」

 







ですって!


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決勝【FINAL】

ダラダラっとやってた秋の最大トーナメント決勝戦、そして決着編、今年の汚れ、今年の内に…

金剛 VS アナコンダ

………なんかB級映画にあるっぽい、こんなタイトル


最強の艦は誰か?最強を目指す闘士16名+リザーバーによって繰り広げられた秋の最大トーナメントも残すはあと一試合、決勝ッッッ!!

数々の死闘を勝ち抜き、最強を諦め切れなかったバカヤロウ2名がこの大舞台に上がるッッッ!!

 

【最大トーナメント-FINAL- 戦艦・金剛 VS 大蛇・アナコンダ】

 

決勝戦開始ッ!!まずはアナコンダが金剛目がけて疾走(はし)り出した…

 

アナコンダの突進をかわしざまに合わせた右は、正確にアナコンダの顎の先端を捉え、脳を頭骨内部に激突させ、あたかもピンボールゲームの如く頭骨内での振動激突を繰り返し生じさせ…

典型的な脳震盪の症状をつくり出し……既に意識を分断されたアナコンダの下顎へダメ押しの左アッパー!

崩れ落ちる体勢を利用した、左背足による回し蹴りはアナコンダをさらなる遠い世界へと連れ去り………全てを終わらせたッッッ!!

 

その間、実に二秒ッッッ!!!

 

「瞬殺ッッッ!!決勝戦!金剛さん!アナコンダを瞬殺してしまったァァァァァ!!」

 

「まぁ、そうなるじゃろ」

 

秋の基地最大トーナメント決着ッッッ!!16名の闘士+リザーバーの頂点に立ったのはエルフから見れば弱冠106歳!戦艦金剛がトーナメントを制し頂点へと立ったッッ!!

 

『『コンゴー!コンゴー!コンゴー!コンゴー!』』

 

『『アリガトー!コンゴー!アリガトー!!』』

 

「会場中から金剛さんへの惜しみない歓声と拍手が贈られております!感動的です、実に感動的なシーンです!ね?初春様!」

 

「そうかのぉ〜」

 

ーーー

 

最大トーナメントは終わった、そして………それは、金剛が待ち望んだ瞬間が訪れたと言う事でもある

 

“テイトク、ワタシと戦ってくだサーイ”

 

最大トーナメント初戦にて、提督へ挑戦状を叩きつけ、提督はそれを受けたッ!金剛にとってアナコンダなどウォームアップにすらならない、今から、そう…今、この刻からが金剛にとっての本当の決勝であり、生涯を賭けた決着…

 

「はい、では優勝賞金授与式に移りたいんですが〜………まだ提督が姿を見せていません」

 

「あやつめ、逃げおったな」

 

「ハッハッハ、初春様ってば〜!提督は基本、卑怯で卑劣ですけどさすがにここは空気読んで逃げずに来てくれるかと…」

 

優勝賞金授与式が一向に始まらず、会場がざわつき始めたその時ッ!!会場の外、基地施設執務棟で轟音と爆発が起こった!!

 

「な、なんでしょうか!?敵?敵でしょうか!執務室ピンポイント爆撃でしょうか!?」

 

「嗚呼、それ妾も知っておるぞ、あれじゃろ?あにめ提督じゃな」

 

爆発炎上する執務棟!そして、その執務棟の屋上辺りに二つの人影が立っていた!!

 

「あれは……提督と、誰じゃ?」

 

「あー…たぶんプリンツさんじゃないですか?」

 

爆発炎上する執務棟屋上にて互いに敵意と殺意を剥き出しに殴り合っていた提督とプリンツだったが、最終的にはプリンツが殴り勝ったらしく、倒れていたところで本気の打ち下ろし右をモロに顔面に喰らった提督は動かなくなった…

 

がッッッ!!

 

提督もタダでは死なず!油断していたプリンツの腕を掴み、殺●の波動を注入した!!

 

『ウゲェェェ!!こ、このクソアトミラールがァァァァァ!!』

 

『ガハハ!!ガハハハハ!!ウグッ!ゴフッ……!!』

 

提督の腹を蹴り上げ、殺●の波動を注入されたプリンツはウッギャー!と叫びながら転げ回った後、殺●の波動を漲らせながら立ち上がった…ッッッ!!

 

『フシュュュュュ………!闇も…!光も!全てはこの手に…ッ!!』

 

殺●の波動と暗黒パワーのハイブリッド!プリンツ・オイゲン改め、G(ゴッド)・オイゲンへと進化を果たしたオイゲンは高まるテンションを抑えきれないのか、叫び声をあげつつ提督の“心臓(ハート)”に完璧なるトドメの一撃を……!

 

『ヘイ、そこのゲルマンガール………その男の“心臓(ハート)”を死止めるのはワタシデース、その薄汚い手を、どけるデース』

 

『ムゥ!!』

 

いつの間にやら、会場から執務棟屋上へと移動していた金剛はプリンツ改め、G(ゴッド)・オイゲンを睨み、不敵な笑いと共に構えをとり、G(ゴッド)・オイゲンもそれに応えるかの如く提督の身体を執務棟の屋上から投げ捨てた

 

『サァ!カカッテキタマエ!』

 

『…ブッ潰してあげマース』

 

最大トーナメント決着ッッッ!!それは新たな戦いの序曲に過ぎなかった、GP150万以上、ファイトネスKO、乱入を倒す、その条件を満たし現れた、完全なる絶望!!G(ゴッド)・オイゲン!!

 

金剛とG(ゴッド)・オイゲンの死闘は熾烈を極めた、GレーンからのGカッターなど、さすがに金剛も手を焼いたらしく、かつてない強敵に金剛自身知らずに口角をあげ、拳を振り上げた!!

 

『バァァァァァニング!!』

 

『ウゲェェェ!!』

 

………決着ッッッ!!!一瞬千撃、そして一撃必殺のその先、金剛の拳がプリンツ改めG(ゴッド)・オイゲンのお腹を貫き、G(ゴッド)・オイゲンはブヘァ!と反吐をブチ撒けながら転がり胸を抑えながらフラフラ立ち上がった

 

『グッ…!!ゴハァ……!アトミラール!しつこい奴め!グッ!グワァァァァァァァァ!!』

 

G(ゴッド)・オイゲンは殺●の波動と暗黒パワーのハイブリッドに耐え切れなくなったか“グゥゥゥゥム!笑止!キサマ程度ではこのテイトクの業を身に宿す事は不可能よ!”と言いながら屋上から転げ落ちた…

 

『………どうやら、決着はまたの機会みたいデース』

 

 

秋の基地最大トーナメント

優勝 戦艦金剛

賞金 10万円

副賞 テイトクチケット

 

獲得ッッッ!!

 

…ちなみに、秋の基地開放祭は過去最大の利益を上げたが、爆発炎上した執務棟の修理費でちょっと足が出た

 

おわる





今年も終わりですね、はい、終わりです
次回は通常運転で年始回、その後イベント回に挿入ろうと考えてます

イベント攻略?今年の汚れは今年の内によ?当たり前じゃない、ジョンかわいくて吐きそうになった


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提督と謹賀新年Ⅲ

あけましておめでとうございます、今年もダラっとよろしくお願いします

【登場人物】

提督(COOL)
COOLすぎてCOOL!COOL!COOL!と叫ぶほどCOOL

五月雨(寒色系)
今年は出撃する機会はあるのでしょうか?

鈴谷(誰もが羨むメインヒロイン)
脅威のヒロ引力を持つ完全無欠艦娘、ただしビッチである


新年のゴキゲンな曙光が窓から入ってくる執務室…

 

「あけまして、おめでとうございます!提督、新年も、五月雨におまかせ下さい!はい!」キラキラ

 

「…うわ、キメぇ」

 

◆◆◆

 

「…と言う新年早々イヤなユメを見たのだよ」

 

「へぇ…」

 

新年のゴキゲンな曙光が窓から入ってくる執務室…

五月雨の淹れたアツいティーをイッキに飲み干し執務机に湯呑みをダァン!した

 

「あけましておめでとうございます」

 

「おめでとう」

 

新年早々うんざりするほど青髪ロング、永遠ブルーな秘書艦こと青髪ロング子と新年の挨拶をかわし、執務机の引き出しから茶封筒を取り出した

 

「コレ、少ないけど…」

 

「…相変わらず風情がたりない茶封筒をありがとうございます」

 

ナニが風情なのだよこの寒色系駆逐艦は、まったく朝からムナくそ悪いなコノヤローめ、まぁいい、今に始まった事ではない、今年の俺はCOOLだ、COOLに徹するコトで気になるあの子(浜風ちゃん)も俺にメロメロよ、メロメロ!

 

そんなメロメロなイマジネーションに心躍らせていると、執務机の扉を豪快に開き、新年もビッチ臭いのが入って来た

 

「ティーッス、鈴谷が新年のアイサツに来ましたよ〜」

 

「帰れ」

 

「早っ!まだお年玉くれとか言ってねーじゃん!?」

 

「お年玉だぁ…?甘えるんじゃないよこの子は、そんなにお年玉欲しけりゃその辺のパパの玉舐めて金貰って来いよ」

 

「ヘンタイ!!新年早々ヘイタイか!っーか鈴谷そんなコトしねーし!!」

 

「新年早々嘘つくんじゃないよこの援航巡が、チッ…テメーのツラ見てたら新品のパンツを穿いた元旦の朝の爽やかさが台無しだよ、ダイナ・シー」

 

「ハァ!?こっちこそ台無しだっーの!正月早々死ね!そのまま死ね!」

 

なんて口の悪いヤツだ………本来ならば、この基地の絶対支配者であるこの俺に対するこの暴言は万死に値するが、今年の俺はCOOL、そうCOOLだ、つまらない事で激怒する事はない…

 

「スネークバ●トォー!!」

 

「オゴォ!!」

 

ズドンッ!!(壁ズドン)

 

俺はブーブー文句をタレる鈴谷のフェイスを掴み、執務室の壁に叩きつけてメリ込ませた

 

「さて、サミュダレ、本日のスケジュールを聞こうか?」

 

「そうですね、午前中は作戦海域について大いに考える会、昼食を挟んだ後に長門さんとグラーフさんを交えた駆逐艦からの好感度に対するディスカッションの予定ですね、あと、五月雨です」

 

「ふむ、午後からはキャンセルだ、卿から伝えておきたまえ」

 

むしろそんなディスカッションに出席する予定は一言も聞いてないのだが…

 

「午後からはそうだな……マミー屋にでも行くか?卿はApple pieは好きだったな」

 

「まぁ、嫌いじゃないですけど…ってか、その無駄にいい発音にイラっとします」

 

「ならば付き合いたまえ、あと、イラっとするとかゆーな」

 

そんな和やかな正月ムードの執務室の中、壁に封印されていた悪しきサキュバスが腕を壁に押し付けケツを振りながらバタバタもがき、封印を打ち破って復活し、フーフー言いながら俺の胸倉を掴んだ

 

「ナニがApple Payだよ!和むな!鈴谷に乱暴しといて!!」

 

「Apple Payじゃない、Apple pieだ、あと、顔が近い」

 

「ハァ?あ?もしかしてアレですかー?鈴谷に距離詰めらてコーフンしちゃってる感じですかー?股間のモノがもうカチンコチンに………って、ん?硬い!ナニコレ!カテナチオかよ!」

 

鈴谷は俺の股間の辺りから感じるただならぬ硬度に戦慄したらしく、一瞬、ドン引きしたように顔を青ざめ…

 

「ど、どんだけコーフンしてんだかって……ん?」

 

「それは私のスタームルガー・ブラックホークだ」

 

「な、ナニィィィィ!!」

 

鈴谷が握っていたのは私のおいなりさんではない、俺の愛銃だ

 

「な、なんで銃とか持ってるし…?」

 

「私は軍人で将校だ、持っていて不思議ではなかろう?」

 

「ま、まぁ…そう言われりゃそうかも…」

 

「今までバカどもへの修正には拳を使ってたが今年からはコイツでBANG!BANG!イクからな、ケツ穴にマグナム弾ブチ込んで上の口に貫通させて壊れたオブジェみてーにしてやんよ」

 

「過激かッ!!っーか死ぬ!マジで死ぬ!」

 

「うるせぇなぁ〜…」

 

「ヒィ!?」

 

俺は銃身をベロリと舐めて鈴谷に銃口を向けると、即座に鈴谷はクロスガードの体勢をとる、なるほどなかなか考えているな

 

「そもそも提督、銃使えるんですか?」

 

「失礼なコト言うんじゃないよ、この髪長駆逐艦は、銃は頭に二発、心臓に二発、祈りながら引き金を引くんだぞ」

 

「へぇ」

 

「こう見えても俺は軍の学校時代にゃテイトク・ザ・ロングショットの異名を持つナイスガイでなぁ…」

 

「それ狙撃失敗したら自殺するタイプの人ですね」

 

 

この後、午前中のアツいミーティングを終えた俺たちは俺と五月雨、ついでに鈴谷、あとついでに自販機コーナーであったかいとつめたいを間違えてファーックスとか言いながら自販機に蹴りを入れいた熊野を旅の仲間に加え、マミー屋へと行ったのだが、マミー屋は間宮のダボが有給とって居ないらしく休業中だったので近所のファミレスに行った…



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提督と改白露型と初詣

未だ正月気分から抜け出せずにいるお話

【登場人物】

提督(クソT)
好きな映画は神々の熱き戦い

海風(白い)
高い長女力を持つ改白露姉妹の長女、可愛さ、レア度、乳のデカさ、全てが旧型長女の白露を上回る新型の長女

山風(緑のトゲトゲ)
家族愛に飢えている

江風(赤いの)
改白露型のやればできる子

涼風(青い)
知らない子からは五月雨のドッペルゲンガー疑惑をかけらている、凶暴


今日も昼まで寝正月、正月番組を見ながらダラダラする事に飽き、たまには神に祈るかと考えた俺は、まずはシャワーでひと心地つき、身支度を整えて部屋を出た…

 

「よし、行くか…」

 

新しいステージは神に挑む場所、神々の住まう神の社に小銭を投げ込む儀式を行うべく“神社”へ“初詣”に行くかと駐車場へと歩いていると、白・緑・赤・青とファンキーな頭をした集団がヘラヘラ笑いながら歩いていた…

 

「よぉ、姉妹で仲良くお出かけか?」

 

「あ、提督」

 

白い頭の白露姉妹の七女にして改白露姉妹の長女、海風ねーちゃん

 

「お、テイトクじゃねすか?あけおめっす」

 

赤くて頭の悪そうな白露姉妹の九女、江風、俺が暇潰しに買って読み捨てたコンビニコミックの続きをねだる問題児

 

「…おめでとう、ございます」

 

緑でトゲトゲしい頭、白露姉妹の八女、山風、姉妹一の気難しがり屋で目ツキも悪いが根は素直で良い子なのだろう

 

「よっ!オッサン!」

 

濃い青の頭、白露姉妹の十女、見た目が五月雨とよく似ているが基本乱暴者なので凶暴な方の五月雨、五月雨Bと呼ばれている

 

そんな改白露姉妹はどうやら姉妹でお出かけするところらしく、お買い物しに行きますよ的なオーラを放っているのを俺は既に“凝”で見破っている…

 

「提督もどこかへお出かけですか?」

 

「あぁ、ちょっと近所の神社に初詣にな…」

 

「初詣ですか!そうですか!へぇ〜!!そうなんですか!」

 

海風ねーちゃんは異様なテンションで手をパンパン叩き、へー!偶然ですねー!それは本当に偶然ですねー!と両目を見開いて俺と腕を組むような型でグイグイきた

 

「ちょ…!海風ねーちゃん、近い!なんなの!?」

 

さらに、海風ねーちゃんは俺の肩に手を回すような型でその華奢な腕から万力のような力でグイグイ俺をねじ伏せ、海風ねーちゃんはヒソヒソ話体勢で姉妹に背を向けて座り込んだ、っーか乳デケーなこの子、誘ってんのか?

 

「提督!初詣!行くんですよね?」ヒソヒソ

 

「い、行くのだよ」ヒソヒソ

 

「私達とご一緒しませんか?」ヒソヒソ

 

…これがご一緒しませんかと言う態度なのだろうか?最近の若い娘はよくわからんな、あと、乳デケーなこの子は

 

「やだよ、初詣ってのはアレだよ、一人で、豊かに、そう…なんて言うか、救われてなきゃダメなんだ…」ヒソヒソ

 

「提督…っ!アレを見てください!アレ!」ヒソヒソ

 

「…アレ?」ヒソヒソ

 

海風ねーちゃんに首をグイッと回されチラリと見える海風ねーちゃんより下の妹達、相変わらずどいつもこいつもアホみたいツラしてるなオイ…あっ、海風ねーちゃんさっきから押しつけすぎじゃね?

 

「どうですか?」ヒソヒソ

 

「いや、どうと言われてもね…」ヒソヒソ

 

「晴れ着!!提督にはあの晴れ着が見えないんですか!」ヒソヒソ

 

「晴れ着だぁ…?」ヒソヒソ

 

あぁ…晴れ着な、そう言われると緑のやつが'FURISODE的な春のコーデと言うやつですね、うん、そしてこれは柔らかいですね

 

「どうですか?」ヒソヒソ

 

「いや、どうと言われてもね…」ヒソヒソ

 

「提督ッ!!」ヒソヒソ

 

「ヒギィ!!」ヒソヒソ

 

海風ねーちゃんの万力のような力が俺の首をグルンと回し、俺の首は稼働してはならない域にねじ曲がった

 

「いいですか提督、あの子は……山風は提督と初詣に行きたくてウズウズしてるんですよ!ウズウズしてるんですよ!」ヒソヒソ

 

「へぇ〜」ヒソヒソ

 

「いいですか?私がそれとなく江風と涼風を誘導するので提督は山風と手でも繋いであげてください、そうですね……あ、そう!初詣は人が多いので迷子になるといけないので」ヒソヒソ

 

「然り」ヒソヒソ

 

海風ねーちゃんのドロっドロにアツい“熱意”に圧され、俺は自分で変な方向に曲がった首を正しい位置に戻し、海風ねーちゃんと互いに頷き合い、スタイリッシュに立ち上がった

 

「山風!江風!涼風!提督もたまたま初詣に行くから私達と一緒に行ってくださるそうよ!」

 

「へぇ〜…よし、出店でなンか買って貰おうぜ!」

 

「オッサン、車だせよ、車」

 

「オッサンじゃない、提督だ、あと、俺の車は二人乗りなのだよ」

 

「ダイジョーブだって!ちょっと詰めりゃなンとかなるって!なァ?」

 

なるワケねーだろ、ミッドシップ2シーターをナメンじゃないよこの子らは…

 

「そ、そうね!じゃ、私が前で山風を膝に置くから江風と涼風は後ろに座れば…」

 

ママの胸よりチャイルドシートォォォォォォ!!

 

◆◆◆

 

結局、車ではなく電車で移動した俺たちは無事、近所の神社へと来ていた…

 

「…人が多い」

 

地元じゃちょい有名ってぐらいの神社でも正月は多い、新年の参拝客に参道の脇を固める魅惑の匂い………ゴキゲンな出店だ、そんな神社へとやって来た俺たちは人と言う荒波をぬらりとかわしつつ前進していた…

 

「あれ…?提督、山風は?」

 

「知らないのだよ」

 

ビタンッ!!(弁慶蹴り)

 

海風ねーちゃんから弁慶を蹴られ、今すぐにでも転げ回りたい衝動を鋼の精神力で耐えていると、海風ねーちゃんは血の気の引いた顔で群衆の中で山風の名を叫んでいた

 

「山風!山風ェー!!」

 

「どーしたんでい?海風の姉ェ…」

 

「涼風ッ!山風見なかった!?ま、まさか………迷子ッ!!」

 

「や、山風の姉ェなら江風の姉ェと一緒に出店でカラーひよこ見てたよ」

 

「江風ァ!!ナニ勝手な行動してんの!まずはみんなでお参りするって言ったでしょ!!」

 

海風ねーちゃんはハンドバッグを叩きつけ、カラーひよこの出店に居るらしい江風と山風のトコにダッシュして行った、正月からエキサイティングなコトだ…

 

「おいスズカ」

 

「スズカじゃねー、スズカゼ、ブッコロがすぞ」

 

「海風ねーちゃんはいつもあんなエキサイティングなのか?」

 

「いつもはそうでもねーかねぇ〜…」

 

ーーー

 

四人の改白露姉妹と合流し、無事、小銭を投げ込む儀式を終わらせた俺達…

後は帰るだけだがアホどもは出店に興味津々丸らしく、仕方がないので千円づつやるから買い物でもしなさいと…

 

ビタンッ!!(弁慶蹴り)

 

「ウグァ!!ま、また自●系(ロ●ア)の俺に攻撃を…ッ!」

 

海風ねーちゃんの鋭いローが再び俺を襲う、あの巨体でこのスピード…!参るぜ!

 

「山風、提督と出店でも回ってきたら?」ニコッ

 

そしてこの長女スマイル、何一つ落ち度すら感じさせない圧倒的スマイル

 

「…いいよ、別に、それに、みんなで……回った方がいい」

 

「や、山風ェ……アナタ、なんて心優しいの…!提督!見ましたか!この優しさ!この子私の妹なんですよ!ほら!」

 

「…痛い、海風姉ぇ、痛い」

 

両手で山風の頬を掴み、ほら!この子ですよ!この子!とグイグイしている海風ねーちゃんとそれを嫌がる山風…これが縦社会か

 

「ではみんな回りましょう!ね!はい、ほら!山風は迷子になるから提督に手を繋いで貰って!あ、心配なのでもう片方は私が繋ぎますね、コレで安心!」

 

「…やめて、ホントやめて…迷子とか、ならないし…」

 

ファンキー頭姉妹とダラダラ出店を見て回っていると、江風と涼風がなにやら変なモノを見つけたらしく、変な出店の前で立ち止まった…

 

「いらっしゃいませー、空クジなしですよー……って、ゲェーッ!!提督ーッ!と、改白露姉妹ちゃん達じゃないですか……なんでこんなところに」

 

「ナニがゲェーッ!だ」

 

明石のヤロウ……そういや見ないなと思ってたらこんなトコでテキ屋の真似事とは、なんてヤツだ…

明石曰く、年末年始は稼ぎどき!いつ稼ぐの?今でしょ?とのコトだ…

 

「とりあえずクジどーですか?1回800円ですよ」

 

「高けぇよ」

 

「お正月価格です、ほらほら!一等はなんとニンテ●ドーのアレですよ!アレ!」

 

「ふ〜ん」

 

………何故コイツはここまで胡散臭いのだろう、そんな胡散臭さバクハツ、胡散臭いオブ胡散臭いの明石クジに、山風は袖から千円札を一枚取り出すと明石に手渡した

 

「…明石さん、1回」

 

「ンマー!さすが山風ちゃん!ンマー!なんて良い子!見てくださいよテイトクぅ、テイトクには無い疑いすらないこの(ピュア)な素直さ!」

 

「やかましい」

 

そして、海風ねーちゃんはそーでしょーそーでしょー、この子ウチの妹なんですよーとヘラヘラ笑っていた

 

「…5等」

 

「5等、はいはい5等ねー、5等、えー…5等はコレ、石鹸ね!はい、石鹸」

 

5等の石鹸を受け取り、露骨に顔をしかめた山風だったが、結果は結果として受け止めたらしく、石鹸を袖の下に収納した

 

「ホントに1等入ってんのかコレ?詐欺じゃねーだろーな?」

 

「失礼な!ちゃんと入ってますよ!」

 

「よし、じゃ残り全部買うわ、入ってなかったらサツに突き出すからな、新年早々クサいメシ食ってこいよ」

 

「や、買い占めは他のお客様のご迷惑になりますのでカンベンしてください、ウチはたくさんのお客様に楽しんで頂きたい方針なんで、おひとり様5回まででお願いします」

 

このヤロウ、やっぱクロじゃねーか…

明石のヤロウはビュービュー口笛を吹きながらシレっとしている

 

「まぁいい、後でアガリ報告しろよ、1円でもチョロまかしたらブタ箱にブチ込んでやるからな」

 

「悪魔…っ!!なんて悪魔……っ!あり得ないっ!呑めるか…っ!そんな条件!」

 

「うるせーよ」




次回からイベント海域編、死闘!ブイン防衛戦!


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中部ソロモン海域鼠輸送①

開幕!ブイン防衛作戦!因縁が戦いの戦火を呼ぶ!

【登場人物】

村雨(デカパイ)
白露姉妹一の超肉体を持つ駆逐艦、ちょっといいトコが見たい?金、金だよ金、マネー

春雨(偽)
地上の娯楽に触れて闇堕ちし春雨に成り代わっている春雨っぽいナニか、オ●ニーは週3回ぐらい(気分による)

深海雨雲姫(薄胸)
なんとなく村雨っぽい深海期待のエース、村雨と違って胸部はペラペラ


今期のシーズンを締める大事な大事なシリーズ、ブイン防衛作戦…

 

スターティングメンバーに白露型キセキの世代一のビッグボディ村雨とキセキの世代の下っぱ春雨擁する輸送部隊によるスタートに始まり、まずは幸先の良いスタートを切った

 

『ナンテ重圧!コノ体格……コレガ同ジ駆逐艦ダッテ言ウノカヨ!』

 

『クソッ!全員!死ヌ気デ止メロォー!』

 

「はぁ?マジでこの村雨に勝てると思ってんのぉ〜?ウケるんですけど〜?」

 

村雨のチェーンで頭から殴られ、一人、また一人と破壊されてゆく光景はまさに惨劇、あの、深海一のタフで粘り強いディフェンスとチェンジオブペースからの速攻に定評のあるツ級ですら村雨を止められずにいたッ!!

 

◆◆◆

 

「フーッ〜…なかなかイイ感じじゃないかね?ん?なぁオイ?」

 

「そうですね、輸送任務は意外とすんなりイケそうな感じですね」

 

新たなタバコに火を点け、五月雨にアツいティーを淹れたまえと命じた俺は、現在までに集められているこの海域の情報の書かれた書類を手にとる…

 

「輸送の次は〜…いよいよ本戦か、相手は?例の潜水艦かね?」

 

「いえ、データにない艦……ですね、深海雨雲姫?新人ですね」

 

深海で雨雲とはこれ如何に…?

 

「どうせモクモクしちょるだけの惨めな敗北者じゃろ、ガハハハハハ!グッドだ!」

 

「はぁ?」

 

この時、俺たちはこの深海雨雲姫を甘くみていた…

まさかこの深海雨雲姫にあれほど手を焼かされる事になるとはと思いもしなかったのです…

 

◆◆◆

 

深海ソロモン艦隊クラ湾主力を率いる深海期待の新人(ルーキー)、深海雨雲姫…ッ!駆逐艦なのに雷撃能力を持たないこの艦は、雷撃能力の代わりにトンデモない力を有していた!

 

『キター!!雨雲姫クンノ高弾道ワンショットー!』

 

『相手ノエースヲ確実ニ潰ス精密射撃!マジパネェ!』

 

今海域、ナンバーワンプレーヤーと名高い村雨をマンツーマンで執拗に狙い仕事をさせない完璧な仕事ぶりをみせる深海雨雲姫、そう……彼女はキセキの世代に対抗する為に雷撃能力を捨て、エース潰しの能力に特化した深海期待の新人(ルーキー)

 

「ガハァ!!」

 

「ムラサメ姉サン!」

 

「クッ………膝を!!あのヤロウ!」

 

「待てムラサメ姉サン!今は一旦退がるんだ!一旦退がって態勢を整える、そうだろ?」

 

「チッ………わーった、ワカったわよ春雨、アンタの言う通り、ちょっとアタマに血が上ってたわ、すぐイラっとくるのが村雨のワルい癖、ってね」

 

深海ソロモン艦隊クラ湾主力との激突、出鼻を挫かれる形となったチーム、村雨はハルサメの肩を借り、ただし!お返しは万倍にして返すぞ!と戦意を更に燃やし、一旦退がる事にした…

 

『オイ!ソコノ白髪ァ!』

 

「…あ゛?」

 

一旦退がるチームに、深海雨雲姫は敵であるハルサメにちょっと待てよテメーと声をかけた

 

『ハルサ……イヤ、駆逐棲姫、ドウヤラマジミテーダナ、オレラヲ裏切ッタッテノハ…』

 

「………チガイマス、私、駆逐棲姫デハアリマセン、駆逐艦春雨デス」ドヤァ!

 

『嘘ツケバーカ!ッタクヨォ…最初ハ嘘カト思ッタゼ、マサカ駆逐棲姫(クッキー)ガ裏切ルナンテ…』

 

「クッキー………?おま、オマエもしかしてアレか?深海中で同じクラスだった!(アー)ちゃん!?そうかー!(アー)ちゃんかー!いやぁ〜…懐かしいなぁ〜」

 

ハルサメは雨雲姫の肩をバシバシ叩き、なんだよ久々じゃねーか!今ナニしてんの?っーかマジ懐けーなオイ!と馴れ馴れしくしていると、雨雲姫から触んな!と手を叩かれた

 

「なんだよ…」

 

『悪イガ今ハ敵同士ダ、全力デ潰サセテ貰ウゼ…!』

 

「やってみろや、後半、万倍にして返してやっから」

 

『………ヤッテミロヤ、カ……駆逐棲姫(クッキー)、ホントニ変ワッタネ』

 

「え?なんだって?」

 

『ナンデモネーヨバーカ!!ソノサイドテール引キ千切ルゾ!』

 

ハルサメこと駆逐棲姫への複雑な心境を隠しきれない雨雲姫はオマエなんか仲間じゃねーよバーカと言って去って行った…

 

「オイ!ハルサメェ!なにやってんだテメー!さっさと行くぞ!また木の棒でファックされてーのか!」

 

「ゲッ!村雨姉サン……ハイハイ、すぐ戻りますよぉ〜」

 

◆◆◆

 

「負けた………だと?」

 

まさかの連敗、エース村雨を完璧に封じられ、第一海域攻略戦に暗雲が立ち込める執務室…

 

「んんんんー、許るさーん!! 私の遊びを邪魔しおって!!」

 

黒檀の執務机に勢い良く両手を叩きつけ、腕を痛めた俺はあまりの痛みに執務室の床を転げ回り、そんな俺の姿を見ていた青髪ロング子は一言“バカじゃないんですか?”と言ったコトに怒りを覚えたが、俺はCOOLなので怒りを鎮め、COOLに椅子に戻った…

 

「しかしかなり厄介な相手みたいですね、どうするんですか?」

 

「…白露と夕立と時雨様を呼べ」

 

「いきなり時雨様出すんですか?」

 

「出すよ、この俺をコケにした事を後悔させてやる、あと、川内も交替だ」

 

「はぁ?誰と…?」

 

「アレだよ、アレ、あの髪の長いの」

 

「あぁ、由良さん………え?由良さんでいいんですか?」





次回は②
ヴォーパルの剣が魔獣を討つかもっぽい


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中部ソロモン海域鼠輸送②

第一海域その2、村雨改二VS深海雨雲姫 頂上決戦!この世で一番つえーヤツ!

【登場人物】

村雨(村雨っぱい)
今海域No.1プレーヤーの前評判、エンジンも超抜

春雨(偽)
たぶん素の性能なら姉妹最強、ナノテク技術の粋を凝らした足

時雨(様)
僕に逆らう者は提督でも●す

白露(長女)
地味に改二になり、地味に先制対潜もできる、地味にかわいいと評判

深海雨雲姫(モクモクしちょる)
なんとなく村雨似の姫級、モクモクしちょる



VS深海ソロモン艦隊クラ湾主力隊、後半戦!主力メンバーを大幅に入れ替え臨む決戦には村雨・春雨だけではなく同じく白露姉妹のエース、ディフェンス不可能の点取り屋の異名を持つ夕立とチームの絶対的司令塔の時雨、余った枠に存在感がパッとしない長女を加え、更に惨劇の王者の異名を持つ長良姉妹一の危険人物、由良を投入した鉄壁の布陣…

 

「よぉーし、全員最低ノルマこなせよー、ノルマこなせなかったヤツは由良蹴るからー、ね?」

 

『『『オォォッース!!っぽいー!』』』

 

常勝軍団、百戦錬磨の白露姉妹キセキの世代と深海ソロモン艦隊クラ湾主力のゲームが幕を開ける…ッ!!

 

◆◆◆

 

午後のアンニュイな執務室…

 

「さて、お手並み拝見といこうじゃないか」

 

「そうですね、あ、コーヒーでも淹れましょうか?」

 

…相変わらずこの青髪ロング子は執拗にコーヒーを勧めてくるが、俺はそれを“誰がテメーの殺人コーヒーなんか飲むかバーカ”と丁重に断り、改めてアツいティーを淹れたまえと注文すると、アツアツのグリーンティーとエンゼ●パイの入った菓子皿を執務机に叩きつけられた

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

若干イラっとした表情で湯呑みと菓子皿を叩きつけた秘書殿だったが、エン●ルパイを1つ食べるとイラっと感もおさまったらしい…

 

「姉さん達にはガンバって欲し………いえ、ガンバりすぎるのもアレですね、うん」

 

「なんだ?オマエも出たかったか?」

 

「…まぁ、出ろと言われたら出ますよ、私は」

 

「ふむ」

 

五月雨はさして興味なさそうにエン●ルパイを食べつつ執務机に置いたテレビを覗きながら俺の横にやって来た

 

「お、なかなかイイ感じじゃないですか?ほら、夕立姉さんのイイの刺さりましたよ、あれは死にましたね」

 

「相変わらず殺意の塊みてーなヤツだな、オイ、オマエのねーちゃんだろ?アレ」

 

「そうですね、あと、提督の部下でもあります」

 

こやつめ、言いおるわい、こやつめ!

 

◆◆◆

 

チームメンバーを入れ替えての最終決戦、由良さんの非情の魚雷からスタートした戦いは序盤から安定したチームの総合力で深海部隊を圧倒し、久々に姿を現した時雨クンではなく時雨様の“僕を見下ろす事は何人たりとも許さない”により深海のチームメイトは次々にアンクルをブレイクされて海面に転んだ…

 

そして、終始安定した蹂躙からのゲームは最終局面、村雨VS雨雲姫、エース同士、マンツーマンでの最後激突という理想的展開へとゲームを持ち込んだッ!

 

「フーッ…ブッ潰したげるわぁ~」

 

『イイトコヲミセルッテ……?ムリシチャッテェ…!!オバカサン!』

 

今海域No.1プレーヤー村雨、待ちに待ったマンツーマンでの戦い!

 

「村雨のヤツ…“ゾーン”に入ってやがるっぽい」

 

「今の村雨姉サンを止められるとしたら、同じ“ゾーン”に入るぐらいしないと…」

 

おそらくは今の村雨は夕立のアジリティをもってして互角、ゼス●ス全開の本気のハルサメのマークすら振り切るだけの可能性を持つだろう、夕立とハルサメはこの激突が正真正銘最後の戦いになる事を予感していた…

 

「ヤっちまうぞオラァ!!」

 

『ヌウッ!!』

 

村雨の駆逐艦離れした超肉体からくるプレッシャーに一歩も退かない!エースキラーの異名を持つ雨雲姫は巧みに村雨の攻撃を捌きつつ強烈なエースキラーを叩き込むタイミングを狙っていた

 

「速い…っ!ナニやってんのかよくワカんねー!」

 

「あの深海棲艦、今の村雨に喰らいつけるだけはあるね…」

 

「え?時雨アレなにやってるかわかるの?」

 

「勿論だ、僕の目から見ても僕達が本気に出すに値する価値のある水準にレヴェルに達していると思うよ」

 

「へー…」

 

謙遜だ………本気を出した時雨なら瞬殺するだろう、そう白露は思ったものの口には出さなかった

 

『深海舐メンジャネーゾォ!!』

 

「クッ…!!このヤロウ…!」

 

入りやがった…ッ!この土壇場でッ!“ゾーン”に…ッ!

青白く輝く雨雲姫のゾーン、村雨VS雨雲姫の対決は熾烈を極めた…ハイスピードな駆け引きの混ぜられた打撃戦、その力はまさに互角………と、思われたが、終わりは突然やって来た

 

「村雨姉サンのスピードが…っ!」

 

「ゾーンの時間切れだね」

 

「やっば村雨じゃダメっぽい」

 

「や、村雨ガンバったじゃん、お姉ちゃんはそこは誉めたげるよ!」

 

ゾーンの切れた村雨は雨雲姫から渾身のマグナムブローをお腹にブチ込まれ、汚い吐瀉物を吐き出して海面に転がった…

 

『ヤッチマウゾオラァ!!』

 

ドゴンッ!!(マグナム腹パン)

 

「オゴォ!!…………ウゲェ」ビチャビチャ…

 

『ッシヤアッ!!』

 

「う…ぅぅ、バ、バカな……この戦い、MVPチケット総取りして豪遊する村雨の夢が……!夢がぁ…!!」ポロポロ…

 

村雨は悔しさに涙を流しつつ、呪いあれ!深海に災いあれ!と呪いの言葉を吐き、雨雲姫に蹴り飛ばされて海面を転がった…

 

「負け犬クンの村雨負けたし、アイツ誰が殺るっぽい?夕立が殺っていい?」

 

「僕は構わないよ、白露姉さんはどうだい?」

 

「え?あ~……アタシは別に、うん、まぁ、誰かに任せるかな?ハルサメ…は?」

 

「私も特には…」

 

負け犬の村雨はさておき、残った姉妹は誰が姫級の首級を挙げるかを話し合っていると、雨雲姫がグルングルンと………そう5回?いや、10回転くらいしながらブッ飛び海面に激しく叩きつけられた後に2~3度ビクンビクンと大きく跳ねて動かなくなった…

 

『 』死ーン

 

「あれ?動かなくなっちゃった」

 

突然の惨劇に戦慄する白露姉妹達の視線の先、そこには………無造作に掴んだ魚雷、よく見ると、なにやら赤い液体が付着しているように見えるその魚雷を海に捨て、もう一方の手でアイスを食べながら白露姉妹に“ラムレーズンが、ストロベリーチップになっちゃった、ね?”と笑顔で言う由良が立っていた…

 

「…やっぱ由良さんヤベーっぽい」

 

「いや、ヤベーっぽいじゃないでヤバイって言うのよ、アレ」

 

由良は海面に転がる村雨のお腹に蹴りを入れ、さっさと起きろと伝え、白露の持っていた現場撮影用のカメラに“提督さ~ん、今から帰るね~、ね?”と笑顔で手を振り、映像はそこで終了した………

 

◆◆◆

 

午後のアンニュイな執務室…

 

「さすがの姉さん達もドン引きでしたね」

 

「あぁ」

 

テレビのスイッチを切り、とりあえずティーをくれないかね?アツいヤツをと青髪ロング秘書に伝え、煙草に火を点ける…

 

「フーッ~………引くわ、なんだよあの白髪、いや、白髪か?なんか前より赤くなってるよな、あのプッツン軽巡」

 

「返り血じゃないですか?」

 

なるほど、卿の意見を是としよう

 



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鹿島先生と香取先生と冬の宿題

イベント中でも提督不在のドエロス先生回

【登場人物】

鹿島先生(この練巡、スケベすぎる…)
ワガママボディのスケベティーチャー、ホ●同人を愛読している

香取先生(メガネティーチャー)
出来ない子にも熱血指導


皆々様にこんにちは、練習巡洋艦鹿島です

年も明け、休暇が終わって学校やお仕事も始まっている方もそうでない方も新しい気分でガンバっていきましょう!

 

…さて、ガンバっていきましょう!と皆々様に言った手前、私もガンバらないと格好がつかないなと早くも後悔していますがガンバります…

 

---

 

そんな私は今、香取姉ぇと一緒に駆逐艦の子達が提出した冬休みの宿題の採点を作業中しています…

 

「え~…っと、1637年江戸時代初期、現在の長崎県島原地方で天草四郎を総大将にして起こった大規模な一揆の名前を答えなさい」

 

朝潮の回答【島原の乱】

満潮の回答【島原の乱?】

 

…うん、まぁコレくらいは簡単ですよね、ってかなんで満潮ちゃんは疑問系?自信なかったかな?

 

文月の回答【魔界転生】

望月の回答【天草降臨】

 

…うん、違う、コレ違うからね?どっちも天草っぽいけど、どっちも違うからね?先生個人的にはサンカクくらいにしてあげてもいいかなぁ~って思うけど、ダメだからね?

 

「はぁ……えっと次は~……1878年、紀尾井坂の変にて暗殺された内務卿大久保利通ですが、この事件を実行したとされている人物は?」

 

海風の回答【島田一郎】

江風の回答【天剣の宗次郎】

 

海風ちゃんは流石ですね、よく勉強してます、これはなかなか難易度高い問題でしたが、江風ちゃは〜……うん、よく読んでるんじゃないかな?週刊少年誌を

 

「え〜…っと、次は〜………アキオくんは42キロ離れた意識高い系のスーパーマーケットに車で買い物に行きました、アキオくんは最近付けたETCを試したくなり、よせばいいのにわざわざ有料道路に乗りました、アキオくんの愛車はL28改3.1L(3134cc)+TD06ツインターボで約600馬力のゴキゲンなマシンで移動速度は時速250キロです、アキオくんは何分後に目的のスーパーに到着したでしょうか」

 

陽炎の回答【ラ イ バ ル 接 近】

不知火の回答【キュイイイーッ!ガフォッ!!ゴォアアアア!ギョアァァァァァ!!き…ッ!きたぁ!ガウォーオッ!あのZの音だーッ!】

 

いい加減にしろッ!前も似たようなバカ回答してたろコイツら!?問題の意味!まず問題の意味を理解しろバカども!先生だって怒るんですよ!

 

「………はぁ」

 

「お疲れ様鹿島、珈琲飲む?」

 

「え?あ、あぁ、うん、お願い」

 

バカどもの回答に頭が痛い私とは違い、香取姉ぇは私の倍以上あったテキストの採点を終えていた、う〜ん、香取姉ぇはこの回答は笑顔でスルーできるのかな?どうしてもいちいちツッコんでしまう…

 

ーーー

 

「………はぁ、やっと終わった」

 

採点作業を終え、香取姉ぇの淹れてくれたお疲れ紅茶を飲みつつ貰い物のクッキーを食べていると、香取姉ぇは私が採点したテキストをパラパラと捲って手を止めた

 

「あら?鹿島、ここ間違ってるわよ?」

 

「え?ホント?どれ?」

 

香取姉ぇが開いたページは漢字の問題、なんかこのパターン前にもあったような…

 

読みを書きなさい 問1 本気!(ほんき) ×

 

「……いや、合ってるよね?」

 

「違います、鹿島……問題はよく読みなさい」

 

香取姉ぇのアナタには失望したわと言いたげなこの目、前に提督に新鮮な卵かけごはんを食べて貰おうとか言って近所の養鶏場に卵を買いに行った際、養鶏場で飼われている鶏を見ていた時と同じ目だ…

 

「まったく……正しくはこうです」

 

読みを書きなさい 問1 本気!(マジ) ◎

 

「なんで…っ!?」

 

「“!”が付いてるでしょう?あと、コレも間違いです」

 

「どれ…?」

 

読みを書きなさい 問4 弱虫(よわむし) ×

 

「正しくはこうです…」

 

読みを書きなさい 問4 弱虫(チンピラ) ◎

 

「だからなんで…っ!?いかない!納得が…っ!」

 

「…はぁ、鹿島、アナタまだ新人気分が抜けないのかしら?」

 

香取姉ぇはダメな妹を見る目をしながら大きくため息を吐いた…いや、やっぱ納得し辛い…

 

「アナタもそろそろしっかりしないとダメよ、姉さん心配でお嫁にいけないわ」

 

「…あ、うん、はい」

 

へぇ〜…香取姉ぇお嫁に行く予定とかあるんだぁ〜、今、初めて聞いたよ、へぇ〜…

 

「って、ハアァ!?香取姉ぇそんな予定あんのぉ!?」

 

「なんですか大声ではしたない」

 

思わずテーブルをダァン!し、ティーカップとソーサーがガッシャンしてしまった、って…そんなコトどうでもいいよ!え?香取姉ぇ…?

 

「け………ケッコンするの?私以外のヤツと…?」

 

「はぁ………なんでアナタとケッコンしなきゃいけないの、鹿島、少し落ち着きなさい、深呼吸」

 

「あ、うん、そ、そうね……スーハースーハー……ふぅ、落ち着いた」

 

新年から思わぬ衝撃に吐きそうに……じゃなかった、混乱してしまいました、え?でも香取姉ぇの相手って…?え?アレ、あのメガネ…?いや、いやいやいや、うん、まぁ香取姉ぇには悪いけどさすがに趣味悪いと言うか、メガネだし、足臭そうだし、一応上司だけど、足臭そうだし…あ、それにホ●疑惑とロ●コン疑惑もあるし、足臭そうだし…できれば考え直して貰いたいかなって…

 

「あ、あの…香取姉ぇ」

 

「そうそう!鹿島、今度提督と買い物がてら映画でも見ようと話をしててね」

 

「へ、へぇ〜……ナニ見るの?BR●LY?」

 

「ボヘミアン・ラ●ソディとク●ードのどっちがいいかしら?」

 

「あれ…?意外とマトモ……?え?」

 

「鹿島、アナタ姉さんをなんだと思っているのかしら?」ギロッ

 

「ご…ご、ゴメン、か、香取姉ぇ…じょ、冗談!冗談だよ、えへ、えへへへ…」ガタガタ



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六〇三作戦

第二海域戦、読んでも海域攻略の参考率0%!クソの役にも立たないイベント編

【登場人物】

南方棲姫(帰って来た)
約5年振りとなる電撃復帰

戦艦棲姫(いつもいる)
深海屈指のハードパンチャー、情にアツい

重巡棲姫(出オチ)
ヴォアー


第一海域を制し続く第二海域、ラバウル/中部ソロモン海域での戦い…

 

『バ…バカナ!深海雨雲姫ガ!次!重巡棲姫デロ!』

 

『前半ボス重巡棲姫、行キマス!グオゴゴゴ…………ヴェアー!』

 

いつもの重巡棲姫(出オチ)を何事もなく始末し、この海域の真のBOSSを倒すべく荒くれ者達が集まる海を行くチームの仲間達…

 

「チクショウ!なんて空襲だ!」

 

「痛てぇ!!なんだこのキモい鳥!噛むぞ!めっちゃ噛むぞ!」

 

「なんとかならねぇのかチクショウ!」

 

「あったよ!涼月と10cm高角砲+高射装置が!」

 

「でかした!」

 

途中、ハゲしい航空攻撃や戦艦レ級、タフなディフェンスに定評のある戦艦棲姫などの戦い!笑いあり、涙ありの大冒険を経てチームは海域最奥へとやって来た!

 

◆◆◆

 

『イラッシャ〜イ、カンゲイスルワァ〜』

 

南方棲鬼、約五年振りとなる一軍復帰のこの戦い、致命的な怪我で五年もの間シーズンを棒に振り、この長い間、深海病院での深海リハビリを経てファームで己を鍛え直していた…

怪我で苦しむこの五年の間に、深海には新しい戦力が次々と現れ華々しくデビューしていく姿を横目で見ながらトレーニングをする日々………自分にもかつてはあんなキラキラした時代があった、まだ新人だった南方棲鬼のデビューは2013年夏、当時驚異の二段階変身を持つ深海期待のゴールデンルーキーともてはやされ、華々しくデビューしたものだ…

 

だが、彼女の栄光はその夏だけだった…ッ!!

 

その年を最後に彼女は表舞台から姿を消す事になった、その年秋、南方棲戦姫として登板した際、無茶なフォームが災いし肩を壊した…

 

そして、2015年秋…

 

『……南方ォ、オマエソノ荷物』

 

『ナンダヨ?ドケヨ、戦艦棲姫(ダイソン)

 

あの夏以降、何度か南方海域を舞台とした戦いがあったが自分に声をかけられる事はなかった…

南方棲姫はもう自分が登板する機会はきっとないだろうと感じ深海を退団する決意を固めていた

 

『チョ!待テヨ!オマ、オマエ!チョ!待テヨ!南方ォ!辞メルンカオマエ!?』

 

『ッセェーナ、モォイイダロ』

 

実家の両親からは実家に戻って家業の深海魚養殖をしてはどうかと何度も誘われたが、その度に南方はまだ現役でいたいと強い意志を伝え、今まで現役生活を続けていた………が、それももう限界にきていた

 

出撃チーム発表の度に呼ばれない名前、南方棲姫はもう限界だと悟り、退団を決めた

 

『ナニガ南方棲姫ダヨ、南方海域デ出ナイトカモォ南方イラネーダロ?全部ツ級デイイダロ?』

 

『チョ、待テヨ南方ォ!考エナオセ!ナ?考エナオセッテ、ナ?マダ南方ハ現役デ行ケルカラ!』

 

『オマエニハワカンネーヨ!戦艦棲姫(ダイソン)!』

 

戦艦棲姫、同年にデビューしたもののシーズン的に後輩にあたる彼女は南方棲姫と違い、以降も様々な戦いにてレギュラーを勝ち取り、今や一軍定着となっている深海棲艦界の生きるレジェンド…

そんな彼女がデビューしたのは2013年秋、約5年前だったが、その時、同作戦海域で一緒に出ていたのが南方だった、当時、デビューしたてだった戦艦棲姫と飛行場姫はこのちょっとだけ先輩の南方を強く慕っており、深海ケーブルテレビのインタビューで“今、自分達がプレーできるのは南方さんがあったからですね”と答えるほどだ…

 

『辞メナイデクレヨォ……南方ォ…』

 

『…モォイイダロ、モォ私ニ声ハカカラナイカラサ、デモナ……戦艦棲姫(ダイソン)、オマエラノ活躍、現役ハ退イテモ遠クカラ見守ッテルカラ!ナ?』

 

『南方ォ…』ポロポロ…

 

『ナ?泣クナッテ、ナ?ヨシ、ゴハン食ベニ行コ?オマエ稼イデンダロ?奢ッテクレヨッテナ、アハハハ』

 

『違ゲーェヨ南方ォ!声ガカカルトカカカラナイトカジャネーヨ!オマエハ現役デイタイノカ!イタクナイノカダロ?ドウナンダヨ!オマエ自身ハマダプレーシタインダロ!?ナァ!!』

 

『………テェヨ』

 

『ア?』

 

『プレー………シテェヨ』ポロポロ…

 

『南方ォ…』ポロポロ…

 

そうだ、自分はまだやれる!現役でプレーできる!チャンスさえあれば自分はまだやれるんだ!自分にしかない姫→戦鬼→戦姫の驚異の変身能力は未だ深海に並ぶ者はいない個性!

 

『ヤレルヨ!!南方ナラヤレルヨ!マタ一緒ニプレーシヨウ!私待ッテルカラ!』ポロポロ…

 

『アァ!アァ…!!私ハ絶対マタ一軍ニ復帰シテミセル!絶対ダ!』ポロポロ…

 

南方と戦艦棲姫はアツく抱き合い再び二人は同じステージに立つんだと誓い合った……

 

そしてその約束から約3年弱………遂にそのチャンスは訪れた!!

 

◆◆◆

 

そして2018冬…ッ!!

 

「まったく、胸がアツいなーッッッ!!」

 

『ウワーッ!動ケナイーッ!ウギャアーッ!!』

 

グシャァッ!!!

 

完璧なる殺人必殺技(フェイバリット)、アルティメットナガトバスターで海面に勢い良く叩きつけられ南方棲姫はオモシロオブジェみたいな形になって沈んだ…

 

「む?オイ、まさかもう死んだのか?まだ陸奥と私のツープラトンがあるのだが…」

 

「いや、どう見ても即死でしょ?長門、アナタ手加減とか知ってる?」

 

「手加減…?手加減とはなんだ?」

 

陸奥は実の姉が脳筋な事を思い出した……ツ級渾身の主砲を真正面から受けても“なんなんだぁ?今のはぁ…?”とデスクローするアルティメットマッスルだったわ、この姉と…

 

「まぁいい、どうだー?ちゃんとこの長門の活躍はバッチリ撮ったかー?」

 

長門はカメラ係の阿武隈にブンブン手を振り、カッコいい感じのポーズはやはり必要かとアツく詰め寄り、妹から膝の皿を叩き割られてお皿がー!お皿がー!と海面を転げ回った…

 

「…はぁ、さて終わったし帰りましょ?」





次回は最終海域、煌めきの流血列車と全てを切り裂く聖剣


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南海第四守備隊輸送作戦

イベント海域攻略戦最終回、戦慄のネルソンタッチと聖剣を持つ駆逐艦!

【登場人物】

深海日棲姫(骨)
カルシウムが足りてないらしく、見た目に反して口が悪い

Nelson(貴族)
長門・陸奥に並ぶらしい海の強者、偉そう

磯風(ドヤァ!)
美食死天王の一人、みんなで料理していると浜風からはカレーの火を見守る係にされるのが面白くない


海域最終決戦!深海期待の超新星、深海日棲姫率いる深海ブイン攻略部隊旗艦艦隊VS先日、海軍に新たに加わった最大戦力、英国から来た誇りと目線高き高潔なる貴族!ネルソン率いる海域攻略部隊…

 

「さて…見せて貰おうか、英国式必殺技(ロイヤルフェイバリット)の至宝、ネルソン・タッチの性能とやらを」

 

俺は五月雨の淹れた茶を一息に飲み干したものの、あまりのアツさにうっぎゃあー!と叫びつつ椅子から転げ落ちてのたうち回った…

その間、五月雨は“なにやってるんだコイツ、イカレているのか?”みたいな目をしていたがすぐに興味を失ったらしく執務机のTVに視線を移した…

 

「皆なかなか調子良さそうですね、動きに硬さはないっぽいです」

 

「何がないっぽいですねだ、夕立かテメーは」

 

「夕立姉さんではありません、五月雨です」

 

五月雨は一瞬イラっとした顔をしていたがすぐにニュートラルに戻り、お菓子でもどうですかとチ●コパイの入った菓子皿を勧めてきた…

 

「貰おう」

 

さて、では改めて責任あるチームの指揮官としてチームの活躍でも見守るとしようか…

 

◆◆◆

 

『ウッギャアー!!』

 

『ヌ級ーッ!!チクショウ…!』

 

『全員頭部ヲ守レ!ヤツラハ上カラクルゾォー!』

 

開幕基地航空隊によるゴキゲンな轢き逃げアタックで一定数の露払いの後、連合艦隊本隊との決戦…!今回、連合艦隊を率いるのは長門、陸奥に並ぶと噂されている海の強者“ビッグセブン”ネルソン…ッッ!

 

『アレガびっぐせぶん…ッ!』

 

『ナンテおーらダ、ビリビリキヤガル…ッ!』

 

『クッ…!心ガ弱イ者ハ下ガレ!“覇王色”ダ!』

 

長門型とは違う、初めて対峙するネルソン級戦艦………ネルソンは貴族特有の優雅な手付きで手を振り、一閃の砲火を放った

 

『クルゾ!ねるそん・たっちダーッ!』

 

『全員死ヌ気デ避ケロォォォォォ!! 』

 

ネルソン最大の奥義“ネルソン・タッチ”の噂は深海にも届いている…

深海棲艦達は日々情報収集を欠かさない、そして、毎月の深海定例会議でこうした情報を分析、対策を講じる事で常に時代の先端を行く努力をしているのだ…

 

そして、一見完璧な技に見えるネルソン・タッチにも欠点はある、深海の仲間達は深海日棲姫の指示の下、完璧フォーメーションでこれを回避した……ッ!

 

『ドウダコラァ!』

 

『ナニガねるそん・たっちダ!ビビラセヤガッテ!』

 

『ハンチクジャスマサネーゾ!』

 

英国式必殺技(ロイヤルフェイバリット)ネルソン・タッチを鮮やかに回避しイキリ立つ深海艦隊…

 

しかし………

 

至高の必殺技(ロイヤルフェイバリット)を破られたハズのネルソンは落胆するどころか、不敵に、そして優雅に嗤った…

 

「今のはNelson Touchではない、Touchだ…」

 

『ナン……ダト?』

 

『ね……ねるそん・たっちジャナイノカ…?』

 

あの破壊力で奥義(フィニッシャー)ではない…?その一言が深海艦隊を戦慄させた

 

「ナガトやムツ、同じBig Sevenと言えど艤装とは使う者によってその威力は大きく異なる、つまり余の主砲はナガトやムツよりも威力が大きいと言うコトだ」

 

ネルソンは貴族特有の大胆かつ優雅な身振り手振りでその艤装を変形させる…ッッ!!

 

「そして………これが余の完全突撃形態(パーフェクト・アタックフォーム)だ」

 

ネルソン完全突撃形態(パーフェクト・アタックフォーム)、その…想像を絶する威力と優雅な姿から英国ではこう呼ぶ…

 

Nelson Touchと………ッ!!!

 

『コ、コレガ真ノねるそん・たっ…ッ!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァ!!』

 

『ハハッ、間ニ合ウモノカ…』

 

『ウッギャアー!深海日棲姫クーン!』

 

英国式必殺技(ロイヤルフェイバリット)ネルソン・タッチ、その破壊力の前に深海のチームは致命的なダメージを受け、何人もの仲間達がネルソン・タッチの破壊力できりもみ回転しながら宙を舞って海面に激しく叩きつけられた…ッ!!

 

◆◆◆

 

「なるほど、これがネルソン・タッチと言うものか」

 

まるでスーパーロボットのような少年達をワクワクさせてくれるカットインで魅せてくれやがる…

大戦艦ネルソン、ただのメンドくさいタイプの大貴族ではないらしい

 

「色々と制限はあるみたいですが、かなり強力ですね」

 

「うむ」

 

五月雨も初めて見るネルソン・タッチにはさすがに驚いたらしく一瞬目を丸くしていたがすぐに興味を失ったのか、いつもの死んだ魚みたいな目に戻ってチ●コパイの袋を開けていた

 

「ネルソン・タッチか………サミダリューン、卿ならどう攻略する?」

 

「そうですね…まぁ、まずは撃たせない形にしたいですね」

 

完璧なる奥義(フィニッシャー)にも欠点はある、たしかに、ネルソン・タッチにはそれを使用する為の陣形(フォーメーション)があり、それさえ崩せばあの技は使えない…

 

「では陣形が崩せなかった場合はどうするかね?」

 

「諦めますね」

 

「…ハッキリ言う、気に入らんな」

 

こやつめ、何が諦めますねだ、シレっとした顔をしているがこやつの頭は今フル回転だろう…

 

「あ、そろそろ夜戦みたいですよ、夜戦」

 

◆◆◆

 

『オロカナヤツラ…ダッ…!オマエタチノタタカヒ…ハ…ココデオシマイダァ!!』

 

ネルソン・タッチの脅威を潜り抜け、戦いは最終局面、チームは壊滅状態、自身も膝にダメージを受けている深海日棲姫はそれでもチームの為に倒れるワケにはいかない、そう、ここまで自分と共に過酷なトレーニングに耐え、満を持しての出陣に付いて来てくれた仲間達を、顔がデカくておしゃべりなヌ級、気難し屋だが誰よりもチームの仲間を信頼しているナ級、手はデカくてぶきっちょなツ級……どいつもこいつも最高のチームメイト達だ…

 

「フッ…ここでお終いだと?この磯風、実力もないくせにデカい口を叩く奴が大嫌いでな」

 

『ナンダァ…?テメェ…?』

 

「フッ、誰だと…?フッ、私は陽炎型12番艦 磯風、かつて数々の深海棲艦を半殺しにした艦だ!」ドヤァ!

 

そう言って磯風は右手をブンブン振って深海日棲姫に手刀を叩きつけた

 

『痛ァイ!!』

 

「痛いか…?フッ、それもそうだろう、何故ならこの磯風の右腕の手刀は………聖剣(エ●スカリバー)と呼ばれているからな!」ドヤァ!

 

『クッ……コノヤロウ!』

 

“全身凶器”磯風…ッ!駆逐艦の中でも一際眩い輝きを放つスター集団、陽炎姉妹の中でも更に強い輝きを持つ武勲オブ武勲艦、好戦的かつ高圧的な態度と強さこそが正義の信念の下、提督が邪悪な存在と知りつつも地上の平和は力によってもたらされるとの考えから提督に仕えている……らしい

 

『ジャ……邪悪ナ存在ダト知リツツダト…?バ、馬鹿ナ、艦娘ハ地上ノ愛ト正義ノ為ニ戦ウ戦士デハナカッタノカ!』

 

「フッ、力こそ正義、たとえ提督が邪悪な存在だろうがこの磯風のカレーを食べてくれる以上は提督こそ正義よ!」ドヤァ!

 

『ク……ナンテヤツ…!』

 

「そぉら!この磯風の聖剣の餌食となれェー!!」

 

全身凶器磯風の聖剣ラッシュの前に、耐久888を誇る装甲がまるでバターのように切断される中、深海日棲姫は一瞬の隙を突き、磯風の右腕を蹴り足挟み殺しで破壊した

 

『キャオラッ!!』

 

「うっ!こ…この磯風の聖剣を……っ!だが、この磯風には左腕と両足がある!貴様に勝ち目などないわー!!」

 

『ソレハドウカナ…?』ユラァ〜

 

「な……なんだ?この死に損ないから感じる強大な小●宙(コ●モ)は?こ…コイツ、コイツにはこの磯風が知らない何かがあるとでも言うのか!」

 

『ウオオオオォォォォォ!!燃エ上ガレ奇跡ノ深海パワー!仲間達ヨ!モウ一度コノ深海日棲姫ニ奇跡ヲーッ!!』

 

極限まで生命を燃やした深海日棲姫-壊-最後の一撃!!

 

その一撃を、磯風は何事もなく回避し、深海日棲姫のお腹にキックをブチ込み上空に蹴り上げ、磯風も上空に飛び、空中で深海日棲姫の両足を両脇に抱えつつ両手で腕をつかみ、両足で深海日棲姫の肩を挟みリバースの逆エビ固めの体勢に固めた

 

『ウゲェア!!』

 

「見ているか!浜風!浦風!谷風!あの日、お前達に見せてやれなかったこの技を!とうとう万人に見せてやる時がやってきたーッ!!」ドヤァ!

 

そしてそのまま急降下!!散っていった第十七駆逐隊の想いを乗せ(磯風曰く)美食の申し子磯風の奥義が深海日棲姫に炸裂した!

 

「死ねッッッ!!エクスゥゥゥゥゥ!キャァァァリィィバァァァァァ!!」

 

『ウッギャアアアアアア!!』

 

胸から激しく海面に叩きつけられ、深海日棲姫は盛大に吐血して海上に転がった…

 

『ヤ……ヤラレチャッタァ……マタ、シズムノカ……モウスコシデ トドクノニ………ゴバァ!!』

 

「フッ…」ドヤァ!

 

『グフッ……』

 

こうして深海日棲姫はブクブクと気泡を残して沈み、深海艦隊VS連合艦隊の死闘に終止符が打たれたッッッ!!





次回はたぶん通常回、鈴谷が吐く


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提督と鈴谷と青春の問

自称メインヒロイン大暴れ

【登場人物】

提督(クズの人)
たいたいクズの丙提督、勲章が欲しくないのかだと?君、上層部に伝えてくれないかね、クソ食らえってな!

鈴谷(自称メインヒロイン様)
言動がちょいちょいゲスい航巡、たまに軽母
ポーラと違う意味で、脱いだり吐いたりしてる


男はときに、一人フラリと買い物に行きたい日もある…

 

日々の様々な煩わしさから解放され、好きな物を好きな時間に好きなだけ食べ、特に興味がないものに溢れかえる街を意味もなく散策する、ゴキゲンな休暇だ………

あ?なんだって?オマエ、そこのオマエ!今俺のコトを宇宙的にサミシーヤツって言ったろ?言ったよな?はいキレた、オモテでろ、タイマンだよ!誰がマンモスサミシーヤツだって?ア゛ァ?たしかに聞いたぞコラァ!

 

ーーー

 

…楽しいお買い物を終え、我が基地へと戻って来た俺はとりあえず自販機コーナーで缶コーヒーでも買うかと自販機コーナーへと向かっていると、運悪く鈴谷に遭遇した

 

「お、提督じゃん、ナニやってんのー?ってかナニその服?私服?マジウケるんですけど、どこでそのダッサダサの服とか売って…んギャァ!!」

 

ギリギリギリギリギリ!!(顔面クロー)

 

「今こそ汝が右手にその呪わしき命運尽き果てるまで高き銀河より降りたもう蛇遣い座を宿すものなり…」

 

「やめて!本気の詠唱やめて!マジやめて!ってか痛い痛い痛い痛い痛い!割れる割れる割れる割れるぅぅぅぅ!!」

 

いきなりヒトをディスっといてナニ言ってんだコイツは?鈴谷のヤツは俺の右腕を掴んでバタバタもがき蛇の顎から脱出を試みた結果、俺の股間にキックが入りつい力を緩めてしまった

 

「ハー……ハー……痛い!!いきなりナニすんだテメェーッ!」

 

「いきなりナニじゃねーよ、まぁいい、今日の俺は機嫌が良いからこれぐらいでカンベンしてやる、消えろ」

 

「ハァ?この鈴谷様のキレーな顔をランボーに掴んどいてそれですか?ハナシにならねーな!誠意!誠意みせろよ!誠意!」

 

「性器…?」

 

とりあえず俺はジッパーを下ろし…

 

「誠意!なんで提督のチ●コとか見せろとか言うの!?鈴谷変なヤツじゃん!」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

「全然小粋じゃねーし、っーかジッパーあげろし」

 

俺はジッパーを上げ、とりあえず油断してる鈴谷のお腹にパンチを入れた

 

「オゴォ!!う、ウゲェェェ……」ビチャビチャ…

 

「うわ、汚っ…」

 

「な、なんで今、鈴谷のお腹殴ったの…?今、その流れだった…?」

 

「俺はな、お前の苦しみ歪む顔が好きなのだよ」

 

「とんだドS発言だよ!!とんでもないドS上司だよ!」

 

とりあえずお腹パンチのダメージから復活した鈴谷はキィーキィーと文句を言っているが、俺の射程にはギリギリ入らないポジションを維持している、大したヤツだ

 

「………む、テイトク、その袋ナニ?」

 

「あ?」

 

コイツめ、目ざといな……俺がお買い物してきた袋を目ざとく見つけた鈴谷はフンフンと鼻で匂いを嗅いだ

 

「…この匂い、アマイモンですね?」

 

「如何にも、甘いモンですが?」

 

「へぇ、ナニ?秘書子さんにお土産かなんかですかぁ?」

 

「お土産ですが?」

 

「マジか!!マジか提督…ッ!マジか!」

 

鈴谷は俺の襟を掴んでガクガクと揺らしながらマジかよオマエ!ウッソだろオマエ!と勢い良くまくし立ててきたのでとりあえず股間を蹴り上げた

 

「ンギィィィ!!」

 

「うるせーよ、あと顔が近い、顔が」

 

「ちょ……股間はマジやめて、股間は…ホントアレだから」

 

「ナニ言ってんだオマエは?チ●ポついてんのか?」

 

「ついてねーし!」

 

「ホントかぁ?よし、なら下全部脱いでみろよ、壁に両手をついてこっちにケツ向けろ」

 

「へ、ヘンタイ!!ヘンタイか…ッ!!」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

「だから小粋でもナンでもねーし、ただのセクハラじゃん………ハッ!?もしかしてコレセクハラ相談ダイヤルに電話したら鈴谷勝ち確じゃね!?」

 

「んなワケねーだろ、ビッチがとか言われてガチャ切りだよ、ガチャ切り」

 

そもそもセクハラ以前にコイツが醸し出すビッチ臭の方がよっぽどセクハラなのだよ、前世はサキュバスじゃねーのかコイツ、いや、むしろ今もサキュバスか………もし俺のように強靭な耐魔力のない男児ならコイツからエナジーをドレインされてシオシオの変死体にされるだろう

 

「…ちなみに、そっちの袋は?」

 

「あ?」

 

「匂い的にはお菓子じゃなさそうだけど…」

 

ナニが匂い的にはだ、コイツやっぱサキュバスかなんかだろ?ザー●ンの匂いとか嗅ぎ取る感じのアレだろ…

まぁ、別に見られて困るモンでもないし、むしろ後でコイツに自慢してやろーと思ってたぐらいだし、俺は袋の中のブツを取り出して見せた

 

「オォ!!それアレじゃん!アレ!鈴谷超欲しいヤツ!」

 

「そう、オマエが欲しがって欲しがって欲しがっていたアレ、NE●GE● miniだ」

 

「マジか!提督!マジか!!」

 

NE●GE● mini、懐かしのMVS筐体風のデザインのコンパクトなそれには、かつてNE●GE●ブランドで一世を風靡した懐かしのタイトルがなんと40種類も入っているNE●GE●スキーにはたまらないアイテム!!

 

「ヤりたい!ヤりたいヤりたい!!ね?提督!鈴谷もそれヤりたい!ね?しよ!今すぐしよ!ね?ね?」

 

「バカ!オマエ、まとわりつくな鬱陶しい!」

 

「えー!いいじゃーん!ヤろーよ!あっちのテレビある部屋空いてたしさぁー!今なら訓練とか遠征とか誰も来ないしさぁー!ねぇー!シよーよぉー!」

 

「えぇい!離せ!離さんか下郎め!」

 

鈴谷のヤツは人にまとわりついてグイグイ腕を引っ張る、なんだコイツ?誘ってんのか?まったく、とんだビッチだなオイ

 

「お願いします!鈴谷にもヤらせてください!」

 

「よしわかった、じゃ、とりあえず服全部脱いで土下座な、あぁ…制服のリボンとニーソは片方残せよ」

 

「ヘンタイ!!ナニそのこだわり!マジキモい!!」

 

「キモくない提督だ、で?やるのかやらねーのか?3秒で決めろ、はい、さーん…」

 

「………っ!!しゃあっ!!」バサァ!!

 

鈴谷は勢い良く上着を脱ぎ捨てシャツのボタンに手をかけた、コイツ………マジか?まさか航巡のボウヤにここまでの覚悟があるとはッ!!

 

現役援巡鈴谷、大したヤツだ…その気高い“覚悟”しかと見せて貰った、俺はすでにパンツに手をかけていた鈴谷にもう十分だと言って止めてやった

 

「ここじゃなんだ、あっちの部屋でヤろうぜ」

 

「あざーっス!!提督!あざーっス!!」

 

ーーー

 

…談話室へとやって来た俺と鈴谷は、早速そのキラキラ光る宝箱のようなそれを取り出して机の上に置いた

 

「おー!」

 

「まるでMVSだな」

 

「…なるほど、あ、テイトク!コレ、どうやってヤるの?」

 

「知らん、このレバーとボタンでやるんじゃないのか?」

 

「へぇ〜………ってかコレ、対戦できなくね?」

 

「たしかに」

 

たしかに、コレでは対戦できないなと考えていると、取説を読んでいた鈴谷が驚愕の事実を発見した

 

「提督!コレ!コントローラー別売りだって!」

 

「マジか!チクショウ……このゲームを楽しくプレイする為にはコントローラーが必要なのか!」

 

なんと言うコトだ……なんか小さいなと思っていたが、なるほど、とりあえず、俺と鈴谷は互いに頷き合い、コントローラーを購入する為に街へと走った!

 

ーーー

 

「まさかコントローラーが必要だったとはねー」

 

「まったくなのだよ」

 

再び街へ行き、無事、NE●GE● miniパッドを購入した俺達は談話室へと戻り早速ゲームをプレイしようと…

 

「そういやコレ、どうやってTVと接続するんだ?オイ、なんか別の線ないか?」

 

「んー?ないけど…」

 

ば…バカな、まさかこの小さな画面でヤるのか!?と考えていると、取説を読んでいた鈴谷が驚愕の事実を発見した!

 

「提督!このゲームTVに繋げるにはHDMIケーブルが必要なんだって!」

 

「でかした!」

 

このゲームをTVで楽しくプレイするにはHDMIケーブルが必要なのか…

俺達は再び頷き合い、街へと走った…

 

…何故俺達はこれほどまで必死になれるのだろう

 

たかがレトロなゲームがしたい、ただそれだけの理由で…

 

ただ、そんなレトロなゲームには懐かしい青春が詰まっているからさ!




次回はイベント海域終了恒例のお給料の時間、そして、宴だー!


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続続続続続続続・提督と作戦終了と…

作戦終了後のお給料回、地味に去年終わってた…

【登場人物】

提督(安心の丙提督)
勲章よりも安心の新艦最優先プラン

夕雲(安心の長女)
夕雲姉妹の長女であり、プロアシスタント集団、秋雲組の点描トーン担当


「えー…今回も皆さんのおかげで当基地では無事作戦を完了しました、これもひとえに皆さんの日頃の努力、辛い時も頑張った練習の成果だと思います、えー…今年もあと僅かになりましたが、スッキリした気分で皆さんも新年を迎えられるコトと…」

 

作戦終了後恒例の全艦集会、まずは提督からのありがたい話で膝にダメージを与える事を忘れない俺は、たっぷり30分かけて提督談話を行い、最後は父ジ●ンのもとに召されるでしょうと話を締めた…

 

「さて、ではここからはお待ちかねのお給料の時間だ」

 

運ばれてくるジュラルミンケース…ッ!その中にギッシリと詰まった欲望の王…ッ!金ッ!!

 

「さて、今回のMVPチケットランキングだが今回の1位は新人王と猛打賞も獲得する快挙を見せてくれた大型新人、ネルソンく~ん、はいみんな拍手ぅ~」

 

パチ……パチ………(拍手)

 

いつものまばらな拍手の中、それでも拍手には変わりないので気を良くしたのか、大戦艦ネルソンは貴族特有の優雅さと大胆さを兼ね備えた力強い歩で壇上へと上がって来た…

 

「よくやった!感動した!」

 

「フッ、このNelsonにとっては当然のコト……そして、それは余には不要のモノだ」

 

「なん………だと?」

 

拒否…っ!!まさかの受け取り拒否…っ!!給料の全額を受け取り拒否したヤツなど今まで存在したであろうか…?このキンパツボイン、一体ナニを考えているのか…ッ!

 

「フッ、Admiral…その金でここに集まる各々方に酒と料理を振る舞うがいい、何故ならばこの戦、このNelson1人ではなく各々方あっての勝利であると!」

 

ネルソンは貴族特有のオーバーな身振り手振りで皆の者!よくぞ余を信じ、最後まで戦ってくれたー!と拳をあげると、駆逐艦のアホガキどもを中心に怒濤のネルソンコールが始まった!

 

『な、なんて器のデカさじゃあ…』

 

『まったく……どうやら認めるしかないようだな、新しい仲間を!』

 

『ウオオオォォォ!ネルソーンッ!!』

 

『『ネルソン!ネルソン!ネルソン!ネルソン!』』

 

「フッ…」

 

投網一投!掴んだ!人気と言う名の魚群…っ!怒濤のネルソンコールに気を良くしたのか、ネルソンは再び腕をあげて壇上から降りて行き、下にいたアホガキどもからネルソンワッショイネルソンワッショイと囲まれた

 

大戦艦ネルソン、なんてヤツだ……仁・智・勇を兼ね備えたまっこと大したヤツよ、どうやら次期提督候補は見直さねばならんらしいな…

 

「…さて、ではMVPチケットランキング2位は同数で2人、1人は磯風と、もう1人はこちらも新人、GOLANくん」

 

最終戦、それまでやる気と動きが噛み合わないでいたが最終戦にてようやく噛み合ったらしく、雪風クンの殺人ストレートの出番はないぜーッ!と言うかの如く聖剣を炸裂させた全身凶器の磯風

 

そして、秋月姉妹に比べて地味な活躍ではあるがシェアで安定した高さでのディフェンスを見せてくれた新人、神の国(ゴッドランド)………いや?ゴトラタンだったか?まぁいいや…

 

「よくやった!感動した!」

 

「フッ、誉めるなよ、兵が見ている」

 

「これでみんなで美味しいものでも食べなさい」

 

とりあえずの磯風のアホンダラに札束を渡してやると、磯風はそれをポッケにしまい、これで新しい包丁でも買うかと言っていた…

 

「よくやった!感動した!」

 

「………ありがとうございます」

 

そして、GOLANくんは初めてのお給料が現ナマ手渡し会場な事にドン引きしていたようだが、ブ厚い札束を手渡してやると上着の中に大事そうにしまいしまいして微妙に引きつった笑みを浮かべた

 

「はい、じゃ、ドンドン行くぞぉ~、ドンドン!次、由…」

 

ーーー

 

「最下位、不知火」

 

「不知火の落ち度……」

 

最下位の給料300円を渡し、ガックリと肩を落とす不知火を見送りお給料の時間は終了し、とりあえず作戦は無事終了の宣言と、作戦終了後恒例の酒!美食!女!が揃った立食パーリーが始まった…

 

「ヒャッハー!水だぁー!」

 

「ビーフ!なんだコレ!オージィービーフってヤツか!?」

 

「オイ誰だ今アタシのケツ触ったの!オマエか!」

 

「あ?クセーよ、デブ」

 

相変わらずクズどもの罵声がよく響くパーリーの会場なのだよ、コイツらガクシュー能力とかないのだろうか?

俺は会場の隅っこでとりあえずナマを飲みつつ、そう言えば小腹がペコちゃんだなと気付いた…

 

「よし……行くか」

 

今日の気分は魚、うん、魚ってところだな、とりあえず料理が並ぶテーブルへとやって来た俺は魚的なものが無いか物色する………う~ん、焼き魚はちょっと違うか?お腹は空いているのに何かちょっと待ったがかかってる気がする、まるでそう…喉に小骨が引っかかったような気分だ

 

「ちょっとそこ、邪魔ですわ」

 

「お前は………ト●コ?」

 

「熊野ですわ」

 

自称神戸生まれのオシャレな重巡熊野、見ての通り頭の悪いヤツだ…

 

「テーブルの前で孤独に選んでるんじゃありませんわよ」

 

「孤独じゃない、提督だ」

 

そんな小粋な切り返しをしていると、ふと、熊野の持っている皿に載っていたアジフライが目に付いた

なるほど!アジフライか……アジフライと言えばオカズの定番、食べ盛りのワンパクな子供も毎日食べても飽きがこないオカズオブオカズ、おそらくアジフライをオカズにした事がない青年は居ないだろう…

 

「熊野、そのアジフライどこにあった?」

 

「あっちのテーブルにありましたわよ、ただ…」

 

「ただ?」

 

「キヨシだかアサシだかが勢い良くバリバリ食べてましたわよ、うぉーん、アタイは超人圧搾機だーとかなんとか言って」

 

「ナニがうぉーんなのだよ」

 

クッ…!さすがはアジフライ、間宮・ザ・スペシャルの一つに数えられるだけはある人気メニュー、朝、アジフライがあるかないかで殴り合いに起きたり起きなかったりするらしい

 

「だがこうしちゃいられねぇ!早く行かないとアサシのヤツに噛み砕かれちまうぜーッ!」

 

俺は熊野に礼を言ってから目突きしてあっちのテーブルへ走った、俺の後方から目がぁー!目がぁー!と苦しむ声が聞こえた気がしたがたぶん気のせいだろう…

 

そして、アジフライのあるであろうテーブルへ行くと…

 

「あら提督?アジフライはいかがですか?」

 

「お前は………夕雲ェ」

 

スーパーエリート駆逐艦と名高い夕雲姉妹、その頂点に君臨する長女、夕雲が立っており、その足元には自称超人圧搾機朝霜が転がっていた…

 

「夕雲クン、それ……どうしたのかね?」

 

「それ?アジフライですか?」

 

「いや、その足元…」

 

「あぁコレ……」

 

アサシを蹴るあの夕雲の目、なんて冷たい目、まるで養豚場の豚を見るかのような冷たい目だ!カワイソーだけど明日の朝には学校中の全男子の肉●器になるのねって感じの!

 

「巻雲さんからアジフライを独り占めしてるおバカな妹がいると聞いて……」

 

長女夕雲、普段はおっとりしているが、あのキヨシがその名前を聞いただけで震え上がり絶望と恐怖で涙を流すほどのデンジャラス長女と聞くが…

 

「まったく……いけないですよねぇ、姉の事を悪く言うのは?」

 

「そうだな」

 

さすがはスーパーエリート駆逐艦と名高い夕雲姉妹の頂点に君臨するだけはある、大したヤツだ…

 

ーーー

 

キャッキャとハシャぐバカどもから逃げるように会場から外に出て一服、だが!あくまで逃げるようにだ、逃げたワケじゃあない!そこを間違えるなよ!

 

「フーッ〜………あー、月がキレー」

 

「何が月がキレーですか、バカみたいですよ?」

 

「バカみたいじゃない、提督だ」

 

相変わらずぬらりと現れた青髪ロング子は何個か皿に載せたカップケーキをサクサク食べ、欲しいですか?と尋ねてきたのでいらないですと懇切丁寧に断った

 

「あ、そうそう、わかってると思いますけど明日は面接ですから、薄汚い格好はやめてくださいよ?」

 

「誰が薄汚いだ、俺は常に清潔な男だ」

 

「足臭いですけどね」

 

「臭くない、提督だ」





次回は新人面接回、刻●装着!四天王の衝撃!


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続続続続続続続・提督と新人と面接

冬の新人面接回

【登場人物】

峯雲(70万パワー)
朝潮姉妹の八女、朝潮型とは思えない規格外の肉体を持つ

早波(71万パワー)
夕雲姉妹の十二女、右が気になる気難しくて繊細な子

日進(8600万パワー)
水母界激震の最強水母、全てが一流の完璧の申し子

Johnston(95万パワー)
MAJORの刺客、Fletcher級、ここがサムのハウスね!


今年はもしかして暖冬なのかしらと疑いつつもやっぱり朝と日中と寒暖差を感じる冬の執務室…

 

今日は新たにウチに配属された新人の面接をするべく朝から執務室の姿見の前でビッと気合いの入ったチェックを行っていた…

 

「う~ん、なかなかキマらねぇなぁ~」

 

「もうすぐ時間ですよ、その鉄腕ア●ムみたいなくだらねー髪型のチェックとか後にしてくださいよ」

 

「…あ゛?アンタ今、この髪型のコトなんっつた?」

 

まったく、誰の髪型がサ●エさんみたいだっーのな、コイツこそドラゴン紫●みてーな髪型しやがって、どんだけロングなんだよ、一回でティ●テ使いきりてーのかよ

 

そんなイライラ状態からスタートする今回の新人面接はなんと四人、駆逐艦三人と水母一人というゴキゲンな組み合わせだ…

 

「じゃ、まずは最初の方どうぞー」

 

執務室の重厚な扉を開き、入って来た第一の刺客はこれまた重厚な駆逐艦

 

「朝潮型八番艦の峯雲です」

 

「ほぉ…峯雲クンか」

 

「はい」

 

とりあえず手元にある履歴書的な資料を見る限りではごくごく平均的な、微妙に運の悪げな朝潮型か………朝潮型?

 

「キミ、朝潮型と言ったかね?」

 

「はい、朝潮型です、八番です」

 

「そうか…」

 

ま、まぁ朝潮型だって色々あるわな、綾波姉妹だって国宝・潮って駆逐艦を超えた怪物がいるぐらいだし…

 

「まぁ最初はファームで徹底的に鍛えてからになると思うがガンバリたまえ、わからないコトは姉妹にでも聞いてくれたまえ」

 

「はい、ガンバリます!」

 

---

 

「次の方どうぞー」

 

駆逐艦離れした将来性の期待できるガタイを持つ峯雲クンが去って迎える次なる刺客はスーパーエリート駆逐艦姉妹、夕雲型新たなる刺客!

 

「夕雲型十二番艦早波ですぅ」

 

「ほぉ…十二番っーと藤波クンの下かね?」

 

「そうですぅ」

 

なるほど、近い姉妹だけあってなんとなく似てる気がするな………しかしこの子、提督はさっきから気になって気になって仕方のないコトがある

 

「えー…早波クン?」

 

「はぃ~、なんですかぁ~?」

 

この子は何故か、頑なに目を合わせようとしないのだ、常にナニかあっちの方を見ており、試しに視線の先に移動してみると…

 

「なんですかぁ~?」

 

やはり視線を合わせようとはしない、グウゥゥゥム、なんと無礼なヤツ!例えエリート駆逐艦である夕雲型と言っても到底許されるものではない!

 

…いや、待てよ、単に無礼と考えるのも早計かもしれん、もしかしたら俺があまりにもハンサムすぎて直視出来ないと言う可能性も十分にあり得る!いや、おそらくはそうなのだろう………まったく、隠しているつもりなのだが、やはり溢れる美と言うものはどうしようもないらしい…

 

「フッ、サミー…早波クンにチョコレートケーキを出してあげたまえ」

 

「…はぁ?」

 

秘書艦青髪はナニ勘違いしてんだコイツ?マジキメぇみたいな顔をしているが、まぁ仕方あるまい、何故ならこの提督は完璧なのだから…

 

「とりあえず早波クンにはファームでガンバって貰う事になるだろう、なに…困ったコトがあればWHOちゃんにでも聞くといい」

 

「はい!」

 

---

 

聖なる完璧の試練…もとい完璧の面接、続く第三戦、迎えるのはこれまでに無いタイプの新たなる完璧水母!

 

「呉生まれの最新鋭水上機母艦、日進じゃあ!」

 

「ほぉ……日進クンか」

 

とりあえず手元の書類を見るに、パワー・テクニック・知性、そして残虐性は過去にないレヴェル、瑞穂様やコマさんの輝きが淡すぎて霞んでしまう圧倒的輝き!まさしく最強の水母と言えるだろう

 

「ふむ、どうやら“聖なる完璧の基地(モン・サン=バーズ)”と名高いウチの門を叩くだけはあるらしい」

 

「カッカッカ!われがテイトクかぁ?ふむ……なかなか良いツラ構えじゃのぉ」

 

「サミー、彼女に羊羹出して」

 

そしてこの俺のハンサムを一目で理解し、褒め称えるとは…大した最新鋭水母だ

日進クンは出された羊羹をワイルドにかぶりつきカーッ!甘んめー!とか言いながらゲラゲラ笑う

 

「まぁ、とりあえず日進クンには下で鍛えてからの登板になると思うが………まぁ、キミならすぐに一軍登録だろう」

 

「当然じゃあ」

 

「ふむ」

 

そしてこの最強水母日進クン、なんと今まで秋津洲にしか懐かないと思われていたあの大艇ちゃんも懐くらしく、唯一の友達を失う恐怖に秋津洲が怯えた顔でブルブル震えていたのには興奮した

 

「実は神威さんにも懐くらしいですよ、大艇ちゃん」

 

「マジか!?」

 

結構ミーハーなヤツなんだな、大艇ちゃん…

 

---

 

最強水母日進くんの面接も終わり、本日最後の面接…

 

「えー………最後は~…駆逐艦だっけか?」

 

「駆逐艦の人ですね、米国の」

 

「…米国(ステーツ)、だと?」

 

ステーツと言えばアレだ、アイオワを始めとして今まで多くのメジャーリーガー達を輩出し、その圧倒的な戦力(バスト)と徹底的な正義(ジャスティス)で存在感をアピールしてきたまさしく誇り高き正義のスター集団…ッ!

その、新たなる刺客が来たと言うのか…ッ!!

 

「サミュエルさんと同じく駆逐艦ですけどね」

 

「…ふむ」

 

サムくんか、まぁ、彼女はメジャークラスとは言い難いが、間違いなくこの青髪ロング子よりはメジャーになれる可能性を秘めているだろう

そんな俺の考えを知ってか知らずか、可能性ゼロのゼロチャージキル秘書艦は次の方どうぞーとメジャーの刺客を部屋に招き入れた…

 

「Hi、あたしがFletcher級駆逐艦Johnstonよ!」

 

「…え?ナニ?フレッシャー?」

 

「いや、FresherじゃないでFletcherじゃないんですか?」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな」

 

青髪ロング子の無駄に良い発音にイラっとしつつ手元の書類をチラ見し、入ってきた新たなるメジャーの刺客に視線を移す…

 

「ふ~ん、アナタがAdmiralなの?ふ~ん……Samから聞いてたよりは少しアレだけど……うん」

 

「え~…ジョンストンくん、だったかね?」

 

「Johnでいいわ、まどろっこしーの嫌いでしょ?」

 

「ふむ、ではジョンくんと呼ぶとしよう」

 

どうやら見た目通りにKAIKATSUな子らしいな、しかしこの子……なんかどっかで見たコトある気がするのだが………ふむ、気のせいか?

 

「ねぇ?ナニか飲み物とかないの?あたし喉渇いてるんだけどー」

 

「ん?あぁ、サミー、彼女に飲み物を…」

 

面接に来てドリンクサービスを要求するとはなかなかの大物だな、さすがはメジャーからの刺客…

 

「コーヒーでいいですか?」

 

「OK、それでいいわ、あ、アタシCoffeeはblackだから、milkもsugarもいらないわ」

 

「ブラックですね…」

 

ミルクもシュガーもいらないと言って、ちょっと誇らしげなジョンくん、おそらくはこう……アレだろう、大人であるコトをアピールしたい気難しくて繊細な年頃なのだろう

 

そして五月雨は自慢のコーヒーマシンをいそいそと用意し、鼻唄まじりにこだわりの豆を選び始めた…

 

「へぇ、なかなか本格的なのね?アタシはこー見えてCoffeeにはちょっとウルサイのよ」

 

「そうかね」

 

「機会があったらAdmiralにも淹れてあげるわ」

 

「あぁ…機会があったら頼もうか」

 

しかし悲しいかな、今からジョンくんは自慢の殺人コーヒーを味わう事になるのだ…

俺はとりあえず手元の書類を見てジョンくんの性能について確認してみた…

 

「ほぉ、ジョンくんは先制対潜だけでなく対空射撃も得意なのかね?」

 

「ん?まぁね!あたし天才だしね!」

 

KAIKATSUフレッシャーのジョンくんは気を良くしたのか、スクールじゃ一番だったとかクラブのチアリーディングにも選ばれたとかわざわざ俺の横に座り馴れ馴れしくペラペーラペラペーラと喋り始めた

 

「コーヒーをどうぞ」ニコニコ

 

「ん、Thanks、ありがと」

 

五月雨からコーヒーを受け取ったジョンくんは早速コーヒーに口をつけ…

 

「マズっっっ!!!ペッ!ペッ…!!ナニこれェェェェ!!チョ…!!なんなのよコレェェェ!!ウソでしょ!」

 

言いやがったァァァァァ!!このフレッチャー級ゥゥゥゥ!!誰もが気を遣って言い淀む五月雨のコーヒーをハッキリとマズいとディスりやがったァァァァァ!!

 

「うえっ………マッズ、こんなマズいコーヒー初めて飲んだわ…こんなの毎日飲んでたらNeuroseになるわ」

 

まさかここまでハッキリと………さっきまでニコニコしていた五月雨は信じられないといった様子で目を見開き小刻みに震えていた

 

「い……今、なんと…?」ブルブル…

 

「Not my taste!マズいって言ったのよ!」

 

五月雨の淹れたコーヒーを正面きってマズいと言えるのはおそらく俺、由良さん、涼風のみ………あの高貴な御方である陛下すら気を遣って言わなかった本音をこの娘は言ってのけたのだッ!

 

………こ、殺される、間違いなくこの娘は殺されるッ!

 

ちょいちょいイラっとはしているものの、大激怒する事は滅多にない五月雨だが、自慢のコーヒーをこうもハッキリマズいと言われて黙ってはいないだろう、良くて半殺し、悪くて全殺し……五月雨はそもそも鱗一枚でヒューマン百人殺すと言うぐらい心の狭い奴、ジョンくん、キミは龍の逆鱗に触れてしまったのだ…

 

しかし…ッ!!

 

「………提督、ちょっと頭痛いんで早退していいですか?」フラフラ

 

「え?あ、あぁ…」

 

意外ッ!!逆鱗は炸裂しない……?

五月雨は早退しますと言い残し、荷物を持ってフラフラと部屋から去って行った…

 

「あら?あの子体調悪かったの?」

 

「あ、あぁ…そうらしい」

 

ジョンくんは特に気にした様子もなく再びコーヒーに口をつけ、マズ…っ!と呟き…

 

「でもまぁ、なかなかクセになる味ね………うん」

 

う〜む、この娘はなかなか大物なのかもしれん…



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提督と初風と天使の言葉

帰ってきました通常営業、通常とは何か?通常とは…?ウゴゴゴ…

【登場人物】

提督(ウザい系上司)
未だ喫煙所から抜け出せずにいるスモーカー、メンドくさい系

初風(ツチノコーン)
陽炎姉妹の七女、キレる世代、姉妹の中では学業成績は良い方



キュウシュウだってなんやかんやで寒いのは寒い、寒い寒いと言いつつもタバコは吸いたくなるのがスモーカーのSAGA、そんなSAGAを満たすべく喫煙所へ向かっていると自販機コーナーのベンチになにやら幸の薄そうなのが座っていた…

 

「よぉ……ハツ?ハツカ?ハツ…?」

 

誰だっけかコイツ?たしか陽炎姉妹のヤツだよな、たぶん…え〜、なんだっけ?

 

「初風よ」

 

「そう!初風クンだ、初風クン!いやすまんね、ついド忘れてしまったよ、ハッハッハ」

 

「ふ〜ん、更年期障害じゃない?」

 

誰が更年期障害じゃい!まだそんな歳じゃないわい!上司に対してなんて失礼なコト言うのかねこの子は…

俺は自販機で缶コーヒーを買い、よっこらセルバンテスと小粋なテイトクジョークを交えつつ初風クンの座るベンチに座った

 

「どうしたどうした初風クン、ナニか悩みでもあるのかね?オジサンこー見えても君達の上司だからね、悩みがあるなら聞くだけは聞くYO」

 

「悩みねぇ………う〜ん、悩みってワケじゃないんだけど」

 

「オジサンに言ってみなさい、なんだ?金か?それとも恋の悩みか?」

 

「いや、日頃からお世話になってる妙高姉さんにプレゼントをしたくてね、それでナニがいいかなって…」

 

「妙高に…?」

 

高雄姉妹と双璧をなす最凶重巡洋艦姉妹、妙高姉妹の頂点に君臨する長女、妙高…ッ!高い実力とカリスマ、そして残忍さと冷酷さを併せ持つ重巡の中でも1〜2を争う実力者として一目置かれており、同じく最凶最悪と名高い高雄姉妹の長女とは非常に仲が悪い、よく肩がぶつかっただのガン付けただの互いにインネンをつけ合い、血で血を洗う暴力沙汰を起こしている…

 

…しかし、そんな妙高!何故かこの初風クンを妙に可愛いがっているらしく、その可愛いがりは妹よりもよっぽど妹扱いする可愛いがりらしい

 

「まぁ、タバコ1カートンとか適当な焼酎でも渡しときゃいいんじゃね?」

 

「ハァ?ナニ言ってんのこのクズ」

 

「クズじゃない、提督だ、あと、このクズ!とか罵倒の台詞を吐いていいのは姫騎士か礼号組の霞だけだ」

 

初風クンはつまらなそーに紅茶●伝をズズズーと啜り、小さくため息を吐いた

 

「だいたいなんだ?なんで初風クンはそんなにミョーコーミョーコーとあの妙高に懐いているのかね?ハッキリ言ってマジあいつ酒と金にマジだらしねぇからな、こないだたまたま一緒に飲んだトキも…」

 

「妙高姉さんのコト悪く言うんじゃないわよ!!このクソメガネ!そのまま死ね!」

 

「クソメガネじゃない、提督だ」

 

っーか口悪いなこの子、提督様に対してこれほどドストレートに“そのまま死ね”とか言えるのはなかなか出来るコトじゃあない…

 

「…あのトキね、聞こえたのよ、天使の言葉が……」

 

「はぁ?」

 

初風クンは語る、まだ自分がウチに来たばかり、改のレヴェルにすら届いていなかった頃…

 

戦艦棲姫の直撃弾………敵わなさが骨身に染みたあの瞬間…

 

戦艦棲姫の前に妙高姉さんは立った…

 

そして、あまつさえあの巨凶を殴りつけ、胸をそびやかし傲然とこう言い放ったの…

 

『 アタシが相手だッッッ!! 』

 

「…おわかりでしょう?戦艦棲姫の前に立つその意味、おわかりでしょう?戦艦棲姫の身体に触れるその意味、おわかりでしょう?戦艦棲姫に闘いを宣言するその意味…」

 

妙高姉さんは、我が身と引き替えに、私を救おうとした…ッッ!!

 

「ッッッ!!」

 

「私はね、もう十分なのよ…あの一言だけで十分、あの言葉と残りの艦生、引き替えにしたっていい」ポロポロ…

 

なんと言うこと……しかし初風クン、それではキミの艦生はどうなる?大切なのはキミ自身の艦生じゃあないか!

 

「なるほど…まぁ初風クンの言い分はわかった」

 

「わかってくれたかしら?」

 

しかし妙高の野郎、実の妹はパシリ以下の扱いなのにな、主に足柄が…

 

「とりあえずアイツ本人に聞いてみたらどうかね?」

 

「…そうね、やっぱりそれが確実ね」

 

初風クンは紅茶●伝を飲み干し、空き缶をゴミ箱にシューして勢いよく立ち上がった、ちなみに、立ち上がった際の勢いでスカートがブワッーとなってパンツが見えたが白だった

 

「………見た?」

 

「さぁ?何の事を言ってるのかわからないな…I'm not seeing your panties」

 

「Die just as it is!そのまま死ね!」

 

Guuuuum!罵倒すらもインターナショナルの波か、香取先生の提唱するこれからの国際化社会を生き抜く熱血指導が行き届いてるわい

初風クンはブリブリ怒り散らしながら去って行った…

 

「さて………タバコでも吸いに行くか」

 

まったく、最近の子は難しくてかなわんわい…




次回は侵略 VS MAJORの旋風!

※活動報告でifエンドの案募集してます、良かったら覗いてやってくださいませ


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提督とJohnstonと侵略の銀星章

戦慄!スター オブ アメリカ!

【登場人物】

Johnston(米)
MAJOR第六の刺客、グイグイくる馴れ馴れしさ

Jervis(英)
ロイヤル駆逐艦、グイグイくる

陽炎&不知火(日)
陽炎姉妹のトップ姉妹、グイグイこない


「Hi、Admiral!」

 

特にやる事もない暇な日、俺は執務棟の側にあるベンチで明石の店で買った菓子パンと缶コーヒーを飲み食いしながら完全平和に必要な物はなんなのかを考えていた…

 

「キミは………ジョンくん?」

 

「そーよ」

 

最近ウチに来た新外国人選手、ジョンくん

ダイナマイトパッキンガール、アイオワらと同じくMAJORからの刺客、さすがに駆逐艦だけにSizeはMAJOR級ではないが、サムくん同様、将来MAJORへの可能性を感じる逸材ではある

 

そんなジョンくんは俺の隣に無許可で座り、MAJOR特有の馴れ馴れしさで話しかけてきた

 

「ナニそれ?Lunch?ズイブンと寂しいのね?あっちにCafeteriaがアルじゃない?」

 

「かへ……?あぁ、マミー屋な」

 

「そー、それ」

 

「今日はマミー屋の気分ではなくてね」

 

「フ~ン…ねぇ、あなたもしかしてヒマでしょ?」

 

「ヒマじゃない、提督だ」

 

誰が暇人だこのガキが、どこをどう見たらこの俺が暇人に見えるんだ?大人はいつだって忙しいのだよ、ただ、キンパツでボインの美女に誘われればいつだって俺のスケジュールはガラ空きさ、モチロン夜もね!

 

「あたしヒマなのよ、Samでも見つけてPokerでもしよーと思ってたんだけど、丁度いいわ!あたしとPokerしない?」

 

「やだよメンドくさい」

 

「あたし今日は大勝ちできる気がしてるのよ!ね?いいじゃない?ただのGameよ!Game!」

 

「そんなにゲームしたきゃグラウンドにでも行って来いよ、バカどもがたまにワンアウトってゲームやってるから」

 

「ONE OUT?ナニそれ?」

 

「ピッチャーとバッターの勝負でピッチャーはアウト取れば勝ち、バッターは外野まで飛ばせば勝ちだ」

 

「ヘェ~…It sounds fun!おもしろそうね、早速見に行きましょ!ほら!あなたも!」

 

ジョンくんは俺の腕を掴みグイグイと引っ張る、なんて馴れ馴れしい小娘だよこの子は……このグイグイくる馴れ馴れしさ、これがアメリカンスタイルと言うものか?

 

「へいへい、行けばいいんだろ?行けば、言っとくが今やってるかは知らねーぞ」

 

「そのトキはあなたが相手してよね!」

 

「やだよメンドくさい」

 

ジョンくんに腕をグイグイ引っ張られ、ベンチから立ち上がりグラウンドの方へと歩いていると、廊下の角でジャーヴィーくんとバッタリ出会った…

 

「ア、Darling!チョード、良かっ・ター!今チョードDarlingを探しテ……」

 

いつもの人の話はまったく聞かないロイヤル小娘ジャーヴィーくんかと思いきや、ピタッと動きが止まり、三秒程静止した後に再起動し…

 

「………Darling、ナニコイツ?」

 

ジョンくんをロイヤル指差した

 

「ハァ?アナタこそナニ?」

 

ロイヤル指差しを真っ向から迎撃するジョンくん、それに対し、ジャーヴィーくんはスカートの裾をつまみ、ロイヤルに挨拶した

 

「………アタシはLucky Jervis、Darlingイチバンのオキニイ・リーよ!」

 

「フ~ン…あっそ」

 

「あっそ……?Hey!そもそもアナタこそ誰よ!名を名乗りなさい!名を!Who are you!?」

 

「あたしはUSS Johnstonよ、用件はそれだけ?あたし今からこの人とDateなの、用があるならあたしのアトにしてね、アトに」

 

そう言ってジョンくんは俺の腕に自分の腕をグイグイ絡ませ英語でなにやら言って最後に小さくため息を吐くと、ジャーヴィーくんはプルプルと震えたかと思いきや突然吠えたッッ!!」

 

「ファ………ファーックス!!なんでス・ッテー!!このアメ公!モー許せないワ!ってかDarlingから離れなさいヨ!このUgly!!」

 

「ハァ!?なんですって!?こ……このあたしがUgly?屈辱よ!とんでもない屈辱だわ!宣戦布告ね!」

 

「宣戦布告よ!Hey!カカッテこいアメ公!タイマーンヨ!」

 

ジャーヴィーくんの挑発に即座にプッツンしたジョンくんはジャーヴィーくんのお顔に強烈なビンタをぶちかまし、ジャーヴィーくんはお返しよとばかりにジョンくんのお腹にストレートをぶち込んだ!!

 

「オゴォ!!………こ、このォ!!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

お腹パンチで崩れかけた膝だったが、ジョンくんは崩れず、さらにジャーヴィーくんのお顔に強烈なビンタをぶちかまし、ジャーヴィーくんはスッ転んだ

 

「アイッター!!」

 

ロイヤルにスッ転んだものの、即座に復帰し、怒り狂ったジャーヴィーくんはジョンくんに掴みかかって取っ組み合いを開始!二人はキィーキィーとブス!このブスだのロイヤルさ皆無に汚く罵り合いつつゴロゴロと床を転がりマウント争いを始めた

 

まさかの米英開戦ッ!この闘いこそ大戦(ジャイアント・ウォー)への序奏(プレリュード)なのかーッ!!………と、言ってる場合じゃあないのだよ、俺はキィーキィーと熾烈なマウント争いする二人を止める事にした

 

「二人とも、やめないか!」

 

「デモ…っ!!」

 

「この女が…っ!」

 

「Ladyたるものケンカの一つや二つもするだろう、だが、同じく我が基地に居るヤツは皆、俺の“家族”だ、“家族”が争っちゃあいけねぇし、俺はァ悲しいぜ…」

 

俺はAだけが特別じゃねぇ、みんな大事な俺の“家族”だぜと懇切丁寧に二人を諭してやった

たしかに、ウチのバカどもはどいつもこいつも些かバカどもだが、そんなバカを、それでも愛するのが提督ってモンじゃねぇか…

 

「…フン」

 

「まぁ…Darlingがそーゆーナラ…」

 

そんな俺の心意気が通じてくれたか、ジョンくんとジャーヴィーくんは互いに拳を退いてくれた、まったく、世界はLOVE&PEACE、SMILEなのだよ

 

「では提督はこれで失礼するのだよ」

 

「ハァ!?ちょ…ちょっと待ちなさいよ!あなた!あたしとONE OUTするんでしょ!さ!ほら、行くわよ!」

 

チッ…!スタイリッシュにその場を去ろうとした俺だったが、怒りから覚めて冷静になったらしいジョンくんが慌てて俺の腕を掴んできた!

 

「Darling!アタシ猫飼いターイ!今からPET SHOP行くから一緒に行きまショー!」

 

ジョンくんとは逆!さらに逆の腕をクラッチされたッ!ジャーヴィーくんのその小さな身体のどこにあるのかわからない強烈なパワー…ッ!

 

だが如何なる強力も絶対的知性の前には無意味よ!俺は必殺の硬度0でジョンくんとジャーヴィーくんの脱出不能のクラッチから脱出したッ!

 

「この女ァ…」

 

「あのトゲチビだけでもウットー・シーのに…」

 

再び戦いの火蓋が切って落とされかねない一触即発の空気…ッ!

互いに激しいメンチを切り合って火花が散る!そんな中、廊下の先からアツアツの肉まんを片手に最強駆逐艦姉妹、陽炎姉妹の長女と次女が歩いてきた

 

「お、テイトクだ」

 

陽炎姉妹の長女、陽炎、スター集団陽炎姉妹の頂点に君臨するヤンチャガール

 

「何をしてるんですか?」

 

陽炎姉妹の次女、不知火、陽炎と共にスター集団の最上位として姉妹の上に君臨しており、その落ち度は常軌を逸している…

 

「ご覧の通り、この子らがケンカをしていてね」

 

「ケンカですか」

 

「どっちか死ぬまでやればいいじゃない?」

 

…肉まん食いながらなんてコト言うのかねこの子は

 

「どうにかならんかね?」

 

「どうにかですか」

 

「だから、殴り合ってどっちか死ぬまでやればいいじゃない?」

 

陽炎の死ねばいいじゃん思考はどうにかならないのだろうか?

 

「待ってください陽炎、この不知火に良い考えがあります」

 

不知火は微塵の落ち度も感じさせない素振りで指をビッと立て、メンチの火花散る中に割って入った

 

「双方拳を引いてください、ここは平和的にゲームでの解決が良いと不知火は提案します」

 

「What…?」

 

「Game?つまり…どーゆーコト?」

 

不知火はそうですねと呟き、スカートのポッケからトランプ的なものを取り出した

 

「例えばポーカーとか…」

 

「Pokerねぇ、ま、あたしはそれでイイけどー?」

 

そういやジョンくん、暇だからサムくんとポーカーしようかと言ってたな……ポーカーに自信があるのか?

対してジャーヴィーくんも不敵に笑い、自分も別にそれでイイけどーと同意した

 

そして、不知火はふむと小さく首を縦に振り…

 

「…モチロン、ポーカーと言ってもただのポーカーでは御座いません」

 

知と駆け引きを凝らした極上のポーカーでございます………と、続けた

 

「ナニ?タダのじゃないってIndian poker?」

 

「いえ、エアポーカーです」

 

「え…Air」

 

「Poker…」

 

アウトォォォォ!!!ナニ言ってんだこの落ち度の塊ッッッッッ!!あきらかにナニも知らないリトルガール達を殴り合いすら生温いトンデモない戦いに引きずり込みやがったァァァァァ!!

 

「ウン、よくワカんないけどあたしはOKよ!」

 

「JervisもOKネ!」

 

「ちょ!待て!待てオマエらッ!」

 

「では………このギャンブル、陽炎二番立会艦、不知火が仕切らせて頂きます」

 

ギャンブルのあるところに“陽炎”あり…

 

倶楽部“陽炎”

 

要請に応じてあらゆるギャンブルに立ち会うその組織はギャンブルの一切の公正を取り仕切り、敗者からは必ず負債を取り立てる知と暴を兼ね備えた組織…ッ!

 

そして“陽炎”から派遣された立会艦は如何なる場合であろうと敗者から取り立てる“取立艦”でもある…!

 

「アホかッ!」

 

ボコッ!(拳骨)

 

「痛い!………不知火に落ち度でも?」キリッ!

 

「落ち度しかねぇだろうが!バカかオマエは!国際問題になるわ!米英開戦どころか世界大戦になるわ!」



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提督と熊野とレッツラゴーWZP

水上機による史上!アツかりしバトル!

【登場人物】

提督(ストロングタイプ)
真っ向勝負大いに結構!未だ中二病から抜け出せずにいる大人

熊野(ストロングタイプ)
最上姉妹の四女、提督とはワリと仲が良いらしく、カレーをよく食べに行ってる、お嬢属性

秋津洲(KAWAII)
KAWAIIだけが取り柄じゃないKAWAII水母、手先が器用

日向(champ)
いらっしゃい、今日は何が必要だい?


「完成しましたわ……私のニューマシン」

 

重巡寮、さわやか寮の一室……毎日毎日机に向かいコツコツと己のマシンをチューニングしてきた成果、そのマシンが今、完成したのだ…

 

「できたぞォォォォ!!」

 

「うるせぇ!!今何時だと思ってるじゃん!!」

 

さっきまでグースカグースカイビキを立てていた同室の相棒がキレ気味に枕を投げつけてきたので、熊野はその枕を拾って相棒に返した…

 

「これは失礼しましたわ、私としたコトが………ですが、うるさいと言うなら普段ベッドでオナってる鈴谷の方がうるさいですわ」

 

「ハァ!?お、オナ…オナってねーし!!」

 

「だいたい、私が寝てると思って毎度毎度ヒィヒィうるさいですわ、私、いつアナタに襲われるかビクビクしながらベッドで震えてますのよ!」

 

「襲うかッ!!」

 

◆◆◆

 

「…と、ゆーワケで、完成しましたわ、私のニューマシン」

 

「ナニが、と、ゆーワケでだ」

 

外は冬の風がビュービュー吹いてる執務室、特にやるコトもなく自分の机でメガス●アを読んでいると最上姉妹のアホな妹が執務室にやって来た…

 

「私のニューマシン、ズイウン六三四マグナムですわ」

 

「ふ~ん」

 

素人目ではあるが、一目でなるほど、なかなかチューンされているとわかる

 

「どうですの?」

 

「一目でただのズイウンじゃないと見抜いたのだよ」

 

「でしょ?そーですわよね!そーなんですわ!見てくださいまし!シャーシの軽量化を考えてボディのラインから見直して素材そのものから…」

 

熊野のアホはペラペーラペラペーラとここがこだわりのポイントだの空力学的にこちらがベストだのペラペラ喋りながら自慢のニューマシンをズイズイ押しつけてきたが、話が長くなりそうなので俺はテキトーに相づちを打ちつつメガス●アを読むコトにした…

 

「………と、まぁ、こんな感じですわ」

 

「あぁ、すごいな」

 

「………聞いてましたの?」

 

「あぁ、君は悪くない」

 

「聞いてませんでしたのね?」

 

「あぁ、そうだな」

 

グシャアッ!!!(机ダァン!)

 

俺は頭を掴まれそのままメガス●アごと執務机に顔面に叩きつけられた

 

「…痛いじゃないか?」

 

「話聞けですわ」

 

ったく、うるせぇ野郎だな……俺は強打して曲がった美しい鼻を修正し、元の美しいハンサム顔に戻した

 

「で?なんだ?そのマグナムを自慢しにきただけか?」

 

「違いますわ、コレにテイトクのサインを頂きたくて…」

 

熊野は上着のポケットからA4サイズの紙を取り出し、執務机にダァン!と叩きつけた、えー………なんだって?WZP出場申請の申し込み書…?

 

「なんだ?WZPって?」

 

WZP(ダブルジーピー)ではありませんわ、WZP(ダブルズィーピー)、ですわ!」

 

「はぁ…?」

 

WZP(ダブルズィーピー)とは…ッッッ!!自慢の水上機を競わせる水上機史上!最もハゲしく!アツかりし水上のバトルであるッ!

 

そしてWZP(ダブルズィーピー)ジャペン予選!最強最速の称号を目指す水上機ファイター達が一同に介し代表を決めるWZP(ダブルズィーピー)ジャペン最大規模の戦いッッ!!

 

「ふ〜ん、で?出場()るの?オマエ」

 

「えぇ、出場()ますわ」

 

とりあえず未成年の出場申請書には保護者の同意が必要らしく、実家に書類を送るのが面倒な熊野は俺にサインをねだりに来たらしい

 

「書いてもいいがパンツ見せろよ」

 

「イヤですわ」

 

「じゃ、この話はなかったコトに…」

 

「なんて男…ッ!まっこと最低のクズですわ!」

 

「最低のクズじゃない、提督だ、あと、お嬢属性のオマエとしてはアリな気もするが、俺を最低のクズと罵倒していいのはチ●ポに弱い姫騎士か礼号組の霞だけだ」

 

「くっ…!!う、うるさい!いいから書けですわ!同意書にサインしろですわ!」

 

熊野は俺の腕を掴み、無理矢理書類にサインを書かせようと力業に出たッ!

 

「ヌウゥゥゥ!!なかなかのパワーだ!だが…!」

 

「くわっ!!ですわ!」

 

クラッチされた腕を、熊野の身体ごとパワーで持ち上げ、そのまま熊野の身体を床に叩きつけてやると、熊野はウッギャアー!と言いながら床をゴロゴロと転げ回り、丁度トイレから執務室に戻ってきた五月雨に執務室の扉で強打された

 

「ただいま戻りま……って、ナニやってるんですか?新手のプレイなら邪魔にならないところでやってくださいよ」

 

「新手のプレイじゃない、提督だ」

 

「き、聞いてくださいまし!こ、この男が書類にサインしないんですわ!」

 

「書類に………?あ、もしかして認知しないつもりですか?」

 

「そうなんですわ!」

 

「そうなんですわ!じゃねーよ、あと、そーゆー書類じゃねーよ」

 

「冗談ですよ、小粋なサミダレジョーク」

 

五月雨は特に面白くもないジョークを言った後、既に興味を失ったのか、自分の机に戻ると自分用の小菓子を開けて雑誌を読み始めた…

 

「はぁ……まぁいい、サインしてやるから書類貸せ、書類を」

 

「最初からそう言えばいいんですのよ!そう言えば!まっことグズですわね!」

 

偉そうに書類を出してきた熊野のお腹にとりあえず腹パン→股間蹴りをしてからサインを書き、涙と吐瀉物を流す熊野に渡してやった…

 

◆◆◆

 

当基地の地下にひっそりと居を構えるカスタム瑞雲専門ショップ、Z-DRIVERS………航空戦艦日向が店主を務めるこの店は瑞雲のみならず、ありとあらゆる水上機を扱う水上機ファイター御用達のお店だ…

 

「よぉ、いらっしゃい、今日はパーツを買うのかい?」

 

まるで気のいい酒場の店主ように瑞雲を磨きながらショップ店員特有のテンプレート挨拶をする店主日向

ジャペンカップ前人未到の7連覇を成し遂げた水上機界レジェンドファイターらしく、その、あまりの強さからチャンプと呼ばれている…

 

「えぇ、今日は少々パーツでもと…」

 

「好きに見に行ってくんな」

 

…そんなカスタム瑞雲ショップに熊野と共にやって来た俺は、先ほど熊野の股間を蹴りあげた際にパンツが濡れたらしく、クリーニング代だせですわとゴネにゴネられ、そのゴネり方に煩わしさを感じ、1500円未満のパーツで手を打つコトにした

 

「このタイヤいいですわね…」

 

「じゃ、それな」

 

「ちょ!待てよ!ですわ!まだ他の見ますわ!」

 

ったく、面倒くせぇなコイツ……だいたいパンツが濡れたぐらいでガタガタ言うなっての、パンツが濡れるのがイヤならノーパンで生きろよ

 

「いらっしゃい」

 

ジャンクパーツ売り場でジャンクズイウンを眺めていると、店の扉を開き、新たな客が入ってきた…

 

「あ、熊野さん………と、テイトクかも、珍しいかも」

 

「キミは…」

 

可愛さ仏恥義理、全てのステータスをKAWAIIに全振りしてしまったKAWAIIの化身、秋津洲クン

 

「あら?秋津洲さん、アナタもパーツ買いにきましたの?」

 

「そうかも、今度のWZP(ダブルズィーピー)予選用にやるだけやってやるかも」

 

「フッ、アナタごときが勝てるかしら?私のニューマシン、ズイウン六三四マグナムに」

 

熊野はイヤなライバル特有の嫌味な笑みを浮かべ、アナタ程度はジュニア部門がお似合いですわー!と勝負の前に立ててはならないフラグを順調に積み重ねた

 

「熊野さんこそ、油断しないほーがいいかも…」

 

「そ、そのマシンは…ッ!!」

 

秋津洲クンが取り出したマシン!!それは飛行艇界の怪物(モンスター)と呼ばれた世界屈指の傑作機…ッ!!KAWAII秋津洲クンのKAWAII相棒!二式大……大?

 

「二式大艇・ノーネイム、コイツで五百戦以上ヤったかも…」

 

凶々しい左右非対称のデザイン!決闘(デュエル)し!壊れる度に改修を繰り返し続けたKAWAIIさ皆無の相棒!

 

「ノー……ノーネイム!」ゴクリっ…

 

「オイオイオイ、カッコいいじゃねぇか」ゴクリっ…

 

「なんなら今すぐヤってもいいかも、お遊びなんかじゃない、本物の決闘(デュエル)ってヤツ教えてやるかも…」

 

オイオイオイ、さすが秋津洲クンだ……正直、俺や天龍、そして木曾なら一目で尋常じゃないマシンと見抜いてしまうぜ、コイツはぁ…

 

「フッ、元気があるのはいいコトだが、それは大会までとっておくんだな」

 

チャンプこと日向はイキり立つ二人を一言で鎮めた!

 

「チャンプ!!」

 

「チャンプ…っ!フッ、まぁいいかも、大会でチャンプを潰すのは私!首を洗って待っているかも!」

 

そして、秋津洲クンはかーもかもかも!と謎の笑い声を残して去って行った…

 

「どうやらこの大会、一筋縄ではいきませんわね…」

 

「あぁ…!」

 

 

ライバルが集まるWZP(ダブルズィーピー)予選の幕が切って落とされた!噂通りのスゴい顔ぶれですわ!瑞穂に日進、私も提督も油断できませんわ!そんな私達の前に、Gotlandの率いるS9 Osprey軍団が立ちはだかってきましたわ!次回【強敵大集合! 火花を散らすWZP(ダブルズィーピー)予選!】是非見てくださいまし!レッツラゴー!



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提督とGotlandとロー●ン

帰ってきたロー●ン回

【登場人物】

提督(ケダモノ)
ケダモノじゃない、提督だ

Gotland(メンドくさい系)
メンドくさいってナニ!?ゴトの身体だけが目当てなんでしょ!?

岸波(岸ちゃん)
うわ…


男にはブラリと夜の街に行きたい日もある…

 

「あ、ヤベ…タバコねぇってばよ」

 

そんな夜の街を力強く、肩で風を切って歩くハンサムな雄が一人、いや……この場合、一匹と言うべきか?まぁそんな些細なコトはどうでもいい、俺はタバコが吸いたいだけなんだ…

 

しばらく歩いていると、夜の街に煌々と輝くマチのHOTなステーションが目についたので俺はタバコを購入すべく、スタイリッシュにその店に足を踏み入れた

 

「イラッシャマセー」

 

どうやら夜の街特有の日本語が怪しいタイプの店らしいが、それもまた夜の街………ん?

 

「…」プイッ!

 

…レジに立っているオネーちゃんはシャイなのか?ヤベ!っと言った感じに全力で俺から顔を背ける、なるほどなるほど、そうか、シャイなんだな!

 

「って!そんなワケあるかァァァァァ!!オマエ見たことあるぞ!オマエアレだろ?ウチに居るヤツ、えー……ゴ、ゴ…ゴト?ゴトラタン?」

 

「ゴトランドですっ!」

 

レジに立っていた青髪パーマ女はレジカウンターを両手でダァン!した

 

「あぁ、そうだったな、そうそう、GOLAN(ゴラン)クンだ、GOLAN(ゴラン)クン」

 

「ゴトランドです」

 

昨年、ウチにやって来た軽巡だか軽航巡だかよくわからないふわふわ存在のGOLAN(ゴラン)クン

 

神の国(ゴッドランド)”の名を冠する殺戮戦闘員(キラーコマンダー)らしく、その目ツキは非常に悪く、いつも寝不足みたいなクマがある…

そんなGOLAN(ゴラン)クンはいつも以上にイラついた様子でこちらを睨みつけながらブツブツと文句をタレていた…

 

「まったく……ここなら基地から離れてるし誰にも見つからないと思ったのに、まさか一番見つかりたくない人に見つかるなんて…」

 

GOLAN(ゴラン)クンはバイトかね?」

 

「見てわからない?あと、ゴトランド!」

 

グゥゥゥム、最近の若い娘は気難しくていかんな、オジサンはそーゆー気難しくて繊細な年頃の娘は苦手だが、彼女の犯罪的短いスカートには目を奪われしまうのだよ

 

「…ナニ?」

 

「なんでもないのだよ」

 

「今、ゴトのことヤラシー目で見てたでしょ?」

 

「そんなスカート穿く方が悪い」

 

「やっぱ見てたじゃない!」

 

グゥゥゥム、なんでキレるのかまったく理解できない、これがジェネレーションギャップと言うものか?

 

「チッ…何か買うなら早く買ってよ」

 

「へいへい…」

 

ゴトランドくんに急かされ、とりあえず雑誌コーナーに移動した俺は今週のヤン●ガを手に取った…

 

「スゲェ…まるで鬼神だ」

 

「ちょっとそこの客、立ち読みやめてくれない?」

 

「へいへい…ったく、口うるせぇ店員さんだな、オマエは俺のオカーサンかっーの」

 

「…ハァ?オカーサン…?意味はよくわからないけどゴトをバカにしてるってのはわかったわ!」

 

「してないのだよ」

 

「ホントにぃ?じゃ、オカーサンってなんて意味なの?スウェーデン語でお願い」

 

「スウェーデン語なんか知らねーよ、スマホにでも聞けよ、スマホに」

 

「その手があったわね…」

 

コイツもしかして頭悪いのだろうか?ゴトランドくんポケットからスマホを取り出して翻訳サイト的なサイトで意味を調べたらしく、スマホの画面を見て何度か頷きそれをポケットにしまいしまいし…

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「ウゲェッ!!」

 

「誰が母よッ!!」

 

その、スベスベした掌からスナップの利いた健康的なビンタを繰り出した

 

「うむ、ゴトランドくんの健康状態は良好だ」ペロリーヌ

 

「ヒィ!!へ、ヘンタイ!!」

 

ゴトランドくんはそそくさとレジカウンターへと引っ込んで行った…

いかんな、どうやらまた俺のハンサム力がイタズラ……しちまったらしい、参ったな、あんなに表情を引きつらせるなんて、どうやらハンサムへの免疫は無いらしい、美人なのに哀しいコトだ

 

「まぁいいや、とりあえず買い物でもするか」

 

とりあえずタバコと……あ、そうそう、ゴムゴムのゴム買っとかないとな、俺は商品棚から必要なものを手に取り、ゴトゴトのゴトランドくんの居るレジカウンターへと持って行った…

 

「あとタバコの44番2つな、2つ」

 

「44…?え~っと~…」

 

ゴトランドくんは俺に背を向け、タバコの棚から目的のタバコを探す…

しかしアレだな、なんだこのスカートの短さ?誘い過ぎだろ?さらに、着合わせのサイハイソックスとスカートの微妙な“間”が心躍らせる!そして程よく流線型に熟れたライン、こんなんもう立ちバックしてくださいって言ってるようなもんだろ?

 

「あ、あった………って、ナニその目?今、ゴトのお尻見てヤラシーこと考えたでしょ?」

 

「そんなワケないのだよ」

 

「いや………絶対思ってた!完全にケダモノのそれだったわ!」

 

チッ、意外と勘のイイ娘だね、コイツは…

 

「ケダモノとは心外なのだよ、俺はただ、強気なゴトランドくんだがア●ルは弱そうだなと…」

 

「ケ、ケダモノッ!!ケダモノ!ケダモノ!な……ななな!よ、よりにもよって…アナ……っ!」

 

「An●l」ニッ

 

「ムダにイイ発音やめてッ!普通以上にムカつくし、むしろ怖いし、ホントやめて…」

 

まったく、小粋なテイトクジョークのつもりなんだがね、ゴトランドくんは若干どころかドン引きしているようにも見えるが…まぁ、そーゆー年頃なのだろう

 

ゴトランドくんはとにかく早くお会計を済ませようと商品を手に取りピッピッと読み込ませ始めた

 

「…ん?ナニコレ?お菓子?」

 

「ゴムなのだよ」

 

「ゴム………?」

 

「C●ndom」

 

「…へぇ」

 

む、ゴトランドくん的にはゴムは普通にアリなのか、またケダモノと罵られると密かに期待したのだが…

 

「こんなもの、ゴトいっぱい持ってるからあげよーか?」

 

「はぃ?」

 

コイツ、今、なんと…?

 

「だから、ゴトいっぱい持ってるからあげよーかって…」

 

「…え?なんだって?」

 

「耳までおかしいの?」

 

「いやいやいや、ゴトランドくん、え?なんでいっぱい持ってんの?ナニ?キミもしかしてヤリまくりなの?ちょっと仲良くなったら即ハメOKなの?」

 

だよなッ!そうじゃないとこんなミニスカ穿かないよな!

 

「…ハァ?そんなワケないし、ゴトの国、若者はこーゆーのタダで貰えるのよ」

 

「マジか!?」

 

「マジ」

 

なんてこったい、コイツぁとんだセ●クスエリートなのだよ…

 

「まぁ、今のところ使う予定もないし、タダだからっていっぱい貰っちゃっただけだし!うん、今のところだからね!まったく使う予定がないワケじゃないから全部はあげないけどね!」

 

「そうか」

 

ゴトランドくんカレシいないんだなぁ、見た目美人だし多少気は強いが根は良い娘なんだがたぶんアレだ、なんかメンドくさいカノジョ臭がプンプンするもんな、この娘…

 

「ナニその目は?」

 

「いや、たぶんゴトランドくんがモテない原因は空気読まずに図々しくカノジョ面する点じゃないかと…」

 

「死ねッ!死ね…ッ!あと、最低ッ!!」

 

たぶん身に覚えがあるのだろう、ゴトランドくんはレジカウンターをバシバシ叩きながら今までステディな関係になりかけた男達の名となんでゴトが悪いのよ!呪いあれ!災いあれ!と呪詛を吐きながら涙した

 

「なんでよォ…なんでよォ……!!私あんなに尽くしたのに…!」ポロポロ…

 

うわ、メンドくせぇなコイツ…

 

「…今、ゴトのことメンドくさい女と思ったでしょ!」キッ!

 

そして勘もいい

 

「まぁそう落ち込まないで、そんなゴトランドくんにもいつかステキな騎士(ナイト)様が現れるのだよ」

 

「ホントに…?信じていいのかしら?またゴトを騙すつもりなんじゃないの!?どうせゴトのこと都合のいい女としか思ってないのよ!」

 

…うわ、マジメンドくせぇ

 

そんなゴトランドくんにマジUNZARIしていると、店の奥から別の店員が現れた

 

「ゴトランドさん、休憩です………って、何やってるんですか?」

 

現れた新たな店員はゴトランドとは同期の子、エリート駆逐艦夕雲型のふわっとヘアーが特徴的な……

 

「えー……岸波クン」

 

「はい?あ、テイトク、こんばんは」ペコォ

 

「こんばんは」ペコォ

 

岸ちゃんこと岸波クンは丁寧におじぎをしてきた、この子もここでバイトしてんのか…?

 

「……きし?ハッ!?まさかアナタがゴトの騎士(ナイト)様…っ!?」

 

「は?」

 

ゴトランドくんに対し、岸ちゃんはナニ言ってんだコイツみたいな顔をして一歩退いた

 

「……よく見たらアナタ結構カワイイ顔してるわね、チ●ポついてるかしら?」

 

「ついてませんよ」

 

「……そうよ、これは運命、運命よ、思えばこの子がゴトと同期なのも運命だし、バイトに誘ったら来てくれたし…ウフフフ、ウフフフ…」ブツブツ…

 

「あ……あの、テイトク、ゴトランドさん、どうしたんですか?」

 

若干顔を引きつらせる岸ちゃんに、俺は親指をグッと立てた

 

「ガンバレよ、岸クン!」

 

「何をッ!?」

 

「ウフフフ…ウフフフ……」



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提督とGotlandとナイトクラブ27

連続登板の闇は深い…

【登場人物】

提督(クズの人)
たまに良い人ぶるけど基本クズ

Gotland(狩人)
まさかの連続登板、リポD6本を要求するついでにどん兵衞まで要求する女


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ…

 

「キャンプシーズン開幕、インピ絶好調!柵越え連発か…どーよ?ママ、今年の大鯨ホエーヌズは?」

 

「フーッ〜……ボチボチじゃないかねぇ」

 

ノイズ混じりのゴキゲンなAM放送を垂れ流すラジオを愛用のクソ長キセルでバシバシ叩きつつ、ビッグママこと軽空母鳳翔は空いてる席にでも座ってなと言って引き出しから単1電池を取り出した…

 

「ナニ?調子悪いの?それ」

 

「アンタ修理せるかい?」

 

「さぁ?診てみないとワカんねぇな、っーか買い替えろよそんなオンボロ、ママと同じで色々ガタがきて…」

 

バシンッ!!(クソ長キセル)

 

「アイッタァー!!」

 

「誰がガタがきてるって?アァ?舐めた口利くようになったじゃないか?BOY」

 

「痛てぇなぁ〜…ってか、BOYはやめてくれよ」

 

まったく、ママにはかなわないな…いつになったら俺は一人前になれるのかねぇ、俺はまるめた基地スポを手に、とりあえず空いてるテーブルへ行き、スタイリッシュに座って基地スポを広げた…

 

「初場所開幕、DOS恋!USHIO、燃える青春の相!ケッコン待った無し!か〜…」

 

そんな基地スポのくだらないゴシップ記事を眺めていると、今宵、俺のテーブルへとやって来たシンデレラガールが、シンデレ………

 

「ゴトランドで………なんだ、テイトクか」

 

「なんだとはなんだ?テイトクがハンサムじゃいけないのかね?」

 

俺のテーブルへとやって来たのは“神の国(ゴッドランド)GOLAN(ゴラン)から来た軽巡的なアレ、ゴトランドくん……目ツキが悪く、性格もワリとアレな娘で、提督は一目で尋常ではないメンド臭さと見抜いたね

そんなゴトランドくんはまぁいいかと言いながらも仕事である以上、俺の隣に腰を下ろした…

 

「キミ、たしかロー●ンでバイトしてなかったかね?」

 

たしかコイツ、ロー●ンでバイトしてたよな……バイト掛け持ちとはなかなか頑張り屋さんじゃないか

 

「ロー●ンならクビになったわ」

 

「ハァ!?なんで…!?」

 

「アンタのせいよ!アンタの!!」

 

「俺のォ〜…?」

 

ゴトランドくん曰く、先日、俺とバイト先でバッタリ出会ったあの日、岸ちゃんに猛烈にアタックした結果、岸ちゃんにマジでドン引きされ、人生を悲観して店の棚を蹴り飛ばすなどの蛮行におよび、めでたくクビになったそうな…

 

ちなみに、店への損害については前回の作戦海域で稼いだ給料分ほぼ全額を支払ったらしい…

 

「俺関係ないじゃん」

 

「本を正せばテイトクが変なコト言うからいけないのよ!」

 

「知るかそんなもん、オイ、ってかそんなくだらねー話はどうでもいいんだよ、酒!酒注げよコラ、焼酎水割りな」

 

「ハァ!?くだらねーハナシとはナニよ!」

 

ブツクサと文句タレつつ流れるような手付きで焼酎水割りを用意して俺に手渡すコイツはおそらくは根は真面目で良い子なんだろう、根は…

 

「ゴトも飲んでいいわよね?」

 

「あ?おう!飲め飲め、俺が許す、今日はオマエのその非モテ女問題について徹底討論だよ、言っとくがお互いに好きな子の名前言いっこするまで帰れねーからな!」

 

「誰が非モテ女よ、テイトクにだけは言われたくないわね、ハイ!En skålするわよ!En skål!」

 

「え?なんだって?」

 

ーーー

 

ゴトランド着席から40分…

 

「だからよォー…オメーはアレなんだよ、ガツガツ、ガツガツ、アレか?肉食獣か?肉食獣だな!ガハハハハハ!」

 

「ちーがーいーまーすぅー!ゴトは肉食じゃありませぇーん、愛を求め彷徨う狩人なんですぅー」

 

俺の背中をバシバシ叩き、ゴトランドくんはゲラゲラ笑いながらママぁー!ホーショーママぁー!bottle持ってきてーとか言って俺のグラスに口をつけて一息に呷る

 

「ブハァ!!ンめぇー!」

 

「オマエ、それ俺のだろ、オマ…オマサイアクだなマジで!ガハハハハハ!」

 

「サイアクじゃないしぃー?ってかテイトク、細かすぎ、チ●ポついてんの?」

 

「モチのロンよ!」

 

「ホントにぃ〜?あ、そーそー、チ●ポで思い出したけど、岸ちゃんにチ●ポ見せてよってスカート捲ったらマジで鋭い膝貰ったわ、膝、あの子将来有望よ、ゴトが保証するわ」

 

「ちょ、オマエマジサイアクだな!ってか岸ちゃんにチ●ポねーだろ?とんだセクハラ軽巡だな!」

 

「いやいやいや、あるでしょ?だって岸ちゃんあんな可愛い顔してんのよ?どう?岸ちゃんにチ●ポあったら?」

 

「………メチャメチャ興奮する」

 

「だっしょ!!ね?そーっしょ?ってかホ●かよ!ギャハハハハハハ!」

 

…いや、そりゃオマエ興奮するだろ?あの岸ちゃんだぞ?

俺とゴトランドくんがそんなバカ話で盛り上がっていると、後頭部をキセルのようなもので強打された!!

 

「アイッタァー!!」

 

「うにゃあ!!」

 

「やかましいんだよ!アンタら、もうちょい大人の飲み方できないのかい?」

 

ビッグママはそう言ってウーロン茶のペットボトルをテーブルに置き、時間は?と目で俺に問うので、隣に座るゴトランドくんを見た

 

「延長でしょ?モチ延長でしょ?」

 

「えー…でも明日早いしぃ〜.」

 

「あー…ゴト、なんかスカートがスースーしてきたー、なーんかアツくなってきたー」

 

「延長で」キリッ

 

「キャー!テイトクオトコマエー!チ●ポも器も大っきーい!ギャハハハハハハ!」

 

「ガハハハハハハ!グッドだ!」

 

ーーー

 

ゴトランドくん着席から240分………

 

閉店時間になり、ツケ払いにしたら店から叩きだされた…

 

「ったくあのババア、ちょっと持ち合わせがないくれーでヒトのケツに蹴り入れやがって、ア●ル壊れたらどーするんだっーの」

 

「ウゥゥ……ぎもぢ悪ぃぃ……」

 

そして、同じく店を叩きだされたゴトランドくんは俺の肩を借りてヨロついている…

 

「バカだなオマエ、ほらそこにトイレあるから行ってこい、便器に顔突っ込んで中のモン全部出してキレイキレイにしてこい」

 

「む……無理、ヤバい、無理、今すぐ吐く、ホントムリ」

 

「今吐くなよ、マジ吐くなよ、とりあえず便器の前まで連れてくから我慢しろよ?な?明日の基地スポに軽巡ゴトランド、深夜の廊下でゲロイン・オブ・ジ・エンドとか載りたくないだろ?」

 

「ウン………ウン」ポロポロ…

 

「ハァ…」

 

そんなゴトランドくんを無事、便所まで連れて行き、便器の前で背中を撫でてるとゴトランドくんのスカートが微妙に湿ってきた

 

「ウゥゥゥ……ちょっと漏れたぁ……最低ぇ…」ポロポロ…

 

「うわ…」

 

「最低ぇ……!」ポロポロ…

 

 

俺はそんな色々と打ちひしがれたゴトランドくんに、幸せな“ユメ”が見られるように1分間のイリュージョンをかけ、幸せそうに眠るゴトランドくんを便器に座らせて便所を去った…

 

「アフターサービスくれぇ、キチっと締めねぇとな」

 

そして、翌日の基地スポでは女子便からスタイリッシュに出てきた俺が一面を飾り、いらない憶測や噂が飛び交うコトになった…






次回からifエンド回、AかBか明確に決まらなかったので混ぜる感じでいこーと思います

【山風】トゲトゲトゲ
【春雨】鉄の戦慄
【明石】ハイリスク・ハイリターン
【陸奥】修羅の花嫁

…の、4本です、ウフフフー


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提督とルート分岐のエンディング ⑧

帰ってきたifエンド回、俺はAでもBでもない……エビータだーッ!!

今回のお話は〜…

【トゲトゲトゲ】
【ハイリスク・ハイリターン】

の二本勃て、アッチを勃てればコッチが勃たずってヤツですね☆


【トゲトゲトゲ】

 

かつて、戦争があった…

人類と深海棲艦の終わりの見えない戦いは古き時代の亡霊ではなく、明日を生きる若者達の手でついにその幕を下ろした…そして大人になった今、かつての戦争から人類は再び立ち上がり、今度こそ過ちを繰り返さないと固く誓い、完全平和の為に必要なものを模索し始めたのだった…

 

「よいっす、センパイ」

 

「よぉ」

 

各国の軍隊は解体もしくは縮小され、そしてその活動内容を平和維持活動へと変えつつも今日もどこかで小競り合いは起きている

あの戦いで海軍大佐まで上り詰めていた俺だったが、軍縮と共に軍を辞め、現在は自ら立ち上げた輸送会社を細々と経営していた…

 

「何の用だ?ピアノ運送か?」

 

「アヒャヒャヒャ、んなワケないっすよ」

 

相変わらず開いてるのか閉じてるのかよくわからない糸みたいな目をした軍の後輩も今や平和維持軍でもトップに近い立場に成り上がり、左団扇の大将様だ…

そして、そんな大将様がウチのそんなに広くはない事務所にわざわざやって来て、仕事を依頼したいと…

 

「言っとくがウチはKENZENな企業だからな、ヤバいモンなら運ばないぞ」

 

「知ってるっすよ」

 

ヒメは上着から書類を取り出し、テーブルの上に置くとコイツを頼みたいんすよーと軽く言ったが…

 

「………ヤバイですね☆じゃねーか!」

 

一目見ただけで尋常ではないヤバイリストじゃねーか!

 

「ダイジョーブっすよ!ギリセーフ!ギリセーフじゃねーっすか?」

 

「アホらし、他所を当たれ、他所を、もしくは自分でやれ」

 

「もー!センパイはすぐイジワルから入るっすね、なんすか?ツンデレっすか?ツンデレとか今どき流行ンねーっすよ」

 

「やかましい」

 

俺はリストをヒメに突き返し、タバコに火を点けると事務所の扉をノックし、ウチの従業員がお茶とお菓子を持って来た…

 

「緑茶ですけど…」

 

「あ、どもっす」

 

「ついでにマヨネーズでも入れてやれ」

 

「なんなんすかそのイヤがらせ!?」

 

ヒメは緑茶を一口啜り、ンン!エクセレンツ!とか言いながらお茶受けのカントリーなんちゃらをワイルドに開けて口に放り込んだ

 

「うん、なかなかウマいっすね、このお茶も……ウン、センパイ、なかなかイイ娘雇ったじゃねーすか?」

 

「あ?雇ったもナニも前からウチに居るぞ」

 

「ナニ言ってんすか?前はこんな美女いなかったじゃねーっすか?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレてんのか?

 

「コイツ山風だぞ」

 

「………は?」

 

「コイツ山風だぞ」

 

「………Once again please?」

 

「This is Yamakaze」

 

「オ〜ゥ〜……オ〜ゥ…って!!ハアアアアアァァァァァァァ!?え?山風、え?山風ちゃんって…?え?」

 

ヒメは信じられないモノを見たように、っーかヒメの開いてるか閉じてるかよくわからない目がカッ!と見開いている!コレはレアですね☆

 

「え…?山風ちゃんって、あの小っこくて目つき悪くてトゲトゲした…?え?」

 

「…そういや最近身長伸びたか?お前」

 

「最近、ってワケでもないけど…」

 

そういや身長は伸びた気がするな

 

「え?あの目つき悪いのは…?」

 

「メイクでもしてんだろ」

 

そういや昔に比べて目つきが穏やかになった気がするが…

 

「あのトゲトゲヘアーは?」

 

「ストパーだろ、ストパー」

 

そういやいつの間にやらあのトゲトゲしい髪が刺さらなくなった気がするが…

 

「………え〜、コレ、あの山風ちゃんなんすか?メチャメチャ成長してるじゃねーっすか?」

 

「そうか?」

 

まぁ、あの戦いからもう何年だ?そりゃガキなんだしちょっとぐらい成長はするだろう、ワン●ース見て育った子供だってもう二十歳過ぎだからな

 

「テイトクはまだ私を子供扱いするんですよ」

 

「へ、へぇ〜」

 

心なしか、ヒメの野郎がドン引きしているように見えるが…そんなに変わってないだろ?身長はちょい伸びたがまだまだガキな事に変わりはない、寝てたらすぐ布団に潜り込んでくるし

 

「…マジっすか?え?センパイ、目ぇ腐ってるんじゃねーすか?」

 

「腐ってない、元提督だ」

 

「え?なんすか?センパイ、なんか軍辞めてから辛いコトとかあったんすか?目にフィルターとか入ってないっすか?味覚とか大丈夫っすか?」

 

「ナニ言ってんだオマエ、イカレてんのか?」

 

いや、イカレてるんだっけな、コイツ…

 

「ヒメさんからも言ってやってください、私を子供扱いするなって」

 

「え?あ、う、うん………ってかマジ山風ちゃんっすよね?お姉さんマジビビったんすけど…」

 

「山風ですよ、海軍在籍時は提督共々色々お世話になりました、あ、覚えてますか?私にキャンディーくれたりしましたよね?私あの時はちゃんとお礼言えなくて…」

 

「あ、うん……あった、あったっすね、うん、や、お礼とかいいっすから」

 

あの他人様を舐めた態度が基本のヒメが珍しく引き気味とは……まぁコイツも色々あるんだろ、色々

 

…と、そんなレアヒメケースに内心珍しいなと考えていると、事務室の扉をノックし、別の従業員が入ってきた…

 

「テイト……じゃない、社長、先週受けた依頼なんですけど先方からもうちょっと費用なんとかならないかって……あ、来客中でしたか、失礼しました」

 

「別に構わんよ」

 

入って来たのは改白露姉妹の自称長女の海風姉ちゃん、海風姉ちゃんも山風と同じくウチで雇って働いて貰ってるワケだが…

 

「って!!こっちは全然変わってねぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「は、はい?」

 

ヒメは海風姉ちゃんを見てテーブルをダァンした

 

「……や、髪切ったっすか?短いのもアリっすよ」

 

「は、はぁ…ありがとうございます、えっとぉ〜……あ、日女さんでしたっけ?えぇ」

 

「ほらぁ!!センパイ!海風ちゃんは髪切ったくらいであんま変わってねーじゃねーっすか!?山風ちゃんの劇的ビフォアアフターなんなんすか!?なんで気付いてねーんすか!?」

 

ヒメはテーブルをバシバシ叩きワケのわからんコトを力説するが、正直、ワケがわからんので俺は海風姉ちゃんにも山風の変化を聞いてみた

 

「海風姉ちゃん、山風なんか変わったか?」

 

「え…?そうですね、ちょっと背が伸びた?」

 

「伸びたよ!もう海風姉ぇより高いよ、私」

 

「そう…?まぁ、言われてみたらそんな気が…」

 

「そうかぁ?」

 

まぁ、言われてみりゃ海風姉ちゃんよか身長ある気がするが……あぁ、アレか?遠近法的な…

 

「まぁ、子供の言うコトだしな」

 

「そうですね、山風、ちゃんとお茶はお出しした?」

 

「あの………二人揃って目になんかフィルターとか入ってるんすか?」

 

ヒメは何か諦めたように頭を抱えうなだれているが、コレもかなりレアですね☆だな

 

「あの……ヒメさん、私は気にしてないですから、テイトクも海風姉ぇも私をまだ子供扱いしてるだけですから」

 

「………アンタさんも大変っすね」

 

「え、えぇ…さすがにちょっと困る事は多いです、今みたく」

 

「ま、ガンバルっすよ、でもなんか困ったコトあったらお姉さんにいつでも相談してくれっす」

 

「ハイ、ありがとうございます」

 

□□□

 

テイトクが軍を辞めて早数年、私と海風姉ぇ、それと江風と涼風はテイトクと一緒に輸送会社をやってます…

テイトクは軍に居た時と変わらずに私達を扱ってくれて、それなりに上手くやっていけてるかなと思います

 

………まぁ、変わらな過ぎるところがあるけど

 

私ももう十分オトナになったハズなのにテイトクは変わらず子供扱いするし、そーゆー目で見てくれません

海風姉ぇにはたまにムラムラしてるくせに………前に五月雨姉ぇがあの男、胸しか見てないんでしょうねってディスってたのが今は言葉ではなく心で理解したよ、五月雨姉ぇ…

 

…でも、テイトクが居て、海風姉ぇが居て、江風と涼風が居る今が私は大事だし、今の生活は好きです

正直、海風姉ぇとテイトクがそーゆー関係でも私は大歓迎だと思うし…

 

…まだ私はその対象になってないってだけ!胸に関してはもうダメな気がするけど、まぁ五月雨姉ぇや江風と涼風には勝ってる自信あるし、まだ諦めるには早い!

 

「山風〜…お風呂空いてるから入りなさ〜い」

 

「あ、あぁ…うん、わかった」

 

「なんならテイトクと入ったら?久しぶりに髪洗ってもらったら?」

 

「何年前の話だよ!!子供扱いしないで!」

 

う〜ん………テイトクも海風姉ぇもホント、私をいつまで子供扱いする気なんだろ…?

 

 

◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎

 

【ハイリスク・ハイリターン】

 

かつて、戦争があった…

夢と浪漫に満ちたこの海の奥!まだ見ぬ冒険の海で繰り広げられた数々の戦いと伝説!人類の知られざる歴史!そして世界を揺るがす大事件!いくつもの哀しみの海を越えて、深海棲艦と人類の戦いは各国の連合海軍が深海棲艦のアジトで最終決戦を行い、七日七晚の死闘の末、海軍が勝利した…

 

そして、戦争は終わり、軍縮の煽りを受けた俺は軍をクビになり、微妙な額の退職金だけを受け取りいい歳こいて社会と言う名のジャングルに放り込まれた…

 

そして………

 

「明石…っ!奴も墜ちてやがった…っ!!この船に…っ!」

 

色々あって、ギャンブルクルーズ船に乗る事になった俺は軍時代の同僚、明石と再会した…っ!

 

◆◆◆

 

「いらっしゃいませー」

 

「ご一緒にマタタビいかがっすかー?」

 

狂気のギャンブルクルーズから無事生還した俺と明石は、これからは真面目に働く時代だと考え、とりあえず二人で金を出し合い、猫カフェをオープンした…

 

「まったく、猫なんてその辺をウロウロしてるのに金出してまで触りに来る神経が理解できませんねぇ」

 

「なんてコト言うのかね、この店員は」

 

「やっぱ時代は動物ビジネスですね、動物ビジネス!」

 

猫カフェビジネスは意外にもそこそこ当たり、とりあえずは当面の生活には心配がなくなった…

 

「ぷくぷくぷー、明石サン、コーヒーセット欲しいぴょん」

 

「コーヒーセットですね!テイ……長、コーヒーセット1つ!」

 

「提督じゃない、店長だ」

 

ウチで働くアルバイト店員のうーちゃんはいつもぷくぷくぷくぷく言ってるが非常に真面目で仕事にもソツがない、しかも可愛いので猫ではなくうーちゃん目当てのファンすらいるのだからマジパナイ、明石のカスにも少しは見習って欲しいものだ

 

「ほれ、コーヒーセットな」

 

「持っていくぴょん」

 

うーちゃんはトレイを持ってぷくぷく言いながら軽やかにお客様に提供しに行く…

 

「まったく、うーちゃんはホントに働き者ですねぇ」

 

「あぁ、お前の一億倍は働き者だ」

 

「いや、一億倍はさすがに言い過ぎでは……?」

 

「レジ打ち以外無能なお前とうーちゃんでは神と虫ケラほどの差があるのだよ」

 

「失礼な、ま、まぁ〜…接客はさすがに劣りますし、軽食メニューとかは私が作るよりテイー…チョーが作った方が見た目も味もアレですけど」

 

まぁ、レジ打ち以外で明石の良いところは無駄にアイディアを出せるところぐらいか?あとはまぁ……内装のセンスはわりといい

 

「あ、そーそー提督、そろそろ引っ越ししましょーよ、引っ越し、もうちょい広い部屋に」

 

「提督じゃない、店長だ………まぁ、引っ越しは考えている」

 

「でしょ?ほら、家族だって増えるし」

 

「そうだな」

 

………ギャンブルクルーズの激戦を生き抜いた俺達、まぁ、あの時は色々とテンションが上がったってのもある、うん、まぁ……なんやかんや明石は身体だけはワリとエロいからな、むしろピンクは淫乱とはよく言ったものだ

 

「目指すは真っ白な庭付き赤い屋根の家ですね!」

 

「そいつはもうちょい儲けてからだなぁ〜」

 

「あと犬飼いたいですね!白くてデカい犬!」

 

「お前が犬嫌いだろ?っーか俺も嫌いだが」

 

「バカですねぇ、大きな犬飼ってるってコトで御近所様に富裕層アピールする為ですよぉ〜」

 

クズ…っ!!まっことクズっ!!救えない…っ!!

 

「ま、もーちょい儲けてからにしましょうか」

 

「そうだな」

 

 

この後、動物ビジネスは色々と軌道に乗り、俺達は念願の赤い屋根で白い屋根のガレージ付きを購入したが、最後まで札束風呂に入る夢だけは叶う事はなかった…





次回は

【鉄の戦慄】と【修羅の花嫁】の二本立て、たぶん


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提督とルート分岐のエンディング ⑨

お久しぶりになりました、憂鬱な出張とかあったせいでお話を考える余裕がありませんでした
今回は悲しいけど一話分だけでカンベンしてください

【鉄の戦慄】

の、一本です


【鉄の戦慄】

 

かつて、戦争があった…

人類と深海棲艦の最終決戦、真のイノ●イドとして覚醒した特型駆逐艦は深海棲艦との来たるべき対話、熾烈な戦いの果てに人類と深海棲艦はわかり合う事ができる!と全ての生きとし生ける者達に伝え、対話の為に次のステージへと旅立った…

 

軍を辞め、新しい時代は新しい者が作るでござるよとアテもなく流浪れた俺は全国を転々とし、新しい時代の復興を見ながらフラフラと旅をしていると、日本海側のとあるクソ田舎にある妙にオシャレなカフェで見知った顔、春雨と再会した…

 

「お前は…?ト●コ?」

 

「春雨です、ブッ殺しますよ」

 

久々に再会した春雨はエロゲーのカフェ店員的な萌え萌えニャーンな格好で、その眼光は冷たく、まさに冷酷、まさに冷血、まさに冷徹な変わり果てた姿となっていた…

たしか春雨と言ったらオ●ニー週3回は当たり前、常に俺を見て発情してパンツ濡らしてる淫乱が服着たピンクモンスターだったと思うが…?

 

「そんなワケないです、私、普通にイケメンが好きなんで、提督とか遺伝子レベルで無理」

 

「参ったなこりゃ!カッカッカッカ!参ったな!」

 

小粋な元テイトクジョークも通じないとは、あの優しい春雨ちゃんが軍を抜けた後に一体どんな地獄を見て来たと言うのか…

 

「と言うか、提督もよく私の前に顔を出せましたね、生かして帰しませんよ」

 

「なんで?」

 

「なんで……?なんで?と、言ったんですか?今」

 

「然り」

 

春雨イドはスカートから出刃包丁を取り出すとその刃をテーブルにダァン!と叩きつけた!

 

「深海棲艦に攫われた私を助けに来ない!そして私とよく似た駆逐棲姫を私と偽って事件を公にせず、むしろ揉み消して保身に走ったアナタに復讐心を抱かないほど私は良い子じゃないんですよ!」

 

「まぁまぁ、そうイキり勃たないで、まぁ座って、お茶でも飲んで話でもしよーや」

 

「一応殺す前に聞きますけど駆逐棲姫はどこですか?私のポジションを奪ったあの子と提督だけは絶対に殺すって決めてるんです」

 

「駆逐棲………?あぁ、ハルサメか」

 

「春雨は私です!」

 

春雨イドはマナー違反のテーブルキックでテーブルを蹴り飛ばし、出刃包丁を両手で握りしめ俺に襲いかかって来たッ!!なるほど、両手で握ることで威力は倍増か………しかし!!

 

「今の一撃、申し分ない」

 

「!?」

 

春雨渾身の両手握り出刃包丁をスタイリッシュに避け、返す刃に放った痴漢奥義モレスター・ノ●ァで春雨の全身の九ヶ所を同時に愛撫し、春雨は一瞬に内に絶命………じゃない、絶頂して倒れた

 

「アヘェ……」ビクッ!ビクンッ!

 

「本来なら俺に刃向かう者は肉便器になるまで徹底的に犯し尽くすところだが……俺はロリ●ンじゃないんでな」

 

たとえ淫乱ピンクと言えど春雨は俺から見ればまだ子供に過ぎん、そーゆーのは本当に好きな人が出来てからしなさいとクールに諭してやると春雨は薄暗い瞳で顔を上げた

 

「………じゃ、じゃあ、春雨がオトナになればコレ以上のコトを?」

 

「然り」

 

「そうですか…」ニマァ

 

そう言って春雨イドは不気味な笑みを浮かべたが………なんだコイツ、ちょっと怖いな

 

「ま…まぁ、とりあえず今は提督を殺さないでいてあげます」

 

「そうか」

 

「でも、駆逐棲姫は殺します、居場所を知ってるなら教えてください」

 

「駆逐……あぁ、ハルサメならたしかどっかのコロシアムで“破壊王”とか呼ばれてるらしいぞ」

 

「破壊王…」

 

ハルサメは明石の店で買ったナノテク技術が詰まった鉄の足とゼ●モスの力を使い、深海に帰らずどこかで好き勝手にやってるらしいと前に噂を耳にしたが…

 

「そうですか…」

 

春雨イドは立ち上がってパンパンと服に付いた埃を払い、出刃包丁をスカートの中にしまいしまいした

 

「では行きましょうか、提督」

 

「え?俺も行くの?やだよめんどくさい」

 

「私の身体メチャメチャにしたじゃないですか」

 

「してねぇよ、前も後ろも大丈夫だろ」

 

「あ、もしもしケーサツですか?今、変な男に無理矢理メイド服着せられていやらしい御奉仕をさせてやると…」

 

俺は春雨が取り出したスマホを奪い、電源を切ってポケットにしまった

 

「返してくださいよ、私のスマホ」

 

「舐めてんのかテメーは?」

 

「舐めてないです、あと、さっき提督のスマホに私がムラムラして自撮りした画像いっぱい送ったから提督のスマホから言い逃れ不能の証拠がでますよ」

 

「ナニしてんだテメーはッ!!冤罪か!」

 

「私に協力しないと社会的に提督を殺します」

 

な、なんて淫ピだ……!春雨イドはスカートの裾を摘んでどーしますかぁ〜?ヘラヘラ笑いながら不気味な笑みを浮かべ…

 

「………いいだろう、付き合ってやろうじゃないか、破壊王のところまで」

 

「ありがとうございます、破壊王をブッ殺すまでは仲良くしましょうね」

 

「そうだな、個人的にはお前が破壊王にボコられて欲しいが」

 

こうして、俺は悪逆メイド春雨と共に破壊王を倒す為にコロシアムがあるという日本海側から太平洋側へと旅立つ事になった…

 

途中、世紀末な世界観の街やバイオレンスでジャックな街やマッドでマックスな街を通過したが、俺達は持ち前のガッツと溢れる知性と出刃包丁でなんとかクリアーし、数々の強敵(とも)との出会いと別れを繰り返し、遂に破壊王が待ち受けるコロシアムへと到着した…

 

ーーー

 

「ここが“ヤツ”の居るコロシアムか…」ムキ…ッ!ムキッ!

 

「そうみたいですね…」

 

グゥゥゥム、ここまで強力な気を感じおる……どうやらこの戦い、かつてないタフな戦いになるだろう

 

「…と言うか、提督だいぶ変わりましたね」

 

「変わった…?俺が?」ムキッ!

 

「えぇ、なんか昔のジャ●プに居ても違和感なさそうになりました」

 

「ハハッ、俺は変わってないよ、まぁ…最近、服が些か破れ易く感じるがな」ムキッ!ムキッ!

 

そして、いよいよ俺と春雨は破壊王の待ち受けるコロシアムへと足を踏み入れ、遂にヤツとの再会の刻が来たッッ!!

 

「ほぉ、まさかあの暗い海の底から帰って来たとは…」

 

このコロシアムの支配者!真のゼ●モス使い、破壊王、ハルサメ…ッ!!

 

「駆逐棲姫ェ…」ギリッ!

 

「フッ、私の名こそハルサメよ!ハルサメはこの世に二人も要らない!つまり死ぬのはオマエだ!春雨ェ!」ドヤァ!

 

春雨とハルサメは互いにメンチの火花を散らし睨み合う、いよいよ因縁の対決、復讐劇が幕を開けるのだ!………がッ!!

 

「………あの、春雨さん」

 

「なんですか?」

 

「いや、あの……その、さっきから気になってるんだけど、その………ムキムキの人、誰?」

 

ハルサメは失礼にも人を指差しやがった、あのヤロウ…あんなに可愛がってやったのに俺様の顔を見忘れるとはふてぇヤツだ

 

「提督です」

 

「は?」

 

「提督です」

 

「テイトク……って!!いやいやいや!違うでしょ!?テイトクってなんかただのメガネ男子だったじゃん!?それ明らかにテイトクじゃないよね!一子相伝の殺人拳とか使う系の人だよね!?」

 

「提督です」

 

「………え?……え?」

 

ハルサメのヤロウは失礼にもマジかよオイみたいな顔してこっちを見ている…

 

「え?ナニ?神のお告げかなんかあったの?邪悪の神かなんか憑いたの?」

 

「オマエを倒す為に、海の底から舞い戻ったぜ(春雨が)」ムキッ!

 

「いやいやいや!!テイトクそんなキャラじゃなかったじゃん!?ってか別人だよ!」

 

ハルサメはいやいやいやと全否定しているが、俺は提督であり、提督は一、そして全も提督である

 

「まぁゴタクはいいんです、とりあえずアナタだけはブッ殺しますから、カクゴはいいですか?」

 

春雨イドはスカートから出刃包丁を取り出し、ペロリと舐めて瞳からハイライトを消した

 

「クッ…!なんか色々ツッコミどころ満載だけど……!やってやるわ!!ハルサメは私だ…ッ!!私がハルサメなんだ!!」

 

こうして、春雨VSハルサメ、運河激震!とびっきりの春雨VSハルサメの戦いが幕を開け、勝負は限界ギリギリ互角の戦いとなったが、両者は共に退く事はなく、もはやどちらが死ぬまで戦う流れとなった…

 

「ハァ……ハァ………アアアアアァァァァァ!!」

 

「ガバァ!!…ハー……ハー……死ぃぃぃぃねェェェェ!!」

 

そして………

 

◆◆◆

 

………とある湖畔に立つロッジに、一人の男とメイドが住んでいた

 

「オイ、風邪引くぞ」

 

「そうですね…」

 

男にも女にも墓標に名はいらない、何故ならば、二人には名前がないからだ…

 

提督と言う男は軍を抜けた時に、そして、白露型駆逐艦春雨はあの時に…

 

「あ、そう言えば新聞見ました?春雨引退したらしいですよ」

 

「らしいな」

 

紙面を飾る春雨の髪は白い、そして、今、横に居るのはかつて春雨と呼ばれたこともあるただのメイドだ…

 

あの戦いの後、春雨とハルサメは和解し、春雨は春雨の名をハルサメに託して去った………その後ろ姿はおそらくはもう復讐など考えないだろうと思えるほど爽やかなものだったが………それは違った

 

俺は一人、この湖畔のロッジを買い、悠々自適な生活を満喫していたら、この押しかけメイドがやって来てこう言った…

 

『ブッ殺すって言ったじゃないですか』

 

………まぁ、今のところはその気はないらしい




次回は【修羅の花嫁】と他一本の予定です


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提督とルート分岐のエンディング ⑩

とりあえず今回で一旦終了のifエンド編
最後は陸奥と、短めのトクベツ編

【修羅の花嫁】
【続・喫茶五月雨軒】

ですって


【修羅の花嫁】

 

かつて、戦争があった…海軍が誇る最大の戦力と深海棲艦の精鋭達による総力戦は熾烈を極め、最終決戦の地“終わりと始まりの地”にて海軍大元帥と深海大首領との戦いは周囲の地形と生態系すら変える文字通りの頂上決戦となった

激闘の末、海軍大元帥の最終決戦奥義が深海大首領の身体を貫き戦いは海軍の勝利と終わった…

 

そして、大首領の敗北を知った深海棲艦達は世界中の海から姿を消し世界の海に平和が戻った………とはいかず、深海棲艦の姿を消した海は、今度は人類同士が飽くなき争いを続けているが、それは俺には関係のない話…

 

「今期の目標達成できそうね…」

 

「新製品が当たったからな」

 

「まぁ、それもあるけど営業努力もあるわね、あの子らにご褒美用意しないとね」

 

書類を片手に悪戯っぽくウィンクする陸奥は上機嫌に愛用のコーヒーカップを手に取った…

 

深海棲艦との戦いの後、軍を辞めた俺は元部下である陸奥と共に化粧品事業をはじめた…

高い女子力と磨き抜かれた美貌を持つ陸奥の眼は侮り難し、時代と女子の求めるコスメを次々に開発し、今やM2のブランドは女子にとっての必須アイテム、その信頼度たるやエクスカリバーに等しいとまで噂されている…

 

「ご褒美ねぇ、ま…いいんじゃね」

 

「フフッ、アイスでも買ってあげようかしら?」

 

「ガキの遣いかよ…」

 

「冗談よ、ジョーダン」

 

陸奥はニヤニヤ笑いながら書類をケースに収めると今日は美味しいものでも食べに行きましょうかと上機嫌に言った

 

「いいな、肉でも食うか、肉」

 

「…肉ねぇ、ま、悪くないんじゃない?」

 

「たまにはガシッと肉食わないとな」

 

「そうねぇ、あ、そうだ、ちょっと待って」

 

陸奥はスマホをスタイリッシュに操作し、なにやら連絡メール的なものを打ってスマホのケースを閉じた

 

「なんだ?」

 

「お肉食べに行くから来れる子は来なさい、ってね」

 

「オイオーイ、ハニー、ディナーは二人っきりじゃないのかーい?」

 

「そうねぇ、アナタが事前に小粋なレストランでも予約してたなら今のメールは取り消すわ」

 

このヤロウ、俺がそんなマメな男じゃないと知ってのコトだよ、陸奥はじゃ行きましょうと言って愛用のハンドバッグを手にしてさっさと歩きだしたので俺も戸締まりを確認して後を追った

 

‐‐‐

 

陸奥の呼び出しで集まった睦月姉妹どもは他人の金と思って、ここぞとばかりに食った…

コイツら、こーゆーところは軍に居た時と何も変わってねぇな…

 

「サーロインにゃしい」ナポォ…モニュ…

 

「大した健啖家ですね」ナポォ…

 

「いい感じぃ~」ナポォ…

 

どいつもこいもワイルドに食いやがって…

 

「お前ら他人の金だからって遠慮なさすぎか、少しは遠慮しろ、遠慮」

 

「イヤにゃしい」

 

「スイマセぇ~ン、調味料くださ~い、全部♪」

 

まぁ、こうなるコトは想定内と言うヤツだ、たぶん現金足りないな、カードでいいか…

そんな俺の心配を余所に、陸奥はワインを片手に上機嫌にニコニコしてやがる…

 

「コレ福利厚生費か交際費でいいよな?」

 

「?、あら?今日は提督の奢りって聞いてるけど?」

 

「ハァ!?」

 

「みんなぁ~…今日は社長の奢りだから遠慮とかしちゃダメよ~」

 

このアマなんてコト言いやがる…っ!ありえない…っ!常人には出来ない発想……っ!悪魔じみている…っ!

そして、そんな悪魔的タダ飯を悪魔的睦月姉妹は悪魔的注文をここぞとばかりに繰り返す、コイツら普段一体何を食ってるのか…?

 

「………はぁ」

 

「社長が暗い顔しないの、ほら」

 

陸奥は自分のワイングラスを俺に勧め、俺はそのグラスを受け取ってイッキに呷った

 

「ブハァ!!……マズい、毒にも薬にもなりゃしねぇ」

 

「あらそう?結構イケると思うけど?」

 

「俺ワイン苦手なんだよ」

 

「ふ~ん」

 

「ところでどうだ?この後、やらないか?」

 

「どストレートなお誘いアリガト、でも残念、今日は気分じゃないの」

 

あと、どストレートすぎて今のはマイナスねと言って陸奥は小さくウィンクした

 

「お前に一目惚れじゃあ、抱くぞ」

 

「微妙な変化つけてきたわね、マイナス30点」

 

そんな俺と陸奥のやりとりを見ていた睦月姉妹のクソガキどもは“また提督が振られておるぞー!”とか言ってゲラゲラ笑い、別腹のデザートを注文しだした…

 

「いい加減諦めるにゃしい」

 

「テートクに陸奥さんはオトせないですよ」

 

「うるせぇよ、オトせるわい!なぁオイ!」

 

「そうねぇ、諦めが悪いのは嫌いじゃないわ」ニコッ

 

「ほらぁ!」

 

「完全に遊ばれてるにゃしい…」

 

「バカだ、バカがいる、ギャハハハハ!」

 

コ、コイツらぁ……誰がこのクソガキどもを雇ってやっていると…

 

「そうねぇ……ま、バカと言うより、大バカかしらね」

 

「誰が大バカだ!」

 

「フフッ…ウチの家系は昔からバカに弱いのよ、それも、大バカにね」

 

「マジか!」

 

いや、この顔はいつもの冗談言ってるツラか…?陸奥は可笑しそうに笑ってテーブルに頬杖をつき…

 

「…さぁ?どうかしら?」

 

………まったく、付き合いだけは長いがこの女だけはわからん、だが、一つだけ確かな事がある、それは………

 

コイツはかなり“イイ女”ってコトだろう

 

 

【続・喫茶五月雨軒】

 

「コーヒーです」

 

「うむ」

 

キュウシュウのとある市街地、その市街地の雑居ビルに店を構える本格珈琲専門店、五月雨堂…

その、些かユニークな味は飲む者の心に暗い影を落とし、世の中にはこんなので金取る店もあるのかとある意味感心させている…

 

「………不味い」

 

「失礼な」

 

「相変わらずお前の淹れるコーヒーは不味いな」

 

「不味くありません、こだわり抜いた本当のコーヒーの味です」

 

その、クソマズコーヒー専門店を経営する店主の五月雨は俺の感想に若干イラっとしつつもすぐにニュートラル状態に戻り、カップを拭き始めた…

 

「ところで最近、向かいのビルにス●バが入ったらしいな」

 

「そうらしいですね」

 

「…よし、行くか」

 

クソマズコーヒーを飲んでひと心地ついたところで口直しでもするか…

 

「ス●バに行くのなら店内にゴ●ブリがいないか血眼で探してください、むしろ落ち度を見つけたらそこを徹底的に突いてください」

 

「なんてコト言うのかね、この子は」

 

「ウチの客奪ってデカい顔しようなんて甘いんですよ、チョコ・ラテみたいに」

 

奪われてない、お前は何も失ってない………その言葉を飲み込み、俺はクールに苦く笑った

 

「相変わらず卿に冗談のセンスはないな」

 

俺は椅子を引いて立ち上がり上着を手に取ると、五月雨は一枚の紙を差し出してきた…

 

「380円です」

 

「毎日飲むお得意様へ一杯無料とか始めたらどうだ?」

 

「考えておきます、380円です」



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提督とチョコレートとSHB

エクセレントハンサムカンパニー

【登場人物】

TEITOKU(メガネ男子担当)
SHBのリーダー的存在、未だ中二病から抜け出せずにいる恥ずかしい大人

TENRYU(眼帯&オラつき担当)
SHBのヤンチャボーイ、中二病

KISO(眼帯&オラつき担当)
SHBのヤンチャボーイ、中二病


「そーいやよぉ、オマエらどーだったよ?」

 

今日は特にやる事もなく開店休業な談話室…

俺、天龍、木曾の仲良し三人組は談話室で誰かが買って置いて行ったカントリーマ●ムをボリボリ食べつつダラダラとダベっていた

 

「何が?あ、黙示録な、仕切り直しや」

 

「おま…っ!ちょ!オマエマジか天龍!マジかオマエ!まぁ………対抗呪文あるけどな」

 

「ですよねー………あーやめやめ、オレの負けだよチクショウ!」

 

天龍は手札をテーブルに叩きつけ、ありがとうございました、いいデュエルでしたと懇切丁寧に頭を下げ、椅子の背もたれにグィーッともたれかかって胸を反らした

 

「で?なんだっけ?」

 

「なんだっけじゃねぇよ、舐めてんのかテメーは」

 

なんだっけ?と胸を反らすのはおっぱいのついたイケメン、天龍、世界で一番自分がカッコいいと患っているおっぱいのついたイケメンだ

 

「フッ、わからねぇのか?天龍」

 

そしてもう一人、自分のカードを丁寧に片付ける眼帯をしたイケメン、木曾、常に闇の勢力や己の中に封じられた邪悪なる存在と戦っている

 

「なんだよ木曾ォ…」

 

「ここ最近、協会(ソサエティ)のヤツらの動きが活発化してやがる、おそらくは“天獄変(ラスト・リゾート)”の時は近いぜ」

 

協会(ソサエティ)が…ッ!まさか……アイツらが!」

 

「お前の“黙示録の魔龍眼(アポリカプス・アイズ)”よりオレの“漆黒を纏う死の雷眼(ダークネス・デス・ヴィジョン)”はヤツらのチカラを感じ易いからな、フッ……どうやら宿命、いや、ヤツらからは逃げられないらしい」

 

「バカヤロウ木曾ォ!お前はアイツらとは違うじゃねぇかッ!それに……約束しただろ?もしもの時は俺がお前を止めてやるってよ!」

 

「フッ…そうだったな」

 

高度な病を患う天龍と木曾は互いにニヤリと笑いガッチリと手を組んだ…

まぁ、男の子ってのは誰しもそーゆー時期があるもんだ…

 

「で?なんだよ提督」

 

「俺達の間に遠慮なんて水臭いぜ」

 

「いや、オマエら今年チョコ何個貰った?」

 

チョコレート…ッ!!

それは、主にカカオを原料とした菓子であるッ!

現在、市場には様々な味や高価な物から安価な物まで流通しており、単にチョコ的なものを食べたいと思えばコンビニなどでも購入できる…ッ!

 

そして、この国にはチョコレートを贈る文化と言うものが存在している……

 

聖バレンタインデー…

 

一説には、2月14日は12月24日と並ぶハルマゲドン勃発の危険を持つとされ、近年では2月14日はむしろ“ふんどしの日”で定着すべきでは?と政府が検討しているらしい…

 

そんな聖バレンタインデー、昨年、俺達スーパーハンサムボーイズ、通称SHBは全員ほぼ身内からしか貰えないというハンサムにあるまじき憂き目に遭った(※406回参照ですって)

 

「…天龍、お前は?」

 

「…1個」

 

やはりか…そしてたぶん、妹の龍田様からだろう

 

「で、でもよォ!デカいチョコレートだったぜ!アレなら普通のチョコ30個分に相当するぜッ!」

 

なるほど、量より質、いや、質も量も兼ね備えたと言う結論か…

 

「では木曾、お前は?」

 

「…よ、4、いや……5だったかなー、うん!」

 

おそらくは安心のお姉ちゃん達から4つ、そして曖昧かつ目が泳いでいるが5と言い張る木曾…

 

「ハァ?オイ木曾ォ、嘘はいけねぇぜ!どーせ今年も姉ちゃんからしか貰ってねーんだろオマエ!」

 

「う、嘘じゃねーし!姉ちゃん達以外からも貰ったし!だいたい天龍!オマエ妹からだけじゃねーか!何が30個分だ!そりゃ1個だ!1個!」

 

「やめんか見苦しい」

 

「っーか提督はどーなんだよ!」

 

「どうせ今年もサミ子からしか貰ってねーんだろ!」

 

「バカ言うんじゃないよこの子らは、今年はなんと100個貰ったぞ」

 

ざわ…っ!!

 

「ひゃ…!?マジかよ!!」

 

「バ、バカな…ケタが違いすぎる!?」

 

「フッ、舐めるなよ小僧ども、この俺が本気を出せば簡単なコトだ」

 

俺の圧倒的な戦果に驚愕、そして衝撃を隠しきれない負け犬二人組は一体どんなマジックを使ったと言うんだーッ!と詰め寄って来たので俺は二人を落ち着きまえと胸を押してやり、懇切丁寧に説明しようと座らせた

 

「なに、カンタンなコトだ………2月14日、大小は問わない、俺にチョコレートを献上すれば臨時でお小遣いを与えると噂を流した」

 

そして策は見事にハマり、駆逐艦のバカガキどもを中心にこの俺にこぞってチョコレートを献上しにやって来たと言うワケだが…

 

「ば……買収じゃねーかッ!!テメ!キタネーぞッ!」

 

「インチキ…っ!インチキだ…っ!無効っ!そんなものは無効だ…っ!認められるか…っ!通るか…っ!そんな理屈!」

 

「汚い?いけないなぁ、提督のコトを悪く言っては…」

 

「無効…っ!認められない!」

 

「そうだぜ!っーかそんな買収してまで貰おうなんてゲロ以下だな!提督!アンタは今、再び俺達の心を裏切ったんだぜーッ!」

 

カッカッカ、負け犬どもがキャンキャン吠えよるわい、カッカッカ!

 

「そもそも買収ではない、俺はあくまで善意のチョコレートを貰ったに過ぎん」

 

「買取ってるじゃねーか!」

 

「買取ではない、まぁ、善意に対しての心付けは返したがな」

 

「クッ!ペラペラと口が回る…!それが大人のやるコトかよォー!!」

 

「それが大人の特権だよ」ドヤァ!

 

天龍と木曾は悔しげにテーブルや壁を叩いたりしているが、まぁ、今はまだ若いコイツらにもいずれわかるだろう………過ちを認め、ただ次の糧にすればいいと

 

俺はそんなバカ二人を嗤い、畳に置いてあった基地スポを手に取った

 

「え〜……ほぉ、基地スポチョコレート獲得ランキングか、どれどれ……1位は〜……」

 

今年もブッちぎり!堂々の首位!のわっち!

 

「バ……バカな!!のわっち、だと…?」

 

たしかに、のわっちこと野分は俺達SHBと並ぶ、いや…あるいはその上を行くイケメン…っ!ま、まぁ!のわっちならしゃーなしだな!うん!よし………俺の名前は〜?

 

「…………あれ?」

 

「どうした?提督」

 

「なんだそれ?基地スポチョコレート獲得ランキング…?1位は野分………オイ、提督の名前がないぞ!」

 

「バ、バカな!!何故だ!?」

 

俺はランキングを上から下まで舐めるように見たが、俺の名前はない!!そ、そうか…!青葉め、どうやら集計ミスをしたらしいな!

 

「待て!ちなみにこのランキング!チ●ルチョコ1個等はカワイソーすぎて獲得数に換算されないらしいぞ!」

 

「なんだと!?」

 

「ちなみに提督、チ●ルチョコの獲得数は…?」

 

「………100個ぐらい」

 

…そう、クソガキどもはどいつもこいつもチ●ルチョコ1個持って来ては小遣いを持って行った

 

「うわ……ダセぇ」

 

「ダサすぎるぜ、提督…」

 

天龍と木曾はまるでカワイソーなものを見るように俺の肩に手を置いた

 

「ダ………ダサくないもん!!なんだよ!オマエらぁ!なんだその目は!憐れむな!俺を…っ!!」

 

「どうせチ●ルチョコ以外はサミ子からしか貰ってねぇんだろ?わかるぜ…」

 

「ヘヘッ、水臭いぜ提督……オレ達、マジダチだろ?」

 

「天龍…っ!木曾…っ!オマエら……っ!!オマエらっ!」ポロポロ…

 

…まったく、オマエらはいつだって俺の最高のマジダチだぜ!!

 

「意地はってごべーん!!俺が悪かったァー!!」ドゲサァ!!

 

「ヘヘッ!顔を上げろよ提督!」

 

「そうだぜ!オレだって実は姉ちゃん達からしか貰ってなかったんだ!」

 

こうして、俺達スーパーハンサムボーイズ、略してSHBはより一層の友情を深め、みんなで持ち寄ったチョコレートを食べて来年な向けてエイエイオーした



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提督と春の嵐‐兆‐

来るべき対話の為の前振り回

【登場人物】

提督(中佐)
子供にアイスぶつけられる程度の覇気

五月雨(秘書艦)
通称、青髪ロング子、結構キレ易い


今年は雪が降る気配すらないなと感じつつなんやかんやでもう二月も終わり気味の春の気配すら感じる執務室…

鳴るとだいたいロクな話しかない軍の回線を使った電話にイヤな予感を覚えつつでると、イヤな予感は確信に変わった…

 

『そーゆーワケだ、わかったか?』

 

「わからん、まったくわからん」

 

『わからんかいダボが、まぁいい……これは既に決まった話だ、ワシにもどーしょーもない』

 

「それをどうにかするのが大将様じゃねーのかよ、なんなんだよ大将様ァ〜…無敵のマグマパンチで気に入らねーヤツはズドンしちまって下さいよぉ〜」

 

電話してきた大将様からのイヤな話を聞きつつ、これからの予定をどうしたものかとカレンダーにメモを書き込み、話の最後に“もしやらかしたら命はないと思えよ”と釘を刺され電話は切られたので俺も受話器を電話器に叩きつけた

 

「何事ですか?」

 

「何事だ」

 

青髪ロング子は消防機器関係の書類を纏めたファイルを俺の机に置き、コーヒー飲みますかと尋ねてきたので丁重と断ると若干イラっときた顔をしたがすぐにニュートラルに戻った

 

「………今度、例のお嬢様がキュウシュウに来るらしい」

 

「…はぁ?」

 

「で、わざわざ時間を作ってウチを見に来るらしい」

 

「はぁ?」

 

はぁ?じゃないのだよこの子は………ったく、そもそもあのお嬢様もなんでまたウチなんかを見に来るんだよ、佐世保とか行けよ、佐世保、ウチじゃオージィービーフしか出せないが四大鎮守府の一角、佐世保なら和牛ぐらい用意してくれるだろーよ

 

「一応、護衛と案内も兼ねてあのクソオヤジも来るそーだ」

 

「大将殿もですか、これはバ●ターコール待ったなしですね」

 

「何がバ●ターコールだ」

 

だがあのクソオヤジのコトだ、正しくなければ生きる価値は無し!生き恥を晒すぐらいなら容赦なくズドンするだろう…

 

「でだ、とりあえず俺はこの件を穏便に片付け植物のように穏やかに生きたいわけなのだよ」

 

「はぁ?」

 

「間違ってもだ、基地に来たお嬢様にいきなりガンくれたりメンチ切ったりするようなクズどもが居てはならないのだよ」

 

「はぁ…?」

 

「もしだ、お嬢様に対して何かしらの失礼働こうものなら即バ●ターコールと考えていいだろう」

 

「そうですね、ってか、むしろ門とか壁の掃除した方がいいでしょうね」

 

特に、駆逐艦のアホガキどもの寮はバキハウス並のヤンチャぶりだしな

 

「あと、明石の店も余計なモノは全部撤去だ」

 

「そうですね」

 

◆◆◆

 

バカどもとは生物としてのステージが違い過ぎる生粋のお嬢様を迎えるにあたり、何がセーフで何がアウトなのか、その、アツい議題を徹底討論するべく、やはり糖分は欠かせないと俺と五月雨はマミーヤに場所を移していた…

 

「ちなみに、有馬のお嬢様はただ職場見学するだけなんですか?」

 

「一応そうらしいが、まぁ、もしかしたら演習ぐらいするかもしれんとかクソオヤジが言ってたな」

 

「演習…?梶輪大将とですか?」

 

「バカ言うんじゃないよこの子は」

 

今や第一線の戦場から身を退いてはいるがあのクソオヤジは常勝の天才と讃えられた事もある実力派だ、間違っても俺に花を持たせようなどと考えないだろうし、練度170オーバーの最精鋭を集めてガチでくるだろう…

 

「とりあえずだ、俺達はお嬢様が心より喜んでくださる真心のこもった催し物を用意する必要がある」

 

「はぁ?催し物ですか?」

 

「サミヒアイス、卿に何か良い案はないか?」

 

「そうですね、歌でも歌ってみますか?あと、五月雨です」

 

「歌、か…」

 

なるほど、シンプルで真心を感じる催しの一つだ…さすがは我が頼れる秘書艦、俺の想像を遥かに超えてきおるわい

 

「よし、では歌の上手いヤツを…」

 

「歌の上手い……NAKAさんですかね?」

 

「大却下だ」

 

まさかお嬢様に見る者全てが呪われる川内型地獄の人文字を見せるワケにはいくまい…

 

「じゃ、KAGAさん」

 

「アイツもトンガってるからなぁ~…却下だ」

 

まさかお嬢様に1秒間に10KAGA発言で度肝を抜くワケにはいくまい…

 

「仕方ない、こうなれば俺、天龍、木曾のスーパーハンサムボーイズが…」

 

「あ、それもナシで」

 

「なんでだよッ!」

 

グゥゥゥム、こやつめ、どうやら俺達の歌声が理想郷(アルカディア)に届いて天国(エデン)へと昇っていくmusicすぎて観客をダイレクトアタックする危険性を見抜いておるのか

 

「自分で言ってみたものの、歌は難易度高そうなのでナシの方向が良さそうですね」

 

「然り」

 

となると、あと思いつくのは“油風呂”か“竹林剣相撲”か“撲針愚”ぐらいしか思いつかんな…

 

「フロイラインサミーンドルフ、卿に何か妙案はないか?」

 

「そうですねぇ、正直、相手はあのお嬢様ですし、むしろ必要ないかと……あと、五月雨です」

 

五月雨はチーズケーキをモサモサ食べつつ興味なさげに頬杖をついた

 

「バカヤロウ、備えあれば嬉しい嬉しいって言葉を知らないのか!」

 

「憂いなしは知ってますけど………まぁ、どんな小細工弄しても憂いますよ、きっと」

 

「なんてコト言うのかねこの子は」

 

だがこやつの言うコトも一理はある、例え俺の溢れる知性をもってしても100%の勝利はない、可能性が低いと言うコトは0ではないように未来は常に混沌(カオス)に満ちている

 

俺はティラ・ミスにかぶりつき、コーヒーでその甘さと業を流し込んでいると、マミーヤの扉を開き、新たなる客が入って来てこう言った…

 

『コイツに“スパゲティ”を食わせてやりたいんですが!かまいませんね!』

 

小綺麗でおっぱいデカい女の名はアクィラ、小汚い子供の名はルイージといった…

 

そんなアクィラの問いかけに、奥のテーブルに居た仲間らしい女は、特に何か言うワケでもなく、同じくテーブルを共にする姉、イタリアに運ばれて来たスパゲティの皿を小汚い子供の前に差し出した

 

『あ、ローマ…それ私の』

 

ルイージは差し出されたスパゲティ、そしてアツアツのピッツアも嬉しい嬉しいとガッついた…

ちなみに、ピッツアもイタリアが注文した皿だった…

 

『………ひどい』

 

何故、あの妹は姉の皿を子供に与えたのか………俺はその姿に気高き“覚悟”と漆黒の“意思”を感じた

 

「………ま、なんとかなるだろ、なぁオイ?」

 

「そうですね、最悪、提督のクビ一つで許して貰えますよ」

 

「なんてコト言うのかねこの子は…」



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Waltz For Venus 前編

完璧(パーフェクト)を超えた完全無欠(コンプリート)!最大の敵を前に、戦闘艦娘の誇り

【登場人物】

提督(中佐)
中佐、フラグは見えてない

大将殿(大将)
中央司令部所属の大将、あらゆる元凶

有馬優(お嬢様)
“提督の花嫁”以降からたまに登場する激烈箱入りお嬢様



あの人にとっては日常の些細な出来事

 

でも私にとっては世界の全てを変える出来事

 

もう一度あの人に会いたい、はじめて我が儘を言った時、父も、母も、兄も、姉も、みんなが見た事もないびっくりした顔をしたのに私もびっくりした…

 

それから、我が儘を言う悪い子になった私は何度も無茶なお願いをして、そしてまた、無茶なお願いをしてしまった…

 

本当はほんの少し罪悪感はある………けど、今はそれ以上に…

 

あの人に会える

 

それが楽しみで心が躍る自分がちょっと怖い

 

◇◇◇

 

キュウシュウのとある地方にあるちょっと外に足を延ばせば都市圏には行ける微妙な立地の基地…

 

今日、この基地はかつてないであろう厳戒態勢が布かれていたッ!!その厳戒態勢たるや世界最強の海賊を迎え討つべく最大・最強・最高の戦力が集められたに等しく、地域の住人達はこれから起こるであろう戦いはおそらく世界の命運を分ける戦いになるのだろうと予感していた…

 

「よぉーしオマエらーッ!既に聞いてるとは思うが、今日、ここに大将殿とお金持ちのお嬢様が来られる!もしなんか問題起こしたら俺もオマエら全員タダじゃ済まねーからな!」

 

気合と決起の全艦集会…

壇上に上がった俺は下に居るクズどもにあえて言ってもカスであると力強く伝え、これから来る来訪者に対し、決して危害を加えない、決して恐怖を与えてはならない、決して不安な気持ちにさせてはならないと厳命を下し、全員解散させた…

 

「さて……サミエルシュタイン、お客様は今どうなっている?」

 

「空港には着いたらしいですよ、今こっちに向かってるんじゃないですか?あと、五月雨です」

 

「そんなコトはわかっている」

 

移動中な事は百も承知だ、むしろそんなコトより移動手段だ、おそらくは黒塗りの高級車あたりで基地まで乗り付けてくるであろうコトは確実……そう、コーラを飲むとゲップが出るぐらい確実なコトだ

 

「基地周辺にそれらしい車両は?」

 

「今のところ見たって話は聞きませんね」

 

「そうか…」

 

一応、近隣地域の皆さまにいかにもな車両を見かけたらすぐにウチに連絡するように協力を仰いではいるが…ふむ、まだ姿を見せないとは………ハッ!?まさかタクシー!タクシーで移動しているのか!?

 

「サミエルシュタイン、タクシーだ!タクシーを警戒させろ!」

 

「はぁ?」

 

「何もここまでの移動手段はお嬢様専用黒塗りの高級車だけではない、空港からタクシーを拾った可能性もある」

 

「はぁ…?あと、五月雨です」

 

備えておいて憂いはない、相手がいつ現れるのか…

それを予想することでこちらはそれに先んじてあらゆる手を打つ事ができる

 

そんな知性溢れる先見の明を考えていると、五月雨はポケットから自分のケイタイを取り出して耳にあて…

 

「はいはい、えぇ、はい……あ、今着いたんですね、わかりました、お通ししてください」

 

ケイタイのボタンを押して机に置いた…

 

「オイ………今、なんて言った?」

 

「お客様、今、正門に着いたそうですよ」

 

「なん………だと?」

 

バ……バカな!!あり得ない!!空港から基地までの間、あらゆる手を使って監視させた厳戒態勢だぞ!?バカな、一体どうやって…!?まさか徒歩で来たとでも言うのか!?

 

「あー………たぶんアレじゃないですか?バス」

 

「バス………だと?」

 

たしかに、ウチの前にはバス停があるが……!!オイオイオイ、こりゃズイブンとエラい交通手段で来たじゃねーの!

 

「チッ!あのクソオヤジが!まさか公共交通機関で来るとは…ッ!まぁいい、行くぞ!」

 

「そうですね」

 

俺は椅子に掛けてあった上着を手に取り、五月雨と共にお客様の待ち受ける正門へと向かった

 

ーーー

 

基地内正門前…

 

「ガハハハハハ!出迎えご苦労!ワシのかわいいサミちゃんは元気にしとるかー?」

 

「うるせぇよ、っーかフツーバスで来るかよ!バスで!」

 

正門前で待っていたのは俺をこの道に引きずり込んだ元凶、海軍中央司令部、梶輪大将…ッ!!そして…

 

「仕方あるまい?有馬嬢たっての希望だったからなぁ」

 

「ウソつけこのクソオヤジが」

 

大将殿、そして、大将殿に匹敵する年齢の割にガッシリとした体格を持つ執事風のジジイと、そのジジイの後ろに少し隠れるように立っている小柄な少女…

 

「お久しぶりですな、中佐殿」

 

「あ、あぁ…先日は色々と失礼しました」

 

「いえ…」

 

執事のジジイの鋭い眼光にやや怯みつつ、俺は正面からそのプレッシャーを受け止め、ジジイの後ろに居る、本日の最重要人物に顔を向けた

 

「遠路はるばるようこそ、まぁ、見ても大して面白くもないところですが…」

 

「////!」

 

本日の最重要人物、お金持ちのお嬢様(JS)

俺は出来る限り最高にプリズムの輝きを放ちつつお嬢様に挨拶すると、お嬢様も丁寧に頭を下げてくれた

 

「さて………では早速ですが基地を案内で?」

 

「ワシは構わんが、有馬嬢はそれで?」

 

「///」コクコク

 

「構わんそーじゃ、ま、時間も限られとるしな」

 

そんなワケで、まずはバ……優秀な駆逐艦のキッズ達が真面目に座学を受けている姿でも見て貰うか…

 

ーーー

 

執務棟、教室…

普段から駆逐艦・海防艦のアホガキどもを中心に一般教養を身につけさせるべく、香取・鹿島両先生が熱血指導を行っており、生徒達は皆、向上心を持って授業を受け、完璧なカリキュラムにより優秀な成績を修めます…

 

「押忍!駆逐艦清霜!九九を唱和させて頂きます!」

 

…そして、本日の授業は鹿島先生担当

 

「インイチがイチ!インニがニ!インサンがサン!」

 

「そうよ清霜ちゃん!ガンバって!……ガンバって!」

 

鹿島先生もアホの清霜を熱血応援するこの高難易度!五の段までは順調にクリアーし、難関である六、七の段もなんとか………そして

 

「九九、八十八ッ!!以上をもちまして九九終了しました!ご静聴ありがとうございました!」ペコォ!

 

「オウ、いつ聞いてもさすがじゃのぉキヨシの九九は」

 

「なんでも今度は分数のかけ算にも挑戦するって話だぞ…」

 

「ウーム…アイツならやるかもしれん」

 

同じく授業を受けるメンツもバカだった…

キヨシはみんなの拍手を受けつつ席に戻り着席した、その顔は、とても誇らしげな顔をしていた………が、鹿島先生は困ったような笑顔をしていた

 

「清霜ちゃん」

 

「ハイ元気です!」

 

「残念」

 

鹿島先生は指でバツを作った…

 

「…………オイ、オマエんトコ大丈夫か?」

 

「大丈夫です」

 

大将殿はまぁ、そーゆー時期もあるわいと一見すると軽く流しているように見えるが内心はよくわからない

 

「/////!」

 

…お嬢様は、小さく拍手していたが………お嬢様的には算数できるチンパンの芸を見た的な感じなのだろうか?

 

ーーー

 

続いて基地施設体育館…

普段はバ……艦娘どもがスポーツなどで汗を流したりする施設であり、全艦集会などはここで行われている…

 

「They doing basketball imitation in this country, please stop all the members right now or die!」

 

「な……なんてヤロウだ!」

 

「手も足も出ねぇ…クソッ!これが本場のバスケだっーのか!」

 

そして、今の時間は最高にマブいオンナ監督、瑞穂率いるチーム瑞穂とアイオワ率いるナショナルチームがバスケットでアツい青春の汗を流していた…

 

「ハッ?この程度のLevelで最高峰なの?大したコトなさすぎ」

 

ゲームはナショナルチームの大型新人、ジョンストンによって完全に支配され、チーム瑞穂は一方的に叩きのめされる展開となっていた…

 

「ま、アタシは天才だからこんな島国のmonkeyに負けるワケないんだけどー!アハ!アハハハハー!」

 

ジョンくんはまるでテンプレ悪役外人のようにケラケラ笑いチーム瑞穂を見下して笑っていたが、ふと、こちらと目が合った

 

「あら?Admiralじゃない?ナニしてんの?あ、もしかしてアタシの活躍見に来たの?」

 

「ただの職場見学なのだよ」

 

「ショクバケンガク?ナニそれ?あ、ドリンク飲む?アタシの飲みかけだけど?」

 

ジョンくんはメリケン特有のグイグイくる感じで自分のスポドリをグイグイ押しつけてきたが、俺は喉は渇いてないからノーセンキューなのだよとあくまで紳士的に断った

 

「エンリョしなくてイイのに………ん?」

 

ジョンくんは俺達職場見学ツアー集団の中にいるお嬢様を目ざとく見つけたらしく、俺にアレ誰?と聞いてきた

 

「VIP様だ、あまり失礼のないようにな」ヒソヒソ

 

「VIP様ねぇ、フ〜ン…」ヒソヒソ

 

ジョンくんはニヤリと悪役外人特有の邪悪な笑みを浮かべ、よりによってお嬢様に声をかけた!!

 

「Hi、アタシはUSS Johnston、アナタも見ているだけじゃ退屈じゃない?一緒にやらない?」

 

「///!?」

 

オイイイイイイイィィィィィィ!!ナニ言ってやがんだこのガキゃあァァァァァ!!さっきVIP様だから失礼のないように言ったばっかだろうがァァァァァ!!

 

案の定、お嬢様は困ったようにオロオロしているが……まさかこの激烈箱入りお嬢様がこんな激しいスポーツに耐えられるワケがない

 

「ま、やらないってならソレでもいいけどー?」

 

さらにジョンくんはメリケン特有のグイグイくる馴れ馴れしさで俺と腕を組んで煽る!!このガキ一体ナニ考えてんだよッ!?死ぬか!?いや、死なすか!今すぐスネークバ●トすべきか!?

 

「………///」

 

「は?」

 

執事のジジイはジョンくんの前に立ち、恭しく頭を下げ…

 

「お嬢様は、お受けすると…」

 

「Good!いいじゃない!」

 

ウソだろオイ!!ジジイ!オマエ止めろよ!それオマエの仕事だろオイ!!オマエさっきのジョンくんのプレー見てなかったのか!正直、デカい口叩くだけあってジョンくんの実力は白露型キ●キの世代と比べても遜色なかったぞ!10年に1人の天才レベルだぞ!?

 

「大将殿!」

 

そうだ!ジジイがダメなら大将!大将殿ならこの惨劇を止められ…

 

「サミちゃん飴食うか?飴、最近花粉症でなぁ、ガハハハハ」

 

「へぇ」

 

…クソオヤジは久々に会った孫に執拗に構うジジイのように五月雨に馴れ馴れしくしていた

ダメだ、このクソオヤジ状況がまるでワカってねぇ…

 

「勝負は1 on 1、アタシからポイント取れば……いえ、アタシを抜いただけでもアナタの勝ちでいいわ」

 

「……」コク

 

止める事はできない!焦る俺を無視して話がどんどん進み、ジョンくんとお嬢様はコートへと移動し、ジョンくんはお嬢様にボールを渡した

 

「オイオイオイ…」

 

「中佐殿、黙って見ていなさい」

 

執事のジジイは俺を鋭く睨んで威圧した、そして…

 

「GAME STARTよ!」

 

笛が鳴り、ジョンくんの猛こ………

 

「…!」

 

ボールを持ち、センターライン上から飛んだお嬢様の手から放たれたボールは綺麗なループを描き、ゴールに吸い込まれた…

 

「オイオイオイ…」

 

高弾道スリー…ッ!!!

 

「ウ……ウソでしょ?」

 

ジョンくんも信じられないと言った様子でポカンとしているが、いやいやいや!!高弾道スリー!?あのお嬢様が!?

 

「……」

 

「い、今のはレンシューよ!レンシュー!ってかアタシを抜いてないじゃない!今のじゃアタシに勝ったと言えないわね!」

 

ジョンくんが順調に積み重ねたフラグが今、音を立ててバクハツしている…ッ!!ジョンくんは再びお嬢様にボールを渡し、次が本番よ!抜けるものなら抜いてみなさい!と英語でまくしたてた

 

「…」

 

「ッ!!ウソ…ッ!早…っ!!」

 

開始直後からフルドライブッ!!有馬嬢はおそるべきスピードでジョンくんを抜き去った………しかし!!ジョンくんも負けてはいない!即座にそのスピードに対応し、再びお嬢様の前に立ちコースを塞ぐ!!

 

「!」

 

「コ…コイツ!!う、ウソでしょ……!!アンタの方が先に跳んだじゃない!なんでアタシの方が先に……!」

 

まるで翼が生えたかのようは跳躍!!空中戦にも負けたジョンくんはコートに落下し、有馬嬢はボールをゴールに叩き込んだ!!

 

「ま………負けた、こ……このアタシ、が」

 

オイ、オイオイオイ……え?えぇぇぇ?マジか、オイちょっとマジか?

 

「お嬢様はあらゆる分野において秀でた物をお持ちです」

 

「マジか…」

 

執事のジジイは当然の結果だと言った、っーかマジか…あのお嬢様、ただの引きこもり気味のおとなしくて繊細な子じゃなかったのか?

 

「ただ、今回は特に力が入っているようにも見えましたが…」

 

お嬢様はボールを置き、いつもの少し自信なさげな足取りでこっちに戻ってきた

 

「………いや、正直驚きました、スゲーっすね、お嬢様」

 

「/////」

 

いや、ホントに…





次回は後編、たぶん
もしかしたら中編


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Waltz For Venus 中編

中編、早くもイチャラブなんかクソくらえなKAWAIさゼロ展開!

【登場人物】

提督(挑戦者)
海軍三大奥義テイトクリベンジャーの使い手

梶輪大将(王者)
テイトク強度9999万パワー、提督の上位互換

桜井中将(解説)
ワリとなんでも知ってはる優秀な解説ポジ


前回までのあらすじェ…

 

オッス!オラ提督!ひゃー、ジョン!おめーが手も足もでねーで負けるとはオラ思ってなかったぞ!でも悔しいよなぁ、プライドの塊みてーなおめーだ、ここで諦めていいんか!大将とお嬢様、まったく……こんなにやべーのに、オラワクワクしてきたぞ!

 

 

完全敗北で心をペッキリと折られたジョンくんにナイスゲームと声をかけ、職場見学チームは以降も基地内の様々な場所を視察して回った後、マミー屋へとやって来た…

 

「本日のオススメ、季節の桜色タルトです」

 

マミーヤ会心の一食…ッ!普段なら絶対注文しないが今日は違う、接待をケチる俺ではない、値段は有り得ないほどバカ高いがマミーヤの味は“本物”だ、おそらくは庶民とは出来が違うであろうお嬢様の高尚な舌にも通じるという“確信”が俺にはあるッ!

 

「/////!!」

 

…良かった、通じたらしい

マミーヤ必殺(フェイバリット)メニューを口に入れ、お嬢様は今までにない幸福感溢れる表情で満たされている

 

「美味いが量が足りんなぁ、オイ、同じのあと4………いや、サミちゃんもまだいるじゃろ?」

 

「そうですね」

 

そして高尚でない舌のクソオヤジは必殺(フェイバリット)メニューをペロリと平らげ追加、五月雨もここぞとばかりにお高価なマミーヤ必殺を注文してやがる………とりあえずクソオヤジには後で請求書回してやろう

 

「///」

 

「ハハハ、お口にあったようで何よりです」

 

セーフ…っ!圧倒的セーフ、生き残り…っ!生粋の激烈箱入りお嬢様と言えど所詮はガキ、甘いモンでゴキゲンになる点はウチのバカガキどもと同じと言うコトか…

 

「そういや大将殿…」

 

「なんだ?」

 

「前に演習がどーのこーの言ってたが…」

 

「演習…?あぁ、たしかそんなハナシしたのぉ」

 

このオヤジ忘れてたのか?まぁ、無いなら無いでいいんだが…

自重しろとは言ったものの、ウチのバカどもの残虐ファイトをこのピュアガールにお見せするには些かSHIGEKIが強過ぎる…

 

「ま、演習と言うよりは、オマエの昇格審査じゃがな」

 

「は?」

 

「負ければ降格、勝てば昇格、わかりやすいじゃろ?ガハハハ」

 

「ハアァ!?ちょ、ちょ待てよ!ナンだそれ!聞いてねーぞ!」

 

「ガハハハハハ!」

 

このクソオヤジ!昇格審査どころか負ければ降格もあるだと!?有り得ない…!通るか…っ!そんな理屈…っ!!そんな理不尽…っ!

 

「ワシ的にはワリとどーでもいいコトなんじゃが、まぁ…アレじゃ、ほれ、有馬がのぉ………そっちの有馬嬢と釣り合うに足らん階級ではないかとな」

 

「釣り合う階級ぅ?」

 

まぁ、そりゃ俺は地方のしがない中佐にすぎない、しかし釣り合うもクソも俺はロ●コンではないし、このお嬢様も金持ち特有の自由意志も愛もない、よく知らない大人と見合いさせられ、今日もこんなところまで付き合わされているのだろう…

 

「//////」

 

…考えれば悲しいコトだ、家の都合でこんなワケのわからんイチ海軍将校と見合いさせられ、それなりに仲良くお付き合いしてますよアピールをしなければならないとは……

恋するってのはね、もっとこう、自由で、救われてなきゃダメなんだ…

そう、ケッコンってのは、幸せで、幸せで、幸せの絶頂の時にするもんだ、そう…幸せで……

 

「エェェェェレナァァァァァァー!!」

 

「//!?」ビクッ!

 

「なんじゃあ!?」

 

「スミマセン、少々取り乱しました………だが大将!アンタは間違っているッ!」

 

「ア゛ァ?」

 

「人を好きになるってのはな、誰かに強制されるもんじゃない!自分の“心”が決めるモンだ!」

 

「…ハァ?」

 

確かめずにはいられないんだよ!“愛”が!“儚い”など言い訳だ!そう、このお嬢様はもっと“自由”にしていいハズだと俺がアツく語っていると、秘書艦の青髪ロング子がタルト食いながらうわ…マジキメぇみたいな顔していたが、コイツは後で尻でも叩いてやろう

 

「フーッ~………まぁ、なんかよくわからんが、いいじゃろう…“愛”でオマエをブチ殺してやるわい」

 

「あ?」

 

ブチ殺す……?俺を…?面白れーコト言ってくれるじゃねーか、だいたいアレだ、完全平和主義の俺が今、海軍っー半分ヤ●ザみてーな仕事をしてるのはテメーの仕業だろーがオイ

ヤベ、よく考えたらフツフツと怒りが湧いてきたわ…

 

「ブチ殺す?…………上等だよテメー」ピキッ!パキッ!

 

「カッカッカ!ならば見事受けてみよ、このワシとの“将奪戦”………勝ったら大佐に戻してやるわい」

 

こうして、マミー屋のテーブルを挟み、俺とクソオヤジこと大将殿はメンチの火花を切り合った

 

「今すぐオモテでろや」

 

「まぁそう焦るな、弱く見えるぞ」

 

◇◇◇

 

海軍には古来より戦果を挙げる以外にも昇格をする手段が存在する…

 

将奪戦…

 

自分より階級の高い将校に勝利する事、あまりにもシンプルな条件、それ故に互いの決定的実力差が明確に現れるこの戦いは過去に何度も行われたが成功率はあまりにも低く、記録にあるその殆どが挑戦者の無残な最後とされており、今やこの伝統を行う者は皆無とされている…

そして今、その伝統が実に二十数年ぶりに行われるッッッ!!

 

「お集まりの皆さんこんにちは、青葉です!今や半ば伝説と化した幻の昇格審査“将奪戦”が、基地特設リングで行われると言うコトでスタンドには伝説の死闘を一目見ようと集まった人達で超満員です!この“将奪戦”、実況は青葉、解説に海軍宿毛湾泊地の中将、桜井中将とオンラインで繋がっておりますので桜井中将にお願いしております、桜井中将、本日はよろしくお願いします!」

 

『よろしく』

 

「さて桜井中将、今回の“将奪戦”ですが~…大将VS中佐、あまりにも階級差がありますが…」

 

『まぁ、普通ならあまりに無謀、死ぬでしょうな』

 

「死にますか!?」

 

『しかし今回はあの梶輪大将と、その直弟子との戦い、直弟子に関しては色々とヤンチャな噂を聞いておりますし、以前、縁があって彼のファイトを見た機会がありますがなかなかどうして油断ならぬモノがありますな』

 

「なるほどー」

 

ーーー

 

基地特設リング中央で睨み合う俺とクソオヤジこと大将殿…

グゥゥゥム、売り言葉に買い言葉でついケンカを売ってしまったが、正直なところ、このオヤジとまともにヤり合って勝てるビジョンがまるで見えん…

既に戦場の第一線を退き、老境の域に達しているとは滲み出るこの圧力はまぎれもなく“海軍大将”のそれ…

 

「さぁて〜………サミちゃんにイイトコ見せてやろうかのォ」

 

「やかましい、ナニがサミちゃんだ、だいたい…アイツは俺の秘書艦だぞ」

 

「知っとるわい」

 

…ゴチャゴチャ考えても仕方ない、下手な小細工は捨て、溢れる知性で戦うしかあるまい

 

「まぁ、部下と有馬嬢の手前、情けない戦いはするなよ?」

 

「誰がするか、俺は今日こそアンタを超えてみせる!安心してクタバレや」

 

部下どもだけじゃない、お嬢様も見ているこの一戦………ならば俺は“愛”の為に戦おう

 

「その意気や良し!熱意や良し!!さぁゴングを鳴らせい!!戦闘開始じゃあ!!」

 

大将殿が上着を脱ぎ捨てると同時に、戦いのゴング鳴る!!まずはリング中央!互いに力量を測るべく手四つで組み合わ………

 

「ぬぅ…!!」

 

ない!!俺は組み合いを避け大将殿から距離を置いた!

 

「なんじゃあ?ワシと力比べはせんのか…?」

 

「アンタといきなり真正面から組み合う気はないぜーッ!」

 

まずは距離を置いて相手の力を削ぐ!!パワーで負けるのならそれ以外で攻め、こちらのペースに持ち込むべし!

 

「小癪なァ…」ニマァ…

 

ーーー

 

「さぁ始まりました“将奪戦”!!我らが提督!まずはいきなり意表を突いてきました!青葉が知る限り、提督は例え相手が誰であれ最初は真正面からがスタイルでしたがここは敢えて避けました!梶輪大将!それほど危険な相手なのかーッ!」

 

『良い判断だ、あの男と真正面からぶつかって無事では済まないと理解している』

 

「なるほどー、桜井中将から見てもやはり危険な相手だと?」

 

『あの男………梶輪はまぎれもなく大将、それも今の中佐と同じ、かつての“将奪戦”で大将格を死闘の末に討ち獲った男だ…っ!』

 

「ゲェーッ!な、なんですってー!!まさかそんな………歴史は繰り返されるとでも言うのでしょうか!?」

 

リングでぶつかり合う中佐と大将!一際大きな歓声が上がると同時!!リングへとカメラが移ると、そこにはコーナーポストを背に崩れ落ちる中佐の姿があった!!

 

「ゴハァ……!!」

 

「カッカッカッカ!なんじゃあ…?もう終わりか?」




次回は後編
奥義応酬!死闘決着!こい!愛でお前を殺してやる!

と、有馬嬢


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Waltz For Venus 後編

KAWAIさ余ってMASCLE100べぇ!
胸がキュン死するステキなイチャコメを目指して悩んでおります

【登場人物】

提督(中佐)
自称、知性溢れる天才ファイター

梶輪大将(大将)
海軍大将、そのストロングなファイトスタイルは提督の上位互換なあげくにやたら強い

桜井中将(中将)
坂下郁様の“それでも僕は提督になると決めた”から出張して頂いている中将、冷静で的確な解説に定評ある有識者


我らがクソメガネ(中佐)VSクソオヤジこと梶輪大将(大将)死闘のゴング鳴った…ッ!!

 

ファイトスタイルを同じく両者の優劣を分けるのはシンプルな実力差!パワーでの勝負を避け、まずは相手の機先と体力を削ぐ作戦に出た提督だったが、老獪な経験則を持つ大将に見破られ、豪腕から繰り出されるパワーボムが提督に炸裂したッ!!

 

「ゴハァ…!!」

 

「フン…なんじゃあ?もうちょっとワシを楽しませんかい」

 

コーナーポストを背にダウン!!………したかに見えた提督!しかし!提督はゆらりと立ち上がった…ッ!

 

「なかなかのパワーとスピードだ、さすがは大将殿」

 

「ほぉ…?」

 

「だが、俺をしとめるには高さが60cm、角度が15度足りなかった」

 

立ち上がった提督は溢れる知性アピールを忘れない、知性こそ海軍式格闘術の源!その最大の本質は防御力の高さにあると妙なポーズをキメつつ高らかに叫ぶ

 

「なるほどのぉ、ま、今のはワシも手加減しておったしな!」

 

「ハッ!減らず口を!」

 

「フン…お互いまだウォーミングアップと言うワケか」

 

ーーー

 

「序盤から火花散る攻防ーッ!まさかの我らが提督が秒殺かと思われましたがさすがは卑怯・卑劣・非情の我らが提督!よくわからない理論で立ちました!」

 

『ふむ、おそらくは着弾寸前の僅か数秒間、致命的にならぬよう最大限の受け身を計算したのか…』

 

「なんと!?」

 

桜井中将曰わく、おそらくは高等数学を用いたまさに計算され尽くしたダメージコントロールと唸っていると、画面の向こうで解説する桜井中将の後ろから別の声が聞こえてきた

 

『アナタ、ごはんですよ……って、あら?何やってるの?』

 

『ん?あぁスマン、ちょっと取り込み中でな、後にしてくれ、後に』

 

『取り込み中って……ちょ!なんでパソコン隠したんです…っ!』

 

『あー…いや、ちょっと…』

 

ガタッ!ガタガタ!ちょ!ま!違う!ガタッ!そーゆーのじゃないから!ガタガタッ!

 

「桜井中将?桜井中将ー?」

 

ツー…ツー…

 

「えー…?桜井中将側に何かしらのトラブルが発生したようなので復旧までしばらくおまちください」

 

ーーー

 

そして、そんな男の戦いをハラハラとドキドキの中で見守る有馬優は、同じく観覧席で隣に座る青髪ロングの秘書の人からお茶でも如何ですかとリプ●ンのペットボトルを差し出された

 

「///」

 

「まぁ、心配しなくても大丈夫ですよ」

 

「?」

 

「何度倒れても、ゾンビのように立ち上がるしぶとさだけはありますから」

 

一撃死でない限り、ボタンを連打で小●宙(コ●モ)を燃やせば何度でも立ち上がる、それが小●宙(コ●モ)の究極……第七感(セブンセン●ズ)

 

「まぁ、悪くても病院送りでしょうし、個室でも予約しときますか」

 

「……//」

 

◆◆◆

 

「トアーッ!」

 

「グオッ!ぬぅ…!!強力だ、なかなかやる!」

 

リング上の死闘!提督と大将は互いに勝負を決める必殺を狙いつつ攻防を繰り広げていたが、一瞬の隙を突き、大将は遂に提督を捉えたッ!

 

「グゥッ!!」

 

「行くぞォ!!さっきとは違う!正真正銘全力全開じゃあ!!」

 

大将に突き上げられ、空中で逆さまの状態、まるで強烈なエビ反りを掛けられるような体勢でロックされ、そのまま落下態勢に入った!!

 

「グヘァ!!」

 

「ガハハハ!この技から逃れられると思うなーッ!」

 

ーーー

 

「ゲェーッ!!あ、あの技はー!」

 

『千●殲滅落とし!アレを使うか…ッ!』

 

「あ、桜井中将、戻ってきたんですね、恐縮です!」

 

無事、機材のトラブル?から復旧した桜井中将は大将殿が繰り出す技を一目で尋常ではない奥義であると見抜き、冷静で的確な解説を始めた

 

『空中で固定した相手を着地と同時に完全に粉砕するあの技…ッ!梶輪め!完全に中佐を殺る気だ!』

 

「マジですか!」

 

桜井中将が“完全に殺る”とまで言い切る奥義に、既に落下態勢に入っている提督はなんとかロックを逃れようとするが不可能…ッ!!完全に固定されたこの奥義からは逃げられない!

 

「グオォォ!!う、動けん…ッ!」

 

「ガハハハハハ!!死ねいッッ!!」

 

「クッ!!」

 

ゴガアアァァァン!!!!

 

梶輪大将の全力全開!その究極奥義が今、リングに着弾し、豪快な破壊音と衝撃にリングを揺らした

 

「ゴ、ゴハァ!!」

 

提督は血反吐をブチ撒けリングに転がった…

 

「決まったァァァァァ!!決して喰らってはならない究極奥義を我らが提督!喰らってしまったァァァァァ!」

 

『ぬぅ…』

 

「全身を破壊されたであろう提督、リングに倒れ込み………動きません!まったく動きません!」

 

『やはり無謀な実力差だったか……しかしあの男、奥義まで使うとは、いや…中佐はあの男に奥義を使わせる程の相手だったと誉めるべきか…』

 

リングに転がったまま微動だにしない提督……

 

誰しもがこれで勝負ありだろうと思っていたその時、観客席からポツリポツリと僅かな声が聞こえてきた…

 

『テイトクーッ!立ってくれェー!』

 

『そうだぜテイトク!アンタはいつだってオレ達を信じてくれた!だからこそオレ達はテイトクを信じるぜー!』

 

『オマエはいつだって奇跡の逆転劇を見せてくれたじゃないかー!』

 

『プッ、ブザマでやんの…写真撮って待ち受けにしよ』

 

『ヘイ!テイトク!ユーを倒すのはワタシデース!!』

 

…それは、いつしか大きな声援となり、会場一杯のテイトクコールとなる…

 

そして…ッッ!!!

 

「グッ……!」ピクッ!

 

「ぬぅ?ま…まさか!」

 

「ヘヘッ、まったく……どうやら地獄の鬼どころか閻魔様にも嫌われているらしい…」

 

提督は立ち上がる…ッ!!何度でも…!!

 

◆◆◆

 

「バ…バカな、ワシはオマエを完全に殺る気、正真正銘の全力全開で奥義を放ったハズ…」

 

「…どうやら俺を殺るには、高さが20cm、角度が15度足りなかったらしいな、クソオヤジ!」

 

…とか言ってみたが、たぶん運が良かっただけだ、俺の全身はまぎれもなく破砕寸前、自分でも何故立てたのか不思議なぐらいだ…

 

「なるほどのぉ……フッ、どうやらオマエの勝利を信じるこの声援がオマエの力となったか?」

 

「声援…?俺にはもっと戦え、死ぬまで戦えと強要する悪魔よりタチの悪い声に聞こえるがな」

 

そうだ、俺はこの基地の部下達に冷酷・冷徹・冷静であれ!仲間を助けるのは悪!むしろ失敗を笑ってやれとアツく教えてきたッ!そんな部下達に情けない背中を見せるなどない!

 

「フン、もはや死に体のオマエにナニができる?今度完璧に沈めてくれるわ!」

 

「それはどうかな…?」

 

「………むぅ、なんだ?もはや死に体となったこやつから感じる力は………ま、まさか!!」

 

「ここから先は“知性”は不要!俺の全身全霊を込めてアンタを倒す!」

 

ーーー

 

小●宙(コ●モ)の究極!第七感(セブン●ンシズ)ッ!いや、その先にある更なる究極!Ω(オ●ガ)だとでも言うのかッ!!』

 

「お…Ω(オ●ガ)!?桜井中将!Ω(オ●ガ)とは一体…!!」

 

オンライン解説者桜井中将は机を勢い良くダァン!し身を乗り出しアツく冷静で的確な解説を始めた…

 

曰く、Ω(オ●ガ)とは究極の小●宙(コ●モ)である第●感を超えた境地!Ω(オ●ガ)は宇宙を創りだす力!大宇宙(マクロコ●モ)を作りだすとされている…

 

「そ、それがΩ(オ●ガ)…正直、青葉にもよくわかりませんがとにかくスンゴイ感じのアレですね!」

 

『長い海軍史の中でもΩ(オ●ガ)に到達した者は数える程しかいない、この戦い!どちらが勝つかわからなくなってきたぞ!』

 

『アナタ!!ご飯って言ってるでしょ!!なんで鍵閉めてるの!やっぱりやましいコトがあるんでしょ!』

 

『後でと言ったろうが!今良いところなんだ!邪魔をするな翔鶴!』

 

オンライン解説席から激しくドアを叩く音と女の声も混じる気もするが、たぶん気のせいだろう…

 

そして!!リング上では提督と梶輪大将、互いに小●宙(コ●モ)の究極に目覚めた男達がノーガードの殴り合いを繰り広げていたッ!!

 

「オラァ!!」

 

「なんじゃそのションベンパンチはァ!!パンチとは………こうだッッ!!」

 

ドゴオォン!!(ジェネラルパンチ)

 

「オゴォ!!こんの…ッ!クソがァ!!」

 

ズドンッ!!(テイトクナックルアロー)

 

「ヌウッ!!!この威力…!!」

 

素手の殴り合い、そして!息つく暇ない攻防の隙を突き、ついには提督が必殺必勝の型へと持ち込む!!

 

「ゲェーッ!あ、あの技はー!!」

 

「まるでサッカーボールをヘディングするような動き(ムーヴ)!!」

 

「間違いない!あの技への序奏(プレリュード)だーッ!」

 

主に観客数の駆逐艦大興奮のあの技!提督が得意とする海軍三大奥義の一つ!テイトクリベンジャーへの動作(ムーヴ)!!

提督は梶輪大将の身体を空中でロックし、今、必殺の奥義(フィニッシャー)が落下態勢に入った!

 

「グオオォォォ!!う、動けん…ッ!!」

 

「これで終りだァ!クソオヤジがァァァァァ!!」

 

「グオオォォォ!!!」

 

ズガアァァン!!!(完成・テイトクリベンジャー)

 

必殺のテイトクリベンジャーが勢い良くリングに着弾し、梶輪大将は血反吐をブチ撒けつつリングに転がった!!

 

ーーー

 

「ハァ……ハァ……どうだコラァ!!」

 

立つな!!頼むから立つな!マジで立つな……こっちはもういっぱいいっぱいだ、もし……もし大将殿が立ち上がれば、俺にもはや反撃の力は残されていない

 

「ゴハァ!………クッ、ククク……やりおる」

 

立つのか…!?ウ、ウソだろ……?マジかよオイ

さすがの大将殿もノーダメージではないらしいが、まさか立つのか!

 

「大した破壊力じゃあ……ククク、相手がワシでなければ、オマエの勝ちだったかもしれん」

 

た、立ちやがった……これが海軍大将…ッ!な、なんて厚く、なんて高い壁……舐めていた、海軍大将と言う男を!

 

………もはや、ここまでか

 

「オマエはよくやった」

 

「クッ……!」

 

「…が、ワシとて海軍大将、長年深海棲艦の脅威と戦ってきた実績と経験、オマエら若造とは鍛え方が違う!精根が違う!理想が違う!決意が違う!」

 

か……勝てない…ッ!!

 

「海軍が長年積み重ねてきた力と技、海軍大将であるワシが、この技で、この勝負を終りにしてやろう…」

 

大将殿は俺の身体を空中に放り投げ、身体をブリッジするように勢い良く反らせて腹筋の力で何度も跳ね上げ、空中で俺の首と片足、両腕を固定しエビ反りになるようにクラッチした

 

「ゴハァ!!」

 

「これが海軍三大奥義!真のテイトクスパークじゃあァァァァァ!!」

 

更に俺と背中合わせのような姿勢で手足を固定し頭と体を地面に叩きつけるように勢い良く落下を開始する

こ、これが真のテイトクスパーク……ッ!!やはり佐官程度が繰り出すモノと海軍大将が繰り出すモノでは迫力が違う!コイツは返せない…!

 

「死ねい!!」

 

ど、どうやら俺もここまでか………思えば良き部下に恵まれた、そして良き仲間にも……俺はここまでだが、我が友よ!これからはオマエがこの基地を…

 

ズガアァァァン!!(真・テイトクスパーク)

 

「「「ゴバァァァ!!」」」

 

ーーー

 

「き、決まったァァァァァ!!梶輪大将必殺の海軍三大奥義テイトクスパークが炸裂ーッ!!提督は……提督は立てません!今度こそ立てません!」ポロポロ…

 

『…勝負ありだ』

 

「け、決着ッッッ!!、しょ…将奪戦!梶輪大将VS我らが提督!1時間15分にも及ぶ死闘は海軍大将!やはり大将の壁は高かったーッ!!」

 

こうして、海軍昇格審査“将奪戦”は提督の敗北で幕を閉じた…

しかし、その死闘には観客席から惜しみない称賛の声が送られ、敗者である提督は惜しみない拍手と歓声に包まれつつリングから緊急搬送されて行った…

 

提督 ● 対 梶輪大将 ○

1時間15分42秒 真・テイトクスパーク




次回は完結編
マッスルパートが無駄に長くなり過ぎたせいで+1話

さらばハイスペックお嬢様


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Waltz For Venus 完結編

帰ってきたお嬢様編最終回
次のターンだと?お前に次のターンはない!

【登場人物】

提督(モクモクしちょるだけの敗北者)
好きなタイプは巨乳で片目隠れてて真面目な娘

五月雨(秘書艦)
好きなタイプは普通にイケメン

有馬優(JSお嬢様)
////!?/////………!////////!?



因縁の師弟デスマッチ、提督対大将の将奪戦は海軍大将梶輪の真テイトクスパークによって死闘の幕を下ろした…

 

結果としては敗北に終わったものの、その、海軍大将相手に一歩も退かないファイトは死闘を見守っていた艦娘達にアツい涙を与え、敗者としてリングを去った提督を称える声を、そして、この死闘を観戦していた一般のお客様にもアツい感動を、明石ビール酒販には笑いが止まらん売上を残した…

 

そして…

 

◇◇◇

 

「あのクソオヤジ、まるで容赦無しかよ、フツー使うか?愛する部下に海軍三大奥義」

 

「まぁ、大将殿ですしね」

 

むしろ先に三大奥義仕掛けたの提督じゃないですかとツッコミつつリンゴをシャリシャリ剥く青髪ロング子は切り分けたリンゴを自分で食べた

 

「オマエそこは俺に食わせるトコじゃねーのか?」

 

「食べたいんですか?リンゴ」

 

デスマッチを終え、医務室に担ぎ込まれた俺は、早くもベッドとトモダチとなり、離れられない関係となっていた…

 

そんな絶賛満身創痍中の俺の様子見に来たらしい頼れる秘書はリンゴを剥いて食べつつなにやら一枚の書類を取り出した

 

「なんだそれ?」

 

「辞令です、なんか提督…今日から大佐だったみたいですよ?」

 

「ハァ?」

 

「ほら、コレ、日付見てください」

 

…たしかに、五月雨の手にした書類には今日付けで俺を大佐に昇進すると書かれており、キチンと印鑑も押されている

 

「つまり、どーゆーことだってばよ?」

 

…俺は大将殿との将奪戦に挑み、そして負けた

ならば俺は大佐ではなく少佐に降格するハズだろう?ハッ!ま、まさか…あのオヤジ!俺とのアツいファイトにより俺の実力を認め、試合としては負けたが勝負としてはオマエの勝ちじゃあ!ガハハハハハーなアツい展開を…ッ!

ヘヘッ、なんだよあのクソオヤジ…なかなか良いトコあるじゃねーの!まったく、ツンデレかよ、今どき流行ンねーっての!

 

「……なんとなく考えてるコトわかるって結構イヤですよね」

 

「ヒトの顔見てナニ言ってるのかねこの子は」

 

「いえ、あ、あとこちらは梶輪大将からです」

 

「あ?」

 

五月雨はポケットから別の紙を取り出し俺に見えるように広げた

 

「えー………将奪戦規定に則り、貴官を大佐→中佐へと降格する…?」

 

…つまり、どーゆーことだってばよ?

 

「サミュエル、卿が私にわかるよう説明してくれないか?私はまだ疲れているらしい」

 

「ん~……要するにこうでしょうか?たぶん提督は今日付けで大佐になってたんですよ、で、大佐のまま将奪戦挑んで負けたから中佐に降格した………あと、五月雨です、サミュエルさんは別人です」

 

「なるほど…」

 

つまり、俺は俺の知らない間に大佐に昇格しており、それを意図的に知らされないまま大将とのデスマッチに挑んだ、その結果、俺は大佐の地位からマッハで転落してしまったと………しまったと

 

「あんのクソオヤジがァァァァァ!!殺すッ!!殺してやるッ!マジでブッ殺してやるわァァァァァ!!」

 

あのクソオヤジぃ!俺をハメやがったッ!!っーか痛てぇ!アバラ、アバラとか痛い!

 

「まぁまぁそうコーフンしないで下さいよ、お身体に触りますよ」

 

「触るんじゃねーよ!」

 

「ほら、リンゴ食べますか?リンゴ、ウサギさんですよ」

 

五月雨は俺の口にリンゴをねじ込み、壁時計をチラ見してから立ち上がった

 

「さて……これくらいで私のターンは終わりですかね、用事があるのでこれで失礼しますね」

 

「ア゛ァ?用事だぁ?」

 

「梶輪大将がお高価な肉をご馳走してくれるそうなんで、お呼ばれしてきます」

 

「ナニがお高価な肉だよ!大ダメージを負った上司を放り出して、自分はお高価な肉……って、痛い!アバラ的な部分が痛い…ッ!」

 

「大ダメージ負ってるんですから大人しく寝ててくださいよ」

 

ったく……っーかあのクソオヤジはダメージとかねぇのかよ、肉食ったら治るとかそんな感じか?

っーかサミちゃんサミちゃんって、どんだけ五月雨に甘いんだあのクソオヤジは…

 

「じゃ、私は行きますんで」

 

「へいへい、行って来い、破産するまで食ってこい」

 

「では後はよろしくお願いします」

 

五月雨は部屋から出るのと入れ替わりに、扉のところに立っていた見覚えのある小柄な子に声を掛ける…

 

「///」

 

………マジか、アイツ、お嬢様にアトヨロシクとか言って去ったわ…

 

え…?っーかお嬢様まだ居たのか

 

「/////」

 

まぁ、よく考えりゃ旅案内役の大将殿が今から五月雨と肉食いに行くって言ってたし、居てもおかしくねぇか

 

お嬢様はいつもの自信なさげな様子で俺の居るベッドの横まで来て心配そうな顔をしているが……ふむ

 

【①:大人として大丈夫アピールする】

【②:ウッギャアー!痛てェー!アピールする】

【③:オラァ!お腹パンチ!】

 

とりあえず③は無いな、こんなのBADどころかDEADエンド確定するわ

まぁ、ここは普通に①を選ぶべきだろう

 

「やぁお嬢様、カッコ悪いところを見せてしまいましたなぁ、ハッハッハ」

 

「///!」ふるふる

 

「ご覧の通り、少々ダメージを受けましたが、まぁ2、3日もすれば元気ブリバリですよ」

 

「//」ホッ…

 

よし、大丈夫アピールは成功したらしい、さすがは俺、まるでコンピューターのように精密な計算で正しい選択肢をセレクトしている

 

「…本当は勝って、どんな困難にも“勇気”さえあれば立ち向かえるし、変えられるってコトを証明したかったのですが………スイマセン、情けない提督で」

 

「///!」ふるふる

 

お嬢様は俺の手を握りそんな事はないと言うように首を振り…

 

「…そんな……あり…ま……せん…っ!」

 

こんな俺のファイトから確かな“勇気”を受け取った…ッ!それをこのJSお嬢様は言葉ではなく心で理解したと…ッ!

 

「そいつは良かった、ただ……」

 

「?」

 

「やっぱ、勝って…カッコいいトコは見せたかったなぁ~」

 

だって男の子だもの…

ピュアなキッズの前では“ヒーロー”はいつだって負けてはいけないのだ、まぁ、今回は相手が初代ゼ●トンみたいなモンだったが…

 

「だが次は負けねぇ…いや、必ず勝つ!!」

 

俺はお嬢様の手をアツく握った

 

「//////////!?」

 

大将殿ブッ倒して海軍大将になるまで!も゛う゛敗げね゛ぇがら…っ!!とアツい約束を立てると、お嬢様は些かビックリしたように目を丸くした

 

「その時、俺は“大事なコト”をお嬢様に伝えましょう……」

 

戦う事、そして困難に立ち向かう“勇気”!

自分を信じて“夢”を追い続ければ、夢はいつか必ず“叶う”!と…

 

「////////////////」コク!コク!

 

良かった、“大事なコト”の意味はわかって貰えたらしい、ウチのバカガキどもと違ってやっぱお嬢様は賢くていらっしゃる

 

しかしなんか顔が赤いな、心拍数も上昇しているようにも見える、もしかして風邪だろうか?そうならばこんなところにお嬢様を長居させるワケにはいかん

 

「お嬢様、執事のジ…いや、お付きの人が心配しているかもしれません、ここはいいので部屋にお戻り下さい」

 

「///」コクコク

 

良かった、本当に素直な子で……まったく、ウチのバカガキとは生物としてステージが違いすぎるのだよと感心していると、お嬢様は懇切丁寧に頭を下げ、なにやら小声で何か言って部屋を出た…

まぁ、聴き取れなかったがたぶんお大事にとそんな感じだろう

 

「………さて」

 

お嬢様も去ったし、身体中痛いし、疲れたし…

 

「寝るか」

 

◆◆◆

 

お嬢様の来訪、そして大将殿との将奪戦から一週間…

 

「あー…身体中痛いわー、マジ痛いわー」

 

「コーヒーでも飲みますか?」

 

「あぁ、冷蔵庫に入ってるから取ってくれ、缶コーヒー」

 

通常営業に戻ったいつもの執務室、五月雨のご自分でどうぞ発言にイラっとしたものの、心の広い俺は自らの足で冷蔵庫のところへ行き、買い置きの缶コーヒーを取り、執務机のところまで戻ると窓を開けて胸ポケからタバコを取り出した

 

「執務室は禁煙ですよ」

 

「カテェコト言うんじゃないよ、1本くらいカンベンしろよ」

 

俺はタバコに火を点け、吸った煙を大きく窓の外に吐き出した

 

「フーッ〜………しかしお嬢様の職場見学、アレで良かったのか?」

 

「さぁ?よくわかりませんけど、大将殿はガハハーとか言ってたし良かったんじゃないですか?」

 

「ふ〜ん」

 

お嬢様も変わり者ってコトか…

まぁ、お嬢様からしたら喋るチンパ●ジーパーク見学に来たようなモンだろーし…

 

「ところで提督」

 

「なんじゃい?」

 

「お嬢様に何か言ったんですか?」

 

「何か…?あぁ、俺が海軍大将になったら夢は叶うってな」

 

「…………あー」

 

「なんだその残念なハンサムを見るツラは?」

 

「いえ、ただ……まぁ、提督ってアホなのかと」

 

「オイオイオイ、可愛い顔して上司に対してとんでもない暴言だよこの子は」





次回は誰もが羨むメインヒロイン回
ストレートに慣れた頃にフォークボール


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提督と鈴谷と通常営業【その4】

春の通常運転運動

【登場人物】

提督(メガネ男子)
春コーデを考える

鈴谷(ビッチ)
春コーデを考えつつ予算と応相談


「お久しぶりです、誰もが羨むメインヒロイン鈴谷様です」

 

「…はぁ?」

 

「約二ヶ月ぶりにメインヒロイン鈴谷様です」

 

そうだったか?そういや最近コイツのツラ見てなかった気がするな…まぁ、ワリとどうでもいいんだが

 

「で?そのメインヒロイン(笑)が何の用だ?小遣いならやらんぞ」

 

「(笑)とかゆーなし、メインヒロイン様だし」

 

基地と俺を揺るがす大事件の脅威が去り、通常営業へと戻ってきた執務室、特に急ぎの仕事もないので五月雨は休暇を取って夕張のアホンダラとどっかに遊びに出掛け、今日は俺しか居ない執務室…

そんな一人きりのラグジュアリーな空間を有意義に使おうと考え、とりあえずメガス●アを読んでるとメガス●アみてーなヤツがやって来た…

 

「カレー食べに行こーぜ」

 

「やだよメンドくさい、だいたいオマエ、金持ってんのか?」

 

「持ってるし、ほら!」

 

鈴谷のヤロウは自分の財布を開き、ギッシリと詰まったキャッシュを見せつけてきた…ッ!!

 

「…どうしたんだオマエ?援交で荒稼ぎでもしたのか?」

 

「してねーし!」

 

「じゃあなんだ?ヌメヌメマットプレイか?」

 

「違げーし!ってか鈴谷そーゆーのヤらないから、こー見えても清純派だし!清純派!」

 

「はいはい、性ジュン派性ジュン派」

 

「……ナンかどうも言い方に語弊を感じる気がするんだけど…ま、いいや、カレー食いに行こうぜ!」

 

「俺、今日カレーの気分じゃねーンだわ」

 

「はぁ?フツー、カレーに気分とかなくね?」

 

コイツ正気か…?普通あるだろ、今日はカレーじゃないなって日が…

コイツがカレー好きってのは知ってはいたがまさかここまでイッちまっているとは、おそらくは朝昼晩カレーでも文句言わずに言わせないタイプだろう…

 

「いいから行こうぜ!最近メチャウマそーな店見つけたじゃん、2キロ先からスパイスの匂いが漂ってくる店!」

 

「鼻が良すぎか」

 

「鼻?普通じゃね?」

 

「まぁ、よく考えたらオマエなら2キロ先の童貞のザー●ンの匂いくらい感知できるか…」

 

「サキュバスかッ!んなモンわかるかっーの!」

 

「嘘つくんじゃないよこのビッチは」

 

「ビッチじゃねーし、ってかナニ?そんなに鈴谷とカレー食いに行くのイヤなワケ?」

 

「えぇ、とっても」ニコリ

 

「お……おぉう、遊び球無しのドストレート投げ込んできたよコノヤロウ…」

 

俺のハンサムスマイルに圧倒されたらしい鈴谷はストレートに手を出せずにカウントを1つ失った…

普通のヤツならここでの打席は諦め、とにかくファールで粘るところだが………このビッチは違う

 

「え?ナニ?なんでそんなにイヤなの?普通ならまだしも、この超絶美少女鈴谷様とカレー食べに行けるんだよ?普通なら金払うレベルじゃね?」

 

ここに来てまだ打ち気を緩めない…ッ!むしろその逆、その球スタンドにブチ込んでやる!と言うかの如く集中と気迫を上げてくる!

 

「だから、気分じゃねーって言ってるだろーが」

 

「じゃナンの気分なの?」

 

「ナンの………そうだな、うどん、いや……うどんか?」

 

「じゃ、うどんでいいや、うどん食いに行こうぜ!うどん!」

 

緩急にもしっかりと喰らいついてくる…ッ!些か強引に振ってくるがタイミングは合わせてきている

 

「…と、思ったけどやっぱ違げーわ」

 

「じゃナニ?今日の鈴谷はナンでも付き合うよ」

 

グゥゥゥム、こやつめ、今日に限ってかつてない大打者の風格を醸し出しおるわい、アレだろうか?今日のバイオリズムは絶好調ぅ!と言うヤツか?

 

ならばこちらとしても一球外すなど弱気はヤメだ、真っ向勝負で討ち取ってくれるわ…

 

「………今こそ汝が右手にその呪わしき命運」

 

ズザァ!!(バックステップ)

 

「なんでいきなり本気モード…ッ!?」

 

ほぉ、あの一瞬で俺の射程範囲からバックステップで脱したか…ッ!良い判断だ

 

「おかしくね!?鈴谷ただカレー食べに行こうぜって誘ってるだけなのに仕打ちがおかしくね?」

 

「まぁ小粋なテイトクジョークってヤツだ、許せ」

 

「小粋なジョークの殺気じゃねーし、今、完全に殺る気だったよね?」

 

考えてみればコイツも第1回から登場している猛者、ここまで何度となく死線をくぐってきた経験は伊達ではないと言うコトか…

 

「わかったよ、オマエの勝ちだ」

 

「はぁ?」

 

「行こうじゃないか、カレーを食いに」

 

「え?マジで?マジでいいの?カレーだよ?鈴谷と行くんだよ?」

 

「だからそう言ってるじゃねーか」

 

「同じテーブル座るんだよ?提督の入店30分後に鈴谷入店させて離れたカウンター席に座るとかじゃないよね?」

 

どんだけ疑り深いんだコイツ、これまさに疑心暗鬼と言う名の鬼よ…ナニがコイツから人を信じる心を奪ったのだろうか?

 

「ねぇよ、オラ、さっさと行くぞビッチ、パンツ脱いだか?」

 

「ビッチじゃねーし、ってかなんでカレー食うのにパンツ脱ぐ必要あんの?おかしくね?」

 

「そりゃオマエ、オマエのケツにガラムマ●ラパウダーの瓶をブチ込んでア●ルの刺激と激辛カレーのダブルアタックに額と股間に汗水垂らしながらカレーを食べる姿を見たいだけだ」

 

「ヘンタイかッ!!ってかどんな高難易度プレイかッ!」

 

「でぇーじょーぶだ、オメーならヤれる」

 

「ヤるかッ!!」

 

「普通に食べてもつまらんだろう?オマエもエンターテイナーならオーディエンスを楽しませる方法考えんかい」

 

「別にエンターテイナーじゃねーし、ま、提督が土下座して頼むならノーパンで食べに行ってもいいけ…」

 

「えー…マジビッチぃ、ヒクわー」

 

「オマエがヤれって言ったんだろーがッ!!ってか土下座されてもヤらねーし!ジョーダンだし!冗談っ!」

 

「つまらんヤツだな、ま、どうでもいいか…」

 

「え?ってかマジで行くの?マジ無条件?」

 

「なんだ?やっぱ脱ぎたいのか?」

 

「脱がねーし、鈴谷そーゆーカルい子じゃねーし」

 

「股とア●ルは緩いがな」

 

「緩くねーし!キツキツだし!」

 

ナニがキツキツだよ、キツキツなのはウエストだろーがっーの、ウエス………

 

「…ふむ」

 

「ナニ?鈴谷のお腹ジロジロ見て」

 

「オマエ太ったか?」

 

「太ってねー………や、太ってないです、はい」

 

◆◆◆

 

近所のイ●ンモール…

 

「ワリとつまんなかったねー」

 

「そうですね、ぶっちゃけ金ローでやってたら見ていいやって感じでした」

 

休日を利用し、夕張さんと買い物がてら映画を観たが正直微妙でしたね

 

「しかし夕張さん、今日はズイブンとオシャレですね」

 

「そう?」

 

「いつもムカつくぐらい細い腰でヘソチラしてるのに…」

 

「え?ムカつかれてたの?私」

 

「えぇ、たぶん夕張さんのヘソチラウエスト見たら同性は90%がムカつぎすよ」

 

「そこまで…っ!?」



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提督とJohnston☆Returns

チョロくてKAWAIIガール

【登場人物】

提督(ツンデレ)
フン!オマエを倒すのはこのオレだ

五月雨(枠外)
巨乳の姉妹には黒い憎悪を持つ

Johnston(わりとアホ)
チョロくてKAWAII自分大好きガール


「神話の中でェ~繰り返されるゥ~バトルゥ~…」

 

春の足音をズンズン感じる小気味良い天気、そんな素晴らしい陽気に誘われ、喫煙所でタバコを吸ってから執務室に戻るとお客様ソファーになんか暗いのがうなだれていた…

 

「な、なんじゃい?」

 

「お客様ですよ」

 

秘書艦のサミーはなんかこの人、提督にアイサツしたいみたいで…的なコトを言って自分の机に戻った

 

「キミは………ジョンくん?」

 

「………Hi」

 

これがジョンくん…?あのいつも自信に満ち溢れ、陽気でKAIKATSUな子じゃなかった?今、俺の目の前に居るのはそんな気配はまるでない、タダのうなだれた美少女だ…ッ!

 

「どうしたのかね?一体」

 

まさかホームシックにかかってボクの国帰りたいデースとか言うんじゃないだろうな…

そんな俺の心配を余所に、元気もKAIKATSUさもないジョンくんの口から出た言葉は俺の予想だにしないモノだった…

 

「………アタシって、天才なのかしら?」

 

「はぃ?」

 

ナニ言ってんだコイツ、イカレているのか…?

 

「対空ができて、対潜ができて、しかもCuteで、ガッコーの成績だって抜群だったし、Sportsもできたし、しかもCuteで、地元のクラブチームのCheerleadingにだってScoutされたし、MamだってDadだってそんなアタシも褒めてくれたし、しかもCuteだし…」

 

あ、ヤベ、コレ絶対メンドくせー感じのアレだわ、100パーメンドくせータイプのアレだわ

っーかキュート多いなコイツ、自分大好き過ぎか…

 

さらにジョンくんから話を聞くに、先日のお嬢様との一件で、天才であり誰にも負けないハズの自分が正真正銘全力全開の真っ向勝負で敗北を喫した事により心がペッキリと折れてしまったらしい…

 

「なるほど…」

 

「………初めてよ、あんな敗北感」

 

ただの敗北ではない…

“コイツにはどうあがいても勝てないッ!”そんな確信めいたモノを感じたのだ…ッ!その絶望にジョンくんは生まれて初めて“恐怖”した、あまりの絶望に涙すら流し枕を濡らした、これも初めてのコトだったと…

 

「おかげでSamからはアタシがオネショしただの烙印を押されたわ」

 

「そいつは災難だったな」

 

「…………ハハ、ハハハ、ハハハ…笑いなさいよ、情けないこのアタシを、天才でもなんでもない、ただCuteなだけしか取り得のないアタシを!」

 

「まぁまぁそうエキサイトしないで、飲み物でもどうかね?サミー、彼女にアツいティーでも…」

 

「あ、アタシCoffee派なの、Coffeeでいいわ、Blackでね」

 

怖いもの知らずかッ!!あの、誰しも一度は勧められて飲み、二度目はやんわりと断る五月雨のコーヒーを再び所望するだとォ!?

この子、もしかして舌がアレなのでは…?いや、たしか以前普通にマズいとか言ってた気が…

 

そんなジョンくんのコーヒー要求に、自分の机で素知らぬ顔で漢字クロスワードパズルを解いていた五月雨は、ゆらりと立ち上がり愛用のコーヒーマシンの数々を棚から取り出し始めた…ッ!

 

「お、おい…五月雨ェ…」

 

「なんですか?」

 

…俺にはわかる、コイツは以前マズいとハッキリ言われた事を臓物(ハラワタ)をブチ撒けさせたいレベルで根に持っているハズだ

自分のコーヒーがマズいワケがない、むしろ俺と由良さんと涼風の味覚がおかしいのだと本気で信じているのだ

 

そして今、復讐の機会が訪れたのだッ!

 

「…俺も一杯貰おうか」

 

「…ジョンストンさんの後でいいですか?まずはそちらに集中したいので」

 

「あ、あぁ…」

 

コーヒーマシンを並べる五月雨から漂う緊張感、ジョンくんにマズいと言われた翌日から、様々な試行錯誤を繰り返していたのを俺は知っている

 

もしかしたら、コイツならヤるかもしれん…

 

「で?どーなのテイトク、アタシってやっぱただCuteなだけ、いえ、KAWAIIだけで天才じゃないのかしら!?」

 

そして天才である自分には否定出来てもCuteでKAWAII事だけは絶対に否定しないMAJOR級の自己愛!ジョンくん

 

「いや、まぁ、天才か天才じゃないかと問われると……提督的にはジョンくんには才能があると思うのだよ」

 

「………ホント?」

 

「あぁ!」

 

正直、サムくんみたく私のサンになってくれないか?と言ってアツい感動の涙を流すほどではないが…

 

「対空とかできるしな!」

 

「そ、そうよね…」

 

「対潜とかできるしな!」

 

「そ、そうよね!」

 

「しかもKAWAIIしな!」

 

「そーぉよねぇー!!アタシってやっぱ天才なのよね!しかもKAWAIIし!アハ、アハハハ、アハハハハー!」

 

チョロいなコイツ……ちょっと可愛い可愛いっておだてりゃナンでもするんじゃねぇのか?たぶん街で声掛けられたら即堕ちWピースで女優デビューしかねない危うさすら感じるのだよ…

 

「あー…アタシとしたコトがツマンナイことで悩んでたわ、そーね、たぶんアレはアタシが無意識に力をセーブしてたんだわ、お客様をケガさせちゃ悪いものね!さすがアタシ!」

 

いや、どう見ても正真正銘全力全開だったのだよ

 

「あー…そうとわかればスッキリしたわ、テイトク、burger食べに行きましょ、burger、アタシお腹空いたわ」

 

そして………ジョンくんがいつもの陽気でKAIKATSUな子に戻ったところに、アツアツの湯気を立てるコーヒーカップがやって来た…

 

「コーヒーです」

 

「ん?あぁ、そういや頼んでたわね、Thanks」

 

「いえ」

 

ジョンくんがコーヒーカップを手に取り、それをズズーッと啜る様子を見つめる五月雨の自信に満ちた眼光!今度こそ失敗はない!今度こそ自信に満ちた“本物”の輝きを持つ一杯だと…!!

 

「マッズっ!!うえっ……!!マッズ!!」

 

………と、思ったけど、やっぱ違げーわ

 

「い、今…………なんと?」

 

「マズいって言ったのよ!ナニこれ?よくこれを人に出せるわね、It is not something I could drink!」

 

悪夢再びッ!!再びマズいとディスられた自信のコーヒー…ッ!最高の機材、最高の豆、最高の手法、そして最高の情熱を持って淹れたハズのコーヒーが再びマズいとディスられたのだ………

 

アディオス(さよならだ)、ジョンくん…君は今、誰しもが訪れる()にそびえる運命(さだめ)の門を開いたのだ

 

五月雨は肩を小刻みに震わせ、信じられないと言ったふうに表情と、それと同時に憎悪のオーラを滲み出し…

 

「………提督、私、ちょっとお腹痛いんで早退します」

 

「お、おぅ…」

 

五月雨は机に戻ると自分の鞄を持ち、失礼しますと執務室から去って行った…

 

「…ホントにマズいわねコレ、どう淹れたらこうなるかしら?」

 

「ジョンくん」

 

「ナニ?」

 

「キミ、実はスゲーヤツなんじゃないのか?」

 

「は?ま、まぁ、アタシ天才だし?スゲーヤツって言われたらスゲーヤツかもね!アハ!アハハハハ!」

 

◇◇◇

 

香取姉ぇに頼まれた書類を執務室に持って行こうと執務棟の廊下を歩いていると、丁度いいところに見覚えのある青髪ロングの子が…

 

「あ、五月雨ちゃん、丁度良かった、この書類を提督に…」

 

「………は?」

 

「あ、いや、なんでもない………です」

 

…あの時のコトですか?えぇ………殺される、そう感じましたね、はい、正直、香取姉ぇを怒らせた時も殺される感はありますが、まさか先生なのに駆逐艦の子からガンくれられて漏らすとか思ってもみませんでした、いや、ホントに




次回は帰ってきたハッキリ言って自信作回、ア●ルならセーフ


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提督と革命のエチュードRII

ハッキリ言って自信作?そんなこと言いましたか?ありゃ嘘だ

【登場人物】

提督(中佐)
ネタ不足、新鮮なネタに飢えている

Гангут(革命軍)
革命軍のヘッド、言動は些かアレながらとても同志想い




桜の開花宣言も発表され、春と言う季節にひと味違う予感を感じつつ廊下を歩いていると、喫煙所のところに先客が来ていた…

 

「おぉ!同志、オマエもか?ほら、ここ空いてるぞ!ほら!」

 

空いてるからここ座れ!ほら!遠慮するな!とベンチをバシバシ叩くのは旧ソから来たの史上最もアツかりし熱血革命こと革命戦士ガングート…ッ!

 

ガングートはベンチに座った俺の背中をバシバシ叩きつつ暖かくなってきたなぁ!ロシアン世間話から入ってきた

 

「うるせーよ、ってか馴れ馴れしいんだよテメーは」

 

「ハッハッハ!」

 

革命軍、それは赤き共産なる世界を目指す史上最もアツかりし熱血革命集団である

そのアツい革命カツドウは多岐に渡り、この腐った世界を壊すべく様々な破壊活動や政府に恭順しない潜在戦力の拡大などを行う、一口に言えばテロリストである

 

「しかし聞いたか同志、今度の“世界会議”の話を…」

 

「聞いてねぇよ、むしろ俺には1mmも関係ねぇ」

 

「………フッ、そうか」

 

そして、何故か俺はそのテロリスト集団のメンバーに数えられており、ガングートの野郎は馴れ馴れしく同志と呼んできているのだが…

 

「まぁキサマはそういう男だ」

 

コイツ…“言わずともわかる、キサマは他の同志達に迷惑を掛けずに一人でやるつもりなのだろう?”と言いたげな顔をしてフッと笑ってやがる

 

「わかったらとっとと消えろ、俺は群れるのが嫌いでな」

 

「まぁそう言うな同志、そうだ!今日は同志小っこいのや同志エトロフ達と集まって焼き肉する予定でな!キサマも来い!」

 

「え?やだよめんどくさい」

 

「ハッハッハ!そう遠慮するな!たった一度の今日という日じゃないか!同志達も同志提督が来ると聞けばさぞ喜ぶぞ!」

 

「さぞ喜ぼうがメンドくせぇモンはメンドくせぇんだよ」

 

「まぁそう言うな同志提督、では行くか?同志提督」

 

ガングートは俺の肩をまるで万力の如き剛力で掴んだ

 

「痛いッ!!ちょ!待てよ!痛い痛い痛い!」

 

「同志達は肉や野菜を仕入れている、ならば我々は同志達を労うべく同志達がイチバン喜ぶ甘い物を仕入れるとしよう!なぁ!」

 

「わかった!わかったから離せッ!買ってやる!五段のでもなんでも買ってやる!」

 

◆◆◆

 

アツかりし革命同志、ガングートと共に近所の不死屋で甘い物を購入し、同志達が焼き肉の準備をしているらしい執務棟裏の広場に来てみると、革命軍のバカ共と…

 

「ここは今からダチッコSMOU倶楽部がちゃんこ会するのよ!」

 

国宝・潮を擁する第七駆逐隊…ッ!通称ダチッコSMOU倶楽部

 

「うるせーっしゅ!ここは革命軍のシマっしゅよ!」

 

史上最もアツかり革命集団、革命軍…ッ!

 

「ナニを言ってるんだ!みんなナイスガッツな仲間じゃないか!なぁ!」

 

ナイスガッツ陸上部!アツいナイスガッツさえあればなんでもできる!ナイスガッツ長良主将!

 

執務棟の裏で、二つの勢力+ナイスガッツがそれぞれ鼻息を荒く睨み合っていた…

まぁ、正確には睨み合ってるのは革命軍と第七駆の一部のアホガキどもだけで長良主将はナイスガッツ仲良くしようじゃないかとアツいナイスガッツを説いてるだけなんだが…

 

「オイオイオイ、ナニやってんだオマエらは?」

 

「あ!同志ガングートとテイトクっしゅ!」

 

革命軍のメンバー達は俺とガングートの登場に勢いを増したらしく、第七駆SMOU倶楽部にカエレコールを浴びせ出した

 

「クッ!まさかテイトクを仲間に引き込んでいるとは…!」

 

「汚いわコレ!」

 

劣勢に立たされた第七駆逐隊、しかし…ッ!そこに諦めは無いッ!

 

「…みんな、落ち着こう、ピンチなんていつもの事だよ」

 

「潮ォ!」

 

「いつだって私達はアドバンテージなんてない、向いてない、センスないってみんな笑われてきた、でもそれがいったいナニ!?」

 

私達の重ねてきた稽古はそんな逆境!いつだって跳ね返してきた…ッ!!

潮からのアツい檄に、第七駆逐隊は己の中に確かにあるアツいモノを取り戻した

 

「…ヘヘッ、さすが潮ね」

 

「ザーナミも感動キタコレ…」

 

「潮の言う通りだぜェ!」

 

鉄の結束力を持つ百鬼の軍団、ダチッコSMOU倶楽部復活ッ!

 

「こ、こっちには同志ガングートも同志テイトクもいるんしゅよ!な…何故っしゅ、何故震えない!何故怯えない!何故絶望しない…!」

 

「姉さん、それ完全に悪役のセリフなんだけど… 」

 

頭の色はファンキーだがとても礼儀正しく海防艦唯一の良識派と言ってもいい妹の国後クンの冷静で的確なツッコミが耳に入ってるかは怪しい

 

「ここで私達はちゃんこパーティーするのよ!ほら!材料だってこんなに!」

 

「それはこちらも同じだよ、同志一同、朝からお買い物に行ってきたのさ」

 

山ほど用意された焼肉の材料とちゃんこの材料、しかし何故コイツらはわざわざここでパーリーをしたいのか…?別に桜の木があるワケでもなし、ちょっとした花壇があるだけのこの場所で…?

 

「やぁ、同志」

 

「キミは………タスケくん?」

 

「Ташкентだよ」

 

あのガングートが“ヤヴァイ”と評する同志ヤヴァイ・ヤツ、空色の絶望タシュケントくんが相変わらずニコニコしながら俺の腕を無造作に掴み…

 

「はやく命じてくれよ同志、“消せ”って」

 

「…命じませんよ、ナニ言ってのかねこの子は」

 

タシュケントくんは曇りなき眼で苛々するなぁとか言ってるが、この子もしかして感情とかあるのだろうか?

 

「それにまぁ落ち着きたまえよキミ達、俺達はみんな同じ基地の仲間……“家族”じゃねぇか、家族が喧嘩をしちゃいけねぇ、俺は悲しいぜぇ」

 

とりあえず俺はみんな俺の大事な家族だぜぇと一番近くに立っていた占守とボノボノの肩をアツく抱いた

 

「タバコくせーっしゅ!」

 

「気安く触んな!オッサン!」

 

まったく、どいつもコイツも口は悪いが俺の大事な“家族”だなオイ、っーか、そもそも場所争いする必要ねーだろ、こんだけ広いんだから…

 

そんなラブ&ピースな完全平和主義を考えていると、執務棟の裏に新たな二人組がブラブラ歩いて来た…

 

「あ、テイトクだ」

 

「何をしているのですか?」

 

個性溢れるスター集団、陽炎姉妹の頂点に君臨する長女と次女、陽炎と不知火ッ!

 

「革命軍と第七駆が場所を取り合って喧嘩しているのだよ」

 

「ふーん、お互いに死ぬまで殴り合って勝った方が使えばいいじゃない?」

 

死ぬまで()れ、これが小粋なカゲロウジョークならまだ可愛げがあるが、これがジョークではないコトが陽炎が姉妹の頂点たる由縁だろう…

 

「いいワケねーだろ」

 

「待ってください陽炎、この不知火に良い考えがあります」

 

そして落ち度の塊、不知火、落ち度の塊である

 

「やはりここはギャンブ……」

 

「大却下だ」

 

コイツの提案するギャンブルには落ち度しかない

 

「そもそもアレだ、場所ってもこんだけ広いんだ、同時に使えばいいだろーが」

 

「そうだ!そうだテイトク!それこそナイスガッツな提案だ!なぁ!みんな!」

 

長良主将はアツいナイスガッツアイデアだ!と革命軍と第七駆達の肩をバシバシ叩き、そんな小さなコトでクサクサするな!なぁ!肉を食べればお互いにそんな遺恨はなくなる!なぁ!とアツくナイスガッツを説いた

 

「………たしかに」

 

「まぁ、長良さんがそこまで言うなら…」

 

「よし!オマエ達も今日からナイスガッツメイトだ!なぁ!腹一杯食おう!なぁ!そしてあの夕日に向かって走ろうじゃないか!なぁ!」

 

…こうして、場所取り闘争はアツいナイスガッツで解決し、革命軍と第七駆SMOU倶楽部は同じ釜のメシを食うアツいナイスガッツで結ばれ、ナイスガッツさえあれば革命は成る!ナイスガッツさえあればプロの土俵にも立てる!ナイスガッツ!!

 

 

「………あ、肉焼けたわ、って不知火!それアタシが育てた肉!」

 

「不知火に落ち度が?」ナポォ…モニュ……モニュ

 

「チッ、アンタその落とした肉はアンタが食べなさいよ」

 

「そうします、提督、タレ取ってください」ナポォ…

 

「オマエ!それ俺が焼いてた肉!吐け!コラァ!」

 

「し…不知火に落ち度が…?」モニュ…モニュ…

 



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提督と夕張とKシリーズ

帰ってきた狂気のムァァァッド軽☆巡ッッッ!!

【登場人物】

提督(下手のヨコスキー)
2001のイグ●スが倒せないヘタレ

夕張(ア●ル隷奴)
私服がオシャレでスケートが得意な同性がイラつくウエストの持ち主、逆に、同性が安心するウエストは阿賀野


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

桜の開花宣言が発表され、もう春なのかしらとしみじみ感じる今日と言う名のたった一日、執務室でお風呂屋さんのスタッフ出勤情報をチェックしていると、今日もヘソチラ、クレイジーマッド軽巡がやって来た…

 

「ハッキリ言って自信作です」

 

「二度言うな、あと、久々だなこの感じ」

 

「そうですか?」

 

よく考えると半年以上は無かった気がするであろうこのやりとり、これまさに光陰矢如し、されどこの掌は烈火の如し

 

「で?今回はなんだ?どのみちロクなモンじゃねーってのは知ってるが」

 

「大丈夫です、かなりロクなものです」

 

「まぁ、とりあえず見せてみろ、結果次第でオマエのケツに掃除機ブッ挿してスイッチON・OFFを執拗に繰り返してやるわい」

 

「ヒッ…!?だ……大丈夫ですよ、うん、大丈夫!きっと提督も大満足して頂けますから!」

 

自分のケツ穴が大丈夫で済まない可能性すらあるのに、何故コイツは少し嬉しそうな顔なのか…

まさしく生まれついての狂気のムァァァッドサァイエンティィィスなのだろう、そんな狂気の天才軽巡夕張は、それでは今回の発明はこちらァァァァァ!と執務室の扉を勢い良く開いた…ッ!

 

「名付けまして、キヨシリーズです」

 

キヨシリーズ………?いや、コレただのキヨシだよな?俺の目の前に立っているのはどう見てのキヨシにしか見えないが…

 

「…足があるな」

 

「足なんか飾りです」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな…」

 

しかしどう見てもキヨシにしか見えないが、一体ナニが違う………ん?あれ?おかしいな、清霜が二人に見えるような……

 

「って!二人居るじゃねーか!!」

 

「はい、二人居ます」

 

ど…どーゆーコトだってばよ?執務室に入ってきた清霜は二人ッ!まごうコトなき二人ッ!

 

「まぁ、平たく言えばこの二人は本物の清霜ちゃんではなく清霜ちゃんのクローンです」

 

「クローン…ッ!!」

 

クローン技術…ッ!様々な問題を孕む神への挑戦とも言えるこの技術、倫理観やらなんやらの都合上、ヒトのクローン化は未だに実現していないと聞くが………まさか既に完成していたのかッ!完全複製(パーフェクト・クローン)を!

 

「ちなみに右の子はキヨシ‐1、左の子はキヨシ‐2です」

 

「名付け方が雑ッ!」

 

「ちなみにキヨシ‐1は闇払い出来る初期型でキヨシ‐2は荒咬みが出来る96以降の仕様です」

 

「何が96だ」

 

夕張曰わく、見た目はそっくりではあるが性能自体はオリジナルキヨシに劣るらしく、完全複製(パーフェクト・クローン)と言うワケではないらしい

 

「ちなみにこのキヨシリーズですが、清霜ちゃんに医療の発展の為に清霜ちゃんのDNAマップをくださいとお願いしたら快く提供してくれました」

 

「悪魔かオマエ…」

 

最初から医療に使うつもりなどない…っ!軍事用に使う為に(ピュア)なガキを騙し、それでいて何の悪びれすら見せず、むしろ罪悪感も感じていない…っ!クズ…っ!まっことクズ…っ!

 

「ちなみにキヨシリーズはなんやかんやで1万体くらい作りました」

 

「作り過ぎだろォ!!加減ってのを知らんのかオマエは!」

 

「まぁ、最後になると劣化&劣化が進み過ぎて変な感じのクローンになったので結果的には失敗感は拭いきれませんが…」

 

ちなみにこんな感じですと写真を見せたキヨシ‐9999は、既に清霜感ゼロでデコの広いデコスケっぽかった…

 

「ちなみにこのキヨシ‐9999は腕がめっちゃ変形します、なんかめっちゃキモいです」

 

「キモいとかゆーな、カワイソーだろーが!」

 

なんてヤツだ、もともとキレたヤツだとは思っていたが……久々に予想以上にキレてやがったよコイツ

 

どうですか!この自信作!と言わんばかりに誇らしげな夕張、そしてその後ろでウォリャア!だのコレデオワリダァ!だの言いながらバトルしてるキヨシ1と2…

 

「とりあえずだ」

 

「はい!」

 

「オラァ!!」

 

ドスッ!!(一指拳)

 

「ハオ………っ!?」

 

爽やかに笑う夕張のヘソに一指拳をブチ込むと、夕張はウッギャアー!とか言いながらお腹を抱えて転げ回った

 

「オイ、キヨシ1とキヨシ2、コイツ地下室に繋いで冷水ぶっかけて放置してブルったところで尿漏れするトコ撮影してやれ、ほれ、ハンディカム」

 

「ヒィ…!?せ、せめてトイレで…!トイレでさせてください…っ!」

 

「え?ムリ」

 

「即答…っ!?」

 

「あと蛇口あるからホース伸ばしてケツ穴にブッ挿して少量の水量をア●ルに時間をかけ流し込んでやれ、あぁ…そうそう、我慢出来ずにお腹の中キレイキレイしてるトコも撮影してやれよ」

 

「な…なんて冷静で的確な指示を………」ゴクリ…

 

キヨシ1とキヨシ2は両サイドから夕張のアームをガッチリロックし、ズルズルと夕張を引きずり始めた

 

「ヒィ…!やめろォ!アナタ達を造ったの私ですよ!そ…創造主に刃向かうと言うかーッ!このちっぽけな小僧どもがーッ!」

 

「造られた生命にも“心”はあるんだぜ、夕張」

 

「やめろォー!!私が居なかったらオマエ達クローンの寿命はッ!死ぬのが怖くないのかー………!!って、あ、そーでした、死を恐れない感じに自分で設定したんでした、テヘッ!」

 

バカかコイツ、いや、バカだったな…

 

夕張はやめろォー!と叫びつつ自らが造りだしたクローンに引きずられ廊下の先へと消えて行った……

 

自らが犯した罪に裁かれる為に…

 

吐き気を催す邪悪が去り、俺は椅子に掛けてあった上着を手に取り、自分の机で静かにホモ同人を読んでいた秘書艦に声をかけた

 

「………よし、腹減ったしラーメンでも食いに行くか」

 

「そうですね」






【登場人物2】

キヨシ-1(クローン)
哀しい存在、闇払いできる

キヨシ-2(クローン)
哀しい存在、荒咬みできる

キヨシ-9999(クローン)
哀しい存在、デコ助

ネームレスキヨシ(クローン)
哀しい存在、カッコいい

KIYOSHIMO(クローン)
哀しい存在、さんを付けろよデコ助野郎ォ!


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提督と春の陽気なリトルリーグ

疑惑のオールスターゲーム

【登場人物】

提督(クソ大人)
ヤキュウ中継見ながら文句タレるクソ大人

鳳翔(ママン)
通称ビッグママ、キセルが長い

陽炎姉妹
陽炎率いるスター集団、チームワークは悪い

夕雲姉妹
夕雲率いるエリート集団、姉妹の絶対支配者夕雲姉さん


天気もいいしたまには運動でもするかと秘書艦の青髪ロング子とキャッチボールするべくグラウンドに行くと、駆逐艦のアホンダラどもがヤキュウをしていた…

 

ゲームは陽炎姉妹VS夕雲姉妹、互いに多くのスターを抱えるチームはまさしくオールスターゲームと言っていいだろう…

 

「オイ、今なんかボールが変な回転したで、ちょっと見せてーな」

 

バッターボックスに入っていた黒潮はキャッチャー巻雲からボールを受け取りそれを確認すると…

 

「あー!このボール!ヤスリかなんかで引っ掻いた痕があるー!エメリーや!エメリーボールやでー!」

 

エメリーボール…ッ!それは、ボールに故意に傷を付けてインチキ変化球を投げる卑劣なボールである、もしそれが事実なら決して許されるものではないッ!陽炎姉妹のベンチからここぞとばかりに非難の声があがった

 

「テメー!キタネーぞ夕雲ォ!」

 

「そこまでして勝ちたいのかインチキ野郎ー!」

 

………まぁ、たぶん陽炎の指示だろう、アイツ勝つ為には手段を選ばないからな、おそらく黒潮がボールチェックするとか言って紙ヤスリかなんかで自分で付けたのだ、まさに卑劣、まさに卑怯、見てくださいよベンチに座るあの陽炎の顔、なんて悪そうな顔なんでしょう…

 

そんなやりとりを見ながら歩いていると、グラウンドのフェンスのところに見覚えのあるクソ長キセルをプカプカふかす人物…

 

「ビッグママ!」

 

「こんにちは、ビッグママ」

 

「…ん?おや、ボーイとサミーじゃないかい?」

 

ビッグママこと最古の軽空母鳳翔がキセルふかしながらヤキュウ観戦していた、もしかして暇なんだろうか?このバ…

 

「誰が暇人さね」

 

「心を読まれた…!?まさか、能力者か…ッ?」

 

「フーッ~……そのツラ見てりゃアンタの考えてるコトなんて丸わかりさね、ねぇサミー」

 

「そうですね」

 

ビッグママは五月雨に飴でも食べるかいと袖の中から飴を取り出すと、五月雨は俺には決して向けないまるで母親を慕う子供のように無邪気な笑顔で受け取っていた…

 

「しかしアイツら、神聖なスポーツであるヤキュウをなんだと思ってるんだ」

 

「フーッ~…神聖なスポーツねぇ」

 

ーーー

 

グラウンドではエメリーボール実行犯である夕雲の身体検査をしろと陽炎組からの声が上がっているのだが…

 

「全然構いませんよ?私は」

 

エメリー疑惑の夕雲は堂々と身体検査を受けると宣言する、しかし…!

 

「ただし、私だけではなく現時点でボールに触った可能性のある三人、キャッチャーの巻雲さん、バッターの黒潮さん、主審の白露さんも身体検査を受けて頂けるならですが…」

 

現時点でボールに触った事のある人物全員を調べる、それならば身体検査を受けていい…!夕雲の提案に疑惑をかけた本人である黒潮は…

 

「えぇよ、それでいこーか?なぁ?巻雲も白露もそれでえぇやろ?」

 

その条件でOKや!黒潮も堂々と身体検査を受けると宣言する…!

 

ーーー

 

「おいおい、黒潮のヤツ、アイツ紙ヤスリ持ってるだろ?身体検査なんか受けたらダメだろ?」

 

せっかく夕雲を不正実行犯に仕立てあげる為に追い詰めたのに、これじゃ自分で追い詰められるだろう?

 

「フーッ~…さぁ?どうさね」

 

「たぶん黒潮さん紙ヤスリ持ってないですよ」

 

「ハァ?ナニ言ってんだオマエ」

 

「さっき黒潮さんがエメリーやー!って騒いでた時に両軍のベンチからバッターボックスに来てましたけど、たぶんその時捨てたんじゃないですか?」

 

五月雨曰わく、黒潮がシレっと捨てたのを不知火がシレっと回収していたらしい…

 

「オマエよく見てんのな」

 

「そうですか?」

 

そんなワケで、四人の身体検査が行われる事になったのだが、検査の公平性を記す為、フェンスのところに立っていた俺と五月雨、そしてビッグママに声がかかった…

 

ーーー

 

「はい、じゃお身体に触りますよ」

 

「ゲッ、なんでアタシだけテイトク…ッ!」

 

じゃんけんの結果、俺は白露ねーちゃん担当、五月雨は巻雲と夕雲、ビッグママは黒潮の担当となった、正直、夕雲のお身体を触りますよの方がよかったのだが…

 

「じゃ、着てるもの全部脱いで」

 

「脱ぐかッ!フツーこーゆーの服の上でしょ!あとポケットの中とか…」

 

「あー…そーゆー感じ、じゃ、服の上から」

 

さわさわ…

 

「触り方がいやらしすぎる…っ!ってか揉む必要ないよね!?」

 

「じゃ、次パンツ脱いで、ア●ル自分で広げてみせて」

 

「できるかァァァァァァァァ!!!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

白露ねーちゃんからスナップの利いたビンタを受けたが………なるほど、これほど健康的なビンタが出せるなら白露ねーちゃんの健康状態は良好だろう…

しかし、小粋なテイトクジョークも理解出来ないとは、ちょっとおっぱいデカくなったとは言え、まだまだ乳臭さの抜けんヤツよ…

 

「じゃ、ポケットの中全部出しな」

 

「はいはいポケットやね、ポケッ…」

 

おそらく、事前に夕雲のスカートのポケットの中には紙ヤスリが仕込まれているのだろう…

にやにや笑いながら夕雲の身体検査を見ていた黒潮は自分も身体検査を受けていたが……

 

「…?」

 

ポケットの中、今、なんかカサって…なんかある!なんか指先になんか当たって…こ、この感触…ッ!!

 

「(紙ヤスリやァァァァァァァァ!!なんでや!!なんでうちのポッケに紙ヤスリはいっとるん!?紙ヤスリ不知火が回収したやーん!!)」

 

「ほら、ポケットの中、全部出しな」

 

なんでや!?このままじゃうちが不正実行犯に……!?

 

「いやいやいやいや!!やっぱエメリーじゃないですよー!」

 

「は?」

 

「ほら!こんな傷!プレーしてたらフツーにつくんやないかなー?な?そーやろ!な?」

 

ーーー

 

一転!不正疑惑をかけた黒潮はやっぱエメリーじゃないですよと疑惑を撤回した…ッ!

その様子をベンチで見ていた陽炎は黒潮の様子がおかしい事に気付いた

 

「ちょっと、なんで黒潮焦ってんの?あの子紙ヤスリ持ってないでしょ!?」

 

「いえ………黒潮、紙ヤスリ持ってます」

 

「ハァ!?なんで?」

 

親潮からコレ見てくださいと渡されたタブレットの動画…

 

「ここ見てください、まず、この回の頭に陽炎姉さんが夕雲のポケットに紙ヤスリを入れました」

 

「入れたわよ」

 

「で、次なんですが、投げる前にマウンドで夕雲と巻雲が話してるんですけど……たぶんこの時に夕雲は紙ヤスリを巻雲に渡してるんです」

 

「ハァ!?」

 

「で、マウンドから戻ってくる巻雲なんですけど、ほら、ここ見てください!黒潮とすれ違う時に…」

 

黒潮のポケットに紙ヤスリっぽいものを挿入れている…ッ!!

 

「バ……バカな!じゃ、じゃあ…最初から夕雲には作戦がバレてたってコト…」

 

「えぇ、おそらく…」

 

ハメてやるつもりが逆にハメられた…ッ!!

そして、グラウンドでは黒潮がやっぱ夕雲に不正とかなかったですよーと必死に弁解していたが…

 

「ゴメンな、悪かったわ、な?」

 

「それではあらぬ疑惑をかけられ反則実行犯呼ばわりされたこちらも気が晴れませんね…」

 

「ゴメンな、な?ほなら、どーしたら許してくれる?」

 

「土下座してください」

 

「は?」

 

「土下座してください、本当に悪いと思っているなら出来る筈です…」

 

夕雲は黒潮に“イヤならいいんですよ?ただ、その時はアナタのポケットの中の紙ヤスリ的な物がどうなるかわかりませんけど…”とそっと耳打ちした…

 

「……うっ、うぅぅ…」ポロポロ…

 

土下座………それは、この国で最も誠意を現すポーズである

 

自分に疑いをかけた黒潮を、夕雲は土下座させた…ッ!!

 

まさに冷酷!まさに冷血艦!かつてこれほどまでの仕打ちを敵に強いた艦が存在したであろうかッ!

 

「ふふっ……じゃ、このくらいでカンベンしてあげますね」

 

ーーー

 

この後ゲームは陽炎組は精彩を欠き、終わってみれば7‐2と夕雲組の勝利と終わった…

 

「フーッ~……なかなか見応えがあるゲームだったねぇ」

 

「まぁ、所詮はリトルリーグ、MAJORの怪物達とヤり合うステージにはまだ早い」

 

「当たり前さね」

 

ママはキセルを手元でクルクル回して懐にしまってベンチから立ち上がった

 

「さて、ボチボチ開店の準備でもするかね…」

 

「ママ、今日誰が出勤?」

 

「高雄と愛宕」



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明石と野望の通常営業

新年度に相応しい爽やかハートフル話

【登場人物】

明石(爽やかクズ)
工作艦の仕事は特にしてない工作艦、金が好き

山風(爽やか観葉植物)
飼い猫の名前は特にない

提督(爽やかクズ)
モクモクしちょるだけの中佐、歩いてる駆逐艦にモクモクのバズーカを浴びせたら嫌われた真のクズ



「あ〜………本当に金が欲しぃ〜…」

 

法に触れないものならなんでも揃う、みんなの店アカシメイト…

基地施設内にあるこの店舗は多くの艦達が利用しているものの、利益率はあまりよろしくはない、今だって最近設置したカードガチャを駆逐艦の子供達が回してキャッキャとハシャいで帰って行くぐらいだ、閑古鳥どころか死告鳥の鳴き声すら聞こえてくる…

 

「なんかもっと儲けの出る商売ないですかねぇ〜」

 

目玉のカードが入ってるかもしれないカードガチャはなかなか売り上げもいい、基本はゴミしか入れてないので利益率も良いのだが、いかんせん小銭だ、所詮は小銭を集めるだけのみみっちい商売…

 

この、明石には“黄金”のような“夢”がある…っ!

この国の経済を裏から牛耳る“帝王”となり、浴槽を札束で満たし胡散臭い金運ブレスレットの広告みたいに世の中金!と言って人生をオモシロおかしく過ごしたいのだ!

その為にはやはり………金っ!金がいる…っ!円が!ドルが!ユーロが!元が!

 

「…明石さん、餌やってきたよ」

 

「ンマー!山風ちゃん、ンマー!ありがとねー!はい、お駄賃」

 

ダチョウの出来損ないとディスられる食肉鳥、エミューのお世話をしてくれる山風ちゃんにお駄賃300円、そして、ドリンク棚からキンキンに冷えたオレンジジュースを取り出して渡してあげると…

 

「…ジュースは……えっと、100円?」

 

「いいのいいの!そのジュースはお姉さんからの奢り!いつもお店の仕事手伝ってくれる山風ちゃんに……ほら、遠慮しなくていいよ、あ?お菓子も食べる?賞味期限切れてるけど?」

 

「…あ、ありが…ありがと」

 

ンマー…まったく、なんて良い子なのかしら!山風ちゃんホント良い子だわー、お仕事頼めば一所懸命真面目にやってくれるし(安価で)イベント開催中にビール売らせたらメチャメチャ売ってくるし(安価で)まさに天使ですよ、天使!アカシに天使が舞い降りたとはこのコトですよ!ヒャッホォー!

 

「…明石さん、なに読んでるの…?」

 

「ん…?あぁ~……えっとねぇ、色んな会社のコト書いてる本?かなぁ~」

 

嘘ではない、TEIK●KU NEWSである、日々、企業の倒産動向・経営実態調査をチェックするのは大事な日課だ

 

「山風ちゃんにはまだちょっと難しい内容かもねぇ~」

 

「…そう」

 

ハァ~…可愛えぇなぁ~、なんと言うかアレですね、山風ちゃんを見てるとこの社会と言う名の四角いジャングルで荒みきった心癒やされますね~、なんでしょうね?あ~…ほら、アレですよ、アレ、まるで観葉植物的な?緑でトゲトゲした植物ありますよね?アレ的な…

 

「ククク…」

 

「ん?」

 

そんな癒やしの観葉植物に心を癒やされていると、店の入口の辺りにいつの間にやらアゴの尖った眼鏡が立っていた…

 

「…あ、テイトク」

 

「ゲッ、提督…」

 

「ククク…当たり無しカードガチャか、相変わらずアコギな商売やってるじゃねーか、明石」ざわ…ざわ…

 

でたよ、クソ大人筆頭、クソオブクソ大人の提督…

 

「ナニがアコギな商売ですか、ウチはKENZENですよ、KENZEN」

 

「KENZENねぇ…」

 

「で?何かお買い求めですか?ジャ●プですか?タバコですか?あ、指輪とか買いません?指輪、最近上が売れ売れうるさいんですよ、ほら、今ならシルバーと一緒にどうですか?カッコいいですよ、腕に巻くとか!」

 

「うるせぇよ」

 

チッ、さすがに買わないか………天龍さんや木曾さんはシルバーカッケーって買ったのに…

 

「とりあえずタバコと……このカレーパンくれや」

 

「タバコですね、タバコ、はいはい」

 

「モタモタしてんじゃねーぞクソが、だいたいなんだそのスカートの穴は?誘ってんのか?」

 

「誘ってないですよ」

 

誰が誘うかっーの

 

「…テイトク、カレーパン買うの?」

 

「買いますが?」

 

「…へぇ」

 

山風ちゃんは足下にいた全身毛のないキモいけどお高価な猫を抱き上げた

 

「…へぇ」

 

「相変わらずキモいなその猫」

 

「…キモくない、どちらかと言えば、かわいい」

 

「そうかぁ?キモいよなぁ?なぁ明石?」

 

この野郎ォ…こっちにイヤなパスを…ッ!ま、まぁ、ここは山風ちゃんに合わせていこうかな

 

「お高価でかわいいんじゃないですか?」

 

「…なんか違う」

 

おかしいな、私、誉めましたよね?

 

「クズは所詮クズなのだよ、明石」

 

「誰がクズですか、むしろクズとか提督にだけは言われたくない言葉ベスト3ですよ」

 

「奇遇だな、俺もオマエにだけはクズと言われたくないのだよ」

 

ちなみに他の2つは“淫乱”と“ピンク”である

 

とりあえずタバコとカレーパンの代金を受け取り、さっさと出て行けよクソがと右手でシッシッと払ってやった

 

「言われんでも行くわい、さ、外のベンチにでも行くか…」

 

「…私も行く、いい?」

 

「別に構わんが…」

 

「いいよいいよ!山風ちゃん、お手伝いはもう終わってるしね!そのゴミクズにジュースでも買ってもらったら?」

 

「誰がゴミクズだ」

 

そんなワケで、ゴミクズと山風ちゃん+猫はお店を出て行き、再びお店は静かになった…

 

「はぁ………高校野球でも見よ」

 

どうせ誰も来ないし、あ……いや、たしか後で鹿島先生が本の受け取り来るとか言ってたかな、まぁ、どうでもいいけど…

 

ガチャ……(扉開)

 

「ん?いらっしゃーい…」

 

「ウヘ……ウヘヘ、明石さん、お酒、お酒売ってくださいよぉ~…お酒ぇ」

 

なんだ、アル中のポーラちゃんか…

 

「いらっしゃい、いつものでいい?」

 

「ハイ…っ!いつものを……あ、お金!お金ちゃんとありますぅ!はいコレぇ~」

 

大事に大事に握りしめていた硬貨……厳しいお姉さんの管理の目を盗み、なんとか稼ぎだしたなけなしのお小遣いで買うワンカ●プ大関…

 

ワンカ●プ大関を受け取ったポーラちゃんはハァハァともう我慢出来ねぇぜと言った様子でワンカ●プ大関をイッキに呷る!相変わらずイイ飲みっぷりだこと…

 

「………ブハァ!悪魔的…っ!悪魔的美味さですぅ!」ポロポロ…

 

「あ、うん、そう…良かったね」

 

既に飲み干したワンカ●プ大関のカップをレロレロと舐め回すこの娘はまさにアル中オブアル中の鑑…ッ!

 

「ありがとうございました明石さん、いつも執拗なザラ姉の監視に苦しむポーラに美味しいお酒を」

 

「まぁ、商売だしね」

 

金さえ払えば誰にでも、何でも売るのがウチのスタイルですが…

 

「そんな明石さんに………コレ、ホントにつまらないモノなんですけどぉ~…」

 

ポーラちゃんは上着の中に手をつっこみ、一枚の布切れ?を取り出して私の手に握らせた

 

「…………ナニコレ?パンツ?」

 

「ザラ姉ぇのパンツですぅ~、ポーラのタンスに入ってたのでポーラが貰っちゃいましたぁ~」

 

この手触り……なかなか上等な素材ですね

 

「明石さんは女性物のパンツを被るヘンタイ趣味があると聞いたのでぇ…」

 

「ないわ!!ってか誰がそんなコト言ったの!?」

 

「え?テイトクぅ~?」

 



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提督と雲龍とセンシティブな自由

春のセンシティブ暴君回

【登場人物】

提督(ぺぇずり肯定派)
センシティブな存在、神よ、私は美しい…

雲龍(デカパイ空母)
センシティブな存在、駆逐艦のキッズ達にはたぶん変身したらドラゴンになると噂されている

龍鳳(ゲイ子)
ギリギリセンシティブではない存在、パシリ属性がある
基地に珍しい基本善人のまともな娘だが鹿島先生とは妙に仲が悪い、むしろ天敵


今日の昼はホカホカのトンコツラーメンでも食うかと考えながら執務棟の廊下を歩いていると、外のベンチのところでアツアツのヤカンからお湯をカップ麺的なものに注いでいる仙人みたいなのが目についた…

 

「ナニやってんだオマエ?」

 

「見ての通り、お湯を注いでいるのよ」

 

仙人みたいなやつこと雲龍姉妹の長女、雲龍

仙人みたいと言ったものの、服の上からでもワカるその生唾ゴックンのビシバシモンなワガママボディはハンパではなく、一部ではセンシティブな存在ではないかと疑われており、そのファッションセンスはこれまさにグッド・ぺぇずりデザイン賞だろう…

 

「…カップラーメンか」

 

「カップ焼きそばよ」

 

「ふ~ん」

 

お湯を注ぎ終わり、ヤカンをその辺に投げ捨てた雲龍はベンチに座ってカップ焼きそばを膝の上に置いた

 

「今日の昼飯はそれか?」

 

「そうよ」

 

雲龍曰わく、朝起きると、テーブルの上にそのカップ焼きそばと、今日だけはこれで我慢してと書かれた手紙が置いてあったそうな…

 

「姉をなんだと思っているのかしら?あの妹どもは…この私にカップ焼きそば1つで済むとか舐められたモノね」

 

「むしろお前が何様なのだよ」

 

このワガママボディと正比例するワガママ長女、掃除、洗濯、炊事、その他…一切の家事スキルを持ち合わせていないらしく生活の全ては妹である天城と葛城に一任しており、腹が減ったと言えば妹に飯を用意させ、喉が渇いたと言えば妹に飲み物を用意させ、何か面白いコトやれと言えば妹に芸をさせるまさしく暴君…ッ!

ワガママオブワガママどころかもはやそれはレジェンドオブワガママと言っていいだろう

 

「3分経ったかしら…」

 

ジョー…ドボドボ…

 

「熱…っ!オマエ!なんで俺の足下にお湯を捨てるんだよ!」

 

「そんなところに足があるのが悪いのよ」

 

「相変わらずとんでもない女なのだよ…」

 

雲龍は蓋をその辺に投げ捨て付属のソースを麺にブチ撒け、ワイルドにカップ焼きそばを食しだした…

 

「あんまり美味しくない…」

 

「カップ麺も妙に安いやつだと値段相応なのだよ」

 

「ところで提督はなんでこんなところに居たの?暇なの?」

 

「暇じゃねぇよ、今からメシ食いに行くんだよ、メシ」

 

「ふ〜ん」

 

雲龍は相変わらず死んだ魚みたいな目で興味なさげにカップ焼きそばをズルズルと口に吸い込む、しかしこの妖怪仙人、スケベすぎるだろ……見れば見るほどセンシティブな存在にしか見えねぇ

 

「ゲーェプ…」

 

「女の子が人前で堂々とゲップするんじゃないよ、この子は」

 

「………全然足らない」

 

雲龍は食い終わったカップ焼きそばの容器をその辺に投げ捨て、ベンチに立てかけてあった杖を手に取り、その杖で俺の足を殴打した

 

「痛てぇよ!!なんだァ…?手前ェ…?」

 

「全然足らないって言ってるのよ」

 

「そりゃ良かったな、そのまま飢えて死ねば良かろう」

 

「全然足らないって言ってるのよ」

 

こ、このアマァ……ちょっとおっぱいデカいからって調子に乗りやがって、たしかに、俺はおっぱいには弱い健全な成人男性だが杖で小突かれて黙っているほどジェントルではない

 

「オイコラ雲龍、テメーあんまチョーシ乗ってんじゃねーぞコラ?あんまチョーシ乗ってると俺のパイ●リ専用オ●ホールにすっゾ?」

 

「やれるものならやってみなさい」

 

雲龍はベンチから立ち上がり杖をブンブン振って全身からバチバチと電気的なスパークを放ちだした

 

「おもしれー…後悔すんじゃねーゾ」

 

スネークバ●トの射程ギリギリでバチバチする雲龍、なるほど……やはりただのデカパイではない、なんやかんや言ったもののコイツはケッコー強い

閻魔の一航戦、鬼の二航戦、奴隷の五航戦の枠には数えられてはいないが、あのチンピラ空母、二航戦のバカどもも雲龍だけは認めており、かつての作戦海域では二航戦にこの雲龍を加えた無敵のフォーメーション“ドラゴン・T(トリプル)・ブレイカー”が猛威を振るったのは記憶に新しい…

 

「チッ…!」

 

「どうしたの?ビビってるの?」

 

しかし見れば見るほどセンシティブな格好してやがるなコイツ、これはもう俺のスネークバ●トがあのデカパイをバイトしていいってコトでいいんだよな?お互い合意の上だからいいんだよなッ!?

 

…そんな一触即発の緊張感が漂うベンチに、箱的なものを持った哀れな歩行者が歩いてきた…ッ!!

 

「あれ?提督と………雲龍さん?ナニしてるんですか?こんなところで」

 

「キミは………?ゲイ?」

 

「誰?」

 

「龍鳳です!龍鳳…っ!!」

 

歩いて来たのはいつの間にか軽空母になっていたゲイ子ことリューホーくん…

 

「その箱、良い匂いがするわね」

 

「え?あ、はい、今から潜水艦の子達がカラオケするからピザ持って来てって…」

 

潜水母艦を卒業し、軽空母になってもパシられてるのかコイツ……雲龍はバチバチしていたスパークを消し、ゲイ子ことリューホーくんのところへ歩いて行くと、リューホーくんの持っていた箱を1つ手に取った

 

「チーズ臭いわね」

 

「そりゃ…ピザですから」

 

「アナタからもチーズ臭がするわ」

 

「それは……まぁ、さっきまでそれ作ってましたから…」

 

「アナタ、チーズ臭いわ」

 

「言い方ッ!!なんか誤解を招きそうな言い方ッ!あ、て…提督、私はチーズ臭くないですからね!ピザがチーズ臭いだけであって私は臭くは…」

 

そうか、リューホーくん、チーズ臭いのか…

 

「鼻が曲がりそうね」ナポォ…

 

「あ!!それ頼まれてたピザ!!なんで勝手に開け……ってかなんで勝手に食べるんですか!」

 

「やはり作り立ては美味いわね」モニュ…モニュ…

 

「返してください!ってかなんで勝手に食べるんですか!」

 

「うるさいわ、チーズ女」

 

「だからチーズ女じゃありません!」

 

雲龍は箱を高々と持ち上げ、リューホーくんは返して!返して!とピョンピョン飛び跳ねて抵抗してみたが、雲龍のバストアタックに跳ね返されて地面にすっ転んだ…

 

「あいた…っ!!ナニするんですか!」

 

リューホーくんとて雲龍には劣らないバストを持っているハズだが、やはり体格差はあまりにも大きい!言うなれば雲龍はヘビー級!対してリューホーくんはハードパンチャーではあるが所詮フェザー級!パンチ力は互角としても体格差は覆らない!

 

「代金は天城に請求しなさい」

 

雲龍は奪い取ったピザの箱を手にスタスタとセンシティブにケツを振りながら去って行った…

 

なんと言うヤツだ、あまりにも自然に、まるで当然のように宅配ピザを奪う………その生き様はまさに雲、雲の如く自由気ままに空を流れるか…

 

「うっ……ぅぅぅ、チクショウ!チクショウ!」

 

そんな流れる暗闇の雲の災害に巻きこまれたリューホーくんの肩に手を置き、俺は上司として爽やかにフォローを入れてやる…

 

「まぁまぁゲイ子くん、提督はチーズ臭いのも嫌いじゃないのだよ」ニコッ

 

「チーズ臭くありません!!」



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提督と羅刹の新章

最近どうにもローペースなだらしない提督ですまない…
新章!冥王ハー●ス編開幕!

【登場人物】

提督(中佐)
マンモス哀れなやつ

五月雨(戦士の中の戦士)
出会った頃はまだキラキラしていた

夕張(ア●ル隷奴)
何もしていなければ比較的まともに見える不思議


「東西戦のお知らせです」

 

「…はぁ?」

 

桜舞い散る春の日、執務室で基地スポを読みながら耳掃除していると、ヒショ・カーンのコイツカミナゲーナが上から送られてきたらしい一枚の書類を俺の机に置いた

 

「もうそんな時期かぁ~……フーッ」

 

東西戦…

海軍には大きく分け、東と西の陣営が存在しており、普段の会議や演習などは自分が所属している陣営内で行われる

西のウエスタン、東のイースタン、セ●ズリーグとパ●ズリーグと言った具合に普段は関わり合いになる事はないが、年に数回、交流戦的なものが組まれ、互いに練度の向上を図るといったものがあるのだ…

 

以前、この東西戦で黄金のヘリで乗り込んできた“神々の軍団”とのアツい死闘は記憶に新しい…

 

「東西戦ねぇ…で?それがどうした?」

 

「いえ…ちょっと気になる名前だなと」

 

「気になる名前だァ?」

 

五月雨から受け取った書類、そこに書かれていた今回の対戦相手だが………ふむ、四大鎮守府の一角、横須賀かッ!!

 

「オイオイオイ、まさかの四大鎮守府様かよ、こりゃ負け確だなオイ」

 

「まぁ、横須賀ってところもアレですが、気になるのは演習相手の名前なんですよ」

 

「名前?え~………川奈なにがしクン、階級は大佐か」

 

「えぇ」

 

「それがどうかしたか?」

 

「覚えてないんですか?その人」

 

「覚えてないんですか?と言われてもなぁ」

 

東側の人間なんてあまり関わり合いにならねぇし、しかも大佐だろ?そんなもんイチイチ覚えてねえっての

 

とりあえず書類に書かれているこの川奈クンの略歴を読んでみるが………ほぉ、凄いな、様々な作戦海域に参加しめざましい戦果じゃないかね

 

「それに、ルックスもイケメンですし」

 

「ほぉ」

 

五月雨は月刊海軍のページを開き、この人ですよと言って指さした…なるほど、ルックスもイケメンじゃないかね

 

「イケメンなら容赦する必要ねーな」

 

イケメン死すべし

イケメンなんぞ生かしちょって仕方ないでしょう?

正しくなければ生きる価値はありゃせんと海軍の偉い人も言ってたしな!

 

「ハッ?ナニが王者・横須賀のイケメン提督様だ、溢れる知性で返り討ちにして、王者の威厳ってヤツを地の底まで沈めてやろーぜ」

 

「はぁ…?」

 

◆◆◆

 

午前中の業務を終え、今日は麺類の気分だなと五月雨と共にやって来たのは近所のうどん屋…

 

「俺ごぼう天にするからお前天ぷらにしてオカズ交換しよーぜ」

 

「JKか、イヤですよ、今日はわかめうどんの気分ですから」

 

「なんて子だい、じゃ、俺のごぼう天を分けてやるからお前のカマボコくれよ」

 

キュウシュウのうどんは麺に強さがなく、非常にぶよぶよしており歯茎に自信のないおじいちゃんおばあちゃんも安心して食べられる優しい味である、そんな優しさ溢れるうどんを注文し、お冷を飲んでいると店の扉を開き、新たなる客が…

 

「あ、提督と五月雨ちゃん、二人もお昼ですか?」

 

やって来たのは戦慄のヘソチラ軽巡、夕張…

夕張はヘラヘラ笑いながら奇遇ですねーと言いつつ俺達の居る席によっこらセルバンテンスと言って座り店員のおばちゃんに注文を告げた

 

「あ、私、天そばで」

 

「そばか」

 

「えぇ、私どっちかと言えばそばが好きなので」

 

「ふ〜ん」

 

そう言えばコイツよくそば食ってるな、前にカップ麺もみどりのタヌーキ食ってたし…

 

「提督と五月雨ちゃんはうどんですか?」

 

「はい、私はわかめで提督はごぼう天です」

 

最近どう?人、殺してる?と小粋なジョークを交えつつ和やかなランチタイムで注文したうどんとそばを待っていると、店の扉を開き、新たな客が“入店”してきた…ッ!

 

「お前らァー!今日からコイツも改めて新しい仲間でち!」

 

「あぃ!伊504だよ!」

 

よく見ると、こっちとは逆方向の席に実力派エリート集団潜水艦のアホどもがオシャレな私服でこのうどん屋に来ていた…ッ!

 

「………えーっと、伊504クンだっけ?立ち話もなんだし、まぁ座って、お茶でも飲んでハナシでもしよーや」

 

奥の席に座っているらしい401はセンパイ風をビュービュー吹かしているのか、ホカホカで淹れたてのティーを急須から湯呑みに淹れてルイジ改め504クンの前に置いた

 

「あぃ!いただきまー……ゔっ!」

 

「どうした?いただきますって言ったからには飲んで貰おうじゃねーの?それともヌルいから飲むのはイヤかしら?」

 

「クスクス…仲間になりたくねーから飲むのはイヤなんですって!」

 

「オイ、ナニやってるでち?401、58にもティーよこせ」

 

「悪いがアトにしてくれよ、58センパイ」

 

「ハァ?」

 

………ナニやってるんだ?アイツらは、ルイジくん改め504クンはやがて意を決したように湯呑みの中身をグイィィィ!とイッキに流し込んだ!

 

「の、飲んだですって!」

 

「…ユーも、びっくりした」

 

「………ウエェェェェェ!ニガい…っ!ルイ、グリーンティーはやっぱニガテ!」

 

ーーー

 

「提督のごぼう天も美味しそうですね」

 

「なんだ?シェアーして欲しいのか?」

 

夕張のアホンダラは、じゃ、私のカマボコとそのごぼう天交換してくださいとシェアーを申請してきたが…

 

「バカヤロウ、何か得る為に同等の何かを失う等価交換の原則を無視する気かテメーは」

 

「え?カマボコじゃダメなんですか!?じゃ、ネギで…」

 

「バカヤロウ、あるじゃねーか……デッケーのが!」

 

「嗚呼っ!!私のエビ天!ダメです!それはメインなんですから!」

 

「じゃ、半分でいいわ、そのエビ半分とごぼう天を交換してやろう」

 

人は何かの犠牲なしに何も得る事はできない、何かを得る為にはそれと同等の代価が必要になる…

 

「ちょ!!食べ過ぎ!食べ過ぎですよ半分って言ったじゃないですか!!あ、あぁぁぁぁぁ!!持っていかれたァァァァァ!!」

 

その頃僕らは、それが世界の真実だと信じていた…



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提督と集う知性の天災

ナニが知性だ!その賢いおつむをペンチでペンチしてやれーっ!

【登場人物】

提督(知性の申し子)
知将…?痴将の間違いじゃないんですか?

五月雨(残虐の申し子)
カミナゲーナなコイツ

大和さん(ヤマトナデシコ)
普段は良い人、わりと邪悪で短気

古鷹さん(重巡の良心)
普段は良い人、熱帯魚を飼ってる

大淀(R元服指定)
普段からアレな人、足柄とはマジダチ


来たる東西戦、対YOKOSUKA…

今回の演習は艦種や陣形に細かい制限があると言うコトで、上からのお達しの書かれたルールブックを熟読した俺は五月雨と共に戦艦寮、大和と武蔵の住む部屋の前へときていた…

 

「ムーサーシーくーん!あーそーびーまーしょー!」

 

「いや、普通にピンポン鳴らしましょうよ」

 

ガチャ…(ドア開)

 

「はい、どちら様で……あら?提督と五月雨さん、こんにちは」

 

ドアを開いて出てきたのは、大和撫子感溢れる大和撫子オブ大和撫子、まるで昼下がりの人妻のような私服姿の大和さん

大和さんはどうぞどうぞと俺達を部屋の中に招き入れるとレスカかサイダーしかないですけどと冷蔵庫から瓶を取り出した

 

「えぇと…?武蔵に何か…?」

 

「えぇ、ヤツの力が必要なのです」キリッ

 

「はぁ…?そうですか」

 

今回のルールその1、演習で投入可の艦種は同一艦種1までとする

※戦艦・航空戦艦・改装航空戦艦は同一に“戦艦”として扱う

※“空母”とは正規空母・装甲空母・軽空母・護衛空母を指す

※軽(航空)巡洋艦は“軽巡洋艦”として扱う

※潜水艦と潜水空母は同一に“潜水艦”として扱う

 

他にもなにやら細かいルールが色々と書かれてはいたが…まぁ、そこら辺は今はいいだろう、それより今は武蔵だ、今、俺には、いや!この星にはアイツの力が必要なんだ!

 

「あのぉ〜…テイトク?」

 

「なんでしょう?」

 

「その、武蔵じゃないとダメでしょうか…?なんなら私でも武蔵と同じ、いえ、武蔵より期待に応えられると…」

 

ヤマトナデシコ大和さんは控えめに手を挙げ、武蔵ではなく自分でもと売り込んできた、大和さんは基本ヤマトナデシコではあるがやはりその胸に秘めたるのはアツい最強戦艦のPRIDE…!

たしかに、普段ならば大和さんでも全然OKだが今回は違う、艦種に制限がある以上、大和さんより“殺意”の高い武蔵、武蔵しかいないんだ…ッ!

 

「いや、今回は武蔵で行こうと…」

 

「ですが………私は、いえ!この大和、武蔵に劣るものは何もないかと…」

 

大和さんは顔を伏せて肩をブルブルと震わせ始めた、もしかして気分でも悪いのだろうか?

 

「どうしました大和さん?もしかして気分でも悪い…」

 

「このオイボレがァー!!」ギロッ!

 

「ヒィ!?」

 

突如として豹変した大和さん、いや………仁・智・勇を兼ね備え、まるで神の化身のような大和さんの中にひそむとてつもない邪悪…っ!悪の人格となった大和さんは鋭い突きを撃ってきた!

 

「この大和こそこの光溢れる海上を守ってきたとまだワカらんかーッ!」

 

「オイ五月雨、大和さんどうかしたのか?」

 

「大和さん、元々こーゆー人じゃないですか」

 

「マジか!大和さん!邪悪な人格に負けないで!邪悪な人格に負けないでー!」

 

この後、色々あったが大和さんは謎の光を浴びて邪悪な人格は消え去り、己の中の邪悪を悔いた大和さんは本当は正義の為に生きたかったと言い残して自らの胸を突いたが、九一式徹甲ブラのおかげで一命を取り留めた…

 

◆◆◆

 

「まったくヒドい目にあったのだよ」

 

「九一式徹甲ブラってスゴいですよね」

 

とりあえず武蔵には書き置き残してるから後から見るだろうと次の目的地、重巡寮へとやって来た俺と五月雨は入口で古鷹さんと出会った

 

「あ、テイトクと五月雨ちゃん」

 

「よぉ、古鷹さんよォ…鳥海のヤツ見なかったか?」

 

「鳥海さんですか?えぇと…たしか姉妹で牛丼食べに行くとか言って出かけましたけど」

 

「チッ、入れ違いか……まぁいい」

 

俺は上着のポッケから取り出した紙を古鷹さんに渡し、鳥海のヤツが帰ったら渡してくれと頼んだ

 

「…なんですかコレ?」

 

「ご覧の通り、紙なのだよ」

 

「いや、紙なのは見たらわかりますよ、内容で………ハッ!?まさかKOI-BUMI!?」

 

「んなワケねーだろ」

 

「なんだ………そうですか」

 

なんだとはなんだ、なんだとは!古鷹さんは興味無さげにスカートのポッケに紙をねじ込んで露骨にため息を吐いた

 

「あ、そうそう五月雨ちゃん、キン●リもう見た?」

 

「まだ見てないんですよ」

 

「ダメじゃない!早く見ないと!」

 

「最近陸奥さんと最●記イッキ見大会してるせいか時間がとれないんですよ、やはりなんやかんや言っても幻想魔伝は最高ですね」

 

「そうよね?そうなのよ、あの当時、私もだけど何人もの女子が正しい道から足を踏み外して…」

 

古鷹さんは五月雨や陸奥と趣味が合うらしく、よくアレな話で盛り上がっており、キャッキャとハシャいでいるが、やはり腐道は魔道、修羅道にして畜生道、同じもの見てもたまにハナシが合わない事があるのが業の深いところだろう…

 

ちなみに、一番年季の入ってるのは陸奥らしくアイツなにげにサムライト●ーパーとか詳しく、“ガイ”と問えば“獅子王”でも“マイト”でもなく“夜叉王”と即答するからな…

 

「ま、とりあえず頼んだからな、ちゃんと渡してといてくれよ」

 

◆◆◆

 

神話の時代からのキョーダイ、古鷹さんに別れを告げて次にやって来たのは軽巡寮…

ここに“知性”チーム、第3のメイトが居る…ッ!俺と五月雨はそいつが待つであろう部屋の前に行くと、部屋の前には既に先客が来ていた

 

「オーヨードーさーん!あーそーぼー!」

 

「オーヨードさーん!オーヨードさーん!」

 

アホな子供こと夕雲姉妹のキヨシとアサシ、そのアホ姉妹は大淀の部屋の扉をバシバシ叩いていた

 

「ナニやってんだオマエらは」

 

「あ、テイトクだ」

 

「テイトク!ティーっす!テイトク!」

 

清霜と朝霜は今からデパートにお買い物に行くらしく、足柄のバカから大淀のバカも呼んで来いと言われてやって来たそうで、大淀はだいたい朝が遅いらしい…

 

ガチャ…(扉開)

 

「お、開いてる!キヨシ!この扉、鍵がかかってねぇーッ!」

 

「よっしゃあ!行くぞォ!オーヨードさん!デパート行くぞォー!」

 

「あ、オイオマエ達…」

 

キヨシとアサシは鍵のかかっていない扉を開け、GO!GO!GO AHEAD!と勢い良く部屋の中へと突入し、しばらしくしたら普通におとなしく出てきて部屋の扉をキチンと閉めた…

 

「なんだ?まだ寝てんのかアイツは」

 

「…大淀さんチ●コ生えてた」

 

「は?」

 

ナニ言ってるんだコイツ…?

 

「なんだよ、知らねーのかテイトク!大淀さん大人だからたまにチ●コ生えるんだぜ!」

 

ナニ言ってるんだコイツ…?

 

「しゃーねーな、キヨシ、足柄さんに大淀さんまだ寝てるしチ●コ生えてたって言いに行こーぜ!」

 

「おうよ!じゃーねー!テイトクー!」

 

キヨシとアサシはチ●コチ●コとゲラゲラ笑いながら廊下をダッシュして去って行った…

 

「…ナニ言ってるんだ?アイツら」

 

「たぶん…」

 

「なんだ?サミダリューン、卿は何か知っているのか?」

 

「いえ…まぁ、さすがにちょっと言い難いと言うか……えぇ」

 

「ハッキリせんヤツだな、言いたまえ!どこに!ナニが!どうなっているのか!自分の口で!」

 

「ヘンタイか、ってか…私に言わせなくても普通に気付いてますよね?」

 

五月雨はゲスヤローがと言いたげな目でこちらを睨み、俺のベンケイに蹴りを入れてきた

 

「あ痛ァー!!ちょ…待てよ!ベンケイはないだろ!ベンケイは!」

 

「とりあえず扉に紙でも挟んどいたらどうですか?」

 

こやつめ、なんて冷静で的確な意見を…

 

「そうだな、卿の意見を是とする」



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早霜と貴方に捧げる私の貴方

愛とは何か…?Loveとは何か…?人を好きになる、愛しいと思う気持ちとは何か…?そんなハートフルラブを目指した結果がこれだよ…

【登場人物】

早霜(見 て い た)
通称キタローくん、夕雲姉妹一のおしゃまな子らしく、ナリは小さいがどこか大人っぽさがある
基本的には姉妹には優しく、他の娘にはあまり関心がない

ただし、秋雲には憎悪を持っている


夕雲型駆逐艦、早霜の朝は早い…

 

午前4時44分、起床

まずは冷たい冷水で顔を洗い眠気を拭い去り、洗面所の鏡で笑顔の練習を決して欠かさない

 

その後、キチンと身仕度を整えて同室の姉妹である清霜と朝霜がまだ目覚めていない事を確認し、編集部から依頼のあった漫画の執筆を開始、同僚の秋雲から月刊サス●リアを定期購読してそうとディスられる見た目とは違い、彼女が描く作品はまるで銀河の星々のようにキラキラと輝くアツい王道ヒーローが颯爽登場する痛快活劇を描いている………その気になればもっと違うジャンルも描けるが、あの人はこーゆーのを好んでいる

 

全ては“あの人”の為に…

 

ーーー

 

午前7時、執筆を中断し、同室の清霜と朝霜を起こし、2人が朝の支度を整えると一緒にマミー屋で朝食を摂る

マミー屋で朝食を注文する際、さりげなくあの人が何を食べているのかを確認し、自分も同じものを注文する

 

朝食を摂り終わると清霜と朝霜は座学の授業がない日はバカな事をやりに飛び出して行く、そんなバカ2人を見送った後、自室で自分のPCを起動しまずは隠し撮り動画をLet's再生しつつGPSであの人の現在地を確認しあの人の鼓動を電波で感じる、今日もあの人は執務室に居るらしい…

 

『あー………ダリぃなオイ』

 

『首、どうかしたんですか?』

 

『どうにも寝違えてな、今日は首痛めてる系ハンサムなのだよ』

 

『へぇ』

 

『へぇ、ってなんだ?へぇ、って、興味なさすぎか!』

 

『いや、普通に興味ないんで』

 

………極小のマイクが集音する音声をイヤホン越しに聞きつつ昨日、授業の終わりに出された宿題をこなす、彼女にとってはこの音声こそが何ものにも代え難い至高のヒーリングミュージックに他ならない

 

『あ、そうそう、そう言えば……今、金剛さん基地に居ないんですよ、知ってました?』

 

『アァ?今、初めて聞いたわ、なんだァ?アイツ旅行にでも行ってんのか?』

 

『えぇ、なんでも……一撃必殺、その先にある境地を掴みにフラリと出かけたそうです』

 

『ふ~ん』

 

『帰ってきたらいの一番に提督に逢いに行くって言ってたそうです』

 

『そいつぁ強烈なラブコールだなオイ』

 

…あの人は常に命を狙われている、しかしあの人はそんな事を微塵も感じさせないが………ただ、あの人は強くなった自分の部下に自らが討たれる事を望んでいるようにも思えてならない、あの人はきっと金剛さんが自分を超えるその時を待ち望んでいるのだろう

 

「……」

 

ーーー

 

午前11時、日課の一つである基地施設内の散歩に出かける

施設内に危険な場所はないか、フェンスに傷がないか、積んである重量物が倒れる危険はないか、壁などに破損がないか、引っかかったり落ちたりする可能性のある危険な穴などないか、こうした危険を予め排除する事で、あの人が常に基地艦隊司令として最高のコンディションを発揮できるように心がけるのだ…

 

全ては“あの人”の為に…

 

「あ、ハヤシだ」

 

「ハヤシーだ」

 

重巡寮、さわやか寮の裏手側をチェックしていると、姉妹である清霜とその友人リベッチオが虫捕り網を持ってたむろしていたので二人は何をしていたのか尋ねると、二人は珍しい蝶を探していると言う…

 

「なんかムラサキ色のヤツ、ハヤシ見なかった?」

 

「スゲームラサキなヤツ!」

 

「…見てないわ」ボソボソ

 

「え?ナニ?聞こえなーい?」

 

「ハヤシ見てねーって、リベ、向こう探そうぜ!」

 

二人はスゲームラサキな蝶を捕まえてヘーカに自慢してやるんだーとゲラゲラ笑いながら去って行った、相変わらずおバカな子だこと…

 

「…?」

 

ふと、木を見上げると鮮やかな紫色の羽根を持つ蝶がヒラヒラと飛んできて枝に止まった

 

「…そう、オマエは頭がいいのね」ボソボソ

 

◆◆◆

 

午後3時、マミー屋で1人、コーヒーを飲む…

今日のオススメはマミヤ特製ティラミス“甘き死よ来ませい!”………素材、鮮度、製法に一流のこだわりを感じるゴキゲンな味だ…

そんな甘さと苦さのアンサンブルを味わいアンニュイな午後を過ごしつつ、お気に入りのあの人のphotographを眺めていると、マミー屋の扉を開き、本物のあの人がやって来た…ッ!

 

「まったく!夢がMORIMORIっすよ!」

 

「そうかぁ?」

 

………と、秋雲

 

秋雲はあの人と馴れ馴れしく並んで秋雲さんはコーヒーがいいっすねーとか言って注文すると、店内に居た私にいち早く気付いた…

 

「お、早霜じゃねーっすか?相変わらず暗そうな顔してるっすね」

 

「…どうも」ボソボソ

 

「ハヤシ……?あぁ、キタローくんか、キミもティーかね?」

 

「…はい」ボソボソ

 

秋雲は相席の許可も取らずに馴れ馴れしく私の居るテーブルに座り、コーヒーに角砂糖をポイポイ入れる………糖で死ねばいいのに

だが、秋雲がこのテーブルに来たことにより、自然な流れであの人もこのテーブルに同席することになった………悪かったわ秋雲、糖で死ねなんて考えて、訂正するわ、生きて、糖で苦しみなさい

 

「しかし今回の秋雲さんも自信作はワリとイイセンいってたと思うすんけどねー」

 

「オマエ流行りもの向いてねーんだよ、あと、たぶん山田ゼレフ先生の原作はオマエには難解すぎる」

 

「そーすかねぇー」

 

秋雲はあの人に定期的に自分が描いた漫画を見て様々な意見を貰っているらしく、たまにこうしてマミー屋に来て作品の方向性やこれからのジャ●プについて楽しく語り合っている…………なんて羨ましい、なんて妬ましい、なんて浅ましい、陽炎型のくせにヌケヌケと夕雲型ヅラしてあの人に近付く貴女は汚物よ、まるで便所の鼠の糞にも劣る存在、クソカス、便器に吐き出されたタンカス、ちっぽけな小娘………いえ、貴女に相応しいのは肥溜めで生まれたゴキ●リのチン●コね…

吐き気を催す邪悪とは貴女のコトよ、秋雲

 

「…ちなみに、どんな漫画ですか?」ボソボソ

 

「え?早霜、アンタ漫画とか興味あったんすか?」

 

「…まぁ、それなりに」ボソボソ

 

「そうだな、オイ秋雲、どうせならキタローくんにも見て貰えよ、客観的な意見ってのは必要だよな、なぁキタローくん?」

 

「…そうですね」ボソボソ

 

秋雲から受け取った原稿用紙、内容は占い好きなJKが100メートルの走り込みをしていると突如として異世界に飛ばされ、その世界でちょっとヤンチャな若き王子様と陰のある若き騎士たちと共に世界の命運を賭けた戦いに巻き込まれて行くというファンタジーあり、ロボットあり、恋愛ありのどこかネオロマンス臭を感じさせる作品だった…

 

「………まぁ、絵だけは上手いと思いますよ」ボソボソ

 

だが絶望的に原作と画風が合っていない、いや、一応画風を原作に合わせようと頑張る努力は感じるが、どうしてもクセが抜けきれていない、ただ、この主人公の憧れの先輩そっくりな騎士の顔がベル薔薇調なのはもしかしてギャグのつもりなのだろうか…?

 

「ほら、キタローくんだってこう言ってるじゃねーか」

 

「えー…でも早霜の意見とか参考になるんすかー?この子が読んでる漫画雑誌とかどーせホ●ーMとかそんなのっすよ、秋雲さんのアツいリビドーとは真逆な存在っすよ」

 

「ナニがリビドーだ」

 

◆◆◆

 

午後10時、夕食と入浴を終え、同室の清霜と朝霜はベッドに転がりお腹を掻きながら就寝する…

彼女は同室の姉妹達が眠ったのを確認するとPCを起動し、執務室に備え付けたカメラと接続する…

 

『はー………また表紙に騙されたー』

 

………あの人は雑誌を執務机の引き出しに入れて棚からポテチを取り出し、さぁ、今日もお仕事頑張るぞと書類を机に置いた

 

『ねー!そんなのいいからゲームしよーぜ!ゲーム!マ●オゴルフしよーぜ!』

 

『うるせぇよ、っーかさっさと部屋に帰れよ、もう10時だぞ、妹さん、心配してるんじゃないのか?バカなお姉さんが夜遅くまで遊び歩いて、パパのキンタマおしゃぶり天国してお小遣い稼ぎしてウルトラハッピーとか甘い考えしてたら悪い大人にユメミルクスリでシャブ漬けにされて頭の中ウルトラハッピーにされて身も心もズタズタかもしれませんわー!ってな」

 

『熊野が?ハッ、するワケねーし、っーかどんな妄想だよ!生々しいわ!』

 

『生々しくない、提督だ』

 

『知ってるよ!』

 

…………彼女の一日はPCに本日のあの人の記録をあの人のデータバンクにLet's保存して電気を消し、あの人のphotographにおやすみなさいと微笑み就寝する

 

全ては“あの人”の為に…



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提督と春の陽気な洗車道

高めからの急降下する落差の大きいフォークで攻める配球、ここは一球外してきました

【登場人物】

提督(バッドガイ)
最初はピンとこなかったけど思い出した

香取先生(熱血ティーチャー)
メガネがステキなエレガントティーチャー、股人指導で性績アップ!

鹿島先生(お色気ムンムンイケナイティーチャー)
香取先生の妹、美少年は国の宝

グラーフ・ツェッペリン(オパーイ空母)
魔界から来た上級魔界貴族、笑顔が怖い


「残業ですか?珍しいですね」

 

通常業務はとっくに終わり、既に執務棟には人けがなくなった夜の時間、執務棟内にある資料室でビデオを見ていると青髪ロング子がオレンジジュースしかないですけど?と缶ジュースを片手に机に置いた

 

「まぁな」

 

「それ、川奈大佐の演習ですよね、対戦相手の研究なんて随分仕事熱心じゃないですか」

 

「俺はいつだって仕事熱心なのだよ」

 

まぁ、この程度のビデオ映像では大したコトはわからんが相手が相手だけに見ておいて損はない

 

「次の演習、私が出ますよ」

 

「………珍しいな、自ら登板を希望か、随分と仕事熱心じゃないかね」

 

「私はいつだって仕事熱心ですよ」

 

…こやつめ、コイツのこーゆートコがムカつくんだよな

 

◆◆◆

 

春はAKEBONO、春の陽気と花粉と黄砂とPM2.5につられ、車でも洗うかと駐車場に行くと、俺と同じ事を考えたバカどもが既に洗車祭りを開催していた…

 

「オイ高雄ォ、高雄ォ!高雄クゥ〜ン?こっちワックスかけてんだよ、水飛ばしてくんなよ、なぁ?オイ」

 

「あ゛?ワリーワリー、ザコすぎて見えなかったわ」

 

「ア゛ァ?」ピキッ!

 

「あ゛?なんやミョーコー、ヤるんか?」パキッ!

 

愛車のDQNカーに血で血を洗う血のデコレーション祭り!妙高はブッ潰しちゃうゾ?とか言いながら高雄の顔面を車のフロントに叩きつけてメリメリしキレーなデスマスクを作り、高雄は妙高の顔面をフロントガラスに叩きつけてカッコイーオープンカーじゃねーの?とゲラゲラ笑っていた…

 

「バカかアイツらは…」

 

「あら?提督、提督も洗車ですか?」

 

「ん…?おぉ、これはこれは香取先生」

 

バケツとホームセンターで購入したらしい洗車セットを片手に、いつものエレガントな格好とは違い、芋臭いジャージに身を包んでいるが、それでも隠しきれないエレガントさが溢れている、さすがだ……まったく、香取先生はいつだって俺をアツくしてくれる…

 

「今日は良い天気ですからなぁ、ハッハッハ、まさに絶好の洗車日和ですなぁ!ハッハッハ」

 

「そうですねぇ、あ、提督、もしよろしければご一緒させて頂いても?私、普段は洗車機ばかりで自分で洗車はあまり経験がなくて…」

 

「モチロン!喜んでお手伝いさせて頂きますよ、まぁ、その代わりと言ってはなんですが……この後ランチでも?」

 

「まぁ、タダではないのですね?お上手ですね、フフ…」

 

香取先生はエレガントに微笑みモチロン構いませんよと快諾してくれた、小粋なテイトクジョークにも大人の対応をする余裕、まったく…香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる

 

「うわ………相変わらず腹立つわー、このトレンディ小芝居」

 

「…鹿島?何か言った?」

 

「な、何も言ってない!何も言ってないよ!香取姉ぇ!」

 

そして香取先生と同じく芋臭いジャージを着て洗車セットを持っているのは香取先生の妹、鹿島先生

鹿島先生も芋臭いジャージ姿だがやはりその隠しきれないむしゃぶりつきたいナイスバディー、ジャージの中の腋のところとかちょっと臭そうなところとかたまらない、普通の男なら間違いなく涎ズビッ!中高生ぐらいのグリーンボーイならムスコさんがカチンコチンに緊張してしまうだろう

 

「鹿島先生も洗車ですか?」

 

「え?あぁ、はい、香取姉ぇ…じゃない、香取姉さんが天気も良いのにいつまでも部屋でゴロゴロするなって…」

 

「そうなんですよ、この娘ったら、せっかくの休日なのに美少年の本ばかり見て…」

 

「見てないからッ!び…美少年とか、いや……見てないし、た、たまたま買った本がそーゆー本なだけで別に選んで買ってるワケじゃ…」

 

「何言ってるの?姉さん知ってるのよ?鹿島の机の引き出し、二重底になってて不用意に開けたら発火するんでしょ?姉さん前々から言おうと思ってたけど危ないからヤメなさいって…」

 

「なんで知ってるのォー!!?」

 

…そうか、鹿島先生は美少年がお好きな方なんだな

 

ーーー

 

ミッドシップ2シーター………俺はこのクルマにカウンタックの姿を重ねていたのかもしれない

 

とりあえず俺と両先生はそれぞれの車を並べ丁寧に洗車を始めた、香取先生の車はエレガントな香取先生に相応しいムースピンクパールの可愛らしい軽自動車、そして…

 

「〜♪」

 

上機嫌に鼻歌まじりに洗車する鹿島先生の車はミッドナイトブルーの禍々しいボディとオーラを放ついわく付きの中古のZ………香取先生曰く、まるで魅入られたように購入したこの車は鹿島先生はとても気に入っているらしい

 

「ふぅ…」

 

「ピカピカになりましたなぁ」

 

「フフ、そうですねぇ」

 

「香取先生、鼻、鼻の頭に泡が…」

 

「あらやだ、お恥ずかしい、フフフ…」

 

「ハッハッハ」

 

鹿島先生が“うわ…このトレンディ小芝居…”とか呟いた気がしたが、香取先生が何か言った?と問うとナンデモナイヨー!と再び愛車を磨き始めた…

 

そんなオレ・タティーノの小粋なトレンディ洗車タイムの中、一台の見慣れない車が駐車場へとダラダラと入ってきた

 

「なんだアレ?」

 

「なんでしょうか?」

 

「ポルシェだよ、香取姉ぇ」

 

ポルシェ!Porsche A.G社の名を冠するスポーツカー、その走りは数々のオーナーを魅了する今なお世界的に人気のあるメーカーであり車でもある

そして、そのポルシェの運転席から降りてきたのは…

 

「…ふぅ」

 

駆逐艦のアホガキどもからは魔界に生まれし万能なる魔界の支配者と恐れられる恐怖のおっぱい空母、グラーフ・ツェッペリン…ッ!!

 

「よぉ、グラペン、それオマエのか?」

 

「ん…?なんだ、同志Admiralか、あと、私の名前はグラーフ・ツェッペリンだ」

 

「オマエの名前長いんだよ」

 

「名前が長いのは当然だ、だが略するのは頂けないな」

 

しかしコイツ、ポルシェなんか乗ってたのか…意外だな、むしろ免許を持っていたコトに…

鹿島先生は俺の後ろからグラペンのポルシェを興味ありげに覗き……

 

「それ、ポルシェの912ですか?」

 

「911以外はポルシェじゃない」ギロッ!

 

「ヒィ!?」

 

上級魔界貴族の眼光にビビったのか、鹿島先生はすぐに引っ込んだ、まぁ………鹿島先生じゃなくてもグラペンに睨まれたらおしっこチビりそうになる、俺だってチビった

 

「Admiral達は洗車か?」

 

「ご覧の通り、洗車中だ、オマエはどっか行ってたのか?」

 

「あぁ、ちょっと鶏肉を買いにな…」

 

海外艦の寮にはダルメシアンの老犬が飼われている…

いつの頃から居るのかは定かではないが、ある日、グラペンが寮に帰ってくると後を付いて来たらしく、寮の前で掃除していたレーベきゅんとマックスきゅんがグラペンにそれはグラーフの犬か?と問うとグラペンは“ふむ、私の犬に見えるのか”と答え、それ以来、誰が呼んだか、その犬はグラーフ・ツェッペリン犬と呼ばれ飼われているそうだ

 

「なんなら私の車も洗車しておいてくれ」

 

「誰が洗うかボケ、舐めてんのかテメーは」

 

「冗談だ、まぁ小粋なゲルマンジョークと言ったところだな…」ニマァ…

 

そして笑顔が怖い、自分的には小粋なゲルマンジョークでドッカンドッカン笑いをとりにきたところだろうが、コイツの笑顔はキッズなら泣き叫びながらおしっこチビるぐらい怖い、まるで血を吸う寸前の上級魔族の人類を見下した笑いだ

 

「まぁジョークはいいとして、あぁそうだ、同志Admiral、今度、同志ナガトが会合を開くので必ず出席するようにと言っていたぞ」

 

「同志じゃねーよ」

 

「次回の会合の議題は如何にして我々は自然な形で天使の輪に入る事ができるか、略してエンジェル・ハイ・ロウ!についてだ」ニマァ…

 

「ナニがエンジェル・ハイ・ロウ!だ、上手いコト言ったつもりか!」

 

グラペンはニマァと邪悪な笑みを浮かべたまま顔の前で謎の横ピース挨拶をして去って行った…

 

「………はぁ」

 

「お疲れ様です、提督」

 

香取先生はエレガントに微笑みつつ一枚のハンカチーフを俺に手渡してくれた

 

「おや、これはこれは…ありがとうございます、まったく、香取先生は本当によく気のついてくれる」

 

「まぁ……提督ったらまるで良妻賢母だなんて、フフフ…」

 

「いや、言ってない、言ってないよ香取姉ぇ…」

 

「鹿島…?」ニコッ…

 

「なんでもないです!なんでもないでーす!うわー!洗車ってたーのしぃー!」



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提督と姉者の帰還

颯爽登場ゥ!戦慄!金剛改二丙!!

【登場人物】

提督(自称完璧提督)
インテリジェンスモンスターパワークラッシュ

金剛(改二丙)
防御は不要、攻撃こそ最大の攻撃

浦風(ヨゴレ)
ヨゴレ担当、浜風ちゃんより大きいのかもしれない



その日もいつもと変わらぬ春の陽気な執務室………ではなかったッッッ!!!

 

その日、この基地に棲む全ての艦娘の強さのランキングが一つ下がった…ッ!

 

『………戻ったか、ヤツが!この“聖なる完璧の基地”に…ッ!』

 

その日、ある戦艦がこの基地の門をくぐり帰還した…

この基地の裏にもう何年も君臨し続ける真の帝王、戦艦・金剛が帰還したのだッッッ!!

 

「お疲れ様です、金剛の姉者!」

 

「姉者のお帰り、姉妹一同一日千秋の思いで待ち望んでおりました」

 

「姉者の帰還、榛名は心より嬉しく思います!」

 

金剛姉妹専用の寮、通称、天動宮の前で偉大なる長女の帰還に恭しく頭を下げる姉妹達は心から長女の帰還を喜んだ…

 

だが、それと同時に妹達は奇妙な違和感を抱いていた…

 

我らが心より敬愛し、憧れる絶対的な“力”の暴君、この基地における“暴”の象徴であるはずの長女、まさしく殺意の塊とも言うべき恐怖のオーラを纏い、対峙した者は例外なくその溢れる力の前に畏怖し、恐怖したその長女から………“力”を感じないのだッッッ!!

 

「まずは、紅茶でも飲みたいデース…」

 

あまりにも自然体過ぎる…ッ!かつての殺意の塊のような恐怖をまるで感じないッ!!

 

そんな戸惑いをみせる姉妹、だが…さすがに姉妹の次女比叡はいち早くそれに気付いた

 

「フッ、わからないんですか?榛名、霧島」

 

「いったいどーゆーコトなんだ!」

 

「教えてくれ!比叡の姉!」

 

「フッ、知れたコト………我が姉者、金剛の姉者は次のステージへと進んだのよ」

 

一撃必殺、その先のステージへと…

 

「ま…まさか!」

 

「と…とうとう金剛の姉者が!」

 

「おそらく今の金剛の姉者は我々とは別次元、聞いた事がない?あまりにも力の差が違いすぎるとむしろ何も感じなくなると…」

 

「たしかに…今の金剛の姉にはむしろ余裕すら感じる」

 

「榛名もそーゆーの漫画で読んだことあります」

 

比叡曰わく、おそらく我等が姉、金剛は新たなステージへと到達、限界を超え、強く、そして穏やかになり冷静に闘えることになったのだろうと、そして、我々とは別次元の領域に達した故に、その力は同じ領域に棲む者でないと感じ取ることは出来ないのだろうと…

 

「ヘヘッ、さすがは金剛の姉…」

 

「やはり金剛の姉者はいつだって榛名達の先を往く…」

 

榛名と霧島はイタズラっ子のように鼻の下をかきながら偉大なる長女はやはり“格”が違うとまるで自分のコトのように誇らげにその偉大なる背中を見つめた

 

「…どうしましたシスターズ?ティータイムを始めまショウ」

 

「「「ハイッ!!」」」

 

◆◆◆

 

天動宮に真の主が戻った執務室…

 

「ヤツが戻ったか…」

 

「そうらしいですよ」

 

この基地の裏にもう何年も君臨する帝王・金剛!何者にも憚るコトなく常に俺の命を狙い続けるあまりにも危険な存在…

 

だが、ヤツは強いッ!

 

“強さ”と言うならば武蔵や長門など他にも居るが、金剛は違う、武蔵や長門はあくまで深海のクソどもを倒す為に磨いた力だが金剛は俺を殺す為だけにその力を磨き続けているのだ…ッ!あまりにも危険な存在ではあるが、強きことが全てのこの基地においてはそれは是である!

 

「ヤるんですか?」

 

「ヤりたくはないなぁ」

 

「でも金剛さん、T‐TICKET持ってますよ」

 

「そこが問題だよなぁ」

 

そう、ヤツは昨年の最大トーナメント優勝の副賞である俺を1日付き合わせる権利を持っているのだ、もしヤツがその権利を行使すると言うのならば俺は逃げる事はできない

 

「ま、挑んできたなら受けねばなるまい」

 

「それは意外ですね、提督のコトだから“し、知らん知らん!なんだそれは!ワシはそんなモノは知らん!無効…っ!そ、そんなものは無効だ…っ!”とかゴネると思いましたが…」

 

「お前は俺をなんだと思ってるんだ?」

 

「上司…ですかね?」

 

「ですかね?じゃねーよ、ナニ可愛い風に言ってんだテメーは」

 

「冗談ですよ、小粋なサミダレジョーク」

 

「ナニがサミダレジョークだ、ったく……まぁ、俺は極力、約束は守る主義だからな」

 

「へぇ…」

 

「へぇ…とはなんだ?へぇとは!興味なしか!」

 

自分は良くて他人はダメな鬼ルールを適用する秘書艦青髪ロング子にぶつくさと文句を言っていると、執務室の重厚な扉をノックし、何者かがお邪魔しマースと入ってき………

 

「失礼しマース…」

 

ヒイッ!?こ、金剛…ッ!!

 

「おや、金剛さん…こんにちは」

 

「コンニチハ、五月雨ガール、そして………テイトクぅ」

 

コイツ……あまりにも気さく!あまりにも自然に!どーゆーコトだ?コイツのコトだから挨拶代わりに扉をブチ破って顔面掴んで壁ブチ破って裏山の岩石にメリメリしてくるぐらいヤると思ったが…

 

「………ほぉ」

 

「どうしましター?」

 

この今までにない異様な気配、コイツ………強いッッッ!!

 

こやつめ……一目でただの戦艦ではないと俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

 

「テイトクぅ」

 

「なんだ?」

 

「ワタシと闘…」

 

「それは例の権利を行使してか?」

 

「…あんなもの、ワタシには必要ありまセーン」

 

「ほぉ…それは俺にはお前との対戦を拒否する事が出来ると言うコトか?」

 

「Yes、逃げても構いまセーン」

 

「…“逃げる”だと?」

 

こやつめ、煽りよるわい、フッ…バカめ、完璧なる提督であるこの俺がその程度の低俗な煽りで………

 

「死ぬカクゴはデキてんだろーなァー?テメー…?」ピキッ!パキッ!

 

「煽り耐性なさすぎですか…」

 

「止めるなよサミー、溢れる知性で返り討ちにしてやんよ」

 

どうやら“完全決着”を付ける時が来たらしいなオイ!今スグで構わない、もういいだろ?オラとヤろーぜと臨戦態勢に入った俺に対し、意外にも金剛は首を横に振った

 

「別に今スグでなくていいデース、タダ…」

 

金剛は人差し指を立て片目を閉じ、今スグでなくてもいいが、ただ、自分とヤる時は最高の状態、即ちベストコンディションの状態を希望する、と…

 

「今日はそれだけを言いにきただけデース」

 

「ほぉ…」

 

「…完全決着(デート)のお誘い、楽しみにしてマース」

 

そう言い残し、金剛は手を振って執務室を去ろうとしたが、五月雨のヤツが金剛を呼び止めた

 

「なんデス?五月雨ガール」

 

「さっき金剛さん、T‐TICKETは必要ないって言いましたけど、もしかして持ってないんですか?」

 

「Yes、あの紙キレならワタシには必要ないので浦風ガールにあげましタ」

 

「へぇ、浦風さんに…」

 

「ハナシはそれだけデスカ?では、バーイ」

 

…今度こそ、金剛は去って行った………ベストコンディションだと?ふざけやがって、俺を見逃してやったつもりか?

 

「チッ…!」

 

「見逃して貰いましたね」

 

「見逃されてない!」

 

 

後日、T‐TICKETを片手に執務室に駆け込んできた浦風のアホンダラが“ギャハハハー!土下座じゃあー!土下座せいやー!あと高い焼き肉食うたるわー!テイトクの金でなー!ギャハハハー!”と言っていたので、とりあえずお腹パンチし、オゴォ!とか言って倒れて動かなくなったので、とりあえずア●ルにすりおろした山芋を流し込んでやると痒い痒い言いながら床を転げ回って執務机の足に頭を強打して気絶してしまったので、一応、オパーイを揉んでみてから廊下に放り出した



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提督と女王陛下と食い放題 前編

今回は安心と不信の前後編仕様ですって

【登場人物】

提督(ツンデレ属性)
権力とか権威には弱い

浦風(デカパイ駆逐艦)
チーム第十七駆のデカパイ担当、デカい

谷風(イキでイナセ)
チーム第十七駆のイキでイナセな駆逐艦、みんなとは同じモン食ってたのがDNAの定めしカルマ

磯風(グルメ犯罪艦)
チーム第十七駆のグルメ犯罪艦、グルメ刑務所を出たり入ったりしている



春の大型連休迫るたった一度の今日と言う日、浦風のアホンダラがT‐TICKET権利を行使すると言うコトで、焼肉店へ行くコトになったのだが…

 

このハンサムな提督は名案を閃いた…ッ!

 

そうだ!浦風だけじゃないで第十七駆全員にすればいいんだ!第十七駆全員と言うなら自然に、それでいてさりげなく浜風ちゃんを食事に誘うコトができるじゃないか!あまりにも天才的、己の溢れる知性に戦慄を覚えた俺はさっそく浦風に焼き肉食わせてやると快諾、あと、第十七駆のチームメイトも連れて来いよ!と言って尻を叩いのだが…

 

………がッ!!

 

「フッ、焼き肉か」

 

「たまにはイイねぇ」

 

集まったのは磯風と谷風クンの二人ッ!肝心の浜風ちゃんが居ない緊急事態発生…ッ!

俺は浦風の乳をワイルドに掴み、何故浜風ちゃんを誘っていないんだッ!とアツく問うと、浜風ちゃんは今日、朝から釣りに出掛けているらしく帰りは遅いのだと…

 

「っーか離さんかい!ナニフツーに乳揉んどるんじゃあ!」

 

「バッキャロー!なんで浜風ちゃんがいねーんだよ!舐めてんのかテメーはよォ!ったく…あーもうやる気ねーわー、今日は食い放題だな、食い放題」

 

「なんでじゃあ!?」

 

「ったくよォ、浜風ちゃんが居ると思って今日は朝からマスラオゲージ上げてたのによォ!」

 

まぁ、俺は約束は極力守る主義なので焼き肉は奢るが、コイツらなら食い放題で上等だろう

 

「だいたい、たかがメシ食うのに誘うぐらい何時でもデキるだろーに…」

 

最高にイキでイナセな駆逐艦、谷風クンの意見はもっともだ、俺だって普通ならそー思う、だが!

 

「えー…だってぇ、やっぱ好きな子に一緒にご飯とかどうですか?って誘うとか恥ずかしいじゃん?もしかして隠れて好きなのがバレちゃうかもしれないしぃー、だから今回みたく自然な流れで友達も一緒にいるから安心!あくまでみんなで食事会みたいな流れだったら誘えるかなー…って」

 

「乙女かッ!」

 

「キモいわ!オッサンマジキモいわ!」

 

「オッサンじゃない、提督だ」

 

まぁ、浜風ちゃんが来れないのは残念だが気持ちを切り替えていこう、笑い面はヤメだ、本来なら三面怒りのアシュラメンなところだが、今日のところは冷血面で行こうと考えていると、廊下の向こう側から赤い髪の女が歩いて来た…

 

「そこに居るのは……フッ、Admiralではないか」

 

「よぉ、騎士様じゃねぇか」

 

英国から来た誇り高き騎士!自称、女王陛下の騎士ことアークロイヤル…ッ!

 

「こんなところで何をしているんだ?」

 

「今からコイツらと焼き肉食い放題に行くんだよ」

 

「ヤキニクイホーダイ?」

 

「なんだオマエ、知らないのか?」

 

「ヘヘッ、騎士様には縁がないかもねぇ」

 

「さすが!騎士様はワシら庶民とは違うのぉ」

 

谷風クンと浦風は酒場の荒くれ者の如くニヤニヤと下卑た笑いを浮かべながら騎士様を煽った、コイツらもなかなかイイ性格してるな…

 

「…むぅ、Admiral、そのヤキニクイホーダイとはなんなのだ?」

 

白騎士アークロイヤルはどうか私に教えて欲しいとペコリーと礼儀正しく頭を下げてきたので、俺は懇切丁寧に焼き肉食い放題の基本について教えてやった…

 

ちなみに、アークロイヤルが丁寧にお辞儀すると服の構造上、そのなだらかなロイヤルバレーがチラリと見えてしまうのは仕様か何かだろうか…?

 

「…ふむ、つまり、時間内なら何を食べてもいいワケだな!」

 

「左様、食べ盛りのお子さんを抱えてエンゲル係数に悩むファミリーに優しいお店なのだよ」

 

「なるほど…」

 

アークロイヤルは表紙に“庶民ノート”と書かれたメモ帳になにやら書き込み、そして…

 

「Admiral、もし良ければそのヤキニクイホーダイ、良ければ御一緒させて貰えないか?」

 

「俺は別に構わねーよ?パイ●リ大好き浦風クンは?」

 

「ダレがパイ●リ大好きじゃあ!まぁ、ウチも構わんよ?金出すのウチやないし」

 

そして、谷風クンと磯風も別に構わないと言うコトで、俺達は浜風ちゃんに替わる新たなメンバーとして聖騎士アークロイヤル‐堕チル肉欲の宴‐を加えるコトになったのだが、アークロイヤルのヤツは準備に時間がかかるので先に店に行っていてくれと言って足早に去って行った…

 

「…よし、じゃ行くか」

 

「そうやね…」

 

 

…思えばこの時、俺達はもっとよく考えておくべきだったのだ、俺達の足元にポッカリと空いた大きな穴に…

 

◆◆◆

 

焼き肉食い放題の店“ハービンジャー”…

庶民的な価格とそれなりに豊富なメニューを取り揃える腹を空かせたラグビー部や柔道部には嬉しい地域のベストバイキングレストランである…

 

「ったく、遅せぇなあのヤロー」

 

「まったくじゃあ、ウチはもうお腹ペコちゃんじゃあ…」

 

店の前で待つこと40分、俺はイライラを抑えるべくタバコを吸いつつ浦風のパイにビンタした

 

「痛ぁ!!ナニすんじゃボケェ!」

 

「すまん、ついカッとなってな、許せ」

 

「お…おぅ、次は気ぃつけーよ」

 

「あと、ナニ食ったらそんなやらしーカラダになるんだよテメーは、それで駆逐艦とかよく言えるな」

 

「やかましいわ!」

 

俺は谷風クンに見てやってくださいよこのヤラシー身体つきと浦風っぱいを揉み、谷風クンはコレで駆逐艦とか無理でしょ!と左右からパイにビンタした

 

「えぇ加減にせーよオマエら!ウチだって怒る時は怒…」

 

「すまない、遅くなったか?」

 

と、そこへ、ようやく赤い髪の騎士様がやって来た…

 

「遅せーよボケ、ナニモタモタしてんだダボが」

 

「ウチらもうお腹ペコちゃんじゃあ!」

 

「…む、すまない」

 

アークロイヤルのヤツが謝罪の頭を下げようとしたその時だった…

 

アークロイヤルの後ろから、一目で尋常ではないとワカる優雅な声手つきでアークロイヤルを制し、あまりにも優雅なその御姿が……

 

「Ark、貴女の責ではありません、準備に手間をとったのはこの私です」

 

「しかし女王陛下!」

 

「良いのです」ニコッ

 

「な……なんと御心の深い、このArk Royal!女王陛下の騎士としてより一層の忠を誓い生涯を女王陛下に捧げ…」

 

陛下ァァァァァァァァ!!!このクッ殺イヤル!まさかの陛下をこんな店に連れて来やがったァァァァァァァァ!!

 

「Admiral、今、申し上げた通り、予定時間を遅れた責は私にあります、ですからArkへの叱責は…」

 

「ヤ、ヤだなぁー!そりゃ女の子ですし!ニホンに来てまだそんな間がないし!そりゃ時間ぐらいかかりますよねー?当たり前ですよぉー!な?浦風クン?」

 

「そ、そうじゃな!そんなの当たり前じゃけぇ、な?谷風!」

 

「そんなみみっちいコトで文句言うチ●コ小せーのここにはいないねぇ?な?磯風!」

 

「…ん?あぁ、この磯風、たぶんチ●コはデカいぞ!」ドヤァ!

 

チ●コチ●コ言ってんじゃねーよッ!ナニ言ってんだコイツら!バカなのか!?いや、バカなんだな?バカでいいんだな…ッ!?

 

「…皆様なんと心の広い、Thanks a lot、皆様の優しさ感謝致します」

 

幸いにもチ●コと言う単語の意味は知らなかったのか、陛下は微笑み、優雅に一礼した

 

「では、参りましょうか?」ニコッ

 

「ハッ!女王陛下、御案内致します」





次回は後編
女王陛下VS庶民派バイキングレストラン


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提督と女王陛下と食い放題 後編

平成最後の本日二本立て!ですって!

【登場人物】

Warspite(王)
王の印とオーラを持つマジモンの王、庶民文化にはわりと興味津々丸

Ark Royal(恥辱に堕散る白き華)
通称、クッ殺イヤル、女王陛下に忠誠を誓う誇り高き騎士
黙って立っていたら有能に見える


楽しい焼き肉食べ放題に女王陛下降臨………ッ!

その、緊急事態に対処するべく俺達は入店する前に円陣を組んだ…

 

「オマエら、わかっているとは思うが…」

 

「あぁ、わかっとる」

 

「言われんでもわかっとるねぃ」

 

仮に陛下の機嫌を著しく損ねた場合、 俺達は全員もれなくロイヤル断頭台に登るコトになる…ッ!仮に陛下が激怒でもしようものなら日英開戦待ったなし、むしろ日本も英国もアメリカも旧ソもフランスもドイツもイタリアもスウェーデンも戦艦も航空戦艦も改装航空戦艦も正規空母も軽空母も装甲空母も護衛空母も攻撃型軽空母も重巡洋艦も航空巡洋艦も軽巡洋艦も軽(航空)巡洋艦も練習巡洋艦も重雷装巡洋艦も駆逐艦も海防艦も潜水艦も潜水空母も潜水母艦も水上機母艦も補給艦も工作艦も揚陸艦もハンサムもイケメンもブ男も痴女もビッチも男も女も老いも若いも関係ねぇ、誰が一番強いのか、やってみよーぜ?と世界大戦勃発となるだろう…

 

俺達はその“最悪”を避けねばならない…

 

「よくわからんが、この磯風に任せておけ!」ドヤァ!

 

よし、コイツは役に立たないな!知ってたけど!俺と浦風と谷風クンは互いに“死ぬなよ…”とアイコンタクトを交わし、それぞれの配置へとついた…

 

ーーー

 

「これがヤキニクイホーダイですか…」

 

「はい、庶民が足繁く通う店だと…」

 

はじめての庶民派バイキングレストランに色々と興味津々丸な陛下、そして忠義の騎士は早速空いてるテーブルの椅子を引き、こちらをお使い下さいと陛下を着席させた…

 

「女王陛下、暫しお待ちを………Admiral、本日のmenuは…?」

 

「ねぇよそんなモン、あっちに行って自分で好きなモン取ってくるんだよ」

 

「なん……だと?」

 

ダメだ、この残念女騎士やっぱ理解してなかった…

 

「き、貴様ァァァ!まさか女王陛下に自ら料理を運ば……運ばせるだとォ!そのような無礼が…」

 

「Ark」

 

陛下はただ静かに、クッ殺騎士の名を呼んだ…

 

「し、しかし女王陛下…」

 

「Ark、それがこのヤキニクイホーダイのRuleなのでしょう?そうですね?Admiral」

 

「は……はい、その通りで御座います」

 

「ではRuleに則るのが正しいコトです、そうですね?」

 

「しかし女王陛…!」

 

「Ark」ギロッ

 

「………ハッ、申し訳御座いません」

 

女王陛下は優雅に席を立ち、それではAdmiral、escortをお願いできるかしらと優雅にその御手を出し、俺は危うくイエスユアハイネスと膝を折り、生涯の忠誠を誓いかけたが持ち前のヤマトダマシイで、左手の小指一本を自ら折るコトで耐えた…

 

ーーー

 

「なるほど……ここから自分の好きな料理を選び、皿に載せると…」

 

「ハッ!その通りで御座います!」

 

絶対なる女王陛下VS庶民派バイキング、自ら料理と食材を調達するべく席を立った陛下だったが、皿を運ぶのはアークロイヤルである…

陛下が自ら選び取る事は譲ったが、皿を陛下自らがテーブルに運ぶ事だけは頑なに譲らなかったのはクッ殺女騎士とは言え、さすがは誇り高き忠義の騎士、陛下もそこら辺の意志は汲み取ってくれた…

 

「Admiral、あれは…?」

 

「アレ…?あぁ、カニクリームコロッケですな」

 

「か…かにくり?」

 

カニクリームコロッケ!それは、お弁当の定番とも言えるどの辺にカニ要素があるのかわからないアレ!

 

「………ふむ」

 

陛下が大層興味津々にしておられる、そんなに珍しいのだろうかと考えていると、陛下はそれを皿に載せ、クッ殺女騎士は恭しくそれを受け取った…

 

「Ark、ではこれを」

 

「ハッ!お任せ下さい!」

 

イエスユアハイネス!と元気に返事し、アークロイヤルは速やかに皿をテーブルへと運ぶ、その堂々たる姿たるや、まるでここが庶民派バイキングレストランである事を忘れさせてくれる…

 

ーーー

 

適当に料理と食材を皿に載せ、帰ってきましたテーブル席…

 

「Admiral」

 

「ハッ!なんで御座いましょうか!」

 

「先程から気になっていたのですが………これは?」

 

「ハッ!コンロであります!」

 

「コンロ…?見たところ、火格子式のgrillのように見えますが…」

 

テーブルの中央に埋設されているのは焼肉店ではお馴染みのアレである、我々庶民にはごくごく当たり前のものでも高貴な御方である陛下には大変物珍しいものらしい…

俺は陛下に、こちらのグリルに火を点け、網の上で今しがた取ってきた肉や野菜を焼くのですと懇切丁寧に、そして当たり障りなく説明した…

 

「まぁ!ここで自ら…?直接?chefが焼くのではなくて…?」

 

「はい」

 

「女王陛下の御手で自ら…だとォォォォォ!!バカな!あり得ん!あり得んぞォ!Admiral!そんな不敬が許される筈が…」

 

「Ark」

 

「ハイ…」

 

女王陛下に睨まれ、黙りなさいと怒られてシュンとしたアークロイヤルの姿はとても小さく見えた…

 

そんなワケで、コンロに火が点き、俺たちはとりあえず女王陛下にご満足頂くべく作戦をアイコンタクトで通した

食い放題の店である以上、肉の質はもはや誤魔化しは利かない!だが、俺達は肉を選定する際、駄肉の中でも輝きを放つ肉を選んだ!こう見えて陛下はバカガキどもと行くファミレスのハンバーグが許せるほど広い心の持ち主!肉の質は仕方ないと汲んでくれるだろう…

 

「さぁ〜じゃんじゃん焼くんじゃあ、陛下!陛下も遠慮なくどうぞ、じゃんじゃん食べてくれていいけぇ」

 

浦風はそれとなく良い肉を陛下に勧める

 

「コイツは……うん、もうイイ頃合いだねぇ!」

 

そして谷風クンが最高の焼き上がり調整してくれている!

 

「なるほど…これがヤキニクイホーダイですか」

 

陛下はなるほどと感心したように頷き、かつてない庶民派な食事のスタイルに目を輝かせている

 

「陛下、ではこちらの肉を…」

 

「えぇ…」

 

怒られてシュンとしていたクッ殺イヤルは再びやってきた自分の出番、網から肉を取り、陛下の皿に載せるという仕事を見つけ、早速網から肉を取り…

 

ヒョイ!(磯箸)

 

「む」

 

「うん、良い具合に焼けているな」モニュ…

 

磯風ェェェェェェェ!!それ陛下の為の肉ゥゥゥゥ!!なにやってんだオマエはァァァァァ!!っーか直取りすんなテメーはッ!!せめてトング使えよ!

 

「ではこちらの肉を…」

 

ヒョイ!(磯箸)

 

「…む」

 

「どうした?みんなも食べないか?この磯風、言っておくが焼肉に容赦せんぞ」ナポォ…モニュ…

 

磯風ェェェェェェェ!!!空気!空気読めオマエ!バカか!?バカなんだな!?バカでいいんだよなオマエは!

俺は浦風に磯風をなんとかしろとアイコンタクトを送る!

 

『ムリじゃ!ウチじゃこの娘は止めきれん!』

 

なら谷風クン!!

 

『え?あー…ムリムリ、この谷風さんにもムリだね、コレは!』

 

なんてこった…ッ!!浜風ちゃん…っ!せめて浜風ちゃんさえ居ればこのバカを止められるかもしれないと言うのに!磯風は意外にも浜風ちゃんの注意は聞くらしく、二人はとても仲がいい方らしいのだが…

 

「………面白い、女王陛下、このアークロイヤル、必ずや最高の肉を貴女に!」

 

アークロイヤルのトングが動く!狙う場所は磯風とは対角の真逆!距離、そしてこのスピードならまず間違いなくアークロイヤルが勝つ!

 

………がッ!!磯風は網に箸の先端を差し込み!網を軽く持ち上げ………回したッ!!こ、コイツ……網そのものを回して肉を近付けただと!?

 

「フッ…甘いな」ドヤァ!

 

最高の焼き加減を口に入れた磯風は何事もなかったように次の肉に狙いをさだめている…その眼差したるや、まさにネコ科の肉食獣!

 

「………あの陛下、こちらで宜しければ」

 

「Thanks a lot、ありがとうございます、Admiral」ニコッ

 

俺が自分用に確保していた肉を陛下に譲渡すると、陛下は殺人的なロイヤルスマイルで俺のような下々の者に礼を言った、そのロイヤルスマイルに思わず英国と貴女に絶対の忠誠を誓いかけたが、左手の薬指と中指を自ら折ることでなんとか耐えた…

 

◆◆◆

 

「ただいマッスルインフェルノ」

 

「仕事放っぽり出してよく戻りましたね…」

 

帰って来た春のゴキゲンな執務室、明日の事は明日やればいいと放置した書類を集めトントンと纏める秘書の鑑にお土産の回転焼きを渡し、自分の椅子に深々と腰掛けた…

 

「あー………マジ疲れた」

 

「美味しかったですか?焼肉」

 

「美味かったかって…?どうだかな、よくわかんねーな…」

 

「へぇ」

 

「んなコトより茶淹れてくれ、茶、アツいヤツ」

 

秘書艦の青髪ロング子は俺の様子から色々察したらしく、特に文句も言わずに茶を淹れ、超絶美形提督専用と書かれた俺の湯呑みを置いた…

 

「あ、そうそう、さっき浜風さんからキス貰いましたよ、キス、いっぱい釣れたそうです」

 

「キスかぁ〜…」

 

浜風ちゃんからKISS貰ったのか〜…

 

「とりあえずママんトコにでも持ってくかぁ〜…」

 

「そうですね」







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提督とJervisとクソキャット

たぶん平成最後の更新、帰ってきたサラサラキンパツリトルレディ

【登場人物】

Jervis(腹黒)
環境ではなく生まれついてのワル

Warspite(陛下)
環境ではなく生まれついての王

Nelson(余)
環境ではなく生まれついての余

Ark royal(女騎士)
環境ではなく生まれついてのクッ!


主に、海外艦が住んでいるインターナショナル寮…

その、インターナショナル寮2F(南向き)のとある部屋…

 

「Lady、アタシ、ネコ飼いたい」

 

「………ネコ?」

 

「そう!ネコ!」

 

午後の優雅なティータイム、英国淑女たるもの、常に優雅たれと優雅にティーを飲んでいた英国戦艦、ウォースパイトは同じく英国からやって来た自分と同じくサラサラキンパツの子、ジャーヴィスの話に耳を傾けていた…

 

「ネコ………あぁ、Catですか」

 

「そう!Cat!」

 

何故いきなりCat?ウォースパイトはジャーヴィスの提案に一応考えてみたが、まぁ、別にCatぐらい飼ってもいいのかもしれないとの考えに至った、むしろ自分もCatは好きな方だし、英国小淑女(リトル・レディ)としては些かヤンチャガールなジャーヴィスには小動物を通して生命の豊かさを感じる情操教育として良いのではないだろうか?………ついでに、たまにそのCatを自分にも撫でさせてくれると嬉しいなと…

 

「…ふむ、私は良いと思います」

 

「ホント!?ヤッター!!Lady、ダイスキ!Arkと違ってハナシがワカ・ルー!」

 

ジャーヴィスはネコを飼う許可を得た事にキャッキャとハシャぎ回りウォースパイトに抱きついた

 

「コラ、Jervis、女王陛下に対して…」

 

「良いのです、Ark」ニコッ

 

「しかし…」

 

この国に来て以来、英国小淑女(リトル・レディ)のなんたるかを忘れ気味で頭痛の種ではあったジャーヴィスではあるが、やはりウォースパイトにとってこのジャーヴィスは可愛い子である、これを機に、英国に居た時のように淑女たるものの心を取り戻し、多少はワンパクでもいい、淑女たるもの常に優雅であるように育ってくれればいいとしみじみと感じていた…

 

「ですがJervis、生命を飼う以上は貴女の責任で飼う事、世話は自分でする事、これは約束できますね?」

 

「もっち・ローン!」

 

「宜しい」ニコッ

 

今日はなんと良い日だろう…ウォースパイトは傍に立つアークロイヤルに紅茶をもう一杯、そして、良いクッキーがあったハズなのでそれを開けるように指示した…

 

「それで?Jervisが飼いたいネコはどこで貰ってくるのですか?」

 

「ププー!Lady知らないノー?ニホンだとDogもCatもPet shopで売ってるネ!」

 

「な………?なんですって…?」

 

英国のペットショップでは犬猫は販売しておらず、ブリーダーから直接購入するのが一般的である、ウォースパイトからすればあり得ない事ではあるが、あり得ないなんて事はあり得ない、女王陛下は些か心に暗いものを感じたが、ジャーヴィスの笑顔にそこは忘れる事にした…

 

「…フッ、ならばこのNelsonがそのCatを購入する資金を出してやろう」

 

ウォースパイトと同じく、最高級のソファーに座り、優雅にティーを飲んでいた英国から来たビッグセブン、ネルソンはさぁいくら必要だ?買うがいい、最高級のものをな…と言って財布から紙幣を取り出した

 

しかし!!

 

「Nelson、その必要はありません」

 

ウォースパイトはネルソンを手で制した、が!ネルソンはネルソンで一度出したものを引っ込めるのはネルソンの誇り高きPRIDEが許さない!

 

「Jervis、自分のお小遣いの範囲で無理のない価格のものを購入しなさい」

 

「待てLady、それでは余に引っ込みがつかん!余に恥をかかせるな!」

 

「Nelson貴様ァ!女王陛下に対しなんたる不敬…!たとえNelsonでも許され…」

 

ネルソンに対し、アークロイヤルは貴様ァと胸ぐらを掴み喰ってかかろうとしたが、ネルソンの巨乳ガードの前に弾かれ…

 

「Ark」

 

「し、しかし女王陛下…!」

 

ウォースパイトに控えろと目と声で制されたアークロイヤルはクッ!と口惜しげな顔でとどまった

 

「ではNelson、貴女の出したそれはCageやCat litterなどを揃える費用に充てると言うのはどうですか?」

 

「ほぉ………フッ、さすがはLadyだな、よかろう」

 

ではこのネルソン、最高級のものを揃えよう、最高級のものをなと納得し、ネルソンはフフッと笑いつつ腕を組み、そのビッグセブンパイを揺らした

 

「それで?Jervis、それはいつ購入に行くのですか?」ニコッ

 

「え?今カラー!Darlingと買いに行くノー!」

 

◇◇◇

 

………フンッ!キレイゴト並べてニコニコするなよなLadyどもっ!このJervisがたかがクソキャットなんか本気で欲しいワケもないし可愛いがろう気もあるワケもない!

こないだDarlingがあのトゲトゲチビとネコの餌を買うべくお買いモ・ノーをしに行くの見たアタシは気付いた!そうだ!このJervisに足りないのはKIKAKKEに違いない!Darlingがいつもアタシに対してヨソヨソ・シーのはたぶん照れてるからに違いない!

しかしアタシとDarling!その中間にネコがあればどうだ?カワイイネコ・チャンが間にあればDarlingもそれはなんだい?と気さくにおハナシし易くなる!

 

この、あまりに天才的な閃きを即実行に移したアタシはまずLadyの承認を得た、勝手に飼ってLadyを激怒させたら厄介だからだ、別に怖いんじゃあない!ビビってるワケでもない!ただ、Ladyを怒らせたら尻がmonkeyのように腫れ上がるからだ!

 

そして、Ladyの承認を得たアタシは早速Darlingの居る部屋へ行きDarlingに一緒にPet shopに行こうとお願いした、最初Darlingはかなりイヤ・ソーな顔をしていたが一所懸命オネガイした…

 

「…で?どいつが欲しいんだ?」

 

「エーットねー、エーットねー」

 

Darlingとやって来たPet shop!基地からちょっと離れたところにある大きなshopping centerの中にあるその店にはたしかに多種多様なPetがいた!buchake!アタシ的にはスンゴイ変な感じ!

 

「ドレにしよーかナー……ね?Darlingはドレがイイー?」

 

「あー………コレなんてどーだ?メダカ、なんと1匹100円だぞ、100円」

 

「ソーじゃなくテー…!あ、コレ!この子カワイイー!ね?Darling!どう?ね?カワイイ!」

 

「へぇー…ネコだな」

 

「Scottish Foldダー、カワイイなー」

 

「え?シコティッシュホールド?」

 

Darlingは死んだサカーナなみたい目でネコを見た後、値段を見て高っ!と呟いた

 

「あ、British Shorthairダー、こっちもカワ・イイー」

 

「あーカワイイカワイイ、で?どれにするんだ?っーか高けぇなオイ、言っとくけど提督今日はあんま金持ってな…」

 

「ダイジョーブ!おカネはアタシが出すカラ!」

 

「金出すからって………ジャーヴィーくん、いくら持ってんだ?」

 

「フフーン♫お小遣いゼンブ持ってキタネ!」

 

ニホン円はよくわかんないケド、まぁ、たぶんコレくらいあれば…

 

「…………2万ぐらいか」

 

「どう?」

 

Darlingはアタシの財布を見て、小動物のケージを指差した

 

「ジャーヴィーくん、コレなんかどうだ?ハムスター」

 

「違う!!ゼンゼンチガウDarling!!」

 

「いや、さすがにそれじゃこのお高いのはムリなのだよ」

 

「エッ!?」

 

む、ムリ…?ムリなの?

 

「エッ…?買えない…ノ?」

 

「残念ながら…」

 

な…なんてコト!?想定外…っ!緊急事態発生だわ!まさかおカネが足りないナンテ……クッ!こんなコトならNelsonに頭下げてでもカネ借りてくるべきだったワ!そんな想定外の事態に困っていると、店の店員らしきヤツが声をかけてきた…ッ!

 

「イラッシャイマセー………って、提督とジャーヴィスちゃんじゃないですか」

 

「…誰?」

 

「なんだ、夕張じゃねーか、ナニやってんだオマエ」

 

ユーバリ…?あぁ、いたワネ、そんなのが…たしかヘソチラしてるやつ、見覚えあるワ

そのユーバリは特にやる事もなくてこの店でpart-time jobをしているらしく、Darlingに馴れ馴れしく近付いてきた

 

「ナニかお探しですかー?私としてはメダカがオススメですよ、なんと1匹100円です」

 

「だろぉ?ほら、ジャーヴィーくん、やっぱメダカだよメダカ」

 

「チーガーウーの!!アタシネコ買いたい!」

 

「ネコ…?あぁ、ネコですか………そうですね、あ、そーだ、私オススメの子がいますよ、モチロン、お安くできます!」

 

「オ安く!?それ、その子見セテ見セテ!」

 

ユーバリはちょっと待っててくださいと言って一度奥に引っ込み、準備できたのでこっち来てくださーいと声をかけてきたのでアタシとDarlingは奥へと進む一際デカいケージにそいつは居た…ッ!

 

「私オススメ、キマイラアントです」

 

GAOーN!

 

「………Darling、ナニコレ?」

 

「さぁ?俺にはオムツ穿いたライオンにしか見えないな」

 

ユーバリ曰く、こー見えても幻獣級のハイランクペットなんですよー…とのコトだがどの辺が幻獣級でナニがハイランクなのかまったくワカらないし、伝わらなかった…

 

「今ならなんと3800円」

 

「安っ!幻獣級のハイランク安っ!」

 

いや、マァ………いくら安くテモいらないケド、ってアタシ、ネコって言ったノニ…

 

「んー……じゃ、こっちはどーですか?なんと人語を話すキメラです!」

 

次なる商品は特徴的な前タテガミをしたデカいイヌ、ってかイヌだし…

 

『テ…テイト……ク』

 

「お、マジで喋るぞコイツ!」

 

「ホントだー!スゴーい!」

 

イヌとかまったくキョーミないけど、コレはたしかにスゴい!Darlingもスゲーなコイツと興味津々に見ていたが…

 

『ハヤク……センカンニ………ナリタイ』

 

センカン…?変なイヌ…

 

「………オイ、夕張」

 

「なんですか?」

 

「最近清霜に会ったか?」

 

「会いましたよ、3日くらい前に」

 

「そのイヌっぽいの入荷したのは?」

 

「3日くらい前ですかね?」

 

◆◆◆

 

…結局、手持ちのお小遣い2万円全額を使い、買えたのはケッコー歳イッてる売れ残りの目ツキ悪いScottish Fold…

 

「良かったじゃねぇの、えー…なんだっけ?シコティッシュだっけ?」

 

「Scottish Foldネ」

 

ま、マァ…目ツキ悪いけどネコはネコ、コレでアタシもDarlingと仲良くPet談義を…

 

『シャー!』

 

ガブリシャス!(噛む)

 

「アイッタァー!!噛んだァァァァァ!!このクソキャット!アタシを噛みやがったァァァァァ!!」

 

「ハッハッハ、ジャレてるのだよ」

 

「そ、ソーカシラ…?」

 

 

その日、Darlingと別れ、寮にそのクソキャットを持って帰ると、アタシ以外にLadyやNelson、Arkにすら懐いたのには正直キレそうになったが、なんとか耐えた…




【登場人物2】

キマイラアント(オムツライオン)
幻獣級のハイランクモンスター、らしい
気になる人は検索してね

人語を話すキメラ(合成獣が哭く夜)
突き破れ!扉の向こうへ!


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提督と吹き荒ぶ風のゲ

フッフッフッ!急いで準備を整えろ!手に負えねぇうねりと共に豪傑共の…!”新時代”がやってくるのさ!

【登場人物】

提督(邪悪の化身)
サキュバスへの強い耐性を持つ聖なる者

鈴谷(セクシャルモンスター)
聖水…?いやいやいや、ムリ、そーゆーのマジムリ


その日、私は自分の上官になる人と出逢った…

 

彼はまだ兵学校を出たばかりの新人だったが、所謂期待の新人と言うやつらしく、彼の秘書艦になった私は同期の娘達にとても羨ましがられ、私も少し気分が良かった

 

そして、彼と私の勝利に彩られた輝かしいキャリアの日々が始まる…………ハズだった

 

ーーー

 

「今日の予定は新型砲検証の立会いと基地定例会議と次期演習参加者とのミーティング、後は〜…そうそう、施設の火器点検の時期が近いわね…」

 

「わかった」

 

いつもと同じ、短めな返事で全てわかったと了解した彼はこちらに視線を移すことなくPCのディスプレイを眺め、時折キーボードを叩く

 

「珈琲でも淹れましょうか?」

 

「頼む」

 

彼に珈琲を淹れるのは秘書艦である私の仕事であり特権だ、他にも珈琲を淹れるのに自信のある娘はいるが、私以上に彼の好みを理解している者はいない…

 

「…叢雲」

 

「なに?」

 

ふと、名前を呼ばれてドキリとしたが……別にやましいことがあるワケじゃない、ただ、その声のトーンがいつも呼ぶ名前とは違う、こう言う時は大抵、そう…

 

「勝てるだろうか……」

 

「ナニ?アンタ負けるつもり?」

 

「いや、勝つ気でいるよ…」

 

「アタシもよ、勝って、祝杯でもあげましょ?」

 

モチロンこの祝杯には“二人で”と言う意味を込めているがおそらく彼は“みんな”と言う意味で捉えているだろう、それだけ理解してるなら無駄なアピールじゃないかって?違うわね、こーゆーのは積み重ねが大事なのよ

そして、私は彼の艦娘の誰よりもそれを積み重ねてきた自負がある!

 

「………勝とうな」

 

海軍横須賀鎮守府所属、川奈大佐…………それが私の“司令官”だ

 

◆◆◆

 

世は大型連休真っ盛りの新時代の執務室…

 

「あ、クソッ!コイツマジつえー!マジつえー!」

 

「がんばれテイトク!がんばれがんばれ、ザコテイトクがんばれ!」

 

「やかましい!」

 

特にやる事もないゴキゲンな午後、自信満々にK●Fしよーぜとやって来た鈴谷にお腹パンチを喰らわせて、そのままお一人様でプレイしていた俺は普通にゲー●ッツで詰んだ、いや、だって強過ぎるだろ?なんだよこの超反応もたいがいにしろよ!勝てるか…ッ!こんなの…ッ!

 

「うわっ、ザッコ…」

 

「やかましい、っーかオマエ勝てるのか?ムリだろ?なぁオイ?」

 

「は?勝てるし、鈴谷の八稚女で瞬殺するし、っーかマジ負ける要素とかマジねーし」

 

「よぉし!じゃ負けたら土下座しろよ、全裸で」

 

ここまで完璧……いや、まさしく完璧(パーフェクト)を超えた完璧(ペルフェクシオン)なフラグを積み重ねる事ができるコイツこそ、これから来る豪傑共の新時代の新たなる旗手と成りうるのやもしれん…

 

そして、自信に溢れた鈴谷はオ●チ四天王最強の男、吹き荒ぶ風のゲーニ●ツに挑み………普通に負けた

 

『このままでは終わらんぞォー…終わらんぞォー…らんぞォー…ぞォー…』

 

「か………勝てるかァァァァァァァァ!!汚い!超反応汚い!」

 

当たり前だ、俺よりザコいコイツが勝てるハズがない、安心のここですか?ここですか?お別れです!の前ににズタズタに切り裂かれるのは最早常識…

 

「鈴谷」

 

「…ナニ?」

 

「土下座しろ」

 

「…もう一回!」

 

コイツ、どこからそんな自信が…?あれほど手も足も出せずに無惨に負けたのに…

 

「勝てんぜ、オマエは…」

 

「は?勝つし」

 

この自信、まさか……今の敗戦から何か攻略の糸口を掴んでいるのか?なるほど、どうやらただのビッチではないと言うコトらしい…

 

俺はズボンのジッパーを下げた

 

「いいだろう、今一度ヤってみるがいい」

 

「なんでチャック下ろしたの!??」

 

「まぁ気にするな」

 

「気になるわッ!!」

 

鈴谷VS吹き荒ぶ風のゲーニ●ツ第二戦!まったく使いこなせてないル●ールの秘書ズが瞬殺されてから本命の八●庵…

 

『このままでは終わらんぞォー…終わらんぞォー…らんぞォー…ぞォー…』

 

闇●いでチマチマ削るコスい作戦、失敗ッッッ!!

 

「鈴谷」

 

「…なんでしょうか?」

 

「土下座」

 

コイツやっぱダメじゃねーか、ただの下等ビッチじゃねーか!何も反省が活かされてねぇよ、さすがに連敗を喫した故に逃げられぬと踏んだか、鈴谷はゲームパッドを机に置き、床に座るとこの国で最も誠意あるポーズを…

 

「………チョーシに乗ってスイマ」

 

「脱げ」

 

「………や、それはちょっとカンベンして欲しいかなーって」

 

「ゴチャゴチャ言ってるんじゃないよこのビッチは、俺を舐めてんのか?」

 

「舐めてないです、ってか、ゲーム負けただけで全裸で土下座とかおかしくね?これアレじゃね?パワハラ案件じゃね?」

 

「ナニがパワハラだ、パワハラっーのはなぁ〜…」

 

俺は床に座ったままの鈴谷の身体を掴み上げ、勢い良く背中から床に叩きつけた!

 

ビタンッ!!(大●山落とし)

 

「痛ああああァァァァァ!!背中…っ!背中がーっ!」

 

「これがホンモノのパワーハラスメントだ!」

 

「や………パワーっちゃパワーだけど、ってか痛てーし、マジ痛い…」

 

俺の大●山落としを喰らいヒキガエルみたいにひっくり返っていた鈴谷はよろよろと立ち上がった、なるほど、なかなかTOUGHじゃねーの?

 

「よしわかった、全裸はカンベンしてやる」

 

「マジで!?やったぁ!」

 

「半裸だ」

 

「は………半裸ッ!!」

 

たしかに、たかがゲームに負けた程度、しかも相手はあのオ●チ四天王最強の男ゲー●ッツだ、全裸はさすがにやりすぎだろう……だが約束は約束!しかし、相手が悪すぎる点を考慮しての神采配と言えよう…

 

「あの………半裸ってドコまで脱ぐの?」

 

「そりゃオマエ、半裸ってなら………半分だろ」

 

「や、その半分の線がわかんねーし、ナニ?上脱いだら下はセーフみたいな?」

 

「右だけ残して左を脱ぐとか?」

 

「できるかッ!!ってどんな構造の服だよ!意味わかんねーし!」

 

「そうだな……とりあえず上は上着だけ残して残りは全脱ぎ、下はニーソ片方………いや、どちらか片足は半分だけ残してあとは全脱ぎだな、スカートとパンツも」

 

「残し方のセレクトがいやらしすぎる…っ!!ってかそれ半裸じゃねーじゃん!あきらかに鈴谷半分以上脱げてるくね!?」

 

「でぇーじょーぶだ、乳●隠れてるだろ」

 

「乳●隠れてても他が大丈夫じゃねーし、一番晒しちゃダメなトコ隠れてねーし」

 

アレもイヤ、コレもイヤ、なんてワガママな野郎だ…まったく、親の顔が見てみたいものだな

 

「そういやオマエ、親とかいるのか?」

 

「フツーに居るし、え?ナニ?キョーミあんの?実は鈴谷んちってケッコー金持ちっーか…」

 

「パパは10人以上いるのにな…」

 

「いねーし!ってか鈴谷そーゆーのヤってないから!」

 

「ハッハッハ、こやつめ!ハッハッハ、こやつめ!」

 

「笑ってんじゃねーし!!」



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提督と白露姉妹と真の奥義!

令和最初の本日二本立て
べ、別に暇だからそんなのじゃないんだからね!あー忙し忙し!

【登場人物】

提督(男の中の男)
白露ねーちゃんとはなんやかんやで話が合うらしく仲は良い

白露(長女)
ifの可能性を持つなんやかんやで美少女

海風(新型長女)
全てにおいて白露を上回る新型の長女、普通に美少女


当基地内に在る誰もが利用する事ができる訓練施設…

ここでは日々、当基地に所属している艦達がバーベルトレーニングなどアンナチュラルでないトレーニングや組手などに汗を流し研鑽を積んでいる…

 

「トアーッ!」

 

「ツアーッ!」

 

「ウッギャアー!!!」

 

本日、この訓練施設はエキサイティング・プッツン姉妹こと白露姉妹がこの場所を使っていた…

リング上でハルサメにクロスボ●バーを仕掛ける夕立と村雨、隣のリングで海風の逆エビに苦しみギバーップとマット叩く江風とコーナーからがんばれがんばれと声援を送る山風とパイプ椅子をグイングインと振る涼風、ベンチでただ本を読んでいるだけの時雨様…

 

そして…

 

バキャアァッ!!(木人)

 

「ほぉ…」

 

空中に放り投げた木人人形をマットに叩きつけて破壊する姉妹の長女、白露!

 

「フッ、完成まで間近といったところか、なかなかいい技になりそうではないか」

 

「テイトク…」

 

「白露、オマエは地味に美少女で頑固者だからなかなか白露型としての必殺技(フェイバリット)を定めようとせぬ、だがこれほどの技だ、完成させたらこれを白露型一番艦奥義(No.1フィニッシャー)としたらいいのではないか?」

 

「フッ………まだよ、こんなのじゃまだ私の求める一番の奥義(フィニッシャー)とは言えない」

 

「ほぉ…?ではオマエが求めるレベルとは?」

 

「私の求める奥義(フィニッシャー)のレベル…?そうね………その技ひとつで!テイトクを倒すことができるかどうかよ!」

 

「ほぉ…?」

 

白露曰く、私にとってはそれが唯一の基準!それを超えなきゃおこがましくてとても奥義(フィニッシャー)とは言えない!………こやつめ!言いおるわい!

 

「ギャハハハハハ!白露ねーちゃん、そんなの簡単っぽい!」

 

「そーよ、ちょっとスカート上げてチラ見させて油断したところで金的カマしゃ一発よ、一発ぅ!」

 

よし、夕立と村雨はあとで殺す、必ず殺す

 

「ムリね、だってテイトクってロリコンでホモらしーし…」

 

「それは誰が言った?怒らないからその噂最初に流したヤツ俺の前に生きたまま連れて来い」

 

「え?違うの?」

 

「違うわい、俺は巨乳が好きなんだよ、あとできれば褐色で銀髪でエルフ耳とか最高だな!………まったく!ピロテ………ダークエルフは最高だぜ!」

 

「なんで言い直したし」

 

「意味はない」

 

まぁ、別に金髪巨乳でもいいんだがな、ウチのDQN愛宕はアレだが、会議とかで見る他所の愛宕とかマジ挟んで貰いたいもん、他所の提督があんなドエロス金髪巨乳に毎日挟んで貰ってると考えると殺意湧くわ、殺意

 

「っーかサミーはどうした?サミーは、サボりか?」

 

「五月雨?あぁ、五月雨なら記録室でビデオ観てるって、後で来るって言ってたよ?」

 

「そうか」

 

何も殴り合うだけがトレーニングではない、知性こそ海上戦闘の源、たとえ相手が大戦艦級だろうが姫級だろうが高等数学を利用した知性的ファイトを行えば駆逐艦が大物喰いするのは難しくはない…

 

「まぁそれはいいとして、俺をホモだのロリコンだのディスったヤツは誰だ?今すぐここに連れて来い、全艦集会の場でお腹パンパンになるまで浣腸&脱糞ショーで二度とオモテ歩けなくしてやるわい」

 

「悪魔か…っ!!」

 

「悪魔じゃない、提督だ」

 

「はいはーい、村雨知ってるー、夕立がディスってたよー」

 

「なんだと?」

 

村雨は夕立を売った

 

「ハァ!?テメェ!村雨ェ!っーかテメーも気の強いテイトクはア●ルが弱いって言ってたっぽい!」

 

夕立も村雨を売った

 

「よしわかった、まずはオマエらに罰を与えてやる、腸内環境は十分か?」

 

「まーまー、夕立も村雨も悪気があるワケじゃないし…」

 

「逆に悪気がないのがスゲーよ」

 

白露ねーちゃんはモコモコしたタオルで汗を拭きつつカンベンしてやってよと俺の肩を叩いた

 

「汗クセー手で触んな、ちょっと美少女だからってチョーシにのんな」

 

「ハァ!?汗臭くないし!」

 

「ウソつくんじゃないよこの子は、ほら、クセーだろーが!」

 

「ちょ!やめ、ヤメてよ!」

 

俺は白露ねーちゃんの身体に顔を近づけフンフンと匂いの成分を特定する、エクリン汗腺から分泌された水分が皮膚の表面の細菌や皮脂などと混ざり合ってでる匂い……カリウム、マグネシウム、重炭化イオン、ミネラル、尿素………

 

「クンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー…!スーハースーハー!」

 

「ちょ!マジでやめて!マジでやめて!!ホントやめて!」

 

ピタッ!

 

「………やっぱクセーな」

 

「うわ………やめろって言っといてなんだけど、すっごい傷つくんだけど…」

 

「………だが、汗臭い中に僅かに感じた発情期の雌特有のにお…」

 

「キャオラッ!!」

 

白露ねーちゃんは俺の腕を掴んで飛び上がり、虎の両顎に見立てた両足……上顎と、下顎、噛み砕く虎の顎になぞらえた秘技!!

 

グワキイィ!!(虎 王 完 了!!)

 

「グヘェアッ!!」

 

ヘヘッ………まさかこんなところでこんな古式武術を…

なるほど、これはイイもん見せて貰っちまった…

 

「そ、そーゆーのじゃないから!ないから!ってかそーゆーの言うなァ!!」

 

「わかった、わかったよ白露ねーちゃんよ、それよかコレ、外してくれねーかな?」

 

白露ねーちゃんは虎王から俺を解放し、スンスンと自分の匂いを嗅いでみて、時雨様にシーブ●ーズ持ってないー?と尋ねていた

 

「まぁ………なんだ、オマエたち」

 

俺はトレーニングに汗を流す白露姉妹達に語りかける…

奥義と言うものは修得がゴールじゃあない、むしろそこからさらなる精進が始まるのだと、そして、いつの日かオマエ達の誰かが俺の想像を超える奥義を完成させる日が来るのだろうと…

 

「いつの日か奥義(フィニッシャー)を完成させる日、その技で俺を倒す日を、楽しみに待っているぞ、白露ねーちゃん」

 

そう言って白露ねーちゃんの肩に手をやろうとしたが、抗えない何か大きな力による自然な流れでオパーイに手をやった

 

「…ベネ(よし)!」

 

「…………だ・か・ら!!ナチュラルに触んなァァァァァ!ってか普通に揉むなァァァァァ!!」

 

ガコォッ!!!(金的)

 

「オゴォ!?」

 

ゔあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!

 

 

…この後、痛みにのたうち回る俺に対し遅れてやって来た五月雨からバカじゃないんですか?とディスられ、時雨様は路傍の石を見る目で見られたが、海風ねーちゃんだけは俺を心配して大丈夫ですかと膝を貸してくれたが、膝を貸してやや前屈みになった海風ねーちゃんのオパーイにはムラムラし下半身がビバークしかけたが、山風から顔面に毛のなくて生暖かいネコを押しつけられた



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提督と占守姉妹とケーキバイキング

皆々様10連休は楽しめたかしら?気持ちを切り替えて今回はタイトル通りのあまりにも平和なお話

【登場人物】

提督(大人)
イラつくことだってある、不合理だってある、でも、それが大人になると言うことじゃあないか?

占守(革命軍幹部)
バカなだけでなく大人を舐めたウザさまで備える子、他人の話は聞かないタイプ

国後(革命軍)
バカな姉だけでなく、海防艦の中でもトップクラスとも言えるマトモな逸材、普段は姉さん、焦ると地がでるファンキーなタイプ


「ヤベーっしゅ!マジヤベーっしゅ!」

 

「うるさいなぁ、ちょっと落ち着いたら?」

 

「バッキャロー!コレが落ち着いていられるっしゅか!?」

 

今日も元気だタバコでも吸いに行くかーと廊下を歩いていると、自販機コーナーのベンチのところでなんかちっこいのがエキサイトしていた……あれはたしか、海防艦のチビスケェ…だったよな、たぶん、よし、相手はまだこちらに気付いてないようだから速やかにこの場を離だ…

 

「あ、テイトクっしゅ!」

 

しかし回り込まれた!!袖口がフサフサしたオシャレな制服を着ている如何にもバカそうな子供、海防艦のシム……

 

「キミたしか……占守クン?」

 

「そーっす」

 

「そしてキミは………占守クンの妹」

 

「間違ってはないけど、いや…別に間違ってはないけど…」

 

えー…なんだっけこの子?髪の色はファンキーだが海防艦のクソガキどもの中では群を抜いてマトモな、えー…

 

「クナっしゅ!」

 

「そう!クナくん!」

 

「や、いきなりそんな馴れ馴れしく呼ばれても…」

 

「ハッハッハ、ジョークだよジョーク、小粋なテイトクジョーク」

 

……思い出した、たしか国後だっけか?たしかそんな名前だったな、うん、一応、革命軍のメンバーだが姉である占守クンとは違いあまり革命に積極的ではなく、むしろ姉がバカすぎて心配しているウチには珍しい良識派な妹…

 

「で?そんな占守クンとクナくんはこんなところでナニをしているのかね?」

 

「そーっしゅよ!コレ!コレっす!」

 

「ちょ、ちょっと姉さん!」

 

占守クンは手にしていた新聞のチラシみたいな紙をコレっしゅ!とか言いながら俺の顔に押しつけてきたが、近い!チラシが近い!

 

「近いわ!見えるか…っ!ったく………なんだコレは?パチ●コ屋が新台入替でもしたのか?」

 

「パチ●コ屋のチラシじゃねーっしゅ、ケーキバイキングのチラシっす」

 

「ケーキバイキング…だと?」

 

ケーキバイキング…ッ!!それは、数多のダイエット戦士達を奈落へと叩き落としてきた伝統的処刑法、その…あまりにも危険(でぃんじゃらす)かつ野蛮(ぶぁいおれんす)な処刑法は歴史上、時の権力者や皇帝などがあまりにも残酷と評し、史上最も苛烈・残忍・残酷な刑とまで言われている…

 

「ぬぅ…ま、まさか実在したのか…!」クワッ!

 

「うぉ!なんかテイトクの顔が濃いっす!顔に大往生って書いてる人みたいっす!」

 

「や、顔に大往生って…」

 

いや、まぁ、普通に知ってるけどな、たまにサミーとかが行ってるし……なんかアレだろ?なんか小さいケーキが色々種類あってアレもコレも食べりゅぅぅぅ!ってヤツだろ?

 

「で?そのケーキバイキングがどうかしたのかね?」

 

「なんと今日までなんしゅよ!」

 

「へぇ…」

 

「なんと今日までなんしゅよ!」

 

「へぇ…」

 

「なんと今日までなんしゅよ!」グイグイ

 

「へぇ………っーか顔が近い、顔が」

 

このガキグイグイきやがるな、なんなんだこのガキは?この基地の最高権力者にして絶対支配者の提督様をなんだと思っている…?

 

「大●山落としーッ!」

 

ビタンッ!!(大●山落とし)

 

「しむっ!!?」

 

俺の大●山落としで背中を痛めつけられ、うっぎゃあー!痛てぇーっしゅー!とか叫びながら廊下をゴロゴロ転げ回る占守クンは転げ回った先の自販機に後頭部を強打して動かなくなった…

 

「お姉ちゃん!!だ、大丈夫!?ちょっと!いくらなんでもヒドすぎるんじゃないの?たしかにお姉……姉さんはチョイチョイうざいトコがあるけど!ここまでする必要ある!?」プンスコ!

 

最愛?の姉、占守クンのダメージに激怒したらしい妹のクナくんはやりすぎじゃないの!とプンスコ怒りながら俺に詰めよってきた!

 

「ま、まぁ…落ち着きたまえ、私としては適正な判断だったと…」

 

「適正とか適正じゃないとかどうでもいいのよ!私はやりすぎじゃないのかって言ってるの!どうなの!?」プンスコ!

 

「いや、だから、適正な判断だったと…」

 

「やりすぎじゃないの!?」プンスコ!

 

うわ…めんどくせぇ、この子マジめんどくせぇ…仕方ない、ここは話のわかる大人として誠意を見せておくか

 

「わかった、わかったのだよ、提督がやりすぎた、すまない」ペコォ

 

「わかればいいのよ!わかれば!」プンスコ!

 

………クッ、舐めやがって、この俺をコケにしてくれた礼はいつか必ず返してやる

 

「姉さん、提督がごめんなさいって!良かったわね!」

 

「………ダメっしゅ、痛くて痛くてとても立てないっしゅ、もう泣きそうっしゅ…」

 

「あー…わかったわかった、ケーキでもなんでも食わせてやる、な?それで許せ、な?」

 

「マジっしゅか!?やったぁ!!クナ!ケーキバイキングっしゅよ!ケーキバイキング!いやっほぅー!」

 

痛くて痛くてとても立てそうになくて今にも泣きそうとか言ってた占守クンは元気に立ち上がりケーキケーキ言いながらまとわりついてきた…

 

「こ……このガキぃ!」

 

「あ?なんなんしゅか?誠意見せてくれるんしゅよね?ね?もしかしてウソつくんしゅか?」

 

「姉さん、痛くて立てないんじゃ…」

 

「え?あぁ、今はガマンしてるっす!」ドヤァ!

 

◆◆◆

 

そんなワケで、メスガキ2人と共に街のオシャレなお店にケーキバイキングへとやって来た俺はとりあえずケーキバイキング料金(1時間2500円)を払って入店した…

 

「コレ全部食い放題っすか!」

 

「あぁ、他人様に迷惑かけない程度にな」

 

「いよっしゃー!クナ!いっぱい食べるっすよ!」

 

「姉さん、ちょっと落ち着いて…」

 

「いやっほぅー!」

 

バカガキが一匹、バイキングと言う檻に解き放たれ、疾走りだした…頼むから俺に迷惑だけはかけないで欲しい

 

「クナくん、アイツがバカなことしないかちゃんと見てやってくれ」

 

「…そうするわ」

 

…と、まぁ一応言ってみたものの、クールに振る舞っているがクナくんもやはり純真なキッズ…ッ!テレビや雑誌でしか見たことないような色とりどりのケーキの数々に口元がやや緩んでいるのは俺じゃなきゃ見逃してしまうだろう

クナくんは占守クンに待ちなさいと言いつつ追いつき、一緒にケーキをセレクトし始めた…

 

「…はぁ」

 

しかしケーキバイキングか………俺には無縁の店だが、ここに来ている客はやはり甘いモン食ってエネルギー充填しているのだろうか?しかし……エネルギーを過剰に供給することにより本体にいらない負荷をかけてしまい本体の寿命を早めることになるのでは?

 

「お待たせっしゅ!」

 

「待たせたわね」

 

そんなエネルギー問題について真剣に考えていると、占守クンとクナくんはケーキの載った皿を持ってテーブルへとやって来た

 

「大漁大漁っす、あれ?テイトク食べないんしゅか?」

 

「あ?だってお前らの分しか金払ってねぇもん」

 

「なんでっしゅか!?ダイエッターなんしゅか!」

 

「別にケーキなんかしこたま食いたくないしな、まぁ、俺のコトは気にせず腹痛くなるまで食ってくれ」

 

「ナニ言ってるんしゅか!?大人ぶって…!大人はいつだってそう言う!!」

 

や、だって俺、大人だからな…占守クンはウソだろオマエみたいな顔しながら皿に載ったケーキを口に放り込みハムスターみてーに黙った

 

「…美味いか?」

 

「ふんめーっしゅ!」モキュ…モキュ…

 

「そうか…」

 

…まぁ、バカな子ほど可愛いって言うしな、俺は別料金のコーヒーを飲みつつバカな子に応えた

 

「…たしかに美味しい、あ、コレも…」

 

頭の色はファンキーだがかしこい妹のクナくんも、バカな子ほどではないがケーキ的なものは好きらしくゴキゲンな様子でパクパク食っているが………あの耳みてーな変な横髪、動くんだな…

 

「まぁ、時間内に好きなだけ食ってくれ、あと、俺にケーキバイキング奢って貰ったとか基地で言いふらすなよ、いいな?」

 

「ふぁんでしゅ?」モキュ…モキュ…

 

「姉さん、食べてから喋ってよ…行儀悪い」

 

このガキどもを甘やかしたとか噂が広がるとロクなコトにならんのは最早常識、他のガキどもからアイツだけズリィーぜぇー!とか不満も出るし、最悪、海防艦を甘やかす鬼畜に劣るロリペド野郎の烙印すら押されかねない…

 

「いいか?“今日は”そして“お前らだけは”トクベツだ、わかったな?」

 

「あ、それ知ってるっしゅ、オロチ・オロチまがい商法の常套句っす!」

 

「マルチよ!なんでオロチなのよ…」

 

 

後日、占守クンはやっぱり口が軽かったのか、それともバカな子だったのか、普通に基地のアホンダラどもにバレて他のクソガキどもからアイツらだけズリィーよ!と責められ、長門からはオマエだけズリィーよ!と責められ、間宮からはロリペド野郎…とディスられた



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提督と夕張と最終兵器・試

帰ってきたハッキリ言って自信作の闇

【登場人物】

提督(最低の屑)
海軍内部の反体制の急先鋒として一部の過激派将校に人気

夕張(ゲス)
実はスケートができるらしい


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

五月の爽やかな午後、執務室でチ●コパイを食べつつ雑誌を読んでいると頭のアレな軽巡がヘラヘラ笑いながらやって来たのでとりあえず顔面を掴んでからのスネークバ●トで壁に叩きつけた

 

「ドヘァ!!」

 

「くだらねーコト言ってんじゃねーぞ、どうせまたガラクタだろーが」

 

「だ…大丈夫です、自信作です!」ニマァ…

 

こやつめ、多少手加減したとは言え俺のスネークバ●トをマトモに喰らって立ち上がるタフネス、それにまだまだ余裕ともとれる不気味な笑みを浮かべている…

 

「まぁいい、見せてみろ、ダメなら俺の新必殺技でアヘ顔失禁KOしてやる」

 

「アヘ…ッ!?だ……大丈夫です!今回は提督もきっと気に入って頂ける自信があります!」

 

…アヘ顔失禁KOと言う単語に何故かちょっと嬉しそうにも見える夕張は今回はスンゴイですよー、もーホントスンゴイですよーとか言って今回の自信作とやらに被せてあったブルーシートを勢い良く剥ぎ取った

 

「名付けまして!プロトタイプです」

 

ガショーン!!

 

「…足があるな」

 

「足なんて飾りです」

 

………なんかコイツ見覚えがあるぞ、いや、なんかスゲー見覚えあるってばよ、っーかコイツ、過去2回(※第101話・第381話参照)似たパターンで現れた古代文明が作りあげた制御不能の殺戮マシーンだろ?たしか…

 

「こちらのプロトタイプですが、以前のオ●ガやオ●ガ改に比べてほぼ全てのパラメータが劣るぶっちゃけ劣化版のオ●ガです、波動砲すら付いてません」

 

「ほぉ…」

 

「一応、防御力だけはオ●ガと同等レベルに高いので無駄に硬いです」

 

夕張曰く、とりあえず火炎放射やらブラスターやらミサイルは搭載されているそうで、まったくのザコっぱちってワケでも無いらしく、防御力だけは一丁前のスペシャルなヤツらしい

 

「ちなみに一応聞くが制御できるのか?コイツ」

 

「できます」

 

「なん…………だと?」

 

「できます」

 

過去2回、この超古代文明の遺産を復活させては無責任に持て余していた夕張が制御可能だと…?

 

「まぁ、制御と言ってもできるのは自爆させるコトぐらいです」

 

「それは制御と言っていいのだろうか?」

 

まぁ、自爆させられるだけマシか、前回、前々回のは制御不能なあげくに放置したら世界が危ないレベルの殺戮マシーンだったしな、そう考えるとスペックはかなり劣るがある程度制御できるのはアリかもしれん…

 

ちなみに夕張曰く、このプロトタイプ、どうやらその見た目と名前の通りにオ●ガのプロトタイプの1つらしく、他にも防御力がヘッポコだが波動砲を搭載したマシンヘッドなるマシーンも存在しているらしい

たぶん古代人の中にもかなりキレたヤツがいて、そいつがオ●ガなんて言う制御不能の殺戮マシーンを作って無責任キメ込んだヤツなんだろうな…

 

ガショーン!!

 

「しかしキモいなコイツ…」

 

「キモくないです、よく見るとカワイイ感じです、ね?五月雨ちゃん」

 

夕張は自分の席で興味なさげにクロスワードパズルを解いていた五月雨に同意を求めてみたが、五月雨は興味なさげに顔をあげてそうですかねと言って再びクロスワードパズルを再開した…

 

「とりあえずコイツ、どう使ったらいいんだ?一応ミサイルとかあるんだろ?」

 

「はい、しかも超硬いのでタ級のパンチぐらいじゃ傷一つつきません!むしろ殴った手が砕けて転げ回ります」

 

「ふむ、となると盾とかか…」

 

「いえ、制御してると自爆しかできないので、とりあえず相手に取り付いて自爆しかないですね!」

 

「自爆戦法かッ!」

 

こやつめ、まるでマシーンのように冷徹な戦法を平然と提案しおるわい…

 

「オイオイオイ、自爆前提か……オマエもうちょっと愛着とかないのか?」

 

「愛着…?ありませんよ?」

 

そんなナニ言ってんだコイツみたいな顔されてもな、まぁ、よく考えたらコイツからしたら機械なんてものは壊れたらそれまでの使い捨てなんだろう、ただ、それが機械だけでなく生物も同じな最悪のゲスだが…

 

「よし!では早速自爆させてみましょう!」

 

「オマエ、俺が言うのもなんだがホントに最低だな…」

 

ガショーン!!

 

今から自爆するプロトタイプを哀れに想い、その硬い装甲をバシバシ叩いてやると、プロトタイプは急にギシギシと動き出し、その腕?で夕張を掴んだ!!

 

グワキイィィィ!!(マシンアーム)

 

「グハァ!!プ…プロトタイプ!!ナニをするんですかプロトタイプ!離しなさい!」

 

『2>64¥5〒#2〆+444€×6|8』

 

「グハァ!!ゴフッ……!!キ、貴様ァァァァァ!!」

 

き…機械の反逆!心を持たぬハズの殺戮マシーン、そのプロトタイプが今、確かな意思を持って反逆の意思を示している!!

 

…そ、そうか、おそらくは完成品であるオ●ガやオ●ガ改は心を持たぬ真の殺戮機械(キリングマシン)だったがこのプロトタイプがやたらと防御力だけが高いのには理由があったッ!それはきっとこのプロトタイプが人を傷つける殺戮の為のマシーンではなく!人を“護る”為のマシーンとして作られたからだッ!そしてコイツにはたしかな“心”があり!それは“正義”を護り悪を許さない正義の“心”が…ッ!!

 

『:12÷^gw→÷|<×36』

 

「ま、まさか自爆する気!?離せ!離せこのクソカスがァァァァァァ!!」

 

「いいや、夕張、オマエは負けたんだ、この機械の身体にたしかにある“正義の心”に…!」

 

プロトタイプは唸りをあげて執務室の壁をブ厚い壁をブチ破り、夕張を掴んで落下しながら爆発した…

きらめく自爆の閃光の中で、プロトタイプは最後にこう言った気がした、さよなら、と…

 

「………」

 

そして、そんな勇気ある正義に俺は自然と敬礼していた

 

ロボットに心は必要なのだろうか?昔、エロゲーで問われた質問の答えを、俺はまだ出す事が出来ていない…

 

ただ、確かな事が一つあるとすれば、俺は今でもなんやかんでマ●チが好きってコトだろう



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提督地獄変【最終章①】

最終章突入ゥゥ!最終章はわりと長めになるので不定期で断続的な更新になる予定です

【登場人物】

提督(中佐)
中佐、力こそ正義

五月雨(秘書艦)
秘書艦、巨乳の姉妹は死んだらええねん

梶輪大将(大将)
提督の上司、若い頃はイケメンだった時代もある


海軍内部における東の陣営と西の陣営の溝は深い、それはもうバリバリと音を立てて裂ける暗黒のクレバスだッ!ってくらい深い…

 

そんな色々と深い両陣営ではあるが、表向きは一つの組織、ワンフォーオール・オールフォーワンであり、みんなで一致団結して深海棲艦のクソカスどもを殲滅する正義の軍隊である事は間違いない

 

そして、そんな両陣営にも年に数回互いの親睦や力量を確かめ合う事を目的としたイベントが存在している…

 

東西の将校同士が己の技量と陣営の威信を懸けて戦う“東西戦”と言う名のイベントもその中の一つだ

 

◆◆◆

 

「オイ、お茶くれ、お茶」

 

「はいはい」

 

今年度、そんな東西戦の呼び出しを喰らった俺だったが、演習場所は対戦相手である川奈大佐のホームであるヨコスカが舞台となるので大将殿から一度中央に来いとさらなる呼び出しを喰らい、現在、俺は秘書艦のコイツカミナゲーナと中央に向けて列車の旅をしていた…

 

「はぁ…メンドくせぇなぁ、なぁオイ?」

 

「まぁ、たしかにメンドくさいですね」

 

東西戦まではまだ日があるものの、今回は予め対戦場所の確認や対戦相手との顔合わせなど実につまらないイベント目白押しらしく、こうして大した用事でもないのに呼び出しを喰らったワケだが………あのクソオヤジ、電話で執拗にサミちゃん連れて来いとうるせーのな、マジで、いっそサミーじゃないで由良さんでも連れてくかと考えたが、それはそれで俺の肉体と精神に深刻なダメージを受けそうなのでやめた

 

「それ食べたのならこっちにください、ビニル袋に入れます」

 

電車の中で弁当を食べつつ憂鬱じゃねーの?とため息を吐いていると、俺の弁当容器を取り上げたサミーはビニル袋にそれを入れた

 

「しかしなんだって今回はこんなまどろっこしいんだろーな?」

 

「さぁ?」

 

前回の東西戦はVS函館、東と言うよりはむしろ北の陣営だったがそっちは特に面倒な事はなかったんだが…

 

「たぶんアレじゃないですか?対戦相手はヨコスカでも実力派エリートなイケメンですし、反逆の急先鋒とか呼ばれてる極悪提督とのマッチメイクをドラマティックに演出しておきたいとか…」

 

「誰が反逆の急先鋒だ」

 

昨年の定例会議で多数の将校を病院送りにして以来、俺のところには現状に不満や現体制への不信を持つ多くの将校や将兵から励ましのお便りが届いており、さらには四大鎮守府の一角でもある佐世保の壊滅を狙ったなどと言う根も葉もない噂も流れているらしい…

 

「まったく、根も葉もない………っーかよォー、根も葉もないっーのどーゆーコトだ?イラつく!すげーイラつくぜェー!」

 

「いや、根も葉もワリとありまくりでしたよ」

 

「バカ言うんじゃないよこの子は、俺は悪くない」

 

そうだ、俺は悪くない、悪いのは社会であり、社会とは世界であり、世界とは宇宙であり、宇宙とは……

 

「……宇宙の心は、彼!」

 

「言ってる意味がまったくわかりません、飴食べますか?」

 

「貰おうか」

 

俺は五月雨が投げてよこしたあわだまを口に放り込み、ゴロゴロと口の中で転がした

 

ーーー

 

「フーッ〜…よく来たのぉ」

 

「あぁ、よく来たモンだと自分で自分を褒めてやりたい」

 

中央行き超特急の旅、途中、なんか列車の車内が暑いなチクショウとか思っていたらバナナが固くて食べられなくなったり腰とか痛くなったりと散々な目にあったが俺達は無事、大将殿が待つ中央に到着した…

 

「ま、今回は下見みたいなモンじゃからな、まぁラクに構えとけ、ラクに」

 

「楽にねぇ…」

 

「サミちゃん、今日は何が食いたい?好きなモンを言いなさい、肉か?魚か?ガハハハハ!」

 

このクソオヤジ……ヒトを呼び出しといてそれで終わりかい、っーか五月雨に甘すぎか!孫可愛いがりか!

 

「私は特にコレと言って何も……あ、そうそう、提督、最近そば食いたいとかなんとか言ってませんでした?」

 

「言ってたか?」

 

「言ってましたよ、テレビ見ながら」

 

「そう言われると言った気もするな…」

 

俺は上着からタバコを取り出し火を点け、そこら辺に置いてあった日刊海スポを手にしテキトーな空いてるソファーに座った

 

「ところで大将殿」

 

「なんだ?」

 

「今回ここに来る前に貰った日程の予定表に謎の空白時間があるんだが?コレ自由時間か?」

 

せっかく中央まで来たんだから観光でもして美味しいものでも食べなさいって優しくて粋な配慮だろうか?

 

「んなワケあるかダボが」

 

「ですよねー」

 

観光目的じゃあない、あくまでビジネスの為の中央!まったく、世知辛い社会構造なのだよ、なぁオイ?

 

「ところでオマエ、川奈の奴に勝つ自信はあるのか?」

 

「まぁ、あるっちゃあるかな…」

 

「なんじゃいそれは、あんなの完封してやりますよぐらい言えんのかい」

 

「バカ言ってくれるなよ大将殿、相手はヨコスカのエース、こっちは地方の冴えないハンサムなだけの中佐だぞ」

 

「誰がハンサムじゃい」

 

まぁ、完封できる自信はさすがに無いが負ける気もない

 

「ふむ、ま…今回の東西戦、川奈の奴が対戦するならオマエがいいと希望が強くてな」

 

「フーッ〜………そりゃまたなんで?」

 

「ワシが知るか、むしろオマエの方が身に覚えがあるじゃろ?」

 

「あー………もしかしてアレかな〜、兵学校のトキにランチ代借りて返してないコトぐらいか」

 

イケメンのくせになんて心の狭いヤツだ、俺は2回も奢ってやったコトあるのに…

思えば川奈クンとは学生時代の同期であり、彼は当時からモテモテで成績優秀、仁・智・勇に優れた心までイケメンで次期海軍元帥は彼しかいないと言われていたが………やはり彼の中にはとてつもない邪悪が棲んでいたのだろうか?

 

「ま、結果はいいとしてブザマは晒すなよ、そのトキはワシがオマエをその場で処刑してやろう」

 

「へいへい」

 

彼と最後に会ったのはたしか兵学校を無事に卒業し、中央司令部で提督業の辞令を受けたトキだったか…

 

あの時は俺を含めて5人が辞令を受ける予定で、俺はその日の朝、猛烈な便意に襲われてトイレで大の大冒険を繰り広げ、遅刻したんだっけか…

 

で、このクソオヤジこと大将殿が待つ部屋に行ったら川奈クン以外の3人は既に秘書艦を決めて退室済みで、川奈クンだけ俺を待っててくれたんだっけな…

 

『大丈夫ですか?もしかして体調が…』

 

そうそう、彼はあの時、本気で俺を心配してくれていた!実の親以上に!彼は真剣に俺の体調を気遣ってくれていたのだ…ッ!俺はそんな川奈クンに感激し、男なら彼のような男の為に働くものだ…ッ!と考え…………入団試験に合格したのだった!

 

「…」

 

「なんだサミー?その目は?」

 

「知ってますか?女の子ってのは大抵、ホ●と甘い物が好きなんですよ」

 

「俺はホ●じゃねぇ!!」

 

◇◇◇

 

 

海軍横須賀鎮守府内、川奈大佐の執務室…

 

「着いたらしいわよ、例のアレ」

 

「そうか…」

 

正直、他の人から見たら変化は分かりづらいが私くらいになると目に見えて変化がわかる、我が司令官殿は凄く嬉しそうだ………クッ!あー!もう、なんかムカつくわね…

 

「で、明日こっちに来るって、梶輪のジジイと」

 

「叢雲、ジジイは言葉が悪いな…」

 

「ハッ?」

 

我が司令官は執務椅子から立ち上がり、私に背を向けて可笑しそうに笑っていた…





この提督地獄変が最終長編になりますのでこのお話が終わる時が最終回になります
ただ、断続的な更新でダラダラやっていくスタイルなのでいつ終わるかは私にもわかりません

基本は普段通りにアホな話を挟みつつになりますので良ければお付き合いくださいませ


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提督地獄変【最終章②】

不定期更新最終章その2

【登場人物】

川奈大佐(完璧王子系)
ヨコスカ所属の大佐、ルックスもイケメン

叢雲(ヨコスカ仕様)
川奈大佐の秘書艦、改二水準にはとっくに達しているものの改でとどまっている変わり者、口が超悪い



中央司令部に来て初日、カメラ持った職員から写真いいですかー?と快く撮影に応じた俺だったが、翌日にはその写真が東西戦を宣伝するポスターに使用されていたワケだが…

 

「加工しすぎだろォォォォォ!!」

 

「あ~…これは完全に悪の顔ですね」

 

「なんで俺の額に“死”とか書いてあんだよ、っーかなんで中指立ててんだよ!昨日そんな写真撮ってねーだろォォォ!?」

 

「映像技術課驚異の技術ですね」

 

っーかプロレスかッ!たかが演習にどんな宣伝してんだよ、バカか?これは何か?俺が勝っちゃいかん流れか!?クソッ!舐めやがって……

 

「俺はワカバヤシのかませ犬じゃねーぜぇー!」

 

「はいはい、かませ犬かませ犬」

 

こやつめ、上司に対する“敬い”の心が足りておらぬとみえる、上司と部下には3つのUが大事なのだよ、3つのUがよォ~…

 

「まぁいい、既に起こってしまった事象は変わらないし変えられない、コレはコレとして受け入れるのが大人なのだよ」

 

「大人の特権ですね」

 

そんなワケでやって来ましたヨコスカ…

俺達は大将殿と共に専用の黒塗り送迎車ではなく普通の個人タクシーで横須賀鎮守府へと入った…

 

「なかなかキレーな基地じゃねーの?落書きとかないし」

 

「ウチとは大違いですね、落書きとかないし」

 

「オマエんトコはもーちょいなんとかせい」

 

大将殿の言うコトはもっともであるが、これは俺の何よりも“自由”を尊ぶ教育方針でもある、もしかしたらタダの落書きなように見える絵が有識者が見たら芸術的なアートだと絶賛するかもしれないし、魍魎や朧童幽霊などの漢字を書く練習にも役に立っているかもしれないのだ、決して色々面倒くさいワケじゃあない…

 

…そんな小綺麗な基地施設を歩いていると、執務棟らしき建物から誰かやって来た

 

「待っていたわよ」

 

この気が強くてア●ルが弱そうな顔………たしかムラクモ…?だったか

その叢雲ガールは大将殿によく私の前に顔出せたわねクソがとかブツクサ言っていたが大将殿はガハハハと笑っている…なんだ?仲良いのか?

 

「それと………五月雨?よね?」

 

「そうですよ、お久しぶりです叢雲ちゃん」

 

「………え?五月雨よね?アタシの同期の…?」

 

「そうですよ」

 

「そ、そう……へぇ、アンタそんなだったかしら?ちょっと変わった…?なんかもうちょっと可愛いらしかったと言うか…」

 

「………叢雲ちゃん、人って言うものは変わるんですよ」

 

久しぶりの同期の再会か、そう言えば俺と川奈クン同様、この叢雲ガールと五月雨も同期になるんだよなと考えていたら、叢雲ガールから胸ぐらを掴まれたッ!

 

「アンタッ!!この子に一体ナニしたの!?」

 

「な、なんだキミは!ぶ、無礼だぞキミぃ!」

 

「この子は私達の同期でも人一倍鈍感で!優しくて…!ちょっとドジなトコもあるけど……頑張り屋で…!」

 

それがこんな…!まるで10年も修羅場をくぐったみたいなスゴ味を!とか言いながら俺の身体をガックンガックン揺らすッ!コイツ…!なんてパワーだッ!コイツはヤバいと危機を感じていると、五月雨がまぁまぁと叢雲の肩を叩いた

 

「まぁまぁ叢雲ちゃん、私だってそういつまでもドジっ子じゃないですよ、あ、ほら、成長ですよ成長、成長したんですよ?私も」

 

「五月雨ェ…!」

 

そうだぜ五月雨…“栄光”はオマエと共にある!

俺は常日頃から部下達に“成長”しろ!“成長”しなきゃ俺達は“栄光”を掴めねぇ!とアツく指導してきたッ!

 

「…まぁいいわ、アンタとはまた後でゆっくり話すとして……そこのメガネ、ウチの司令官がお待ちかねよ、付いて来なさい」

 

「オイオ〜イ、誰が超絶美形提督だって〜?いやぁ〜テレちまうなぁ〜」

 

「言ってないわよッ!」

 

まったく、小粋なジョークだと言うに…ツンツンしおるわい、カルシウムが足りていないのだろうか?

 

ーーー

 

そんなワケで、俺達は叢雲ガールに案内されてやって来た応接室………グゥゥム、ウチより広いな

 

「お待ちしてました、梶輪大将、それと…」

 

「よぉ!川奈クン!久しぶりー」

 

横須賀鎮守府所属、川奈大佐………俺とは同期であり、非常に優秀な男でルックスもイケメンだ

 

「お久しぶりです」

 

イケメン特有の嫌味のないオーラで久々の再会に握手を求めてきた川奈クンと握手をかわし、俺達はとりあえず応接室のソファーに座った

 

「叢雲、コーヒーを」

 

「はいはい、コーヒーね…っと、全員コーヒーでいい?紅茶もあるけど…」

 

叢雲ガールはコーヒーが苦手な人の為にと別の選択を用意してある、なるほど、よくデキた秘書だな…

 

「私はオレンジジュース、果汁100%のやつで」

 

「ワシは緑茶にしてくれ、舌が火傷するほどアツいヤツ」

 

「ミネラルウォーター、フランス製じゃないと死んでも飲まないコトにしてるんだ、俺…」

 

叢雲ガールは露骨にイヤな顔をして“なら死ね!”と言った後に全員コーヒーねと言ってコーヒーを淹れ始めた

 

「なかなかデキた秘書艦だな、川奈クン」

 

「えぇ、俺には………勿体ないです」

 

そしてこの謙遜ぶり、イケメン特有の爽やかさすら感じる謙遜なのだよ

 

「さて、それでは互いにアイサツも済んだところで………ワシからオマエらに話しておくコトがある」

 

「なんだよ?言っとくが八百長なら応じねーぞ」

 

「やましい、黙って聞けい」ギロッ!

 

………なんだ、真面目な話か





次回は通常回、たぶん
週末に私用で東側に行くので土曜日はシーパラあたりをフラっと見てくる感じなのでたぶんその辺で拾ったネタを使う予定です


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提督と情熱の律動

通常営業回、通常営業ですって!

【登場人物】

提督(テイトク)
これが本体のハンサム顔だ

イタリア組(イタリアチーム)
謎のBOSSの正体を探している



昼間の気温は既にアツいと感じずにはいられない今日この頃、基地の中をブラブラ歩いていると買ったばかりのアイスを手にしてゴキゲンな暁ちゃんが“とぉるるるる!”とか言いながらキマった目をしたイタリア駆逐艦からアイスをブン盗られていた…

 

「もしもし?BOSS!リベッチオです!」

 

イタリア駆逐艦はアイスを耳にベチャっと付けてブツブツと何か言っているみたいだが………新しい遊びかなんかだろうか…?まぁ、もう外はアツいしな、頭もおかしくなる

 

そう“納得”した俺は、アイスを盗られてわんわん泣く暁ちゃんに“男が泣いていいのは親が死んだ時と財布を落とした時だぜ”と言い、そして、次は五段のを買うといいと小銭を渡してCOOLにその場を去った…

 

‐‐‐

 

「あ、テイトクだぁ~」

 

「オマエは…?ト●コ?」

 

「ト●コじゃないですぅ~、ポーラですぅ~」

 

喉が渇いたので自販機コーナーに寄ると、ベンチのところでアル中のポーラがミネラルウォーター的なものを飲んでいた

 

「オマエ酒以外も飲むんだな?」

 

「ポーラのコトなんだと思ってるんですかぁ?ポーラだってお酒以外のもの飲みますよぉ~?」

 

「ふ~ん」

 

アル中ではあるが、見た目だけなら超絶美少女のポーラはミネラルウォーターを飲み干すとペットボトルをクシャ!っと潰してゴミ箱に捨てた

 

「しかしオマエ1人か?ザラ姉はどうした?ザラ姉は?」

 

「ザラ姉様はリット……じゃない、イタリアさんとアツアツのピッツアを焼いてますぅ」

 

「ふ~ん」

 

「マミー屋さんでもピッツアはありますけどぉ、たまには故郷の味が食べたくなるものなんですよぉ~」

 

たしかに、故郷ってのは大切だ、特に故郷の味ってのはどんな遠い所に来ても、どんなに歳くっても忘れられないものだろう…

 

「もうすぐ焼けると思うんでぇ~テイトクも一緒にどうですかぁ?」

 

「いいのか?」

 

「たぶん大丈夫ですぅ~」

 

「たぶんかよ」

 

「コイツにピッツア食わせたいんですけどぉ~いいですかね~?って一生懸命お願いしたらザラ姉様も悪魔(ディアブロ)ではないのできっと大丈夫ですぅ~」

 

「スゴいな、まるで一生懸命さが感じられないのだよ」

 

まぁ、イタリア組のヤツらは基本気の良いヤツらだしな、ちょっと頼めば大丈夫だろ…

 

そんなわけで、俺とポーラはそろそろ焼けただろうとザラ姉達が居る部屋へと向かった…

 

◆◆◆

 

アツアツのピッツアの匂いが漂う談話室…

“情熱”のイタリア組はたまにこうやって全員で集まってメシ食ったりくだらない話をしている…

 

「ポーラ!聞いてるの!」

 

「聞いてますぅ、聞いてますから怒鳴らないでください~」

 

「ポーラ!私はね!アナタの心の弱さのコトを言ってるのよ!たしかにシルクのワンピにワインをこぼしてしまって焦る気持ちはわかるわ!私だって焦る!でもね…」

 

誰が飲ませたのか、ザラ姉は既に“デキあがって”いた、それはもうできてるじゃあないか?ってぐれーデキていたザラ姉は妹のポーラに酒の力で更にブーストした説教モードでアツく説教しており、さすがのポーラもタスケテーと手を伸ばしていたがとりあえず無視した

 

「うんめー!」

 

「このアツアツさがナポリの味だよ!あ、リベ、口元にチーズ」

 

「マジでー?」

 

合法駆逐艦、リベッチオとマエストラーレもピッツアにかぶりついてウメーウメー言いながらアツさをオレンジジュース(果汁100%)で緩和させ、マエストラーレは妹の口元に付いていたチーズをベロリと舐めとった、コイツらもできてるじゃあないか?

 

「まず私達はこの国で“信頼”を得なければならない、“信頼”を勝ち取り“幹部”にならなきゃあいけない、そうね?姉さん」

 

「え?あ、あぁ、うん…そうかもね」

 

そしてイタリア組の年長者にしてリーダー的存在、イタリアとローマの超DQN戦艦姉妹

見た目ゆるっとふわっとした方が姉のイタリアで魔女みてーなヤツが妹のローマである

 

「何が信頼だ、毎度毎度バカスカ外しやがって、弾だってタダじゃねーんだぞ」

 

このイタリア戦艦姉妹、火力もあるので強いと言えばたしかに強いのだが、砲撃戦では命中率が悪い気がするのだよ

 

「知ってるわ、だからこうやってピッツアやパスタで接待してやってるのよ」

 

「何が接待だ、舐めてんのかテメーは」

 

「何?性接待の方がいいの?仕方ないわね………姉さん、ちょっと得意のアモーレしてあげて」

 

「イヤだよッ!?それに、別に得意とかじゃ…」

 

「大丈夫よ姉さん、自信を持って、姉さんならヤれるわ、姉さんが本気を出してアモーレすれば大抵のジャップ・雄なんてメじゃないわよ」

 

そうか、メじゃないのか…

ローマは姉の肩を叩いて自信を持て、自信を持てよ姉さんとイタリアに自信を与え、イタリアはたしかにと言いながら少し考え込んでから否定するように頭を振った

 

「いやいやいや、よく考えたらおかしいわローマ、なんで私がそんなコトしなきゃ…」

 

そんなイタリアとローマのやりとりにウンザリしつつ、ミネラルウォーターでも飲むかとペットボトルを探していると、探しモノはコレ?と乳のデカいのがペットボトルを差し出してきた

 

「誰だ……?」

 

「アクィラです!アクィラ!ちょ…ちょっとヒドくないですか?」

 

「アクィラ…?あぁ、居たっけか、そんなヤツ」

 

そうそう、たしか口癖のようにいつも“ブッ殺す!ブッ殺す!”って言ってたヤツが居たな…

空母業界じゃ“ブッ殺す”なんてのは弱虫の使う言葉だとか前にママが言ってたな…

 

「私の扱いヒドくないですか?」

 

「オマエが軽空母だったら愛してやったのにな、そもそもなんでオマエ正規空母ヅラしてんの?恥ずかしいとか思わねーの?」

 

「ぐっ……!わ…私だってガンバってるんですよ!ほら、こないだ新しい矢だって買ったんですよ!」

 

「ふ~ん」

 

アクィラはこないだ新しく買ったとか言う矢を取り出してコレで私もバリバリ戦果を挙げてあげますよー!と言って気合を入れていると、手からスッポ抜けた矢が後ろにいたポーラに刺さった

 

「痛ぁい!!痛いですぅ!!」

 

「ポーラ!?大丈夫!?………って、意外と大したコトなさそうね」

 

「痛いですぅ………って、たしかに、なんかもうちょっとザクッと刺さった気がしたんですけどぉ~………って、なんですか?コイツ?」

 

「はぁ?ポーラ、アナタ何言って…」

 

ポーラはザラ姉の横、誰もいないところを指差し、ひと味違うんですねぇ~?と不思議そうにゲラゲラ笑っている

 

「………オイ、アクィラ」

 

「なんですか?」

 

「ちょっとその矢、見せてみろ」

 

「コレですか?」

 

アクィラから受け取った矢は………間違いない!この奇妙なパワー!あの“弓と矢”の“矢”だッ!!

 

そして……なんだ!?この匂い、アルコール臭か…ッ!いや!アルコール濃度だ!アルコール濃度が急激に上昇している…ッ!

 

「まさかポーラ!オマエなのか…?」

 

「ウヘヘヘ~…なんのコトですかぁ~?」

 

こ、この攻撃はヤバい!コイツそもそもコントロールできていないのか!?射程が広い上に周辺に構わずおかまいなしだッ!!コイツは今ここで“始末”しなければならない…ッ!大変なコトになるぞ!!

 

「やれやれ、コイツはタフな戦いになりそうだぜ…」

 

 

…この後、アルコール濃度を上げる攻撃の前にあわや全滅しかけた俺達だったが、最終的には“矢”のパワーの先に行ったザラ姉にポーラが122連発ザラパンチを叩き込まれて“始末”された



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提督と対馬と鬼天竺

丘、公園、シーパラに行って参りました

【登場人物】

提督(S)
サディスティック提督

対馬(目力がある)
海防艦には珍しい社会と大人を舐めてない子


今年も殺人的な暑さなんじゃないだろうかと思うぐらい陽気な今日この頃、そんなアツかりし日に明石のアホンダラの店でアイスでも買うかと考えつつ歩いていると、足下にナニかがぶつかった

 

「………なんだこれ?」

 

タヌキみてーな色した謎の生命体が俺の足下をウロウロとしている、なんだコイツ?敵か?と考え、とりあえず蹴っ飛ばしてみるかと足を大きく振りかぶろうとしていたその時!何者かが俺の目の前に飛び出してきたッ!!

 

「だ、ダメ!!やめて!やめてー!蹴らないでー!」

 

「なにぃ!?」

 

しかし一度シュート体勢に入ったからには止まれない!タ●ガーショットはそんな甘っちょろいシュートではないのだ!そんな必殺のシュートをモロに被弾し、飛び出してきた誰かとタヌキ色の毛玉はベンチまでブッ飛んだ!

 

ドゴンッ!!(タ●ガーショット)

 

「ゴフッ……!い、痛ぃ〜…痛いよぉ…」

 

「すまんすまん、大丈夫かね?え〜………」

 

誰だっけこの子?たしか海防艦の…よく佐渡さまと一緒にいる子、え〜…つし、つし……対馬クンだったか?

 

「ハッ!そ…そうだ!この子は…!?」

 

対馬クンは両腕で抱いていたタヌキ色の毛玉がわりと大丈夫そうだったコトに安堵したのか、良かったぁ〜と毛玉を抱きしめた

 

「良かったぁ〜…」

 

「いや、すまなかったね、大丈夫?アバラとか?」

 

「対馬は大丈夫です…はい」

 

対馬クンは大丈夫ですアピールをしてはいるが、さすがに海防艦にタ●ガーショットを浴びせたのは俺にも良心の呵責があるし、このままでは後味の良くないものがある

 

「よし、お詫びに提督がアイスを買ってやろう!」

 

「アイス、ですか…」

 

「嫌いかね?アイス」

 

「…まぁ、嫌いではないです…」

 

フッ、多少大人ぶりたい気難しくて繊細な年頃とは言ったものの所詮はガキ、アイスが嫌いなお子などそうは居まい…

俺は対馬クンにちょっとベンチで待っていたまえと伝え、明石の店に行くとアイスを買ってから再び対馬クンの居るベンチへと戻ってきた

 

「ほれ」

 

「ありがとうございます」

 

明石の店で購入したパ●コを真ん中からへし折り、半分を対馬クンに渡してやると、対馬クンは大人と社会を舐めた海防艦のクソガキとは思えない謙虚さでお礼を言って頭を下げた…

 

「…ところで対馬クン」

 

「なんですか?」

 

「さっきから気になっているんだが、それ、ナニかね?」

 

「それ…?」

 

パ●コをチューチュー吸いながら不思議そうな顔をして首をかしげる対馬クン、いや、それだよそれ、その毛玉

 

「いや、そのタヌキみてーな色したヤツ」

 

「あぁ…この子ですか、この子はカピバラです」

 

「え?ナニ?カビ…?」

 

「カピバラです」

 

カピバラ…ッ!!和名 オニテンジクネズミ!ネズミ目テンジクネズミ科カピバラ属に分類される齧歯類であり、その最大の特徴は……ネズミの中でも世界最大のサイズを持つことである…ッ!

 

「カピバラか…」

 

「はい」

 

「え…?ナニ?どこに居たの?それ?」

 

「え?え…え~っとぉ~」

 

対馬クン曰く、基地の端にある明石の鳥牧場をうろついていたらしく、餌を与えてみたら懐いたので現在は寮の裏に段ボールハウスを作ってそこで飼っているらしい…

 

「いけないなぁ、提督に無許可でそんな珍獣を飼っては…」

 

「ご、ごめんなさい!で、でも…」

 

ここで心無い提督なら“許可が欲しいなら、わかってるよね?”と言うところだが、あいにく俺は話せばわかる大人である、見たところ珍獣なだけで無害っぽいし、きちんと世話さえするなら飼うのは問題ないだろう…

 

「あ、あの…」

 

「ナニかね?」

 

「……ここでパンツ見せたら、いいんですか?」

 

「良いワケねーだろ!舐めてんのか!?」

 

「じゃ、じゃあ……パンツも脱いだ方が…?」

 

ナニ言ってんだこの子は?痴女か?痴女なのか?一見真面目でおとなしそうに見えてとんでもないメスガキなのか!?

 

「脱がんでいい、っーか誰からそんな荒業教えて貰った?鈴谷か?」

 

「テイトクは鬼畜にも劣る人間のプリミティブな部分を集めた最低最悪のロリペド野郎だから困ったらこうしたらいいっしゅー…って」

 

「占守だな?わかった、占守だな?」

 

…あのクソガキ、後で尻叩いたるわい、痛いと言ってもやめねぇ、ヤメテと懇願してもやめねぇ、許してくださいと言うまでブッ叩いて社会と大人の恐ろしさをわからせてやる

 

「まぁいい、提督は最低最悪のロリペド野郎ではなく、オパーイはデカい方がお好きな大人だ、わかったかね?」

 

「は、はぁ…?」

 

「とりあえずそのキモいネズミは飼っていい、飼っていいからきちんと世話してやるんだぞ」

 

「い、いいんですかぁ…!」

 

対馬クンは嬉しそうにカピバラを抱きあげて良かったねーとキラキラした笑顔になった、いつも佐渡さまに蹴っとばされている印象しかなかったが……おそらくこの子は誰よりも優しい子なのだろう、人を思いやり、理解してやる強い心の持ち主…だがこの子は優しすぎる!純粋すぎる!

 

「しかしそうでなくては生きる資格がないと言うコトだ!」

 

「…はぁ?」

 

俺は対馬クンにまた会おう!と力強く伝えてパ●コをゴミ箱に捨てスタイリッシュに立ち上がると、釣竿みたいなのを持って歩いていた佐渡さまが通りがかった…!

 

「あ!対馬とテイトクだ!」

 

「よぉ、佐渡さま」

 

「ヒッ!?さ…佐渡さま!」

 

「対馬ァ!なんだそのアイス!?テイトクに貰ったのか?」

 

「そ、そうだよ…?」

 

「佐渡さまにもくれよ、なー?テイトク、なー?もうないのかー?」

 

「ねぇよ」

 

世間と大人を舐めたクソガキ佐渡さまは俺にまとわりついてアイスアイスと服を引っ張りだした

 

「対馬だけズルいぞぉ!なー?佐渡さまにもくれよー!五段のやつ!」

 

「やかましい、鬱陶しいぞクソガキ様がぁ!」

 

「チッ!じゃ、対馬から貰うぜーッ!対馬、それ佐渡さまにもくれよ、あと………なんだそのキモいの?」

 

「キモくないよぉ、カピバラだよ…」

 

「カピバラ…?なぁ、テイトク、カピバラってなんだ?」

 

「デカいネズミだ」

 

「ネズミかッ!それネズミか…ッ!なんだそれ!?超デケえ!!スゲーデケー!」

 

一瞬にしてアイスからカピバラに興味が移った佐渡さまは対馬が抱いているカピバラに興味津々丸になった

 

「そーだ!そいつ対馬が飼ってるハムスターとケンカさせよーぜ!最強ネズミトーナメントさせよーぜ!」

 

「や、やだよ!!」

 

さすがはドS界の王子(プリンス)佐渡さま、一瞬にしてこれほどのサディスティックな考えに至るとは……まったく、これほどの悪のエリート、将来が楽しみで仕方ないな…

 

「なぁ!」

 

「やだよ!」

 



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続続続続続続続続・提督と作戦とミーティング

豪傑どもの新時代!新時代最初のイベント戦開戦!

【登場人物】

提督(ゲス)
ゲス・カス・クズの三重殺

長良主将(主将)
ナイスガッツ体育会系陸上部

夕張(ゲス)
未来夕張にはブレーキがあるらしい


「おはようございますオマエらァ!本日から俺たちは上からお達しがあった作戦海域の攻略を開始する、みんな気合を入れていけよー、気合」

 

春と言うには些か遅め、新元号になって初の作戦海域が始まると言うコトで、本日は体育館にて作戦前恒例の全艦集会が絶賛開催中であり、俺は壇上からクズど………愛すべきファミリー達に気合入れていけよとアツくアイサツした…

 

「えー…じゃ、ここで提督からオマエらにありがたい話を一つ」

 

俺はマイクの位置を若干直し、マイクOK?なコトを確認し…

 

「毎回毎回!100万回死んだネコはもう飽きたんだよ!」

 

「せめてもっと他の話しろやオッさん!」

 

「ネコの前にテメーが嫌いになるわ!クソがーッ!」

 

壇上に下から聞こえてくるアツい罵声…!なんて口の悪いヤツらだ……まったく、どいつもこいつもこの基地で最も偉い存在であり絶対支配者である俺をなんだと思っているのだろうか?

 

「やーかましいッッ!!誰が同じ話するかボケェ!今日は提督、趣向を凝らして新しい試みを準備しとるんじゃい!」

 

ざわ…ざわ……っ!

 

「…あ、新しい試み?」

 

「一体なんだと言うんだ…?」

 

フン、綺麗事並べニコニコするなよクズどもが…!今日はキサマらクズどもに相応しい俺のアツいテイトクカツドウをわからせてくれるわい!

 

「では!作戦開始の前にオマエ達を代表し、長良主将からアイサツがある!長良主将!」

 

俺はステージ脇に待機させていた長良主将を呼び、マイクを手渡すと長良主将はマイクを手で叩いてマイクOKなコトを確認して、静かに、そして大きく深呼吸し…

 

「昨日までの練習は今日勝つ為の練習!!私達は誰より練習してきたーッッッ!!違うかァァァァァ!!?」

 

ざわ……ざわ…ざわ……っ!

 

「ち…違わねぇ!」

 

「そ、そうだ!わ…私らはまだクサっちゃいねぇ!!」

 

「な……長良主将ェ…!」

 

長良主将のアツいナイスガッツがクズど………艦どもの心を打ち、次々にそのアツい波紋が広がってゆく…!

 

「いよぉぉぉぉぉし!勝つぞ!勝つぞ!勝つぞ!勝つぞォォォォォォ!!」

 

『『『ウオオオオオォォォォォォッスッッ!!』』』

 

「勝つのはッッッ!!」

 

『『『長良ッッ!』』』

 

「勝つのはーッッッ!?」

 

『『『長良ッッッ!!』』』

 

「最強はァァァァァ!!!」

 

『『『オレらッッッ!!』』』

 

「いよぉぉぉぉぉし!!ナイスガッツ!ナイスガッツ!ナイスガッツ!行くぞォォォォォォ!」

 

長良主将のアツい挨拶はアイツらのハートに火を点けちまったらしい………今、皆の心が一つなったのだ…

 

長良主将は壇上から飛び降り、まるでモーゼの如くバカどもの中を割り左右ダブルハイタッチをしながら先陣を切って歩くッ!そのアツくも勇猛なる姿はまさに現代に現れたジ●ンヌ・ダルクと言えるだろう…

 

「さすが長良主将、体育会系じゃない私はドン引きですけど」

 

「なんてこと言うのかねこの青髪ロング子は」

 

◆◆◆

 

「今回の作戦は中規模、北から南から色々行く感じなそうです」

 

「フーッ~…何が中規模だ、どうせいつものダボーゲージは当たり前のクソ面倒くさいアレだろーが?知ってるよ、んなこたぁ」

 

喫煙解禁期間の執務室、とりあえずタバコに火を点けケムリを吸い込みサミーの用意している書類に目を通してみる…

 

「ほぉ、いきなり基地航空隊でブッこんでヨロシクしていいのか?」

 

「そうらしいですね」

 

「フーッ~…」

 

どうやら今回もボーキに優しくない戦いになりそうな予感がビンビンだなオイ

 

「とりあえず、開幕スタメンは安心の五十鈴パイセンで行くか」

 

「他は?」

 

「フーッ~…五十鈴パイセンに任せりゃいいだろ、好きなヤツ連れて行ってイイって伝えとけ」

 

「テキトーか………わかりました」

 

五十鈴パイセンへのアツい信頼…

“信頼”!それこそが上司と部下の円滑なコミュニケーションツールであり、五十鈴パイセンは常に私の“信頼”に応えてくれる…

彼女はおっぱいもデカく仲間達からの信頼も厚くおっぱいもデカい、そしてやや口は悪いがサッパリとした爽やかなヤツでおっぱいもデカい

 

「とりあえず五十鈴さんに声をかけときます、あと、キモいです」

 

「誰がキモいだ」

 

俺はサミーに指示を出して椅子から立ち上がった

 

「どちらへ?」

 

「便所、オマエも来るか?」

 

「行きませんよ」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

小粋なジョークでユーモア溢れる上司を演出するかと思いきや、五月雨から汚物を見る目で見られたのはオジサンはちょっと傷ついたね

 

そんなワケで執務室を出ようとすると、執務室の重厚な扉が勝手に開き、何者かが入って来た…ッ!

 

「失礼しまー…って、スイマセン」

 

「なんだ?夕張か、何の用だ?」

 

やって来たのはマゾなコトに定評のある良心のブレーキがないプッツン軽巡夕張…まさか便所に行こうとしたら便女が来るとは…

 

「なんだとはなんですか、なんだとは、私が夕張じゃいけないんですか?」

 

「なんだその態度は?立て、修正してやる」

 

「ハイッ!」

 

夕張は元気良く後ろ手を組みこれから来るであろう“修正”に身構え…

 

ペチン!(ビンタ)

 

「あう…っ………え?」

 

意外ッ!それは力無きビンタッ!ハエも殺せない優しい平手打ち…ッ!

 

「…え?」

 

「え?じゃねーよ、修正してやったんだ、有り難く思えよ」

 

「…え?」

 

夕張は自分の頬を撫で、痛みがまるでないことを改めて確認しブルブルと震えだした

 

「提督…?どこか身体が悪いんですか?」

 

「悪くねぇよ」

 

「でも…」

 

「夕張よ、俺は今までお前に厳しく接しすぎたな、これからは誉めて伸ばす路線に…」

 

「いやいやいや!ナニ言ってるんですか!?五月雨ちゃん、コイツニセモノだよ!ニセモノ!提督がそんなコト言うワケがない!」

 

夕張はウソだァァァと叫びつつたぶんマブダチの五月雨にオマエは騙さているんだー!と取り乱し…

 

「と見せかけてお腹パンチィィィィィ!!」

 

ドゴンッ!!(お腹パンチ)

 

「オゴォ!?」

 

人間は油断した時こそ隙を見せる…

 

「え?なんだって?3発か?3発欲しいのか?いやしんぼめ」

 

「ぅぅ…ウゲェ…」ビチャビチャ…



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艦隊集結地哨戒! 単冠湾泊地

春イベント開幕戦、安心の新しい国が生まれた…ッ!

【登場人物】

提督(暑さに弱い)
寒さにはもっと弱い

五十鈴(パイセン)
対潜・対空に秀でるカリスマ軽巡、意外と提督は話が合うらしくifの可能性すらある逸材

ツ級(黄色)
手がデカい、とにかくデカい
見た目はちょっと取っつき難い感じだが話してみると、とても気さくな奴で、毎週日曜日は深海教会にも通う敬虔なキリ●タン、子供達にも優しく、深海教会に併設されている深海孤児院の子供達に手作りのクッキーを配ったりしているが、とてもぶきっちょなので型は悪い、しかしそのぶきっちょなクッキーこそが優しさの表れなのだ


舞台は北!津軽海峡、そして単冠湾!常勝軽巡五十鈴率いる開幕戦!

 

「勝つのは五十鈴!勝つのは五十鈴!」

 

「勝者は五十鈴!勝者は五十鈴!」

 

最高にハクい女、五十鈴に今回の出撃メンバーに選ばれた夕雲姉妹達は間近で見る五十鈴の美技に酔いしれ、誰からともなく五十鈴コールを始める…

それはごくごく自然なコトであり、誰しもが当たり前のように彼女を“五十鈴さん”と呼んでしまうのは彼女の持つカリスマの高さ故であろう…

 

「バカね!五十鈴には丸見えよ!」

 

そんなカリスマ、五十鈴も一度は現役引退を考えた事もあった、今や多くの後輩達が当たり前のように先制対潜の技を身につけ、まるで先制対潜のバーゲンセールだな…と、それは喜ばしい事であると同時に、自分の時代は終わったのだと考えるようになっていった…

 

しかし!誰もが彼女の引退に反対した…ッ!五十鈴さんやめないで!と…自分達にはまだ五十鈴さんが必要だと、五十鈴さんが居てくれるだけで自分達は頑張れるのだと…

 

そんな声に、当初は五十鈴も後輩達に、どいつもこいつもママっ子か!甘ったれてんじゃないわよ!と激怒したが、やはりカリスマ軽巡、最後は皆のアツい想いに応えて引退を撤回!再び一軍のマウンドへと還ってきた!

 

「出たーッ!“五十鈴王国(キングダム)”ッ!」

 

「ヤツの“絶対死角”はもうツルスケだぜーッ!」

 

◆◆◆

 

「あ、クソ!コイツつえーな、この!このっ!」

 

「何やってるんですか?」

 

「ご覧の通り、テレビゲームなのだよ」

 

執務机に置いたテレビにRGBケーブルをブッ挿入し、たまにはマ●オカートでもするかとプレイしていると、今日も真っ青ストレートヘアーの秘書艦がグラスに淹れた麦茶を机に置いた

 

「出撃メンバーの様子、見なくていいんですか?」

 

「出撃…?あぁ、五十鈴さんに任せときゃなんとかなるだろ」

 

とは言ったものの、やはり何かしら問題があってからでは対応が遅いと叩かれるのが提督の辛いところでもある

俺はテレビのチャンネルを現場の中継画面へと変えてみると…

 

「………オイ、コイツらどこに向かってるんだ?」

 

「そうですね、たぶんその方向だとN地点でしょうか?」

 

「ナニやってんだアイツらァァァ!誰がN地点行けって言ったァ!俺はS地点に行けって言ったよなッッ!ふざけてんのか!?」

 

俺は電話のダイヤルを素早くプッシュし現場のバカどもに電話をかける、今日のビデオ係誰だっけか?夕雲だったか…?

 

『もしもーし?あたいあたい、あたいだよー』

 

「俺だ!オマエらドコ向かってんだ?」

 

『よくワカんねーけどよォーあたいの勘がコッチだって言ってんのよォー』

 

「何が勘だ、五十鈴に代われ、五十鈴に」

 

朝霜のヤロウ、舐めた真似しやがって…

 

『もしもし?やっぱ目的地逸れてる感じなの?』

 

「逸れてる感じだ、たぶん索敵用の電探が足りんのだろう、一度戻って来い」

 

『はいはい、じゃ、一回戻るから、電探用意しといてよ』

 

「2個ぐれーでいいか?」

 

『…どうかしら?念のためにもう1個ぐらいあった方が……もしくは水偵?』

 

「3個か?水上電探3個欲しいのか?」

 

ブチッ!!ツー…ツー…

 

「もしもし?もしもーし?あのヤロウ、電話切りやがった」

 

まぁいい、電探ぐらい倉庫に余ってただろ、たぶん

 

「ありますよ、対空電探なら」

 

「対空かよ」

 

この後、水上電探持ってるヤツ怒らないから手を挙げなさいと探して回り、無事、水上電探を手に入れ、帰ってきた五十鈴に水上電探を投げつけてやるとメチャメチャキレられたが、あれほど健康的なビンタが繰り出せる五十鈴さんの健康状態はとても良好ぅ!だと確信したね

 

あと、ツ級も五十鈴さんの膝蹴りで顔面メチャメチャにされて沈んだ

 

「あー終わった終わった、帰るわよ」

 

「さすが五十鈴さん、マジパネエです」

 

「マジリスペクトっすわー」

 

「何食ったらそんなヤラシー身体になるんすかー?」

 

朝霜の質問に、五十鈴は不敵に笑い…

 

「…さぁ?美味い食事と適度な運動かしらね?」



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防備拡充! 南西諸島防衛作戦

第2ステージ、聖域最強の刺客!

【登場人物】

大和さん(善)
仁・智・勇に優れた高潔な人格を持つ人、誰よりも海上の愛と平和を愛している

空母棲姫(姫級)
通称、空母おばさん、たぶん赤城と加賀より善人


第2ステージ、毎度お馴染み輸送連合VS深海No.1ハードパンチャーの異名を持つ戦艦棲姫…ッ!

 

「セルトエ●モスファイヤァァァァァ!!」

 

『ウッギャアアアア!』

 

ミシ…ッ!ミシミシ!ミシ!バキッ!!ボキッ!ボギィィィ!!

 

「で、出たーッ!鬼怒サンの必殺技(フェイバリット)ーッ!」

 

「長良型一の艦娘強度を誇る鬼怒サンの必殺技(フェイバリット)を受けて無事で済んだヤツは居ないにゃしぃーッ!」

 

前半戦、VS戦艦棲姫を圧倒し輸送任務を終わらせたチームは続く攻略チームへと最高の形でバトンを繋ぎ戦いは後半戦へと続く

 

---

 

『アノヤロー、ナニガ任セトケダ、普通ニ負ケテンジャネーカ』

 

後半戦、深海任務部隊侵攻旗艦艦隊にて待ち構えるのは深海No.1ディフェンダーの異名を持つ空母、空母棲姫…ッ!脱げば脱ぐほど強くなる野性さと遅れて来たお茶会で自分のケーキは?と要求する繊細さを併せ持つ難易度の高い姫級である

 

『ヤバイヨ空母棲姫クン!』

 

『ヤツラガ!モウスグソバ来テイルヨ!』

 

戦艦棲姫瞬殺の報せに動揺が広がるチームに、リーダーである空母棲姫は声を張り上げるッ!

 

『狼狽エルンジャアネェゼ、オマエラァ!戦艦棲姫ノヤローガ負ケタノハ奴ラガ強カッタカラジャアネェ!戦艦棲姫ガ弱カッタカラダッ!ドウセアイツノコトダカラ油断シテあいすデモ食ッテふぁっしょん雑誌デモ読ンデタンダローヨ!』

 

口ではそう言ってみるが空母棲姫も本当は誰よりもわかっている………ハッキリ言って奴らは強いッ!私だってヤバイと思う!戦艦棲姫とは何度もチームを組んできたし、アイツは誰よりも仲間想いなスゲーヤツだと言うことは空母棲姫は知っている…

 

だが今のチームに弱気に与えちゃならない、最初から奴らにビビってちゃ勝てる戦いも勝てない!勝つ!そしてこの南西諸島海域こそ真の地獄である事を!オマエら程度じゃこの先の“海”には進めないと教えてやると…ッ!

 

『ソ…ソウダゼーッ!』

 

『サスガ空母棲姫クン!』

 

『ココヲ奴ラノ墓場ニシテヤロウゼー!』

 

『オマエラ…』

 

空母棲姫は確信した、今、チームは一つになったのだと…

勝てる…!今の自分達なら例えどんなバケモノが相手でも勝てる…っ!いや、勝つ!そんな予感と確信が入り混じる心で、空母棲姫は右腕を高々と挙げ吠えるッ!

 

………その時だった…ッ!!

 

『ナ…ナンダ!?』

 

『コ、コノ強大ナ小●宙(コ●モ)ハ…ッ!』

 

ザッ…ザッ…ザッ…(足音)

 

『コレホドノ小●宙(コ●モ)!並ノ艦娘ガ持ツモノデハナイ…!イ…一体何者ガ…!?』

 

『マ…マサカ!マサカーッ!!オ、オマエハーッ!!』

 

ザッ…ザッ…ザッ…(足音)

 

「そうよ………そのまさかよッ!!」

 

『『『戦艦!!戦艦大和ーッ!!』』』

 

近づいていたあまりにも強大な小●宙(コ●モ)の正体は、数ある聖域(サンクチ●アリ)の戦艦の中でも“最強”と謳われる戦艦…ッ!大和ッ!

 

戦艦大和、その高い実力もさることながら、高潔な人格を持ち、万人優しく、仁・智・勇に優れたまさに次期提督に最も相応しい戦艦だと噂されている…

 

『マサカコンナ序盤デ最強ト名高イ戦艦大和ガ来ルトハナ…』

 

「私が受けたのは提督に仇なす賊どもに誅を与える任務、まぁ…アナタ達が死ぬのに早いも遅いもありませんが、私が来た以上、アナタ達は死にます」

 

大和からの死刑宣告…ッ!そんな自信と気品溢れる大和の周りで“大和サンメチャカッケーです!”と矢矧がカメラのシャッターをバシバシ切っていたが、誰もが気にしていなかった…

 

『ナ…舐メヤガッテ!』

 

『ナニガ最強ノ戦艦ダ!死ヌノハテメーダゼーッ!』

 

『ヨ、ヨセ!ツ級!イ級!オマエ達デハーッ!!』

 

「…愚かな」

 

果敢にも戦艦大和へと向かって行ったイ級とツ級、しかしほんの一瞬、一瞬、大和の拳が光ったと思ったら二人は高々と天を舞い、きりもみ回転しながら激しく海面に叩きつけられた

 

『『グヘァ』』グシャアッ!!!

 

『バ…馬鹿ナ、一体ナニガ起キタトイウンダ…!』

 

『ツ…強スギル!ナンテ強サナンダーッ!』

 

『オレ達トハ次元ガ違イスギル…ッ!』

 

聖域(サンクチ●アリ)に、提督に仇なす賊どもには勿体ないとは思いますがこの戦艦大和、最大最強の奥義を見せてあげましょう…」

 

大和はフッと笑うとその両腕を高く、頭の上で交差するように挙げる構えを作る…

 

『ア、アノ構エハ!』

 

『間違イナイ!大和型戦艦最大ノ奥義…!』

 

46㎝三連装砲(ギャラクシアン・エクスプ●ージョン)の構えッッッ!!

 

「運河を砕くこの大和最大最強の技………地獄で鬼どもにでも自慢してあげなさい!」

 

………死ぬっ!!あの技を受けたら確実に消し飛ぶ!だが…!!

 

『ヤッテミロコラァ!!』

 

『空母棲姫クン!無茶ダ!』

 

『アノ技ヲ受ケタラタトエ姫級トハイエ空母棲姫クンデモ!』

 

そんな世界で一番危険な技の前に!空母棲姫は立った!それだけではない!さらに大和に対し、胸を反らし傲然と言い放った………アタシが相手だッッッ!!と…

 

「フンッ…良い度胸です!ならば消し飛びなさい!!この大和最大の奥義で!!」

 

『ウオオオォォォ!!今コソ燃エ上ガレ私ノ小●宙(コ●モ)ッ!主力戦艦級ニマデ高マレェェェェェ!!』

 

「薙ぎ払え!!」

 

BAKOOOOOOOOON!!!!(46㎝三連装砲(ギャラクシアン・エ●スプロージョン)

 

◆◆◆

 

「あ、テメー、甲羅置きやがったな」

 

「そうです、そのまさかです」

 

日々の寒暖差よりもむしろ暑さを感じずにはいられない執務室、開発日報を持ってきた夕張とマ●オカートの対戦プレイをしていると、コンビニ袋みたいなのを持ったサミーが買い物から帰って来た

 

「提督、それに夕張さんも……何やってるんですか?」

 

「ご覧の通り、マ●オカートだが?」

 

「それ以上でもそれ以下でもないわよ?」

 

「…はぁ?」

 

サミーはコンビニ袋からアイスを取り出して冷蔵庫に入れ、代わりにペットボトルを取り出すとグラスにその中身を注ぐ…

 

「お茶です、ってか、攻略部隊の様子見なくていいんですか?攻略部隊の」

 

「攻略…?あぁ、そういやそうだっけか、今誰が出てんの?」

 

「大和さんです」

 

あぁ、そういや大和さんと愉快な仲間達が出てるんだっけか……この序盤戦から大和さんに海域に出ていいよと伝えるとスゲー嬉しそうにハシャいでたな、たぶん大和さんならちょっとこっちが下手に出ればパ●ズリぐらいしてくれるだろう…

 

俺はテレビのチャンネルを変え、現在の現場の様子を映してみると…

 

『わーっしょい!わーっしょい!』

 

『わーっしょい!わーっしょい!』

 

………大和さんがみんなから胴上げされていた

 

「…なんだコレ?」

 

「この様子だと、どうやらもう終わったみたいですね」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな…」

 

まぁ、胴上げされてるぐらいだから勝ったのだろう………あ、落ちた



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提督と殺戮のディープJ

燃料とボーキがチキンレース、久々にタフな“掘り”ですよォー、コイツぁ…

【登場人物】

提督(丁ボゥイ)
安心のザコ提督、陸奥と赤城と大淀への殺意はもはや既に失くした、全て許せる

Samuel B.Roberts(ノー・下)
通称サムくん、スカートの下はスーパーフリーダム

Johnston(PRIDE)
肌のテカりは取れても、心のテカりは取れない







執務室でタバコを吸っては吐くだけのマシーンと化していると、秘書艦の青髪ロング子からケムリくせーとクレームが入り、少し気分でも変えるかと執務棟を出てブラブラ歩いていると、中庭の木の辺りでサムくんとジョンくんがなにやらウロウロしていた…

 

「よぉ、ナニやってんだ?オマエら」

 

「あ、Admiral!Hi!Samはゲンキ!」

 

元気に挨拶を返してくれたのはMAJORから来た小さな刺客、サムくん

さすがにアイオワやサラトガに比べるとMAJORサイズではないが、その可能性を十分に持つまさしくきらめく宝石箱だ…

 

「Hi、テートクこそナニ?ヒマなの?」

 

そしてもう1人、ジョンくん

昔好きだったアイドルになんとなく似ている気がするがたぶん気のせいだろう…

 

「まぁヒマと言えばヒマだな、気分転換中なのだよ」

 

「ふ〜ん」

 

ジョンくんは大して興味なさげに返事をしてポケットから手鏡を取り出して自分の髪を手櫛で整え始めた…

 

「Admiral!ヒマならAdmiralも手伝っテ!Jasonがいなくなッター!」

 

「…はぁ?」

 

そしてサムくんは俺の腕をグイグイと引っ張りジェイソンがいなくナッターとかなんとか………ジェイソン?13日のアレ?じゃないな、たしか…サムくんが飼ってるあのクジラ的なヤツがそんな名前だったような…

 

「チョット目を離したらいなくなッタネ!」

 

「いなくなったって言われてもなぁ、どこでいなくなったんだ?」

 

「そこのベンチでJohnとburger食べテたらいなくなッタネ!」

 

「ふ〜ん」

 

サムくん曰く、マミー屋でランチにしようとマミーヤバーガーのよくばりセットを購入し、今日は天気もいいので外で食べようと中庭のベンチのとこまで来たそうだ

 

「Jasonはとてもnaiveな子だからSamは心配ネ!」

 

「ナイーブなのか、アレ」

 

なかなか雄々しい顔つきをした歴戦の益荒男かと思っていたんだが、人は見かけによら……いや、クジラか?

 

「しかしそのジェイソンがここらでいなくなっても水があるワケでもないし、その辺でビタンビタン跳ねてるんじゃあないか?」

 

「そー思ってアタシ達も捜してたってワケよ」

 

ジョンくんは何がそこまで誇らしげなのか、ドヤァ!といった様子で胸を張ってみる、しかしこの子も駆逐艦とは言えさすがはMAJORからの刺客、5年もあればその身体はホンモノのMAJORで通用するだろう

 

「Jasonは水がなくてもヘーキだけど、水から水へwarpするネ!」

 

「え?なにその能力?怖い」

 

「ちょっとSam!ナニその話!アタシ聞いてないんだけど!?」

 

「たぶん今は水を求めて他のトコに行ってるネ!ハヤク見つけないと!Jasonがチョーサホゲーされてしまうネ!」

 

サムくんはハヤクハヤク!ハリーハリーと俺の腕を掴みブンブン上下に振った

 

「わかった、わかったから手を離したまえサムくん、提督もそのジェイソンを捜してやろうじゃないか」

 

「truly? Thank you!」

 

腰の辺りにワイルドに抱きついてキャッキャとハシャぐサムくんをどうしたものかと考えていると、ジョンくんがサムくんの尻に蹴りを入れ、サムくんはイタイ!と言って地面に転がった!

 

「Sam!ちょっと馴れ馴れしーんじゃナイ?テートクはジョーカンよ、ジョーカン?」

 

「そ…sorry、John」

 

「ワカレばいーのよ!ワカレば!さ、行きましょ?テートク」

 

ジョンくんは俺と腕を組むようにガッシリホールドしてきた、なるほど…これがアメリカンスタイルか、ってかグイグイくるなこの子、物理的に…

 

ーーー

 

そんなワケで、サムくんのクジラを捜すべく基地の中を歩いていると、なるほどたしかに、クジラの通った被害が各所に出ていた…

 

「タイホォォォォォォ!!」

 

「大丈夫か!タイホー!クソッ!せめて包帯があれば…!」

 

「あったよ!包帯が!」

 

日課のランニングを終え、グラウンドの側にある水飲み場で頭から蛇口全開で水をかぶっていたナイスガッツ陸上部の大鳳はいきなり現れた黒っぽいナニかに頭を噛まれたらしい

 

「熊野ォォォォォォ!!」

 

「アガガガガ………ですわー」

 

自販機コーナーでジュースを飲もうプルタブを開けたら突然飛び出してきた黒っぽいナニかに舌を噛まれてお嬢様とは思えない奇声をあげて悶絶した熊野…

 

「ギャアアアアアアアアア!!ナニコイツ!?チョ…!?ギャアアアアアアアアア!」

 

「うるさいぞJervis、淑女たるもの慎みをだな…」

 

トイレで用を足そうと座り込んだらいきなり尻を噛まれて個室の壁で顔面を強打しロイヤル失禁してしまったらしいジャーヴィーくん…

 

「なんてコトだ………この基地には100人以上の艦娘が生活しているんだぞ!コイツにはブレーキがないのか…ッ!?」

?」

 

「Oh………正直、まさかここまでとは思わなかったわね、Sam、アンタあとでちゃんと謝って回りなさいよ」

 

「お、OK……」ビクビク

 

さすがは訴訟大国の子、たぶん、謝って済むかどうかは怪しいが…

 

「ト、トニカク!ハヤクJasonを捕まえないト!」

 

「そうだな、このままでは被害が広がる一方だ…」

 

ハッキリ言ってコイツは速やかに“始末”しなければならないッ!!そう決意を新たにしていると、ジョンくんがアタシ喉渇いたからcoke飲みたいんですけどーと言ってきた

 

「…飲めば?」

 

「モチロン?アナタの奢りよ?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか?いや、今はそんなコトはどうでもいいのだが、馴れ馴れしいにも程があるなこの子は、ステーツ特有のちょっとデカい態度とればジャップ・雄ぐれーチョロいモンだとか思っているのだろうか?

 

「後でな、アトで」

 

「アタシは今飲みたいのよ、ほら!ハヤクハヤク!ハリーハリー!」

 

このガキャ……ちょっとガキのワリにオパーイあるからって調子に乗りやがって、だいたいその程度のオパーイで俺が満足するワケねーだろーが、MAJORになってから出直して来いってのな

 

「…ときにジョンくん」

 

「ナニ?」

 

「キミのお母さん、おっぱいデカいかね?」

 

「なんでMam…?ま、まぁ……大きい方ね!Dadも大マンゾクって言ってたしぃー、あ、そうそう、アタシのsisterもなかなかよ?ただ、可愛さはアタシがダンゼン上なんだけどー…」

 

ーーー

 

「…しかし見つからねぇなオイ」

 

「Jason〜!Samが来たヨー!Jason〜!」

 

しかしマジで見つからないな、あのクジラ、これほど厄介な相手だとは………今や俺たちだけでなく他のヤツもジェイソンを追跡しているらしく、さっき熊野が口から血を吐きながらズイウン飛ばして見つけましたわー!テメーのクセー呼吸をー!とか言って乱射していたが、どうやらまだ見つけていないらしい

 

「モー海にでも還ったんじゃない?」

 

「John!そんなコトない!Jasonはいるネ!」

 

既にジェイソン狩に飽きたのか、ジョンクンはさっき買ったバーガーを片手にcokeの入ったカップのストローをずずずーっと啜っていた…

 

「ヴッ!?」

 

「ジョンくん?どうかしたかね?」

 

「い………イダァァァァァァァ!!!」ブゲロォ!!

 

ジョンくんの口の中から勢い良くクジラが飛び出してきたっっ!!

 

「Jason!!」

 

「ウゴォ…!!ゲボッ!ゴホッ……ゴホ!ちょ、ウゾでしょ……ゲボォ!」

 

「だ…大丈夫かね?ジョンくん」

 

ジョンくんはキラキラした吐瀉物をひとしきり吐いた後、サムーッ!とサムくんの名前を叫びつつサムのお腹を蹴り上げた!

 

「ウボォ!!」

 

「よ、よくも!よくもこのアタシに!誰よりもCuteなこのアタシに人前でゲロを!」

 

「まぁまぁジョンくん、そうイキリ立たないで…」

 

「アナタは黙ってて!!」キッ!

 

あかん、これは相当にキレてらっしゃる

 

「立ちなさいSam、Stand & Fightよ!立って!そして戦いなさい!」

 

この後、ブチギレて暴れ回るジョンくんをなんとかしようとジョンくんに垂直落下式のブレーンバスターで物理的に鎮め、白眼を剥いてアヘ顔で眠るジョンくんをベンチに放置してクールにその場を去った…

 

ちなみに、後日、サムくんは色んなところにソーリーと謝って回ったそうな



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敵戦力牽制!!第二次AL作戦①

わりと間が空いてしまいましたがイベント海域編その3
前半戦に待つ悪魔の子

【登場人物】

北方棲妹(妹)
凶暴

Richelieu(美)
天と地のはざまに立つ美の戦士、かませ犬が主な仕事



第三ステージ!舞台は再び南方から一転、北方海域!安心のダブルゲージ戦!まず待ち受けるのは深海No.1瞬殺王の異名を持つ重巡棲…

 

『ヴェアアアアアアアアアアーッ!!』

 

深海No.1瞬殺王、舞う………っ!

激しくブッ飛んで宙を舞った重巡棲姫はきりもみ回転してグシャァッ!!と凄惨な音を立てて頭から海面に叩きつけられた…

 

「パーフェクト!」

 

那智はビシッとキメポーズをキメて一緒について来た駆逐艦達に今度デ●ドハウリングを教えてやると言って高らかに笑った…

 

◆◆◆

 

「フーッ〜……あ?北方棲姫だと?」

 

「いえ、北方棲妹だそうです」

 

五月雨から受けとった書類にはたしかに、クソガキ感溢れる写真と共にそう名前が記してある、北方棲姫と言うとアレだ、かつて俺達を散々苦しめた誰よりもムカつくクソガキであり、最優先の抹殺対象だ…

 

「名前から察するに、妹的なモノなんじゃないですか?」

 

「まぁ、妹だろーが姉だろーがブッ潰してやれ、親でも区別つかねーぐれーにな」

 

かつてのAL海域攻略戦、まだ偉●なる航路の実力を知らず、自分を無敵だと勘違いしていたあの頃………俺達は初めて立ち塞がる姫級の壁の前に大敗を喫した…

辛くも、北方棲姫に奇跡的から勝ちを拾いはしたが当時の俺達はそこから先に進む力は残されてなく、第一次MI作戦へ行く事は叶わなかった…

 

………だが今の俺達は違う!あの時のケツの青いルーキーじゃねぇ!ヤロウをブッ潰し、この先の海へ進む!

 

「ヤツにわからせてやれ、俺達の恐ろしさ、そして抵抗は全て無意味であることを…ククク、ハハハハハ…ハァーッハッハッハッハ!」

 

◆◆◆

 

深海北方艦拠点基地………

 

『オイテケ……ソノクビ、オイテイケ…!ヒヒヒ!』

 

北方棲姫の妹的な存在、北方棲妹は海で拾った人形の首をもいだり腕を引っ張ったりとサイコな行動をしていた…

 

『北方妹マジパネエ』

 

『誰ダヨ、コイツ連レテケトカ行ッタノ』

 

北方棲妹!生まれた時より深海少年院を出たり入ったりする生粋の問題児!その凶暴性は群を抜いており、喧嘩・恐喝・無免許暴走・ドラッグ!おそらくは殺人以外の悪い事はすべてヤったと噂されており、深海きっての純粋な悪のエリート!

その凶暴性からチームの和を乱す存在とし、深海棲艦の大物!中枢棲姫から深海少年院ではなく最近はスニオン岬の牢獄に幽閉されていたのだが………その悪魔が!今、解き放たれたのだッ!!

 

『オイ、オマエ話シカケロヨ』

 

『ヤダヨ、ツ級、オマエイケヨ』

 

『エ?ムリムリ、ゼッテームリ』

 

そんな悪魔の子に率いられたチームのテンションは低い、正直、海軍もヤバイがリーダーのコイツもヤバイと言うのがチームの本音である、本来ならば北方海域の戦いならば北方水姫にリーダーをお願いしたかったが、北方水姫はその尖りまくったファッションのせいで深海基地を出禁になったとかなんとか…

 

『ナァ…サッキカラナンカ変ナ匂イガシナイカ?』

 

『匂イ…?特ニ感ジネーケド』

 

『ソリャソーダ、ホ級!オマエ鼻ガネージャン!ギャハハハ』

 

北方拠点基地に漂う仄かな甘い香り、否、それは薔薇の香気…!香気は段々と高まり、そして、深海棲艦達はさすがにこれは変だと気付いたその時だった…ッ!

 

『グハァ!!』

 

『ナ、ナ級!!ドウシタンダ一体…!ソレニコノ花、ドコカラ…?』

 

『待テワ級!迂闊ニ触ルナ!コ……コレハ!毒薔薇!』

 

『マ、マサカ!魔●薔薇(デ●ンローズ)ノ陣!』

 

北方拠点基地の周囲を包む薔薇の香気の中で、一際眩い輝きを放つ光!それは、まるで獅子の如き黄金の髪をぶわぁっと靡かせていた…!

 

「フッ………ようやく気付いたようね、この戦艦リシ…」

 

『ゲェーッ!!オ、オマエハーッ!』

 

戦艦(かませ犬)戦艦(かませ犬)のりしゅりゅー……!!』

 

北方AL海域攻略部隊を率いて現れたのは自由・平等・博愛を謳う自称最強の戦艦、戦艦リシュリュー!

 

「………フーッ、ヒトの名乗りに割り込むとは、やはり美しくないわね」

 

リシュリュー曰く、遥か海軍基地より提督からの勅命を受け海軍に反逆する賊どもに誅を下しにきたと…

 

「提督こそこの地上を守る唯一無二にして絶対の力、その提督に逆らうなら容赦はしないわ」

 

『ナ、舐メヤガッテー!!』

 

『ヨセ!ワ級!オマエデハーッ!』

 

「フッ、敵・艦・発・見、いいでしょう!喰らいなさい、提督直伝………ピラ●アンローズ!」

 

『コ、コレハ…!?黒薔薇、グッ!グワアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

『ワ級ーッ!!』

 

グシャァッ!!(ワ級)

 

「フッ、黒薔薇はまるでピラニアが獲物を喰い散らす如く相手をズタズタにする………アナタ程度のザコではこのピラ●アンローズの前では無力、力無き者は死になさい」

 

『ツ…強イゾ、コイツ!』

 

『ナンテ小●宙(コ●モ)、コレガ大戦艦級ノ実力カ…!』

 

「フッ、このリシュリューとアナタ達では神と虫ケラほどの差があるのよ、わかったなら全員まとめ………オゴォ!!」

 

ドゴォン!!(オイテケお腹パンチ)

 

『オイテケヨォー………ナァー?オイテケヨォー…?ナァー?アハ、アハハハハハ!アハハハハハー!』

 

先程まで、特に興味なさげに人形引きちぎり遊びをしていたサイコ妹が突然リシュリューのお腹にパンチをブチ込み、リシュリューは口から光る吐瀉物を撒き散らしながら海面に転がった…

 

『北方棲妹…ッ!?』

 

『ツ、強ェェ…!』

 

悪魔の子………ッ!!あの中枢棲姫が恐れた凶暴性が今、壊れた人形ではなく、艦娘達へと興味を移したのだ!

 

『シタガワナインナラヨォー……ナァ!シタガワナインナラヨォ!!』

 

ドゴォン!!(オイテケお腹キック)

 

「オゴォ!!

 

海面に転がったリシュリューに執拗なキックをブチ込み、ゲラゲラ笑うその姿はまさに悪魔、かつてこれほど凶暴な存在が深海に居ただろうか…艦娘、深海の敵味方の区別なく戦慄していたその時だった…ッ!!

 

『!』

 

北方棲妹は連続お腹キックを止め、周囲をキョロキョロと見回した…!

 

「フン………随分と好き勝手やってくれるな、ガキが」

 

『ナンダァ…?テメー…?』

 

長いコートを風に靡かせ、二人の“同志”を引き連れて現れたそれは、海面に転がるリシュリューを一瞥すると“惰弱な”と吐き捨てる

 

「だが、貴様のカタキはこの私が取ってやろう…」

 

燃える革命!史上、最もアツかりし革命戦艦!!戦艦ガングート!!




次回は②
闘争こそ本性!煉獄こそ故郷(ふるさと)!紅蓮の炎で体を冷やし、還って来たアツき極限革命!
次回、戦艦ガングート!地獄を見た戦士!

君は、小●宙を感じたことがあるか!


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敵戦力牽制!!第二次AL作戦②

前半戦最終海域!悪魔VS悪魔の悪魔の戦い!

【登場人物】

Гангут два (革命軍)
アツい革命戦士、提督とは喫煙仲間

Ташкент(革命軍)
空色の革命戦士、提督との仲は一方的に良好ぅ!





前半戦最初海域、新世代深海棲艦からの刺客!北方棲妹との死闘第2ラウンド!史上、最もアツかりし戦艦!戦艦ガングートが来てくれたッッッ!!

 

そして今!北方海域を舞台に、アツかりし戦いの火蓋が切って落とされるッッッ!!

 

「同志ちっこいの、このキンパツを丁重に弔ってやれ」

 

「了解だ、同志」

 

ガングートはリシュリューを蹴っ飛ばし、タバコの煙を吐き出しつつ不気味に笑う北方棲妹に拳を向けた

 

「見せてやろう、この戦艦ガングートの真の力を………ドロッドロに燃え滾るアツい熱血革命を!」

 

こうして幕を開けた同志ガングート&同志タシュケントによる革命師弟コンビと北方棲妹&集積地の陸上殺法コンビのタッグマッチ!まずは飛び出したガングートが集積地の顔面に浴びせ蹴りを喰らわせたッ!!

 

『イタイ!ヤメロォ!』

 

「まだまだァ!!」

 

さらに集積地の身体を持ち上げ、垂直落下式ブレーンバスターで海面に叩きつけるッ!!

 

『ウッギャアアアアアアアアア!!イタァイ!!ヤメロォ!ヤメロォ!!』

 

いきなりの大ダメージに海面を転げ回る集積地に、ガングートはさらなる打撃を加えようと飛び上が…

 

『死ネェ!!』

 

「ぐぼぉ!?」

 

北方棲妹のスピーディーなカットにより、ガングートは海面に転がった

 

「チッ…!なかなか、ヤる!」

 

◆◆◆

 

梅雨模様を隠しきれずにいる六月の執務室…

前半戦のファイナルぐらいキチンと見るかと執務室のテレビで中継を見ていた俺はタバコに火を点けて指をパチンパチンと鳴らした…

 

「コーヒー二杯ですか?」

 

「誰がテメーのクソマズコーヒーなんか淹れろって言った」

 

「失礼な、何がクソマズコーヒーですか」

 

五月雨は冷蔵庫からアイスコーヒーのパックを取り出しグラスに注ぎ、俺の机に置いた

 

「あ、貰い物ですけどシュークリームありますよ、食べますか?」

 

「食べりゅー」

 

「…………キモっ」

 

「失礼な、誰がキモいだ」

 

まぁ、我ながら若干キモいなとは思ったが…

とりあえずアイスコーヒーを飲みつつ、皿に出されたシューを口に放り込むと、中継先の画面でガングートのヤツがパイプ椅子であんなチンケなプロレタリアートでこのガングートにケンカを売ろうなど10年早いぜーッ!とか言いながら集積地を殴打していた…

 

「フーッ~…大した革命だな」

 

「そうですね、あ、タシュケントさんにタッチしましたよ」

 

「タスケくんか…」

 

旧ソが産み出した生粋の殺戮機械(キリング・マシン)、タスケくんはパイプ椅子アタックで疲れてハァハァするガングートと替わってリングインすると、ニーンと笑いながら背中から金属バット的なものを取り出し…

 

『ウラァァァァァァァァァ!!』

 

『ウッギャアアアアアアアアーッ!』

 

………集積地を殴打した

 

「…大した革命だ」

 

「革命ってなんでしょうね…」

 

◆◆◆

 

タッグパートナー集積地を惨殺され、北方棲妹は内心とても焦っていた………タイマンなら絶対負けない自信があるが、さすがにこの状況はあまりにも不利…ッ!

 

「どうかしたかい?来なよ、ちっこいの」

 

『クッ…!』

 

「それともビビってるのかい?ねぇ?ビビリくん?」

 

『ダ……誰ガビビリクンダッ!クソッ!死ネェ!!』

 

タシュケントの煽りに対し、煽り耐性ゼロの北方棲妹は低空からのタックルを仕掛けるッ!………がッ!!

 

「ウラァァァァァァァァァ!!」

 

『グヘァ!?』

 

低空タックルにタイミングを合わせた膝をモロに被弾!!北方棲妹は顔面を抑えて海面をゴロゴロと転げ回るッ!

 

『フーッ…!フーッ…!!』

 

ヤバイ!!コイツはマジでヤバイ!幼少より深海少年院を出たり入ったりし、巷では悪魔の子と呼ばれて恐れられてきた自分がまるで手も足もでない…ッ!あってはならないのだ……!無敵であるハズの自分が無様に負けなどあってはならな…

 

「死ねよ」

 

『!?』

 

タシュケントのまるで躊躇すらない顔面狙いの踏みつけ!!普通なら躊躇する…ッ!だが………コイツにはそれがないッ!まるで名前も知らない虫を踏み潰すかの如く躊躇なくヤる!

 

「………避けるなよ、同志テイトクーからオマエを潰せって言われてるんだからさぁ」

 

今まで何の感情も感じられなかったタシュケントはイライラするなぁ…と言いながら背中から金属バットを取り出した

 

『コノ悪魔メ…ッ!!コノ悪魔メェェェェェ!!』

 

…………タシュケントが基地に配属されて間もなくの頃、ガングートは提督にこう話をした…

旧ソが完成させた殺戮機械(キリング・マシン)タシュケント、高速+、4スロット、感情欠落、この3つがある限り、タシュケントに敗北はない!と…ッ!!

 

◆◆◆

 

「惨殺したな」

 

「惨殺でしたね」

 

中継先のカメラ持ってる阿武隈がやりすぎだよォ!と言ってカメラがブレブレになる放送事故になったが、どうやら戦いには勝ったらしい…

 

「帰ったら誉めてあげたらどうですか?きっと喜びますよ、タシュケントさん」

 

「そうだな、角砂糖でも投げてやるか…」

 



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五月雨と由良と遠慮のない話

酒と女とママと昔話

【登場人物】

五月雨(駆逐艦)
通称青髪ロング子、コーヒーマズく淹れるドジっ子属性、絶壁

由良(軽巡)
通称由良さん、五月雨とはほぼ同期、提督の苦しむ顔を見るのが好きな真性ドS、絶壁

鳳翔(ママ)
通称ビッグママ、あのチンピラ一航戦も頭が上がらない空母界の頂点に君臨するNo.1空母


基地施設内にひっそりと存在する夜の店、倶楽部HO-SHOW…

 

「ギャハハハハハ!聞いてくれよママー、ボク今日パチ●コで勝っちゃってさぁー!いやぁー、やっぱあの台で粘って良かったよー、ま、粘り勝ちっーか?俺の読みが当たったっーかー?ギャハハハハハー!」

 

「ウェーイ!テイトク、ウェーイ!」

 

「テイトクテイトク、14ボトル入れていいかなー?」

 

『『『いいともー!』』』

 

現在、海軍では重要な海域作戦が展開中であるが、そんなものは知った事ではない、大人は時に、酒に浸りたい夜もある、酒に酔い、女に酔い、金を撒く、大人とはそうして明日からまた頑張ろうと心に秘め、明日への活力とするのだ…

 

「うるさいんだよアンタらッ!もーちょい大人しく飲めないのかい!」

 

「ウェーイ!ママ、ウェーイ!」

 

「ママー!ボトルー!ピンロゼー!」

 

…たまたま手にした臨時収入、楽しい酒の席では外せないお気に入りの娘であるポーラと14をライトとレフトに並べ、時折ポーラのおっぱいや14のフトモモを撫で回すその姿たるや………まっことクズっ!クズ…っ!救えない…っ!

 

「ギャハハハハハハハハー!ママー!おっぱい大きい娘いねーの?おっぱい大きい娘!キンパツ巨乳とかさぁー!」

 

「フーッ〜………あ、もしもし?サミーかい?アンタ暇なら今から店に来な、オレンジジュースならあるよ」

 

「オイオイママァ、夜の店に駆逐艦呼んじゃダメでしょ?手が後ろに回っちまうぜ?」

 

ビッグママこと鳳翔は電話をカウンターに置くと焼酎の瓶を棚から取り出し、グラスに注いだ…

 

「まったく、チョーシに乗るんじゃないさね、ボーイ」

 

「ボーイはやめてくれよ、ボーイは」

 

◆◆◆

 

「フーッ〜………ようやく静かになったさね」

 

「そうですね」

 

ママから呼び出しを喰らい、倶楽部HO-SHOWへ行く途中、由良さんと会い、どこに行くのか聞かれ特に隠す必要もないのでママの店に行くと答えると、由良さんは暇だからと言って一緒に付いてきた…

 

「あー…あー、由良の服汚れちゃったー」

 

血に濡れたボトルを片手に、カウンター席に戻ってきた由良さんはイチゴサンデーを注文しつつ私の隣に座った

 

「サミーは何にしたの?ね?」

 

「オレンジジュースですけど?」

 

「ふ〜ん」

 

とりあえず、由良さんの頰についていた血痕が気になるので、手元のおしぼりを由良さんに渡し、頰のところを指差してやった

 

「ありがと、珍しく気が利くね?ね?」

 

「そうですか?」

 

そう言って由良さんは私のオレンジジュースを手に取ると普通にグラスに口をつけた

 

「ママー、やっぱサイダーないー?サイダー」

 

「あと私の分のオレンジジュースもう一杯ください」

 

由良さんはやっぱ身体を動かすとアツいわーとか言いながら無い胸張ってシャツの襟をパタパタと動かしている…

思えば由良さんも昔から胸の無い人だったが、近年はすぐ下の妹さんが急激な成長をしたので希望と同時にイラつきを覚えているそうです…

すぐ下の妹に胸の大きさを負けてるぐらいでイラつくなんて心の狭いコトだ、人間、あぁなってはいけませんね

 

「ちょっと絶壁って言われたぐらいでやりすぎじゃないんですか?」

 

「はぁ…?由良のコト舐めてんの?」

 

私達の背後にあるボックス席には今、3つの死体がソファーで眠るように転がっている………いずれも半裸の若い男女、いや、男は若くはないかも…?まぁ、その男は頭から血をドクドクしているがたぶん大丈夫だろう

若い女、1人は外国人で非常に酒臭く、こうやって黙っている姿だけなら誰もが目を奪われる美少女と言っていい

もう1人も見た目だけならとても快活そうな美少女だが、何故か着ていたものが水着な点がなんとも犯罪臭を漂わせている…

 

「由良は心が広いから絶壁は許すけど、嘆きの壁は許さない」

 

「あ〜…嘆きの壁は許せませんね、たしかに」

 

「ね?」

 

それはこの男が悪い、うん、悪いですね、あと、由良さんは全然心広くないですけど?ママが入れてくれた私のオレンジジュースに手で握り潰したアーモンドをパラパラ入れてるんですけど?

 

「ナニやってるんですか?それ?」

 

「絶壁サミーちゃんの為に優しい由良さんがトッピングしてあげてるの」

 

「………ハァ?」イラッ

 

優しい由良さんの心尽しにとりあえず口で感謝し、お返しにと由良さんのサイダーに握り潰したカントリーマ●ムをパラパラとトッピングして返した

 

「…ナニ?由良にケンカ売ってんの?」ユラァ〜…

 

「売ってませんけど?」

 

互いに射程は必殺の距離、先に動いた方が…

 

「フーッ〜…由良もサミーも仲良くしな、アンタら昔は仲良しだったろ?」

 

「ママ!………いやいやいや、別に仲悪くないし!ね?」

 

「そうですよママ」

 

「ハァ…まったく、あの頃は一杯のスープを分け合うくらい仲良しで愛嬌もあったのにねぇ、全部そこのボンクラに悪い影響受けたせいさね」

 

そう言ってママはカウンターの奥にしまってあったらしい1枚の写真を取り出し、懐かしそうに眺め始めた…

 

「それいつの写真?」

 

「まだアンタらがお互いに足の引っ張り合いだの髪の引っ張り合いだのに毎日揉める前さね、この頃は可愛げがあったねぇ」

 

まぁ、そう言われると、たしかに昔は由良さんともうちょい仲良かったような気が………提督と由良さんがしょーもないコトで揉めて、それを私が止めようとしてお腹パンチ喰らって………あ、思い出したら腹立ってきた

 

「フーッ〜………ま、仲良くしな、仲良く、サミーも由良も、そこに転がってる死体だけじゃない、みんな大事な私の家族さね」

 

「…まぁ、ママがそう言うなら、ね?」

 

「ママに言われたら仕方ないですね」

 

私達は何年ぶりになるだろうか、お互いに手を握り…

 

ギリギリギリギリ!(握手)

 

「………由良さん、それ思考力のツボですよね?」

 

「…サミーこそ、それ提督がやってるアレでしょ?なんちゃらの悲劇」

 

「アンタら、いい加減にしないさね」





次回はたぶん第四海域、帰ってきた深海の大物!中枢棲姫!


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第二次ハワイ作戦①

後半戦突入!戦慄!中枢棲姫!

【登場人物】

中枢棲姫(粋)
深海棲艦の大物と噂されているオーラがパナイ姫級
見た目が超怖く、どちらかと言えば寡黙で言葉は少ないタイプなせいか、放つ言葉には重みと説得力がある

二航戦(チンピラ)
空母カースト二位、閻魔の一航戦に次ぐ鬼の二航戦コンビ


「中枢棲姫…ッッッ!!ヤツがいるだと…?それは真実(まこと)であろうなーッ!」

 

黒檀の執務机を両手で勢い良くダァン!した俺は五月雨から受け取った書類を改めてマジマジと読む、たしかに、この先の海にはあの怪物が……かつてハワイ周辺でアイオワを血祭りに上げていた一目で尋常ではない深海棲艦とワカるオーラを持つ深海棲艦、中枢棲姫が待ち受けていると情報が記されていた…

 

「マジ寄りのマジらしいですね」

 

「ナニがマジ寄りのマジだ、舐めてんのかテメーは」

 

まぁ、たしかに次なる作戦海域はハワイ島周辺、深海棲艦どもの根城が近いと噂されているだけはあるのでヤツが現れても不思議ではないか…

 

「とりあえず、現在わかっている情報ではまずは空母機動部隊から攻め、本命の水上部隊で叩くと言った感じの戦いになりそうです」

 

「…ふむ」

 

空母機動部隊となるとヤツらの出番か、そういや、たしか前に加賀のヤローが赤城が遂に純粋種として覚醒したとかなんとか言ってた気がするが…

 

「まぁいい、サミング、チンピラ空母どもに今すぐ出られるよーに肩作っとけと伝えておけ」

 

「わかりました、あと、五月雨です」

 

◆◆◆

 

深海から現れる人類の天敵!深海棲艦ッッッ!!

未だ謎多き存在であるこの生物の生態や目的は解っておらず、今日も世界のどこかで有識者達が研究していると言う…

 

そんな謎多き存在、深海棲艦の中でもおそらくは最上位種ではないかと噂されている者が居る………かつて一度、太平洋ハワイ沖に現れた今までの深海棲艦とは別格のオーラを持ったマジパナイ存在、その名も中枢棲姫ッ!!

 

有識者達や研究者達の間では彼女こそ深海棲艦の中心的存在ではないか、もしくは、深海棲艦の“王”に近い存在なのではないかと説が広く囁かれているが、その真偽は未だに明らかになっていない…

 

『………ドウヤッテキタァ…?ドウヤッテ…』

 

前半戦を突破し!豪傑どもがひしめく後半の海!第四海域!北太平洋ハワイ諸島戦域!深海太平洋中枢泊地占領司令部を率いるのは深海棲艦の中でも最高に硬派で、そのオーラはメチャシブイと皆からリスペクトされている最高に“粋”な深海棲艦!中枢棲姫…ッ!!

 

『クク…中枢棲姫クンノオ出マシダゼーッ!』

 

『今日ガ奴ラノ命日ニナルゼーッ!』

 

『ウォーッ!中枢棲姫!中枢棲姫!中枢棲姫ーッ!』

 

『C H U S U!中枢!ハイ!ハイ!ハイ!VICTORY!VICTORY!』

 

中枢棲姫出陣に、最高にテンショMAXなチームはアツい中枢コールをあげてチームの士気を上げていた…

 

あの中枢棲姫クンとチームが組める、一般的な深海棲艦はそれだけで名誉な事であり、チームの発表があったその夜はイ級もツ級も嬉しくて遠く離れて暮らす両親に喜びの連絡を入れた…

 

『来タゾォー!海軍ドモダァー!』

 

『野郎共!海軍ヲ滅セーッ!』

 

そして中枢棲姫率いる深海太平洋中枢泊地に対するのは………

 

「おーおー…深海のゴミクズどもが群れてらっしゃる」

 

「あれ、全部死刑で良いんだよねぇ?」

 

最凶最悪の代名詞!南雲機動部隊のカンバンを背負った悪名高き二頭の龍ッッッ!!二航戦の飛龍と蒼龍!

その鬼畜を超えたヤンチャぶりは深海棲艦を震え上がらせ、何度となく平和な海を地獄を変えてきた事から、深海手配書(ビンゴブック)にはS級の危険度で登録されている…

 

「よぉーし、どっちがいっぱい殺るか競争しよーぜ、競争、負けたらチョコレートパフェ奢れよ」

 

「ハァ…?ヒリュー、オマエそー言っていっつも!奢らねーじゃん?なぁ?なぁ?ヒリュー?なぁ?」

 

「っせぇな、ブチブチ文句タレんな、乳タレてんぞ」

 

「タレてねーし」

 

凶悪なる二頭龍、しかし!深海手配書にはさらに危険度を増す注意書きが記されている…ッ!二頭ではない、ヤツらはたまに三頭の龍になると!!

 

「オイ、ウンリュー、オメーいつまで握り飯食ってんだコラ?オメーも参加しろよ?」

 

「アイツら全員潰すぞ、あ?ワカってんのか?なぁ?ウンリューちゃん、なぁ?ウンリューちゃ〜ん?」

 

握り飯を食べつつ蒼龍から乳をタプタプされていた雲龍は握り飯を包んでいたアルミホイルを海に捨てるとやる気なさげに杖を手に取った

 

「わかってますよセンパイ、殺ればいいんでしょう?殺れば」

 

「そーだよ!その意気だよオマエ!な?たまには働いて可愛い妹達に良いモン食わせてやれ!な?」タプタプタプ

 

「だぜ、オマエんトコのほら!えー…なんだっけ?下の妹、アイツガリガリじゃん!」タプタプタ

 

飛龍と蒼龍に両サイドから雲龍の乳をタプタプし、よっしゃ!どのみちロクなヤツらじゃねーんだ、殺るぞー!と気合を入れて雲龍の背中を叩いた

 

「痛い!!」

 

深海太平洋中枢泊地部隊に緊張が疾る!!

二航戦(ドラ●ン・W・ブレイカー)+1による凶悪の三つ首龍の必殺!ドラ●ン・T・ブレイカーの陣形(フォーメーション)!!

 

『アノ陣形……全員警戒シロォ!』

 

『ワカッテルゼ!陣形ヲ組メ!練習通リダッ!』

 

『ナニガどらごんジャア!深海舐メテンジャネーゾォ!』

 

◆◆◆

 

「フーッ〜……始まったか」

 

サミーの淹れたクソマズコーヒーを飲みつつ、角砂糖をガリガリしながら執務室のテレビで現場の中継を見守る提督の鑑

 

「相手もなかなかやりますね、水上と陸上、ついでに小鬼も交ぜる絶妙に鬱陶しいバランスですか…」

 

「サミダリューン、卿ならどう攻めるか?」

 

「さぁ…?とりあえず勝てませんね、今は」

 

「カッカッカ!こやつめ!言いおるわい!カッカッカ!」

 

今は、か………まぁ、たしかに今の現状の部隊では厳しいのも事実、だが、この戦いの本命は水上部隊にあるッ!

 

見せて貰おうじゃないか、新しい赤城の性能とやらを!



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第二次ハワイ作戦②

北太平洋炎上!地獄の門が開く時!

【登場人物】

集積地棲姫(ゲーマーレベル20)
辛いものは好きだが食べすぎてア●ルがヤバい日も多々ある

比叡&霧島(金剛姉妹)
金剛姉妹の次女と四女、この世のなによりも長女を崇拝している


深海太平洋中枢泊地部隊VS海域攻略空母機動部隊!

 

『深海舐メテンジャネェゾォ!オラァ!!』

 

『飛行場ォォォ!!ソウカ!飛行場ノ対空カ!助ッタゼーッ!』

 

『“覚悟”ッテンナラヨォー……オマエラヨリオレラノホーガ出来テルッテコトダゼーッ!!』

 

稀に見る激戦、攻略中にはただの一度もS勝利を与えないと言う深海棲艦チームの気高き“覚悟”ッッッ!!まるでダイヤモンドのような輝きと高潔さすら感じずにはいられないその姿はまさに母なる海の守護者!この地球が作り出した青き生命の源を守護(まも)ると言う確かな“意思”!!

 

『ヤッタァ!アイツラ!尻尾ヲ巻イテ逃ゲテイクゾォー!』

 

『二度ト来ルンジャネーゾ糞ヤロードモメェーッ!』

 

『勝ッタ!守護リキッタンダ…!コノ海ヲ!ヤッタンダ!』

 

最凶最悪のカンバンを持つ強敵!凶悪性能を誇るドラ●ン・T・ブレイカーの猛攻すら耐え抜き、深海棲艦達は海軍空母機動部隊をついに追い払った、そう、この海は無事守護(まも)られたのだ…

 

『…ヘヘッ、オレ、深海ニ帰ッタラ部屋ニ引キコモルンダ…!げーむバッカシテンジャネーヨッテ空母オバサンカラ小言言ワレルノ悪クナイカモナ…アツアツノ麻婆春雨モ食イテェ!クック●ゥジャネェ!ハルサメチャンノ作ッタ本物ノ麻婆春雨ダ!』

 

今回、前半海域からワリと悲惨な目にしか遭っていなかった集積地棲姫はまるでイタズラっ子のように鼻の下を指で拭って笑った

 

『…マダダ、マダ油断スルナヨ、オマエタチ…』

 

空母機動部隊を退け、勝利に沸く中枢泊地部隊のメンバー達………しかし、チームのリーダーである中枢棲姫だけは浮かれる気持ちはわかるがまだ警戒は怠るなよと冷静で的確な指示をメンバー達に伝え…

 

『!』

 

『ナ……ナンダコノ矢?ドコカラ…?』

 

『オ…オイ、集積地ハ…?集積地ハドコダ?アイツハサッキマデ…』

 

どこからか飛んで来て、海面に漂う木に刺さった矢…

その、突然にして不気味な状況に、中枢棲姫は即座に反応し、チームに警戒しろォ!!と声を荒げると同時に、お腹に内火艇が突き刺さった集積地棲姫が海面に転がっている姿があったッッッ!!

 

『』死ーン

 

『シュ……集積地ィィィィィィ!!』

 

『バ……バカナ、コンナ……』

 

『オソラクハ一撃ダ、集積地ハ悲鳴ヲアゲルコトナク、一撃デ……』

 

動揺するチームの中で、中枢棲姫は考える…

どうやら自分達はとんでもない勘違いをしていた……

あの空母機動部隊は自分達を倒す為にやって来たワケじゃあない、こちらの戦力を確実に“削る”為に来ていたのだ、思えばヤツらは残忍で狡猾だが今までの戦いに“必死”さが感じられなかった、確実に殺すという確かな“覚悟”が!

 

そして今!我々が“戦力”が“削れた”と判断したのか、確かな“殺意”を持った“本隊”が姿を現したのだと…ッ!!

 

「赤城さぁ〜ん、アイツらマジビビってますよォ〜」

 

「さぁ〜…今日もケチョンケチョンに負かしてやりましょうかねぇ〜」

 

“純粋種”として覚醒した真の正規空母、赤城率いる水上攻撃部隊…ッ!!

赤城は噛んでいたチューインガムをプッと海に吐き出すと同時に基地航空隊がゴキゲンなエギゾーストを響かせて飛ぶ、それが攻撃の合図であった…!

 

ーーー

 

この戦い、自分は手を貸さない

 

出陣の前、金剛姉妹は自身ら姉妹専用の寮である天動宮にて長女である金剛から衝撃の言葉を、それと同時に比叡、そして霧島が自分の代わりを務めよと…

 

「し、しかし姉者…!金剛の姉者は新しい力を手にしたばかり…!」

 

「そうです!その力、存分に振るう良い機会なのでは…」

 

「No、バカを言っちゃいけまセーン…」

 

長女金剛曰く、この力はあくまで“ヤツ”を討つ為の力、正直、中枢だろうがなんだろうが今は興味がないと…

一撃必殺、その先を目指す拳の求道者金剛…

ロードワークに勤しんだり、読書をしていたり、食事をしていても“あいつ”の事が頭から離れない……

 

「しかぁ〜し、ワタシも可愛いシスターズの為にならワタシの力を少しだけ貸してあげマース」

 

「こ…コレはッ!?」

 

金剛は自らの艤装から主砲をもぎ取り、それを比叡へと手渡した

 

「35.6㎝連装砲改二ッッッ!!バカな!これは姉者の、姉者だけの…!」

 

「エンリョはいりまセーン、比叡」スマーイル

 

「あ……姉者ァ…」ポロポロ…

 

さらに、金剛はもう一つの主砲、35.6㎝連装砲改を霧島に手渡しナイスファイトを期待していると肩を叩いた

 

「姉者ァ!金剛の姉ェ…!!」ポロポロ…

 

「二人とも泣くのはドンクラーイ、ワタシの可愛いシスターズ…いつまでも姉っ子じゃ笑われちまいマース、そして行きなサーイ、ダレに喧嘩を売っているのか、ゴミどもにわからせてやりなサーイ」

 

………こうして比叡と霧島はこの世の何者よりも偉大で、尊敬する長女から力を貸し与えられ、この海域へとやって来たのだったッッッ!!

 

ーーー

 

「死ねッッッ!!インテリジェンスモンスターパワークラッシュ!」

 

『ドヘァ!!!』

 

霧島の猛攻の前に、飛行場は海上に激しく叩きつけられた

 

「なんて知性溢れるネーミングなんじゃあ!」

 

「グム〜…言葉の意味はよくわからんが、とにかく凄い技だのう」

 

水上攻撃部隊VS太平洋中枢泊地部隊の戦いも既に最終ラウンドに突入し、残る中枢棲姫と飛行場姫のタッグと比叡と霧島のタッグは飛行場姫を撃破していた…!

 

「残るは〜………テメーだけだぜぇ〜……中枢棲姫ィ?」

 

『フタタビココニ…タドリツイタノカァ…?キサマラガ!!』

 

比叡と既に多くの仲間を喪いブチギレ状態の中枢棲姫、二人の距離はもう互いに必殺の間合いに入っているッ!!シンプルに言えば、先に相手の身体に拳を叩き込んだ方が勝つ必殺必死の射程範囲ッ!!

 

『イイダロウ……スベテヲシズメテヤロウ、ナンドデモ……ナンドデモ、ダッッッ!!』

 

先に動いたのは中枢棲姫!しかしッ!!

 

「見えてるぜーッ!!テメーのそのトロくせー動きはよォー!!」

 

中枢棲姫必殺の拳を避け、懐に入り込んだ比叡は長女金剛より借り受けた力を、その拳に乗せて中枢棲姫の身体に叩き込み、撃ち抜いた!!

 

『ゴハァ……!!バ…バハァ!!』

 

「ヒェーッ!!」

 

さらに比叡は中枢棲姫の身体を空中に放り投げて掴み、急降下を開始ッッッ!!

 

「死ねッッッ!!金剛の姉直伝!!提督奈落落としーッ!!」

 

所謂、キン●ドライバーの形で海面に叩きつけられた中枢棲姫は激しく吐血し、倒れ……ない!立つ!それでもなお立ち上がる!

 

『………』

 

「バカな……こやつ!不死身とでも言うのか!」

 

「いえ、姉さん待ってください…」

 

あまりの不死身ぶりに狼狽える利根に、筑摩はよく見てくださいと言った………もう死んでますよ、と

 

「な…なんと」

 

「恐ろしい執念……やはりタダの深海棲艦とは違うのでしょうか…」

 

中枢棲姫は倒れる事なくゆっくりと足元から沈み、ブクブクと気泡を残して消えてしまった…

 

「しかし勝ちは勝ちです」

 

「えぇ、私の計算通りでしたね」

 

 

こうして、北太平洋ハワイ諸島攻略戦は無事に終了したが………それと同時に、この海の南東沖に謎の穴が出現するコトとなった



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波濤の先に―

イベント終了お疲れ様ァ………ギリ、ギリ間に合った感でセーフで

【登場人物】

太平洋深海棲姫(太平洋)
太平洋の名を冠する長ったらしい名前の姫、海の仲間達と心を通わせる能力、シー・パラダイスがあるとかないとか…

長門(鉄の城)
今回のフィニッシャー、鉄拳すぎてウソだろオイとコーヒーこぼした


北太平洋ハワイ諸島南東沖に確認された不気味な謎の穴…ッ!そしてその穴の周囲に陣取るように現れた深海棲艦の精鋭達!人類と深海棲艦!最終ラウンドのゴングが鳴る…ッッッ!!

 

『ノコノコト……ヨクキタッ! …ウレシイゾッ!ワタシノスベテデ!カンゲイ…シヨー…カッ!』

 

立ちはだかるのは深海太平洋深淵任務群旗艦艦隊!その精鋭達を率いるのは巨大な海の生物を連れた白い人!太平洋深海棲姫ッ!

 

巨大な白鯨っぽい生物を連れた迫力満点のその姿たるやまさしく一軍を率いる深海の将に相応しき存在!その太平洋深海棲姫に相対するのは………

 

「うわ、デカいわねぇ…」

 

巨大な白鯨っぽいものにスマホのカメラを向けてパシャパシャと撮影する女、長き沈黙を破り、帰ってきた伝説の修羅!陸奥…ッ!!

 

「フッ、なるほど………これほどの海獣を従えるとは、これがヤツの能力か」

 

陸奥と並び、腕を組んで何かわかったようなツラをしてフッと笑う女、ステゴロならば誰にも負けないッ!!超A級戦艦が来てくれたッ!!戦艦長門だッ!!!

 

長門、そして陸奥率いる連合艦隊には今回がデビュー戦となるジョンストンを含むアメリカ、スーパーポ●スアカデミーからの刺客達も居るが、血気逸る彼女らに、まずはこの私が行こうと長門が前に出た…ッ!

 

「さぁ、開始めようか…」

 

『フッ、ナマイキナ…ワタシニ勝テルトオモウノカ…!』

 

太平洋深海棲姫はお供の白鯨っぽい生物にあのオロカモノをグチャグチャにして海にバラ撒いてやれッ!と命じると、白鯨っぽい生物は唸り声をあげて飛びかかって来たッッ!!

 

『GYAAAAAAAAAAAAAAS!!』

 

「フッ…」

 

これまでにない規格外のモンスターサイズ!!この重量差はあまりにも不利ッ!これほどの質量のタックルを喰らってはひとたまりもない!

 

………ですが、これは戦艦長門のハナシですよね?

 

当時その場に、連合艦隊の一員としてこの戦い同行していた空母サラトガは後に我々に語った…

 

ナガトですか?えぇ、はい、避けませんでしたね、はい、そんな素振りはまったく見せず、むしろ最初から正面から受け止める気満々でしたよ、えぇ…

 

え?潰れたと思ったか?ハハハ…ないない、ありえませんよ、えぇ、あの場の誰1人………あ、Johnだけはキャーキャー言ってましたけど、まぁ、あの子はまだ知らなかったんですよね?

 

え…?あぁ、アハハハ……そうですね、まさかあのBIG SIZEにGerman Suplexをキメるなんて発想はなかったですね、えぇ、投げたんですよ………そう、おもいっきり、えぇ、たぶんあのMonsterも自分がナニをされたのかすら理解できなかったでしょうね、まさか投げられるなんて…

 

「死ねェェェェ!!!」

 

『GYAAAAAAAAAAAAAAS!!??』

 

海面に脳天から激しく叩きつけられ、白鯨っぽい生物はその衝撃で意識を失い、ピクピクしていた…

 

『………マジカ』

 

◆◆◆

 

本日も晴天な梅雨入りしてない執務室…

 

「………マジか」

 

マジかアイツ、あのモンスターサイズにジャーマンとかもはやアイツの方がモンスターだろ

 

「お茶飲みますか?麦茶ですけど」

 

「あ、あぁ、貰おうか」

 

現場の中継をテレビで見ていた俺と五月雨、どうやらもうゲームは決したと言っていいだろう…

中継の先では長門のヤツが謎の輝きを放ち鋼鉄の6Pack-●ore Wonderとか叫びながらジャンプして巨大な海洋生物にさらなるアタックでトドメをさしている…

 

「さすが長門さんですね、お茶です」

 

「うむ」

 

そういや出撃前、長門のヤツは自信満々にこの長門には陸奥の知らぬ技があるとか言ってドヤ顔していたので猛烈にイヤな予感がしていたが…

 

「まぁ、勝てるならいいんじゃないですか?」

 

「いやだわこの子ったら、勝てばよかろうなどと…」

 

俺は麦茶をグイーッと飲み干し、グラスを机に叩きつけ……ずに静かに置いた

 

「戦いにはエレガントさが必要、そうは思わないかね?サミー」

 

「思いませんね」

 

「ハハハ、ハッキリ言うな、卿は」

 

まぁ、常日頃からこの基地では勝利とは………負かす事、蹴落とす事、つまずいたヤツを踏みつぶす事、ドブに落ちたイヌを棒で沈める事、ぱっくり開いたキズ口に塩をすり込む事、決して美しいことじゃあない、むしろ残酷!と教えているからな…

 

「あ、なんか中継の向こう……なんなジョンタローくんがなんか手ぇ振ってますよ?」

 

「ジョンタロー…?」

 

なんだ、ジョンくんか……たしかに、ジョンくんがキュートに大きく手を振っているが、っーかジョンタローってなんだよジョンタローって、コイツ、ジョンくんになんか恨みでもあ…………あぁ、あるな、そういや

 

◆◆◆

 

『ア……?ア…?』

 

深海エリート、太平洋深海棲姫は混乱していた…

満を持して登板したこの重要拠点海域、生まれついてエリートである自分がこの海域のBOSSを任せられるのは当然、たった一度の今日と言う日を胸ワクワクで待ち、たくさんの海の仲間達からガンバってと祝福されてやった来た…

チンアナゴ、カジキマグロ、クラーケン、みんなユカイで楽しい仲間達だ…

 

今日は記念すべき良き日となるハズだった…

 

それがナニか…ッ!?何故こんなコトに…ッ!?

 

『ナンナンダァ…?ナンナンダァ!!オマエハイッタイナンダァァァァァ!!!』

 

これが噂に聞いていたビッグセブン…!千年、神様に喧嘩を売っていると噂されている戦いの修羅…!?

 

『ムツ…!!』

 

「違う、長門だ」

 

『違ウノカ!?』

 

え…?違うの?これだけ強いんだから、たぶん伝説の修羅かと…

 

「あそこで目ヤニを取っているのが陸奥だ」

 

目ヤニ…?と言うか、睫毛にビューラーやってるあっちが…?え?あっちがそうなの…?ってか今、戦いの最中…

 

「フンッ!!見るがいい……!この長門には、陸奥には知らぬ技があると言うコトをッ!!」

 

飛んだッ!!天高く飛び上がったヤツは激しくスピンしつつ6体に分裂…!?え…?分裂したッ!?さらに、その腹筋から凶々しいビームを放つッッッ!!

 

「アンゴ●モアの牢獄ーッッッ!!」

 

『チョ…!待テヨ!!ナニソレ!?ナンダソレェェェェェェェェ!!』

 

「かーらーのぉー………死ねッッッ!!ローリングサ●ダーストームーッッッ!!」

 

『ウワ……アアアア……アアアアアアアアアアアアアアアアアアーッッッ!!』

 

オ、オーマイガッ!!この、この私が!!ここで!この海で!!コンナヤツニ!バカナァァァァァ!!!

 

ーーー

 

…こうして、北太平洋ハワイ諸島最終決戦は終わった……

PRIDEをコナゴナに砕かれた太平洋深海棲姫は断末魔の悲鳴をあげ、謎の大穴へと落ちて行った…

 

「フン、姫級気取りでチャラチャラしているからだ…」

 

「長門ォー?終わったのー?帰るわよー」

 

「ん?あぁ、そうだな」

 

妹の陸奥は既に帰り支度を終えているらしく、むしろ、来た時よりも美しくなっていた…

長門が妹の後を追うように歩き出すと、後ろから尻を蹴られたようなので振り向いてみると…

 

「…なんだ?」

 

「こんのォォォ!!Abdominal muscle!!なんで倒しちゃうノヨ!?アタシが!このアタシがカッコイイトコ見せられなかったじゃナイ!?」

 

プンスコと怒り、空気読めよタコと英語で罵倒するジョンストンが長門に怒りのファッキンガムをぶつけていた

 

「…すまん、日本語で頼む」

 

「ハァ!?Seriously!?」





次回は反省回、続いて今回の新人面接回の予定です
今回もなんとか無事に、新人を揃って迎えられそうで…


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続続続続続続続続・提督と作戦終了と…

作戦完了回、白露姉妹の闇は深い…

【登場人物】

提督(わからせおじさん)
あらゆるものをわからせる人、乳はモチロン大きい方が好き

白露(わからせ長女)
長女、やや地味

海風(わかっている長女)
長女にして七女、江風や山風曰く、わりと口うるさい


「えー………それでは、今回も無事作戦を完了したと言うワケでミーティングの時間だ、と言いたいところだが~………お前らお待ちかねのお給料の時間だ」

 

壇上からクズどもを見下ろしつつ、用意されたジュラルミンケースにはギッシリと詰まった現金!マネー!キャッシュ!ククク……クズどもめがっ!ここからでも生唾ゴックンなのが見てわかるわい…

 

「えー…まずは今回のMVPチケットランキング1位だが、過去にもなかなか例のない獲得票になった、おめでとう………比叡!」

 

仲間達からの祝福の拍手に包まれ、壇上へと上がって来た比叡に改めておめでとう!とアツく手を握り、ジュラルミンケースから取り出した給料を手渡した

 

「ありがとうございます、しかし………これは私の力だけではありません!」

 

そう言って比叡はこの場には来ていない誰かに深く、深く頭を下げ、それから拍手に応えるように両腕を挙げた!

 

「ウォーッ!比叡!比叡!比叡!」

 

「アンタがNo.1だーッ!!」

 

「アリガトー!感動をアリガトー!」

 

壇上から降りた比叡は仲間達から祝福と共にもみくちゃにされヒエイワッショイヒエイワッショイと胴上げウェーブされながら去って行った…

 

「えー……第2位、霧島クゥ~ン」

 

1位比叡に続いて2位も金剛姉妹!万雷の拍手の中、壇上へと上がってきた霧島にキャッシュを手渡し、霧島もまた、この場に来ていない誰かに頭を下げてから両腕を挙げて壇上から飛び降りたッ!

 

「ウォーッ!!霧島!霧島!霧島!」

 

「キリシマワッショイ!キリシマワッショイ!」

 

…霧島もまた、キリシマワッショイとウェーブに乗って流されて行く、もしかしてアレ、流行ってるのだろうか?

 

「えー…第3位、利根」

 

第3位は利根ッ!筑摩じゃあない、利根である

むしろ4位は筑摩なのだが、たぶんあのお姉さん大好きサイコ妹は姉の為に自分のMVPチケット獲得数を操作していたらしく、今更ながら思い出せば、たまにアイツ、普段はありえないようなエラーをしたりミスをしたりしていた…自分が利根の上には行かないように

 

「ガハハハハハハ!なんじゃ!ワガハイが1番じゃなかったか!ガハハハ!」

 

そして、そんな事情に一切気付いておらず、純粋にバカ笑いしながら壇上へと上がってきた利根はガハガハ笑いながら俺から給料を受け取る………そんな微笑ましい光景を、まるでメガバ●ーカランチャーみたいなゴツいカメラで撮影しているサイコ妹が居たのは見なかったコトにしよう

 

「えー…じゃ、ドンドン行くぞ、ドンドン、では4位」

 

ーーー

 

「えー…最下位、ジョンくん」

 

「I'm not convinced!?なんでよ!?」

 

えー…だってジョンくん、なんかハワイの辺りで勝手にチョロチョロしてKAWAIIアピールして帰って行くばっかだったし…

 

「はい、500円」

 

「…ゴ、ゴヒャク……?エ?ドルじゃないで?」

 

ジョンくんは最後までナットクいかないわー!と言ってゴネていたが、最終的にはサラトガやインピがジョンくんの首筋に注射みたいなのを打ってズルズルと雑に運ばれて行った…

 

「えー…では今回も頑張ったお前らの為にささやかだが酒や食事を用意してある、皆、よくやってくれた!!」

 

既に準備されていた作戦完了恒例のステキな立食パーリーにどいつもこいつも、宴だーッ!とか言いながらハシャギ、料理の盛られたテーブルへと群がるッ!!

 

「ヒャッハー!水だァー!」

 

「オイ誰だ!今アタシの尻触ったの!」

 

「テメー!その手羽先はアタシのだ!ブッコロがすゾ!」

 

………まったく、クズは所詮クズだな

酒や料理に群がり、ついでに殴り合いを始めるいつもの光景…

 

俺はいつものように関わり合いにならないようにミスディレクションを駆使しつつ己の存在を希薄にテキトーなテーブルで料理を取ることにした

 

「さて…どうするかな?」

 

「あ、テイトクだ、ナニ?テイトクもコロッケ食べる?」

 

「…む?白露姉ちゃんか」

 

よく見ると地味に美少女、白露ねーちゃんはコロッケをテキトーに皿に乗せてハイコレと俺に差し出した

 

「地味にありがとう、地味な白露ねーちゃん」

 

「誰が地味よ、ブッ殺すぞ」

 

「まぁ、たしかに……最近は内火艇アタックできたり先制対潜とれたり地味にとは言い難いか…」

 

「でしょ?ほぉーら、別に私地味じゃないじゃん?」

 

「そうだな、訂正しよう………やや地味な白露ねーちゃん」

 

「ブッ殺すぞ!」

 

キィーキィー文句言いつつ掴みかかってきたやや地味な白露ねーちゃんにパイパイ落ち着いてと宥めるように乳を揉むとさらにブッ殺すと言われたが俺は悪くない

 

そんな俺と白露ねーちゃんが醜い言い争いをしていると、テーブルのコロッケを取りに見覚えのあるようなないような誰かがやって来た…

 

「あ、提督………と、白露姉さん、こんにちは」

 

「…誰だコイツ?白露ねーちゃんの友達?」

 

「さぁ?知らない」

 

「ヒドっ………私ですよ、私!海風ですよ!」

 

ハァ…?海風ねーちゃん……?海風ねーちゃんったらアレだろ?たしか改白露型とかなんとかの長女的存在で、あらゆる面で白露ねーちゃんに勝る新型の長女だったハズ…

 

いや、まぁ、たしかに……この白髪、そしてこの一つ上の姉の憎悪を一身に受ける駆逐艦とは思えない乳、特徴的にはたしかに海風ねーちゃん………なのか?

 

「あ、ほら、私最近改装したんですよ、ほら」

 

あぁ、そういやなんかそんなお知らせのFAX見たような…

 

「なるほど、たしかに海風ねーちゃんか」

 

「そうみたいだね、たしかに海風だよ、コイツ」

 

俺と白露ねーちゃんは互いに納得し、新しくなった海風ねーちゃんを改めて見る………前々から駆逐艦とは思えない超肉体だったとは言え、更なる改装にて身長まで伸びた気がするな………駆逐艦じゃないで重巡とか偽って現れたらハッキリ言って即ブチ込む自信があるなオイ

 

「どうですか?」

 

「どう?と言われてもな………白露ねーちゃん、なんかカッコいいコト言ってやれ」

 

「ハッ!アンタなんか全然っ!長女的存在じゃないんだからね!イチバンはアタシ!アンタは下!わかったらそれ以上こっちに来るんじゃあない!」

 

白露ねーちゃんはビシッと海風ねーちゃんに指さしカッコいいコトを言ってみた………そして、俺はそんな白露ねーちゃんの肩にそっと手を置き…

 

「海風ねーちゃんの前に、お前の光は淡すぎる」

 

「ヒドっ!!?」

 

ーーー

 

新旧長女対決の悲惨な場を後にし、テキトーなおつまみ盛り合わせと飲み物だけを持って体育館の外へやって来た俺は胸ポケから取り出したタバコに火を点けた

 

「フーッ~………そろそろ梅雨かねぇ」

 

「お疲れ様です」

 

「よぉ、相変わらずぬらりと出るな、お前」

 

そして相変わらず一口サイズのミニケーキ的なものを皿に乗せたサミーは俺の隣に腰をおろした

 

「明日は新人さんの面接あるからバシッとした制服でおねがいしますよ、上着は…」

 

「ロッカーの中だろ?知ってるよんなこたぁ、テメーは俺のオカーサンかっーの」

 

「まぁ、念の為ですよ」

 

フン、コイツのこーゆートコがイラつくんだよ、こーゆートコが!

 

「一応、面接は5人の予定で、その内3人が外国の方らしいですよ」

 

「マジか、また外人枠か!」

 







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続続続続続続続続・提督と新人と面接

戦慄!襲来する五大災厄!

【登場人物】

八丈(海防艦)
社会と大人と飴を舐めたガキ

石垣(海防艦)
姉妹の末っ子、ガッキー

Giuseppe Garibald(軽巡)
パスタとアモーレの国から来たピンクヘアー、甘ったれている

Fletcher(駆逐艦)
MAJORの大型新人、大型

Colorado(戦艦)
MAJOR出身のビッグセブン、生まれも育ちもニューヨーカーらしくPRIDEも妙に高い


押忍!オレ、知性溢れるハンサムな提督!今回の中規模作戦も無事に完了し、形だけでも上への面目を保ってる!

そして、そんな中規模作戦も終わった今日この頃、またウチに新たな人員が送り込まれてくるらしい!迫る嵐も追い風に変える!オレんトコに来るのはどんなつえーヤツだ?

 

「とりあえず海防艦の子です」

 

「また海防艦かよ!いい加減にしろよ!」

 

ったく、また海防艦の配属かよ…なんなんだ?既にこの国は子供を戦場に送り込まざるをえないところまで追い詰められてんのか?

 

「しかも2人いるので、2人まとめてでお願いします」

 

「2人もいるのか…」

 

…まぁ、配属されたものは仕方ないと半ば諦めムードが漂う中、青髪ロング子は扉の向こうに次の方どうぞーと声をかけると、なにやら小さいのが入室してきた…

 

「あたし八丈!占守型の海防艦ね!」

 

「占守型海防艦の石垣です」

 

「ほぉ…占守型」

 

占守型っーとアレか?あの世の中と大人を舐めたクソガキシムくんのキョーダイっーワケか?なるほど、たしかに似ている………世の中っーか、飴を舐めてるが、まぁいい、とりあえず最初からガツンと言ってやるか、ガツンと!

 

「俺がこの基地で最も偉い絶対支配者の提督様だ」

 

「知ってるよー、しむ姉ぇがメガネって言ってた」

 

大事な大事な面接の場だと言うに飴をベロベロ舐める……えー…どっちだったか?えー…八丈クンか、そう、八丈クンか、随分と舐めた態度だなオイ

 

「八丈クン、とりあえず今は面接中だ、飴舐めるのヤメよーか?」

 

「えー!」

 

明らかに不満そうに文句タレる八丈クン、まったく…俺が心の広い大人じゃなかったら既にこのクソガキに問答無用のビンタして執務室から叩きだしていたところなのだよ…

 

だが!真の教育とは!まずは注意を促す、ビンタはそれからだ!そうですよね!香取先生!

 

「ほら…ハチ姉さん、やっぱり怒られた…」

 

そして八丈クンともう1人の方、えー……なんだっけ?

 

「えー!ガッキー大丈夫って言ったじゃん?」

 

「…言ってない」

 

ガッキーくんな、ガッキーくん、そう、ガッキーくん

シムくんの妹にしては珍しくマトモに…いや、クナくんもマトモか

 

「あ、そーだ!」

 

八丈クンは何か名案を思いついたように手を叩き、俺の座る執務机の前までやって来ると、手に持っていた棒飴を俺の口に突っ込んだ…ッ!

 

「おごぉ!?」

 

「コレでテイトクもキョーハンね!あ、大丈夫だよ、あたしお菓子いっぱい持ってるからそれあげるね!」

 

満面の笑みを浮かべ新たなお菓子を取り出し、ガッキーくんにも棒飴を押しつける八丈クン、なるほど……どうやらこの子はきっと悪い子ではないのだろう、バカな子なだけで…

 

「………」ガリガリガリガリ!

 

「あー!!なんで噛み砕くの!?」

 

俺は棒飴を噛み砕き、口に残った棒をペッと吐き捨てた

 

「マズいな、毒にもクスリにもなりゃしねぇ…」

 

「あ、もしかして別のが良かった?じゃ、あたしが今舐めてるこっちがオススメで〜…」

 

あーもう!提督こーゆーナニも考えてなさそうな頭スカスカで今風の子苦手なんだよ!っーかグイグイくるなコイツ!?

 

「いいから!もう面接はいいから!下がりたまえ!ガッキーくん!コイツ連れていきたまえ!」

 

「………ガッキーくん」ニヘァ…

 

「聞いてるかね!?コ・イ・ツを!連れて行って欲しいんですけど!?」

 

ーーー

 

社会と大人と飴を舐めたクソガキ占守姉妹に大人の強さをわからせ次なる面接…

 

「次はイタリアの人です」

 

「イタリアか…」

 

イタリアと言うとアレだな………うん、どのみちロクなヤツじゃなさそうだ、うん、会わなくてもわかる、言葉ではなく心が理解している、そう“覚悟”をキメ、青髪ロング子は次の方どうぞーと声をかけ、扉を開き!新たな仲間が“入門”してきた!

 

「Luigi di Savoia Duca degli Abruzzi軽巡洋艦!Giuseppe Garibaldiだ!」

 

「…はぁ?」

 

「ま、なげーからGaribaldiでいいよ」

 

とりあえず履歴書的な書類を一応確認してみるが、なるほど……クソ長いな、まぁ、本人が短いでいいっーならそれで呼ぶか

 

「えー…ガルバルディくんだっけ?えー?出身はジ●ン?それともティ●ーンズかね?」

 

「Garibaldi!ガルじゃないでガリ、間違えんなよ」

 

「へいへい、ガリバルディくんな、ガリバルディくん」

 

なるほど、ガリバルディくんか……ほぉ、珍しいな、軽巡なのか?俺はまたてっきり重巡かナニかと…

 

「…キミ、軽巡かね?」

 

「そーだよ、最新鋭だぜ!」

 

「へぇ…」

 

さすがはアモーレの国と言うワケか、イタリアやローマ、ザラ姉やポーラにも引けを取らないアモーレバディに提督もアモーレしてしまいそうだよ

 

「さて、では面接だが…」

 

ピロリーン♪(メール)

 

「あ、ちょっと待ってくれ!姉貴からメールだ!」

 

「メールだと…?」

 

ったく、大事な大事な面接をなんだと思ってるんだコイツは?面接の時くらいケイタイの電源は切っておくべきだと…

 

「悪い悪い、で、面接だっけ?」

 

「悪い悪いじゃねーよ、ったく…じゃ、改めて面…」

 

ピロリーン♪ピロリーン♪ピロリーン♪

 

「あ、また姉貴だ!ちょ、ちょっと待ってな!な!」

 

「オイオイオイ、舐めたコト言ってんじゃねーぞコラ?何が姉貴だ、メールの返信なんてくだらねーコトは後にしろよ、後によォ〜…?」

 

「わ……わかったよ」めるめる

 

「だから!メールすんな!舐めてんのかテメー!」

 

「ヒッ…!?ど…どうしよう?テイトクに怒られた、どうしよう?どうしたらいい?姉貴………っと」めるめる

 

ガリバルディくんはメール先である“姉貴”なる存在にメールで意見を求めているらしく、ケイタイを手放そうとしない…ったく、どんだけその“姉貴”ってのが大好きなんだよコイツ、できてるじゃあないのか?

 

「あ、謝る!そうか!さすが姉貴だ!やっぱ姉貴はスゲーや!よぉーし!」

 

「終わったかー?」

 

「あぁ!終わったぜ!姉貴がまずは謝れって!」

 

ったく、コイツ身体はドスケベだが、コイツはとんだ“アネキっ子”だよ、姉貴はコイツを甘やかさないで叱ってやれよ!!

 

ーーー

 

ガリバルディくんにこの基地はそこら辺のナンパストリートや仲良しクラブでブッコロブッコロ言って仲間と心を慰め合ってる負け犬どもとはワケが違うコトをアツく伝え、次なる面接…

 

「次は駆逐艦の人です、Statesの」

 

「ステーツだと…?MAJORか!?」

 

「えぇ、まぁ、そんな感じですか」

 

最近多いな、MAJORからの刺客……そしてサミーから受け取った書類を読むに、今回MAJORとの交渉はかなり難航したらしく、移籍金や契約金などかなりの金額が動いたらしい…

 

「なるほど、これはかなりの大型新人と言うワケだな…」

 

「駆逐艦ですけどね」

 

そんな期待の大型新人とはいったいどんなスゲーヤツなのかワクワクすっぞとズボンのジッパーを開けたり閉じたりしていると、青髪ロング子が次の方どうぞーと声をかけ、現れたのは…

 

「お疲れさまです、Fletcher級駆逐艦Name ship Fletcherです」

 

「ほぉ…」

 

ほぉ、金髪巨乳とはまさにアメリカンスタイルでござるなぁ、ってか駆逐艦…?

 

「えー…駆逐艦?」

 

「はい、Fletcher級の…」

 

オイオイオイ、これが駆逐艦だって言うのかい?これまさにMAJORの怪物!!小さな島国のリトルリーグとはワケが違い過ぎるッ!

 

「えー……フレッチャーくんはアレかね?フレッチャー級と言うと、ジョンくんのお姉さん…?なのかな?」

 

「John…?あぁ、Johnstonですか?えぇ、そうですね、妹です」

 

「ふ〜ん」

 

フレッチャーくん曰く、ジョンくんの他にも妹がいっぱい居るらしく、むしろ会ったコトない妹や顔も知らない妹が居るらしい…

 

「さすがに妹も100人以上居ると誰が誰だか…」

 

「100…!?こいつぁとんだシスタープリ●セスなのだよ…」

 

100人以上の子供って……どんか性豪だよ、城●光政かっーの、フレッチャー級ってのは艤装を手に入れる為に幼少時から世界各地に修行とか行かされているのだろうか?

 

「しかし…なんだね?その網」

 

「はい?」

 

「いや、その手に持ってる網だが…」

 

「あぁ、このnetですか?色々役に立つんですよ?」

 

…よくわからんな、だが、フレッチャーくんは網を大切そうに巻いたり伸ばしたりしている、まぁ、本人が役立つってなら何か役に立つんだろう

 

「ふぅ……まぁいい、サミー、コーヒーくれや、缶コーヒー、冷蔵庫の中にあるやつ」

 

「ご自分でどうぞ」

 

クッ…!この髪長駆逐艦がァ…!舌打ちしつつ席を立ち上がり冷蔵庫へと向かっていると…

 

「フレッチャーさん、でしたか…?お飲み物はどうです?コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「あ、Thanks!ありがとうございます、是非…」

 

五月雨のヤツ!!フレッチャーくんにコーヒーを勧め、フレッチャーくんは笑顔で頂きますと答えた

 

「〜♪」

 

愛用のコーヒー機材をいそいそと準備する五月雨…

コイツ、ジョンくんにマズいとディスられたコトを根に持っているのは確かだが………この子はハッキリと言えるのか?たしかに、ジョンくんはマズいものはハッキリとマズいと言える空気読まない自己主張ZENKAIアメリカンスタイル……まぁ、このフレッチャーくん、胸の自己主張はたしかにスゴいが…

 

「ちなみにフレッチャーくんはアレかね?性能的にはジョンくんと似た感じなようだが…」

 

「そうですね、まぁ、私達の姉妹はだいたい似た感じの子が多いみたいで…」

 

さすがはMAJORの大型新人、ヘヘッ、どうやらワールドクラスの怪物ってのはまだまだ居るらしい!

 

「コーヒーをどうぞ」ニコニコ

 

「Thanks、ありがとうございます」

 

五月雨からコーヒーを受け取ったフレッチャーくんは早速コーヒーに口をつけ…

 

「……!」

 

この顔…ッ!!口いっぱいに広がる絶妙なマズさに思わず吐き出しちまいそうな顔ッ!でも飲み込んだ…ッ!精一杯の勇気で!フレッチャーくんの目は、何故この人はこんなにマズいものを人に出し、そんな誇らしげな佇まいでいられるのだろう?と問うていた…

 

「………えぇと、はい、えぇ」

 

「あぁ、何か他に聞きたいコトとかあるかね?」

 

どうやらフレッチャーくんはジョンくんと違って他人に気を遣える子らしい

 

ーーー

 

唯一無二の殺人コーヒーの洗礼を受け、おかわりを引きつり気味な笑顔で丁重に断わって足早に執務室を去ったフレッチャーくん…

 

「ほら、やっぱり提督もジョンストンさんも舌がおかしいんですよ?」

 

「んなワケねーだろ」

 

我慢すれば飲めないワケじゃないコーヒーを気を遣って飲んでくれたフレッチャーくんのマザーのような優しさがワカらんのかね、この子は…

 

「えー…次で最後ですね、最後は戦艦の人です、アメリ艦の」

 

「またステーツかよ、最近多いな…」

 

どことなく上機嫌な青髪ロング子が次の方どうぞーと扉の向こうに声をかけると、勢い良く扉が開きMAJORの大型が…

 

「Hi!私がStatesのBig7、Colorado級戦艦一番艦!USS Coloradoよ!」

 

元気良く入室して来たのはこれまた金髪!巨乳!のナイスアメリ艦、ナイスアメリ艦………?

 

「貴方がAdmiral?フ〜ン、 悪くないわね!」

 

「え〜……コロラドくん、だったかね?まぁ、座って、サミー、彼女にオレンジジュースでも出してあげて」

 

コロラドくんはそこら辺の椅子に足を組んでセクシャルに座り、背もたれに大きくもたれかかってjuiceはまだかしら?と催促している…

 

「えー…コロラドくんはアレかね?戦艦、でいいのかね?」

 

「Rude person!失礼ね!どう見てもBattleshipでしょ!ナニ?ケンカ売ってんの!?」

 

「いや、ウチに居るBattleshipどもはもっとガタイがいいのでな…」

 

「………ま、まぁ、たしかにちょっとだけ身長が低いと言うのは認めるわ、ちょっとだけ!!」

 

なるほど、やっぱ気にしてるんだな…

 

「タダーシ!この私はあのBig7の1人でもあるのよ!Big7!もっと敬いなさい!」

 

「ビッグセブンねぇ…」

 

ビッグセブン、それは…政府から認可された7隻の戦艦である!その戦闘力は凄まじく、超A級戦艦にして1級ロリコンの長門!あくまで敵の本気を引き出してまで戦いを楽しみたいバトルジャンキーにして不敗の修羅!陸奥!余に逆らう者は全て下郎!絶対的余!ネルソン!

いずれも劣らぬ問題を抱えた世界の問題児集団に贈られる称号である

 

「まぁ、同じBig7と言えど格の違いはあるケドね…フフッ」

 

たぶんこの娘はアレだろう、真っ先にやられて他のビッグセブンからビッグセブンの面汚しだの何故アイツ程度の雑魚がビッグセブンになれたのかフッフッフッとディスられるタイプだろう

 

「しかしまぁ…性能的には悪くなさそうだな」

 

「トーゼンでしょ?みんなこの私をお手本にしていいくらいよ?」

 

しかしこのビッグセブンっ子、身長はたしかにあまりないが金髪で巨乳であることに変わりはない、同じくMAJORから来たアイオワとはまた違ったタイプの金髪巨乳だ、むしろさっきからチラチラ目についてるんだが、なんなんだあの腋は?誘ってるのか?あんなツルツルの腋、あんなのむしろ腋●キしてくださいって言ってるようなモンだろ、下品な話になるんですけど、あの腋見てたら勃●しちゃいましてね…

 

「コロラドくん」

 

「ナニ?頭を下げる気になったかしら?」

 

俺は席を立つとコロラドくんの座っているところへと行き、その健康的な腋を触ってみた

 

「ヒッ!?な、ナニすんのよ!?」

 

「うん、実に健康的な腋だ、緊張のせいか……少々汗ばんでいるようだが、うん、よし!味もみておこう」ペロリーヌ

 

「ヒッ!!ヒイイィィィィィィ!!Don't touch!!A transformation that does not get close!!」

 

この後、俺はコロラドくんからビッグセブン本気パンチを連打で浴び、コロラドくんは訴えてやるわ!カクゴすることね!とかなんとか英語で罵倒された…

 

◆◆◆

 

「これで面接は終了です、お疲れ様でした」

 

「お疲れ」

 

コロラドパンチでグシャグシャになったハンサム顔に包帯を巻き、本日の業務は特にないのでもう帰るか…

 

「あ、俺、今日香取先生と飲みに行くから、戸締りしといてくれ」

 

「…その志●雄さんみたいなツラで行くんですか?」

 

「…惚れてくれるか?」

 

「いや、全然」




次回は帰ってきた自称メインヒロイン回


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提督と鈴谷とSAI-MINアプリ

いくつもの哀しみの海を越えて帰ってきたメインヒロイン様回

【登場人物】

提督(悪魔的)
無軌道・無慈悲・無秩序の権化、愛読書はメガ●トア

鈴谷(悪魔的)
歩くメガス●アの異名を持つ超A級ビッチ、サキュバス認定試験?余裕っしょ!契約取りまくりよ!


春の中規模作戦を終え、通常営業に戻った執務室…

今日は五月雨のヤツも休暇を取っており、執務机に足を延ばしノビノビと快●天を読んでいると…

 

「ティーッス、21話ぶりに誰もが羨むメインヒロイン様が遊びに来ましたよぉ〜」

 

執務室の扉を勢い良く開き、メガス●アみたいなヤツがやって来た…

 

「アレ?提督1人?サミーは?」

 

「休みだ、見たい番組でもあるんじゃねーの?」

 

「ふ〜ん」

 

とりあえず聞いてみただけ、特に興味なさげな鈴谷は流れるように冷蔵庫を開けて買い置きのバヤ●ースのペットボトルを取り出してグラスに注ぎイッキに呷った

 

「ブハァ!!うんめー!」

 

「うんめー!じゃないよ、この子は、ナニ勝手に飲んでんだ、我が家か」

 

「別にジュースぐらいいいじゃん、ってか提督、カレー食いに行こうぜ!カレー!」

 

「やだよメンドくさい、っーかカレーは昨日食ったから今週はいいわ」

 

「マジで!?なんでカレー食ってんの!?なんでカレー食うのに鈴谷誘わなかったの!?」

 

「なんでカレー食うのにお前誘わにゃならんのだ、クズが」

 

昨日、昼飯どうしたものかと考えながら廊下を歩いていると、たまたまカレー屋のチラシを持った熊野のアホンダラと遭ったのでそのカレー屋に行ったがなかなか美味かった、と俺は自称メインヒロイン様に懇切丁寧に状況を説明してやった…

 

「ふぁ……ファーックス!!熊野ォ!あのヤロウ…なんか昨日カレークセーとか思ってたら!クソッ!!クソクソクソ!」

 

「女の子がクソクソ言うんじゃないよ、この子は」

 

クソクソ言いながら机をダァンする鈴谷の頭を掴み、顔面を机にダァンしてやると、鈴谷はヒキガエルみたいな声をあげて床をゴロゴロと転げ回った

 

「用がないなら消えろ、ご覧の通り、俺は忙しい」

 

「…いや、どう見ても暇そうじゃん?エロ本読んでるだけじゃん?」

 

「エロ本じゃない、快●天だ」

 

鼻へのダメージを気にしつつ、再び立ち上がった鈴谷はポケットからスマホを取り出した

 

「じゃーん!催眠アプリ〜…じゃん!」

 

「………へぇ」

 

コイツ、アホだアホだとは思っていたが、本物のアホだった

 

「え?ナニ?キョーミなさげ?」

 

「ねぇよ、んな便利なモン、エロ本とエロゲーの中にしかねぇ秘密道具だろーが」

 

鈴谷はニヤニヤ笑いながらアプリを起動し、催眠画面をこちらに向けて来たッ!!

 

「コイツで提督を鈴谷の奴隷にしてくれるわ!喰らえッ!マインド・クラッシュ!」

 

いや、クラッシュしちゃダメだろ?バカかコイツ

俺は画面を向けた鈴谷の手首を掴んで捻り、催眠画面を自らに喰らわせてやった

 

「あ」

 

まぁ、効くワケないが…

 

「あばばばばばばばばばばばば」ガクガク!

 

画面を見た鈴谷はアヘアヘ言いながらアヘ顔みてーな顔でその場に崩れ落ちた

 

「…なんだ?オイ、鈴谷」

 

「………ハイ、ナンデショウカ?ゴ主人様」

 

「…はぁ?」

 

暗く、深い闇のような目をした鈴谷………え?ナニ?コレマジで効いたのか?いやいや、んなワケない、んなワケが…

 

「とりあえず全裸で土下座しろ、あぁ、ニーソと制服のリボンは残していいぞ、あと脱いだ制服は丁寧にたためよ」

 

「ハイ、ワカリマシタ」ぬぎぬぎ…

 

鈴谷は普通に制服のボタンを外し、スカートに手をかけて勢い良く引き下ろし…

 

「って!待て!!待てえィィィィィィ!!ちょっと待て!な?ちょっと待とうなァ!!」

 

「ハイ」

 

鈴谷は半脱ぎ状態のポージングで停止した

………マジか?いやいやいや、マジか?マジかコレ?マジで効いてるのか?いや、待て、この鈴谷が演技をしている可能性は捨てきれない、むしろ、ここで俺がどエロい命令するのを隠しカメラか何かで撮影し、その動画で俺を脅して金銭を要求してくる可能性もある

 

海軍将校ともあろうお方が〜…フフフッ、コレはいけませんねぇ、今の社会的な地位や信用、大事じゃないですか?とな…

 

まずは演技かどうかを見極める必要がある

 

「土下座はやめだ、とりあえず鏡の前で開脚してオ●ニーでもしてみろ」

 

「ハイ」ぬぎぬぎ

 

とりあえずパンツを脱いだ鈴谷は鏡の前に行き、開脚してオ…

 

「………ハッ!?」

 

急に動きを止めた鈴谷はキョロキョロと周囲を見回し、鏡に映る自分を見て再び動きを止めた

 

「………なんで?」ブルブル

 

「あ?」

 

「なんで鈴谷パンツ脱いでるの…?」ブルブル

 

「なんでと言われてもアレだ、自分で脱いだからなぁ」

 

「うわあああぁぁぁぁ!!死ね!死ね!マジで死ね!ってかマジで最悪!なんなの!?なんっーコトしてんの!?マジで!エロ本かッッッ!エロゲーかッッッ!ってかドコまでヤったの!?A?B?C?いや、Zか!Zまでイッたの!?」

 

 

目に光と水分が戻った鈴谷は死ね死ね言いながら俺に掴みかかってきたッ!!ってかZってなんだよ、Zって…

 

「催眠アプリを悪用するとかマジで最悪じゃん!提督!マジで人として最悪!」

 

「そもそもお前、その最悪アプリで俺を奴隷にするとか言ってたろーが」

 

「うるせぇ!!まさかマジで……マジで効くとは…」

 

う〜む、しかしまさかマジで実在するとは、どうやら時間制限はあるっぽいが…

 

「ハッ…!その催眠アプリさえあれば浜風ちゃんにパ●ズリして貰うコトがッ!」

 

「最悪かッッッ!!」

 

「よし、俺もそのアプリ落とすぞ!鈴谷!それドコにあ…」

 

「喰らえ!!マインド・クラッシュ!」

 

一瞬の隙を突かれ!鈴谷は俺に催眠アプリの画面を見せつけてきたッッッ!!

 

「ワハハハハハハハ!!油断したなクソヤローめ!これで提督は鈴谷の奴隷よ!!支配してやるぞ、我が知と力の前にひれ伏すがいい!とりあえーず………ジュース買って来い!」

 

「…」

 

「どうしたじゃん?早く買って来いよ!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「ぺぷしッ!」

 

「あ?誰にジュース買って来いって言ってんだ?コラ?」

 

「な…!?バ、バカな…!?き、効いていない!催眠アプリが効いていない!なんで!?」

 

鈴谷は何故だァァァァァ!とか言いながらアプリの画面を連打していたが、どうにも催眠効果は発揮されないらしい

 

「欠陥商品なんじゃねーのか?それ?」

 

「はぁ?でもさっきそれ鈴谷に効いたし…」

 

「どれ」

 

俺は鈴谷のスマホを取り上げ、催眠画面を鈴谷に見せてみた

 

「あ………あばばばばばばばばばばばば!!」ガクガク

 

なんだ、やっぱ効くじゃねーか…

 

◆◆◆

 

後日、執務室で催眠アプリ漫画を読みつつアンニュイな午後を過ごしていた俺は先日の催眠アプリについて五月雨に意見を求めてみた…

 

「へぇ、催眠アプリですか」

 

「あの後色々試してみたが殆どの奴に効かなくてな、やっぱ欠陥商品だな」

 

「催眠術ってかかりやすい人とかかりにくい人が居るらしいですよ」

 

五月雨曰く、催眠術にかかりやすい人は素直だったり感受性が豊かだったり自分からかかりたいと思ってる人がかかりやすいとのコトだ

 

「ふ〜ん、じゃ、なんで俺にはかからないんだ?」

 

「素直じゃなかったり感受性が皆無だったり人間のプリミティブな部分を集めた猜疑心の塊みたいだからじゃないんですか?」

 

「失礼な」



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絶望の未来Monster 編①

なんやかんでもうすぐ600回、節目の前の誰得連続回ですって

今回のお話は490〜494回で書いた、絶望の未来!人造神話の続編的なお話になります、はい

未来はオメーに任せたぞ!と信じて送り出したのに再びピンチになる未来!未来夕張型軽巡の怒りが絶望を希望に変える…!たぶん

【登場人物】

提督(中佐)
毎朝鏡の前で自分の美しさをチェックする美の信奉者、未発見のひまわりの為なら仲間は普通に売る

アヤセ(未来夕張型)
未来の世界での夕張の実子、見た目は絶壁を含めて夕張似だが目ツキと口は非常に悪い


世界線変動率0.000001%の限りなく近く、限りなく遠いその世界…

 

時は20XX年、人類と深海棲艦の戦いは終わり、平和がやってきたと思いきや新たな脅威!極悪非道の殺戮マシーン、人造艦娘の恐怖に世界は晒され、未来は絶望の世界となった…

 

しかし…!!

 

恐怖の人造艦娘に立ち向かう希望は現れた!そして、多くの犠牲を払いはしたが人造艦娘は遂に倒され、今度こそ世界は平和になったのだった……

 

………いや、平和になったハズだったッ!!

 

「クソッタレェェェェ!!チクショウ!チクショウ!!なんで…!なんでオマエがーッ!」

 

絶望の未来を襲う新たなる“脅威”!!人造艦娘を倒し、未来を救った未来夕張型軽巡エイナスの前で起こる惨劇ッ!!

 

「クッ……!エ、エイナス!過去へ!アナタは過去へ行って!テイトクに…!テイトクに助けを…!ヒギィィィィィ!」

 

「か、母さぁぁぁぁぁぁん!!貴様ァァァァァ!!」

 

「だめ!えいなす!ユーバリの言うコトを…!」

 

白髪の少女は必死に怒り狂うエイナスを止め、かつて夕張が作ったタイムマシンのスイッチを入れて起動した

 

『…ん?まだイキ残りがいたか?ククク、私から逃げられると思って……』

 

「ま、待ちな……待ちなひゃい、あ、あの娘らに手出しは……させにゃい…!」キッ!

 

『フンッ、イキ損ないが…いいだろう、トドメをさしてやる』

 

起動するタイムマシンの外で、夕張は愛する娘達を逃す為に膝ガクガクで立ち上がり“ヤツ”を睨みつける!

 

「母さんっ!母さん…ッ!!クソッ!クソッタレェェェェ!!」

 

「だめ!えいなす!!いま外に出たら…!」

 

「許さない!絶対に…ッ!絶対に許さない!オマエだけは絶対に許さないからなァァァァァ!!」

 

光の中で最後に見た光景は、母、夕張が無理して立ち向かい“ヤツ”にトドメを刺される瞬間!!

 

そして、タイムマシンは光の中へと消えて行った…

 

『………フン、逃したか、ククク……まぁ、どのみち私からは逃げられんがな、ククク…ハハハ…ハァーッハッハッハッハ!!』

 

◇◇◇

 

一年も既に半分が終わり、梅雨なのかそうでないのかパッとしない今日この頃…

 

「なんか基地の裏山に変な機械があるらしいですよ」

 

「…はぁ?」

 

五月雨曰く、なんか基地施設内にある微妙な林の中に変な機械が落ちていると報告なのだが…なんだよ?変な機械って…

 

「なんだよ?ユンボか?」

 

「いや、ユンボではないらしいんですけど…とりあえず見て貰えますか?」

 

「そうだな」

 

まったく、海軍様の基地に不法投棄とはまたふてぇ野郎がいたモンだな、犯人は見つけ次第ボコボコにして表に出られねーぐらい恥ずかしい写真撮って動画サイトにアップロードしてやるわい

 

……-そんなワケで、五月雨と共に件の変な機械が落ちていると言う基地の裏にある林へとやって来たワケだが

 

「…なんか見覚えあるな、コレ」

 

「見覚えあるんですか?コレ」

 

見た目で言うなら、なんか脚の生えたドラム缶みたいなナニかだが……なんだっけ?コイツ、前にも見たことあるような、ないような…

 

「あ、なんか上の方が開くみたいですよ」

 

「でかした!よぉーし、中身を検めてやるわい!」

 

俺は謎の脚付きドラム缶によじ登り、半開きになった蓋をグイグイとこじ開けてみると、中に誰かが…

 

「こ、コイツは…!?」

 

…中に居たのは気絶しているらしい女だったが…コイツ、なんか見覚えがあるような…?そう、たしか未来から来たとかなんとかの…

 

「う……ぅぅぅ、ん」

 

気絶から回復したのか、見覚えのある女……えー、あ、そうそう、アヤセだ、アヤセとか言ったっけか…

 

「!」

 

「よぉ!」

 

アヤセは目を覚ますなり、フランクに挨拶をした俺にいきなり殴りかかってきた…!?

 

「ブラックーッッッ!!貴様ァァァァァ!!」

 

「ハァ!?ちょ、待てよ!」

 

いきなり殴りかかってきたアヤセと共にドラム缶マシーンから落下し、マウントを失った俺に対しアヤセは死ね死ね言いながら打ち下ろしの連打を浴びせてきた!

 

「死ね!死ね!死ね!」

 

「ちょ!待て!マジで!マジで待て!!なんなんだテメーは!!サミー!サミー!見てないで止めろよ!救え…っ!俺を…っ!」

 

「なんですかこの人…?あ、そう言えば前にも見たコトあるような…」

 

「いいから助けろ!!」

 

血走った眼で容赦なく殺人パンチを連打してくるアヤセに対し、マウントを奪われながらも溢れる知性でなんとか抵抗していると、アヤセの後頭部に勢い良くラ●ダーキックが入った!

 

「あだっ!?」

 

「えいなす、そいつ“ブラック”じゃない」

 

アヤセの後頭部にラ●ダーキックしたのはこれまた見覚えのある白髪のチビスケェ……コイツ、たしかあの変☆態ドクターの……

 

「……ハッ!?こ、ここは…?え?しーちゃん?え…?あ、そうか…ここは、過去、とうさ……」

 

ばたんきゅー!

 

白髪のチビスケェを見て安心したのか、アヤセは再び気を失った、前のめりで!

 

「なんなんだ…?一体」

 

「せつめいしたい、え……と、テイトク?とりあえず、何か……たべもの……」ぎゅるるるるー

 

白髪のチビスケェも生命のガソリンが切れたのか、ぎゅるぎゅる腹を鳴らしながら前のめりにブッ倒れた

 

「…とりあえず五月雨、オマエそっちのチビスケ頼む」

 

◆◆◆

 

とりあえず、謎多き顔見知りの2人を執務棟にある救護室へと運び、健康診断を夕張に任せてみたワケだが…

 

「お腹が空いてるぐらいで後はだいたい良好ですね」

 

「そうか…」

 

ベッドで眠るアヤセとちっこいのを一瞥してみる、空腹だからって殴りかかってくるのはどうかと思うが…

 

「ってかこの娘ら何者ですか?」

 

「詳しくは知らん」

 

とりあえず夕張にはこのバカ面で寝てる方が未来から来たオマエの娘らしいとは伝えてはいない、そーゆーコトは本人に言わない方がいいだろう、たぶん

 

「……ぅぅ」

 

さてどうしたものかと考えていると、アヤセの方がチビスケェより先に目を覚まし、ゆっくりと起き上がった…

 

「ここは………ハッ!?か、母さん!!」

 

「はぃ?」

 

いきなりマザー呼ばわりされた夕張は、さすがにビックリしたのか、ナニ言ってんだコイツみたいな顔でアナタは疲れているのよと言った…

 

「あ、いや……あ、そうか、いえ……なんでもないです」

 

「久しぶりだな、アヤセくん」

 

「テイトク………そうか、本物の」

 

「本物?」

 

とりあえず俺はアヤセくんに事情を聞くべく、夕張、そして五月雨に潜水艦のボンクラどもを連れて来いと伝えて部屋から退室させた…

 

「…さて、事情を聞こうじゃないかね?」

 

「あ、うん………まずは、ありがとう、助かったわ」

 

「俺はいきなりオマエに殺られかけたがな」

 

「それには理由があるのよ、理由が…」

 

理由か………さっきチビスケェが言ってた“ブラック”とやらに何か関係があるのだろうか?

 

「あと、その前に…」

 

「なんだ?」

 

「…何か食べさせてくれない?お腹へっちゃってさぁ~」

 

「舐めてんのかテメーは」

 

「舐めてねーし、事情を説明すると長くなるのよ!長く、あ、あとできればあのヘンタイハカセとも話したいんだけど…」

 

「ヘンタイハカセ…?あぁ…」

 

あの全身凶器どころか全身兵器みたいな天才となんとかの紙一重的な…

俺はケイタイを取り出し、168のアホンダラに電話し、とりあえずマミーヤでテキトーなテイクアウトを買って今すぐ来いと伝えた…

 

◇◇◇

 

人造艦娘を撃退し、平和になったハズの未来に現れたそいつは恐るべき戦闘力を持っていた…

 

人造艦娘を倒せるだけの力を持ったアヤセが手も足も出ず、未来はそいつのせいでメチャメチャになっている…!!

 

そいつの名は“テイトク・ブラック”!!

 

今現在、この基地で艦隊司令の任務をシコシコこなす提督と瓜二つの容姿をした人物らしい…!!

 

「ナニがブラックだ、舐めてんのかテメーは」

 

「母さんが付けたのよ!母さんが!」

 

未来夕張のネーミングセンスも絶望的だな、っーかなんで俺にそっくりなんだよ、意味がまるでわからねぇ…

 

「だからえいなすはテイトクとぶらっくをまちがえてなぐりかかった」

 

「えいなす…?」

 

「しーちゃーん!!ちょっといいかなー?ちょっとあっちでお話しよーかー!!」

 

アヤセはチビスケェの首根っこを掴み壁のところへダッシュし、なにやらヒソヒソタイムを始め………終わったらしい

 

「まちがえた、えいな……じゃないでアヤセ?はまちがえてテイトクをなぐった」

 

「そうかね…」

 

よくわからんが、えいなすってのは俺に聞かれて都合の悪い情報らしい、たぶんアレだろう、何かしら未来に関係する感じのアレなんだろう

 

「で?そのブラックってのはなんなんだ?」

 

「チッ!それを今から話すっての!順序ってのがあるのよ、順序ってのが!」

 

アヤセは露骨に舌打ちしながらメンドくせーなコイツみたいなツラしていやがる………チッ、相変わらず態度悪いなコイツ、親の顔を見てみたいモンだ……いや、そういやさっき見たか、夕張のアホ面





オス!オラ提督!ひゃー、未来はブラックちゅーヤツのせいでまたメチャメチャにされちまってるらしい!しかもそのブラック、オラにそっくりだっーから驚きだ!
次回!ブラック襲来!究極パワーのドヘンタイ!ぜってー見てくれよな!


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絶望の未来Monster 編②

未来Monster編その②、戦慄の邪悪!テイトク・ブラック!

【登場人物】

提督(モレスター)
必殺技はア●ルアナライザー

仁科(元大佐)
今までもちょいちょいお借りしていた大佐の人
坂下郁様の作『逃げ水の鎮守府』の中ボス的存在


絶望の未来に再び現れた新たな災厄、その名は“テイトク・ブラック”…

 

突如として現れたそいつは人造艦娘を遥かに超える戦闘力を持ち極めて凶悪、女だったら年齢を問わずに鬼畜レ●プ!イヤがる女に無責任●出しをキメてゲラゲラ笑う本物の外道…ッ!

 

もう何十人、いや、何百人がされるがままにその毒牙にかかったコトか…

 

「そいつはスゲェな…」

 

「とにかく最悪よ!最悪!」

 

現在、執務室に集まっているのは俺、絶望の未来から来た未来戦士のアヤセとちっこいの、そしてアヤセとちっこいのの正体を知っている潜水艦のボンクラ達…

 

アヤセの語る新たな災厄、テイトク・ブラックなる凶悪レ●パーは話だけ聞くにたしかにかなり凶悪なレ●パーらしい…

 

「テイトクマジ最悪なのね」

 

「近づかないでくれますか?」

 

「…ユーも、サイアクだと、思う…」

 

潜水艦どもは俺に対してまるで汚物を見るような目を向け、58はユーとローにアイツに近寄ったら孕まされるぞと言って可愛い後輩達を庇うように後ろに下げる…

 

「いや、違うからな!俺じゃないからな!俺じゃないでブラックとかゆーヤツだからな!?」

 

「えー…でも、そのブラックってヤツ、テイトクと同じ顔してるんでしょ?」

 

「どーせ未来のテイトクが女に飢えて凶悪レ●パーになっただけでち」

 

「だから違うって言ってるだろーが!っーか未来の俺はもう死んでるんだろ!?なぁ?」

 

アヤセ曰く、未来世界では俺は人造艦娘襲来より以前に死んでいるらしく、アヤセ自身は俺本人を話でしか知らなかったぐらいだ…

 

「まぁ、私も母さんからとう……提督は糖で死んだってコトしか聞いてないし」

 

「ほらぁ!死んだって!な?」

 

しかし糖か………甘いモンは控えようかな

 

「それに、母さんが言うにはたしかにブラックは提督じゃないって………うん、母さんはそう断言してた」

 

「なんでそう言いきれるのよ?」

 

「未来のユーバリさんは何かテートクとブラックの違いがわかってたの?」

 

「………正直、私には母さんの言ってるコトはよくわからなかったけど、母さんはこう言ってたわ…」

 

私の提督は問答無用で純潔を奪う鬼畜レ●プなんか絶対しない、ヤるなら問答無用で容赦無くア●ルよ!

 

「…って」

 

「どのみちサイアクなのね」

 

「あの……提督、14ちゃんにあまり近づかないでくれますか?」

 

「だから違うって言ってるだろーが!!」

 

だが、未来夕張はやはり夕張、俺の事をよく理解しているらしい………基本、俺は凌辱やレ●プは趣味ではない、俺が狙うのは“退屈な日常に飽き飽きしている女“や“痴漢願望、露出願望のある女”…つまりは“牝”の素質を持つ女だけだ、そんな“牝”を解き放ち極上の快楽を与えるのが俺の趣味だ…

 

既に“牝”として、ケツ穴隷奴として目覚めた夕張だからこそ俺とブラックの違いがわかったのだろう…

 

「まぁ、私には1㎜も理解できなかったけど、母さんが違うって言ってたから私は一応それを信じるよ…」

 

アヤセはイマイチ俺を信じきれていない目をしていたが、とりあえずは母、夕張の言葉を信じるコトにしたらしい

 

「チッ、どいつもコイツも……で?そのブラックってのは強ぇーのか?あ?」

 

「…強い、ハッキリ言って人造艦娘なんかより遥かに強いわ」

 

アヤセは悔しそうに顔をしかめる、人造艦娘を倒した自分が手も足も出ず、母親である未来夕張を犠牲にして過去に逃げざるをえなかったぐらいだと…

 

「だから!!とう……提督に、その……提督に、助けて、欲しくて…」

 

アヤセは頭を下げ、誇り高き未来戦士の、その誇りを捨ててまで助けて欲しい、アヤセは肩を震わせ言葉を絞りだし…

 

「わかった、わかったから頭を上げろ」

 

「あ…」

 

「たとえ未来だろーが俺のニセモノが女子供関係ない鬼畜レ●パーだとか俺の名誉が傷つくわい、そのブラックとかゆーパチモノヤロー、なんとかしてやろーじゃねーの?」

 

「あ……ありがと、その……期待してる、うん」

 

「なんだよオマエ?ツンデレか?流行らねーぞ、今は」

 

「ハァ?ツンデレじゃねーし!」

 

どうやら親に似ずにツンデレ属性持ちらしいアヤセはぶっコロすぞと汚い言葉を吐いて俺の膝に強烈な蹴りを入れてきた

 

ズダァン!!(膝キック)

 

「うっぎゃあー!お皿が!お皿がーッ!」

 

「…フン」

 

◇◇◇

 

太平洋に浮かぶ南の島、かつてはリゾート地として隆盛したものの、深海棲艦と言う名の人類の脅威が現れて以後は観光客が減り、全盛期よりは幾分かリゾート地としては落ち着いていた…

 

そんな南の島に、1人の東洋人風の男と、男の助手的な少女が住んでいる…

 

「もしもぉーし?あぁ、はいはい、えー…お久しぶりですねぇ、えぇ、どうしました?あ、もしかして先日アップグレードした新バージョンのソフトウェアに何か気に入らない点でも?あぁ、えぇ?あぁ、違う?えぇ」

 

男はスタイリッシュにケイタイ電話を手にしつつ助手的な少女が淹れたコーヒーの香りを愉しんでいる…

 

「はぁ?未来ユーバリ?あぁ、はいはい、アレですか、えぇ、はー……なるほどなるほどぉー、それはなかなか興味深いですねぇ、えぇ、それで?はぁ…なるほどなるほど、えぇ、別に構いませんよ?えぇ、モチロン!天才超特急で仕上げて差し上げますよ」

 

男はケイタイの通話が終わるとスタイリッシュにカップを手に取り、グイイィィ!と勢い良くカップの中身を飲み干し…

 

「大鳳、出かけますよ」

 

「お出かけですか?えぇ…と、どちらへ?今日はマヒマヒを頂いたのでバジルと合わせてソテーにしようかと…」

 

助手的な少女こと大鳳は帰りが遅くなるようなら今日のディナーは別のメニューにしようかと提案してみたが、彼女の主は首を横に振り…

 

「何を言ってるのですか?アナタも行くんですよ?」

 

「あ、そうなんですか?」

 

てっきりまた街で家電の出張修理でもするのかと思っていた大鳳は己の浅慮を恥じ顔を紅くした…

 

「…まぁ、別に留守番したいと言うならそれはそれで構いませんが…」

 

「いえ!行きます…っ!」

 

「結構、ではすぐに発てる支度をしてください」

 

そう言って男は穿いていたパンツの紐を引っ張り、パチンと鳴らしてスタイリッシュに自室への扉を開ける

 

「あ、大佐、ちなみに今日はどちらへ…?」

 

「ニホンです」

 

男はニホンと言っても古巣である中央ではなくキュウシュウ、それもなんとも辺鄙な場所ですよと嗤い、あぁそうそうと付け加える…

 

「以前のアナタが可愛いがっていたサンプル、えぇ…なんでしたか?シーチャンとやらも居るそうですよ?」

 

「ホントですか!?」

 

「えぇ、アナタにとても会いたがっているそうです、私はアナタにやはり留守番を命令をした方がいいですか?」

 

「いえ!命令しないでください!」

 

「結構、ではすぐに支度を」

 

「はいっ!」

 

男の名は仁科、かつて軍の研究機関で闇深い研究を極めた生粋の“外道”であり、どこに出しても恥ずかしい程の吐き気を催す“邪悪”…!だが、彼はそれと同時に不世出の“天才”であり……

 

“変態”であった…

 

◆◆◆

 

基地施設内にある工廠…

 

「う〜ん、基本構造は私の艤装に似てますけどなんか色々と違いますね」

 

アヤセのバカがブッ壊した未来夕張型艤装をマジマジと見つつ、夕張は時折ホーホーと感心したようにうなづく

 

「修理できるか?」

 

「う〜ん、まぁヤりますけど、ってかコレなんなんですか?軍の試作品的なアレですか?」

 

「そんな感じだ」

 

とりあえず、ブラックに壊された艤装を修理しない事にはアヤセのヤツは戦力半減なので修理はしなくてはならない、となると、やはりコレを作った本人が一番いいだろうと言うワケで夕張に診せているのだが…

 

ただ、なんやかんやでコレは未来の情報が詰まったシロモノ、現在の夕張に詳しく話をするワケにはいかないので、とりあえず夕張には夕張型艤装っぽいモノで通しており、そして…

 

「えー…アヤセさんでしたっけ?14のトルクスください」

 

「あ、はい」

 

夕張にアヤセのコトは他所んちの夕張型のヤツと説明した、まぁ、いくら夕張が些かアレなヤツでもいきなり未来から来た自分の娘とかドン引きするだろうしな…

世の中には知らない事は知らないままの方がいいと考えていると、アヤセは俺の腕を掴み、壁際までズルズルと引きずった

 

「ちょっと!どーゆーつもり!?なんで母さんと一緒に修理を…私、工廠貸せって言っただけ…」ヒソヒソ

 

「仕方ねーだろ、先にアイツが工廠居たんだから、それよか俺の神の如き誤魔化しを褒めろ」ヒソヒソ

 

「まぁ、息を吐くようにあんな嘘をベラベラと……ある意味感心するわ、ついでに軽蔑も」ヒソヒソ

 

なんで軽蔑されにゃならんのだ、ったく…

アヤセは余計なコト言うんじゃねーぞ俺に釘刺し、夕張のところへと戻った

 

「何の話ー?」

 

「あ、いや…別に大した話じゃなくて…」

 

「ふ〜ん、まぁ別にどうでもいいけど、あ、13のレンチ頂戴」

 

「あ、はい」

 

夕張的には所属は違えど自分と同じ夕張型同士、仲間が増えたみたいで嬉しいのだろうか?普段より若干イキイキとして見えるがたぶん気のせいだろう、アイツも変なスイッチさえ入ってなけりゃ普通に良いヤツなんだがな…

 

「あ、それ配線ちょっと特殊だよ……じゃない、です」

 

「?、あはは、そんな気ぃ使わなくていいって!ね?」

 

…しかし、よく考えたらアイツ、見た目はたしかに夕張似だし母親は夕張なんだろうが父親は誰なんだろうな?

 

そう考えるとアレだな、今はマゾ隷奴一直線のアイツもいずれは誰かに貰われる日も来ると言うコトか…実に感慨深いものだ、俺、たぶん暁ちゃんが彼氏連れて来たら、その男1000%ブン殴るね、佐渡さまなら2000%ブン殴る

 

ーーー

 

執務棟にある教務準備室…

 

「これうまい」

 

「そうですかそうですか、それは良かった」

 

未来から来たアヤセともう1人のちっこいの、事情を知っているとは言え、潜水艦のボンクラどもに面倒をみさせたらワルの道一直線と考えた俺はボンクラどもチンピラでもなくやはり頼れる大人の女性、香取先生にちっこいのを預けた、名目はモチロン“親戚の子供”だ…

 

「失礼します」

 

「あら提督、お疲れ様です」

 

「やぁ〜…スイマセンなぁ香取先生、急に親戚の子の面倒を押しつけてしまいまして」

 

「いえいえいえ、そんなコトありませんよ」

 

そう言って上品に微笑む香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる、まったく…落ち着いた大人の女性と言う言葉は香取先生にこそ相応しい

 

香取先生はちっこいになにやら菓子を与えていたらしく、欠食児童はアメリカの子供がワイルドにプレゼントの包装を破るようにバリバリとお菓子を口に入れていた…

 

「やはり子供は可愛いですねぇ」

 

教育者としてではない香取先生の一面か…

 

「ハッハッハ、そうしているとまるで親子のようですなぁ、ハッハッハ」

 

「まぁ、提督ったら…フフッ」

 

香取先生はエレガントに微笑み、褒めても何も出ませんよ言いつつも新たなお菓子の箱を開け、よろしければ提督もどうぞと勧めてくれる、まったく……香取先生はいつだって俺の心をアツくしてくれるのだよ

 

 

 

「………うわ、なにこの手の込んだトレンディ小芝居」

 

「鹿島…?何か言った?」

 

「な、何も言ってない!何も言ってないよ香取姉ぇ…!」





オス!オラ提督!かーっ!ブラックってのはスゲー悪りぃヤツだな!オラ久々にキレそうだぞ!ゼッテー許さねぇ!準備が終わったらいよいよブラックとの戦けぇだ!ゼッテー負けられねぇ!次回、絶望の未来!テイトク・ブラック脅威のパワー!ゼッテー見てくれよな!


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絶望の未来Monster 編③

未来編その3、最凶最悪!恐怖の戦士が目を覚ます!

【登場人物】

提督(インテリジェンスモンスター)
溢れる知性で返り討ち

アヤセ(ツンデレ属性)
己の内なる属性に目覚めつつあることに恐怖を感じる

テイトク・ブラック(悪)
未来で暴れ回る凶悪レ●パー、座右の銘は“女はみんなブチ込むんだよ!”


「やぁやぁお久しぶりですねぇ」

 

コレ、つまらないものですがと渡されたマカダ●アナッツの箱……ゴキゲンなつまらないものだ

 

遠く、南の島からやって来た男、Dr.モロは挨拶を済ませると早速、いやぁ〜アツいですねぇとごくごく当たり前のように自然体(クロス・アウツ)し、その姿たるやまさにこの星が生み出した天然自然の産物、己を着飾るとは何と馬鹿馬鹿しいコトなのかとこの大いなる母なる星からのメッセージを…

 

「テイトク、コイツたぶんラ●フストリームとかそんなのでラリってる系の人なんじゃない?」

 

「むしろこの星の天敵系でち」

 

「ローちゃんもそう思いますって!」

 

目の前に自信に満ち溢れ、雄々しく勃……立つ男を前に潜水艦どもの言い分はもっともだ、俺だってそう思う、普通に見ればこの男はただの全裸にしか見えなくもないが、それは普通に見れば、である

 

普通に見ればR18まったなしのハレンチぶりだが、絶妙なカメラワーク、遮蔽物や謎の光、そしてコマ割りを利用し、R18ではなく安心の全年齢対象として立っているのだ…

 

「とりあえず例のモノを見せて頂けますか?」

 

「あ、あぁ、今工廠で夕張とアヤセがなんかイジってるから手を貸してやってくれ………それと」

 

「なんでしょう?」

 

「服を着ろ」

 

「あぁ、コレは失礼」

 

Dr.モロは、たしかに…ここは我が家ではありませんし、若く初心なお嬢さん方の前では少々刺激が強すぎましたねと頷き、鞄からなかなかエグいパンツを取り出してスタイリッシュにそれを穿き…

 

「…よし、と」

 

「ナニがよしなのね」

 

「エグいわ!なんなのその角度!ってかギリギリか!」

 

「…ユーも、そう思う」

 

潜水艦ズから批難と言う名の罵倒にまるで気にした様子もなく、むしろ称賛に応えるように手を挙げ、白い歯でイケメンスマイルをするDr.モロにさらに罵倒の言葉が浴びせられた…

 

◆◆◆

 

Dr.モロ、夕張、2人のマァァァァッドサイエンティィィィストーッ!!による未来夕張型艤装の修復は昼夜を問わずに行なわれた…

 

「このリミッター切りましょう」

 

「でも耐久性が……あ、そーだ、私試したい合金あるんですよ、ほらコレ」

 

「ほぉ、硬度10#……なるほど」

 

修復と言う名の魔改造、おそらく、それは扱う者の安全を完全に度外視したものである事は間違いないだろう…

 

そんな悪魔の艤装の完成を待つアヤセに、ただ待つのも暇だろうと俺はトレーニングを課していた…

 

「フンッ!!!」

 

「ヌウゥ……!こやつめ!」

 

俺との激突を正面から受けるアヤセ、カンムス強度1500万と言ったところか…ッ!だがパワーだけではこの俺を、いや、ブラックには勝てない!カンムスファイトの真髄は知性にこそあるのだ!

 

「死ねッ!!スピンダブルアームソル……って!?ウエェ!?」

 

「続きは私がやってやろう!グロラァァァ!!」

 

ビタンッ!!(掟破りの地獄の九所返し)

 

「ウッギャアアアーッ!!」

 

………そして、過酷なトレーニングの時間は、空の雲は千切れ飛んだ事に気付かず、消えた炎は消えた瞬間を炎自身が認識しないように過ぎ去り…

 

遂に悪魔の艤装は完成したッッッ!!

 

◇◇◇

 

「…まぁ、その、色々ありがと」

 

修復だけでなくさらに強力になった未来夕張型艤装、否、それはもはや(ニュー)・未来夕張型艤装と言ってもいいだろう、それに父さ……提督とのトレーニングは私に新たな力を付けてくれたと思う

 

「おう!まぁいいってコトよ!ガハハハ!」

 

バカ笑いする提督に一応感謝の言葉を告げ、私は母さんの作ったタイムマシンのドアを開いた

 

「今度こそ勝ってくるから!」

 

とりあえず、しーちゃんは一度この時代に置いて行き、ブラックを倒したら迎えに来るとヘンタイ博士とタイホーさんに言って預けはしたが……まぁ、そもそもしーちゃんはこの時代の子なんだから変な話ではあるけど…

 

「よし………って、提督、なんでタイムマシンに乗ってるの!?」

 

「オイ、もうちょっと詰めろよ」

 

「詰めろよじゃないわよ!なんで一緒に乗ってるの!?ってか行く気満々なの!?」

 

「当たり前だァ…俺のツラして鬼畜レ●プする鬼畜レ●パーだぞ?俺の名誉の為にこの手でグチャグチャにしてやんよ」

 

こ…コイツ!ま…まぁ、一緒に来てくれるってなら、少しは頼もしいと言うか……と言うか、もし母さんが生きてたら喜んでくれたのかな…?

 

「テイトクに名誉なんかあったモンじゃないのねー!」

 

「永遠に甲提督になれないミジメな敗北者ーッ!」

 

そして、出発の場に来てくれた潜水艦のみなさんからの容赦のない罵倒………父さ、提督はなんだとコノヤローと反撃しているのがまたなんとも…

 

「あぁスイマセン、もう少し詰めて貰えますかね?」

 

タイムマシンのドアを閉め、いざ決戦の未来へと出発しようとスイッチを入れ…

 

「んぎ………って!ヘンタイ博士!アンタまで……って降りなさいよ!定員オーバー!!」

 

「オイオ〜イ、アヤセ、そこは俺のムスコさんだぜ?」

 

「サイアクッ!!って狭い狭い狭いー!ヒッ!なんか尻に当たった…!?」

 

ヘンタイ博士は私も少々未来世界に興味がありますし、それに、その艤装が私の要求スペックを満たしているかをチェックしたいですしと乗り込んで来た

こ…コイツらぁぁぁ!!ただでさえこのタイムマシン狭いっーか、そもそもコレ1人乗りなのに…!

 

「あー!!もう!!アンタら出発するから変に動かないでよ!!ってか…なんか、お゛…!?お゛…!?挿……」

 

◇◆◇◆◇◆

 

ここより遠く、限りなく近い、世界線変動率0.000001%の世界、その未来…

 

「ひゃー!ここが未来かー!」

 

「ふむ、たしかに……一部地形に違いはあるようですが」

 

絶望と荒廃の未来世界へと到着し、タイムマシンから外に出た俺達は初めて見る未来の世界に、まるでおのぼりさんのように辺りをキョロキョロと見渡した…

 

「…」

 

「どうしたアヤセ?」

 

「うるせぇ!!今、話しかけんなクソオヤジッ!!」

 

アヤセのヤツ、タイムマシンから降りてなんかケツを押さえてプルプル震えてたが、トイレでも我慢していたのだろうか…?

 

「クソオヤジはねーだろーが、クソオヤジは」

 

「うるせぇ!!バーカ!バーカ!バーカ!」

 

まぁ、今からそのブラックってヤツとの決戦になるんだ、アヤセも緊張しててもおかしくねぇ

 

「ま……まぁ、とりあえずは街に行きましょ、ブラックがどこに居るのかわからないし」

 

アヤセ曰く、この近くにア●ルシティ・ハカタと呼ばれるまだ人が住んでいる場所があるらしい、っーかなんっー名前だよ、Cの文字が消えただけでとんでもなく卑猥なシティだなオイ…

 

「………ときにアヤセさん」

 

「ナニよ?ヘンタイ博士」

 

「私はヘンタイ博士ではなくDr.とでも呼んで頂きたいと………まぁそんなコトはどうでもいいですが」

 

Dr.モロは、アレ、なんでしょうね?と前方を指差す、そこに…

 

「ア……アイツはッッッ!!」

 

丁度建物が建っている付近に見える複数の人影、そして、その中にこの距離からでもハッキリとわかる凶々しいオーラ…ッ!!

 

「ブラックーッッッ!!!」

 

「オイ!待てアヤセ!」

 

アヤセは叫びをあげて新・未来夕張型艤装を展開し、前方に居るブラックとやらに突貫して行くッ!!

 

「…ん?」

 

ドンッッッ!!(完全ガード)

 

「ほぉ…?オマエはたしか夕張型の、ククク…どこへ行ったのかと思っていたら」

 

「ブラックッッッ!!オマエだけは許さないッッッ!!」

 

ギリギリギリギリッッッ!!

 

「…グッ、この短期間で急激にパワーを上げてきた…?ククク、面白い、一体何があった?」

 

アヤセの猛攻を正面から受け止めるそいつ………あれが噂の凶悪鬼畜レ●パー、テイトク・ブラック(夕張命名)ってヤツか…?

 

「あー…たしかに中佐と同じ顔してますねぇ、えぇ」

 

「バカ言ってんじゃねーよ、俺の方がハンサムだろーが」

 

「そうですかねぇ」

 

…たしかに、実に奇妙なハナシだが俺に似ているな、だが実際目にしてみて俺にもわかる、アレは俺じゃあない、別のナニかだッ!

 

「ククク……だがいくらパワーアップしようと私には勝てな………ん?アイツは…?」

 

どうやらこっちに気付いたようだ、テイトク・ブラックはニヤリと笑うとアヤセを蹴り飛ばした

 

「なるほど………あの男は、ククク、面白い!ならば私も見せてやろう!私の本当の力をなァァァァァ!!」

 

「クッ!!」

 

バ…バカな!テイトク強度1000、1500!2500!まだ上がるのか!コイツは一体…!?

 

「テイトク強度8000万、ま……まさか、コイツ、まさか海軍の伝説に残る伝説の(スーパー)提督だとでも言うのか!?」

 

……かつて海軍兵学校で聞いたことがある、伝説の(スーパー)提督…ッ!それは千年に1人現れる“凌辱(はかい)”と“レ●プ(さつりく)”を好む最強の戦士……まさか実在していたとでも言うのか!?

 

「…娘は後だ、まずはオマエから血祭りにあげてやる」

 

ヘヘッ、こんなにやべーのに…オラわくわくしてきたぞ!

 

「面白い………溢れる知性で返り討ちてしてやろう」





オス!オラ提督!テイトク・ブラックぅ…!たしかにコイツは許せねぇ!オマエは謝ったってもう許さねぇぞー!!
次回、未来ギリギリ超決戦!死ねのはオマエだ!ゼッテー見てくれよな!


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絶望の未来Monster 編④

未来編最終回、物事を雑に片付ける身勝手さを備えた身勝手のゴクーイ…

【登場人物】

提督(糖)
未来では糖が原因で死亡したらしいものの詳細は不明
夕張エンドの先はキケンが危ない

アヤセ(夕張型)
未来夕張の娘、多少マザコン気味だが未来が未来だけに仕方ない、好物は母さんのオムライス

仁科大佐(闇)
未来での動向は不明、たぶん色々と報いを受けてる

テイトク・ブラック(鬼畜)
未来に現れた提督と同じ顔をしたパチモノ、その正体はよくわからない


「今噛んだよね?溢れる知性で返り討ちにって言いたかったんだよね?ねぇ?」

 

「か、噛んでねーし!はぁー?噛んでねーしぃー!」

 

テイトク・ブラックとの決戦!!未来の街、ア●ルシティ・ハカタを舞台に始まった超決戦は熾烈を極めた…

 

アヤセを一度はフルボッコにしたテイトク・ブラックの力は提督の予想を遥かに超えており、その圧倒的なパワーの前に知性溢れる提督は追い詰められ、遂に提督は禁断の必殺技(フィニッシャー)を発動!逆襲のテイトク・リベンジャーが決まったかと思われたが…

 

「な、なにぃ!?」

 

「フォー!フォフォフォー!」

 

海軍三大奥義!テイトク・リベンジャーすらテイトク・ブラックには通用せず、提督は再び追い詰められた…

 

しかしッッッ!!“希望(HOPE)”は死んでいなかった!!

 

…1人ではテイトク・ブラックには勝てない、PRIDEを捨てた提督は元海軍技術大佐、仁科大佐ことDr.モロと力を合わせる道を選んだ!!

 

そして今、最強の戦士が誕生(エヴォリューション)するッッッ!!

 

「な…なんだ?この力は……!キサマはいったい…!?」

 

『『フッ…俺は提督でもDr.モロでもない、オマエを倒すもの…』』

 

どこかよりスタイリッシュに取り出した純白の覆面で顔を覆い、妙にキレのある動作でビッ!とポーズを決め、身体の内側からとてつもない変態力が溢れ出すッ!!

 

変態を超えた変態、その、変態を超えた変態を更に超えたド変態、禁断のさらに先にある秘技“海軍式フュージョン”により誕生した最強の戦士(ドヘンタイ)

 

「ちょ……!?ウソ!?ちょ、待てよ!!」

 

スカートの下が急に涼しくなったアヤセがスカートを両手で抑えブッコロスぞと叫び声をあげている気がしたが、それは無視した

 

「キサマァ…このヘンタイがァァァァァ!!」

 

『『フン、鬼畜レ●パーのキサマにヘンタイとは言われたくはないが、たしかに私はヘンタイだ!』』

 

WELCOME!と、よくわからないが高度なポーズをキメ、遂に最終決戦の幕が開く!!

 

『『イくぞォ!!世界中のヘンタイよ!俺にヘンタイを分けてくれーッ!』』

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

………絶望の未来、人造艦娘、そしてテイトク・ブラックと言う恐怖に晒されたこの世界、そんな絶望の未来にもう絶望はない

 

「…一応、お礼は言っておくわ」

 

「オイオイ、素直じゃねーなコイツは?なぁオイ?」

 

「まぁ年頃の多感な時期ですからねぇ」

 

提督とDr.モロ、2人のド変態は互いにガハハハとかハハハとか笑いつつ下半身を謎の光が遮っていた、なんだろう……このやるせない気持ちは

 

この2人のド変態の活躍…活躍によりブラックは倒された、ま、まぁ…ド変態ではあるけど、うん、とりあえず、世界は救われたのだろう…

 

「これで未来は今度こそ平和になったってワケだな!」

 

「え、えぇ…そうだね、たぶん」

 

そうだ、過程はどうあれ、ブラックの脅威は去り、今度こそ未来は平和になったのだ…!目の前にあるメチャメチャに破壊されたア●ルシティ・ハカタの廃墟、しかし、人々はまだ生きている…

ブラックの毒牙から逃れた娘だってまだまだ大勢いるハズだ…!

 

「清霜さん………母さん………やったよ」ホロリ…

 

人造艦娘、それにテイトク・ブラック、多くの犠牲と悲劇を生み、思えば哀しみと怒りと絶望だけの人生だったけど今度こそ…

 

「オイオイ泣くんじゃないよこの娘は、ガハハハ!」

 

「うっさいなぁ…ってか泣いてないし、ってかアンタら!いい加減服を着ろ!服を!」

 

「おっと、これは失礼」

 

「年頃のお嬢さんの前では少々刺激が強すぎましたね」

 

「うるせぇーよ!!」

 

………こうして、テイトク・ブラックの脅威は去り、私は生き残っていた娘達にそれを伝えると街は喜びの歓声に包まれた

 

ーーー

 

そして、未来から戻ってきた現在…

 

「今度こそお別れね、今回は……その、ホントに助かったわ、ありがと」

 

俺達を無事、現代へと送り届けたアヤセは些か照れ臭そうに礼を言った、まったく、ツンデレとか今時流行らねーぞ

 

「しーちゃん!荷物持った?忘れ物ない?大丈夫?」

 

「だいじょーぶ」

 

そして、再び自分のいるべき世界、未来へと戻るべくタイムマシンの準備をつい先程終え、いよいよ別れの時はやって来た…

アヤセに預けられているDr.モロの貴重なサンプルっ子はDr.の助手的な存在である大鳳にアレもコレもリュックサックいっぱいにお土産を貰っているらしく、2人はしつこく別れを惜しんでいた…

 

「いつでも帰ってきていいからね!私も大佐もいつだってアナタを歓迎するからね!」

 

「うん!」

 

「私は特に歓迎はしませんが、あと、私は大佐ではありません」

 

俺達が未来で全世界の存亡を賭けたアツい戦いを繰り広げている間、このチビスケェは美味いモン食って散々甘やかされたらしく、アヤセは美味いモン食い過ぎると後々ツラいぞとボヤいていた…

 

「そう言いつつ、お前も昨日オムライスたらふく食ってたな」

 

「うっさいな……いいでしょ?別に」

 

未来から戻り、帰りのタイムマシンの準備をしていたアヤセに何か食いたいモンあるかと尋ねると、夕張の作ったオムライスが食いたいと返ってきたので、先日、夕張にオムライスを作らせてみたらワリとスタンダードで普通なヤツを作った、何故アイツはオムライスはスタンダードで普通に作るのに開発関係はロクなモンを作らないのだろうか…

 

「よし、準備かんりょー、そろそろ出発するよー」

 

アヤセとチビスケェはタイムマシンに乗り込み、タイムマシンはガタガタと振動して淡い光を放ち出す…!

 

「元気でな!アヤセ!未来はオメーに任せたぞ!」

 

今度こそ!と付け加え、光を放つタイムマシンに手を振っていると、アヤセのヤツはなにやら口をパクパクし、最後にベーッ!と舌を出し、消えてしまった

 

「ほぉ、なるほど…」

 

「アンタ読唇術とかできるのか?」

 

「えぇ、まぁ、多少は…」

 

アヤセの野郎が最後に何と言ったのか………気にならないワケではないが、まぁ、どうせロクなコトじゃねーツンデレ発言だろ、どうせ

 

「何と言っていたか、聞きますか?」

 

「いや、やめとくよ、どうせロクなコトじゃない」

 

「ロクなコト……フフ、そうですねぇ、そうかもしれません」

 

Dr.モロは可笑しそうにクックックと笑い、これで私への依頼は全て完了ですねと言って助手の名を呼んだ

 

「では、私達はこれで失礼しますよ」

 

こう見えても私も軍を追われた立場ですからねぇと嗤い、白衣の裾を大きく翻して歩きだした

 

「オイ、料金は?天才超特急価格だろ?」

 

「既に頂きましたよ」

 

“未来”からの“遺産”をね、と言い残し、海軍の闇が生み出した怪人は颯爽と去って行った…

 

………Dr.モロか、ただのヘンタイじゃねぇとは思っていたが、まったく、世界にはとびっきりのヘンタイが居るんだな!

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

絶望改め、希望の未来…

 

ブラックの脅威が去り、人々と街にはこれから活気が戻って行くのだろう…

 

無事、タイムマシンで過去から未来へと戻って来た私としーちゃんはまだ無事だった私達の家へと帰ってきた

 

「ただいま〜…って、誰もいないけど」

 

「あら、おかえりなさいエイナス、しーちゃん」

 

誰もいない……?え?母さん…?え?なんで母さんが居るの…?

 

「え…?母さん、なんで生きてるの?」

 

「アンタ、親に対してなんてコト言うのかね…」

 

夕張母さんはバカな子を見るような目でため息をつき、よっこらセ●クスとか言いつつ立ち上がった

 

「ってか別に、私死んでないわよ、ブラックに前をブチ抜かれただけだし」

 

「えー………」

 

…言われてみると、たしかに

ブラックはただの強●魔であり、殺人鬼ってワケじゃない

母さんは腰イテーと言いつつ尻のあたりをさすっていた

 

「母さんア●ルなら大丈夫だけどマ●コはさすがに久々だからかなりマイったわ」

 

「マ●コとかゆーな!ストレートかッ!」

 

こ、この母は………!母さん曰く、つい先日まで鬼畜レ●プの後遺症でアヘっていたらしく、ブラックが倒されたと言うのもつい先程知ったそうだ、そんな母さんに、私はこれまでの事情を話すと…

 

「そっかそっか〜…テイトクが〜」

 

母さんはどこか懐かしそうな顔で、嬉しそう…たぶん、母さんが過去のとは言え、提督に一番会いたかったハズ…

 

「ってか、アレのどこが良いのよ…」

 

そもそも、私が過去で会った母さんはまだ全然マトモに見えたんだけど…母さんはどこで道を間違えたのだろう

 

「え?聞きたい?そっかそっかー?エイナスもそんな年頃かー?よし!じゃー聞かせてやろう!母さんが提督のア●ル隷奴に開発された話を…」

 

「聞きたくないわ!!」

 

「えいなす、ア●ルレードってなに?」

 

「知らなくていいわよ!」

 

 

これは、無数に存在する未来の一つでしかない

 

彼の未来が良い未来になるのか悪い未来になるのか、それはまだ誰にもわからない

 

だが、どんな絶望の未来が待ち受けていようとも、常に、絶望に抗うたった一つの希望があるのだと…

 

 

絶望の未来Monster 編 おわり




【登場人物2】

未来夕張(マザー)
艦娘の力と戦う力を失った未来の夕張、現代の夕張より若干マトモなようで根はそうでもない

未来清霜(死亡)
絶望の未来でアヤセことエイナスに修行を付けてくれた偉大な戦士、人造艦娘との戦いの中で、エイナスこそ唯一、人造艦娘を倒すことができる希望だと信じてその命を散らした


次回はなんやかんで600回、初心に戻ります、初心に


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提督と五月雨と暗黒の儀式

なんやかんで600回目、と、ついでに、実は今日で掲載開始から4年目だったりします

思えば、随分長く旅をした……いい旅だった、感謝している!

謝りたいと!感じているから!感謝と言うのだろうッッッ!!

【登場人物】

提督(クズ)
このお話の主人公的存在、クズ・ゲス・カスの三重殺
浜風ちゃんに対してのみ歪んだ欲望を抱いているのは何か理由があるのかと思いきや特にない

五月雨(秘書艦)
もう何年も出撃してない専業秘書艦、昔はキラキラしていた時期もあった


「さて、では今日の議題だが………浜風ちゃんをレイー●プする必要性と必然性及びそれによる弊害と利益についてだが、サミダリューン、まずは卿の意見を聞こうか」

 

梅雨入りしてからまったく梅雨の明ける気配を感じない七月の日、外の湿度に対してエアコンのボタンをGANGAN押して対抗している梅雨の執務室…

 

これまで幾度となく我が前に立ち塞がってきた難問…

 

浜風ちゃんをレ●ープする

 

その難しさたるやまさしく難攻不落の要塞を攻略するかのごとき難易度、これまで幾度もこの難問に挑み、我々は敗北の苦汁を舐めさせられてきたものだ…

 

「………もうめんどくさいので大和さんとかで手を打ったらどうですか?たぶんちょっと頼めばパ●ズリぐらいしてくれますよ、あと、五月雨です」

 

「女の子が平然とパ●ズリとかゆーんじゃないよ」

 

五月雨は心底面倒くさそうな顔をして冷蔵庫から麦茶の入ったペットボトルを取り出してグラスに注ぎ、俺の机に置いた

 

「グラッツェ」

 

「どういたしまして、あと、もう帰っていいですか?」

 

「いいワケないだろーがこの子は、今日は浜風ちゃんレイプラン徹底討論なんだよ、良い案でるまで帰れると思うなよ!」

 

五月雨は心底面倒くせぇと言いたげな顔をしてグラスの麦茶に口をつけ……

 

「まぁ、これまでも何度かありましたけど………提督、ホントにヤる気あるんですか?」

 

「なんだと?」

 

「毎度毎度レ●プレ●プ言ってますけど、大抵は途中でヘタレるじゃないですか?なんなんですか?ヤる気ないんですか?」

 

「あるよ!」

 

「じゃあ今すぐ寮の浜風さんの部屋に押し入って問答無用でブチ込んで来てくださいよ、痛いとかやめてとか言っても関係ないですよ、とにかくブチ込む」

 

「オマエスゲーな、どうやったらそんな鬼畜な発想できるんだよ…」

 

五月雨は麦茶を飲み干し、お菓子棚に入っていたハッピー●ーンを取り出して菓子皿に入れ、執務机に置いた

 

「どうぞ」

 

「オブリガート」

 

…たしかに、五月雨の意見は是である、ヤる!じゃあねぇ、ヤッた!なら使っていいのだ!まったく、この青髪ロング子はいつだって俺に“勇気”を与えてくれる…っ!コイツとならこの先の海にも進んで行けるって勇気を!

 

「まぁ、基本ヤルヤル詐欺でヘタレ提督では無理な話ですね」

 

………がッ!その、青髪ロング子の心ない発言が、提督のPRIDEに火を点けたッ!

 

「誰かヤルヤル詐欺のヘタレなのだよ」

 

「じゃ、行って来てくださいよ、私はここで本読んでますから、何かあったら電話してください」

 

「ハッ?上等だよコノヤロー!俺を舐めんのも大概にしとけよコラァ!いいぜ!今すぐ行って来てやんよ!今すぐ行ってブチ込んで来てやらぁ!」

 

◆◆◆

 

主に、駆逐艦のガキどもが住む寮、通称、男根寮…

 

五月雨の売り言葉に、できらぁ!と半額以下で買ってしまった俺だが………寮の前まで来たものの、完全にノープランだ、いや、プランが必要なのか?本当に必要なものはプランではない、覚悟なんじゃあないか…?

 

「……」

 

俺はポケットに入れていたケイタイを取り出し、速やかにダイヤルボタンを押してコールした

 

プルルルル…プルルルル……ピッ!

 

『もしもし?』

 

「もしもし?サミーか?俺だ」

 

『なんですか?もうヤったんですか?』

 

「まだだ!まだ寮の前に来たところだが……」

 

よく見ると、寮の入口付近には睦月姉妹のアホガキどもが汗ダクで、あーっ!風呂入りてぇー!とな言いながらたむろしている…ッ!

 

『あー…そういや午前中にバスケの練習してましたっけ?丁度終わって寮に戻ったところですか…』

 

「このままじゃあ入口付近で必ずヤツらに見つかっちまうぞ!」

 

『はぁ?』

 

始末するしかない………だが、あの数だ、1人2人なら姿を見られることなく始末する事ができるだろうが、あの人数では必ず姿を見られてしまう!

 

『裏口から入ればいいじゃないですか?』

 

「…やはり天才か?」

 

五月雨との通話を終え、ケイタイをポケットにしまった俺は寮の裏側、すなわち裏口のある方へと向かう!まったく、コイツとなら何だってデキそうな気がしてくるな!勇気が湧いてくるのだよ

 

―――

 

寮の裏口から無事に侵入した俺、ちなみ裏口にはバッチリ鍵がかかっている安心のセキュリティだったが安心の蛇咬(スネークバ●ト)で捻ったら開いた…

 

「たしか浜風ちゃんの部屋は2階だったか…」

 

浜風ちゃんの部屋は寮北側の2階、しかし、浦風や谷風クンと同室だったハズ…

 

プルルルル…プルルルル……ピッ!

 

『…もしもし?』

 

「俺だ」

 

『今度はなんですか?』

 

「もしもだ!もしもの仮定ではあるが、部屋に押し入った際に浜風ちゃんの他に誰か居た場合なんだが…」

 

『…あー……それもそうですね』

 

俺の射程は約2メートル、もし仮に浜風ちゃんの他に何者かが居た場合が問題だ…

 

「始末するしかない…」

 

『いや、そこはむしろ前向きに行きましょう』

 

「前向きに…だと?」

 

『とりあえず、見せつけてやるぞ!って感じで行ってみては?』

 

「オマエスゲーな、どんな発想したらそんな解答がでるんだよ…」

 

コイツ、電話先だからってテキトーなコト言ってるんじゃあ……いや、そんなハズはない、我が秘書艦は常に俺に勇気を与えてくれる…!そうだ、俺とオマエ、出来ないコトは何もねぇ!カッコ悪りぃとか言ってる場合じゃあねぇんだ!!俺の偽りなき本心をぶつけるんだ!

 

俺はケイタイのボタンを押して通話を切り、ダッシュで寮の階段を駆け上がり、廊下を走った!途中、白露ねーちゃんと目が合った気がしたがお腹パンチで始末し、さらに村雨と目が合った気がしたが手加減無用の蛇遣い座全開蛇咬(スネークバ●ト)で窓ガラスごとブチ割って始末し、運悪く遭遇してしまった海風ねーちゃんには気さくに挨拶をし、とうとう目的の部屋の前へとやって来た…

 

「ここがあの女のROOM…」

 

俺はポケットに入ったケイタイに手をやり………いや、必要ないな、俺はもうすでに溢れきれないばかりの勇気を貰ったんだ!

 

いざ!!

 

ガチャ!!ガチャガチャ…!!(ドアノブ)

 

「……鍵がかかっている?」

 

こ…この扉を開ける為にはキーが必要なのか!?

 

そんな緊急事態発生に混乱していると、廊下の向こう側から駆逐艦と思えないスケベボディをした駆逐艦、浦風が紙袋を手に歩いて来た…ッ!

 

「おー!提督さんじゃあ、なんかウチらに用があるんかー?」

 

「オマエにはない、浜風ちゃんは?」

 

「浜風ぇ?あぁ、浜風なら先週から有給取って釣りに行っとるよ、なんかスーさんに誘われてなんちゃら島とかなんとか、まぁウチにはよーわからんけど…」

 

有給…!?そんなものがあるのか…!?いや、普通にあるけど…

 

そういや先週、なんかそれっぽい書類に印鑑押したような気が………俺はポケットのケイタイを取り、サミーに電話してみる…

 

『なんですか?』

 

「あ、もしもし?オマエ、今日浜風ちゃんいないって知…」

 

ブチッ!!ツー…ツー…

 

「オイ!もしもし?もしもぉーし!?あのヤロー…切りやがった」

 

「なんなんじゃ?」

 

「やかましい、っーかオマエなんだその乳は?あ?その乳で駆逐艦とか舐めてんのか?あ?挟まないとシツレーだろ?」

 

「な、なんじゃあ!?って普通に乳揉むなアホンダラぁ!!」

 

結局この日、俺は浜風ちゃんにブチ込むことは叶わず、とりあえず浦風の乳に必殺のバ●トバーストを叩き込み、イライラしながら執務室に戻ると、執務机に青髪ロング子の“コロンビアに豆を買いに行くので休みます”と書かれた有給申請の書類が置いてあった…




読んでくださる皆々様には本当に感謝しております、いや、ホントに、とても嬉しいです、えぇ

これからもダラっと書いてますのでよければお付き合い頂けると嬉しいなと思っております、あと、ママの店のお客様やマッスルファイトしたいとかどうぞお気軽にお声かけくださいませ(他力本願)


次回はトゲトゲチビとキンパツチビがお風呂回


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山風とJervisと入渠ドック

PRIDEとPRIDEの一騎討ち、アイドルだって汗をかく!でも心のテカリは抑えられない

【登場人物】

山風(緑色)
常にイライラしたような目をした白露姉妹の八女
海風姉ぇのボインを羨ましく思いつつも五月雨と春雨を見ていると自分に勇気を与えてくれる

Jervis(金色)
英国から来たリトル淑女、とてもハツラツでグイグイくる
環境のせいではなく生まれついてのアレな子


入渠ドック………それは、ダメージを負った艦が傷を癒すトクベツな風呂である

 

通常の風呂とは違い、癒しの効果が期待できる謎に満ちた源泉を引いているらしく湯に浸かっているだけで新陳代謝が活発となるとの話だが実際のところはよくわかっていない…

 

そして今日、そんなトクベツな風呂である入渠ドックに………2人の駆逐艦が来ていた

 

「…チッ」

 

梅雨時期はトゲトゲしい髪質のトゲトゲ度が増し、コンディショナーはかかせないトゲトゲの申し子、山風

 

「It isn't liked…キニ・イラないわネ」

 

梅雨時期はベタっとした髪質で自慢のサラサラ度が激減し、トリートメントはかかせないサラサラの申し子、ジャーヴィス

 

互いにイ級に噛まれた程度の大したケガではないが、山風は一つ上の口うるさい姉から、ジャーヴィスは口うるさい女騎士から、場所は違えど時を同じくして風呂に行けと勧められてやって来た…

 

互いに普通に生活し、そのうち自然に出逢ったら決着をつける、そして…夜の入渠ドックに駆逐艦が2人………勝負でしょう?

 

そんな暗黙の前田●世ルールの下、脱衣所で出逢った山風とジャーヴィスは互いにメンチビームの火花散らしメンチを切り合った、だが!!ここ、入渠ドックは基地施設内でも珍しい“不戦の約定”により一切の争いを禁じられし永世中立地帯ッ!!

 

かつてこの基地がまだ街の荒くれ者が集まる冒険者の酒場のようだった頃、あまりにケンカが絶えない事を憂いた1人の軽空母、ビッグ・ママから制定されたルールである…

 

「…チッ」

 

「ナニ見てんのチビ?ブッコロ・スーぞ」

 

「…ブッコロされるのはオマエ、むしろブッコロしたなら使っていい」

 

2人は服を脱いで丁寧に畳んで籠に放り込み、まずは身体を洗うべく洗い場へ来て座った…

 

「…はぁ、なんでコイツと一緒な……」

 

まずは髪を洗うべくシャワーを手に取った山風は2つ隣に座るジャーヴィスをチラ見すると、ジャーヴィスのお風呂セットにはアレがないコトに気付いた!

 

シャンプーハット!!

 

シャンプーをする際、シャンプーハットがないとシャンプーの泡により目に深刻なダメージを受けてしまう……しかし、シャンプーハットさえあれば完璧ではないにせよダメージの90%はカットできるッ!!

 

「コ…コイツ!ま、まさか…!?」

 

シャンプーハットを使わないのか!?あ、ありえない…シャンプーハット無しでシャンプーなど自殺行為に等しい!海風姉ぇほどのボインならいざしらず!このキンパツチビがあの耐え難き苦痛に耐えられるワケが…

 

「ナニチラチラ見てんノ?」

 

「…見てないし」

 

ジャーヴィスから目を背けた山風、疑惑は確信に変わった…!使わないつもりだ!シャンプーハットを…ッ!そしてコイツは腹のナカで嘲笑っているッ!“キャハハハッ!コイツshampoo hat使ってルー!Darling見テ見テー!マジダッサーいキャハハハー!”と…

 

「…クッ!」

 

使うワケにはいかないッ!!姉の海風姉ぇや妹の江風に負けるのは別に悔しくはないが、このキンパツチビに負けるのだけは絶対にイヤだ!その、剥き出しのPRIDEが山風に火を点けたッ!

 

山風は手にしていたシャンプーハットを床に置き、覚悟をキメてシャンプーのボトルを押した

 

ーーー

 

洗い場に座ったラッキー・ジャーヴィスことジャーヴィスは焦っていた、よくよく見たら、自分のオフロセットーにshampoo hatがない…ッ!!おそらくは部屋に忘れてきてしまったのだ…!これはあまりにも痛いシッパイ!痛恨のmistake!

 

そもそもArkのヤツが“Jervis、いつまでそんなモノ使っているんだ?オマエも女王陛下の英国淑女たる者、いつまでもそんなものを使っていては…”と、毎度毎度セッ・キョーしてくるのが悪い、そう、ゼンブあの口やかましい説教女騎士が悪いのだ

 

…そしてあのトゲトゲチビ、こっちをチラチラ見てる

たぶんアタシを嘲笑っているのだろう“…うわ、あのキンパツチビ、シャンプーハット持ってない……ダサ、テイトク、あのチビ、マジダサ坊だよ…”と…

 

「クッ!」

 

せめて他のヤツならアタシ忘れちゃっター!貸しテ貸しテーとfriendlyに話しかけるところだがコイツにだけは借りを作るコトはできない!たしかにshampoo hatは欲しいが、ここで退くコトはできない!失われるッ!PRIDEが!

 

ジャーヴィスは覚悟をキメ、シャンプーのボトルを押した

 

「ダイジョーブ…ダイジョーブ…」

 

そう、ダイジョーブだ…Arkのバカと一緒にオフロ行くと頭を洗ってやるぞーとか言ってアタシの頭をワシャワシャ洗う日もある、ダイジョーブ、耐えられる!ってかArkのヤツ乱暴すぎるのヨ!

 

とりあえず丁寧に、とても丁寧に己の髪をしっとりと洗う…

 

「クッ!!」

 

目にキタァァァァァ!!泡が!泡が目にィィィィ!!クソッ!!shower!showerで洗い流さな…!!

 

ーーー

 

無いッ!!?シャワーが…!シャワーがない!?目の前に…!右手の届く範囲にあるハズのシャワーに手が届かない!

 

山風もまた、苦しんでいた…

 

たまに海風姉ぇと一緒にお風呂に行くと髪を洗ってくれるが海風姉ぇいつまでもシャンプーハットとか恥ずかしいですよと使わせてくれず、泡のダイレクトアタックに苦しむが自分なら大丈夫!そう大丈夫だと覚悟をしていたが大丈夫じゃなかった…!やっぱ海風姉ぇみたいなボインじゃないとダメなのだ…!?

 

両目をヤられ、懸命に右手を伸ばす山風だったが、やはりシャワーを手にとることは出来ず、山風は最後の手段に出た…ッ!!

 

湯船に顔を突っ込んで泡を除去する!!

 

山風は見えない目でフラフラと立ち上がり、たぶん湯船のある方向へと歩きだした………湯船は洗い場と間逆、そっちに行けばお湯が…!お湯がある…!

 

ゴンッ!!!

 

「痛い!?なに!?」

 

「アイッター!!っ…!ナ、ナニ!?」

 

ーーー

 

奇しくも、ジャーヴィスもまた、同じ結論に、湯船に顔を突っ込むと言う結論に至っていた…

ジャーヴィスも見えない目で湯船へとフラフラ歩き、山風と額直撃の接触事故を起こしたのだ…

 

「アイッタ〜………クッ!ドコ見テんの!」

 

「…オマエこそドコ見てるの!邪魔!」

 

「ハァ!?ジャマはテメーネ!トゲトゲチビ!」

 

ジャーヴィスのパンチは空を切り、そのまま勢い良く山風の身体と接触し…

 

「コ…コイツ!?」

 

ジャーヴィスは戦慄した、ぶっちゃけ、目が泡でヤられたせいでよく見えないがこのトゲチビ、なんか柔らかいと……

 

「クッ…離れ…て!」

 

…そういやコイツのsisterにはやたらとボインがいっぱい居る気がする、まさかこのトゲチビもその片鱗が…いや、たしかな可能性が感じられるのだ、今!この手に掴んでいるのは腹の肉なんかじゃあない!

 

………始末するしかない

 

アタシとDarlingのゼッ・チョーをジャマする可能性は排除しなければならない、ってかムカつく

 

ジャーヴィスは見えないものの、山風の位置はわかっているので、とりあえず肘を振り回してみた

 

「痛い!!こ、このキンパツ…チビ!何すんの!!」

 

山風も見えないものの、自分の射程内にいるのはわかっているので腕を振り回すとナニか当たった

 

「イタッ!!こ、コノ…!この汚らしいアホウがーッ!」

 

互いに見えてはいない!だが射程内に確実に居る!ジャーヴィスと山風は互いにとっくみ合いになり、このチビだの!このブスだのキィーキィーと醜い罵り合いを開始し…

 

つるん…っ!!(石鹸)

 

「あ」

 

「あ」

 

なんだここは!滑るぞ!と思った時は既に遅かった…

 

2人は石鹸でツルツルになった床に滑り、勢い良く頭を強打した…

 

◆◆◆

 

五月雨のアホンダラが有給取っていない執務室、そういや今、入渠ドック誰も使ってないハズだし掃除でもするかと来てみると、なんか緑色のチビスケと金髪のチビスケが69みたいな形で白眼を剥いていた

 

「………ナニやってんだ、コイツら」

 

風呂でハシャギすぎガールか…?

 

「とりあえず、誰か呼ぶか…」

 

 

この後、手痛いタンコブを作ったらしいが山風とジャーヴィーくんは無事に生還したらしく、ついでに山風は海風姉ちゃんからこっぴどく怒られ、ジャーヴィーくんは陛下からお言葉と尻打ち頂いたそうな…



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提督とColoradoと戦慄‼︎B.I.G 7

息つぎ可愛いコロコロ回

【登場人物】

提督(英会話は気合)
最近の興味は地方予選大会

Colorado(美腋)
ワキガくさい?誰が言ったのよ!

長門(拳系)
身体的には陸奥に勝るものの、その心に“鬼”が棲んではいなかった…

陸奥(拳系)
好きなタイプは、バカ

Nelson(余)
殺人フェイバリット、ネルソン・タッチの使い手
並みの乳ではない


梅雨は明けていないものの、梅雨のNAKA休みらしき晴れの日、午前中を真面目に業務に費やし、腹が減ったのでマミー屋に行くかと歩いていると、背後からヘイ!ヘイユー!と威勢の良い声で元気良く声をかけられた…

 

「あ゛ー?」

 

「アナタ、そう!そこのアナタ!Admiralでショ?チョット聞きたいコトがアルんだケドー…」

 

振り向いてみると、なんかいかにもナマイキそうなキンパツのちっこいのが立っているが………誰だコイツ?ウチにこんなやつ居たっけか?

 

「ナガートとムツーを見てない?探してるのよ」

 

「ナガートとムツー…?っーかキミは誰だ?Who are you?」

 

「Who…って、チョット!アナタ失礼ネ!この私を誰だと聞いているの!?Very impolite man!」

 

キンパツガールはプンスコと怒ってなにやら英語でFuckだの言ってる気がするが………いや、マジで誰だっけ? 最近ウチに来たヤツか?たしか…あぁ、たしか居たな、MAJORから来た金髪巨乳の大型新人が、名前はたしか…

 

「まぁまぁそうイキリ勃たないで、小粋なテイトクジョークなのだよ、フレッシャーくん」

 

「Fuck!誰がFresherよ!まさかアナタ……この私が誰だかワカってないとか…?いや、まぁ、たしかにFresherなのには違いないケド………デモ!この私をFresher呼ばわりは気に入らないわネ!このUSS BB45 Coloradoを!」

 

「あ゛?」ギロッ!

 

「ナ…ナニよ!別にビビってなんかないわ!」

 

あー…そういや居たな、フレッシャーくんともう1人、MAJORから来た新人が…

 

「そうそう、コロラードくんだったか、コロラードくん、いや、なんかちっこいからフレッシャーくんと間違えてしまったよ、ハッハッハ」

 

「Fuckーッ!!」

 

あんまちっちぇから俺はてっきり駆逐艦かナンかと思ったぜぇ〜…と小粋なテイトクジョークを交えつつ怒り狂うコロラードくんのアクビが出そうなパンチを避けていると、コロラードくんは自分で足を引っ掛けてスッコロんでしまった…

 

「ピギャ!!……ゥゥ、ゥゥ…!」ポロポロ…

 

顔面を強打し、痛みに涙を堪えるコロラードくんに、俺は紳士として当たり前のコトとして手を差し出した

 

「大丈夫かね?お嬢さん」

 

「うるさいッ!!Your assistant doesn't need!Fall from stairs, and die!!」

 

グウゥゥム、よくわからんがとりあえず怒っているのは間違いなさそうだな、カルシウムが足りていない証拠だ、俺はコロラードくんに髪が傷んでいるようだな?トリートメントはしているか?と尋ねるとさらによくわからん逆鱗に触れてしまったらしく、再びキィーキィー言いながらアクビの出そうな大振りパンチをブンブン振ってきた…

 

ーーー

 

中庭でのコロラードくんとのアメリカンスタイルなジャレ合いはコロラードくんがハァーハァー言って汗ダクになったのでヤメた、そんなほんのり汗ダクなコロラードくんの見せつけるように開いた腋からはスゴく良い匂いがした

 

「ナニ…見てるのよ」

 

「味もみておこう」ペロリーヌ

 

「ピイィ!!ち、近寄らないで!Please don't get close.!!」

 

「冗談なのだよ、小粋なAdmiral joke」

 

「ハァ…ハァ……ナンデ誰もコイツを訴えないのカシラ?」

 

自分の恥ずかしい腋を両腋をきちんとシメてガードしたコロラードくん、だが、その亀のようなガードスタイルだと今度はその低身長に反則気味なパイオツが強調されるのだよ…

 

「で?コロラードくんは長門と陸奥を探してるって?」

 

「そ、そーよ…」

 

「アイツらなら今の時間だとトレーニング施設にでもいるんじゃないのか?」

 

「Training…?そう、ナラチョードいいワ!」

 

コロラードくん曰く、この基地に居る自分と同じビッグ7、長門、陸奥、そして余には一度ビシッと同じビッグ7として言ってやらにゃいかんぜよ!とのコトだが…

 

「マァ!このColoradoは心が広いから!このColoradoと同じビッグ7同士!手を組みたいと言ったらモチロン了承してあげるわ!」

 

手を組みたい…?オイオイ、コロちゃん、アイツらと自分を同格に見るのはやめておいた方がいい、手下にしてくれの間違いだろう?

 

そんな俺の心配を余所に、コロラードくんはTraining facilitiesに行くワー!と走りだしたので俺も一緒に行くコトにした…

 

ーーー

 

「フーッ……!フンッ!フンッ!フンッ!」

 

基地トレーニング施設……痩せる為やおしゃべりする為じゃあない、ここは己の身体を徹底的にイジメ抜き、筋肉に悦び与える施設…

 

「居たわ…っ!」

 

「長門だな」

 

いわゆる、スミスマシンを使い、バーベルを上げ下げしている汗臭いヤツ………戦艦長門、その、徹底的に鍛え抜かれた打撃用筋肉(ヒッティングマッスル)はまさしく鬼の貌!

 

「フーッ〜………ん?なんだ、同志提督ではないか?珍しいな」

 

「同志じゃねぇよ、ってか俺じゃなくてこのコロコロちゃんがお前に用事あるんだって」

 

「誰がコロコロちゃんよ!」

 

長門はコロラードくんを一瞥すると、嗚呼そう言えば最近新しくウチに来たらしいなとかなり興味なさげに答えて汗を拭き始めた

 

「同志提督、どうせなら海防艦のエンジェルスを連れて来てくれれば…」

 

「何の話だ?」

 

「フッ、隠すなよ同志…新人の子に2人もキャワいいコがいるんだろう?独り占めはよくないなァ?」

 

戦艦長門、小さくて可愛い子大好きな生粋のロリコンである…ッ!!

 

「まぁそれはいいとして、で?そのコロコロコロスケが何の用だ?」

 

「誰がコロコロコロスケよ!戦艦ナガート!アナタBig7なんだってね?このColoradoが来たからにはデカいツラするんじゃあないワよ!1番は私!No.1よ!」ドヤァ!

 

「………同志提督、コイツはナニを言っているんだ?」

 

「仲良くしてね、って言ってるんだろ、たぶん」

 

あの長門にすら残念なヤツに見られるとは、コロちゃんはなかなかの逸材だな

 

そんな残念コロちゃんは見てなさい!とか言ってさっきまで長門がやっていたスミスマシンの所へ行くとウェイトバーを持ち上げ…

 

「ふぐっ………!!フンッ、フッッッ!!」ブルブル!

 

長門がさっきまでフンフン上げ下げしていたウェイトバーだが……どうやらコロちゃんには些か重過ぎるらしい

 

「オ、オイ…やめておいた方が…」

 

「ピギャ!!」

 

ダメだった、コロちゃんはかなりブザマな感じでウェイトバーに押し潰された

 

ーーー

 

まずは長門に負けたコローラドくんことブッコロちゃんは“きょ…今日は調子が悪かっただけよ!It's remembered, and there isn't a coal!”と捨て台詞を吐き、次なる獲物に目をつけた…

 

「Hi!アナタがムツーネ!」

 

「ん〜…?あら?テイトクと〜……たしかColoradoだっけ?」

 

トレーニング施設だというのに特に運動するワケでもなく、ベンチに座り、なにやらオシャレな雑誌……いやオシャレでもなかった雑誌を読んでいた陸奥はこちらにヒラヒラと手を振った

 

「クッ!なかなかの発音ネ…」

 

そして、既にいきなり負け犬臭をプンプンさせるマケコロちゃん…

 

「ま、マァいいワ!ムツー!アナタBig7なんだってネ!デモこのColoradoが来たからにはデカいツラは〜…」

 

「え?ナニ?」

 

陸奥は雑誌をベンチに置いて立ち上がると、ペラペラと喋るコロラドの側に寄…

 

「デ………デカい…ッ!?」

 

「…ハァ?」

 

戦艦陸奥…ッ!その、均整のとれたグンバツなスタイルはハンパではない…ッ!最高にハクいナオンとは誰か?と言う問いには、誰もが陸奥の名を挙げる…

 

「チョ、チョーシに乗らないコトね!」

 

「…テイトク、この子何言ってるの?」

 

「トモダチになってくださいって言ってんだろ、たぶん」

 

「ふ〜ん」

 

そう言って陸奥はベンチから立ち上がると、負け犬コロちゃんにお姉さんが良いモノ見せてあげると言い、そこら辺に干してあったタオル的なものに右手を当て………拳で打ち抜いた

 

「What!!?」

 

「コレが出来たらヤりましょ」

 

邪魔者のいない演習(リング)で…と言い残し、陸奥はヒラヒラと手と尻を振って去って行った…

 

「エ…?な、ナニコレ…?どーやったノ?……あ、わかったワ!Trickネ!Trickだわ!」

 

陸奥曰く、晴れた日に、干した布団に拳を当てて打ち抜く練習を出来るまでひたすらする………千年、神様に喧嘩を売ってきた一族以外には些か難しいと思うなぁ、陸奥よ

 

ーーー

 

長門にも陸奥にも負け、着々と負け犬街道をひた走るコロコロコロラードくんはこんなハズじゃあ、こんなハズじゃあ…と病み病みな顔で爪を噛んでいた…

 

そこへ…

 

「ん?おぉ、My Admiralではないか?どうした…?こんなところで?」

 

英国から来た生まれも育ちも貴族的なまさに生まれついての貴族ッ!戦艦ネルソンがやって来た!

 

「ん…?そこのはたしか……嗚呼、たしかStatesから来たとか言う……なんだったか?嗚呼すまんな、名前は知らん!」

 

ブチィィ!!(堪忍袋)

 

い…今、たしかに負け犬コロちゃんからたしかにキレた音がしたッ!!長門、そして陸奥に連敗を喫し、既にPRIDEはズタズタになったコロちゃんの、プッツンする音が…!

 

「なぁんですって!!このUSS BB-45 Colorado class nameship!Coloradoォ!を知らない!?Almost also do that it's disrespected!!」

 

「ハッハッハ、許せ、ハッハッハ」

 

「Fuckーっ!!」

 

負け犬コロちゃん怒りの鉄拳がネルソンの胸板を打…!

 

ボイーン!(巨乳ガード)

 

「ピギャア!!」

 

ただ腕を組んで立っていただけのネルソンの巨乳ガードに弾かれ、コロコロちゃんはスッ転んで顔面を強打した

 

「ぅ、ぅぅぅ…!ぅぅぅぅ!!」ポロポロ…

 

「大丈夫かね?スッコロちゃん…?」

 

「誰がスッコロよ!!Don't think I won this.!!ウワァァァァァァン!」

 

脱兎の如く、さすがにPRIDEがPR/DEにされたコロラードくんは捨て台詞を吐いて脱兎の如く去って行った…

 

「My Admiral、アレはいったい何だったのだ?」

 

「手下にしてくださいってコトだろ、たぶん」



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提督と白露姉妹と水着の乱

出張ある週は憂鬱なので間が空いてしまうのです

【登場人物】

提督(聖なる完璧の提督)
成長しろ!成長しろよ!成長しなきゃ栄光は掴めねぇ!

白露(地味に美少女)
成長した

村雨(主に夢で見るタイプの悪魔)
成長した

夕立(狂犬)
成長してない

海風(とても美少女)
成長した


所謂子供達の夏休みが始まった今日この頃、当基地でも駆逐艦以下のキッズ達には夏休み制度が導入されており、8月31日までの期間は座学等の授業はなく、今日も朝からキヨシやリベのアホがカブトムシを獲りに野山にまじっていた…

 

そんな夏休み突入のこの夏、浜風ちゃんとビーチでフラッグを奪い合うにはどうするべきか?その、あまりにも高等な難問に対し自然対数の底eネイピア数を極限の式で定義しつつ自販機コーナーのベンチで缶コーヒーを飲んでいると、下品な笑い声が聞こえてきた

 

「ギャハハハハ!でよぉー!金持ってねーって言うからジャンプしろよって言ったらチャリンチャリン言ってんのー、で、ムカつくからパンチしたらピギャアとか言って転がってんの!」

 

「ギャハハハハ!村雨極悪っぽい!」

 

プッツン駆逐艦白露姉妹、その、三女と四女がゲラゲラ笑いながら歩いて来た、歩いて来た………が、なんだアイツら?水着でウロついて、クールビズか?

 

「あ、テイトクっぽい」

 

「テイトクちぃーっす、ナニやってんのー?こんなトコで〜?」

 

「ご覧の通り、缶コーヒーを飲んでいるのだよ」

 

「へぇ〜、夕立オレンジジュース飲みたいっぽい」

 

「あ、アタシはスプラ●トね、スプ●イト」

 

夕立と村雨はごく自然な流れで俺にジュースを買えとタカってきた

 

「自分で買えクズどもが、オマエらに奢る清涼飲料水など1ミリバールもないわい」

 

「えー!ケチっぽい!」

 

「なんでそんなイジワルするのぉ?」

 

「ケチでもなくイジワルでもない、提督だ、っーか村雨、なんだオマエその水着は?あ?大人を舐めてるのか?」

 

駆逐艦姉妹の中でも発育の良さに定評のある白露姉妹だが、中でも、この村雨の発育はハンパではない、その駆逐艦離れした超肉体は並の軽巡を凌駕し、重巡ですが?と言っても差し支えないほど完成されており、その類い稀なビッチ臭はあのビッチ・オブ・ビッチ鈴谷にすら匹敵する

 

「舐めてないし、ってか村雨去年の水着もう合わないから今年新しいの買ったの、どぉ?」

 

「去年のが合わない…だと?」

 

オイオイオイ、そのドスケベBODYで去年のがムリとかダメだろ、そのドスケベを多少なりとも五女と六女にも分けてやれよ、主に六女に

 

「ふ〜ん、まぁ似合ってるんじゃねぇの?」

 

「ホント?じゃ……はい」

 

村雨はニコニコ笑いつつ右手を俺の前に出した

 

「なんだこの手?」

 

「ジュース代」ニコニコ

 

…女を殴りたいと思ったのは生まれて初めて………いや、そうでもないか、俺は財布から小銭を取り出し村雨の手に握らせ…

 

「村雨ェ!そいつの手に触れられるんじゃあない!何か仕込みがあるぞ!」

 

バッ!!!(緊急回避)

 

「ハッ!?ッッッ!危ねー危ねー…サンキュー夕立!」

 

「ヘヘッ!いいってコトよ、キョーダイ!」

 

夕立と村雨はガッチリと手を組み互いの“友情”を確かめ合う、たしかに今、村雨は不用意に出された手を取られれば容赦無く思考力を奪うツボを圧されるか、艦娘パワーを奪われるかの窮地に陥っていただろう

 

「なかなかの好判断だ、下等にしてはな」

 

「誰が下等だし」

 

「こりゃメチャ許さんよなぁ〜っぽい」

 

「だが下等は所詮下等!貴様ら程度に奢るジュースはない、俺にそのドスケベ水着の上からイカされてみっともない嬌声を上げる前に去るがいい」

 

「ンマー!聞きました夕立さん?このおっさん、村雨達2人を相手に勝てるつもりですってー?」

 

「ウヒャヒャヒャ!あまりにおかしすぎ笑いが止まらねーっぽい!」

 

…どうやらヤる気らしい、やはり下等は下等、実力の差がわからないとみえる、村雨はどこから取り出したのかよくわからない愛用の(チェーン)をブンブン振り回し、それは勢い良く床に広がった

 

「村雨のサークルデ●フェンスよ!触れたが最後!1万ボルトの電流が…」

 

「あばばばばばばばばばばばば!!」ビリビリ

 

夕立は1万ボルトの電流を浴びた

 

「……村雨ェ!!テメーナニしやがるっぽい!」

 

「えー?ゴメンゴメン、ってかボーっとつっ立ってる夕立が悪くな〜い?村雨悪くなくな〜い?」

 

そしてこの自分の非を認めない村雨スタイル…

 

「…あ゛?」ピキッ!

 

「ナニ?アタシとヤる気?この村雨オネーサマと…?」

 

「…」

 

夕立は無言でお腹にパンチを喰らわせ、体勢が崩れたとろで両腕で村雨の両足を捉え、両膝の裏から両足を通すような体勢でおもいっきりのし掛かかり、村雨は血反吐と共に最高に恥ずかしいポージングをキメられた

 

ゴガアアン!!(マリキータデッドリーラ●ド)

 

「ウゲォアッ!!」

 

「チッ、クズが…」

 

夕立はペッと唾を吐き、恥ずかしい体勢で転がった村雨に蹴りを入れると、村雨の財布から小銭を取り出してオレンジジュースを買った…

 

ーーー

 

白露姉妹の闇の深さを改めて感じた昨今…

タバコでも吸うかと喫煙所に向かっていると、地味ながら美少女なことに定評のある白露姉妹の長女、白露ねーちゃんがなにやらチラシを片手に歩いていた

 

「よぉ、地味に美少女の白露ねーちゃん」

 

「ん…?あぁ、テイトクか……ってか地味に美少女ってゆーな」

 

「なんのチラシ見てたんだ?ハ●ズマンか?」

 

「なんでホームセンター……ってか違うし、ほらコレ、イ●ンモールとかに入ってる店の…」

 

白露ねーちゃんの見せてくれたチラシは女物の服等を扱うオシャレなお店のチラシらしく、オシャレ半額やこの人気のオシャレなどアオられていた

 

「ふ〜ん、なんか買うのか?白露ねーちゃんは美少女だからだいたい似合うだろ、ほら、コレなんかどうだ?自己主張に乏しく控え目で地味な色合いとか白露ねーちゃんにはピッタリのコーデ…」

 

「地味地味ゆーな!別にこっちの明るいヤツでもいいじゃん!黄色とか!」

 

「いや、それは白露ねーちゃんには眩し過ぎるのでは…?」

 

「クッ…!ま、まぁいいけど…どーせ買わないし」

 

「なんだ?買わないのか」

 

「服は買わないけど、新しい水着は欲しいかなって考えてるんだけど…」

 

「新しい水着…?」

 

なんかさっき聞いたような気がするが、まぁ気のせいだろう

 

「ほら、アタシちょっとづつ成長してるし?成長期だしね!改二とかなったし!」

 

「なるほど、たしかに」

 

たしかに、以前から地味に美少女だった白露ねーちゃんだったが最近は改二になったり髪が伸びたりと成長著しいものがある、そんな白露ねーちゃん、とりあえず新しい水着でも買おうかと妹の時雨様に相談してみたところこのチラシを貰ったらしく、その際に“大丈夫だよ、白露姉さんなら何を選んでもきっと似合う、なんなら僕が選ぼうか?僕が選んだ水着は絶対だ、僕には先がすべて見えている”と推されたが丁重に断ったそうな

 

「まぁ、いつものスケベな水着でも買えばいいじゃないかね」

 

「言い方ッ!まるでいつもスケベ水着みたいじゃん!」

 

「違うのかね?」

 

「違うし、ってか水着って地味に高いんだよねー…あ、コレ可愛いとか思ったら特に」

 

そんな地味に悩む白露ねーちゃんと話をしていると、廊下の先から新たなドスケベ……ではなく、旧型の白露ねーちゃんが霞む新型の長女の輝きを放つラノベヒロインみたいな顔した美少女が歩いて来た

 

「あ、テイトクと白露姉さん、こんにちは」

 

「よぉ、海風ねーちゃん」

 

「海風ェ…」

 

七女にして長女と言う矛盾、そしてあの村雨にも匹敵する駆逐艦離れした超肉体を持ちつつもビッチ臭を漂わせない白露型キセキの世代とはまた違った進化を果たしたキセキに匹敵する白露型、それが海風ねーちゃん…

海風ねーちゃんは、白露ねーちゃんが手にしていたチラシを見ると興味ありげに話しかけてきた

 

「白露姉さんも水着ですか?実は私も水着を新調しようかなと…」

 

「オイオイオイ…」

 

「なん…です、って?」

 

死んだわアイツ(五月雨)、ナニ言ってんだよこのラノベヒロイン顔、水着を新調…?あの殺人的なドスケベ水着がもうこの海風ねーちゃんの“成長”に付いていけてないってのか!?

 

「へ、へぇー…!ンミ…海風にはさぁー!こーゆーのがいいんじゃない?落ち着いた感じで大人しめなヤツ!まぁー!色合い地味めなヤツとかさぁー!」

 

「へぇ〜、なるほど〜…うん、いいですね!さすが白露姉さんです」

 

ダメだ白露ェ!海風ねーちゃんは白露ねーちゃんとは違う!同じ水着!仮に白露ねーちゃんと同じ水着だったとしても海風ねーちゃんには地味な色合いやデザインをも上回る“スゴ味”があるッッッ!!

 

「今度の休み買いに行こうかな……ハッ!?いや、たしか次の休みは花火大会があるから色々準備が……あ、そうそう提督、花火大会なんですけど私達と〜…嗚呼、別に山風を押し付けたいワケではなくてですね…」

 

言ってるコトもやってるコトもワリとグイグイくる海風ねーちゃんの破壊力は高い、その暴力的なパイオツをごく自然な流れで俺の腕にグイグイ押し付けてくる、もし俺が鋼鉄の精神力と気高き魂を持っていなかったら間違いなくオチ●ポ大好き肉奴隷に堕として首輪つきで執務机の下でシャブるコトに悦びを見出す雌犬にしていただろう…

 

だが!海風ねーちゃんは駆逐艦、まだ、色を知る年頃ではない…

 

「予定は未定だが頭には入れておこう、行けたら行く」

 

「それ行かないヤツじゃん」

 

さすがは白露ねーちゃん、冷静で的確なツッコミだ

 

「じゃ、今度の休みに私の買い物に付き合ってよ、イ●ンモールでいいから」

 

「やだよメンドくさい」

 

「海風に対して私の扱いが雑ッ!!





次回は帰ってきた伝説の狼

たぶん


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足柄と大淀とFatalFury-LAST RESORT-

帰ってきた決して散る事のない鉄の結束礼号組の足淀回


【登場人物】

足柄(ワイルドウルフ)
長女から子持ち処女とディスられる三女、ブランド物を買い漁るのが趣味

大淀(オ●ニーマスター)
足柄とはマジダチの知性派眼鏡、欲求不満の塊



「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、その聖なる拳は戦車とタイマンしても勝ち、高層ビルの上層階をダンクで破壊したとも噂されており駆逐艦のキッズ達からは憧れの対象とされている…

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

足柄とは艦種は違えどよくつるんでいるベスト・フレンド…

 

「まぁ落ち着けよ足柄よォ~…ここはキッズの遊び場、談話室だぜ?見ろ、キッズ達がWIX●SSできねぇじゃねぇよォ~」

 

憩いのスペース、談話室…

広めのフローリング、寝転がれる畳敷き、提督や明石が暇つぶしに買って読んだコンビニコミック、そしてスーパーファミ●ン内蔵テレビ、艦種を問わずに誰しも楽しめるスペースである談話室で海防艦のキッズ達は荒れ狂う狼にビビり部屋の隅でガタガタと震えていた

 

「フッ…私としたコトが」

 

足柄はポケットから取り出したHER●ESの財布から紙幣を抜き、一番近くにいた日振にスタイリッシュに投げ渡した

 

「悪かったなオマエらーッ!コイツでナニか美味いモンでも買いなーッ!」

 

「ヒュー!さすが足柄サンー!」

 

「メチャメチャシブくてマジカッケーっしゅ!」

 

キッズ達は足柄に頭を下げ、キャッキャとハシャぎながら談話室を去って行った…

 

「………で?ナンか久々じゃねーの足柄ァ?ナニ荒れてたんだ?またヤリ捨てられたんか?」

 

「捨てられてねーし、っーかこっちから捨てたわ、あのヤリチン」

 

大淀はテキトーに空いてる椅子に座り、テーブルに置いてあったティーポットのティーをカップに注ぎ、まぁ、お茶でも飲んでと足柄に勧めた

 

「じゃナンで荒れてんだよ?排●日か?」

 

「んなワケねーだろーが、クサマンが」

 

「誰がクサマンだコラァ!!足柄ぁ…?キレちまったよ、久々によォー」ピキッ!パキッ!

 

「発酵したグズグズのブルーチーズみてぇーな匂いプンプンさせてんじゃねーよォー…?大淀ォ…」ピキッ!パキッ!

 

2人は間近でメンチを切り合い、ヤんのか?ヤっちゃうぞ?と互いにアンアン言いつつインネン付け合ったが、やっぱくだらねーと感じたのか、再びテーブルを挟んで椅子に座りなおした…

 

「で?今回はナンだよ?欲しかったバッグが売り切れてたとか?」

 

「まぁ、半分当たりだな…ほら、アレだよアレ、こないだから夏休み入ったろ?ガキどもが」

 

「夏休みなぁ〜……大人になるとマジ夏休み羨ましいわ」

 

金はないけど自由はあったッ!ガッコーはないけど宿題はあった!毎日くだらねーコトばっかやってたけどあの夏の思い出だけは忘れない!大淀はしみじみとセンチメンタルな気分のままテーブルにあったルマ●ドを1つ口に放り込んだ

 

「で、ナンかデパートで夏休み自由研究フェアみてーなのやってるってキヨシとアサシがチラシ貰ってきてな、で、行きたい行きたいって駄々コネてよぉ…」

 

「ふ〜ん、で?このマジダチの大淀さん抜きでデパートに礼号組の仲間達と行ってきたワケだ?ふ〜ん、大淀さんの居ない礼号組で、ふ〜ん、で?ナニ?デパートの上にあるレストランでなんか食べたワケだ?可愛い可愛いカスミちゃんがイチゴサンデーとかシャバいモン食べたいワケないじゃないとかムリしちゃってるのがヴァレヴァレな天使可愛いフェイスもキヨシとアサシが食べるなら仕方ないから私も食べるんだからね!って言ってるのに口元が若干緩んでるエンジェル可愛いカスミちゃんのお顔も拝見してきたワケだー?ふ〜ん、へぇ〜」

 

「オマエスゲーな、まるで見てきたかのようなその言いがかり、マジスゲーわ」

 

大淀はフッと笑いメガネをクイッとして知性をアピールした

 

「まぁ、エンジェル可愛いカスミちゃんって以外は全部ハズレてるけどな」

 

大淀はカップに注がれたティーを飲み、ルマンドを1つ口に放り込んだ

 

「足柄ちゃんよぉー…一応聞くけど」

 

「ナンだよ?」

 

「…誘ってくれた?マイベストフレンド、決して散る事のない礼号組鉄の結束の礼号ブラザーの大淀さんを?」

 

「や、今回もどーせ部屋でオナってると思って最初から誘わなかったわ」

 

「んな毎回毎回オナってるワケねーだろォ!?」

 

足柄曰く、さすがにキヨシとアサシがアホな子だとしても大淀は大人だからたまにチ●コが生えるという言い訳もそういつまでも通用するものではない、むしろ毎回毎回イキ果てるまでヤってるオマエが悪いと…

 

「………まぁ、そこは反省するわ」

 

「1人部屋だからって自重しろよ、マジで」

 

「反省するわ」

 

「反省するのもマスかくのもサルでもできるわ、メガネザル」

 

「あ"?」ピキッ!

 

「ア゛?」パキッ!

 

ワイルドウルフとメガネザルはアーン?とメンチ切り合ったが、お互いに不毛である事に気づき、お茶でも飲んでCOOLにダウンした…

 

「でナニよ?デパート行った、お買い物して飯食った、コレで終わりかコラ?」

 

「それで終わってんならテーブル蹴るワケねーだろ」

 

「じゃナニがあんだよ?」

 

「アレだよアレ、ほらアレ、なんか着ぐるみのアレがイベントやってたんだよ」

 

足柄曰く、デパートの催事場でなんか人気者の着ぐるみが来ていたらしく、ぶっちゃけ可愛いくないヌイグルミとか販売していたり、ヌイグルミ買うと着ぐるみと写真が撮れたりするアレをやっていたらしく、例によってキヨシとアサシがマジカッケーと目をキラキラさせ写真撮りたい撮りたいとゴネ、礼号組のエンジェルであるカスミは“バカみたい!あんなのどこが可愛いの!まったくアナタ達って本当に最低のクズね!”とキヨシとアサシを罵倒していたが本当はあのワケわからんカワウソの着ぐるみに抱きつきたくて仕方なくソワソワしているのが足柄には心で理解できた…

 

「で、コレがソワソワしてるカスミな、 マジエンジェル」

 

「オマエそのエンジェルの写メ後で送れよ、マジで」

 

「でだ、とりあえずガキどもに金渡してヌイグルミ買って写真撮って来いって言ったのな」

 

「ヒュー!クール!クールだよオマエ」

 

「そんでみんなでヌイグルミ買っていよいよ撮影だってなったワケよ」

 

「撮ったんか?なぁ?エンジェルであるカスミが着ぐるみに抱きついてるの撮ったんか?」

 

足柄はスマホに保存された画像を表示して大淀に見せた

 

「コレな」

 

「…………あーッ!尊い!尊いわー」

 

「マジエンジェル」グッ!

 

「マジエンジェル」グッ!

 

2人は互いにガッチリと握手し、この汚れた地上に降臨に礼号組のマイエンジェルカスミの素晴らさと尊さを分かち合った

 

「で、カスミはいいとしてだ、キヨシとアサシのアホンダラがカワウソのケツを欲望ォ!搾取ーッ!と言いながら執拗に狙ってんの」

 

「アイツら搾取とか難しい言葉知ってんのな」

 

キヨシとアサシはカワウソイヤァ!カワウソイヤァ!言いながら変な踊りをしながらカワウソのケツに執拗に蹴りを入れ、去勢された負け犬だの惰性で生きる虫ケラだの言って暴れ回り、結果…

 

「イベントスタッフから“お母さん、元気なのは良い事ですが正直困ります……”って、怒られたワケだ」

 

「アイツら去勢だの惰性だの難しい言葉知ってんのな」

 

「そこじゃねーだろォ!!アイツらのせーでいらねー恥かいたこっちだろ!!ナニがカワウソイヤァだよ!」

 

足柄はテーブルをバシバシ叩き、ざけんなー!とルマンドの入った皿を投げ捨てた

 

ちなみに、キヨシとアサシはデパートから帰ってから尻が赤くなるまでブッ叩いた…

 

「…もうアイツらゼッテーデパート連れて行かねー、今度はオマエ連れてけよ、マジで」

 

「ムリ」

 



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提督と神風姉妹とレーメン2019

夏の即堕ちレーメン回

【登場人物】

提督(小粋)
小粋なテイトクジョークと言う名のセクハラ

神風姉妹(カミ姉妹)
戦隊モノみたいな色をした仲良し姉妹、仲良し…?


梅雨明け宣言が発令され今日もゴキゲンな暑さだと感じつつ執務室の窓から外を見ていると、ナイスガッツ陸上部が暑さに負けないアツいナイスガッツで走り込みをしている姿が目に入り余計に暑くなった…

 

「サミー、後で彼女らによく冷えたアイスを差し入れてやりなさい」

 

「…はぁ?」

 

頑張る部下にささやかな褒美を与えるのも上司の務めだろう、なんか良い事をした気になった俺は自分の椅子に座り基地スポを開いた…

 

「MAJORの洗礼!コロラド3回14失点の大炎上か…」

 

そんなエキサイティングな記事を読んでいると、ふと、紙面の隅に小さく書かれた記事が俺の目を引いた…

 

「冷やし中華、始めました………か」

 

なるほど!冷やし中華か、悪くない…

 

「サミー、卿はどう思う?」

 

「何がですか?」

 

「昼飯、冷やし中華」

 

「いいんじゃないですか?暑いですし」

 

五月雨は特に顔をあげるワケでもなくナニかの書類にチェックを入れる作業に従事しているが、冷やし中華いいんじゃないですかとのコトだ

本来ならば、この基地の絶対支配者であるこの俺に対するその無礼はその命をもって償わせるところだが………あえて許そう

 

「では冷やし中華で」

 

「そうですね」

 

◆◆◆

 

うだるような暑さの中、冷やし中華を食うべく、俺と五月雨は基地の近所にある定食屋に向かったワケだが…

 

定食屋の近くで、なんか見覚えのあるカラフルでハイカラさんな5人組がキィーキィー言いながら揉めていた…

 

「ナニが冷やし中華よ!ざるそばよ!ざるそばにしなさい!」

 

「いいえ!冷やし中華よ!だいたい、ざるそばとか……神姉ぇはセンスが古いのよ!そんなコトじゃいつまで経ってもKAIKOKUできないっていつも言って…」

 

………なんか赤いのと青いのがキィーキィー言い合って、いや、手が出た、青いののツルっとしたデコに赤いのがビンタした

 

「コラコラ貴様ら、こんなところでケンカしているじゃあない」

 

「あ、テイトク…」

 

「えー…人斬り大好き抜刀斎くん?」

 

「か・み・か・ぜ!神風よっ!」

 

赤いのこと、神風姉妹の長女、神風クン

ナリは小さくて基本真面目だが、非常にキレやすく煽り耐性は無い

 

「テイトク…っ!丁度いい!テイトクからも言ってやってよ!神姉ぇに、KUROFUNEに乗り遅れるって」

 

青いのこと、神風姉妹の次女、朝風クン

思わずKISSしてしまいそうになるほどチャーミングなデコである

 

「ナニがKUROFUNEだ、っーかナニ揉めてんだ?姉妹は仲良くしねぇといけねぇな、なぁ?」

 

俺はみんな大事な俺の家族だぜ!とグラグラ笑いつつ2人の尻を叩いたら神風クンから顔面に肘を貰った

 

「………痛いじゃないか?」

 

「いきなり婦女子の尻を触るなんて……ヘンタイ!!」

 

「変態じゃない、提督だ」

 

「そーよ神姉ぇ、今時尻を触るくらいアイサツみたいなモンよ、神姉ぇは早く文明開化しないと新時代に取り残されてゆくばかりに…」

 

「うるさい!デコスケっ!」

 

「だぁれがデコスケよ!!松風、神姉ぇを羽交い締めにして!その袴剥ぎ取ってやるわ!」

 

神風クンと朝風クンのエキサイティングな言い合いがさらにヒートを増し、このデコだのオボコだの醜い罵り合いになったのでとりあえず2人を引っぺがして互いにニュートラルへと退がらせた

 

「姉貴、言い過ぎだよ、神姉ぇだって文明開化してないだけで悪気があるワケじゃないし…」

 

姉妹の四女、イケメンの松風クンはデコ風クンにまぁ落ちつきなよと嗜めてみる…

 

「春風、傘貸しなさい!傘!」

 

「傘ですか?どうぞ?」

 

長女から傘を貸せと言われた姉妹の三女、春風は特に何の躊躇いもなくその手に持っている愛用の和傘を長女に手渡し、長女はその傘を大きく振りかぶってその先端をデコ風に向けた

 

「ざるそばよ!昼はざるそば!ナニが冷やし中華よ!誰がお金出すと思ってるの!」

 

「あーはいはい、神姉ぇはいつもそれね!そんなにざるそば食べたきゃ自分だけざるそば食べればー?」

 

「ハァ!?春風!松風!旗風!アンタ達はどうなの!?」

 

「いや、僕も冷やし中華がいいかなって…」

 

「私も冷やし中華は食べた事ないので是非にと…」

 

「私は春姉さんに従います」

 

「チクショウッッッ!!!」

 

敗北…っ!圧倒的敗北っ!まさかこれほどまでに長女の威厳、そしてカリスマが発揮されない姉妹は神風姉妹だけだろう…

神風クンは膝を折り、悔しそうに地面をバシバシ叩いた

 

「まぁまぁそうイキり勃たないで、なぁ?神風クン」

 

「イキってない!って肩触らないでよ!馴れ馴れしい!」

 

未だKAIKOKUしていない長女、神風クンは俺の手を払いのけ、次触ったらブン殴るわよとプンプン怒る

 

「だが、そんなプンプン怒るカミッカーくんはとてもチャーミングなのだよ」

 

「は?ちゃ……?ちゃみ?ちゃんみん…?」

 

「チャーミングだよ、神姉ぇ」

 

「は?うっさい、知ってるわよ!ナニ?松風、アンタ国語の先生なの?」

 

神風クンは松風クンに舐めてんのかコラー!と傘の先端をグイグイ頬に押し付け、舐めるんじゃあないわよー!とさらにヒートを上げる

 

「まぁまぁ神風クン、そのぐらいにして…」

 

俺はそんなヒートな神風の尻を触り、お、いい尻だねぇ?安産型かなぁ?と小粋なテイトクジョークで場を和ませよ………

 

「――――――――ッッッ!!!」

 

ドガンッ!!(龍槌閃)

 

「ダムドッ!?」

 

ガゴンッ!!(龍翔閃)

 

「シャドルッ!?」

 

神風クンの下から上への流れるような連撃!さらに、凪→旋→嵐とコンビネーションを繋ぐ計5連撃!!

 

「………痛いじゃないか?」

 

「クッ…!あんまり効いてなさそう…!」

 

たしかに素晴らしい連続攻撃だが、悲しいかな、神風クンの体格ではあまりにも軽すぎる、そして、神風クンが勝てない唯一にして絶対なる壁、それは…

 

「神風クンには足りないのだよ、SAMURAIの血が」

 

「さ、サムライの血…!」

 

そう、99%が100%には決してなれない!どうあがいてもどうしようもない絶対なる才能の壁、それがSAMURAIの血…

 

「だが気に入った、付いてきな、この世で二番目に強ぇ駆逐艦にしてやるぜ」

 

 

こうして、俺達は無事近所の定食屋へと入り、冷やし中華を注文した……

 

神風クンは初めて見る冷やし中華にこんな派手派手しい色のもの本当に食べて大丈夫なの?といぶかしんではいたが、一口食べると、おいいひぃぃぃ!と即堕ちした

 



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提督と真夏の籠球部

忘れた頃に帰ってきたバスケ要素

【登場人物】

提督(熱中症注意)
やぁみんな!毎日暑いな!水分はしっかり摂ろうな!

ガングート(革命チェンジ)
旧ソからアツかりし革命戦艦、提督とは一方的に仲がいい


クソ暑真夏の基地、タバコでも吸うかと喫煙所に向かっていると体育館からクソ暑真夏に相応しいクソ暑熱気と歓声がムンムンと滲み出ていたので何事かと覗いてみると、駆逐艦のアホガキどもがこれまたクソ熱な試合をしていた…

 

「うぉー!フレッチャーまた止めた!マジハンパねー!!」

 

「あのデカさでこのスピード、参るぜ!」

 

「まだだー!まだ試合はキマったワケじゃねぇ!オレにパスをくれ!今度こそ、今度こそ抜いてみせるッ!」

 

「如月ィ!オマエがエースだ!」

 

本日のゲームは陸奥率いる睦月姉妹とインピ率いるMAJORからの刺客!白露型キセキの世代にすら競り勝つ才能の塊!ジョンストンを含むインターナショナルチームの夏のチンハイ1回戦、観客席は1回戦から超満員でこのゲームを観戦………いや、各チームが偵察(スカウティング)に来ていた

 

「ハッ?このアタシを抜く…?Isn't the monkey of island country saucy?実力の差をわからせてあげるわ!」

 

「キター!!ジョンストンVSキサラギ!もう何度目の対決だーッ!」

 

「あの外人、デカい口叩くだけはあるっぽい」

 

「そう?むしろ本当にヤバいのはまだディフェンスしかしてないあっちのデカいのでしょ?」

 

「ディーフェンス!ディーフェンス!」

 

ベンチに居る陸奥の表情を見る限り、どうやらかなりの苦戦を強いられているらしく、珍しく陸奥が爪を噛んでいる…

 

「ん?なんだ、同志テイトクではないか!」

 

「あ?」

 

観客席の隅で立ち見をしていると、観客席のところに居たアツ苦しい戦艦、ガングートの野郎がほら!ここ空いてるから座れ!ほら!と自分の隣のベンチをバシバシ叩いた

 

「同志も偵察か?ん?」

 

「なんで俺がバスケの試合なんぞ偵察せにゃならんのだ、たまたま寄っただけだ」

 

「そうかそうか!まぁこの次の試合までは観て行くがいい、我々の試合だからな!」

 

ガングートの野郎はガハガハ笑い俺の背中をバシバシ叩いた

 

「やかましい、っーか馴れ馴れしいんだよテメーは」

 

「当然だろう?」

 

何が当然なのだよ、舐めてんのかコイツは…

ガングート率いるチーム旧ソは数あるチームの中で唯一海防艦のクソガキどもをレギュラーとして採用しており、特に、ガングートも一目置く同志エトロフはまるで天使のようにボールを奪い取り、天使のようなドリブルで相手ゴールめがけて走り、レーンアップからの悪魔のようなダンクを叩き込む逸材…

 

「オマエのチームはどうした?試合見なくていいのか?」

 

「フッ、今頃同志ウコチャヌプコロとアップ中だろう…」

 

「ふ〜ん」

 

チームを率いるガングートともう1人、チームのコーチを務めているのが同志ウコチャヌプコロこと神威、最高にハクいスケと名高い美人オンナ監督である瑞穂とどこか似た雰囲気を持っており、フトモモとか超エロく、あのフトモモに挟まれフンドシクンカクンカしたいのは健康な成年男子としてはごく当たり前の発想だろう、俺だってしたい

 

「ミカァ!!」

 

「すげぇよミカは…あそこでギリ身体を当てさせにいきやがった!」

 

「よぉーし!まだゲームは終わってねぇーッ!反撃開始だーッ!!」

 

………ジョンストンから2ファウルを奪い、勢いに乗ったまでが試合の山場、3ファウルをまるで恐れない、むしろファウル上等のギリギリラフプレーに磨きがかかったジョンストンの猛攻、さらに、MAJOR級のデカさを活かした鉄壁のフレッチャーの前にチーム陸奥は1回戦で敗退した…

 

ーーー

 

続く第2試合、ガングート率いるチーム革命軍VS優勝候補筆頭、白露型キセキの世代、時雨様率いる絶対王者!西村艦隊の試合…

 

「でたー!!時雨様のズガタカー!」

 

「もう誰にも止めらねぇーッ!」

 

「あかん……なんちゅー怪物(バケモン)や、あんなのチートすぎるやろ」

 

コート上に讃える姿で跳ぶ占守と国後を尻目に、ボールは吸い込まれるようにゴールに入る、たった1人でコートの端から端までボールを運んだ時雨様は逆らう者は提督(オレ)でも殺すとか不穏な事を言っている気がするが聞かなかったコトにしよう

 

「フーッ〜…やっぱ強ぇーわ、何様だよアイツは」

 

第2Qで111-8とかイジメ以外の何物でもないだろ、まぁガングートはクジ運が悪かったとしか言いようがないな…

 

前半だけで一方的にズタズタにされ、敗戦ムードにさぞ意気消沈しているであろうガングートの居るベンチの方を見ると、なにやらレギュラーを集めてナニかよくわからないものを渡していた

 

「よし、同志ウコチャヌプコロ!準備はいいな!」

 

「勿論です、同志」

 

「よぉーし!データは十分に集まった、後半からは全員投薬(つか)うぞ!」

 

『『『オー!』』』

 

…アイツ今、クスリとか言ってなかったか?っーかなんかベンチに集まったチーム革命軍の中、最初にクスリを飲み込んだ占守クン…

 

「ウオオオォォォォォォォォ!!キクZENAAAAAAAAA!!」

 

「姉さん!?」

 

「クナ………!チカラが…チカラが溢れてくるっしゅ…!」

 

…なんかシムくんの身体が一回りデカくなったような…っーかアレ反則だろ、どんなクスリ使用ってんだよ、マッドカクテルかよ

 

「コレがチカラ………シムッシムッシムッ、もうシムは誰にも負けねぇ!支配してやるぞ、取るに足らんニンゲンども…」

 

「姉さん!?」

 

一回りデカくなった占守クンがシムシムシムとワケのわからん笑いを上げていたその時…ッ!!

 

「ジム゛ッ!!!?」

 

占守クンは光るゲロを吐いた…

 

「………マックシングッッッ!!」

 

明日を捨てた占守クンの身体は光るゲロと共に元通りに萎み、ビクンビクン!と痙攣しながらゲロの中に倒れた

 

「………同志、やはりまだデータ不足のようです」

 

「そのようだな、同志ウコチャヌプコロ」

 

ガングートと神威はやはりまだサンプルとデータが足りんなと頷き合い、クスリは回収された

 

ちなみに試合は薬物使用によりチーム革命軍が普通に失格になった、後日、禁止薬物かどうか細かく調べる必要があったので占守クンは朝イチのおしっこを然るべきところに提出し、検査の結果、タンパクが出たそうな





次回は絶対にクッしない女騎士

たぶん


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提督と夕張と時間は止まる

予告詐欺じゃない、理不尽夕張回

【登場人物】

提督(夏バテ気味)
エアコンの外は毒沼気分でダメージ中

夕張(ヘソチラ軽巡)
ある意味では天才、ある意味の天災


夏の暑さに決して負けない!と言う強い意思と決意のもと、エアコンをアクセルZENKAIでドルンドルンと回す遥かなる八月の執務室、そんな執務室の重厚な扉をバリンバリンのZENKAIに開き、今日もヘソチラ、みんながムカつく理想のウエスト軽巡がやって来た…

 

「新しい装備を開発しました、ハ…」

 

「“ハッキリ言って自信作です”…と、お前は言う」

 

「ハッキリ言って自信作です!………です、先に言わないでくださいよ」

 

ヘソチラ軽巡こと夕張はやめてくださいよぉーとヘラヘラ笑いつつお客様椅子に座り、サミーに麦茶貰っていいかなー?と麦茶を所望した

 

「で?今日はどんなゴミだ?悪いがこの暑さだ、俺もイライラしてるから手加減とかできんぞ」

 

「望むところです!」キリッ!

 

…何が望むところなのかはまったくわからんが、とりあえず、俺は机の引き出しから液体の入った瓶を取り出して机の上に置いた

 

「…あの、それは……?」

 

「潤滑油兼匂い消しだ」

 

取説によると媚薬効果もあるらしい、嘘かホントかは知らんが……そんな謎の液体の入った瓶にアツい視線を送りつつ若干内股になりキモい笑みを浮かべた夕張は本当にキモかった

 

「まぁいい、とりあえず見せてみろ、もしくだらねーモンだったら炎天下の運動場の側にある陸上部御用達の水道の蛇口を上に向けてションベンポーズから勢い良くケツ穴に蛇口をブチ込むからな」

 

「ヒッ…!!だ…大丈夫、大丈夫です!今回のは必ずご満足して頂けるハズです!」

 

ヒッ!とか言ってるワリになんでちょっと嬉しそうなんだよコイツは…

 

そんないつも通りにキモい笑みを浮かべる夕張はスカートのポッケをまさぐり、スマホ的なものを取り出した

 

「今回の開発はこちら!時間停止アプリ・世界21 です」

 

「………は?」

 

「時間停止アプリ・世界21です」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか…?え?なんだって?時間停止…?

 

「使い方は大変シンプルです、このアプリを起動して“画面の止”ボタンを押すと5秒ぐらい止まります」

 

「…はぁ?」

 

停止した時間内で5秒と言うのもヘンな話ですけどねー…とヘラヘラ笑う夕張だが………え?ナニ?マジなのか?マジで時間停止できるのそれ?マジなの?

 

「とりあえず試しに使ってみせます、えいっ」

 

「ちょ…!待…!」

 

夕張は俺が待てと言うより早くスマホの画面をポチっと押した

 

ドォ➖➖➖➖ン!!(時間停止)

 

ーーーーー

 

「てよ!………」

 

「どうでした?」

 

「は…?どうでしたって…?」

 

「今止めていたんですけど……あ、そうか、止まってたらわかんないですよねー」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?今止めていたって…

 

「たしかに、私が使ってたらわからないですよねー」

 

ヘラヘラと締まりのない顔で笑う夕張…

 

え?ナニマジか?コイツマジに止めていたのか!?

マジかよコイツ…ウソだろ?まさかマジで作りやがったのか、時間を停止するアプリを…ッ!!

 

こんなのもう、浜風ちゃんに使うしか使い道がないじゃないか、時間停止中に鬼畜レ●プして停止解除でビクビクビクゥーン!しか使い道がねぇよ!

 

「…夕張」

 

「はい」

 

「でかした!」

 

男として生まれたなら誰でも一度は夢を見る時間停止アプリ………俺はそんな夢のアプリを作り出した夕張をアツく抱きしめたッッッ!!

 

「うえっ!?な、なんですか!?」

 

「アリガトウ!アリガトウ!夢を…っ!諦めなかった夢を!アリガトウッッッ!!」

 

自分を信じて!諦めなければ!夢はいつかきっと………叶うッッッ!!

 

「ちょ!ちょちょちょ!今汗臭いんで!」

 

「大丈夫だ!臭くない!夕張、オマエスゲーいい匂いがする!チャーミングなヘソだな!KISSしてもいいか?」

 

「や、ちょ…!ちょっと待ってください!ね?提督、落ち着きましょう!ね?」

 

…そうだな、たしかに、少々興奮しすぎたな、うん

俺は夕張から離れてあくまでCOOLに、そして紳士的に己の椅子に座った

 

「ちなみにこの時間停止アプリ・世界21は色々と制限があります」

 

「制限?」

 

「はい、まず第1に、5秒ぐらいしか止められません」

 

…約5秒か、1回のレ●プにはあまりに短い時間だが問題はない、1秒間に10ファックの高速レ●プにすればいいだけのコト…

 

「第2に、連続しての使用はできません」

 

使用するにはインターバルが必要らしく、1回使用した後は5分程度使えないらしい

 

「そして第3に、停止した時間は誰も動けません」

 

ほぉ…誰も動けないと、静止した時の中で動けるものは何人もいないと…

 

「………オイ、ちょっと待て」

 

「はい、なんですか?」

 

「一応聞くが、それ、使った本人は時間停止中も動けるんだよな?」

 

「動けませんけど?」

 

夕張は相変わらず締まりのない顔でヘラヘラしながらもう一度、動けませんけど?と繰り返した…

 

「そうか、動けませんか…」

 

「はい、動けないけど5秒ぐらい止まってます」

 

コイツ、なんて使えねーモンを……

 

「夕張」

 

「はい!」

 

「首輪つけてヨツンヴァイで全裸散歩してグラーフ・ツェッペリン犬にファックされるか、首輪つけずにヨツンヴァイで全裸散歩してグラーフ・ツェッペリン犬にファックされるか、好きな方を選べ」

 

「それ、どっちもあまり変わらない気が…」

 

「サミー、彼女にカル●スを淹れてくれたまえ」

 

俺は自分の席で雑誌のクロスワードパズルをやっていた青髪ロング秘書にカル●スを淹れるように命じると、露骨に面倒くさそうな顔をしていたが一応カル●スを淹れ、夕張にキンキンに冷えたグラスを手渡した…

 

「あ、ありがとね!五月雨ちゃん」

 

「いえ」

 

夕張は早速カル●スのグラスに口をつけたので、俺は夕張にとりあえず飲み込まずに口に含めと命じると、夕張は不思議そうな顔をしたが言われた通りに…

 

「オラァ!!」

 

ズドンッ!!(お腹パンチ)

 

「ブーーーッ!!!ウゲッ!ゲホォ!!」

 

「ナニ吐き出してんだテメー…キチンと舐めて掃除しろよ」

 

「ゲホッ…!ゲフンッ…は、はぃぃ」

 

……だからなんでちょっと嬉しそうなんだよ、コイツは




クッ!殺したなら使っていい!


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提督と鹿島先生と万物は反転する

6を返せば9になる事をジャ●プから教わった

【登場人物】

提督(メガネ男子)
エアコンから外に出たら真っ白な世界に入門する

鹿島先生(ミダラティーチャー)
淫らな魅力がムンムンの女教師、最近ショタの良さがわかってきた

伊良湖(間宮の子分)
将来の夢は普通のお嫁さん


爽やかな夏の朝ッッッ!!茹だるような外気温!熱風が吹き、入道雲が千切れ飛ぶたった一度の今日と言う日……

 

朝から小鳥さんオハヨウと挨拶をしつつ執務棟へ向かっていると、鹿島先生がヒィヒィ言いながら廊下を走って来た…

 

「おぉ、鹿島先生、これはこれは…お急ぎですかな?」

 

「て、提督ッ!丁度良かった、今提督を呼びに行こうと……すぐ、すぐに来てください!」

 

「はぁ?」

 

走って来たせいか、ハァハァ息を切らし、ほんのり汗臭さを感じる鹿島先生もまたお美しい、普段の立っているだけで漂う淫魔の如き魅力もお美しいが、それとはまた違った魅力に溢れておられるわい、性的な意味で

 

そんな鹿島先生は、とにかく大変なので来てくださいとハァハァ言ってる呼吸を整えているが……呼吸を整える際、上下するそのパイオツもまた素晴らしい…

 

「大変な事…?わかりました、すぐに行きましょう!」ズキイィィィィン!

 

「え、あ、はい…と、とにかく大変なんです」

 

俺はムスコのムスコさんを屹立させつつ、あくまで紳士的に鹿島先生の手を取った

 

「ヒッ…!?あ、いえ、大丈夫ですから」

 

ーーー

 

鹿島先生に先導され、やって来たのは駆逐艦や海防艦のクソガキどもがお勉強する教室のある教育棟…

現在、当基地は夏休み期間なので平常の授業は行われておらず、夏休み前に赤点を取りまくったバカどもの補習と言う名のバカのチャンピオンカーニバルが行われているハズだが…

 

「…静かですな」

 

「え、えぇ…今は自習中なので」

 

教室の中からは物音一つ……いや、ペンを走らせる音や教科書を捲る音はするが…

 

「真面目で良いコトでは?」

 

「真面目すぎるんです!!昨日まではワルのオリンピック状態だったのに…」

 

たしかに、あまりにも不気味過ぎる……とりあえず廊下から中の教室を覗くとどいつもこいつも真面目に椅子に座りひたすら問題集的なものに取り組んでいる…

 

「こんなとき、香取姉ぇが居てくれたら…」

 

う〜む、たしか香取先生は先日から有給を取って嬉●温泉に行っておられたハズ…なるほど、たしかに香取先生ならばこの異常な状況にも決して動じず、アツい熱血指導を行なってくれるだろう…

 

とりあえず、俺は鹿島先生に男は度胸、なんだってチャレンジしてみるもんさと言って教室の扉を開けて中に入ってみた

 

「よぉークズども!真面目にベンキョーしとるかねー?」

 

カリカリカリカリ…(筆記)

 

「…むぅ」

 

なんだこのプレッシャーは…ッ!まるでこの夏を制した者が受験を制すと言いたげな意識の高い進学塾の如きプレッシャーを感じるだと……バカな!この俺が無意識のうちに後退りを…ッ!?

 

いや、コイツらはクズだ!まっことクズだからこそウチのような基地に配属されてきた社会不適合艦なのだ!ほら、アホのゴールデンコンビ!清霜とリベッチオなんか机をくっつけてなんかお喋りしだしたじゃあないか…

 

「リベ、ここで任意の正の整数から開始し、演算を繰り返し実行することにより数列を作れば数式は正しいものとして扱える可能性は?」

 

「キヨシ、答えはNOだよ、君の考え方は間違いじゃあないがそれは数列に矛盾が生じてしまう」

 

「矛盾…?そうか!ヒューリスティクスの観点からして、mが大きくなるほど1に到達する可能性は低くなると予想されることとも符合する、つまりは…」

 

「なるほど…いいね、キヨシ、そこからアプローチしていこう」

 

………ナニ言ってるんだコイツら?イカれているのか?

昨日まで朝からカブト虫とりに行くんだーとか言ってゲラゲラ笑ってたろ、コイツら…

 

俺は教室から速やかに退室し、廊下で待っていた鹿島先生に率直な感想を述べた…

 

「鹿島先生…」

 

「…わかって頂けましたか?」

 

「えぇ、何か“異常”な事が起こっているッッ!!ただならぬナニか!理解を超えたナニかがッッ!!」

 

恐ろしい異常事態だ…ッ!清霜やリベッチオだけじゃあない、あの村雨や夕立もガリベン眼鏡みたいな眼鏡をかけて真面目に問題集をしていたのだ…ッ!いつもなら、あー!あっちぃーなー!とか言ってスカートパタパタして股ぐらを扇いでるヤツらがだ!

 

「提督、彼女らに一体ナニが…」

 

「わかりません、だが…何か、何か原因があるハズ…」

 

そう、何かしらの原因はあるハズ…このアホンダラどもに急に知性の神が取り憑いた…?いや、知性の神はわりとアホだからな…

 

「原因……あ、もしかして…!」

 

「何か心あたりが?」

 

「いえ、心あたりと言うほどでは……」

 

鹿島先生は何か思いついたようだが自分の考えに自信がないらしく、やはり違うかもと呟いていたが、俺はそんな鹿島先生のスベスベで美しい手を握り、どうぞ仰ってくださいと促した

 

「あ、いえ……その、たしかこの子達、朝、みんな食堂でキノコの味噌汁飲んでたな〜…って」

 

「キノコの味噌汁…?」

 

…あったっけか?俺、朝はパンとコーヒーで済ますから味噌汁なんぞ眼中に無いんだよなぁ

 

「まぁ、でも関係ないですよね?」

 

「いえ、鹿島先生、念の為に調べておきましょう、念の為に!」

 

「そ、そうですか?あ、あと提督、その…そろそろ手を離して頂けると…」

 

「あぁ、コレは失礼、お美しい手なので、つい」ズキイィィィィン

 

ーーー

 

そんなワケで、俺と鹿島先生は件の味噌汁を提供したと言うマミー屋へとやって来たワケだが…

 

「間宮ァ!間宮はいるかーッ!!」

 

「ちょ、提督!声、声が…!」

 

現在は営業時間ではないのか、誰もいなさげなマミー屋のカウンターで声をあげると、奥から間宮……ではなく、なんか女給さんみたいなのが出てきた…

 

「まだ営業時間外ですよ………ってか、間宮さん昨日から有給取って居ないんですけど…」

 

「居ないのか!っーかキミは誰だ?いや……思い出した、たしか間宮の子分」

 

「伊良湖です!」

 

間宮の子分、伊良湖、間宮ほどのドスケベボディではないにせよ、出るトコと引っ込むトコはキチンとわかっているスケベ女給さん

 

「はぁ…何の用ですか?カップ麺食べたいならあっちにポットあるんで勝手に使ってくださいよ」

 

「カップ麺なぞどうでもいいのだよ、っーか間宮は居ないのか?」

 

「有給取ってどっか行きましたよ、なんかグルメの園でアースがどーのこーの言ってましたけど…」

 

間宮のヤツめッ!グルメ界に行きおったかッ!なるほど…やはりNEOの動きを察知して…

 

「…ちょっと待て、じゃ間宮が居ないってなら、今日の朝、食堂に出してたのは…」

 

「私が作りましたけど?」

 

「…間宮の子分、キミ、料理出来たんだな」

 

「伊良湖です!………失礼な、まぁ、間宮さんほどじゃないですけど、私だって普通に作れますよ、普通のなら」

 

なるほど、まぁたしかに見るからに普通だもんな、この娘

間宮みたいにレッグがナイフだったりヒップがプレスじゃないだけに

 

「じゃナニか?味噌汁作ったのもキミか?」

 

「…そうですけど?」

 

今、味噌汁と聞いて間宮の子分は少し目を逸らしやがったのはたぶん俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

 

「一応聞くが、味噌汁に何か変なモン入れてないか?」

 

「さぁ?キノコ入れたぐらいですかね…」

 

「キノコか………ちなみにそのキノコ、何のキノコだ?」

 

「えー…っと、寮の裏に生えてたヤツをチョチョイっと」

 

コイツだァァァァァァァァァァ!!間違いなく犯人はコイツだよォォォォ!!なんだよ、寮の裏に生えてたヤツって!?メチャメチャ怪しいじゃねーか!?

 

「いや、なんか見た目は美味しそうだったし、変な匂いもないし、みんな美味しい美味しいって食べてたし大丈夫かな〜…って」

 

「一応聞くが、味見したか?」

 

「え?してませんよ?」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「めふんっ!!」

 

俺のビンタでスッ転んだ間宮の子分の胸ぐらを掴み、舐めてんのかコラァ!とその身体をガックンガックン揺らした

 

「ナニやってんだテメーは!舐めてんのかコラァ!?」

 

「ちょ…やめ、やめてくださいよぉ!って胸!胸触りすぎ!訴えますよ!」

 

「やかましい!ったく、オイ、そのキノコはまだあるのか?」

 

「ありますよ、たしか…1本くらい余ってたハズです」

 

とりあえず、俺は間宮の子分にそのキノコを持ってこさせてスマホ検索でキノコについて調べてみた…

 

「あ、コレじゃないですか!」

 

「特徴は……たしかにコレだな、うん、名前は…」

 

セイカクハンテンダケ

ハンテン科 セイカク目に分類される茸の一種、人体に致命的な毒はないが脳神経に作用する微妙な毒は持っており、これを食べるとしばらくの間は性格が正反対になってしまうことからこの名前が付いた、ちなみに、味はめっちゃ美味く、かつては世界三大珍味に数えられていたとかなんとか…

現在は菌糸が絶滅した為食べる事は叶わないキノコ

 

「コレですね」

 

「間違いなく」

 

う〜む、なんかエロゲーとかで見たことあるような名前のキノコだが、まさか実在していたとは…

 

とりあえず、時間が経てば元に戻るみたいだし…あのバカどもが真面目にベンキョーしているんだ、今は放置でもいいか…

 

「鹿島先生」

 

「はい」

 

「とりあえず、放置で」

 

「そうですね」

 

生徒達の急変、その原因が判明し、とりあえずホッとしたらしい鹿島先生は胸を撫で下ろした

 

「あと間宮の子分」

 

「伊良湖です!なんなんですか…子分って」

 

「オマエは後で尻叩きでカンベンしてやる、替えのパンツ用意しとけよ」

 

「なんで尻叩きで替えのパンツがいるんですか!?」

 

 

この時、俺たちはまだ気付いていなかった…

 

セイカクハンテンダケ、朝食に出されていたそれを他の者達が飲んでいた可能性を…

 

今、この瞬間にも性格が反転した誰かのせいでこの基地は未曾有のトラブルに巻き込まれていたと言う事実を…

 

そしてそれは、また、別の話…

 

←To Be Continued



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提督地獄変【最終章③】

不定期更新の最終章、その3!
帰ってきた主人公?

【登場人物】

五月雨(秘書カーン)
まだ可愛いげのある時代の写真もママの店には残ってる

叢雲(ヨコスカ仕様)
川奈大佐の秘書艦、ツッコミ属性持ちだが、川奈大佐にはツッコミ入れる隙がない




次期東西戦について予め双方への擦り合わせがあるとのコトでと中央へとやって来たワケですが…

 

梶輪大将から時期や形式などのワリとどうでもいい話があった後、梶輪大将は提督と川奈大佐にだけ伝える事があるとか言って2人を連れて中央司令部の地下にあるらしい男達が全裸で向かい合って話し合う部屋に行き、私と叢雲ちゃんは特に何をするワケでもなく手持ちぶさたになったので自販機コーナーのベンチに座っていた…

 

「しかしホント久しぶりね、元気………してた?」

 

「まぁ、それなりにですね、叢雲ちゃんもイケメンの大佐の下、元気そうでなによりです」

 

「アンタなかなか言うよーになったわね…」

 

同期の叢雲ちゃん、まぁ、所謂、因縁の相手と言うヤツですが私個人としてはあまり気にしてません

 

「まぁ、噂は色々聞いてたケド……しかしまぁ、危なっかしくて可愛げのあったアンタが随分と落ち着いたもんね」

 

「そうですか?」

 

「そうですか?じゃないわよ」

 

まぁ、そこら辺の自覚もあります、我ながら、昔はもうちょっと可愛げがあった気もしますが、毎日毎日提督と由良さんの殴り合いに付き合ってたらそりゃ可愛げとか言ってられなくなりますよ…

 

今でも、提督やウチの所属艦の人達と上手くやれていたのは本当なら私ではなく叢雲ちゃんの方が向いていたと思いますし

 

そんなワリとどうでもいいコトを考えていると、叢雲ちゃんが缶コーヒーの缶を指で弾いてこちらに視線を向けた

 

「ねぇ、ナニ話してると思う?」

 

「ナニ…?と言うと?」

 

「あのクソジジイ、私らに聞かせたくない話があるから外したんでしょ?何だと思う?」

 

「そうですね………ワシとクーデターやろーぜ!みたいな話じゃないですか?今の腐敗した上層部をブッ潰して新しい秩序と正義を〜…とか?」

 

「…やめてよね、さすがにシャレにならないわ」

 

叢雲ちゃんは、それにしてもアンタジョークのセンスないわねと小粋なサミダレジョークをディスり、飲み干した缶コーヒーの缶をゴミ箱に放り込んだ

 

「ナイスショット」

 

「接待ゴルフかッ!」

 

ほら、やっぱこのキレのいいツッコミはうちの提督にこそ必要な人材ですよ

 

「ま、あのクソジジイ、今日は私達もう好きにしていいって言ってたし、ご飯でも食べに行かない?司令部(ここ)じゃできない話もいっぱいあるし」

 

「そうですね、どうせ提督達は終わったら飲みにでも行くでしょうし…」

 

たまには私も同期の華と愚痴でも言い合いたいですし……いや、よく考えたら愚痴があるのはこっちだけな気がするので叢雲ちゃんには公平(フェア)じゃないですね…

 

「叢雲ちゃん、私多めに出します」

 

「な、何その妙な気遣い…」

 

◇◆◇◆◆◆◇

 

ニホンより遠く、飛行機で10時間以上離れた南の島…

 

「まぁ、ほどほどに健康ですねぇ、えぇ」

 

「ホントですか?やったぁ!」

 

南の島にある色々と胡散臭いが腕だけは確か医者の処に定期的に通う生活にも慣れてきたが、あくまで慣れたのは生活だけで、この医者にはまったく慣れない、むしろ、もっと別の名医がいるなら迷わずそっちに通うだろう…

 

「ほどほどに健康なところでどうです?両脚にブースターでも付けてみませんか?今なら丁度手頃なエンジンが…」

 

「…ユウに余計なものを勧めるのはやめろ、町医者」

 

問答無用の銃口を向けると、町医者はとても残念そうに仕方ありませんねぇと言うように両手を挙げて肩を竦めた…

 

「あ、ドーベルマンさん、人に銃を向けるのは良くないコトだと思います!お医者様は私の為を想って親切心で勧めてくれてるんですよ、たぶん!」

 

「ユウ、親切心で足にブースター付けようなんて言う医者は居ない…」

 

「そうなんですか?」

 

ーーー

 

過去も名前も捨て、ただ、取り戻した一番大事な物だけを持って此処へやって来てからどのぐらい経っただろう…

穏やかで平穏な暮らし、もう長い事そんな生活を忘れていたせいか、最初は戸惑いもあったが最近ようやく慣れてきた気がする…

 

目覚めてすぐのユウはまだ身体の調子がやや不安定なところがあったが、今はもう殆ど元気と言っていいほど安定している、しいて言えば………身体に対して精神がまだ子供のままで追い付いてない感があるせいか、たまに突拍子のないコトをしたり…

 

「………フーッ〜…」

 

…ただ、慣れないタバコもなんだかんだ慣れてきた

 

「少しお話宜しいですか?お兄さん」

 

「…なんだ?」

 

ユウの定期健診に訪れた本島に住む町医者、腕は確かだが………やたらと露出が多い変態だ

正直、ユウには心の底から近付けたくないが腕だけは確かだ…

ただ、ユウはこの変態町医者がわりと好きらしく、定期健診を結構楽しみにしているから頭が痛い

 

「私こう見えてもなかなかの情報通でしてね、アナタに少々関係がありそうなお話を耳にしたので一応話しておこうかと…」

 

アマミキョウヤくん、と口にした町医者のツラはとびっきりの悪意に満ちている…

 

「フーッ〜…よしてくれよ、その男はもう死んだよ」

 

「そうですか、ならここからは私の独り言になりますが…」

 

ーーー

 

「ドーベルマンさん、ドーベルーマーンさーん?」

 

「ん?あぁ、スミマセン、どうしました?」

 

「どうしたんですな?ボーッとして、珍しくですね?あ、もしかしてアレですか?昼間、オセロで負けたの根にもってますね?たぶん!」

 

………町医者の話を聞いてから、どうにも調子が狂う

ユウは今日のご飯はロコモフ?ロコロコですよーと言いながらキッチンに入り微妙に下手くそな鼻歌を交えて調理する材料を出している…

 

「………ユウ」

 

「なんですかー?」

 

「もし、もし仮に、ぼ……いや、俺が少し家を空けても大丈…」

 

「え?なんですかー?」

 

「…いや、なんでもないよ」

 

「そうですかー?あ、ソースないかも、まぁ、いっか…たぶん」

 

…そうだ、海軍特務中佐、天海キョウヤはもう………





【登場人物②】

ドーベルマンさん(天海元中佐)
南の島在住の元海軍特務中佐、ルックスもイケメンだがややシスコン気味、主人公属性

天海優(たぶん)
天海キョウヤの実妹、色々あって長いこと眠っていたが最近起きた、天真が爛漫な良い娘

町医者(闇)
南の島在住の人体から生活家電まで修理する便利ドクター


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提督と社会と大人を舐めた占守姉妹

不撓不屈の精神

【登場人物】

提督(巨乳好き)
女子供にも容赦しない鉄拳

占守姉妹(四人)
海防艦仲良し姉妹、将来はきっと美人になると予感ではなく確信がある


「あ!テイトクっしゅ!アイス!アイス買ってくれっす!」

 

喫煙所でタバコでも吸うかと考え、明石の店で水着のオネーちゃんのグラビアが載った雑誌と缶コーヒーを買い、喫煙所へと向かっているとなんか小さいのに絡まれた…

 

「えぇい!離せ!離さんか下郎め!」

 

「離さねーっす!アイス買ってくれるまでゼッテー離さねーっす!」

 

アイス買ってくれるまで絶対に離さないと言う強い意思と服を掴む強い握力!社会と大人を舐めたクソガキ占守クンはまるでスピンダブルアームのように回転する俺に必死に喰らいついてマジ離れないッ!

 

「ちょ…姉さん、やめてよハズかしい…」

 

「うるせーっしゅ!クナ!アイス食いたくないんしゅか!提督の金で食うアイスを!」

 

プッツン占守を減速できる唯一のブレーキ、頭の色はファンキーだが意外と礼儀正しくて真面目な国後クン

その、国後クンがハズかしいからマジやめてと言っているのに対しアホの占守クンはやめない!

 

「あー…シム姉ぇナニやってんのー?新しい遊びー?」

 

そして、最近ウチにやって来た占守姉妹の新たな妹、八丈クン、菓子ばっかり食ってるお菓子スキーらしい

 

「新しい遊びじゃないと、思うけど…」

 

同じく最近ウチに来た姉妹の末妹、石垣クン、正直、あまり話したコトないからわからんがおとなしめの子に見える、たぶん

 

「食わせろォォォォォォォォォォ!!アイスを!マミー屋のお高価なヤツ食わせろォォォォォ!」

 

「えぇい!!離せ!離さんか…ッ!このガキ!この小さな身体のどこからこんな力がッ!」

 

大したガキだ、この俺のパワフルスウィングでまだ離さないとは…!俺はグルグル回転しつつ強烈な遠心力を利用して占守クンの身体を上空に放り投げ、占守クンは自由落下して床に叩きつけられた

 

「うげっしゅ!!」

 

「あんま大人を舐めてるじゃあねぇぞガキが」

 

俺はこの世で嫌いな物が三つある、ケモノと、ガキと、ハネっ返りの女だ

 

「姉さん!」

 

「うぎゃあああああ!痛い!痛いっしゅー!」

 

「姉さ…!ちょ…提督!やりすぎじゃないの!お姉ちゃんそこまで悪いコトした!?」

 

普段はぶつくさ言うくせに根はお姉ちゃん大好きっ子、国後クンは謝れ!謝りなさいよ!と俺に喰ってかかってきた

 

「やかましい、たまには痛い目を見せてやらねーとツケあがるだろーが、だいたいアレだ、俺は女子供だろーが容赦しない主義なのだよ」

 

「うるさい!いいからお姉ちゃんに謝りなさいよこのクソメガネ!メガネ叩き割るわよ!」

 

このガキ、なんて恐ろしいコトを言いやがる…

 

「ギャハハハ♪シム姉ぇダッさぁ~い、オジサンに負けるとかありえなくな~い?」

 

「ク……クッ、ハチぃ……!」

 

「ダサダサシム姉ぇに代わってアタシが勝ってやるわ!」

 

占守姉妹の三女、八丈クンは長女に負けイヌと罵った後、手にしていたキャンディをペロリとしゃぶり、いかにも悪そうな笑みを浮かべた

 

「ねーねー!テイトクー!ハチ、アイス食べたーい」

 

「あ゛?」

 

「ねーねー!一緒に食べよ?あ、そーだ、ハチ色々食べたいし、みんなで食べさせっこしよーよ?ね?」

 

八丈クンは俺の腕に自然な動作でしがみつくと身長差をフルに活かした上目遣いを仕掛けてきた…ッ!

 

「明石の店行けよ、ガリ●リくん食ってろ」

 

「えー!ガリ●リくんとかいつでも食べれるしー!ねー!行こーよぉー」

 

…フン、なるほど大したガキだ、並のロ●コンなら思わずアイスを買ってやるところだが、この俺は違うッ!っーかロリ●ンじゃねぇし

 

俺はニヤニヤ笑う八丈クンの身体をまるで高い高いするわように両腕で抱えてから勢い良く落下させ、自分の膝に八丈クンの両膝を叩きつけたッ!

 

「ダブルニークラッシャー!」

 

「イッ…タアアアアァァァァァァァ!!アーッ!!」

 

ダブルニーをクラッシュされた八丈クンはアーッ!アーッ!と叫びながら床をゴロゴロと転げ回った…

 

「…ペッ!反吐が出るぜ」

 

ガキがぁ、大人を舐めているとヒドい目にあうと言うのをわからせるのもまた大人の務めなのだよ

 

「膝ァ!膝がぁぁぁ!痛い痛い痛いぃぃ」

 

「チッ、ナニやってんのアンタ?自業自得でしょ?いい気味よ」

 

「クッ…!シム姉に比べてアタシの扱い…っ!」

 

床を転げ回る八丈クンにバカじゃないの?と見下す国後クンはどうやらお姉ちゃん大好きっ子だが妹はそうでもないらしい…

 

「クッ…!ハチ!こーなりゃ同時攻撃(ダブルアタック)っす!」

 

「シム姉ぇ…!そうね!このオジサンにハチ達には勝てないってコトをわからせてやろう!」

 

「誰がオジサンだコラ」

 

どうやらまだわかっていないようだな…この提督様がこの基地で最も偉く、基地の絶対支配者であることをこのクソガキどもにわからせてやる必要が……

 

「…」ニマァ…

 

「ハッ!?」

 

いつの間にか、俺の腰の辺りに頭が黒くて小さいのが立っている…ッ!!こ…このガキ…っ!いつの間に俺の射程内に侵入った!?

 

「キミは………石垣クン、だったか?」

 

「そう、です」

 

バカな、まるで気配を感じなかった…なるほど、大したガキだ

 

「ガッキ!そいつのチ●コ蹴り上げるっす!」

 

「子供にチ●コ蹴り上げられる屈辱をわからせてやれー!」

 

姉達からの卑劣な声援!ナニがチ●コなのだよ、舐めてんのかこのクソガキどもは…

 

…しかし!姉達の卑劣ぶりを無視するように、石垣くんは別に俺のチ●コを蹴り上げるワケでもなくしがみついて………

 

「ようやく見つけた……“邪眼の王”…!」

 

なんかスゲー期待を込めた純な目で見つめてきた石垣クン…

 

「お…おぅ!」

 

………お、おぅ…そうか、そうかそうかぁ、うん、まぁ、石垣クンはちょっと早いけどそーゆー時期ってヤツなんだな!うん

 

「クナくんクナくん、ちょっといいかね?」

 

「なによ?」

 

俺は石垣にちょっと待っててくれなとひっぺがし、姉妹の常識枠、国後くんを連れて壁際に座り込んだ

 

「え?ナニ?石垣クンはアレかな?そーゆー時期なのかな?」ヒソヒソ

 

「ナニよ?そーゆー時期って?」ヒソヒソ

 

「まぁ、ほら、アレだよ?見えない敵と戦いだしたり、ドイツ語がなんかカッコ良く聞こえたりする感じの…」ヒソヒソ

 

「あ~…」ヒソヒソ

 

国後クン曰く、よくノートにスキルとか技とか書いているらしく、チラっと見たら怒るそうだ

 

「あの子、マンガとか好きなんだな~…って」ヒソヒソ

 

「あぁ、そう…」ヒソヒソ

 

なるほど、まぁ、あるよな…そーゆー時期ってヤツが

 

ふむ、俺は社会と大人を舐めたクソガキに大人を怖さをわからせるのはアリだが、(ピュア)な子供の“ユメ”ってヤツを壊すのはアリじゃあない…

 

ならば俺のとる行動は一つ…

 

「やぁ、待たせたなクラ……いや、今は石垣クンと呼ぶんだったな、フッ…」

 

「王…っ!」キラキラ

 

そう、俺は“邪眼の王”だ、かつて七つの世界を恐怖のズンドコに叩き落とし、人間災厄と呼ばれし禁忌の存在…!

 

「王!王!」キラキラ

 

「ハッハッハ、よさないか、兵が見ている」

 

俺にまとわりつく石垣クンは今にもウレションしそうな子犬のようピョンピョン跳ねて回る…………これでいい、ユメはいつか覚めるモンだが、それは今じゃあない

 

「うわ、ガッキが懐いたっす!」

 

「あの気難し屋のガッキが即堕ちした…っ!」

 

 

この後、占守クンの不撓不屈のしつこさに辟易した俺は財布から三千円出して渡すとウッヒョーとか言いながら姉妹はマミー屋へと走って行き、今度こそ喫煙所に行くかと歩いていると向かい側からアイスを持って歩いて来た暁ちゃんからズボンにアイスをぶつけられ、次は五段のを買うといい万札を渡した…



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提督と地域密着夏祭り

夏の大型連休期間、連休中の人もそうでない人もこまめな水分補給と十分な睡眠を心がけよう!

【登場人物】

提督(クソ大人)
水着ジョンくんには、正直ビビった

Johnston(KAWAII系)
自分大好きアホガール、アホなわりに色々なスペックが高いハイスペックなアホ

Samuel B.Roberts(かわいい系)
さすがに水着は穿いていた

Jervis(侵略/進化)
グイグイくるタイプのロイヤル駆逐艦、グイグイくる


夏ッ!!そのステキな季節が俺を行動させたッ!

 

地域密着型で近隣とのふれあいを是とする当基地では定期的に基地を開放し、軍と住民とのふれあいイベントを開催しており、艦娘による出店やステージイベントなど来場者が大興奮する催し物などを開催し、その収益は健全な基地運営に充てられている…

 

「サミー、今回の来場者はどれぐらいだ?」

 

「七千弱ですかね、だいたい…」

 

「七千か…」

 

悪くない数字だ、今回の基地開放夏祭りMASURAO-FESTIVAL2019は地域に観光産業やイベントが無い事を憂う地元の声を受け、地域の有力な議員、豚尻孕蔵先生(49)から相談された事に端を発する…

 

今回は夏祭りと銘を打っているだけに、花火などを準備し、メインステージとして那珂によるステージも開催されており“ARMAGEDDON-世界破壊-”とデカデカと書かれたポスターにはアイドル要素はどこにも感じられないが…

 

「大盛況みたいですよ、NAKAさん」

 

「そのようだな」

 

ステージはここから離れているが、さっきからゴキゲンな重低音のサウンドとまるでサバトのように狂った観客の合いの手が響いてきている…

 

「まぁどうでもいいか、サミー、俺ちょっと見回り行ってくるわ」

 

「見回り行くなら焼きそばでも買ってき……あ、そうそう、なんか浦風さんのお好み焼きの屋台が人手が足りないとかなんとか…」

 

「人手で足りん?甘えるなと伝えておけ」

 

まったく、甘ったれたコト言ってるじゃないよあのデカパイ駆逐艦が、なんの為のデカパイぶらさげてんのかね…

 

◆◆◆

 

そんなワケで、夏祭りの会場を見回る大事な大事な仕事へとやって来た俺は、とりあえずメインのサバト会場ではなく海側の方で開催されているビーチバレーでも見るコトにした…

 

「ウォーッ!またサービスエース決めたーッ!」

 

「ハンパねぇーッ!」

 

「あのおっぱいで駆逐艦とか無理でしょ!」

 

…ビーチバレーの会場ではジョンくんサムくんコンビとリベッチオとマエストラーレコンビのアツい熱戦が繰り広げられており、大きなお友達の皆さん方が胸と股間をアツくしていた

 

ちなみにゲームはジョンくんサムくん組の圧勝に終わり、優勝賞品のスイカを手にした二人はキャッキャとハシャいでいた

 

「あら?テイトク、テイトクじゃない?ハハァ~ン?テイトクもアタシの活躍を見に来てたのね!」

 

MAJORからの刺客、ジョンくんは賞品のスイカをサムくんに押しつけ、俺のところへ軽快な足取りでやって来た

 

「よぉ、なかなかヤるじゃないか」

 

「まぁ~ねぇ~!ほら!アタシ天才だし!それにほら!Cuteだし!ま、Cuteで天才なら仕方ないって言うか~…」

 

「あ~はいはい、キュートね、キューキューキュートね、うん」

 

新しく買ったとか言う水着でグイグイくるジョンくん、なるほど……さすがはMAJOR出身なだけはある、っーかグイグイくるな、物理的に、これがアメリカンスタイルか…

 

「Hi!テイトク!見てたネー?」

 

そしてサムくん、サムくんも今年買ったとか言う真新しい水着をCuteに着こなしスイカを置いて俺のところへやって来た

 

「サムくんもナイスゲームだったな、うん」

 

「ヤッパリ?でしょでしょー?」

 

無邪気に笑うサムくんもまた、MAJORの可能性を秘めた逸材、あと10年もしたら生唾ゴックンのビシバシモンになるだろう…

 

そんなキャッキャとハシャぐジョンくんとサムくんにグイグイ押されていると、ジョンくんの頭に勢い良く飛んできたスイカが直撃したッッ!!

 

CRASH!!(スイカ)

 

「痛ァァァァァァァ!!な、ナニ!?なんなの!?」

 

「こ、コレは………スイカネ!」

 

「見りゃわかるわよ!ダレよ!この最高にCuteなアタシにスイカをぶつけたのは!?」

 

スイカ汁でベトベトになったジョンくんはファーックスと叫びスイカの飛んできた方向を見ると、先ほどまでアツい熱戦が繰り広げられていたコートに立つ影……ッ!

 

『ファーックス!Darlingにナレナレしく近付くんじゃあないワーッ!』

 

コートに立っていたのは………ロイヤル小淑女(リトル・レディ)!ラッキー・ジャーヴィスことジャーヴィーくん!

 

「ナニしてくれてんのよアンタ!」

 

「フン………そんな痴女みたいな水着でDarlingの気を引こーナンテ、まさにドロボーキャットネ!」

 

「ハアァ!?」

 

ジャーヴィーくんはどーした?ヘイヘイかかってこいよと挑発していたが、ジョンくんのプッツンメーターは既に振り切れていた…ッ!

 

「Please make it stupid!!ジョートーよ!」

 

ジョンくんは舐めてるじゃないぜー!とジャーヴィーくんの挑戦を受けて立つと、周囲に居た観客達から大きな声援が上がり、ついでに、コートのあった場所から突如して四角いリングがせり上がり、決戦の舞台は整った!!

 

◆◆◆

 

「さぁ始まりました!真夏の炎天下!英国から来たロイヤル駆逐艦のジャーヴィスちゃんとMAJORの逸材ジョンストンちゃんの米英デスマッチ!この試合、実況は私!好きなタイプは爽やかイケメンの青葉、解説には初春様と提督をお招きしております、宜しくお願いします!」

 

「うむ」

 

「なんで俺まで…」

 

そしてこのリングはいつから地中に埋まっていたのだろうか…?

 

「そのヤラシー水着剥ぎ取ってこの大観衆の前でオオハ・ジーかかせてヤルワ!」

 

「ハァ…?出来るモノならやってみなさいよ?アナタこそ、失禁するまで締めあげてやるわ!」

 

リング中央で睨み合うジョンくんとジャーヴィーくんは互いに火花を散らし早くゴングを鳴らせと青葉を睨み、闘いのゴングが鳴ったッッ!!

 

「ツアーッ!!」

 

「トアーッ!!」

 

まずはリング中央でガッチリと組み合った両者!!どうやら小細工無しの真っ向勝負がしたいらしい

 

「さぁー…両者組み合いましたねー、どうでしょう?ジャーヴィスちゃんは以前、ジョンストンちゃんの同僚であるサミュエルちゃんにノーパン恥ずかし固めと言う鬼畜ぶりを発揮した前科がありますが〜…」

 

「あったのぉ…」

 

たしかにあった、で、その後、陛下の逆鱗に触れたが…

 

「あーっと!ジャーヴィスちゃん!執拗にジョンストンちゃんの水着を剥ぎにかかります!コレは鬼畜ーッ!!予告通りにこの大観衆の前で大恥をかかせる気満々だーッ!」

 

たしかに、ジャーヴィーくんの攻めはダメージ狙いと言うより水着を狙っているッ!これにはたしかに観客席は大興奮………しかしッ!!

 

「S.S.Dーッ!!」

 

ドガンッ!!(スタイナー・スクリュー・ドライバー)

 

「グハァ!!」

 

流れるようなスムーズな動きでジャーヴィーくんを捕え、ジョンくんはブレーンバスターからリバースパイルドライバーに繋げる高度な荒技でジャーヴィーくんをマットに叩きつけたッ!!

 

「ガハァ……!ハー…ハー…」

 

「どう?今のは前にアナタに屈辱を味わわされたSamの分よ!」

 

「クッ…!あのオパーイでこのスピード…参るワ!」

 

「まだまだイくわよ!!」

 

ジョンくんはコーナー最上段に素早くよじ登り、まるで自分がNo.1だと主張するように指をピンと上げ、跳ぶッ!

 

ーーー

 

コ……コケにしやがっテ!このドロボーキャット…ッ!新しい水着を買っタ…?で、その新しい水着をDarlingに見せつけてノー殺シヨーって?

 

………去年はあのトゲチビに新しい水着テイトク、似合うって褒められたと自慢され、ついでに鼻で笑われ、今年こそはってLadyにお願いしたのに!なんか難しいカオして“少し考えさせて…”って!

 

そして、未だに水着を買っていいと許しを得られないまま夏本番になり、アタシはクサっていたッ!!

 

夏休みの宿題をサボり、アサガオの観察日記もサボり、朝のラジオ体操もサボり、フリョーの巣窟だから近づいちゃダメって言われてるゲームセンターに出入りした…ッ!

 

そんなある日、ゲームセンターで会ったいかにも“遊んで”いそうなJKみたいな人から言われたのだ…

 

『え?ナニ?水着?あー…水着ねぇー、まぁたしかに悪くないちゃ悪くないんだけどねぇー、え?鈴(ピー)の?あーないない、鈴(ピー)そーゆーのやらないから、水着なります!とかすぐ脱いじゃうみたいな安い売り方してないし、そーそー、鈴(ピー)は理想が高いっーか、まぁほら、アレよ?アレ、水着になるってコトはA(ピー)堕ちみたいなモンよ!』

 

現役援航巡 鈴(ピー)さん 【プライバシー保護の観点から一部加工してあります】

 

 

…そう!その言葉にアタシは目が覚めた!安易に水着になるナンテいかにもクソビッチの発想!本物のビッチは自分を安売りせず高いPRIDEを持っているのだッ!

 

「ツアーッ!!」

 

「な、なに…っ!?グエッ!!!」

 

トップロープからフライングボディプレスで落下してきたアメリ艦のお腹めがけて逆に勢い良く頭突きをブチ込んで迎撃し、アメリ艦は踏み潰さたヒキガエルみたいな声をあげてリングに転がった

 

「っしゃー!!」

 

「ちょ!イタ…!イタタタタ!ちょ…!イタァァァァァ!!」

 

リングに転がったヒキガエルにパラダイスロックをかけ、その尻をおもいっきり蹴りあげる!!

 

「ちょ!痛いじゃない!やめなさいよ!って!イタイ!イタイってば!!」ポロポロ…

 

「ハッ…?このドロボーキャット…お尻を蹴りあげられてヨロコんでルーノカシラー?」

 

ーーー

 

容赦なし…ッ!ジャーヴィーくんのケツキック連打に大観衆も大興奮!これほどのアツい試合に歓声とスマホのシャッター音が鳴り止まない!

 

「あーっと!まさに冷酷ーッ!まさに冷血漢!ロイヤル駆逐艦ジャーヴィスちゃんによるロイヤル公開処刑ーッ!」

 

「うむ、これはまぁ…些かアレじゃな」

 

「えぇ、まぁ」

 

雅な御方である初春様も扇子を広げ眉をしかめ、これは決着じゃろう?と言っているので、俺は青葉からゴングを奪い決着のゴングを鳴らした

 

カンカンカンカーン!!

 

「決着じゃ…」

 

決着のゴングが鳴り、大歓声の中ジャーヴィーくんは両手を挙げて声援に応え、サァー!今から敗者には水着狩りの儀式ヨー!とマイクに叫ぶと大観衆はさらなる大興奮に包まれたッ!!

 

「アハハハハ!アハハハハー!!Darlingー!見テ…………ヒギィ!!?」

 

マイクを床に落とし、急にガタガタと震えだしたジャーヴィーくん、その視線の先には…

 

『………Jervis』

 

 

“王”が居た…

 

そして………“王”は激怒していた…

 

この時、ジャーヴィスは生まれて初めて心の底から震え上がった、真の恐怖と、決定的な挫折に…恐ろしさと、絶望に、涙とおしっこすら流した……これも初めてのことだった

 

『…宿題もせず、観察日記も書かず、ラジオ体操も行かず、不良の盛り場に出入りしているとArkから聞いていましたが……これはどう言うコトかしら?説明してくださる?』

 

ゆっくりと、そして静かに、こちらに歩む“王”の前に、自然と道は開き、誰しもが讃える姿で跪き、心の弱い者はその圧倒的な覇王色に耐えきれずに崩れ落ちた…

 

俺だけじゃあない、この場に居る者全てが確信した…

 

本当の公開処刑は、これから始まるのだ、と………ッ!!

 

◆◆◆

 

「お疲れー」

 

「見回りにどんだけ時間かけてるんですか?」

 

「まぁまぁ、そうイキリ勃たないで、ほれ、焼きそば買って来てやったぞ」

 

悪いと思っているからこそ、焼きそばだけではなくお好み焼きも買って来てやったのだ、俺は買ってきた袋をサミーに渡し、ペットボトルの茶を冷蔵庫から取り出した

 

「ありがとうございます、あ、そうそう、浦風さんがぶちくらすぞワレ!って言ってましたよ」

 

「ちょっとパイオツ揉んだぐれーで心の狭いヤローだな」



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提督と群像戦国時代‐野望編‐

キミもスタァになってみなイカ?

【登場人物】

KISO(OSAFUNE)
アイドル力98万カラット、中二系

TEN-RYU(OSAFUNE)
アイドル力95万カラット、中二系

NAKA(絶対アイドル)
アイドル力8500万パワー、ストリートのカリスマ



軽巡寮、球磨姉妹の部屋…

 

「木曾、この本なにクマ?」

 

いつもなら、部屋の片付けはキチンとしている木曾にだってたまには抜けている日もある、そして、そんなたまたまのタイミングで、木曾の部屋に入ってしまった長女は机の上に置いてあったそれを見つけてしまった…

 

「ゲッ…!!な、なんで球磨ねーちゃんがそれを…!」

 

「ねーちゃんはコレがナニかって聞いてるクマ!!」

 

球磨型恐怖の縦社会、長女絶対至上主義であるこの姉妹において、長女球磨は最も恐ろしい存在…

全ては長女の意向によって決定され、一番風呂は長女から、皆で囲む食卓もまずは長女が箸をつけてからが絶対の球磨型鉄の上下関係…

 

長女に逆らうなどあってはならない…

 

だが、その日、末妹は初めて長女に逆らったッ!

 

「べ、別に球磨ねーちゃんには関係ねーだろ?返せよ!」

 

「返せ…?木曾、なにクマ?その口の利き方は…?」

 

同室に居た木曾の姉達…多摩も、北上も、大井も戦慄したッ!あってはならないッ!!球磨姉ちゃんに逆らうなど決してあってはならないのだ…!

 

言葉に出せない空気だが、姉達は末妹に対し、謝れ!今すぐ球磨姉ちゃんに謝れ!ごめんなさいしろ!と心の中で叫んだ……

 

しかしッ!!

 

「い、いいから返せよ…っ!」

 

今すぐにでも逃げ出してしまいたい、今すぐお姉ちゃんごめんなさいと言いたい気持ちを全力で抑えつけ、木曾は長女に反抗したのだッ!

 

「木曾ォ………どうやらねーちゃんの言ってるコトがわからないみたいクマね」

 

絶対的捕食獣、その、圧倒的な恐怖の前に立つとはどんな気持ちになるのか?以前、球磨姉妹の北上と大井がこう答えたコトがある…

 

『オイオイオイ…』

 

『死んだわ私』

 

つまり、死ぬのだ

 

今から木曾は死ぬ、その、避けられない死を前に、姉妹の次女である多摩が助け船を出した…ッ!普段は何を考えているのかよくわからないところがある次女の多摩、しかし、一見クールに見える彼女は姉妹の誰よりも姉妹の和を重んじていた…ッ!

 

「まぁ待つにゃ球磨姉ちゃん、そもそもそれは何の本にゃ?」

 

「なんかアイドルだの音楽だのチャラチャラしたモンが載った雑誌だクマ」

 

「ア、アイドルだからってチャラチャラしてねーよ!」

 

「うるせークマァ!!!アイドルなんてチャラチャラしたモンにうつつを抜かすとかねーちゃん許さねークマァ!!絶対にクマァ!!」

 

球磨怒りの咆哮に、その場に居た誰もが戦慄したッ!!

 

「クッ!!っーせな!どうせ球磨ねーちゃんにはわかんねーよッ!!」

 

「わかるワケねークマァ!!あ、木曾!どこに行くクマ!まだハナシは終わってねークマ!」

 

◆◆◆

 

「っーワケでな、提督からも言ってやってくれねーか?」

 

「ナニがっーワケでな、なのだよ、舐めてんのかテメーは」

 

っーか前置きが長いわ、なんだよ?どんだけ前置いてんだよ、俺の出番ないかと思ったわ

 

絶賛エアコン稼働中の執務室、たまには真面目に仕事でもするかと書類を熟読し、ハンコを押す作業に従事していると、執務室の重厚な扉を勢い良く開き、木曾、そしてそのマジダチである天龍が俺にハナシがあるんだぜーッ!とやって来たワケだが…

 

「オレ、天龍とユニット組んでデビューしてぇーんだよッ!!軟派な気持ちじゃねぇ!!」

 

木曾は天龍とユニットを組み、チャラチャラした今のミュージックシーンに本物のグルーヴとアツいバイブスを叩きつけてやりたい!その為にはメジャーデビューするしかねぇ!と本気で考えていたらしく、その黄金のような“夢”を頭ごなしに全否定されたコトに怒りを感じていた

 

「ふ〜む」

 

仮にだ、俺から球磨ねーちゃんに“木曾のヤツ、アイドルとかやりたいんで許しちゃ貰えませんかねぇ?”とか言ってみろ、殺してくださいって言ってるのと同じだぞ

 

「頼むぜテイトク!オレからも!」

 

そして木曾のマジダチ天龍、ちなみには天龍は木曾んちと違ってアイドルとかゲームとかチャラチャラしたものに対して寛容らしく、妹にオレデビューしようと思うんだZE!と相談したら“へぇ〜そうなんだぁ〜、天龍ちゃんガンバって〜”と普通に応援されたそうな

 

「まぁ、今現状で球磨ねーちゃんをどーこー出来るとは思えねぇし、球磨ねーちゃんは無視するしかねぇな」

 

「…やっぱそうか」

 

「仕方ねぇ…!木曾!こうなりゃビッグになって見返してやろーぜ!そうすりゃオマエのねーちゃんだって…」

 

「あ、あぁ…そうだな!そう、それしかないよな!」

 

ヘヘッ…木曾のヤツ、俺らの前で強がっちゃいるが本当は球磨ねーちゃんにも自分を応援して欲しい、基本頑固が服を着ている頑固一徹な姉だが厳しさの中にも優しさを合わせ持つ長女が大好きなのだろう…

 

「TEN-RYU、KISO、オマエ達にメジャーまでの道は作ってやるぜ……この俺がな!」

 

「TEITOKU!」

 

「ヘヘッ…やっぱTEITOKUは頼りになるぜ!なぁ!」

 

こうして、俺たちはオレンジジュースの入っていたグラスをプロージーット!と床に叩きつけ、新進気鋭のストリート系アイドルユニットOSAFUNEは誕生した…

 

「………それ、ちゃんと片付けして掃除してくださいよ」

 

「サミサァス、卿の意見はまことに的確だな」

 

「それはどうも、あと、五月雨です」

 

ーーー

 

と、言うワケで、デビューするにあたって何をするべきか、やはりまずは知名度を上げるべくストリートでパフォーマンスでもするべきか…

 

ドンドン!!(ノックしてもしもし)

 

「入ってまーす」

 

そんな今後について俺たちが頭をひねっていると、執務室の扉を開き、新たな来客………北上と大井がやって来た

 

「ゲッ…!?ね、ねーちゃん達…!な、なんだよ…!球磨ねーちゃんに言われて来たのかよ…?」

 

「別に違うよ〜…大井っちがどーせテイトクんトコにいるんじゃね?って」

 

「ほら、やっぱりここに居た、ね?北上さん」

 

「ナニしに来たんだよ!オレは謝らねーぞ!マジだからな!」

 

木曾にとって最も恐ろしいのは長女だが、長女の以外の姉達も今の木曾にとっては敵に等しい!そんな警戒心と不信感剥き出しの木曾に対し、北上と大井は特に普段と変わらず、五月雨になんか飲み物ないー?とドリンクを注文する…

 

「まぁまぁ、木曾も座んなって」

 

「そうよ、私と北上さんは別に木曾の夢をダメって思ってないし、むしろ応援してあげたいわ」

 

「…えっ!?」

 

敵である姉達からのまさかの言葉に、木曾は激しく狼狽えた、それはもうPRIDEが真っ二つになるぐらい狼狽えた…

 

「ど、どーゆーコトだよ?きぃーねーちゃん、おーねーちゃん…」

 

「そりゃねぇ〜…可愛い妹の夢なんだから応援くらいするさぁ〜」

 

「まぁ、さすがに球磨姉さんの前では私達も何も言えないけどね」

 

「き…きぃねぇ……おーねぇ…」ポロポロ…

 

自分は1人じゃない…ッ!愛する家族達を自ら捨ててまで選んだこの道だったが、木曾は1人じゃあなかった…!大好きな姉達は口には出さないけど自分のコトをわかっていてくれたのだ………木曾は涙した

 

「まぁ、アタシらも昔は木曾みたいに夢を見たコトもあったしねぇ」

 

「そうねぇ〜…そうそう、昔、私と北上さんもなんかアイドルの衣装みたいなカードいっぱい持ってたし、あれもう捨てちゃったかしら?」

 

「さぁ?実家にまだあるんじゃね?」

 

北上と大井、オシャレ魔女ラ●&●リー世代

 

「多摩姉さんも心配してたわよ?わかるでしょ?多摩姉さんはああ見えて木曾にだけは甘いんだから」

 

「だよねぇー!多摩姉ってアタシと大井っちには厳しいのに木曾には優しいよねぇ〜?やっぱ末っ子は可愛いってヤツだよねぇ〜?」

 

「球磨姉さんも〜………ほら、あんな言い方しか出来ないけど本当は木曾の事を大切に想ってるのよ?木曾の将来とか」

 

「オレの将来は、別に……球磨ねーちゃんにはカンケーねーだろ?チッ!」

 

「まぁ、球磨姉もあーゆー気質だしさ、今だってきっと言い過ぎだかなって思ってるって」

 

………しかしなんだろうな、このホームドラマ…

木曾のヤロウ、ルックスもイケメンな上に属性も違うルックスも良いお姉ちゃんが4人とかどんな主人公だよ、ラノベ主人公かよコイツは…

 

「まぁ、球磨姉にとって提督と天龍は可愛い末っ子を不良に誘う悪い友達なんだけどねぇ〜」

 

「なんでだよ!!」

 

「俺もかよ!?」

 

球磨ねーちゃんにとって俺たちの存在とは…

 

「ま、今はナニ言ってもムダだろーけど、木曾は木曾なりにガンバんなよ」

 

「そうね、球磨姉さんには木曾は天龍のところに転がり込んでるって言っておくから、いい?」

 

「あ、あぁ…ありがとう!姉ちゃん達…」

 

こうして、アツいホームドラマを演じて北上と大井は執務室から去り、俺、天龍、木曾の3人はメジャーデビューへ向けて大きく動き出すコトとなる………

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

後日、ある駆逐艦姉妹の部屋…

 

「はぁ?………“あいどる”になりたぃ?なにバカなコト言ってるの!!そんなチャラチャラした仕事!認められるワケないでしょ!そんなバカげたコト!!」

 

「ハァー!?何がバカなコトよ!おぼこで鎖国中の神姉ぇにはわかんないのよ!」

 

「だぁぁぉぁれがおぼこじゃあああァァァァァ!!アサァァァァァ!!」

 

「行くわよ松、いえ…MATSU!こんな頭の固いのと話するだけムダムダムダムダぁー!WRYYYY!よ!」

 

「待ちなさい!!アサ!マツ!!話は終わってな…」

 

 

←To Be Continued



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提督と春雨×ハル雨×ハルサメ

見ての通り、淫乱なピンクだ

【登場人物】

提督(おチ●ポ様)
因果応報の意味は辞書で引かない

春雨(だいたい)
深海千騎長、深海ではショラ・セーナニーと呼ばれる猛将になった


今日もとびっきりの暑さZENKAI、うだるような暑さの日、午前中を真面目に業務に費やした俺は午後から自分へのご褒美でもとるべくコンビニでキンキンに冷えた缶ビールと焼き鳥を購入し、ルンルン気分で歩いていると、基地の正門前に、なんか見覚えのあるピンクが立っているのが目に入った…

 

「よぉ、ハルサメじゃねーの?今日もピンクだなオイ、ガハハハハ」

 

「………は?」

 

白露姉妹の五女、ハルサメ、見ての通り淫乱なピンクだ…

 

そんなハルサメに上司として気さくにアイサツした俺はさっさと部屋に戻ってビールでも飲みつつハメ撮りDVD鑑賞でもしようと…

 

ブンッ!!!(出刃包丁)

 

「オアフッ!!」

 

「………チッ、避けられましたか」

 

「な、ナニすんだテメェーッ!!この俺を殺すつもりだってのかよォーッ!」

 

俺の背中めがけて勢い良くスローイングされた殺意100%の出刃包丁ッ!俺じゃなきゃ背後からブスリとイッてたね

 

「大丈夫ですよ、まだ、殺すつもりはないです、提督は半殺しって決めてるんです」

 

な…なんだコイツ!いつものハルサメじゃあない…ッ!普段のアイツは漫画とアニメとネトゲにどっぷりハマり、ジャージのズボンに手ぇ突っ込んで股ぐらをボリボリ掻いた手をクンクンしてクセっと顔をしかめる身も心も堕落したかつての深海の姫…

 

………ん?

 

「………その髪は」

 

ピンクだッ!いや、たしかに鮮やかなピンク…毛先の辺りがやや青白く変色している特徴的なピンク!まさか、コイツ…!!

 

「オマエ、春雨なのか?」

 

「私以外に春雨がいるんですか?」

 

間違いないッ!!コイツ、春雨だ!かつて深海棲艦の非情な作戦で拉致され!深海棲艦からの壮絶な拷問を受けてアヘ顔のその先にイッてしまったと聞いていたが…

 

その春雨は先程スローイングした出刃包丁をゆっくりと拾い上げ、スカートの中に丁寧にしまいしまいして改めてこちらを見た

 

「まぁ丁度良かったです、提督、私のニセモノに会わせてください」

 

「会ってどうするのかね?」

 

「モチロン、殺します」ニコッ!

 

全殺しです♪と、とても良い笑顔で言った春雨の顔はとても晴れやかな、まるで本物の美少女みたいな良い笑顔だなと思ったね、俺は…

 

ただ、さっきスカートの中にしまいしまいした筈の出刃包丁がいつの間にか手に握られているのが実にシュールだが…

 

「まぁ、アイツを処分するのは別に構わんが、オマエ、よく無事に帰って来たな…」

 

「えぇ、深海夏休み期間なので中枢棲姫さんがたまには実家?に顔出して来いよって、電車賃とか出してくれて…」

 

「良い奴かッ!!」

 

中枢棲姫ってアレだべ?なんかキレたらメチャメチャ怖い感じの美人のねーちゃんだべ?っーか深海夏休みってなんだよ?アイツら以前は8月前半から夏作戦シリーズ入ってたのに……

 

「とりあえず暑いんで中で話しませんか?」

 

「そうだな」

 

そんなワケで、俺は春雨(本物)を連れて基地の中へと戻ると、駐車場のところで自慢のDQNカーを洗車している妙高に遭った

 

「よぉテイトク、と〜…春雨じゃね?アレ?オマエさっき明石んトコで菓子買ってたべ?」

 

「買ってないです」

 

妙高曰く、春雨はさっきいつもの芋くさいジャージを着こなし、ジャージのズボンに手ぇ突っ込んでアイスを物色していたらしい…

 

妙高に別れを告げ、とりあえず執務棟へと歩いていると、今度はランニング中の速吸クンに遭った…

 

「あ、テイトクと春雨ちゃん………あれ?春雨ちゃん、さっき自販機コーナーに居なかった?」

 

「行ってないです」

 

速吸クン曰く、さっきスポーツドリンクを買い行った際、春雨は自販機コーナーでジャージのズボンに片手突っ込んでスマホをイジりながら変なクシャミしていたらしい…

 

スポーティーな汗ムンムンの速吸クンに別れを告げ、イヤな予感を感じつつ執務棟へと歩いていると、隣から小声で殺す殺す殺す殺す殺すと呪詛めいたものが聞こえてくる気がしたが、たぶん気のせいだろう

 

「あ、テイトクと春雨じゃん!珍しい、ナニやってんのー?」

 

「オマエは…?」

 

「白露姉さん…」

 

そんな俺たちの前に、明石の店で買ったらしいガリ●リくんを手に、美少女特有の煌めく汗をダラダラ流しながら歩いていた白露が現れた

 

「ってか春雨、アンタ夏休みの宿題は?今年はお姉ちゃん見せてあげないからね!」

 

「別に見せてくれなくていいです」

 

え?な、ナニ…?なんで春雨怒ってるの?と若干焦っていた白露姉ちゃんの手にしていたガリ●リくんをワイルドに噛み砕き、春雨は行きましょうと俺の腕をグイグイ引っ張った

 

◆◆◆

 

「で、なんで俺の部屋なんだ?」

 

「念のためです」

 

春雨曰く、基地内でいきなり駆逐棲姫とバッタリ出会ったら厄介だとの高度な政治的判断の結果らしく、とりあえず他の者にバッタリと出会う可能性がほぼない俺の私室が相応しいと…

 

「まぁいいわ、なんか飲むか?ビールかレモンティーしかないけど?」

 

「レモンティーでお願いします」

 

俺はポットのお湯をカップに注ぎ、レモンティーの粉末をサーッと入れ、春雨に出し、俺は先程買ってきたビールの蓋を開けた

 

「…村雨姉さんや夕立姉さんはバカだから仕方ないとして、想像以上に私に成り代わっているみたいですね」

 

「バカだから仕方ないとかゆーな、バカだけど」

 

まぁ、もう入れ替わってかなり経ったからな……今では白露も妹を疑ってないし、五月雨は普通に春雨姉さんとか呼んでるし

 

「もうアイツ、駆逐棲姫じゃないで、ほぼ春雨だよ」

 

「なんですか!ほぼって!じゃあ私はなんなんですか!?」

 

「フーッ〜………だいたい春雨…?」

 

「だいたい!だいたいじゃないです!私が春雨なんです!」

 

春雨は俺のドーナツ型クッションをビタンビタン床に叩きつけてイキり散らしたが、とりあえずまぁ落ち着きたまえよと落ち着かせた…

 

「まぁいいです、とりあえずイイ感じのタイミングでアイツを後ろから刺しますので、協力してください」

 

「物騒なハナシだなオイ、だが春雨クン?以前はどうあれほぼ春雨も、俺にとってはもう大事な家ぞ…」

 

ズダンッ!!(出刃包丁)

 

「ぞく—————————ッ!!!?」

 

俺のおチ●ポ様のすぐ近くに、勢い良く、真っ直ぐ振り下ろされた包丁ッッッ!!

 

「協 力 し て く だ さ い」

 

「あ、あぁ……うん、そうだな、うん、協力しないとな、やっぱ深海は皆殺しだよな!うん!」

 

ナニコイツ超怖えぇぇぇぇ!!

 

「…とりあえず、イイ感じのタイミングが来るまで、私、この部屋に居ますので」

 

「は?いやいやいや、春雨クン!それはちょっと…ほら!ここは提督の私室だし…」

 

「協力するって………言 い ま し た よ ね?」

 

「いや、言いましたが…」

 

「じゃあ協力してください」ニコッ

 

「いやいやいや、春雨クン、春雨クンに部屋に居つかれたら俺どこで寝て、どこでオ●ニーしたらいいのかね?」

 

「寝るのは床で、オ●ニーならトイレでしたらいいじゃないですか?」

 

こ…このガキゃ……調子に乗りやがって、コイツ寝てる間に顔●してやろーか?

 

そんな俺の怒りを知ってか知らずか、春雨はベッドに転がりテレビのリモコンをポチポチと押し始めた…

 

「あと、ケムいんでタバコやめてくれませんか?」

 

「やだね」

 

 

こうして、春雨は二年半ぶりに基地へと帰って来た………(秘密裏に)



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提督とゴト岸と暇な日

爽やか日常回

【登場人物】

提督(爽やかキュウシュウ男児)
好きな技はサドマゾ

Gotland(爽やかシトラス系)
常に真実の愛を探し 求める哀しい軽巡洋艦

岸波(目が死んでる)
奢りならだいたい許せる


今日も蒸し暑いなオイとぶつくさ文句タレつつも喫煙所に通う事を忘れない一途なハート、そんな(ピュア)なハートを持つこの基地の絶対支配者でありドS系鬼畜眼鏡上司の提督様が歩いていると、ベンチのところに妙な組み合わせが居るのが目についたので声をかけてみた

 

「よぉ、GOLAN(ゴラン)クンと岸クン」

 

「あら?テイトク」

 

神の国から来たプッツン軽巡、GOLAN(ゴラン)ことゴト……ゴトランタン?だっけか?いや、ゴトラタン…?まぁどうでもいいか

 

「こんにちは」

 

そしてスーパーエリート駆逐艦、夕雲姉妹の岸クン、ふわっとしたヘアーと死んだ魚みたいな目が特徴で、性格はあまりふわっとしてない

 

「ナニやってんだ?こんなトコで」

 

「見てわからない?岸ちゃんとアイス食べてるのよ?」

 

「ふ〜ん」

 

このゴト……GOLAN(ゴラン)クンと岸クン、艦種も違うし国籍すら違うのだがウチに配属された時期が同じのいわゆる同期と言うヤツで、意外と仲が良いらしく、たまにこうして2人でティーをしたりするコトもあるそうだ

 

「実は仲良いんだな、オマエら」

 

「当たり前じゃない!今日だって岸ちゃんがアイス食べたいって言ったからこうして一緒に…」

 

「ゴトランドさんが奢ってくれると言ったので…」

 

岸クンは死んだ魚みたいな目でアイスをペロペロ舐めつつ自分への距離が近いゴトなんとかを肘で牽制しているのがなんともシュールなのだよ

 

「私達仲良しよね!ねぇ岸ちゃん!」

 

「えぇ、まぁ、そうですね」

 

以前、チ●ポついてるのかしら?と襲いかかってきたゴトなんとかの誘いに付き合っている辺り、岸クンはとても優しい良い子なのだろう…

 

「今日はこれから岸ちゃんとボーリング行ってカラオケ行って映画を観る予定なんだから!」

 

「ふ〜ん………まぁ、なんだ?大変だな、岸クンも」

 

俺は財布から紙幣を取り出し、死んだ魚みたいな目をしている岸クンに、これで美味しいもの食べなさいと手渡そうとすると…

 

「なんなら提督も一緒に行きませんか?」

 

「オイオイ、岸クン、提督がそんな暇人に見えるのかね?」

 

「まぁ…見えますね」

 

いやだわこの子ったら、まさか提督様が暇人だとでも…?いや、きっと岸クンは社交辞令も言える良い子なんだろう

 

「そうよ岸ちゃん、テイトクなんか誘わなくたって……ほら!岸ちゃんの分のカラオケもボーリングも映画もご飯だってぜーんぶゴトが出してあげるし…」

 

全部出すのかよ、こいつぁとんだ援助交………

 

「仮にゴトランドさんに襲われでもした場合、2対1の方が有利かなと思って…」

 

「なるほど…」

 

「襲わないよ!?なんなの岸ちゃん!?ゴトがそんなコトするワケが…」

 

チ●ポついてるでしょ?とか言ってヤバい目でスカート引っぺがそうとする人ですし……と岸クンに言われ、ゴトなんたらはグゥゥム!と何か言いたげに唸ったが、やはり前科は拭い切れてなかったか…

 

「ま、まぁいーわ、岸ちゃんがそれがいいってならゴトもそれに賛成よ、うん!テイトク、自分のは自分で出してよね?ゴトが出すってのは岸ちゃんにだけよ!」

 

「いや、俺は付き合うとか行ってねぇんだが…」

 

…と、断ろうとしたが、岸クンが“せめて2対1じゃないと安心できない”と袖を引っ張るので仕方なし、俺はこのゴトなんたらと岸クンに付き合って街に出かけるコトにした…

 

◆◆◆

 

ボウリング場、ROUNDワンチャイコネクション…

 

「実はゴト、ボーリングって初めてなのよね」

 

「ふ〜ん、岸クンは?」

 

「アベレージ150ぐらいですかね」

 

岸クン曰く、それでも姉妹の中では真ん中ぐらいの腕らしく、1番上手い藤波は3ゲーム連続の300を叩き出した怪物の中の怪物らしい、人は見かけによらないものだ…

 

「コレってどうやるの?」

 

「ご覧の通り、その玉を転がしてピンを倒すだけだ」

 

「ふ〜ん」

 

どうやらマジに初心者なゴトランランは敵じゃなさそうだな、ここはいっちょ岸クンに提督様のテクを見せてキャーキャー言わせ…

 

「ねぇ、なんか横の溝に入ったんだけど?」

 

「そりゃガターだ、0点だ」

 

「0点なの!?」

 

こうして幕を開けた提督様VS岸クンVSガター女の戦い、勝負は熾烈を極めた、岸クンは他人がストライクを出すと負けじとストライクで反撃する死んだ魚のような目のワリに好戦的なタイプらしく、俺たちはハゲしい戦いを繰り広げた…

 

「ねぇ、この(8)ってナニ?」

 

「そりゃスプリットだ、ガンバればスペアになる」

 

「………いや、ムリでしょ、どーやって倒すの?アレ」

 

◆◆◆

 

カラオケ屋、シダ植物

 

「実は俺、音痴なんだ」

 

「へぇ」

 

「そうなんですか」

 

俺一世一代の告白に、コイツら特に気にした様子もなく平然とデンモクを操作しおるわい…

神とは嫉妬深いものである、神は俺に美を与えたが、俺に音楽と絵画の才能だけは与えなかった…

 

「そんなワケだ、だから歌は岸クンが好きに歌うといい、で、その間にゴトラタンはとりあえず俺の一物に奉仕でもして貰おうか」

 

「イツ…?イチモツってナニ?聞いたコトないニホンゴね」

 

「チ●コのコトです」

 

「チン…?あぁ、Pen●sね………って!なんでゴトがテイトクのPen●sに奉仕しなきゃいけないのよ!?」

 

物知り岸クンからチ●コであるコトを教わったゴトランダーは怒り狂ってテーブルをバシバシ叩いた

 

「まぁまぁゴトランボーくん、冷静に考えてみたまえ、カラオケ店、薄暗い部屋、もしかしたら岸クンにバレるかもしれないと言うリスクのある中、Pen●sをジュポジュポする状況………興奮しないかね?」

 

ゴトランドは俺の冷静で的確な意見に、少し考え込み、そして…

 

「………メチャメチャ興奮するわ」

 

「だろぉ?ガハハハハ!」

 

「たしかに!それは興奮しちゃうわ、えぇ!そうでしょ?岸ちゃん!」

 

「………いや、普通にドン引きしました」

 

◆◆◆

 

イ●ンモール内、映画館前

 

「ライオン王で」

 

「ライオン王ね」

 

ライオン王、ライオン王の王太子が色々あって国を追放され、やがて逞しくなった王太子は国を乗っ取った叔父御との決戦に臨む感動巨編である、たぶん

 

「…観たい映画がお二人と同意見なコトに、正直少し複雑なものを感じます」

 

「ナニ言ってんだ岸クン!ポップコーン買ってやろーか?Lサイズのを!」

 

「そうよ岸ちゃん!コーラ買いましょ!Lサイズの!」

 

ちなみに、俺とゴトランドの席は隣席になったが、岸クンは俺たちとはかなり離れた席をわざわざ指定した

たぶんアレだろう、岸クンもお年頃だし、映画は1人で楽しみたいんだな!

 

◆◆◆

 

様々なコースを周り、テキトーに飯を食っているとさすがにそろそろ暗くなって来たな…

 

「よし、じゃ、今日は解散すっか、解散」

 

「そうね!どう岸ちゃん!楽しかったかしら?」

 

「まぁまぁですね」

 

ンマー!なんてクールな子かしら、死んだ魚のような目をしているだけあるわい

 

「よし、じゃ気ぃつけて帰れよ」

 

俺は岸クンにコレで電車にでも乗りなさいと電車賃を渡し、岸クンとゴトランドにアバヨと言って歩きだそうとすると…

 

「あれ?テイトクは?」

 

「俺はほら……アレだよ、せっかく街に来てんだし、一杯ひっかけてから帰るっーか」

 

アレだよアレ、男にはほら、アレな店に行きたい日とかあるだろ?アレだよ

 

「あ、そーなの?じゃ、ゴトも一緒に行く、いいでしょ?」

 

「いいワケねーだろ、帰れよ、岸クン1人で帰らせる気か?」

 

「私は普通に大丈夫なので、では…」

 

岸クンはペコリと頭を下げ、俺にこの空気読めないプッツン軽巡を押し付けてさっさと歩き出した

 

「じゃあねー!岸ちゃーん!」

 

「じゃあねー!じゃねーよ、オマエも帰れよ」

 

「ハァ?帰らないわよ!アレでしょ!1人で美味しいお酒飲みに行く気なんでしょ?ズルくない?」

 

「ズルくねーよ」

 

◆◆◆

 

………翌日、執務室

 

「おはよーっす………あー、マジダリぃ、飲み過ぎたわ、サミー、水くれ、水」

 

夕べは些か飲み過ぎたな、3軒目までは覚えがあるがそこから先はうろ覚えだし、起きたら隣でゴトランドが白目剥いて尻丸出しで寝てるし………たぶんアレだな、直腸でテキーラいっきしたんだろ

 

「どうぞ」

 

「うむ」

 

そしてサミーのまるで汚物でも見るような目…

汚物……あぁ、そうか、今日はたしかに燃えるゴミの日か



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提督と鈴谷とヒロインピンチ略してヒロピン

忘れかけた頃に帰ってくるメインヒロイン様回

【登場人物】

提督(巨乳好き)
浜風ちゃんと仲良くしたいと真剣に考えているものの、未だ突破口が見出せずにいる

鈴谷(自称)
鈴谷が諦めるコトを諦めろ、と言えるしつこさ


「ティーッス、テイトクぅ!カレー食いに行こうぜ!カレー」

 

「………誰だオマエ?」

 

「約2ヶ月ぶりに帰って参りました!メインヒロイン様です!」

 

ナニがメインヒロイン様だ、舐めてんのかコイツは…

社会と提督を舐め、街に出てはパパカツしてる頭の悪いJKみてぇーなヤツこと鈴谷は執務室に来るなりアホなコト言いつつ冷蔵庫を漁り出した

 

「あ、そーいや今日サミーは?休み?」

 

「休みだ、見たい番組でもあるんじゃねーの?」

 

「ふ〜ん」

 

冷蔵庫から取り出したスプ●イトをゴブゴブ飲み、ブハァ!うんめー!とか言っているその姿たるやまさに負け確ヒロインのカンロクである…

 

「まぁいいや、カレー食いに行こうぜ!カレー!マジメチャウマらしいーんだって!」

 

そんな敗北ヒロイン様は件のカレー屋の情報を表示したスマホの画面を俺の顔にグイグイと押し付けてきた

 

「近い近い近い!近過ぎるわ、近過ぎて逆に何も見えねーわ」

 

「あ、そう?」

 

「あ、そう?じゃねーよ、っーか行きたきゃ一人で行けよ、メシってのは一人で、静かで、豊かで、そう…救われてなきゃあダメなんだ」

 

「なんでそんな一人推し…?ってか提督、よくサミーとランチしてるじゃん?」

 

「アレはいいんだよ」

 

「いや、おかしくね?どう考えてもおかしくね?」

 

「おかしくない」

 

誤解のないように言っておくが、サミーは我が頼れる秘書艦にして莫逆の友、共に銀河を手に入れると誓ったあの日から我らの道は一つとなったのだ、つまりは私がサミーとランチを摂ると言う行動はお一人様と同義であると言えよう

 

「まぁいいや、とりあえず行こーぜ!」

 

そして鈴谷のこの物事を“まぁいいや”と割り切る姿勢、いや、切り替えの速さと言うべきか…

スポーツの試合などで嫌な流れを断ち切るにはもってこいだが、何故神はコイツを何かスポーツの選手にしなかったのだろう…

 

「俺昨日カレー食ったから今日は別に食いたくねーんだよ」

 

「ハァ?マジで!?カレー食いに行くならなんで鈴谷を誘わなかったの!?」

 

「なんでわざわざオマエを誘わにゃならんのだ、っーかビッチ臭いわ」

 

「臭くねーし」

 

多少涼しくなったとは言え季節はまだ夏、エキサイトしてアツくなった身体はじんわりと汗を掻くし、その汗は雌のフェロモンと混じり合うのは必定…

もし俺が鋼鉄の精神を持つ聖なる者でなければこのサキュバスを前に生命のエネルギーをぶちまけていたやもしれぬ…

 

「愛棒の熊野と行けよ、愛棒の、どうせアイツも暇してんだろ?」

 

「や、熊野のヤツ朝からどっか出かけていないし、ってか最近朝から出かけて夕方にズタボロになって帰ってくんだよねー」

 

「ふ〜ん」

 

熊野め、おそらくはマグナムトルネードに変わる新技を会得する為に…

 

「ってかなんでそんな頑なにイヤがるワケ?カレーなら毎日でもいいじゃん?」

 

「オマエと一緒にすんなビッチが」

 

「ビッチじゃねーし」

 

「だいたいオマエ、そんなカレーが好きならカレー屋で働けよ、毎日賄いでカレー食えるぞ」

 

「や、それは考えたコトあるけど…」

 

あるのかよ、とんだカレー好きだなコイツぁ…

しかし毎日毎日カレーなんか食ってたらお尻の穴ユルユルになってカレー食ってカレーをひり出すカレー製造機になるんじゃあないのか?いや、既にコイツはウン…もといカレー製造機の可能性が…

 

「そうだ、オマエ、ここでウ●コしてみろよ」

 

「ヘンタイかッ!!へ、ヘンタイ!!っーかヘンタイか!!なんなの!?いきなりウ●コしろとかまるで意味わかんねーし!?」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

「全然小粋でもナンでもねーし…ってかマジ意味わかんねーし」

 

「ま、そんなにイキたきゃ1人でイッて来いよ」

 

「だから!一緒に行こーぜ!って言ってるじゃん!で、料金はテイトクが払うと…」

 

「そうか、死んでくれ」

 

「ストレート…ッ!!鈴谷に対して豪直球過ぎる…ッ!」

 

「うるせぇな、俺に奢れなんざどのビッチクセー口が言ってんだコラ?昔、おばあちゃんがビッチにカレーは奢るなって言ってたんだよボケ」

 

「ビッチじゃねーし、ってか提督のおばあちゃんビッチに対して厳し過ぎじゃね?」

 

「気のせいだろ」

 

おばあちゃんはいつだって俺に正しい道を示してくれたのだ、そしてその高潔な意思は今でも俺の中にある!

 

「じゃわかった、鈴谷と勝負して勝ったら奢ってよ、勝負!」

 

「勝負だぁ?なんだ?突き(ラッシュ)の速さ比べとかか?」

 

「や、できれば肉体的に痛くない方向の勝負で…」

 

「じゃ、俺の邪●でオマエに2週間耐久尻穴調教ア●メ地獄見せてやっから、それでイカなけりゃオマエの勝ちでいいわ」

 

「ヘンタイかッ!!ってかナニそのユメ!サイアクすぎるんですけど!?」

 

「やんのかやらねーのか?3秒で決めろ、はい、さーん、にー、いー…」

 

「………やる」

 

ヤるのか?こやつめ、勝てぬとわかっていてなお勝負を挑むと…?いや、コイツの眼は死んでいない!勝負を諦めているワケじゃあない!たかが2週間耐久尻穴調教ア●メ地獄になんか絶対屈しない!と決意した姫騎士や変身ヒロインのような気高き“覚悟”があるッ!

 

いいだろう………ならばその“覚悟”が本物か!オマエが気高き姫騎士か!ただの肉便器か!見極めてやる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アヘェ………」ビクッ!ビクッ!

 

ジャスト1分後、ただの肉便器が転がっていた…

 

「…やはりダメだったか」

 

だがコイツのチャレンジ精神だけは買おう、俺はアヘ顔で転がる鈴谷の尻に、棚から取り出したジ●ワカレーの固形ルーを挿入してやった

 

◆◆◆

 

近所のイオンモール…

 

「なんやかんやで夏休みだしまだ多いね〜、ねぇ五月雨ちゃん」

 

「そうですね」

 

有給を取り、夕張さんと近所のイオンモールでお買い物ついでにパスタ的なものを食べていると、バッグの中に入れてあるケイタイがなんか震えていた…

 

「ナニ?メール?提督から?」

 

「えぇ、なんか鈴谷さんのアヘ顔添付されてましたけど…」

 

「へぇ~アヘ顔か~…」

 





次回は長門が石をぶつけられるお話
たまにはifエンド回でもやろうか考え中


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提督と長門と十三奥義

極●一直線な借りパクネタ回、十三奥義はでません

【登場人物】

提督(ジャッカル使い)
チョキの5倍の威力、チョキには勝つがグーには普通に負ける

長門(ステゴロなら長門)
キッズ達にちやほやされたくて仕方ない戦艦
妹…?ハハ…誰と間違えているんだい?私に妹などいないが…?




「失礼するぞ……と、何をやってるんだ?」

 

ある晴れた昼下がり、基地施設の点検書類的な物を持った長門が執務室へやって来た…

 

「こうですよ、こう」

 

「ふむ、なかなか難しいな」

 

俺は五月雨の手を見て微妙に角度を変えてみるがやはり上手くいかない、これはかなり難しいな…

 

「提督もサミ……サミ、サミュー?も何をやっているんだ?」

 

「ん?おぉ、長門か、何か用か?」

 

「書類を持ってきた、で?お前達は何をしていたのだ?」

 

「ナニってオマエ………“ニョロ”の練習だよ」

 

「…ニョロ?」

 

“ニョロ”………それは、政府によって認可された4つ目のじゃんけん技であるッッ!!

その破壊力は凄まじく、調子がいいときはチョキの200倍の強さがあるらしい…

 

「に…200倍、だと?」

 

「あぁ、スゲーだろ?」

 

「たしかにスゴいな、この長門も思わず戦慄を覚えたぞ…」

 

しかしそんな強力な手である“ニョロ”だがモチロン、デメリットも存在する、それが“レロ”の存在である…!“ニョロ”によく似たこの手を誤って出してしまうと、近隣住民からリンチを受けてしまうのだ…

 

「ちなみにコレがニョロで、こっちがレロだ」

 

俺は政府が発行した正式なニョロの手が描かれた紙を長門に見せてやると長門はグゥゥゥムと唸りつつ首を傾げた

 

「わからん、この2つの違いがまったくわからん」

 

「まぁ素人には難しいわな」

 

正直、俺にもよくわからんが…

 

「まぁ、この“ニョロ”が使いこなせるようになればチビっ子達から人気バクハツだろーな、たぶん」

 

「なんだとォ!?それは本当か同志提督ッ!!」

 

「あぁ、たぶん」

 

「よし!早速練習だ!同志提督、それを見せてくれ!」

 

長門は俄然やる気を出したのか、ニョロの手が記載された紙を手に取ってニョロの型を練習し始めた

 

「…こうか!」

 

「いえ、それはレロですね」

 

「グゥゥム…そうか!こうか!こうだな!サミュー!」

 

「いえ、それはゲルロです、あと、サミューではなく五月雨です」

 

「違うのか……なかなか難しいな」

 

◇◇◇

 

同志提督とサミーのところでニョロの特訓を積み、とりあえず誰か適当な相手にこのニョロを使ってみようと基地の中を歩いていると、第六駆逐隊のエンジェルス達がベンチのところで都合良くじゃんけんをして遊んでいるの目に入った…

 

まさに僥倖とはこの事だろう!

 

「やぁ、キミたち」

 

「あ、長門サンなのです」

 

「長門サンチィーッス!今日もメチャシブいっす!」

 

第六駆逐隊のエンジェルス達は丁寧にお辞儀をし、このビッグセブンに敬意を払ってくれている……なんて良い子達なのだろうか、だが、彼女達は………いや、むしろ駆逐艦のキッズ達はこの長門に対し妙に余所余所しい…

なんと言うか、嫌われてる感は無いのだが、どうにも距離を感じずにはいられないのだ…

私としては陸奥のように一緒に仲良くおしゃべりしたり気さくにコミュニケーションをとって欲しいのだが…

 

「じゃんけんをしていたのか?」

 

「はい!」

 

「ハラショー、じゃんけん勝ち抜きトーナメントしていたよ」

 

「そうかそうか………ふむ、どうだ?そのじゃんけん、この長門も交ぜてくれないか?」

 

「長門サンを!?」

 

「畏れ多いのです!な、長門サンとじゃんけんだなんて…」

 

………陸奥なら普通に交ぜて貰えるのに、何故この長門にはこう……まぁいい、そんな陸奥への劣等感も今日までだ!フッ、見ているがいいチビっ子達!この長門がキミたちをキャーキャー言わせてやるぞ!

 

「よし、ではいくぞー?」

 

「わ、わかりました!」

 

相手は暁ちゃんか、フフッ…可愛いなぁ、いや、ホント…一緒にお風呂とか入ってくれないかなぁ…

 

『『じゃーんけーん』』

 

『『ぽんっ!』』

 

グー(暁) VS ニョロ?(長門)

 

決まったッ!!チョキの200倍は強いと言われているニョロが!完璧に…ッ!!

 

あまりにも完璧に決まったこの長門の手に、周りで見ていた第六駆の他のエンジェルス達も静まり返って……

 

「………レロなのです」

 

「レロだわ」

 

ざわ…ざわっ…!

 

「ハラショー、これはレロだね」

 

「え、えぇ、レディとしてもこれはレロとしか言いようがないわ」

 

レロなのです、レロだ、レロを出した…

マジかよ…レロかよ?嘘だろ レロだ いや、レロだ

レロ! レロ! レロだ!

 

レロだ!レロだ!レロだ!レロだッ!レロだッ!

 

ざわ…っ!ざわっ…!

 

「な…なんだ?」

 

いつの間にやら周りには多くの艦達が集まり、なにやら異様な雰囲気が…

 

「レロなのです!」投石!

 

「アイタッ!?」

 

「レロだわ!」投石!

 

「痛い!な、なんだ…!痛い、やめてくれ!」

 

レロ… あいつレロ出しやがった… レロだ!レロだ…!

 

レロ!レロ!レロ、レロ!レロ!

 

いつの間にやら周りに集まっていた皆は容赦なく石を投げつけたり木で殴りかかってきた!?な、なんなんだコレは!?私が一体何をしたと言うのだ!?

 

そう言えば……提督が“ニョロ”と“レロ”を間違えると大変なコトになるとか言っていたような…

 

「…騒がしいわね、一体何をやっているの?」

 

「陸奥!ちょ、丁度良かった!助けてくれ!」

 

謎の集団暴行に苦しんでいると、丁度陸奥が通りがかった!

 

「陸奥さん、長門サンは“レロ”を出したのです!」

 

「…ハァ?」

 

陸奥は電から手頃なサイズの石を受け取ると少し困ったような顔をして…

 

「えいっ!」投石!

 

「アイッタァァァァ!!!ちょ、陸奥!オマエまで…!」

 

「ごめんなさい長門、例え身内でも“レロ”を出したのなら庇いきれないわ…」

 

◆◆◆

 

長門による“レロの悲劇”から数日後…

 

「聞いたわAdmiral!!ジャンケーンにスゴい手があるらしいわね!フフッ、チョキの200倍強いなんて……まさにこのビッグセブン!Coloradoに相応しい手だわ!」

 

「あぁ、うん、そうだな」

 

後に、このコロラドは“ゲルロの悲劇”と呼ばれる憂き目に遭うことになる…







ニョロ
政府に認可された第四の手
調子が良ければチョキの200倍強いがグーに勝てるかは不明…

レロ
ニョロによく似た型の手、これを出すとリンチを受けても仕方ない

ゲルロ
ニョロによく似た型の手、これをレロよりヤバいことなるらしい


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続続続続続続続続続・提督と作戦とミーティング

悪魔に背くと決めた日

【登場人物】

提督(安心のクソ提督)
全艦集会の談話は前日からきちんと原稿に書いて用意している

五十鈴(パイセン)
絶賛水着中のパイセン


アツい夏の終わり、それはアツかりし新たなる聖戦のはじまりでもある…っ!

 

そして、当基地では作戦海域開始を告げるべく恒例の全艦集会が粛々と行われていた…

 

「えー…夏休みも終わり、新たなる学期に無事に揃った皆さんの顔を見る事が出来て提督も大変嬉しい限りです、この夏は酷暑であり台風であったり色々とあったと思いますが皆さんは良い思い出を作る事が出来たでしょうか?思い出と言うものは良い物も悪い物もありますが、それらはすべて皆さんの経験としてこれからの人生に大きく役に立…」

 

『ゴチャゴチャうるせー!』

 

『ハナシなげーよオッサン!』

 

『早く引っ込めやオッサン!』

 

………Fuck you!ブチ殺すぞ、ゴミらめ…っ!そう言いたい衝動を抑え、俺は壇上からクズどもに提督様の有難い話をたっぷり46分かけて続けてやった

 

「えー…では提督からのお話は以上です、では香取先生」

 

「はい、では続きまして、夏休み絵画コンクールの優秀賞の表彰と、夏の鎮守府杯の表彰を行います」

 

ーーー

 

喫煙期間解禁中のモクモクしちょるだけの執務室…

 

「今回は全三海域とワリと少なめになっているそうです」

 

「三海域か…」

 

上からきた作戦概要のFAXを流し見しつつ新しくタバコに火を点けケムリを肺に吸い込む………ゴキゲンな主流煙だ、三海域を単純に三海域と鵜呑みするのはまだまだ提督歴の浅いデビューしたての若僧(グリーンボーイ)ぐらいだろう…

歴戦の提督ならこのFAXを床に叩きつけて何が三海域だ!テメーの言ってるコトは全部デタラメだよーッ!と荒ぶるものだ

 

「フーッ〜…湯断せずに行こう!」

 

「油断ですね」

 

「とりあえず最初はなんだ?いつもの対潜クソガキをファックすりゃいい感じか?」

 

「一応、対潜もあるみたいですが…」

 

「なんだ?言ってみろ」

 

「対潜後、水上戦闘みたいですね、なんか戦艦仏棲姫が出没するそうです」

 

「戦艦仏…?あぁ、あやつか」

 

過去に何度か現れたコトがある乳とシッポがやたらデカい姉ちゃんか、なるほど…全三海域と言うだけあってあちらさんも初戦から強力なカード切ってくるじゃあないか…

 

「あと、今回は欧州系の海外艦にちょっとやる気があるみたいですね」

 

「ふむ」

 

やる気と言う名の不思議なパワーか、なるほど…となると、最初から全力全開で行くのはどうかと思うが…

 

「まぁいい、とりあえず開幕は五十鈴だ、連絡しとけ」

 

「五十鈴さんですね、他は?」

 

「五十鈴に任せる、好きなヤツ連れてけ」

 

◆◆◆

 

大事な大事なオープニングゲーム、初戦を飾るのはやはり人類最強の潜水艦狩りの達人、五十鈴…

 

…その、五十鈴は提督から初戦起用の連絡を受け、チームのメンバーを集めていた…

 

五十鈴が目をかける後継者候補の朝霜、新たな力をつけメキメキと頭角を現してきた浦風、そして…

 

「ど…どーしよイスズサン!リベ行った方がいい?リベどーしたらいい?」

 

チームの中でも、五十鈴が特に可愛いがっていた対潜の才能溢れる未来の対潜エリート、リベッチオは今回のチームへの参加を躊躇っていた…ッ!

 

いつもならば五十鈴が“来い”と言ってくれると喜んでついて行った、五十鈴が“来い”と言ってくれたら“勇気”が湧いてくるからだ!

 

だが!今回は欧州作戦、もしかしたら中盤、もしくは後半に自分の力が最大限発揮できる海域があるかもしれないのだ、だからこそ、いきなりこの初戦から出るのには躊躇いがある!

 

「そ、そーだ!“命令”してよ!イスズサン!イスズサンが“来い!”って“命令”してくれたらリベなんだってデキるんだよ!ねぇ?」

 

「ダメよ、こればかりは自分で決めなさい」

 

「そんなぁ〜…」

 

五十鈴から突き放されるように言われたリベッチオはどうしたらいい?ねぇ?どうしたらと混乱していた…

 

「お願いだよぉ!イスズサン!リベに“来い”って言ってくれよぉ!そうすりゃ“勇気”が湧いてくるんだ!」

 

「ダメよ、こればかりは命令できない………ただ、リベッチオ、アナタは来ない方がいい、向いてないわ」

 

五十鈴は再度リベッチオを突き放し、チームのメンバー達の方を向いて艤装に出撃の火を入れるッ!

 

「よぉーし!行くわよアンタ達!潜水艦に生きる価値無し!目についたヤツは皆殺しよ!」

 

『『『おー!』』』

 

五十鈴の号令の下、チームは持っていたグラスをプロージーットと地面に叩きつけ、出撃する…ッ!!

 

そして…

 

出撃して間もなく…

 

「五十鈴サン、後ろ、後ろ見てよ!」

 

「ナニよ?」

 

朝霜に言われ、五十鈴が後ろを振り返るとそこに…

 

「行くよォォォォォォォォ!!リベも行くんだよォォォォ!!イスズサァァァァァン!!リベに“来るな”と“命令”しないでよォォォォー!」

 

リベッチオが、クロールしながらチームを追いかけて来ていた…

 

「リベッチオじゃあ…」

 

「ヘヘッ、アイツ…!なぁ!五十鈴サン!」

 

「………フッ、どいつもこいつも、まぁ、五十鈴には丸見えだったけどね」

 

こうして、欧州方面作戦シングル作戦は始まったのだった…ッ!!

 

←To Be Continued





珍しく当選してたので13と14は佐世保に行きますって


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提督地獄変【最終章④】

イベント中でも忘れた頃に最終章

【登場人物】

梶輪大将(拳系)
中央司令部所属の海軍大将、足が臭い

美音少佐(元特務)
元第五特務部で天海中佐の部下で後輩、シトラス系の香りかと思いきやわりと汗臭い


来たる東西戦の事前打ち合わせの為ヨコスカへ行き、無事打ち合わせを終え数日後…

 

「ほぉ…」

 

「何か面白いコトでも書いてあるんですか?」

 

執務室で一枚の書類に目を通していると、青髪ロング子が注文していないコーヒーをどうぞと執務机に置いたので、俺はその書類を青髪ロング子に渡してやった

 

「あぁ、東西戦の編成ですか………へぇ」

 

書類に目を通し、微妙な笑みを浮かべた青髪ロング子はなるほどですねーとか言いつつそれを机に置いた

 

「面白い真似、してくれるじゃあないか?なぁオイ?」

 

「どっちがですか」

 

今回は艦種やら編成やら色々と制限があるが……川奈クンは川奈クンでなかなか良い性格しているらしい、さすがは同期の華ってヤツだな

 

「オマエ出るって言ってたろ?キチンと仕上げとけよ、キチンと」

 

「そうですね」

 

◆◆◆◆◆

 

事前打ち合わせから更に季節は進み、遂にやって来た東西交流演習ッ!!

 

今回の会場である横須賀には東西それぞれの偉い人、まぁまぁ偉い将校、それなりに偉い将校、一般的な将兵、今は無名だが新時代の台風の目になるであろう才能溢れた新人達、そして地域の住民達が東西戦を観戦しようと会場へと集まっていた…

 

「カッカッカ、今回はまた大盛況みたいだなァ?なぁ?」

 

「なぁ?じゃないですよ、梶輪大将、こんなところで買い食いしてていいんですか!?」

 

「カテぇコト言うなよミネちゃん、どーせまだ始まらねぇし、あっちに行っても平均年齢高けぇ加齢臭しかしねぇ葬式の順番待ちかっーの」

 

海軍中央司令部所属大将、梶輪大将は会場に隣接された出店で焼き鳥を買いつつ自分の秘書にもどうだ?と串を1本強引に渡した

 

「あ…りがとうございます、って!酒!なんでお酒買ってるんですか!会場行かなきゃいけないのにヤバイですって!」

 

「カテぇコト言うなよ、なぁ?ガハハハハ!」

 

「クッ!こ…このジ…!」

 

かつて存在した海軍中央司令部第五特務、その第五特務部に所属していたものの、色々あって所属部署は消滅、現在はこの海軍大将付きの秘書として軍に身を置いている美音少佐は直属の上司である梶輪大将をジジイとディスりたい言葉をなんとか飲み込んだ…

 

「……しかし随分と派手なものですね、お祭りみたい、私、前の部署じゃ司令部付きの内偵みたいなコトばかりだったのであまりこーゆーの馴染みないんですよね」

 

「まぁ、今回はトクベツだな」

 

美音少佐が事前に知っている情報だと今回の東西戦、たしか東の陣営はルックスもイケメンな横須賀所属のエース、そして、対する西の陣営は…

 

「…天海中佐がなんか妙に贔屓してたメガネですか」

 

西の陣営所属の中でもその狂犬ぶりは中央にもそれなりに知られており、ルックスもイケメンで次期元帥候補と噂される川奈大佐とはまさしく真逆の評価でだいたい間違っていない

 

「ヤツは川奈に唯一黒星をつけた男だからのぉ」

 

「え!?ウソォ!?」

 

「ウソなワケあるかい、そんトキの立ち合いワシがやっとるからな、ガハハハハ」

 

「マジ………いえ、本当ですか?何かの間違いとかでは?悪い夢でも見ていたとか?」

 

「なかなか信じんのぉ、ミネちゃん」

 

「いや、普通に信じられないんですが…」

 

「ま、アイツらがガッコー出て初めて部下持って最初の演習だったしのぉ」

 

「へぇ…」

 

過去の意外な対戦結果を知り、それでもなお信じ難いと美音少佐が頭を悩ませていると、梶輪大将は道行く人波の中に知った顔を見つけたらしく声を張った

 

「お、オマエさんアレじゃろ?アイツんトコの白髪じゃろ?」

 

「…ん?あ、大将さんじゃない、ってか白髪はやめてよね、ね?」

 

「すまんすまん、え〜……湯葉だったか?」

 

「由良よ、今日が通夜で明日が葬式でいい?」

 

たまたま歩いていたのは艦娘であり、軽巡の由良、そして…

 

「物騒なコト言ってんじゃないよ由良……って、なんだい?このジジイまだ生きてんのかい?」

 

「カッカッカ!ジジイとはまた大将様に対して礼儀がまるで無いのぉ」

 

妙に長いキセルを手にしているのは由良と同じく艦娘であり、軽空母の鳳翔

 

「ナニやっとるんじゃ?こんなトコで?」

 

「ナニって……応援かな?ね?」

 

「フーッ〜………応援さね、今日はウチのサミーが珍しくヤるって聞いたからねぇ」

 

◆◆◆◆◆

 

東西戦開始の刻ッッッ!!既に会場へと集まった観衆達の前に、姿を現した東西両陣営の提督ッ!

 

そして!両陣営がこの日の為に考え、選抜したであろう編成が大型の電光掲示板に表示されると、会場内に衝撃と動揺が走った!!

 

「オイオイオイ…」

 

「表示ミスか?」

 

「おーおー、若い人は面白いコトをやりなさる」

 

この演習でぶつかり合う両陣営の編成…

 

【東】

駆逐艦:叢雲

 

【西】

駆逐艦:五月雨

 

両陣営共に、駆逐艦一隻のみッッッ!!

過去の通例として、六対六の多種多様な艦種が入り交じった派手な戦いが見られると期待していた観客席は驚きと落胆の色に染まっていた

 

しかしッ!!その、両陣営を指揮する両提督と、艦娘はそんな会場の空気を気にするコトはなく、互いの艦娘にこれから始まる戦いの指示を出していた

 

そして、戦闘開始の鐘が鳴るであろうタイミングに合わせ、両陣営から二人の艦娘が水上へと飛び出し、水上で真っ向から衝突するッッッ!!

 

「リベンジさせてもらうわッ!」

 

「できるものなら、どうぞ」



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ブレスト防衛作戦

この曲を我が友に、闘いに行く友におくります!

【登場人物】

Richelieu(自称最強戦艦)
好きなニホンのマンガ家はアキラ・トリ●マ

戦艦仏棲姫(ぽっちゃり系)
今デブったヤツ誰だ?オイ、オマエだよオマエ、たしかに聞いたぞコラァー!


第1ステージ、開幕戦の序盤を五十鈴パイセンが相手を寄せつけない完全勝利でキチっとシメ、姿を現した海域BOSSを叩くべく新たにチームは編成された…

 

『キタゾー!海軍ドモダーッ!』

 

『野郎ドモ!海軍ヲ滅ボセーッ!!』

 

最深部にて待ち受けるのは戦艦仏棲姫率いる北太平洋深海ブレスト侵攻艦隊、そして攻め入るのは…

 

「戦艦Richelieuよ!どきなさい!」

 

最強の戦艦(自称)リシュリュー率いるBOSS攻略チーム!

リシュリューとしては久々に帰ってきた地元でのマッチメイク、かつて地元で最強最強とちやほやされてチョーシに乗っていたリシュリューは自分が最強である事をまったく疑わずにニホンへと渡り、配属された基地でフルボッコにされ、この海には自分を“最強”と勘違いしちょるヤツがゴマンとおると思い知らされた…

 

そんな強者がウヨウヨ居る偉大なる航路の実力を知ったリシュリューだったが、尻尾を巻いて地元に逃げ帰るという選択はなかった!リシュリューがまだ幼かった頃に見ていたニホンのアニメでは、どんなに強い敵が出てきても、こんなにヤベーのにワクワクすっぞ!と主人公は笑っていたのだ…

 

『マタアナタ…?クッ、シツコインダヨォ!!テメェハヨォ!』

 

『戦艦仏棲姫クン!』

 

『戦艦仏棲姫クン!』

 

リシュリューにとっては因縁の宿敵とも言える戦艦仏棲姫、それは戦艦仏棲姫にとっても同じらしく、もはや顔を合わせるコト自体がイラついてしょうがないレヴェルへと達しており、戦艦仏棲姫はお供のイ級やツ級にちょっと退がってろと退がらせた

 

「フッ、過去何度かアナタには苦い思いをさせられたケド…」

 

リシュリューはその輝く黄金の長髪を手櫛でぶわぁっと靡かせる!その自信と気品に満ち溢れた堂々たる姿たるやまさしく黄金の獅子!

 

「見せてあげるわ、Mon amiralとのシューギョーの成果をね!」

 

そう……あの辛く、厳しくもあり、それでいてMon amiralの優しさを感じられたシューギョーの日々…

 

『ア、コイツ無駄ニ回想シヨウトシテヤガル!』

 

『誰カ止メロ!!』

 

〜回想〜

 

そう…あの夜、ニホンの夏は蒸し暑く、イライラしていた私が寮に置いてあるピアノを弾いているとamiralが通りかかった…

 

「うるせぇーよ!!何時だと思ってんだテメーは!」

 

「あら?Mon amiral、ナニか用?」

 

「オメーのそのピアノリサイタルがうるせーって文句が出てんだよ、とにかく今すぐやめろ」

 

「Vraiment?フッ…どうやらこの基地にはMusiqueを理解出来る高尚な者はいないようね…」

 

「やかましい」

 

しかしまぁ、Bruyantとクジョーが出たのなら仕方ないわね…

 

「しかしオマエ、ピアノとか弾けるんだな」

 

「弾けるわよ?まぁ、得意か得意ではないかと問われたら得意ね!」

 

「ふ〜ん」

 

「amiralは弾けないの?」

 

「弾けるワケねーだろ、ピアノどころか縦笛で諦めたわ」

 

amiral曰く、神より音楽を奏でる才能を与えられなかったとのコトらしい…

 

「amiral、そう言えば私、最近新しいニュースーパーブローを考えているのだけど?」

 

「なんだ?ライトアッパーか?」

 

「そうね、ただ……そう、ナニか足りないのよ」

 

そう、アッパーカットはこのChopinの旋律のように下から上へ何octaveも間隔があったらカンタンに相手にかわされてしまうが………それでも、いや!その常識を覆しまるで低空飛行から急上昇するジェット機のよう猛スピードでアッパーカットが打てたのなら…

 

「まるでChopinの旋律のようにッ!!」

 

バンッ!!!ジャジャジャジャーン!!!(ピアノ)

 

「だからうるせーって言ってるだろーが!!」

 

〜回想おわり〜

 

「喰らいなさい!20世紀最大のスーパーブローをッッッ!!」

 

リシュリューは猛スピードで戦艦仏棲姫の懐へと飛び込み、超低空からまるでジェット機のごとく仏棲姫の顎に右腕を振り上げるッッッ!!

 

JET!!!(ジェ●トアッパー)

 

『グワァァァァァァァァァァ!!』

 

戦艦仏棲姫はまるで車●飛びのように上空に吹っ飛ばされ、きりもみ回転しつつ落下し頭から海面にヤバい音を立てて叩きつけられた

 

グシャアッッ!!!

 

『セ…戦艦仏棲姫クン!!』

 

『ウ…ウソダロ?アノ、TOUGHナコトニ定評ノアル戦艦仏棲姫クンガコンナアッサリ……』

 

イ級!ツ級!ヌ級達に戦慄が走るッ!!まさかあの無駄な肉と言う名の超装甲に定評のある戦艦仏棲姫の超装甲がブチ抜かれ、無残にも転がっていると言う現実…

 

しかしッッ!!

 

『…ヘ、ヘヘッ…!』ユラァ〜…

 

『タ、立チヤガッタ!!』

 

『サスガ戦艦仏棲姫クンダ、並ノデブジャネェ!!』

 

『アァ、サスガデブダ!』

 

生きていた戦艦仏棲姫に深海の仲間達からアツいエールが送られる中、戦艦仏棲姫は血反吐をペッ!と吐き捨て、今デブっつたヤツ、顔覚えたからな?と言ってリシュリューをギロリと睨み…

 

『痛テェダローガァァァァァ!!オラァ!!』

 

ドゴンッッッ!!(マグナムお腹パンチ)

 

「オゴォ!!」

 

強烈なお腹パンチを喰らったリシュリューは光る吐瀉物を吐きながら海面に叩きつけられ、4〜5回転くらい転がった後………動かなくなった

 

『ペッ…!ヤレヤレダゼ』

 

『サスガ戦艦仏棲姫クンダゼーッ!』

 

『ヒュー!ボテッ腹ーッ!』

 

金髪の獅子を正面から切って落とし、歓声に沸き立つ深海ブレスト侵攻チーム、まさかあの凄絶ライトアッパーを受けて立ち上がるとはと攻略チームの誰もが絶望を…

 

………しなかった

 

「フッ、たかがキンパツ1人倒した程度でまさか勝ったつもりじゃあるめぇな?」

 

『ナニ…?』

 

沸き立つ深海ブレスト侵攻チームの前で腕を組んで微かに笑っていたのは………攻略チームのトリを務める軽空母、スーパースター!!

 

スーパースター剣埼こと祥鳳ッッッ!!

 

『ナニ…?次ハアナタガ相手ナノ?』

 

「フッ、オマエ程度じゃ相手にならねぇよ」

 

ただ、どうしても私とヤリたいってならそいつらをなんとかしてみせな…と言って祥鳳は戦艦仏棲姫に親指であっちを見てみなよとジェスチャーを送るとそこに…

 

『ア?』

 

「まずは私からでいいですよね?」

 

深海ビンゴブック危険駆逐艦ランキング第3位、初春姉妹のエース初霜

 

「僕は構わないよ」

 

深海ビンゴブック危険駆逐艦ランキング第2位、王者西村艦隊の帝王、時雨

 

「あ、そう言えば今日球磨姉さんが豆腐買って来いって言ってましたよ」

 

「えー、マジでー、また揚げ豆腐かなー」

 

深海ビンゴブック最強タッグランキング第1位、球磨ッスルシスターズ

 

『ア…?ア…?』ブルブル…

 

戦艦仏棲姫はあまりの絶望に震えた、そして涙した…

なんでこんな序盤からこんな殺意の塊みたいなチームがここに来ているのか?こんなのもっと後半戦で出るやん、なんでアリア●ンの近くでギガ●テス出てるやんと恐怖し、それから少しだけ漏らした、そして、下着を穿いたままする背徳感はちょっと興奮するかもしれないと自分の中にあるイケナイ性癖にちょっとだけ目覚めた

 

ーーー

 

苛烈な暑さは去っても蒸し暑さは悩ましい執務室…

 

「ナニやってるんですか?」

 

「ご覧の通り、ドクターマ●オだが?」

 

「はぁ?」

 

特にやるコトがないので執務室のテレビでドクターマ●オをやっていると、青髪ロング子が麦茶でも飲みますかと聞いてきたのでキンキンに冷えたヤツを所望した

 

「そう言えば、攻略チームはどうなってるんですか?なんかリシュリューさんが出撃前から負け犬臭をプンプンさせてましたけど」

 

「オマエ、さらっとヒデーヤツだな…」

 

まぁ、言われると気になるのでテレビのチャンネルを現場中継に変えてみると、北上と大井のKITA↓LAPが炸裂し、尻尾がデカいのがドヘァ!と血反吐をブチ撒けていた…

 

「あー、これは死にましたね、はい、麦茶です」

 

「ありがとう」



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提督とFletcherと母なるmother

私を導いてくれ…

【登場人物】

提督(金髪巨乳は最高でござるな!)
そこには浪漫が詰まっている

Fletcher(マザーと呼ばれた駆逐艦)
ジョンくんのお姉さん、聖女


今日も元気だウ●コがぶっとい、朝から大の大冒険をキメてきた俺は喫煙所でタバコでも吸うかと廊下を歩いていると、中庭のベンチのところで尻がこちらに向けて振っているのが目に入った…

 

「…尻?いや、尻だな、まさしく尻だが…」

 

もしかして誘っているのだろうか?いや、誘っているのか?

そんな魅力的な尻に目を奪われていると、ベンチの下辺りにあった尻はモゾモゾ動き、尻の主が頭を出した

 

「やっと捕まえた!Mischief、ダメよ?イタズラしては…」

 

そう言ってベンチの下からネコを引っ張り出した尻の主、たしかそう……えぇ、なんだっけ?たしかジョンくんのお姉さんの…

 

「やぁ、え〜………フレッチャーくん?だったかね」

 

「あ、あら?テイトク、コンニチハ」

 

先日ウチにやって来たMAJORの大型新人、フレッチャーくん、駆逐艦とは思えないアメリカンサイズのそのbreastsはまさしくMAJORクラス、来日後、全ての駆逐艦のパイオツランキングが1段階下がったとまで言われており、まさに現代の黒船来航と言えるだろう…

 

ちなみにこのフレッチャーくん、過去のMAJOR獲得交渉の中でもとりわけ難航し、多大な時間と粘り強い交渉、そしてかなりのmoneyが動いたと言われているがその真偽は不明である…

 

「ちなみにそれナニかね?」

 

「あ、はい、Catです」

 

フレッチャーくんが手にしているのはたしかにネコ…

どうやらフレッチャーくんはベンチの下に居たネコを捕まえていたらしい

 

「さっきから鳴き声が聞こえていたので」

 

「ほぉ」

 

フレッチャーくん曰く、ベンチでsandwichを食べていたら微かなネコの鳴き声が聞こえてきたのでたぶんハラ減ってるんだろうと考えたらしく、ネコに自分のsandwichを千切って分け与えていた

 

「ところでテイトクは…?施設の巡回ですか?」

 

「まぁそんなところなのだよ」

 

「そうですか、それはお疲れ様です」ニコッ

 

………なんだろうこの胸に広がる感覚は、違和感…?いや、高揚感…?普通、駆逐艦のクソガキどもと言えばジュース買ってくれだのお高価なスイーツ食いてーだの言って俺をイライラさせるのだが…

 

このフレッチャーくんはナニかが違う!

 

そう、まるで母と話すように安らいだ気持ちになるような…

 

「あ、そっちのはダメ、It's useless」

 

sandwichで懐柔されたネコはフレッチャーくんパイオツに乗り、もっとくれ!もっと食わせろ!と前脚でカリカリしており、服の胸元をグイグイずらしていた

 

「それを与えたら私の分が………もぅ、仕方ないですね」

 

この駆逐艦、スケベすぎる………ッ!じゃない、優しすぎる!その姿たるやまさしく聖母!人を慈しみ、そして人を思いやり、理解してやれる強い心…

 

バカな…っ!母を感じた?私ともあろう者が、たかが金髪巨乳に母を感じるなど………そうだ、こーゆー時はコロラードくんのコトでも考えて落ち着こう、コロラードくんは残念なビッグ7、私に勇気を与えてくれる…

 

『ピギャアッ!!』

 

『イ、痛ィィィィィ!!お尻!お尻をぶつのはやめて!Please do not hit the butt, please!』

 

『こ、これで勝ったと思うんじゃないわよ!バーカ!バーカ!バーカ!』

 

………よし、落ち着いた

 

「私のsandwichは無くなってしまいましたが、この仔の飢えを満たせたのは良いコトです」

 

「そうかね」

 

…聖女かッッッ!!なんだこの子!聖母どころかモノホンの聖女かナニかだろうか?グゥゥゥム……何故このような子がウチに来てしまったのか

 

「しかし自分のサンドイッチを与えてはフレッチャーくんの空腹は満たされないだろう?どうかね、ここはひとつ、テイトクに奢らせてくれないかね?」

 

「え?いえ、そう言うワケには…」

 

「まぁまぁ!上司にも良い格好させてくれたまえよ!なぁオイ?よし!マミー屋行こう!マミー屋!なんでも好きなモノ頼みたまえよキミぃ!ガハハハハ!」

 

◆◆◆

 

甘い物も辛い物も扱っている本物だけやって来る本物志向の店、マミー屋…

 

「さぁ、好きな物を好きなだけ頼みなさい!」

 

「は…はぁ…?」

 

俺はフレッチャーくんになんでも注文したまえよ!遠慮なんかすんな!と肩を叩いてやると、フレッチャーくんはとても遠慮がちに笑っていた

 

「じゃ、じゃあ…こちらのBLTで…」

 

「オイ!間宮!間宮ァ!BLTだ!BLTのセット!大至急だ!」

 

俺はカウンターの向こうでむしゃぶりつきたいムチッとした尻でお馴染みの間宮に注文を伝えた

 

「モタモタすんなデブ!」

 

「………は?」ピキッ!パキッ!

 

間宮は不遜にも俺を睨みつけると、奥に居た間宮の子分に“バット持って来て、釘刺さってるやつ”と冷静で的確な指示を飛ばした…

 

ーーー

 

「あ、あの……えっと、ありがとうございます」

 

「フレッチャーくんも育ち盛りだからね!いっぱい食べて大きくなりたまえよ!ガハハハハ!」

 

まぁ、むしろもう既にかなりデカいのだが……

 

「あの……頭からかなり血が出てますが…?大丈夫なのでしょうか?」

 

「ナニ、カスリ傷なのだよ」

 

「そ…そうですか」

 

間宮のヤツめ、何の躊躇もなくおもいきりイきやがって、俺がタフ・ガイじゃなきゃドタマカチ割られて今頃脳みそが流れ出ているところなのだよ

 

「あ、テイトクと〜…Fletcher!ナニやっての?」

 

「あら?Johnston…」

 

そんな和やかな流血カーニバルの中、マミー屋の扉を開き、新たな客ことジョンくんがやって来た

 

「テイトクにBLTを買って頂いたの」

 

「なんですって!?Not ugly!テイトク!アタシには奢ってくれたコトないのに!Fletcherには奢るなんて…」WANA-WANA!

 

ジョンくんはフレッチャーくんのパイにこのナマイキおっぱいがーッ!とパイをビンタした

 

「痛い!な、ナニするの?」

 

「クッ!この手に残る感触…まるで母のような柔らかさ!」

 

ジョンくんは震える手でその感触に戦慄していた…

 

「それは本当かね?」

 

「えぇ、ビンタした手がむしろ安らぎすら感じたわ…」

 

 

この後、ジョンくんからアタシもナニか買ってと散々ゴネられ、フレッチャーくんと同じくBLTを買ってやると、とてもご満悦になったらしく、天気も良いし外のベンチで食べましょ!と誘われベンチへ行くと、どこからともなく野良キャットや野鳥など現れ、フレッチャーくんの周りを囲んだ…

 

その姿たるやまさに聖母、その聖なる光景に、俺とジョンくんは自然と敬礼をしていた…



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ジブラルタルを越えて①

第2ステージ前半戦

【登場人物】

集積地棲姫(シュウちゃん)
通称シュウちゃん、燃え易く冷め易い




大事な大事な初戦を突破し、好調な滑り出しのまま続く第2ステージ、舞台を北大西洋の要所、ジブラルタルに移しの新たなる戦い…

 

『野郎ドモ!海軍ヲ滅ボセーッ!』

 

『海軍ガナンボノモノジャー!』

 

前半戦、港湾夏姫率いる深海ジブラルタル港湾要塞部隊は迫り来る海軍に対し円陣を組み、やったるぞー!とチームの士気を高めていた…

 

『ドウシタ集積地ィ!ソンナスミッコデ……オマエモヤルンダヨォ!』

 

『イヤ、オレハイイワ…』

 

集積地はチームの隅っこで体育座りをしつつ近くの小石を集め、どうせアレだよ、また燃やされるのがオチだろ?知ってるんだよ…と死んだ魚のような目で呟いた

 

『バッキャロー!!ソンナ弱気デドースンダオイ!逆ニ奴ラヲ燃ヤシテヤロージャネーノ!ナァ!』

 

『ウルセェ!触ルンジャネーヨ!無駄ナンダヨ…!ナニシヨーガ全部ッ!』

 

アツく肩を叩く港湾夏姫の手を叩き、集積地はどうせアイツらには勝てねぇ!そして命乞いすら聞かねぇ!なら最初からナニもしねー方がマシだぜーッ!と積んでいた小石を蹴り飛ばした

 

『ドウセミンナオ腹パンチデブッ飛バサレルノガオチジャネーカ!』

 

『集積地ィ…オマエ』

 

集積地棲姫の闇は深い………初登場以来、三式弾で頭をカチ割られ、ランチャーでメガネを割られ、内火艇でお腹を刺され、陸航の轢き逃げアタックでゲロを吐く………そんな仕打ちばかりを受けて、彼女の心は既に疲弊しきっていた、本来、彼女はインドア系でリアルファイトはどちらかと言えば嫌いなタイプ…

 

『ヤメダヤメダ!ナァ!オマエラモ!悪イコトハ言ワネェ…捨テロ!コンナクソ試合!』

 

『集積地クン…』

 

『集積地クン…』

 

そしてチームの仲間達もわかっていた、集積地がこれまでどれほど悲惨な目にあっていたかを…本来優しい彼女がここまで追い詰められてしまった状況を、だが…!

 

『ヤロウゼ!集積地クン!』

 

『ソウダゼ集積地クン!ソノ……オレラジャ頼リニナラネーカモダケドサ!』

 

『オレラダッテ仕上ゲテキテルンダゼ!ミテクレヨ!ホラ!ワ級ノ力コブ!』

 

『コイツ最近モテタクテジムニ通ッテンダゼ!ギャハハハ!』

 

『チョ!オマ…違ゲーシ!別ニモテタイトカソーユーノジャネーカラ!』

 

ワ級、小鬼、砲台………みんな気のいいチームメイト達、みんなだって不安なのは自分と変わり無いハズなのに、クサクサする集積地の為にとみんなは笑いあった…

 

不安なモノなんて無い、だってオレらは…

 

『…“チーム”ダロ?』

 

『港湾…ッ!』

 

集めた物資は失うかもしれない、物資を集められないのに集積地である資格なんて自分には無い………だが!

 

自分には最高のコイツらがいる…っ!

 

『オ゛…オマエラ゛ァ…』ポロポロ…

 

◆◆◆

 

残暑が厳しい残暑の執務室…

 

「あー、いいの刺さりましたねー」

 

「ありゃ死んだな」

 

第2ステージ前半戦、久々のレギュラー起用でやる気満々のビスマルクさん率いる連合艦隊…

 

そんなビスマルクさん率いるチームに自分が居ないなどあってはならないと俺のメンバー起用に文句をつけてきたビスマルクさんの舎弟であるプリン女と殴り合いになったのは最早常識…

 

現場の中継を見ていると、プリケツキレてるよ!とか、よっ!デカプリン!だのよくわからない声援が入っているだけあって野郎はなかなか活躍していた、あのクソプリン、ビスマルクさんの前だからって良いカッコしたくて仕方がないらしい…

 

「チッ、気に入らんな」

 

「活躍したんなら褒めてあげては?」

 

「気に入らんな」

 

火の点いたタバコを憎しみと共に灰皿に押しつけ、中継先でチョーシこいてるプリン女への憎悪の足しになるかと思ってみたが…

 

あのケツプリだけはケツを縦に割ってやろーが飽きたらぬ、互いに視界に入るだけ吐き気がするぐらいだ、いつか●す、必ず●す

 

「まぁ、気に入らんがヤツは強い、とりあえず今はチームの調子もいい、使えるだけ使ってやるわい」

 

「はぁ?」

 

散々使い倒してボロ雑巾のようにしてくれるわい!ガハハハハハハハ!!

 

「ガハハハハ!サミー、麦茶くれ」

 

「麦茶ですね…」

 




次回は後半戦、趣味はステキなもの探し、たぶん


もしかしたら佐世保で何かネタを拾ってくるかもです、たぶん



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提督と佐世保鎮守府開庁130周年記念行事

行ってきました佐世保へ
やだ!ハンサムな人がいるわ!と思ったならそれは私ではありません

※今回のお話は事実を元にしたフィクションです、たぶん甲提督じゃない人もウヨウヨしてたと思いますが、心の弱い私には全て甲提督に見えました、はい



佐世保鎮守府開庁130周年記念行事…

 

地域密着型であるこの行事の集客力はパない、去年だか一昨年だかに何かやっていた気がしたが、その際にもえげつない集客だったらしく、街は荒ぶる海軍将校や海兵達が集いオ●ラが滅びても仕方ないバ●ターコール状態、おそらくは四皇を迎え撃つ戦力が集中していたそうな…

 

「行くんですか?それ」

 

「まぁ、せっかくのチケットだしな」

 

アツかりし残暑の執務室、俺は手にした“チケット”をどうしたものかとピラピラしつつ冷たいティーを呷った

 

「卿もどうかね?」

 

「え?普通にイヤですけど?」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!」

 

こやつめ、なかなか出不精とみえる!まぁ、俺もだが…

 

「…まぁ、せっかくだし行ってみるか」

 

佐世保ほどの規模で、しかも地域密着型の行事、一見の価値は十分にあるだろう…

 

そんなふうに、安易な考えでチケットをピラピラしていた俺はまだ知らなかった………

 

真の地域密着型行事を…

 

そこはバ●ターコールなんてものじゃあない…

 

海●万博のステージであるコト…ッッッ!!

 

◆◆◆

 

キュウシュウの西に存在する都市、佐世保…

 

『だからのぉ~…深海に生きる価値はありゃせん』

 

『おーおー怖いコトを言いなさる』

 

『正しくなければ海兵として生きちょる意味はない』

 

佐世保商店街、通称さるくシティ4●3……

日本一長い!日本一元気なアーケードと銘を打つこの商店街は地域の皆様に愛される商店街である…

 

しかし今ッッッ!!そんな商店街に一歩足を踏み入れるコトすら躊躇われる!!

 

「なんて覇気だ…ッ!」

 

商店街の……いや!この街の至るところに歴戦の猛者達がゴロゴロしていやがる!

 

すれ違うあの人も…!あの人も…!おそらくは甲提督、甲勲章を持っちょらんのは生き恥と思うちょる…ッ!!たぶん!クッ!あまりの覇気にどう見ても普通のおばあちゃんですら甲提督に見えるぜ…

 

これほどの戦力が集まるとは……まさかこの街で火拳のAを処刑でもするだろうか?

 

「なんだ…?あの列は?」

 

そして次に目につくのは至るところに存在している謎の列…規則正しく並ぶ様はまさに訓練されたそれと言えよう…

 

ちなみに俺は“頑張る”と“努力する”のが嫌いなので並ぶと言う努力に苦痛しか感じない、並ぶと言う努力をした者だけが結果を獲るのだ、努力なくして結果はなしってヤツだ

 

「とりあえずコーヒーでも飲むか…」

 

暑いし、その辺でタバコ吸って良しな雰囲気でもないし、とりあえず喫煙可なコーヒー店にでも行くかと考えていると、たぶん普通のおばあちゃんに呼び止められた

 

「もし…もし…そこの人」

 

「はぃ?なんですかー?おばあちゃん」

 

「ここにはどう行けばいいんですかねぇ…?」

 

おばあちゃんは手にした地図をプルプル指差し、今ここはどの辺なんですかねぇー?と尋ねてきたので、おばあちゃんっ子である俺は、今はここで、目的の場所へはこのまま真っ直ぐ行けば着きますよぉーと紳士的に答えた

 

「わかりやすい目印に黄色看板の食べていいオソマの店がありますからねー、いいんですかー?食べていいオソマですからねー?」

 

「黄色ぃ看板ですねぇ…」

 

ふぅ、良いコトした後は気持ちいいなぁ、良いコトすると吐きそうになるよ

 

「まぁいいや、とりあえずコーヒーでも…」

 

いや、オソマとか言ってたら腹が減ってきたな…

よくよく考えたらお腹はペコちゃんだ、よし!何か腹にモノを入れよう…

 

この街を歩けば至るところに美味そうなものがあるが……とりあえずバーガーは無いな、並びたくないし

 

そんなコトを考えつつ歩いていると、パスタ的なランチの文字が目についた…

 

「パスタか…」

 

…悪くない、よし!パスタにしよう!パスタなら誰にも邪魔をされず、静かで、豊かに、救われてそうな気がする!そう考えた俺は早速パスタのランチと書かれたお店へと入店した…

 

ーーー

 

「スィマセェーン、この、パスタのランチってヤツを…」

 

なかなか落ち着いた雰囲気のお店だ、カフェ的な感じだがランチもそれなりに充実している、しかし…

 

そんなお店にもチラホラと海兵らしき者達が居た、どうやらカフェでティーといったところか…

 

『アレ、みんな死刑でいいんでしょ?』

 

『おーおー怖いコトを言いなさる』

 

…………よし、パスタを食べたらすぐ出よう!

 

『オマエらもうすぐ開場じゃが“棒”は忘れちょらせんじゃろーなァ?』

 

『まさか!そがいなヤツは海軍にはおらんじゃろう?』

 

『まったくじゃあ!ガハハハハ!』

 

…………“棒”?なんのコトだ?棒ラーメン…?いや、う●い棒のコトか?なるほど、携行食をきちんと持っているかの確認と言うワケだな、さすがは一流の海兵達だ

 

とりあえず、よくわからんがわかった!

 

「スィマセェーン、お勘定いいですかー?」

 

よし!とりあえず喫煙所だ!喫煙できるところに行って落ち着こう!

 

ーーー

 

「フーッ~…」

 

喫煙所で気分を落ち着かせ、やって来たのは例の“チケット”が必要になる会場…

 

この地域密着型行事の目玉となるステージが行われるらしいが…

 

「クッ!なんて覇気だッ!」

 

やっぱ火拳か!?火拳の処刑でも行われる処刑会場だとでも言うのかッ!!

 

やはりここは俺のようなモクモクしちょるだけのクソ雑魚が安易に足を踏み入れていい場所じゃあなかった…ッ!

 

右も左も前も後ろも誰も彼もがギラついた目をしている…心の弱い俺は正直吐きそうなのだよ!

 

そして、皆が持っているのは………そう、アレ、そう………光る棒!おそらくは専用であろう光る棒を誰もが持参している

 

「…………よし」

 

焦るんじゃあない、俺はただ光る棒を持っていないだけだ、大したコトじゃあない、それにほら?光る棒は持っていなくても男として産まれたからには最初から棒を持っているじゃあないか?

 

よし、それでいこう!大丈夫、棒ならある!大丈夫、何も臆するコトはない…

 

そして、メインイベントであるステージが幕を開けるッッッッ!!!

 

『『『ウオオオオォォォォォォ!!オイッ!オイッ!オイッ!オイッ!オイッ!オイッ!』』』

 

ごめんなさい、やっぱり吐きそうです…

 

すまないサミー、だらしない提督ですまない…

 

だらしない提督ですまない…

 

◆◆◆

 

「…と、言うワケなのだよ」

 

「…はぁ?」

 

無事、佐世保から帰還し、我が家とも言える基地へ帰ってきた俺は冷たいティーを飲みつつサミーにやはり俺にはこのステージは早すぎたと率直な感想を述べてみた…

 

「そういやロ●ンスの神様見たぞ、ロマ●スの神様」

 

「ロ●ンス…?あぁ、アル●ンの人ですか?」

 

「ア●ペンの人とかゆーな、失礼だろーが」

 

むしろコイツよく知ってんな、世代じゃないよな?たぶん

 

「フーッ~………まぁいいや、なんか疲れたのだよ」

 

「ユン●ルならありますけど?」

 

「いらねぇよ、サミー、なんか食いに行くか?何がいい?提督様が奢ってやるぞ」

 

「…ラーメンですかね?」

 

「フン、卿はよくよく欲がないとみえる」

 





次回は戦慄!ステキ姫!


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提督と押入れから出る、手

ネコミミ巨乳メイド募集中

【登場人物】

提督(キュウシュウ男児)
そう言えばアズール…なんたらには忠実な巨乳メイドが多いと聞くが、それは真実か?

春雨(ハブられ気味)
姉妹1の淫乱、ただし、その淫乱に身体的成長がついていけてない


作戦海域中とは言え男には息抜きが必要である、そんな息抜きである命の水を求め、疲れた翼を癒すべく止まり木と言う名のママの店で一杯ひっかけてから基地施設内にある提督様専用の自室へと戻った俺は上着を脱ぎ捨て、ついでにズボンも脱ぎ捨てた

 

「ハァ〜………ったくあのババア、人がせっかく敬老の日を祝ってやろーってのに遠慮なく殴りやがって」

 

まぁ、実際のところビッグママこと鳳翔がそもそも何歳なのか俺は知らない、たぶんこの基地に居る誰も知らないんじゃないのか?

 

「まぁいいや、今度は米寿の祝いでもしてやるか」

 

パンツ一丁の開放感でクーラーの風を感じつつ、冷蔵庫からキンキンに冷えた発泡酒の缶を取り出し、よっこらセブンスターと座椅子に座ってテレビのリモコンを手に取ると………

 

『いいワケないじゃないですか』

 

………背後から、声がした

 

………俺の背後にあるのは押入れだ、押入れからは人の声などはしない、決して

 

そもそもだ、ここは俺の私室だ、俺の許可無く立ち入ることはできないし、今、俺以外の何者もこの部屋に居るワケがない

 

「…」

 

まずは“確認”だ、そう…まずは叩くべき“敵”を確認する必要がある!

 

ゆっくりだ、ゆっくりと振り向かねばならない、まるで中国人の太極拳の動きのようにスローに動くのだ…!よぉーしいくぞォ…10、9、8…

 

「くたばれオラアアァォァァァァ!!」

 

ヒャア!!がまんできねぇ!!

 

俺は勢い良く振り向き背後の押入れに全力パンチを………

 

…お?

 

「…ナニやってるんだ?オマエ」

 

開いた押入れの襖、その、押入れの中に………メイドみたいなのが座っていた

 

「ナニって…?住んでるんですよ、ここに」

 

「なん……だと?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか…?押入れからズルリと這い出してきたのはピンクの頭、期間限定春雨イドこと、春雨…

 

「え?オマエ、住んで…?え?いつから居たの?」

 

「先月辺りからです(※第613回 提督と春雨×ハル雨×ハルサメ)」

 

オイオイオイ、マジかよコイツ………そういやシレっと戻って来たのは知ってたが、なんで俺の私室?っーか押入れに住んでるんだよ…

 

「自分の部屋に帰れよ、自分の部屋に」

 

「それはできません」

 

「何故だ?」

 

自分の部屋に戻れば、きっと温かなキョーダイ達が迎えてくれるだろう、なんだかんだ言って村雨のバカも夕立のバカも妹である春雨は好きなのだ、何でも言うコトを聞くし、気に入らなかったら殴っても罪悪感は感じない、便利で可愛い奴隷としてだが…

 

「あの部屋にはまだあのニセモノが居ます」

 

春雨曰く、まずはあのニセモノをブスリと刺さないと自然な流れで戻れないらしく、下手に殺ってしまうと自分がニセモノ扱いをされる可能性を考えているそうだ

 

「夕立姉さんや村雨姉さんはバカだから仕方ないとして、もし他の皆さんからニセモノ扱いされたらさすがの私でも泣いてしまうかもしれません」

 

たしかに、頭は白いが今やハルサメはもう殆どハルサメだ、逆にこのピンクが他の皆に“謝れよ、春雨に謝れよ”とピンクオブジエンドされかねない

 

「ですので、まだその時ではないので私は身を潜める必要があります」

 

「なるほど」

 

しかしだからと言って俺の私室に住むのはいただけないな、何故ならここは俺の理想郷(ユートピア)であり聖域(サンクチュアリ)なのだ

部屋にピンクメイドが住んでるとかエロゲーにはよくある話だが、残念ながら俺のメイド属性は巨乳メイドさん属性しかない

 

「だいたい、押入れに住むなよ、あ?なんだ?アレか?猫型ロボットかテメーは?」

 

「猫型ロボットじゃないです、春雨です、でもまぁ、間借りしている身の上なのでネコミミぐらいなら付けてもいいですよ?」

 

「いいワケねーだろ、ネコミミメイドとか舐めてんのかテメーは」

 

ネコミミなんてハロウィン朝潮だけで十分だ、思い出すだけで吐きそうになる

 

「では猫型のアレっぽく便利な道具を出します」

 

そう言って春雨イドはスカートの中に手を突っ込んでゴソゴソすると…

 

「出刃包丁〜っ♪」

 

タラララッタラー♪(出刃包丁)

 

「コレで気に入らないヤツを刺せば気分がスッキリします」

 

「真顔でなんてコト言うのかね、この子は」

 

「他にも出刃包丁と出刃包丁と出刃包丁がありますが?どれにしますか?」

 

「出刃包丁しかねぇのかよ!?なんだそのスカート!物騒すぎるだろ!!」

 

俺は春雨から出刃包丁を取り上げ、他になんかねーのか?と問うと、春雨イドは再びスカートの中に手を突っ込み…

 

「脱ぎたてメイドパンツ〜♪」

 

タラララッタラー♪(ムッワァァァ)

 

「ムッワァァァ!じゃねーよ!舐めてんのかテメーは!!」

 

「ら、乱暴にしないでください!今、スカートの下何も穿いてないんで…」

 

「だよね!今脱いだからね!」

 

コイツめ、見た目通りのピンクだな…っーか恥ずかしいなら脱ぐなよ、舐めてんのかコイツは

 

「と、とにかく!今は行く部屋が無いのでここに置いてくださいーッ!」メイ土下座ァ!

 

「やかましい、今すぐ出ていけ」

 

「お願いします!お願いします!お願いしますぅ!!ハッ、そうです!なんでもします!汚いオッさんの情欲もイヤイヤながら受け入れますから!」

 

「やかましい、しかも誰が汚いオッさんだ」

 

メイ土下座でお願いしますお願いしますと許しを乞う春雨に離さんか下郎めと腕を振り解き、春雨イドの両脇を掴み身体を持ち上げてから勢い良く自分の膝に春雨のニーを叩きつけた

 

「ダブルニークラッシャー!!」

 

「ギャアアアアアアアアア!!」

 

ダブルのニーを破壊された春雨イドはうっぎゃあー!痛てぇー!だの言いながら床をゴロゴロ転がり…

 

「痛いよぉ、痛いよォォォ…」

 

ゴロゴロ転がりながら押入れに逃げ込んで襖をピシャリと閉めやがった!!野郎…ただ転がっていたワケじゃない、これがヤツの逃走経路か!

 

「クソッ!!オイ!開けろコラァ!!出てこいクソメイドコラァ!!」

 

『入ってまーす♪』

 

「入ってまーす!じゃねーぞ、トイレかッ!オラァ!出てこいコラァ!!」

 

ガタッ!!ガタッ!!

 

コイツ!中でつっかえ棒でもしてやがるのか…?なんて準備のいいヤツだ、とりあえず、俺は3分ほど襖と格闘してみたが、一向に襖は開かないので…

 

「ハー…ハー………まぁいいや、テレビでも見るか」

 

アホらし、よくよく考えたら今は撮り溜めしてたシ●ミ子の方が大事だったわ、シ●ミ子が

 

とりあえず押入れメイドについては後で考えよう





ステキステキステキ


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ジブラルタルを越えて②

第2ステージ後半戦、ステキ姫あらわる

【登場人物】

深海地中海棲姫(ステキ)
ステキなコトを探している姫、ステキの定義はよくわからない

G.Garibaldi(ガリ)
姉からはガリィと呼ばれているらしい真性姉貴っ子、姉スキーとは方向性が違うこじらせ

BOOS攻略チーム(イタリア艦多め)
弱点は必ず見つける、ボスは倒す







アツかりし死闘続く第2ステージ!死闘ジブラルタル海峡で待ち受けるのは深海地中海棲姫率いる深海地中海艦隊旗艦艦隊!

 

『今日ハドンナステキナコトガアルノカシラ?』

 

艦隊を率いるヘッド!深海地中海棲姫…

普段から争いはあまり好まず、毎日素敵なコトを探し求め、恥ずかしい台詞を乱発するコトから深海の仲間達から恥ずかしい台詞禁止と釘を刺されているものの、本人はあまり気にしていない…

 

『テェヘンダテェヘンダー!』

 

『ドウシタ!ナ級!』

 

『海軍ノヤツラ!戦艦棲姫ヲ血祭リニ上ゲテコッチニ向カッテ来テヤガル!』

 

やはり戦艦棲姫ではダメだったか…やはり戦艦棲姫では、そんな声がチーム内に広がっていたが、何も悲観するコトはない!やっぱダメだったってだけだ!それに今回はこの地中海を根城にする最強の姫が…ッ!

 

『ミテミテ、ココハ世界デ一番美シイ広場……ジャアコウシテ、今コノ広場ニイラレル私タチハ世界デ一番幸セモノネ』

 

………俺たちはたぶん死ぬ、そんな予感が言葉ではなく心で理解されたチームの仲間達は円陣を組み、とにかくこの頭の中までステキ畑なステキ姫を守るコトだけに専念するぞ!と決意を固めたッッッ!!

 

ーーー

 

第2ステージ後半戦、とりあえず何かいい感じのパワーが増していると噂されているイタリアチーム…

 

「WANABEEEEEEEEE!!」

 

『ウバッジャー!!』

 

BOSSへの行く手を阻む最後の障害、戦艦棲姫を血祭りにあげて臨むBOSSとの対決!チームを率いるのはチームの司令塔にしてチームの良心、イタリア…

 

「あの…ローマ、もう少し加減とか…?ほら、やりすぎはよくないって言うか…」

 

「…は?」ギロッ!

 

「ほ、ほら、そんな…!いつもいつも姉さんを睨むのもよくないと思うし…」

 

「別に、睨んでないけど?」

 

「え…?いや、でも…」

 

「睨んでないけど?」

 

「そうだね、うん……そうだね」

 

そう妹は別に睨んでなどいない、そう思い込む事で心の平静を保ったイタリアは改めてチームの仲間達を見渡した…

 

「ポーラァァァァァ!!今ナニか隠したでしょ!

見たわよ!出しなさい!」

 

「ナ、ナニも隠してないですよぉ~…ほら」

 

ボロン…(ほぼ全裸)

 

「た…たしかに、じゃない!そっちは隠しなさい!なんでアナタ服を脱いでいるの!?」

 

「え~…?だって脱げば脱ぐほど小●宙が高まるってテイトクが~…」

 

「そんなワケないでしょ!!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「あふんっ!!」

 

………大丈夫、平常心、平常心、チームは平常運転だ、何もおかしなコトはない、既にこちらは敵チームを十分叩く事が可能な距離に来ている…

 

そうだ、早くこんな戦いは終わらせて帰ろう…

 

そうだ、帰ったらみんなでマミーヤに行こう、またローマから小言言われるけどテイトクを誘ってみるのもいいかもしれない…

アツアツのピッツァも食べたい、ナラの木の薪で焼いた故郷の本物のマルゲリータ……ボルチーニ茸ものっけてもらおう

 

「…よし」

 

少しやる気でてきた

 

ーーー

 

執務室にいい感じの観葉植物が欲しいなと考えている今日この頃、いい感じの観葉植物カタログには載っていないタイプのトゲトゲしいアロエみたいなのが俺の膝に載っていた…

 

「…山風クン、そこに座られると提督の邪魔なんだが?」

 

「…大丈夫、邪魔にならない程度」

 

「そうかね?」

 

攻略チームの様子でも見るかと執務室でテレビ中継を見ていると、今年もいい感じの水着でビッ!とキメた山風が執務室の重厚な扉を勢いよく開き、俺とサミーにこんにちはと丁寧に頭を下げると、そのまま俺のいるところまでやって来て、ごく自然な流れのように俺の膝に座った

 

「いや、やっぱりジャマ…」

 

「…邪魔じゃない」

 

「サミー!ねぇー!サミー子さーん!この子おたくの妹さんだよねー!ちょっとお姉さんビシッと言ってやってくんないー?ここは座るトコじゃないですよーってさぁー!」

 

そんな俺の声に、頼れる秘書艦にして山風の二つ上のお姉さんこと青髪ロング子は見るからに面倒くさそうにこちらに顔を向け、クロスワードパズルの頁を捲った

 

「ちょっと!聞いてますかー?ねぇー?もしもーし!」

 

「…テイトク、うるさい、テレビ聞こえない」

 

「あ、スイマセン」

 

待って、何故俺が謝るのだろうか…?

 

悪いのは俺なのか…?いや、そもそも俺は何も悪くないような…

 

ーーー

 

ジブラルタル海峡最終決戦…

 

『ステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキステキーッ!!』

 

「クソッ!あいつ意外とツエーぞッ!」

 

「なんてステキな突きだ!」

 

深海地中海棲姫のステキ突き(ラッシュ)でブッ飛ばされた今回がデビュー戦、期待のスーパールーキーのガリバルディは膝をガクガクさせつつなんとか立ち上がった…

 

「クソッ!どうやって…!どうやってあんなの倒せば………ハッ!姉貴!姉貴に聞けばなんとか!」

 

ガリバルディはポッケに入っていたケイタイを取り出し、素早くダイヤルを…

 

「ゲェーッ!!あ、アタシのケイタイが壊れちまってるじゃねぇかよォォォォ!!」

 

さっきの突き(ラッシュ)だ!さっきの突き(ラッシュ)のせいでポッケのケイタイが壊れてしまった!これでは姉貴に電話するコトができない!どうしよう?どうすればいい?ガリバルディにとって姉貴は絶対的な存在、姉貴はいつだって勇気を与えてくれるのだ…

 

そんな姉貴との連絡手段を無くしたガリバルディだったが…

 

 

「とぅおるるるるるる♪」

 

 

………ガリバルディの目は、キマっていた

 

後に、当時の状況をイタリアは我々にこう語った…

 

え、えぇ…正直ドン引きしました、はい、突然自分でとぅおるるるるーとか言ってどこかで電話が鳴ってるじゃねーかよォー!とフラフラ歩き回って、その辺にいた飛び魚を掴んであるじゃねーか!ケイタイ電話がー!と言う姿を見たあの場にいた全員、あの子とは距離を置こうと思いましたね…

 

「とぅおるるるる♪ピッ!もしもし?姉貴か!アタシだよ!ガリィだよ!」

 

『ガリィ…私のかわいいガリィ…困っているのね?でも大丈夫、安心して、とにかく夜戦までにヤツを150以下まで痛めつけるのよ…』

 

「で、でもよぉー!硬いんだよアイツーッ!アタシのパンチじゃあの腹筋をブチ抜けねーんだ!」

 

『おぉガリィ…かわいいガリィ…安心するのよ、忘れたの?アナタにはテイトクから借りた戦力、あのサクサククッキーを食べてる齧歯類みたいな駆逐艦がいるわ、150以下よ、150以下まで痛めつけるのよガリィ…』

 

『わ、わかったよ姉貴、やっぱり姉貴はスゲーや!…………ピッ!」

 

ガリバルディは手にしていた飛び魚をなんだこりゃ?生グセーと言って投げ捨てた

 

「ザラ姉さま、ポーラ明日から良い妹になろうと思いますぅ」

 

「え?あ、うん、そうね」

 

周囲のドン引きなと気になるものではない、最も信頼する“姉貴”の言葉に“勇気”を貰い、ガリバルディは破れて千切れ飛んだ制服から見える下乳を揺らしながら深海地中海棲姫にビシッ!と指差した

 

「チョーシにノってるじゃあないぞこのクソ深海ヤローが!オマエには死んだコトを後悔する時間も与えねーぞ!」

 

 

この後、果敢にも深海地中海棲姫に挑んだガリバルディは122連ステキ突き(ラッシュ)を浴びてKOされたが、無傷で立っていたクッキーをサクサクしていたげっ歯類みたいな駆逐艦から強烈なボディを浴びて一撃でゲロを吐きながら膝から崩れ、白目を剥いて倒れていたところにザラ姉がポーラから取り上げたワインの瓶を尻に刺され、ステキな夢を見ながら沈んでいった…

 

こうして、第2ステージの戦いはあまりにも多くの犠牲を出しながらも真実に向かおうとする気高い意思により……………攻略されたのだったッッッ!!







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提督地獄変【最終章⑤】

東西戦開戦

【登場人物】

叢雲(ヨコスカ所属)
川奈大佐の秘書艦、プライドが高く、口癖はクソったれ

五月雨(青髪ロング子)
提督の秘書艦、性能的には一般的で平凡な白露型の域はでない


この演習に挑む東西両陣営、それぞれの指揮官から事前に艦に指示されていた初動はまったく同じ、両指揮官があらかじめ取り決めていたのではないかと疑われてもおかしくはないが、あくまで、相手ならこう動くだろうと考えた末に出た、必然

 

『『ぶちまかせしてやれ!』』

 

互いに共通した指示の下、開戦と同時に飛び出した東西の両艦は演習海場中央ですれ違いざまに大きく飛沫をあげながら激突したッッッ!!

 

「クッ…!」

 

「…」

 

叢雲の胴回し蹴りをガードし、左のショートアッパーを繰り出した五月雨だったが、そのショートアッパーはかわされ、互いに一度射程外へと舵を切って距離を置いた

 

「ったく、ぶちかまし失敗みたいね…」

 

叢雲はインカムのスイッチを押し、自分の提督である川奈大佐に早速だけど“アレ”使うわよと許可を求めた

 

「出来れば今は使いたくなかったけど、実際ぶつかってわかったわ、あの子、かなりヤる…」

 

自分の思い出の中にいる同期の子じゃあない………

 

この戦いの前に、自分と川奈大佐は対戦する相手の公式な出撃記録や戦果などを集め研究をしたが…

この五月雨は数年前から一度も公式な出撃記録がなく、演習や遠征にも記録にない、ほぼ陸の上にいたのだ

 

艦娘としては違和感はあるが、艦娘には戦闘が不向きな者も居るのでそう言う例はまったくないワケではない

 

………が、今、自分の目の前に居る五月雨はそうではない、それは今の接触でわかった

 

調べた限りのデータではどう見ても一般的かつ平凡の域を出ていない白露型駆逐艦、だが………あの子は、マトモじゃあない

 

ならばこちらも出し惜しみ無し!全力全開で行くべきだ!

 

叢雲は手にしていた槍を海上に投げ捨てると全身から光を放つ!!

 

「へぇ…」

 

◇◇◇

 

彼女の練度はとうに改二の水準を満たしていたが、これまで頑なに改二へ改装しようとはしなかった

 

基地の仲間達が何度か理由を尋ねてみたが、別に?今すぐじゃないでいいでしょ?と本人は流していたが…

 

そんな変わり者の秘書艦が、この戦いを前に、ちょっと相談したいコトがあると相談を受けた

 

プライドの高い彼女は、出来れば“乗り越えて”からにしたいと言っていたが、即座に考えを改めたらしく、乗り越えてからではなく“乗り越える”ために使った

 

「負けず嫌いか、叢雲らしい」

 

まぁ、俺も人のコトは言えないな、彼女が負けず嫌いなように、彼女の司令官である俺も負けず嫌いだ

 

「さて、向こうはどう出る?」

 

◆◆◆

 

「やりやがった!マジかよあの野郎!やりやがった!」

 

俺はテーブルをバシバシ叩き、今、目の前で起きている事態への正直な感想をアツく述べていると、隣に座っていた由良さんから勢い良く足を踏まれた

 

「うるさいんだけど?」

 

「…そーゆーの口で言ってくれるかな?」

 

グゥゥゥム、しかし川奈クンめ…一応可能性としては考えていたがマジでやりやがった、こちらのサミーは改、そしてあっちの叢雲は改二、改と改二では神と虫ケラほど実力の差があるのは既に常識…だが、最後にモノを言うのは小●宙(コ●モ)だ、より小●宙(コ●モ)を爆発させた方が勝つ

 

「クックック、ヤツにわからせてやれサミー…絶望を、そう、どうしようもない絶望をな!」

 

「うわ、ナニその負けフラグ、負けフラグよね?ね?」

 

「負けフラグじゃない、提督だ」

 

まぁ、これは予想の範囲内ではあるが………予想したからと言ってどうにもならないコトはある

 

…が、あの青髪ロング子を見てやってくださいよ、スーパー化した改二を前にまるでビビってる様子もない

 

それどころか、改二になる前に叢雲が捨てた槍を拾ってそれをわざわざ叢雲に手渡している…

 

まるでそれを持って、初めて自分と“対等”だと言うかの如く!!

 

ーーー

 

「どうしました?」

 

「へ、へぇ〜………?」

 

ず、随分と舐めた真似してくれるじゃないの?え?わかった、あーもうわかった!五月雨ェ!!絶対泣かす!マジで泣かすから!!

 

「フンッ!!!」

 

バキッ!!!(槍破壊)

 

「あー…もったいない」

 

さっきまでの愛用していた槍をへし折り、改めて海に捨てて五月雨に向き合い…

 

「ハッッ!!!」

 

「!」

 

不意打ち気味に右足の蹴りを打ち、ガードの上から五月雨を蹴り飛ばしたッッ!!

 

「フン、隙あらばどっからでもかかってきなさい!」

 

…イケる、いきなり改二実装に少し不安はあったが十分イケる、身体は絶好調だし動きもイメージ通りについてくる

 

「隙ですか…」

 

ガードしてたし、あまり効いてなさそうな五月雨は右手によくわからない機械的モノをプラリと下げ、隙ってコレのコトですか?と言ってこちらに投げてきた

 

ってかアレって………!

 

私の艤装の耳(浮いてるアレ)じゃない!?いつの間に…

 

「…面白いじゃない!」

 

「そうですか?」



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提督と五月雨とカタガッキー

秋のびっくりするほど平和的回

【登場人物】

提督(紳士道に殉ずる紳士)
悪球に強く、ストレートにはわりと弱い

五月雨(サミー)
申告敬遠でいいですか?

石垣(そーゆー時期)
占守姉妹の末っ子、クソでもメスでもないガッキー


秋雨最前線からの台風フルコースに悩ましい秋の執務室、先に来ていた秘書艦の青髪ロング子に今日も寒色系だなオイと小粋なテイトクジョークを交えた挨拶をしつつ、いつものように基地スポの紙面を開いた…

 

「奇跡の逆転優勝へ!アイオワ、シーズン2度目のノーヒットノーラン達成か…」

 

そして大鯨ホエーヌズはBクラス確定か、ママのしかめっツラが目に浮かぶようじゃわい、ガハハハハ…

そんなエキサイティングな記事を読んでいると、秘書艦サミー子は何か言いたげな目でこちらを見て…

 

「コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「いや、ティーにしてくれ、ブランデー入りのな」

 

「はぁ…?」

 

………まぁ、コイツが言いたいコトはわかる、たぶん俺がこの執務室に入って来た時から気になって気になって仕方ないのだろう、うん、仮に俺がコイツの立場なら俺だって気になって気になって仕方ないと思う

 

「…あと、そっちの子はオレンジジュースでいいですか?」

 

「そうしてくれるかね」

 

俺の両肩で足をブラブラし、まるで肩車に乗るように俺に乗っているそっちの子、占守姉妹の末っ子のガッキーくん…

 

何故この子が朝っぱらから俺に肩車させているのにはとても深い事情があり、説明すると大変長くなる…

 

「オレンジジュースです、どうぞ」

 

「ありがと」

 

サミーからオレンジジュースの入ったグラスを受け取り、キチンとお礼を言えるこの子はとても良い子なのだろう、まったく……海防艦は最高だな、その純粋さに照らされて、俺も自分を偽らず、素直に生きら……

 

「なワケねぇーだろッ!!」

 

思わず両手で机をダァン!した俺は五月雨にちょっとお話いいですか?とあくまで紳士的に話しかけた

 

「なんですか?」

 

「ツッコめよッ!!この異常事態にツッコめよ!!執務室に入って来た時点でわかるだろォ!?なんで朝っぱら肩にちっちゃい艦載せてんの?って!ロ●コンかナニかなんですか?っていつものキレのあるストレート放ってこいよッッッ!!」

 

「…いや、今更ツッコむほどのコトじゃないかと」

 

「じゃナニでツッコむんだよ!あ?オマエは俺のなんだ!?あ?」

 

「…部下、ですかね?」

 

五月雨は自分用に淹れたティーを飲みつつ、菓子棚を開けて買い置きのチ●コパイを取り出すと、俺の両脇あたりに足がバシバシ当たり…

 

「王!王!アレ、アレ食べたい!」

 

「だとよ、オイ、ガッキーくんそれ食べたいって」

 

「はぁ?」

 

五月雨はチ●コパイの小袋を2個、こちらに投げて寄こしたのでそれをキャッチし、1個をガッキーくんに渡してやった

 

「ってか提督、海防艦の子に王とか呼ばせてるんです?正直ドン引きです」

 

「呼ばせてない、この子が勝手に呼んでいるだけなのだよ」

 

このガッキーくんは天龍や木曾と同じく“そーゆー時期”に早めに入門しているらしく、このガッキーくんにとって、俺は現世にて提督の身となっている邪眼の王らしい

 

本来なら、俺は女子供にも容赦しない主義、提督様を舐めたクソガキには容赦なく垂直落下式のブレーンバスターで硬い床に叩きつけるところだが…

 

「美味しい」ニマァ…

 

「そうかね」

 

…ただ純粋に、俺を邪眼の王だと慕う純な子供、まぁ、もう少しぐれー“ユメ”を見せてやってもいいだろう…

 

「ドン引きです」

 

「ドン引くな、俺だってツレーんだ」

 

特に肩とか、ってか俺は剛力タイプではなく溢れる知性タイプなのでたとえ子供とは言え、延々と肩に乗られると身体に重大なダメージを受けるのだよ

 

「で?今日はその肩車スタイルでお仕事ですか?ガチロ●コンのペド野郎提督」

 

「ガチロ●コンのペド野郎提督じゃない、提督だ」

 

こやつめ、コケにしやがって………しかし俺だってこのままでいくつもりはない、まぁ所詮は子供の浅知恵、どうせすぐ飽きるだろうと思ってはいるが…

それに、このままでは俺は喫煙所どころかおしっこにすら行けないのだよ

 

「まぁいい、サミダンテ、この状況を可能な限り平和的に解決すべきか、卿の案を聞きたい」

 

「…はぁ?平和的解決ですか?………あと、五月雨です」

 

この状況、武力による解決は容易い、いっそガッキーくんを床に叩きつけてやればいいだけだからな!しかし今回、それは私の望むところではない、平和的解決となるとこれはなかなか難しいと言わざるを得ないのだ

 

「そうですね…とりあえず石垣ちゃんの生足ペロペロとかしてみては?」

 

「………その行動に平和的解決への意図はあるのか?」

 

「いえ、特にありません」

 

…俺は手にしていたチ●コパイを五月雨に投げつけた

 

「痛っ」

 

「次舐めたコトぬかしたらテメーのその髪、石鹸水でバリバリにすっからな」

 

五月雨は大して気にした様子もなく、小粋なサミダレジョークですよとか言いつつ投げ返されたチ●コパイを今度は俺の頭上めがけて放り投げた

 

「とった!王!とった!」

 

「はいはい、取れた取れた、ナイスキャッチナイスキャッチ」

 

そしてガッキーくん、チ●コパイをキャッチする為とは言え提督の上でいきなり動くのはやめてもらいたい、今、首に強烈な負荷が掛かったのだよ

 

「…サミダリューン、とりあえずこのまま仕事するから、何か良い案を思いついたらすぐに私に伝えてくれないか?すぐに」

 

「わかりました」

 

 

この後、お昼の時間まで俺の荷重負荷トレーニングは続き、お昼のチャイムが鳴って俺から降りたガッキーくんはお昼は姉妹で食べると言って執務室から去って行った…

 

「お昼どうします?私、夕張さんとおそば食べようって約束ありますが…?」

 

「………行ってきなさい、俺は疲れている」

 

「そうですか」



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発動!シングル作戦①

欧州征伐最終ステージ開幕ぅー

【登場人物】

提督(キュウシュウ男児)
ラーメンはトンコツなのだよ、オイ!そのラーメン………オソマが入ってるじゃないか!

秋月姉妹(貧乏姉妹)
キモい鳥やタコヤキに苦しむチームを救う頼れる艦隊のエクスカリバーに等しい存在

あったよ!!●●と10cm高角砲+高射装置が!→でかした!


最終ステージ、ジブラルタルを越え、地中海戦域へ突入したチームは欧州反撃作戦【シングル作戦】に従事すべくマルタ島及びイタリア半島アンツィオを目指していた…

 

「クソッ!空母おばさんだッ!空母おばさんが出たぞ!」

 

「痛いっ!痛い!クソッ!このキモい鳥!キモいぞ!ってか痛い!!なんとかならねぇーのか!」

 

「あったよ!!照月と10cm高角砲+高射装置が!」

 

「でかした!」

 

最終ステージ前半戦、BOSS前に立ちはだかる壁、空母おばさんにチームは思わぬ苦戦を強いられたが、持ち前のガッツで見事これを下し、前半戦BOSS、泊地水鬼と集積地のダブルエース擁する深海艦隊に挑んでいた…

 

「FUUUUUUUU!!F.P.M.Pーッ!!」

 

BAKOOOOOOOON!!

 

『ウギャア!オオキナツバサァー!』

 

「で、でたーッ!!アイオワの目にも留まらぬマッハパンチじゃあ!」

 

「フッ、まったく…オレ達はヤツが敵でなかった事を神に感謝しなけりゃならない」

 

この前半戦、チームを率いるMAJORの怪物アイオワは最近めっきり出番がなかったせいか、久々の出番にワクワクを抑えきれなかった、あまりのワクワクぶりに昨日なんか眠れず、今日はもう朝からギンギンだった

 

「Pray to God for your safety!(神に祈りなさい)」

 

チームはこの日絶好調のアイオワを中心に打線が爆発、集積地棲姫が土下座して命乞いする暇もなく最終ステージ前半戦を見事完封勝利におさめた…

 

◆◆◆

 

季節は初秋の気配を感じずにはいられない執務室…

 

「……足がないな」

 

「そうですね」

 

最終ステージ後半戦へと突入した我がチーム、そんなチームの勝利の為にと提督様らしく色々と情報を集めていたワケだが…

 

「コレあれだろ?あれ、ほら、あの丸っこくてなんかやたら強い駆逐艦のやつ」

 

「ナ級…?でしたっけ?たしか」

 

「それそれ、それなのだよ」

 

集めた情報の中にあった一枚の写真、なんでも、この丸っこいのが今回の作戦海域で叩くべきBOSSらしく、名前はたしか…

 

「アンキモ姫だっけか?」

 

「アンツィオ沖棲姫ですね、たしか」

 

「ふむ」

 

しかしなんだろうなコイツ、ナ級とナ級とナ級とナ級とナ級とナ級とナ級とナ級が集まって合体した系のキングナ級とかそんな系だろうか?グゥゥゥム、海外には不思議なナ級がいるのぉ

 

「まぁいい、とりあえず後半戦のオーダーだが〜…」

 

まぁアンキモだかアンティモだかは置いておくとして、勝負の後半戦の出撃メンバーを決めるべく、机に並べた書類を指でトントンしていると、執務室の重厚な扉が勢い良く開き、キンパツの小娘が飛び込んできたッ!!

 

「Darling!Darling!Darling!オネガイがあるノー!」

 

キンパツの小娘こと、英国から来たロイヤル小淑女のジャーヴィーくんは勢い良く俺に掴みかかり、ダシテ!ダシテ!アタシモーガマンデキナーイ!と言いながら俺の身体をガックンガックン揺らした

 

「まぁまぁジャーヴィーくん、落ち着きたまえよ、落ち着きたまえよ、サミー、彼女にオレンジ、オレンジジュースを入れてやってくれないか?くれないか?」

 

「あ、アタシ、OrangeじゃないでTeaがいい!Earl Gray!」

 

小さくともさすがは英国淑女、ティーにはこだわりがあるのだろうか?五月雨は冷蔵庫から午後ティーのペットボトルを取り出し、グラスに注ぐとアイスティーしかないですけど?とジャーヴィーくんにグラスを渡した

 

「Thanks!……………ブハァ!!フゥー…」

 

「落ち着いたかね?」

 

「え、エェ、落ち着いたワ…」

 

「落ち着いたところで、まぁテキトーに座って、話を聞こうじゃあないか?」

 

そう言って俺は落ち着きを取り戻したジャーヴィーくんにお客様ソファーにでも座るように促すと、ジャーヴィーくんはごく自然な流れのように俺の座る椅子の……と言うか俺の膝の上にごく当たり前のように腰を下ろした

 

「…ジャーヴィーくん、そこに座られると提督のジャマなんだが?」

 

「ダイジョーブ、アタシは気にしないワ」

 

…なんだろうな、ごく最近似たようなコトがあった気がしたが、たぶん気のせいだろう

 

「で?ナニかね?後半戦出たいのかね?」

 

「エェ!!LadyもArkもNelsonも出るんでショ?アタシ今回すっごいヤル気あるカラ!ゼッタイ活躍するカラ!ネー!ネェー!」

 

ジャーヴィーくんその後頭部を俺の胸板にガンガンぶつけてデタイデタイアピールをしてきた

 

まぁ、ジャーヴィーくんは言動的には些かアレなところがあるが基本悪い子ではない、今回の作戦海域に前…体育館の裏で1人、ひっそりとヒッティングの練習をしていたコトを提督は知っているのだよ

 

本人は秘密特訓のつもりだろうが、俺だけじゃない、あの女騎士もその秘密特訓は知っていたらしく、つい先日、陛下から呼び出しを喰らった俺は出来ればあの娘の努力を買ってあげてください”と陛下より直々にお言葉を賜っていたのだ…

その際、陛下から至近距離のロイヤルスマイルを浴びてあやうく女王陛下と英国に永遠の忠誠を誓いかけたが、右手の親指以外を全てヘシ折り、鋼のヤマトダマシイでなんとか耐えた

 

「ハッハッハ、わかったわかった!ジャーヴィーくん、今回はキミの力を頼らせてもらおうじゃあないか!ハッハッハ!」

 

「Really?サッスガDarling!ハナシがワカ・ルゥー!」

 

「ハッハッハ」

 

俺はジャーヴィーくんのキンパツをよーしよしよしよしと撫でキミに期待しているよソワールと言ってよしよーししてやった

 

あと、ここまで一連の流れを見ていた秘書艦の青髪ロング子の目はとても冷たかった






次回はその②、五連装酸素魚雷爆発!ジャーヴィスがやらねば誰がやる!

あと、イベント回後にifエンド回を予定していますって
細かくない詳細は活動報告に書いてます、はい


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発動!シングル作戦②

イベント海域最終回、英国の闇は深い…

【登場人物】

アンツィオ沖棲姫(オーバー体)
中身はおかわいいこと…

Jervis(J級駆逐艦)
通称ラッキー・ジャーヴィス、今日のオマエはメガアンラッキー!

Warspite(戦艦)
女王陛下、最近は頭痛だけでなく胃の調子も悪い

Ark royal(女騎士)
女王陛下の忠義の騎士、恋をした事がない

Nelson(大貴族)
余、物事はカネと力でだいたい解決できる



最終ステージ後半戦、アンツィオ沖へとやって来た攻略チームと深海アンツィオ侵攻部隊旗艦艦隊の死闘が幕を開けるッッッ!!

 

「…なんだアレ?」

 

「丸いな、スゲー丸い」

 

攻略チームの前に現れたよくわからない丸い物体…

未だかつてない不気味なその形状のそいつはゴロゴロと海面を転がっていた

 

『ヒャアー!キヤガッタァー!』

 

丸っこいナニかこと、この海域のBOSSであり今作戦の討伐目標、アンツィオ沖棲姫はヒャアー!ガマンデキネェー!と言いながらゴロゴロと転がるローリングアタックを仕掛けてきたッ!!

 

「フッ…面白い!!」

 

ドンッッッ!!!(ローリングアタック)

 

アンツィオ沖棲姫の轢き逃げ必死のローリングアタックを正面から受け止めたネルソンはそのままアンツィオ沖棲姫を持ち上げ、頭?から海面に叩きつけたッ!

 

『ヒャア!!』

 

海面に叩きつけられ、やはりゴロゴロと転がるアンツィオ沖棲姫…

 

そんな敵旗艦の姿をチラ見して、女王陛下の騎士は仕えるべき主君に膝をつき恭しく頭を下げた

 

「女王陛下、御命令を…」

 

「Defeat, raise the battle」

 

Yes,Your Majesty!討伐の命は下った、ならば女王陛下の騎士が採るべき行動は一つ!!

 

「フッ、Arkよ、アレをやるか…?」

 

「Nelson………フッ、承知したーッ!」

 

ネルソンは自らの艤装を完全突撃形態、またの名をネルソン・タッチのフォームへと変形させ、アークロイヤルはそのネルソンにまるで馬に跨るように飛び乗ったッッ!!

 

その姿たるやまさしく“人 馬 一 体”の姿…ッ!!

 

「行くぞォォォォォ!!刮目せよ!」

 

「これが余の……いや、余らの!」

 

「乾坤一擲の一撃なりーッ!!」

 

◆◆◆

 

「やりやがった!あの野郎!やりやがった!」

 

秋の曇り空な執務室、陛下出陣のファイナルステージを応援上映するかと執務室のテレビで現場の中継を見ていると、バリッバリな荒技に、置いていたグラスがひっくり返る勢いでバシバシ机を叩いてしまった

 

「あー…これはかなりイイ感じですね」

 

「アイツらやる時はやるんだな」

 

ただの残念女騎士とただの余かと思っていたが…

さすがは女王陛下の忠臣、ネルソンとアークロイヤルは“フッ…我に”“断てぬものなし!”とか言いながら轢き逃げアタックを敢行し、あの丸っこいのをフッ飛ばしていた

 

ただ、その騎士と余の堂々たる姿に、女王陛下は何故か両手でお顔を覆っていたが…

 

「ガハハハ!勝ったな、コレは」

 

「そうですね〜……と、言いたいところですが」

 

「なんだ?」

 

「アレ見てください、アレ」

 

そう言ってテレビの画面を指さす五月雨につられ、中継の映像を見てみると………轢き逃げアタックされて勢い良く転がった丸っこいのがヒビ割れ、中から手足のようなモノが飛び出してきた

 

「ゲェーッ!!な、なんじゃアレはーッ!」

 

「アレじゃないですか?オーバーボディ…?」

 

「オーバーボディ、だと?」

 

グゥゥゥム!たしかに、世の中には覆面の上にはマスクを被るオーバーマスクと言うものがあるが、こやつめ!まさかメインのボディの上からオーバーボディを着ていたと言うのかーッ!

 

「ゲェー!オーバーボディが破れ!中から、若く!みずみずしい肉体がーッ!」

 

「…そうですか?」

 

◆◆◆

 

『ヒャー!!ヒャッヒャヒャ!ヤレバデキルンダネェ……ヤレバァ!』

 

オーバーボディを脱ぎ去り、ついにその真の姿を現した轟沈駆逐艦・アンツィオ沖棲姫…ッ!!

 

「Lady、ヤツはアタシに任せテ!」

 

「Jervis…?」

 

女王陛下の前に立ち、あのジャーヴィスがやる気に満ち溢れている、最近は英国淑女の誇りをドブに投げ捨て、一番の頭痛の種であるジャーヴィスがこの戦いでこんなにも頼り甲斐のある事を言うとは…

女王陛下は、その英国淑女の誇りを取り戻したであろうジャーヴィスの肩に手をやり、微笑みつつ、存分に励みなさいと激励を贈った…

 

『ヒャア!!ガマンデキネェー!』

 

「enemy is in sight!サァー!イこうかァー!!」

 

女王陛下の御前死合!最終決戦!!アンツィオ沖棲姫VSジャーヴィスのゴングが鳴り、まずは両者、正面から手ぇ四つでガッチリと組み合った!!

 

「ほぉ、審判のロックアップか…」

 

「フッ、ジャーヴィスめ、まずは相手の力量を測ると言うワケか」

 

今が駆け抜ける時を終えた英国騎士と英国貴族の二人も、若き英国淑女の戦いを見守る…

 

「ぐぬぬぬぬー!!」

 

『ヤッテ…ミナヨォッ! ヒャヒャァアッー!!』

 

パワーはアンツィオ沖棲姫が勝っているのか、ジャーヴィスは苦しげな顔でロックアップを解き、得意の低空からのテイクダウンを奪う!!

 

「ッシャア!!」

 

ジャーヴィスはうつ伏せ状態になったアンツィオ沖棲姫の背に乗り、足を絡めて片足を極めると同時に両腕をフルネルソンに捕らえたッ!

 

『ウッギャアアアアアアアア!!アアアアアーッ!イタイイタイイタイイタイー!』

 

「か〜ら〜のぉ〜…」

 

S.T.Fを解除し、アンツィオ沖棲姫の頭部を片腋で抱え込み、そのまま勢い良くフィッシャーマンズスープレックスでアンツィオ沖棲姫を海面に叩きつけた

 

『ウピャア!!!』

 

アンツィオ沖棲姫はゴロゴロと海上を転げまわり、クソ!イテェー!と叫んだが、なんとか立ち上がった

 

「…チッ、まだ死んでない」ボソッ…

 

『コ、コイツ…!!』

 

アンツィオ沖棲姫は戦慄した、この、一見すると、とても可愛いらしく愛らしい容姿をしているキンパツ少女の中にはとてつもない邪悪が棲んでいる…!

さきほどまでのぶつかり合いの中でも、このキンパツ少女は金的以外の急所を執拗に狙っていたのだ…たぶん自分にタ●キンがついていたなら最低でも一つは潰されていただろう…

 

『チィ!!ナマイキナマイキ!ナマイキィィィ!』

 

「喰らいなさい!アタシとDarlingのBurning Love!!」

 

ジャーヴィスは真正面から突撃してきたアンツィオ沖棲姫を両足飛び蹴りで迎撃し、飛び蹴りに怯んだ相手の両腕を掴んでねじり上げるッッッ!!

 

「ゲ、ゲェーッ!あ、あの技はーッ!!」

 

「“難攻不落のビッチ兵”の異名を持つあやつの必殺技(フェイバリット)じゃないかーッ!」

 

ねじり上げた腕を解放すると、アンツィオ沖棲姫は上空に勢い良く放り投げられ、それと同時に!自らも飛び上がったジャーヴィスに腕、足、頭を側面からロックされ、そのまま勢い良く落下を開始したッッッ!

 

「J級駆逐艦殺法暫定超必殺技!スコティッシュ・スティール・エッジーッッッ!!」

 

『ヒャアー!!ウ、ウゴケナイー!!』

 

ガガアァァァン!!!

 

ジャーヴィスの必殺技が勢い良く炸裂し、アンツィオ沖棲姫は吐血しながら海面に転がった…

 

『グヘァ…』吐血!

 

決着ッッッ!!どう見てもアンツィオ沖棲姫はもう立つ事ができないッッッ!!しかし…ッ!

 

「マダよ……マダ、こんなのマダよ……」

 

まだ屈辱と言う屈辱を与えていない…

 

そう言ってジャーヴィスは口角を上げ、既に動くコトができないアンツィオ沖棲姫の身体を持ち上げ、仰向け騎乗位の形でアンツィオ沖棲姫の両足を抱え、更に膝の裏から通した手でその頭を掴んだ!

 

いわゆる、ア●ル固めの体勢である(※厳密に言えば、ア●ルには何も入っていないのでア●ル晒しとも言える)

 

その姿たるやまさに屈辱、大事な部分は強制的に全てさらけ出されたその姿たるやもはや表を歩く事はできなく程の屈辱…ッ!!

 

『ヒ…ヒィ……ヤメナッテェ…ッ!!ヤメナッテェ…ッ!!』ポロポロ…

 

「やめてください」

 

『ヤ…ヤメ…ヤメテクダ…』ポロポロ…

 

「ハイ聞こえなーい、もっと大きな声!I'll give you humiliation!アハハハハハハー」

 

ガンッ!!(ロイヤル拳骨)

 

「やめんか」

 

「って!痛い!!ナニすんのよArk!!」

 

アークロイヤルは屈辱のア●ル固めから解放されたアンツィオ沖棲姫にそっと布を被せてやると、アンツィオ沖棲姫はジャーヴィスにシネ!バーカ!と呪いと罵倒の言葉を吐きながら海の中に帰って行った…

 

こうして、地中海を舞台とした戦いは終わった…

 

終わったが…

 

「……………Jervis、話があります」ギロッ!

 

「ヒ、ヒィ!?」

 

 

戦いが終わり、無事、基地に帰ってきた艦隊…

その中には、磔にされて無惨な姿で晒されたJ級駆逐艦の姿があったと言う…




次回は


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続続続続続続続続続・提督と作戦終了と…

話・金・宴、その全てがここにある

【登場人物】

提督(大人)
それが大人の特権だよ

Colorado(大7)
MAJOR出身の戦艦、プライドと態度が高く、沸点が低く、腋がやらしい




「えー…今回も皆さんの活躍もあり、我々は無事に作戦を完了する事ができました、えー…今回、皆さんは自分で日頃の努力の結果が出せたと思っていると思いますが、えー…努力と言うものは継続する事に意味があるものです、えー…これからも皆さんはより一層努力する事でしょう、そうする事により、それは将来の皆さんの財産となり…」

 

『うるせぇー!!ハナシ長げーんだよボケッ!』

 

『さっさと終われダボ!』

 

『アナタって最低のクズだわ!』

 

夏?の作戦海域も無事終了し、いつもの全艦集会を絶賛開催中の基地体育館……クズどもを見下す壇上から提督様のありがたいお話にイライラしたアホンダラどもが早く終われだの引っ込めだのアツい罵声を浴びせくるが、フン、この俺には称賛の声なのだよ

 

「えー……以上で提督様からのありがたいお話を終わります、えー…では皆さんお待ちかねのお給料の時間です、サミー、アレを」

 

舞台脇から台車に載せて運ばれてくるいつものジュラルミンケース…その中身こそまさに欲望化身!この現代社会を支配する魔王!

 

金ッッッ!!現金ッッ!!キャッシュ!!

 

「えー…今回いつもより海域数の少なさもありMVPチケットランキングはいつもより獲得数が少ないが〜……まぁそれはそれとして、第1位は北上クン、はいみんな拍手ぅ~」

 

やはり北上、鉄の上下関係でお馴染み球磨姉妹屈指のエース、今回もチームの勝利に大いに貢献してくれた

そんな北上クンにジュラルミンケースから取り出した現金を手渡し、アツくシェイクハンドした

 

「感動した!」

 

「いやぁ~こんないっぱい、悪いねぇ~」

 

北上クンはヘコヘコ頭を下げつつアツい声援と溢れる拍手に手を振った

 

『アリガトー!北上さんアリガトー!』

 

『まったく、重雷装巡洋艦は最高だぜー!』

 

『キタカミ!キタカミ!キタカミ!キタカミ!』

 

さすがは北上クン、基地好感度ランキングで毎回上位に入るだけあって人気者だな…

 

「えー…続いてMVPチケットランキング2位だが~……残念ながら今日、第2位のお友達はここには来れない」

 

先の作戦海域最終決戦、怒りのフィニッシャーを務めたラッキー・ジャーヴィスことロイヤル駆逐艦のジャーヴィーくんだが、先の戦いにて大ダメージを受けて現在は医務室で手厚い治療を受けているらしい…

 

「では続いて第3位、ザラ姉ぇ」

 

第3位はジブラルタル、海峡決戦にて黄金のような気高き意思!を見せてくれたザラ姉ぇコト重巡ザラ

ザラ姉ぇはステージへと上がってくると嬉しそうにアツい現金を受けとった

 

「感動した!」

 

「Grazie!ありがとうございます」

 

ザラ姉ぇは今日は私の奢りでマミーヤでよー!と手を振り、アツい声援と拍手に応えた

このザラ姉ぇの活躍はザラ姉ぇだけじゃあない……あくまでイタリア組の勝利なのだ

 

ーーー

 

「えー…最下位、木曾」

 

「マジかよ!納得いかねぇ!!」

 

「やかましい」

 

木曾に200円渡し、今回のMVPチケットランキングも無事終了、小銭を受け取った木曾は大きく肩を落として壇上から降りて行ったが姉ちゃん達から温かく迎えられていた

 

「えー…そんなワケで、今回も無事作戦終了と言うワケでささやかではあるが酒と料理を用意してあるので…」

 

『ヒャッハー!水だァー!』

 

『ほぉ、茄子にベーコンを巻いたものですか?』

 

『山盛りのキャベツも添えて、バランスも良い…』

 

………クズどもがッ!まだ提督様の結びの挨拶が終わっていないと言うに、まぁいい、細かいコトをぐちぐち言わないのが良い上司ってヤツだ

 

戦いが終わり、恒例の宴だーッ!が始まり、どいつもこいつも用意された料理や飲み物を愉しみ、そして些細なことで殴り合いを始める高雄と妙高……うむ、通常運転だな、なぁオイ?

 

「さて…」

 

そんな俺の腹も小腹が空いているとさっきからギューギュー主張してくる、わかったわかった、何か腹に入れよう、焦るんじゃあない、俺はただ腹が減っているだけなんだ…

 

面倒くさそうなヤツに絡まれないよう、絶妙なライン取りでテーブルの料理を物色していると………ひときわ鼻腔を刺激する弾ける獣臭、ほぉ、串肉ですか?ワイルドでありながらジューシィーさを感じさせますね

 

「よし……」

 

そんなワイルドでジューシィーな串肉を取ろうと手を伸ばすと、俺とは別の手がニューっと伸びてきた

 

「…ん?あら?Admiral……?へぇ、まぁいいわ!フトコロが大きいワタシは譲ってあげるわ!感謝するコトね!」

 

…誰だっけコイツ?キンパツでまぁまぁの乳だが、え〜…なんだっけ?コロコロ…?

 

「え〜……キミはたしか、コロ、コロラードくん?だったかな?」

 

「そーよ!栄えあるStatesのBig7!Colorado級戦艦一番艦、USS BB45 Coloradoよ!」

 

良かった、間違えてなかった、そうそう残念ビッグ7のコロラードくんだ、そんなコロラードくんは気前よく俺に串を譲ると、自分は別の串を手に取りワイルドにかぶりついた

 

「はむ…っ!ウン、なかなかネ…ウン、く…んっ、デモちょっと大き……ん!」

 

わりと肉厚な串に一生懸命かぶりつくコロラードくん、まぁ、彼女は戦艦と言うワリに小柄だしな、もうちょい自分に合った食べ易いサイズのものを食べた方が…

 

「ぶふっ……!結構デカいわね、Admiral!まぁ、アナタは無理しないほーがいいわ!」

 

「まぁ、そうするのだよ、むしろコロちゃんこそ無理しない方がいいと提督は思うがね」

 

「誰がコロちゃんよ!馴れ馴れしいわね!」

 

まったく、コロラードくんは人に懐かないタイプってヤツなのかな?個人的に大きな串に必死にかぶりつくコロラードくんのいやらしい腋をオカズに何本でもイケそうなだよ…

 

そんな事を考えつつ、肉串を相手に2人で苦戦していると、本物のMAJORリーガーことダイナマイトパッキンガール、アイオワがやって来た…

 

「Hi、Admiralと~…Coloradoじゃナーイ?それ、美味しそうネ」

 

「まぁな、デカいけど」

 

「Iowa………フン、ワタシより先に配属されてるからってセンパイ面していつまでもデカいツラしてるじゃあないわよ!一番はワタシ!No1はワタシよ!」

 

コロラードくんは見下してるんじゃあないわよ!アイオワに指差してキィーキィー言ってケンカ売っているようだが、アイオワはニコニコしながらまるで実家の愛犬をあやすようにコロラードくんの頭を押さえつつオーケーオーケーグッドボーイと撫でていた…

 

「キィー!!」

 

「AHAHAHA………さて、それじゃあワタシも貰おーカシラ?」

 

アイオワは肉串を手に取るとワイルドにかぶりついた

 

「フム………まーまーネ…マァ、サイズは小さいケド」ナポォ…モニュ……モニュ…

 

…さすがは本物のMAJOR、コロラードくんと違いワイルドさが違う………このメガサイズをまるでスティックドーナツのように喰らいおるわい

 

「ッッッ!!」プルプル

 

そんなワイルドなアイオワの食べっぷりに、コロラードくんは目に涙を浮かべながらDon't think I won this!とか言いながら走って行った…

 

ーーー

 

ステージでカラオケ大会が始まる宴の佳境…

適度に飲み食いしてタバコを吸うべく体育館の外へとやって来た…

 

「フーッ~………はぁ、もう10月か」

 

なんやかんやで今年も早いものだ、いや……それが大人と言うべきか

 

「お疲れ様です」

 

「よぉ、相変わらず青いな、卿は」

 

外でタバコを吸っていると、小菓子の載った皿を持ってぬるっとやって来た秘書艦サミー子、コイツいつもぬるっと出るな…

 

「明日は新人さんの面接ですから、薄汚れた制服じゃないパリっとした格好でお願いしますよ」

 

「へいへい」

 

「クリーニングした制服はロッカーの中です、ついでに、何枚かズボンの丈も調整したものが…」

 

「やかましい、テメーは俺のオカーサンかっーの」

 

ったく、毎回毎回…コイツのこーゆートコがムカつくのだよ

 





次回は新人面接回


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続続続続続続続続続・提督と新人と面接

なんと10回目の新人面接回

【登場人物】

御蔵(海防艦)
今までになく毛色の違う海防艦のルーキー

L.d.S.D.d.Abruzzi(姉貴)
名前が超長い軽巡、そしてデカパイ

Grecale(次女)
真面目な長女とアホな三女とは違う天才型の次女

Janus(ロイヤル駆逐艦)
ジャーヴィスの姉妹で同じく自動対潜能力を持つ期待の新人、天パすぎて髪がくるくるしてる


秋もアケボノ、やうやうしろく成り行く山ぎはすこしあかりして、むらさきだちたる某がどーのこーの……

 

「で?今日は何人面接すりゃいいんだ?2人か?3人か?あ?」

 

「4人ですね、ちなみに4人中3人が外国の方です」

 

「ファーックス!ウチはいつからそんなにインターナショナルになっちまったんだ?なぁオイ?」

 

「さぁ?」

 

まったく、ウチは出稼ぎ外国人大歓迎のオープンでアットホームな職場じゃないっーの、いい加減にしろよ!毎度毎度、たまに金髪巨乳を斡旋しときゃ文句ないだろと思うなよ!たまには金髪巨乳にエルフ耳を足してこい!エルフ耳を!

 

「…まぁいいわ、で?最初はなんだ?また海防艦か?」

 

「察しが良いですね」

 

ファーックス!また海防艦かよ!毎度毎度……いい加減にしろよ!多種多様なクソガキばっか送りつけてきやがって、ウチは小学校じゃねーっーの

 

………そんなワケで、本日最初の面接はいつもの海防艦キッズ

 

「御蔵型海防艦一番艦の御蔵です」

 

「ほぉ…」

 

御蔵型…?聞いたコトない名前だな、とりあえず手元の書類を見るに、択捉姉妹の親戚的なものらしい…ふむ

 

「身体は小さいですが、力の限り、務めます!よろしくお願いします!」ペコォ!

 

「あ、あぁ…うん、そうかね、うん」

 

う〜む、どうやら最近のガキには珍しい真面目な子みたいだな、なるほど…

俺はそんな御蔵くんに座ってどうぞと促し、サミーに御蔵くんにオレンジジュースとお菓子を出してあげなさいと伝えた

 

「ふむ、御蔵くんはアレかね?対潜とか得意な感じのアレかね?」

 

「はい!得意な感じです!」

 

御蔵くんは対潜の成績には自信があるらしく、配属先を決める際、是非ウチにと上にアツくお願いしたらしいのだが……えぇ?なんでこんな真面目な子がウチみたいなクズの吹き溜まりにわざわざ希望を?

 

「私、その……憧れてるセンパイがいまして、その…一緒にプレーしたいと言うか…」

 

「憧れ…?」

 

「はい!」

 

御蔵くん曰く、まだ御蔵くんが進路について悩んでいたある日、たまたま何かの映像でウチの対潜チームを見たらしく、その美技の数々に心奪われてしまったそうな…

 

「勝つのは五十鈴、勝者は五十鈴、って、その………私もやりたいと言うか…」

 

「あー…」

 

ナルホドなぁ〜………SUNDAYじゃねーの!

 

ーーー

 

今日の四連戦、まずは第一の刺客、御蔵くんが退室して次から迎えるのは海外からの刺客達、トップバッターはパスタの国からやって来た軽巡…

 

「新鋭軽巡洋艦Luigi di Savoia Duca degli Abruzziです」

 

「あーはいはい、ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィくんね、はいはい、まぁ座ってどうぞ」

 

「え…?あ、は、はい」

 

ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィくんは何やら面食らったような顔をしていたが、すぐに笑顔になりお客様椅子に腰掛けた

 

「えー…ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィくんはアレかね?ガリバルディくんのお姉さんだとか?」

 

「あ、はい、ガリィは私の妹です、はい……えぇと、たしか先日からこちらでガリィもお世話になっていると…」

 

「えぇ、妹さん、大変優秀ですなぁ、ハッハッハ」

 

「そうですか、良かった…私、てっきりガリィがご迷惑をおかけしているものと…」

 

「ハッハッハ、いやいや、で?えー…お姉さん、えー…ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィくんもまた大変優秀な性能をお持ちでらっしゃると、ははぁ〜…これはこれは姉妹揃って出来が良くてらっしゃる」

 

書類を見るに、軽巡としての性能はかなり高い水準で纏まっており、ハッキリ言って並みの重巡ぐらいなら殴り殺せるだろう

 

それに、妹もかなりアレだったが、この姉はそれをさらに超えてくる凶器を搭載しており、その大きさたるや鷲掴みにしてもなおこぼれるであろうマグナムおっぱいである、ハッキリ言って、俺は今、ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィくんとお話ししているのか、おっぱいと話をしているのかわからないぐらいクギヅケである

 

「あのぉ〜……テイトク?」

 

「なにかね?ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィくん」

 

「その、私の名前って長いと言うか……長すぎますよね?その、なんでしたらAbruzziでも…」

 

う〜む、なんだろうな?このパスタの国からやって来たとは思えないエレガンテさだけではなくオパーイまで兼ね備えた美女は…

 

過去、パスタの国からはロクなヤツしか来てないだけにあまりに新鮮なのだよ

 

………そんなあまりにエレガンテなアブルッツィくんとの面接、しかしその時、俺はまだ彼女という人物を知らなかった…

 

そして後に、俺はこのエレガンテ美女のアブルッツィくんが“姉貴”と慕われる理由を知るコトになる…

 

ーーー

 

ハイスペックアクトレス・アブルッツィくんとの面接も終わり続く第三戦、やって来たのはアブルッツィくんと同じくパスタの国からやって来た………駆逐艦

 

「Buongiorno!Maestrale級駆逐艦、次女のGrecaleよ!」

 

「マエストラーレ級……だと?」

 

マエストラーレ級と言えばアレだ、アホのリベッチオやアホではないマエストラーレくんと同じ合法駆逐艦と呼ばれる歩く事案発生装置…ッ!

 

そして…ッ!!

 

「フフッ、こっち、こっち。Ciao!Ciao!やだ、本当かわいい♪」

 

大人を舐めた挑発的な言動とハジけるナマイキ臭……一目で尋常ではないメスガキと見抜いたのだよ

 

「グレカーレくんか……ふむ」

 

「ねーねー!なんか飲み物ないー?アタシ喉渇いてるんだけどー?」

 

このガキ、面接に来ていきなりドリンクを所望とはな…舐められたものだ、どうやら最初にわからせが必要らしい

 

「ほら、ひーらひら♪今、見た?見たでしょ♪ 」

 

「やかましい、えー……グレカーレだったか?あまり大人を舐めるんじゃあないぞ、最初に言っておくが俺は女子供にも容赦せんぞ、あんま舐めた態度とってると大人の怖さをわからせるからな」

 

「えー?やだぁー!こわーい!」

 

このガキ!なんてメスガキ臭だっ!!………なるほど、おそらくは百戦錬磨のメスガキ、並みのおじさんではこのグレカーレに返り討ちにされザコチ●ポと罵られてキンタマ蹴りあげられ社会的に抹殺されるだろう…

 

…大したメスガキだ

 

だが、この俺を並みのおじさんと思って貰っては困る

 

◼️◼️◼️

 

「ふふ〜ん♪」

 

一見余裕に見えるグレカーレ、しかしこの時、このグレカーレも内面では提督に対して最大級の警戒をしていた…

 

このおじさ…テートクは並みのおじさんじゃあない、もしほんの少しでも自分に油断があれば、このテートクは大人の怖さを、いや、子供では勝てないことを“わからせる”力を持っている…

 

目の前にいるのは一見普通の冴えないメガネ男子だが、百戦錬磨のグレカーレだからこそわかる、この男の危険性

 

並みのBambinaでは返り討ちにされ大人は子供には負けませーんと屈伏させられてしまうだろう…

 

大したテートクね…

 

ただ、このグレカーレちゃんが並みのBambinaと思って貰っちゃ困るわね!

 

■■■

 

“わからせる”と提督と“メスガキ”グレカーレ…

面接中の執務室、二人の間に緊張が走る………が、それはふいに解けた

 

それは二人が同時に理解したのだ、実力は互いに拮抗している、このままでは千日戦争(ワンサウザンドウォーズ)に突入すると…

提督とグレカーレは互いに警戒を解き、ガッチリと握手した!!

 

「フッ、いつかわからせてやるからな!」

 

「へぇ、デキるかしら?」

 

「ヘヘッ…!」

 

「アハ…っ♪」

 

二人は互いに微笑み合い、その実力を、そして互いに好敵手であるコトを認め合った

 

「ナニか飲むか?利尿剤入りアイスティーしかないけど?」

 

「うん、いらない!ってかテメーで飲め♪」

 

ーーー

 

パスタの国二連戦を超えて本日最終戦、最後に残った第四の刺客は紅茶の国から来たロイヤル駆逐艦…

 

「Hi!私の名前はJanus!そうよ!あのJervisの僚艦の…」

 

「えー…ジェーナスくんか、ジェーナスくんはアレかね?ジャーヴィーくんの姉妹かナニかで?」

 

「ジャーヴィー…?あぁ、Jervisのコト?そうよ!」

 

「へぇ…」

 

とりあえず書類を見るに、ジャーヴィーくんの妹らしい、なるほど…まぁ、たしかに似てると言えば似てるな

 

「…しかし貴方がテイトクねー……へぇー、ふーん、ほーん?」

 

そんなジャーヴィーくんの妹、ジェーナスくんは興味津々丸と言った具合に俺を見ているが……アレだよな?この子、あのジャーヴィーくんの妹なんだよな

 

「なーんか聞いてたのと違うかなー…」

 

「聞いてた…?」

 

「そうよ、Jervisからはサイコーにクールでとっても紳士的なナイスガイって…」

 

ヘヘッ、よせやぁい!

 

「ちなみにArkは次期knight of oneだからキチンと挨拶しておくよーに言われたけど…」

 

誰が次期ナイトオブワンだ、あの残念騎士は俺をなんだと思ってるんだ…

 

「あと、Warspiteからはデキればごくごく自然かつ積極的にArkとイイ感じになるよーにオネガイされたわ」

 

陛下ァァァァァァァァァ!!なんてコトを子供に頼むんですか陛下ァァァァ!!

 

「ま、まぁいい……そうか、陛下がな、まぁ陛下はお戯れのお好きな御方だ、ハハ…」

 

「そーかしら?あの目はかなりMAJIだったよーな…」

 

「ジェーナスくーん!!ジェーナスくん!喉渇いてないかな?あ、お菓子もどうかな?サミー!紅茶!彼女にティーを淹れてあげなさい、あと戸棚にルマ●ドあったろ?ルマ●ド!それも出してあげなさい!」

 

ハハ…まったく陛下ったら、本当にお戯れがお好きな御方だ、アレかな?陛下流の小粋、いや、高貴なRoyal Jokeってヤツだな、うん

 

「ちなみにジェーナスくん」

 

「なにー?」

 

「キミはアレかね?別にテイトクのコトをダーリンとか呼ばないのかね?」

 

「は?呼ぶワケないし」

 

「だよねぇー!普通は呼ばないよねぇー!うんうん」

 

ーーー

 

そんなワケで、今回の面接も予定通り、無事、滞りなく終了した…

 

「はぁ…相変わらず面接は疲れるな」

 

「お疲れ様です、コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「あぁ、冷蔵庫にアイスコーヒーのパック入っ…」

 

「ご自分でどうぞ」

 

こやつめ!カッカッカ!こやつめ!ったく……この青髪ロング子、提督様を労うという誠意が足りんのではないか?誠意が!

 

「はぁ、まぁいいや、今日はもう営業終了するか、俺、この後、香取先生と飲みに行く約束してんだよ!香取先生と!」

 

「へぇ〜.」

 

香取先生とのオトナの飲み会、それはこれからの所属艦の教育を本気で考えるアツきディスカッションでもある…

とりあえず香取先生に失礼のないように、シャワーでも浴びて身支度をビシッと整えないと…あ、そーだ、一応安全戦士も持っとかないと、世の中何があるかわからんからな

 

「じゃ、私も今日は帰りますんで…」

 

「おう、お疲れ!」




次回はロー●ン回、ロー●ンVS大和さん


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提督と大和とロー●ン

この世に邪悪がはびこる時、必ず現れる希望の戦士!艦船の艤装(クロス)を纏い、己の肉体に秘められたエネルギー“小●宙”を爆発させて戦う!彼らこそ海上の愛と平和を守る戦士……艦娘!

【登場人物】

提督(天と地の狭間に立つ美の闘士)
ロスキャンアニメの続きをお待ちしております

大和(最強戦艦)
本物の輝きを持つ海軍最大戦力の1人、褐色の、艤装をバリバリ食べる奇行に走る妹がいる


二回の延期はあったものの遂に始まった消費税増税、しかし今回の増税は単純な増税と言うワケではなく、8%だとか10%だとか軽減税率だとかキャッシュレス決済でポイントの還元だとか色々とややこしく、消費者だけでなく、企業もまた、未だ混乱の中に在った…

 

そして、そんな消費税増税後の初の週末…

俺は夜の街で日々の溜まっている様々なものを吐き出し、イイ感じに酔いも回ったところで基地に帰るかと歩いていると、ポケットのタバコが既に切れているコトに気付いた…

 

「チッ…」

 

タバコが無い………その、ステキなイライラ感が提督を行動させたッ!とりあえず、帰り道にたしかコンビニがあったハズなのでそこで買えばいいや…

 

そんなコトを考えつつ歩いていると、ほら、あった!青いカンバンのコンビニが!

 

「いらっしゃいませー」

 

そんないつもの青いカンバンのコンビニに入り、とりあえず雑誌コ…

 

「………ん?」

 

え………?

 

何の気なしに入ったコンビニエンスストアー…そう、から●げクンとか売ってる青いカンバンのコンビニ…

その、何の気なしに入ったコンビニのレジカウンターに、あきらかに居てはいけない人物が立っているッッッ!!

 

思わず二度見してしまったが……?え?マジか?え?なんで…?

 

「…な、何故“あの人”が……!?」

 

バ、バカな…っ!!何故“あの人”がコンビニでバイトを…?ウソだろオイ、なぁオイ?いやいやいや、そんなワケねーって、たぶんアレだな、飲み過ぎちゃったかなぁ〜…ハハ、ないない、それはない

 

「いらっしゃいませ、お買い物ですか?提督」ニコッ

 

「あ、あぁ…」

 

ま、間違いない!あれは聖域(サンクチ●アリ)最強の超戦艦!!戦艦大和ーッ!!

 

な…何故、最大最強の戦艦である大和さんがコンビニでバイトなど…?え?ナニ?ドッキリかナニか?アレか、モニタリング的な?

 

「え…?ナニ?大和さん、ここでバイトを?」

 

「はい、先日から…」

 

大和さん曰く、普段、出撃の仕事も無く、暇潰しに日々、造花造りの内職をしていたのだが、造花造りの業者が倒産してしまったらしく、どうせならこの機会にもっと別の仕事をしてみよう!と一念発起したらしく、アルバイト雑誌、フロム∀を読んでこの仕事に行きついたそうな…

 

「まぁ、武蔵からは反対されましたけど…」

 

ちなみに武蔵からは“ハァ?大和がコンビニのバイト…?ハハハ!無理無理”と笑われたので余計にムカつき、見返してやろうと言う気もあるらしい

 

「へぇ〜…そうなんすか」

 

「はい」

 

…しかし大和さんがコンビニでバイトとはな、グゥゥゥム、まぁ、大和さんは基地最大戦力であり仁・智・勇に優れ、その人柄は誠実で温厚、その慈愛に満ちた人柄は万人に愛され神の化身とまで呼ばれており、俺も次期提督候補はこの大和さんか長門だろうと考えているぐらいだ…

 

…まぁ、この神の化身大和さんの中にとてつもない邪悪が居なかったらの話だが…

 

「私レジに居ますので、たくさん買ってくださいね」ニコッ

 

「あ、あぁ…」

 

…いや、考え過ぎだな、この大和さんがとてつもない邪悪などと…

 

とりあえず俺は酔い覚ましに水(フランス産)と、ついでに栄養ドリンクを手に取り、あとは目的のタバコだけだが…

 

「〜♪」ニコニコ

 

グゥゥゥム、どうにもレジに立っているのが大和さんだと調子狂うと言うか、なんともやりづらいな…

 

「えー…タバコの564番を2個」

 

「564番ですね」

 

大和さんはミネラルウォーターと栄養ドリンクをPOSレジに通し、カウンターの奥に並べてあるタバコを探す…

 

しかしなんだ…?過去、何人かウチのバカどもがコンビニでバイトしていたが……大和さんはミニスカじゃないんだな

 

「564……564、あ、あった!」

 

しかし大和さん、安易にミニスカではなくパンツルックと言うところに逆にそそるモノがあるッ!もうさっきからあのケツからムチッ!ムチッ!とか擬音が聞こえるぐらい逆にやらしいモノがある…

 

そう、なんと言うか…大和さんほどの落ち着いたオトナの女性となると、経済的に余裕が無いワケではないが家事手伝いだけでは退屈なので家庭に迷惑をかけない程度の空き時間にちょっと近所でアルバイトしている人妻感がパナイのだ…

 

「はい、8mg、こちらでよろしいですか?」

 

「あ、はい」

 

「ついでにから●げクンもいかがですか?今なら限定のシーフードカレー味がありますよ」

 

「あ、はい、じゃそれも…」

 

からあげなのにシーフードカレーとはコレ如何に…?そんな矛盾に悩みつつ代金を支払い、商品の入ったレジ袋を受け取り、釣り銭を大和さんはニコニコしながら俺の手をさりげなく握ってきた…

 

やだ、もしかして大和さんったら俺のコト好きなのかしら?いや、たぶん好きなんだな!好きでいいんだよな!うん!

 

「ありがとうございました~」

 

ハハ…まったく、こんな大和撫子オブ大和撫子の大和さんの心に邪悪が棲んでいるワケがないな、やはり次期提督の座は大和さんにキマリだな、ハハ…

 

「あの………ところで提督」

 

「なんですか?」

 

「………背中に埃が付いているみたいです、お取りしますから後ろを向いて頂けますか?」

 

「え?マジすか?はいはい…」

 

俺は大和さんに背を向けると、大和さんは動かないでくださいねーと言って右手を………

 

「死ねェェェェェェ!!」

 

右手で俺の心臓めがけて突きを放ってきたッッッ!!

 

ドグシャアッ!!(貫通突き)

 

「グハアァァァァ!!ゴハァ……!!」

 

「殺った…!!フフフ…ワハハハハハハハー!!このオイボレが!さっさとこの大和に提督の座をあけ渡せばいいものを!キサマのような甘っちょろいヤツでは海上の平和を守るなど不可能よ!フフフ…これからはこの大和が提督となりこの海上を支配してくれるわー!ワーハハハハハハハハ!!」

 

『…それはどうかな?』

 

「な、なにィ!!」

 

『オマエではこの海上の支配など不可能、自分でわかっているのではないか?』

 

「そ、そんなコトがあるかーッ!力だ!力こそがこの海上における正義!オイボレに一体何ができたと言うのだーッ!」

 

『オマエは誰だ?大和型戦艦一番艦は誰だ?』

 

「わ、私は……私は……!!」

 

!!!!!

 

「……ハッ!こ、これは……?私はたしかに提督の胸を突いたハズ」

 

「フッ、どうやら幻を見ていたのはオマエだったようだな」

 

いつの間にやら自分がレジカウンターを出ている事に気付いた大和さんは、これが幻魔拳か…ッ!と戦慄していた

 

「二度目はない、だが大和さん………貴女が本当は正義の人であるコトを提督は信じているよ」

 

「ク、クッ…!!」

 

そう、大和さんは誰よりもこの海上の愛と正義を信じている高潔な人だ、己の邪悪などに決して負けはしないと提督は信じているのだよ

 

俺は大和さんに、アディオス大和さんとクールに挨拶を残し颯爽とコンビニの自動ドアをくぐり店を去った…

 

 

……クールに去って、数分後

 

「ゴファ!!」吐血ぅ!

 

…さ、さすがだ、やはり恐るべきは超戦艦大和ッ!こちらも無事では済まなかったか、もし俺の小●宙(コ●モ)が僅かでも下回っていたら今頃俺は本物の死体になっていただろう…

 

「や、やはり最強の名に恥じぬ大した戦艦…」

 

ね…願わくば、これからもその力を海上の愛と正義の為、に…



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提督と鈴谷と通常営業【その5】

安心の鈴谷回

【登場人物】

提督(まっことクズ)
まっことクズ

鈴谷(ビッチ)
まっことビッチ


秋の日はつるべ落とし、ついこないだまでまだ明るかったと思いきや既に日が暮れている不思議、そんな秋の執務室

 

「ティーッス、鈴谷が遊びに来ましたよ~」

 

「遊びに来ましたよじゃねーよクズが、殺すぞ」ギロッ!

 

「殺すぞ………って、ストレートッ!鈴谷に対して遊び球が無さすぎる…ッ!」

 

今日もビッチ臭をプンプンさせつつヘラヘラ笑いながらやって来た鈴谷は冷蔵庫からバ●リースを取り出してグラスに注いだ…

 

「ブハァ!うんめーッ!」

 

「うんめー!じゃねーよ、何勝手に飲んでるんだテメーは」

 

「別にいいじゃん、減るモンじゃねーし」

 

「減るわい、舐めてんのかテメーは」

 

鈴谷の野郎はヘイヘイスンマセンしたとまるで心のこもらない一応の謝罪にヘコヘコ頭を下げ、お客様用の椅子に座った

 

「サミーは?休み?」

 

「メシ食いに行った」

 

「へぇー…1人で?」

 

「いや、なんか今日は姉妹でオシャレなビュッフェ的なトコでランチだそうだ」

 

「へぇー」

 

ヤツらも問題児だらけのプッツン姉妹ではあるが、なんやかんやで姉妹の仲は悪くないらしく、たまにこうやってランチしたりディナーしたりしてるらしい、仲良き事は美しきコトである

 

「じゃ提督の昼は?」

 

「カップ麺だが?」

 

「カップ麺かよ!なんで?どっか食いに行かなかったの?」

 

「うるせぇな、男にはたまにはカップ麺でいいやって日もあるんだよ」

 

「ふ〜ん」

 

安易に近場にするかと昼時にマミー屋に行くと多いしな、今日は明石のカスの店で買ったチ●ンラーメン、ゴキゲンな昼食だ…

 

「で?そもそもオマエは何だ?何の用だ?」

 

「何の用って……遊びに来たんですけど?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか?あぁわかった、つまりアレだ、俺を舐めてるってコトでいいんだな?俺はハァ〜…と大きく息を吐き出して右手をぐるぐる回し…

 

「今こそ汝が右手に、その呪わしき命運尽き果てるまで…」

 

鈴谷は即座に椅子から立ち上がり俺の射程外へ脱出した、なるほど、カンの良いヤツだ

 

「ガチか…っ!今ガチで殺る気だった!!鈴谷まだナニもしてなくね!?おかしくね!?」

 

「…されば我は求め訴えたり、喰らえ!その毒蛇の牙を以……」

 

「って終わってねぇし!!ちょ!待って!鈴谷のハナシ聞こーよ!話し合いとかしよーよ!」

 

「うるせぇな、どのみちメリ込むんだからアトでもサキでもいいだろーが?」

 

俺のスネークはもうバイトしたくしてウズウズしてるんだよ、ウズウズが止まらねぇんだよ

 

「よし!わかった!ステイ!ステイ提督!わかったからその右手をなんとかしよ?ね?なんだったらパンツぐらい脱ぐから、脱いだパンツあげるから」

 

「いらねーよ、オマエのウ●コがついたキタネーパンツなんぞ」

 

「汚くねーし、ってかウ●コとかついてねーし」

 

「オマエそもそも遊びに来たって言ってたろーが?いいじゃねーか、ヤろーぜ?腕相撲でもよォー」

 

「や、腕相撲じゃない!腕相撲で出していいオーラじゃないよ!その凶々しいヤツ!」

 

「俺に勝ったらカレー奢ってやるぞ」

 

「マジで!?」

 

鈴谷はマジか!と言って、少し考えさせてくださいと考えタイムを所望してきたので俺は3分待ってやると快く考えタイムを与えてやった

 

➖鈴谷考えタイム➖

 

「ムリムリ、勝てるワケないじゃん!メリ込むのがオチじゃん」

 

さすがは天使の鈴谷!まっこと冷静で的確な意見じゃん!

 

「バッキャロー!ナニやる前からイモ引いてんだこのクサレマ●コが!勝てばカレー奢ってくれるんだぞ!」

 

悪魔の鈴谷!オマエはあくまでやる気だってか!悪魔だけに!!悪魔の鈴谷は天使の鈴谷に掴みかかりこのクソビッチがー!とビンタした

 

「痛てぇ…!ってか誰がクサレマ●コじゃダボ!エグいハイレグ穿いてるテメーに言われたくねーじゃん!ナニがデビル鈴谷だ!サキュバスじゃねーか!」

 

「んだとテメーコラァ!天国を追い出された天使は悪魔になるしかねーじゃん!」

 

やめて!天使の鈴谷と悪魔の鈴谷!ケンカしないで!ケンカはやめて、今、必要なのはこの勝負を受けるか否かを決めて欲しいじゃん!

 

「オマエらァ!ゴチャゴチャうるせーじゃん!」

 

「ゲ、ゲェーッ!!」

 

「お、オマエはーッ!!」

 

天使と悪魔の醜い殴り合いを止めたのは、神!神のステージへと至った唯一の鈴谷!(ゴッド)鈴谷!

 

「勝てる勝てない、たしかにそれは重要じゃん、だが…鈴谷にはそれよりもっと重要なコトがある」

 

「な、なん…だと?」

 

「ご、(ゴッド)!それはいったい…?」

 

「フッ、忘れたのか…?この鈴谷様は、誰もが羨むメインヒロイン様だってコトを」

 

➖鈴谷考えタイム・終わり➖

 

「オイ、3分経ったぞ、ア●ルの洗浄は十分か?」

 

「………フッ」

 

考えタイムが終了し答えが出たのか、鈴谷は不敵な笑みを浮かべて俺の射程内へと入って来た…

 

「メインヒロインとは、いつ如何なる時も、決して退かないもの…っ!!」

 

…なんだコイツ?イカれているのか?いや、イカれているのは前々から重々承知だが、お前のメインヒロイン道なんかおかしくないか?

 

…だが、その意気や良し!熱意や良し!

 

ならば俺も全力をもって応えねばなるまい、俺の紳士道とオマエのメインヒロイン道、互いに道が交わると言うならそれは即ち一方通行!決して対面通行にはならぬのが必定、どちらかが道を譲る片側交互通行になるコトは無い

 

「いいだろう、来い………鈴谷、そして思い知るがいい、己がメインヒロインではなくついでにシナリオに入ってた気がする程度のウラシナリオだと言うコトを!」

 

遂に決戦の幕が開く!!俺の右手と鈴谷の右手が交わるその時!神話の時代から定められし聖戦の幕が!!

 

◆◆◆

 

キュウシュウに存在するとある地方基地、その、輝かしい戦果の中でも10年に1人の天才が5人同時に居た、白露型キセキの世代……

 

「で、よぉー!あの新入り!ヤキ入れてやったらママーって泣きだしてんの、マジウケる」

 

「ギャハハハハ!!村雨マジゲスいっぽい!」

 

駆逐艦とは思えない超肉体と超火力、そして、その超性能からくる確かな自信………かつては方向性の違いから互いに道を違えた事もあるが、やはり姉妹、その縁は断ち切れない

 

「やめないか、ユウダチ、ムラサメ………他のお客さんに迷惑がかかっている、白露姉さんがこう言っているんだが、僕の言うコトが聞けないのか?」

 

「わ、悪りぃ!悪かった…!悪かったよ時雨ぇ!」

 

「へ、へへ…アタシらチョーシにノり過ぎてたよ、へへ…カンベンしてくれよ!」

 

「ダメだ、お前達から誠意を感じないな……両の目をくりぬいて謝罪するんだ」

 

姉妹は皆、長女である白露を敬い、憧れの対象とし、その姉妹仲は鉄の結束であった…

 

「あ、あの…時雨?別にお姉ちゃんそこまでは…」

 

長女である白露、そのカリスマは絶対である!!

 

「…そうかい?まぁ、白露姉さんがそう言うなら…」

 

長女である白露、そのカリスマは決して次女の前に霞んだり、存在感を失ったりはしない!!





次回からたぶんifエンド回
誰を書くかはまだ未定の見切り発車ぶり


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提督とルート分岐のエンディング⑪

帰ってきたifエンド回、今回も全3回で6本の予定

とりあえず最初の2本立ては〜…

【雲の彼方に】
【The dream of sheep】

…の2本です、うふふふー


【雲の彼方に】

 

かつて、戦争があった…

海から現れた人類に害意を持つ謎の生物、深海棲艦の出現に端を発したこの戦いは世界の海を巻き込む全面戦争となり、海の覇権を狙う様々な勢力が長きに渡り争い、ようやく終わった………しかし、戦争が終わったその時、人類、そして深海棲艦全ての故郷である母なる海に致命的なダメージを与えてしまった、この戦争に、勝ちも負けもなかった…

 

そして、十数年の時が流れた…

 

「と〜………言うワケで、テイト……あ、部長にはこちらの件をお任せしたいのですが」

 

「へいへい…」

 

…あの戦争から十数年、大した戦果もやる気もなく、軍をクビになった俺は退職金を元手に起業でもするかと小さな町工場を立ち上げた…

ア●ルへの負担を軽減し、自然なフィット感を与える画期的な下着、名付けて“辱王”を開発した俺は様々な企業にこれを売り込んだが、やはり名もないただの町工場の商品、そんなものが簡単に売れるワケもなく、銀行からの融資が厳しい状況に追い込まれた…

 

しかし、そんな“辱王”を救ったのは、俺と同じく軍を辞めて起業し、成功をおさめていた夕雲だったッ!!夕雲は銀行から融資を受けられない俺に、業務提携と言う甘い言葉と人妻みたいな色気で俺を誘惑し、まんまと“辱王”のパテントを手に入れた…

 

「っーかまた出張かよ、俺、最近家に帰ってないんだけど?ウチのハムちゃん餓死してるんじゃねーの?」

 

「大丈夫ですよ、テイトクが飼ってるハムちゃんは浜波さんがちゃんと餌を与えてますから」

 

「ふ〜ん」

 

ちなみに、俺の工場は夕雲からM&Aと言う名の乗っ取りに遭い、今の俺は夕雲が代表の大手下着メーカーEve Cloudの社長室付秘書部秘書課のスーパーマルチメディア部長と言うよくわからない肩書きを与えられて飼われている…

 

そして、現在の俺の住居はこの夕雲と姉妹が住んでいる住居の一部を社宅として借りているのだが…

 

「あぁそうそう、今度の件ですが、清霜さんも同行させてくれますか?」

 

「清霜を…?はぁ、別に構わんが」

 

「そうですか、では後で連絡しておきますね」

 

そう言って夕雲はスマホを鞄に入れ、席を立つと壁に掛けてあったコートを手に取った

 

「外回りでも行くのか?」

 

「いえ、これから私用がありまして…」

 

「ふ〜ん」

 

私用か、まぁ、どうせ秋雲の野郎から手伝いでも頼まれてるんだろう…

なんやかんやで念願のプロとしてデビューした秋雲、しかしプロと言っても好きなものを好きに描けるワケでもなく、本人が描きたいアツい少年漫画ではなく毎日毎日あばばばばーとか言いながらホモ臭い漫画を描いており、それなりに人気を得ている

 

「秋雲センセイ、あと、巻雲と風雲にもヨロシク言っといてくれ」

 

「はい」

 

ーーー

 

「ただいマッスルインフェルノ」

 

閑静な住宅街からやや離れた小高い位置にある夕雲姉妹の住む家、いや……家と言うよりは屋敷と言うべきか?とにかく広い…!敷地内でベースボールとラグビーが同時にできちまうぐれー広い!

その敷地内にあるワリとボロい古屋を借りている俺は社宅と言う名のボロ屋に帰ってくると、早速ネクタイを緩め上着を脱いだ…

 

「…おかえりなさい提督、今日は秋鮭と豚汁を御用意しています」ボソボソ…

 

「あぁ、ただいま………あとキタローくん、提督の部屋掃除してくれるのは有難いんだが、鍵とかかかってなかったかね?」

 

「…差し出がましいとは思いましたが合鍵を使わせて頂きました、ただ、お部屋の物はゴミ箱に入っていたもの以外は捨てていません」ボソボソ…

 

「そうかね」

 

…たまにこうして家に帰ってくると、いつもキタローくんがこうして出迎えてくれるのだが、俺のプライバシーについて一度よく話し合ってみたい

 

「…こちらにお持ちしましょうか?」ボソボソ…

 

「いや、あっちで食うよ」

 

「…そうですか」ボソボソ…

 

ちなみに、あっちとは姉妹が住んでるデカい方の家だ、最新のセキュリティを備えているらしく、侵入者はキャットの子1匹生かして帰さない安心安全のセキュリティらしい

 

そんなワケで、俺はささっと着替えを済まして姉妹が集まっているらしいデカい方の家へと向かった…

 

「あ、テイトクだ」

 

「今日はいるんですね?珍しい」

 

「へぇー、あ、ヤベ!死んだ」

 

やたらとデカいリビング、そのリビングでゴロゴロと転がりながらゲームやってる長波と高波と早波…

 

「っしゃおらぁー!」

 

「いだぁぁぁ!!いだいいだい!痛ァァァァァ!!」

 

「スリー!ツー!ワーン!」

 

見た事もない関節技をかけている藤波と、藤波の膝をバシバシ叩きギバーップ!オレの負けだー!と叫んでいる沖波、そして床をバシバシ叩く朝霜

 

「一生懸命回ってる、ウフフフ…ウフフフ…」

 

「…えい」

 

「な、ナニするの岸ちゃん!?なんでボールペン挿したの!?」

 

「なんとなく」

 

回し車を回し続けるハムスターを見ていた浜波と、回し車にボールペンを挿して急停止させた岸波…

 

この姉妹ども、軍を抜けた後もなんやかんやでそれなりにうまくやっているらしいのだが、今のとこ全員がこの実家暮らしらしく、夕雲も常々、誰か1人くらい嫁に行けよと嘆いていた…むしろ提督的にはまずオマエが行けと言いたかったがその言葉は飲み込んだ

 

「あ、テイトクだ、夕雲姉さんから聞いたー?」

 

「聞いたぞ、明日駅集合な、遅刻すんなよ」

 

「なんで駅集合!?同じ家なんだから一緒に行けばいいじゃん!」

 

かつてアホのチャンピオンカーニバル前人未到の7連覇を果たしたアホの中のアホ、清霜も今や立派に成長していた…

 

昔は大戦艦に!オレはなるーっ!と無邪気に言っていたが、そんなアホなコイツもいつの間にやら、大戦艦になる………そんなふうに考えていた時期が、オレにもありましたと言える大人なっていた…

 

「やだよ、なんで朝からオマエと一緒に家を出らにゃならんのだ、パパラッチされたら恥ずかしいじゃねーか」

 

「されないよ!芸能人じゃあるまいし…」

 

そんな清霜も今や俺と同じく、長女夕雲の会社で働く立派な社会の歯車だ、まぁ、かつてアホの子だった面影は未だにちょいちょい感じるトコはあるが、それなりに立派に成長した

 

「ま、いいや、それよかもうご飯だよ、ご飯」

 

清霜は俺の腕をグイグイ引っ張り早く食べよーぜ!と…

 

「…清霜、その薄汚い手を離しなさい」ボソボソ…

 

「え?ナニ?」

 

「…提督、こちらへどうぞ、清霜はあっちに座りな………いえ、便所にでも行って便器に座ってなさい、アナタの分の残飯は後で持って行ってあげるわ」ボソボソ…

 

…今、キタローくんがナニかエグいコト言っていた気がするがたぶん気のせいだろう

 

「テートク!ビール飲むかー?ビール!」

 

「あ?あぁ、あるならくれ」

 

「おらよ…っ!」

 

朝霜のアホンダラは鋭い回転をかけたビールの缶を俺に投げて寄こした

 

「…朝霜、アナタは今日、角砂糖でいいわね?投げてあげるわ、全部口でキャッチしなさい、手を使ったらダメよ?」ボソボソ…

 

…たぶんキタローくんなりの小粋なキタロージョークだろう

 

ーーー

 

「ういーっす!無事に原稿上がった秋雲さんが来ましたよー!なんか食べるモンないー?肉とかー?」

 

夕雲家の晩餐、その、ユダしかいなそうな楽しい食事の最中、ひゃー!イイ匂いがしますねー!今日はスキヤキかなー?とか言いながら秋雲を連れて夕雲達が帰って来た

 

「お、テートクじゃないっすかー?久々っすねー?」

 

「よぉ、秋雲センセイ」

 

「やだなぁ!まだセンセイってホドじゃないっすよー!アニメ化もしてないし!」

 

「そうだな、オマエの一方的なライバルの団地妻エージ先生ぐらい売れないと先生とかおこがましいな」

 

「まったくっす!クソッ!団地妻エージめッ!アンケート1位になったらアイツの漫画終わらせてやる!」

 

その団地妻エージ先生は今、あっちで食器を洗ってるけどな

 

「大丈夫ですよ、秋雲さんの漫画なら!」

 

「そうです!絶対勝てますよ!」

 

「編集さん曰く、なんか人気出てきたらしいし!あ、そーだ、5ページ目のセリフなんだけど、死なすぞダボ!の方が良くない?」

 

そして夕雲、巻雲、風雲のプロフェッショナルアシスタント集団、秋雲組の仲間達…

 

「あ゛り゛がとう…あ゛りがとぉ…!アンタさんらはこの秋雲の最高の仲間っす……いつか描けるかなぁ…?秋雲にも、ワ●ピースみたいな漫画ぁ…描けるかなぁ…」ポロポロ…

 

秋雲は秋雲組の仲間達をアツく抱きしめ、決意を新たに、そして結束を強めた…ッ!

 

「あ、そーだテートク、秋雲の漫画アニメ化したらケッコンしてください」

 

「オマエ、この流れでトンデモないコトさらっと言うのな…ちなみに答えはNOだ」

 

「えー?なんでっすか?別に良くないすか?」

 

「良くねーよ、オマエとは付き合い長いがこれまでそんなフラグ無かったよな?」

 

「フラグなんかくだらねーっすよ!いいすかテートク、ケッコンなんてのは、オマエに一目惚れじゃあ!抱くぞ!でいいんすよ!」

 

「…傾奇者か、オマエは」

 

アホらし、たぶんコイツ漫画の描きすぎでラリってるんだろ、そんなふうに話半分にハイハイ相槌を返していると、キッチンのところでキタローくんがスマホで誰かと話している姿がチラっと見えた…

 

「……はい、はい、えぇ、1位になったら私が嫌いな漫画1つ終わらせてください、え?じゃあ御社の雑誌では2度と描きません、はい、さぁ…?知ったコトじゃないです、えぇ……えぇ、前向きに、はい」ボソボソ…

 

キタローくんも売れっ子だし、きっと色々あるんだろう、色々…

 

 

………後に、秋雲の漫画は謎の打ち切りと言う憂き目にあったが、その逆境を乗り越え、違う雑誌で連載を勝ち取って人気を博して遂に念願のアニメ化を果たしたのだが、低予算だったのか、2話で力尽きて最終回まで作画崩壊する憂き目にあったのはまた別の話

 

おわり

 

■■■■■

 

【The dream of sheep】

 

かつて、戦争があった…

人類VS深海棲艦!その頂上決戦は人類最強の海軍元帥5人に託された、熱血リーダー系提督、クールで知的なリアリスト提督、浮世離れした天才提督、ナマイキショタボーイ提督、出自に不明な点があるミステリアス提督、一時は深海棲艦に追い詰められたが、彼ら5人の活躍により戦いは終わる………ハズだった、しかし!深海棲艦達はそんな彼らの力を軽く上回り、人類は敗北必至かと思われたのだが、そんな時、ひょっこり現れた6人目の提督、佐官ですらない名もなき少尉たった1人の手で深海棲艦は全滅した…

 

ちなみに彼は、いわゆる異世界から転生した系提督だったらしく、並み居る強豪深海棲艦を相手しても傷1つ負わず、むしろ、え?こんなに弱いの?チートでスイマセンと戸惑っていたが、すぐに調子に乗り、とりあえず目についた美女を片っ端からハーレムに加えていったらしい…

 

ーーー

 

戦いが終わり、海軍は軍縮の名の下、不要な戦力は解体され、俺もその解体と言う名のリストラされる側にモチロン入った…

 

「まったく売れねぇな」

 

「売れないワケないわ、だってイイ物だもの」

 

そして、俺は退職金を元手に商売でも始めるかと考え、北欧家具の販売を始めたのだが…

 

「売り方が悪いのよ、むしろこんな田舎のロードサイドで誰が買うのよ」

 

「うるせぇな、市街地だと家賃高いだろーが」

 

売れなかった、それはもうびっくりするほど売れなかった、そりゃそーだ、家具買いたいならそりゃニ●リとかイ●ア行くわ、誰だってそーする、俺だってそーする

 

「だいたいオマエ、ナニがゴトの実家なら家具を安く仕入れられるわだ、バカか?オマエと組んだ俺がバカだったわ」

 

「ハァ!?ゴトのせいにする気!」

 

「ハー………やっぱ短大の近くとかでオシャレなジビエの店とかすりゃ良かったわー」

 

退職金を元手に商売を考えていた時期、俺はたまたまゴトランドの奴と飲む機会があり、オマエどーすんの?国に帰るんだろ?とワリとどうでもいい世間話からスタートし、今何色の下着つけてんの?とか好きな子の名前言いっこしよーぜとか色々テンションが上がり…

 

…………翌日、俺の隣で全裸のゴトランドが寝ていた

 

まぁ、若さ故の過ちを認めたくないのが本音だったが、俺は大人なので過ちを気に病まず、次の糧にしようと考えたね、うん

 

しかし甘かった

 

ゴトランドはその日からもうウザいぐらいカノジョ面全開、もうフルスロットルだよ、おかげで俺が大事に大事に積み重ねてきた浜風ちゃんへのフラグもキレイサッパリ粉☆砕!俺の心は玉☆砕!基地の部下どもは提督が男を魅せたのぉー!と大☆喝☆采!よせばいいのにクズどもは基地を挙げて俺達の門出を祝った………

 

「ただいま戻りましたー」

 

そんな哀しみと悲嘆に彩られた過去について考えていると、アルバイトの岸くんが出先から帰ってきた…

 

「おう、おかえり」

 

「どうだった岸ちゃん?家具売れた?」

 

「売れるワケないじゃないですか、バカなんですか?」

 

岸くんはゴトランドのダボに言葉と言う名の鋭利なナイフを突き立てた

 

「お菓子は売れましたよ、完売です」

 

「そうかそうか!そりゃ良かった!ほら見ろ!やっぱ北欧菓子だよ!北欧菓子!」

 

どう考えても家具なんてポンポン売れるワケがねぇ……

そう考えた俺は岸くんと相談し、他に何かないかと考えた結果、一応、本場スウェーデンから来たバカが居ることを活かしてスウェーデンのオシャレなスイーツを作って売るコトにしたのだが…

 

「評判はすごく良かったですね」

 

「そうだろそうだろ!なぁオイ、ゴトランド、やっぱ家具はダメだ、明日からスイーツを主力にすっぞ、スイーツ」

 

「ハァ!?イヤよ!ゴトはここでゴトが作った家具の素晴らしさを広めるのよ!」

 

「やかましい」

 

「人類の発展と安心は完成された家具があってこそ成りたつのよ!だから……家具を軽く見る奴等に!発展と安心はありえないのよ!」

 

…ダメだコイツ、早くなんとかしないと

 

「岸くん、岸くんからもこのバカに言ってやってくれ」

 

「ゴトランドさん、正直マジキメぇです」

 

「ヒドいっ!!岸ちゃんヒドいわ!!ゴトのコト嫌いなの!?」

 

「……そうですね、まぁ、単純な好きか嫌いかの二択を迫られるとかなり迷いますが、ゴトランドさんとは同期のよしみもありますし、付き合いも長いですし、ぶっちゃけドン引きする点も多々ありますがギリギリで好きを選びますね」

 

「き、岸ちゃん!」ポロポロ…

 

ギリギリ好きに仕分けられたゴトランドは岸くんをアツく抱きしめ、アリガトウ!アリガトウ!とアツい涙を流した

 

「アリガトウ岸ちゃん!岸ちゃんにチ●ポあったらゴトはこのフニャ●ンメガネじゃないで岸ちゃんを愛したわ!」

 

「誰がフニャ●ンだ」

 

むしろコイツが性豪すぎる、コイツ、夜はとんでもないサキュバスだよ

 

「提督とゴトランドさんの爛れた夜の生活とかどうでもいいので離してください」

 

「あ、ゴメンゴメン」

 

しかし岸くんもなんだかんだと軍を抜けた後も俺たちに付き合ってくれるあたり、ぶっきらぼうだが根はとても良い子なのだろう

 

「とりあえず明日からスイーツ主力にすっぞ、スイーツ」

 

「家具はどうするのよ?」

 

「スイーツのついでに家具もいかがですかー?って勧めろよ」

 

「ナルホド……アリかも!」

 

 

こうして、俺達の店はスイーツショップへと華麗な転身を遂げ、まったく売れなかった売り上げは右肩上がりに順調に上がっていった…

オシャレなスイーツショップへと転身する際、意外にも店の商品であった家具が店のオシャレさにマッチしたのか、北欧系カフェとしてバエルと言う思わぬ副産物として機能し、なんやかんやで家具もそこそこ売れるようになった

 

 

「ところで岸くんはなんでウチで働いてくれてるのかね?」

 

店も右肩上がりの軌道に乗ったある日、ふと、岸くんに聞いてみた

 

「………笑いませんか?」

 

俺の質問に、珍しく困ったような顔をした岸くんは少し考えた後、ゴトランドがウチの庭で飼っていた黒くてモコモコした羊を指差し…

 

「………アレ、可愛くないですか?」

 

ワリとしょーもない理由だった

 

おわり




次回は〜…

【我儘な美女】
【My little lucky girl】

の予定です、たぶん


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提督とルート分岐のエンディング⑫

全三回の二回目、今回のお話は

【我儘な美女】
【My little“lucky”girl】

…二本立て、二本挿しじゃないよ、二本立て


【我儘な美女】

 

かつて、戦争があった…

海軍、深海棲艦、ネオ海軍の三つ巴のドロ沼の戦い、血で血を洗う戦いは、戦争を遊びにしている海軍の上級将校、南風提督と戦艦レ級は壮絶な一騎討ちを繰り広げ、怒りに震え、魂をパワーに変えた戦艦レ級により南風提督は討ち取られが、南風提督最後の執念により、戦艦レ級もその心を壊し、その果てに戦いは終結した…

 

…刻は、まだ涙を流し尽くしていないのかもしれない

 

ーーー

 

深海棲艦との戦いが終わり、早期退役制度を利用して軍を抜けた俺は多少色がついた退職金を元手に、軍在籍時からザラ姉ぇからちょいちょい作り方を教えて貰っていたピッツア、ボルチーニ茸ものっけたアツアツのマルゲリータを出す本格ナポリ窯の店を始めたワケだが…

 

「おかわり」

 

「おかわり、じゃねーよ、金払えよテメー」

 

「払うわ、天城が」

 

…店を始めて二週間ぐらいだっただろうか、新規オープンの効果も多少薄れてきたなぁ〜と感じていたある日、なんか見覚えのある白髪の美女がフラフラと店に入ってきた

 

美女は“1人でコレ食うのか?ウソだろ”とドン引きする量を注文し、それを食べ………ついで、さらに追加した

 

しかし!!女は金を持っていなかった

 

ドン引きする量をたいらげた女はゲーップと美女にあるまじき汚いゲップを吐き、じゃあねと店を出て行こうとしたが、そうは問屋が卸さない、たとえ美女だろーがおっぱいデカかろうが逃すワケにも許すワケにもいかない

 

『うるさいわね、お金ならないわよ』

 

『…金がないなら身体で払え』

 

…こうして、軍在籍時に部下だった無銭暴食犯、雲龍はウチの店で働くコトになった

 

働くコトになったのだが…ッッッ!!この女!マジで最悪だったッ!!接客はまぁ一応ギリギリ許せるとして、この女、ちょっと俺が目を離したら商品を平然と口に入れやがる!!しかも何の悪びれもなく!

 

「ただいまー!配達終わったよー!」

 

「おう!お疲れ!」

 

そんなデカパイだけがとりえの雲龍に頭を痛めていると、ウチで働く雲龍三姉妹の三女、葛城がデリバリーから帰って来た

 

「葛城だけ?天城は?」

 

「天城姉ぇ?今日は老人会の集まりに呼ばれてるけど?」

 

「そう、じゃあ葛城でいいわ、このクズが金払えってうるさいのよ」

 

「あー…」

 

葛城はとても哀しい目をし、おいくらでしょうか?と尻ポケットから財布を取り出したが…

 

「心配ない、コイツの給料から天引きする」

 

「そ、そう…」

 

俺は絶対に雲龍に身体で払わせてやる、そう、絶対

 

「オラ、テメーも食ってないで働け、働いたら食わせてやる」

 

「うるさいわね、はぁ…」

 

よっこらしょとか言いながら気だるげに立ち上がった雲龍はイラッシャイマセーと言いながら男性客のいるテーブルへと行き…

 

「それじゃ少ないわ、もっと注文して」

 

「ハヒィ!!」

 

「あと10枚!あと10枚追加しますー!お持ち帰りでーッ!」

 

…各テーブルを周り、注文を取ってきた雲龍はオーダー票をカウンターに叩きつけた

 

「早く焼いて」

 

「クッ…!コイツ…!」

 

この雲龍、やる気だけは人一倍なさげだが人気だけはある…っ!ウチの客に、圧倒的に男の客が多いのは間違いなくこの雲龍のおかげであろう…

見た目だけは美女でそしてあのデカパイ、近所の学校の男子高校生が毎日ギンギンになって食べに来るのはモチロン、近隣で働くサラリーマンだって昼間からギンギンだ

 

しかし、ただデカパイだけのウェイトレスならそこまでだが、雲龍はさらにそのナナメ上を行く!

 

「………それ、美味しそうね」ジュルリ…

 

「よ、良かったら…どうぞ」

 

「そう?悪いわね」

 

接客中にもかかわらず、雲龍は客の座るソファーに自分も座り、今、自分が出したピッツアに遠慮なく喰らいつく!

 

「アナタ達も食べたら?美味しいわよ」ニコッ

 

デカパイ美女が己の隣なり正面なりでサービスを提供する悪魔的商法…っ!並みの中高生ならカチンコチンになる…っ!常人にできない、これを天然かつ自然にやってのける悪魔的風俗営業…

 

「…葛城ぃ」

 

「なに?テンチョー」

 

「オマエのねーちゃん、なんなの?」

 

「オマエのねーちゃんって…どっち?雲龍姉ぇ?それとも天城姉ぇ?」

 

「デカパイの方」

 

「どっちもデカいんだけど…」

 

そこに気付くとは…大した葛城だ、そんな葛城は若干イラっと感じで保冷器からコークを取り出して瓶の蓋を歯でワイルドに開けると、丁度店の扉が開き、売れない演歌歌手みたいなのが帰って来た

 

「ただいまー…って、なんか忙しそうね」

 

「おう、早速で悪いがオマエも入ってくれ、あのバカなんとかしてくれや」

 

「えー……ちょっと休ませてくれても…あ、コレお土産の幕の内弁当ね」

 

雲龍姉妹の次女、天城、姉妹の良心とも言える常識人であり、ウチで働く傍ら、主に、スーパー銭湯や旅館などでたまにステージに呼ばれて演歌を歌っており、近所のジジババからそこそこ人気があるらしく、最新シングルの限界突破☆サイババーは意外と売れたそうだ

 

天城から余り物らしい幕の内弁当の袋を受け取り、とりあえず冷蔵庫に入れ、俺は再び窯の前へと移動した

 

「まぁいいや、天城、葛城、オマエらは真面目に頼むぞ、真面目に」

 

「はいはい」

 

「はーい」

 

 

俺が目指したのは本格ナポリ窯でバエル感じのオシャレなお店だったのだが、ネットでウチの店を検索すると、美人でデカパイ三姉妹のいるピザの店との評価が書かれており、軽くヘコんだが………まぁ、これはこれでアリなのかもしれない

 

おわり

 

■■■■■

 

【My little“lucky”girl】

 

かつて、戦争があった…

人類と深海棲艦、決して相容れぬ、分かり合えない存在同士の最終決戦は互いに甚大な犠牲を出す激戦となった、しかし、そんな最終決戦の中、それでも、人類と深海棲艦は分かり合える!と信じる者がいた…

互いに武器を捨て、心を開き、言葉を交わす、あまりにも簡単なコトであると同時に、あまりにも難しい…

だが、人と人、人類と深海棲艦は分かり合える…!それは、まさに奇跡だった………不思議な光の中、さっきまで互いに武器を持った者同士が、穏やかな心でそれを理解したのだった…

 

そして時は流れ、人類と深海棲艦の共存、平和の道を歩み出す…

 

ーーー

 

………共存、そして平和、そんな世界に過剰な武力など必要ない、世界は脱兵器へと舵を切り、各国に存在していた軍隊は緩やかに、しかし確実に解体、軍縮され、人間のプリミティブな部分を集めた最低最悪の海軍大佐である俺も職を失った…

 

イイトシこいて無職になりはしたが、これは良い機会だと前向きに考え、かつて夢だった“西欧文明ドナウ起源論”を研究するべく、俺はニホンを出て活動の場を英国へと移した…

 

「Darling!紅茶飲ムー?」

 

「そうだな、アツいヤツを淹れてくれないか?」

 

「OKー!任せテー」

 

北欧ヨーロッパ、グレートブリテン島、スコットランドの郊外にあるやたらとデカい石造りのタフな建物……ゴキゲンな住宅だ…

 

………さらにゴキゲンなのは、この住宅には、頼んでもないのに安心のセキュリティを提供する聖なる騎士と、これまた頼んでもないのにオハヨウからオヤスミまで身の回りの世話をしてくれるリトルメイドさんが居るコトだが…

 

「ハイ!紅茶ー!」

 

「ありがとう」

 

「Jervis、私にもteaを淹れてくれないか?」

 

「は?死ね」

 

軍を離れ、国を離れた俺が何故こうなったのか、そこには深い理由があった…

 

英国へと渡る際、ある“高貴な御方”が我が国へといらっしゃるのでしたら是非私の下で仕え……働きませんかと有難い申し出を頂いたが、そこは丁重にお断りした

たとえ国を離れたとしても心はサムライ、KNIGHTにはなれませぬと…

 

その大和男児の心意気に、ある“高貴な御方”はいたく感激したらしく、ならば私からせめてもの贈り物をさせてくださいと言って、この住居と、そして…………面倒くさい女騎士とグイグイくる小淑女を押し付けてきた…

 

「ってカArk、サッサと国に帰ったラー?」

 

グイグイくる小淑女こと、ウチで働くリトル・メイドのジャーヴィス…

 

「フッ、帰るも何もここが自宅だからな」

 

面倒くさい女騎士こと、陛下のセ●ム、アークロイヤル…

 

…何故陛下は俺にこいつらを押し付けたのだろうか?もしかしてアレだろうか?私に仕えなさい!って話を断ったから実はスゲー怒っていたんだろうか?

 

…だとすれば、断頭台に上がらなかっただけマシと考えるべきか

 

「Admiral、そろそろ小麦の収穫時期になるが…」

 

「そうだなぁ〜…今年はなかなか出来が良いって話だな」

 

水路の改造やら土の改良やら色々あったが、まずまずの成果といったところか…

 

「あぁ、領民もこれも新しい領主のおかげだと喜んでいる、街にも活気が出てきた」

 

「ふ〜ん」

 

「Darling!アトで買い物付き合っテー」

 

「あ〜…はいはい、買い物ね、買い物」

 

今日も平和だ、そして今日も何気ない日常のヒトコマ…

 

 

……………おかしい

 

 

何かがおかしい、俺はこの国に、かつての夢であった西欧文明ドナウ起源論を研究する為に来たハズなのに、何故か近所の人達から領主様領主様と慕われている…

 

やはりアレだろうか?陛下がくれたこの家、やはり一小市民が住むにはデカすぎる………そう、デカすぎ…

 

 

っーか、城じゃねーかァァァァァァ!!

 

 

どう見ても城ッ!castle!!圧倒的…城っ!!

 

そりゃ近所の人だって誤解するし、俺だって誤解する

 

しかもさらにタチの悪いコトに、たまに外に出ると、このリトルメイドがやたらと俺にグイグイくるのを街の皆様に見せつけているせいか、領主様はロ●コンである疑惑もある…

 

「あ、そーだDarling!コレにサインちょーだい」

 

「あー?」

 

ソーソーとか言いながらジャーヴィーくんが取り出した一枚の紙キレにサインをしたが………よく見たら右下あたりに女王陛下の国璽が捺印されているのを、俺じゃなきゃ見逃していただろう

 

「…ジャーヴィーくん、それ、なんの書類だ?」

 

「エ?婚姻届ー♪」

 

「へー…婚姻届かー………へー」

 

って!!デキるかあァァァァァァァァァァ!!認められるか…っ!通るか…っ!そんなもん!無効!無効だ…っ!

 

…だがヤバい、あの書類はヤバい、女王陛下の国璽が押された本物っ!しかもこのジャーヴィーくん、女王陛下が可愛がるだけあって、マジで良いトコのお嬢様だったらしい…

 

「アトはコレをLadyに渡せば〜…」

 

「まぁ待ちたまえよジャーヴィーくん、まぁお茶でも飲んで、話でもしよーや、ほら、ここ座って」

 

「お話?エヘヘ〜…いいよー!あ、Ark、コレLadyに届けテ、大至急ぅ!」

 

チイィ!このガキぃ!!クソッ!こうなったらアークロイヤル!お前だけが頼りだ!オメーならデキるってオラ信じてっぞ!

 

俺はアークロイヤルの目を見て…“頼む!”と全てを伝え、アークロイヤルは“わかった!私に任せておけ!”と右手の親指をグッと立て…

 

「Jervis、残念だがこのArk RoyalとAdmiralは既にSteadyな関係でな、モチロン毎晩身体を重ねている!」

 

「ハアアァァァァァ!!?」

 

オマエもナニ言ってるんだァァァァァ!!オマエ全然わかってねぇじゃねぇーか!!ナニが任せておけだよ!よりややこしくなったじゃねーか!!

 

「ウ、ウソ…?ウソよ!!ArkとAdmiralが…!」ガタガタ…

 

いや、だがジャーヴィーくんには効いているらしい…ちょっと考えりゃすぐバレるウソだが

 

「フッ…モチロン、ウソだ………だがそう焦るなJervis、コレは私が預かろう、いつか、だがそう遠くない未来、オマエが真の淑女になった時、これは我が女王陛下へと渡そう」

 

「Ark…」ポロポロ…

 

騎士と姫との約束だ、そう言ってアークロイヤルはジャーヴィーくんの頭に手をポンした、やだ…ナニこのイケメン騎士様、惚れてしまいそう!

 

「なるワー!真の淑女に!Darling!真の淑女って身長どれくらい?Arkくらい?」

 

「え?あぁ、そうだなぁ〜…156㎝ぐらいじゃねぇかな?たぶん」

 

 

…後に、この地方には156㎝の姫君の波乱に満ちた人生、そして邪悪なオークの群に神に祝福された装備の力を過信してたった1人で立ち向かった赤い髪の騎士、遥か東の国から来たミスター・サムライの逸話が幾つか残り、後世歴史家の間で語られることになった…

 

おわり





次回の二本は

【高嶺、の花】

【タイトル未定】

ですって


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提督とルート分岐のエンディング⑬

ifエンド回最終回、今日の二本は詐欺まがいの二本立て

【高嶺の、花】
【不健全鎮守府 アーリーデイズ act1:鎮守府海域を取り戻せ!】

…の二本です


【高嶺、の花】

 

かつて、戦争があった…

ヒロイン・ザ・ヒロインの栄誉と4年間のメインヒロインの座を賭けたヒロインサバイバルマッチ最終決戦!数々の死闘と激戦の果てに生き残った熊野だったが、最終決戦の最中、突如として甦ったデビルヤマトが襲来!そして!謎の覆面ファイターの正体は、熊野の実の姉、鈴谷であった!今度こそデビルヤマトを止め、この悲劇の連鎖を終わらせる!死はもとより覚悟の上!鈴谷はデビルヤマト共々自分を撃てと叫び、熊野は姉、鈴谷のその想いに応え、涙の晴嵐天驚拳を放つのだった…

 

◆◆◆

 

…俺はどこでどう選択肢を間違えたのだろう?何度も、何度も、何度も、何度も、何度も繰り返しても、世界は何も変わらない、何が間違っているのかすらわからない、いや…おそらくは最初から…?いや、そもそも世界は間違ってなどいない、俺そのものが間違っていたに違いない!

 

「だと思うんだよなぁ〜…ボカぁ〜」

 

「うるさいですわ!ちょっと静かにしてくださいまし!」

 

「ん?あぁ、スマンスマン」

 

切って刻んですり潰したリンゴとバーモ●ト中辛を鍋に放り込み、グルグルと混ぜつつ俺は今までの人生について振り返っていた、たぶんアレだろうな、あぁ、たぶんアレだわ、やっぱ酔った勢いって良くないよな、五月雨の野郎から“提督はベッドの上でも疾風ですか?”とディスられたし…

 

俺も誇り高きキュウシュウ男児、責任は果たさねばならないと考え、とりあえず綺麗だからと黄色の薔薇の花束を買っていざ告白の刻!と臨んだら鼻で笑われたがアッサリ快諾、そして、それからなんやかんやあったものの、俺は海軍少将となり、若くて嫉妬深い妻と疾風ではないもののようやく生まれた子と、庭付き一戸建て(建て売り)とそれなりの生活を送っていた…

 

「う〜ん………難しいですわね」

 

「返せよ!なー!返せって!」

 

「もうちょっと!もうちょっとだけ考えさせてくださいまし」

 

リビングで知恵の輪をガチャガチャしてるアホな妻と、知恵の輪の持ち主である息子はオレがやるから返せよーとまとわりついていた…

 

「…フンッ!!」

 

ブチィィィ!!(知恵の輪ァ…)

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ァァァ!!知恵の輪ァァァ!」

 

「できましたわ!どうです!母はやはりスゴ…」

 

「な、ナニすんだババアー!!」

 

「ダァァレがッ!!ババアですの!なんて口の利き方…ちょっと!ちょっと!アナタ聞きました!?この子!母をババアって…」

 

熊野はお母様は許しませんよー!とか言って息子を捕まえ、尻を出しなさい!尻を!と言いながらズボンに手をかけた

 

「やめろォ!タスケテ!父さん!タスケテー!」

 

そんな悲痛な息子の声に、たぶんダースベ●ダーもこんな気分だったのだろうと思いつつ、俺は遊んでないで皿でも用意しろよとリビングで暴れる熊野にみかんをぶつけた

 

「痛い!ですわ!!」

 

「痛いですわじゃねーですわ、ったく…」

 

既に軍を辞め、家庭に入り、一子をもうけた熊野だが基本的にはアホのままだった、いや、まぁ、昔はそこにイラっとしてたが、ある意味そこがチャーミングな点でもあり、現在もよくイラっとはするが、この底抜けのアホさぶりに癒されるコトもある

 

そんな若くてアホな妻と、顔立ちだけは母親譲りのジュ●ンボーイでクラスではなかなかモテているらしい息子は互いにチッとか言いながらテーブルへとやって来た…

 

「そう言えばそろそろ授業参観ですわね…聞きましたわよ、お隣の名取さんから」

 

「…ねーし、授業参観とか」

 

熊野はカレーを食いつつ授業参観のお知らせのプリントを既に貰ってますわよねぇ〜?と言いながらウスターソースを息子のカレーに一滴一滴垂らす…

 

「ってか母さん来るなよ!父さん来てくれよ!父さんが!来週の日曜…」

 

「えー…だって父さん忙しいしなぁ〜、来週日曜はバ●ターコールあるかもしれねぇし」

 

「ないよ!ない!ってかいつもいつもバ●ターコール言い訳に使うなよ!」

 

「ワガママ言うんじゃありませんわ、大丈夫!来週の日曜ですわね?この母がちゃ〜んと行きますわ」

 

「だから来るなって言ってんだよォ!!」

 

…まったく、気難しくて繊細な年頃ってやつだな、まぁ、コイツの気もわからなくはないが、そう言えば以前、お隣の名取さん(人妻)にキチンとお礼が言えて偉いねって頭撫でられてた時、妙にウキウキしてたなコイツ…

 

「まぁいいじゃねぇか?何が気に入らねぇんだ?」

 

「全部」

 

「は、反抗期…っ!これが世に言う反抗期ですのね!」

 

いや、単に熊野がウザいだけだろう?わかるってばよ、あるよな、そーゆー時期が………いや、時期関係なくややウザいが

 

「ハァ…ったく、まぁオマエの気持ちはわからんでもないが、ま、諦めろ」

 

「大人はすぐに諦めろって言う!」

 

「それが大人の特権だよ」

 

俺は我が子を谷に突き落とした

 

「あ、そうそう、今度鈴谷がウチに遊びに来ると言ってましたわ」

 

「あ?」

 

鈴谷か……アイツ、軍を辞めた後、カレー屋になる為にインドで修行するとか言ってインドへ渡り、カレーの技ではなく聖なる力(チャクラ)的なものを習得して帰国、現在は闇の仕置人、瑪●門・鈴谷として活動しているらしい…

 

「鈴谷か、懐かしい名だ…」

 

「先月も来ましたわ」

 

「そうだっけか?」

 

「えぇ、わざわざ私の目の前で私の旦那様を誘惑し、旦那様もまんざらでもなさげなだらしない顔をしていましたわ」

 

「そうだっけか?」

 

だってエロいんだもん、アイツ、トシの近い姉妹なだけあって熊野とはよく似ているが、アイツには熊野に抜けているドエロスが詰まっている

 

「…ま、いいですわ」

 

熊野は大して気にした様子もないらしく、スプーンでカレーをすくって口に運んだ

 

「甘いですわね」

 

「オマエが甘いの好きだからな」

 

「えぇ、好きですわ」ニコッ

 

 

個人的にはカレーは辛いのが好きだが、まぁ…好きな女に合わせるのも悪くないわな

 

おわり

 

■■■■■

 

【不健全鎮守府 アーリーデイズ act1:鎮守府海域を取り戻せ!】

 

母なる深海から現れ、突如として人類に牙を剥いた人類の天敵!深海棲艦、そして、この世に邪悪が蔓延る時、必ず現れる希望の闘士!艦娘、艦船の艤装を身に纏い、その拳は空を裂き、その蹴り大地を割る、この海上の愛と平和を守る誇り高き戦士達である…

 

「えー…戦艦レシピ戦艦レシピ、あぁ、あった、コレだコレだ」

 

「提督さん?ナニしてんの?」

 

「あ?見てわかんねーのかカス、相手は戦艦だぞ?戦艦」

 

あのな、戦艦はすごい艦だ!恐竜みたいなもんだ!ガンガン殴られても平気な浮かぶパンチングマシンさ!とアツく由良さんの肩を叩き、戦艦の必要性を力説した…

 

先日、遂に現れた敵の戦艦級、戦艦ル級、そのおそるべき強さに俺たちは戦慄した、駆逐艦や軽巡とは桁違いのパワーとタフネス、そして、真におそるべきは砲撃フェイズが一巡し終わったかと思いきやまさかの追加ターン!その圧倒的な超性能の前に敗北を喫した俺たちは、対戦艦ル級の作戦を模索し、一つの結論へと至った…

 

そうだ!戦艦を作ろう!

 

「どこにそんな資材あるのかな?ね?」

 

「心配すんな!資材ならギリギリある!」

 

「ギリギリね、うん、ギリギリ…」

 

ウチのような実績もない田舎の零細基地には上も期待していないのか、資材はなかなか回ってこない、それだけに弾も油も貴重品である

 

「由良の艤装、油切れてるんだけど?」

 

「ガッツで補え」

 

「由良の艤装、なんか煙出てるんだけど?」

 

「勇気で補え」

 

由良さんは笑顔で一旦距離を取り…

 

「舐めてるんじゃあないわよ!!このカスがァァァァァ!!」

 

強烈なボディブローが俺の腹にメリ込んだッ!!

 

「オゴォ!!……クッ、テメー……上司にナニしてくれてんだコラァ!!」

 

俺の膝が由良さんの腹にメリ込んだッ!!

 

「ンギッ!!……こ、この…っ!!」

 

「だいたいテメーらが悪りぃーじゃねぇーか!あ?戦艦ぐれー殴り殺してこいや!バカか?あんな屁みてーなパンチで戦艦相手にペチペチして勝てるかボケ!ナニが軽巡だ、フェザー級か?あ?」

 

「あー………キレたわ、由良、完全にキレちゃったわー」

 

「おぉ!キレろキレろ!怒り狂え!怒りと憎しみがオマエを強くするんだよ」

 

由良さんは執務室に転がる鉄パイプを、俺はカドの尖った段ボール箱を手に取った

 

「死ねェェェェ!!」

 

「上司に向かって死ねとはなんだテメー!立て!修正してやる!」

 

ガチャ…(扉オープン)

 

「失礼しまー……って!提督、由良さん!ナニしてるんですか!?」

 

俺たちが互いに髪を引っ張り合い、ブス!このブス!と憎しみをぶつけ合っていると、なにやら書類みたいなのを持った髪の長いのが執務室へやって来て俺たちのアツいファイトを止めにかかった

 

「ジャマよ!!殺さなきゃ……コイツだけは!」

 

「ちょ…!由良さん、落ち着いて!ホント落ち着いてください!ほ、ほら!提督も…」

 

「ハハッ!お前もその仲間に入れてやるってんだよ!」

 

「遊びでやってんじゃないんだよー!」

 

その時、由良さんが不思議な光に包まれた

 

「…な、なんだと?あ、あ…あれは…?」

 

燃料(いのち)は、燃料は力なのよ、燃料は、この海を支えているものなのよ!それを、それを…こうも簡単に失っていくのは、それは……それは酷いことなのよ!!」

 

「こ、こいつ…何だ?」

 

「ナニが楽しくて、戦いをやるの!貴様のような奴はクズだ!生きていちゃいけない奴なのよ!」

 

「誰がクズだ!」

 

由良さんが再びパンチを放つが、そんなスローで貧弱なパンチなどこの提督様に…

 

ドゴンッ!!(お腹パンチ)

 

「ブハァ!!!バ、バカな……な、なんだこの力は!」

 

コ、コイツ……さっきまでとはまるで別人だ!それにさっきの光、ま、まさか!まさかコレが“改”の力だとでも言うのか…!この土壇場で、施錠(ロック)された可能性の扉を開け、新たなステージへと上がったのか!

 

「ク……ククク、ハハハ……ハァーッハッハッハ!さすがは由良さんだ、まさかここに来て“改”へと進化(エヴォリューション)するとはな、だがッ!!」

 

俺の手には既に建造スイッチがあり!指がかかっている!由良さんもそれに気付いたようだが、一手遅かったな!

 

「サミー!!そいつは戦艦“レシピ”を建造する気よ!そいつにスイッチを押させちゃあいけない!」

 

「え?え?戦艦レシピって…え?」

 

「いいや!限界だ!“押す”ね!」

 

勝ったッッッ!!そしてようこそ!我が基地へ戦艦よーッ!!

 

カチッ!!(建造ボタン)

 

「………ん?」

 

カチッ!カチッ!(建造ボタン)

 

「あれ…?おかしいな、故障したのか?オイ、由良さん、なんかこのボタン壊れてない?」

 

えー…?マジかよ、参ったなこりゃ、電池切れてるだけならいいんだが…

 

「あのぉ〜…提督」

 

建造スイッチを振りながらもしもーしとやっていると、書類仕事任せたサミー子ちゃんがなにやら申し訳なさげな顔で声をかけてきた

 

「資材なら、さっき遠征とか演習して帰ってきた部隊に全部使っちゃいましたけど…」

 

「は?」

 

「だってほら…さっき」

 

さっき…?さっきと言うと、午前中か…

 

『あのぉ〜…お昼過ぎに遠征から帰って来た子と演習で使う分の資材、コレくらいになりそうなんですけど』

 

『ん?あぁ、うん、補給な、ケチケチすんな、腹いっぱいにしてやれ』

 

『はいっ!……って、ナニしてるんですか?それ』

 

『え?ガンプラ』

 

あー………そうだそうだ、言ったけな、そんなコト、話半分で聞いてたわー

 

「そっかそっかー、そうだったわなー」

 

いや、失敗失敗!そういやそうだったわ、ならしゃーなしだな、とりあえず今週は出撃は控えるとして…

 

「提督さん?」

 

俺の肩に手が置かれ、振り向くと笑顔が素敵な由良さん

 

「よう、相変わらずチャーミングな白髪だな、KISSしてもいいか?」

 

 

笑顔の由良さんが放つパンチは、俺の顔面にメリ込み、俺はそのまま窓ガラスをブチ破って二階から落下し、全治一週間の医務室送りになった…

 

その後、安全の為に執務室の窓に鉄格子を取り付けたのは今では良い思い出だ

 

おわり




次回は神風VS文明開化
乗り遅れるな!KUROFUNEに!


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提督と神風姉妹とKUROFUNE来航

士道不覚悟よ!死になさい!

【登場人物】

提督(Admiral)
意外と便利なポ●トーク、お高価いだけはある

Iowa(アイオワ)
MAJOR最初にして最強の刺客、最近時代劇を見てる

神風(KAMIKAZE)
神風姉妹の長女、九●龍閃はあまり得意ではない


朝晩の肌寒さが身に染み、そろそろお尻の為に辛いものは控えめにしようと考えつつ執務棟の廊下を歩いていると、まるで大正時代からタイムスリップしてきたような時代-SAKU/GOな容姿でお馴染みの神風姉妹がキンパツでボインのアメリ艦と何やら話している姿を見かけた…

 

「Hi!SAMURAI GIRLS!チョットお話しいいカシラー?」

 

「ひっ!が…外人だわ!」

 

神風姉妹の長女、神風クンは突然パッキンでボインのアイオワに話しかけられてかなり狼狽えているようだが…

 

「フッ、ビビるコトないわ神風姉ぇ」

 

「アサ!あ、アナタまさか英語が…?」

 

「私じゃないでマツがね!さぁマツ!見せてやりなさいアナタの英語力を!とりあえず、おっぱいデカいからって舐めてんじゃないわよタコ!って言ってやりなさい!」

 

神風姉妹一のイケメン、松風は前髪をふわぁ〜っとしながら颯爽と姉妹の前に立ち、ナニかよくわかってなさげなアイオワはwhy?と首を傾げたその時!松風は力強くその英語力を発揮した!

 

「アイアム ア ボーイ!ジスイズ ア オクトパス!」

 

「…??」

 

松風ェ………!オイ!見ろ!あのアイオワのナニ言ってんだコイツみたいな顔!むしろ困ってるぞ

 

「さすが松風ね、なかなかのものだわ」

 

「よ…よくわからないけど、やるじゃないマツ」

 

松風驚異の英語力に朝風と神風クンはまさか妹が英語ペラペラだとは…と、感心しているようだが…

 

「Oh〜…can't you speak English at all?」

 

「ま、マツ!なんて言ったの?」

 

「キュンユ……スピ、イング………あぁ!モチロン!ペラペラさ!」

 

ダメだコイツ、仕方ない、そろそろ助け舟でも出してやるか…

 

「オイ、ナニやってんだオマエら?」

 

「あ、テイトク!」

 

「Hi!Admiral!助かったワ、チョットInterpreterしてくれナイ?」

 

アイオワはナイスナイスベリーベリーナイスとか言いながら俺をアメリカ式に歓迎し、そのMAJOR級のダイナマイトバストを押しつけつつハグで迎えてくれた

 

「オーケーオーケー、で?アイオワはこのサムライガールズに何の用なんだ?」

 

「トクに用事はないワ、単におハナシしてみたかっただけネ」

 

アイオワ曰く、最近テレビの時代劇チャンネルをよく見ており、そーいやウチにもこーゆーサムライみたいなのいたワーと思いつき、せっかくなのでお喋りしてみたくなったそうな

 

「どーカシラ?あ、そうネ!どーせなら一緒にbarbequeとかどうネ?」

 

「オイ、このキンパツボインがバーベキューでもどうかって誘ってるぞ」

 

「ば……?ばーべきゅー?」

 

神風クンは聞いた事もない外来語に頭をひねっているようだが、チャーミングなデコでお馴染みの朝風とイケメンの松風はバーベキューがナニか知っていたのか、まるでバカみてぇに肩をすくめてみせた、いや、バカだろコイツら

 

「なるほどなるほど、バーベキューね!」

 

「まったく、バーベキューのお誘いだったとはね!」

 

「アサ、マツ、アンタ達まさかばーべきゅーがナニか…」

 

「あれぇ?もしかして神風姉ぇ知らないのォー?知・ら・な・い・のぉ〜?」

 

「クッ!!」

 

ここぞとばかりに長女神風クンをディスる朝風、コイツ、デコはチャーミングだが性格悪りぃな…

 

「し、知ってるわよ!アレでしょ!ほら……ばーべを、きゅー!するんでしょ?知ってるわよ!バカにするんじゃあないわよ!」

 

神風クンはこのデコスケがー!とデコ風くんのデコに舐めるんじゃあないわよー!と言いながらビンタした

やはり長女故のプライドか、いや…むしろそれだけデコがウザかっただけか…

 

「バーベをキューだって!ギャハハハ!マツ聞いた?バーベを!バーベをキューするんだって!」

 

「ブッ……アサ、笑うのは良くない、ブフッ!!良くないよ」

 

「ク、クッ…!!コ、コイツらぁ!」

 

神風クンは悔しげにプルプルと肩を震わせ目に涙をいっぱい溜めていた

 

「春風ェ!アンタはどーなの!?知ってるの!ばーべきゅーを!?」

 

「さぁ?」

 

神風姉妹の三女、春風、見た目と髪がゆるふわ系で何を考えているのかよくわからないが、少なくとも朝風よりもマシな妹らしい

 

「旗風!アンタは?」

 

「え?あ、はい、知りません、はい、ハル姉さんが知らないと言うなら…」

 

神風姉妹の五女、旗風、普段から三女の春風に付いて回る生粋の春風スキーらしく、たぶん春風以外はゴミぐらいにしか思ってない気配が見え隠れしている

 

「ほら見なさい!春風も旗風も知らないって言ってるわ!知らなくても変じゃないのよ!朝風、土下座しなさい!」

 

「フッ…」

 

「ナニよ?その顔は、あとそのデコは」

 

「いや、ハルもハタも優しいのねって…っーか今、デコ関係なくない?」

 

おそらくは春風も旗風も神風クンが知らないだけでバーベキューが何なのか知っているのだろう、しかし、長女を立てる為にあえて知らぬふりを…

 

「まぁ神風クンそうイキり勃たないで、なぁ?せっかくアイオワが誘ってくれてるんだ、ここはいっちょ欧米文化に触れてみるのはどうかね?」

 

「ソーソー、MASAMUNEブレードでハラキリしてるトコ見たいワ」

 

アイオワはアイオワで知っている適当な日本語言ってる気がするが…

 

「ハラキリ…?アサ、やってあげなさい」

 

「イヤよ!?なんで私がぁ!?」

 

「アンタの罪状は士道不覚悟よ、死になさい」

 

「ハァ!?ってか神風姉ぇが切ればいいじゃない!ナニが士道不覚悟よ!時代錯誤にも程があるわ!まったく…そんなだから未だに文明開化について行けずKUROFUNEにも乗り遅れてるのよ」

 

「ナニが文明開化よ、このデコ!」

 

神風クンと朝風はキィーキィー言いながらこのブス!ブス!醜女!だの醜い取っ組み合いを始めたので、とりあえず俺達はまぁまぁ落ち着いてと適当なところでそれを止めた…

 

「ハー…ハー…!」

 

「フゥー!……フゥー!」

 

「Oh~…ザンネン、せっかくだし、ニホントウで斬り合うトコが見たかったワ」

 

「アイオワくん、キミ、ちょっと黙ってよーな」

 

陽気なアメリ艦特有のオーバーな身振りでザンネンアピールするアイオワは陽気に笑い、俺の背中をバシバシ叩いてきた……ってか痛い!痛い!なんだこのパワー!手加減とか知らねぇのかコイツ!

 

「マァいいワ、それじゃ庭でbarbequeしまショ!barbeque!サラ達も呼んでパーッとしまショ!」

 

「あーはいはい、オーケーオーケー、神風クン達もそれでいいかね?」

 

「え…?あ、うん」

 

とりあえず、仲良く親睦を深めるのは良いコトだ

同じ釜の飯もとい同じ網の串を食えばそれはもうフレンドと言っていいだろう、理解ある上司としては部下の親睦キャンペーンを否定する理由はない、俺は財布から数枚の紙幣を取り出しアイオワに握らせ、これで美味しいものを食べなさいと…

 

「ナニ言ってるの?Admiralも参加するのはトーゼンじゃナイ?」

 

「ハァ……I'm busy, could you give me the next opportunity? I'm sorry, I love you, true」

 

「You always do not understand my feelings!Have you really thought about me?」

 

「I always think about you…Okay, I love you」

 

俺のナイスな回答にアイオワは陽気なアメリ艦特有のオーバーな身振りで大きく溜め息を吐いた

 

「…提督、今なんて言ったの?」

 

「俺は参加しない、だが君を愛してる」

 

 

この後、なんやかんやあったが結局、俺もこの神風姉妹とアメリ艦のアメリカナイズなバーベキューに参加させられ、やはりMAJOR級のバストはハンパじゃねぇと改めてMAJORのスゴさを再認識させられた…

 

あと、ついでに、初めてバーベキューを見た神風クンは“こんな雑に焼いたもの!美味しいワケないでしょ!”と激烈プンスコしていたが、一口食べると“おいひいいぃぃぃ!”と膝を屈した…





秋刀魚…?鰯?


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提督と秋の漁業操業

ハードボイルド漁業ロマン

【登場人物】

提督(クズの人)
巨乳ならだいたい許せる、たぶん

Fletcher(巨乳)
マザーと呼ばれる聖女、尊い

Johnston(天才)
自分大好きワガママガール

村雨(ゲス)
ゲスとは呼ばれるゲス、本当にゲス



「…意味がわからん」

 

「はぁ?」

 

馬がデブになる秋の執務室、上からきたFAXを机に置いた俺は頼れる右アーム、秘書艦のカミナガ・ザ・ロングストレートに冷蔵庫に缶コーヒーあるから出してくれたまえと懇切丁寧に頼むと、ご自分でどうぞと慇懃無礼に断られた

コイツにはそろそろ上司と部下の間には絶対的な力の差があることをわからせるべきだろう…

 

「その書類、今年もサンマ獲って来いって話ですか?」

 

「今年はサンマだけじゃねぇでイワシ獲って来いってよ」

 

「…はぁ?」

 

まったく、まるで知性を感じないリストだなオイ、なんで海軍中佐である俺様がサンマやらイワシやら獲ってこにゃならんのだ、上はウチを漁船かナニかと勘違いしちょるじゃないかのぉ〜…

 

「とりあえず、いっぱい獲れたらカタパルトとか支給してくれるらしいですよ」

 

「カタパルトか〜…悪いモンじゃないな」

 

あって困るモンじゃねぇし、とりあえず今年も暇人に漁業でもさせるか、誰か釣りとか得意だろ、釣りとか………

 

「…釣り?」

 

なんだ?今、何かとても重要なことを思い出しかけた気が……釣り?釣りが得意、いや、釣りが好き…?趣味?たしか誰か、そう…誰だ?何か大切なコトのような気が

 

「なんだっけか?グゥゥゥム、思い出せぬ」

 

「そう言うコトもありますよ、私もよく比叡さんに謝りたいと思うコトありますけど何のコトかわかりませんし」

 

「ふ〜ん」

 

五月雨はお菓子棚からオ●オの箱を取り出し、菓子皿に雑にオ●オを出すと、どうぞと俺の机に置いた

 

「そもそもアレですよ、忘れるってコトは大して重要じゃないってコトですよ」

 

「たしかに……サミダリューン、卿の言うことは最もだ」

 

まさに冷静で的確な意見、やはり俺がこれから進む道にはこやつが必要だと改めて思ったね

 

ーーー

 

とりあえずタバコでも吸って気分をリフレッシュするかと考え、喫煙所へと向かっているとベンチのところにMAJORから来た助っ人外国人の駆逐艦がたむろしていた…

 

「Hi!テイトク、チョードいいトコに来たわ!」

 

MAJOR出身の天才デストロイヤー、ジョンくん、昔好きだったアイドルにどこか似ている気がするが、今はもう、好きだったのかも覚えていない…

 

「あら?テイトク、見てください!この(Net)、たぶん今こそお役に立てるんじゃないかと…」

 

MAJOR出身のキンパツボインな大型新人、フレッチャーくん、ジョンくんのお姉さんらしいが、ジョンくんの他にも顔も名前もよくわからない妹が多数いるらしいステーツの闇…

 

「サム達がサンマ獲りするヨー!」

 

MAJOR出身、スーパーフリーダムガール、サムくん、ノーパン健康スタイルで生きるまさに自由の国を象徴するオレ達のフリーダムであり、たった一つのフリーダムである

 

「ナニやっとんのかね?キミ達は」

 

「ナニって……そう!聞いてよテイトク!前にFletcherにSANMAのコト話してたんだけど、自分の(Net)でSANMA獲るとかワケわからないコト言ってるのよ」

 

「Can't understand、ワケがわからないとはナニ?」

 

ジョンくんは相変わらず馴れ馴れしく俺の間合いにグイグイ入り込んで腕を組み、姉であるフレッチャーくんのパイをビンタした

 

「痛い…っ!Johnston、アナタねぇ…」

 

「まぁまぁケンカはやめて、とりあえずジュースでも飲もうじゃないかね?な?」

 

俺は財布から小銭を取り出し自販機に入れて好きなものを買いたまえよと心が広くて気さくな上司のアピールをして姉妹がケンカをすると俺は悲しいぜとアツく説いた

 

「で?フレッチャーくん、え〜……その(ネット)?」

 

「ハイ!(Net)です!」

 

そう言えばウチに来た時から謎の網を持っていたが、フレッチャーくんはもしかして駆逐艦ではなく漁船かナニかなのだろうか?

 

「Johnstonから話を聞いて、密かにこの時を待っていたんです、コレだ!って…」

 

「へぇ〜」

 

フレッチャーくんは誇らしげに手にした網を広げてみるが、提督的には網より、むしろその大きなパイオツにしか目が行かないのだよ、まったく……この若さであのMAJOR級のダイナマイトパイオツ、参るぜ

 

「そんなワケで、このFletcher、是非ともSANMA Fes!でお役に立ってみたいと…」

 

「でー…アタシとサムにも手伝えってウルサイのよ、もうホント、なんとかならない?」

 

「Johnston……アナタ普段はロクにtrainingもせず、食べて、寝て、ちょっと出かけるとか行ってフラフラ遊び歩いて……いい?私はアナタの姉として、とても恥ずかしいのよ?わかる?」

 

「あー……もう、ウッザ、Annoying sister」

 

「ハァ!?Johnston、今なんて言ったの?」

 

「ウザいって言ったのよ!ってかナニそのおっぱい!ウザさとおっぱいの正比例か!」

 

ビタン!(ビンタ)

 

ジョンくんはフレッチャーくんの右のパイオツにビンタすると、サムくんもセーヒレーかー!と言って左のパイにビンタした

 

「痛い…っ!ちょ、ヤメて!ホントにヤメて…!Samも、真似しちゃダメよ」

 

「OK!わかったネ!」

 

フレッチャーくんはサムくんは本当に良い子ねと頭を撫で、ジョンくんに網を投げつけた

 

「ぶえっ!!ちょ…!ちょ!ナニすんのよ!?」

 

「アナタはその(Net)の中で反省しなさい」

 

「クッ…!Is quite cruel thing done!って……!ナニコレ!?」

 

もがけばもがくほど絡まる網の中でキィーキィー言いながらもがいていたジョンくんは、いつの間にやら網の中でエロいコトになっているみたいだが……提督は紳士なのでガン見は紳士として恥ずべきコトだと思い、チラ見で我慢した

正直、フレッチャーくんほどではないが、このジョンくんもやはりMAJORの逸材、並の駆逐艦では太刀打ちできないレディ・パーフェクトなボディと言っても過言ではない

 

「それでテイトク、SANMA Fesですが…」

 

「ファーックス!ヘイ!Hey!Fletcher!アタシを無視してくれてるんじゃあないわよ!コレなんとかしてよ!」

 

ジョンくんは網に絡まったままゴロゴロと転がり、ベンチの足に顔面を強打し、美少女にあるまじき汚い悲鳴をあげてビクッ!ビクッ!と跳ねていた

 

「どうですか?このFletcherと(Net)、きっとお役に立てる思うのですが…」

 

「あ、あぁ…うん、そうだな」

 

まるで母のように慈愛に満ちたフレッチャーくんも姉妹にはワリと厳しいんだな、いや、母とは時に厳しく、そして時に優しく、これはきっとあるべき姿だろう

 

そんなフレッチャーくんの慈愛に満ちたパイオツに尊さを感じていると、俺たちが居る廊下の先から、まるで鎖のようなものが飛んで来て床に突き刺さった!!

 

ズガンッ!!(鎖)

 

「な、なんじゃい!?」

 

「フッ、よく避けたじゃない?」

 

「ゲェーッ!!お、オマエはーッ!」

 

鎖を投げつけてきた犯人は聖女のパイオツとは真逆ッ!邪悪…ッ!まさに邪悪なるパイオツ!駆逐艦離れした超肉体とザ・ビッチ(鈴谷)に匹敵するビッチ力の持ち主!白露姉妹の三女!村雨ェ!!

 

「お菓子を出せっぽい!」

 

そして、村雨と共に現れた…………なんだコイツ?狼人間…?

 

「まぁ、避けるもナニもそもそも当たってないんだが……っーか何の用だ?クソビッチども」

 

「クソビッチじゃないし」

 

村雨は器用に鎖を引き抜いて回収すると、俺の隣に立っていたフレッチャーくんをチラ見し、ハッ?と鼻で笑った

 

「…あの、テイトク、こちらは?」

 

「白露型の村雨、見ての通りビッチだ」

 

「…bitchですか」

 

フレッチャーくんはなるほど、コレがジャパニーズ・ビッチと頷いた

 

「だからビッチじゃないし、ってか提督!ハナシはなんとなく聞いたわ!サンマ獲るんでしょ?ならこの村雨と!この!ちょっとイイ鎖の出番ね!」

 

「ナニがちょっとイイ鎖だ」

 

「網なんてダッサいモノより村雨の(チェーン)の方が頼りになるわよ!」

 

網より鎖の方が優れている…!その、個人的にはワリとどうでもいいモノが、フレッチャーくんのPRIDEに障ったのか、フレッチャーくんはちょっとムッとしていた

 

「鎖でどうやって魚獲るんだよ?あ?」

 

「まずはコレ!“導く薬指の鎖(ダウジ●グ・チェーン)”でサンマを探してぇ〜…」

 

村雨の鎖の先端がグイグイとマミー屋の方を指した…

おぉ!コレは意外と使える………のか?別に、ソナーとかでもいいような気もするが

 

「そして!見つけたサンマに“束縛する中指の鎖(チェーン・ジ●イル)”を巻きつけるーッ!」

 

村雨の鎖は隣に立っていた夕立?っぽい狼人間に巻き付いて締め上げた

 

「ウギャアアアアアアア!!痛い!痛いっぽい!」

 

「オイ、その技たしか前にも見たが、たしか捕まえた白露型を強制的に“絶”にするとかなんとかの身内以外に使えない技じゃなかった?」

 

「そ………そうだったかな〜?」

 

村雨は白々しく目を逸らした、コイツ、自分の力をまるで把握してねぇ…

夕立に巻き付いた鎖を回収した村雨は、あ、そー言えば村雨ノド渇いたな〜…とか言って右手を俺の前に出した

 

「なんだこの手は?」

 

「ジュース代」

 

このビッチが、いつかそのデカい乳揉みしだいて搾乳するだけでイクの止まらないように開発してやるわい…

 

そんなコトを考えていると、ニコニコ笑う村雨の肩にゆらりと立ち上がった姉妹の手がポンと置かれ…

 

「痛てぇだろが!!死なすぞダボがァ!!」

 

ドンッ!!(お腹パンチ)

 

「オゴォ!!」

 

夕立の悶絶ボディを喰らい村雨は美少女にあるまじき光る吐瀉物を吐いて床に転がった

 

「チッ、クズが」ペッ!

 

「オイ夕立、ぽい忘れてるぞ、ぽい、ノーぽいになってるぞ」

 

ーーー

 

「よぉ!テイトクさんじゃあ!」

 

「あ?」

 

喫煙所でタバコを吸っていると、これまた揉み応え抜群みてぇーないやらしおっぱいがやって来た

 

「テイトクさんからも言ってやってくれんか?磯風に」

 

「なんだ?あいつまた暗黒物質(ダークマター)でも作ってんのか?」

 

「困ったもんじゃ、っーかフツーに揉むな!挨拶感覚で揉むな!」

 

「ハッハッハ、すまんすま…」

 

………なんだ?今、浦風っぱいを揉むと何か思い出しかけた気が、何か忘れている、そう……大事な何かを

 

「思い………出せないッ!!」

 

「って!触り方やらしすぎるわ!抓るな!!」



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提督と扶桑姉妹の秋の味覚党

久々に帰ってきた扶桑姉妹回

【登場人物】

提督(空気読める大人)
魚より肉が好き

扶桑姉妹(不幸姉妹)
絶対王者・西村艦隊のメンバーでもある航戦姉妹
最近あまり出番が無く、日がな植物のように穏やかに生きている



「…ねぇ山城、最近やたらと鰯が多いとは思わない?」

 

「そうですね」

 

戦艦寮にある扶桑姉妹こと扶桑と山城が住む部屋…

今日も何事も無く平穏無事、本日の夕餉も終わり、心静かに姉妹がアツい茶を飲みつつ時間を過ごしていると、ふと、姉である扶桑が最近思っていた疑問をポツリと漏らした…

 

「…朝は焼いた鰯、昼に焼いた鰯、夜も焼いた鰯、鰯そのものは嫌いではないのだけど、こう鰯鰯と続くとさすがに飽きがくるものね」

 

「たしかに…姉様の仰る通り、最近はやたらと鰯を目にします」

 

扶桑曰く、サンマも少しは入荷しているらしいものの、その希少性から人気があり、サンマを食べたいならダッシュで食堂へ行く必要があると…

 

そして残念な事に、扶桑には人気の品が欲しいからとダッシュすると言う習慣が無く、いつも通りに歩いて食堂に行き、焼いた鰯をオカズにする憂き目に遭っていた

 

「…そうだわ、山城、どうせなら自分達で鰯以外のものを釣るというのはどうかしら?」

 

「釣り…?ですか」

 

もし仮に、何かの僥倖でサンマ定食を注文できたとしても、それを食べると言うことは誰かがサンマを食べる事ができないと言うこと……それはとても悲しいことであり、後味が良くないものが残る

 

だが、自分達で釣ってきたものならば誰に気兼ねすることなく美味しく食べることができる…

 

「嗚呼……なんて尊い!姉様はなんて尊いお考えを……姉様のためなら、サンマ漁船を襲うことやむなしと考えていた私が恥ずかしい…ッ!」

 

「…いいのよ山城、姉さんは山城のその気持ちだけで嬉しいわ」

 

「尊い…っ!尊すぎる…っ!そして優しすぎる…っ!純粋すぎる…っ!」

 

まさに菩薩!山城はあまりにも尊い姉の手を取り、感動、そして感謝の涙が止まらなかった…

 

◆◆◆

 

秋の消火設備点検でもするかと秘書艦の髪長い子と廊下を歩いていると、オシャレな法被を着た扶桑姉妹が執務棟の外で何かの準備をしているのが目についた…

 

「ナニやってんだアイツら?」

 

「さぁ?」

 

…なんだアレ?釣竿とクーラーボックス…?ロックじゃねーの?と考えていると、姉妹の姉の方と目が合った

 

「…あら提督、と………五月雨ちゃん、こんにちは」

 

「こんにちは」ペコォ!

 

「こんにちは、釣りですか?」

 

「…えぇ、山城と釣りに行こうと」

 

扶桑姉妹の姉の方、扶桑、常に幸の薄そうな“負”のオーラを放つまさしくキングオブネガティヴモンスターだが、それと同時に菩薩のごとき尊さを併せ持つ、まさにレジェンドオブ菩薩でもある

 

「チッ、釣りに行く前にゴミクズを目にするとは……ツキがオチたわ」

 

「うるせぇよ、もともとテメーにツキなんかねーだろーが」

 

扶桑姉妹の妹の方、山城、座右の銘は姉様以外は全て下郎、この世の分類は姉様とそれ以外に分類しているフシのある真性姉様スキーであり態度も性格も悪い

 

「…山城、いけないわ、提督にそんな失礼な口の利き方をしては……申し訳ありません提督、妹がとんだ無礼を………この罪、死んで償…」

 

扶桑は法被から取り出した出刃包丁を己の手首に当てて…

 

「大丈夫!大丈夫ですから!俺たち仲良しだから多少くだけた感じもあるんすよ!なぁオイ山城!」

 

「そうです姉様!私と提督は意外と気が合ったりするんですよ!ね!提督!」

 

俺たちのガッチリ肩を組み仲良しアピールを見て、扶桑はそうなのと言って儚げに微笑み包丁を法被の中にしまいしまいした…

 

「…そうだったのね、山城は昔から少しシャイなところがあるから……姉さんは嬉しいわ」

 

「あははは……」

 

まったく、相変わらず扶桑姉様さんは短絡的過ぎると言うか、過激派過ぎると言うか…

 

「それで?姉妹仲良く釣りに行こうと?」

 

「そうよ、最近鰯ばかりで飽きてきたしね」

 

「ふ〜ん」

 

たしかに最近食堂ではやたらと焼いた鰯ばかりを見かけるが……姉妹の話を聞くに、この鰯だらけの状況を打破すべく、鰯以外の魚を釣って来て食べようとのことらしいが…

 

「オマエら釣りとかやったコトあるのか?」

 

「ないわ」

 

「…恥ずかしながら私も」

 

無いのかよ…ッ!バカかコイツら、よくそれで鰯じゃない魚を釣るとか言ってたな、釣り舐めてんのか?釣りってのは釣るか釣られるか、人間と魚類がPRIDEをかけてんだよ、遊びでやっていいモンじゃねぇんだよ!

 

「へぇ、そうなの?じゃ、ガンバってな」

 

………がッ!!

 

ここでハッキリとバカじゃねーの?と言うほど俺も空気の読めない大人じゃあない、ここでナニか下手なコトを言ったら、じゃあオマエが釣ってみろよ!と釣りに付き合わされる可能性が75%、いや76%ぐらいだと俺の勘ピューターが弾き出している

 

「言われなくてもガンバるわよ、ド底辺」

 

「誰がド底辺だ」

 

このクソ妹がァ…ちょっと美人でおっぱいデカくなきゃ今すぐそのキレーなツラに鉄拳メリ込ませてるところだぜ

 

「あの……ちなみにお二人は釣り初心者と言うことですが、そんな初心者二人で大丈夫なんですか?」

 

オイ!サミーッッッ!!ナニ言ってんのこの子はァァァァァ!?大丈夫だよ!大丈夫にキマってんだろ?安心しろ!安心しろよ!

 

「…大丈夫か大丈夫でないか、不安がないと言えば嘘になるわね、ねぇ…?山城」

 

ほらァ!!せっかく穏便にスルーできそうな流れだったのに!姉様の顔に不安の影がさしてるじゃねーか!ヤバい流れじゃねーか!

 

「そう言われるとそうですが………だ、大丈夫です姉様!この山城、たしかに釣りは初心者ですが、釣りバ●日誌を読んだことがある最上から話を聞いたことがあります!」

 

「…そう、それなら安心ね」

 

セーフ…ッ!圧倒的セーフ…っ!生き残った、ギリギリで…っ!

 

山城の野郎は基本的に俺を嫌っている、姉妹仲良く釣りに行く流れだ、わざわざ俺を巻き込むなど決してしない…っ!

 

「そうか!そうかーッ!じゃ、ガンバってくれたまえよ!デカいの釣れるといいなー!ガハハハハ!」

 

「…ありがとうございます提督、じゃ……山城、そろそろ行きましょう…」

 

「はい姉様!」

 

扶桑姉様さんは丁寧に頭を下げて一礼し、山城は扶桑姉様さんが見ていない絶妙な角度から俺に首を掻っ切るジェスチャーを残し去って行った…

 

あの野郎ォ……いつか必ずヒィーヒィー言わせて姉様に謝らせながらオチ●ポ様に屈服させてやるわい

 

「………はぁ、っーかサミー」

 

「なんですか?」

 

「ナニがなんですか?だ、よくそんなシレッとデキるなテメー…」

 

「そうですかね?」

 

 

後日、いつものように陰鬱なオーラを醸し出しつつ食堂で焼いた鰯を食べていた扶桑姉妹に釣果はどうだったかと聞くと、はぐれイ級が一匹釣れたらしく、どうにか調理できないかと考えた結果、焼いてみると結構クサかったので海に棄てたそうな…

 

あと、潜水艦どもから生かきをバケツ一杯貰ったらしく、焼いて食べたら美味かったそうな





次回は男の中の男、球磨姉ちゃん


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提督と球磨と不器用さらば

猛獣注意

【登場人物】

提督(中佐)
愛煙家、必殺技のホワイトランチャーは駆逐艦のキッズから特に嫌われている、暁ちゃんからオヤジ臭いと言われちょっと傷ついたガラスの心

球磨(長女)
球磨姉妹の長女、食物連鎖における絶対捕食者

多摩(次女)
球磨姉妹の次女、よく見ると恐ろしく可愛い


「提督はいるクマァ!!」

 

「ヒィッ!!く、球磨姉さん…ッ!?」

 

特に大した用事もない11月に突入した秋の執務室、大してやる事のない俺は、自分の机でチャ●プロードを読みつつ大した雑誌だと大した缶コーヒーを飲んでいると、執務室の重厚な扉が勢いよく開き、猛獣が現れた…ッッッ!!

 

「な……なにかね?突然」

 

「ちょっとツラ貸せクマ」

 

「えー…」

 

マジかよ……?俺、なんかした?いやいやいや、心当たりとかないよ?マジで、えー……ってなんでこの猛獣、こんな気が立ってんの?なんでいきなりキレてんの?キレてるチーズだってこんなキレてないよ?

 

しかもツラ貸せって、完全に執務棟の裏で殴られる流れじゃんコレ?どう考えても告白イベント的な呼び出し方じゃないじゃん?これタイマン張ろーぜかリンチの呼び出しじゃん?

 

「あの……何か俺に話が?」

 

「あ゛?いいからとっとと来いクマ」

 

なんだよコイツ超怖ぇぇぇ!!間違いない…!狩る気だ!今日!ここで!俺を!

 

球磨姉妹の頂点に君臨する絶対強者、球磨…

その実力は並の軽巡を遥かに凌駕する驚異の高性能艦娘、当基地のダブルエースと名高い実力派雷巡コンビである北上と大井ですらビビって影すら踏めねぇと怖れており、その、ハジける獣性はまさに獣の王(キング・オブ・ビースト)、絶対捕食者のそれだ…

 

そんな球磨姉ちゃんとタイマンを張る…

 

それはもう、自殺に等しい行為だ…

 

そんな世界で一番危険な生物にッッッ!!タイマンを張ると言う勇気ッッッ!!

 

「五月雨、付いて来なさい」

 

「はぁ?」

 

…とりあえず、最悪2対1ならなんとか生き残りの目もあるかもしれない、俺は椅子から立ち上がり、ごく自然な流れで自分の机でシレッとクロスワードパズルをやっていた秘書艦の青髪ロング子に同行を促した

 

ーーー

 

球磨姉ちゃんと共に執務室、そして執務棟を出て歩いて数十分………一体どこへ向かっているのだろうか?

 

「あの…球磨姉さん、どこまで?」

 

「いいから付いて来いクマ」

 

男には余計な言葉など必要ない、グゥゥゥム!俺たちの前を歩く球磨姉さんの背中にそう書いてあるようじゃわい

 

そんな事を考えつつさらに数十分ほど歩き、基地施設の外れにある倉庫の近くへとやって来た俺たちは、球磨姉ちゃんからそこで止まるクマと指示され、さらに茂みにしゃがむように指示された

 

「なんなんだよ…」

 

「ゴチャゴチャ言ってんじゃねークマ、アレを見るクマ」

 

「アレ?」

 

アレと言われて茂みから頭を出すと、球磨姉ちゃんから万力のような力で頭を抑え込まれたッッッ!!

 

「ナニやってるクマァ!!もっとこっそり見るクマァ!!」

 

「痛いッッ!痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」

 

なんなんだよ!?球磨姉ちゃんの後頭部式万力アイアンクローから解放され、茂みから倉庫の方を見てみると…

 

『ここでターンッッッ!!』

 

『いいぞォ!freedom!freedomだ!4回転イケるぜ!』

 

………ナニやってんだ?アイツら

 

「天龍と木曾じゃねーか…」

 

天龍と木曾はラジカセをズンドコ鳴らしながらHey!Yo!Hey!と歌って踊っていた…

 

『クソッ!!コンテストの結果はまだなのかよ!まさか一次通過すらしてねぇってのか』

 

『落ちつけよTEN-RYU、コンテストにはキュウシュウ中から応募がある、まだ審査が終わってないだけさ、それに…』

 

『それに?なんだよ…』

 

『オレ達が一次審査なんかで落ちるワケないだろ』

 

『ヘヘッ!そりゃそーだ!』

 

天龍と木曾はガッチリと手を組み、さぁ!練習を再開しよーぜ!と再びラジカセのスイッチを押した

 

「あー…そういやアイツらロックに生きてるんだっけか」

 

「…」

 

…そう言えば、球磨姉ちゃん、前に木曾がアイドルになってメジャーデビューしてぇとか言ってケンカになり、木曾を部屋から叩き出したんだっけか

 

そしてこの球磨姉ちゃんの野獣の眼光、今、視線の先でfreedom!freedom!してる末妹を見る眼はあまりにも鋭い…ッ!

 

「あの…?球磨姉さん?」

 

「ナニクマ?」

 

「いえ、なんでもないです」

 

狩る気だッッッ!!球磨姉ちゃんと言えばまさに男の中の男、アイドルなんてチャラチャラしたものは絶対許せない生まれついての大和男児!たとえ可愛い末妹でもここまで堕落した木曾を許して……いや、生かしておけるハズがないッッッ!!木曾を殺して自らも命を絶つ!この人はそーゆー人だッ!!

 

そんなとびきりの野生、球磨姉ちゃんは、やがてスッと立ち上がると、帰るクマと言ってさっさと歩き出した…

 

「え?え…?殺らないのか?」

 

「ハァ?ナニ言ってるクマ」

 

「え?いや、球磨姉さん、俺はてっきり木曾を殺るんだと…」

 

「なんで球磨が木曾を殺るクマ、ただ、今の木曾がちゃんとやってるか見たかっただけクマ」

 

そう言って球磨姉さんはさっさと歩き、もう提督に用はねぇクマ、付き合わせて悪かったクマねとポケットに入ってた小銭を俺の手に握らせ去って行った…

 

「なんだったんだ…?一体」

 

「アレじゃないですか?部屋から叩き出した木曾さんの様子が気になるけど、一人で様子を見に行くのはなんか恥ずかしいから提督を付き合わせた的な…」

 

「球磨姉ちゃんが?まさかぁ!ガハハハハハ!ありえんだろ?あの硬派が服を着てる球磨姉ちゃんだぞ」

 

「そうですかね」

 

「バカなコト言ってるじゃないよこの子は、よし!ジュースでも買うか、小銭あるし」

 

「そうですかね〜…」

 

こうして、球磨姉ちゃんの謎の行動に付き合わされた俺たちは野生にはやはり謎が多いと納得しつつ、執務室へと戻った………

 

 

………後日

 

 

「フーッ〜………あ〜」

 

「タバコ臭いにゃ」

 

「よぉ、多摩ねーさん、元気?どう最近?魚、殺してる?」

 

喫煙所でタバコを吸っていると、オシャレなカーディガンみたいなのを着た多摩と会ったのでつい先日の球磨姉ちゃんの謎の行動について聞いてみた

 

「あー…まぁ、球磨姉ちゃんはそーゆートコあるにゃ、なんやかんや言っても木曾は可愛いにゃ」

 

「えー…マジでそーゆー感じなの?」

 

多摩曰く、部屋から叩き出したものの、やはり木曾の事は気になっている素振りがチョイチョイ感じられるらしいが、多摩を始めとして北上も大井もあえて触れないようにしているらしい

 

「ウチは複雑な家庭の事情で北上と大井は育ちが違うから球磨姉ちゃんは昔から木曾のコト特に可愛いがっていたにゃ、木曾も昔はクマねーたんクマねーたんってそれはそれは本当に可愛いかった時期もあるにゃ」

 

「ふ〜ん」

 

しかしそんな可愛いかった木曾もいつしか成長し、悪い友達もでき、漆黒を纏うブラックナイトとか言い出す気難しくて多感な時期に差し掛かった結果か…

 

「普段は国会中継か巨●戦しか見ない球磨姉ちゃんがMス●見て木曾はまだ出ないクマと言ってたぐらいにゃ」

 

「気にしすぎか!反対押し切って実家を飛び出した娘をに気にする昭和の頑固オヤジか!」

 

「まぁ、球磨姉ちゃんはあーゆー気質だから仕方ないにゃ」

 

ちなみに多摩はちょいちょい木曾の様子を見に行ったりしているらしく、こないだもファミレスに連れて行ったりしたそうな

 

「で、そんな時は球磨姉ちゃんがボソッと多摩に木曾はどうだ?って聞いてくるにゃ」

 

「頑固オヤジかッッッ!!」




次回はVSグレカーレ、わからせが必要…


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提督地獄変【最終章⑥】

神前決闘!戦士の中の戦士!

【登場人物】

五月雨(白露型)
由良さん曰く、ワリと短気でキレ易い

叢雲(吹雪型)
前回改二に進化したヨコスカ所属の叢雲
アツくなり易いが物事は冷静に判断できる有能なタイプ


東西のプライドを賭けた公式演習において前代未聞の一騎討ち!1対1!駆逐艦VS駆逐艦の戦いに、開戦前はやる気あるのか?海軍舐めとりゃあせんかぁ?と批判と不満の空気が漂う会場だったが………

 

『ウオオオオォォォォォ!!叢雲速攻ーッ!!』

 

『あの小柄でこのスピード!参るぜ!』

 

『フッ、俺達はヤツが敵じゃなかった事を神に感謝しなけりゃなるまい…』

 

主砲も魚雷も不要ッッ!!開始早々真っ向勝負のカチ合いからの高速格闘戦、そして、この大舞台で進化した叢雲改二…

 

今や会場に開始前のお通夜ムードは無く、この大舞台の主役2人に向けて熱狂と興奮の叫びを上げていたッッッ!!

 

『『ムッラクモ!ムッラクモ!ムッラクモ!』』

 

『『『コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!』』』

 

『『サッミダレ!サッミダレ!サッミダレ!』』

 

そして、会場の熱気に応えるかのように………戦いは叢雲が終始優勢のペース、怒涛のラッシュで五月雨を攻め、五月雨の方はと言うと、叢雲のラッシュを防御するのがやっとと言った動きでその猛攻を凌いでいた

 

◇◇◇

 

「……」

 

叢雲は切り札である改二と言うカードを使った、このまま一気に押し切れるか…?今、俺が出すべき指示は……そのまま攻勢で間違いではない

 

しかし、相手は彼と、その右腕とも言える秘書艦…

 

彼の打ってくる手を考えるのは考えるだけ無駄だ、今、警戒するのは叢雲の相手であるあの白露型六番艦五月雨、事前に提出された資料では性能はいたって普通、練度こそ上限に達しているが平凡の域を出ない駆逐艦、だが………ここ数年一度も海域作戦の出撃は無し、実戦から遠ざかっている

 

過去の作戦資料を調べてもこの五月雨に関してはかなり前のデータしか無く、今と昔ではどう違うのかまるで予想がつかないが、過去のデータを調べている中で、一つ目を引くものはあった…

 

『『『ウオオオオォォォォォ!!』』』

 

『ダウンーーーッッッ!!叢雲がダウンしたァァァ!!』

 

突然の大歓声で思考を中断し、すぐに戦場の叢雲に目を移すと、叢雲はダウンと言うより、スリップして尻もちをついたような形で座り込んでおり、すぐにインカムでそこから離脱して距離をとれと指示を出した

 

「チィ!!」

 

「無事か?」

 

「え、えぇ……掠っただけよ」

 

ただ、直撃を貰ってたらヤバかった…と続けた叢雲は少し荒い呼吸をしているようなので、とりあえず一旦距離を置いて態勢を整えるように指示を出す

 

「あんにゃろう……追撃はナシか、舐められたものね」

 

「いや、あっちも追撃する余裕は無いんだろう」

 

「…そーかしら?私のラッシュなんか気にしてなさげな澄まし顔じゃない?」

 

「…いや、そうでもないさ」

 

叢雲の波状攻撃、たしかに致命傷は一度もなかったが相手も無傷で済んでいない、速射砲のような攻撃をひたすら亀のように防御に徹し、タイミングを計りカウンターで大砲を撃ち込んで来るタイプ…

 

過去のデータでわかった事だが、この五月雨は、敵旗艦の撃破率が高い、戦艦、空母、重巡、自分よりも火力で勝るチームの中でおいて、確実に大きな戦果を挙げていた

 

「今ので確信したよ」

 

「アンタの読み通り、カウンター型ってワケね…」

 

こちらと同じく、相手もインカムで何か打ち合わせをしているようだが、狙いがわかった以上、こちらもそれなりの対策はある

 

「行くぞ、叢雲……第2ラウンドだ」

 

「オーケー…やってやるわ!」

 

◆◆◆

 

「もしもし?もしもーし?チッ、あの野郎、通話切りやがった」

 

バカが、一撃で決めろって事前に言っといたのに外しやがって、これはマズい流れになったじゃねーか

 

こっちに大砲があるとわかった以上、ここからは確実に警戒してくる、性能面で言うならサミーよかあのツンツン白髪の方が間違いなく上、現に今のラッシュで危険な場面が何度かあった

 

「…まぁいいか」

 

「まぁいいかで済ますんだ…」

 

本来、提督様専用である筈の指揮官席の隣に座っている由良さんから冷静で的確な意見が入るが無視しよう

 

「んなコト言ってもアイツ通話出ねぇし、なんか考えでもあるんだろ?」

 

「どうかなぁ〜…あぁ見えてサミー子ワリと短気でキレ易いし、ね?」

 

「そうだな、まぁアイツも気が短いとかキレ易いとか由良さんにだけは言われたかないだろうが」

 

「今なんて言った?ね?」

 

由良さんからの冷静な目突きと的確な金的をガードしつつ、少々のインターバルを抜けて再び演習海域中央へと戻った五月雨に視線を移すと、五月雨は再び攻勢に出るべく近付いて来る叢雲を迎撃するべくダラっと下げた両腕をあげていた

 

「さぁて……川奈クンの指示はどうかねぇ」

 

俺ならまずスタミナを削れって指示だな、一撃の距離にはまず入らねぇ…

 

ーーー

 

「さぁ〜………て!第2ラウンドと行きましょーか!」

 

「そうです………ねッ!」

 

近付いて来る叢雲を蹴りで牽制し、先程とは打って変わって脚を使って海上を右に左に動く五月雨は、叢雲との距離を開く

 

「…?ナニ?今度はスピード勝負?」

 

「スピードで勝負なんかしませんよ、単に近付かれるとウザいかなって…」

 

「アンタ………ホント、なかなか言うわね、マジで」

 

「そうですか?」

 

先程のラッシュ、防御に徹していたせいで有効打は殆どなかったものの、叢雲の攻撃は確実に五月雨に当たっているし、スタミナは削っている…

 

今、さらに距離を取ると言うなら、やはり五月雨にとってダメージの蓄積はマズいと言うコト…

 

「逃がさないわよ!!沈めッッッ!!」

 

「うわ、速っ………っと、さすが叢雲ちゃん、同期として尊敬します」

 

「そりゃどーも、ついでにラクに沈んでくれたらもっと嬉しいけどねッ!」

 

「それはイヤです」






不定期更新の最終章ですが、㉕で最終回です

年内で最終章前半戦は終わらせようと思ってます


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提督とGrecaleと神々の熱き戦い

人と人は、わからせ合うコトができる!

【登場人物】

提督(汚い大人)
まだそんな夢みたいなコトを、大人になれよ…

Grecale(汚い子供)
一目でわかる尋常ではないメスガキ、口と態度は悪く、入隊前に殺人以外の悪いコトはだいたいやったと自慢してる


「あ、テイトクだー、Ciao♪ナニやってんのー?」

 

「あ゛?」

 

書類を読んで印鑑を押す、書類を読んで印鑑を押す、書類を読んで印鑑を押す、その素敵な仕事に飽きた俺は執務室と言う名の四角い檻を飛び出し、たった一度の今日と言う日を謳歌する、その為にまずはこの渇きを潤したいと考え自販機コーナーへと立ち寄ると、褐色の小AKUMA KIDSみたいなのにバッタリ出会った…

 

「あ、ジュース買うの?奢って奢ってぇ〜♪」

 

「お断る」

 

「えー………ケチ」

 

「ケチじゃない、提督だ」

 

自販機に小銭を入れ、いつもの缶コーヒーでも買うかとボタンを押そうとすると、俺の横から手が伸びてきて缶コーヒーではないボタンを押したッ!!

 

ガコンッ!!(オレンジジュース)

 

「ヘヘッ!もーらい♪残念でしたぁ〜!」

 

落ちてきた缶を素早く拾い、その、冷たい缶を頰にあてアリガトーとか言って小生意気に舌を出すクソガキ…

最近、パスタの国からやって来た新たなる刺客!合法駆逐艦!マエストラーレ級の新しい姉妹、グレカーレ…!

 

「ぶはぁ!!美味しぃ、あ、テイトクも一口飲む?」

 

そう言ってグレカーレはニヤニヤしながら飲みかけの缶をグイグイ顔に押しつけてきたので、俺は努めて冷静にその缶を押す手を払い、グレカーレの横腹辺りを左右から両手でしっかり持ち、その小柄な身体を持ち上げ…

 

「え?え?ナニ!?って…エエエェェェェ!!」

 

「ダブルニークラッシャー!!」

 

勢い良くその身体を落下させ、グレカーレのダブルニーをクラッシュすると、グレカーレはウッギャー!とか叫びながら床をゴロゴロと転げ回った

 

「ウッギャアアアアアアアアアーッ!!痛い痛い痛い痛い痛い痛ァァァァァ!!」

 

「大人を舐めてるじゃねぇぞクソガキがァ…」

 

「クッ…!こ、この……このあたしを…ッ!Grecaleちゃんのニーを躊躇うコト無く破壊するとは…っ!」

 

「わかったら頭を下げろ、たかが駆逐艦のガキが大人を舐めてスイマセンでした、と…」

 

第1ラウンド、大人を舐めたグレカーレに1わからせを喰らわせアドバンテージを奪った俺はさらに追い討ちをかけるべく土下座しろと追撃の刃を向ける…ッ!何故なら俺の中にある勘が告げているのだ

 

………このガキは危険だ

 

並のメスガキじゃあない、今、ここで屈服させておかないと後々、脅威となる可能性がある…

才能のある子は嫌いじゃあないわ、だが、残念だけどその才能はあまりにも危険過ぎるのよ…

 

「どーした?オラ、早く頭を下げんかボケ」

 

「………ハッ?誰がオマエなんかに頭下げるかハゲ!キモいんだよハゲ!」

 

「ハゲてない、提督だ」

 

このガキ………ダブルニーをクラッシュされてこの態度、大したガキだ

 

「ってかテイトク、今あたしガチャしすぎてお金ないのよ、お小遣い頂戴、お小遣い♪」

 

「ハァ?」

 

「あ、ネーちゃんとかリベには内緒よ?あたしだけお小遣い貰ったとか言ったら不満がでるかもだしねー」

 

「やかましい、テメーにやる小遣いなんかねーよ」

 

「えー!!ケチ!」

 

「ケチじゃない、提督だ」

 

「ふ~ん…そーゆー態度とるんだぁ~」

 

グレカーレにニヤニヤしながらスカートの裾をつまんでヒラヒラしだした

 

「ふ~ん」

 

「何の真似だ?言っておくが俺はクソガキパンツに興味はない」

 

「ふ~ん、無いんだ~、へぇ~」

 

コイツ…何を考えている…?

 

「あたし今“穿いて”ないんだけどな~♪」

 

「なん………だと?」

 

グレカーレはスカートをギリギリのラインまで上げてヒラヒラさせるッ!

 

「ねぇテイトクぅ………あたしとゲームしない?」

 

「ゲーム、だと?」

 

「そ、ゲーム!」

 

グレカーレはニヤニヤしながら2~3歩こちらに歩み寄り、右手の人差し指をピンと突き立て…

 

「あたしが今、本当に“穿いてる”か“穿いてない”かを当てるゲーム」

 

コ、コイツ………イカれている!クッ!甘くみていたのは俺の方だッ!俺がこのゲームを拒否するのは簡単だ、ただ一言、くだらん!と言ってやればいい…

だがそれは俺がこのガキとの勝負を逃げ、戦わずに負けた事を意味し、とんだチキン野郎のレッテルを貼られる事になる…っ!

 

そして俺はクソガキに負けた確かな敗北感を、ヤツは大人なんてクソザコと確かな勝利を得る事になる、それだけは避けなければならない…!!

 

何故なら大人はガキには負けないからだッッ!!

 

「いいだろう、受けるぜ、そのゲーム…!」

 

「Bene!あたしが勝ったらお小遣いに~……あ、今財布にいくら入ってるの?」

 

「3万ちょいだな」

 

「じゃ、財布の中ゼンブね♪」

 

悪魔…っ!!なんてガキだ…っ!常人の発想じゃあない……っ!搾り取る気だ!全て…っ!悪魔的過ぎる…っ!なんなんだこのガキは…っ!

 

「ゲームはあたしが本当にパンツを穿いているかどうか!もしあたしがパンツを穿いていると思うなら~………テイトクが、あたしのスカートをめくって直接見て確認する、どぉ?」

 

「ふざけるな…っ!通るか…っ!そんな無茶苦茶!スカートをめくれだと…っ!出来るか!そんなの!」

 

「じゃあテイトクの負けでいい♪」

 

このガキ!なんてルールを言い出しやがる…っ!無茶苦茶だ……!犯罪的過ぎる!俺にスカートをめくれだと…?

 

「クッ…!」

 

「ほらほらぁ~♪テイトク負けちゃうぞぉ?負けでいい?ね?負けでいい?ププー!ざぁこ!やっぱザコテイトクじゃん」

 

「このガキぁ…!」

 

大人を舐めくさりやがって…!やはりわからせが必要だ、そう、テニスで打った打球は決して消えたりはしないように、大人は決して子供には負けないのだ

 

「ザコ!ザコテイト……ん?」

 

俺は勝ち誇っていたグレカーレのスカートを掴んだ

 

「言っておくが俺が勝ったらテメーの尻の穴にメン●スつめてコーラ流し込むからな」

 

「ヒッ…!?ウ、ウソでしょ…?」

 

「ウソじゃない、提督だ」

 

「そ、そんなのあたしが損じゃない!あ、あたしは勝ってもノーパンなの見られるのよ!むしろテイトクにとってはオトクじゃない?フェアじゃないわ!」

 

「なるほど………たしかに」

 

仮にヤツが勝ったとしても金は得られるがツルツル子供●●●を見られるコトに違いはない、別にオトクとは思わんが…

 

「あたしが勝ったら、今後二度とこのGrecaleちゃんに逆らわないって誓える?テイトクは一生ザコテイトクであたしの奴隷になるって誓うの!」

 

「奴隷に…ッ!?」

 

「そ、ドレーよ!奴隷!二度とそのザコチ●ポが使えないよーにキョーイクしてやるわ!」

 

「誰がザコチ●ポだ、女の子がチ●ポとか言うんじゃあない」

 

だが大した自信だ、ここにきてなお大人を舐めくさったその自信、大したメスガキだ…

 

「…ホントにやる気?」

 

「オマエこそビビっとるんか?あ?おしっこチビりそうちゃうんか?あ?」

 

「チビらないし!ザコッ!!ザコハゲ!キモいんだよ!」

 

「だから、ハゲじゃねーって言ってるだろーが!」

 

VSグレカーレとの闇のゲーム、パンツ穿いてるかノーパンかゲーム…!いよいよ決着が迫ったその時ッッ!!

 

「あ、グレカーレだ」

 

「グレカーレと……あ、テイトク、Buon giorno」

 

マエストラーレ級の姉妹ッ!長女マエストラーレとアホのリベッチオがやって来たッッッ!!

 

「……って、テイトク………なんでグレカーレのスカート掴んでるんですか?」

 

長女マエストラーレくんによる引き気味ではあるが冷静で的確な意見…

たしかに、今、俺はグレカーレのスカートをめくるべく掴んでいるが、これは特にいやらしい意味などはない、神に誓える

 

「リベ!スマホ!あたしのスマホ貸してあげるから写真撮って!写真!」

 

「写真?なんでー?」

 

「いいから!このザコテイトクがあたしのスカート捲りあげよーとする情けない姿を写真に撮るの!」

 

グレカーレェェェェ!!このメスガキ!なんてコトを思いつきやがるッ!悪魔……っ!なんて悪魔的…っ!

今、俺にいやらしい意図など神に誓ってないが、この状況を写真に撮られるのはマズい!断じてマズい!このガキ………写真を利用して俺をユスる気だ

 

「キ、キサマァ…」

 

「ハハッ♪どぉ?悔しい?ねぇ?悔しい?いいんだよー?無理にスカートめくらなくてもー、あ、でもスカートから手を離した時点でテイトクの負けね!ハイ!あたしの勝ちー」

 

このガキャ……舐めくさりやがって!負けるだと?俺が……?俺がこんな世間と大人を舐めたガキに負けるなど……

 

「………ありえんな」

 

「は?」

 

「オイ、リベッチオ…今からオマエのネーちゃんがこの場でウ●コするからその勇姿を写真に撮ってやれ」

 

「は?え?あ、いやいやいや!ありえないし!」

 

死はもとより覚悟の上、武士道とは、死ぬことと見つけたり……グレカーレよ、この俺を追い詰めたつもりだろうが、追い詰められたのはキサマだ…この際パンツ穿いてよーがノーパンだろーが知らん!直だろうが布越しだろうがキサマのア●ルに一撃入れてウ●コ漏らしと言う名の決して拭えぬ大罪を姉妹の前でかかせてやる…

 

オマエも死ぬんだッッッ!!

 

「へぇー、グレカーレウ●コ我慢してんのー?なんでー?」

 

アホのリベッチオは純粋にへぇーとか言っているが、グレカーレはそうではない、明らかに焦っている!そして、グレカーレも気付いているのだ、この提督にはやると言ったらマジにやる!“覚悟”があるコトを!

 

「いやいやいや!しないし!ちょ!やめろハゲ!スカート捲るなザコ!」

 

「覚悟はできているか?俺はできている」キリッ!

 

「いや!やめ、やめて…!ホントやめて!あ、謝る…!謝るから!もぉお小遣いとかいいからぁ…!」ポロポロ…

 

………勝った、やはり大人は子供には負けませんでした

 

俺は半泣きでブルっているグレカーレのスカートから手を離し、ザコがと罵ってやった

 

「うぅぅぅ…!チクショウ!チクショウ!このあたしがぁ…!!」ポロポロ….

 

「これに懲りたら二度と大人を舐めるんじゃねーぞクソガキ、次はメン●ス挿入れるからな」

 

ガハハハハハ!実に気分がいいわい!思わず鼻歌でも歌ってしまいそうな気分なのだよ!

 

「あ、オレンジジュースだ!テイトクぅー!リベにも買ってー!」

 

「いいぞ、今、俺はとても気分がいいからな!ガハハハハハ!」

 

 

こうして、悪魔の子、グレカーレとの初戦は百戦錬磨の大人である俺の勝利に終わった………しかしまだ油断はできない、何故なら俺たちの戦いにとって真の勝利とは互いに相手を“屈服させる”コトだ…

 

ヤツの眼はまだ負け犬の眼じゃあない……クソ生意気なメスガキの眼だ

 

そう……俺たちは互いに、わからせ合うコトができるのだから!!




次回

…カワウッソー


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提督とJanusと豚饅頭

今週来週は疲れぎみ

【登場人物】

提督(メガネ男子)
好きなセリフはデータは嘘をつかない

Janus(ジェーナス)
ジャーヴィスの姉妹で妹、たるんどる


朝晩に冷え込みを感じる昨今、長良主将と陸上部がアツいナイスガッツで走り込みする姿に寒さに負けないアツい気持ちを感じずにはいられない…

 

「あ、テイトクだ」

 

「ん?君はたしか〜……」

 

そんな冷え込みを感じる秋の日、外出から基地に帰ると廊下のところにキンパツ強烈パーマのガキがエンカウントした……誰だっけコイツ?しかしスゲぇパーマだな、グリングリンじゃねーの?

 

「……誰だっけ?」

 

「シツレー!シツレーすぎ!私はJ級駆逐艦のJanusよ!」

 

「ジェーナス…?あぁ、そういや最近ウチに来た…」

 

あの御方の国、英国からの新たなる刺客……!たしかジャーヴィーくんの妹だったか?

 

「そうそう、ジェーナスくんだったな、ジェーナスくん、スマンスマン、ド忘れしていたよ」

 

俺はジェーナスくんに、どう?調子は?ウチにはもう慣れたかな?と親しみ易い上司らしく声をかけると、ジェーナスくんはまーまーネ!と無い胸を張り、俺を上から下までじっと見つめてきた

 

「…なにかね?」

 

参ったな、こんなにアツく見つめられるとは……悪いな、俺は自分の手に持てるものしか要らないんだ、俺のベッドは半年先まで予約で一杯なんだよ

 

「いや、ジャーヴィス、ケッコー趣味悪いなって…」

 

オイオイオイ、言いにくいコトをズバっと言ってくれるよこの子は!まったく、キンパツ強烈パーマにロクなヤツはいねぇなオイ!

 

「まぁ提督もそう思う、ちなみにジャーヴィーくんは前々からあんな性格なのかね?」

 

「う〜ん………まぁ、悪いやつじゃなかったわ」

 

「そうかね」

 

ジェーナスくん曰く、最近は飼い猫に手を噛まれてファーックス!とか言いながら床を転げ回っているのが特に印象的らしいが、英国に居た頃はわりと大人しい感じだったらしい…

 

「ねぇ、さっきからその袋からヘンな匂いするんだけど、それナニ?」

 

「変な匂いとか言うんじゃないよこの子は、ご覧の通り、肉まんだ」

 

「ニクマン…?ナニそれ?食べても大丈夫なもの?」

 

ジェーナスくんは俺の肉まんに興味津々丸らしく、ねーねーとまとわりついてきた

 

「百聞は一見にしかず、女は度胸、何にだってチャレンジしてみるものさ、ほれ、1個やろう」

 

俺は袋から肉まんを1つ取り出し、ジェーナスくんに手渡してやった

 

「……コレ、どーやって食べるの?ナイフとか使わないの?」

 

「イイトコのお嬢様か何かか?普通にかぶりついて食うんだよ」

 

「うえっ!?ホントに…!?」

 

「ホントだ、っーかなんだ?マジか?マジでイイトコのお嬢様なの?君?」

 

…たしかに見た目だけで言うならこのジェーナスくんもジャーヴィーくんも育ちが良さげっぽい、しかしジャーヴィーくんは見た目に反してかなりアレな感じだが、どうやら妹のジェーナスくんはジャーヴィーくんとは逆に見た目に反してアレなのだろう、人は見かけによらないものだ

 

「ウマー!!ナニコレ!オイシーイ!」

 

「そりゃ良かったな」

 

おそらくは人生において初めて食べるであろう肉まん…

その、最初の一口はとてもおっかなびっくりだったが、一口食べてその味に感動したのか、ジェーナスくんはヒャー!とか言って肉まんにがっつきだした

 

「オイシイ!これオイシイ!ね?ね?まだあるの?ねぇ!?ねぇ!」

 

「あるにはあるが…」

 

「チョウダイ!もっとチョウダイ!ね?ね?ね?いいでしょ?もっと食べたい!」

 

ジェーナスくんは目をキラキラさせてもっとくれ!もっと食わせろ!とまとわりついてきたが引っぺがし、それでもなお!まとわりつく!

 

「ねー!いいでしょー?まだあるんでショー?ねー?」

 

「えぇい、離れろ!離れんかい!鬱陶しい!」

 

「やだ、くれるまで離れない!」

 

「…仕方ない、もう1個めぐんでやるから離れろ、な?」

 

俺は肉まんではなくあんまんをジェーナスくんに渡すと、ジェーナスくんはあんまんにワイルドにかぶりつき…

 

「ウマァァァァァァ!!ナニコレぇ!さっきのと違う……さっきのはジューシィだったけど、今度のはなんかこう……口いっぱいに甘みがー…っ!」

 

ジェーナスくんは、美味すぎる…っ!犯罪的だ…っ!とか言いつつあんまんを口に放り込んだ

 

「じゃ、提督は急ぐからな、アバヨ」

 

「待って!待って!Stay!Stay!まだあるんでしょ?ね?もしかして他の味もあるんじゃない?ねぇ?ねぇー?」

 

「えぇい!離せ!離さんか!っーか俺の分も全部食うつもりか!?」

 

「頂けるなら頂くわ!」

 

ジェーナスくんは淑女的にスカートの裾をつまんで頭を下げてみるが、言ってるコトとやってるコトが一致しない!たとえこのお子があの御方の寵愛を受けているやもしれん子でも、ここで舐められるワケにはいかない!

俺はそんなジェーナスくんの頬を左右から引っ張った

 

「うえーっ!いひゃい!いひゃい!」

 

「スゲェ!なんだコイツ!めっちゃ伸びるぞ!めっちゃ伸びるぞ!」

 

「いひゃーい!!ひゃめてぇー!」

 

スゲェモチモチだ!スゲェモチモチだ!なんかしまりの無い頬してるなと思ってはいたが………スゲェモチモチだ!スゲェ伸びる!

 

「やめ、やめ!やめろって言ってんのよ!」

 

ジェーナスくんは俺の股間を蹴り上げ、頬うにょーん刑から脱出した

 

「痛いじゃないか」

 

「クッ…!キン●マ蹴り上げたのに!」

 

「女の子がキ●タマとか言うんじゃないよ、提督の股間は硬度10だから子供の金的など効かないのだよ」

 

…ウソです、めっちゃ痛かった

だが、舐められてはいけない、その大人としてのPRIDEが俺を立たせていた

 

「まぁいいや、君の頬が思ったよりモチモチだったのでもう1個だけあげよう、ピザマンをな」

 

「ピザマン!?」

 

俺は袋からアツアツのピザマンを取り出し、ジェーナスくんの口にブッこんでやった

 

「ほら、冷めない内に…」

 

ナポォ…(ピザまん)

 

「アッ!ッッッー!!」

 

まったく、良い事をした後は気分がいいわい

 

「アッツ……い!ケド!オイシーイ!」

 

「そりゃ良かったな」

 

「あ、テイトク、私喉カラカラ~!ねぇ!ティーにしましょ?ティー!」

 

「え?やだよメンドくさい」

 

「いいじゃない~?ね?ね?」

 

グゥゥゥム、なんか急に懐かれた気がするが……アレか?野良犬に餌的な…?まぁ、ジャーヴィーくんよりはグイグイこないっぽいし、別にいいか…

 

◇◇◇

 

その時、提督とジェーナスを廊下の影からじーっと見つめていた者がいた…

 

 

なんなのアレ…?

 

え?ナニアレ?なんなのJanus?ナンデDarlingにあんなナレナレ・シーの?

 

アー……アー…なるほどネー、Janus、そーゆーコトするんだ、へぇー、へぇー…

 

「うふふ、あは、アハハハハ!」

 



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提督とアークロイヤルと恋愛の達人-英国の逆襲-

恋しちゃう季節の胸キュンロイヤル・ストレッチ

【登場人物】

提督(尿切れが悪い)
寒くなると尻もヤバい、でも辛いもの食べたい

Ark Royal(騎士)
見た目は美人、性格は真面目の優良に見える事故物件

Warspite(女王)
至高の御方、最近の癒しはジャーヴィスの飼い猫

Nelson(余)
偉大なる余、知らなかったのか?大戦艦からは逃げられない


急な冷え込みに参るぜと言いたくなる秋の終わりの日、執務室で真面目に仕事をしていた俺は大か小かと言えば小の気配を己の中に感じ取り、執務棟の外れにある提督様専用の便所へと向かっていた…

 

「あ〜…こうも寒いと尿が近くていかんなぁ、なぁオイ」

 

そんな急ぐ足取りで便所へと歩いていると、廊下の先に赤い髪の聖なる騎士みたいなのが居た…

 

「ん?あぁ、Admiral…丁度良かった、今からAdmiral Officeへ行くところ…」

 

「悪いな、急ぐんでな」

 

俺は立ち塞がる女騎士を華麗にスルーして突破した

 

「ま、待て待て待て!少し待てAdmiral!話があるんだ!」

 

しかし背後から肩を掴まれた!

 

「だから急ぐって言ってるだろーが!話なら後で聞いてやる!」

 

「そう邪険にしないでくれ、別に大した話ではないしすぐに終わるんだ!」

 

「大した話じゃないなら後にしろよ、俺は急いでるんだよ、俺の欲棒はもう既にパンパンなんだよ!」

 

寒くなるこの時期、コーヒーの利尿効果はバツグンだ、既に尿意を感じて3分は経過している、俺の欲棒は荒ぶる獣性を解き放ちたがっているのだ…

むしろ、可能であるなら便所まで行かず執務棟の裏で立ちションでもしたいが俺は知性溢れる大人なのでそれはしない、いや、どうしようもなく追い詰められたらわからんが…

 

「ヨク・ボー………?あぁ、そうか、それは悪かったな」

 

「わかってくれて嬉しいよ」

 

「なら……仕方あるまい、女王陛下の騎士たる私がAdmiralのその猛る己自身から放たれる臭いものを浴びる覚悟を決めよう」

 

「オマエナニ言ってんの!?俺はただションベンしたいだけなんだよ!トイレに行きたいんだよ!」

 

「クッ!大したAdmiralだ、まずは小便をかけて騎士の尊厳を奪おうと言うつもりか…!」

 

「なんでオマエに小便かける必要があるんだよッッッ!!」

 

なんなんだコイツ!!女騎士か!?俺はとりあえずこのメンドくさい女騎士にションベンしてから話聞いてやるからとダッシュで便所へと走り出した

 

「まぁ待てAdmiral、ならツレ・ショーンでもしながら私の話を聞いてくれないか?」

 

「なんでオマエとツレションしなきゃあならんのだ、っーか、俺とオマエでツレションは無理だろ!?」

 

「無理なのか…?いや、ツレションとは仲の良い者同士が連れ立って小便をする友情を深める行為と聞いたのだが…?」

 

大まかには間違いは無いが、ナニか致命的に間違いがある…

 

◆◆◆

 

「フーッ〜………スッキリしたぜェ〜…」

 

無事、欲望の黄金を解放した俺はキチンと手を洗い、鏡の前で今日もハンサム顔な事を確認して便所を出た…

 

「む、よくやく出たか……フッ、奇遇だなAdmiral、私も今出たところだ」

 

…トイレを出ると、女王陛下の誇り高き騎士が待っていた、っーかナニが私も今出たところだ、おデート様の待ち合わせかっーの

 

「で?俺をトイレまで執拗に追い回していったい何の用だ騎士様は?」

 

「あぁ、別に大した用ではないんだがな」

 

大した用じゃないなら追い回すなよ、なんだよコイツ、俺が紳士じゃなかったらそのキレーな顔フッ飛ばしてやってるぞ

 

「あれはそう、つい先日のコトだ…」

 

「オイ、もしかしてその話、長くなる系か?」

 

「いや、大して長くはならない」

 

「手短かに頼むぞ、手短かに」

 

ーーー

 

あれはそう、つい先日のコト…

 

私はいつものように女王陛下にティーを淹れ、本日の予定、明日の予定、明後日の予定、今後の予定などをお伝えしていたのだが…

 

「Ark、その話、長くなるかしら?」

 

「ハッ、あと原稿用紙3枚分ほどかと…」

 

「………ハァ」

 

我が女王陛下は膝に乗せたジャーヴィスの飼い猫を撫でつつとても疲れたお顔をなさっているのを不審に思った私は、我が女王陛下はもしや体調が優れないのかとお伝えすると我が女王陛下は額に指を当て深く溜め息を吐いた

 

「Ark、ちょっといいかしら?」

 

「ハッ、なんでしょう?女王陛下」

 

「アナタ、最近Admiralとはどうなの?」

 

女王陛下はこの短い“どう?”に何を込められたのか…?至高の御方である女王陛下の深いお考え、私には到底その奥に秘められし真の意味を理解するには難しい…

 

騎士として恥ずべきコトではあるが、この意味を女王陛下にお伺いするしかない…

 

「どう…?とは?」

 

「…最近Admiralと交遊は深めているのですか?」

 

「交遊ですか、いえ、特には………あ、そう言えば最近ジェーナスがAdmiralにブタマーンなる菓子を貰ったらしく、それはそれは大層喜んでい…」

 

「ジェーナスのコトはどうでもいいです!」

 

女王陛下は右手でテーブルをダァン!すると、膝に乗せていた猫がビックリしたらしく、女王陛下の膝を降りて今度は別のソファーでくつろいでいたネルソンの膝の上に座った

 

「んん?なんだこやつ…フム、このネルソンの膝の上に乗るとは、なかなか見所が、ある!」どんっ!

 

女王陛下は“失礼、少し興奮してしまいました…”と勿体なきお言葉を述べた

 

「…ブタマーン、後でジェーナスに聞いてみましょう」ボソッ…

 

「女王陛下?」

 

「いえ、なんでもありません」

 

猫は膝から居なくなかったが気を取直したらしい女王陛下は改めて最近このアークロイヤルはAdmiralと交遊が無いのではないかと問いかけてきたので、たしかにありませんなぁと率直で嘘偽りない回答を述べた

 

「ハァ………Ark、アナタに一つ命令します」

 

「ハッ!なんなりと!」

 

「Admiralと交遊を深めなさい」

 

「…交遊、ですか?」

 

わからん、女王陛下のお考えが……いや、しかし女王陛下は至高の御方、私には考え及ばぬ何か巨大なナニかがあるのだろう

 

「しかし交遊と言っても一体何をすれば…」

 

「あるでしょう!一緒に食事に行ったりshoppingに行ったり!」

 

「なるほど……さすがは女王陛下、わかりました、では早速Admiralに声をかけアカシストアーとマミー屋にでも…」

 

「違うッッッ!!」

 

女王陛下は再びテーブルをダァン!した

 

「もっとこう……外で!そう!外に遊びに行きなさい!」

 

「外へ…?しかし女王陛下、それでは私が女王陛下のお傍から離れる事になりますが…」

 

「構いません」

 

「いえ、しかし…このArk Royal、女王陛下の騎士としてその務めを果たす事が…」

 

「い い か ら!大丈夫です、ほら!Nelsonもいます!」

 

「しかし…」

 

「Ark、これは王命です」

 

女王陛下は王笏を手に、至上の命令を下された…

 

「フッ…Arkよ、王直々の命令だ、交遊する資金はこのNelsonが出してやろう、最高級の交遊を深めてくるがいい、最高級のな…」

 

「Nelson…ッ!」

 

「わかりましたねArk、何も今日明日でキメてこいとは言いません、とにかくアナタはまずAdmiralとSteadyな仲……ではなく、親睦を深めるのです」

 

「は、はぁ…?」

 

ーーー

 

「………と、言うワケでな」

 

「話長げーよ」

 

って!陛下ァァァァァァァァ!!まさか陛下がバックにおられるとは……クッ!陛下はいったい何をお考えなんだ!

 

「それでだ、このArk Royal、女王陛下直々の命を果たしたいのだが……どうにも勝手がわからなくてな、ならばここはAdmiralに直接聞いてみるのが吉と考えたワケだ」

 

「何が吉だ」

 

つまりアレだ、陛下としては俺とこの女騎士が2人で遊びにでも行けばOKなのだろう、グゥゥゥム…高貴な御方の考えるコトはわからん

 

「ハァ…わかった、オーケー、わかったよ騎士様よ、オマエどっか暇な日あるか?」

 

「無いな、何故なら私は常に女王陛下のお傍にいるからだ」

 

「…わかった、陛下には俺から話しとくわ」

 

とりあえず近所のイ●ンモールにでも行って映画でも見ればミッション成功だろう、たぶん

 

◇◇◇

 

後日…

 

「ウッギャアー!!噛んだァァァァァ!このド畜生!アタシを噛みやがったァァァァァ!」

 

「ジャーヴィス、アナタもう少し静かにできない?」

 

主に海外艦の住むインターナショナル寮、その中でも群を抜いて高貴な雰囲気が漂う英国艦御用達の部屋…

 

その、高貴な部屋で豪奢な椅子に座り、読書をしつつ優雅にティーを楽しんでいた女王陛下は、飼い猫に手を噛まれ部屋の絨毯を転げ回る小淑女にトゲを刺した

 

「それと、ド畜生とはなんですか?ド畜生とは、淑女として恥ずべき言葉遣いです」

 

「フーッ!フーッ!クッ……こ、このクソネ…」

 

「今、クソネコとか言いましたか?………ジャーヴィス」ギロッ!

 

「言ってまセン!」

 

「…宜しい」

 

女王陛下は読んでいたハードカバーを閉じ、小さく溜め息を吐くと、部屋の扉をノックする音が聞こえたのでどうぞと答えると、普段とは違い、珍しくラフな格好のアークロイヤルが入って来た

 

「ただいま戻りました、我が女王陛下」

 

「おかえりなさいArk………それで?」

 

「それで…?とは?」

 

「いえ、親睦は深められましたか?」

 

「はぁ、多分に………おそらくは女王陛下の御期待に十分応えられたかと」

 

「そうですかそうですか!えぇ、えぇ…!ご苦労様でした、えぇ!」

 

女王陛下はアークロイヤルの手を握り、アナタはやればデキる娘だと信じていましたよと厚い労いの言葉をかけてその労をねぎらった

 

「あと、コレ、Admiralがつまらないモノですが是非とも女王陛下にと…」

 

「コレは…?」

 

「ブタマーンだかニクマーンとかなんとか庶民的な食べ物です、私も食べましたがなかなかの味です」

 

「まぁまぁまぁ!Admiralったら、そんは気を遣わせてしまって…」

 

アークロイヤルからお土産の入ったビニール袋を受け取った女王陛下は大変上機嫌な様子で手を叩いた

 

「………Ark、チョットイイー?」

 

「ん?あぁ、なんだジャーヴィス、居たのか?」

 

「居ましたヨー?え?ナニ?Ark、今日どっか行ってたノー?1人で?ねぇ?1人で?」

 

「いや、Admiralと親睦を深めるべく街に行っていたが?」

 

「ヘェー…ソーナンダー………」

 

ズダアァン!!(ロイヤルローキック)

 

「ファーックス!!」

 

「痛ァァァァァ!オイやめろジャーヴィス!なんだいったい!?」

 

 

この後、寮内を猛烈な勢いで暴れ回るジャーヴィスだったが女王陛下のロイヤル王笏の一撃で撃沈し、壁にメリ込んでドクドクしていたところを妹に回収された

 

ちなみに寮内を色々壊したのはネルソンが弁償してくれた



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提督と海風と山風は保護されている

タイトルに偽りのないお話

【登場人物】

提督(巨乳好き)
無いよりある方がいいに決まっている

海風(新型長女)
五月雨の妹、五月雨からちょいちょいイラっとされてる

山風(気難しくて繊細)
キンパツサラサラストレートチビが絡まなければ基本は良い子


特に急ぎの仕事もない日、タバコでも吸うかと喫煙所へと歩いていると、体育館の方からなにやら歓声が聞こえてきたので覗いてみると、白露が熊野にキン肉ドラ●バーをかけていた…

 

「死ねーッ!!」

 

「グオオォォ!こ、この力はーッ!ですわーッ!!」

 

逆襲のキン肉ド●イバーをまともに被弾し、ドヘァ!!とお嬢様属性にあってはならない呻き声を吐いてマットに沈んだ熊野は何回かビクンッ!ビクンッ!と痙攣して動かなくなった…

 

『ウォォォ!白露の勝ちだーッ!』

 

『しっらつゆ!しっらつゆ!しっらつゆ!』

 

アツい白露コールが体育館に響き、リング上では白露のアホが駆逐艦のアホガキどもに肩車され白露わっしょい白露わっしょいと祝福されていた……

 

うん、ナニやってるんだ?コイツら、100億パーセント理解できねぇ…

そんな理解を超えた光景をなんとなく目にして思考を停止させていると、何者からか声をかけられた

 

「あ、テイトク、こんちには」

 

「む?………海風クンか、こんにちは」

 

白露姉妹の七女にして改白露姉妹の長女、妹でありながら長女と言う矛盾……しかしその矛盾をッ!それを完成させたッ!!それが海風ねーちゃんと言うキセキ…

 

どいつもこいつもプッツン気味なヤツが多い白露姉妹の中でも珍しく穏健派であり、駆逐艦でありながら駆逐艦離れした超肉体を持つ三女村雨に匹敵する隠しきれない超肉感……まさしくあらゆる面で旧型の長女である白露を凌駕する新型の長女である

 

「あのバカどもはナニやってるんだ?」

 

「さぁ?プロレスごっこ…とか?」

 

ごっこでヤってイイ技じゃあない……

海風ねーちゃんは曖昧な笑みを浮かべつつ指で頰を軽く掻いた

 

「そうそうテイトク、私、テイトクに少し相談したいコトがあるんです」

 

「なんだ?金か?」

 

「違います」

 

「じゃなんだよ?最近服がキツいとかか?」

 

「違います!」

 

海風ねーちゃんは元々シャレにならない超肉体だったが改二になり、さらにデキるようになった……ハッキリ言って海風ねーちゃんが駆逐艦じゃなければ72時間耐久レ●プで身も心も壊し尽くして俺専用肉隷奴にするところだ

 

「江風のコトなんですが…」

 

「江風ェ…?あぁ、あの赤いの」

 

白露姉妹の九女、江風、バカ寄りの思考だが夕立や村雨程のバカでも外道でもない、意外にもちゃんとした妹だ

 

「えぇ、その江風なんですが悪い友達が出来たらしくて…」

 

「あらら、一大事じゃないの?」

 

「一度、帰りが遅いと叱ろうとしたら姉貴のバカ!とか言うんです」

 

「あらら、そりゃ困ったねー」

 

「私、どうしていいかわからず…」ポロポロ…

 

「あらら、そいつはいけないな、その友達の名前わかる?俺からよく言って聞かせるよ」

 

「天龍さんと木曾さんなんですが…」

 

なんだ、天龍と木曾か……じゃ大丈夫だな、俺は安心しろ!安心しろよ!海風クン!ゲロを吐くほど不安になるコトはないじゃあないか?と肩を叩くと、海風クンはどうかよろしくお願いしますと、その暴力的な海風っぱいを押しつけてきた…

 

もし俺が高潔な意思と強い心を持つ紳士でなければ間違いなくこの娘をブチ●していただろう

 

そんな物理的な意味でグイグイくる海風クンの物理的な柔らかさを堪能していると、廊下の先から毛のないキモい猫をブラ下げた山風が現れた

 

「…あ、テイトクと、海風姉ぇ」

 

「よぉ、相変わらずよく見るとキモいな、その猫」

 

「…キモくない、よく見なくてもかわいい」

 

山風は猫を床に下ろし、ナニやってんの?とごくごく当たり前の質問をしてきたので、俺は海風ねーちゃんの相談を聞いていたのだよとごくごく当たり前の回答を返した

 

「…ふ〜ん」

 

山風は大して興味もなさげに足下の猫の腹を器用に足で持ち上げたり下ろしたりしつつ話を聞いていたが……器用だなコイツ、そしてこの猫もやる気ないな、生物として危機感が足りないじゃあないか?

 

「…だいたいわかった、テイトクも海風姉ぇもヒマだし、コレのおやつ買いに行くから付き合って」

 

「え、やだよメンドくさい」

 

海風ねーちゃんだけでいいだろと続けようとしたその時、俺の腕があってはならない方向に曲がり、ガッチリとホールドされて締め付けられたッ!!

 

「グッ!グオオォォ!こ、この関節技(サブミッション)はァ…!」

 

「あらあら!山風!とてもステキな提案ね!でも残念……私はちょっと用事があって、あ、ほら!テイトクはヒマだって!ね?ほら!ね?」

 

「グウゥゥゥゥム!!フンッ!」

 

海風ねーちゃんのロックを持ち前の知性を活かして外した!ハァ…ハァ……クッ、さすがは新型の長女、あの細腕のどこに万力のようなパワーが隠されているのか

 

「ね?山風、テイトクと行ってきたら?ね?」

 

「…別にそれでもいいけど」

 

「いや、提督は別にヒマじゃあないんだが…」

 

「テイトクーッ!ちょっと!ちょーっとお話しいいですかー?私、相談したいコトあるんですー!」

 

一瞬!そう、あまりのスピーディーに対応が遅れたことこそ命取り!海風ねーちゃんは俺の肩から首にその腕を回し、強烈なパワーで俺を締めつけつつ山風から少し離れた壁際に俺を引きずりこむ!っーか乳デケぇなコイツ!

 

「なんでそんな無下に断るんですかっ!」ヒソヒソ

 

「いや海風クンよ、俺だって別に暇じゃあないんだが…っーかおたくの妹だろ?おたくでなんとかしなさいよ」ヒソヒソ

 

「山風が!や ま か ぜ がッ!せっかく一緒にお買い物に行こうってなけなしの勇気を出しているんです!わからないんですか?空気読んでくださいよ!大人でしょう?」ヒソヒソ

 

「たしかに提督は大人だが…」ヒソヒソ

 

「山風は提督とお買い物に行きたいんです」ヒソヒソ

 

「いや、海風クンでも良さげな空気じゃね?今の、あ、そーだ、ほら、金!金出してやるから2人でジュースでも飲みなさいよ」ヒソヒソ

 

「なんでその心遣いを違うベクトルに発揮するんですか、とにかく行ってください」ヒソヒソ

 

「やだよ、俺、あーゆー気難しくて繊細な今風の子苦手なんだよ?ここはほら、海風ねーちゃんのお姉ちゃんパワー発揮するトコだろ?な?」ヒソヒソ

 

男というものはあまりしゃべるものではない、両の眼で静かに結果だけを見ていればよいのだ…

 

俺は海風クンにアツく説いたが半分ぐらいしか聞き入れられなかったらしく、とりあえず、ここは2人でガッチリと手を取りこの事態に対処しようとの答えに至った…

 

「やぁ、待たせたね」

 

「山風、私もテイトクも付き合うわ」

 

「………なんか腑に落ちないけど、まぁいいや」

 

山風は足下の猫を拾い上げて両腕でしっかり抱くと、それじゃ行こうと俺と海風ねーちゃんの間にグイグイ入ってきた

 

「…行こう」

 

 

この後、とりあえず3人、街へお買い物に行き目的であるペット・ショップへ行って猫の餌を買っていると、最近やることがないと暇を利用してペット・ショップでバイトしていたアルバイト店員の夕張に遭遇し、最近入荷したとか言うタイガーキ●ラなる珍種を勧められたが、そのタイガーキ●ラによしよーしとしようとした夕張はタイガーキ●ラの吐いたファイアカクテルで火だるまにされて転げ回った…



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提督とL.d.S.D.d.Abruzzi姉妹とナイトクラブ28

帰ってきたハードボイルド夜の店!倶楽部HO-SHOW

【登場人物】

提督(金髪巨乳好き)
何故なら最高でござるから

L.d.S.D.d.Abruzzi(アブ姉ぇ)
アブクマをヤバイ奴と警戒してる本物の最新鋭

G.Garibaldi(アネキっ子)
アネキと違って勘が良くないと思ってるけど実はデキてる本物の最新鋭



鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ…

 

「衣笠自由契約へ、過去最多チームが衣笠獲得に乗り出す意欲をみせる、か…」

 

今日の基地スポ、殺天エンジェルス不動のマグナムエースである衣笠さんが移籍となるとコレは一大事だよ、殺天エンジェルス一筋でやってきて、いつか必ず自分の力でチームを優勝させるんだと語っていた衣笠さんに何があったのか…

 

「なぁママ?」

 

「フーッ〜……ガッサにはガッサなりに考えがあんのさ」

 

「ヒュー、ママはいつだって俺の質問にゃ答えてくれないね」

 

俺はビッグママこと鳳翔に、今日もおっぱい大きい娘でよろしくセンキューと目をバチコーンして、とりあえず空いているボックスへ座るとタバコに火を点けた

 

「フーッ〜……」

 

捕鯨解禁、アナまで見せちゃう止まらない潮吹き!相変わらず基地スポのエロ記事はなかなか攻めくるな…

そんなキッズにはまだ早いギンギンな記事を読んでいると、本日の刺客…もとい(キャスト)が席へとやってきた

 

「Buongiorno!ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィです」

 

「妹のガリバルディだぜ!ヨロシクぅ!」

 

「ヒュー…」

 

オイオイオイ、今日はコレ、かなり当たりの日じゃねーの?右もパイオツ、左もパイオツ、っーかなんなのその服?もう完全に左右から挿入してくださいって言ってるようなもんじゃねーの?

 

俺はそんなイタリアから来た爆乳軽巡姉妹にまぁ座ってどうぞと紳士的に促した

 

「えー…お姉さん、ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィくんだっけ?」

 

「え?あ、はい、でも名前が長いので……アブルッツィで構いませんよ?」

 

爆乳軽巡姉妹の長女、アブルッツィくん

最近ウチに来たばかりのニューフェイスだが、その爆乳はハンパではなく、さらに、母国では女優さんやっていた異色の経歴の持ち主らしく、その溢れる気品と色気もハンパではない

 

「そしてアタシはガリバルディだぜ!」

 

爆乳軽巡姉妹の次女、ガリバルディくん

お姉さんより先にウチに配属されていたが、やはりその爆乳はハンパではなく、最新鋭最新鋭と自己主張していた阿賀野姉妹を過去のものと黙らせた本物の最新鋭である

 

「まぁとりあえず、2人とも好きなものを飲みたまえよ、うん」

 

「よろしいのですか?」

 

「構わんよ、提督は懐の大きな男なのだよ」

 

「よっしゃ!mamma!Morellino di Scansanoのボトルーッ!」

 

こやつめ、いきなり飛ばしおるわい……まぁいいか、相手は陽気なイタリア艦、多少アレでもパイはデカい少々は許せる不思議…

 

「それじゃグラス持ったか!」

 

「はい」

 

「Cincinーッ!」

 

こうして、VSイタリア爆乳軽巡姉妹の火蓋は切って落とされた、これだけパイオツを主張しているんだ……ちょっと揉んでも国際問題にはならないだろう

っーかむしろやっぱデカいなコイツら、イタリアやローマ、ザラ姉ぇやポーラもなんやかんやでやっぱりデカかったが……特にこのアブ姉ぇのインパクトはヤバイ、もはやそのロケットパイオツは服を着た核弾頭だ

 

「えー…たしかガリィくんはアレだったか?たしか前はいささかお姉さん依存症の気があったような」

 

「そ、そこまででもねーだろォ!?」

 

「そうなの?ガリィ」

 

「ち、違げーし、な?テイトク、違げーよな?」

 

ガリバルディくんはピンクな上にツンデレなのか、ポイント高いな

 

「まぁ、たしかに前々からガリィはアネキアネキと少々私に頼りすぎな面がありましたけど…」

 

「い、今はそうでもねぇよ、うん」

 

「そう、信じていいのね?ガリィ?」ニコッ

 

「あ…あぁ!アネキ…」

 

ガリバルディくんはワインをグイーッと飲み干し、再びボトルからワインを注いだ

 

「ガリィったら……あ、テイトク、お注ぎしましょうか?」

 

「あぁ」

 

そしてこのアブ姉ぇの冷静で的確な判断力と対応、この気品であの爆乳、参るぜ…

 

「ところでテイトク」

 

「ナニかね?言っておくが提督のベッドは半年先まで予約でいっぱいさ!」

 

小粋なテイトクジョークを交えつつもあくまで紳士的に、それが俺の紳士道

 

「………私が来るまで、本当にガリィはご迷惑をおかけしなかったでしょうか?」

 

「…いえ、特には、大変真面目で優秀な妹さんかと…」

 

「そうですか」ニコッ

 

今、このアブ姉ぇから確かな漆黒の意思を感じたが……まぁ、たぶん気のせいだろう、たぶん

 

そして、そんな姉のドス黒いナニかにまるで気付いてる様子の見られない妹のガリガリガリィくんはマンマー!マンマー!ピッツァ追加でー!とワリとやりたい放題やっていた…

 

「なぁー?テイトクぅー?テイトクも飲みなよホラァ!なぁ!頂きますって言ったんだから飲んで貰おうじゃーねぇーかー?なぁー?」

 

「やめんか鬱陶しい…!って、酒クセっ!」

 

「あ、そーだテイトク、延長しよーぜ!延長しよーぜ!今日はラストまでいよーぜ!」

 

ガリバルディくんは、なぁオイー?とか言いつつその爆乳を押しつけつつ絡んできた!

 

…よく見ると、知らないボトルがテーブルにゴロゴロしてやがる、コイツ!ちょっと見てない間にかなり飲んでやがる!

 

わ、忘れていた!イタリア艦はまるでミネラルウォーター感覚でワインを飲む生来のアルコール好きだと言うコトを!アルコールを摂取した際の爆発力を!

 

「酒クサいわ!っーかパンツ見えてるぞ?」

 

「え?マジ?」

 

パンツ見えてますよに冷静さを取り戻したのか、ガリバルディくんはサッとスカートを手で抑え…

 

「ガリィーッ!!」

 

ビタンッ!!(アクトレス・ビンタ)

 

「ぶべらぁ!!」

 

「ア、アブルッツィくん!?」

 

アブ姉ぇのスナップの利いた健康的なビンタを喰らい、ガリバルディくんはソファーから転げ落ち、ヒィィとか言いつつ怯えていたが、そんなガリバルディくんの胸ぐらをアブ姉ぇは掴んだ

 

「ヒィィ!ご、ゴメンアネキィィィ!!」

 

「ガリィ!いい?私はね、アナタの“心の弱さ”に怒っているのよ!いい?そりゃあたしかにいきなり男性からパンツ見えてますよと言われたら恥ずかしいと思うのは当然よ!私だって恥ずかしいと思う!……………でも!私達チームの他のヤツなら!あとちょっとで延長取れそうって時に決してパンツを隠したりしないわ!」

 

たとえ目が胸ばっか見てヤラシかろうが!顔がキモかろうが!

 

「“成長”しなさい!“成長”しなさいガリィ!成長しなきゃ私達は軽巡洋艦の頂点には立てない!アブクマには勝てない…!」

 

アブ姉ぇは妹を散々叱った後、ガリィ、ガリィガリィガリィガリィよぉ〜…と優しくその顔を撫で回し…

 

「そしてハッキリと言っておくわ……私達チームはそこら辺のナンパ道路や仲よしクラブでブッ殺すブッ殺すって大口叩いて仲間と心をなぐさめあってるような負け犬どもともはわけが違うのよ…」

 

そう言ってアブ姉ぇは俺の方を見ると、まるで名女優のような抜群の演技で微笑みつつ俺の手を取り、その手を自らの胸にあて“お客様、延長なさいますか?”と…

 

「します、あと場内指名で」キリッ!

 

「ありがとうございます」ニコッ

 

延長する!と心の中で思っていたら、既に行動は終わっていたッッッ!!

 

「す、スゲぇ…やっぱスゲーや!アネキは!アブルッツィ姉貴ィー!!」ポロポロ…

 

 

この日、HO-SHOWランキングに大きな変動があった事はこの店でバイトする多くの嬢達に戦慄を与えるコトになり、俺は手持ちどころかカードと免許証まで巻き上げられ、後日、五月雨から汚物を見る目で見られた



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提督と明石とビューティー&ヘルシー

美しさと健康

【登場人物】

提督(クズの人)
必殺技はピラニアンローズ

明石(クズ大人)
金と権力が本当に好き


「いらっしゃいませぇ~………って、なんだ、テイトクか」

 

「なんだとはなんだ?あ?なんだとは?提督がハンサムじゃあいけないのかね?」

 

基地施設内にある雑貨品からアニメグッズ、あと資材も少々取り扱っているみんなの店、アカシメイト…

1日1回、感謝の改修工作するだけが主な仕事の明石が経営する小売店である

 

「ジャ●プと缶コーヒーと菓子パンくれや」

 

「へいへい、っーかイイトシこいてまだジ●ンプ読んでるんですか?少年ジャ●プですよ、少年、わかってるんですかオッサン」

 

「やかましい、オッサンじゃない、提督だ」

 

そんな事は言われるまでもなくわかっとるわい、だが男と言うものは就職し、酒の味を覚え、社会の軋轢と不合理に揉まれ、清濁併せ呑む大人らしさを知っても常に、心の何処かで少年の心を持っているものだ…

 

そして少年だったあの日、友情・努力・勝利、大切なことを教えてくれたのは学校の教科書なんかじゃあない、大切なことはいつもジ●ンプが教えてくれたのだ

 

「まぁアレだな、もうここまで来ると俺が先に死ぬかワン●ースが先に終わるかのチキンレースだ」

 

「へぇー…」

 

明石の野郎は大して興味もなさげにレジカウンターに片ヒジをついたまま、あーそーなんですかーとやる気なさげに俺のアツい心意気に相づちを返してきた

 

「テイトクぅー…な~んか儲かる話ないですか~?儲かる話」

 

「ねぇよ」

 

「楽な感じでサクッとバシッと金が稼げる感じのぉー」

 

「だからねぇって言ってるだろーが、あるならまず俺がやっとるわい」

 

「ですよねぇー」

 

クズ…っ!まっことクズ!このピンク、工作艦としての仕事より常に金の事を考えおるわい

 

「あ、そーだ、プロレスとかどーですか?プロレス、こないだテレビで見たんですよ」

 

「プロレスか…」

 

「プロレス興行でもしたら儲からないですかね?」

 

「プロレス舐めてんのかテメーは」

 

しかしプロレスか………案としては意外と悪くない、基地開放祭の時は大抵何かしらのイベントをやっているし、特に、格闘技イベントはいつも立ち見ができる大盛況だ…

 

「………ふむ」

 

「なんですか?何かいい案あるんですか?」

 

「そうだな、ビューティー明石VSヘルシー夕張、因縁の有刺鉄線デスマッチとかどうだ?」

 

「イヤですよ!ってかなんで私が出るんですか!?」

 

「バッキャロー!金が欲しいんだろーが!頭で稼げねーなら身体つかわんかい!身体!だからテメーはピンクなんだよ!」

 

「や、ピンク関係ないし……ってかなんなんですか?そのリングネーム」

 

「思いつきだ、なんだ?ビューティー明石が気に入らんならダンプ明石でも…」

 

「ビューティーで」

 

ビューティーと呼ばれてそう悪い気はしないのか、明石はビューティー、ビューティーかと呟きつつ気色の悪い笑みを浮かべていた

 

「よし、じゃ宣伝は俺がしてやるからオマエはキチンと身体作っとけよ」

 

「え?マジでやるんですか?」

 

「金が欲しくないのか?」

 

「や、欲しいですけど………ただ、痛いのはやだなーって」

 

「ナマイキ言ってるじゃあないよこのピンクが」

 

こうして、初冬の基地特別興行、ビューティー明石VSヘルシー夕張の対戦に向けて俺達は手を取り合った…

 

◆◆◆◆◆

 

「はいみなさんこんにちはー!恐縮の申し子、実況の青葉です、今日は冬の基地特別興行!ビューティー明石VSヘルシー夕張のプライドを賭けたデスマッチ!本日の素敵な解説は雅な駆逐艦、初春様に来て頂いてます、こんにちは!初春様」

 

「うむ」

 

「いやぁ~…まさか金の為とは言え、明石さんが自らリングに上がるとは予想していませんでしたね!」

 

「そうじゃのぉ~」

 

「さぁ!その明石さんと対する夕張さん!実は両者は昨年の最大トーナメント1回戦で既にぶつかったコトのある顔合わせで、その際は明石さんが勝利と言う結果に終わってますが~…」

 

「まぁ、アレは相手が自爆したしのぉ」

 

昨年の最大トーナメント1回戦、明石VS夕張は明日を捨てた夕張がいきなりマックシングで自爆すると言う結果に終わっている…

 

「見たところ今回は大丈夫そうですね、夕張さんもかなり仕上げてきたみたいです!見てくださいよあの男受けするコスチュームに細いウエスト!マジイラつきますよ!」

 

「そうかのぉ?」

 

「そして対する明石さんも今日の為に身体を作ってきたとの情報があります!見てくださいよあのヤラシーコスチュームにムチっとした身体!チ●ビ勃ってますよ!」

 

「そうかのぉ?」

 

ーーー

 

提督による事前の宣伝により、地域の住民達だけでなく大観衆を集め、いよいよ始まるビューティー明石(工作艦)VSヘルシー夕張(軽巡)因縁のデスマッチのゴングが鳴ったッッッ!!

 

「フォーッ!!」

 

「な、なにぃ!?ドヘァ!!」

 

ゴング直後の明石強襲!!フライングニーが夕張に炸裂し、夕張はいきなりマットに転がったがすぐに立ち上がり…

 

「クッ!いきなりカマしてくれましたねこの守銭奴…!」

 

「フッ、この明石がただ可愛いくて気配りのできる大人の女性だとは思わないコトね」

 

明石はリング中央で腕を振り、オラオラかかってこいよこのデカメロン!肩にちっちゃいクレーン載せてんのかー?と夕張を煽り、夕張は一旦ロープ際まで下がるとはロープの反動を利用して勢い良く飛び出した!

 

「喰らえ!アールスメロンクローズライン!」

 

「フォーッ!!」

 

ドガァァァ!!

 

「クッ!アレを受け切った!?」

 

「フッ!ゆるいわァ!!そんなアンタのア●ルみたいなユルい攻撃でぇ〜……」

 

明石は夕張の腕をロックしたまま絡み付き夕張の身体を締め上げるッ!!

 

「グエエエェェェェ!!」ギチギチギチギチ!

 

「かーらーのぉー!」

 

明石は夕張のロックを解除して上空に放り投げると自らも飛び、夕張の両足を脇にかかえて両腕をキーロックに固めツームストンドライバーの体勢で勢い良くマットに降下するッッッ!

 

「喰らえ!ア●ル・カタストロフ・ドロップ!!」

 

「グエエェェェェ!!」

 

ドグシャァッ!!!

 

ーーー

 

「き、キマったーッッッ!明石さんの必殺技(フェイバリット)!ア●ル・カタストロフ・ドロップーッ!卑猥な名前ですがその破壊力は文句なしです!卑猥な名前ですが!」

 

「う〜む、ア●ルとはなんじゃ?」

 

「ウ●コを出し入れする穴、平たく言えばケツのアナです、初春様」

 

「ふむ、菊門のコトか」

 

ア●ル・カタストロフ・ドロップをまともに被弾し、マットに崩れ落ちた夕張……

まさかの明石優勢で夕張が何もできずに終わる展開など観衆の誰もが予想だにしなかっただろう、観客席からはざわつきと共に、マットに転がり動かない夕張にアツいエールの声が聞こえてきた

 

『ガンバレ!ガンバレ!メロンのお姉さん!』

 

『そうだぜーッ!オマエはいつだって奇跡の大逆転を見せてくれるじゃないかーッッッ!』

 

『元祖唯一無二の4スロット軽巡ーッ!』

 

『『『ユー・バリ!ユー・バリ!ユー・バリ!』』』

 

「あーっと、場内空前の夕張コールです!まさかあの夕張さんがここまでエールを受けたことがあったでしょうかーッ!」

 

そんな空前の夕張コールが効いたのか、マットに転がったまま動かなかった夕張が、よろよろと立ち上がった…ッッッ!!

 

「立ちましたーッ!夕張さん立ち上がりました!まだ死んでない!ヘルシー夕張!ア●ル・カタストロフ・ドロップを受けまだ死んでないーっ!」

 

「ほぉ…」

 

ーーー

 

「バ、バカな…!夕張!何故立ち上がれると言うのだ!?」

 

「…バカね、明石……アナタのその技じゃ私のア●ルをカタストロフできるワケないじゃない、たしかに全身を痛めつけられたケド、この通り!私のア●ルは無事よ!」

 

「クッ!!」

 

たしかに!ア●ル・カタストロフ・ドロップは大技ではあるが、その名前とは裏腹にア●ルにカタストロフを与える効果はないッ!!

 

「この程度、痛みの内にも入らない………明石、教えてあげるわ!真の痛みとは苦痛の中に快感が存在するもの、アナタの攻撃には愛がない、愛無き力は無に等しい」

 

「あ、愛…?愛ですと……?」ガクガク…

 

この時、明石は心の底から恐怖した…

愛!まったく意味がわからない!愛があろうがなかろうが痛いものは痛いに決まっている!コイツがナニを言っているのかまるで理解できない!?

 

そう、思えばこの明石が愛を失ったのはいつだろう…?そもそも自分は愛を持っていたのだろうか?いや、たしかに明石の中にもかつては愛の心があったのだ……

いつの頃からだろう、愛から目を背け、金こそ全てだと自分に言い聞かせてきたのは………そう、あれはまだ明石が純真で女の子はみんなプリキ●アになれると信じていた頃………

 

「テイトクインフェルノーッ!!

 

グシャアッッッ!!!(テイトクインフェルノ)

 

「ンギィイイィィィィ!!!」

 

ーーー

 

「キマったァァァァァ!!ヘルシー夕張が放った掟破りの海軍三大奥義の一つ!テイトクインフェルノが炸裂ーッ!!ビューティー明石!壁にメリ込んだまま動けない!これは死んだァァァァァ!」

 

「…決着じゃ」

 

こうして、ビューティー明石VSヘルシー夕張のデスマッチは終わった……何故最後に明石は動けなかったのか、何故明石が守銭奴になった回想シーンがキャンセルされたのか………それは誰にもわからない、ただ、勝ったのは夕張であり、勝者となった夕張はリング上で提督からアツいビンタを受けて気色の悪い笑みを浮かべていた

 

●ビューティ明石 VS ○ヘルシー夕張

24分58秒、テイトクインフェルノ

 

◆◆◆◆◆

 

後日………

 

「まったく、ヒドい目にあいましたよ」

 

「ヒドくない、提督だ」

 

みんなの店、アカシメイト…

テイトクインフェルノのダメージから一週間程店を閉めていたが無事に再開し、今日もレジカウンターでやる気なさげに頬杖ついていた明石は全身が痛いとブツブツ文句をタレていた

 

「そういやテイトク、私の取り分」

 

「あ?」

 

「私の取り分、ファイトマネー」

 

「ねぇよ、そんなもん」

 

「なんでッ!?」

 

「オマエの治療費とオレのパチンコ代に全部使ったわ」

 

「ク…クズ!まっことクズだわこの男!救えない…っ!」

 

「そのままオマエに返してやるわい、まぁ俺も鬼じゃねぇし、メシぐらい奢ってやるよ」

 

「ハァー?メシぐらいで私の怒りがおさまると思ってるんですかねぇー?このクズは!いいですよ!ちょっと提督とは一度キッチリ話をしないと思ってたんですよ!お酒飲めるトコ行きますよ!酒飲めるトコ!」

 

「よーし、オマエの快気祝いだな!ガハハハハ!」

 

「笑いゴトかッ!!」



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提督地獄変【最終章⑦】

不定期更新最終章その7

【登場人物】

叢雲(完璧艦娘)
下等が…ッ!

五月雨(髪が長い)
いけないなァ…提督のことを悪く言っては


東西戦決戦!叢雲VS五月雨…!

オーソドックスを極め、スピード、パワー、センスと軒並み高水準の能力を遺憾無く発揮する叢雲と、同じくこちらもオーソドックス、しかし能力値自体は平凡な白露型駆逐艦の域は出ない五月雨

 

開戦序盤は性能面から改二である叢雲優位と思われたが平凡の域を出ないハズの五月雨が隠していた強烈なカウンターが直撃こそしなかったものの演習を観る者全てを驚愕させ、叢雲優位の評価がやや揺らいだ

 

そして、互いに司令塔である提督から次なる指示を受けての中盤、叢雲はカウンターを警戒しつつも高性能を活かして小技で確実に削る作戦、五月雨は序盤からと変わらず防御と回避に専念し、カウンターの機会を伺っていた…

 

ーーー

 

「…チッ!ホントに硬いわね、あの子」

 

『小さいとは言えダメージは確実に入っている、焦らずに、確実にだ』

 

「わかってるわよ」

 

カウンターはかなり危険だが、こうして警戒していれば問題はない、スピードもパワーも自分が優っているし、仮に相手が攻勢に転じたとしても正面から切って落とせる

 

カウンターと言う大砲を除けば、間違いなく目の前の相手は平凡な性能だ

 

「…さすが叢雲ちゃん、強いですね」

 

「まぁね、ウチの提督に付いて行くにはトーゼンよ」

 

「なるほど」

 

中央からも目をかけられ次期大将とも目される川奈大佐、海軍兵学校を優秀な成績で卒業し、新人時代から非凡な作戦遂行力を遺憾無く発揮して戦果を挙げ、多くの艦から慕われる人望と統率力………そんな完璧の傍らに居続ける為には、自らも完璧でなければならない

着任以来、多くの優秀な艦が川奈大佐の下に集まったが、この位置だけは誰にも譲らなかった、そしてこれからも譲らない

 

「アンタはどーなの?アンタ専業秘書艦なんでしょ?」

 

「さぁ?どうと言われても…」

 

「…ま、あの小憎たらしい冴えないメガネのナニがいいかはまったくわからないけど」

 

「まぁ、たしかに普段は冴えないですが、たまには冴えますよ」

 

「へぇ、そうなの?」

 

付かず離れず牽制気味な距離で地道な小技を重ねてはいるものの、五月雨のガードはやたら堅い

 

「ああ見えて福利厚生とか就業時間とか有給消化とか意外とマメにチェックしたり改善したりしてますし、毎回グチグチ文句は言いますが本部からの作戦は無理のない形でキチンと遂行して一応の戦果は挙げてますし、基地の娘からもカスだのクズだの言われてますが、なんやかんやでみんなから嫌われてる感もないですし、それなりに上手くやってますよ」

 

「へぇ〜………ってか、アンタ意外と饒舌ね」

 

「そうですか?」

 

「まぁ、アンタもその意外と嫌ってない一人ってワケね!」

 

チッ!上半身狙いからフェイントかけての足刀もキッチリガードされた…ッ!

 

でも、反撃の余裕はないみたいね…

 

地力で勝る分、たぶんこのまま行けばコイツに勝てる、勝てるけど………一旦距離を置き、インカムのスイッチを入れる

 

『どうした?』

 

「アタシ、あの娘の距離で勝負したいんだけど?」

 

『………勝てるか?』

 

「勝つわ、アンタの右腕を信用しなさい」

 

『わかった、行ってこい』

 

インカムのスイッチを切り、今までエコモード気味にしていた艤装に全開の火を入れ、一気に加速するッッ!!

 

「さっみ…ッだれェェェェ!!」

 

ドンッ!!!!

 

急加速で正面から叩き込んだストレートはガードの上から五月雨を大きく仰け反らせる!

 

「クッ!!」

 

「ここから先は正真正銘、全力全開でいくわよッッ!!」

 

「こっちは最初から全力なんですけど…」

 

「堂々とウソつくんじゃないわよ!ったく……ほら、勝負よ!真っ向勝負しなさい!」

 

「えー…真っ向勝負だと叢雲ちゃんのが強そうだからイヤなんですけど」

 

「やかましい!予告してやるわ………アンタは正面から、ブッ…倒す!!」

 

◆◆◆

 

「フーッ〜………」

 

ようやく最終ラウンド突入だな、よし…

俺はインカムを取り、五月雨に最後の指示を出す…

 

「五月雨ェ…」

 

『なんですか?』

 

「やっちまえ」

 

『…まぁ、一所懸命頑張ります』

 

インカムのスイッチを切り、席を立ち、もう一度演習の場に立つ我が秘書艦殿の姿を見て提督指示席を離れようとすると、隣に座っていた由良さんからどこに行くのか聞かれたので便所と答えると死ねと言われた、むしろお前が死ね

 

「さて…」

 

じゃ、こっちも最後ラウンド突入しないとなぁ〜…

 

大将殿は基本ムカつくしテキトーなジジイだが真面目な嘘はつかない、真面目な嘘だとどんなに良かったコトかとここ最近はずっと考えていたが…

 

「まぁ、人生はなるようにしかならねぇモンだ」





次回から今年最後のイベント海域編
聖域激震!新たなる聖戦の幕開け!


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続続続続続続続続続続・提督と作戦とミーティング

新たなる聖戦の幕開け!黒き衣の群れ!

【登場人物】

提督(中佐)
新艦7………?多いな

革命軍(アツかりし革命)
ガングート率いる革命集団、政府から危険視されている



「行くぞッ!オー!行くぞッ!オー!行くぞ行くぞ行くぞォォォォ!!」

 

今年最後の月が始まる、その、よき日に作戦開始恒例の全艦集会に集められたクズどもの心は今、1つになったのだ…

アツいナイスガッツさえあればなんとかなる!どんな困難だってナイスガッツさえあれば乗り越えられる!そんなアツいナイスガッツを、誰よりもアツいガッツを持つ長良主将はいつだって俺達に教えてくれるのだ…

 

そんな長良主将は行くぞオラァと壇上から飛び降り、下にいたクズどもにキャプテンわっしょいキャプテンわっしょいとウェーブされながら体育館の外へと流れて行った…

 

「えー………じゃ、各自肩作ったりイメトレとか準備しとけよー、じゃ、解散」

 

正直、毎度毎度俺が開戦の挨拶するよか長良主将が挨拶した方がいいじゃあないかな?自信失くすぜ

 

◆◆◆

 

そんなワケで始まった秋…?の大作戦、進撃!第二次南方作戦ゥ!だが、とりあえず、まずは情報を集めなけりゃあならない…

別にビビっているワケじゃあない、敵の正体や能力もわからずに闇雲に敵地に飛び込むのは危険だと言っているのだ!こう言うときこそ落ち着いて、冷静に敵の能力や正体、最適なルート制御、ドロップ情報を判断する必要がある

 

そんな老獪かつ大人の判断を考えつつ執務棟へと続く廊下を歩いていると、廊下の先になんかデカいのと小さいのの群れがいた…

 

「よぉ、ナニやってんだ?オマエら」

 

「ん?おぉ!同志ではないか、丁度いいところに来たな!」

 

史上最もアツかりし戦艦、革命戦艦ガングート!そして…

 

「あ!テイトクっしゅ!メチャいいトコに来たっす!」

 

「いや、姉さん…いきなり指さすのは失礼だから」

 

アホの占守クンとその妹、そして他にも事案発生装置、択捉姉妹の長女択捉クンとその妹の……え〜なんだっけ?マチュアだっけか?まぁいいや、ガングートだけでなくこの顔ぶれと言うと………アレだ、革命軍

 

「フッ、同志提督、今から同志達と焼肉を囲み共にアツき革命について大いに語り合う予定なのだが……丁度良かった!オマエも来い!」

 

ガングートはガハガハ笑いながら俺の背中をバシバシ叩き、なぁ同志よ!と高らかに笑った、っーか背中が痛てーよ、なんだよコイツ

 

「ナニが焼肉だ、今日からウチは大事な大事な作戦海域突入なんだぞ、舐めてんのかテメーは」

 

「大丈夫だよ同志、それはそれ、これはこれだよ」

 

「おわっ!?」

 

び、びっくりした…タスケくんか、コイツいつの間にやら俺の真正面にぬるりと現れていたんだ?まるで気配を感じなかった…

 

「タスケくんか、びっくりさせないでくれたまえよ」

 

「びっくりさせたかい?」ニコニコ

 

この、いつもニコニコして一見すると人当たりの良さげな風に見えるタスケくんだが、頭の中はかなりシンプルで、同志以外は便器に吐き出されたタンカスぐらいにしか思っておらず、同志でなければ赤子ですら笑顔で始末する殺戮機械である

 

「アタシは同志と一緒がいいな」ニコニコ

 

「…そうかね?」

 

そしてこの殺人ストレート、なまじ見た目が可愛いので、こう……どストレートを投げ込まれると提督も対応に困るのだよ

 

ただこのタスケくん、喜怒哀楽の楽以外の感情が欠落している

 

「ハッハッハ!まぁそう言うな同志提督!ハッハッハ!」

 

「痛てぇーよ!背中バシバシすんな!っーか馴れ馴れしいんだよテメーは!」

 

「ハッハッハ!」

 

アツかりし革命戦艦ガングートは相変わらずガハガハ笑いながら馴れ馴れしく肩を組み、さぁ!行くぞ同志!とか言っているが、正直、俺は革命軍の同志じゃないのでやめて貰いたい

 

「択捉ちゃん、やっぱりやめましょう…こんなのと付き合っていたら択捉ちゃんの価値が下がります」

 

「離して、むしろ松輪は無理して私に付き合わなくていいし…」

 

「私はァ!!択捉ちゃんが心配なんです!ナニが革命軍ですか!革命軍なんか今すぐやめるべきです!」

 

「松輪、うるさい」

 

…声掛け事案メイト、択捉姉妹

その、長女の択捉は革命戦艦ガングートと同期なせいか、その思考は革命寄りに傾倒しており、意外にも姉妹よりは同期である占守と仲が良いらしい

 

「ハッハッハ!どうした?同志エトロフ、そして同志エトロフの妹!」

 

「同志ガングート!」

 

「択捉ちゃんを同志とか呼ばないでください!このデカブツ!」

 

同志エトロフの妹こと松輪はガングートを睨み付け、その足にローキックをバシバシ打ち込むが…

 

「ハッハッハ!まったく、同志エトロフの妹はいつも元気満点だな!ハッハッハ!」

 

しかし悲しいかな、海防艦と戦艦では神と虫ケラほどの実力差がある事実……松輪のローキックを元気いっぱいにじゃれていると思ったか、ガングートはガハガハ笑いながら小柄な松輪の身体を持ち上げ、その両足を肩にかけて乗せてやった

 

「ハッハッハ!」

 

「クッ!おろせ…っ!おろせキサマ!!」

 

「ハッハッハ!」

 

松輪は貧弱パンチでガングートの頭をポカポカ殴っているようだが………その様は、親と子が、まるで肩車をしている姿にも見えなくはない…

 

「あ、マツワン!ズルいっしゅ!マジズルいしゅ!」

 

「ハッハッハ!同志シムなんとかも後でしてやろう!ハッハッハ!」

 

「マジっしゅか!いや…………ちょい、ちょいテイトク!ちょい!」

 

アホの占守くんは俺にちょいちょいと手招きし、ちょい屈めとジェスチャーで伝えてきた

 

「やだよメンドくさい、バカかテメーは」

 

「誰がバカっすか!?」

 

「なんで俺がテメーを肩車しなきゃならんのだ、ロ●ン・スペシャル喰らわせるぞ」

 

「シムに対して雑に厳しい…っ!なんなんしゅかこの心の狭さ…フッ、同志ガングートを見習って欲しいっしゅね」

 

「誰が心が狭いだコラァ!!」

 

ギリギリギリギリ!!(ワンハンドアイアンクロー)

 

「ギャアアアアアアアアアア!割れる!割れる割れる割れるっしゅー!!」

 

「どうだ?魔のテイトククローの味はァ…?アホな子でスイマセンって謝るまでやめねーぞ」

 

「ギャーッ!!痛い痛い痛い痛い痛いーッ!」

 

「姉さんにナニすんのよ!このアホ提督!!」

 

コキンッ!(股間蹴り)

 

「うげぇ!!」

 

クナくんに股間を蹴り上げられ、思わずテイトククローを離してしまったが………っーか蹴るか?普通に蹴るのかこの子?

 

「大丈夫?姉さん?」

 

「だ……大丈夫じゃねーっしゅ、危うくパッカーンするかと思ったっしゅ」

 

「謝りなさいよ!姉さんに!」

 

「やだよ、俺悪くねーモン」

 





次回第一ステージ開幕戦
五十鈴さん【有給中】


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八駆見参!バリ島沖海戦

Ready Perfectly、資材は完全に整っている

【登場人物】

提督(完璧提督)
下等艦娘を粛清するには時と場合によっては凶器も使ってもよい

五月雨(下等艦娘)
今回も出撃予定は無い専業秘書艦


バリ島上陸地点、朝潮VS集積地棲姫…ッ!!

 

来タ————ッ!射程……!

 

右!!! 外レタッッ!!

 

喰ッタ!!

 

「……ッッッ」

 

「………ッッ」

 

開始2秒………!集積地棲姫、ダウンッッッ!!!

 

◆◆◆

 

冬の寒さをギンギンに感じるギンギンな執務室…

 

「今回は開幕五十鈴さんじゃないんですね」

 

「五十鈴さんなら有給だ」

 

今回、五十鈴さんは作戦には参加しない意向と有給休暇を申請してきたので特に却下する理由のない俺はその申請を受理し、五十鈴さんは自分を見つめ直す旅に出るとか言ってエジプトへと旅立った…

何故エジプトなのかはわからないが、占い師とおじいちゃんと憎めないヤツを旅の仲間に旅立ったらしい…

 

「とりあえず、今回はいきなり集積地的な人ですね」

 

「あぁ、たった今、粉微塵になってブチ撒けられたが…」

 

今回の開幕スタメン、不動巨人の異名を持つ駆逐艦、朝潮率いる第八駆だが………たぶんあのメガネの姉ちゃんが嫌いなのだろう、内火艇パンチがいきなり火を噴く大惨事からのスタート………ゴキゲンなスタートだ

 

正直、現場からの中継をモニター越しに見ていてこの俺も思わずブルっちまうぐれーヤバかった、こないだまで可愛いネコミミリトルウィッチーさんだったのに今やただのハードパンチャーだ

 

「フーッ〜………で?前半戦はいいとして、後半戦はどんなヤツが相手だ?」

 

「一応、調べた情報によりますと〜……軽巡ヘ級改ですね」

 

「…ヘ級?」

 

「ヘ級改ですね」

 

なんともマヌケな名前だな、まぁ、名は体を表すと言うが…

 

「だが、もし仮に、その名前が偽りだとしたら、その存在そのものが偽りと言うコトになるのかな?」

 

「何を言っているのかサッパリわかりません、コーヒー飲みますか?」

 

「オマエのコーヒー飲むくれーなら泥水で口をすすぐね」

 

この後、サミーからつまらんプライドーッ!とか言われてビンタされたが俺は悪くない

 

◆◆◆

 

バリ島深海防衛旗艦艦隊…

 

深海大を卒業し、深海棲艦へと入隊した軽巡ヘ級、エリート、フラグシップと順調にステップアップし、そして今回の作戦を前に、ついに改フラグシップへと昇りつめた…

 

これまでの地道な活躍と豊富な経験、軍団を率いるリーダーシップを評価されたのだ、長年一緒に頑張ってきた同僚でありライバルのホ級とト級、後から入隊してきて最初はナマイキだったが今は一緒に戦う仲間として本当に頼れる後輩のツ級、軽巡級では初となる改フラグシップへの抜擢!最初は自分より実力が上のツ級がなるべきじゃあないかと戸惑いもあった、しかし、あのナマイキだったツ級が改フラグシップはヘ級さんが適任ですと中枢さんに強く推してくれたと知り、不覚にも涙がこぼれた…

 

この戦いが始まる前、ホ級、ト級、そしてツ級達と飲みに行った……俺の昇進祝い、そして激励会を兼ねてだそうだ

ツ級のヤツ、ヘ級さん改フラグシップで昇給するんだからここ奢ってくださいよーって…オマエの方が稼いでるじゃあないか?まったく、手ばっかデカくて調子のイイ奴だ

 

ホ級もト級も頑張れよと肩を叩いてくれた、ホ級のヤツ、最近家を買ったらしく俺もまだまだ頑張らないとなー!とか笑ってたが内心ではきっと悔しいものがあったろう、ト級なんてフラグシップすらない窓際軽巡だ、ここで俺がイイトコを見せて、軽巡級はツ級だけじゃないんだぞ!ってアピールしなくちゃあな………

 

ーーー

 

『ゴフッ…!』

 

「チッ、なんか変な液体がついたわ…」

 

軽巡ヘ級改フラグシップ…

 

大井の殺人キックの前に…………散るッッッ!!!

 

「はー…終わった終わった、帰るべ帰るべ」

 

「今日の晩飯ナニ?パスタ?ミートスパ?」

 

「知らね、っーかオマエ、後でチョコレートパフェ奢れよ」



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強襲!第二次ジャワ沖海戦

第二ステージ、戦慄!重巡棲姫!

【登場人物】

高雄(巨乳)
姉妹の長女、妙高とは入隊前から顔見知りでとても仲が悪い

愛宕(巨乳)
姉妹の次女、金髪巨乳なのに提督から避けられる邪悪な金髪巨乳


第一ステージを完封し、勢いに乗るチームが挑む第二ステージ!ジャワ沖/ダーウィン沖!

 

「オラァ!死ねッ!オラ!」

 

「舐めてんじゃねーぞコラァ!あ?脳ミソパンパカパーンかよテメーはよォー?あ?」

 

『ヒィ!ヒイイィィィ!』

 

前半戦、久々に作戦海域の出番の回ってきた高雄と愛宕の容赦の無い殴打で港湾水鬼はそのキレーな顔を親でも区別つかないくらいボコられ、アバラ折りの儀式を喰らって沈んでいった…

 

◆◆◆

 

「相変わらずツエーな、アイツら」

 

「そうですね」

 

かつてまだこの基地がシャバ僧の集まりだった頃から居る高雄姉妹、そのツートップ、高雄と愛宕…

未だ改二の声がかからないとは言えその実力は本物…最強の殴り屋コンビ、ツーメンアーミーと呼ばれ、一度出てきたが最後、そのヤンチャさと極悪さは重巡の中でも群を抜いているだろう…

 

「ちなみに後半戦はどうなんだ?なんかワクワクすっぞ!みてーなスゲーのが待ち構えてんのか?」

 

「待ってるのは重巡棲姫だそうです」

 

「重巡…?あぁ、あのニクラシイ奴か」

 

地味にアイツも毎回見る気がするが、毎度毎度ヴェアヴェア言ってフッ飛ばされてなお我々に歯向かうそのガッツは買うべきだろう

 

ジリリリリ♪ジリリリリ♪(電話)

 

「はい、ハンサムな提督です」

 

『もしもーし?オレオレ』

 

「オレオレじゃねーよ、誰だテメー」

 

『高雄、高雄、あ?舐めてんのかコラ?』

 

「なんだ高雄か………おかけになったハンサムは現在通話できません」

 

『やかましい!』

 

ったく、なんなんだコイツは……わざわざ作戦出撃海域から電話してきたと思ったら、よほどの緊急連絡か、もしくはよほどのどうでもいい話か…

 

『鳥海いる?チョーカイちゃん』

 

「さぁ?執務室には居ないが、基地のどっかにはいるだろ?サミー、鳥海クン見たかね?」

 

「鳥海さんなら昼前に自販機コーナーでおしるこ買ってゲー●スト読んでるのは見ましたけど…」

 

さすがは基地格ゲー界の事情に詳しい鳥海、大したヤツ……

 

鳥海と言えば先月のランキング戦にてバーチ●2であの望月さんをあと一歩のところまで追い詰めたまさしく剛の者、だが本人曰く、的確な操作技術には自信があるが自分は意外とアツくなり易い性格なのが災いしたと答えていた

 

「鳥海クンは自分を高めているそーだ、オマエらみたいなクズと違ってな」

 

『ダレがクズだ』

 

「まぁいい、鳥海クンに伝言があるなら提督様が直々に伝えてやろう、直々にな」

 

『じゃ、冷蔵庫のモンブラン食ったら殺すって言っといてくれや』

 

ブチッ!ツー…ツー…(通話終了)

 

な、なんてくだらない用件だ……それほどまでに大事なモノか?モンブラン

 

「…サミダリューン、冷蔵庫のモンブランとはそれほど大事なものであろうか?」

 

卿の意見が聞きたい、俺はそう青髪ロング子に問うと、青髪ロング子は少し考えた後、こう言った……

 

「そうですね、仮に私が執務室の冷蔵庫にモンブランを入れておいて、私が目を離したすきに提督がそのモンブランを食べてしまったとしましょう………さすがの私も怒り心頭になり、おそらく、その日は提督と口をきかないと思います」

 

「ふむ」

 

実に冷静で的確な意見だ、なるほど…

 

「ありがとう、では今度試してみるとしよう」

 

「まっことクズ!と、よく言われませんか?」

 

「言われるな、熊野に」

 

◆◆◆

 

第二ステージ後半戦!VS深海一の火の玉ボーイと呼ばれる武闘派重巡、重巡棲姫!

 

決して華々しくはない地味なデビュー戦を飾り、それから何度となく深海チームのレギュラーを行ったり来たりする一軍未満、二軍以上の微妙な実力を持つが、その常に勝ちに飢える硬派な性格から深海の仲間達からは慕われており、何度となく悲惨な敗北を重ねても甦るその姿は見る者に勇気を与えてくれるのだ…

 

『ヴェアヴェアヴェア!ニクラシヤァァァァァ!』

 

『デ、デターッ!重巡棲姫クンノ見ル者全テガ呪ワレル地獄ノニクラシヤァー!』

 

『マッタク!重巡棲姫クンハイツダッテオレタチニ勇気ヲ与エテクレルーッ!』

 

そんな重巡棲姫に対するは………重巡一のハードパンチャーコンビ

 

「オマエにはできないかもしれない」

 

「あー?もしもーし?今から救急車お願いできますー?えー…1、2、3……4、5、6台」

 

最強重巡、高雄と愛宕率いるジャワ島沖展開艦隊主力攻略チーム…

 

『フンッ!ノコノコト…ヤクタタズ…ドモ…ガ!シズメェ……ッ!』

 

開戦直後!勢い良く飛び出した重巡棲姫の右ストレートが高雄の顔面にメリ込ま……………ないッ!避けられているッ!

 

「言ったハズだぜ…」

 

『!』

 

「オマエにはできないかもしれない、と…」

 

『ウヴヴェァァァァァァァッ!! 』

 

高雄の強烈なボディブローをお腹に被弾し、重巡棲姫は光るゲロを吐きながら海上を転げ回り…

 

「ナニ寝てんだコラァァァァァァ!!アタマパンパカか?テメーはよォーッ!」

 

『ヴェアアアァァァァァァ!!』

 

愛宕から執拗にお腹にキックを喰らい、海上をのたうち回った

 

「どうだァ!思い知れッ!思い知れッ!」

 

『ヴェホ!ヴェ…イダ!イダ…ッ!ヤメ…』

 

 

ドコオォン!ドコオォン!(お腹キック)

 

 

『ナ…ナンテヤツダ!アノ金髪巨乳!イカレテイヤガル…!』

 

『ア、アイツノ精神コソパンパカパーンダ!バリバリト音ヲ立テテ裂ケル暗黒ノクレバスダッ!』

 

やはり重巡棲姫クンじゃ駄目だった………そんな雰囲気が漂うチームは、死を覚悟した

これから自分達は一人一人、確実に海にブチ撒けられるだろう………だが悔いはない、重巡棲姫はきっとまた立ち上がるだろう、何度でも…!

 

『コノクソッタレガァァァァ!重巡棲姫クンカラ離レロォォォ!』

 

『俺達ガ相手ダァァァ!』

 

『ハ級!ツ級!オマエラ………へへッ!ドイツモコイツモ……ナンテバカヤローダヨ!』

 

 

「ハァ……?」ピキッ!

 

「ふぅ………オマエらではできないかもしれない」パキッ!

 



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提督と鈴熊とカレーを作る人

【登場人物】

提督(クズ)
クズの人

鈴谷(ビッチ)
ビッチである

熊野(アホ)
提督とはわりと仲が良い


日に日に寒くなると運動不足になりがちになっていかんなぁと考える今日この頃、執務棟の廊下の窓から見えるグラウンドでは長良主将率いる陸上部が今日もアツいナイスガッツとアツい汗を飛び散らせていた…

 

「このクソ寒いのに元気なコトだ」

 

だが、そんな長良主将と陸上部のアツいナイスガッツを見ていると不思議と勇気が湧いてくる気がするのだよ、たぶん

 

「あ、テイトクだ」

 

「あら?ホントですわ」

 

そんな勇気がMORIMORIと湧いてくる気がしていると、廊下の先からビニール袋を持ったバカどもが歩いてきた

 

「よぉ、クズども」

 

「誰がクズだし」

 

「アナタにだけは言われたくありませんわね」

 

最上姉妹のツラ汚しと名高いビッチで三女の鈴谷と料金以下のマズい料理には金を払わないお嬢属性のレッテルを貼られた末妹の熊野…

イヤなヤツらに会ってしまったな、そしてコイツらの格好はなんなんだ?今からクリスマス先取りだろうか…?まぁいい、気にするだけ無駄だろう

 

「なんだその袋?今から乱交パーリーでもするのか?」

 

「なんで乱交パーリー!?ちょっとシツレーすぎじゃね?」

 

「シツレーすぎもナニもねぇだろ、だいたいなんだそのエロサンタ服は?あ?エロゲーか?そんな服着てたらファックしてくださいって言ってるようなモンだろーが」

 

「んなワケねーし、ってか乱交パーリーもしねーし、鈴谷そーゆーのはあっても参加しない清い子じゃん」

 

「ビッチのくせにウソつくじゃないよこの子は」

 

「ウソじゃねーし」

 

ナニ言ってんだこのビッチは、イカレているのか…?

 

「まぁいい、で?その袋はなんなんだ?駄菓子か?」

 

「駄菓子ではありませんわ、カレーの材料を買ってきましたの」

 

「カレーの材料ぉ〜…?なんだ、オマエらカレーとか作れたのか?」

 

「シツレーすぎ!鈴谷こー見えても料理は超得意じゃん、ケーキだって作れるよ!」

 

鈴谷曰く、メインヒロイン様には出来て当然!息を吐いて吸うのと同じように、HBのエンピツをベキッ!とヘシ折れるのが当然のようにメインヒロイン様には料理が出来るのは当たり前らしい

 

「ま、どーしてもってならテイトクにも味見させてやっても…」

 

「やかましい、負け確ヒロインが」

 

「負け確ヒロインじゃねーし!」

 

ヒロインに緑は負け確、これは既に常識…

 

「まぁビッチの鈴谷はいいとして、熊野も作れるのか?」

 

「ビッチじゃねーし!」

 

「ボ●カレーを温めるのは得意ですわ」

 

なるほど、さすがは熊野だ………俺の期待を裏切らない

 

「ふ〜ん、まぁそんなコトだとは思った、さすがはオマエだ」

 

「ふふっ、照れますわね!」

 

「や、褒めらてねーし、むしろディスられたくね…?」

 

俺は熊野の頭をヨォーシ!ヨシヨシヨシヨォーシ!と撫で回してやると、鈴谷の野郎が納得いかなそうなツラをしていたので熊野が持っていたビニール袋から人参を一本取り出し、鈴谷の口にブチ込んだ

 

「フゴォ!?……って!ペッ!ペッ…!ナニするじゃん!?」

 

「美味いか?」

 

「や、フツーにナマだし、美味いとか美味くねーとか、ウサギにしかわからねーし、っーかなんで今、鈴谷の口に人参突っ込んだの?ねぇ?なんで?鈴谷なんかした?今の流れで突っ込まれるのおかしくね?」

 

「特に意味はない、単に上の口が物欲しそうにしてたからな」

 

「上の口とかゆーな!」

 

まったく、口の悪いビッチだな、いや…ビッチだからこそ口が悪いのか

 

「まぁいい、引き止めて悪かったな、さっさと消えろ」

 

ひとしきり暇潰しを堪能し、鈴谷と熊野から興味をなくした俺は二人にアバヨと言って手を振り、喫煙所へと…

 

「待つじゃん!!」

 

ガシィィィ!!(肩掴みクロー)

 

「グオッ!!な、なんだこのパワーは…!下等艦娘にしてはだが…!」

 

「さんざん…っ!ヒトをビッチ呼ばわりして逃げられるとか甘っちょろいじゃん!テイトクも手伝ってよ、カレー作るの」

 

「やだよ、俺、おばあちゃんから男子厨房に入らずって言われてるんだ」

 

「今時古いじゃん!ってかレストランとかコックは男ばっかじゃん!」

 

「オマエ意外と頭いいな」

 

言われてみるとラーメンは常におっさんだしな、そこに気づくとは………大したヤツだ

 

「っーかテイトク何気に簡単なモンなら作れるじゃん」

 

「そりゃオマエ、男だからな、男ってのはカレーぐらい作れるものなのだよ」

 

そういや一級フラグ建築士の必須項目に料理と言う項目がある、エロゲーの主人公だった場合、なんらかの事情で両親が不在になることは多く、その際はどんな女も真っ青になるメチャウマ料理スキルと家事スキルが必要になるのだ

 

「じゃあ手伝ってよ!」

 

「やだよメンドくさい、熊野がいるだろ?熊野が」

 

「私、ボ●カレーを温めるのは得意でしてよ!」ドヤァ!

 

「ナニがドヤァ!だ、舐めてんのかテメーは」

 

「いいじゃん!どうせ暇なんでしょ?」

 

「誰が暇人だ」

 

コケにしやがって……俺が暇人だと?だが鈴谷、やはりオマエはただの負け確ヒロインだ、ごく地味なシナリオと立ち絵しか貰えない矮小な者の考えよ…

 

俺はまるで紳士のように鈴谷の手をとり、その柔らかい手を…

 

「零の悲劇ィィィィィィ!!」

 

ギリギリギリギリ!!(力強い握手)

 

「ギャアアアァァァァァァ!!痛い痛い痛い痛い痛い!はな、離せッ!!」

 

俺の零の悲劇から逃れようと、残った左腕で俺のボディを連打し、俺が多少怯んだ隙に零の悲劇から見事脱出した鈴谷!しかしッ!!

 

「お~っと、まだ終わっちゃいませんわよ!」

 

「く、熊野…ッ!」

 

熊野は鈴谷の背後から両腕を前に回しガッチリとホールドする!

 

「ヘイ!ヘイ!テイトク!」

 

「オーケー!熊野!」

 

さらに俺は熊野の背後から両腕を回し、熊野と同様に熊野の腹の辺りで両手をクラッチし、俺と熊野はタイミング良く背を反らせ、ジャーマンスープレックスを仕掛けるッ!!

 

ズガアァン!!(デモリッションジャーマン)

 

「オゴォ!!」

 

「ヘイ!テイトク!ヘイ!」

 

「ヘーイ!」

 

パーン!(ハイタッチ)

 

「オ……オマエ、オマエらぁ………な、なんで、なんで今、鈴谷にジャーマンした…?」

 

「意味はありませんわ」

 

「意味は無い」

 



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激突!スラバヤ沖海戦

第三ステージ、戦慄!重巡ネ級・改!

【登場人物】

重巡ネ級(重巡)
深海レギュラー、自分に自信がない

妙高(重巡)
カッとなりやすい重巡、高雄とは入隊前から絶望的に険悪の仲

羽黒(サイコ重巡)
お姉ちゃん大好きっ子、姉のマジダチだから大淀は生かされている




前半戦第二ステージを突破し続く第三ステージ!南方ジャワ島方面、まずはスラバヤ方面に巣食う深海の悪鬼どもを撃滅するべく、まずはいつもの輸送連合で軽くジャブを入れておこうと考えていた我々だったが………そんなチームの前に思わぬ強敵が立ち塞がったッッッ!!

 

重巡ネ級ッッッ!!

 

過去、何度なく現れた何のヘンテツもない深海の重巡級…

エリート、フラグシップ……過去にもそんなパワーを持つネ級達は居たが、誰一人として、己の内にある楔を打ち破ることはできなかった…

 

しかしッッッ!!

 

そんな重巡ネ級の中にッ!遂に施錠された鍵を開き、己の壁を超えるものが現れた…ッ!!重巡ネ級を超えた重巡ネ級!重巡ネ級・改!!

 

「あ…あのヤロウ、ハンパな気じゃねぇ!」

 

「クソッタレ!いったいどんな修行をしてきやがったんだ!」

 

「ハッキリ言って今のヤツはそこらの姫級や鬼級をも超えてやがるぜ…!」

 

対峙したスラバヤ沖攻略部隊すら戦慄させる戦闘力を身に付けた重巡ネ級改……そう、重巡ネ級はデビュー以来、そこそこの打撃力とまぁまぁの守備力で深海レギュラーに定着、派手さこそないものの、堅実に経験を重ね、チームの仲間達からも信頼を得ていた…

 

しかしッッッ!!

 

そんな重巡ネ級にも悩みはあった、生来のナイーブな性格が災いしてか、あくまでその活躍は地味

本気を出せばそこらの姫級も真っ青な生唾ゴックン!のビシバシボディだが人の目が気になってしまう彼女は自分に自信が持てずにいた、そんなある日…

 

休日、いつものように深海にある自宅のアパートで大好きなクマのぬいぐるみを抱いてテレビを見ていると彼女の目にある深海テレビCMが留まった…ッ!

 

一つ上!一つ上の男になれ!

 

『……』

 

涙が出た………重巡として自信がない!自分を変えたい!今のままじゃあダメだ!常々そう思ってきた…!重巡ネ級は大好きなクマのぬいぐるみをそっとソファーに置き、自分のタートルネックを掴むと、意を決したように、一つ上の重巡になるべく、深海上●クリニックへとコールしたのだった!

 

『クックック、サァ…ヤロウゼ!』

 

もう自分に自信がない重巡ネ級はどこにもいない!彼女は遂になったのだ!一つ上の重巡に!

 

「チッ、どいつもコイツもシャバ僧かァ?アァ?」

 

戦慄する攻略部隊、しかし!ただ一人、生まれ変わった重巡ネ級改の超絶パワーなど歯牙にもかけない者がいた!

 

「みょ、妙高クン!」

 

「ミョーコークン!」

 

「まさか妙高姉さんとやるつもり?ククク、死んだぞテメー」

 

妙高姉妹の頂点に君臨する長女、妙高ッッッ!!

妙高は吸っていたタバコを海上に吐き捨て、チームの仲間達にビビってんじゃねーゾ!と気合を入れた

 

「ったく、オイ羽黒、オメーたしか鏡持ってるよな?」

 

「持ってますよ、はい」

 

「サンキュ、フー…ったく、今日は風がツエーからイマイチ髪型がキマらねーのよ」

 

妙高は羽黒から借りた手鏡と自前の櫛を手に自慢のヘアスタイルのお手入れをしつつ、ネ級だかネトラレだか知らねーけどさっさと片付けとけよダボがと羽黒に命令すると、羽黒は笑顔で“誰に意見してんだ”と言った…

 

羽黒にとって、妙高はたしかに姉ではあるが正直なところ尊敬などしていない、むしろ妙高だろうが高雄だろうが羽黒にとっては便器に吐き出されたタンカスに等しい価値しかなく、むしろ、真の姉であり大好きなお姉ちゃんである足柄だけが居れば他は全てどうでもいいのだ…

 

『オイオイオーイ!ナニクッチャベッテンダテメーラァ!ヘアスタイルイジルノヤメネェーカ!鉄腕ア●ムミテーニ刈リ上ゲッゾ!』

 

「………あ?」

 

重巡ネ級改の挑発に、妙高が反応した…

そして、チームの仲間達は重巡ネ級改ではなく、妙高に戦慄したッ!!

 

「オイ、オマエ今、この髪型のコトなんっつた?」

 

「みょ、妙高クン!!」

 

「や、やばいわ!妙高クンはヘアスタイルをバカにされるのが一番ムカつくのよ!」

 

妙高は羽黒の手鏡を投げ捨て、自分のヘアスタイルをバカにした重巡ネ級改に殴りかかった!!

 

「オラァ!!」

 

『グオッ!!ナ、ナンテパワートスピード…!ハンパジャアナイ…!』

 

「誰の髪型がサ●エさんみてーだとォー?アァ?コラァ!?たしかに聞いたぞコラァ!!」

 

『イ、言ッテナイ!』

 

妙高の強烈なボディが重巡ネ級改のお腹に刺さり、重巡ネ級改は光る吐瀉物を吐いて海上を転げ回った

 

「あ、アイツ死んだぜ…」

 

「あぁなっちまった妙高クンは誰にも止められねー…誰にもな」

 

「あ、もしもし?足柄お姉ちゃん?うん、私、うん、大丈夫だよ、うん!なんか妙高姉さんがキレてるし、すぐ帰れそうだからすぐ帰るね!うん!え?もう一匹?水鬼…?うん、大丈夫大丈夫!みんないるもん!大丈夫だって!え?今日シチューなの?やったぁ!私足柄お姉ちゃんのシチュー大好き!うん、わかった!すぐ帰るから!」

 

羽黒は携帯を切りポケットにしまった

 

「オイ、そのゴミはよ片付けろやミョーコー、水鬼殺しに行くぞ」

 

「あ?誰にモノ言ってんだァ…?羽黒ォ…」

 

「ナニ…?やるの?私と?」

 

バチバチバチバチバチ!(メンチビーム)

 

「………チッ、オマエとはやらねー、妹だしな」

 

「そう、良かったぁ、妙高おねえちゃん、私、今日早く帰りたいからさぁ」

 

「…チッ、吐き気がする呼び方すんな」

 

 

この後、戦艦水鬼も妙高のヘアスタイルで逆鱗に触れお腹パンチされて海上を転げ回った

 

 





次回は前半戦最終ステージ
深海MO手術!


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バタビア沖海戦

前半戦最終ステージ、オウムガイ+触手+美女=

【登場人物】

バタビア沖棲姫(バタビー)
地域密着型姫級、たぶん二度と出ないレア姫級、あとエロい




スラバヤ沖の海戦を制し、前半戦最終ステージ、バタビア沖…

 

「でたーッ!最上さんと三隈さん至高のツープラトン!モガミクドッキングーッ!」

 

「グゥゥゥム、あの必殺技(フェイバリット)を受けてはひとたまりもあるまい…」

 

バタビア沖海戦前半戦、スラバヤでの雪辱を果たしにやって来た重巡ネ級改をくだし、チームはバタビア沖を征するBOSSへの挑戦権を見事手に入れたのだった…

 

◆◆◆

 

「フーッ〜…いよいよ最終戦か」

 

「窓開けていいですか?」

 

「やだよ、だって寒いじゃん」

 

我が師が走る年末の執務室、前半戦最終決戦の地と出撃した部隊の様子でも見るかと執務室のテレビのスイッチを入れていると、秘書艦の青髪ロング子がアツいティーを淹れつつ窓を開けていた…

 

「やーめーろーよぉー、寒いじゃねぇか」

 

「タバコ臭いじゃないですか」

 

「チッ、タバコがタバコ臭くちゃあいけないのかい?なんて心の狭いヤローだ」

 

「イマドキそーゆー喫煙理論流行りませんよ、知ってますか?タバコ吸ってる男子はモテないらしいです」

 

「え?マジで?」

 

グゥゥゥム、なるほど…たしかに言われてみるとそうかもしれん、最近、暁ちゃんが俺にファ●リーズをシューしていたのはそう言う意味もあったのか、そうかぁ〜…俺、タバコ臭かったのか〜…コロンでもつけようかな〜

コロンとかしたら暁ちゃんも俺と一緒にイ●ンモールとか行ってくれるかなぁ〜

 

「まぁ、提督の場合はコロンでは誤魔化しきれないおっさん臭さがありますが」

 

「おっさんじゃない、提督だ」

 

クッ、この髪長駆逐艦が……フン、まぁいい、どうせ来週には良い子の為のイベント、楽しいクリスマスがある!そこで暁ちゃんにはデカいぬいぐるみをプレゼントして提督の好感度爆上げよ!

 

「まぁそれはいいとして、そろそろ攻略チームが着いたぐらいですかね」

 

「そうだな、ちなみに今回のBOSSはなんだ?」

 

「資料によりますと〜………え〜…あ、この人ですね、バタビア沖棲姫」

 

そう言ってサミーが執務机に偉い人達が作戦海域を調べあげた資料……なるほど、このムチムチドエロスコスチュームのオネーちゃんがバタビア沖棲姫か、相変わらず深海ファッションは突き抜けているのだよ

 

「ふ〜ん、で?強いの?コイツ?」

 

「さぁ?背中にアンモナイト背負ってるし強いんじゃないですか?」

 

「どーゆー基準だよ…」

 

むしろ、コレはアンモナイトと言うよりオウムガイな気もするが、グゥゥゥム、おそらくはアンモナイトだかオウムガイだかの特性を身に付けた相手と見るべきか…

 

「ま、今回は無敵の最上クンとくまりんこさんがいるし、大丈夫だろ」

 

「そうですね」

 

最上姉妹の頂点に君臨する長女にして絶対王者西村艦隊正レギュラーの最上クン、そしてその実力は最上クンに匹敵すると言われている次女、くまりんこさん…

最上姉妹のパワーバランスは長女を頂点とし、次女と三女の間には神と虫ケラほどの差があると聞く…

 

◆◆◆

 

最終決戦!VS深海バタビア合同艦隊旗艦艦隊!

 

『モオォ〜…シワケ…アリマセンガァ〜…ワタシタチガァ……オアイテ…スルノォ〜……カカッテ…キナサイナァ!』

 

地域密着型姫級!バタビア合同艦隊を率いるBOSS、バタビア沖棲姫ッッッ!!今回デビュー戦になる彼女はこの戦い挑むにあたり、一つの決意を固めていた…

 

彼女の実家は深海でも珍しいオウムガイ専門の養殖業を営んでおり、彼女はその六代目となる………ハズだった!

 

しかし彼女は実家の家業を継ぐコトを拒否し、実家を飛び出した!!そう、彼女は昔からオウムガイの養殖なんてダサいコトはしたくない!好きな音楽でメジャーシーンを席巻してやるんだ!そう決意して実家を飛び出したが………現実は甘くはなかった

 

彼女のロックはたしかに抜群の歌唱力だったが、その性格とあまりにロックなファッションにメンバーは付いていくことができず、ライブでのトラブルも多い………やがて彼女と組むメンバーは居なくなり、深海ライブハウスからも出禁にされ、彼女は歌を歌うコトすらできなくなっていった…

 

そして、歌を、ミュージックを忘れ、クサクサしていたある日のコトだった……深海安アパートで深海カクテルを飲みながらテレビを見ていると、深海ローカルニュースで深海オウムガイの養殖業特集というコーナーが目に入ってきた………そう、彼女の実家だった

 

実家を飛び出し、ミュージシャンになるとイキまいて飛び出し、夢破れて情けない敗北者になった自分には関係ないとテレビのチャンネルを変えようとしたその時だった、テレビから僅かに自分の歌っている歌が聞こえた………何故?何故こんなくだらないローカルニュースの中で自分の歌が…?

 

答えはすぐにわかった、オウムガイ業者として受け答えしている父、その後ろには昔、自分の部屋に置いていたCDプレーヤーがあり、そこから大音量で音楽を流しているのだ………何故そんな事を?レポーターにこの音楽はなんでしょうかと問われた父は“良いオウムガイの成長に音楽を聴かせてやるといいのです”と答えた…

 

きっと嘘だ、そんなハズがない………子供の頃、オウムガイの水槽に蓋をして子供ながらにステージに見立てて歌っていると静かにしろとよく怒られたものだ…

そしてさらに父は言った“こんな激しい音楽を聴かせてやれば何にも負けない強い奴になる”と…

 

………それから数ヶ月後、私は深海棲艦入団試験を受験し、これに合格した

 

音楽を諦めたワケじゃない、これからも私は自分のロックを探し続けるだろう、でもそれは自分自身を否定していた今まで自分じゃない、ありのままの自分を受け入れる!あんなにダサいと思っていたこの背中のオウムガイは新しい私への挑戦なのだから!

 

「オラァ!!」

 

バキィィィ!!(全力パンチ)

 

『メカブ…ッ!!』

 

「ハナシなげーよ、殺すぞ」

 

『フ、フフフ…スコシハヤルヨウネ…!』

 

敷波からパンチを貰い、多少はグラついたがまだまだやれる、たしかに、今のパンチはなかなかだったが自分には無敵のオウムガイガードが…

 

『…ン?』

 

何か…?背中からオウムガイを掴まれたような感触が…

 

「せーのでいくぞー!せーのー!」

 

「くまりんこ!」

 

バキャアッッ!!!

 

『『GYAAAAAAAAAAAAAAAAーッ!!!』』

 

『ウッギャアー!!背中ガーッ!背中ガァーッ!!』

 

引きちぎられた!?無理矢理…!まるで天使の翼を根元から引きちぎるようにッ!!

 

『ア…?ア…?』ガタガタ…

 

「うわ、キモっ、ナニコレ、ヌメってるし、触手吐いてるし」

 

「くまりんこ」

 

あ、悪魔……っ!悪魔だわ、なんなのコイツら!?あ、謝ったら許してくれるかしら…?イヤ、無理だ、そんな顔してない

とりあえず、少しづつ…少しづつ逃げよう、背中のオウムガイを毟られて絶命した感じで、スローに行動すれば…

 

ズンッッッ!!(デカい巻物)

 

『バハァ!!』

 

な、ナニ!?なんか背中に刺さって…!

 

「逃げられるとおもうとるか?自分」

 

だ…誰?いや、たしかコイツ、軽空母の龍…

 

パンッ!パンッ!パンパンパンッ!(銃声)

 

「ヤンチャやろ?ウチ、おイタばーっかしよんねん、だからここにおんねんな、臭い場所やでホンマ……」

 

『…』死ーン

 

 

こうして、チームは強敵バタビア沖棲姫をくだし、バタビア沖海戦を制したのだった…

 





次回は季節に感じるクリスマス、ボロンッ!もあるよ


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提督とキンキンキラキラクリスマス‐共通‐

メリークリスマスです、メリークリスマスは他力本願
最後にステキな選択があるので良ければ選んでやってください

【登場人物】

提督(クズ)
クズの人でおばあちゃんっ子、でもクズ


ジンゴーベージンゴーベークリスマスー…

眩いLED…っ!盛られた料理…っ!注がれる酒…っ!そう、今年も当基地は福利厚生を忘れない安心の仕様!

 

「えー…と言うワケで、未だに絶賛作戦海域中の皆さん、ささやかながら酒と料理を用意してあるのでジャンジャンバリバリお楽しみくださいと~…」

 

…と、まぁ、アイサツしてみたものの既にクリスマスの宴は始まっている、たぶん俺の有難い談話を聴いてくれていたのは香取・鹿島の両先生くらいだろう

 

「やったぁ!ベイブ●ードだぁ!」

 

「今年もバットかよ!毎年バットしかくれねーのかよォ!サンタさんはよォー!」

 

「マジか!叢雲それプレ●テ2じゃねぇーか!マジかよチクショウ!こりゃ叢雲の部屋に集合だなオイ!」

 

駆逐艦以下のクソガキどもにはクリスマスプレゼントと言う名のプレゼントが配布される、まったくオモチャなんぞにハシャぎおって…どいつもこいつもまだまだ乳臭さの抜けんヤツらよ…

 

「アー?オイ高雄、オマエ、今この髪型のコトなんっつた?」

 

「サ●エさんみてーって言ったんだよ?聞こえなかったのか?アーン?ミョーコークゥゥゥン」

 

「高雄ォ!明日の朝刊載ったゾ!テメー!」

 

「上等だオラァ!タイマンだよ妙高ォ~…!」

 

…軽巡以上のクズどもには酒と料理、まぁ、クリスマスなんだから紳士として喧嘩の一つぐらいするだろう

 

俺もとりあえずシャンパングラスを片手にテーブルにあったチキン的なものをゲットし、誰とも関わり合いにならないように会場の隅へと移動した

 

「なるほど、これはいいチキンだ」ナポォ…

 

「あ、テイトク」

 

「む、オマエは………?ト●コ?」

 

「明石です、メリークリスマス」

 

「メリークリスマス」

 

明石の野郎も俺と同じく隅に移動してきたすみっこらしく、片手にシャンパン、片手に小粋なスイーツを手にしていた

 

「その肉、ウチのファーム産なんですよ」

 

「ふ~ん、チキンじゃねぇのな」

 

「まぁ、チキン的なものですよ」

 

さっき山風が見たことない笑顔でチキン美味しいとニコニコと肉を食べていたが、まさかこれが山風が可愛がっているあの鳥の肉とは思うまい……知らない事が幸せな事だってあるじゃあないか?

 

「提督提督、私にはクリスマスプレゼントないんですか?」

 

「そうだな、阿修羅バ●ターでいいか?」

 

「なんで痛めつける方向なんですか!もっとこう……金とか!宝石とか!貴金属とか!」

 

「甘えるな淫乱ピンクが、キサマにくれてやるものは発狂か死かの二つだけだ」

 

「淫乱ピンクゆーな」

 

俺は食べかけのチキンを明石の口にネジ込み、腹にパンチを入れてやると、明石はチキンを吐き出して床を転げ回った

 

「な……なんで今、殴ったんですか?」

 

「メリークリスマス」SMILE

 

「い………意味わかんね……ぇ」

 

‐‐‐

 

明石のダボと別れ、新しい美しき獲物でも探すかとテーブルへとやって来たワケだが……なるほど、炭水化物多めですねこれは、しかしその一つ一つが俺のグ●メ細胞を刺激している、さすがは超A級グルメ給糧艦間宮と言うワケか…

 

「ティーッス、クリスマスも元気MORIMORI、鈴谷様ですよー」

 

「…」

 

「オイ!無視かよッ!地味に傷つくじゃん!」

 

「悪いな、おばあちゃんからビッチと口きくなって言われてるんだ、俺」

 

「毎度毎度おばあちゃんおばあちゃん……おばあちゃんっ子か!」

 

「うるせぇな、だいたいなんだオマエ、その格好は?こんなトコにいねーで街に出てパパからプレゼントしゃぶってこいよ」

 

「鈴谷そーゆーのしねーし」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか…?

 

「だから提督からプレゼント貰おうと…」

 

「ダブルニークラッシャーかストマッククラッシュ、好きな方を選べ」

 

「なんで痛めつける系!?おかしくね!」

 

「おかしくない、っーかオマエ、その袋はなんだ?オマエが配る係なんじゃあないのか?」

 

「え?ナニ?鈴谷の袋に興味あんの?」

 

「ねぇよ、そのまま死ね」

 

「い…いちいち言葉のトゲが禍々しすぎる……!もうちょい優しさとか…」

 

「来世で会おう、イタリアでな」

 

「やだし」

 

他人の話を聞かないビッチである鈴谷は手にした袋に手を突っ込み、なにやらゴソゴソとすると箱を取り出した

 

「ジャーン!空気清浄機ー!」

 

「ふ~ん」

 

意外とまともなモンが入っているコトに驚きなのだよ

 

「欲しい?ねぇ?欲しい?いやーでも良い子のプレゼントだしな~…鈴谷に厳しい提督にはあげたくないかな~」

 

「いらねぇし、っーかなんだオマエ、さっきから馴れ馴れしいんだよ」

 

「今ならなんと1980円!」

 

「売るのかよ!まぁ、買わないが…」

 

そもそも俺にこんなクソビッチの相手をしている暇などない、今日はアレだ、クリスマス…

1年かけて死ぬ気で上げた好感度が今、実戦でバクハツする日…………浜風ちゃんとのステキなエンディングを迎える為には間違いなくこのクリスマスは重要なイベントでありフラグ、ここでフラグを回収しなければ俺は然る後、残酷な死を迎えるコトになるだろう…

 

つまり、このクリスマスとはエロゲー的にも重要な天王山!

 

このイベントで二人は幸せなKISS、いや、もしくはパ●ズリくらいはイケるかもしれない…

 

「もしもーし?ノックしてもしもーし?テイトクー?」

 

「やかましい!俺は今忙しいんだよ!モブは引っ込んでろ!」

 

「誰がモブだし!この鈴谷様は誰もが羨むメインヒロイ…」

 

「何がメインヒロインだ、負け確ヒロインが」

 

「負け確じゃねーし」

 

とりあえず、俺はテーブルにあったチキンを手に取り、鈴谷の口にネジ込んでお腹にパンチすると、鈴谷は口に突っ込んだチキンを吐き出して床を転げ回った

 

「な……なんで殴ったし?」

 

「メリークリスマス」ニマァ…

 

‐‐‐

 

再び会場の隅へと戻ってきた俺…

さて………我ながら今年は1年かけて大事に大事に好感度を上げたハズ、ハズ………いや、上げた!うん!上げたね!こりゃもう絶対好きになっちゃてるよ!

 

信じよう、うん!信じるんだ…!自分を!

 

数々のエロゲーによるシミュレーションを繰り返してきた俺の予想では、おそらく、この会場を出た時……つまり、俺が確実に一人になる瞬間を狙い、最も好感度が高い者が声をかけてくるハズだ…!

 

「…………よし、行くか」

 

準備は完璧だ、俺は確かな手応えと確信を胸に、正々堂々と会場から外へと歩き、そして…

 

 

『『『テイトク!』』』

 

来た…っ!間違いない…っ!俺のハッピーエンド!

 

振り向いたその先に居たのは…!?

 




振り向いた先に居た人物は…!マルをつけてね

①勝った!不健全鎮守府・完!マジで浜風ちゃん
②自由解答ですって!
③誰もいない、現実は非情である

たぶん明日ぐらいまで感想欄とかで受付中です


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提督とキンキンキラキラクリスマス‐分岐①‐

予想外な皆々様からたくさん提案頂きありがとうございました、感謝です、謝りたいと、感じています

さすがに全部は無理ですが、皆々様から頂いた案をいくつか考え、数本の短編にしてみました

とりあえず最初の3本は〜…

【安心しろ!安心しろよ!ただの秘書艦じゃあないか…】
【女王の時間】
【ユメ、見果てたり】

…の3本です


振り向いたその先にいた者は…ッ!

 

 

【その① 安心しろ!安心しろよ!ただの秘書艦じゃあないか…】

 

「ゲェーッ!」

 

「なんですかその顔は、地味にイラっとくるんですけど…」

 

「………なんだサミーか」

 

「なんだとはなんですか」

 

おかしいだろ?普通ここは浜風ちゃんだろ?浜風ちゃん登場から好き!抱いて!の流れだったろ、完璧に…

チッ、なんて空気の読めない青髪ロング子だ、空気読めよッ!

 

「はぁ…」

 

「どうせ今日はクリスマスと言う名の天王山!今年上げに上げまくった好感度で今宵はフラグ回収待ったなし!浜風ちゃんのぺえぺえで圧迫祭じゃー!と、確信していた感じですか…」

 

こ…コイツ!心を!能力者かッ!何の能力だ…っ!何故俺の考えがわかった…!?心を読む能力…?いや、だが心を読む敵なら話は早い、ならば心を読ませなくすりゃいいだけの話だ、俺なら出来る!色即是空空即是色、我が心既に空なり、空なるが故に………無!

 

「地獄へ落ちろー…でいいですか?」

 

「こ、コイツ!やはり能力者ッ…!」

 

「そんなワケないじゃないですか、提督がバカなコト考えてるコトぐらいわかりますよ」

 

「チッ…」

 

コケにしやがって……まぁいい、だが、俺に対するそんな不遜をそれでも許そう、何故なら俺は心が広く理解とユーモア溢れる上司だからな

 

「ちなみに浜風さんなら姉妹でパイ投げしてましたよ」

 

「パイ投げか」

 

「えぇ、パイ投げです」

 

浜風ちゃんがパイ投げとはこれいかに…?グゥゥゥゥム、聖なる夜と言うものは理解に苦しむわい

だが、姉妹でこの夜を楽しんでいるのならばそれはそれで仕方ない、好きな子には笑顔でいて欲しいとハンサムな提督ならそう考える

 

「提督」

 

「なんだ?」

 

「ケーキ食べますか?1つくらい分けてあげますよ」

 

「…貰おうか」

 

サミーは小皿に載ったケーキにフォーク突き刺し、はいどうぞとフォークごと俺に差し出した………どんだけ雑なんだよコイツ、せめてはいあーん♪ぐらいできねぇのかよ…

 

いや、それはそれで気味が悪いが…

 

「早くとってくださいよ」

 

「へいへい」

 

まったく、相変わらずこーゆートコがムカつくんだよ、コイツは…

 

ーーーーー

 

【その② 女王陛下の時間】

 

「ゲェーッ!」

 

バ、バカな…ッ!あ、あり得ない…ッ!何故この御方が…っ!何故……!?

 

「Admiral、少しお話宜しいかしら?」

 

女王陛下じゃねぇかァァァァァァ!!

 

「あ、はい…」

 

い、いったい何事だ?陛下がこの俺に話を……?なんだ?俺、またなんかやっちゃいましたか?まさか陛下の逆鱗に触れるようなコトを………いやいやいや、ない!それはない!俺は陛下に対し最高級でエグゼクティブな日々を過ごして頂けるように常に最高の努力をしているハズ………ハズ!

 

陛下はとりあえずこちらのベンチに座って、まぁ話でもしましょうと俺に目配せを送り、俺は即座にそれを理解した

 

「Ark、お茶を淹れて貰えるかしら」

 

「ハッ!」

 

そして、ベンチに座った陛下はまるでレストランでウェイトレスに注文するようにごくごく当たり前のように少し離れた壁に待機していた女騎士に茶を持ってこいとお声をかけ、女騎士はイエスユアハイネス!と元気に茶を淹れに行った…

 

「………それで、お話とは?」

 

グゥゥゥム、まるで心当たりがない…だが、陛下自らこの俺に声掛ける以上只事ではあるまい

 

「Admiral、この後の御予定はありますか?」

 

「いえ、特には…」

 

「そうですか!えぇ、そうですか!」ニコニコ

 

グレート…ッ!グレートですよコイツぁ、陛下はにこやかなロイヤルスマイルで手をポンと叩きそうですかそうですかと頷く……

なんだコレ?え?ナニ?まさか陛下が俺との熱い夜を希望………いや、ないな、むしろそんな下劣な事を考えるコトがこの御方に対しての不遜であり不敬

 

「ときにAdmiral、アナタArkをどう思いますか?」

 

「…そうですね、美人で聡明、武人であり騎士でありながらそれでいて気配りの細やかな女性かと…」

 

最大限、言葉をオブラートに包んだ、むしろデコレーションしてラッピングまでした

 

「そうですかそうですか、なるほどなるほど…」

 

陛下の素敵なロイヤルスマイルにダメージを受けつつ、それでいて顔と態度には出さないのが大和男児、もし俺が鋼の精神力とタフネスを持たなかったら、とっくにこの御方に心からの忠誠を誓い、この御方に仕える悦びと永遠の安心を得ていただろう…

 

「Admiral」

 

「はい」

 

「この後、Arkと一緒に外でilluminationを見て回って来ては如何ですか?」

 

遊び球無しで剛速球を投げ込んできた…ッ!!

 

「いえ、自分ちょっと風邪気味なので…ゲフンッゲフンッ!」

 

「そうですか、あ、ではArkに部屋まで送らせましょう」

 

「いえ、お気遣いなく、すぐそこなんで」

 

「まぁそう言わず、Admiralに何かあったら私が困……いえ、基地運営が困るかと………Ark!Ark!お茶はいいから早く来なさい!」

 

クッ!なんてグイグイくるんだ…!覇王色か…ッ!俺と陛下がまるで飲み屋街からの帰り、タクシー代を受け取る受け取らないぐらいのギリギリの駆け引きをしていると、エレガントなティーセットを載せた台車的なものをゴロゴロ押した赤い髪の騎士がやって来た

 

「お待たせしました陛下、今お茶を…」

 

「お茶はいいから!Ark!Admiralを部屋まで送って差し上げて!それと、貴女今日は帰らなくていいから!泊まってきなさい!」

 

「………はぁ?」

 

「いや!ホント大丈夫ですから!それにほら!陛下の大事な騎士様に風邪伝染しちゃ悪いですから!」

 

「なんだ?Admiralは風邪をひいているのか?フッ、風邪をひいた時はオーガの角を煎じたものが効くぞ、私も昔はそれを飲んでだな…」

 

バカかコイツ!どこの民間療法だよ!!そもそもオーガが実在する田舎なのか!?怖いよ英国…ッ!!

 

ーーーーー

 

【その③ ユメ、見果てたり…】

 

「ゲェーッ!」

 

いつか誰だったかが言った、自分を信じて“夢”を追い続けていれば、夢はいつか必ず叶う!と…

 

振り向いたその先に居たのは間違いない、銀髪…!巨乳…!そのパイオツはまさにパ●ズリ専用のベスト・パイオツを持つあの娘…ッ!

 

『テイトク、あの…これから、その……お時間宜しいですか?』

 

モチロンさ!キミの為に、いつだってこのシートは空けてあるんだから!

 

俺はあくまで紳士的にその白くて柔らかな手をとり、参りましょうとその手を引いた…

 

え?その子、駆逐艦だけど大丈夫なのかいって?大丈夫さぁ!だってこのゲームの登場人物は“全員”18歳以上だからね!だからそう………大丈夫!!

 

・・・・・・・・・・

 

「ウヒ…ウヒャヒャヒャ…!すごいぞー…カッコいいぞぉー」

 

福利厚生クリスマスパーリーも終わり、会場では殴り合いの末に倒れた者、MAXテンションカラオケステージでハシャぎすぎて倒れた者、そして………

 

チョーシに乗って飲みすぎて酔い潰れた者達が転がっていた…

 

「ひゃー…おらこんなぺぇずりはじめてだぁ〜……ワクワクすっぞー」ZZZZZ

 

「ウヒヒヒィィ……もぉー、ポーラ悪くないからぶたないでくださいよぉ〜」ZZZZZ

 

「イヒ、イヒャヒャ……やったぁ〜飲み放題サイコー……ンガー」ZZZZZZ

 

…………会場の一角で酔い潰れて絡み合う、ほぼ全裸の男女が三人

 

自称、男の中の男、提督

自称、来年はお酒を控える良い子、ポーラ

自称、ねーちゃんに黙ってお酒は飲まない良い妹、伊14

 

会場の暖房はすでに切れており、彼らはきっと明日の朝には冷たい身体で発見されるのでしょう…

 

でも見てください、良い夢見ながら酔い潰れたバ……あの人達の幸せそうなバカ面………

 

あなたはこんな顔で死ねますか?

 




次回は分岐②
バイオレンス色多め


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提督とキンキンキラキラクリスマス‐分岐②-

その②です、とりあえずその②で終了です、はい
全てを叶えるのはさすがにムリなのでカンベンしてつかぁさい、そして、今回はたくさんご提案いただき本当にありがとうございました、クソありがとうございました

今回のお話は〜…

【サタンは良い子に制裁を与える】
【絶望からのメリークリスマス】
【トライアングルHEAT-灼熱-】

の、3本です


【その④ サタンは良い子に制裁を加える】

 

「ゲェーッ!」

 

………いや、まぁ、なんとなくわかってはいた、そう、浜風ちゃんが来るわけがないと、だが俺は心の底のほんのちょっぴりとした希望を胸に持っていたのだ

 

わかっていた、わかっていたコトだ…

 

だが何故、今このタイミングで白露ねーちゃんが俺に声をかけてきたのか…?見てやってくださいよ、あのアホ面、クリスマスだってのに芋ばっか食ってブーブー屁をコイてるオナラ製造機ですよ、コイツぁ…

 

「テイトク、もしかしてヒマ?」

 

「俺が暇に見えるのかァ?アァ?」

 

「見えるから聞いてんじゃん、ヒマならゲームしない?ゲーム、今から姉妹でプレゼント交換ゲームするの」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか…?プレゼント交換ゲーム…?プレゼント交換はプレゼント交換、ゲームはゲームじゃないのか?

 

「なんだそれ?」

 

「え〜っとね〜……」

 

プレゼント交換ゲーム…

その起源は古く、一説には大陸公路を中心に栄えた国家パ●スとされている…

お互いに自身の持つプレゼント箱を賭け、行われたゲームの勝者は相手のプレゼント箱を奪い、制限時間内に最も多くのプレゼント箱を手に入れた者が最終的に勝者となる

ルールだけ聞けばあまりに単純な内容だが、行われるゲームに目突き・噛みつき・金的が禁止されている以外は全て合法とされており、その、あまりの残虐性の高さからパ●ス王国第18代国王、アンドラ●ラス3世は国法にてこれを固く禁止したと言う…

 

月刊men's海軍 恐るべき決闘歴史!より抜粋…

 

「…ほぉ」

 

さすがはプッツン駆逐艦と名高い白露姉妹、この伝統溢れる決闘を毎年行っているのか…

 

「テイトクはプレゼント持ってる?」

 

「持ってねーよ、チキンでいいか?食いかけだが」

 

「いいワケないじゃん、もっとプレゼントっぽいモンじゃないとみんな納得しないよ」

 

「プレゼントっぽいってなぁ〜………白露ねーちゃんは何を用意したんだ?」

 

「私?コーヒーメーカー、電気屋で一番安いやつ」

 

そこは一番高いやつじゃないのか……まぁ、白露ねーちゃんもオシャレしたい多感な年頃だし、金ねンだろ

 

「ちなみに時雨はアパート一棟とか言ってた」

 

「グレートぉ…」

 

さすがは時雨様、いきなりレヴェルの違うプレゼントをぶっこんできやがる

 

「ちなみにサミーは何か言ってたか?」

 

「ナニ?気になんの?えー?そこは気にしちゃうんだー?へぇー?」

 

「なるから聞いてんだよダボが」

 

ギリギリギリギリギリギリ!(魔のテイトククロー)

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛ー!痛い痛い痛い!割れる割れる割れる割れるーッ!」

 

俺の顔面のテイトククローに対し、白露はヤメローと激しくキックで抵抗し、テイトククローが一瞬弛んだ隙に脱出した

 

「ハー…ハー……」

 

「フン、この俺に対して舐めた口を利くには2億年早いわ」

 

「クッ……!ま、まぁいいけど、ちなみに五月雨はコーヒーカップとか言ってたよ」

 

「ふ〜ん」

 

相変わらずつまらんプレゼントを選びおるわい

 

「あ、そーだ………そういやプレゼントになるかどうかわからんが、机の中になんか指輪入ってたな」

 

「ナニそれ?オモチャの?」

 

「いや、なんか昔、本部から貰ったやつ」

 

なんかの試作品とかなんとか取説も付属してた気がするが………たしか装着するコトで限界のその先に行けるとかなんとか胡散臭いコト書いてた気が…

 

「や、それ…気軽にプレゼント交換しちゃダメなやつじゃない?」

 

「知らんがな」

 

たしか指輪は自ら相応しい者を選ぶとか貧弱な者では指輪のパワーを得るには務まらないとか…

まぁ、どうでもいいか、頂点は常に1人ッ!この世の真実はこの提督様がこの基地の頂点に選んでくれたのだ!

 

ーーーーー

 

【その⑤ 絶望の未来からメリークリスマス】

 

「ゲェーッ!」

 

………え?夕張?いや、違う…?コイツ、夕張によく似ているがよく見たら夕張じゃねぇ!!

 

「や、久しぶり、やっぱこっちのは何食べても美味しいわね……うん」

 

チキン的なものを片手に、ヨォーヨォー久しぶりぃーと馴れ馴れしく声をかけてきたのは夕張……ではなく、人造艦娘による絶望の未来からSOSをかけてきた未来軽巡、アヤセ…!

 

「オマエ、なんでシレっと居るんだよ?未来に帰ったんじゃねぇのか?」

 

「帰ったよ、で、また来たの」

 

アヤセ曰く、人造艦娘、テイトク・ブラックの脅威が去り、未来は今度こそ平和になったらしいのだが、何か急にイヤな予感がして再びタイムマシンに乗ってやってきたらしく、過去に来てすぐに俺に連絡を取ろうとしたら、たまたま散歩中の夕張に出会い、今日はクリパだから一緒にどう?と誘われ現在に至るらしい…

 

「まったく、母さんが強引だから…」

 

「そのワリには随分とクリパをエンジョイしてるみてーだな、テメーは」

 

「うっさいな、私はあくまで母さんに誘われて……ほら、変に断るのもアレじゃない?」

 

「そうだな、じゃ、まず食うのやめろ」

 

この未来軽巡アヤセ、人造艦娘に壊滅され絶望の世界となった未来での夕張の娘らしく、容姿は夕張によく似ているが中身は母親に似なかったのか、かなりが口が悪く、性格も短気である、父親が誰かは知らんが、まぁかなり性格の悪いゲスチンヤローなのだろう…

 

「で?そのイヤな予感ってのはなんなんだ?地球に危機でも迫ってんのか?そーゆー話はZ戦士の人にでもしてくれや」

 

「予感は予感だし、っーかナニもなさそう」

 

「勘の悪いヤローだな…」

 

アヤセはチキン的なものを平らげ、次はケーキ的なものでも食べようかな〜とか言いつつ俺の腕を掴んだ

 

「なんだその手は?」

 

「ケーキ選ぶから手伝ってよ」

 

「なんで俺がケーキの物色なんぞに付き合わにゃらならんのだ、夕張にでも頼めよ」

 

「…っさいなぁ、いいじゃん別に!いいから付き合えっての!チ●ポついてんの?」

 

「女の子がチ●ポとか言うんじゃないよ」

 

このクソアマ、なんて口の悪い……親のツラが見てみたいわい

 

「あ、テイトクだー!」

 

「テイトクだー!」

 

「む?」

 

アヤセのアホに腕をグイグイされていると、アホのツートップ、清霜とリベッチオがナニやってんのー?とこっちにやって来た

 

「き、清霜さん………」

 

「?、誰だっけ?ユーバリさん…?に似てるけど、違うユーバリさん?」

 

「………え、えぇ、私は違う…基地から来た夕張型です、はい」

 

「へー!そーなんだー」

 

清霜に絡まれるアヤセはなんとも複雑な笑みを浮かべ、清霜の肩に手を置き、これからも頑張って下さい!とかアツくエールを贈ると清霜は無邪気にありがとーと礼を言ってリベッチオと共に再びパーリーの中に走って行った

 

「………俺にはアホなガキにしか見えんな」

 

「清霜さんをバカにするな!あの人は……あの人がいたからこそ…!」

 

人造艦娘の手で1人、また1人と戦える艦娘達が殺られていく中、最後まで未来を守る為に、たった1人、人造艦娘達と孤独に戦い続けた超戦士清霜…

 

………一応、話だけは聞いているが、あのアホガキがそんな最高にカッコいいアニキみたいになれるとは到底思えない

 

「っーか食うモン食ったらさっさと帰れよ」

 

「言われなくともそーするわ、バァーカ」

 

…コイツに未来を任せて本当に大丈夫なのだろうか?

 

【その⑥ トライアングルHEAT-灼熱-】

 

「ゲェーッ!」

 

振り向いたその先に居たのは……いや、居たと言うか、むしろ振り向いた先で繰り広げられていた光景は…

 

「このブス!ブス!●ね!Fuckしろ!」

 

「オマエが●ね!キンパツチビ!チビ!」

 

サラサラストレートとトゲトゲヘアーの小さいのがキィーキィー言い合いながらマウントを取り合いつつゴロゴロ転がっていた

 

「アタシが先にDarlingに声かけたノ!引っ込みなさいヨ!トゲトゲチビ!」

 

「私が先!オマエこそ部屋の隅でガタガタ震えてろ!キンパツ!」

 

…なんてコトだ、この聖なる日になんて醜い争いを…

俺はとりあえずマウント取り合う両者をベリっと引き離し、オイオイ、ケンカはよくねーぜ、ファミリーがケンカしちゃあ俺は哀しいぜとアツく2人を説得した

 

「ジャーヴィーくんも、山風も、誰がトクベツだとかはねぇ!みんな大事な俺の“家族”だぜ」

 

「Darling…!」

 

「…テイトク」

 

「ほら、わかったら仲直りの握手しな、握手!それでこのケンカは終いだ!ガハハハハ!」

 

まったく、コイツらなんでこんなに仲が悪いんだ?同じ駆逐艦同士、同じ釜のメシ食って同じ風呂に入ってる同士じゃねぇかよ

 

「ハイ、アクシュュュュュウ!!」ギリギリ!

 

「クッ!その気なら…ッ!」ギリギリ!

 

一見すると和やかな握手に見えなくもないが、この2人は互いに相手の右手を破壊する気で力を込めているのを俺じゃなきゃ見逃しているだろう

 

「…はぁ」

 

まぁアレだな、たぶん神話の時代からの天敵とかそんな感じなんだろう、たぶん

 

「やぁ同志、ヒマかい?」

 

「ん?あぁ、タスケくんか…」

 

ジャーヴィーくんと山風の神話の時代からのいがみ合いに若干ヘキヘキしていると、ミソ・ラーメンみたいなのを持ったのがヌルっと現れた

 

「それ、ナニかね?」

 

「ミソラメーンだよ、同志も食べるかい?」

 

「いや、いい遠慮しとくよ」

 

「そうかい?美味しいのに」

 

旧ソから来たアツき革命同志、タスケくん

駆逐艦としてはワリと高身長でスタイルもいい、そして何より駆逐艦としては唯一無二の4スロットを使いこなすまさしく天賦の才能…

 

ガングート曰く“感情欠落”と“天賦の才能”を併せ持つ旧ソが作り上げた最高の殺戮マシーン、それがタスケくんだ

 

「ところでコレは何をしてるんだい?」

 

「握力自慢大会だ、タスケくんもやってみるかね?」

 

「いいのかい?」ニコニコ

 

いいのかい?笑顔でそう言ったタスケくんの言葉は、自分もやっていいのかい?ではなく、壊しちゃっていいのかい?と言う意味だろう…

 

「いや、やっぱやめよう、そのミソラーメン美味そうだな、どこにあった?」

 

「あっちだよ、カッポーギの子に作ってよって言ったら作ってくれたんだ」

 

「え?間宮に言ったのか?」

 

マジかよあのブタ乳女、俺が頼んでもゼッテー作らねぇのに………なんてヤローだ、チッ!あの尻、いつか絶対揉みしだいてア●ルぶち破ってヒギィ!言わしたる

 



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提督とGrecaleと最後の戦い

年末なのに大人は子供には負けないお話

【登場人物】

提督(大人)
この時期は財布が痛ましい、口座も痛ましい

Grecale(子供)
前回敗北を喫したメスガキ界のスーパールーキー
必殺技はチ●コ踏み




外の寒さと懐の寒さ感じる年末、信じて送り出した一番人気が大惨敗を喫して談話室で悲鳴を上げていた龍驤は未だ魂が帰ってこられないらしく、あーとかうーとか言いながらうなだれているらしい…

 

「あー…寒い寒い、こう寒いと尿が近くていかんなぁ」

 

まったく、尿は近いわ尿切れも悪いわ、明石の店でハル●ケアでも注文するかと考えつつ廊下を歩いていると、廊下の先に、腕を組み、まるで壁にもたれかかるように立っている何者かの影…

 

いや、何者かではないな……辺り一面に漂うハジけるメスガキ臭………これほどの匂いをプンプンさせるのはヤツしかいないッ!!

 

「お、オマエは…まさか!まさかッ!?」

 

「そうよ……!そのまさかよッ!」ドヤァ!

 

パスタの国からやって来た合法駆逐艦ッ!!マエストラーレ級二番艦、褐色の恋人の異名を持つ少女!グレカーレ…ッ!!

 

「フッ、こんなトコで奇遇ね、テイトク」

 

「何の用だ?」

 

コイツ、前回子供は大人には勝てないことをわからせたつもりだったが………やはりわかっていなかったか…

グレカーレは前回は前回、今回は今回よとまるでイタズラっ子のように鼻の下を掻いて不敵な笑みを浮かべた

 

「あの程度でアタシに勝ったつもりだったの?ふふっ、か〜わいい♪」

 

「前回ベソかいてゴメンナサイしといてどの口が言うのかね、この子は」

 

「アタシ、負けっぱなしはシュミじゃないの」

 

「ほぉ?」

 

グレカーレ曰く、このまま敗北感を植え付けられたまま新年を迎えるとこのグレカーレちゃんの心に後味のよくないものが残るとのコトだが…

残念ながらコイツに勝機などない、何故なら大人は子供には負けないし、そもそも俺はロ●コンではない、このガキにチ●コ蹴られたぐらいじゃあ俺のブラックホーク・スーパーマグナムは撃鉄すら上がらねぇ…

 

「で?なんだ?俺から小遣いでもせびろーってのか?あと2日待ったらお年玉をやるぞ」

 

「オトシダマ?オトシダマってナニよ?」

 

「なんだ?知らんのか?不勉強だな」

 

「ワルかったわね!」

 

俺はお年玉を知らないパスタっ子のグレカーレにお年玉について懇切丁寧に説明してやると、グレカーレはほーだのへぇーだの言いつつナルホドねーと納得した

 

「ニホンってそんなフーシューあるんだ…」

 

「あるのだよ」

 

「つまり、今、テイトクと戦わなくても2日後には自動的にアタシが勝ちと…」

 

「んなワケねーだろ、どーゆー基準だ」

 

なんで俺が自動的に負けになるんだよ、いや、まぁ、たしかにさすがにお年玉は福利厚生費から出せないので俺の胸が痛ましいコトにはなるんだが…

それは大人の敗北とは言えないだろう、言ってみたもののグレカーレもそんな気はないらしく相変わらず不敵な笑みを浮かべてスカートをヒラヒラさせている…

 

俺とこのクソガキの間にあるのは“誇り”ある決闘しかない、互いに、相手を“わからせる”ことで成立する誇りある戦い、無条件で手に入るお小遣いなどこのガキからすれば屈辱以外の何物でもない…

 

「ふふっ、ジョーダンよ、ジョーダン、ホーント可愛い♪」

 

「フン、用がないなら消えろ、目障りだ」

 

「ナニそれ!?このグレカーレちゃんが声かけてやってるってのに……!!」

 

「やかましい、俺はオマエみてーなションベン臭いガキの相手をしてやるほど暇人じゃねぇんだよ」

 

俺は上着のポッケから100円硬貨を取り出し、指で弾いてグレカーレの額にぶつけた

 

「アイタァ!?ッッッ……クッ!痛いじゃない!ナニすんのよ!」

 

「そいつでジュースでも飲んで談話室でマンガでも読んでな、クソガキ」

 

「クッッ!!バカにして……アタシを舐めたコトをコーカイさせてやるわ!」

 

「コーカイ…?ハッ、やれるモンならやってみろよ」

 

グレカーレはポケットからなにやら布キレを取り出し、それを勢い良く俺に投げつけてきた!

 

「なんだコレ?手袋…?」

 

い、いや………違うッ!!このきめ細やかな肌触りと質感、コレは…!!

 

パシャ!!(スマホカメラ)

 

「フッフッフッ………“撮った”わ」

 

「き…キサマ、コレは…!!」

 

「キャハハハッ!!テイトクのアタシのパンツを念入りに物色するマヌケな写真よ!どーしよっかなー?この写真どうしちゃおっかなー?テイトクの社会的地位終わるかもねー」

 

なるほど、そーゆー手できたか…大したメスガキだ

 

「ほら!わかったらドゲーザして!ドゲーザ!チ●コ蹴るよ!」

 

「女の子がチ●コとか言うんじゃないよ」

 

このガキぁ……しかし焦るコトはない、たかがパンツ持っている写真、拾ったとでも言い張ればいい

 

「ちなみにこのクセーパンツはオマエのか?なんか黄ばんでるぞ」

 

「黄ばんでないわよ!!ってかクサくないし………ないし、ウン」

 

「オイオイオイ、グレカーレ…俺はこのパンツがオマエのモノかって聞いたんだぜ?拾った責任として持ち主に返さにゃならんだろう?このウ●コがこびりついたパンツをよぉー…」

 

「こびりついてないわよッ!!」

 

「ハイー?なんですってー?」

 

「クッ!ぐぬぬぬーっ!」

 

カッカッカ!大人に刃向かおうなど10年早いわい、グレカーレは悔しげに下唇を噛み、今、その賢いオツムをフル回転させているのだろう…

 

「まぁいい、仮にオマエのじゃないってなら調べれば済む話だ、まずは匂い………」

 

「ヒイッ!?や、やめなさいよ!」

 

「クンカクンカスーハースーハー………う〜む、こりゃまだオトナになれてねぇションベンクセーザコの匂いだな、毛も生えてねぇなこりゃ」

 

「や、やめろォ!!返せっ!返せヘンタイ!!」

 

「ついでに味もみておくか…」

 

「あ、味って……やめ、やめなさいよ!!それお気に入りなんだから!穿けなくなるじゃない!!ホントやめて!ホントやめてェ!」

 

「………チョーシに乗ってスイマセンでした、だろ?」

 

「クッ…!ちょ…チョーシに乗ってスイマセン……でした」

 

「心を込めて」

 

「チョーシに乗って……!スイマセンでしたぁ!」ポロポロ…

 

「オマエそういや俺に土下座しろとか言わなかったか?」

 

「…言ってまセン」ポロポロ…

 

本来なら土下座を強制させるところだが、俺は心が広いのでそれはカンベンしてやろう…

 

「フン、わかりゃいいんだよ?わかれば?なぁグレカーレくん?わかったかなぁー?グレカーレクゥゥゥゥゥン?」

 

「クソッ!クソッ…!このアタシが…っ!このアタシに……っ!」ポロポロ…

 

俺はあくまで紳士的にグレカーレの手にパンツを握らせて返却した

 

「コレに懲りたら二度と逆らうんじゃねーぞ」

 

「クソッ!!クソッ!クソォォォォ!」ポロポロ…

 

さて、タバコでも吸いに行くか…

 

だが、最後に見たあの目、グレカーレのあの目はまだ負け犬の目じゃない………ヤツか俺、ヤツが俺のオチ●ポ様に負けるか、俺がザコチ●ポと罵られるか……どちらかが互いに屈服する日まで俺たちの戦いに終わりはないだろう…

 





次回はたぶん今年最後、普段サボり気味なのでお休み期間ぐらいはややペース上げ気味


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提督とそれいけ科学調査隊2019‐戦慄の天動宮‐

本年もお世話になりました、良いお年を…

【登場人物】

提督(メガネ男子)
コロラドくんの腋ってありますよね?なんて言うかその…ふふ、下品なんですが、あの腋を見て勃…

夕張(改二内定中)
ア●ル隷奴、そのムカつくヘソチラウェストは多くの贅肉達をイラっとさせている

Colorado(ザコ)
世界の問題児集団ビッグ7の1人、ザコい
本人は意外にも努力家で常にNo.1であることを強調してくるものの、いまいち成果は出ておらず、同じくMAJOR出身で戦艦のアイオワに対抗心を剥き出しにしているがザコすぎてあまり相手にはされてない


今年も終わるたった一度の今日と言う日…

執務室で今年のヨゴレを今年の内に始末せにゃならんなぁとアツいティーを飲んでいると、自分の机で漢字クロスワードパズルしていた青髪ロング子がふと思い出したように言った…

 

「そうそう、最近また出るらしいですよ」

 

「ほぉ、DELLとな…?」

 

ウチの基地DELLのヤツ使ってたっけかなぁ〜……あ、そういや教務室のヤツDELLだった気がするな、たしか鹿島先生がWind●ws7がどーのこーので買い替えた方がいいとかなんとか言ってた気が…

 

「ちなみにでるのは心霊現象的なものです」

 

「あーはいはい心霊現象ね、心霊現象、あるよね、そーゆーの、よくあるよくある」

 

あるある、そーゆークソくだらねーハナシがよォー、どうせ窓がガタガタしたとか風の音がビュービューしてるとかそんなアレだろ?知ってるんだよ

 

「バカ言ってるんじゃないよこの子は、霊とかいるワケねーだろーが、アレだよ、人間死んだら尸●界(ソ●ル・ソサエティ)に行くんだからこの世にとどまるとかねーんだよ」

 

「はぁ?」

 

「つまりアレだ、俺が言いたいのはアレだ………トリックだ、霊的なアレとかなんとかは全部トリックなんだよ、わかるか?俺の言ってるコト」

 

「なるほど………まぁ、トリックかどうかはどうでもいいとして、やはり怪現象は怪現象で原因をなんとかして貰えますか」

 

「やだよメンドくさい、オマエがやれ」

 

「イヤですよメンドくさい」

 

こやつめ、自分がメンドくさいコトを平然と上司に押しつけてくるとは………どうやらこの秘書艦にもわからせが必要らしいな、この基地の絶対支配者が誰なのかを…

 

「まぁ、霊的なモノにビビってるチキンな提督に頼むのはアレですが…」

 

「あ゛?」ピキッ!

 

「ビビリクンには少し難易度が高すぎましたね、スイマセン」

 

「誰がビビリクンだコラ?ハッ?ビビってねーし、っーかこの提督様が霊的なモンにビビるとかありえねーし」

 

「そうですか、じゃ、今夜見回りをお願いします」

 

「上等だよコラ」

 

「ちなみに私は早寝早起きタイプなので今回もお付き合いできませんが、提督がビビっておしっこチビっても大丈夫なように他の人にも声をかけてますので」

 

「誰がチビるか!ナニがユーレーだよ…?ただの不法侵入だろーが、見つけ次第ボコボコにしてユカイなオブジェみてーにして明日の朝刊に載せてやんよ」

 

◆◆◆

 

草木も眠る丑三つ刻………草木も眠る、ふむ、草木も眠るか、たしかにこの時間帯では木も草も光合成はできない、古い者が光合成のメカニズムを知っていたとは思えないがよく言ったものだ…

 

「フーッ〜………よし、帰るか」

 

「まだ来たばかりじゃないですか」

 

「来たばかりでもわかる、ここに霊的なものは存在しない」

 

主に戦艦どもが住む戦艦寮……その、戦艦寮の最奥に存在すると噂されている金剛姉妹専用の部屋、通称、天動宮…

この基地の“暴”の頂点に立ち、俺を差し置いて何年も裏から君臨する恐怖の覇王、金剛が住む部屋がある…

こんなところにゃたとえ地獄の鬼だろうが閻魔様だろうが近付きはしないだろう

 

「でも出るってハナシですよ」

 

「出るワケねーだろ、むしろ出たとしてもあの金剛がユーレーなんぞ生かしておく理由がない」

 

「ユーレーだと生かすもナニも、もう死んでるんじゃ…」

 

今回、五月雨が声をかけて集めたユーレー撲滅科学調査隊の1人、毎度お馴染みアンチ・オカルトにしてスーパーサイエンスネットワークの申し子、ア●ル隷奴!夕張

 

「まぁ、たとえ生きていよーが死んでいよーが……この夕張の科学の前では無力ですよ、この………ドリルの前ではね!」

 

「オマエそれ役に立った試しねーだろーが」

 

毎度毎度ドリルを背負ってやって来るが、そのドリルがコイツのケツ以外を衝いたコトがあっただろうか…

 

「フッ、そんなDrillなんかでGhostをbastardできるワケないじゃない?」

 

そして、今回科学調査隊初参加メンバー、MAJORから来たキンパツ美乳、腋がエロくてザコいコロラドくん

 

「Ghostを殺るにはコレよ!このプロトンパックよ!」ドヤァ!

 

コロラドくんは背中に背負っているナニやら高圧洗浄器っぽい如何にも胡散臭いメカを見せつけなんか誇らしげな顔をしていた…

ちなみにその胡散臭い機械、インターネット通販で買ったらしい

 

「Admiralもユーバリーも出番はないわよ、何故ならゼンブこの私がやっつけてやるからよ!」ドヤァ!

 

何故この娘は最初に犠牲になるタイプのかませ臭をプンプンさせてなおそこまで自信溢れる顔ができるのだろうか…?むしろそのザコ臭はそのやらしい腋から出ているのだろうか?

 

「とりあえず、中に入ってみましょうか?」

 

「そーね!イチバンは私よ、私が先頭で入るわ!いいわね?アナタ達は後から入ってきなさい!」

 

「あーはいはい、じゃ、1番最初に突入してくれや」

 

そんなワケで、俺たちはこの基地で最もキケンな場所、天動宮の扉を開き、その中へと足を踏み込んだ…

 

ーーー

 

薄暗い照明、物音一つしない静かな廊下……まるで侵入者を決して生かしては帰さないと言う雰囲気バリバリの中…

 

「ほらほらー!Ghostどもー!どこにいるのー?でてきなサーイ!」

 

ザコスケが高圧洗浄器みたいなのをブンブン振り回しながらもしかしてママが恋しくて帰ったんじゃないのー?といらん挑発をしていた…

 

「オイ、ザコ……コロラドくん、もう少し静かにだな」

 

「待ってください提督!今、私の霊的スカ●ターにナニか反応が…」

 

「ちょっと待って、今ザコって言わなかった?ねぇ?」

 

夕張は例によって右耳だか右目だかに装着していた戦闘力を測る機械みたいなので75000…78000、80000!まだ上がるとかワケのわからないコトをブツブツと呟き…

 

ボンッ!(爆発)

 

「バカな…!なんて霊圧…!」

 

「オイ、壊れたのか?やっぱその機械壊れたのか?っーか毎回壊れてるよなそれ」

 

「スカ●ターによると霊圧はこの先の通路から強い反応を…」

 

「この先ね!」

 

俺たちの制止を待つまでもなく、コロラドくんはカクゴしなさい!こんなところには1秒だって長く居られないわ!私は私の好きにやらせて貰うわ!と、チームワークのカケラもないセリフを吐きながら薄暗い廊下をダッシュして行った…

 

「…行ってしまいましたね」

 

「あぁ」

 

この感じだと、次にコロラドくんを目にするのは逆さまになって吊られたコロラドくんの凄惨な死体だろう

 

「よし、行くか…」

 

「そうですね」

 

とりあえず、俺と夕張は懐中電灯片手に廊下の奥へと進むコトにした…

 

「ところで金剛さん達、今日はもしかして部屋に居ないんですかね」

 

「サミーの話じゃ3日ぐれー前から姉妹で温泉行ってるらしいぞ、別府に」

 

「別府ですかぁ〜…いいですねぇ〜」

 

あのアホンダラども、そもそも今は海域攻略作戦中だってコトを忘れてるんじゃねぇのか?後半戦はアイツら出番あるぞ………そんな実のない世間話をしつつ歩いていると、足下に何か当たった

 

「………オイ、今、なんか踏んだ」

 

「え?なんですって?」

 

「なんか踏んだって言ってんだよ」

 

…なんだコレ?とりあえず、ウ●コとか踏んだのならイヤなので懐中電灯で足下を照らしてみると、そこに…

 

「…」死ーン

 

「コ、コロラドォォォォォォォォ!!」

 

まるで恥ずかし固めのようなポージングで失禁し白目を剥いて気絶するザコザココロちゃんがそこに居たッッッ!!

 

「大丈夫かァァァァァ!!」

 

しかしいったいコロラドくんにナニがあったのか?とりあえず俺はコロラドくんにしっかりしたまえとコロラドくんのパイオツをタテタテヨコヨコと揉みしだいた

 

「うっ…ぅぅ…」

 

良かったまだ生きていたか、とりあえず腋も舐めてみよう……………うん、健康だ

 

「提督!何か居ます!」

 

「ペロペロペロ…ヤッベ!甘っめ!コロちゃんの腋マジヤッベ!………え?なんだって?」

 

夕張の指差す先になにやらモヤっとしたナニかが……いや、なんだアレ?新手の幽●紋(スタ●ド)か!?

 

「クッ!かなりの霊圧を感じますね、これはもう王属特務の管轄では…ッ!」

 

「なんだよ王属特務って…」

 

「しかし案ずるコトはないですよ提督、何故なら私にはこの………ドリルがありますからね!」ドヤァ!

 

ドリルに対する絶対的信頼…ッ!何故こいつはそれほどまでにドリルを信じられるのか?螺旋の力はいつかこの宇宙を滅ぼす力になり得ることがわからんのか!

 

夕張は背中から生えたフレキシブルアームをフルドリライズさせ、果敢にモヤっとしたナニかに向かって走り出した!

 

「うぉーっ!!天上天下!一騎当神!人間の力ァ!みせてやりますよーッ!!」

 

疾る!前に進み続ける螺旋の力をその身に宿し、夕張は今、螺旋エネルギーそのものと化し…

 

コケ…っ!(バナナの皮)

 

「あ」

 

………コケた

 

「ンギイイイイィィィィィ!!ドリルきたァァァァァ!ンホォ!!お尻ドリ…っ!ドリルきたァァァァァ!!」

 

転んだ拍子に、フレキシブルアームの先のドリルが1本、夕張のア●ルを芸術的に衝き…

 

サクッ!(ドリル)

 

「ビャア!?イタ…っ!ヒッ……ピギャアァァァァァ!!ピギャアァァァァァァァァァァー!!」

 

ついでに、転んだ拍子に折れたドリル搭載フレキシブルアームが1本、未だ気絶中のコロラドくんのア●ルに刺さった

 

「あば、あばばばば…」ジョー…ドボドボ

 

「コ、コロラドォォォォォォォォ!!」

 

な、なんてコトだ…ッ!夕張が自爆しただけならいざしらず、まさかコロラドくんのア●ルまで…寝ている間にア●ル処女喪失とは難易度高けぇなオイ、とりあえず腋を舐めてみるか…

 

「あばばばば…」死ーン

 

「あがががが…」死ーン

 

「………なんてコトだ」

 

2人ともヤられてしまった…

 

だが、いつの間にやらモヤッとしたナニかは姿を消しており残されたのは懐中電灯の心細い灯りと、未だギュルギュル回るドリルの機械音…

 

まさに惨劇…ッ!!やはり来るべきではなかった!この天動宮にッ!!俺たちにはまだ早すぎたのだ…ッ!!

 

 

…後日、この事件は天動宮の惨劇として基地スポの一面を飾り、基地中を恐怖のズンドコに叩き落とすと共に金剛姉妹への畏敬の念を更に強めることとなった…

 

あと、金剛姉妹からは廊下のクリーニング代をキッチリ請求された

 





良いお年を、ですって!


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提督と謹賀新年Ⅳ

謹賀新年回もなんやかんで四回目、五回目は………あるかしら?

【登場人物】

提督(知性派)
ハンサムな鬼畜系メガネ上司、ハンサム

五月雨(寒色系)
白露姉妹の六女、ひと味違う

鈴谷(自称メインヒロイン様)
負け確ヒロイン、しかもビッチ


まるで新品のパンツを穿いた元日の朝のように爽やかな元日の執務室…

 

「あけましておめでとう」

 

「おめでとうございます」

 

今年も寒色系な秘書艦と新年の小粋な挨拶を交わし、机の引き出しから取り出した茶封筒を秘書艦サミー子につまらないものですがと手渡してやった

 

「ありがとうございます」

 

もはやポチ袋ではなく茶封筒入りなコトにツッコミすらなくなったか……まったく、子供と言うものはいつの間にか大きくなるものだ、あの可愛い暁ちゃんだって今は千円札五枚によるお得感で騙されているが、いつの日か舌打ちする日も来るやもしれないな…

 

そんないつか来るべき未来について考えていると、執務室の重厚な扉を勢い良く開き、股と頭がユルくてバカそうなJKみてーなのが入って来た

 

「ティーッス、鈴谷が新年の挨拶に来ましたよぉ~」

 

「おめでとう」

 

「おめでとうございます」

 

「あ、はい、おめでとうございます」ヘコヘコ

 

新年早々ヘコヘコ頭を下げるアホなJKみたいなそいつは、ヘコヘコ頭を下げつつも俺の前に右手を出してきて…

 

「なんだこの手は?」

 

「や、お年玉とか欲しいかな…って」

 

「お年玉か……」

 

俺は机の引き出しから愛用の拳銃、スタームルガー・ニュースーパー・ブラックホークを取り出して鈴谷の手に載せてやった

 

「お……おぉ?おぉう!?え…?ナニコレ?現物支給?」

 

「その銃で自ら命を絶ちなさい」ニコッ

 

「おーぅ!新年早々笑えねぇ…っ!ってかお年玉くれって言っただけなのに自決しろっておかしくね!?」

 

「やかましい、ほら、モタモタすんなよ、早く弾けよ」

 

「誰がするかボケェ!!っーか鈴谷にテメーの銃渡した時点でテメーの負けなんだよマヌケがァ!テメーの銃で脳ミソブチ撒けやがれーッ!」

 

鈴谷はスピーディーな動作で撃鉄を上げ、俺の額にその銃口をロックオンした

 

「なるほど、お年玉を渡す気がないと見るや即座に攻撃に移る、しかも動きに一切の淀みもなくスピーディーであり殺意にも躊躇いがない」

 

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…

 

「な…っ!?バ、バカな……!いつの間に鈴谷の背後に……!?こ、これが!“世界(ワー●ド)”…ッ!」

 

いや、ただの超スピードなだけだが…

 

「だが気に入った、コレはほんのちょっぴりだが私からの気持ちだ、受け取っておくといい」

 

俺はポッケから取り出した千円札を鈴谷のシャツのボタンとボタンの間に僅かに空いたスペースにねじ込み、ついでに左手でパイオツも二回ほど揉んだ

 

「へ、ヘンタイ!ヘンタイ…ッ!!」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ、っーか用が済んだなら消えろ、この宇宙からな」

 

「誰が消えるかっーの、オマエが消えろクソが」

 

「クソじゃない、提督だ」

 

まったく、なんて口の悪いビッチだ、こいつにもわからせてやる必要があるな、この基地の絶対支配者が誰なのかを…

 

「まぁいい、とりあえず今千円渡したろ?缶コーヒー買ってきてくれや、アツいやつ」

 

「コレお年玉じゃないの!?」

 

「釣りはやる」

 

「うわ、ケチか………マジでケチかよコイツ、どーせなら万札渡せっーの」

 

「オイ、次舐めた口利いたら怒りのスネークバ●トで窓ブチ破って外にダイブさせるからな」

 

「け……刑が過酷すぎるッ!」

 

むしろ窓から外にダイブすることで自販機コーナーへショートカットさせてやることを感謝してもらいたいぐらいだ、まぁ…窓から外ではなくこの世から地獄へのショートカットになるかもしれんが…

 

「いいからとっと行けよダボが、モタモタすんなビッチが」

 

「へいへい…」

 

「あ、私はオレンジジュースでお願いします、フ●ンタで」

 

「ヘイ!ヘイサミー!ナニシレッと注文してんだオイ?この鈴谷様を舐めてんのかーッ!」

 

鈴谷はヘイヘイヘイ!舐めてんのかコラー!とか言いつつサミーの机へと向かい、その机をバシバシ叩いて舐めてんのかー?とメンチを切った

 

「秘書艦様がそんなに偉いんかダボがーッ!」

 

「別に偉くはないですけど………なんなら私と秘書艦替わってみますか?」

 

「いいのかーッ!そんな簡単に替わっていいモンかー!?私達!入れ替わってるーってやってえぇんかーッ!!」

 

ったく、年始からテンション高けぇなコイツ…

あのサミーですら若干ウザそうにしてるぞ

 

「秘書艦だと秘書艦手当も出ますし、お昼は提督がワリと奢ってくれますし、提督が残業嫌いなので基本は定時であがれますよ」

 

「マジかそれ!夢の職場じゃん!なんでサミーそんな良いポジ独占してたの!?独占禁止法じゃん!」

 

「ただ、提督の言動は7割セクハラ、3割ワケわからん感じなので慣れるまでにそれなりに苦労しますよ、由良さんなんて20分が限界でしたし」

 

「マジか!」

 

まぁ、由良さんの場合は由良さんにも問題があるがな、っーか7割セクハラは言い過ぎだろ?そもそもそんなハラスメントしてねぇよ

 

「マジか!ハラスメントマジか!」

 

「やかましい、ナニがハラスメントだ」

 

「そーかそーか、つまりアレだ………今まで提督が鈴谷の顔面をコンクリにズッコンバッコンしてたのは所謂………パワー・ハラスメント」

 

「ナニがコンクリにズッコンバッコンだ、舐めてんのかテメーは」

 

そもそもパワー系ハラスメントってそんなもんか?まぁ、パワーである事に変わりはないが……いかんな、今年は知性溢れるハラスメントに変える方向でいくか

 

「とりあえず鈴谷」

 

「ナニ?」

 

俺はとりあえず鈴谷の身体を掴み、天井付近にまでぶん投げると自分も跳び上がり、空中で鈴谷の左脚を右腕、右脚を両脚でロックし右ひじを後頭部に押し付けて勢い良く床に落下を開始し…

 

「コレが俺からオマエへのお年玉だーッ!!」

 

「グッ!グォォ!この技はーッ!」

 

グシャアッ!!(インテリジェスモ●スターパワークラッシュ)

 

「ドヘァ!!」

 

鈴谷の顔面を床に叩きつけ、鈴谷はフォゴフッ!とか言いつつ血反吐を吐いて床に転がった…

 

「次舐めた口利いたらタダじゃ済まさねーって言っただろーが、クズが」ペッ!

 

「パワハラですね」

 

「ナニがパワハラだ」

 

今年の基地標語は残虐・残酷・残忍で決まりだよコノヤロー

 





次回はイベント海域第五ステージ、あったよ!初月と10cm高角砲+高射装置が!でかした!


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ダバオ沖哨戒線①

帰ってきたサンドバッグ姫

【登場人物】

潜水棲姫・改(KAI)
新たなる力を身に付けて帰ってきた元祖姫級潜水艦




前半戦を難なく突破し、続く後半の海…

前半戦が戦艦いらずと些か舐め気味だったせいか、後半戦はいきなり難易度が激増!強者ひしめくこの海を舐めてかかる多くの提督達に、大本営はいつも何か大事な情報を隠している、ハッキリわかるんだね…と言うコトをわからせた

 

そして、そんな後半戦最初の海、ダバオ沖…

 

この海で待ち受けるBOSS!地獄の底から不死鳥の如く甦った姫級ッッッ!!

 

『キータノォ…?ワタシノエモノタチィ…!マッテ……マッテイタワァ!!コノ“瞬間(トキ)”ヲヨォー!』

 

新たな力を身に付け、遂にメジャーの大舞台へ帰ってきた潜水棲姫ッ!一度は華やかな表舞台から姿を消し、死亡説すらささやかれていた彼女は、ひっそりと地道で苛酷なトレーニングを続けており、己自身の限界を破り“改”の域へと至ったのだった…!

 

 

……………潜水棲姫、我々はまず彼女について知らねばならない

 

潜水棲姫、彼女の深海デビューは2015年秋、潜水艦初の姫級として鳴り物入りでデビュー、耐久力を始めとする高いステイタスを持ち、誰もが彼女の活躍を期待した…

 

しかし、期待されていたデビュー戦で見事なまでの完封負け、持ち前のステイタスがまるで活かせず、手も足も出せずに執拗なまでにボコボコにされ、イタイ!ヤメテヨォ!イタイ!ヤメテヨォ!と情けない声で何度も何度も命乞いさせられる苦いデビューとなった…

 

デビューからその後、何度か登板の機会はあったものの目立った活躍もできず、2017年には新たな姫級潜水艦の大型新人、潜水新棲姫がデビュー、猛威を振るい…

 

彼女は居場所を失った…

 

もはや深海棲艦に自分の居場所はない、そう考え、一度は深海棲艦を退団、負け犬となり、恥ずかしい気持ちもあったが他に行くアテなどない彼女は実家に戻る事にした

しかし、そんな彼女を両親は温かく迎えてくれた、よく頑張ったねと…

 

深海棲艦入りして第一線でバリバリ活躍することが親孝行なんだとずっと自分にプレッシャーをかけてきたのは彼女自身だったのだ、もう頑張らなくていいんだ、それに気付いた彼女は涙した、いつまでも、いつまでも泣き続けた…

 

実家に戻った彼女は変わった、以前はどこか暗い表情をしていたが、前より明るくなり、ずっと前向きになった、

新しい仕事も見つけた、深海棲艦に居た頃より給料はガクンと下がったがそれでも良かった…

 

そんな彼女が新しい生活にも仕事にも慣れてきたある日のコトだった…

 

『イタイ…ッ!ヤメテヨッ!!』

 

『イタイタイーッ!イタァァァ!イタイッテ!』

 

『ギャアアアアアアアアアーッ!』

 

深海棲艦を退団し、深海一般職に就いた彼女だったが、かつてのチームが定期的にボコられてる姿は何度か深海TV中継で観ることはあった…

自分の後に入団し、今や一軍に定着して活躍してる潜水新棲姫………かつては嫉妬もあった、自分の方がやれる!と思っていた事もあったが今は素直に彼女が上だと認めている

 

しかし…

 

『…アァ!チガウチガウ!ソイツジャナイ!いすず!マズソイツヲ潰シ……アー…マタカァ〜』

 

退団した頃は、あまり見ないようにしていた深海TVの作戦中継、だが、今はかつてとは違い素直な気持ちで見ることができている………彼女の中には、まだほんの少し潜水魂が燻っていたのかもしれない

 

だが、自分にはもう関係のないコトだ、そう自分に言い聞かせていたある日のコトだった…

 

深海棲艦入団トライアウト開催のお知らせが彼女の耳に届いた、モチロン、今更そんなものを受けるつもりなどない、もう深海棲艦は辞めたのだ、今は深海パン屋として今日も美味しいパンを深海小学校に届ける自分には関係ない………関係ないのに

 

『ゥ……ゥゥゥ!』ポロポロ…

 

関係ないハズなのに……ッ!夢を、捨てきれないッ!自分が居るッッッ!!

かつての夢だったメジャーの舞台、一度は上がったその舞台で夢は儚く散った、でも………叶うならもう一度あの舞台へ!今度こそ最高の輝きを見せたい!

 

一度は諦めた、いや、諦めたと思っていた!でも、諦めきれないッッッ!!駆け上がるんだ!もう一度、あの夢の舞台へッッッ!!

 

 

………こうして、潜水棲姫は深海トライアウトに挑戦し、見事合格、長い育成期間を経て、ついに我々の前へと帰ってきたのだった…

 

深海プロジェクトX〜改への夜明け、甦る不死鳥〜

 

おわり

 

◆◆◆

 

深海潜水艦隊群狼旗艦艦隊…

 

 

「オラッ!イケ!イキ死ね!ソナー死ね!爆雷死ね!キャハハハッ!」

 

『オホッ!ダリナィ!ゼンッゼンタリナ……ンホォォォォォ!爆雷耳ノ奥届イテリュュュュ!鼓膜コンコンノックシテルヨォォォォー!』

 

パンパンパンパン!(ソナー+投射機+爆雷=破壊力)

 

「どぉー?潜水艦がこのグレカーレちゃんには勝てないってわかった?ねぇ?そんな火力と雷装でマエストラーレ級に屈服アクメして情けないと思わないの?ねぇ?」

 

「やめてグレカーレ、お姉ちゃん恥ずかしいからやめて!マエストラーレ級の品位下げないで!」

 

「ハァー?あ、もしかしてマエストラーレもしたいのぉー?あーぁー、コイツ全然だらしないわー、オラッ!潜水艦はマエストラーレ級には勝てませんって謝罪しろコラ!ピースしろピース!ハイ、かーわい♪」

 

パシャ!(スマホカメラ)

 

『アヘェ…』

 

「ハイ勝ちー、潜水艦はグレカーレちゃんには勝てませんでしたぁ〜ざ〜んねんっ♪」



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ダバオ沖哨戒線②

第5ステージ後半戦、戦艦登場の巻

【登場人物】

空母棲姫改(改)
赤城と加賀を足して2で割った奇跡のフュージョン空母
深海にもわりと良くいるブッ飛んだファッションセンスを持ち、ノーパンズライフで生きている

長門(大戦艦)
妹…?ハハ、何を言ってるんだい?この長門には妹なんていないよ


ダバオ沖海戦後半戦、VS深海任務部隊主力艦隊

 

『ヒノカタマリニナッテ……シズンデシマェー!!』

 

海軍を迎え撃つ主力部隊を率いるのは穏やかな心で着衣することに目覚め“改”のステージへ足を踏み入れた空母、空母棲姫・改

 

これに攻め入るのは世界政府が扱いに困り頭を抱える7人の大戦艦級“ビッグ7”

 

「フッ、多少パワーアップしたらしいが……この長門の敵ではないな、なぁ?陸奥よ」

 

「え?あー……うん、そうかもね」

 

“鉄の城”長門、そして“伝説の修羅”陸奥率いる海軍ダバオ沖殲滅部隊、その世紀の一戦が今、戦いのゴングを鳴らそうとしていたッッッ!!

 

◆◆◆

 

年明け気分はとうに終わった年始の執務室…

 

「キサマ!このゲームをやり込んでいるなッ!」

 

「答える必要はないですねー」

 

執務室のテレビに接続されたスーパーファ●コン、そこに置いてあるソフトはどれもこの国の男子ならもうやり飽きたよと言えるソフトばかりだが、たまにやるとこれがまたなかなか面白い…

 

「あ、クソ!オマエ、バナナの皮置いたろ!」

 

「違うますよ、あのサルじゃないですか?あ、甲羅だ」

 

「ただいまー…提督………と、夕張さんも、ナニやってるんですか?」

 

俺と夕張のアツい戦いの中、近所で買い物してきたらしい五月雨がビニール袋を冷蔵庫の前に置き、オレンジジュースでいいですかー?バヤ●ースですけどー、とワケのわからんコトを聞いてきた

 

「ってか、そろそろ攻略部隊の人達が現場に着いたぐらいじゃないんですか?見なくていいんですか?」

 

「あー?大丈夫だろ、長門だぞ……チィーコイツ!俺に体当たりをッ!」

 

そう長門だ、ヤツは趣味が盗撮で駆逐艦や海防艦のキッズを視姦することがライフワークなロ●コンのペ●野郎であり社会不適合艦だが、だが………強いッッッ!!

強き事は何より許されるのがこの基地の不変の掟、強者は弱者を支配していいのだ

 

だが、ヤツは自分が知らないだけでキッズ達からは絶大な人気を得ている、パッと見、無愛想で寡黙なところは“長門サンメチャシブいっス!”“長門サンマジ男の中の男っすわ”“長門サンマジベンキョーさせて貰います!”とキッズ達からマジリスペクトされている

 

まぁ、長門本人はそーゆーリスペクトではなく、もっとこう…一緒にお菓子食べたりゲームしたりとフランキーなものがお望みらしいが、そーゆー成分はすべて陸奥に持っていかれた…

 

「この甲羅ァー!どこまでも追尾してきやがるーッ!」

 

「ウリィー!その赤い甲羅はどこまでも目標を追尾し、必ず相手を仕止めるぅー!提督もこれで終わりですよぉー!」

 

「いいや、終わるのはオマエだぜ、夕張」

 

「ナニ…ッ!?し、しま…ドッスン!バカな!まさか誘導されていたーッ!!」

 

◆◆◆

 

「クソッ!またあのキモい鳥だーッ!」

 

「チクショウ!なんだこの鳥!キモいぞ!アイタ!噛んだ!噛みやがったこのクソ鳥ィィィ!」

 

「クソッ!なんとかならねぇのか…!」

 

「あったよ!初月と10cm高角砲+高射装置が!」

 

「でかした!」

 

VS深海任務部隊主力艦隊、空母棲姫改のハゲしい航空攻撃にチームは苦戦を強いられていた…

 

「陸奥よ、アレをやるぞ!」

 

「アレって…?あぁ、アレ、そうね、今日はもう早くあがりたいし」

 

やる気に溢れる長門とイマイチやる気のない陸奥だったが、長門は行くぞオラァ!!と言ってその辺に居たイ級の尻尾を掴んで海面に叩きつけ空母棲姫改にダッシュし、勢い良く高い打点からの長門式ドロップキックを浴びせた

 

『グボォ!!』

 

「シャアッ!来いコラァ!艦載機なんて捨ててかかってこいコラァ!」

 

『コ…コノ野郎ッ!舐メンナコラァー!!』

 

空母棲姫改の水平チョップは激しい音と共に長門の首元に直撃し、長門は少しグラついたが、次は俺の番だと言わんばかりに空母棲姫改に水平チョップを打ち込んだ

 

『グボォ!!ガ…ガバァ!!ハー…ハー…!ナンテパワーダ!』

 

「どうしたオイ!もうオネンネかオイ!オネムの時間にはまだ早いぞコラァ!!」

 

長門は空母棲姫改の後ろに回り背後から両手を回し身体の前でクラッチし、長門式スープレックスで空母棲姫改の頭を海面に叩きつけた

 

『ゴハァ!!』

 

『空母棲姫クン!』

 

『空母棲姫クン!』

 

長門式スープレックスをまともに被弾し、スカートの下が丸見えで血反吐を吐いた空母棲姫改だったが、改になってもやはりノーパン健康法を続けていたせいか、開放的な下半身が露わになった…

 

「痴女かッッッ!!」

 

『ウルセェ!!服着テルカライイダローガ!』

 

「やはりキサマのような痴女は駆逐艦や海防艦のキッズ達の為にも生かしておけんな…」

 

長門は空母棲姫改の身体を掴み空中に放り投げ自らも飛ぶと、空母棲姫改を釣鐘固めの型でロックした

 

『グ、グォー!!コノ技ハーッ!ダ……ダガ!改ニナッテパワーガ増シタ私ナラ…ッ!!!』

 

「バカめ!このナガートストレッチがこれで終わるとでも思ったかッ!」

 

殺人奥義、ナガートストレッチのロックを溢れるパワーで無理矢理外そうとした空母棲姫だが、しかしッ!!

 

ガシィィィ!!!

 

『ゲ、ゲェーッ!!ナンダアノ形ハーッ!』

 

『ナガトダケジャネェ!!ムツダトォー!!』

 

ナガートストレッチの体勢をとる長門の下に、同じく飛び上がった陸奥が空母棲姫改を前後逆から組み付きさらなる完璧なロックを極めるッ!!

 

「死ねッ!!これがこの長門と陸奥のニュー・フェイバリット・ホールドッ!」

 

強烈な縦回転を加え勢い良く落下をしたその必殺技は落下による空気抵抗で空母棲姫改の胸にNとMの文字を刻みつつ下の海面に立っていた鉄柱に空母棲姫改を勢い良く突き刺したッ!!

 

◆◆◆

 

「あー…アレは死にましたね」

 

「あー、間違いなく死んでますよ、アレ」

 

マ●オカートに飽き、たまには真面目にチームの様子でも見るかとテレビを現場の中継に変えてみると、慈悲深さゼロのなかなかエグい殺人技で空母おばさんがキャビホー!とか言って沈んでいった…

 

「提督、夕張さん、コーヒー淹れましょうか?あ、あとお菓子ありますよ、ヴ●ルタースオリジナルですけど」

 

「いや、いい」

 

「私もいらないかな、だって五月雨ちゃんの淹れるコーヒー不味いし」

 

ざわ…っ!

 

「夕張さん………今、なんと?」

 

たまにこーゆーストレートをド真ん中に投げ込める夕張を俺は大したヤツだと評価している

 

「え?ナニ?五月雨ちゃ……え?痛い、痛い!五月雨ちゃん、肩!肩がッ!肩が砕けるッ!痛い痛い痛い痛い!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ァァァァァ!!」

 

「…夕張さん、ちょっと裏でお話しいいですか?」

 







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提督と天津風に友達はいない

日米血戦編!唸れ!ニュースーパーブロー!

【登場人物】

提督(巨乳好き)
フレッチャーくんのフレッチャーパイを揉みまくりたい

天津風(痴女)
陽炎姉妹の九女、常識人の皮を被った非常識

Johnston(MAJOR級)
フレッチャーくんの妹、自分の可愛さを決して疑わない自分大好きガール


世間は年始ムードも明け、通常営業に戻った今日この頃、今日も朝からブリブリすっかと朝から大の大冒険を済まし、コーヒーでも飲みつつタバコでも吸おうと喫煙所へと向かっていると、執務棟と食堂の間にある中庭的空間でブリキのオモチャみたいな顔したナニかが歩いていた…

 

「あれは………連装砲くん」

 

連装砲くんはカタカタと歩きつつナニかを拾っているようだが…

 

「やぁ連装砲くん、何をしているのかね?」

 

『…………』ギー…ガー

 

おしゃべり機能は付いてないらしい連装砲くんだが人感知センサーは搭載されているらしく、声をかけた俺の方に顔を向けたが特に意味はないらしく、再び何かを拾う作業に従事し始めた…

どうやら連装砲くんはゴミ拾いをしているらしく、背中に背負ったカゴ的なものに拾ったゴミをポイポイ入れていた…

 

「連装砲くーん、連装砲くーん………あ、いた!って、ゲッ!テイトク…」

 

「ん?キミはたしか……痴女津風クン」

 

「誰が痴女よ!天津風よ!あ・ま・つ・か・ぜ!」

 

ゴミを拾う連装砲くんにいつか来るロボット社会に想いを馳せていると、痴女みたいなのがやって来た…

 

「あー…スマンスマン、アマツカゼクンだったな、あーはいはい、アマツカゼクン」

 

「イマイチ誠意が伝わらないわね…」

 

「むしろ提督を見てゲッ!とか言うキミからも誠意が伝わらないのだよ」

 

駆逐艦の中でもとりわけ個性派揃いのスター集団、陽炎姉妹の九女、天津風クン、見ての通り、痴女だ

 

「だから!誰が痴女よッ!」

 

「言ってないのだよ」

 

「いーや、目がそう言ってた!心の中でそう思ったでしょ!」

 

「なんてインネンつけるのかね、この子は」

 

なんて勘のイイガキだ、まったく…大した痴女だ

 

「ところで、なんで連装砲くんはゴミ拾いをしてるのかね?」

 

「さぁ?別に私がやれって言ったわけじゃないわ、自主的にやってるのよ」

 

「ふ~ん、偉いなぁ連装砲くんは」

 

「ふふん、そうでしょ!なんたって私の連装砲くんなんだし!それに可愛いし!賢いし!」ドヤァ!

 

なんでコイツが誇らしげな顔をしているのか理解に苦しむのだよ、俺は連装砲くんだけを誉めたのだが…

俺は財布から小銭を取り出すと連装砲くんの微妙なスキマに挟んでやった

 

「それでジュースでも買いなさい」

 

「良かったわね、連装砲くん」

 

『…………』ギー…ガー

 

まったく、善い事を見るのは気持ちがいいし、それに対して払う気持ちは実に清々しいものなのだよ

 

「で?連装砲くんは善行を積んでいるようだが、キミはナニをしているのかね?そもそもなんでスカート穿いてないのかねキミは?もしかして誘っているのかね?」

 

「そんなワケないでしょ!コレはそーゆー服なの!」

 

「バカ言うんじゃないよ、そんな股下0センチでスケスケの服なんかAVや風俗でしか見ないのだよ、もしかして天津風クンは見られるコトにKAIKANを感じるいやらし風なんじゃあないのか?」

 

「誰がいやらし風よッ!!」

 

「じゃあスカート穿きなさい、スカートを、基地の風紀をなんだと思っとるのかね?」

 

「イヤよ」

 

いやだわこの子ったら、まるで歩く公然猥褻罪じゃない…

 

「まったく、そんな猥褻な服着てるから友達いないんじゃあないのかね?」

 

「いるわよ!!友達ぐらい!」

 

「へぇー…島風クンかね?」

 

「………ま、まぁ、島風は友達ね、一応」

 

天津風クンの一方的な親友、島風

唯一の友達である連装砲ちゃん以外で初めて出来た友達であり、天津風との間に一方的な親近感と友情を感じている

 

「他にいないのかね?」

 

「いるわよ!失礼すぎじゃない!?」

 

この悪魔もブッ飛ぶファッションセンスを持つ天津風クンと友達になってくれるヤツが他にいるだろうか…?いや、きっといないだろう、だが彼女は無理して見栄を張っているのだ、お可哀想だこと…

 

「今、お可哀想だこととか思ったでしょ!」

 

「思ってないのだよ」

 

そして勘も良い

 

「まぁまぁ天津風くん、友達なら提督が紹介してやるのだよ、アレだろ?体育の時、島風クンがいないと鹿島先生とばっか組むのもイヤだろ?」

 

「な、なんで知ってるのよ…」

 

お可哀想だこと…

 

「今!お可哀想だこととか思ったでしょ!」

 

「エスパーかナニかかね?キミは」

 

頭の煙突みたいなのからモクモクと煙を吐く天津風クンだが、どうやらただモクモクしちょるだけではないらしい…

 

そんなモクモクしちょるだけの天津風クンがキィーキィー文句を言いつつ俺に掴みかかっていると、食堂の方からアイス的なものをベロベロしつつ昔好きだったアイドルみたいなのが歩いてきた…

 

「Hi!テイトク、ナニやってるのー?」

 

「ん?やぁ、ジョンくん」

 

ステーツからやって来たMAJORの逸材、ジョンくん

MAJOR出身とあって駆逐艦としては非常にHATSUIKUがいい

 

「ヒマならアタシとpokerでも~…って、誰コイツ?」

 

「誰とはナニよ?」

 

MAJOR特有の失礼な初対面がカンに障ったのか、天津風クンはジョンくんにメンチを切った

 

「陽炎姉妹の天津風クンなのだよ」

 

「カゲロウ…?あぁ、いたわね、そんなのが…」

 

ジョンくんはMAJOR特有の失礼な身ぶり手振りでそんなショッパイのがいたわねとオーバーに首と手を振った

 

「丁度いいのだよ、ジョンくん、この天津風クンと友達になってやってくれないかね?」

 

『『ハァ!?』』

 

息の合ったダブルでイヤそうな声だなオイ…

 

「冗談じゃないわ!こんな毎日ハンバーガー食ってる頭悪そうなアメリカ女!」

 

「Not a joke!アナタ!ゼンゼンッ!オモシロクないjokeね!」

 

「まぁまぁ、だってほら、なんかキミら似てる感あるじゃん?実は仲良くできるんじゃあないかね?」

 

「できるワケないでしょ!ってか似てないわよ」

 

「アナタ目がおかしいんじゃナイ?どう見てもこのアタシの方がカワイイじゃない?」

 

「は…?」ピキッ!

 

「Huh~…?」パキッ!

 

天津風クンはジョンくんにビンタを浴びせると、ジョンくんはお返しとばかりに天津風クンにビンタを浴びせ、さらにお返しとばかりに天津風クンはジョンくんにビンタを浴びせ、ジョンくんは大きく深呼吸すると大きなモーションからさらにビンタを…

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

ビンタッ!!(平手打ち)

 

ビタンッッ!!(ビンタ)

 

ビンタッッ!!(平手打ち)

 

「クッ…!!この女ァ!」

 

「ジョートーよッ!I'm not licking!」

 

熾烈!!なんと言う熱戦!烈戦!超激戦!互いから交互に繰り出されるビンタを避けるコトなくその頰に喰らい、一度打たれれば一度打ち返すッ!相手が膝を折るか、もうカンベンしてくれぇ!と泣きを入れるかしないと終わらないデスマッチッ!!

 

「いいぞォ!天津風ェー!」

 

「そのキレーな顔を落ち度まみれにしてやるのです!」

 

「そうや!勝つんはアンタや!勝者はアンタや!」

 

そして、いつの間にやら中庭はこの互いに譲らぬ日米血戦を見守る陽炎姉妹を始めとするギャラリー達に囲まれ、天津風クンとジョンくんは声援を受けていた…

 

「Johnston!これは私達Fletcher級が受けたケンカよ!立って、そして戦いなさい!」

 

「そうネJohn!島国の日本人には精密なcomputerは作れテモ、ヘヴィ級の王者(チャンプ)は作れないってコトを教えてやりなサイ!」

 

「サラも応援してますよー!」

 

アツい声援に背中を押され、互いに死力を尽くす戦いは続いた…………

 

しかしッ!終わりは突然やってくる

 

「あ…?ぁ…?」ガクガク…

 

ダウンッッッ!!ついに天津風クンがダウン!片膝を折り、それでもなお立ち上がろうと懸命に足を踏ん張っていたが………入らないッッッ!力がッッッ!!

 

しかしラストサムライ天津風、たとえその身が倒れるにしても前のめりッ!最後の最後まで、ヤマトダマシイと言う名のPRIDEを俺たちに見せてくれたッ!

 

「天津風ェ!!」

 

「いいケンカでした、えぇ、いいケンカでした!痴女ですが」

 

「アンタはウチらの最高の妹やー!痴女やけど!」

 

天津風クンにアツい声援を贈っていた姉妹達は、まったく!天津風は最高だぜ!惜しみない賛辞の言葉とともに倒れた天津風クンを抱きしめた

 

「ハー……ハー……ど、どーよ?このジョンストン様の方がカワイ……」ガクガク…

 

「よくやったわ!Johnston、アナタの勝ちよ!アナタが勝ったのよ!」

 

「Nice fight、Johnston……ヘヘッ、ミーもガラにもなくカンドーしたワ」

 

勝者ジョンくん、が……勝ったとは言えそのダメージはあまりにも深刻、まともに立つコトすら難しいジョンくんは姉、フレッチャーくんのフカフカフレッパイ枕をクッションにし、エールを贈っていたMAJORのチームメイト達は惜しみないUSA!USA!USA!のコールを叫んでいた

 

『…………』ギー…ガー

 

「連装砲くん…」

 

俺は足元にやってきた連装砲を拾い上げ、この、アツい日米血戦の終わりを見届けた…

 

ジョンくんは天津風クンにナイスファイトと声をかけ、右手を差し出し、天津風クンもその手を握った…

試合が終わればノーサイド、敵も味方もない、美しい光景じゃあないか…

 

『…………』ギー…ガー

 

「なんだろうな、この茶番…」

 

俺は連装砲くんに燃料でも飲むかねと尋ねると、連装砲くんは目を点滅したので俺は連装砲くんと共にクールにその場を去った…

 

 

後日、天津風クンとジョンくんの顔がめっちゃ腫れていたせいか、食堂で笑いものにされていた

 



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激闘!第三次ソロモン海戦

新年最初の最終決戦、まぁ…実際は去年終わってました。はい

【登場人物】

提督(最高でござるな!)
負け犬の匂いがする

Colorado(腋)
昨年末、寝てる間にア●ルを喪失した
イベントには未出撃

防空巡棲姫(防空シリーズ)
第三弾、口が悪い



最終ステージ、激突!ソロモン諸島in鉄底海峡ギリギリぶっちぎりの超決戦!

 

「Hey!Hey you!なんでこの私がmemberに選ばれなかったの!?ナットクできないワー!!」

 

「まぁまぁコロちゃん、落ち着いて、座って、ほら、お茶でも飲んで、落ち着いてハナシをしよーじゃあないか?」

 

天気の移り気が激しい冬の執務室…

BOSSへの挑戦権を得る為にあっちに行ってこっちに行ってとダラダラさせられたが、遂に挑戦権を獲得した我々は海域最終決戦攻略チームを信じて送り出し、後は執務室でティーでもしながら現場の中継を見ようと考えていると、執務室の重厚な扉が勢い良く開き、プンスカFu●kとか言いつつキンパツ美女が入って来た…

 

「サミー、彼女にティーを淹れてやりなさい」

 

「coffeeでいいわ、blackで」ドヤァ!

 

「………コーヒーですね」

 

オイオイオイ、ナニ考えてんだこのキンパツっ娘は……いや、たぶんナニも考えてないな

そして見てやってくださいよあの青髪ロング子を、久々にコーヒーの注文が入ったコトにとてもウキウキしてますよ、たぶん今ならアイツのぶんのシュークリーム食べても許してくれるぐらいウキウキですよ、こいつァ…

 

「で?コロちゃんは〜……え〜……何の用事かね?」

 

「馴れ馴れしく呼ぶんじゃあないわよ!Coloradoと呼びなさい!」

 

「はいはいコロラードくんね、コロラードくん」

 

「イマイチ誠意を感じないわね、もう一回!Colorado!」

 

「コロラードくん」

 

メンドくせぇなコイツ、ちょっとキンパツで乳がそこそこあるからってチョーシにノってやがるな…

だが提督はそう言うPRIDEの高い雌の身も心もズタズタにして心の底から屈服させ、この提督に忠誠を誓う牝に堕とす事に快感を感じるのだよ…

 

「マァいいわ、で、用件なんだケド……なんでOperationにこの私がmemberに選ばれてないのよ!」

 

「えー…」

 

「ナガートやムツ!Nelsonはmemberに入ったでしょ!」

 

「挿入りましたよ」

 

「でしょ!」

 

うーん、どうやらコロラードくん、他のビッグ7が働きに出ているのに自分だけ働きに出てない事が不満で仕方ないらしい、コロラードくんは自分が出たらもっともっと活躍する!チームの勝利の為に貢献できる!と机をバシバシ叩きアツく猛アピールしてきた

なるほどこれがシーズンを通して過酷な生き残りサバイバルを生きるMAJORのガッツか…

 

その意気や良し!熱意や良し!そして猛アピールするコロラードくんのパイオツも良し!正直、俺は今コロラードくんのおかげで机の下はギンギン丸なのだよ

 

「まぁまぁコロラードくん、そうイキリ勃たないで、とりあえず今、現場に攻略チームが行ってるから一緒に中継でも見ようじゃあないか?」

 

「そ、そーね………マァ、見るだけ見てあげるわ!ただし!teamが負けて帰ってくるよーなら今度こそこのColoradoをmemberに…」

 

◆◆◆

 

ソロモン海、VS深海鉄底海峡艦隊主力部隊旗艦…

 

「ドララララララララララララァァァ!!」

 

『アババババババババー!!』

 

防空シリーズ第三弾、今回の海域BOSSを務めるのは防空新時代の新しいエース、防空巡棲姫

その、隠しきれない爆乳は月刊深海styleでも特集を組まれるほどである…

 

そんな新時代の防空エースの彼女は今、金剛姉妹の次女に殴られ、四女から殴られ、また次女に殴られ、そして四女から殴られ、宙を舞っていた…

 

『アバァ!!』

 

『防空巡棲姫クン!』

 

『防空巡棲姫クン!』

 

きりもみ回転しつつ頭から海面に落下し、グシャァッ!!と、どう考えても無事では済んでいない擬音で海面に叩きつけられた防空巡棲姫だったが………彼女はまだ死んではいなかったッッッ!!

 

『ア……アンタタチ!アタシヲ……アタシヲオコラセタンダネェ……!!』

 

『マ、マズイ!防空巡棲姫クンガキレテルッ!』

 

『オイオイヤベーゾ!防空巡棲姫クンハ一度キレットナニスッカワカンネーカラナァ!!』

 

『オマエラ明日ノ朝刊載ッタゼ!』

 

怒りに震える防空巡棲姫は頭からダラダラ流れる血を拭いもせず、そこら辺に落ちていた鉄パイプを手に取った

 

『オコラセタンダネェ!!コッカラ…カエサナイカラァァァァァァ!!』

 

「あ゛ー?ナニ言ってんだテメー?おねえ、コイツナニ言ってんの?」

 

「さぁ?っーかオマエ、勘違いしてるじゃあねーのか?1人も生かして帰さない…?そりゃこっちのセリフだっーの、ウスラトンカチが」

 

挑発に挑発で返す、千歳そして千代田の後ろには未だ無傷、目が合ったら死んでいた、一瞬姿が見えただけで死んでいた、深海ビンゴブックでもぶっちぎりの危険度を誇る無敵の死神、雪風…

そして、息の合ったツープラトンで過去に何人もの深海の精鋭達を文字通り、沈めてきた最強タッグ、北上と大井…

 

この、死のクリーンナップを突破できた深海棲艦はあまりにも少ない…ッッッ!!

 

「比叡さん!アレ、全部“死刑”でいいんですよね?」

 

雪風はチームのリーダーである比叡に深海棲艦は生きちょっても仕方ないとキチンと確認をとり、利き腕である必殺の右をまるで撃鉄を上げるように構えた(ハンマーコックした)

 

「で、出るぞ!雪風の絶対破壊攻撃(アブソリュートブレイクショット)…ッ!」

 

「アレを喰らってお腹が無事だったヤツはいねぇ!向こう半年はベッドの上でお腹ユルユルの下痢ピー確実だぜーッ!」

 

『ヤッテミロコラァ!!ソノマエニテメーノ前歯ヘシ折ッテ長崎ば●おぱーくニ着払イデ送ッ…』

 

ズドオォン!!!(雪風全力パンチ)

 

『ゴバァ……!!ア…?ァ?……ゴデュファ!』

 

ビチャアッ!(吐血)

 

「………血が付いてしまいました」

 

雪風は汚い汚いと海水で手を洗い、自分のパンチで大の字にひっくり返った防空巡棲姫を見て、そのお腹を何度も何度も踏みつけ、やがてピタリと踏みつけるのをやめて防空巡棲姫の手を取った

 

「………はじめまして、雪風です」

 

『………』死ーン

 

「ゆ、雪風が深海のヤツに挨拶したぞ!」

 

「バカな、基本的に深海のヤツらとは口を利かない雪風が何故…?」

 

「ま、アレじゃない?なんか思うところあったんじゃないかな」

 

◆◆◆

 

冬の陽気ではない執務室…

 

「…終わったか」

 

「ま、マァ!なかなかヤるじゃない!」

 

現場の中継画像に、いきなり血のデコレーションが画面を彩った瞬間、ピギィ!とか言って一瞬ビビってたコロラードくんだったが、現在は何事もなかったように何度も脚を組み替えしつつマァーマァーねー!とか言っていた…

 

「しかし、これでコロちゃんの出番は無くなってしまったね」

 

「誰がコロちゃんよ、馴れ馴れしいのよ!」

 

まぁしかし、コロちゃんがどーしても言うのなら、作戦海域とは別に、提督からのトクベツな任務を与えてもいいかもしれないな、さっきからチラチラ見えるそのスベスベな、腋………おっと、駄目駄目、我慢しなきゃあ…

 

「コーヒーです」

 

「ん?あぁ、そういやcoffeeって言ったわね、Thanks…………って!!マ………ッ!?」

 

コロラードくんはマズイ!と言いかけたのだろう……だが、コロラードくんは耐えたッ!マズイと言う単語を飲み込んだ、そして…何故あの子はこれほどまでにマズイ飲み物を人に出しておきながら誇らしげな佇まいでいられるのか?と考えているのだろう…

 

「マ、マーマーね………え、えっと…Sammyだったカシラ?」

 

「五月雨です」

 

「今度このColoradoがcoffeeの淹れ方教えてあげるわ、本場のね!」ドヤァ!

 

「そうですか」

 

コロちゃん、意外にもジョンくんほど自分に正直ではなかったのか…

そしてあの青髪ロング子、どうですか?やっぱりジョンストンさんは舌がおかしいんですよと言いたげな誇らしげなツラ………腹立つなコイツ

 

 

こうして、年を跨ぐ第ニ次南方作戦は終わった…

 



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続続続続続続続続続続・提督と作戦終了と…

イベント終了ですって

【登場人物】

提督(メガネ男子)
自称ハンサムの鬼畜系メガネ上司、Sを越えたSS






「えー…今回も皆さんのおかげで無事、作戦を完了する事ができました、えー…皆さんが普段から努力し、頑張った結果が、この、無事に完了すると言う素晴らしい結果に繋がったと提督は思いますし、それに、なにより!また皆さんが誰一人欠けることなく揃ってこの場に集まった事を提督は心から嬉し……えー…嬉しく思います、えー…今回の作戦では〜…」

 

『ハナシが長げぇーんだよボケーッ!』

 

『早く終われやオッサン!』

 

『テイトクはオ●ニー週何回ですかー?ギャハハハハ!』

 

…クズどもが、相変わらずこの提督様の有難い談話を真面目に聞いておるヤツなどおらぬか、やれやれなのだよ…

だが、真面目に聞いていないとは知っていても提督は今日の為にガッツリ原稿用紙5枚分の談話を書いているのだ、キサマらは足ガクガクになってもうやめてくださいと懇願しても終わる事はないのだよ…

 

…と、まぁ、全艦集会恒例の提督様からの有難いお話にたっぷり50分を費やし、睦月型のクソガキどもや海防艦のクソガキが苦しむ顔を見つつ提督からの有難いお話は終わり、香取先生に次のプログラムをと目で合図を送った

 

「はい、提督からの挨拶でした、では続きまして冬の基地SUMO大会キュウシュウ場所の表彰に移ります…」

 

ーーー

 

「えー………それじゃ、皆さんお待ちかねのお給料の時間です」

 

舞台袖から台車に載って運ばれてくるジュラルミンケース、中身はモチロン、金…ッッッ!!この世の欲望を全て叶える魔性の権化ッ!金の前では、愛情も、友情も、全てが無に等しい…ッ!

 

「えー…今回MVPチケットランキングでMVPチケットを最も多く獲得したのは〜………え〜……秋津洲くん」

 

ざわつく会場…ッ!名前を呼ばれた本人すらも、え?マジかも?と困惑しているようだがランキングに不正や操作はない、当基地ではきわめてクリーンな開票を行っているのだ

 

「え?え…?ええぇぇ!?マジかも!?」

 

壇上に上がってきたものの、未だ信じられないといった様子の秋津洲クン、まぁ、無理もないだろう………彼女はウチに来て以来、目立った活躍をしたことなかったからな

だが、今回は大事な大事な最終戦、その、最終決戦の場へとスムーズにチームを導く大きな役割を与えられ、見事これに応えた事が大きかった

 

「おめでとう」

 

俺はジュラルミンケースから取り出したブ厚い紙幣の束を秋津洲クンに手渡した

 

「こ……こんなに…っ!」ゴクリ…

 

おそらくは秋津洲クンの生涯で初めて手にするであろう大金、そのズシリとした重みは、今まで経験した事がない紙の重み、秋津洲クンの目は、そっか……紙って、こんなに重かったんだ…と語っていた

 

「現金で…っ!」ゴクリ…!

 

秋津洲クンはブルブルと震えつつ現金を大事に大事に抱きしめて壇上を降りて行った…

 

「えー…次、今回怒りの絨毯爆撃でチームの勝利に貢献してくれた龍驤クゥーン」

 

前半戦、人、一人殺すには十分すぎる火力でチームの仲間と深海の皆さんを震撼させた当基地ではビッグママと同じく古株の軽空母、龍驤…

 

「感動した!」

 

「オーゥ!久々やなぁ、こんなブ厚いの貰うんは…」

 

龍驤は受け取った札束を懐にネジ込み、壇下にいる空母の仲間達に今日はウチの奢りやー!ママの店オールで貸し切りやー!と叫び、壇上から下にダイヴした!

 

「ウォー!!さすがRJ!気分が高揚するぜーッ!」

 

「さすがRJ!女の中の男ーッ!」

 

「まったく…RJパイセンは最高だぜーッ!」

 

一航戦や二航戦のチンピラ空母どもを始めとする空母仲間達にRJワッショイ!RJワッショイ!とワッショイされながら流されて行った…

 

「えー…じゃ、ドンドン行くぞ、ドンドン」

 

ーーー

 

「最下位、秋雲ォー…」

 

「150円っすか…」

 

秋雲に150円を手渡すと、秋雲から今度ネーム会議するんで来てやってくださいと誘われた…

 

「えー…じゃ、今回の全艦集会はこれにて終了します、えー…今回も皆さんの労をねぎらう意味を込めまして、ささやかですが酒と料理を用意してあります、皆さん、遠慮せずにドンドン…」

 

「ヒャッハー!水だぁー!」

 

「オイ!ハンバーグがあるぞ!ハンバーグ!」

 

「マジか!ちょ、待てよ!オマエ、ちょ!待てったら!」

 

…クズどもめ、まぁいい、人のハナシを聞かないなど些細な事だ、当基地は自由な気風でノビノビと育つ環境を重視しているからな、多少ワンパクでもいい……他人様に、いや、俺様に迷惑をかけなければ…

 

酒、料理、そして喧嘩、いつもの光景が始まり、俺はそんなクズどもを心底見下しつつ自分もナニかつまんでおくかと適当なテーブルへと足を運ぶ…

 

「ふむ…」

 

相変わらず料理の茶色分多めだな 、肉食獣向けなのもいつものコトだが……今日の提督の気分はサッパリ系なのだよ

 

「あ!テイトクっしゅ!」

 

「ホントだー」

 

「む…?キミ達は…?」

 

アホの占守クンと、その妹達か………全員この提督とは話が合わない者達だな、適当に挨拶だけしておくか

 

「ナニ食う気っすか!カラアゲっすか!」

 

アホの占守クン、アホである

 

「えー?カラアゲとか食べるのー?ハチの飴わけたげよーか?食べかけだけどー?」

 

飴をレロレロしてるレロレロの八丈クン、レロレロである

 

「いや、姉さんもハチも…提督は提督で好きなもの食べるでしょ…」

 

姉妹唯一の良心、国後クン、髪の色はファンキーである

 

「王!王!ナニ食べるの?ねぇ?ねぇ?ねぇ?」

 

姉妹の末っ子、ガッキーこと石垣クン、悪い子ではないが悪い道に憧れている気難しくて繊細な年頃

 

「サッパリ系だな、っーか…まとわりつくな、鬱陶しい!」

 

「オラッ!口開けるっしゅよ!ナニ口閉じてるんしゅか!ありがとうございましゅって言え!」

 

やたらとカラアゲを口にネジ込もうとする占守クンをひっぺがし、俺はテーブルの皿にあったフランクフルトを1本手に取り、占守クンの口にブチ込んだ

 

「うげっしゅ!?」

 

「やかましいんだよガキがァ…オラッ、いきなり噛むなよ!丁寧に表面を舐めるんだよ、肉汁を味わうようにな」

 

俺はフランクフルトの串を占守クンの口に出したり入れたり、時にスロウに、時に激しくストロークしてやると占守クンは手でバシバシと俺の腕を叩いて抵抗してきた

 

「キャハハハッ!シム姉ぇ負けてるぅ!うわ、ザッコ!」

 

「ゲホッ!!ゲホッ……クッ!ハチィィィ!誰がザコっしゅか!シムは負けてな……げぼっ!?」

 

「うわ、ザコーい」

 

…この後、大人なんかチョロいもんよとシュークリームのクリームをレロレロしていた八丈クンだったが、口の中からクリームが溢れるほどシュークリームをネジ込んでやった

 

ちなみにこの姉妹、色々限界がくると尿漏れするタイプらしい………今度から気をつけよう

 

ーーー

 

適当に酒と料理をつまみ、タバコでも吸うかと体育館の外へ…

 

「フーッ〜…」

 

「タバコは喫煙所ですよ」

 

「カテェこと言うんじゃないよこの子は…」

 

外でタバコを吸っていると、いつの間にやらヌルりと現れた青髪ロング子は皿に載せたマカ……?マカロフだっけか?

 

「マカロンですよ」

 

「それな」

 

細けぇなコイツ、だいたい、マカロンだかマカロフだかややこしいんだよ、名前が

 

「明日は新しく配属される人の面接があるのでビッとクリーニングした制服でお願いします」

 

「へいへい、俺のロッカーに入ってんだろ?」

 

「入ってますよ、あと、靴も先っちょが削れてたので新しいの出してます」

 

「へいへい、ったく、テメーは俺のオカーサンかっーの」

 

相変わらずこーゆートコがムカつくな、コイツは…

 





次回は新人面接回
天より舞い降りし輝ける七つの星!


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続続続続続続続続続続・提督と新人と面接①

今回もドロップ漏れなし、パーフェクト新人面接回

【登場人物】

Perth(軽巡)
イギリス生まれのオーストラリア育ち、コアラってよく見ると目つき悪い

De Ruyter(軽巡)
オランダから来たヤバイ系ヤバイ、実は去年から密入国してバイトしてたとかなんとか…

神州丸(陸軍特種船(R1) 揚陸艦)
陸軍から来たらしい新たなる刺客、たぶん気配遮断や隠密行動のスキルを持っている、今の仕事に就く前はよく笑う明るい子だったらしい

Houston(重巡)
ノーザンプトン級の5、一目で尋常ではないマグナムだと見抜いたよ!



「ん~…今日は思わず鼻唄でも歌ってしまいそうな爽やかな朝………と、思わないかね?サンドロックくん」

 

「雨ですけど、あと、五月雨です」

 

「ジョークだよ、小粋なテイトクジョーク、相変わらず卿にはユーモアのセンスがないな」

 

今日も冷たい冬の雨、この、どんよりとした良き日に、新たにウチに配属されるクズどもとはいったいどんなツラしてるんだろうな…

 

「で?サミルトンくん、今日の面接は何人の予定かね?1人か?2人か?いや、ひょっとすると3人くらいかね?」

 

「7人です、ちなみに外国の方が4人います、あと、五月雨です」

 

多いなオイ、7人もいるのかよ……ったく、ただでさえ新人の面接なんて嫌いなのに、はー…まったく、やる前からテンション下がるわー

 

「ちなみに、オパーイの大きめな方が3人います」

 

テンション上がってきたなオイ!7人中3人ってコトはだいたい2人に1人はオパーイがデカいってコトだろ!カーッ!まったく…オラワクワクすっぞ!

 

ーーー

 

「私はPerth級軽巡洋艦Perth、イギリス生まれ、オーストラリア育ちよ」

 

7人抜き新人面接先鋒、最初に入室して来たのは………これまた正統派の美少女ッ!

 

「ほぉ、パースくんか……ふむ」

 

手元の資料を見るに、軽巡としての性能は尖ったものもなく、特に目につくものは無い…平凡、あくまで平凡か、しいて特徴があるとするなら彼女は美少女であると言うコトぐらいだろう…

 

「…なに?」

 

「いや、パースくんはアレかね?イギリス生まれのオーストラリア育ちってコトだが、アレかね?実家は騎士か何かで?」

 

「別に……騎士とかじゃないけど?それがなに?」

 

「いや、大した意味はない」

 

この娘、見るからにPRIDEの高そうだし、馬術とかフェンシングとかの部活やってそうだなと…

 

「意味のない質問はやめてくれる?そう言う無駄なコト嫌いなのよ」

 

疑惑は確信へと変わった、PRIDEめっちゃ高いわ、この娘…なんてトゲトゲしい娘だ、だが、そんな気が強いパースちゃんだからこそア●ルは弱いだろう

 

「ま、とりあえずはファームで鍛えてからだな、ウチは実力さえあればいつでも即登板する機会はある」

 

「そうなの?ふ〜ん…」

 

グゥゥゥム、なんともクールな娘だ、まぁいい…今はツンツンしててクールのパースちゃんだが、70時間耐久スライムア●ル浣腸でもすれば俺の奴隷になるのは確実ぅ!

 

「………なんなのその目?まるでケダモノね」

 

「ケダモノじゃない、提督だ」

 

ーーー

 

「Hoi!オランダ生まれの軽巡洋艦、De Ruyterよ!」

 

7人抜き新人面接、パースちゃんに続いて次鋒はなんかどっかで見たコトある気がする赤い髪の女…

 

「でろ…?でろ……え?なんだって?」

 

「De Ruyterよ!」

 

「あー……デロイテルね、デロイテル、あーはいはい」

 

「うわっ……ナニこの人、いきなり超失礼っぽいんですけどー」

 

「やかましい、何が超失礼だ、むしろ超失礼なのはキミの方なのだよ」

 

「え?なんで?」

 

デロイテルくんは、え?何が失礼なの?と本気で理解してなさげに首をかしげているが………今日面接って事前に伝えてあるよな?

 

なんなのそのオシャレな服は?今日面接だよね?なんなの?それ絶対私服だよね?どう見ても制服じゃないよね?なんなのこの娘、履歴書にプリクラ貼るイマドキの若い子なの?おじさんは理解に苦しむのだよ

 

「…まぁいい、で?ロイテルくんは軽巡で〜………まぁ性能的にはチ●カスってトコか」

 

「失礼すぎ!なんなの!?超失礼でしょこの提督!」

 

「やかましい、だが、ウチはチ●カスだろーが歯糞だろーが充実のプランで鍛える準備がある、とりあえずデロイテルくんはファームスタートな、地獄見せてやるからカクゴしとくよーに」

 

「うわ……ヤバーイ、いきなり帰りたくなっ………い、いやいや!ガンバリます!うん!ガンバる!」

 

デロイテルくんは殊勝にもガンバリマスと両手をグッと握りしめヨロシクオナシャース!と元気に頭を下げた

 

「………ちなみにデロイテルくん」

 

「なにー?あ、もしかして今穿いてるパンツの色?」

 

「やかましい、誰がパンツ色なんか聞いたよ……じゃなくて、ちょっとデロイテルくんに聞きたいコトがあるんだが?」

 

「え?ナニナニ〜?パンツの色?」

 

「だからパンツの色なんぞどうでもいいわ………まぁいい、デロイテルくん、最近来日したらしいが、キミ、もしかして去年から日本に来てないかね?」

 

「き、きききき!来てないよー!!」ギクゥーン!

 

「そうかね」

 

そうか、じゃ人違いかな……去年の年末、チ●コがギンギンの夜にデリ●ルでも呼ぶかとスマホで吟味していたら、赤い髪でメチャエロのミニスカサンタのプロフを見かけたのだが…まぁ、人違いか

 

「だよなぁ、まさか来日早々いきなりミニスカサンタとかないわなー、ガハハハ!」

 

「当たり前じゃーん!ガハハハー!」

 

ーーー

 

7人抜き新人面接続いて第三戦、パースちゃん、デロイテルとここまでオパーイが大きいとは些か言い難い感じだが、もしかしてサミーの野郎、俺を騙したのだろうか?

 

「で?次はどこの国だ?アフリカか?それともボリビアか?もう何人が来ても驚かんぞ」

 

「次は日本の人です」

 

「ほー…ジャパニーズか」

 

「しかも陸軍の方です」

 

「陸軍かよッ!!ウチ海軍だよね!?」

 

なんなのだ…?え?なんで陸軍?いや、まぁ、ウチにも前に陸軍所属のヤツが配属されてはいたが…なんだっけ?ア●ルきつきつの生白いヤツと潜水艦みたいな……まぁどうでもいいか

 

「まぁいい、で?その陸軍様はまだ来てないのか?面接に遅刻とはふてぇ野郎……」

 

ギラリ!!(ナイフ)

 

書類に目をやり、未だ現れない陸軍様がいったいどんなヤツなのか履歴書的なものを見ようとした瞬間、俺の首元に迫る白刃の輝き…ッ!!

 

「はおっ!!」

 

並の提督ならネックカットされるところだが、並の提督ではない俺はそのナイフの輝きに即座に反応し、大きく身を逸らしてナイフの一閃を回避し、反動をつけて飛び壁を背にすると、先程まで俺が座っていた執務机のところにいつの間にやら見慣れない黒フードが立っていた…

 

コイツ………何者、いや、暗殺者かッ!どう見ても暗殺者だ、黒フードはゆっくりとこちらに視線を向ける

 

「…」

 

なんて目だ、まるで機械…!目標を殺るコトに何の躊躇も感情もない、ただ、冷酷なだけの暗い瞳ッ!どうやら俺はとんでもない組織に目をつけられちまったらしい!

 

「………陸軍特種船、神州丸です」

 

「は?」

 

「本日よりお世話になります」

 

深々と頭を下げた黒フードこと神州丸?くんは、ナイフを服の中にしまい、執務机とは逆にある椅子のところへとスタスタと歩いて止まった…

 

「………え?ナニ?キミ、ウチに配属されたの?」

 

「はい」

 

「へぇ……陸軍からわざわざ」

 

「はい」

 

感情とかあるのか?この娘、どうにも調子狂うな…

しかしマジで陸軍なのか?むしろ暗殺ギルド出身とかの間違いじゃないのか?

 

「ちなみに、なんで今、提督を殺ろうとしたの?差し支えなければ理由を教えてくれないかね?誰に依頼されたの?」

 

「本気ではありませんでした、単にこれから世話になる海軍の提督殿がどの程度の御仁か、興味があっただけであります…」

 

いや、本気だったよ、アレ確実に殺る気だったよ、たぶんあのナイフ、ご丁寧に毒とか塗ってあったよ、しかも避けた後に含み針吹いたよこの人、だって机に針刺さってるもん…

 

「マジで、誰?誰が依頼したの?俺、身に覚えないんだけど」

 

「提督殿の求める回答はお答えできません」

 

「あぁ、そう…」

 

グゥゥゥム、なんてこったい、天海みたいな話せばわかる殺し屋ならまだ話し合う余地があったが、この神州丸くんとやら話せばわかるタイプなのだろうか?むし、これから俺は安心して眠れる夜はくるのだろうか?

 

しかしこの神州丸くん、さっきはナイフとか使っていたが………よく見るとその太腿はトンデモない凶器だ、いや、そもそも暗殺者でそのミニスカは無理でしょ!と言いたくなるが、あのミニスカと太腿はターゲットを確実にクギヅケにするな……むしろあの太腿に挟んで圧迫されたい、圧迫祭りしたいわ!

 

「神州丸くん」

 

「はい」

 

「挟むのは得意かね?」

 

「挟む…?ホチキス留めなら少々……であります」

 

---

 

闇ギルドからの刺客を無事に撃退し、折り返しの四戦目…

 

「Northampton級、Houstonよ」

 

「オーゥ!」

 

コレだよぅ!提督はこーゆーのを待っていたッッ!!海を渡って現れたMAJORからの新たな刺客は一目で戦慄するマグナムおっぱい…ッ!!マグナムおっぱい!!

 

「サミー、彼女にティーを、あと冷蔵庫にティラミスあったろ?ティラミス出してあげて、ティラ・ミス」

 

オイオイオイ、テンション上がっちまうなぁ!オイ!コレだよ!やっぱコレがMAJORだよな

 

「えー……ヒューストンくんはノーザンプトンで重巡と?」

 

「えぇ、実力は~………まぁ、今後に期待して頂ければと」

 

「オーケーオーケー、そんなコトは些細なコトオーケー」

 

「はぁ…?」

 

見た目のタイプ的にはデキるお姉さん的キャラ感のあるヒューストンくんだが、どうやら中身もそんな感じで間違っていないらしい、まったく…提督はさっきからヒューストンくんと話をしているのかおっぱいと話をしているのかわからないぐらいクギヅケだよコレは

 

「そうそう、こちらの基地には私の他にもStates出身の娘が配属されてるとか…」

 

「えぇ、ワリとたくさん居ますよ、何か生活に困ったコトがあれば同郷の仲間にでも相談して頂ければ…」

 

「そうですね、あ、それとPerthとDe Ruyterもこちらに来ていると…?」

 

パースちゃんとデロイテル?なんだ?知り合いなのか…?

 

「えぇ、来てますよ、たぶんその辺で蟻の巣でも観察してるんじゃないですか?」

 

「そうですか」

 

「ヒューストンくんはパース、デロイテルとはお知り合いで?」

 

「はい、生まれも育ちも違いますが………まぁ、あの2人とは色々ありまして」

 

「ほぉ、色々」

 

なるほど、ナニか因縁があるのだろうか?金貸して逃げられたとか、保証人にされて逃げられたとか……まぁ、話したくなさげだし、ここはツッコんで聞かないのが良い提督だ

 

「まぁ、ヒューストンくんはファームからスタートして貰う事になりますが、キミならすぐ上へ上がってこれるでしょう、期待しています」

 

「はい、ご期待に応えられるよう頑張りますね」

 

オイオイオイ、MAJOR特有のナマイキさもなく、それでいてこのマグナムおっぱいとか………まるで“良い人”…っ!“善人”…っ!何故こんな良い人がウチみたいな無軌道・無慈悲・無秩序の三重殺が揃ったクズ揃いの基地に配属されたんだ…?わからん

 




次回は②後半の海出身!
平戸・秋霜・アトランタ…!


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続続続続続続続続続続・提督と新人と面接②

新人面接その②

【登場人物】

平戸(と)
択捉姉妹の九女、その右目には秘密がある

秋霜(しもしも)
スーパーエリート駆逐艦夕雲姉妹の十八女、早霜くんをはやはやと呼ぶが、早波くんはなんとお呼びすれば?

Atlanta(世界の高さ)
空中のディフェンスに定評のある秋月姉妹を凌駕するワールドクラスのディフェンス力を持つ防空巡洋艦、とんでもないロケットおっぱい


「あ、クソ、やっぱつえーなジャス●ィスは」

 

7人の悪魔新人面接も半分が終わり、暫し休憩を挟んでの後半戦…

 

「ナニくだらないゲームやってるんですか、あと3人もいるんだからさっさと済ませてくださいよ、さっさと」

 

「くだらないゲームとはなんだ、くだらないゲームとは」

 

その昔、プレイス●ーション用のゲームとして発売され、今なお新作タイトルが発売されているスタイリッシュ格闘ゲーム、ギルティ●ア…

その第1作はバランス的には荒削りだが可能性を感じさせ、その可能性は続く第2作、ゼクスにて開花しアーケード界隈を席巻することになった

 

ちなみに、初代のCPUはやたらと強く、特にラスボスのジャステ●スは今なお俺を苦しめる難敵であり、ノーコンティニュー最大にして最後の壁である

 

「…チッ、まぁいい、さっさと終わらせるか…」

 

そんなワケで、7人抜き新人面接の5人目…

新たなる美しき獲物に次の方どうぞーと入室を促すと、執務室の重厚な扉を開き、新たなる挑戦者が入室して来た…

 

「択捉型海防艦、平戸です…」

 

「ほぉ、海防艦…」

 

…面接の序盤に出なかったから今回は海防艦のキッズはいないものだと思ったのだよ、まったく、油断させておいてコレとはな…

 

「敵は…敵は侮れません、この静かな海と皆さんを護っていきたいと思います…」

 

「ふ〜ん………えー平戸くん?だったかね?」

 

「平戸です、ト」

 

「ヒラトね、ト」

 

ドじゃねぇんだ、まぁいいけど、しかしなんと言うか……白いな、この子、それにあの実に空虚なしまりのない笑顔、なんか辛いコトでもあったのだろうか、こんな幼い子が……

 

ハッ!?…まさかDVッ!ドメスティック・バイオレンスかッ!

 

「サミー、彼女にミルクキャラメルを、あと、温かいココアを淹れてあげなさい」

 

「はぁ?」

 

わかるってばよ……いや、何も言わなくていい、提督にはわかるってばよ、だがもう心配はいらない、キミは今日から俺のファミリーなのだから…

 

そんな器と背中の大きいわかる提督感にヒシヒシと浸っていると、平戸くんは執務机に置いてあるテレビに興味を持ったらしく、画面をじっと見つめていた

 

「どうかしたかね?」

 

「いえ………提督はゲームするんですか?」

 

「まぁ、嗜む程度だが…」

 

面接の為に中断していたギルティ●アの画面を興味深そうに見ていた平戸くんに、なんならやってみるかねとコントローラーを渡してやった

まぁ相手はあのジャステ●スだ、よくわからんウチに瞬殺されるだ……

 

「…」カチカチカチカチカチカチ

 

バ…!?バカな…ッ!!!ウソだろオイ!バッドガイ!バッドガイ!オマエウソだろバッドガイ!!

 

「…勝ちました」

 

平戸くんはコントローラーを俺に返すと満足げに椅子へと戻り、温かいココアを啜りだした…

 

「…キミ、ゲームとか得意なのかね?」

 

「まぁまぁです」

 

何がまぁまぁだ、今のプレイ…ハンパじゃあない、これは、ランキングが塗り替えられるぞ…ッ!今のプレイ、あの“バトルキング”に最も近いと噂されている大淀のプレイを初めて見た時と同じ戦慄……いや、それ以上にも感じる!

 

まさか、遂にこの基地に“バトルキング”への挑戦者が現れたと言うのか…ッ!!

 

ーーー

 

戦慄のスゴ腕に衝撃を受け興奮冷めやらぬまま続く6人目…

 

「そうよ!うちが夕雲型駆逐艦、その十八番艦秋霜よー!」

 

「ほぉ…夕雲型ですか」

 

スーパーエリート駆逐艦姉妹、夕雲姉妹…

その十八女……十八ってコトはアレか、キタローくんより下、キヨシよか上のお姉さんか

 

「手元の書類によると性能的には平均的な夕雲型か…ふむ、まぁまずはファームで頑張って貰う事になるな」

 

「マジでー?やっぱいきなり一軍デビューはムリかー」

 

「ムリだな」

 

ナニ言ってんだコイツ?だが、そんなビッグマウス、提督は嫌いではないのだよ

 

「あ、そーだ、ここって、ハヤハヤとかキヨキヨとかいるんだよね?」

 

「誰だそれ?魚か?」

 

「魚じゃねーし、ウチの姉ちゃんとか妹とか」

 

「あぁ、キタローくんとキヨシな、いるぞ、そういや夕雲がオマエの歓迎会するから面接終わったらダッシュで寮に来い、殺すぞって言ってたぞ」

 

「それホントに言ったのォ!?」

 

「言ってたぞ」

 

夕雲姉妹の結束は強い、姉妹の頂点に君臨する絶対長女夕雲……その影響力は強く、おそらくは姉妹の誰一人として夕雲に逆らう事はできないだろう

 

同じく姉妹の多いがクセ者揃いで妹から舐められ気味の陽炎とはエラい違いだ…

 

「ゆうゆう姉マジコエーからなぁ〜…」

 

「やっぱ怖いのか、夕雲」

 

「怖い怖い!そりゃあマジ怖いよ!昔、夕雲姉の飼ってたグリーンイグアナにコオロギ食わせてたのバレた時はおしっこチビりそうに…」

 

「あ、夕雲」

 

「ギャアアアアアアアアアァァァァァ!!許して!許して姉ちゃん!許し……ヒッ!ヒイイィィ!こ、ころさ、殺さないでぇ!!」

 

秋霜は流れるような動作で土下座し、ペコペコと命乞いした

 

「まぁ、ウソなんだが…」

 

「ウソかよッ!!ビビらせんなよ!」

 

ーーー

 

7人抜き新人面接もついに残すは最後の1人、つまりはラスト・ワン!最後に現れるのは最後にして最強、今回2人目のMAJORからの大型新人ッ!!

 

「How is everything?Atlanta級防空巡洋艦、Atlanta…」

 

「オーゥ!」

 

なんて……なんてプレッシャーだッ!!いや、プレッシャーだ!!一目で、一目で尋常ではないロケットおっぱいだと見抜いたよッ!!

 

「いかんいかん、鼻血が…」

 

「ナニ?あまりジロジロ見ないで」

 

「失礼、つい興奮してね」

 

やっぱり提督も男の子だもんな、そりゃ男の子はみんなロケットとか大好きさ!

 

「えー…アトランタくんはアレかね?防空巡洋艦…?」

 

「そうね」

 

軽巡とは違うのか、手元の資料を見るに、雷撃や対潜はあまり得意ではないどころかむしろ下手の部類だが、その短所を補って余りある長所がある…

 

あの秋月すら上回る驚異の対空能力ッ!高さと言うフィールドでは敵なしだった秋月姉妹のさらに上を行く実力の持ち主、やはりこれがMAJORの実力か…

 

「ハナシはそれだけ?もう帰っていい?」

 

「まぁまぁアトランタくん、まだ来たばかりじゃあないかね?俺たちはまだお互い好きな音楽のジャンルすら知らないんだ、とりあえず座って、お茶でも飲んで、話でもしようじゃないかね?」

 

「…To be honest, it’s troublesome、正直めんどくさいんだけど?」

 

「HAHAHA、サミー、彼女にケーキを出してあげて、イチゴのショートケーキを、あとティーを…」

 

「coffeeでいいよ」

 

アトランタくんもやはりコーヒー大好きアメリカンスタイル…ッ!しかしコーヒーはマズイ!今、注文するコーヒーは日米に致命的な摩擦を生じさせる可能性がある!

 

「コーヒーですね…」

 

ジョンくんにマズいと言われて以来、アメリカンには一層の情熱を持って淹れている気がするなコイツ…

 

そしてこのアトランタくん、よく見るとなんだあのシャツ?メチャメチャ透けてるじゃねぇの?いや、透けているのか…?もしかして今、俺は服が透けて見える能力に目覚めたのでは?

 

「…ナニ?アタシにナニか付いてる?」

 

「え?あ、あぁ、その立派なパイオツが…」

 

「訴えるわ」

 

「ジョークなのだよ、小粋なテイトクジョーク」

 

コイツの目はマジだ、訴えると言ったらマジで訴える目をしているッ!これが訴訟大国ッ!

 

「コーヒーです」

 

「Thanks…………うん、美味しい」

 

コーヒーを啜り、アトランタくんはコーヒーを淹れたサミーにアナタなかなか良いbaristaねと褒め……

 

「ハァ!?」

 

「…ナニ?」

 

「え…?アトランタくん、キミ、今なんて…?」

 

「美味しいって言ったのよ、何かおかしい?」

 

美味しい…?美味しい……だと?五月雨のコーヒーは我慢すれば飲めない事はない絶妙なマズさ、我慢のお世辞か…?いや、アトランタくんの表情からは我慢の二文字がまるで感じられない…

 

「サミー、俺にも一杯くれんか?」

 

「いいですよ」

 

まさか五月雨のコーヒーが進化したとでも言うのか?あまりのマズさに何人もノイローゼにした唯一無二の殺人コーヒーしか淹れることが出来なかった五月雨が…?

 

「どうぞ」

 

「ふむ」

 

格調高い豊潤な香り、おそらくは一級の豆を使用し、最高の機材を使い、最適な手順で淹れた至高の一杯…

 

「……………やっぱオマエの淹れるコーヒー、マズいな」

 

「失礼な」

 

やっぱマズいわ

 

「Don't you know the taste?アナタ舌がおかしいじゃない?」

 

いや、おかしいのはたぶんキミの舌だ

 

ーーー

 

「あー…終わった終わったぁー」

 

「お疲れ様でした」

 

ようやく面接も終わり、上着を投げ捨てシャツの上ボタンを外し、ついでにズボンのジッパーを下ろした俺は爽やかな開放感を満喫した

 

「いや、ジッパー下ろす必要あります?」

 

「ないな」

 

「今日はもう終わりですよね、私はこれであがりますけど…」

 

「おう!帰れ帰れ、俺は今から全裸でポージングすっから!」

 

「そうですか」

 




次回は〜…

「ハッキリ言って自信作です」


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提督と夕張と目覚める刃

衝撃!夕張改二現るッ!!

【登場人物】

提督(紳士)
紳士道に殉ずる紳士、女子供でも容赦しない鉄拳の持ち主

夕張(改二)
新たなステージへと進化した新しい夕張、制服が縮んだ


「あー…宝クジとか当たらねぇかなー、なぁオイ?」

 

「10枚買えば1枚は当たりますよ、300円」

 

寒いと言えばそれなりに寒い気がする今日この頃、今日の昼飯はキュウシュウ男児らしくホカホカのトンコツラーメンにでもするかー!と、秘書艦カミナゲーナ・コイツと話をしていると、執務室の重厚な扉をノックし、何者かが開いた扉から顔を覗かせた…

 

「失礼します!」

 

「なんだ?夕張か、何の用だ?」

 

「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

「ふ〜ん」

 

ハッキリ言って久々なアレか、なんと言うか……久々だな、しかしこの夕張、不思議なコトに、開いた扉から顔をチラっと覗かせるだけで執務室へ入室して来る気配がない…

 

「なんだ?入らないのか?」

 

「入りますよ、えぇ…入ります」

 

なんだ?射程でも気にしているのか?俺のいる執務机から執務室の扉まではだいたい7〜8メートルはあるだろう、そして近距離パワー型である俺の射程はだいたい1〜2メートル、必殺の間合いにさえ入れば俺のスネークバ●トから逃れる術は無く、そのキレーな顔が壁か床にKISSするコトになるだろう…

 

夕張のヤロウ、随分と俺を警戒しているようだが…どうせまたロクなモンじゃないのだろうと考えていると、夕張はゆっくりと執務室へ“入室”して来た…

 

「よーやく許可を貰い、夕張改二になりました」

 

「へぇ」

 

「へぇ…って、もーちょい驚きが欲しいんですけど?」

 

「ねぇよ、んなモン、だいたいナニが変わったんだ?あ?絶壁のままじゃねーか」

 

改二ってのはアレだよ、パイオツがデカくなるんだろ?パイオツが、何も変わってねーじゃねぇかコイツ、バカか、ナニがメロンだよ、メロンパンの方がよっぽどメロンだわい

 

「いや、まぁ…たしかに見た目に劇的な変化はないですけど…」

 

夕張はやや不満そうな顔をしていたが、すぐに気を取直し、生まれ変わったニュー夕張についてタブレットを使ってスライドを始めた

 

「生まれ変わりました私、夕張改二ですが、なんと艦種が軽巡から兵装実験軽巡に変わりました」

 

「ふ〜ん、なんなの?それ?」

 

「それはこれから説明する点と併せてご説明いたします、五月雨ちゃん、カルピスとかない?」

 

「ありますよ、水10:カルピス0でいいですか?」

 

「それただの水だよね!?え?ナニ、五月雨ちゃんもしかして私のコト嫌いなの?友達じゃないの?」

 

「冗談ですよ、小粋なサミダレジョーク」

 

五月雨は戸棚からカルピスの瓶を取り出し、グラスにドボドボと入れ、水を入れてマドラーでぐるぐるとかき混ぜた…

 

「そもそもその制服なんなんですか?また縮んだんですか?洗濯する時キチンとタグの表示見てないんですか?」

 

「いや、コレ改二用の新しい制服なんだけど…」

 

「へぇ」

 

たしかに言われてみると今までヘソを見せつけていたが、さらにできるようになったな…いけないなぁ、女の子がお腹を冷やしては…

 

「で?改二は何が変わったんだ?ヘソか?」

 

「違います、なんと三種にコンバート可能です」

 

「三種ぅ?」

 

過去にもコンバートタイプの改二はあったが、三種は初めてだなオイ

 

「まずは基本型、夕張改二です、あらゆる面が単純に強化され、なんと5スロットもあります」

 

「スタンダードだな」

 

「続いてTYPE特、足は遅くなりますが各種陸戦装備、甲標的など装備可能な重武装仕様です」

 

「ヘヴィだな」

 

「続いてTYPE丁、主に、対潜水艦戦を想定したマリン仕様です」

 

「グレートですよ、コイツぁ」

 

オイオイオイ、思ったよかマトモじゃあないか?俺はまたてっきり以前開発してきたデステ●ニーシルエット(※第465回 提督と夕張と全部乗せ万歳)みたいなバカ装備を作ってきたと思っていたのだが…

 

「ZENBUNOSEはたしかにロマンではありますが、やはり実戦投入には些かアレですし、やはりミッションによってパックを使い分けるのがいいかと…」

 

「たしかにな、だが、ZENBUNOSEはロマンだ、男の子ってのはそーゆーのに憧れるんじゃあないかな?」

 

「たしかに」

 

そう言えば、未来夕張型艤装はある意味ZENBUNOSEの完成形だったのでコイツもいつかはパーフェクト夕張型艤装を作るコトになるのかもしれん…

 

「一応他にも色々プランを考えてはいるんですが、現状、実戦投入可能なのはTYPE特とTYPE丁だけです」

 

「素晴らしい、撫でてやろう、来なさい」

 

俺は夕張の頭をよーしよしよしよしと撫で回し、大したヤツだオマエは!とアツく褒めちぎった

 

「ちなみに他のプランは太陽に突入して謎の砲台を破壊するTYPEとか考えてます」

 

そーゆーのは叢雲ちゃんの仕事だろ、ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「まぁ、他のTYPEはおいおいでいいとして……夕張改二か、ふむ」

 

スライドで表示された数字の面でも特に悪い点は見当たらない、どうやら今までのバカ装備もコレを作る為だったとするのならまぁ許してもいいだろう、たぶん

 

「まっこと天晴れ!褒めてつかわす、五月雨、こやつに何か褒賞を渡してあげなさい」

 

「有難き幸せーッ!」

 

夕張はまるで時代劇のように頭をペコォと下げ、五月雨は菓子皿に入っていたエンゼ●パイを夕張に手渡した

 

「どうぞ」

 

「ありがとー」

 

夕張は渡されたエン●ルパイの袋を開け、ワイルドに口の中に放り込むとクッチャクッチャしながらこっち見た

 

「テイトク、できればこのしょーもないお菓子の他に……欲しいものがあるんですけど」

 

「なんだ?金か?今5000円しか持ってないが…」

 

「いえ、尻を叩いて欲しいんですけど」

 

「は?」

 

「尻を叩いて欲しいんですけど」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「尻か……ふむ、尻か、これは純粋な興味だが、何故尻を叩いて欲しいのかね?差し支えなければ理由を知りたい」

 

俺は紳士だ、なんの理由もなく婦女子の尻を叩くのは少々気が引ける

 

「はい!ここ最近、ずっと部屋に篭って改二開発プランについて考えていたのですが、その……下品なんですけど、ムラムラしちゃいまして」

 

「ふむ」

 

「とりあえず提督、私の名前を呼んでみてください、おもいっきり、なじるように!」

 

いや、ホントにナニ言ってんだコイツは…?まぁ、やれと言うならやるが…

 

「夕張ッ!!夕張ーッッッ!!」

 

「あー!!イイです!とてもいいですッ!すごく!」

 

夕張はアー!とか言いつつ壁に手をつけケツを突き出した

 

「さぁお願いします!全力で!!お尻壊れるくらいッ!!興奮してきましたよォー!!さぁ!!必殺のスネークバ●トを喰らわせてやってくださいよォー!!圧殺!蛇殺祭りですよーッ!!」

 

………俺は紳士であり、これまで何度となく必殺のスネークバ●トを撃ってきたが………これほどスネークバ●トを撃ちたくないと思ったコトは生まれて初めてだ

いや、マジに撃ちたくないと思っている…

 

「早くやってあげたらどうですか?」

 

「やだよ、なんかキメぇし、オマエがやれ」

 

「イヤですよ、なんかキメぇですし」

 

 

この後、なんかキメぇ夕張をとりあえず放置し、俺と五月雨はトンコツラーメンを食いに行き、帰ってくると俺の万年筆をア●ルにブッ挿入した夕張が前のめりにアヘっていたので廊下に蹴り出した

 

そうだ、新しい万年筆買おう…

 




次回はたぶん13ちゃん


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提督と伊13とチン・ピラ

No.1しゃぶりたガール

【登場人物】

提督(紳士)
何故なら本当の紳士を目指しているからだ!

伊13(潜水艦)
通称ヒトミちゃん、とても真面目で妹想い


ある晴れた昼下がり、孔子の論語について考えつつ歩いていると、自販機コーナーのベンチのところに何やら見知った顔があった…

 

「…こんにちは、テイトク」

 

「やぁやぁ、キミはたしか、えー………伊13クンだったかね?お姉さんの方」

 

「…はい」

 

昨今仕事量が激減したものの、未だその高い実力は評価を下げる事はないスーパーエリート集団、潜水艦ズ

その、エリート集団でも比較的新顔の部類に入るこの娘、伊13ことヒトミちゃん、物事を深く考えないおバカの多い潜水艦の中には珍しい物事を深く考えるタイプらしく、その常々ナニかを考えている物憂げな様子はあまりにも妖艶であり、潜水艦イチのNo.1しゃぶりたガールと言ってもいいだろう…

 

「ジュースでも買いに来たのかね?」

 

「…いえ、14ちゃんを待ってるんですが……なかなか来ないなって…」

 

13ちゃん曰く、最近は出撃による仕事も無いのでお金があまりないらしく、妹と一緒にアルバイトをしているとかなんとか…

 

「ちなみに、何のバイトかね?魚雷磨きかね?」

 

「…いえ、なんかこう……サルがシャンシャンするオモチャを組み立ててます」

 

「あぁ、そう…」

 

以前、赤城のヤロウに工場のバイトを紹介して貰ったらしい…流行ってんのか?アレ

 

「…正直、私としてはああゆう仕事が向いてるなって……結構、好き、です…」

 

「そうかね」

 

この独特の絡みつくような喋りと声、イチイチ可愛いなこの娘、もしかして誘っているのだろうか?いや、誘っているんだな!誘っているんでいいんだよな!

 

「…14ちゃんと、アルバイトのお金貯めて……デパートでお洒落な服買おうね、って…」

 

「ふ~ん」

 

なるほど、MITSUK●SHIか…ッ!しかし13ちゃん、13ちゃんさえその気ならおじさん何でも買ってしまいそうになるのだよ、ぶっちゃけ一般的な男子ならば13ちゃんの出す淫のオーラで精神をズタズタに破壊され、骨抜きにされるコトは必至…ッ!

もし俺が鋼の精神力を持つ知性溢れるメガネ男子でなければ彼女の淫気の前に屈していたやもしれん…

 

「しかし来ないな、イヨティンは…」

 

「…そうですね」

 

「どのくらい待っているのかね?」

 

「…15分くらいです」

 

いけないなぁイヨティン、お姉さんをお待たせしては……

よし!ここはこのハンサムな提督がおバカな妹が来たらガツンとヒトコト言ってやろうじゃあないか!チョーシに乗るな!ってネ!

 

そんなワケ、自販機コーナーでさらに待つこと10分…

未だに姿を見せないイヨティン…

 

「…14ちゃん何かあったのかな、ハッ!?も、もしかして事故とか…!怖い人に絡まれて震えているのかも…!」

 

「いやいや、外ならいざ知らず、基地の中でさすがにそれはないかと…」

 

「…まさか、急病…っ!運悪くどこかの物陰に隠れるように倒れこんでしまっているのかも…!14ちゃん運が悪いから…」

 

「まぁまぁ、そう後ろ向きに考えないで」

 

「…14ちゃん、14ちゃん……」ポロポロ…

 

イヨティンへのあまりの心配に涙を流す13クンの肩を叩き、安心しろ!安心するんじゃあ13クン!と勇気づけてみるが、やはり不安と心配は拭いきれないらしい…

やれやれ、コイツは困ったコトだが……この提督は紳士である、やれやれだが……妹好きのお姉さんを見捨てるワケにはいかねぇぜーッ!

 

「まぁまぁ13クン、とりあえずイヨティンを探してみようじゃあないかね」

 

「…テイトク、ありがとうございます……優しい、優しい人、優しい人は、好き……です」

 

「ガハハハハ!まぁ、提督の半分は優しさでデキているからね!ガハハハハ!」

 

ヒトミを潤ませるヒトミちゃんか………殺人的な破壊力だッッッ!!もし俺が本当の紳士じゃあなかったら間違いなくこの娘をファックしていたよッ!

クッ…!ムスコのムスコさんがギンギンになりそうだ…ッ!し、鎮まれ!鎮まれ俺の聖剣…ッ!まだその時じゃあない!

 

---

 

………そんなワケで、13ちゃんと共にイヨティンを探す旅に出発した俺だが、13ちゃん曰く、イヨティンはアルバイトに行く前の時間潰しに談話室に漫画読みに行くとかなんとか言っていたらしいのでまずはその談話室へと行くコトにした

 

「…14ちゃん、14ちゃん…どこ……?」ポロポロ…

 

「まぁまぁ、提督に任せておけばすぐに見つかるのだよ」

 

先程からこの13ちゃんのドスケベサキュバスオーラを浴び続け、俺の理性もそろそろ怪しいな…もし仮に、今、薄暗い倉庫とかに入ったら間違いなくこの娘をファックする自信がある

 

そんな暗い理性と溢れる知性が俺の中で鎬を削っていると、談話室の方から何やら騒ぎたてるような声が聞こえてきた

 

『インチキ…っ!インチキだ…っ!!』

 

『ナニがインチキだボケ、だいたいテメーごときにイカサマするワケねーだろーが』

 

『負け犬がCanCam吠えてんじゃねーぞコラ、オラ、金がねーなら身体で払えボケ』

 

『クソッ!やめろ!やめろめろ!離せーッ!!』

 

………ナニやってんだ?マジで、っーかこの負け犬の声、どっかで聞いた気が…

 

「14ちゃん!!」

 

普段はナマケモノのようにゆったりおっとりスロウリィな13ちゃんがダッシュした、やはり今の声はイヨティンだったか…

 

談話室へとやって来た俺達が目にしたのは、ちとちよに両肩を掴まれ、ヤメロー!と叫ぶイヨティンの無残な姿だった…

 

「チクショウ…!チクショウ!あ、姉ちゃん…!!」

 

「どうしたの14ちゃん!?ナニがあったの!?」

 

「あ、え~………いや、ちょっと、空母の人と麻雀してて…」

 

「…麻雀?」

 

たしかに、談話室のテーブルの一つには今しがたまで麻雀をしていた様子がある…

イヨティンのヤツ、どうやらチンピラ空母達にうまく誘われ、カモられていたらしい…

 

「………なんで麻雀してるの?今日アルバイトって知ってたよね?」

 

「え!?あ、いや…すぐ終わる気だったんだよ!ホント!うん!」

 

「…そう」

 

どうやらイヨティンのヤツ、アルバイトに精を出すより楽して儲けたいと思ったらしいな、なんたるクズ…っ!救えない…っ!

 

「…それで?いくら負けたの?」

 

「え?あー………いやー…」

 

「…いくら負けたの?」

 

あの顔は下の毛どころかケツの毛まで毟り取られてやがるな、間違いない

 

「ククク……払えない分はお姉ちゃんが払ってくれるのかい?」

 

「美しい姉妹愛だねぇ、泣けてくるよ…」

 

チンピラオブチンピラ空母、飛龍と蒼龍、それに赤城と加賀か…

 

「フーッ~…オイ、そいつ金ねンならビデオ撮るぞ、ビデオ」

 

「ヒュー!加賀サンマジ鬼畜ー!」

 

「よっしゃ!潜望鏡チェックしよーぜ!」

 

あ、相手が悪すぎる…ッ!よくこのチンピラどもの誘いに乗ったな、イヨティンはヤメロー!とか叫びつつ手下のちとちよに引き摺られ…

 

「ま、待って!払う…!払います!14ちゃんが負けた分…っ!」

 

13ちゃんはイヨティンが負けた分は自分が払うからカンベンしてやって欲しいとチンピラどもに頭を下げた

 

「へぇ…払うんだ?アンタが」

 

「赤城ィ!」

 

「ククク………いいじゃない加賀さん、払ってくれるってなら、気持ち良く払って貰おうよ、それで丸く解決…」

 

「まぁ、赤城ィがそう言うなら……オイ、請求書書いてやれ」

 

ざわ…ざわ…

 

イヨティンが負けた金額の書かれた紙を渡された13ちゃんは、その額の大きさにフラフラと倒れそうになったので俺は肩を掴んで転倒を防止した

 

「……………14ちゃん」ブルブル…

 

「えー………その~……ゴメンね!」

 

イヨティンはスイマセンシター!と頭を下げた

 

「…すいません、最後に14ちゃんとお話させて貰っていいですか?」

 

13ちゃんはチンピラ空母どもに懇切丁寧に頭を下げ、加賀のヤロウがちとちよに放してやれとジェスチャーを送るとイヨティンは解放され…

 

「…ねぇ14ちゃん、今なんでお姉ちゃん怒ってるかわかるかな?ねぇ?お姉ちゃんね、スゴく怒ってるんだよ?ねぇ?わかる?ねぇ?うん、わかってる?わかってるの?14ちゃん、こっち見て、お姉ちゃんの目を見なさい、なんでこっち見ないの?14ちゃん今説教されてる自覚ある?ないの?なんで?ねぇ?こっちをちゃんと見て、うん、そうだよ?お姉ちゃんの言うコトきちんと聞くべきだよね?わかる?ねぇ?14ちゃんがなんで怒られてるか今、自分でわかってるの?ねぇ?いい?お姉ちゃん14ちゃんのコトが心配なんだよ?お姉ちゃん本当に心配してるの、わかってる?本当にわかってる?ねぇ?悪いコトしたって思ってる?14ちゃんはね、本当に悪いコトしたんだよ?ねぇ?いけないコトしたの、お姉ちゃんそういうコトするのは良くないコトって14ちゃんに教えたよね?ねぇ?なんで泣いてるの?ダメだよ14ちゃん、泣いたらダメ、今14ちゃんは怒られてるんだから泣く前にお姉ちゃんに言うコトあるよね?ねぇ?」

 

…両手でガッチリと顔をホールドされ、13ちゃんのマグナム説教を受けるイヨティンは、俺にチラリと視線を向け、その僅かな目の動きでたしかにこう伝えてきた…

 

“タスケテ…”と…

 

「ムリ」

 

さらばイヨティン…まぁ、悪いのはオマエだが

 

イヨティンは赤城、加賀、そして二航戦のチンピラ空母どもにも同じく救いを求めたが………がっ!無理…っ!やっぱり無理っ!救われない…っ!

あのチンピラ空母どもも13ちゃんのマグナム説教にドン引きしたらしく、カラオケいくべ、カラオケとか言って席を立っていた

 

「ったく、取りぱぐれだなこりゃ、アタマにくるぜ…なぁ?赤城ィ…」

 

「いいさ、どうせ大した額じゃない……そんなみみっちい金じゃ勝ったとは言えない、もっとデカい勝負………あるんだろ?」

 

「あぁ、あるぜ…っ!とっておき、オマエにうってつけのが…っ!」

 

加賀曰く、近日、ある高貴な王室筋のデカいヤマがあると…!頼むから国際問題だけはやめて欲しいんだが…

いや、マジで…

 

 

後日、心を入れ替え、すっかり真面目になったイヨティンは真面目にアルバイトに取り組むようになったらしく、13ちゃんも14ちゃんはやればできる子なんですととても嬉しそうに話していたが、たぶんすぐにいつものイヨティンに戻るだろう…



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鹿島先生と受験対策ナイスタディ

受験シーズンに読みたくない溢れる知性のお話

【登場人物】

鹿島先生(女教師)
股人授業を受けたいランキング上位(提督調べ)ドスケベボディでお馴染み女教師、休日ファッションはジャージ

香取先生(女教師)
メガネがステキなワカる女教師、提督への好感度が何故が高い


天気予報がいまいちアテにならない昨今、雨なんだか晴れなんだかよくわからない冬の教務室…

 

「はー………だっる」

 

皆さんこんにちは、鹿島です

今日は座学の授業もなく、香取姉ぇが発案し、提督に許可を貰い、こないだ実施した基地駆逐艦統一テストの採点をやってます…

 

「えー……どれどれ、日本史史上最大の下剋上、本能寺の変にて織田信長が討たれましたが、この本能寺の変にて織田信長を討った武将は誰ですか、か…」

 

この問題、前にあったような…まぁいいけど…

 

白露の解答【明智光秀】

時雨の解答【明智光秀】

 

…ま、カンタンすぎですよね、で、問題のバカコンビは〜っと

 

夕立の解答【KYO】

村雨の解答【鬼眼のKYO】

 

うんうん、まるで進歩してないなコイツら…そもそも授業中にマガ●ン読んでるしね、知ってた

 

秋雲の解答【織田信長が天下獲りをするべく魔●羅一族の力を借りていたのは疑いなき事実、それを阻止すべく当時の瑪●門の一族は“聖なる力(チャ●ラ)”で信長の家臣である明智光秀を操りこれを討ったのはあまりにも有名な話である…】

 

あまりにも有名な話である……じゃないよ!バカなの?いや、バカだよね…!知ってるけど、ってかコレってマルつけていいのかなぁ、一応明智光秀が討ってるし

 

島風の解答【天下獲りを目指したとされる織田信長だがその野望はこの国だけではなく超●墓場まで攻め込み全てを手に入れようとしていたが、家臣である明智光秀に討たれた、その明智光秀は本能寺の変にて乱心する前、天から啓示を受けたと言ったとされており、その啓示の主こそザ・●ン本人であったことは間違いない】

 

いい加減にしろッッッ!!まったく…!どいつもこいつも!ってかこれもマルでいいの?結果的に明智光秀が討ってるし、あーもう!!

 

「はぁ……」

 

落ち着こう、うん、まずは落ち着いて、深呼吸して…うん、烏●高校排球部のメンバーでも数えて落ち着こう、ハイ●ューは私に勇気を与えてくれる………そういや最近古鷹さんが鬼●にどハマりして単行本貸してくれたけどまだ読んでないや

 

「…よし、ガンバろう」

 

さっさと採点して趣味を満喫しないと、撮りだめしてるハイ●ューまだ見てないし、あ、サイ●パス3もまだ見てないな…

 

「えー………なになに?タツヤくんは隣町のスーパーに徒歩で醤油を買いに行こうと思いましたが、やっぱり車で買いに行きました、タツヤくんの愛車はツインターボで約700馬力のゴキゲンな車で仲間内では首都高速湾岸線の黒い怪鳥、通称ブラ●ク・バードと呼ばれています…」

 

いる?問題文にこの無駄なくだり、まぁ…作ってるの香取姉ぇだし、口が裂けても言えないけど…

 

「隣町まで約30キロでタツヤくんの移動速度は時速110キロです、タツヤくんは何分後に醤油を買うことができるでしょう…」

 

陽炎の解答【人と人 車と車 伝説が伝説を呼ぶ…】

不知火の解答【ゴッ!ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ガフォーッ!!ドゥヒ!ゴォアアアア ギョアアアアア!!うぉ!き 来やがったァ!!マジで出やがった…ッ!!ありがてぇ!】

 

「だからッ!!」

 

いい加減にしろッ!!なんで毎回毎回買い物行くだけでカーバトルさせてんだコイツら!バカなの?いや、ホントに…いや、バカでしょ?なんなのコイツら…

 

「はー………もぉいいや、ちょっと休憩しよ」

 

紅茶でも淹れようと席を立ち、棚に置いてあるリプ●ンを取り出していると、教務室の扉が開き、執務室に行っていた香取姉ぇが帰ってきた…

 

「あ、香取姉ぇ、おつかれー」

 

「鹿島、仕事中は公私を分けなさいと言ってるでしょう」

 

「ハイハイ、姉さんも紅茶飲…」

 

相変わらず香取姉ぇはそーゆートコ真面目だなぁ、どうせ教務室には私と香取姉ぇしか居ないのに…

 

「ハッハッハッハ、まぁまぁ良いではないですか香取先生、ハッハッハッハ」

 

…と、油断してたら提督も香取姉ぇと一緒に来てたよッ!!しまったなぁ、ヤバい、香取姉ぇに若干睨まれたがすぐに香取姉ぇは気を取直して提督に空いてるソファーを勧めた

 

「鹿島、提督にお茶を淹れて差し上げて」

 

「え?あ、うん…じゃない、はい」

 

「いやいやいや、お気遣いなく、ちょっと寄らせて頂いただけなので、どうぞお気遣いなく!」

 

提督はいやいやいやと遠慮の姿勢を示していたが、香取姉ぇはそう言わずにどうぞどうぞと執拗にソファーを勧め、提督も最終的にはではちょっとだけとソファーに着席した、もうちょっとガンバれよこのメガネ

 

「鹿島先生は〜…え〜…アレですか?たしかテストの採点をしていると?」

 

「え?えぇ、はい…こないだの」

 

「ハッハッハッハ、なるほどなるほど、どうですかな?バ……採点の結果の方は?」

 

今、このメガネ、バカどもって言いかけた……いや、まぁ、バカな子多いけど

 

「まぁ、みんなよくガンバってる方かな〜…っと、清霜ちゃんなんか14点も取りましたよ、前回から2点上がりましたし」

 

前回から2点上がったけど前々回からは3点下がってますが…

 

「ハッハッハッハ、結構結構!ウチはワンパクなだけが取り柄でしたからなぁ!今は香取先生、そして鹿島先生に授業して頂けるだけで以前とはエラい違いですよ!ハッハッハッハ」

 

提督曰く、香取姉ぇがこの基地に来るまではもうまったく手がつけられず毎日がワルのオリンピック状態だったと言うが、今でも十分オリンピック開催中の気がするんだけど…

 

「そうそう提督、コレ、先ほど報告のついでにお話しした例の企画用の書類なんですけど…」

 

「ほぉ、拝見致します」

 

香取姉ぇは自分の机からクリアファイルを取り出し、提督に手渡した

 

「ほぉ…これはまた、大胆な企画ですなぁ」

 

「如何でしょう?」

 

「いやいやいや、さすがは香取先生!目の付けどころが素晴らしい!さすがは教育のプロと言ったところですなぁ、いやぁ〜…なるほど」

 

「プロだなんて……フフッ、褒めても何もでませんよ」

 

「いやいや、これだけ素晴らしい案が出てるじゃあないですか?やはり香取先生はウチになくてはならない御方ですな!」

 

「まぁ!私が必要だなんて……フフッ」

 

違う、香取姉ぇ、たぶん意味違う、よく考えて香取姉ぇ、このメガネ香取姉ぇが教育現場的な意味で必要って言ってるよ、別に香取姉ぇが自分の将来に必要って言ってないよー?

 

いや、ダメだ、香取姉ぇの目は完全にプロポーズを受けたそれだ、明らかに紅潮した頰に右手をやってるし、チャペル・ザ・ブライダルカウンター待った無しの顔だ

 

「…あの、提督、香取姉ぇ…じゃない姉さん、それ、何の企画なの?」

 

「修学旅行よ」

 

「しゅ、修学旅行…?」

 

「とりあえずは予算との相談になりますなぁ、いや、まぁ、しかし……香取先生たっての案、その辺は私がなんとかしましょう!」

 

「さすが提督、私に出来る事があればなんでもご相談ください」

 

「まったく、香取先生にはかないませんなぁ!ハッハッハッハ」

 

「フフフッ…」

 

…なんだろうこのトレンディ小芝居、いや、ツッコんだらダメだ、ツッコんだらどうせロクな目に遭わない、ロクな目に遭わない

 

「……………転属願、まだ通らないかな〜」

 



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提督と翔鶴と長女と妹

最近出番のない装甲空母

【登場人物】

提督(パイオツ鑑定士)
良いパイオツは触ればわかる、悪いパイオツは触らなくてもわかる

翔鶴(五航戦)
無敵の装甲空母姉妹の姉の方、妹の前では常に完璧


今年も豆を集めるだのワケのわからん仕事を押し付けてきた軍に不審を感じつつ喫煙所でタバコを吸っていると、喫煙所から見える廊下の先に、なんか白いのがフラフラと歩いているのが目についた…

 

「…ナニやってんだ?あいつ」

 

あの白いのはたしか………アレだ、五航戦の姉の方

常に病的な顔色をしており力の無い笑みを浮かべるその見た目の薄幸ぶりと生気の無さ、一説には、一航戦パイセンからのストレスで若くして頭が白くなったと聞いたことがあるが、たぶん間違いないだろう…

 

そんな病的な空母翔鶴は廊下の壁に寄りかかってズルズル前進としていたが………あ、コケた

 

「オイオイオイ、大丈夫かね翔鶴クン」

 

「……あら、テイトク…大丈夫です、大丈夫、よっこい…しょっと、ゴフッ!!」

 

翔鶴クンは血を吐きつつ立ち上がり、何事もないかの様に壁に手をつきながらもたれかかる…!いや、全然大丈夫じゃあないッ!!

 

「大丈夫です、大丈夫…嗚呼いけない、瑞鶴のおやつを用意しないと……ゴフッ!今日はお姉ちゃんお手製ドーナツよ、ゴホッ!ゴホッ!…って言ってあるんです、瑞鶴は昔から私の作ったドーナツが好きなんです…ゴブッッ!!」

 

「いや、そんな血を吐きながら言われても…まぁ、少し休んでいったらどうかね?」

 

「いえ、本当に大丈夫で……ブフッ!!」

 

「病院だよゥゥゥ!!」

 

全然大丈夫じゃねぇよッ!なんなんだこの姉は!何が彼女をそこまで生に駆り立てるんだ!この常に死に体である彼女を動かすエネルギーとはなんなんだ!?

 

「瑞鶴にィ……瑞鶴に、作って……作ってあげな……」

 

「わかった!わかったからちょっと休んでいこうな!な?ほら、ここに座って、な!」

 

俺は翔鶴クンをベンチに座らせ、自販機で温かいお茶を買い翔鶴に渡してやった

 

「ありがとうございます…」

 

「翔鶴クンよ、無理はいかんよ、無理は、無理をして逝ってしまっては妹さんが悲しむじゃあないかね?提督だって悲しい」

 

「…そうですね」

 

翔鶴クンはよく見るとスゴい美人なんだがこれだけ病的なのはイタダケないなぁ

 

「だいたいキミ、ちゃんと食ってるのかね?」

 

「えぇ、昨日もダブルハンバーグと山盛りサラダとコンソメスープを瑞鶴が…」

 

「いや、妹じゃないでキミだよ!キミ!」

 

「私は炊飯器のこびりついたオコゲを少し…」

 

あくまで、自身の生活……いや自分の命そのものを妹である瑞鶴の為だけに使っているッ!!彼女にとっては妹が全てであり、妹の幸せと健康こそが彼女の幸せ、いや、生きる為の全てなのだ…ッ!

 

妹の為に自身の食費を削り、妹の為に自身の健康を犠牲にし、そして時には妹の為に一航戦パイセンからうさんくさい開運グッズを購入する…

 

なぁ翔鶴クン、翔鶴クンよ、実に空虚な人生じゃありゃせんか?提督はそんな翔鶴クンにこそを幸せになって貰いたいのだよ、キミは誰よりも幸せになる権利を持っているんだ…ッ!

 

「誰よりも…ッ!!」

 

「………はい?なんですか、急に大声だして…」

 

「すまない、ついエキサイトしてしまってな、いや、本当にすまない」

 

「そうですか」

 

生気無く薄く笑う翔鶴クンはふーっと深く深呼吸をするとベンチに座って背もたれにもたれかかったが………よく見ると翔鶴クン乳デカいな、しかもほどよく柔らかそうだしハリもある…っ!おそらくはそのクッション性は並のショタボーイなら10秒で射●するだろう

 

妹想いな翔鶴クン相手にそんなゲスな考えはよくないなと考えていると、廊下の先から駆逐艦っぽい二人組がおしゃべりしながら歩いてきた

 

「あ、テイトクです」

 

「ティーッステイトクと……翔鶴サン、あ、もしかしておデート中でしたか?ギャハハハ!」

 

「んなワケねーだろ、舐めてんのかテメーらは」

 

数多の駆逐艦の中でもとりわけスター性の高い駆逐艦が多数いる駆逐艦姉妹、陽炎姉妹…

そのスター集団である陽炎姉妹の頂点に君臨する長女、そして次女、陽炎と不知火…

 

「もしかして翔鶴サンまた血ぃ吐いてたの?」

 

「まぁ、いつものコトですが」

 

「いつものコトすぎるのも問題だがな、オイ、オマエらも姉だろ?ちょっとこの翔鶴クンに妹への正しい接し方を教えてやれよ」

 

「妹ォ~…?」

 

「気に入らないコトがあれば殴ればいいのでは?」

 

「それな!ギャハハハ!」

 

コイツらに聞いた俺がバカだった

 

「瑞鶴を叩く………?そうね、悪いことをしたらキチンと叱るのはとても自然なコトね」ニコッ

 

意外…ッ!!病的なまでに妹スキーの翔鶴クンが妹への暴力を認めている…ッ!!

 

「…でも、それはとても悪いコトをした時だけ、モチロン、瑞鶴を叩いた後は自らも瑞鶴が叩かれた痛みを受けるわ………右の頬をぶったら、右の腕が折れるまで鉄柱にぶつけるし、左の頬をぶったら、左の腕をコンクリートの壁に叩きつけるわ」

 

等価じゃねぇッッッ!!!痛みがまるで等価交換してねぇよ!!大ダメージ負ってるよ!

 

「オイオイオイ、クレイジーだよコイツ、ぶっとんでやがんなぁ不知火」

 

「まるで落ち度の塊ですね」

 

「やかましい、それとオマエら、それが本音だとしても本人目の前なんだからオブラートに包め、オブラートに」

 

陽炎と不知火はひくわーとか言いつつ俺達から若干距離をとった

 

「……ふぅ、だいぶ休めたし、そろそろ私、いかないと…ありがとうございました、テイト…ゴフッ!」

 

「オイオイ、大丈夫かね翔鶴クン」

 

「大丈夫、大丈夫です…」

 

ベンチから立ち上がりフラついた翔鶴クンの身体を支えると、他意でないが翔鶴クンのオパーイが…

 

「あー!!テイトクが翔鶴サンのパイオツ揉みしだいてるぅー!!」

 

「これはかなりの落ち度ですね」

 

「やかましい!!っーか揉みしだいてねぇ!!たまたま手が当たっただけだ!これはアレだ、そう…ラッキーってヤツだ!」

 

そしてやはり尋常ではない見事なパイオツであったことを!やはり俺は正しかったのだ!とこの感動を心に刻みつけた!

 

「クッ!なんて良い顔ッ!」

 

「まるで自分が正しい事をしていると心の底から勘違いしているドス黒い邪悪そのもの!」

 

「やかましい、心配しなくてもオマエらを性的な目で見るコトなんざねぇよ、ただし………浜風ちゃんだけは別だがな」

 

「浜風…っ!私の可愛い妹を…ッ!ゆ……許すワケにはいかない!このゲスチンヤローがこの陽炎の妹を!いや、浜風だけじゃあない…!可愛い妹達の誰であれ、その薄汚い欲望をブチ撒け!●●●をブチ破って●●をしたあげくに●●●●で辱しめ!あまつさえ●●を奪おうとしている…ッ!そんなケダモノ以下の●●●が許せるハズがないーッ!!」

 

いや、そこまで言ってないのだよ、っーか陽炎のヤツ、駆逐艦のガキのワリになかなか性的な知識が豊富らしいな、コイツ!かなり読み込んでやがるな!

 

「不知火!コイツはここで始末しなくちゃあならない!今!ここで!そうしなければいずれコイツは私達が入浴中に“テイトクも、一緒に、入っていいかなぁ〜?久しぶりに…”とか言いつつお風呂一緒にしようとする!」

 

「なるほど、たしかに……不知火としては別に構いませんが」

 

「は?」

 

「…はぁ?なんですか?その顔は?」

 

「ナニ言ってるんだ不知火ィィィィィ!!オマエ!●されたいのかーッ!!」

 

「大丈夫です、提督はホ●、これは紛れもない事実であり、この世界の真理です」

 

不知火は、ホ●なんだから別に問題ない、まぁしいて言えば姉妹一のイケメンの野分は“ウホッ!のわっちイイ尻してんな〜”と掘られるかもしれませんが……と付け加えた

 

「………なるほど、たしかにね」

 

「たしかにね、じゃねーよ、誰がホ●だ」

 

「テイトク」

 

「テイトクはホ●、ハッキリわかんだね」

 

このクソカスども…ッ!!クソッ!誰だよ俺がホ●とか言ったヤツは!見つけ次第ケツに鉄パイプ突っ込んで現代アートみてぇに基地の運動場の隅に飾ってやんよ!

 

そんな決意に満ち、殺意と拳を固めていると、廊下の先を曲がり、新たな影が姿を現し…

 

「あ、いたいた翔鶴姉ぇー!今日ドーナツ作ってくれるって言ったじゃーん、私もお腹ペコリーヌなんだけどー」

 

アイツは………!あのヘラヘラ笑いながら歩いてくるアイツは!瑞鶴!五航戦の瑞か…

 

「あら、ごめんなさい瑞鶴、少し提督とお話ししていたのよ、すぐに作るからね」

 

「もぉー!楽しみにしてるんだからねー」

 

…さっきまで死人の顔をしていた翔鶴はもういない、今、俺の隣に立っているのは生命エネルギーと自信と知性に溢れた完璧なる姉、まさしく姉の中の姉…ッ!キングオブ姉だ…ッ!!妹の前では常に完璧であり続ける姉の鑑!

 

「早く作ってよねー、私、先に部屋で待ってるから」

 

瑞鶴はヒラヒラと手を振り、さっさと自室のある寮へと去って行った………廊下の角を曲がり、瑞鶴の姿が消えたと同時に

 

「ゴブオォ!!」

 

ビチャアッ!!(吐血)

 

「しょ…翔鶴ーッッッ!!オイ!陽炎!不知火!担架だ!担架持ってこい!あと医務室に連絡しろ!」

 

 

この後翔鶴は医務室へと緊急搬送されたがおそるべき執念でドーナツを作り上げ、その、揚げたてでアツアツのドーナツを妹に届けたらしい…

 



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提督地獄変【最終章⑧】

不定期更新最終章、東西戦決着ゥゥゥ

【登場人物】

川奈大佐と叢雲(ヨコスカ)
普通に主人公的存在、提督と五月雨と同期


右…ッ! 右…ッ! 左足刀―――!

 

波飛沫の陰から右………と見せかけ左の連打―――ッ!

 

マズい!避ける?無理!

 

なら被害最小限で全て受けつつ前進!

 

読まれてた…!?クッソ…!!

 

「ッシャアッ!!」

 

「クッ…!」

 

ヤバい…!ヤバいヤバいヤバい!コレ貰ったヤバ――――ウゲェ!!吐きそう、むしろ吐くだけじゃなく漏れそう

 

クッソー………強いなぁ~、なんなのよ?なんで私がこんな……あーもう!!

 

倒れろッ!!倒れろッ!!倒れろよコイツ―――!!

 

◇◇◇

 

東西演習異例の代表戦となったこの戦いもいよいよ最終局面…

改二となり性能で勝っていた叢雲だったがここまで相手の思わぬ実力に苦戦し、圧倒されかけたが持ち直した

そしてこの終盤でもはやこちらも相手も小細工は無い、こちらも相手も必死だが、やはりこの土壇場で叢雲は勝っている…ッ!

 

「…勝てる、いや、勝て叢雲…!」

 

スタートラインで躓いた、俺とお前でここまでやってきた―――!

 

あれから俺達は色々な作戦に参加し、力を、知恵を、付けてきた…

 

一度も負けるコトなく数多の勝利を積み重ね、長い時間と交渉を重ね、ようやく実現した俺とお前の“雪辱戦”…!

 

全てはこの時の為に―――!!

 

「勝て!!叢雲っ!!」

 

---

 

言われなくても―――ッ!

 

今、たしかに感じた!私の提督が背中を押してくれた!

 

勝て、って…!

 

「チイィ……ッ!」

 

コイツ、まだこんな動けるの!?ってか速い…ッ!

 

全速全開の高速移動でそこら中に波飛沫の柱で迷彩を作っている…!

 

なるほど……面白いじゃない

 

「ふーっ~………!」

 

もぐら叩き、とは言わないけど…

 

相手も全力、間違いなく次の攻撃で決めにくる…

 

よく見ろ、必ずそこにいる、必ずいる、よく見ろ、よく見ろ、目だけじゃないで、センサーも勘も研ぎ澄ませ…

 

一瞬で決め―――――

 

「…っ」

 

見えた…ッ!! チラっと! 青い髪…!!

 

水柱と飛沫の間 残像みたいに… 見えてるッ! 追える!! よく見て、よく見て、よく見て タイミングを合わせろ!

 

必ず決めにくる…ッ! その瞬間を !!

 

「……―――ッ!!」

 

貫いた――――ッ!!

 

最高のタイミングで撃った!間違いなくあの娘のドテっ腹に私の拳は突き刺さっ―――

 

「………は?」

 

…………え?髪?

 

髪?え?なんで髪だけ………?

 

落ち……散らばっていく長くて青い髪の毛… 髪?…?

 

 

「さすが叢雲ちゃんでした」

 

 

「さみ…ッ!」

 

ウソでしょコイツ!?まさか自分の髪切って囮に―――!!既に射程!

 

入ってる…ッ!

 

喰らった―――ッ!!

 

直撃ッ!拳―――!めり……

 

---

 

ガラにもなく身を乗り出し、信頼する最高の相棒の勝利を願って声をあげていた…

 

………が、叶わなかった

 

痛恨の一撃を受け、海面に勢い良く叩かつきられ、2、3度海面を跳ね飛んで転がった叢雲

 

今のが決着の一撃だった事をこの戦いを見ていた誰もが理解していた

 

自身のトレードマークとも言える長い髪をバッサリと失い、大きく肩で呼吸しながらも海上に立つ駆逐艦五月雨と、海上に転がり微動だにしない駆逐艦叢雲…

 

演習戦闘終了のサイレンが鳴ると同時に、会場からはこの日一番であろう歓声が沸いた

 

「叢雲…っ!!」

 

サイレンが鳴る中、指揮官席を飛び出し、今、そこに倒れている叢雲のところへ急ぐ、本来ならば演習中の轟沈判定であれば中央所属の妖精スタッフが速やかに救助・回収に向かうがこればかりは誰に任せるつもりもない

 

彼女だけは俺が最初に手を貸してやらなければならない

 

傍にあった小型のボゥトに乗り、急ぎ叢雲のところへ駆けつけ彼女の身体を掬いあげると彼女はうっすらと目を覚まし…

 

「…………ごめん、また、負けたわ」

 

「あぁ、また、敵わなかった」

 

「…………ご」

 

「謝るのはなしだ、俺とお前、二人で負けた」

 

「……そうね」

 

勝利も二人のものだが、敗北も二人のものだ、俺達はそうしてやってきたし、これからもそうだ

 

そして、そんな俺達の姿を未だ海上に立って眺めていた青い髪の駆逐艦はフラフラと左右に揺れつつも西側の指揮官席方向へと下り始めた…

 

◆◇◆◇◆◇

 

中央司令部横須賀演習場地下通路…

 

「さぁーて、祭りじゃ祭りじゃあ!ゴミ屑どもをまとめて制裁祭りじゃあ!ガハハハハハ!」

 

そろそろ“上”の祭りも決着が付いた頃だろう…

 

「なんだオマエは!どっから来…」

 

「キサマ!たしか梶輪の…っ!!」

 

………この会場に集まった東西の将校の中に、上級将校である立場や権力を悪用し、企業や国家に対して黒い癒着を作り己の私腹を肥やす者達が居る

 

それらをまとめて潰す

あのクソオヤジの野郎、なんてコトを考えるのだろうか…

そして、その片棒を俺に担がせるのにまるで罪悪感や躊躇いがねぇ…

 

「地獄へ落ちろぉ〜…」

 

「ウゲェ!!」

 

しかし既に勘のいい悪人どもは気付いているらしく、こぞってこの如何にも悪人御用達みたいなこの地下通路を通って来てるところ、やはりお天道様には顔向けできない事があるらしい

 

「さぁ〜て………頼むぞクソオヤジ、泥はたっぷり被ってやるからな!」

 



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提督とPerthと美しきケダモノ達の楽園

キンパツ美少女パースちゃん現る

【登場人物】

Perth(パーす)
チームABDAの一員、ニホンゴは熱心に勉強した

提督(うどん人)
調子が悪い日はうどんに限る…

天霧(脳筋)
最近の趣味はイメージトレーニングと言う名の独闘

狭霧(山田ゼレフ先生)
好きな漫画は快●フレーズ



雨が降るだの降らないだのよくわからない天気に頭を悩ませる昨今、平然と嘘を吐いても許されるのは天気予報と政治家と宗教家ぐらいだろう…

 

「今日はうどんにでもすっか、うどん」

 

「そうですね」

 

今日は真面目に倉庫の資材チェックでもするかと朝から真面目にお勤めを果たし、秘書艦サミー子と廊下を歩いていると、執務棟と食堂の間にある中庭的スペースのベンチのところに見覚えのないキンパツ美少女が居るのが目についた…

 

「オイ、ウチにあんなキンパツ美少女いたっけか?」

 

「キンパツ…?あぁ、最近来た新人のパースさんですよ、たしか…」

 

「パース…?」

 

…あぁ、そういや最近なんか外人が来たっけな、巨乳のヒューストンくんと巨乳のアトランタくん以外はあまり覚えが薄かったが、いかんいかん、ウチに来た以上は彼女もまたファミリーだ、ファミリーを蔑ろにするのは良くないな

 

「よぉ、パースくん」

 

「…ん?あぁ、テイトクと、秘書の人」

 

俺はキンパツ美少女のパースくんに気さくに声をかけ、どう?最近?ウチには慣れたかね?と親しみ易い上司らしく接してみた

 

「そうね、まぁまぁかしら」

 

「ハッハッハ、まぁまぁか、ハッハッハ」

 

パースくんは当たり障りのない答えを返すと、こちらにはあまり興味なさげに手にしていた文庫本みたいなのを読み始めた…

 

「ちょっとちょっと五月雨さん、この娘、ちょっとカンジ悪くない?ちょっと可愛いからってお高くとまっちゃってるんじゃない?」

 

「JKか!」

 

「イイトコのお嬢様かナニかかしら?ちょっと五月雨さんから言ってやってくださいよ、あんまチョーシ乗ってると家の力とかパパの権力とか知ったこっちゃねーぐれーマワしちゃうぞって」

 

「陵辱か!」

 

我が秘書艦五月雨の冷静で的確な意見はさておき、このパースくんの態度の悪さはやはりこの基地を預かる指揮官として捨ておけぬな…

ちょっとキンパツで可愛いからってツンツンしてるとパースくんはみんなからハブられて孤立してしまうかもしれん、そうなるとやはりPRIDEの高いパースくんはPRIDEの高さ故に周りと溝を埋めきれずにドンドンと状況は悪化、多感な青春の時期を孤独に過ごすコトになるだろう…

 

………しかしだ、そんな周りに馴染めずに孤独を強いられているパースくんに気さくに声をかけ続ければ、最初は邪険にされつつも好感度がグングン上がるのは必然

俺が長年蓄積したデータによればこの手のタイプはグイグイいけば勝手に堕ちるタイプの意外とチョロいメンタル…

好感度さえ上げれは誰もいない風車小屋で行為に及ぶぐれーワケがない

 

「………なんなの?何か用事があるの?ないならどこか違うところに行ってくれない?」

 

フンッ、そのキレーな顔を快楽で歪ませて可愛い声で啼かせる日が楽しみなのだよ

 

「ハッハッハ、元気があって大変宜しい、なぁサミダレイオス」

 

「そうですかね、あと、五月雨です」

 

「ちなみにパースくんは何を読んでいるのかね?見たところニホンゴの本みたいだが…」

 

もしかしてニホンゴのベンキョーでもしていたのだろうか?

 

「ニホンの…novelよ」

 

「ほぉ、ニホンの…」

 

「ヤマダ・ゼレフって人、知ってる?」

 

ヤマダゼレフ…?はて、なんかどっかで聞いたような気がする名前だな

 

「ヤマダ・ゼレフは以前はネットで書いてたけど今はニホンの出版社と契約してこうして本になってるの」

 

「ふ〜ん」

 

パースくん曰く、パースくんは以前からニホンの娯楽小説、その中でもいわゆるライトノベルの熱心な読者らしく、インターネットを利用して読んだり、通信販売でニホンの本を買ってみたりしていたそうな

 

ちなみに、ニホンゴの本を読む為にニホンゴめっちゃ勉強したらしい

 

「私、このヤマダ・ゼレフが好きなの、なんと言うか……作品の中にある作者の本性みたいなドス黒さが気に入ってるわ」

 

…それは褒めてるのだろうか?

 

「サミー、卿はこのヤマダゼレフ氏を知ってるか?」

 

「知ってますよ、女同士のドロっとしてスカッとしない陰湿で陰惨な喧嘩とか痴情のもつれとか得意ですよね、この人」

 

「アナタ、なかなか読み込んでるわね!」

 

パースくんはサミーの手をとり、アナタとはトモダチになれそうだわ!トモダチになりましょうとブンブン手を握った

 

「はぁ?別にいいですけど…」

 

「嬉しい!私、ヤマダゼレフについてお話しできるトモダチが欲しかったの、同じチームだけどロイテルはバカだし、ヒューストンはこーゆージャンルは読まないし、だからとても嬉しい!」

 

サミーは若干ウザそうな顔をしていたがパースくんのハシャぎっぷりに空気を読んだ…

 

◆◆◆

 

「ごぼう天うどん」

 

「ごぼう天うどんにおにぎりを二皿お願いします」

 

パースくんと別れ、昼飯を食うべく近所のうどん屋へとやって来た俺とサミー…

 

「しかしアレだな、クールに見えてもパースくんも年相応なトコがあるんだな」

 

「そうですね」

 

しかしヤマダゼレフか、どっか聞いたコトある名前な気がするんだが〜………なんだったっけかなと考えていると、うどん屋の扉を開き、新たなる客が“入店”してきた

 

「ん?お、オッさんとカミナゲーのじゃん」

 

「天霧、提督と五月雨ちゃんだよ…」

 

新たにやって来た客……と言うよりは顔見知り、いや、むしろウチの所属艦、たしかメガネの方が天霧で、幸薄そうな方がサギーくんだったか…

そんな天霧とサギーくん…と言うより、天霧は特に何の断りもなく俺たちのいるテーブルへ着席した

 

「おばちゃん、スタミナZENBUNOSEの大盛りとカツ丼、あと山盛りのキャベツ」

 

「天霧…っ!もぉ、提督に断りなく勝手に座って……すみません提督」

 

「ハッハッハ、なに、構わんよ」

 

キミも遠慮せずに好きなものを食べなさいとお品書きを渡すとサギーくんはとても申し訳なさそうにヘコヘコ頭を下げた

 

「狭霧ナニ食う?カレーうどん?」

 

「…食べないよ、服に付いたらイヤだし、私はかけうどんでいいかな…」

 

「かーっ!!バカかオマエ!遠慮すんなって!どーせオッさんが出してくれるんだからここぞとばかりに食えよ!そんなキリギリスみてぇーな身体してるとモテねーぞ!なぁオイ!ハッハッハ!」

 

「痛い…っ!痛い痛い!もぉ!背中叩かないでよ」

 

まったく、相変わらず対照的な姉妹だな

 

「あ」

 

「なんだよ?オッさん」

 

「オッさんじゃない、提督だ、いや…大したコトじゃないが今思い出した、山田ゼレフ」

 

ライトノベル界で最も凶悪だったと噂されている史上最悪の黒ラノベ作家、山田ゼレフ先生………その正体こそ、このサギーくんだ

 

「え…?な、なんですか?いきなり…」

 

「いや、さっき山田ゼレフ先生の熱心なファンに会ってな、なぁ?サミー」

 

「えぇ、とても熱心な」

 

「へ、へぇ〜……」テレテレ

 

あ、なんかちょっと嬉しそうだ

 

「もっと過激な性描写をお願いしたいとか言ってましたよ、エロ&バイオレンス」

 

「へ、へぇ〜……」

 

「へぇ〜、なんだ狭霧、オマエエロ本書いてんの?かーっ!オマエ相変わらずムッツリだなぁ〜!」

 

「書いてないよッ!!ひ、必要だから!必要なトコもあるって話で…」

 

「私としては親友だと信じていた幼馴染に裏切られてチンピラ達にマワされる展開はなかなか迫真だと…」

 

「かーっ!集団レ●プか!狭霧、オマエなんか悩みとかあんのか?潮のおっぱい揉ませてもらっとくか?」

 

「やめて!ホントにやめて!ほ、ほら!他のお客さんいるし!お店に迷惑だし!」

 

 

この後、俺たちはサギーくんこと山田ゼレフ先生の作品について熱心に語り合い、最終的に“格闘技とセ●クスは、似ている…”と言う結論へと至った

 

 

 



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提督と鈴谷と乱世の風

ゲームセンター覇我亜怒

【登場人物】

提督(クズ)
おばあちゃんからビッチとは口を利くなと言われている

鈴谷(ビッチ)
ビッチじゃねーし


「ティーッス、テイトクぅ!なんかゲーセンに新しいの入荷したらしいから鈴谷と勝負しようぜぇ〜」

 

「やだよ、俺は弱いものイジメは嫌いでな…」

 

「は?ナニ?鈴谷が?弱いって…?」

 

ある晴れた昼下がり、大して仕事もない執務室で月マガを読みつつノスタルジィな気分に浸っていると、最上型のツラ汚しと名高いビッチは許可無くズカズカと入室し、お客様ソファーに座った…

 

「鈴谷アタマ悪いんでテイトクがナニ言ってんのかちょっと理解できなかったんですけどー?もう一度言って貰えませんかねー?誰が、弱いもの、ですってー?」

 

「オマエだよオマエ、耳クソ詰まってんのか?チンカスクン」

 

「誰がチンカスだボケェ!!」

 

その侮辱の言葉ッ!決して許されるものじゃあないぜー!とか言いながら飛びかかってきた鈴谷のスローなパンチを避け、お腹パンチで迎撃すると汚い悲鳴と汚い吐瀉物を吐いて床に転がった

 

「オゴォ!!」

 

「クズが、キサマ程度のビッチでこの俺にかなうとでも思ったかマヌケがぁ〜…」

 

「クッ…!なんて容赦のない、っーか鈴谷ビッチじゃねーし」

 

「やかましい、俺は忙しいんだよ、ゲーセンぐらい1人で行ってこいよ、1人で行ってワケわからん音ゲーでハッスルしてギャラリーにパンチラサービスでもしてこい」

 

「鈴谷そーゆーのしねーし、っーか発想がキモい」

 

「誰がキモいだ、俺はキモくねぇ」

 

なんて失礼な野郎だ、どうやらお腹パンチ1発程度じゃわからせが足りないらしいな、この基地の絶対支配者である提督様とカスの身分の違いってヤツを…

 

「まぁテイトクがキモいのはいいとして、ゲーセン行こうぜ!」

 

「こやつめ、まだ言いおるか…!」

 

「いいじゃん!どうせ暇なんでしょ?鈴谷とゲーセンでゲームしよーじゃん!」

 

「やだよ、っーか新しいの入荷したとか言ってたな、ナニが入ったんだ?」

 

「え?ジョ●ョの奇妙な冒険-未来への遺産-」

 

「マジかオマエ!!」

 

◆◆◆

 

基地の近所にあるタバコ臭とツッパリ臭に溢れる古き良き?時代のゲームセンター、覇我亜怒…

ネット環境について行けず、まるで時が止まったかの如きビデオゲームのラインナップは今なお古き強者達をアツくさせる…ッ!

ちなみに、子供だけで入ると高確率でカツアゲの憂き目に遭い、近所の小学校では近付いてはいけない地元の注意スポットの一つとして注意喚起されている…

 

「オイコラァ!!ミョーコー!テメー鳥使ってんじゃねーぞダボがァ!」

 

「やかましい!ブチコロがすゾ!高雄オォ?」

 

「処刑だァ!!」

 

「あ゛ー?………キレたぜ、久々によォー…」

 

既に新台の周りには人だかりがデキており、むしろ別の意味でもデキあがっていた…

ありゃたぶん高雄と妙高だな、アイツらが仲良くゲームするとかそりゃムリなハナシってモンだ

 

「やっぱ新台はムリだな」

 

「しゃーない、じゃK●Fしよーぜ!K●F!鈴谷の八稚女でテイトクなんか惨殺じゃん!」

 

「やかましい、ザコが」

 

「ザコじゃねーし、ナニ?逃げるの?鈴谷の実力にビビってイモ引いちゃってんの?」

 

「どの上の口がほざいてんだカスが、だいたい逃げるもナニも俺とオマエでは絶対的な力の差がある、そう……絶対的な力の差がな」

 

「クッ!見下して…っ!そうやってテイトクは永遠に鈴谷を見下すコトしかしないんだ!だが、この鈴谷様がいつまでも同じステージにいると思うなよーッ!」

 

フン、大した自信だ……だが俺にはわかる、1プレイ後、敗者となって筐体に這いつくばるこのビッチの姿がな、ビッチでは提督には勝てない、これは既に常識…

 

そんな当たり前のコトを考えつつ鈴谷の挑戦をのらりくらりとかわしていると、バー●ャ2のある筐体の辺りで大きな歓声があがっていた

 

「ま、まさかーッ!!あの望月サンがー!」クイッ!

 

「あ、ありえねぇ…!バー●ャならあの大淀サンが対戦を避けるとまで言われている望月サンを…!」クイッ!

 

「ナニモンだあのチビ!ハンパじゃねぇ!」クイッ!

 

どいつもこいつもメガネをクイッ!としつつ驚きの声をあげているようだが…

 

「よぉ、どーしたよ?」

 

「あ、テイトク…っ!」

 

「望月サンが、あの望月サンがバー●ャ2で負けたんですよ!」

 

「なん………だと?」

 

バ、バカな…ッ!あの望月さんが!?バー●ャ2なら“バトルキング”に最も近いと噂される実力を持つ大淀より強いと言われた望月さんが…!?

 

「相手は誰だ、大淀か!」

 

「いえ、見たコトないチビです」クイッ!

 

鳥海クン曰く、フラリとこの店にやって来たそいつは店中の上位ランカー達を片っ端から倒してのけ、そして、今日この店に来ている中でも最も覇我亜怒ランキングの高い上位ランカー、望月さんを今まさに倒したと…

 

望月さんとてゲームによっては負ける事もあるが、だが!バー●ャ2で望月さんが負ける姿を見た者はおそらくは誰もいない!!つまり、望月さんが負けたのはただ上位ランカーが負けたと言う話だけでは済まないのだ!

 

「おそらくは望月サン以上の上位ランカー………シングルナンバーの上位5人が動くぜ!」クイッ!

 

「あぁ、ハンパじゃねぇ…!革命だ!革命が起きる」クイッ!

 

しかしいったい大淀以外の誰があの望月さんを…

 

「え?ナニ?なんなの?ナニこの空気、鈴谷にもわかるように説明して欲しいんですけどー」

 

「やかましい、オマエはあっちで太鼓のバチでオナってろ」

 

「誰がオナるか!!意味わかんねーし!」

 

空気の読めない鈴谷のアホンダラはヒマだしあっちでサム●ピしよーぜ!サム●ピー!とかワケわからんコト言いつつ俺の袖をグイグイするので、お腹パンチを入れるとオゴォ!と吐いて床に転がった

 

「ウエッ……ウェエエェェェ……な、なんで殴ったし?」

 

「やかましい、鬱陶しいんだよビッチが」

 

「クッ!鈴谷に対する扱いの雑さ…ッ!っーかゲーセン来たんだからゲームしよーぜ!ゲーム!鈴谷が勝ったら3万円!」

 

「ナニしれっと金要求してんだ、3万だぁ?3万ぐれートイレに行ってそこらの溜まってそーなおっさんのチンシャブして貰ってこい」

 

「だから鈴谷そーゆーのしないから!!」

 

「ウソつくんじゃないよこの子は」

 

「ウソじゃねーし!!なんなの!?鈴谷に対してなんでそんな偏見持ってんの!?」

 

「じゃ5万やるからチ●ポしゃぶれよ」

 

「ごま……!?え?ナニ…?え?それはテイトクのをでしょうか?」

 

なんで急に敬語?っーかやっぱ金じゃねーか、このビッチは

 

「いや、テキトーなおっさん」

 

「やだし、誰が知らないおっさんのチ●ポなんかしゃぶるかバーカ!」

 

 

この後、俺は鈴谷の挑戦を受け、ZER●3で執拗にボコりあげて身分と実力の違いをわからせ、お待ちかねの罰ゲームだぜ☆!と穿いていたパンツを脱がせ、ノーパンダンスゲームの刑に処した…

ちなみに、巻き上げたパンツはなんか汚かったのでゴミ箱に捨てた

 

 

しかし、いったい誰があの望月さんを倒したのだろう…?



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恋とカカオとchocolateと熱き侵略Jervis! 前編

帰ってきたグイグイくるハイスピード侵略回

【登場人物】

Jervis(サラサラストレート)
J級駆逐艦の長女、グイグイくる

Janus(天パ)
J級駆逐艦の五女、長女と違ってかなりマトモな趣味





「Tea!飲まずにはいられない…ッ!」

 

ダァン!!(ティーカップ)

 

このJervisがこの国に来ていったいどれくらい経っただろうか…

この国へ来て以来、Darlingへのモーappealがまったくと言っていいほど上手くいかない…ッ!ホントーならトック・ノ昔にアタシはDarlingとsteadyな仲になり、今頃誰もが羨むイチャLOVE1000%になっていたハズ…!

 

それが、未だこのJervisはDarlingとの間に距離を感じている…!Darlingはやはりオクユカ・シーと定評のあるヤマトダンジなのか、アタシが何度抱きついてもまるで子供扱い!しかもなんかいつも目を逸らすし…

 

そして、一番のガンはあのトゲトゲチビ…!

アタシのDarlingの周りをいつもいつもウロチョロしているクソにも劣る下痢便ッ!ショージキ、最初は舐めてかかった感があったケド、このJervisを何度となくイラつかせるコトにかけてはArkの比じゃあない!いずれ“始末”するケド、それは今じゃあない……このJervisの欠点は怒りっポイこと、感情をコントロールするのだ

 

「Hi、Jervis!ナニやってんのー?」

 

「…ん?あぁ、Janus…見てのトーリ、Teaよ、アナタも飲む?」

 

1人Tea timeで感情のコントロールについて考えていると、最近来た妹、Janusがヘラヘラ笑いながらアタシの座るテーブルにやって来た、相変わらず悩みナサ・ソーなアホ面ネ

 

「あ、そーそーJervis、コレ知ってるー?Valentine's Day」

 

「Valentine's Day?」

 

Janusはアカ・シーマートで買ってきたらしいニホンの雑誌をテーブルに広げコレコレーと指差した

 

「あー………なんかchocolate食べル日でショー」

 

「あ、そーなの?」

 

そういや去年だかその前だか忘れたケドArkが買ってきたとか言って食べたワ、別にトクベツ美味しいわけでもなんでもなかったケド…

 

「なんかねー、この本読んでたら好きな男子にchocolateを贈ると1000%恋が叶うイベントなんだってー、ニホンってそんなのあるんだー、変わってるよねー」

 

「………は?」

 

「は?じゃないし」

 

今、この天パ、なんて言った…?恋が、叶う…?

 

「Janus、モー…1回言ってくれル?」

 

「だからぁ〜…なんかねー、男子にchocolateを贈ったら1000%恋が叶うとかなんとか〜」

 

「Janus、Once again, please in English」

 

「When chocolate is presented to the boy, 1000% love seems accomplished、ok?」

 

な、な、な………なん、ですッテ!?そ、そんな儀式があると言うの!? ウソでしょ…!?

 

「ほら、この本に書いてあ…」

 

「貸シテ!!」

 

Janusからブン獲った本をガン見し、その記事の内容を読み込む!ふむふむ……!ナルホドナルホド!そんな画期的なeventがあったとは…ッ!!し……知らなかった、この国に来てケッコーなるハズなのに知らなかった!まさかそんなこのJervisにモッテ・コイーなeventがあるなんて…!

 

乗るしかないワ!このBig waveに!!

 

「………フッ、フフフ、ハハハハハ…」

 

「な、ナニ?どーしたのよJervis、あ、見てそれ、そのchocolate美味しそー…」

 

「感謝するワ、天パ、サスガはこのJervisの妹ネ!」

 

「誰が天パよ、いや、まぁ、たしかにクセ強いケド…」

 

こーしちゃいられないワー!!このJervis!誰よりも想いのこもった最高にブッ飛んだchocolateを用意しなくてワ!!

 

「トリアエーズ……chocolateを買わないと」

 

「chocolateならアカ・シーマートに売ってるよ」

 

「Be silent!そんなみすぼらしい一山いくらのショーもないchocolateじゃダメ!だからアナタは天パなのよ!」

 

「えー……なんで私が怒られり?ってか天パ関係ないし」

 

「最高よ!最高のモノを用意しなくちゃいけない!誰にも負けない最高のchocolateを!」

 

「サイコーって………あー、たしかにその本にも色々載ってるかな」

 

天パの言うトーリ、たしかに他のページにはHighBrandのchocolateが多数掲載されているッ!ナルホドナルホド!

 

「…………ってか、高いわネ」

 

「でも美味しそー」

 

グゥゥゥム、たかがchocolateのくせに高いわ、オコヅカイ足りるカシラ?いや、いざとなったらNelsonから金借りればなんとか…

 

「………やはりNelsonカシラ」

 

「ナニがー?」

 

しかしNelsonから金借りたとかLadyにバレたら並みのオセッ・キョーじゃあ済まないだろう、普段は優しいLadyも怒る時は怒る、それも並みの怒りじゃない、王の怒りだ

その苛烈さは並みの残虐・残酷ではとても表現するコトはできない…

 

正直、思い出しただけで震えが止まらナイ!震えが…!

 

「クッ!クッ…!えぇい!止マレ!止マレ!」

 

バシッ!!バシッ!!(膝バシ)

 

アタシは自分の膝をバシバシ叩き恐怖の記憶に抗った

 

「まぁ、こんな高いの買わないで自分で作ってみたら?」

 

「自分で…?」

 

「ほら、こっちのページに手作りchocolate書いてるし」

 

手作り!ナルホドナルホド!そーゆーのもあるのか!

 

「ナルホドー………アナタなかなか冴えてるワ、天パ」

 

「あの……Jervis?そろそろ天パはヤメてよ、チョット気にしてるんだから」

 

しかしナルホドHand made!コレならアタシのオコヅカイの範囲で、なおかつ唯一無二のトクベツが作れる!天パにしては実に冴えてるワ!

 

「そう!とキメたならこうしちゃいられないワー!!」

 

「チョ!チョ…!Jervis!ドコ行くの!?」

 

このJervis!そうとキメたからには悪魔もブッ飛ぶchocolateを作って今度コソDarlingのHeartを掴んでみせるワ!まずはそう……ザイ・リョー!ザイ・リョーを手に入れなくちゃあいけない!

 

ZENは急げ!アタシは椅子から立ち上がり早速ザイ・リョーを仕入れに走った!!

 

◇◇◇

 

中古アイドルグッズから菓子パンまで扱うみんなの店、アカシメイト…

 

「え?カカオ?ないですよ、そんなの」

 

「ナイノ!?」ガビーン!

 

「ピーナッツと落花生ならありますけど…」

 

おつまみコーナーと書かれた商品棚を指差し、さすがにジャーヴィスちゃんにはまだ早いんじゃないですかねぇ〜とか言ってる明石サン…

う、ウカツだった…!アカ・シーマートにならあるものと…

 

「ってかなんでカカオなんか買いに?」

 

「え?エート…エートねぇー…Darlingにchocolate作りたくテ」

 

「チョコ?あぁ、そういやそんな時期でしたか……バレンタイン用のチョコなら一応その辺に置いてますよ、売れないけど」

 

「そーゆーのじゃなくテ!ジブンで作りたいノ!」

 

「…はぁ?」

 

明石サンは菓子パンみたいなのを齧りながら、あーあるある、たしかにありますよねー、女の子にはそーゆー時期が〜、私にもあったわー…とかワリとどーでも良さげな感じで頬杖をついている…

 

「そういや山風ちゃんもカカオ買いに来てたっけ、流行ってんのかな…」

 

「ヤマカゼ…?明石サン、それホント?」

 

「ホントですよ、無いって言ったら街に買いに行くって言ってましたよ、チョコなんか作るのって聞いたらなんか海風ちゃんに作り方教えてもらうとかなんとか…」

 

あのトゲトゲェェェェェェェェ!!!まさかこのアタシに先んじていたとは…ッ!ナント・ユー!屈辱ッ!屈辱ッ!

しかし焦る必要はない、つまりヤツもまだカカオを入手していないのだ!Luckyは常にこのアタシにある…っ!手に入れるのだ!カカオを!

 

「ソーデスカ、じゃ」

 

「あ、ジャーヴィスちゃん、菓子パン買ってかない?菓子パン、今月の新製品、カカオ香るマンハッ●ン」

 

「興味ないデス」

 

カカオがないならこんな小汚い店に用はないワ

 

「あ、そう………ふむ、美味しいのに」ナポォ…

 





次回は後編、激突!彼女達の流儀!


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恋とカカオとchocolateと熱き侵略Jervis! 後編

戦慄!Jervis VS 究極生物!

【登場人物】

Jervis(英国淑女)
犬は嫌い、ヘーコラするからよ!

Janus(英国淑女)
キンパツ天然パーマ


前回までのあらすじェ…

 

英国からキュウシュウのとある基地へとやって来たキンパツの美少女ジャーヴィス、このジャーヴィスの登場により楽しかった山風の生活はとても辛いものになった…

勉強で負け、食事のマナーで負け、ボクシングで負け、心折れるコトの連続だった山風だったが提督がジャーヴィスにズギュウウウン!されたコトに怒りが爆発、殴り合いの喧嘩に発展!最初は劣勢だったものの土壇場の爆発力でジャーヴィスが泣くまで殴りつけ、2人の確執は更なる深いものとなったのだったッ!!

 

◇◇◇

 

恋に対して鉄壁のディフェンス力を誇る提督を倒すことができる唯一の可能性、それがValentine chocolate!

カカオのパワーをふんだんに使ったそれこそが“希望”!このJervisはその“希望”を手に入れなくてならない!

 

「ト、ユーワケでcacaoネ」

 

「フ〜ン、固形なのね」

 

街に行って購入してきたcacao、まぁ、cocoa massだケド~……コレを使ってサッソ・クーchocolate作り開始ネ!

 

「Janus、アナタchocolate作ったコトは?」

 

「ないケド?」

 

「OK!実はワタシもないワ!」

 

「な、ないんだ……ないのに何故そんな自信満々な顔を…」

 

Damn it!し、シマッタ…!まさかchocolateの作り方がワカラナイとは…!このJervisが知らないのはいいとして

クッ!この天パ、なんで知らないのよ!だからアナタは天パなのよ!腹立つワ!

 

「ニヤニヤするじゃないワー!ナニがそんな楽しいカー!!」

 

「いひゃ!いひゃいいひゃい!ちょ…!いひゃい!!やめてぇー!」

 

しまりのない天パの頬を左右から引っ張っていると、チョウリ・バーに他のヤツらがやって来る気配が…!!

 

「………甘い匂いがするわね」

 

チョウリ・バーの入口の所にニューっと顔を出す謎の女…

誰だっけコイツ?ってか、オパーイ!デカい…ッ!一目でワカるこのデカさ!!並のデカい人じゃないワ…!!

 

「貴女達、アマイモンを作っているの?」

 

「そーよ、アナタは?what is your name?」

 

「?」

 

オパーイのデカい人はナニ言ってんだコイツみたいな顔をしてル、どーやらニホンゴonlyみたいね…

 

「ワタシはJervis!Lucky Jervisと呼んで貰っていいワ!」

 

「じやー…?じや……?まぁいいわ」

 

「ちなみにこっちの天パはJanus!天パでいいワ!」

 

「あの……Jervis?その紹介はさすがの私もチョット傷つくんだケド…」

 

「キンパツチビと天パね」

 

この女ァ…!だ、誰がキンパツチビ……ッ!!クッ、まぁいい、落ちつくノヨ!落ちつくノ!ワタシに足りないのは怒りをcontrolする強い心!教師カシマが言ってたワ、ソスウを数えて落ちつくノ、2、3、5、7、11…ソスウはワタシに勇気をくれる!

 

「ソレデ?アナタは誰?」

 

「私…?雲龍よ」

 

ウンリュー……?そう言えば聞いたコトあるワ、遥か東方に棲む凶悪な(ドラゴン)の話を、ニンゲンを遥かに超えた超肉体と高い知能を持つ強靭にして無敵と呼ばれた生物…

 

たしカニ、あのオパーイは地上最強生物と言っても過言ではないワ、まるで歩くsensitiveな存在と言っていい…

 

「貴女達、アマイモンを作っているの?」

 

「そーよ、Darlingにchocolateを作るノ!」

 

「へぇ…」

 

ウンリューはそれ以上質問するわけでもなく、ごくごく自然な流れでチョウリ・バーの椅子に足を組んで座った…

な、なんナノ?コイツ、ナニか用事があるとかじゃなさソーだケド……?もしかして、作り方を教えてくれるトカ…

 

「アノ………ナニか?」

 

「早く作りなさい」

 

「え?」

 

「早く作りなさい」

 

え?ナニ?なんなノ?chocolateの作り方教えてくれるワケじゃあないノ?デモ、このpressure……!ただ座っているだけでワタシにpressureをかけるなんてやはりタダのデカパイじゃあない!DRAGON!やはりDRAGONか…ッ!!

 

「Jervis、あったわ!このページ!手作りchocolateの作り方が載ってたワ!」

 

「でかしタ!」

 

天パはchocolateの作り方が載っているページを広げ、コレを見ながらやればできるわと無い胸を反らした、まったく我が妹ながら天パのくせになかなか役に立つワ、アトで角砂糖を投げてやるワ、ご褒美よ

 

「よし…っ!これなら作れる…っ!天パ、手伝いなサイ!」

 

「わかったわ!ってか、ホントに天パはやめてくれる?」

 

雑誌の手作りchocolateの作り方ページを見つついよいよ調理開始ィ!ナルホドナルホド……ふむ、biscuitよりカンタンね、コレならヨユーだワ

 

「…………」じーっ

 

よし!まずはcoconuts oilをユセンで~……

 

「…………」じーっ

 

イイ感じ溶けたらサラにこのcocoa massを~……

 

「…………」じーっ

 

感じル……いや、視線を感じずにはいられない…ッ!

 

「あ、アノ…?」

 

「なに?」

 

「ナニかゴヨーでショーか?」

 

「用はないわ、はやく作りなさい」

 

なんだろう、この有無を言わさぬpressureは……ソモソモなんでこのDRAGONはここに居座っているのだろう?

 

「Jervis、そろそろいいんじゃない?」

 

「え?あ、ソーネ…」

 

………ハッ!?ま、まさかこのDRAGON!chocolateを狙っていルノー!?

 

いやいやいや、マサカネー……うん、そんなコトあるワケないワー、うんうん、ないない、それはない…

 

「…………」じーっ

 

イヤ!!ね、狙っていル!!あ……あの目、ナニ考えてるカよくわかんない光のない目…ッ!ニンゲンを超越した超生物の目!間違いないワ!

 

「…………」じーっ

 

落ちつけ、落ちつくノヨJervis、そう、ワタシはLucky Jervis……Lucky、そう!ワタシはLuckyよ、今までだってどんなpinchも乗り越えてきた!ワタシには強運の翼がある…っ!

 

………もし、そうもしも、このchocolateが完成したと同時にヤツがchocolateを狙って襲いかかってきたらまずは天パのケツを蹴ってアイツにぶつけてヤル!天パがアタマからガブリされている間にワタシはあのドアから逃げればいい…

 

今、ワタシの隣で溶かしたchocolateを型に入れつつ鼻唄を歌っている天パにほんの少しだけ哀れみの目を向け、ワタシのカクゴはキマった…ッ!

 

「もーすぐデキるわ!やったわね!Jervis」

 

「えぇ!アナタのオカゲだワ!Janus!」

 

Janusとガッチリと友情を認め合うアツい握手をかわし、完成したら2人の友情で作ったchocolateさぁ!と、笑顔で語り合う…

 

フン!友情だって?キレイ事吐かしてニコニコするなよなぁクズどもが!このJervisにそれはない…ッ!Janusゥ~…オマエはここでDRAGONの贄となるのだァ!

 

「できたの?」

 

椅子からユラっと立ち上がる邪悪なるDRAGON…ナルホド、大した嗅覚ネ…

 

「デキテナイデス」

 

「そう…」

 

マタ座った………しかしこのJervisが予想するに、ヤツの射程はそれほど長くなく、しかもあのオパーイだ、スピードもスットロいと見た…っ!とりあえず、完成と同時に天パのケツを蹴ってヤツにぶつけ、そのままDarlingの居る執務室へとダッシュする!カンペキな作戦だわ…

 

「〜♪」

 

カワイソーな天パ、今からそのケツを蹴られてDRAGONの餌になる運命だと言うのに……姉としてアナタにはドージョーするワ、そしてこのJervisはDarlingとの輝かしい未来(フューチャー)を掴んでみせ…

 

…と、その時、チョウリ・バーの入口のトコに新たな人影が…

 

「オイ誰だ調理場勝手に使ってるヤローは、間宮に殺され……」

 

ゲェーッ!!Darling…ッ!?な、何故Darlingがここに…!?

 

「…ん?なんだ、ジャーヴィーくんと〜…天パだったか?」

 

「モォー!!なんでどいつもこいつも天パって呼ぶの!!Janus!アタシの名前はJanusよ!」

 

「ハイハイ、ジェーナスくんな、ジェーナスくん、情け無用の」

 

「情けあるわよ!!なんなの!?」プンスコ!

 

Janusはプンスコ怒りながらDarlingの二の腕あたりをボカボカ殴りつけ、DarlingはハイハイわかったわかったとJanusの頭をポンポン叩いてる……

エー?ナニ?Janus、どーゆーコト?なんでアナタそんなDarlingと仲良さげ…?

 

「って………なんだ雲龍、オマエも居たのか?」

 

「居たら悪いの?」

 

「別に悪くはないが……なんだ?まさかオマエ、他人様が作った菓子を横からかっぱらうつもりか?」

 

「人聞きが悪いわね、ちゃんとヒトコト言ってから全部貰うわ」

 

「…全部か」

 

「そうよ」

 

よ…予想以上に最悪の魔竜だったワ、しかもまるでそれが当然な事のような妙な説得力がコイツにはある…っ!

 

「えー!さすがに全部はダメよぉー!でもちょっとくらいなら味見させてあげても…」

 

「全部よ」

 

ぎゅーっ!(頰引っ張り)

 

「いひゃ!!いひゃい!いひゃいいひゃい!!」

 

「…この子、すごい伸びるわね」

 

「オイやめろ雲龍、国際問題になる」

 

「すごい伸びるわ」

 

「いひゃーい!!」

 

い、いけない…!予想外の事態に付いて行けなかったワ……クッ!だがここにDarlingが来たのはある意味で好機!誰よりも先にDarlingの口にchocolateをねじ込めばワタシの勝利!あのクソトゲチビはまだDarlingの口にchocolateを入れたコトはないハズ…!Darlingにchocolateを食べて貰ったカシラ〜?まだだよなぁ〜?ハジメテはオマエじゃあない!このJervisだ!

 

完成したchocolateを掴み!DarlingにHi!と声をかける!

 

「ん?」

 

勝った!!このままこのchocolateを!Darlingの口にブチ込………

 

「それ、美味しそうね…」

 

「ヒッ!?ど、DRAGON…!?」

 

い、いつの間に…!?さっきまでJanusの頰を引っ張ってイタノニ!?DRAGONはワタシの手からchocolateを奪うと流れるような動きでそれを口に放り込み、バリバリと噛み砕き…

 

 

バリ……バリ……ゴリ…ゴクンッ!

 

 

「…………まぁまぁね、期待して損したわ」

 

しかも辛辣ゥ!!!

 

「オマエ、さすがにカワイソーだろ…良心とかないのか?」

 

「ないわ、しかし微妙な味ね………提督、アナタ何かもっと美味しいもの作って」

 

「なんで俺が作らにゃならんのだ、舐めてんのかテメーは」

 

「カレーでいいわ、カレーが食べたい気分ね」

 

「ハナシ聞けよこのデカパイが、そのパイオツ揉みしだかれてーのか?」

 

「揉んでいいわよ、別に減るモンじゃないし」

 

「マジか!?オマエマジか!縦でも横でもいいのか!?乳●執拗にコリコリすっぞ?」

 

「してもいいけど、さっさとカレーを作って、お腹が空いてしょうがないわ」

 

な、なんてコト……!!chocolateを食われただけでなく、Darlingまで目の前で奪われる……なんてクツジョ・クー!!

 

「うわ、テイトク、サイテー…」ドンビキー

 

「ジェーナスくん……クッ!さすがに子供の前でプレイは紳士と恥ずべきコトか!モチロン冗談!冗談さ、小粋なテイトクジョークってヤツさぁ!ハッハッハ!」

 

「どーだか…」

 

 

………コウシテ、ワタシの屈辱的Valentine初体験は終わった、得たものは魔竜の恐ろしさと屈辱と敗北、そして妹への憎悪

 

ちなみに、トゲトゲチビはデカパイオネーサンとchocolateを作る予定だったが風邪をこじらせ寝込んでおり、尻の穴に薬を挿入される憂き目にあったらしい…

 



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提督とGotlandと狩人の季節

ハラスメント!

【登場人物】

提督(名探偵)
クズ寄りのクズ

Gotland(ドクズ)
常に真実の愛を求めさまよう面倒くさい女

岸波(ゆるふわヘアー)
提督からは岸クン、ゴトランドから岸ちゃん
姉妹からは岸波だったり岸ちゃんだったり


タバコが吸いたい…ッ!その素敵な衝動が提督を行動させた!

 

大して仕事もない執務室に別れを告げ、今日も今日とて喫煙所へと向かう、喫煙所へ行く前に明石の店で菓子パンと缶コーヒーを買うのもいいかもしれない…ゴキゲンな間食だ、そんなコトを考えながら廊下を歩いていると、中庭のところで……

 

軽巡が駆逐艦を襲っていたッ!!

 

「くれるんでしょ!それゴトにくれるつもりなんでしょ!ねぇ?そうなのよね岸ちゃん!」

 

「違います!放して!放してくださ……あ!テイトク、丁度いいところに、助けてください!」

 

………ナニやってんだコイツら?

 

いや、待て、まずは見たままの状況から推理しよう、俺の役職は提督、名探偵だ、俺は岸クンが襲われている謎を解かねばならない

 

まずは現在の状況だ、執務棟の食堂の間にある中庭のベンチの辺りでゴトランド(軽巡)が岸クン(駆逐艦)を襲っている…

おそらくはレ●プが目的だろう、被害者である岸クンは夕雲姉妹の中でも独特な大人びたオーラとゆるふわウェーブのヘアーを持つ美少女だ、きっと将来は美人になるだろう

 

対して容疑者であるゴトランド、ノルウェーだかスウェーデンだかその辺からウチにやって来た軽巡なのか軽(航空)巡洋艦なのかよくわからない記憶の中でふわふわした存在であり、酒癖が悪くメンヘラ寄りでメンドくさい女だ…

 

彼女達は母国も艦種も違うがウチに来た時期が同じく、いわゆる同期と言うやつであり、同期のよしみなのか、意外にも仲が良い(一方的に)…

 

「岸ちゃん!岸ちゃんもそのつもりだったんでしょ!ねぇ?」

 

「ちょ…ホントやめて、やめてください!引っ張らないで…っ!」

 

岸くんが襲われている理由なんだ?やはり美少女だから…?たしかに岸くんは美少女だ、しかしそんな単純な理由でこんな人目につく場所で白昼堂々と犯行に及ぶだろうか?

もし俺が岸くんを襲うとするならどうするだろうか?正直なところ、俺はロリ●ンではないので岸くんにムラムラする気持ちがわからない、だがわからないなりに考えねばならない

 

だからこそ状況をよく観察しよう、岸くんの目はマジでイヤがっているし、ゴトランドの目は完全にケダモノのそれだ…

 

いや、よく見ると岸くんはナニか小袋を手にしており、ゴトランドはそのナニかを奪おうとしている、これは大きな進展だ

俺は今までゴトランドが岸くんの身体が目的だと思っていたが、どうやら岸くんが持っているその小袋が目的なのだ、つまりは強●が目的ではなく強盗が目的なのだ

 

そして岸くんはそれが大切なものなのか、必死にゴトランドに渡すまいと抵抗をしている、これが事件の真相だ

 

「頂戴っ!ねぇ!そのチョコ!ゴトにくれるつもりだったんでしょ?ねぇ!」

 

「違います!これは…姉妹で食べようと!とにかく放してください!あと提督も見てないで早く助けてください!」

 

「ん?あぁ、すまない」

 

事件の真相に辿り着いた後は実に清々しい気分になるものだ、こう…なんと言うか、平日に有給を取り、閑静な温泉地の旅館で朝5時から誰も居ない露店風呂でひとっ風呂浴びてチ●コさんに朝日さんがコンニチハするぐれー清々しい気分だ、うん

 

そんな清々しい気分の中、俺は助けを求める岸くんの声に応え、今まさに岸くんに襲いかかる北欧神話の怪物の肩を叩き、オイとひと声かけ、そのお腹に蹴りをブチ込んだ

 

ドゴォン!!(お腹キック)

 

「オゴォ!!」

 

「オイオイオイ、岸くんがイヤがってるじゃあないか?あぁ?俺は美少女が困っているのは見過ごせねぇタチでなぁ〜」

 

「ゲホッ!ゴホ……!クッ、ナニ?テイトクじゃない?なんでここに…?」

 

「美少女の危機にハンサムが駆けつけるのは当たり前だろーがマヌケ」

 

困っている美少女を颯爽と救うイケメンムーヴ!

難関国家資格!一級フラグ建築士には必須のスキルである!その用途は多岐に渡り、低レベルならチンピラを撃退!高レベルともなると魔王レベルの撃退が可能となる!

 

「だいたいなんだオマエは?岸くんはオマエにくれてやるモノは罵倒のセリフと侮蔑の眼差ししかねーってよ」

 

「ウソよ!!だってそれチョコレートなんでしょ!昨日渡し忘れたから今日ゴトにくれるつもりだったんでしょ!」

 

こ、コイツ…!なんて自信だッ!自分が岸くんからチョコレートを貰えない事をまるで考えていない!絶対的な自信と確信!

 

「…はぁ、チョコレートなら別のあげますから、コレはあくまで姉妹用なんで…」

 

「ホントに!?約束よ!」

 

「…えぇ」

 

そして岸くんのマジでメンドくさいヤツを見る目…

仕方ないから明石の店で板チョコでも買って渡せばいいかと考えている目だ…

 

「ほら見なさいテイトク!岸ちゃんは優しいんだけじゃない、こんなにも良い子なんだから!」ドヤァ!

 

「なんでオマエが誇らしげなんだドクズが」

 

「ありがとう岸ちゃん!来月には300倍にして返すからね!」

 

「いえ、別に返してくれなくていいです」

 

「もぉー!岸ちゃんは照れ屋さんなんだからー!」

 

でも岸ちゃんのそーゆートコが好きだわー!とか言いつつ岸くんにグイグイいこうとするゴトランドを心底メンドくさそうに肘で牽制する岸くんは本当に良い子なのだろう

 

「オイやめろよゴミランド、岸くんイヤがってるのがわかんねーのか?」

 

「ナニ言ってるの?イヤがってるワケないじゃない?ねぇ岸ちゃん!」

 

「いえ、かなりイヤですが…」ジッ…

 

「き……岸ちゃん!岸ちゃんのその目…!まるで心底メンドくさい女を見る目、故郷スウェーデンで何度となく感じたわ、ゴトが好きになった男はみんなそんな目をしてゴトから離れていった…ッ!ゴトは!!ゴトはこんなにも愛情を尽くしていると言うのに!!アルフレッドも!ステファンも!フレデリックも!みんなゴトから離れていった…ッ!!」

 

そーゆートコだよ、自覚ねーのかコイツ…タチが悪いな

 

「まぁ、たまに心底メンドくさいとは思いますが、別にゴトランドさんが心底嫌いと言うワケではないです」

 

さすがに言い過ぎたと思っているのか、岸くんはオブラートに包む感じでフォローに回った、こーゆー気配りできる岸くんは本当に良い子だと提督は思うし、岸くんはきっと将来ステキなお嫁さんになるだろう

 

「岸ちゃん……好きっ!!」ポロポロ…

 

「ちょ!!痛い!ゴトランドさん!痛い…っ!離れてください!」

 

「好き!好き!岸ちゃん本当に好き!!あ〜……岸ちゃんが男だったらなぁ〜、なんで岸ちゃんにチ●ポついてないのかしら?私、岸ちゃんのチン●スなら毎日丹念に舐めてお掃除するのに…」

 

「ヒッ…!ホントやめてください!ってか発想がキモいです…」

 

「あ、そーだ、岸ちゃんがチ●ポ生やせばいいのよ………ウフフ、そうだわ、それがいい、魔術的なものとかオカルト的なものに頼ればあるいは…」

 

ドゴォン!!(お腹キック)

 

「オゴォ!!」

 

「やめんか、岸クンが本気で引いてるぞ」

 

「うっ……ぅぅ!ゴホォ!ゲホッ、ゲホッ!痛いわ、ってかテイトクはさっきからなんなの!?ゴトのお腹蹴って!!」

 

「蹴りたいお腹ってヤツだな」

 

「ハラスメント!!」





次回
まるで獅子のタテガミの如き豪奢な金髪を靡かせ、帰ってきた黄金の最強戦艦(自称)


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提督とRichelieuと気品あるシュー

誇り高き血統!Richelieu

【登場人物】

提督(1500万パワー)
意外と押しには弱い

Commandant Teste(コマさん)
ズラと言わないオシャレ水母

Richelieu(キンパツ)
通称、かませ犬のリシュリュー



春は夜桜、夏には星、秋には満月、冬には雪、それで十分酒は美味い……しかしそれで不味いなら自分自身の何かが病んでいるのだろう

 

「へっきし!」

 

あー………風邪だな、たぶん

 

最近はワケのわからんウィルス的なものも流行っており、当基地でもうがい手洗いの徹底化を心がけている、もし規則に反した者がいれば即八つ裂きにして明日の基地スポに載るコトになるだろう

 

そんなつまらないコトを考えつつ廊下を歩いていると、教務棟の入り口辺りで駆逐艦のキッズ達がなにやら集まり……いや、ナニかに群がっていた

 

「コイツはメチャウマだわ!」

 

「メチャウマなのです」

 

「コイツは力を感じる」

 

………なんだ?いったい?

キッズ達が群がるその場所、そこに立っているのは~……誰だっけ?アイツ、たしかフランス人の…

 

「ギャン!!」

 

謎のフランス人について思いだしていると、俺の右足に何者かがハゲしく衝突し、ひっくりコケて手にしていたシュークリーム的なものを床に落としてしまった

 

「あ、ああああぁ~!暁のシュークリームがぁ~…」

 

…なんだ暁ちゃんか、なら仕方ないな

俺は大人であり紳士だ、俺の紳士道はこーゆー際のマニュアルも充実している…

 

「悪いな暁ちゃん、俺のズボンがシュークリームを食っちまった、次は五段のを買うといい」

 

俺は財布から取り出した紙幣を暁ちゃんに手渡した

 

「ありがとうテイトク!」

 

「ガハハハハ、いいってコトよ!ガハハハハ!」

 

まったく、良いコトをした後は気分がいいわい

 

しかしあのフランス人、なんであんなトコでガキどもにシュークリームなんぞ売ってるんだ?そもそも誰の許可を得ているのか?いけないなァ、提督の許可なくそんなコトをしては…

 

「オイ、そこのフランス人!ナニやってんだテメーはよォー?」

 

「?、あら、テイトク、コンニチハ」ペコォ

 

「こんにちは」ペコォ!

 

やけに低身に頭を下げられたので、ついこちらも頭を下げてしまったが……いや、コイツ、マジで誰だっけ?アホのリシュリューくんじゃなくて……え~、なんかオシャレヘアーの…

 

「コマさんコマさん!シュークリームもっとないの?」

 

「あのやたら美味しいやつ!」

 

「Pardon、今日はもう品切れしましタ、また明日デス」

 

ガキどもはシュークリームがないコトにガッカリしたのか、なら仕方ねぇぜーッ!と蜘蛛の子を散らすようにその場から去って行った…

 

そしてガキはこのフランス人をコマさんと呼んでいた、おそらくこのフランス人はコマさんと言う名前なのだろう、今、思い出した

 

「それで?コマさんはなんでこんなトコでガキどもにシュークリームなんか売っていたのかね?」

 

「Non、Pas à vendre、配っテいましタ」

 

「は?」

 

「最近RichelieuがChou à la crème作りに凝っテいるらしくテ、あまりに大量に作るのデこうしテLes enfantsに配っテいるのです」

 

「ふ~ん」

 

コマさん曰く、ある晴れた日、唐突にコレだわーッ!と読んでいた雑誌を投げ捨て、それからと言うものまるで何かに取り憑かれたかの如く一心不乱にシュークリームを作り出したらしい…

 

しかし、リシュリュー的には未だに納得のいく品が作れていないらしく、数多の試作だけが大量生産されているのだと…

 

「正直、困っテます」

 

コマさんだけに困っている、ん~…名言だな、コレは

まぁ、小粋なテイトクジョークはいいとしてだ、コマさん的にもガキどもに毎日毎日今日は無いのか?あのやたら美味しいシューは無いのかーッ!とまとわりつかれて少々疲れているそうな

 

「なるほど、よし……俺からリシュリューのヤローにビシッと言ってやろうじゃあないか」

 

「ホントですか?助かります!」

 

「ガハハハハ!困ってるコマさんを助けるのは当然じゃあないか?何故なら俺は提督だからね!」

 

◆◆◆

 

「………違う、コレじゃないわ」

 

困っているコマさんの悩みを解決するべく、海外艦の住むインターナショナル寮、その調理場へとやって来た俺…

 

その調理場では、まるで獅子のタテガミのごとき豪奢なキンパツをぶわぁーっと靡かせつつ今しがた完成したらしいシュークリームを壁にブチ撒けるリシュリューが居たッ!!

 

「Vous!違うわ!こんな味じゃあまだよ!」

 

「オイコラ、リシュリュー!ナニやってんだテメーは!シュークリームを粗末に扱うんじゃあない!」

 

「…?あら?mon amiral…?ナニか用かしら?」

 

「ナニか用かしら?じゃねぇよ、テメーが無駄にシュークリームばっか作ってコマさんが困ってるってんでこの俺が直々に貴様に制裁を下しにきたのだよ」

 

「セーサイ…?あ、そう………アトにして頂戴」

 

リシュリューは再びブツブツと念仏でも唱えるようにアレは違うコレは違うとか言いながらこの俺からそっぽを向いて調理台を前にしている

 

…コケにしやがって、この俺をシカトとは随分とエラくなったものよのぉ、ウチに来たばかりでメソメソしていたあの頃のヤツとは違うと言うコトか

 

「オイ、くだらねーシュークリーム作りなんぞどうでもいいんだよコラ?こっち向けコラ、修正してやる」

 

「………くだらない、ですって?」

 

“くだらない”と言う言葉に反応したのか、リシュリューはゆらりとこっちを振り向いた…

 

な、なんだ…?この寒気、いや、プレッシャーか!この自称最強戦艦が私にプレッシャーをかけていると言うのか!

 

このプレッシャー……以前どこかで似たようなプレッシャーを感じた事がある、そう、アレはたしか食堂だったか?腹が減っているのにやたらと待たされ、間宮の野郎にチャーハンくれーさっさと作れやデブ!と文句をつけた時だったか…?

 

「この戦艦Richelieuが金やちやほやして欲しいが為にChou à la crèmeを作っていると思っているのー!!」

 

ダァン!!(テーブル・ダァン!!)

 

「私はね!mon amiralに“美味しい”って言って貰う為に作っているのよ!!いい?Délicieuxよ!」

 

「お、おう?」

 

ナニ言ってんだコイツ…?イカれているのか?

 

「フーッ………!でもダメね、こんなのじゃダメだわ、まるでダメ!まだamiralに食べさせる味には遠いわ、美しさがない、気品がない、愛情がない、こんなものはただのクリームが入ったパイよ」

 

「そ、そうか?いや、俺は食ってないがガキどもはワリと美味そうに食っていたが…」

 

「Ne te moque pas de moi!!馬鹿にしないで頂戴!まだ私には足りないものがある、そう……足りないものが、それが一体何なのか?クッ!わからない!わからないわ!!C’est très frustrant!」

 

リシュリューは再びテーブルをダァン!し、少し疲れたわと言って調理場を去って行った…

 

い、いったいヤツに何があったと言うのか…?実家のお母さんに電話してみるべきか?

 

◆◆◆

 

甘いモンも辛いモンも売ってる意識と価格の高いスイーツショップ、マミー屋

 

「へぇー…リシュリューさんが」

 

「卿の意見を聞きたい」

 

リシュリューの乱の翌日、俺と秘書艦髪の長い奴はティーを飲みつつ先日のリシュリューの謎について話し合うべくマミー屋へとやって来た

 

「コーヒーとエクレアくれ、二人前」

 

「本日のオススメは“冬のスペシャルパフェ-アース&ファイヤー&アイス-です」

 

「コーヒーとエクレアくれ、二人前」

 

「本日のオススメは“冬のスペシャルパフェ-アース&ファイヤー&アイス-です」

 

「コーヒーとエクレア二人前、モタモタすんなデブ、その安産尻に電流バチバチディ●ドーぶち込まれてヒーヒー言わされてのーか?」

 

「伊良湖ちゃん、青龍刀持って来て、青龍刀、そこの棚の一番上にあるやつ」

 



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提督と五月雨と過去からの挑戦状

フラグ回

【登場人物】

提督(大人)
提督とはなんぞや?

五月雨(サミー子)
役職ですかね、たぶん

秋雲(秋雲さん)
アツい少年漫画を描きたい少年漫画家志望、好きな漫画家は本宮ひ●し


かつて、海軍中央司令部には“深海進化研究室”と呼ばれる部署が存在していた

 

この部署は海から現れた謎の生物、深海棲艦の生態を調査・研究し、その進化の謎を解明する事を目的に設立され、多くの有用性あるデータを解析するなどのたしかな実績を作った…………が!

 

この“深海進化研究室”と言う部署は突如として抹消された

 

その理由は、不明

 

…当時を知る古参将校達の中にはその理由を知る者も居るが、おそらく生きている限り真実を語る事はないだろう…

 

◆◆◆

 

「はいもしもーし?ハンサムな提督で………なんだ、大将殿か、はいはい、なんすか?はい?いえ、違います、ウチはピザ屋です」

 

迫り来る春の気配を徐々に感じずにはいられない二月の執務室、たまに鳴る軍の回線を使った固定電話は大抵ロクな用件ではないが、その中でも、大将殿からの連絡は最もロクな用件ではない…

 

しかし俺も大人だ、大人とはイヤだイヤだと言いつつも清濁併せ呑むものが大人であり、社会の歯車とはいつだって替えの利くパーツである…

 

過ちに葛藤する若さをとうに失い、過ちをただ認め、次の糧にする大人である俺は大将殿からのロクでもない用件に一応の相槌を打ちつつ受話器を電話器に置いた

 

「何の用事だったんですか?」

 

「さぁ?よくわからんが昔、大将殿が左遷した誰かが最近見つかったとかなんとか、よくわからん話だった」

 

「へぇ…」

 

…まぁたぶんアレだな、これは次の長編回のフラグと言うヤツだろう、たぶん

 

「とりあえずコーヒー淹れてくれや、コーヒー、アツいヤツ」

 

「コーヒーですね」

 

秘書艦サミー子にコーヒーを注文しつつ、朝買ってきた基地スポを広げて今日のアツいエキサイトなNEWSをチェックする…

 

「サラトガ完全復活!最強主砲が今年も火を噴く、か…」

 

今年もアツいシーズンの開幕が迫っていると言うワケだな、あとは〜…大鯨ホエーヌズ今季も好調か?勝利の方程式を大いに語るか…

 

「コーヒーです」

 

「ありがとう」

 

いつもの見た目は普通、味はクソマズのサミダレブレンドが俺の前に置かれる………うむ、見た目、普通……香り、普通…そして味だが…

 

「………相変わらずオマエの淹れるコーヒーはマズいな」

 

「失礼な」

 

口いっぱいに広がる不快感と吐き気を催すハーモニー、しかし、とてもじゃないが飲めたものじゃないとは一概には言い切れず、我慢すれば飲めるレヴェルな奇跡がこの一杯にはある

 

「サミダリューン、卿は“平和”とは、なんだと思うかね?」

 

「平和ですか、そうですね…パチ●コメーカーでしょうか?」

 

「よく知ってんな、オマエ、パチ●カーか?」

 

「違いますよ、ジョークですよ、小粋なサミダレジョーク」

 

ナニが小粋なサミダレジョークだよこの青髪ロングは、シレッとしたツラしやがって…

 

「まぁジョークはいいとして、そうですね………争いもない、奪い合いもない、他者を想いやり理解できる世界ですかね」

 

「それが卿の考える平和か」

 

「まぁ、だいたいそんな感じじゃないんですか?提督は違うんですか?」

 

「いや、概ね卿と同じだ」

 

そして、この光溢れる地上に人類と言う種がいる限り争いは決してなくならない、人と人は争わずにはいられないのがDNAの定めしカルマ、つまりは真の平和とは人類……いや、全ての生きとし生ける者を根絶しなければ訪れる事はない死の世界なのだ

 

「その平和のくだり、大将殿の電話と何か関係あるんですか?」

 

「いや、まったくない」

 

◆◆◆

 

たまにはティーでもしながら俺と浜風ちゃんが仲良くなる為の冷静で的確な意見をアツくディスカッションしようとマミー屋へやって来た俺とサミー子…

 

「本日のオススメはありません」

 

「ないのかよ!」

 

新しいパターンだな、いつもは執拗なぐらいオススメしてくるのに…

 

間宮曰く、今日はどうしても必要な材料が手に入らず、別の同じ食材で代用するのはA級グルメ給糧艦である彼女のPRIDEが決して許さない為、本日は何もオススメしないそうな…

 

「私はね、皆さんに“本物”を味わって欲しいんですよ、まがいものには決して出す事ができない“本物”だけが持つ本物”の輝きを!」

 

…大したグルメ給糧艦だ、ただケツのデカいだけの給食オバちゃんでは無いと言うコトか

 

「伊良湖ちゃん、包丁持ってきて」

 

ーーー

 

心を読むタイプの能力を持っていたらしい間宮から危うく包丁で滅多刺しにされるかされないかの恐怖の攻防を乗り越え、適当な席にでも座るかと店内を歩いていると、隅っこのテーブルで変なのがうなだれていた…

 

「なんだアレ?」

 

「秋雲さんじゃないですか?たぶん」

 

なるほど、妙にラフな格好しているがあの刺突性のスピアーのような髪、たしかに秋雲だ

秋雲だが……ナニやってんだコイツ?死んでいるのか?死ぬなら部屋で死ねよ、部屋で、迷惑な野郎だな

 

「オイ、オイ秋雲、秋雲センセーさんよォー?ノックしてもしもぉーし?」

 

俺はうなだれている秋雲の頭をバシバシと叩いた

 

「痛い……痛い、痛てぇーっすよ!なんなんすか?って……なんだ、テイトクとサミー子ちゃんっすか」

 

「なんだとはなんだ、テイトクがハンサムじゃあいけないのかね?」

 

「ハンサムとか言ってないし、お2人もティーですか?」

 

「ご覧の通り、ティーだが?」

 

「ふ〜ん、仲良いんすね、デキてるんすか?ゲハハハ」

 

「オッさんか、オマエは」

 

ゲハハハハ!なんて笑い声は今日び山賊か野盗ぐらいしか聞かねぇぞオイ、オークだってもうちょい上品に笑うわ

 

そんな山賊王秋雲にまぁ小粋なジョークはいいとしてと相席しねーっすかと誘われ、断る理由も特にないので俺たちはそこに座った

 

「で?なんでうなだれてたんだ?オマエは」

 

「いや、ネタに詰まって…」

 

「ふ〜ん」

 

この秋雲、趣味で漫画を描いており、常々海軍なんてヤ●ザみてーな仕事を抜け、プロの漫画家になりたいと夢を見て努力している…

 

「最近ジャ●プもアレが人気らしいしな、アレみたいなの描いたらどうだ?アレ」

 

「アレっすか、実は秋雲さんアレ読んだコトないんすよ、なんか古鷹さんがどハマり中らしーっすけど」

 

「へぇ、古鷹さんが…」

 

「まぁ古鷹さんはミーハー寄りですからね、新しいのに敏感ですよ」

 

ミーハー寄りか、サミーのヤツ、なんて容赦のない冷静で的確な意見を…

 

「ってか秋雲さん、アレ読んでないんですね」

 

「チラっとは見たっすよ、ただ、最初はまたジャ●プには相応しくねー漫画が始まったなオイ、こりゃ10週打ち切りだなガハハハ、って舐めてた」

 

「俺もな」

 

「2人して見る目ないですね」

 

「やかましい、オイ秋雲、オマエこの青髪ロング子に舐められたままでいいのか?あ?なぁ?違うよなオイ?俺はよぉー秋雲、オマエならデキるって信じてるんだぜぇ〜…自信を持てよ秋雲ォー、オマエならデキる、オマエならワ●ピースを終わらせるジャ●プの新しいカンバンになれると俺は信じているんだぜーッ!」

 

「て、テイトク……そこまでこの秋雲さんのコトを…ありがてぇ!ありがてぇ!」ポロポロ…

 

「よぉし!今日は秋雲の新しい誕生日(バースディ)だ!昨日までとは違う!NEW(ニュー)・秋雲のなーッ!今日は俺の奢りだ!好きなの頼みなーッ!」

 

「よぉーし!!なんか元気がMORIMORI湧いてきたっすよぉー!パフェ食っていいっすかーッ!」

 

「よっしゃ!食え食え!遠慮なんかすんな!ア●ルからスライム浣腸されてまるで妊娠したみてぇーにお腹がパンパンになるまで食え!ガハハハハハ!」

 

「ヒュー!テイトク、ボテっ腹ーッ!ガハハハハー!」

 

 

この日、財布がカラになるほど食った秋雲はお腹をくだし、翌日はトイレと友達になったらしい



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提督地獄変【最終章⑨】

絶対不可侵!許されざる挑戦!

【登場人物】

梶輪大将(昔は主人公)
パワー、スピーチ、テクニック、タフネス、カリスマ、チ●コのデカさ、その全てが提督を上回る提督の上位互換的存在、若い頃は最前線でヤンチャしていたらしく、当時の秘書艦は五…





東西戦当日より遡ること数週間前…

事前に、現地の下見と打ち合わせを兼ねてヨコスカへとやって来た俺は、大将殿、そして川奈クンと全裸でサウナにいた…

 

中央司令部の地下にある軍の者でもその一部しか存在を知らないこの地下サウナ…

この部屋は別に健康の為に作られた施設ではなく、おおっぴらにはできない話をするべく作られた秘密の部屋であるとかなんとか、故に、この部屋で会合する際は一切の隠し事はあってはならないとの決意を表明するべく全裸で出席するのがルール…

 

そんな剥き出しの男と男が集うこの部屋で、俺と川奈クンは大将殿から衝撃の決意を明かされていたッ!!

 

「な、なんだってー!それは本当なのかクソオヤジィー!」

 

「誰がクソオヤジじゃい粗チンが」

 

「あ?オイ、今なんっつたテメー?今、誰のおち●ぽ様が粗末っつたか?なぁ?」ピキッ!

 

このヤロウ、大将だからってコケにしやがって……粗チンだと…?言ってくれるじゃあないか?

 

「まぁまぁ、落ち着いてください」

 

「でも川奈クン!アイツ川奈クンのち●ぽをバカにしやがった…!」

 

「いや、バカにされたのは俺じゃない気が…」

 

さすがはヨコスカきっての若手のホープ川奈クンだ、なんて広い心を持っているんだろう、俺は川奈クンにまぁまぁと嗜められ、おとなしくアツい座席にケツを戻した…

 

「しかし“元帥”ですか…………梶輪大将、本気ですか?」

 

「おう!本気に決まっておるわい!ガハハハハ!」

 

「“元帥”に挑むとなれば将奪戦………しかし元帥はその挑戦を拒否する事ができるハズ」

 

「そう、それが一番面倒なところでなァ~…」

 

自分より格上の相手に挑み、勝てばその地位を獲る、負ければ今の地位を失う古くから海軍に伝わる伝統の決闘法“将奪戦”!!

 

かつて大将殿に挑んだ俺は大将殿にボコボコにされ、二階級特退の憂き目にあった…

 

その“将奪戦”には一つのルールがある…

 

本来ならば自分より格上の相手に挑戦しその地位を奪うのがこの決闘のルールだが、あくまでもそれは“将”と言う地位を奪い合うものであり、大将より上は存在しない…

 

…が、大将より遥かに上にその地位は存在するッッ!!

 

大将を超えた大将の頂………海軍“元帥”!!

 

過去、この“元帥”の地位を賭けたという記録は長い海軍の歴史上一度もないが、将奪戦が始まったとされる遥か昔に制定されたその記述はたしかに存在している

 

「そこでだ、オマエらに協力を頼みたい」

 

「やだよメンドくさい、いこーぜ川奈クン、こんなイ●ポジジイほっといてよォー、バイア●ラでも飲んでろっーの」

 

「やかましい、誰がイ●ポだ!ワシのマラはまだまだ現役……生涯現役じゃあ!!」

 

「だいたい協力ってなんだよ?協力って、菓子折り持ってどうか挑戦を受けてくれませんかねぇ~って頭でも下げろってか?」

 

冗談じゃねぇっーの、舐めてんのかこのオヤジ…

 

「………梶輪大将の挑戦を受けざるを得ない、他の選択肢を全て潰す、ですか…」

 

「さすが川奈、このボンクラとは違うのぉ」

 

「誰がボンクラだコラ」

 

んなこたぁ知ってんだよォ!お利口さんか?テメーはよォー!だが、そんな愉快で痛快な方法がそう簡単にあるとは思えない、元帥の家族人質にでもして爆弾巻き付けてビデオレターでイェーイ!元帥クン見てるー?とかするのか?

 

「ま、そこら辺の脅迫材料はだいたい集めてあるわい」

 

「あるのかよ」

 

「ワシを誰だと思っている?ガハハハハ!」

 

「コエーよ!なんだよこのオヤジ…オイ川奈クン、このオヤジヤベーぞ、個人情報がヤベーよ、もしかしたら川奈クンがオカズにしてるビデオのジャンルとか握られてるかもよ?」

 

「…それはさすがに困ると言うか、さすがに引くと言うか…」

 

「ガハハハ、そんなモン調べんでも川奈はオマエと違って真面目なモンしか見とらんじゃろ」

 

「オイ、誰と違ってだとコラ?俺だって真面目なモン見るわ!こないだ暇つぶしにサミーとT●UTAYAで借りた実写のデ●ルマン見たからな!」

 

「オマエ、ワシの可愛いサミちゃんになんてモン見せるじゃあ!!」

 

「テメーのじゃねぇだろォ!クソオヤジがァ!オ レ の!秘書艦だろーが!俺の!」

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

「さぁ〜て……どっちが勝ったかねぇ〜」

 

上で行なわれていたウチのサミー子と川奈クンとこのナマイキガールのPRIDEを賭けたタイマン…

 

ま、あの青髪ロング子だ、まず負けないだろう…

 

「まぁいいや、とりあえず俺がブッ飛ばすのはあと何人だ?1人か?2人か?いや、ひょっとしたらあと3人くらいか?」

 

東西戦絶賛開催中の会場地下通路、事前に、大将殿がありとあらゆる汚い手で掴んだ情報をさらに汚く、最悪な形でリークを匂わせる…

あえて東西戦で人が集まるこのタイミングをわざわざ設定し、この祭りに乗じて誰もが動き出すように仕向けた徹底ぶりはさすがと言っていい、正直、あのクソオヤジの狡猾さはハンパじゃない…

 

「クソッ、梶輪のイヌが!」

 

「キサマァ!後悔するコトになるぞ」

 

「あー…はいはい、後悔ね、後悔、もうとっくにしてますよボカぁ」

 

…見覚えあるな、たしか東の陣営のなんたら大佐となんとか中佐だったか?フン、テイトク強度100万パワーといったところか…

 

瞬殺してやるわいとヨユーこいていると、奥の通路からなにやら地響きのような音が…っ!!

 

ズンッ!!……ズンッ!!……ゴゴゴゴゴ!!

 

「グハハハハハ!どいてろオマエら、こんなクソメガネ、このオレ様がひねり潰してやるよ!」

 

ドオォーン!!

 

「カ、柏尾(カシオ)!」

 

柏尾(カシオ)!そ、そうか!オマエが居たな!」

 

…いや、デカすぎだろ?誰だよコイツ、世紀末かよ!!5…いや、8メートルはあるぞ!?ナニ食ったらこんなデカくなるんだよ!!ホントに人類か!?

 

「ナニそいつ?反則だろ?」

 

「グハハハハハ!!俺の名は柏尾(カシオ)!階級は少尉だがすぐにキサマなど追い越して…」

 

スッ………

 

「な、ナニ!?き、消えた!ど、どこに行っ…!!」

 

柏尾(カシオ)、オマエは自分の中に“宇宙”を感じたことがあるか?」

 

「う、宇宙だと…ッ!!う、ウオオオォォォォー!!」

 

BAKOOOOOOOOOON!!

 

「ゲ、ゲェーッ!!バカなー!あ、あの柏尾(カシオ)がーッ!」

 

「た、たったイッパツでーッ!!」

 

バカめ、巨漢キャラ(デカいヤツ)は大抵カマセ、これは既に常識…

 

「オイ、まだやんのかコラ?俺の(タマ)殺りたきゃ最低でも中将7人ぐれー集めてからこいや、じゃねーとテメーら……………死ぬゾ?」ピキッ!パキッ!

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

『あー…あー…マイクテスマイクテス、あー…え?ナニ?もう聞こえとんのコレ?もぉー、恥ずかしいのぉー』

 

東西戦演習、いや、私と五月雨の戦いが終わり、互いに指揮官の待つ陸へ引き揚げが完了した頃、なにやら会場中にマイクの放送が響いていた……ってかこの声、梶輪のオヤジじゃない?

 

「…始まるのか」

 

「始まる…?何が?」

 

今終わったばっかなんだけど…?ただ、私の提督の顔はどうにも険しい

 

『えー……海軍中央司令部所属、梶輪だ、えー……これより、この場にて海軍中央司令部元帥、九条元帥に将奪戦を挑む』

 

「ハァ!?」

 

…え?え…?ナニ将奪って…?え?なんで!?え?今から…っ!?

 

『ワシの挑戦、受けてくれるかい?』

 

突然の大将から元帥への宣戦布告にざわつく会場ッ!!いや、え?いやいや、そりゃざわつくし、混乱するわよ!ってか提督、なんでこんな冷静なの?もしかして知ってたの!?

 

…マイクを手に演習会場へと降り立った梶輪大将、そして会場中央にある観覧席に座る九条元帥!

 

『オイ、とっとと降りてこいやジジイ!ワシが引導渡してやらァ!!』

 

ちょ…ジジイって、なに言ってんのよあのオヤジは…

 

「ちょ!提督!なにがどうなってんの!?なんなのコレ!?」

 

「…叢雲、高速修復材を準備してある、使ってくれ、あと…ゆっくり休んでくれ」

 

「あ、ありがと……って!違う!この状況はなんなのって!!」

 

提督は私の問いに答える事なく私の頭を優しく撫で、梶輪大将のいるところへと歩き出した

 

「ちょ!待ちなさいよ!!なんだって聞いてるのよ!答えなさいよ!!」

 



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提督とナイスガッツリ五十鈴パイセン

氷のエンペラー

【登場人物】

提督(モレスター)
シチュエーションにも拘りを持つ紳士

五十鈴(パイセン)
長良姉妹の次女、人類最強の潜水艦狩りの達人と呼ばれる対潜界のスーパースター
口は悪いがパイオツも大きい、同じく対潜メイトの駆逐艦や海防艦に慕われ、パイオツも大きい、わりと気さくで親しみ易く、パイオツも大きい


雨!と思ったら晴れ、が!やっぱり無理…っ!雨…っ!救えない…っ!そんな天候不順な昨今、たまには健康に気にしてビチョ濡れのマスクで健康ランニングでもするかと運動場をチンタラ走っていると、アツいナイスガッツを持った陸上部、ナイスガッツ長良主将にもっとアツくなれよ!もっとガッツが出せるだろとアツく激励され地獄の周回をみた…

 

「オイオイオイ、死んだわ俺」

 

参ったなオイ、膝ガクガクで足プルプルだよオイ、やっぱトシだなオイ、まったく…全盛期ならこのくらいはワケなかった気がするが…

 

とりあえず、今は身体を休めなくてはならない、この徹底的にイジメぬいた筋肉に休息と言うご褒美を与え肉体を超回復しなければならない

 

…つまりは糖分、そう!糖分を摂取しなくちゃあいけない、その為には“あの場所”へ!“あの場所”へ行かなければ…!“あの場所”に行けばこの身体にエネルギーを充填するコトができる!

 

「クッ…!足が疲労でガクガクしている!身体が思う通りに動くコトができないだと!」

 

だが進まなくてはいけない!俺はガクガクする足を引きずりつつ、“あの場所”へと歩いていると、執務棟のカドを曲がったところでナニか衝突した

 

「ウゲェ!!」

 

「痛っ!どこ見て歩いてんのよ………って、提督じゃない?ナニやってんの?」

 

「オマエは……五十鈴サン」

 

「そーよ、ってかいつまでナニ五十鈴の乳掴んでんのよ!!」

 

なるほど、勢い良く衝突したと思っていたがあまり衝撃を感じなかったのはこのクッション性抜群の五十鈴パイセンのパイセンだったか、なるほど…これは先進の安全性能だ

 

「いや、すまない、あまりの柔らかさに母のような安らぎを感じていたよ」

 

「気色悪っ…」

 

「気色悪くない、提督だ」

 

長良姉妹の次女、五十鈴サンこと五十鈴パイセン

些か口は悪いが基本的には話せばわかる系の爽やかで気の良いヤツだ

 

「ってかナニ?膝ガクガクじゃない?走り込みでもしてたの?」

 

「あぁ、おたくの長女にアツく勧められてな」

 

「ふ〜ん、ま、たまにはいいんじゃない?運動不足解消できたでしょ?」

 

「吐くほど走るのは些かやりすぎだと提督は思うがね」

 

「吐いてからが本番なんでしょ?ま、長良姉に付き合うのはホドホドにした方がいいわよ、オリンピックに出たいなら話は別だけど」

 

五十鈴パイセンはケラケラ笑って俺の背中をバシバシ叩き、ゴシューショーサマとか言っているが……クソ、このアマ!コケにしやがって……いつかその乳揉みしだいてペェズリからのバースト発動でそのキレーな顔を白い液体で汚してやるわい

 

「しかしちょうどいい、五十鈴サンよ、ちょっと肩を貸してくれないかね?」

 

「え?普通にイヤだけど?」

 

「普通にイヤとかゆーなよ、歩くのもツレーんだってばよ、マミー屋まで!マミー屋まででいいから!」

 

「這って行けばいいじゃない?」

 

「頼むよ五十鈴サンよォー?なぁ?マミー屋行こ?な?肩貸してくれたらマミー屋で好きなモン奢ってやんよ?な?いいだろ?な?」

 

「え〜…?ど〜しよっかなぁ〜?マミー屋奢ってくれるんだぁ〜…へぇ〜…ふ〜ん」

 

◆◆◆

 

「やっぱパイシューだな」

 

「そう?でもまぁ普通に美味しいわね」

 

五十鈴サンの協力を得て、マミー屋へとやって来た俺と五十鈴サン、道中、五十鈴サンのパイを揉みつつパイシューとかいいんじゃないかと考えていたがなるほど俺は間違っていなかった、ちなみに道中、五十鈴サンから鼻に肘を何度か喰らった

 

「五十鈴の心が広かったコトに感謝するコトね」

 

「まぁ、提督的には五十鈴サンの五十鈴パイより名取クンの名取パイの方がお好みだがね」

 

「ハァ?殺すわよ?」

 

「提督に対して真っ向から殺すとはトンデモない殺人ストレートを投げ込んできたよこの娘は」

 

提督的にはNOと言えない従順な軽巡の名取クンの上着の隙間から手を挿れて先っぽからナマ乳を搾るように丹念にイジりつつ絶頂を与えるか与えないかのギリギリを責め、自ら快楽を懇願させたいと言う欲があるのだよ

 

「気色悪っ…アンタ、私の妹になんて妄想してんのよ、マジ最悪」

 

「マジ最悪じゃない、提督だ」

 

「ってかなんで名取?まぁ、名取も五十鈴ほどじゃあないけどそこそこ可愛いけど?」

 

「いや、可愛いさで言えば名取クンのが上だな」

 

「ハァ?殺すわよ?」

 

「また殺すって言ったよこの娘は…」

 

そして、おそらくは名取クンほどの“牝”の資質を持つ者はそういないだろう、彼女の中に眠る“退屈な日常に飽き飽きしてる感情”や“痴漢願望”さらに“露出願望”は群を抜いており、まさしく俺が狙うに相応しい美しき獲物だ…

 

「だから、うちの妹に変な妄想抱かないでよ!」

 

「大丈夫だ、俺は五十鈴サンの妹でも名取クン以外は眼中にないからな!」

 

「下の妹に謝れェ!!由良と鬼怒と阿武隈にッ!」

 

「………謝りませんよ、僕は」

 

「………そうね、そこはまぁ、うん、謝らなくていいわ」

 

そう、きっと五十鈴サンだってわかっていたのだろう…

由良さんは髪長いだけだし、鬼怒はバカだし、阿武隈は変な前髪なだけだし……名取クンの持つ資質の前には誰も敵わないコトを

 

「まぁいいわ、コーヒー飲む?五十鈴おかわりするけど?」

 

「貰おうか」

 

「あとコレ注文していい?メープルシロップたっぷり五段ホットケーキ」

 

「頼めば良かろうなのだよ」

 

まったく、五十鈴サンもパイオツデカくて口は悪いが舌は甘いもの大好きな子供舌だな

 

「伊良湖ーッ!ちゅーもーん、コーヒー2つと五段のホットケーキ、あ、コーヒー1つはミルクと砂糖いるから!」

 

「おやおや、ミルクと砂糖が必要ですか…」

 

「ナニ?文句あんの?」

 

「ないよ、ないけど五十鈴サンの摂取したミルクはどこに行くのかな、っと…」

 

「セクハラかッ!」



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提督と夕張と正義執行

帰ってきた小細工無しのハッキリ言って自信作

【登場人物】

提督(1500万)
クズ・ゲス・カスの三重殺

夕張(0)
え?ナニか悪いんですか?


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

季節は変わる!季語も!3月!別れと別離を暗示する季節!3月!そんな爽やかさを感じつつある春の執務室に、爽やかさ皆無のヘラヘラしたツラの超A級ヘソチラ軽巡がやって来たッッッ!!

 

「消えな、お呼びじゃあないぜ」

 

「今回開発した自信作ですがコレはマジスンゴイですよ、ホント!マジスンゴイです、きっと提督もマジニッコリ、満足度100%でマジニッコリですよ!」

 

コイツ、いきなり人の話を聞いてねぇ…

そんな夕張のニコニコ顔にイラっとした俺はとりあえず夕張にちょっとこっち来いと手招きし、不用意に近付いてきた夕張のお腹にパンチをメリこんだ

 

ドンッ!!(お腹パンチ)

 

「噴ッ!」

 

「オゴォ!!ウゲェ……ッ!ウゲエェェェ!」ビチャビチャ…

 

「ナニ床汚してんだテメー、アトで掃除しとけよ」

 

「カハッ…ハー……ハー……は、はぃ」

 

そしてなんでコイツはちょっと嬉しそうなツラしてるんだよ、相変わらずキモいなコイツ、発情期か?

 

「まぁいい、で?今度はどんなつまんねーメカ作ったんだ?あ?処分代はテメーの給料からリボ払いすっからな」

 

「大丈夫です、自信あります!何故なら自信作だからです」

 

「やかましい」

 

そんなワケで、今回も自信満々に用意した自信作のビニルシートを勢い良く剥ぎ取り、その全貌が明らかとなる…ッ!!なる……?

 

「なんだそれ?銃?」

 

「携帯型心理診断鎮圧執行システム、名付けてドミ●ーターです」

 

「はぁ?」

 

夕張が取り出したのはまるでSF映画に出てくるような未来的なデザインの銃?いや、銃だよな、たぶん

 

「…足がないな」

 

「足なんて飾りです」

 

銃に足が生えてたらキモいだけだが、まぁ、このやりとりは一種の様式美である

 

「このド●ネーター、平たく言ってしまえば銃を向けただけで対象が犯罪者かどうかわかるスグレモノです」

 

「ふ~ん」

 

「さらに、対象の犯罪係数に合わせてノンリーサルの“パラライザー”、リーサルの“エリミネーター”、デストロイの“デコンポーザー”に差し替え無しに完全変形します」

 

「ふ~ん、一応聞いとくが、何が違うんだ?」

 

「パラライザーはとりあえず電気でビリっとします」

 

「スタンガン的なモンか」

 

「エリミネーターは人体を内部から爆裂して破壊する北斗●拳みたいになります」

 

「いきなりエグいな」

 

「デコンポーザーは肉片すら残しません、この世から消します」

 

オイオイオイ、コイツぁトンデモないモン作ってきたよこの娘は、人、1人殺すには十分すぎる個人兵装じゃあないかね?

 

「おそらくはエリミネーターでもル級ならあべしする破壊力は間違いなしです」

 

「そいつはスゴいな、ちょっと貸してみろ」

 

「どうぞ」

 

俺は夕張からド●ネーターを受け取り、とりあえず適当な対象にと自分のデスクで漢字クロスワード雑誌を広げているサミーに銃口に向けてみた

 

『犯罪係数99、ギリギリ執行対象ではありません、トリガーをロックします』

 

「オイ、なんかロックされたぞコレ」

 

「ド●ネーターは犯罪係数が高くないと作動しない安心のセキュリティを搭載しています」

 

「ふ~ん」

 

なるほど、そりゃまぁたしかに、いつでもデコポコカイザーだっけか?そんなの撃てたら危ないモンな

 

「ってか…しれっとこっちに銃口向けないでくださいよ」

 

「ハッハッハ、すまんすまん」

 

ギリギリ執行対象じゃないサミーはこちらをジロっと睨んだものの、すぐにニュートラルに戻ったのか、再び漢字クロスワードを解き始めた

 

「なるほどなぁ~…執行対象じゃないとダメなのか~」

 

とりあえず夕張なら執行対象だろ、夕張に銃口を向けてみると…

 

『犯罪係数0、執行対象ではありません、トリガーをロックします』

 

「オイ!コレ壊れてるぞ!なんでオマエ数字が0なんだよ!」

 

「さぁ?それ私もよくわかんないですよね、でもまぁ、たまに犯罪係数上がらない人いるみたいですよ?」

 

夕張曰く、どれだけヤンチャしてもたまに犯罪係数の上がらない顔色一つ変えずに殺人に手を染める冷酷な異常者“免罪体質”ってのがいるらしい…

 

「ちなみに加賀さんはいきなりエリミネーターが起動しました」

 

「だろうな」

 

むしろウチに居るヤツは大抵潜在犯なんじゃあないのか?どいつもコイツも執行対象な気がするが…

 

「ちなみに提督はどうなんでしょうか?」

 

「バカ言うんじゃないよこの娘は、俺が執行対象なワケあるかい」

 

俺は夕張にそのチープなオモチャで俺様を測ってみなさいとド●ネーターを手渡した

 

『犯罪係数1500万、生きていてはいけない存在です、アルティメットリーサル、スーパーファイナルデコンポーザーを起動します、今すぐこの世界から排除して下さい』

 

ガチャン!ガチャン!ガチャンガチャン!!(変形)

 

「オイイイイイイイィィィ!!なんかスゲー変形したぞそれェェェ!なんかバスターライフルみてぇになってんぞォォォォォ!!」

 

「うわ、これは最高記録ですよ!最高記録ですよッ!」

 

「オイ!それ絶対トリガー引くなよ!絶対引くなよ!マジで引くなよッ!!」

 

ちなみに夕張曰く、これまでの最高記録は由良さんの犯罪係数893が最高記録だったそうな

 

---

 

恐怖のド●ネーターはとりあえず電源を切って電池を抜いたら動かなくなった、しかし、ド●ネーターは電源が切れる最後の瞬間まで俺を執行したくて執行したくてたまらない感じにヴンヴン鳴っていた…

 

「どうでしょう、ド●ネーター」

 

「危なすぎるわ!」

 

「しかしル級だってあべし!できるんですよ」

 

たしかにル級もあべしできる破壊力は魅力的だが、いかんせん危なすぎる

 

っーか、俺の犯罪係数1500万ってのはなんだ!1500万ってのは!

 

「免罪体質ならぬ、冤罪体質とかですかね」

 

「バカ言うんじゃないよ、俺は美学を持って痴漢する男だ」

 

こうして、ド●ネーターはやはり不採用となり夕張には褒美として棚に入っていたチ●コパイを与えた…

しかし、チ●コパイだけではどうにも不満があったのか、夕張は壁に両手を突き申し訳ありませんでしたーッ!と、なんか気色の悪い顔してナニか期待していたので、とりあえず両手で夕張の両足首を掴んで跳び上がり、右足で両足をフロント・インディアンデスロックに極め、右手で顔面を掴み執務室の堅い床に激突させた

 

有罪(ギルティ)ーッ!!」

 

「ウゲェ!!」

 

グシャアッ!!!

 

「ペッ!ナニがシビ●ラだ!反吐が出るぜ!」

 



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提督と春の演劇祭

GO WEST!

【登場人物】

提督(メガネ男子)
データ通りです

香取先生(メガネ先生)
データも大事ですが全てではありません

鹿島先生(ドスケベエロボディ先生)
いささか趣味がアレな先生


「…はぁ?劇ですか?」

 

「はい」

 

新型ウィルスの蔓延に列島震撼の今日この頃、天気も良いしたまには真面目に仕事でもするかと執務室で申請が必要な書類やらキャバクラの領収書やらを上手に処理していると、今日もメガネがステキな香取先生がやって来た…

 

「不思議なコトに鹿島が俄然やる気になっていまして…」

 

「ほぉ、鹿島先生が…」

 

今日もメガネがステキな香取先生は駆逐艦のクソガキどもにアツい熱血指導をしてくださる素晴らしい先生であり、これからの明日を担う若者達に未来へ羽撃き、1人1人が自分達の思う通りの未来を掴んで欲しいと心から願う素晴らしい教育理念を持っていらっしゃる…

 

そんな香取先生が、春のアツい教育オリエンテーションの一環としてクソガキどもに演劇をやらせてはどうかとの相談に来たワケだが…

 

もちろん俺の答えはYESだ

 

香取先生の素晴らしい提案を却下するなどあるハズがない、香取先生はいつだって生徒の今、そして未来を事を考えてくれている、まったく……香取先生のアツい教育魂はいつだって俺の心をアツくしてくれるのだよ

 

「ちなみに演目は決まっているのですか?」

 

「えぇ、鹿島が言うにはサイユウキとか…」

 

「ほぉ、サイユウキですか…」

 

定番オブ定番なMOMOTAROやSHIRAYUKIじゃないんだな…

 

「しかし鹿島先生が俄然やる気とはまた珍しいですなぁ」

 

「えぇ、不思議なコトに」

 

いつもはメンドくさがって積極性が無い妹なんですけどと香取先生は小粋なジョークを交えつつエレガントに笑った

 

たしかに、香取先生に比べると鹿島先生はアツい熱血指導とは言い難いところもあるが、あの立ってるだけで色気ムンムンなむしゃぶりつきたいランキングNo.1の激エロボディは積極的と言わざるを得ない、むしろこっちのギンギン丸が積極的になってしまうね!

 

「それで、劇については鹿島の方が自分で準備とか色々となんとかすると言ってましたので、おそらく鹿島から提督になにかしらご相談があるかと…」

 

「わかりました、その際はもちろん相談を受けますよ、ハッハッハ」

 

「ありがとうございます」ニコッ

 

まったく、香取先生は笑顔もステキでいらっしゃる!

 

◆◆◆

 

香取先生から劇がどーのこーのとお話を聞いてから数日後、明石の店で菓子パンと缶コーヒーでも買って喫煙所にでも行くかと廊下を歩いていると、体育館の方からナニやら元気な声が聞こえてきたので覗いてみると、壇上に誰かが立ってヨロシクオナシャースとアイサツしていた…

 

「えー……陽炎姉妹の天津風ちゃんですか」

 

「ハハハ…天津風ちゃんですか、ハハハ…」

 

そして、壇上を見上げる形に置かれた長机に、珍しくメガネをかけた鹿島先生……と、古鷹さん?あと陸奥か、ナニやってんだアイツら?審査員か…?

 

「では三蔵役のオーディションを始めます、どうぞ」

 

なるほど、劇の役を決めるオーディションか…

なかなか本格的じゃあないか、鹿島先生は手元の書類をチラ見してからメガネをクイッ!として壇上に立つ天津風にどうぞと演技を促し…

 

「い、行くぜ野郎どもォー!!」

 

天津風の元気な声が体育館に響いた…

 

「ハイ、ありがとうございました、もういいです」クイッ!

 

「え…?も、もう終わり…?」

 

「ハイ、もう結構です、お帰りください」

 

…天津風はありがとうございましたとキチンと頭を下げ、確かな手応えのなさに肩を震わせ、トボトボと階段を下りた…

 

「やはり天津風ちゃんでは声が可愛いすぎますね」

 

「そうですね、イメージと真逆すぎます」

 

「まぁ、見る前からわかってたわね」

 

審査員席からの容赦の無い鋭利なナイフッ!!厳しい!たかがガキどもによる楽しい劇の役選びなのにあまりにも厳しい!!

 

「鹿島先生、駆逐艦の子達では近付けるイメージに限界があると思います、やはりここは軽巡、もしくは重巡まで幅を広げてみるべきでは?」

 

ナニ言ってるの古鷹さん!?

 

「まぁ、正直三蔵役は駆逐艦の子達じゃ厳しいわね」

 

そして陸奥も同意見ッ!

 

「そうですね、そうなると姉さんや提督に相談しないと……えぇ、わかりました、相談してみます」

 

鹿島先生はメガネをクイッ!として書類を机に置いた

 

………いやいやいや、ちょっと待て、なんだこのオーディションは、なんかおかしいぞ?三蔵役のイメージってなんだよ、これは楽しいオリエンテーションじゃあないのか?

 

そんなコトを考えていると、俺の背後から何者かが声をかけてきた…ッ!

 

「こんなトコで覗きでもしてるんですか?」

 

「誰が覗きだ!って……なんだ、サミー子か」

 

「なんだとはなんですか、私は鹿島先生に呼ばれて来たんですが…」

 

「鹿島先生に…?」

 

なんだ?コイツも劇に出るのか?と考えていると、サミーはさっさと扉を開けて体育館の中へと入って行った

 

「お疲れ様です、どうですか?」

 

「あぁ五月雨ちゃん、よく来てくれ……あ、提督も一緒なんですか?」

 

「いえ、たまたま会っただけです、そこでずっと中を覗いてましたよ」

 

失礼な言い方ァ!!!あのクソ青髪ロングがァ!!

 

「オイ!失礼な言い方すんなコラ、俺は通りがかりにチラっと見てただけだ」

 

「ジョークですよ、小粋なサミダレジョーク」

 

ナニがサミダレジョークだ、この野郎が、肩甲骨ブチ割って上半身を腰寛骨まで鯵の開きのように裂いてやろーか…

 

「お疲れ様です提督」ペコォ

 

「あ、お疲れ様です、鹿島先生」ペコォ

 

今日も鹿島先生は大変お美しい、そしてスゴく良い匂いがする……まったく、鹿島先生の体臭は催淫効果でもあるんじゃあないだろうか?

 

「それで……提督、早速なんですが少々ご相談が」

 

「鹿島先生、俺もちょっと確認したいコトがあるんですが」

 

「はい?なんでしょう?」

 

「…劇の演目は、サイユウキ、ですよね?」

 

「ハイ、サイユウキ、です」

 

………西遊記、それは、三蔵法師と三匹の下僕が遥か西、天竺へありがたい経文を取りに行くお話で、その旅は笑いあり、涙あり、冒険ありの胸ワクワクで摩訶不思議なとびっきりのアドベンチャーである

 

「しかしどうしても駆逐艦の子達では三蔵役のイメージか合わなくて……やはり三蔵は一味のリーダー的存在でありオトナの魅力がどうしても外せないんです」

 

「えぇ、そこはどうしても妥協できませんね」

 

鹿島先生と古鷹さんはわかっている風に頷き合っている

 

「今回のオーディションに当たり、有識者である陸奥さんと五月雨ちゃんの意見も取り入れてはいるんですが、やはりお二人もそこは妥協できないと…」

 

「ほぉ…」

 

………いや、わかるよ、たぶん齟齬があるコトはわかってる、鹿島先生が珍しくやる気、古鷹さん、陸奥、そしてサミーのアドバイザー、これだけの材料か揃っているんだ、俺の役職は提督、名探偵だ、もう謎は解けていた…

 

いや、わかっていた、本当はわかっていたんだ…

 

鹿島先生が目指しているのは、俺の言ってるサイユウキじゃあないコトは…

 



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提督と菱餅と春の任務群

春のKENZEN回

【登場人物】

提督(大人)
海風姉ちゃんには正直ムラムラする

山風(八女)
海風姉ぇはたまにイラっとする



「またよくわからん任務だな…」

 

「そうですね」

 

今年も菱餅を集めてどーのこーのか……相変わらず上は何を考えているのかまるでわからんのだよ

だが、まぁ任務と言われれば任務だ、ウチみたいな地方の基地はこーゆー細かい仕事もシコシコやって上からの印象を良くしておかなければならない

 

「…そういや菱餅って書いた箱がなんか倉庫になかったか?」

 

「ありましたね、去年のが」

 

「…食えるのか?去年の」

 

「さぁ?去年、適当にダンボールに入れただけですから…」

 

たぶんカビルンルンなんじゃないだろうか?っーか、なんで捨ててねぇんだよ、バカか?フツー廃棄するだろ、誰だよ担当者、見つけ次第怒りのスネークバ●トで壁メリ込みの刑に処してくれるわい

 

「まぁいい、とりあえず倉庫にでも行って確認してみるか」

 

「倉庫に行くなら買いだめしてるボールペンも持って来てください」

 

「やまかしい、オマエは俺のなんだ?あ?」

 

「部下…?ですかね」

 

「そうだ、オマエは俺の部下であり秘書艦であり、あの日、共にこの銀河の星々をこの手に掴むと誓った唯一無二の莫逆の友……違うか?」

 

「いや、そこまでではないです」

 

いやだわこの子ったら、なんてノリが悪い子なのかしら

 

◆◆◆

 

そんなワケで、去年の菱餅を探しに倉庫へと向かっていると、前が見えない高さまで積み上げたダンボールと毛のない猫を載せた台車がゴロゴロと廊下を進んでいた…

 

「なんだアレ?」

 

「…あ、テイトク」

 

「ナニやっとんのかね?」

 

改白露型の緑のシビスケェ、山風…

トゲトゲしい髪質とは対照的に、基本的には真面目で良い子ではあるが提督的にはどうにもこーゆー気難しくて多感な今風の子と言うのは苦手である

 

だが、苦手と言ってもこの基地に来た以上は俺のファミリーだ、仮にファミリーが敵の卑劣な罠で拉致されれば俺は全力を以てファミリーを救うだろう!

 

「…明石さんの店のバイト、時給180円」

 

「あのピンク、またクソみたいな賃金でこんな子供を…」

 

どうやら明石の野郎にはわからせてやる必要があるらしいな…

 

「…テイトクは、暇なの?」

 

「暇じゃない、俺は今から倉庫に行くのだよ、あと、言葉をもっとオブラートで包みたまえ」

 

「…私もコレ倉庫に持って行くところ、じゃあ一緒に行こう」

 

「別に構わんが………その台車を提督に貸したまえ、前が見えないまま運搬するのはよろしいコトではない」

 

「…でも、コレは私の頼まれた仕事だし…」

 

真面目かッ!!クッ…!白露姉妹とは思えないぐらい良い子だなオイ!一部の姉共にも見習ってほしいわい

 

「いいから、ほれ!山風クンはこのキモいのだけ持っておきなさい」

 

俺はダンボールの上に載っていた毛のない猫を掴んで山風の頭にライドオンしてやった

 

「…キモくない、よく見なくてもかわいい」

 

「へいへい、キモカワキモカワ」

 

ーーー

 

その猫、名前あんの?ネコ、そんなくだらない話をしながらやって来た基地の倉庫、ここは昼間でも薄暗く、夏でも妙に寒い…

 

「えー………どれだ?」

 

さて、どの箱だったかな、たしか箱に菱餅とか書いた気もするが去年のコトなどイチイチ覚えてない

 

「オイ山風クン、菱餅って書いた箱があったら教えてくれ」

 

「…わかった」

 

とりあえず適当な箱を開けてみるか、この箱は〜……違う、二次元アイドルグッズか、じゃこっちは〜……こっちもう●プリか、違う、じゃ…こっちの箱は〜……ホ●ドリか

 

「っーかなんだこの大量の箱はッ!!明石の野郎ォ!!基地の倉庫をなんだと思ってやがるあのクソピンクがァー!!」

 

「…テイトク、コレ、なんか服が入ってる」

 

「あ゛ぁ?」

 

山風の取り出したのは緑と黒の市松模様の羽織みたいなアレ……ちなみに、箱には鬼●魂と書いてあった

 

「パチモンかッ!!っーか多いな!鬼●魂の箱っ!」

 

「…鬼●治もあるよ」

 

明石の野郎、ここぞとばかりに仕入れてやがる…っ!そういや最近、明石の店の前にクレーンゲーム置いてガキどもがキャッキャ言いながらやってたな…

 

本来なら、明石に1わからせカウントをつけるところだが、

まぁいい、許そう、パチモンのアン●ンマン以外は全て許す、工作艦明石、ヤツもまた俺と同じ“大人”だからな

過ちを認め、次に活かす、それが大人の特権だよ

 

「チッ、まぁ明石のヤツにはあとで制裁を与えるとしてだ………ないな、菱餅の箱」

 

「…ホントにあるの?」

 

「ある!だって在庫表に載ってたから!」

 

たぶんある、だって在庫表書いたの俺だから!まさかミスってるとかバレたら青髪ロング子に鼻で笑われるコトは必至!そんな屈辱……ッ!俺は屈辱を与えるのは好きだが屈辱を与えられるのと陵辱は趣味じゃあない

 

「…あ、ネコがなんか見つけた、って」

 

「あ?ウンコか?」

 

「…違う、ネコがなんか見つけてる」

 

たしかに、山風クンの頭から離れたネコがなにやらダンボールの箱をカリカリしているようだが…

 

「…菱餅って書いた箱、コレ」

 

「マジか!」

 

マジか…!そ、そうか…!たしかに猫は人間に比べて鼻が良い生物!おそらくは腐った菱餅の匂いを嗅ぎ別けたのか!毛のないキモい猫だと思っていたが、なかなか良いヤツじゃあないか

 

「たしかにコレだな」

 

「…間違いない」

 

俺は箱を見つけた猫によぉーしよしよしよしよし!と頭をグイングイン撫でてやると、猫は不遜にも俺の手を叩きやがった

 

「…ちなみにこのネコは、私のネコ」

 

「そうだね」

 

「…私の飼っているネコが見つけたよ」

 

「そうだね」

 

「…ネコの飼い主は私、ネコだけが褒められるのは…」

 

………ハァン?なんだ、つまり山風クンも褒めて欲しいワケだな、よくばりさんめ!まぁいい、そんなシャイガールも褒めてや…

 

「痛っ!」

 

頭を撫でてやろうと手をやると、痛い!なんだこの髪質…ッ!まるでアロエみてぇーにトゲトゲしいぞ!

 

「………よくやった」

 

「〜♪」

 

…痛い、正直メッチャ痛いが、痛みに耐えるのもまた大人だ、あと、彼女にはトリートメントを勧めよう

 

「さて、ちなみに中身は腐った菱も……」

 

バ、バカな!!腐っていない!!丸一年、雑に放置していたはずなのになんと言う瑞々しさだ!まるで今、作りましたってぐれー新鮮に見えるぞオイ!!

 

「…腐ってなさげ?」

 

「あぁ、見た目はな」

 

そう見た目はだ、中身は腐ってるかもしれんが…

 

「そうだ、その猫に食わせてみるか」

 

「やめて」

 

「ジョークだよ、小粋なテイトクジョーク」

 

 

こうして無事、去年の菱餅を発見した俺はそれを回収し、菱餅探しを手伝ってくれた山風クンには明石の店で菓子パンとジュースを買い与え、明石には四連お腹パンチを与えた



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提督とJohnstonとPoker×Poker

不戦勝…!

【登場人物】

提督(巨乳好き)
それでいて褐色エルフ耳なら文句はない

Johnston(ジョンくん)
昔好きだったアイドルになんとなく似ている子
今はもう、よく思い出せません…




「Hi、テイトク!もしかしてヒマー?」

 

「キミは………ジョンくん」

 

麗らかな春の日、自販機コーナーで缶コーヒーでも買うかと廊下を歩いていると、MAJOR出身の外国艦から声をかけられた

 

「ヒマならアタシとPOKERでもしない?」

 

大きな国の小さな刺客、ジョンくん

小さいと言ったものの、そのサイズはまさにMAJOR級、お姉さんであるフレッチャーくんにはさすがに劣るが、その確かな可能性と将来性はまさしくMAJOR期待のスーパールーキーと言えるだろう…

 

「ポーカーか……まぁ、暇だし別に構わんよ」

 

「ホントに?今財布にいくら入ってる?言っとくケド、アタシPOKER強いわよ!」

 

「3万ちょいかな……まぁ、提督もやる以上は負けるつもりはないがね」

 

「I'll tell you!今日のアタシは負ける気がしないわ!」

 

なるほど、なかなか自信満々じゃあないか…たとえ未だリトルリーグと言ってもこれがMAJORの資質、そのオーラはホンモノだ

 

俺とジョンくんはバチバチとメンチビームの火花を散らしつつ、とりあえず缶コーヒーを買ってから決戦の地、談話室へと向かった…

 

---

 

「死ねッ!死ね!赤城!死ねッ!死んじゃうツモ!死んじゃうツモよ!」

 

「………」

 

「クッ…!何故怯えないの!何故震えない…ッ!」

 

「ククク………意外と臆病だな、イントレピッドさん…」

 

「キ、キイイィィィィ!!」

 

談話室に行くと、空母のバカどもが麻雀をしていたらしく、スカイママがキィーキィー言いながら牌を赤城に投げつけるのをサラトガに止められていた…

 

「さて、じゃあっちのテーブルでやるか」

 

「そーね」

 

俺とジョンくんはバカどもから離れたテーブルへ着席し、ジョンくんはポッケからトランプを取り出してテーブルに置いた

 

「カードは開封済みしかないケド、いい?」

 

「調べさせて貰うが構わんかね?」

 

「別にいいわよ」

 

まぁ、ジョンくんはイカサマするタイプではなさそうだが念には念を入れないとな、このMAJOR出身のリトルガールにもリトルガールでは大人には決して勝てない事をわからせてやる必要がある

 

「ねぇ?もーいい?別に普通のカードでしょー?」

 

「あぁ、普通のカードだ」

 

なんてコトはない普通のカードだ、やはりジョンくんは真っ向勝負がお望みらしい

 

「じゃ、カードきるわ、貸して」

 

「言っておくがセカンドディールとかしたら問答無用でその指をオラッ!するからな」

 

「しないわよ、サラじゃあるまいし…」

 

若干ムッとしたようなジョンくんだったがすぐに気持ちを切り替えたのか、慣れた手つきで互いにカードを配り始めた、見たところ不審な点はないな、っーかサラトガはあんなカワイイ顔してイカサマすんのかよ…

 

「ハイ、配り終えたわ」

 

「どれ…」

 

配られたカードはクローバーの3、4、5、6、7……いきなりストレートフラッシュかよ

 

「このままでいい」

 

「え!?いいの!?」

 

…なんでジョンくんが驚くんだ?まさかこのガキ、イカサマをしているのか?いや、だがジョンくんに不審な点はなかった…

だがジョンくんは俺がこのままでいいと言った時に明らかに動揺した…ッ!つまりアレだ、ジョンくんは俺の手札を知っていると言うコトだ…ッ!!そうでなければあんな動揺はしない…ッ!

 

「ジョンくん、イカサマをしているんじゃあないのか?」

 

「してないわよ!アタシは2枚changeするわ」

 

ジョンくんは手持ちカードを2枚交換すると少々むっとした顔をしていたが勝負よ!と力強く宣言した

 

「ハートの2と5のツーペアよ!」ドヤァ!

 

…いや、これはイカサマしてないな、もしイカサマしてるならこんなにも自信満々に負けないだろう、やはり考えすぎか…

 

「ウエッ!?ストレートフラッシュ…ッ!!」

 

「まだやるかね?」

 

「クッ!of course!モチロンよ!」

 

こうして俺とジョンくんの戦いは互いに勝ったり負けたりを繰り返す泥沼の戦いになった…

 

どうやらジョンくんはマジにイカサマなどしない正々堂々としたGAMEがお好みらしく、たとえ遊びのゲームであれ卑劣・卑怯を実践するウチのバカどもには無い高潔な精神を感じる、やはりこれがMAJORか…

 

そして、泥沼の戦いに終止符を打つべくジョンくんが引いた手は…

 

「……」ニヤッ!

 

どうやら良い手が揃ったようだ、あの自信に満ちた笑み…ここで決めにくる気らしい

 

「アタシは手持ちのチップ全部よ!」

 

「そうかね」

 

「さぁ?どうする?勝負する?降りる?」

 

「モチロン勝負だ、俺も手持ちのチップ………そして魂を賭けよう!」

 

「た、タマシイ……ッ!?え…?タマシイって……え?それ、どーゆー意味なの?」

 

「提督の命を賭けると言っているんだぜ、ジョンくん」

 

「へぇ〜…」

 

「さぁどうするジョンくん、まだ賭けるチップはあるかね?」

 

「う〜ん………じゃ、アタシもタマシイ賭けるわ」

 

ジョンくんは特に何も考えてなさげに魂を賭けるとか言っているが、ハッタリか?いや、それほどまでに手に自信があるのか?

 

「なら俺はさらに夕張の魂と明石の魂を賭けるぜ!」

 

「なんでェ!?ちょ……ダメよそんなの!テイトクの持ち物じゃないじゃない!!ダメよ!」

 

「いいんだよ、どうせアイツらは生きててもしょーがないからな、俺の為に喜んで命を差し出させるわい」

 

「クッ!なんてヤツ…!命をなんだと思っているの!」

 

さぁ降りろ!ビビって降りろ!それかもしくはフレッチャーくんのフレッチャーパイを好き放題コネコネする権利を賭けるがいい!

 

「わかったわよ、じゃ、サムが大事にとってあるとっておきのお菓子とアタシのサイン入りブロマイドを賭けてあげるわ、コレならいいでしょ?」

 

「いいワケねーだろ、夕張と明石の命をなんだと思っているのかね?」

 

「アンタに言われたくないわよッ!!」

 

まったく、菓子だのブロマイドだのが対価とは、やっすい命だなアイツら…

 

「あるじゃあないかね…?例えば……お姉さんの、その……フレッチャーくんの、フフ……下品なんですけど、今穿いている、パンツとか?」

 

「え?Fletcherの下着?そんなもんでいいの?いいわよ」

 

意外ッ!!あっさりとお姉さんの下着を賭けおったわいこの子!

 

「で?もう上乗せないの?ならショーブよ!勝負!」

 

ジョンくんの手はなんだ?強いのか!やはりカードは強いんだな?フルハウスか?ストレートフラッシュか?いや、あの自信、ロイヤルストレートフラッシュか…!?

 

どうする?ちなみに俺はただのワンペアだ、ジョンくんがブタでもない限り俺の負けは必至…ッ!カードのすり替え……いや、無理だ、ジョンくんは意外とこっちをよく見ている、それに今、俺のポケットに入っているカードは“青●の白龍”しかないッ!

 

そんな絶体絶命の危機に、ジョンくんの後ろに誰かがやって来た…

 

「あらJohnston、ナニやってるの?」

 

「っさいわね!今、テイトクとFletcherのパンツ賭けてPOKERやってんのよ、ジャマしないで!」

 

「…え?」

 

ジョンくんは後ろの人を気にする様子もなく、さぁ!やるのかやらないのか!ハッキリ言葉にして貰おうじゃないのー!とスゴ味を出し…

 

ビタンッ!!(平手打ち)

 

「あふんっ!!」

 

後頭部からビンタを貰い、勢い良くテーブルに顔面を強打した

 

「イタ……痛いじゃない!!誰よ!このアタシに……」

 

「Johnston………アナタ今、ナニを賭けてるって言ったの?」ニコォ

 

「ヒッ!?ふ…Fletcher!!」

 

「ナニを賭けてるって言ったの?」ニコォ

 

「ヒ…ッ!ち、違う!で、デモ!ゼッタイ!絶対勝てるから!」

 

「勝てる勝てないじゃないでしょ!!Johnston、アナタのギャンブル好きなのは知っているけど、ちょっと話があるわ、来なさい!」

 

「イタ!!痛い!ゴメ…ゴメン!!ゴメンお姉ちゃ……ゆるし…」

 

フレッチャーくんは失礼しますと懇切丁寧に頭を下げ、ジョンくんを引きずりながら談話室を去って行った…

そうか、これが聖女の激怒か……いつも優しいフレッチャーくんもたまには怒るんだな

 

「ゲッ…ファイブカードかよ」

 

テーブルに残されたジョンくんカード…

なるほど、そりゃ自信満々にもなるわな…

 

ま、この勝負…

 

「生き残ったボクの勝ちってところかな♦︎」

 



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提督とABDAとナイトクラブ29

帰ってきた夜の店

【登場人物】

提督(まっことクズ)
巨乳最高

Houston(巨乳)
MAJORから来たマグナムおっぱい

De Ruyter(巨乳ではない)
わかる系ヤバイ子

Perth(巨乳ではない)
美少女、でも今回は出ない


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ…

 

「オープン戦最多7HR、今年もMAJORの快音が火を噴くか…」

 

さすがMAJORの大砲アイオワ、今年は誰があの天才を攻略できるのかが見ものだな

 

「え〜…速吸、開幕絶望!大鯨ホエーヌズに暗雲か…え?ナニ?ママ、速吸クン肩でもヤったの?」

 

「フーッ〜……さぁ?なんか腰イワしたとかなんとかさね」

 

「ふ〜ん」

 

いけないなぁ、女の子が腰をイワしては…

これは過度なピストン運動等の腰に対して相当ハードな負担をかけるトレーニングをしていたのかな?

 

「ママの大好きな大鯨ホエーヌズもダメだなこりゃ」

 

「フーッ〜…ナマ言ってるんじゃないよ、ボーイ」

 

「ハハッ!ボーイはやめてくれよ」

 

ビッグママこと鳳翔は愛用のクソ長キセルで音が割れているラジオを小突きつつテキトーな席にでも座りなと目が言っていたので俺はおっぱい大きい娘で!と元気良く注文してテキトーに空いている席に座った…

 

「フーッ〜…商業捕鯨解禁、アナまで見えちゃう潜水母艦か…」

 

タバコに火を点けつつ基地スポのエロ記事を読んでいると、今宵も俺をアツくしてくれるジュリエットが俺の座るテーブルへとやって来た…

 

「こんばんは、Houstonです」

 

「フーッ〜…」

 

MAJORから来た戦慄のマグナムおっぱい!まったく、金髪巨乳は最高……いや、最高だな!なんだよぉ、今日は大当たりの日じゃねーの?

 

「Hoi!De Ruyterだよー」

 

「…ふむ」

 

…誰だっけコイツ?10年ぐれー先のヌルい未来から来た択捉か…?

 

「で、こっちは今日はチームに参加してくれなかったPerthっぽいヌイグルミ」

 

「ブッ細工なコアラだなオイ」

 

そうか、美少女のパースちゃんはさすがにこの夜のバイトには参加しないのか……まぁ、見るからにPRIDE高そうだもんな

 

本日のキャスト…ッ!戦慄のトライアングル、チームABDAの仲間達はヨロシクゥーとそれぞれ俺の居る席へと座った

右にマグナム巨乳のヒューストンくん、左に馴れ馴れしいだけで巨乳ではないデロ……デロンギだっけか?あと、テーブルのど真ん中に目ツキ悪くてブッ細工なパースちゃん(仮)…

 

「とりあえずビールくれや、ビール、あとヒューストンくんも好きな飲み物を飲むといい」

 

「はぁ…ありがとうございます」

 

「ヤバーイ、このテイトク、私のコト見ないフリー」

 

「チッ、じゃオマエもなんか飲め、言っておくが1杯だけだぞ」

 

「ヤバーイ!」

 

そんなワケで、それぞれに飲み物が行き渡り、まずはカンパイスタートを切ったが…

 

やはり気になるのはライト…ッ!あのマグナムおっぱいはどうしても目がイってしまう、むしろ目でイってしまうなこれは……やはりMAJORはハンパではない、そしてこのヒューストンくん、スゴくイイ匂いがする……クンクンクン!スーハースーハー!ウッ!………ふぅ、これはもうアレだよな、誘っているでいいんだよなッ!!誘っているでいいんだよなッ!!

 

「あ、もーカラになっちゃった、テイトクぅー、もう1杯飲んでいいー?」

 

「いいワケねーだろマヌケが、なんだテメーは?俺にドリンク入れさせたいなら巨乳になってから言えやダボが」

 

「お、おおぅ…!まっことクズ!まっことクズだよ!この男」

 

「誰がクズだ」

 

「でも、Houstonのパイオツにクギヅケになるテイトクの気持ち…………わかる」

 

デロなんたらは俺の肩に手を置き、わかる…!と声を震わせた

 

「たしかにあのマグナムパイオツは私達チームABDAの中でもダントツの凶器、でもそのパイオツだけではなくオトナの魅力に溢れその中に気品すら感じる、そう……Houstonと話しているとまるで母と話すように安らぎを感じずにはいられない」

 

「ほぉ…」

 

こやつめ、なかなかハナシがわかる…

 

「キミ、名前は?」

 

「De Ruyterにございます」

 

「デ・ロイテルか、デにロか……よし!オメーのコト、ジョジョって呼んでやんよ!遠慮はいらねぇ!好きなドリンク頼みなーッ!」

 

「ははぁ~!!ママ、ドン・ペリ!ドン・ペリ持ってきてーッ!」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!こやつめ!」

 

デ・ロイテルはヤバーイとか言いながら俺の背中をバシバシ叩き、ヤバーイとゲラケラ笑った…

 

---

 

接客開始より60分経過…

 

本来ならばここで見切りを付けて明日の為にラーメンでも食ってさっさと部屋に帰るところだが……

 

オトナの魅力溢れるヒューストンくん、そしてわかる系ヤバイのデ・ロイテルくん、この包囲網を突破するのはなかなかホネが折れそうだな、それに俺はまだ、ヒューストンくんのパイオツをタッチしていない

 

ここでヒューストンくんのパイオツをタッチせずに部屋に帰るのは負け犬のするコトだ

 

「スイマセン、ちょっとお化粧直しに…」

 

「あ、ハイ、どーぞどーぞ」

 

ここでヒューストンくんが動く…ッ!お化粧直しと言う名のトイレ休憩に立ったヒューストンくんにウヒョー!お尻もマブいねー!オジサン興奮しちゃうなー!と小粋なテイトクジョークで送り出した俺はレフトのデロ子にちょっといいかね?と向き直った

 

「オイ、デロ子」

 

「なにー?」

 

「ヒューストンくんのパイオツに顔面をうずめたいから協力したまえ」

 

「ヤバーイ」

 

そのストレートな変態性ヤバーイと真顔でディスられた

 

「でも、わかる」

 

「だろォ!?」

 

「たしかに、Houstonのパイオツにダイブしたらどんなモチモチ感なのか、いや、フワフワ感なのか……わからないけど、ヤバイ、と言うコトだけはわかる」

 

「YABAIだな」

 

「えぇ、YABAIわ」

 

チームABDAの仲間として、付き合いはそれなりにあるがデロ子とてヒューストンくんのパイオツには興味があるらしい

 

「よし、俺がイイ感じに酔ったフリするから、オマエは俺の背中を押せ、そしたらまるでトラブルを装う感じにイイ感じにヒューストンくんのパイオツにTo LOVEる」

 

「ヤバーイ」

 

「協力しろ」

 

「え~?でも私もHoustonのパイオツに顔うずめたいし胸の谷間の匂いクンカクンカしたい」

 

「アトにしろ、アトに、まずは俺な!俺から!」

 

「ジャンケン!ジャンケンにしよーよ!ジャンケンで勝ったほーが先!」

 

「ゴチャゴチャ言ってるんじゃないよこの子は」

 

クッ…!なかなかガンコだなコイツ、そんなヒューストンくんのパイオツを独り占めしたいのか!

 

「わかった、ならジャンケンな」

 

「よぉーし!負けないよー!」

 

俺は席を立ち、右拳にパワーを集中した…

 

勝てばヒューストンくんのパイオツ

 

勝てばヒューストンくんのパイオツ

 

勝てばヒューストンくんのパイオツ

 

ヒューストンくんのパイオツにTo LOVEれるなら……

 

もう、終わっててもいい

 

「最初は…………“グー(Rock)”…!」

 

グググググ……!!

 

「え?ナニそれ?ヤバくない?」

 

だから、ありったけを…

 

「いやいやいや、ヤバイヤバイヤバイ!!なんかヤバイ!ママぁ!タスケテ!ママぁーッ!!」

 

デロ子は俺のありったけの“本気”を察したのか、ソファーから転げ落ちた

 

「じゃん……けん……」グググ…!

 

「イヤァァァァ!!ママーッ!ママァァァァ!」

 

 

この後、お化粧直しから戻ってきたヒューストンくんからナニしてるんですか!ケンカですか!と本気で怒られビンタされ、目が覚めた俺はデロ子にごめんねと謝り、なら右は俺が揉むからデロ子は左なと画期的な妥協策を考えて出し、俺達はヒューストンくんによろしくお願い申し上げますと懇切丁寧に頭を下げたが、正直、ドン引きされた

 

店を出る際、最後に見たヒューストンくんの蔑みの中にも哀れみを感じる瞳がとても印象付けだった

 

---

 

ラーメン専門店、夜魔小屋…

 

「テメーのせいでヒューストンくんドン引きしてたじゃねーかコラ」

 

「ヤバーイ、ってか私悪くないしー」

 

「ナニがYABAIだ、あとオマエ、ナニしれっと替え玉してんだコラ」

 

「夜にトンコツラーメン、ヤバーイ」

 



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提督と五月雨と春の通常営業

春の何もない平和なお話

【登場人物】

提督(ミジメな敗北者)
アレを多用するアレな大人

五月雨(秘書艦)
アレでわかるワケないでしょ


マスク不足と言う名のマスク・ジ・エンドに列島が悩まされる昨今…

 

「あー…そろそろアレの時期だなぁ〜、なぁオイ」

 

「アレ…?」

 

特にやる事もない春の執務室、週末には意味も目的もなくレモンステーキでも食べに行くのもいいだろうと考えつつユーキ●ンの資格カタログを読んでいた俺はふと、あるコトを思い出した

 

「アレだよアレ、ほら、アレだよ」

 

「アレアレ言われてわかるほど私も提督とツーカーではないんですけど…」

 

「アレだよ、大威震八連●制覇」

 

「…はぁ?」

 

大威震八●制覇…

三年に一度行われる当基地最大にして最恐最凶の修羅業行!八人一組の二チームで戦う団体戦をそれぞれ趣向を凝らした闘技場で行い、勝敗はどちらかが全滅する事で決するまさに生き残りを賭けた死闘の中の死闘ッッ!!

 

そして、戦艦金剛はこの大威震八●制覇を三回連続で制し、この基地において“帝王”と呼ばれる程の強大な権力を持つに至っている…

 

「そんなのやってたんですか?」

 

「やってたよ、ほら、今期予算に載ってるだろ?」

 

金剛、ヤツの増長を許したのは我が身の不覚と言えなくはないが……まぁいい、今年こそヤツの鼻っぱしらをへし折ってやるわい

 

「あ、ホントだ」

 

「大威震八●制覇だってタダじゃないんだからな、ちゃんと予算と予定組んで前々から準備してるんだぞ」

 

「へぇ〜」

 

「ナニがへぇ〜だ、他人事か…ッ!」

 

「他人事です、ってかそんな物騒なイベント、土下座で頼まれても出ませんよ」

 

「バッキャロォー!!オマエが出ないなら誰が出るんだよ!誰があの金剛をギャ・フーンと言わすんだ!」

 

「由良さんにでも頼めばいいじゃないですか?あの人、なんだかんだ言っても提督が好きみたいですし、土下座して頼めば頭踏まれて“ふーん?提督由良にお願いするんだー…へぇー…そんな無様な格好までしてー”とか言って散々ドS発言で罵倒した後に“ね?”って言って了承してくれますよ、たぶん」

 

「最後の“たぶん”で全部台無しなのだよ」

 

むしろあの由良さんが俺に好感を持ってるとか考えただけで吐きそうになるわい

 

俺と由良さんの間にあるのは、自分の利益の為ならさっきまでの仲間を裏切る事も躊躇わない、むしろ進んで地獄へ叩き落とすと言う感情のみ、まぁ……ある意味では好感を持てるが

 

「フーッ〜…まぁいい、とりあえず腹減ったしメシでも食いに行くか?」

 

「そうですね」

 

ーーー

 

今日はなんの気分?麺類ですかね?そんなくだらない会話をしつつやって来たのは基地の近所にある定食屋…

うどん、そば、丼物、定食、迷ったらジョ●フルかここに来ればだいたい大丈夫な安心感を与えてくれる…

 

「今日はBUKKAKEにすっかなぁ、オマエは?わかめうどん?」

 

「そうですね、たまには天麩羅うどんにでもしましょうか…」

 

店のおばちゃんにおろしBUKKAKEうどんと天麩羅うどんを注文し、お冷でも飲むかとグラスに注いでいると、見知った顔が入店して来た…

 

「あ、テイトクと五月雨ちゃん、奇遇ですね、お二人もお昼ですか?」

 

「ご覧の通り、お昼だが?」

 

「こんにちは、夕張さんもお昼ですか?」

 

最近新たなステージへと上り、唯一無二の5スロット軽巡と言う個性を獲得した戦慄のヘソチラ軽巡夕張、まぁ、むしろヘソチラではなくヘソモロだが…

そんな夕張は奇遇ですねーとヘラヘラしつつ、自然な流れで俺たちの座る席に相席した

 

「おばちゃーん、天麩羅そばー」

 

「オマエ天麩羅そば好きだな」

 

「そうですかね?まぁ、他のも食べますけど…」

 

いつも天麩羅そば食ってる印象しかないが、まぁ、好きに理由なんていらない、特に理由はなく自然な流れで好きなのだろう

 

「そういや提督、マニラ沖とかなんとかお達しが来てたみたいですけど、アレどうなったんですか?」

 

「アァ?あー…アレな、長門と陸奥がなんとかした」

 

「なんとかしたんですね」

 

今回、上からのお達しである作戦海域…

なんとたった1海域を制圧するだけで夢の甲勲章に手が届く!とあって世間の真面目な提督さんは目の色変えて海域に挑戦しているらしい…

 

そんなつまらないコトを考えていると、BUKKAKEうどんと天麩羅うどん、そして天麩羅そばが運ばれてきたので俺達は食材と神に感謝のいただきますを言って食事を開始した

 

「オマエそば派なの?」

 

「ふあぃ?………げふっ、そ…そうですね、まぁ、そば派と言えばそば派ですかね」

 

「ふ〜ん」

 

夕張とそばか……なんだろうな、合うと言えば合う、妙な安心感があるな

 

「ちなみに自分でも打てますよ、今度作りましょうか?」

 

「へぇ〜…」

 

意外と言えば意外だな、しかしコイツ………たまにバカ装備作ってくる以外はワリと謙虚で真面目なんだよな

 

「もしマズかったらテメーのケツを麺棒で滅多打ちにするからな」

 

「大丈夫です!たぶん美味しいです」

 

 

後日、そばの材料が無かったので代わりにオムライスを作った夕張だったが、味自体は普通に美味く、サミーも普通に美味と言っていたから侮れない…

 



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提督とSamuel VS Atlanta

戦慄!デトロイト・スタイル

【登場人物】

提督(器)
過ちを認められる大人

Samuel B.Roberts(JCB)
通称サムくん、スカートの中がフリーダム

Iowa(I)
MAJORの大砲、ワリと面倒見がいい

Atlanta(A)
MAJORからの新たな刺客、そのロケットパイオツは一目で見る者を戦慄させる





「GO!SAM!GO!OK!COME ON!SAM!」

 

ある晴れた昼下がり、孔子の論語について考えながら廊下を歩いていると、トレーニング施設からミットを叩く軽快な打撃が聞こえてきたので何事かと思って覗いてみると、アイオワとサムくんがトレーニングに励んでいた…

 

「OK!OK!Nice girl…!OK、チョット休憩にしまショ」

 

「ハァ…ハー……ハー……Thanks、teacher…ハァ~…」

 

リングの上でOKOKとサムくんを抱き、アイオワはベリーナイスだわよとかなんとか言っていた

 

「よぉ、精が出るじゃあないか?」

 

「あら?Admiral」

 

「…ん?Hi Admiral!Samのtraining見にきてくれたノー?」

 

サムくんはリングから降りてキャッキャとハシャぎながらまとわりついてきたが、正直汗臭いのでまずは汗を拭くといいとその辺にあったタオルを渡してやった

 

「Thanks!アリガトー!」

 

「どういたしましてなのだよ」

 

MAJOR出身者は大抵そのワールドクラスの超性能と生唾ゴックンのダイナマイトボディが多いが、このサムくんに限ってはダイナマイトボディとはやや言い難い

 

しかし……提督はこのサムくんの中に確かな輝きと可能性を感じている

 

そして、それはおそらくこのダイナマイトパッキンガールアイオワも感じているのだろう

 

かつてこの子の才能をNYのスラムで見出したアイオワは友人のサラトガに“この子は宝物よ!”と嬉しそうに話したと言う…

 

「なかなか順調な仕上がりじゃあないかね?アイオワくん」

 

「マダマダ、この子はこんなモノじゃあないワ」

 

「…ジョンくんやフレッチャーくんにも勝てると?」

 

「You are not my match、メじゃないワ」

 

「OK、信じよう」

 

MAJOR No.1 ハードパンチャーのお墨付きだ、これほど信頼できる言葉はない

 

汗拭きタオルで流れる汗を拭いたサムくんは再び俺にまとわりつき、自然な流れで俺にベンチ!ほら!ここベンチ!座れよホラ!とベンチを勧め、俺が座った膝に自然な流れで着席した

 

「いや、提督の膝はベンチじゃあないのだが…」

 

「イーノイーノ!ネェ?」

 

「むっ…」

 

基本的に女子供にも容赦なく鉄拳を浴びせる事に定評のある俺だが、どうにもこのサムくんには弱い…

何故だろうな、彼女には俺にそう思わせる“何か”があるのだろう

 

「Sam、Drinkを飲みなサイ」

 

「Thanks」

 

「ソレト、疲労時にはアマイモンよ」

 

そう言ってアイオワが取り出したのは明石の店で売っている菓子パン、マンハ●タン…

まさか俺以外に買うヤツがいたとは……

サムくんはアイオワからマンハ●タンを受けとるとワイルドに袋から取り出してマンハ●タンにかぶりついた!

 

「ウメーウメー」

 

「サムくん、提督の膝の上でマンハ●タンのカスをボロボロ落とすのはやめてくれないかね?」

 

「え?ナニ?」

 

まぁ、マンハ●タンだから仕方ないか…

もし仮に、サムくんではなく白露姉ちゃんが同じ事をしたならば怒りのダブルニークラッシャーでダブルのニーを破壊していただろう…

 

そんなごくごく当たり前の事を考えていると、トレーニング施設の扉が開き、新たな人影が入室してきた…ッ!

 

「IowaとSamuel、あとは…………なんだ、テイトクか」

 

「Hi、Atlanta!アナタもtrainingしにきたノー?」

 

「冗談、誰か居るみたいだから覗いただけ」

 

一目でタダのロケットおっぱいじゃないとワカるロケットおっぱいッッ!!

ディフェンスの高さに定評のある秋月姉妹すら凌駕する驚異の高さを持つMAJORの本格派、アトランタくん…

 

その、アトランタくんはなんだつまらんと言いたげな顔をしつつテーブルにあったマンハ●タンの袋をワイルドに破って食べ始めた

 

「NO!!Atlanta!それSamの!」

 

「別にいいじゃない?まだいっぱいあるし、ケチケチするなよ」

 

「NOooooooooooo!!」

 

サムくんは俺の腹を勢い良く蹴り、アトランタくんにファーックスとか言いつつ飛びかかった…!!しかし!

 

「…フン」

 

避けられたッ!!

 

「ユルサナイ!!Atlanta!ワタシはyouが泣くまで殴ルヤメナイ!」

 

「チッ………ウッザ」

 

怒り狂うサムくんと対照的に、アトランタくんは右腕のみを上げ、身体の前に左腕をダラリと伸ばし…

 

「シッ!シッ!くんなよ」

 

「クッ!!」

 

迅い…ッ!!フリッカーか…ッ!!アトランタくんのフリッカーがサムくんの接近を許さない!

 

「あの構え…ッ!ヒットマンスタイルかッッッ!!」

 

「ソーヨ、Atlanta…彼女から制空権を獲るのはミーでも手を焼くネ…」

 

「なんと言うコトだ…」

 

アイオワ曰く、アトランタくんは入隊前、デトロイトのスラムストリートで猛威をふるっていたらしく、その、正確無比かつ冷酷無比なファイトスタイルは見る者を戦慄させ、あのイントレピッドでもダウンが奪えなかったと言う…

 

「マ、手を焼くダケでミーはKOしたケドネ!」

 

アイオワのマグナムストレートの前には生半可な防御や回避は無いに等しい

 

かつてデトロイト1のおきゃんだったアトランタくんを拳でわからせ、更生の為に軍に入隊させたと言うだけはある…

 

「シッ!シッ!」

 

「くっ!クゥゥ!!」

 

「ウッザいなぁ…無駄だっての」

 

やはり駆逐艦と防空巡ではウェイトもサイズも違いすぎるか、サムくんが間合いに入る隙がまるでない…

これは止めるべきかとその辺にあったタオルを手に取り、それを投入しようとする俺を、アイオワは右手で制し…

 

「おい、アイオ…」

 

「GO!SAM!6!7!1!」

 

パァンッ!!!(サムパンチ)

 

アイオワの掛け声と同時にサムくんがコンビネーションを放った!!いや……しかも、今のは……迅い!並の速さじゃあない!

 

「………コイツ!!」

 

そのスピード、そして精密さにアトランタくんも戦慄を隠せない顔をしている、そうか……ナンバーシステム!一切の雑念の無いまるで精密機械のような動き、サムくんは反射的に反応しコンビネーションを放ったのか…!

 

「………チッ、いい、もう飽きた」

 

アトランタくんは汗かいたと言って自ら構えを解き、シャワー浴びるからと言ってくるりと後ろを向いた

 

「Atlanta!マダ終わってないネ!Samはマダ怒り狂ってルネ!」

 

「チッ、ウッザ………はいはい、また今度遊んであげる」

 

「逃げるツモリ!」

 

「は?逃げるわけないし、あんまチョーシこくなよチビ、ハー……今日は見逃してやるって言ってんの?わかんないの?」

 

「キィー!!!」

 

俺は、ファーックス!と怒り狂うサムくんをまぁまぁ落ち着いて、そうイキリ勃たないでと紳士的に抑えていると、アイオワがアトランタくんに言った…

 

「それは、今日じゃなきゃOK、ってコト?」

 

「…そうね」

 

「OK、次はあのリングの上でヤリましょ?SamもそれでOKネ?」

 

「モチロンネ!!ギタギタにしてやるネ!」

 

「は?ナニ言ってんのこのチビ?」

 

「キィー!!!」

 



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提督と明石とわかる大人の話

明石無双

【登場人物】

提督(非モテ)
鬼畜眼鏡系ドS上司、好きな言葉はオレの下であがけ!

明石(非モテ)
金と権力が本当に好き、好きな言葉は金こそ全てだ!


菓子パンとタバコでも買いに行くかと明石の店に行くと、妙に小綺麗な格好をした明石が店のシャッターを閉めていた…

 

「よぉクソヤロー、どっか行くのか?」

 

「ゲェーッ!テイトク!」

 

「ナニがゲェーッ!だ無礼てんのかテメーは」

 

誰の許可得て勝手に店閉めてんだコイツは、もし俺が今すぐ必要な八八セットをお買い求めのお急ぎのお客様だったらどうする気なんだ?あ?無礼てんのか?

 

「閉める前にカレーパンとタバコくれや、あと手書きの領収書」

 

「今日はもう店休です、コンビニにでも行って買えばいいじゃないですか?ってかウチ手書きの領収書やってないんで」

 

「俺はお前の店で買いたいんだよ、オラ!モタモタすんなピンク、早くしろよ、お客様には笑顔で接客、パンチラぐれー笑顔でサービスしろよ」

 

「イヤですよ、もう閉めたし………ってか私、これから街に買い物に行くんですから、はい、しっしっ!」

 

「んだとテメー、提督様のお買い物を拒否しといて自分はお買い物に行こーってのか?アァ?チョーシこいてんのかテメーはよォ?だいたいなんだ?そのオシャレな服は、合コンにでも行くってのか?オォン?」

 

「ハッ?大淀や足柄さんじゃあるまいし、私が気合入れて合コンに行くと思いますか?」

 

「思う」

 

「即答かッ!!」

 

キレのある返しでぶつくさ言っていた明石だが、どうやら閉めたシャッターを開ける気はマジでないらしい

 

「チッ、仕方ないな……しゃーない、メシ食いに行くついでに外に買いに行くか」

 

「そうしてくださ………あ、提督、もしかして車で行きます?」

 

「車で行くからなんだ?ブッ殺すぞ」

 

「いや、車出すならついでに駅か、暇ならむしろ街まで乗せてくれたらいいなと…」

 

「ブッ殺すぞ」

 

「いいじゃないですか、どうせ車で行くんでしょ?」

 

「自分の車で行けよ、自分の、ブッ殺すぞ」

 

「いや、提督がアッシーしてくれるなら外で飲んでも帰りは楽…」

 

「ブッ殺すぞ」

 

「ブッ殺すブッ殺すって!なんなんですか!たまには私の労をねぎらっても良くないですか!?」

 

「俺はおばあちゃんからピンクと淫乱には容赦するなと言われてるんだ、オマエはなんだ?あ?ピンクだろーが、しかも制服のスカートにスケベスリットとか淫乱以外の何者でもないだろーが、淫乱でピンクとか救いようがないだろーが」

 

「おばあちゃんピンクになんか恨みでもあるんですか!?………ハァ、もういいです、提督みたいな器もチ●コも小さい男に頼もうとか考えた私がバカでした」

 

「オイ、誰が器もチ●コも小さいだコラ?またケツの穴から卵ブチ込んで擬似産卵させられてーのか?」

 

◆◆◆

 

小腹も減ったしタバコも吸いたい、そんな気分からどうせ街まで行くのだと車を出し、明石と共にやって来た市街地…

ちなみに車内で、アレは産卵なのか排泄なのかよくわからないですよねとくだらない話をし、結果として、気分的に排泄寄りですがとの答えに行き着いた…

 

「んで?オマエは何の買い物するんだ?ニ●リか?サ●ダか?イ●アか?」

 

「なんで家具ばっかなんですか、普通に服とか鞄とかですよ」

 

「ふ〜ん」

 

「なんですか?その、なんだつまらんみたいな顔は、私が普通に買い物してたらおかしいんですか?」

 

「オマエなぁ、オマエ……アレだよ、アレ、そう、アレだ、イメージってのがあるだろ?イメージってのが、オマエはなんだ?工作艦か?」

 

「…工作艦ですけど?」

 

世の中、工作艦明石と言えば、工具や電材が大好きで買い物と言えばホームセンター、もしくは煌びやかな街の裏にあるスラム風ストリートにひっそりとある法的にギリギリ大丈夫なモデルガンとか売ってる店に行くのが定番だろう…

 

「それがなんだ?あ?服だぁ?鞄だぁ?チャラチャラしたモンをお買い求めって、オマエ工作艦を無礼てんのか?全国の明石さんに謝れよ!」

 

「なんなんですか!?なんで私そこまでディスられなきゃならないんですか!?ってか、全国の明石さんだってファッションに興味ありますよ、たぶん!」

 

「ハッ?」

 

「うわっ、マジでムカつくわー、ないわー、この非モテメガネ、マジないわー」

 

「誰が非モテメガネだ」

 

「まぁいいです、私、服見に行きますけど提督も来ます?参考意見だせるなら」

 

「あ?出せるにキマってるだろーが、バカか?俺はファッションにはうるさい男だからな!」

 

「ハッ?」

 

「オイなんだ今のは?鼻で笑ったか?あ?」

 

「べっつにぃー!」

 

ーーー

 

服!鞄!靴!化粧品!世の中には男が付き合うべきではない買い物がたしかに存在する…!なんと言うか……この時間?無駄じゃね?もうメンドくさいからそれでいいだろ?もうそれで良くね?と男なら誰しもが考えるだろう…

 

「腹減ったな」

 

「そうですね、いやぁ〜…悪いですね、付き合ってもらっちゃってー」

 

「本気で悪いと思うなら誠意を見せてもらいたいものだな」

 

「じゃ、ご飯でも食べて行きましょうか?付き合って貰ったお礼に私が出しますよ」

 

「そうか、じゃ………あのホテルにするか、そこそこデカいし、お高価いディナーあるだろ」

 

「あの、見るからに高価そうなホテルとかテキトーに選ぶのやめてもらえません?もっと普通のにしましょうよ、何にします?牛丼にします?それともラーメン?」

 

「オマエそのオシャレ服でよく牛丼とかラーメンとか言えるな」

 

「べ、別に良くないですか?」

 

見た目はアレでもやはり中身はタダの明石か、そりゃそうだな…

 

「………たまには寿司でも食うか」

 

「回るやつですね」

 

「回らないヤツだ、あと、値札が時価とか最高だな」

 

「いや、それはさすがにカンベンと言うか…」

 

「冗談だ、アレにすっか、アレ、レモンステーキ」

 

「あー…いいですねー、提督にしてはいいチョイスですよ」

 

「ブッ殺すぞ」

 

「あははは、冗談です、小粋なアカシジョークですよ」

 

◆◆◆

 

後日…

 

「山風クン、なんか髪が刺さるのだが?」

 

執務室で書類に印鑑を押していると、執務室の重厚な扉を勢い良く開けて入室して来た山風は、ごく当たり前のように流れるような動作で俺の座る椅子と執務机の間に無理矢理身体をネジ込み俺の膝に着席した…

 

そこまではいつものコトだが、なんだろう?いつもトゲトゲしいが、今日のこの子はいつもより髪がトゲトゲしく、さっきからブスブスと俺のハンサム顔に刺さってくる、いけないなぁ、トリートメントをしていないのは…

 

「いや、だから痛いのだが?」

 

「…明石さんとおデートしたの?」

 

「は?」

 

「…明石さんが、テイトクとお出かけした、って…」

 

「あー…出かけたな、買い物に、しかし山風クン、お買い物とおデートってのは似ているようでまるで異なるのだよ?男女が2人で出かけたらそれはおデート……それは違うなぁ、まぁ、山風クンにはまだわからないかな?ガハハハ!」

 

「…ふ〜ん」

 

「ってか痛い!スゴく痛い!サミー!サミーさん!ちょっと、ちょっと!この子引っぺがして!おたくの妹さんでしょ!」

 

「え?普通にイヤですけど」



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提督と鈴谷と通常営業【その6】

誰もが羨むメインヒロイン回

【登場人物】

提督(メガネ男子)
浜風ちゃんの前ではいつだってピュアボーイ

鈴谷(自称)
誰もが羨むメインヒロイン様、扱いが雑
異常なタフネスとやたらと前向きなメンタルを持つ怪物


「ティーッス、メインヒロインオブメインヒロインの鈴谷様が遊びに来ましたよォー!」

 

「ナニがメインヒロインなのだよ」

 

四月!新しい年度が始まる!その、ステキな日に執務室にヘラヘラ笑いつつ現れた鈴谷は飲み物とかないすかねー?と執務室の冷蔵庫を開けてオレンジジュースの缶を取り出した

 

「ブハァ!うんめー!あれ?っーか今日サミー子は?休み?」

 

「休みだ、見たい番組でもあるんだろ、あとジュース勝手に飲むな、殺すぞ」

 

「ふ〜ん」

 

年度の始まりだと言うのに堂々と有給を使う専業秘書艦の鑑、サミー子こと五月雨…

まぁ、大してやるコトもないし、別にいつ有給取ろうが俺としてはどうでもいいが…

 

「じゃゲームしよーぜ!ゲーム!」

 

「なんで俺がオマエとゲームなんかせにゃならんのだクズが、とっとと失せろビッチが、目障りだ」

 

「クッ…!相変わらずの鈴谷に対する意識の低さ…!メインヒロイン様に対しての罵倒に容赦がまるでない!」

 

「ナニがメインヒロイン様だ」

 

自分をメインヒロイン様と勘違いしちょる哀れな負け確ヒロイン様がよう言うわい…

 

「まぁいい、今日の俺は機嫌が良い、故に、壁メリメリの刑はカンベンしてやるから今すぐ消えろ、この星からな」

 

「イヤだし、ってか機嫌が良いなら鈴谷に対してもーちょい優しくしてもよくね?慈悲の心があってもよくね?」

 

「慈悲の心か…」

 

俺は手にしていた基地スポを執務机に置き立ち上がるとヘラヘラとしまりのない笑いを浮かべる鈴谷の腹に自慢の拳をブチ込んだ

 

「天●破邪魑魅魍魎ーッ!!」

 

ドンッ!!(お腹パンチ)

 

「パウロッ!!」

 

天●破邪魑魅魍魎をその身に受け、鈴谷は光る吐瀉物を吐きつつ床を転げ回った

 

「ナニが慈悲の心だ」

 

しかしアレだ、こうしてクズに死と言う名の救済を与えるのもまた、慈悲と言えるのかもしれんな…

 

「ウゥ……ゲホォ!ブフッ……ハー…ハー……!ちょ、なんで今、殴ったし?」

 

「ほぉ、まだ立ち上がるか」

 

「鈴谷別に悪くなくね!?殴られるよーなコトした!?」

 

「やかましい、オマエは生きちょるだけでビッチと言う名の大罪じゃあ」

 

「ビッチじゃねーし!」

 

大したタフネスだ、俺の慈悲を受けなお立ち上がるとは、超A級サキュバスの二つ名は伊達じゃないな…

おそらくコイツに救済を与えるには直腸に聖水を流し込みお腹の中からキレイキレイするぐらいしなければ駄目だろう…

 

「まぁいい、わかったら失せろ、頭が高いぞ」

 

「頭が高くねーし」

 

天●破邪魑魅魍魎のダメージから復帰したのか、鈴谷はヘイヘイヘイ!と文句を垂れつつ執務机によっこらセクシーとか言って腰かけた

 

「降りろ、机が腐る」

 

「腐らねーし」

 

チッ…いつもながらしつこいヤローだな、いつもなら問答無用のスネークバ●トでそのキレーなツラを壁にメリ込ませるところだが、今日の俺は機嫌が良い…

 

とりあえず自分の椅子に戻った俺は再び基地スポを広げた

 

「ねー?なんかゲームとかしよーぜ!ゲームとか!」

 

「うるせぇな、ヤりたきゃ熊野とでもヤれよ、熊野と」

 

「熊野ねぇ、熊野のヤロー、朝からなんかワケわからん水偵イジってて話しかけたらファックしか言わねーのよ」

 

鈴谷曰く、そろそろジャペンカップがどーのこーのと熊野は熊野で忙しいらしい、今度ジュース奢ってやるついでにパンツでも見せて貰うか…

 

「で、鈴谷の暇を潰せるのは暇人オブ暇人のテイトクしかいないワケじゃん?」

 

「いないワケじゃん?じゃねーよ、頭蓋骨叩き割るぞ」

 

誰が暇人オブ暇人だ、どうやらこのクソビッチにもわからせが必要なようだな、この基地の絶対支配者である提督様の恐ろしさを…

 

「だからゲームしよーぜ!ドクターマ●オとか!」

 

「やかましい」

 

「じゃ、マ●オテニスでいいよ、鈴谷マ●オテニス超強いじゃん」

 

鈴谷はヤろうぜ!ヤろうぜ!と執務机の上でギシギシ尻を躍らせる、まったく、どんだけしつこいんだコイツ…欲求不満か?

 

「ゲームか………よし、ならハンカチ落としでもするか」

 

「は?ナニそれ?」

 

ハンカチ落とし…ッ!!

 

それは、ハンカチを落とすプレイヤーがドロップ側、振り向いてハンカチが落ちたのを確認するプレイヤーがチェック側とし、それを交互に担当していく

1ターンは1分間とし、ドロップ側は必ずその時間内にハンカチを落とさなければならない、そして、チェック側は必ず一度だけ振り向かなければならない…

 

チェック側が振り向いてハンカチが落ちていればチェック成功、落ちていなければチェック失敗、ペナルティが課される…

 

「ナニそれ?超つまらなそうなんですけど?」

 

「ナニがつまらなそうだ、ペナルティはそうだな………全裸でラジオ体操な」

 

「厳しいッッ!!ペナルティが厳しいッ!!」

 

「やかましい、やるのかやらねーのか?」

 

「やらねーし、誰がそんなのや…」

 

「お前が勝ったら3万出そう」

 

「…ります!やります!!やらせてください!」

 

相変わらずのクズっぷりだなコイツ、金の為ならその身体を売るのに躊躇いがない、まっことビッチよ!

 

「よし、じゃオマエがチェック側な」

 

「よっしゃあーッ!!かかってこいやー!!」

 

気合い十分!!そんな意気すら感じる鈴谷は椅子に座るとクルリと後ろを向いた、その背中から立ち上るオーラには、勝つ…!絶対に勝つ!と気高き覚悟すら感じられる、その意気や良し、熱意や良し!

 

 

 

 

…………だが、現実とは非情である!!

 

 

「オラ、腕を大きくあげて、ノビノビと背のびの運動せんかい、笑顔でやれよ、笑顔で」

 

「チクショウ!チクショウ…!」ポロポロ…

 

「イェーイ!最上クン見てるー?今からおたくの妹が全裸でラジオ体操やりまーす!」

 

「ちょ!待てよ!スマホ!スマホやめて!」

 



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提督と急襲!東国関八州連合!

キュウシュウお花見列伝

【登場人物】

提督(メガネモブ)
サディスト、間宮のケツを舐めるように見てる

秋雲(夕雲型ヅラした陽炎型)
夕雲型なのか陽炎型なのかよくわからない記憶の中でフワフワした存在、提督とは仲良し

早霜(夕雲型)
秋雲には事故死して欲しい


春は桜、それだけで酒は美味い…

 

そんな風情と雅なものを感じつつ執務室で快●天を読んでいると、てぇへんだてぇへんだとか言いながら執務室へ飛び込んできた秋雲にナニがてぇへんなのかねと懇切丁寧に尋ねると、みんなで花見しようと基地の外れにある桜の木がある小川へ行くと、なんか緑の生物が陣取っているらしい…

 

「ありゃカッパっすよ」

 

「またカッパかよ」

 

カッパ、亀のような甲羅を背負い、頭に皿を乗っけたキュウシュウでもいたるところに存在していたとされる生物である…

 

「フーッ〜……カッパってオマエ、たしかカッパとは前に和解したろ?和解したんだから一緒に花見でもしろよ」

 

以前、我が基地に相撲の勝負を仕掛けてきた九千坊河童連合、その戦いは歴戦の勇者である我が基地の歴史の中でも稀に見る激戦であった事は記憶に新しい…

 

人類VSカッパ!アツく!ハゲしい戦いの末、試合が終わればノーサイド、敵も味方もない、俺たちは互いに肩を抱き笑いあった、人類とカッパはわかり合うコトができたのだ…

 

「や、それがまた前のカッパどもとは違うカッパらしいんすよ!」

 

「違うカッパってなんだよ?違うカッパって、カッパはカッパだろーが」

 

「とにかくちょっと!ちょっと一緒に来てやってくださいよ!」

 

秋雲から腕を掴まれグイグイ引かれるので、とりあえず俺はその現場へと向かうコトにした…

 

◆◆◆

 

『ぎょうじ』

 

『ぎょうじ』

 

………さて、早速そのカッパが陣取るお花見スポットへとやって来たワケだが、たしかにいるな、カッパ

とりあえず俺たちは以前のカッパとは違うカッパだと言うコトらしいのでこの草陰から様子を見ているワケだが………

 

いや、普通にカッパだろ?前のカッパとナニが違うんだよ、甲羅を背負って皿乗っけてる緑の生物やん?

 

「秋雲クン、提督にはどう見ても前のカッパと同じにしか見えないのだが…」

 

「や、それが違うんすよ、ねぇ?MUNESHIGEさん?」

 

「ぎょうじ」

 

「誰だよMUNESHIGEって……ってオイイイイィィィィィ!!!カッパじゃねぇかァァァァァ!!なんでカッパも一緒に隠れてるんだよォォォォ!」

 

俺、秋雲、そして対妖怪のスペシャリストでもある早霜ことキタローくんとさらにもう1人、俺達と同じ草陰にしゃがんでいたのはまぎれもなくカッパ…ッ!どう見てもカッパ!!

 

「ちょ!でかい声ださないでくださいよ!」

 

「…提督、御安心を、このカッパは前に相撲対決した九千坊河童連合のカッパです」ボソボソ…

 

「…はぁ?」

 

キタローくん曰く、今、俺達の隣にいるカッパこそ以前俺達と相撲対決をしたカッパの一味であり、あそこで花見場所を陣取っているのは同じカッパでも違うカッパらしい…

 

「ぎょうじ、ぎょうじぎょうじ」

 

「…あのカッパ達は東国関八州連合の者達らしく、自分達とは敵対関係にあるそうです」ボソボソ…

 

「そ、そうかね」

 

さすがはキタローくん、妖怪語に明るいな…

念の為に一緒について来て貰って良かったのだよ

 

「ぎょうぎょうじ、ぎょうじぎょうじぎょう!ぎょうじ」

 

「…東国関八州連合のヤツらはかなりヤバい連中らしく、敵対関係と言ったものの、自分達でも敵わない強豪揃い……だそうです」ボソボソ…

 

「へぇ〜…カッパ社会もなかなか大変なんだな」

 

かつて九千坊河童連合と東国関八州連合は全面戦争したコトもあるらしく、昔はそれなり互角に渡り合えていたそうだが時代は進み、自然環境の変化や時勢の変化、今の若者は相撲への関心が薄い相撲離れが九千坊河童連合弱体化の主な原因らしい…

 

そして!九千坊河童連合の弱体化の波に乗り、東国関八州連合は遂にここ!キュウシュウへと侵攻を開始した!

 

「ぎょうじ」

 

「…とのコトです」ボソボソ…

 

「なるほど、それで見知らぬカッパが我が物顔してウチのお花見スポットにいるワケか…」

 

…………ぶっちゃけ、いいメイワクだなオイ!っーかもっと別のトコで花見しろよ!別のトコで!なんでウチに来るんだよ!

 

「どうするんすか?テイトク」

 

「どうするってオマエ…」

 

秋雲の言いたいことはわかる…

 

ヤツらとヤるのか?それとも、このまま放置しヤツらが去るの待つか…

 

正直、ワリとどうでもいいことではあるが基地のすみっことは言え俺の預かるこの基地で好き勝手にされるのは面白くはない、しかし、東国関八州連合なるカッパ集団はあの九千坊河童連合よりも強く、それでいて残忍性、異常性も上!と聞く…

 

もしかしたら浜風ちゃんがヤツらから尻子玉をブチ抜かれるかもしれないリスクは避けたい…!

 

そんな葛藤に頭を悩ませていると、俺達が居るのとは別の草陰から何者かが立ち上がり、お花見スポットを陣取る東国関八州連合のヤツらのところへ向かい、そしてッッッ!!

 

『この中でイチバン強いヤツ!出てこいやァァァァァ!』

 

『ぎょう?』

 

『ぎょうじ?』

 

あ、あれは……!な、長門!大戦艦長門ォォォォ!!

 

間違いない、九千坊河童連合よりもキケンな集団と言われた東国関八州連合の前に、雄々しく!堂々と立つそいつの名は長門ッッッ!!

 

「キター!長門サンだーッ!」

 

「お花見ができなくて困っている私達を見かねて来てくれたのね!」

 

「ハラショー、コイツはメチャシブいよ」

 

「さすがは長門サンなのです!」

 

そして別の草陰に隠れていたらしい駆逐艦のアホガキどもも大戦艦長門の登場に大興奮に立ち上がり、辺りから一斉に長門コールが湧き上がった!

 

『ぎょ……ぅじ』

 

『ぎょうじ、ぎょうじぎょうじ!』

 

『ぎょぎょぎょぎょうじ!』

 

そんな長門に応えるかの如く、東国関八州連合の中から1人、立ち上がって首をコキコキと鳴らした

 

『フン、キサマが(ヘッド)か…』

 

『ぎょーじ』

 

長門VSカッパ…ッ!!その戦いは長門のフライングニーから開始(はじ)まったッッッ!!フライングニーの直撃を受け、よろめいたカッパだったがすぐに体勢を立て直し、お返しとばかりにナックルアローを長門に叩き込む!!

 

『ゴハァ………!フン、なかなかいいパンチだ、だが…』

 

『ぎょう!?』

 

必殺のナックルアローに倒れない長門に一瞬驚愕したカッパだったが、長門は両腕を上げ、パワー比べをしようぜと誘い、カッパはその誘いを見事受けた!!

 

『フンッッッ!!!』

 

『ぎょょょょょう!!!』

 

手ぇ四つからの純粋なパワー比べ!!長門もさすがだがあのカッパもかなりヤる!!あの長門と互角に張り合うとは…!

 

ーーー

 

『良い戦いだった』

 

『ぎょうじ…』

 

試合開始より32分23秒、長門の殺人技、長門バスターにより勝負は決した…

 

長門とカッパは互いの健闘を讃え合うようにガッチリと握手し、戦いは終わったのだ…

 

『ぎょうじ!ぎょうぎょうぎょうじ!ぎょーじ!』

 

東国関八州連合のカッパ達は長門を取り囲むと、ぎょうじぎょうじとぎょうじしながら長門を胴上げしていた…

 

「キタローくん、アレ、わっしょいとか言ってんの?」

 

「…新しい(ヘッド)万歳と言ってます、新(ヘッド)誕生です」ボソボソ…

 

「へぇ〜…」

 

さすがは妖怪語にあかるいキタローくんだ、正直、アイツらがナニ言ってるかまったくわからねーし、たぶん長門も

自分が東国関八州連合の(ヘッド)になったとかわかってないだろう…

 

 

後日、基地スポの一面には新(ヘッド)誕生!の見出しが載ったが興味がなかったので内容は読まずにエロ欄を読んだ…

 

「フーッ〜…相変わらず間宮のケツはエロいな…」





次回か次々回から節目の前の大長編回

最大最強の敵!あらわる!


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BUCKY①

なんやかんやでもうすぐ700回…

節目の前には必ずある誰得長編回のはじまりですって!

【登場人物】

仁科元大佐&大鳳(借りパク)
もう何度も借りパクしている坂下郁様の“逃げ水の鎮守府-艦隊りこれくしょん-”の中ボスにして最狂の紳士とその忠実な子分的存在のコンビ
間違っても善人ではなく、正義の味方でもなく、ついでに倫理観も持ち合わせていないかなり迷惑な人




キュウシュウよりもさらにずっともっと南…

南半球に位置するとある南の島で、男は四半世紀以上の時を過ごしていた…

 

照りつける南国の太陽、近くには滅多に船も通りかからない絶海の孤島…

 

その、過酷な環境においても男は胸に抱いた一つの目的の為に生きている、いや、生きていたッッッ!!

 

 

………そして、もう何度目かの夜明けと日没かを数えるのもやめて久しいその日、男が住む島に四半世紀以上ぶりに何者かが上陸したッッ!!

 

「この島で間違いないのですか?大鳳」

 

「ハイ!間違いないハズです」

 

「ふむ…………見たところ、無人島のようですが?」

 

「間違いないハズです!」

 

「ふむ………ま、いいとしましょう、誰もいないなら誰もいないでたまには無人島でバカンスと言うのも人生においては良い経験になるかもしれません、そして、誰もいないと言うのなら…」

 

男は着ていた衣服をスタイリッシュに脱ぎ、その、ギリシャ神話のように眩しい肉体を照りつける太陽の下で晒した

その姿は、まるでミケランジェロの彫刻が動き出したかのような躍動感…

 

「誰に気がねするコトもないと言うコトです」

 

「大佐、私がいます!」

 

「ふむ、それもそうですが………大鳳、アナタに対して私が気がねしたコトが一度でもありましたか?」

 

「あ、ありません…」

 

「その通り、つまり私はアナタに対して限りなく全幅に近い信頼を抱いていると言うコトです」

 

全裸の男は共に行動していた小柄な少女の肩に手をやり、ニカッ!とイケメンだけが許されたスマイルを浮かべた

 

「た、大佐ぁ…!」

 

男の名は仁科、元・海軍技術将校であり、彼が軍籍から抹消された後、彼の技術に続く者は現れていない、神の腕と悪魔の頭脳を併せ持つ不世出の天才…

 

 

ただし、彼は変態だった

 

 

変態だった

 

 

大事なコトだから二度三度言うぜ?変態なんだぜ、彼は…

 

◇◇◇◇◇

 

「………さて、無人島と言いましたが、大鳳」

 

「ハイ!なんですか大佐、バーベキューでもしますか?すぐに準備できます」

 

「バーベキューはまた今度でいいとして…」

 

どうやら大鳳の報告に間違いはなかったようですね…

 

私の住む島からさらに南に300キロ、どこの国や勢力から見ても何の意味も価値ももたなそうなこの島に、何か正体のわからない強大な反応を感じたと言うワケでわざわざ見に来たワケですが……

 

この近海に深海棲艦の根城があると言うワケでもなく、かと言ってどこの所属と言うワケでもない………ふむ

 

「そこに隠れている方、何か私達に御用ですか?」

 

海側とは逆に位置する原生林、そこに確かに居る誰かに声をかけると、誰かが動く反応があった…

 

「…もしかして、この島の所有者か何かですかね?そうだとしたら勝手に上がり込んだ無礼はお詫びしましょう」

 

『………あんた、ニホンジンか?』

 

「はい?」

 

草陰から随分と浅黒く日焼けした壮年の男が姿を現した…

 

「まぁ、生まれと育ちは日本人ですね、一応」

 

現在は国籍も戸籍もありませんが

 

『そ、そうか!やはりそうか!やはりニホンゴだったな!いや、間違えるハズがない…!懐かしい……懐かしい故郷の言葉だ!』

 

「はぁ?」

 

男はようやく迎えが来てくれたのかと草陰からこちらに歩いて来た…

 

「オレ……いや、私は帝國海軍技術将校の原田だ、うん!貴官もそう……なんだ?随分と大変な思いをしてここまで来たのだな!うん!」

 

そう言って、原田と名乗る男は自分が羽織っていた汚い布切れを私に差し出した

 

「はぁ?」

 

………この布切れに一体何の意味が?

 

そんなよくわからない布切れを前にしていると、隣にいた大鳳が私に小声で耳打った…

 

「大佐大佐、たぶんその人、大佐が全裸なのでその汚い布で大佐の陰部を隠してはどうかと言っているのでは?」ボソボソ…

 

「なるほど、大鳳、アナタはたまに冴えてますねぇ」

 

なるほどなるほど、つまりこの男は私が衣服を失うほど大変な思いをしてまでこの島に来たと思っていると…

 

…しかし、私が気になっているのはそこではありません

 

この男、自らの所属を“帝國海軍”と名乗った点です…

 

今より数十年前、私がこの世に生を受けるより昔、たしか一時期海軍は“帝國海軍”と自らを称した時期があったと何かの資料で読んだコトがあります、ただ、この名称は諸般様々な事情からあまり長く使われるコトはなく、数年で改められたと…

 

「原田………えぇ、原田さんは技術将校と言うコトですが、どちらの所属で?」

 

「あー……私は中央司令部付の研究機関“深海進化研究室”と言う部門でな」

 

「深海進化研究室…?」

 

………ふむ、以前、何かの書類で見た名前ですね

技本よりさらに昔、技術も経験も未熟ながらも艦娘と深海棲艦の関連性を研究していた部門だとかなんとか…

 

私の見た書類ではある時期を境に部門自体がプッツリと抹消され、実際に存在していたかどうかも怪しい部署でしたが…

 

なるほど、彼がそうだと言うなら、本当に実在していた研究機関であり、彼は私の先達と言える男と言うワケだ…

 

「なるほど」

 

これは面白い!最近退屈していましたが、どうやら面白い話が聞けるかもしれませんねぇ

 

「ま、こんなところで立ち話でもなんですし、あちらに私が乗ってきた船があります、お話はそちらで…」

 

「そ、そうか!いや、そうですな…!」

 

原田技術将校を名乗る男は頭をガリガリ掻き、少し待って頂いてよろしいですかと一言断りを入れ自身が潜んでいた草陰の辺りへ声をかけた

 

「オイ!フブキ!オマエもこっちへ来い!」

 

フブキ…?

 

原田技術将校の呼び声に応じたのか、草陰の中に潜んでいたらしい少女が姿を現した

 

「大佐、あの娘…」

 

「えぇ、特型駆逐艦……吹雪型の一番艦ですかね」

 

吹雪型一番艦、吹雪………

 

大して珍しい艦娘ではないハズですが………どうにも違いますね、あの艦は、月並みな表現になりますが…

 

 

…普通じゃあない

 

 

◆◆◆

 

「はいもしもーし?おかけになった電話は金髪巨乳の美女以外は現在お取り次ぎできません」

 

『やかましいわボケ、サミちゃんに代われ、サミちゃんに』

 

桜咲く春の執務室、執務室の電話にかかってきたクソオヤジの電話を取ってしまった俺だったが鼻毛が気になって仕方がない

 

「なんでサミーなんだよ、ウチの秘書にセクハラ電話やめてくれませんかねー?」

 

『ナニがセクハラ電話じゃい、ワシは別にサミちゃんが何色のパンツ穿いてよーが気にしたりせんわい』

 

「オイ五月雨ェ!大将殿が今日オマエ何色のパンツ穿いてるかってよォー?」

 

『オイやめろォ!!ワシがサミちゃんにセクハラしてるみたいに聞くなァ!!』

 

ったく、うるせぇ老害だな、たまには痛い目をみるがいいわい

 

「レース入りのピンクですよ」

 

自分の机でクロスワードパズルを解いていたサミー子は心底イヤそうな顔をし、面倒くさそうに答えた………ってか答えるのかよ

 

「ヒョウ柄に金のモール入りだってよ」

 

『ウソ吐くなこのダボがァ!あーもうキレた、バ●ターコールするわ、オマエんとこにバ●ターコールな!絶対に滅ぼすわい!オ●ラのようになァ!!ガハハハハハー!』

 

「やめろォ!!」

 

な、なんて大人気ないオヤジだ…!

 

たかだかサミーのパンツの色如きでバ●ターコールするなんてイカレてやがる!





次回はその②
明かされる原田技術将校と梶輪大将の因縁、四半世紀の過去から戦慄の脅威が迫るッ!!


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BUCKY②

抑えきれない戦闘衝動

【登場人物】

原田技術少佐
クズ系真面目の技術者、天才型ではなく苦労型
かつて梶輪大将に島流しの憂き目に遭わされ非常に恨んでいる




とある南の島…

 

 

「さて、とりあえずどこからお話ししたらいいか…」

 

地図にも載ってないような絶海の孤島で出逢った元海軍技術将校と謎の吹雪型…

男の口から出た“深海進化研究室“と言う単語に興味を持った私は男と吹雪型を船に乗せ、自宅へと戻ってきたワケですが…

 

とりあえず、二人とも無人島暮らしが長かったせいか、匂いもキツく、身なりが些かワイルドな風貌なのでまずは身なりを整えてはいかがですかとシャワーを勧め、大鳳に服を用意させるとそれなりに現代風な装いになった…

 

「まずはそう、オレ……いや、私が何故あの無人島に追いやられたかをお話ししましょう」

 

男の名は原田、階級は技術少佐、かつて海軍本部付深海進化研究室と言う部門に在籍し艦娘と深海棲艦の関連性、そして、深海棲艦の特異性を艦娘に転用、もしくは流用する事が可能かを日夜研究に明け暮れていたらしく、度重なる実験と失敗を繰り返したものの、ある一定の“成果”には漕ぎ着けた…

 

それが“フブキ”…

 

最強の艦娘を目指し、深海由来の超絶パワーをその身に宿した艦娘…

 

………しかし、その成果に漕ぎ着けたものの、度重なる実験は一般的な見解や人道的な観点からすれば許されるものではなく、当初は支援や擁護の声があったものの彼が研究に没頭している間に擁護は批判へと変わっており、彼は世紀の研究を為した偉人ではなく、許されざる大罪人となっていた…

 

「……そして、オ!オレを軍から追放した男こそ当時海軍で数々の武勲を立て最も勢いがあった男、梶輪ァ!ヤツはオレの成果を認めず、あまつさえオレを拠点の意味すらない、あの何もない孤島へと追いやったのだァ!!」

 

彼は絶望した…

 

しかし、彼は絶望の中でも決して諦めはしなかった

 

彼は自らが生涯を賭して造りあげた成果は決して既存の艦娘に負けてはいない、むしろフブキこそ最も優れた艦娘である!

 

そして、いつかこの島を脱出し、あの男に、最強の艦娘であるフブキを使い、梶輪に復讐をしてやると固く誓い、それだけを心の糧として孤独に過ごしてきたのだ…!

 

---

 

「ヤツだけは……決してヤツだけは許さんッ!!オレはヤツに復讐するコトだけを考えて生きてきたのだッ!」

 

「…なるほど、お話はだいたいわかりました」

 

正直、彼の復讐など私にとってはどうでもいいのですが、あのフブキと言う艦娘にはかなり興味がある…

 

私が技本に入るより以前、深海進化研究室なる部署の資料はあまり無かったので詳しいコトはわかりませんが、彼は“堕天”とは違う方向にアプローチしたらしく、彼女はその“成果”と言うコトになります

 

まぁ、私も堕天を試みる前は色々ヤっているのでなんとなくの心当たりはありますが、私自身の出した結果とするならば、不安定、不良品、不具合だらけでどうにも使いものにならないと判断し、堕天と言う違う方向からアプローチしてみたワケですが…

 

彼は私が見棄てた研究を既に完成させていた、と言う点では評価できます

 

「…ふむ」

 

しかしこのフブキと言う艦娘、あまり感情に抑揚がなく、言うなれば感情制御のようなモノを施しているのか、もしくは実験による感情の欠落か…

 

どちらにせよ、私としてはあまり好ましいものではありません

 

「ところで原田技術少佐」

 

「ハ、はぁ?なんでしょうか?」

 

「その………梶輪とは、おそらくですが現在は中央司令部の大将じゃないかと…」

 

「た、大将ォ!?あ……あの男がァ!!」

 

「えぇ」

 

彼の話を聞くに、キュウシュウの狂犬と呼ばれ、数々の武勲を打ち立てて中央司令部へと昇ってきた男と言えばおそらく西の鉄拳、梶輪大将でしょう…

 

「オ、オレを追放したあの男がッ!!あの男が今や中央司令部に席を………!しかものうのうと大将の座におさまっているとはッ!!」

 

「まぁ、若い頃はそれなりの猛将だったそうですからねぇ」

 

まぁ、私も詳しくは知りませんが

 

「クッ…!ゆ、許せんッ!!クソッ!」

 

「まぁまぁそうイキり勃たないで、珈琲でもいかがですか?コナ珈琲」

 

「仁科大佐殿ッ!このオレの……いや、この私の復讐にどうか手を貸して貰えないだろうか!?」

 

「ふむ…」

 

復讐などしても何になりますか?と問いたいところですが、まぁ、今の彼には何を言ったところで無駄でしょう…

 

それに、その梶輪大将は既に前線を退いた身ですし、むしろ私自身が軍から……いや、既に公的に死んだ身ですし、あまり表立って大きなコトをするつもりはまるで無いのですが……

 

◆◆◆◆◆

 

「まったく、やはりア●ラ・トリヤマは最高ね」

 

「そうか?」

 

大してやるコトのないある晴れた昼下がり、TSUT●YAでDVDを借りてきたので一緒に見てあげてもいいわよと田舎生まれのパリっ娘育ちから誘われ、先程から駆逐艦や海防艦のバカガキどもが居る談話室でDVDを見ていた俺たちだったが…

 

「最高だったわ」

 

「そうですか」

 

ニホンのアニメが好きだと言うリシュリューだが、中でもAK●RAとア●ラ・トリヤマの漫画が大好きらしく、スーパーモデルみたいな見た目をしているのに駆逐艦や海防艦のバカガキどもに交じって大興奮で大満足といった風に、そのふわっとキンパツヘアーを手櫛で靡かせた

 

「1人用のポッドでかぁ?」

 

「コラァ!ちょっとは手加減しろォー!」

 

「手加減?手加減ってなんだぁ?」

 

…そしてアホガキどもはキャッキャとハシャぎつつも俺の食っていたポテチを当たり前のように食い散らし、ゲハゲハ笑っていた…

 

よし、全員処刑だな

 

「しかしリシュリュー、オマエ、スーパーモデルみたいな見た目のワリになんでニホンのアニメなんか好きなんだよ?」

 

「C’est une question stupide、好きなモノに理由は必要かしら?」

 

「なんかあるだろ?」

 

「…そうね、まだ私が小さい頃にテレビで見たからかしら?」

 

「ふ〜ん」

 

おフランスでもやってたのか?まぁ、どうせそんなモンだろうとは思ったが…

 

汗臭いコトが誰よりも嫌いそうなリシュリューのヤツが見た目に反してやたらとシュギョーパートに熱心なのはおそらくこの辺が影響しているだろうか…

 

「まぁどうでもいいか………オイ、クソガキどもちょっとそこに一列に並べ、一列に、全員ビンタするから並べ」

 

正直、リシュリューがAK●RAだかア●ラだか好きなのはどうでもいいとして、とりあえずさっきからキィーキィー猿みてぇにヤンチャして回るクソガキどもにわからせてやる必要がある、この基地の絶対支配者が誰なのかを…

 

そう心に決め、右手の指をバキバキと鳴らしていると、なにやらポケットの携帯電話が震えていたのでポケットから取り出し画面を見ると…

 

「………168から?なんだ?わざわざ電話など…」

 

ピッ!(通話開始)

 

「はい、もしもーし?テイトクのチ●ポでも欲しくなったのか?」

 

『ハァ?そんなワケないし、ちょっとツラ貸してくれない?』

 

「やだよめんどくさい、オマエが来い」

 

『別にいいケド、今どこ?執務室?』

 

「懺悔室」

 

『ウチ、懺悔室とかあるんだ〜…』

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

『死ねッ!』

 

ピッ!ツー…ツー…(通話終了)

 

なんて心の狭いヤツだ、俺の小粋なテイトクジョークを理解するユーモアが足りないな、168、たしかに彼女は優秀な艦だがどうにもユニークすぎ…

 

「む、またかかってきた……はいもしもーし?」

 

『今どこ?』

 

「オマエの後ろだ」




次回はその③
過去からの挑戦状、それは今


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BUCKY③

本日は珍しく二本立て
久しぶりに帰ってきた主人公(属性)

【登場人物】

フブキ(吹雪型)
原田技術少佐の造りあげた最強の戦闘力を持つらしい艦娘
一般的な吹雪型と比べると芋臭さが少なめらしく、見た目アニメ寄りのスタイリッシュ都会派仕様
仁科元大佐が興味を持つその実力は、未だ未知数…

天海ユウ(妹)
妖精が視える提督適性高めの少女、性善説と前向きで生きてるラブ&ピース

名前のない男(兄)
相変わらずシスコンの抜けんヤツめ…


この海に邪悪が蔓延る時、必ず現れる希望の戦士、軍艦の艤装をその身に纏い、己の肉体に秘めらたエネルギー“小●宙(コ●モ)”を爆発させて戦う、彼女らこそ海上の愛と平和を守る戦士………艦娘ッ!!

 

そして今より数十年前、その、艦娘達を率いこの海の平和を脅かす邪悪と戦った男がいた…

 

「フーッ〜………オイ、それは殺してくれってコトでイイんだよなァ?」

 

その、冷酷・冷徹・冷血な戦いぶりはキュウシュウの狂犬と敵味方問わずに恐れられ、戦いとは即ち血祭り、血祭りとは問答無用の鏖殺

 

「フーッ〜……よォーしワカった、オマエら、あのゴミ屑どもにワカらせてやれ、誰に喧嘩を売ってんのかをよォ〜.…」

.

吸っていたタバコをプッと海に吐き棄て、上着のポケットから新たなタバコを取り出し火を点けた男は一言、ブッ殺せ、と言って右手を振った…

 

彼の名は梶輪、後に、海軍中央司令部の大将となる男である…

 

◇◇◇

 

「なんとォ!?」

 

最前線から身を引き半ば現役を退いている梶輪大将…

 

その梶輪大将には彼の残虐性を……いえ、邪悪のDNAを引き継ぐ新世代悪行提督がいる事実が彼を行動させたッ!!

 

「大佐殿ォ!それは真実(まこと)でこざいますか!?」

 

「えぇ、真実です」

 

「梶輪めェ!!クソッ…!梶輪めェ!!」

 

技術畑出身ではあるものの、いちいち言動に暑苦しいモノを感じる原田技術少佐はテーブルをバシバシ叩き、もはや口癖のように“おのれ梶輪めェ!”と身をプルプル震わせている…

 

「そして………今アナタが、いえ、アナタの造り上げた最高の艦娘と梶輪サンの育てた後継者に復讐を果たすのです!」

 

「なるほどォ!!」

 

………正直、彼の復讐には1ミリも興味はありませんが、あの吹雪型に秘められたパワーには興味があります

 

そして、ぶっちゃけて言えば既に海軍に軍籍の無い……むしろ公的には死亡扱いとなっている私にまさか海軍の上層部、しかも大将に話を取り付けるとなると不可能ではありませんが少々面倒なコトになりかねません

 

ならば、少々面倒ではなさそうな地方のイチ、中佐クンに協力をして頂くとしましょう!

 

まぁ、こちらとしてもあの未来夕張型の件やらで“貸し”もありますし、無下にイヤとは言わないでしょう……

 

イヤとは、ね………

 

「キュウシュウの狂犬の跡を継ぐ男かッ!!ク!クックック!梶輪めッ!クックック!梶輪めェー!」

 

う〜む、やはり過酷な環境下での無人島生活が長かったせいか、少佐の頭も少々アレな感じになっていますか…

 

「ところで少佐、先ほどからフブキくんの姿が見えないのですが…?」

 

「クックック!!は?フ、フブキですか?おそらくは1階にいるかと…」

 

ーーー

 

「うまい、うまい、うまい」

 

「へぇ〜…フブキちゃんさんはずっとシレーカンさんと何もない南の島に居たんですね〜」

 

「そうなんです、あ、ユウさんもどうぞどうぞ、沢山作りましたので遠慮なくどうぞ」

 

とある南の島に居を構える仁科元大佐の町の家電修理屋兼私的研究ラボ…

 

その家電修理屋兼私的研究ラボには持ち込みの家電修理とはたまに違う目的の客もやって来る…

 

「ありがとーございまーす」

 

大鳳の作ったハッシュドポテトを口に入れ、これは美味しいですねぇ〜♪と上機嫌に笑う少女の名は天海ユウ

過去の事故で昏睡状態となっていたが仁科の手で長い長い眠りから目を覚ました

 

それからは一応経過観察と言うコトで、月イチペースでこの店に訪れ仁科による診察を受けており、仁科と同居している大鳳とも仲が良い…

 

「………それで?あのヘンタイ野郎は?」

 

「大佐はヘンタイ野郎ではありません」

 

そして、天海ユウと共にこの月イチペースの診察にやって来る名前のない男…

ルックスもイケメンな彼はユウや大鳳と同じテーブルにつくコトはなく、腕を組んだまま部屋の壁を背にしている…

 

「大佐はナントカ少佐とお話し中です」

 

「ふ〜ん…ナントカ少佐ね」

 

名前のない男はハッシュドポテトをバクバク口に放り込むフブキを一瞥し、小さな溜め息を吐いた

 

「うま………ウッ!!」

 

「あ、喉に詰まっちゃいました?えーと……あ、コーラしかないけど?」

 

ユウはペットボトルの蓋を開けてフブキに手渡すと、フブキはコーラをイッキに口の中に流し込んだ

 

「ゴフッ………ゴフッ…………ゲーップ!!な、なに?コレ…?シュワシュワ……口の中が、甘い、あと……シュワシュワ、する」

 

「コーラですよ?飲んだコトないんですか?」

 

「ない、はじめて……飲んだ」

 

「へぇ〜…で?どうでした?初コーラ」

 

「………シュワシュワした」

 

「そうですかそうですか♪気に入って貰えてなによりです、まだありますからね、ね?大鳳さん?」

 

「え?あー……たぶん、なかったら買ってきます!」

 

女三人集まればなんとやら……

名前のない男も別段、この見覚えのない艦娘に警戒する必要はなさそうだと考えていると、部屋の扉が開き、店の主である仁科とこれまた見覚えのない壮年の男が部屋に入って来た

 

「フブキ!ナニをしている、そろそろトレーニングの時間だぞ!」

 

「…わかりました」

 

「フン……ん?なんだその黒いのは?」

 

「これは………コーラ、です」

 

「そんな身体に悪そうなモノを飲むな!!オマエには私が用意したメニューだけでいいんだ!余計なモノは必要ない!」

 

「…わかりました」

 

原田はフブキを咎めると、さっさと準備をするんだなと早々に部屋を出て行った…

 

「む〜……感じ悪いですねぇ、フブキちゃんさん、あんなイジの悪そうなシレーカンさんの言うコトは聞かないでいいんじゃないですか?」

 

「私も同意見です!大佐に比べて……いえ、大佐と比べるなどおこがましいですが…」

 

ユウと大鳳は互いにウンウンと頷きフブキを見るが…

 

「………司令官のことを悪く言うのは、いけません」

 

フブキはそう言い、ごちそうさまでしたと頭を下げて原田の後を追って部屋を出て行った…

 

「…オイ、なんなんだ?アレは?」

 

「さぁ?新しいオモチャ、とでも言った方がいいですか?」

 

「何がオモチャだ、クズが」

 

「クズとは心外ですねぇ」





次回は④

遂に対峙する過去からの因縁(他人の)
最強の敵を迎え討つのは最強の………


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BUCKY④

南半球激震!高まる戦闘艦のPRIDE!

【登場人物】

提督(中佐)
モクモクしちょるだけの敗北者、暁ちゃんの誕生日には毎年大きなぬいぐるみを用意している

伊168(潜水艦)
スーパーエリート集団潜水艦の1人、スマホ依存症
最近は喋って動くガラケーも持っており、よくブン投げている

村雨(ビッチ)
若くしてビッチオブビッチの鈴谷に匹敵するビッチ臭を身につけたビッチ界のホープ
その、駆逐艦離れした超肉体は並みの提督ならギンギンになると噂されている


「ここがその指定された島か…」

 

「そうみたい」

 

キュウシュウより遥か南、ニホンの領海から外洋に飛び出した場所に存在する地図にもギリギリ載っているかいないか微妙な島…

 

つい先日、168のところに例の南国在住変態紳士から連絡があり、話の内容は非公式の演習に付き合って欲しいとのコトだが…

正直なところイヤな予感しかしないのは俺の日頃の行いが善いからだからだろうか…?

 

「そういやテイトク、なんで今日は秘書艦サミー子連れて来てないの?」

 

「アイツは留守番だ」

 

168の質問に、ハッキリ言ってこの戦いにはついて来れそうにないからな!と答え、胸ポケから取り出したタバコに火を点けた俺はケムリを吸い込み、ケムリの輪っかを吐き出した…

 

「オイ、オイ!キヨシ、オマエジュース持ってたよなぁ?1本くれ」

 

「え?ヤダ」

 

「アァ?ケチクセー野郎だなぁ~」

 

今回俺が演習に選んだのは自販機コーナーでいかにもヒマそーにウ●コ座りしていた夕立と村雨、そして、どっかに遊びに行くなら付いていくと駄々コネて付いてきたアホのキヨシとリベッチオ、あとは片手スマホで道先案内に連れて来た168……

乗って来た船で大音量のラジカセをズンチャンズンチャン鳴らして踊るバカどもに若干イラっとはしたがすぐにCOOLを取り戻した

 

「オマエらァ!!俺達は遊びに来てワケじゃねぇんだぞ!気を抜いてるんじゃない!」

 

「へいへい、わかってますよぉ~」

 

「言われなくてもわかってるっぽい」

 

…女を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだ、いや、そうでもないか、まぁいい、コイツらは女と言うよりは兵器と考えよう、殺す事でしか価値を見出ださせない殺戮の為のマシーンだ…

 

そんなイライラをケムリと共に吐き出しつつ演習の相手であるヘンタイ博士の姿を捜していると、168があっちに誰かいると言った

 

「ほら、あそこ」

 

「よく見えるな、俺にはよくわからんが…」

 

「メガネが曇ってるんじゃない?」

 

「そうかもな」

 

◆◇◆◇◆◇

 

「あの見るからに横柄さが滲み出る姿……ッ!間違いない!あの男にそっくりだッ!!」

 

「はぁ、そうですか」

 

「この数十年片時も忘れたコトはない!!オレを絶望に突き落としたあの男!!」

 

そんなに似てますかねぇ、まぁ、私は梶輪大将とやらは中央で何度か見かけた程度ですし…

 

まぁ彼がそう言ってるならワリと似ているんでしょう、彼自身の中では…

 

「さて…」

 

お待ちかねの復讐相手が到着し、原田少佐はギリギリと歯ぎしりをしつつ中佐クンが船を降りるのを待つ…

あちらの連れて来た戦力は〜………ふむ、駆逐艦4、それに潜水艦が1、随分と手を抜かれましたか…

 

欲を言えば、あの未来夕張型を期待していましたが、ま、いいでしょう

 

「お久しぶりですねぇ」

 

「そうかぁ?」

 

中佐クンは吸っていたタバコを吐き捨て、それを器用に蹴り飛ばす、ふむ………あまり喫煙マナーが良くはありませんね

 

「で?非公式な演習ってワケらしいが…」

 

「えぇ、ですが……その前にこちらの方を紹介をさせて頂けませんか?」

 

「紹介?」

 

「えぇ、こちらの方ですが〜…え〜……元帝國海軍深海進化研究室の~…」

 

「原田だァ!!!」

 

我慢できないと言った具合の原田少佐はズイッと私に前に立つ…

 

「貴様かァ!梶輪の弟子とか言う輩はッッ!!」

 

「誰がヤカラだ、っーかなんだテメーは?あ?」

 

「オレは帝國海軍の原田技術少佐、貴様の師である梶輪から地獄に叩き落とされ………ようやく舞い戻ったッ!!」

 

「はぁ…?」

 

とりあえず、このままでは話がまるで通じない感じなので原田少佐には少し宜しいですかと一旦矛を収めて頂き、中佐クンにこの原田少佐が一体何者なのか、そして梶輪大将とはどういった関係があるのかを懇切丁寧に説明すると、中佐クンはなるほどと頷き…

 

「そんなコトは知らん!!」

 

「なんだとォ!?」

 

「なんで俺があのクソオヤジの代わりに恨みを買わなきゃならねぇーんだ?知ったコトあるか!そんなに殺りたきゃ本人を直接殺れ!本人を!」

 

まぁ、そうなりますか…

 

「クッ……!!この傲慢さ、やはりあの男にそっくりだッ!!」

 

「まぁまぁ中佐クン、せっかく遠路はるばる来たワケですから……ここは一つ、私の顔を立ててくださいませんか?」

 

「ヤだね、オイ、オマエら帰るぞ」

 

これは困りましたねぇ、ふむ………

 

「逃げるつもりかッ!!」

 

「………あ?オイ、ジジイ、今、なんっつた?」

 

「フンッ!まぁ、キサマ程度ではオレの最高傑作であるフブキに勝てるハズがないがな!ガァーッハッハッハ!、ガァーッハッハッハ!」

 

「………オイオイオイ、随分と舐めた口利いてくれるじゃねぇかこのジジイはよォ~」

 

どうやら少佐の一言が中佐クンのPRIDEを刺激してくれたらしく、つい先ほどまでのやる気なさげな態度から一変、やる気になってくれたようです

 

「いいだろう、夕立、村雨、そのジジイに誰にケンカを売ってるのかわからせてやれ」

 

「へいへいっぽい」

 

「はいは~い」

 

………ふむ、まずは駆逐艦2人で様子見と言ったところですか

 

「フンッ、オイ!フブキ!準備はデキているんだろうなァ!」

 

「……」

 

そして例の吹雪型、フブキ………ふむ、お手並み拝見といきましょうか

 

「殺れい!!フブキーッ!!!」

 

「グッ!!!グオオオオオオオオオオォォォォ!!」

 

ーーー

 

雄叫びと共に解き放たれたフブキが飛び出すッ!!!

 

ズドンッッッ!!!!

 

「フンッ!やるじゃないの…っ!」

 

真っ直ぐ向かってきたフブキのパンチをガードした村雨だったが、勢いが強いのか身体ごと後方へと跳ばされるッ!!

 

「ウゥゥゥ!!」

 

「フン、この程度なら来週の村雨が相手するホドでもないわね!」

 

「オラァ!!」

 

「ナニがオラァよ!この田吾作がァァァァァ!!」

 

力任せにパンチを繰り出すフブキに対し、村雨は手にしていた鎖を絡ませてフブキを転ばし、その身体を掴み上げて自分の肩の上に仰向けに乗せ、さらにあごと腿を掴みフブキの身体を弓なりに反らせるッ!!

 

「コイツはメチャ許さんよなァァァァァ!!」

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァー!!」

 

ーーー

 

「バ、バックブリーカー!!あんな荒技を…ッ!!」

 

「あっはっはっは、コレまた随分とアレな技ですねぇ」

 

らしいと言えばそれまでですが…

 

「ところで原田少佐、フブキはやはり実戦慣れしてないようですが…」

 

「は、はぁ…なにぶん、何もない島でしたので、トレーニングは積ませていたのですが…」

 

「ふむ、ま、それもそうですか…」

 

しかしまぁ、荒削りではありますがフブキに隠された力はこの程度ではないでしょうし、ここはまだ様子見ですかねぇ

 

「フブキ!!ナニをしているッ!そんなもの力づくでなんとかせんかーッ!!」

 

原田少佐の声に反応したのか、バックブリーカーに苦しんでいたフブキは身体を激しく動かし、村雨のバックブリーカーから脱出し地面に転がって立ち上がると再び村雨に向かって真っ向から仕掛けた

 

「ラァァァァァァ!!」

 

「フン…!!コイツ…!!」

 

…ふむ、どうやら実戦経験が足りない分はこの戦いで十分に補えそうです

 

ーーー

 

「おースゴいっぽい!アイツどんどん村雨についてきてるっぽい」

 

「フーッ〜…成長のスピードがハンパじゃないってか?」

 

おいおいおい、見たところあのフブキっての、改ですらないんだろ?まさか素のままでウチの村雨に追いつこうってのか?なんなんだありゃ…?

 

「オイ村雨ェ!いつまで遊んでやがる!さっさとそいつに来週の村雨の力をわからせてやれ!」

 

もしかしてあのフブキっての、とんでもないバケモノなんじゃないのか…?

 

「オイ168、バケツ持ってきてるか?」

 

「は?持ってきてないケド?」

 

「そうか」



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BUCKY⑤

とびっきりの最強VS最凶!!

【登場人物】

フブキ(吹雪型っぽい何か)
司令官のコトを悪く言われるとちょっとムッとする本当は純粋で心優しい娘
プッツン改造計画唯一無二の成功だが以降には続かず、また、その詳しい改造計画は一切の記録が残されていない


「ドラァ!!」

 

「鬱陶しいわね!コイツ!!」

 

開戦序盤、経験値で勝る村雨優位の戦いかと思われたものの、戦うにつれて驚くべき速度で学習・急成長するフブキの猛攻に徐々に押され始めた村雨…

 

そんな村雨にイラついたのか、夕立は情けないヤツだ!と吐き捨て飛び出すとフブキの背中に強烈なハイキックをブチ当てた!!

 

「ッシャア!!」

 

「ガハァ!!!」

 

「チッ…!ちょっと夕立ィ!まだ私がヤってるじゃない?空気読みなさいよ!」

 

「やかましいっぽい」

 

夕立の強烈ハイキックを浴び、地面に転がったフブキ……

 

マトモな艦なら痛みで転げ回るコトは必至………だがッ!!

 

「グッ!!グオオオオォォォォ!!」

 

マトモじゃない………っ!

 

この吹雪型は普通ではない、雄叫びを上げ、凶々しいオーラとさらにパワーを増したフブキは村雨、そして夕立に襲いかかる!

 

「なかなかヤるっぽい!」

 

「こいつは1対1に拘ってる場合じゃなさそうね!」

 

---

 

「ハッハー!!いいぞォ!いいぞフブキ!」

 

「…ふむ」

 

駆逐艦とは言え高練度の改二改装済みの艦娘2人を同時に相手してまだまだパワーが上がる…

たしかにフブキの性能には素晴らしいものを感じます

 

「ところで少佐、あのフブキの力ですが、アレは深海棲艦由来のモノで?」

 

「は?あ、はぁ、その通りです」

 

原田少佐曰く、フブキの力はその身に宿した姫級深海棲艦の力を引き出しているものらしく、本来ならば完全に深海棲艦化するものを無理矢理その体内で押し留めており、長時間の運用にはやや向かないとのコトですが、短期決戦として投入すればたしかにあらゆる艦娘、そして深海棲艦を圧倒できるでしょう…

 

「…ふむ」

 

しかしこうして見るに安定性はやはり怪しいものです

“堕天”ですら確実化は不可能なのに、おそらくは素体の相性、そしてなにより、運が良かったのでしょう…

 

「ところで大佐殿、一つ聞きたいことがあるのですが…」

 

「なんでしょう?」

 

「あの艦娘……白露型の村雨と夕立と言ってましたが、どうにも私の知る白露型とは容姿が違う気が…」

 

「あぁ、アレは改二ですよ」

 

「改二…っ!?バ……バカな、ま……まさか!改二が既に実装されているとは……!不可能ではなかったのか…ッ!」

 

「ハハハ…」

 

嗚呼、そう言えばこの人、もう何年も外界から閉ざされた島に居たんでしたね…

たしかに改二を知らないのも無理もありませんか

 

「艦によっては改二を更に超えた改二、そして改二の上をいく改装も既に実用化されていますよ」

 

「バカなッッッ!!!」

 

そして、あのフブキにもそれを超える力は十分あるかと…

 

ならばその力を解放するきっかけ、いえ、(トリガー)があるとは思いますが…

 

「………ふむ」

 

…………試してみますか

 

「原田少佐」

 

「は」

 

 

パン――――ッ!!!!

 

 

「…………は?…………あ?」

 

 

---

 

「ヘイ!村雨!ヘイ!」

 

「オーケー夕立!」

 

夕立村雨コンビVSフブキ、2対1とは思えぬほどの猛攻を見せるフブキだったが流石に分が悪いのか、夕立と村雨のタッグ必殺技!クロスボ●バーをマトモに被弾し、地面に転がった

 

「ポーイ!村雨!ポーイ!」

 

「イェイェーイ!」

 

「ガ、ガハァ!!……ガァァァ!!ガハァ!!フー!フー!……」

 

「ゲッ…!コイツまだ立つっぽい」

 

「チッ、しぶといヤツね…」

 

予想以上の苦戦を強いられたとは言え、フブキをかなり追い込んだ夕立と村雨…

おそらくもう一踏ん張りぐらい痛めつければ勝負は決するだろうと思い始めていたその時だった…

 

『あー………フブキさーん、フブキさーん!聞こえますかー?』

 

「ん?」

 

「なんかあっちで白衣が叫んでるっぽい」

 

『大変ですよォー!アナタの司令官さんがコロされてしまいましたよォー!』

 

「!?」

 

仁科元大佐の側で仰向けに転がっている原田技術少佐の姿を見て、フブキの動きが止まり………そして!!

 

「うっ……うっ!うわ!ウワアアアァ!!アアアアアアアアアアアアアアアア――――ッ!!!」

 

 

―――――――――――――ッ!!!!

 

『ウゥゥゥゥ!!!』

 

 

姫級深海棲艦を彷彿とさせる白い髪とあきらかに怒り狂う禍々しいオーラを放つフブキは絶叫を上げてその真の力を解放したッ!!

 

「な、ナニっぽい!?」

 

「ちょ…え?ナニアレぇ!!夕立!あんなズラ型見たコトある!?」

 

「ないっぽい!!」

 

「こ………これは遊んでる場合じゃないわ!」

 

『ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァーッ!!!』

 

◆◆◆

 

「オイオイオイ!なんですかァ!なんなんですかぁ?なんだよあのモンスターは!オイ168!なんだアレは!?」

 

「や、私に聞かれても知らないし!」

 

マジでマトモな艦じゃないと薄々感じてはいたが…なんだよありゃ?新手の改二か?それとも深海吹雪姫かナニかか?

 

とりあえず、さすがにあんなモンスターが相手では話が違い過ぎる!殺るか殺られるか、演習の域を超え過ぎだ!

俺は白衣の変態紳士にヘイヘイヘイと詰め寄ると変態紳士は、いやぁ〜!やってみるものです、成功しましたねぇ〜とヘラヘラ笑っていた

 

「オイコラァ!!なんだよアイツは!聞いてねぇぞ!」

 

「まさしく、まさかこれほどとはですねぇ、いや、実に素晴らしい」

 

「ナニが素晴らしいだ!?」

 

今や最凶最悪のモンスター駆逐艦と化したフブキを前に夕立と村雨ではまるで歯が立たないらしく、顔面を掴まれた村雨は地面に何度も叩きつけられたり、夕立も変形パイルドライバーで地面にメリ込んだりしていた…

 

「オイどーすんだアレ?」

 

「さぁ?どうしましょうかねぇ」

 

「他人事かッ!!」

 

クソッ!このヤロー…!まるで役に立たねぇ!!

いや、待てよ…!たしかこのヤローは全身凶器のサイボーグ戦士だったか

 

「まぁ、少し足止めぐらいは協力しましょうか…」

 

そう言って、変態紳士は白衣……と言うか、服をスタイリッシュに脱ぎ捨てたッ!!

 

「何故脱ぐ…」

 

「服が汚れますからねぇ」

 

あぁ、そう……変態紳士はニカッ!白い歯で笑い、暴れ回るフブキのところへスタイリッシュに飛び出す!

 

しかし足止めか……戦闘要員の夕立と村雨は既にフルボッコ状態、あとは168と…

 

「アタシ絶対やらないわよ」

 

道案内だけって言うから来たんだからね!と強く拒否する168………クッ、コイツ、いざとなったら1人で海底まで潜って逃げる気か

 

「と、なると………」

 

残るは遊び半分に付いてきたアホの清霜とリベッチオだが…

そのアホ駆逐艦コンビはさっきからもうダメだぁ!おしまいだぁ〜とか言いながら2人で抱き合ってガタガタ震えていた…

 

「………仕方ない、オイ、清霜、リベッチオ、合体するぞ!」

 

「が、合体?」

 

「あぁ!2人が合体すればスゲーパワーになる!戦艦にだって勝てるぞ!」

 

「え?ホントに!?じゃあやる!!」

 

「じゃあリベもやる!」

 

チョロいなコイツら……あまりにチョロ過ぎて提督はこの子らの将来が心配なのだよ、まぁいいけど

 

「いいか?2人でこうやるんだ、フュ〜………ジ●ン!ハアッ!!こうだ!やってみろ!」

 

俺は以前、暇潰しにリシュリューと練習していたフュージ●ンの正しい動きを実演してみる

 

「うえっ!カッコ悪っ!!それホントにやるのー?」

 

「し、死んだ方がマシかも…」

 

「やかましい!!ほら、さっさとやれ!戦艦になりたくないのか?あとで、アイス買ってやるから!」

 

「マジで!!じゃあやる!私右やるからリベ左ね!」

 

「わかった!」

 

マジでチョロいなコイツら……しかし、こんなところでモタモタしている時間はあまりない、もはや夕立と村雨のバカコンビもメリ込んでいない時間よりメリ込んでいる時間の方が長い…ッ!!

 

「フュ〜………」スタスタ

 

「………ジ●ンっ!」バッ!

 

『『ハアッ!!』』

 

 

カッ―――――――――――――!!!!

 

 

「おぉ!!」

 

「な、ナニ!?成功したの!?」

 

俺と168の前に立つそいつは………

 

清霜でもない…

 

リベッチオでもない…

 

眩いオーラを放つ究極(アルティメット)合体戦士(フュージ●ンファイター)ッッッ!!!

 

『『ヘヘッ…!』』

 

「よ、よし!!行け!行って片付けて来い!!え〜……っと、なんて呼べばいい?」

 

『『え?あー……キヨシとリベッチオが合体したからぁ〜…え〜っと…』』

 

「もういいさっさと行けッ!」

 

『『え〜っと……あ!そーだ!リベッシモでいいや!リベッシモね!』』

 

 





次回
最終決戦!!究極合体駆逐艦VS最凶進化駆逐艦!
南半球まるごと超決戦!死ぬのはオマエだ!


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BUCKY⑥

最大の敵、駆逐艦

【登場人物】

リベッシモ(リベッチオ×清霜)
リベッチオと清霜が合体した究極合体戦士、やたらと高い戦闘力を持ち、もしかしたら大和さんより強いかもしれないと言うのが提督の見立て

フブキ(フルパワー)
腰に毛皮巻いてる系ガールのフルパワー状態
肩にちっちゃい建機乗ってるのかい?


なるほどなるほど、予想以上と言う言葉がこれほど似合うとは…

 

正直“堕天”に比べて如何なモノかとタカをくくっていたフシが私にもありました…

 

もしこの力を完璧に制御可能であるならば私の研究は更に先へ行くコトができるでしょう……“堕天”の更に先のステージへ…

 

「とは言ったものの、コレは些か良くない状況ですねぇ…」

 

役に立たない白露型を叩き潰し、さらに、私に対して牙を剥いたフブキですが、もはや知性どころか理性の欠片も見られず、その暴力的なパワーはこちらとしても“それなりの”装備が無い今、かなり厄介です、さて……

 

『!?』

 

「おや?」

 

どうしたものかと考えていると、目の前に見たコトのない駆逐艦?が現れた…

 

「どちら様です?」

 

『『フッ、私の名前はリベッシモ!清霜とリベッチオが“合体”した姿!』』

 

「あぁ……フュージ●ンってヤツですか?」

 

『『そうだ!でも2人のパワーを足しただけじゃあないぞー!さらに倍だ!たぶん!』』

 

そう言えば以前、未来世界のテイトク・ブラックとかなんとかを倒す際、私と中佐クンでヤりましたね…

 

なるほど、それを駆逐艦達に教えたと…

合体駆逐艦リベッシモは夕立さんと村雨さんを連れてこの場から下がっているんだなと力強く言い、フブキの方を向いて構えをとった

 

『『よぉ~……し!来い…ッ!!』』

 

『グゥゥゥ!!ガアアアアアアアアアァァァァァ!!』

 

 

ドンッ――――――――!!!

 

 

究極合体駆逐艦リベッシモと最凶進化駆逐艦フブキ!とびっきりの最強VS最強の戦いが今!幕を開けるッ!!

 

◇◆◇◆◇◆

 

「意外とやればデキるもんだな」

 

「ってかナニあれ?合体って…卑怯すぎじゃない?」

 

「フーッ~…やかましい、勝てばよかろうなのだ、卑怯・卑劣・姑息、俺がキサマらクズどもに常々教えを説いていたろーが」

 

168のヤツめ、まるで自分は常識人ですみたいなツラしやがって…

 

「ってか強くない?なんなの?夕村コンビがボコられたバケモノと互角にヤリあってるんだけど?」

 

「そりゃオマエ、フュージ●ンだからな」

 

まぁ、相性もあるんだろうがと考えていると、腕とか足とかが若干曲がってはいけない方向にプラプラさせた全裸のイケメンがウチのバカどもを引き摺りつつ帰ってきた

 

「いやぁ~…大したモノですねぇ」

 

「まぁな」

 

「しかしフュージ●ンとは、どうです?久々に私達も…」

 

「言ったハズだ!オマエとは二度とやらねーとな!」

 

前にテイトク・ブラックをブッ倒す時にコイツとフュージ●ンしたが、まぁ、今回は清霜とリベッチオだけでも十分だろう…

 

「クッ…!!あのクソカスがァァァァ!」

 

「よくもこの夕立様をォ!!殺す殺す殺す殺す殺す!」

 

そしてクズ2人組はフブキにボコボコにされたものの、二言目には殺す!と呪いの言葉を吐きつつ転がっていた…

 

「ってかテイトク、アイツ誰?」

 

「見たコトないっぽい」

 

「あれは清霜とリベッチオがフュージ●ンした究極合体駆逐艦、リベッシモだ」

 

「ハァ?」

 

「意味わかんねーっぽい」

 

俺は哀れな敗北者どもに合体により最強の戦士となったリベッシモについて懇切丁寧に説明してやると、哀れな敗北者どもはクソッタレがァと地面をバシバシ叩き悔しがり…

 

「………ハッ!?ま、まさか私と夕立がフュージ●ンすればさらに強くなるのでは?」

 

「村雨ぇ………オマエまさか、天才っぽい…?」

 

「テイトク!!今すぐそのフュージ●ンを教えなさいよ!!ほら!今すぐ!」

 

村雨は早くしろよ!モタモタすんなとグイグイきた、それはもうグイグイくるせいか、駆逐艦とは思えぬその村雨っぱいがグイグイくる、まったく、ナニ食ったらそんなやらしー身体に育つのかね、この子は…

 

「離れろビッチが、クセーよ」

 

「ビッチじゃないし、クサくもないし!」

 

とりあえず教えてやるだけならタダなので俺はフュ~…ジ●ン!の動作をバカどもに懇切丁寧に教えてやった

 

「こうだ、わかったかクズども」

 

「え?ナニそれ?カッコ悪いんですけど…」

 

「そんなもんやるぐれーなら死んだ方がマシっぽい…」

 

「なら死ね」

 

夕立と村雨はゴチャゴチャ文句タレてはいたが、覚悟を決めたのか、フュージ●ンのポーズを練習し始めた

 

「フュ~………」

 

「ジ●ン!よし!これでイケるっぽい!」

 

「えぇ!カンペキね!いくわよ夕立!」

 

「オーケー村雨!」

 

「フュ~………」スタスタ…

 

「ジ●ン!」バッ!

 

『『ハアッ!!』』

 

 

カッ―――――――――――!!!

 

 

夕立と村雨、駆逐艦を超えた最強の駆逐艦が今!誕生するッッ!!!

 

『『ブフッ~…はいは~い………コレで最強っぽい~…』』

 

最強融合駆逐艦!村立(デブ)!誕生ッ!!!

 

「全然違う、2人の角度が全然合ってない」

 

『『えぇ!?』』

 

「30分後にもう1度だ!」

 

「…まぁ、30分を待たず勝負は決すると思いますがねぇ」

 

ーーー

 

『『いっちょヤってみっかーッ!』』

 

『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァ!!』

 

究極合体駆逐艦リベッシモVS最凶進化駆逐艦フブキ!

その戦いはアツく!そして艦娘バトル史上類を見ないほどの激戦となった…

 

その戦いは大地を砕き、海を割り、空を裂き、驚異的な戦闘力のぶつかり合いは異次元バトルにまで突入し、遂には最凶進化駆逐艦フブキ(フルパワー)となったフブキに対し、リベッシモもパワーを開放リベッシモ・改となり、一進一退の攻防は徐々にリベッシモの優位となっていた!

 

『ウゥゥゥ!!グアアァァァァァ!!』

 

『『これがリベッシモ・改だーッ!!』』

 

ドン―――――――――――ッ!!!

 

『ガバァ!!ハー…ハー……ハァ……ハー…!』

 

『『ヘヘッ!そろそろトドメを刺してやるぜ!』』

 

リベッシモは両の腕を上げて自分の頭上でその両手を組む、その構えはまさに!清霜の師である大和型戦艦最大の奥義ッッ!46㎝砲の構えッ!!

 

『『ハアアアアァァァァァ!!!』』

 

気合いと共に、リベッシモの身体に溢れるパワーが漲り、その両腕に凄まじいパワーが集まるッ!!

 

『ア…?あ…?あ、ああ…ぁぁ!』

 

そのエネルギーを見ただけで“これはもうどうしようもない”と察したフブキは、どうしようもない力を前に、ただ狼狽えるしかなかった…

 

撃たれたら100%、いや、1000%を超えて2000%のその先、確実に死ぬッッッ!!決着の一撃が今!

 

『『ハアアアアァァァァァ!!!』』

 

『あ、ああ…あああ!』

 

『『喰らえ!ヤマト型最大の奥義!見様見真似!46㎝砲ーッ!!』』

 

その一撃が今!放たれ………

 

 

ボンッ!!!(合体解除)

 

 

「うえっ!?」

 

「あ、キヨシと別々になったー!」

 

「なんだよ!もー!!今イイトコだったのにィー!リベ!もいっかい!もいっかい合体するよ!」

 

最大奥義発動直前に解除されてしまったフュージ●ン…

しかし、その合体、二度目はなかった…

 

「あばばばばば…」

 

「待ってキヨシ!なんかアイツ倒れてる!」

 

「え?マジで?」

 

46㎝砲の恐怖を前に、フブキは既に戦う気を喪い、その場で気を失って倒れていた…

 

「なんだよー!!もぉー!!」

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

最凶進化駆逐艦フブキ…

その、最凶進化の名に恥じない暴れっぷりはハンパではなく、艦娘の強さにはまだまだ先があると俺達に教えてくれた…

 

「オイ、そいつ任せていいのか?」

 

「ご心配なく、悪いようにはしませんよ」

 

南の島を揺るがすとびっきりの大決戦と言う名の演習を終え、俺達は互いに乗ってきた船へと引き揚げる準備をしていた…

 

ちなみに、さっきまで暴れ回っていたフブキも今は気を失っているのかぐったりとしており、そのフブキの司令官だか言っていたジジイも雑な感じに船に積み込まれていた…

 

「なぁ、そのジジイ死んでるのか?」

 

「死んでませんよ、ちょっと眠っていただいただけです」

 

「ふ〜ん」

 

変態紳士曰く、ジジイは些か鬱陶しいので一旦退場して頂いたとのコトだが…

 

「まぁ、少佐殿もこれに懲りてもう復讐など考えないといいですねぇ」

 

「ナニが復讐だ、次はクソオヤジに直接言えよ、直接、なんなら俺が連絡してやる」

 

「ハッハッハ」

 

「笑い事じゃねーよ!!ナニ笑ってんだ!ブッ殺すぞテメー!」

 

「いや、これは失敬…」

 

このヤロウ……舐めやがって

 

「それでは中佐クン、我々はお先に失礼しますよ」

 

「あー、はいはい、じゃあな」

 

「ではいずれ、また…」

 

そう言って、爽やかなイケメンスマイルで股間の辺りに爽やかな朝日の輝きを浴びつつ変態紳士は去って行った…

 

「行っちゃったね」

 

「あぁ、二度と会いたくねーがな、オイ!俺らも帰るぞ168」

 

「りょーかい」

 

『『あの………テイトク、コレ、合体解除しないっぽいんですケドー?』』

 

「そんなコトは知らんッ!!」





次回
長編最終回、まだ見ぬこの世の強ぇヤツ!戦いのロードはまだまだ続く…


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BUCKY⑦

節目の誰得長編回最終回
この海には、まだまだ強えーヤツがいっぱい居る!

【登場人物】

仁科元大佐(天才)
智と恥を司る狂気のムァッドサイエンティストォ
少なくとも、善人ではない

天海ユウ(実妹ヒロイン属性)
長いこと眠っていたせいか、肉体年齢に精神年齢がややついていけてない、性善説の塊

提督(主人公属性0)
今回は特に何もしていない役立たずっぷり




非公式演習と言う名の超決戦から数日後…

 

 

「うまい、うまい、うまい」

 

「へぇ~…それで?そのよくわからない子にボッコボコにされちゃったんですか~?すごく強かったんですねー」

 

「あぁ、すごく、すごく、とても強かった」

 

「へぇ~」

 

とある南国の島にある生活家電修理屋兼町医者の住む店舗兼住居でティーを飲みつつお菓子を食べていた天海ユウは最近知り合ったばかりの艦娘、フブキの話を興味深そうに聞いていた…

 

「それはもうリベンジしかないですねっ!」

 

「リベ……?」

 

「リベンジですっ!」

 

ユウは負けっぱなしで悔しくないんですかー!とテーブルをバシバシ叩きフブキにグイグイ迫るが、フブキはリベンジの意味がよくわかっていないのか首を捻っていると、ユウともう1人、離れたところに立っていた男が口を開いた…

 

「…もう一度戦いたいか、ってコトだ」

 

「それですっ!」

 

「もう一度………?」

 

フブキは珍しく難しい顔で考えつつ低く唸り、そして…

 

「…………戦って、みたい」

 

「ですよねっ!そうですよフブキちゃんさん!その意気や良しです!次はきっと勝てますよ!」

 

「…う、あ、あぁ…!勝てる………気がする」

 

「そうですよっ!」

 

フブキちゃんさんならやれますよと鼻息を荒くグイグイくるユウに、男はあまり困らせるようなコトを言うものじゃないぞと言って小さくため息を吐いていると、部屋の扉が開き、両手に山盛りの皿を載せた大鳳が入ってきた

 

「お待たせしましたー!あ、コレ、パイナップルクッキーです!」

 

「ほぉー!これはこれは!」パクパク

 

「うまい、うまい、うまい」ガツガツ

 

「まだまだいっぱい作ってますからどうぞ遠慮なく食べて行ってくださいね、あ、ドーベルマンさんもどうぞ遠慮なく」ニコニコ

 

「あ、あぁ…」

 

---

 

「あー………天気が良いのぉ…」

 

美しい南の空と浜辺がよく見える丘で、老人はエクトプラズムのようなものを吐きつつ遠くを見つめて座っていた…

 

「オイ、あのジイさん、いったいどうしたんだ?何か前に比べてやたらと老けたと言うか…」

 

「う~ん、少々クスリが強すぎましたかねぇ」

 

「オイ」

 

「冗談ですよ、小粋なニシナジョーク」

 

南の島から南の島へ帰還してから数日後、なんやかんやあったせいか、急激に老け込んだ原田技術少佐…

 

おそらく、彼の心にはもう“復讐”と言う名の黒い炎はメラメラと燃えておらず、今や酸素を吸って二酸化炭素を吐き出すだけの無害な存在へと変わり果てていた…

 

「一応聞いておくが、あのフブキって艦娘はどう扱うつもりだ?」

 

「どう、と言うと…?」

 

「…一応だが、あまり変な実験とかはするなよ」

 

「ハッハッハ、しませんよぉ?」

 

ユウはフブキと仲が良さそうだからな、と付け加えた男は上着からタバコを取り出して火を点け…

 

「フーッ~………ゴホッ…!!ッッ!」

 

「慣れないタバコはやめたらいかがです?アナタには似合いませんよ」

 

「うるさい!」

 

「あとついでに、シスコンもホドホドにしておいた方がいいですよ?」

 

「やかましい!!誰がシスコンだ!!」

 

男はタバコを携帯灰皿に押し付け、仁科にわかったな!と念を押しつけて去って行った…

 

「やれやれ…」

 

---

 

はじまりは自分と似たものですが、辿った道は違い、そして結末も違う男……天海キョウヤ

 

彼とその妹の関係に自分でも言い知れぬセンチメンタルな感情を持つのはまだ私が人である“情”を捨てきれていないのかもしれませんねぇ

 

「さて…」

 

今回はまた存外に面白いデータをとるコトができました…

 

ある意味では“堕天”を凌駕する深海進化……いえ、あえて名を付けるとするなら“深化”としましょうか

 

あの驚異的なパワーと爆発力………私にはない発想から生まれたものですが、実に興味深く、そして素晴らしい可能性を感じました

 

そして………その超絶的なパワーを正面から切って落としたあの力…

 

え~……たしかなんと言いましたか?たしかリベ…?キヨッチオでしたかね?まぁ、名前などどうでもいいですか…

 

「大鳳、珈琲を淹れて頂けますか?」

 

「はい!ブラックですか?ホワイトですか?」

 

「………ホワイト?」

 

「え?あ~…あの、ユウさんから珈琲にはホワイトもあるんですよ!って教わったんですけど…」

 

「ふむ………ちなみにそのホワイトとやら、コーヒーにミルクでも淹れるのですか?」

 

「はいミルク99でコーヒー1だそうです!」

 

…………それはもうただのミルクでは?

 

「………ククク、大鳳、アナタには教わるコトが多くて退屈しませんねぇ」

 

まったく………

 

「ではそのホワイトを一杯頼みましたよ」

 

「はい!大佐!」

 

「あと、私は大佐ではありません、私は……」

 

◆◆◆◆◇

 

四月のゴキゲンな執務室…

 

「そういやキヨシとリベッチオのヤツ、朝食堂で今日こそ武蔵に勝つぜー!とか言って武蔵にケンカ売ってたがどうなったんだ?」

 

「さぁ?ぶっとばされたんじゃないですか?」

 

秘書艦サミー子はまるで興味なさげにクロスワードパズルをしつつコーヒーでも飲みますかとコーヒーを勧めてきたが、泥水で口をすすいだ方がマシだと懇切丁寧に断った…

 

「マジでキレる5秒前ですね」

 

「MK5か」

 

 

ちなみに、後から聞いた話では最強戦士リベッシモは武蔵の殺人ブローで内臓破裂して医務室に運ばれたらしく、後日、無事に回復したキヨシとリベッチオはザリガニ釣りに出かけたそうな…




次回

その名は、G


岸ちゃんもでるよ!


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提督と戦慄!Gotland andra

帰ってきましたダラっと通常営業

【登場人物】

提督(メガネ男子)
ハンサムなカノジョは読んだことある

Gotland(andra)
設計図だけでなくカタパルトまで要求してくるお高い女、そのカタパルトなんか役に立ってんのか?

岸波(ふわっとヘアー)
通称、岸ちゃんだったり岸クンだったりする
甘いもの全般がわりと好き


花は散るから美しい、今年もいつの間にやら桜が咲いていつの間にやら散っていると言う“結果”だけがこの世に残った…

 

そんなわりとどうでも良さげなコトを考えつつ、明石の店で菓子パンと缶コーヒーを買い、タバコでも吸うかと喫煙所へと歩いていると、外のベンチで軽巡的なヤツがイヤがる駆逐艦にグイグイ迫っていた

 

「ねぇ?岸ちゃんそのアイス美味しい?ねぇ?」

 

「はぁ、まぁ…なかなか、普通ですかね」

 

「普通なんだ?へぇーフツーなんだー、じゃあゴトのと一口交換してみない?ね?ほら!ね?アーンして、アーン!ほら!口開けて!」

 

「ちょ…イヤですよ、やめ、やめてください!押しつけな………あむっ!?」

 

「どう?ね?美味しい?ちゃんと舌で味わってね?いっきに飲み込んじゃダメよ?ちゃんとオクチの中でクチュクチュしてからね」

 

ゴスッ!!!(垂直落下式拳骨)

 

「イダァァァァァ!!」

 

「駆逐艦相手にナンのプレイしてんだテメーは?ア゛ァ?風紀舐めてんのかコラ」

 

基地の風紀に厳しい事に定評のある俺としては見過ごせない言動に、思わず言葉より先に手が出てしまったが…まぁいいだろう、今、この瞬間に困っている女の子がいるなら少年誌なら大抵のコトは許される

 

「イダァァァァァ!!わ、割れた…ッ!ゴトの頭蓋骨たぶん割れたわー!」

 

「……ケホッ、ふ〜……ありがとうございます、テイトク」

 

ゴトランドから無理矢理口内に白いものを挿入されていたのはスーパーエリート駆逐艦、夕雲姉妹の岸波クン

ふわっとしたヘアーと死んだ魚のような目が特徴的の真面目で良い子だ

 

「岸クンも災難だな、だが困ったコトがあればいつでも言いたまえ、提督はいつだってすっ飛んで駆けつけるのだよ」

 

まるでスーパーヒーローのようにニカッと笑い、親指を立てた俺は未だベンチから落ちて転げ回るゴトランドにクズが!と吐き捨てた

 

「クッ…!!ナニ!!なんなの?ゴトが一体ナニしたっての!?」

 

「やかましい、自分のパイオツにでも聞いてみろ」

 

「パイオ……!?まぁ!なんていやらしい人!ゴトのコトそんな目で見て、まるでケダモノね!」

 

「お前にだけは言われたくないわい」

 

ケダモノとかファイアーエム●レムでしか罵られたコトない罵倒の台詞を吐き、頭蓋骨のダメージから回復したらしいゴトランドは再びベンチへと座った

 

「今日はゴトの改装記念で岸ちゃんと仲良くアイス食べてたのに……もう!!最低!」

 

「やかましい」

 

………ん?いや待て、コイツ今なんて言った?改装記念?

 

「オマエなんか変わったのか?」

 

「はぁ?見てわからないの?」

 

「見てわかるほど普段からお前に興味ねぇしな」

 

言われてみると、なんかいつもの服より高級感が増した気がするな、あと、太腿がエロい

これはもう誘っているとしか思えない太腿だが………よし、神州丸クンの太腿を思い出して落ちつこう、フーッ……ハーッ…よし、落ちついた

 

しかし今日の朝、戦艦寮の最奥…金剛姉妹専用の寮、通称、天動宮から凄まじい小●宙(コ●モ)の爆発を感じたのだが気のせいだったのだろうか…?

 

「…そう、今のゴトは今までのゴトじゃあないわ、あえて名を冠するとするならばGotland andraよ!」

 

「はぁ?アンドレ?」

 

「andra!」

 

なるほどたしかに、コイツから感じる気、太腿だけではなくパワーもスピードも上がっているようだな…

だが、所詮はそれだけだ、この基地の絶対支配者は提督である俺、依然変わりなく!

 

「なんと軽巡から軽航巡に戻ったわ!」

 

「ふ〜ん、ナニそれ?新しい艦種?」

 

「ゴトランドさんは元々最初は軽航巡で改装したら軽巡になってたんですよ」

 

「へぇ〜」

 

さすがは岸クン、詳しいな!そしてこのバカと同期な付き合いなだけはある

 

「まぁ、オマエが軽だろーが尻軽だろーがどうでもいいが頼むから問題だけは起こすなよ、次なんかやったら岸クンの半径200キロに接近禁止令出すからな」

 

「ナニそれヒドくない!?」

 

「やかましい、だいたいなんだその制服は?誘っとんのか?あ?」

 

「テイトク、ゴトランドさんもたぶん悪気はないんです、たぶん、たまにアイス奢ってくれますし」

 

まったく!岸クンは本当に良い子だな、ついさっきまで自分が襲われるトコだったのに…

もし俺がまだ若く、岸クンと同じティーンな年頃だったらたぶん岸クンに惚れてたね!彼女はきっと良いお嫁さんになるよ、そして仮に、岸クンがお嫁さんになってここを旅立つその日が来たら俺はきっと泣くだろう

 

「まったく………岸クンは本当にイイヤツだな、よし!提督がお小遣いをあげよう!みんなにはナイショだぞ?」

 

「はぁ?どうも…」

 

俺は財布から取り出した紙幣を岸クンに握らせ、これで新しいゲーム機でも買いなさいと言ってハンサムスマイルをしてやった

 

「ナニそれ!?提督、汚い!汚いわ!私の岸ちゃんをお金で釣るつもりなの!」

 

「ハァ?お前のじゃないだろ?」

 

「いーえ!私と岸ちゃんは運命の赤い糸で繋がれてるわ!何故なら私は初めて岸ちゃんに会ったその日から運命を感じたから!」

 

「そりゃオマエ、気のせいだろ」

 

「いえ、わかるわ!岸ちゃんゲーム機が欲しいの?ゴトが買ってあげるわ!今からヤ●ダ電機行くわよ!あ、そーだ!ゴトと一緒にドーブツの森しましょ!買ってあげる!」

 

「ハァ!オマエ汚いぞ!岸クン、こんなクズに買ってもらう必要はないぞ、な?」

 

「ハ?お金だけ出して偉そうなコトを……あ、そーだ!岸ちゃん!ゲーム機買いに行くついでに外でケーキとか食べましょ?ね?きっと楽しいわ、きっと、うふふ…うふふふふ」

 

「ハァー?金だけー?言いやがったなコノヤロー!じゃ提督は車出すから!俺の車で買いに行こうなー!あとお高価焼肉とか食べて帰ろうなー?口の中でめっちゃ溶けるやつー!」

 

「ハアァ!?ナニそれー!?クッ…!どこまでも汚い!最低!アナタ最低だわ!」

 

「誰が最低だボケェ!ゲハハハハ!」

 

「わかった!じゃゴトも一緒に行くわ!誰が岸ちゃんと提督を2人っきりにするもんですか!」

 

「はいー?残念でしたぁ〜?提督の車は2人乗りなんですぅ〜!ミッドシップ、2シーターなんですぅ〜、わかったら部屋で1人でシコってろ!」

 

「詰めれば乗れるわよ!!あ、そーだ、ゴトが助手席で膝に岸ちゃんが乗ればいいのよ!それで解決ね!」

 

「バッキャロー!ママの胸よりチャイルドシートって言葉知らねーのかテメーは!」

 

俺とゴトランドは互いに胸グラを掴み合い舐めてんのかテメーはとハゲしいメンチの火花を散らし…

 

「あの………今日は姉妹で鍋なので、すみません、これで失礼します、では…」

 

「あぁ!またな!岸クン!」

 

「またね!岸ちゃん!」

 

 

この後、互いに白熱したメンチを切り合い、岸クンの良いところを言い合った俺たちは勝負の場をママの店へと移し、酒の力を借りてさらにハゲしい岸クンのステキなところバトルを閉店時間を過ぎてママに蹴り出されるまで繰り広げた……

 

「うぅぅ……気持ち悪い…」

 

「オマエ飲み過ぎだろ、ほら、トイレでゲーしてこい、ゲー」

 

「ぅぅぅ……やだぁ…ゲーしたくなぃ…ってか今日部屋に帰りたくなぃ…1人で寝たくないよぉ……寂しい、ゴトはいつだってそう…アーベルも、クリスティアンも、フレデリックもみんなゴトから離れていった……ゴトはあんなにも尽くしたのに…」ポロポロ…

 

「だから重いんだよオマエは、ってかマジで重い、ってか体重かけるな!自分で歩け!」

 

まったくなんて面倒なヤツだ…

しかし俺もハンサムな提督、ここはやはりハンサムとして正しい選択を選ばねばならない…

 

 

①ハンサムな提督はこの面倒くさい女を便所に放り込んで颯爽と帰った!

 

②ジャジャーン!丁度いいところに阿武隈がいた!コイツを押し付けて颯爽と帰る

 

③仕方ない、部屋に連れてくか…

 

 

…俺がマルをつけたいのはモチロン②だが、こんな夜中に運良く阿武隈が歩いているとは思えない、ならば答えはやはり……






①を選んだアナタは ←to be continued…

③を選んだアナタは 第633回 The dream of sheepへ


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提督とGrecaleと屋上へ行こう

第一の殺人技、ビッチベン・エッジ

【登場人物】

提督(美)
美しいものを尊び、醜いもの卑下する美の伝道師

Grecale(美)
ナマイキ美少女、必殺技は金的、嫌いなプレスな種付けプレス


列島に不要不急の外出を控える自粛要請が蔓延るたった一度の今日と言う日…

 

大してやる事も無く、秘書艦サミー子も今日は有給で居ないのでたまには鏡の前でポージングするかと思い立った俺は、とりあえず着ていたものを脱ぎ捨て、鏡の前に立ち“神よ、私は美しい…”と呟いていると執務室の扉が開き何者かが入室して来た

 

「Ciao、Ciao♪テイトクゥー?ナニやってん………って、え?ホント、ナニやってん…の?」

 

「オマエは…」

 

やって来たのはイタリアから来た合法駆逐艦、グレカーレ、見ての通り、ナマイキなメスガキだ

そんなグレカーレは俺の姿を見て一瞬固まったが、すぐに切り替えたのかニヤニヤしつつ、か〜わいい♪と余裕の態度を装った

 

「ナニか用かね?」

 

「べっつにー、ヒマだし遊びに来てあげたわけよ」

 

「そうかね」

 

まぁ、窓から射し込む聖なる光により、俺の股間はグレカーレには見えない安心の全年齢対応だから問題ないだろう

 

「ってテイトク、ナニやってんの?バカなの?」

 

「いやだわこの子ったら、いきなりストレート投げ込んできたよ」

 

「や、バカ以外の何者でもないでしょ?ってかこんな子供の前で全裸とかブザマ過ぎ、恥ずかしくないの?ねぇ?あ、そーだ、写真撮っちゃお」

 

「別に撮るのは構わんが………なんだ?スマホの待ち受けにでもするのかね?」

 

「するかッ!!」

 

なんならフロントダブルバイセップスでもしようかね?と懇切丁寧に提案したらふざけんなバーカ!と返され、グレカーレはその辺に脱ぎ捨ててあった俺の服を拾うと投げつけてきた

 

「いいからはやく服着てよね!いつまでグレカーレちゃんにそのお粗末様見せつけてるつもり?正直そんなお粗末様で提督とか失礼だよね!死ねよ!」

 

「誰がお粗末様だ、ご立派様と言わんかい」

 

「ハァ〜?」ニヤニヤ

 

クッ、相変わらず舐めたクソガキだな、どうやらこのガキにはダンディ様のダンディってのをわからせる必要があるらしい…

 

俺はとりあえずグレカーレから返された服をダンディに着こなし、鏡の前で一度ハンサムを確認して執務机へと戻った…

 

「で?何の用だ?またおチ●ポ様に負けに来たのか?」

 

「負けてないし、ってか、またとかゆーな!このグレカーレちゃんは一度だって負けたコトないし!知ったふーなコトゆーなハゲ!」

 

「ハゲじゃない、提督だ」

 

このガキ、俺はまだフサフサだっーの、モチロン、毎日トリートメントは欠かしていない…

 

「ってかヒマだし遊びに来てやったって最初に言ったでしょ?ハナシ聞いてないの?耳くそ詰まってんの?」

 

「詰まってねーよ、っーかオマエ口悪いな、提督様に対してなんだその口の利き方は?謝罪しろ」

 

「ハァ?アタシ悪くないし、誰が謝罪なんかするかザァーコ!」

 

「誰がザコだ、チッ、用がないならさっさと帰れ」

 

「だから遊びに来てあげたって言ってるでしょ!このグレカーレちゃんが!わざわざ!ヒマでヒマでタイクツしてるテートク相手に遊んでやろーってのよ!」

 

「なんだそりゃ?ツンデレか?イマドキ流行らねーぞ、ハハッ」

 

「笑うなァ!!」

 

まったく上の口ではナマイキ言ってもまだまだお子様だなオイ、もしかして友達いないんじゃないのか?

 

「わかったわかった、遊んでやるよ、で?ナニして遊ぶんだ?オママゴトか?それともお人形さんで遊ぶか?ん?」

 

「クッ…!バ、バカにして…!このアタシを舐めたコトをコーカイさせてやるわ!」

 

「やれるモンならやってみろクソガキが」

 

◆◆◆

 

「ティーッス、鈴谷が遊びに来ましたよぉ〜………って、ナニやってんの?」

 

「オイ!天使の聖杯!早く天使の聖杯投げろ!」

 

「うっさい!!アタシに命令すんなハゲ!!あと足クセーんだよ!」

 

「誰がハゲだ!あと、俺の足はクサくない!」

 

遊びとは何か?その難しい問いに対しクソガキグレカーレと互いに納得の行く点での協議の結果、俺たちの出した結論はテレビゲームを協力プレイするという答えになり、そして今、俺たちは力を合わせて月●の塔を目指すべくキケンな獣達がウヨウヨいる森を進んでいた…

 

「ねー?あ、ゲームしてんの?鈴谷も仲間に入れてー」

 

「やかましい!!今ハナシかけんなビッチが!」

 

「あー!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅ!死んじゃう!ウソでしょ、まさかこのアタシがこんなイヌっコロに…っ!」

 

「ねー!鈴谷も入れてよー!ねー!鈴谷も欲しいー!ねー!鈴谷もヤらせてー!」

 

物理的に押しつけがましく俺の背後からグイグイくる鈴谷の腹に肘をブチ込み、とりあえずゲームの進行を一旦中断した俺は冷蔵庫から冷たい飲み物を取り出す…

 

「オイクソガキ、なんか飲むか?アイスティーしかないが」

 

「アタシ、オレンジジュースね」

 

「アイスティーしかないって言ったろーが」

 

「じゃ、買ってきて、果汁100%のヤツ」

 

「ブッ殺すぞ」

 

「…………って!!鈴谷をムシすんなァァァァァ!!なんなの!?なんでガン無視すんの?」

 

「あぁ?」

 

あぁ、そういやいたなコイツ、忘れてたわ…

どうやらさっきまで俺の肘で悶絶していたらしく、床を転げ回っていたようだ

 

「別に無視はしてねぇよ、忘れてただけだ」

 

「そーゆーの無視よかタチ悪くない?ってかゲームするなら鈴谷も呼んでよ、鈴谷ゲーム超得意じゃん!」

 

「悪いな、このゲーム2人用なんだ」

 

「マルチタップ使えばいいじゃん」

 

チッ、マルチタップの存在を知っていたか…

 

「だとよ、オイクソガキ、このビッチが仲間にしてくださいだとよ?」

 

「ハァ?手下にしてくださいの間違いでしょ?あと、アタシのことクソガキってゆーな、グレカーレちゃんって呼べザコ」

 

「こ……このガキ、ってかテートク、ナニこの態度悪いガキ、鈴谷ちょっとカチーンときたんですけどー?」

 

「ハァ?ナニ?もしかしてそれグレカーレちゃんのコト?ってかナニ?この女、全然カワイくなくない?グレカーレちゃんの方がコイツより万倍はカワイイし」

 

ブチィッ!!!(堪忍袋の緒)

 

「ハー…………キレたわ、久々によォ〜……オマエちょっと屋上にツラ貸せじゃん」

 

「は?イヤなんですけど?」

 

鈴谷はグレカーレの後襟を掴みいいからちょっと屋上いこーぜとズルズルと引っ張った

 

「ハァ?オマ、オマエ!!ちょ、ちょっと離せよ!」

 

「オイ鈴谷、顔はやめとけよ、顔は」

 

「いや〜…どうかな〜…今日鈴谷ちょっとナニすっかわかんないかなー」

 

「ハァ!?オマエ!ふざけんなよ!!このグレカーレちゃんを痛めつけるとか…っ!」

 

鈴谷は“コイツにもわからせないとダメかな〜…メインヒロイン様の恐ろしさを…”とかブツブツ呟きながらグレカーレを引き摺りながら執務室から去って行き…

 

 

『ア゛ーーーーーーーーーーーーッ!!!』

 

 

---

 

後日…

 

「フーッ、今日も朝から元気なウ●コ、快便ってヤツだなぁ〜」

 

朝、素晴らしい快便に思わず鼻歌でも歌ってしまいそうだと廊下を歩いていると、パスタの国から来た戦艦姉妹の姉の方がいた

 

「あ、テイトク、ちょうど良かった、ちょうどテイトクに相談したいコトが…」

 

「え〜……リット、いや、今はイタリアくんだったかな?ナニかね?」

 

「あの、最近グレカーレが部屋に閉じこもってて…」

 

「さぁ?便秘じゃないかね?」

 

「そうなんでしょうか?」




次回はなんやかんやで700回目
初心に忘れるべからずの巻


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提督と五月雨と記憶の壺

なんやかんやで700回
楽しみにしている奇特な方も、そうでない方も、皆々様のささやかなお暇潰し程度になっているなら幸いです

思えば、開始最初は社会派で現代社会の疑問にメスを入れるようなお話しを書きたいと考え始めましたが、最近、なんか違うなと考えるようになりました

【登場人物】

提督(ああああ)
クズ・ゲス・カスの揃った快男児
アニメ提督を見習って名前を出さない名前自由入力式エロゲースタイル、キミの名前を入力してあの娘を攻略しよう!

五月雨(秘書艦)
淹れるコーヒーが不味い点にドジっ子の名残を残した冷静で的確な五月雨
気になるあの娘の好感度が知りたい時は秘書艦に聞こう!こまめなセーブも大事だぞ!



「時は来た」

 

「はぁ?」

 

そろそろ汗ばむ昼の陽気すら感じつつある五月の執務室…

朝、爽やかな目覚めと共に“予感”がした、ヤれるとかヤれないとかじゃない………ヤるんだと

 

今日、この日、この時に、俺は浜風ちゃんとヤる…

 

別に約束したワケでもないし、何か根拠があるワケでもない、理屈じゃないんだ…ただ、そう、俺は気付いてしまっていたんだ、今日なんだと…

 

「ヤるよ、俺は…」

 

「はぁ?」

 

「はぁ?じゃないよこのカミナゲーナ子は、オマエも行くんだよ」

 

自分のデスクでナニ言ってるんだコイツ、イカれているのか?と言いたげなツラをしている秘書艦サミー子は開いていたパズル雑誌を閉じ、とりあえずコーヒーでも飲みますかと聞いてきたので懇切丁寧に断った

 

「で?行くとかやるとかなんの話ですか?とうとう観念して金剛さんと()るんですか?」

 

「バカ言ってるんじゃないよこの子は、俺は浜風ちゃんと()るんだよ」

 

「へぇ…」

 

「へぇ…じゃないよこの子は、ヤるんだぜ!ヘイ!もっとテンションアゲていこーぜ!ヘイ!」

 

「アガる要素がどこにもないんですけど…ってか提督、定期的に持病みたいに浜風ちゃんブチ犯したいと言ってますけど一度たりとも成功どころかイイセンにいったコトすらないじゃないですか?ってか声かけるだけで緊張して目も合わせられないってどーなんですか?それ、童●ですか?そんな童●ムーブしか出来てないのにレ●プしたいだのパ●ズリしたいだのアホなんですか?毎度毎度まるで知性を感じない作戦ばかり思いついてそのメガネは飾りなんですか?」

 

「…お………おう!」

 

こやつめ、まさかいきなり速射砲のごとき言葉責めから入るとは、この俺が一瞬とは言え気圧されたのだよ…

 

だが、やはり今ので俺は確信した、俺にはコイツが必要なのだと………この手に宇宙を手に入れる為には俺1人だけではダメなのだ、秘書艦カミナゲーナ・青髪ロング子、俗な名前だが俺にはコイツが必要だ

 

「あと、俺は童●じゃない」

 

「さいですか」

 

大して興味なさげにパズル雑誌を開いた青髪ロング子は右手でエンピツをグルグル回しつつ再びクロスワードパズルに興じ始めた…

 

「………で?今回はどんな作戦でいくんですか?1人でいるところを狙って後頭部ガツンからの拉致監禁レ●プですか?胡散臭い催眠アプリでも使って催眠レ●プですか?それとも、姉妹を脅しのネタに使って脅迫レ●プでも迫りますか?」

 

「オマエすげぇな、よくそんなサラサラとレ●ププランが思いつくな…」

 

まったく、コイツこそまっことレ●プの申し子!レ●プ界のキングマスターレ●パーなのだよ

 

「いや、今回は正面から行く」

 

「はぁ?」

 

「真正面から、正々堂々、レ●プ()る…」

 

「レ●プに正々堂々もクソもないとは思いますが…」

 

サミー子の冷静で的確な意見はいいとして…

 

相手はあの浜風ちゃんだ、正直なところ、俺は浜風ちゃんに対して免疫力がなさすぎる…

彼女の顔を見るだけで心が騒めき、身体にまるで電流が受けたように動けなくなる、そう……たぶん俺は彼女に特別な感情を持っているだろう

 

もう認めなきゃならない、そう、わかっている…

 

惚れているんだ…

 

だからこそッッッ!!正面からッッッ!!真っ向からッッッ!!ヤらなきゃならない!

 

「場所も時間も関係ない、次、俺は浜風ちゃんを見たらその場でヤる」

 

「はぁ?」

 

「…と、言いたいところだが、やはりここは海軍の基地であり、不特定多数、大勢の者が生活をする公共の場、ある程度はわきまえねばなるまい」

 

「まぁ、そうでしょうね」

 

もし仮に、大勢の者が集まる食堂で行為に及んでしまえばたとえこの基地の絶対支配者である俺でも社会的地位は剥奪され、未来永劫、鬼畜に劣る賊の烙印を押される事は必至ッッッ!!

 

「…しかし、みんなに見せつけながらヤると言うのもそれはそれでメチャメチャ興奮する」

 

「さいですか」

 

「そこでだサミダーレ、卿の忌憚のない意見を聞きたい」

 

「そうですね、やはり1人のところを狙うのがベストじゃないですか?あと、五月雨です」

 

「やはり卿もそう思うか、しかし浜風ちゃんが確実に1人だと言う状況はなかなか無いのではないか?」

 

そう、浜風ちゃんは普段、十七駆の仲間達と一緒に居ることが多いのは既に調査済みだ

 

「無いなら作ればいいじゃないですか?たとえば1人で十分な用事でも適当に………倉庫にあるファイル1つ取り行ってくれとか」

 

「オマエ天才かよ…」

 

「むしろ何故思いつかないのか理解に苦しみますけど…」

 

さらに、念には念を入れ、確実を期すべく他の十七駆のヤツらには別のテキトーな用事を伝えればより確実になると…

サミー子は顔色一つ変えずにこの完璧なるレ●ププランを提案した

 

「なるほど、卿の意見を是とする」

 

「はぁ」

 

俺は机に置いた菓子皿からエンゼ●パイの小袋を1つ手に取りサミーに投げつけた

 

「痛っ」

 

「褒美だ」

 

「………イラっとします」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!こやつめ!」

 

イラっとして睨んできたものの、すぐにニュートラルに戻ったのか、投げつけたエンゼル●イの小袋を開けて口に入れたサミーはまたつまらなげにクロスワードパズルの雑誌を解き始めた…

 

◆◆◆

 

「と、言うワケで、今、この倉庫の中には浜風ちゃん1人しかいないワケだが…」

 

「何故私も同行を?」

 

「バカヤロウ、俺たちは2人で宇宙を手に入れると誓ったろーが、病める時も病んでない時も、2人なら喜びは2倍、悲しみは半分こだ」

 

「私のやるせなさと怒りも2倍ですけど」

 

既に十七駆のメンバー達にはそれぞれテキトーな用事は伝えてある、あとはそう………ヤるだけだ

 

父さん!俺にもっと強い勇気を与えてください!

 

「よし………行くか」

 

俺は熟練された素早い動作で倉庫の扉の前へとスムーズに移動し、扉の隙間から内部の様子を確認してみる

 

「よし、クリアーだ、カウント10で突入する!」

 

「それ、必要ですか?」

 

「必要だ、10、9、8、7……ヒャアがまんできねぇ!0だ!」

 

俺は倉庫の扉を開き、果敢に内部へと突入……いや、ここは突乳と言うべきか

 

そしていた!!目標ッッッ!!

 

乳は………巨乳ッッッ!!

 

間違いないッッッ!!

 

俺は疾走しながらスピードを緩めることなくジッパーを下ろし猛る己自身を…

 

「ん?なんじゃ?テイトクさんやないか……ナニしてんのこんなトコで、って!!ナニ出してるじゃあ!?」

 

「な……??バ、バカな…!浜風ちゃんじゃ…ない」

 

違う!コイツは浜風ちゃんじゃあない……浦風ッ!

 

「アホかッ!!はよしまえや!!」

 

「何故浜風ちゃんじゃないんだッッッ!!」

 

「浜風なら磯風達としょーもない用事で出かけとるわ!!っーかはよソレ隠せッ!!」

 

ど…どう言うコトだ?俺はたしかに十七駆に命じたハズ、1人は倉庫にファイルを取り、他の3人は明石の畑にHB1●1を散布するようにと………確かに命じたハズ!!

 

「いや、誰がどうとか指定しなかったんですか?」

 

「なん……だと?」

 

俺に続き、ダラダラと倉庫に入ってきた秘書艦サミー子の冷静で的確な意見…

 

「たしかに、指定はしなかったな」

 

「バカなんですか?」

 

「バカじゃない、提督だ」

 

「っーかいつまでソレ出しとるじゃあ!!」

 

「チッ、うっせーな…テメーなら見慣れてるだろーが、だいたいなんだ?そのスケベ専用ボディは、パイ●リしない方が失礼な乳しやがって」

 

「見慣れてないわ!!うちをなんじゃと思うとるんじゃ!」

 

「テクニシャン?」

 

「誰がテクニシャンじゃ、まだそんなん……あー……したコトないわ」

 

「カッカッカ!こやつめ!乳に似合わず冗談が好きとみえる!カッカッカ!」

 

「おんどれェ!!マジでブッコロがすぞ!!」






次回
山風かジャーヴィスか、どっちか


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提督とメイド・淫・ヘブン

愛=理解!

【登場人物】

提督(クズの人)
紳士道を尊ぶ紳士、女子供にも容赦しない鉄拳の持ち主

春雨(ピンク)
深海帰りの本物、白露姉妹の闇は深い…

春雨(白いやつ)
悪堕ちした深海戦士、夕立と村雨からはパシられてる



世の中はGWに突入したものの、列島を激震する新型ウィルスによる不要不急の外出自粛や濃厚接触の禁止が叫ばれる今日この頃…

 

普段、この光溢れる地上の愛と平和を守る提督にも休日はある

 

「あー………今日も朝からダリぃな」

 

朝、爽やかな目覚めと共に朝勃ちする猛る己自身に理性と言う名の鎧を身に纏い、とりあえず朝の身支度を整えてから朝食を摂る…

 

「ほぉ…炭酸抜きコーラですか?」

 

炭酸を抜いたコーラはきわめてエネルギー効率が高いらしく長良主将も愛飲しているらしい…

そして特大タッパに詰められたおじや、バナナ、さらにウメボシもそえて栄養のバランスもいい…

 

「…ごきげんな朝食だ」

 

あとは………山盛りのキャベツが欲しいかな

 

「とか言うと思ったかボケェ!!俺は朝はパンとコーヒーで済ますビジネススタイルなんだよ!」

 

「朝から怒鳴らないでください、うるさいです」

 

テーブルを勢い良く叩き、このワケのわからん朝食を用意した御奉仕メイドは、小さいコトをゴチャゴチャと……チ●ポついてるんですか?と毒を吐いた

 

「ついとるわい、あと、女の子がチ●ポとかゆーんじゃないよ」

 

「女の子だってチ●ポぐらい言いますよ」

 

「やかましい、っーかなんなんだオマエは?いつまで俺の部屋に寄生するつもりだ?あ?この寄生虫が」

 

「寄生虫じゃありません、春雨です」

 

遡ること3年ぐらい前、かつて深海棲艦の卑劣な罠にかかり深海へと拉致されていた春雨…

 

しかし、帰って来た春雨は以前の少し頼りなさげでオ●ニーの声だけは大きい妹系ピンクではなく、まるでこの世の全てを憎悪しているかのような冷酷さと、よりハゲしいオ●テクを身につけて帰って来たのだった…ッ!!

 

「うっせーよ、一級パラサイトが」

 

「パラサイトじゃありません、ほら、一応お世話になってる手前、ご飯作ったり部屋の掃除とかしてるじゃないですか?お部屋に美少女メイドの安心のメイドサービスとかなかなかありませんよ」

 

「ナニが美少女メイドだ、俺は金髪巨乳以外のメイドさんは募集してねぇんだよピンクが」

 

俺の私室の押入れにこのピンクが寄生してもう半年以上が過ぎたが……コイツ早く出ていかねぇかな、自分の部屋なのに落ち着いてオ●ニーもできねぇのに、押入れからはたまにハゲしい声と動きが聞こえてくるからたまったモンじゃあない…

 

「………ごちそうさまでした」ペコォ…

 

「お粗末様でした」

 

しかし文句は言っても作った料理は食べる、ハッキリ言って、大して美味くはないがやはり誰かが作ったものと言うものは温かみがあるものだ

 

「今日はお休みですか?」

 

「そうだが?」

 

「どこかに行く予定は?」

 

「うるせぇな、ねぇよ、今日は部屋でダラダラするんだよ、わかったらとっとと部屋に帰れ」

 

「帰りませんよ、じゃあ今日の夕御飯はお部屋でですか?何にします?」

 

「カレー」

 

「カレーですね」

 

自称御奉仕メイドさんはよぉーしとか言いながら食器を下げ、手早く食器洗いを開始した…

 

「〜♪」

 

…思わず鼻歌でも歌っちまうぐらいゴキゲンらしい春雨はピンクとは思えない手慣れた動きで次々に家事手伝いの業務をこなしてゆく…

炊事、洗濯、掃除、たしかに、自称御奉仕メイドとか名乗るだけのことはあるが、コイツはあくまで御奉仕メイドではなく戦いの為のマシーン、敵を殺す事でしか己の存在と価値を見出す事ができない殺戮の為のマシーンだと言うコトを忘れてはならない…

 

もし仮に、俺が理性も見境もないロ●コンだったとするならばだ、おそらくは掃除機をかけているコイツのバックから挿入し、半日ぐらいアンアンヤった後で使用済の俺のペ●スをキチンと口で掃除させるだろう

 

しかしだ、俺にメイドさん属性はあってもコイツでは対象にならない、仮に、御奉仕メイドがこのピンクの2つ下の妹である海風姉ちゃんならファックするかもしれんが…

 

「………チッ、タバコでも買ってくるか」

 

「あ、どこか行くんですか?」

 

「タバコ買いに行くんだよ、あとついでに、トレーニング室で汗ダクでヒィヒィ言ってるコロちゃんでも眺めてからトイレでシコってくんだよ」

 

「そうですか、いってらっしゃいませ!」

 

「ナニがいってらっしゃいませだ、尻の穴めくり上げられてーのか、テメーは」

 

◆◆◆

 

明石のバカの店で菓子パンと缶コーヒーとタバコのテイトク欲張りセットを買い、トレーニング室でヒィヒィ言って喘いでるコロちゃんの腋でもオカズにしようと歩いていると、自販機コーナーのところに白髪のハルサメがいた…

 

「…ゲッ、マズっ!なんだよコレ、ハズレじゃん……コレ作ったヤツ死ねよ」

 

ハルサメは中身の入った缶をゴミ箱に叩き込み、自販機に蹴りを入れていた

 

「オイ、ナニやってんだテメー!」

 

「ん?あぁ、テイトクか……ってか聞いてよテイトク、コレ!このジュース見たことないヤツだから試しに買ってみたらめっちゃマズいの!」

 

「マズいだのマズくないだのはいい、自販機を蹴るな」

 

俺は右手でハルサメの顔面を掴み力の限りギリギリしてやった

 

ギリギリギリギリギリギリ(魔のテイトククロー)

 

「ギャアアアアアアア!!痛い痛い痛い痛い痛い!!割れる割れる割れる割れるーッ!!ギバップ!ギバーップ!!」

 

オレの負けだ!カンベンしてくれェ!と、俺の右手をバシバシ叩いてタップするハルサメを解放し、クズがと吐き捨てるとハルサメはナニすんだコノヤローと即座に反撃の蹴りを打ってきたがガードした

 

「クッ!」

 

「なるほど、その鉄の足……かなりゼ●モスを使いこなしているようだな」

 

「ハッ?おかげさんで」

 

繋ぎ止める力(ゼ●モス)”とは念動力の一種、その原動力は憎悪や怨念、そして想像を絶する怒りと言われているが実際のところはよくわかっていない…

ハルサメはそのゼス●スと明石の店で買ったナノテク技術が詰まった鉄の足を使い、今やパーフェクト駆逐棲姫と言っても過言ではない実力を持つ………が

 

「ま、いいや、テイトク、ちょっと早いけどお小遣いくれね?今月課金しすぎちゃって…」

 

「やかましい、ナニが課金し過ぎただ」

 

「いや、どーしても今月はランカー落ちできなくて、ランカー限定アイテムがマジでヤバくて…」

 

暗い海の底からやって来た誇り高い深海の姫は、地上の光とアニメや漫画やネットゲームなどの娯楽文化、そして、歩いて10分のコンビニの前にその誇りは屈した……

 

仲間達が来るまで絶対に負けない!とか言ってる姫は絶対に負けるように、誇り高き深海戦士から廃人ネトゲ戦士に悪堕ちした

 

「バイトでもしろよ、バイト、明石の店で鳥からマスクつくるバイト募集してたぞ」

 

「うわメンドくせ……ってかアカシさんの鳥ってあのバカデカいダチョウの出来損ないみたいなヤツでしょ?あんなのに蹴られたら内臓破裂するっての、ってテイトクはなんかないの?1回10万円ぐらいのバイト」

 

「ねぇよ、ブッ殺すぞ」

 

「ないのかよ、あー…使えね」

 

ハルサメはジャージのズボンに右手を突っ込み、股ぐらを掻いた手をフンフンと嗅いでクセっと呟いた…

 

「ってかテイトク、その格好、今日休み?ナニやってんの?」

 

「あぁ?今から汗ダクのコロちゃんの腋をオカズにシコりに行くんだよ」

 

「うわー………引くわー」

 

「引くわー…じゃねぇよ、オマエ、コロちゃんは絶対イイ匂いするからな!オマエのワキガクセー腋と違うからな」

 

「ハァ?クサくないですケドー?ダンゼンイイ匂いしますケドー?」

 

「ウソつくんじゃないよ、チーズ臭い股ぐらのくせに」

 

「ハィー?チーズ臭くないですケドー?」

 

「さっき自分でクセッってか言ってたろーが、じゃあなんだ?ペパーミントみてーな匂いでもすんのか?」

 

そんなワキガクサイだのクサくないだのワリとどうでもいい話を俺たちがアツく語り合っていると、廊下の向こう側から何者かが歩いて来た…

 

「あら?テイトク、と………え〜…誰でしたっけ?ガリィ、知ってる?」

 

「さぁ?宇宙の果てを知らねーように興味ねぇし」

 

パスタの国からやってきた本物の最新鋭軽巡姉妹ッ!!戦慄のピンクモンスター・アブルッツィ姉妹ッ!!

 

「よぉ、え〜……ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィくんと、ガリーくん」

 

「あの、テイトク…別に私の名前はフルネームでなくても…」

 

「っーかアタシは略すのかよ、馴れ馴れしいなこのオッさん」

 

この姉妹、本物の最新鋭を名乗るだけあってその完成された身体はまるでミケランジェロの彫刻のような躍動感と美しさを持っており、それまで、ピンクは淫乱だと思い込んでいた俺にピンクとは仕立ての腕次第でこれほどのエレガンテを演出する事が出来るのだと感動したものだ

 

「ほら見ろ、コレが本物のイイ匂いがするピンクだ」

 

「たしかに、メチャメチャイイ匂いがしそう…」

 

ハルサメはフンフンと鼻で匂いを嗅ぎながらアブルッツィくんに近づき…

 

「な…なんでしょう?」

 

ペロォ〜…!(腋舐め)

 

「ヒィッ!?」

 

「…この味は“FERRAGAM●”の味だぜ…ッ!テイトクっ!」

 

「な、ナニするんですかっ!?」

 

「オイヤベーよアネキ、コイツらなんかヤベーよ」

 

◆◆◆

 

「ただいまー」

 

「お帰りなさいませ」

 

トレーニング室に行ったものの、そこにコロちゃんの姿はなく、長門の野郎がフンフン言いながらバーベル上げ下げする汗臭い匂いしかなかった…

 

「遅かったですね、あと………別の女の匂いがします」

 

春雨はスカートに収納してあるらしい出刃包丁を取り出してその刀身をペロリと舐めた

 

「フ●ラガモだろ、っーかオマエは俺のなんなんだ?」

 

「御奉仕メイドです」ニコッ

 

「やかましい、ウチにメイドは必要ねぇんだよピンクが、さっさとウチの押入れから去れ」

 

「イヤです、さ、カレーがデキてますよ!カレーが!春雨特製春雨カレー!」

 

何故普通のカレーにしないのか…

 

帰宅した男が求めるのは普通じゃないカレーじゃない、普通のカレーである

 

理屈や理論なんかじゃあない……“本能”がそう求めるのだ





次回
狼はまだ死んじゃあいないぜーッ!!


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提督地獄変【最終章⑩】

不定期更新最終章その10、海軍下剋上編

【登場人物】

梶輪大将(源三)
中央司令部所属10人の大将の1人、若い頃はわりと脳筋だったものの、上に行くべくしたたさかと狡猾さを覚えた、提督の上位互換

川奈大佐(純)
ヨコスカ所属の人格だけでなくルックスもイケメンな大佐、わりと言葉が足りてない分は叢雲が補う関係

提督(メガネ男子)
シリアルパートだと格段にキャラが薄い中佐、もういなくていいんじゃないですか?


梶輪大将 VS 九条元帥…

 

おそらく、海軍史上初めてとなる海軍大将から元帥への下剋上戦の挑戦状…

 

九条元帥が海軍の頂点に立ち半世紀以上が過ぎている…

九条元帥も既に齢八十を越え、年齢的に、いずれは身を退く事に変わりはない、しかし、誰もが“次代”の話をする事はなく、誰もが“変わる者などいない”と思うに至る絶対的頂点…

 

まさしく九条元帥こそが、海軍そのものであると…

 

 

そして今、海軍の頂点に燦然と君臨する絶対王者に、挑戦者が挑むッッッ!!

 

「オラァー!ビビっとんのかコラァ!」

 

挑戦者の名は梶輪源三、半世紀前の深海戦争初期から最前線の戦場で血で血を洗う苛烈かつ獰猛な戦いを繰り広げ、その戦いぶりは“修羅”と怖れられた歴戦の猛将であり、現在は海軍中央司令部大将…

 

「貴様ァ…梶輪ァ!!自分がナニを言っているのかわかっているのかーッ!!」

 

石畳の演習場中央に陣取る梶輪大将に対し、九条元帥と同じく貴賓席の位置に居た男がその身を乗り出し中央の梶輪大将を怒鳴りつける

 

「あー?なんだってー?聞こえねー」

 

「貴様ァ……九条元帥相手に将奪戦だと?巫山戯るのも大概にしろォ!!」

 

「やかましい、ふざけてねぇよ、こっちは大真面目だコラ、なんならテメーからヤっちまうぞ?鞍馬ァ…」

 

「梶輪ァ…!!」

 

梶輪大将を怒鳴りつける男、海軍中央司令部大将、鞍馬

梶輪を西の大将と位置付けるならば彼は東の大将と呼べる人物で、彼もまた、開戦初期から最前線で戦果を挙げ、現在の地位へと昇った男であり、おそらく海軍将校将兵の誰よりも九条元帥に対して厚い忠義を誓っている…

 

「…面白い、いいだろう………梶輪、貴様の思い上がり、ここで砕いてやる」

 

「チッ…めんどくせぇな」

 

元帥VS大将の空気から一転、大将VS大将の一戦……それも、東西を代表する大将同士の戦いに発展する空気に場内はざわつき、どよつき、おどろき、しかしそれぞれがこの戦いを決して見逃す事はできないと言う空気に包まれていた…

 

しかし…ッ!!

 

「鞍馬大将、そして………九条元帥、少しよろしいでしょうか?」

 

石畳の舞台に上がって来たのは先程までの演習、叢雲の指揮を執っていた川奈大佐…

 

「梶輪大将が将奪戦を申し込むにあたり、やはり急な申し込みでありタダと言うワケにもいかないとは思います、そこで…」

 

川奈大佐は一つ呼吸を置き、九条元帥と鞍馬大将の居る席を見据えて言う…

 

「九条元帥の最も信を置く将達を、梶輪大将が信を置く我々が同じく将奪戦で撃破することで、梶輪大将の挑戦を受けて頂きたい」

 

「キサマァ……川奈ァ!!将奪戦で大将を……?つまりこの俺を倒すだと?調子に乗るなよ若僧が!!」

 

鞍馬大将怒りの咆哮が場内に響く!そして…

 

「よかろう、その提案、乗ろうじゃないか…」

 

これまで一度も言葉を発する事なくこの状況を静観していた九条元帥がついに動く

 

「元帥…ッ!?」

 

「何か問題があるのか?鞍馬」

 

「いえ、問題など………あろうハズがない!」

 

鞍馬大将は恭しく頭を下げ、会場上層の貴賓席より演習場の石畳の上へ飛び降りたッッ!!

 

「オイ川奈、任せていいんだな?」

 

「もとよりそのつもりでしたよ、俺たちは…」

 

「そうか、じゃ、任せた」

 

そう言って梶輪大将はガハガハ笑いつつ石畳の演習場から降り、そこら辺にあった椅子に腰掛けた

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

元帥VS大将!大将VS大将からさらに状況は大将VS大佐…ッ!!

 

中央司令部に所属する最高戦力ッ!10人の大将の1人、九条元帥の右腕と呼ばれる男、鞍馬隆盛大将ッッッ!!

 

その、最高戦力が今!!演習場の舞台へとリングイン!!

 

「若僧が……梶輪などに唆されおって、貴様にも“制裁”が必要らしいな」

 

齢60を越え既に老境を迎えつつあるハズの肉体だが、その身体から張ちきれんばかりのエネルギーが溢れているのは誰の目にも明らかッッッ!!

 

そして、その鞍馬大将に相対するのは………

 

海軍入隊以来、めざましい戦果を挙げ続け、中央司令部入りは確実!後の大将は彼で間違いないだろうと誰もが頷いた天才!ヨコスカの貴公子ッッッ!川奈純大佐ッッッ!

 

「…甘くみないコトだ」

 

最強の老兵と!最強の若手が今!己のPRIDEを賭けた将奪戦の舞台へと上がるッッッ!!

 

「って!!ちょ、ちょっと待ちなさいよ提督!」

 

「…なんだ?叢雲」

 

「え?ちょ…将奪戦ってナニ?え?ナニ?私聞いてないんだけど!!」

 

今まさに、決戦の舞台に上がろうとしていた川奈大佐に、彼の秘書艦であり、つい先程まで五月雨と激戦を演じていた叢雲は自分の上司に駆け寄って掴みかかった

 

「…いや、まぁ……たぶんこうなるかなって」

 

「だから!!なんで言わないの!?」

 

「…キミは対五月雨に集中していたし、余計な事は言わない方がいいと」

 

「どこが余計なコトよッ!!オオゴトじゃない!?ってかいつからこの話あったの!!」

 

叢雲は掴んだ川奈をガックンガックン揺らしエキサイトしていると、ベンチに座っていた梶輪大将がまぁそのくらいにせんかいと声をかけ…

 

「ハァ!アンタは黙ってて!クソオヤジ!!」

 

「クソ…!?オイオイ、サミちゃん、今コイツオレをクソ呼ばわりしおったぞ、最近の娘は怖ぇのぉ〜」

 

「叢雲ちゃんのクソは褒め言葉ですよ、昔から」

 

「っーか五月雨ェ!!なんでアンタもシレッとそこに座ってんの!!っーかアンタもまさか事前に聞いてたんじゃないでしょうね!」

 

「まぁまぁ叢雲ちゃん、そんなエキサイトしないで、ほら、ここ座って、ここ」

 

五月雨は自分の隣の空いているスペースをバシバシ叩き、ほら、こ↑こ↓と座れよアピールした…

 

「チッ!!……あー!!もう!!」

 

叢雲は川奈大佐の背中をバシッと叩き、背中を押し…

 

「モチロン、勝つんでしょうね?」

 

「…勝つよ、俺はキミのなんだ?」

 

「〜〜〜〜〜ッッッ!!提督よ…っ!!」

 

秘書艦叢雲に最後の活を貰い、川奈純大佐…

 

今、決戦のリングへリングイン!!

 

「行くぞォ!!ゴングを鳴らせーッ!!戦闘開始だッッッ!!」

 

「…悪いが、俺は勝つ気でここに来ている」

 

中央司令部大将 鞍馬大将 対 中央司令部付ヨコスカ基地所属大佐 川奈大佐

 

将奪戦 開戦ッッッ!!

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

鞍馬大将VS川奈大佐の戦いが始まるのとほぼ同時刻…

 

中央司令部横須賀演習場地下通路にて始まる誰の注目もないもう一つの“将奪戦”…

 

「オイオイオイ…コイツはとんでもないハズレを引いたな、オイ」

 

「梶輪の犬は二頭いたか…」

 

「誰が犬だ」

 

提督の前に立つ男こそ、海軍中央司令部最高戦力の10人の大将の1人、その中でもおそらくは最も強いと噂されている男、霧谷大将、その人である…

 

「まぁ、私のやる事に変わりは無いか…」

 

「そいつは奇遇だね、俺のやるコトにも変わりはない」

 

梶輪大将とやり合っても勝てる気がしなかったのに、さらにそれに輪をかけてヤバい相手だとわかる、相対しただけでハッキリとわかる実力差…

 

「ブチのめさせて貰うぜぇ、大将ォ!!」

 

「できると思うか?」

 





次回は狼と言ったが、あれは嘘だ


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提督と喫煙所が革命

帰ってきた革命戦艦

【登場人物】

提督(モクモクしちょる)
モクモクしちょるだけの提督

ガングート(革命)
旧ソから来たアツかりし革命戦艦、馴れ馴れしい


改正健康増進法…ッッッ!!

 

屋内喫煙が原則禁止となるこの新たなる法律が施行され、今までタバコを吸う事が可能だった場所が禁煙エリアとなり、スモーカー達はただでさえ肩身が狭いのにさらにその立場を危うくしている

 

「やめろォ!!やめてくれェ!!」

 

「提督、工事の邪魔になりますから………あ、大丈夫です、さっさとリフォームしちゃってください」

 

工事業者が喫煙室に設置していた空気清浄機(業務用)を撤去し、ヤニ色に染まった壁紙をベリベリと剥がして行く様子をただただ見ていることしかできない…

 

なんて無力なんだ…………俺はッッッ!!

 

そうだ、俺はいつだって大事なものは守れないんだ、いつだって奪われ…!失ってしまうんだ…!

 

「クソォ!改正健康増進法ぜってぇ許せねぇ!!」

 

「ナニワケのわからないコト言ってるんですか」

 

◆◆◆

 

キンッ!!シュボッ!!ジジジ………

 

「フーッ~………いい天気だ」

 

工事現場によくあるタイプの業務用吸い殻スタンドが設置された屋外喫煙所…

夏は陽射しがアツく、冬は冷たい風がビュービュー吹いてくるが、それはそれで仕方ない、とりあえず秘書艦サミー子にはこっちに屋外用の自販機設置するから業者に連絡しとけよと言ったら露骨にメンドくさそうなツラしていたが…

 

「む?おぉ!同志提督じゃないか!ハッハッハ!」

 

「…あ?」

 

口からケムリを吐きだしていると、俺と同じくスモーカーな戦艦がガハガハ言いながらこっちに歩いて来た…

 

旧ソからやって来た、史上、最もアツかりし革命戦艦ガングート、最近は特に出番もなく、基地内ニートの立場になっている…

 

「フーッ〜…まさか屋内の喫煙所がなくなっているとはな!聞いてなかったぞ!」

 

「俺も今日の朝に聞いたんだよ、まったく…喫煙者には住みにくい世の中になったモンだ」

 

「ハッハッハ!たしかにな!ハッハッハ!」

 

アツかりし革命戦艦ガングートは俺の背中をバシバシ叩き、まぁベンチに座ってハナシでもしようやと俺にベンチを勧め、自分は先に着席し、さらにベンチをほら!ここ空いてるぞ!とベンチをバシバシ叩いた…

 

「ったく、うるせぇヤローだな…」

 

「で?どうだ同志?最近は?革命しているか?」

 

「してねぇよ、そんなコンビニ感覚で革命とかできるワケねーだろーが」

 

そしてこの革命戦艦、何をどう誤解釈しているのか、俺をアツかりし革命の“同志”と思っているらしく、今や俺は革命軍の参謀総長の地位になっているらしい

 

「だいたいオマエ、最近見なかったが……真面目にトレーニングでもしてたのか?」

 

「当然だ、同志エトロフやその他の同志達と最先端の科学による革命のロードマップを鋭意制作中だ」

 

「フーッ………ま、他人様に迷惑かけない程度にしてくれや」

 

そのロードマップは100億%でどこかが頓挫するんだろうが俺には知ったコトじゃないが…

 

そんなコトを考えていると、喫煙所から見える裏庭のところに見覚えのある顔が歩いていた、いや、むしろ目が合ったと言うべきか…

 

「やぁ同志達、こんなところでナニをしているんだい?」

 

「よぉ、タスケくん」

 

「む?Ташкентか、ご覧の通り、我々は明日の世界について語り合っているところだ」

 

「そうかい、じゃあアタシも交ぜて貰おうかな」

 

やって来たのはガングートと同じく旧ソから来た革命戦………いや、旧ソが作り出した感情のない完璧な殺戮機械(パーフェクト・キリングマシーン)、まぁ、正確には感情がないワケではなく喜怒哀楽の楽だけは残っているらしいが…

 

「テキトーなコト言ってんじゃねーよテメーは、なんで俺が革命だの世界だのについて語り合うか、そーゆーのはそーゆーフラグを持った主人公的なヤツの仕事だっーの」

 

「ハッハッハ!まったく…!なんでも1人でやろうとは……水臭いぞ同志提督!ハッハッハ!」

 

バシバシ!!(強烈背中叩き)

 

「だから!馴れ馴れしいんだよテメーは!っーか痛い!マジで痛い!」

 

「同志達は仲が良いね」ニコニコ

 

「あ?いいワケねーだろ」

 

タスケくんはいったい何を見ているのだろうか?仲が良い?俺とガングートが?冗談じゃない

 

「そうかい?」ニコニコ

 

…わからん、未だにこのタスケくんの考えているコトはまったくわからん、だが、間違いなくその思考は赤く染まっているのだけは確かだが…

 

「あ、そうだ同志、この前、同志エトロフの妹の………え〜…なんだっけ?サディストだったかな?」

 

「佐渡サマな、たぶん」

 

「あぁ、たぶんそれ、サドサマ」

 

自称も他称も佐渡サマ、他者の恥辱と屈辱に至上の悦びを見出す新世代のドS界のプリンス………いや、プリンセスか?まぁどっちでもいいか

 

「その佐渡サマがどうしたんだ?」

 

「そのサドサマがオコノミヤーキの作り方を教えてくれてね、今度一緒に作ろうぜ!って誘ってくれたんだ」

 

「へぇ、あの佐渡サマが…」

 

さすがは佐渡サマ、このどこが起爆装置かわからない歩く危険物のタスケくんにこうも容易く踏み込むとは…

やはりヤツこそ明日のサディスティックを担う新世代のドSよ…

 

「良かったら同志テイトクもどうだい?」ニコニコ

 

「…ふむ」

 

普段の俺ならば、やだよメンドくさいと紳士的に断るところだが……

 

「オコノミヤーキか……フッ、いいな!よし、同志提督、全ての同志に“召集”をかけるとしよう」

 

「なんで俺も参加する前提なんだよ、まだ答えてないだろーが」

 

「ハッハッハ!水臭いぞ同志!ハッハッハ!」

 

バシバシ!!(強烈背中叩き)

 

「だから痛いって!!それマジで痛いんだからな!」

 

「フッ、同志Ташкент、全ての同志は革命軍の“本部”に集合だ」

 

「わかったよ同志」

 

 

この後、革命軍の本部ことガングートの部屋に同志達が集まったが、いくらなんでもガングートの部屋にガキどもとは言え10人を超える人数はさすがに収まりきれず、仕方なしに執務棟の裏でオコノミヤーキを焼いた…

 

あと、俺の知らない間に海防艦のガキどもは全員“同志”になっていたらしく、人数が増えたおかげか、アホの占守クンはいつの間にやら革命軍の“幹部”に成り上がっていた…

 




次回は久々に他人様に頼る他力本願コラボレー回、です


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EXTRA GAME①

今回から特別編
キ鈴様作 “辞めたい提督と辞めさせない白露型”をお借りした感じになっております

【登場人物】

提督(中佐)
必殺技は真・テイトクリベンジャー

表島大佐(大佐)
“辞めたい提督と辞めさせない白露型”の主人公
逃げられない、しかし回り込まれた!


特別演習のお知らせが届いたお日柄も良い今日この頃…

 

海軍には年に数回、よくわからないルールで縛られた演習がある、例えるならば軽巡3人使えや、空母は必ず起用しろだのその時々で様々、偉い人がサイコロ振ってテキトーに決めてるんじゃないかと疑いたくもなる

 

今回そんなただの演習ではない特別演習に振られたルールだが〜……

 

「白露型駆逐艦のみ」

 

「はぁ?」

 

ちなみに、コレには海風姉ちゃんら改白露型も含めていいらしく、ウチは10人の人材からメンバーを起用することができるワケだ

 

「だ、そーだ……またワケのわからんルールだな」

 

「まぁ、ワケのわからんルールは今に始まったコトじゃないですし」

 

特別演習のお知らせが書かれた書類を執務机に置き、秘書艦サミー子に冷たいティーを淹れてくれと頼むとめんどくさそうに冷蔵庫から麦茶のペットボトルを取り出した

 

「しかし白露型か………ならば卿の起用も有り得るかもしれんぞ?」

 

「はぁ?………まぁ、出撃れと言われたら出撃ますよ、私は」

 

麦茶の注がれたグラスを俺の前に置き、サミーは特に興味なさそうに菓子皿に入っていた小菓子の袋を開けて口に入れた…

 

「ハハッ、相変わらず欲がないな、卿は」

 

「そうですか…」

 

こやつがかつて万騎長(マルズバーン)と呼ばれ“戦士の中の戦士(マルダーンフ・マルダーン)”ありと名を馳せたのも、今や懐かしいものよ……

かつては由良さんと肩を並べ互いに競うように切磋琢磨していたあの時代…

 

そう、まだこの執務棟が築70年のクソボロハウスだった頃…

 

「提督、その話、長くなります?」

 

「わりと」

 

こやつめ、人がせっかくノスタルジーに浸りつつアーリーデイズ編に突入しようとする所を割り込みおった

 

「じゃ、先に対戦する相手のコトを確認しておきましょうか?」

 

「対戦相手か、 ふむ……どこのどいつだ?まさかイケメンじゃないだろうな」

 

「イケメンかどうかは個人の判断によりますが、この人みたいですね、表島大佐」

 

秘書艦サミー子はファイルをペラペラ捲り、その中から今回の対戦相手らしき人物の載ったページを開いて執務机に置いた

 

「ふむ、テイトク強度95万パワーといったところか、下等提督が」

 

「取り立てて目立った活躍は~………あるにはありますね、鉄底海峡戦でかなりの戦果を挙げてるそうです、人呼んで、鉄底英雄」

 

「ナニが鉄底英雄だ」

 

だが、下等にしてはなかなかヤるようだ……面白い、見せて貰おうではないか、英雄の力と言うものを…

 

◇◇◇

 

某所、とある鎮守府…

 

「…………えー、皆さん、今回、特別演習の斡旋があり、対戦する基地が決まりました」

 

今日、執務室に集められたのは白露型姉妹+1の仲間達…

正直なところ、演習なんか適度にやってなぁなぁな感じで終わらせるのがいつもの流れだが、今回は少々事情が違う…

 

演習のお知らせに記載されていた対戦相手は、わりと若手の海軍将校の間で噂話程度に聞いていた名前であり、それも良いか悪いかで分ければ、確実に“悪い”噂話で聞く名前だった…

 

「えー…今回はワリと洒落にならないかもしれないので、皆さんの作戦は“いのちだいじに”でいきたいと思います、以上、なんか質問ある人」

 

「ぽい!」

 

「はい夕立、あと、ぽい!じゃないでハイな」

 

「洒落にならないってどーゆー意味っぽい?」

 

「イイ質問だ!みんな、今、夕立がスゴくイイ質問をしたぞ!みんなも見習おうな!よし夕立、ご褒美だ、角砂糖をあげよう、2個でいいか?」

 

「ぽーい!ぽーい!」ふるふるふる!

 

「3個か?甘いの3個欲しいのか?いやしんぼめ!」

 

まったく夕立は本当に可愛いやつだな!こう、なんと言うか…素直で、愛嬌があって、他の姉妹にもこの夕立の愛らしさを見習ってもらいたいものだ

 

「いくぞぉ!3個いくぞぉー!手ぇ使っちゃダメだぞ」

 

角砂糖を手に遠投のフォームを執拗に確認していると、今度は姉妹の次女が手を挙げ…

 

「や、そんなコトはどうでもいいよ提督、そんなコトよりなんで提督がやる前からそんなにビビって芋引いてるのか教えてくれないか?」

 

「ビビってないしイモ引いてない、時雨、マイナス20TPな」

 

「なんだよ……TPって」

 

「テイトクポイントだ、集まるとお皿が貰える」

 

100均で買ってきたヤツだが、あと、何ポイント集めるととも明言はしていない

 

「もしかして、100ポイント集めたら指輪ですかね?」

 

今、この部屋に集まっている白露型姉妹+1の+1、なんかごく当たり前のように俺の左斜め後方に陣取っていた浜風がスゲーコトに気付いた的な顔して言った…

 

「あぁ、オマエ以外はな」

 

「ハァ!?センパイはなんで私にだけそんな意地悪言うんですか!?」

 

「うるせぇよ!自分の胸に聞けよ!」

 

「自分の胸に………ノックしてもしもーし?センパイは何故私にだけ意地悪するんでしょうか?………好キナンジャネーノ?(裏声)………なるほど」

 

ダメだコイツ、早くなんとかしないと…

 

「まぁいいや、とりあえず今度の演習相手についてざっくり説明するとだ………」

 

キュウシュウを拠点とするその基地は年に数回ある大本営主導の海域攻略作戦でも特に目立った活躍や戦果は無く、出世コースからは外れた単なる田舎基地とされているが…

 

その実情はとんでもない…ッ!

 

配属にあたり、マトモに使うには一癖も二癖も問題がある艦娘を意図的に多く回され、毎日がワルのオリンピック状態と噂されている地域でもぶっちぎりの不良艦娘の溜まり場ッ!噂では15歳以上の青年提督の生存率は2%以下と言われている…

 

「それマジでヤベーやつじゃん」

 

「はい江風、今イイ事言った、はい、その通りです」

 

そんな修羅の基地にッ!!演習を挑まされると言う恐怖ッッッ!!

 

「ちなみにその世にもキケンな基地を率いる提督だが、噂では一時は大佐まで昇ったものの、軍の会議中に暴力沙汰を起こして大尉にまで降格したフダ付きの危険人物だそうだ」

 

「それはまた随分とヤンチャだね」

 

「ヤンチャだね、でスルーするな、時雨、マイナス30TPな、ちなみにTPが0になるとデュエリストの資格を剥奪される」

 

ヤツをデュエルで拘束せよ!と力強く拳を固めると、今度は今の今まで珍しく黙っていた春雨が挙手し…

 

「それで?その話を私達にするからには何か理由があるんですよね?」

 

「ある、勿論ある」

 

むしろそれこそがみんなに集まって貰っている理由なんだが…

 

「…今回の特別演習、ルールが白露型駆逐艦のみとあるんだ」

 

「へぇ〜…」

 

「つまり、今日、ここに集まって貰った乳しか脳のないバカ以外は全員がこの特別演習に出る可能性がある!」

 

「先輩、乳しか脳のないバカって誰のコトですか?ねぇ?先輩?ねぇ?」

 

「ハッキリ言って危険な戦いになると思う、最悪、この中の誰かが欠けるかもしれない、だが!俺はお前達を信じている!全員生きて、もう一度この場で会おう!!」

 

固めた拳を大きく振って前に突き出し、俺は集まった白露型の熱き血潮の姉妹達にニコリと微笑んだ

 

「ねぇ?誰のコトですかそれ?ねぇ?聞いてます?なんで無視するんですか?」





次回はその2
敵は白露型!!白露型サバイバル編開戦


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EXTRA GAME②

娑婆じゃ見られない基地ところせましと繰り広げられる狂気と根性の祭典、良い席はお早めに

【登場人物】

提督(卑劣漢)
海軍の演習を私欲の為にエンターテイメントに変えるエンターテイナー

表島大佐(快男児)
猛烈にイヤな予感がするのぉ〜…






年に数度の特別斡旋演習…

通常開催される演習とは違い、基地を一般市民に開放し、周辺地域の住民達に、深海棲艦に対し、海軍が如何に優れた戦力を持っているのかを対外的にアピールする事が許可されており、噂に聞く“艦娘”の可憐かつ勇猛な海の乙女達を一目見てみようと多くの観客が集まるイベントでもある

 

「サミー子、集客はどうだ?」

 

「今のところ、六千弱ですかね…とりあえず前売りチケットは売れてますし、当日も売れてるそうです」

 

「カッカッカ!そうか!カッカッカ!」

 

そしてさらに、当基地ではウチのバカどもによる出店も出しており、会場の外ではアツアツの焼き鳥やお好み焼き、モチロン酒類も販売している

 

「って言うか、このチラシなんなんですか?」

 

キュウシュウ最大級!特別斡旋演習開催ッ!!掟破りのデスマッチ!!【白露型姉妹】VS【白露型姉妹】

禁断の姉妹対決!お茶の間では絶対みられないどちらかが死ぬまで戦う今世紀最大のライブ・パフォーマンス!!

 

「人間とはいつだって血と争いを求める業の深い生き物、それは古代ローマ、コロシアムの時代からみても変わらないDNAの定めしカルマと言えるだろう…」

 

「はぁ?」

 

「ちなみに、そのチラシは香取先生にデザインして頂いた」

 

まったく、香取先生はいつだって俺の想像を……いや、イメージを塗り替えてくれる、先生こそ俺を、そしてウチのバカガキどもを導いてくれる先導者だ…

 

「…そうですか、あ、そう言えば浦風さんが屋台の人手が足りないから誰か人を回してくれって言ってましたよ」

 

「甘えるなブタ乳女と伝えておけ」

 

◇◇◇◇◇

 

「テーマパークに来たみたいだぜ、テンション上がるなぁ〜…」

 

「いや、これはさすがにどうかと…」

 

「提督さん、タコ焼き買っていいっぽい?」

 

特別演習に挑むべくキュウシュウの基地へとやって来た俺達なんだが………なんだろう?今日は何かのライブイベントでもやってるんじゃないだろうかってぐらい人で溢れていた

 

ってか、こんな中で演習するの?いいのコレ?あ、ビール売ってる

 

「…山風、お金出すからビール買ってきてくれる?おつりで好きなもの買っていいから」

 

「飲んどる場合かーッ!」

 

ビタン!(平手打ち)

 

財布からお札を取り出そうとしていると、時雨から妙にスナップの効いたビンタを浴びた

 

「あべし…っ!フッ、時雨………イイビンタだ、だが、お前のビンタを食らって倒れなかったのは、俺が初めてだ!」キッ!

 

「ナニワケのわからないコト言ってるんだよ、ほら、さっさと行くんだよ」

 

「へいへい、よぉーしみんな、ちゃんと並べよー、行くぞー」

 

ーーー

 

演習が開催される会場へと入った俺達は、まず、超満員のスタンドに圧倒された…

そもそも俺達はこんな超満員の観衆がいる中での公開演習など経験がない、果たして慣れないこの環境下でいつも通りのパフォーマンスが発揮できるのだろうか…

 

「ようこそ、表島大佐殿、我が基地へ…」

 

「あ、どうも…」

 

会場に入り、待っていたのは、件の危険人物と名高い中佐と〜………隣に居る娘は秘書艦かな?五月雨…?だよな、うん、なんかうちの五月雨と雰囲気が違う気がするが…

 

「今回の演習、公開演習なんですね」

 

「何か問題が?」クイッ!

 

いや、そーゆーのは事前に連絡しとけよ、なんだよこのメガネ、なんでメガネクイッ!してるんだよ?知性アピールかよ?

 

「まさか……大佐殿の部下は大勢に見られていると恥ずかしくて十二分なパフォーマンスが発揮できない?とは言いますまいなぁ!ガハハハハ!」

 

「まさかぁ!そんなワケないですよ」

 

このヤロウ……ッ!!いきなりハメられたッ!!どうやら噂以上に卑劣な男らしいな……

 

そんな卑劣メガネはフェアに戦おうぜと握手を求めてきたので、とりあえずその手を握り返し…

 

「…どうかしたかね?」

 

「いや、握手は後でいいでしょう、俺達が勝った後で」

 

………危ない危ない、あの右手、何か仕掛けがあるかもしれない、そうだ、ここは敵地、アウェーだ…

そして、この緊張感…鉄底海峡戦でも何度となく感じたイヤな予感を身体の底から思い出す感覚だ

 

求められた握手を拒否し、ではまたと簡潔な挨拶だけして俺は仲間達の居るベンチへと戻った

 

ーーー

 

演習の形式は通常通りの6人選抜式…

しかし、この特別演習は通常ルールとは異なり、初戦を単艦同士のシングルマッチ、二戦、三戦目を二対二のダブルス形式、そして四戦目が再びシングルマッチと言う変則ルールで行われる…

 

 

【S1】

涼風 VS 夕立(表島)

 

【D1】

五月雨&村雨 VS 時雨&白露(表島)

 

【D2】

白露&海風 VS 江風&山風(表島)

 

【S2】

春雨 VS 春雨(表島)

 

 

………同キャラ対決になったのは春雨ちゃんだけか、まぁ、ある意味わかりやすくていいか

 

「よし!初戦は夕立だ、ぶちかましてやれ!」

 

「わかったっぽい!」

 

まず出し惜しみせずエースをぶつけて勢いに乗る!姉妹1の狂犬だ!

 

「…相手は夕立を出さないんだね」

 

「そうらしいな」

 

さすが時雨だ、冷静で的確な分析をする…

たしかに、相手のメンバーには夕立の名前がない、もしかして、夕立の練度は低いのだろうか?

 

「舐められてるんじゃないかな?」

 

「だとしたら、舐めたコトを後悔させてやるまでだ」

 

◆◆◆◆◆

 

「オイ、スズカ、真面目にやれよ、真面目に」

 

「ハァ…?っーかスズカじゃねぇし、涼風な」

 

「ナニが涼風だ、扇風機みてぇーな名前しやがって」

 

「誰が扇風機みてぇーな名前だコラ?」

 

提督様に対してメンチ切ってくる姉妹の末妹、涼風

五月雨に見た目が似ていることから、凶暴な方の五月雨や、五月雨Bと呼ばれており、最近来たばかりの新人や外人さんなどは五月雨と見分けがついてないらしく、五月雨のドッペルゲンガーかナニかと噂されているとかなんとか…

 

「ゴチャゴチャ言ってないで出番なんですからさっさと行ってくださいよ」

 

「あ?五月雨ェ、アタイに命令してんのかコラ?」

 

そしてこの五月雨と涼風、よく似ているくせにやたらと仲が悪い

 

「アイツの次はオマエからブッコロがすからな、覚えとけよ」

 

「覚えておきますよ、刹那で忘れますけど」

 

「あ゛ぁ?やっぱテメーからヤっとくか?」

 

ったく、なんでコイツらこんなに仲悪いんだよ…

五月雨と涼風は互いにメンチを切り合い空間がぐにゃあ〜っと歪みつつある

 

「オマエらが喧嘩すんな!スズカ、いいからとっとと行け!」

 

「チッ、あとでチョコレートパフェ奢れよ」





次回
熱戦!烈戦!超激戦!最強最悪の敵!白露型!


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EXTRA GAME③

その3、戦わなければ生き残れない

【登場人物】

知性チーム(メガネ)
まるで知性が溢れませんよー!

表島チーム(非メガネ)
ナニが知性だ!そのかしこいおつむを………賢いか?


「皆々様こんにちは、未だに改二のお声がかからない重巡、青葉です、本日は特別斡旋S1演習、白露型特別の試合をお送りしております、実況は私、青葉、解説は総合格闘技にも造詣が深い雅な御方、初春様をお招きしております、こんにちは初春様、今日はよろしくお願いします」ペコォ…

 

「うむ」

 

「さて本日の演習なんですが、なんと禁断の姉妹対決~…と言うだけでなく、なんと同キャラ対戦となりそうな顔合わせになりますが、そこのところどうなんのでしょう?」

 

「ふむ………まぁ、アレじゃろ?“格げー”で同じ者同士が戦う感じじゃろ」

 

「なるほど、ネ●ツ脅威のクローン技術みたいなモノと…」

 

---

 

東西南北、四つに別れた演習場で同時に始まる四つの戦い!まず、その先陣を切る激突を見せたのは東の戦場!

 

「いけないなァ…テイトクのコトを悪く言っては…」

 

「なんなんですか?アナタ…何者?」

 

チーム表島最強の鬼札、春雨と相対するのは髪の色を染めようとして強めの薬剤を使い真っ白に脱色してしまったドジっ子(世間体)ハルサメ…

 

春雨VS春雨の禁断の対決ではあるものの、見た目からしてカラー違い、なおかつそのファイトスタイルもまるで違う!

 

「フォーッ!!」

 

ドガッ!!(ハルサメキック)

 

「チッ……なんですかその足?鉄の足…?」

 

春雨は紐で括ったドラム缶をブンブン振り回しつつ、まぁ、どうでもいいですが…と呟いた

 

「え?ナニそれ?ドラム缶?それ、そーゆーふうに使うの?反則じゃない?」

 

「………勘違いしている方も多いようですが、コレが、ドラム缶の使い方です」

 

---

 

「オイ、アタイが片付けるのはこのゴミかい?」

 

「ヒトのコトをゴミ呼ばわりとは、良くないっぽい!」

 

西の戦場では同じくシングルマッチ、超S級掃除人、涼風VS白露型最強火力を有する狂犬、夕立(表島)の激突!!

 

「ウチの涼風と違ってかなり口が悪いっぽ…」

 

ブンッ!!(足刀蹴り)

 

「いきなりあぶねーっぽい!!」

 

「オイオイ喋るのかい?このゴミは…」

 

「クッ…!このヤロウ…!」

 

今の足刀、もし直撃したらタダでは済まなかった…

どうやら違うのはガラの悪さだけじゃあないと改めて認識した夕立は警戒を強める…

 

相手は改、そして自分は改二、総合的な性能を考えると自分の方が有利だが、さきほどの足刀は野生の勘、そして思考より先に身体が反応する敏捷性を持つ自分でなければ回避できなかっただろう…

 

この危険な相手は、今、ここで、他の姉妹の誰でもない、自分が倒さなくてはいけない!!

 

「ブッ倒す…!!」

 

そんな夕立が覚悟が決めたその時、ベンチに座っていた表島大佐と他の姉妹達が自分達の座っていたパイプ椅子の位置を移動したッ!!

 

「あ、あれは…ッ!!X!Xの陣形!」

 

Xの陣形!!それは、表島大佐がチームメイト全員にあらかじめ伝えておいた作戦を円滑に伝える陣形…

そして、Xの陣形の意味とは………“相手の攻撃に注意せよ”!

 

「ヘヘッ…!ありがてぇっぽい!」

 

◆◆◆

 

「チーム表島ベンチの謎の位置移動、あれはいったいなんでしょう?初春様」

 

「さぁ?ま、ナニか意味があるじゃろ、サインの伝達とか…」

 

「なるほどー、それに対してチームクソメガネ側のベンチですが〜………あー、スマホです!スマホでゲームしてます!それに罵倒です!しかも相手を罵倒ではなく自軍のチームメイトをディスる声が聞こえます、しかもニヤついてるあたり、かなりタチが悪いです!」

 

 

「まぁ、いつものコトじゃな」

 

味方の成功を褒めるな!むしろ失敗を笑ってやれ!怒れ、憎め、妬め、負の感情こそ賛美され、邪悪のパワーを糧とせよ!それがこの基地のルールである

 

「さて、それでは北の会場の様子ですが〜………って、ゲェーッ!!」

 

「なんじゃ?やかましい!」

 

「な、なんと!!なんとォー!!北の会場!既に終わっているーッ!!まさかの試合終了だァァァァァ!!」

 

「な、なんじゃとォ!?」

 

ダブルス1、村雨&五月雨ペアVS時雨&白露ペアが戦っていたその戦場は………

 

既に終わっていた…

 

血塗れで金網フェンスにメリ込んだ村雨…

 

鎖のようなもので全身を緊縛されて転がった白露…

 

同じく、鎖のようなもので全身を緊縛されているものの、まるで激しい戦いでもあったかのように前のめりに倒れた時雨…

 

そして………

 

『村雨姉さんが悪いんですよ、だいたいなんなんですか?そのやらしい身体、ナニ食ったらそんなやらしい身体になるんですかね、まったく…』

 

海水で手をジャブジャブ洗う五月雨…

 

「コレはいったいナニが起こったのかァァァァァ!!初春様!コレはいったいナニが!!」

 

「やかましい!!ちょっと静かにせい!」

 

「………………」

 

「いや、静かにしすぎじゃろ」

 

【D1: ◯村雨・五月雨組 VS ●白露・時雨組】

 

◆◆◆

 

「ウソだろ!?白露と時雨のアネキが負けたなんて…!」

 

「ビッグボディでさえ勝ったと言うのに…」

 

南の戦場、白露・海風組VS江風・山風組の戦い!その試合の最中にもたらされた急報は江風と山風を戦慄させた…ッ!!

 

「アネキ達はアタシらよかよっぽどヤるハズなのに…しかもこんな早く」

 

「これは……負けてられない」

 

「あぁ!山風のアネキの言う通りだぜ、ここはまずアタシらが勝って勢いをつけねぇと!」

 

信頼する姉達のまさかの敗北には驚いたが、江風と山風は改めて勝つぞと決意を固め互いに手を組み、アツい姉妹の友情パワーを増した

 

「おやおや、これはこれは……一番最初に勝つのは私達かと思ったんですけどねぇ、海風さん?ホッホッホ…」

 

「そうですか…?ってか白露姉さん、なんですか?その気色の悪い……いえ、変なキャラは?」

 

「おやおや、さすがは新型の長女と呼ばれるだけはある……真の長女である私に意見すると言うのですか?」

 

白露はホッホッホと愉快そうに不気味な笑みを浮かべている…

 

「あ、いや、別にそう言うワケでは…ただ、その変なキャラはどうかと…」

 

「おだまりなさいッ!!」カッ!!

 

「ヒッ!?」ビクッ!

 

「ホッホッホ……まぁ、七女の海風さんはそこで見ていなさい、この私が一番であるコトをこの会場に来ている皆さんに教えて……いえ、わからせて差し上げましょう、そう、誰が一番で、長女なのかを…」

 

白露は江風と山風に向き直ると、さぁどうぞ、どこからでもかかってきてくださいと言うかのように右手をクイクイした

 

「な、舐めやがって…」

 

「江風、油断しない方がいい…」

 

「で、でもよぉ…あんな舐められて、クッ!アタシは行くぜーッ!!」

 

「江風っ!!」

 

江風は自信満々に挑発する白露に真正面から突っ込む!相手は所詮同じ白露型!戦艦と言うワケでもないし夕立や時雨のような突出したものがあるワケでもないし春雨のようなモンスターと言うワケでもない!

ならば戦いは先手必勝!勢いがある内に真正面から最大戦速の最大火力で一気に勝負を決める!

 

「喰らえーっ!!!」

 

「フンッ!貧弱貧弱ゥ……!なんだぁ?その眠っちまいそうなスローな蹴りはァ…?」

 

「クッ!!」

 

「フンッ!この白露が何故No.1と呼ばれているか教えてやるぞ!!」

 

白露は片腕で相手の腕を掴み、もう片方の腕で江風の脇の上を固めた!

 

「ぐわあああああああああああああーっ!!!」

 

「この白露がなんと呼ばれているか知っているかマヌケめっ!」

 

No.1サブミッション・アーティスト!白露!それがこの白露がNo.1たる所以よォー!!と叫びつつ白露の関節地獄(サブミッション・インフェルノ)祭りが幕を開ける!

 

腕!肩!肘!手首!膝!足!股関節!その他全ての関節と言う関節をを痛めつけるコトに悦びを見出すまさしく関節天使(サブミッション・エンジェル)ッ!!

 

「アダァァァァァァァァ!!痛い痛い痛い痛い痛い!」

 

「や、やめて!やめろー!!」

 

死の関節地獄を味わう江風に、山風は救いを入れるべくカットにかかる!!

 

「フンッ!何人来ても…」

 

「イダアアダァァァァァァァァ!!痛い痛い痛い痛い痛い痛ァァァァァ!!」

 

「無駄無駄無駄ァ!悪いケド、ウチの妹じゃないなら容赦しないわーッ!!」

 

江風と山風の2人がかりを関節で翻弄する白露!まさしく赤子の手を捻るように2人を痛めつけ、もはや勝利は目前と思われたその時…ッ!!

 

「でやぁ!!」

 

ドガッ!!(飛び蹴り!)

 

「グハァ!!う…海風ェ…!」

 

まさかのタッグパートナーによる裏切りのカット!!

海風は、白露の関節地獄から解放された敵であるハズの江風と山風を優しく抱きしめ…

 

「…そう、たしかにアナタ達はウチの妹じゃない山風と江風だけど………私は!!たとえ本当の妹ではないにしても!山風と江風が!妹が苦しむ顔だけは見たくない!」

 

「クッ…!な、なんと言う長女力…ッ!!や、やめろッ!なんだ?なんなんだその光は!私が!私が長女だ!私が長女なんだーッ!」

 

「白露姉さん…」ポロポロ…

 

「やめろォ!!私をそんな目で見るなァ!私を哀れむなーッ!!ハハッ……そうだ、私は白露、白露姉妹の長女、長女なんだ!!海風ェ!!オマエなんかが私にィ!!」

 

「白露姉さん……なんて哀しい人、わかりました、今、姉さんをその苦しみから解き放ってみせます!」

 

「海風ェ!!」

 

邪悪のパワーに堕ちた長女白露を止めるべく、新型の長女海風が試合中にまさかタッグパートナーを解消し、掟破りの挑戦状を白露に叩きつけた!!





次回はその4
4つの戦い完全決着、そして…


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EXTRA GAME④

なんやかんでスロウペース気味、疲れているのかしら?

【登場人物】

悪行白露型軍
白露型キセキの世代を含む邪悪のエリート、意外にも姉妹で定期的に焼き肉したりと仲は悪くない

表島白露型軍
わりと普通の白露型姉妹、特に五月雨は普通の五月雨



南の戦場!まさかの試合中にタッグ解消!方向性の違いから袂を分かち決別した白露と海風…ッ!

 

激戦の続く戦場に、新たな動きがあったのは西の戦場だった……

 

「ゲェーッ!あ、あの動きはーッ!初春様!アレはまさしくアレでは!?」

 

「うむ、アレじゃ」

 

「なるほど、やはりアレですか…」

 

西の戦場、涼風VS夕立のシングルマッチ、開始序盤こそ速攻火力で勝る夕立が激しく攻め立て勝負は有利に見られたが、最も勢いがある序盤を凌ぎ切られながらも中盤まであと一歩に迫る勢いまで追い詰めては決め手を凌がれ、涼風のターン…

 

「オラァ!!」

 

「ウッギャアー!!!」

 

人間風車→回転揺り椅子固め→脳天杭打ち→吊り天井固めの流れるような基本技の連続!涼風は一気に夕立を仕留めにかかる!

 

「くたばれやーッ!!」

 

流れるような動作で決まった殺人技、風林火山をモロに被弾し、夕立は吐血しつつリングに転がる…

このダメージは誰の目にも明らかに深刻ッ!もはや夕立は立ち上がるコトすら難しいだろうと誰もが思ったその時だった…

 

『フフフッ…』

 

『ハハッ…』

 

表島大佐側のベンチが再び動く!パイプ椅子から立ち上がったチームのメンバー達はまるで組体操でもするかのように艦娘の壁を作り上げたッ!!

 

「あ、あれは……!」

 

「なんだい?ありゃ?」

 

「ヘッ……へへ、あれは激励の陣!たしか“死力を尽くせ!”だったっぽい…」

 

チームメイト達からの激励に、つい先程まで死に体だったハズの夕立は再び立ち上がる!仲間達の為に負けるワケにはいかない!そう!絶対に勝ってみせる!

アツい友情、いや、姉妹のアツい絆のパワーが夕立に再び戦う力をくれた!

 

『オイ!スズカー!テメーナニチンタラやってんだコラァ!やる気あんのかー!五月雨Bかテメーはーッ!』

 

『不甲斐ない試合だな、僕を失望させるな』

 

『オイオイオイ!この掃除機、ガタがきとるんちゃうかー!ギャハハハハ!』

 

対して、メガネ側ベンチから飛ぶチームメイトからのアツい罵声…

 

「オマエら、アトで全員ぶっ飛ばすからな、あとアタイを五月雨Bって言ったヤツ!オマエだよオマエ!そこのメガネ!絶対殺すからなァ!」

 

◆◆◆

 

「死ねッ!」

 

「こ、これは…!?」

 

試合中にまさかのタッグ決裂!実の姉妹同士の死闘となった白露と海風、その戦いはまさしく一進一退の攻防!しかし…!!遂に白露が勝負に出る!!

 

『ゲェーッ!あ、あの技はーッ!』

 

『間違いない!あれは前に明石VS夕張の戦いで明石が使った必殺技!』

 

空中で海風を捉えた白露は海風の両足を脇にかかえ、両腕をキーロックに固め、ツームストンドライバーの体勢で勢い良く落下を始める!!

 

『ア●ル・カタストロフドロップだーッ!』

 

『アレをマトモに喰らえばンミカゼちゃんのア●ルはタダじゃ済まねぇぜーッ!!』

 

『白露のヤロウ!本気だ!本気で妹をヤるつもりじゃー!!』

 

死の必殺技!勢い良く落下するア●ル・カタストロフドロップ!マットに叩きつけられればタダじゃ済まない超絶奥義に、海風はなんとか身体を捻りロックから脱出を試みるが…

 

ギリギリギリ…ッ!!

 

「クッ…!う、動けない!」

 

「バァーカァーめぇー!!海風ェ!キサマのア●ルはコレで終わりよ!」

 

「クッ……!白露姉さん、どうして…?あんなに優しい姉さんが一体なんで…?」ポロポロ…

 

「……な、涙ッ!?」

 

「いつもの優しい白露姉さんのコト、本当に尊敬していたのに……私も、一番上のお姉ちゃんみたいになりたくて、白露姉さんみたいになりたくて……それが白露姉さんを苦しめていたなんて…」ポロポロ…

 

「や、やめろォ!!やめろ海風ェ!!私は……私はッ!!」

 

「白露姉さん…」ポロポロ…

 

「う、ウオオオォォォォォ!!やめろ!私は!私は長女で…!オマエなんか大嫌いで……大嫌いで!!でも、やっぱり海風ェは!私の妹で!!」

 

海風涙の訴えに、怒りの阿修羅だったハズの白露の覚悟が鈍った!!白露は相反する己の感情の葛藤に涙を流し、完璧に極まっていたハズのロックが僅かに緩んだ!!

 

「ハアーッ!!」

 

「しまっ!?……クッ!!海風ェ!!」

 

落下中にア●ル・カタストロフドロップから見事に脱出した海風は逆に白露を空中で捉え、さらに右足で白露の両足をフロント・インディアンデスロックに極め、右手で白露の顔面を掴む!!

 

「グ、グオオオ…!う、動けん!」

 

「白露姉さん!この技で終わりにしましょう!!いきます!私から姉さんに贈る最高の技!!」

 

「グワァァァァァ!!」

 

ズガアァン!!!(有罪(ギルティー)ーッ!)

 

落下速度増し勢い良くマットに叩きつけられた白露は2、3度、血反吐をブチ撒け、ビクンッ!ビクンッ!と痙攣して動かなくなった…

 

「ハァ……ハァ、…か、勝った!」

 

【D2 :白露・海風組 VS 山風・江風組】

【D2-1:●白露 VS ○海風・山風・江風組】

※タッグ決裂の為、白露の敗北により試合は表島大佐軍の勝利

 

◆◆◆

 

下段回し蹴り→中段回し蹴り→下段足刀→踏み砕き→上段足刀、涼風の流れるようなコンビネーションが炸裂するッ!!

 

「ぬぅ…アレは」

 

「知っているのですか?初春様!」

 

「うむ、アレこそ“煉獄”……ヤツめ、まさかアレを習得しておったとは…」

 

煉獄!!それぞれ5つの急所への連続技からなる7種の型で構成される連続打撃技であり、一度その技に嵌ってしまえば反撃どころか倒れることすら許さぬ怒涛の連続攻撃をその身に受けるのは必至、まさしく煉獄の名に相応しい地獄を見るコトとなる…

 

「…つまり、格ゲーなどで言う乱舞技みたいなものでしょうか?」

 

「まぁ、そんなところじゃ」

 

一度嵌れば地獄行き、煉獄をマトモに被弾した夕立は気絶しようが倒れるコトも許されない、もはやこの勝負は…

 

「試合を止めよ、決着じゃ…」

 

「あーっ!!ここで初春様からストップがかかったーッ!!ゴング!ゴングです!試合終了ォォォォ!!」

 

カン!カン!カン!カン!(ゴング)

 

「チッ、なかなかしぶとかったなオイ、アタイにアレまで使わせるとは…」

 

「ゴハァ……ぽい」

 

煉獄から解放され、マットに倒れる夕立にベンチから一斉に飛び出したチームメイト達、そして表島大佐が駆けつけ、夕立を優しく抱きしめた

 

「夕立ィ!夕立ィィィィィ!!大丈夫かァァァァァ!!」

 

「へ、へへ……ゴメンっぽい」

 

「よくやった!よくやった!感動した!オイ、早く夕立をメディカルルームへ!」

 

「みんなの期待に……応え、られなくて…」ポロポロ…

 

「泣くな夕立!オマエはよくやったから!な?」

 

「うっ……ぅぅ!ティトクゥ……夕立は、夕立は!二度と敗げね゛ぇ゛がら゛!!アイツに勝って!絶対に…ッ!!もう!!敗けねェー!!」ポロポロ…

 

どんっ!!

 

 

【S1:○涼風 VS ●夕立】

 

◆◆◆

 

西、南、北、3つの戦いが決着し、最後に残されたのはこの戦いにの狼煙を上げた東の戦場………春雨VS春雨!!

 

「くたばれェェェェェェ!!!」

 

「こ、この力は…!まさか……マサカ!?」

 

艦娘でありながら深海棲艦の力をその身に宿すスペシャルな存在、イカれたピン(パツ)(フネ)、春雨…

 

仲間達が次々と倒れていく中、遂にブチ切れたのか、その身に宿した脅威の超絶パワーを発揮し、白髪の春雨の顔面を片手で乱暴に掴み、そこら辺の壁に激突させてガリガリ走り回りぶっきらぼうに投げ捨てる!!

 

「す、少しは手加減しろォォォォ!!」

 

「手加減…?手加減ってなんですか?」

 

残虐提督軍のお株を奪うかのような残虐ファイトに、春雨と言う名の白髪は反吐をブチ吐きながらリングに転がる!

 

そこに…ッ!!

 

ザクッ!!!(出刃包丁)

 

「うおっ!?危ねっ!!な、なんだ…?いったい?」

 

突如、観客席辺りから投げ込まれたらしい出刃包丁がリングに転がる春雨(偽)の頬を掠った

 

『………』

 

包丁を投げ込んだらしいボロ布を頭からスッポリ被ったメイドさんらしき人物はチッと舌打ちするとそのまま観客席から足早に去って行った…

 

「な、なんかよくわからんが………ヘヘッ!わざわざ凶器を投げ込んでくれるとは有難い!」

 

春雨(偽)はリングに突き刺さる乾式斬艦刀と銘を打たれた包丁を手にすると、その刀身をペロリと舐め…

 

「ヒャーハハハ!武器さえあればこっちのモンよォー!オイ、オマエ!さっきからやりたい放題よくもやってくれやがったなクソが!こっちからはこの春雨様のオシオキタイムだ!愉快なオブジェみたいにしてやるぜーッ!」

 

「…はぁ?」

 

「くたばりやがれこのトンチキがーッ!」

 

乾式斬艦刀(出刃包丁)を片手に走り込んできた春雨(偽)にドラム缶を投げつけ、ドラム缶に怯んだところに一気に距離を詰め、懐に入り込んだ春雨は鋭い貫手を抉りこむように春雨(偽)のお腹に突き刺さした!

 

「グハァ!!」

 

「さらにもう一発!」

 

ズドンッ!!(鋭い貫手)

 

「ゴバァ!!!」

 

さらにもう一発、お腹を貫いた貫手…ッ!!

春雨は返り血に汚れた手刀の血をビッ!と払い、トドメのハイキックを春雨(偽)の顔面に叩きつけた

 

「フン………貴女、自分が特別だとか思ってませんでしたか?でも残念、私はアナタ以上に特別なんです…」

 

春雨は血に濡れた両手で自分の頬をねっとりと拭い、ついでに、ねっとりとした視線で自らの愛する提督に勝利を伝えた…

 

【S2:●春雨 VS ○春雨】

 

◆◆◆

 

全ての試合が終わり、結果は互いに2勝2敗…

本来ならば、これまでの試合内容など審判団が審議し判定による勝敗が決まるのだが…

 

「やれやれ………やはり下等どもではダメだったようだな」

 

やはり白露型など下等艦娘、この不甲斐ない結果は完璧である俺には付いて来れなかった証…

 

自軍のベンチに悠然と座るメガネの心無い言葉が、表島大佐のPRIDEに火を点けた!

 

「なんだと…?アンタ、今!なんて言った!下等!不甲斐ない結果…!アンタは部下達の戦いを見て何も感じなかったと言うのか!」

 

「感じたとも、やはり下等は下等とな」

 

「許せない…!正直、試合内容はかなりドン引きな点もあったが、俺の部下もアンタの部下も精一杯戦った!互いの健闘を讃えるべきじゃあないのか!………取り消せよ!その言葉を!」

 

「フン…」

 

メガネはベンチから立ち上がると制服の上着を投げ捨て、勢い良くリングへと飛び降りたッ!!

 

「精一杯戦った?互いの健闘?くだらん、ならば表島大佐よ、自らの正しさを証明してみるがいい、力でな」

 

リング中央に立つメガネはまるで表島大佐を挑発するように煽る!!

 

「や、ヤロウ…!」

 

「やめるんだ提督!」

 

「そうよ!乗るな!提督!」

 

「でもアイツ……オマエらをバカにしやがった!」

 

思ったより煽り耐性が低かったのか、表島大佐は上着を脱ぎ捨てると挑発に乗りリングへと飛び降りた!

 

「許さねぇ!!」

 

「最終ラウンドだ、ゴングを鳴らせ!戦闘開始だッ!」

 

【最終戦シングルス3:提督(メガネ) VS 表島大佐】

 

開戦ッッッ!!!





次回はその⑤、最終回
悪のパワーに負けたら最後!未来が闇に閉ざされる!


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EXTRA GAME⑤

ダラダラっと気味ですがその⑤、最終回

【登場人物】

提督(悪)
邪悪のパワーを尊ぶ生まれながらのワル、しかしそんな悪の化身にも悲しい過去が…

表島大佐(意外と普通)
どちらかと言えば一般的で普通な海軍将校、殴り合いは専門の人に任せる


二勝二敗で迎えた特別斡旋演習最終戦、両陣営の指揮官同士が今、最後の決着をつけるべく戦いのリングへと上がる!!

 

「行くぞォ!!」

 

「フン、ティトク強度96万パワーと言ったところか……下等め!」

 

リング中央でガッツリと組み合う男達!まずは腕試しにと恒例の審判のロックアップを仕掛けた提督は表島大佐の実力を測り…

 

「この俺に触れることすら烏滸がましいわーッ!喰らえ!ロイヤ●デモンローズ!」

 

「なにっ!?こ、この薔薇はーッ!!」

 

提督の撒き散らした毒薔薇をマトモに浴びた表島大佐はコレはヤバいと直感したのか、すぐさま提督との距離を取る!

 

「フッ……大佐程度のボウヤでは俺の魔宮薔薇の陣を突破するなど到底不可能、まだ実力差が理解出来ないワケではあるまい?」

 

「大佐程度って……アンタ中佐だろ?」

 

「フッ、あえて、中佐の地位にとどまっているのだよ」

 

それは、一度は大佐の地位まで上ったものの、その後、なんやかんやあって上がったり下がったりを繰り返し続けた男が言い放つ精一杯の強がりだが…

 

だが、その辺の細かい事情を知らない表島大佐からすればあまりにも不気味な回答であった…

 

「…つまり、自分が中佐の地位に居座るコトで大佐に上がる実力相応ではない者を選別しようと言うコトか?」

 

「え?……………その通りだ!」

 

「クッ!なんて傲慢な…!」

 

---

 

「初春様、提督、アレは間違いなくそこまで考えてない顔ですね」

 

「その顔じゃな」

 

「おそらくはその場のノリや勢いに乗ってしまった感がバリバリです、アレはそーゆー顔でしたね、はい」

 

「なんじゃ?お主、アレであやつを意外と良く見ておるんじゃのぉ?」

 

「ハイ、私と提督はフェルマータなんで」

 

「ふぇ?ふぇる……?なんじゃって?」

 

外来語には些か疎い初春様が頭を捻る中、リングではリング中央に陣取った提督が必殺のピラ●アンローズで牽制しつつ飛び込みへの迎撃カウンターの必勝パターンを組み上げていた…

 

「あー!汚い!さすが提督!汚い!弾速の速い飛び道具と無敵対空、ここはしっかりと必勝パターンを組み立ててきました、どうでしょう?初春様」

 

「ふむ、所謂、黄金ぱたーんと言うヤツじゃな」

 

「飛び道具でチマチマ削り、不用意に飛び込んだ相手に手痛い迎撃、まさに理想的な戦法ではありますが、しかしこの提督、チマチマ削り相手の体力が少ないとみるや派手な大技で勝負を決めたがる傾向があります、格ゲーで鈴谷さんのやたらと八稚女で勝負を決めたがるおバカな傾向にそこら辺似てますが、そこのトコどうでしょう初春様」

 

「ある意味、似た者同士なんじゃろ」

 

「なるほど〜…ある意味、一種の同族嫌悪的なモノなんでしょう、あ、ここで表島大佐動きました!ピラ●アンローズはあえて受け、正面から突進力のある攻めで攻めるつもりです!」

 

ーーー

 

痛い!地味に痛い………が、要はただ薔薇を投げつけてくるだけだ、冷静に考えればそこまで痛くはない、ってか、あの薔薇、どこから取り出してるんだ?まさか四次元ポ●ットでも持ってるって言うのか?

 

「ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!」

 

「って!!ウゼェ!なんっーウザさだ!」

 

発生から弾速の速い技を連発して俺が距離を詰めるのをイヤがる辺り、実は近距離は苦手とかそんな感じだろう、なら勝機はある!とにかく距離を詰めて…

 

「ピラ●アンローズ!」

 

「痛ッ!だが…!」

 

入った!俺の距離だ…ッ!!

 

「俺の距離?違うねッ!ようこそ俺様の距離へ!」

 

「なっ!?」

 

地味に痛い刺さる薔薇の弾幕をくぐり抜けてようやく入り込んだ相手の懐、ここから反撃開始だと思った矢先にメガネのメガネが不敵に光り、逆に、体勢低く俺に突っ込んできたメガネは低空から上方向に向かってヘッドバットをブチ込んできたッ!?

 

「グハァ!!」

 

「ガハハハハ!!かかったな!」

 

まるでサッカーボールをヘディングするように何度もヘッドバットを打ち込まれ、天高く空中まで運ばれ、さらに空中で複雑な型で固められるッ!!

 

「グアアア!!こ、これはー…ッ!」

 

「ガハハハハ!喰らえ!海軍三大奥義が一つ!」

 

や、やられた!!ナニが近距離は苦手だ…!コイツ、あえてあの薔薇で俺を寄せつけないようにし、近付かれるのをイヤがるようにしていたのはブラフ!本命はバリバリのパワーファイトだった!!

 

「う、動けない!」

 

「死ねッ!パワー全開!真・テイトクリベンジャー!!」

 

ま、マズい!この技はマズい!このまま落下してリングに叩きつけられたらマジで死ぬ!!

どうにか!どうにかしなければッ!っーかどうしろってんだ!?そもそも海軍三大奥義ってなんだ!?なんだよその奥義!どこで教えてくれるんだよ!俺習ってない!!

 

 

強烈な加速で落下を開始したテイトクリベンジャー?この、炸裂すれば必殺必死確実ぅ!の技から抜けだせず、もはやこれまでかと諦めかけた………

 

その時だったッッッ!!!

 

『トアーッ!』

 

ドガッ!!!

 

突如として現れた黒い影が落下するテイトクリベンジャーの邪魔をするかの如く中佐に飛び蹴りを入れるッ!

 

「ナニぃ!?グオッ!!」

 

突然の乱入に対処できなかったのか、完璧にキマっていたロックが外れ、間一髪、俺は空中で必殺のテイトクリベンジャーから脱出できた…

 

しかし一体誰が…?

 

辛くもテイトクリベンジャーから脱出し、リングに転がる俺の前に居たのは…

 

「グゥゥゥゥム!よくも私のジャマをしてくれたな、キサマ!いったい何者だ!」

 

『センパ……いえ、この男は私の獲物!こんなところで私以外に倒されては私が困るのでね!』

 

…………剣道の面みたいなのを被った謎の女だった

 

いや、謎の女と言うには少々自己主張の強すぎるパイオツ!コイツは…

 

「提督同士の神聖な決闘を邪魔するとは………名を名乗れぃ!!」

 

『え?名前ですか…?名前………え~、ハマ……あ!そーだ!HKで!」

 

H(ハマ)K(カゼ)な、うん…ハマ・カゼだよな、うん、決してH(HENTAI)のカメンじゃないよな!

 

「フッ…HKか、見たところそこらの小娘のようだが、よかろう!私にたてつく者は女子供でも容赦はせぬ!」

 

『望むところ!!さぁセンパ……いえ、立ってくださいHKグレート、2人で一緒に、そう!2人で一緒に!2人の共同作業でアイツを倒しましょう!2人で!』

 

何故やたらと“2人”を強調するんだコイツは…あと、HKグレートってなんだよ、なんで俺がグレートの方なんだよ…

 

「チッ……だが、やるしかないな!」

 

『その意気です!センパイ!』

 

「行くぞォ!俺達の力を見せてやる!!」

 

 

 

後に、この戦いは海軍特別斡旋演習史に残る名勝負となり、その日、この会場に集まった多くの人々に血と汗と、そして正義と友情の尊さを刻み、忘れられない記憶として残されることになった……

 

 

◆◆◆◆◆

 

…………後日

 

「ぅぅぅ……身体が、身体中が痛い」

 

「はいはい、バカなんですか?」

 

「うるさいな、バカとかゆーな」

 

あの地獄のような基地で行われた特別演習から戻った俺は未だ抜けきれないダメージに苦しんでいた…

 

最後の戦い、俺とハマカ……いや、謎のマスクマン、HKのタッグはあのクソメガネ相手に2対1のハズなのにかなりの苦戦を強いられはしたが、最終的に2人のタッグ技で見事ヤツを倒した…

 

しかし試合結果は普通に俺達の反則負け、そりゃそうだ、いきなりバカが1人乱入してきた上に急造タッグで挑んだんだ、そりゃ普通にダメだろう

 

まぁ、勝負に勝って試合に負けたと言うヤツだ…

 

「しかし噂以上にヤバい相手だったな」

 

「そうですね、白露姉さんと時雨姉さんも未だあの試合を悪夢に見るらしいです」

 

「ふ~ん」

 

春雨はまるで他人事のように言っているが、まぁ、他人事か……っーか、よく考えたらウチで唯一、誰の助けもなく純粋に白星挙げたのコイツだけなんだよなぁ~…

 

「ま………演習は当分コリゴリだな」

 

「そうですか、まぁ…そうですね」

 

◇◇◇◇◇

 

「フーッ~………」

 

「ここは禁煙ですよ、外行って吸ってください、外」

 

「へいへい、ったく…怪我人にカテぇコト言うんじゃないよこの子は」

 

特別演習も終わり、いつもの執務室…

喫煙所まで行くのがダリぃなと考えた俺は執務室の窓を開き、新鮮なケムリを吸って吐いてをしていると秘書艦サミー子がグチグチ文句タレてきた

 

「ナニが怪我人ですか、大して痛めてないでしょう?」

 

「痛めたよ、オマエ、俺をサイボーグかナニかと勘違いしちょりゃせんか?」

 

まぁ、サイボーグでも痛いのは痛いのだろう、たぶん

 

「ちなみに提督、なんで最後は手を抜いたんですか?」

 

「抜いてないよ、全力全開だったよ」

 

「へぇ…」

 

「なんだそのツラは?卿は私を侮辱しているのか?」

 

「してませんよ」

 

「ったく…」

 

こやつめ、相変わらず勘の……いや癇に障るな、コイツのこーゆートコがムカつくのんだよ





次回から通常営業、です


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提督と鈴谷と誰もが羨むメインヒロイン

なんやかんやで久々の通常営業、ボロン…ッ!はないよ

【登場人物】

提督(クズの人)
おばあちゃんからビッチには気をつけろと言われている

鈴谷(自称メインヒロイン)
冷静に見ると、事故物件に見せかけた優良物件
パイオツもでかい

熊野(お嬢様属性)
事故物件に見せかけた事故物件、パイオツはやや寂しい


年明けから新型ウィルス関連の一連の騒動に列島が激震して約半年……もう六月になり、季節は梅雨と言う新たなるステージへと突入しつつある今日この頃…

 

特に急ぎの用もない良き日、俺は、変身ヒロインは何故敗北ア●メをするのか?この、人類に課された難関問題に対し、リーマンゼータ関数の零点が負の偶数と実部が1/2の複素数に限られるのでは?と言う点からアプローチしていると、執務室の重厚な扉を勢い良く開き、敗北ア●メ常連の負け確ヒロインみたいなのが入室してきた…

 

「ティーッス、誰もが羨むメインヒロイン様が遊びに来ましたよぉ〜、メインヒロイン様が!」

 

「消えろ」

 

「いきなり消えろはヒドくね?」

 

ノックしてから入ってどうぞの返事を聞くコトなくズカズカと執務室にやって来たのは自称誰もが羨むメインヒロイン様、現役援航巡(たまに軽母)の鈴谷、ご覧の通り、ビッチだ

 

その、ビッチの鈴谷はお客様ソファーに遠慮なく座ると自分の机で雑誌のクロスワードパズルを解いていたサミーに喉渇いたんで冷たいティーとかないですかねー?と冷たいドリンクを要求していた

 

「レモンティーしかないですが?」

 

「じゃそれで」

 

「俺にも淹れてくれや、ブランデーをたっぷりでね」

 

「はぁ?」

 

俺の小粋なテイトクジョークを聞いてるのか聞いてないのか、サミーは面倒くさそうに立ち上がると冷蔵庫からレモンティーの入った紙パックと棚からグラスを取り出した…

 

「で?ナニしに来たんだオマエ、また無様に敗北ア●メでも晒しにきたのか?」

 

「遊びに来たって言ったじゃん、っーか無様に敗北ア●メとか晒したコトねーし」

 

「用がないならレモンティー飲んだらさっさと消えろ、目障りだ、あと、神聖な執務室がビッチ臭くてかなわん」

 

「ビッチ臭くねーし、っーかビッチじゃねーし、あと、用は遊びに来たって言ったじゃん、鈴谷と遊ぼうぜ!」

 

「ナニが鈴谷と遊ぼうぜ!だ、オマエが言うと援交感パナイな」

 

「ナニその風評被害、マジ傷つくんですケドー」

 

負け確ヒロイン鈴谷はサミーの淹れたレモンティーをイッキに飲み干すと、ブハァ!ウンメェー!とメインヒロイン様にあるまじき感想を吐いて口元を拭った

 

「っーかだいたいなんだオマエは?仮にも自称メインヒロインを自称するならもうちょいメインヒロインムーヴができんのか?」

 

「ハァ?自称じゃねーし、メインヒロイン様だし」

 

何故コイツはこんなにも自信満々に己のメインヒロイン様属性を疑わないのだろうか…?もしかして、イカれているのか?

 

「メインヒロインか………ふむ、ちなみにメインヒロインとはナニか?君は知っているのかね?」

 

「あたぼうよ!」

 

メインヒロインとはッッッ! !!

 

ひとつ!無敵なり!

ふたつ!決してNTRされたりせず!

みっつ!決して敗北ア●メすることはない!

よっつ!あらゆるヒロインムーヴを兼ね備え、しかもその能力はどんなサブヒロインよりも上回る!

そして!その形はギリシアの彫刻のように美しさを基本形とする!

 

「と………まぁ、こんな感じじゃん?」

 

「こんな感じじゃん?じゃねーよ、まぁ、しいて付け加えるコトがあるとするならだ…」

 

いっつ!金髪巨乳でエルフ耳ッッッ!ただし!銀髪褐色エルフ耳で巨乳ならなお良しとする!

 

「キモっ!!マジキメェ!!」

 

「マジキメェくない、提督だ」

 

「っーかエルフ耳ってナニ?エルフ耳って、ファンタジーかよ!現実を見ろよ!」

 

「やかましい、男ってのはな、いくつになってもファンタジーに憧れるファンタジスタなんだよ、手から火を出したり遠くの街に一瞬で行ったりする魔法に憧れると同時に可愛いあの娘を性奴隷にする隷属の魔法に興味津々丸なんだよボケ」

 

「うわ……想像以上にキモいわ」

 

「ちなみに、俺は意識を保ったまま身体だけを隷属するタイプの魔法が使いたい派だ」

 

個人的には、意識まで奪ってしまうのはどうにも味気ない、やはり催眠状態でやりたい放題ではなく、あくまで、心から屈服させる努力は必要だろう(※個人の感想です)

 

「わかったかクズが、わかったなら去れ」

 

「誰がクズだし、っーか提督が想像以上にクズでキモいってコトはわかった」

 

「キモくない、提督だ」

 

まったく、やはりビッチだな、俺がこれだけアツく懇切丁寧に説明してやったと言うのに…

鈴谷はサミーになんかお菓子ない?と要求して貰ったお茶菓子のエンゼル●イを食いつつまるでキメェものを見るような目で俺を見ていた

 

「まぁいい、かしこさ3のオマエには少々難しい話だったな」

 

「誰がかしこさ3だし、っーか提督にだけはかしこさでディスられたくねーし」

 

「それ食ったらさっさと消えろ、ア●ルが無事な内にな」

 

「なんで鈴谷がア●ルの心配しなきゃなんねーっの、っーか提督、いつもア●ルならセーフとか言ってるけどフツーにアウトだからね?むしろ前より変態寄りのアウトだからね?」

 

「バカ言うじゃないよこの子は、俺が知ってる気高い騎士も高貴なお姫様も清らかな聖女様も純真なシスターも純潔の巫女も前か後ろか選ばせたら後ろならセーフの理論だったぞ」

 

「偏った理論かッ!」

 

「偏ってない、提督だ」

 

まったく、これだからビッチは……貞操観念の希薄と言うヤツか?

 

そんなつまらないコトを考えていると、執務室の重厚な扉を叩き、新たなる侵入者が執務室へと入って来た…

 

「提督!いらっしゃいますのー?……って、あら?鈴谷も居ましたの?」

 

「熊野ェ…」

 

「熊野じゃん?なんか用?」

 

やって来たのは最上姉妹の末妹で鈴谷の妹、熊野

エレガントの皮を被ったエセガントであり、基本的にアホである

 

「なんの用だ?」

 

「なんの用だ?じゃありませんのことよ、午後から買い物に行くから付き合ってくださいましと約束しましたわよね?私、待ち合わせ場所で15秒も待ちましたのに一向に姿を現さないのでハラワタが煮えくりかえりましたわ!」

 

「約束………?あぁ…」

 

そういやしたな、昨日、自販機コーナーでジュース飲んでたらこのバカにバッタリ遭遇し、明日、街に買い物に行きたいから暇なら車を出せとか出すとか…

 

「そういやそうだったな、悪い悪い」

 

「土下座してくださいまし」

 

「あ?」

 

「本当に悪いと思ったならできるハズですわ」

 

…なるほど、さすがは熊野だ、上司であり、この基地の絶対支配者である俺に対しても上からくるまごうことなきお嬢様属性、大したヤツだ………だが!

 

「あ゛ー?なんだってー?もっぺん言ってくれるかぁー?」

 

ギリギリギリギリ!!(魔のテイトククロー)

 

「ギャアアアアアアアアアア!!割れる!割れてしまいますわァァァァァ!!私の頭が割れてしまいますわァァァァァ!!」

 

俺のワンハンドクローに、わたくしの負けですわー!カンベンしてくださいましー!と俺の腕をバシバシタップする熊野を床に投げ捨てた

 

「ぶべらっ!!」

 

「ワカればいいんだよ、ワカれば」

 

「クッ…!女を力で屈服させるコトに躊躇いがない、まっこと卑劣漢ですわね!」

 

「やかましい誰が卑劣漢だ、オラ、さっさと立て、おデートすんだろ?おデート」

 

「そうでしたね…」

 

俺は床に転がった熊野の手をとり、さっさと行くぞと…

 

「いや、ちょい待ち」

 

鈴谷がちょい待ちと俺たちの間に割って入ってきた

 

「え?ナニ?おデートすると…?誰と?誰…?え?熊野と?提督が?」

 

「然り」

 

「ナニ言ってますの?」

 

「いやいやいやいや!え?熊野と提督、おデートするほど仲良いの!?」

 

「まぁ、仲は悪くないな、なぁ?」

 

「そうですわね、口ではなんやかんや言いますが意外と仲は悪くないですわよね?」

 

「いやいやいやいや!おかしくね?提督、鈴谷とはお買い物とかしに行かなくね?」

 

「なんでオマエと買い物しに行かにゃならんのだ」

 

「なんで熊野とはお買い物しに行くの!?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか?

 

「買い物しに行くのに深い理由はないが…」

 

「じゃ鈴谷ともお買い物しに街に行くのもアリと?」

 

「いや、それはない」

 

「なんでッ!?おかしくね!?」

 

「だってオマエと歩いてたら援交の疑いかけられそうじゃん、職質されたら俺動揺しちゃうかも…」

 

「かけられるか!!っーか動揺する必要ないじゃん、フツーに職場の上司と部下って言えるじゃん!?」

 

「なるほど、オマエ頭いいな」

 

「目からウロコですわね」

 

なるほど、さすがは鈴谷だ、法の抜け穴を巧みに見つけるとは…どうやらただのビッチと言うワケではないと言うコトだ

 

「ちなみに本日のおデートプランをお聞きしても?」

 

「ねぇよそんなモン、買い物してテキトーにブラブラしてメシ食って帰るとかだろ?」

 

「提督、私、茄子カレーとか食べたいですわ」

 

「茄子カレーか…いいなそれ!よし、今日は茄子カレーでも…」

 

「ふぁ、ファーックス!!!なんだそれ!なんだそれはよォォ!!熊野ォ!なんなんだオマエはよォー!」

 

鈴谷は熊野の胸ぐらを掴みファーックスとか言いつつ詰め寄った

 

「な、なんですの!?」

 

「熊野ォ!アンタはいつだってそう!いつだって…!」

 

「当て身!ですわ!」

 

どんっ!(当て身)

 

「うげぇ!」

 

熊野の当て身で床に転がる鈴谷、その姿は、最後まで前のめりであり、何か執念のようなものを感じずにはいられなかった…

 

「な、なんですの?いったい?」

 

「さぁ?ジャレていたんじゃないのか?」

 

「なるほど…」

 

驚異の執念に戦慄する俺たちに、さっきから自分の机でクロスワードパズルを解いていたサミーが口を開いた…

 

「………はぁ、2人してバカなんですか?」

 

「バカじゃない、提督だ」

 

「失礼な、私はバカではありませんわ」





次回
おデートイベント連続発生中


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提督とPrinzと偽りの破面

不安定な姉さまと繰り返す出会いと別れ

【登場人物】

提督(メガネ男子)
好きな知性技はインテリジェンスモンスターパワークラッシュ

Prinz Eugen(プリン)
通称プリン、自称ビスマルクさんの1の舎弟、金と権力よりビスマルクさんが好き、提督とはDNAレベルで不倶戴天の神話の時代からの天敵


みなさんこんにちは、提督です

 

僕は今、たまの休日を利用して街に遊びに来ています

 

…え?1人で?いえいえ、それが1人じゃないんですよ、職場の同僚……いえ、部下と………いや…

 

“天敵”と来ています

 

 

「オイ、もう20cm離れて歩け、殺すぞ」

 

「ハァ?オマエが離れろボケ、殺すぞ」

 

「アァ!?」

 

「ヤんのかコラァ!!」

 

天下の往来で、俺とプリンツは互いに胸ぐらを掴み、思わずKISSしちまいそうな距離でメンチを切り合う!二言目には“殺すぞ”と言う単語を言い合うおそらくは神話の時代からの天敵同士ではないだろうかと言葉ではなく心が理解している俺達だが…

 

『…マックス、やっぱりケンカを始めたよ』

 

『そうね、メモメモ…』

 

…………俺達は互いに胸ぐらを掴む手を離し、互いににこやかな笑みを浮かべる

 

「プリンツくぅ~ん、胸のトコにゴミが付いていたよぉ~」ニコォ

 

「んまぁ~!アトミラールったら、襟が曲がっていましたよぉ~」ニコォ

 

…………俺達のフレンドリィなやり取りに、どうやら今のは見違えだったらしいねと納得して頷き合っている俺達の背後から物陰に隠れつつヴァレヴァレな尾行をする追跡者達…

 

その追跡者達に気付かれないよう、俺はプリンツに小さく舌打ちする…

 

「…後で殺す、必ず殺す」ボソッ…

 

「ヤってみろ?挽き肉になるのはテメーだよ…」ボソッ…

 

俺達はまるで仲の良い恋人達のように手を繋ぎ、さぁ!次はどこに行く?アナタの行きたいところならどこでも!と歩き出した…

 

 

何故、俺とプリンツがこんなコトになったのか、話は先日に遡る…

 

◆◆◆

 

「テイトク、Prinz、ちょっといいかしら?」

 

主に、海外艦が住んでいる海外艦専用寮、インターナショナル寮…

その、インターナショナル寮のドイツ艦部屋に住んでいるビスマルクさんから呼び出しを受けた俺はウキウキしながらビスマルクさんの部屋へと行った、パリッとしたスーツ、整えられたヘアスタイル、モチロン、あの方へ贈る大きな花束も忘れない………完璧だ

 

そんな完璧な準備を整え訪ねたビスマルクさんの部屋で、俺………そして、プリンツのカスは対面に座るビスマルクさんを前に身を小さくしていた…

 

「聞いたわよ、アナタ達、最近あまり仲が良くないみたいね」

 

「は、はぁ…」

 

「そ、そうでしょうか…ってビスマルクのアネゴ、その話どこから…?」

 

「どこから…?Prinz、アナタにそれを話す必要があるかしら?」ギロッ!

 

「ハッ!申し訳ありません!で、出過ぎた真似を…」

 

ビスマルクさんに睨まれ狼狽えるプリンツ、クックック…いい気味だわい、そのままビスマルクさんに嫌われてしまえマヌケめ!

 

「テイトク、アナタ最近食堂でPrinzと肩がぶつかったとかなんとかあるコトないコト因縁をつけてたと聞いたケド………事実かしら?」

 

「いえ!そのような事実は一切ございません!」

 

「そう、ならこの写真はナニかしら?」

 

そう言ってビスマルクさんが机の上に出した写真はまるで独特の擬音や描写でお馴染みのロマンホラー深紅の秘伝説の46巻の表紙のようにメンチを切り合う俺とクソプリンのHOTでアツアツな姿が写っていた………何故こんな写真が?

 

青葉か?

 

「ナニか言い訳があるなら聞くわ」

 

「これは服装の乱れを注意しているところです、な?プリン」

 

「ダレがプリンだ、誰が、殺す………じゃない、ハイ、アトミラールの言う通りです、アネゴ」

 

「………そう、あくまで、アナタ達は険悪な仲ではないと?」ジロッ!

 

まるで獅子の如きビスマルクさんの鋭い視線…っ!

心の弱い者なら思わず己の非を認め、心よりの謝罪に頭を垂れるところだが、残念ながらは俺はその冷徹さと気高さを併せ持つその視線に興奮する系なので問題ない

 

そしてそれはこのクソプリンも同じらしく、今も俺の敬愛するビスマルクさんに対し邪な感情を抱いているだろう

 

「そう、アナタ達の言い分はわかったわ」

 

そう言ってビスマルクさんは机の写真を下げるとUの淹れたコーヒーを啜り…

 

「アナタ達が険悪でないと言うなら、2人でDateでもして貰おうかしら?」

 

「は?」

 

「はぁ?」

 

『『ハァ!?』』

 

な…何を言ってるんだこの御方は?俺が…?このプリンと…?いやいやいや、無理…っ!

 

「いやいやいや!ビスマルクさん、デートってのは〜…ほら、アレですよ!恋人同士がするものであって、その〜…幸せで、幸せで、幸せで、幸せの絶頂にある男女でないと…」

 

「そ、そうですよアネゴ!こ、恋人でもない男女がDateなんて…っ!」

 

「ナニ2人してカタいコト言ってるのよ、2人とも前時代的すぎるわ」

 

ビスマルクさん曰く、友人同士、楽しく食事したり買い物したりとかするでしょ?とのコトだが…

 

「Prinz、今度の休みにテイトクとDateしなさい、これは命令よ」

 

「は、はぁ……」

 

「ナニ?不満なの?」ギロッ!

 

「ハイ!喜んで!」

 

「テイトク、今度の休みにPrinzとDateよ、わかったわね?」

 

◆◆◆

 

…こうして、俺たちはビスマルクさんよりデートを斡旋され現在に至る…

 

そしてこのデートは、ドイツが誇る秘密諜報員によって一挙手一投足の全てが監視されており、俺たちが殴り合いでもしようものならビスマルクさんの怒りを買い、俺たちは然るべき場所へ送られた後、残酷な死を迎えるコトになるだろう…

 

「オイ、プリン、さっきの店、気付いたか?」

 

「えぇ、Uが隠れてたわ」

 

おそらく監視はU511とロー、そしてレーベきゅんとマックスきゅんとグラペンの飼い犬であるグラーフツェッペリン犬、たぶん犬の散歩も兼ねているのだろう…

 

「残り時間は?」

 

「夕方のバスまではあと4時間」

 

「上等だ、買い物、食事、あとはそうだな…ゲーセンにでも行くか?」

 

「げーせん?」

 

「仲良くゲームでもしてる姿を見せればヤツらにも効果はあるだろう」

 

「なるほど、クソアトミラールにしてはなかなか冴えてるじゃない?」

 

「あ?」ピキッ!

 

「ア゛ァ?」パキッ!

 

このクソプリンがァ…

 

『また睨み合ってるよあの2人、やっぱり仲悪いんだよ』

 

『そうね、なんか火花みたいなのが見えるし…』

 

…チッ!俺たちには尾行者が居る、今日のところはコイツとヤリ合うワケにはいかねぇな

 

「チッ、行くぞプリン」

 

「だから誰がプリンよ、ぶっ殺……ころがすぞ!」

 

 

この後、俺達は尾行者を気にしつつもワリと無難におデートイベントをこなし、監視していたであろうドイツJr.の秘密諜報員達に、俺達はより一層の友情を深め合った!という印象を与えただろう…

 

レーベきゅんとマックスきゅんが犬を連れてトコトコ歩いて行く後ろ姿を確認しつつ今日と言う日が二度とない事を神に感謝した…

 

 

「テイトク!それろーちゃんも食べたいですって!」

 

「え?やだよ、プリンから貰えよ」

 

「…Uも、それ、食べたい」

 

ちなみに、U511とローは俺達がたい焼きを買い食いしていたら尾行者の仕事を放棄し、たい焼きをくれとまとわりついて来た…



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提督とPerthと秋雲先生(原作:山田ゼレフ)

キンパツ美少女パースちゃん

【登場人物】

提督(大人)
最近疲れ気味なせいか、更新ペースが落ちぎみのだらしない提督ですまない…

Perth(金髪)
イギリス生まれオーストラリア育ちの金髪美少女
山田ゼレフ先生の大ファン、友達は少ない

秋雲(茶髪)
執筆中はいつも満開、秋雲先生はこれからも“男”を描き続けます

山田ゼレフ先生(?)
ラノベ界隈で史上最も凶悪だったと噂される黒ラノベ作家、その正体はあまり知られていない


今日も元気だウ●コがぶっとい、朝から必殺のビッグ・ベンを放ち、明石の店で買った基地スポを片手に執務室に向かっていると、中庭的なスペースに設置してあるベンチでキンパツの美少女が本を読んでいた…

 

「よぉ、え~……パースくん」

 

「……ん?あぁ、なんだ、テイトクか、何か用?」

 

プライドが高くてア●ルが弱そうなキンパツ美少女ことチームABDAの一員、パースちゃん

 

「別に用は無いが…」

 

「そう…」

 

パースちゃんは俺から興味を失くし……いや、初めから興味など持っていなかったのだろう、再び手にしていた文庫本みたいなのに視線を移した…

 

パースちゃんはイギリス生まれのオーストラリア育ちではあるが日本語を熱心に勉強したらしく、今も日本語で書かれた本を手にしている…

 

「それ、山田ゼレフ先生のかね?」

 

「そうよ」

 

パースちゃんが日本語を熱心に勉強した原因に、この山田ゼレフ先生なる作家の作品がある…

俺は読んだコトはないが、読んだコトあるらしいサミーが言うには痴情のもつれやドロドロした愛憎劇、そして過激な性描写がやたらと多い作風らしく、一部界隈では人気らしい

 

「面白いのかね?それ?」

 

「ハァ…?アナタ、ケンカ売ってるの?」

 

「いや、単純な興味なのだよ」

 

「………そうね、まぁ、面白いと思う人には面白いかもね」

 

パースちゃんによる当たり障りのない回答…

たしかに、万人が満場一致で面白いと感じる作品などはありはしない、キュウシュウに来たばかりの者に“美味しいラーメンってどこ?”と尋ねられるのと同じく、味覚には人それぞれの感性があるので軽易に自分好みの味の店は教え難いものだ

 

「なるほど」

 

「あ、そうだテイトク、アナタの秘書、え~……サミーダーレだったかしら?今度お茶でもしながらお話ししましょうって伝えておいてくれるかしら?」

 

「サミーダーレ…?あぁ、五月雨な」

 

このパースちゃん、自分と同じく山田ゼレフ先生の作品を激読しているらしいサミーに対して妙に親近感を持っているらしく、キンパツ美少女でプライドが高そうなパースちゃんはたぶんトモダチが少ないのだろう

 

「わかったのだよ」

 

「そう、頼むわね」

 

そんなキンパツ美少女のパースちゃんと上司と部下の小粋なコミュニケーションをとっていると、食堂の方から紙袋とドリンクを抱えた秋雲がブツブツ言いながら歩いて来た…

 

「よぉ秋雲、ナニやってんだ?」

 

「…ん?あ、テイトクじゃねーっすか?ティーッス」

 

駆逐艦秋雲、自分でも夕雲型なのか陽炎型なのかよくわからない記憶の中でフワフワした存在らしく、むしろ陽炎も夕雲も秋雲に対して姉妹なのかどうかよくわかっておらず、やはり記憶の中でフワフワした存在らしい

 

「それと~……キンパツ美少女の人、こんなとこでナニやってんすか?ナンパっすか?」

 

「バカヤロウオマエ、俺がキンパツで美少女だからってナンパするよーなチャラチャラしたmen'sに見えるのか?オォ?あと、この娘はパースくんだ、キンパツ美少女の人とかシツレーだろーが」

 

「そうすか?」

 

コイツ、まるで反省の色がないわい、まぁ、たしかにパースちゃんはご覧の通りのキンパツ美少女、それ以上でも以下でもないのは既に常識…

 

「………アナタ、エ~………アキ、アキグモだったかしら?」

 

「そうすよ、あ、それ山田ゼレフのヤツじゃねーすか?」

 

秋雲はパースちゃんの持っていた本に目ざとく気付いたらしく、それ?買ったんすか?と問いかけると…

 

「アナタも知ってるの!?」クワッ!

 

「え?あ、あ~…まぁ、ボチボチっすけど」

 

パースちゃんはアナタも山田ゼレフ作品の読者なのね!と思いの外アツく喰いつき、秋雲の手をアツく握った!

 

「トモダチになりましょう!」

 

「え?友達っすか?別にいいっすけど…」

 

あの秋雲を若干引かせるとは………大したキンパツ美少女だ

 

「ちなみにアナタ山田ゼレフ作品のどれが好きなの?」

 

「え?あ~………いや、秋雲さん、山田ゼレフは知ってるっすけど作品はあんま好きじゃないっーか、趣味じゃないっーか」

 

「……………は?」

 

パースちゃんはさっきまでアツく握っていた秋雲の手を放し、持っていた素敵なハンカチーフで手を拭き…

 

「…そう、アナタとはトモダチにはなれないわ、ゴメンナサイ、消えてくれるかしら?」

 

パースちゃんは秋雲から興味を失い、さっきまでの無邪気で年相応な美少女からいつもの塩対応の孤高の美少女モードへと戻ってしまった

 

「ちょっと!!テイトク!なんなんすかこの人、いきなりシツレーすぎじゃねーっすか!?」

 

「まぁそう言うてやるな、パースくんは気難しくて繊細な今風のキンパツ美少女なのだよ」

 

「クッ!キンパツ美少女への甘めの対応!それが大人のすることかよ…っ!」

 

「大人だからこそさ!子供にはわかりはしない、それが大人になると言うことさ!」

 

「そんなだから大人は信用できない!だから子供達は自分の国を求める…っ!何故それがわからない!いや、わかろうとしないんだ…っ!」

 

「わからぬさ!!誰にも!」

 

秋雲め、私にプレッシャーをかけるか…!そうか、秋雲は良い提督を求めていた、しかし、私はそれを煩いと感じ、秋雲をマシーンとして扱っていたのか…!

 

「ちょっと、うるさいんだけど………口喧嘩なら私のジャマにならないとこでやってくれるかしら?」ジロッ

 

「あ、はい」

 

「スンマセン」

 

パースちゃんに睨まれ、俺達は決着は今、ここではないと互いに理解した

 

「…ま、いいっすわ、ところでテイトク、さっきの山田ゼレフで思い出したんすけど、その山田ゼレフ原作のやつ原稿アガったんでちょいと読んで貰っていいっすか?」

 

「別に構わないが…」

 

秋雲のヤツ、どうにも自分の画風と合わないとは言っているものの、一応、山田ゼレフ先生原作は描いてはいるのか…

 

「…………ちょっと待って、今、山田ゼレフ原作って言わなかった?」

 

「言ったっすよ」

 

「どう言うコト?何の話?」

 

さっきまで秋雲に対する興味を失っていたパースちゃんが再び喰いついてきた

 

「自分、趣味で漫画描いてるんすけど、自覚まったくないんすけど話の作りが上手くないらしくて、とりあえず、原作付けてみたりもしてるんすよ」

 

「………マンガ、あ……アナタ、マンガを描くの?」

 

「だからそー言ってるじゃねーっすか」

 

「え…?じゃあ、ア、アナタが絵を描いて、ヤマダゼレフ先生がお話を…?」

 

「まぁ、そーゆーのもたまにあるってハナ…」

 

ガシッッッ!!!(強握手)

 

「是非!!是非読ませて欲しいわ!!って言うかアナタヤマダゼレフ先生と知り合いなの!?会ったコトあるの!?」

 

「ちょ、なんなんすか!なんなんすか!?アンタさん!?」

 

あの秋雲にプレッシャーを与えている…ッ!やはりただのキンパツ美少女ではないな、パースちゃんは…

 

「テイトク!なんなんすかこの人!」

 

「ご覧の通り、キンパツ美少女だが?」

 

「知ってるっすよ!!そんなこたァ!!」

 

 

後日、秋雲の描いた漫画(作画:秋雲、原作:山田ゼレフ先生)を読んだパースちゃんはいたく感動したらしく、秋雲はパースちゃんからセンセーセンセーと付きまとわれて疲れているようだと食堂でメシ食ってたら夕雲から聞いたが俺は悪くない



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提督と古鷹さんとポコポコポーン

おいしくなーれポコポコポーン

【登場人物】

提督(メガネ)
100円か、200円か、それが問題だ…

古鷹(エンジェル)
天より舞い降りし天使、給料は趣味につぎ込みがち

明石(ピンク)
本当に金が好き




大してやるコトのない午後、たまには基地の施設点検でもするかとプラプラ歩いていると、なんかよくわからない行列ができていた…

 

「なんだアレ?」

 

俺の役職は提督、名探偵だ、俺はこの謎を解かねばならない…

 

あれは何の行列なのか?注意して観察すればその謎を解くヒントはすぐに見つかる、まずあの行列に並んでいるヤツらだ、見たところガキどもが多い、そして列のその先、おそらくあの先にあるのは明石の店、つまり明石の店を先頭にあの行列は形成されているのだ…

 

ではいったいあの行列は何を目的として作られているのか?皆がこぞって並んでまで購入したいものがそこにはあるのだろう…

それがいったい何なのか?それを知るヒント、それはこの場で唯一、あの行列に並んでいない人物が知っているハズだ…

 

「よぉ、古鷹さん」

 

「あ、テイトク、コンニチハ」

 

彼女の名前は古鷹さん、重巡だ

ウチに来た頃は田舎から出て来たばかりの垢抜けてなさが漂う田舎のJKみたいだったが、いつの頃からか?スタイリッシュな今風の娘に垢抜けてしまい、今や付き合いたい重巡ランキング、ヤリたい重巡ランキング、多少の変態プレイに付き合ってくれそうランキングに堂々ランクインするほどだ…

 

そんな古鷹さんは、あの行列に並ぶワケでもなく、ただ、困ったなぁ〜と言いたげな表情でこの場に立っていた、俺の勘は彼女なら何か知っているのだろうと確信していた

 

「オイオイオイ、古鷹さんよ、こいつはいったい何の列だい?」

 

「さぁ…?なんか明石さんの店にゲーム機を置いたとかなんとか聞いてますケド…」

 

「ゲーム機ぃ?」

 

あのピンク、また俺の許可なく勝手なコトを…どうやらあのピンクにはわからせが………いや、この基地の絶対支配者が誰なのかその身と心に教え込む必要があるらしい

 

「私も明石さんのお店に用事があるんですケド、なんかすごい行列だからどうしようか躊躇っちゃって…」

 

「なるほど」

 

古鷹さん曰く、今期鼻血が出るほど楽しみにしていたアイドリッシュセ●ンSecond BEAT!がアニメ制作の都合で休止してしまい絶望していた時、大して期待はしてなかったけど一応チェックしていたB●nG Dreamのボーイズバンド、最初はイマイチノリ気ではなかったものの見ている内に“アレ?コレ、アリなんじゃ…”と考えるようになり、今やGYR●AXIAにどハマりし、明石の店にグッズを買いに行くところだったそうな…

 

「カッコいいんですよ、那由多クン、典型的な俺様キャラなんですけど音楽に対してだけはホントに真剣で本気度が伝わるって言うか〜…」

 

「へぇ〜」

 

「聞いてるんですか!!」

 

「はいはい聞いてます、聞いてますよ、アルゴノートだっけ?お父さん達が言った的なアレだろ?」

 

「GYR●AXIAです!!」

 

ダァン!!!

 

古鷹さんのアツい壁ダァン!に思わずドン引きしかけたが、俺は提督だ、歴戦の猛将でありこの程度の危機は何度だって乗り越えてきた、そう俺は“帝王”なのだ

正直チビリそうになったが、今の古鷹さんのパワーはたしかに凄まじいものだが、俺には見えていた、避けられないワケじゃあない…

 

「へ、へへ…スマネェ、ちょっと間違えちまっただけさ、へへへ…」

 

「……それでですね、那由多クンの話に戻しますケド…」

 

そうですか、と一つ置き、にこやかな笑顔を見せる古鷹さん、そう、以前、誰が言ったか……古鷹さんこそ天より舞い降りしエンジェルなのだと…

その笑顔はまさにエンジェルそのもの、見事天使のようにアツくGYR●AXIAを語る古鷹さんは天使のように那由多クンの俺様を語りこの場を早く去りたいと言う俺を置きざりに天使のように突き進む、その姿まさに………天使

 

誰か、誰か俺を救え…っ!!誰でもいい、悪魔でも…っ!!

 

ーーー

 

古鷹さんのアツい那由多クン推しにウンザリしつつ、とりあえず明石の店で菓子パンと缶コーヒーでも買うかと行列の横を歩いて明石の店へと行くと…

 

『おいしくなーれ、ポコポコポーン』

 

…店の前に、ニンジャがいた

 

むしろ、行列の原因はアレだったのか……なんかガキどもがキャッキャとハシャぎながらボタンを叩いている…

 

「テイトク、なんですか?あれ?」

 

「じゃじ●丸ポップコーンなのだよ」

 

「はい?」

 

そうか、古鷹さんは知らないのか…

 

「まぁ、平たく言えばポップコーンの自動販売機なのだよ」

 

「へぇ〜…あ、アレですか?ウチも昔、実家の近所のスーパーにキ●ィちゃんのがありましたよ」

 

「コンニチハー、出来たてのポップコーンはいかがー?って喋るやつかね?」

 

「それです!テイトク、意外と詳しいですね」

 

っーかなんでじゃじ●丸ポップコーンなんか設置してんだあのバカ、中古で買ったのか?俺を舐めてるにも程があるぞオイ、そんなワケで、俺はカウンターのところで硬貨を数えている明石に声をかけてみる…

 

「いらっしゃいませー…って、提督と古鷹さんじゃないですか、こりゃまた珍しい組み合わせで…」

 

「オイ明石、なんだありゃ?」

 

「なんだありゃ?とは…?」

 

このヤロウ、いきなりトボけるとはイイ度胸だなオイ

 

「あのじゃじ●丸ポップコーンについて聞いてんだよ」

 

「ご覧の通り、じ●じゃ丸ポップコーンですが?」

 

ギリギリギリギリギリ!!(魔のテイトククロー)

 

「見りゃワカんだよオイ!俺はそーゆーコト聞いてんじゃねぇよ、なぁオイ?」

 

「イダァァァァァァ!!痛い痛い痛い痛いィィィィィ!!割れる割れる割れる!!頭がァァァァァ!」

 

『おいしくなーれ、ポコポコポーン』

 

ーーー

 

「…実はカクカクシカジカで」

 

「ほぉ…言葉の意味はよくわからんが…」

 

魔のテイトククローから解放してやった明石曰く、元々はゲーム機レンタル業者が近所のスーパーに置いていたもので、その業者がゲーム機レンタルを廃業すると言うのでタダ同然で引き取ったそうな

 

「ふ〜ん」

 

「まだ使えるし勿体ないなぁ〜…って」

 

たしかに、別に壊れて捨てたってワケではないしな…

それにガキどもには物珍しくて好評らしく、今もキャッキャとハシャいでやがる、フッ…古い機械ではあるが、コイツにはまだ人を笑顔にするコトができるらしい

 

「…ま、許そう」

 

「ありがたきしあわせーッ!」

 

本来ならば設置には事前に提督様の許可を得る必要があるが、まぁ、これくらいなら構わんだろう…

 

「あ、そう言えば明石さん、こないだトラックで何日か倉庫往復してましたね」

 

「ギクゥー!!ふ、古鷹さん…!今のそのハナシは…」

 

「…………オイ、明石、トラックで往復した?オマエ、引き取ったの、それだけじゃねーな?」

 

「いやいやいや!!じ●じゃ丸くんだけ!じ●じゃ丸くんだけですよ!やだなぁ!別に中古で手に入れたゲーム機使って小銭を荒稼ぎしようとか思ってな…」

 

 

『おいしくなーれ、ポコポコポーン』



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提督と速吸とチームABDA

雨の季節ですね、毎日ステキです………そんなふうに考えていた時期が、俺にもありました

【登場人物】

提督(ヤキュウ中継は文句タレながら見る)
球種は全てファックボールのファックボーラー

速吸(女マネ)
練習終わった後のみんなが帰った部室で汗臭いとか関係なくブチ●したい女子マネージャーランキング1位、とんでもない豪腕ピッチャー

チームABDA(多国籍)
ヒューストン、パースちゃん、デロ子の3人が組んでいるBランクパーティー、一見経験豊富で低級なゴブリンとかオークには負けそうにないけどたぶん負ける





そろそろ夏の暑さを感じずにはいられない今日この頃、たまには健康の為に運動でもしようと速吸クンとキャッチボールをしていたワケだが、キャッチボールはいつの間にか投球練習に変わっていた…

 

バシンッ!!!

 

「よぉーしいいぞぉー!いいキレだ!」

 

「ハイ!ありがとうございます!」

 

「よし次!あの球、イッてみよーか?」

 

「了解ですっ!」

 

さすがは速吸クンだ、制球にはやや難があるもののストレートの威力はホンモノ、絶好調時の速吸クンから安打を打つのはMAJORの怪物達でもかなり難しい、あのビッグママも認めるジャパンの宝と言えるだろう…

 

そんな速吸クンとエキサイティングキャッチボールに興じていると、暇そうな3人組がプラプラと歩いて来た…

 

「あ、テイトクだー!Hoーi!テイトクー」

 

「む………お前は、デロ子?」

 

暇そうな3人組こと多国籍艦隊チームABDAの1人、デロ子、わかる子である

 

「コンニチハ、Let's play catch?」

 

「ハハッ、ご覧の通り」

 

チームABDAのリーダー的存在?お姉さん属性担当のヒューストンくん、ご覧の通り、巨乳である

 

「暇そうね…」

 

「暇じゃない、提督なのだよ」

 

チームABDAのクッ殺貴族担当、パースちゃん、ご覧の通り、キンパツ美少女である

 

生まれも育ちも違っても、死す時は共にアツく誓ったらしいチームABDAのメンバー達は、今日のトレーニングを終え、今からみんなで冷たいモノでも食べに行こうと歩いているとこだと…

 

「なるほど、仲の良いコトだな」

 

「でしょ?なんならテイトクも来るー?」

 

「別に構わんが…」

 

「ヨッシャア!!ヒューストン!パース!テイトクのオゴリだってー!」

 

デロ子はヨッシェアー!とアツく腕を振り、さぁ行こう!今すぐ行こう!と俺の腕を掴んで組みグイグイ寄せてきた…

 

「誰がオマエなんぞに奢るかボケ、巨乳になってから出直して来い」

 

「ヒド…っ!え?じゃ、私はダメでもヒューストンはOKな感じ?」

 

「Of course、モチロンだ」

 

「悔しい…っ!悔しいけど…………わかる」

 

「わかってくれて嬉しいよ」

 

わかる系軽巡デロ子は俺の腕を放すとごくごく自然な動作でヒューストンくんのところへその足で近づき、ごくごく当たり前のようにヒューストンくんのパイオツにtouchした

 

「クッ!これがMAJORの洗礼…っ!ワカってはいたけど改めてワカらされる胸囲の格差!」モミモミ

 

「あ、あの…ロイテル?ちょ、やめてくれる?」

 

「クッ!ナニ食ったらそんなヤラシー身体になるの?やっぱ肉…?ハンバーガーね!ハンバーガーでしょ!欲張りセットでしょ!」モミモミ

 

「や、ホントやめて!お願いだからやめて!」

 

デロ子の蛮行に本当に困っていたヒューストンくんは、自身のパイオツをtouchしてやまないデロ子を突き飛ばした

 

ドンッ!!(突き飛ばし)

 

「グヘァ!!」

 

「大丈夫かデロ子!」

 

「だ、ダイジョーブ……ダイジョーブだよ、ヘヘッ」

 

突き飛ばされたデロ子の顔は不思議と安らぎに満ちていた、その顔はまさに、母親と話す子供のように…

それほどまでか!ヒューストンっぱい!!それほどまでかッッッ!!ヒューストンっぱいッッッ!!これが世界レベル、MAJORの実力だと言うのかッッッ!!俺はそんなデロ子の手をアツく握り…

 

「デロ子、オマエの意思は受け取った」

 

「ヘヘッ……テイトクならワカってくれると思ってたよ…」

 

「あぁ、わかるさ…今ならわかる!」

 

パイオツに賭けるオマエの執念、そしてアツい気持ちがッッッ!!決して敵わないと知りながらも果敢にMAJORに挑んだ大馬鹿野郎だよ、オマエは…

国も生まれも、言葉も性別も違う俺とデロ子は、今、この瞬間に互いにわかり合うコトができたのだ!

 

「…ねぇ、その茶番いつまで続くの?」

 

「なんてコト言うのかね、このキンパツ美少女は…」

 

チームABDAのチームメイトにして育ちの良い家柄臭のするパースちゃんは俺たちのアツいわかり合いに心底どうでも良さそうな冷たい目で俺たちを見下す…!

 

「正直どうでもいいから、ヒューストン、早くiceでも食べに行きましょ、ただでさえ蒸し暑くてイライラしてるのに…」

 

「そ、そうね…」

 

「オイオイ、待ちたまえよパースくん、提督がアイスを奢らないとは言ってないだろう?」

 

「は?」

 

パースちゃんの冷たい目、なんて目をするのかねこの娘は…

 

「提督とちょっとゲームでもしようじゃないかね?んん?」

 

「イヤよメンドくさい、ヒューストン、ロイテル、さっさと行きましょ…」

 

「ゲームは簡単、打者と投手の1打席勝負、キミ達の誰か1人でもあの速吸クンが投げる球を外野まで飛ばせばキミ達の勝ち、冷たいモノでも甘いモノでもなんで奢ろう」

 

「ハァ…?」

 

心底どうでも良さそうな顔をしているパースちゃんだが…

 

「え?マジで?やるやるぅー!今のハナシ、ホントだよねー?」

 

デロ子は即座に食いつき、チームメイトであるヒューストンくんとパースちゃんにオイシイハナシじゃーんとチームメイト達を説得すると、チームのお姉さん担当のヒューストンくんはやんわり承諾し、パースちゃんは渋々承諾した…

 

「フゥ………アナタたしか補給艦だったわね」

 

先頭打者はパースちゃん、パースちゃんはあきらかに速吸クンを舐めていた…

 

相手は所詮補給艦、そもそも女子マネージャーの間違いじゃないの?と舐めきった態度のパースちゃんに対し、俺はマウンドに立つ速吸クンに“ド真ん中、全開ストレート”のサインを出して最初の一球…

 

ズドンッッッ!!!(全開ストレート)

 

「…ッ!?」

 

ワインドアップから身体を大きく捻り、放たれた渾身のストレート…ッ!!国内だけでなくMAJORの怪物達をも唸らせた速吸クン必殺のトルネード…!

 

「………え?ナニ、今の?」

 

たった一球、たった一球見ただけでパースちゃんに、いや、チームABDAのメイト達に戦慄が疾る!この球は、当てるどころかバットに掠らせるコトすら難しいと…

 

「打てるかねぇ、正真正銘全力全開の速吸クンから」ニマァ…

 

「打てるかッッッ!!こんなの…っ!」

 

「ガーハッハッハッハ!!パースくんよ!この打席が終わった時、オマエは俺のドレイになるのだ!」

 

「ハァ!?聞いてないんだけど!」

 

「バカめ!ゲームには勝った時のご褒美、負けた時の罰があるのは当然だろう?クックック……自身の金髪美少女ぶりを鼻にかけお高くとまっているお嬢様のなんとまぁ無様なコト、さぁ!さっさと三振してしまえ!」

 

「クッ!このクソメガネ…ッ!」

 

ガハハハハハ!愉快愉快、口惜しさと屈辱に塗れたパースちゃんの美しいお顔、そいつが見たかったのだよ!

 

「ヤバーイ、ね?ヒューストンは?MAJOR出身でしょ?」

 

「ウ〜ン…100mile超えはちょっと自信が…」

 

 

速吸クン対チームABDA1打席勝負、パースちゃん、ヒューストンと打者2人を打ち取った速吸クンだったが、続くデロ子くんにデッドボールを与えゲームはチームABDAの勝利に終わった…

 

速吸クン曰く、どうせなら“あの球”を試してみたくなり、やってみたそうだが、やはり“あの球”は制球に難があるらしい…





次回からたぶんイベント回ですの、ですの


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続続続続続続続続続続続・提督と作戦とミーティング

スロウペース中

【登場人物】

提督(益荒男)
快男児

海風(姉)
白露型キ●キの世代とは別の進化を遂げたキ●キの世代と同格のバケモノ



「ナイスガッツ!ナイスガッツ!ナイスガーッツー!!」

 

『『『行くぞ!オー!行くぞ!オーーー!!』』』

 

「よっしゃあァァァァァ!!長良の足についてこいやァァァァァ!!」

 

提督のありがたいお話よりアツいナイスガッツ、約半年ぶりとなる作戦海域開始と言うコトで、基地体育館にて恒例の全艦集会を開催したワケだが~………まぁ、いつものこと、話が長いだの足がクセーだの汚い野次ばっか飛ばすクズどもに若干ウンザリしていた俺は、提督からのありがたいお話を早々に切り上げ、誰よりアツいナイスガッツを持つナイスガッツ系陸上部、長良主将に皆にアツいナイスガッツをお願いしますとマイクを手渡し、長良主将は見事その期待に応えてくれた

 

きっと長良主将のアツいナイスガッツは皆を鼓舞し、そのナイスガッツは感染するのだろう、長良主将はアツいナイスガッツを叫び、オマエらみんなサイコーだァー!とステージから飛び降り、ナガラわっしょいナガラわっしょいとアツいナイスガッツのウェイブに流されて行った…

 

「やっぱ長良主将は違いますね」

 

「あぁ、あれほどのアツいナイスガッツはそうはいない…」

 

秘書艦サミー子と共に、そのアツいナイスガッツの持つパワーに改めて長良主将が長良主将たる由縁を感じずにはいられなかった…

 

---

 

久々の大規模作戦と言うだけあって、今回はかなりの海域数を突破しなければならないらしい…

そうなると、やはりメンバーの選定には十分な熟考が必要だろう……

そんな提督らしくベストオブベストなコトを考えつつタバコでも吸うかと喫煙所へと向かっていると……

 

「あ、テイトク、こんにちは」

 

「ん?あぁ、こんにちは……え~…海風クン?」

 

「あ、ハイ、海風ですけど…」

 

誰だよこのエッチでキレーなオシャレさんはと思ったがやはり海風クンか……私服?なのでよくわからなかったが、ふむ……やはり海風クンだ

 

白露姉妹の七女にして改白露姉妹の長女、長女であり妹でもあると言う矛盾………しかし、その長女力は長女である白露をあらゆる面で上回り、白露が旧型の長女なら海風姉ちゃんは新型の長女と言えるだろう…

 

もし仮に、この駆逐艦とは思えないエッチでキレーなお姉さん属性を持つ海風姉ちゃんが駆逐艦でなかったならば、俺は間違いなくこの海風姉ちゃんに滾る提督の欲望を乱暴にブチ撒け、性欲と愛欲を心の底から徹底的に教え込み隷属と奉仕を悦びとする肉奴隷としていたかもしれない…

 

「散歩かね?」

 

「散歩と言うか〜……えぇ、ハイ、買い物がてらに散歩ですね」

 

海風姉ちゃん曰く、いつも使っているお茶葉がそろそろ無くなりそうなので新しいものを仕入れるところらしい

 

「そうかね、ふむ…」

 

俺は財布から紙幣を数枚取り出し、これで妹達にたまにはオシャレなお茶菓子でも買ってあげなさいと海風姉ちゃんのスベスベでキレーな手に握らせた

 

「えっ!?あ、いえ、悪いですよ、こんなに…」

 

「いいからいいから、おじさんの気持ちだから、とっといて」

 

「でも…」

 

「いいからいいから、これからホラ、作戦海域で海風クンも姉妹もバンバン起用するかもしれないし、美味しいもの食べて英気を養って貰いベストなコンディションを作って貰うのも提督の仕事だから」

 

「は、はぁ……そう言うコトなら」

 

まったく、海風姉ちゃんは駆逐艦とは思えない色気だなオイ、おじさんムラムラしてきちゃうよ♦︎

 

でも我慢我慢♦︎まだこの子は強くなる………❤︎

そんな海風姉ちゃんの可能性と将来性に期待と股間を膨らませていると、トラベル鞄を持ったバカ面どもが歩いて来た…

 

「あ、テイトクだ」

 

「テイトクなのね」

 

「オマエらは………潜水艦?」

 

やって来たのはかつての基地一番の働き者、実力派エリート集団、潜水艦ズ……

現在は海域が第二期に移行し職場環境が激変したせいか、かつてのような労働条件で働く事もなく、極めてホワイトな職場環境になっており、むしろ稼ぎは悪くなったと不満の声もある…

 

「見てわかれよオッさん」

 

「オッさんじゃない、提督だ、だいたいなんだ?その口の利き方は、全員尻を出せ、修正してやる」

 

「セクハラ!セクハラですって!」

 

「…セクハラは、良くないと…ユーも、思う」

 

稼ぎは悪くなったと言ったものの、実力派エリートであると言う評価自体は変わらない、知性溢れる俺の基地には、コイツら知性溢れるバカどもが必要なのだ

 

「だいたいその荷物はなんだ?旅行か?」

 

「そうなのね、温泉行ってカラオケ行ってディ●ニー行ってホスト遊びして散財してくるのね」

 

このソーシャルなディスタンスが叫ばれるご時勢になんて剛毅なヤツらだ…

 

「まぁ、行くなとは言わんが、オマエら昨日付けでクビな」

 

「なんでッ!?」

 

「横暴だよ!横暴だよテイトク!」

 

「やかましい、旅行から帰って何事もなければ二週間後にまた雇ってやる」

 

「…どうしよう14ちゃん、お姉ちゃん無職になっちゃった…どうしよう14ちゃん、お姉ちゃんどうしたらいい?」ガタガタ

 

「落ち着けよネーちゃん!落ち着けよ!ほ、ほら、ビール!ビールでも飲んで落ち着いて!」

 

そう言ってイヨティンは流れるような手付きで取り出した缶ビールのプルトップを開け13ちゃんに手渡し、13ちゃんはブルブル震える手でそれをイッキに呷り…

 

「…………ケップ」

 

「おぉー!ネーちゃん、イイ飲みっぷり!」

 

「…………14ちゃん、正座」ギロッ!

 

「ヒッ…!?な、なんで…!?」

 

「いーいーから!!正座!そこ座って!はやく!はやくはやくはやくはやく!お姉ちゃんは今から14ちゃんに説教……じゃない、お話があります!ほら座って!あとみんなも!そこのオッさんとオパーイきいのも!」

 

………13ちゃんは、酒乱だった

 

「オイ誰でち!13に酒飲ませたの!」

 

「ヤバイですって…ヤバイですって…」

 

「…ユーも、ヤバイと思う」

 

「いいから全員座れェェェェェ!!!14ちゃんがどうなってもいいのかァァァァァ!!」

 

ギリギリギリギリ!(スコーピオンデスロック!

 

「ウゲェ!!ネ……ネーちゃん、苦し……やめ……タスケ……おしっこ…おしっこ漏れるぅ…」

 

「ハァ〜………?いけないなァ14ちゃん、イイトシしておもらししちゃあ……お姉ちゃんはとても哀しい、おしっこも我慢できないような悪い妹はァァァァァ!!」

 

「イダァァァァァァァァ!!!タスケテー!!誰か…っ!誰かタスケテー!!」

 

 

この後、13ちゃんのスコーピオンデスロックから抜け出せず、失禁KOされたイヨティン、そして、アルコールブーストが抜けてスヤスヤ眠る13ちゃんは潜水艦の仲間達にトランクに詰め込まれ、そのまま旅行へと旅立った…




次回は開幕!新しい海への航海!ゴールラインはまだずっと先!


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鎮魂 キ504船団

アツかりし戦いの序曲、開幕戦!

【登場人物】

足柄(重巡)
長女から子持ち処女とディスられる三女、キッズからの人気は高い

深海千島棲姫(村人その2)
村出身の深海ガールその3、イキリ具合はその1とその2を上回り、実力は確かなもの

木曾(改改)
4人の個性溢れるお姉ちゃん達から可愛いがられるラノベ主人公属性を持つ球磨姉妹の末っ子、中二病
提督と天龍はマジダチ


例年なら梅雨から初夏に差し掛かるであろうこの季節…

今年のオープニングゲームを飾る大規模作戦海域は開幕初戦から新型の姫級が登場すると言う熾烈を極める戦いとなった…

 

開幕初戦ぐらいは甲難易度を制圧し、上にちゃんとやっていますよとアピールするコトを忘れないイキリテイトクである当基地、その、イキリテイトクの指揮下で今年の開幕スタメンとなったのは………

 

「出たーっ!足柄さんのハイアングル3号砲ーっ!」

 

「狼は……狼はまだ死んじゃいないぜーっ!」

 

伝説の狼!ワイルドウルフ足柄を含む千島列島方面殲滅部隊 VS 深海期待のスーパールーキー!深海千鳥島姫率いるオホーツク海底深海千島棲姫部隊の激突!

初戦からオープニングゲームに相応しい壮絶な殴り合い!両陣営共に一歩も退かない展開のこの戦い…ッ!!

 

『ハジメテ…ミタノカイ……?……ソウカイ?ジャア……ココデ……シズメテ…ヤルヨォッー!』

 

今回初登場のご当地深海姫、深海千鳥島姫…

彼女は栄えある開幕戦のBOSSとして任命され、しっかりと身体を作ってこの戦いに臨んでいた…

 

彼女がこの開幕BOSSとして抜擢されるまでには並々ならぬ執念、そして努力の日々があった…

そう、彼女がまだ深海軍に入隊するより以前、生まれ育った村にあの頃、彼女には大きな“夢”があった…

 

そう……あれはまだ彼女が故郷に居た頃…

 

「うるせぇーっ!!!」

 

ドゴォッ!!(パワー3号砲)

 

『ゴハァ!!サムイ…ッ!!ツメタイ…!!』

 

「戦いの最中にゴチャゴチャ言ってんじゃねーぞ!回想なんかで無駄な尺をとるんじゃねぇーッ!」

 

ゴシャアッ!!(ライジング3号砲)

 

『グヘァ!!………ヘッ、へへ…』

 

「ば、バカな!コイツ…っ!効いていないってのかーッ!」

 

『…オマエニワカルカ? 血ヘドヲハイテ汗ト涙ニマミレテボロボロニナッテネケダス苦シサガ………ケド、オカゲデ私ハ………強クナリスギチマッタヨ』

 

「てめぇ……おもいあがるんじゃね―――っ!!」

 

足柄の猛攻にまるで怯まないっ!その姿たるやまさに怪物!まさか開幕初戦からこんなモンスターが出てくるとは誰もが予想だにしていなかった…っ!!

無敵の狼が、伝説の狼の伝説が、今!まさに崩れ去ろうとしている…っ!

 

『ホラホラァッ!!!サムイダロウ? ツメタイダロウ!?コンナ…サムイウミデ………シズムノハ…イヤダロウ?……イヤダヨナァッ!』

 

「う……ぎゃああーっ!ごが!ごががあっ!い、いてぇぇーっ!おぐ!おぐう!うぎゃっ!うぎゃっ!うぎゃーっ!」

 

 

「あ、足柄さん!」

 

「足柄さんが…っ!う、嘘だろ…!足柄さんが負けるワケが、負けるワケがねぇーっ!!」

 

◆◆◆

 

梅雨明けの気配はまだ遠い梅雨の執務室…

 

「そう言えば今回、開幕五十鈴さんじゃないですね」

 

「フーッ〜……五十鈴さんの出番はまだだ、本人にもそう伝えておるわい」

 

「へぇ…」

 

相変わらずわかったようなわかってないようなツラと言うか、自分で聞いておきながらまるで興味のなさげな返答をしつつ、秘書艦カミナゲーヨ・コイツは冷たい麦茶を俺の前に置いた

 

「しかし今回は初戦から相手も飛ばしてきますね、あ、またイイの入りましたよ、レバーに」

 

「イイの入ったな、ただし、相手からこっちにだが」

 

俺たちは大事な大事な開幕戦を執務室のテレビで現場の中継を見ているワケだが………これがまさかの大苦戦、楽勝ムードで今日もケチョンケチョンに負かしてやりましょうかねぇ〜…と信じて送り出したチームがかなりの痛手を負っている始末…

 

今回、不思議なパワーが溢れているとかなんとか言って信じて送り出した潮はここぞと言う場面でやる気のないピッチング、同じく、不思議なパワーに溢れているとか言って飛び出したボノも口は悪いが打たれ弱いヘタレぶり………コイツらのボーナスはカットだな

 

そんなシビアなボーナスカット査定に考えを巡らせていると、執務室の重厚な扉を叩き、新たなる侵入者がやって来た…

 

「お疲れ様です!夕張です!」

 

「…夕張か、なんの用だ?」

 

ア●ル隷奴艦の……じゃなかった、クレイジー実験軽巡夕張は、いやぁー今日もアツいですねーと言いつつ自らのお腹をポンポン叩きながらサミーに麦茶とかない?と言ってお客様ソファーに座った

 

「あ、今、現場の中継見てます?」

 

「見てるが?それがなんだ?」

 

「いや、木曾さんに新しく作った装備渡してるんで調子はどうかな〜って気になっちゃって」

 

「木曾に?」

 

…そういや木曾のヤツ、出撃する前に天龍のバカとなんかスゲーカッケーとかメチャシブいとか盛り上がってたな

 

「っーかオマエ、ナニ勝手にワケわからん兵器を出撃メンバーに持たせてるんだコラ?」

 

ギリギリギリギリ!(魔のテイトククロー)

 

「痛いーっ!!痛い痛い痛い痛い!!割れます!割れちゃうぅぅ!!」

 

夕張の顔面を掴んだまま壁に夕張を叩きつけると、夕張は痛い痛い言いつつも気色の悪い笑みを浮かべていた…

 

「イタタ……」

 

「クッ…!相変わらずなんてtoughなヤツ」

 

やはり痛みではダメか、誰がコイツをこんなにマゾに仕立て……仕立て上げたと言うのだ

 

「まぁいい、で?木曾にナニ渡したんだ?魚雷か?」

 

「いえ、ピーコックスマ●シャーです」

 

「あ?」

 

「ピーコックスマ●シャーです」

 

「二度言うな」

 

◆◆◆

 

「この瞬間を!待っていたんだーっ!!」

 

『ウゲェーッ!!コノ…ツメタイウミデ……マタ…ネムルノカァァァ!!』

 

漆黒を纏い禁忌の力を手に入れしダークナイト(自称)木曾、今日、この日の為に用意してきた“最高にカッコ良くてイカしてる武器”をブッ放す!!

 

「フッ、MVP………いらないねェー!そんなものは!」

 

そして、この日の為に考えて来た最高にカッコ良いポーズとカッコ良い台詞………キマった、完璧に…帰ったら天龍に自慢してやろう、漆黒を靡かせ木曾は最高に気分が良かった…

 

「あの……キソさん」

 

「ん?なんだ?え〜………フレッシャーだったか?」

 

「Fletcherです、あの……基地から電話が、キソさん宛てで…」

 

「フッ、電話か…」

 

今回のチームリーダー、フレッチャーからケイタイを受け取った木曾は最高に気分良くもしもーしと…

 

『木曾ォ!!オマエ今のはなんだクマァァァ!!今すぐ帰って来いクマ!!姉ちゃんオマエに話があるクマ!!』

 

「ゲェーッ!!姉ちゃん!」

 

『ゲェ?ゲェってナニクマ?オイ、木曾!!もしもし木曾!いいから早く帰ってくるクマァ!!聞いてるクマか!姉ちゃん今すぐ帰って来いって言ってるク…』



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提督の花嫁-Revenge of the july- 前編

実はしれっとそろそろこのお話も開始から4年目
4年目の節目にお嬢様回

【登場人物】

提督(メガネ男子)
自称ハンサムのハンサムメガネ

五月雨(秘書の人)
コーヒーの不味さに定評のあるドジっ子、一般的な五月雨よりセメント気味

有馬優(お嬢様)
たまに出てくるを今まで他人が苦労して立てた全てのフラグをブッ千切って超越する完全無欠のJS



“有馬”と言う一族がいる…

 

その成り立ちやら歴史やら成長の変革やらは正直まるで知らないが、この国において、このARIMAの関連しない事業を探すのが難しいと言うコトぐらいは子供には難しいかもしれないがたぶんイイ大人なら知っているだろう、俺だって知っている、例えばあのマヨネーズ、有馬フーズの孫会社が作ってるし、今見ているこの番組だって有馬のスポンサーだし、出てるアイドルも有馬のメディア関連の事務所だと言う…

 

そんな一大企業である有馬、その華麗なる一族のご令嬢からお食事に誘われるコトなど卑しき身分には生涯縁の無いコトである…

 

いや、縁の無いコトであった

 

「どうかね?んん?ビシッとハンサムにキマっているかね?」

 

「そうですね、スーツはなかなかのハンサムスーツだと思いますよ」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!こやつめ!」

 

キュウシュウにあるとあるお高いホテル…

このどう見てもビジネスプラン5980円(喫煙・朝食なし)のシングルのプランなど無さそうなホテルの前で、俺と秘書艦サミー子はホテルに入る前に己のハンサムに入念な最終確認を行っていた…

 

「しかし何度か遠くから見たコトはありましたが近くで見るとやっぱセレブオーラが漂いますね」

 

「まったくだ、セレブに無き者は決して立ち入れないオーラがBARI-BARIだぜ…まさに敵地(アウェー)と言ったところか」

 

「ナニが敵地(アウェー)ですか、招待してくれたお嬢様に失礼ですよ」

 

このオーラ、まさにセレブに無き者は問答無用で弱体化の補正がかかりかねんな、これは相当フンドシ締めてかからにゃなるめぇよ…

 

「よし…行くか」

 

「そうですね」

 

俺とサミーは入念な最終チェックを済ましホテルの入り口へと歩き出す…っ!ここから先はセレブでなければ生きてはいけない魔境、おそらくはこのホテルから無事に生きて戻れるかはわからない…

俺はサミーにこの中で何が起ころうと“助けない”つもりでいる!だからオマエも俺を“助けない”と約束しろと誓いを立て、いよいよお嬢様の待つホテルへと突入する…っ!

 

ーーー

 

ホテル突入より二週間程前…

 

「…はぁ?招待状?」

 

「えぇ、提督の花嫁から」

 

「ナニが花嫁だ、アホなコト言ってんじゃないよこの子は…」

 

サミーから受け取った手紙、差し出し人はたしかに例のお嬢様みたいだが………内容はと言うと、たまたまキュウシュウへ来るコトとなり、たまたま時間を空けるコトができたのでご都合がよろしければ一緒に食事でもどうでしょうか?とのコトだが…

 

「…ご都合は良くないな、サミー、断っておいてくれ」

 

「イヤですよ、自分で断ってくださいよ」

 

「なんだとォー!サミー…っ!卿は私のなんだ?言ってみろ!」

 

「…部下、ですかね?」

 

「そうだ!俺の最も頼りにする秘書艦であり、他に並ぶ者はいない厚き我が忠臣であり、あの日、共に夜空を見上げ銀河を手に入れようと誓いを立てた仲、そうではないか?」

 

「まぁ、他に誰もやりたがらなかったせいか、なし崩し的に秘書艦ではありますけど、忠臣と言うほど忠義はないですし、銀河ならもう2個も手に入れてますよ」

 

「言い訳はいい!」

 

俺は黒檀の机をおもいっきりダァン!し、卿がやらねば誰がやると言うのだ!とアツくサミーに問うと、軍務上の断りならともかく、そんなプライベートな断りは私の仕事じゃないですとバッサリと肩甲骨をブチ割って上半身を腰寛骨までアジの開きのように裂いてきたッ!!

 

「………たしかに、これはプライベートな誘いであり、断りもプライベートやもしれぬ」

 

「やもしれぬ、じゃないでそうじゃないですか」

 

「だがサミーよ、あの超絶箱入りお嬢様からのお誘いだぞ?これをどうやんわりと、そして失礼のない文言で断れば良いのだ?」

 

「はぁ?」

 

「卿の意見を聞こう」

 

相手はこの国を裏から牛耳ると言っても過言ではないやんごとなき身分、その、やんごとなき身分の姫と言えるべき立場の人物だ、正直、こんな手紙は見なかったコトにして知りませんでした!で通したいところだがそうはいかない…

お嬢様の家は海軍の上の方と密接な繋がりやら取引があるらしく、あのヤンチャが服を着てるヤンチャ者の大将殿が気を遣うほどの大物だ、下手をすれば俺の首はモチロン、この基地も飛ぶ………文字通り、消し飛ぶ

待った無しのバ●ターコールじゃあ!!は確実ぅ!だろう…

 

「その日デ●ズニー行くからマヂムリとか?」

 

「JKか…ッ!!」

 

できるか…っ!そんな断り方…っ!無理っ…!どう考えても無理…っ!救えない…っ!

 

「むしろどうせ大した用もないでしょうし、行ってきたらいいじゃないですか?そもそもなんで断りが前提なんですか?」

 

「え?だってメンドくせぇじゃん?」

 

「はぁ………だからモテないんですよ」

 

「誰が非モテだ、モテまくりだよ」

 

「はいはい、モテまくりモテまくり、なんと言うか…モテまくり人生とか言うと怪しいブレスレットのアオリ文句みたいですね」

 

「やかましい!いいからなんかカッコいい感じのアレ考えて、イイ感じのアレでアレしてくれんかねキミぃ」

 

そんなワケで、俺とサミーはお嬢様からのプレミアムご招待についてアツき討論を交わし、執務室での討論では結論が出なかったのでとりあえずマミー屋に行ってアマイモン充填して気分を変えようと討論の場をマミー屋へ移し、さらなるアツい討論の結果、マミー屋のスイーツ(時価4980円分)を奢る事を条件に、当日はサミーにも付いて来てもらうと言う結論に至った…

 

ーーー

 

「そもそも私は招待されてないんですけど?」

 

「やかましい、オマエは俺のなんだ?アレだろ?アレなんだからこーゆー場に同伴しても問題はない、違うかね?」

 

「さぁ?どうなんでしょうか…?」

 

お高価セレブリティホテルへ無事入店した俺たちはベルボーイだかコンシェルジュだかよくわからない人に案内され、目的のホテルレストランへと向かっていた…

しかしやはり一流のホテルは違うな、隅々まで行き届いた清掃、一流を相手するべく高い教養を感じさせる従業員…

おそらく、このホテルにはエレベーターの近くに有料放送のテレビカードの販売機など存在しないだろう…

 

そんなワリとどうでもいいコトを考えつつ歩いていると、目的地であるレストランに到着した…

 

「//////」

 

「いや〜…お久しぶりです、お元気そうでなにより」

 

席で待っていたらしいお嬢様は椅子から立ち上がり、懇切丁寧に頭を下げて俺たちを出迎えてくれた…

グゥ〜ム、やはりウチのバカガキどもと違って立ち姿だけでも気品と言うか、オーラがあるな、やっぱ…

 

「フン………よく来たな」

 

と、もう1人…こちらは椅子から立ち上がるコトもなく心底面白くなさげにグラスを呷っている黒髪ロングの美女………たしか、え〜……アリマタカコ?だったか?お嬢様のお姉様、前に一度会ってはいるが…

 

「と言うかオマエ、せっかく優がオマエの為にわざわざ時間を割いて招待したと言うのにまた女連れか?あ?イイ度胸してるじゃないか?あ?」

 

アリマタカコはグラスをテーブルに叩きつけてゆらりと立ち上がるとテーブルに立て掛けてあったニホントウみたいな………っーかマジの日本刀じゃねーか!!

 

「生きて帰れると思ってないだろーな?なぁ?」

 

俺に対してメチャメチャメンチ切ってくるお姉さんに対し、お嬢様はやめてと言うようにお姉さんの服の袖を引っ張った…

 

「フン………まぁいいだろう、別に1人増えても構わんか、なぁ?」

 

お姉さんはホテルメンになぁオイ?と声をかけると、ホテルメンからレストランの方に即座に伝わったらしい

 

「私はただの付き添いの秘書艦なのでアレでしたら外で待ってますよ?」

 

「オイ待て!逃げるのかオイ!逃がさねーぞ」

 

「気にする必要ない、別に1人増えても料理が減りゃしないさ、え〜……なんだっけ?秘書艦の」

 

「五月雨です」

 

「五月雨ね、ふ〜ん、まぁ座ってくれ、あとオマエもな」

 

…あの、俺に対する扱い雑じゃない?っーか執事のジジイといい、このお姉様といい、お嬢様以外は俺に対して殺意剥き出しすぎだろ、少しはお嬢様のエレガントさを見習えよ…

 

「///」





次回はたぶん後編、もしかしたら違うかも


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瀬底島、その先へ―

第二ステージ、最大最後の刺客

【登場人物】

霞(礼号組)
あの足柄や大淀とチームを同じくする礼号組の駆逐艦
口癖は“アナタってホント最低のクズだわ!”

集積地棲姫Ⅱ(悪霊の神々)
今回はスタミナとタフネスを徹底的に鍛えてきた

戦艦水鬼改(戦艦)
誰よりも仲間を、深海の愛と平和を愛する心を持つ深海棲艦、好きなスイーツはクレープ

大和(戦艦)
提督からの勅命で天誅を下しにきました



VS千鳥島棲姫との開幕戦を制し、続く第二海域…

 

「げ、ゲェーッ!!アレはーッ!」

 

「間違いない!あの動作(ムーヴ)はあの必殺技(フェイバリット)序曲(プレリュード)ーッ!」

 

「ヘヘッ!死んだなアイツ!」

 

前半戦、まずは小手調べといったところの輸送連合に対し立ちはだかったのは毎度お馴染み深海一の知性派メガネ、集積地棲姫(地味にⅡになった)

 

そんな集積地棲姫に対し、輸送連合一番のおきゃん揃いと名高い朝潮型姉妹が火を噴いた…

今回、今までの反省を活かしてか、この夏に向けてタフネスを徹底的に鍛え上げてきた集積地棲姫だったが、朝潮姉妹のバーニングソウルはデータ以上だった…

 

「このッ!!クズがァァァァァ!!!」

 

『ウゴゴゴゴ!!ウ、動ケナイ!ア、肋ガ!内臓ガ飛ビダシソウダ…………ウッギャアアアアアアア!!』

 

◆◆◆

 

上司と部下のソーシャルな心の距離を保つ執務室…

 

「なるほどなぁ…」

 

「ナニがなるほどなんですか?」

 

先日、古鷹さんから絶対ハマりますから!絶対ハマりますからと猛プッシュされ、録画したものを貸してもらったARG●NAVIS from BanG Dream!を執務室のテレビで観てみた…

 

「たしかに那●多クンが出てからがアツいな、コレは」

 

「ナニが那●多クンですか、たまには真面目に出撃してるチームの中継見てるんだと思ってた私がバカみたいじゃないですか?」

 

「サミタス、己を卑下するのは良くないな、卿の悪い癖だ」

 

「そうですかね?あと、五月雨です」

 

しかしコイツとはそこそこ長い付き合いになるが名前の訂正を求める基準が未だにわからんな、サミーと縮めるのはアリらしいがそれ以外は曖昧なものがある、まさか気分だろうか?これまさに気分屋

 

「ってか現場の中継見なくていいんですか?」

 

「構わんさ」

 

前半戦はさっき那●多クンを見る前にチラ見したが、礼号組と言う荒野でエンジェル達の甘い声に呼ばれ天より舞い降りた駆逐艦霞(礼号組鉄の結束より抜粋)が集積地を首・背骨・腰骨・左右の大腿骨、さらに肋骨と内臓を痛めつけるバスター系の荒技で大惨事を引き起こし、チームメイト達からわっしょい!されていた…

 

そしてチームはメンバーを入れ替え現在後半戦を戦っているだろう、いや………戦っていると言う表現は些か不適切やもしれんな、うむ

 

「わかりきった結果をわざわざ見る必要もあるまい」

 

「…はぁ?」

 

…そう、海域には既に最強の“刺客”を送っている

この聖域(サンクチ●アリ)で最も強い………仁・智・勇を兼ね備えた最強の戦艦をッッッ!!

 

◆◆◆

 

『ヲ級ーッッッ!!』

 

『ヲ……ヲ級ガ、タ、タッタイッパツデ…!』

 

『オイオイオイ、死ンダワ俺』

 

南西諸島沖縄方面、深海任務部隊旗艦航空母艦に戦慄が疾る…ッ!!まさかこんな前半の海で…ッ!まさか海軍が誇る最強の戦力が現れるなど予想だに……いや、正直イヤな予感はしていた、だからこそ、チームには戦艦水鬼改がいたのだ………ヤツと戦う為にッッッ!!

 

『狼狽エルナ、ロ級ドモーッ!!』

 

『セ、戦艦水鬼改クン!』

 

『戦艦水鬼改クン!』

 

『タシカニヲ級ハ殺ラレタガ、マダちーむガ負ケタワケジャネェ……!』

 

チームを率いていた旗艦のヲ級がたったイッパツ、この間ジャスト2秒!で殺られたコトに動揺が隠しきれないチームを新たなに纏めたのは副リーダーとして来ていた戦艦水鬼改…

正直なところ、チームのメンバー達があの桁違いの小●宙(コ●モ)の前にキンタマが縮みあがりかけるのは仕方ない、だがッッッ!!

 

「逃げないのですか?まぁ、もっとも、1人たりとも逃しはしませんけど」

 

それが提督よりの“勅命”ですから…と呟いたのはこの後半戦、海域制圧部隊の旗艦を任された最大最強の戦艦、大和ッ!!

 

「大和さんマジカッケーっす」

 

「さすが大和さん、メチャメチャシブいです」

 

そんな大和のマジカッケー姿にマジリスペクトっすと黄色いエールを贈る矢矧、そして初霜…

 

『フッ、俺ラニモ……タダデ負ケルワケニハイカナイワケガアルンデネ…』

 

「ほぉ………私の前に立つ以上、アナタ達の待つのは死しかありませんが、いいでしょう………ならば冥土の土産に持っていきなさい、この戦艦大和最大の奥義を」

 

『ゲェーッ!!ア、アノ構エハーッ!』

 

『ヤバイ!避ケルンダ戦艦水鬼改クーン!!』

 

運河をも砕く大和型最大の奥義!46cm三連装砲の構え!

そんな世界で一番危険な奥義の前に、戦艦水鬼改は胸を反らして堂々と立つ!!

 

『フッ…死ハモトヨリ覚悟ノ上ヨ!!ダガオマエニモ地獄ニ付キ合ッテモラウゼー!』

 

『ゲェーッ!!ア、アノ技ハーッ!』

 

『深海16inch三連装砲改!マ…マサカ!マサカ戦艦水鬼改クンハ…!!ヤ、ヤメロー!ヤメルンダー!』

 

戦艦水鬼改は猛然と戦艦大和に向かってダッシュしたッ!!

 

『ウオオオオォォォォォォ!!サァ!俺ト共ニ十万億土ノ彼方トヤラマデ行ッテモラウゾー!!』

 

「こ、コイツ…!」

 

ロ級、ツ級、ヌ級…!最後まで男らしく戦うんだぞ…ッ!

 

『『『戦艦水鬼改クーン!!』』』

 

人間の命なんてものはつかう時につかわなきゃ意味がねえんだぜ…人間、どんなダセエ野郎でも一生のうち一度は出番の日がくる…

本物の男ってのは自分のそういう一度っきりの大切な日を……たった一度の今日という日を感じとれるヤツのことをいうんだ…

 

さらば戦艦水鬼改……さらば…

 

 

「………まったく、擦り傷とは言えこの大和の艤装に傷をつけるとは、楽に死ねるとは思わないことですね」ギロッ!

 

ちなみに、普通に生きてた大和により残った深海のチームは壊滅させられた…





次回は第三ステージか花嫁後編


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提督の花嫁-Revenge of the july- 後編

お嬢様の後編

【登場人物】

提督(眼鏡男子)
天龍、木曾とはマジダチ、3人でスーパーハンサムボーイズなるユニットを組んでいる

有馬優(箱入り)
お嬢様、人見知りで恥ずかしがり屋は徐々に改善されてるらしい

有馬貴子(箱なし)
大企業として有馬のトップを担う双璧の1人、提督の知り合いでもある日女大佐とは一応友人関係、一応


前回までのあらすじぃ…

オッス!オラ提督!ひゃー、こんなにヤベェのに、オラわくわくすっぞ!

 

 

 

「…と、まぁ、前回までのあらすじはいいとしてだ」

 

「何一つわかりませんでしたけど…」

 

サミーの冷静で的確な意見はいいとしてだ、さて……例の超絶箱入りお嬢様からお呼ばれし、無下に断るのもアレなので指定されたお高級なHOTELにホイホイ来てみたが…

そこで俺達を待っていたのはお嬢様………と、そのお姉様、美人姉妹にお呼ばれするなんてまるで俺もラブコメ主人公みたいだなオイ!と思ったのも束の間、黒髪ロングで巨乳なお姉様は俺のコトが大嫌いらしく、なんか下手なコト言っただけで読んで字のごとくマジで一刀両断されかねない雰囲気がプンプン!もぉー!私がいったいナニしたって言うのよ!

 

「妹さんに近付く悪い虫………いえ、害虫と思ってるんじゃないですか?」

 

「誰が害虫だ!っーか心を読むな!心を!」

 

「別に読んでないですよ、そーゆーコト考えてる顔だなって思ってただけです」

 

クッ…!コケにしやがって……!この青髪ロング子めが、こーゆートコがムカつくんだよコノヤロー

 

「まぁいい、とりあえずさっさとメシ食って帰るぞ、さっさと」

 

「まぁ別に急ぎの仕事があるワケじゃありませんし、食事の後に有馬嬢と暫しご歓談でもして盛り上がったらいかがですか?小粋なテイトクジョークでドッカンドッカン大笑い間違いなしですよ、たぶん」

 

「最後のたぶんで台無しだよコノヤロー」

 

この野郎、ここに入る前に互いに“助けない”事を約束しろとは言ったが、まさか自ら進んで俺を蹴り落としにくるとは…

 

………だが許そう、常日頃より残虐・残忍・残酷であれをスローガンに掲げる我が基地、ドブに落ちた犬はさらに沈める事を美徳とせよと教えを説いてきた俺が最も厚い信を置く秘書艦よ

 

---

 

「いや~…イイ天気ですなぁ」

 

「//////」

 

「ほらあそこ、大きな光りが点いたり消えたりしてますなぁ、彗星かな?いや、彗星はもっとバァーッと動きますからなぁ~…」

 

最高級なHOTEL料理を死の危険と隣り合わせである事を感じつつこなした俺…

それでいてトークには決して礼節を欠かない冷静で的確な答えを求められるとあってはかなり難しいコトなようだが、ハンサムな提督にはそう難しいコトじゃあない

 

ハッピーエンドの条件は常にハンサムが勝つコトであり、勝敗とは常に顔で決まっているのだ

 

「///」

 

無事に食事を終え、あとはイイ感じのタイミングでこの場をクールに去るにはどうすればいいか?

この、あまりにも難しい問題を解析函数の特殊値を添加してできる拡大体に含まれなければならないという代数体のアーベル拡大からアプローチしていると、秘書艦サミー子が“せっかくの機会ですし提督と有馬嬢お二人で下にあった庭園でも散策してきたらどうですか?”と強烈なキラーパスを放ち、有馬姉は物凄くイヤそうな面していたが妹の無垢な瞳には勝てなかったらしく、物凄くイヤそうに俺に“優に触れたら殺す”と囁き、信じて送り出してくれた…

 

「最近雨が多かったですからなぁ」

 

「/////……」

 

「え?あぁ、大丈夫ですよ、大した影響はなかったんで」

 

「////」

 

う~む、初めて会った頃に比べてよく喋るようになったなお嬢様も、最初はなかなか目も合わせてくれな……いや、そこは今でもあまり変わらないか

まぁ、この歳頃は気難しくて繊細になりがちだからな、うん

 

「しかしまぁ………イイ天気ですなぁ」

 

「//////」コクコク

 

…しかし参ったな、ウチのバカガキどもとは生物としてステージが違い過ぎる超絶箱入りお嬢様に対し、俺は小粋な話題と言うモノを持ち合わせていない…

あまり変な話題や俗っぽい話をしてもお嬢様的に困るだろうし、グゥゥゥム…

 

しかしそんな俺の悩みを察してか、お嬢様は意外にも積極的に俺の話を聞きたがった、最近基地のバカどもは元気なのかだの先日バスケットをした外国人の子などお嬢様的にはそんなモンで良かったらしい…

 

「///…////!」

 

「ハッハッハ、まぁアイツらは普段から鍛えてますからなぁ、ハッハッハ」

 

ーーー

 

「えー………オマエ、なんだっけか?サミ……さみ」

 

「五月雨です」

 

提督と有馬嬢を信じて送り出し、有馬嬢のお姉さんとティーでも飲んでお話でもしよーやと誘われたワケですが…

 

「そんな覚え難いですかね?私の名前」

 

「いや、別に覚え難いと言うワケではないんだが…」

 

見た目は妹の正統進化型みたいな見た目ですが、中身はかなり獰猛な感じのお姉さんは大して気にした様子もなく紅茶を啜った

 

「ところで、前々から気になっているコトがあるんですけど……聞いてもいいですか?」

 

「ん…?あぁ、私が知ってるコトならな」

 

「お嬢様……ってお見合いする以前からうちの提督のコト知ってたんですか?」

 

最初のお見合いの時から感じていた何かモヤモヤした感、提督は大将殿から見合いの話があり実際に会うまではお嬢様の事を知らなかったようですが、お嬢様はどうにもそれ以前から提督の事を知っているようなフシがあった

 

いや、そうでもなければ大将殿が何の得にもならないそんな犯罪適齢期で嫌がらせまがいな見合い話を組むワケもないし、そもそも見合い話は有馬側からあったと言っていた…

 

「………ふむ、実は私もよくは知らないんだがな」

 

「はぁ…?」

 

有馬姉曰く、何年か前、仕事で忙しくてなかなか家に帰れなかった有馬姉が帰宅したところ、有馬嬢がこれまで見たコトのないハシャぎっぷりで大興奮していたらしい…

 

「…はぁ?」

 

「当時、妹は海軍関係のイベントに行っていたらしくてな、おそらくその時に何かあったのだろうと思うのだが…」

 

「なるほど…」

 

それ以降、海軍関係者をやたらめったらと探して回ったらしく、そしてどうやらその探していた人物と言うのが…

 

「ウチの提督と言うワケですか」

 

「そうらしい」

 

妹に聞いても恥ずかしがって赤面するばかりで詳しい経緯はよくわからない、と言うのがお姉さんの知る情報の限界らしい

 

「そしてこれが恥ずかしさのあまり顔を赤らめる優の写真だ、どうだ?世界一可愛いだろう?」

 

「そうですね」

 

妹を溺愛する姉としてはこの写真はコレクションの中でもかなりレアらしく、仮にこの写真が他にもあるなら所有者を財力で破滅させるか自殺に追い込むぐらいは平然とやるそうです

 

「一応聞きますけど………どうお考えで?」

 

「どうとは?」

 

「まぁ、あらゆる意味で…ですかね?」

 

「そうだな………正直なところ、やはり妹の意思は尊重したい」

 

意外…ッ!!え…?凄く意外な答え、私はてっきりあのクソメガネにはイイ感じでアレしてお嬢様の中からフェードアウトして貰うとかそんな予想だったのですが…

 

「………優に嫌われたくない」ボソッ…

 

「嗚呼、なるほど、そんな感じですか」

 

たしかにその気になればあらゆる手で提督なんか吹けば飛ぶ存在、どうとでも出来るのに……この甘さ、この人も相当アレなんですね

 

◆◆◆

 

お嬢様との時間を忘れるステキなご歓談を無事に終え、何度も何度も手を振るお嬢様に“また逢おう!ワシのコトが嫌いじゃなければなぁ!”と小粋なテイトクジョークで別れを告げてようやく帰路へと就く電車…

 

「サミー、茶くれ、茶」

 

「ないですよ」

 

「オマエさっき駅で自販機で買ってたろ?」

 

「これは私が自分で飲むやつです、トイレに行って水でも飲んだらどうですか?」

 

「なんてコト言うのかね、この子は」

 

なんてヤツだ、こやつめ……秘書艦だからと言って全てが許されると思うなよ、いつかその澄ましたツラをギャフンと言わせて土下座させてやるわい

 

「で?どうでした?お嬢様は?」

 

「どうもナニもやっぱ良い子だな、ウチのバカガキどもとは人としてのレベルが違う」

 

「そーゆーのじゃなくて………いえ、別にいいです、よく考えたらやっぱどうでもいい感じでした」

 

「なんだその投げやり感は、そもそもなんだ?卿は俺を軽んじてるのか?卿は俺のなんだ!」

 

「部下………じゃないですか?たぶん」

 

「またえらく曖昧だなオイ」





次回は第三ステージ、憧れるのはもう……やめる!


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五島列島沖海底の祈り

第三ステージ、新しい国が生まれた…ッ!

【登場人物】

五島沖海底姫(潜水艦)
見た目だけならラスボスの風格漂う潜水艦、趣味は深海サボテンの栽培

五十鈴(達人)
今回は開幕ではなく第三戦で登板、乳がデカパイ


初戦、二戦目を勝ち越し続く第三ステージ!五島列島沖…!右へ左へ数々のギミックを攻略したチームを迎え撃つのは第一ステージに続き新人のご当地姫級、五島沖海底姫!

 

『ココニ…キタノ?イマサラ?ナニシニキタノ?』

 

サンドバッグ姫こと潜水棲姫、クソガキこと潜水新棲姫と同じくハイスペックをウリにする潜水艦ながらその見た目はまるでラスボスの風格…ッ!

あの深海棲艦の中でも見た目がメチャ怖くてメチャシブいと名高い中枢棲姫が今回、彼女の登板を強く推したと深海棲艦の中でも噂されていた…

 

「おーおー、深海のゴミクズどもがイキってらっしゃる」

 

「五十鈴サン、アイツら全員“死刑”でえぇんやろ?」

 

そんなラスボスの風格が漂う五島沖海底姫率いるチームに対するは、人類最強の潜水艦狩りの達人率いる…………五十鈴王国(キングダム)

 

「愚問ね、深海棲艦は皆殺し、特に………潜水艦はねッ!!」

 

まずは挨拶代わりにと放った爆雷は鋭いカーブを描きつつ五島沖海底姫の左腕を叩いた!!

 

『スキジャナイィ…!!』

 

「でたーッ!!五十鈴サンの破滅への輪●曲(ロ●ド)!」

 

「アレを喰らったら悶絶確定!二日はメシが食えなくなるぜーッ!!」

 

『…イタイヨォ…!イタイヨォ…!』

 

「なるほど………なかなかTOUGHじゃない?でも…っ!」

 

あまりの痛みに素早く海に潜り込んだ五島沖海底姫、しかし…!!

 

ドゴンッ!!!(爆雷)

 

『イタイッタラ…! ヤメテヤメテェ…!!』

 

「五十鈴には丸見えよ」

 

いくら海中に姿を消そうとも、関節や骨格が対応出来ない絶対死角が出来てしまう…

そこを狙うことで相手は反応することすら出来ない…!

 

これが五十鈴の世界………五十鈴王国(キングダム)

 

「勝つのは五十鈴!勝者は五十鈴ーッ!」

 

「負けるの五島!敗者は深海ーッ!」

 

◆◆◆

 

未だ梅雨明けの気配漂わぬ梅雨の執務室…

 

「あ、クソ!やっぱつえーわ、やっぱつえーわ」

 

「またゲームですか」

 

「またゲームですか、じゃないよこの子は、ご覧の通りゲームなのだよ」

 

今日も信じてチームを送り出し、現場の中継でも見るかとテレビの電源を入れ、ついでにゲーム機の電源も入れたのがやはりマズかったな、ついついのめり込み過ぎてしまうのが僕の悪い癖ってヤツだな

 

「フーッ〜…しかしやっぱジャステ●スはつえーわ」

 

スピーディかつ派手な超人たちのバトルをアニメ調で表現することを目標として制作されたスタイリッシュ格闘ゲームGUILTY GE●R…

その初代のラスボスことジャステ●スは未だ俺のノーコンティニューを阻む難敵であり、その桁違いの強さは今なお俺をアツくさせてくれる

 

「それ、前にたしか海防艦の……え〜…なんでしたっけ?あの白い子」

 

「平戸クンだ」

 

「そうそう平戸ちゃん、ってか海防艦の名前がよくすんなり出ましたね、ロ●コンなんですか?」

 

「誰がロ●コンだ、海防艦の名前が提督の口からすんなり出てはいけないのかね?」

 

俺はこの基地を統べる絶対支配者であり、この基地に配属された仲間達は皆“家族”だと思っている、もし仮にウチのバカがバカをやっても、そんなバカを、それでも許そうと抱きしめる懐の広さが俺にあるのだ、Aだけが特別じゃねぇ、みんな大事な俺の“家族”だからな!

 

「いや、提督から巨乳以外の名前が正しく出るとは…」

 

「やかましい」

 

「まぁ、それはどうでもいいとして……そのジャステ●ス、前にその平戸ちゃんが瞬殺してましたね」

 

「あぁ…」

 

あれはたしか面接の時だったか、なんかゲームに興味がありそうだったのでやってみるかねとコントローラーを手渡してやると、さっきまで俺が15連敗していたハズのジャステ●スをバッドガイで苦もなく倒してのけたあの衝撃…

 

正直、戦慄を覚えたね……まるでバー●ャ2で初めて望月さんのプレイを見た時以来、いや、最強のゲーマー“バトルキング”のプレイを見た時並みの衝撃…

…おそらくあの子は“天才”だわ、まぎれもなくね

 

「そういやその平戸ちゃん、今日は出撃チームに入ってましたっけ」

 

「ん?あぁ、そーいや入ってたか?」

 

基本的にウチでは五十鈴さんにチームを任せる時、チームの人選も五十鈴さんに任せてある

五十鈴さんならヤれる、五十鈴さんなら大丈夫、その…アツい信頼が五十鈴さんにはあるのだ、そんな五十鈴さんに対し、俺が下す指令は常に一つだけ………行って良し!だ

 

その…俺がアツい信を置く五十鈴さんの目に留まるとは、どうやらあの子、やはり大した子のようね…

 

「まぁいい、じゃ、とりあえずチームの活躍でも見てみるか」

 

「そうですね」

 

◆◆◆

 

五島列島沖最終決戦ッ!!持ち前のタフさと勘の鋭さをフルに発揮し、海軍の猛攻を凌ぐ五島沖海底姫!今やその、限界を超えた敏捷性を捉えるのは至難の技と言えた…

 

『(ドイツダ…?ドイツガキメニクル…?)』

 

致命の一撃さえ貰わなければ逃げ切れる!

その一撃を、今の自分に当ててくる可能性があるのは4人…!そして、その中でも致命の一撃を最も警戒すべきは誰?

 

深海手配書(ビンゴブック)にも載ってる超危険艦娘、イスズ?

それともあのデカパイの駆逐艦?いや……今回初めて見たノーマークのあの白いメガネチビ…?誰…?誰が本命?その一瞬を、見逃すな!

 

ーーー

 

まるで直結連動型(ダイレクトドライブ)のゾーンの如く爆雷をパスして回り、決着の一撃を狙ってくる…!

 

浦風か、平戸か、やはり五十鈴か…最後はやはり五十鈴が決めにくる!五島沖海底姫はその道筋を読み切った!

 

読み切ったハズだった…!!

 

『バ、バカナ…?ナンデ…?ナンデ…!』

 

最後は五十鈴、そう読み切ったハズなのに、五十鈴の手から放たれのはシュートではなくパス…!

五十鈴の背後にいた小さな、そう、小さいけど、すばしっこい駆逐艦…!

 

「死ィィィィィねェェェェェ!!!」

 

最高にイキでイナセな駆逐艦、谷風ッ!!!

 

ーーー

 

陽炎姉妹の十四女、谷風…

超個性派スター集団と名高い陽炎姉妹の中でもとりわけ燦然と輝きを放つチーム、第十七駆逐隊のチームメイトである彼女は駆逐艦の中でも最高にイキでイナセな駆逐艦と呼ばれていた…

 

しかしそんな彼女にも悩みはあった

第十七駆逐隊は数あるチームの中でもトップクラスの巨乳揃だが………自分だけが違う、普段は誰にも気にしてる様子を決して見せたりしないが、やはりそれは彼女にとって悩みであり、劣等感でもあった

 

そして、いつしか巨乳の姉妹達は改を超え、改二に迫る力を手にしたが彼女だけはなかなか改装の声がかからずやきもきした時期もあった…

 

自分も浜風みたいにヤラシー乳が欲しい、磯風みたいにエロい乳になりたい、浦風みたいにペェズリ専用の搾乳おっぱいでもいい、そんな風に憧れた…

 

「でも、憧れるのはもう………やめる」

 

憧れるだけでは届かない、その日、谷風は覚醒した…

 

ーーー

 

あの五十鈴サンが自分を信頼し、出してくれたラストパス、コレを決めなければ艦娘じゃあない…!!

 

その信頼に谷風は見事応えたのだった…!!

 

『マ……マブシクテ…イタイヨォ…!!』

 

五島沖海底姫は勢い良く叩きつけられた爆雷で頭をカチ割られ、ブクブクと気泡を残して沈んでいった…

 

「決着ゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

見事決勝点を決めた谷風はガッツポーズで吠え、そんな谷風にチームの仲間達が駆け寄ってきた

 

「ようやった!ようやった谷風ェ!」

 

「素晴らしい一撃、でした…」

 

「フッ、やればできるじゃない……ま、五十鈴には最初からわかってたけど?」





次回は前半戦最終ステージ、小笠原諸島戦


してェ………ifエンドしてェ〜……と、考えてます
I'd like to read her if end!私は彼女のifエンドが読みたいってのがあれば御意見くださいますと助かります、はい


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提督と足淀とナイトクラブ30

第四ステージですって?あれはウソですわ、あら?まさか信じていたのかしら?この私の言葉が信用に足ると…?プッ、ククク、ハハハハハ!ハハハハハですわー!そう!その顔ですわ!私はその顔が見たかったのですわー!騙されたと知ったアナタのその滑稽な顔をーっ!

【登場人物】

提督(クズ)
浜風ちゃんの前ではいつだって全盛期

鳳翔(ママン)
通称ビッグママ、提督はおろかサミーや由良さんも頭が上がらない唯一無二のビッグママ

足柄(狼)
今海域作戦では第一海域で登板、微妙な立ち上がりとそこそこの活躍でチームの勝利に貢献した

大淀(眼鏡)
足柄のマジダチ、常に知性アピールをしているが偏差値は3、不良偏差値は98


鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…

 

 

 

『HO‐SHOWへようこそロミオー!』

 

 

 

軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない

 

薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ…

 

「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

「オイオイオイ、足柄よォー、そう荒れんなって!な?」

 

男には一杯の命の水を求める夜がある、命の水とは救いであり、悩める大人は皆、止まり木を探し求め、そしてそこで羽を休めるのだ…

 

そんな悩める大人である俺は、たまにはバ……ママとヤキュウの話を肴に飲むのも悪くないと考え、この夜の店にやって来たワケだが……

 

「オイオイ、ババア、この店はいつからあんなチンピラみてーなのを入れるようになったんだ?まるで知性を感じませんよ」

 

「フーッ〜………ウチは客を選ぶような殿様商売してないさね、あと…誰がババアだい!!」

 

バチンッ!!(クソ長煙管)

 

「痛いっ!!」

 

ババ……ママ愛用のクソ長煙管で頭を殴打され椅子から転げ落ちた俺はあまりの痛みに5秒程床を転げ回ったが痛みの回路を見事に遮断し、可能な限りCOOLに椅子に座りなおした…

 

「フーッ〜……今日はそもそも定休日なんだけどね」

 

バ…ママ曰く、店は定休日だがたまたま用があって店の入り口を開けていたら、足柄と大淀がやって来たのでそのまま客として入れたらしい…

まぁ、かく言う俺も定休日と知らずになんか開いてたから入ったんだが……そもそもこの店、定休日あったのか?知らなかった

 

「アンタ達、それ以上ヤンチャしたら店から叩き出すさね」

 

「ゲェッ!!マ、ママ…っ!!」

 

「へ、へへ…ジョーダンだよママァ…な?足柄?な?」

 

「あ、あぁ…ヘヘッ…悪い、悪かったわママ」

 

ビッグママに睨まれた足淀のバカコンビはまるで冷水でもBUKKAKEられたように反省しヘコヘコと頭を下げた

 

「ってか、カウンターにいるのテートクじゃない?いつからいたの?」

 

「水くせぇぜオッさん、足くせぇぜオッさん」

 

「誰がオッさんだ、あと、俺の足はクサくない」

 

チッ!気付かれたか……足柄と大淀はYO-YO-言いながらグラスを片手にカウンター席の、俺の両隣にガッチリと座った

 

「ママ、日本酒ロック、冷やで」

 

「オマエ、そんなの注文すっからモテねーんだよ」

 

「はぃー?オイ、大淀ォー…今、このメガネなんっつた?あ?この足柄サンがモテないって言いましたかぁー?」

 

足柄は俺と肩を組むように自分に寄せつけ……ってか酒クセッ…!!っーか酒癖悪りぃなコイツ

 

「テートクよォー…この際だから足柄にビッ!と言ってやってくれよォー…だからオメーはモテねーし、ミョーコーからは子持ち処●ってディスられるんだ!ってよォー」

 

大淀はメガネをクイッと上げ、知性アピールをしつつマッカラン、オンザロックでとママにオーダーしていた

 

「誰が子持ち処●だコラァ!!大淀ォー!立てコラァ!オモテ出ろやメガネが、タイマンだよ!」

 

「まぁ落ち着けって、な?テイトクもそう言ってるじゃねーか?な?」

 

言ってねぇよ、大淀のヤロー煽るだけ煽りやがって……

まぁいい、たまには部下の愚痴をグチグチ聞くのもまた上司の務め、飲みニケーションってヤツだな

 

「よぉーし!俺も男だ、足柄ァ…今日はオマエがなんでモテねーのかTOKO-TONヤってやるよ、オマエの気が済むまで徹底討論してやんよ!」

 

「ハァー…?っーかオイ、さっきから私がモテないモテないって……オマエにだけは言われたくないわメガネ!」

 

「誰がメガネだコラァ!キレたぜ、久々によォー…オモテ出ろや足柄ぁ、タイマンだ」ピキッ!パキッ!

 

「上等だわ」ピキッ!パキッ!

 

俺と足柄は立ち上がり思わずKISSしかねない距離でメンチを切り合う…っ!!

 

「………フーッ〜…アンタら、静かに飲みな」

 

「あ、はい」

 

「スイマセン」

 

フーッ〜…まったく!ママには敵わねぇな!

 

◆◆◆

 

俺、足柄、大淀によるJINGI御免の大人の飲み会は熾烈を極めた…

 

議題は何故モテないのか?から始まり、駆逐艦のバカガキどもへのアツい教育論、キヨシはやればできる子だのカスミは天使だの、暁ちゃんはいつまでクリスマスのサンタさんを信じてくれるのかだのアツい議論を俺たちは交わし合った…

 

「フーッ〜……鯛の刺身、アンタら食べな」

 

「マジっすかママ!」

 

「アザーっす!ビッグママ、マジビッグっす!」

 

ママの出してくれた新鮮な釣りたての鮮魚…っ!まったく、ママはいつだって俺たちをアツくしてくれる

 

「はー…やっぱ魚はインドアで堂々と死にたてに限る」

 

「あらホント美味しい、コレどーしたの?」

 

「フーッ〜……貰ったさね、ほら、あの娘、ほら…え〜…」

 

「んだよババア、更年期障害か?」

 

バチンッ!!!(クソ長煙管)

 

「あぎゃきゃぎゃぎゃあー!!痛てぇー!!痛てぇー!!」

 

こ…このババア、容赦ねぇ…ッ!!っーかマジで痛てぇ!もうそれ凶器だろ!

 

「誰がババアだい、BOY」

 

「ぼ…ボーイはヤメてくれよ」

 

「フーッ〜……まだまだBOY(若僧)で十分さね」

 

椅子を転げ落ちたものの、なんとか復帰した俺は流れる血をおしぼりで止めた

 

「アレだよ、ほら、なんか駆逐艦の〜…銀髪でおっぱいデカい子、あの子から貰ったさね」

 

「浜風ちゃんかッッッ!!!」

 

ビッグママ曰く、そもそも今日店を開けていたのは休日を利用して釣りに行き、大漁で帰って来た浜風ちゃんから新鮮な魚を分けて貰い、そいつを処理しようとしていたら俺たちが来たと…

 

「フーッ〜…その浜ちゃんさね、なんかスーさんと釣り行ってたとか」

 

「へぇ〜…」

 

そっかそっかぁ〜…コレ、浜風ちゃんが釣った魚かぁ〜…そう考えると、メチャメチャ興奮してくるなオイ

 

「まったく……浜風ちゃんは最高だな」ナポォ…

 

「ちょっと!一度に取りすぎじゃない?大皿にはマナーってのがあるでしょ!?」

 

「うるせーよ子持ち処●が」モニュ…モニュ…

 

「ハイキレたー…あー…キレたわー、久々に、大淀ォ…ちょっと私懲役行ってくるわ、ウチの子達頼むわ、マジダチのオマエになら頼めるわ」

 

「オマエの子じゃねぇけどな、ま、礼号組は心配すんな、帰ったら金バッチ、用意しとく」

 

 

この後、俺と足柄は互いに戦闘開始のメンチ切り合いファイトを開始し、お互いにラウンドを譲らない一進一退のアツいファイトを店内で繰り広げたが、さすがにビッグママの逆鱗に触れたらしく、俺たちは仲良く店から叩き出された後、やっぱシメはラーメンだなとラーメンを食い行った…

 

翌日、イマイチ酒臭さの抜け切らないまま執務室に行くと秘書艦サミー子からゴミを見る目で見られたが、俺は悪くない




次回こそ第四ステージ、ですって!


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反転!敵任務部隊を撃て!

前半戦最終決戦、美しき獲物たちの海域!

【登場人物】

Richelieu(戦艦)
航空戦艦を温存し、まぁどうせ後半戦は出番ないだろ気軽な感じでメンバー入りを果たした自称最強戦艦
シュークリームにはこだわりがあるらしく、人の話は聞かない系

駆逐林棲姫(イキリ駆逐艦)
前半戦のラスボス、イキリ散らしてる

阿武隈(六女)
夕張の咬龍がちょっと羨ましい


前半戦最終ステージ、知と力がせめぎ合う死闘の第四ステージ…

小笠原諸島の島嶼要塞群防衛力強化の名目の下、まずは輸送任務にせっせと精を出し、駆逐艦のキッズ達がアツい労働の汗を流す姿には提督として感動を覚えるものだ、あとで全員にアイスを買ってやろう

 

「陽炎!ヘイ!陽炎!」

 

「オーケー!不知火!」

 

『ウゲェ!!!』

 

ゴシャアッ!!(クロスボ●バー)

 

「でたーっ!かげぬい殺法コンビの殺艦技!クロスボ●バーッ!」

 

「アレを喰らって首を痛めなかったヤツはいないぜーッ!」

 

「ククク……死んだぞテメー」

 

◆◆◆

 

今日も梅雨の明けない7月の執務室…

オイオイもう7月も後半ですよ、後半、いつまでジャブジャブ降ってんのかねこの雨は、前に雨はいつか止むとか時雨様が言ってた気がするが、その当人が文字通り、血の雨を降らせるんだから笑えないジョークだと思うのだよ

 

「九三一空か」

 

「九三一空です」

 

そんなしょーもないコトを考えつつ、前半戦最終決戦に信じて送り出すチームのメンバーを考えていると、執務室の重厚なドアを叩き、今日もお腹急降下上等のヘソチラウエストが眩しいマゾ軽巡の夕張がなにやらやたら分厚い書類を片手に入室してきたのでついイラっときてお腹に一発パンチを食らわせてやったら、悶絶して床を転げ回りヒーヒーフーと何か新しい生命が生まれそうな呼吸法で回復し、その分厚い書類を執務机に置いた…

 

「今回、九三一は超抜エンジンらしくかなりイケてるとのコトです、もうコレは九三一のアタマからイくしかない流れです」

 

「なるほど、つまりアレだ……大本命、と言うワケかね?」

 

「然り」

 

恭しく頭を下げた夕張、たしかに、持ってきた書類に記載されたデータは確かなものらしく、しかも、厳正なる抽選で九三一を獲得したのがS級軽空母の瑞鳳とあっては◎をつけざるを得ないと…

 

「よかろう、卿を信じよう、見事期待に応えてみせよ」

 

「ありがきしあわせーっ!」

 

そんな俺たちのやりとりに、秘書艦サミー子は特に何を言うワケでもなく、俺が飲むハズだった麦茶のグラスを夕張の前に置いた

 

「どうぞ」

 

「ありがとー五月雨ちゃん………ぶはぁ!うんめー!」

 

麦茶をイッキに飲み干した夕張はグラスを執務机に叩きつけ豪快に口元を拭った、そうか……夕張は喉が渇いていたのか?そして、私はそれに気付かず、むしろ煩わしいと感じてお腹にパンチをしたのか…

 

「私の分は?」

 

「ご自分でどうぞ」

 

こやつめ!カッカッカ!こやつめ!

 

◆◆◆

 

ドルンドルンとゴキゲンなエギゾーストを響かせる小笠原の空…

 

「キサマの航空戦は周回遅れだーッ!!」

 

『ウゲェーッ!!』

 

『ヌ、ヌ級ーッ!ナンダアノマシン……!ハンパジャネェ!!』

 

『クソガ!コッチモ負ケテラレネェゾコラァー!キモイ鳥ダセ!キモイ鳥!』

 

小笠原諸島最終決戦!駆逐林棲姫率いる小笠原諸島沖深海駆逐林棲姫群VS天と地のはざまに立つ美の戦士、自称最強のリシュリュー率いる水上攻撃チームの激突は序盤から熾烈を極めた…

 

『ギャース!ギャース!』

 

「クソッ!このクソ鳥!キメェぞ!」

 

「Ça fait mal!!痛い…!コイツ噛んだわ!噛みやがったわー!!このド畜生がーッ!!」

 

「あったよ!!初月と10cm高角砲+高射装置が!」

 

「でかした!」

 

超抜エンジンとは言え九三一によるゴキゲンイグニッションには限りと言うものがある、いざ決戦となればやはり最後にモノを言うのはステゴロ、拳である…

 

「死になさい!和菓子Mon amiral直伝!ピラ●アンローズ!」

 

この前半戦最終決戦と言う大事な大事な大一番、本来なら暇そうにトランプゲームをしていた航空戦艦が抜擢されたであろうこのゲームに、自称最強戦艦リシュリューは自ら手を挙げ登板を志願していた…

 

理由は色々ある、最近稼ぎが悪い、ニホンの戦艦どもと比べ、ここぞと言う場面での戦果と言うか成績もあまり良くない、実家からは艦娘なんて辞め、誰か良い人と結婚し実家に帰って家業を継いで欲しい、あと、早く初孫の顔が見たいと遠回しにチクチク言われていた…

 

「ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!」

 

自由・平等・博愛、そんなモノはこの国に来て早々に間違いだと気付かされた、戦艦に必要なものは苛烈・残忍・残酷の精神、そしてMon amiralは私にこう教えてくれた……戦艦の拳は深海棲艦を叩くだけのものではなく己の心を表現するものなのだと…

 

「出た!テイトク大人気ない戦法No.02!飛び道具チクチク!」

 

「弾速の速い飛び道具で相手の邪魔をすると同時に飛び込んできた相手を無敵対空で迎撃する基本的戦法!単純でありながらこれがなかなか…」

 

その、Mon amiralの期待を一身に受けたこのRichelieuは決して負けな…

 

『ゴチャゴチャウルセェェェェェェェェ!!!』

 

「グボォ!!」

 

ネ級改の必殺スクリューお腹パンチがリシュリューのお腹に炸裂し、リシュリューは口から光る吐瀉物を吐きながら宙を舞った…

 

『戦艦ナラ拳ヒトツデ勝負センカイ!』ドヤァ!

 

ーーー

 

『アァ…?ヒトリジャナイッテ…ナカマガイルッテ……?

ダカラ…ナンナンダヨォ!ヒネリツブシテ…シンカイニ…シズメテヤルヨォ……カカッテコイヨォー!』

 

駆逐林棲姫、この、小笠原諸島を牛耳る深海チームの頭…

その駆逐艦にあるまじきイキリぶりから、仲間達からはイキリ駆逐艦とディスられているが、その残虐性、残忍性、そして実力はホンモノであり、かつてイキリ回って中枢棲姫にタイマン挑んだ時は鼻血が出るほど殴られた…

 

「えいっ!」

 

『アイタッ!』

 

「えいやっ!」

 

『イタイ…!ナンダオマエ…!ナンダオマエ!オイ!タイマン張レヨ!オイ!ビビッテンノカオイ!』

 

そんなイキリ駆逐艦に対するのは………長良姉妹の末妹、阿武隈率いる第2艦隊チーム…

 

「野分!そっち行った!」

 

「囲め囲め!オラ!逃げんなオラ!」

 

「まず足を狙え!足!ウロチョロできねよーによぉー」

 

仲間など不要!そう断じた駆逐林棲姫とは対照的に抜群のチームワークで駆逐林棲姫を囲み、リンチする形になったが………これは阿武隈の望む形ではなかった…

 

本来、阿武隈は長良姉妹の中でもとりわけ心優しい性格であり、誰かを傷つけたり誰かに傷つけられたりするのを嫌う本当に優しい子だった…

 

「あ…あの、みなさん……もう少し丁寧と言うか…」

 

「オイ!阿武隈サンが念入りにヤれってよォ!」

 

「ヒュー!さすが阿武隈サン!残忍ーっ!」

 

「え…?いや、ちが…」

 

ナイスガッツに溢れた体育会系ナイスガッツの長女長良、潜水艦狩りのカリスマ的存在五十鈴、敵の返り血でラムレーズンがストロベリーチップになっちゃったネと笑顔で言える最悪の姉由良…唯一心許せるのは一つ上の姉である鬼怒だけ…

 

そんな鬼姉達の評判のせいか、ここに配属されたばかりの頃、末妹である阿武隈もまた、鬼の子だと噂は広まっており、悪い意味でキッズ達からリスペクトされていた…

 

そして時は流れ、平凡な軽巡だったはずの自分がまさかの甲標的搭載のハードパンチャーとなり、まさかあの北上クンからもヤるじゃんオマエと一目置かれる立場になってしまった…

 

だが、彼女は本当は心優し…

 

『ウッギャアウッギャアギャギャー!!』

 

「阿武隈サン、コレ…」

 

そう言って、皐月が手渡してくれたのはピカピカに磨かれた黒光りする魚雷…

そう、みんな期待してくれている……コイツでガツンとヤっちゃえ、と…

 

みんな期待している、みんなが期待してくれている、みんなの期待に応えなくちゃいけない、みんなが期待……

 

「ヒィィ!!ヒイイィィィィィ!!ヒイイィィィィィ!!」ブルブル…

 

ジャリッ…

 

『ヤメナヨ…ヤメロッテェ…!!』ブルブル…

 

ゴスッ!!ゴガッ!!ドスッ!!ドガッドガッ!ガンッ!ガンッ!!ゴシャアッ!!メメタァ!(五連装酸素魚雷)

 

「ヒュー!やっぱ阿武隈サンマジパねぇー!」

 

「あの鬼気迫る顔!マジ鬼神っすわ」

 

「やっぱ長良姉妹はアクマっすわ、あーおっかね、マジキレっとナニすっかわかんねー」

 

『ウソダ…コンナノ…オマエノ…オマエタチノタタカイニ……イミナ……』

 

「ウヒャアアアアアア!!死んじゃえ!死んじゃえ!死んじゃえェェェェェ!」

 

ゴスッ!!ゴガッ!!ドスッ!!ドガッドガッ!ガンッ!ガンッ!!ゴシャアッ!!メメタァ!(五連装酸素魚雷)

 

「ヤリすぎっすよ!ヤリすぎっすよ阿武隈サン!山雲!ハーブ!オマエハーブ持ってたろ!」

 

「あるよ〜…トぶヤツ」

 

「阿武隈サン!阿武隈サン!ヤバいっすよ!それ以上はマジヤバいっすよ!ちょ…!オイみんな手ぇ貸せ!」

 

 

…こうして、駆逐林棲姫はマジヤバい感じで沈み、深海救急病院に深海救急搬送された…

ちなみにこの事件では阿武隈は正当防衛が認められ、今日も寮の部屋で由良からパシられている



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続・提督と白露姉妹と水着の乱

タイトル詐欺

【登場人物】

提督(メガネ男子)
水着のフレッチャーを見て、ガラにもなく神に感謝した

白露(美少女)
白露姉妹の長女、改二になって髪が伸びた


梅雨と言う名の長い長いトンネルを抜け、ついに始まった夏!その、素敵な夏が提督を行動させた!

とりあえずもう雨は大丈夫だろと朝から洗車に勤しんでいると、汗ダクダクなところにこれまた汗ダクダクなナイスガッツ長良主将率いるナイスガッツ陸上部のナイスガッツメイト達が体育館裏の蛇口のホースで“まったく、炎天下で運動した後の水浴びは最高だぜ!”とアツい青春の1ページをキラめかせていた…

 

「…まったく、アイツらシャワーまで我慢できんのか」

 

だがそれもまた青春、長良主将ほど青春フルパワーを感じる者はそうはいないだろう…

 

そしてその青春水浴びで着ているシャツがスケスケになるのもまた青春、汗臭さだけでなくハジケる健康美…

ほぉ…速吸クンもまたなかなか……これはこちらも抜かねば無作法と言うもの…

 

そんなハジケる健康美と今夜のオカズについて考えていると…

 

「あ、テイトクだ、ナニやってんのー?」

 

「む?オマエは………ト●コ?」

 

「白露だよ、なんでかなぁ?なんでわざわざ間違えるのかなぁ?わざとやってるよね?」

 

俺の汗ダク洗車タイムにやって来たのは白露姉妹の長女、白露…見ての通り、頭の悪いやつだ

 

「っーかなんだその格好は?クールビズか?」

 

「クールビズじゃないし、ってか気付いた?気付いた?へへーん、どーよコレ?新しい水着!買ったんだよ」

 

「へぇ…」

 

「ナニその気のない返事は!なんか感想とかないワケ!」

 

「ねぇよ」

 

「ハアァ!?」

 

なんでキレてんだコイツ、そもそも水着なんぞ前にも着てたじゃねーか、姉妹揃ってスケベなヤツを…

 

「新しいんですぅ!コレ!去年は改二になってサイズがアレだったから迷ってる内に時期を逃したケド!今年はちゃんと新しいの買ったんだよ!どーよ?」

 

「あー、はいはい似合う似合う」

 

「クッ!完全に興味のない反応ッ!」

 

新しいと言っても、そもそも前に着てたのとあんま変わらない辺りが地味に美少女な白露姉ちゃんらしいと言っていい

 

「悪いが俺は愛車の洗車で忙しくてな、俺に声をかけるなら局部の辺りをハサミで切ったスケベ水着でも着てからにしてくれや」

 

「誰が着るか!!そんなモン!!ヘンタイか!」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ」

 

しかし白露の言うコトにも一理あるか、最初から着てくるより、むしろ自らの手で切り取るのもまたプレイの一環とも言え、より興奮度が増すと言うものか…

フッ、白露よ、まだまだ子供と思っていたが、どうやらお前には教えられちまったようだな…

 

「よし、もうギンギンだ、白露、ハサミ持ってないか?」

 

「持ってないし、っーか仮に持ってても絶対貸さないし」

 

「ケチくさいヤツだな」

 

「コレ、最近買ったばっかなんだけど?ってかそんな変態プレイに付き合ってくれる娘いないと思うけど…」

 

「そうかぁ?海風姉ちゃんとか土下座して頼めばヤってくれそうだが…」

 

「土下座して頼めばって……なんて安いPRIDE」

 

「安いPRIDEじゃない、提督だ」

 

しかし…たしか去年、白露と同じく海風姉ちゃんも水着のサイズが合わなくなったとかなんとか言ってた気がするが、今年は買ったのだろうか?

 

「オイ、海風姉ちゃん水着買ってたか?」

 

「はぁ?知らないし、たぶん買ってないんじゃない?」

 

「そうか、残念だ」

 

「クッ…!何故だかイラっとくる自分が憎い!」

 

白露は右手から謎の赤い球体を作り出し、それを俺にぶつけた

 

ビタんっ!!(赤い球体)

 

「痛い!!なんだそれは…っ!?」

 

「さ、さぁ?自分でもよくわかんないケド、提督への憎しみを右手に込めたらなんか出た」

 

「なんか出た、ってなんだ!なんかって!」

 

“気”か!気弾的なモノか!?コイツ……いつの間にそんな技を…っ!

 

白露は自分でもよくわからんとか言っていたが、もう一度やってみると言って右手にパワーを集中すると…

 

シュワシュワシュワ…(赤い球体)

 

「あ!また出た…っ!」

 

再び白露の手に現れたエネルギー弾はシュワシュワ音を立てパワーを集中している!どうやらかなりのチャ●ラを練り込んでいるようだな、あの技……たしか二代目、いや、初代メイジン・カワウチの使った“あの術”に似ているわね

 

「う〜ん………えいっ!」

 

ビタんっ!!(赤い球体)

 

「痛いっ!!ナニそれ地味に痛い!なんなんだよそれ!?っーかなんで今それ投げた!?なんで俺に投げた!?」

 

「いや、なんとなく…」

 

「こ、このヤロウ…ッ!」

 

痛みで言うなら筋肉注射ぐらいの地味な痛みだが痛いモノは痛い

 

「さすが白露姉ちゃん、地味に美少女なだけあってダメージも地味だ」

 

「地味にとかゆーな!!もー怒った!怒りの白露ボール!」

 

白露は右手で作り出した赤い球体をブン投げた!投げた……が!冷静になってよく見れば弾速は遅い、っーかスゲー遅い、あまりにもスロウリィ…

 

「フッ…こんなモノ、避けるのは造作もない」

 

俺は余裕を持ってスロウリィな赤い球体を避けると…

 

グッ……ググググググィーン!!

 

「こ、コイツ!!軌道を変えやがった!」

 

「どーだ!その赤いのはどこまでも追ってくるんだよ!たぶん!」

 

「自動追跡型か、また厄介な能力を…!」

 

白露のヤロウ、またなんて地味な能力を…っーかこの赤いの、マジでトロいくせにどこまでも追ってきやがる!俺だけを感知しているのか?俺だけを…?ならば…!!

 

「トアーッ!!」

 

俺は飛び上がって素早く白露姉ちゃんの背後に回ると、その、地味に美少女な身体を背後からアツく抱きしめた

 

「うわっ!?な、ナニ!?ナニ!?ナニすんのぉー!?え?ちょ、いきなり抱きって…?え?」

 

「オマエも死ぬんだ!」

 

赤い球体は俺を感知し、真っ直ぐに俺に向かって飛んできている

 

「ハァ!?って……そーゆーコトか!!ってかどさくさにまぎれて乳揉むなー!!」

 

「うむ、なかなかの柔らかさと弾力だ、だが俺がパイ●リしたいと思うにはまだまだ…」

 

「まだまだ…じゃないっての!!って!放せ!はな……って痛ァァァァァ!!痛い!!地味に痛い!筋肉注射ぐらい痛いー!!」



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南方戦線 島嶼海上輸送作戦

天使を狩る者

【登場人物】

提督(A型)
本棚の本はたまに揃える

三日月(睦月型)
すげぇやつ




後半の海、ソロモン諸島…

かつて死闘を演じたライバル達だけでなく、まだ見ぬ豪傑達がウヨウヨするこの海で、新しい冒険が幕を開ける!

 

「ミカァ!………やってくれるか?」

 

その後半最初の海、出撃するチームのメンバーを考えるべくマミー屋で間宮のケツを眺めつつコーヒーを飲んでいると、丁度小腹が空いたからとマミー屋にやって来た三日月と秋月に会い、小粋なテイトクジョークを交えつつ次の海域の話をしていたら三日月の目が気になった…

 

三日月の目はいつだって真っ直ぐで、純粋(ピュア)で、まるで俺の心を見透かすみてぇに見てくれる…

 

だからこそあの目は裏切れねぇ、あの目に映る俺は、いつだって最高にイキがって格好いい提督じゃなきゃいけねえんだ…

 

ーーー

 

「まったく、すげえよミカは……可愛いくて、キュートで愛嬌もある、初めてのWG42も使いこなすし、今度は大発まで……」

 

「はぁ?」

 

新たなる死闘の幕開け第五ステージ前半戦、新たな力を手に入れ帰ってきたマスク・ド・神通こと軽巡棲姫Ⅱと、強い夜戦、勝つ夜戦を提唱し修羅のごときバトルスタイルで全ての夜戦ファイターを戦慄させた二代目メイジン・カワウチこと神通の一流ファイター同士が繰り広げる異次元のバトル

 

その戦いはもはやトラ●ザムVS質量を持った残像といった超高速戦闘となり、最終的にはやはりメイジンが一枚上手だったか、勝負は二代目メイジンに軍配が上がった…

 

そして現在、その熱戦冷めやらぬまま第五ステージ後半戦…

 

「あー…コレ、ボディにいいの刺さりましたね」

 

「やっぱりすげぇよミカは…」

 

執務室のテレビで現場の中継を見ていた俺と五月雨は現場から流れてくるアツい戦いを見つつキンキンに冷えた麦茶を飲んでいた…

 

「コレだれでしたっけ?ネ級でしたっけ?」

 

「あぁ、たしかそんな名前だったな」

 

たぶんそこらの姫級や鬼級よりよっぽど厄介な重巡、ネ級改

最近タートルネックをやめて自分に自信をつけたらしく、厄介さに更に磨きがかかっており、さらには今回は水着まで披露してくる始末、もしかしたら変なオトコに引っかかったのではないだろうかと心配になるのだよ

 

「あ、立った、なかなかタフですね」

 

「たしかにタフだな」

 

神通のマグナム殺人ボディに身体をくの字に曲げて悶絶し、光る吐瀉物を吐いていたネ級改だったが、まだやれるまだやれると果敢にファイティングポーズを構えていると、背後から鈍器のようなもので後頭部をフルスイングされて再び倒れた

 

「三日月さんですね」

 

「すげぇよミカは、何の躊躇いもなく背後からアタマとかなかなかできねぇ」

 

さらに滅多打ち、滅多打ち、滅多打ち、手にしている魚雷みたいな鈍器で何度も何度も執拗にネ級改を打ちのめす三日月の姿は、深海の人から見たらまさに“悪魔”以外の何者でもないだろう…

 

◆◆◆

 

『ヤメロォ!!』

 

『ソコマデヤルコトハナイダロォ!!』

 

『オマエ楽シンデルダロ!深海棲艦殺シヲヨォー!』

 

ナ級、ハ級、ツ級…深海任務部隊ツルプ急襲部隊の仲間達がこれ以上はやめてくれと一斉に声をあげる、しかし…

 

「…?まぁ、いいか、コイツは死んでいいやつですよね」

 

やめない!!三日月の執拗な殴打は止まらない!既にネ級改の意識はなく、殴られた際の衝撃で身体がビクンビクンと反応しているだけで、もう戦う意思も力もない…

誰の目にも明らかな完全なオーバーキル!

 

「………よし、と」

 

パンパンパンパン!(銃声)

 

ついでに、スカートから取り出した小型主砲で念入りにトドメを刺した三日月はようやく止まり、今回、一緒のチームで来ていた秋月になんかない?と尋ねると、お弁当にと持ってきていたおこわを貰った

 

「……コレ、硬いですね」

 

「そうですか?ウチのおこわってこんな感じですよ?」

 

「ふ〜ん」



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鉄底海峡の死闘①

第六ステージは最近珍しい前後編

【登場人物】

提督(ア●ルならセーフ)
フレッチャー……!まだ先があった言うのか…!

金剛(長女)
暴の頂点に君臨する金剛姉妹の長女、提督との死合いの刻は近い…ッ!


まだ見ぬ海の強者達がゴロゴロいる第六ステージ…

後半戦もいよいよ最終戦かの様相を見せ始めたこの海域で、遂に超級対決、戦艦VS戦艦の戦いが幕を開けるのです

 

この戦いの為に、その拳を温めていた最強最悪の名を欲しいままに君臨する戦艦姉妹“金剛姉妹”、そして!それに相対するのは深海棲艦の新戦力!かつての強敵!“南方”の名を冠する新しい姫!

 

それでは!カンムスファイト鉄底海峡!レディーゴー!!

 

ーーー

 

「…と言う感じで行こうと思うのだが?」

 

「…はぁ?」

 

俺のアツい考えに、寒色系秘書艦は大して興味もなさげな感じで自分だけ冷たいティーを飲みつつ雑誌の頁を捲っていた…

 

「いやだわこの子ったら、まるでわかっていない」

 

たまには執務室の小さいテレビではなく視聴覚室の大画面で戦艦同士のアツい戦いでも見ようじゃないかと視聴覚室へとやって来た俺とサミー…

 

しかし、そんな視聴覚室では香取先生が駆逐艦のバカガキどもに夏休み特別授業、火垂るの●上映会を実施しており、これはちょっとアレだなと遠慮しようとした矢先、香取先生はどうぞどうぞと快く視聴覚室を明け渡してくれた、まったく……今日も眼鏡がステキな香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる

 

「オッさん、まだ始まらねーの?」

 

「早くしろよテイトク」

 

「オッさんじゃない、提督だ」

 

視聴覚室を明け渡してくれたものの、バカガキどもは今からここで現場の中継を見ると知って大興奮、火垂るの●にはテンションだだ下がりだったハズが今やどいつもこいつも今か今かと戦いのゴングを待ちつつ俺に菓子ねーの?だのジュース飲みたいだの言いたい放題だ…

 

「やかましい、黙って見てろクズどもが」

 

「クズじゃないにゃしい」

 

「テイトクにだけは言われたくないわ〜.」

 

このガキどもが………後で全員ケツバットしてビービー鳴かせてやるわい

 

「ヘーイ、そこの席、空いてますカー?」

 

「あ?」

 

駆逐艦のクソガキどもにイライラが止まらねぇとイライラしていると………

 

とんでもないヤツが来たッッッ!!!

 

「オマエ………金剛ッッッ!」

 

…な、何故ヤツがここにッッッ!?普段、自らの居住地である戦艦寮、天動宮から滅多に動かぬヤツが…ッ!!

なんだ…?何が目的だ?先延ばし先延ばしにとしてきた俺との決着を、遂に付けに来たのかッッッ!!

 

「フーッ〜…」

 

金剛はあくまで優雅、いや……優雅と言うには違うか、だが、俺に対して殺意を向けるワケでもなく、ごくごく自然な流れで俺の隣の椅子に腰掛けた…

 

「………なんの用だ?キサマが自ら動くとは」

 

戦艦金剛……

この基地に居る艦の中でもとびっきりの戦闘力を持つ高速戦艦であり、とびっきりの危険人物…

 

大和、武蔵、長門……単純な戦力と言う意味ではこの金剛に勝る艦は居るが、それはあくまで対・深海棲艦の為に磨いた力…

 

だがッッッ!!この金剛は違うッッッ!!

 

その磨き上げた力の全ては対・俺の為だけに鍛え抜いた力ッ!金剛の拳は深海棲艦をDIEする為ではなく、この俺をDIEする為に鍛え抜いた拳…ッ!

 

“テイトクの心臓を貰うのはワタシデース…”

 

その言葉に嘘偽りはない、この女は出逢ったその日から明確に、この俺の命を狙っていたッッッ!!

 

「愚問ネ、可愛いシスターズの活躍を大画面で観たい、姉がそう思うコトにナニか不思議が?」

 

「ほぉ…」

 

…たしかに、この第六ステージ、俺は金剛を始めとする金剛姉妹に出陣せよと命令を下したが、案の定、金剛は命令を拒否、自分は出ないが姉妹は出マースとの回答をよこしやがった…

 

本来ならば、この基地の絶対支配者である俺の出撃命令に拒否するなどあってはならないコトだが……この金剛は違う、この基地の絶対支配者は自分であると言う強い自負心と、それを決定づける圧倒的な力…

ヤツは俺の下に居ると言う考えなどまるでないのだ!

 

「なるほどな」

 

「そのチープなアタマで納得頂けましたカー?」

 

「誰がチープなアタマだ、溢れる知性で返り討ちにしてやろうか?」

 

…俺の挑発を鼻で笑う、どうやら金剛のヤロウ、マジに今ここでヤる気はないらしい、ごくごく自然な流れで着席した金剛に俺に対する殺意は感じられない

 

「まぁいい、俺も大画面で姉妹の観戦をしたいと言う姉の気持ちを察しないほど小さい男ではない」

 

俺も金剛に倣い着席し、とりあえず飲み物でも飲むかと指をパチンパチンと鳴らすと…

 

「Hi!サムがcoffee持ってキたネー!」

 

まさかの元気いっぱいの返事………え?なんでサムくん?サミーは…?ってあのヤロウ!無視かよ!この俺を無視してまだ雑誌タイムかよ!舐めやがって…

 

「OK……OK……サムはデキる子、サムはデキる子……アツいCoffeeクライNo problem……No proble…」プルプル…

 

だめだ…ッ!!プルプルしてる!アツアツのコーヒーを何故か2つも載せたトレイをプルプルしている…ッ!

 

「あっ!ああっ!!」

 

◆◆◆

 

ソロモン諸島に陣取る深海南方旗艦戦艦新棲姫打撃群…

この、栄えある深海チームを率いるのは“南方”の名を冠した深海期待のスーパールーキー、南方戦艦新棲姫!

 

『蚊トンボ墜トス!殴リ合ヒ…!痛イ…暗イ…!眩シィ…眩シィヨォ!ハッ……アハハハハッ!』

 

『南方戦艦新棲姫クン!』

 

『マッタク!南方戦艦新棲姫クンノイキリップリハパネェゼ!』

 

深海チームメイト達の期待を、そして姫級深海棲艦界の古豪“南方”のカンバンを背負った彼女の両肩に乗るプレッシャーは重く、大きい…ッ!

 

今回出場する彼女の目的は………“名門復活”

 

かつて深海棲艦界隈で強豪鑑と呼ばれた南方一族、だが、最近はめっきり活躍の場を失い、南方=強豪のカンバンはいつの間にやら南方=昔は強かったのカンバンへ変わっていた…

 

「おーおー深海のゴミクズどもがわんさかおるわい…」

 

「比叡さん、あれ、全員死刑でいいんですよね?」

 

そんな強豪復活の野望と期待に燃える南方戦艦新棲姫の前に姿を現した海軍連合艦隊…

ここへたどり着くまでにはリコリス棲姫が立ちはだかっていたハズだが…

 

「おぅ、アレくれてやれ」

 

「ハイ!」

 

まるで世紀末軍団のようにニヤニヤと下卑た笑いを浮かべる世紀末連合艦隊から、南方戦艦新棲姫率いる旗艦戦艦新棲姫打撃群へとナニかが投げ込まれた…

 

まるでズダ袋のような、それは……

 

『………』死ーン

 

 

『リ、リコリィィィィスゥゥゥゥゥゥ!!』

 

『ゲェーッ!リコリス棲姫ーッ!』

 

『バ、バカナ……アノリコリスクンガ、コ、ココマデ一方的ニ…!』

 

ズタボロに転がるリコリス棲姫の姿に戦慄が走る深海チームに対し、次はオマエ達だ、と言わんばかりの宣戦布告…ッ!!

 

『リ、リコリス…っ!………ッッッ!!』

 

『南方戦艦新棲姫クン!』

 

『南方戦艦新棲姫クン!』

 

無残な姿となったリコリス棲姫を優しく抱き上げ、アツく抱きしめた南方戦艦新棲姫…!

そう、この作戦が始まる前、強豪復活のプレッシャーに悩まされ、押し潰されそうになっていた自分を救ってくれたのはこのリコリスだった…

 

 

ナァ?南方……何故南方型ガ戦艦ナノカワカルカ?超装甲ニ対抗スルタメダ、計画ノ中ニハ対戦艦戦モ入ッテイルノサ、モシモノ時ハオマエガ切札ニナル、任セタゼ……南方

 

 

『ユ、ユ…許サネェ!…絶対ニ!絶対ニ許サネェゾォォォォォ!』

 

『ナ、南方戦艦新棲姫クンノ蟹ガ!』

 

『南方戦艦新棲姫クンノ怒リニ反応シテ…!!』

 

『アレガ南方戦艦新棲姫クンノ、すーぱーもーど!!』

 

強豪復活、そして怒りに燃える南方戦艦新棲姫率いる深海南方旗艦戦艦新棲姫打撃群VS比叡率いる海軍連合艦隊

 

「相手にとって不足無し!行くぞォォォォォ!」

 

『野郎共!海軍ヲ滅ボセェェェェェ!!』

 

決戦の火蓋が今、切って落とされた…ッ!!





次回はその②………ではなく、たぶん水着についてのお話


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鉄底海峡の死闘②

大人はすぐウソつくぴょん

【登場人物】

比叡(次女)
金剛姉妹の次女、そのズバ抜けた才能故に、常に本気のファイトができないでいる

霧島(四女)
金剛姉妹の四女、バーチャ2では望月さんに勝てないけど鉄拳なら勝てる

南方戦艦新棲姫(カニアーマー)
アトミックシザーズを搭載した新しい南方一族のスーパールーキー、深海スラム出身で情に厚い


「だいたいオマエ、最近出撃してねぇし身体がナマってるだろーと俺が気をきかせてやったのに出ねぇとか舐めてんのかコラ?」

 

「別にいらぬ心配デース」

 

現地では第六ステージ最終決戦の幕が上がったであろう基地視聴覚室、迫力の大画面でこの最終決戦を観戦しようと考えこの部屋にやって来たワケだが……人生と言うモノはなかなかどうしてうまくはいかない

 

「そもそも、ワタシが出るまでもありまセーン」

 

「あ?」

 

「ワタシのシスターズはVery strong……とても強いデース」

 

金剛曰く、この戦い、自分が手を出す必要などない、妹達だけで十分ヤツらを鏖殺できると……それほど、いや、それほどまでに妹達にアツい信頼を置いているのか?

 

「それに、マイシスター比叡はすでに………ワタシと同じ“ステージ”に上がっていマース」

 

「なん……だと?」

 

バカな…?金剛と同じ…?同じステージだと……?金剛はたしか戦艦でありながら改二と言う壁を破りさらにその先のステージへと至った戦艦……

 

ま、まさか!金剛の妹である比叡も…ッ!その領域に!既に入門していたと言うのかッ!!

 

「そう言えば……今年の春頃、天動宮から凄まじい小●宙(コ●モ)の爆発を感じた気がしたが…」

 

金剛の小●宙(コ●モ)によく似ているからたぶん金剛だと思っていたが、そうか……あれは金剛ではなく比叡のものだったのか

 

「なるほどな」

 

◆◆◆

 

ソロモン諸島、VS深海南方旗艦戦艦新棲姫打撃群最終決戦!!

 

「出たーッ!比叡サンの地獄六連突きーッ!!」

 

「あの突きを喰らったら向こう三週間は下痢ピーが止まらねぇぜーッ!」

 

長女金剛に次ぐ実力者、その認識は概ね間違いではないが………誰もがその真の実力を見誤っている、金剛に次ぐ実力、それは、金剛にあと一歩へと迫るほどの力…!!

実の妹でさえなければ、死力を尽くし屠るべき“強敵”とすら言わしめる金剛姉妹きっての天才…ッ!

 

『ゴハァ!!!』吐血ゥ!

 

『南方戦艦新棲姫クン!』

 

『南方戦艦新棲姫クン!』

 

『シ……Shit…!ヘ、ヘヘッ…マダマダ!マダマダコンナモノジャコノオレハ沈マネェ…!ソウサ…!マダコノ手ニ夢ヲ掴ンジャ……イネーカラヨォー!!』

 

比叡の地獄六連突きをマトモに被弾しKO寸前かと思われた南方戦艦新棲姫はアツい輝きと共に再び立ち上がる

そう、ナ級、ツ級、ヘ級、ネ級、あの夢も希望もない深海スラムから苦楽を共にし、いつかBIGになって故郷である深海スラムにデカい夢を見せてやると誓ったあの日…

 

そんな同じ夢見たアイツらの前じゃカッコ悪いところは見せられないぜーッ!とアツい叫びをあげた!!

 

『喰ラェェェェェェ!!』

 

そんな南方戦艦新棲姫の魂のこもったPunchを、その一撃を受け止めたのは…ッ!!

 

バシンッッッ!!!(完全ガード)

 

「霧島ァ…」

 

「良い拳ね………比叡の姉、アイツの相手は私が…」

 

金剛姉妹の末妹、インテリジェンスモンスター霧島ッ!!

 

「姉妹の負けは金剛の姉に恥をかかせるコトになる、わかってて言ってる?」

 

「勿論」クイッ!

 

「フッ…好きにしなさい」

 

比叡は霧島の肩を叩き、後方へと下がり…

 

『ナンダ?選手交代カ?舐メラレタモノダナ…』

 

「舐めている…?いえいえ、舐めてはいません………よっ!!」

 

ブォンッッッ!!!(霧島殺人パンチ)

 

『Oh〜……』

 

頬を掠めた霧島殺人パンチに、冷や汗と共に戦慄を感じた南方戦艦新棲姫…

今のパンチ、マトモに被弾したらさっきのヒエイとか言うヤツのパンチより危ないかもしれない…このメガネ、相当にヤバい、だが!!

 

『OK……!Come on!!愉シクナッテキタゼーッ!』

 

「行くぞオラァ!さぁ!“(パーティー)”の始まりだぜ!」

 

◆◆◆

 

迫力の大画面映像と微妙にシャバい音響が楽しめる視聴覚室…

 

「出たーッ!霧島サンの知性的ファイト!」

 

「後方飛翔垂直落下式バックドロップがキマったー!」

 

現場からの中継に大興奮の駆逐艦のアホガキども、っーか俺の椅子を蹴るな、椅子を、大興奮なのはわかったから他人に迷惑をかけるなクズどもが…っ!

 

「しかし強いな、霧島」

 

「マイシスター霧島は姉妹1の知性派デース」

 

高等数学を利用した知性的なファイトを見せる霧島、さきほど、あの南方なんたらの南方ハンドでロックしてから海面に叩きつける南方アポカリプスなんとかを知性的にダメージを軽減した姿はまさにインテリジェンスモンスターと言っても過言ではないだろう

 

「まぁ、あの南方なんとかもよくやった方だが…」

 

渾身のマグナムパンチを真正面から霧島のパンチに粉砕され、No!Noー!と転げ回る姿にはある意味悲哀すら感じずにはいられない

 

しかし、霧島が真に恐ろしいのはそこではない…

 

ヤツは高等数学を利用し、戦いながら残り僅かであろうヤツの体力を計算しており、意図的に相手が倒れない絶妙な攻撃を加えているのだッ!!

 

「…フッ、霧島の悪い癖デース」

 

ヤツはこの戦い、あえて自分がトドメを刺すのではなく第2艦隊に連れて来ている駆逐艦のガキどもにトドメをくれてやるつもりでいるのだ…

 

…………残り体力1にして

 

「大したヤツだ…」

 

さて、第2艦隊の打順は誰からだったか?暁ちゃんだったか…?え〜……いや、違うな、たしか〜…

 

◆◆◆

 

「よっ!シェアッッッッッッ!!」

 

ドガァ!!!(ナイスガッツラリアート)

 

『ゴハァ!!バ…-バカナ!私ガ……沈ム?私ガ?ソンナ…馬鹿…ナ』

 

「かーらーのぉー!!せいやァァァァァ!!」

 

『グッ!グオオオオォォォォォォ!!コノ勢イハァァァァァ!!』

 

ゴシャアッ!!!(ナイスガッツジャーマン)

 

『ドベアァ!!!!』

 

美しいブリッジを描くジャーマンスープレックスで脳天を叩き割られ、ついに南方戦艦新棲姫は白眼を剥いて轟沈した………

 

「決着ゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

長良は右手を大きく上げ、吼えるッッッ!!

 

「うおー!長良主将!長良主将!」

 

「やっぱり長良主将は最高だぜーッ!長良主将!」

 

「長良主将!長良主将!長良主将!長良主将!」

 

「ナイスガッツ!ナイスガッツ!ナイスガッツ!ナイスガッツ!」

 

 

………こうして、第六ステージ、ソロモン海の死闘は幕を閉じた、大迫力の大画面で皆から胴上げされ宙を舞う長良主将の姿に、視聴覚室の誰からか、ごくごく自然に拍手が打たれ、それはいつの間にやら皆の大拍手となっていた…





次回
わからせが必要


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提督とGrecaleと夏休みのamico

真夏の色無し恋無し仁義ありの屈服勝負!

【登場人物】

提督(大人の権化)
過ちを認められる大人の特権

Grecale(ギリシャからのアツい風)
マエストラーレ級の次女、社会と大人を舐めており、態度もデカいがPRIDEもデカい、ア●ルは弱い


夏本番!連日連夜の猛暑日と熱帯夜に沸く列島!こんなアツい日は飲まなきゃやってられないぜー!とまるでガブ飲みミ●クコーヒーをガブ飲みするかの如く、明石の店で買ったそば焼酎雲●を外のベンチでガブ飲みしていたポーラにおっぱい一揉み300円でどうだと交渉し、5おっぱい=1500円を気持ち良く支払った俺は日差しのアツさに喉の渇きを感じ、自販機コーナーで冷たいジュースでも買うかと自販機コーナーへと来ていた…

 

あと、俺がベンチから離れた後、ポーラはザラ姉ぇに見つかったらしく、お腹パンチの制裁を受け、口からガブ飲みミ●クコーヒーを出していた…

 

「さて、たまにはコーラにでもするか…」

 

こう暑いとたまには刺激と清涼感を求めたくなる、ならばここはコーラ、コーラしかない…

そう決意を固め、小銭を入れて自販機のボタンを押そうした瞬間、何者かが俺に声をかけてきた…

 

「あ、テイトクだー、Ciao♪ナニやってんのー?」

 

「あ゛?」

 

ピッ!………ガタンッ!

 

「………オマエは、グレ……グレなんとかだったか?」

 

「ハァ?Grecaleちゃんですけどー?え?ナニ?テイトクもしかしてアタシの顔忘れちゃってたー?あー…アレ?更年期障害ってやつー?キャハハハッ!」

 

「誰が更年期障害だクソガキが、小粋なテイトクジョークだ」

 

やって来たのはパスタの国から来た合法駆逐艦、アホのリベッチオ、良い子のマエストラーレくんに続く第三の刺客、社会と大人を舐め腐った今風のワルガキ、グレカーレ

 

「ナニ?ジュース?アタシにも買ってよ、ねー?」

 

「甘えるな、自分の小遣いで買え」

 

「ハァー?うわ、マジでケチくさ…っ!チ●ポついてんのかっての」

 

「ケチじゃない、提督だ、あと、女の子がチ●ポとか言うんじゃないよ」

 

このクソガキが、この基地の絶対支配者である提督様に対して舐めた口をききおるわい、本来ならそーゆー舐めた口をきくガキには問答無用で制裁を加えるところだが、あいにく今日の俺は気分が良い、俺のこの掌に刻まれたパイオツの柔らかさに感謝するコトだな…

 

「うるさいハゲ!グレカーレちゃんに口答えすんな!」

 

「誰がハゲだ、天津飯さんに謝れ」

 

このガキが……俺はさきほど購入したコーラの缶を取り出し、よく振ってからプルトップを開けてグレカーレにBUKKAKEてやった

 

プシューッ!!(TANSAN)

 

「ぶえっ!?チョ、ナニすんのよハゲ!!サイアク!マジでサイアク!!」

 

「やかましい、あと俺はハゲてないし足も臭くない!わかったらそのギトギトの身体のまま部屋に帰ってシャワーノズルでオ●ニーでもしてろ」

 

「誰がするか!!クッ…!もー!せっかくの新しい水着がベトベトするし、マジでサイアク!弁償しろ!」

 

「あー?水着だぁ?」

 

言われてみれば、よく見るといつもの清潔感溢れる白のワンピース的な制服ではなく、より犯罪臭とメスガキ臭の増した水着……いや?水着なのか?コレ?

 

「水着が濡れるコトに何の不都合がある?むしろ通りがかりにスプラッシュの清涼感に感謝して欲しいぐらいなのだよ」

 

「誰が感謝するか!謝れ!今すぐ謝れ!土下座しろ!」

 

「それはできんな、何故なら大人はメスガキに決して頭を下げたりはしない」

 

そう、大人は決してナマイキなメスガキには負けない、これは既に常識…

 

「いいから謝れハゲ!もし謝らないってならケーサツ呼ぶよ!ケーサツ!このおっさんに汚い液体BUKKAKEられたってSNSに拡散してやる!オマエの人生終わらせてやるよキャハハハッ!」

 

「ケーサツ!?それは困る…っ!」

 

「わかったら謝れ!ってか財布、財布出して、今いくら持ってんの?」

 

「いくらだったけか……?たしか7万ぐらい入ってたっけか?」

 

「け、結構持ってるのね…ハゲのくせに、ま、いいや、それ全部でケーサツは勘弁してあげる」

 

「だからハゲじゃねーって…」

 

俺はグレカーレの小柄な身体をサイドに抱えあげて勢い良く腰を落とし自らの片膝にグレカーレの両膝を叩きつけた!

 

「言ってるだろうがァァァァァ!!」

 

ガコォ!!(ダブルニークラッシャー)

 

「ウッギャアァァァァァ!!お膝が!お膝がァァァァァ!!」

 

グレカーレはダブルニーをクラッシュされ、悲鳴をあげて廊下をゴロゴロと転げ回った

 

「クズが、次ナマ言ったらテメーのア●ルにメン●スとコーラ入れて腹蹴りあげるからな」

 

「グッ……グゥゥゥ!う、うるさい…!」

 

「あ?」

 

「だ…誰がオマエなんかに負けを認めるか!死ね!」

 

さっきまで床をゴロゴロと転げ回っていたグレカーレは低身長を活かし素早く俺のテイクダウンを奪うべくタックルを敢行してきた…!っーか死ねとはなんだ?死ねとは!?

 

「なにっ!?」

 

()った!!」

 

グレカーレの狙いは俺の股間!!ズボンの上からとは言え俺の股間を右手で掴んだグレカーレはそのままイッキに力を込める!!

 

「ヒィィィィトエーンドォォォォ!!」

 

ギリギリギリギリギリ!!(キ●タマフィンガー)

 

「ぐおおおぉぉぉ!!まさか俺の弱点(ウィークポイント)を!こ、コイツ!!正気かァァァァァ!!」

 

「うるさァい!!どーよ!子供にチ●ポ掴まれて、あはっ♪情けな〜.い!情けない大人ね!ザコ!ザコチ●ポ!このまま潰しちゃおっかなぁ〜?」

 

「貴様ァァァァァ!!……はおっ!!」

 

「はおっ!…だって!キャハハハッ!オラッ!謝れ!グレカーレちゃんに屈服しろ!ザコチ●ポでスイマセンって謝れ!」

 

「お、大人を、な……舐めるなよこのガキが…ッ!!」

 

俺はグレカーレの尻を右手で掴み、勢い良く人指し指と薬指をア●ルへ突き刺さした!!

 

ブスッと!!(流星●刺)

 

「おごぉ…!!がっ……!お、オマエェェェェェ!ひぎぃ!」

 

「ひぎぃ!だと…?クックック、バカめ、屈服するのはオマエだクソガキが……ってオゴォ!!」

 

「う、うるさひぃ…ひぃ!ザコ!ザコチ●ポ!ア●メしろ、んぎぃ!!そこぉ…!!」

 

こ、コイツ…!俺の流星●刺をア●ルに受けてまだ…っ!なんて執念だ…っ!!どうやらこの勝負、俺のキンタマが潰されるかヤツが無様にケツア●メキメるかの戦いになる!

 

「死ねっ!オラ!ケツ穴で死ね!ア●メしろオラッ!可愛い水着ですね、死ねよ!」

 

「あひっ!!んヒィィィィ!!」

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

 

「オホォ!!やべ、ヤバイ!ちょ…ホントやめ、やめ!!んぎぃぃぃ!!やだっ!届く…っ!奥、奥!んほぉぉぉぉ!!」

 

決着ッッッ!!!グレカーレの右手は俺の股間から離れ、その身体は無様にア●メして崩れ落ちた…

 

「ハァ……ハァ……危ないところだった」

 

この俺をここまで追い詰めるとは、グレカーレめ、大したメスガキだ…

 

俺はチンポジを修正すると、財布から小銭を数枚取り出しそれでジュースでも飲むんだなとグレカーレに投げつけその場を去った…

 

倒れていたとは言え……ヤツめ、まだヤツの目は死んでいなかった、まだ俺に屈服などしていない、ヤツはまた必ず復活するだろう、俺とグレカーレの戦いは終わらない……互いにどちらかが屈服するその日まで…

 

 

Ammiraglio e Grecale e amico durante le vacanze estive

 

Fine




次回もたぶん水着回
真夏のハッキリ言って自信作です


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提督と夕張と三種の液体

ア●ルだア●メがやたら多いお下品回

【登場人物】

提督(尻にもこだわり)
むしろパイオツより尻に惹かれるのもまた快男児
そして、その双方兼ね備えたフレッチャーくんは………無敵、と言うコトになるのかな?

夕張(水着)
同時期実装水着グラの中でも圧倒的に貧しい佇まい

間宮(水着中)
今年も水着期間、これはもう誘っているのでいいんだよな?いいんだよなッ!!


ナツいアツがやって来た今日この頃、この時期は基地内でも水着でうろつくアホンダラどもが増えるせいか、基地の健全化を尊ぶ俺としては基地風紀に頭が痛い季節でもある

 

そして、そんな灼熱-HEAT-な季節の執務室に恐怖の来訪者がやって来る…ッ!!!

 

「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

「ふ〜ん………って、オイ」

 

「なんですか?」

 

「なんですか?じゃないよ、なんだその格好は?」

 

やって来たのは科学があればなんでも出来ると心の底から信じる科学の申し子、スーパーサイエンス軽巡夕張…

改二になって制服が縮んだせいか、もともとヘソチラしていたのに最近はヘソ丸出しとまるでお腹を冷やすことに躊躇いのないお腹急降下上等の化身だったハズだが………

 

いや、これはさすがにやりすぎだろ?なんだコイツ?イカレているのか?

 

「水着ですけど?」

 

「水着ですけど?じゃないよ、どうしたよオマエ?突然水着とか……まさかアレか?盛ってるのか?発情期か?」

 

「なんで水着着ただけで発情期とか言われなきゃならないんですか…」

 

夕張は“ね?五月雨ちゃん?”と自分の机で漢字クロスワードの雑誌を解いていた五月雨に同意を求め、五月雨はチラっと夕張を見ただけで興味なさげにそうですかねと返答した…

コイツらもしかして仲悪いんだろうか?

 

「まぁ、オマエの水着とかどうでもいいか…」

 

「それはそれで乙女としてはサラリと傷つくんですけど……ま、たしかにどうでもいいですか」

 

どうでもいいコトは刹那で切り替えるコトに定評のある夕張はさっさと切り替え、今回のビクーリドキーリメカーと言ってなにやら変なモノを取り出した

 

「今回開発したアイテムはこちら!水鉄砲ですっ!」

 

「…足がないな」

 

「足なんか飾りです」

 

水鉄砲に足があるワケないが、このやり取りは一種、様式美なので仕方ない

 

「まぁ、正確にはこの水鉄砲+3つの選べるフレーバーが今回開発した自信作です、はい」

 

「ふ〜ん」

 

夕張は色違いの3つの色の液が入ったボトルを取り出しドヤァ!と言いたげなツラをしていたので、とりあえず俺は夕張のお腹にパンチをメリ込ませるとレインボーの吐瀉物を吐いて床に転がった

 

「ウボオォォォ」ビチャビチャ…

 

「汚ねぇなオイ、後でちゃんと掃除しろよ」

 

「は………はい」

 

お腹パンチのダメージもそこそこに、まるで産まれたての仔馬のように膝ガクガクで立ち上がった夕張…

普通の艦なら“もうカンベンしてくれェ!”と敗北ア●メをキメてもおかしくはないハズなのに、ちょっと嬉しそうなツラをしているところが最高にキメぇ…

 

「とりあえずこの3種の液ですが、まずはこの薄い緑色………BUKKAKEると水着が溶けます」

 

「は?」

 

「水着が溶けます」

 

………コイツ、やはり天才か?

 

「ただ、水着しか溶けないので、例えばですけど今、五月雨ちゃんにBUKKAKEても五月雨ちゃんの服は溶けません、むしろ黄緑色っぽい染みになります」

 

俺は夕張の右手を優しく握り、よくやった…っ!キミは天才だ!とアツくシェイクハンドした

 

「でかした!うんうん……でかした!」

 

「は…はぁ?ありがとうございます?」

 

水着が溶けるとかオイ……オマエ、そんなT●L●VEる待った無しのアイテム!使わないワケにはいかないな!

誰にBUKKAKEればいい?やはり間宮か!あのむしゃぶりつきたいドスケベ水着で毎年俺を誘ってる間宮か!よし!間宮だ、間宮にBUKKAKEる!間宮にBUKKAKEよう!あのデカ尻ガン突きしてヒィーヒィー言わせてやるわい!

 

「で、こっちの青色の液ですが〜………浴びると発情します」

 

「…は?」

 

「浴びると発情します」

 

夕張曰く、すごく簡単な言い方をすると身体がめちゃめちゃ火照りお腹の下辺りがキュンキュンする気分になる効果があるらしい…

 

「オマエやっぱ天才なのか…?」

 

「そうですか?や〜…照れますねぇ〜」

 

コイツ、自分の作り出した驚異の発明に……いや、男の欲望を叶える世紀の大発明になんの謙遜があるのか?そうだ、誇っていいのだ!俺は夕張の手をアツく握り、アリガトウ!この世に生まれてきてくれてアリガトウとアツくシェイクハンドした…

 

よし、コイツもまずは間宮に使おう、あのデカ尻安産ヒップに、ケツ穴から直腸に流し込んで俺専用肉便器に変えてくれるわい!ガハハハハ、あのいつもクソ生意気な間宮のキレーな顔がア●メによがる姿が楽しみじゃわい!ガハハハハハ!

 

「で、最後にこのやたら緑色な液ですが…」

 

「おう!なんだ!ドンとこい!」

 

正直、薄い緑のやつと青いやつだけでも十分なんだが、一応説明は最後まで聞かないのも無作法と言うものだろう…

 

「空気に触れると一瞬で気化し、半径20000キロ圏内にいるありとあらゆる生物を2秒で即死させる死の殺戮ウィルスです」

 

「…………は?」

 

「今、ちょっとでも漏らしたらみんな死にます、絶対死にます、誰も助かりません」

 

オイオイオイオイ…コイツぁとんでもないバイオテロルだよ、これまさに大量殺戮兵器ですよ…

 

「提督、私はですね………私はこの地球をもとの自然溢れる豊かな星に戻すのが子供の頃からの夢なんです」

 

「お、オイ…ちょっと待て夕張、ちょっと待て!まずそれをテーブルに置け、な?」

 

夕張は緑色の液体が入ったポンプを手にゆらりと立ち上がり頭のおかしい科学者特有の片手で顔を半分覆いつつゲラゲラ笑いだした

 

「そう……この星は今も荒廃を辿る一途!それもこれもこの母なる美しい星を汚すガンどもがいるからなのです!フフフ、私はね……あの時決めたんです!この地球を必ず再生してみせると!その為ならば人類など滅びてしまえー!とねぇぇぇ!!」

 

「やめろ、やめろ夕張、やめろめろ」

 

こ、コイツ…狂ってる!狂っていやがるッ!前々からアタマのおかしいヤツだとは思っていたが…!

 

「待て、まずは話し合おうじゃないか?まずは話し合い、人類の抹殺はそれからでも遅くはない、と言うか、人類抹殺の前にできれば薄い緑の液と青い液を使わせてくれ、間宮を俺専用オ●ホールにしてからにしてくれ」

 

「クッ…!これだからニンゲンは!」

 

「そして夕張よ、人類もまた地球が作り出した天然自然の産物、それを抹殺しての理想郷など愚の骨頂ではないかね?」

 

「…………まぁ、そーゆー考え方もありますか」

 

意外とチョロいなコイツ…

 

「ならば提督、私と提督、どちらが正しいのか勝負しましょう、私が勝てば人類抹殺、提督が勝てば私が提督のア●ル隷奴、いかがですか?」

 

「いいだろう、勝負の方法は?殴り合いか?」

 

「勝負は72時間ア●ルア●メ耐久対決、私が提督のア●ルアナライザーに耐えきれば勝ちと言うのはどうでしょう?」

 

「よかろう」

 

「では、ここでは床がビチャビチャになりかねないので地下の拷問室で…」

 

夕張は勝負の間、五月雨に水鉄砲と3つのリキッドを預かって欲しいと五月雨にそれらを渡し、俺は必ず帰ると五月雨に言い残し執務室の扉を開いた…

 

「よし、では行くか」

 

「えぇ、行きましょう」

 

 

人類の存亡と間宮のア●メを賭けた最大の戦い…

その激戦はかなりハゲしいものとなった、何度となく敗北ア●メで色々ブッ飛んだ夕張、戦いは敗北→屈服→隷属→反逆→敗北→屈服→…の千日戦争となりかけたが、ある時、機転を利かせた俺が提督にのみに許された禁断の拳、幻朧魔●拳を夕張の脳に叩き込み夕張の精神を支配し、勝負は俺の勝利に終わった…

 

 

そして激戦を制し、執務室に戻った俺に対し、五月雨は“昨日ゴミの日だったから捨てましたよ”と何の悪びれもなく言い放ち、俺は深い絶望に包まれた…

 

ちなみに、一番危ない緑の液体は革命キッズの海防艦のバカどもが夏休みの工作で作っていた旧ソ印のペットボトルロケットで宇宙まで飛ばしたらしい…




次回はイベント海域最終回

長門には陸奥の、知らぬ技がある


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決戦!南太平洋海戦

イベント海域最終回、似たような事が前にあった気がするデジャ・ビュー

【登場人物】

南太平洋空母棲姫(サメ派)
今回のラスボス、その村田隊はやめてくれ、私に効く
あと徹甲弾と三式弾もやめてくれ、私に効く、ホントに効く


幾多の強敵達との死闘、荒ぶる強者達が居並ぶ最後の海を越えた先に待つ最大最後の敵、そして、この海で最も自由なやつが………海の王である!!

 

南太平洋サンタ・クルーズ沖の柱を守護る深海将軍、深海機動部隊南太平洋旗艦集団を率いる深海棲艦の頭、南太平洋空母棲姫…ッ!!

 

ここまでの戦い、既に海軍のヤツらはこの海を護る第一の刺客リコリス棲姫、そして第二の刺客空母夏姫の護る魔宮を突破し、最後の砦であるこの南太平洋の柱を倒すべくこちらに向かっていると既に伝令のキモい鳥から情報は伝わってきていた…

 

『フゥン……ヨウコソ…コノ海ニ…』

 

一味の頭、南太平洋の名を冠するタダ者ではない姫、南太平洋空母棲姫は追い詰められたと言う状況に焦るワケでもなく落ち着いていた

 

何故ならば自分には自信がある

 

今日の為に日々過酷なトレーニング、科学的に分析した栄養とバランスのとれた食事、生活の時間全てを捧げ、この大舞台で100%……いや120%発揮する為に努力に努力を重ねてきたのだ…

 

全ては今日の勝利をかつてハワイ沖で海軍どもに敗れ再起不能にされた太平洋深海棲姫センパイに見せる為、太平洋一族、捲土重来のチャンスが来たのだッ!!

 

『ウォー!南太平洋空母棲姫クン!』

 

『南太平洋!南太平洋!』

 

『Go!South Pacific!Go!Go!Victory!』

 

この日の為に今まで一緒にやってきたチームの士気も高い、みんな気のいい良いヤツらで、最高のチームメイト達だ…

 

………そして、そんな南太平洋空母棲姫率いる旗艦艦隊に相対するのは海軍連合艦隊、空母機動部隊ッッッ!!

 

「フッ、陸奥よ、準備はいいだろうな?」

 

「そうねぇ……私はいつでも」

 

その、空母機動部隊を率いるのはかつて深海棲艦達を幾度となく戦慄させ、恐怖と、そしてどうしようもない絶望に叩き落としてきた深海ビンゴブックの中でも袋とじ特集を組まれる超A級危険艦ッ!!

この広い海で唯一、世界政府から掠奪を許可され世界の海軍も扱いに手を焼く海の問題児7人、BIG7…

 

『フフッ、キタカァ…!』

 

南太平洋空母棲姫からすれば太平洋深海棲姫センパイを地獄の底に突き落とした因縁の相手との相対戦に、興奮を隠しきれずにいた

 

『シャークッ!シャーク!』

 

『フッ……私トシタコトガ、大丈夫、私ハ冷静ダヨ』

 

南太平洋空母棲姫は子供の頃からまるで仲の良い兄弟のように一緒に育った深海シュモクザメの頭を撫でた

 

『今度コソオ前タチニ…トドメヲ…刺シテヤル……ッ!

モォ…終ワリニシテヤルヨ!』

 

………開戦である

 

『キィー!キィー!』

 

「うわ!!なんか変なの飛んできた!」

 

「痛てぇ!!っーか痛い!クソッ!なんとかならねぇのか!」

 

「チクショウ!こんな時にアキ……秋月がいれば!」

 

「あったよ!Atlantaと5inch連装両用砲(集中配備)とGFCS Mk.37が!」

 

「でかした!」

 

◆◆◆

 

南太平洋にて最終決戦の狼煙が上がる今日この頃…

缶コーヒーでも飲みながら執務室のテレビで現場の中継でも見るかと考えた俺はとりあえず明石の店で缶コーヒーと菓子パンを買い執務棟の廊下を歩いていると、背後からヘイ!ヘイユー!と威勢の良い声で元気良く声をかけられた…

 

「ちょっと待ちなさい!!ハナシがあるわ!」

 

「あ゛ー?」ギロッ

 

「ピイィ!?に、睨んだって怖くな……別にビビってなんかないわよ!!」

 

「別に睨んでないのだよ、なんか用かね?コロスケくん」

 

「誰がコロスケよ!!私はステイツのBig7!USS BB-45 Colorado class nameship!Coloradoよ!舐めてるんじゃあないわよ!」

 

「あーはいはい、舐めてない舐めてない」

 

そんな俺の紳士的な態度のどこが気に障ったのか、ザコザココロスケくんはFuckとかなんとか汚い英語で俺にまくしたてつつ大振りパンチをブンブン振り回してきたが、残念ながら俺にそんなテレフォンパンチは通用しない

 

「ハー…ハー…クッ!よけ、避けるのはマーマー上手いわね、褒めてあげる!」

 

大振りパンチに疲れたコロちゃんは前屈みでハァハァ息を切らして光る腋汗………このコロちゃん、スケベすぎる

 

「汗ダクのコロちゃんスゲーいい匂いしそう、めっちゃ腋汗ペロペロしたい」

 

「ヒッ///!?へ、ヘンタイ!、ヘンタイ!!」

 

「おっと失礼、ついつい考えていることが口に出るのが僕の悪い癖」

 

俺の小粋なテイトクジョークの笑いどころがイマイチわからないのか、軽くドン引きしているように見えるコロちゃんもまた可愛い、出来るコトなら手足を縛って目隠しと猿轡してタンスに監禁したいと思うのは紳士としてごく自然な事ではないだろうか?

 

「ま、マァ…いいわ!Big7は小さいコトを気にしナイのよ、何故ならBig7だからね!」ドヤァ!

 

ビッグ7…?ナニ言ってんだこの小っこいのは?

 

「で?ハナシとはナニかね?提督はこう見えても忙しい身でね、あまり時間はとれないのだが…」

 

でも、今日の俺のベッドは空いてるぜ?と小粋なテイトクジョークに顔を真っ赤にしてキィーキィー言って腕を振るコロちゃんはかわいいから仕方ない

 

「今日たしか南太平洋トーバツとかで出撃の日よね?」

 

「如何にも」

 

「私、呼ばれてないんだケド?」

 

「呼んでないからな」

 

ナニ言ってんだこの娘、まさか大事な大事な最終決戦のメンバーに自分が呼ばれるとでも思ってたのか…?

 

「私、ナニもしてないんだケド?」

 

「そうだっけか?」

 

「Iowaも……Saraも、それに他の娘達も…あー今日も疲れたーって…っ!今日何人殺ったー?とか、dinnerのトキに楽しそうにおしゃべりして…デモ、私だけ!私だけschedule真っ白で…っ!」ポロポロ…

 

「あー…」

 

コロちゃんはポロポロと涙をこぼしつつ、羨ましいよぉ、羨ましいよぉ…と抑えきれない感情を吐き出した…

いや、だって…コロちゃんの必殺技使い辛いし、ってか足遅いし…

 

「うぅぅ…!!」ポロポロ…

 

「まぁまぁほら、泣かないで、菓子パンでもどうかね?」

 

「FucK!子供扱いしないでくれる!私はBig7よ!」

 

そう言いつつ俺の手からバナ●クリームサンドを奪ったコロちゃんはナニコレ!メチャウマー!と言ってバ●ナクリームサンドにかぶりついた

 

「クッ…!これで勝ったと思わないコトね!ステイツにはもっと美味しいパンがあるのよ!」ドヤァ!

 

◆◆◆

 

「ゴングを鳴らせ!戦闘開始だっ!」

 

南太平洋空母棲姫はお供のシュモクザメっぽい生物にあのオロカモノをグチャグチャにして海にバラ撒いてやれッ!と命じると、シュモクザメっぽい生物は唸り声をあげて飛びかかって来たッッ!!

 

『SYAAAAAAAAAAAAAAS!!』

 

「フッ…」

 

まるでB級サメ映画に出てくる規格外のモンスターサイズ!!この重量差はあまりにも不利ッ!これほどの質量のタックルを喰らってはひとたまりもない!

 

………ですが、これは戦艦ナガトのハナシですよね?

 

当時その場に、連合艦隊の一員としてこの戦いに同行していた駆逐艦Fletcherは後に我々に語った…

 

ナガトさんですか?えぇ、はい、避けませんでしたね、はい、そんな素振りはまったく見せず、むしろ最初から正面から受け止める気満々でしたよ、えぇ…

 

え?潰れたと思ったか?ハハハ…ないない、ありえませんよ、えぇ、あの場の誰1人………クマノさんなんて鼻をほじりながらお腹空きましたわーと言ってましたし…

 

え…?あぁ、アハハハ……そうですね、まさかあのMonster classにBrainbusterをキメるなんて発想はなかったですね、えぇ、投げたんですよ………えぇ、そう、おもいっきり、えぇ、たぶんあのsharkも自分がナニをされたのかすら理解できなかったでしょうね、まさか自分が投げられるなんて…

 

「死ねェェェェ!!!」

 

『SYAAAAAAAAAAAAAAS!!??』

 

海面に脳天から激しく叩きつけられ、シュモクザメっぽい生物はその衝撃で意識を失い、ピクピクしていた…

 

『オイ、ウソダロオイ…』

 

この時、南太平洋空母棲姫とその麾下11名は死を覚悟した、たぶん自分達は死ぬだろうと…

 

『蝿ドモガ…ッ!コンナンデ…ッ! 私ガ倒セルカヨォ゛ォ゛!!』

 

「フッ、良い覚悟だ!だが貴様は知らぬ、この長門には陸奥の知らぬ……技があると言うコトを!」

 

ーーー

 

「それ行けっ!!さぁー!五航戦様の実力みせてあげるわ!」

 

今回、謎のやる気に満ち溢れ、ゴキゲンなエギゾーストで縦横無尽に空を舞う村田隊を引き連れてきた瑞鶴、そして…

 

「うわああああ!!カッコ良すぎる…っ!憧れの、瑞鶴センパイのお供できるなんて…っ!ま、眩しすぎる!あまりに眩しすぎて直視できねぇ…!!涙、涙で前が見えねぇ…っ!」ポロポロ…

 

「葛城!アンタ真面目にやってるの!?」

 

「うわあああアアアアアア!!ず、ずずずず瑞鶴センパイが私の名前をォォォ!!あ、あああ…今日、今日のコト、一生忘れねぇ…!」ポロポロ…

 

葛城は瑞鶴を心の底からリスペクトしていた

 

「あー…かったりぃ、マジかったりぃわ〜…熊野、漫画とか持ってない?」

 

「ありませんわ、っーか鈴谷、汗臭いですわ、あと、ビッチ臭いですわ、近寄らないでくださいまし」

 

「ハァー?鈴谷汗臭くないですけどー?めっちゃシー●リーズしてますけどー?っーか誰がビッチ臭いじゃコラァ!!熊野立てよオイ、タイマンだよ!」

 

◆◆◆

 

夏の陽気な執務室…

 

「あー…今のイイ感じにお腹に刺さりましたね」

 

「あーぁ、死んだなありゃ」

 

雪風様のスナイパーポジションから拳の衝撃を飛ばす遠距離技ガン・ブレット連射からのアサルトポジションでの突攻射撃ガン・ダイヴァーに絶対破壊攻撃(アブソリュート・ブレイク・シュート)を併せた超絶破壊攻撃(スーパー・ブレイク・シュート)

 

アレをマトモに被弾してお腹が無事な生物はこの星には存在しないだろう…

南太平洋なんちゃらは虹色の吐瀉物を吐きつつ海面に転がり、何度か痙攣したあと動かなくなった…

 

「勝ったなガハハハ」

 

「勝ったなガハハハ、じゃないですよ、ただの惨劇じゃないですか」





次回は英国の逆襲、ラッキージャーヴィスの逆襲


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提督とJervisとtrimming

偏頭痛に苦しむ今日この頃、本当に痛い

【登場人物】

提督(テイトク)
ヤバいっスね

Jervis(淑女)
英国から来たスピードアタッカー、山風とは致命的に仲が悪い



執務棟の廊下を歩いていると、熊野のアホがアッツイですわアッツイですわと言いながらシャツのボタンを外していたので注意したら生意気にもうるせぇですわと口答えしてきたので悶絶お腹パンチで制裁を与えた…

 

「あ、Darlingだー」

 

熊野への制裁を済まし、善行を積むと実に気分が良いと歩いていると、英国から来たキンパツ少女に声をかけられた…

 

「キミは……ジャーヴィーくん」

 

「ソウ!Lucky Jervis!」

 

英国から来たサラサラキンパツの小淑女、ジャーヴィーくんはウヘヘへーとか言いつつこのクソ暑いのに抱きついてきた

本来なら、このクソ暑い中抱きついてくるなど言語道断、例え相手がアホな駆逐艦のキッズであろうが怒りのスネークバ●トで壁にメリ込ませるところだが、このジャーヴィーくんは“あの御方”が可愛いがっておられるであろう少女………下手な扱いをすれば陛下の逆鱗に触れ、ギロチンに処される可能性があるので提督としてはあまりこのジャーヴィーくんを邪険に扱えない高度な政治的事情がある

 

「ジャーヴィーくんはナニかね?散歩かね?」

 

「違うよ、コイツのcutしにいくノー!」

 

そう言ってジャーヴィーくんが取り出したのは、小型の犬とか猫とかを入れる手提げケージ…

 

「あぁ、ネコかね」

 

「ソウ!ネコ!」

 

そういや以前、ジャーヴィーくんは猫が欲しいとか言ってペット・ショップに一緒に買いに行ったコトがあったな…(※第574回 提督とJervisとクソキャット 参照)

なんだっけか?シコティッシュとかそんな名前の猫だった気がするが…

 

「ハッハッハ、CatをCutとはなかなか気の利いたジョークなのだよ」

 

俺はあくまで失礼のない紳士的な対応をして、では、テイトクはこれで…と颯爽とその場を去ろうとすると、ジャーヴィーくんに回り込まれた!

チッ!どうやら“にげる”は失敗したらしい…

 

「Darlingヒマでショー?ね?私に付き合っテー、ねー」

 

「いや、提督はヒマではないのだが…」

 

「ねー!ねー!いいでショー!」

 

英国式キンパツ美少女に上目遣いにオネガーイとはな…並のロリ●ンならここで屈するところだが、残念ながら俺は決して屈したりはしない、と言うか、そもそも俺はロリ●ンではないので効果は無い

 

「騎士様にでも頼みたまえよ、騎士様に、ヒマだろ?アイツ」

 

「Arkに…?ゼッタイ、イヤ」

 

「あぁ、そう…」

 

ジャーヴィーくん曰く、今日は朝から騎士様に夏休みの宿題は終わったのかだの自由研究はちゃんとやってるのかだのアサガオに水やりしろだのグダグダ文句を言われ、ちゃんとやってるわー!と文句をつけてケンカしたらしい

 

「ったく、Arkは細かいコトをグチグチ、グチグチと…アサガオなんかタショー水ヤらなくテモ枯れないっての…」

 

「そうかね、それもそうだな……では、提督はこれで」

 

「チョ!待っテ!!」

 

しかし回り込まれた!にげられない!名取式二度目の敗北…っ!

 

「ねー?いいでショー?ねー?」

 

「あー……あ、ほら、アイツがいたろ?アイツ、ジャーヴィーくんの妹のクルクルパーマの…」

 

「あぁ、天パ………ジャなかった、Janusネ、Janusなら朝からジユーコーサクやってるワ」

 

「自由工作?」

 

ジャーヴィーくん曰く、夏休みの宿題の1つらしく、ジェーナスくんはなんかプラモ屋で買ったニホンの城みたいなのを作っているそうな

 

「あの娘、昔から意外とあーゆー細かいのスキなの」

 

「ふ〜ん、意外な一面だな」

 

夏休みの自由工作は休み明けに優秀作品を表彰したりするのだが、フッ、どうやら今年も力作揃いになるようだな…

香取先生のアツい教育魂がクズどもにもたしかに響いている証だろう

 

「まぁ、それはドーデモいいの、Darling!サァ!早く行きまショー!」

 

「ん?あぁ、はいはい、わかったわかった、わかったのだよ、だから提督のズボンをグイグイ引っ張るのはやめてくれんかね?」

 

「エー…?ヤダ」

 

まったく、提督はこーゆーグイグイくる今風の子は苦手なんだが……

 

ーーー

 

基地から公共の交通機関で30分ほど行った先にある市街地…

その市街地に、大切なペット様のcutをしてくれる店は確かに存在する…

 

「いらっしゃいませ〜……って、テイトクとジャーヴィスちゃんじゃないですか?今日は何をお求めですか?」

 

「いらっしゃいませ〜、じゃないよ、ナニやってんだよオマエ」

 

「ナニって…ご覧の通り、アルバイトですが?」

 

大切なペット様のcut専門店トリミングサロンatomic scissorsなる店にやって来た俺達…

しかし、その受付で待ち受けていた店員さんはどこかで見たコトあるケ●穴隷奴だった……って!!タダの夕張じゃねぇかァァァァァ!!コイツなんでいつもいつもバイトしてんだよ!

 

「軍の仕事舐めてんのかテメーはよォー?アァン?」

 

ギリギリギリギリ!!(魔のテイトククロー)

 

「痛い!痛い痛い痛い!!割れり!割れ…っ!顔面!ガンメン割れちゃう!割れちゃうゥゥゥゥゥゥ!!」

 

「ダレの許可得て外でバイトしてんだテメー?アァン?俺を舐めてんのか?コラ?なぁ?」

 

俺はとりあえず夕張の顔面をカウンターに叩きつけ、次ヤったら無事じゃ済まねーぞと釘を刺した

 

「まぁいい、オイ、コイツをカットしてくれや」

 

「オネガイシマース」

 

ジャーヴィーくんはケージからネコの首根っこを持って取り出した…

 

「は、はぁ…?カットですね、何枚くらいにします?あと、シャンプーしますか?」

 

「散髪屋か…っ!」

 

「んー…よくワカんないケド、イイ感じデー」

 

「イイ感じですね」

 

雑…っ!!なんだこの店……大丈夫なのか?いや、そもそも俺はペットのカットなんぞしたコトないから詳しくは知らないが、そーゆーモノなのだろうか?

夕張はジャーヴィーくんのシコティッシュの首根っこを雑に持つと奥のトリミング室へと行ってしまった…

 

「さて、とりあえず終わるまで待つか…」

 

「Darling、ワタシジュース飲みターイ」

 

「へいへい、ジュースくらい奢りますよっと…」

 

とりあえず終わるまでジュースでも飲みつつ待ち合い室で漫画でも読むかと考えていると、店の扉が開き、新たなる客が入店してきた…ッ!!

 

「ここでいいのかしら………って、あら?テイトク」

 

「キミは……?フレッチャーくん…」

 

新たにやって来たのはStatesからやって来た超一流駆逐艦(メジャーリーガー)、 フレッチャーくん…

その、駆逐艦にあるまじきパイオツとどこか幼さを感じさせるベビーフェイスを併せ持つMAJORの切り札、それでいて万人に優しく困っている者に無償の愛の手を差し伸べる聖女…

…もし彼女が駆逐艦でなければ地下室で7日7晩ア●ルをブチ犯し、それでも聖なる心を信じる彼女を聖女を信じる民草の前で純潔公開散華ショーをするところだろう…

 

「テイトクと……えぇと、アナタJervisね」ニコッ

 

「ソーだケド…」

 

あのいつもグイグイくるジャーヴィーくんが戦慄している…っ!同じ駆逐艦、同じ海外艦、そして同じキンパツ美少女と言うシンパシーでもあるのだろうか……?

 

「フレッチャーくんもペット様のカットに来たのかね?」

 

「ハイ、犬です」

 

フレッチャーくん曰く、野良犬だったんですけど懐いてしまって…とのコトだが、さすがは聖女様だ、野良犬だって懐いちまうんだな…

 

「名前はD-51(デゴイチ)と言います」

 

「D-51か………イイ名前じゃないかな?うん」

 

うん、なんかそこはかとなく危険な匂いと悲しき過去がある気がするが、まぁ、フレッチャーくんの飼い犬なら大丈夫っスね

 

「へ、ヘェー…イヌだ〜」

 

ジャーヴィーくんはもしかして犬が好きなのだろうか?D-51を撫でてみようと右手を伸ばしてみると…

 

『グルルルルル!!』威嚇ッ!

 

「ヒイッ!?」

 

「ダメよD-51(デゴイチ)、人を噛んだりしたらダメ」

 

フレッチャーくんに頭を撫でられ、威嚇態勢を解いたD-51……やっぱ聖女なんスねと感心していると、奥から夕張のアホが戻ってきた

 

「いらっしゃいませ〜……って、あ、今度はフレッチャーちゃんと………犬、ですか?それ?」

 

「ハイ、この子のcutをお願いできますか?」

 

「cutですか………」

 

どうやら夕張にもわかるらしい、このD-51が悲しき存在であるコトが…

 

「わかりました、ではこちらへ…」

 

 

 

1時間後、ジャーヴィーくんのシコティッシュのカットは無事に終わり、D-51も壁をブチ破って勢い良く待合室に帰ってきた…

フレッチャーくんはOKOK Good boyとD-51を元気な子と撫でていたが、たぶん彼女はD-51が悲しき存在であることを知らないのだろう…

 

ちなみに、夕張はD-51に負けたらしく、弱き者みたいに転がっていた…




【登場人物】

フレッチャー(聖女)
衝撃の水着グラに、こちらも抜かねば無作法…

夕張(暇人)
水着でもわかる安心の薄さ

D-51(犬)
悲しき存在…


次回はよくわかんねーっスね、ifエンド準備中らしいっスけど…


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提督とルート分岐のエンディング⑭

帰ってまいりましたあるかもしれない記憶の中でふわふわした未来、ifエンド回

とりあえず今回のお話は〜…

【荒野というDIAMOND】
【絶望の未来!残された超戦士 清霜!】

…の、2本勃て、あちらを勃てればこちらが勃たず♣︎


【荒野というDIAMOND】

 

かつて、戦争があった…

人類VS深海棲艦の互いの生き残りをかけた戦い、人類、そして深海棲艦の上層部はかねてよりこの戦いの裏で糸を引く黒幕の存在を疑っていたが、ついにその姿を現した神々の軍団!

この星に生きる全ての生命を終わらせると非情の宣告した神々を前に、人類と深海棲艦は互いに手を取り合い神々とのアツき戦いを繰り広げ、そして………人類と深海棲艦、2つの力が1つになった奇跡のパワーはついに神々をも退けたのだった…

 

ーーー

 

長かった戦いの日々は終わり、解体されてゆく世界各国の軍隊、軍縮の波に乗って俺も無事に軍をクビになり社会と言う名の四角いジャングルへと放り出されたものの、落ちぶれても元提督、人生これから!切り替えて行こう!と人生前向きに考えていた矢先、アイオワの野郎からギブ●ンがMAJORで待っていると聞き、居ても立ってもいられず渡米した俺は、右も左もわからぬ米国の大地で、速吸クンと再会したのだった…

 

「テイトク…?ハハ…誰と間違えているんだい?僕はハンサムでもテイトクでもないよ…」

 

「や、どう見てもテイトクじゃないですか、どうしたんですか?こんなトコで?」

 

かつての俺の部下、速吸クン…

給油艦と言うワケのわからん艦種で普段は大した仕事もなく、かと言って大規模作戦でも数えるほどしか活躍の機会が無かった不遇の艦娘だが、彼女の真の価値はそんなチャチなモノではなかった…

彼女の真の価値、それは……運動部の女マネとして冷たいスポーツドリンクを提供してくれるコトではなく、部活後の誰もいなくなった部室で汗ダクックスしてくれるコトでもない………彼女の真の輝きは、その、黄金の肩にあったッッッ!!

 

基地ヤキュウリーグに次々に現れるMAJORの怪物、アイオワ、サラトガ、イントレピッド……そんな怪物達から真っ向勝負で三振の山を積み上げる姿はまさにジャパン・ドリーム

欧米列強の強者達をきりきり舞いに仕留めるそのピッチングにどれほど俺達ジャパニーズが勇気を貰ったコトか…

 

そんなジャパン生まれの怪物、速吸クンとトライアウトの会場で再会した俺は唐突に理解した、神は俺に速吸クンと言う光り輝くダイヤモンドをサポートする為にこの地に俺を呼んだのだと…

 

「頼む……頼む、速吸クン、プロに、そして………リカ●ンズを、優勝させてくれ…っ!」

 

「ちょ!ちょ…!テイトク!恥ずかしい!恥ずかしいですって、ほ…ほら!なんかみんな見てるし…!」

 

俺はその場で跪き速吸クンの右手を握り、いつまでも、いつまでも離しはしなかった…

 

ーーー

 

速吸クンとの再会から早3ヶ月…

 

『デター!HAYASUIだァー!』

 

『今日もperfect pitchingを見せてくれーッ!』

 

『GO!GO!HAYASUI!GO!HAYASUI!』

 

デトロイトに存在する旧タ●ガー・スタジアム…

今日も熱狂するこのスタジアムに、大歓声を浴びながらマウンドに上がるのはジャパンから来たスーパーマグナム、HAYASUI!

 

デビューしたての頃は、まるでブカツドーの女子managerだな!オレのpen●sをsupportしてくれよHAHAHAと小粋な野次が飛んでいたが、今や速吸クンに対しそんな汚い野次などない…

 

「チッ………ズイブン人気モノになったものね」

 

「いやぁ〜…そうですかね?」

 

「チッ、ムカつく……ま、いいケド、今日もシマっていくよ」

 

「ハイ!了解です!」

 

バッテリーを組むアトランタと小粋なジョークを交わし合う速吸クンの目に迷いはない、今日も勝つんだ、今日も自分が投げて、チームの誰かが打ってくれる、そう信じる純粋な目…

本当に、いや、純粋にヤキュウが好きな女の子の目だ…

 

そんな速吸クンの姿をスタンドから眺めていた俺に、見知ったキンパツ美女が声をかけてきた

 

「Hi、Admiral!久しブーリネー!」

 

「Admiral…?今の私はノースリーブ・サングラスだ、それ以上でも以下でもない」

 

「HAHAHA!相変わらずAdmiralはjokeがスキネー!」

 

俺の背中をバシバシ叩くキンパツ美女……かつての俺の部下、アイオワ

戦いが終わり、MAJORの舞台へと戻ったコイツは今やstatesでは知らぬ者はいない有名人、こんな下部リーグの試合なんか見に来るハズはないのだが…

 

「やはりここまでキタわネ、Admiral」

 

「No、ここまで来たのは俺じゃあない、速吸クンさ」

 

「…言い方が悪かったわネ、アナタ達が2人が、ネ」

 

アイオワは陽気なアメリカン特有のオーバーに肩をすくめてテヘッ♪と笑ってみせた

 

「俺達はすぐにオマエのいるところに行くぞ」

 

「Oォ〜…Kェ〜……I'm looking forward to a confrontation with you」

 

「Wait a moment at the stage in MAJOR」

 

「Good!楽しみにシテるワー」

 

楽しみにしている、そう言ってアイオワはゲームを観るワケでもなくヒラヒラと手を振りながら去って行った…

正直、久々に会ったのだから一発ぐらいヤらせて欲しかったが提督は紳士なので欲望はグッと飲み込ん…

 

「オイ、アイオワ!」

 

「…?ナニ〜?」

 

「せっかくここまで来たんだ、メシぐらい付き合わないか?」

 

「フフッ…食事だけで済むのカシラ〜?ま、ミーはゼンゼンOKだケド?」

 

「え?マジ、じゃHotelいこーぜ」

 

「HAHAHA!Admiralはホントクソヤローネ!ま、そーゆートコもスキだケド!」

 

まぁ正直、速吸クンは速吸クンで好きなんだが、やはり提督も男、金髪巨乳が好きなんだ…

チャンスは最大限に活かす、それが提督の主義だ

 

「言っとくが俺はあのままの立ち止まらない速吸クンが好きなんだからな、俺と生涯バッテリーを組んで欲しいと告ったのは速吸クンだけだからな」

 

「OKOK、クソAdmiral!」

 

 

俺と速吸クン、MAJORへの挑戦はまだ、始まったばかりだ!!

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【絶望の未来!残された超戦士 清霜!】

 

 

かつて、戦争があった…

人類と深海棲艦との戦いは終わり、世界には平穏が訪れた………が!その平穏も長くは続かなかった、深海棲艦との戦争中、狂気の天才がシコシコ作り上げていた究極の殺戮マシーン“人造艦娘”が制作者である狂気の天才Dr.モロ(ハワイ在住)をSATSUGAIし暴走、戦える艦娘達は人造艦娘に挑むものの、その圧倒的な力の前に一人、また一人と倒されていった…

 

「うわー!ダダダダダダッ!!」

 

「よしっ!いいぞエイナス!いいパンチだ!」

 

人造艦娘による絶望の未来…

あの強くてデカい背中で深海棲艦達を蹴散らした戦艦のアネキ達はもういない…

誰も彼もが希望を未来に繋げるべく人造艦娘の前に散って行った…

 

そんな絶望の未来に残された最後の戦士、夕雲型最後の駆逐艦清霜はかつての同僚、夕張の娘に闘いの稽古をつけていた…

 

「ハー…ハー……ハァハァ、もー…もぉムリ、清霜さん、ちょっと休憩させて、キューケー」

 

「だらしないなぁ、まぁ…しゃーなしか」

 

「ってか清霜さん、全然疲れてないの…?」

 

「このくらい、どってことないよ」

 

人造艦娘の出現時、戦える艦娘はほぼ全て人造艦娘に挑み、そして敗れ去った…

当時まだ若く、少女の域を出なかった清霜も戦いに行くつもりだったが、戦艦や空母のアネキ達からまだオマエには早いと止められ、続いて重巡、軽巡と戦える艦が挑んでは敗れ去り同じ駆逐艦でも改二勢のパワーを持つ仲間達も散り、姉妹の中でも最も年若い清霜だけが最後に残った…

 

「お疲れー、エイナス、清霜ちゃんもお腹空いたでしょー?」

 

「母さん!」

 

「夕張さん…スイマセン、いつもいつも」

 

戦いの稽古を終え、無事に家へと帰ってきたエイナスと清霜を迎えたのは元夕張型軽巡、夕張…

人造艦娘の出現より前、彼女は艦娘として戦う力を失い第一線から身を退いた故に人造艦娘と戦う事ができず、清霜を除けば唯一あの時代から生き残っている艦娘であった…

 

しかし、夕張自身は戦う力を失ったが、その力は、たしかに次の世代へ引き継がれた…

 

「今日の晩御飯なに?」

 

「蒸したイモよ、好きでしょ?」

 

「イモかよ…っ」

 

蒸したイモに露骨にがっかりするエイナスに大して気にした様子もなくケラケラ笑う夕張…

そんな何気ない日常こそが、何もかも失った清霜に残された最後の希望であり、守るべき未来…

 

エイナスが夕張と父親から受け継いだ力と才能にはめざましいものがある、それはきっと必ず開花し、自分を超えるだろう…

そしていつの日か、あの人造艦娘を倒す、清霜にはその確信があった

 

「もぉー!清霜さんから言ってやってくださいよ!いつもいつもイモばっか食わせやがって!あの村の住人かっーのって!」

 

「ハハハ、そう文句ばっか言うなエイナス、夕張さんはこう見えて昔はすごく強かったんだよ」

 

「母さんがぁ…?」

 

「昔は唯一無二の4スロット軽巡ってテイトクやみんなから重宝された時期もあって…」

 

「…フッ、清霜ちゃん、昔のハナシよ」

 

「ま、母さんの昔話とかロクな話じゃないし」

 

いつの日か必ず、必ず希望の未来は勝ち取れる…

自分の役目はその希望の火を絶やさないコトだ、清霜は決意を新たに、この何気ない日常を守ることを決めた……

 

 

 

そしてそれから5年後、人造艦娘との最後の決戦に挑んだ清霜はその命を散らした…

 

しかし、清霜が命をかけて護った最後の希望は、絶望の未来を変えるべく、遥か彼方、過去へと飛び立つコトになるッッッ!!!

 

 





次回はたぶんイベント終了回からの〜…新人面接回

ifエンド回の続きは少し間を挟む焦らしプレイってトコかな♠︎


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続続続続続続続続続続続・提督と作戦終了と…

ダラっと終了回

【登場人物】

提督(ジェントル)
基本、モクモクしちょるだけの敗北者
今回も甲勲章とか貰ってない安心のザコ提督


「えー…今回の作戦海域も皆さんの頑張りもあり、無事に成功し、完了したコトを提督は嬉しく思っています、えー…皆さんが普段から頑張っている姿、それを結果として残せたコトはこれからの皆さんにとって、かけがえのない思い出であり、財産になります、えー…お話が長くて皆さんもダレるでしょうが、もう少し、提督からお話をさせてください、えー…皆さんはこんな話を聞いたコトがありますか?あるところに一匹のドラ猫が〜…」

 

『いい加減にしろテメェー!』

 

『毎度毎度ハナシなげーんだよオッサン!』

 

『足クセーんだよ!』

 

大規模作戦を無事に終え、真夏の基地体育館で恒例の全艦集会を開催中なワケだが……まったく、いつまでも成長せんガキども…っ!目上の者からのありがたいご高説と言うものが未だに理解できぬクズ…っ!提督様のありがたいお話中に汚い野次が飛んでくるのもまた、自然の流れと言うものか………あと、俺の足はクサくない

 

クズどもの汚い野次に決して負けない提督は、スケジュール予定の時間45分をたっぷり使いクズどもにたっぷりとありがたい話を聞かせた、途中、立ちっぱなしの苦痛に膝を折りそうなバカガキどもの苦痛に喘ぐ表情がチラチラ見えるのが愉快でたまらなかったわい、ガハハハ

 

「えー………それじゃ、クソの役にも立たないお話はここまでにして、今からお給料の時間を始めまーす、名前を呼ばれたら元気に返事をするよーに」

 

俺は舞台袖に待機していたサミーに合図を送り、台車に載せたジュラルミンケースを用意させ、その中身を取り出す…ッ!!

現金…っ!キャッシュ!マネー!全ての欲望を叶えるこの世の魔王…っ!!

 

「えー…今回のMVPチケットランキングはなかなかの接戦ぶりだった、それもこれもオマエらクズどもがやる気を見せた証ってワケだが………まぁいい、えー今回のMVPチケットランキング1位は〜…長門、オメーだ」

 

南太平洋最終決戦、陸奥とのチームとは言えかつてのクロスロードパワーを彷彿させる謎のパワーを振るい深海のクズどもをメチャメチャにした最強戦艦長門ッッッ!!

その長門は、皆の拍手を一身に受けつつ堂々と壇上へと上がった

 

「よくやった、感動した」

 

「フッ、連合艦隊旗艦を務めた栄光に比べれば微々たるものだが、貰っておこうか…」

 

俺は長門の手をアツく握り、分厚い札束を手渡すと長門はあくまでCoolにそれを受け取った

 

『さ…さすが長門さん、生まれた瞬間に立ち上がってそのまま椅子に座ったと言うだけあるわ!』

 

『人生で一度も横たわったコトがないと言う噂すらあるのです!』

 

『ハラショー、いつも気高く冷静で強く全てが完璧な戦艦なだけはあるよ』

 

駆逐艦のバカどもから尊敬、そして畏敬の眼差しを受ける長門はまるで別に騒ぐほどの事はない、当然だと言わんばかりに軽く手を振って応えた

 

ガキどもから絶大な人気を誇る戦艦長門…!いつだってCoolで多くは語らないが、その、あまりに大きい背中はキッズ達の憧れの対象なのだ…ッ!!

 

『さすが長門サン、メチャカッケーっす!』ペコォ!

 

『長門サン、メチャシブいっす、マジ憧れるっす!』ペコォ!

 

『今回も長門サンにベンキョーさせて貰いましたァ!』ペコォ!

 

「………フッ」

 

湧き上がる長門コールの中、壇下へと降りる長門…

だが………これほどまで絶大な人気を誇る長門にも悩みはある

 

「陸奥さん!コレ終わったらドーナツ食べに行きましょ!」

 

「てぇ…食いてぇ〜……ドーナツ食いてぇ〜」

 

「はいはい、あ、そーだ、長門に奢ってもらう?今お金持ちよ、長門」

 

「長門サンに!?無理無理無理!無理ぃ!」

 

「もぉー!陸奥さん、長門サンがドーナツなんかシャバいものを食べるワケないじゃない!」

 

「そうよ、長門サンはドーナツなんか食べないわ!」

 

「そうかしらねぇ…」

 

………何故駆逐艦のキッズは陸奥には気さくに懐いているのにこの長門にはまるで懐かないのか、自分も陸奥のようにキッズ達の笑顔に囲まれたい、楽しくおしゃべりしたい、アイ●ツカードの交換とかしたい…

 

ーーー

 

「えー…第2位、長良主将」

 

「よっしぇあーッ!!」

 

MVPチケットランキング2位、アツいナイスガッツを持つナイスガッツ長良主将はナイスガッツな叫びをあげて壇上へと駆け上がってきたッ!!

 

「よくやった!感動した!」

 

俺は長良主将に分厚い札束を手渡しその健闘を讃えると、大きな歓声……いや、長良コールが湧き上がり長良主将はそれに応えるように大きく両手を天に衝き上げたッ!!

 

「ナイスガッツ!ナイスガッツ!ナイスガッツ!オマエらみんなのナイスガッツの勝利だーッ!!」

 

『ウオォォォォ!!ナガラ!ナガラ!ナガラ!』

 

『ナイスガッツ!ナイスガッツ!ナイスガッツ!』

 

長良主将は湧き上がるナイスガッツと抑えきれないナイスガッツで壇上から飛び降り、アツいナイスガッツウェーブでもみくちゃにされて行った…

 

「………えー続いて第3位、木曾」

 

ーーー

 

粛々と行われるお給料の時間…

 

「最下位、浦風」

 

「なんでじゃあ!?ウチ活躍したやん!?」

 

「活躍以上に俺をイライラさせた、あとなんだその下品な乳は?誘ってんのか?」

 

最下位に給料の300円を手渡し、今回の大規模作戦における全ての行事は終わった、浦風は不遜にも俺に納得いかんわー!と掴みかかってきたのでパイオツを揉みしだいてやると“死ね!”とストレートな捨て台詞を吐いて逃げて行った…

 

「えー………では、今回も無事に海域作戦は終わりと言うコトで、ささやかではあるが酒や食事を用意してある」

 

「ヒャッハー!水だぁー!」

 

「オイ!ベーコンだ!厚切りのベーコンだぜ!」

 

「誰だオレのカラアゲ取ったヤローは!殺すぞ!」

 

まったく、まるで飢えた蛮族だな…だが、まぁそれも許そう、何故なら当基地は“あったけぇ…”コトに定評がある福利厚生に厚い基地だ、宴の席ではBreak-on、多少の無礼は全て許そう…

 

「さて…」

 

あっちの方ではリューホーくんがチンピラ空母どもに絡まれているようだが……あ、目が合った、気付かなかったフリをしよう、グッパイ、リューホーくん

 

とりあえず俺もテキトーなモンつまんでさっさとこの場を去るかとテーブルに行くと…

 

「あら?mon amiral、アナタ、ズイブンと遅いのね」

 

「そうかぁ?余裕を持った行動と言って欲しいな」

 

フランスから来た自称最強戦艦リシュリュー…

豪奢なキンパツと高飛車な態度を持つスーパーモデル戦艦様は何がそんなに誇らしげなのか、フフンと鼻で笑っていた…

 

「ちなみに私のオススメはこのCroc MonsieurとBisque、あとはそこのPoulet fritあたりもなかなかだったわ」

 

「すまんがニホン語で頼むわ、おフランス語はよくわからん」

 

「ハァー?ア・ナ・タ、少しはFrançaisを覚えようと言う気はないの?」

 

「Je ne sais pas de quoi tu parles……Richelieu」

 

「デキるじゃないの!?ってかアナタ!私のMèreとデンワで話してたでショ!実は普通に話せるんじゃないの!?」

 

「さぁ…?何を言っているのかわからないな…リシュリュー」

 

ーーー

 

「…フーッ、タバコタバコ」

 

テキトーに酒と料理を腹に入れ、殴り合いだの酔っ払いダーに絡まれない内に体育館の外へとやって来た俺はとりあえず胸ポケットからタバコとライターを……

 

「……ライターがねぇよ」

 

しまったな、ライターがないのだよ、どこやったっけか?執務机に置いてきたか?

 

「チッ、しゃーなしだな、オイ青髪ロング子、火ぃ持ってねぇか?」

 

「持ってませんよ、と言うかよく気付きましたね」

 

相変わらずいつの間にやらケーキっぽいものを載せた小皿を片手にぬるっと俺の背後に立っていた秘書艦サミー子、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね…

 

「卿は私の半身も同然、何か不思議はあるかね?」

 

「スイマセン、超キモいんで吐いていいですか?」

 

「あぁ、言ってみて俺も気分が悪くなった」

 

言ってみたものの、俺たちは互いに大して気にしたワケでもなくとりあえずテキトーなベンチに座った

 

「で?火ぃ持ってねぇか?」

 

「持ってないです、ケーキ食べます?」

 

「いらねぇよ」

 

「そうですか、あ、そうそう、明日新人面接あるんでビッとした格好でお願いします」

 

「マジかよメンドくせぇ、面接って何人ぐらいだ?3人か?4人か?」

 

「10人です」

 

「10人ゥゥゥゥゥゥ!?なんか多くねぇか!?」

 

オイオイオイ、マジかよクソがなんだその人数!?今まであったか?そんな大量配属!クソ!人事に電話してやんよ!人事に!

 

その後、ライターを取りに行くのが面倒くさい俺は毒咬みで火でも出ないかと頑張ってみたが出ないっぽいので諦めた




次回は全2回で新人面接回
恐るべき無情の刺客!十本刀現る!!


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続続続続続続続続続続続・提督と新人と面接①

新人面接回前半戦

【登場人物】

薄雲(駆逐艦)
…薄い

迅鯨(潜水母艦)
…重い

伊47(潜水艦)
…かわいい

第四号海防艦(海防艦)
悲しき存在

松(駆逐艦)
レッツビギンでございます



たった一度の今日という一日…

本物の男ってのは自分のそういう一度っきりの大切な日を…たった一度の今日という日を感じとれるヤツのコトをいうんだ…

 

新人面接と言うのは非常に面倒くさい仕事だが、俺はこの基地の絶対支配者であり提督様である、故に、この面倒な仕事にも熱意を持って取り組まぬばならない…

 

「特I型駆逐艦、七番艦、薄雲です」

 

「ほぉ、特I型…」

 

残夏の新人面接10連戦迎えるトップバッターはどう見てもズラ型駆逐艦姉妹の姉妹か…

 

「えー…薄雲クンはアレかね?ズラ型姉妹で?」

 

「ズラ…?」

 

「あぁいや、吹雪型だったな、スマンスマン」

 

どこぞの田舎出身でどうにも訛りのある吹雪姉妹だが、どうやらこの薄雲クンはあまり訛ってる感じではないらしい、もしかすると文字通り、薄雲と言う名前なだけあって、姉に比べて色々と薄いのかもしれないな…

 

「名は体を表すと言うが……もしその名前が偽りだとすると、その、存在自体が偽り、と言うコトになるのかな」

 

「…はぁ?」

 

しかしこの子、ホントに薄いな、そこに存在しているハズなのにまるで存在感を感じない、まるで吹雪型姉妹と言う強烈な個性の輝きの………影、これまさに、幻の七番艦

とりあえずお手元の資料から見るに、性能自体は尖ったモノはないごくごくありふれた吹雪型…

 

「ふむ、とりあえず君はファームで鍛えてからだな、ウチはイケると思ったら誰でもバンバン起用する実力史上主義だがそれはむしろチャンスでもある、励みたまえ」

 

「はぁ、ありがとうございます」

 

ーーー

 

薄い感じで始まり、薄い感じで1人目の面接を無事終え、そんな薄味の中迎える次の刺客…

 

「私、迅鯨型潜水母艦一番艦、迅鯨と申します」

 

「ほぉ…迅鯨クンか、ふむ」

 

とりあえず座ってどうぞと着席を促した俺は手元の資料を見るフリして迅鯨クンをチラ見してみる…

なるほど、これはなかなか大層なモノをお持ちのようだ、この巨乳にあのミニスカート、参るぜ

 

「えー……迅鯨クンはアレかね?潜水母艦っーとアレかね?前のゲイ子みたいな艦種の」

 

「ゲイ子…?」

 

「あー……えーっとなんだっけ?龍鳳クンに名前変わったアイツ」

 

「あぁ、大鯨さんですか」

 

そうそれ、大鯨クンも潜水母艦時代は新妻感パナイドエロス潜水母艦だったが、この迅鯨クンもそれに匹敵する新妻感……否、幼妻感と言ったところか?

とりあえずお手元の資料によると、この迅鯨クンはマジに純粋な潜水母艦らしく、龍鳳クンみたいに軽空母に超進化とかしない感じらしい…

 

「………性能はまぁ、ザコか」

 

「ザコくてスイマセン…」

 

「いや、構わんよ、誰にも向き不向きがある、迅鯨クンは迅鯨クンにデキる仕事を頑張ってくれればそれでいい、餅は餅屋、適材適所と言うヤツだな」

 

「は、はいっ!私、潜水艦の皆さんのお世話とか得意なので!」

 

「ハッハッハ、まぁ頑張ってくれたまえ、ハッハッハ」

 

「ありがとうございます!あと、ずっと前から好きでした!付き合ってください!」

 

「ハッハッハ、小粋な迅鯨ジョークと言うヤツかね?しかし残念だが提督のベッドは半年先まで予約でいっぱいさ、あと、俺たちは互いのコトをまだよく知らないじゃないか?」

 

「……………許せない」

 

「は?」

 

「私のコト好きって言ったのに!!」

 

迅鯨クンはエコバッグから取り出した包丁を投げつけてきた!!

 

「危ねぇ!!な、なんだぁ…?」

 

「私のモノなのに!私のテイトクなのに!殺してやる!アハハハ……そうよ、それがいい、それが一番だわ……うふふふ、私のモノにならないテイトクなら私のモノにしちゃえばいいんだ…」

 

迅鯨クンはうふふだのアハハだの笑いながら新たに取り出した包丁の刀身をペロリと舐めている…!

 

「なんなのこの娘!?オイ、サミー!ブラスターだ!ブラスターで撃て!謀反人だ!」

 

この後、狂気の潜水母艦迅鯨クンは隣の部屋で待機していたらしい陸軍の暗殺艦、神州丸クンによって取押えられ、謎の注射を打たれて気を失い、引きずられて行った…

ちなみに、迅鯨クンの資料の備考欄に“情緒不安定、あと、重い”と書かれてあった…

 

ーーー

 

薄味かと思いきやいきなりの重さに戦慄する2人目を無事?に終了し、迎える3人目…

 

「伊号潜水艦、巡潜丙型の7番艦、伊47………ヨナって呼んでくださいな…」

 

「ほぉ、潜水艦か…」

 

こりゃまた懐かしい、最近新しい潜水艦の配属ってのはなかったからなぁ〜…たしか最後にウチに来たのはルイジくんだったか?

 

「ヨナ、ですよ?うふふ…」

 

「ふむ、伊47クンな」

 

かつては当基地でも一番の働き者だった実力派エリート集団の潜水艦どもだが、近年の海域改革でオリョール海やキス島という狩場を失い、現在はかつて程のマグナムシフトが組まれる事がなくなり職場環境はKENZEN化されている…

 

「まぁ、ウチは潜水艦に関しては独自の育成枠があるのでそこで頑張ってくれたまえ、何かわからないコトがあれば優しい潜水艦のセンパイ達が教えてくれるだろう」

 

高収入、無理のないシフト、長期休暇あり、優しいセンパイ達がサポートしてくれるアットホームな職場、それが当基地の掲げる潜水艦サポートプログラムである

 

「わかった、よ?」

 

「わかってくれて嬉しいよ」

 

しかしこの子、なんかバカでアタマの悪いヤツが多い潜水艦にしては随分とフワフワした感じだな、今もなんか落ち着きのない犬みたいにソワソワしてるし………ハッ!?まさか、おしっこか!おしっこを我慢しているのか!

 

クッ、それは悪いコトをしたな、だが提督は空気が読めて気のつかえる大人だ、過ちを恥じる事はない、ただ認め、次の糧にすればいいだけだ

 

「面接は以上だ、伊47クン、退室してくれて構わんよ」

 

「終わり?ホントに?」

 

「本当だとも、さぁ急いで!執務室を出て左に行ったら階段のすぐ横なのだよ」

 

「?、何が…?」

 

オイオイオイ、この子ホントに大丈夫なのか?

 

「終わったのなら、遊びに行っていい?」

 

「いいから!遠慮しなくていいから行ってきたまえ!」

 

「テイトクも、一緒にー?」

 

「キミはそーゆー趣味なのかねっ!?」くわっ!!

 

俺は思わず執務机を勢い良く両手で叩くと、伊47クンはビックリしたのか、その場で跳ねた

 

「お……お……怒らないで」ポロポロ…

 

「あ、いや、別に怒ったワケじゃないのだよ、うん、キミに怒ったワケじゃあない、うん、すまない、驚かせてしまったね」

 

「ホントにぃ…?」ポロポロ…

 

「本当だとも、さぁ、早く行きたまえ、君の理性が残っている内に…」

 

ーーー

 

ビックリするほど扱いづらい繊細で今風の潜水艦に、やはり若い娘はナニ考えてるかわからんなと改めて思い知らされ、迎える本日4人目の刺客…

 

「マル戦計画で生まれた丁型海防艦、その二番艦、第四号海防艦でっすー」

 

「………はぁ?」

 

テー型カイボー艦…?あぁ、海防艦か……っーか4号?え?ナニそれ?名前なの?俺はとりあえず手元の履歴書的な資料を確認してみるが………

 

マジだった、マジで4号だった

 

「そうね~ぇ、よつ……って呼んでくれていいよぉ?テイトク、よろしくねぇ!」

 

「あ、あぁ…ヨロシク」

 

オイオイオイ、今まで数えるのも面倒なくらい艦娘がウチに配属され、俺もあらゆるワルと呼ばれた艦を見てきたがさすがにこんなパターンは初めてだ…

DQNネームとかキラキラネームとかならまだわかるが、まさかの4号だぞ!4号!コレ完全に人道とか倫理とかガン無視のヤバい機関が秘密裏に作り出した悲しき存在じゃねーか!!

 

「テートクぅ、マツのアネゴも来てるってホントですかぁ?」

 

「マツ?」

 

誰だそれ?いや、なんだ?マツ…?あぁ、松風BOYのコトか?たぶん

 

「あぁ、いるぞ、たぶんその辺でディナーショーでもやってるだろーから会いに行くといい」

 

「ディナーショー!?マツのアネゴすげぇ!」

 

しかしこの子、悲しき存在だろうになんと前向きなのだろう、資料を見るに、海防艦な上、2スロットとかザコ中のザコみてーなしょっぱい性能しかないと言うに……

おそらく倫理観ガン無視ハイパー海防艦実験は失敗し、彼女は失敗作として廃棄されたとかそんな悲しき過去があるのだろう…

 

俺はそんな悲しき過去があるであろう4号クンに対し、ガラにもなくアツいものを感じた、優しさ、友情、愛情、それはきっと彼女が今まで触れたコトのないもの……温かさを持った人間の光を、彼女に見せてやるのが大人の務めではないだろうか?

 

「4号クン、これで………その、なんだ?美味しいものを食べなさい」

 

「うっひゃあー! いいんですかぁ?」

 

俺は財布から紙幣を数枚取り出し、4号クンの手にアツく握らせてやった

 

「あぁ!いいさ!あぁ!キミが好きなだけここに居ればいい!安心したまえ、みんな優しいキミの家族だ」

 

ーーー

 

海軍の闇が作り出した悲しき存在に胸をアツくして迎えるのはようやく新人面接の5人目…

正直、疲れたのでもう帰りたいのだが…

 

「丁型駆逐艦、松型一番艦、松です!」

 

「…マツ?」

 

いや………マツ?ついさっきどこかで聞いたような名前な気がするが、まぁいい

 

「えー…松クンはアレかね?ウチに来る前職フロントウ●ングさんとかそんな感じかね?」

 

「…ハァ?あの、正直ナニを言ってるのかよくわからないんですけど…」

 

「すまない、松クンはそんな顔をしているものだからつい…」

 

レッツビギンでございますと言いたくなる気がするが、まぁ、気のせいだろう…

 

「えー…松クンの性能は〜……なんだザコか」

 

「や、いきなりザコ呼ばわりはヒドくない?まぁ、ザコいんですけど…」

 

性能的には人斬り神風クンの神風姉妹以上、アホガキ睦月姉妹改二以下と言ったところか…

 

「ま、ファームで徹底的に鍛えてからだな、ウチはどんなザコでもチャンスある職場だから、うん」

 

「はーい、ってかザコザコ言うのやめてくれません?一応傷つくんですけど」

 

「ならば励みたまえ、レッツビギンでございますだ」

 

「はぁ?」





次回は後半戦
MAJORからの刺客!!


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続続続続続続続続続続続・提督と新人と面接②

新人面接後半戦

【登場人物】

有明(駆逐艦)
雅な御方、初春様の妹らしいもののあまり似てない

Helena(軽巡)
田舎のお嬢様風ハードパンチャー

South Dakota(戦艦)
アメリカン風アメリカン、夢はこの手で掴むタイプ

屋代(海防艦)
御蔵の妹

Hornet(空母)
英国顔したアメリカ空母、山田ゼレフ先生の愛読者


聖なる完璧の基地に現れたいずれも劣らぬ魔人揃いの10人の刺客達…

午前中、前半5人との面接を終え、マミー屋でランチしてからの午後、新たなる聖戦の幕が上がる…

 

とりあえず次の方どうぞーと言って入室を促す様式美、その様式美を打ち砕くかの如くバーン!と勢い良く開いた執務室の重厚な扉…ッ!!

 

「フッ、アタシが初春型駆逐艦五番艦、有明さ!」

 

「ふ~ん、有明クンね」

 

いきなり失礼なヤロウだなオイ、多少イケメンだからってヤンチャしても許されると思うなよ、まずはそう……アレだ、こーゆーヤカラにはこの基地の絶対支配者が誰なのかをガツンと最初にわからせてやる必要がある

 

「へぇ、キミがテイトクか…」

 

「なんだ?提督の美しい顔に惚れたかね?」

 

「ハハッ、 まさか!」

 

有明クンはハハッ!と笑いくるりと回って椅子に座った…

 

「でもまぁ、実はキミには興味があったんだ、ツユがキミを気に入ってるってハナシを聞いてたからね」

 

「ツユ?」

 

「フッ、でも……まぁ、安心したよ」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか?っーかちょいちょいムカつくなコイツ、なんなんだ一体…

 

「有明さんは昔から白露姉さんが好きで好きでしょうがない残念ガチレズヤローなんですよ」

 

「なんじゃそりゃ?」

 

五月雨曰く、この有明クンはガキの頃から近所に住んでた幼馴染み系らしく、あの白露のコトをマジで好きらしい…

 

まぁ、黙って立ってりゃたしかにカッコいい系ではあるが…

 

「まぁ、白露姉さん的には有明さんのコトは幼馴染みで仲の良い友達ぐらいにしか思ってないですけど…」

 

「だろうな」

 

ちなみにこの有明クン、あの時雨様から珍しく毛嫌いされており、村雨や夕立からはサンドバッグみたいな扱いをされていたらしく、姉妹の中でも白露だけを一途に想う純情派なそうな

 

「フッ、キミには負けないよ、そう……ツユはキミには渡さない!」

 

「やだ、ナニこの子、超残念イケメン!」

 

有明クンは俺に恋の宣戦布告をすると席を立ちアデューとか言いながら去って行った…

 

---

 

恋の黄金律とはなんぞや?そんなふうに考えていた時期が、オレにもありました…

昔のオトコ+幼馴染み属性、イケメン有明BOYから恋のライバル宣言されたことはワリとどうでもいいとして迎える7人目、面接後半戦、遂にMAJORからの刺客が現れるッ!!

 

「My name is Helena!St Louis class軽巡洋艦二番艦USS CL50 Helenaよ、よろしくね!」

 

「OK、えー…ヘレンくんだっけか?」

 

「Helena!ヘ・レ・ナ!Do you understand?」

 

「ヘイヘイ、ヘレナくんね、ヘレナくん…」

 

MAJORからの新たなる刺客は最近流行りの海外軽巡ヘレナくん、怪物揃いのMAJORリーガーにしては………まぁ、ズイブンとなんだ?その、なんだ?慎ましいな

 

「ナニ?Helenaにナニか言いたいコトあるって顔ね」

 

「いや、別に…」

 

「ウソ!!ナニか言いたいんでしょ!!ハッキリ言ったらどうなの!」

 

MAJOR特有のグイグイくるグイグイ感で俺に詰め寄ったヘレナくんはなんか英語でまくし立ててくるが、とりあえずFuck!ぐらいしか意味はわからなかったのでナニか怒っているのだろう…

 

「まぁまぁヘレナくん、落ち着いて、飲み物でもどうかね?サミー、冷蔵庫にオレンジジュースあるからヘレナくんに」

 

「頂くわ!」

 

しかしこのヘレナくん、パイオツに関してはMAJORどころかリトルリーグだが、全体的な見た目としては育ちの良さそうな田舎のお嬢様感がある…

 

「えー…ヘレナくんはアレかね?軽巡ってワケだが………雷装0」

 

「えぇ!0よ」

 

ナニが誇らしいんだコイツは……っーか雷装0ってなんだ?0って、やる気あんのかコイツ?可愛いだけが取り柄のパースちゃんだってまだやる気あるぞ!

 

「その分、パンチ力には自信があるわ」

 

「パンチ力に自信だぁ?ハハッ…!」

 

「ムカッ!ナニその顔、Helenaをバカにしてるわね?いいわ!立ちなさい!Stand and fight!立って、そして戦いなさい!」

 

「おやおや、軽巡のボウヤ風情がこの提督様に対して言うものですねぇ」

 

フンッ、MAJOR出身とは言っても所詮は軽巡、アイオワみたいなハードパンチャーのパンチならいざ知らず、たかが田舎のお嬢様程度のパンチなど何も怖くはない、どうやらこのお嬢様にはわからせが必要らしい…

 

「よかろう、ほら、打ってみなさい、ほら、テイトクのココ、顔面にイッパツ入れてみたまえ」

 

「言ったわねぇ……!」

 

そう言ってヘレナくんは拳を握りしめ、ギリッ…!ギリッ…!と身体を捻るッッ!!!

 

 

ゾクッッッ!!!(悪寒)

 

 

「ッッッッッッッッ!!!」

 

…な、なんだ……このプレッシャーは!!こ、この小柄な少女から感じるハズのない強大な力は…ッ!!ま、まるで…強大な肉食動物を前にしたような…ッ!ば、バカな!この提督がビビッていると言うのか!!たかが軽巡ごときのパンチにッッ!!

 

………ありえんなッ!!

 

「行くわよぉ…」

 

放たれたヘレナくんの拳は、真っ直ぐストレートッッッ!!体重×スピード×握力=破壊力、俺の優れた知性は一瞬でそれを理解し、対策を実行したッッ!!

 

 

バチイイィィィ!!!(ヘレナ鉄拳ストレート)

 

 

「~~~~~ッッ!?」

 

俺の顔面をたしかに打った鉄拳……しかしッ!!

 

「き………効いてないっ!?」

 

「ホッホッホ……消力(シャ●リー)じゃよ」

 

こ、この女………俺に“技術(わざ)”を使わせやがったッッッ!!!

 

---

 

ルイスの鉄拳ヘレナくんと、次の機会にまた闘ろうや…と無事に面接を終え、続く8人目!MAJOR二連戦!!

 

「South Dakota class USS Battleship South Dakotaだ!ヨロシクな」

 

「俺がこの基地の絶対支配者、提督だ、ヨロシク」

 

MAJORの新たなる刺客はアイオワ、コロちゃんに続く新たなる大戦艦級のスーパーへヴィ級…ッ!!

 

っーかなんだコイツ?スゲーな、一目で尋常ではない愛国者だとわかるほどのアメリカナイズ……これほどのアメリカン全面推しできるのは世紀末賞金稼ぎのア●ンか日本人とフィリピン人のハーフのロ●キーくんぐらいだろう…

 

「ヒュー!絶対支配者とはコイツはたまげた、ジャパニーズのくせになかなか大口叩くじゃねぇか」

 

「大口ではなくこれは事実、そして既に常識だ」

 

「おもしれぇ!立ちな!ジャパニーズ!アタシとファイトしよーぜ!」

 

サウスダコタくんは血気盛んに立ち上がってワンツーワンツーと拳をシュシュと繰り出し、どうしたジャパニーズ?ビビってんのかー?と陽気なアメリカン特有の挑発で俺を挑発している…

 

俺は、ごくごく自然な流れでそんなサウスダコタくんの右手を優しく握り…

 

「零の悲劇ィィィィィ!!」

 

ミシミシミシミシミシ!!(強握手)

 

「ギャアアアアアアアアア!!NO!NOOOoooooー!!」

 

サウスダコタくんは必殺の零の悲劇から逃れようと頑張るがそれは問屋が卸さない、いっそこのままその右手を破壊………いや、零の悲劇から右手を解放した…

 

「な…何故だ!何故アタシの右手を破壊しなかったジャパニーズ!情けをかけたつもりか!」

 

「フッ、お前はその右手で掴むんだろう?アメリカンドリームってヤツを…」

 

「!?」

 

「カンムスファイト国際条約第3条、破壊されたのが頭部以外であれば何度でも立ち上がり決勝リーグを目指すことができる」

 

「ジャ…ジャパニーズ………いや、テイトク、オマエってヤツぁ!」

 

「まずはファームからスタートだ、そして上がって来い、一軍の舞台へな」

 

ーーー

 

新しいMAJORからの刺客、そして新しいライバル、サウスダコタくんとアツい握手をかわした提督…しかし新人面接は非情にもまだまだ続くのです、そう!まだ最終海域に残された謎のカンムスファイター達が提督の前に立ちはだかるのです、それでは!新人面接9人目!レディ・ゴー!

 

「御蔵型海防艦六番艦、屋代です」

 

「ほぉ…海防艦」

 

…油断してたな、まさかまだ海防艦がいたとは……だいたい海防艦は面接前半に出てくるので今回はもういないのだと思っていたが、まさかな…

 

「え〜…御蔵型っーとアレかね?御蔵クンの妹的な…」

 

「ハイ!妹です!」

 

「ふ〜ん」

 

御蔵クンか、たしかこの夏は大してやるコトもなく扇風機にアーとか言ってる姿を見かけたな…

まぁ、たしかにこの屋代クン、どことなく御蔵クンに似ている気がするのだよ、顔とか

 

「なるほど、まぁ…性能的には御蔵クンと大差なし、ごくごく一般的な海防艦と言ったところか…」

 

「はぁ、そうですね……あ、でもちょっとだけ対空は得意です」

 

「ふむ」

 

「なるほど、まぁ…ファームで徹底的に鍛えてからだな、だが安心したまえ、ウチはたとえどんなザコでも徹底的に鍛え上げる充実のプログラムを用意している」

 

「ザコ…」

 

無理のない!強くなる!安心のカリキュラムですぐに実戦デビュー!

 

「まぁ、頑張りたまえ」

 

「ハイ!頑張ります!」

 

ーーー

 

大人しくて真面目な子の面接ほど楽なモノはない、MAJOR二連戦のダメージを感じつつも中一日の休みをもらった気がするMAJOR三戦目、そして……この長い長い面接の最後の1人!!

 

「私はUSS CV8 Hornet! I'm looking forward to you」

 

「OK……俺が、提督だ」

 

最後の刺客ッ!その名はホーネット!!MAJOR初の英国顔をしたキンパツ美人ッ!

 

「アナタがテイトクなのね?ウワサだけは聞いてるわ」

 

「ほぉ…この提督様も有名になったものだ」

 

「あのIowaが気に入っててColoradoがメチャメチャ毛嫌いしてて人の胸をガン見してくるシツレーな男ってね」

 

「オイ誰だそのウワサ流したの?誰から聞いた?」

 

「Sara」

 

サラトガか、うん…サラトガならしゃーなしだな、だってサラトガと話してるとサラトガと話しているのかおっぱいと話しているのかわからなくなる、これは既に常識…

 

「まぁいい、えー…ホーネットくんは〜………射程中」

 

なるほど、狙撃銃みたいなの担いでいるがホーネット・ザ・ロングショットってワケじゃないのか

 

「で、ふむ……まぁ性能的には黒サラと似た感じか、悪くはないな」

 

「悪くない、ね」

 

「不満かね?」

 

「いえ、意外と妥当な評価が出来るのねと感心してるところよ」

 

「そりゃそうだ、何も俺はおっぱいばかりを見ているワケではない」

 

「ふ〜ん、なるほど……」

 

「ま、とりあえずサウスダコタくんと一緒にファームからスタートして貰おうか、だが、キミには期待している」

 

「I exert myself in order to respond to the expectation、ま、期待に応えられるようにするわ」

 

ーーー

 

最後の1人が退室した残暑の執務室…

 

「…サミー、麦茶くれ」

 

「あったか〜いですか?つめた〜いですか?」

 

「冷たいに決まってるだろう!キンキンに冷えたヤツをだ!」

 

さすがに10人は多すぎだろ…っ!ったく、疲れるわい

そんな疲労困ぱいの俺に、五月雨はキンキンに冷えているであろうグラスに入った麦茶を置いた…

 

「キンキンに冷えてやがる…っ!」

 

悪魔的だ…っ!この一杯の為なら犯罪だってやりねない…っ!そんな麦茶を飲み干した俺はグラスを執務机にワイルドに叩きつけ…

 

「フーッ〜…今日はもう店じまいだ」

 

「じゃ、私、もうアガりますね、お疲れ様です」

 

「おぅ、お疲れ」

 

………さて、今日は疲れたしママんトコでも寄って部屋に帰るか





次回は再びifエンド回ですって


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提督と激突!鈴谷VSグレカーレ

ifエンドだと言いましたね、あれはウソです、ごめんなさい
最近どうにも調子が悪いなと考え、よく考えたら最近鈴谷がないコトに気付き、ifエンドの前にエンジンの回転数を上げるべく鈴谷に犠牲になってもらいました、犠牲に…

【登場人物】

提督(キュウシュウ男児)
キュウシュウ言うたらうまか●ちゃん

鈴谷(ビッチ)
自称メインヒロイン、水着?金払うなら見せてやろーか?の上から目線

グレカーレ(メスガキ)
メスガキ界の超新星、口だけでなく手も早いトータルファイティング


9月!年始から世間がコロナコロナとか言っていたらなんやかんやでもう9月!たぶんコロナコロナとか言ってたら今年も終わるのだろうとしみじみ思ふ今日この頃…

 

今日は秘書艦サミー子も休みなのでたまには執務室で開放的な気分でも満喫するかと着ている衣服を脱ぎ捨て、大きな姿見の前で己の美しさを再確認していると、3ヶ月ぶりに帰って参りましたメインヒロイン様だー!とか言いながらノックもせずに執務室に入ってきた鈴谷に、あくまで紳士として冷静にノックをしたまえとごくあたり前な注意をすると、変態!変態…っ!と、罵倒された不思議…

 

「で?何の用だ?くだらん用ならケツの穴に消火器突っ込むからな」

 

「死ぬわ!!そんはモン突っ込まれたら死ぬわ!」

 

「大丈夫だ、タイマニンはその程度では死にはしない」

 

「鈴谷タイマニンじゃねーし、っーかまず服着ろし」

 

そこら辺に投げていた俺のパンツを投げてよこした鈴谷は、とりあえずなんか飲み物ない?と執務室備え付けの冷蔵庫を漁りだした…

 

「お、マミーあるじゃん、もーらい」

 

「オイ、ナニ勝手に俺のマミー開けてんだ」

 

「別にいいじゃん…………ブハァ!!うんめー!」

 

このクソヤローが、何様のつもりだ?まぁ、俺は心の広いコトに定評のある理解ある大人だ、この程度、いちいちイライラするコトじゃあない…

 

「今こそ汝が右手にその呪わしき命運尽き果てるまで高き銀河より降りたもう蛇遣い座を宿すものなり…」

 

「ッ!?」

 

ザザッ!!(緊急離脱)

 

自分が俺の右手の射程ギリギリに入っているコトを即座に理解、そして流れるような射程外への動作(ムーヴ)…大した危機管理だ

 

「っぶねー…イキナリ本気バイトとかマジ心臓悪いからやめて、マジで」

 

「やかましい、あと用がないならさっさと消えろ、目障りだ」

 

「目障りじゃねーし、ってかサミーは?休み?」

 

「休みだ、わかったら消えろ、メリ込まされんうちにな」

 

「ふ〜ん休みなんだ、じゃ、ゲームしよーぜ!ゲーム!どうせ大した仕事ないっしょ?」

 

「お前は提督を馬鹿にしているのか?仕事なら山のようにあるのだよ、軍上層部への報告やら資材の適切な運用や在庫の確認、貴様らクズどもが街で起こした問題のもみ消しや謝罪、地域への社会貢献運動、地元出身の偉い議員の先生への挨拶、香取・鹿島先生らと今後の教育活動についての食事をしながらのディスカッション、貴様らクズどもにはおよそ考えの及ばない激務が毎日目白押しだ、貴様らが無事におはようからおやすみまで毎日生活できているのも俺と言う偉大なる者が存在しているからだと知れ、ビッチが」

 

「………お、おぅ」

 

あと、ビッチじゃねーしと律儀に付け加えた鈴谷は俺のマミーをゴクリと飲み干しお客様ソファに座った

 

「っーかよく考えたらそんな仕事山積みなのになんで全裸でポージングしてたし?」

 

「男は時に、全裸になりたい時もある(※個人差があります)」

 

 

そんなクソの役にも立たない人生においてあまり役に立たない会話をしていると、突如として執務室の重厚な扉が開き、新たなる刺客がこの神聖なる執務室へと入室してきたッ!!

 

「Ciao、Ciao♪テイトクぅー! グレカーレちゃんが遊びに来てあげたわよー!どう?1人で寂しくシコシコしてるぅー?ねぇー?」

 

「あ゛?」

 

「なんならこのグレカーレちゃんが〜……って、誰そいつ?」

 

イタリアからやって来た合法駆逐艦姉妹の次女、グレカーレは入ってくるなりいきなり失礼な口をきいたかと思いきや、先に来ていた鈴谷を指差した

 

「ハァ?鈴谷ですけど?誰もが羨むメインヒロインの鈴谷さんですけどー?もしかして前に鈴谷様には勝てないコトをわからせたのをご存知でない?」

 

「あー…あったかもねー、そんなコト、でも刹那で忘れちゃった」

 

鈴谷とグレカーレは一瞥した後、互いにニヤニヤと笑い微妙な距離を置く…

 

ワールドオブビッチ、ジャパンランキングの上位ランカーにしてビッチオブビッチの称号を持つマスタービッチ、鈴谷…

そしてメスガキ界に彗星のごとく現れた超新星(スーパールーキー)、褐色の弾丸、グレカーレ…

 

おそらく、並の成人男子ならばこの2人を前にすれば無様に敗北ア●メを晒す事は避けられないだろうが、残念ながら俺は違う、何故なら俺はガキとケダモノとハネっ返りの女が嫌いだからだ

 

「テイトクは今から鈴谷とマ●オカートすんの、ガキは部屋に帰って大人しくスマホでエロサイト見てわかった気になってろクソガキ」

 

「ハァー?テイトクぅ、こんなバカそうオネーサンとゲームしてないでこのグレカーレちゃんとゲーセン行こ、ゲーセン!アタシぃ、ダンスのゲームしちゃおっかなぁ〜?あ、でもスカート短いからヒ〜ラヒラしちゃうかもねー?」

 

「は?テイトクは今から鈴谷とマ●オテニスするって言ってるじゃん?マ●オテニスをインドアで堂々と」

 

「チッ、うっせーなこのオネーサン、束縛系?ププ、カッコ悪っ、ってか重っ!」

 

「ハァ?」ピキッ!

 

「ハァー?」パキッ!

 

ビッチとメスガキ………互いに似て非なる者同士が出会ったらどうなるか?それは勿論………勝負でしょう

 

そりゃあそうですよ、お互いに大でも小でもサキュバスみたいなモンなんですから、サキュバスは自分のテリトリーに同じサキュバスが入るのを好まないと言いますしね、サキュバスは一流のソムリエのような嗅覚、そして味覚を持ち、良質なザー●ンを見つける生物…

 

もしアナタがサバンナで暮らす肉食獣で、極上の餌を見つけた時、アナタはそれを快く他者に分け与えるでしょうか…?与えませんよね?そうです、独り占めです、自然界ではごく当たり前の光景…

 

ならば自然界ではどうするのか…?えぇ、そうです

 

「オイコラクソガキ、ちょっとオモテ出…」

 

鈴谷がオモテに出ろと言おうとした瞬間、一瞬で距離を詰めてきたグレカーレの必殺キンタマ蹴りが鈴谷の股間を打つ!!!

 

バチイィン!!!(必殺キンタマ蹴り)

 

「――――――――――ッッッッ!!」

 

ゴング無用!グレカーレまさかの急襲に対応しきれなかった鈴谷は必殺キンタマ蹴りに悶絶し無様に床を転げ回った

 

「キャハハハハ!!まさかヒキョーとか言わないわよねぇ、オネーサン?プークスクス、だっさー、こんな可愛いグレカーレちゃんに股間蹴られて転げ回るとか♪」

 

「こ…このクソガキぃ!」

 

グレカーレは未だ必殺キンタマ蹴りのダメージから回復できていない鈴谷の股間をさらに踏みつける!!

 

「ぐえっ!?」

 

「ぐえっ!?だって……オネーサンには前にヤられた借りがあるからねー、このアタシにあんな無様な……クッ!どーよ!思い知れッ!思い知れッ!このドビッチが!思い知れッ!」

 

「グヘァ!!」

 

容赦なく鈴谷の股間に地獄スタンプをブチかますグレカーレ……なんて執念深いヤツだ、以前、鈴谷にヤられたコトを根に持って……まともじゃねぇ!コイツの精神こそ暗黒空間だッ!コイツの心の中がバリバリ裂けるドス黒いクレバスだッ!

 

「ハァー………スッキリした、ニヒヒヒ…じゃ、ゲーセン行こ?」

 

「お前この流れでよくそんなイイ顔して言えるな」

 

「まぁね」

 

イタリア艦の闇は深い……その闇の一端をほんの一瞬だが垣間見た気がするよ

 

「ちなみにゲーセンに行くのはNOだ、ご覧の通り、俺は忙しい」

 

「えー?暇そうじゃん?ってかこのグレカーレちゃんが誘ってんのよ?フツー行くでしょ?」

 

「拒否します」

 

「こ、このグレカーレちゃんのお願いが聞けないって言うのかァァァァァ!!フザケんなよこのドサンピンがァァァァァ!!屈服ア●メさせてやるわ!」

 

 

この後、俺に挑んできたグレカーレはヘブンズドア→ラビリンス→ヘブンズドアの地獄ループで無様な屈服ア●メで子供は大人には決して勝てないコトをわからせ、鈴谷ともども執務室から叩き出し、自販機コーナーで缶コーヒーでも買うかと歩いていたら村雨がお小遣い欲しいな〜とか言いつつパイオツ押し付けてきたので全力お腹パンチをブチ込んだ

 

良いコトをするととても気分が良い、今度香取先生と基地内における風紀の乱れについてよく話し合うか…





次回こそifエンド回、ifエンドやるやる詐欺はストックの為にやりました


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提督とルート分岐のエンディング⑭+⤴︎

ナ⑭が個人的にどうにも消化不良気味で後味が良くないものを残すのもよくないので今回は⑮ではなく⑭⤴︎(アッパー)のナンバーです

【よく見なくとも美少女はやっぱりよく見なくても美少女】
【黄金体験】

…の2本立て!


【よく見なくとも美少女はやっぱりよく見なくても美少女】

 

かつて、戦争があった…

人類と深海棲艦の戦争が始まり百年、泥沼の戦争はいつの頃からか膠着状態となり、既にこの戦争を始めた者もこの世にはおらず戦争を始めた理由すらも曖昧となった現代、止まることのできない大人達に対し、若者達はこの戦争の無意味さを投げかける、何故争うのか、何故同じこの星に生まれたもの同士が互いに手と手を取り合うことができないのか、小さな声は次第に大きくなっていき、ついにはそれが戦いを止める力となった

 

『もうやめましょうよ!僕たちは対話することができる……!たしかに互いに主張が合わないコトだってあるかもしれない、でもわかり合うコトはできる!』

 

『図に乗るなよ小僧ォ!もはや止められぬのだ!もはや……!!』

 

『『だったら僕達(私達)がアナタを止めてみせる!』』

 

『こ、この力は……!バ、バカな……こんなバカな、あ……暖かい光、そうか…!かつて我が理想とし……フッ、そうかぁ……すまなかったな、我が娘よ、これからこの星の未来はお前達に…』

 

…戦争が始まり百年、数多の犠牲や苦難を乗り越え、ついに戦争は終わったのだった…

 

ーーー

 

戦いの日々が終わり、世界は完全平和の下、軍縮の流れとなり海軍も解体され、俺も無事に無職の派閥へと流されてしまった……まぁ、とりあえずは退職金的な金は出たので無職ライフですぐに困るコトはないが、やはり俺もイイ歳こいた大人、今から再就職するには些か足りないものが多い、若さとか…

 

そんなどうしたものかと今後について悩んでいると、俺と同じく今後について悩んでいたかつての部下、海風ちゃんと街のオシャレな喫茶店でバッタリ再会

俺たちは同じ悩みについて考えるもの同士、ここは協力して考えてみようじゃあないかと意気投合し、今後についてのアツい意見を数回に渡りディスカッションを重ね活発に交歓し合った、そして………

 

気が付くと、爽やかな朝を迎えていた…

 

いや、まぁ…あるよね?ほら、俺も酒入ってたし、海風ちゃんも酒入ってたし、と言うか海風ちゃんが悪いんだよ?駆逐艦なのにあの激エロボディなんていやらし駆逐艦なのかな?

 

………こうして、やはりキュウシュウ男児たるもの責任はとらんといかんたい!と言う流れの下、姉妹達に祝福され新しいロードへ踏み出したのだった!

 

「いらっしゃいませー」

 

「お好きなお席へどうぞー」

 

キュウシュウのとあるオシャレな海沿いに居を構えるオシャレ風カフェテリアЁНОКАЗЭ…

俺と海風ちゃんがアツい話し合いを重ね、ついに開店した俺たちの城……俺はやはり短大の近くとかJD狙いの方が良いと思ったが、まぁ、結果としてはここはここでアリだった…

 

「今日は暇ですね…」

 

週末以外は基本暇だが売り上げ的には意外と悪くない、まぁ…人を多く雇うほどは儲からないのだが

 

「まぁそんな日もあるわな」

 

「…海風姉ぇ、テイトク、3番、コーヒー2つ」

 

「へいへい」

 

そしてそんな売り上げ的には大して儲けのないこの店でアルバイトする変わり者、山風はオーダー票をカウンターに置いて給仕盆を用意していた…

 

「へい、コーヒー、二丁!アツアツだよ!」

 

まぁ、ウチでアルバイトしている山風だが、そもそもこの山風、ウチに住んでいる

 

前は江風と涼風もウチに住んでいたが、アイツらバカのくせに俺たちに気を遣ってくれたのか、去年、それぞれアパート見つけて出て行ってしまった…

海風ちゃんには言ってないが、アイツらが出て行く際、夜中に海風姉ぇの声がうっせーのと言ってたが俺は悪くない

 

「…じゃ、持っていくから」

 

そしてこのいつもトゲトゲで未だにナニを考えているのかよくわからない山風だが、江風曰く、眠りがめっちゃ深いらしい

 

「あ、そうそうテイトク」

 

「なんだ?」

 

「今度の連休終わってからの店休日なんですけど、白露姉さんがたまには姉妹で集まらないかって…」

 

「いいんじゃないのかね?行ってきたまえよ」

 

「あ、いえ、行ってきたまえと言うか………その、なんならウチに来ませんかと誘ってしまって…」

 

「マジか」

 

「スイマセン!でもどうせならって…」

 

まぁ…海風ちゃんにこうお願いされてNOと言える男は生粋のロリ●ン野郎かガチホ●だろう、並のノンケならあのパイオツだけで絶頂射●待った無しだ

 

「まぁ、いいんじゃないか?ウチと言うか……店なら多少人が来ても問題ねぇし」

 

「そうですよね!ですよね!あー…良かったぁ、白露姉さんはテイトクに拒否権はないとか言うし、時雨姉さんはもしダメなら僕がホテルを手配しようか?と言うし…」

 

時雨様曰く、300人収容できる部屋を押さえておこうか?とのコトだが、そんな大規模ホームパーリーできる姉妹はフレッチャーくんぐらいじゃないだろうか…?

 

「ではみんなには連絡しておきますね!」

 

「あぁ、じゃ、その日は俺は終日パチンコにでも行ってるから姉妹水入らずで…」

 

「ナニ言ってるんですか!アナタが居ないと重大発表が………あ、いえ、忘れてください」

 

「重大発表?」

 

「忘れてください!はい、えぇ…!当日までのお楽しみにってコトで…ハハ」

 

そう言った海風ちゃんはハハと焦ったような顔で笑い…

 

「…………っ、スイマセン、ちょっと失礼します」

 

口元を押さえるとダッシュで裏に引っ込んで行った……

あ、もしかして体調悪かったのか?

 

「ハッ………!?まさか飲み過ぎ!みんな寝静まった後に俺の秘蔵のブランデーを!?」

 

「…テイトク、バカなの?」

 

「バカじゃないよ、なんてコト言うのかねこの子は」

 

山風は給仕盆で自らをパタパタと扇ぎため息を吐く…

 

 

…後日、久々に集まった姉妹達の前で、海風姉ちゃんから重大発表が発表され驚き、そして祝福の声があがるコトになる

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【黄金体験】

 

かつて、戦争があった…

深海棲艦VS人類、その命運を賭けた最後の戦い、ついに深海の力を手に入れた海軍闇将軍はその力を使いこの世界をリセットすると言い放つ!例えどんな悲劇があったとしても、この世界に今、生きる全ての人々を犠牲にしてまでリセットなどさせてはならない、今、永き時を超えてついに深海棲艦と人類は1つとなり、ついに海軍闇将軍の野望を打ち砕いたのだった!!

 

ーーー

 

戦いは終わり、世界の海軍は解体・軍縮となり、俺もまた長かった戦いの日に別れを告げた…

これからは争いや奪い合いもない、そんな優しき世界へ行くのだと考えた俺はまずこの国を出た…っ!

 

かつてまだ少年だった頃、世界地図や地球儀を見て世界はこがいに広いぜよ!とワクワクした少年の気持ちを胸に!仲間達に、未来で会おう!イタリアで!と別れの言葉を残して旅立った…!

 

そして………

 

「何が!これからいったいナニが起きると言うんだ!まさかまた魂が入れ替わるのかーッ!!」

 

「も…もうBOSSなんかにはもうあの矢は絶対に手にするコトはできませぇ〜ん!矢は永遠にザラ姉様のものですぅ〜!」

 

旅立った先、イタリアでギャングの抗争に巻き込まれた俺は何度か死ぬ目にあったが持ち前のラッキーボゥイでなんとかそれを乗り切り、ついに組織のBOSSは倒され、この街に真の誇りと平和が戻ったのだった…

 

「…………はぁ」

 

服飾の街、ナポリ…

ナポリ仕立てはファッションではない、文化である

そう呼ばれるこの街の一角でアツアツのピッツアを焼くコトに何の不思議があろうか?いや、不思議があるとすれば伝統のナポリ窯で、何故東洋人が焼いているのかと言う点だろう…

 

「ヘイ!らっしゃい!」

 

「お待たせしましたぁ!」

 

組織との戦いの後、俺はやはり西欧文明ドナウ起源について調べるべく国を出ようした………しかし、俺は侮っていた!組織は既にあまりにも完璧に構築された組織になっていた!電話、郵便、交通、マスコミ、警察、政治、この社会の全てが俺を孤立させた!

 

それもそうだ、BOSSを倒したザラ姉の正体を知る俺を生かしておく理由がない…っ!俺は覚悟を決め、ワインをたらふく飲んでエンジンをかけ、ザラ姉と話し合うコトにした……

 

……そこから先は、そう、ふふ…そのなんと言うか、下品なんですが…“amore”しちゃいましてね

ってか、ザラ姉って普通に美人じゃないですか?それにこう、あの改二の服の穴……もう完全にパイ●リ専用だと思うんですよね…

 

「ハァー…お客さんはけたし、キューケー、休憩しましょうか?テイトク」

 

「ん、あぁ、そうだな」

 

「ワイン飲みます?」

 

「ワインっーかビールの気分だな、俺は」

 

ザラ姉とアモーレ致した以上、責任からは逃げられない…

“鉄の掟”により、俺は盛大に祝福されつつザラ姉と踊った…

 

しかし生活するには仕事がなくてはならない、そしてギャング的な仕事などハッキリ言って願い下げな俺はザラ姉、いや、組織の幹部であるローマになんか仕事紹介してくれと頼んだら、このナポリ窯を任されたと言うワケだ…

そもそもこの店、その昔、ローマが住んでた店らしいが色々あって閉めていたそうな…

 

「プハァ…!あーDelizioso!」

 

「だな、フーッ〜……しかしアツいな、やっぱ」

 

「そうですか?ザラは気になりませんケド…」

 

「適応してるんだろ、適応」

 

矢のパワーの先へ行ったハズのザラ姉だったが、基本的には俺と一緒にこの店を切り盛りしている、謎の東洋人とハチミツブロンドの美人妻がやってる店で味も悪くないと近所ではそこそこ評判の店だ…

 

「しかしザラ姉ぇよ」

 

「テイトク、前々から気になってるんですけど、そのザラ姉ぇってのそろそろやめてくれませんか?ザラって呼んでください、ザラって」

 

「ザラ、ねぇ」

 

「だから姉ぇはいらないんですって!ザ・ラ!」

 

「すまんすまん、どうにもポーラのクセがな…」

 

「ポーラ………そうですね、あの娘、元気にしてるのかしら?」

 

「さぁ…?」

 

ザラ姉ぇの妹、アル中のポーラ…

ポーラもまた組織と戦いの後、これまでザラ姉様ザラ姉様とザラ姉様頼りだった己を見つめなおすとか言ってどこかへふらりと旅立った…

風の便りでは、現在はアメリカ、フロリダ州マイアミ、全米中の凶悪犯が集まるフロリダ州立刑務所、またの名をグリーン・ドルフィン・ストリートに収監されているとかなんとか…

 

「ま、ポーラももう子供じゃあないし…元気よね」

 

「たぶんな」

 

昔はポーラの事を過保護ぎみに心配していたザラ姉ぇだが、最近はさすがに妹離れしたらしい

 

「あ、そうそうテイトク、今度用事があってアメリカの〜……え〜…フロリダ辺りに行くんですけど?」

 

「ふ〜ん」

 

 

この時、俺は……おそらくザラ姉ぇ自身もまだ知らなかった…

何故ザラ姉ぇはたまたまフロリダへ行くのかを…

 

北緯28度24分西経80度39分にて次の新月に、いったい何が起きるのかを…




次回はその⑮、予告はタイトルはあまりアテにならない、アテにしない


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提督とルート分岐のエンディング⑮

週末の度に激しい頭痛に見舞われる気がするストレス社会に生きる大人

そんなワケでその⑮は〜…

【天涯無限】
【聖者の帰還】

…の二本立て、できればもうちょいペースあげたいのです


【天涯無限】

 

かつて、戦争があった…

7つの柱を破壊すべく深海将軍が待ち構える深海底神殿へと突入した若き海軍の提督達!数々の強敵達との死闘を乗り越え、ついに全ての深海棲艦を統べる深海の王と対峙した彼らはその神々にすら匹敵する圧倒的な力の前に仲間達は倒され、もはやこれまでかと思われたその時!地上の愛と正義を信じる心が奇跡を起こす!たった一矢、黄金に高められたその一撃はついに深海の王の野望を打ち砕くのだった…

 

ーーー

 

キュウシュウからさらに南、地図に一応載っている絶海の孤島…

 

かつての深海棲艦の脅威は激減し、軍縮の流れとなった海軍は全国の地方にあった基地の再編を開始、特に必要ではなかったり、不採算基地だったり、理由は色々あるがこれまで地域に根ざし、この海の愛と平和を守ってきた地方基地を容赦なく切り捨てる大粛清を敢行、多数の海軍将校達がリストラの憂き目にあった…

 

そして俺も…

 

「あー…クソ、釣れねぇなぁ〜…」

 

どう考えても上からの心証及び評価がよろしくなかった俺も粛清リストにバッチリ載っていたらしく、とりあえず最初はリスト…?いったいなんのリストだよてめーっ!とゴネてみたが、我が頼れる秘書艦から“1度も甲勲章貰ってないザコテイトクだからじゃないですか?”とディスられ、何故か納得した…

 

そんなワケ、無事に粛清リストに載った俺だったが、上からの最終的な判断は“島流し”…

この、四方を海に囲まれつつも力強く、そして雄々しく立つがぶっちゃけ何もない島に流されてしまい、大してやる事もなく釣りに興じているワケだが…

 

「よっ、釣れるっすかー?」

 

「さぁな」

 

そんな暇人オブ暇人、閑職ライフまっただ中の俺の背後から何者かが声をかけてきた…

 

「釣り人さんにちょいとお尋ねするんすけど、この島でメガネかけた口と性格の悪いまぁまぁハンサムな男知らないっすか?」

 

「さぁ?知らんな」

 

「ふむ、知らないっすか」

 

声をかけてきた女はそうすかとわかったようなわかってないようなコトを言いつつ頷き、その場を離れ…

 

「えいっ」

 

ドガッ!!!(ヒメキック)

 

「うげぇ!!」

 

背中から蹴りを入れられた俺は頭から海に転落した

 

「オイテメー!!いきなりナニしやがるんだコラァ!!」

 

「アヒャヒャヒャ、ナニ言ってるんすか?センパイが悪いんすよ、あんまりディスるのもアレなんで“まぁまぁハンサム”って譲歩してやったのに、アヒャヒャヒャ!」

 

人を海に転落させてゲラゲラ笑うこのクソ糸目女の名は日女ミコト、一応、俺の後輩である…

 

ーーー

 

「フーッ〜…で?何の用だ?」

 

「ちょっとケムいんすケド?タバコ消してもらっていいっすか?」

 

「今、火ぃ点けたばっかだろーが、ブッ殺すぞ」

 

忘らるる島拠点基地………いや、基地っーか小狭い事務所だけど、一応海軍の正式な基地である、たぶん

広さで言うなら昔、俺が居た基地の執務室よりやや広く、1階が事務所で2階が俺の居住スペースとなっており、平たく言えば住居兼事務所だ

 

その事務所に戻ってきた俺は冷蔵庫から取り出した麦茶とグラスをテーブルの上に置いた…

 

「や、そろそろ中央に来て貰いたいな〜…って」

 

「お断る」

 

「えー?なんでっすかー?前はあんな中央で権力を握ってやりたい放題したい放題!美女はべらせて札束プールに入って勝ちまくり人生したいって言ってたじゃねーっすかー?」

 

「俺がいつそんなゲスな野望を口にした」

 

「え?学生んトキ」

 

「………知らんな」

 

「あ、目ぇ逸らした!やっぱ覚えてるんじゃねーっすか!己の欲望バッチリ覚えてるじゃねーっすか!」

 

「えぇい!知らん知らん!だいたいアレだ、俺が中央に行ってなんになる?トイレ掃除人か?」

 

「や、だから私の私設秘書にしてやりたい放題したい放題コキ使ってやろーと…」

 

「フーッ〜…!」

 

モクモクモク…(副流煙)

 

「ぶへっ!!ちょ、やめてくださいっす!なんなんすか!?」

 

「だからそれがイヤなんだよ、誰がお前の部下になどなるか!お前の部下になるぐらいならクッ殺せだ」

 

「ナーニがクッ殺せですか、っーかそんなイヤがらなくてもいいじゃないっすか?ってかセンパイ、こんな何もない島で腐って死ぬつもりなんすか?」

 

「そうだよ、わかったら帰れ」

 

「あー!もう!めんどくさいこじらせ童貞っすね!」

 

「誰が童貞だ、そんなものは戦場に立つ前にとうに捨てたわい」

 

「ゴチャゴチャ言ってないで私と来るんすよ!ハイ!コレ正式な辞令!私の部下!いいっすね?」

 

ヒメは辞令と書かれた書類をテーブルに叩きつけ、俺はそれを手に取り……

 

ビリッ!ビリビリビリビリ!!(書類破棄)

 

「あー!!な、ナニをするだぁー!!」

 

「こんな紙キレ1つで俺をどうこうできると思うなよ女狐がーッ!!」

 

「クッ…!やはり腕っコキのハンター連れて来て蜂の巣にして連れて行くべきだったっすか…!」

 

「フーッ〜………だいたいだ、もう既に戦争は終わり太平の世、戦うことでしか己の価値を見出させない老兵など中央に居る意味はなかろう?」

 

そんなものは害悪でしかない、だからこそ、権謀術数に長けない戦うだけの多くの将兵は軍縮と共に軍を去ることになったのだ

 

「ナニが老兵っすか、まぁ…若くはないっすけど」

 

「わかったらさっさと中央に帰るんだな、お前にも家族がいるんだろう?」

 

「いねーっすよ、両親のツラは知らねーし祖父母っぽい人達は事故に見せかけた事件で死んでるし親戚ヅラしたキモいオヤジは一生病院から出てこれねー身体にしてやったっすからね」

 

…コイツ、結構闇が深いな

 

「まぁ、しいて家族と言うならペットのヴェーちゃんぐらいっすかね?」

 

「ペットとかゆーな、付き合い長い部下だろーが」

 

「まぁいいです、とにかく、センパイが私のモノになるまで何度でも!執念深く!執拗にここに来るっすからね!わかったっすか?」

 

「わかるか、っーか海軍大将がホイホイ気軽にこんなトコに来るんじゃねーよ、帰って仕事しろ、仕事」

 

「大丈夫!それはヴェーちゃんに任せてきてるっすから!」

 

「最悪だなオマエ!!」

 

 

後に、日女女史は長きに渡り海軍中央司令部の実権を握り続け、何度かの動乱を経て、この国の、世界の海軍史に“不世出の女帝”として名を刻まれる事になる…

 

しかし、この海の全てを手にした不世出の女帝は晩年、今際の際に“自分はあらゆる価値の無いものだけを手に入れた”と言った後に静かに息を引き取った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《あ、センパイ、どこ行くんすか?》

 

《便所》

 

《マジっすか、じゃ、ご一緒します》

 

《アホか、っーか冗談だバーカ、ハァ………オイ、今から地獄の国盗り行くけどオマエも来るか?》

 

《マジっすか!行く行く!いの一番にイイ席予約してくださいよ!》

 

《やかましい》

 

 

 

■□■□■□■□■□

 

【聖者の帰還】

 

かつて、戦争があった…

海軍VS深海棲艦、海軍本部頂上決戦!大事な仲間を殺られ怒り狂う深海棲艦達、海軍の卑劣な罠に嵌りピンチに陥った深海棲艦達だったが深海棲艦のヘッド、中枢棲姫はその命を燃やし、禁断の自己犠牲自爆技で海軍本部に深刻なダメージを与えた、しかし、この頂上決戦で双方が得たものは無く、むしろ失ったものが大きく、多過ぎた…

互いに指導者を失った海軍と深海棲艦はこれ以上の戦いは無益と感じ、戦争はただ、静かに終わった…

 

ーーー

 

深海棲艦との戦いも終わり、役目を終えた海軍、そして艦娘達…

各地で役目を終えて解体されていく地方の基地の1つである我が基地も役目を終え、今まで苦楽を共にしてきた仲間達に提督として、基地司令として俺は最後に“お前らと俺はここで別れる!”と言葉を贈りバカどもを気持ち良く送り出した

ワシのコトが嫌いじゃあなければまた会おう!マヌケヅラぁ!と感動の別れを済ませ、それぞれが姉妹達と祖国や故郷へ帰って行ったのだが………

 

盛大な解散式が終わり誰もが去ったハズの体育館に、1人、残っているヤツがいた………

 

「…みんなはいいね、家族も…姉妹もいて…」

 

体育館の隅に1人……いや、正確には連装砲ちゃんが3匹いたんだが……まぁ、この場合は1人と言うんだろう

ブッ飛んだファッションセンスに定評のある足の速い駆逐艦………島風は体育館で体育座りしつつ連装砲ちゃん達に話しかけていた

 

島風に姉妹は居ない、そしてあの様子を見るに家族もいないし、帰るべき家もないのかもしれない…

 

“孤独”…

 

今までは基地に仲間達が居て独りきりではなかった、だがこれからは…

 

「独りはつれーってばよ…」ポロポロ…

 

………まぁ、さすがに俺も善人と言うワケではないが邪悪の化身と言うワケでもない、多少なりとも人情と言うものがあったのだろう、俺はそんな島風の頭に手を置き“ラーメン食いに行くか?”と声をかけると島風は涙を拭って立ち上がった

 

「うん!うんうんうんうん!!行く!行く行く行くぅ!」

 

「よし、じゃあ行くか」

 

「ねー!チャーシュー足していい?ねー?」

 

「そうだなぁ、俺より早くラーメン屋に着いたら考えてやる」

 

「ホントに?約束だよ!約束だってばよ!」

 

こうして、だってばよ!だってばよ!とうるさい島風にまとわりつかれたのが運のツキってヤツだったのだろう…

 

ーーー

 

海軍解体から早数年…

軍属から解き放たれ、無職となった俺はさっさと職に就かねば食っていけない、しかし今更再就職も怪しいので退職金を元手に商売を始めたワケだが…

 

ジリリリリん♪(電話)

 

「はいもしもーし?スピード解決☆ストレイトでーす、浮気調査ですかー?密室殺人ですかー?」

 

「んなワケねーだろ、貸せ………あぁスイマセン、お電話代わりました、はい」

 

キュウシュウのとある市街地で便利屋を開業したワケだが……なんと言うかアレだ、世の中そんなに浮気ばっかしているのだろうか?

 

「…はぁ、やれやれ、オイ島風、ちょっと出てくるわ」

 

「殺人ですか?」

 

「んなワケねーだろ、そりゃケーサツの仕事だ!俺らの仕事は素行調査だ」

 

「えー…素行調査って、どーせクロですよ、クロ、浮気確定、スピード解決」

 

「やかましい、で?どーすんだ?来るのか?来ないのか?来ないならお前絶対電話取るなよ」

 

「モチロン一緒に行きます!ほら、駅の掲示板に“もう後がない!”ってサインがあるかもしれません!」

 

「それは俺の仕事じゃなく冴●さんの仕事だ」

 

「そんな…っ!じゃあテートクのニュースーパーブラックホークはいつ火を噴くんですか!」

 

「できれば火を噴かせたくねぇの!物騒か!」

 

物騒なコトしか言えんのか、この痴女は…

だが、まぁ、見た目は相変わらずのブッ飛び痴女ファッションだが話してみると意外と礼儀正しく真面目な島風を正式に養女として早数年…

相変わらず友達は居ないらしいが、無事にコイツを常識的な一般校に入学させた俺はこうして日々、真面目にコツコツ労働に勤しんでいた…

 

「ところで島風、学校はどうなんだ?学校は、ちゃんと真面目に制服着てるだろうな」

 

「着てるってば!」

 

「ならいいが……年頃の男子なんてのは頭の中はS●Xとエ●しかない野獣だからな、私服のお前なんか見た日にゃ毎日オ●ネタにされてみんなのオ●ペット確定だぞ」

 

「失礼な!この服のどこがオ●ペットなんですか!」

 

「まずそのローライズだ、スカートがスカートの意味を成してない」

 

「…そうですか?」

 

「そうだ、ま………くれぐれもクラスの男子には気をつけろよ、もしお前になんかあったら容疑者全員コイツを口の中に突っ込んで俺の娘に色目使ったコト後悔させつつ異世界転生させてやるからな、ガハハハハ!」

 

「物騒か!!さっき火ぃ噴かせたくないって言ったじゃん!?」

 

「ま、仮にお前がカレシとか言って俺の前に連れて来ても弾くケドな、ガハハハハ!」

 

「過保護か!!」

 

 

軍属を離れ、単なる気まぐれから迷い猫……いや、迷い兎?を拾ってみたが……まぁ、これはこれで残りの人生に退屈を感じずに済んだみたいだし、意外と悪くないのかもしれないな





次回はたぶん⑯


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提督とルート分岐のエンディング⑯

ダラっとやってきたifエンド回最終回
最後の2本は〜…

【ファイナルバーニング・ラヴ】
【ぐもまん】

ですの


【ファイナルバーニング・ラヴ】

 

かつて、戦争があった…

遂に現れた深海棲艦の王、深海カイザー!その圧倒的な力の前に次々と倒れていく仲間達!しかし、どんな絶望的な力の前にも希望の光を信じる心は奇跡を起こした、世界中から平和を、そして愛を信じる祈りが深海カイザーの闇のフィールドを破り、遂に人類の力が深海カイザーを貫くのだった…

 

ーーー

 

長かった戦いの日々は終わり、遂にこの光溢れる母なる海に訪れた愛と平和…

長い戦いの終わりと同時に当基地もその役目を終え、今まで俺と戦いの荒野を駆け抜けてくれたファミリー達に嘘偽り無い心からの労いの言葉、そして感謝を伝えた…

 

こうして、海軍としての役目を終えた基地は祝福と歓喜に沸き、盛大な宴が開催され皆が喜びに笑みを浮かべ平和と、勝利を大いに祝った…

 

………そして、そんな歓喜の宴の催される中、基地から姿を消した男と、女が1人………

 

「ここでいいか?」

 

「ワタシはどこでもOKデース…」

 

基地から少し離れ、人里からもワリと離れた山中に存在する渓谷………通称“週末の谷”と呼ばれる名所がある

何故そんな名前で呼ばれるようになったのかは定かではないが、たしか週末はアベックがイチャつく姿が頻繁に見られるとかそんな感じだったと思う…

 

そんなイチャラブデートスポットに、深夜、男女が2人…

 

何もないわけがなく…

 

「テイトクからのデートのお誘い、お待ちしてマシタ」

 

「悪いなぁ、待たせちまって」

 

「いえ、待つのは嫌いではありまセンでしター………不思議なコトに」

 

「そうか」

 

俺の隣を歩く金剛は大して気にした様子もなく、むしろ普段通りにナニを考えているのかわからないツラをしていた…

 

「思えば色々ありましたネー」

 

「あぁ、そうだな」

 

たしかにそうだ、こうやって思い起こせば俺たちは数々の死闘を乗り越えた……AL/MIの戦い、ハワイ沖での戦い、大威震●連制覇、深海四天王との死闘……何度となく死を覚悟したが、その度に再びこの桜舞う基地の並木に帰って来ようと誓ったものだ…

 

「戦艦として、艦娘として、ワタシの役目も終わりマシタ…」

 

いや、まだ終わっちゃいない

 

「そうデス……マダ、終わっていまセーン、ワタシにとって………最後の戦いが終わってまセーン」

 

そう、俺とオマエ………初めて出会ったその日から、この戦いは始まり、そして今、終わりの時が来たッッッ!!

 

「良い女だ、喰うに値する…ッッッ!!」

 

「OKェ…」

 

俺と金剛の間に緊張の糸が張り詰められるッッッ!!

ついに始まるのだ、俺と金剛の最後の戦い、互いに全力、死力を尽くしての完全決着!!正真正銘最後の戦い、悪鬼の戦い(オウガバトル)が…ッッッ!!

 

何度となくこの俺の命を狙い、その牙を研いできた戦艦・金剛…

 

その、戦艦・金剛の終わりを、俺と言う存在を倒し、締めくくりとしたい……かつてそう俺に宣言した金剛、そして俺はそれを受け、ついにその約束を果たす日がきた

 

「全力で来てくだサーイ」

 

「オマエもな、さぁ…存分にみせてみろッ!」

 

誰1人観客など居ない深夜のデートスポットに疾る一触即発のオーラが木々を揺らす!!互いに間合いは既に必殺の間合い……殺るか、殺られるか、撃つか、撃たれるか、全てが必殺……

 

一瞬たりとも油断を許さないこの空気…

 

先に動くか、後の先をとるか……そんな真剣の空気を………

 

ガサッ!ガサッ!ガササササ!!ドドドドドドドド!!

 

『ウワアアァァァァァ!!ホントにヤってるゥゥゥゥゥゥ!!』

 

『ホントだ!!テイトクと金剛サンだァァァァァ!!』

 

『まだ開始ったばかりかァァァァァ!!』

 

!!!!!!!!!!!!!!

 

さっきまで俺たち以外誰1人としていなかったこの週末の谷に、突如として基地のバカどもか大挙して駆け込んできたッッッ!!!

 

「オイオイ…」

 

「ヘーイ、コレは何の冗談デス?テイトクですカー?」

 

「んなワケねぇだろ」

 

なんなんだ、いったい…っーかなんで俺と金剛がヤるってのバレてんだよ、俺は誰にも言ってねーし、金剛が誰かに言ったとも考えにくい…

そんなコトを考えていると、やって来たバカどもの中からまるで袋叩きにあったかのようなズタボロぶりの青葉が転がり出てきて言った………

 

「テイトク!金剛サン!基地のみんなが知ってる2人が……2人の決着がッッッ!!こんな誰も見てないところで!!ヤっていいワケないじゃないですかッッッ!!」

 

無観客でやっていいワケがないッッッ!!そうアツく叫んだ青葉…

 

「…だとよ?どーするよ、金剛」

 

「ワタシは別に構いまセーン」

 

ギャラリーがいようがいまいが、ヤるコトに変わりありまセーンと如何にも興味なさげに言ってみた金剛だが………その顔にはどこか笑みが浮かんでいる

 

俺達は互いに拳を交わし、仕切り直しとなる間合いをとった!!

 

 

「さぁー!!遂に始まりました宿命の対決!!その最終決戦!!基地に頭は2つはいらない!これまで互いに反目し合い、己の最強を疑わなかった2名!求めるものは確実な“勝利”!!卑怯・卑劣?最高の誉め言葉だと悪の三段笑いするホンモノの外道!提督 VS 一瞬千撃!一撃必殺の、その先を求める拳の求道者!金剛サン!!ついに激突です!!あ、ちなみにこの試合、実況は私、青葉、解説は雅なコトに定評のある初春様でお送りします、こんにちは初春様」ペコォ…

 

「うむ」

 

「さぁどうでしょう初春様から見てこの戦い…」

 

「フッ、妾も長く様々な闘技者達を見てきたつもりじゃが……この試合、どうなるか皆目見当がつかぬ」

 

「なるほどッッッ!!!」

 

---

 

「フッ、榛名、霧島、この戦い、おそらくカンムスファイト史上最大のモノになるわ、この戦いから決して目を離さないことね」

 

「どんな激しい戦いになっても榛名は大丈夫です!」

 

「えぇ、これが私達の……いえ、金剛の姉が待ち望んだ瞬間、目に焼き付けるわ!」

 

提督と金剛の戦いを見守る中にいる金剛の妹達…

ついに始まった偉大なる長女、その、最後の戦いを見届けるべく全員が当たり前のように影腹を切っていた

 

そして……

 

「フッ、テイトクとコンゴーの戦い……これほどの戦いはめったに見られるものじゃないワ!」

 

観客の中から少し離れた場所で戦いを見届けているコロラドはニヤリと笑い…

 

「生き残った方を………ワタシが狩る!」ドヤァ!

 

最強は属さない、コロラドは自分が最強だと理解(かんちがい)しているのだから…

 

「金剛ォォ!!」

 

「テイトクゥゥゥゥゥゥ!!」

 

天に金剛!!地に提督!!

 

「一瞬千撃 抜山蓋世 鬼哭啾啾 故豪鬼成!!」

 

「来いやァァァァァ!!」

 

真の拳はどちらに!?

 

ーーー

 

この戦いの後、提督と金剛、2人の行方を知る者は誰もいない………

 

『ならばその強さの先、真の強さは自分の目で…』

 

確かみてみろ!!

 

 

■□■□■□■□■□■□

 

 

【ぐもまん】

 

かつて、戦争があった…

スター集団、陽炎型駆逐艦……姉妹数は10を越え、全イベント海域参加を誇る超強豪駆逐艦姉妹…その輝かしい歴史の中でも、特に最強と呼ばれ、無敗を誇った10年に1人の天才が18人同時にいた世代は、奇跡の世代と言われている……

が…!!奇跡の世代には奇妙な噂があった…誰も知らない、出撃記録もないにもかかわらず、姉妹18人が一目を置いていた駆逐艦がもう1人……

 

幻の19番艦がいた、と…

 

「エロ漫画!エロ漫画!エロ漫画…ッ!どいつもこいつもエロ!エロ!エロ!バカにしてんのかぁぁぁぁぁぁ!!」

 

描いていた原稿に拳を叩きつけ、怒りを…!そして憤りをぶつける!

自分が描きたいのはこんな漫画じゃあない……もっと少年達をアツくさせる!友情・努力・勝利に満ちたアツい少年漫画なのだ!いや、ある意味別の意味で少年達をアツくさせてはいるのだが…

 

「まぁ落ちつけよ秋雲よォ、ほれ、またアンケート上がってたぞ、メチャメチャシコいですって、今度はアニメ化の話もあるってよ、ピ●クパイナップルで」

 

「この秋雲が金やちやほやされたいから漫画を描いていると思っているのかー!!」

 

「まぁ落ちつけって、ほら、エクレアでも食べて」

 

「いただくっす」

 

クソッ!!甘めぇ!クソッ…っ!ありがてぇ…!ありがてぇ!

 

「フーッ~…甘いもん食ってエネルギー充填したっす、オブリガート」

 

「そうか」

 

宿命のライバル、団地妻エージから後れること数年…

念願の少年誌でデビューした私はとりあえず10週打ちきりの憂き目に遭い、その後、さらなる研鑽を積んでの新連載も1年で打ちきり、最後のチャンスをと山田ゼレフと組んで挑んだ連載は原作、山田ゼレフが公然ワイセツの罪でしょっぴかれて打ちきり…

 

週刊少年誌から居場所を失い、それでも“夢”は諦めきれないと色んな出版社に持ち込みをかけていた私に声をかけてくれたのはかつての上司、テイトクだった…

テイトクは海軍をクビになった後、とある小さな出版社に入ったらしく、そこで編集者となったテイトクは私にウチで描かなイカ?と声をかけてくれたワケなんすけど…

 

「テイトク」

 

「なんだ?」

 

「いつになったら私、少年漫画描けるんすかね?」

 

「ムリだな」

 

「ムリってなんなんすか!ムリって!!毎日毎日チ●ポチ●ポ!チ●ポしゅごい!とか描いてるとチ●ポってスゲーんだとか考えるようになるんすよ!!もう頭ン中チ●ポって単語がこびりつくんすよ!」

 

「ハッハッハ」

 

「笑うなーッッ!!」

 

原稿机をバシバシ叩き、抗議の声をあげてみるがテイトクは私の原稿をナナメ読みしつつ、この触手はア●スへの屈辱がいいんじゃあないかね?と冷静で的確な意見を述べる…

感想を述べよ、ってヤツっすね…

 

「団地妻エージなんて映画化っすよ!映画化!劇場版!アニメの時点でアニメスタッフの原作愛めっちゃ感じたっすけど、さらに映画とか………なんなんすか!なんなんすか!」

 

「そりゃオマエ、団地妻エージ先生は少年漫画の天才だからな」

 

「やはり天才か…ッ!」

 

「だが秋雲、団地妻エージ先生はたしかに天才だが、オマエもまた、天才だ………エロ漫画のな」

 

「最後ので台無しっすよ!!なんなんすか!天才エロ漫画家って!」

 

ま、まったく嬉しくねえ……!!

 

「ハァ………もういいっす、なんか疲れてきた、よし、もうもうギンギンっす、テイトク、ア●ルセ●クスしましょう」

 

「やだよ、ナニ言ってんだオマエ?イカれているのか?」

 

「イカれてねーっす、いいっすかテイトク、良い作品にリアリティを求めるモノっす、真に迫るリアリティ!ほら、出して出して!いいじゃねーっすか!別に初めてってワケじゃねーし」

 

「バカオマエ、いきなりとか…!俺だって心の準備とかあるんだぞオイ」

 

「アバレれんな、アバレれんなよ…」

 

「イヤ!やめて!け、けだもの!」

 

「そうは言ってもテイトクのココも準備卍誕じゃねーっすか、ほらほら!おほぉー!おチン●ンさんコンニチハ〜」

 

「やめて!それ以上やるなら舌を噛みます!」

 

「うるさいですね、秋雲さんの脱ぎたてホカホカパンツ口に突っ込まれたいんすか?」

 

「嗚呼、神よ…」

 

閃いた!…………コレだッッッ!!よし、今月はこの路線で行こう!うん

突如としてネタを閃いた私はテイトクから興味を失い、ペンを手に取る…っ!このイメージを描くしかねぇ!このアツいイメージ!題して“聖母フレッチャー-淫らに堕ちる姉妹の散華-”ッ!!

 

「スラスラスラスラスラスラスラスラァァァァァ!!」

 

「な、なんてスピードだッッッ!!やはり君は天才だッッッ!やはり君は天才だッッッ!!」





次回は普通に通常営業回、熊野でございます


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提督と神州丸の謎

恐るべき提督暗殺計画

【登場人物】

提督(メガネ)
射程2メートルの近距離パワー型、必殺技はお腹パンチ

神州丸(太腿)
陸軍から来た美しき暗殺者、第3の殺人技は三角締め

あきつ丸(不浄の穴)
陸軍から来た謎多きサマナー、隠し技は指からビーム


台風と共に暑さも去り、どことなく秋を感じさせつつある昨今、今日も元気にタバコでも吸いに喫煙所に行くかと歩いていると、階段の先にパタパタとスカートを靡かせて立つ熊野………ほぉ、今日は白ですか

ポケットからスマホを取り出し、とりあえず写真を撮ってみるが……まぁ、後で青葉にメールしてやろう

 

良いコトをした後は最高に気分が良いものだ、思わず鼻唄でも歌ってしまいそうな実に晴れ晴れとした気分だなと思いつつ歩いていると、いきなり目の前に………ナイフッッッ!!!

 

「はおっ!!」

 

ブンッ!!!(緊急回避)

 

突然の顔面狙いに上体を大きく反らすブリッジによる緊急回避ッッ!!

 

「また殺り損ねたでありますね」

 

「キミは……」

 

ナイフを手に、いつの間にやらぬらりと俺の前に立つ目深にフードを被った美しき暗殺者…

陸軍から来た謎多き特殊船、神州丸クン……だったか?たしか

その神州丸は別に俺を殺り損ねた事に特に気にした様子もなく、ナイフを鞘に納めて上着の中にしまいしまいした…

 

「また、じゃないよ、なんなのかねキミは?誰の差し金だ?」

 

「それは言えないのであります」

 

抑揚もなく、何の感情も感じない声、そして死んだ魚のような目……おそらく彼女は幼い時に闇ギルドに拾われ、多感な幼少期から長らく殺しのテクのみを叩き込まれ、殺すコトでしか存在する価値のない殺戮機械として育て上げられた哀しき存在なのだろう…

 

「ターゲットを殺るまで帰れないのはわかるが、あー……なんだ?神州丸クン」

 

「なんでありますか?」

 

「まぁ、そこのベンチにでも座って、ちょっとハナシでもしよーや、な?」

 

「はぁ?別に構いませんが…」

 

俺はとりあえずテキトーなベンチを神州丸クンに勧め、自販機で飲み物を買い、神州丸クンに1本渡してやった

 

「それで?ハナシとは?」

 

「とりあえずキミにも色々事情があるのはわかる、なんたって俺は海軍の将校で提督だからね、うん、わかるよ、うん、キミはほらアレだ?プロだから雇い主のコトは話せない事情もわかるわけだ」

 

「はぁ?」

 

「だからだ、今から提督はキミに質問だけするからキミはハイかイエスで応えて貰えばいい、いいかね?」

 

「わかったであります」

 

神州丸クンは頷くとオレンジジュースのプルトップを開け…

 

「あ」

 

どうやら気付いたらしい、自分がとんでもないミスを犯してしまったコトに…ッ!!

 

スッ…(ナイフ)

 

「!」

 

ミスに気付いた神州丸クンの行動は疾かった、上着からナイフを素早く取り出し自らの喉にあて即座に死を選んだ………が!!そうはさせまいと俺も即座にナイフの刃を掴む!!

 

「クッ…!」ギリッ!

 

「初めてだな、キミの悔しげな顔を見るのは…!」

 

やはり感情がないワケではない、あるのだ

そして彼女はきっと本当は心の優しい娘なのだろう、その、本心を必死に押し殺しているだけなのだ

 

「とりあえず、ナイフを引いてくれんかね?」

 

「ハイ」

 

律儀な神州丸クンはナイフを鞘に納めて、上着にしまいしまいした………っーかこの手、超痛いんですけど?刃掴むとかムチャプレーしたせいで血がメチャメチャ出てるんですけど?っーかコレ、毒とか塗ってない?目眩すごいんですけど?

 

「神州丸クン………包帯とか毒消しとか持ってるかね?」

 

「ハイ」

 

神州丸クンは上着から治療キットらしきものを取り出すと手慣れた動作でスピーディーに俺の手をとりあえず治療してくれた

 

「提督殿は毒に耐性がおありで?」

 

「ねぇよ、我慢してるだけだ」

 

「そうでありますか、象も2秒でコロっといく毒だったのですが…」

 

…危なかった、もしチャムキ●ビアからぬすんだリ●ンをたまたま持っていなかったら死んでいたかもしれん

と言うかこの娘、なんて危険なモノをナイフに塗りたくってるんだ、危ないじゃないか

 

「フーッ〜………まぁいいや、で?どこの誰の依頼かは知らんが、キミの仕事は俺を殺るってコトでいいのかね?」

 

「イエスであります」

 

「海軍筋かね?」

 

「…」

 

「陸軍筋かね?」

 

「…」

 

「それとも別の…」

 

「…」

 

そもそも俺に恨まれる筋合いはないのだが……いや、待てよ、たしか前に天海のヤローが俺を殺りに来たが、もしかしてそのスジか?グゥゥゥム、謎は深まるばかりだわい

 

「あ、そういや神州丸クン、ちょっと前に包丁振り回すサイコ女から俺を助けてくれたな」

 

「サイコ女…?あぁ、アレでありますか」

 

以前、いきなり好きって言ったのに!とか言って暴れたイカレたサイコ鯨に命を狙われた俺、そのピンチに颯爽と現れ救ってくれたのはこの神州丸クンだった…

 

「とりあえず提督殿から殺すなと言われたので視覚を封じて拘束椅子に座らせ薬物投与による幻覚催眠状態で70時間程、深層心理に暗示をかけて解放しました、定期的に薬物の投与は必要でありますが…」

 

怖いよ…ッ!!なんだよこの娘!やり方が大規模組織のプロの手口だよ!

そんなプロの神州丸クンに戦慄を禁じずにはいられずにいると、廊下の向こう側からデビルサ●ナーみたいなハイカラな格好をしたのが歩いてきた…

 

「おや、提督殿に神州丸……こりゃまた珍しい組み合わせですな」

 

「オマエは……あきつ丸」

 

やって来たのは神州丸クンと同じく、陸軍からやって来た謎多き強襲揚陸艦、あきつ丸…

普段は役に立たないが、たまに烈風積んでみたりと活躍することも以前はあったが最近は特に仕事もなく、毎日プラプラしており、その行動には謎が多い…

唯一わかっているコトがあるとするなら………ア●ルがキツキツでおチ●ポ様には無様に敗北ア●メ晒すコトぐらいだろう

 

「こんなところで男女が2人………ハハァ〜ン、さては神州丸も提督殿のイツモツに興味津々丸でありますなぁ?」

 

「いえ、興味ないであります」

 

即答かよ、まぁいいけど…

っーかセクハラ上司かコイツは…

 

「ハッハッハ、興味ないでありますかぁ!ハッハッハ!」

 

「笑うな!っーか、あきつ丸、オマエ、この神州丸の同僚なんだよな?」

 

「ハッハッハ、それはモチロン、神州丸のコトは生まれ育ちア●ルの皺の数まで知ってるでありま…」

 

サクッ!!(投げナイフ)

 

「危ないでありますなぁ」

 

神州丸クンのノーモーション顔面狙い投げナイフを謎の巻物でハタキ落としたあきつ丸はおぉ怖い怖いとナイフを拾って神州丸クンに手渡した

 

「あきつ丸は少しお喋りなようでありますな…」ジロッ

 

「ハッハッハ、これは失態」

 

…もしかしてコイツら、仲悪いのだろうか?いや、おそらく所属は同じ“組織”だが仲良しクラブと言うワケではないのだろう…

 

「…ふん、まぁいい、神州丸クンよ、キミの仕事が俺を殺るコトなら精々頑張りたまえ」

 

「?、提督殿は変なコトを言うでありますな」

 

「俺の紳士道には何事だろーが頑張る子は応援しろって書いてあるんだよ、じゃあな」

 

俺は飲み干した缶コーヒーの缶をダストシュートに投げ入れてさっさとその場を去った…

 

自分を狙う暗殺者か………いいね、いつかあの太腿ペロペロして俺のイヌにしてやろうじゃあないか…



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提督と倉庫整理と踊る人形

踊る人形

【登場人物】

提督(霊?そんなものはトリックだ!)
この世に科学で説明できねぇものは100億%ねぇ!

鹿島先生(ホラーは苦手)
や、だって普通に怖いじゃないですか?まぁ、でも一番怖いのはやはり香と…

香取先生(好きな映画はゴースト)
…鹿島?何か言った?


秋の基地美化週間運動、ふだん怠けている不要物の廃棄、必要なものの整理整頓をキチンとやりましょうをスローガンに、毎年行われているこの運動だが…

 

今年は明石のボケナスが倉庫に隠しているであろう不要物を発見、処分すると言うのが真の狙いであり、言うなればこれは内部監査の意味もある…

 

「さて、相変わらずワケわからん箱ばっかあるな」

 

「そうですね」

 

香取先生、鹿島先生と共に倉庫にやって来た俺はとりあえずそこら辺にあったダンボール箱の封を剥がし中身を確認する………なんだ、鬼刃魂か……ギリギリセーフだな

 

「いや、アウトでは…?」

 

「鹿島先生、バカを言ってはいけない、本製品はただのジョークグッズだ、あの有名漫画とは一切関係がない、邪推や決めつけはやめて貰いましょうか!」

 

「あ、え…ぁ、はい」

 

明石のヤロウ、また大量に仕入れやがって……もう既に正式版権のグッズが巷には過剰供給されているんだぞ、どう始末するつもりだ?

 

「提督、とりあえず酒保のリストに載ってないヤツは全て差し押さえで宜しいですね?」

 

「無論、構いません」

 

今日も眼鏡がステキな香取先生はリストを片手に1つ1つ、ダンボール箱を丁寧に調べるべく手袋を着用する、まったく…香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる

 

「あの……提督」

 

「なんでしょう?鹿島先生」

 

「あ、いえ……アレ、なんでしょうか?人形?」

 

倉庫整理を始めて30分程経ったぐらいか…

鹿島先生が倉庫の隅に転がる不気味な人形を指差し、不安げな顔をしている……まったく、鹿島先生を不安にさせちまうなんて罪な人形だ、っーかやっぱ鹿島先生は不安げなお顔も実にチャーミングでいらっしゃる、OK!怖いならもっと俺にくっついていいんだZE!

 

「人形……ですなぁ」

 

どう見ても不気味な人形だな、明石のコトだ、ナニかの抱き合わせでタダ同然の値段で仕入れてみたが、よく見るとやっぱキメーわと放置したとかそんな感じだろう

 

ギギギ……ギギギ……

 

「あの…提督、あの人形、今…ちょっと動きませんでしたか?」

 

「ハッハッハ、鹿島先生はこーゆーのは苦手ですかな?ハッハッハ」

 

ギギギ…ギギギギギギ…

 

「や!やっぱり動きましたよ…っ!って立った!あの人形!立ち上がりましたよ!?」

 

まったく…青い顔をして涙目で必死に指差す鹿島先生のお顔もまたお美しくいらっしゃる、いけないなぁ先生、そんなにボクを誘惑するのは………でも我慢我慢♠︎

 

「ハッハッハ、そんなワケな…」

 

ギギギギギギギギギギギギ……

 

「な……い」

 

(どこからともなく楽しげなBGM♪)

 

『『僕らは陽気なカ●コブリーナ』』

 

『『怖くて可愛い人形さ!』』

 

………なにやら数体のキモい人形がプランプランしながら踊り出した

 

「て……提督っ!提督さんっ!アレ、アレってやっぱりりりりり!!」

 

「ハ、ハハハハハ…ま、まぁ、落ち着いて落ち着いくだささささカシカカシカズマ先生!!」

 

「鹿島です!」

 

俺は震える鹿島先生の肩を掴んでその身体を自らに引き寄せつつ素数を数えて落ち着く、素数は自分と1でしか割れない孤独の数字!勇気を与えてくれる…っ!ってか鹿島先生めっちゃ良い匂いする、こんな淫靡な牝の匂いさせて先生やってるなんて各方面に失礼だよね?セ●クスの化身かよ

 

「いいですか鹿島先生、この世に霊的なものなどは存在しないのです、つまりアレは………そう!トリック!!」

 

「トリック!?」

 

そう!これは科学を用いたトリックに過ぎない、俺の知性は既にカオスの欠片からこのトリックを暴き出している!

 

「あれはただの人形ではなくおそらく………ドローン!」

 

「ドローン!?」

 

「そう、Wi-Fiを駆使してまるであたかも心霊現象が起きたかのように演出している初歩的なトリック!その証拠をお見せしましょう!!」

 

俺はそこらに立てかけてあった鉄パイプを手に取り、踊りましょー踊りましょーと不気味に踊る人形1体の頭をカチ割った!!

 

グシャァッ!!!

 

『『うわー』』

 

「勝ったッ!!」

 

しかし………ッ!!!頭をカチ割られた人形の中身は……中身がないッ!!

 

バ、バカな…!コイツは精密機器じゃあないのか?頭をカチ割ってやれば精密パーツが流れ出してくるんじゃあないのか!?

 

しかも、なにやら残った人形どもがプランプランしながら集まり…!!

 

 

にんぎょうが がったいする

 

 

『『UGAAAAAAAAAAAAAA!!』』

 

不気味な人形は合体し、より不気味で、よりキモくてデカい人形になった!!

 

「ギャアアアアアアアアアアア!!!」

 

「ヒイィ…!ヒイィィ!!提督!提督…っ!ななななんですか!?アレなんですかァァァァァ!?ってかキモい!キモいキモいキモい!」

 

「ト、トリックだぁ!!トリックに決まっている!」

 

呪いの人形なんてものはありえない!そう……たぶんアレだ、合体ロボ的なアレだ、そう、ゼッタイ!悪霊だの妖精だのはメルヘンの世界の話にすぎん!!

 

『『UGAAAAAAAAAAAAAA!!』』

 

踊る人形カ●コブリーナは不気味な奇声をあげつつこっちに走ってきたッ!!

 

「ギャアアアアアアアア!!ヤバイヤバイヤバイ!キモいキモいキモい!!」

 

「ヒイィィ!!ヒイィィー!て、テイトク!置いていかないでくだ…」

 

そんな恐怖のカ●コブリーナに思わず失禁しそうな俺と鹿島先生の前に………

 

…救世主は現れたッ!!

 

「これはまた大きな人形ですね…」

 

 

『『『UGAAAAAAAAAAAAAA!?!?』』』

 

 

「アナタもう死んでますよ」

 

一瞬にしてバラバラに砕け散ったカ●コブリーナの前に立っていたのは……今日も眼鏡がステキでエレガントな香取先生ェ…

 

「先生ェ!!香取先生ェ!!」

 

「香取姉ぇ!!」

 

「何やら大きな物音がしますねと思って来てみたら……まったく、妖精達には後で厳しい躾が必要なようですね」

 

香取先生は手にした教鞭を指で弾きつつ、俺たちに大丈夫ですか?と優しく手を差し伸べてくれた…

 

「ありがとうございます、香取先生」

 

「ありがとう香取姉ぇ…」

 

「いえいえ、大したコトでは……あと、鹿島、公務中に香取姉ぇはやめなさい」

 

「…しかし香取先生ェ、あとで妖精に厳しい躾と言ってましたが…」

 

「えぇ、さっきの人形、中に妖精が入っていたようですし……まぁ、たぶん妖精のイタズラかと」

 

「え?アレ、中に妖精がいたの?」

 

「鹿島………まさかアナタ、気がつかなかったと?」ギロッ!

 

「え!?いや、も、モチロンわかってたよ!うん!全然知ってた!うん!そんなの当たり前じゃん香取姉ぇ!」ガタガタ

 

いや、鹿島先生は心底ビビってた、俺にはわかる、アレはマジだった

 

「………まぁいいでしょう、あと鹿島、香取姉ぇはやめなさい」ギロッ!

 

「は、はい、スイマセン…もうしません」ガタガタ

 

………しかしあの不気味な人形、妖精の仕業とは、っーかメルヘンじゃあるまいし、妖精なんているワケないんだが…

 

香取先生はバラバラにしたカ●コブリーナのそばに近寄ると、ナニかを拾いあげた?

 

『ギャース!タスケテー!』

 

「アナタ工廠の妖精ですね?少々イタズラが過ぎるようですが…」

 

『アカシデス!マスター・アカシカラコノソーコヲシラベルヤツヲハイジョシロトメーレーサレマシター!』

 

「なるほど…」

 

ーーー

 

みんなの店、アカシメイト…

金と権力が本当に好きで好きで仕方ない人間のプリミティブな部分を集めた明石の経営する小売店である…

 

「あー……本当に金が欲しい」

 

今日も菓子パンと雑誌と遊●王カードぐらいしか売れず、店のカウンターで暇そうに日課の帝●データバンクと全国倒産情報を見ていた明石………そこへ

 

「いらっしゃ…ゲッ!テイトク!?」

 

「よぉ…明石ィ〜…」

 

「きょ、今日はナニをお求めで?ジャ●プですか?」

 

「………カポエラ」

 

 

この後、明石は怒りの爆裂拳でメチャメチャに破壊され、全治一週間の医務室送りになった…



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白露と有明と厳しい試練【無限間宮編】

提督不在のアホの子激突編

【登場人物】

有明(初春姉妹)
最近配属された新人、五月雨曰く、昔、近所に住んでたらしく白露が好きで好きでしょうがない真性こじらせストーカーの残念なイケメン

白露(長女)
大抵のことは我慢できる、長女だから


暑いのやら寒いのやらよくわからない秋の日…

甘いモノも辛いモノも取り扱う高級グルメスウィーツ店、マミー屋…

 

「久しぶりだね、ツユ」

 

「あー…ホント久しぶりだねー、髪切った?」

 

窓側のテーブル席に座るツユ、そしてボクはミルクは3つだったかなと言いつつ冷静さを装おっているが………内心は違う、正直、めっちゃ可愛い、めっちゃ可愛い!もしかして髪伸ばした?いいよ!すごくいい!キミにとっても似合うよ!すごくチャーミングさ!嗚呼、メチャメチャ可愛い!ツユ!可愛いすぎ!ダメだ…っ!もう鼻血が出そう…!可愛い過ぎて直視できないよ!

 

「ハハハ、ちょっとね、それよりツユは髪伸ばしたの?」

 

「あー…伸ばしたってか、伸びた?」

 

「ハハハ」

 

幼馴染みのツユを追いかけ、この基地へとやって来たボクだったが………やはりツユは可愛い、めっちゃ付き合いたい!正直、めっちゃ付き合いたい!

 

そうだ!ボクはその為にここに来たッッッ!!!

 

ツユの“愛”がッッッ!!ボクは欲しいッッッッ!!

 

「ハハハ…」

 

…………よし、決めた、告ろう、今すぐ告ろう!

 

「ツユ、実はキミに大事な話が…」

 

「あ、時雨じゃん?珍しい」

 

背後からボクの肩に手を置かれ………振り返ると、そこにはツユの妹が立っていた

 

「やぁ白露姉さん、ちょっとコイツ借りていいかな?」

 

ボクの肩に置かれた手から感じる確かな確信、有無は言わさないと…

 

「ハ、ハハハ……ゴメン、ツユ、実は時雨と約束をしていたコトを思い出したよ」

 

「あ、そうなの?へぇ~」

 

「この埋め合わせはまた今度するよ!」

 

ーーー

 

執務棟の裏………通称カツアゲストリート!

時雨に付いて歩いた先にはおあつらえ向きに人通りの少ない場所…

 

「キミもしつこいな、まさかこんなところまで白露姉さんを追ってくるとは」

 

「フッ、それだけ本気ってコトさ」

 

ツユには妹が9人居るが……その中でもツユのすぐ下の妹、時雨、コイツはどうにもボクがツユと仲良くするのを嫌っていた…

 

「命令は1つだ、白露姉さんには近づくな」

 

「ハァ?キミには関係ないだろう?そもそもシスコンもたいがいにしろよ!」

 

ボクは渾身の右ストレートをクサレシスコンの時雨に放つ、そのキレーな顔をフッ飛ばしてや…

 

ズタンッッッ!!!(転倒)

 

「~~~~~~ッッッッ!!」

 

え…?ナニ?コケた?ボク……が?なんで?

 

「僕の命令は絶対だ、逆らう者は提督でも許さない」

 

ま、まさか……!!これが噂に聞いた時雨の能力、アンクルブレイクッ!?って、ぶべらぁ!!

 

「頭が高いぞ、僕を見下ろす事を許しているのは西村艦隊のチームメイトと白露型の姉妹だけだ、あと、そもそも自分の事をボクとか言ってるのもムカつく」

 

転倒するボクに容赦ないサッカーボールキック連打が…!って痛い!痛い!ごはぁ!ぶばぁ!!……痛い!マジ…ちょ、まて、待って………

 

◆◆◆

 

甘いモノも辛いモノも取り扱う本格グルメスウィーツ店、マミー屋…

 

「やぁ…ツユ」

 

「どしたのそのケガ?あ、もしかして階段から落ちたとか?」

 

ツユの妹、サイコシスコンの時雨にボコられて数日後、ボクとツユは再びここで会っていた…

正直、傷はめっちゃ痛いけどそれ以上に、ツユは可愛い…

 

ポンッ…(肩に手ェ…)

 

「有明ェ…久しぶりっぽい、ちょっとツラ貸せっぽい」

 

夕立ィィィィィ!!!

 

「………ハハ、ゴメンね、ツユ、ちょっと夕立と話があってね、また今度…」

 

なんなんだよ…っ!!え?ナニ!ボクなんかしたの!?

 

ーーー

 

執務棟の裏………通称カツアゲストリート!

夕立に付いて歩いた先に不自然なぐらい人通りの少ない場所…

 

「あの……なんの用かな?」

 

正直、ボクはこの夕立と1つ上の妹、村雨は苦手と言うか……いや、むしろめっちゃ嫌いだ、昔からプロレスごっこしよーぜ!とか言って絡んできてはDDTやSSDなどあきらかにごっこでやってはならない技を平然と使用しゲラゲラ笑ってる野蛮人だからね

 

「えー……なんっーか、アレよ、アレ、時雨様から身分の違いを教えてやれって言われたっぽい」

 

「時雨…?」

 

あのアマァァァァァ!!ってか様?妹から様付けされてるのかあのアマ!

 

「ま、そーゆーワケっぽい」

 

「ま、待て待て!待ってくれ!見ての通り、ボクはベストなコンディションじゃない!」

 

「ハァ…?」

 

そう、ボクは時雨にボコられて未だギプスがとれていないし松葉杖もかかせない状態……明らかにファイトができる状態じゃあない

 

「そんなボクを痛めつけるなんて外道な真似、君にはでき…」

 

ゴシャアッ!(殺人右ストレート)

 

「ゴハァ!!」

 

「ギャハハハ!そんなモンは関係ねぇぜーッ!!」

 

◆◆◆

 

甘いモノも辛いモノも取り扱う三つ星グルメスウィーツ店、マミー屋…

 

「やぁ…」

 

「なんかケガひどくなってない?」

 

狂犬夕立から盛大にボコられて数日後…

ボクは痛む身体に鞭を打ち、再びツユとカフェデートに来ていた…

どんなに身体は痛くても、やっぱりツユは可愛い…そうさ、ボクはあの日出逢ってしまったんだ、キミと言うエンジェルに…

 

ポンッ…(肩に手ェ…)

 

「はいは〜い♪白露姉、ちょっとコイツ借りるねぇ〜」

 

空間を満たすハジけるビッチ臭ッッッ!!間違いない……コイツは、村雨ェ!!

 

「別にいいケド…ってか有明、妹達と仲良いんだね」

 

「あ、いや…そう言うワケじゃ…」

 

「まぁいいや、今日は私が払っとくから、有明、またねー」

 

「ハハ…うん、また…」

 

ーーー

 

執務棟の裏………通称カツアゲストリート!

村雨に付いて歩いた先はもはやお馴染みの人通りの少ない場所…

 

「一応聞くケド………時雨?」

 

「最近丸くなったとは言え、時雨様から僕の命令は絶対だって言われるとねぇ〜」

 

丸くなった?アレが?どこがだよ!!子供の時よりなおタチが悪いわ!ってかやっぱりコイツも様付けなのか…

なんなんだあの拗らせ妹!

 

「見ての通り、ボク、重傷なんだけど?」

 

「だからぁ?来週の村雨には関係ないんですけどぉー?」

 

村雨は手にしていたチェーンをブンブン振り回しサディスティックな笑みを浮かべている、前々から思ってたけど、キミ、艦娘辞めて悪の女幹部にでも転職した方がいいよ

 

「……ハァ」

 

そうさ、でもボクは負けない……最強がなんだ、最愛の前には最強なんて…

 

「いいよ、やろ………ぶべらぁ?!!」

 

「え?ナニ?今、なんか言ったー?ねぇ?ノックしてもしもーし?ギャハハハハハ!」

 

◆◆◆

 

甘いモノも辛いモノも取り扱っていない駆逐艦寮、初春様の住む雅な部屋…

 

「ハッ…!?」

 

目を覚ますと、医務室ではなくボクの部屋……いや、違うな、ここはボクの部屋じゃなく姉さんの…

 

「この短期間に立て続けに3連敗か…オマエ、ホントに妾の妹か?」

 

「は、初春姉さん…」

 

部屋の主にして僕の姉、姉妹の長女である初春姉さんは手にした扇子を雅に閉じたり開いたりしつつ何やら短歌集みたいな古くさそうな本を眺めている…

 

「有明よ、武から身を退いたらどうじゃ?」

 

「で、でも姉さん!!ボクは!」

 

退くワケにはいかないッッッ!!何故ならボクはツユが大、大、大、大、大、大、大、大、大、大好きだからッッッ!!!

 

こればかりは、いくら雅な姉さんにも絶対に譲るコトはできないんだッッッ!!

 

「ほぉ〜……ならヤってみるか?憎き恋仇と?」

 

「恋仇…?」

 

「テイトクとじゃ」

 

テイトク………そうだ、あの男だッ!思えばあの男がいるせいでツユはボクを見てくれないんだッ!!

 

「姉さん」

 

「なんじゃ?お腹痛いからやめるか?」

 

「ヤるよ」

 

「ハァ?ヤると?テイトクと?よかろう、子日、あやつに伝えよ、ウチのバカ妹がおぬしとヤりたがっとるとな」

 

「あの…姉さん、それだとなんか語弊が…」



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提督と神風と性と死の狭間

キレる長女の遁走曲

【登場人物】

提督(嘘吐き)
大人だからすぐ嘘を吐く

神風(長女)
戦隊カラーリング姉妹、神風姉妹の長女でレッド
戦隊ヒロインエ●ゲーのレッドはだいたいア●ルで堕ちる


「フーッ〜………」

 

良い天気だ、春は夜桜、夏には星、秋には満月、冬には雪、それで十分タバコは美味い……もしそれで不味いのなら、たぶん肺とか病んでるのだろう

そんな粋なコトを考えつつ喫煙所でタバコを吸っていると、大正浪漫にア●メの嵐みたいなハイカラな格好をした小さいのが小走りしているのが目についた…

 

「よぉ、人斬り大好きな抜●斎クン、トイレかね?」

 

「誰が人斬り大好き抜●斎よっ!神風!私の名前!いいかげんにしなさいよアンタ!」

 

上司として、部下との気さくなコミュニケーションでもとろうと声をかけてみたが、ハハッ!コイツは噛みつかれてしまったな!

 

「あっちのトイレなら今満室だぜ、今空いてるのは800メートル先の誰も使いたがらない小汚いボットン便所だな」

 

「嘘っ…!?っっ……ってか、別に厠に用事じゃないし」

 

小股をモジモジさせつつイキがってみる神風クンだが、しかしどうにも嘘が下手だな、この娘は、いや…純粋過ぎるから故に己の血刀の先に新時代があると信じていたのだろう

 

「まぁ、嘘だが」

 

ビタンッ!!(平手打ち)

 

「しょーもない嘘つくなァ!!」

 

スナップの効いた良いビンタだ、とても!とても良し、こーゆー健康的なビンタができる彼女はとても健康なんだろう、俺は俺の頬を打ったその右手をとり…

 

「この味はおしっこを我慢してる味だぜ」ペロリーヌ

 

「ヒイィィ!?」

 

ビタンッ!!ビタンッ!!(往復平手打ち)

 

「このヘンタイ!ヘンタイ!ヘンタイ…っ!」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ」

 

「クッ!次しょーもない嘘ついたら木の棒で滅多打ちにするからね!」

 

神風クンはプンスコ怒りながら廊下の先にあるトイレの方へと去って行った…

 

ーーー

 

「フーッ〜………あ、彗星かな?」

 

いや、違うな、彗星はもっとバァッ!って爆装積んでるモンな、アハハハ…

そんな空を舞うシュールな彗星を眺めつつ引き続き喫煙タイムを謳歌していると、お便所様から出てきたらしい神風クンがナニやらイライラした様子で歩いていた…

 

「よぉ、緋村クン、どう最近?人、殺してる?」

 

「殺すかっ!!ってか誰よ緋村クンって!」

 

オイオイ、コイツは元気ナナメだなオイ、トイレに行ってスッキリしたんじゃあないのか?いや、この機嫌の悪さ、まさかスッキリできなかった…?つまりそれはアレだ、アレ

 

「便秘かね?」

 

「なんでよっ!!ってか仮に便秘でもそんなの提督に言うワケないでしょ!!」

 

「なんだ?違うのか」

 

ならアレか、トイレに到着したはいいが便器にセットする前にダムが決壊し、愛用の赤フーンがビチョ濡れになったと………いや、紳士たるものこれ以上の詮索はあまりに無粋、ここは神風クンのPRIDEを刺激しないように当たり障りのない甘い言葉を囁くのがBEST…

 

「大丈夫、たかがションベンじゃないか?むしろマニアなら高値で引き取るのだよ」ニカッ!

 

「ごめんなさい、提督が言ってるコトの意味がまったくわからないわ、あと、その笑顔ムカつく」

 

「まったく、困ったプリンセスだ、でもそこがキミのチャーミングなところさ」

 

「そのワケわからないヨコモジ伴天連語チョイチョイ交ぜるのもやめてくれる?意味はわからないけどなんかムカつくから」

 

まったく、未だに絶賛鎖国中なのかねこの子は、文明開化に乗り遅れちまってるYO

 

「で?神風クンはナニをそんなにイライラしているのかね?良ければ提督に話してみなYO、1人でクヨクヨ悩まずにSA!」

 

「クッ!鬱陶し……!ってか馴れ馴れしく触らないで!」

 

「まぁまぁ、なんならチョコレートでも食べるかね?」

 

俺は上着のポケットに入れていたオールシーズンチョコを神風クンに手渡した

 

「ナニこれ?食べていいモノなの?」

 

「まさかオールシーズンチョコをご存知でない?」

 

「クッ…!知ってるわよ!アレでしょ、おるしずーちょこ!そのぐらい常識よ!」

 

神風クンはオールシーズンチョコの包み紙をワイルドに剥がし、中身を口に放り込んだ…っ!

 

「………まぁ、チョコね、味は変だけど」

 

「失礼な」

 

準チョコレート生地を糖衣し暑さ寒さに強く一年を通して販売できるグレートなスグレものですよ、コイツぁ

 

「それで?何をイラついていたんだい?プリンセス」

 

「うるさい、ってかそのぷりんせすってナニ?どーせバカにしてる系でしょ?」

 

「してないのだよ、決して」

 

「いーや!してる!ゼッタイしてる!どーせバカとかそんな意味でしょ?」

 

まったく、疑り深いサムライガールだなオイ、いや、むしろこの隙のなさが維新志士と言うヤツか…

 

「まぁいいわ、別にイラついてたワケじゃないけど……ちょっと考えるコトがあったのよ」

 

「ほぉ、尿のキレが悪いとか?」

 

「違うわ!!ったく………ほら、アレよ、アレ!最近の厠ってどこも洋風じゃない?」

 

最近のトイレではなく最近の厠とはなかなか聞ける単語ではないのだよ

 

「たしかに、今や和式は減っているのだよ」

 

一説には、今の若い子はそもそも和式トイレを使用した事がなく、和式トイレの利用方法がわからないとも聞く…

 

ちなみに、当基地でも和式洋式と両方のタイプを取り揃えているが、各場所の標準的トイレ個室割合的には洋式4の和式1ぐらいと和式の割合は少なめである

 

「まぁ、洋式がイヤってワケじゃないんだケド……なんかこう、しっくりこないと言うか…」

 

「なるほど、個人的には神風クンにはスマートな洋式よりも一生懸命ふんばってる姿の方がメチャメチャ興奮するのだよ」

 

ビタンッ!!(平手打ち)

 

「死ねッ!!」

 

再びスナップの効いたビンタを浴びた俺だったが、身体の硬度を調節することによりダメージを緩和した

しかし今の話、神風クンのどこに怒る要素があったのだろうか?

 

「ったく………あと、ほら、アレよ、洋式ってなんか横に変なボタンがあるじゃない?」

 

「まさか、ウォシュレットをご存知でない?」

 

「うぉ…うぉしゅ…?ナニよそれ…?」

 

さすがは現代に生きるのラストサムライ神風クンだ、まさかウォシュレットのボタンが怖くて押せないとは…

 

「横のボタンを押すとア●ルを洗ってくれるボタンなのだよ」

 

「…はぁ?ナニその機能?」

 

俺は神風クンにウォシュレットについて懇切丁寧に説明してやると、初めはよくわからなげに聞いていた神風クンもなんとなく興味を持ったらしく、ふんふんと頷いていた

 

「…なるほど、そんな機能があるのね」

 

「わかってくれて嬉しいよ、どうだね?ここはひとつ、練習してみては?」

 

「練習って……や、別に、さっき厠には行ったし…」

 

「オイオイオイ、ここでビッ!と使い方をマスターすれば妹達に自慢……いや、長女の威厳が保てるとは思わないかね?」

 

「長女の威厳………た、たしかに、アサもマツも長女に対して鎖国女だの文明開化してないだのバカにしてる感があるわね…」

 

神風クンは少し考えた後、よし!やるわ!とベンチを立った、相変わらずチョロいなコイツ…

 

「OK、そのイキさプリンセス!いいかい?妹達に舐められない為には水勢を“強”にするんだ!」

 

「強ね!わかったわ!」

 

そう言って神風クンは勢い良く走り出し、俺はその小さな後ろ姿にgood anal acmeとエールを贈った…

いや、良い事をした後は実に気分がいい…

 

 

数分後、執務棟の方から絶叫が聞こえてきたがモチロン俺は悪くない、その後、怒り狂った神風クンから木の棒で怒涛の九頭●閃三連発を浴びTOUGHなコトに定評のある俺もKOされた



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有明と恋するアステロイドブルース

恋!そのステキな感情がボクを行動させた!

【登場人物】

有明(残念イケメン)
スーパーハンサムボーイズとは違うベクトルの残念な存在
のわっちを見習った方がいい

2020夏イベント同期会(10人)
史上最大数の新規配属を誇る同期の10人
ゴトランドさんと岸ちゃんみたく、意外と仲の良い同期は他にもいるとかいないとか…



圧倒的な才能を持つ白露型キセキの世代、その天才達の前に完膚なきまでに惨敗を喫した初春姉妹の五女、有明…

普通の駆逐艦なら天才達と凡人、才能の差を見せつけられ戦意を失い、心折れて敗北を受け入れるのだが……

 

彼女は違ったッッッ!!

 

「クソッ!キセキの世代ってのはどいつもコイツもふざけたヤツばっかだッ!!だが…」

 

彼女の心は折れなかった、いや、むしろさらにその剥き出しの闘争心とモロ出しの恋心に火を点けたのだったッ!!

 

ーーー

 

本日のオススメは間宮ザ・スペシャルNo.11“目覚めの直前、柘榴のまわりを一匹の蜜蜂が飛んで生じたパンケーキ”…

 

そんなゴキゲンなメニューを提供する本格派高級スウィーツ店マミー屋に集まった10人の生まれも育ちも艦種も違う多種多様な艦娘達……

 

「みんな、今日はボクの為に集まってくれてアリガトウ!」

 

生まれも育ちも艦種も違う……しかし、彼女達には1つの共通点があった、それは………同じ基地に!同じ時期に!同じ日に!まるで運命に導かれたようにここに集まった…

 

ひらたく言えば、同期である

 

そんな2020夏イベント同期会の席で、有明は立ち上がり集まった仲間達に深く頭を下げた…ッ!

正直、来てくれるとは思っていなかった…ッ!しかし、みんなは来てくれた!だから感謝したいのだ!

 

「そうカタくなるなよジャパニーズ!」

 

「ダコタさん…」

 

MAJOR出身、メンバーの中でも最大火力を持つ戦艦、サウスダコタはニカッ!と笑いオマエらもそー思うだろー?と場の雰囲気を和らげてくれた…

 

「それで?私達に相談したいコトって?」

 

同じくMAJOR出身、広い視野と冷静で的確なスナイピングでメンバーを常にサポートしてくれる頼れるお姉さん系お姉さん、ホーネットはコーヒーを一口啜ると有明に視線を遣った

 

「…………たぶん、みんなも知っての通り、ボクは負けた」

 

「あー…なんか聞いたわ、それ」

 

「松のアネゴ、物知りぃ〜」

 

松と4号だけではない、皆、知っているのだ……有明が白露姉妹にボコられた事実、それはもうマジでボコボコにされ、実の姉である初春にすら武から身を退けとディスられた始末を…

 

「でも、ボクはヤろうと思うんだ………アイツと」

 

「アイツ〜?」

 

「ヨナさんヨナさん、たぶんテイトクのコトですよ」

 

美味しそうにティラミスを食べていた47の口の周りを拭く万全のサポート体制を見せた薄雲はついでに自分のオレンジジュースを47にどうぞと手渡していた…

 

「そう、でも今のままじゃボクは勝てないッッッ!!」

 

ボクはアイツに勝ちたいッッ!!勝って!そして…!!

 

「そしてツユに!!ツユに………えぇと、ほら、アレだよアレ、まぁ、ボクの気持ちをツユに伝えたいと言うか、ほら!わかるだろ!」

 

「(ヘタレた…)」

 

わかっていても口には出さない優しさ、そんな優しさが屋代にはあった…

 

「だが…!悔しいけど、今のボクではたぶん勝てない……たぶんね」

 

ゼッタイとは言わない、もし万が一にも勝てる可能性はある、だからこその、たぶん

有明は改めて集まった全員に頭を深く下げる…っ!!

 

「勝ちたいんだ…っ!!ボクは!!だがボク1人の力ではきっと勝てない、だからみんなの力をボクに貸して欲しい!!」ペコォ!

 

どこか甘えがあった、ボクなら勝てると……だが結果はキセキの世代に圧倒的力の差を見せつけられての惨敗、有明とてヤツらの力と才能を知らなかったワケじゃない、だが……それは過去のものであり、海軍に入隊し、さらに進化した彼女達の力は想像をはるかに越えるまさしくバケモノ…

 

そして、そんなバケモノどもを率いているあの冴えないメガネ男子…

 

そんなバケモノどもに勝ちたい!!有明は力強く言葉を振り絞ると、ちょっといいかしら?とエレガントに挙手してヘレナが立ち…

 

「勝ちたいじゃない、勝つのよ!!」カッ!

 

「へ、ヘレナさん…!」

 

「ハナシはわかったわ、その心意気や良し!熱意や良し!HelenaはモチロンOKよ、それで…?貴女達は?」

 

ヘレナの言葉に、集まったメンバー達はヘヘッと鼻の下を掻いたり水クセーなオイとそれぞれ答えるまでもないと笑った

 

「みんな、みんなぁぁ……アリガトウ!アリガトウ…っ!!こんなボクにアリガトウ!」

 

生まれも、育ちも、艦種も、国籍すら違う仲間達……有明は仲間達とのアツい友情に、心の底から感謝した、謝りたいと、感じているから“感謝”と言うのだろう…

 

「ヘヘッ、感謝するのはまだはえーぜジャパニーズ」

 

「そうよ、Helena達は厳しいわよ!Hornet、アナタのコトだからもうナニかPlanを考えてるんでしょ?」

 

「えぇ、とっておきのヤツを、ね…」

 

………こうして、有明は仲間達とのアツい友情の甲斐あって、マサカリの重さを持ったサーベルだのキミだけがMAJOR144年の歴史を一歩先んじるだのアツい話し合いがここマミー屋で開催された…

 

ちなみに、今日の同期会、迅鯨は腹痛で欠席したので迅鯨の席は屋代が持っていたイルカのヌイグルミを座らせた

 

◆◆◆

 

「本日のオススメは間宮スペシャルNo.11“目覚めの直前、柘榴のまわりを一匹の蜜蜂が飛んで生じたパンケーキ”です」

 

「ティラ・ミスとコーヒー2つ」

 

「本日のオススメは間宮スペシャルNo.11“目覚めの直前、柘榴のまわりを一匹の蜜蜂が飛んで生じたパンケーキ”です」

 

「いいから早くしろよダボ、モタモタすんなデブ」

 

アマイモンも辛いモンも扱う実力派高級スイーツ店、マミー屋…

今月から秋のイベント、グルメ感謝祭2020を開催中らしくお高価いのにわりと多くのバカどもがこのマミー屋へと来ており、なんかあっちの方で団体様が楽しそうにおしゃべりしているらしい…

 

「伊良湖ちゃん、金属バット持ってきて、早く、そうそれ、早く、私の理性が残ってる内に」

 

ティラ・ミスとアツアツのコーヒーの代金を支払い、商品を無事に受け取った俺と秘書艦サミー子は団体様とは離れたテーブルに着席した

 

「一応聞きますけど、大丈夫ですか?それ」

 

「ご覧の通り、大丈夫ではないよ」

 

今しがた受けた頭部への金属バットに、頭から血がドクドク流れているが……まぁ、甘いモン食ってエネルギー充填すれば回復するだろう、たぶん

 

「久々に食べるとやはりマミー屋さんは美味しいですね、お高価いだけあって」

 

「まぁな、お高価いだけはある」

 

あのクソ女、給糧艦だからってお高くとまりやがって……いつかあのデカ尻に無責任挿入してヒィーヒィー言わせてやるわい

 

「と言うかあの席、なんか提督を殺す相談してるみたいですけど…」

 

「ガハハハ、元気があって結構じゃないかね、ガハハハ」



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提督と夕張と野望の全宇宙ツ●ル人化計画

DANDAN心を惹かれる世代推奨

【登場人物】

提督(テイトク強度1000万パワー)
完璧である故に、艦娘を下等と見なす完璧提督

夕張(天災)
科学にできないコトは100億パーセントないです


暑さも寒さもない秋の陽気な執務室…

 

「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

「ほぉ…」

 

芸術とは何か?真の美とは何か?そんな高尚な事を考えつつサザ●ーズのオークションカタログを眺めていると、芸術だの美しいものにはまるで縁が遠い存在であろうヘソチラ軽巡がヘラヘラ笑いながら執務室にやって来た…

 

俺の芸術に対する真摯な時間にわざわざやって来て何故コイツはそんなにヘラヘラしているのか?その、あまりにステキな衝動に駆られた俺の身体は自然と動き、夕張の背後にスピーディーに回り込んで身体を上下反転させ逆さまにした状態で両腕を抑え、尻から床に勢い良く落下する裁きの技を叩きつけた!!

 

「ハワーッ!!」

 

ガガァン!!(ジャッ●メントアヴァランチャー)

 

「ウッギャアー!!!」

 

裁きの技で両腕を破壊された夕張はウギャギャギャアーッ!だの叫びつつ床を転げ回り壁に激突した

 

「どうせロクでもねーモンだろ、オラ、見せてみろ、そのくだらねー新アイテムってヤツを」

 

「クッ……さすがは提督、挨拶にも容赦がない」

 

裁きの技で両腕を破壊したにもかかわらず、夕張はゆらりと起き上がるとまるで殺人技を受けてなお相手の実力を愉しんでいる時の陸奥のようにニィ…と笑って立ち上がった

 

「今回はロクなモンですよ、えぇ、自信作ですから!きっと提督も気に入ってくれます!」

 

「マジか、性欲処理機能搭載の金髪巨乳御奉仕メイドロボか?それとも褐色巨乳でエルフ耳の愛玩隷奴人形か?」

 

「いえ、どちらでもないです」

 

「んだよ、チッ!期待させやがって……じゃダメだな、見るまでもない、廃棄処分だ、廃棄処分」

 

「ちょ!待ってくださいよ!せめて一目!一目だけでも見てやってくださいよぉ!」

 

「ならんならん!興味が失せた、えぇい!離せ!離さんか下郎め!貧乳如きが今迄生かしておいてやった恩を忘れおったか!この、カテゴリーFめ!」

 

俺は頼みますよぉと縋る夕張の腕を振りほどき、ついでに両腕を極めスピンダブルアームでミスミス廻してダブルアームスープレックスを叩きつけて両肩を破壊した

 

ガガァン!!(ス●ンダブルアームソルト)

 

「ウッギャアーッ!!」

 

「わかったら消えろ、命がある内にな」

 

「…たとえ提督の命令と言えど……その命令、聞けません」ユラァ…

 

「コ、コイツ…!」

 

まだ小●宙(コ●モ)を燃やし立ち上がると言うのか!?たかが軽巡のボウヤと侮っていたが……どうやらその身体をバラバラにしない限りは立ち上がってくるらしいな!いいだろう!ならば望み通りに二度と立ち上がるコトができないようにしてくれる…っ!

 

「そもそも提督、御奉仕メイドロボとか欲しいんですか?」

 

「フッ、紳士ならば当たり前だろう?そりゃ男なら誰だって欲しいさ」

 

もし仮に、御奉仕メイドロボが欲しくないと言う男がいるならば、そいつは男じゃねぇ……男ってのはいつだって夢と浪漫を求める生き物なのさ(※個人の意見です)

 

「まぁ、そんなに欲しいなら今度作ってみますよ」

 

「マジかオマエ!!絶対だぞ!マジの絶対だぞ!約束したからな!マジで絶対約束だぞ!!」

 

マジかコイツ!!マジで作れるのかオイ!俺は夕張をアツく抱きしめてアリガトウ!夢を諦めないでアリガトウ!とアツい涙を流した

 

「わかった!わかりました!わかりましたから!ちょ!離してくださいよ!今汗臭いんで…」

 

「汗臭いがなんだ!フ●ブリーズか!」

 

「や、そこはせめてシーブ●ーズでお願いします」

 

ーーー

 

………-そんなワケで、前置きの前置きは非常に長くなったが今回のハッキリ言って自信作シリーズ、狂気のスーパーサイエンスマッド軽巡夕張はハッキリ言って自信作とやらが入ったシートをベリベリっと剥がした…

 

「今回開発しましたのはかつてサ●ヤ人に絶滅させられたツ●ル人の遺伝子を組み込んだネオ・マシンミュータント、ベビー様です」

 

「…足があるな」

 

「えぇ、足なんか飾りです」

 

いつもの様式美を交わし、改めてベビー様とやらを見てみたが………ネオ・マシンミュータントとかワケのわからん生物だなオイ、っーかなんかキモいなコイツ

 

「ちなみにこのベビー様、自分の身体をゲル状にして敵の体内に侵入して対象を支配するコトができます」

 

「見た目通りにキモい能力だなオイ」

 

「しかも寄生された相手の体内に卵を植え付け、脳を支配しベビー様に絶対の忠誠を誓うようにできます」

 

「地味に厄介な能力だな」

 

だいたいナニがベビー様だっーの、ベビーのくせに様付けとか舐めてんのかコイツは?ウチの子大好き過ぎバカ親かっーの

 

「そしてベビー様は今こそ“全宇宙ツ●ル人化計画”を果たすべくまずは地球人どもをツ●ル人にし、故郷である惑星プラントに移住させ全宇宙の王に…」

 

「オイ夕張、オマエナニ言ってんだオイ!」

 

「ベビー様こそ全宇宙の王に…」

 

コ…コイツ!!既にベビー様に支配されているのか!?マズいぜコイツぁ…今!この場に居るのはヤバい!

そう感じた俺が席を立とうとすると、執務室の扉を開き新たなる侵入者達が現れたッッ!!

 

「ハッハッハー!この基地は既にベビー様のものだぁー!」

 

「オマエもベビー様にしてやろうかー!」

 

「清霜!リベッチオ…!オマエ達まで…ッ!!」

 

クッ!既に全宇宙ツ●ル人化計画は始まっていたと言うのか…!!クソッ!おそらくこの基地で無事なのは俺、そして朝から俺と共に居た秘書艦サミー!

 

「サミー!ここは一旦退くぞ………って!!いねーし!?」

 

あの野郎!!いつの間に逃げやがったァァァァァ!!クソッ!なんてヤツだ!

 

俺はとりあえず窓から外に向かってダイヴし、外へと飛び出したッッッ!!!

 

「とうっ!!そして美しき、着地!」

 

「あら?Mon amiralじゃない?ナニしてるの?こんなところで?」

 

「オマエは……リシュリュー!!」

 

窓の外に飛び出したそこに、たまたまだろうか?マミー屋の高級ソフトクリームを手にしたリシュリューが通りがかった!

 

「気をつけろリシュリュー!ベビーだ!」

 

「ハァ…?baby…?」

 

クソッ!ヤツめ、支配して洗脳だと?地味とか言って悪かった、かなり厄介な能力じゃねーの、俺はリシュリューに夕張が作り出した恐怖のネオ・マシンミュータントについてざっと説明した…

 

「なるほど………それ、ニホンのアニメでなんか似たようなの見たコトあるわ、アキラ・ト●ヤマのやつよね!」

 

「そう!たぶんそれ!」

 

「フッ、Mon amiral…このRichelieuに任せなさい、そんな他人に寄生しないとナニもできないクソヤロー、ギタギタにしてあげるわ!」

 

すげぇなコイツ、ギタギタにするとか今日日ジャイ●ンでも言わないんじゃねぇのか?

 

ギタギタにしてやる、そう言ってリシュリューはブッ殺してやるぞクソッタレ野郎がー!と叫びながら執務棟の方へ走って行き………

 

『『フッフッフ、これが戦艦か…なかなかのパワーを感じるぞ!最強と自称するだけはあるなー!』』

 

思いっきり乗っ取られ、リシュリュー・ベビーになって帰って来た…

 

『『フッフッフ!死ね!ビ●グバン・アタック!』』

 

どう見てもファイナルフ●ッシュのポーズでビ●グバンアタックと言ってるあたり、たぶん寄生主も寄生先も頭が悪いのだろう…

 

「クソッタレェ!!最悪だぜ!」

 

ブルルルルル…ブルルルル…(携帯電話)

 

「ハイもしもし?五月雨か?ハンサムな提督は今取り込み中ですけどー?」

 

『あ、もしもし?提督、まだ生きてます?今そっちに武蔵さん行ったので、バーン!とやっちゃってくださいって言ってますから』

 

「あ?オイ、もしもし?もしもーし?アイツ切りやが…」

 

 

この後、絶体絶命のピンチにかけつけた武蔵と夕張の作ったブ●ーツ波増幅装置でなんかデカくなったリシュリューとの激しい闘いの末、武蔵のあまりの強さに、こりゃいかん!とリシュリューから分離したベビーは武蔵の51㎝砲の直撃を受けて太陽までブッ飛ばされて行った…

 

ちなみに、ベビーに洗脳されていた夕張、清霜、リベッチオは自販機で買った超炭酸水をBUKKAKEたら元に戻った



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提督と飲んだら吐くな吐くなら飲むな

ルールを守って楽しい飲み会

【登場人物】

提督(まっことクズ)
基地クズ大人の2トップの一角、ちなみにもう1人は明石

春雨(真)
白くない方のピンクの春雨




「ママ聞いてくれよォー!俺昨日、お馬さんで勝っちゃってさぁー」

 

「フーッ〜…そりゃ良かったさね、溜まってるツケ全部払いな」

 

夜に輝く煌びやかな光は時に、男も女も魅力する…!酒!女!ドラッグ!世の中良い子ちゃんだけで回っているワケじゃない、ちょっとオトナの世界には常に危険と、目移りしちまうようなワクワクが待っている…っ!

 

「よっしゃあ!!オマエら今日は提督様の奢りだ!今夜はノーブレーキだぜーッ!」

 

「ウェ〜イ!ノーブレーキだぜぇ〜!」

 

「ノーブレーキでいいんですかぁ?イッちゃっていいんですかぁ?」

 

右にポーラ、左に14、これは最早常識とも言える完璧なる常勝の布陣……右手にポーラっぱい、左手にイヨティンの太腿、守りより攻撃!点を取られるならそれ以上に点を取ればいい!超攻撃型陣形の完成である…

 

「ハイ!ポーラくんの!ちょっとイイトコ見てみたい!ハイ!ハイ!ハイ!」

 

「ウェーイ!ポーラさんウェーイ!」

 

「〜〜〜〜〜〜〜ッ!!ゲープ〜……ウヒ、ウヒヒヒ…ウヒャヒャヒャ」

 

◆◆◆

 

………さて、昨日の夜はナニしたっけか?たしかママんトコでポーラとイヨティンと飲んで、何時だったか覚えがねぇけど叩きだされて、それからカラオケすっかとかなんとかハナシして基地の外に繰り出して〜………あぁダメだ、頭痛てぇし、っーか気分ワリーわ、とりあえずタバコでも吸ってから考えるか

 

キンッ!!シュボッ!!ジジジジ………

 

「フーッ〜……」

 

よし、落ち着いた

俺は紳士なのでたとえ酔っていても軽率な行動は決してとらない、決してだ、だから今、隣に全裸のポーラが転がっていようが全裸でベッドから転げ落ちて寝ゲロしてるイヨティンがいようが間違いは決して起きていないし起こしてなどいない

 

前に時雨様が“僕の行動は絶対であり絶対は僕だ”と言っていたが、まさに今、それを見習うべきであろう

 

「フーッ〜…とりあえずだ」

 

まずはシャワーを浴び、スッキリしてから行動に移そう

考えられる最悪のケースはこの状況を誰かに見られるコトだ

 

以前、似たようなコトをやらかしてザラ姉ぇとヒトミちゃんにウチのお嬢を傷モンにしてタダで済むと思うちょるんかダボがと追い込みをかけられた事がある(※第402回 ハッスルリターンズ前編参照ですの)

 

しかし焦る事はない、俺は知性溢れる提督だ、今までもどうしようもないピンチはあったし、そのピンチを何度だって乗り越えてきた帝王なのだ

 

シャワーを浴び、まずはスッキリしたところで部屋に戻ると………

 

「おはようございます」

 

「うむ、オハヨウ」

 

見ただけでマグマのようにアツアツであるコトがワカるコーヒー、パリパリと音を立てジューシィーに焼けた食パン、半熟のドロっと感より硬めの方がお好みな俺好みに仕上がった目玉焼き、そして………山盛りのキャベツ

 

ゴキゲンな朝食だ…

 

「さて、春雨クン」

 

「なんですか?」

 

「キミ、昨日の夜はどこに居たのかね?」

 

「夜中にバカ笑いしながら女連れで帰ってきてさらにギッコンバッコンうるせーなと思いつつも押入れで寝てましたケド?」

 

「そうかね」

 

いつものようにゴキゲンな朝食を用意した自称御奉仕メイド春雨は特にこの状況を気にした様子ではないらしい、こーゆー些細なコトを気にしない辺りは1つ下の妹とよく似ている、おそらく白露姉妹の些細なコトを気にしない度はパイオツの大きさにナニか関係があるのだろう

 

っーか、見られてるやん…っ!

 

誰にも見られずに処理するって決めてたのに、このクソメイドに見られてるやん…っ!殺るか…?いや、今ここで始末するしかない!

 

「ポーラさんと14さんは後で捨ててくるんで早く朝食を食べてください」

 

「そうだな、あとついでにお前も始末しないとな」

 

「大丈夫です、私口が堅いので」

 

「ダメだ、信用ならん、俺は俺以外の何者も信用していないし、俺に勝てるのは俺だけだと絶対の自信がある」

 

ポーラとイヨティンを捨ててくるのはカンタンだ、とりあえずそこらのトイレにでも置いて最後の力を振り絞り便器まで辿り着いたが手遅れだった感のあるポージングにしておけばいい…

 

「ま、とりあえずメシ食ってから考えるか…」

 

「そうですね、あ、今日の占い見たいんでチャンネル替えていいですか?」

 

《魚座で鬼畜上司系ドSでメガネ男子のアナタ、今日死にまーす》

 

「だ、そーですよ」

 

「人事を尽くす俺は占いなど信じないのだよ」

 

《ラッキーアイテムは寒色系の髪、思わずブルっちまうぐらい青色とか効きそうです》

 

「あ、そうそう私の髪って先の方が青くなってるんですよ」

 

「今日はサミー子が手放せないのだよ」

 

…そういや今日アイツ休暇だったか?まぁいい、なら今日の秘書艦はサミュエルくんに頼めばいいのだよ、コーヒー淹れてくれるし

 

「フーッ〜………ごちそうさま」ペコォ

 

「あ、はい」

 

この飽食のグルメ時代、たとえ誰が作ったものであろうと作った者と食材への感謝は忘れない、それが食事に対する礼儀、略して食儀とはこーゆーものなのだろうとしみじみ思いつつ食堂にいる間宮の子分の名前なんだっけ?と考えてたが………まぁ、どうでもいいか

 

「とりあえずポーラとイヨティンを…っと」

 

しかし改めて見るに、ポーラの野郎乳デケーなコイツ、そしクッション性だけではなく揉み応えのある弾力性を兼ね備え、なおかつただ黙って立ってりゃマジモンの美少女ってんだからコイツはたまげたなぁ〜だよ、まったく

 

そしてイヨティン、乳は無いが見るからに健康的かつ弾ける若さを感じずにはいられない正統派スポーツ美少女と言ったところか…

 

この美少女を前にすれば、真っ当な男児ならば抜かぬのはあまりに無作法…

俺はポーラとイヨティンを両脇に抱え、とりあえず執務棟の裏にあるトイレに捨ててくるかと力強く歩き出した…ッ!!

 

ーーー

 

冬に向けて飽食の気配が足音を立て近づく秋の執務室…

 

「こんにちは〜…テイトク、少しお話いいですか?」

 

「キミは………ザラくん、なにかね?」

 

「ちょっとポーラの件でお話が〜…」ニコニコ

 

ニコニコ笑いつつ執務室へと入室して来たザラ姉ェ、その手には今日の基地スポ…

 

その時点で俺は察した、そして同時に青葉を殺すと心に決めた

 

「大事なお話なんですけどぉ〜」ニコニコ

 

この距離………スネークバ●トの射程外か、さすがはザラ姉だ、おそらく無傷で執務室から脱出は不可能、最低でも両腕は犠牲にして五分五分…

 

そんなコトを考えていると、執務室の扉を開き新たな客、ヒトミが入室して来た…

 

「…テイトク、14ちゃんがお股痛いって…」

 

その手にはやはり今日の基地スポ……まさか2人してヤキュウの話題ってワケではあるまい、俺は全神経を集中し呼吸を整え床に手を当て………

 

「フーッ〜………通・●・拳!!」

 

ドンッ!!!(通●拳)

 

「ガハハハハ!ガハハハハハ!さーらーばーだァァァァァ!!」

 

「嗚呼!!まさか床に穴を開けて…っ!!クッ!ザラは逃しませんよぉー!!」

 

「…チッ、もしもし58さん?テイトクに…逃げ…はい、はい、大丈夫です、この執務棟からは逃げられません…」



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提督と熊野と水上の格闘技

上から下までお上品なお上品回

【登場人物】

提督(私の分は?)
アイハブ……コントロールだァ!!ヒャッハー!

熊野(ありませんわ)
最上姉妹の四女、育ちがいいのだか悪いのだか…




たった一度の今日と言う日、大してやるコトのない俺は喫煙所でメガス●アでも読みながらタバコでも吸うかと考えつつ廊下を歩いていると、なにやら演習場の方から大きな歓声が聞こえてきたので何事かと覗いてみると…

 

『キター!チャンプだー!今年もブッちぎりで優勝間違いなしだぜーッ!』

 

『ゴクリ…すげーチューンだ、なんだあのマシン、ハンパじゃねぇ!』

 

『今年はよりレベルの高い大会だと聞いていたが、こりゃ荒れるぜ…!』

 

観客席にギッシリと集まったギャラリー達…

そして、観客達の注目を集めているのは演習場内にいるアイツらか……っーかなんだコレ?ただの演習にしてはズイブンと熱があるじゃねーの?

 

「フッ、やはり来ましたわね………テイトク」

 

「お、オマエは…!?熊野!」

 

背後から声がして振り向けばそこに、両腕を組み壁に背中を預けるように片足で立つお嬢様風お嬢様が居たッ!!

 

「待っていましたわ」

 

「待っていた、とは?」

 

「フッ、知れたコト……今年のWZPジャペンカップ基地予選、今日の勝利をアナタと私、2人で掴む、そうではなくて?」

 

「すまない、お前が何を言っているのかまったくわからないのだが?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか?いや、イカれてるだな……たぶん、まぁコイツがイカれてるのは今に始まったコトではないが

 

「さ!参りますわよ!私達の戦場へ!」

 

熊野はごくごく自然な流れで俺と腕を組むといざ参りますわー!とズカズカ歩き出した!

 

「ちょ!待てよ!」

 

「うるさいですわよ、オチ●ポついてますの?」

 

「ついとるわ、っーか女の子がオチ●ポとかゆーな」

 

「うるさいですわよ、オペ●スついてますの?」

 

「ついとるわ!オペ●スでお上品なつもりかコノヤロー!!」

 

◆◆◆

 

世界水上機大会、通称WZP…

各地て開催される予選を制し本戦へ、そして決勝戦を目指し、戦って、戦って、戦い抜いて、最後に勝ち残った者が最強の称号であるズイウンザズイウンの栄誉を獲る事ができるとても野蛮でとても危険な大会である…

 

民●書房刊 我が水上機、闇の闘争史より抜粋…

 

 

「フッ、今年こそアナタに勝たせていただきますわ、チャンプ!」

 

「…フッ、まぁ…そうなるな」

 

全てのファイター達が集まる開会式の場で、決勝まで全勝で勝ち上がると無敗の最強チャンプこと日向に戦線布告をおカマしした熊野…

モチロン、そんな調子に乗った全勝宣言をタダおカマしされて他のファイター達も黙ってはいない!わざわざ敵を増やすだけでなく闘志にガソリンをBUKKAKE、火炎瓶を投げ込んだ熊野は実はスゲーやつなんじゃないかと思う

 

「フッ、これは厳しい戦いになりそうですわ」

 

「なりそうですわ、じゃねーよ、バカなんだな?バカなんだよな?オマエやっぱバカ以外の何者でもないよな?なぁオイ?」

 

「シャアラップ!お黙りなさい!私と提督、2人ならデキる!そうでしょう?」

 

「デキねーよ、っーか俺は別に相棒でもなんでもねーよ、ボクが作ってキミが戦うビ●ドファイターズな関係じゃねーし」

 

コイツのおバカさ加減には正直UN-ZARIしかない、ほら見ろ、他のファイターみんなこっち睨んでるじゃねーか、俺関係ないのに

 

「フッ、初戦からなかなかカマしてくれたわね……アナタ達…」

 

「オマエは…?川内、まさかオマエも出場るのか?」

 

俺たちに声をかけてきたのは忍なら敵味方問わずに憧れるニンジャマスターの呼び声高い夜戦ニンジャ川内…

“楽しい夜戦”を提唱するその姿勢からメイジンの称号を持ち、夜戦と卑劣さにおいては右に出る者はおらずメイジン・カワウチとも呼ばれている…

 

「えぇ、出場るわよ…」

 

川内が手にしているマシンは一見するとタダの九八式水上偵察機(夜偵)に見えなくもないが……

 

「フフフ…アナタ達が私のマシン、九八式水上夜偵・アメイジングに勝てるかしら…」

 

「クッ!スゲーチューンですわ!」

 

「あぁ、並のチューンじゃねぇ!」

 

川内はアナタ達とのバトルを楽しみにしているわと言って去って行った、どうやらチャンプ以外にもヤバい敵は多いらしいぜ…

 

「フッ、お久しぶりかも……熊野サン、それにテイトクも」

 

「あら?アナタたしか…あきつ……あきつなにがしさん?」

 

「秋津洲かも!」

 

「あら失礼、私、お雑魚のお名前は刹那で忘れてしまいますの」

 

「キィー!!ムカつくかもー!!」

 

かわいいだけが取り柄の秋津洲クン、そして、そんな彼女の相棒は……

 

「この秋津洲と二式大艇・ノーネイムが戦いのリアルってヤツを教えてやるかも!!」

 

何度も壊れては修理し、また戦ってを繰り返し、コイツで500戦以上ヤったと言っていた秋津洲クンの唯一無二の相棒、二式大艇………何度もスクラップ&ビルドを繰り返したせいか、その姿は凶々しくカスタマイズされ厨二感をくすぐるニクいデザインとなっている…

 

秋津洲クンは絶対ブッ●してやるかも!と宣言し、相棒を抱えて去って行った…

 

「オマエの口は火炎放射器かナニかか?」

 

「フッ、弱者の弁など聞く耳持たないのもまたお嬢様の務めですわ」

 

「ナニがお嬢様だ、自称お嬢様だろーが」

 

よく考えたらコイツの姉も自称メインヒロインとか言ってるし、姉妹揃ってバカなんだな、やっぱ

 

そんなコトを考えていると、あっちの方になんか見知ったゆるふわヘアーの子の姿が目についた…

 

「お、岸クン!岸クンじゃないか!」

 

「?、あ…テイトク、コンニチハ」

 

スーパーエリート駆逐艦姉妹、夕雲姉妹の十五女、岸波クンこと岸クン、ウェーブのかかったゆるふわショートの髪と常に死んだ魚のような目が特徴的でウチのバカどもの中では比較的真面目で良い子だ、岸クンはきっと将来いいお嫁さんになるね

 

「まさか岸クンもコレに参加してるのかね?」

 

「いえ、私水上機持ってないので……出場るのは私じゃなくて…」

 

「そうよ!!そのまさかよッ!!」

 

俺と岸クンの間に割るように入ってきたゴトランドは、さらにもう一度、そのまさかよ!!と力強く吠えた

 

「フッ、勝つのは私と岸ちゃんよ」

 

「いえ、私とゴトランドさんは別にチームでもなければ相棒でもないので…」

 

「私達の友情パワーを見せてあげるわ、私と!岸ちゃんの!仲良しラブパワァァァァをね!」

 

「ゴトランドさん、LOVEは友情でなく愛情です」

 

さすがは岸クンだ、なんて冷静で的確な意見…そしてそんな岸クンの冷静で的確な意見と対照的にこのプッツン北欧軽巡からはまるで知性を感じない…

 

「あらあら、これはこれは…私とテイトクの仲良しコンビを差し置いて言ってくれますわね、身の程をわきまえよ、ですわ!」

 

「熊野ェ…」

 

そしていらん挑発をさせたら右に出る者はそうはいないエレガント風エセンガントお嬢熊野はまるでよく訓練されたかませ犬のようなムーヴでケラケラ笑う…

 

「その私程ではないケドキレーなお顔を地面に這いつくばらせて泥水を飲ませて差し上げますわー!」

 

「フッ、今のうちにせいぜい笑っているといいわ、私のニューマシンで蹴散らしてあげる!」

 

「おニューマシン…?はて?アナタのマシーンはたしかクソダサS9だったハズ、そんな旧世代のゴミクズで私を倒すとは………不愉快!舐められたものですわね!」

 

他人のマシンになんてコト言うのかね、この娘は…

そしてその失礼通りこした罵倒ムーヴは一般的には負けフラグと言うのだろう…

 

「フッ、ゴトと岸ちゃんのニューマシン……この!Swordfish Mk.III改(水上機型)のね!」

 

「そ、ソーフィーッシュ…?な、なんですの?そのマシーンは…!?し、知りませんわ!そんなマシン!」

 

「フフッ、英国から輸入した超高性能スペシャルマシンよ!」

 

「海外から超高性能マシンを輸入するとは……き、汚い!なんて汚らしい手を…!恥を知りなさーい!ですわ!」

 

岸クン曰く、ゴトランドのヤローは前に使っていたらしい愛機のS9 Ospreyにカレーをこぼして捨てたらしく、愛機を失い困っていたところに困ってる弱き民草を放ってはおけないタチの通りすがりの女騎士がこのマシンを使われよとくれた物らしい…

 

「クッ!まぁいいですわ、せいぜい早々に私と当たらないコトを神に祈るがいいですわ!行きますわよテイトク!」

 

「へいへい」

 

「そっちこそ!そのお上品な口からお下品な悲鳴を吐かないコトね!岸ちゃん!行くわよ!」

 

「はぁ…」

 

 

こうして、ざまざまな思惑が交錯する中、遂にWZP基地予選の戦いの火蓋は切って落とされたッッ!!



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提督とハジけるスポーツの秋

参ったぜ!マスクがビチョビチョだ!まるで高地トレーニングだな!

【登場人物】

提督(羅刹)
巨乳モノ読んでいるとサミーの目が冷たい、読んでなくても冷たい

陸奥(修羅)
敵は強い方が燃えるタイプ、敵の本気を引き出し、さらにその上を行くのがエンメイリュウ的思考

Atlanta(ボス仕様)
高さでは秋月姉妹をも凌駕するMAJORの本格派、口は悪い




『うぉー!キター!連続ポイントー!』

 

『マイカゼ一歩も動けず!あのドライブどうなってるんだー!』

 

『アイツら以前までのチームとはまるで別物だー!』

 

アツい青春の汗を垂れ流した夏の後にくるスポーツの秋、グラウンドではナイスガッツ長良主将率いる陸上部がアツいナイスガッツの汗を流し釣瓶落としの夕日に向かって走るこの季節、明石の店でタバコと菓子パンを購入し、談話室でテレビでも見ながらゴロゴロするかと考えていた俺は体育館からバカみてぇな歓声が聞こえてきたので覗いて見ると…

 

「クッソ!コイツ、なんっープレッシャー!まるで壁だぜ!」

 

「アラシ!ヘイ!アラシ!」

 

「ッ!」

 

コート上で青春のアツい汗を撒き散らすアホガキども…

今日のゲームは最高にハクいスケと名高いオンナ監督瑞穂率いるチーム瑞穂と体格がモノを言うバスケットにはあまりにも不向きな小兵ばかりを集めたガングート率いるチーム革命軍のゲーム…

 

「あら?テイトクじゃない?暇なの?」

 

「よぉ、どっちが勝ってるんだ?あと俺は暇じゃない」

 

観覧席のベンチに座っていた陸奥の隣に自然な流れで着席した俺は缶コーヒーの蓋を開け、とりあえず一口飲んでみる…

 

「今、押してるのは革命軍の方よ」

 

「ふ〜ん、強いのか?」

 

「前とは別物ね」

 

陸奥曰く、以前はやはり小兵ばかりだったせいか、スピードとパス回しでガンガン攻め込むスタイルだったが、大型センターのタスケくんの加入によりインサイドが強化されたらしく、インサイドの強化はリバウンドの強化、それ故に外からもガンガン打ってくるようになり、今やアウトサイドも脅威と言っていいレベルらしい

 

「特にあのメガネの子、相当なシューターよ」

 

「メガネ…?いたか?そんなのが…?」

 

革命軍は特にメンバーが多いからな、ガングートの野郎、海防艦のキッズにはやたら人気があるらしく、今や海防艦と言うだけで革命軍じゃないかと疑いたくなる…

 

「そしてあのセンター、スペックだけならキセキの世代にもたぶん負けないかも…」

 

「なるほど」

 

駆逐艦離れした超肉体を持つキセキの世代のセンター、村雨にも劣らないであろうガタイを持つタスケくんか…

たしかに、あのパワーにスピードはハンパではないだろう、今、ふっとばされた萩風クンも決して小さくはないがタスケくんはその上を行っている…ッ!

 

「松輪」

 

「ハイ!択捉ちゃん!」

 

そして革命軍のエース択捉、その択捉は松輪から見事パスを受けとると天使のようなドリブルで 相手のゴールめがけて天使のように突き進み、フリースローラインから跳び……

 

「レーンアップだと…?ざけんなァァァァァ!!」

 

「ウ、ウソだろコイツ…!いつまで飛んでんだよ!なんで後から跳んだ私の方が先に落ちて…!」

 

ズダァン!!!(ワンハンドダンク)

 

悪魔のようなワンハンドダンクで舞風と野分の頭上からぶっ飛ばした!!

 

「っし!」

 

「やったぁ!!択捉ちゃん択捉ちゃん択捉ちゃん!やっぱり択捉ちゃんは最高です!嗚呼、やっぱり択捉ちゃんこそ私の光…っ!ハァ…ハァ…私の、私だけの!」

 

「うるさい、松輪、離れて、あとキモい」

 

やはりハンパではない、革命軍のエース…

あのガングートが気に入っているだけはあるまさしく革命の申し子にしてマジの革命(レボリューション)だろう

 

ーーー

 

「よーし!よしよしよしよし!よくやった同志!本当によくやった!」

 

「当たり前っしゅ!シムがあんなチ●カスどもに負けるワケねーっす!」

 

「いや、姉さん今日ベンチだったし…」

 

終わってみれば81対80、白露型キセキの世代はいないにしてもチーム瑞穂は決して弱くはなく、なんやかんやで接戦になり最終的に、あの生っ白いメガネの子がブザービーターのスリーでトドメを刺して試合終了…

 

「ハッハッハ、なかなかイイゲームだったじゃないかね?んん?」

 

「そうねぇ」

 

同じ試合を見ていたとは言え、陸奥の頭にはもう次のゲームの、そして今後の対策で頭がいっぱいなのだろう

 

「あのセンターをなんとかするのはウチの子達にはなかなかホネね」

 

陸奥率いる睦月型のバカガキどもは革命軍と同じく小兵揃いで、ダブルエースの睦月如月を中心に、空中戦の高さをジャンプでカバーする皐月や、すげぇヤツのミカと言った戦力はあるがやはり体格だけはどうしようもない

 

かつて、浜風ちゃん、浦風、潮など基地バスケ屈指の大型選手が揃いさらに白露型キセキの世代村雨まで擁するチームRJに2対78のスコアで負けた事もある…

 

「ま、いいわ、勝てないぐらいちょうどいいってね」

 

そう言ってベンチから立ち上がった陸奥は、またねとウィンクして去って行った…

 

そんな最高にイイオンナである陸奥の尻を見つつ、どう頼めばヤらせてくれるか?を考えていると、背後から蹴りを喰らった

 

「ウゲェ!!」

 

「あ、ゴメン、いたの?」

 

「キミは………Atlantaクン?」

 

「そうだけど…?ナニ?その無駄にイイ発音」

 

右手にコーク、左手にバーガー、まさしく完璧なアメリカンスタイルと言っていいスタイルで立っていたのは高い防空力、いや、世界最高峰の高さとデカさを持つMAJORの怪物、アトランタくん…

ってかマジでデカいなコイツ、ナニ食ったらそんなやらしい身体になるんだよ、とんでもないロケットおっぱいなのだよ

 

「キミも観戦にでも来てたのかね?」

 

「観戦…?冗談、あんなサルの遊び見てナニが楽しいの?」

 

…口悪いなコイツ、もしアトランタくんのパイオツがパイオツでなければビンタしてるぞ

 

「ただの暇潰しよ、ま、暇潰しにもならなかったケド…」

 

「オイオイオイ、アトランタくんよ、あんまジャパニーズを舐めてくれるんじゃないぜ、ウチにもいるんだぜ?もっとスゲーのが」

 

「へぇ、興味ないけど…」

 

クッ!せめて今日の試合が白露型キセキの世代が出てるゲームだったら!!アイツらなら!アイツならジョンくんとも対等に戦えるハズ…!

 

「まぁいいわ、テイトク、今サイフ持ってる?ってかいくら持ってる?」

 

「今?3万ちょいだが?それが何かね?」

 

「頂戴、バーガーとコーク買ったらおサイフ空になっちゃった」

 

「暴君かッ!!」

 

女を殴りたいと思ったのは生まれて初めて………いや、そうでもないか、結構頻繁に殴りたいと思ってるな、うん

特に、ナマイキな女を屈服させて苦痛と快楽で支配するのは胸の空く気分になる

 

「と言うか、テイトク相手にカツアゲとはズイブンじゃあないかね?んん?これは少しわからせが必要かな?」

 

「モチロン、タダとは言わないよ、ん」

 

ん、と俺にズイっと差し出してきたのは食いかけのハンバーガーと飲みかけのコーク…?

 

「それあげる、もういらない、マズいし」

 

「オイオイオイ、コイツはとんだ暴君ですよ」

 

クッ!なんてナマイキなパイオツだ、まるでナマイキが服を着ているのか服を着たナマイキなのか……とにかくスゲーパイオツなのは間違いない、しかしだ、俺もこの基地を預かる提督であり誇り高きキュウシュウ男児だ、たかが美人のパイオツ一つに屈するなどありはしない、決してね

 

「舐めたコト言ってるんじゃないよこの娘は、コロちゃんの腋ペロになら3万出してもいいが、アトランタくんの飲みかけ食いかけに金を出すほど落ちぶれちゃいないよ」

 

「フ〜ッ〜……メンドくさい、わかったよ、じゃ、パンツ見せるから、それでいい?」

 

「自分を安売りするんじゃないよこの娘は!」

 

 

この後、俺はアトランタくんにもっと自分を大事にしなさい、自分を好きになってあげなさいと30分程アツく説教をかまし、もうこんな事はやめなさいとサイフから1万円を取り出しアトランタくんの手に握らせた

 

まったく、良いコトをした後は気分が良いものだ



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提督と記憶の中でふわふわした改二

衝撃!秋雲改二現る!!

【登場人物】

提督(メガネ男子)
高等数学を利用した知性的基地運営を得意とする知性の申し子、好きな言葉は学歴不問

五月雨(青髪ロング)
専業秘書艦、99になって以来、もう何年も出撃してないがいつでもいけるコンディションは整っている


「あれ?オイ、サミー子、ここにあった改装設計図知らねーか?」

 

「さぁ?私は見てませんけど」

 

たまには真面目に書類でも整理すっかと書類を整理していると、“重要”と書いたファイルの中に何枚か入れていた気がする改装設計図が見当たらない不思議…

はて?最近使ったか?……いや、使った、たしか加賀のヤローが2枚よこせと言って持ち出してたな、2枚だぞ?2枚、舐めてんのかアイツは…

 

「在庫ないなら普通の勲章と交換しときますか?」

 

「そうだな、2〜3枚交換しとくか」

 

毎月、それなりに頑張ると何個か貰える“普通の勲章”

マゾの証……ではなく、猛将・豪傑の証であるトクベツな勲章、甲勲章とは違い、まったくキラキラしておらず、お部屋のインテリアにも向いていない

 

ちなみにこの普通の勲章、4個集めて申請すると必ず改装設計図が貰えるサービスが実施されており、あって困るものではない

 

「あ、そうそう、そう言えば昨日、秋雲さんが改装設計図持ち出してました」

 

「秋雲が?」

 

「なんかコレを使って秋雲さんもBIGになるとかなんとかブツブツ言ってましたケド…」

 

「ナニ考えてんだアイツは…」

 

重要書類をケツ拭く紙かなんかと勘違いしちょりゃあせんか?これは秋雲のヤローにもわからせてやる必要があるらしいな、この基地の絶対支配者が誰なのかを…

 

「サミーよ、これより秋雲の討伐に向かうぞ!ついて参れ!」

 

「え?普通にイヤですけど」

 

「いやだわこの子ったら、なんてモノグサ太郎なのかしら…」

 

「モノグサ太郎ではありません、五月雨です」

 

◆◆◆

 

秋雲さんは結局のところ陽炎型なんでしょうか?夕雲型なんでしょうか?

 

「ハハ…そうですね、正直、自分がなんなのか、陽炎型なのか、それとも夕雲型なのか、今でも自分の中で答えは出ていませんね…」

 

今回のパワーアップでも答えは出なかったと言うワリにはどこかスッキリした表情のようですが…?

 

「えぇ、まぁ……ですが、答えが出なかったと言うか、自分の中で“納得”はできたと言うか、折り合いがついたと言うか……」

 

“納得”ですか?

 

「えぇ、陽炎型でもない、夕雲型でもない、もしかしたら自分は秋雲型と言うオンリーワンな存在なのかもしれない、そんなふうに考えていた時期が、私にもありました……ですが、ある時、こう考えるようになったんです、陽炎型でも夕雲型でもないのでない、陽炎型であると同時に夕雲型であるんじゃあないかって…」

 

なるほど、どちらでもないではなく、どちらでもあるのだと…

 

「スター性に輝く超個性派姉妹の陽炎型、そしてスーパーエリート駆逐艦姉妹と呼ばれる夕雲型、表と裏、光と影、正と負、プラスとマイナス、SとM………2つのDNAを併せ持つ私にしかできない唯一無二にして私だけの“個性(オリジナル)”………それを理解したんです」

 

悟●でもベ●ータでもない、人間でもカバネでもない的なアレですね?

 

「えぇ、平たく言えば」

 

◆◆◆

 

「秋雲ォー!!秋雲はおるかー!!」

 

天誅である!と叫びつつ、駆逐艦寮の秋雲の居るであろう部屋の扉を開くと、残念ながら秋雲はいなかった…

 

「チッ、すでに逃げられた後か!サミー!彼奴めがナニか残していないか調べるぞ、お前はそこの机!俺はタンスを調べる」

 

「ナニ自然な流れで下着を物色しようとしてるんですか、アレですか?駆逐艦の下着でハァハァするヘンタイなんですか?」

 

「ハハッ!卿は俺がションベン臭い子供パンツなんぞにムラムラする男に見えるのか?だとしたら相変わらず卿はジョークのセンスがないな」

 

「見えま………いえ、ちょっと待ってください、ちょっと微妙な感じですか」

 

「ちなみに、卿にムラムラしないが卿の1つ下の妹にはムラムラすると言うコトだけは伝えておこう」

 

「そうですか、できれば苦しんで死んでください」

 

なんてコト言うのかねこの子は……鋭利な言葉のナイフに念入りに猛毒を塗り込む念の入れ様、大したやつだ

 

そんな大したことを考えていると、部屋の扉がノックされ、秋雲を呼ぶ声と共に扉が開いた…!!

 

「秋雲さ〜ん……って、あら?テイトクと五月雨さん、どうしたんです?」

 

「キミは……夕雲ェ…」

 

「こんにちは夕雲さん、秋雲さんならいませんよ?」

 

やって来たのはスーパーエリート駆逐艦姉妹の長女、夕雲、スーパーエリート特有の戦闘力もさることながら、その、駆逐艦とは思えないまるで完成された欲求不満な未亡人を想起させる色気はハンパではなく、一説には、色欲を司る系のデビルなのでは?と噂されている…

 

「あら?そうなんですか…それは困りましたね」

 

「秋雲さんに何か用事が?」

 

「えぇ、秋雲さんが新たなステージの扉を開けたと言うコトで、みんなで秋雲さんをお祝いしようと…」

 

改二と言う一握りの天才達にしか開けられない門…

その門を開いたのか?秋雲は…!?

 

「まぁ、昔に比べたら改二もバーゲンセールかってぐらい増えましたけど」

 

「なんてコト言うのかねこの子は」

 

そのサミー子は未だに何の音沙汰もないがな、下の妹ですら改二になったのに…

 

「もし秋雲さんを見かけたらマミー屋に来るように伝えておいてください」

 

夕雲姉ェ曰く、夕雲姉妹でもあり陽炎姉妹でもある秋雲を祝うべく、今日はマミー屋を貸し切り朝から両姉妹が揃って秋雲の為に飾り付けなどをしているそうな…

 

「あの陽炎ですら…」

 

「陽炎さんはああ見えて身内には優しいんですよ?」

 

あの陽炎ですら……そもそもアイツ、秋雲を妹と認識してたんだな

 

「わかった、必ず伝えよう」

 

「ではよろしくお願いします」

 

夕雲姉ェはペコォと丁寧に頭を下げて去って行った…

クッ、危なかった……あと5分も彼女と話していたら精神を支配され滾る己自身を彼女にinsertしspermaと生命エネルギーを絞り獲られていたかもしれん

 

「よしもうギンギンだ、秋雲は一旦置いておくとして俺はトイレに行く」

 

「ナニがもうギンギンですか」

 

 

この後、俺たちは秋雲のアホンダラを見つけるコトはできなかったが、秋雲はマミー屋にひょっこりやって来たらしく、陽炎姉妹、そして夕雲姉妹のシスターズ達から大いに祝われ、秋雲ワッショイ秋雲ワッショイと胴上げされ、勢い良く落下して腰に全治二週間のダメージを負ったらしい



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提督地獄変【最終章⑪】

忘れた頃にやってくる最終章、最終章なのに提督は出ません

【登場人物】

川奈大佐(イケメン)
提督とは同期の関係にある有能で優秀で見た目も心もイケメンの善人

鞍馬大将(大将)
中央司令部大将の1人、若い頃から俺様系ワイルド属性の梶輪大将とは反りが合わず、いつか殺すと言い合ってる仲


鞍馬隆盛、66歳…

中央司令部が擁する10人海軍大将の1人にして海軍九条元帥の右腕として長きに渡りその力と忠誠を捧げてきた生粋の海軍将校

若き日よりその頭角を現し、艦隊指揮力、軍内での求心力、あらゆる面にて高いその能力を疑う者は少なく、まさしく仁・智・勇に優れた次代の元帥候補筆頭…

 

その男が、今、二回り以上も離れた若輩を前に立ちふさがる!!

 

「死ぬ覚悟はできているな?小僧ォ…」

 

「そんな覚悟は必要ない、何故なら俺は負けないからだ」

 

「フハッ!!言ってくれるッ!!」

 

鞍馬大将は羽織っていた外套を脱ぎ捨て、さらに着ていた上着をも脱ぎ……

 

『ゲ、ゲェーッ!!アレが海軍大将ーッ!』

 

『齢六十を越え、今なお、あれほど若く、瑞々しい肉体とは…!』

 

『ジジイの身体じゃねぇぜ……まったく、あれで全盛期じゃねぇなら当時はどうだってんだ、ハハッ!…バケモノめ!』

 

戦闘態勢は整った…ッ!!対して、川奈大佐は上着のボタンを外し、一つ、深く息を吸込み…

 

「…始めようか」

 

「応ッ!!」

 

ーーー

 

海軍大将VS海軍大佐、海軍史上稀に見る下剋上再び!

定期的に開催されている公開演習かと思いきや、まさかの叢雲VS五月雨の一騎討ち!駆逐艦同士の戦いなど低レベルな戦いになるのではと不安視されたこの戦いだったが蓋を開けてみれば高練度艦同士のハイスピードで見応えのある一戦であり、見に来ていた観客も終わってみれば良いものを見たと満足気味だったが、今日の戦いはまだ終わっていなかった!!

 

「ガハハハ、サミちゃん飴食うか?飴」

 

「結構です、叢雲ちゃんに殴られた肋が痛くてそれどころじゃないんで」

 

「アンタねぇ……そんな言うなら私だって鼻が痛いわよ!アンタマジで顔面にグーとか、少しは躊躇とかなかったの!?」

 

「ないです、だって叢雲ちゃん強いし」

 

「あ、あぁ…そ、そう…」

 

九条元帥にケンカを売った梶輪大将、そして、つい先程まで死闘を繰り広げていた五月雨と叢雲は梶輪大将と同じく舞台側に用意されたベンチに腰掛けていた…

 

「ところでサミちゃん」

 

「なんですか?」

 

「髪の短いサミちゃんもなかなか似合うな!」

 

「そうですか?まぁ、雑に切ったから後でちゃんと整えますけど…」

 

先程の叢雲との戦い、囮に使う為に自らの髪をズバッと切った五月雨はやはり髪が無いのが気になるらしく、短くなった毛先の辺りを触っていた

 

「それより梶輪大将、あの鞍馬大将はどのぐらい強いんですか?」

 

「あ?ワシよか弱い」

 

「真面目にお願いします」

 

「真面目にか、そうだなぁ……まぁ、今中央に居る大将の中じゃワシの次ぐらいに強いな」

 

「へぇ〜…」

 

梶輪大将曰く、今は半ば現役を離れたとは言え戦争初っぱなの激戦期をくぐり抜けてるだけあってその力はホンモノ、並の将校程度なら目が合っただけでチビるのは間違いないと…

 

「まぁ、あの頃はオマエらの提督程度はゴロゴロいたからなぁ……良いヤツはみんな死んだが」

 

「へぇ〜」

 

「へぇ〜…じゃないわよ!!それやっぱメチャクチャ強いってコトじゃない!」

 

「大丈夫ですよ叢雲ちゃん、叢雲ちゃんが信じないで誰が信じるんですか?」

 

「アンタねぇ、他人事みたいに…」

 

ーーー

 

試合開始直後から積極的に攻めるのは………鞍馬大将ッッッ!!

 

開始と同時に勢い良く飛び出し、急襲のフライングニーで川奈の体勢を崩し追撃の逆水平を連打で浴びせる!!

 

「同世代の他より少しばかり優秀な結果を出していると調子に乗ったな小僧がッ!」

 

「…ッ!」

 

「たしかに貴様は優秀な男だ、そして有望な男であった………しかし!!」

 

鞍馬大将は川奈の身体を掴み、頭を自身の両足で正面から挟み、胴体を両腕で抱えて持ち上げて勢い良く落下したッッ!!

 

いわゆる、パイルドライバーである!!

 

ズカアァン!!!

 

「貴様程度の男なら、開戦初期にはゴロゴロおったわ!」

 

時代が違う!年季が違う!執念が違う!小僧っ子と自分では格が違う!

ただ一撃で、ただそれだけで雄弁にそれを語るには十分…

 

『スゲェ!!あれが海軍大将…っ!!』

 

『一撃一撃の重さがまるで違う!』

 

『やはりあの若者では大将に挑むには早すぎたかーッ!』

 

海軍大将の放つ海軍式脳天杭打ち(パイルドライバー)!!その絶大な破壊力に観客数からアツい鞍馬コールが鳴り響く!!

 

「……なるほど」

 

そんなアツい鞍馬コールの中、今しがた海軍式脳天杭打ち(パイルドライバー)で撃沈されたと思われていた川奈がゆっくりと立ち上がった

 

「ムゥ?貴様ァ…」

 

「さすがに海軍大将と言うだけはある…」

 

まるで大したダメージでもないと言うように立ち上がった川奈は再び構えをとり、続けようと右手の人差し指をクイクイっと動かした

 

「愚か者が!!ミエミエの痩せ我慢しおって!!」

 

「…」

 

「効いていないハズがなかろう!!」

 

挑発に乗った鞍馬大将の連打!左右の豪腕から繰り出される連打をブロックする川奈!

 

「ならば次の技を耐えられるか?この技はかつて梶輪をリングに沈め……」

 

「ハアッ!!!」

 

バシイッ!!!(ハイキック)

 

「ぐあっ……!?」

 

川奈の強烈な右ハイキックが鞍馬大将の側頭部を打ち、鞍馬大将は片膝をついた

 

「キ……貴様ァ!」

 

「すまない、あまりに隙が大きかったので…」

 

「イチイチ癇に障るヤツめ!」

 

鞍馬大将は再び豪腕を繰り出すものの、そのパンチは………当たらない!左も!右も!さっきまでブロックするのが精一杯だったはずのパンチがまるで当たらなくなっている!

 

「ハァ…ハァ……なんと!」

 

「鞍馬大将、貴方の力はだいたいわかった…」

 

「だいたいわかった?なんだと……?小僧ォ、貴様!!だいたいわかったとは何事だッッッ!!」

 

万死に値するッッッ!!!怒りに震える鞍馬大将の覇気が会場中に広がる!!

 

---

 

「バカなの!?ウチの提督ってもしかしてバカなの!?」

 

「まぁまぁ叢雲ちゃん、イケメンなら許せるんじゃないですか?」

 

「多少イケメンでも許せないわよ!!クッ…!まったく、あーゆートコあるから格下に足すくわれるのよ」

 

「叢雲ちゃん、格下のザコってウチの提督のコトですか?」

 

「ザコとまでは言ってないわ」

 

開始直後はやや押され気味に見えたが、意外にもそうではなかった…

少なくとも、叢雲には自分の提督が負けるとは思ってはいなかったが……まさかここまでとは思っていなかった

 

「ガハハハハ、なかなかやるのぉ、川奈のヤツ」

 

「当たり前でしょ!私の、提督よ!」

 

「ま、ワシより弱いがの」

 

「負けず嫌いか…っ!クソジジイ!」





たぶん年内には最終章も折り返しかなと思ってます、はい


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提督と大いなる怠惰

調子が悪いせいかスロウ気味のだらしない提督ですまない

【登場人物】

提督(だらしない)
油断するとパンツから横ティンがハミでるのが僕の悪い癖

秋雲(カイニ)
最近力を手にし新たなステージに上がった

早霜(KAI)
秋雲には心底死んで欲しい


「てぇへんだてぇへんだ〜」

 

朝夕の寒さに冬の支配を感じつつある秋の日、事務的な業務を午前に済まし、午後から香取先生との明日の教育について大いに語らう会に行かねばならない俺は姿見で念入りに己がハンサムであることをチェックし、いざ出陣と執務室を出ると秋雲のアホンダラが手へんがどーのと走っていた…

 

「ナニがてぇへんなんだ?あと、廊下は走るな、殺されるぞ」

 

「あ、テイトク、こんちはっす」

 

「こんにちは、で?ナニがてぇへんなんだ?巻雲が巻グソでもしたのか?」

 

「や、巻雲は最近便秘気味らしくコー●ックありったけ飲んだらお腹ピーピーでウ●チ止まらなくて下痢便気味らしいっす」

 

バカかアイツ?どんだけコーラ●ク飲んだんだよ、まったく…一言俺に相談してれば尊厳と羞恥心と引き換えに強制排泄させて今後は脱糞する度に快楽を感じるよう身体に教えてやったものを…

 

「まぁ巻雲クンが便秘だろーが下痢便だろーが心底どーでもいいのだよ」

 

「そーっすか」

 

俺はとりあえずヘラヘラ笑う秋雲のお腹にパンチした

 

「うげぇ!!」ビチャビチャ…

 

「それで?ナニがてぇへんなのかさっさと答えろ、次は貫通お腹パンチでブチ抜くからな」

 

「へ、へぇ………じ、実は、なんか寮の廊下に変なのが棲みついてるんすよ」

 

「ナニが変なのなのだよ」

 

相変わらずナニ言ってんのかよくわからんヤローだなコイツは、もしかしてウスラトンカチか?

 

「よくワカんねーっすけどなんかヘビみてーなヤツなんすよ、しかもデカい」

 

「ヘビみてーなヤツってなんだ?ヘビみてーなヤツとは?ヘビではないのか?」

 

「とりあえず見に来てくださいっすよ、百聞は一見にしかず、男は度胸、なんでもチャレンジしてみるべきっすよ」

 

「ナニがなんでもチャレンジしてみるべきなのだよ、だからお前はダメなのだよ」

 

とりあえず、俺は秋雲がナニを言ってるのかサッパリ理解できないので、そのヘビみてーなヤツを寮まで見に行くコトにした…

 

◆◆◆

 

『…………』

 

居た、たしかに………うん、なんか居た

駆逐艦寮、通称“ハラキリ寮”1Fの廊下のど真ん中にたしかに変なのが居座っており、駆逐艦のアホどもがそいつと距離を取りつつコミュニケーションを図っていた…

 

「コイツめ!梨を食らうのです!」

 

「あったわ!豚肉よ!」

 

「ハラショー、コレなら効くかもしれないよ」

 

……アホガキどもはとりあえず食材っぽいものを投げつけているが、どうにもあまりお気に召すものではないらしい

 

「…へヴィだな」

 

「だからヘビみてーなヤツって言ったじゃねーすか」

 

しかしヘビか、ヘビと言えばメイジンことニンジャマスター川内が口からゲロゲロ吐いたりするのを真っ先に思いついたが………やはり川内のヘビだろうか?

 

「…いえ、アレはヘビではありません」ボソボソ…

 

「キミは………キタローくん」

 

いつの間にやら俺の後に立っていたのは夕雲姉妹の十七女、キタローくん…

 

「お、ハヤシじゃねーっすか、今日も暗いっすね」

 

「…そうかしら?そしてアナタは相変わらず提督の傍に当たり前のようにウロチョロと……正直、アナタに対しては殺意しか湧かないし今この瞬間にも誰にも迷惑をかけない場所で可能な限り苦しんで死んで欲しいわ」ボソボソ…

 

「え?なんだって?よく聞こえねーっす」

 

空気の読めない秋雲と陰鬱な空気の漂うキタローくん、もしかして仲が良いのだろうか?まぁ、キタローくんは友達少なそうだから秋雲のバカが友達ヅラしてるだけな気もするが…

 

「しかしキタローくん、アレがヘビではないとするナニかね?もしかしてアレかね?妖怪の類…」

 

「…妖怪、とも言い難いです」ボソボソ…

 

「じゃなんなんすか?バイオ工学が創り出した哀しき存在っすか?」

 

「…おそらく、空想上の生物の一種かと」ボソボソ…

 

キタローくん曰く、アレはいわゆる伝説とか神話とかに出てくる系の生物だろうとのコトだが………え?ナニ?ファンタジー?ファンタジーな存在なの?

 

「ナニワケわかんねーコト言ってんすかね、このネクラっ娘は」

 

「お前…ネクラとかゆーな、キタローくんに謝れ」

 

「ゴメーヌ」

 

「…いえ、いいです、大して気にしてませんから」ボソボソ…

 

まったく、キタローくんは心の広い子だな、きっと将来は良いお嫁さんになるだろう

 

「しかし空想上の生物か………だとすれば、アレはファンタジー的なモンスターとかそんな類と考えればいいのかな?」

 

「…まぁ、平たく言ってしまえば」ボソボソ…

 

モンスターか…ま、とりあえず、見た目からしてゴブリンではないな

 

「アレじゃねーっすか?リヴァ●アサン」

 

「リヴァ●アサンか…」

 

たしかに、あのヘビっぽさは神話に名高きリヴァ●アサンに見えなくもないな、もし仮にアレがリヴァ●アサンだとするならばそこらの低級なゴブリンとは違い溢れる知性を持っており、もしかしたら話し合うコトも可能かもしれん

 

「よし秋雲、ちょっとオマエ、アイツに話しかけてみろ」

 

「なんで私なんすか!?テイトクが話しかけてみりゃいいじゃねーっすか!」

 

「バカ言うんじゃないよ、ほら、さっさと行け、女は愛嬌、なんでもチャレンジしてみるもんだ」

 

俺は秋雲の背中を押すと、秋雲は後でチョコレートパフェ奢ってくださいっすよと軽口を叩きつつリヴァ●アサンのところへ近づき…

 

「あー…あー……アイアムアボーイ!ジスイズアオクトパス!」カッ!

 

バカだった、清霜級のバカだった

 

『この妖刀マサムネが、貴様たち青き星の民などに扱えると思ってか!』

 

「あ、コイツ喋った!!テイトク!コイツ日本語ペラペラっす………ぶべらぁ!!」

 

ギュュュュュュュン!!(ワール)

 

謎の黄色い竜巻を喰らった秋雲はまるで瀕死になったかの如くふっとばされたッ!!

 

「秋雲ォォォォォォォォ!!」

 

「クッ…!テイトク、コイツやべぇっす、マジヤベー、っす、ぐふっ!」

 

俺は絶命のセリフを吐いた秋雲の身体を激しくガックンガックン揺らす!ナニが“ぐふっ!”だ!

 

「秋雲ォォォォォォォォ!!バカ野郎!死ぬなバカ野郎ォォォォ!」

 

「へ……へへ、ど…どうやらこの秋雲さんは地獄の鬼だけじゃなく閻魔様にも嫌われてるらしい…」(HP1)

 

「ヘッ…!オマエってヤツぁ!」

 

まったく!しぶとい野郎だぜ!

 

 

「…チッ、まだ生きてる、死ねば良かったのに」ボソボソ…

 

 

この後、この生物はリヴァ●アサンではなくタイダリアサンだったらしく、タイダリアさんに我々は妖刀マサムネが欲しい意思はないことを伝えるとタイダリアさんは納得したらしく海へと帰って行った…

 

ちなみに、何故寮の廊下に居たのかについては最後までわからずじまいだったが、キタローくん曰く、たまには人里に来たかったのではないか?とのコトだ…

おそらくタイダリアさんもまた、この青い星の環境破壊を憂う哀しき存在なのかもしれない…

 

あと、秋雲は2日寝込んだ



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提督とまいのわとファンタスティック・獣

陽炎型フェア実施中

【登場人物】

提督(準備中)
鬼畜上司系メガネ男子、俺の下で足掻くのを見るのが何よりも好きなSの鑑

舞風(金)
ストリート系のダンスを得意とし、何よりもFREEDOMを尊ぶ勇者

野分(銀)
スター属性のイケメンプリンス、PRIDEはあまり高くないらしい


秋の日はTSURUBE-OTOSHI、夕方かな?とまだ大丈夫かな?と思っていた太陽が次に見たときには即墜ちしてるこの季節、明石の店で菓子パンと缶コーヒーでも買うかと考えつつ歩いているとナニやら仮装してるアホどもをチラホラ見かけた………

 

………仮装?あぁ、アレか、そう、そろそろアレの季節だったか?ほら、アレだよアレ、なんっーか、ほらアレだ、まぁ、アレの季節なんだからアレすんのはしょーがないってヤツだな

 

「あ、テイトクだ」

 

「ゲッ…!テイトクか……こんにちは」

 

廊下を歩いていると、バッタリ出逢ってしまった運命…

そう、バッタリだ……一流同士は時として意図せずに偶然に出逢うコトがあると聞く、ならばこの出逢いもまた必然…

天は俺に彼女へと引き合わせ、ナニかを求めているのだろうと言葉ではなく心で理解した…

 

「キミは……舞風クン」

 

「押忍!舞風です!」

 

数ある駆逐艦姉妹の中でも群を抜き、圧倒的輝きを放つスター集団、陽炎姉妹の十八女、舞風クン、そして……

 

「………誰コイツ?」

 

「野分です」

 

「野分…?ハハ、野分?ハハ…ナニを言ってるんだい?野分クンは頭から犬耳なんか生えてないし尻尾付きア●ルプラグなんか刺してないよ、人違いじゃないかい?」

 

いやいやいや、野分クンったらアレだよ、アレ

俺、天龍、木曾、S.H.B-スーパーハンサムボーイズ-を抑え基地バレンタインチョコ獲得ランキング毎年1位、その甘いマスクとどこか品のある物腰から“レズの王子様”と呼ばれている俺達スーパーハンサムボーイズのキラメキでも太刀打ちできないイケメンオブイケメンだ…

 

そんな王子(プリンス)様が…っ!!

 

そんな王子(プリンス)様が……っ!!

 

「や、のわっちですよ、コイツ」

 

「マジか!?え?マジなのか!?」

 

のわっちクンの唯一無二の相棒である舞風クンがそう言うのだから間違いないのだろう…

いや、たしかに、よく見るとたしかにのわっちクンだ、犬と言うより狼を思わせるケモノ耳、そしてア●ルから生えているであろうモッフモフのケモノ尻尾、さらに肉球ハンド……これはもうのわっちクンと言う名のワンダーランド、サ●ナクロー寮待った無しなのだよ

 

「ハーロイーンに相応しい粋な仮装でしょ?」

 

「然り、たしかに粋な仮装なのだよ」

 

舞風クン曰く、第四駆逐隊はチームとしての結束を強めるべく今年はみんなで仮装しようZE!と誓い合ったのだが様々な事情により、衣装はのわっちクンのものしか用意できず、とりあえず、今年はのわっちクンを先頭に練り歩くセンにしたらしい…

 

「と言うか、別に私が着る必要はなかった気が…」

 

「バッキャロー!!第四駆でのわっち以外の誰がその衣装を着こなせるって言うのさ!!」

 

「え?普通に舞風とか…」

 

「バッキャロー!!そんなハズカシー衣装なんか着れるかよ!!バカにしてんのかーッ!」

 

「バカにはしてないけど………ってか、みんな似合う似合うとかおだててたケド、心の中で笑ってたの?嵐とか必死に堪えてたの?」

 

クールでイケメン、そんなのわっちクンはマジかよみたいな顔でションボリとしていたが、そんな姿もまたイケメン…

 

「まぁまぁ、のわっちクン、提督としてはのわっちクンの衣装は良いと思うのだよ」

 

「そうですか?」

 

「テイトク、ウソツカナイ」

 

そう、ハッキリ言って似合う…

このウルフ的な仮装によりのわっちクンが獲得したものはおそらく………“野生”

五感が研ぎ澄まされたその感覚によって相手の行動に対して直感的に反応することが出来るスキルで、予測よりさらに速い反応が可能となる…

 

白露型キセキの世代である夕立はこの“野生”と“敏捷性(アジリティ)”を組み合わせることにより、ありえないフォームからでも撃ってくる“型のない砲撃(フォームレスシュート)”を得意としており、キセキの世代のエースのカンバンは伊達じゃない

 

「なんでカタコトなんですか…」

 

「カタコトじゃない、提督だ」

 

「ま、いいですけど…」

 

あくまでクール、そして心までイケメンののわっちクンは大して気にした様子もなく肩を落とした

 

「あ、そーだ、テイトク、せっかくのわっち仮装してんだし、なんかマミー屋でお高価いお菓子買って」

 

「やだよメンドくさい、なんで俺がお前ら下郎如きに菓子を振る舞わねばならんのだ、身分の違いを弁えろ」

 

「えー!!いいじゃん!私とのわっちの分だけでいいからさ!」

 

「やだよ、っーか他の仲良しチームメイトの分はいいのか?たしか嵐クンと、萩クンだったか?」

 

「や、うち、甘い物に超厳しいんで…」

 

「はぁ?」

 

舞風クン曰く、舞風クン達第四駆逐隊は健康オタクの萩風クンにより“徹底な健康”をスローガンに強いられているらしく、朝昼晩の食事以外に間食などまずありえない、スナック菓子や炭酸飲料など毒劇物指定されており、もしバレたら胃液が出るまでお腹パンチされるそうな

 

「まぁ、あの健康オタクぶりはオタク通り越して病的だけど…」

 

「だよねー、あ、のわっち知ってる?こないだ嵐が隠れてコーラ飲んで血尿出るまでおしっこ出させられたって…」

 

「そいつは災難だな」

 

「ちょっとテイトクからも萩風に言ってやってよー、ちょっとエロい下着穿いてるからってチョーシのんなって」

 

「やだよメンドくさい、あと萩風クンはそんなエロい下着なのかね?」

 

「モチ!もーヨダレ、ズビッ!のビシバシモンよ!」

 

そうか、萩風クンか、大人しそうに見えてなかなか大胆じゃあないか…?フフッ…

 

「ま、そーゆーワケで部屋には持って帰れないからマミー屋でなんか食べさせてー」

 

「お断る」

 

「即答過ぎる…ッ!!」





次回は帰ってきた、野生


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提督と秋の国際交流戦

もう11月ですって

【登場人物】

提督(温泉待ち)
日々の業務に疲れた大人、温泉行きたい

白露(旧型)
可愛さ、性格、パイオツの大きさ、あらゆる面で新型に劣る旧型の長女、この時期は焼き芋カーにフラフラ寄って行く


秋も深度を下げてきた気がする今日この頃、基地の見回りでもするかとブラブラしていた俺はなにやら普段にも増して大歓声の響く体育館にこれはなんぞや?と興味津々丸になったワケだが…

 

『ウワァァァ!ユウダチとムラサメの二人掛かりでも止められねーッ!』

 

『…ってか反則通り越してバケモノ過ぎやろ?』

 

『これがMAJORの実力なのかーッ!!』

 

………今日のゲームは国際親善試合、MAJORの怪物、ジョンくん擁するアイオワ率いるインターナショナルチームVS白露型キセキの世代の5人+海風江風を揃えたジャパン最強センバツ!

 

「クッソ!あの外人、デカい口叩くだけあってマジハンパねーっぽい」

 

「この村雨を舐めてくれるじゃない、ゼッテーひねり潰してやるわ」

 

以前、チーム瑞穂を赤子の首を捻るように蹂躙し、サルはバスケごっこ止めてくれと陽気なアメリカンジョークで会場中をドッカンドッカン笑わ……キレさせてくれたジョンくんだが、やはりその実力は本物…っ!

 

自称、可愛いくて、対潜ができて、可愛いくて、対空ができて、しかも可愛いアタシと豪語するだけはある、まさかあの夕立と村雨のダブルチームすらブチ抜くとは…

 

「あ、テイトクじゃん、テイトクも試合見に来たの?」

 

「キミは……素行不良で退部させられた白露ェ…」

 

「素行不良違うし、ってか退部どころか同じチーム組んだことないし」

 

観客席でアツアツのベニサツマを片手にベンチに座っていた白露は自分の隣空いてるからここ座っていいよとベンチをバシバシ叩いた

 

「で?どーなんだ試合は?」

 

「ん〜……や、ハンパないわ、あの外人」

 

「ハンパねーのわかるってばよ、っーか勝てるのか?アレ」

 

「そうだね〜…とりあえずあのジョンストンってのマジでハンパないけど、それ以上にあっちの外人がヤバい気がするかな〜」

 

「あっちの外人?」

 

白露が指す方向に居るのは………姉妹最強の絶対王者時雨様とそのマッチアップに付く金髪巨乳の美少女…

 

「ほぉ、フレッチャーくんか」

 

恵まれた身体を持つジョンくんをも超えるその駆逐艦とは思えない駆逐艦離れした身体はまさしくワールドクラス、おそらく、並の駆逐艦では相手にはならないのも納得と言ったところなのだよ

 

「しかし時雨様には無敵のズガタカがあるのではないかね?」

 

対戦相手に身分の違いを教えてくれる時雨様の必殺技、ズガタカ……駆逐艦の身でありながら絶対王者西村艦隊のリーダーとして君臨し、しかも、それがごく自然なことであるように思わせる異常性…

以前、五月雨は時雨様に“まるで息をするかの如くごく当たり前に人を従わせる”と言っていたな…

 

「それがどーにもあの時雨が攻めあぐねてるみたいなのよね」

 

「バカな!?あの時雨様が!」

 

ありえない…っ!あの無敵の時雨様が…っ!それほどか……!それほどまで凄まじいと言うのか、MAJORの力は…ッ!!

 

ーーー

 

第2Q終了時点で点差12点、考えうる限り最強であるハズのチームでもなんとか持ち堪えるのがやっと…

チーム全ジャパンを率いる最高にハクいオンナカントクと名高い瑞穂にも現状を破る策が思いつかないこの状況…

 

「フーッ〜……カントク、あのジョンストンとかゆークソガキと……一対一(サシ)でヤらせてください」

 

「ハルサメちゃん、でも…二人掛かりでもやっとなのよ?アナタ1人でどうこう…」

 

あのジョンストンは2人でも止められないモンスター、そんなモンスターを相手に1人などあまりにも無謀…

 

「おっし、じゃーハルサメ任せたっぽい」

 

「抜かれたら膝の皿叩きわるわよ」

 

「ユウダチちゃん!?ムラサメちゃん!?」

 

そんな無謀に、チームの仲間達は信じているのが当たり前と言うようにハルサメの背中をバシバシ叩いた

 

「カントク、僕からも頼みます、ヤらせてやってください……おそらく、あのバケモノに対抗するにはこちらも怪物(姫級)を出すしかない」

 

「し、時雨ちゃん……まぁ、時雨ちゃんがそう言うのなら」

 

「あと、みんな聞いてくれ……僕はどうやらあのフレッチャーと相性が非常に悪い、あの金髪巨乳……どうやら僕と同系統の眼があるらしい」

 

時雨曰く、フレッチャーの“聖女の眼(マザーズ・アイ)”はまるで我が子が次に何をするのか何を欲しているのかを予測するかの如く未来を視る事ができるらしく、さらにその視野は時雨様より上を行くと…

 

「マジかよっぽい」

 

「ただの金髪巨乳じゃねンだわってワケだ」

 

あのジョンストンを従わせている時点でただの金髪巨乳とは思っていなかったがまさかこれほどとは…

 

「だが、策はある、後半は必ず攻略する、みんな……僕に任せて欲しい」

 

「あったり前だろォ!」

 

「ってか、時雨様以外に誰が止められるんですか」

 

「ありがとうみんな、よし!勝つぞ!」

 

『『『ウオっす!!』』』

 

ーーー

 

『出たァー!イタリア人のメスガキドリブル!』

 

『たしかに、ザコチ●ポには決して負けない無敵のドライブやが………それでも勝つのはユウダチや!』

 

『ウワァァァァァァァァ!!メスガキまるで相手にならねーッ!オトナパイオツに完全にパワー負けだー!』

 

後半戦、対ジョンストンに全力を出し切ったハルサメ、そして膝を痛めたムラサメを江風・海風に交代し最後の攻防へッ!!

 

『ユウダチとカワカゼ、ダブルエースの覚醒(ゾーン)だーッ!!』

 

『しかも外も死んでない!サミダレのスリーまったく落ちる気配しねーッ!』

 

残り時間2分!!ついにMAJORの背中を捉えたッ!!

 

「オイオイオイ、これ勝っちゃうんじゃない?なぁ?白露ねーちゃん、これ勝っちゃうんじゃない?」

 

「さぁ?どーだろ?」

 

「オイオイ、そんなだからチームにも入れず芋ばっか食ってブーブー屁ぇコイてる屁コキ長女とか言われるのだよ」

 

「屁コキ長女とかゆーな」

 

「まぁ、長女と言えば既にチームには可愛さ、気配り力、健気さ、パイオツの大きさ、その全てがオマエより上の新型の長女である海風ねーちゃんがいるから問題ないか」

 

「うるせーし!!ってか長女はアタシ!アイツは下!七女!」



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提督と山風とアウェーの洗礼

最近おとなしくしていた緑のトゲトゲしいアレ

【登場人物】

提督(TEITOKU)
最近古鷹さんからMAD TRIGGER CREWについて3時間程アツく語られウンザリした

山風(やまかぜ)
気難しくて繊細な今風の子、五月雨姉ぇより将来性がある




秋の陽気な執務室、経費の精算をするべく領収書チェックをしてハンコを押す、提出された書類をチェックしてハンコ押す、領収書をチェックしてハンコを押す、書類をチェックしてハンコを押す、ハンコ押してハンコ押す……まるで精密なマシーンになった気分だな

 

「サミー、コーヒーくれ、缶の」

 

「ご自分でどうぞ」

 

このヤロウ、上司である俺に対して何たる不遜……だが、そんなナマイキな部下をそれでも許そう、何故なら俺は心の広い男であり、理解ある上司だからだ

 

「ったく、しゃーなしだな」

 

秘書艦サミー子から断られてしゃーなし、俺は座した椅子から雄々しく立ち上がり、冷蔵庫から買いだめしている缶コーヒーを1本取り出し…

 

「冷蔵庫ならついでに野菜●活もお願いします」

 

「この俺を使いっパとはな、だが許そう」

 

冷蔵庫から缶コーヒーのついでに紙パックの野菜●活(フルーティー味)を取り出してサミー子に投げて渡し、自分の席に戻った俺はすぐに真面目に仕事をする気になれないので今日の基地スポを広げた…

 

「ヘレナ大炎上、2回8失点KOか…」

 

へぇ〜…そりゃ大炎上だ、っーかヘレナって誰だ?そんな名前のやつウチに居たっけか…と考えつつ基地スポのエロ欄を眺めていると、執務室の重厚な扉がノックもなく開き、毛のないキモいネコを頭に乗せた緑色のアロエみたいなトゲトゲしいのがズカズカと入室して来た

 

「…遊びにきたよ」

 

「ノックをしたまえ、ノックを」

 

あと、執務室は遊びに来るところじゃあないと付け加えると、山風はごくごく自然な流れで俺の座っている席……と言うか、膝の上に着席した…

 

「山風クン、あっちにお客様ソファーあるからあっち座ってくれんかね?そこに座られると邪魔なのだよ」

 

「…イヤ」プイッ

 

「そうか」

 

このガキゃ、提督様に向かってなんたる不遜、なんたる舐めた態度……普段の俺ならガキが舐めた態度とれば問答無用の大雪山落としで背中を痛めつけるところだが…

この山風はウチの子の中でもかなり気難しくて繊細な今風の子なので下手に体罰を与えてヒキコモリにでもなったら厄介…

 

「まぁいい、ちなみに提督は今仕事中だ、遊びに付き合っている余裕はないのだよ」

 

「…じゃ、仕事終わるまで待つ」

 

「そうしてくれたまえ、ほら、あっちのソファーでそのキモーイのと遊んでたまえ」

 

「…キモくない、ほら、かわいい」

 

山風が毛のないネコを俺の顔にグイグイ押し付けてきたが、いや、やっぱキモいわ、なんか生暖かいっーか、キモい

そんな緑のトゲトゲしい髪がザクザク当たる中、とりあえずお客様ソファーに山風とキモいネコを追い払った俺は真面目に仕事をするべく書類を手に取った

 

「…それで?いつ終わるの?それ」

 

「明日か、明後日か……いや、ひょっとしたら終わらないかもしれないな」

 

かつてビジネスマンは24時間戦う事が美徳とされ、激務に対して退かない、時流に対して媚びない、家庭に対して省みないのが一流の企業戦士である証であり、ジャパニーズ・ビジネスマンのスタンダードモデルでもあった

 

ビタンッ!!(フライングネコキック)

 

「痛い!!」

 

山風の投げたネコが俺の顔面に炸裂した

 

「ネコを投げるんじゃあないよ、この子は」

 

「…提督の仕事が終わらないなら何回でも投げる」

 

「この子ったら、飼いネコに対してなんたる悪行を躊躇なく…」

 

無軌道・無慈悲・無秩序を尊ぶ事を美徳とする我が基地では決して間違いではない答え…ッ!!たしかに花マル100点と言える回答ではあるが…

 

「しかしそれはこのネコと固い信頼関係あって可能な事、見たまえ、今、このネコは山風クンに対して不信感を抱いているのだよ」

 

「…ネコ、こっちに来て」

 

山風はネコを呼ぶべく手招きする……

 

……がっ!動かず…っ!

 

ネコ!提督の執務机から動かず…っ!

なんと言う脆い信頼関係、多少お高価なネコだとしても所詮は畜生に過ぎない…っ!

 

「…こっち、来て」ポロポロ…

 

愛猫に裏切られた山風の目から涙が溢れ落ちる…っ!

ヤバいな、別に泣かすつもりなどなかったのだが…

 

「はぁ…うちの妹を泣かさないでくださいよ」

 

「や、別に泣かすつもりなどなかったのだが…」

 

秘書艦サミー子から睨まれたが俺もネコも悪くない、悪くない……悪くないよな?

 

「ハイ、提督が隠し持っていたお高価なシュークリームあげますから、ね?」

 

「ありがとう五月雨姉ぇ…」

 

「あ、オイ!それ俺が楽しみにしていたヤツ…」

 

「シュークリームぐらいでゴチャゴチャ言わないでくださいよ、チ●ポついてるんですか?」

 

「ついてますけどー?っーか女の子がチ●ポとか言うんじゃないよ」

 

クッ…!なんなんだコレは!いつの間にかこの空間はアウェー!ちょっとした当たりがアウェー判定なのだよ

 

「チッ、まぁいい、そのシュークリーム食ったら帰れよ」

 

「…イ・ヤ」プイッ!

 

俺の大事なシュークリームを犠牲にしたと言うに、悪魔的過ぎる………等価交換の原則を無視した悪魔的発想、大したトゲトゲだ

 

「そうか」

 

俺は執務机に居座る毛のないネコを撫でてみたが……

うん、なんかやっぱ生暖かくてキモいな、コイツ…



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提督と迅鯨と楽しい秋祭り

平戸温泉満喫中

【登場人物】

提督(快男児)
露天風呂付き部屋最高ですの

迅鯨(洗脳された迅鯨)
また洗脳されたの!?




ソーシャルなディスタンスが叫ばれる昨今、当基地でも今年は残酷・残忍・残虐、いわゆる“残密”はいかがなものかと物議を醸し出す今日この頃…

 

あれもNO!これもNO!じゃTSUMARANA-E、そんな意見もあり、今年は例年より規模を縮小し、地域密着型イベントである秋の基地開放祭を実行したワケだが…

 

「どうかね?売れ行きは?」

 

「完売ですね、当日も」

 

今年の基地開放祭のメインイベント、撲●愚

 

金剛姉妹の四女であり姉妹一の知性を誇るファイティング・コンピューター霧島VSスラムから駆け上がり、アメリカンドリームをその手に掴んだネオアメリカきってのスーパースター、サウスダコタの日米因縁のデスマッチ…!

こいつぁ嫁を質に入れてでも見に行かにゃならんですよ!の前評判に偽りなしと言うコトか…

 

「ガハハハハ、そいつは結構!ガハハハハ!グッドだ」

 

「あ、そうそう、さっき浦風さんからお好み焼きの人手が足りないから人をよこせと…」

 

「甘えるなと伝えておけ」

 

「はぁ」

 

あのブタ乳女が、ちょっとデカいパイオツしてるからとチョーシに乗りおって……どうやらあのデカパイには主従関係を、SとMの関係をわからせる必要があるらしいな、上の口からコンデンスミルクをガブ飲みさせてやろう…

 

「サミルコス、私は巡回に出る、ここは任せる」

 

「はぁ、別に構いませんが……あと、五月雨です」

 

「カッカッカ、こやつめ!カッカッカ!こやつめ!」

 

◆◆◆

 

運営指揮所をサミー子に任せ、絶賛開催中の基地開放祭の中へとやって来たワケだが…

例年、基地ところせましと繰り広げられる狂気と根性の祭典!会場には趣向を凝らしたほったて小屋……パビリオンでは娑婆ではめったに見られぬショーが目白押しとなかなかの好評である

 

「テーマパークにきたみたいだぜ、テンションあがるなぁ〜」

 

さて、とりあえず何かしら問題がないか見て回るかと考えつつ歩いていると…

 

「テイトク……ウフフ……テイトク…」

 

背後から謎のプレッシャーを感じる…っ!まさか、私にプレッシャーを与える事ができるだと!?

戦慄と共に後ろを振り返ると………浴衣姿で巨乳のお姉ちゃんが立っていた…ッ!!

 

「キミは……え〜……なんだっけ?」

 

「迅鯨ですよ、テイトク」

 

「あぁ、そうそう迅鯨クンだったな、迅鯨クン」

 

そうそう迅鯨クンだ、最近ウチに来た潜水母艦とかなんとかの……

初対面でいきなり告ってきて、いきなり刺してきた極端な愛と憎しみが同居する美女、たしか神州丸クンからプロの手口で洗脳され、現在は比較的マトモになったはずでありますとのコトだが…

 

「テイトクはお祭りの視察中ですか?」

 

「あぁ、ご覧の通り、視察中なのだよ」

 

「へぇ〜…あの、よければ御一緒しても?」

 

「あ、あぁ…」

 

いや、御一緒して大事なのか?この娘、プロの手口で洗脳されたとは言え、俺を滅多刺そうとした女…

ぶっちゃけ、顔も愛嬌があり小顔で可愛いし、服の上からでもわかる身体もスケベ確定でまっことオレ好みの超美女だ、ハッキリ言って、挿入しないのは無作法と言っていいだろう…

 

だが俺はハンサムな提督だ、ここは1つ慎重に選択肢を選ぶ必要がある…

 

①モチロンOKさ

 

②いや、オレ他に約束が…

 

③刺された、現実は非情である

 

…………普通に考えば①だ、①しかない、そもそも③は選んだ瞬間バッドエンド直行じゃねーか、誰が選ぶか…っ!そんなもの…っ!

 

「モチロン構わんよ」

 

「ホントですかぁ!嬉しいです!」

 

ハジける笑顔で俺の腕をとる迅鯨クン、アレ…?もしかしてこの娘、実はスゲーかわいいんじゃないか?浴衣だし、コレもしかしたらどっかその辺の物陰でア●カンしてもOKな流れじゃね?浴衣だし、花火の音に合わせてパンパンしても許される流れだよね?

 

「ウフフ…」

 

そもそもそうだ、なんか知らないがこの娘は俺に対してやたらと好感度が高いんだし、巨乳だし、言うコトないじゃん?巨乳だし、もうパ●ズリしてくださいって誘ってるようなもんでしょ?

 

よし、もうもうギンギンだ、調査捕鯨しよう

 

「とりあえず色々見て回るか…」

 

「はいっ♪」

 

だが、まだまだ……焦ってはいけない、多少はデートムーヴで会場内を歩き、お楽しみはそれからだろう

 

その、ステキな予感に期待と股間を膨らませつつ歩いていると、歩く先にある屋台からゾロゾロと集団が現れた…ッ!!

 

「あ、テイトクだ〜」

 

「マジマジ、ホントホント!って、テイトクと〜……ジンゲーちゃん」

 

現れたのは実力派エリート集団、潜水艦のクズどもだった…

 

「ヒィ、み、みなさん…」

 

迅鯨クンはビクッと反応し、俺の腕を掴む力を強めた

 

「おー、おー、ハクいネーちゃん連れてるのねー」

 

「へぇー、ジンゲーちゃん浴衣着てるー、いいね!ちょっとこっち、こっち来て!ウチらと一緒に飲もうや!」

 

潜水艦ズ(一部の)は酒臭い息を吐きつつ迅鯨クンにヒューッ!ゲロマブー!だの、言いつつ太腿をピタピタ触る

 

「ヒィ……い、いえ、今日は私、みなさんの相手ではなくテイトクとデー…」

 

「ハァー?ジンゲーちゃーん!ジーンーゲーちゃーんー!ま、いいから!まずは一杯いこ!一杯!」

 

「い、イヤ……がぼぉ!?」

 

イヨティンはビール瓶を迅鯨クンの上の口に豪快に突っ込んでその中身を強引に流し込む!なるほど、これが強制イマラと言うやつか……

 

「ハイ一輝!一輝!一輝!」

 

「ハイハイハイ!ジンゲーちゃんの、もっとイイトコ見てみたい、26、ビールよこすのね」

 

「押忍、ビールです!」

 

流れるような飲み会ムーヴ……そう言えば迅鯨クン、潜水母艦だったな、以前、ゲイ子が潜水艦からパシられていた事がまるでつい昨日のコトのように思うのだよ

 

「カヒュー……カヒュー……うえっぷ」

 

「イイ飲みっぷりですって!」

 

「ユーは……ちょっとかわいそうと思う」

 

「迅鯨サーン…大変そー」

 

「よぉーし、テンション上がってきたでち、オマエら!女王様ゲームすっぞ!女王様ゲーム!」

 

『『『イェイェーイ!』』』

 

こうして、迅鯨クンはテンション上がってきた潜水艦どもに拉致されどこかへと連行されて行った…

拉致される際、迅鯨クンはテイトクゥ〜…テイトクぅ〜……と助けを求めていたが、危うきに近寄れない絶対護身体質の俺はそんな迅鯨クンに対し、自然と敬礼していた…

 

特に意識したワケじゃない、身体が勝手に動いたのだった…

 

◆◆◆

 

「帰ったぞ」

 

「ヤったんですか?」

 

「ヤってない、っーかなんで知ってんだ」

 

「そりゃカメラに映ってましたから」

 

サミー子は基地内の至るところにカメラがありますしと机のモニターをトントンと叩いた

 

「迅鯨クンは拉致られた後どうしたんだ?」

 

「ちょっとモニターで映せない感じですね、アトで録画消しときます」

 

「消す前に俺にも見せなさい」

 

「ダメです、プライバシー、大事」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!こやつめ!」







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提督と鈴谷と平戸と堕ち物ゲー

メインヒロイン=オモシロオブジェ

【登場人物】

提督(眼鏡)
堕ちゲーには些かうるさい

鈴谷(非眼鏡)
落ちゲー?まぁまぁ得意!八●女の次ぐらいに!

平戸(眼鏡)
お小遣いは全部10円玉に両替してました


秋のゴキゲンな執務室、今日は秘書艦サミー子も休暇で居ない、窓から見える外では来たる秋のマラソン大会に向けて走り込みの練習をしている駆逐艦のクソガキどもがヒィヒィと苦痛に歪む顔をしながらフラフラと走る姿を見て今日はステキな日になりそうだと感じた…

 

そんなステキな予感がした日…

 

「ティーッス、鈴谷さんが遊びに来ましたよぉ〜、テイトク、ゲーセンいこーぜ、ゲーセン」

 

ビッチ臭のする、いかにも遊んでそうな頭の悪いJKみたいなのがやって来た…

 

「帰れ、そして二度とそのツラを見せるな、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーし、っーか帰るもナニも鈴谷基地(ここ)に住んでるし、現住所ここだし」

 

「やかましい、次そのビッチクセー上の口開いたらジェ●トアッパーで顎砕くからな」

 

「ハァー?別にクサくないですケドー?ってかむしろ鈴谷の口臭フローラルな香りが…」

 

JET!!!(ジェ●トラベンダー)

 

「がぶろっ!!?」

 

俺の渾身のJET!で下顎から脳天まで撃ち抜かれた鈴谷は執務室の宙を舞い、きりもみ回転しながら脳天からグシャァッ!!とエグい音を立てて床に激突した

 

「ペッ、クズが…」

 

「あ……あがが、ちょ…チョ……マヒか?コヒツ、マジか……マジでひゃりやがったぁぁぁ…」

 

「あ?なんだって?」

 

コイツ、俺のJET!を喰らってまだ立ち上がるだと…?なるほど、さすがは最上型航空巡洋艦を名乗るだけあって駆逐艦や軽巡のボウヤとは違うらしい、大したタフネスだ

鈴谷は立ち上がりつつ砕かれたハズの顎を右手でゴキゴキ鳴らして調整し…

 

「フゥー…この鈴谷様の美しいメインヒロイン顔に何の躊躇いもなく傷をつけるとは」

 

「ナニがメインヒロイン顔だ、負け確ヒロイン顔が、知っているかね?勝敗は常に顔で決まるのだよ」

 

「負け確ヒロインじゃねーし」

 

まるで上級の鬼のような回復力で顎のダメージを完治した鈴谷はヘラヘラ笑いつつ執務机に座った

 

「ゲーセンいこーぜ!ゲーセン!」

 

「お断る」

 

「即断か!もーちょい考える時間あってよくね?」

 

「ご覧の通り、俺は仕事中だ、貴様のようなビッチを相手している暇などない、あと、机からその下痢便クセー尻をどけろ、次は顎では済まんぞ」

 

「あーハイハイ、そーゆーのいいから、あと、鈴谷ビッチじゃないですケドー?」

 

「我こそ蛇遣い座の使者なり…その呪わしき命運受け入れし……」

 

ザザッと!!!(緊急回避)

 

「いきなり本気バイトはマジでやめよ!本気で!せめて段階踏も!段階!」

 

一瞬で机から勢い良く跳びのき俺の右手の攻撃射程ギリギリまで距離をとるか、良い判断だ

 

「……されば愚かなる者共に鉄槌を打ち下ろせ…」

 

だが、あくまで右手の射程外であり左手は射程内だ

 

「ちょ!詠唱やめろ!マジでやめて!ホント、ホントやめて!!悪かった、へ…へへ…少し調子に乗っちまっただけさ、へへ…悪かったよ」

 

命乞いにも躊躇いもない、良い判断だ

 

「………」

 

「悪かった……悪かったよ、鈴谷が悪かったです、調子に乗ってスイマセンした」

 

「………」

 

「コレでいい?ね?鈴谷謝ったじゃん、ね?コレでもー終わりね、あ、なんならパンツ見せましょうか?鈴谷今日超エロいの穿いてるから後でオカズにしてもいいよ」

 

「………汝が神に我が身を捧げん」

 

「ヒッ!?だからやめ…っ!!」

 

◆◆◆

 

秋の風通しが良くなった執務室…

あとで修理しないとな、扉はもうちょい頑丈にして、できれば選ばれし聖なる者だけが入れる結界とかあればこーゆーバカが二度と入れなくなるが…

 

「さて、良い汗かいたし……腹が減ったな」

 

そこらに転がったオモシロオブジェの片付けは後にするとして、とりあえずマミー屋にでも行ってBLTサンドでも食うかと考えていると、先程まで執務室の扉のあったところに誰かやって来た…

 

「失礼します…」

 

「キミは……平戸クン、だったかな?」

 

「ハイ、平戸です」

 

たしか事案型……じゃない、海防艦の子だったな、たぶん択捉さんトコの姉妹だろう、たぶん

 

「あの……扉、どうかしたんですか?」

 

「扉?」

 

「いえ、前はこんなに風通しが良くなかったかと…」

 

「ハハ、バカを言っちゃいかんよ、当基地の執務室はいつだってオープンスペース、提督は愛する部下の声を聴くべく、扉はいつだって開かれている」

 

キミも困ったコトがあればいつでも理解ある上司である私に相談しなさいと若干困ったような顔をしていた平戸クンに優しく声をかけ、ポケットに入っていたクランキーチョコを渡してやった

 

「みんなで分け合って食べなさい」

 

「ありがとうございます」

 

頭を下げ素直にお礼が言える平戸クン……まったく、海防艦ってのは最高だな、その純粋さに照らされて俺も自分を偽らず、素直に生きられる…

 

「それで?平戸クンはナニか用があってここに来たのではないかね?」

 

「あ、ハイ、書類を提出しにきました」

 

「あぁ、書類ね、書類」

 

何の書類かは知らないが、まぁ、たぶんアレだろう、近海とか行った時の報告とかたぶんそんな感じのアレ、基本的にはどいつもこいつも報告書とか日報とか真面目に書かないのでこーゆー真面目に書いてくる子は好感が持てるのだよ

 

そんな真面目で好感の持てる眼鏡っ子の平戸クンは執務室のオモシロオブジェ……ではなく、棚にあるものをジッと見ていた

 

「どうかしたのかね?」

 

「いえ、あれ…ゲーム機かなぁ、と…」

 

「あぁ、そいつはメガド●イブミニなのだよ」

 

「メガド●イブ?」

 

やはり今の小さい子は知らないか、メガド●イブ…

かつてはメガドライバー、サタニスト、ドリームキャスターと些かアレな信者達を熱狂させてきたセ●のゲーム機達…

正直、買う気はまるでなかったが大人はつい買ってしまう生き物である…

 

「やってみるかね?」

 

「いいんですか?」

 

メガド●イブミニに興味津々丸らしい平戸クン…

 

「とりあえずぷ●ぷよでもするかね?対戦で」

 

「ハイ」

 

メガドラ●ブミニ収録ソフトの1つ、ぷ●ぷよ通…っ!

いわゆる、落ちモノゲーの一種で同じ色のぷよを組み合わせて消し、その連鎖を繋げて大量のおじゃまぷよをブチ込んで相手を倒すゲームである

 

そしてこのゲーム、俺は波動拳、昇竜拳、竜巻旋風脚よりも得意であり、このゲームでなら沖波、鳥海、武蔵にも勝ったコトがある………まぁ、こんな子供に本気を出すことはないがね

 

『いっきまーす』

 

「ま、楽しんでいこーぜ」

 

「……」カチカチカチ…

 

…迷いがないッ!!この子、一見すると適当に積んでるように見えるが操作に全く迷いがない!!

それにこの組み立て…ッ!コイツは…ッ!!

 

「…平戸クン」カチカチカチ

 

「なんですか?」カチカチカチ…

 

「キミ、このゲームをやりこんでないかね?」カチカチカチ

 

「小さい頃、実家の近くに10円のゲームセンターがありました」カチカチカチ…

 

よしわかった!その答えで全てわかった…………コイツは手加減していい相手じゃあない…ッ!!

 

「俺に勝ったらマミー屋で好きなモン買ってやろう、一週間分」カチカチカチ

 

「一週間ですか、ドーナツとかいいですね」カチカチカチ…

 

◇◇◇

 

基地から公共交通機関を利用して40分程度の距離にあるイ●ンモール…

 

「いやぁ〜やっぱ話題の映画は多いね〜」

 

「話題ですしね」

 

休暇を利用し、夕張さんと話題の映画を見つつ買い物でもしようとやって来たワケですが、話題の映画はやはり人が多くて軽くウンザリしますね

 

ブーブー!(バイヴ音)

 

「五月雨ちゃん、電話鳴ってない?」

 

「鳴ってますね、と言うかメールです」

 

「テイトク?なんか買って来いって?」

 

「いえ、なんか完堕ちしたそうです、アヘェ、ヒラトクンには勝てなかったよ…って」



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提督と後輩の後輩【前編】

全3回の短期集中回、たぶん

【登場人物】

提督(センパイ)
タチの悪い先輩

日女大佐(後輩)
今回の主役待遇、提督の後輩
実家が修道院らしく、シスターになるのがイヤだったらしいとは本人の弁なので真偽の程は怪しい




「お久しぶりっす、センパイ」

 

「………何の用だ?」

 

季節は秋に突入した11月のある日…

本日快便、今日も元気だウ●コがぶっといと執務室に行くと、朝っぱら珍客が来ていた…

 

「またまたぁ~、何の用だとかそんな他人行儀な!私とセンパイの仲じゃねーっすか!」

 

「他人行儀じゃねーで他人だろーが、っーかサミー子、なんでコイツがいるんだ?俺、聞いてないよ?」

 

「私だって聞いてないですよ」

 

突如としてやって来た珍客………日女、俺の後輩であり、海軍兵学校時代からの付き合いである

兵学校時代からワリとウザいヤツだったが、卒業し、互いに一軍の将となった現在でもそのウザさは変わらず、3日に1回くらいはウザいメールがきており、他にも色々あるが、なによりウザいのは、後輩のくせに俺よか階級が上ってのが一番ウザい

 

「なんか朝から基地の門でピンポンピンポン鳴らしてうるさかったんで…」

 

「メーワクな野郎だなオイ」

 

「迷惑とは失礼な、あ、手ブラじゃワリーと思って手土産ぐらいは持ってきてるっすよ、ハイ、マカダミアナッツ」

 

「ナニがマカダミアナッツなのだよ」

 

◆◆◆

 

「…で?わざわざウチに来てまで何の用だ?」

 

「まぁ、別に電話でも良かったんすけどね、あ、サミーちゃんティーとか淹れてもらえないっすか?アツいやつ」

 

もしかして電話だとなんかマズい感じの話なのか?軍がヤバイ的な…

 

「ちょいとセンパイに相談に乗って貰おうかなっと…」

 

「金の話か?」

 

「や、どっちかと言えば権力の話っすかね…」

 

そう言って、普段から開いてるのか閉じてるのかよくわからないヒメの目が一瞬うっすらと開いたのは俺じゃなきゃ見逃しちゃうだろう…

 

………っーか話を聞く前からロクな予感がしねぇ

 

「や、私、今度の特選演習に斡旋されたんすよね」

 

「ふ〜ん、ガンバレよ」

 

特別選抜演習、通称“特選”…

艦娘を率いる艦隊司令として優秀な成績及び結果を出している提督がお呼ばれする文字通りにトクベツな演習で、6人6艦隊最大36人参加のデスマッチ式が採用されるとても危険で、とても野蛮な演習である…

 

ちなみにこの特選、見事勝ち抜けば階級が上がるのはほぼ間違いなく、ハイリスク・ハイリターン人生にたまらない興奮があるとかないとか…

 

「別にオマエんトコ弱くねぇだろ」

 

「たしかに、ウチの娘らはたしかに弱くはねーっすよ」

 

そもそも“特選”に斡旋されるレベルだ、コイツ自身、普段はチャンラン=ポ=ランだが艦隊指揮能力はそこそこ高く、むしろやる気のコイツの卑劣さと狡猾さは俺でもブルっちまうぐらいだ

 

「ただ相手が悪いんすよ、相手が」

 

「へぇ〜」

 

「へぇ〜…じゃないっすよ、私以外は全員全国区の有名人ばっかなんすよ!」

 

「有名人ねぇ、佐世保の火の玉ボーイとか、舞鶴の鉄砲玉みたいな?」

 

「なんすかそのアダ名……初めて聞いたんすけど、有名なんすか?その人達?」

 

「ん?あぁ、佐世保の火の玉ボーイこと雁高長蔵クンは着任したその日にイ級をウコチャヌプコロしていたところを秘書艦に見られ秘書艦の心に深い傷を与え、舞鶴の鉄砲玉こと摩羅太クンは年上好きを公言してたがよりにもよって入浴中の海防艦の中に見事特攻し心に深い傷を与えて逮捕され…」

 

「ただのアホどもじゃないっすか!?」

 

「ただのアホどもじゃない、彼らもまた、現代社会と言う闇が生んだ理解され難き哀しきモンスターなのだよ…」

 

「ナニが哀しきモンスターっすか」

 

そしてまた俺もヤツらと同じ………“退屈な日常に飽き飽きしてる女性”や“痴漢願望、露出願望のある女性”を解き放ち、極上の快楽を与えるのが生き甲斐でもある趣味は違うとは言え同じく“逸脱者”なのだろう…

 

「で?どんなモンスターが相手なんだ?」

 

「モンスターじゃねーっすよ、ま……相手の1人に私の後輩がいるんすよ」

 

「ほぉ、後輩か…」

 

「コレがまたちょいと厄介な相手で…」

 

ヒメ曰く、かなり苦手と言うコトだが……基本的に誰にでもウザいぐらい馴れ馴れしいコイツが苦手とか珍しいな

 

「なるほど、後輩の後輩は我が後輩も同然、つまりそいつを叩き潰したいワケだな?」

 

「まぁ、できれば負けたくはねぇんすけど…」

 

「なんだ?歯切れが悪いな」

 

「そもそも勝てるかどうか怪しいんすよね、ま、とりあえずそいつの写真あるんで…」

 

そう言ってヒメが無い胸から取り出した一枚の写真…

その写真に写っているのは、規則違反な改造をした制服を着こなす金髪縦ロールのいかにも高飛車なお嬢様と言った女だった…

 

「お嬢様だな」

 

「ご覧の通り、お嬢様っすね、有馬さんほどじゃねーっすけど」

 

「縦ロールだな」

 

「ご覧の通り、縦ロールっすね」

 

「高飛車なのか?」

 

「見た目に反してこれがまた低姿勢で素直ちゃん」

 

そこはご覧の通りじゃねぇのな…

 

「ちなみにこのお嬢様はアレか?親から人生のレールを敷かれ、金持ちとの結婚を勧められているものの、親の思い通りに生きるのがイヤで自分の力で生きていけるコトを証明すべく若くして軍の門を叩いたとかそんな感じの…」

 

「ま、だいたい合ってるっす」

 

合ってるのか…

さらに、ヒメが言うには見た目に反してお嬢様であるコトにあぐらをかかず、さらに、人並み以上に努力を重ね、なおかつ天性の才能を持っており、いうなれば“努力する天才”と言う敵にするとかなり厄介な相手だと…

 

「なるほど………しかしオマエ、なんでそう露骨にイヤそうなんだ?」

 

「苦手なんすよ」

 

「………はぁ?」

 

「苦手なんすよ、コイツが、マジで」

 

本気(マジ)!!みてーな顔してナニ言ってんだコイツ…

 

そしてヒメ曰く、チャランポランな自分とは対極にあるまさしく最悪の相性らしく、今までも提督間での演習の申し入れ自体はあり全て断ってきたのだが、さすがに今回ばかりは逃げられないと…

ふ~む、コイツが苦手な相手とはイマイチ想像がつかんな…

 

「で、センパイに相談っーのは、特選当日に会場に乱入してもらい、この女を“カーッカッカッ弱体提督には演習参加をご遠慮願いましょうかねぇ~…”とヤってもらいたいと」

 

「誰がするか…っ!そんなの…っ!」

 

「え~…マジっすか、センパイなら笑顔でやってくれるものと…」

 

「やるワケねーだろーが!」

 

ただでさえ悪評が広がっているんだ、これ以上俺の評判を落としてたまるか…っ!俺はな!安全に出世したいんだよ!

 

「そこをなんとか!何卒ォ!何卒ォォォォォ!!」

 

「やかましい、行って死んで来い、骨は拾って犬の餌にしてやろう」

 

「マジっすか、センパイ優しぃ〜!」

 

「当たり前なのだよ、俺の半分は優しさで出来ているのだよ」

 

そしてもう半分は憎悪で出来ている

 

「ありがとうございます!サミちゃんも一緒に是非応援してやってください!」

 

「はぁ、まぁガンバってください」





次回は中編、特別選抜戦開幕!


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提督と激震!雪風降臨

聖域激震!この秋、全ての深海棲艦が死を覚悟した…

【登場人物】

提督(メガネ)
溢れる知性で返り討ち

陽炎(長女)
陽炎姉妹の長女、喧嘩してるの?死ぬまでやりなさい

不知火(次女)
陽炎姉妹の次女、落ち度の塊ではありません

雪風様(様)
時雨様に並び、様付けを許された駆逐艦、深海棲艦とは口を聞かない


突如として基地を駆け抜ける強大な小●宙(コ●モ)…!

これほど強大な小●宙(コ●モ)を持つものと言えば………戦艦か?まさか私闘を禁じる掟に背き、戦艦と戦艦が戦闘状態でぶつかっていると言うのか…っ!!

戦艦同士の戦いは千日戦争になるのが必至!これを止めるにはどちらかの隙を突いて幻朧魔●拳を打ち込み精神を支配するしかないだろう…

 

「バカものどもめーっ!」

 

勢い良く机をダァン!し、とりあえず現場に急行すべく秘書艦サミー子に行くぞ!付いて参れい!と檄を飛ばした俺だったが、秘書艦サミー子はナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?みたいな顔で俺を一瞥し、再び漢字クロスワードパズルの雑誌を眺め始めた…

 

もしかして俺は嫌われているのだろうか?

 

いや、そんなコトはない!断じてない、断じて否!何故なら俺は、そう………ハンサムな提督なのだから

 

ーーー

 

「バカものどもめーっ!艦娘による私闘は禁じられているのを忘れたかー!」

 

「あ、テイトクだ」

 

「たしかにテイトクですね」

 

強大な小●宙(コ●モ)の爆発を感じた噴水のある基地の中でも人気のオシャレ広場へと行くと、なにやら駆逐艦のバカガキどもがたむろしていた…

 

「オマエは……陽炎?」

 

「なんで疑問形?失礼すぎでしょ、このメガネ」

 

「そしてキミは……落ち度の不知火」

 

「まるで不知火が落ち度の塊のような蔑称はヤメてください」

 

とりあえず、広場にたむろしていたバ……駆逐艦の適当なヤツらに声をかけてみたが、フッ、まさか陽炎型のアタマを張る2人にたまたま声をかけるとは…

どうやら今日のおは朝のラッキーアイテムを執務室に置いてきちまったらしい

 

「オマエら、これはいったい何の騒ぎだ?誰と誰が殺り合っている?また大和さんか?」

 

「大和さん?大和さんは見てないけど…」

 

「大和さんなら朝、コンビニにバイトに行くと言ってまるで人妻のような色気を振りまきつつ歩いているのを不知火は見かけました」

 

「マジでー?やっぱあの人、人妻なの?」

 

「さぁ?しかしこれはあくまで不知火の予想ですが、コンビニ、バイト、大和さん、これだけの条件が揃い何もないワケもなく………退屈な生活に満足感を持てず、バイト先での不貞と言う火遊びの中、ふしだらな戦艦ですまないと心の中で謝りつつも身体は否応なく反応してしまうのでは…?」

 

「バカ言うんじゃないよ落ち度の塊が、大和さんがそんなふしだらな戦艦なワケないだろーが、大和さんは仁・智・勇に優れ、万人に優しくまるで神の如き慈愛を持つ人格者であり、まっこと戦艦の鑑!」

 

その心にとてつもない邪悪がなければ、おそらく次期提督の座は大和さんだったハズ…

 

「落ち度の塊じゃありません、不知火です」

 

「ってかテイトク、ナニしに来たの?」

 

「ナニしに来たじゃない、むしろこっちがそれを聞きたいのだよ、さっきの小●宙(コ●モ)の爆発、アレはいったい…」

 

「あ〜………それ、アレよ、アレ」

 

「アレぇ?」

 

陽炎が指差す先に立っているのは………まさしくアレ、いや、アレと言うか…

 

「雪風様じゃねーの?」

 

「そ、我が妹の雪風」

 

「我らが愛する妹、雪風が姉妹一の稼ぎ頭なのは不知火の中でも既に常識…」

 

基本的に、駆逐艦=バカガキなのは既に常識、たまに例外はあるが大抵の駆逐艦はまだ乳臭さの抜けんヤツよ…

 

しかし、そんな駆逐艦の中にも“怪物”は存在する…

この基地において、何よりも大事で優先されるべきものは“力”である…

そう…“力”さえあれば多少素行は悪かろうが多少問題があろうが容認される、力とはまさに正義であり、その力の持ち主がどんな邪悪な存在であろうが、力がある時点でそれは正義なのだ!

 

そして、その“力”の持ち主には誰しもがごく自然に、当たり前のように“敬意”を払うのだ………それは勿論、この俺も含めて

 

小●宙(コ●モ)の真髄、第七感(セブンセ●シズ)を極めた戦艦や空母に比べ、未だ若く、未熟とされる駆逐艦の中に、様付けされる駆逐艦はたったの3名しかいない…

 

1人は白露型キセキの世代、そして絶対王者西村艦隊を率いる絶対の存在、時雨様…

そしてもう1人は、おそらくはやんごとなき身分であろう雅な御方、初春様…

そして最後の1人こそ、その拳で幾度となく鬼や姫を沈め、深海棲艦からもイベント海域後半であの姿を見たらジ・エンドだと怖れられている無敵の死神、完璧(パーフェクト)駆逐艦………雪風様

 

「バカな、雪風様だと…?しかしあの小●宙(コ●モ)は…」

 

「そりゃーもぉーアレよ!アレ!」

 

「百聞は一見にしかず、男は度胸、何にだってチャレンジしてみるべきだと不知火は提案します」

 

そう言って落ち度の塊不知火は雪風様のところへ行くと、身振り手振りでなにやら説明し…

 

「テイトク、雪風、殴りっこOKだそーです」グッ!

 

「オマエナニ言ってんの!?」

 

「不知火はテイトクが雪風の力をお疑いのようですから、一発殴って雪風に勝てないコトをわからせる必要があると…」

 

「その前にオマエにわからせが必要だよ」

 

ギリギリギリギリ!!(魔のテイトククロー)

 

「いだい!!痛い痛い痛い痛い!テイトクタップです!タップですギバップ!ギバーップ!不知火の負けだー!」

 

俺は落ち度の塊不知火のガンメンから手を放し股間に蹴りを入れると、不知火はウッギャアー!とか言いつつ地面を転げ回った

 

「フン、まぁいい……だが、まぁ、たまには雪風様の力を見せて貰うのも悪くない」

 

俺は上着を脱ぎつつノーグラブだがいいかね?と聞くと、雪風様は殴りっこにグラブが必要ですか?と逆に尋ねられた…

 

「さぁ、かかってきたまえ」

 

…よし、まずはレップウケンで牽制して不用意に飛び込んできたらジェノサイドカッタ!で迎撃を…

 

互いに距離はあるが………いや、雪風様の様子がおかしい、何か力を溜めているような…

 

————————————カッ!!!

 

「な、なんだ…っ!この強大な小●宙(コ●モ)は…!バ……バカな駆逐艦のボウヤがこれほどの…!」

 

ち、違う…っ!!これはいつもの雪風様じゃあない……っ!!まさか改二!?雪風様は新たなステージへと上がったと言うのか!?

い、いや……違う!この力は改二じゃない、なんだ!この赤いオーラ、まさか神の気を修得し、雪風・ゴッドに!!

 

「アレこそ雪風の新たなる力、丹陽の型!」

 

「テイトクは明日の朝刊に載りましたねと不知火は確信しました」

 

「タ…丹陽だと!」

 

バ……バカな!話には聞いたコトがあったが、神話の時代、数多の邪悪を打ち砕いてきた伝説の戦士が……伝説の戦士が帰ってきたと言うのか!

 

「………へへへ、こりゃヤベーなぁ、こりゃ相当(リキ)入れねーと」

 

こんなにヤベーのに、テイトクワクワクしてくっぞ!

 

そんな(リキ)入れねーとヤベーと身構えていると、雪風(丹陽の型)はさらに小●宙(コ●モ)を燃やし…

 

「バ……バカなっ!!まだ先があると言うのか!?」

 

あ、ありえない…っ!見たところあの丹陽の型は改二相当!まさかさらに先へ行くと言うのか!あの不死鳥(フェニックス)響ですら到達していないのだぞ!

 

———————————カッ!!!!

 

「こ、これが………雪風改二」

 

圧倒的な才能……っ!雪風様の才能は、改二の扉すらいとも容易く開けてしまうのか…!!

 

「えー………テイトク、殴っていいですか?」

 

「え?あ、あぁ、うん、ドンときなさい」

 

「わかりました、じゃ、ドンと…」

 

 

 

後に、たまたまその場に居合わせていた陽炎型駆逐艦の不知火は我々の取材にこう答えた…

 

 

えぇ…なんと言うか、イッパツでしたね…ハイ

 

それはもうキレーに顎に、えぇ…回ったんですよ…

 

いえ、首とか顔とかメガネではなく、身体ごと…もう1回転とか生半可でなく5回転も6回転も…

 

アレはまぁ……落ち度と言うよりもっとこう………いえ、落ち度でした…

 

あ、不知火の落ち度ではありませんよ?そこのところは間違えないでください




次回こそたぶん中編、たぶん


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提督と後輩の後輩【中編】

前中後の中編、選抜戦開始

【登場人物】

日女大佐(糸目)
勝敗は常に顔で決まる

蓮華院大佐(お嬢様)
後輩の後輩、人格には些か難がある


センパイに相談と言う名の名目で会いに行って数日後…

まぁ、予想通りに大して相談にはならなかったが、久々に会ったんだから酒ぐらい付き合ってやるよと言ってくれたのでセンパイの財布がカラになるほど付き合わせた…

 

「で?どうなんだい?今日、勝てそうなのかい?」

 

「は?ナニ言ってんすかヴェーちゃん、フツーに勝つっすよ?」

 

「そうかい」

 

頼れる秘書艦ヴェールヌイちゃんことヴェーちゃんは私の返答に特に不安な様子もなく、チームのメンバー達に楽しんでハラショーぜと言ってハラショーしていた…

まったく、ヴェーちゃんはホントによくデキた子っすね

 

「やれやれっすね」

 

相手は全て私と同じ階級、海軍大佐…それも、特別選抜に選ばれるレベルと言うコトは大佐の中でも手練れの上級大佐…

 

その中でも一番厄介なのが………

 

「ヒメちゃん!嗚呼…やっぱり!ヒメちゃん!お久しぶりですー!」

 

「…ちゃん付けすんな、馴れ馴れしいんすよ」

 

資料を片手に考え事をしていると、その、一番厄介な相手が満面の笑みを浮かべ小走りに駆け寄ってきた

 

「なんなんすか?演習前に私を毒殺でもしに来たんすか?蓮 華 院 大 佐?」

 

「フフッ、相変わらずヒメちゃんの冗談は面白いです、と言うか……蓮華院大佐なんて他人行儀な呼び方をされてはこう……むず痒いですわ」

 

「他人行儀じゃねーで他人っす、っーかむしろ、今日のアンタさんは敵っすよ、わかってんすか?」

 

「!?、敵だなんて……あ、そうです、今日は私達で組んで戦いましょう、他の4人を排除してしまえばあとは私とヒメちゃんだけになりますし」

 

モチロン最後に勝ちはお譲りします!と笑顔で言えるこの女の顔をブン殴りたい衝動を抑えるべく左手の小指を自らヘシ折った私をセンパイは誉めてくれるだろうか

 

そんなイライラと戦っていると、あっちの方から一航戦の青いのが歩いてきた…

 

「レンカ、そろそろ時間ですよ」

 

「あ、はいは~い、じゃヒメちゃん、また後でお会いしましょう」

 

笑顔でヒラヒラと手を振り、この場を去る蓮華院…

正直、最近会ってもなかったしアイツも多少はウザさが薄まっているかもしれないと淡い期待をしていた自分がバカだったと改めて思ったっすよ

 

「ヴェーちゃん」

 

「なんだい?ヒメ」

 

「開始直後はアイツの部隊にはゼッテー手ぇ出すな、アイツを殺るのは最後っす」

 

「?、驚いた、真っ先に殺せじゃないのかい?」

 

「バカ言ってんじゃねーっすよ、この日女ミコト、利用できるモノはなんでもボロ雑巾のよーになるまで利用するが信条っす」

 

◆◆◆

 

暑いのやら寒いのやらよくわからない秋の空の執務室…

 

「あ、今日、日女大佐の言ってた選抜戦の日じゃないですか?」

 

「そうだっけか?何時からだ?」

 

「15:00からですね」

 

よく覚えてたなコイツ、さすがは我が信の厚き秘書艦様と言ったところか、大したやつだ…

とりあえず、せっかく忘れていたのに思い出したのもまた何かの縁、俺はPCを起動させ選抜戦中継をやってるであろうインターネットのページを開いた

 

「ほぉ、さすがは特別選抜、なかなかの顔ぶれだな」

 

「ネット中継あるんですね」

 

「ヒメは〜……人気低いな、5番人気ってトコか」

 

「提督、それ、なんてホームページですか?」

 

「マクーレってページだ、中央から地方まで幅広く中継してるぞ」

 

海軍が開設しているホームページ、マクーレ

全国津々浦々の演習場で行なわれている演習を中継し、ついでに、インターネット投票による艦券を購入することができる(R18、子供は艦券を購入できません)

 

「それただの公営ギャンブ…」

 

「1番人気はコイツか、蓮華院大佐(舞鶴)……ふむ、たしかにヤリそうなツラだな」

 

「あ、その人じゃないですか?ヒメさんがいつか殺すとか言ってた人」

 

「そうだっけか?」

 

言われてみればたしかに、前に写真で見たツラに見える気がするが……それよりなによりアレだ、写真では角度のせいであまり気にならなかったのか、こう改めて見るとこの蓮華院大佐殿、かなり豊満なpeachの持ち主だ…

 

「たしかにヒメでは勝てんな、コレは」

 

しかもお嬢様育ちで性格もいいと言うならばあのバカが勝てる要素は1つもないだろう

 

さらに、1番人気の蓮華院大佐(舞鶴)の他にも白の四天王と呼ばれる強敵がなんと2人もこの選抜戦にエントリーしており、この演習のレヴェルの高さを窺い知る事ができる…

 

「勝てますかね?ヒメさん」

 

「無理だろ」

 

卑劣さで言うなら俺と互角と言っていいヒメだが、さすがにこの選抜戦は相手が悪すぎるだろう、とりあえずヒメのは100円だけ買っといて、本命を押さえておくのが無難…

 

「それ、ついでに私のも買って頂いていいですか?」

 

「いいぞ、ヒメに100円か?」

 

「ヒメさんに5万円」

 

5万…っ!?この青髪ロング子、正気の沙汰とは思えない…っ!あまりに無謀…っ!無茶…っ!常人にできない発想……

秘書艦サミー子は机に置いた鞄から財布を取り出し、現金(キャッシュ)を机に置いた…

 

「これで」

 

「………まぁいいけどよ」

 

◇◇◇

 

「さぁ〜て、今日もギタギタに負かしてやりましょうかねぇ〜」

 

選抜戦開始15分前、用意された艦隊指揮所に入った私は既に海上に待機している艦娘達とキチンと通信が出来ているか確認する…

 

「もしもーし?聞こえるっすか〜?聞こえてない娘は手ぇあげてー」

 

『ハラショー、聞こえているよ』

 

「あっそ、ならOKっす」

 

こちらの戦力は旗艦のヴェーちゃんを含めて駆逐艦2、戦艦1、空母1、航巡2

尖ったものは無いが、他がどんな編成組んできてもある程度幅広く対応可能なスタンダードな編成…

 

「じゃ、とりあえず作戦は予定通りプランBで行くっすよ」



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提督と後輩の後輩【後編】

全三回の後編、フラグ回

【登場人物】

日女大佐(後輩)
次期長編回“姫巫女の座”の死亡フラグ

提督(先輩)
難関国家資格一級フラグ建築士未所持


秋の特別選抜演習、各地から斡旋された優秀で将来的に有望な将校達が己の下で鍛えぬかれた艦隊を指揮し、戦って、戦って、戦い抜いて、自艦隊の勝利を掴むべく挑むこの戦い…

 

序盤戦はどの艦隊もまずは様子見から始まるだろうと予想されていたが、開戦直後、蓮華院大佐率いる艦隊と日女大佐率いる艦隊がそれぞれ最も近い艦隊に全速で強襲、この日の為に考えぬいた作戦や陣形を嘲笑うように戦いは一気に六艦隊全戦力による乱戦へと突入した…

 

「あのヤロー、やりやがった」

 

「やりやがった、と言うか、事前に組んでたんですかね?ヒメさんと蓮華院大佐さんは」

 

「どうだかな」

 

組んだと言うよりは、結果的にお互いに同じ考えに至った感じだろう…

たぶんヒメ的には開戦強襲からの青写真描いてたろーが、この乱戦が想定内かどうだったかはアイツにしかわからん…

 

「しかし結果的に流れはキてるな、乱戦になれば力勝負と考えがちだが、勝負は卑劣さと卑怯さで決まる」

 

「さすが、卑劣さと卑怯さを自然に着こなす快男児は言うコトが違いますね」

 

「褒めるなよ、兵が見ている」

 

「見てませんけど?あ、私が見てますか」

 

「相変わらず卿にはジョークのセンスが皆無だな、軍を退役後コメディアンスクールに通ってはどうだ?」

 

「それも悪くありませんね、ただ、そのコメディアンスクールに一流の講師が在籍し、講義を行なっていれば、ですけど」

 

◇◇◇

 

「チッ、やっぱ数が多いっすね」

 

とりあえずグチャグチャに掻き回すっーセンは上手くいったっすけど、さすがに相手も歴戦の勇者揃い、崩れ方も悪い意味で想定内にしかなってない

ウチの基本的戦法は3人がかりで1人を囲むトライアングルフォーメーション……

 

ただし、孤立した仲間にヘルプしに入られたら即離脱させてるのであまり敵の数が多いとなかなかどうにも上手くいかない現状…

 

「ふ〜っ〜……参ったっすねぇ」

 

液晶パネルに表示された現在の戦況、ウチは大破無しで現在3位ってトコっすが〜………あ、また1つ大破判定出た、また蓮華院のヤローんトコがヤりやがったっすね

ま、ウチの娘じゃないなら誰をヤってくれてもいいんすけど…

 

っーかあの女、マジでウチの娘には手ぇ出してこないし

かと言って、露骨な共闘を見せつけないよーに牽制だけはするし、なんなんすか?舐められたものっすねと言いたいトコっすよ

 

『ヒメ、どうすればいい?』

 

「とりあえず、そのままっすよ」

 

『了解』

 

さてどうしたものか、宣言通りに勝ちを譲られるのも癪だし、単純にムカつくんで後ろから殴ってやりたい気持ちもあるっすが…

 

「う〜ん」

 

………まぁ、いつか殺すとは思っちゃいても、それは今じゃない

むしろここで勝ちポイント貰っといてさっさと上に昇って権力を手にし、私の目的を達成させる方が優先っー気持ちもあるんすよね

 

ムカつくっすけど蓮華院は優秀っす、上手く扱えば優秀な手駒になるとは思うんすけど〜………アイツたぶんガチ●ズなんすよね…

いや、わかるっすよ?あの目は“恋”をしている目なんすよ、しかもタチの悪いコトに性的な願望より純粋でキレイなものを見てる目っす、平たく言えば、汚い●ズではなく綺麗な百合っーヤツっすか

 

「う〜ん……」

 

よし、決めた

 

「あー、あー、ヴェーちゃん、聞こえるっすかー?」

 

『聞こえてるよ、なんだい?』

 

「………ヤっちまえ」

 

『了解』

 

◆◆◆

 

「やりやがったあのヤロー」

 

「大破判定されて転がった艦を盾にするとかなかなか出来ることじゃありませんね」

 

まぁ、そこまでやっときながら最終的戦果は2位、さすがに火力と思いきりが足りなかったのと肉盾戦法が周り全てを敵に回し集中砲火を浴びたのが敗因か

 

「たまに思うが、アイツ、アホなんじゃないだろうか?」

 

「う〜ん、アホかアホじゃないかって言われたら、どちらかと言えばアホですね」

 

「曖昧だなオイ」

 

「まぁ、提督としてはなんやかんや邪険にしつつも可愛い後輩ですよね」

 

「可愛いくはねぇな、ウザいが」

 

しかしアイツ、何考えてんだ?選抜戦2位の戦果は大したもんだが、もうちょいスマートにやれただろうに…

これから先、上を目指すのにわざわざいらん敵を増やしたのは失敗だろ

 

「まぁそこら辺、よく似てますよね」

 

「似てねぇよ、っーか似てるとしたら俺じゃないで大将殿(クソオヤジ)に似てるんだな」



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提督と天国を追い出された天使は悪魔になるしかない

よせやぁい

【登場人物】

長門(戦艦)
通称、一級ロリコンの長門、可愛い妹募集中

陸奥(戦艦)
私の存在全否定はやめてくれる?

Nelson(戦艦)
今のは高級ではない、最高級だ

Colorado(戦艦)
BIG7でNo.1の存在(自称)
傷つき易く繊細な年頃



ビッグ7…!!それは、世界の海軍から掠奪を認可された7人の一癖も二癖もある大戦艦達に贈られる称号であるッッッ!!!

 

その誰もが一騎当千の力を持ち、普段は馴れ合いを好まないクセ者達、世界に認可された問題児達が…ッッッ!!今日、その、ビッグ7の内4人が1つの部屋に集ったッッッ!!!

 

「陸奥よ、これは何の肉だ?」ナポォ…モニュ…

 

人格・戦闘力全てにおいて完璧であり、生まれてこのかた背中を地につけたことがないと駆逐艦のキッズ達から噂されている“鉄の城”長門ッッッ!!

 

「さぁ?潜水艦の子はラッコって言ってたケド…ホントかどうかはわからないわ」

 

歴史の裏に陸奥がいる、伝説を終わらせる為、歴史の表舞台に現れた“伝説の修羅”陸奥ッッッ!!

 

「らっこ?ふ〜ん、ナンの肉かはよくわからないケド、マーマーイケるわ!えぇ!アナタ達も食べなさい!私にエンリョなんかしなくていいわよ!なにせ私は偉大なるBIG7……その中でも最も寛大でみんなから愛される存在なのだから小さいコトは気にしないわ!Even though it's small, don't disrespect!」

 

MAJORからの刺客!小さな身体に大きな態度!タイマンなら誰にも負けないと豪語した日にタイマンで負ける安定のかませ犬!“ワキガじゃないわ!”コロラドッッッ!!

 

「うむ、悪くは………ない!」どんっ!

 

女王陛下の英国出身、知らなかったのか?BIG7からは逃げられない……“偉大なる余”ネルソンッッッ!!

 

この日、部屋に集まった大戦艦達、そして…

 

「うっせーよ、ゴチャゴチャ言ってねーで食え食え、ほら、コロちゃんも」

 

「あら?ありがとうAdmiral、なかなか気が利くわね!」

 

………この、世界の問題児達と卓を囲む俺様ことこの基地の絶対支配者である提督様は鍋をよそってお椀に入れてコロちゃんに渡した

 

そもそもアレだ、このビッグ7会…

先日、執務室にやって来たコロちゃんが“偉大なるBIG7同士、友好を深め……じゃない、誰がBIG7で1番偉いのかを教える機会が欲しいわね”と泣きついてきたのがそもそもの始まりであった…

 

たぶんこの娘、母国の友達少ないのだろうなと思ったが提督は空気が読める大人なので口には出さなかった

 

「しかしマジ変な匂いするなこの肉…」

 

「そうか?余は大して気にならんが…」

 

偉大なる女王陛下にすら対等に口をきく不遜が許されし唯一無二の余、ネルソンはニホンの鍋も悪くないと思っているのか、いちいち“うまい!うまい!”と瞳孔の開いた目でうまい!と食している…

 

「と言うか、お酒が欲しくなるわね…」

 

「そいつは奇遇だな、俺も飲みたい気分なのだよ」

 

「ないの?お酒」

 

「ねぇんだな、コレが」

 

陸奥のジト目による批難が痛いが、たしかに失敗だなコレは、長門は飲まないし、コロちゃんはコークとかでいいだろと思って飲み物まで気にしてなかったのだよ

 

「なに?なら、Arkにwineでも持って来させよう!勿論、最高級の、な」どんっ!

 

「う〜ん、私はどちらかと言えば日本酒の気分なんだけど」

 

「私はBeerよ!Budweiserないの?」

 

グゥゥゥム、仕方ない、とりあえずママんトコにでも行って適当に何本か貰ってくるか…

俺は鍋を囲むバカどもにちょいと飲み物仕入れてくると言い残し部屋を出た…

 

それが、後にあんな悲劇が待ち受けるとも知らずに…

 

◇◇◇

 

AdmiralがDrinkを買いに行くと部屋を出てどのぐらい経っただろう、部屋に残された私達は特に楽しくオシャベリするワケでもなくナベーを囲んでいた…

 

ってかAdmiral!ハヤク帰ってきなさいよ!私1人だとコイツらとナニ話していいのかワカんないのよ!

 

「……」

 

ただ、なんだろう?そう……何か変と言うか、なんだろう?どう見ても………

 

ナガートが、色っぽい…

 

イヤイヤイヤ!!そんなワケない!そんなワケないわ!そーよ!わ、私はフツーよ!フツー!!えぇ!!好きな俳優はハリ●ン・フォード!!

 

「フッ、どうした?Colorado……っと、いかんいかん、胸のボタンが」ムッワァァァァ

 

クッ!!この英国戦艦、スケベすぎる…っ!

 

「それにしても長門……アナタ、ちょっと見ない間に良いオンナになったんじゃない?」

 

ナニ言ってんのムツ!?

 

「そうか?フッ………よせ」ムッワァァァァ

 

照れてるナガートかわいい………って!!違う!違う違う!そんなワケないでしょ!!よく見なさい、腹筋バッキバキよ!

 

「フッ、ムツよ…オマエも前より良い身体になったのではないか?」

 

「ふふっ、そうかしら?どう?コロちゃん?」

 

「ピィ!?わ、私に!急に私に話題を振らないでよ!!!」

 

「あらあら、ごめんなさい♪」

 

ムツーは私に寄りかかりその豊満なBodyを当ててくる!!

な、なに?なんなのこの気持ちは…っ!この感情の高まり、こ……こんな気持ち初めてだわ、どうしたらいいの?こ、こんなの母国で教わらなかったわ!

 

…Admiral!どうしたのAdmiral!!ハヤク!ハヤク帰ってきてー!!

 

………と、私の祈りが届いたのか、部屋の扉が開き、酒瓶を持ったAdmiralが……

 

「よぉ、酒持ってきたぞ」ムッワァァァァ

 

あ、ダメだわ、Admiralまで色っぽく見える…見え……

 

ばたんきゅ〜!!

 

「あらあら大丈夫コロちゃん?」

 

「ふむ、胸元を開けて楽にした方が良い!な」どんっ!

 

「下も脱がせろ!いや、全部だ!」

 

 

 

後日、コロちゃんは故郷に帰ると言って泣きじゃくって暴れアイオワからお腹パンチを喰らい2週間程寝込んだ…

 

 

そして………

 

「Johnston、Sum、Submarineの皆さんから珍しい食材を頂いたの」

 

海外艦寮、フレッチャー姉妹+サムくんの住む部屋…

 

「へぇ、ナニそれ?肉?」

 

「えぇ、なんでも…らっこ?Enhydra lutrisとかなんとか…」

 

「ゲェー…食べれるの?それ?」

 

「Sumはナンでも食べれるよ!」




次回
天パと呼ばたJ


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続続続続続続続続続続続続・提督と作戦とミーティング

ゴングを鳴らせ!戦闘開始だッ!!

【登場人物】

提督(クズの人)
シーズン最終戦、最後まで気を抜きません




「えー…今年は年始から新型ウィルスの感染症問題など皆さんの生活や経済活動に支障を来す問題もあり、新しい生活様式や適切な距離を置くソーシャルディスタンスなど様々な変化にめまぐるしく対応せざるをえない一年でした、えー…そんな中、えー…皆さんは懸命に努力し、今日と言う日を皆さんと共に迎える事ができたコトを提督はたいへん嬉しく思います、えー…本日から始まる中規模作戦ですが、皆さんの日頃の努力の成果がきっと発揮され、素晴らしい結果を残すと提督は思っています、えー…この一年、本当にめまぐるしい変化に皆さんも戸惑い、しかしそれを乗り越えてきました、えー…提督もチームの皆さんと一緒に、この中規模作戦を勝利で終わらせ、シーズンを有終の美で飾り、また、新しい時代へとチームを躍進させたいと考えております!えー…最後に提督からもう1つ、あるところに一匹のドラ猫がいました…」

 

11月も終わりに近づき、そして今年ももうすぐ終わるのだなと考えつつある今日この頃…

かねてより上から連絡のあった中規模作戦海域が月末より開始されるとあって、当基地でも中規模作戦への参加にあたり、基地体育館にて恒例の全艦集会を開催しているワケだが…

 

まぁ、さっきから死ねだの早く終われだの足が臭いだの罵声の多いこと多いこと、バカどもの立ちっぱなしで苦しむ顔を見るのはまっこと心地よいわい、ガハハハハ

あと、提督の足は臭くない

 

そんなこんなで提督様のありがたい話を40分かけてたっぷりとバカどもに語って聴かせ、本日の全艦集会は終了、そして解散、それは即ち………

 

開戦である

 

◆◆◆

 

「フーッ〜……で?今回はどこだって?北か?南か?」

 

「資料によると、欧州方面ですね」

 

「またかよッ!なんか前もなかったか?欧州!?っかなんで欧州!?」

 

作戦期間中は喫煙エリアとして解禁されるゴキゲンな執務室……棚にしまいしまいしていたガラス製のお客様用灰皿を取り出し、執務机に置いた俺は早速タバコに火を点けてケムリを吸って吐き出した

 

っーかまた欧州征伐編かよ、どんだけ征伐されたいんだよ

 

「まあいい、で?開幕五十鈴さんでいいのか?」

 

「どんだけ五十鈴さんを信頼してるんですか、と言うか、自分で資料見てくださいよ」

 

「へいへい」

 

秘書艦サミー子は執務机の上に置かれた大判茶封筒を指差し、コーヒー淹れますけど飲みますか?と尋ねてきたので、ドロ水の間違いだろ?と丁重に断った

 

「………なんだ、開幕潜水艦じゃないのか」

 

「そうらしいですね」

 

とりあえず大事な大事な初戦の資料をざらっと読むに、どうやら初戦から戦艦・空母がアリな感じか…

 

「なら今回は開幕五十鈴さんはナシだな」

 

栄えある開幕戦と言えばやはり信頼と実績とパイオツの大きい五十鈴さん!と言うのが定番だが、ま、そう言う日もあるか…

 

「ふむ、初戦から外人部隊で良さげか…」

 

「本当にいいんですか?」

 

「だからオマエはダメなのだよ、提督は度胸、なんだってチャレンジしてみるべきなのだよ」

 

よし、とりあえず大事な大事な初戦はイタリア人どもに任せてみるか!アイツら普段はパスタ食ってるかピザ食ってるだけのように見えるが、一度戦場に出せばアイツらほど“冷酷”なヤツらはなかなかいないッ!

 

「よし、サミー、イタリアのバカどもにすぐに連絡だ!“任務”は既に始まっているッ!とな」

 

「イヤですよメンドくさい、自分で連絡してくださいよ」

 

「いやだわこの子ったら、提督の言うコトが聞けないって言うのかい!」

 

「聞けないとは言いません、メンドくさいだけです」

 

「こやつめ!カッカッカ!こやつめ!」

 

◆◆◆

 

秘書艦カミナゲーナコイツからメンドくさがられ、しかも寮の部屋に電話したら誰も出ない緊急事態…

仕方なく、俺はこの時間にイタリア人どもがたむろしているであろう甘いモノも辛いモノも扱うトラットリア・マミー屋へ向かった…

 

ーーー

 

「みんなみんな!いいから聞けってばよ!」

 

甘いモノも辛いモノも扱うトラットリア・マミー屋…

その、ゴキゲンなトラットリアのテーブルを囲むイタリア艦達はナニやら騒がしいアクィラを見た…

 

「なんですか?」

 

「私、昨日の夜考えたんですよ!人間の肉って、もし食べたら美味いのか!不味いのか!」

 

「ブフッ!!な、なんでいきなりそんなハナシ振るんですか!」

 

「アクィラさん、やめましょうよそんな変なハナシ、そんなだからみんなから軽空母とかディスられるんですよ」

 

あくまでエレガンテ、アブルツッイは口元を拭いつつアクィラを睨んだ

 

「そーだせーだ!あっち行け!1人で食えバーカ!」

 

「死ね!バーカ!軽空母(笑)!」

 

テーブル全員から批難を受けたアクィラだったが、フッフッフと笑いつつイタリアの皿に載ったチーズを一切れつまんだ

 

「いいから聞いてくださいって、いいですか?食べるコトを深く考えるってコトは幸福に生活してるかどうかってコトであり、とても大切なコトなワケです」

 

アクィラはイタリアに運ばれてきたイカスミのパスタを受け取ると、自然な流れでそれを食べ始めた…

 

「で、肉を食べる動物がいるじゃないですか?ライオンとかジャッカルとかハイエナとか、そーゆー肉食動物の肉ってのはレストランには出ない!それは何故か!答えは不味いからです!」

 

アクィラはイタリアに運ばれてきたワインを受け取り、自然な流れでそれをゴクリと流し込み、いいですか?ネコは不味い!ここまでOK?とテーブルの仲間達に念を押した

 

「鮎って魚知ってますか?鮎は虫とか食べず藻しか食べない!草食魚なんですよ、普通魚のハラワタは苦くて不味いのですが鮎はハラワタまで美味しく食べられるってワケです」

 

「なるほどー」

 

「リベにもわかりやすい!」

 

「つまりですよ!私達が普段美味しい美味しいと食べてるお肉とゆーのは草食動物なんですよ!牛とか!豚とか!鶏とか!いい草食ってるほどいい肉になるんですよ!つまり結論!!!人間は肉を食ってるから不味い!!」

 

「ふむ、結構説得力ありますね」

 

「アクィラのくせになかなか考えてるじゃねーの?」

 

「その理論から言うと、身体の70%がアルコールっぽいポーラの肉はメチャ美味いってコトですかね」

 

「うへへへ〜…え〜?ポーラがですかぁ?まさかぁ〜…ねぇ?ザラ姉さま…」

 

「………」じーっ

 

「ザラ姉さま?」

 

この時、ポーラは姉ザラの視線をこう感じたと言う…

まるで養豚場の豚を見る目、明日にはお肉屋さんに並ぶのね、可哀想と………そんな冷たい目



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発動!MG1作戦

慣れないけど頑張りましたの

【登場人物】

Grecale(次女)
メスガキの異名を持つマエストラーレ四天王の次女
今回は開幕戦から大暴れ



地中海マルタ島への輸送作戦!これを阻止せんとする敵艦隊を殲滅し、輸送任務を完遂せよ!

 

中規模作戦第1ステージ、最初の指令を受け取ったチームはそれぞれが任務を果たすべく準備にとりかかったのだったッッ!!

 

---

 

 

「ターンオーバーからのメスガキドライブ、そしてとどめのメスガキシュートとはな…」

 

第1ステージ前半戦、VS深海地中海棲姫率いる深海地中海艦隊主力艦隊との開幕戦、今回のスタメンは普段はピザばっか食ってるイタリア人を中心としたメンバーを採用したが…

 

あやつめ、やはり地中海棲姫ごときではわからせるのはムリだったようだな…

 

現場からの中継映像に映る褐色のクソガキは微笑ましくもカメラに向かってダブルピースをしているが、それはきっとMVPチケット獲得の喜びやBOSSを倒した嬉しさからではない………カメラに向けたグレカーレのその目は“次はお前だ!”と言っている俺への“挑戦”だッッ!!

 

相手の股間を躊躇なく蹴りあげるメスガキシュート、その破壊力は凄まじく森●クン程度ではふっとばされ、並の大人ならわからせられるだろう…

 

だが、この俺は違う

 

たしかにメスガキシュートは強烈なシュートだが、その破壊力故に撃った本人にも絶大な負荷がかかる、おそらくは使用回数には制限があると見た…

 

「クックック、面白い…」ニマァ…

 

「なんでグレカーレさん見てニヤニヤしてるんですか?ロ●コンなんですか?」

 

「ロ●コンじゃない、提督だ」

 

ヤツとはそう遠くない日、必ず決着を付ける日が来るだろう、だが勝つのは俺だ、大人は決して子供には負けない、これは既に常識…

 

「後半戦もこのままで行く感じですか?」

 

「あぁ、このままGOだ」

 

グレカーレだけではなく、イタリア人どもの活躍は大きい、中でもやわらかパイオツのリットリオことイタリアも今回はやたらと調子が良いらしく、ここまで無敵とも言える高火力でチームの活躍を牽引してくれている

今のチームならば大丈夫だろう…

 

◆◆◆

 

VS深海地中海艦隊増援急派部隊…ッッ!!

 

「輝け!私の小●宙(コ●モ)!」

 

『コ、コイツ!マサカ!軽空母風情ガセ●ンセンシズニ目覚メタト言ウノカー!!』

 

「アクィラ・シャイニング・ブラ……」

 

前半戦からイタリア人チーム内でメンバーを替え後半戦、前半戦でボコボコにされた深海地中海棲姫は盟友、戦艦仏棲姫のいるところへ逃げ込み、海軍達への復讐を誓った!!

 

ドゴォ!!(お腹パンチ)

 

「ウゲェ!!?」

 

『ト、思ッタケド、ヤッパ違ゲーワ』

 

戦艦仏棲姫の強烈なお腹パンチを喰らい、光る吐瀉物をビチャビチャと吐きながらアクィラは倒れた…

 

「やっぱアクィラさんダメじゃん!!」

 

「ナニしに来たのあの人!」

 

「ま、まぁ……アクィラはアクィラなりに頑張ろうと、ね?」

 

セ●ンセンシズ覚醒→勝ち確BGMと言う黄金パターンでもダメだったアクィラに対し、メンバー達は全然ダメじゃん!と躊躇なく死体蹴りをぶち込むが、とりあえずイタリアはチームのメンバー達をまぁまぁと諭した

 

「か…カテぇ!!なんて硬さだ…!こんなの勝てるワケがねぇ…!」

 

「ガリィ!!」

 

ビタンッ!!(平手打ち)

 

「ぶべらぁ!!あ、アネキィ!!ヒ、ヒィ!!も、もう殴らねぇでくれよォ!」

 

突然のビンタに狼狽えるガリバルディをアブルッツィはガリィガリィガリィガリィガリィよォ~と優しく抱きしめ…

 

「いい?今私が怒ったのは貴女の“心の弱さ”なのよガリィ、そりゃあたしかに姫級の装甲は硬いわ、私だって硬いと思う、でも!!私達“チーム”の他の人なら!!あとちょっとで破壊できるゲージを前にクリティカルを不発したりしない!!たとえ服を飛ばされようが!ワインを奪われようとしてもよ!!ガリィ、貴女は“ママっ子(マンモーニ)”なのよ、ガリィ、ビビったのよ、甘ったれているのよ?え?わかるかしら?私の言ってるコト、“運”のせいじゃあない、心の奥底に貴女はビビりがあるのよ………“成長”しなさいガリィ、“成長”しなきゃ私達は“栄光”を掴めない、この海域を制圧できない」

 

「ア、アネキ…」

 

「そしてハッキリ言っておくわ」

 

アブルッツィは既にイタリアの殺人パンチで海上に転がる地中海棲姫のところへまるで名女優のようにゆっくり近付き…

 

「ブッ殺す!!と心の中で思ったのなら、その時既に行動は終わっているのよ!」

 

パン!パン!パン!パン!(152mm/55 三連装速射砲改)

 

『グヘェ…』死ーン

 

「わかったかしら?ガリィ」

 

「あ、アネキ!アネキはやっぱりスゲーや!!やっぱりアネキはスゲーや!!」

 

深海地中海棲姫【再起不能(リタイア)

 

「喰らえ!!!ネオメスガキシュート!!!」

 

『グワアアアアアアアアアー!!』

 

戦艦仏棲姫【再起不能(リタイア)

 

「ハァ………ハァ…勝った」

 

「グレカーレすげぇ!」

 

「やったねグレカーレ!マエストラーレ級の誇りだわ!ただのクソガキだと思ってたけど、お姉ちゃん嬉しいわ」

 

「えー?ぜ、全然フツーですけど?ってむしろ長女!ダレがタダのクソガキだって!?」



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提督とJanusと友情の有情

勝てないのか…っ!やはり特効がないとダメなのか…っ!

【登場人物】

提督(メガネ男子)
だからオマエはダメなのだよ

Janus(キンパツ強烈パーマ)
ダメじゃない、Janusよ!


足元が冷える朝晩の寒さを感じずにはいられない今日この頃…

明石の店であんまんと煙草を購入し、ごきげんなあんまんだと考えつつ歩いていると廊下の向こうから来た一目で育ちが良さそうだとワカるキンパツ美少女が声をかけてきた

 

「Hi!テイトク!ゲンキー?」

 

「キミは………ジャ?ジャ…?ジャスティス?」

 

「No!Janus!J級駆逐艦のJanusよ!」

 

「あぁ、そうだった、スマンスマン、小粋なテイトクジョークなのだよ」

 

輝くキンパツに肩口から曲がる強烈なパーマネント、そう、たしかジェーナスくんだったか…

あの御方と同じく英国出身であり、ジャーヴィーくんと同じくあの御方が目をかける英国小淑女…

 

「キミ1人かね?ジャーヴィーくんは一緒じゃないのかね?」

 

「Jervis?JervisならArkに捕まってオセッ・キョー中よ」

 

ジェーナスくん曰く、先ほどまでジェーナスくんとジャーヴィーくんの2人でラグビーしていたところ、ジャーヴィーくんのパスがアークロイヤルの愛馬の尻を強打し、一時暴れ馬になったがなんとか事なきをえて2人で謝ろうと謝罪しようとしたら、ジャーヴィーくんはよせばいいのに“このジャーヴィスが女騎士なんぞに頭を下げられるかー!”と逆ギレし、今、まさに馬小屋で吊るされているらしい…

 

「バカでしょ?あの子」

 

「いけないなァ、姉妹のことを悪く言っては…」

 

「や、フツーにバカだし、むしろ英国にいる時はもっとお淑やかだった気が…」

 

「ふ〜ん」

 

提督的にはこの基地に来てからのジャーヴィーくんしか知らないのでなんとも言えないが、まぁ、姉妹がそう言うのだからそうなのだろう

 

「ところでテイトクはナニしてたの?散歩?」

 

「ご覧の通り、一息入れようと思ってね」

 

「あ、ソレ!アカシの店の袋ー!ナニ買ったの?ねぇ?ナニ買ったの?あ、いや、いいわ!言わないで!当ててあげる!」

 

そう言ってジェーナスくんは5秒程ムムムっと考え、答えはズバリブタマンジューね!と言ってビシリと指を指してきた

 

「残念、ブタマンではなくあんまんなのだよ」

 

「うえっ!?違うの…?う〜ん、違ったかぁ〜」

 

ジェーナスくんは違ったかーと嘆きつつもナニやらこちらをチラチラ見ている、そうチラチラとだ、たぶん俺じゃなきゃ見逃しちゃうだろう

 

「じゃ、テイトクはこれで…」

 

「チョ!チョット待ってよ!チョット!」

 

「ナニかね?テイトクはこう見えてもなかなか忙しい身なのだよ」

 

「チョット待って!私、そのアンマーンが大好物なのよ!」

 

「へぇ、そうなのかね」

 

「そう!大好物なのよ!」

 

ナニが言いたいんだ?このキンパツ強烈パーマは…?まさか卑しくも俺が買ったあんまんを寄こせとか言うつもりでは…

 

「バカみてぇな明石の店にバカみてぇに売ってるのだよ、じゃ、テイトクはこれで…」

 

「チョ!チョット!チョット待って!!」

 

しかし回り込まれた!!このガキ、スライムみてーなしまりのない口してなかなか素早いじゃねーの?

 

「実は私、お小遣いの手持ちがあまりなくて…」

 

「ネルソンから金借りればいいじゃねーの?金持ってんだろ?あの余」

 

「たしかにNelsonはお金持ちだわ…ってか、そんなことしてLadyにバレたらタダじゃ済まないわ!」

 

むしろ提督にタカるのがバレてもタダじゃ済まない気がするのだが………グゥゥゥム、英国淑女の基準と言うものがわからん

 

「そこでテイトク!貴方を紳士と見込んでお願いするわ!」

 

「お断る」

 

「はやっ!!うえっ…!?断るのはやっ…!?」

 

「ま、しかし提督も鬼ではないので後で食べようとしていたこのあんまんだが………今、この場で食べるとしよう」

 

「あ、悪魔…っ!!な、なんてコトを考えつくのよ!貴方それでも紳士なの!?」

 

「俺の紳士道にガキに優しくと言う文字は無いのだよ、俺からタカりたいのなら巨乳になって出直してきたまえ」

 

「クッ!これほどの外道とは…!今!疑惑は確信に変わったわ!Jervisはアナタに騙されているのね!」

 

英国に居た頃はもっとマトモで小淑女の鑑のようだった姉、しかしニホンで再会した姉はプッツン系金髪美少女になっていた………その原因はいったいなんだったのか?ジェーナスくんは今、その諸悪の権化へと辿り着いたのだ!

 

……いや、諸悪の権化もクソも俺はナニもしてない、たぶんジャーヴィーくん、猫被ってただけだろ?それ

 

「許せない!」

 

ジェーナスくんはあんまんの入った紙袋を持つ俺の右手をガッチリと掴んだ!

 

「クッ!その右手を離すんだジェーナスくん!友情を失うぞ!」

 

「友情なんかないわ!」

 

クッ!仕方あるまい、紳士としてここはこの英国淑女と言う名のクソガキに制裁を与えねばなるまいと考えていると………

 

「あら?AdmiralとJanus、こんなところでナニをしているの?」

 

廊下の先から放たれる圧倒的高貴のオーラ!!思わず讃える姿で跪きたくなるこの絶対的な高貴、唯一無二の絶対女王がこちらへ歩いて来た…

 

「あ、Lady…」

 

「Janus、Jervisを見なかったかしら?」

 

「え?Jervis?Jervisなら~………Arkに吊るされてるけど?」

 

「…そうですか」

 

それだけで事情を察したのか、女王陛下は小さくため息を吐いて肩を落とした…

 

「それと、Admiral…」

 

「ハッ、なんで御座いましょうか?」

 

「次の休暇、Arkと映画にでも行ってはいかがですか?」

 

「…は?」

 

「Arkと映画にでも行ってはいかがですか?」

 

「映画、ですか」

 

何故俺があの女騎士と映画に…?いや、これは女王陛下直々の密命である可能性がある、つまり、映画を観に行くと言う体を装っての何か重大な使命があるのだろう…

陛下のコトだ、おそらくは俺などではおよびもつかない何か深いお考えがあるのだろう

 

「エーガ見に行くの?アタシも!アタシも行きたーい!ほら、アレ!なんか今スゴーい人気のやつあるんでしょ?アレ見たい!」

 

映画と聞き、ジェーナスくんは興味しんしん丸で飛びついてきた、まぁ…あの女騎士と2人で行くよりは他に誰かいた方が俺的にも気が楽…

 

「Janus」ジロッ!

 

「ヒギィ!?」



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提督と夕張と挑戦!最強ロボ

令和の時代に昭和の味

【登場人物】

提督(クズの人)
少年はみんな聖闘士●矢

夕張(狂気の天才)
目的の為には手段を選ばない狂気のマァァドサイエティストー!



「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

「そうか」

 

「ハッキリ言って自信作です」

 

「そうか」

 

師匠が慌ただしく走り回る師走の12月、天気予報を見つつ来週から寒くなる予報を見てウンザリしていると執務室の重厚な扉を開き、バカそうなツラをしたバカがやって来た…

 

「で?今回はどんなガラクタ作ってきたんだコラ?一目でガラクタってワカったらテメーは地下の拷問部屋で魔界から召喚した醜悪で邪悪な魔物の子を死ぬまでその身で生産してもらうからな」

 

「だ、ダイジョーブ……ダイジョーブです、えぇ、大丈夫!自信作ですし、きっと提督も気に入ってくれるハズです!」

 

一瞬笑顔を引きつらせた夕張だが、すぐに持ち直し大丈夫です!と自信満々に無い胸を張り、コホンと一つ咳払いをして間を置くと“触手系ですか?”と聞いてきたのでマグナムオーガチ●ポ系がいいのか?と問い返してやると気色の悪い笑みを浮かべたのが本当に気色悪かった

 

「えー……では、今回の自信作はこちらァ!!」

 

狂った科学者特有の大仰な身振り手振りで大きく仰け反った夕張の後ろから現れたのは重厚かつメタリックなブラックのボディのメタルヒーロー!

 

『ベイベー』

 

「名付けまして、暗殺用ロボ、ガンギ●ソンです」

 

「…足があるな」

 

「なんと100mを6.3秒で走れます」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな」

 

なんか前にも似たようなメタルヒーローみたいなのを作ってきたなコイツ…(※第280回 提督と夕張とFor Justiceを参照ですわ!)

 

「このガンギ●ソンですが、基本スペックとしてはパンチ力15t、キック力35t、ジャンプ力は25mは跳べます」

 

「ふ~ん、ちなみにまた飴やるとか言って清霜を改造したのか?」

 

「いえ、このガンギ●ソンに中の人などいません!純度100%!純粋なロボットです!」

 

「またロボットかよ」

 

マジかよコイツ、いや…マジかよコイツ、たまに思うんだが、コイツマジの天才なんじゃあないのか?って思う時がある、ただ、何故その天才的な頭脳をもっと人と地球の為に活かせないのかとも思うが…

 

『ベイベー!ガンギ●ソンだ、ヨロシク!』

 

「あ、ハイ、ヨロシク」

 

俺は陽気なメタルヒーローガンギ●ソンと握手を交わすと不思議なコトにアツいものを感じた、そう…少年だったあの頃感じた気持ち、少年は皆、誰しもメタルヒーローに憧れたものさ

 

「ガンギ●ソンは暗殺ロボットですが陽気で情に厚く義理堅い性格です、しかし物事を深く考えず軽率な行動をとるなどの甘い一面もあります」

 

「それどう考えても暗殺に向いてねぇだろ」

 

「えぇ、我ながら作ってみて、なんか違うなって気がしました」

 

何故一番重要であろうそこに気付かないのか?っーか暗殺ロボットが感情豊かじゃダメだろーが、むしろ感情持ってちゃダメだろ

 

「ちなみにこのガンギ●ソン、名は体を表すようにガンが得意です、0.05秒の早撃ちと百発百中の腕前の前ではツ級でも瞬殺です」

 

「スゲーなオイ」

 

「それでいて格闘能力も高く、そのパワフルなキックはヲ級のお腹ぐらいなら平然と貫通します」

 

こりゃまたトンデモないじゃねーの?さすがにハッキリ言って自信作ってのも今回は頷けるか…

 

「しかしこのガンギ●ソン、欠点もありまして…」

 

「ほぉ…」

 

「このガンギ●ソン、感情豊かなせいかどうにも甘っちょろいコトがあり、特に同じロボットに対しては強く感情移入することが多いのがタマにキズです」

 

ふむ、同じロボットに対してか……つまり、人間の都合で使い捨てられるロボットなどを見捨てておけない人情味がある意味の欠点と言うコトか

 

『夕張、そう言えばキャ●ルの姿が見えないのだが?』

 

ガンギ●ソンは陽気なメタルヒーロー特有のウィットに富んだポーズで夕張に問いかけた

 

「キャ●ル?なんだそれ?」

 

「あぁ、ガンギ●ソンのパートナー的なロボットです」

 

夕張曰く、キャ●ルとはガンギ●ソンのパートナーとして作った女性型ロボットでガンギ●ソンとは同じ型のAIが用いられていることもあって、彼との絆は強いらしい

 

「キャ●ルなら作ってみたものの思ったより使えない感じなので解体してスピンドルキャノンの部品にしましたよ」

 

『なんだとォ!?』

 

ガンギ●ソンは怒りに叫び夕張の首に掴みかかった!!

 

「クッ!ククク…!ガンギ●ソン!やはりアナタに甘っちょろい感情など不要!それをあのキャ●ルのヤツ、ガンギ●ソンには感情が必要などと抜かしおったので処分したまでよ!」

 

『キ、キサマァァァァ!!』

 

「フーゥッハッハッハッハ!ガンギ●ソン、所詮キサマは血塗られた犯罪ロボット!この際、優しさなど捨て去り冷酷な暗殺ロボットになるのだーッ!」

 

ガンギ●ソンから投げ飛ばされた夕張は頭のおかしい科学者特有の大仰でオーバーな身振り手振りでガンギ●ソンを煽る!

 

『キサマだけは許さん!!』

 

「フン!創造主に牙を剥くとは……!見損なったぞガンギ●ソン!いいでしょう、このさいアナタも爆破してやりますよ!」

 

ガンギ●ソンは両手に持つガンボルバーとブローソンで夕張を蜂の巣にしてやるぜと乱射する………がっ!!

 

バチバチバチバチバチ!(バリアー)

 

『クッ!バリアーか!』

 

「フーゥッハッハッハッハ!バーカーめぇー!そんな豆鉄砲でこの両手に仕込んだ必殺夕張バリアーをどうにかできるかガラクタめ!キサマもスクラップにしてすぐにキャ●ルのところへ送ってくれるわ!」

 

コイツ、自分でガラクタとか言いやがった…

 

しかし自慢の二丁拳銃が効かないとなるとガンギ●ソンは不利!どうすれは夕張に勝てるのか……

 

「オイ、なんだコレ?」

 

俺は足元に置いてある箱に気づき、夕張に聞いてみた

 

「あ、それスピンドルキャノンです、メッチャ強い武器ですよ」

 

夕張曰く、ジャパ●ーソン用に作ったジックキャノンのプロトタイプとして作ったバズーカ砲らしく、砲弾の側面には都合よくホーミングブリットにぴったりな穴が開いており、セットした弾数で威力と暴発の危険性が変わるゴキゲンなバズーカらしい

 

『貸せっ!』

 

ガンギ●ソンはメタルヒーロー特有の豪快な側転でスピンドルキャノンを拾い上げると躊躇うことなく全弾装填し、夕張をロックオンした!!

 

「よ、よせ!ガンギ●ソン!そんなことをしたら暴発するぞ!」

 

『うるせぇ!!夕張!オマエだけは生かしてはおけない!キャ●ルの仇だ!』

 

FIRE!!!(スピンドルキャノン)

 

「こ、この威力!バ、バリアーが!!ぐ、ぐわああああああああああ!!」

 

スピンドルキャノンは夕張ごと執務室の壁をブチ抜き、メタルヒーロー特有の派手な爆破で夕張は爆発・爆散した

 

『キャ●ル、仇はうったぜ…』

 

 

〜♪(BGM 朝焼けのララバイ)

 

 

1つの悪は滅んだ、しかし戦いはまだ終わっていないのだ、これからも夕張のような第2、第3の悪がこの世界を狙っているのだ…っ!!

 

負けるな!特捜ロボ!頑張れ!ジャン●ーソン!真の平和が戻るその日まで!



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バレンツ海海戦①

忙しすぎと言うワケではないけど、どうにも集中できない昨今、ペースが落ち気味ですって…

あと、E2でドイツ艦とロシア艦とゴトランドさんを使い切った事は後で死ぬほど後悔した

【登場人物】

重巡棲姫(ヴェアー!)
通称かませ犬の重巡棲姫、深海メイトの仲間達からはわりと慕われている



第1ステージ、チームは地中海マルタ島戦を制し続く第2ステージ、バレンツ海…

 

『ゲェーッ!ア、アノ代紋ハーッ!』

 

『マ、マサカ、マサカーッ!!』

 

世界最高峰の科学力とカリスマ性溢れる最強集団!ドイツJr.ーッ!!

 

ーーー

 

そろそろ辛いものは控えようと考えつつある今日この頃、第2ステージへ駒を進めた我々の前に立ち塞がる数々の強敵達と数多のドラム缶輸送…

 

「なんですか?それ?」

 

「ご覧の通り、犬だが?」

 

作戦期間中は窓際だけなら喫煙可となる初冬の執務室

普段、この基地の絶対支配者であり、執務室の主である俺と秘書艦の髪長駆逐艦サミー子しかいないのだが………今日、ここには何故か犬が一匹いた

 

「犬なのは見ればわかりますけど、と言うかその犬、グラーフ・ツェッペリン犬じゃないですか?」

 

「ご覧の通り、グラーフ・ツェッペリン犬なのだよ」

 

執務机の横で座り込む一匹の老いたダルメチアン犬、グラーフ・ツェッペリンがどこからか拾ってきたとのコトからグラーフ・ツェッペリン犬と呼ばれているらしい…

 

「なんでそのグラーフ・ツェッペリン犬が執務室にいるんですか?」

 

「ふむ、話せば長くなるが、そう、あれは今日の朝…」

 

「じゃ、いいです」

 

グラーフ・ツェッペリン犬から興味を失くしたらしいサミー子は自分の机に戻ると、コーヒーでも淹れましょうか?と尋ねてきたので丁重に断った

 

「オイ、冷蔵庫に鶏肉入ってるから出してくれ」

 

「鶏肉…?あぁ、犬のエサですか」

 

「そうだ」

 

この犬、生意気なコトに柔らかく煮た鶏肉しか食わないらしく、飼い主と同じく可愛げのカケラすら感じられない面倒くさいヤツだ

 

◆◆◆

 

バレンツ海を根城にする重巡棲姫率いる深海北極海方面艦隊遊撃隊…

 

『ウヴェァァァッ!! ニクラシヤァァァー!!ニクラシヤァァァー!!』

 

『重巡棲姫クン!』

 

『重巡棲姫クン!』

 

強烈なボディブローをお腹に受け、身体がくの字に折れ曲がった重巡棲姫…ッ!!しかし、その闘志は衰えないッッッ!!憎しみをパワーに変え、不屈のタフネスで立ち上がる!!

 

「チッ、コイツまだ生きてやがるよ」

 

「なかなかしぶといね」

 

迫り来る精鋭ドイツ軍+ゴトランドさんを相手に一歩も退かない重巡棲姫のその姿勢はチームに勇気を与え、更なるパワーを呼び覚ます!!

 

『へ、へへ…オレ達モ、負ケルニハ、イカナイワケガ、アルンデネ…!』

 

『マダオネンネシテルワケニハイカネェヨナ!』

 

「こ、コイツら!!」

 

「あ、あれだけ痛めつけたと言うのにまだ立ち上がるとは…っ!」

 

不撓不屈の旗の下、仲間の為に、深海の愛と正義の為に彼らは何度でも立ち上がる、たしかに海軍は強い、今まで何度となく苦汁と敗北を嘗めさせられてきた…っ!

しかしッッ!!何度倒れても、小●宙を燃やし立ち上がる重巡棲姫の姿は神々しさすら感じられる…ッ!

 

「フッ、どうやら私が相手をした方が良さそうね」

 

「ビスマルク…っ!貴女がやると?」

 

「フッ、重巡棲姫、どうやらアナタ達は眠れる獅子を呼び覚ましてしまったらしいわね」

 

最強軍団ドイツJr.を率いるドイツが誇る最強戦艦、ビスマルク!!その実力はスーパースター剣埼こと軽空母祥鳳に自分よりも天才かもしれないと言わしめた世界屈指の実力者!!

そんなビスマルクが自ら立つと前に出ようとしたその時だった…ッ!!

 

「フッ、アネゴが出るまでもありません」

 

「オイゲン?」

 

前に出ようとするビスマルクを手で制し、代わりに自らが前に出た自称ビスマルクさんの1の舎弟、プリンツ・オイゲン!!

 

「あの程度の相手、アネゴが手を下すまでもない、このプリンツ・オイゲンにお任せください」

 

「なんですって?オイゲン、アナタ、私に意見しようと言うの?」ギロッ!

 

「そ、そんなつもりでは…っ!」

 

「なら黙っていなさい」

 

「お、お待ちください!!た、たしかにアネゴの実力を疑うコトなど決してありません!しかし、しかし!このプリンツ・オイゲン!あの程度の格下相手、アネゴが相手をするまでもないと…!」

 

ビスマルクに睨まれたオイゲンは思わずチビりそうになったが、なおも食い下がった…ッ!!

 

『誰ガ格下ジャコラァー!!』

 

『重巡棲姫クン舐メテンジャネーゾー!』

 

『上等ダヨ!明日ノ朝刊載ッタゾテメー!』

 

チームリーダーをディスられた深海北極海方面艦隊遊撃隊の仲間達からふざけんなよコラと怒号があがる!しかし…ッ!!

 

「やかましい!鬱陶しいぞこのゴミカスどもがーッ!!今、私がビスマルクのアネゴとお喋りしてるのがわからんかーッ!!」クワッ!!

 

『…ア、ハイ』

 

『スイマセンシタ』

 

「チッ、三下どもが……あ、スイマセンアネゴ、それでですね、やはり大将自ら出る前にやはり私がヤツらにアネゴとヤツらとの生物としての格の違いを教えてやりたいと」

 

「なるほどね、フン………まぁいいわ、ならやってみせなさい、オイゲン」

 

「ハッ!ありがたき幸せーッ!!」ペコォ!

 

◆◆◆

 

「ナニやってんだ?あのバカ」

 

「土下座じゃないですか?ってか、提督はプリンツさんのコト言える立場にいませんよ、むしろ同じステージにいる的な」

 

執務室で現場の中継を見ていた俺とサミー子は現場の中継先で繰り広げられる謎の時代劇とさっきからチョロチョロ映るゴトランドの生脚にイラっときていた…

 

「サミー、コーヒーくれ、マグマのようにアツいの」

 

「コーヒーですね」





そろそろクリスマスです
今年もクリスマス的なお話を書いてみようと考えてますが、昨年と同じく共通ルートからの個別ルートとか書いてみたいかなとふわっと考えてます

………なんか案あったらください(他力本願)


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提督とギンギラギララ・クリスマス‐共通‐

イベント中でも季節感は大事にする提督の鑑

【登場人物】

提督(メガネ男子)
好きなタイプは巨乳、好みのタイプはデカパイ


「えー…皆さん、今年は年始から色々とありましたがなんやかんやで皆さんと共にまた、この時期を迎えるコトができました、えー…まだシーズンは終わっておらず、未だ、我々も作戦海域半ばではありますが、それはそれとして!皆さんも今日の細やかな祝宴を楽しんで頂ければと思います、えー…」

 

今年もやって来たクリスマスと言う名の忘年会を兼ねた宴…

まずは提督様から挨拶でもと壇上から挨拶したものの、たぶん誰も聞いてないだろう、まぁ、いつものコトだから俺も大して気にはしない

 

酒、料理、女、そして積み立て型福利厚生費…

今年も駆逐艦以下のクソガキどもには提督様がわざわざ選んでやったプレゼントを配り、提督様の偉大さをアピールする大事な行事である…

 

「やったぁ!!ベ●ブレードだぁ!対馬!オマエの飼ってるハムスターと対戦させよーぜ!」

 

「え…?イ、イヤだよ…可哀想だよ」

 

「なんだとォー!!佐渡さまはな!ハムスターの苦しむ顔を見るのが好きなんだ!」

 

バシッっ!!(尻キック)

 

「ぎゃん!!い、痛いよ…ぉ」

 

姉妹の尻に対し、容赦なく蹴りを放つドSぶり…

まったく、末恐ろしい新世代サディスティック艦娘よ、これからのドS界はあの若きドSが導いてくれるだろう…

 

そんな素敵な確信を感じつつ、とりあえず俺も宴らしくパーリー料理でも食うかと小皿を片手に料理の並んだテーブルを物色していると………

 

「うほっ、イイ尻だな、元気なやや子が産めそうじゃないの?」

 

「は?殺されたいんですか?」

 

「ハッハッハ、小粋なテイトクジョークなのだよ」

 

テーブルに出来たて新鮮、アツアツな料理を提供していた間宮の尻を褒めた俺はゴミを見るような目と心の底からの軽蔑を含んだ冷たい言葉で迎え討たれた…

まったく、このアマ……ちょっとおっぱいデカいからってイイ気になりおって、いつかそのケツ乱暴にファックして家畜のようにヒィヒィ鳴かせてやるわい

 

「しかしまぁ、大した量だな、準備するにも大変だろう?」

 

「そこはまぁ、私もプロですから」

 

「なるほど」

 

さすがは超A級グルメ給糧艦と名高い間宮だ、高いプロ意識を持つだけでなく、それに伴う実力もある、そしてパイオツもデカいしケツもデカい……並みの男児ならばこの間宮の魅力を前に無様にアヘ顔晒して失禁するだろう

 

「褒美として撫でてやろう、尻を出しなさい」

 

「結構です」

 

「では肩でも揉んでやろう、着ているものを脱いで上半身を楽にしなさい」

 

「パンチとキック、どっちがいいですか?」

 

この圧力ッッ!!!フッ、さすがは最強グルメ死刑囚と名高いだけはある、この俺を僅かでも後退りさせるとは…

あと3mmでも前に居たら俺も無事では済まなかっただろう…

 

「ジョークなのだよ、小粋なテイトクジョーク」

 

「前々から思っていましたが、提督はジョークのセンスありませんよ」

 

「失敬な!」

 

◆◆◆

 

マミーヤと小粋なやり取りをした後、とりあえずビールサーバーからビール的なものをセルフプレイで注いだ俺は油もの的なオカズを何点か選び、会場の端っこにあるベンチに座っていた…

 

途中、ジョンくんやら白露ねーちゃんに声をかけられそうになったが持ち前の“絶”を発揮し、気配を消した俺を誰も捉えるコトはできず、今はただ、静かに酒とツマミを味わっているワケだが…

 

「またこんな端っこに、イイ歳コイてコミュ障ですか?」

 

「コミュ障じゃない、提督だ」

 

完璧である俺の“絶”を無視し、声をかけてきたのはケーキを小皿に載せたサミー子…

 

「何の用だ?金か?」

 

「別に用はないですけど、ただ、なんか提督がまたギラついた目で変な妄想でもしてるなぁ…と思いまして、犯行に及ぶ前にと」

 

「ギラついてないし犯行にも及ばない、キサマ、俺を誰だと思っている?そもそも卿は私のなんだ?」

 

「…部下?ですかね」

 

「そうだ!オマエは俺の部下であり共に銀河を手に入れようと誓った唯一無二にして莫逆の友!」

 

「銀河ならもう3つぐらいあるじゃないですか…」

 

こやつめ、A言えばFor youかッ!なんたる生イキ!なんたる不遜…!

だが、全て許そう………何故なら俺は完璧なのだから

 

「それで?またクリスマスフラグとか何かしょーもないコト考えてたんですか?」

 

「しょーもないとか言うな」

 

「今年も浜風ちゃん好感度爆上げ間違いなし、今夜はパ●ズリ待ったなしだなガハハハハ………で、だいたい合ってますか?」

 

「合ってるよ!!気味が悪いぐらいに……アレか?やはりお前は心を読む能力でも持ってるのか?」

 

「そんな能力あるなら軍で真面目にコツコツ働いてませんよ」

 

「そうか、そりゃそうだな!ガハハハハ!」

 

グゥゥゥム、そうは言ったもののこやつめ、やはりESP的なチカラでもあるのか?いかんいかん、コイツの前でエロいコト考えるとダダ漏れになるのはいかん

 

「まぁいい、そーゆーワケだ、俺は今からこのクリスマスと言う大事な大事な天王山にイベントを起こしに行く」

 

「はぁ?」

 

「いいか?絶対付いて来んなよ!いいか?こっから先はR18、子供には見せられない展開になるんだから、駆逐艦以下の乳臭いガキは早く歯ぁ磨いて寝ろ、いいな?」

 

「別に邪魔する気もないし、興味もないです、ケーキ食べますか?餞別に」

 

「頂こう!」

 

こうして、俺はサミーからブッシュ…ブッシュ・ド・なにがしを1切れ頂き、アツいコーヒーを飲み干して力強く歩き出した…ッ!!

 

数多のギャルゲー、そしてエロゲーによる綿密なシミュレーションをこなしてきた俺だからこそワカる!

イベントが開始されるのは俺がこの会場から出て1人になったその時、フラグは回収されるのだ…ッ!!

 

そして今、最も好感度の高いヒロイン………そう、メイン・ヒロインが現れる…ッ!!

 

力強く、そして自信と確信を持って会場の外へと出た俺!そして………

 

『『『テイトク!』』』

 

振り向いたその先に居たのは…!?





振り向いた先に居た人物は…!マルをつけてね

①浜風ちゃん
②浜風ちゃん
③浜風ちゃん
④浜風ちゃん
⑤浜風ちゃん……じゃない、現実は非情である


個別ルートは24、25の予定ですって、たぶん


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提督とギンギラギララ・クリスマス‐分岐①-

クリスマス回その①ですの、24って言った?言ってないのだよ

とりあえず前半の2本は

【クラッシュ・オン・わからせ】
【ね?】

の、バイオレンス2本立て


振り向いたその先に居たのは…ッ!!

 

 

【その① クラッシュ・オン・わからせ】

 

「Ciao♪オジサンこんなトコで1人でナニしてんのー?ねー?あ、ワカった、楽しいパーティーに馴染めず1人抜け出して部屋に帰って今からシコシコしちゃうんでしょ?うわ、寂しぃ〜♪」

 

「キサマは…ッ!」

 

背後から声をかけてきたのはパスタの国からやって来た合法駆逐艦、その次女…ッ!南西からのアツい風の意味を持つ褐色の弾丸!グレカーレ…ッ!!

 

「誰が宇宙的に哀れなヤツだ、キサマこそなんだ?ガキはとっとと部屋に帰って歯ぁ磨いて寝ろ」

 

「ハァー?ナニ?ハゲのくせにこのアタシにメーレーすんなハゲ」

 

「ハゲてない、提督だ」

 

このガキ、どうやら自分が今からマンモス哀れなヤツになるかもしれないコトがワカっていないらしいな…

曰く、サンタは良い子のところに来ると古来より伝わるが、その逆、悪い子のところには決して来るコトはないのだ

 

「オイクソガキ、心の広いコトに定評のある提督様の慈悲だ、今謝ればケツから直腸にツララブチ込む程度の半殺しで許してやろう」

 

「誰が謝るか!ってかナニその半殺し内容!半殺しじゃないし!」

 

「なら………死ぬしかないなぁ、グレカーレ」

 

俺は軒先のそこら辺に生えていたツララをブチ折り、ペロリと舐めた

 

「…アタシね、今年、サンタさんにお願いしたのよ、あの憎ったらしいメガネにこのグレカーレちゃんには勝てないコトをわからせてやるって」

 

「ほぉ〜…」

 

グレカーレは上着を脱ぎ捨てると腰を低く落とし、スゥーっと息を大きく吸って、吐い…

 

ダッ!!!(メスガキドライブ)

 

「速い…ッ!!このスピード!」

 

「死ねっ!!」

 

一瞬で間合いを詰めてきたグレカーレは右手で俺の股間を的確に三連打で撃ち抜いてきたッ!!

 

「ッッッ〜〜〜〜〜!!」

 

「っしゃあ!!どーよ?ね?こんな子供にチ●コ殴られて悶絶するとか、キャハハハハ!!うわ、カッコ悪ぅ〜!ってか子供にチ●コ殴られて勃ってんの?マジキモいんですケドー?キャハハハハ!バーカバーカ!ザぁコ♪」

 

グレカーレの野郎は勝ち誇り、股間を押さえてうずくまった俺に、さらに蹴りを入れてザコチ●ポだの情けないだの罵倒を続けているが……

残念だったな、大人チ●ポは子供には負けない、これは既に常識…

 

「は?」

 

俺はバカ笑いしつつ勝ち誇るグレカーレの小柄な身体を掴んで持ち上げて落とし、グレカーレのダブルニーを勢い良く叩きつけてクラッシュした

 

グシャアッ!!(ダブルニークラッシャー)

 

「うっぎゃああああー!!お皿が!お皿がぁぁぁ!!」

 

「クソガキが、オマエへのプレゼントは屈辱をくれてやろう」

 

ダブルニーを破壊され、ゴロゴロと転げ回るグレカーレの身体を掴んで持ち上げた俺は爽やかに微笑み…

 

グシャァッ!!(ダブルニークラッシャー)

 

「うっぎゃああああぁぁぁぁぁ!!またぁ!?って!痛い!痛ァァァァァァァァ!!」

 

「まだまだ欲しいか?欲張りさんめ」

 

「クッ!!い、イヤぁ、もうイヤ!ご…ごめんなさい、ちょ…チョーシに乗りました、謝ります…ごめんなさい、ごめんなさい」ポロポロ…

 

「フン、わかればい…」

 

「死ね!!メスガキシュート!!」

 

一瞬の隙を突き、グレカーレは俺の股間に強烈な蹴りを放つが俺の持ち前の危機管理能力でグレカーレを突き飛ばし距離を取った…

今の一撃、あのメスガキシュートをマトモに被弾していれば俺のチ●コも無事では済まなかっただろう…

 

「コ、コイツまるでわかってねぇ!!」

 

「誰が謝るかバーカ!オマエが謝れ!」

 

 

---

 

【その② ね?】

 

「ゲェーッ!お、オマエはーッ!」

 

由良ッッ!!サディスティック軽巡!ドSの由良ーッッッ!!!

 

「ゲェーッ!はないじゃない?ゲェーッ!は」

 

クッ…!この聖なる夜に!よりによって一番会いたくないヤツに出逢っちまうとは…!神よ、貴方は私に厳しい試練をお望みなのか、それとも悪魔が俺を苦しめたいだけなのか…

 

そんな俺の心の内を知ってか知らずか、由良さんはヘラヘラ笑いつつ、もしかして今ヒマかな?ね?と言いながら射程内にズカズカと入ってくる…!

 

「もしヒマなら、由良からテイトクにとってもステキな提案があるんだケド?」

 

「提案?」

 

「由良とデートしない?デート、ね?」

 

「お断る」

 

由良さんとデート…?無理だな、それは

 

「もうちょい考える時間があっても良くない?」

 

「ない、俺とキミでは価値観が違い過ぎる」

 

「ふ~ん、そうかなぁ~…」

 

由良さんのコトだ、由良とデートしないなら殺す、とインネンつけてくるコトは必至…ッッ!!射程はお互い必殺一歩手前と言っていい距離、右か…?左か…?

 

「だいたいなんだ?何故俺がキミとおデートしなきゃならんのだ?」

 

「え?別にトクベツな理由はないケド?由良がテイトクをデートに誘うのに何か理由が必要かな?」

 

ね?と言って見た目可愛い小首をかしげる由良さん…

おそらく、並の提督ならキュン死するだろうが歴戦の勇者である俺は違う

誰よりも、この由良さんの危険性・狂暴性・残虐性を知る俺に隙はない

 

「必要だ、理由はなんだ?金か?それとも女か?」

 

「そうねぇ、しいて理由を作るとするなら~………嫌がらせ?」

 

「なるほど」

 

実に納得のいく理由だ、だが…

 

「ね?由良とデートしない?」

 

「しない、何故なら俺は由良さんと違ってパイオツの大きな娘と朝までファックするからだ」

 

「あー………なるほど」

 

納得したように可愛いく手を叩いた由良さんは強烈な足刀を俺の腹めがけて放つが、俺は持ち前の危機回避力でその足刀をギリギリ回避した

 

「チッ、なんで避けたの?ね?」

 

「そりゃ避けるだろ」

 

あの蹴り、マトモに喰らっていたら肋と内臓を致命的に損傷していただろう…

 

「さっきの由良の聞き間違いかな?由良の胸が絶壁って…?」ユラァ~

 

「言ってない、キミと俺では心の広さが違い過ぎる」

 

「あ、そう」

 

 

その後、俺と由良さんはクリスマスだと言うのにアツく殴り合い、由良さんから内臓を突き刺された俺は、由良とデートしろ!由良とデートすると言え!と執拗に迫られたが鋼のタフネスとアツい心でこれを退け、この長い夜を乗りきった…





次回はその②


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提督とギンギラギララ・クリスマス‐分岐②-

分岐ルート後半戦、その②

他に色々考えてはみましたが、どうにもまとまらず今回は全4編で終了です、他力本願な提案を提供して頂きありがとうございます
謝りたいと感じているから、感謝なんだッッ!!



振り向いたその先に居たのは…ッ!!

 

 

【その③ クソめんどくさいサンタとクソかわいいサンタ】

 

「………なんだゴトランドか」

 

「なんだとはナニよ?ゴトがクリスマスに存在してはいけないって言うの?」

 

背後から声をかけてきたのは北欧から来た軽巡なのか軽航巡なのかよくわからない記憶の中でフワフワした存在、ゴトランド…

 

「何の用だ?」

 

「岸ちゃん見なかった?」

 

「岸…?あぁ、岸クンか」

 

岸クンに何の用だと問いたいところだが、まぁ、何故かよくわからんがこのゴトランドと夕雲姉妹の中でも特に大人びた感のあるゆるふわヘアーが良く似合う岸クンは仲が良いらしく(一方的に)、よく二人でつるんでいるところを見かける…

そして、普段はどこかクールな印象のある岸クンもやはり駆逐艦のキッズ、クリスマスと言うイベントにはステキなサンタ衣装を着てイベントを楽しむ姿が見られる、見られるのだ…

 

「岸クンなら姉妹とプレゼント交換会で忙しいんだろ、オマエと違ってな」

 

「ハァ!?ゴトが忙しくないっての!?」

 

「どう見てもヒマだろ?だいたいなんだ?そのネ●ミ男みたいなケープは?サンタグラならもっとあざとくパイオツ強調せんかい」

 

「ハラスメント…ッ!!ハラスメントだわ!!」

 

「やかましい、わかったら国へ帰るんだな、オマエにも家族がいるんだろう?」

 

「いないわ」

 

え?いないの?ヤバい、これは闇の深い地雷を踏んでしまったか!?と後悔したが、ゴトランドは怒り狂うワケでも顔を曇らせるワケでもなく、大して興味もなさげに黒い毛玉みたいなのをお手玉のように回していた…

 

「その………なんと言うか、まぁ、なんだ?この基地に配属された艦はみんな俺の大事な“家族”だ、うん」

 

「いいわよ、別に気にしなくて」

 

ゴトランド……思えばコイツが母国で数々の男達に重過ぎるとドン引きされたり、岸クンにやたら執着したりするのもやはり心の奥底で“愛情”に飢えていたのかもしれない…

いや、きっとそうだ!コイツに今必要なものは………“愛”

ならば俺に出来るコトはただ一つ…

 

「えっ!?な、ナニ!?」

 

「そんなゴトランドを…!それでも愛そう!!」

 

俺はゴトランドをアツく抱きしめ、Aだけがトクベツじゃねぇ、みんな大事な俺の家族だぜ!とアツくゴトランドの凍りついた心に言葉をぶつけた

 

「えー………いや、まぁ、思ったより悪い気分じゃないケド…え?ナニ?ゴトのコト好きなの?愛してくれるの?明日ケッコンしてくれる?明日のチョーカンで電撃ケッコンの一面で飾ってくれる?貰った指輪みんなに見せびらかして敗者どもに勝者の余裕でマウント取っていいの?」

 

コイツ…!!なんて心の狭い…っ!!いかん、なんかコイツ勘違いしてやがる、離れなければ…!!俺はゴトランドから距離を取るべくバックステップで逃げようとしたが、ゴトランドは両腕で俺の身体をガッチリとホールドしてきたッッ!!

 

「グオオォォ!!こ、この(パワー)は…っ!クッ!なんと言う(パワー)!!」

 

ぬ、脱けられん!!コイツ、この身体のどこにそんなパワーが!!っーかコイツ、結構おっぱいデカいな、グイグイくるせいか、そのサイズはなかなかのモノだとワカる…ッ!!

 

「ウフフフ、ゴトと聖なる夜を愉しみましょ…ウフフ…」

 

「放せッ!!クソッ!放さんか下郎め…っ!」

 

「離さない…ッ!!ゼッタイに離すものかッ!!アルベルトが!ボリスが!エーリクが!フィリップが!ゴトから去って行った過去の男達がくれた一世一代のチャンスを…ッ!!ゼッタイに!!」

 

ミシミシミシミシミシミシィ!!(ハンギング・ベアー)

 

「ウオオオオオォォォォォォ!!」

 

「ハアアアァァァァァァァァ!!」

 

死ぬっ!死んでしまうぞ!!早く…っ!一秒でも早くこの場を去らねばッ!!俺とゴトランドが己のPRIDEを賭けたパワー勝負をしているその時………

 

「…テイトク、と、ゴトランドさん…?ナニやってるんですか?」

 

クリパ会場から外に出たのか、ひょっこりと顔を出してくれた岸クン!やだ、岸クン!やっはり来てくれたのね!やっぱり岸クンこそ騎士(ナイト)サマじゃないのかしら!

そんな岸クンは俺たちの様子を見て察してくれたのか…

 

「………あ、なんかおジャマだったみたいで」

 

なんか気を遣って会場へと戻って行った…

 

「ウオオオオオォォォォ!!放せッ!!放すんだァァァァァ!!」

 

「離さない!!ゼッタイに離すもんですかァァァァァ!!」

 

ーーー

 

【その④ 月はだいたいいつもそこにある】

 

「オマエは……ハルサメ?」

 

「そーですけど?」

 

俺の背後から声をかけてきたのは過去、卑劣にも深海棲艦の罠によって囚われの身となり1000-7は?と壮絶な拷問を受けたせいか、髪が真っ白になってしまった白露姉妹の五女、ハルサメ

淫乱が服を着ている週四オ●二ストの春雨であり、決して地上の娯楽に悪堕ちした深海棲艦の姫級ではない、決して…

 

「何の用だ?巨乳じゃないなら俺に話しかけないでもらおーか?」

 

「どんな基準だよ……ま、いいケド」

 

しかしコイツ、だいぶニホンゴ上達したな、以前はまだニホンゴ怪しいところがあったが…

 

「と言うかオマエ、イイ加減クニに帰ったらどうだ?あっちに仲間や家族もいるんだろう?」

 

「まぁ、いるっちゃいるケド…」

 

ハルサメ曰く、最近、作戦海域にもメンバーでお呼ばれするコトもないし、ぶっちゃけもう登録抹消されてる気がするとのコトだが…

 

「戦艦水鬼はグチグチうるせーし、空母おばさんはパンツ穿かねーし、中枢棲姫サマはメチャ怖ぇーし、そもそも、今更ネット繋がらない生活に戻れるかっーのな、ギャハハハ」

 

クズ…っ!まっことクズ!救えない…っ!!

 

「と言うか、私居なくても私の影武者いるし、ほら、あのピンクのやつ」

 

「ピンクのやつ?」

 

そういやコイツ、あのピンクのヤツ、しれっとウチに帰って来てるの知らないんだったな

 

「集ちゃんから聞いた話じゃ中枢サマにもメチャ気に入られてるし、ババアとかババアとかババアも私よか可愛がってるってハナシだし、むしろ私、可愛いがられたコトないよ?ナ級とか私の手ぇ噛むし」

 

コイツ、もしかして深海で嫌われてんのか?そしてあのキモいやつ、やっぱ噛むんだな

 

「まぁいいや、テイトク、クリスマスだしお小遣い頂戴」

 

「ブッコロがすぞクソが」

 

「ケチかよ」

 

「ケチじゃない、提督だ」

 

このクソが、どうやらこの基地の絶対支配者が誰なのかわからせる必要があるらしい………と、言いたいところだが、今日は楽しいクリスマス、寛大な心で許してやろうじゃないか

 

「まぁいい、じゃあ夕立と村雨を半殺しにして俺の前に引きずって来い、それでお前の言い値を払おう」

 

「え?ムリ、それ私に死ねって言ってるのと同じじゃん」

 

「死ねと言っているのだよ」

 

「鬼か!」

 

「鬼じゃない、提督だ」





次回はメイン・ヒロイン回orバレンツ海後半戦


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バレンツ海海戦②

第二ステージその②、地獄を見た戦士ッ!!

【登場人物】

重巡棲姫(ブルー)
いつものかませ犬と思いきや今回は意外なタフネスぶりを発揮したタフネスモンスター

革命軍(露)
本当に必要な場面は次のステージだった事を、あの時ボクらは知らなかった




熱戦のバレンツ海頂上決戦、最強軍団ドイツ海軍 VS 深海北極海方面艦隊遊撃隊!!

 

“われらドイツの傘下にくだることにヤアかナインか!?”

 

序盤、ドイツが誇る最強戦艦ビスマルク率いる軍団の強大な力の前に圧倒されていた深海北極海軍だったが、追い詰められれば追い詰められるほどその力を増していき、ビスマルクの右腕と名高い恥将、プリンツ・オイゲンを撃破!ついに、大将ビスマルクを引きずり出すことに成功したッ!!

 

『ウオオオオオォォォォ!!ぷりんつ・おいげん!オレト一緒ニ十万億土ノ彼方トヤラニイッテモラウゼーッ!』

 

「な、なにぃ!キサマ!みずから小●宙(コ●モ)を最高到達点まで高めて己ごと爆発する気かーッ!!」

 

『ツ級!バ、バカナー!!』

 

『ア、アイツハ自分ノ生命ト引キ換エニシテマデ…!』

 

『振リ返ルナ、ヤツモマタ命ヲ賭ケテコノ青イ海ヲ護ル戦士…』

 

ツ級、最後まで男らしく戦ったぞ………

深海北極軍の仲間達にアツい魂とその意思を残した軽巡ツ級との別れ、その意思は、たしかに仲間達に伝わったのだ…

 

「オイゲン、デカい口を叩いた上に私に恥をかかせるとはね…」

 

デカい口叩いた上に無様に敗北したプリンツに失望を隠すつもりはない、ビスマルクは腕を組んだまま重苦しくため息を吐いた…

 

「まぁいいわ、重巡棲姫だったかしら?どうやらオイゲンを倒すだけの実力があるのは認めるわ」

 

「や、オイゲンはツ級に負けたんじゃ…」ヒソヒソ

 

「レーベ、しっ!」ヒソヒソ

 

レーベの冷静で的確なツッコミを止めたマックスは下手なコト言うものじゃないわと空気を読んだ

 

「フッ、やはり私が直接アナタ達に引導を渡すコトになったようね」

 

豪奢な黄金の髪を掻き上げ、自信に満ちた足取りで歩き出す、ついに!ドイツ最強の戦艦ビスマルクが戦場に立つ時が来たッッ!!

 

………がッ!!

 

「フッ、その戦い、待って貰おうかーッ!」

 

◆◆◆

 

歳末も忙しいゴキゲンな執務室…

 

「…ナニやってんだアイツら?」

 

「ナニって、自分が編成組んで送り出したんじゃないですか」

 

執務室のテレビで見る現場からの中継、現場は水ものとはよく言ったものだが……そういや出したっけか、革命軍

今までどこに隠れていたのか?第二艦隊か?

 

「あの強さと美しさと気高さを兼ね備えたビスマルクさんがやる気を出していると言うに……ヤツらめ、まさか余計な真似をしようとするつもりか?」

 

「余計な真似って…」

 

プリンツのクソが無様に敗れ去り、実に胸が空く思いだったのも束の間、現れた革命軍がビスマルクさんにここは我々に任せて貰おうかー!と、まるでかませ犬のように前に出ていた

 

「まぁいい、所詮ヤツらなど二流、これ以上の恥の上塗り、ビスマルクさんが許すとは思えん」

 

「そうですかね?」

 

「ほら見てみろ、揉めてるだろ?」

 

「あー…揉めてますねコレは」

 

現場からの中継を見るに、あきらかに揉めている、ビスマルクさんとガングートのアホンダラがあきらかに言い争っている、あ、殴られた

 

「あーぁ、どうするんですか?コレ?」

 

「チッ、仕方ねぇな……オイ、電話だ電話だ、現場に繋げ」

 

◆◆◆

 

『オイ、アイツラ揉メテルゾ』

 

『仲悪インジャネーノ?』

 

深海北極海軍からも心配される緊急事態発生に、とりあえず様子を見て考えると結論を出した重巡棲姫…

 

そして…

 

「ハラショー、待たせたね」

 

『オ、オウ!』

 

途中、何度か殴り合っていたようだが結論は出たらしく、なにやら生白い駆逐艦みたいなのが前に出て来た…

 

「色々話し合った結果、まずは私が行くコトになったよ」

 

『フン、駆逐艦風情ガ…!キサマモヤクニタタナイガラクタニシテクレルワーッ!』

 

「それはどうかな?」

 

あれだけ揉めて、出てきたのは駆逐艦……舐められたものだな!!と軽く怒りを覚えた重巡棲姫は対峙する駆逐艦、ヴェールヌイに殴りかかったが、鋭いカウンターで殴り返された

 

『ブベラ…ッ!?ッッッ、ヘッ……へへへへ、大シタコトネェゼ』

 

なんてことない軽い拳、この程度のパンチではこの重巡棲姫怒りの重装甲を貫くなど不可能!まずはキサマから血祭りに上げてくれるわー!と勢い良く飛び出し、ヴェールヌイをボコボコに痛めつける!!

 

『オラァ!!バカメ!ヤクタタズドモメ!オラッ!シズンデシマエー!!』

 

ドゴッ!!ドゴッ!ドゴッ!(重巡キック)

 

どうだー!!このド畜生め!どうだー!思い知れ!思い知れー!!思い知……

 

『ハッ…!?』

 

今まさに、いや、たしかにあの駆逐艦に蹴りを入れていた…しかし何か感じる奇妙な違和、そう…たしか勝っているのは自分である、だが………

 

自分の足元に転がっているその姿は…ッ!!

 

『バ、バカナー!!ワ、私自身ダトー!!私ガ、私ヲ蹴リ殺シテイタト言ウノカーッ!!!』

 

ーーー

 

『ハッ!?』

 

「ハラショー、ただの幻覚だよ」

 

膝をついていたのは重巡棲姫!その姿に、深海北極海軍の仲間達は彼女にいったい何が起きたのか理解できなかったが、革命軍の仲間達は全てを理解していた…

 

「フッ、同志ちっこいののハラショー幻魔拳は相手の精神をズタズタにする魔拳」

 

「へぇ、アレがそうなのかい?」

 

「フッ、我々はヤツが敵でなかったコトを神に感謝しなければなるまい」

 

ハラショー幻魔拳をマトモに受けたならば精神がズタズタにされ廃人になることは必至、しかし…ッ!!重巡棲姫はその魔拳にもなんとか耐え抜き、再び立ち上がった!

 

「ハラショー、次は幻覚じゃ済まないよ」

 

『ウオッ!ナ…ナンダ!!コイツカラ感ジルコノ攻撃的小●宙(コ●モ)ハ…ッ!コノ小●宙(コ●モ)、マ、マサカ…!不、不死鳥(フェニックス)…ッ!!』

 

カッ!!!!!

 

『ヴェアアアアアアアァァァァァァァァーッ!!』

 

ヴェールヌイが突き出した掌と同時に宙を舞った重巡棲姫はきりもみ回転しつつ頭から海面にグシャア!とワリとエグい音で叩きつけられ、動かなくなった…

 

『………』死ーン

 

「ハラショー、地獄でキョーダイ達に詫びるんだね」

 

 

こうして、バレンツ海海戦は終わった………しかし、不死鳥はたった一握りの艤装の灰さえあれば何度でも甦るのだ、闘争こそ本性!煉獄こそ故郷!紅蓮の炎で身体を冷や、不死鳥は歩む、修羅の道を!!



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提督とそれいけ科学調査隊2020‐真紅の中年伝説‐

本年もクソお世話になりましたァ!!
年末ワイドスペシャル(たぶん)

【登場人物】

提督(ストロングスタイル)
鬼畜眼鏡系ドS上司、幽霊?そんなものは存在しない

夕張(科学の子)
ドリルがあれば前へ進める

Atlanta(死神)
Atlantaさん、だろーが、クソが


新型ウィルスが列島だけではなく世界を席巻した激動の2020も終わるたった一度の今日と言う日…

今年も本当に色々あったと頭痛と腰痛に悩み反吐を吐き捨てたが終わってみれば光陰矢の如し、人生とは虚しいものだ…

 

「そう思わんかね?サミルトン」

 

「何がですか?あと、五月雨です」

 

五月雨は解いていたクロスワードパズルの手を止め、コーヒーでも飲みますか?とコーヒーを勧めてきたので、俺は“紅茶にしてくれ、ブランデーをたっぷりでね”と懇切丁寧に断った

 

「あぁ、そうそう、そう言えば最近、深夜の重巡寮で“出る”って噂なんですが…」

 

「へぇ、熊でも出没るのか?そいつぁきっと球磨ねーちゃんだな、もし運悪く出逢っちまったら視線を合わせないようにしてゆっくりと死んだふりするしかねぇよ」

 

「いえ、球磨ねーさんではなく半透明の霊的なも…」

 

「あー!ココ汚れてるぅー!メチャメチャ汚れてるよコレ!シミになっちゃってるよコレー!」

 

今年の汚れ、今年の内にってヤツだな!こりゃ明日までかかるな!まったく、忙しすぎて他のコトをやる余裕なんかないのだよ

 

「…はぁ、相変わらずビビりくんですね」

 

「誰がビビりくんだ、俺はオマエ以上にトクベツだ」

 

「そうですか、じゃ、今日の夜、重巡寮の見廻りをお願いしますね」

 

「やだよメンドくさい、とりあえず重巡寮にコモドドラゴンでも放っときゃ警備はバッチリだろ」

 

「コモドドラゴンだと相手が霊的なものだと対処できないじゃないですか」

 

「提督にも霊的なものは対処できねぇよ」

 

いくら俺のスネークバ●トが疾くて強かろうが物理的に掴めない相手にはあまりにも無意味、敵本体を叩かなければ勝ち目はない

 

「大丈夫です、そこら辺はちゃんと考えて今回も一人で行くとあまりの恐怖におしっこ漏らしちゃうビビり提督の為に頼もしいメンバーに声をかけています」

 

「誰が恐怖のあまり漏らすだ、俺が小便をするのは男性用便器か肉便器のナカだけだ」

 

「ちなみに、夜が早い私は今回も同行しません」

 

「知ってるよ、オマエ結構寝るの早いよな」

 

「どんなに遅くとも23:00には寝るの心がけてますから」

 

健康優良児か…ッ!ま、まぁ、コイツなんやかんや言っても駆逐艦だしな、寝る子は育つとは言うが……まったく育つ気配を感じられないのもまた一興、1つ下の妹はあんなにドスケベに育っていると言うに…

 

「まぁ、毎日の牛乳やミロだけではどうしようもない事はある、励みたまえ」

 

「イラっとします」

 

何故エールを送った俺がイラっとされるのか…?グゥゥゥム、やはり若い娘は気難しくていかんな

 

◆◆◆

 

深夜2:00、草木も眠るUSHIMITSU-DOKI…

このあまりに暗く、不気味な時間帯は古来より魔が、邪が、悪鬼が、物の怪の類が、そんな魔が大挙して続々と這い出て殺しに来る時間…っ、

 

「よし、異常なし、帰るぞ」

 

そんな殺戮の饗宴とも言える時間に、重巡寮へと見廻りにやって来た俺、そして今回もこの科学調査隊のメンバーとしてやって来た霊的なものなど全てトリックと断じる科学の申し子、夕張…

 

「まだ寮の中に入ってないじゃないですか…」

 

「入らなくてもわかる、ここは安全だ」

 

そう、この重巡寮こと“さわやか寮”には艦娘最高峰の12人の重巡が居るのだ、かつて神話の時代よりただ一人として突破した事がないと言われる聖域、黄金重巡寮…

 

「もしかしてビビってるの?バカじゃない?Pen●sついてんの?」

 

「ついとるわい、っーか口悪いなキミ」

 

そして、今回科学調査隊の新メンバーとして加わってくれたMAJOR出身のスーパーボイン、アトランタくん…

口は悪いがその圧倒的な対空力とパイオツはまさにワールドクラス、日本最高峰の高さを誇る秋月姉妹を軽がると凌駕するその実力は瞬く間に一軍レギュラーとしてチームに定着し、数々の海軍将校から“Atlantaがあと5人は欲しい”と言わしめるまである…

 

「ハァ…ってかメンドくさ、アタシ帰っていい?」

 

「ダメだ、ちゃんと前金払っただろ」

 

「ハイハイ、冗談よ、ジョーダン」

 

そしてこの口が悪くて態度が悪いアトランタくん、アホの夕立と可愛い暁ちゃんに懐かれているらしく、最近ではM.S.P、MAD SOLOMON PARTYなるユニットで各地のディビジョンバトルを荒らし回っているらしい

 

「まぁまぁテイトクもアトランタさんも、大丈夫ですよ、例えナニがあったとしても私とコレがあれば大丈夫、そう、この………ドリルがね!」ドヤァ!

 

「だからオマエ、それオマエのケツ以外衝いたコトねーだろ!」

 

夕張の背負ったバックパックから伸びるフレキシブルアームの先端に装着されたドリル、まっこと雄々しきそのドリル!

 

「ちなみに今回はドリルアームを4本に増やしました、ドリルさえ外せば対阿修羅バ●ター用マシンとして流用できます」

 

「どこにアシ●ラマンがいるんだよ…」

 

たしか去年は2本アームで挑戦し、1本は夕張を衝き、もう1本はコロちゃんのア●ルをぴぎぃ!したっけか…

あの時のコロちゃんの突然の痛みと衝撃と絶望に彩られた顔は最高に抜けたな、今でも定期的にオカズにしているのだよ

 

「おっと…我慢我慢❤︎」ズキイィィィン!

 

「うわ……なんで勃ってんの?気持ち悪っ、近寄らないでくれる?シッ!シッ!」

 

バシッ!!バシッ!!(フリッカージャブ)

 

「痛いっ!?地味に痛い!!」

 

ヒットマンスタイルから繰り出されるフリッカー!しかもなんて長いリーチだ、これがワールドクラスの対空性能ってヤツか…

 

ーーー

 

とりあえず、黄金重巡寮に足を踏み入れた俺達科学調査隊…

まず、ここから一番近いのは古鷹さんの部屋か…

 

「よし、まずは古鷹が眠っているのを確認してからパンツをズラして挿入れるぞ」

 

「ナニ言ってるんですか……っと、ちょっと待ってくださいね」

 

夕張はいつもの戦闘民族が使う戦闘力を測るアレみたいなのを装着し、この近くに霊圧はないようですねと呟いた

 

「へぇ、そんなのでワカるんだ?」

 

「えぇ、私が開発した霊圧スカ●ターくんです、コレさえあればどんな霊的なものでも逃しませんよ」

 

「ふ〜ん」

 

夕張の説明を心底どうでもよさげに聞き流し鼻歌交じりに廊下を歩くアトランタくん、もしかして彼女、幽霊だのゴーストだのにまったくビビってないのだろうか?

 

「アトランタくんはアレかね?なんかこう、ほら、アレだ、ゴースト的なものは信じないタチかね?」

 

「そうだね、見たコトないし、むしろ死んでるヤツより銃とかナイフ持ってるヤツの方がよっぽど怖いよ」

 

「なるほど」

 

「だいたい、アタシの生まれ育った街にghostなんかいたならもうとっくに定員オーバー、地下鉄の線路の上までびっしりよ」

 

ま、税金払わず地下鉄乗り放題ならゴーストになるのも悪くないわね、と小粋なアメリカンジョークで嗤うアトランタくんだがその顔はちょっと寂しそうだったのを俺じゃなきゃ見逃していただろう

 

「むっ…!」

 

と、夕張の霊圧スカ●ターが何か反応したらしくピピッと音が鳴った!

 

「どうした?」

 

「反応がありました!上、二階ですね、これは」

 

俺は何か武器になるものをと廊下の側に置いてあった消火器を手に取った

 

「よし!全員消火器は持ったな!行くぞォ!」

 

「よしきたぁ!!今度こそ私のドリルで極楽にぃ!イカせてあげますよぉ!」

 

俺たちはとりあえず重巡寮内の階段へと走り、そのまま一気に二階へと駆け上がった………!!

 

「ハァ…ハァ…!」

 

「ハァ、あの…テイトク」

 

………駆け上がった、が!!

 

「なんだ?ハァ…」

 

「いや、この階段、なんか長くないですか?」

 

「たしかに…」

 

…長い、異様に長い気がする、どう考えても一階から二階の距離以上に走ったぞ

 

「フーッ〜……や、普通におかしいでしょ?なんなのコレ?実はescalator?」

 

「バカな…っ!重巡寮にそんな設備はないのだよ!」

 

だ…だが、たしかにおかしい!まるで俺たちは迷路にでも迷い込んでしまったかのような感覚、ま、まさか…!アナザーディメンシ●ンか!?

 

「夕張、アトランタくん、俺たちの相手はどうやらとんでもないヤツのようだぜ」

 

「クッ!いくら上っても階段と言うのなら……このドリルで風穴を開けてやりますよォ!」

 

夕張は背中に背負ったバックパックから4本のドリルアームを展開すると、壁に向かってドリルをドリドリし始めたッ!!

 

ガコォ!!(粉☆砕)

 

「あ、開きましたよ!穴!」

 

「マジかオマエ、ドリルもたまには役に立つなオイ」

 

「よっしゃー!!このドリルで串刺しにして内臓グチャグチャに掻き回してミンチにしてやりますよォー!」

 

そう言って夕張はドリルで開けた穴に、目覚めよ!第八感とか言いながら飛び込み………

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーっ!!」

 

「夕張ィィィィィィィィ!!!」

 

四次元みたいな空間に飛び込んだ夕張はグルグル回りながら何処かへ消えて行った…

 

「あーぁ、アイツ死んだわね」

 

「ドライ!アトランタくん、仲間の死にドライすぎんかね!?」

 

「さぁ?ま、dryじゃなきゃやってられなかったからね」

 

「あ、そう…」

 

 

こうして、夕張の尊い犠牲の甲斐あり?俺たちはとりあえず上って来た階段を下りてみようと下りてみると普通に一階に降りれた…

 

結果的に、重巡寮の謎は解けなかったが、まぁ…特に害はないと思うのでこれで良しとしようと結論付け、俺とアトランタくんは夜明けのコーヒーでも飲みに行くかと自販機コーナーへと向かったのだったッッッ!!

 

 

 

 

 

 

 

【???】

 

「クッ…!私のアナザーディメンシ●ンから脱出するとは…ッ!」

 

もうやめなさい邪悪な私、そこまでして提督の座を欲するのですか?

 

「えぇい!黙りなさい黙りなさい!今まで私がこの海上の愛と平和を守ってきたのよ!それをあのメガネ、次期提督には長門さんをと………納得できるものかーっ!」

 

ダァン!!(机ダァン!)

 

「うるさいぞ大和!!夜中にデカい声で叫ぶな!」

 

「あ、ごめんなさい武蔵」

 

「ったく、邁進もほどほどにしとけよ…じゃ、おやすみ」






 
←To Be Continued


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Bordeaux rouge-Jours avec vos proches-

年末ワイドスペシャル2本勃て

ifエンドの中でも意外な高評判なリシュリュー回の蛇足的サイドストーリーで今年は終わりです、はい

タイトル詐欺ではございま、ございま…すん!



Paris!!そこは花の都!そして芸術の都!嗚呼素晴らしきかな美しの都………と、まぁ、初めてここに訪れた者は感動にその身を震わすだろう、うん

 

「Parisも久々ね」

 

「そうだな」

 

「モォ!mon amiral、ズイブンと元気がないわね」

 

深海棲艦との戦いが終わり、海軍を辞め、かつての夢“西欧文明ドナウ起源論”を証明すべく活動の場を欧州に移し、その欧州での住み家(実家の納屋)を提供してくれたかつての部下、リシュリューと共にパリへとやって来たワケだが……

 

「最近田舎暮らしが板に付いてたからな、そんな田舎者にこの都市は眩しすぎる」

 

「まだそんな老け込むほど長く住んでないでしょ?」

 

と言うか、私の実家を田舎田舎と失礼よとツッコミを入れてくるあたり、地味にコイツのPRIDEの高さが窺える

 

「…さて、それじゃ俺はルーヴル行くから、えー…パリメトロのなんちゃらルーヴルで降りたらいいんだよな」

 

「え?エェ、そうよ?」

 

「そうか、じゃあな」

 

俺はリシュリューにアバヨと告げてクールにその場を去り…

 

「チョ!チョ!ま・ち・な・さ・い!」

 

「グエッ!!こ、この力は…ッ!!」

 

背後からハンドバッグの紐で首を絞められ、思わずギバーップ!俺の負けだー!とタップした俺は首の痛みと戦いつつ、リシュリューに向き直った…

 

「ナニすんじゃテメェェェェェ!!コロす気か!」

 

「モォ!じゃあな!ってナニよ?じゃあな!って、アナタ、ふ・ざ・け・な・い・で」

 

「ふざけるもナニもねぇだろ、俺はルーヴルに用事がある、オマエはたまにはパリでトレンディなお買い物したいとか言ってたろーが」

 

「言ったわ」

 

目的地は同じ、だがここへ来た目的は違うのだから何もおかしくはない、そう、俺は間違ってない………ないよな?うん

 

「アナタ、まさか私を1人で行かせるつもり?」

 

「そうだよ(便乗)」

 

「ナニがそうだよ!よ、ありえないわ!」

 

「ありえないもクソも俺はルーヴル美術館にしか用事がないんだから当たり前だろ、いいかリシュリュー?俺たちは大人だ、大人とは何か?大人とは全であり一であると同時に一であり全でもある」

 

つまり宇宙の心は彼だったのであると駅前で懇切丁寧に解説してやったが、リシュリューはやたらと不満そうに眉間に皺を寄せている…

 

「Amiralの言ってるコトはサッパリわからないわ」

 

「それもまた真理」

 

「マァ、いいわ、まずはMusée du Louvreに行きましょ?」

 

「なんだ?オマエ、美術館に興味あったのか?」

 

「シ・ツ・レ・イね!私だって芸術に理解はあるわよ!」

 

しかし、ただ、立っているだけで美術品みたいなリシュリューはかなり目立つ、並のスーパーモデルもゲロ吐いて逃げ出すレベルのコイツと連れ立って歩くとかとんだ拷問なのだよ

 

「まぁいいや、じゃ、ルーヴル着いたら後は自由行動な、できれば俺から離れて噴水の前でポージングでもしててくれ」

 

「そんなワケないでしょ!ほら、さっさと行くわよ!さっさと!」

 

「いや、提督はあまり目立ちたくは…」

 

「目立つ?あら?アナタ随分な自信家なのね?フフッ、ま、大丈夫よ、私の目から見て、mon amiralは地味な東洋人だわ」

 

だから!!俺じゃなくてオマエが目立つんだよ!もう既に周りからの目があるんだよ!コイツ、自分の商品価値わかってんのか?

地元で葡萄踏んでるだけで芸術品みたいなんだぞ?美しすぎる葡萄踏みとか新聞載ってんの知ってんのか…?

 

ちなみに葡萄踏み、地元では鉄の掟で生粋の“乙女”しか参加できないらしく、リシュリューのママンもいつまで踏んでんだバカ娘が…と不満を垂らしていたがそれはまた別の話…

 

「まぁいい、とっと行くか…」

 

ーーー

 

ルーヴル美術館、それは、フランス、パリのセーヌ川の右岸にある世界最大級の国立美術館であると同時に世界最大級の史跡でもある…

 

誰しもが名前ぐらいは聞いた事があるこの美術館には、これまた誰しもが名前ぐらいは聞いた事のある世界一有名と言っていい名画がある………その名は

 

モナ・リザ

 

レオナルド・ダ・ヴィンチ作、多くの謎に満ちたその絵画は、世界でもっとも知られ、もっとも見られ、もっとも書かれ、もっとも歌われ、もっともパロディ作品が作られた美術作品と言われ、今なお多くの人々を魅了してやまない…

 

「意外と小さいのね」

 

「オマエ自称パリっ娘だろ?今まで見たコトなかったのか?」

 

「ないわ、むしろMusée du Louvreにも初めて来たわ」

 

まるで自分がこの世で最も美しい存在だと言わんばかりの絶対的な自信、今日、このルーヴル美術館には最大の敵が現れたのかもしれないな…

 

「………しかし、なんとも不思議な絵だな」

 

「そうかしら?」

 

「オマエはまず審美眼を磨け」

 

しかしまぁ、たしかに素晴らしい絵だとは思うが……普段から至高の美を目にしている俺にはやや物足りないものがあるのも事実…

この名画ならば何かのヒントになればと思い、見に来たワケだが…

 

「ナニ?mon amiral?」

 

「なんでもない、行こうか」

 

「アラ??モォいいの?」

 

「ここに俺の求める美は無かった、それだけわかれば十分だ」

 

「フゥ〜ン」

 

 

 

*****

 

 

 

フランス、ボルドーの農家にて住んでいたと言われる無名の東洋人が残した絵画の内1枚…

 

葡萄踏みの乙女(正式作名不明)

 

豪奢な金の髪をした美しき女性が葡萄を踏む姿を描いたそれは、モデルとなったとされる女性の住んでいた村の教会に今も保管されており、葡萄祭りの際に、その絵画は飾られ見る者達に葡萄祭りの楽しさを伝えている






それでは皆さん、ごきげよう


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提督と謹賀新年Ⅴ

あけましておめでとうございます
今年も秋雲先生は本物の“男”を描き続けます、ジャ●プが読めるのは秋雲先生だけ!

【登場人物】

提督(S)
メガネ男子、データ以上もデータ通りです

五月雨(S)
駆逐艦、アイ●ナが終わってガッカリした

由良さん(S)
軽巡、鬼怒と阿武隈からカツアゲした金で食うトンカツ美味しい


「あけましてオメデトウ」ペコォ

 

「おめでとうございます」

 

この執務室でこのやりとりをしてもう何年になるか、思えば遠くへ来たものだ、軍に入隊し、兵学校での日々…そしてこの場末感溢れる地方への配属、魔王バ●モスを討伐せよとクソみてぇな金を受け取り、クソみてぇな酒場でクソみてぇな仲間を集めざるをえなかった勇者とはこんな気持ちだったのかと言葉ではなく心で理解したあの日…

俺、サミー子、そして由良さんの3人で共にこの光溢れる世界を魔王の脅威から救うのだと誓ったものだ…

 

「ほれ」

 

俺は財布からスタイリッシュに紙幣を取り出し、サミー子に手渡した

 

「とうとう茶封筒ですら無くなりましたか…」

 

「うるせぇな、オマエもペェペェにしてやろうか?」

 

「私、現金主義なんで」

 

そう言って五月雨は手渡された紙幣を長財布にしまいしまいすると、とりあえず新年一発目だしお茶でも飲みますか?と尋ねてきたので、俺はアツいお茶を頼んだ…

 

「フゥ…」

 

「そろそろですかね?」

 

「ナニがだ?」

 

「いや、新年一発目ですし、自称メインヒロイン(笑)さんがお年玉貰いにきましたよぉ〜…とか言いながら来るかと…」

 

「オマエなにげにヒドいよな」

 

(笑)はヒドいだろ、(笑)は、アイツはアイツなりに自分のロードを、自分だけのメインヒロイン道を目指して頑張り、努力をしている事に関してだけは評価している

もし仮に、アイツが“ビッチ”でなければ、あのオトコを惑わす気安さとスケベボディは強靭な理性と精神力持つ俺でも危うかったかもしれぬ…

 

ゴン!ゴン!(ノックしてもしもし)

 

「む…?」

 

噂をすればなんとやらか……執務室の重厚な扉を叩く音、しかし残念ながらこの執務室の扉はたとえ大戦艦級が命と小●宙(コ●モ)を極限まで燃やしても決して開くコトは…

 

ドガァン!!!(全力キック)

 

「あーぁ、壊れちゃった、このドア、材料腐ってたんじゃない?ね?」

 

「ゲ、ゲェーッ!!お、オマエはーッ!」

 

「由良さんじゃないですか、珍しい…」

 

執務室の重厚な扉を破壊し、現れたのは鈴谷………ではなく、由良ッッッ!!力と破壊を司る軽巡!!提督の骨が砕ける音だけでは飽き足らず、心の砕ける音はもっと好き❤︎と笑顔でサド発言ができる長良姉妹でもっとも危険なサディスティック軽巡!由良ッッッ!!

 

「…なんだ、正月から?」

 

「由良が新年の挨拶に来ちゃダメなわけ?」

 

「新年の挨拶…?由良さんが?」

 

「そっ、新年の挨拶」

 

何を考えている?コイツ……いや、たぶん何も考えてないな、由良さんは基本的に物事を深く考えず、今日は良い天気だな〜……だから殺す、と考えに至る生粋の破壊者、一日たりとも他者を殺傷せずにはいられない殺意の塊だ

 

「新年の挨拶か、ふむ……あけましてオメデトウ」

 

「おめでと、あと五月雨も、相変わらず髪長いね?ティ●テの無駄遣いじゃない?ね?」

 

「おめでとうございます、あと、髪の長さは由良さんには言われたくないです」

 

由良さんはお客様ソファーに座り、サミーになんか飲み物ない?と飲み物を要求すると、サミーは冷蔵庫からバヤ●ースのペットボトルと棚からグラスを取り出して由良さんの前に置いた

 

「ありがと、あと、由良バヤ●ース嫌いだからファ●タオレンジにして」

 

「バヤ●ースしかありません、ゴチャゴチャ言うなら自販機コーナーで買って来てください」

 

「は?」ピキッ!

 

「なんですか?」パキッ!

 

「オイオイオイオイオィィィィ!!ケンカすんな!なぁ?な?新年一発目からケンカすんな、な?ほら!なか●し!◯!なか●し!Love & Peaceな!」

 

コイツら……マジで仲悪いな、マジで

思えばコイツらも同期みたいなもんなんだからもうちょい仲良くても良さそうだか、なんか知らんがいつの頃からかコイツらはやたらと険悪になった…

 

「はぁ?別に由良、サミー子と仲悪くないけど?」

 

「私も由良さんのコト嫌いじゃないですよ?」

 

「そう見えねぇから言ってんだよクズどもが、だいたいなんだオマエらは?昔はあんなに仲良かったじゃないか?1個のパンを分け合い、1杯のスープを分け合っていたじゃないか?」

 

「そうだっけ?」

 

「そうですよ、私、由良さんと飲んだスープの温かさを覚えてますし」

 

そうだ、まだ我が基地が貧弱だった頃……俺たちは基地と言う名のあばら家で身を寄せ合って雨露を凌ぎ、生きる為には殺人以外はなんだってやったものだ

 

ママとの出会い、高雄と愛宕(ツー●ン・アーミー)、そして妙高姉妹(ミッドナ●と・キング)との死闘……金剛との大威震●連制覇、数多の強敵との戦いを経てチームはどんどん大きくなった…

 

「提督さん」

 

「なんだ?」

 

「ラーメン食べに行かない?ね?」

 

「ラーメンか、悪くないな」

 

そう言えば最近食ってないな、新年のこの時期だ、おせちもいいけどカレーもね、ね?の定番フレーズと互角ぐらいにアツアツのトンコツラーメンを食いたくなるのもまた、キュウシュウ男児としてあまりにも必然…

 

「よかろう、その誘い、乗ってやる」

 

「なんで上から目線かな、ま、いいケド…サミーも行く?提督さんの車、2人乗りだけど?」

 

「由良さんのそーゆートコにイラっときます」




次回はイベント海域第三ステージ、戦慄!キング・クラブの力!!


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提督と鈴谷と通常営業【その7】

第三ステージ?あれはウソだ

【登場人物】

提督(メガネ)
正月休みも終わりか…

鈴谷(負け確ヒロイン)
正月休みはゲイラカイト揚げて川に落とした


「あけましておめでとうございます、今年も誰もが羨むメインヒロインの鈴谷が遊びに参りましたァ!」ペコォ!

 

今年も無事に朝から新品のパンツ穿く儀式を済ませた新しい年、今日も清々しい朝だと思いつつ執務室の窓を開け、小鳥さんオハヨウと挨拶をしていると、執務室の重厚な扉を開き、如何にも遊んでいる感に溢れる頭のネジと股の緩いJKみたいなバカ面がやって来た…

 

「オメデトウ」

 

鈴谷はペコォ!と90度のお辞儀をし、本日は秘書艦サミー子の姿がありませんが?と尋ねてきたので本日は休暇であると伝えた

 

「そうですか」

 

「なんなんだオマエ?なんか変なモン食ったのか?」

 

「いえ、特に変なものは食べておりません」ペコォ!

 

90度のお辞儀による下がりパイオツの強調…

こやつめ、新年から己の武器の力を最大限に引き出してきおるわい、もし俺がサキュバス特有の淫魔のオーラに耐えうる聖なる者でなければ今ここでブチ犯していだろう

 

「まぁいい、で?何の用だ?くだらない用件だったら今ここでオマエの心臓を抉り出して上級魔界貴族召喚儀式の贄に捧げてやる」

 

「遊びに参りましたァ!」ペコォ!

 

「提督に一度見た下がりパイオツは二度通じない、これは既に常識」

 

「それで、つきましては鈴谷とTVゲームをプレイなど如何でしょうか?」

 

「TVゲームだぁ?なんだ?マ●オテニスか?それともドクターマ●オか?」

 

「いえ、鈴谷は少々格ゲーなどに嗜みがありますゆえ…」

 

「何が格ゲーに嗜みがあるだクズが、いいぞ、たまにはカプ●ス2やるか?カプ●ス2、ギタギタにしてやんよ」

 

ーーー

 

このままでは終わらんぞぉー!終わらんぞぉー!…らんぞぉー!……ぞぉー……ぞぉー……

 

「ファァァァック!!今、鈴谷勝ってたじゃん!?どう考えても勝つ流れだったじゃん!!」

 

「だからオマエはダメなのだよ」

 

相変わらず八稚女しか能のないヤローだなコイツは、バカなのか?フィッシュに必ず八稚女出したがるせいか、最早読み易い読み難いの問題ではない、ただのバカ以外の何者でもない

 

「もう1回!もう1回やろ!次は勝つ!!」

 

「オマエもう良い子ちゃんプレイは止めたのか?」

 

「ハァ?鈴谷いつだって良い子ちゃんですケドー?生まれたその日から真面目な優等生ですケドー?」

 

大好きで大得意な(自称)庵でギタギタにされ、アッサリと真面目ちゃん?の仮面を脱ぎ捨てたいつもの鈴谷はファックファック言いながらボタンを連打していた…

 

「何度ヤっても結果は変わらん、無様に敗北ア●メをキメる前に去るがいい」

 

「ハァ!?ダレが敗北ア●メなんかするかバーカ!オラ!こいよ!ザンギなんか捨てて紅丸でかかってこいよ!」

 

コイツ、俺の紅丸になら勝てると思ってるあたりキレてるようでやはり狡猾、常に良質なザー●ンを求める色欲の化身よ…

 

「やかましい、もう飽きた、やはり弱者をいたぶるのはつまらん、部屋に帰るんだな、オマエにも姉妹がいるんだろう?」

 

「ダレが弱き者だ!っーか熊野ならいねーし、実家に帰ってるし」

 

鈴谷曰く、たまには実家に帰って来いとワリとしつこく連絡があり、昨今のソーシャルディスタンスが叫ばれる世論を鑑み、今年は熊野だけ帰省しているそうな

 

「オマエら実家とかあるんだな」

 

「そりゃあるよ、フツーに」

 

コイツらの実家か………考えてみりゃ想像がつかんな、たしか最上クンとくまりんこはどこぞの村に実家があると聞いているが、この姉妹も複雑な家庭の事情があるせいか、鈴谷と熊野はシティボーイ育ちらしいし…

 

「そう言やテイトクは帰省しないの?」

 

「予定はないな」

 

「なんか前にサミーは一緒に付いて行ったらしいじゃん?」

 

「あー………あったな、そんなコトが」

 

あの時はなんの用事だったか?初盆か葬式か…?いや、単なる休暇だったか?あまり覚えがないが…

 

「たしかサミーが来てるからって、ウチでカニ食ったっけか」

 

「大歓迎されてるじゃん!?ナニその破格の待遇!?鈴谷もカニ食いたいですケド!テイトク、いつ帰省すんの?今度鈴谷も行きたい!」

 

「バカ言うんじゃないよこのビッチが、オマエなんぞ連れてったらデリ●ル連れてきたとか言われるだろーが」

 

「言われねーし、あと、ビッチじゃねーし」

 

「俺は世間体を気にするタイプなのだよ」

 

「だから!ナニその鈴谷=世間体悪いみたいな理論!おかしくね?どう考えてもおかしくね!」

 

「おかしくない、何故ならオマエはビッチ以上でも以下でもないからだ」

 

「だから!!ビッチじゃねーし!いい加減にしろやこのクソメガネ!」

 

「クソメガネじゃない、提督だ、あとなんだその口の利き方は?立て、修正してやる」

 

「ヤれるものならヤってみろやこのド外道がーッ!」

 

鈴谷はまるで雑魚キャラのように飛び上がり天井を蹴って勢い良く回転しつつ強襲してくる!………がッ!!

 

「廬山昇●覇ーッ!!」

 

まるで低空飛行から急上昇するジェット機のような猛スピードのアッパーカットをマトモに被弾し、上空を舞った鈴谷はきりもみ回転しつつ頭から硬い床にグシャァッ!!とエグい音で叩きつけられ動かなくなった…

 

「バカめ、ナニが誰もが羨むメインヒロインだ、所詮キサマなど負け確ヒロイン…いや、負けビッチにすぎん」

 

ビッチでは提督には勝てない、これは既に常識…

昇●覇をマトモに受けて動かなくなった鈴谷だが、どうやらまだ死んだワケではないらしく、微かに息をしているようなのでア●ルに山芋を入れてトドメを刺してやるコトにした…

 

「これもまた慈悲か…」

 

アディオス鈴谷、俺は倒れた鈴谷のスカートを捲り、とりあえずパンツを脱が……

 

「ヘ、ヘンタイ!!ヘンタイ!!ヘンタイ!!」

 

「なんだ、まだ意識があったか?」

 

「今、鈴谷をレ●プする気だったでしょ!!このレ●パー!!」

 

「レ●プ魔じゃない、提督だ」

 

「ってかその山芋ナニ?もしかしてソレ挿入れる気だったの?」

 

「いかにも」

 

「いかにも、じゃねーし!!どんなプレイか!!ヘンタイかッ!!」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ、なんだ?すりおろしてトロトロにした方がお好みだったか?」

 

「無理、マジ無理、っーか発想が普通にキモい、なんなの?鈴谷になんか恨みでもあんの?そんなに鈴谷の苦しむ顔が見たいっての?」

 

「別にオマエの苦しむ顔など見たくはない、むしろ顔を見たくない」

 

「ヒドっ…!なんっーか今の地味にヒドいんですケド」

 

「だからオマエはMなのだよ」

 

「Mじゃねーし!」





次回こそ第三ステージ、冬のカニ祭り


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PQ17船団を護衛せよ①

塵芥-ちりあくた-

【登場人物】

戦艦新棲姫(蟹)
地獄の底から蘇った不屈の少女、個人的にぶっとばして差し上げたいのは死の神


前半の海最後の戦い、第三ステージ!ノルウェー北岬沖/北極海!吹きつける極寒の海で待ち受けるのは深海期待の超新星!戦艦新棲姫!

 

『ソレデ ホンキナノ…?アーッハッハッハ!ワラエルーッ!』

 

「か、硬てェ…!」

 

「なんと言う硬度だ…ッ!ヤツの艤装は大戦艦級の艤装並みの硬度を備えていると言うのか!」

 

「どうやらアレをヤるしかないわね…」

 

並み居る海軍の強豪を退ける無敵の重装甲を纏う戦艦新棲姫を前に、己の小●宙(コ●モ)を燃やし戦う若き艦娘との戦いはネルソン、ガングート、アイオワ、三人の大戦艦級が揃って初めて可能な禁断の奥義、小規模ながらビッグバンの威力を持つテイトク・エクスクラメーションを発動を決意!

 

しかしッッッ!!戦艦新棲姫はその禁断の奥義すらも耐え抜いたのだッ!

 

『スゲェ!!サスガ戦艦新棲姫クンダ!』

 

『アァ!並ノ硬サジャネェゼ!』

 

『ヘヘッ、アノクソダサ蟹アーマー、ヨク見ルトカッコイイジャネェカ…!』

 

『ウォー!戦艦新棲姫!戦艦新棲姫!』

 

深海棲艦の仲間達から湧き上がる戦艦新棲姫コール!かつてこれほどまで海軍のヤツらを苦しめた事があったであろうか、今、戦艦新棲姫はたしかに………“希望”!

暗く、深い海から青い海を守り、散って行った数多の深海棲艦達の祈りが希望そのものになったのだった!

 

ーーー

 

「まさかヤツらでもダメとは…」

 

「まさかの急展開ですね」

 

どんだけ硬いんだよ、そして誰だよ、なんか甲でもイケる気がするとか俺に言ったヤツ、俺の中の邪悪なる俺か?それとも俺の中の頑張り屋さんの俺か?

俺は胸ポッケからライターを取り出しタバコに火を点けた

 

「フーッ〜………」

 

「窓開けてくださいよ」

 

「サミぃだろーが、っーかサミー、ヤツらを呼べ」

 

「寒いのか人の名前なのか紛らわしいんですケド、で?誰を呼べと?」

 

「決まっているだろう、この基地で最も強い者よ」

 

そもそも俺は間違っていたのだ、特効などに目を奪われ己の真の戦い方を見失っていた、だが…最早手加減など不要、この基地(サンクチ●アリ)最大最強の戦力をもって逆賊どもを抹殺してくれるわ!

 

「これでヤツらの命運は尽きたも同然!クックック…ハッハッハ……ハァーッハッハッハッハ!!」

 

「しかし、まっこと見事なまでの悪役ムーヴですよね」

 

ーーー

 

深海北極海方面艦隊の頭を務める戦艦新棲姫…

 

彼女の持つその強さの秘密は彼女の過去にあった…

深海棲艦の中でも中流家庭の子として生まれ、両親に愛され特に何も不自由なコトなくぬくぬくと育った彼女は優しい子に育った…

 

しかし、そんな彼女の人生を変える出来事が起きる

 

彼女がまだ深海小学校に通い始めた頃、深海ケーブルテレビの深海キッズス●ーションで絶賛放送していたある地上の番組がそれまで幸せだった彼女を一気に不幸のズンドコへと叩き落としたのだったッ!!

 

『コノ蟹ヤローメ!蟹ミタイニ泡吹カセテヤルゼー!』

 

『アジャパーッテ言ッテミロ、アジャパー!』

 

『マンモス哀レナヤツメ!』

 

…………泣いた、彼女は泣いた

子供とは残酷なものであった、ある番組のせいで、彼女はそれまで大好きだった自分の艤装が大嫌いになり、学校に行くのもイヤになった

どうしてウチの艤装は蟹なの!?こんなの恥ずかしくて着れない!せめて親戚のバタビア姉ちゃんみたいなオウムガイが良かったのに!と両親にも当たり散らした…

 

そして彼女はグレた、それまで優しい子だった彼女はグレて非行に走り、毎日ケンカに明け暮れた…

 

しかし、そんな彼女を救ったのもまた、深海キッズス●ーションだった…

ある日、いつものケンカから帰り家で深海キッズス●ーションを見ていた彼女はこれまた地上のある番組に目を惹かれた…

 

その番組は、かつて彼女を地獄の底に叩き落としたあの番組の派生作品だったらしく、最初は興味無かったものの、なんとなく見続けていると、ついに因縁の蟹が登場したあたりから彼女の心は大興奮した…!!

 

頼れる兄貴枠!前聖戦の際は蟹座で御座いました!師弟のWキャンサー!神の魂すら引き剥がす最強の積●気冥界波!三巨頭どころかあの双子神の一人を封印する大金星!

 

…………泣いた、彼女は泣いた

あまりのカッコよさに、地獄の底に落ちていたハズの全蟹座感動、全蟹座がアツい涙が止まらない、手●木先生アリガトウ、本当にアリガトウと…

 

それから彼女は変わった、自らの艤装を恥じたりはしない、むしろ誇りにすら感じるようになり、元々の優しい性格だけでなくケンカに明け暮れたせいで強い心も手に入れていたのだった

 

そして彼女は、この北極海ステージのBOSSに抜擢されたのだったッッ!!

 

 

『バ、バカナーッ!!ソレハ本当ナノカー!』

 

『ナ、ナンテ小●宙(コ●モ)ダ!今マデ出会ッタ戦艦級ヲ超エルコノ強大ナ小●宙(コ●モ)…!』

 

『フッ、ドウヤラアチラサンモトウトウ本気ヲ出シテキタッテワケダ』

 

禁断のテイトク・エクスクラメーションをも凌ぎ切ったチームの元に届いた報告、海軍最大戦力からの挑戦状…

大和と武蔵がそこへ向かう、その時キサマらは負ける、と…

 

『フン……マッテイタワ……ワカル…デショ?キサマラニモ……!ネェッ!!』クワッ!

 

『ソウダ!俺達ニハ戦艦新棲姫クンガイル!』

 

『ソウダゼ!俺達ハ絶対ニ負ケネェー!』

 

『野郎ドモ!海軍ヲ滅ボセーッ!』

 

沸き立つ勇気!希望の火は決して消えない!たとえ相手がどんなに強大であってもこの北極海を守る!

 

「フッ、なかなか骨がありそうだな大和よ、アレ、全部、死刑でいいんだろう?」

 

「えぇ、基地(サンクチ●アリ)からの、いえ、提督の勅命は抹殺です、逆賊は一人たりとも生かして帰しませんよ」

 

この戦い、きっと多くの仲間達が散るだろう……お調子者のナ級、口は悪いけど仲間想いのツ級、ぶっきらぼうだけど実は優しいヲ級、自分を信じてくれた最高の仲間達…

この強大な敵を前にしても、みんな笑っていた

 

『キタカァ!!サァヤロウゼ!塵芥ニモ魂ガアルッテコトヲ教エテヤルヨ!』





次回は②、ぶっとばして差し上げますわ


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PQ17船団を護衛せよ②

最大最強VS蟹

【登場人物】

大和(戦艦)
次期提督候補に選ばれるであろう仁・智・勇に優れた最強の戦艦、邪悪な心?持ってません!

武蔵(戦艦)
大和は善と悪の心を持っているがこの武蔵は悪の心しか持ち合わせておらん!


第三ステージ北極海最終決戦!

遂に現れた海軍最大最強の戦艦姉妹!圧倒的な小●宙(コ●モ)を前に、若き深海の戦士よ!心の小●宙(コ●モ)を燃やせ!

 

『ア、アノ構エハーッ!』

 

『両手ヲ高ク組ンダアノ構エ、間違イナイ!アレコソ大和型最大奥義!』

 

『全員死ヌ気デ防衛ダァー!!ココカラ先ハ絶対ェ通サネェゾォー!!』

 

『ディフェンス1本ーッ!!』

 

この海域、特効性能を発揮する艦娘達の猛攻にも何度となく耐えたと言う強い自信!今、まさしくチームの心は一つであり、それぞれが最高のパフォーマンスを…

 

『『『グワアアアアアアアアアアアアアー!!』』』

 

グシャアッ!!!

 

「フッ、教えてやろう……この戦艦武蔵には特効など不要、そんな仮初めの力に頼るのは弱者である証拠」

 

必要なのはただ、圧倒的な個人の力!決して揺るぎはしない自我!強さとは、力を屈服させること!!

 

「来い、本物の“力”を教えてやる」

 

『舐メヤガッテ…!コロシタイ…クライ!ザンネン…ダワ…ッ!』

 

ーーー

 

列島を襲う大寒波の執務室…

 

「やっぱ強ぇーな」

 

「安定感がありますね」

 

正直、大和さんと武蔵を同時起用はやり過ぎな気もしたが、さすがに最大戦力のカンバンに偽りは無い

多少遠回りとかしたものの、その安心感はハンパでなく、超長距離からの圧倒的な火力だけではなく鉄壁のタフネスはやはり他のクズどもとは一線を画している…

 

「あとは第二艦隊に期待ですかね」

 

「そうだな」

 

今までも何度かヤツを追い詰める場面はあったが、どうにも最後の一押しが足らぬ点が目立ったが……もう手加減もクソもない、とにかくヤツを追い詰められるだけ追い詰めて必殺の一撃を叩き込むしかない

 

「………あれ?第二艦隊ヴェ…?響さん?ヴェールヌイさんって前の海域で札付きになりませんでした?」

 

「知らなかったのか?不死鳥は何度でも甦る」

 

たとえ他の海域で札付きになろうとも一握りの艤装のカケラさえあれば、炎の中から不死鳥は再び羽ばたくのだッ!!(※二隻目が)

 

「へぇ」

 

「へぇ、じゃない、なんだその心底興味なさげなツラは?舌引っ張るぞ」

 

「ハラスメントです」

 

「バカ言うんじゃないよこの子は、舌を引っ張るのがハラスメントなら鼻フックはハラスメントじゃないのかい?」

 

「なんなんですか、その基準……ハラスメントかどうか試しに由良さんにでもやってみたらどうですか?100%キレますから」

 

「ハッハッハ、相変わらず卿はジョークのセンスがないな、ハッハッハ」

 

「イラっとします」

 

ーーー

 

北極海最終決戦、最大最強の戦艦2名を投入したこの戦い

猛威をふるうその圧倒的な力を前に、戦艦新棲姫率いる深海北極海方面艦隊は苦戦を………強いられていたッッ!!

 

『カ、カッタトオモワナイデ……!』

 

チームは既に壊滅状態、仲間達は皆、戦いに勝つ為にその命を捨てて一矢報いるべく散って逝き、残ったのは戦艦新棲姫ただ一人…

 

『今コソ……燃エアガレ、爆発シロ!!私ノ………小●宙ヨォォォォォ!!』

 

深海最硬の硬度を誇る?自慢の蟹!!この無敵の攻殻を粉砕することなどヤツらには決して不可能!

現に、これまでこの蟹の圧倒的防御力を前にヤツらは手も足も出なかった!!たとえどんな強烈なパンチでも耐えられる!!

 

「ハラショー!!」

 

ゴシャアッ!!(ハラショー幻●拳)

 

『ブベラァ!!』

 

強烈なパンチ…ッ!!だが、まだ耐えられる、まだ倒れるワケにはいかない、そう……この戦艦新棲姫に命と蟹がある限り!っーか…あのハラショーのヤツ、たしか前の海域に出てたから今回は出て来ないとか聞いてた気がするケド……

 

『フッ、サスガニ大シタ威力ダッタワ、シカシコノ戦艦新棲姫ノ艤装ヲ破壊スルニハ…』

 

ザッ!!!

 

『ナニ…?』

 

目の前に現れたのは長い金髪を揺らす美少女と金髪天然パーマの美少女…ッ!!

 

「フッ、enemy is in sight…!」ドヤァ!

 

「ウェェ…Jervis、ホントにやるの?」

 

「あったり前でショ!!Janus!アタシに続きなサイ!戦術No.Special 0よ!」

 

金髪美少女コンビは天パが金髪ロングを背中合わせに担ぎそのまま突進して来た!!

 

『シャラクセェー!!宇宙的ニ哀レナヤツガァー!』

 

ゴシャアッ!!(殺人ストレート)

 

「ぶべらぁ!!」

 

戦艦新棲姫の殺人ストレートは見事に突進して来た天パの顔面を撃ち抜き、煌めきの英国トレインは粉砕された………がッ!!

 

「隙ありーッ!!」

 

『コ、コイツ!?』

 

ジャーヴィスは戦艦新棲姫の顎を蹴り上げつつ上昇し、上空でそのまま両踵で相手の顎を踏み付けるように押さえて両手で相手の両足を押さえつけながら勢いよく落下を開始するッ!!

 

「死ね!!ジャーヴィスドライバー!!」

 

『グオオオ…!!ダ、ダガコノ程度ノ技、脱出ヲ………!!』

 

戦艦新棲姫は自らの身体を勢い良くグルグルと回転させジャーヴィスドライバーから辛くも脱出したと思いきや、空中では体勢の自由が利かず、再び空中でジャーヴィスに側面から両腕・片脚を固められた

 

「死ね!!英国淑女式超奥義!スコティッシュ・スティール・エッジ!!」

 

『ウガアアアァァァァォォ!!ウ、動ケナイ!!』

 

グシャアッ!!!(スコティッシュ・スティール・エッジ)

 

『グハァ!!』

 

脳天から勢い良く海面に叩きつけられ、ついに戦艦新棲姫は白目を剥きブクブクと気泡を残して沈み、遂に北極海の死闘は終わったのだった…

 

ちなみに、ジャーヴィスは“死ね”発言が淑女としてエレガントではないと帰ってから陛下にメチャメチャ怒られた



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竹の輝き

イベント終了したのに遅延中のだらしないお話ですまない…

【登場人物】

深海竹棲姫(ラスボス)
イキリ駆逐艦2号、驚異の超射程雷撃能力を持つ深海期待のスーパーエース、駆逐林棲姫は親戚の子


前半の海とは違う海の豪傑どもがウヨウヨする後半の海、ルソン島沖/オルモック沖…

 

「誰だよ!回避不可で航空戦4連戦とか考えたヤローは!!」

 

「痛い!!このクソキモ鳥、噛みやがったー!」

 

「チクショウ!!こっちは空母がいないってのに…!」

 

「あったよ!Atlantaと5inch連装両用砲(集中配備)とGFCS Mk.37が!」

 

「でかした!」

 

前半戦、苛烈な航空アウェーの洗礼に苦戦しつつも輸送チームは無事に任務をこなし、この海域を支配するBOSSへの挑戦権を手にいれた我々は新たにBOSS攻略チームを編成、この海域の奥で待ち構える深海竹棲姫を打倒するべく小●宙(コ●モ)を燃やすのだった…

 

ーーー

 

『駆逐林棲姫ガマタヤラレタダト?』

 

『ヤツハ駆逐姫級ノナカデハマァマァノ実力者…』

 

『駆逐姫級ノ恥サラシメ』

 

この海を制圧する深海棲艦のヘッド、深海竹棲姫…

駆逐艦離れどころか軽巡や雷巡にすら不可能な第一艦隊の超々長距離からの精密射撃能力を持つ深海期待の駆逐姫級スーパーエース…

 

前回の戦いで、海軍に腹ボコォ!になるほど殴られ深海記念病院に入院していた駆逐林棲姫は彼女の親戚であると同時に仲の良い友人だった…

そんな駆逐林棲姫が、海軍のヤツらにリベンジしたいと頭を下げてきた時は正直言って悩んだ…

 

チームは既に決まっていたし、その為のフォーメーションは既に成熟・機能している以上はいたずらにチームを変えるのはどうかと思ったが………アイツの目は死んでいなかった

かつて深海小学校で二人、ミュージシャンになりたいと語り合ったあの頃と同じ目…

 

『ッテ、負ケテルジャネーカ!!』

 

そもそもあまり期待はしてなかったが普通に突破されてるじゃねーかあのバカ、ナニがリベンジだよ、航空戦四連打のオマケまで付けてやったのに!!

 

『……マ、シャーナシダナ』

 

『深海竹棲姫クン!海軍ダ!海軍ガ来ヤガッター!』

 

『クソッ!海軍ドモメ!』

 

『野郎共!海軍ヲ滅ボセー!』

 

苛烈・残忍・残酷、いくつもの哀しみの海を越えてやって来た海軍の精鋭部隊…

 

「ひーふーみぃー……おーおー、深海のクズどもウヨウヨいますわねぇ」

 

「榛名サン、アレ、全部死刑でいいんでしょ?」

 

後に、オルモック沖の決闘と呼ばれる決戦の火蓋が今、切られようとしていた…

 

◆◆◆

 

一月のゴキゲンな執務室…

 

「ハイ!ハイ!ハイ、そーゆーワケでして…ハッ!いえ、決してそのようなコトでは、ハイ、えぇ!やはり身の丈にあった挑戦をするべきと……ハイ、重々承知しております、ハイ!ですので、今回も確実たる勝利の吉報をお知らせできるかと……ハイ!誠心誠意励ませて頂きます!それでは!」ペコォ!!

 

俺は受話器を静かに電話器の上に置き、胸ポケからタバコを取り出した…

 

「ペコペコ具合がなかなか堂にいってますね」

 

「やかましい、サミー、アツい茶だ」

 

上への儀式的な電話を終え、今回も輝く甲勲章は目指さない、俺が求めるのは確実なる“勝利”…

 

「余裕で倒せる、レベルのね❤︎」

 

「紅茶ですか?緑茶ですか?あと、言ってることスンゴイカッコ悪いですよ」

 

「やかましい、紅茶にしてくれ」

 

「紅茶ですね」

 

しかし毎度毎度こうやって難易度に関して申請しているが、昔はこんな制度なかった気がするのだよ

と言うか、以前は丙=なさけないヤツのレッテルを貼られていたが、今や丙はなさけないヤツではない不思議…

 

「そういや今回、時雨様が出陣てるんだっけか?」

 

「あー…たしか出てましたね、なんかイマイチ気が乗らなげでしたケド」

 

「意外だな、時雨様にも気が乗らないとかあるのか?」

 

「ありますよ、意外と天気とか気にする繊細なタイプなんですよ、時雨様」

 

「ふ〜ん」

 

そもそも姉妹からごく当たり前のように様付けされるのが異常な気がするが、それがまるで自然で当然な事のように思えるのもまた、時雨様の持つ天性の才能なのだろう

 

そんなコトを考えつつテレビのチャンネルを現場の中継に変えると、既に大勢は決したらしく、島風が姫級っぽいヤツの腹に蹴りをブチ込んでいた…

 

「あー…コレは肋骨イきましたね、紅茶です」

 

「うむ」

 

見たところ時雨様はまだ無傷で屈伸とかしてるし、たぶんコレは勝つ流れだろう…

 

「時雨様まで打順回りますかね」

 

「どう言うコトだってばよ?」

 

「だって、雪風様が右腕を既にハンマーコックしてますし…」

 

全身の血流操作により筋肉の伸縮と急速な活性化を利用して驚異的なスピードで拳を放つ雪風様にだけ許された絶対破壊攻撃(アブソリュート・ブレイク・ショット)

今まであのマグナムに耐えきれたヤツは数えるほどしかおらず、数多の深海棲艦を撃破してきた必殺の拳…

 

そして…!今やその拳は雪風様と共に新たなるステージへと進化を果たしているッッッ!!

 

ーーー

 

後に、病院のベッドの上で深海竹棲姫は我々にこう語ってくれた…

 

えぇ、死んだと思いましたね、俺、今日死ぬんだって不思議と確信してました…

避ける?ハハ、無理ですよ、アレと目が合ったら誰だってそうじゃないかな?そう、生物なら誰だって持ってる……“本能”ってヤツですかね、こう、身体が硬直して、頭では逃げなきゃって思うんですけど、身体は動かないんですよ

殴られた瞬間?さぁ…?あ、来るぞっ!と思ったらもう終わってましたね、怖いとか痛いとかそーゆーのなかったですね、不思議と

センパイ達から“死神”の噂話だけは聞いてはいたんですが、なんと言うか……もっと恐怖と絶望でおしっこチビるってイメージでしたけど、聞いてたよりずっと優しい“死神”でしたね…





周回遅れだァ!


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続続続続続続続続続続続続・提督と作戦終了と…

遅延を取り戻したい本日二本立て、イベント回終了編

【登場人物】

提督(テイトク)
最近内外で色々と忙しかったり頭痛かったりするせいか、書くのが遅れ気味、今年はもうちょいスピードをあげたいと、そんなふうに考えていた時期が俺にもありました


「えー…皆さん、今回の作戦海域も無事に終えるコトができてー…えー…なんでしたっけ?えー…」

 

新しい年も始まり、今年最初の全艦集会…

 

「ひっこめー!オッサンー!」

 

「カンペ読んでんじゃねーぞオッサン!」

 

「Booooooooo!!」

 

自分の基地のハズなのにアウェーな空気全開ブリバリな今日この頃、どいつもこいつも提督様のありがたい話を真面目に聞く気はないと見えるが………だが甘い、たとえブーイングの嵐でも、酒瓶が飛んで来ても提督様の“ロック”は止められない

 

「やかましいぞクソどもがァ!!まだドラネコの話までいってねーだろーが!!」

 

「その話をヤメろっーんだよ!」

 

「いい加減聞き飽きたわ!その話どころかオマエが嫌いになるわボケー!」

 

まったく、なんたるクズども…っ!まっこと救えぬクズ…っ!屁理屈ばかりこねて大人の話に耳を傾けようとしない餓鬼…っ!

 

まぁいい、だがそれもロックだ、ロックってのは誰にも止められねぇし止める権利もねぇ、そしてお互いの譲れぬロックがぶつかるのはごくごく自然なコト…

そんなワケで、新年の挨拶も兼ねた提督様のありがたいお話も早々に、俺は舞台袖に待機していた秘書艦サミー子にアレを出しなさいと合図を送った…

 

「えー………それじゃま、みんな大好きお給料の時間だが〜…今回のMVPチケットランキング、MVPチケット制を導入以来初、助っ人外国人が8割を占める大惨事となった、いいか国産のオマエら?オマエら全員連中に舐められてるってコトをよぉーくその賢いオツムにマッキーで殴り書きしとけよクズども」

 

運ばれて来たジュラルミンケースから取り出す現金、キャッシュ、マネー…!全ての欲を叶える魔性のチケット!心なしか、いつもより会場内から罵声とブーイングが飛んでいる気がするがまぁ気のせいだろう

 

「ハイ、では今回のMVPチケットランキング1位は第2、第3ステージと立て続け、まるで不死鳥のように甦りチームの勝利に貢献してくれた響ことヴェールヌイくぅーん、ハイ、みんな拍手ぅ〜」

 

パチ…パチ……(拍手)

 

「はい、よく頑張った、感動した!」

 

「ハラショー、これは信頼できる重さだ」

 

俺はアツく握手をしてズシリと重みのある現金をヴェールヌイくんに手渡してやった

 

「ハイ、続いて第2位、航空戦四連戦を見事にシャットアウトしてくれたMAJORの、いや、世界一の高さ!アトランタくぅ〜ん、ハイ、みんな拍手ぅ〜」

 

「アタシ?へぇ、こんなにくれるんだ…」

 

俺は壇上に上がって来たアトランタくんのスベスベのお手をアツく握り、よく頑張った!とその健闘を讃えたが、正直、アトランタくんのギガサイズおっぱいにしか目がいかなかったので俺はアトランタくんの健闘を讃えたのかパイオツを讃えたのかよくわからない…

ただ、アトランタくんは最初から最後まで舌打ちしかしなかったし、後で手をアルコール除菌していた

 

「ハイ、続いて3位、強敵であるキャンサーの姫級を見事撃破してくれたジャーヴィーくんですが、えー…ジャーヴィーくんはお尻が痛くて、え?お腹?あ、ハイ、お腹が痛くて本日は欠席してるそうなので代理で妹の天パに?オイ、天パ」

 

「天パじゃナイ!Janus!!」

 

ジャーヴィーくんの妹で今回はジャーヴィーくんと共にまぁまぁの活躍を見せた愛くるしい外見を持つ金髪強烈パーマの子、ジェーナスくん

ジェーナスくんはブツクサ文句を言いつつも壇上に上がってお給料を受け取る…

 

「うえっ!?こんなに!?」

 

「頑張った子には頑張りに対する正当な報酬を得る、不思議かね?」

 

「や、不思議と言うか……いつもチャンランポランでJervisシュミ悪いなって思ってたケド、変なトコ真面目なのね」

 

「失礼だな、キミは」

 

そんなワケで、お給料の時間は粛々と続き、最終的にジュラミンケースに残った額は550円…

 

「最下位、白露」

 

「なんでッ!?」

 

「なんでもクソもあるかボケ、自分の胸に聞いてみろや、いや、なんなら提督様が直々にお前の胸に聞いてやってもいいぞ」

 

「ヒィ!!へ、ヘンタイ!ヘンタイ!」

 

こうして、昨年末から続いてた作戦海域における儀式の全ては終わり、ここから少年漫画特有のバトル編が終わった後の宴だー!へと自然な流れで移行するのが当基地の流儀

今回も福利厚生費で用意したささやかな料理と酒が…

 

「ヒャッハー!水だー!」

 

「アレ?この水、美味くね?なんっーか気品があるっーか?」

 

「ホントだ!メチャうめー!っーか涙が止まらねぇ!!」

 

「大淀ォ!オマエなんかスゲー涙出てるぞォ!眼球がしぼんでるぞそれェェェ!!」

 

まったく相変わらず揃いも揃ってクズどもめが、酒、料理、女、どいつもこいつも欲にまみれておるわい

 

「さて…」

 

そんなクズどもは放っておいて、俺も適当なオカズでも選んで隅っこで食べるとするか…

今日の気分としてまずはジューシィなカラアゲとかがいいな、うん、肉汁が溢れる明石ファーム産の鳥…

 

「あ、テイトクさんだ」

 

「ホントだ、テイトクだ…って阿賀野姉ぇ、カラアゲとりすぎ」

 

「オマエらは…」

 

たしか自称最新鋭軽巡の阿賀野姉妹……軽巡にしては完成された駄肉感を持ち、それでいていやらしさと清純さを併せ持つキセキの姉妹…

 

「よぉ、相変わらずゲロマブじゃねーの?誘ってんのか?」

 

「誘ってませーん、あ、テイトクさんカラアゲないの?阿賀野のカラアゲ1個あげーよか?」

 

「1個と言わず5個くれ」

 

「イヤでーす」

 

このメスブタ、その皿に20個以上確保しておきながらなんと言うケチくささ…まったく、乳臭さの抜けんやつめ

 

「ちなみにオマエらだけか?矢矧ちゃんと酒匂はどうした?」

 

「矢矧ちゃんなら大和さんのパシリやってる」

 

「酒匂ならバヤ●ースにストロー刺してボコボコやってたわ」

 

「ナニそれ超楽しそう!阿賀野もやろーっと」

 

「やめて、阿賀野姉ぇ、やめて」

 

妹の心からの気持ちが通じたのか、バカ姉は、じょ…冗談だよぉ〜…と冷や汗を流していたのは俺じゃなきゃ見逃していただろう

 

ーーー

 

宴に騒ぐ体育館をそろりと脱出し、まずは一服…

 

キンッ!!シュボッ!!ジジジ……(タバコ)

 

「フーッ〜………」

 

俺はあと、何回イ級を殺せば許されるのだろうか?軍人たるもの一人十殺、いや、一人十助だったっけか?

 

「そこ、喫煙所じゃないですよ」

 

「バカ言ってんじゃないよこの子は、この広い大地はでっかい灰皿さ」

 

そんなつまらないコトを考えつつケムリを吸って吐いてをしていると、このクソ寒いのに寒色系の青髪ロング子が小皿にロールケーキらしきものを載せてぬらりとやって来た…

 

「何がでっかい灰皿ですか、あ、そうそう、明日は新しく配属される人の面接なのでその汚い制服じゃないでクリーニング済みのキレイな制服でお願いします、あと靴も、安全靴じゃないで革靴で」

 

「バカ言うんじゃないよこの子は、安全靴じゃなかったらいざと言う時に蹴り殺せないだろーが」

 

「自分の基地の中でいざの事態が起きるワケが………いえ、まぁ、ありますか」

 

「だろぉ?やっぱ俺が正しい、カッカッカ」

 

「イラっとします」





次回は新人面接回
きらめく4つの超新星!


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続続続続続続続続続続続続・提督と新人と面接

今回も全員漏れなし、揃っての新人面接回

【登場人物】

Scirocco(四女)
ついに現れたマエストラーレ級最後の刺客、末っ子です

Sheffield(五女)
Town級軽巡、英国から来た新たなる刺客、モッサリヘアー

Washington(次女)
North Carolina級の2、ハイスクール時代、イキがってアイオワにケンカ売って吐くほど殴られた

竹(次女)
松型の2、雷撃が得意なシャカリキボーイ



冬!その、素敵な季節が提督を行動させた!寒いからと言ってダラダラするのはよくないと考え、朝から長良主将とゲロを吐くまでランニング…ッッ!!

 

「ゲロ吐くまで走らなくても良くないですか?」

 

「提督もそう思う、あと、全身が痛い」

 

年甲斐もなく朝からハッスルマッスルなたった一度の今日と言う日、天気は晴れ、風は北東からの弱い向かい風…面接には絶好の日和と言えるだろう………たぶん

 

「今日の新人面接は4人です」

 

「4人か、少ないな…」

 

「そうですか?わりと普通だと思いますけど」

 

言われてみるとたしかに、ここ最近と言うか前回が異常だっただけかもしれない気もする…

 

「まぁいい、面接くれーチャッチャと済ますか、チャッチャと、今日は香取先生とディナーの約束があるのだよ」

 

「へぇ…」

 

秘書艦五月雨子は心底興味なさげに相づちを打ちつつ、今日面接予定の人の資料ですとペラい書類を何枚か俺の机に置いた

 

「ちなみに今回、4人中3人が外国の方です」

 

「歯止めがきかぬ国際化の波か…」

 

ウチも随分とインターナショナルになったもんだ、今や助っ人外国人どころか外国艦はチームの主力になりつつあり、ヤマトダマシイ、そしてサムライダマシイは失われつつあるのかもしれない…

 

ーーー

 

新人面接四連戦、まず迎えるトップバッターはイタリアから来た合法駆逐艦…

 

「Buongiorno〜…?あたし、マエストラーレ級駆逐艦?そう、末っ子です」

 

「ふむ、スエッコくんか…」

 

これまたまるで私は末っ子です!と自己主張の激しいキラキラネームじゃねーの?なるほど、スエッコくん、俺は改めて履歴書的な書類に目を通し…………ん?

 

「って!違うじゃねーか!スエッコじゃねーでシロッコじゃねーか!!」

 

「そうですけど〜?」

 

このガキ、いきなりこの俺を舐めてくれるじゃねーの?さすがは合法駆逐艦、一級マエストラーレ級四天王最後の一人と言うワケか…

一級マエストラーレ級と言えば数多くのおじさんを法の裁きの下に葬ってきたまさしく一級駆逐艦、マセガキのマエストラーレ、メスガキのグレカーレ、アホガキのリベッチオ……その、一級に並ぶ最後の一人と言うだけはある

 

これはアレだ、まず最初にビシッと言ってわからせにゃなるめぇ…

 

「まぁいい、シロッコくん?だったか、まず先に言っておくが俺は逆らう者は女子供にも容赦しない鉄拳の持ち主だ、もしこの基地で俺に逆らえばたとえ子供でもア●ルでイクまでケツにビンタかますからそこら辺はちゃんと理解するよーに…」

 

「zzz…」スヤァ…

 

「って!!寝てるよ!!なんなのコイツ!!シロッコくん、シロッコくぅーん?今、面接中!わかる?面接中だかねー?面接中は寝ちゃダメってマンマから教わらなかったかなー?」

 

俺は椅子に座ったままヨダレを垂らして寝ているシロッコくんの肩をガックンガックン揺らした

 

「ふあぁぁぁ〜…え〜?ナニ〜…?聞いてま〜す、クールさをなくしたらダンディではなくただのキザ野郎で〜す〜……zzz」スヤァ…

 

「そんな話してねーよ!なんだよこのガキ!」

 

は、初めてですよ……この俺をここまでコケにしてくれたおバカさんは…っ!これは面接初日から厳しい躾が必要らしいな

 

俺は眠っているシロッコくんの両肩を掴んで持ち上げ、必殺のダ●ルニークラッシャーでその健康的なニーを破壊してや……

 

スルリッ…!!!

 

「なにぃ!?」

 

眠っているハズのシロッコくんは俺の拘束をまるでヘビのようにヌルリと抜け、流れるように再び椅子へと戻った

 

「zzz…」スヤァ…

 

「こ、コイツ…!!」

 

これが一級マエストラーレ級!?四天王の実力だと言うのか!!

 

ーーー

 

新人面接四連戦、四天王の衝撃に動揺を禁じ得ないまま終了したトップバッターから続く二戦目、次なる刺客は英国から来たROYAL軽巡…

 

「Town級軽巡洋艦、HMS Sheffield、キミがAdmiral…?ふぅん、キミが?まぁ、よろしくね」

 

「えー……シェフィールドくん?で間違いないかね?」

 

「間違いないけど?」

 

ふむ、今まで英国からの刺客は何人か来たが軽巡と言う枠ではこのシェフィールドくんが初めてだな…

見たところ、モッサリヘアーで真面目そうな娘ではあるが真面目そうだからと言って油断はならない…

 

「ナニかね?」

 

「いや、一応、ArkからAdmiralについて事前に話を聞いてたから……なんと言うか、イメージがね」

 

「それが良い意味なのか悪い意味なのかは聞かないことにしておくのだよ」

 

「そう?別に悪いコトは言ってなかったよ、まぁ、キミについてはこれから知ればいいと思ってたし」

 

っーかいきなり馴れ馴れしいなコイツ、キミ?オイオイ、キミと僕はまだお互いに好きな音楽のジャンルすら知らない仲だぜ

 

「えー……シェフィールドくんは、まぁアレか、なかなかの高性能らしいな、うん」

 

「まぁね、燃費は良くないケド」

 

「燃費など大和さんに比べたら神と虫ケラほどの差があるから気にするまでもないのだよ」

 

「そう?ならいいんだケド…」

 

「ま、最初は下で徹底的に鍛えてからになるが、シェフィールドくんならすぐに一軍に上がれるだろう、期待しているのだよ」

 

「期待してくれるんだ?」

 

「当然だ、ウチは誰がトクベツとかそんなものは無い、この基地に来た以上、俺の傘下に入った以上、みんな大事な俺の家族だからな!」

 

「ふぅ〜ん、家族ね………」

 

ーーー

 

新人面接四連戦も折り返しの後半戦、3人目の刺客は世界最大・最新・最強の国からやって来たMAJORの新たな大砲!!

 

「North Carolina class. USS Battleship Washingtonです、貴方がテイトク…ってワケか、まぁ、ヨロシクね」

 

「俺がこの基地絶対支配者で提督様だ、ヨロシク」

 

過去、何度かMAJORの大砲が来日したコトがあったが……このワシントンもやはりMAJORの例に漏れず、ずいぶんと自己主張するワガママな大砲をお持ちでいらっしゃる…

 

「ま、座ってどうぞ」

 

「フゥー…せっかく私が来たのよ?coffeeくらい出ないの?」

 

「サミー、彼女にティーを淹れてあげたまえ」

 

「コーヒーですね…」

 

秘書艦サミー子はぬらりと立ち上がると愛用のコーヒー機材をいそいそと用意し始めた…

 

「えー…たしかアレかね、ワシントンくんはサウスダコタくんのベスト・フレンドと…」

 

「は?………誰と?誰が?」ピキッ!パキッ!

 

「え?違うの?」

 

「違うわよ、ってかあのバカがここに居るの?ハーッ〜………サイアクっ!ホントサイアク!It feels like being very worst!来るんじゃなかったわ」

 

オイオイオイオイ、なんっーかえらく険悪みたいだなワシントンくんとサウスダコタくんってのは…

アイオワのヤロー、ナニがワシントンはサウスダコタとはベスト・フレンドだ、テキトーなコト言いやがって…

 

「まぁいいわ、あのバカづらブン殴って私には勝てないってコトを教えてやるわ」

 

「オイオイ、同じ基地の仲間同士だ、ケンカは俺の見てないところで頼むぜ」

 

ワシントン曰く、ワシントンくんとサウスダコタくんはキンダーガーデンの頃からのお互いに目の敵にしている仲らしく、同じハイスクール時代、サウスダコタくんはランチを2回も奢ったコトを自慢げに話すがワシントンくんは13回も奢らされたそうな…

 

「で、よ!ネイビーに入隊するトキにあのバカ“アタシは海兵隊1のアイアンマンになる!”とか言ってたのよ、バカでしょ?いや、バカなのよ」

 

「すごいな」

 

「まったく、あのバカは…」

 

「なるほど」

 

「でしょ?ほらやっぱり!貴方もそう思うのね!」

 

「悪いのは君じゃない」

 

どんだけサウスダコタの話で盛り上がれるんだよコイツ…………ツンデレかよ、めんどくせぇなコイツと考えていると、秘書艦サミー子がまるで今淹れました!ってぐれーアツアツのコーヒーを持ってきた

 

「コーヒーです」

 

「ん?あー………そういや喉渇いたわね、Thanks………って!!マズッッ!!!ナニコレ!?マズッッ!!」

 

やはりダメだったッッ!!!っーかこの娘、ジョンくん以来、久々にストレートにマズいって言い切りおったわい!!

 

「今………なんと?」

 

「マズいって言ったのよ!よくこんなcoffee私に出せたわね!訴訟される覚悟はできてるんでしょうね!」

 

マズいものをマズいと言える言論の自由…

五月雨は信じられないものを見るような目で沈黙した後、失礼しましたと言ってワシントンくんに頭を下げた…

 

「ったく、この国にはマトモにcoffee淹れるヤツもいないの?」

 

「あの………ワシントンくん、そのくらいで…」

 

「まぁいいわ、そこの青いの、今度私が直々にcoffeeの淹れ方を教えてあげる、いいわね?」

 

---

 

新人面接四連戦もついに最後の一人……

最後の一人を迎え撃つべくこの執務室で待ち受けるのは本来ならば提督様である俺と秘書艦サミー子だが、サミー子はなんか頭痛がするんで帰りますと言って帰ってしまった…

 

「よお、お前が提督なんだって?俺が丁型駆逐艦、松型の二番艦、竹。よろしくな!」

 

「えー………竹くんか、ふむ、ウチに来る前は有限会社アサヒクリーンさんか何かで?」

 

「すまん、ナニ言ってるかまったくわからねぇ」

 

たしか竹くんは前回ウチに来た松くんのキョーダイらしいから、もしかしたら前の職場も同じか…?いや、そうでもなけりゃあんなロックなズボンをスタイリッシュに穿きこなすのは難しい…

 

「まぁいいや、えー…竹くんはアレか、雷撃とか得意な感じなのか?」

 

「おうよ!自分で言っちゃなんだがメチャ得意だぜ」

 

「なるほど、だがまぁ……とりあえずは下で徹底的に鍛えてからだな、キミには期待している、励みたまえ」

 

そう言って俺は席を立つと食器棚からグラスを取り出し、冷蔵庫に入っていた買い置きのバ●リースを注いで竹くんに渡してやった

 

「あ、悪いなぁ、提督自らったぁ…」

 

「何、気にすることはないのだよ」

 

「そーいや提督、秘書艦いねーの?フツーはいるって聞いてるけど、あ!アレだろ?セクハラしすぎて誰もやりたがらねーってヤツだな!」

 

「違うわい、っーか失礼か」

 

「じゃなんでいねーんだよ?あ、もしかしてアレか?その机の下でチ●ポしゃぶらせてんのか?」

 

「女の子がチ●ポとか言うんじゃないよ」

 

下品なヤローだな、やっぱコイツ、前職はフロントウ●ングなんじゃないのか?

 

「残念ながら、机の下には誰もいないのだよ、あと、提督は大人でなおかつ巨乳がタイプだから竹くんは安心して構わんよ」

 

「マジか、ウチのねーちゃんとかじゃダメか?」

 

「ダメだね、このゲームに登場する人物は全員18歳以上ですと謳ってよーがダメだ、何故なら俺は紳士だからな」

 

「マジかよ、トシなんか関係ねー女はみんなヤるんだよ!ってワケじゃねーのな」





次回から通常営業ですって


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提督とFletcher姉妹+とロー●ン

1年以上ぶりに帰ってきたロー●ン回

【登場人物】

提督(クズの人)
まったく!キンパツ巨乳は最高でござるな!

Fletcher(聖女)
キンパツ巨乳でなおかつ善人と言う奇跡の聖女

Johnston(自分大好き)
どこか、昔好きだったアイドルに似ているワガママガール、キレやすい

??(??)



暑さ寒さも彼岸まで、未だ、冬の寒さに身を震わせる今日この頃、地域密着型、地元から愛される基地をスローガンに掲げる当基地を預かる者として、未だに猛威を振るう新型ウィルスによる地方財政への影響などを地域の有力者と話し合うべく会合に参加するのはあまりにも当然…

 

「タバコタバコ……チッ、あと一本か」

 

地域の偉い先生方との会合を終え、基地に帰るべと運転しつつタバコに火を点けると、タバコの残機が少ないコトに気付いた…

 

「まぁいい、たしかこの先にコンビニがあったか…」

 

俺の記憶が確かなら、この先に青い看板の街のホットステーションがあったハズ…

そんな事を考えつつ運転していると、ほら、あった!やっぱりボクの記憶は正しかったネ

 

---

 

「あー…寒い寒い」

 

「いらっしゃませー………あ、テイトク、お疲れ様です」

 

「ん?」

 

とりあえずヤ●マガでも立ち読みするかと考えつつ店内に入ると、レジの方からなにやら聴いたコトのあるような声がしたのでそちらを見てみると…

 

「キミは………フレッチャーくん?」

 

「ハイ、お疲れ様です、テイトク」

 

レジのところに立っていたのは、一目で尋常ではないキンパツ巨乳だとワカるキンパツ巨乳……MAJORから来た超一流駆逐艦(メジャーリーガー)、フレッチャーくん…

その駆逐艦とは思えない駆逐艦離れした超肉体はまさしく世界トップレベル、島国のサルどもが頑張ったところで所詮リトルリーグにしかすぎない、ジャパニーズには精密なコンピューターは作れても世界へヴィ級王者は作れないことを改めて教えられたのだよ

 

「どうしたのかね?こんなところで…?と言うかその制服…」

 

「えぇと…その、part time jobを始めまして…」

 

「part time job…?あぁ、アルバイトか」

 

「あ、もしかしてテイトクの許可が必要でしたか?SecretaryのSammyさんからテイトクには伝えておきますからダイジョーブですと…」

 

「いやいやいや!大丈夫、ダイジョーブ!うん、大丈夫、ナニも問題なし!うん!」

 

一瞬、暗い顔をしかけたフレッチャーくんだか、俺の大丈夫と言う言葉でパッと明るい顔に戻り、そうでしたかと頷き、ここで働く以上は一生懸命ガンバリマスと懇切丁寧に頭を下げたら乳も揺れた…

 

………相変わらずスゲー乳だ、もし俺が紳士ではなく野獣だったら間違いなく会ったその日にファックしてる自信があるね

 

「Thank you so much、ありがとうございます」ニコッ

 

「…ハハッ、なぁにいいってコトよ、ガハハハ…」

 

……フーッ、危ない危ない、危うく逝きかけたのだよ

このフレッチャーくん、ただでさえキンパツ巨乳でなおかつ性格は万人等しく優しい聖女ときている

並の男児であればあの聖なるSmileの前に膝を折り、聖女Fletcherの前にまるで母親と話す子供のような安らぎを得る事は必至、邪悪なる心は浄化されるだろう…

 

「ま、まぁ、ガンバってくれたまえ」

 

「ハイ」

 

よぉーし、おじさん、今日はフレッチャーくんの為にいっぱい買っちゃうぞぉーと思いつつ雑誌コーナーへと足を向けると、店内の奥にあるトイレからこれまた見たコトのある顔が現れた…

 

「ったく、なんでこのアタシがrestroomのソージーなんか……って、ん?テイトクじゃない?」

 

「キミは……ジョンくん?」

 

「ナニやってんの?こんなトコで?」

 

「それはこっちのセリフだと言いたいところだが……まぁ、その制服を見たらわかる」

 

フレッチャーくんの妹で同じくMAJOR出身の駆逐艦、ジョンくん

さすがにフレッチャーくんほどの駆逐艦離れをした規格外の怪物ではないものの、このジョンくんもさすがにMAJOR出身と言うだけあってそのまだ少女の域を出ない身体はアメリカンサイズ、将来は男児ならきっとヨダレズビッ!な美女になる事は間違いないだろう

 

「フフン♪どう?似合う?」

 

ジョンくんはくるりと一回転してチャーミングにウィンクした

 

「そうだな、スカートが短か過ぎて健康的な男子がムラムラするからもうちょい長くした方がいいじゃないか?」

 

「ハァ!?」

 

たしかにジョンくんは可愛いが、フレッチャーくんと言うより強い光の前にジョンくんの光は淡すぎる…

 

「で?ジョンくんは便所掃除かね?」

 

「……Fletcherにジャンケンで負けのよ、次は勝つけど」

 

ジョンくんはなんでこのアタシがとグチグチ文句をタレ、レジに立ってるのがアタシならもっと売れるのにだの言って俺の弁慶をバシバシ蹴った

 

「痛い!地味に痛い!」

 

「アタシ今からレジ行くから!いい?いっぱい買ってよね?アト、アタシのいるレジで買ってよね!アタシのほーがいっぱい売った!って自慢するんだから!いい?ア・タ・シの!Fletcherのトコ行ったらコ●スわよ!If he's betrayed, I kill!わかった?」

 

「へいへい、アトでCondom持ってくわい」

 

「Eat Shit and die!!」

 

ジョンくんはなにやら汚い罵倒を吐いてプンスコしながらレジの方へと向かって行ったが、たぶんアレだろう、今日はその………フフッ、下品なんですけど……そう“便秘”なんですかね?

 

「さて…ヤン●ガでも読むか…」

 

うるさい店員さんもいなくなったし、とりあえず雑誌コーナーでヤン●ガと近●麻雀を立ち読みし、なんか食うモンと酒でも買うかと普段はコンビニで使わないカゴに目につくものを放り込んだ…

 

「パックごはん、冷奴、キンピラごぼう、うずらと牛肉の中華風、野菜煮物、たまご焼き、キュウリ漬物、ニューコンビーフ、魚肉ソーセージ、ナメコ汁、焼きプリン…」

 

うわぁ……なんだか凄いことになっちゃったぞ

ま、いいか、あとはおでんでも買うか…そんな事を考えつつレジのところへと行くと…

 

「…」ジロッ!

 

このコンビニのレジは2つ、入り口からすぐと奥、そして俺の現在地は入り口から奥…

仮に、奥側のレジに先客がいたら入り口側のレジで会計を済ませるのが普通だが、現在は両方のレジが空いている状態…

正しい進行ルートからすればフレッチャーくんがいる奥のレジで会計を済ませるがベスト…!しかし……!もう1つのレジにいるジョンくんからの並々ならぬ殺気…!

 

アタシのところへ来い!来い!来い!来い!来い!と強烈なプレッシャーを放っている…ッ!!

 

俺にガンくれるとは些か不遜なものを感じるが、俺としてはやはりここはフレッチャーくんの待つ聖女のレジへ行きたい、カゴの会計と同時におでんとタバコを注文し、タバコを探すべく後ろを向いた際、その汚れなき不浄の臀部をじっくり眺めたいと思うのはキュウシュウ男児としてまっこと自然なコト…

 

「…」じーっ

 

よし、決めた、フレッチャーくんのレジで買お

 

そう心に決めた俺はまるで母親と話す子供のように安らいだ足取りで軽やかに歩きだした…

 

「アーッ!!Fletcher!Drink!Drinkの品出しマダだわー!Drinkがーッ!」

 

「え?あら?そうだったかしら…?」

 

「ソーヨ!ほら、レジはアタシ1人でジューブン!ほらほら!」

 

ジョンストンンンッッッッ!!キサマァァァァァァァ!!!

 

「オキャクサマー!こちらのレジどうぞー!カワイイ、KAWAII、Cuteな店員のレジへどうぞー♪」

 

ヤロウ…!俺の裏切りを空気で察したか、力業できやがった…ッッ!!ズイブンとなめた真似してくれるじゃねぇかオイ

 

「オキャクサマー?」

 

「……」

 

「オキャクサマー?こっち!こっち空いてるってば!こっち!」

 

「……」

 

「オキャク………テイトク、ま、まさかアナタ!Fletcherが戻るまで会計をしないつもり…!?」

 

ようやく気付いたかクズが、そうよ、そのまさかよ!!

ジョンくん、キミは俺をハメた気になっていたようだが残念ながらこの提督はガキをハメたりハメられたりはしない男…

ほんのちょっぴり焦ったが所詮キサマは負け犬だ、洗っていない野良犬と同じよ、この提督様が聖女フレッチャーくんのパイオツとむしゃぶりつきたくなるようなヒップを眺めるのを諦めるとでも思ったか?マヌケが

 

「クッ!!そ、そっちがソノ気なら!!」

 

ジョンくんはレジカウンターを軽やかに飛び出すと、未だおにぎりコーナーでウロウロしている俺のカゴを強引に掴んだ!!

 

「キ、キサマ!なんのつもりだ!」

 

「お会計するのよ!!そいつを渡せ!!」

 

「断る!俺が会計してもらうのはフレッチャーくんにだ!キミに渡せない!」

 

「い・い・か・ら!!渡せ!渡しなさい!Say that payment is finished!」

 

コイツ!!なんて力だ!この小さな身体のどこにそんなパワーを…!!

 

俺とジョンくんは互いにカゴを離すまいとカゴを掴み合い、持てる力の全てを燃やし互いの信念を貫く!!

 

そして………

 

「すいません、そこに立ってると邪魔なので早く会計済ませて貰えますか?商品こちらで?あとジョンストンさん、ゴミ箱の袋替えてもらえませんか?」

 

「え?あ、はい、そうです」

 

「そ、sorry…」

 

誰だ………?まるで気配を感じなかった、この俺が?なんだ…?まるで突然何もないところから現れたような

そもそも誰だコイツ?と言うかこのツラ、たしかズラ型姉妹みたいな…

 

「え~………キミ、ズラ型の?」

 

「薄雲です」

 

「あぁ、そうそう、ウスグモくんだ、ウスグモくん」

 

いたな、そーいやなんかやたら影の薄い子が…

そうか、彼女は最初からこの店に居たのか!だが、フレッチャーくんとジョンくんと言う強烈な光の前にその姿をまるで影のように消していたと…

 

「会計はこちらで全部ですか?」

 

「あ、あとタバコの42番を2つ」

 

「42箱ですね」

 

 

こうして俺は無事にコンビニでお買い物を済ませ、基地への帰路へ就いた……

後日、サムくんから聞いたが、あのコンビニで働いていたジョンくんは色々やらかしてクビになったらしく、フレッチャーくんをメチャ怒らせたそうな

 



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提督と女王陛下とIt's a Amusement Land【前編】

今回のお話、わりと前から書いてたけど色々あって今

【登場人物】

提督(アーケード仕様)
ゲーセン=カツアゲ、ヤンキー=めっちゃ上手い

Warspite(高貴)
唯一無二の高貴な存在、庶民文化に興味しんしん丸

Nelson(剛毅)
陛下にも頭を下げない唯一無二の余、金ならある

明石(クズ)
提督と並ぶ基地クズ大人ランキングのトップランカー、本当に金が好き



深々と雪が降り積もる1月の寒い季節…

今日はどの娘にセクハラしてやろうかなと考えつつ執務室で基地スポを読んでいると執務室の電話が鳴り、女王陛下から今すぐ来いとlove call…

 

正直、女王陛下から直々の呼び出しとか本気でイヤな予感しかないが一体なんだろうか?まさかお茶会のお誘いか?いや、ないな、俺のような下々の民を女王陛下がお茶にお誘いになるワケがない

ならばナニか?叱責か?俺の与り知らぬところで女王陛下の逆鱗に触れるナニかが起き、基地責任者としてその責を問われる………一番ありがちなパターンだろう

 

ならば最初から平身低頭、とにかく謝罪の気持ちを前面に押し出すのが得策と考えた俺はマミー屋でこの店で一番高いスイーツを出せいとお高いスイーツ(48000円)を購入し、女王陛下の待つ部屋へと向かった…

 

 

「わざわざお呼び立てして申し訳ありません、Admiral…」

 

「いえ!女王陛下の呼び出しとあらばいつでも、あ、こちら、つまらないものですが!!」

 

「あら?そんなに気を遣わなくてもいいのに……」

 

陛下はわりと機嫌良さげにあらあらと俺から菓子箱を受け取ると、どうぞそちらの椅子におかけくださいと椅子を勧めてくれた…

なんだ?機嫌が悪いわけではないのか?と言うか、いつも陛下の側に居るあの女騎士がおらず、今、この部屋には陛下と陛下の御前でも不遜にもやたらと偉そうなネルソンだけか…

 

「それで、私めが呼ばれた理由とは…?」

 

「えぇ、それなのですが…」

 

陛下はわりと言い難そうに高貴な御手を口元に当てておられる…

なんだ?腹を切れとかそんな類ではなさそうではあるが……しかし、陛下が言い澱むほどの内容、これはかなり重い話ではないだろうか?おそらく、ここから先はNOギャグ時空、シリアスでない奴はお断りな不健全鎮守府真の最終章が始まるのだろう…

 

「Admiralはその……Amusement gameに詳しいとお聞きしたのですが?」

 

「アミューズメント…?あぁ、ゲーセンですか」

 

「そう!それ、それです!」

 

陛下がゲーセンに興味を…?ハハッ、聞き間違いかな?

 

「最近までヤン・キーやツッパ・リー、所謂、フリョーの溜まり場と聞いてはいましたが…」

 

「まぁ、まだそーゆー店もあるっちゃありますが…」

 

主に、俺や鈴谷の行く店はそーゆー店だ、ネットワーク環境皆無、未だにVS筐体やアストロ筐体が多く稼働する時代に取り残されたワルの聖域…

そこには過去の遺物とされながらもその道を諦めきれなかったバカども……生粋の純・ゲーマーが集まり日々切磋琢磨している魔境…

俺や鈴谷程度ではあの魔境の下位ランカーにすら太刀打ちできず、上位ランカーはもはや入店して来ただけで敗北を認める程だ…

 

「先日のことです」

 

「はぁ?」

 

陛下は腰かける椅子に座ったまま足を組み替え軽くコホッと咳をつき、語り始めた…

 

先日、アークロイヤルがジャーヴィスとジェーナスを連れて街のショッピングセンターに買い物に行った際、ショッピングセンター内にあった庶民的ゲーセンに立ち寄ったらしく、その時にクレーンゲームでデカいヌイグル・ミーだのを取ってきただのタイ・コーをボカスカ叩いてきただのいかに楽しかったかの土産話をされ、とりあえず陛下的には平静を装いそれは良かったですねとロイヤル対応でやり過ごしたものの、話を聞けば聞くほど興味だけが積み重なり、自分もゲーセンがどんなところか行ってみたくなったと……

 

「なるほど」

 

「Arkに頼むとロクなコト………いえ、Arkでは些か不安があるので、やはりここはAdmiralにescortを任せるのが良いかと…」

 

「なるほどなるほど」

 

陛下から些か不安があるとか、どんだけ信が厚くねぇんだあの女騎士は…

 

「あと、Nelsonも庶民的げーせんに興味があるとかで…」

 

「金なら、ある…っ!!」どんっ!!

 

ネルソンのアホは膝にネコを載せたまま、どんっ!!と誇らしげに声をあげた

 

「それで……いくら必要だ?余とold ladyが足を運ぶのだ、モチロン、最高級を用意して貰わなければな、最高級を…」

 

庶民的ゲーセンに最高級を求める矛盾……

と言うかこの余、たぶんゲーセンがなんなのかすらワカってねぇだろ、たぶん

 

「Nelson、私達が求めているのはあくまで“庶民的な”げーせんです、悪戯に高級を求めても主旨が変わってきます」

 

「フッ、なるほど、な!!」どんっ!

 

いちいち“どんっ!”が無いと喋れんのかこの余は…

 

「それでAdmiral、どうでしょうか?」

 

普通に考えて、陛下をただ庶民的ゲームセンターに連れて行くのはそう難しい事ではない、しかしだ、この絶対的に高貴な方をたかだか街のゲームセンターに連れて行って何かしらのトラブルがあるのは避けたい

 

もし仮に、何かしら陛下の逆鱗に触れるような不測の事態が起ころうなら国際問題待ったなし、日英の致命的決裂→第三次世界大戦勃発の可能性すらあり、その場合、俺はあらゆる責任を問われ間違いなく断頭台に登る事は必至!

モチロン、首を斬る側ではなく斬られる側としてだ、その後、俺は世界大戦の引鉄を引いた世界最悪の犯罪者として後世の歴史家に笑われることになるだろう…

 

ならばどうする?どうすれば生き残れる…つ!

陛下がお望みなのは庶民的ゲームセンターの体験…っ!ただ、それだけなのだっ!

街でトラブルを起こす可能性…!なら、いっそ基地内にゲーセンでもあれば…っ!

 

「………あ」

 

「どうしましたか?Admiral?」

 

ある…っ!!基地内にゲーセン!!いや、作れる!!すぐに!

俺の脳内を電撃的に駆け巡るひらめき…っ!そしてβ-エンドルフィン…!チロシン…!エンケファリン…!バリン、リジン、ロイシン、イソロイシン…!

 

俺はこの電撃的閃きに頭を抱えつつ、静かに陛下へと視線を上げ…

 

「…………陛下、明日、この時間に基地第四倉庫へ来ていただけませんか?」

 

「は?はぁ…倉庫、ですか?」

 

「本物の庶民的ゲームセンターをお見せしますよ…」

 

◆◆◆

 

「明石ィィィィィ!!明石はいるかァァァァァァァァ!」

 

「うわっ!?な、なんなんですか一体!?タバコですか?」

 

陛下との会談を終え、その足でまっすぐ明石の店へやって来た俺は店のカウンター内にある椅子に座ってテレビを見ていた明石の胸ぐらを掴みあげた

 

「な、なんなんですか!ウチは法に触れるモノとか裏モノは取り扱ってないですよ!………たぶん」

 

「やかましい、オイ、オマエたしか前に廃業した業者からゲーム機大量に引き取ってたろ?」

 

「えー?なんのコトかなー?私、そんなもの心当たりないなー(棒読み)」

 

「隠すなよ、ナニもオマエを罰したりするつもりなどない」

 

俺は明石の胸ぐらを掴んでいた手を離し、明石明石明石明石よぉ〜…ビジネスの話をしよーじゃねぇの?と優しくその肩に手を回した

 

「ちょ!なんなんですか!馴れ馴れしい!ってかナチュラルに乳揉まないでくださいよ、金取りますよ!」

 

「ハハッ、ゴメーヌ」

 

「相変わらずイラっときますねこのオッさんは、ってかビジネスって………儲け話ですか?」

 

「儲け話だ、うまくいけば大金がオマエの懐に入るぞ」

 

俺は明石の服に手を入れパイオツを揉んだ

 

「今現在、懐に入ってんの痴漢者の手ぇなんですけど……ちょっと、ちょっと真面目に話聞かせてくださいよ、話の内容によってはちょっとくらいサービスしてやってもいいですから」

 

「ハッハッハ、それじゃビジネスの話でもしようじゃないかね」

 

ーーー

 

「で?なんですって?前に私が仕入れたゲーム機がなんなんです?海外にでも売るんですか?」

 

店のシャッターを下ろし、とりあえず真面目にビジネスの話をしようやとテキトーな椅子に座った俺と明石…

 

「そのゲーム機は全部使えるのか?」

 

「さぁ?一応引き取り前まで稼働してたってハナシで引き取りましたけど、じゃ●ゃ丸ポップコーン以外は使ってないし」

 

「台数は?あと大まかなラインナップは?」

 

「クレーンとかメダルとかアーケードとか乗り物とか…細々あわせたら100台ぐらいですかね」

 

「よし、それ全部明日までに使えるようにするぞ」

 

「ハアァ!?」

 

「全部倉庫にあるな?それ全部それっぽく並べて倉庫内にゲームコーナー作るぞ、明日までに」

 

「いやいやいや、意味がまったくわかんねーんですけど、え?なんで?」

 

「ゴチャゴチャゆーなダボが、いいからヤるんだよ、オマエ、先に倉庫行って全台電源入れて稼働確認しろ、後で人をよこすし俺も行く」

 

「えー………正直めんどくさ…」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「痛いっ!!え…?なんで今叩かれたんですか?」

 

「バッキャロー!!できるできないの話じゃねぇ!ヤるんだよ!ヤらなきゃ世界は滅びるし俺もオマエも断頭台に登るコトになるんだぞ!」

 

「なんか大事ォ!?」

 

 

…………こうして、俺達は夢のゲームコーナー、アカシーファンタジーを作るべく動き出した

まずは機器の稼働チェック、そしてコーナーレイアウトと電源の確保、ゲームコーナーっぽくみせる飾りつけ、プライズ機への景品の補充………やるコトは山積みだ

 

だがやらねばならない、女王陛下が求める庶民的なゲーセン………これを見事に作り上げなければ、俺達に、いや、この世界に未来はないのだから…





次回は後編、懐かしの筐体が甦る…!


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提督と女王陛下とIt's a Amusement Land【後編】

庶民的ゲームセンター、アカシファンタジー

【登場人物】

提督(クズの人)
権力と権威にはめっぽう弱い快男児

明石(クズの人)
世の中、金!勝ちまくり!モテまくり!




「これが庶民的Amusement Land…」

 

「まさか基地の中にもあるとは……これはまさに盲点!」どんっ!

 

前回までのあらすじ!

陛下(あと、ついでに余も)は庶民的ゲームセンターに興味しんしん丸ぅ!しかし街のゲームセンターに陛下をお連れして何かしらの不興を買ってしまえば日英決裂!俺は死罪!そんな未来はノーサンキュー!来るべき未来がノーフューチャー!

 

「ハハッ、当基地は福利厚生には特に力を入れていますので…」

 

以前、明石のバカが廃業したゲームレンタル業者からタダ同然で仕入れたゲーム機が倉庫に眠っていたことに気付いた俺は、即座に行動を開始、めんどくさがる明石の股間に蹴りを入れつつ突貫作業でここ、第四倉庫内に即席ゲームセンター、名付けてアカシファンタジーを一晩で作り上げたのだった…

 

そして本日、俺(睡眠不足)は偉大なる女王陛下と態度とパイオツだけはやたらデカい余を連れ、このゲームセンターへとやっては来たワケだが……

 

「Admiral、アレは?」

 

「ハッ、アレはクレーンゲーム機に御座います」

 

まず陛下が目をつけたのはゲームセンターと言えばコレ!と言っても過言ではないゲームセンターを象徴する王道のマシン!さすがは偉大なる女王陛下、如何なる時も王道を歩まれる…

 

「ほぉ、アレがそうか……よし!余がやろう!いくらだ?」

 

「1回100円だ、と言うかオマエ、小銭持ってるのか?コインだよ、コイン」

 

「コインか………ないっ!」どんっ!

 

自信満々にそのデカい胸を張り、ない!と言い切るネルソン、まぁ……だと思ったよ、だがその程度は想定内だ、陛下と余が小銭とか持ってるワケがない

そんな事態を予め想定してか、俺は明石のボケナスに朝イチ銀行で100円硬貨を両替させて用意している…

 

俺はネルソンにあそこのカウンターにいるピンクに言ったらコインを両替してくれるぞと教えてやると、早速ネルソンはカウンターへと行き…

 

「フッ、コインをくれ」

 

ばさっ!(札束)

 

「あ、いや……ちょ、ちょっとコレ多すぎですね」ゴクリ…

 

明石もドン引きの札束ムーヴ………明石のヤロウ、オイオイオイマジかよこのパッキン、高級車買いに来たのかよ!みたいな顔をしていたが、とりあえず高額紙幣1枚分だけを両替し、カップに入れてネルソンに手渡した…

 

「それでAdmiral、このコインをどうすれば…?」

 

「ハッ、こちらのコイン投入口にコインを投入していただくとゲームが開始されます、まずは横のボタンで横移動、縦のボタンでアームが縦移動し、最後にアームが下降して景品を掴むシステムとなっております」

 

「なるほど…」

 

陛下が挑むのは日焼けしたピンクが眩しいセ●のクレーン機、NEW UF●キャッチャー!かつて、クレーンゲームと言えばこのUF●キャッチャーを指すと言って過言ではなかった名機中の名機!

現在でも場末のゲームコーナーなどでその姿を見かけることができ、現役で稼働している

 

「それでは…」

 

陛下がコインを入れると横ボタンのランプがチカチカと点滅を始める…

現在主力となるクレーンゲーム機にはアームパワーを機械的に設定可能な機種が多いが、このNEW UF●キャッチャーにはそんな機能はない、単純に、アーム内にあるバネの強度とツメの角度だけで景品の取れやすさが決まるシンプルな構造…!

 

そして本日、陛下がプレイされると言うコトなのでクレーン機全てが剛力MAX調整!並のぬいぐるみ程度なら文句なく掴みとる!!

 

「あ、とれました!とれましたよ!Nelson!見てください!」

 

「ほぉ…やる、な!」どんっ!

 

完璧、まっこと完璧なプラン…

本日、陛下に庶民的ゲームセンターを楽しんで頂くべく徹夜しただけはある

 

陛下はパチモノくさいネコのぬいぐるみを見事ゲットされるとまるで子供のようにはしゃぎ、その喜びに満ちたロイヤル笑顔を炸裂させていると、俺のアイコンタクトで即座に動いた明石のカスがビニル袋を持ってダッシュしてきた!

 

「おめでとーございまーす、どうぞ!こちら景品を入れる袋です」

 

「Thanks a lot、ありがとう」ニコッ

 

「ハハァ!ありがたき幸せーッ!!」

 

金の亡者明石も絶対的な高貴の前には頭を垂れるしかないか…

 

ーーー

 

「Admiralよ、アレはなんだ?」

 

「アレ?あぁ、アレはアルマ●ロレーシングなのだよ」

 

「アルマ●ロ…?レーシング?」

 

ネルソンのヤローが目をつけた先にあるのはキモいアルマジロ的な看板が目につく謎のゲーム、アルマ●ロレーシング…

 

「ふむ、コレはどうやって遊ぶのだ?」

 

「金入れて、そのボールみたいなのコロコロ回してアルマジロ操作するんだよ」

 

「ほぉ…」

 

俺の説明に不備はない、だってそーゆーゲームなんだもん

 

「では、アレはなんだ?」

 

「ん?あぁ、ありゃ三味線ブラ●ーズだ」

 

「シャミセン…?」

 

三味線ブラ●ーズ、今なお大人気でわりとよく見かける太鼓の●人と楽器系を足したようなゲーム機で、ぶっちゃけ人気はまるでない、むしろ買ったら後悔する系のゲーム機で、出回った数そのものも少なく、どちらかと言えばレアなゲーム機である

 

「ふむ、ではアレはなんだ?」

 

「あれはテク●ドライブだ」

 

「どういったゲームなのだ?」

 

「運転技術を測定するゴキゲンなゲームなのだよ」

 

…と言うか、明石のヤロー、よくこんなクソみてぇなゲーム機ばっか引き取ってきたな、クソみてぇなラインナップすぎて思わず昨日の夜、セッティング中にクソみてぇを100回は言った気がするのだよ…

 

ちなみに、明石が引き取った他のクソみてぇなゲーム機には…

 

バーチャ●ン オラトリオ・タングラム

ニン●ャ アサルト

ス●ルドライブ

パワーシ●ベルに乗ろう!

 

………ゴキゲンなラインナップだ、まぁ、他にも色々あるんだがとりあえずはキチンと動く

 

「Admiral、この変なモノはなんだ?」

 

「変?あぁ、そいつはアームチ●ンプさんだ」

 

まるでムキムキの腕が筐体から生えたような姿が目を引くマシーン、アームチ●ンプ、言うまでもなく腕相撲マシーンである

 

「よし!余はコレを、やるっ!」どんっ!

 

ネルソンは筐体にコインを投入し、一番強いやつを出せ!と言ったので、とりあえず一番強いトラックドライバーみたいなのを選んでやった

 

「ぐぅぅ!こやつめ、なかなか、やるっ!」どんっ!

 

ーーー

 

陛下と余、英国高貴コンビ様は我々の努力の甲斐あり庶民的ゲームセンターを満喫してくれたらしく、プライズ、アーケード、メダルと様々なゲームに触れてはまるで子供のようにハシャぎ、時折楽しそうな笑みを見せてくれた…

 

「明石よ」

 

「なんですか?」

 

「アレが笑顔だ、我々の仕事は笑顔を作る仕事、そうは思わんかね?」

 

「そうですねぇ、あと、金をジャンジャン落としてくれたらこっちもニッコリ笑顔で二重マルですよ」

 

まっことクズ!コイツの頭の中には金しかないのか、哀れなヤツよ…

 

「ってか私、あまり儲かってないんですけど?コレ儲け話って言ってませんでした?」

 

「バカめ、いや、だからオマエはダメなのだよ」

 

「ナニがダメなんですか、言っときますけど!コレ全部私の所有物なんですからね!テイトクのでも軍のでもないんですからね!」

 

「そのオマエの個人的な所有物を軍の、しかもこの俺様が支配する基地の倉庫に大量に持ち込んでいたのは誰だ?」

 

ギリギリギリギリギリ!(魔のテイトククロー)

 

「イダァァァァァァァァ!!割れる!割れる割れる割れる!ガンメン割れちゃうゥゥゥゥ!!ギバップ!ギバーップ!!」

 

明石はオレの負けだーっ!カンベンしてくれー!とペシペシ俺の腕をタップし、俺は明石を床に放り投げた

 

「バカめ、儲け話は今からだ、いいか明石、キサマにはこの倉庫の一角を正式に貸し、このままこのゲームセンターの運営を続けさせてやろう」

 

「え?マジですか?」

 

「マジだ、家賃15万」

 

「………もうちょい安くなりません?売上の5%とか?」

 

「舐めてんのかクズが、35%で手を打ってやろう」

 

「キリよく30で!ね?30!」



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提督とGotlandと獲物の季節

ゴトランドさんのOKAGE

【登場人物】

提督(理解ある大人)
愛=理解

Gotland(理解の外にいる野獣)
常に真実の愛を求める狩人、獲物への感謝は忘れない


寒い寒いと感じつつ喫煙所にタバコ吸いに行くかと歩いていると、自販機コーナーのベンチのところで北欧から来たプッツン軽航巡がうなだれていた…

正直なところ、コレは無視するのが正解であり、正しい大人としての対応なのだろう………が、俺はこう見えてもこの基地の絶対支配者であり最高司令官でもある、それがどんな些細な悩みであろうと部下の悩みを解決、もしくは解決への手助けをするのは当たり前のコトだ

 

そんな上司の鑑であり、理解ある提督である俺はうなだれるゴトランドに声をかけてみた…

 

「ナニやってんだ?オマエ」

 

「…ん?あぁ、テイトクじゃない、ナニか用?」

 

「用は無い、むしろオマエに随分と覇気がないように見えてな」

 

俺はゴトランドにナニか飲むかね?と尋ね、ゴトランドの野郎はミルクティーを…と答えたので、後ろの自販機でミルクティーを購入してゴトランドに渡し、ベンチに座った

 

「で?ナニかね?オジサンこう見えてもこの基地の提督だからね、悩みがあるなら聞こうじゃあないかね?」

 

「悩み………悩みね、まぁ、悩みと言えば悩みか」

 

「ほらほら、言ってみたまえよ、金か?金の話か?」

 

「なんでお金の話なのよ、ハァ…まぁいいわ、アレよ、アレ」

 

ゴトランドはミルクティーをグィーッ!と飲み干し、缶をベンチに叩きつけた、っーかアレアレで通じるワケねーだろ、舐めてんのかコイツは、そもそも俺とコイツはお互いに好きな音楽のジャンルすら知らない仲なのだよ

 

俺はアレアレ言ってるゴトランドのお腹に優しく拳を当て…

 

「フーッ〜………噴ッッッ!!」

 

ドンッ!!!(お腹パンチ)

 

「オゴォ!!?」

 

俺の光る内氣勁お腹パンチを受けたゴトランドはベンチから転げ落ち光る吐瀉物を吐いて転げ回った…

 

「オ゛エエエエァァァァ……」ビチャ…ビチャ…

 

「オイオイ汚ねーなオイ」

 

「ゴホッ…!!ゴブッ!な、なんでいきなりゴトのお腹殴ったの?」

 

「アレアレじゃわからん、もっとワカりやすく言いたまえ」

 

「く…」

 

「あ?」

 

「口で言えやァァァァァァァァ!!」

 

床に転がっていたゴトランドは勢い良く跳び上がり強襲のニードロップ!!悪くない反撃だ、並の提督なら顔面を砕かれるだろうが残念ながら今、オマエの前に立っている提督は並の提督ではない、知と力を兼ね備え、なおかつハンサムな完璧の提督なのだ

 

「ふんっ!」

 

ガンッ!!(完全ガード)

 

「チイッ!!堅いッ!」

 

「いい判断だ、反撃技の選択、強度、そして殺意も十分」

 

「お褒め頂きどーも」

 

お腹パンチによるダメージはまだ完全回復していないであろうゴトランドだがやる気は十分、ファイティングポーズをとりカマン!と右脚を前に出す!

 

「まぁ待て、オマエの実力はよくわかった、そしてオマエも俺の実力は理解したハズ、とりあえずミルクティーでも飲むかね?」

 

「そうね、頂くわ!」

 

俺は自販機でミルクティーを購入してゴトランドに渡し、まぁ座りたまえとベンチの空いているところをほらここ!ここ座れよとバシバシ叩いた

 

「で?前置きは長くなったが、どんなくだらん悩みだ?」

 

「くだらなくないわよ!深刻な悩みよ!」

 

「なんだ?どうせアレだろ?女の悩みなんてのは最近ちょっと太っただの腰回りがアレだの肌のむくみがどうだの9割はくだらねーコトなんだよ」

 

アレだ、飲み屋の話と床屋の話と女の話っーのは大抵がくだらねーどーでもいいコトなんだよ、うん

 

「…最近、岸ちゃんから避けられてる気がするのよ」

 

「そりゃオマエ、フツーに避けられるだろ」

 

「なんでよ!?」

 

コイツ、岸クンにドン引きされる蛮行を散々働いといて自覚ねぇのかコイツ、やっぱタチ悪いな…

 

「…ハッ!?ま、まさかアレかしら!岸ちゃん、まさかゴト以外に好きな子ができたとか!」

 

「岸クンに好きな男…?ハハッ、参ったなこりゃ」

 

「なんでテイトクが照れるのよ、ってかキモっ…」

 

「キモくない、提督だ」

 

俺の小粋なテイトクジョークにプンスコするゴトランド………まぁ、仮に岸クンが彼氏連れてきたらこの俺自ら殺してくださいと懇願するまでボコボコにして玄界灘に捨ててやるわいガハハハ

 

「まぁ岸クンだって気難しくて多感な歳頃だしな、そーゆー時期だってある」

 

「そ、そうかな…?」

 

「それにアレだ、岸クンはかわいいからな、そりゃモテるだろうし何の不思議もない」

 

駆逐艦の中でもスーパーエリート駆逐艦と評される夕雲姉妹、中でも岸クンはどこか大人びた感じで気配りもでき、ゆるふわヘアーの似合う才女だ

 

「じゃあナニ?岸ちゃんは気難しくて多感なオトシゴロだからゴトと距離を置いていると…」

 

「然り」

 

もしくは、マジでオマエを嫌っているからだ、と言う言葉を呑み込んだ俺は空気の読める大人である

 

「なるほどね、つまり……別に嫌われているとかじゃないのね!」

 

「…」

 

「なんで黙るのよ!!」

 

「その質問に答えるメリットを感じないからだ、あと、顔が近い」

 

相変わらず悪い意味でグイグイきやがるなコイツ、っーかグイグイくるせいでグイグイ当たってるが、コイツ結構乳デケーな、もし俺が(ピュア)若僧(グリーンボーイ)だったらムスコさんカチンコチンになっただろう

 

知性と理性に溢れる俺はそんなくだらないコトを考えていると、廊下の先からその、岸クンが歩いて来た…

 

「あ、テイトク……とゴトランドさん、こんにちは」ペコォ

 

「うむ、こんにちは」

 

「こんにちは岸ちゃん、今日もかわいいね!」

 

う〜む、コイツがかわいいねと言うと変質者感が増すのは何故だろう

 

「ゴトランドさん、ちょっと頼みがあるんですけど…」

 

「ナニ!?岸ちゃんの頼みならなんでも聞いちゃうわ!お金?それとも権力?岸ちゃんが望むならこのクソメガネ今すぐ殺してこの基地の全てを与えるわ!」

 

このクズが、本来ならばその不敬、今すぐ死をもって償わせるところだが………まぁいい、小粋なジョークとして流してやろう、何故なら俺は心が広く懐が深く慈愛に満ち溢れた提督だからな

 

「そんな物騒なものはいらないです」

 

「あら?そう、残念だわ」

 

「ゴトランド、オマエとは後で話があるので地下の拷問室まで来るよーに」

 

よし、神州丸クンに頼んで闇ギルド特有の洗脳術とかヤって貰おう…たぶん、なんかそれっぽいのあるだろ、うん、目からハイライト消えるヤツみたいな

 

「ゴトランドさんの飼ってる黒いやつなんですけど…」

 

「黒いやつ?あぁ、ゴトシープのこと?」

 

「それです、ちょっと触らせて貰えないかなと…」

 

「いいわよ、そんなのお安い御用よ!岸ちゃんは何匹欲しい?2匹?3匹?」

 

「いや、1匹でいいです、あ、でも、できれば大きい子がいいかな…」



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提督と間宮と謎のsandwich

ピカピカシェフ

【登場人物】

提督(メガネ男子)
セクハラ?なんのコトかね?コミニュケーションの一環だよ

間宮(給糧艦)
マミー屋の店主、提督への態度は冷たい

間宮の子分(伊●湖)
私の名前は…




たまには日々雑務に従事する我が秘書艦殿を労おうとマミー屋で何かオシャレなスイーツでも買って行くかとマミー屋に寄ると、店の主である間宮と……えぇと、アイツ、そうアイツだ、なんて言ったっけ?そう!間宮の子分!間宮の子分だ

 

その、間宮と間宮の子分はテーブルの上に置かれたサンドイッチらしきものをジッと見つめていた…

 

「よっ、今日も良い尻してるね!もしかして誘ってるのかな?」

 

「は?」

 

俺の小粋なアイサツに、殺意と憎悪が込められた視線で返す間宮、相変わらずジョークの通じないヤツだ……だが、それでこそいい!それでこそ、いずれこの俺に屈服した時、そのだらしない尻を振り俺の寵愛を懇願するだらけきった顔が楽しみなのだよ

 

「ナニか用ですか?」

 

「ナニか用じゃない、客だぞ、俺は」

 

「今日のオススメはありません」

 

ないのか、まぁ、そーゆー日もあるだろう

 

「まぁいい、で?お前らは一体ナニをしているのだ?」

 

「見てワカりませんか?」

 

「わからねぇから聞いてるのだよ」

 

俺にはただ、テーブルに置かれた皿に並べたサンドイッチを眺めているようにしか見えないのだが…

いや、なんだ?この奇妙な違和感は……?あの右の皿のサンドイッチ、どこか奇妙な気がする

 

「その右の皿のやつ、間宮が作ったやつじゃないな」

 

「…ほぉ、テイトクでもそれくらいはわかりましたか?」

 

「誉めるなよ、兵が見ている」

 

と言うコトは、この右のヤツは間宮の子分が作ったサンドイッチってコトか、なるほど、つまりアレだ、間宮は子分が作ったサンドイッチを品定めしていたワケだな

 

「なるほどなるほど、それ、1つ貰っていいかね?」

 

「別に構いませんけど…」

 

俺は右の皿に載ったサンドイッチを1つ手に取り、豪快にそれにかぶりついた!!

 

「……ふむ」ナポォ……モニュ…モニュ……

 

なんだ…ッッ!!このサンドイッチ!!スゲェ!!口に入れた瞬間、なんっーか口の中いっぱいに上品さが広がる!いつも食ってる間宮のサンドイッチは飲み込むまでに最低でも4回は味が変化する……だが、コイツは違う!口の中でそう、上品で、優雅で、雄大な……新しい国が生まれたッッ!!

 

「………ご馳走さま」

 

「どうですか?」

 

「いや、普通にうまいぞコレ、ナニこれ?間宮の子分が作ったのか?」

 

俺は間宮の子分に身体中のグルメ細胞が悦びの声をあげてやがる!と間宮の子分の肩を叩いた!

 

「子分じゃありません!私の名前は伊良…」

 

「すごいじゃないか間宮の子分!正直、俺はキミのコト舐めていたぞ、おっと、そしてなかなかイイ乳だなキミ!オジサン誘ってるのかな?」

 

「ヒイッ!?ちょ!胸に…っ!!イヤッッ!!!」

 

ゴシャアッ!!(肘鉄)

 

「ゴデュファ!!」

 

「ヘンタイ!!ヘンタイ!ヘンタイ!!死ね!」

 

「いけないなぁ、提督のコトをヘンタイ呼ばわりしては…」

 

しかしさすがは間宮の子分、良い肘だ、もう少し勢いがあれば俺の顔面はグシャグシャに破壊されていただろう…

 

「ウチの若い娘にセクハラしないでください、あと、コレは伊良湖ちゃんが作ったものじゃありません」

 

「へいへい……って、はぃ?じゃ、オマエが作ったのか?

 

「いえ、私が作ったものでもありません」

 

間宮じゃない…?バカな、ならばいったい誰がこんなサンドイッチを作ったと…?ハッキリ言ってこのサンドイッチは美味い、ハンパじゃない美味さだ……これほどのレヴェルのサンドイッチを作れるヤツなどこの基地にいるハズか…

 

「じゃ誰が作ったと言うのかね?」

 

「わかりません」

 

「わからんとはなんだ!?わからんとは!」

 

間宮曰くこのサンドイッチ、今日の昼頃、執務棟の中庭あたりを歩いていた間宮の子分が中庭のベンチで、うまい!うまい!と瞳孔が開いた目で豪快にサンドイッチをバクバク食べていたなんか金髪のおっぱいデカい人に1袋貰ったそうな

 

………ネルソンか?

 

いや、ネルソンだな、間違いない

 

「たぶんそいつはネルソンだな」

 

「ネルソンさん…?あぁ、あのよく食べる人…」

 

英国から来た偉大なる余、大戦艦ネルソン、世界政府から略奪を許可された7人の問題児の1人である

 

「この間もウチの店でディナーを注文して、うまい!うまい!と気持ちのいい食べっぷりをしてましたけど、ああいう人は料理人として好感が持てます」

 

「そうか」

 

「それで?そのネルソンさんがウチの商品ではないサンドイッチをどこで買われたのでしょうか?」

 

「明石の店……とは思えんな、コレは」

 

明石の店に並んでるのはYAMA●AKIの菓子パンだしな、となると、コレはいったい…?

俺と間宮が頭をひねっていると、間宮の子分が申し訳なさげに手を挙げ…

 

「あの…もしかして、誰かの手作りとかでは?」

 

「なるほど、伊良湖ちゃんにしてはなかなかいいセンね」

 

「然り、良い着眼点だ」

 

「…(なんでそんな上から目線?)」

 

しかしこんなサンドイッチを手作りできるヤツが存在するのか?あの超A級グルメ給糧艦間宮をも戦慄させるほどのサンドイッチを…?俄には信じがたい話だ

 

「間宮、オマエに心当たりは?」

 

「…そうですね、A級グルメ犯罪者の比叡さん、磯風さんならあるいは……夥しくも凄惨な調理法の結果、なんらかの奇跡が起きた可能性が」

 

「いや、その可能性は低すぎだろう」

 

「そうですね、それなら新たな宇宙開闢の可能性の方がまだ上ですか」

 

「…あの、2人して何気にヒドすぎじゃないですか?」

 

グゥゥゥム、ならばいったい誰が?その、奇妙な難問について俺達が頭を悩ませていると、マミー屋の扉を開き、新たなる客が入店してきた

 

「あ、Darling!!」

 

「キミは…」

 

キンパツサラサラヘアーの美少女は店の入り口からこの距離を初動から初速、凄まじい加速で俺にダッシュしてきた!並の提督ならそのタックルでテイクダウンを奪われかねないが、残念ながら俺は並の提督ではない!避けてみせるッ!!

 

「ナニぃ!?き、消えた!!」

 

カットの直前に急激に歩幅を縮める事で、スピードを落とさずにブレーキを掛けたのか!!なんてチェンジオブペー…

 

「Darling!!」

 

「ゴハァ!!」

 

来るっ!とワカっていても止められない、なんという爆発力!なんという根性!まるで重機関車のような英国式低空突撃(ロイヤルタックル)!!

 

「や、ヤァ……ジャーヴィーくん」

 

「こんなトコで会うナンテ、グー・ゼーンネ!あ、そーだ!Darling今ヒマー?アタシとオシャベリしまショー?」

 

「いや、ご覧の通り、提督はヒマではなくてね、あと、できれば離れてくれないかね?」

 

そう言ってジャーヴィーくんをベリッと引き離した俺だったが、間宮の野郎がボソッと“ロリコン…”とディスったのは聞き逃していない、あと、俺はロリコンじゃない

 

「あ、ソレ、Shefyのsandwichじゃナイ?」

 

「シェフィー?」

 

「コレ、誰が作ったのか知ってるの?ジャーヴィスちゃん」

 

「うん、ソレ、Shefyのネ」

 

シェフィー?何者だ?聞いたことのない名だが……まさか、女王陛下御用達の料理人かナニか?

ジャーヴィーくん曰く、Shiny sheffのShefyなる人物がコレを作ったと言うが…

 

「ピカピカシェフのシェフィー…」

 

「いったい何者でしょうか…」

 

俺も間宮も知らない謎の超A級グルメシェフ…

 

「…あの、それって最近ウチに来たシェフィールドさんでは?」

 

「誰だそれ?間宮、オマエ知ってるか?」

 

「さぁ?聞いたコトない名前ですね」

 

「2人してヒドすぎでしょ!!ほら、あの人ですよ!あの人!なんか変な髪型の!」



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提督と山風と絵の心

美術5

【登場人物】

提督(才能0)
美の信奉者

山風(才能3)
美とかワリとどうでもいい




1月も終わり、季節はいつの間にやら2月…

まだ外気は肌寒いと感じるそんな2月の執務室で、たまには真面目にレポート的なものでも書くかと真面目に仕事に従事していると、執務室の扉を勢いよく開き、緑色のトゲトゲしい頭をしたのがやって来た…

 

「…遊びにきた」

 

「山風クン、執務室は遊びに来るところじゃあないのだよ」

 

緑色のトゲトゲしい頭に毛のないネコを乗せた山風は執務室内をぐるっと見回した

 

「…五月雨姉ぇは?」

 

「今日は休みなのだよ、なんか豆買いに行くとかなんとか言ってたな」

 

「…ふ〜ん」

 

わかったようなわかってないような、どちらとも言えない気のない返事をしつつ山風は空いている秘書艦サミー子の秘書艦机の椅子に座った

 

「…今日は、私が秘書艦、する」

 

「あぁ…そう、うん、そうね、ヨロシク」

 

とりあえず邪魔にならないなら放置しといて構わんか、むしろ秘書艦だからといって頼む仕事はないし…

 

「…なんかない?」

 

「ないのだよ、とりあえずテキトーな紙に絵でも描いてたらどうかね?」

 

「…絵?なんの絵?」

 

「そうだな、絵は心のままに描くのがいいんじゃないかな?風景画、静物画、人物画、博物画、宗教画、己の心に宿る美を意識することから始め、それを可能な限り表現するといい」

 

「…もうちょいわかりやすく」

 

「そのキモいネコでも描いてみたらどうかね?」

 

「…キモくない、よく見なくてもかわいい」

 

よし、とりあえずこれで俺の邪魔にならないだろう、そして俺は山風から見たら自分の机でポテチを食べつつ書類仕事をしているようにしか見えない

焦る必要はない、一枚づつポテチを袋から取り出し一文字づつ正確に書けばいい

 

「よし、このレポートも完成だ」

 

さて、今日の昼飯はなに食うかな……普通にラーメンか、普通にうどんか、いや、ここは普通に焼きそばあたりがいいかもしれん

 

「…できたよ」

 

そんなお昼のランチについてイイ感じに考えていると、山風は何やら描いたらしい紙を持ってきた

 

「早いな、どれ…」

 

うん…………奇妙な生物画か、正直、俺も絵に関しては他人に対して言えたモンじゃないぐらい絵心はないが、コレはクソ下手な部類に入るだろう

 

さて、俺はコレをどう評価するべきか、ストレートにクソだなと評するべきか、オブラートに包んでクソだと評すべきか………こんな時、俺はどうすべきなのでしょうか香取先生!

 

「…どう?」

 

「………まぁ、モデルがキモいしな」

 

「…キモくない、よく描けてて可愛い」

 

どんだけこのクソキモいネコ可愛がりなんだよコイツは、どう見てもキモいじゃねーか、しかも妙に愛嬌ないし、ネコのくせににゃあとも鳴かない

そんなキモいネコについて考えていると、執務室の扉が勢いよく開き、新たな侵入者が入って来た…

 

「ティーッス、どこに出しても恥ずかしくないちょっとエッチでワリと気安いメインヒロインオブメインヒロイン鈴谷様が遊びに来ましたよォ〜」

 

「やかましいぞ、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーし、ってかサミーは?いなくね?」

 

「今日は休みだ、ビッチが」

 

「だからビッチじゃねーし!っーかチビスケェじゃん、ナニやってんの?」

 

「…チビスケェじゃない、山風」

 

ビッチはハイハイそーですかとか言いつつズカズカ執務室に入り、備え付けの冷蔵庫を開けてカル●スウォーターのペットボトルを取り出しグラスに注ぎ…

 

「ぶはっ!うんめー!」

 

「うんめー!じゃねぇよ、ナニ勝手に飲んでんだテメーは、上半身と下半身をAパーツとBパーツにバラされてーのか?」

 

「残虐ッ!!刑が残虐過ぎる!」

 

「俺は昔からおばあちゃんにビッチには一切容赦すんな、二度と甦らないようにハラワタをブチ撒けろ!と言われてたからな」

 

「なんなの!?テイトクのおばあちゃんビッチになんか恨みでもあんの!?」

 

「知らん、だが、おばあちゃんっ子である俺はおばあちゃんの忠告に従う義務がある」

 

特にこの鈴谷に関しては要警戒どころかビッチ係数オーバー300のエリートビッチだ

 

「っーか鈴谷ビッチじゃねーし、ってかその変な絵ナニ?百鬼夜行?ウケるんですケド」

 

ビタンッ!!(ローキック)

 

山風怒りのローキックを浴び、鈴谷はうっぎゃあー!とか言いつつそこら辺を跳ね回った

 

「痛てぇし!!オイコラ、チビスケェ…ナニしてくれてんの?アーン?」

 

「…チビスケでもないし、変な絵でもない!」

 

「アーン?聞こえないじゃーん?」

 

鈴谷に胸ぐら掴まれて吊り上げられた山風はキックで応戦しようとするも足が!足が届かない!!体格によるリーチの差はやはり大きい!

 

「無駄無駄無駄ァ、脆弱で矮小な駆逐艦などこの鈴谷様の敵ではないわー!ヒャーッハッハッハッハ!」

 

「よさんか、見苦しい」

 

「ハァー?見苦しいー?」

 

ま、それもそうかと山風をリリースした鈴谷は再びカル●スウォーターのグラスを呷った

 

「だいたいお前、ナニしにきた?先に言っておくが俺は仕事中であり忙しい、あとお前に小遣いをやる義理もない、小遣いが欲しけりゃいつもみてーに街行ってパパ活でもしてろ」

 

「パパ活とかしてねーし」

 

「じゃブル●ラショップにでも行ってパンツ売ってこいよ、そのアンモニアクセー尿漏れパンツをな」

 

「アンモニアくさくねーし、ってか尿漏れとかしてねーし」

 

「…テイトク、ブルセ●ショップってナニ?」

 

「山風クンにはまだ早い店だな、村雨にでも聞いてみろ、たぶん詳しい」

 

…後日、山風が村雨ではなくよりによって海風姉ちゃんにブ●セラショップについて尋ね、怒り狂った海風姉ちゃんが執務室に来たのはまた別の話

 

「…ちなみにこの絵は百鬼夜行じゃない、ネコの絵」

 

「ネコ?あー……そのなんかキモいの」

 

「…キモくない、可愛い!」

 

山風はネコを定位置の頭に乗せて鈴谷にグイグイ押し付けるが、鈴谷は、うわ!なんかグニュっとする!とごくごく当たり前の感想を吐いた

 

「ネコの絵ねぇ、よし…」

 

鈴谷はそこらにあった紙とペンを手に取ると、山風に動くなよ〜…とか言いつつペンを走らせた

 

「なんだ?お前、絵とか描けるのか?」

 

「まぁ、鈴谷、美術は成績良かったし、美術5!」

 

「保健体育5の間違いだろ」

 

「うっさいな、ほら………えー……ほら!出来た!」

 

そう言って鈴谷が自信満々見せた絵は……

 

「…ビッチお姉さん、意外と絵が上手い」

 

「だからビッチじゃねーし、ってかどーよ?美術5!」

 

意外…ッ!!たしかにワリと上手い!!この短時間でこれなら時間をかければ…

 

「お前、絵が描けたのか?」

 

「メインヒロインは絵が上手、これは既に常識じゃね?」

 

「グゥゥゥム、意外な特技だな」

 

「ちなみに、ピアノも弾けるじゃん」

 

「マジかお前、まるでお嬢様だなオイ」

 

「まるでもナニも鈴谷はワリとお嬢様育ちだしね!小中高一貫のお嬢様学校出てるしね!」

 

ちなみに高雄姉妹と妙高姉妹は河を挟んで対立する工業出身、古鷹さんは摩天学●高校とか言う女子校出身らしい

 

「ま、メインヒロインとしてはトーゼンじゃん?フッ、テイトクにもわかる?このオーラが」

 

「いや、全くオーラ感じねぇけど」

 

「ファーックス!!」



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提督とVS最強四天王

眠りの神

【登場人物】

提督(クソ大人)
過ちを認めて次に活かす大人

Maestrale級(マエストラーレ級)
幾星霜の時を経て!ついにMaestrale級の艤装全てが聖域に!!


朝昼の寒暖差に体調を崩しがちになりやすい昨今

書類を読んでハンコを押す仕事に飽きた俺はタバコでも吸うかと喫煙所へと歩いていると、廊下の先に、俺の行く手を阻むように現れたバカが1人…

 

「Ciao♪久しブリー」

 

「キサマは……グレカレー?」

 

「ハァ?Grecaleよ、グ レ カ ー レ!ナニ?このアタシの名前忘れちゃった?」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

イタリアから来た刺客、合法駆逐艦マエストラーレ姉妹の次女にしてオヤジ狩りを生業とする生粋の“奪い屋”!褐色の弾丸、グレカーレ……

その悪魔的笑みを浮かべるわからせ力はハンパではなく、並のオジサンなら成すすべもなくわからせられ、心を、PRIDEをベキッ!っと折られ、屈服させられるのは必至…ッ!!

 

マトモにヤりあえばこの俺ですらタダでは済まないだろう、それほど危険な相手なのだ…ッ!!このガキはッッッ!!

 

「で?そのグレカーレがナンの用だ?また俺に屈服させられ嬉ションしながらピースする姿を晒しに来たのか?」

 

「ハッ?ジョーダン、その逆よ!アンタがこのアタシに屈服して嬉ションするのよ!」

 

「面白い、子供は決して大人には勝てないこれは既に常識、どうやら厳しい躾が必要なようだな」

 

俺とグレカーレの距離はスネークバ●トが射程ギリギリ届かない間合いか、なるほど、正確に射程を見極めているな、イイ勘をしている

 

そしてヤツも俺と同じくインファイトがヤツの距離、驚異的な加速と敏捷性のメスガキドライブを止める事は難しく、最接近を許せば相手のキンタマをメチャメチャにする必殺のメスガキシュートがある…

 

「プクククク、ダッサ!コドモ相手にそーんな警戒しちゃって、ホーントダッサ!ってかこのグレカーレちゃんがオジサン相手にホンキ出すとか思ってんのぉ?」

 

「なんだと?」

 

「今日はねぇ、テイトクに絶望を与えに来たのよ、どうしようもない絶望をね…っ!」

 

グレカーレはゲラゲラ笑いつつスカートをヒラつかせ、さぁアンタ達出番よォー!両手を大きく広げると、グレカーレの周りに新たなガキどもが飛び出してきた!!

 

「な、なにィー!!お、オマエらはーッ!!」

 

バ、バカな…!!クッ!このプレッシャー!!姿を現しただけでなんてLO力だッ!!

 

「Buongiorno♪Maestrale級駆逐艦、長女のMaestraleです!」

 

基本的には真面目で良い子、ただ、私服ファッションにはこだわりたいちょっとオマセな年頃!マセガキ創世剣!グレート長女のマエストラーレ!

 

「プークスクス、4人に勝てるかしら〜?テイトクぅ?コ ド モ 相手には絶対負けないんだよねぇ〜?」

 

四天王最強の破壊力と強運を持つ社会と大人を舐めくさったメスガキ!メスガキ崩滅斬のグレカーレ!

 

「リベ、深海棲艦との戦いが終わったら故郷に帰って学校に通うんだぁ〜」

 

香取先生をも悩ませるアホの清霜に並ぶアホのツートップ!アホガキ光臨剣のリベッチオ!

 

そして…ッッッ!!!

 

「ZZZZzzzzzz………」スヤァ…

 

…………誰だっけ?っーか寝てるし

 

「あ、シロッコまだ寝てる!」

 

「いいから、リベ、シロッコは寝かせておいてあげましょ…」

 

「クッ!!シロッコのせいでイマイチ格好はつかなかったわね、ま、いーわ!姉さん!リベ!キメポーズ行くわよ!」

 

『『『我ら!Maestrale級駆逐艦!!』』』

 

クッ!ギ●ュー特戦隊かっーの、まさか合法駆逐艦の異名を持つ一級駆逐艦が揃い踏みとは……1人寝てるけど…

だが、1人1人が朝潮型と同等、いやそれ以上の高いLO力を持つといわれる一級が4人とは…

 

「…さて、このグレカーレちゃんとその他大勢にブザマに敗北して屈辱のアヘ顔失禁ダブルピースしながら屈服される準備はいーい?テイトクぅ?」

 

「フンッ、グレカーレ、オマエは1つ勘違いをしているようだな」

 

「ナニ…?」

 

「1人では勝てぬからと数を揃える、まぁ、それも良かろう、むしろグレカーレよ、俺はオマエを褒めてやりたい」

 

「な、なんでよ…!?ここはブザマに、ひ、卑怯だぞォ!とか焦るトコでしょ!」

 

「卑怯?ハハハ、卑怯などあるか、1人では勝てない、ならばどうするか?そうオマエ自身が考え、そして実行した、それは実に素晴らしいコトだ」

 

思えばこのクソガキ、今まで何度もこの俺に挑みブザマに敗北ア●メをキメてきた………が!ここにきてグレカーレはPRIDEを捨て、仲間に頼るという未来を選んだ、1人では勝てない強敵も仲間と一緒なら勝てる!チームを信頼するコトで今まで決して開くコトのなかった扉が開いたのだ

 

「それはつまり………成長」

 

「性徴…?」

 

「撫でてやろう、きなさい」

 

「うわ、キモ……ってかマジキモい」

 

「キモくない、テイトクだ」

 

グレカーレはクソッタレがァ!と汚い言葉を吐き、姉妹達にあのオッサンを狩るぞ!と吠えた!!

 

「ZZZZ…」スヤァ…

 

「ってかシロッコ!!アンタいつまで寝てんのよ!いい加減起きなさいよ!!ッッッ!!起きろッ!!」

 

バコォ!!(お腹キック)

 

グレカーレは未だにスヤァ…と横になっていたシロッコ?のお腹を蹴り上げた

 

「グヘァ!!!」

 

「ハーッ!ハーッ…!起きた!?さぁ!アンタもヤるわよ!今日こそテイトクをわから…」

 

グレカーレからお腹キックを喰らったシロッコくんは機敏な動きでグレカーレを押し倒してマウントを奪った!!

 

「キイイイィィィ……!!!」ギロッ!!

 

「え?お?ちょ…シロッ…ぶべらぁ!!ちょ!やめ、シロ…!!」

 

ドゴォ!!ボゴォ!!グショ!!バゴォ!!ゴスッ!!メリッ!!メリメリィ!!(打撃)

 

凄惨ッッッ!!マウントポジションからのあまりにも凄惨なラッシュ!!!

 

「WAAAAAAAANNABEEEEEEEEEE!!!」

 

「ちょ…イダ、タス…やめ、ホン……やめ!ごべ!ごべっ!ごべんな…ガバァ!!」

 

そう言えば前に、ザラ姉様が言ってたっけか…

シロッコの眠りを邪魔した時、そこは地獄と化す…

 

飲みの席でのジョークかと思ってたが……そんな悲劇の現場に立ち会った俺の隣にマエストラーレがやって来て言った…

 

「アレがMaestrale級の四女、私の一番下の妹です」

 

「そう、ひと味違うんだな…」



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提督とバレンタインについて考える日

英国のバレンタインは男性が女性にプレゼントを贈るらしい

【登場人物】

提督(1)
スーパーハンサムボーイズのリーダー的存在、鬼畜メガネ上司系ドS担当

天龍(1)
スーパーハンサムボーイズのオラオラ系オレ様ドS担当

木曾(4)
スーパーハンサムボーイズのクール系罵倒ドS担当

のわっちクン(いっぱい)
基地No.1のモテボーイ、レズの王子様の異名を持つが本人は普通にイケメンが好き



バラ撒きバンバンバレンタイン、そんなバレンタインの良き日、相変わらず秘書艦サミー子からしょーもない事務的なチョコしか貰えなかった俺と相変わらず妹からしか貰えなかった天龍と相変わらず姉ちゃん達からしか貰えなかった木曾の3人は談話室で今年度のバレンタインをどう勝ち越すべくかをアツいディスカッションをしていた…

 

「と言うワケで、諸君らの忌憚のない意見を聞きたい、まずは妹からしか貰えなかった負け組の天龍」

 

「誰が負け組だ」

 

世界で一番オレがカッコいいと心から信じるおっぱいのついたイケメン、自称、煉獄より生まれし黙示録の龍、天龍

 

「やっぱアレじゃねーの?オレが、カッコ良すぎるから…?」

 

「ふむ、カッコ良すぎてか……ではお姉ちゃん達からしか貰えなかった負け組の木曾、卿の意見を聞こう」

 

「誰が負け組だよ」

 

自称、漆黒を纏い禁断の力に身を染めたダーク・ナイト、木曾、カッコいいポーズをつけないとカッコ良く喋れないが素材はバツグンのイケメンであり、なおかつ属性は違うが、なんだかんだで末っ子の事が大好きな4人のお姉ちゃんがいるというラノベ主人公属性も持っている

 

「まぁ……そうだな、みんなオレ達には近寄り難いって思ってるのかもな」

 

「近寄り難い?」

 

「なるほどな、つまりアレだろ?やっぱオーラ出ちまってるみてーな?」

 

たしかに、オレ達S.H.B、スーパーハンサムボーイズともなるとただ立っているだけで女はみんな濡れてしまうのかもしれん

 

「つまり、我々には歩み寄りが必要と?」

 

「でもよォ〜…歩み寄るってどーしたらいいんだ?オレらでそこら辺練り歩いてみるとか?」

 

「バカか、天龍…だからオマエはダメなんだよ」

 

「ア゛ァ!?なんだと木曾ォ、テメーこのオレにケンカ売ってんのかコラァ?上等だぜ、オモテ出ろよ、タイマンだ」

 

「フッ、勝てるつもりか?この俺に」

 

バチバチバチバチバチバチ!!(メンチビーム)

 

「よさんか見苦しい、天龍、木曾、今日、我々が集まっているのはつまらんイザコザをする為ではない、有意義な話し合いをする為だ」

 

「お、おぅ!すまねぇ、ついカッとなっちまったぜ、へへ…」

 

「フッ、まぁTEITOKUがそう言うならな」

 

俺は天龍と木曾にまぁお茶でも飲んで、ハナシでもしよーじゃねーの?とリプ●ンのペットボトルを手にし、2人のグラスに注いでやった

 

「しかしだ、木曾の言う通り我々がただ練り歩くだけでは効果があまり無い事は過去の事例から既に実証されている、そこをどう考える?木曾」

 

「そーだぜ!オマエなんか考えあるんだろーな!」

 

「フッ、俺を誰だと思っている?この漆黒を纏い禁断の力に身を染めたダーク・ナイトだぜ?」

 

木曾曰く、過去に行った練り歩きではオレ達の輝き、プリズムの光を消す事ができなかったせいか、やはりみんな緊張し、オレ達に声をかけるコトができなかった……ならば今年は

 

「程よく声をかけやすい感じにすればいい…」ドヤァ!

 

「なるほどな」

 

「ヘヘッ、さすが木曾だな、良いトコ突いてきやがったぜ」

 

やはり天才か…?なるほど、たしかにオレ達S.H.Bの輝きが強すぎるのは最早常識、その輝きの前ではオクテなレディー達も眩しさのあまりチョコレートを渡すに渡せなかったと…

 

「素晴らしい洞察力だ木曾、褒美をやろう」

 

俺は秘書艦サミー子から貰ったアーモンドチョコをおひとつどうぞと木曾に渡してやった

 

「でもよォ、輝きを消す!って言われても難しくねーか?ほら、オレとか普通にカッコいいじゃねーか?」

 

妹から事あるごとに天龍ちゃんカッコいい!と褒められて育った天龍はゴメンな、世界一カッコ良くってさ!とニカッと笑った

 

「そうだな、ならアレをやってみるか」

 

「アレ?」

 

俺は“絶”を使いオーラを消した…

 

「おぉ!!コレならイケるぜTEITOKU!」

 

「フッ、さすがTEITOKUだな、たしかに“絶”を使えば俺達のオーラも消える」

 

こうして、オレ達は“絶”を使い基地の中を練り歩いた、それはもう基地の右から左まで練り歩いた…

 

しかし………

 

ーーー

 

「ダメじゃねーか!」

 

ダメだった、よく考えたら“絶”でオーラどころか気配そのものを消してたせいか、誰もオレ達には気付かなかった

 

「ダメじゃねーか!オレ、S.H.B辞める!」

 

「まぁ待てよTEN-RYU、よく考えたら“絶”はやりすぎだったとは思うが…」

 

ちなみに、“絶”を使っていても球磨ねーちゃんから“オマエらまたナニやってるクマ?っーかウチの木曾を悪い遊びに付き合わせんなよ、殺すぞ”と脅され俺と天龍は思わずチビりかけた

 

「あと金剛サンな、絶対見えてたぜ!アレ」

 

「あぁ、殺されるかと思ったな…」

 

やはり、天龍と木曾も感じたか……

金剛のヤロウ、なんか姉妹で優雅にティーしてたがヤツの射程に入った瞬間、確実な“死”を感じたが、あのヤロウ、なんかバカなコトしてるなみてーな目でチラッと見て鼻で笑いやがった

 

「“絶”でオーラを消す作戦は失敗だったな」

 

「あぁ、っーか木曾、オマエのねーちゃんなんなの?オレチビりかけたぞ」

 

「ま、まぁ…球磨ねーちゃんだしな、ねーちゃん昔から勘がいいんだよ」

 

野性の勘ってヤツか、さすがは食物連鎖の頂点に立つ猛獣…

 

「ってかどーすんだよ?練り歩いてもダメっーなら他の作戦考えるか?」

 

「そうだな」

 

このままではオレ達S.H.Bの敗北は必至!!今年も基地No.1のモテボーイはイケメンののわっちクンでキマり!になっちまうぞオイ…

 

「オーラを消さず、なおかつ親しみ易くか…」

 

「チッ、難しいな、オレがカッコ良すぎるせいか?」

 

「のわっちクンのように親しみ易さとカッコ良さを併せ持てるのはまさにキセキと言えるだろう」

 

「あ、そーだ!ならオレ達甘いもの大好きです!みてーなアピールを前面に押し出しつつ練り歩くってのはどーよ?」

 

「TEN-RYU……オマエ」

 

「やはり天才か…」

 

ただイタいだけのバカじゃなかったんだな、オマエ…

 

「フッ、あとはアレだな!親しみやすさアピールと言えばやはり子供!駆逐艦のヤツらがベンキョーしてる教育棟で、ってのはどうだ?」

 

「†KISO†………オマエ」

 

「天……才」

 

木曾、そして天龍………ヘヘッ、コイツら、いつまでも厨二病を卒業できないイタいだけのヤツらかと思ってたら、すっかり大人になりやがって!

 

「よしっ!TEN-RYU!†KISO†!イクぜ!今日こそオレ達S.H.Bが輝くステージだ!」

 

「あぁ!行こうぜTEITOKU!」

 

「フッ、仕方ねぇな…付き合ってやるよ!」

 

こうして、俺達は甘いものとか、チョコレートとか大好きです!的なアピールをしつつ練り歩くべく駆逐艦のバカガキどもがベンキョーしているであろう教育棟へと歩き出した!!俺にも、そして天龍にも、木曾にも見えているハズさ、俺達の栄光へと続くロードが!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主に駆逐艦のバカガキどもが一般教養を学ぶ基地教育棟…

 

「………誰もいなくね?」

 

「あぁ、誰もいないな」

 

不自然なほど誰もいない教育棟、俺はポケットから取り出したケイタイを見て全て納得した…

 

「なるほど…SUNDAYじゃねーの」



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提督と雲龍姉妹と龍を継ぐもの?

通常営業回

【登場人物】

提督(プロレス最強説)
ゴングを鳴らせ!戦闘開始だ!

雲龍(幻獣種)
金●出身の妖怪仙人と噂されている凶悪なドラゴン

天城(キサマ!何故脱ぐ!)
ドラゴンはすぐ脱ぐのが伝統芸

葛城(スレンダー)
瑞鶴パイセンの大ファン、瑞鶴パイセンとは未だに目を見ておしゃべりできない、だって雨が降ってるから


クソみてぇな店主がクソみてぇな商品を取り扱っているクソみてぇな店こと明石の店で缶コーヒーと菓子パンを購入し、今日は良い天気なので外のベンチで走り込みしている長良主将と陸上部の健康的なお御足をオカズにしつつ菓子パンでも食うかとベンチのところへやって来たワケだが…

 

「ゲェーッ!雲龍!」

 

「人の顔見てゲェーッとはナニよ?失礼ね」

 

基地関わり合いになりたくない空母トップテン10に毎年、堂々ランクインする凶悪空母、雲龍…ッ!!

と言うか、ウチに配属されている空母は大抵がロクなヤツじゃないので誰とも関わり合いにはなりたくないのだが…

 

「こんなトコでナニやってんだ?オマエ」

 

「見てわからない?」

 

「わからないから聞いているのだよ」

 

まさか杖の素振りでもしてたのか?いや、このコイツがそんな真面目なコトしてるとは思えん、どうせベンチに座って腹減ったとか考えながら空を見上げてあの雲ベーコンみたいで美味そうとか考えていたのだろう

 

「丁度お腹が空いてイライラしていたのよ」

 

「そうか」

 

「それ、菓子パン?」

 

「ご覧の通り、菓子パンだが?」

 

雲龍は俺が菓子パンを持っているのに目ざとく気づいたらしく、そう……と言って、手にしていた杖を何の躊躇なくフルスイングしたッッッ!!

 

ブンッ!!!(殺人フルスイング)

 

「はおっ!!」緊急回避!

 

「チッ…」

 

俺は殺人フルスイングを提督特有の危機回避能力で緊急回避した

 

「殺す気かッ!!っーか今舌打ちしたなオマエ!」

 

「ムダな体力を使ったわ」

 

このアマ、ちょっとパイオツデカいからチョーシに乗りやがって、たしかに、俺の紳士道はパイオツのデカい娘には比較的優しくが信条だが、コイツはそれには当てはまらない

 

「まぁいいわ、もう少ししたらそんなシャバい菓子パンよりもっと美味しいものが届くから」

 

「ア゛ァ?オイ、オマエ、今、オレのマンハ●タンがシャバいっったか?コラ?」

 

「シャバ僧にはお似合いのシャバいパンね」

 

ブチィッッッ!!!

 

「あー………キレた、キレちまったよ、久々に、雲龍、どうやらテメーには提督の偉大さとマンハ●タンの美味しさをわからせる必要があるらしいなぁ、なぁオイ?」

 

このアマ、ちょっとおっぱいデカいからって甘い顔してりゃチョーシにノりやがって、だいたいなんだその服は?仙人か?桃源郷の仙人だってそんないやらしい格好してないよ、もしかしていやらし仙人なのかな?

 

既に俺も雲龍も互いに必殺の間合い、俺のスネークパ●トでヤツのパイオツをパイトするのが先か、ヤツの電撃が俺の股間を撃つのが先か、互いに先の先を読み合う緊張感が漂う中、新たなる刺客達がこの場へとやって来たッッッ!!

 

「あ、いたいた姉さ〜ん…って、あ、テイトクも一緒ですか」

 

「ホントだ、雲龍姉さん、焼きおにぎり持ってきたわー」

 

「ん?」

 

「む?」

 

やって来たのは雲龍の妹達、スーパー銭湯で人気を博してるらしい演歌歌手兼空母の天城と、天城と同じくスーパー銭湯のうさんくさい手品ショー担当の葛城…

 

「遅いわ」

 

「スイマセン、あ、でもちゃんと焼きおにぎりは持ってきましたよ」

 

天城はふろしきに包んであったホカホカの焼きおにぎりを雲龍に手渡すと、先程までの殺意の塊だったハズの雲龍はベンチに座って焼きおにぎりをガッつき始めた

 

「お茶」

 

「烏龍茶しかないけど?」

 

葛城から烏龍茶の入った水筒を渡され、とりあえず一杯、そして再び焼きおにぎり……ゴキゲンな焼きおにぎりだと言わんばかりの顔…

 

「あの…それで、姉さんはまた提督になにか無礼を?」

 

「無礼を通り越してBRERK-ONだがね」

 

「そうですか…」

 

長女雲龍と違って天城クンは相変わらずよく出来た妹だ、男を勃てる良き妻とはこーゆー娘のコトを言うのだろう、もし俺が制欲に忠実なケダモノなら確実にこの天城クンを36時間ノンストップ変態特急でブチ犯し、45時間後には俺の愛棒を貪ることを至上の歓びとする愛奴隷にしていただろう…

 

「と言うかキミらもこの長女を甘やかし過ぎるんじゃあないかね?」

 

「まぁ、それを言われると…」

 

「見たまえよあの焼きおにぎりをふてぶてしく頬張る長女を、ふてぶてしさの化身か邪悪の化身かのどちらかだろう」

 

「邪悪とまでは言いませんけど……まぁ、駆逐艦の子とかは姉さんがおぞましき第2第3の形態を残してるとか言ってますね」

 

間違いなく火を吹くタイプの東洋系ドラゴン形態だろう

 

「げぇーっぷ………葛城、お茶」

 

「はい、烏龍茶しかないけど?」

 

「げぇーっぷ………ふぅ、全然たらないわ、まだ持ってきなさい」

 

「いや、もう無いんだけど…ってかアタシと天城姉ぇはスーパー銭湯のバイト行くし」

 

「ハァ?スーパー銭湯のバイトとお腹を空かせた私、どちらが重要だと思っているの?」

 

「バイトに決まってるでしょ、ってかその焼きおにぎり作るのも買うのも金が要るのよ、カ ネ」

 

「なるほどね、なら働きなさい、あと今日は生姜焼きが食べたいわ」

 

「はいはい、天城姉ぇ、行こーか」

 

「そうね、じゃ、姉さんまた後で…」

 

こうして、飢えた魔龍に貢物を捧げしアルバイター姉妹はヒラヒラと手を振りつつ去って行った…

 

「………それ、食べないの?」

 

「食べるが?」

 

コイツ、ついさっきシャバいとかディスりやがった俺のマンハ●タンに目をつけやがった…

 

「そう…」

 

そう…と呟き、杖を手に立ち上がった雲龍は躊躇うことなくその凶器をフルスイングした

 

ブンッ!!!(殺人フルスイング)

 

「はおっ!!」緊急回避!

 

「チッ…」

 

「いい加減にしろよテメー…ちょっとおっぱいデカいからってチョーシにノりやがって!!」

 

このアマ…!!どうやらマジでわからせが必要ら…

 

「あ、テイトクとおっぱいデカい仙人の人っす!」

 

「いや、仙人じゃないでしょ…たしか」

 

「あ?」

 

運が良いのか悪いのか、たまたま歩いて来たのは社会と大人を舐めたクソガキの占守くんと妹の〜…え〜…クナくん

 

「ナニやってるんしゅか?ケンカっすか?リアルファイトっすか?アートオブファイティングっすか?」

 

「いや、このクソおっぱいに提督様の恐ろしさをわからせてやろうと思ってな、なんなら占守クンもやってみるかね?ドラゴン狩り」

 

「マジっしゅか!ガチでやっちゃっていいんしゅか?」

 

アホの占守クンはしゅしゅとワンツーしつつ、まぁテイトクの頼みなら仕方ねーっしゅねとやる気満々に仲間に加わってくれた

 

「いや、姉さん、やめた方が…」

 

「またクナがビビって……こいつクソっすね」

 

「誰がクソよ!!」

 

「忌憚のない意見ってやつっす」

 

クソガキオブクソガキ、自称、海防艦を超えたネオ海防艦の占守クンは俺にちょっと屈むように指示してきたので、なんのことやらと屈んでやると、占守クンは俺の肩に脚をかけてまるで肩車するように座った

 

「これで身長は勝ったっすね」フンス!

 

「占守クン、コレ、なんか意味あるのか?」



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提督とさどつしとカマキリ

リアル・シャドー

【登場人物】

提督(男児の春)
この基地で一番偉い絶対支配者、舐められがち

佐渡(S)
自称も他称も佐渡サマ、ドS

対馬(善)
動物に優しい基地に珍しい善人



帰ってきた真冬の厳寒と思いきや手のひらを返したようなポカポカ陽気、そんな気まぐれなたった一度の今日と言う日…

 

「あ、テイトクだ!」

 

「ホントだ、こんにちはぁ〜」

 

たまには基地内を点検して回るかと歩いていると、虫カゴ的なものを手にしたガキに声をかけられた

 

「よぉ、佐渡サマと……対馬クン、だったかな?」

 

「そうよ!そのまさかよ!」

 

バカガキ特有の実に元気の良いお返事をしてくれるのは敵・潜水艦を加虐なまでにいたぶり、苦しむ顔を見るのが何よりも好きだと無邪気に話す新世代のドSプリンセス、自称も他称も佐渡サマ

 

「そうです、ツ シ マ です」

 

佐渡サマの妹、対馬クン、常に瞳孔が開いたような目をしているが、バカガキだらけの海防艦の中では比較的真面目で良い子らしく、先日の絵画コンクールでは海防艦唯一の金賞を受賞した

 

「ナニやってんだ?ザリガニでも釣りに行ってたのかね?」

 

「ちげぇーよ、ほら!コイツ捕まえてきたんだぜー!」

 

そう言って佐渡サマが虫カゴから無造作に取り出したのは………カマキリ、そう、カマキリだ

いや、カマキリ?なんで…?何故この子はカマキリを…?いかんいかん、考え過ぎは良くないな、子供とは無邪気なものだ、ワンパクでもいい、子供は度胸、なんでもチャレンジしてみるべきだ

 

「で?そのカマキリどうするんだ?飼うのか?」

 

「佐渡サマとしてはこのカマキリ……スライスジョニーと対馬の飼ってるハムスターを決闘させたいと思ってる」

 

「や、やめてよぉ!」

 

「バッキャロー!!」

 

佐渡サマの容赦のないキックが対馬クンの尻に炸裂し、対馬クンはぎゃん!と声をあげて地面に転がった

 

「対馬ァ!オマエはスライスジョニーとハムスターの対決、見たくないのかーッ!」

 

「み、見たくないよぉ〜…」

 

「フン、相変わらず乳臭さの抜けんヤツよ、それでもオマエは海防艦の子かーッ!」

 

佐渡サマは対馬クンを羽交い絞めし、自身の両膝を対馬クンの膝上に絡ませ急所を全て破壊する勢いで締め付けるッッ!!

 

「ヌゥ……あの技は艦娘圧搾機」

 

なるほどさすが佐渡サマだ、まだまだ子供と思っていたが既にあの技を習得しているとは、やはり天才か…

 

ミシミシミシミシミシ!!(艦娘圧搾機)

 

「痛ァァァァァァァァ!!痛い!痛いよぉ!!」

 

「どうだァ!!対馬ァ!オマエも海防艦になれ!海防艦になると言えェェェ!」

 

「も、もぉ海防艦だよぉ!!」

 

「…………そっか、それもそうだな」

 

佐渡サマはアッサリと艦娘圧搾機を解き、全身を痛めつけられた対馬クンはヒィヒィ言いながら地面に転がった…

 

「佐渡サマは嬉しいぞ!対馬ァ!」

 

「そ、そう……」

 

佐渡サマは愛する妹をガシッ!と抱きしめ、オマエは海防艦だ!誰がなんと言おうと海防艦だ!とアツく背中をバシバシ叩いた

 

「素晴らしきかな友情、実にアツい友情の姿よ」

 

これからの新時代を担う若者達のマグマのようにアツいドロッドロの友情の姿に胸を打つナニかを感じずにはいられないなと考えていると…

 

「お、オッサンじゃん、ナニやってんだ?」

 

「あ…天霧、オッサンじゃないで提督って呼ばないと…」

 

「む?キミ達は…?」

 

明石の店にでも行った帰りなのか、菓子のようなビニル袋を持った仲良し姉妹……えぇと、なんと言ったかな?たしか、メガネの方が天霧クンで、幸の薄そうなのが…え〜…サギーくんだったか?

 

「2人は買い物かね?」

 

「ん?あぁ、アタシは飲み物で狭霧はエロ本買ってきた」

 

「エロ本じゃないよ!?資料!資料だからね!そう、資料……提督、資料ですから!」

 

「そうかね」

 

見た目、清らかな空気の中でしか生きられない森のエルフのように儚げで清純派なサギーくんだが、ワリとエグい性描写とバイオレンス展開に定評があり、あの気難しくてPRIDEが高くてア●ルが弱そうな金髪美少女のパースちゃんが大ファンだと言う人気黒ラノベ作家、山田ゼレフ先生その人でもある…

 

「お、カマキリじゃん」

 

「天霧ねーちゃん!天霧ねーちゃんもカマキリ好きなのか?」

 

「まぁ、好きか嫌いかったら好きかもな…」

 

天霧クンは佐渡サマにちょっとカマキリ貸してくれよと虫カゴからカマキリをヒョイっと取り出し、地面に置いた…

 

「なぁチビっ子、ライオンとかヒグマは強いと思うか?」

 

「あったり前じゃん!しかもカッコいいしな!」

 

「そうだよな、じゃあチビっ子、ライオンより、ヒグマより、いや、アフリカゾウより強いヤツがナニかわかるか?」

 

「う〜ん………わっかんねーな!」

 

「ハハ…そうか、わっかんねーか!でもなチビっ子、その…ライオンより、ヒグマより、アフリカゾウより強い相手は、もうそこにいるんだよ…」

 

「ハァ?ナニ言ってんだ天霧ねーちゃん、そこにって…」

 

カマキリじゃん!!

 

戦いという一点において昆虫はプロ中のプロ!猛獣なんか目じゃない…

まずは体力が桁違いだ、虎やライオンは自分の3〜4倍の重さの獲物を引きずって運ぶ、なら昆虫はどうだ?昆虫は、自分の7〜8倍の重さのエサをノンストップ長距離輸送だッッッ!!

 

ひとっ跳びで10mをジャンプする鹿類は珍しくないが、蚤やバッタに比べりゃかわいいもんさ、彼らが人間大のサイズなら10階建てのビルなんて楽々飛び越える…

そんな昆虫を手に取ったときに感じるハズだ、体重はオレらのわずか数千分の一……

 

なのにッッ!!指先に感じる彼らのパワーッッ!!!

 

もし彼らが同じサイズなら絶対に勝てない!!

あの脚力で蹴られたら!あの前脚で抑えこまれたら!あの鋭い牙で挟まれたら無事では済まないッッ!!!

 

「〜〜〜〜〜〜ッッッ!!」

 

「そこで、このカマキリだ、彼こそは戦いのプロフェッショナル…」

 

中国拳法におけるカマキリの動きを参考に創りあげられた蟷螂拳ッッ!!打撃!抑え込み!咬みつき!そして凶暴性!何をやらせても超一流!!

 

「もしそんなカマキリがオレら同じサイズになったなら…」

 

必ずアフリカゾウを捕食するッッ!!!

 

「…………でも、ちっちゃいじゃん」

 

「そう、なら………大きくすればいい」

 

後に、この場に居合わせた海防艦佐渡(択捉型)は我々にこう語った…

 

えぇ、たしかにそこにいたんです、その…デカいカマキリが、いやマジで、すっげーデケーのが、対馬なんかビビっておしっこ漏らしたもん

あと、テートクがやはりキミは天才だ!やはりキミは天才だ!やはりキミは天才だ!ってうっさかった



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提督とオシャレな天津風

春は曙、曙のヤツめ………日和やがったッ!!

【登場人物】

提督(クズ)
女子供に容赦しない鉄拳が信条

天津風(アマツカゼ)
連装砲くん?あー……連装砲くん


春!その、ステキな季節が提督を行動させ………なかった

 

「あー…息をするのもメンドくせー」

 

明石の店で缶コーヒーと菓子パンのよくばりセットとタバコを購入し、喫煙所でケムリを吸い込んで吐き出す作業を繰り返していると、なにやらオシャレな格好をした白髪が歩いているのが目に入った

 

「ヘイ!ヘイ!そこのカノジョー」

 

「ん?ゲッ!テイトク…!?」

 

「もし良かったらオジサンとお茶でも……って、誰だオマエ?」

 

よく見ると……誰だコイツ?ウチにこんな正統派美少女なんかいたか?

 

「ハァ!?天津風よ!ア マ ツ カ ゼ!」

 

「アマツ…?あぁ、いたっけか、そんなヤツが…しかしウソは良くないな、天津風クンと言えば提督が何度注意してもスカートを穿かず、さらにスケスケの服ばかりかクソエロ下着を着用してみんなの視線に興奮するヘンタイオブヘンタイのベストオブ痴女………そんはマトモな服を着ているキミがあの痴女津風クンなハズがない」

 

「誰が痴女よっ!!」

 

しかしよく見るとたしかに痴女津風クンに似てなくもないが……いや、違うな、本物の痴女津風クンなら連装砲くんを連れているハズ

 

「連装砲くんはどうした?連装砲くんは?」

 

「連装砲くんなら庭で花壇の花に水をやってたケド…」

 

「そうか、さすがは連装砲くんだな、どこぞの痴女とは器が違うよく出来た子だ」

 

「だから誰が痴女よ!!」

 

「それで?キミは誰だ?ウチの子じゃないな、産業スパイか?」

 

「だから天津風って言ってるでしょ!!今日は街に買い物に行くんだからオシャレしてんの!!」

 

ナニ言ってんだコイツ?あくまで自分は痴女ですと言い張る異常者かナニかか…?

 

「ふむ、あくまで自分は天津風と言い張るか…」

 

「あくまでもナニも天津風よ」

 

「よし、ならパンツ見せてみなさい」

 

本物の天津風クンならドエロい下着を着用しているハズ、これは“シナトラに攻撃が当たらないのはもはや世界の常識”と同じ意味を持つ…

 

「イヤよ!!ヘンタイ!!」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ、しかし見せぬと言うのなら……力づくで見るしかないなぁ…」

 

「ヒッ!?ヒィィ!!こっちにくるなァァァァ!!」

 

瞬間!!オレの顔面に一発、さらに二発目がアゴ、そしてミゾオチに三発目…!!まさに電光石火!まるで稲妻のような三連撃が打ち込まれた!!

 

「グハァ…!!な、なんてスピード……だ!」

 

「ハー…ハー……ど、どう?それ以上私に近付いたらもっと殴るから!」

 

「なるほど、そのスピード、そして正確さ、たしかにタダの正統派美少女と言うワケではないらしい…」

 

「そ、そーよ、タダの正統派美少女じゃないわ、天津風よ……って、自分で正統派美少女ってかなりハズカシーんだケド…」

 

「フッ、認めよう、キミはオシャレをして個性を失った天津風クン本人だと言うことを」

 

「誰がオシャレして個性を失ったよ!!そもそもアタシの個性がなんだか知ってるって言うの!?アナタにわかるの!?」

 

「スケスケ服、エロ下着、連装砲くん」

 

「アタシの個性ッッッ!!」

 

天津風クンは地面に両膝をつき、アタシの個性!アタシの個性!アタシの個性!と何度も地面を叩いた

 

「まぁまぁ、個性なんてなくとも人は生きていけるものなのだよ、たとえ今は個性はなくとも来世へワンチャンダイヴもあるってカッちゃん言ってたしな」

 

「カッちゃんの黒歴史に触れないであげて!」

 

しかし個性を全て失って残ったものが正統派美少女とは…

さすがは個性派揃いのスター集団、陽炎姉妹なだけはある

 

「それで?街にお買い物に行くと言っていたが……1人でかね?」

 

「アナタ、ホントにシツレーね」

 

「おやおや、これは触れてはならない心の傷でしたか、触れてはならない心の傷に触れてしまいがちなのが、僕の悪い癖、ハハッ!」

 

「ハハッ!じゃないわよ、ったく、ムカつくわね……姉妹で行くのよ、姉妹で!」

 

「なるほど〜…ご姉妹で、これはこれは姉妹仲はとても良い関係なのですねぇ」

 

「いや、その喋り方ムカつくんだケド」

 

「唯一の友達、連装砲くんを置いてまで行くと、ご自分だけが楽しければ良いと」

 

「う、うるさいわね…!たまには連装砲くんも1人になりたい時があるのよ!ちゃんとお土産だって買うし…」

 

「冗談だよ、小粋なテイトクジョーク」

 

「…」イラッ

 

俺はメンゴメンゴ、からかっちゃってゴメンねージーマーでと気さくに天津風クンの肩を叩くと、肩を叩いた俺の腕は素早く捻じ曲げられ、俺の体勢が崩れたところに天津風クンは俺の顔面に掌打を叩き込みつつ頭を掴んで地面に押し倒しつつ顔面に右膝を叩き落としてきたッッ!!

 

ゴシャアッ!!!

 

「ゴハァ!!」

 

ま、まさか……エンメイリュウ!

 

「……あースッキリした、これ教えてくれた陸奥さんに感謝ね」

 

「………」死ーン

 

「さ、遊びに行こっと、無駄な時間と体力食っちゃったわ」



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提督とヤン・キーと大きな海の小さなセンパイ

ヤンキー烈風隊?あぁ、こないだ鈴谷が読んでましたわ

【登場人物】

提督(知性的レスリング)
溢れる知性で返り討ち

South Dakota(アメリ艦)
幼少期スラムストリートで過ごし、いつかこの両拳ででっかいアメリカンドリームを叶えてやるんだと誓い、現在に至る

Washington(アメリ艦)
サウスダコタと同じく幼少期は貧しい暮らしだったらしく、殺人以外の悪いことは全部やった系、意外にも敬虔なキリシタン


昼!その、ステキなランチタイムが提督を行動させた!

普段、昼と言えば麺類多めだが、日々、バカどもの為に基地運営を頑張っている提督としてはたまには自分へのご褒美にマミー屋にでも行ってガッツリ肉でも食っていいんじゃあないのか?

そう考えた俺は、それなりに余裕のある財布をポッケにねじ込みいざマミー屋へと向かったワケだが…

 

「ナニメンチ切ってんだテメー…殺すゾ」

 

「ア゛ァ?誰に意見してんだテメー…殺すゾ」

 

店の前で、ヤン・キー同士がメンチを切り合っていた

 

「オイオイオイ、お店の前でメーワクこいてんじゃないよキミタチ、えー…サウスパークくんとクリキントンくん、だったかな?」

 

「誰がSouth Parkだ!South Dakotaだ!Dakota!」

 

見た目でわかる溢れる愛国心、MAJOR出身の本格右腕、サウスダコタくん

 

「Washingtonよ!ナニよ、クリ……クリキ?マァ、いいわ、二度と間違えないで」

 

こちらもMAJOR出身、色白なお肌と色白なヘアーが特徴的な最近ウチに配属されたワシントンくん

 

「オーケーオーケー、ソーリーソーリー、で?キミタチはなんでケンカしていたのかな?オジサンこー見えてもこの基地の提督でね、もし良ければそのくだらねーケンカの理由ってヤツを教えてくれないかな?」

 

「くだらねーって……」

 

「このバカが私が先に店に入ろうとしたら横入りしてきたのよ」

 

「ア゛ァ!?誰がバカじゃコラァ!!」

 

「あらゴメンなさい、バカみたいな顔の間違いだったわ」

 

「誰のヘアスタイルがバカみてーだとコラァ!!Washingtonコラァ?オイ、誰の髪型がチ●デー・クロケットみてーだとォ?」

 

サウスダコタくんとワシントンくんは互いに殺すゾ!と言い合いながら襟首を掴みそのMAJOR級のパイオツを押し付けながら思わずKISSしちまいそーな距離でメンチを切り合う!!

 

「テメェ………ブッ殺したらァ!!」

 

「待て待て、まぁ待ちたまえよキミタチ、うん、少し落ち着いて」

 

「止めるなよジャパニーズ!この女だけはアタシの手で殺らねーと気がすまねー!」

 

「ハァ…?それはこっちの台詞よ!だいたいアンタは昔からいつもいつもいつも、目ざわりなのよォ!」

 

グゥゥゥム、せっかく人が平和的に、対話による解決策を提示しようとしているのに…

争いは争いを、憎しみは憎しみを呼ぶだけだと言うコトが何故わからないんだ、そんな頭でっかちな考え方しかしないから人類は戦いをやめることができないんだ

 

ならば、俺が採るべき道は一つ…ッッッ!!

 

より大きな力をもってこの争いを鎮めるしかあるまい…

相手はMAJOR級の戦艦2とは言え、今、ヤツらは互いに俺に意識は向いてない

ならばまずはどちらかの股間を蹴りあげ体勢が崩れたところに顔面に膝、この間僅か2秒、そしてもう1人が事態の把握に要する時間を与えず喉元に手刀を打ち、駄目押しの左アッパー………よし、完璧だ

 

「オイキサマら…」

 

完璧なる計画を実行するべくバカ2人に声をかけようとしたその時だった…

 

「Hey!!ソコの2人ーッ!」

 

不意に、背後から俺たちとは別の声が聞こえてきた…!

振り返ったその先に居たのは!!

 

「あ、コロちゃん先輩じゃないすか」

 

「コロちゃん先輩ティーッス、今日もKAWAIIすね」

 

「South DakotaにWashington……アナタ達もlunchかしら?」

 

海の強者、数多の豪傑どもがひしめく世界の海に、たった7人………世界の海軍に掠奪を認可された7人の問題児達、通称、B.I.G 7!

その、B.I.G7のリーダー的存在(自称)を自認するMAJOR出身のキンパツ美少女、大戦艦Colorado!

 

その、大戦艦コロラドはバカみてーに胸を張りつつ同郷の後輩?に声をかける

 

「そーなんすよ」

 

「コロちゃん先輩もlunchすか?」

 

「えぇ!そのとーりよ!」ドヤァ!

 

しかし………コロちゃん先輩?コイツら、さっきまで一触即発だったってのに…

 

「オイオマエら、ちょっと来い」

 

俺はサウスダコタとワシントンにちょっと耳貸せと壁際に呼び、3人でスクラムを組んだ

 

「え?なんなのオマエら?まさかあの腋ペロしたい残念戦艦のコロちゃんリスペクトしてんの?」

 

「う~ん、Respectっーとちょいと違うっーか」

 

「そうね、なんと言うかコロちゃん先輩は~…」

 

サウスダコタとワシントン曰く、コロちゃん先輩ことコロラドくんはまだ2人がネイビーに入る前、カレッジの頃から知り合いらしく、むしろコロちゃん先輩はカレッジの人気者だったらしい…

 

「まず、あの愛くるしい見た目な!」

 

「それでいて無理して自分を大きく見せたいあの態度!」

 

そんなコロちゃん先輩は後輩である2人に非常に世話を焼いてくれたらしく、レポートの期限がヤバい時はコロちゃん先輩に頼めばやってくれるし、ちょっと褒めりゃランチ奢ってくれるし、ケンカで勢い余り教頭の車を潰した時もコロちゃん先輩が罪を被り、コロちゃんの愛車を借り、2人でハイウェイ・スターして事故って廃車した時もコロちゃんは泣く泣く許してくれたと…

 

「オマエら最悪じゃねーかッッ!!今からでもコロちゃんに謝れ!」

 

「イんだよ!細けぇーこたぁ!」

 

「そうよ、コロちゃん先輩は私達になくてはならないのよ!」

 

コイツら仲悪いとか言ってたが実は仲良いんじゃねぇのか…?

 

「Hey!まだナニか話してるのー?」

 

いかん、さすがのコロちゃんも待てが出来ない子!

 

「イヤ、もー終わったっす、テイトクが抜け毛に悩んでるらしーっす」

 

「treatmentをしてないじゃないかしら?」

 

「フッ、なるほどね!」ドヤァ!

 

誰が抜け毛に悩んでるだあのクソヤンキーどもが!俺の頭髪はまだ783-640だよクソが!

 

「アナタたち!ついてきなさい!今日はこの偉大なるB.I.G7であるこの私が奢ってあげるわ!」

 

「マジっすかコロちゃん先輩」

 

「アザース、コロちゃん先輩マジB.I.G7」

 

「フッ、そんなに褒めてもナニも出ないわよ!ま、マァ…食後のdessertくらいなつけてあげてもいいわ!」ドヤァ!

 

「さすがコロちゃん先輩!ボテっ腹ーッ!」

 

「コロちゃん先輩マジチョロ可愛いーッ!」

 

コロちゃんセンパイ、そのヤンキーども、あきらかにコロちゃんを舐めてますよ、もうベロンベロンに舐めてますよ、早く気付いた方がいいですよセンパイ…

 

そんな俺の願いもむなしく、後輩どもにマジビッグとおだてられて気分を良くしたコロちゃんはアホな後輩2人を引き連れマミー屋の門をくぐって行った…

 

「…………よし、今日はラーメンにすっか」



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カース・オブ・アドミラル奪還作戦?

節目の前のクソ長編回突入編

【登場人物】

提督(自称ハンサム)
お誕生日にはケーキを買う

五月雨(秘書艦)
誕生日じゃなくともケーキは食べる


「オイ、机の引き出しに入れといた箱知らねーか?」

 

「箱?どんなやつですか?120サイズですか?」

 

「そんな箱が引き出しに入るかボケ、舐めてんのかテメーは」

 

春、血湧き肉躍るこのうららかな季節…

そんな爽やかな春の執務室にて、悪夢は静かに幕を開けていることを、この時俺は気付く事ができなかった…

 

「アレだよ、アレ、指輪が入った小箱だ」

 

「指輪…?あぁ、呪いのリングとか言うヤツですか」

 

「ナニが呪いのリングだ、上層部に謝れ」

 

…とは言ったものの、五月雨の言った呪いのリングという名称もあながち間違いではない

一度指に嵌めたが最後、決して外すことが出来ず、その頑強さはシャ●クだろーが教会で金払おーが外せないらしく、限界を超える強さと引き換えに大切なものを失ってしまうことから、あの指輪、カース・オブ・アドミラルと一部では呼ばれている…

 

以前、上からK.K.K(ケッコン・カッコ・カリ)お試しセットとか言う名目で送られてきたのだが(着払いで)…

どうにもうさんくさいアイテムなので机の中にしまっていた

だいたいアレだ、指輪嵌めるだけで強くなるとか雑誌の広告かっーの、勝ちまくりモテまくりかっーの

 

「アレ、わりと貴重なモノでは?」

 

「貴重か貴重ではないかっーと微妙だな、たしか全国の明石の店にも売ってるってハナシだし」

 

たぶんウチのピンクはそんなうさんくさい商品を入荷してないだろうが…

 

「まぁいい、見かけたら返せよ」

 

「見かけたら返しますけど………ってかいいんですか?アレ、もし誰かが拾って嵌めたりしたら…」

 

「大丈夫だろ、指輪は“資格”のあるヤツにしか使えないらしいしな」

 

指輪は“資格”のある者を自ら選ぶ、もし指輪から資格がないと判断されれば指輪のパワーの先へは進めない、ふふふ…器ではなかったのだよこの未熟者がァ!

 

「ならいいんですけど…」

 

「なんだ?オマエにしては随分心配性だな、珍しく」

 

「まぁ、たとえばの話ですけど、アレを由良さんとか邪悪の化身が手に入れたらどうなるのかな〜…と」

 

「邪悪の化身って……オマエ、唯一の同期になんてコト言うのかね、この子は」

 

せめて邪悪のDNAとか、悪のエリートとかにしてやればいいものを……

 

「………しかし、それはハッキリ言ってマズいな」

 

「でしょう?」

 

あの由良さんが練度と言う限界を超える……それはもうかなり絶望ではないだろうか?太陽の光を背にして立つ由良さん、無敵…ッ!もう誰も敵わない…ッ!究極生物の由良の誕生に人類は震えなければならないッ!!

 

「マジでどこやったんだ?アレ」

 

「知りませんよ、ってか提督、こないだ机の整理してませんでした?」

 

「したよ、いらねー書類とかキャバ●ラの領収書とか整理したよ」

 

「それ絶対経費で落としませんよ」

 

「バカ言うんじゃないよ、交際費ってヤツだ、交際費」

 

しかし思いつく限り、机の中を整理したのはまさしくつい先日のコト、まさかあの時、いらないもの袋に一緒にポイしてしまったのでは…?

 

「オイ、ウチはゴミ袋どうしてるんだ?収集車が持ってくのか?」

 

「たしか燃えるのは焼却炉で燃やしてますよ、ほら、あそこに煙突あるし」

 

「ホントだ、いまどき珍しいのな」

 

ーーー

 

とりあえず、燃えるゴミを集めた焼却炉の前へやって来た俺と五月雨だが…

 

「この中から探すのか…」

 

「帰っていいですか?」

 

「マミー屋のお高いやつ買ってやるから手伝え、な?」

 

ハッキリ言ってこの中から探すのはかなり至難の技と言えよう、しかも燃えるゴミ…

とりあえず足元に転がってるやつから開けてみるか…

 

「……誰のパンツだコレ?キタネーなぁ、黄ばんでんじゃねーっーの」

 

「そのサイズだと大人の人じゃなさそうですね、ってか、下着漁りしに来たワケじゃないでしょ…」

 

「好きで漁ってねーよ、ハッ!?ま、まさか……この中、いや、フフ…下品なんですけど、浜風ちゃんの下着、もあったりするのかなぁ?」

 

「さぁ?無いとは言い切れませんけど…ってかホントにキモいです」

 

「キモくない、提督だ」

 

思わぬお宝が眠っているかもしれない!その、ステキなワクワクが提督を行動させたッッッ!!

集中しろ、呼吸だ、呼吸を整えて感覚を研ぎ澄ませ!このゴミの山から目的のものを嗅ぎ分けろ!浜風ちゃんのパンツ!浜風ちゃんのパンツ!俺になら見つけられる…っ!

 

「その集中力を指輪探しに使ってください」

 

「そうだな、いや……そうだ、すまない、つい興奮して」

 

「長い付き合いですけど、ドン引きです」

 

「ドン引きじゃない、提督だ」

 

さて、しかしマジでこの中から見つけるのはダルいな、そうだ!金属探知機!金属探知機でピーピーやるのはどうだろうか?

 

「サミー子、金属探知機持ってないか?」

 

「持ってるわけないでしょ、そうですね……夕張さんなら持ってるかも」

 

「それだ!」

 

「呼んでみましょうか?」

 

「よし、今すぐ金属探知機持って来いと伝えろ!」

 

ーーー

 

「お待たせしました、金属探知機です」

 

「…足があるな」

 

「えぇ、足なんか飾りです」

 

五月雨経由で夕張に今すぐ金属探知機を持って集合と連絡させたワケだが……

 

夕張の持ってきた金属探知機と言う名のマシーンは、俺の知ってる金属探知機より、大きく、分厚く、重く、そしてメカメカし過ぎた…

 

「コレ、オ●ガじゃねーか!古代ロンカ文明が作り出した殺戮の為のマシーンじゃねー!」

 

「いえ、コレは一見オ●ガっぽく見えますが立派な金属探知機です、各部に搭載されたセンサーにより対象を速やかに発見、排除することができます!」

 

「排除してんじゃねーよッ!!」

 

ギリギリギリギリギリギリ!!(OLAP)

 

「イダダダダダ!!痛い痛い痛い痛い!痛ァァァァ!!ギバ!ギバーップ!!」

 

怒りのOLAPから解放された夕張は両腕をプラプラさせて立ち上がり、不気味な笑みを浮かべた…

 

「ったく、フツーの金属探知機持ってこいや!フツーの!」

 

「あ、提督、アレ…」

 

「なんだ?」

 

ナニかを見つけたらしい五月雨の指差す方向を見ると…

ゴミの山からなんか鳥が小箱を突いて中からキラリと光るものを啄ばんでいたッ!!

 

「あったァァァァァァァァ!!この鳥野郎!フライドチキンにしてやるぜー!」

 

『!?、ギャース!ギャース!』

 

ダッシュした俺より速かった!指輪を咥えた鳥は俺に鳥キックをかまし、そのまま山の方へと飛び去って行った…

 

「クソ!逃すかよ!夕張、波動砲だ!波動砲で撃て!」

 

「いや、コイツ、オ●ガじゃないでプロトタ●プがベースなので波動砲ついてないんですけど…」

 

「ファックス!!使えねーなオイ!」

 

「まぁ、結果としてはアレですが、いいじゃないですか、誰か変な人に拾われてリングの力で魔王降臨とかにならなくて…」

 

「フン、まぁそれもそうか、サミダーツ、卿の意見を是とする」

 

「それはどうも、あと、五月雨です」

 

 

こうして、指輪は永遠に失われ、闇の魔王降臨の危機は去った…………ハズだった

 

 

3日後…

 

 

ーーー

 

朝、今日もさわやかで知性溢れるハンサムな執務室…

 

「おはようございます、提督、テレビ見ましたか?」

 

「おはよう、テレビ?今日のおは朝の占いなら青髪ロングで白系の服のアナタ、今日死にまーすとか言ったぞ」

 

「そんなつまらないジョークはどうでもいいです、ほら」

 

「んだよバカヤロー、どーせつまんねー芸能ニュースだろ…」

 

執務室のテレビのスイッチを入れると、どの局も同じようなニュースばっかだな…

 

え〜…なんだって?突如として現れたトーナメント・マウンテン、この山を制するタッグ・チームこそリアル・タッグ・チャンピオンだーッ!か………ゴクローなこった

 

「コレがどーしたよ?」

 

「この山の1番上、よく見てください」

 

「1番上だぁ?」

 

…………見たところナニもないように見えるが、なんだよ、トロフィーとか刺さってるんじゃねぇのか?サギだな、コレは

 

「ナニもなさげに見えるが?」

 

「あるんですよ、ってか刺さってるんですよ、こないだ鳥に持っていかれた指輪」

 

「ハァ?」

 

指輪って……アレか!?カース・オブ・アドミラルか!なんでそんなトコに!

 

『この山の頂上に刺さっているあのリングこそ艦娘の限界を超える指輪!嵌めれば全てを超越した完全無欠(コンプリート)艦娘になれると噂されているアレでしょう!』

 

『なるほどー!あの伝説の!』

 

ナニ言ってんだテレビ屋ァァァァァァァァ!!変なコト言って煽るんじゃねぇよォォォォ!!

 

「…どうするんですか?」

 

「…どうするも何も、アレは俺のだよ」

 

っーかなんなんだよ!トーナメント・マウンテン!!意味がわからねぇよ!!

 

「チッ、しゃーなしだな、奪られたモンは奪り返す!それが俺達じゃねーのか?サミー、なぁオイ?」

 

「達ってまとめないでください、達って」

 

「よし!サミー、オマエ、トーナメント参加してサクっとアレ回収してこい!」

 

「え?普通にイヤですけど?」

 

 

次回

夢の艦娘タッグトーナメント編





熊野でございますわ

全8チームが参加する予定ですの
一応、既に決まってる組はありますが、半分くらい決まってない組がありますので名コンビがあれば教えていただけると助かりますわ!
採用されるとマ●ルドマン並の扱いをお約束しましてよ!

しましてよ!



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カース・オブ・アドミラル奪還作戦 act.1

ライスちゃんかわいい!とか言ってるせいで更新がイマイチ遅いワケではありませんわよ、決して

夢の艦娘タッグトーナメント編その1

【登場人物】

青葉(恐縮です)
未だ改二が出し渋られてる重巡界のリーサルウェポン
提督とは漫画の貸し借りするぐらいは仲が良い

初春様(雅な御方)
最低でも千年は生きてる大妖怪の類と噂されている雅な御方、陛下とは違った意味で提督もかなり気を遣っているあたり、信憑性があるとかないとか…


前回までのあらすじ

 

その身に装備すれば限界を超えた力を手に入れ、完全無欠(コンプリート)艦娘になれる伝説の指輪!!突如として現れたトーナメント・マウンテンの頂上に突き刺さったその指輪を手に入れるべく、力ある者、野望ある者、欲望にまみれた者、様々な思惑を胸に動き出すのだったッッッ!!

 

………そして

 

「あ、あの野郎ォ!裏切りやがった!!」

 

五月雨のアホンダラに指輪手に入れてこいよと言ったら普通にイヤですと断られた2日後、どうしたものかと思い悩みつつ基地スポを読んでいると、トーナメント・マウンテンに参加するチームが続々と参戦!の記事を読んでいた俺は思わず基地スポを執務机に叩きつけた!

 

いや、この記事を読めば俺だけじゃない、誰だって叩きつけるだろう…

 

“無敵の死神”“完璧秘書艦”五月雨ד惨劇の王者”由良!!久々ぶりにタッグを結成ッッ!!今、悲劇の幕が上がるッッッ!!

 

「あ、あのヤロウ……っーかまさか由良さんと組むとかマジか、完全に俺の息の根を止めにきてるじゃねーか」

 

まさか飼い犬に手を噛まれるとは……まっことこのコトじゃわい

むしろ俺への嫌がらせを何よりも悦びとする由良さんだけならまだ納得がいったが、まさかサミーが由良さんと手を組むとは………なんだ?俺への不満か?職場への不満なのか?いつまでも輝く甲勲章を1つも貰えず、秘書艦コミュニティでマウント取られるのに嫌気がさしたとか?あら?おたくの提督まだ中佐?しかも甲勲章が1つも?プークスクス

ごめんあそばせー…とか俺の知らない間にディスられウッフンが溜まっていたのか?

 

「グゥゥゥム、なんと言うコトだ」

 

しかし唯一事情を知るサミーが敵に回ったとなるとマズイな、他のヤツはアレが俺の指輪だと知らず、マジで伝説の指輪とか思っているかもしれん

 

他に頼れるのは…………夕張?ないな、アイツだけはない、あのドMを超えたド変態だけには頼りたくはないが……

 

だがトーナメント・マウンテンの参加は艦娘に限られている、そう、艦娘にだ…

 

「やるしかないのか…ッ!」

 

◾️◾️◾️◾️◾️

 

「最強タッグチームを決定するトーナメント・マウンテン特別、本日の実況はキミ、目に光がないね?とよく言われる恐縮の申し子、青葉、そして解説はお馴染み、格闘技マニアである雅な駆逐艦、初春様をお招きしております、初春様、本日はよろしくお願いします」

 

「うむ、あと別に妾は格闘技まにあではないぞ?」

 

「初春様、最近漫画など嗜まれるとか?」

 

「うむ、せすたすとか言う漫画でな、初霜が読んでいたから妾も借りて読んでお…」

 

「さて!!今回のトーナメント・マウンテン!!参加チーム8チームの紹介に移りたいと思います!まずは優勝候補No.1!至高のツープラトン、ナガトバスターとナガトドライバーによる胸熱ドッキングの破壊力は単体の破壊力の10倍と言われています、長門さんと陸奥さんのナガムツブラザーズ!」

 

チーム名:ナガムツブラザーズ

名前:長門・陸奥

ツープラトン:胸熱ドッキング

 

「続きましてこちらも優勝候補!基地黎明期から現在に至るまでこの基地運営を支えてきた最初で最古のタッグ!駆逐艦と軽巡と侮ることなかれ!秘書艦五月雨ちゃんとその白髪が返り血で染まりすぎたせいかだんだんほんのり桃色に染まった気がする惨劇の王者、由良さんのカミナゲーナズ!」

 

チーム名:カミナゲーナズ

名前:五月雨・由良

ツープラトン:面倒くさくて名前がない

 

「3チーム目!おバカな子+おバカな子=おバカな子ではない!超・バカな子だッッッ!!ジャパン最強のおバカとイタリア最強のおバカがガッチリ手を取り合って優勝を狙います!清霜ちゃんとリベッチオちゃんのジーニアス・ファクトリー

 

チーム名:ジーニアス・ファクトリー

名前:清霜・リベッチオ

ツープラトン:復活のフュージョン!!キヨシとリベ!

 

「えー…続きまして4チーム目、現役援航巡……じゃなかった、最上型のツラ汚しとディスられつつもそれなりの実力と結果は常に挙げている鈴谷さんとエレガントの皮を被ったエセガント熊野さんの技巧コンビ」

 

チーム名:技巧コンビ

名前:鈴谷・熊野

ツープラトン:ダブルニーソクラッシャー

 

「そして続々と現れます5チーム目はプッツン駆逐艦姉妹、白露姉妹の中でも群を抜くプッツンぶりが目立つ2人、駆逐艦を超えた超肉体を村雨嬢とそれをチェーンで抑えきれるか!荒ぶる獣性と驚異の敏捷性を持つハードパンチャー夕立嬢のヘル=ズ・イクスパッションズ!」

 

チーム名:ヘル=ズ・イクスパッションズ

名前:村雨・夕立

ツープラトン:ヘルズゲートクラッシャー

 

「6チーム目、基地空母界から来てくれたッッッ!!魔界出身地獄育ち!ワルそうな空母はだいたい友達!ワルそうなヤツとだいたい同じ!裏の道歩いてきた最凶空母コンビ!闇に舞い降りた豪速の天才空母、赤城パイセン、背を追うヤツは容赦しない空母界の絶対王者、加賀パイセンだ!」

 

チーム名:レアキラーズ

名前:赤城・加賀

ツープラトン:なし

 

「続きまして7チーム目、素性!経歴!一切不明!謎の覆面コンビ、ジ・アドミラル!」

 

チーム名:ジ・アドミラル

名前:?・?

ツープラトン:?

 

「そして最後!!1番であることが義務付けられた1番星!白露姉ちゃんとストーカー規制法により白露ちゃんに接近禁止令が出されているハズの有明ちゃんの昔馴染みコンビです」

 

チーム名:昔馴染みコンビ

名前:白露・有明

ツープラトン:ギガンティックカタストロフ

 

「えー…以上の8チームが参加となりますが、どうでしょうか初春様、やはり注目はナガムツブラザーズでしょうか?」

 

「まぁ、力量で言えば確かじゃな、しかし注目となるとアレじゃな………ほら、アレ、あの変なの」

 

「クコココと変な笑い方でカクカクしてるあの変な覆面コンビですね、たしかに、ある意味注目を集めまくりです」

 

「なんなんじゃあやつら、艦娘か?」

 

「たぶん!よくわかりませんが、たぶん参加チームなら艦娘なんでしょう!たぶん!」

 

「たぶんを多用しすぎじゃ」

 

こうして集まったトーナメント・マウンテンに参加する8組のチーム達…

参加するチームはまず、最初の対戦相手を決めるべくクジを引く為中央リングへと集まった………

 

その時だったッッッ!!

 

『お〜っと、その抽選待ってくれまセンかネー?』

 

『仮にも最強タッグを決めるトーナメントに相応しいラインナップが必要じゃないかしら?』

 

突如として中央リングに降り立った2つの影!!いや、影と言うにはあまりにも豪奢な金髪と薔薇の香り!!

 

「ゲ、ゲェーッ!!アナタ達はーッ!!」

 

豪奢な金髪をぶわっと靡かせるフランスから来た自称最強戦艦、リシュリュー!!そしてそのリシュリューに肩車される形で不敵に笑う英国小淑女!ジャーヴィス!

 

「フフッ、観客席の皆さんもそう思っているハズよ」

 

「そーゆーワケで、弱体チームには大会の参加をご遠慮ねがおうカシラ?ねぇ?シラツユさんに、エー……えっと、名前なんだったかしら?アリ、アリ……なんとかさん?」

 

リシュリューとジャーヴィスから弱体チームと煽られた白露と有明は弱体チームだとォ!これはボク達仲良しコンビの名誉の問題だー!と、よせばいいのにつっかかった、そして…

 

グシャァッ!!!(地獄のコンビネーション)

 

『『ぐわああああああぁぁぁぁぁ!!』』

 

「フフッ、コレでわかってくれたかしら?」

 

「勝つのは私達……SUPER LOVERSネ!!」

 

チーム名:SUPER LOVERS

名前:リシュリュー・ジャーヴィス

ツープラトン:地獄のコンビネーション

 

「グゥゥゥム、初春様、コレ、アリなんでしょうか?」

 

「ま、アリでよかろう、どのみち8チーム必要なんじゃし」

 

「そうですね!では、初春様の許可もおりましたし、スーパーラバーズの参加を認め、改めてタッグトーナメントの抽選を始めたいと思いますっ!!」

 

 

こうして、ついにトーナメント・マウンテンの頂上を目指すタッグトーナメント決戦の火蓋はついに切って落とされたッ!!

 

 





【一回戦】
技巧コンビ VS ヘル=ズ・イクスパッションズ

ジーニアスファクトリー VS レアキラーズ

カミナゲーナズ VS ナガムツブラザーズ

ジ・アドミラル VS スーパーラバーズ


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カース・オブ・アドミラル奪還作戦 act.2

トーナメントマウンテン開始!一回戦、第一試合+第二試合

技巧コンビ VS ヘル=ズ・イクスパッションズ

レアキラーズ VS ジーニアスファクトリー



タッグトーナメント一回戦!!第一試合、最上型のツラ汚しこと鈴熊の技巧コンビと白露型のガンとディスられる夕村のヘル=ズ・イクスパッションズの激突!

 

まずは試合開始早々に熊野と夕立がパワー勝負とばかりにガッツリ手ぇ四つで組み合い、猛獣VS猛獣の純然たるパワーを比べ合うなどの好勝負が期待されたものの、試合中盤、夕立を追撃するべくパートナー鈴谷にツープラトンを提案した熊野だったが…

 

『あーっと!強烈ーッ!鈴谷さん!タッグパートナーであるハズの熊野さんに脳天直撃!ジャーマンスープレックスだーッ!初春様!コレはどーゆーコトでしょう?』

 

『まぁ、普通に裏切りじゃな』

 

突然のタッグパートナー裏切りに、夕立と村雨も動揺を隠せずにいたが、ここを勝機とみたか、村雨は夕立に一気にトドメを刺すぞ!とツープラトンの指示を飛ばし、村雨と夕立はそのキレーなお顔を剥いでやるぜー!と鈴谷にク●スボンバーを仕掛けるッッ!!

 

…………かッ!!!

 

「うっぎゃあーっ!!腕が!腕がァァァァ!!」

 

不発!!まさかのク●スボンバー不発!夕立は利き腕を破壊されてリングを転げ回った!!

 

「む、村雨ェ!!オマエ、ワザとズラしたっぽい!!」

 

「ワザとズラした?何のコトかしらぁ?」

 

まるで悪の女幹部のように手にした鎖を弄びつつニヤニヤと笑う村雨!そして…

 

「フッ、所詮は薄汚いケダモノ、誰もが羨むメインヒロイン様にはかなわねーじゃん?」

 

村雨と共にニヤニヤ笑う鈴谷!!

 

さらに村雨はリングに転がる夕立をブン投げ空中でエクスプロイダーに固め、鈴谷はトップロープ上で熊野をパワーボムに捕らえて落下してきた夕立と村雨を激突させてキャンバスに叩きつけた!!

 

「ガハァ!!!」

 

「ゴデュファ!!」

 

強烈なコンビネーションを被弾した夕立と熊野、そして、それを嘲笑うようにリング上でウェーイ!とハイタッチをかわす村雨と鈴谷!!

 

『あーっと!コレはどーゆーコトだー!!まるで互いのタッグパートナーを仕留めるように相手を撃破ーッ!初春様!コレはいったいどーゆーコトでしょうか?』

 

『裏切りじゃろ』

 

『なるほど!まさに掟破りの試合中にタッグパートナー変更!!ビッチ×ビッチならではの残忍な裏切りだーッ!』

 

掟破りのタッグパートナー変更劇ッ!!鈴谷と村雨は互いのタッグパートナーをまるで用済みだと言うかのように死体蹴りをブチ込み、リングから転げ落とした

 

「あはははっー!バカなヤツ!夕立!アンタみたいなケモノくさいボンクラとこの村雨が組むワケないじゃなーい!

たった今から私達はB・エロリューションズを結成したわ!」

 

「ペッ!反吐がでるぜ!」

 

第一試合

●技巧コンビ VS ●ヘル=ズ・イクスパッションズ

○B・エロリューションズ(試合中にタッグパートナー変更により)

 

◾️◾️◾️◾️◾️

 

一回戦第二試合、奇跡の超バカな子コンビ、清霜とリベッチオによるジーニアスファクトリーVS残忍!残酷!残虐!最恐最悪の空母コンビ、赤城と加賀!!

 

『さぁー始まります第二試合、初春様、この対戦カードはやはり無敵の赤城さん加賀さんに有利と見ますか?』

 

『さてどうじゃろーな』

 

空母VS駆逐艦、マトモにヤり合えばやはり空母有利かと会場中にも漂う空気、しかし!!そんな空気をモノともしないとアホの子清霜とリベッチオは子供特有の柔らかい身体をグイグイ曲げてストレッチに徹していた…

 

「キヨシ!リベ、この戦いが終わったら学校行くよ!あとピッツア食べたい!本物のマルゲリータ!」

 

 

『あーダメです、リベッチオちゃんから死亡フラグが飛びだしました、これはダメです』

 

『うむ、これはダメじゃな』

 

「赤城サン、加賀サン………この戦いのキャッチコピーを知ってる?………核兵器VS竹ヤリ」ニマァ…

 

『あーダメです、リベッチオちゃんに続いて清霜ちゃんも死亡フラグです、これは完全にいけません、どうでしょう初春様』

 

『そうじゃのぉ、力の差は歴然、ま、イッパツに期待といったところじゃな』

 

『なるほどー』

 

 

着々と死亡フラグを積み上げるキヨリベ組とは対照的に、コーナー付近でチューインガムをプーっと膨らましつつゲラゲラ笑うアカガ組…

そして!いよいよ試合開始のゴングが鳴ろうとしていたその時ッッ!!

 

『『その試合!ちょっと待って貰おうかーッ!』』

 

突如、リング上に謎の2人が駆け上がってきて清霜とリベッチオに強烈なドロップキックをぶち込んだ!

 

「ぐへぁ!!」

 

「ガハァ!!」

 

リングに駆け上がってきた謎の2人組はフード付きマントを脱ぎ捨てマイクを手に取った!!

 

「タッグトーナメントに参加するのは完璧艦娘であるこの私!ビューティー・明石と!」

 

「ヘルシー・夕張の!」

 

「殺人前戯コンビよ!!」

 

殺人前戯コンビと名乗った2人組はマイクをリング外に投げ捨て、ドロップキックで転がったリベッチオに対し、ビューティー・明石が必殺のア●ル・カタストロフ・ドロップでさらにダメ押しのダメージを与えたッッ!!

 

「ウギャア!キヨシーッ!」

 

グシャアッ!!(ア●ル・カタストロフ・ドロップ)

 

「リベッチオーっ!!クッ!」

 

リベッチオ 【再起不能(リタイア)

 

「フッ、これでわかったかしら?」ニマァ…

 

「たかがお子様が完璧(パーフェクト)艦娘である私達に勝てるハズはないのです」キリッ!

 

 

『なんと言うことだーッッ!!まさか試合開始前に清霜ちゃんとリベッチオちゃんのコンビがなすすべもなく惨殺されてしまいました!』

 

『まぁ、キヨシはまだ生きておるがのぉ』

 

『これではタッグ戦を戦うことができません!』

 

 

まさかの試合開始直前に闇討ち!完璧(パーフェクト)艦娘を名乗るビューティー・明石とヘルシー・夕張…

 

「オイオイ、ゴング前にナニしてくれんだコラ?」

 

「空気読めねーのかタゴサクどもが…アァ?」

 

赤城と加賀はナニ舐めたコトしてんだテメーらはメンチ切りつつ殺すゾ?と殺気を放つ!!

 

「フッ、お子様コンビではいささか相手に不足があったでしょう?」

 

「我々、完璧(パーフェクト)艦娘が下等どもに制裁を加えてやりますよ!」

 

大胆にもアカガ組に挑戦状を叩きつけたビューティー・明石とヘルシー・夕張はヘイヘイカマーンとリング上で挑発し…

 

「あ?ヤってみろコラ?」

 

「明日のチョーカン載ったゾ、テメーら…」

 

 

『初春様、コレ、どうしたらいいんでしょう?』

 

『ま、不戦勝もアレじゃし、ゴングでよかろう』

 

こうして、赤城&加賀によるレアキラーズVSビューティー・明石&ヘルシー・夕張によるデスマッチが幕を開けたッッッ!!

 

→ → → → →

 

「ず……ずびまぜんでじた……」

 

「も、もぉ…カンベンして、してくだぞい…」

 

試合開始のゴングから僅か5分後、ビューティー・明石とヘルシー・夕張は血反吐とゲロをブチ撒け、リングに転がっていた…

 

『惨殺ーッ!!!レアキラーズ!まるで容赦のないボコり方で殺人前戯チームを惨殺だァァァァ!!かつてここまで敵に容赦のないチームがあったでしょうか!?まさに冷酷!まさに冷血漢!』

 

『いわゆる、公開処刑と言うやつじゃな』

 

ゴング開始早々、ドロップキックを放ってきたビューティー・明石を右フックで撃墜、さらに撃墜したビューティー・明石に対し地獄スタンプからの肋折りの儀式

カットに入ろうとしたヘルシー・夕張は背後からパイプ椅子であんなチンケな技で一航戦様にタテつくとは上等だよと殴打され、さらに顔面にサッカーボールキック…

 

「フーッ〜……オイ、土下座しろ」

 

「ヒューッ!赤城サン、マジ鬼畜」

 

 

『初春様、これはもう決着でいいんでしょうか?』

 

『そうじゃな、ゴングじゃ…』

 

 

決着ッッッ!!そのゴングが鳴らされようとしたその時、リングに転がっていたヘルシー・夕張はフラリと立ち上がった…

 

「クッ、ククク…!赤城サンと加賀サン、完璧(パーフェクト)艦娘を倒したと思っているかもしれませんが、このタッグトーナメントには私達完璧(パーフェクト)艦娘の首領(ドン)が参加しているのです!」

 

「あ?」

 

「あ、あの方に……!!あの方に下等艦娘が勝つことは絶対に………」

 

コカーン!!(股間蹴り)

 

「ひぎぃ!!………あこがががか…」

 

ヘルシー・夕張 【死亡】

 

「誰が下等だっーの」

 

「フーッ〜………そのまま死ね」

 

 

第二試合

○レアキラーズ VS ●ジーニアスファクトリー(不戦勝)

○レアキラーズ VS ●殺人前戯コンビ





戦慄!!完璧艦娘の首領!


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カース・オブ・アドミラル奪還作戦 act.3

一回戦、第三試合!

ついに正体を明かす完璧艦娘の首領!

ジ・アドミラル VS スーパーラバーズ!


第三試合、トーナメント開始直前、白露&有明コンビを惨殺し突如としてトーナメントに名乗りを上げたキンパツの悪魔、リシュリューとジャーヴィス!

そんな彼女たちの対戦相手は未だ謎のベールに包まれた覆面コンビ!ジ・アドミラル!

 

そしてついに!謎のベールに包まれたジ・アドミラルがその正体を現す時が来たッッッ!!

 

「喰らいなさい!薔薇の洗礼!ピラ●アンローズ!」

 

ゴングと共に飛び出したリシュリューの先制攻撃は覆面1号ことアドミラル1号の胸をマントごと貫くッ!!しかしッッッ!!

 

「ククク…その程度で勝ったつもりでいるとはな」

 

「Quel?なんですって…!」

 

「そんなヤワな花ビラ、痛くも痒くもないわーッ!!」

 

アドミラル1号は着ていたフード付きマントをバリバリバリィィ!!と脱ぎ捨て、ついにその正体を現す!!

 

『ゲェーッ!ついに謎の覆面艦娘!ジ・アドミラルの正体があらわになったーッ!!………って、誰ですか?アレ?』

 

『さぁ?妾に見覚えはないのぉ』

 

『見覚えがない……う〜ん、青葉の手元にある艦娘図鑑にも載っていません、ジ・アドミラルとは一体何者なんだーッ!』

 

肩より少し長くトゲトゲしくハネた黒髪、全体的に見ると可愛いらしさと言うよりは美しさといった印象を受ける美女…

姿を現したアドミラル1号はリシュリューに強烈なローキックを叩きつけ、リシュリューはあまりの痛みにリングを転げ回った!!

 

「フッ、下等艦娘が完璧であるこの俺にタテつこうなど……100年早いわーッ!!」

 

アドミラル1号はリングを転げ回るリシュリューを掴んで持ち上げ、リシュリューの両膝を己の両膝に勢い良く叩きつけて両足を破壊した!!

 

『ゲェーッ!あれはダブルニークラッシャー!!』

 

『ふむ、テイトクがよく好んで使う技じゃな』

 

『これはいったいどーゆーコトだー!アドミラル1号!テイトクお馴染みの必殺技を使っているー!!』

 

アドミラル1号は右手でメガネをクイッとあげ、さらにリシュリューのストマックをクラッシュした!!

 

「ゲボォ!!」

 

「Richelieu!touch!ヘイ!touchネ!」

 

「クッ…!なんてヤツ…!Jervis、気をつけなさい!アイツ、かなりヤるわよ!」

 

「OK!目にモノ見せてやるカラ!」

 

両足とストマックをクラッシュされたリシュリューはなんとかジャーヴィスにタッチすると、ジャーヴィスはアドミラル1号を警戒し、まずは円を描くようにアドミラル1号との距離を取った

 

「フン、来ないか…まぁいい」

 

アドミラル1号は自らリングを降り、タッグパートナーであるアドミラル2号にタッチした

 

「フーッ〜……コレ、もう脱いでいいさね?」

 

アドミラル2号がフード付きマントを脱ぎ捨て、その正体を現した!!

 

『ゲ、ゲェーッ!!あ、あの方はーッ!!』

 

『ほぉ、よもやよもや…』

 

ついに姿を現したアドミラル2号の正体!!その正体は会場中をどよめきと共に戦慄させるッ!!そんな中、アドミラル1号はコーナーポストによじ登るとマイクを手にした

 

「我々こそ完璧艦娘!ジ・アドミラルこと、えー……なんだっけ?あー…アレだよ、アレ、俺は影船八番艦!フ●ン・ガンマ・ビゼン!そしてタッグパートナーのビッグ・ザ・ママ!」

 

『か…影船?あの、初春様、影船ってなんでしょうか?青葉の知らない艦種でしょうか?』

 

『ふむ、影船か…』

 

“影船”とはッッ!!

“海の一族”の守護神とも呼ばれる海王直属の軍艦であり、船体はおろか帆まで黒く塗装されていることからこの名で呼ばれているッ!原型機であり零番艦を除くと七隻が存在し、それぞれが七つの海の海将を監察する役目を持つと言う…

 

『…と、こんなものでよいかの?」

 

『ハイ!初春様の有難い解説ありがとうございます!なんかところどころよくわかりませんしツッコミどころしかないですがありがとうございます!』

 

影船八番艦を名乗る謎の美女、そして最凶一航戦ですら頭を垂れると噂されている空母界の真の頂点にして絶対支配者、ビッグ・ママこと鳳翔…

 

「ビッグママだろーがスカイママだろーが知ったコトあるかー!!Darlingにイイトコ見せる!そう!ワタシはLucky Jervis!」

 

「フーッ〜…元気な子さね」

 

「死ねッ!!ババアー!!」

 

怖いもの知らず!!ジャーヴィスは身を低く低空からテイクダウンを奪うべくタックルを…

 

ゴスッ!!(クソ長キセル)

 

「アガッ!!?」

 

「誰がババアだい、あ゛?」

 

 

『ジャーヴィスちゃん!よせばいいのにわざわざ自ら死に行ったァァァァ!!これは立てない!ジャーヴィスちゃん!たったイッパツでKOされたァァァァ!!』

 

 

武装色を纏ったであろうキセルの一撃をまともに被弾し、ジャーヴィスは頭からドクドク血を流しつつ白目を剥いて転がった…

 

「Jervis……クッ!カタキは討つわ!」

 

既に両足とストマックを破壊され、半死半生の状態だったリシュリューは、タッグパートナーを惨殺された怒りを力に変え、再びリングへと舞い戻る!

 

しかしッッッ!!

 

「バカめ!自ら死にに戻るとは!!喰らえ、溢れる知性の必殺技を!」

 

「な!?ガハァ!!」

 

ビッグ・ザ・ママから素早くタッチしたフ●ン・ガンマ・ビゼンは飛び込んできたリシュリューを高く蹴り上げ、まるでサッカーボールをヘディングするように何度も頭突きでリシュリューの身体を空高くまで上がったと同時に自らも飛び、空中でリシュリューの両腕と足を極めた逆さまの状態でガッチリと固定し落下を開始したッッッ!!

 

『ゲェーッ!!あ、あの技はー!!テイトクリベンジャー!』

 

『ふむ、テイトクがやたら使うアレじゃな』

 

海軍三大奥義!テイトクリベンジャーが炸裂し、マットに叩きつけられたリシュリューは盛大に吐血するとリングに転がった…

 

「グッバイ!リシュリュー!」

 

「ゴハァ!!!」死ーン

 

 

『決まったァァァァ!!完璧に決まりました!これは立てない!ジャーヴィスちゃんに続きリシュリューさんも処刑完了!勝ったのは完璧艦娘を名乗るコンビ!ジ・アドミラルだー!』

 

 

第三試合

●スーパーラバーズ VS ○ジ・アドミラル

(15分2秒 テイトクリベンジャー)

 

 

ーーーーー

 

「フッ、ジ・アドミラルか……なかなか手強い相手のようだな」

 

「そうねぇ」

 

次の試合を待つ長門と陸奥は観客席から今の試合を観ており、長門はこれはなかなか警戒が必要だなとイマイチ興味がなさげな妹の陸奥に言って聞かせていた…

 

「と言うか、私としてはあっちに座ってる五月雨ちゃんがさっきからメチャメチャ笑ってるのが気になるんだけど?」

 

「サミ…?あぁ、秘書艦のサミ……髪の長いのか」

 

「そ、なんか今の試合……あの、なんたらガンマビゼンってのが出てきてから膝をバシバシ叩いて笑ってるのよ」

 

「ふむ、知り合いか?」

 

「さぁ?でも、珍しく大爆笑してるわ」





一回戦最終戦!
優勝候補No.1、ナガムツブラザーズ出陣!


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提督と鈴谷と通常営業【その7】

Act4………ではなく、お話を書く勘を戻すべく微調整のお話

活動報告にも書いてますが、ちょっと環境に変化がありましてスロー気味ですって

【登場人物】

提督(ビジネスマン)
二式大艇スゲー!デケェ!

鈴谷(自称メインヒロイン)
カレー好き、毎日カレーでも飽きない本格派


人も物事も時代も動く新しい季節、同じ日はない、たった一度の春と言う日に自分には何ができるのかと真摯に考えた結果、どうすれば浜風ちゃんのパイオツを揉みしだく事ができるのか?その、あまりにも難解な問題について考えていると、執務室の重厚な扉が勢いよく開いた

 

「ティーッス、鈴谷が遊びに来ましたよぉ〜…テイトク!カレー食いに行こうぜ!カレー!」

 

「やだよめんどくさい、そもそも俺、昨日カレー食ったから今日はカレーの気分じゃねーんだよ」

 

「ガッデム!!誰と食いに行ったし!熊野か!?」

 

「何で俺が熊野とカレーなんか食わにゃならんのだ、自分で作って自分で食ったんだよボケ、だからオマエはビッチなのだよ」

 

「ビッチじゃねーし、ってかテイトク、カレー作れるんだ?」

 

嘘である、いや、まぁ、カレー作れるのは嘘ではないが、昨日カレーを作ったのは俺の私室に寄生している寄生型メイドの春雨イドである

 

「だからなんだと言うのだ?わかったら去れ、今なら命は取らん、無益な殺生は好まぬ」

 

「ふ〜ん、ま、いいじゃん、カレー食いに行こーぜ!」

 

「オマエ、俺の話を聞いてたか?」

 

「聞いてるし、昨日カレー作って食ったんでしょ?それはそれ、これはこれじゃん?」

 

「ふむ」

 

コイツのカレーに対する異常な執念にはたしかな信念がある、たしかにその心意気は買おう、だが、今日の俺はカレーが食いたくない

互いの信念と信念がぶつかり合うとすれば残るのはどちらか一方のみ…

 

「今こそ汝が右手に…」

 

ザザッと!!(緊急回避)

 

「いきなり本気バイトはマジやめて!マジで!」

 

「一瞬で俺の射程外に出る良い判断だ、褒めてやろう、きなさい、頭を撫でてやる」

 

「や、鈴谷、ガキじゃないんで頭を撫でられてゴキゲンになるほど安い女じゃないし」

 

「なら尻を撫でてやろう」

 

「ヘンタイ!!っーか尻撫でられて誰が嬉しいんだっーの!!」

 

「ふむ、まぁいい、とりあえず俺はカレーの気分じゃないのでカレー食いたきゃ熊野とでも行け、熊野と」

 

「や、その熊野は今日は朝からどっか行っていないじゃん?なんか昨日、自分のズイウンぶっ壊して帰ってきてたし、修理屋にでも行ってんじゃね?」

 

「ふ〜ん」

 

そういや昨日、秋津洲クンがズィーピーディーのリアルを教えてやるかも…とか言いながら悪い顔して歩いてたな

 

「ま、熊野のコトはどーでもいいじゃん、今は鈴谷のターンだし」

 

「何が鈴谷のターンだ、オマエに次のターンはない」

 

鈴谷のボケナスはヘラヘラ笑いつつ執務机によっこらセブンスターとか言って座り、ねー?行こーぜー?鈴谷もうガマンできないんだよねー?ねー?と馴れ馴れしく俺の肩を叩いた

 

「息が臭い、喋るな」

 

「臭くねーし、ってかテイトクの方が臭くね?タバコ臭?加齢臭?」

 

「そもそもビッチクセーんだよ、テメーは、だいたいなんだ?あ?誘ってんのか?」

 

「だーかーら!誘ってんじゃん!!」

 

誘ってんのかよッッ!!………いや、そうだな、カレー食いに行こうってな、うん

 

「だが断る」

 

「漫画家か!」

 

「漫画家じゃない、提督だ」

 

「クッ!ナニがなんでもこの誰もが羨むメインヒロイン鈴谷様の誘いを断る気とは…っ!」

 

「何が誰もが羨むメインヒロインだビッチが、オマエ程度の負け確ヒロイン、俺が現役の頃はゴロゴロいたぜ」

 

「負け確じゃねーし、勝ち確だし」

 

コイツ、何をもって自分が勝ち確と信じるのか……

己の勝利を絶対的に、決して疑わぬ強い心…!フッ、どうやら舐めていたのはこの俺だったらしい

 

「良かろう、ならばこの俺も全力をもってオマエを迎え撃つのが礼儀」

 

「や、全力はちょっと………あー、ちょい手加減してくれる感じで?や!やっぱかなり手加減してくれる感じで?」

 

俺は鈴谷の顔面を掴み、執務室の壁に勢いよくクラッシュした!

 

グシャァッ!!!

 

「手加減?手加減ってなんだぁ?」ニマァ…

 

「ガハァ!!ちょ…!マジか、コイツ!手加減の意味ワカってねぇし!!」

 

「俺はおばあちゃんっ子だからな、昔からおばあちゃんからビッチに手加減するなって言われてるんだ」

 

「クッ!!恨むぜおばあちゃん!!っーか鈴谷ビッチじゃねーし!!」

 

「やかましい、どうせ趣味はパパ活だろーが!」

 

「パパ活とかしたコトねーし!ア●カツすらしたコトねーし!」

 

「ウソつくんじゃないよこの娘は、じゃあなんだ?オシャレ魔女世代か?あ゛ぁ?」

 

「あー……そのカード、昔、姉ちゃん達が持ってたし」

 

「マジか」

 

もがみんとくまりんこ、オシャレ魔女世代なのか…

 

「なんか村に1台だけあったらしーよ、虫のやつも」

 

「そうか…」

 

そういや前に木曾も昔、北上と大井がいっぱい持ってたと言ってたな…流行ってたのだろうか、村で…





次回はAct4、たぶん


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カース・オブ・アドミラル奪還作戦 act.4

だいたい落ち着いた感じになったのでダラっと再開ですの

【登場人物】

ナガムツブラザーズ
長門と陸奥の力と技の姉妹コンビ、投げ技は基本的には投げる+極める+折るを同時に行うのがデフォ

カミナゲーナズ
五月雨と由良さんの古参コンビ、その実力はあくまでも軽巡駆逐艦の域を出るわけではないものの、不気味なものを漂わせている


一回戦第四試合ッ!!

最有力の優勝候補が登場するこの試合は前三試合よりも注目度が高く、そして、客入りも多い!

 

『さぁー!始まりました第四試合!注目の優勝候補、ナガムツブラザーズが登場するこの試合、ナガムツブラザーズに対するはこれまた異色のコンビ!基地最古参のレジェンドファイター!五月雨ちゃんと由良さんだーッ!』

 

両チーム、定刻通り堂々のリングインに歓声が増す会場!勝つのは最強姉妹コンビか、それとも最古参コンビか、会場の期待だけが高まっていた

 

『至高のツープラトン、ナガムツドッキングが炸裂すれば見開き即死率100%を誇るナガムツブラザーズ、対してやたらと古い資料しかなく、その実力も曖昧なカミナゲーナズ、初春様、この試合はどうみますか?』

 

『まぁ、平たく言うと戦艦VS軽巡・駆逐艦……圧倒的な実力差があるのは事実、しかし……艦娘の戦いにおいて艦種の差が絶対的な優劣でないのもまた事実』

 

『それはつまり…』

 

『艦娘の勝負を分けるもの、それは即ち………小●宙(コ●モ)の大きさにあろう』

 

たとえ駆逐艦であっても限界まで小●宙(コ●モ)を燃やせば遥か格上である戦艦をも倒せる…ッ!これは既に常識…

 

時間は既に待ったなし!両チーム、先鋒がリングへと上がる!!

 

◾️◾️◾️

 

「フッ、まさかオマエ達が相手とはな…」

 

ナガムツブラザーズ、先鋒でリングインするのは長門ッ!!大和型、金剛型、Iowa級……世の中には強いと呼ばれる者が多く居り度々議論の肴となる………が、皆、最後には口を揃えてこう言う…

 

“ま、ステゴロならナガトでしょう…”と…

 

「長門さんかぁ〜…さすがに正面からはヤり辛いかな〜…ね?」

 

カミナゲーナズの先鋒は提督との付き合いだけは長い古参軽巡、由良…

 

「由良さーん、プランBでお願いしますねー、プランB」

 

「ハイハイ、プランBね」

 

相棒である五月雨から“プランB”なる謎の指示を受けている由良はめんどくさげにヒラヒラ手を振って応え…

 

「プランB……ねッ!!」

 

ドンッ!!!(足刀)

 

「うぅ…!!なかなか強力だ!」

 

ゴングが鳴る前に長門に強烈な跳び足刀を叩き込む……が!!長門はこれはガードしていたッ!!

 

「ゲッ、やっぱ硬いわ」

 

「だが所詮は軽巡の蹴り、この戦艦長門をグラつかせるには………10年早いわーッ!!」

 

長門は由良を弾くとコレが本物の蹴り!そして本物の拳と強烈な豪打で一気呵成に前に出る!!まともに被弾すれば一撃死すらあり得る戦艦長門の打撃…ッ!!

 

「チッ、コレはさすがにヤバいかも…ね!」

 

長門の剛腕を避けつつカウンターの隙を狙う由良、当たればタダでは済まない事が必至の中、それでも由良の目は死んではいない!

 

「ッ、死ねッッ!!」

 

豪打の中に見えた隙に喉を狙う必殺の貫手を放つ由良、しかし!!

 

ズシャアッ!!!

 

「…裏蛇破山 朔光」

 

長門は由良の貫手に自分の拳をぶつけそのまま上に流して突き上げるように鳩尾に肘を叩き込んだッ!!

 

 

『エンメイリュウだァァァァ!!その圧倒的なパワーだけが注目されがちな長門さん!しかしその実は多彩な技を使いこなす技巧派でもあります!と言うか、第四試合にして初のまともな試合です!初春様!』

 

『あやつめ、技を使わせたか…』

 

『基本的にはエンメイリュウの技は使わない長門さんですが、なるほど……それだけ由良さんが警戒すべき相手と言うワケですね!』

 

技の精度は陸奥にも決して劣らない、いや、むしろ破壊力だけならば陸奥を上回るであろう長門の技…っ!

 

 

「カハ…ッ!っっっ痛ッ!ホント痛い」

 

「手応えが少々足りなかったが、ふむ……さすがにやるな」

 

「それはどーも」

 

「だが、やはりこの戦艦長門相手に軽巡1人ではフェアではないな、そこの青髪ロング子、リングに入れ、二人がかりで構わんぞ」

 

最大最強の戦艦に対し、格下相手の1対1はフェアではない…

絶対的な自信、そして実力が長門にはある

 

「遠慮しておきます」

 

………が!拒否!五月雨、長門から二人がかりでかかって来いよとの提案を拒否!

 

「あまり由良さんを舐めない方がいいですよ、その人、口悪いし、性格悪いし、すぐキレるし、ヤンデレだし、人間のプリミティブな部分を集めて煮込んで混ぜ合わせた最低最悪の艦娘ですから」

 

「ハァ…!?ちょっとサミー子、今ちょっと聞き捨てならないコト言ったわよね?今、由良を褒める流れで普通にディスったわよね?ね?」

 

「別にディスってないですよ、ほら由良さん、プランB、プランB!ママが見てる!」

 

「クッ…っ!チッ、サミー子、あとでチョコレートパフェ奢りなさいよ?ね?」

 

◻︎◻︎◻︎

 

「フーッ〜…あの娘ら、いつからあんな仲悪くなったのかねぇ、BOY…」

 

「BOYじゃない、ファン・ガンマ・ビ●ンだ」

 

観客席の上段で試合を眺めるジ・アドミラルの2人は、環境と周囲に配慮した観客喫煙所へと来ていた

 

「フーッ〜…で?勝てるのかい?あの娘らは?」

 

「負けるでしょう、何故ならもしこの試合に勝ちでもすれば次の対戦相手は我々、つまりはママとヤるコトになる…」

 

ファン・ガ●マ・ビゼン曰く、五月雨と由良はママにだけは絶対に逆らわないし、絶対に喧嘩を売ったりはしない、これは既に常識なのだと…

 

「ママが見てる以上、ヤる前から降参は出来ない、そしてあまりハンパな試合をしたら怒られるかもしれない、とりあえずそれなりにいい感じに試合して、いい感じに負けとこう………どうせそんな考えでしょう、プランBってのは」

 

「フーッ〜…なるほど、さすが、あの娘の考えるコトはよくわかるワケかい?」

 

「舐めんなよババア、アレは俺が選んだ秘書艦だ」

 

用意されたレールの上の海軍人生、自ら選び取るものなどなかったが、秘書艦だけは自分で選んだ

 

「誰がババアさね!!」

 

ゴスッ!!(クソ長キセル)

 

「痛い!!」

 

◾️◾️◾️

 

「フッ、この戦艦長門を相手によくやっていると褒めてやろう………だが、そろそろお遊びはおしまいだッ!!」

 

長門は身を低く構え、低空から一気にダッシュして由良からテイクダウンを奪うと由良の両脚を掴んだまま高く!上空へと跳んだ!

 

 

『あ、あの体勢はーッ!!長門さん必殺の必殺技(フェイバリット)!ナガトドライバーへの動作(ムーヴ)だーッ!』

 

『完璧な入りじゃな』

 

『これは決まるか!これは決まってしまうのか!!あの由良さんでもコレはさすがに返せない!!今、勢いよくナガトドライバーが勝利に向かって落下を開始したァァァァ!!』

 

 

「死ね!!ナガトドライバー!!」

 

「クッ!さ、さすがにコレは抜けれな…ッ!」

 

勢い良くリングへと落下するナガトドライバー!!そしてリングへ激突しようとしたその瞬間!!

 

ダッ!!!(ダッシュ)

 

リングの着弾地点に、リング外から飛び込んで来た五月雨がまるで由良をリングへの激突から守るように覆い被さった!!

 

ズガアァン!!!(ナガトドライバー)

 

「ガハァ!!」

 

「ぐふっ!!」

 

しかし!!必殺の破壊力を持つナガトドライバーの破壊力は絶大!結果として、ナガトドライバーで由良と五月雨、二人を撃破!!

 

「ぬ…ぬぅ、まさか身を呈してまで相棒を守ろうとするとは…」

 

 

『決まったァァァァ!!ナガトドライバー炸裂!身を呈して由良さんを守るべくカットに入った五月雨ちゃんごとナガトドライバーで粉砕したァァァァ!』

 

『決着じゃ…』

 

『そして決着ゥゥゥゥ!!ナガムツブラザーズVSカミナゲーナズ、勝利は王者ナガムツブラザーズだーッ!しかもこの試合なんと!タッグマッチだと言うのに長門さんたった一人で相手を倒してしまったーッ!おそるべき大戦艦!おそるべき戦艦長門!まさに優勝候補No.1に相応しい実力を見せつけてくれました!この試合、どうでしたか初春様?』

 

『うむ、見事な勝利、そして負けたカミナガーナもタッグを見捨てぬ見事な敗北じゃ』

 

『ありがとうございます!あ、今、負けた由良さんと五月雨ちゃんも互いに肩を組み手を振っています、美しい光景です!実に友情に溢れた素晴らしい光景です!』

 

………こうして、ナガムツブラザーズ VS カミナゲーナズの戦いはナガムツブラザーズの勝利に終わった

 

そして………

 

「五月雨ちゃ〜ん、残念だったわねぇ」

 

「陸奥さん…」

 

笑顔でリングを降り、控え室へと続く通用口で、馴れ馴れしいんだよボケと五月雨と由良が罵り合っていると陸奥が声をかけてきた

 

「私としてはアナタとちょっとヤってみたかったけどね」

 

「冗談やめてくださいよ、陸奥さんとなんて勝負にすらならないですよ」

 

「そっかなぁ〜……ルールの範囲で汚いコトさせたら五月雨ちゃんかなりタチ悪いのお姉さんよく知ってるんだけど?」

 

「失礼な、それは私の得意分野じゃないですよ」

 

 

第三試合

○ナガムツブラザーズ VS ●カミナゲーナズ

(29分28秒 ナガトドライバー)

 




次回は二回戦!!

B・エロリューションズ VS レアキラーズ
ジ・アドミラル VS ナガムツブラザーズ


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カース・オブ・アドミラル奪還作戦 act.5

二回戦第一試合、ヒール VS ヒール

【登場人物】

B-エロリューションズ
鈴谷と村雨による新たなるタッグ、ツープラトン技の肉便キングダムはナガムツドッキングにも匹敵するとかしないとか

レアキラーズ
最凶空母一航戦コンビによるタッグ、最近、翔鶴姉ぇに宇宙のパワーが守ってくれるお守りを売りつけて金回りがいい


タッグトーナメント二回戦第一試合

一回戦、タッグパートナーの裏切りで試合中にタッグ再結成!冷酷・冷徹・冷血を体現する悪魔的タッグ、B-エロリューションズ VS たとえ相手が女子供だろうが向かって来る者には容赦しない、残酷・残忍・残虐の権化、レアキラーズの悪魔VS悪魔の悪魔的ファイト!

 

「鈴谷はオマエ以上に勝利が欲しいじゃんーッ!」

 

「ア゛ァ?誰に意見してんだテメェ…?」

 

先ずリングに上がるのは難攻不落のビッチ兵の異名を持つ鈴谷と恐怖の一航戦の左の人、加賀ッ!!

 

「ヘイ!ヘイ!鈴谷!天使のように大胆に!悪魔のように大胆にだーッ!」

 

「ヘイヘイ、わかってるっーの」

 

事前に打ち合わせた鈴谷と村雨の作戦…

たしかに一航戦はヤバイ、ハッキリ言ってヤバイ、まともにヤリ合えば無事では済まない、っーか良くて全殺し、悪くて全殺しの後に念入りに全殺し…

 

しかしそんな無敵の一航戦にも必ず付け入る隙はある…ッ!!そう考えた鈴谷と村雨はこれまでのデータを徹底的に洗い直し、一つの活路を見出していた…

 

アウトレンジから放たれるそのスピードと威力は速吸クンの流星拳の比ではなく、もはや光ったと思ったら死んでいたレベル、しかし、閻魔の一航戦と言えどやはり………空母ッッ!!インファイトにさえ持ち込めば勝機は十分にあるッッ!!

 

「クタバレこのクサレ空母どもがーッ!!」

 

試合開始のゴングと共に勢いよく飛び出す鈴谷!とにかくインファイト!組み付きさえすれば勝てる…っ!

 

「ハ〜……舐めてんのか?」

 

「死ねッ!!」

 

先ずは先制の跳びスクリューキッ……

 

バシッ!!!(完全ガード)

 

「な、ナニぃ!?」

 

先手必勝の跳びスクリューを迎撃され、リングに転がった鈴谷に、加賀の打ち下ろしの肘がモロに鈴谷のお腹に突き刺さった!!

 

「ゲボォ!!!オ、ォォ……オボォ……」

 

「オイオイ、まさかこの程度でくたばんなよコラ?オマエさっきなんっつた?あ?クサレマ●コったろーがコラ?あ?頭にキてんだよ」

 

加賀は鈴谷の身体を持ち上げ、強烈なアルゼンチンバックブリーカーで締め上げるッ!!

 

ギリギリギリギリギリギリ!(アルゼンチンバックブリーカー)

 

「うっぎゃあああーッ!!痛い!マジ痛いィィィィィ!!ちょ、痛っ!ってか力強っ!いや、マジ強い!!」

 

「コイツはメチャ許さんよなぁ〜…」

 

正規空母 加賀…

閻魔の一航戦、鬼の二航戦、奴隷の五航戦、基地空母界鉄の縦社会の頂点に君臨するその出自は少し変わっている

その理由は大きく分けて2つ、まず、彼女は海軍への入隊時、通常ならば入隊試験を受けるのだが、彼女にはそれがない

彼女は自ら入隊を志願したのではなく、今は半ばボケ老人と化している海軍伝説のスカウトマン、中尊寺金色之介(98)がスカウトしてきた人材である

 

中尊寺はまだ野にいた加賀に目を付けると足しげく彼女のもとに訪れ、そして、加賀と言う怪物を獲得したのである

 

そして、彼女が他に類を見ない例であるもう1つの理由

中尊寺は彼女を“戦艦”としてスカウトしていたにもかかわらず、彼女は“空母”として配属を希望したのだッ!!

彼女の持つパワー、スピード、タフネス、残忍性、狡猾性、凶悪さはまさに戦艦に相応しいと考えていた中尊寺もこれには目を白黒させたが、加賀は空母としても高い素質を見せ、スカウトも上層部もやはり天才はいるものだと悟らざるを得なかった…

 

ちなみにこの件に関し、後年、定年退職間際の中尊寺が加賀に何故戦艦ではなく空母だったのかを尋ねたところ、加賀は幼馴染でダチの赤城が空母で1番獲る方がオモシレーだろ?と誘われたからだと答えたと言う…

 

『あやつにインファイトを挑むのは戦艦に挑むに等しい、それはつまり、自殺行為じゃ…』

 

『なんと言うコトだァァァァァァァ!!インファイトなら勝機があると踏んだ鈴谷さん!これはとんでもない誤算だったー!!』

 

しかし!加賀の剛力アルゼンチンバックブリーカーに捕まっていた鈴谷を救うべく、村雨がリングへ飛び込んできたッ!!

 

「喰らえ!村雨のチェーン!!サンダァァァァウェーブ!」

 

「痛てっ…っっ」

 

「グハァ!!」

 

村雨のチェーンで若干ロックが緩み、アルゼンチンバックブリーカーから解放された鈴谷はリングをゴロゴロと転がった

 

「ハァ…ハァ…す、すまねぇ!助かったぜ相棒!」

 

「フッ、いいってコトよ!だって村雨達はタッグパートナーじゃない」

 

鈴谷と村雨は一旦リングぎわへと下り、改めて態勢を整えるべく、まずは大ダメージを負った鈴谷からノーダメージの村雨へとタッチする

 

「次に死にてーのはテメーか?アァ?」

 

「フッ、あまり村雨を舐めないコトね……周りをよく見てみなさい!」

 

「ア゛?」

 

リングの中に、まるで村雨を中心に円を描くように敷かれた鎖!!

 

「そのチェーンの内側に一歩でも踏み込めば最後!10億ボルトの電流で敵を焼き尽くすのよ!」

 

「…ハァ?」

 

「さぁ…このチェーンの内側に入ってくる覚悟があるなら入ってきな………ぶべらぁ!!」

 

正規空母 加賀…

戦艦でスカウトされた彼女には空母の才能もあった、その才能は、闇に舞い降りた天才と称される空母、赤城にも匹敵する…

 

まるで見えない拳に顔面を殴られたかのように転倒した村雨は白目を剥き鼻血をドクドク流しつつパンツ丸出しの姿で転がった…

 

「バカかオマエ、いや、スマン、っーかバカだったな」

 

加賀はリングに転がる村雨の両足を掴み、自分の右足を村雨の股間にあて…………力強く揺らした

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

 

「ギャアアアアアアアアァァァァァァァァ!!」

 

所謂、電気あんまである…

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

 

「ヒギイイイィィィィィ!!無理!無理無理無理無理ぃ!負け!負けました!む、村雨の負けですっ!村雨の負けで…ギャアアァァァァァァァァ!!ごめ、ごめ…!ゆ、許し……許して!もぉ、ホント…!アヒィィィィィィ!!」

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

 

「な、なんでぇ?!なんで、村雨謝って…!ンギィ!!許して!許してください!なんでも!なんでしますからァァァァァァァァ!!」

 

地獄の電気あんまの刑が終わり、加賀は無様に公開アヘ顔失禁ショーを晒した村雨をジャイアントスイングで鈴谷へと投げつけた

 

「あ、相棒ォォォォォォ!!」

 

「アヘェ…」ビクッ!ビクンッ!

 

「ゆ、許せねぇ…!!オマエの仇!このメインヒロイン鈴谷様が必ずとってやる!」

 

鈴谷は村雨をリングの外に雑に放り捨て、再びリングにインした!!

 

「ハーッ………まだやんの?赤城サン、交替しよーぜ、交替」

 

「オイオイ、オマエの食い残しだろ?」

 

「いいだろ、っーか赤城サンも、少しはヤっとかねーと……ママが見てるしよ」

 

「………だな」

 

観客席最上段で試合を観戦しているジ・アドミラル2号ことビッグ・ザ・ママをチラ見し、赤城は加賀と交替してリングへ入った

 

「へー?交替するんだ?ま、そのほーが鈴谷としても助かるけど?」

 

「キャンキャンうるせービッチだなオイ、発情期か?」

 

「うるせー!!クソ空母どもがーッ!今度こそ組みつき次第投げまくってや…」

 

強襲のフライングニーで仕掛ける鈴谷!!しかし…

 

バシッ!!(完全ガード)

 

「あれ?」

 

「頭悪いな、オマエ」

 

フライングニーを迎撃され、ワンハンドクローで顔面を掴まれた鈴谷はそのまま勢いよくリングに頭部から叩きつけられた!!

 

「ゴデュファ!!!」

 

正規空母 赤城…

彼女もまた、海軍伝説のスカウトマン、中尊寺金色之介(98)が直々にスカウトしてきた逸材である…

 

………“戦艦”として

 

「一航戦舐めんなよコラ、私ら一航戦ってのはなぁ〜………」

 

どんな空母より残忍!!残虐!残酷!そしてその凶悪性も十分ッッッ!!

赤城は鈴谷の身体を掴みあげ、アルゼンチンバックブリーカーで締め上げるッッッ!!

 

ギリギリギリギリ!!(アルゼンチンバックブリーカー)

 

「ウッギャアァァァァァァァァ!!死ぬ!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!死んでしまうぅぅ!!」

 

「オラァ!!!」

 

バギャアッ!!!(背骨折り)

 

「ゴハァ!!!」

 

背骨を破壊され、血反吐を撒き散らし凄惨な姿となった鈴谷はリングに転がった…

 

「ペッ!反吐を出るぜ」

 

 

『決着ッッッッッッ!!!B-エロリューションズ VS レアキラーズの戦いはレアキラーズが圧倒的な実力を見せつけ、B-エロリューションズをくだしたァァァァァァァァ!!』

 

『うむ、良い試合であった』

 

『そ、そうですか?あの、青葉、たまに初春様のコトよくわからなくなります』

 

『そうかえ?』

 

 

二回戦 第一試合

○レアキラーズ VS ●B-エロリューションズ

(11分42秒 アルゼンチンバックブリーカー)






【登場人物】

中尊寺金色之介
海軍スカウト部に40年勤め、数々の名艦娘を見出してきた伝説的スカウトマン、末期の頃は大鯨に何か光るもの感じスカウトしてきたのだが、そこら辺でだいぶボケてるなこのジイさんと思われていた

当時、まさか中尊寺金色之介の目がまだおかしくなっていなかった気付いた人物はいなかった…


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カース・オブ・アドミラル奪還作戦 act.6

最強完璧艦娘 VS 最強武闘派姉妹

【登場人物】

ジ・アドミラル(完璧)
完璧艦娘を名乗る謎多き艦娘、ビッグ・ザ・ママはやたらと他チームから警戒されている

ナガムツブラザーズ(主人公)
最強武闘派姉妹、パワー、スピード、タフネス、そのどれもが一流


二回戦第二試合ッッッ!!

優勝候補筆頭のアイドル艦娘コンビ、ナガムツブラザーズVS下等艦娘どもに身分の違いをわからせるべく現れた完璧(パーフェクト)艦娘の首領(ドン)、ジ・アドミラル

 

決勝進出を賭けた戦いのゴングが鳴るッ!!

 

完璧(パーフェクト)艦娘か、フッ、どこの誰かは知らんがこのビッグセブンに勝てると思うなよ」

 

「フンッ、下等が…教えてやる、貴様ら下等艦娘がどれだけ努力しようが完璧には勝てないと言う事実をな」

 

互いに先鋒のリングに上がるのは、一回戦をたった一人、圧倒的な実力差をみせつけた長門、そして、対するのはジ・アドミラルのリーダーを名乗る謎の完璧(パーフェクト)艦娘、ファン・ガンマ・ビ●ン

 

開戦のゴングと共に飛び出した両者、先ずは力較べと言うよりリング中央でガッチリ手ぇ四つで組み合う!!

 

ガシイィッ!!!

 

「ほぉ、カンムス強度5500万と言ったところか、下等にしてはヤるものだ」

 

パワー対パワーが火花を散らす審判のロックアップ!ファン・ガンマ・ビ●ンは相対する長門をなかなかの強敵と見なす!!………がッ!!!

 

「このパワー………まさかとは思っていたが、いや…やはりキサマは!!」

 

長門は己の疑惑に確信を得たのか、ロックアップを外しリング中央から離脱し、相対するファン・ガンマ・ビ●ンを指差した

 

「キサマ、たしか自分を完璧(パーフェクト)艦娘の首領(ドン)とか言っていたな」

 

「…俺が?」

 

「これまでの言動、ファイトスタイル……そして今、疑惑は確信へと変わったぞ!キサマの正体に!」

 

「…なに?」

 

長門は突如として現れた完璧(パーフェクト)艦娘の首領(ドン)!ファン・ガンマ・ビ●ンの正体を見破ったりと声をあげ、そして…!!

 

「キサマの真の名は…」

 

長門は右手をググっと握りしめ、ググっと溜めて再びファン・ガンマ・ビ●ンを指差す!!

 

「万能戦艦!ネオ・ノーチ●ス!!」

 

長門が言い放つファン・ガンマ・ビ●ン、衝撃の正体に会場が大きくどよめいた!!

 

『ば…万能戦艦N-ノーチ●ス……あの、初春様、初春様はご存知の方で?正直、青葉は聞いたコトないんですけど、ってか万能戦艦って…』

 

『ふむ、やはりあやつか…』

 

『さすが初春様!ご存知なんですか!?』

 

『うむ…』

 

初春様曰く、万能戦艦N-ノーチ●ス…

かつて一度だけ、いや、ただ一日だけこの基地に現れ、あの戦艦長門をローキック一発で沈めたと言われている謎多き戦艦…

どこから来て、何の目的で現れたのかも不明、ワカっているのはその計り知れない戦闘力と浜風にも匹敵するパイオツの大きさ、そして、その声は妹系やロリ系に多い可愛い系だと言うコトだけ…

 

『あ…あの長門サンがイッパツで…し、しかし初春様、あのファン・ガンマ・ビ●ン、パイオツはたしかに大きいですが声はあまり可愛い系でありません、むしろ悪い井上喜●子系です!』

 

『ふむ、それもそうじゃな』

 

ざわつく会場と混乱する場内、そんな混沌の渦中に立つファン・ガンマ・ビ●ンはリング中央で腕を組みカッカッカと笑っていた

 

「フッ、下等にしてはよく考えたな……下等である貴様らはオーバーマスクと言うモノを知っているか?カッカッカ……そしてこの俺はオーバーボディて言うモノを纏っているのだ!」

 

そうよ!そのまさかよ!!と言い放ち、リング中央でバリバリィ!と黒髪美女のオーバーボディを破り捨て、ファン・ガンマ・ビ●ンはその正体を現した!!

 

「やはりキサマか…ッ!!」

 

黒髪巨乳美女から黒髪巨乳美少女へと姿を変えたファン・ガンマ・ビ●ン改め、万能戦艦N-ノーチ●スは腕を組み、不敵な笑みを浮かべる!!

 

「フン、今日は膝の皿を叩き割るだけでは済まんぞ?」

 

「面白い……この長門には陸奥の、知らぬ技がある」ニィ…

 

両者は互いに不敵な笑みを浮かべつつジリジリとリング中央へと寄り………そしてッ!!!

 

「死ねッ!!!」

 

「しゃあっ!!コブラ・ソード!!」

 

長門の殺人パンチに対し、N-ノーチ●スの高速変則膝蹴りが炸裂し、長門はその勢いでリング中央から一気にフッ飛ばされたッッ!!

 

「クッ!!なんて威力…ッ!咄嗟にガードしたとは言え、この破壊力か、クッ…!」

 

 

『コブラ・ソード炸裂ーッ!!まさかあの長門さんがブッ飛ばされてしまったーッ!!」

 

『ほぉ、なかなかじゃな』

 

『ファン・ガンマ・ビ●ン改め万能戦艦N-ノーチ●ス、完璧(パーフェクト)艦娘の首領(ドン)と名乗るに相応しい実力を見せつけます!これは勝負はわからなくなってきました!!』

 

 

一気にロープ側まで下げられた長門、そして…

 

「長門、ね、長門」

 

「なんだ?」

 

この大会始まって以来、今の今まで試合にまるで興味なく、リング下のパイプ椅子でファッション雑誌を眺めていた陸奥が、ロープ外から長門のそばに寄りその脇腹をつついた

 

「アナタさっきも一人で片付けたでしょ?タッグなんだからここは交替よ、交替」

 

「いや、しかしだな…アイツは私がヤらなければだな…」

 

「いいからほら、ハイ、手ぇ出して、手」

 

「手?」

 

陸奥は長門の手を叩くと長門をリング外へと放り投げ、自らリングへと飛び込んだ

 

「………と、言うワケで、私とヤってくれるかしら?テ……N-ノーチ●スさん?」

 

「……陸奥か、いいだろう」

 

N-ノーチ●スはリング中央で組んでいた腕を解き、この試合、初めて構えをみせる!!

 

「そうこなくっちゃ…」ニィ…

 

伝説の修羅、陸奥…

 

姉である長門は何故、陸奥に成り得なかったのか?同じ技を使い、全てが陸奥にも劣らぬ、否、要所によっては陸奥にも勝るであろう実の姉、長門が陸奥を名乗れない理由…

 

歴史の中でも屈指の武の才能に恵まれた姉の中に鬼が棲んでおらず、心優しき妹の中に、鬼は棲んでいたッッ!!

 

「!!」

 

「チィ!!」

 

一瞬で高く跳び上がり、前方宙返りしつつ左右連続で踵落としを繰り出す陸奥の技…!!N-ノーチ●スはガードをしつつも若干中央から下がらざるを得ない!!

 

「どっちが鉞だぁ……コイツは?」

 

「当たって痛い方よ」

 

 

『長門さんに代わり!伝説の修羅こと陸奥さんがリングに上がりましたが初春様、これはどうでしょう?珍しく陸奥さんがヤる気だしてますが、これはかなり珍しいですね』

 

『そうじゃな、あやつは普段からやる気なさげで滅多にやる気を出さぬヤツじゃが……それだけの相手と感じたのじゃろ』

 

『なるほど、我!強者と死合う史上最悪のミス●ス的な傍迷惑なアレですね!』

 

『この試合、陸奥の本気が見られるやもしれぬぞ』

 

陸奥VS完璧(パーフェクト)艦娘、その戦いは熾烈を極めたッッッ!!殴る、蹴る、投げる、極める、折る、ルールと言う檻がなければ間違いなくその全てが必殺、殺しの技の応酬…

流血に流血を重ねる、まさしく命のやり取り…ッ!!

 

熾烈な攻防の中、陸奥の放つ拳を左腕と肋を犠牲に破壊したN-ノーチ●ス、犠牲無くして勝利などない、血と破壊の先にこそ勝利、生き残りがある

 

「…(腕を壊したヤツに拳の技はない、なんてコトはありえない、陸奥ならヤる…)」

 

たとえ両拳を砕こうが両足を破壊しようがヤツは死ぬまで勝ちにくる、いや、たとえ死んでも勝ちにくるだろう…

その確信がN-ノーチ●スにはある、だからこそ油断はない、だからこそ……ッ!!

 

そして、陸奥が動くッッッ!!!

 

「ッ!?(人の速度(はやさ)じゃあ…ないッ!)」

 

その瞬間、N-ノーチ●スの目には陸奥がまるで分身したかのように見えた

目で追うことすら困難な速度、驚異的フットワークから繰り出されるその動き!!だが、N-ノーチ●スはその動きに喰らいつく!!

 

「ッ!!?」

 

ゴシャアッ!!!

 

空中に跳ぶN-ノーチ●スに対し、陸奥は両足でN-ノーチ●スの頭部を挟み潰すように強烈に蹴り、挟んだままの頭部をリングに叩きつけたッッッ!!

 

「か…!!」

 

 

『壮絶ーッッッ!!あ、あまりに速い!あまりに鮮烈!陸奥さんの強烈な技を喰らったN-ノーチ●ス動かない!動けない!!奥義炸裂!これはまさしく殺人技だァァァァ!!』

 

『…アレは奥義ではない、もっと上にあるものじゃ』

 

『知っているのですか!?初春様!』

 

『名を………“四門”、奥義の上にある奥義以上の存在じゃ』

 

“四門”は“死門”、その門をくぐったものには例外なく死が待っている

 

陸奥にしか開くことが出来ないまさしく死の門

 

『じゃが、仕掛けた方も人体の限界を超えた動きはその負担も大きい』

 

勝者である陸奥は高く、まるで天を掴むように腕をあげると、グラリとその場に倒れ込み……

 

「まったく、いつも無茶をするヤツだな、オマエは」

 

長門は倒れ込む陸奥の身体を支えた

 

「…あらあら、そうかしらね」

 

「フッ、それでこそ陸奥だ」

 

長門は陸奥を連れ、そのままリングを降り、控え室までの通路を悠然と歩いて行った

 

そして…

 

「フーッ〜……コレはアレかい?相手の棄権ってコトでいいのさね?」

 

 

二回戦 第二試合

○ジ・アドミラル VS ●ナガムツブラザーズ

(42分42秒 “四門”青龍)

N-ノーチ●ス 死亡



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カース・オブ・アドミラル奪還作戦 act.7

頂上決戦の決勝戦、レアキラーズVSジ・アドミラル

【登場人物】

青葉(実況)
自称、恐縮の申し子、提督とは性癖関係で話が合うらしく、わりと仲が良い

初春様(解説)
金●島出身の妖怪仙人の疑いがあるやんごとなき身分の御方、妹の有明に武から身を退けと勧めたことがある


正悪強豪ひしめく友情のタッグトーナメント決勝戦

幾多の激戦を制し、この決勝の舞台へと勝ち上がってきた2チーム

 

最凶最悪のカンバンを背負い、目が合ったヤツから皆殺しを即断即行でいく無敵の一航戦コンビ、レアキラーズ

対するは、我々こそが完璧なのだ、下等どもを粛清する為にやって来た完璧(パーフェクト)艦娘界の刺客、ジ・アドミラル

 

『さて初春様、いよいよ決勝戦となりましたが〜…どうでしょう?ここまでほぼ無傷で勝ち上がってきたレアキラーズに対し、ジ・アドミラルは前の試合でアドミラル1号ことN-ノーチ●スが死亡確認しています、タッグトーナメントなのにタッグパートナーを欠いたジ・アドミラルがやはり不利でしょうか?』

 

『ふ〜む、ま、そうとも言い切れぬな、ほれ、アレを見てみい』

 

そう言って初春は手にした扇子で今、リングの側に来ているレアキラーズを指した

 

『あーっと!あきらかに警戒しています!無敵の空母コンビ、レアキラーズ、対するたった一人の相手に対してかなり警戒している様子がここまで伝わってきます、ここまでの試合、傲岸不遜、どんな相手にも舐め腐った態度を崩さなかったレアキラーズの二人が入念にアップしています!これはどーゆーコトでしょう初春様!』

 

『それだけヤバイ相手と言うワケじゃろうな』

 

実質二対一、レアキラーズに対し、ジ・アドミラル側はリング側でやたらと長いキセルをふかすアドミラル2号ことビッグ・ザ・ママと死体となって転がっているN-ノーチ●ス…

 

そして…

 

「まさか卑怯とは言わないですよね」

 

「こちらも全力でいかせて頂きます」

 

レアキラーズ、先鋒のリングに上がったのは加賀、そして赤城…ッ!!タッグとは言えいきなりの掟破りのダブルリングインッ!!

 

「フーッ〜………ま、いいんじゃないかい?」

 

最凶空母コンビの二人に相対するのはジ・アドミラル2号、ビッグ・ザ・ママ…

 

あの赤城と加賀が二人がかりで挑む、いや、挑まざるを得ないことを選ぶしかない、その事実が会場を戦慄させたッッッ!!

 

「フーッ〜………」

 

赤城と加賀、二人はとある田舎っぽい村で生まれ育った…

その村は、まるで古き良き時代で時が止まったような村で、村唯一の特産品は芋…

他にコレと言って言うべきことはない辺鄙な村だが、その村には大きな秘密があった…

 

最凶空母…一航戦、凶悪なる邪悪龍…二航戦、無敵の死神…北上と大井、その他にも、数多くの猛者達を、深海棲艦達を恐怖のドン底に落とす悪鬼羅刹を世に送り出してきたその村は………ただの村ではない、まるでファンタジー小説やゲームにある、魔王が棲むラストダンジョン一歩手前に存在する、この世で最も危険な村だったのだッッッ!!

 

そんな村でッッッ!!そんな世界でイチバン危険な村で最凶コンビと呼ばれる空母二人がッ!!恥も外聞も捨て去って二人がかりで挑まざるを得ない相手がこの世に存在するッッッ!!

 

「行くぞォォ!!加賀ァァァァ!!」

 

「足引っ張るんじゃないぞ!」

 

戦闘開始のゴングと共に、改二エンジンを全力全開にした赤城と加賀はリング中央に立つビッグ・ザ・ママに猛然と飛びかかったッッッ!!

 

「だらぁ!!」

 

「ハアッ!!フンフンフン!ダァーッ!!」

 

エンジン全開のレアキラーズの猛攻!!それをかわし、受け、捌くビッグ・ザ・ママ…!!

 

「ほぉ…ヤるじゃあないか、赤城GIRL……加賀GIRL……あの頃より随分動きにキレがある」

 

「クッ!!バケモノめッ!」

 

「でも、まだまだだね」

 

ビッグ・ザ・ママは加賀の頭を掴み、自分の膝に当ててその膝を抱え上げて一気に落としリングに着地と同時に衝撃を叩き込む!!

 

ガゴォォン!!(ココナッツクラッシュ)

 

「ゴハァ!!!」

 

「加賀ァァァァ!!クソッ!なんてパワーだ!」

 

赤城は加賀を抱えるとビッグ・ザ・ママから一旦距離を取ってリング側に離脱した

 

「大丈夫か!加賀ァ!」

 

「ハー……ハー…クソッ、ただのココナッツクラッシュが“あの方”が使うだけでまるで必殺技だ」

 

「たしかに…」

 

 

『強し!!強し強し強し強し強し強し強し強し強し強し強し強し強し強し強し強し強し!!ビッグ・ザ・ママ強しーッッッ!!この青葉、とんだ考え違いをしておりました!完璧艦娘の首領はあの転がった死体かと思っていましたが、それは違いました!!間違いありません!完璧(パーフェクト)艦娘の真の首領(ドン)はあの方です!』

 

『その…完璧(ぱーへくと)艦娘?がなんなのかは妾には未だによぉわからぬが、まぁ、アレじゃ……あやつは強いぞ』

 

『あの赤城さんと加賀さんがまるで子供扱い!赤子の首を捻るかのようだァァァァ!!』

 

『赤子の首を捻るのは感心せぬなぁ』

 

 

「フーッ〜…どうしたんだい?来ないならこっちから行くよ」

 

「クッ!!加賀ァ!フンドシ締め直せよ!」

 

「それはこっちのセリフだぜ!!」

 

村でもとびぬけた才能を持ち、天才と呼ばれていた赤城も、そして赤城と並ぶ才能を持つ加賀も、ただ、あの方に挑めば勝てない事は知っていた…

 

彼女らの考えた結論は一人では勝てない、だが、二人でなら勝てる!二人でなら超えれるッ!!今こそ、とびっきりのフルパワーをあの方にぶつける時!!

 

「行くぞォォォォォォォォ!!」

 

「クソッタレェェェェェェェ!!!」

 

赤と青、二つの閃光がリングを駆ける!!そして………ッッッ!!銀河が泣いた!!虹が砕けた!!

 

観客席からは彼女達と同じ時代に生まれた事に、誰もが涙を流したのだった…

 

◾️◾️◾️

 

『えー…数々の激戦、名勝負が繰り広げられたトーナメントマウンテン、最後に勝ち残ったのは完璧(パーフェクト)艦娘チーム、ジ・アドミラルでーす、皆さんの大きな拍手と歓声です、実に感動的なシーンです、青葉こーゆーシーンはいつ見ても感動します、いつも涙と一緒にちょっとおしっこ出ちゃいます』

 

『ハル●ケア飲め』

 

『あ、大丈夫です、青葉まだ若いんで、涙腺緩いのは仕様ですが膀胱緩いのはギリギリを愉しむ為にいつもおしっこ我慢してるからです』

 

『変態か』

 

『トーナメントマウンテンを見事制したビッグ・ザ・ママ、相棒のくさった死体を引きずり今、頂上に立ちます!あ、なんか拾いました!ビッグ・ザ・ママ、なんか拾ってくさった死体のポッケに入れました!ゴミでしょうか?』

 

『さぁ?妾にはなんか光るモノに見えたが…』

 

『感動的です、感動的光景です、それでは!トーナメントマウンテン、放送時間延長できないのでここで中継を終わりたいと思います、ラジオとCSではこの後ヒーローインタビューまでお届けできると思います、ご覧のチャンネルではこの後、愛棒season072が…』

 

 

決勝戦

○ジ・アドミラル VS ●レアキラーズ

(31分12秒 貫通腹パン)

 

 

悪夢のタッグトーナメント編 おわり





次回は通常運転回、ですわ!!



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提督と男が食べたくなるアレ

本日は珍しく二本勃て
何も考えずに通常運転で平常運行

【登場人物】

提督(恋愛小説家志望)
好きな告白文句は、オマエに一目惚れじゃあ!抱くぞ!

五月雨(コーヒー専門店とかいいですね)
好きな告白文句は、オマエの人生オレにくれ


今年は去年とは違う列島大型連休の今日この頃…

爽やかな朝日と共に目覚め、小鳥さんオハヨウと言ってモーニングコーヒーを一杯………ゴキゲンなコーヒーだ

 

「相変わらず卿の淹れたコーヒーはマズいな」

 

「失礼な」

 

予定表には何も書き込みがなく特にやる事のない日、あまりにやる事がないのもアレなので、たまには五月雨のコーヒー飲んでみたらもしかしたら美味いかもしれないと考えた俺だったが、やはりマズいものはマズかった

毒にも薬にもなりゃしねぇとはまったくこのコトだ

 

「このお話始まって早799回、それでもまだオマエのコーヒーの腕は上達しねぇとか呪われてるんじゃねぇの?ってか才能ないカスは●ねよ」

 

「メタい発言ですね、むしろ799回も続けてるのに第1回から何一つ進歩しない変わらない低クオリティ……と言うか、毎度毎度誤字脱字を出して恥ずかしくないんですか?」

 

「スイマセンでした」

 

………クッ!コケにしやがって、ま、まぁ…たしかにアレだ、そうアレだよ、アレ、世の中には変わらない良さってのがあると思うんだよ、ほら!なんっーかノスタルジーっーか?メランコリックっーか?バナナと間違えて拳銃咥えたくなるっーか?

 

「で?なんなんですか突然、てぇ〜…してぇ〜……浜風ちゃんレ●プしてぇ〜…回は節目の次回ですよ」

 

「やかましい、俺がいつもいつもそんなレ●プしてぇとか言ってるワケねーだろ!レ●プ魔か!」

 

「100回に1回トチ狂ってるじゃないですか、と言うか、未だに成功してないし、むしろ浜風さんと目も合わせられないとかなんなんですか?」

 

「それはほら…アレだよ、アレ、男っーのはいくつになっても好きな子の前ではいつだって純なんだよ、外に出て、色々美味いモン食べてみたが、なんやかんやでやっぱりお母さんの作るカレーが1番好きなんだよ」

 

「…はぁ?」

 

「まぁ、お母さんのカレーはいいとしてだ、カレーの話をするとカレーが食いたくなってきたな」

 

「そうですね」

 

「よし、今日の昼はカレーにすっか、カレー」

 

「いいんじゃないですか?私は同行しませんけど」

 

「え?なんで?」

 

「今日の昼は姉妹で河原でバーベキューしようってコトになってまして、行きたければどうぞご勝手に…」

 

なるほど、姉妹でバーベキューか……プッツン姉妹と名高い白露姉妹だが、姉妹仲は意外と悪くないらしく、たまにこうやって姉妹でメシ食ったり近所のイ●ンモールにお買い物に行ったりしている仲良しぶり…

 

「そう言えば白露姉さん、原付の免許欲しいから許可が欲しいとか言ってましたよ」

 

「原付?ダメダメ、転んだら死んじゃう、提督は許しませんよ!」

 

「お母さんか…ッ!………ま、そのまま伝えておきます」

 

「うむ」

 

そんなワケでカレーでも食うかと執務室を出た俺だったが……やはり一人でカレーを食うと言うのは味気ないものを感じるな、誰か誘うか?

 

①4号

②朝潮

③浜風ちゃん

 

………③だな、③以外はありえない、むしろ③以外を選ぶなどありえない、むしろ③以外選ぶとかただのロリコンのペド野郎だ、反吐がでるぜ

そんなコトを考えつつ希望と夢がMORIMORIなのだよと歩いていると、廊下の先からなにやら見知ったのが現れた

 

「あ、王!」

 

「む…?キミは…たしか、え〜…ガッキーくん」

 

占守姉妹の四女、ガッキーくん

見ての通り、気難しくて繊細な年頃のガキだ

 

「王!王!」

 

ガッキーくんは俺にまとわりつくと、俺に何をしているのか?もしかして事件なのか?と期待を込めたスゲーキラキラした瞳を向けてきた

 

「あー………いや、別に提督は暇でも事件でも事故でもなくてだな」

 

正直、提督はこの子が苦手である、と言うか、クソガキどもは基本、全員苦手なのだが……バカガキなら気にくわないなら殴って済ませばいいが、どうにもアレだ、殴って済ませられない良い子ってヤツにはめっぽう弱い

 

「あ、ガッキいたっしゅ!」

 

「ガッキ、ナニやってんのー?って、あ、テイトクだ」

 

そんな良い子のガッキーに対し、大人である俺はどうしていいものかと考えていると、ガッキーくんの姉妹達が廊下の先から歩いてきた

 

「ハッ!?まさか…!ガッキ!一人で抜けがけしてテイトクにジュース奢って貰うつもりだったっすね!」

 

「や、それはないと思うケド…姉さんじゃあるまいし」

 

「許すまじ!!クナ!ハチ!ヤツにジェットシュトリームアタックを仕掛けるっすよ!」

 

「え?普通にイヤだけど…」

 

「ってかシム姉ぇ、ジェットシュトリームアタックってナニ?」

 

「ガッデム!!!」

 

どうやらアホの占守クンには長女に必須のスキル、長女のカリスマとやらは備わってないらしい

だが、妹達をまるで使えないと判断した占守クンはHEY!HEY!HEY!とまるでチン・ピラのように俺にグイグイきた

 

「テイトク!ガッキにだけジュース買ってやるとか不公平じゃねーんすか?フコーへー!世が世ならシベリア送りっすよ!シベリア送り!」

 

「はぁ?」

 

「でもまぁ、シムは心の広いオンナっしゅからね!ハイ」

 

占守クンはニコニコしながら右手を差し出してきた

 

「…ナニこれ?」

 

「ジュース代」ニコッ!

 

俺はニコニコと笑う占守クンの右手を優しく握り…

 

「零の悲劇ーッ!!」

 

ギリギリギリギリギリギリ!!(強握手)

 

「うっぎゃあああああーっ!!イテェ!マジイテェっしゅ!痛い痛い痛い!離せ…っ!離せェェェェ!!」

 

占守クンは俺の零の悲劇から脱出しようと残った左手で俺の脇腹をバシバシ叩くが……残念ながらあまりにも貧弱、あまりにも非力…

 

「カッカッカ、こそばいこそばい」

 

「クナ!ハチ!早く助け、助けるっす!!」

 

妹達に助けを求める無様な長女に対し、すぐ下の妹であるクナくんはあまり関わり合いになりたくなさげな目を向け、さらに下の妹の八丈クンはシム姉ぇマジだっさーいとゲラゲラ笑っていた

 

「王、弱いものイジメはやめて」

 

「む」

 

そんな中、心優しき末妹だけが痛がるアホな長女に救いの手を差し伸べてくれた、まったく…この子は気難しくて繊細な今風の子だと思っていたが、本当に良い子なのだろう

 

「ハァー!?誰が弱きものっしゅか!ガッキ!お姉ちゃんバカにしてんしゅか!?ハッキリ言ってこんなのゼーンゼン!痛くもないっすからね!弱きものじゃないっすから!」

 

「でも占守姉ぇ…」

 

「あんま舐めてるとガッキのアイス全部チョコミント味にするっすよ!って痛ァァァァァァァ!!ギバップ!ギバーップ!!シムの負けでーす!許してくださぁぁぁぁ!」

 

 

この後、右手の治療費とか言ってジュース代にアイス購入代を上乗せ請求してきた占守クンをタワーブリッジの刑に処し、いい加減腹が減ってきた俺は執念深くまとわりつく占守姉妹を連れてカレーを食いに行った





次回はなんやかんやで800回


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提督と神の怒り

よもやよもやで800回目、穴があったら挿入りたい

【登場人物】

提督(クズの人)
パイオツが大きいなら多少の無礼は許せる懐の深い快男児

五月雨(専業秘書艦)
未来を諦めてない

浜風ちゃん(真のヒロイン)
ほぼ名前とパイ●リしか出ない謎多き駆逐艦、基地には珍しい真面目で常識的な子、釣りが趣味らしいが浦風曰く、最近は趣味の範疇を超えてるらしい


「浜風ちゃんをレ●プする………そんなふうに考えていた時期が、俺にもありました」

 

「…はぁ?」

 

五月の爽やかな執務室、外は晴れ、気温はそこそこ、湿度はまぁまぁ…ゴキゲンな日和だ

 

「ついに犯るのは諦めたんですか?」

 

「諦める?ハハッ、バカを言っちゃいかんよキミぃ、なんと言うか、そう……犯るとか犯らないとかじゃない、犯るんだ」

 

「結局犯るんじゃないですか」

 

「しかしそれは今じゃない」

 

これまで幾度となく挑み、その全てに敗けてきた……必要なものは智か?暴か?それともその両方、自分に足りないものを考えに考え抜き、ついに辿り着いた一つの答え

 

犯る 貫く…犯る 弾く…犯る 砕く……犯る 響かせる…犯る トバす……犯る 潰す…犯る 抉る……

犯ることだけを考えてきた、強く犯ること、速く犯ること…

 

そして誕生れた!!最新 最強 最善 最良 現在、最も進化したレ●プ…ッッッ!!

 

「それこそ………犯らないレ●プ」ニマァ…

 

「それはもうレ●プではないのでは?」

 

さすがは我が秘書艦サミー子、なんて冷静で的確な意見…大したやつだ、まったく、コイツとなら全ての銀河を制しこの宇宙の覇者になる事も絵空事と一笑に付す事はないだろう

 

「まぁテイトクがわりとヘタレだと言うコトは今更ですが…」

 

「ヘタレじゃない、提督だ」

 

「とりあえず浜風さんと目を合わせて楽しくおしゃべりできる未来を目指したらどうですか?」

 

「…難しいな」

 

「レ●プするより格段に難易度低いと思いますが」

 

「まぁ待て、絶壁のオマエにはわからんだろうが、浜風ちゃん程の希望峰といざ対面すると、浜風ちゃんと話しているのかおっぱいと話をしているのかわからなくなるのは既に常識…」

 

「ハァ…?あと、絶壁って発言は謝ってください」

 

「謝らない、何故なら俺は提督だからだ」

 

「謝ってください」

 

「ゴメーヌ」

 

俺は大人であり紳士なのでとりあえず真摯に頭を下げ謝罪の意を示した、っーかまだ絶壁気にしてんのかコイツは…まぁ、上の姉ちゃん達とか(一部除く)すぐ下の妹が揃いも揃って駆逐艦のガキのわりに身体だけはやらしく育ち盛りだしな

だが哀しいかな五月雨よ、オマエのボディは既に限界を迎えているのだ、牛乳を飲もうが変な体操しようがまったくの無駄、無意味…っ!

望みがあるとするならばエロゲーとかによくある媚薬効果のある謎の液体をパイオツに注入し、おぞましき子を孕む準備を万端に改造して貰う他あるまい…

 

「提督、たしか金属バットってロッカーにありましたよね?」

 

「心を読まれた…ッ!?能力かッ!」

 

「能力じゃないです、勘です、でもまぁ…マヌケは見つかったみたいですね」

 

五月雨はロッカーから微妙にヘコんだ金属バットを取り出すと、何か言うことはありますか?と懇切丁寧に聞いてきた

 

「そうだな……できれば一度、浜風ちゃんにパイ●リしてもらいキレーなお顔にBUKKAKEしたいと思う」

 

「そうですか」

 

ブンッ!!!(金属バット)

 

和やかな執務室で一閃するバット、なかなかいいスイングをするじゃあないか…ッ!!

 

「はおっ!!」

 

「なんで避けるんですか、ちゃんと顔面で当たってくださいよ」

 

「殺す気かッッ!!」

 

「殺す気があるなら12.7㎝連装砲口に突っ込んで頭爆散させた後に胴体をコンクリート入れたドラム缶に詰めてマニラ沖にでも捨ててますよ」

 

ナニこの子、怖い!怖いわ!ナニその発想、もしかしてこの子ったら、イカレてるのかしら?

 

「まぁ、どんなボンクラでメガネでもなんやかんやでそこそこの戦果を出してる上司ですからね」

 

「メガネ関係ねーだろ、メガネは」

 

「コンタクトにしません?若く見えるってハナシですよ?」

 

「やだよメンドくさい」

 

「そうですか」

 

今更若く見えても老いは止まらないし純然たる事実だ、かつて世の権利者達が永遠の命や若さを求めた気待ちも自らが老いて初めて理解できるものだ

っーかアレ、思い返せばよくあんなクソ重いモンを一人で持ってホイホイ運んでたなオイ、今なら最初から持つ発想すらでねぇ…

 

「ま、いいや、とりあえずよぉ〜…今から浜風ちゃん強制パイ●リしに行くから、オマエ付き合えよ」

 

「や、普通に無理でしょ?と言うか、私が同行する意味は…?」

 

「撮影係に決まっているのだよ」

 

「はぁ?」

 

自分のスマホで撮影しつつと言うのも悪くないが、やはり他人視点からの俯瞰した目で撮影した映像とも言うのもまた、違った味があると言うものだ…

 

「ほれ、このハンディカムを使われよ」

 

「や、普通に断りたいんですけど……ってか古っ、重っ、スマホで撮った方が画質とか良いのでは?」

 

「バカヤロウ、それだと気分がイマイチ盛り上がりに欠けるだろーが、カメラが回ってるッ!その事実がより羞恥と絶望を高めるんだろーが」

 

「なるほど、まぁ……言わんとするコトはわからないでもないですね」

 

こうして、俺はハンディカムをサミー子に手渡し、浜風ちゃんにこの俺の猛る己自身をぶつけるべく、この時間、浜風ちゃんがいかにも居そうな場所へと向かった…

 

ーーー

 

「浜風?あー…朝から釣りに行ってるねぇ」

 

「ガッデム!!」

 

駆逐艦寮→食堂→談話室→中庭→駐車場→体育館→中庭→自販機コーナー→中庭→明石の店→談話室→中庭→自販機コーナー……

浜風ちゃんの姿を探し、基地内をウロウロしてみたが、浜風ちゃんの姿はどこにもなく、代わりに見つけたのは執務棟の裏で肉を焼いている浜風ちゃんの姉妹でチーム、第十七駆逐隊のアホンダラどもだった…

 

ちなみに、中庭にはMAJOR級の思わずヨドレズビッ!なキンパツ美女のフレッチャーくんがベンチに座って野良猫に餌を与えていたのでもしかしたら転んだ拍子におパンツ見えるイベントがあるのかと思ったがそんなものはなかった、たぶんフラグとか好感度が足りなかったのだろう

 

「そんなコトよりどうだテイトク、肉だ、よく焼けているだろう?」ドヤァ!

 

「やかましい、っーかなんでこんなトコで焼き肉してんだテメーらは?あ?舐めてんのか?」

 

「別にいいじゃろ、ほれ、肉じゃ」

 

「ナニが肉だ、やらしい肉の塊ぶら下げてんじゃないよこの子は」

 

俺は浦風のパイオツを掴みまるで一流のマエストロのようにスムージーにタテヨコにムーヴした

 

「アイサツ感覚で揉むなボケェ!!」

 

「やかましい、だいたいなんだ?そのヤラシー身体は?あ?ウチの五月雨さんに謝れよ、駆逐艦のくせにいやらしい身体をしてスイマセンでしたって」

 

「なんでうちが謝らにゃいけんの!?」

 

「謝ってください」

 

「あ、ハイ……ごめんなさい、なんかその…うち悪くないケド、うん」ペコォ





次回はたぶん足淀回

大淀、デパートに誘われる
大淀、オ●ニーで寝坊する
大淀、キレる

…の三本です、ウフフフ〜


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足柄と大淀と戦慄の魔王街

657日ぶりに帰ってきた礼号組鉄の保護者会

【登場人物】

足柄(子持ち処●)
最悪のディスりにも負けない妙高姉妹の三女、キッズ達からの人気は高く、最近ちょっと脂物がキツく感じてきた

大淀(NO LIMIT)
足柄とは眼鏡をかける前からのダチ、羽黒から今一番殺したい軽巡No.1に毎年名前を挙げられている


「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」

 

 

「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」

 

「超怖えー」

 

 

妙高型重巡の三番艦、足柄、普段は気のいい南町商店街のお姉さん、しかし!故郷や仲間が危機になれば、その、鍛えぬかれた牙を剥き、たとえ相手がどんな強大な敵であってもTOUGH&HARDに戦い抜き、そして勝つ!そんな最高にROCKな生き様は駆逐艦のキッズ達からは憧れの対象とされている…

 

 

「どうしたァ?足柄ァ…」

 

 

荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀

 

足柄とは艦種は違えどよくつるんでいるベスト・フレンド…

牙を持つ猛獣足柄とは幼少期からの付き合いで、ある時は強敵(ライバル)として、またある時は頼れる戦友(ライバル)として、彼女とは同じ修羅場をくぐり抜け、そして固い友情で結ばれた親友(マジダチ)である…

 

「オイオイ、ここはみんなの憩いのスペース、談話室だぜ足柄ァ…オメーがそんなじゃキッズ達がビビってボ●バーマンできねぇだろ?」

 

「…フッ、そうね、私としたコトが………ついアツくなっちまったわ」

 

足柄は最近買ったGU●CIの財布からスタイリッシュに紙幣を取り出しキッズ達に、オマエ達!コイツでワンダース●ンでも買って遊びなー!っと、ワイルドに紙幣を投げ渡した

 

「ヒューッ!さすが足柄サン!」

 

「コレで遊●王カード買うのです!」

 

「ワンダース●ン…?知ってるわ!なぜなら暁はレディだからね!」

 

キッズ達は足柄からの粋なお小遣いにハシャぎつつ談話室から去って行き、談話室に残ったのは二人………否、二頭の猛獣

 

「………で?なんでまたキレてんだオメー?」

 

大淀はまだ原型を保っていた椅子に座り、テーブルの上にある電気ケトルのスイッチをONにした

 

「キレてねーし、っーかナニオマエ?メガネ変えた?」

 

「ワカる?前のやつ、朝寝ぼけて踏んだら割れたんで買い換えたのよ、どぉ?フレーム鼈甲にしたんだけどよぉー?」

 

「ババクセっ」

 

「ハァー!?誰がババアだコラァ!!立てテメーコラァ!!」

 

大淀はテーブルをダァン!し、足柄に上等だよォ!ヤってやんよォ!とメンチ切った

 

「まぁ落ちつけよババメガネ、電気ケトルよか沸点低いんかテメーは」

 

足柄はまぁ落ちつけよとテーブルに置いてあった誰かの食い残しのヴェルタースオリ●ナルを大淀の前に置いた

 

「チッ、っーか先にキレてたのテメーだろーが、で?なんなの?なんでキレてたの?最近キレてなかったじゃねーの?狼はもしかして牙を失ったんでちゅかぁ~?」

 

「歯クソクセー口で喋んな、総入れ歯にしてポリデ●トで歯ァ洗ってろ」

 

「ハー………キレたわ、ハイキレた、マジプッツンしたわ、穏やかな心で激しい殺意に目覚めたわ、マジで、足柄、オマエ明日の朝刊載ったわ、立てよ………タイマン張れや」

 

「アァン…?大淀ォ……オマエ、タイマン張って勝てると思うとるんか?」

 

「勝つ…?アハ!アハハハ!アーッハッハッハハッハッハ!!勝つ?んなナマ易しいコトすっかボケ!殺すんだよダボが!!」

 

大淀は電気ケトルを掴み、足柄の頭部を強打したッッ!!

 

「がっ!ハァ…!!大淀ォ!!!」

 

「来ォい!足柄ァ!徹底的にたたきのめしてやるッ!それも正正堂堂とな!そうする事によって“自分はもうこの大淀には勝てない!”という事を足柄自身の体で覚えるからだッ!ケンカでも人生でもなッ!」

 

◆◆◆

 

「…………で?なんでキレてたんだ?」

 

「あー…」

 

電気ケトルでドタマカチ割られた足柄と大淀は凄絶な殴り合いを繰り広げた、傍から見たらたぶんどっちか死ぬだろうと思える壮絶な喧嘩、こい!バ●ターウルフでこい!→不死身か!バ●ターウルフを二度喰らって生き残ったものなどおらん!と、なかなかの壮絶ぶりだったが、拳と拳で殴り合ったならば後はノーサイド、二人は談話室の床に大の字に寝転び笑い合った…

 

「アレよ、アレ、昼間、ガキども連れてデパート行ったわけよ」

 

「ハイキター!!オレ聞いてねーし!礼号組でオレだけ誘われてねーしぃー!」

 

大淀は床をバシバシ叩き、ナマカ外れですかー?ナマカ外れってヤツですかー?と叫んだ

 

「いや、誘った、フツーに誘った、キヨシとアサシに朝、大淀呼んで来いって言ったよ?言ったワケよ?」

 

「朝?」

 

「キヨシとアサシ、オマエの部屋行って帰ってきてなんて言ったと思う?オーヨドさん、大人なのにおもらしして布団ビチャビチャだったー…だぞ?なぁオイ、なぁ?」

 

「あー………うん」

 

「オマエさぁ、なぁ?オマエさぁ?いや、いいよ、うん、前みたいにオーヨドさんチ●コ生えてたーとか言われなかっただけ私もまだ言い訳スムーズいったよ、なぁ?チ●コ生えてなかっただけ前よかマシだよ、うん」

 

「いや、チ●コじゃねーし、デ●ルドーだし…」

 

「や、チ●コもディ●ドーもかわんねーし、硬いかフニャかの違いだし、っーかチ●コに間違われるとかどんだけエグいチ●コ使ってんのオマエ?なぁ?」

 

「いや、だからチ●コじゃねーし、まぁ…ほら、アレだよ、なんかこうアレだよ、自分の限界とか知りたくね?ってアレだよ、まぁそりゃ誰だって最初は小指とかボールペンみたいな細いヤツからスタートして最終的にはどんだけイくか挑戦したくなったりしね?」

 

「いや、全然ならねー」

 

「マジか?足柄ァ、オマエもし男デキてチ●コがありえねーぐらい巨根だったらどうすんだオマエ?アメリカンサイズだったらどうすんだ?ムリムリムリとか言ってると男萎えるぞ」

 

「っせぇーな!生々しいハナシすんなボケ!っーかオマエ、なんでわざわざ週末にオ●るの?しかもめっちゃハードに、気絶するまでアへるとかバカじゃねーの?ナニ?クスリやってんの?」

 

「オレは毎週花金の夜はガクセーの頃からオ●ニーデーって決めてんだよ」

 

「オマエ、そういや昔っから花金のアフター5付き合い悪いよな…」

 

「そーゆーワケだからオレの真性なルーティーンに文句言うなや」

 

「ヘイヘイ、わかったわかった、悪ぅござんした」

 

足柄は転がったペットボトルを手に取り、ナカに入っていたライ●ガードをガブ飲みした

 

「…でだ、まぁ昼間にデパート行ったわよ、キヨシとアサシとカスミ連れて」

 

「マイエンジェルカスミ今日も可愛いかった?」

 

「めっちゃ可愛い、マイエンジェルカスミマジ天使」

 

足柄はスマホを取り出しジャンボパフェを前に口許が弛む霞の写真を大淀に見せた

 

「マジ天使、それ後でマジ転送な」

 

「わかったわかった、今送った」

 

「…でだ、最近ほら、アレじゃん?ソーシャルディスタンスとか社会的距離とか叫ばれてる昨今じゃん?」

 

「叫ばれてるな」

 

やはりデパートに行く以上、マスクは必需品なので足柄や大淀も何枚か持っているが、昔使ってたのは白無地に卍だの殺だの書かれており現在は使われていない

 

「それでもアレだよ、ガキどもはもぉ遊びたくて遊びたくてウズウズしてんのよ、ウズウズが止まらねーのよ」

 

「だよな、ガキってのはいつだってウズウズしてるからな」

 

「でだ、とりあえずガキどもに小銭渡してゲーセンにでも放ってコスメでも買うかって一旦解散したわけよ」

 

「あるあるだな、なんか買った?」

 

「買った、ファンデ買った」

 

「マジ?どんなの?」

 

「めっちゃいいヤツ、マジすげーのな、10代か!っーぐらい若返る」

 

「マジ?マジ寄りのマジ?」

 

大淀は転がったペットボトルを器用に足で蹴り上げてキャッチした

 

「でだ、買い物済ませてバカガキどもとランチすっかとゲームコーナー行ったら既に資金が尽きたのか、ベンチのとこでプロレスごっこしてたらしくてだな、キヨシがアサシに阿●羅バスター喰らってたわ」

 

「それごっこで使っていい技じゃねぇよな!?っーか阿修羅バ●ターって!アサシ腕6本あんの!?」

 

「あ、悪りぃ間違えた、改良阿●羅バスターだったわ」

 

「な~んだ間違えか………って改良でも腕6本いるじゃねーか!!」

 

大淀は力いっぱい床をダァン!した

 

「まぁいいじゃねーか、細けぇーコトは」

 

「細かいか?なぁ…?コレ、ケッコー細かくなくね?」

 

「でだ、バカガキども回収して、駐車場まで行ってあとはジョ●フル行くかと思ってたらよ、駐車場になーんか見覚えのあるクルマあんのな、見覚えのあるDQNカーが」

 

「あー…」

 

「で、まぁアレだよ、案の定見覚えあるDQNカーだよと思ってたら見覚えのあるDQN姉の車だったワケよ」

 

「あー…ミョーコーサンな」

 

最恐重巡姉妹と名高い妙高姉妹の長女、妙高ッッ!!

その高い実力と圧倒的カリスマ、残虐性、異常性においては同じく重巡姉妹を率いるカリスマ、高雄以上ッッ!!とも噂されており、妙高姉妹最恐伝説の始まりにしてその伝説(レジェンド)を今なお更新し続ける伝説の頭である

 

「実の姉だけならまだ良かったわ」

 

「んだよ?ミョーコーサン連れいたの?ナニ?男?」

 

「んにゃ、高雄サン」

 

「なんでだよッッ!!!」

 

大淀は両手で激しく床をダァン!した

 

「あの二人めっちゃ犬猿だべ?めっちゃ仲悪いべ?もー目合ったら絶対殺すぐれー仲悪いべ!?」

 

「や、それにはさすがに私もビックリしたわ、マジで天地逆になったかと思ったわ」

 

足柄はラ●フガードを一口飲み、一心地ついたところで再び口を開く…

 

「なんか二人でヤキュウのバット買いに来たらしくてな」

 

「なんで!?え?ナニ?二人でバット買いに来るぐれー仲良いの!?っーかそれヤキュウ用?ケンカ用じゃなくて?」

 

「なんでそーなったのか経緯はよく知らねーし、聞けるワケねーっての、あの狂犬長女どもにお二人は仲良いんですか?とか聞けるかオマエ、それはもう殺してくださいって言ってるのと同じだろ?」

 

「たしかに…」

 

そんなワケで、狂犬長女コンビ、妙高と高雄に思わずブルっちまいそうになったワケだが、それはそれとして、キヨシとアサシはバカなのでミョーコーサンタカオサンって安易にハシャいで近付いたものの、妙高と高雄はキレると手がつけられないDQN重巡だが意外にも子供には優しいタイプのDQNらしく、コレでガキどもになんか良いモン食わせてやれってメチャ分厚い財布渡された…

 

「あと、領収書とか切るなよって」

 

「ヒューッ!妙高サンマジCOOL………で?ナニ?ジョ●フル行ったの?」

 

「行くかよ!あとでバレたらブッ殺されるわッ!!」

 

「だよなぁ~」





イベント始まったんですって


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続続続続続続続続続続続続続・提督と作戦とミーティング

中規模作戦、当たり前のようにトリプルゲージだろ?知ってるんだよォォ!国語の教師かよォォ!

【登場人物】

提督(テイトク)
忘れがちながら未だに中佐、大佐に戻れる日はいつ来るのだろうか…


「えー…新しい年度になり、今年もこの時期がやって参りました、えー…前年度は皆さんの頑張り、そして奮起もあり、上から振られた思わず無茶ゆーな!と言いたくなる作戦の数々も無事に完遂し、新しい仲間を迎えることができました、えー…毎年のコトですが、上から今年度の目標を問われ、当基地の運営としましては甲勲章を是が非でも拝領できるように粉骨砕身する所存ですと答えたところ、オマエ毎年そう言ってるやん?やる気あんの?今、若いのでも甲勲章当たり前に持ってんのに何オマエ?やるやる詐欺も大概にせぇよダボ!との有難いお言葉と共に今年度の私の給料が5%カットされました、しかし、一応、どのような形であれ作戦は完遂している事は評価され、基地運営の予算はちょっと増えました、つきまして、ちょっと増えた予算を提督のカットされたお給料の補填とし、皆さんにはこれまで通りのエグみある中抜きしたお給料を…」

 

 

『コイツ、最悪だぞ…っ!!』

 

『ふざけんなテメー!!死ね!クズがーッ!!』

 

『足クセーんだよ!!』

 

 

季節は新年度に替わり、遂にシーズン開幕となる春の作戦海域…

基地体育館で当基地恒例の作戦海域全艦集会を開催しており、まず始めに提督様からの有難いアイサツをとなっているワケだが……おーおー、クズどもがCanCam吠えよるわい、壇上へ容赦なく浴びせられる罵声、雑言、怒号……見た目だけは可愛い艦娘達からのこの苛烈な仕打ちに並の提督ならノイローゼに追い込まれるだろうが、この俺は違うッッッ!!

 

『くたばれ!クソメガネが!』

 

『オイ!石持ってこい!石!ドタマカチ割ってやる!』

 

『あったよ!弩が!』

 

『でかした!』

 

◾️◾️◾️

 

「あのクソヤローどもが、提督様をいったいなんだと思ってやがるんだ、まったく……どいつもこいつも」

 

ったく、楽しい全艦集会で石とか投げやがって、っーか躊躇いなく頭部直撃のストレートとかマジで殺る気かよ、ゴシャアッ!とか擬音があったぞ!ゴシャアッ!って、おとさんでも即死するわ、そんな殺意の高い擬音…

 

そんな殺意の高い全艦集会も無事に終わり、缶コーヒーでも飲みつつ栄えある開幕戦のメンバーでも考えるかと自販機コーナーへと歩いていると、見知った顔のバカどもがぞろぞろ歩いていた

 

「よぉクズども、今からパチ●コか?」

 

「ハァ?行くワケねーし」

 

「ジョーダンは足の臭さだけにしとけなのね」

 

「やかましい、乳捥ぐぞテメー、あと、俺の足は臭くない」

 

ぞろぞろと歩いていた集団、潜水艦ズ

基地一番の働き者達としてこの基地の運営と発展に貢献してきたのも今は昔、数年前の海域刷新による働き方改革の影響を強く受け仕事量は激減、当時、稼ぎたいなら男は佐●急便、女は潜水艦と言われていた稼ぎも減少した

そして、かつてスーパーエリート戦士だった面影は最早なく、日がな博打と酒、ケーブルテレビだけを楽しみに生きるエリートニートと半ば化している

 

「あ、テイトクだ〜…コンニチハ」ペコォ…

 

「ん?あぁ、こんにちは」ペコォ…

 

クズどもにしては珍しく懇切丁寧にこの俺に挨拶してきたので思わず挨拶を返してしまったが……誰だコイツ?ウチにこんな娘いたっけか?

 

「ヨナタス、そいつクズだから頭なんか下げなくていいって」

 

「あと、手ぇ握られたら妊娠するってウワサだよ」

 

「誰が手ぇ握っただけで妊娠させるってか?あ?」

 

ギリギリギリギリ!(魔のテイトククロー)

 

「ぎゃあああああああああああ!割れる割れる割れるぅぅぅ!26のアタマァァァァ!!痛ァァァァ!!」

 

「26ーッ!!」

 

「オレらのナカマに手ぇ出してんじゃねーぞクソメガネが!ロー!ガンマナイフだ!」

 

「がるるるる!26パイセンを放すですって!」

 

潜水艦のクズどもから執拗なローキックを喰らい思わず体勢がグラついた俺は魔のテイトククローで頭部破壊をキメかけていた26を思わず放してしまった

 

「26!無事か!」

 

「大丈夫ですって!?ニンシンしてないですって?」

 

「…ユーも、心配」

 

「いけないのね、とりあえず上着を脱がすのね!」

 

「下もでち!いや、全部脱がせ!」

 

フン、クズどもにはクズどもなりに仲間を想うアツい友情とやらがあるか……っーかやっぱ乳デカいなコイツ、19のキョーダイってだけはある、写真撮っておこう

 

「見てるんじゃないです」

 

ガゴォ!(カド)

 

「アガッ…!痛いじゃないか?」

 

「カドですから」

 

潜水艦唯一の社会派潜水艦、8っちゃんさんから分厚い本のカドで殴られた

 

「フーッ〜…で?8っちゃんさん達はこんなとこでナニしてんの?サザエでも獲りに行くの?」

 

「いえ、今からみんなでヨナタスの泳ぎをみてやるって話になって…」

 

8っちゃんさん曰く、今回の作戦海域、久々に潜水艦の出番もあるらしく、今やただのクズどもだが、かつてオリョール海の荒波で鍛えられたスーパーエリート戦士であるその泳ぎは未だ健在である

かつての激務をまったく知らない優しい子である新人のヨナタスは潜水艦のセンパイ達にとても可愛がられているらしく、あの19さんが焼肉奢ってくれたり、168が服を買ってくれたりお小遣いくれたりとそれはもう蝶よ花よと可愛いがっているらしく、優しい子であり思わず守護ってあげたい気分にさせてしまう生来の魅力を持つヨナタスはすさまじく甘やかされていた…

 

しかし、甘やかすだけが教育ではないッッッ!!潜水艦として最低限度のPRIDEは必要である

 

そんな意見もあり、元々才能ある子であるヨナタスの才能を伸ばしてやりたいし本人もやる気があるとのことから今回、みんなでヨナタスに泳ぎの指導をしようと言う流れになったそうな…

 

「ふ〜ん、そうか……そう言えばヨナタスはオリョール行ったコトねぇんだな」

 

「そうなんです」

 

「なるほど」





安心の開幕五十鈴パイセン


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第三十一戦隊、展開せよ!

243年ぶりの聖戦の幕開けは近い…

【登場人物】

五十鈴(パイセン)
人類最強の潜水艦狩りの達人の異名を持つ長良姉妹の次女、姉妹の中ではわりと常識人でありナイスガッツ理論寄り、駆逐艦のキッズ達からは対潜の美技とおっぱいのデカさで人気
意外にも提督とは仲が悪くないらしく、なんやかんやでそれなりに趣味と話が合うらしい

妹にあたる由良にビンタできる稀有な存在


新年度初戦を飾るオープニングゲーム

中規模詐欺なのは当たり前として、開幕戦からトリプルゲージと言う魔境………トリプルゲージ?いったいなんのつもりだよテメェー!と、執務室でイキり散らしたところで状況は何も変わらないしやる事も変わらない

 

「開幕戦のメンバーですが…」

 

「五十鈴パイセンに開幕スタメンって伝えとけ、連れてくメンバーも五十鈴に任せる」

 

「はぁ…?ってかどんだけ五十鈴さん信頼してるんですか?ツーとかカーみたいな仲なんですか?」

 

「舐めるなよ、俺と五十鈴さんの間に余計な遺言など要らぬ」

 

「はぁ?」

 

◾️◾️◾️

 

新年度の明暗を占う大事な大事な開幕戦、初戦からまさかのトリプルゲージとなるこの戦場、先陣を任されたのはミス・開幕女の代名詞でおなじみの五十鈴パイセン

台湾/南沙諸島/比島方面沖の三ヶ所を攻略するこの戦い、人類最強の潜水艦狩りの達人の異名を持ち、対潜以外には不安視する声もある五十鈴ではあるが、その五十鈴、実は対潜以外の才能もわりと高かったりする…

 

「死ねやッ!!」

 

「メフンッ!!」

 

戦艦ル級、死亡(32秒 シャイニングウィザード)

 

「出たーッ!五十鈴サンの波紋入りシャイニングウィザード!」

 

「おお!やったッこの音!ブ厚い鉄の扉に流れ弾の当ったような音!」

 

「いつも聞く“波紋”が流れる音だぜー!」

 

第1ラウンド、VS深海艦隊南沙方面艦隊中央集団ッ!!

特に危なげもなくコレを瞬殺!たとえ対潜でなくとも五十鈴サンの実力に疑う余地なし!パワー・スピード・タフネス・カリスマ性・おっぱいのデカさ!その全てが一流!

 

そしてッ!!続く第2ラウンド!!開幕早々に現れる強敵!姫級率いる VS比島侵攻集団集積地…ッ!!

 

『マタキヤガッタヨコイツラァ!!』

 

『クソガ!ナンデコウ…イツモイツモ燃ヤシニクンダヨ!アッチイケ!!俺ラ別ニヤマシイモン集メテネーヨ!』

 

「ハァー?どうせ河原とかで落ちてるエロ本セコセコ集めてるんでしょ?知ってんのよ」

 

『集メテネーシ!!フザケンナヨテメー!!』

 

『ソノぱいすらニ顔面ウズメテスーハースーハーシテヤンヨテメー!』

 

「ハァー………?皐月、アレ出しなさい、アレ」

 

「アイアイサー!」

 

皐月は服のポケットから内火艇と陸戦大発を取り出してスイッチを入れるとゴキゲンなエギゾーストが辺り一面に響く!

 

『クッ!見タダケデワカル!スゲーチューンダ!ハンパナましんジャネェ!!』

 

『アレ絶対違法改造ダロ、ダッテはいぱーだっしゅもーたーノ音ジャネェモン、オイコラァ!れぎゅれーしょん違反チャウカー!』

 

集積地コンビは反則ちゃうんか、違法改造やろ、とブーブー文句タレてきたが、五十鈴はまるで我が子を諭す母親のような笑顔で皐月の頭を撫で、右手の親指を立ててスイーっと首を横一文字に引いた、GO!(殺れ!)と…

 

『ア…?ア…?』

 

『オイオイオイ、死ンダワオレ』

 

◾️◾️◾️

 

今日はうどん……いや、たまには蕎麦と言うのも悪くないと考えつつタバコの煙を吐き出す執務室…

 

「見なくていいんですか?現場の中継」

 

「中継…?あぁ、そういや今日ヴィクトリアマ●ルだったか」

 

「誰が馬の話なんかしましたか、五十鈴さんですよ、五十鈴さん、今、絶賛出撃中じゃないですか」

 

「バカ言うんじゃないよこの子は、五十鈴サンだぞ?五十鈴サン、あの五十鈴サンが今まで俺の期待に応えなかったコトあったか?ないだろ?大丈夫なんだって、出撃とか編成とか細けぇーコトは全部五十鈴サンに任しときゃ、提督の仕事ってのはなぁ〜…椅子に座ってドンと構えとくのが仕事なんだよ、ワカるか?俺の言ってるコト?」

 

「はぁ…?」

 

しかしそうは言っても五十鈴サンだって俺の可愛いファミリーだ、ファミリーは大切にするのが我が基地鉄の掟

俺は手にしていたスマホを机に置き、テレビのスイッチをONにした

 

『勝つのは五十鈴!勝つのは五十鈴!』

 

『勝者は五十鈴!勝者は五十鈴!』

 

『出たーッ!五十鈴サンのタンホイザー爆雷!』

 

『アレを喰らって五体満足で帰れた潜水艦はいねぇぜーッ!』

 

テレビから聞こえる五十鈴サンの美技に酔いしれるバカどもの歓声……

 

「ほらな、普通に勝ってるだろ?」

 

「まぁ、普通に勝ってますね、たまには五十鈴さんに祝福の電話でもしてみたらどうですか?」

 

五月雨は電話の受話器を手に取り、まるでベル打ちJKのようなスピードでボタンを押すと、受話器を投げて寄こしてきた

 

ゴスッ!(受話器)

 

「ITE!」

 

「なんで取らないんですか?」

 

「っーか投げて寄こすな!投げて……ハイハイ、もしもーし?こちらハンサムな提督ですけどー?デリバリー頼むわ、おっぱい2つ、大至急で」

 

『死ねッ!!』

 

ブチッ!!ツー…ツー…

 

「切られたぞオイ」

 

「当たり前じゃないですか」





次回は通常営業
女王陛下の騎士と女王陛下の料理人


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提督と騎士道不覚悟

騎士道大原則

【登場人物】

提督(この手の武器は使い慣れてなくてね)
刃物:E
銃器:E

Ark royal(女王陛下の騎士)
弓も使えるマルチ騎士、むしろ弓騎士

Sheffield(女王陛下の料理人)
アークロイヤルのファンの娘、顔には出さないのが英国淑女のPRIDE


遂に開幕した今シーズン最初のシリーズ、初戦を五十鈴さんによるパーフェクトゲームで飾る最高の滑り出しとなったチームの士気は高かった

 

「フーッ~………」

 

そんな高まるチームの士気でも見物するかと喫煙所でタバコを吸いつつ長良主将のナイスガッツ限界ランニングに巻き込まれグラウンドでヒィヒィと汗水垂らし脇腹の痛みに苦しむ駆逐艦のバカガキどもを眺めるのも実にオツなモノだと思っていると…

 

「そこに居るのはAdmiralではないか?」

 

「あ?」

 

通りがかりの女騎士みたいなのに声をかけられた…

 

「よぉ騎士サマ、今からゴブリン退治か?」

 

「いや、今からSherfyと剣の稽古をしようと思っててな」

 

「シェフィー?」

 

…誰だそれ?とか思ってたら、よく見ると騎士サマの後ろにもう1人いたのか……そうそう、たしかちょっと前にウチに来た英国軽巡の

割と真面目そうなツラした娘だったな、たしか

 

「やぁ、Sheffieldクン」

 

「こんにちは、Admiral」

 

懇切丁寧に頭を下げるシェフィーくん、やはり見た通りに真面目な娘なんだな、英国人は“あの御方”を除いて大抵クセの強いアレな人材だらけなせいか、実に新鮮なものを感じるのだよと考えていると、女騎士が俺も一緒に鍛練をどうかと誘ってきやがった

 

「フッ、どうだ?Admiralも」

 

「いや、遠慮しておこう、提督は刃物が苦手でね」

 

「そうなのか?ならば尚更鍛練が必要だな!」

 

「何が尚更なのだよ」

 

「フッ、Admiralもいずれは私と共に生涯を我が女王陛下と英国に忠誠を捧げる身だからな」

 

「なんで俺が生涯忠義を捧げにゃならんのだ、深海棲艦絶滅させたら国に帰れよ」

 

「モチロン帰るとも、我が女王陛下、そしてオマエと共に、な…」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか…?

 

「あの…Ark、貴女、よくこの男の話をしているケド……ホントに貴女の一目置く男なの?」

 

シェフィーくんによる冷静で的確な意見…ッ!!っーか何気に失礼だな、キミ

 

「フッ、Sherfy……Admiralはいずれ私と共に女王陛下の為に尽くす騎士となる男、たしかに、オマエがAdmiralの実力を疑う気持ちはわからなくはないが、しかし!Admiralは我が女王陛下が是非に臣下として欲しいと言わしめる男!Admiralを疑うのは女王陛下を疑う事になる!忠義を失うぞ!Sherfy!」

 

「そ……そうなの?そ、そうなんだ…」

 

「フッ、わかればいい」

 

そ、そうなのか……陛下、まさかそこまで俺を買ってくれていたのか…っ!俺はてっきり陛下はこの残念女騎士をどうにか俺に押し付けたいのだと疑う心を持っていたッ!!しかしそれは間違いだった!

クッ!恥ずかしいぜ!もしこの場に陛下がおられたら思わず膝を折り、生涯の忠誠を誓っていたかもしれねぇ…

 

「あ、そうだAdmiral、そう言えば女王陛下からの勅命でAdmiralの休日に自然な流れでShoppingに誘えと言われていたのだ、休日はいつだ?私も同行する」

 

前言撤回、やはり陛下はこの残念女騎士をどうにか押し付けたいのだ

 

「悪いな、俺、休日は一人で瞑想する予定だから」

 

「それは困る、女王陛下から“Admiralを何がなんでも連れ出せ、二人きりで、いいですか?二人きりですよ?絶対に二人きりでなくてはなりません、当日の服装はモチロン、いえ、むしろ宿泊の準備をしなさい、あと必要な資金はNelsonが出します、手段は選ぶな”と厳命されているのだが…」

 

陛下…ッッッ!!!陛下ッッ!!!

 

「よし、ならこうしよう、たしかに女王陛下の勅命は何よりも優先しなければならない事だが……私とAdmiral、決闘をして決めようではないか!」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか…?

 

「私が勝てばAdmiralの休日は私が同行する、Admiralが勝てば女王陛下には私から謝罪しよう」

 

「え?やだよめんどくさい」

 

むしろこの女騎士がダメでしたって謝罪に行ったら、なら瞑想に付き合いなさい!と新たな勅命が下りそうなのだよ

 

「決闘………ねぇ、Ark、お願いがあるんだケド?」

 

「なんだ?Sherfy」

 

「その決闘なんだケド、Arkの代わりに私がAdmiralとシたいんだケド?」

 

「なに…?」

 

オイオイオイ、ナニ言ってんだこの娘は?シェフィーくんだっけか?え?ナニ?俺になんか恨みでもあんのかこの娘は…?

 

「正直、Arkには悪いケド私はこの男の実力を疑っている」

 

「フム……なるほど、フッ、なるほどな…」

 

ナニがなるほどなんだ?

 

「いいだろう、Sherfy、ヤってみるといい!Admiralもそれで構わないな?」

 

「俺抜きで話し合って俺抜きで納得されてもなぁ…」

 

「では!この女王陛下の騎士Ark royalの名において決闘を認めよう!」

 

「だからッッ!!!俺の話聞けよ!!」

 

まるで俺の話を聞かない騎士サマはルールは一対一のデスマッチ!腕を飛ばされようが足をもがれようがどちらかがマイッタしない限り終わらないッッ!!と力強く宣言し、お互いに剣を構えて!と手を振った

 

「いや、俺、剣とか持ってないんだが?」

 

「なんだと?Admiral、オマエそれでも騎士か!」

 

「アドミラル様だよ、舐めてんのかテメーは」

 

「仕方ない、Sherfy、少し待て、Admiralには私が剣を貸そう」

 

そう言って騎士サマは廊下の隅に立て掛けてあったやたら長い袋からやたら長い剣みたいなのを取り出し、この剣を使われよと騎士らしく俺に投げつけてきた

 

「その名は真魔剛●剣、真のドラ●ンの騎士のみが使う事を許された神々が造りしまさしく地上最強の剣!」

 

コイツ、実はただの残念女騎士じゃないで実はドラ●ンの騎士なのか!?

 

「フッ、ちなみに私はドラ●ンの騎士ではなく女王陛下の騎士なので使えないがな」

 

「意味ねぇ!!」

 

そしてこの俺もドラ●ンの騎士ではなくただのハンサムな提督なので使用不可ッッ!!

 

「ったく、仕方ねぇなオイ…」

 

俺はポケットをまさぐり、なにか武器になりそうなものはないかと探し、そこらを探すと誰かが落としたらしいカッターナイフが落ちていた、っーかたぶん鹿島先生だな、マジックで教務室とか書いてるし…後で返しておこう

 

「よし、Admiralの剣はそれでいいな?」

 

「いいワケねーだろ、舐めてんのかテメーは?」

 

「と言うか、キミ、早くしてくれない?」

 

「あ、はい、スンマセン」

 

シェフィーくんに怒られてしまった、ってかなんで俺が怒られんの?理不尽じゃね?

 

「まぁいいか、俺はコレでいいよ」

 

「は?」ピキッ!

 

「遠慮はいらんよ、何故ならシェフィールドくん、キミが本気を出しても勝てない相手が目の前に立っているのだぜ」

 

「へ、へぇ~…言ってくれるわね?」

 

俺はシェフィーくんにあいにくコレ以下の刃物は持ち合わせがなくてね、と煽ると意外と短気だったらしいシェフィーくんの額にアオスジが浮いた

 

「よし、では始めようか!」

 

シェフィーくんからバチバチのメンチビームを浴びつつ、俺達は向かい合うと女騎士から開始めぃッッッ!!!!!の合図が飛ぶと同時にシェフィーくんの気合の入った両手持ちスラッシュが炸裂する!!

 

「死ねッッッ!!」

 

なるほど、シェフィーくんはパワーよりもスピードで攻めるタイプか、しかし残念だよシェフィーくん、もし相手が提督でなかったらキミは勝っていただろう…

 

「フンッ!!!」

 

バシッッ!!!!(無刀金的破)

 

「ウソでしょ!?」

 

白刃取りに金的をプラスしたエンメイリュウの技……かつて、長門にしかけてキンタマを破壊されかけたこの技を自ら使うコトになるとはな…

 

シェフィーくんは股間を強打され涙目でへたりこみ、こちらをキッ!と睨みつけ…

 

「クッ…!殺せ!」

 

「騎士サマじゃなくてキミが言うんかい!!」





次回は第二海域
ヨナタスのデビュー戦は潜水艦の潜水艦による集団リンチ


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提督と涼風と秘書艦不在の日

秘書艦不在ウィーク

【登場人物】

提督(メガネ)
好きなラーメンはトンコツラーメン

涼風(壊れた扇風機)
好きなラーメンは棒ラーメン




二日に一度は雨な気がする梅雨の日、今日も真面目に仕事すっか!カーッ!こんなにヤベーのにワクワクすっぞ!と思いつつ執務室へやって来たワケだが…

 

「オハヨウ」

 

「ヨォ」

 

先に来ていた秘書艦サミー子に社会人特有の機械的な朝のアイサツをして自分の机に向かった俺はとりあえず今日の基地スポでも読むかと紙面を広げた…

 

「鉄人復活、衣笠連夜の逆転打か…」

 

100マイルの速球に差し込まれることなく強烈なミートで叩いたボールはスタンドに吸い込まれた、これにより大鯨ホエーヌズは球団創設以来ワースト記録となる12連敗を喫し…

 

「へぇ、ガッサさんサスガだねぇ」

 

「バカオマエ、衣笠サンだぞ、衣笠サン、あのゴンタクレだらけのプッツン重巡どもを唯一纏めるコトのできるカリスマ的存在、いや…むしろレジェンドと言っていいだろう」

 

この基地に衣笠さんほどヤキュウに対して真摯に向かいあっている者はいないだろう、しかしその衣笠さん、二回の三冠王、新人王、首位打者6回、本塁打王4回、打点王7回と数々の輝かしいタイトルを手にしたきたが、そんな衣笠さんが唯一手にしたことがないタイトルがある…

 

優勝、衣笠さん率いる殺天エンジェルスは優勝と言うタイトルを手にしたコトがないのだッ!!

 

「ふーん、まぁ、アタシは興味ねぇけどな」

 

「ナニが興味ないだキサマ、舐めてんのか」

 

しかし今日の秘書艦サミー子は妙に口悪いな………っーか、オイ

 

「…なんだスズカか」

 

「スズカじゃねーよ、涼風だボケ、キンタマ蹴り潰すぞ」

 

「女の子がキンタマとか言うんじゃないよ、この子は」

 

見た目は五月雨に似ているが言動が些か荒ぶっているコイツの名は涼風、ウチのバカどももコイツが五月雨にやたらと似ている事から見分けがつきにくいらしく、一部のアホガキどもにはサミーとよく似たドッペルゲンガー、もしくは凶暴な方の五月雨、五月雨Bと呼ばれている

 

「で?なんでオマエが居るんだ?Aはどうした?Aは?」

 

「あの髪長なら有給とってコロンビアに豆買いに行くって言ってたぜ」

 

「あのヤロー…」

 

今、作戦海域期間だってワカってんのかあのヤロー、ナニがコロンビアだっーの、舐めてんのか、これはもうアレだな、ヤツには一度ビッ!と言ってやらにゃいかんな

 

「でだ、サミー子がコロンビアに行ってる間、オマエが秘書艦の仕事するのか?」

 

「んなワケねーだろ、アタシにそんなチマチマした仕事出来るワケねーだろ」

 

「だろうな」

 

涼風は冷蔵庫からバヤ●ースのペットボトルを取り出し、中身をグラスに注いでイッキに呷った

 

「ブハァ!!うんめぇー!」

 

「やかましい、仕事しねーなら消えろ、あと、仕事がデキるHでキレーなお姉さん呼んで来い、巨乳の」

 

「ブッ飛ばすぞクソメガネ」

 

「クソメガネじゃない、提督だ」

 

しかしこのヤロー…マジで口悪いなオイ、白露姉妹はそもそもアレなヤツが多いが、コイツは姉妹の中でもブッちぎりの凶暴性、そして残虐性、残酷性も十分ッ!

五月雨と同じく、ここ近年は海域に出るコトはほぼ無いが、かつてはその残忍性は由良さんをも凌ぐとまで言われたぐらいだ

 

「いいから巨乳のお姉さん呼んでこいや、だいたいナニが涼風だ、壊れた扇風機みてぇーな名前しやがって」

 

「あー?やんのかテメー?」ピキッ!パキッ!

 

「フン、どうやら久々にわからせが必要らしいな、この基地の絶対支配者が誰なのかを…」

 

俺と涼風は互いに既に必殺の間合いに入っている、先に動くのはどちらか、そんな緊張感が漂う執務室、そこへ…

 

ゴン!ゴン!(ノックしてもしもし)

 

「Hi、失礼するわよー、昨日の出撃日報持ってきたわ」

 

懇切丁寧に執務室の扉をノックして開いたのはアメリカ生まれのハード・パンチャー………えぇと、誰だっけ?たしか、え〜……

 

「エレナ?」

 

「Helenaよ、ブッ飛ばすわよ?」

 

「小粋なテイトクジョークなのだよ」

 

やって来たのはMAJOR出身の本格右腕、そのパンチ力はあのアイオワですらガードを上げざるを得ないと言わしめる右の大砲、ヘレナくん

そんなヘレナくんは書類の入ったファイルを片手に、執務室をぐるっと見回して、うわっ…汚っ、と軽くディスってきた

 

「少しは整理しなさいよ、整理整頓、基本でしょ?」

 

「やかましい、今忙しいのだよ」

 

「ふ〜ん、いつもの秘書艦の娘にやってもらったら?ってか居るじゃない、え〜……なんだっけ?Sammy子だっけ?」

 

「アタシはサミーじゃねぇよ」

 

「え?違うの?」

 

ヘレナくんはウソでしょ?と言ってみたものの、たしかになんか違う気がすると涼風をマジマジと見た

 

「そいつは凶暴な方の五月雨、通称五月雨Bだ」

 

「B?ナルホド、オッケー!覚えたわ!」

 

「涼風だ!二度と間違えんな」

 

ヘレナくんは涼風に、スズカゼ?Sammy子のキョーダイ?双子なの?どっちが上なの?と興味津々丸に英語で質問責めにすると、涼風はナニ言ってんだコイツという顔で首を曲げた

 

「チッ、めんどクセー…アタシはもう行くわ」

 

「あ、ちょっと待ちなさい!まだハナシは終わってないわ!」

 

「うっせぇな、あ、そーだオッサン、とりあえず五月雨が居ない間、そのネーちゃんに秘書艦してもらえよ」

 

「え?やだよ、だってHでキレーで巨乳じゃないじゃん」

 

ヘレナくんはワールドクラスのパイオツが揃うMAJOR出身でありながら体格にはあまり恵まれなかったらしく、その、わりと貧相な佇まいは資本主義社会の闇を感じさせてくれる

 

「ハァ?Helenaにナニか不満があるとでも?」

 

「あるよ、巨乳になって出直してき…」

 

メコォ!!!(顔面パンチ)

 

「あぶろぉ…!」

 

「Helenaが、ナニ?」ニコォ…

 

こ、このアマ!!提督の美しい顔になんの躊躇いもなくパンチを…ッ!!クッ…!鼻血が止まらん!

 

「…ヘレナくん、提督はね…巨乳が好…」

 

ドゴォ!!!(顔面パンチ)

 

「ゴアッ!!」

 

「Helenaが、ナニ?」ニコォ…

 

コイツ、正気かッ!!提督の美しい顔を二度も…ッ!!しかも今のパンチ、一撃目より明らかにパワー、スピード共に増していた…

たしか前にアイオワが、HelenaのPunchに三発耐えられたら地球1のタフ・ガイネ!HAHAHAとか言ってたな…

 

「………ヘレナくん」

 

「ナニ?Helenaにナニか謝りたいコトがあるの?いいわよ、Helenaは優しいから聞いてあげる」

 

「ボクはね、巨乳が…」



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提督と夕張とAIロボット

秘書艦不在期間中

【登場人物】

提督(テイ・トク)
1海域4ゲージはルールで禁止スよね

Helena(ヘレナ)
美味しいコーヒーが淹れられるアメリカン、沸点低め
同期のアリアケにパンチの指導をしてたら全治3週間にした

夕張(ユウ・バリ)
ネオ・軽巡



五月も終わりになろうとしつつある五月晴れの午後…

そんな良き日は一杯のティーでも飲みつつ今後の明るい未来とこれからの苦難に満ちた日々について考えたいねと小粋なテイトクジョークを交えつつ秘書艦代理殿にアツいティーを淹れてくれたまえと頼むと、ハァ?Tea?Coffeeでいいでしょ?milkは?blackでいい?とアツいコーヒーを淹れてくれた…

 

「…んン!エクセレンツ…ッ!」

 

「当たり前でしょ、HelenaはCoffeeにはチョット自信があるの♪」

 

「ふ〜ん」

 

ナニがそんなに誇らしいのか、無い胸張って誇らしげな顔をしているあたり、この娘はたぶんちょっとカワイイカワイイって褒めりゃツケあがるワリとチョロい娘なのだろう…

まぁ……たしかにコーヒーは美味いがね

 

そんなコトを考えつつ、たまには真面目に仕事でもするかと現在絶賛開催中の海域作戦の書類でも読むかと机に広げると、執務室の重厚な扉をノックし、何者かがぬるっと顔を見せた…

 

「失礼します」

 

ぬるっと執務室へとやって来たのは最高の科学力と最悪の発想力を併せ持つ狂気のスーパーサイエンス軽巡、夕張…ッ!!

 

「失礼すんじゃねぇよコノヤロー、なんだぁ…?テメぇ…?」

 

「いきなりキレないで下さいよ、ってか五月雨ちゃんどうしたんですか?お休みですか?」

 

「アイツなら有給取ってコロンビアに豆買いに行ったらしいぞ」

 

「へぇ〜」

 

豆なんかにこだわってもマズいものはマズいんですけどね〜…と言ってケラケラ笑う夕張、たしかに、身も蓋もない事実ではあるが、五月雨が聞いたら間違いなく阿修羅バ●ターじゃ済まないぐらいにメチャメチャにされかねないコトを平然と言ってのけるのには感心する

 

「で?オマエは何の用だ?有給が欲しいのか?」

 

「いえ、新しい装備を作ったのでテイトクに見てもらおーと」

 

さらに、ハッキリ言って自信作です!といつものセリフを付け足し、ヘソ出しメロンは自信満々にグッ!と拳を握った

 

「ハッキリ言って自信作です」

 

「二度も言うな、ケツに牛乳とミルメークのホースを二本挿してボテ腹になるまで注入されてーのか?テメーは」

 

「そ…それはちょっと、えぇ…うん、ちょっと…」

 

…なんでちょっと嬉しそうなんだよコイツ、ほら見ろ、ヘレナくんとかドン引きしてるぞ、間違いなく俺への好感度が下がったよ

 

「まぁいい、とりあえず見せてみろ、クソみてぇなモンだったらテメーの作ったコーヒー牛乳をヘレナくんに飲ませるからな」

 

「ハイっ!」

 

「ハイっ!じゃないわよ!!なんでHelenaがそん…そんなヘンタ…!Abnormal playに付き合わなきゃいけないの!?」

 

「大丈夫です!自信作ですから!」

 

「イヤ…スッゴイ不安…」

 

イイ顔でニカッ!と笑う夕張とは対照的に、ヘレナくんはウソでしょコイツら、イカレてるわ…と言いたげな顔をして秘書艦机に置いてある電話機の受話器にそっと手を置いた…

おそらく、いつでもポリスかレスキューに連絡する準備だろう

 

「そして今回の自信作はこちらァ!!米軍の協力の下、最新最高のテクノロジーをもって開発した軍事ロボット!名付けまして試作品(プロトタイプ)“ト●ー”です!」

 

そう言って夕張がベリっと破り捨てたブルーシートの中から現れたのは、なんともこう…アレな、そう、メカメカしいと言うか、ザコキャラみたいな産業ロボットっーか、ミスターVTRっぽいのが姿を現した

 

「…足があるな」

 

「足なんか飾りです」

 

ヘレナくんから、え!?飾りなのォ!?と冷静で的確なツッコミが飛んだがこのやり取りは様式美なので仕方ない

 

「このト●ー、機械のような人間と真逆、人間のような機械をコンセプトに作られたAI・マシンです」

 

「ふ〜ん」

 

「ちなみにト●ーの軽い蹴りイッパツでまるでトラックに撥ねられるぐらいの破壊力があります」

 

さらにスピードは時速100キロを超え、その耐久力は殴った鉄パイプが逆に折れ曲がるほど耐久性を誇り、しかも腕がもげようが足がもげようが頭だけになろうが内部のコードを伸ばして自己修復するのだとか…

 

「なんと言うか、スゲーような、スゴくないような…」

 

むしろ以前作ったジ●ンパーソンとかガン●ブソンの方がスゲーっーか、カッケーっーか…

 

「フッ、テイトク、ト●ーのスンゴイところはこれからですよ!なんとト●ーには高度なAIを搭載しており、なんとお喋りするコトができるのです!」

 

「いや、ジ●ンパーソンも喋ったじゃねーの?」

 

「ってコレ、全然強そうに見えないんだけど…」

 

ヘレナくんによるト●ーに対するあまりにも忌憚のない意見…

 

『エレナ、オモテニデロ』

 

「うわっ!?喋った!?ってか、Helenaよ!Helena!壊れてんじゃないの?このポンコツ」

 

ト●ーはメカメカしく動くとヘレナくんにオモテにでろと宣言すると、夕張はナニがそんなに面白いのか、クックックと頭のおかしい悪の科学者のような笑みを浮かべ…

 

「怒らないでくださいね?ヘレナさんってバカみたいじゃないですか」

 

「ハァー!?なんですって!!ユーバリ!アナタ!アナタ今なんて言ったのかしら!?」

 

「忌憚のない意見ってやつですよ」

 

悪のマッドサイエンティスト特有のイヤらしいニヤニヤ笑いを浮かべつつ、夕張はさらにヘレナくんを挑発する!

 

「ファファファ!軍事ロボットト●ーは人間サイズであるためあらゆる一般兵の持つ武器・兵器が使えます!さらに、その腕前はどんな射撃訓練を受けた兵士より正確に的を撃ち抜くのです!」

 

「へぇ〜………このHelenaがこのポンコツマシンより弱いと?ジョートーじゃない!!」

 

ヘレナくんの殺人パンチがト●ーのボディに突き刺さるッッッ!!!

 

ドゴンッ!!(ヘレナ殺人パンチ)

 

「〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!?」

 

『ソンナモノカ?』

 

「クッ…!ウソでしょコイツ!!」

 

ヘレナくんの殺人パンチを受けてなお平然としているッッッ!!これがト●ーかッッッ!!

まさかもう日が落ちて……いや、まだ太陽はある!昼間の時間なら絶好調!夜は早く寝るタイプの健康優良軽巡のヘレナくんの殺人パンチが通用しないとは…!

 

「ハーッハッハッハッハ!!どうですかぁー?この最強ロボ、ト●ーの力!そしてこのト●ーは既に量産体制に入っているのです!いいですか?機械の前では人間の肉体など豆腐のように脆い!AIの軍事利用はこれからの戦争の有り様を根底から変えるのです!」

 

夕張は両手を大きく広げ頭のおかしい悪の科学者特有の悪役ムーヴをかまし、自分の右手をフーフーするヘレナくん相手に勝ち誇る!!

 

「クックック、恐怖せよ人類!もはや戦争に艦娘など不要!過去の遺物!さぁ行きますよト●ー!この最新最高最強の科学の力を深海のクズども見せつけてやるのです!」

 

そう言って夕張はト●ーと共に執務室の窓ガラスをブチ割り、外へと飛び出した!!

 

「あ!ちょ、ちょっと待ちなさい!!」

 

ヘレナくんはヘレナが負けるワケないでしょ!とWANA-WANAと身を震わせ、提督の執務机を叩き割った!!

 

「あぁ!?俺の机ぇ!?」

 

「キイイイイイイイィィィィィ!!!許せない!許せない!許せない!許せない!許せないィィィィィ!!テイトク!ちょっとヘレナ出かけて来るわ!!」

 

そう言ってヘレナくんはロッカーに入っていた金属バットを手に執務室の窓から外へと飛び出して行った…

 

「…………いや、執務室をメチャメチャにされて一番戸惑っているのは俺なんだよね」

 

 

この後、怒りに狂ったヘレナくんが夕張のバカとト●ーを探し回った結果、メチャメチャに破壊されたト●ーの残骸が転がっていたらしく、たまたま飼い犬の散歩をしていたフレッチャーくんの愛犬D-51が向かってきたト●ーをメチャメチャに破壊したそうな…



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第六艦隊の戦い

第二ステージ、結界の死闘

【登場人物】

空母棲姫(痴女)
道中ディフェンダーTOP3に数えられる猛者、特に道中に現れた際のディフェンス力の高さには定評があり、中枢棲姫もそこら辺は高く買っている
しかし私生活と服装がダラしなく、趣味は深海オートレース、服装はラフを通り越して痴女である
同僚の戦艦棲姫とは深海レギュラーとしてわりと仲が良く、たまに二人で深海カラオケに行く


秘書艦サミー子が休暇中(有給)の中始まった第2ステージ

開幕戦を五十鈴パイセンが見事にシャットアウトし、続く第2ステージはソロモン方面及びレンネル島沖…ッ!

 

「オラァ!!死ねェ!!」

 

『キャビホー!!』

 

第1ラウンド、安心とダルさでお馴染みの輸送作戦、一つ上の重巡こと重巡ネ級改を殴って黙らせ、否、黙るまで殴り続く第2ラウンド…

 

「オラァ!!死ねェ!!」

 

「出たァー!鈴谷サンのビッチベン・エッジ!」

 

「あの技をマトモに被弾して足腰がフラフラにならなかったヤツはいねぇぜーッ!」

 

『ヴェアアアアアアアー!!』

 

第2ラウンド、満を持して登場し安心のかませぶりを発揮してくれたかませ犬界のスーパースター、重巡棲姫

 

そして、第2ステージ海域制圧は遂に最終、第3ラウンドへと突入していた…ッッ!!

 

---

 

『ウソデショ…』

 

TOUGH&HARD、高いディフェンス力と撃った弾丸を摘まむ程の精密な射撃能力を持ち、MI作戦で登場以降、深海棲艦レギュラー空母の地位を不動のものとしている空母棲姫…

 

今回の作戦、作戦にあたり、空母棲姫はインタビューにて“自分程のベテランが海域BOSSを任されるのは特に珍しい事ではないです、どんな配置・艦隊でも自分はベストを尽くすだけです”と深海新聞記者に答えた…

その顔は自信に満ち溢れると同時に、やはりベテランの風格を漂わせており、彼女ならやってくれるかもしれない!ヤツらを序盤から阿鼻叫喚の地獄のズンドコに叩き落としてくれる!記者、そしてインタビューを見た全ての深海棲艦達は期待した…

 

 

しかしッッッ!!!その空母棲姫は!!今、かつてない程の動揺の中にいたッッッ!!

 

 

『ドコダ…?ヤツラハ……!?ドコカラクルッ!?』

 

深海No.1ディフェンダーとして幾度となく深海防御部門で賞を貰った実績!そして自分にはそれができると言う強い自負!決して自惚れていたワケではないが、彼女の心にはベテランとして油断があったのかもしれない…

 

相手が見えたなら確実に大破に追い込む、そう確実に………だが、相手が見えないのだッ!!

長い現役生活、こんな事態は今まで一度としてなかった!!海軍のクソヤローどもはいつだって自分を相手にする時は“あったよ!”“でかした!”と言いながら全力で向かって来た…

 

しかし、今日は違う………

 

基地航空隊の爆裂轢き逃げアタックが飛んできたなと思っていたら、一緒に来ていたチームの仲間がいつの間にか誰もいなくなっていたのだ!

たしかに、あの轢き逃げアタックで1人、2人はリタイアしたかもしれない………だが、それでもまだ他の仲間達はあの轢き逃げアタックをかわしていたハズなのだ

 

だがッッッ!!まるで、時間が跳んだかのように、次の瞬間、仲間達は死んでいた!!

 

まるでワケがわからない…

 

おしゃべりでムードメーカーのヘ級、最近カレシができたとか言ってマジウザかったがノリのいいリ級、真面目系クズのロ級……いつの間にか殺られていた仲間達…

 

『イツ殺ラレタ…?ドンナ方法デ…ッ!』

 

しかし気配は感じる、間違いなく敵はいる…

姿は見えずとも殺気はある、そして囲まれている…

考えてみたが結局、答えは出ない…ッ!!だがヤるしかないッ!!自分は誇り高き深海の戦士、この青い海を守護るべく深く、暗い海の底からクソ人間どもに母なる海の怒りを教えてやるべく光溢れるこの海上へとやって来た戦士なのだから!!

 

『ク……空母棲姫クン!』

 

『ロ級!オマエ…!生キテイタノカ!!』

 

『エェ……スンデノトコロデ、ガハァ!!シカシ、ボクハモウ永クナイ』

 

『モウ喋ルナロ級!オ腹ニ穴ガ空イテルンダゾ!』

 

空母棲姫はまだ息があったロ級に駆け寄ろうとしたが、ロ級はこっちに来ては駄目だと力強く言い放ち、最後の力を振り絞り口から大量の血と爆雷を吐き出した

 

『ロ、ロ級ーッッッ!!』

 

『…(メ、メッセージ、デス…コレガセイイッパイデス、空母棲姫クン……受ケ取ッテ…クダサイ、伝ワッテ…クダサイ…)』

 

駆逐ロ級後期型 -死亡-

 

『〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!ロ級ノ奴!何故最後ニアンナヨクワカラン場所ニ爆雷ヲ……爆雷、ソ、ソウカ!爆雷ヲ吐イタ!!ソウ言ウコトナンダナ!ロ級ッ!!オマエノ決死ノメッセージ、タシカニ受ケ取ッタ!!』

 

敵の正体と能力!ロ級が暴いてくれたその恐るべき正体ッッッ!!

 

『潜水艦ッッッ!!ココニ来テイル敵ハ全員潜水艦ナンダナ!!』

 

空母棲姫は海面をビシッと指差すと、ブクブクと気泡が立ち、14が頭を出した…

 

「ウフフフー……わかったらどうだって言うんだマヌケめ、わかったからってアレだよ、アレ!そう、死ぬしかないなぁ〜!空母オバサン」

 

『誰ガオバサンダコラァ!!』

 

「おやおやおやぁ〜?この14に勝てるつもりですかぁ〜?プークスクス」

 

『コ、コケニシヤガッテ…ッ!!』

 

「予告しよう!オマエはウチの可愛い新人のヨナタスが血を吸って殺す!」ビシッ!

 

「…14ちゃん、ヨナタスは血、吸わないよ」

 

「え?マジで?じゃあ姉貴でいいや、姉貴が血を吸って殺す!」

 

「…私も吸わないよ、14ちゃん、後で話があるから執務室に…ね?テイトクにも14ちゃんによく言ってもらいたいから、ね?」

 





ifエンド準備中
ざっくり内容は活動報告に書いてますが、今回は【駆逐艦のみ】or【海外艦のみ】でいこうと思ってます、はい


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提督と息抜き×ガス抜き×オチ抜き

最大級のパワフルボディ!ダリラガーン!ダゴズバーン!………1周回ってカッコ良く見えてきた不思議

【登場人物】

提督(クズ)
秘書艦がいないと露骨に仕事しないクズの鑑、No.2不要論?愚問だな!必要不可欠だ、話はそれだけか?下がれ!

鈴谷(クズ)
自称メインヒロイン、そもそもメインヒロインが何かよくわかっていない

香取先生(先生)
クズどもを正しい道に導く教育者の鑑、提督への好感度がやたらと高い

鹿島先生(先生)
最近、異世界行って聖女ってちやほやされたいと考えている





『このままでは終わらんぞぉー…終わらんぞぉー……わらんぞぉー………ぞぉー………ぞぉー…』

 

 

コロンビアに豆を買いに行くとか行ったとかなんとかで有給を取り、未だに戻って来ない秘書艦サミー子…

そして我が半身にして共に銀河を手に入れようと誓い合った莫逆の友であり頼れる秘書艦不在の中、開戦となった此度の戦に不安を感じつつも、とりあえずなんとかなるだろうと考え、気持ちを切り替えてみるかとゲーセンに来たワケだが…

 

「相変わらず弱いな、オマエ」

 

「弱くねーし、ちょっと油断しただけだし」

 

何故コイツはここまで弱いのだろうか?そして何故執拗に八●女を狙い続けるか??たしかに八●女はカッコいい技だ、泣け!叫べ!そして死ねぃ!は俺だってカッコいいと思う…

 

ただし、当たればのハナシだ

 

どんなカッコいい大技だろうが当たらなければどうと言うコトはないし、むしろ当たらなければカッコ悪いコトになるのだ

 

「ハァ…もぉいいわオマエ、やっぱ弱いもんイジメは気分が悪くなる」

 

「弱くねーし、もう1回!もう1回やろーぜ!次は絶対勝つし!」

 

鈴谷は不遜にも台をバンバン叩き、まだ満足できない!もう1回戦シたい!ヤリたいヤリたいとゴネるので、とりあえず俺は財布から千円取り出して鈴谷に手渡した

 

「え?ナニ?くれるの?」

 

「それで負けて来い」

 

「ハァ?意味ワカんねーんですけど?」

 

「俺、あっちで子育てクイズマイ●ンジェルやってるから、その千円でできるだけ強そうなヤツに挑んで負けて来い、千円あったら20回くらいできるだろ」

 

「だから負けねーし!ってかなんなの!?珍しく鈴谷がゲーセン行こうぜ!ってのに付き合ったと思ったら子育てクイズマイエンジ●ルとか意味ワカんねーし!」

 

「うっせーな、オマエが弱すぎてつまんねーんだよボケ、悔しかったらあっちのK●F96でゲーニッツ倒して来いよ、そしたら相手してやる」

 

「ハァ?鈴谷を舐めてんの?ゲーニッツぐらいラクショーよ!ラクショー!すぐ八●女でボコってやんよ!」

 

ーーー

 

『このままでは終わらんぞぉー…終わらんぞぉー……わらんぞぉー………ぞぉー………ぞぉー…』

 

 

「か、勝てるかァァァァ!!なんなのコイツ!!」

 

インチキ…っ!インチキ…っ!!勝てるワケがない…っ!!と台パンする鈴谷、まぁ、気持ちはワカらなくもないが、この超反応にすら対応し、あまつさえ完封して勝利する“怪物”はたしかに存在する…

 

今、この店に来ている上位ランカーは巻雲さん、望月さん、鳥海さん、あの人達からすれば俺などカス同然…

あまりのレヴェルの違いに、相手が筐体に金を入れただけで負けを認めてしまうレヴェルだが………幸か不幸か、鈴谷はそのレヴェル差すら感じ取れないほどのファッションビッ……ファッション格ゲーマーなのでたとえ相手が上位ランカーでも果敢に挑戦できるだろう

 

「しかし、だ…」

 

今さらやっても未だにムズいなこのゲーム…

そして何故今さらこのゲームを入荷したのか?相変わらずこのゲーセンのラインナップはよくわからんのだよ

 

 

『ゲェッ!?香取ティーチャーだ!』

 

『香取センセイが見回りに来たぞッ!』

 

『ヤッベ!逃げろ逃げろ!』

 

 

………なんか騒がしいな、乱闘か?まぁ、ゲーセンにカツアゲとストリートファイトは付きものだしな

 

そんな周囲の騒がしさをBGMに、子育てクイズマイエン●ェルに興じていると…

 

「あ、テイトクじゃないですか、こんなところでナニやってるんですか…」

 

「アァン?…………あぁ、これはこれは、鹿島先生じゃないですか」

 

後ろから声をかけられたと思ったら、鹿島先生だった

 

「こんな時間にゲーセンとは、鹿島先生は見回りですかな?」

 

「え?えぇ、香取姉ぇ……じゃない、姉さんと一緒に」

 

「なるほど」

 

この辺では地域の条例で18時以降、駆逐艦のバカガキどもは盛り場でサカってはいけない決まりらしく、こうして先生方がバカガキどもがサカっていないかを見回りに来ているそうな…

まったく…香取先生のアツい熱血指導にはいつもながら頭が下がるね

 

「ちなみにテイトク、その子は?」

 

「その子?」

 

鹿島先生が指差した先…………俺の座ってる椅子の隣

 

「うおっ!?ダレじゃいキミは!?」

 

「平戸です」

 

隣の椅子になんか白いのが座っていた、ま、まったく気付かなかった…

 

「い………いつから居たのかね?」

 

「テイトクが350円使ったあたりです」

 

「そうかね」

 

この俺がまるで気配を感じないほどの“絶”の使い手なのか?このガキ………大した子ねと感心していると、風紀を乱すバカガキどもを追い払ったらしい香取先生がやって来た…

 

「あらテイトク、テイトクもこちらに…?」

 

「はぁ、ちょいと息抜きに……香取先生はバカガキどもがヤンチャしてないかわざわざ見回りを………ハハッ、さすがは香取先生、私も見習わねばなりませんなぁ」

 

「いえいえ、私などまだまだ………子供達には手を焼くばかりで」

 

「いやいやご謙遜を!ウチのアホどもが真っ当に育っているのも香取先生のアツい教育あってこそ!まったく、香取先生のような素敵な御方からご指導頂くアホガキどもが羨ましいものですなぁ、ハッハッハ」

 

「まぁ!テイトクったら…ウフフ」

 

まったく、香取先生のアツい熱血教育者魂はいつだって俺をアツくしてくれるのだよ

 

「…なにこのトレンディ小芝居」ボソッ…

 

「鹿島、何か言った?」

 

「サーッ!香取姉ぇ!何も言ってません!サーッ!」

 

「業務中は香取姉ぇじゃないでしょ、まったく…この娘は、ハァ………あ、テイトク、失礼いたしました、鹿島には後で私からよく言って聞かせておきますので」

 

「いやいや、姉妹仲良きことは実に良きかなですよ、鹿島先生もそれだけ香取先生の事を頼っていると言うコトですなぁ」

 

「姉としては、そろそろ教師としてしっかりして欲しいと思っているのですけど…なかなかシャンとしなくて、この前も休みの日に私も異世界行ってイケメン達からちやほやされてぇ〜ってニヤニヤして…」

 

「あーっ!!香取姉ぇ!!そーゆーのいいから!!ね?そーゆーのはいいから!ほら、今の子はそーゆージャンルの本とかアニメとか見てるって言うし!私もほら!勉強ついでみたいな!」

 

「そうなの?」

 

「そうなのッッッ!!!」

 

鹿島先生にしては珍しい強気な押しに、香取先生はよくわからないけど納得したらしい

 

…まぁ、俺としては鹿島先生のお気持ちはわからなくはない、あるよね、最近そーゆーの、うん、異世界行ってチート能力で無双してオレカッコイイするのが男の子の夢であるように、女の子は出会うキャラみんなイケメン男子のよくわかんねーけど好意を寄せられるイケメンパラダイスを夢見るものなのだよ

 

「まぁ、よくわからないけど鹿島がそこまで言うなら…」

 

「わかってくれて嬉しいよ、香取姉ぇ」

 

まったく、香取先生と鹿島先生ェは仲がよろしいものだ

そんなコトを考えていると、香取先生はいつの間にやら俺の隣に座っていたナマっ白い海防艦の子をジロッと見て…

 

「まぁ、保護者同伴ならアリとしましょう…」

 

いや、提督は保護者ではないのですが………いや、保護者なのか?たしかに俺は基地で一番偉い立場だし、ウチの基地にいる仲間はみんな俺の家族、保護者と言えば保護者か…

 

「ところで提督は何のゲームを?」ニコッ

 

にこやかな笑顔で微笑みかける香取先生ェ……いや、まぁ、よりによってちょっと言いにくいタイトルだなオイ、せめてもうちょい別のゲームだったら良かったが……ま、ファイナルロマ●スじゃないだけマシか…

 

「え?あぁ、子育てクイズマイエンジ●ルを少々…」

 

「子育てッッッ!!?」

 

いかん!やはり香取先生ェもドン引きのタイトルだったかッッ!!

 

「テイトク、次の問題です」

 

「ん?あぁ、悪い悪い、え〜…アマゾ……」

 

「ポロロッカです」

 

「いや、まだ問題途中…」

 

「①のポロロッカです」

 

「あ、そう………あ、マジだ」

 

しかしこの平戸クン?ゲームが好きってのは知ってはいたが、なかなかのゲーマーだな、まさかここまで俺がボタン押してない間にバシバシボタン押して、しかも正解ときてる…

 

「子育て………そ、そうですか、なるほど、えぇ…なるほど、フフフ……なるほど、さすがは提督、素晴らしいお考えです」

 

そして香取先生はもう既にそこまでのお考えがあったとは…と、いたく感動してくれたらしい、良かったドン引きされたワケじゃなくて

 

「提督のお考えを理解した以上、私もこうしてはいられないわ、鹿島、帰りましょう」

 

「え?あ、うん」

 

「それでは提督、失礼します」

 

あくまで、エレガントに挨拶をして去って行った香取先生、そしてそれに倣うように頭を下げる鹿島先生ェ…

いったいナニがワカったのかわからんが、香取先生のコトだ、きっと俺などには及びがつかん深い考えがあるのだろう…

 

「提督、次の問題です」

 

「はいはい、次は〜…」

 

 

この後、ほぼ、平戸クンの入れ知恵のせいか、ノーコンティニューでクリアしたのは何とも言えないが、まぁ、クリアしたから良しとしよう

 

ちなみに、鈴谷は鳥海サンにケンカを売って、あえて無抵抗で1R先取をプレゼントされ残り2Rを完封されると言う屈辱を与えられ台パンしていたが、そこから何かを学んだかと言うと、何も学んでいなかった…




作戦海域回+新人面接終わったらifエンド回書く感じです

まだifエンドは大してネタは固まってないので何かあればお気軽にどうぞですって(他力本願)


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激突!ルンガ沖夜戦

不健全鎮守府ではお馴染みの深海棲艦に哀しき過去…

【登場人物】

ルンガ沖重巡棲姫(メガネ)
鳥海が裏切っただとォ!やはりあのヤロー…いつか裏切ると思ってたんだあのメガネ、俺は昔からアイツは怪しいと思ってたぜ!
え?鳥海いる?談話室でRJさんのダビ●タ見ながら漫画読んでる…?どういうことだってばよ…?

陽炎(長女)
個性派スター集団、陽炎姉妹の頂点に君臨する長女
同じく駆逐艦姉妹の夕雲姉妹の長女夕雲とは仲が悪いらしく、平気で夕雲のお茶に下剤を入れてニヤニヤしてる外道、その外道ぶりは提督もなんやかんや気に入っている



前半戦の山場、第三ステージ

輸送!戦力!戦力!そして相変わらず多種多様に悪質なギミックと息をつかせぬかのように次々と現れる新手の刺客達とのバトル!この旅路の果てに、提督と艦娘達は何を思うのだろうか…ッ!

 

『ネズミドモメ!コノワタシガスベテソシシテヤル!スベテナァ!!』

 

この海域を統べるBOSS!!彼女の名はルンガ沖重巡棲姫ッッ!!重巡棲姫の名を冠しているもののその実態は高速戦艦であり、深海特有の艦種詐称の疑いありッ!!

 

『ドイツモコイツモドラム缶カカエテ沈メテヤルワ!』

 

『ヒュー!相変ワラズノイキリ発言!』

 

『マルデ知性ヲ感ジマセンヨーッ』

 

『フッ、俺ハデキモシナイクセニデカイ口ヲ叩クヤツガ嫌イデナ…』

 

一見すると知性溢れる外見とは真逆のように感じるルンガ沖重巡棲姫、しかし、その知能指数は170を超えるッッ!!深海学力テストでは常に上位にランクインし、現在も深海軍と並行して深海大学に通う生粋のエリートである…ッ!!

 

彼女の実家は深海チョッカクガイの養殖を営み、優しい母と少し不器用だが彼女の事を大切に想ってくれている父、そんな彼女を愛してくれる両親の元で生まれ育った彼女はそれに応えたいと思い出来る限りの努力をした、そしてその努力は早々に開花した、順風満帆ッ!!まさにそれが彼女の歩む人生であったッッッ!!

 

しかし、人生には予期せぬ転機と言うものがある、それはまるで地面にポッカリと空いた穴のように彼女の前に突然現れた…

 

『死ネッ!!深海ドライバーァァァァ!!』

 

『ウゴゴゴ!!クッ!コ、コノ技ハ、動ケンッ!』

 

………深海レスリングである

 

深夜、たまたま勉強の合間にとテレビを点けた彼女はその深海プロレスに夢中になった

凶悪な殺人技!残虐なラフファイト!下品で品性のないセリフ、そのどれもこれがキラキラ光るまるで宝物のように見えた!今までお勉強しかしてこなかった彼女にとって、それはとても新鮮で、とても刺激のあるものだったのだッ!!

 

その翌朝、彼女はさっそく両親に自分も深海レスリングをやりたいと説得した

両親の答えはもちろん“ノー”だったが彼女は諦めなかった、両親が自分を愛してくれているからこそノーと言ったのはもちろんワカっていた、しかし!彼女は自分の内から湧き出るこの情熱を抑えることはできない!

彼女はその足で家を飛び出すと、深海棲艦の溜まり場と言われている深海軍の門を叩いた

 

『入門シタイ?』

 

『入隊ノ間違イデショ、イルノヨネー、ソーユー娘』

 

深海軍の門を叩いた彼女はさっそく入隊希望の担当をしていると言う戦艦棲姫に出会い、私、あまり痛いのは苦手なんですけど、ここでトレーニングしたらアナタより強くなれますか?と尋ねると、一生懸命トレーニングしたらなれますよと言われたので早速トレーニングを開始した

 

『ナメテンジャネェゾ!コラァ!』

 

ゴッ!!(全力パンチ)

 

『ブベラァ!!オ…オ父サンニモブタレタコトナイノニ!』

 

『痛イ思イヲシナイデ強クナリテェダト?ナレルワケネェダロウガーッ!!』

 

初日からメチャメチャにボコられた、マジでボコボコにされた、今までややお嬢様育ち寄りだった彼女は初日からありえないぐらいボコられた…

 

戦艦棲姫はこっちは深海棲艦に命賭けてんのよ!舐めてるヤツは許さねぇ!とのプライドもあり、ついついアタマお花畑のお嬢様にマジムカついたとのコトだった…

 

生まれて初めて容赦なくボコボコにされたルンガ沖重巡棲姫、きっと明日は来ないだろう……誰もがそう思った、と言うか、入隊希望者を初日からボコボコにした件については戦艦棲姫は中枢棲姫からメチャメチャ怒られ、ケツ穴にシーサーペントの刑に処された…

 

だがッッッ!!!彼女は来たッッッ!!

 

ルンガ沖重巡棲姫は翌日も、そして翌々日も!!毎日やって来てはル級やタ級だってネを上げるハードなシゴキを毎日受け続けた!!何故なら彼女には夢があった、お勉強しか取り得のなかった自分にもたしかにある情熱、あのキラキラに自分もなれる!いや、なるんだッ!!

 

まるで小さな頃に魔法少女に憧れる子供のような幼稚で、しかし素直な感情!それが彼女を、ルンガ沖重巡棲姫を突き動かすのだッッ!!

そして、彼女はメキメキと力をつけ、ハードなシゴキに耐えるタフネスと強靭なフィジカルを手に入れ、そしてIQ170を超える知性を持つモンスターとして深海棲艦期待のスーパールーキーとまで呼ばれるようになった…

 

あの日、彼女が見たスーパー“悪役”にはまだ届かないけど、彼女は着実にあの日夢見た“悪役”の道へと歩み出したのだったッッッ!!

 

◆◆◆

 

「オラァァァァァァァァァ!!!陽炎祭りじゃあああィィィィィ!!」

 

「出たっ!陽炎姉貴必殺の殺人フルコース!KAGE-MATSURIやァァァァ!!」

 

「あの殺人フルコースを喰らって無事だった深海棲艦はいない、不知火はそう断言します」ニマァ…

 

「怖っ!笑顔むっちゃ怖っ!」

 

ルンガ沖最終決戦ッ!!やはり陽炎さんのトコはいつも雪風さんの稼ぎがいいですからねぇ、プークスクス……と、ナチュラルに夕雲にディスられ、今回、俄然やる気を出した陽炎姉妹の長女陽炎はアタシを出せッ!!と執務室に殴り込み、提督を殴りつけ、その返り血で出撃リストに印鑑を押した…

 

「オラァ!!」

 

ルンガ沖重巡棲姫の身体を掴み、回転しながら投げた後にローリングクレイドルに捕らえて上昇!さらに、パイルドライバーで落下し、最後にロメロスペシャルでフィニッシュをかけたッッ?!

 

『ゴハァ!!?』

 

「ペッ、陽炎姉妹舐めんじゃないわよ、不知火!電話、ゴミ片付けたから電話して」

 

陽炎はピクリともしないルンガ沖重巡棲姫のメガネに蹴りを入れ、すぐ下の妹である不知火に提督に海域制圧が終わった事を報告すべく電話をするように指示する…

 

しかしッ!!

 

『クッ…!マ、マダマダ…ッ!』

 

「ゲッ!コイツ、まだ息がある…!」

 

まだ生きていたらしいルンガ沖重巡棲姫は最後の力を振り絞り立ち上が…

 

ビタンッ!!!!

 

陽炎はルンガ沖重巡棲姫の頭を掴んで顔面を海面に叩きつけた

 

『ガボェ!!?』

 

「ダメじゃない死人が動いてちゃ〜……アンタは死んだのよ?ダメじゃないの?死んだ奴が出てきちゃあ!死んでなきゃあああ!」

 

『ガボガボガボガボガボガボガボガボガボガボ………ゴボ……ゴボ…………』死ーン

 

「陽炎、どうかしましたか?そんなとこで屈んで…」

 

「あ、わかった!おしっこやな!」

 

「別にどうもないわ、あと黒潮、オマエは後で殺す」

 

「ウソやろ!?」



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提督と悪魔を憐れむ歌

シンデレラ・4

【登場人物】

提督(研究者)
あれは発情してる合図だよ

第四号海防艦(4)
哀しき存在

松(アネゴー)
基地には珍しい常識人


湿度が高くてイライラしがちな梅雨の日、たまに晴れると気分が良いものだ、思わず鼻唄でも歌っちまいそうだなぁ〜ンンフーッと思いつつ明石の店に菓子パンとタバコを買いに行くべく歩いていると、なにやらスケッチ・ブックのようなものを持ったガキが目についた…

 

「アレはたしか…」

 

えぇと……誰だっけ?たしか名前は〜………名前、いや、名前…?誰だ?あの子は?名前、あの子供の名前……バカな!思い出せないッッ!!ファミリーの名前を忘れているのか俺が?いや、あり得ない!俺はファミリーを大事にする男!ならばこれは………敵の“能力”ッ!!既に攻撃されているッ!!

 

「こんなトコで頭抱えて、何してるんですか?テイトク」

 

「気をつけろ!!既に敵の攻撃は始まっている!よくわからんが忘れさせる能力だ!」

 

スケッチ・ブックを持った子供とは別に、なにやら菓子パンの袋みたいなのを持ったヤツが俺に話しかけてきた!

 

「はぁ?」

 

「そしてキミは………えぇと、松クン、だったかな?」

 

「はぁ、松ですけど…?」

 

そう、たしかこの娘の名前は松クン、見た目だけならたぶんフロントウ●ングさんのゲームに居ても違和感のないツラをしている娘…

 

「マツのアネゴー!どうしたんですかぁ?あ、テイトクだ!こんにちはぁ」ペコォ!

 

「あ、あぁ?こんにちは」ペコォ!

 

この基地に所属してるクズどもには珍しく提督様に対して懇切丁寧におじぎしてアイサツする子供……そうだ、思い出した、いや……そもそもこの子には最初から名前など無かったのだ…

 

第四号海防艦………それがこの子を現す名前であり、記号である

 

提督も詳しくは知らないが、予想はできる…

おそらく、かつて軍の施設で行われたであろう最強の艦娘を作り出す事を目的とした計画、それは非合法・非人道の実験であり、多くの名もなき被験体達がその肉体と精神を破壊され処分されたのだろう…

そして、被験体No.4と名付けられたこの子は運良く施設を脱出したか、もしくは施設自体が計画そのものと共に消えて無くなったか……それはわからないが、とにかくこのNo.4は悪魔の実験施設から表の世界へと出る事ができたのだ

 

見た目、年端もいかない無邪気な子供だがこの子にはきっと辛い、そして哀しき過去があるのだろう…

 

「テイトクはお散歩ですかぁ?」

 

「ん?あぁ、まぁ、そんなとこだな、キミは何をしていたのかな?」

 

「ハイ!よっつはぁ〜…マツのアネゴとシャセイ大会です!」

 

「射精大会…?」ゴクッ…

 

「写生大会ですよテイトク、絵を描いてるんですからね」

 

「モチロンわかっているのだよ」

 

松クンの冷静で的確なツッコミはさておき、松クンによると今日は鹿島先生の授業で海防艦全員による写生大会が開催されているらしく、テーマは基地の中で暮らす生物を描きましょうなそうな…

 

「またえらく抽象的だな」

 

「そうなのよ、で、私はよつのお目付け役兼お手伝いってワケ」

 

「なるほど」

 

4号クン1人だと珍しい蝶とか見つけてフラフラしてそこらのドブに両足突っ込みかねないし、ガラの悪いお姉さんにカツアゲされかねないからと、まぁ、心配しているのだと…

 

「ふ〜ん、まるでお姉さん気取りだな」

 

「お姉さん気取りも何も長女だし、松型姉妹の長女ですよ?私」

 

「そういやそうか」

 

そう言えばたしかウチに妹もいたな、なんかガラの悪いヤカラみたいな……なんだっけ?タケだっけか?なんか激烈ローライズの痴女なのかロックなのか際どい判定のパンツ穿いてるやつ

 

「そのローライズ妹は何をしているのかね?」

 

「さぁ?私が部屋を出る前は部屋で漫画読んでましたけど?あの子、基本気分屋なんで…って言うか、ローライズ妹って……」

 

そんなわりとどうでもいい世間話をしていると、4号クンがアーッ!と声をあげてなにやら見つけたらしく走り出した

 

「アーッ!犬です!マツのアネゴー!犬ですよぉ!」

 

「Was?ビックリした」

 

「誰この子?レーベの知ってる子?」

 

「さぁ?知らないけど…」

 

どうやら犬の散歩をしていたらしい戦慄のドイツJr.!レーベきゅんとマックスきゅんは知らない子?が駆け寄ってきた事に戸惑いを隠せないようだったが、すぐに別に悪い子ではなさそうと気付いたようだ

 

「やぁレーベくんにマックスくん、犬の散歩かね?」

 

「あ、テイトクだ」

 

「コンニチハ、見ての通りよ」

 

レーベきゅんとマックスきゅんが連れているのはダルメチアンの老犬……以前、グラーフ・ツェッペリンがどこかで拾ってきた?らしく、その名もグラーフ・ツェッペリン犬…

 

「犬ですよぉ!マツのアネゴ!」

 

「そうだねー、犬だねー」

 

「マツのアネゴー!コイツをスケッチしてやってもいいですかねー?」

 

「どうかなぁ?それは飼い主に聞いてみないとねー」

 

松クンはレーベきゅんとマックスきゅんにとりあえず事情を説明すると、二人は別にいいんじゃない?と快く応じてくれた

 

「まぁ、そもそもボク達は飼い主じゃないけど…」

 

「グラーフ・ツェッペリン犬だしね」

 

「ナニその名前?え?名前なの?それ…?」

 

ある日、どこかに行っていたらしいグラーフが寮に帰ってくると、グラーフの後ろを付いてきたらしいこのダルメチアンの老犬、それを見たレーベきゅんとマックスきゅんはそれはグラーフの愛犬か?とグラーフに尋ねると、グラーフはその老犬を一瞥し“ふむ、私の犬に見えるか”とだけ答え、それ以来、寮でこの犬を飼っている………と、松クンに懇切丁寧に説明してくれた

 

「へぇ〜、ってかちゃんとした名前付けてあげないの?」

 

「さぁ?グラーフが付けてないっぽいし」

 

「だからグラーフ・ツェッペリン犬なのよ」

 

とりあえず4号クンのテーマである基地に住む生物も決まったので良かった良かったと提督も安堵していると、なんか中庭の方からキィーキィー叫び合う声が聞こえてきた

 

「なんだ?」

 

「アレじゃない?」

 

松クンが指差した先に居たのは………絶対スカート穿かないわ制服はスケスケだわで基地の風紀を乱しまくりの痴女、天津風クンとMAJOR出身のジブン大好きワガママハイスペックガールのジョンくんの2人…

 

「なんかケンカしてるのかしら?」

 

「どうせくだらねー理由だろ、たぶん」

 

アイツら、なんかよくわからんがお互いに嫌いらしく、非常に仲が悪い

 

「マツのアネゴー、テイトクぅー、アレはナニをやってるんですかぁ?」

 

「あれはアマツカゼ同士の縄張り争いなのだよ」

 

「ナワバリ?」

 

「そう、あの頭の白い方がニホンアマツカゼで茶色のがアメリカアマツカゼと言う、同じアマツカゼ類アマツカゼ目ではあるが非常に仲が悪い種でね、どちらも見た目がよく似ており、性格も攻撃的で凶暴なアマツカゼだが、ニホンアマツカゼは敏感で身が締まっており、アメリカアマツカゼは肉厚でジューシィと言われているのだよ」

 

「へぇ〜ベンキョーになりますっ!」

 

「いや、そーゆーワケわからない嘘よつに教えないでくれますか?よつ信じちゃうから」

 

「どっちが強いんですかぁ?」

 

「一般的には外来種でサイズの勝るアメリカアマツカゼの方が強いと言われてるね、しかしニホンアマツカゼは繁殖力がとても旺盛で一年の内300日以上発情期と言われているよ」

 

「だーかーら!!よつに変なコト教えんなっーのッッッ!!!」

 

ギリギリギリギリギリギリ!!(卍固め)

 

「グオオオオォォ!!痛いっ!スゴく痛い!!すいませんでしたッ!本当にすまないと思ってます!チョーシに乗りました!」

 

「許すかッッッ!!死ねっ!」



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ラバウル空襲!遊撃部隊、出撃せり!

第四ステージ、これが余のネルソンタッチだ

【登場人物】

南方戦艦新棲姫(南方一族)
かつての深海最強を欲しいままにしていた名門、南方一族久々の超新星、今回、早々と再生怪人と化してリベンジだ!

South Dakota(アメリ艦)
MAJOR出身のハードパンチャー、センスが天才型なせいか、他人に教えるのは苦手

Washington(アメリ艦)
MAJOR出身のハードパンチャー、努力型らしく意外と面倒見がいい、アメリカ人にしては珍しくコーヒー淹れるのが苦手らしい


前半戦を制し、海の豪傑達がウヨウヨする後半の海へと突入した正義の艦娘達、前半と変わらずクソ面倒な手順に再生怪人として甦ったリコリス棲姫、深海海月姫などに苦戦しつつもチームは着実に敵を追い詰めつつあった…

 

「で、なんでまたSouth DakotaとWashingtonなワケ?」

 

「フッ、わからぬか?」

 

「わかるワケないでしょ、っーかあの仲悪い2人組ませて上手くいくとは到底思えないんだけど」

 

未だ有給から帰ってこない秘書艦サミー子に代わり、ブツクサ文句言いつつ秘書艦代行してくれるヘレナくんは手にした書類をバシバシハタキつつアメリカン特有のオーバーなアクションで理解デキないぜーと首を振る…

 

「たしかに、あのバカどもは仲が悪いのかもしれない、だが……提督はあの2人の中に確かに光る可能性に賭けてみようと思ったのだよ」

 

「可能性ねぇ〜…」

 

「それはそうとヘレナくん、コーヒーを淹れてくれんかね?とびきり濃いヤツ」

 

「たまには自分で淹れたら?」

 

◆◆◆

 

第四ステージ最終決戦!古豪にして名門、南方一族のスーパールーキーこと南方戦艦新棲姫率いるVS深海艦隊増援部隊旗艦集団!!

 

『野郎ドモ!海軍ヲ滅ボセーッ!』

 

『1人タリトモ生カシテ帰スナァー!!』

 

この戦い、チームの士気は高い!この海域、再生怪人多めじゃね?とディスられつつもここまでの道中、皆、たしかな仕事をし、余計な札を使わせて海軍どもを混乱させると言うたしかな結果を残した…

そして迎える最終決戦、かつての深海最強の名を欲しいままにしていたが近年はハブられ気味だった強豪、南方一族が見事に復活を果たし、今期もこの海域のBOSSとして登板しているッ!!

 

『ッシャー!!殴リ合イ殴リ合イ殴リ合イ祭リダァァァァァ!!コノ中デ一番強イヤツ!出テコイヤァァァァ!!』

 

南方一族のスーパールーキー、南方戦艦新棲姫は勢いよく上着を脱ぎ捨てかかってこいや!と海上と言う名のリングへ飛び出した!!

 

「オラァ!!」

 

『ドヘァ!!』

 

先手必勝とばかりに飛び出した南方戦艦新棲姫に対し、強烈なボディで迎え撃つのはMAJOR屈指のハード・パンチャー、サウス・ダコタ!!

その高速パンチは破壊力・速度共に十分に驚異的であるとアイオワも評している!(ただし、meホドじゃないケドネー!HAHAHA!)

 

「ヘイヘイ!もうオネンネかいー?」

 

『クッ…!アノ体格デコノスピード…参ルゼ!』

 

「先に言っておくが今日のアタシはすこぶる機嫌が悪いぜ、ヘイ!オマエなんったっけ?帰りのヒコーキ予約しとけよ!」

 

『舐メンジャネェゾコラァ!!!』

 

ドゴンッ!!!(南方全力パンチ)

 

「ゴホォ……!!Jesus!なんて威力だ、まるでcokeの缶に入れられてバットで殴られたみてぇだ!」

 

『Fuck!帰リノヒコーキ予約シトクノハテメーミタイダナ!』

 

まさしく開戦から血で血を洗う血戦!!右の頬を殴られたら右の頬を殴り返す、左の脇腹に悶絶ボディをもらったら左の脇腹に悶絶ボディを返す、互いのPRIDEを賭けたリアルバウト!!

 

『待テ!待テッテバ!南方ォ!チョット飛バシスギダゼ!』

 

『タ級ェ…』

 

『オマエ1人デ戦ッテル気カ?少シ下ガレ!』

 

血気盛んに攻める南方戦艦新棲姫の肩を掴み、チームの副リーダーにしてまとめ役のタ級はなおも血気盛んな南方戦艦新棲姫の頬にビンタした

 

『ブベラ…ッ!マ、ママニモブタレタコトナイノニ…!』

 

『少シハ落チ着イタカ?ナァ?』

 

『ア、アァ…悪リィ、タ級、チョットアツクナリスギチマッタ、悪カッタヨ』

 

タ級は南方戦艦新棲姫にドリンクを手渡し、深海媚薬入りワセリンを切れた瞼のあたりに塗り込み、よぉ〜し!落ち着いたな?と確認し、同じく一時下がった海軍陣営を睨んだ

 

『多少作戦ハ狂ッタガ、幸ニモオマエノパンチハカナリ効イテイル!ハッキリ言エバチャンスガ広ガッタ!ワカルナ?』

 

『OKOK、ワカッテルゼ…!』

 

『オソラク相手ハ呼吸ヲ整エヨウト消極的ニナル、ソコヲ突ケ!ト言イタイトコロダガ……マダコッチハ全開デイクナ』

 

『何故ダ!?タタミカケルChanceダロ??』

 

『勝負ノタイミングハ私ガ送ル、ソレマデハコッチモスタミナ回復ニ努メルンダ、イイナ?』

 

ーーー

 

「アンタバカじゃないの?ってか私と代わりなさいよ」

 

「そいつはデキない相談だぜMighty、ヤローはオレのパンチで沈める………そうじゃねーとここには来れなかったコロちゃん先輩に顔向けデキねーだろ?」

 

「フッ、それもそうね…」

 

ワシントンはパイプ椅子に置かれた笑顔でダブルピースするコロちゃん先輩の写真を見て哀しげに笑い、コーナーポストにもたれかかるサウスダコタの肩を抱いた

 

「アンタのパンチは効いてるわ、ただし、アンタのスタミナはMAXでも6Rがイイトコ、多少ムリしてでも攻めなさい、足を止めたら殺られるわ」

 

「だな、ナイスなアドバイスだぜ」

 

「アイツの弱点はアゴ(ジョー)よ、アゴ(ジョー)、とにかくあのアゴをブチ割ればあとはどうとでもなるわ!いい?ハイ!行ってきなさい!Stand and Fight!」

 

「OK!Mighty!ブチのめしてくるぜ!」

 

ワシントン はサウスダコタの背中を力強く押し、サウスダコタは再び戦闘開始のゴングと共に飛び出した!

 

◆◆◆

 

梅雨の晴れ間の執務室…

 

「仲良いじゃない」

 

「だろぉ?実はアイツら仲良いんだよ」

 

現場の中継を見つつ、ヘレナくんはマジかよアイツら…と言いたげな顔をしつつ自分だけクッキーをサクサクしていたが、さすがに悪いなと思ったのか、戸棚から取り出した安物のキャンディを執務机の菓子皿にサーッと入れた

 

「…コニャックによく合う」カロ…

 

「そう言えばColoradoはどうしたの?昨日の夜“明日の出撃memberに選ばれたわ!モチロン!flagshipよ!マァトーゼンよね!だってこの偉大なるB.I.G.7のリーダー的存在であるこのワタシだもの!あーっはっはっは”ってドヤ顔してたのに…」

 

「ヘレナくんはドヤ顔とか難しい日本語知ってるんだな」

 

「別に難しくはないでしょ…」

 

しかしまぁヘレナくんの疑問には答えよう、たしかに、今日出撃、この晴れ舞台はコロラドくんに任せる予定だったし、その準備をしていた…

しかしだ…!!しかし出撃当日に我々はとんでもないコトに気付いた…!!

 

…………アレ?誰か変な札付けたヤツいない?

 

そう、コロちゃんに変な札が貼りついていた…

思い起こせばたしか前半戦のどっかどうでもいいところで、そういやお使い程度に出したような……

そうそう、なんか守備固めと称してなんかコロちゃんに行って貰った気が…

 

『イヤよ!出たい出たい出たい!!ゼッタイ出たい!出る出る出る出る出るぅ!!』

 

ゴネた、コロちゃんはめっちゃゴネた、後輩の2人にイイカッコ見せたくて昨日の夜からスゲー楽しみにして夜も眠れなかったコロちゃんはめちゃめちゃゴネた

しかし現実は非情である!!どうでもいい札が貼られたコロちゃんはどう頑張っても出られなかったが、それでも行こうとしたら呪いの札がア●ル固めの術の効果を発揮し、コロちゃんは屈辱の公開脱糞ショーの憂き目にあったとかあわなかったとか…

 

「まぁ、そーゆー事情もあってあのバカどもも脱糞先輩……じゃない、ソンケーするコロちゃん先輩の為にやる気出したんだろ」

 

「いや、あの2人、Coloradoさんのコトチョロい先輩とか思ってるわよ」

 

まぁ………事実チョロいけどな、そんなコロラドくんだが、現在はア●ル固めの術の対となる禁術、ア●ル破りの術を川内から喰らったらしく、医務室で寝てるそうな

 

「お、イイの入ったわ!今の肝臓イったわね!」

 

「ブラック★プリンス様のダサいアダ名は伊達じゃないんだな」

 

「ダサいとか言わないの、本人はカッコいいと思ってるんだし…」



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第二次ルンガ沖夜戦

イベント海域最終回、さらば友よ

【登場人物】

軽巡新棲姫(縦ローラー)
見た目のわりに気は小さく自信もあまり過剰でない堅実派、深海棲艦には珍しいオシャレに気を遣える娘


最終ステージ、過去、何度となく訪れその度に血で血を洗う惨劇を繰り返してきた因縁の聖地、鉄底海峡

今回も血で血を洗うデスマッチを予感させる風と共にトビウオはその辺を跳ねていた…

 

「ゲ、ゲェーッ!オマエはー!」

 

「バカなーッ!オマエは死んだはずじゃあ…!」

 

『フッ、甦ッタノヨ…!冥王(ハー●ス)ニ忠誠ヲ誓ッタ冥●士(スぺ●ター)トシテナ!!』

 

前回の戦い!ノルウェー沖/北極海での死闘を繰り広げた戦慄の蟹少女ッ!!冥●士(スペ●ター)として甦った再生怪人、戦艦新棲姫との再戦!!

 

「愚かものめ………なまじ私の正体を知るからこうなったのだ」ザワザワザワ…

 

『ナ、ナンダコイツ!?ナンダコノ邪悪ナ小●宙(コ●モ)ハ…!マ、マサカコンナコトガ!戦艦大和ト言エバ仁・智・勇ニ優レタ高潔ナ艦娘ナハズ…!コ、コイツハ一体ーッ!』

 

「死ねーッ!!」

 

グサアァツ!!(貫通腹パン)

 

『ガハァ…!!バ、バカナ…!』

 

「フンッ…この大和はいずれ提督となり、この海上を支配する者だ、その秘めたる野望と私の正体を知った貴様を生かしておくワケにはいかぬなぁ〜…」ニマァ…

 

『ス…救イハ…救イハナイノカ……グフッ』

 

前回は苦戦を強いられた戦艦新棲姫だったが、やはり再生怪人は弱体化してると言う宿命には抗えなかったのか、むしろ相手が悪かったのか…

とにかく無事に戦艦新棲姫を海にバラ撒き、チームは海域最奥!最終決戦へと臨むのであった…っ!

 

◆◆◆

 

最終決戦鉄底海峡、VS深海艦隊鉄底海峡任務部隊を率いるのは今回がデビュー戦になる大型新人、軽巡新棲姫

痴女ファッションと裸族が多めの深海棲艦にしては珍しいオシャレに気を遣える娘である

 

『オマエラノタクラミ……アタシガゼェンブダッセンサセテヤルヨ!……ンン!イヤ、チョットテンションアレカナ?ヨシ!モウ一回!オマエラノータクラミィー!』

 

『軽巡新棲姫クン!海軍ノ野郎ドモガ来ヤガッタヨ!』

 

『ウエッ!?モォ来タノォォ!?』

 

事前のミーティングで、このポイントに来るまでにはこれでもか!ってぐらい多彩なギミックとつよつよな他チームが海軍どもの前に立ちはだかる!ウェーイ!とかホワイトボードに書かれており、戦艦新棲姫ちゃんやネ級改さんがあんなのワンパンでKOしてやっからよ!ドーンと構えとけ!ガハハハー…とか自信満々にしてたのに

 

『ゼンゼンダメジャン…』

 

話が全然違うじゃんと思ったが、まぁ、来るものは仕方ない、そもそも自分の仕事は栄誉あるラスボスの仕事だ、それも!デビュー戦からの大仕事!普通はないよ!こんな大仕事は…っ!

 

そもそもアレだ、軽巡姫級は今までも何度か登場したが、その誰もがカマセ犬!!なんか大したコトねーなコイツ、とディスられ、ぶっちゃけその辺のナ級の方が怖いとか言われる始末…

しかし!そんな軽巡氷河時代に終止符を打つべく!ついに巡ってきた活躍のチャンス!軽巡はツ級だけじゃないです、姫級こそ深海軽巡最強です!と万人に目にもの見せてやる日が来た!!

 

『キタゾー!海軍ドモダァー!』

 

『野郎ドモ、海軍ヲ滅ボセー!』

 

幸いな事に、チームの仲間達は良いヤツらばかりだ…

頭は悪いけど身体はエロいネ級、口は悪いけど実力は確かなト級、運が悪いけど頑張り屋さんなロ級…

みんな今日まで自分を信じてついてきてくれた最高のチームメイト達だ…

 

『クタバレコラァー!!』

 

『深海ノ力ヲオモイシレ海軍ッー!!』

 

血気盛んなチームメイト達は先手必勝だぜーッ!と言わんばかりに飛び出した…ッ!!

 

飛び出した………が

 

「…そのまま讃える姿で思い知れ、オマエ達の敗北は絶対だ」

 

讃える姿で爆散した仲間達

そして、そんな仲間達を当たり前のように屠った海軍の刺客…ッ!!

 

「そして絶対は、僕だ」

 

『ア…?ア…?』

 

目が合ったら全力で逃げろ!深海ビンゴ・ブック危険度S級駆逐艦…!シグレ!!あかん、いや、ムリ……やだ、なにあの駆逐艦らメッチャ怖い、ってか駆逐艦の迫力じゃないよあんなの!貫禄ありすぎでしょ!息するみたいにごく当たり前に人を従わせるとかフツーの駆逐艦じゃないわアレ

ってか、目からパリパリなんか漏れてる!アレに完全にゾーンとかそんな感じのに入ってる…っ!!

 

「頭が高いぞ」

 

グシャァッ!!(ズガタカ)

 

『ウギャア!!』

 

「僕を見下ろす事を許しているのは西村艦隊のチームメイトと白露型の姉妹だけだ、僕に逆らう者は提督でも殺すし、白露姉さんに近づく有明は特に念入りに殺す」

 

『ゥゥゥゥ…ウゲェ…!オロォォォォォ…」ビチャ…ビチャ…

 

◆◆◆

 

夏の暑さを先取りし過ぎてアンダーがビチョ濡れな今日この頃の執務室…

 

「ヤリすぎでしょ!!なんなのあの子!?」

 

「時雨様だ」

 

「ハァ…?シグレって……ってか様付けなの?」

 

「いいかねヘレナくん?この基地で最も大切、いや、もっとも重要とされているものはナニかわかるかね?」

 

「え?ナニ?え〜…チームワークとか?」

 

チームワーク……ククク、チームワークねぇ、まさかヘレナくんからそんなヌルい言葉を聞くことになるとは…

 

「“力”だ、当基地ではどんなゴンタクレであろうが素行不良であろうが力さえあれば、多少のワガママは許されるのだよ」

 

完全実力主義、それ故に、誰に対してもチャンスはあり、たとえスペック的にはどんなクソザコ性能であろうとも必ず誰もが第一線で登板できる練度にまで鍛え抜く安心のカリキュラムを組んでいる…

 

だが、そんな中でも抜きん出た“怪物”は存在し、そんな怪物達に対しては自然と敬意を払ってしまうものだ…

 

「なるほどね、ってか惨殺すぎるでしょ…なんなのこの子?ヒクわー」

 

「ヒクとかゆーな、あとヘレナくん、パンツ見せて貰っても構わんかね?」

 

「いいわけないでしょ、殺すぞ」ニコッ



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続続続続続続続続続続続続続・提督と作戦終了と…

今回も安心の丙提督

【登場人物】

提督(丙)
なんやかんやでやっぱり丙を選ぶ丙の中の丙
勲章?貰ったよ、光ってないやつ


「えー…日頃の頑張りもあり、えー…皆さんの笑顔が、えー…」

 

 

『オイオイ棒読みかコラァー!』

 

『気持ちが入ってねーゾ!気持ちがー!』

 

『ちゃんと原稿書いてんのかテメー!』

 

今回の海域作戦も無事に終了し、いつもの提督からのありがたいご挨拶とMVPチケット清算によるお給料タイム…

しかしだ、いつものご挨拶として壇上で原稿を読む俺と下から浴びせられる容赦のない罵声…

まぁ、たしかに今回は原稿がイマイチの出来なせいかどうにも提督様からの有難いお話ってのがシマらない

普段、この原稿は俺がざらっと書いてサミー子がなんやかんや添削したり清書したりしてるのだが、そのサミー子が未だに有給休暇から帰ってきてないせいか、今回は俺独断の原稿であった…

 

「チッ!うっせーなクズども、もういい!ヤメヤメ、ヤメだっーの!俺様からのアイサツなんざクソくらえだボケ!オラ!オマエラお待ちかねのお給料ターイムだ!名前呼ばれたら元気な声でお返事しろよ!」

 

俺は原稿を床に叩きつけ、舞台袖に置いてあるジュラルミンケースを重ねた台車をゴロゴロと押した…

これも普段はサミー子の仕事なのだが……チッ!えぇい、居ないヤツのコトを考えても仕方ないな

 

「よぉーし!今回のMVPチケットランキング、獲得数第1位は〜………あれ?これどう見るんだっけ?」

 

 

『ギャハハハハ!マヌケかー?テメー!』

 

『オイオイオッさん!ハ●キルーペ必要なんちゃうかー?』

 

『チ●ポついてるんですかー?キャハハハハ!』

 

 

「やかましい!!今罵倒したヤツ!全員顔覚えたからな!あとで全員顔面にアクメガスぶっかけて尻から生卵入れて屈辱の擬似排泄産卵させて動画撮ってやるから覚悟しとけよクズどもが!」

 

コケにしやがって…だがまぁいい、コイツらがクズなのは今に始まった事ではないし、今さらそう劇的に変わることはない、むしろ、元気があって良いコトだ!と前向きに考えるコトが大切なんじゃあないのか?

 

「まぁいい、ハイ!今回のMVPチケットランキング1位は潜水艦のヨナタス、ハイみんな拍手ぅ〜…」

 

パチ……パチ…

 

まばらな拍手と汚い野次の中、ヨナタスはみんなに手を振りながら嬉しそうに壇上に上がってきた…

 

「ハイ、よく頑張ったね、感動した!」

 

「こんなに…?こんなにいいのぉ?」

 

俺はヨナタスにジュラルミンケースから取り出した現金を手渡し、よく頑張った!と頭を撫でてやるとヨナタスはありがとーと素直にお礼を言ってくれた、提督的にもこーゆー素直な子には実に好感が持てるものだ!

しかしアレだ、基本、新人潜水艦の教育は潜水艦のアホンダラどもに一任しているのだが………今回がデビュー戦となったヨナタスをいきなりMVPものの活躍させたぐれーだし、あのバカどもも教え方は上手いんだろうな

 

「ハイ次!ガンガンいくぞ!ガンガン!第2位は秋月姉妹、姉妹揃って姉妹でMVPチケット総取りだ!」

 

今回の海域作戦、貼られると他へ行けなくなる呪いの札がやたらと多かったせいか、貴重な対空戦力である秋月姉妹の使いどころをかなり悩んだ、正直、こんなこともあろうかと!控えを含め秋月姉妹は最大11回は登板できる安心のリリーフ体制を作っていたが、それすら使い切らせたのだからマジにヤバいと思ったね

 

「よく頑張った!これで美味しいもの食べなさい!」

 

「やったよ!秋姉ぇちゃん!これいくらくらいあるのかな?」

 

「たぶんだけど……焼肉屋に2回は行けるんじゃないかな」

 

「2回も!?う、ウソだろ姉さん……こんな大金、だ、ダメだ、ボク震えが止まらないよ」

 

この性根が貧乏姉妹、稼ぎは良いが、どうにも現代の貨幣価値と言うものが未だによくわかっていないらしく、たぶん姉妹合わせりゃ今までの稼ぎで贋作のモナリザ買えるぐらい稼いでるだろう…

 

「涼!ハイ!コレは涼が持って!ハイ!」

 

「はぁ、わかりました…」

 

秋月姉妹で唯一、現代の貨幣価値を理解しているらしい涼月クン、貧乏姉妹の金庫番である

 

「よぉーし!次、第3位!もがみん!」

 

最強最悪!悪名高き最上姉妹の頂点に君臨する長女もがみん!今回、新たに手にした驚異のウルトラパワーで環境を席巻したのはもはや常識…

 

ーーー

 

「最下位、浜波ちゃん」

 

「あ、ハイ…ど…どうも、はい、ありがと…ありがとうございます」ペコォ…

 

最下位の浜波ちゃんに300円を手渡し、今回も無事にお給料の時間は終了した…

 

「えー…以上をもちまして今回の作戦海域と全艦集会を完了とし、えー…ささやかではありますが、皆さんにはお酒やお食事を用意してますので、えー…皆さん、遠慮なく!宴を楽しんで頂ければと…」

 

 

「ヒャッハー!水だー!」

 

「バッキャロー!テメー!それオレが目をつけてた馬刺しだぞ!こらぁ!」

 

「クセーよ、デブ」

 

………まぁ、人のアイサツは最後まで聞かないのも一種の様式美みたいなもんか、アホらし

 

俺は酒と料理、そしてチョイチョイ小競り合いを起こすバカどもに関わらないように“絶”で気配を消し、テキトーなオカズでも取るかとテーブルへ近づく…

 

「あら?テイトクじゃない?」

 

「ん…?あぁ、五十鈴サンか、今日もおっぱいデカいっすね」

 

「そのアイサツはどうなの?」

 

五十鈴サンからゲス野郎を見る目で見られたが、それはそれで興奮するね、おっとっと…我慢我慢

 

「五十鈴サンはアレっすか?やっぱプリンとか食べる感じっすか?」ズキイイィィィン!

 

「なんで勃ってんのよ、ヘンタイか!」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ」

 

「はぁ………って、なんでプリン?まぁ、五十鈴的にも嫌いじゃないけど、今食べたいって気分じゃないわね」

 

「そうすか、ああそうそう五十鈴サン、知ってるっすか?浣腸器でプリンをケツ穴に流し込んでケツ穴に挿したホースを口に突っ込んでケツ穴から排泄したプリンは新食感らしいっすよ」

 

「ヘンタイかッ!!ってかアブノマールすぎるわッ!!なんなのそのプレイ!?まさか五十鈴にそんなヘンタイみたいなコトやらせたいの…?」

 

「いや、全然…」シラッ…

 

「あ、そう………いや、もしよ?もしそんなのしたいとか言ったらマジで殴ってたわ、うん」

 

「忌憚のない意見ってやつっス」

 

ーーー

 

適度な酒と料理を楽しみ、タバコでも吸うかと体育館の外に出た俺はタバコはあるが火がない事に気付いた…

 

「クソ、マジか」

 

参ったなオイ、たまにあるあるだな、コレは……こーゆー時、喫煙所に行けば誰かが捨てて行ったライターとかあったりするんだが、残念ながらここは喫煙所ではないし、喫煙所に行くぐらいなら執務室にでも行った方が早い…

 

「チッ!ったく…メンドくせぇな、オイ、サミー子、火ぃくれ、火」

 

「持ってませんよ」

 

「ないのかよ………って!!オイイイィィィィィ!!お、オマエはーッ!!」

 

当たり前のようにツッコまれた冷静で的確な意見!思わず振り向いたそこには有給休暇を取ってコロンビアまで豆を買いに行っていた秘書艦青髪ロング子こと……

 

「さ、サミ…サミュ……サミー!!」

 

「なんでちょい曖昧なんですか、五月雨です」

 

Yes!I am!と言わんばかりに指を切ってみせた五月雨はバカなんですか?と言わんばかりにため息を吐いた

 

「オマエ!生きちょったんかァァァァ!!」

 

「声がデカいです」

 

「そうですかァァァァァァァァ!!すいませんッッッ!!」

 

「いや、ホントうるさいんですけど…」

 

コイツ、思えば作戦海域始まって以来ぶりぐらいか、休暇長すぎだろ、コイツがいないせいでワケわからん書類とか困ってたし…

 

「とりあえず次回からまた私が秘書艦に戻りますんで、あと、新人面接あるのでその小汚い服はクリーニングに出しといてください、替えのヤツはロッカーに入ってますから」





次回は新人面接回
地獄から来た7人の悪鬼!


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続続続続続続続続続続続続続・提督と新人と面接①

今回は変則的前半4の後半3で!

【登場人物】

桃(松型4番)
アイドルを自認するアイドル駆逐艦、売れてない

伊203(潜高型3番)
168さんからゲロシャブと呼ばれている

巻波(夕雲型5番)
金剛サンをマジリスペクトしてる理由を話すなら長い話になる…ジュース用意してくれるかしら?あとお菓子も

涼波(夕雲型10番)
デコが広い?前髪垂れたら邪魔なんだよ


リキッド式のパチモンタバコっぽいモノも意外と悪くないなと思いつつある今日この頃…

半年ぶりぐらいか、新人の面接ってのも……まったく、もう何回やったか数えるのがアホらしいぐらい面接してきたが、何度やってもめんどくせぇな…

 

「今回は7人です」

 

「7人か、まずまずだな…パイオツの大きい娘は?」

 

「いるんじゃないですか?たしか、7人中2人はMAJORからの電撃移籍ですよ」

 

「ふ〜ん」

 

MAJOR出身=ダイナマイツバディっーのは最早常識と言っても過言ではないが、たまにヘレナくんみたいなMINOR出身もいるから油断ならない(お胸様的な意味で)

 

まぁそんなワケで、今回の新人面接7連戦、まずはトップバッターから執務室の重厚なドアをノックし、堂々入室してきた…

 

「あたし、桃!丁型のアイドル……いえ違うわ!駆逐隊のアイドルが正解?…かな?あ、そう!松型の四番艦!テートク、よっろしくぅー♪」

 

またいきなり濃いのが来たなオイ、え?ナニ?アイドル…?アイドルってナニ?ウチ田舎の基地っても海軍だよ?面接来るトコ間違えてんじゃあないのか、この子?

 

「あ、うん、そうなんだ…」

 

………とりあえず、履歴書的な書類を見る限り間違いってワケじゃなさそうだな、一応艦娘みたいだし……っーか松クンの妹か、なるほどそう言われるとたしかにフロントウ●ングみてぇーなツラだな

 

「気軽に、モモタスって呼んでね♪」

 

「わかった、えー…モモタスくんは駆逐艦、あー…」

 

書類を見るに、性能的にはチンカスクンってトコか…ま、あんま期待してなかったが………ん?なんだこれ?必殺技?

 

「モモタスくん、この桃ビームってのは何かね?」

 

「桃のキラキラです」

 

「キラキラ…?」

 

「ハイ!喰らったが最後!どんな悪いやつでも桃のファンになります」

 

ふ〜ん、洗脳系の電磁波とかそんなのだろうか?なるほど、なかなか厄介な能力を持っているのだな

しかしアイドル……アイドルか、アイドルと言えばかつてはブラウン管の向こうで歌って踊り、“親衛隊”と呼ばれた屈強な男達に守られた神聖不可侵な存在…

 

それが今や顔も名前もまるで見分けがつかない大量生産の量産機扱いだ、アイドルの価値も下がったモンだ(※個人の意見です)

 

まぁアレだな、そう……なんて言うか、夢!

夢を見れるアイドルってのがいないんだよな、こう…見ていてワクワクするスター、自分と重ねて心の底から応援したくなるような、そんなアイドルが…

 

「そうか……どんな悪いやつでも、か」

 

ヘヘッ…!グッときたぜ、この青臭い小娘なんぞに焚きつけられるとはな

 

「おもしれぇ……いいだろうモモタス、俺についてきな、この世で二番目に強ぇアイドルにしてやるぜ!」

 

「え!?一番じゃないの!?」

 

---

 

初っぱなから濃い目の人材にウンザリしつつ、続く二人目…

 

「水中での圧倒的な機動性を追求した伊号潜水艦の新型高速潜水艦、伊201型潜水艦の三番艦、伊203です」

 

「え?なんだって?」

 

「だから、水中での圧倒的な機動性を追求した伊号潜水艦の…」

 

「いやそーゆーのいいから、キミの名前は?」

 

「だから、伊203………です、フーミィ?でいいかな…?」

 

「え?フーミン?」

 

「フーミィ」

 

ムッとした顔で抗議……と言うか、常にムッとした顔のフーミンくんはおそらく気難しくて繊細な今風の娘なのだろう

 

「で、何かね?泳ぎに自信があると?」

 

「そう、すごく速いよ、私」

 

「ハッ…?」

 

「ナニその顔、バカにしてるの…?」

 

「していないとも、なるほど…水中でのスピードに自信アリと…」

 

まぁ、潜水艦なんだから水中戦が主戦場、しかし当基地にはこのフーミンくんの未だ知らない強豪潜水艦がゴロゴロしている、たかがちょいとスピードが速いってだけでデカいツラできるとは思わないコトだ

 

「まぁ、ウチの教育方針としての潜水艦に関しては潜水艦センバイ達が優しく教えてくれるのでセンバイの顔を立てつつ潜水艦としての上手な生き方を教えて貰うといい」

 

「わかった」

 

「…しかしだ、フーミンくん」

 

「フーミィ」

 

「え?ムーミン?」

 

「ムーミンでもフーミンでもない、フーミィ、二度と間違えないで」

 

ムッとした顔で抗議するフーミンくん、めんどくせぇなコイツ、もうゲロシャブとかでいいような気がしてきたのだよ

しかしだ、しかしこの提督はさっきから気になって気になって仕方ないコトがある、いや、むしろこのフーミンくんが入室して来た時から気になっていた、正直、その疑問の前にはフーミンの名前とかどうでもいい問題とも言えるだろう…

 

「で?なに?」

 

「キミ、潜水艦だよね?」

 

「そうだけど?」

 

「それ、水着かね?」

 

潜水艦!!として新配属されたハズだが、このフーミンくん、どう見ても水着には見えないオシャレな服、いや、もしかしたら今風の水着ってあんな感じのもあるのかな?

 

「………私服だけど?」

 

「そ、そうかね」

 

---

 

今風の気難し屋で繊細な子、フーミンくんが去っての三人目……

 

「…と、言いたいところですが、今回、夕雲型の人が2人いるので2人同時でいきましょう」

 

秘書艦サミー子は特に俺の意見を聞くわけでもなく、次の方どうぞーと扉の外へ声をかけ、新たな美しき獲物達が入室してきた…

 

「夕雲型駆逐艦、五番艦といえばこの私、巻波!そう、長波姉のいっこ下!」

 

「同じく夕雲型駆逐艦十番艦、涼波さ! 藤波のいっこ上だったかな?たぶん!」

 

数ある駆逐艦の中でも生れながらのエリートであるエリート駆逐艦姉妹、夕雲型…

そのエリートさ故に姉妹にはレア以下の姉妹など存在せず、パワー・スピード・テクニック、その全てがなかなかの水準にあるまさにエリートの中のエリート…

 

「え〜…デコの広い方が巻波くん?いや、涼波くんだったかな…っーかめんどくさいなオマエら、同期なのにいきなりキャラ被ってどーすんだよ」

 

「大きなお世話だし」

 

「っーかデコ広い以外に他にもっと違うとこあるじゃん、私と巻波姉似てるとか私に失礼じゃん」

 

まったく、これだから夕雲型は……ナマイキな口を叩きよるわい

 

「まぁいい、キサマらは下で徹底的に鍛えてやるからカクゴしとけよ、そのお上品な上の口からゲロを吐くまで走り込みさせてやる」

 

「ヒッ!?い、いやだぁー!」

 

「鬼かよ!!」

 

「鬼じゃない、提督だ」

 

フンッ、ナニがエリート駆逐艦夕雲型だ!お高くとまりおって…どいつもこいつも最初は一丁前の口をきくが、ファームでの徹底的なトレーニングと香取先生のアツい熱血指導で勘違いを正してゆくのだ…

 

「まぁ、ウチのカリキュラムをこなせば理想の自分になれるので頑張るよーに」

 

「理想の自分……?もしかして、頑張ったら金剛サンのようになれますか!」

 

「金剛……だと?」

 

巻波くんはスゲーキラキラした目をしているが……金剛だと?まさかあの金剛のヤローをリスペクトしてんのか…

 

っーか金剛のやつ、アイツ意外とガキどもから人気あるんだよな、実の妹の比叡や他の姉妹からもリスペクトされてるし……フン、この基地の絶対支配者気取りか!相変わらず気に入らんヤツだ!

 

「はい、なれますよ」ニコニコ

 

「やったぁ!やります!私カンバリます!」

 

「いや、巻波姉それはさすがにムリじゃね…」

 

後日、ファームでの訓練を開始した巻波くんは、舐めてんじゃねぇぞこらァ!(ガゴォ!)金剛サンみてぇーに強くなりてぇだと?なれるわけねぇだろうが!(グシャ!)とアツい洗礼を受け、お上品な上の口からゲロ吐くまで走り込みさせられた…




次回はその②
震撼!MAJORから来たKUROFUNE


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続続続続続続続続続続続続続・提督と新人と面接②

間髪入れてその②

【登場人物】

Northampton(Northampton級1番)
キンパツ+巨乳+メガネ=破壊力を実現したMAJORの大型新人、ホーネットのファンらしく、ホーネットガチ勢

宗谷(耐氷型雑用運送艦特務艦)
謎のコンバートを持つ謎多き特務艦、氷をブチ割るのが趣味らしく、その研ぎ澄まされた砕氷技は硬い氷の塊をまるでバターやチーズを裂くようにそれはそれは美しい球体にできるとか…

Honolulu(Brooklyn級7番)
ニューヨーク生まれのハワイ出身、コーヒー味のチューインガムが大好物



夕雲型デコ姉妹をまとめて始末し、タロットカードに暗示された残る敵……もとい、残る面接はあと3人!!

後半最初は数々のワールドクラスを輩出するMAJORからの刺客ッ!!

 

「Nice meeting you Northampton級1番艦Northampton、アナタがAdmiralですね、よろしくお願いしますね」

 

キンパツ+巨乳=破壊力と言う公式がある…

しかし、それにメガネを足すことにより、キンパツ+巨乳+メガネ=破壊力と言う新しい公式が成り立つのだ…

 

「サミー、彼女にティーを淹れて、一番いい葉っぱのヤツ、あと冷蔵庫にエクレアあったろ?アレ出して」

 

「はぁ…?」

 

オイオイオイなんですかこりゃ?なんなんですかコレは!ウソだろオイ!MAJORにはよくあるキンパツで巨乳なだけでも大興奮なのに、さらにメガネとかどんだけ盛ってくるんだよオイ

 

「えー…ノーザンプトンくんは、え〜…ヒューストンくんのお姉さんってコトで?」

 

「ハイ、たしかこちらにはHoustonも居ると聞いてますが…」

 

「来ていますとも、えぇ、なんか多国籍なお友達も一緒に」

 

「そうですか、あっ!そうそう、あとHornetも来ているんですよね!」

 

「ホーネット…?あぁ〜…えぇ、居ますとも」

 

英国系米国人のホーネットくん、実は生まれ育ちは紳士の国らしく、色々あって唯一の肉親であるおばあちゃんとアメリカに渡ってきたとのコトだが……

まぁ、酒の席の話でかつデロ子の話なのでアテにはならない

 

「私、Hornetと仲良しなんですよ」

 

「へぇ、ホーネットくんと…」

 

「ステキですよね、Hornet!強くて、coolで、度胸もあって…初めての出撃でも戦果を挙げたと言うし、今度はこんな島国まで…」

 

「あ、うん、そう…」

 

なるほど、これはかなりのホーネットファンなのだな、ノーザンプトンくんはまるでアイドルに憧れる少女のようなキラキラした目でホーネットくんのステキなところを語ってくれたが、正直、話が長過ぎた…

しかし、あまりにグイグイくるノーザンプトンくんの話を聞いているのかノーザンプトンくんのおっぱいの話を聞いているのかよくわからなくなってきたのだよ

 

「あ、申し訳ありません、つい興奮してしまって…」

 

「いや、構わんよ、提督もギンギンだ」

 

しかもめっちゃイイ匂いするなこの娘、なんっーか、フローラル?フローラルってやつですか?こんなの挿入れない方が失礼でしょ?セッ●スの化身がよ!

正直、同じくキンパツで巨乳のフレッチャーくんはああ見えて駆逐艦のガール、故に挿入れるのは違法だが、このノーザンプトンくんは重巡、つまりはオトナのレディだ………なら何も問題ない、そのメガネを白濁に染めるまで責め立てても犯罪には当たらない…

 

「ときにノーザンプトンくん」

 

「ハイ、なんでしょうか?」

 

「パンツ見せて貰って構わんかね?」

 

「えっ…?普通にイヤですけど…え?ナニかのJoke?」

 

ーーー

 

カワイイカノジョを欲望を抑えきれずにややドン引きさせてしまった気がするがそれはそれとして仕方ない、切り替えていくのがまた大人と言うものである

 

過ちを認め、ただ次の糧にするのも大人の特権だと思いつつ迎える6人目の強打者…

 

「特務艦、宗谷です、戦闘艦ではありませんが、私…精一杯、働きます!」

 

「へぇ、特務艦…」

 

特務艦ってなんだ…?アレか?また陸軍と言う名の暗殺ギルド出身的なアレか?グゥゥゥム、たしかに、この宗谷クンと言ったか?何かよくわからないがその立ち姿に異様な“オーラ”を感じる…ッ!!

 

「宗谷クンはアレかね?陸の方で?」

 

「あ、いえ…海ですけど」

 

「そうかね」

 

美しき暗殺者、神州丸くんとは別の手のものか…

ふむ、しかし一見物腰柔らかで好感が持てそうな気もするが警戒は必要だな、あのアタッシュケースからロケット弾とかパイルバンカーとかノーモーション&ノータイムで撃ち込んでくる可能性もある

 

「ま、座って、まずはお茶でもどうかな?サミー彼女にコーヒーでも淹れてやって」

 

「はぁ、どうも…」

 

とりあえず手元の書類に目をやり、この宗谷クンが何者なのかと確認してみる…

 

「宗谷クン、この灯台補給船とは?」

 

「灯台に資機材や消耗品を補給するための船…?ですかね、はい」

 

なんじゃそりゃ?え?何か灯台に火を灯すイベントとかあるの?

 

「あと、この南極観測船…?え?南極…?」

 

「それも読んで字の如く、南極で観測する船…?ですね、はい、ちなみにもう1回改装したら特務艦に戻ります」

 

なんじゃそりゃ!?グゥゥゥム、よくわからんコンバートじゃのぉ、世の中コンバートによって仕様が変わるヤツも何人か居るが…

 

「コーヒーをどうぞ」

 

「あ、ありがとうございます、恐縮です」

 

サミー子の淹れたコーヒーをフーフーし、一口啜った宗谷クンは微妙そうな顔でカップをソーサーに置いたが、退室するまでに一応全て飲み干したあたり、彼女はきっと他人に気を遣える良い子なのだろう…

 

ーーー

 

秘書艦殿からほら見ろやっぱり美味しいんじゃないですか?やっぱ提督の舌がおかしいんですよと無言のドヤ顔にイラっとくるものを感じつつも新人面接も最後の1人にして再び現れたMAJORからの刺客ッ!!

 

「Alohaー!あたしニューヨーク生まれ、ハワイ育ちのHonolulu様」

 

「ほぉ…」

 

オイオイオイなんだそのパイオツは!こいつはまたとんでもないロケットおっぱいだよオイ、たまげたなぁ…

 

「えー…ホノルルくんは軽巡か、ふむ」

 

「そうだよ、あ、ガムいる?」

 

「いらないのだよ」

 

「あっそ」

 

そしてこのMAJORにありがちな態度のデカさ、大事な大事な新人面接だと言うのにチューインガムをクッチャクッチャと……これはまず礼儀と言うものをわからせる必要がありそうだ

 

「ホノルルくん、今は面接中だからチューインガムを噛むのはやめような?」

 

「えー…?なんで?」

 

このヤロウ、ちょっとおっぱいデカいからってチョーシに乗りやがって、っーかこのホノルルくんといいアトランタくんといい、MAJORの軽巡級は態度悪いヤツ多いな

やはりパイオツのデカさと態度の悪さは比例する……今度学会に論文を提出しよう、ダーウィンの進化論までとはいかなくてもセンセーションを巻き起こせるといいな

 

「まぁいい、で?なんだホノルルくんは〜……ってまた雷装0かよ!!」

 

「アハハ!雷装なんて飾りよ!飾り!やっぱ拳よ!」

 

あかん、コイツもヘレナくんと同じ脳筋寄りだよ!とりあえずオレ頭悪りぃから深く考えるよか殴ってから考えるタイプじゃねーか!!

 

「アハハ!ガム食う?」

 

「だからいらねーっーの!」

 

そして手元の資料を読むにこのホノルルくん、コーヒー味のチューインガムが大好物らしく、気に入らない相手に握りっ屁をカマす悪癖があるそうな…

海軍に入隊前、ニューヨークのスラムストリートでヤンチャして回っていたらしいものの、アイオワにボコられて捕まり、更生の為にスーパーポリスアカデミーに入所するも2日で自主退所、再びニューヨークのスラムストリートでヤンチャしていたらまたアイオワにボコられ海軍に入隊させられた生粋の問題児らしい

 

ちなみに、アトランタとはスーパーポリスアカデミー時に会っているらしく、彼女のフリッカーの前に手も足も出なかった事から彼女を強く恨んでいるらしいワ!………ってのがアイオワの注釈だ

 

「ったく、オイ!ホノルルくんだったか?ウチにはアトランタくんがいるが…」

 

「ブッ殺してやるわあァァァァァァァァ!!」

 

ホノルルくんはテーブルに鉄拳を叩き込んだ!!オイオイ、マジで仲悪いのか…

 

「あの女あァァァァァァァァー!!ボッコボコにしてあのバカデカオッパイに搾乳器付けてアクメガス吸わせながら搾乳スイッチON・OFF連続で切り替えてコンデンスミルクサーバーにして部屋に設置してやるわァァァァァァァァ!!」

 

「キミ、口悪いどころか性格もアレだなオイ!っーか声デケぇ!!うるさいわ!」

 

「あ、ゴメーン、ついコーフンしちゃって♪」テヘペロ

 

「ついじゃねぇよ、ついじゃ」

 

「まーそうカリカリしないで、あ、ガム食う?」

 

ーーー

 

新配属の新人面接も終わり、今日のオカズは何にしようかと考える執務室…

ビーフにするか、フィッシュにするか、いやいやチキンか…?たまには贅沢して馬刺しとかイッちゃうか!

 

「お疲れ様です」

 

「なんだ?今日はもうあがりか?」

 

「はい、今日は村雨姉さんがみんなに焼き肉奢ってくれるってハナシなので」

 

「マジかオイ、なんだアイツ、パチ●コでも勝ったのか?」

 

「さぁ?パ●活じゃないですか?」

 

コイツ実の姉にも容赦ねぇな、しかしまた村雨が姉妹に奢るとか何か不吉の前触れじゃないのか?243年ぶりに冥王ハー●スとの聖戦が始まるんじゃあないのか?

 

「では、そーゆーワケで、お疲れ様です」

 

「うむ」





次回からは通常運転
通常運転しつつifエンド回を準備中ですの、ですの


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提督と英国の逆襲

蒸し暑いせいかイマイチ調子がよろしくない今日この頃

【登場人物】

提督(食欲不振)
夏は激烈に痩せるタイプ、だって暑いもん



朝っぱらから蒸し暑さすら感じる初夏の気配、そんなたった一度の今日と言う日、喫煙所にタバコでも吸いに行くかと歩いていると、中庭で自らが作ったアクメガスを暴発させアクメ死んでいる夕張とアクメガスの暴発に巻き込まれたらしいコロちゃんがアクメ転げ回っていたが、些細なことだと感じ関わり合いにならないように無視した…

 

「あ、Darling!」

 

「…ん?」

 

廊下の先に立っていたキンパツサラサラヘアーは元気ハツラツゥ!に手を大きく振るとダッシュで駆け寄ってきた

 

「よぉ、ジャーヴィーくん、元気かね?」

 

「モチ・ローン!Lucky Jervisは今日もゲンキ!ね?Darlingもしかしてヒマー?」

 

「いや、普通に忙しいのだよ」

 

嘘である、今日は普通に大してやる事がないせいか朝から速吸クンとキャッチボールに勤しんでいると、長良主将からもっとナイスガッツ燃やせよ!とアツく声をかけられ、いつの間にか砲丸投げをさせられ身体中が悲鳴を上げていた

 

「ヒマー?ネー?ヒマー?ネー?ネー?」

 

「いや、ヒマではないのだが…」

 

相変わらずグイグイくるなこの子、っーか物理的にグイグイくるのはやめて欲しいのだが…

提督はこーゆーグイグイくるタイプの今風で多感な年頃の子は苦手なのだよ、グイグイくるジャーヴィーくんをベリッと引き剥がし、あくまで紳士的に提督は暇人ではないのだよと懇切丁寧に説明する…

 

本来ならバカガキ相手ならベリッと引き剥がしつつダブルニークラッシャーでダブルのニーを破壊してやるところだがこのジャーヴィーくんは“あの御方”が目をかけているお子、下手に手を出してあの御方の逆鱗に触れることだけは避けねばならない高度に政治的な事情がある

 

「ソウ、じゃいつヒマになる?あ、ソーダ!お昼はlunchを一緒にしまショー!それカラー、それカラー、Afternoon teaしテー、楽しくオシャベリしてー」

 

ダメだこの子、まるで話を聞いてねぇよッ!!クソッ!なんて面倒なお子だッ!!

 

そんな面倒くささに頭を悩ませていると、廊下の先から隠しきれない溢れる高貴さのオーラを放つ、或る高貴な女性と赤い髪の騎士が歩いて来た…ッ!!

 

「ん?Jervis、オマエこんなところで何をして……む、Admiralも一緒か」

 

下等なオークやゴブリンなどは舐めてかかるのが女騎士の悪い癖、女王陛下の女騎士、アークロイヤル

 

「あらAdmiral、こんにちは」ニコッ

 

そして生まれながらの女王の中の女王、その圧倒的な尊さの前には誰も讃える姿で膝を折る絶対女王、女王陛下

 

その、女王陛下の圧倒的な輝きと高貴さから放たれるロイヤルスマイルは常人がマトモに被弾すれば確実に膝と心をまるでHBのエンペツのようにベキっとヘシ折られ、生涯をこの御方の為に尽くそうと永遠の忠誠を誓うのは必至ッ!!

しかし俺は今やこの国の男には失われつつあるヤマトダマシイと、キュウシュウ男児の誇り、そしてとっさに自らの左手の指を2本ヘシ折り忠誠を誓うその誘惑に耐えたッッッ!!

 

「ど…どうも、陛下……このような場所で珍しい、お、お散歩ですか?」

 

「えぇ、天気も良いので」

 

陛下曰く、天気も良いのでたまには執務棟の中庭にある池で飼育されている鯉でも見ようと散歩がてらにここまでと…

 

「あの………陛下、1つよろしいでしょうか?」

 

「なんです?」

 

「あ、いえ、大したことではないのですが……今、陛下がお抱きになっているソレ」

 

「ソレ…?あぁ、この子ですか?」

 

不遜にも女王陛下の腕の中でふてぶてしく眠る生物………いや、まぁ、ただの猫なんだが…

そのただの猫、たしか前にどっかで見たことある気がするんだが、なんだっけか?たしかスコッティーだかシコティッシュだかそんな名前だった気が…

 

「以前、Jervisが世話をすると言う条件で飼うのを許可した猫です」

 

「あー…」

 

やっぱ見覚えのあるヤツかよ、以前、ジャーヴィーくんにペット・ショップに付き合わされた

 

「まぁもっとも、残念ながら未だにJervisには懐いてないようですが」

 

「懐いてないんすか」

 

安売りの猫のくせにプライドは高いのか、単にジャーヴィーくんが舐められてるのか…

 

「ところでAdmiral、これから少し時間はありますか?」

 

「時間、ですか…」

 

陛下から時間はあるかと問われ、無いと言える剛の者などこの世界には数えるほどしかおるまい

 

が!しかし今の俺は長良主将のナイスガッツのおかげで全身がズタズタである、正直、タバコを吸う動作以外に右手をシコシコ動かすのすら苦痛を伴いかねない大ダメージを負っている

ならばここはイイ感じにカドを立てないようにお断りするのが最良…

 

「Lady、Darlingはワタシとlunchしてteaする予定が入ってマス」

 

「そうですか、ふむ…」

 

ジャーヴィーくん、提督にその予定はないのだが?

 

「ならば丁度いいです、Admiralに少々お話ししたいことがありますし、Ark、今日のlunchは?」

 

「ハッ!Sheffieldによる季節の素材を活かしたCourseを御用意しております」

 

「結構、すぐに1人分追加させなさい」

 

「ハッ!ただちに!」

 

女騎士は姿勢正しく恭しく頭を下げ、ただちに矢文の発射準備にかかる!っーか矢文かよ!!電話しろよ!

 

「いや、陛下、自分、お昼は秘書艦と近所のうどん屋に行く約束が…」

 

嘘である、だがまぁ、金出すったら来るだろあの青髪ロングなら

 

「そうですか、では秘書艦も一緒に……Ark、追加は2……3人分にしておきましょうか」

 

クッ!陛下から絶対に逃がさないと言う強い意志と強固な信念を感じるッッッ!!

 

どうする?ここでハンサムな提督なら良い考えが思い浮かぶか、空気読めないけど仕事はできるヘレナくんがジャジャーンとアメリカンコミックヒーローのように助けに来てくれるかの二択を選びたいところだが、良い考えはまったく浮かばないし、ヘレナくんはたしか今日ホノルルくんとアトランタくんと街に水着を買いに行くとか言っていたな……正直、提督としてはそれはただの自殺行為だと思ったがヘレナくんはきっと強い心を持っているのだろう

 

「…では、それでよろしいですね?Admiral」ニコッ

 

「ハッ!謹んでお受けします!」

 

 

この後、電話でサミー子を今すぐ来いと呼び出し、女王陛下と英国の刺客達に囲まれての高貴な食事会となったが、席を同じくしていたネルソンが瞳孔の開いた目でうまい!うまい!とバクバク食っていたせいか、陛下のお話がイマイチ入ってこなかった





あと1〜2回くらいやってからifエンド回にいきますの
地味に今月でこのクソみてぇなお話も5周年ですって!


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提督と秋雲とイカの塩辛の謎

秋雲先生はこれからも男を描き続けます!

【登場人物】

提督(中佐)
忘れがちだけどまだ中佐、秋雲の漫画にわりとテキトーなアドバイスを送るジャ●プ歴20年のめんどくさい読者

秋雲(漫画家)
画力と技術力だけはあるらしく、わりと色んなタッチの絵が描ける上に速筆、ただ、絶望的なまでに話を考える能力がないらしく、原作の山田ゼレフ先生とも作風がそもそも合わないせいでよく揉める
原作なしで描くと、筋肉力と男臭がやたらと上がる




初夏の梅雨明けには蒸し暑さにイライラする執務室…

 

「で?どうすか?今回は方向性をかなり変えてみたんすけど…」

 

金やちやほやして欲しいからではなく、ただ純粋に!読んで貰いたいからこそ漫画を描く!そのアツい情熱を持つ少年漫画家(アマチュア)秋雲先生の新作漫画…

 

内容としては、誰にも言えない秘密を持つ魔女(巨乳)がドラゴン族の双子の子供の奴隷を買い、家族同然に育てていくけど最近何故か変、私の知らない間に立派に育った奴隷の子達が私に催眠術をかけて私を●してる…!?ヤンチャ系&インテリ系奴隷の催眠W責め…っ!

 

「いや、普通にジャ●プに載せられねぇーだろ!ナニオマエいきなりこんなどエロイの描いてんの!?なんなの?なんかイヤなコトあったの!?」

 

「や、たしかに今回は描いててなんか違うな、と思いはしたんすけど…」

 

なんかネット広告とかでこんな漫画見たコトある気もしなくもないが…

しかし相変わらず絵だけは上手いなコイツ、もう少年漫画諦めてコ●マガジンとかワ●ブックスとかに持ち込めよマジで、これで目標の漫画家は本宮ひ●志先生とか才能の方向がまるで違うだろ

 

「やっぱアレっすかね、山田ゼレフみてぇーなエロラノベ屋と関わり合いになったのがマズいんすかね」

 

「山田ゼレフ先生をエロラノベ屋とかゆーな」

 

「クッソ!こんなのじゃいつまで経っても団地妻エージに追いつけねぇ!!アイツの漫画、漫画→アニメ化→映画化→興業記録更新中とかマジパネぇんすよ!マジパネぇんすよ!」

 

「知ってるのだよ」

 

少年達のハートをガッチリキャッチする漫画を描かせたら漫画史にも必ず刻まれるであろう本物の天才、団地妻エージ先生、っーかその団地妻エージ先生も山田ゼレフ先生も普段はウチで働いてるってんだから世間は狭いものだ

 

「しかしまぁアレだろ、オマエ疲れてんだよ」

 

「やっぱ疲れてるんすかね?このクソ暑いのに部屋にこもって窓だけ開けて原稿描いてたせいか、ブラウスもパンツもビチョビチョなんすよ、ビチョ濡れっすよ!」

 

「そりゃオマエアレだよ、水分が足りてねぇんだよ、まずは深呼吸して自分の胸に手を当てて聞いてみろよ、カラダが水分を欲してるよ」

 

「やっぱそうなんすかね?ハー…フー…ハァー……フゥー!か、渇くゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 

秋雲は今更己の水分が足りてないことに気づいたのか、まるでヴァンパイアに血液を吸われた被害者の如くみるみる全身が枯れ木のようにヘシ折れたので、とりあえずグラスに入った麦茶をぶっかけてやると、麦茶をぶっかけた部分だけ肌にツヤが戻った

 

「まったく、相変わらず仕方のねぇヤローだなテメーは、よっしゃ!今からマミー屋で甘いモン食ってエネルギー充填すっか!奢ってやんよ!ガハハハハ」

 

「マジっすか!さすがテイトク!カーッ!秋雲!元気がMORIMORI湧いてきたっすよ!ガハハハハー!」

 

そんな夢と希望がMORIMORI湧きつつ互いにガッチリと手を組む俺達に対し、自分の席で趣味のクロスワードパズルを嗜んでいたらしい秘書艦サミー子は頭の悪いやつを見る目で俺達をチラ見してたが、わりとどうでも良かったのか、再びクロスワードパズルに視線を戻した…

 

◆◆◆

 

「コーヒーとティラミスを2つ」

 

「コーヒーとティラミスですね、あと、ご一緒にイカの塩辛はいかがですか?」

 

「いらないのだよ」

 

甘いモンも辛いモンも扱う本格スイーツ店、マミー屋

今日はオススメは特にないのか、執拗なオススメをオススメされなかったが…………なんでイカの塩辛?大量在庫とかか?

 

そんなわりとどうでもいいコトを考えつつ、俺達は無事に注文の品を受け取り、テキトーなテーブルにでも座るかと思っていたら……

 

「お、早霜じゃねーっすか!」

 

店内の奥、窓際の席に座り雑誌のようなものを読みつつティーをしているのはたしかにキタローくん

秋雲はキタローくんにオイオイオイと馴れ馴れしく声をかけつつ同じテーブルの椅子を引いた

 

「…秋雲と、提督………こんにちは」ボソボソ…

 

「カーッ!相変わらずネクラっ子っすねー!アンタさんもティーっすか?」

 

「…そうだけど」ボソボソ…

 

「ふ~ん、ナニ読んでるすか?月刊サスペ●アすか?ってオイィィィ!!テイトク!コイツ少年ジ●ンプなんか読んでるっすよォォォォォォ!!」

 

「そりゃキタローくんだって少年ジャ●プぐれー読むだろ、そんなビビるこたぁーねぇだろ」

 

秋雲はコイツはたまげたなぁとか言いつつ、コーヒーをグィーッと一口に呷った

 

「苦っ!!」

 

「そりゃオマエ、ミルクと砂糖入れねぇからだろ、ガキがムリしてブラックなんか飲むんじゃないよ」

 

「ムリなんかしてねーっすよ!早霜!アンタはどうなんすか!」

 

「…私はブラックで」ボソボソ…

 

「カーッ!この子ったら大人ぶってムリしちゃってー!見てやってくださいよテイトクぅ!この大人ぶっちゃってる冴えない顔!まるで冴えないカノジョっすよ!」

 

何故か秋雲はキタローくんに対してやたらマウントとりたがる傾向があるが、たぶんまぁ、性格的なものだろう

 

「冴えないカノジョとか言うんじゃないよこの子は、キタローくんは今でも十分に冴えてるぞ、きっと将来は引く手あまたな美人なお嫁さんになれるな」

 

「カーッ!マジっすか!この呪いの日本人形みてぇーなヤツがすか!」

 

「呪いの日本人形とかゆーな」

 

その呪いの日本人形みてぇーなヤツがオマエの宿命のライバル(一方的な)団地妻エージ先生なんだが…

 

「キタローくん、コイツバカなだけだから気を悪くしないでやってくれ、そうだ!お詫びに提督に何か奢らせてくれないかね?うん、それがいい、好きなものを食べてくれたまえよ!」

 

「…いえ、そんなに気にしてませんし」ボソボソ…

 

「ナニ言ってんすか!ケチで有名なテイトクが好きなモン食っていいって言ってんすよ!ケーキ!ホールでいくっすよケーキ!で、私にも分けてください」

 

「…死ね」ボソボソ…

 

「え?なんだって!?よく聞こえねー!!」

 

「…なんでもないわ、なら、アナタの好きなものでいいわ、早く注文しに行って、1秒でも早く、あと、ここ戻ってこなくていいわ」ボソボソ…

 

「え?なんだって!?後半よく聞こえなかったっすけど秋雲さんの好きなのでいいんすね?おっしゃ!!任しとき!腹いっぱい食わせてやるからよォー!」

 

秋雲はヒャー!ガマンできねー!とか言いながら颯爽とカウンターへと走って行った……アイツ、ヒトの奢りとなるとマジで容赦ねぇな

っーかこの店で容赦ねぇ注文とかされたら提督の財布が痛いじゃ済まないのだが、手持ちがねぇよ!

 

「…問題ありません、私だしますから」ボソボソ…

 

「いやいや、そーゆーワケにはいかんよキミぃ」

 

「…大丈夫です、お金なら持ってますから」ボソボソ…

 

さすが団地妻エージ先生ェ、たぶんこの基地に所属してるヤツの中では納税額はトップじゃないだろうか…

むしろ俺よか納税額してると思う

 

「ま、まぁ!提督の手持ちでダメそうな時は頼もうかな、うん」

 

「…そうですか」ボソボソ…

 

この後、バカみてぇに注文してきた秋雲、そしてたまたまマミー屋へとやってきた秋雲組の仲間達と共に秋雲先生の漫画を大いに考える会を開始!アツいディスカッションとなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【7月某日 ある駆逐艦の日記】

 

今日、あの人と間宮で楽しくお茶をした、まるで夢のよう、とてもとてもとても夢のような時間だった

あの人のコトを想うだけで私は十分満たされるのに今日はなんて良い日なのだろう、あの人は私にケーキは好きかね?あ、もしかしてビター系のほうがいいかな?と聞いてくれたり、コーヒーのおかわりはどうかな?と何度も私を気遣ってくれたけど、やはり緊張してしまって上手く受け答えできなかったのが悔やまれる

そうそう、あの人は私に素敵なお嫁さんになれると言ってくれた、素敵なお嫁さんに、素敵なお嫁さんに、素敵なお嫁さん素敵なお嫁さん素敵なお嫁さん素敵なお嫁さん素敵なお嫁さん素敵なお嫁さん素敵なお嫁さん

 

いけない、つい興奮してしまった、今日はもう寝よう、きっと素敵な夢が見れる予感がする

 

今日もあの人に幸福な夢を…

 

 

 

 

 

 

あと、あの人に馴れ馴れしくまとわりつく秋雲には死を、できる限り苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しみ抜いた後に残酷な死を

 





次回、次回から……たぶんifエンド回、たぶん


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提督と山風とバニラ・アイス

蒸し暑い夏、キュウシュウの夏

【登場人物】

提督(メガネ男子)
好きなアイスは給食ムース

山風(トゲトゲヘアー)
天敵がいない時は比較的おとなしめで良い子


蒸し暑いしアイスでも食うかと執務室の冷蔵庫を開けたらアイスが入ってない悲劇的結末、そんな悲劇を回避するべく、仕方なしに明石の店にでも行ってクソザコアイスでも買うかと廊下を歩いていると、廊下の先で観葉植物が蠢いていた…

 

「なんだアレ?」

 

観葉植物ってひとりでに動くのだろうか?いや、観葉植物はひとりでに動いたりはしない、決して

打ち返したテニスボールが決して消えたりしないのと同じそんなコトはありえないと考えていると、妙にトゲトゲしい観葉植物みたいなのが動きを止め、足下?から毛のないキモい生物がヌルりと現れた

 

「…暑い」

 

「なんだ、山風クンか」

 

「…?あ、テイトク」

 

観葉植物かと思っていたのは白露姉妹で改白露型のトゲトゲヘアー、山風クン、見ての通り、頭のトゲトゲした子だ

 

「今日はまた一段とヘアーがトゲトゲしいのな」

 

「…この時期は特に髪がぶわーってなるから嫌い」

 

「なるほど」

 

山風クン曰く、朝、海風姉ちゃんになんとなくイイ感じにセットして貰ってもこの時期は髪がボリューミーになるらしく、後ろから一見すると動く観葉植物のようになるそうな

 

山風クンは額にじんわり汗を滲ませつつ足下に逃げたネコを拾った

 

「…暑い」

 

「そのネコもアツいんじゃあないかね?毛はないけど」

 

「…そうかも、テイトクは何してるの?散歩?」

 

「提督はそんな暇人じゃあないのだよ」

 

まぁ、暇人ではないがアイスを買いに行く途中ではあるがね、まずは冷たいものを食べてスッキリとしてから仕事をするのも作業効率化の一環だと思うのだよ

 

「まぁいい、山風クン、アイスは好きかね?もし好きだったら提督がアイスを奢ってあげよう」

 

「…好き、かき氷とか食べたい」

 

「かき氷か、たしか売ってたな、袋のやつ…」

 

そんなワケで、俺は新しい冒険の仲間にトゲトゲヘアーの山風クンとヌルっとしたネコを一匹仲間に加え、目的地へと再び歩き出した

 

「…そういや海風姉ぇが新しい水着買ったって言ってたよ」

 

「ふ〜ん」

 

「…水着の海風姉ぇと海に行きたくない?」

 

「行きたくない」

 

「…なんで?おっぱい大きい水着の海風姉ぇだよ?」

 

「女の子がおっぱい大きい水着の海風姉ちゃんとか言うんじゃないよ」

 

しかしだ、たしかに海風姉ちゃんのおっぱいはデカい、おそらくは駆逐艦の中でも上位、至高の領域に近いだろう…

もし彼女が駆逐艦でなければ俺は間違いなくセクシャルな対象として見ていたに違いない

具体的に言えば、尻穴にスライム浣腸を出し入れし排泄するたびに快楽と絶頂を感じずにはいられないア●ル隷奴として調教していたであろうコトはあまりにも必然、そして自然なコトだ

 

それほどの魅力が彼女にはある………が、しかしだ

しかしどれほどいやらしいカラダをしていたとしても海風姉ちゃんは駆逐艦、つまりはガキに過ぎない、もう2~3年もすれば肉体的にも精神的にもさらに磨きがかかり成熟するだろう、その時こそ…

 

「喰うに値する…」ニマァ…

 

「…何が?」

 

「おっといかんいかん、つい気が高まって溢れそうになったのだよ」

 

そんな自分に自制心が必要だなと考えていると、廊下の先にアチーアチー言いながら制服をパタパタしてるアホンダラが居た…

 

「あちぃー……お、テイトクと山風のアネキじゃン、ナニやってンだ?」

 

白露姉妹にして海風姉ちゃん傘下の改白露型、江風!!こう見えても山風の妹らしく、姉妹の中では下から2番目でもある

 

「…テイトクがアイス買ってくれるって」

 

「マジかよテイトク!たまにはイイコトしてくれるなオイ!よっしゃ!アタシガリガリクーン!」

 

「誰がオマエの分も奢ると言った?クズが、テメーで買わんかいダボ」

 

「ケチかよっ!!っーか山風のアネキには奢ってアタシには奢らない理由ってなンだよ?アァン?」

 

「そうだな………ふむ、特にないが、ふむ……あえて理由をつけるとするなら俺はオマエの苦しむ顔を見るととても心がスッとする」

 

「ドSかッ!!」

 

「ドSじゃない、テイトクだ、だがまぁ…奢って欲しいならそれなりの態度があるんじゃあないかね?江風クン、人にモノを頼む時は“お願いします(プリーズ)”が必要なんじゃあないかね?」

 

「クッ!このオッサン…!!」

 

「オッサンじゃない、提督だ」

 

まったく、最近のガキというものはどいつもこいつも提督様を舐めてやがるからな、ここらで一度ビッ!と言って己の立場をわからせてやるにはいい機会だ

 

「ケッ!ケチクセーオッサンだなオイ、いいよ、海風姉ェに提督は懐もチ●ポも小せぇー男ですってチクってから買って貰うぜ!」

 

「誰の懐とチ●ポが小せぇー男だ、っーか自分で買えよ!ガリガリクンくらい」

 

「ンな金ねンだわ」

 

江風曰く、昨日、花火セット買って豪遊したら今月のお小遣いを使いきったらしく、今、江風の手元にある全財産は昨日の余りのヘビ花火3個だけらしい

 

「うンこ玉しかねぇーンだわ」

 

「女の子がうンこ玉とかゆーな、ヘビ花火って言え、ヘビ花火と」

 

「なぁー!!頼むよぉー!テイトクぅ!っーか今月の小遣いもう使い切ったとか海風姉ェにバレたらまた説教されンのがオチなんだよォー!」

 

そもそも海風姉ちゃんに泣きついたとしても己の計画性のなさを問われ説教タイムに突入することが確定しているらしい江風、バカだバカだとは思ってはいたが……やはりバカだったか

 

「…仕方ない、江風のぶんは私が出してあげる」

 

「マジか!?山風のアネキぃ!」

 

「オイオイ山風クン、無理をしちゃあいかんよキミぃ」

 

「…ダイジョーブ、こう見えても私、江風の……お姉ちゃん、だから」

 

そう言ってポケットから財布を取り出しグッと親指を立てる山風クン…

そう言えばそうだったな、こう見えて山風クンは江風のお姉ちゃんなのだ、存在しない記憶な気もするが、まぁ事実だろう、たぶん

 

まぁ山風クンだってたまにはお姉ちゃんぶりたいコトもあるのだろう

そんな自らの中に眠っていたお姉ちゃんパワーを今、発揮させた山風クンだったが……

 

「あ、テイトク……と、江風と山風も、丁度良かった」

 

廊下のカドを曲がり、山風クンのお姉ちゃんパワーがかき消された、いや………かき消されたなんて生易しいものじゃあない!!

 

「暑いしみんなでアイスでも食べようと思って買ってきたの」ニコニコ

 

海風姉ちゃんは今しがた買ってきました!ってぐれーパンパンな保冷バッグを妹達に見せた

 

「う、海風姉ェ……やっぱハンパじゃねェー…クッ、さっきまでカッコ良く見えた山風のアネキがもうその辺のアロエにしか見えねェー」

 

「…江風、あとでブン殴るから」

 

「何言ってるの二人とも、あ、よければテイトクも一緒にどうですか?いっぱい買ったので」ニコニコ

 

「いや、遠慮しておこう」

 

海風姉ちゃんは基本良い子だが、こーゆーニコニコしてる時はめんどくさい時だ

一瞬にも満たない反応速度で答えを見出し、即座にその場を離れようとした俺の左腕が掴まれたッ!!

 

「そう言わずに…」

 

速い…ッ!そして強力(つよ)い!まるで万力のような(パワー)!この細腕のどこにそんな力が!!早く!早くこの場を去らなければ!!

 

そんな俺を海風姉ちゃんはそのまま廊下の壁に押し付け、さらにそのパイオツを俺の身体に押し付けつつ耳元で俺にしか聞こえない声量で囁く

 

「山風はテイトクと楽しいおしゃべりしつつアイスを食べたいんです、空気読んでください」ヒソヒソ…

 

「やだよめんどくさい、アイスだけあればいいだろ?アイスだけ」ヒソヒソ…

 

「ナニ言ってるんですか!アーンしたりアーンされたりしてください!」ヒソヒソ…

 

「やだよ!!海風姉ちゃんがやりゃいいじゃねーか!っーかな、キミ、山風クンを甘やかし過ぎじゃあないのかね?」ヒソヒソ…

 

「それはまぁ……長女ですからね」ヒソヒソ…

 

長女であり、七女であると言う矛盾………その矛盾が生んだ奇跡が、この海風姉ちゃんと言う怪物(モンスター)ッ!!

 

「う〜ん、じゃわかりました、食べ比べはみんなでしましょう、その方が公平感もありますし、山風も私が変なアシストしてると怪しまないでしょうし」ヒソヒソ…

 

「わかってくれて嬉しいよ、あと変なアシストはバレバレな気がするのだよ」ヒソヒソ…

 

まったく、どんだけ妹に甘いんだこの子は……しかしこの海風姉ちゃんやっぱ乳デケーな、個人的にはアイスなんぞよりこのパイオツを舐め回してしゃぶり尽くしたいね

 

「山風っ!テイトクもご一緒してくれるって!良かったわね!」ニコニコ

 

「…へぇー」

 

「あ、あれ?嬉しくない?」

 

「…別に」





次回からifエンド回、そこんトコ、ヨロシク


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提督とルート分岐のエンディング⑰

本日でこのクソみてぇなお話もなにげに5周年
まっこと!キレの悪いウ●コのように長いですわ!

しかしまぁ、節目と丁度いいタイミングでお久しぶりのifエンド回、ですが1回目はいきなり変化球から入り、以前のifエンド回の続きもの、で御座います

ハイ、えぇ…


【続・聖者の帰還-special round-】

 

 

かつて、戦争があった…

海軍解体から早数年、なんやかんや色々あって島風を正式に養女とすることになり、軍属から解き放たれて無職となった俺は退職金を元手に探偵まがいの便利屋の商売を始めたワケだが…

 

「たっだいまー!今日は何か依頼あったー?密室殺人とかー?人質救出とかー?」

 

「そんな物騒な依頼あるワケねぇだろ、あと、帰ってすぐ制服脱ぎ捨てんな、ちゃんとハンガーに掛けろ」

 

ネコ探しだの浮気調査だのクソみたいな仕事をこなしつつ日々、平穏無事に過ごしていた俺は大して面白くもないテレビを見つつ今日も真面目にガッコーでお勤めして帰ってきたバカ娘のスカートを投げた

 

「はいはい、テイトクは口うるさいなぁ…オカーサンかっての」

 

「やかましい」

 

「今日の晩御飯ナニ?なんかイイ匂いするけど?」

 

「今日の晩飯ぃ?聞いて驚け、なんと肉じゃがだ!」

 

「NIKU-ジャガ…!?う、ウソ……肉入ってるの!?どうしちゃったのテイトク!まさか今日の仕事が大成功だったとか?」

 

「いや、お隣の名取さんから貰った」

 

ウチのお隣に住んでいる名取さん(未亡人)はとても親切で気配りができる上に美人であり、さらにエロい、美少女のあどけなさを残しつつも元人妻特有の妖艶さがあり、服の上からでもワカるあの激エロボディ………ハッキリ言えば、ヨダレズビッ!ってヤツだ。

俺がクリーニング屋さんだったら間違いなく押し倒しているね

 

「名取さんゼッテー俺に気があるよ、マジで、だって作りすぎたからって肉じゃがくれるんだぜ、ありゃ間違いなく俺に気があるね、島風、オマエもうすぐ新しいオカーサンできるぞ」

 

「そんなワケないじゃん」

 

「ナニがそんなワケないだ、俺の探偵としての勘がビンビンなんだよ」

 

「探偵の勘じゃないでチ●ポがビンビンなんじゃん、私知ってるよ、名取さんこないだイケメンの人と歩いてたの見たし」

 

「ファーックス!!!」

 

なんてこったい!!チクショウ!弄ばれたのか…ッ!!いや、いやいやいや、よく考えたらコイツの言うコトを鵜呑みにはできん、前もたしかヤクザの浮気調査だか素行調査だかに付いて来てテキトーな当てずっぽう言って危うく洞海湾に沈めかけられたからな

 

「まぁいい、だいたいキサマ、テストはどうなってんだ?期末テストは、赤点なんかテイトクは許しませんよ、わかってるの?赤点なんかとったらこの夏は塾に行かせますからね!」

 

「テストぉ〜…?」

 

島風はめんどくさげにカバンから汚らしい紙を何枚か取り出して雑に投げつけてきた

 

「雑に投げるな!ったく……どうせクソみてぇーな点数なんだろテメーはよ、余ゼミ行かせるぞ、余ゼミ(※進学塾、余ガデヨウゼミナール)………えー92に、91……99、ほらぁ見ろ、クソみてぇーな点数とりやがっ…」

 

…………いや待て、軒並み90点代じゃねーかコイツ

 

「なんだオマエ、カンニングか?」

 

「いきなり娘の努力全否定でカンニング疑惑はヒドくない?」

 

「だってオマエ努力してねーじゃん」

 

だってコイツがベンキョーしてる姿とか見たコトねぇよ、家帰ってきたら漫画読むか、テレビ見てるか、アイスしゃぶるか、スマホいじってる姿しか見たコトねぇよ

 

「ガッコーでベンキョーしてるんですぅー」

 

「ふ〜ん」

 

「感想が雑!!」

 

「チッ、うっせぇーな…よく考えりゃオマエの成績なんぞ別にどうでも良かったわ、とりあえずガッコー卒業して真っ当な仕事に就職してさっさと俺の前から消えてくれや」

 

「ハァ?ナニ言ってんのテイトク、私、ウチで働くケド?」

 

「ハァ?じゃないよ、ウチはエッチで巨乳なお姉さん以外募集してねーんだよ」

 

「そんなの来るワケないじゃん、ってかそんな人雇ってもお給料も払えないじゃん」

 

クッ…!痛いところを突きおるわい、たしかに、ウチには人を雇う余裕どころか毎月の家賃ですら怪しいものすらある

 

「まずタバコ止めたら?」

 

「ダメだ、タバコは俺の紳士道の必須アイテムだからな、いいか?俺がタバコを失うってコトはダンディを失うってコトだ、ダンディを失っちまったらそいつぁタダのキザヤローにすぎない」

 

「ハイハイ、テレビのリモコン貸して」

 

コケにしやがって……チッ、まったくナマイキ盛りになりおってからに、いや、軍に居るトキからナマイキだったか?うん、そもそもどいつもこいつもナマイキだったから印象が薄いだけか

 

とりあえず、お隣の名取さん(未亡人)から戴いた肉じゃがをオカズに本日の晩飯、メインディッシュに肉じゃが、千切りキャベリ、スーパーで買ったメカブ…

そんなゴキゲンなディナータイムにテレビのチャンネルをポチポチ押す島風にニュースにしろよダボと頭の耳を引っ張る

 

「痛いっ!!」

 

「やかましいっーの、ほらぁ、高校ヤキュウの結果わかんなかったじゃねーか」

 

「そんなもん後でスマホで調べればいいじゃん」

 

「ったく、あー言えばこー言う子だね、アンタは」

 

とりあえず地元の大したコトなさげなローカルニュースでも見るかとテレビを見ていると、間の悪いことにテレビは地元のローカルでないニュースを映していた…

 

「スピードキングダムの王女様が来日、滞在の予定は約一週間で自動車産業の工場などを視察か…」

 

「つまんなーい」

 

「やかましい、黙ってニュースも見れんのかオマエは」

 

ピンポーン♪(ドアベル)

 

「あん?」

 

「誰か来たみたい!依頼だよ!」

 

「んなワケねーだろ、どーせババアが家賃の取り立てに来たんだろ…」

 

…まぁ、そう言ったもののマジに仕事の依頼かもしれんしな、俺は肉じゃがの肉全部食うんじゃねーぞと島風に念を押し玄関へ向かった…

 

ピンポーン♪ピンポーン♪ピンポーン♪(ドアベル)

 

「へいへい、っーか連打すんなよ、ハイハイ、今開けますよっと…」

 

このピンポン連打はババアだなと思いつつドアを開くとそこには………

 

『Ayúdame!』

 

……………島風が居た

 

「え?なんだって?」

 

『Por favor, ayúdame, soy rastreado por una mala persona!』

 

…………え?何語?っーかよく見ると、コイツ島風じゃないな、島風によく似たしずまヅラしてるが…

うん、違う、それになんか上等な服着てるし、服っーかドレスってやつか?ほら、アレだよアレ、ディ●ニープリンセスとか着てるアレ

 

しかしなんなんだ…?島風によく似たしずまヅラにワケのわからん外国語…?もしかしてアイツ兄弟だか姉妹だかいたのかと悩んでいると、玄関から戻って来ない俺が気になったのか、島風のヤローがヒョコっと顔を出した

 

「ナニやってんのー?もう肉ないよー」

 

「ハァ!?オマエナニ言ってんの、今、肉ないっつたか!?俺、肉全部食うなって念を押したよなーッ!!」

 

「知らないし、私育ち盛りだし、ってかそれ誰?」

 

「こっちが聞きてぇーよ!!」

 

 

後日、このスピードキングダム王女、シーマ・カゼーナ王女を発端とした国家と世界を揺るがす巨大な陰謀が動き出し、笑いあり、涙あり、ケンカ、バイク、友情、ちょっとラブコメの大冒険が繰り広げられることになるが、それはまた別の話…





次回からはまっこと新鮮なifエンド

【タイトル未定】
【タイトル未定】
【タイトル未定】

の、三本の予定です、ウフフフー


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提督とルート分岐のエンディング⑱

その⑱
書いてたら通信不具合で1話分ゴッソリ保存できてなくて吐きそうになりましたわ

今回は全編海外艦ifエンド、ですわ!まず2本立ては〜…

【Last Chance Tour Train】
【Hightension Wire 】

…の、2本勃て



【Last Chance Tour Train】

 

かつて、戦争があった…

謎の行方不明事件が多発する海域に派遣された吹雪達駆逐艦トリオ、先に海域に来ていると言う海軍最強戦力の1人、“淫獄戦艦”の異名を持つ大戦艦、ネルソン!その…高貴な見た目から、たとえ卑怯な手で敵に鹵獲されようと決してその誇りを失わず、どんな淫靡な責め苦を受けようと逆転と脱出の機会を待ち続けられる強い意志を持っているであろうと信じられている事から、駆逐艦の皆からは親しみを込めて淫獄さん!と慕われていた…

そんな淫獄さんと吹雪達駆逐艦トリオの活躍もあり、事件は無事に解決したと思いきや……予期せぬ強敵が一行の前に現れるのだったッッッ!!

 

ーーー

 

DINER…ッ!!それは、北アメリカに特有のプレハブ式レストランのことである!!特に、ニュージャージー州、ペンシルベニア州、ニューヨーク州に多い言われており、むしろアメリカ全土及びカナダ全土に点在している…

そしてこの、モンタナ州にも………

 

「ヘイ!こっちの注文がまだきてねーぜ!」

 

「バカ言うな、オレの方が先だったろーが!なぁHelenaちゃん!」

 

「コイツァ、HelenaちゃんがパイオツにCokeの瓶挟んでサービスしてやらねーとな、ギャハハハハハ」

 

「オイオイオイそいつぁ無理なハナシだぜ!Helenaちゃんのパイオツじゃpotatoもムリだろーよ」

 

「HAHAHA!」

 

今日も明るい話題で町の労働者達が盛り上がるDINER…

そんな笑い溢れる店内に、テーブルをダァン!して破壊する音が響いた後、客の荒くれ者達は破壊されたテーブルを見てからテーブルを破壊したこのDINERのカンバン娘を見た…

 

「よぉーし、オマエら全員一列に並べー…」WANA-WANA

 

笑顔だが青筋立ててキレてるカンバン娘、Helena…

 

「マイッタナこりゃ!joke!ホンのMontana jokeだぜ!」

 

「オイオイ相変わらずHelenaちゃんは冗談が通じねーなオイー!」

 

「やかましい!!このクソ労働者どもがァー!!」

 

今にも飛びかからんとするヘレナを羽交い締めにし、とりあえずキッチンにヘレナを引っ込めた俺は携帯型ア●メガスをシュッ!と染み込ませたハンカチーフでヘレナの口を塞いだ

 

「もガーッ!!!」ビクン…ッ!ビクン!

 

「どうだ?落ち着いたか?」

 

「あが……あへ………って!!落ち着けるワケないでしょ!!逆に身体が火照るわよ!!」

 

「アッハッハッハ」

 

「アッハッハッハ、じゃないわ…っ!!」

 

メリメリィ!!!と、まるで顔面が潰される勢いの強烈な顔面パンチを喰らい、キッチンからホールまでブッ飛ばされた俺はクソ労働者達の居るテーブルに直撃して床に転がった

 

「ヘイ!テートクがまたHelenaにブッ飛ばされたぜ!」

 

「ヘッ!イイ気味だ、オレ達のアイドルHelenaのHeartを射止めたなんっークソ野郎は死んで当然だぜ!」

 

「ヘイジャパニーズ、ワカったら祖国に帰るんだな!HAHAHA!」

 

こ、コイツら……誰のせいで俺がこんな目にあっていると思ってやがる!クソ労働者どもはここぞとばかりに床に転がった俺に思い知れ!思い知れ!と蹴りをくれる!

 

「ちょっと!ウチの旦那にナニやってんの!ブッ飛ばされたいの!?」

 

「ヒュー!Helenaちゃんがお怒りだ!」

 

「怒った顔もcharmingだぜー!」

 

「フゥー………ハァ〜……フゥー……ハー…よし、オマエら、全員金だけ置いて帰れ、Helenaの理性が残ってる内に」ニコッ!

 

ーーー

 

「…あー」

 

「起きた?もう閉店よ」

 

「そうか、痛ッ!アバラ痛い!あのヤローども…手加減ってのを知らんのか」

 

ソファーに横たわる俺を冷ややかに見下ろしていたヘレナは、今日もお疲れ、と言ってキンキンに冷えたビールの入った大ジョッキを俺に押し付けた

 

「ま、まぁいつものコトと言えばいつものコトだしね」

 

「日常茶飯事がワイルドすぎるわい」

 

深海棲艦との戦いの日々が終わり、海軍を抜け、いよいよギブ●ンの待つMAJORへの挑戦をする時が来たと海を渡った俺はファックボールを武器に1Aからスタートしたものの、ファックボールは故意の危険球であるとのコミッショナーの判断から速攻で球団解雇、球種は全てファックボールしか持ってない俺の挑戦は断たれた

 

球団をクビになり、国に帰る金もなく、とりあえず軍時代の知り合いであるアイオワにでも金借りるかヒモでもさせて貰おうと考えつつロッキー山脈を眺めていると、なんか雄大な自然の前に悩んでいることがアホらしくなり、とりあえずそこに山があるからさと山登りでもするかとこのモンタナ州の町、Helenaへとやって来た俺は、とりあえず金はないが皿洗いでもすれば許してくれるだろうとテキトーなDINERに突入、テキトーに注文していると意外な人物と再会した…

 

………もしかして、テイトク?

 

戦いの日々も終わり、軍を辞めて故郷へと帰っていたヘレナ、そしてその実家がここだった

その日、俺はヘレナにこれまでの事情を話し、世の中スゲー偶然もあるモンねーと夜の夜中まで酒飲んでおしゃべりした、酒飲んで…

 

そして翌日、俺の横に全裸のヘレナが転がっていた…

 

「まぁでも、テイトクも慣れてきたわね」

 

「あんま慣れたくはねぇがな、っーか俺はもうテイトクじゃないんだが…」

 

「こっちのが呼び慣れちゃってるからね」

 

紆余曲折あり、今ではこのDINERを夫婦で切り盛りする生活になったが、まぁ、これはこれで悪くはないのかもしれないな

 

「ヘレナ」

 

「なぁに?」

 

「今度店閉めて山に行くか、山」

 

「ナニ?ヘレナを崖から突き落として保険金殺人しよーっての?」

 

「するか!!」

 

「フフッ、ジョーダンよ、ジョーダン、小粋なHelena joke」

 

そう言って悪戯っぽくウィンクするヘレナ、まったくこの女は………ま、昔からそーゆーところが案外気に入ってたし、ウマもあったのかもしれないな

 

 

おわり

 

■■■■■

 

【Hightension Wire】

 

かつて、戦争があった…

人類と深海棲艦の永きに渡る戦いは遂に深海棲艦による大規模攻撃作戦、地球寒冷化作戦へと至った

しかし作戦終盤、人類の可能性を再び感じてしまった深海総帥は迷いを感じつつもこれをあくまで決行、しかし、人類の猛反撃、そして深海棲艦の中からも地球が駄目じゃないことを賭けてみたいと命知らずなバカどもがたかが石コロ1つぐらいと特攻、摩擦熱とオーバーヒートでダメになるヤツが殺到したところで奇跡は起きたのだった…

 

ーーー

 

「オカワ・リー」

 

人類と深海棲艦の戦争も終わりもう何年目だった…

まぁ、そんな些細なことはわりとどうでもいいコトだ、大切なことはそんなどうでもいい過去ではなく輝かしい未来だろう

俺は財布から金を取り出すと俺が食った分と同席してるヤツの分だと金を払い、店を出てからタバコに火を点けた

最近は店内禁煙が当たり前になっちまったからな

 

「フーッ〜……」

 

とりあえずアレだ、ガングートのアホからはまったく連絡がないし、っーかもしかしてアイツ捕まったんじゃないのか?アホだし、あきらかにどっかヌケてたもんなぁ〜、たぶんネジの1本どころかシャフトとかベアリングもヌケてたろ、たぶん

 

そんなアホンダラについて考えつつ店先の喫煙所で紫煙を吐いていると、大好物を食い終わったらしいツレが店の出入口から出てきた

 

「あー…美味しかった、やっぱりミソ・ラメーンは最高だね」ニコニコ

 

「満足したか?そりゃ良かった」

 

「同志は一杯で足りるのかい?」ニコニコ

 

「俺はキュウシュウ男児なんでな、ラーメンはトンコツ以外はあんま好みじゃねぇんだ」

 

「へぇ〜」ニコニコ

 

久々の大好物、味噌ラーメンに満足したらしいタスケくんだったが、トンコツってそんな美味しいかねぇ?とボソリと漏らしたが、まぁ、これはかなりの個人差があるのでこの疑問に対する舌戦は無意味だ

 

「ところで同志、同志Гангутから何か連絡はあったのかい?」

 

「ないな」

 

「そっか」ニコニコ

 

海軍を抜け、これからはこの命はこの光溢れる地上の愛と平和の為に生きようと固く心に決め、世の弱き者達を救済して周ろうと旅に出たのだが………

 

世界は、腐っていたッッッ!!

 

強者が弱者を虐げるのが当然…!世は資本主義のブタどもが溢れかえり、貧困がさらなる貧困を招く負の連鎖!!そして止まらない環境破壊とこの星で懸命に生きる希少な生物種の減少……

 

かつて深海棲艦との戦争と称してこの海を、いや、この世界を汚していたのは自分自身だったと気付いた俺は、振り返ってそこにある荒廃した光景に絶望した

 

何が艦隊これくし●んよ!!何が理想的な戦争よ!うぉーん!と……

 

「ハァ…とりあえず一度、世界中に散っている革命軍の“幹部”に召集をかけた方がいいな」

 

「そうなのかい?」ニコニコ

 

「そうなんだよ」

 

そして、この先たとえ何があろうともこの世界を元の自然溢れる世界に戻してみせると革命軍に参加した俺は同じく革命軍のタスケくんと日夜資本主義のブタどもに天誅を下して回っていた

むしろ、今もタスケくんと共に一仕事終えた帰りなんだか…

 

ジリリリリリリン♪ジリリリリン♪(着信音)

 

「む、ウワサをすればか…」

 

ガングートのヤツ、まだ捕まってなかったんだな、そう思いつつケイタイの通話ボタンを押すと…

 

『ハッハッハ!同志Admiralか!』

 

「ハッハッハじゃねーよ、ナニ半年も音沙汰なしになってんだテメーは、そろそろ死んだと思ってタスケくんをもうマジで普通の学校通わせて普通の学生にしようかと考えてたとこだぞ」

 

『ハッハッハ!それはムリだな!』

 

即答かよ、ガングートのヤロー、タスケくんをなんだと思ってやがる…いや、まぁ言ってみたものの俺もちょいムズいかなと思ってる

たぶん普通の学生は走行中の車に走って追いついてドア開けて内務卿殺ってから笑顔で味噌ラメーンなんか食べないしな

 

「で?生きてて連絡してきたんならアレか?召集でいいんだな」

 

『ハッハッハ!察しがいいな!ハッハッハ!』

 

「了解だ」

 

『“北”で待っているぞ!』

 

ピッ!(通話OFF)

 

「タスケくん、明日……いや、明後日で、今の学校は転校な、親の仕事の都合ってヤツで」

 

「そっかー…ちょっと残念だね」ニコニコ

 

残念だね、と言っているものの、たぶんマジに残念とは思ってないのがタスケくんだろう、だが…

 

「なぁタスケくんよ、なんならキミはここに残っても構わんのだよ、革命軍だとかなんとか全部忘れて、ここで普通の生活をして、普通の学校に通い、普通に友達とおしゃべりしたりしてだな…」

 

「それはそーゆー任務かい?同志」ニコニコ

 

「…いや、忘れてくれ」

 

ま、何を言ってもこの娘は付いてくるんだよな、行く先が地獄だろうがなんだろうが…

 

「同志Admiral」ニコニコ

 

「なんだ?」

 

「もう一杯ミソ・ラメーン食べていいかな?この店じゃないで、ほら、アパートの近くにある屋台で」ニコニコ

 

「…好きにしろ」

 

「アリガット、さすが同志!ハナシがわかるね!」 ニコッ

 

 

おわり





次回は当初の予定に入ってなかったけど、この夏、戦慄の水着グラを見せたキンパツ美少女と他1本、の予定ですの


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提督とルート分岐のエンディング⑲

毎日毎日気が滅入るほどアツゥイですね、ホント
そんな中でもダラダラっとifエンド回、その19、予告?そんなモン、ウソですわ

【そして荒野と空の間を】
【暗剣殺】

大人はウソをつくものですわよ!


【そして荒野と空の間を】

 

かつて、戦争があった…

母なる海を汚す人類に天誅を下すべく海の底より人類に戦いを挑んできた深海棲艦との戦い、世界中に繰り広げられたその戦いの決着は遂に現れた深海棲艦の大首領VS人類最後の希望の戦士とのラスト・マッチに委ねられた!圧倒的な力を持つ大首領の攻撃の前に、互角、否、それ以上の溢れる力、そして根性で立ち向かうその戦いは試合時間5時間45分を越える程の熾烈を極めた…

人類、そして深海棲艦双方からの声援はただ一度もなりやむ事はなかったが、試合開始から5時間46分、遂に決着の時は訪れたのだった…っ!

 

---

 

人類と深海棲艦の来るべき対話の時から早数年…

人類は新たなるステージへと到り、対話による解決を是とする時流の流れから世界中の軍隊はその規模を縮小、俺の居た海軍でも早期退職金をチラつかせた大幅なリストラを断行、俺は早期退職金と言う名の小銭を掴まされ海軍を放り出された後、とりあえず仕事をしないと生活はできないので早期退職金を元手に子供の頃から夢だったオシャレなカフェを始めることにした…

 

「いらっしゃませー」

 

「…チッ」

 

オシャレなカフェことネコミミメイドカフェ“ABDA”…

当初、オシャレを目指してオシャレなお店を作るべくオシャレとはなんぞや?と考えつつ理想の物件を探すべく不動産屋を回っていた俺は街で軍時代の部下であったデロ子と再会、祖国にも帰らずJAPANでフラフラ遊び歩いていたデロ子は就労ビザが切れたー、ヤッバーイとかケラケラ笑っていたので俺が入国管理局に電話しようとしたらデロ子の右手の指で鼻フックを喰らいその場で殴り合いの喧嘩に発展したが、色々あってその後、俺達は意気投合!

 

互いにオシャレなカフェとは何か?とのアツいディスカッションで盛り上がった結果、やっぱネコミミメイド喫茶しかねぇよヤッバーイとの結論に至ったのだった…

 

「パースくん、キミ、 もうちょい愛想良くできんのかね?」

 

「は?」

 

「ダイジョーブダイジョーブ!パースはコレでいいんだって、いや、むしろコレがいい!コレがいいじゃあないか!」

 

デロ子はワカってないなーと馴れ馴れしく俺に肩を組み、いい?ツンデレには3つのTが大切なんだよ?わかる?とかワケのわからない事を言っていたので俺はデロ子の柔らかな手を優しくとり……

 

「零の●劇ィィィ!!」

 

ギリギリギリギリギリギリ!(握手)

 

「ギャアアアアアアアアアアアア!!ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバァァァァァ!!」

 

「ちょっと、アナタ達うるさいんだけど…」

 

この店を開店するにあたり、とりあえずネコミミメイドカフェに相応しいかわいいネコミミメイドを雇わねばならないと言う問題があったが、デロ子のアホが私に良い考えがある!とか言って連れてきたのがパースちゃん

戦いが終わった後、パースちゃんも祖国に帰らず山田ゼレフ先生の新刊が真っ先に読めるからとニホンにとどまっていたところをデロ子がイイ仕事あるとか言ってスカウトしてきたワケだが…

 

元が素材抜群のキンパツ美少女であるパースちゃん、それをさらにネコミミメイドで起用はまさに天才のそれだが………

だが、パースちゃん、お客様に対しブタを見る眼は当たり前と接客態度は最悪だった…

 

しかし、最悪の中にも希望と言うものはある…っ!最悪の接客態度を持つパースちゃんではあったが、その冷酷・冷徹・冷血な接客態度が真性Mブタどもに大きくウケているらしく、普通の客はムリでも普通でない客にはアリだったッッ!!

 

「チッ、わかっとるわい、ほれ、カフェラテだ、とっとと持って行け」

 

デロ子とパースちゃん、そしてたまにヒューストンくんのMUTEKIの3本の矢が揃ったこの店はそれなりに繁盛している…

ちなみに、ヒューストンくんは他のカタギな仕事を持っているのでウチには週2ぐらいだ

 

「わかればいいよ」

 

パースちゃんはカフェラテの載ったトレーを受けとるとテーブルのMブタどものところへ行った…

 

「オイ、デロ子、オマエ的にはどうなんだ?」

 

「どうってナニが?パースが意外とヤバイモン隠してる着痩せタイプってコト?」

 

「それもたしかにヤバイがそうじゃあない」

 

「じゃあナニ?」

 

「フーッ~……オマエらいつまでここに居座るつもりなんだ?祖国には家族がいるんだろう?」

 

デロ子もそうだが、パースちゃんにだって祖国はある、そしてそこには帰りを待つ家族だっているだろう、既に戦争も終わったのだ、早く帰って家族を安心させてやるのもまた親孝行ではないだろうか?

 

「え?帰らないけど?」

 

「帰らねぇのかよ!?」

 

「だって私、海軍入るって言ったら親に絶縁されたし」

 

コイツ、バカそうに見えて実は闇が深いのか…?

 

「パースは知らないけど、たぶん帰る気あんまないんじゃない?ヤマダなんとかセンセイの新作読みたいって言ってるし、あ、でもなんかたまに実家に電話してるみたい」

 

「そうか」

 

さすがにパースちゃんはまだ真っ当みたいだな、うん

 

「ってかテイトク、私とテイトクは付き合ってるんじゃないの?」

 

「付き合ってねぇよ、どこからそんな勘違いしだしたんだテメーは」

 

「いやいやいや、付き合ってるでしょ?ってか私とテイトクはステディな関係じゃない?」

 

「付き合ってねぇしステディな関係でもねぇ。存在しない記憶か!」

 

「いーや!!付き合ってる!だって前に私のア●ル犯したじゃん!!」

 

「ア●ルぐれーでカノジョ面するんじゃねぇよ」

 

「メチャメチャにしたくせに!」

 

「ハッ?あの程度でメチャメチャとか片腹痛いわい」

 

デロ子はなめてんのかー!と掴みかかってきたので俺は身をかわして逆にデロ子の身体を掴み上げ、デロ子の両膝を自分の両膝に勢いよく叩きつける!

 

ガゴォン!!(ダ●ルニークラッシャー)

 

「うっぎゃああああああああー!!お皿が!お皿がァァァァ!!」

 

ダブルニーをクラッシュされたデロ子はうっぎゃあー!とか言いながら無様に床を転げ回った…

 

「ちょっと、テイトクもロイテルも遊んでないで仕事しなさいよ」

 

「こ…コレが遊んでいるように…見えるの…っ?」

 

パースちゃんの冷酷な目で見下されたデロ子だったが、ダブルニーの痛みからなんとか立ち上がった

 

「パース!聞いてよ!テイトクってば私のア●ルめちゃくちゃに犯したのに私とステディな関係じゃないってゆーの!」

 

「は?」

 

「ア●ル犯したのに!!」

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「ぶべらっ!」

 

パースちゃんの冷酷なビンタがデロ子の頬に炸裂し、デロ子は再び床に転がった

 

「ア●ルア●ルうるさい、今、営業中なんだけど?お客様の前でア●ルとか連呼しないで、恥ずかしい」

 

「クッ、パパにはぶたれたコトないのに…」

 

「パパ以外にはワリとぶたれてるんでしょう?」

 

パースは冷酷な目でデロ子を見下したままため息を吐き…

 

「いい?ロイテル、ヤマダゼレフセンセイの書いてるnovelにも書いてあるわ、ア●ルならセーフと…」

 

パースちゃん曰く、山田ゼレフ先生の作品“鬼畜上司-性社員の仕事-”にもア●ルには愛が無いのでステディな関係ではないと、山田ゼレフ先生の作品がそれを教えてくれていると…

 

「アナタは遊ばれたの」

 

「ガ、ガーン!SHOCK…ッッ!!ウソでしょテイトク!私とは遊びだったの!?」

 

「バカ言うんじゃないよこの娘は」

 

俺はウソダウソダドンドコドーンと俺の足に縋るデロ子を優しく抱きしめ、力強く言った!

 

「酔った勢いだ!」どんっ!

 

「さ、サイアク!!サイアクだよ!!パース!コイツホントにサイアクー!!」

 

 

この後、コス●コでピザを買ってきたヒューストンくんがやって来たがデロ子の機嫌は直らず、ヒューストンくんにどうすればいいかね?と尋ねたところ、普通に愛の告白すれば良いのでは?と冷静で的確な意見をもらい、仕方ないのでデロ子にオマエに一目惚れじゃあ、抱くぞ!と漢気告白したら、なんか違うー!とかゴネられた…

 

 

おわり

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

【暗剣殺】

 

かつて、戦争があった…

長い旅路の終着点、ついに深海棲艦の本拠地、深海の館へと辿り着いた艦娘達、その胸には決して揺るがない覚悟、そして勇気、正義の心を胸にそれぞれ館へと突入したが敵の罠によりチームを分断、館の奥を目指すリシュリュー達だったが生命反応も匂いも気配も感じない脅威の深海棲艦の急襲によりいきなり阿武隈が暗黒空間にバラバラにブチ撒けられて死亡、仲間であり友人でもある阿武隈を殺られた怒りでグツグツと煮えたぎっていたリシュリューと時津風は怒りを力に変えて猛反撃に出たが、敵の執念もまた凄まじく時津風は暗黒空間にバラ撒かれずにボコボコにされ、リシュリューは窮地に追い込まれる!そして、リシュリューが最後の時を迎える覚悟を決めたその時だった、最後の力を振り絞り、時津風は命と引き換えにした最後のエネルギーでリシュリューを救ったのだった…!

 

ーーー

 

深海棲艦との戦いも終わり、軍縮との流れからようやく海軍と言う名のヤ●ザから足を洗えるとハシャいでいたら、軍在籍時に色々やってたのがバレ、軍法会議とか裁判なしで死刑でいいだろう!とヒットマンを送り込まれ、背後からバットみたいなモンで殴られて昏倒している隙にガソリンジャブジャブかけられて火を点けられてあわや志●雄さんみたいになるところだったが、そんな俺を、意外な人物が救ったのだった…っ!

 

「大丈夫でありますか?テイトク殿」

 

「これが大丈夫に見えるのならキミの大丈夫の基準には大いに矛盾があるね」

 

ヒットマンを皆殺しにし、返り血と言う名の血の雨をジャブジャブ降らせつつ手を差し伸べてきたのは見知った顔の美しき暗殺者、神州丸くん……そして

 

「ヘイヘーイ、早く乗るでありますよー」

 

ヒットマンの皆さんが乗って来たと思われるジープを強奪し、運転席でヘイヘイカマンと左腕を振る陸軍の間諜、あきつ丸…

 

「まぁ、乗るしかねぇか…」

 

これに乗ると言う事はすなわち、裏切り者になると言うコトだが、既に向こうから裏切られている俺にはあまり関係のない話か、俺と神州丸が飛び乗るとクルマは勢いよく発進した

 

「オイ、あきつ丸クンよ、コイツはどこまで行くんだ?」

 

「そうでありますなぁ〜…とりあえずは仲間と合流して共産圏にでも脱出するのがベターでありますなぁ〜」

 

「あきつ丸、このまま軍港に向かってください、仲間が飛行機を用意している手筈であります」

 

「了解…っ!ヒャア!」

 

あきつ丸クンの乱暴な運転でどうにか軍港まで辿り着き、仲間達と合流して奪った飛行機で飛び出した俺達はとりあえず北へ、北へと針路をとった………

 

そして、それからもう何年ぐらい経っただろうか…

 

逃げるように祖国を脱出し、この北の白い地に隠れるようになった生活、いや、まぁ、言うほど隠れてるワケでもないけど…街には普通に行くし、別に指名手配のビラが貼られてるワケでもないし

 

「むかしむかしあるところに視界に入られたら死ぬフクロウが〜…」

 

「オーイ、神州丸クン」

 

「む、なんでありますか?テ……神父さま」

 

今現在、この北の地にある教会で俺達は偽神父と偽シスターとして生活の基盤を作っており、神州丸クンはたまに近所のガキども相手にむかしむかしと昔話をするのが定番になっている…

 

「オジサンちょっと出かけてくるから、あとはまぁ、ヨロシク」

 

「了解したであります」

 

神州丸クンは懇切丁寧にお辞儀して、再びガキどもにむかしむかしと話の続きを語り始めた

しかしアレだな、キルモードの時は躊躇なく顔面にナイフとか刺してくるが、こうやってKILLじゃない時はちょっと死んだ魚みたいな目の良いお姉さんじゃあないか、うん

 

そんな神州丸クンに感心しつつ、教会の裏にある墓地に向かった…

 

「遅いであります」

 

「遅くはねぇだろ」

 

教会の裏にある墓地、その墓地にある俺の名前が刻まれた墓の陰からヌルリと姿を現したあきつ丸はニヤニヤしながら、もしかして神州丸と乳繰り合ってたでありますかぁ~?とゲスなジョークを交えつつアイサツしてきた

 

「バカ言うんじゃないよ、俺、神州丸クンのパイオツどころかフトモモも触ったコトねぇよ」

 

「なんと?やはり以前からの噂通りにテイトク殿はホ●、ハッキリしたでありますな」

 

「ホ●じゃねーし、その噂広めたヤツ、今でも許さねぇからな」

 

「ハッハッハ」

 

「ハッハッハ、じゃねーよ!で?どうなんだ?また殺しの依頼か?」

 

「それはもう済ませてきたであります」

 

あっさり言うなコイツ……あきつ丸はカネの入った袋を俺に投げてよこし、俺はあきつ丸にニホンから仕入れた巻物みたいな紙やら木の箱を渡してやった

 

「ヒャア!コイツは良質な呪物でありますなぁ!特級でありますか?」

 

「知らねぇよ、悪いが俺は悪霊だとか妖怪だのは信じてないんでね、俺からすりゃそんなモン、ただの気味の悪いオカルトグッズだ」

 

「ふむ、神父のくせに信心深くないでありますな」

 

「ニセ神父だしな」

 

 

北の地にあるニセ神父とニセシスターの居るとある教会…

敬虔で信心深い者はここには来ないが、神の裁きも届かない天誅を求める者はたびたびこの教会の門を叩くとかなんとか…

 

 

おわり





とりあえずビタミンCと鉄分が足りてないせいか、ifエンド回はここまで、次回は通常回ですの


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提督と明石と浜波と戦慄のM.S.P

業界の闇にメスを入れるハードボイルド問題作

【登場人物】

提督(テイトク)
メガネ男子、数字は算数で卒業した

明石(アカシ)
本当に金が好き

浜波(主人公)
かつてリシュリューすら戦慄させた極限の美と評判の美少女?お顔がよく見えないエロゲ主人公仕様


今日も真面目に働く夏のクソ暑執務室…

クソみたいな書類をチェックしては印鑑を押し、クソみたいな書類をチェックしてはサインをする、両方をやらなくちゃあならないのが提督の辛いところだ…

 

「オイ、サミー子、このバカみてぇな電気代なんだ?」

 

「電気代?あぁ~…コレ、たぶん明石さんの使ってる倉庫じゃないですか?」

 

「明石だと?」

 

ふむ、まぁ、たしかに最近暑いし、冷蔵が必要な商品だってあるだろう、冷蔵付きの倉庫もたしかにウチにはあるが…

 

「…妙だな」

 

「信用ないですね」

 

「明石だからな」

 

あの誰よりも金に汚いゲスのコトだ、どうせまたロクでもないコトをしているに違いない

どうやらあのピンクにはこの基地の絶対支配者が誰なのかをわからせる必要があるらしい…

 

---

 

とりあえず、明石のクズにこの異様に増えているトラック便について釈明させるべく、俺は明石の店へと向かったワケだが…

 

「………ふむ」

 

そう言えば、倉庫の電気代が激増してるワケだからまずはその倉庫を確認してみるべきかと明石の店に行く前に倉庫へとやって来た俺だったが、そういやこの倉庫、以前、陛下が庶民的ゲームセンターを体験してみたいと仰られ、急きょ庶民的ゲームセンターに改装したんだっけか…

 

まぁ、陛下の為に突貫作業で作らせたゲームセンターだが基地の福利厚生の一環からその後も営業を許可しており、明石のヤロウに売上歩合(7:3)で場所を貸していた

 

「明石の野郎はいるかーッ!!」

 

「ヒイッ!?あ、テ!テイトク、い、いらっ…いらっしゃいませ」

 

とりあえず入店してみたら、ゲーム機を拭き掃除していたらしいエロゲの主人公みたいな前髪で顔は見えないが°C-uteな感じのする店員さん?らしき子がいた…

 

「えー…キミは〜……ハマ?ハマ……なんだっけ?ハマトラ?」

 

「は…浜波です、浜波、はい」

 

そうそう浜波クンだ、浜波クン………いや、知ってたよ?モチロンこの基地にいるヤツはみんな俺の“家族”さ、愛する家族の名前を間違えるなんてあるワケがねえさグラララ

 

「小粋なテイトクジョークなのだよ」

 

「はぁ…?」

 

しかしこの浜波クン、そのエロゲ主人公みたいな前髪でお顔はよくわからないが、その素顔はチラっと見ただけの五月雨にヤバイと称され、あのリシュリューをして美の化身とまで言わしめたコトもある隠れ美少女らしい

まぁ、前髪目隠れと瓶底眼鏡は巨乳で美少女、数多のエロゲとギャルゲーを乗り越えてきた提督的には最早常識、特に驚きはない

 

「して、浜波クンはこんなところでナニしてるのかね?」

 

「あ!明石さん、明石さんからアルバイトで……その、アルバイト募集してて、ゲームコーナーで掃除、とか……それなら私でも、って……その、時給350円で…」

 

あのクソピンク、また駆逐艦のキッズを安価な労働力で働かせてんのか…

よし決めた、あのピンク、次にそのツラを見た瞬間スネークバ●トで壁メリメリの刑に処する

 

「おつかれー!浜波ちゃーん!どぉー?真面目にキリキリ働いてるー?」

 

「あ、明石サン」

 

「いやぁ~…メダルコーナー始めたから人が欲しかったとこでお姉さんとっても大助かり、あ、コレ、差し入れのレモンサワーね!飲んで飲んで!」

 

基地クズ大人筆頭、明石は浜波ちゃんにどーよどーよと馴れ馴れしく肩を組み、そのエロゲ主人公みてーな前髪をクシャクシャにしてトリートメントはしてるー?などと軽口を叩いていた

 

「オイ」

 

「あ?ゲッ!?テイトク!?」

 

「ゲッ!?とはなんだ、ゲッ!?とは、アァ?そんな世紀末救世主に突然遇ったモヒカンみたいに怖がらなくてもいいじゃあないかね?」

 

俺は明石に安心しろ、安心しろよと優しく声をかけつつ肩を組んだ

 

「な……なんなんですか?まだナニもやってないですよ?ってか、やましいコトとかないですよ?」

 

「俺の知らない間になんかゲーム機増えてないか?アーン?ダイノキ●グ3なんかあったか?アーン?」

 

「い…いや、知り合いが廃棄するって言うので…」

 

このピンク、また廃業する業者から廃棄ついでに仕入れやがったのか、どこまでも小狡いヤツめ…

 

「…………まぁいい、許す」

 

「え?マジですか?やったぁ!ビビって損したじゃないですか」

 

「ただし、浜波ちゃんの時給を上げてやれ」

 

「チッ!」

 

コイツ舌打ちしやがった、なんっーピンクだ、カスみたいな時給で働かせるコトに罪悪感なしッ!ってヤツか

 

そんな俺と明石が大人の話し合いをしていると、浜波ちゃんはなにやら客に呼ばれたらしく、焦った感じに走って行った…

 

「もう100円!もう100円できっと取れるわ!」

 

「暁!もうやめるっぽい!そんなコト言って、コイツ!チャンスっぽい演出でも全然ダメっぽい!」

 

「ダイジョーブよ!レディの勘が次は当たるって言ってるわ!このブタ!コレでトドメさしてやるわー!」

 

 

『『ブッブブー!ザーンネン、ハズレだよ』』

 

 

「あ……暁の、暁のおこづかいがァァァァァァァァ!!」

 

悪名高きブタのゲーム機の前で膝を折り、泣き崩れる暁ちゃん、そしてこのゲーム機がまったく取れないコトに対して夕立はアルバイト店員浜波ちゃんに掴みかかっていた

 

「コレ全然とれないっぽい!」

 

「え?え?あ、いや……私に、いや…私はちょっと」

 

「おかしいっぽい!暁なんかお小遣い全部のまれたっぽい!」

 

「あ、あの……あ、て、店長ぉ~!店長、たす、タスケテ…!」

 

浜波ちゃんのタスケテコールに応え、クズ筆頭の明石はトラブル現場へと行き、夕立から浜波ちゃんを引き離すとよくガンバったエライエライと頭を撫で回し、ニヤニヤしながら夕立の前に立った!

 

「フッ、とれないとれないって……ハッ?そりゃ運が悪いんじゃあないですかねぇ?」

 

「むきーっ!!インチキ!インチキ!」

 

「ハァー?インチキー?証拠あるんですか?証拠は、ウチは健全営業ですけどー?」

 

暁ちゃんが必死に狙っていたのは高級ゲーム機プレ●テ2!まったく健全営業じゃない!!

 

「ってか、たかが数百円でお高価なゲーム機を手にいれようと考えるのが浅ましいんですよ、えぇ?違いますかぁ?」

 

ゲス!!まっことゲスの鑑のようなツラをした明石は聞き分けの悪いガキですねぇとゲラゲラ笑って勝ち誇った

 

「オマエマジでクズだな」

 

「甘めぇんですよ、いいですかテイトク?金は命より重いんですよ」

 

暁ちゃんを泣かせる悪い大人、明石

しかしよく見たらここのゲームコーナー、やたらと高額景品を投入しておるわい…

 

そんなゲスオブザゲスの明石のバカ笑いが響く中、暁ちゃんは涙をぬぐい夕立と共に覚えてろバーカ!と言い捨てて走り去った…

 

「ペッ!ガキが…っ!」

 

「控えめに言って、オマエマジ最悪だよ、なぁ浜波クン、いいかい?こんな大人になってはいけないよ」

 

「は、はぁ…」

 

金の為なら仲間だろうが愛だろうがなんでも売るゲスの中のゲス、コイツのそーゆーところはピュアなキッズ達には見習って欲しくはないが、正直、提督的には嫌いではない

 

そんなつまらないコトを考えていると、倉庫兼ゲームコーナーの扉が勢いよく開き、暁ちゃんと夕立が帰ってきた

 

「アトランター!アトランタのアネゴぉー!」

 

「この店ですぜアネゴ!暁に上等クレたシャバい店はーッ!」

 

どうやら暁ちゃんと夕立、自分達だけでは太刀打ち出来ないと踏んでオトナの味方を呼んできたようだッ!!

暁ちゃんと夕立が呼んだ強力な援軍、アトランタはア゛ー?とか言いながらスゲーメンチを切っている!

 

「へぇ…?コイツなの?ウチの若いのに上等クレたの?」

 

「そうよ!このピンクが暁のお小遣い全部巻き上げたの!」

 

「しかもインチキっぽい!」

 

「へぇ…」

 

アトランタはメンチ切りつつ明石の胸ぐらを掴むと容赦なくヘッドバットを喰らわせた

 

ゴンッ!!!(ヘッドバット)

 

「あぎゃ!!な、ナニするんですかいきなり!」

 

「…ねぇアンタ、アカツキがMAD.SOLOMON.PARTYのmemberだって知ってて上等クレたワケ?」

 

MAD.SOLOMON.PARTY!!通称M.S.P

ソロモン・ディビジョンをシマとするMCグループらしく、その攻撃的かつ暴力的なライムは他の追従を許さないまっこと凶暴性の塊!

正直、かわいい暁ちゃんにそんなグループに入って欲しくはないのだが、どうも夕立と共にアトランタに気に入られてるらしく、口も態度も性格も悪く気に入らないものはだいたい暴力で片付けるアトランタがコイツらにはアイスを奢ったりしてるらしい…

 

「このブタみたいなゲーム機、お金いっぱい入れても絶対当たりにならないの!」

 

「へぇ……ねぇ?アカツキがそう言ってるんだけど?」

 

「へ、へへへへ…ご冗談を、んなワケありませんよ、へへへへ…」

 

明石のヤロウ、完全にビビってやがる…っ!しかし明石も負けてはいない、アトランタくんにビビってはいるものの敗北は認めていない!

 

「ウチは健全営業、ま、まぁ…ゲーム機だって機械ですからね、機械の判定に手なんか入れられませんよ」

 

「へぇ……だってさ、アカツキ」

 

「クッ!絶対インチキだもん!」

 

アトランタくんは財布から小銭を取り出しブタみたいなゲーム機に投入するとルーレットが回り…

 

『『ブッブブー!ザーンネン』』

 

普通にハズレた、いや、まぁ……ハズレるだろう、明石のことだからこのマシン、間違いなく最高設定、たかが100円200円でどうにかなるワケがない

 

「ふざけんなコラァ!!」

 

ズガンッッ!!!(台キック)

 

「ヒイッ!!?」

 

アトランタくんの容赦のない台キックがマシンに炸裂したッ!!

 

「オイ、店長だせよ、店長」

 

アトランタくんは再び明石の胸ぐらを掴むとヘッドバットを喰らわせ明石は床に転がった、ダメだこりゃ……完全にヤカラじゃねぇか

 

「アトランタさん、このクレーンもおかしいっぽい!カプセル持ち上げたら急にアームが緩むっぽい!」

 

「ア゛ー?オイ、ピンク………オマエナニ?このインチキマシンしかないの?」

 

「いや、だから……インチキじゃなくて…」

 

「オイピンク、なぁ?なぁ?ピンク、なぁ?」

 

アトランタくんの容赦のない追い込みに完全にブルっちまったらしい明石は、か、勘弁してくださいよぉ〜…と情け無い声をあげてこっちをチラ見しやがったので俺は目を逸らした

 

「浜波ちゃん、アレがダメな大人なのだよ」

 

「は、はぁ…」

 

「ちょ!タス、タスケテくださいよォ!あ、そーだ!アトランタさん!アイツです!あのメガネがオーナーです!この店の設定全部アイツの指示で設定しましたーッ!」

 

「ハァ!?」

 

あの野郎ォ!!なんてコトしやがる…っ!!アトランタくんは明石の胸ぐらを掴み三度ヘッドバットを喰らわせると明石と言う名のゴミを投げ捨てこっちにやって来た

 

「…ナニ?テイトクの指示なワケ?」

 

「んなワケねぇだろ!まぁ、営業の許可は俺が出したが…」

 

嘘ではない

 

「アカツキ、お小遣い全部スッたって泣いてるんだけど?」

 

「そこのピンクが全部やりました、私は運営内容に一切関与しておりません」

 

「んなコト言ってんじゃないわよ!!」

 

ズガンッッ!!(ヘッドバット)

 

「あ痛ァ!!!」

 

アトランタくんの容赦のないヘッドバットが俺の額に炸裂した!!

 

「アカツキが泣いてる責任のハナシしてるのよ、誠意みせろよ、誠意」

 

な、なんで俺まで…ッ!!っーか誠意かよ、マジでタチ悪いなコイツ

 

その後、床を転げ回っていた明石はブタのようなゲーム機からプレ●テ2を取り出し、今回はコレでカンベンしてやってくださいよブヘヘヘと腰の低いゲスさで誠意を見せ、アトランタくんからわかりゃいいんだよ、わかればと四度目のヘッドバットを喰らって床に転がった…



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提督と鈴谷と通常営業【その8】

なんやかんやで8月ですわ

【登場人物】

提督(ハンサム顔)
知性溢れるメガネ男子、数学?算数で卒業したわいガハハハハ

鈴谷(負け確)
誰もが羨まない負け確ヒロイン、ビッチ?オモテ出ろよテメー

熊野(お嬢様はエセガント)
鈴谷の妹、あらゆる面で鈴谷と対になる部分があるが、根本的には似たようなもん




連日、灼熱‐ヒート‐な暑さが続く真夏の執務室…

この季節は上が推奨するクールビズ期間なせいか、毎年水着で基地内を闊歩するバカどもがいるせいで基地の風紀は乱れまくり、これがイケメン提督の基地ならば勝ちまくりモテまくりなんだろうが残念ながら俺はイケメンではないので勝ちまくりでもないしモテまくりでもない…

 

そんな真夏の執務室、今日は秘書艦サミー子もいないので気兼ねなく執務室で全裸にでもなるかとズボンのジッパーを上げたり下げたりしていると、執務室の重厚な扉が勢い良く開いたッッ!!

 

「ティーッス、テイトクぅ、鈴谷が遊びに来ましたよぉ~」

 

「ふむ、デ●ヘルは頼んでないのだがね…」

 

「デリ●ルじゃねーし、鈴谷だし」

 

現役援航巡の異名を持つビッチの中のビッチ、キング・オブ・ビッチ鈴谷は暑くねー?っーか暑くねー?とか言いつつ、執務室の据え置き冷蔵庫を開け、ミニッツメイドのペットボトルを取り出すと豪快に口をつけた

 

「ぶっは!うんめぇー!」

 

「あーあー、もうそのミニッツメイド飲めねぇじゃねーか、オマエにやるよ」

 

「ハァ?なにそれ?鈴谷を病原菌扱い?ヒドくね?いやいや、普通にヒドいっしょ?普通の鈴谷ならショックで引きこもりになっちゃうかもよ?」

 

俺の執務机によっこらセッコとか言いつつ尻を置き、俺の肩を馴れ馴れしくバシバシ叩く…

 

「なんだオマエ、今日はまたずいぶんと攻撃的じゃねぇかオイ、そりゃアレか?殺してくれ、ってコトでいいんだよな?」

 

「いいワケねーし、っーかサミーは?今日休み?姉妹バーベキュー?」

 

「休みだ、姉妹でバーベキューするかどうかは知らんが」

 

「ふ〜ん」

 

「ふ〜んじゃねぇよ、あと机からそのビッチクセーケツをどけろ」

 

「ビッチ臭くねーし、っーかビッチじゃねーし」

 

「やかましい、暇なら外行って走り込みでもしてこいや、シャツだけじゃないでパンツの中までグチョグチョに濡らしてこい」

 

「やだし」

 

俺は机の引き出しからスタームルガースーパーブラックホークを取り出し、鈴谷のフトモモに銃口をあて、躊躇いなく引き鉄を引…

 

「あぶねぇ!!」

 

鈴谷は勢いよく机から転げ落ち、ブザマに床に転がった

 

「ハー……ハー……!殺す気かッ!!」

 

「でぇじょうぶだ、艦娘は頭部を破壊されなければ何度でも頂点を目指して戦うコトができるルールだからな」

 

「んなワケねーし、ナニそのルール?初めて聞いたし、っーかそれ弾入ってんの?」

 

「入ってるだろ、たぶん、普段からあんま使わねぇし自信はないが…」

 

「ちょ!銃口こっちに向けんな!!」

 

「オイオイ、ビビりクンかぁ〜?」

 

「ハァ?ビビってねーし、っーかテイトクの銃って全然当たらないってハナシじゃん、この距離なら怖くねーし」

 

「たしかに」

 

軍学校時代から銃というものは苦手な科目だったしな、みんなパンパン撃ってバシバシ当ててたけど、俺には銃の才能がなかったのか、まるで当たらなかった

 

「まぁ、あくまでコイツは両手両足を念入りに破壊した後にゆっくりと口の中に突っ込んでズドン!用だしな、コレなら外さない」

 

「残忍かッ!!」

 

「残酷じゃない、提督だ」

 

俺は愛銃を引き出しにしまいしまいし、代わりにポータブルなゲーム機を取り出して電源を入れた

 

「あ、ナニそれ?P●P?」

 

「NE●GEO Xですけど?」

 

「…ナニそれ?聞いたコトもねぇんだけど…」

 

NE●GEO X

かつて海外で発売され、後に1000台限定で国内でも販売されたこともあるNE●GEO好きでもあまり馴染みのないマイナーゲーム機である…

携帯型ゲーム機をドッキングステーションにドッキングすることでテレビ画面でもゲームをプレイする事が可能で、ある意味、後年に発売されることになるNE●GEO miniの先駆けとも言える存在なのかもしれない

 

「まぁ、お前のようなビッチは知らんわな…」

 

「ハァ?っーかビッチじゃねーし、ね!それ鈴谷にもヤらせてよ!」

 

「お断る」

 

「ケチか!!いいじゃん!貸してよ!」

 

「ケチじゃない、提督だ」

 

鈴谷はヤらせてヤらせてと俺の肩を掴み身体をガックンガックン揺らしてきたので、俺はNE●GEO Xを執務机に置いて椅子から立ち上がり鈴谷の両腕をダブルアームスープレックスに固め、身体をミスミスと回転させて勢いよく鈴谷のダブルアームを破壊した

 

ゴガァツ!!(ス●ンダブルアームソルト)

 

「うっぎゃあァァァァァァァァァー!!腕がァァァァ!」

 

「馴れ馴れしいんだよクソが、自販機コーナーの隅でオナってろ」

 

しかし、オナる腕を破壊をしてしまったかな?と小粋なテイトクジョークを交えつつ爽やかに鈴谷のケツに蹴りを入れた

 

「…クッ!相変わらず鈴谷に対しての当たりが厳し過ぎるっ!」

 

「やかましい」

 

両腕を破壊されつつも未だに闘志は衰えないか、大したやつだと思っていると、執務室の重厚な扉が開き、新たなる挑戦者が入室してきたッッッ!!

 

「鈴谷ァー!鈴谷はおりますのー!?」

 

「ん…?なんだ、熊野じゃん」

 

「やはりここに居ましたわね!」

 

やって来たのは姉妹の末妹、鈴谷の妹であり相棒的存在でもある熊野…

 

「最上ねーちゃんが庭でバーベキューするから肉買って来いと金を渡されましたわ!」

 

「バ、バーベキュー!?それは真実(まこと)なのかーっ!」

 

「真実も真実、リアルにガチですわ」

 

そう言って熊野は現ナマの入ったブ厚い封筒を上着のポッケから取り出し鈴谷に押し付けた

 

「ま、間違いない、本物の現ナマだ…っ!」ごくり…

 

「鈴谷、これは相当(リキ)入れてかからねーとマジヤバイですわよ」

 

「たしかに…」

 

鈴谷と熊野は互いにガッチリと手を組み、お互いの友情を確かめ合った

 

「最上クンが金出してくれるのか、さすが長女だな」

 

「バッカヤローですわね!これはそんな単純なハナシではありませんわよバッカヤロー!」

 

「誰がバカだ、誰が」

 

ギリギリギリギリギリギリ!(魔のテイトククロー)

 

「ギバァァァァァプ!!ギバップですわァァァァ!!割れる!私の頭が割れるゥゥゥゥー!」

 

「熊野を放せ!このクソメガネ!」

 

魔のテイトククローに苦しむ熊野を救うべくカットに入った鈴谷の的確なローキック連打が俺の足を打つ!!

その衝撃で思わず体勢が崩れた俺は熊野を解放してしまった…

 

「ハァ…ハァ…助かりましたわ!鈴谷」

 

「フッ、いいってコトよ!」

 

まるで友情を確かめ合うかのようにガッチリと手を組み合った姉妹…っ!コイツらとはそこそこ付き合いは長いが未だかつてコイツらがこれほどまでに仲良しな光景を見たコトがあったであろうか…

 

「フッ、どうやら貴様ら下等どもも多少は成長しているらしい」

 

「誰が下等だ!誰が」

 

「そうですわ!ビッチな鈴谷だけならまだしも……私を下等呼ばわりとは失礼千万!」

 

ピシッ!!

 

「あ?オイ熊野、オマエ今なんっつた?あ?」

 

「事実を述べたまでですわ」

 

そして一瞬で友情に亀裂が入るあたり、コイツらはやはり何も成長していない事が実感できた

 

鈴谷と熊野は互いにアンアン言いつつメンチ切り合っていたが、ふと、熊野がそんな場合じゃありませんの!と地面を蹴った

 

「最上ねーちゃんを1秒でも待たせたら殺されますわ!鈴谷、行きますわよ!」

 

「たしかに!熊野、オマエとの決着はバーベキューの後でつけるじゃん!」

 

「バーベキューの後………フッ、お互い生きていたら、ですわね」

 

「ヘヘッ…!」

 

鈴谷と熊野はまるでこれから行くのが死地である事を悟っているのか、まるでイタズラっ子のように鼻の下を擦り執務室から飛び出して行った…

 

正直よくわからないが、アイツらとは二度と会えない予感がする、たぶんアイツらは死ぬだろう…

 

「ヘヘッ、扉ぐらい閉めて行かんかいダボどもが」

 

 

後日、中庭でバーベキューをしていたらしい最上姉妹の姿が複数の艦娘達に目撃され、神戸牛らしき良い肉を焼いていたとの証言を聞いた…

そして、鈴谷と熊野はたぶんどこかのタイミングで姉ちゃん達を怒らせ、地面にメリ込んだ姿で発見されたが翌日には自販機コーナーでダベっていた…

 





次回

終末奥義!ア●ルハルマゲドンアヴェンジャー!


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提督と由良と水着のGO!FIGHT!

生命エネルギーと言うガソリンがほんのちょっぴりだけ動かす事を許してくれた

【登場人物】

提督(近距離パワー型)
触ればわかる

由良さん(悪鬼羅刹)
五十鈴さんを見習って牛乳を試したがすぐにお腹を壊した


夏!その、ステキな季節が提督を行動させたッ!

ソーシャルディスタンスが叫ばれたり叫ばれなかったりする昨今の状況を鑑みて、地域密着イベント夏の基地開放祭の開催が危ぶむ声もあったものの…

 

社会的距離とアルコール消毒の徹底すれば大丈夫だろ、たぶん

 

の、判断から今年も夏の基地開放祭を決行!夏休み期間にシアターなんたらで艦娘と握手だ!のアオリ文字を入れたポスターも貼り、基地開放祭は無事に開催された…

 

「どうかね?今年の入場は?」

 

「三千人弱ってとこですかね」

 

「ふむ」

 

まぁまぁか、このご時世だし仕方がないと言えば仕方ないだろう、今回の開催には地域の皆様や地域の有力者である豚尻孕臓先生の尽力あってのこと、まっこと頭が上がりませんなぁガハハハ

 

そんなワケで開催されている基地開放祭2021-MANATSU-

今回のメインステージはArmageddon2021-地球滅亡-と銘を打たれたNAKAさんのライブ、今年もアツいNAKAさんのファン達がNAKAさんの歌に熱狂間違いなし

 

そしてもう1つのメインイベントは、兵-夏の陣- ビューティー明石&ヘルシー夕張 VS ビッグバン・ベイ&ユンボ松風の題してプロレススーパースターウォーズ烈伝、こちらも盛り上がり間違いなし

 

「あ、そう言えば浦風さんからお好み焼きの屋台に人手が欲しいから誰か回してくれやー…との伝言預かってますが」

 

「甘えるなブタ乳女が、と言ってやれ」

 

「甘えるなだらしないブタ乳下げた肉便器が、ですね…」

 

いや、そこまでは言ってないのだが…

コイツ、自分が貧相だからって乳のデカいやつに対してやたら辛辣だなオイ、なぁオイ?

 

「まぁいい、俺ちょっと会場の視察してくるから」

 

「そうですか、帰りにお好み焼き買ってきてください」

 

「へいへい…」

 

◆◆◆

 

会場をプラプラ歩いてはみるものの、例年に比べたらやや人は少ない気がしないでもないが、体感的にはあまり変わらない気もするな…

 

さて………まずはどこへ行こうかな?

 

①お好み焼きの屋台だな

②NAKAさんのライブ会場だな

③プロレス会場だな

 

ふむ、美少女ゲームにありがちなゴキゲンな選択肢だ…

本来なら、ここでキチンとセーブしてから1つ1つ選択肢を選んでみるのだろうが残念ながらこいつはゲームじゃあない、現実だ、現実と言う名のクソゲーにはセーブ&ロードなんて機能はない…

 

ならばどうするべきか…?やはりここはこの選択肢を全て無視して浜風ちゃんを探すべきではないだろうか?この毎日激烈な暑さの続く日々、この時期は浜風ちゃんだって汗をかく、汗をかくし蒸れもするのなら服だってスケスケになるんじゃあないか?そんなのもうファ●クしてくれって言ってるようなものだろ、完全に誘ってるだろオイと考えていると……

 

「あ、テイトクさん、こんなトコでナニしてんの?ね?」

 

「ゲェーッ!ゆ、由良さんーッ!」

 

「由良に対してゲェーッ!は失礼でしょ、ゲェーッ!は」

 

考え事に集中しすぎたか、この俺とした事がコイツをこんな近距離まで近づけてしまうとは……約2メートル、互いに必殺の距離

 

「ヒマなら由良に付き合わない?ね?」

 

「ご覧の通りヒマではない」

 

「ヒマでしょ?」

 

「ヒマではない」

 

「付き合わない?」

 

「付き合わない、俺とキミとでは価値基準が違い過ぎる」

 

由良さんは笑顔でそっかそっかーと言いつつ、直蹴りを放つ!!………が、持ち前の危機管理センサーが考えるより先に俺の身体を動かしたッ!!

 

「はおっ!!」

 

「………チッ、なんで避けるの?ね?」

 

「ね?じゃねーよ、いきなり殺意の高い蹴りカマすとか相変わらず提督様への態度がなってないな、アァン?オイ」

 

「…ハハッ、ウケる」

 

このヤロウ…ウケるだと?相変わらずのこの俺に対する不遜、まぁ、付き合いが長いから一応許してやるが…

 

「と言うかテイトク、由良を見てナニか思うところはない?」

 

「ない」

 

「由良、水着買ったんだけど?」

 

「水着だとぉ…?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか…?水着?まぁ、それ自体はこの海軍クールビズ期間においては咎められるモノじゃあない

 

「オイオイオイ由良さんよ、水着を買った?水着を着た?ハハッ、バカを言っちゃいかんよ、由良さんみたいな絶壁が水着を着て闊歩するなど自殺に等しい行為、私は成長期に見放されたド貧乳ですと喧伝して回ると同義、自ら死を選ぶか…ッ!?」

 

「…は?」

 

ドンッ!!(直突き)

 

由良さんの放つ直突きをギリギリでかわしたが、なるほど……さすが由良さんだ、掠っただけで肋骨が砕けたと思わされたと錯覚する程の衝撃!やはりオマエは大したヤツだ

 

「次、ド貧乳とか言ったら殺す」

 

「気をつけよう、コーヒーでもどうかね?一杯奢ろう」

 

「そうね、でもコーヒーじゃないでオレンジジュースでいいかな?」

 

これ以上、ここで由良さんとヤり合うのは賢明ではない…

おそらくヤり合えばどちらかが病院送りになるかあの世送りになる、そんな高度な政治的判断から俺は由良さんと高度な休戦協定を結ぶ、適当なジュースのある屋台へ向かった…

 

ーーー

 

「コーヒーを1つ、あと……フレッシュオレンジをロックで」

 

「あとガトーショコラ1つ、大至急、ね?」

 

「お好み焼き頼まんかいバカタレェ…!っーかウチ、救援要請したろォ!?」

 

とりあえず、俺と由良さんは適当な屋台でひとごこちつくかと入ってみたが……どうやらシェフは忙しいらしい、コーヒーもオレンジジュースもあるかボケ!と罵倒され、とりあえず麦茶だけ出された…

 

「…で?なんだって?由良さん、水着(笑)買ったって?」

 

「次、(笑)つけたら折るから、ね?」

 

しかし言われてみるとたしかに、由良さんはパッと見ダサい黒シャツみたいなのを着ているがどうやらその下は水着らしい

 

「っーかその黒シャツ、俺の失くしたやつじゃね?」

 

「違うけど?」

 

シレっとしてやがってこのヤロウ、まぁ、たかが黒シャツなんぞどうでもいいか、そんな黒シャツ、俺は36枚持っているのだよ

 

「そもそも由良はまだ成長期ですけど?」

 

「ナニ言ってんだオマエ?イカレているのか?」

 

「イカレてませんけど?」

 

麦茶の入ったグラスをイッキにグィィィ!っと飲み干した由良さんはグラスを床に叩きつけ、そこら辺にあったビール瓶を手に取ると躊躇なく叩き割り、鋭利な武器を手にした…

 

「だいたいなんだその流線形の膨らみは?シリコンか?シリコン注入したんか?あ?」

 

「してませんけど?テイトク、由良さっきから考えてるんだけど、その暴言は殺してくれって意味でいいんだよね?」

 

「オイオイ由良さんよ、俺とキミとの間に存在するのは殺戮・恐怖政治・血祭りのみ……忘れたかね?」

 

互いの距離はテーブルを挟んだ1メートル、もう既に必殺の間合いに入っている、この距離なら俺のスネークバ●トが速いか、由良さんの鋭利なビール瓶が速いかの勝負になるだろうと考えていると、お好み焼きを持ってヒィヒィ走り回る浦風が俺の腕を掴んだ

 

「テイトク!!ちょい!ちょい手伝ってーな!手が足らんゆーたじゃろ!」

 

「うるさいな、俺は客だぞ、あとコーヒーはどうした?モタモタするな、早く持ってこい、ファーストクラスの客に極上のぺぇずりをサービスするようにな」

 

「そんなサービスないわボケッ!!」

 

そんな浦風のパイオツを揉みつつ肩の力入ってるねリラックスリラックスと小粋なジョークを言ったものの、浦風は死ねや!と怒りの暴言を吐き捨てて去って行った…

 

「………ふむ」

 

「どうしたの?テイトクさん」

 

先程、浦風のパイオツを揉んだこの感触……

 

「由良さん」

 

「ナニ?」

 

「由良さんはその絶壁が成長したと言っているが、俺は正直疑っている」

 

「へぇ」

 

「シリコン注入、もしくはその水着自体が寄せて上げるメガ盛り偽乳パッドかもしれないと…」

 

「なるほどね」

 

「しかし今、俺は浦風のパイオツを揉んで気付いたが、本物のパイオツには生命エネルギーが感じられるんだ」

 

…つまり、偽物の乳には生命エネルギーが感じられないハズ、新しく生命を与えてピラニアにする事もできる

 

「つまり、テイトクはこう言いたいワケ?触ればわかると?由良の胸を」

 

「そうだ、それしかない……それしか証明する方法は」

 

「なるほどね、まぁ、普通にイヤだけど、ね?それ以上近寄ったら殺すから」

 

「由良さん!それしかないんだ!由良さんが成長したと言う証を示すには!!」

 

「いやいやいや、単に由良の胸触りたいだけでしょ?え?ナニ、キモい」

 

「バカ言うじゃないよこの娘は、多少成長したとは言え所詮は由良さんの貧相な胸に対しこの俺に性的興奮一切無し…ッッ!!」

 

「それはそれでムカつく」



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提督と夕張と超生物の誕生‼︎

真夏のハッキリ言って自信作回

【登場人物】

提督(男児の夏)
巨乳派、巨乳なら大抵の事は目をつぶる

夕張(狂気の天才軽巡)
忘れていたけど今年も水着


「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

「そうか、死んでくれ」

 

アツい真夏の執務室、毎日の暑さに辟易する今日この頃…

今宵の夕餉はどんなオシャレなディナーにするか、パワーもりもりスタミナ丼か、それとも山盛りのキャベツか、そんなつまらない事を考えていると執務室の重厚な扉がギギィィ…っと開き、見知った顔がヌルリと顔を出した

 

「いきなり死んでくれは辛辣ゥ!!」

 

「そうだったな、スマナイ言い直すよ、可能な限り苦しみ抜いてこれから先向かうであろう場所が地獄であるコトに絶望しながら死んでいけ」ニマァ…

 

「クッ!なんてイイ笑みっ!」

 

なんたるサディズム!とか言いつつ執務室に入室して来たのは己の欲望の為なら他者の犠牲など1ミリも気にならない外道の中の外道、科学を信奉するスーパーサイエンスモンスター、狂気の天才軽巡夕張ィ!

 

夕張はとりあえずお茶貰っていいですか?と懇切丁寧に秘書艦サミー子にお願いすると、秘書艦サミー子はめんどうくさげに冷蔵庫を開けてお茶の入ったペットボトルを取り出した…

 

「氷何個で?2個ですか?」

 

「3個で!」

 

「冷たいの3個ですね…」

 

製氷皿から氷を取り出し、お茶と共にグラスに入れたものを五月雨から手渡された夕張は渡されたグラスをイッキに、グィィィ!っと飲み干した

 

「ブハァ!!生き返りますねぇ!渇いた身体に潤いを感じずにはいられない!」

 

「やかましい、ナニが潤いだ」

 

「そうですか?そうですね!まぁ潤いはさておいて、今回開発しましたのは~…」

 

コイツ、ヒトのハナシ聞いてんのか?いや、聞いてないな、そんなヒトのハナシを聞かない事に関して他の追従を許さない狂気のマッド軽巡は頭のおかしい科学者特有のオーバーな身振り手振りで今回の新兵器とやらのヴェールを勢い良く剥いだッッ!!

 

「何者をも超えた最強の生物!あらゆるモンスターの体組織を移植し、ついに完成した超魔生物!!名付けまして超魔生物キヨシです!」

 

『闘いこそ武人の誉れ!』

 

どーん!!

 

「………足があるな」

 

「足なんか飾りです」

 

なんと言うか、清霜のヤツ、また随分とまがまがしくなっちまったな…

 

「この超魔生物キヨシですが、最強の騎士であるドランゴの騎士をコンセプトに地上・魔界とありとあらゆる生物の長所を取り入れたまさしく最強の生物、その凄まじいまでのフィジカルたるやドランゴの騎士にも決して引けをとら……いえ、勝ると言っても過言ではないでしょう!」

 

「しかしオマエ、清霜ったらアホでお馴染みの清霜だぞ」

 

今の清霜にはアホの清霜と呼ばれていた頃のアホさなど1ミリも感じさせぬ武人然とした硬派な顔つき…ッ!いったいナニがあったのか…っ!

 

いや、改造されたんだっけか…

 

「戦艦になりたい!いや、戦艦に勝ちたい!その為には艦娘の身体を捨て去りただの魔獣の身体になればいいと清霜ちゃんを甘い言葉でいい感じに誘導して今回の超魔生物実験に付き合って頂きました」

 

「オマエ、ホントに最悪だな」

 

「最高の誉め言葉です」

 

「誉めてねーよ、ちょっと壁に手ぇついてケツこっちに向けろ」

 

「はいっ!!」

 

夕張は元気良く返事して壁に手ぇついて尻をこっちに向けたので俺は夕張の尻に手を置いた…

 

「フー………通・●・拳ッ!」

 

「ンギィィ!!!」

 

通●拳の衝撃で壁に激突した夕張だったが、致命傷のダメージはなかったのか膝をガクガクさせつつもゆらりと立ち上がった…

 

「お…お尻の穴めくれるかと思いましたぁ…」

 

「いや、通●拳で尻の穴はめくれない」

 

気色の悪い笑みを浮かべつつ立ち上がった夕張は、さぁ!まだオレはヤれるぞ!と言うかの如く再び壁に手をつき、ケツをこっちに向けた…

 

その時だった!!超魔生物キヨシは俺と夕張の間に割って入り、俺に言った…

 

『提督、夕張サンはたしかに最低のゲスだがここは許してやってはくれないだろうか?』

 

「清霜、オマエ…」

 

『たとえ夕張サンがクズで、超魔生物の実験の為に私を利用したんだとしても私は夕張サンに感謝している、何故なら、艦娘であることや夕雲型であること、戦艦に対して抱いていた劣等感やくだらないプライドを捨て去り!唯一人の武人として生まれ変わらせてくれたのだからッ!!』カッ!

 

「お…おぅ」

 

コイツ、ホントに清霜か?身体だけじゃなくて脳も改造されたのか?昨日までアホ仲間のリベッチオと捕まえたクワガタをバトルさせていたアホな子が…

 

「ふ、ふふふ…そう、今の清霜ちゃんはこの世のあらゆる生物をブッちぎり超越した最強の魔獣!たとえド●オーラだろーが武蔵さんの殺人パンチだろーが今の清霜ちゃんを倒すのは不可能…っ!!強靭!無敵!最強!アーハッハッハッハッハー!」

 

ケツを押さえつつも立ち上がった夕張は頭のおかしい科学者特有のムーヴでゲラゲラ笑い、ヒィヒィ言いながら冷蔵庫からバ●リースのペットボトルを取り出し、戸棚にあったグラスに注いだ

 

「さぁ行けい!超魔生物キヨシ!憎っくきア●ルの信徒どもを皆殺しにしこの世を邪悪で染め上げてやるのです!」

 

ア●ンの使徒じゃねぇのな…

 

『…夕張サン、もはや私にそんな感情はない、今の私にあるのはただ己の強さを推し量りたいと言う欲望のみ、あの最強の戦艦、武蔵さんに勝ちたいと言う欲だけ!』

 

「な、なんだとぉ…?」

 

『正直、夕張さんのようなゲスは生かしておく価値もないと思うけど、感謝しているのは事実だから』

 

「キ、キサマぁ!創造主に刃向かうつもりか!誰がキサマを強くしてやったと思ってい…」

 

グサァ!!(覇●の剣)

 

「グハァ!!!」

 

超魔生物キヨシの右腕から伸びたオリハルコンと思われしブレードが夕張のお腹を貫通した

 

『命まではとらない、しかしこれ以上くだらない邪魔立てをするならば容赦はせんッ!』クワッ!

 

「ヒッ!?ヒイイィィ!?」

 

己の作り出した超魔生物に反旗を翻された夕張は血反吐を撒きつつ床を転げ回り、超魔生物キヨシはその姿に憐れみを込めた瞳で一瞥すると、肩のスラスターみたいな穴から蒸気を噴き出し執務室の窓をブチ破って飛んで行った…

 

「ぐっ…!ゴハァ!!さ、五月雨ちゃん……傷、傷ふさぐ感じの何かない?」

 

「ホチキスでいいですか?」

 

「ホチキス!?」

 

とりあえず、五月雨がホチキスで夕張のお腹の傷をバチバチとめてガムテープでお腹をグルグル巻きにしてみたところ、わりとなんとかなったらしい

 

「意外となんとかなるもんですね!ギャング式」

 

「早く医務室行った方がいいですよ」

 

「いえ!そうもいきません、あの出来損ないの不良品め…っ!この私に対して反旗を翻すとは…」

 

夕張はポケットからなにやら妙なスイッチを取り出して不気味な笑みを浮かべつつペロリと舐めた

 

「クックック、バカめ!ヤツの身体は急激なパワーアップを維持するべく生命維持装置として“黒の核晶(コア)”が埋め込んであるのよ!」

 

黒の核晶(コア)!!

それは魔界の奥地に存在する黒魔晶なる魔力を無尽蔵に吸収する石を原材料にし、それを呪術で加工した爆弾!

その、あまりの破壊力に魔界では禁呪法などを平気で使う悪人ですら恐れて使わず、邪悪な魔物ですら恐れる地獄の火種と恐れられる悪魔的兵器である…ッ!!

 

「その破壊力たるや一度爆発すればヤツはおろか!この海軍基地すら跡形も残りません!このスイッチを入れればドカンですよ!私をなめた罰です!死をもって償いなさ……」

 

ビタンッ!!(平手打ち)

 

「メフンッ!!」

 

「オマエ今なんっつた?あ?この基地ごとブッ飛ばすとか言ったか?あ?」

 

「え?えぇ、まぁ、そうなりますね、はい」

 

ビタンッ!ビタンッ!(往復ビンタ)

 

「メフンッ!!アフンッ!………も、もうちょい強めでもいいですよ」

 

 

相変わらず気色の悪い笑みを浮かべる夕張をロープで縛りあげてア●ルにフリスクとコーラを挿入れてからスイッチを奪ったが時すでに遅し!スイッチは押されてしまっていたらしく、基地運動場のあたりで黒の核晶が爆裂したらしいが武蔵が身を呈して爆発の威力を抑えこんでくれたらしく、運動場の半分が消滅する程度で済んだ……

 

 

後日、普通に生きていた清霜はリベッチオとカブト虫バトルするんだーとか言って廊下を走って香取先生からビンタされていた



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提督と埃と誇りある戦い

帰ってきたMUTEKIゲーマー

【登場人物】

提督(下手の横好きレベル)
得意技はカイザージャンプ、べ、別に狙ってるわけじゃないんだからね!

鈴谷(下手の横好きレベル)
得意技は八●女、カッコいいから使いたがる

平戸(ランキング外)
常に虚ろな目と空虚な笑いを浮かべてる子、提督よりぷよ●よが強いらしい…


雨、いや、ホントに雨、梅雨でもないのに長雨かよクソが天気予報を眺めていると、今日も雨に濡れたビッチ臭い鈴谷がゲーセン行こうぜとやって来た…

 

「K●Fしよーぜ!K●F!鈴谷の八●女でブチ殺してやるじゃん!」

 

「やかましい、何がブチ殺すだカスが、暇ならビジネスホテルにでも行って部屋でオ●ニーでもしてろダボが」

 

「なんでビジホ…?ま、いいや、ゲーセン行こうぜ!ゲーセン!近所のゲーセンにストⅡ’入荷したって!」

 

「マジかオイ、しかも今更かよ!」

 

◆◆◆

 

基地から公共の交通機関を利用して約30分程の場所にあるクソボロい貸しビルの地下に存在するゲームセンター“覇我亜怒”…

激動の昭和・平成を生き抜きそしてこの令和の時代にまで残るこの店はもはや近代ヤンキー・ツッパリ文化遺産として国が認めてもいいのではないだろうかと思うぐらい懐かしさと言うかノスタルジーな気分にさせてくれる…

 

ボロい設備、ヤニ焼けした内装、折れたパンチングマシン、不死身と化したワニ、たまに聞こえてくるハメ技への怒号と骨が砕ける音、子供だけで入ろうものなら1億%カツアゲの憂き目に遭うここは地域の小学校でも絶対に立ち寄ってはダメと注意されているとかなんとか…

 

「って!レインボーじゃねーかッ!!」

 

「え?なんか違うの!?」

 

レインボー!!いわゆる、海賊版ROMでタイトルロゴが正規品と違い変な色をしていることからこの名で呼ばれており、ストⅡにはレインボー以外にも様々な種類の海賊版ROMが存在し、その全てのバージョンの違いを把握している人間はおそらく存在しないだろうと言われている…

 

「で?ナニが違うの?コレ?」

 

「やればわかる」

 

そしてコイツはタイトル画面から察するにおそらく“降龍”と呼ばれるバージョン、平たく言えばやたら波動拳がでるバージョンと言っていいが、いやもう、ワケわからんぐらい出る、当時ちびっ子だった世代なら小学校で波動昇竜はある!とケンカになった思い出も一つや二つぐらいあるだろう…

まぁ、対戦ツールにはまったく向かないいわゆるバカゲーと言っていい仕様だが、コレはコレで楽しめるようになったら、オマエはまた一つオトナの階段を昇ったんだぜ

 

「いや、オトナの階段踏み外してるじゃん、ただのクソゲじゃん」

 

「クソゲーとか言うなボケ!これもまた格闘ゲーム史の進化の過程で産まれた青春の1ページだ」

 

「進化の過程で産まれたものの環境に適応できなかったグロい生物じゃん」

 

「なんてコト言うのかね、この娘は」

 

まったく最近の若い娘はそーゆー考えだからいかんのだよ、これはおじさんがわからせなくてはいけないかな?こんな盛り場にパンツ見え見えのそんな短いスカートで来てしまうおバカな娘に、社会と大人の怖さを…

 

そんな大人としての正義感について考えていると、店内南側コーナーのシマから大きな歓声が上がった!

 

「なんだろ?提督、見に行ってみよーぜ」グイグイ

 

「ナチュラルに腕を組むな、折るぞ」

 

「ヒドくね!?」

 

南側コーナーにあるのはたしかバーチャだったか…

そんなコトを考えつつやって来ると、シマにすでに人集りがデキていた…

 

「うわー!!鳥海サンがまるで手も足も出ねぇー!」

 

「あのガキ、ハンパじゃねぇ…!もうこの店でヤツに勝てるのはランキング1位の大淀サンか、覇我亜怒最強の男、バトルキングしかいねぇー!」

 

「つ…強すぎる」

 

ランキング6位の鳥海が椅子から転げ落ち、巻雲や沖波ら仲間達が転げ落ちた鳥海に鳥海サン!鳥海サンと駆け寄った!

 

「ま…まさかこの私が手も足も出ないとは…」クイッ!

 

「う…ウワサじゃ非公式の野試合で既に上位ランカーの霧島サン、武蔵サン、ローマサンも敗れ去ったと聞く!」クイッ!

 

「このガキー!いったいなんなんだよテメーっ!」クイッ!

 

どいつもこいつもメガネをクイッ!とするのを忘れないメガネキャラムーヴ…っ!そして、この店の上位ランカー達をまるで赤子の首をヒネるように蹂躙していると言う謎の存在が!ついにその姿を現したッ!!

 

「あ、テイトク、コンニチハ」

 

「キミは……」

 

対戦台の向こう側からひょこっと顔を出したのは、えっと……なんだっけ?択捉?そう!択捉さんちの姉妹の、なんだっけ?サディズム?いや、サド……いや違う、サドサマはもっとバカっぽいもんな、たしかそう……

 

「…平戸クン?」

 

「平戸です」

 

そう平戸クンだ、そうか………たしかにこの子、前に何度か家庭用のゲーム機で何回か遊んだことがあるが、やたらめったら強かったな

 

「テイトクと……ビッチのお姉さん?」

 

「ダレがビッチ臭いだこのガキ、ジャンプしてみろよコラ、金的カマしてやるじゃん」

 

一目でビッチ臭いとディスられた鈴谷は平戸クンの胸ぐらを掴みあげてなめてんのーっ!と恫喝した

 

「い、いたい!いたい!」

 

「やめんか」

 

俺は鈴谷のお腹にシャークナックルをブチ込んでからのシャークナッパーで鈴谷はヤニ焼けした天井にKISSし、車田回転しつつ頭から床に激しくグシャアッ!!と激突した…

 

「ドヘァ!!」

 

「大丈夫かね?平戸クン」

 

「あ、ハイ…大丈夫、です、ハイ」

 

しかしこの子、あの猛者揃いの上位ランカー達と互角……いや、それ以上の実力があるとは……大した子だわと感心していると、覇我亜怒の入口のあたりが急にざわめき始めた…っ!!

 

「も、望月サン!」

 

「望月サンだ!」

 

「間違いない望月サンが、望月サンが久々にこの店に…っ!」

 

『『『帰ってきた!!!』』』

 

覇我亜怒の扉を開き、やって来たのは睦月姉妹の十一女、望月さん…

彼女もまた、このゲームセンター覇我亜怒の上位ランカーとしてその名を轟かせ、特に、バー●ャ2では無敵の強さを誇っており、その強さはランキング1位の大淀がバー●ャ2では望月さんとの対戦を避けるとまで言われ、バー●ャ2でなら謎に包まれたこの店の最強MUTEKIゲーマー、バトルキングにすら勝てるのでは?と噂されていた……

 

…がっ!しかし!!

 

彼女はその最も得意とするバー●ャ2で敗れたッ!!(※第673回 提督と鈴谷と乱世の風 参照ですわ!)

 

バー●ャ2ではMUTEKIを誇った望月さんの敗北は本人だけでなく、この店の上位ランカー全てに大きな衝撃を与え、そしてその敗北以来、望月さんはこの覇我亜怒に顔を出さなくなっていた…

 

それが今!!遂に望月さんは帰ってきたのだッッ!!漆黒のゲーラを纏い、闘争心と殺意を剥き出しに!!

 

※ゲーラとは?

ゲーマーオーラの略称、スンゴイゲーマーが放つオーラ的なもの、心が弱いものならそのオーラに触れただけで敗北を認めるどころか入店しただけで敗北を認めてしまいますわ

 

「な…なんてゲーラだ、まるで猛獣!喰い殺されねぇかってぐらいだ!」

 

「あぁ、相当仕上げてきたぜこりゃ…!」

 

覇我亜怒の仲間達曰く、望月さんは先の敗北から己と向かい合い弱さを克服し、精神力で勝るべく徹底的に自分を追い込む荒行に入っていたらしく、そのトレーニングの過酷たるやその場には耐久力を超えた使用で壊れたアーケードスティックが何個も転がっていたそうな…

 

「オレ、ビビって金出しそうになった」

 

「いや、フツーに出さないっしょ」

 

ちなみに、このゲーラは鈴谷のような低レベルにはまったく知覚できないらしい

 

そんな鬼と化した望月さんのターゲットはただ一人、望月さんの無言のアイコンタクトを察したのか、平戸クンはとても嬉しそうに笑みを浮かべて望月さんの座る台の向かい側の台に座った…

 

「は、始まるぞ!望月サンと白チビのリベンジ・マッチがッ!」

 

「クッ!なんてプレッシャーだ!息が詰まりそうだぜ!」

 

「勝てる!勝てるぜ望月サン、あんたなら勝てるぜ…!そうさ望月サンはオレ達のヒーローなんだから!」

 

 

この戦いはゲームセンター覇我亜怒の長い歴史の中でも後々まで語り継がれる名勝負、望月夏の陣・背水の逆転劇として長く語られるコトとなった…



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決闘者の王国!! 前編

途中までVSフレッチャーだった

【登場人物】

Javis(ラッキー)
通称lackey Jervis、窓ガラスかち割ってガラスのシャワーだー!しても傷つかないくらいは運がいい

Grecale(ラッキー)
天才型の天災メスガキファイター、社会と大人を舐めている


朝!!爽やかな目覚めにgood morning!今日はなんだかステキなコトがありそうな気がするワ!と勢い良くノビをしようとしたら隣で寝てたJanusの鼻に肘をぶつけて大惨事

 

「Ahhhhhhhhー!!お鼻がー!お鼻がァァァァー!」

 

ベッドから床に転げ落ち、鼻血を噴出しつつ床を転げ回る哀れな妹に朝からバカやってないでハヤク顔を洗うことネ!と、姉として忠告をして朝の身支度へとかかる…

マッタク、今日はとってもイイ朝だわ、いわゆる、Date日和ってやつネ!よし、今日はDarlingをDateに誘おう!そうしよう!

 

◆◆◆

 

「Jervis、ナツヤスーミの宿題は終わったのか?アサガオに水をやったか?」

 

「チッ、っさいなぁArkは…」

 

朝、今日もROYALな英国の食卓……

絶対なる女王陛下と、その女王陛下を前にしてなお不遜を許される唯一無二の余、そして、ジャーヴィスとジェーナスのロイヤル小淑女は今日も英国が誇る超一流料理人の作った朝食を摂っていた…

 

「うまい!うまい!」

 

「Nelson、貴女は少し黙って食えないのか…?」

 

「うまい!」

 

女王陛下の騎士からのツッコミなどまるで聞く耳などない

本来、女王陛下の御前では高貴さと優雅さが求められるのだが、このネルソンにだけはそれが適用されていないらしく、ネルソンはいつものように瞳孔の開いた目でサンドイッチをバクバク食べていると、ネルソンの足元に1匹のネコがやってきた…

 

「ん?なんだ?オマエも食いたいか?フッ、よかろう……chef!!このネコに余と同じ食事を用意しろ!無論、最高級の、な!」どんっ!

 

何事もない爽やかな朝の風景…

あくまで高貴で優雅な女王陛下、声がデカくてうるさいと隣近所から苦情の来るネルソン…何事もないいつもの風景であった

 

「Lady、今日、ワタシDarlingとDateするカラー、lunchはご一緒できないワー」

 

「…はぁ?」

 

女王陛下はふと、ジャーヴィスにナニ言ってんだコイツ?みたいな目を向けたが、大して気にしても無駄なコトだと考え、一言、そうですか…とだけ答えた

 

「ウェ!?Jervis、昨日、一緒に宿題終わらせるって言ってたじゃん!?」

 

「ハァ?そんなモン、1人でシコシコやってなサイよ、このJervisはアンタみたいな天パと違ってイソガ・シーのよ!」

 

「いや、天パ関係ないし…」

 

ジェーナスはオレンジジュースをブクブクさせてやや不満げな顔をしたが、この姉に言っても無駄だろうと次の言葉は飲み込んでいると、宿題ファックユー発言は聞き捨てならなかったらしい女騎士がジャーヴィスの首根っこを掴んだ

 

「Jervis、今、宿題も終わっていないのに遊びに行くと言ったのか?」

 

「遊び…?甘いわねArk、ダレが遊びに行くっテ?」

 

「オマエだろ」

 

「違うワァァァァ!!DarlingとのDateは常に真剣勝負!!アソビでヤってんじゃないワ!!」クワッ!

 

ジャーヴィスの迫力に一瞬気圧されたか、アークロイヤルの腕が緩み、その隙にジャーヴィスはスムーズな動きで窓際のソファーのある場所に移動した

 

「クッ!この私が一瞬とは言え……」

 

「Ark!アナタは宿題がどーのこーのゆー前にこのJervisにこう言ってやるべきなのよ!恋の真剣勝負結構!水着グラがないなんてコトを言い訳にするな!命にかえてもDarlingとLove・Dateしろ!…とネ」

 

「そ、そうか…?いや、言われてみるとそうかもしれんな…」

 

「そうなノ!」

 

ハッキリと、自信満々に力強く!そう宣言されたらアークロイヤルもたしかにそうかもしれないと頷いた

 

「恋の真剣勝負か、ふむ……なるほどな」

 

「いやArk、ソレ普通に騙されてるから、Jervisのやつテキトーなコト言ってるだけだか……」

 

ジェーナスは冷静で的確なツッコミを口にしようとしたが、ジャーヴィスの投げたアーモンドが目に突き刺さり、椅子から転げ落ちてギャースと叫びながら床を転げ回った

 

「いいだろうJervis、真剣勝負と聞いたからにはこのArk royal、オマエのその気高い意思を尊重しよう!戦うといい!正々堂々と!」

 

「任せテ!」

 

「そしてこの剣を持って行け!」

 

女王陛下の女騎士は柄にLuckと書かれた剣を取り出し、Luckの前にPを書き込んでジャーヴィスに投げ渡し膝の上に乗ってきたネコを撫でていた女王陛下に向き直って片膝をついた

 

「女王陛下!英国淑女であるJervisの正々堂々たる決闘!不肖、このArk royalに立ち会うコトの許可を!」

 

「え?あぁ、いいですよ、行ってきなさい、許可します」

 

「ありがたき幸せ!!」

 

女王陛下の騎士は深々と頭を下げた

 

「Jervisの決闘が終わり次第、すぐに戻ります!」

 

「そう?すぐに戻ってこなくともいいですよ、あ、そうだ、良い機会だからAdmiralとお茶でもしてきなさい」ニコッ

 

◆◆◆

 

チッ、まさかこのザンネン女騎士が一緒とは……

セッカク!今日はDarlingとイチャコラマジLOVE Date日和だと言うのに…

 

アーモンドがアイに突き刺さった妹を放置し、早速Darlingの居るであろうシツムシ・ツーに向かっているワケだが、その足取りは重かった…

なんで重いかって?そりゃこの女騎士が同行してるカラよ!

 

「Jervis、正々堂々とな!」

 

「ハイハイ、わかっタわかっタ」

 

「Jervis!ハイは1回だ」

 

クッ!めんどくさッ!!どうにかしてコイツを置き去りにしてサッサとDarlingのトコに行きたいところだケド、この女騎士、アタマはザンネンなわりに身体能力はやたらと高く、たとえが私が全力ダッシュしてブッちぎってもトンデモないスピードで追い上げてくるし、虚をついたとしても2秒で切り返してくるからタチが悪い…

 

クッ!こんなときにあの天パはどうしたっての!天パさえ居ればこの鬱陶しい女騎士を天パに押し付けられるってのに!………そんなコトを考えつつ、まずは自販機コーナーでdrinkでも買ってから行こうと自販機コーナーへとやって来ると……

 

「ねー!ジュース買ってくれるのー?ねー!」

 

「誰がテメーの分まで買うかボケ、泥水でも飲んでろ」

 

「ハァ?飲まないし、アタシ、ミネラルウォーターね!硬水のやつ!フランス産のやつ」

 

「死ね」

 

自販機コーナーに居たのはDarlingと…………ナニアイツ?Darlingにエラくナレナレ・シーわね…

あの見るからにアタマ悪そうなツラ、たしかギャングみたいなのばっかいるイタリアのチームのヤツね

 

「Hi!Darling!ゴキゲン・ヨー!」

 

「ん?あぁ、キミは………ジャーヴィーくん、と騎士様か」

 

どうせシツムシ・ツーに行くところだったし丁度いいわ、早速DarlingをDateに誘っ…

 

「もらったァ!!」

 

「あ、テメー!!ナニ勝手にボタン押してんだこのガキャ!!」

 

「ヘヘーン♪ざぁこ!このグレカーレちゃんを前に油断してるとかホントザコね!ザコ!負け犬!」

 

ガラの悪そうな女は自販機からペットボトルを取り出してスタイリッシュに蓋を開けてゴクゴクと口をつけた

 

「ブハァ!!ウンメー!あ、ザコテイトクも飲む?飲みかけだけど?」

 

「誰が貴様が口をつけたような汚物飲むかクズが」

 

「ハァ?汚物じゃないし!訂正しろハゲ!」

 

「誰がハゲだ、アァ?」

 

ギリギリギリギリギリギリギリ!(魔のテイトククロー)

 

「ギャアアアアアアアアアア!!割れる割れる割れる!!クソッ!離せッ!離せザコチ●ポ!」

 

Darlingのワンハンドクローで頭部ごと持ち上げられメリメリされているそいつはフリーになってる足で器用にDarlingのお腹にキックを打ち込みワンハンドクローから脱出した

 

「クッ!ザコのくせに!」

 

「このガキャ……どうやらまだわからせが足りないらしいな」

 

「ハァ?このグレカーレちゃんがオマエみたいな足臭いのに負けるかバァカ!死ね!」

 

「俺の足は臭くない」

 

どうやらDarlingはこのバカ女が嫌いらしいわね…

マァ!それもそうよね!と考えて納得していると、ウチのザンネン女騎士がズズいっと前に出た…

 

「Admiral、ちょっといいか?」

 

「なんだ?後にしろ、今、ちょっと躾で忙しい」

 

「そうもいかない、このArk royal、我が女王陛下より許された誇りある決闘を見届ける必要があるのだ」

 

「決闘だと…?誰と、誰が?」

 

「Jervisがオマエに決闘を挑みたいそうだ」

 

「え?ジャーヴィーくんが…?」

 

アァァァァァァァァクッッッッ!!!このバカ!!そんなワケないでしょ!私はDarlingにDateの申し込みにきたのよッッッ!!

う、うぅ……だ、Darlingがマジかよ?オレ、なんかした?みたいな顔して若干困惑してるじゃナイ!違う!違うからねDarling!

 

「この剣を使われよ」

 

Arkはご丁寧にDarlingの足元になにやらゴツめの剣を投げ渡す、ってかその剣、オーラ出てるし私にくれたヤツよかスゴい名剣みたいじゃない?

 

「いや、俺はジャーヴィーくんと決闘する気はないのだが…」

 

サスガDarling!!だよね!

 

「それは困る、Jervis、オマエからも言ってやれ」

 

「Arkはもう黙ってテ!っーか帰れ!Darling!違うカラ!ワタシ、DarlingをDateのお誘いに…」

 

「あ、あぁ……なるほど、そうか、なるほど」

 

サスガDarling!1を聞いて10を察してくれたワ!そう!そうなのよ!

 

「ハァ?ザコテイトクをデートのお誘い?ハハッ…ウケる」

 

「ア"ァン?なんですっテ?」

 

「ザンネンだけどこのザコはこのグレカーレちゃん専用のザコATM兼グレカーレちゃんのメーレーには逆らえないキンタマ蹴りあげられて情けない声を出すザコチ●ポなのよ、弱小ロイヤルがデートとかご遠慮願おーかしら」

 

このオンナ……見るからにチンピラみたいと思っテたけど…

 

「誰が弱小royalですっテ…?」

 

「キャハ!コイツ、自分でジブンがザコってワカってなーい、ウケる」

 

ブチイッ!!!(堪忍袋の緒)

 

気がつくと、私は左手の手袋を外し、目の前のバカ女にブチ投げていた!

 

「痛っ!!ナニコレ?手袋?」

 

「…………ケットーよ、えぇ、お望みドーリ決闘してやるワ!!Ark!止めるんじゃあないワよ!!」

 

「フッ…」

 

どうやらArkも今のroyal侮辱に対しては思うところがあったらしく、その顔は肯定を示していた

 

「フッ、Admiralよ、どうやら相手が違ったらしい」

 

「ナニがフッだ、アホか、っーかオマエら、こんなとこでケンカすんな!やるならもっと邪魔にならないとこで俺に迷惑がかからないようにやれ」

 

「なるほど………Admiral、決闘に相応しい時と場所を選ぶか!よかろう!この決闘!この女王陛下の騎士Ark royalが預かろう!」

 

Arkは持っていた剣を床に突き刺し、双方委細承知せよ!と高らかに宣言した!!

 

「Admiral、決闘の仔細については決まり次第連絡を待て!行くぞJervis!」

 

「え?あ、イヤ…ワタシDarlingとDateを…」

 




次回は後編
激突!ジャーヴィス VS グレカーレの電撃有刺鉄線デスマッチ


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決闘者の王国!! 中編

たしか前後編と言いましたわね、あれは嘘ですわ
なんか書いてたら増えたので中編ですわ

【登場人物】

青葉(恐縮重巡)
提督とはたまに飲みに行く程度には仲が良いらしく、そろそろ改二どうすかね?と聞いてはいるものの答えはいつもKISSではぐらかされるとかなんとか…

初春(様付け)
謎の高貴さを持つ雅な御方、提督が頭が上がらない数少ない1人


有史以来、闘争のきっかけはいつも些細なこと、肩がぶつかっただの今こっち見て笑ったろテメーだの人類はいつもくだらないインネンをフッかけ、その、飽くなき闘争心を満たしてきました

 

そして今日ォ!この場で!己のPRIDEを賭けた真剣勝負の幕が上がります!!この血で血を洗う伝統を重ねてきた格闘の聖地!基地体育館特設リングでその血と命を捧げるのはどちらか!!

 

英国小淑女(リトル・レディ)VS褐色の弾丸!!

 

「と言うワケで皆さんこんにちは、毎日が恐縮日和、実況の青葉です、この試合、解説には格闘技に詳しく雅な専門家でお馴染み、初春様をお招きしております、本日はよろしくお願いします」ペコォ

 

「うむ」

 

「さて初春様、今回は国際親善試合と言うことでリングに上がります両者ですが初春様的にはどうでしょう?過去、ジャーヴィスちゃんは何度か公式のリングで登場してますが対戦相手であるグレカーレちゃんは今日まで公式のリングに上がったことはありません、しかし非公式ながらも何度かテイトクとヤリ合い、かなり追い詰めたとの情報もありますが…」

 

「ほぉ…それは楽しみじゃのぉ」

 

「えー…手元の資料によりますと対戦が決まったのは一週間前、それからジャーヴィスちゃんは一週間どこぞに籠りハードなトレーニングをしていたのに対し、グレカーレちゃんは普段と特に変わらず自堕落で暇をみてはテイトクにちょっかいをかけていたそうです」

 

「ふむ」

 

◇◇◇

 

「よく逃げなかったわね英国人(ジョンブル)

 

「Fuck、ブチのめされに来たトコだけは褒めてあげるワ」

 

リング中央でメンチビームの火花を散らすグレカーレとジャーヴィスは互いにメンチと罵倒を吐いていたが、ふと、グレカーレがジャーヴィスにまるで握手を求めるように右手を出した

 

「?、フン…アホなイタリア人にも一応のmannerってのはアルみた…」

 

「甘いぜボーヤ!」

 

まるで公平に戦おうぜと言うように差し出されたグレカーレの手をとろうとジャーヴィスが手を出した瞬間、グレカーレの強襲飛び膝蹴りがジャーヴィスに炸裂した!!

 

「グハァ!!こ、このヤ…!」

 

「キャハハハハ!甘いんじゃないのぉー?このグレカーレちゃんの手をタダで握れるとかユメ見ちゃったー?うわー、カワイソー♪プークスクス」

 

まだゴングが鳴っていない掟破りの強襲飛び膝蹴りで先ずは機先を削がれたかに見えたジャーヴィスだったが、すぐに態勢を立て直し、ようやく鳴ったゴングと同時にリング中央でグレカーレと手ぇ四つでガッチリと掴み合う!!

 

「フン、下等メスガキ強度2500万パワーと言ったところネ!」

 

「アァ?なんですって?」

 

「ソノ程度で!このlucky Jervisに勝てるとは!思わないことヨ!」

 

ジャーヴィスはグレカーレの身体を掴みあげファイヤーマンズキャリーの形で肩に担ぎ、自ら横に倒れこみつつグレカーレの頭部からリングに叩きつける、いわゆるデスバレーボムを放つが……!!

 

「死ねッ!Death Valley Bomb!!」

 

ズダンッ!!!(デスバレーボム)

 

「…そんなもの?全然効かないんだけどぉ?」

 

「く、コ…コイツ!」

 

ジャーヴィスのデスバレーボムに対し、まるでノーダメージと言わんばかりに立ち上がったグレカーレはカワイソーなものを見る目で言った

 

「ま、私にダメージを与えるには高さが60㎝、角度が15度足りなかったわね」

 

「ナルホド……見た目バカそーナノにオベンキョーは得意みたいじゃナイ?」

 

「ま、このグレカーレちゃんは天才だからね、天才なの?ワカる?」

 

この褐色バカ女に対して認識を改める必要がある、この攻防でジャーヴィスはその事実を知った

対戦前、このクサレマエストラーレ級姉妹についてある程度の勉強をしたつもりだったが、その勉強はあまり役に立たなかった…

 

長女はわりと良い子、次女は社会と大人をなめたクソガキ、三女はアホ、そしてあまりデータはなかったが末っ子の四女が寝ている時は決してその眠りを妨げてはならないと……

 

「マァいいワ!たとえ相手がナンであろーとヤるコトは一つ!!」

 

この一週間、戦い方を模索すべくメインヒロイン道を極めた(自称)bitch師匠に教えを請い、ハードなトレーニングをこなしたジャーヴィスのやるコトは変わらない!bitch師匠はこう言った!メインヒロイン以外は全て下等と!

勢いを取り戻したジャーヴィスはまずは必殺の距離に入るべく身を低くし、超低空タックルでしかける…!!

 

しかし!!

 

「ゴハァ!!」

 

超低空タックルで仕掛けたハズのジャーヴィスはグレカーレとの間合いを詰めきれず、まるで見えない壁にぶつかったように大の字にリングに倒れた!!

 

「グッ……ガハァ!い、今のは……っ!だ、Darlingの…!」

 

「言ったでしょ?このグレカーレちゃんは天才なのよ、天才、この技なら何回か喰らったからね、ムカつくけど」

 

ヒラヒラ右手を振りニヤニヤ笑うグレカーレに対し、Darlingのスネークバ●トを…!と、怒りと同時に戦慄したジャーヴィス

たしかに、ジャーヴィス自身もその技を見たコト自体はあったが、まさか真似できるとは考えもしなかった…

いや、正確にはテイトクのスネークバ●トと比べるとスピードもパワーも遥かに劣ってはいるのだが、右手しか使わないテイトク式に対し、このグレカーレが使ったのは身体の振りで足りない体格や筋力などを補い限りなく本物に近いものにしたグレカーレ式スネークバ●トと言える

 

「さらにぃー!!」

 

グレカーレはジャーヴィスの身体を掴み上げて腰を落とし、ジャーヴィスの両膝を自らの片膝に激しく打ちつけた!!

 

「ダ●ルニークラッシャー!!」

 

ゴガアァン!!(ダ●ルニークラッシャー)

 

「うっぎゃあああああああああー!!」

 

スネークバ●トに続きグレカーレが放ったのはこれまた提督の得意とし乱用する大技!掟破りのダ●ルニークラッシャー!!

 

ダ●ルニークラッシャーでダブルのニーをクラッシュされたジャーヴィスはお皿がー!お皿がぁー!と叫びながらリングを転げ回った…!

 

「こ、このサル真似コピー野郎め…っ!」

 

「ほらほらぁ〜、どーしたどーしたー?私はここダゾぉー?ヒ〜ラヒ〜ラ、ほらガンバレガンバレ♪ザコ英国艦ガンバレ♪」

 

天才は存在()るッッッ!!!

 

そのカンバンに偽り無しッ!!こと戦闘(バトル)と大人をなめることに関しては提督も認めており、グレカーレはまさしく天才である!

 

◇◇◇

 

「強し!グレカーレちゃん強し!まさかあのジャーヴィスちゃんを圧倒だァァァァァァァァ!これにはスタンドからも驚きの声が止みません!初春様!これは予想外と言えますね!」

 

「ふむ、なるほどのぉ」

 

「どうでしょう初春様!これはグレカーレちゃん有利と言える展開でしょうか?」

 

「さて、それはどうじゃろうな」

 

まさかの圧倒を見せる天才メスガキファイター・グレカーレに大興奮の場内、そんな中、英国陣営からリングでハァハァ言っているジャーヴィスのすぐ近く、リングサイドに赤い髪の女とキンパツ強烈パーマの少女が駆け寄った!

 

ーーー

 

「Jervis!いつまでブザマを晒している、これ以上のブザマは我が女王陛下の前で許されんぞ」

 

「ダイジョーブなの!?Jervis!」

 

「Ark…Janus………フッ、ワカってないワネ」

 

ジャーヴィスはリングロープを背にして掴み、ゆっくりと立ち上がった…

 

「このlucky Jervisの背中がそんな頼りナく見えたかしラー?」

 

立ち上がったジャーヴィスは着ていた上着を勢いよくリング外に脱ぎ捨てたッッッ!!

 

ズドンッ!!(上着)

 

「うえっ!?ナニこの上着ぃ!重っ!Jervis!アナタこんなモノ着て……って!うげぇ!!」

 

さらにジャーヴィスはリング外に帽子、手袋、ブーツを脱ぎ捨て、その全てがジェーナスの頭上から降り注いだ

 

「フーッ〜………コレでだいぶ軽くなったワ」

 

ジャーヴィスは2〜3度その場でぴょんぴょんし、これまでとは段違いに加速したダッシュで一気にグレカーレとの距離を詰めた!!

 

「このlucky Jervisを抜き身(Naked)にさせタことは褒めてやるワ」

 

「へぇ、面白いじゃない…」

 

リング中央で再び組み合った両者!まずはパワー比較べだと言うかのようにジャーヴィスがグレカーレを圧したッッッ!!

 

「む、む!このパワー…っ!」

 

「このlucky Jervisをホンキにさせた事をコーカイするのネ!!」

 

ジャーヴィスはグレカーレをブレーンバスターの要領で抱え込み、さらに相手の片腿を抱え込み後方へ勢いよくスープレックスでブン投げてリングに叩きつけたッッ!!

 

ズカアァン!!(フィッシャーマンズスープレックス)

 

「ゴバァ!!!」

 

「マダマダァー!!地獄はここからネ!!オマエはこのリング恥ずかし固めで殺すと予告するワ!!」




夏イベント始まりましたわー


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決闘者の王国!! 後編

全3回の後編

【登場人物】

Jervis(英)
英国式のロイヤルな技とは別に、荒々しさを持つ残虐ファイトはビッチ師匠に教わったらしい

Grecale(伊)
天才メスガキファイター、一度見た技や喰らった技を己のものとして再現できるが、破壊力までは再現できない



ジャーヴィスVSグレカーレ、己と祖国の威信とPRIDEを賭けた完全決着デスマッチ!

序盤、戦闘の天才グレカーレによる手痛く痛烈な洗礼を受けたジャーヴィスだったが、戦いの中、グレカーレの実力を認め、己の枷を外し本気となったジャーヴィスの反撃が始まった!!

 

「オラァ!!」

 

「痛てッ!このっ!!」

 

原始の戦い!!白熱するベアナックルによる殴り合い!!それは、英国淑女らしさのカケラも感じない泥臭い戦い方だったが不思議と見る者の心をアツくさせるものだった

 

「このブス!!ブス!」

 

「ハァー!?ブスはテメーだろーがタコ!!」

 

殴り、引っ掻き、醜く罵り合う戦いはリングに鮮血を散らしていた………実力は伯仲、この流れで足を退いた方が負けるッ!!

 

誰もがそう予感したその時!!

 

「とったァ!!」

 

グレカーレはジャーヴィスのパンチを止め、掴んだその右手をまるで握手するように握るッ!!

 

「零の●劇ィィィィ!!!」

 

「ウッギャアアアアアアアアア!!!」

 

グレカーレの出した技はテイトクが好んで使うただの強烈握手!!一度受けた技を見様見真似とは言え己の技とするグレカーレの天才性!!

ジャーヴィスは零の●劇から脱するべくまだ自由な左手でグレカーレの脇腹に連続お腹パンチを叩き込み、グレカーレの体勢が崩れたところで零の●劇から脱出してグレカーレから距離をとった…

 

「ハー…!ハー…!クッ!!マタDarlingのトクイワザを…っ!」

 

「このクソキンパツがァ!よくもグレカーレちゃんの美しい顔を何発も殴ってくれたじゃない…!ハァ~…もぉキレたわ、オマエ!!生きてリングから降りれると思うなよ!!」

 

今までの小悪魔的言動から一転!グレカーレは怒りの罵倒で叫ぶと凄まじいスピードでジャーヴィスに詰め寄る!!

 

「ハヤイ…ッ!!」

 

今までも十分速かったがそれを上回るスピード!天才グレカーレのメスガキドライブは本気ジャーヴィスをしてその反応を上回るッ!!

 

「死ねッ!!メスガキクラッシュ!!」

 

グレカーレはジャーヴィスの背後から左右の腕を押さえた状態で後方に飛び、ジャーヴィスの頭をリングに激突させるッ!!

 

グシャアッ!!

 

「グハァ!!!」

 

「メスガキツイスト!!」

 

メリメリメリメリ!!

 

グレカーレはさらにジャーヴィスの背後より頭を押さえ、ジャーヴィスの腕に自分の足を絡めて極め、体を捻ってジャーヴィスの腕を痛めつけるッ!!

 

「ウッギャア!ウギャギャー!!」

 

「まだまだァ!!メスガキアヴァランチャー!!」

 

ゴシャアッ!!

 

グレカーレはジャーヴィスを逆さまにして両腕を押さえ、尻でマットに落下して激突させ、ジャーヴィスはリングに転がった…

 

「グッ……ハアッ!!」

 

「フッ、どーよ?このグレカーレちゃんの実力は、ハー…疲れた疲れた、汗かいたわー」

 

裁きのメスガキ奥義三連打を受け、リングに転がったままのジャーヴィス…ッ!!

もはや立ち上がる事はできないだろう、観客の誰もがそう思った…

 

『Jervis!立て!立つんだJervis!』

 

『ウソでしょJervis!アナタは何度倒れてもいつだってなんかLuckyな感じで立ち上がり、そして勝ってきたじゃない!』

 

そんな中、リングサイドでリングをバンバン叩きリングに転がるジャーヴィスに声援を送るアークロイヤルとジェーナス…!

 

『Jervis!オマエはAdmiralに勝負を挑むんじゃあなかったのか!そんなやつに負けていいのか!騎士道大原則を思い出せ!』

 

『Jervis!アナタはいつだって奇跡の逆転ファイトを見せてくれたじゃない!』

 

そんなアークロイヤルとジェーナスのアツい声援に、いつしか会場に来ていた観客の空気も、なんとなくジャーヴィス頑張れ的な声に変わってきていた…

 

 

ガンバレ、ジャーヴィス!

 

あきらめるなジャーヴィス!

 

このサバイバルマッチでオマエが勝ったなら、テイトクの首を賭けて再び艦娘オリンピックで戦おうじゃないかー!

 

ジャーヴィス!ジャーヴィス!ジャーヴィス!

 

 

「な…なに?ナニよ?この耳障りな応援は…っ!」

 

会場に響くジャーヴィスコールの中、グレカーレはナニをバカなコトを……と苛立ちをみせていると、既に死に体となり、リングに転がっていたハズのジャーヴィスが起き上がりつつあったッッ!!

 

「バ……バカな!あ、アタシのメスガキ奥義を受けて…~まだ立ち上がるだとォ!!」

 

「ヘ……ヘへッ、どうやら、Lucky JervisのLuckyはマダマダ残ってイタ、みたいネ…!」

 

「あ……ありえない!この下等艦娘のどこにそんな力が……!」

 

天才グレカーレを戦慄させるジャーヴィス、不撓不屈のガッツ!!

天才であるが故に、メスガキであるが故に、グレカーレにはその、不思議なパワーが理解できなかった!!

 

そんな予想外の出来事に狼狽えるグレカーレをジャーヴィスは見逃さない!!もはや肉体のダメージは限界を超えているジャーヴィスにとれる作戦はたった一つ!

 

この一撃で、最大火力の必殺技(フェイバリット)で決着をつける!!

 

「喰らえッ!!」

 

「うッ!!こ、コレは!!」

 

ジャーヴィスはグレカーレの両腕をひねって上空高く投げ飛ばし自身も空中に飛び、頭から降下中のグレカーレの両腕と首を横から手足でホールドしたッ!!

 

「喰らえ!!英国淑女式必殺技(ロイヤル・フェイバリット)!スコティッシュ・スティール・エッジ!」

 

「フ……ナニかと思えば!この程度の技!」

 

空中でホールドされていたグレカーレはこの程度の貧弱ゥ!とホールドから脱しようと動くが……

 

「バ、バカなっ!!う、動けない!グオオオ!そしてこの加速…っ!」

 

「絶対に離さないッ!!そのまま死ねッ!!」

 

強烈な加速を伴い、リングへと一直線に降下を始めるスコティッシュ・スティール・エッジ!!

その破壊力は難攻不落のビッチ兵と呼ばれた鈴谷の必殺技(フェイバリット)ビッチベン・エッジにすら迫るッッ!!

 

ゴジャアッ!!!

 

「ドへァ!!!」

 

最大必殺技、スコティッシュ・スティール・エッジがリングに着弾し、グレカーレは血反吐をブチ撒けてリングに転がった…

 

「ゴブッ…!!」ビクッ!ビクンッ!

 

血反吐をブチ撒けて転がっていたグレカーレは何度かビクッ!ビクンッ!と痙攣し、そのうち動かなくなり、それを見たジャーヴィスは右腕を高く上げた

 

「ハー……ハー……か、勝っタ!」

 

 

◆◆◆

 

「決着ゥゥゥゥゥゥ!!!試合時間51分24秒!ついに死闘の終止符が打たれましたァァァァァ!!初春様!これは完全決着で間違いないでしょうか!」

 

「うむ、終いじゃ」

 

「英伊駆逐艦のPRIDEを賭けた真剣勝負!ここに決着です!観客席からは大きな拍手とジャーヴィスコールが鳴り止みません!」

 

リング中央、立っていたジャーヴィスは歓声に応えるかの如く高くあげた右腕を振っていると、転がっていたグレカーレが片ひざをつきつつフラフラと立ち上がろうとしていた…

 

『フッ…』

 

そんなグレカーレに、勝者であるジャーヴィスは己の肩を貸すようにグレカーレの身体を支えた

 

『クッ……!な、ナンのつもり?』

 

『試合が終わればノーサイド、全力で戦った相手に敬意を払うベシ!それが英国淑女ネ!』

 

『ハッ…?ズイブンと甘っちょろいわ、ハハ…でも、マァ…悪い気はしないわ』

 

『アナタは強かっタ、このLucky Jervisをここまで追い込ムとは……アナタとはモウ一度ヤリたいわ!』

 

『ハ…?ジョーダン………マ、次は勝つケド』

 

ジャーヴィスはグレカーレに肩を貸しつつ立ち上がると、観客席からジャーヴィスとグレカーレ、死闘を演じた両者を讃える大きな拍手と歓声が響く…

 

「美しい光景です!試合が終われば勝者も敗者もありません!互いの健闘を讃え合う素晴らしい光景です!初春様!」

 

「そうじゃのぉ、子日、茶をくれ」

 

「両者が全力を尽くし合った素晴らしい試合でした!アリガトウ!」

 

 

 

…………そんな珍しくスポーツマンシップに則った爽やかなファイト

 

そんなファイトを観客席最上段から観ていた影があった……!!

 

『フッ、グレカーレが負けたわ』

 

『やつは四天王の中でも最弱』

 

『zzzzz……』

 

会場東側の最上段に立つ3つの影…

そして、その逆、西側の最上段にも影…

 

『…チッ、勝った』

 

『チッ!とか言うんじゃないよこの子は、仲良くできんのかね?キミたちは』

 

『…ムリ』

 

『即答かッ!』

 

 

おわり





次回は通常回を置いて夏イベント回
そもそも、まだイベント海域に突入してないのですわ


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提督と五月雨と夏のなんやかなフィッシング

短め通常回

【登場人物】

提督(自称)
ハンサムなことに定評のある提督、明石とはよく金の話をする

五月雨(秘書艦)
絶妙なポジショニングに定評のある秘書艦、昔は由良さんとランチに行くぐらいは仲良かったとかなんとか…


夏、長雨だのなんだのあったが季節はまだ夏、サマーってヤツだ、そんなクソ暑い夏の日、既に上からは夏の作戦海域に従事セヨとのお達しがきているが一週間ほど無視していたら大将殿から減俸するぞと理不尽に脅された今日この頃…

 

そんなメランコリックな気分で夏の終わりを過ごすのは俺の心に後味の良くないものが残るのもよくないので、俺は執務室を本日休業とし、秘書艦サミー子と夏の海に釣りに来た…

 

「暑いなぁ、なぁオイ?」

 

「そうですね、ってかその糸、針ついてなくないですか?ラムネとサイダーどっちがいいですか?」

 

「ツイてませんけど?提督は無意味な殺生はしない人ですけど?」

 

仙人じゃあるまいし…と秘書艦サミー子の冷静で的確なツッコミは無視し、秘書艦サミー子からキンキンに冷えたサイダーを受けとり渇いた喉をキンキンに潤す

 

「犯罪的だ…っ!美味過ぎる…っ!」

 

「そうですか」

 

このクソ暑い中、麦わら帽子一丁で涼をとれるものか怪しいところだが、秘書艦サミー子は大して暑くはなさげにしている辺り彼女はきっと変温動物なのか、もしくはそのやたらと長い髪が体温の排熱機能か何かを担っているのだろう

 

「以前にもその仙人みたいな釣りごっこやってましたけど、実は釣りとかよく知らないんじゃないですか?」

 

「バカ言うんじゃないよこの子、俺はこう見えても昔は近所の川でブラックバスを釣っては投げ釣っては投げしていたのだよ」

 

「バスかよ」ボソッ…

 

「オイ、今なんか笑ったろ?バス釣りバカにしたろ?なぁオイ?」

 

「別に笑ってませんよ、あ、由良さん」

 

「ヒィィィ!!?ゆ、由良さん!?………って、いねぇじゃねーか!!」

 

青髪ロング子はそんなワケないじゃないですか、ビビりすぎですよ、ビビりクンとケラケラ笑っていた

普通、この絶対支配者である提督様に対してこれだけの無礼を働いた艦娘は、地獄電気あんま→失禁ショー→失禁地獄あんまの無限ループで処刑するところだが……

 

「まぁいい、全て許そう」

 

かつては完璧提督と呼ばれたこの俺も下等であるハズの艦娘どもと長く接する内に、ズイブンと甘ちゃんになったものだ

 

「ところで提督」

 

「なんだ?金か?金の話か?」

 

「なんで金の話一択なんですか…」

 

秘書艦サミー子はナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?と言いたげな目をしているが、たぶんそれは気のせいだろう

 

「ではなんだ?金の話じゃないならなんだ?男か?カレシでもデキたか?ガハハハ」

 

「違いますよ、と言うか、仮にカレシがデキても提督には絶対教えませんし」

 

「ガハハハ!ジョークなのだよ、小粋なテイトクジョーク、卿は相変わらずユーモアのセンスがないな」

 

「ユーモアのセンスがないとか提督にだけは言われたくないですね」

 

「で?ナニかね?金でもオトコでもないなら何の話だ?」

 

「引き抜きの話です」

 

「ハァ?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「引き抜きって……誰が?俺か?中央なら断ってるぞ」

 

「いや、提督でなく、私が…」

 

秘書艦サミー子曰く、練度は既に上限に達しており、さらにここ近年まったくと言っていいほど出撃記録がないせいか、そんな経験豊富でベテラン艦を遊ばせてるとかどうなのよ?と人事的な部署に目をつけられたらしく、遊んでるぐらいならもっと今よりステップアップできるトコに行ってはどうかと…?

 

「ダメだ、ダメダメ!異動とか絶対ダメ!サミー子、卿はオレのなんだ?」

 

「…部下?ですかね」

 

「そうだ、そして共に銀河を手に入れると誓った俺に欠かせぬ存在だ、違うか?」

 

「銀河はもう何個かあるのでは…?」

 

「1つ2つの銀河で満足するものか!俺は欲張りなのだ、異動?引き抜き?よしわかった、人事的な部署からハナシがきたんだな?関係者全員ブチのめして話は無しにしてやる」

 

「…はぁ?」

 

秘書艦サミー子はアホかコイツみたいなツラしていたが、手持ちのクーラーボックスからサイダーの缶を取り出して俺に放り投げてきた

 

「あげます」

 

「うむ………って!!ブヘェ!!キサマ、缶に回転をかけたな!!」

 

こやつめ、お得意の低回転ストレートではなく高回転で投げやがったな、なんてヤツだ…

 

「転属にあたりイケメン提督を紹介してくれるって話でしたけど、ま、今更転属するのもアレですし、自称ハンサムな提督で妥協しておきます」

 

「自称ハンサムな提督じゃない、提督だ」

 

「知ってます」





次回から夏?夏イベント回
初戦から地獄モードなんですけどー?Pマスとか悪意の塊やん


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続続続続続続続続続続続続続続・提督と作戦とミーティング

新たなる聖戦の始まり!
なんやかんやで苦戦中、奇跡の友軍パワーでE2は撃破

【登場人物】

提督(メガネ男子)
今回は賢さをみせて作戦開始を遅らせてみたものの、やはり痛い目をみる

潜水艦ズ(潜水艦)
元実力派エリート集団の実力派セレブニート集団、新人は、かわいがる


軽めの小規模とは何か?軽めの…!小規模!とは!!そんな考えるだけムダなコトを考えても仕方ない昨今、既に上からは開戦されたし、さっさと行けとのお達しを受けてはいたが、夏休みなんでムリでーす!ウェーイ!と作戦開始をゴネていた当基地もようやく重い腰を上げ……

 

「えー…提督からのアイサツは以上、じゃ、長良主将からみなさんにアツい感じでお願いします」

 

「ナイスガッツ!いいよみんな!ナイスガッツがあればなんでもデキる!ナイスガッツ燃やしていこう!ナイスガッツ!ナイスガッツ!」

 

開戦を告げる恒例の行事、全艦集会…

今回はたいして話す内容もないので提督からの有難いアイサツもそこそこにして、夏休み明けでダラけきったクズどもをアツくさせるにはやはりナイスガッツだろうと考えた俺はナイスガッツ基地陸上部のナイスガッツ主将、ナイスガッツ長良主将にアイサツを頼んだ

 

『ナ・ガ・ラ!ナ・ガ・ラ!』

 

『ナイスガッツ!ナイスガッツ!』

 

『ウォォォ!!燃えてきたァァァァ!!』

 

長良主将のアツいナイスガッツは伝染する…

壇上でアツいナイスガッツを叫ぶナイスガッツ長良主将の熱意にクズどももアツいナイスガッツを感じたらしく、アツい長良コールで場内は包まれ、長良主将はマイクを投げ捨て壇下へと跳び、アツいナイスガッツ達にナガラわっしょい!ナガラわっしょい!とウェーブ胴上げで流されて行った……

 

ーーー

 

アツいナイスガッツ開戦のアイサツも終わり、そろそろ真面目に海域作戦について考えてみるかと自販機コーナーで缶コーヒーを買い、喫煙所へと練り歩いていると、なにやら中庭のあたりで潜水艦のバカどもがたむろしているのが目に付いた…

 

「おう、バカども、ナニやってんだ?こんなところで」

 

「あ、テイトクなのね」

 

「見てワカんねーのかオッさん」

 

当基地が誇る実力派エリート集団、潜水艦ズ

かつては基地の資材確保に多大な貢献をしてきた実績とオリョールの荒波の中で揉まれた確かな実力、そのハードな労働環境に見合った高給で稼いでおり、当時は男は佐●、女は潜水艦と言われたぐらい金回りが良い時期もあったか、近年の海域刷新から労働環境が激変、今や金と暇だけ持ってるセレブニートへと成り果てた…

 

「オッさんじゃない、提督だ、そもそもそれはなんだ?肉か?」

 

「肉だよー!お肉、あと野菜」

 

「今からここでバーベキューするのね」

 

「バーベキューだぁ?」

 

当基地の潜水艦の雇用契約には【本部からの海域作戦中は長期休暇を与える(一部例外あり)】と言う一文がある…

これは、かつて安心の24時間三交替マグナムシフト労働環境時代から残っているもので、当時は貴重な長期休暇に国内だの海外だのこのバカどもはバカづら下げて旅行に行っていたものだ…

 

まぁ、仕事の激減から今や毎日が長期休暇レベルに落ち込んでいるが、潜水艦の雇用契約について見直しするのも面倒なのでそのままになっており、つまり今、コイツらは長期休暇に入っているのだ

 

「ホントは旅行に行きたいけど、昨今の情勢を鑑みて今回は旅行はやめにしたのよ」

 

「SNSで叩かれるかもしれねーからよぉ〜」

 

「で!今回はおとなしく基地でバーベキューとかしよーですって!」

 

「…ユーも、それがいいって」

 

なるほど、昔からバカだバカだと思ってはいたが、一応、世相を反映させ、不要不急の旅行などを自粛するアタマとか持ってたんだなコイツら…

 

「まぁいいんじゃねぇのか、クズどもにしては低い知性で良く考えた」

 

「誰がクズね」

 

「オマエにだけは言われたくねーよ」

 

「あと言っておくが、バーベキューするのは別に構わんが間違ってもバーベキューしてまーすウェーイ!ビールサイコー!とかSNSに写真あげるなよ」

 

「ウェーイ!わかってまーす!テイトク!ウェーイ!」

 

缶ビールを片手にゲラゲラ笑いつつ俺の肩をバシバシ叩くイヨティン、これほどまでに説得力の無いわかってまーすはそうないだろう…

 

「って!酒クサッ!!」

 

「テイトクも一緒にどーぉー?14が色々サービスしちゃうよぉ〜、ギャハハハハ!」

 

慣れ慣れしく俺にまとわりつくイヨティンをベリッと引き剥がし、お腹パンチをメリ込ませた13ちゃんはお腹パンチのダメージで光る吐瀉物を吐く妹の背中を優しくさすりながら言った

 

「14ちゃん…少し黙ろうね」

 

「ウボロロロロロォォォ……ね、姉ちゃん、ごめ、ゴメ!もうぶたないで!」

 

うんうん、美しい姉妹愛とはこういうものを言うのだろう、これまたアイ●ツなのだよ

 

「テイトクー、テイトクー、このお肉ヨナが焼いたよ」

 

「ほぉ、よく焼けているじゃあないか」

 

「エヘヘ〜」

 

基本バカばかりの潜水艦だが、このヨナタスは海域刷新後配属され、オリョールの荒波を知らず、潜水艦のバカどもも久々の新人をちやほや甘やかしたせいか無垢で優しい子に育った新世代潜水艦である

 

「オイ、ゲロしゃぶ、アンタも肉焼きなさい、肉」

 

「…ハ?それアタシに言ってるんですか?」

 

「アンタ以外誰がいるのよ、新人でしょ?」

 

「ハ?なんですかそれ?パワハラですか?168さん、新人だからとかそーゆーの古いですよ」

 

「ハァ…?オイ、オイオイオイオーイ!ゲロしゃぶちゃ〜ん?え?今、なんて言ったの?なぁオイ?」

 

「ちょ!やめて、やめてください!暴力ですか!フーミィ訴えますから!」

 

そしてもう1人の新世代潜水艦、伊203ことフーミン?くん…

彼女はヨナタスと違い、今まで潜水艦には居なかったタイプ、今風で繊細な子らしく、潜水艦のリーダー格である168や19から態度が悪いだの生意気だの目をつけられているらしい

 

「やめてください!服が伸びちゃうでしょ!」

 

「コイツ生意気なのね、アクメハーブ吸わせて失禁アクメさせるのね」

 

「ヒッ!?な、なんですかその葉っぱ!」

 

「アクメハーブなのね」

 

「フッ、19はアクメハーブドランカーだからね、いつも持ってるし、常にキマってるわ」

 

かつて、彼女は誰よりも真面目で、誰よりも優しく、誰よりも責任感があり、誰よりも頑張り屋さんだった…

そんな彼女が頑張る為にアクメハーブにハマったのも基地高度成長期の弊害と言えよう

 

「ダイジョーブダイジョーブ、すぐキマるのね」

 

「ヤダ!!ヒィィ!やだ!アクメしたくない!」

 

イヤがるフーミンくんにハーブをキメようとしていたバカな先輩達にやめんかとゲンコツを叩き込んだ俺はフーミンくんに大丈夫かね?と紳士的に尋ねた

 

「うるさい!!大丈夫なわけあるか!センパイ達もテイトクも●ね!」

 

フーミンくんは●ね!●ね!と連呼しながら走り去った

 

「オイオイオイ、168クンよ、コイツはまたズイブンと手のかかるナマイキガールじゃねーの?」

 

「だからそう言ってるじゃない、ヨナタスは素直で可愛いのにゲロしゃぶときたら…」

 

「いや、たぶんそのゲロしゃぶとか言うアダ名が悪いんじゃないのかね?」



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MA3作戦

全三海域なら小規模、そんなふうに考えていた時期が、俺にもありました

【登場人物】

提督(中佐)
忘れがちだけど、未だに大佐に戻れない中佐
好きな超人技はアトランティスドライバー

五十鈴(いすゞ)
人類最強の潜水艦狩りの達人、おっぱいが大きい
性格はわりとキツめで口は悪いが人情家でおっぱいが大きい、長女の影響か、ナイスガッツ寄りの思考をしておりおっぱいが大きい


うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!なにが小規模だ!てめえの小規模はでたらめだよ!と、言いたいのはいつものコト、もはや1海域3ゲージ時代が当たり前となり、それを普通なコトだと受け入れてしまっている異常…

 

まぁ、それはそれとして、当基地には一つの格言的なものがある、それは……

 

“開幕に五十鈴が先発しないイベントはやたらと苦しめられる”

 

ーーー

 

「おやおや連中、今回はとんでもない手を打ってきたらしい」

 

「執拗なまでにイヤな編成組んできましたね」

 

「フーッ〜……相手の指揮官が代わったか?だとしたら相当性格悪いぞ、そいつ」

 

開幕初戦からまずは潜水艦で様子見のセオリーを無視した水上・陸上なんでもアリながらこっちの主力は絶妙に使いづらい状況を作ってくるとは…

 

「サミー、コーヒーくれ、冷蔵庫の」

 

「ご自分でどうぞ」

 

「じゃバヤ●ースでいいからくれ、キンキンに冷えたやつ」

 

「バヤ●ースですね」

 

秘書艦サミー子はメンドくさげに席を立ち上がると戸棚からグラスを取り、冷蔵庫の中にあったバヤ●ースのペットボトルを取り出した…

同じ冷蔵庫から出すのなら缶コーヒーでも変わらないだろうと言いたいところだが、コイツはコイツで妙なPRIDEがあるらしい

 

「で?どうなんですか?」

 

「集積地とか言ったか?あのメガネ、今回は相当仕上げてきやがったな」

 

「へぇ〜………うわ、耐久4200ですか」

 

「それでいてスピードも仕上げてやがる」

 

こっちのパンチをイイ感じに避けるその躍動感たるや、まさしく動けるデブ!

集積地用の必殺マシンである内火艇がファックすれば有効打を狙えるが、今回はその内火艇ファックに耐え得るタフネス、そして、その内火艇ファックをギリギリで避ける敏捷性を得ている…

 

この戦い、さすがにミカでもやや分が悪いらしく同じ睦月姉妹の皐月や文月が居てなお苦戦を強いられ……強いられ………

 

「強いられているんだ!」

 

「…はぁ?」

 

「フーッ~…まぁいい、それだけヤツらも必死だってコトだ、面白いじゃないか」

 

幸いなコトに、貯め込んでいる資材に関しては十分ある

そして、前回の反省を活かして今回は高さに定評のある秋月姉妹を多めに13名で登録してある、仮に、高さが求められてもどんだけ札が多かろうが対応できる秋月姉妹ワンポイントリリーフシステムは完成していると言っていいだろう…

 

「フーッ~………オイ、大鳳を呼べ、ヤツには初戦からバンバン投げてもらう」

 

「いいんですか?」

 

「問題ない、大鳳はいつでもイケるよう、4名で登録してある」

 

「はぁ、わかりました」

 

クックック、なめた真似してくれやがって……どうやら深海のクズどもにもわからせてやらないといけないらしい、この基地を統べる絶対支配者が誰なのかを

 

そんなヤる気と熱意にみちみちつつタバコの煙を窓に向けて吐き出していると、執務室の重厚な扉を開き何者かが入室してきた…ッ!!

 

「テイトクいる?って…タバコ臭ッ!!」

 

「おやおや、これはこれは五十鈴サンじゃないかね?珍しい」

 

やって来たのは開幕と言えば五十鈴サン、おっぱいが大きいと言えば五十鈴サンでお馴染みのおっぱいの大きい五十鈴サン、見てのとおり、おっぱいの大きい娘だ

 

「用があるから来たのよ」

 

五十鈴サンはサミーに冷たいお茶ない?と図々しく要求しつつお客様用ソファーに座った

 

「バヤ●ースかカル●スウォーターしかないですけど?」

 

「じゃバヤ●ースでいいわ、頂戴」

 

「フーッ~……で?五十鈴さんがわざわざ執務室に何の用かね?もしかして、提督をデートに誘いにきたのかな?ハハッ、マイったねこりゃ」

 

「そんなワケないでしょ、キモッ」

 

「キモくない、提督だ」

 

五十鈴さんはサミー子から受け取ったバヤ●ースを一口呷ってテーブルにグラスを置きつつ足を組み替えた

 

「今回は開幕入ってないし五十鈴の出番ないんでしょ?じゃ、休暇貰っていい?」

 

「却下だ、開幕入ってなくとも後半には投げて貰うかもしれんからな」

 

「別にいいじゃない、最近は別に五十鈴じゃなくても先制対潜できる子多いし」

 

「あーダメダメ!ダメったらダメ!」

 

「なんでダメなのよ!!理由を言いなさいよ!理由を!」

 

五十鈴さんはテーブルをダァン!し、テーブルの菓子皿に入っていたチーズおかきを俺に投げつけてきたが、残念ながら提督にそんなキレの悪いザコ回転は通用しないのでバッチリとチーズおかきを捕球した

 

「納得できる理由を言いなさい」

 

「別に教えてやっても構わんが、その代わり、五十鈴さんのパイオツを揉ませてくれるならな!」

 

「死ねッッ!!」

 

「オイオイ提督に対して死ね!はストレートすぎじゃあないかね?死ねは………もしかしてアレかね?ツンデレってやつかね?ハハッ、マイったなぁ、提督は五十鈴さんより名取クンの方が挿入不可避なんだがね」

 

「余計に死ねッッ!!」

 

何故五十鈴さんがここまでキレるのか?ハハッ、まぁ、アレかな?発情期ってやつなのかな?と考えていると、秘書艦サミー子が心の底から侮蔑と軽蔑の目をこちらに向けていたがたぶん気のせいだろう

 

「まぁまぁ、小粋なテイトクジョークなのだよ」

 

「全然小粋じゃないわよ」

 

「で~…あぁ、アレか?休暇がダメな理由だったか、ほら、アレだよ、アレ」

 

「アレじゃワカんないっーの」

 

「なんっーか、こう、ほら!アレなんだよ、たしかに、対潜水艦狩りはたしかに五十鈴さんでなくてもデキる、しかしだ、デキると言ってもそれは形だけだ、やはりチームには五十鈴さんがいないと皆から不満が……いや、皆の士気が上がらなくてな、うん」

 

対潜水艦部隊にはやはり人類最強の潜水艦狩りの達人にして対潜の絶対的カリスマ的存在である五十鈴さんがどうしても外せない、チームには五十鈴さんと言うヒーローが常に求められるのだ

 

「そこをなんとかするのがアンタの仕事でしょ!!」

 

「いや、そうは言ってもだねぇ…五十鈴さん抜きで対潜チームを組むと凄い不満と言うか、批難と言うか、クレームと言うか……うん、スゴくてね、生卵とか投げつけられたコトあるし」

 

五十鈴サン呼べねーならテイトクなんか辞めちまえ!とか言って叩かれるからな、マジで

 

「う~ん………でも、ほら、皆がいつまでも五十鈴に頼るのはよくないんじゃない?」

 

「それもたしかにあるが、アレなんだよ、一部の駆逐艦やら海防艦からすりゃ五十鈴はアイドル的存在過ぎてな、五十鈴さんのチームに入った!ってだけでみんなから羨ましがられるらしいのだよ」

 

「え?ウソ……?いやいやいや、さすがにそれは盛りすぎでしょ、ねぇ?」

 

五十鈴さんはいやいやないないそれはさすがにと苦笑いしつつサミー子から同意を得ようとしたが、サミーは、いや、それ結構マジなんですよと冷静で的確な答えを返した

 

「………え?マジで?」

 

「残念ながらマジなのだよ」

 

「いや、うん…残念ながらって表現にちょいイラっとくるけど、ふ~ん…ま、わかったわ」

 

「わかってくれて嬉しいよ」

 

「わかったと納得は別物だケド?」

 

五十鈴さんはテーブルの菓子皿からチーズおかきを1つ取り出し袋を開けて口に放り込んだ

 

「それはそれ、コレはコレよ、と言うか!どいつもこいつも甘えんなっーの、五十鈴だっていつまで現役続けるかわからないのよ」

 

「え?五十鈴さん引退考えてるの?」

 

「考えてるケド?なんか前にも似たようなコト話した覚えがあるんだけど」

 

「ダメダメ、ウチはテイトクの子を孕んだり孕まされたりしない限り現役退けない契約なってるから、契約破ったら違約金あるから」

 

「誰がオマエの子なんか孕むかっーの、って違約金っていくらなの?10万円くらい?」

 

「5億円」

 

「高いッッ!!!」

 

「5億払うか提督の子を孕むか、五十鈴さんの好きにするといい」

 

「……………分割払い可?」

 

クッ、さすがは五十鈴さんだ、そこまで孕みたくないかッッ!!提督の子を!

 

「現金一括払い、びた一文まからんぞ」

 

「クッ!なんてイヤな契約……!無効!そんな契約無効よ!通るわけがない!」

 

「それはどうかな?まぁ、五十鈴さんが良ければ提督のア●ル隷奴として再契約をするのもやぶさかではないのだよ」

 

「ゼッタイ、イヤ」

 

「なら金を払え、金を、5億」

 

「クッ!まるでヤ●ザみたいな手口ね!」

 

「知らなかったのか?海軍なんてほぼヤ●ザみたいなモンなのだよ」




なんやかんやで次回は第二ステージ、恐怖!地中海弩級水姫あらわる!!


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提督と山風とミズギダイバーズ・リライズ

第二海域を書くには気力が足りない

【登場人物】

提督(大人)
女子供にも容赦しない鉄拳の持ち主、良い子には甘い

山風(改二準備中)
海風姉ぇは口うるさいけど、まぁまぁ好き


夏は既に過ぎ去り、昼夜の寒暖差が身体のふしぶしを痛めつける今日この頃、当基地でも魔の地中海クルーズ-殺意の船出-と名付けられた海域作戦にボチボチ従事しており、日々執務室でファック!と叫ぶのが常態化していた

 

「サミー、コーヒーくれ、缶の」

 

「ご自分でどうぞ、あと、缶コーヒーなら冷蔵庫の中にはありませんよ」

 

「ファーックス!」

 

しまった、既にストックが切れていたか、また明石の店に行って箱買いでもしておかないとな、いや…むしろ俺は提督だ、この基地で最も尊き存在であり絶対支配者、電話一本で持ってこさせても良いのではないだろうか?

 

そんなイキでイナセな提督としてのあり方を考えていると、執務室の重厚な扉が勢いよく開き、特に招いてはいない侵入者が現れた…

 

「…なんだアレ?」

 

「ネコ…?じゃないですかね、毛がないですけど」

 

開いた扉からヌルリと入って来たのは………ネコ、しかもアレだなコイツは、たしか山風クンの飼ってる毛のないネコ

 

「…遊びにきたよ」

 

飼いネコに続き飼い主がヌルリと扉の裏から顔を出して執務室に入室してくると、飼い主はネコを拾い上げてお客様ソファーに座った

 

「山風クン、執務室は遊びに来るところじゃあないんだがね?それにほら、ご覧の通り、テイトクは忙しいのだが…」

 

「…息抜きがてら遊べばいいと思う」

 

「なるほど、息抜きがてらか…」

 

山風クンは今すぐ海に遊びに行きたいのか、麦わら帽子に白露姉妹特有のいやらし水着といったファイティン・スタイル…

まぁ、いやらし水着と言ったものの、水着と言う強力な武器に中身がついていけなければ意味はない、自分に合わない装備をしても効果がないぜ!と言うヤツだぜ

 

「…おっぱい大きい海風姉ぇも呼んでいいよ」

 

「そいつは魅力的な提案だな、なぁ?おっぱい大きい海風ねーちゃんのお姉さんの五月雨ねーちゃんよ?」

 

「それは、殺してくれって意味でいいんですか?」

 

「冗談なのだよ、小粋なテイトクジョーク」

 

いつの間にやら黒檀の執務机に刺さったカッターナイフを引き抜き、刃をキチンと収納して山風クンにコレ、お姉さんに返しておいてと渡してやった

 

「悪いが山風クン、提督はヒマ人ではなくてね、ヒマならおっぱい大きい海風ねーちゃんとかおっぱい平たい江風とかと遊びにでも行ってきなさい」

 

俺はポケットから財布を取り出し、紙幣を数枚抜いてコレでジュースでも飲みなさいとあくまで紳士的に追い払う努力をしたが、山風クンはナニが気に入らないのか、被っていた麦わら帽子を俺に投げつけてきた

 

「痛い!地味に痛い」

 

「…いつか返しにきて、いや、今すぐ返して!」

 

「ハイハイ、返しますよ、ってかね、大事なモノなら投げたりするんじゃないよ、昔から言うだろ?大事なモノは手放しちゃダメだよ〜って」

 

「…知らない、聞いたコトもない」

 

「だとよ、サミダッチ」

 

「まぁ、山風さんは昔から漫画とかあまり読みませんしね、あと、五月雨です」

 

三蔵一行に詳しい秘書艦サミー子はとりあえずお菓子でも出しましょうかと戸棚からお●つどきっ!の袋を取り出し、ついでに冷蔵庫のカル●スウォーターをグラスに注いで2つ下の妹、山風クンに出してやった

 

「…五月雨姉ぇはなんで水着着ないの?」

 

「なんででしょうね?水着グラの発注とかしてないんじゃないですか?たぶん」

 

メタいコト言うんじゃないよ、この子は…

 

「山風クンよ、それにはまぁ……アレだよ、高度に政治的な事情があるのだよ、うん、だからこう……なんだ?うん、あまりに聞いてやるな、うん」

 

「…わかった」

 

良かった、山風クンが聞き分けの良い子で

 

「…テイトク、ヒマそうだから海に行こう、おっぱい大きい海風姉ぇと一緒に」

 

前言撤回、まったく聞き分けが良くないよこの子、と言うかなんなのこの子は?たしかに海風ねーちゃんのおっぱいは大きいが、俺がおっぱい大きいだけに釣られるだけのおっぱい星人とでも思っているのか?

 

いや、まぁ、たしかに海風ねーちゃんはおっぱいが大きいだけではなく、どいつもこいつもプッツンしてるバカばっかの白露姉妹の中では頭一つ抜けた常識人であり美少女、仮に海風ねーちゃんが駆逐艦でなかったら初対面で1000%超えて2000%はブチ●してるのは最早常識…

俺の肉●器として毎日聖水を飲ませていただろう

 

「だから、俺は忙しいのだよ、ほら、帰った帰った、あといつまでもそんな格好してると風邪をひいてしまうぞ?早く帰ってまともな服を着なさい」

 

「山風さん、提督、今から明石さんの店に缶コーヒー買いに行くらしいので一緒に行ったらどうですか?お菓子買ってくれますよ」

 

「…じゃ、そーする、テイトク、いこ」

 

五月雨、おんどれェ……!2つ上の姉から援護射撃を貰い、山風クンは俺の袖をグイグイ引っ張り執拗に俺を動かそうとするッ!

 

「やめたまえ、袖が伸びちゃうのだよ」

 

「…じゃ、早く立って」

 

まったく、なんてワガママガールだ、いったい誰に似たのか?お姉さんの教育が悪いんじゃあないか?

 

「ハァ……仕方ない、ま、どのみち缶コーヒーは買わねばならんしな、オイ、サミーなんかついでに買うモンあるか?」

 

「単三電池ですかね?」

 

「単三電池な」

 

 

そんなワケで、気晴らしついでに山風クンと明石の店に買い物へと行った俺だったが、買い物に行く途中、執務棟と教育棟の中庭で水着でパーベキューをしているアメリカ人団体と遭遇、すでにデキあがっていたのか?アロハアロハ言いながら一緒にどーよと誘ってきた巨乳アメリカ人の前に、こちらもアロハしなければ無作法……と抜きかけたが、水着でも巨乳でもないアメリカ人軽巡からFuck!とガンメンがへこむ勢いで殴られた







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カラブリア岬沖海戦

第二ステージ、友軍来るまで勝てない情けないテイトクですまない…

【登場人物】

地中海弩級水姫(地中海)
久々に現れた水姫級でかつ地中海かナワバリのご当地深海棲艦、チームメイトを信じ、またチームメイトからの信頼も厚い


輸送!戦力!戦力!もはやトリプルゲージに+αは当たり前!初戦から息つく暇ない死闘の数々で精強にして果敢な海軍の猛者どもを苦しめる深海棲艦地中海ディフェンス部!

この戦い、いったいヤツらに何があったのかと問いたくなる悪魔的采配の数々は確実にその成果をみせていた……

 

深海地中海部隊主力水上打撃群…

色なし恋なし情けなしのこの海域を統べる深海地中海ディフェンス部所属期待のスーパールーキー

 

その名は地中海弩級水姫…ッッ!!

 

上位種の深海棲艦でありながら、あえて深海の名を冠していない彼女は深海棲艦でありながら深海棲艦を越えた故にその名に深海を冠していないとかなんとか…

 

『野郎ドモ!海軍ドモヲ滅ボセーッ!!』

 

『ウオー!弩級!弩級!弩級!』

 

『地中海!地中海!地中海!地中海!WOW!」

 

チームの士気は上々、かつてない仕上がりで仕上げてきたこの最高のチームに隙はない、自分を信じて今日までついてきた最高の仲間達と共にこの海を守り抜く!

その、アツい決意の下、海軍共を迎え撃つ準備は万端!

 

「おーおー、怖いコトを言いなさる」

 

「赤城サン、アレ、全部死刑でいいんですよね?」

 

凶悪かつ面倒なTrick&Trapを越えついに姿を見せた海軍機動連合の主力部隊…ッ!!最強最悪と名高い基地空母界の力の暴君、閻魔の一航戦率いる凶悪機動連合

 

二航戦(ドラゴンズ)のボケどもが多少痛めつけてくれてるみてぇーじゃねーの」

 

「ま、才能ねーカスどもなりに良くやった方じゃねーの?」

 

ここまでの戦い、先発したのは基地空母界のエリートチンピラ空母、二航戦に雲龍を加えた凶悪陣形(フォーメーション)、ドラ●ン・T・ブレイカーで攻め続けたがものの、やはり最大火力・機動力となるとやはり一航戦しかいない

ここまでキッチリと抑えてきた二航戦を代える判断で勝負に出たのだった…

 

「オイカスども、オレらの視界に入るなよ」

 

「間違ってブチ抜かれても知らねーからなァ」

 

◆◆◆

 

昼夜の寒暖差を強いられている初秋の執務室…

 

「フーッ〜…どうだ?ヤツらは」

 

「さすがに5スロ空母は伊達じゃないですね、これはイイ感じにアレしてくれそうですね」

 

「そうかそうか!ガハハハ、グッドだ!」

 

まだ最終ステージを残し、あのチンピラどもをここで使うには少々躊躇いがあったが交替は間違いではなかったな、ここで流れを掴んでキッチリとシメておくのが理想的展開…

 

今回の海域作戦、あのスナック感覚でやたらと出てくるネ級改…?だったか?あのヤローの鬱陶しさはハンパではない、下手な姫級よりよっぽど手強く厄介な存在ゆえにここまで苦しめられてきたが………ここからはそうはいかんッ!!

 

「あー…今、お腹にイイの入りましたよ、コレ」

 

「さすがだな、あのクズどもは」

 

その、クソ厄介な存在でネ級改をわからせる驚異のハードパンチャーである赤城と加賀、その一撃は当たりどころが良ければイッパツであのネ級改がゲロまみれになりかねない驚異の破壊力…ッ!!

そして今、現場からの中継に映る画面には加賀の容赦ないお腹パンチでバカなナメ●ク星人みたいに転がった…

 

「でもアレだけ勢いよく刺さって不思議と貫通しないんですね」

 

「ゴムみてぇに柔らかいんじゃないのか?たぶん」

 

普通に貫通腹パンだと即死技だしな、ウチで躊躇いなく貫通腹パンするのは由良さんぐらいだろう

 

「しかしこの勢いならいけそうだな」

 

「そうですね、この勢いに加えて、どこからともなく現れる友軍パンチさえあれば…」

 

「ガーハハハハハ!!今日こそ終わりだなァ!!地中海なんとか姫ェ!!」

 

◆◆◆

 

深海主力部隊 VS 海軍主力部隊の死力を尽くした真剣勝負…!!

 

『スコシハヤルナァ…!ダガ…コレカラガドキュウ…ノ

ホンッバン!!』

 

ここまでの戦いでチームは既に壊滅状態!!もはや戦う力を失ったが気力だけで最後まで立っていてくれたネ級改も遂に倒れた…

 

地中海弩級水姫は考える………この戦い、おそらく負けるだろう…ネ級改、ヌ級、タ級、リ級、ツ級、ハ級、イ級……こんな弩級なだけの自分を信じ付いて来てくれた、みんな最後まで果敢に立ち向かった最高のチームメイトだ…

あと、途中で腸ヘルペスの為にチーム離脱したヌ級に代わり無理を押して駆けつけてくれた空母おばさんにも感謝しなくてはならない…

 

弩級には弩級の意地がある…ッ!そう、まだチームは負けていない!膝ガクガクで吐き気が止まらないし目眩がするけど、自分が立っている限り負けてはいないのだから!

 

『コイヤァ!!海軍ドモォォォォォ!!』

 

PRIDEを力に変え、最後の戦いに挑む!!

 

「うわ、大破してるのに立ってるとかホント無様、ほら頑張れ♪頑張れ♪ざこDQNガンバレ」

 

最後の気力を振り絞り立つ地中海弩級水姫に対し、グレカーレは得意のメスガキドライブで急接近し、必殺のメスガキシュートで地中海弩級水姫の股間を蹴りあげた

 

ゴギャツ!!(メスガキシュート)

 

『〜〜〜〜〜〜ッッッ!!』

 

「ほら!死ねっ!イケ!イッちゃえ!駆逐艦に股間蹴られてイッちゃえ!駆逐艦に股間蹴られてイッちゃうとかホントブザマ!これで水姫級とか各方面に失礼だよね?死ねよ」

 

『ッッッ!!マダマ…ッ!!』

 

「ゲッ!?耐えた!?」

 

悶絶必死!キマったかと思われた必殺のメスガキシュートに両膝を折りかけた地中海弩級水姫だったが………耐えた!!その一撃に!

 

『ソウジャ……タオレルワケニハ、タオレルワケニハ…』

 

「チッしゃーなしか、英国人!アレでトドメさすわよ!」

 

グレカーレは地中海弩級水姫を釣鐘固めに捕らえて回転しながら上昇すると同時に、グレカーレから合図を受けたジャーヴィスも空中に跳ぶ!

 

『ウゲェ!!?』

 

地中海弩級水姫の四肢をロックしたグレカーレの両脚を下側からジャーヴィスが手で固定!さらにジャーヴィスが地中海弩級水姫の背中側に両足を差し入れて踏ん張ることで相手の両腕への締め上げをしつつ強烈な縦の回転をかけ一気に海面に向けて落下し、地中海弩級水姫を海面に飛び出ていた石柱に激突させたッ!!

 

グシャアッ!!!

 

『キャビホー!!』

 

グレカーレとジャーヴィスによる殺意の高いコンビ技により、タフで鳴らした強敵、地中海弩級水姫は血反吐をブチ撒けて海に転げ落ち、ブクブクと気泡を残して沈んでいった…

 

「ハッ!なかなかヤるじゃない!英国人!」

 

「アナタもネ!」

 

グレカーレとジャーヴィスはガッチリと手を組み、笑顔で友情をアピールした

 

さっそくこの勝利をDarling(フン!友情だと?キレイ事を並べて)に報告しなくっちゃあネ!(ニコニコするなよなあ!クズどもが!)



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提督と強そうで強くないチョット強い勇者たち

秋雲と明石のキレやすさは書きやすいけど読みにくい

【登場人物】

提督(仮)
自称ハンサムのハンサムな提督

秋雲(仮)
自称少年漫画家のキレた駆逐艦、天然ではなく科学的な甘さが好き




「たまにはクッソ甘いイチャラブものを描きたいと思うんすケド!」

 

「…ハァ?」

 

「思うんすケドー!!」

 

頼んでもないのにバカしか来ない執務室…

軍なんてヤクザな仕事から早く足を洗い、金やちやほやして欲しいからではなく読んで貰う為に漫画を描く!史上、最もアツかりし少年漫画家(自称)秋雲のバカがやって来た…

 

「ま、いいんじゃねーの?オマエだってたまには筋肉とか硬派とか以外描きたい気分だってあるよ」

 

秋雲の漫画は好きに描かせると基本“殺人上等!オレら無敵の未成年だぜーっ!”が基本のアレな作風ではあるが、原作を付けると一応それなりにマトモになる

 

しかし!その弊害なのか、たまには好きに描かないと頭の古傷から変な汁が出るらしく、原作付きでもおかまいなしにワケのわからん超展開に突入し、オチが常に“でたな!ゲ●タードラゴン!”になり原作者と揉めるらしい

 

「そーゆーワケで、なんか無いっすか?」

 

「ねぇよ、誰に対してイチャラブ求めてんだテメーは」

 

「そーっすよね」

 

「そーっすよね、じゃないよテメーは、俺にイチャラブの才能がないっーのかテメーは、各方面に対して失礼だよね」

 

「どっちなんすか!?」

 

このクソヤローが、とんだ失礼だよコイツは…

まぁいい、全て許そう秋雲、何故なら俺は心の広いハンサムな提督だからだ

 

「で?なんだって?イチャラブ的なもの描きたいと?」

 

「そーなんすよ、読者の心が思わずキュンキュンしちゃう激シコなヤツを描きたいすね!」

 

「ナニが激シコだよ、オマエはラブコメをなめてんのか」

 

「なめてねーっすよ、この秋雲!アツい少年漫画を描きたい一心と同時に、少年達の股間をカチンコチンにするアツい少年漫画のギリギリを攻めたい気持ちがMORI-MORIなんすよ!」

 

「その意気や良し!熱意や良し!まっこと!天晴れなり!」

 

俺はそんな秋雲に心意気を感じ、まこと痛快なり!褒美をとらすと菓子皿に入っていたチ●コパイを2袋、秋雲に投げつけた

 

「ありがたきしあわせーッ!」

 

秋雲は上手にキャッチしたチ●コパイの袋をWILDに開けて口に放り込んだが、さすがにイッキにイキすぎたか、喉に詰まらせたらしくその場で苦しみだした

 

「みふっ!!めふん…っ!みぶ…!!」

 

「え?なんだって?」

.

秋雲は俺の机に置かれていたティーカップを無造作に掴み、中身の液体をWILDに己の口に流し込んだ、が……

 

「ブーッ!!マッズ!なんすかコレ!!我慢したら飲めないコトはないけど喉を通る度に不快感と吐き気を感じずにはいられないッ!!」

 

ティーカップを机に叩きつけた秋雲はなんか口直しするモンねーっすか?と図々しく秘書艦サミー子に聞いた…

 

「ないです、あと秋雲さんにはわからせが必要みたいですね、本当に美味しいコーヒーってヤツを…」

 

「え?なんでキレてるんすか?」

 

◆◆◆

 

本当に美味しいこだわりの本格コーヒーについてわからせられた秋雲を連れ、口直しにマミー屋にでも行ってエネルギー充填っすか!と執務棟と教育棟を繋ぐ中庭の廊下を歩いていると、あまり見覚えのない外国人みたいなのがウロウロしているのが目についた…

 

「提督、外人すよ!外人!しかもPRIDE高そう」

 

「然り」

 

誰だっけか?あの娘、見覚えがないとか言ったけど、一応見たコトあるんだよな、たしか〜……なんだっけ?あぁ、そうだ、女王陛下の料理人とかなんとかの…

 

「あら?Admiral………と、誰?」

 

「秋雲さんすよ、なんなんすかこの人、超失礼すね」

 

「ごめんなさい、まだニホンの駆逐艦は見分けがつかなくてね、アナタは……ユウグモ型?」

 

「陽炎型っすよ」

 

「カゲロウ…?」

 

秋雲を見てカゲロウ?ウソでしょ?みたいな顔をして右手を顎に当てて首をひねっているこの娘は英国出身、女王陛下の料理人のシェ……シェ、シェーフィーくん?だっけか?たしか

 

「シェーフィーくんはこんなところでナニやってるのかね?」

 

「Sheffield、キミに愛称で呼ばれる間柄じゃないと思うけど?馴れ馴れし過ぎない?」

 

「そりゃ失礼したね、えー……Sheffieldクン」

 

「クッ、ムダに良い発音…ッ!」

 

バカめ、提督はフランス語はからっきしだが英語はちょっとイケるクチなのだよ

 

「で?そのシェフィールドくんはこんなところでナニをやっているのかね?」

 

「別に……大したコトじゃないケド」

 

今、反射的にシェフィールドくんが隠そうとしたのは手にしていた紙袋、なるほど……何かの取引か、もしくは紙袋の中の“彼女”とピクニックでもしていたのか?

ま、どちらにせよ提督には興味もないしどうでもいいコトだ、君子は危うきには近寄らない、すでに提督の護身は完成しているッッ!!

 

そんな完全護身体質の完成を感じていると、ベンチの辺りにある草むらから小汚いネコが姿を現し、シェフィールドくんの足に擦り寄った

 

「あ、え〜……えっと、野良ネコかな?ハハ…困るね、こんなところに野良ネコなんて」

 

シェフィールドくんはあきらかに動揺した素振りで不自然に笑い、手にした紙袋をベンチに置いた

 

「秋雲」

 

「なんすか?」

 

「卿の意見が聞きたい」

 

「ハッ…!おそらくは、ツンデレ、ではないでしょうか?」

 

秋雲曰く、この英国人、おそらくはこの中庭に住み着いている野良ネコの存在を予め知っており、野良ネコと知りつつも餌付けするべくお手製のsandwichなどを用意しここへ来たのではないか……との考察を述べた

 

そしておそらくそれは真実(まこと)であろう

 

「古来よりの伝統芸、不良はネコに優しいと言うギャップ、それ即ち、普段は対人関係にてツンツンしてるカノジョがかわいい小動物にだけみせる本心の笑顔、そんなカノジョの本当の顔を偶然知った主人公は…っ!」

 

「素晴らしい洞察力だ、褒めてつかわす」

 

「ありがたきしあわせーっ!」

 

俺はポケットから取り出したチューインガムを秋雲に渡すと秋雲はそれを恭しく受け取った

しかし秋雲よ、100点満点に近い解答ではあるが、あえて補足をするなら、主人公(ただしイケメンに限る)が必要だろう

仮に、主人公(根暗+陰キャ)だとうさんくさい催眠アプリとか使う系になるからな!

 

「や、ホント、なんでもないから…うん、ホントなんでもないから」

 

野良ネコがシェフィールドくんお手製サンドイッチを狙ってピョンピョン飛び跳ねているが、シェフィールドくんはあくまでシラを切る構え…

 

だが、ここでグイグイいくコトは紳士じゃあない、提督はクールに去るぜ

 

「…秋雲、行くぞ、早くしないとマミー屋の期間限定特製ジャンボパフェが売り切れてしまう」

 

「ヘヘッ!そうっすね!売り切れちゃうっすね!」

 

俺の考えを理解したか、秋雲はヘヘッとまるでイタズラっ子のように鼻の下を掻いて歩き出した

 

そう、マミー屋に期間限定特製ジャンボパフェなんてメニューはない!クールに、そして自然にこの場を去る為のクールな嘘!

 

俺たちは不自然な笑いを浮かべるシェフィールドくんにアデュー!と別れを告げ、あくまでクールにマミー屋へと歩き出したッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甘いモン専門高級スイーツ店、マミーヤ…

 

「ジャンボパフェですか?ありますよ」

 

「あるのかよ!」

 

「1つ29800円ですけど?」

 

「しかも高けェ!!」

 

とりあえず1つだけ注文し、秋雲と分けて食ったが途中で胸焼けしそうになり、吐き気すら催した



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増援輸…(我以外の全ての時間は消し飛ぶ)続続続続続続続続続続続続続続・提督と新人と面接

月末だったり仕事が立て込んでたり事故ったり四半期だったり、手ぇ抜いたワケではありませんわよ!手ぇ抜いたワケでは!

色々ありましたが今回のイベントも漏れなく全員配属

【登場人物】

長鯨(妹)
プッツン潜水母艦、迅鯨くんの妹

Conte di Cavour(ロリでない巨乳)
イタリア人の大きな胸の小さなセンパイ

第三〇号海防艦(みとしゃん)
哀しき存在その2

Victorious(女騎士)
Arkとは違い、ア●ル激弱の女騎士、もちろん媚薬にも弱い



ジブラルタル沖、地中海、マルタ島沖へと続く息つく暇ない連戦と死闘の数々、とりあえずビールと枝豆並みに軽い気持ちで繰り出されるネ級改をなんとかやりすごしつつもチームは遂に最終決戦のステージへと進んだ

 

地中海最終決戦、VS深海地中海空母機動部隊総旗艦!

深海地中海軍団を率いるのは欧州シリーズの新たなる刺客!欧州装甲空母棲姫…ッ!

 

『ウォー!ミサラセ!コレガ欧州装甲空母棲姫ノ男ジャー!』

 

『オ、欧州装甲空母棲姫クーン!』

 

『ア…アイツハ立派ダッタ、誰ヨリモ勇敢デ、誰ヨリモ強ク、ソシテ誰ヨリオレ達深海棲艦ノ事ヲ考エテ…!』

 

『オレ達ノタメニ…ッ!』

 

◇◇◇◇◇◇◆◆◆◆◆◆◇◇◇

 

「今日の面接は4名です」

 

「へぇ…」

 

秋の始まりだと言うのに日中はまだまだ暑い初秋の執務室…

ついさっきまでクソみてぇな海域作戦について頭を悩ませていた気がするが、空の雲はちぎれとんだ事に気づかず、消えた炎は消えた瞬間を炎自身さえ認識しない!

“結果”だけだ!!この世には“結果”だけが残っている…っ!

 

「ちょっと待て!今、たしかに時間が跳んだぞ!ボスだ!」

 

「ハァ?ナニ言ってるんですか?イカれてるんですか?」

 

間違いない、コロッセオの男が!今!ボスの射程内に入ったんだ!早く伝えなければ、ザラ姉ぇに!!

 

「オレはイカれてない、まだ最終海域の決戦篇があって楽しいお給料タイムがあって恒例の宴だー!をやっていないじゃあないか!?」

 

「ナニ言ってるんですか?海域作戦の最後は雪風様の連携射撃ショットガン・エアシュートからの絶対破壊攻撃(アブソリュートブレイク・ショット)、ファイナルエアシュートショットガンマグナムフレシェットでBOSSの内臓ブチ抜いて、お給料タイムは女王陛下に忖度して、宴だー!の時は白露姉さんの乳揉みながらこのおっぱいで長女はムリでしょとかセクハラして鼻に肘貰ってたじゃないですか、忘れたんですか?」

 

「忘れてない、だが、そんな事実は知らん」

 

いや、だが…たしかに言われてみるとそんなコトがあった気がする…そう、あった

しかし過程がすっ飛ばされているせいか、結果だけがこの世に残ったのか…!

 

「ナニワケわからんコトばっか言ってるんですか?今から新人さんの面接なんだからもっとビッ!としてくださいよ、ビッ!と」

 

「ん?あ、あぁ…」

 

とりあえず面接の前に執務室の姿見で今日も自分がハンサムであるコトを確認し、とりあえず今回の新人面接へと臨む!ちなみに、資料はザラっとしか見ていないがなんとかなるだろう

そんな事を考えていると、まずは最初の刺客が入室してきた

 

「迅鯨型潜水母艦二番艦、長鯨です!いつも姉が大変お世話になっています!はいっ!」

 

「姉…?」

 

おやおや、これはこれはいきなりKAI-KATSUそうなお嬢さんだなコレは、え〜……手元にある履歴書的なものを見るに、彼女は長鯨、独身、仕事はまじめでそつなくこなすが今ひとつ情熱のない潜水母艦、なんか妹っぽい気品ただよう顔と物腰をしているため童貞督にはモテるが潜水艦からは配達とか使いっ走りばかりさせられている、悪いやつじゃあないんだが これといって特徴のない……影のうすい潜水母艦か…

 

「あぁ、あのジンゲーくんの妹か」

 

「そう!その迅鯨が私の姉です、その……姉がなんかやらかしたりとか、ご迷惑とか…?あ、いやいや、そーゆー意味でなくて、警察沙汰とか刃傷沙汰的な…」

 

「迅鯨クンならウチで真面目に働いてるよ、うん」

 

「ホントですか!?」

 

何故驚く…

 

「そっかぁ、そうなんだぁ……あ〜……良かったぁ、いつも身元引受人とか裁判所から連絡来ないかビクビクしながら生活してたんで」

 

「そうか、キミも大変だな」

 

「…………はい」ポロポロ…

 

泣くほどかッ!!ま、まぁ…迅鯨クン、刃傷沙汰が無いとは言わないが、今の彼女は闇ギルドから来た美しき暗殺者によるプロの手口で洗脳調教され比較的真面目で大人しい無害な存在になっている

まぁ、神州丸クンのハナシだとあの娘、精神力がハンパないらしく、本来なら洗脳は一度で済むが、彼女の場合は定期的に強い薬品と暗示による洗脳の上書きが必要らしい…

 

「ありがとうございますっ!ありがとうございますっ!」ポロポロ…

 

「いやいや、そんな頭を下げなくても…」

 

「姉が…っ!あの姉が!真人間に生まれ変われるなんて…っ!正直、どこの鎮守府でも基地でも受け入れ拒否されて、それでもうホント、ここが最後の希望で…!どんなワルでも更生してくれるって紹介されて…」

 

「いや、ウチ、そーゆースクールじゃないから」

 

「あ、コレ、今日手土産にって持ってきた、お菓子です皆さんでどうぞ!」

 

そう言って長鯨クンは手提げ袋から取り出した、お●つどきっ!の袋を執務机の上に置いた

なんとまぁ、これまでアレな姉に苦労してきたせいか、よくデキた妹さんみたいだな

 

「ま、長鯨クンはとりあえず戦力的にはあまり期待してないのでファームからスタートしてもらうが…」

 

「大丈夫ですっ!」

 

「そ、そうかね」

 

ーーー

 

明朗KAI-KATSU妹系お嬢さん、長鯨クンが退室し続く二人目の挑戦者を待つ執務室…

退室前、長鯨クンは涙ながらに本当にありがとうございます本当にありがとうございますと何度も頭を下げオレの手を握って心から感謝していたが、これはもうアレだろうか?もしかして長鯨クン、あれだけオレに感謝するってならちょっと頼めば服を着たままヤらせてくれそうな気がする

 

そんな恩着せがましいコトを考えていると、執務室の重厚なドアを叩き、次なる挑戦者が入室してきた!

 

「Conte di Cavour級戦艦一番艦!Conte di Cavourよ!」

 

「ハァ…?え?なに?コンテデカブール?」

 

「Conte di Cavour」

 

よくわからんがわかった、しかしだ……え?なんだって?コイツ、さっき、自分を戦艦とか言ったか?

 

「オイクソガキ、自分を戦艦だなんて、ウソはいけないなぁ」

 

「誰がクソガキよ!あと、ワシは戦艦よ!」

 

ナニ言ってんだコイツ?その低身長で戦艦はムリでしょ………と思ったが、低身長には不釣り合いなおっぱいだなオイ

 

とりあえず手元の資料を見るに、マジで戦艦らしい…

アレか?ロリ巨乳ってやつか?ふむ、まぁ………提督はたしかに巨乳は好きだがロリ巨乳にはあまり興奮しないのだがね

 

「あと、ワシは見た目背が低くて若く見られがちだけどガキでないわ!」

 

「ワシ(笑)」

 

「笑うなッ!!ワシがアホみたいじゃない!?」

 

「いやいやすまんすまん、え〜…マクールくんだっけ?」

 

「Conte di Cavour!えぇい、この際Cavourでいいわ」

 

「へいへい、カプールくんね、カプールくん、出身はアレかな?マウンテンサイクルかな?」

 

「Italiaよ、ってかここには他にもItaliaの若い子らがいるんでしょ?」

 

「居ますよ、っーか若い子って……え?ナニ?キミ、何歳なの?」

 

「フフン♪何歳に見える?」

 

キャバクラトークかっーの、しかしコイツ、ロリ巨乳じゃなくてもしかしてロリBBAってやつなのか?いや、たしかによく見ると髪の毛とか真っ白だしな

 

しかしだ、ウチにはおそらく最低でも千年は生きているであろう雅な御方、初春様もおられるのでそう珍しいコトではない

 

「フン、まずは156㎝になってから出直してこい、その時に改めてパイ●リしてやる」

 

「イヤよ、なんでアナタにパイ●リしなきゃいけないの、死ね!まずはそっちがAmoreするのがスジでしょ!」

 

「俺が?キミに?」

 

「うわっ、メチャメチャ腹立つ!」

 

ーーー

 

イタリアからの新たなる刺客を退け、本日の折り返しとなる三人目…

 

「丁型海防艦、その十五番艦、第三〇号海防艦です」

 

「ほぉ……海防艦、か」

 

まぁ、どう見ても海防艦だよな、これで実は戦艦ですとかさすがに無いだろうが………いや、そんなコトはどうでもいい、え?今、なんっつたこの子?海防艦30号…?

 

「え〜……すまない、もう一度名前を聞かせてもらっていいかね?」

 

「え?あ、ハイ、第三〇号海防艦です」

 

あー………そっかそっかぁ、そーゆー系の子かぁ~

いや、知ってるよ?前にもほら4号クンだっけか、そーゆー哀しき存在もいたしね、まぁ、4号って名前だから最低でも1号から3号はいたんだろうが、まさか30号かぁ~……そんなに実験しちゃってたかぁ~

 

哀しき存在過ぎるだろッ!!プ●トゥエルブよか姉妹多いじゃねーかッ!!軍の闇が深過ぎる!!

 

提督の予想では、この子や4号クンは軍が秘密裏に行っていた非人道実験の実験体、親も、兄弟も、名前すらなくナンバーで管理された哀しき存在、過酷な実験を生き残った者がキ●グ・ブラッドレイになるのだ…

 

「サミー…彼女に冷蔵庫の中にあるティラ・ミスを出してあげなさい、あと、オレンジジュースを」

 

俺は女子供にも容赦しない鉄拳の持ち主だが、彼女達のように人の愛を知らずに育った哀しき存在にはさすがに情が湧く、そう、これからはもうナンバーなんかで呼ばれなくていいんだ!キミはキミさ!

 

「はい、どうぞ」

 

「わぁ、ありがとうございます………美味しいです!」

 

おそらく初めて食べるであろうティラ・ミスに思わず笑顔になる30号クン、俺はそんな30号クンの頭に手を置き、立って歩け!前へ進め!とアツくこれからのキミに期待していると激励の言葉をかけてやった

 

「キミはもう自由だ、もしカツ丼が食いたくなったら提督に言いなさい、死ぬほど食わせてやる」ニカッ!

 

「あ、はい、ありがとうございます…」

 

ーーー

 

哀しき存在との邂逅、秘書艦サミー子がもしかしてロリ●ンなんですか?とディスってきたので俺はロリ●ンじゃないと懇切丁寧に返していよいよ本日の最後、四人目…ッ!!

 

「私がAircraft Carrier HMS Victorious、フッ…お前がテイトクか、Arkから話は聞いている」

 

よもやよもや……最後の最後にやって来たのが頭とア●ルの弱そうな騎士様か、ふむ、ビクトリーアースか、なんか子供向け巨大ロボみたいな名前だな

 

「えー…ビクトリーアースくんは何かね?空母?それとも騎士?」

 

「Victorious、発音は少々気になるが……フッ、やはりArk程度の田舎者が気にいるだけのコトはあるわね」

 

「そいつは失礼したな」

 

たしかアークロイヤルはああ見えて貴族階級出身ではなく普通の田舎から立身出世で騎士を目指して田舎を出て、努力と運もあり、女王陛下の騎士にまでなったとか聞いたコトがあるが…

 

どうやらこのビクトリーアースくんは違うらしい、もうなんと言うか、見るからにイイトコの貴族出身ですと自己主張してる金の巻き髪、しかし生まれに胡座をかくワケではなく相応の努力をしてきた!と感じさせる溢れる自信

おそらくはゴブリン程度ならなめてかかって痛い目をみないとワカらないタイプだろう

 

「しかしArkだけではなく、我が女王陛下がキサマには目をかけているというのも事実」

 

「はぁ、そうすか」

 

「フッ、我々Royal knightsは甘くないぞ」

 

いや、そのロイヤル騎士団に入団してもないし、したくもないんだが…女王陛下には悪いが俺はやはりキュウシュウダンジ、騎士ではなく、SAMURAIの血が決して騎士にならないと言っている

 

「まぁ、よかろう……テイトク、いずれ近いうちにキサマの実力を見ておきたい、私の稽古に付き合ってもらう」

 

「え?やだよめんどくさい」

 

「メンド…!?え?ちょ……ちょっと待て!今、私との稽古が面倒だと言ったのか!」

 

「言いましたが?」

 

「クッ…!」

 

ビクトリーアースくんはこちらを睨みつけ付けていた手袋を抜………抜かない、止めた!ホイホイ決闘を挑まない一流のPRIDE!

 

「クッ…!このVictoriousが直々に稽古をみてやると誘う事がどれほど名誉な事がわからないとは、フッ、フフフ…!キサマぁ!後悔するぞ!」

 

ビクトリーアースくんはなんか英語でメチャメチャ捨て台詞みたいなのを吐いてブリブリ怒りながら去って行った…

 

ーーー

 

「オレ、またなんかしちゃいました?」

 

「ヴィクトリアスさんメチャメチャ怒ってましたね」

 

サミー曰く、たぶんあの人、友達少ない上にめっちゃプライド高そうだし、今までお誘いを断られたコトなかったからプンプンしちゃったのでは?と冷静で的確な意見を述べた

 

「なるほど」

 

「しかもアークロイヤルさんを一方的にライバル視してて、そのアークロイヤルさんとステディな仲と噂のテイトクをメロメロにしてアークロイヤルさんにマウントとろうとしてた系ですね、アレは」

 

「オマエすげーな」

 

なるほど、そう考えると不思議と合点がいく気がする

 

「サミュスラン、卿の意見を是とする」

 

「あ、今日は姉妹で焼き肉食べに行くんでこれで上がります、あと、五月雨です」

 

「うむ、おつかれ」





次回…

山風………男の顔になったな


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提督と山風改二轟臨

山風、男の顔になったな…(世紀末感)

【登場人物】

提督(クズの人)
歪んだクズである事に対する自覚はある

海風(七女)
五月雨の1つ下の妹、場合によってはグイグイくる(物理的に)



「オイ、ここに挿入れといた設計図と戦闘詳報知らねーか?」

 

「はぁ?知りませ………あ、それなら山風さんが欲しいって言うからあげましたよ」

 

「ファーックス!」

 

ナニがあげましたよ?じゃないんだよ!設計図と戦闘詳報はガキのオモチャじゃないだよ!落書きする紙がいるならチラシの裏紙でも使ってろっーのな、まったく…

 

「っーかなんだ?なんで山風クンがそんなモン欲しがるんだ?今まで興味もなかったのに…」

 

「さぁ?あ、そういや上から山風さんの改二実装許可出てるって連絡きてましたよ、FAXで」

 

「ファーックス!」

 

メールで送れよ!なんでそーゆーの今どきFAXで通達するんだよ!アナログか!上はこの高度情報化社会についていけてないんじゃあないのか?まったく、アタマの固い老人どもはこれだから困る、オレが中央で権力を握った暁には中央のクズどもを全員、芸術品に仕立てや……仕立ててやる!

 

そんな明るい未来について考えていると、執務室の重厚な扉が勢いよく開き、何者かが執務室へと入室してきたッッッ!!

 

「テイトク!!いますか!いますね!」

 

「キミは………海風ねーちゃん?」

 

勢いよく入室してきた勢いのあるパイオツ……ではなく、勢いのある駆逐艦、妹でありながら長女と言うキセキ、あらゆる面で旧型の長女である白露を上回る言うなれば新型の長女、海風クン…

 

その、海風クンは挨拶もそこそこに今日はなんの日だかご存知ですか?と尋ねてきた

 

「え?なんの日か…?いや、普通に平日だろ」

 

ビタンッ!(平手打ち)

 

「ダビデッ!!……い、いきなりなんなのかね?」

 

「今、山風が改二改装に入ってます」

 

「へぇ、そうなんだ……ごめん、興味ないから知らなかったよ」

 

ビタンッ!ビタンッ!(往復平手打ち)

 

二度もぶった……!!オヤジにもワリとぶたれてるのに!!

 

「い…痛いじゃないか?」

 

「山風、改装が終わったらきっとすぐに執務室に来ます、わかってますよね?」

 

「いや、わかってますよね?とか言われてもなぁ」

 

そんなすぐに改二ってのを見せびらかしたいって言うのかい?ハハッ、まるで子供だな………いや、子供か

 

「いいですか?提督は改二になった山風を見て、まるで今知ったような素振りで驚いてください」

 

「いや、今、改装中なんだろ?改二になるんだろ?」

 

「い い か ら!!そこは空気読んでください!わかりますね?」

 

海風ねーちゃんは俺のガンメンをアイアンクローで捕らえてメリメリして圧を加えるッ!!ってか痛い!マジで痛い!クッ、この細腕のどこにそんなパワーがッ!!むしろそのおっぱいで駆逐艦はムリでしょ!やめなさいよ!駆逐艦なんて!

 

「わかった!わかったのだよ!うん!わかったからちょっと力を緩めようなー!うん!提督は空気読める大人だからねー!うん!」

 

「話が早くて助かります」

 

海風ねーちゃんのパワー溢れるアイアンクローから解放された俺はにこやかに微笑み海風ねーちゃんの手をシェイクハンドし、秘書艦サミー子にちょっと耳貸したまえと手招きした

 

「なんですか?」ヒソヒソ…

 

「なんですか?じゃないよ!オマエ知ってたろ!今、妹が改二改装ヤってるって知ってたろ!!」ヒソヒソ…

 

「あ~…なんかふわっと聞いてましたね、ふわっと」ヒソヒソ…

 

「ナニがふわっとだよコノヤロー」ヒソヒソ…

 

この髪長駆逐艦めが、この俺をなめくさりおって…

本来ならこの俺をなめくさった駆逐艦には然るべき制裁を与えるところだが、まぁいい、全て許そう

何故なら俺は心の広いハンサムな提督なのだから…

 

俺は秘書艦サミー子に下がってよしとハンドシグナルで的確に指示を出し、改めておっぱいが大きい海風ねーちゃんに向き直り一つ咳払いを入れた…

 

「えー……話はよくわかった、うん」

 

「提督は山風におめでとうと褒めて甘やかしてやってください」

 

「え?甘やか……いや、提督は硬派な男なので甘やかしなどはちょっと…」

 

「甘やかしてください」カッ!

 

クッ!なんて覇気だ…ッ!!この俺が一瞬だけだが気圧された…!まさかこの駆逐艦、覇●色に目覚めつつあると言うのか!

 

「わかった、可能な限り善処しよう」

 

「わかって頂けて嬉しいです」

 

おっぱい大きい海風ねーちゃんは深々とお辞儀するが、故意か事故か、深々すぎてその驚愕の谷間を作るパイオツをガン見してしまうのは男児として恥ずべき事ではないだろう

 

「ところでテイトク、山風改二記念の何かプレゼントとか用意してますか?」

 

「え?してないよ、そんなモン」

 

ビタンッ!(平手打ち)

 

「メタスっ!………またぶった!」

 

この娘、ちょっと提督に対して気軽にビンタしすぎじゃあないか?クッ、ちょっとおっぱい大きいからって甘い顔してりゃツケあがりやがって、どうやらわからせが必要らしいな、この基地の絶対支配者が、誰なのかを…

 

「…まぁ、プレゼントはパーティーの時までに用意して頂ければいいとして」

 

「え?パーティー?なんの?」

 

「山風の改装記念パーティーですよ、姉妹でやろうってハナシになってまして…」

 

「サミー!!サミー子さーん!ちょっと!!ちょっとこっち来て貰っていいかなぁー?」

 

俺はサミーにちょっと耳貸してくれるかなー?とハンドシグナルで指示すると、秘書艦サミー子はイヤそう半分、メンドくさげ半分なツラをしつつやって来た

 

「オイ?!」ヒソヒソ…

 

「なんですか?」ヒソヒソ…

 

コノヤロー…さては最初から全部知ってやがったなコノヤロー、ふざけやがって…コモドドラゴンの巣に全裸で放り込まれても文句言えねーゾ!

 

「…プレゼントってナニ買えばいいんだ?明石んトコで買えばいいんだよな?」ヒソヒソ…

 

「甘っちょろ!やっぱロリ●ンなんですか?」ヒソヒソ…

 

「甘っちょろくもないしロリ●ンでもない、提督だ」ヒソヒソ…

 

そして山風クンはたしかに一見するとタッパはないがオマエよりも遥かに成長の“兆”があるのだよ

 

「とりあえず菓子パンとか買っといたらどうですか?」ヒソヒソ…

 

「雑ッッッ!!雑すぎか!」ヒソヒソ…

 

「山風さんなら提督からナニか貰えればなんだっていいんですよ」ヒソヒソ…

 

「…そう言うものか?」ヒソヒソ…

 

「そう言うものです」ヒソヒソ…

 

よくわからんが提督のカリスマ!があれば当然か…

俺は秘書艦サミー子に下がってよしとジェスチャーで指示し、海風ねーちゃんにお待たせしたねと声をかけた

 

「海風クンの言い分はよくわかった」

 

「わかって頂けて嬉しいです」

 

「それで?山風クンの改装はあとどのぐらいで終わるのかね?」

 

「3時間弱と聞いてます」

 

「ふむ、ならば時間は十分あるか……よし、私は先にプレゼントを購入しに行くとしよう、海風クンはその……なんだ?パーリーの準備とかそーゆーの忙しいだろう?すぐにそちらに取り掛かりたまえ、うん」

 

「いえ、もう準備は終わってますので、よければ提督のお買い物に同行しようかと…」

 

チィ!抜け出し失敗ってヤツか!!そんなコトを考えていると海風ねーちゃんは俺の腕を掴みグイグイ引っ張ってやわらか海風っぱいをグイグイ押し付けつつ、さぁ行きましょう!すぐ行きましょう!と俺を急かす…!

 

マズイな、海風ねーちゃんが付いてくるとなると菓子パンとかテキトーなモン選んだらまたぶたれる可能性がある…っ!そして提督はわざわざプレゼントを選ぶなど下等な行為はあまり好きではないのだが…

 

海風ねーちゃんにガッチリと腕をロックされてはいるが、この程度、下等艦娘ごときのロックなど完璧であるこの提督のパワーには…………って!!グゥゥゥム!なんと言うパワー!下等艦娘ごときのパワーから抜け出せん!

その秘密はおそらくはガッチリとした剛なるロックと柔らかなるパイオツの柔!!

 

「さ、行きましょう!五月雨姉さん、ちょっと提督をお借りしていきます」

 

「どうぞ、レンタル料は提督の命です」

 

「俺のかよッッッ!!」

 

◆◆◆

 

クソみてぇな店主がクソみてぇな商品を売るクソみてぇな店、みんなの店アカシマート

 

「ウヘヘ〜…明石サン、お酒、お酒売ってくださいよぉ〜」

 

「あら?アル中のポーラちゃん、いらっしゃい」

 

「コレ、コレで買えるお酒を…っ!」

 

そう言ってポーラがスカートのポッケから取り出したのはザラ姉ぇの厳しいお小遣い管理の目を盗んで貯めたなけなしのヘソクリ……しわくちゃになった千円札ッ!

 

「千円かぁ〜………ちょっと待ってくださいね〜」

 

たしか賞味期限の切れたボジョレーがあったハズ…

以前、ザラ姉ぇの厳しい目を盗み、提督におっぱい揉ませてお小遣いを貰ってワンカ●プ大関を買いに来ていたポーラだったが、色々あってバレた

ポーラは体内のアルコールが全部出るまで腹パンされ、提督は大地に頭がメリ込むほど土下座をさせられ、二度とこのような事はしないと血のオメルタを誓わされた

 

しかし…ッ!!

 

ポーラは諦めなかった!!深い哀しみと絶望にも負けなかった!!

 

「はい、ボジョレー」

 

「いいんですかぁ!?こ……こんな、1本丸々いいんですかぁ!?」

 

「いいのいいの、ポーラちゃんはお得意様だからね、お得意様は大事にしなくっちゃあ…」

 

「あ……あ……明石サン、明石サン、明石サァァァァン!なんて良い人…っ!善人っ!地獄に仏とはこのコト…っ!!」

 

「ポーラちゃん、地獄に仏とか難しい日本語知ってるのね」

 

ポーラは明石の手を握り何度も何度も感謝し、この恩は生涯忘れません!と涙を流し感謝した…

こんな救いのない世界にも神はいる、いや、希望はある!ザラ姉ぇと言う悪魔に背くと誓った日から!向かうべき正しい道はきっと必ずあるんだ!と…

 

「ナニやってんだクズども」

 

「ゲッ!テイトク…!!」

 

そんな圧倒的感謝に涙を流すポーラが店のカウンターでウヘウヘやっていると、やって来たのはメガネ男子……と、おっぱいの大きな駆逐艦

 

「ゲッ!とはなんだ?ゲッ!とは、またわからせが必要らしいなこのピンクは」

 

「ピンクじゃない、明石です、買い物ですか?菓子パンと缶コーヒーですか?」

 

「この俺がそう毎回毎回菓子パンと缶コーヒー買うとか思うなよボケ、だいたいなんだ?そのいやらし浴衣は?着たままヤるか?」

 

「いやらし浴衣ってなんですか、こんなのフツーでしょ、フツー、ってかまた珍しい子連れてますね、え〜……たしか白露ちゃん姉妹の、なんでしたっけ?ラノベヒロインみたいなツラした…え〜……あ、そうそうンミカゼちゃん!」

 

「発音が微妙にアレですけど……ハイ、海風です」

 

海風は深々と懇切丁寧にお辞儀をした

お辞儀した海風に対し、明石はこの子、やっぱスゲーおっぱいデカいなと思ったがそんなコトはゲスの考えだと忘れることにした

 

「で?なんですか?まさかンミカゼちゃん用に呪いの指輪買いにきたとか」

 

「んなワケねーだろ」

 

「指輪………いいですね!テイトク!指輪買いますか!指輪!」

 

「えぇぇ…!?いやいやいや、さすがにそれはちょっと」

 

「ナニ言ってるんですか!指輪を貰って嬉しくないハズありませんよ!明石さん、サイズ表ありますか?見せてください」

 

海風は明石にグイグイ詰め寄った

 

「え?マジで?提督、マジですか…?え?いや、まぁ、たしかにこの子、どちらかと言えば超可愛いしおっぱいデカいですけど……え?引くわ、硬派が服を着てるとか言っておきながら駆逐艦の子にとか、さすがにヒキますよ」

 

「オイピンク、勘違いするんじゃあない」

 

「じゃなんですか?遊びですか?ド●キで指輪買ってやンよ!的な…」

 

「遊びでもないしマジでもないし海風クンに指輪を買いに来たワケじゃない、山風用だ」

 

「もっと引くわ!!このロリペド野郎がッ!!」

 

「違うわ!!誰がロリペド野郎だ!ちょっと耳貸せ、1から10まで懇切丁寧に説明してやる、あと鏡に手をつけ」

 

「ケダモノか!!」

 

 

この後、明石にここまでの成り行きを1から10まで懇切丁寧に説明し、とりあえず誤解であることを納得した明石は、そんなコトならかわいい山風ちゃんの為に私も協力しましょう!と、店で1番邪魔そうなクソデカいベンガルトラのぬいぐるみを持って行ってくださいと押し付けてきた

 

ちなみに、明石の店にはロクなモンがなかったので仕方ないので提督は山風に使ってない万年筆をあげた



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提督と浦風と仁義なき仁義

最近は週一気味の週一ペース…できればもうちょい増やしたいけどスタミナの問題が

【登場人物】

提督(クズ)
好きな川はドナウ川

浦風(好感度13%)
好きな川は………いや、好きな川ってなんじゃ?川マニアか!


秋だと言うのに日中は暑いことにうんざりしつつある今日この頃、明石のクソヤローの店でパ●コを買った俺は時間的にはもう日陰になっているであろう教育棟の中庭で食うかと廊下を歩いていると、ベンチで浦風がうなだれている姿が目に付いた…

 

「よぉ、ナニしてんだコノヤロー?」

 

「ア゛ァ?って…なんじゃ、テイトクか、ハァ…」

 

「オイオイ、ナニ人の顔見てタメ息吐いてんだコラ、あ?アレか?俺に恋しちゃってんのか?ハハッ、マイったなコリャ、でもゴメンな、俺、オマエのコト身体は大好きだけど性格とかマジ無理だし」

 

「やかましいわボケ、ってかなんでウチがフられる形なんじゃ!そもそもこっちから願い下げじゃっーの」

 

「アァ?ナニが願い下げだコラ、ジョートーだよテメー、強制搾乳ループでイき死ぬ覚悟はデキてんだろーな?」

 

「ナニが搾乳ループじゃ、うちは乳の大きさは自慢じゃけどお乳とかでらんわボケ」

 

「でぇーじょーぶだ、乳首にそーゆークスリを注射したら出るんだ、俺は詳しいんだ」

 

さらに搾乳する度に絶頂に近い快感を得る効果を持つクスリがデフォルト(※個人の意見です)

 

「やかましいわボケ、死ね!」

 

「提督様に向かって死ねとはなんだ、死ねとは、立て、修正してやる」

 

「まずアンタが修正されとけや、ってうちになんか用か?無いならどっか行けやダボ」

 

「オイオイオイ、俺はこー見えてもこの基地で1番偉い人物だよキミぃ、上の口の利き方には気を遣ってもらいたいものだね、ンン?」

 

「いちいち言い方が卑猥やな、アンタ、下品な口しかきけんのか?」

 

「んなワケねーだろ、俺は大人だからTPOをわきまえる大人だ」

 

「まず、うちに対してTPOをわきまえーよ…」

 

俺は理解ある上司らしく何か飲むかね?と自販機のカル●スウォーターを奢ってやり、とりあえずベンチに座って浦風の背中から肩に手を回して右の乳を揉んだ

 

「で?どーした?ナニが悩みだ?金か?金の話か?」

 

「揉むなや!ナチュラルに揉むなや!軍のセクハラ相談ダイヤルに電話すっぞ!」

 

「それは困る」

 

浦風は俺の腕をペシペシ叩いて払い除け、カル●スウォーターのフタを開けてグイーッと上の口に流し込んだ

 

「ブハァ!うんめー!」

 

「そりゃ良かったな、あと、口の端から白くて甘いのタレてんぞ」

 

「おっと、そりゃいかんいかん」

 

浦風は右手で口の端を拭い、ついでに、その右手をスカートで拭った、ワンパク小僧かよ育ち悪いなコイツ…

 

「で?金の話じゃないなら何の悩みなんだ?男か?彼氏できたけどナチュラルに磯風にNTRれてヘコんでんのか?」

 

「なんでうちのカレシが磯風にNTRれにゃならんのじゃ!……ってか、カレシとかまだおらんケド」

 

「え?なんだって?最後の方よく聞こえねー」

 

「なんもないわボケ!死ね!」

 

提督様に対して死ねとは……なんてコト言うのかね、この子は、親の顔が見てみたいわい

 

「まぁ、えぇわ……アンタのしつこさに免じて相談に乗ってもらおーか」

 

「金か?」

 

「だから金の話じゃないわボケ、アレじゃ、朝、ちょっと浜風とケンカしてな…」

 

「100%お前が悪いな!それは!」

 

「なんでじゃあ!?まだ事情もナニも話しとらんじゃろーが!!」

 

「いや、お前が悪い!事情の説明など必要ない!死刑だろう!」

 

浦風はなめとんのかー!と俺の首を絞めつつガックンガックン揺らすが、俺はネックパンプアップからのパンプアップ解除→ネックエスケープで脱出し、逆に、浦風の身体を持ち上げて廊下に叩きつけた

 

「大●山落としーッ!!」

 

ズダンッ!!!(大●山落とし)

 

浦風は背中が!背中がァァァァ!!と床を転げまわり、ベンチの脚にガンメンをぶつけてようやく止まり、鼻血をながしつつゆっくりと立ち上がり…

 

「ナニすんじゃおんどりゃあ!!」

 

浦風怒りのヤ●ザキックに対し、俺はカウンター金的を浦風の股間に叩きつけると浦風はうっぎゃあー!とか言いつつ再び床を転げ回った…

愚かなヤツ、ちょっとおっぱいデカいからと言っても所詮は駆逐艦のボウヤ、どんなに頑張ったところで提督には勝てないのはもはや常識…

 

どれ、最後にパンツをズラして苦痛なき死を与えてやるのもまた救いと言えるだろう…

 

「うっ……ぅぅ」

 

「コ、コイツ!」

 

なんだ!この小●宙は、まさか!まだ立ち上がる力があると言うのか!バカな……ありえん!既にヤツの身体はボロボロ、ちょっと乳頭を小突いてやるだけでイキ死ぬのは確実…っ!

そんな半死人のハズの浦風は、ゆっくりと立ち上がり不敵な笑みを浮かべた

 

「大したやつだ、だが次にキミが立ち上がるコトはない、何故ならこの白薔薇は確実にキミの心臓を撃つのだから!」

 

「おお!やってみい!そんなチンケな薔薇、うちのパンチで叩き落としてやるわボケ!」

 

「よく言った!ならば受けよ!我が薔薇の洗礼を!」

 

「クソッタレがァァァァ!!」

 

◆◆◆

 

甘いモンも辛いモンも売ってる本格派高級スイーツ店、マミー屋…

 

「コーヒー2つと、ガトーショコラ2つ」

 

「本日のオススメはマンゴープリンです」

 

「コーヒー2つとガトーショコラ2つだってんだろーが、モタモタすんなデブ、早く、それでいて丁寧に用意しろよ、わかってんのか?」

 

「伊良湖ちゃん、そこ、そこの戸棚、そう!そこ、ピストルが入ってるから持ってきて、今すぐ」

 

マミー屋で高級スイーツを購入し、とりあえず空いているテーブルで食うかとやって来た俺と浦風…

支払いの際、銃フェラからのあやうく頭をフッ飛ばされそうになったが、銃弾を口の中で無事に“固定”できたおかげで助かった

 

「なんか口ん中からダラダラ血ぃ出とるけど、大丈夫なんか?それ?」

 

「大丈夫だ、提督は超再生とか不死とかそーゆースキルを持っているからな!」

 

「チート主人公か」

 

まぁ、モチロンそんなものは持っていない、何故なら提督は異世界から来たワケでも女神に貰ったチート能力を持って転生してきたワケでもない、普通に痛いが提督は大人なので誰もいないところでしか泣けないのだ

 

「で、アレじゃ、浜風のやつ、釣りが趣味なのはまぁ知っとるけど、最近はもう趣味の範疇を超えてるっーの?釣りバカかっーワケなんよ」

 

「ふ〜ん」

 

「まぁ、もともとあの子は根が真面目でカタいとこあったし、趣味っー趣味も特になかったし、最初の頃は良かったんよ」

 

たまたま始めた釣りと言う趣味にドハマりした浜風ちゃんが大物が釣れて嬉しくてピース写真を送ってくるなんて…のはしょっちゅう、今や浜風ちゃんの生活は釣りを基準としているのが問題らしい

 

「で、さすがにちょいアタマにきて、朝、ちょっと言い合いになってな〜…」

 

「それはパイ合わせしつつか?」

 

「そこ気にする必要ある?っーかなんでうちが浜風とおっぱい押し付け合わにゃならんのかっーの、普通にお互いテーブルで向かい合っての言い合いじゃ」

 

「つまらん、もうちょいオレも交ぜてよと言えるシチュエーションでやらんかい」

 

「死ね」

 

「また死ねとか言ったよこの子は」

 

「ま、そーゆーワケじゃ、別に他人に相談するホドのもんじゃないじゃろ?」

 

「まぁそうでもない、俺はこの基地で1番偉い提督様だからな、どんな些細な情報でも知っておいて損はないのだよ」

 

「ふ〜ん、そーゆーモンかねぇ」

 

浦風はコーヒーをズゾゾゾォ…っと啜り、コーヒーカップをソーサーに置いた

 

「なあ?ちょっと聞いてえぇか?」

 

「なんだ?」

 

「…………この薔薇、なんかだんだん赤くなってきたんじゃケド?」

 

「その白薔薇は花びらが真っ赤に染まるまで血を吸い上げ花びらが赤に染まりきった時、相手は絶命する、無論、その薔薇は刺した本人にしか抜けないがね」

 

「や、はよ抜いてくれん?コレ、だいぶヤバめんトコなんやけど!もう八割は赤くなってる!」



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提督と足柄とザ・キング・オブ・***

ショボい人生でゴメンなと謝れる大人

【登場人物】

提督(メカの悲しみ?ありえんな)
前方が見えにくいと思ったら減速、一時停止、わかりましたわね!

足柄(礼号組)
妙高姉妹の三女、決して散るコトのない鉄の結束を持つ礼号組の保護者担当


秋晴れ!その…ステキな天気が提督を行動させたッ!!

 

…車でも洗うか

 

そういや最近なんやかんや忙しくて車洗ってねぇし、些か年式と走行距離はアレだが大事に大事に乗っている車だ、たまにはキレイキレイにしてやらないといけない

そんなコトを思い立ち、今日は秘書艦サミー子もいないので執務室の扉に不在の札を下げた提督は鼻唄を歌いつつ駐車場へと来たワケだが…

 

「おう!クズども、オマエらも洗車か?」

 

「は?誰がクズよ」

 

キレイキレイセットを持ってやって来た駐車場で、どうやら俺と同じく洗車でもするかと来ていたらしい先客の足柄………と、礼号組のガキども

 

「あ、テイトクだ」

 

「オッさんもクルマ洗いに来たんか!」

 

「アナタってホントに最低のクズね!」

 

なんで洗車に来ただけで罵倒されるのかはわからんが、この礼号キッズの霞に最低のクズと罵倒されるのだけは妙に心地よいモノだ

 

「オマエらだけか?大淀はどうした?大淀は?みんな仲良し礼号組じゃないのか?」

 

「大淀?アイツならまだ寝てるんじゃない?」

 

足柄曰く、アイツ寝起きはマジ最悪祭りらしく、わざわざ起こしに行くとか人生の無駄に相当する時間らしい

 

「ふ〜ん」

 

「大淀サン、朝たまにチ●コ生えてるから」

 

「オトナだからチ●コ生えるんだぜ!テカテカのやつ!」

 

…ナニ言ってんだこのガキども、イカレているのか?いや、バカなんだったな、うん

アホのキヨシとアサシは足柄に余計なコト言うな!とゲンコツを喰らい、霞から最低のクズね!と罵倒された…

 

ま、大淀にチ●コが生えてよーが謎の薬で肥大化したクリチ●ポになってよーが俺には関係ないし興味もない、俺は車の洗車をしたいだけなんだ、俺はクズどもとなるべく関わり合わないようにするべく自然な流れで、じゃ、ガンバってくださいねと距離を空けた

 

「さて、まずは水BUKKAKE祭りだぜ!」

 

蛇口から伸びるドラム式ホースとシャワ切替式ノズルから勢いよくスプラッシュする水道水、キラキラ光る水飛沫が反射してまるで小さな虹を作る………ゴキゲンな洗車だ

 

『スゲェ!スーパーカーだー!』

 

『マジカッケー!』

 

ゴキゲンな洗車を開始して30分くらい経っただろうか…

バカガキどもがキャッキャ言う声が聞こえてきたが俺には関係ない…

 

スーパーカー?バカ言ってんじゃないよアホガキども、スーパーカーなんてのがこの基地の駐車場にあるワケないだろ?どうせアレだろ、大淀のDQN鉄仮面とか鹿島先生の悪魔のZのコトだろ

 

しかしスーパーカーか………フッ、一度は乗ってみたいものだ、いや、今更そんなのはきっとムリだな、ショボい人生でゴメンな、小学生のオレ!

 

「オイ!クソガキども!うるせーんだよォ!足柄ァ!このガキどもキチンと躾し…」

 

俺はキャッキャうるさいバカガキどもと保護者に文句を言うべくバケツを持ったままバカどもの居る場所へと行くと、そこには…………ッ!!

 

「って!!オイイイイイイィィィィィ!!!」

 

スーパーカーじゃねーかッ!!!

 

そこに駐車してあるのは紛れも無くスーパーカー…ッ!!いや、キング・オブ・スーパーカー!!

 

「カ……カウ●タック!」

 

間違いない、それにコレは………LP400ッ!!間違いなくLP400だっ!!ウ……ウソだろ、いやいやいや、ウソだろ?

 

「オッさんコレ知ってんの?」

 

「なんかリベんトコのおっぱい大きいねーちゃんが買ったって言ってたー」

 

「ウソだろオイ……」

 

俺は足柄にマジかオイと聞いてみたが、足柄もよく知らないらしく、むしろ足柄はスーパーカーに関してよくわかってなさげだった

 

「ハッ!使えねーな!」

 

「ダレが使えないよ、ナニ?コレ、そんなスゴい車なの?」

 

「オマエよくそんなコト言えるな…」

 

足柄のアホは、とりあえず外車っぽいし、妙高のDQNセル●オとか愛宕のDQNアル●ァードよりお高価なのかな?ってぐらいの基準らしい…

 

「コイツはスーパーカーの中のスーパーカー、ランボルギーニ、カウ●タックLP400、その生産台数は僅か152台、ちょっと傷でもつけよーモンならオマエの給料3年分は飛ぶぞ」

 

「清霜!朝霜!今すぐそいつから離れろォ!!ゼッタイそいつに触るなァァァァ!!」

 

足柄はアホガキどもの首根っこを掴まえてクルマからひっぺがした

 

「な……なんでそんな高級車がここに…?」ドキドキ…

 

「高級車じゃない、スーパーカーだ」

 

い、いったい誰の車なんだ…?いや、たしかキヨシのやつがリベのトコのおっぱい大きいねーちゃんが買ったとか言ってた気が…

 

そんな謎に満ちたスーパーカーに戦慄を隠せずにいると、何者かがスタイリッシュに駐車場へと歩いて来た…

 

「あら?テイトク…」

 

「キミは…?」

 

まるでシネマから抜け出してきた一流の女優のようなオーラと国産軽巡のようなシャバ僧どもでは決して勝つことができない圧倒的なパイオツ!!

 

「ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィくん?」

 

「え、えぇ…そうですケド、あの、テイトク?律儀にフルネームではなくアブルッツイでも良いのですが…」

 

「そうかね」

 

しかし相変わらずスゲェなこのおっぱいは、こうして面と向かって話しているとアブルッツイくんとお話ししているのかおっぱいとお話をしているのかワカらなくなるのだよ

 

「ところでアブルッツイくんはこんなところにナニをしに?」

 

「え?あぁ、ハイ、最近実家から車を取り寄せたのでたまにはエンジンかけとこうと…」

 

実家から車…?

 

「あの、アブルッツイくん……つかぬコトをお聞きしてよろシコ?」

 

「ハァ?私でお答えできるコトなら」

 

「アブルッツイくんの車って、もしかして………アレかね?」

 

俺は基地駐車場に堂々と存在するランボルギーニ・カ●ンタックを指差すとアブルッツイくんはそうですけど?と一流の微笑み返し…

 

「マジかオイ…」

 

「あ、もしかしてテイトク、私の車に興味がおありで?」

 

「あります」

 

いやいやいや、男の子なんだからスーパーカーに興味がないとかあり得ないだろ!男の子はいくつになってもスーパーロボットとスーパーカーが大好きなんだから!(※個人の感想です)

 

「なんなら運転してみますか?」ニコッ

 

「今………なんと?」

 

「え?あ、いや…よろしければ運転してみますかと…」

 

「…………ハァ〜」

 

幻術か…?いや、幻術だな、どうやらいつの間に俺は無限月●にハマってしまっていたか?ハハッ、そうさ、そりゃそうさ…

俺は幻術であるコトを認識し、隣に立っていた足柄に俺の顔を殴れと命じた

 

「え?なんでよ?」

 

「いいからいいから、思いっきりイッてくれや、手加減無用のバーンナ●クルで頼むわ」

 

少し名残欲しいが仕方ない、だがな、これは夢だ、目覚める為にはこの夢の中で死んでみるしかない!躊躇うな!目覚めるんだ!

 

足柄は大きく腕を振りかぶりAre you OK?と俺のハンサム顔を突進しつつ殴り、さらに!突き出した腕をもう片方の腕で支えながら衝撃波を放ってきたッッッ!!

 

「ブバァー!!!」

 

「でたー!足柄サンのバスターウ●フー!」

 

「狼は、狼はまだ死んじゃいねぇぜーッ!」

 

足柄のバスターウ●フでブッ飛ばされた俺は地面を転げ回ったが、なんとかゲージはギリギリ残っていたらしく立ち上がるコトができた

 

「ヤリすぎだろーがテメー!!ナニ考えてんだコラァ!殺す気か!!」

 

「そっちが手加減無用でイイって言ったじゃない!」

 

「んだとコラァ!ナメてんじゃねーぞ子持ち処女がァ!」

 

「アァン!?オイメガネ!今何っつたコラァ!たしかに聞いたぞコラァ!」

 

俺と足柄は互いに胸ぐらを掴み合いメンチを切り合う!このアマ、どうやらキツいわからせが必要らしいな!いいぜオイ、リアルバウトだよ…

 

「あのぉ〜…なんだかよくわからないですケド、ケンカは良くないですよ?あ、それと…ちょっとクルマ動かしたいんで…」

 

「あ?あぁ、こりゃ失礼」

 

「そうね、どーぞどーぞ」

 

この後、俺と足柄は3ラウンド制2ラウンド先取、ライン移動ありのスタンダードルールでの殴り合いに発展、最終的に、全ては秘伝書の見せた幻であるとの結論に至り、俺達は互いの健闘を讃えつママの店へと向かうのだった…



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提督と鈴谷と王道を往くもの

帰ってきたメイン・ヒロイン

【登場人物】

提督(頭痛が痛い)
季節の変わり目、体調にはお気をつけくださいませ

鈴谷(ビッチ)
フレッチャーくんには苦手なイメージがある


日中の寒暖差のせいか、体調を崩しがちな秋の執務室…

 

「なんだ…っ!この攻撃的な小●宙は…っ!」

 

この神聖な執務室へとたしかに近づいているこの攻撃的小●宙!ま…まさか、不死鳥…っ!!

そんな俺を戦慄させた攻撃的小●宙の持ち主が今!執務室の重厚な扉を力任せにギギィィィと開く!!

 

「ティーッス、2ヶ月半ぶりに誰もが羨むメインヒロインの鈴谷が遊びに来ましたよぉ〜」

 

「…なんだビッチか」

 

「ビッチじゃねーし、メインヒロイン・オブ・メインヒロインだし、今日サミーいないの?休み?」

 

「休みだ、見たい番組でもあるんじゃあないのか?」

 

「ふ〜ん、まぁいいや、ゲームしよーぜ!ゲーム!今日こそ鈴谷の八酒杯でズタズタにしてやるじゃん!」

 

「八稚女はどうした?八稚女は?オマエと言ったらバカの一つ覚えみてーに八稚女だろーが、タイミングもクソもおかまいなしにバカみてーに撃つのがスズヤクオリティだろーが?」

 

「バカじゃねーし、別に八稚女以外もフツーに使うし、むしろ鈴谷と言えば闇払い、闇払いと言えば鈴谷だし」

 

「なら燃え尽きろ、潔くな」

 

「燃え尽きねーし、っーかそれむしろ鈴谷のセリフだし、とんなし」

 

鈴谷は空気読めねーなァー!とか言いつつ執務室備え付けの冷蔵庫を開けてバヤ●ースのペットボトルを取り出し、棚から取り出したグラスに注いでから豪快に上の口に流し込んだ

 

「ブハァ!うんめー!なんかお菓子ない?」

 

「ナニがお菓子ない?だ、ブチのめすぞビッチが、あと、用が無いならさっさと消えろ、この世界からな」

 

「消えねーし、ってか世界レベルで消えろとかヒドくね?」

 

まったく、アーッ!言えばKor言うナマイキな娘だね、親の顔が見てみたいのだよ

 

「そのつまんねー仕事さっさとやめてゲームしよーぜ」

 

「そのつまんねー仕事が終わらねーんだよクソが」

 

「なんで?」

 

「なんで?じゃねーよ、オマエ、もしかして暇人か?ヒマなら手伝え」

 

普段はサミー子が休みの前にある程度書類仕事をイイ感じにアレしてくれるので基本的にヒマになるのだが、今日は朝っぱらから秘書艦サミー子不在のタイミングでややメンドくさい系の書類仕事がやたらとある不運…

 

「え?いいの?マジで?やるやるぅ!」

 

ナニがそんなに嬉しいのか、鈴谷は俺から書類の束を受け取ると秘書艦サミー子の席に座り鼻唄まじりに書類を眺め始めた…

 

「オイ、言っておくがテキトーに分けるなよ、よくわからないやつは俺に聞けよ、ホウレンソウだからな、ホウレンソウ」

 

「んなコト知ってるっーの」

 

ホントにワカってんのかコイツは?そんな一抹の不安を抱えつつ、確認した書類に印鑑を押す→確認した書類に印鑑を押すマシーンのような仕事を繰り返すこと小一時間…

 

「ハイ、コレ」

 

「あ?」

 

「他のは?まだあるならチョーダイ」

 

「ナニ言ってんだオマエ、テキトーか?」

 

「テキトーじゃねーし、あと数字間違ってるのあったから修正しといたよ」

 

「バカ言ってんじゃないよこの子は、修正されていていいのは数字じゃないでクワ●ロ大尉だけだっーの…」

 

とりあえず鈴谷がテキトーに提出してきた書類をサーっと眺めてみたが………うん、特に問題は見当たらないな、修正したとか言う箇所もまったく問題ない、むしろよく見つけたと言っていい…

 

…コイツ、実はバカそうに見えてそれなりにハイ・スペックなのだろうか?よく考えると、自●系よりも希少と噂されている航巡改二であり、ふぇぇ…高速軽空母が必要だよぉ!となった場合にいつでもイケる高速軽空母としても起用でき、黙っていたらそれなりに可愛いしおっぱいもデカいし話も趣味もそれなりに合う……世が世なら間違いなく誰もが羨むメインヒロインとして君臨できただろう

 

…まぁ、ビッチだが

 

「ふむ、褒めてやろう、鏡に手をつきなさい」

 

「…なんで鏡に手?」

 

鈴谷はナニ言ってんだコイツ?みたいなツラしつつも執務室の大きな姿見にまるでカウ・ボーイのようなイキなポーズで片手をついた

 

「バカかオマエは、両手だよ、両手、で、ケツこっちに向けんかいダボ、空気読めねーなオイ」

 

「ハァ?空気読めなくねーし、ってか!褒める気ないじゃん!ケツ向けろとか、それ、鈴谷のケツぶっ叩く気じゃん!」

 

「誰がテメーのクセーケツなんか叩くか」

 

「クサくねーし、鈴谷のお尻イイ匂いがするし」

 

「するかダボ、オマエの体臭と体液は強い催淫効果があるって科学的に証明されているのだよ」

 

「サキュバスかッ!!ってかサキュバスじゃねーし」

 

逆に、聖女であるフレッチャーくんには邪悪なるものを退ける効果があるらしく、フレッチャーくんのおしっこをかけた土地は実り豊かな土地になるとかなんとか…

 

「小粋なテイトクジョークだ」

 

「ナニが小粋なテイトクジョークだっーの」

 

「まぁいい、しかし仕事は捗ったのは確かだ、褒美をくれてやろう、欲しいものを言ってみなさい」

 

「マジ?えーとねぇ〜…」

 

「俺も暇じゃねぇから10秒で決めろ」

 

「10秒かよ!え、ちょい!ちょい待ち!えー…」

 

「10、9、8、7……ヒャア がまんできねぇ 0だ!」

 

「早っ!!ってか汚っ!!いきなり0はキタなすぎ!インチキじゃん!」

 

「インチキじゃない、テイトクだ」

 

「チッ、じゃカレーでいいや、カレー、今日カレー奢ってよ」

 

「たやすいことだ」

 

「神●かッ!!」

 

 

この後、お昼になったので鈴谷がカレー食いに行こーぜとグイグイくるので財布から紙幣を取り出し渡してやったらふざんけんな!とキレられたが、俺は悪くない



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提督と江風と資格失格

寒くなるとお尻が痛いですわ!

【登場人物】

提督(見えない系)
妖精?プラズマだよ、プラズマ!

江風(赤いの)
白露姉妹の九女、一見バカそうに見えるが学力テストの成績はホントに悪い


値上がりにもめげず、モクモクしちょるだけの哀れな敗北者とディスられてもなかなか止められないのが僕の悪い癖、そんなコトを思いつつ、自販機コーナーで缶コーヒーでも買って喫煙所にでも行くかと考えていると、自販機コーナーのベンチでなんか見覚えのある赤いのが何かを読んでいた…

 

「よぉ、え〜………オマエは、エカゼ?」

 

「江風だよ、カ ワ カ ゼ!」

 

プッツン駆逐艦姉妹、白露姉妹の九女、江風クン

熱血漢の証である真っ赤な髪とそれに見合ったワイルドさを持つ姉妹きってのハリキリ・ボゥイであり、かつては未完の大器と言われていたが数々の死闘の中で遂に覚醒、選ばれた天才達しか開くことができない“ゾーン”の扉をこじ開け、あの“決して止められない点取屋(アンストッパブルスコアラー)”夕立と互角以上の実力と可能性を秘めている逸材であり、こう見えて山風クンの妹である

 

「ナニ読んでたんだ?エロ本か?」

 

「ちげーし、コレ、資格のやつ」

 

「なんだ、ユーキ●ンか…」

 

自販機コーナーに設置してあるよくわからん雑誌棚には定期的にユーキ●ンだの求人案内的な冊子が挿さっており、たぶん誰かがマメに入れ替えているのだろう…

 

「資格でもとるのか?おススメはやっぱ一級フラグ建築士だぞ」

 

「ンなの、いらねーし」

 

「バカ言ってるじゃないよこの子は、一級フラグ建築士持ってるといいぞ!モテモテだからな!」

 

「別にモテたくねーし、なァ?もーちょい実用性があってカッコイイのねーのかよ?」

 

「ねぇよ」

 

ナニ言ってんのかねこの子は、資格にカッコイイもクソもあるかってのな

 

「…あ、そういや俺もそろそろ提督免許の更新だったか…」

 

「え!?テイトクって免許制だったの!?」

 

「そうだよ」

 

海軍本部が発行する提督免許、3〜5年に1回免許の更新が必要であり、期間内に違反行為などで憲兵にしょっぴかれたりすると違反点数が加算され、やりすぎると免停喰らったり、最悪免許取消の憂き目にあったりする

 

「へぇ〜運転免許みてーなンだ」

 

「そうだよ」

 

「そもそも違反行為ってナニやったら違反になンだよ?セクハラとか?」

 

「そうだなぁ〜…一時停止無視(大破進軍)とかだな、俺も若い頃はよくやったな、ハッハッハ!」

 

「サイアクじゃねーか!!っーか笑いゴトじゃねーし!」

 

若い頃はスリルとか求めたり、大破進軍してるオレカッケーみたいな風潮があったりするが、もし、キミが今もそんな気分で艦隊指揮をしているのならすぐにやめなさい、注意一秒轟沈一発、取り返しがつかない事になる前に(戒め)

 

「っーかよ、テイトク免許って誰でも受けられンの?」

 

「いや、たしか年齢制限はあるな……R-18、18禁だな!」

 

「言い方!」

 

かつて提督免許センターに長蛇の列が作られ人数制限するほどの人気資格だったのも今は昔、最近は特に並ぶ必要もなく、また、年齢制限のないアーケード限定免許などもあるらしい…

 

「っーかテイトクって妖精見えてなきゃなれねーンじゃねーの?」

 

「妖精?ハハッ、ナニ言ってるのかねこの子は、メルヘンやファンタジーじゃあるまいし……妖精なんか存在するワケがないのだよ」

 

「や、わりとそこら歩いてるし、っーか今、テイトクの足元あたりにいるし」

 

「バカ言ってるじゃないよこの子は」

 

一般的には提督免許を取るにあたり、ほぼ必須になるのが妖精さんとの意思疎通らしいが、そんな居るか居ないかもわからん記憶の中でふわふわした存在を俺は信じていない

 

まぁ、たしかにたまに目の端に変なのが見えたり、廊下の隅でぼや~っとした存在が見えることもあるが、たぶんそれは疲れ目だろう

 

「よくそれでテイトクやってンのな…」

 

「やかましい」

 

江風はベンチの下に手をやり、ナニかを掴むような動作で持ち上げ、手のひらを俺に見せた

 

「今、アタシの手のひらに妖精乗ってる、ヘルメットのやつ」

 

「そんなワケないだろ」

 

「えー?マジで見えてねぇの?マジでー?」

 

江風は妖精がいると言い張る右手を俺の顔にグイグイ押し付けてきた

 

「やめんか!汚らわしい!」

 

「汚らわしいとかゆーなよ!妖精サンがカワイソーだろーが!」

 

江風は手のひらに乗ってる?妖精さん?に妖精サンは汚らわしくねーよ、ウン!大丈夫大丈夫、泣かないで!涙を拭いてと励ました

 

「ほら、テイトクから謝ってやれよ」

 

「俺は悪くない」

 

「いいからほら!謝れって!妖精サン怒らせたら色々面倒があンだよ!」

 

んなコト言われてもなぁ、見えないものに謝るとかマヌケなコトはしたくないのだが…

 

ビタンッ!!

 

「って痛い!!ホッペが痛い!!」

 

な…なんだ今のは!まるでナニか小さき者から頰に痛烈なローキックを喰らったような衝撃は…ッ!!

 

「ほらぁー!妖精サン怒ったじゃねーか」

 

「今のが妖精の仕業だと……?フン、バカバカしい、そんなワケあ………痛い!!目になんか刺さった!!」

 

「あーあ、こりゃ相当キレてるわ」

 

クッ!この痛み…!姿は見えないがたしかに気配を感じる!!ナニか小さいものが俺を攻撃している!攻撃は既に始まっているッ!!

 

「江風ェ!キサマの仕業か!どーゆー能力かは知らんが…!」

 

「見えたか?気づいたか?それが妖精サンだよ」

 

「そんなワケないだ…痛い!!鼻のアタマが痛い!!」

 

クッ!攻撃の気配はなんとなくワカるが、攻撃の発生がわからない!

 

「テイトク!はやく謝った方がいいって!」

 

「イヤだね、クッ……この俺をここまでコケにするとは!そのチンケなパワーでこの俺を倒せるものか!」

 

メラ……メラ……メラァ……(火)

 

「熱ッ!!バ、バカな!ポケットに入れていたライターがひとりでに発火している!!う、ウオオオオオォォォォォ!上着を!上着を脱がなくてはーッ!!」

 

火の点いた上着を急いで投げ捨てコトなきを得たが……クッ、コイツはかなりヤバい!コイツ……無敵かッ!!

 

「はやく謝るンだ!テイトク!一言!たった一言謝ればいいンだよォォォォォ!」

 

「いいや!絶対に謝らねぇ!!ナニが妖精だ!かかってこいやコラァ!!俺は提督様だぞ!」

 

 

この後、俺は見えない敵である妖精(仮)に執拗に鼻毛をブチ抜かれるなどの攻撃を受け、コイツ…無敵か!と諦めかけたが、たまたま廊下を歩いていた対妖怪等のスペシャリストであるキタローくんに助けを求め、キタローくんはビンタ一発で見えないけどナニかを祓ってくれた

その後、キタローくんは江風がドン引きするほど執拗に廊下に転がるナニかを足で踏みつけていたのを見る限り、きっとかなり強い悪霊だったのだろう…



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提督とJohnstonと悪魔的祝祭儀式

秋刀魚海域が始まりましたーの

【登場人物】

提督(キュウシュウ男児)
好きな袋ラーメンはうまかっちゃん

Johnston(ジョン)
通称ジョンくん、自分の可愛さに絶対的かつ過度な自信を持つ自分大好きワガママガール



「Hi!テイトクー!今ヒマー?」

 

「アァ?」

 

明石のバカの店で菓子パンと缶コーヒーとタバコを買い、喫煙所にでも行ってダラダラするかと考えつつ廊下を歩いていると、背後から何者かに声をかけられたので振り向いてみると……………悪魔がいた

 

「…え?誰?」

 

まさかアレか?モテない&冴えない男子のところに突如としてエロサキュバスがやって来て精●を根こそぎ搾り摂るつもりが逆におそろしくブラックビッグなチ●ポとあり得ない量の特濃ザー●ンに負けてこのおチ●ポ様無しでは生きられないと屈服するエロ本にありがちな展開がいきなり始まったのか…?

 

「アタシよアタシ!USS Johnstonよ!」

 

「なんだ、ジョンくんか…」

 

「なんだとはナニよ?なんだとは!」

 

ジョンくんはこのアタシがC-uteじゃイケないってのかー!と掴みかかろうとしてきたが、下段牽制キックで出足を潰すとジョンくんは即座にバックステップで距離を広げた

 

「しかしナニかねその格好は?お姉さんが聖女すぎて薄汚く浅ましい自分にイヤ気がさしていたら図書館で見つけた小汚い本から現れた悪魔から悪魔的囁きと淫紋で闇堕ちしてデビル・ジョンストンにでも生まれ変わったのかね?」

 

「え…エラく具体的ね、ってか違うケド」

 

「違うのか」

 

「コレはほら、アレよ、アレ!Halloweenの仮装よ!」

 

「ハーロイーン…?あぁ、アレか」

 

トリックかトリートを問い、菓子を貰うお祭りだったな、たしか…

ウチのバカどもは街を練り歩き合法的に菓子をカツアゲしてOK、断られたら暴行しても許されるイベントであると認識しており毎年地域のケーサツから電話が鳴り止まない日である

 

「さぁ!このアタシにお菓子をくれるかしら!」

 

「え?ないよそんなモン」

 

「ならイタズラでいいのかしら!」

 

そう言ってジョンくんはニヤニヤ笑っているが、提督としてはまるでそんなレ●プしてくださいと言っているような格好で外を練り歩くのはホントにやめて欲しい

 

まぁ、あとで朝潮クンにもお菓子を要求されそうだし、マミーヤ行って菓子でも買っとくか…

 

「ジョンくん、今からマミーヤ行って菓子買うからちょっと待ちたまえ」

 

「え?あ、ウン…いいケド………って!チョット待てい!!アナタ、このまま逃げるツモリじゃないでしょーね!アタシも付いて行くわ!」

 

「別に構わんが」

 

「よしっ!そんじゃmammy屋行くわよ!mammy屋!」

 

デビルジョンくんは俺の腕にガッチリ組み付きグイグイ引っ張る、駆逐艦のガキと言ったものの、やはりMAJORの逸材であるジョンくん、島国のモンキーどもとは基本スペックが違いすぎる…っ!

グイグイ引く腕にグイグイおっぱいを押し付けてくるが、そのアメリカンサイズは将来のMAJOR入りが確約されているのは間違いないだろう…

 

「ジョンくん、ちょっと離れてくれんかね」

 

「ハァ?なんで?」

 

◆◆◆

 

デビルジョンくんにグイグイされつつやって来た甘いものも辛いものも取り扱う高級スイーツ店、マミー屋…

 

「本日のオススメは季節の変わり目カボチャのプディングです」

 

「それ150個ぐれーくれや」

 

「1つ550円です、お持ち帰りにどのぐらいかかりますか?」

 

550×150か……正直、バカみてぇな出費だが提督は大人なのでキチンとお菓子を用意しておいて損はないだろう

 

「あとそのchiffon cakeとchocolateのヤツ頂戴、支払いはモチロンアナタよ!」

 

「スイマセーン、今のはなしで、あとガムテープとかあったら貸して貰えますか?」

 

デビルジョンくんはfuckだのなんだの汚い英語で俺を罵倒してきたが、間宮から借りたガムテープでジョンくんの口を塞ぎ、悶絶お腹パンチを喰らわせるとジョンくんは白眼を剥いて店内を転げ回った

 

「提督、今日は死神かナニかに憑かれてるんですか?」

 

「いや、死神じゃなくデビルだ」

 

俺は財布から紙幣を取り出して間宮に金を渡すと、間宮は床を転げ回ってテーブルに顔面を強打した哀れな悪魔を一瞥したが、大して興味もなさそうに食材の1つであろうリンゴを1つ俺に投げ渡してきた

 

「なんだコレ?」

 

「サービスです、そこのデビルちゃんにでもあげてください」

 

「間宮知ってるか?リンゴしか食べない死神は手が赤いんだぞ」

 

「へぇ、そうなんですか」

 

間宮は大して興味もなさそうにお菓子を箱に詰めているが、多少時間がかかるのでコーヒーでも飲んでてくださいとのコトなので、俺は無料のインスタントコーヒーと電気ポットが置いてあるコーナーへと向かって歩き始めると、ダメージから復帰したらしいデビルジョンくんが立ち上がって俺の服を掴んだ

 

「Don't do a cruel thing suddenly!!イキナリ!!ナニすんのよ!!」

 

「オーソーリーソーリー、アイアムアボーイ、ジスイズアオクトパス」

 

「ハァ!?Am I being insulted?」

 

「ノーノー、アイキャンスピークイングリッシュ、エイゴワカリマセン」

 

「Fuck!!Don't tell a falsehood!ウソ吐くんじゃないわよ!!」

 

デビルジョンくんはキレのあるローキックで俺の足を破壊するべく蹴りを放つが、俺はそのローキックをジャストディフェンスし、体勢が崩れたジョンくんの小柄な身体を持ち上げてから勢いよく落とし、ジョンくんのダブルニーをクラッシュした

 

「ぎゃあああああああああー!!お皿が!お皿がー!」

 

「いけないなァ、テイトクのコトを悪く言っては」

 

「クッ…!この最高にcuteなアタシに…っ!こんな屈辱…っ!」

 

「悪いが提督は例え女子供であろうが気に入らないやつには容赦しない快男児でな、文句があるならそのエロコスでヨダレズビッ!に思えるぐらいボインちゃんになってから言うがいい」

 

「ハァ!?ってか、エロくないわよ、こんなの!」

 

「そりゃジョンくんの祖国じゃ普段着レベルかもしれんが、ここはJAPANだ、奥ゆかしさと半脱ぎが美徳とされるのだよ」

 

もし仮に、駆逐艦以上のMAJORの人材がそのエロコスを、そうだな……アトランタくんやホノルルくんあたりが着こなせば多くの健全な青少年達の絶頂射●が止まらないだろう

 

「…あ、と思ったけどやっぱちげーわ」

 

「ハァ?ナニがよ?」

 

「駆逐艦以上のMAJOR出身者なら誰でも絶頂●精とか言ったが、よく考えたらヘレナくんだけはダメだったわ!HAHAHA」

 

「Helena?あ〜……Helenaね、Hele……ヒィ!?」

 

ジョンはまるでナニかに怯えるようにガタガタと震え、俺の背後を指差した

 

「Helenaがなんですって?」ニコッ

 

 

振り返って見たのは笑顔のヘレナくん、次に見たのは俺の顔面にメリ込む拳、最後に見たのは…………

 

天井



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提督と天才が見るユメ

ここ一ヶ月近くの憂鬱の原因がようやく終わり、実に晴れやかな気分と脱力感、秋刀魚?集めてないよ?

【登場人物】

提督(秋刀魚)
あと33尾かな?お前は……ト●コ?

五月雨(秋刀魚)
高いですよね、秋刀魚

Grecale(サンマ)
サンマ?なんか臭くない?


今年も上からお達しがきた秋刀魚漁、何故誇り高き海のエリートである海軍が秋刀魚漁をしなくてはならないのか?そんな疑問を毎年感じつつもやれと言われればやるのが縦社会、たぶん大きな利権とか絡んでいるのだろうが末端の構成員である俺ら下っぱ軍人には関係のない事だ

 

「オイ、なんか燃料がやたらと減ってないか?中抜きしてンじゃないの?」

 

「秋刀魚漁で艦出してますからね、そりゃ減りますよ」

 

「いや、減るのはいいんだ、減るのは、俺が言いたいのはやたらと減ってるってコトだ!コストどうなってんのコレ?費用対効果とか考えてんの?利益出さないと給料出ないよ?ワカってんの?経費だから仕方ないってガバガバ使っていいコトじゃないんだからね、もっと各自がコストカットを意識して効率のいいルーティングとかをね…」

 

ったく、誰だよ!秋刀魚漁なんか行ってるヤツは…暇人か!いや、たしかサミー子に誰か秋刀魚漁に行きたい暇人に声かけてテキトーに行かせとけと命じた気がするが…

 

「って!大和さんが行ってるんじゃねーかッ!!」

 

おもわず、秋刀魚漁暇人編成と書かれた雑な書類を机にダァン!してしまった

 

「行ってますよ、丁度やることなくて暇そうにしてたし、秋刀魚漁行きますか?って聞いたらイクイクぅ!って二つ返事で毎日ウキウキで出かけてます、提督にはいっぱい出撃させて貰ってありがとうございます、今度お礼にパイ●リしますねって言ってましたよ」

 

「ウソ吐くんじゃないよこの子は、あと、女の子がパイ●リとか言うんじゃあない」

 

「まぁ、半分ホントで半分ウソの小粋なサミダレジョークってやつです」

 

半分は本当なのか…?と言うコトは、大和さんがパイ●リしてくれるってのが…………本気(マジ)!!

 

「いえ、後半がウソです」

 

「コイツ…!俺の心を読んだ…!?能力かッ!!」

 

「そんな能力なくても提督がしょーもないコト考えてる時はわかります」

 

「しょーもないとか言うな、サミーよ!オマエは俺のなんだ?」

 

「部下…?ですかね」

 

「そうだ!そしてこの俺が最も厚く信を置くこの俺の無くてはならない右腕、共にママのアップルパイを食べた仲だ」

 

「ママのアップルパイですか………昔はたまに作ってくれましたよね」

 

「あぁ、そしてオマエと由良さんが最後の一切れを醜くも卑しく奪い合い俺やママを困らせていたのも今や懐かしい」

 

「しれっと記憶の捏造しないでください、顔面グーで醜い奪い合いしてたのは提督と由良さんです、私はそれを止めようとしてとばっちりを………いえ、いいです、思い出したくない系の思い出です」

 

何もかも懐かしきさらば遠き日と言うやつだな!そんなノスタルジィな気分を感じつつメランコリックな気分でいると、執務室の重厚な扉が勢いよく開き、何者かがノックせずに入室してきた

 

「Ciaoー♪グレカーレちゃんよ!」

 

「帰れ」

 

「は?帰らないし、死ね」

 

パスタの国から来た合法駆逐艦、マエストラーレ姉妹の1人にして褐色の弾丸の異名を持つ天才メスガキファイター、グレカーレ…

そのメスガキ力は高く、並のおじさん程度ではキンタマをグシャグシャにされ屈服させられるのは必至…ッ!だが、俺ほどの大人になれば返り討ちは可能!

 

「上司に向かって死ねとはなんだ、死ねとは」

 

「うっさいなァ、ザコのくせに、あ、カミナゲーナちゃんなんか飲み物ないー?アタシ喉渇いててさァ~」

 

「バヤ●ースかカル●スならありますけど?あとカミナゲーナじゃないで五月雨です」

 

グレカーレはフーアッツイアッツイとか言いつつシャツとスカートをパタパタさせつつお客様用応接ソファーに大股開きでワイルドに座った

 

「用が無いなら今すぐ消えろクソガキ、ここは神聖なる執務室だ、キサマのようなメスガキ臭いガキが気軽に入っていい場所ではない」

 

「ハァ?メスガキじゃないし、ってかアタシにメーレーすんなハゲ、足臭いんだよ」

 

「俺はハゲてないし足も臭くない、オイ、サミー、ジュースとか出さなくていいからコイツ光線銃(ブラスター)で撃て、蜂の巣にしてやれ」

 

光線銃(ブラスター)の所持許可がないので持ってませんよ」

 

「ファーックス!!」

 

サミーはバヤ●ースと氷の入ったキンキンに冷えたグラスをグレカーレの座るお客様ソファーの前の応接机に置き、ついでにチーズアーモンドとホワイトロリータの入った菓子皿も置いた

 

「Grazie、アリガトー……ってオバーちゃんちかよ!もっと他のやつないの?biscottiとか?」

 

「ないです、文句があるなら他所の子になってください」

 

あのサミーですらこうもアッサリとイラっとさせるとかやはりこのガキ相当にデキるな

 

「オイクソガキ、用がないならそれ食ったらさっさと帰れよ」

 

「用があるから来たんじゃん、ザコかっての」

 

「ザコじゃない提督だ、で?用とはなんだ?くだらない用件なら両肩脱臼させて膝の皿叩き割るぞ」

 

「んー?なんかLittorio……あー今Italiaだっけ?なんか ˈpittsa焼いてるからテートクもどーですかー?とかそんな感じー」

 

「ふ〜ん」

 

ピザか……悪くないな、たしかイタリアだかローマだかが、焼いたピザはホントに美味いんだよな、本格派っーのか?焼き立てアツアツのピッツアとビールの組み合わせは最高だな

 

「フーッ〜…よっ、じゃ、行こーか?」

 

空になったグラスと食い散らした菓子皿を放置し、グレカーレはグィーッと伸びをしつつごくごく当たり前のように言った…

 

「行く?どこへ?」

 

「寮にキマってんじゃん、ハナシ聞いてたの?」

 

「いや、普通に行かないが…」

 

「ハァ!?このグレカーレちゃんがわざわざ呼びに来たのにィ!?」

 

「ご覧の通り、提督は暇人ではなくてね」

 

「イヤイヤイヤイヤイヤイヤ!!困る困る困る困る困る困る困る!!なんで!?なんで来てくれないの!?ねえなんで!!」

 

グレカーレは青ざめた顔で俺の腕に縋り付く!!な、なんだ…?何故コイツがここまで困る?

 

「ご覧の通り、仕事中でね」

 

「そんなのアトでいいじゃん!ほら!ほらほら!行こ行こ!ね?そんなのアトにしてさァ!!」

 

「やかましい、っーか邪魔すんな」

 

「いやホント困るの!テートクが来てくれないとアタシ、アタシRomaに殺され……と、とにかく来て!!お願いだから来て!!」

 

「え?ムリ」

 

「クッ!いいから来い!!」

 

グレカーレは執務机を蹴り俺の腕をグイグイ引っ張るが、いつもの精彩さと狡猾さが欠けたコイツでは話にならず、俺はグレカーレの顔面を掴むとそのまま勢いよく執務室の壁に叩きつけた!!

 

グシャァッ!!(スネークバ●トォー!)

 

「グハァ!!」

 

「話にならんな、クニに帰るといい、お前にも家族がいるんだろう」

 

「クッ…!ゆ、油断した…!いつもならこんなカンタンに間合いに…!」

 

 

この後、グレカーレは何度倒しても立ち上がる不死鳥のような粘りとタフネスを見せこの俺を戦慄させたが、心を入れ替え、その力と情熱を認めた俺がグレカーレの願いを聞き入れ、ついにその重い腰を上げて最早立ち上がることすら難しいグレカーレをまるでディ●ニープリンセスのように抱き上げて仲間達の待つ寮へと向かった

 

 

………と言うジャスト1分の幸せな“ユメ”を見ながら眠った

 

 

「…ユメは見れたかよ?」

 

「久々に使いましたね、それ(邪●)

 

「使いどころか難しいからな」



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提督と群像暗黒伝モモタス

モモタス The Roman Idol

【登場人物】

提督(マネじゃない)
バッティングセンターで野球経験もないのに子供に熱血指導するタイプのアイドルへの浅い知識での熱血指導

桃(モモタス)
松型の四女、提督からは内心、エロゲーで見た顔だなとディスられている


アイドルとは 何ぞ………?

 

いつから高学歴でなくてはならなくなった?いつから露出の少ない制服姿と決められたのだ?いつから減点法でしかアイドルの評価をしないようなった?何故こんなにも周りを気にして不自由になった?何故つまらん規則で自分達の首をしめ続けるのだ?

 

「1 2 3!1 2 3!クルッと回ってー!ハイ!」

 

ビシッ!!(ズギギヤァァン!)

 

「よし!1分休憩、あと10回だ」

 

「えー!!マネ!も、もうちょっと休ませてよォー!」

 

「甘えたコトを抜かすな!あとマネじゃない、提督だ」

 

天と地のはざまに立つ美の海軍基地と呼ばれるキュウシュウにある都市圏から微妙に離れた地方基地

海軍でも手がつけられないワルどもが集まるとディスられて久しい当基地だが、そんな場所にもアイドルは存在する

 

いや、アイドルなのかどうかは微妙なのだが…

 

「ハーッ………マネ、水ちょーだい、水、フランス産の、硬水のやつ」

 

「水道水で十分だ、あと、マネじゃない、提督だ」

 

つい先日……いや、先日と言うにはかなり日が空いてはいるが、当基地に配属された松型駆逐艦の四女、桃

彼女は駆逐艦と言う本分をあまり理解していないどころか自分はアイドルになる為にここへ来たッッッ!!と公言しており、日夜そのトレーニングに精を出している

 

「はぁ〜……腕痛い、って足も痛い」

 

「フン、その程度で音をあげるようではなれるワケがないな、トップ・アイドルには…」

 

「ハァ?なれるし!いや、なるし!」

 

アイドルに必要なものは第一にやる気、熱意、情熱、そしてそれを叶える為の根性、たしかに彼女は努力家であり、その点ではクリアーしていると言えよう…

いや、その最低条件を満たしているからこそ、俺はこの子に賭けてみたいと思ったのだ

 

モモタスにはたしかにアイドルとしての才能がある、しかしだ、それはあくまでただの才能であり天性の才能ではない、99%のアイドルにはなれても100%のアイドルには決してかなわない

その1%こそが絶対的な壁であり、モモタスが目指すトップ・アイドルへの絶対条件なのだ

 

「そうだモモタス、週末、オマエのライブが決まったぞ」

 

「どうせまた近所の公民館とかでしょ?知ってるし」

 

「近所の公民館を無礼るな、そーゆー細かいコトの積み重ねが大事なのだ」

 

「ハイハイ、わかってるわかってる」

 

そしてモモタスは小柄である、アイドルとして小柄すぎて体格に恵まれていない事はやはり不利になるが、その点に関してはスピード、そしてテクニックを磨く事で補う事ができる

 

モモタスが目指すトップ・アイドルの座に君臨するNAKAさんは体格・技術・歌唱力・残忍性・カリスマ性、その全てが揃ったNAKAさんがどれほど恐ろしいアイドルなのかはもはや語るまでもないだろう…

 

「そして残念ながら今回は近所の公民館のジジババの寄り合いでない」

 

「ウソ!?ホント!やったぁ!!」

 

「近所のスーパーのリニューアルオープンイベントだ」

 

「…………ペッ!」

 

「アイドルがツバを吐くんじゃあない!」

 

「マネ、もーちょい他の仕事ないのー?ねぇー?もっとこう、ビッグなやつとか…」

 

「甘えるな、あとマネじゃない、提督だ」

 

まったく、ナマイキにも程があるなコイツは…

ちょっとカワイイからと言って地元じゃちやほやされてたらしいが…

 

「ちなみに今回はNAKAさんの作詞を手がけたこともあるらしいある意味有名な作詞家が曲を書いてくれたぞ」

 

「マジ!?ホント!ウソでしょ?」

 

「ウソじゃない」

 

そう言って俺は懐から取り出したA4コピー用紙を紙飛行機に折りモモタスの額に刺してやった

 

「痛いっ!!アイドルは顔が命ーっ!」

 

ーーー

 

「膝ガクガクだぞ!もうスタミナ切れてんのかー!やる気ないなら帰れ!」

 

「は、はいっ!!うおぉぉぉぉ!!」

 

週末のライブに向けての練習再開、口は悪いし多少ナマイキではあるがやはりモモタスは努力家である、その努力は買おうと頷いていると、明石の店で菓子でも買ったらしいビニル袋を手に下げた秘書艦サミー子が歩いてきた…

 

「提督、こんなとこでサボってたんですか…」

 

「サボっていたワケではない、トレーニング中だ」

 

「トレーニング?あぁ…え〜……桃さんでしたっけ?」

 

五月雨は大して興味なさげにビニル袋からパピコを取り出して半分にへし折り、半分を俺の口に突き刺さした

 

「どうなんですか?桃さん、多少かわいいからって地元じゃちやほやされてた系ですか?」

 

「彼女は努力家だ、才能もある」

 

「へぇ〜、と言うか提督、アイドルの育成とかできるんですか?」

 

「バカ言うんじゃないよこの子は、俺はアイド●ープライドも全話見たし、セレ●ロも見てるからな!」

 

「浅っ!!アイドルへの知識浅っ!せめてアイ●スやってるとかないんですか?」

 

「ないっ!!」

 

「………よくそれで桃さんをトップアイドルにするとか無責任なコト言えましたね」

 

「無責任じゃない、提督だ」

 

まぁいざとなったらトップ・アイドルの心臓を奪ってモモタスに移植してやればいいんだろう!

 

「雑!心臓奪う発想が猟奇的なことに疑問とか感じないんですか…」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

「はぁ?」

 

「まぁ正直なところ、アイドルと言われてもアイドルと言ったら西条き●りちゃんぐらいしか思いつかないのも事実」

 

「さすがにANG●LとかTHE HE●RTSとか言わないあたりに多少なりともピンアイドルの知ってた感がありますね」

 

ちなみにそこら辺は五月雨や陸奥の方が詳しい

 

「ま、恥をかかせない程度に頑張ってください」

 

「大丈夫だ、モモタスはやれる」



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提督と由良と憧れてしまえば超えられない

ゆらっとゆらめく由良さん

【登場人物】

提督(頭痛が痛い)
秋イベント開催中、ゴングを鳴らせ!戦闘開始だッ!

由良(由良さん)
提督の苦しむ顔が何より好きな生粋のドS軽巡
牛乳はお腹壊すから苦手


そろそろマジ冬コーデにコーデチェンジしないとと考えつつある今日この頃、普段から私服がダサい、イ●ンモールでたむろしてる中学生の方が二兆倍マシと秘書艦サミー子からディスられているが、今年は思い切ってオシャレな冬コーデ買っちゃおうかな、イ●ンモールで!

 

そんな事を考えつつスキップしながら喫煙所へと歩いていると、談話室付近の廊下にて運悪く由良さんとバッタリエンカウント

 

「ゲェーッ!」

 

「失礼ね、殴っていい?ね?」

 

「いいワケねぇだろ、ところで由良さんはこんなトコでナニやっとんのかね?」

 

「見ての通りだけど?」

 

「バカめ、見てわからんから聞いているのだよ」

 

しかし談話室の前で突っ立っている理由など今から談話室に入るのか談話室から出てきたのかの二択だろう

 

「今ムシャクシャしてるから次に談話室から出てくるヤツを殴ってやろうと思ったのよ」

 

「通り魔か!」

 

ムシャクシャしてるから殴るとかジャ●アン的発想だなオイ、どんだけ野蛮なんだコイツは…

 

「冗談よ、小粋なユラジョーク、ね?」

 

「由良さんが言うとジョークに聞こえんな」

 

「テイトク、由良、今ムシャクシャしてるから殴っていい?」

 

「良いワケねーだろ、膝の皿叩き割るぞ」

 

一触即発…ッッッ!!!

俺と由良さんの間に流れるのはスイーツな空気などではない、常に相手を如何にして倒すか、負かすか、潰すか、二度と立ち上がらないよう徹底的に痛めつける効率的かつ的確な方法を探り合う空気のみ

 

今現在、俺と由良さん、お互いに必殺の射程にはもう一歩と言ったところか…

俺の持ち技でもっとも発生が早いのはスネークバ●トだが万が一外した際の硬直が長い、これは残虐さにまるで躊躇いのない由良さんを相手に致命的…!凶悪なカウンターを返してくるのは必至!!

 

「ま、冗談だけど、テイトク今ヒマでしょ?ちょっと由良と談話室でお茶でもしながら楽しくおしゃべりしない?ね?」

 

「しない、何故なら俺は由良さんの事が嫌いだからだ」

 

「そーゆーのいいから、由良に付き合いなさい」

 

「付き合わない、何故なら俺と由良さんの価値観は違いすぎる」

 

「あ、そ…」

 

由良さんは小粋なジョークが不発に終わったアメリカ人のようにオーバーなため息を吐いたと思った瞬間、殺意の高い目突きを放ってきたが、これを読んでいた俺は即座に回避行動をとり、カウンターの掌底を打つべく足を踏み込んだものの、由良さんもそれを読んでいたらしく持ち前のゆらゆらしたステップで距離を下げた

 

「なんで避けるの?ね?」

 

「バカめ、避けねば死んでいるからだ」

 

「ふ〜ん」

 

相変わらず殺意の塊みたいなヤツだな、しかし同じく殺意の塊の金剛よりもまだ付き合いが長い分読みが利くのが幸いと言ったところか…

 

しかし一触即発の空気は未だ絶賛継続中、継続か撤退か、どうしたものかと考えあぐねていると……

 

「あ、由良さんだ!」

 

俺達の後方から元気な声が聞こえ、声の主っぽいのが駆け寄ってきた

 

「由良さん!コンニチハ!」ペコォ

 

「あ?あぁ、うん、こんにちは…」

 

バカな…!?あの由良さんがアイサツを!?と言うか、誰だ…?この子供、見たところ駆逐……いや、海防艦か?

 

「テイトクもコンニチハ!」ペコォ

 

「やぁ、え〜………キミはたしか、え〜…」

 

「第三十号海防艦です!」

 

「そう!三十号クン!」

 

海軍の闇が作り出したのであろう哀しき存在、被験体No.30………4号クンと同じ丁型とかなんとかの海防艦らしいが、その詳細については軍の資料でもやたらと塗り潰しがありよくわかっていない

 

「テイトクと由良さんは楽しくおしゃべりしていたんですか?」

 

「え?違うけ…」

 

「そうなの!楽しくおしゃべりしてたの!ね?」

 

由良さんは凄まじい速度で俺の肩に手を回し、アツい友情アピールを演出する!!ってか痛い!肩!肩が痛い!クッ!なんだこのパワーは…!

 

「由良さん、なんのつもりだ?」ヒソヒソ…

 

「いいから黙ってニコニコしてなさい、クズ」ヒソヒソ…

 

なんなのだ?いったい…?あの凶暴が服を着ている由良さんが話を合わせろだと?

 

「由良さん由良さん!もしよければ私もご一緒していいですか?」

 

「え?あ〜……うん、いいかな?丁度由良達お茶しようとしてたとこだし、ね?テイトク?」

 

「あ?あぁ…」

 

このパワー、否定すれば即座に肩を砕く気か…

まぁよかろう、正直、何故あの由良さんがここまでこの子供にビビっているのか興味があるのだよ

 

ーーー

 

そんなワケで、俺達は自販機コーナーでティーを買い、談話室へとやって来たワケだが…

 

「あー!クソ、また骨折か!死ね!」

 

基本、24時間誰でも利用できる談話室…

安物の椅子とテーブル、誰かが持って来て捨てて行ったコンビニコミック、雑に用意された菓子箱、畳エリアに設置されたスーパーファ●コン内蔵テレビではだいたい龍驤が寝転びつつダビ●タをプレイしている憩いの空間である…

 

「嬉しいなぁ、嬉しいなぁ、由良さんとご一緒できるなんて嬉しいです!」

 

「あ、うん、お菓子食べる?」

 

「ありがとうございます!嬉しいです!」

 

由良さんはアルフ●ート(ファミリーパック)を三十号クンに渡すと三十号クンは懇切丁寧にお礼を言った

 

「由良さんよ」

 

「ナニ?」

 

「なんなのかね?」

 

「だから、ナニが?」

 

由良さんはゆらゆらしながらニコニコしているが、そのオーラは“余計なこと言うな、殺すぞ”とゆらめいている…

仕方ない、ならば…

 

「三十号クンはアレかね?由良さんと、その…仲が良いのかね?」

 

「仲が良いかどうかはわかりませんが……私は由良さんのことを尊敬しています!」

 

「へぇ…」

 

三十号クン曰く、三十号クンはウチに配属される前から由良さんに憧れていたらしく、憧れの由良さんと同じ職場で働けるのが嬉しくて嬉しくてしょーがないとのコトだ

 

「三十号クン、由良さんに憧れるとロクな大人にならな…」

 

ゴシャアッ!!!

 

「〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!」

 

三十号クンから見えない足下、由良さんは表情一つ変えずに俺の右足を踏み砕き、ね?と笑っていた…

 

「オレンジジュース美味しい?ね?」

 

「はい!美味しいです!」

 

…わ、わからん!あの凶暴・凶悪で鳴らしていた由良さんがここまでするのか、今までも由良さんカッケーとか由良さんマジスゲーとかそれなりにバカどもにリスペクトされてたハズ…

 

「…三十号クンはアレかね?ほら、アレだよ、海防艦だし、対潜とか得意的な…」

 

「そうですね、対潜の訓練はいつも由良さんが付き合ってくれます!」

 

「そうかね、でもほら…対潜と言ったら由良さんと言うよりさ五十鈴さんに教わるのはどうかね?おっぱい大きいし、子供にも優しいし、意外にも教えるの上手いし、おっぱい大きいし…」

 

「由良の方が上手いわ」

 

ウソ吐くじゃないよこの子は、由良さんと五十鈴さん、共に対潜は得意だが五十鈴さんと違い、由良さんはわりと雰囲気で対潜してるケがあり、なんでその体勢から爆雷投げて当たるの?と言いたくなる型のない(フォームレス)シュートを投げたりするだけに人に教えるのが上手いとは言えない

 

「由良さんはすごく懇切丁寧に教えてくれるし、たまにアイスを買ってくれたりします」

 

オイオイオイ、ウソだろ?あの由良さんが…?思わず口に出しそうになったが、さっき踏まれた右足がさらに砕かれる音がしたのでやめた

 

「…そうかね」

 

「テイトクと由良さんは仲良しなんですか?」

 

「は?冗談じゃない、俺と由良さんの間にあるのは殺戮・恐怖政治・血祭りの血の三ヶ条だけ…」

 

ドスッッッ!!!

 

俺の口にカチカチに硬化した練乳パンがねじ込まれ喉奥まで突き刺さり、窒息する勢いで練乳を流し込まれた

 

「テイトク、パンが食べたいって、ね?」

 

「え?そうだったんですか!さすが由良さん!すごいです!」



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提督と激突!Atlanta VS Honolulu

キミは小●宙を感じたことがあるか!

【登場人物】

Atlanta(ブルックリン)
陽気が多いアメリカンの中では珍しい陽気でない存在
大変キレやすく、暴力的、M.S.Pの仲間には優しい

Honolulu(オアフ島)
ハワイから来たプッツンガール、基本は陽気で細かいことはあまり気にしない


秋の日は人妻堕とし、朝晩の冷え込みについて何かしらの対策を練る必要があると考えつつ大事な大事な基地内巡回と言う名の散歩をしていると、グラウンドの横にある屋外型バスケコートでなにやらモメているような声…

 

「ここはシム達が先に来てレンシューしてたんしゅよ!」

 

「ハァー?うっせーっぽい、オラ!どけどけヘタクソが!ボール遊びなら浜辺に行ってやりなっぽい!」

 

「ムガーッ!!ナニがタマ遊びっしゅかーッ!」

 

モメているのはどうやらアホでお馴染みの占守クンとその姉妹達、モメている相手は………アホでお馴染みの夕立、そして暁ちゃんと……

 

「ハァ…いいからさっさと退けって言ってるのよクソガキ、ってか、この国でバスケごっこしてるサルは今すぐやめるか死んでくれない?」

 

生まれも育ちもブルックリンのストリート、悪そうなヤツは全員八つ裂き!ワールドクラスの高さと速射砲のようなフリッカーと凄絶!ライトアッパーを武器に逆らう者を血祭りにあげてきたMAJORの切り札、Atlanta!!

 

「ナニがバスケごっこしゅか!許るさーん!」

 

「ちょ、やめなよ姉さん!コイツらM.S.Pだよ!」

 

「ミンチにされちゃうよ!」

 

タマ遊びにバスケごっことディスられ一層ムキになった占守クンだったが、妹達に相手が悪いよとなんとか宥めるように引きずられる…

 

「オラオラ!さっさと退けっぽい!」

 

「ここは暁たちまっと・そろもん・ぱーひぃーが……!うぇぇぇ噛んじゃったぁぁぁ」

 

MAD.SLOMON.PARTY…ッ!!

アトランタ、夕立、暁ちゃんの三人が組むソロモン・ディビジョンをシマとするMCチームらしく、その狂暴かつ凶暴なライムは圧倒的な攻撃力を誇る!!正直、かわいい暁ちゃんにはそんな不良みたいなグループには入って欲しくないのだが、ああ見えてアトランタのヤツ、夕立と暁ちゃんのコトを気に入ってるらしくたまにバーガーを奢ってやったりしてるそうな…

 

「よしよし、大丈夫、アカツキは悪くない」

 

「アトランタのアネゴぉ!」

 

アトランタは暁の頭を撫でいいライムだったと褒めた

 

「オマエらはさっさと帰りなよ、マミーヤ行ってミルクでも飲んでろ」

 

「クッ!なんて圧力!おっぱい大きいお姉さんなだけあるっす!」

 

迫力のアトランタっぱいの前に気圧される占守クンだったが、ナメんなクソー!とボールを手にアトランタくんに1on1を挑む、しかし!やはり海防艦程度のカスではやはり太刀打ちできず2秒で敗北した

 

「ウゲェー!」

 

「姉さん!」

 

「ムリだよシム姉ぇ!勝てるワケがない!もぉー帰ってみんなで桃鉄でもしよーよ」

 

「やかましい!!この敗北主義者どもがーっ!」

 

勝負は決して諦めない、決して資本主義のブタどもには屈しない、同志ガングートの教えをなんだと思っているかー!と暴れる長女占守を押さえつけるクナくんとハチくん…

 

やれやれ、どうやらここはハナシがわかる大人である提督の出番のようだな………と思っていたその時!

 

「ヘイ!チョット待ちなよ!」

 

M.S.P、占守姉妹とも違う第三の声!!

提督の居る逆の方から歩いてきたのは…っ!!

 

「Honolulu…」キッ!

 

「このコートはその小さいの達が先に使ってたんだぜ!」

 

現れたのはアトランタくんと同じくMAJOR出身!ハワイ島から来たキンパツ巨乳!ホノルルくん

ホノルルくんは小さきものこと占守姉妹によく頑張った感動した!ポケットからチューインガムを取り出して姉妹に手渡した

 

「ア…アンタ誰っしゅか?」クッチャクッチャ

 

「アタシはHonolulu、このバカと同じクニのモンさ」

 

「同じクニ……!資本主義のブタっすか!いや、でも同じおっぱい大きいお姉さんでもお姉さんは良いお姉さんっすね、シムにはわかるっしゅ」クッチャクッチャ

 

「良いお姉さんか、ハハッ!いいねそれ!」

 

占守クンはこれは良いおっぱいのお姉さんっしゅよとホノルルくんのホノルルっぱいをベシベシ叩いた

 

「Honoluluゥ…」ピキッ!

 

「アトランタのアネゴ!」

 

「ア…アネゴがキレかかってるっぽい!あ、あのキンパツおっぱい、アネゴのなんなのっぽい!」

 

そういや以前、ヘレナくんが秘書艦代理やってる時のバカ話でアトランタくんとホノルルくんはメチャメチャ仲悪いとか言ってたな…

顔を合わせりゃお互いに親でも区別できないくれーグチャグチャに整形してやんよと殴り合い、海軍スーパーポリスアカデミー時代はよく二人してアイオワから制裁されていたとか…

 

「Honolulu…テメー……まだ生きてんのか?」ピキッ!

 

「ハハッ…クセークセーと思ってたらAtlanta、オメーまだオネショ癖直ってないのか?エェ?」パキッ!

 

「ア"ァ?」

 

「ジョートーか!」

 

アトランタくんとホノルルくんは互いに胸ぐらを掴み合い、至近距離からメンチを切り合う!そのパイ合わせの迫力たるやまさしくMAJOR級!!これがワールドクラス同士の衝突!!

 

「スゲェ!アトランタのアネゴの当たりに負けてねぇ!」

 

「なんてフィジカル…!これが世界最高峰!」

 

「ハンパじゃねぇっしゅ!ハンパじゃねぇっしゅ!!」

 

「姉さんの語彙力の無さ…」

 

ワールドクラス同士の激しい接触に周りに居たM.S.Pのメンバーと占守姉妹達も興奮を隠せずワーワー言って盛り上がっている…!

 

たしかに、これほどのメガおっぱい同士の激突はなかなか見られるものではない…………生き残った方を、ボクが狩る♠️

 

「Honoluluゥ!!」

 

「Atlantaァ!!」

 

だがしかし、この基地で凄惨で血生臭い殴り合いなどあってはならない!何故ならこの基地に配属されたバカヤロウどもはみんな大事な俺の家族だ、家族がケンカをしちゃあいけねぇ…

 

「あー…待て待て!待ちたまえキミたち、ケンカはいけないなァ、ケンカは」

 

「ア?」

 

「あァ…?」

 

俺はアトランタくんとホノルルくんのケンカを仲裁すべく、俺もまぜてよと言ったフランクなノリで二人の間に割って入ろうと…

 

『『うるせぇ!!!』』

 

アトランタくんから速射砲のようなフリッカーの連打を、ホノルルくんからは大砲のような強烈なアッパーを頤に貰い、上空にきりもみ回転しつつフッ飛ばされ、そのまま脳天から硬い地面に叩きつけられた!!

 

グシャアッ!!!

 

「………なんだ、テイトクか」

 

「ジャマしてんじゃねーよ」

 

死ーン……(流血)

 

「スゲェ!テイトクがイッパツでヤられたっぽい!」

 

「ナニしに来たんしゅか!あのオッサン!」

 

 

この後、アトランタくんとホノルルくんは多少テンションが下がってお互いに退きかけたものの、やはりお互いに短気だったらしく再び一触即発の空気になったが、たまたま通りがかったヘレナくんに訓練サボって遊んでんな!と、悶絶お腹パンチの強打を貰い、二人してヘレナくんに引きずられて行ったらしい…

 



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続続続続続続続続続続続続続続続・提督と作戦とミーティング

そんなふうに考えていた時期が、俺にもありました

【登場人物】

提督(クズの人)
白露姉ちゃんとはゲームの話をするくらいは仲が良い

村雨(クズの子)
白露姉ちゃんとはファッションについて話をするくらいは仲が良い


ある晴れた昼下がり、孔子を乗せた荷馬車がコス●コ行くってー…と、ローとルイジくんが歌っていた

 

「久しぶりだなクズども!今回はなんとたった二海域!二海域で甲提督になれるビッグ・チャンスってヤツだ!今回は獲りに行くぞ、わかったなクズども!わかったら大きな声でハイ元気ですお返事しろやクズども!」

 

秋の作戦海域in本土近海航路のお達しが出てから早1週間、忙しいんだとか仕事があるからとか自分自身に言い訳をするのはもうヤメだと思い立ち、イベント海域前の大事な儀式である全艦集会にクズどもを集めたワケだが…

フッ、皆いい顔をしておる……クズだクズだと思ってはいたが、コイツらとならやれるだろう!

 

『うるせーボケ!!死ねーッ!』

 

『堂々と遅刻して偉そうにすんな!オマエがクズじゃー!』

 

『足クセーんだよ!!』

 

基地体育館で開催中の全艦集会に集まったクズどもからの心温まる罵声の数々、浦飯チームだってここまで罵倒されていなかったのだよってぐれー罵声が飛んでくるが、まぁ、それもやる気の裏返しってヤツだろう、あと俺の足はクサくない

 

…そう、たった二海域で憧れの甲提督になれるチャンス(フラグ)

 

◆◆◆

 

「あ、テイトクだ」

 

とりあえず自販機コーナーで缶コーヒーでも買うかと歩いていると、ビッチくさいのとエンカウント

 

「ジュース買うの?村雨にも奢って奢って〜♪」

 

プッツン姉妹、白露型の三女であり時雨様のすぐ下の妹、夕立の姉にあたり、その…駆逐艦離れした超肉体から(お胸様的な意味で)10年に1人の天才と言われる白露姉妹キ●キの世代の……いや、駆逐艦屈指の大型センターであり、あのジョンくんやフレッチャーくんにも当たり負けしない超肉体である

 

ただし、ビッチである

 

「誰がテメーに奢るかボケ、自決しろ、←→↘↓+スタートボタンして死ね」

 

「死なないし、別にいいじゃん、ジュースくらい奢っても、ケチぃー」

 

「ケチじゃない、提督だ」

 

村雨はブーブー文句タレつつそれでもしつこくまとわりついてきたので肘鉄をお腹に叩き込んだ

 

「ブバァ!!ゲホッ…!オゴォ……!ちょ、ちょ…ヒドくない?」

 

「ヒドくない、俺は硬派な男だからビッチには厳しいんだ、おばあちゃんからもビッチには容赦すんなと教えて貰ったからな」

 

「村雨ビッチじゃないですケドぉ?」

 

「やかましい」

 

ハッキリ言ってコイツのビッチ臭は白露姉妹……いや、駆逐艦の中でも群を抜いている、未だその才能は開花しきれてはいないだろうが、コイツはあのキングオブビッチ・鈴谷すらも凌駕するかもしれんビッチの可能性を秘めている…

 

「だいたいオマエ、なんだそのやらしい身体は?ナニ食ったらそんなやらしー身体になるんだ?あ?」

 

「美味い食事と適度な運動?」

 

「そんなワケないだろ」

 

「村雨は別にトクベツなコトしてないケド?まぁ、しいて言えば…………才能?」

 

「そんなワケないだろ」

 

「また否定する!もぉー!提督、そーゆートコ駄目だってば、褒めるトコは褒めてノビノビと育てなきゃ」

 

「やかましい、キサマを褒めるくらいならカメムシでも褒める方がマシだ」

 

カメムシ以下とディスられ、村雨はさすがにカチンときたらしく、手にしたチェーンをブンブン振り回して投げ俺の身体に巻き付けてきた

 

「なんのつもりだ?チェーンデスマッチでもやる気か?」

 

「ハァ?そんなのしませんケド?って言うかテイトク、村雨のチェーンに捕まってその余裕……」

 

言っとくケドこのチェーンは捕らえた獲物は絶対に逃がさない!そして10万ボルトの電流を喰らいたくなければジュースとお高いスイーツを奢れと村雨はイキってきたが…

 

「フッ、この程度で俺を捕らえた気になっているとは……まったく、駆逐艦のボウヤは救い難いな」

 

「ハァ!?もぉーいい!提督の死体から財布貰うコトにするわ!死ね!」

 

バキッ!!!(チェーン爆散)

 

「な、ナニぃー!!村雨のチェーンが!な……何故チェーンが、こ、これは………黒薔薇!この黒薔薇がチェーンを砕いたと!」

 

「フッ、ピラニ●ンローズの前ではそんな鎖などオモチャに等しい…」

 

「クッ…!」

 

「どうだ?今なら今穿いているパンツを脱いで土下座すれば許してやる事を考えてもいいぞ、あぁ…脱いだパンツは両手でキチンと広げて見せろよ、ヨゴレのこびりついた内側を」

 

「ヘンタイ!!ヘンタイ!!いや、マジ…キモい、ヘンタイ!」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ」

 

「いや、駆逐艦のパンツに興奮するとかヘンタイでしょ…ってか村雨のパンツをオカズにする気とか普通に気持ち悪いんですケドー」

 

「誰がオマエのパンツなんかオカズにするか、汚物が」

 

「オブ……!?汚物はさすがに言い過ぎじゃない?」

 

「ハッ?オマエのビッチくさいパンツより白露姉ちゃんの地味に美少女パンツの方がまだ興奮するね」

 

「カッチーン!!言うじゃない…!」

 

この後、俺と村雨は姉妹の中で最も興奮するパンツはどれだと白熱したディスカッションを行い、意見としては白露姉ちゃんの8時間穿いたパンツVS海風ねーちゃんの訓練あがりのムレムレパンツでかなりモメたが、ディスカッションの最中、たまたま歩いていた時雨様に何の話だい?と尋ねられ、白露姉ちゃんのパンツ見たいですと答えたら時雨様に身分の違いを讃える姿で思い知らされた



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提督と鳳翔と夜の部

イベント海域?あぁ…やっこさん死んだよ

【登場人物】

提督(紳士道)
もう12月です、もう12月です……今年もなんやかんや忙しくしてたら12月

鳳翔(ビッグママ)
チンピラ空母界の頂点に立つ真の闇、キセルがやたら長い
実はアップルパイが作れるらしい


基地内に存在する夜の店、倶楽部HO-SHOW…

 

「フーッ〜…アンタこんなトコでプラプラしてるヒマあんのかい?BOY」

 

「ハハッ、ママ、いい加減BOYはやめてくれよ」

 

空母界の頂点に君臨する赤城、そして加賀すらもビビって金出しそうになる空母界真の頂点、ビッグママこと鳳翔が経営するこの店はハードボイルドと紳士道を何より尊ぶ俺にとって……いや、日々、大人である事を強いられている大人にとっての聖域(サンクチュアリ)である…

 

「ママー!バーボン!バーボンくださーい!」

 

「ビールください!おビール様!」

 

グラスに一杯の命の水、そして静かに流れる小粋なジャズが日々の疲れを癒し…

 

「やかましい!!今日の俺は静かに飲みてぇんだよ!!」

 

「え〜?ダメですよぉテイトクぅ〜…お酒ってのはですねぇ〜……楽しく飲まなきゃお酒に失礼なんですよぉ〜、うへへへぇ〜」

 

俺の右の席に座り、うへうへアル中臭い息を吐きつつ俺の背中をバシバシ叩く美少女……ポーラ、見ての通り、アル中だ

 

「それなー!ポーラさん今良いコト言ったー!ハイ!カンパイ!」

 

左の席、ゲハゲハアル中臭い息を吐きつつ俺を挟んでポーラのバカと乾杯してゲラゲラ笑う美少女……伊14、見ての通り、アル中だ

 

「やかましいってんだろーがボケ!言っとくが今日は奢らねーからな、オマエら金持ってんだろーな?アァ?」

 

「え?ポーラお金ないですよぉ…」

 

「イヨも持ってないんだけどぉー!」

 

「ママ、コイツら金持ってねーって、ケイサツか保護者に連絡だな」

 

「保護…っ!?い、いや!ザラ姉ぇさまには連絡しなくでください!!こ、こ、こ…殺される、ウッ!!オボォォォォォォォ」ビチャビチャ…

 

「ネーちゃんにだけは連絡しないで!!コロ…コロ……オエェェェェ〜…!」ビチャビチャ…

 

ポーラとイヨティンは万引きで捕まったバカガキのように親には連絡しないでくださいと泣いて吐いてママに土下座で懇願した

 

「フーッ〜…BOY、今日はアンタは立て替えてやりな、あとアンタ達、ゲ●掃除しな」

 

「え?やだよ、ママ、コイツら甘やかしてどーすんだ?厳しくいこーぜ!厳しく、そんなんだからチョーシのるんだよこのバカどもが」

 

「テイトクゥゥゥゥ!助けてくださいよォォォォォ!あ、パ●ズリ、パ●ズリしますよぉ、ウヘヘぇ〜…」

 

「そんなコト言わないでさぁぁぁ!あ、イヨのおっぱい揉む?いーよ!揉んで!」

 

コイツら……心底腐ってやがるっ!自らが助かる為に身体を売るとは、まったく、アル中っていつもそうですね!提督のことをなんだと思っているのか?

 

「えぇい!離せ離せ!この下郎どもめ…っ!この俺がその程度で考えを翻すとでも思ったか!クズども…っ!」

 

「じゃーどーしたらいいんですかぁ〜?」

 

「イヨたち金ねンだわ、ギャハハハハ!」

 

クズ…っ!まっことクズ!救えない…っ!コイツらマジで一度再教育プログラム受けさせて真人間に更生させるか

 

「そうだな…………じゃ、抱かせろ」

 

「え?そんなのいいですかぁ?」

 

「テイトクっていつもそうですよね!イヨたちのコトなんだと思ってるんですかー?ギャハハハハー!」

 

「ジョークだ、小粋なテイトクジョーク、オマエらみたいなゲロくさくてアルコールくさいヤツなんぞ誰が抱くかボケ」

 

「え〜?じゃ、じゃあザラ姉ぇさまならどうですかぁ?ポーラ一生懸命ザラ姉ぇさまに頼んでテイトクにアモーレして貰えるように頼みますぅ〜」

 

「あ、じゃあイヨも!イヨもネーちゃんに頼むから!ネーちゃんああ見えて超エロいから!精気全部吸われるくらいスンゴイから!たぶん!」

 

「やかましい、ザラ姉ぇもヒトミちゃんもそんな頼みを聞いてくれるワケないだろーが、現実を見ろ、現実を、そんなハナシをしたらオマエら間違いなくザラ姉ぇとヒトミちゃんにマッスルド●キングの刑に処されるぞ」

 

特に怒りのザラ姉ぇは瞬間的には戦艦すら上回るカンムスパワー、7000万パワーを出せるらしいからな…

 

しかしだ、まぁたしかに、このゲロ臭いバカどもに比べたらザラ姉ぇとヒトミちゃんはスゲーイイ匂いがしそうだよな、もし仮にザラ姉ぇとヒトミちゃんに迫られたらまず間違いなくファックするね!むしろしない方が無作法だろう

 

…そんなザラ姉ぇとヒトミちゃんについて考えていると、奥のボックス席でバカどもが一段とウェイウェイ言ってる声が聞こえてきた

 

「ショーカクちゃーん?飲んでるぅ?」

 

「…あ、ハイ」

 

「どんどんイッちゃえ!どんどん!ショーカクちゃんはなんたってウチのエースなんだからな!」

 

「…あ、いえ、エースだなんて……私なんてまだまだセンパイ達には……あ、でも瑞鶴は最近凄く調子が良くて、センパイ達にも負けないくらいかなって…アハハ…」

 

基地空母界鉄の縦社会、閻魔の一航戦、鬼の二航戦、そして………奴隷の五航戦!!

普段、一航戦や二航戦のバカどもがママの店に来ることはよくあるが、今日は珍しく五航戦が……と言っても、姉の方だけだが来ていた、いや、来ていたっーかカラまれていた

 

「ナニ言ってんだオメー、こないだ岩井隊貸してやったろ?アレ練度付けて返してくれよな!」

 

「…あ、ハイ」

 

「ところでショーカクちゃんよ、アムウ●イって知ってる?」

 

「あむ…?なんですか、それ?」

 

五航戦の姉の方、翔鶴…

見た目は薄幸の美人でおっぱいが大きく気が優しくて妹想い(病的に)

ウチには珍しい善人だが、とにかく気が弱いらしく、よくチンピラセンパイ達から開運グッズだの健康グッズだの友達価格で売り付けられており、常に金がなく、病的な顔色をしている…

 

「オイ、オマエら!翔鶴クンをあんまイジめんな!」

 

「アァ?」

 

「んだよ、テイトクか…チッ!今ショーダン中なんだよ、あっち行けよ」

 

まったく、他所の席には干渉しないのがこーゆー店でのルールだが………俺の紳士道は、美人に弱いんでね!

 

「ナニが商談中だ、翔鶴クン、このバカどもの言うコトなんか聞く必要はないぞ」

 

「…え?でもせっかくセンパイがお話があるってわざわざこんな席まで用意してくれて…」

 

本当にこの娘は善人なんだな、この善人かつ薄幸オーラは菩薩と呼ばれた戦艦、扶桑に通じるものがあるが、扶桑には病的なまでに姉様スキーの妹と“絶対王者”西村艦隊と言うチームメイトがいるおかげで変なのにカラまれたりしないのだが…

 

「フーッ〜………アンタたち、ウチの店で営業活動は禁止だよ」ギロッ!

 

「マ、ママ…っ!」

 

「じょ、ジョ〜ダンだよぉ」

 

さすがはビッグママだ、あのチンピラどもをひと睨みで萎縮させた…!さすがにママに睨まれては難しい、赤城は伝票を手に取って席を立った

 

「チッ!行くぞオマエら」

 

「ウーッス、じゃママ!また来ますんで!」

 

「あ、センパイ、お支払いは…」

 

「いいっていいって!今日はセンパイの奢りだから!今日加賀サンパチ●コでめっちゃ勝ってるから!」

 

「オマエ負けたケドな、打てませぇーんってな!ギャハハー!」

 

「ヒリュー!テメー殺すぞコラァ!!オモテでろ」

 

チンピラどもは気前良く金を払って去って行った…

 

「………いいのでしょうか?」

 

「いいんだよ、たまには、あのバカどもに払わせといて」

 

この後、翔鶴クンは日課のお百度詣りに行くので失礼しますと懇切丁寧に頭を下げて店を去り、俺はポーラとイヨティンがゲ●掃除してる間に保護者の方に連絡し、10分後、やって来た保護者達からポーラとイヨティンはマッスルド●キングされた



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海上護衛!本土近海航路の防衛(帰ってきた鎮守府秋刀魚祭り)【ダイジェスト版】

甲勲章を逃し、コンプリートテイトクの資格すら失った情けない提督ですまない…

【登場人物】

提督(丙提督)
俺は全うできただろうか…?ちゃんとやれましたか?

五月雨(丙秘書艦)
いや、全然できてないです


勝つのは五十鈴!勝つのは五十鈴!勝者は五十鈴!負けるの深海!

 

「でたー!五十鈴サンの五十鈴王国(キングダム)ー!」

 

「ヤツのウィークポイントはもうツルスケじゃねーの!」

 

「あぁ…あかんなぁ、そんな近くて……五十鈴サンの対潜射程はそんな遠くないで」

 

「五十鈴サンの射程は、“海域”全てだ!」

 

◆◆◆

 

師匠が走る師走の執務室…

寒い寒いと言いつつも日中は暖かい気がする今日この頃、秋刀魚狩りから間髪入れずに始まった異例の作戦海域の期間も本日で無事終了、今回はなんとたった二海域で憧れの甲提督になれるとあって、初めての甲勲章を受勲して嬉し恥ずかしな海兵・将兵も多いだろう…

 

きっと今日は初めての甲勲章を記念してパーティーかな?秘書艦とか間宮とかが作った山盛りのごちそうと美味い酒が美味いのだろう………たぶん

 

「ハイ!ハイ!まことにー!まことに申し訳ございませんー!」

 

今日も変わらぬ執務室、さっきまで手にしていた受話器を電話機の上に置いた俺は胸ポケットから取り出したタバコに火を点けた

 

「フーッ〜………」

 

「執務室は禁煙ですよ」

 

「カテぇコト言うなよサミー子ちゃん」

 

「カテぇコトではなくルールを守ってください」

 

「へいへい………まぁ、でも火ぃ点けたしコレ1本くらいサービスしてくれや」

 

当基地のルールでは、本部からお達しがある海域作戦の期間中のみは執務室での喫煙が許される(窓は開ける)

まぁ、期間は今日までだったし多少は許されてもいいだろう

 

「そんな体たらくだから怒られるんですよ」

 

「やかましい、だいたいあの呪いの札システムってのが全部悪い、俺は悪くない」

 

秋刀魚狩りからの間髪入れずに始まった海域作戦、今回こそは意気込んで乗り込んだ一発目から誤出撃!呪いの札システムを発動!このターン、特定のクリーチャーは攻撃も守備もできなくなる!

 

…ガーン、いきなり出鼻をくじかれたな……とやる気を失った俺は安心安全の丙クルージングを迷わず選択!

 

「まぁ、提督がアレなのは今に始まったコトじゃないですが…」

 

「アレじゃない、提督だ」

 

ちなみに、今回のMVPチケットランキングはやはり対潜水艦狩りの達人集団が上位を独占し、パイオツが大きい五十鈴さんは金の橋が作れるくらいの札束を獲得した

 

「あー………そういや新人さんが来てましたよ」

 

「新人?何人だ?2人か3人か?」

 

「1人です」

 

「1人かよ!!」

 

1人だけとは珍し……いや、そんなコトだってあるだろう、うん、たしかサムくんとかも1人だけフラっと変な時期に来たしな

 

「ちなみに予定としては2人だったんですが、もう1人はお腹痛いとのコトで今回の配属は見送りになりました」

 

「マジかー」

 

まぁそーゆーコトもあるわな、こーゆーのいつ以来だろうな、たしか高波クンだったかなんだかが肩を壊したとか膝を壊したとかで配属を見送りになったっけか…

 

「で?ちなみに新人ってのはなんだ?戦艦か?」

 

「いえ、潜水艦の人です、米国出身」

 

「MAJORかッ!!」

 

戦艦、空母、重巡、軽巡、駆逐艦……MAJORから様々な大型新人が電撃移籍してきたが、これまで潜水艦はいなかったな…

 

「とりあえず明日面接に来るからビッと小綺麗な格好しといてくださいね、面接の時ぐらいは」

 

「やかましい、それではまるで俺が普段から小綺麗じゃないみてーだろーが」

 

「小汚いとは言いませんが、小綺麗ではないですね」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!」

 

この髪長ロング子が、普通なら提督様に対するその不遜は極刑に値するが………全て許そう、何故なら俺は心の広い大人だからだ

 

「まぁいい、今夜は反省会と忘年会とクリスマス会の打ち合わせを兼ねて香取先生らとメシ食いに行くから、オマエもテキトーな時間にアガっていいぞ」

 

「兼ねすぎでしょ…」

 

「いいんだよ、大人っーのはなんでも兼ねたがるモンだからな」

 

「ちなみにオマエ、クリスマスは何が欲しい?金か?女か?」

 

「そうですね、若くてイケメンな提督ですかね」

 

「そいつはサンタさんでも用意できないな」

 

「じゃ、金でいいです」

 

「ユメのねぇヤロウだな」



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続続続続続続続続続続続続続続続・提督と新人と面接+R

今日は珍しく二本勃て

今回はドロップできなかったので昭南クンは来ません、昭南クンは来ません


【登場人物】

Scamp(潜水艦)
MAJORから電撃移籍、しずまヅラしたいやらし潜水艦
一人称はアタイと昨今なかなか見ないスケ番みたいなタイプだが大切なものはパパとママとなかなか良い子




冬の晴れ間の執務室…

たった一度の今日と言う日、どんなしょぼいヤツにも人生に一度はあるであろう今日と言う日に執務室の扉を叩くのは誰であろうか…?

 

「今日の面接は1人です」

 

「ふ〜ん」

 

本日の面接予定は1名、本来は2名の予定だったが1人は様々な事情により今回は配属が見送りとなった

そんなワケで、今回の新人面接No.最初で最後、MAJORからの電撃移籍!

 

「あんたがAdmiral?ふーん……そっか、アタイはGato級潜水艦、Scampさ」

 

「ほぉ…スキャ……えー…スキャンプくんか」

 

これまたズイブンとナマイキそうなツラをしているな、だが、まぁMAJOR出身となればその実力は疑うところは無いだろう…

 

「当基地としては潜水艦は実力派エリートとして特に力を入れていてね、まぁ、ガンバってくれたまえ」

 

「ヘェ…」

 

「ワカらないコトがあれば優しいセンパイ達がナンでも教えてくれるので気兼ねなくナンでも聞くといい」

 

しかしだ、潜水艦のバカどもは英語とか話せるのだろうか?たしかドイツ語とイタリア語はワリとイケる感があるが、英会話には疑問が残る………ま、なんとかなるか

 

「オイオイAdmiral、アタイがこんなチンケな島国でバスケごっこしてるサルどもに教えを乞うなんてありえねーぜ、マァ見てなって…明日には今居る潜水艦ども全員シメてテッペン獲ってやっからよ!」

 

「そいつは頼もしい、まぁ、できるものならな」

 

「ヒュー!言うねぇ…」

 

「ハッキリ言って当基地の潜水艦どもは基本バカだがその実力だけは折り紙つきなのだよ、特に、オリョールと言う地獄を見てきたヤツらは全員ツラ構えが違う」

 

「面白れぇ……ヘヘッ!なら教えてもらおーじゃねぇか!その地獄の一丁目ってヤツをよォー!」

 

MAJORから来た期待の新人、スキャンプくん

その、ギラギラした闘争心とエグいハイレグを武器に潜水艦界と言う魔境に挑戦するも、後日、潜水艦のバカどもから可愛がりを受けてギラギラした闘争心を喪失!!

 

毎日祖国のパパとママに電話しているッッッ!!

 

◆◆◆

 

「本日の面接は以上です」

 

「早いなオイ、もう終わりかよ!」

 

「1人だけですし」

 

「まぁ、それもそうか…」

 

さすがに面接1では当日の予定は全て潰せないなと考え、とりあえず空いた時間を有効活用でもするかと考えた俺は、有効活用するにはナニをすべきか、それを考えるべく喫煙所へと向かうコトにした

 

「タバコ吸いに行くならついでシャーペンの芯買って来てください」

 

「こやつめ!カッカッカ!こやつめ!」

ーーー

 

秘書艦サミー子からクソみてぇなお使いを頼まれ、とりあえず明石のバカの店にでも寄って行くかと歩いていると、明石の店のところからナニやら言い争うような声が聞こえてきた…

 

「C’est un magasin très mal approvisionné.!」

 

「エェェ……イングリッシュノーノー、アイムジャパニーズオンリー」

 

「ナニやってんだオマエら?」

 

「あら?mon amiral」

 

「あ、テイトク!丁度いいトコに!」

 

カウンターのところに居たのは店主の明石、そして……まるで黄金の獅子のタテガミの如き豪奢なキンパツをブワーっとナビかせて立つフランスから来た美の戦士、自称最強戦艦のリシュリュー…

 

「テイトク、私英語よくわかんないんで通訳して貰えません?さっきからこのパッキンさんがナニ言ってるのかワカんないんですよ」

 

「パッキンサンじゃない、Richelieuよ」

 

「リシュ…リシュリーさん?あー、スンマセン」

 

「Richelieuよ!二度と間・違・え・な・い・で」

 

明石はヘコヘコ頭を下げつつサーセンサーセンと言っているが、これほど誠意と真心を感じないサーセンはなかなか見ることはないだろう…

 

「っーかリシュリューくんはPRIDEの高いフランス人だから英語じゃないでフランス語だろ」

 

「え?フランス語だったんですか?そりゃ余計にわかんねーですよ」

 

明石はそりゃワカんねーとケラケラ笑ったのでとりあえずケラケラ笑う明石にお腹パンチをブチこんだ

 

「オゴォ!!」

 

「…で?リシュリューくんは明石の店にナニ買いに来たんだ?漫画か?」

 

「違います、Je suis ici pour acheter de la nourriture pour animaux de compagnie」

 

「え?なんだって?」

 

「Je suis ici pour acheter de la nourriture pour hérissons de compagnie」

 

ナニ言ってんだコイツ?フランス語だよな?提督はフランス語会話には明るくないのだよ…

 

「ちょっと待て、わかる感じ、ニホンゴで言え、ニホンゴで」

 

「hérissonのエサを買いに来たのよ、デモ、見たところ取り扱ってないみたいね…」

 

「エサ…?なんだ、オマエ、犬とかネコとか飼ってたのか?」

 

「イヌでもネコでもないわ、hérissonよ」

 

そう言ってリシュリューはポケットからスマホを取り出すとスムーズな指先で画面をスイスイ動かし、なにやら一枚の画像を俺に見せてきた

 

「…なんだコレ?ウニ?」

 

「hérissonよ、名前はMontjeu」

 

スマホの画面に映っているのはなにやらトゲトゲしい物体……いや、なんだコレ?ウニじゃないのか?

 

「あ、コレ、もしかしてハリネズミじゃないですか?」

 

「ハリネズミだぁ?」

 

お腹パンチのダメージから復帰したらしい明石がスマホの画面を見て名推理(たぶん)

 

「そうとも言うわね」

 

「あー…ウチ、ハリネズミフードは取り扱ってないですねー、定期的に必要なら仕入れますけど?」

 

「そう?じゃ、お願いするわ、ウチのMontjeuに安いモノは食べさせたくないから高いやつでいいわ」

 

「ヘヘッ、承知しやしたぁ〜」

 

まっことゲスの顔をした明石はヨダレが止まりませんぜと言うようにカタログをペラペラ捲り始めた

 

「オマエ、ペットとか飼ってたんだな」

 

「最近飼い始めたの、どう?可愛いでしょ?」

 

「いや、トゲトゲしすぎてまるでわからん」

 

「なんならmon amiralにも撫でさせてあげてもいいわよ?超痛いケド」

 

「痛いのかよ!」

 

「ま、まだ人に慣れてないのよ!すぐに慣れるわ!」

 

コイツ、なんでまたそんな変なのを飼ったんだ…?出来心かナニか?SNS映えを狙って承認欲求を満たす道具にでもしようとか考えたのか?

 

「ハリネズミは警戒心の塊みたいな生き物ですからねぇ、慣れるのに1年は平然とかかるらしいですよ」

 

「そんなにかかるの!?」

 

カタログをペラペラ捲りつつハリネズミの知識を語る明石に戦慄するリシュリュー………コイツ、マジで知識0でそんな変な生物飼い始めたのか、ちゃれんじ精神ってヤツか…

 

「ま、まぁ…このRichelieuの魅力の前ではすぐに懐くわ!そう!」

 

「そうか、ガンバれよ」



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提督とキラッキラ・クリスマス‐共通‐

今年もあと2週間ばかり、最近は週1ペースになってるだらしない提督ですまない…

今回は毎年やってます季節のクリスマス回、今年もわりと他力本願なのでよければ良い案と閃きをくださいませ、くださいませ




クリスマス…!その素敵なイベントが提督を行動させたッ!!

今年もやって来た基地福利厚生イベント、クリスマス会兼忘年会、バカガキどもにはステキなプレゼントを、バカな大人どもには美味い酒と料理を、をスローガンに毎年開催されているこのイベントだが、今年は昨今の社会情勢を鑑みて規模を縮小、社会的距離とアルコール消毒を徹底した安心安全なクリスマス会を開催となったワケだが…

 

「デター!妙高サンの3Dクラッシュ!」

 

「あの技を喰らっちまったら高雄サンでも無事じゃ済まねぇー!」

 

「い、いや……!立っている!高雄サンはまだ立っているーッ!」

 

「ふ…不死身!いや、なんてTOUGH!いや、なんてHARDなんだーっ!」

 

社会的近距離でのアツいファイトと飛び散る血と汗と大歓声とアルコール臭、なるほど……各自節度を持った行動を心がけるように伝えただけはある

 

「はい、佐渡ちゃんはコレ」

 

「やったーッ!新しいベ●ブレードだぁ!対馬、あとでオマエのハムスターと戦わせよーぜ!」

 

「え?い、イヤだよ…」

 

「えぇい!情けないやつ!」

 

バカガキどもは香取先生、鹿島先生らから事前に購入していたプレゼントを貰ってハシャいでいるらしく、そこらでキャッキャ言いながらハシャぎ回っている姿を壁際から見つめる長門とグラペンは、いいな、いい、と頷き合っているのは本当にキモいと思った

 

「さて…」

 

とりあえず俺も社会的な距離をとりつつテキトーなおつまみとアルコールを手に壁際に座りバカどもを眺めているワケだが…

 

最近、この時期はホントにサンタ服?ってのが増えたな……最初はたしかアレだよ、アレ、ほら、No.1アイドルでありカリスマ的存在、NAKAさんがこの時期にサンタ服を着始めたのが始まりだったか…?たしか

当時、この基地ではクリスマスは馴染み深い文化でなく、そんな中、堂々とサンタ服を着こなすNAKAさんはまっこと傾いてる傾き者と皆に笑われたモノだ

 

しかしそんな傾き者文化であったサンタ服も年を追うごとにメジャー化、今や皆が競ってサンタ服を着る時代になったのだからまっことNAKAさんの先見の明には畏れ入るわい

 

そんなサンタ服を着こなすバカどもを眺めつつ、採点していた俺だったが……

 

10点、20点、45点、10点、2点、50点、30点……

 

 

95点…!

 

 

「こんにちはテイトク」

 

「なんだ岸クンか…」

 

スーパーエリート駆逐艦、夕雲姉妹十五女、岸クン

駆逐艦のボウヤのわりに落ち着いた性格とふわっとしたゆるふわヘアー、あと、死んだ魚みたいな目がとてもチャーミングな子だが、この時期はギリシャ神話のように眩しいサンタ服を纏ってその可愛さに磨きがかかっている

 

「どうかしたかね?」

 

「どうかと言うか……ゴトランドさんが鬱陶しいので逃げてきました」

 

「あぁ、アイツな」

 

たしかに、ゴトランドのバカがフーフー言いながら会場内をウロウロしているな、アレ完全に不審者の類いだろ

 

「ケーキ食べるのにいちいちハイアーン、チキン食べる?チキン食べたいよね!ジュース飲みたい?オレンジでいい?っー感じか?」

 

「よくわかりますね、まさにそれですよ」

 

「アイツの考えるコトぐらい手に取るよーにワカる、何故なら俺はこの基地の絶対支配者であり、提督様だからな」

 

「そうですか」

 

この岸クン、配属が同期のゴトランドと仲が良いらしく(一方的に)よく2人でつるんでいる姿を見かける

 

「しかし岸クンよ、逃げてきたのはいいとして、何故俺がいるところに?」

 

「ゴトランドさんに見つかったらテイトクにゴトランドさんを退治してもらうか、最悪、テイトクを囮にして逃げるのがベストかな、って…」

 

…さすが岸クン、実にCOOLな答えだ

提督を躊躇なく囮にするなんて考え、なるほど……どうやらこの子は二代目によく似ているようね

 

「なるほど、まぁ仮にゴトランドのアホンダラと戦いになってもテイトクは負けんがね…」

 

「そうですか、あ、そうだ…コレ使いますか?」

 

岸クンはプレゼント袋っぽい袋からメリケンサック?を取り出して俺の手に握らせた

 

「コイツは…」ゴクッ…

 

一万年前アトランティスで幻の超金属オリハルコンを使い作られたと言われている伝説のアイテム、カ●ザー・ナックル…ッ!!

 

「ま、まさかこんなところで出逢うとは…」ゴクリ…

 

「いや、それ浜辺で拾ったやつですケド…」

 

「フッ、岸クンのようなボウヤにはまだワカらないか…」

 

本物が持つこの輝きを…!しかしカ●ザー・ナックルは二対で一つの武器、もう片方はどこにあるのやら…

 

「いた!岸ちゃん!…………と、テイトク!」

 

伝説のカ●ザー・ナックルに目を奪われ大興奮していると、ついにゴトランドのアホンダラが岸クンを見つけたらしく、ダッシュでこっちに走ってき…

 

「テリオス!」

 

FIRE!!(ブーメラン・テ●オス)

 

「ぐわあああああああああァァァァァァァァ!!」

 

ゴトランドはきりもみ回転しつつ上空にフッ飛び体育館のガラスをブチ破って外へブッ飛んでいった…

 

「これがカ●ザー・ナックル…」ゴクッ…

 

「すご…」

 

岸クンもドン引きするこの威力、左腕の対数螺旋の角運動量が巻き起こすジャイロスコープ効果が極限にまでポテンシャルエネルギーを燃焼させるテリオス+カ●ザー・ナックルだ……たぶんゴトランドも生きてはいまい、仮に生きていたとしても二度と戦う事はできん身体だ

 

「と言うかテイトク、せめてゴトランドさんの話を少し聞くぐらいしてあげれば…」

 

「岸クンは優しいな」

 

ーーー

 

カ●ザー・ナックルの威力を存分に発揮し、今日はステキなクリスマスになりそうだなと予感しつつ岸クンに別れを告げ、新たなる美しき獲物でも狩るかと体育館をプラプラ歩いていると……

 

『『『テイトク!』』』

 

背後から俺を呼び止める声!!振り返るとそこに…

 

 

【選択肢】

①逆襲!ゴトランド・Andraは眠らない!

②強襲!英国人!

③急襲!メインヒロイン現る!

④猛襲!旧型VS新型!真冬のWC長女決戦!

⑤来襲!Helenaにナニか用?

⑥復讐!未来から来た超軽巡

⑦普通にサミー子

⑧気のせい、現実は非情である

 



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提督とキラッキラ・クリスマス‐分岐①‐

クリスマスには当然のように間に合わないだらしない提督ですまない…

とりあえず前半の三本勃て!ですわ!




背後から俺を呼び止める声!!振り返るとそこに…

 

◆◆◆

 

【①普通!それは秘書艦】

 

「…なんだサミー子か」

 

「なんだとは失礼です」

 

片手に数種のケーキの載った小皿を持った長い髪の子、いや、やたら髪の長い子、ドラゴン●龍かってぐらい長く、その長い髪は自身の排熱とか放熱の機能を兼ねてるとか兼ねてないとからしい…

 

「消えな、およびじゃあないぜ…」

 

「まぁ、たしかに呼び止めたのはこっちですけど…」

 

「で?何の用だ?クリスマスにプレゼントが欲しいのか?いいぜ、金か?女か?それとも権力か?見たい“ユメ”を見せてやるぜ」

 

ただし、ジャスト1分だけだがなと付け加え、俺はグラスに入ったビールをグィーッと飲み干した

 

「別にそーゆーのはいいです、単にテイトクがすみっこで1人いやらしい目をしながら白露姉さんのケツをガン見してたから気になっただけです」

 

「ガン見などしてないのだよ」

 

たしかに、白露姉ちゃんはよく見たら美少女だが、それは所詮よく見たらだ、よく見なかったらザコAとか村人Bぐらいにしか感じない…

 

「そうですか」

 

「そうですか、じゃないのだよ、失礼だなキミぃ」

 

「とりあえずケーキでも食べますか?1個くらい分けてあげますよ」

 

「ならイチゴのショートを貰おうか」

 

五月雨は手にしていた小皿を無言で俺に差し出した…

小皿の上にはイチゴのショートケーキ、チョコっぽいやつ、なんか茶色クリーミィなやつ、フルーツ的なものが載ったやつの4種…

 

「早くとってくださいよ、手が疲れるじゃないですか」

 

「ダメだ、4つのものから選ぶのはよくないコトだ、オマエ先に1個食え、3つにしろ」

 

「じゃ、先にイチゴのショートを…」

 

「バカヤロウ!イチゴのショートケーキが食いてぇんだよ!俺は!!」

 

五月雨は心底メンドくせぇなコイツみたいな目をしてイチゴのショートケーキに雑にフォークを刺し、そのまま俺の口にねじ込んだ

 

「ガフッ!!」

 

「美味しいですか?」

 

「…甘いな、毒にも薬にもなりゃしねぇ」

 

「そうですか」

 

◆◆◆

 

背後から俺を呼び止める声!!振り返るとそこに…

 

【②ウィンターC長女決戦 旧型VS新型】

 

「なんだ、白露姉ちゃんか…」

 

プッツン駆逐艦姉妹、白露型姉妹…

その白露型姉妹に10年に1人の天才が5人同時に存在した世代はキ●キの世代と呼ばれ圧倒的な輝きを持っていた、が!白露姉妹には奇妙な噂があった、誰も知らない、出撃記録もない、幻の長女がいた、と…

 

「や、フツーに存在してるし!出撃もしてるじゃん!」

 

白露姉ちゃんはブツクサ文句言いつつ馴れ馴れしく俺の隣に座った

 

「イモ食べる?美味しいよ?」

 

「クリスマスにイモか……なかなかロックじゃねーの」

 

クリスマスに食ったイモはモンブランじゃなく焼き芋、貰ったその場でデカい屁をコイた、いいんだよ!ロックなんてそんなモンで

 

「しかしなんだ?白露姉ちゃんはよく見たら乳デカいな、もしかして誘っているのかね?」

 

「誘ってないよ!っーか目ツキと手ツキがいやらしい!」

 

「フン、バカ言うな、 俺はたしかに巨乳好きだが乳臭いガキにムラムラする男ではないのだよ、あと5年してイイ女になったら誘うがいい」

 

「誘わないし、っーかテイトクこそ頭下げろっての」

 

まったく、ナマイキな娘なのだよ、このナマイキぶり……親の顔が見てみたいものだと考えつつグラスの中の液体を飲まずにいられていると…

 

「あ、テイトク…こんなところに」

 

「キミは………海風クン?」

 

白露型姉妹の七女であり改白露姉妹の長女……妹であり長女でもある矛盾を持つキ●キの世代とはまた別のキ●キ…海風ねーちゃん

同じく白露姉妹の長女である白露姉ちゃんとは同じ特性を持ちながら、可愛さ、優しさ、エロさ、おっぱいの大きさを一回り上回り気配りのできる謙虚さを持っており、言わば白露姉ちゃんは旧型、海風ねーちゃんは新型の長女である…

 

「山風と江風と涼風見ませんでしたか?」

 

「見てないのだよ」

 

「山風ならなんかキンパツの子とキィーキィー言いながら取っ組み合いしてたよ」

 

白露姉ちゃん曰く、なんかブスだのアホだの醜く言い争いながらマウント取り合ってゴロゴロと転がっていたらしい

クリスマスでも仲良くできないのか、アイツらは…

 

「そうですか…」

 

海風ねーちゃんはため息を吐いて白露姉ちゃんとは逆、俺の左隣に腰をおろした

 

「テイトク、ケーキ食べました?」

 

「食べてないのだよ」

 

「あ、良かったら私いっぱい取ってきたのでおひとつどうですか?」

 

そう言って笑顔で俺にケーキの載った皿をグイグイ推してくる海風ねーちゃん……さすがだな、それでいて左腕におっぱいを押し付けてくる完璧なゲームメイク、旧型とはワケが違う

 

「テイトク、イモ食べる?まだあるよ、アツアツのやつ」

 

ナニが旧型のPRIDEに障ったのか、白露姉ちゃんはやたらとアツい焼き芋を俺の顔にグイグイ押し付けてきた

 

「アツい、そして痛いのだよ」

 

「テイトク、イモ大好きって言ったじゃん、むしろケーキよか好きだって」

 

「言ってないのだよ」

 

◆◆◆

 

背後から俺を呼び止める声!!振り返るとそこに…

 

【③未来から来た希望の子】

 

「…オマエは、夕張?」

 

いや、違う………夕張に似てるが夕張じゃない、何故なら夕張はこんなに目ツキ悪くないし、生粋のドMだからだ、しかし目の前のコイツの目はSの目をしている…

 

「よ、久しぶりぃ」

 

「オマエたしか……アヤセ?だったか、なんだ?また未来が大変なのか?」

 

「いや、全然」

 

夕張によく似たコイツは人造艦娘による絶望の未来から現代に救いを求めてやってきた夕張の娘、アヤセ?と名乗る未来軽巡である…

以前、人造艦娘、そしてテイトク・ブラックとの激戦で共に力を合わせた仲ではあるが…

 

「むしろまったくと言っていいくらいナニもないよ」

 

「ナニもねーのかよ!じゃナニしに来たんだ?誰かターミネートしに来たのか?」

 

「んにゃ、単にタイムマシンの定期点検」

 

タイムマシンの定期点検でホイホイ来るとかナメてんのかコイツは、親の顔が見てみたいわ

 

「あ、いたいたアヤセちゃーん……と、テイトクじゃないですか、クリボッチですか?」

 

「やかましい」

 

出たよ、親………いや、まぁ、親ではあるが現代ではなく未来?今は親ではなく親の予定?まぁいい、難しく考えても仕方ないしそんなくだらないコトより今の俺がヤルべきコトは…

 

「オラァ!!」

 

ドンッ!!(お腹パンチ)

 

「ゴデュファ!!」

 

まずは俺をクリボッチとディスったこのクズに制裁を与えるのが先だ、クリボッチとディスるのは親でも許さない

俺の貫通腹パンでお腹をメリメリされ、光る吐瀉物を吐いた夕張は前のめりに膝を折った

 

「母さん!!アンタいきなりナニを…」

 

アヤセは俺の胸ぐらを掴みメンチを切ってきた………が、その腕を夕張が掴んだ

 

「いいの、アヤセちゃん」

 

夕張はお腹を押さえつつニヤリと笑いアヤセに、でもお母さんは言い過ぎですよー、私まだ産んでないですよーとケラケラ笑った

 

「あ、もしかして私、アヤセちゃんのお母さん似ですか?」

 

「え?あ、あ〜…えぇ、ハイ、そうですね、ハイ」

 

絶望の未来から来たオマエの実の娘だよバーカと言いたいところだが、無闇やたらに未来の話をするのはよくないので夕張には別の基地所属の夕張型ってコトにしているが、うん、コイツがあまり細かいことは気にしないバカで助かる

 

「それにまだ、私のア●ルは痛めつけられてないしね!」

 

夕張はさわやかな笑顔で実の娘の肩を叩き、さぁ!媚薬入りのスライム排出ですか!それとも屈辱の公開エネマですか!と気色の悪い笑みで言い放つ!!

 

「いや、どちらもしないが…オマエは聖夜をなんだと思っているのだよ」

 

「なんとも思っていませんが?」

 

「だろうな、オマエはそーゆーヤツだ」





次回は後半、気の重い仕事を乗り切る明日さえなければ…


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提督とキラッキラ・クリスマス‐分岐②‐

なんやかんやで遅れに遅れて後編
まだクリスマスとか勘違いしている狂った堕天使だよ…

後編は2本勃て




背後から俺を呼び止める声!!振り返るとそこに…

 

◆◆◆

 

【④不自由・不平等・自己愛】

 

「…なんだリシュリューか」

 

「Excuse-moi、なんだとはナニよ、なんだとは」

 

まるで獅子のタテガミの如き豪奢なキンパツをブワァーっとしつつフランスから来た自称最強戦艦はなんかよくわからんがフランス語で俺を罵倒してきたが、ナニを言ってるのかわからんのでとりあえず俺はイングリッシュノーノー、アイムジャパニーズオンリーと答えた

 

「ところでAmiralは1人かしら?」

 

「俺が2人いるように見えるのか?」

 

「そーゆー意味じゃないわ、このfêteの場で1人で居るのかって聞いているのよ!」

 

「ご覧の通り、ご覧の有り様だよ」

 

俺は手にしたチキンをバリバリかじりつき、グラスに入ったビールを呷りアルコール呼気の含まれた息を吐いた

 

「ブザマね」

 

「ブザマじゃない、テイトクだ」

 

「まぁいいわ!mon amiral、1人だと言うならこのRichelieuが付き合ってあげてもいいわ」

 

「え?いいよォ…(謙虚)」

 

「エンリョはナシよ、いい?アナタはこのRichelieuのamiralなのよ、常に堂々としていなさいな」

 

バカ言ってんじゃないよコイツ、パリでスーパーモデルやってた本人としがないハンサムな提督とでは物事の価値基準が違いすぎる

そんな既にキミが嫌いだと言う練り上げられたオーラを全開にしていた俺に対し、リシュリューはもうちょい横に移動しなさいよと物理的にグイグイきて俺の横に座った

 

「それBière?vinに付き合って貰えるかしら?」

 

「ワインか……まぁ、別に構わないが………あ、そーいやボルドー産のイイのがあったな、たしか」

 

「へぇ…………って、まさか私の実家のじゃないでしょうね?」

 

「オマエの実家のやつ」

 

リシュリューのママンが毎年送ってくれる一級品…

まだ多感なティーンエイジャーの頃、こんな田舎でブドウ踏み潰すなんてダセー仕事はイヤだ!パリでスーパーモデルになると実家を飛び出し、なんやかんやあって海軍に入って今は遠い異国で頑張る娘をよろしくお願いしますと毎年俺宛に送ってくれるリシュリューのママンは本当に良いお母さんなのだろう…

 

「クッ!また余計なコトを…!」

 

「余計なコトとか言うなよ、オマエのママン、家業がイヤだと飛び出したバカ娘でもこーやって心配してくれて、たまに電話とかしてやれよ、真面目に更生して私は元気ですって」

 

「だ・れ・が!わざわざそんな連絡しないわ!」

 

まったく、なんて性格のねじ曲がった娘かねコイツは、ツンデレか?今どき流行らねーぞオイ

 

「やれやれ、今更飛び出した実家に連絡するのハズカシーとかビビってるのなら俺が電話してやろーか?」

 

「恥ずかしくもないしビビってもないわ!!」

 

「そうか、なら自分で連絡しとけよ」

 

リシュリューは苦々しげなツラでなにやらフランス語で俺をディスっているようだが、ナニ言ってるかよくわからないのでとりあえずワインの栓を開けてグラスに注ぎ…

 

「…ンンッ!エクセレンツ!」

 

…美味いなコレ

 

「そ、そう?」

 

「オマエも飲むんだろ?ほれ」

 

俺はリシュリューが手にしていたグラスにワインをなみなみと注いでやった

 

「雑!!Amiral……アナタ、もう少しマナーとか雰囲気とか………まぁいいわ」

 

 

◆◆◆

 

 

背後から俺を呼び止める声!!振り返るとそこに…

 

【⑤その名はG】

 

「さっきはよくもやってくれたじゃない!!」

 

振り返ったそこに居たのは怒り狂った顔と語気でイキリ散らす北欧から来た狂犬、ゴトランド…

ついさっき岸クンにメーワクかけそうな匂いがプンプンしていたので非貫通お腹パンチで黙らせたハズだったが…どうやらまだ生きていたらしい

 

「しぶとい奴め」

 

「いきなり殴る野蛮人には言われたくないわ、いけっ!ゴトシープ」

 

ゴトランドは手のひらサイズの黒いモコモコを手にとると俺に向かって投げつけてきた、フン…そんなスロウな黒いモコモコなどこの俺に当たるハズが…

 

ビタンッ!(ゴトシープ)

 

「ドヘァ!」

 

コイツ!直前で軌道を変えた…!?クッ、どうやら投擲と言うワケではないらしい、高度なサイコ・ミュによる操作か!

 

「しかし当たらなければどうと言うコトはない」

 

「クッ!もうゴトシープに対応した…!」

 

ゴトランドはゴトシープを手元に戻すと一気に距離を詰め、この距離なら当たるでしょ!と鋭いキックを打ち込んできた

 

「イイ蹴りだ、この威力、並の提督程度ならばアバラが砕けるだろう、がッッッ!!」

 

俺は蹴りを放つゴトランドの足をそのまま掴み力任せ+遠心力を利用しその身体を床に叩きつけた!

 

「ガハァ!!!」

 

「ガハハハ!その程度では真の完璧提督には勝てぬわーッ!」

 

テイトク・インパクトをモロに被弾し、うっにゃあー!とか言いつつ床を転げ回っていたゴトランドだったが、意外にもダメージは軽かったらしくフラフラと立ち上がった

 

「い……痛いじゃない!フツーそーゆー殺人技する!?アナタおかしいんじゃない!?」

 

「おかしくない、提督だ」

 

「なんてやつ…!」

 

「だいたいキサマ、なんだそのサンタ服は、あざといにも程があるわ、モテたいのか?」

 

「モテたいわ!当然じゃない」

 

ハッキリ言う……気に入らんな、だが、モテたいと言う強い意志は買おう

 

「どう?北欧ブランドのこのステキなサンタ服は、可愛いでしょ?モテるでしょ?」

 

「バカめ、オマエが可愛いとか認めん、北欧ブランドに傷がつくからな」

 

「なんですってェー!!!」

 

ゴトランドは怒り狂って俺の胸ぐらを掴んできたが、俺はあくまで冷静かつ適切にゴトランドの手を払い、ゴトランドのお腹に非貫通お腹キックを叩き込んだ

 

「ハワーッ!!」

 

「ゴプッ!!」

 

「とにかくキサマが北欧ブランドとは認めん、北欧ブランドに傷がつくからな」

 

「クッ…!こんなFラン基地でブランドもナニもないでしょ…!」

 

「なんだとぉ……」



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提督とそれいけ科学調査隊2021-史上最悪の再訪-

本日ギリギリ二本勃て、今年も最後のクソみてぇなお話

【登場人物】

提督(テイトク)
クソみてぇな中佐

夕張(ユーバリ)
クソみてぇな軽巡

伊203(ゲロしゃぶ)
クソみてぇな潜水艦……じゃない、誰?クソみてぇなとか言ったの?


今年も春からなんやかんや色々あり、年の瀬までズルズルズルズルとなんやかんやと引きずったものの、終わってみれば光陰矢の如し、来年のコトは来年の自分がなんとかするだろうとポジティブハートで考える今日この頃…

 

「そうそう、なんかまた夜中の寮に変なのが出没するらしいですよ」

 

「なんだぁ?またさまようよろいか?」

 

「いえ、半透明系なやつです」

 

「そんなワケないだろ」

 

それは悪霊であって悪霊ではない、パワーあるヴィジョン!精神のエネルギーが具現化したものなのだよと懇切丁寧に青髪ロング子に説明した俺は菓子皿に入っていたオ●オを咥えスタイリッシュにパキった

 

「まぁ、ビビリくんのテイトクには些か荷が重い話ですよね」

 

「ビビリくんじゃない、提督だ」

 

別に幽霊とかそーゆーのにビビってるワケじゃあない、相手は物理無効の自●系、基本的に打撃オンリーの俺とは相性が悪いってだけだ、ビビってはいない、モチロン、いざ戦闘開始となったら提督が逃げるなどありえないし、戦っても勝つがね、しつこいようだがビビっているワケじゃあない

 

「相性が悪いだけなのだよ」

 

「そうですか」

 

秘書艦サミー子はあきらかにこの俺をナメているみたいなツラをしつつ100均で買ったみたいな紙袋を俺に手渡してきた

 

「なんだコレは?」

 

「すごいパワーがギチギチに詰まった数珠です、今日のラッキーアイテム」

 

「…ラッキーアイテムか」

 

なるほど、常に人事を尽くしている俺だがやはりラッキーアイテムがあるとさらに盤石となるのだよ

 

「あと、ビビリくんな提督1人だとおしっこ漏らして失神KOとか無様を晒すのも可哀想なので今年も頼れそうなメンバーに声をかけておきました」

 

「何度も言っているが別にビビってなどいないのだよ」

 

◆◆◆

 

深夜2:00…それは、まことに暗き時間であり生きとし生ける者が深き眠りに堕ちる逢魔が刻

 

「よし、異常なし、帰るぞ」

 

そんな魔が堕ちる夜とも言える今宵、駆逐艦寮へと見廻りにやって来た俺、そして今回もこの科学調査隊のメンバーとしてやって来たスーパーサイエンス軽巡、夕張…

 

「まだ来たばっかじゃないですか」

 

全ての現象は科学で解明・説明可能であると断言する生粋の科学至上主義でありユーレーなどと言う非科学的なものは100億パーセント存在しないと信じている

 

「俺にはわかる、この寮からは邪悪なオーラは感じない」

 

「オーラですか〜」

 

オーラなどと言うそーゆーフワフワしたものは信じていない夕張はおヘソを押さえてケラケラ笑った

 

「もう用事は終わり?帰っていい?」

 

「まだ終わってないのだよ」

 

そして今回、新たに科学調査隊のメンバーとして加わったのは豪傑共がウヨウヨする偉大なる航路、オリョールを知らない新世代潜水艦娘の1人、フーミィーくん

 

ウチに配属された当初、その、ナマイキな態度から潜水艦の先輩達から可愛がられており(意味深)、同じく可愛がられているヨナタスとはある意味対極とも言える人材である

 

「ユーレーとか別にほっとけばいい」

 

「バカ言うんじゃあないよこの子は、ユーレーだろーがなんだろーがウチの敷地に無断で侵入するヤツには死あるのみ」

 

「ユーレーだったらもう死んでるんじゃ…」

 

死んでいると言うのならもういっぺん殺すのみ、いや、そもそもユーレーなど存在しないのだよと懇切丁寧に語りフーミィーくんの頭を撫でた俺だったが、フーミィーくんは気安く触んな!と俺の手を叩いた

 

「まぁまぁ2人とも、大丈夫ですよ!仮にユーレーだろーがなんだろーが私に任せてください、たとえ相手が半透明だろーがスケスケだろーが私の敵……いえ、この………ドリルの前じゃあ無力!」ドヤァ!

 

夕張は背中に背負った謎のバックパックから伸びたフレキシブル・アームの先端に搭載された殺意の高いドリルをまるで天を衝くように高々と掲げた

 

「オマエそれ毎回役に立ってねーだろ」

 

「失礼な!」

 

今まで自分のア●ルしか衝いてないドリルを何故ここまで信頼できるのか…

たしかにドリルは素晴らしい武器だ、その練り上げられた形状は至高の領域に近い、たしか以前、不幸な事故でコロちゃんのア●ルを衝いたこともあったが、あれ以来、コロちゃんはア●ルにトラウマを抱えたらしく排泄の際に変な声が出るようになったとかなんとか…

 

「まぁいい、とりあえずとっとと見回りしちまうぞ、見たい番組があるからな!」

 

こうして、俺たちは吐き気と悪寒と邪悪なオーラを感じる駆逐艦寮へ突入した…ッ!!

 

ーーー

 

とりあえず、流れるようなスムーズさで駆逐艦寮に足を踏み入れた俺達科学調査チーム、まず、ここから一番近いトイレを探す必要があるか

 

「よし、異常なし」

 

「まだ入り口ですよ、あ、ちょっと待ってくださいね」

 

夕張はいつもの戦闘民族が使う戦闘力を測るアレみたいなのをスタイリッシュに装着すると、フーミィーくんはナニそれと尋ねた

 

「ナニそれ?」

 

「えぇ、私が開発した霊圧スカ●ターくんです、コレがあれば特級呪霊だろーが位置がまるっとわかるスグレものです」

 

「へぇ〜」

 

あまり興味なさげだったフーミィーくんだったが、なんとなくそーゆー未来ガジェットみたいなのにはちょっと興味あるらしい

 

とりあえず俺達は夕張の霊圧スカ●ターくんの反応を頼りに寮内を練り歩くことにしたワケだが…

 

「オイ、なんか反応あったか?」

 

「今のとこないですね」

 

「それ、壊れてるんじゃない?」

 

「失礼な!私の作るメカは常に完璧!パーフェクトなのです」

 

フーミィーくんにPRIDEを傷つけられた夕張はフーミィーくんの柔らかホッペを両側からグイグイ押しこの夕張の科学力を愚弄するかぁー!とキレた

 

「いひゃい!いひゃ!いひゃい!ッ…!ハナセ!」

 

フーミィーくんは夕張のスネにローキックを浴びせ、夕張が多少怯んだ隙にバックステップで距離をとった

 

「クッ!私の脛に蹴りを…!」

 

「うっさいバカ!アホ!死ねっ!」

 

「初めてですよ、この私をここまでコケにしてくれたおバカさんは」

 

夕張は装着していた霊圧スカ●ターを外し右手でグシャ!っとすると床に捨て、どうやらわからせが必要なようですねとバックパックからフレキシブル・アームを伸ばし、フーミィーくんはフーミィーくんで廊下の側にあった消火器を手にとった

 

「オイオマエら、こんなところでくだらないケンカをしているんじゃあないぜ、俺達の目的を忘れたか?」

 

俺達の目的はあくまでこの駆逐艦寮に潜む邪悪の殲滅、仲間割れをしても百害しかないのだよ

 

「…それもそうですね」

 

「…チキン野郎」ボソッと

 

フーミィーくん態度悪いな、これも可愛いがりの所為か…?と考えていると、廊下の先からなにやら足音的なものが聞こえてきた…

 

「オイ、なんか前に誰かいないか?」

 

「誰か?特に誰かとは………あ、なんか変な鎧武者がいますよ?」

 

「鎧武者ぁ!?」

 

まさか……!天●一個か!!この距離に近付かれるまで気付かないとは!やはり化け物め!

 

「ナニあれ?」

 

フーミィーくんはヤツがそもそもなんなのかよくわかってないらしく、とりあえず手にした消火器を構えているが…

 

「フッ、あんなさまようヨロイ!このドリルでブチ抜いてやりますよォー!」

 

「よせ!夕張!のるな!戻れ!」

 

夕張は殺意の高いサタニクスドリルアームを回転させ、再び現れた史上最悪のミス●スに向かってダッシュした!

 

…………が

 

「あ」

 

暗い廊下で走る無謀、夕張は前のめりにコケて顔面を強打し、制御を失ったサタニクスドリルが夕張のア●ルを貫いた

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーっ!!」

 

「夕張ィィィィィ!!」

 

バカめ、だからあれほどのるなと…!ア●ルをドリルで貫かれ、2〜3度激しく痙攣した夕張は動かなくなった…

 

「フーミィーくん」

 

「ナニ?」

 

「キミは早くこの寮から脱出しなさい、ここをまっすぐ引き返せば出られる」

 

「テイトクはどうするの?」

 

「テイトクもすぐに逃げるさ、さぁ!早く行け!行くんだ!決して振り返っちゃダメだ!フーミィーくん!」

 

俺はさぁ早く!とフーミィーくんの尻をおもいっきり引っ叩くと、フーミィーくんはヒギィ!と情けない悲鳴をあげて前のめりにコケて顔面を強打し、動かなくなった

 

「フーミィーくん…?」

 

「…」死ーン

 

夕張に続きフーミィーくんまで………クッ!勝てるだろうか、以前ヤった時は俺とプリンの2人がかりでギリギリ追い返すのがやっとだった化け物だ…

 

いや、ヤるとかヤらないとかじゃあない………ヤるんだ、俺はフーミィーくんの形見がわりの消火器を手にし…

 

「来いやァ!!化け物ォー!」

 

『我、強者と、仕合う…』

 

 

翌日、駆逐艦寮でア●ルをメチャメチャに破壊されアヘ顔ピースで倒れる夕張と尻を突き出し鼻血の海に倒れたフーミィー、そして、天井に頭が突き刺さったままプラプラ揺れていた提督が発見され、全員仲良く医務室へと搬送され、医務室のベッド3つを川の字で使用する憂き目にあった…

 




本年もクソみてぇなお話にお付き合い頂きありがとうございました
秋雲先生はこれからも“男”を描き続けます


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提督と謹賀新年Ⅵ

あけましておめでとうございます
例年は元旦に書いてましたが、今年は年始から新しい車乗り回してたせいで3日になっただらしない書いてる人ですまない…

【登場人物】

提督(悲嘆の怠惰)
餅は焼いたやつに限る、ウェルダンでね

五月雨(コーヒー党)
餅が詰まったらお腹殴ったらいいですか?

鈴谷(淫売)
や、淫売はないだろ!淫売は!年始から扱いが雑!


「あけましておめでとう」ペコォ…

 

「おめでとうございます」

 

新時代に突入してなんやかんや早4年、表記的にはR4年な今日この頃、新しいパンツを穿いた爽やかな朝の執務室…

 

「コレ、少ないけど」スッ…

 

俺は机の引き出しから取り出した茶封筒を寒色系秘書艦に厳かに渡し、今年も利益だしていこう!利益!と執務室備え付けの簡易神棚にパンパンと手を叩いた

 

「はぁ、ありがとうございます」

 

貰えるものは風邪以外ならとりあえず貰っておくスタイルの青髪ロング子は茶封筒を受け取ると中身を確認して机の引き出しにしまいしまいした

 

「さて、今年も新しい年のスタートと言うワケだが…サミー、ナニか言いたいことはあるかね?」

 

「そうですね………健康第一とか?」

 

「健康か…」

 

健康と聞くと健康オタクの萩風クンを思い出すな、以前、喫煙所でタバコを吸っているとたまたま通りがかった萩風クンに今ので少なくとも3年は私の寿命が縮んだわ!返して!私の3年を返してよー!とキレられたっけか…

 

「卿の意見を是とする」

 

「はぁ」

 

そんな清々しい新年のスタートを切った爽やかな執務室に、爽やかさとは縁が遠そうな激しいノックが響き、重厚な扉が勢いよく開いた

 

「ティーッス、どこに出しても恥ずかしくないメインヒロイン鈴谷様が新年のアイサツにきましたよぉー!」

 

「消えろ」

 

「年始から消えろは酷くない?」

 

自称メインヒロインことどこに出しても恥ずかしいビッチ、鈴谷はヘラヘラ笑いつつ執務室に入室するとお客様ソファーに座った

 

「なんか飲み物ない?冷たいの」

 

「麦茶かバヤ●ースならありますけど?」

 

「じゃバヤ●ース頂戴」

 

秘書艦サミー子にcoolな飲み物を注文した鈴谷はついでに小菓子を注文し、お客様テーブルに置かれた基地スポを手にとった

 

「大晦日全米ファイトクラブ決戦、アトランタVSサミュエル・B・ロバーツ、劇的6ラウンド!死神の鎌を粉砕し、まさかのサミュエル大勝利かと思いきや死神は死なず、チョッピングライトでサミュエルを撃沈!試合後、アトランタはまさかここまで手こずらされるとは…とコメントかぁ〜」

 

「やかましい、っーか用がないなら帰れ」

 

「貰うモン貰ったら帰るし、ハイ、お年玉ちょーだい、お年玉、現ナマ」

 

「それは殺してくれって意味でいいんだよな?」

 

「ハァ?耳クソ詰まってんのかねこのオッさんは、お年玉よこせって言ってんだよ」

 

「オッさんじゃない、提督だ」

 

俺のスネークバ●トの射程ギリギリからの挑発行為、ノーモーションでなおかつ一撃の破壊力があるスネークバ●トはこの状況で最も警戒すべき、良い判断だ

 

「お年玉ぐらいあげたらいいじゃないですか」

 

「アァ?」

 

秘書艦サミー子はバヤ●ースの入ったグラスを鈴谷に出しつつ頭のおかしいことを言った

 

「サミー子イイコト言った!ほら、サミー子も言ってるじゃん!ほら、くれ!現金を…っ!キャッシュを…っ!マネーを…っ!!」

 

「なんたる強欲」

 

こやつめ、色欲の罪だけでなく強欲の罪も背負っておるわい、まっこと悪魔的航巡…っ!常人の発想ではない

 

「しかしその強欲、気に入った!艦娘たるもの常に無慈悲・無軌道・無秩序であるべし!」

 

俺は財布から千円札を取り出しスタイリッシュに鈴谷の胸元に突き刺した

 

「1000円かよ!」

 

「ゴチャゴチャゆーなビッチが、貰えるだけありがたいと思えゴミ屑が」

 

「ビッチじゃねーし、あとゴミ屑でもねーし」

 

「やかましい、なんだ?まだ欲しいのか?そんなに欲しいならパンツ脱げよ」

 

「脱がねーし!」

 

脱がねーし!と力強く宣言したものの、鈴谷はふと右手を顎に添えて考え込み…

 

「………あの、ちなみに、脱いだ場合はおいくら程頂けるのでしょうか?」

 

「まっことクズか」

 

「クズじゃねーし、いや、ほら、アレよ?興味、興味本位ってヤツ!実際やらないよ?うん、鈴谷そーゆー安い娘じゃないから、うん、ただね、ただ興味としておいくら程になるのか知っておきたいとゆーか、今後の人生における人生の参考になるかもとゆーか…」

 

「1100円(税抜き)だ」

 

「100円増しなだけかッ!!しかも税抜くのか!」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」

 

「全然オモシロくねーし、小粋でもねーし」

 

「そうだな、ブル●ラ価格から考えて3万ぐらいにしとくか」

 

「今時ブル●ラとかあるのかよッ!!ってか3万かぁ〜…う〜む」

 

「悩む必要があるのか?脱がないんだろう?」

 

「え?あぁ、うん、脱がないよ?」

 

「ちなみに全裸で土下座したら500万だそう、あぁ…そうそう、ニーソとタイは残してな」

 

「やります!ヤらせてください!」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク、あとオマエをゴミ屑と罵って悪かった、オマエはゴミ屑なんかじゃない、ただのクソビッチだ」

 

「いや、クソビッチはヒドくね?ビッチなだけでもアレなのにクソビッチとかなんか上位互換みたいじゃん!」



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提督と帰ってきた?アニメ化

佐世保だったかでチラっと見たのも何年前だったか…

【登場人物】

提督(アニメ)
最近見た中で一番コーフンしたのはゲ●ターロボアーク

五月雨(アニメ)
最近見ようと考えてるのが最●記RELOAD ZEROIN



世は正月気分も抜けて通常営業に戻った新春の執務室…

 

「なんか秋ぐらいにまたアニメが放映されるらしいですよ」

 

「ふ〜ん」

 

アニメ………アニメか、昨今はBSや地上波だけではなくネット配信なども充実しており、かつては地方ではナニそれ?ヤってないんだけどォー!と嘆きの声が聞こえる事も少なくなかったが、現在はインターネット環境さえあればどこでも見られるようになったものだ…

 

「で?何のアニメだ?ゲ●ターロボか?」

 

「違います、ほら、何年か前に吹雪さんを主役に抜擢してやってたじゃないですか」

 

「あー………あったな、そういや」

 

たしか海軍イメージアップ作戦の一環としてアニメによるプロパガンダをやるとか話があって、なんやかんや1クールアニメとして日の目を見たんだっけか…

 

結果的には海軍のイメージアップには繋がったとか繋がってないとかで第2期もやるぞエイエイオーとか言ってた気がする

 

「まだ作ってたのか?」

 

「作ってたらしいですよ」

 

「正直、もう既に死んだ企画かと思っていたのだよ」

 

そもそも第1期っていつだったのか…?そんなごくごく当たり前の疑問について調べてみると、アニメをヤっていたのは2015年の1月〜3月…

 

「もう7年も前かよ」

 

「まぁ、今2022年ですし…」

 

「7年もありゃ小学校入学して卒業してもおつりがでるわい、1年ダブってもいいじゃねぇか」

 

グゥゥゥム…そんな前だったのか、正直、今や4〜5年前の出来事が最近だった気がするぐらいこの歴史という大河についていけない気がするのだよ…

これが老いと言うものだろうか?そもそも7年前の俺は何をしていた…?7年前だったらまだ若く冒険心に溢れた若者だったよな?たぶん

 

「アニメの内容とか覚えてるんですか?」

 

「バカにするんじゃないよこの子は、モチロン覚えているのだよ」

 

アニメ!艦隊これくしょん【第1期】

主人公、吹雪は子供の頃に動物園の檻の前でケンカをして相手を叩きのめしたのがきっかけで海軍の人間兵器“艦娘”として“鎮守府”にスカウトされる!

鎮守府での殺人的なトレーニングをこなす日々の中で吹雪は自分と同じような生い立ちを持つ孤児たちに同じような苦しみを味わわせたくないと考えるようになった

そして、鎮守府から艦娘としてデビューした吹雪は出撃によるファイトマネーを孤児院へ寄付するようになった、しかし!それが鎮守府の逆鱗に触れ、鎮守府は吹雪を裏切り者とみなし吹雪を撃沈すべく刺客たちを次々と送ってきたッ!!

同じ裏切り者となるなら、せめて子供たちの為に恥じない正々堂々フェアな戦いがしたい!鎮守府で身に付けた悪役ファイトを捨て正統派艦娘として戦うのだった…

 

「…だったのだよ」

 

「いや、まったく違うんですけど、主人公・吹雪さん以外何一つ合ってないんですけど…」

 

「そんなワケないのだよ」

 

しかしもう7年の前のコトだ、多少記憶が違っても仕方あるまい、キミは自分が食べたパンの枚数を覚えているか?

 

「あとはほら、アレだろ?アレ、たしかキャラがロリペドか爆乳の二択で間宮みてーな声した爆乳メイドなんかいたりなんか途中で闇堕ちした赤城だか加賀だかが人体錬成してお姉ちゃんを生き返らせてやるぞーとかなんとかわりと暗めなハナシやってたり…」

 

「それはア●ールレーンなのでは…?」

 

「アズ…?さぁ?なんのコトだかわからないな」

 

「まぁ、いいですけど…」

 

7年もあればそりゃ色々曖昧になる

 

「あ、ほら、劇場版もあったじゃないですか、劇場版」

 

「劇場版…?あぁ、あったな」

 

「劇場版はわりと評判良かったとか聞きましたよ、最初からこーゆーの出しとけよボケが!って」

 

「劇場版かぁ〜…たしか見たのだよ」

 

アニメ!艦隊これくしょん【劇場版】

メインキャラである吹雪、睦月、夕立の3人は新しい任務である無限海域の調査の為、海軍最強の戦力ビッグセブン、ネルソンと合流した!たとえ卑劣な手で下衆どもに囚われ淫靡な責め苦を受けても決して屈したりはしない熱い貴族魂を持ち、みんなから淫獄さんと慕われるネルソンと力を合わせ無限海域に潜む鬼級を倒した吹雪達だったが、そこへ突如襲来した戦艦レ級エリート

強力な戦艦レ級エリートの力の前にネルソンはボロボロになってしまうが熱い貴族魂を燃やし吹雪達残される後輩達にその生き様を見せつけたのだった…

 

「…だったのだよ」

 

「それ400億のやつです」

 

「ボロカスになったネルソンが貴族魂を燃やして最終奥義ネルソン・タッチのとことか超燃えたよな」

 

「それは存在しない記憶なのでは…?」

 

そう言われると7年前にはネルソンはまだ居なかった気がするが………いや、そんなハズはない、俺の記憶は正しい、時雨様だって全てに勝つ僕は全て正しいって言ってたしな

 

「とりあえず提督の記憶力がアレなのはよくわかりました」

 

「アレとはなんだ、アレとは」

 

俺は机をバシバシ叩き、菓子皿に入っていたチ●コパイを1つ五月雨に投げつけたが、相手の顔面を狙うファック軌道をとっていたチ●コパイを五月雨は難なくキャッチした

 

「コイツ、オレのファ●クボールを!」

 

「提督の球種はそれかカスみたいなストレートしかないじゃないですか」

 

「失礼な」

 

こやつめ、五月雨はキャッチしたチ●コパイを開けてガブリと噛みちぎった

 

「しかしアレだな、第2期をヤるなら前のやつを見ておかないとな」

 

「あー…たぶんそこは大丈夫なんじゃないですか?なんか第1期と劇場版とはまったく関係ない完全新作らしいですよ」

 

「そうなのか?」

 

「そうらしいです」

 

「ふ〜ん」

 

「なんか時雨姉さんが主役らしいですよ」

 

「オイオイマジか、大丈夫かそれ?頭が高くないか?」

 

突然この海域にいる全ての者に身分の違いを教えてやろうとか言って無双するんじゃないだろうな……いや、時雨様ならやりかねない

 

「大丈夫でしょ、たぶん」

 

「他人事かッ!」

 

五月雨は大して興味もなさげに湯呑みを2つ取り出してアツいお茶を淹れ、1つを俺の机に置いた

 

「…………あ、第1期で1つ思い出したのだよ」

 

「何をです?」

 

「オマエ、たしか存在消されたよな」

 

放映版では存在した五月雨が修正版では何故か存在を消された闇…

 

「ちょっとオモテ出てもらっていいですか?」

 

 

この後、珍しくキレた五月雨にキンタマをメチャメチャに蹴り上げられ、執務室裏で悶絶していた俺だったが、たまたま犬の散歩をしていたフレッチャーくんが通りがかり、聖女であるフレッチャーくんが大丈夫ですか?と心配そうに屈み、パンツが見えたので悶絶KOのフリしつつ聖女のパンツをガン見して癒された



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さらば不健全鎮守府

たまに始まる誰得長編回

始まりがあるのなら、終わりもある

【登場人物】

五月雨(Fラン秘書艦)
髪がやたらと長い寒色系秘書艦、好きな飲み物はゲー●レード

叢雲(エリート秘書艦)
ヨコスカ所属のイケメン提督付きの秘書艦、サミーとは2回対戦して2回負けたことがあるらしく、その辺を良い意味で根に持っている


 

その日は、突然やってきた…

 

「ハアアアァァァァ!?クビ、いや…え?クビ、いや!ちょ、待てよ!」

 

中央からの呼び出しを受け、イヤイヤながらも中央司令部の門を叩いた提督を待っていたのは軍事法廷と言う名の処刑イベント…

 

「黙れゴミ屑、そいつを連れて行け」

 

「待てェ!!ちょ、待てよ!いや、待って!待ってくださいィィィィィ!!」

 

突如として宣告された提督の………“解任”

 

「コイツ!暴れるんじゃあない!」

 

「抵抗するな!オラッ!こっちに来るンだよォ!オォン!」

 

「やめろォ!!はなせ!離さんか下郎どもがァ!!俺にこんなコトをしていいワケがないだろォ!」

 

両脇を屈強な憲兵達にガッチリホールドされてなお提督は必死の抵抗を続け、呪いの言葉を叫びながら議場から引きずられる…

 

「クッ!!キサマらァ!俺にこんなコトを……-後悔するぞコラァ!いや!必ず後悔させてやるッッッ!!ククク…ハッハッハ……ハァーッハッハッハッハ!」

 

…………こうして、長きに渡り不健全鎮守府と呼ばれたFラン基地を率いていた提督はその任を解任され、遥か遠く、ポリネシア諸島基地(仮)へと左遷された

 

◇◇◇

 

「まぁ、予想内と言えば予想内でした」

 

「まぁ、サミちゃんでもそう思うか…」

 

中央に行くんだから秘書艦が同行してないとアイツ1人で来てるよ恥ずかしいヤツとディスられるかもしれないとみみっちい心を持つ提督と共に中央へと来ていた私は中央に来てから一連の流れるような解任・左遷ムーヴに対し意見する隙もなく、提督が屈強な男達に連行され、これからどうしたものかと途方に暮れていると大将殿からメシでもどうだと誘われお高い焼肉屋で焼肉を奢ってもらってるワケですが…

 

「どうにかならなかったんですか?」

 

「まぁ、ワシにもデキるコトとデキんコトがあるわな」

 

正直、大将殿に愚痴を言っても仕方ないですけど……

この件に関しては大将殿としても面白くはないらしく、どうやらしてやられた!と言うモノらしい

 

「決定打になったのは前回の作戦海域だな」

 

「前回…?あぁ、なんかやたら短かったやつ」

 

「フーッ〜……前回は特に多くの将兵が甲勲章を獲得したじゃろ?」

 

「そうらしいですね」

 

ウチの提督に関してはとりあえず甲勲章目指して頑張るぞー、おー!とか言ってたものの、いきなり誤出撃をカマしやる気を消失、もぉ…終わってもいいと安心の丙提督で作戦を無事に完了した…

もぉ…終わってもいいとか言いつつさすがに丁にまではいかないのが残された最後のPRIDEと言うヤツなんですかね

 

「そいつがマズかったのもあるが、あとほら、アレだ、なんか配属予定だった新人が1人トんでおろう?」

 

「あー…なんかそんなコト言ってましたね」

 

接待プレイとも言える低難易度作戦での丙勲章、さらには配属予定だった子も未獲得…

ウチがFラン基地でありながらなんとかやっていけてたのはこれまでFラン勲章でも一応作戦海域を完了していたコトと無駄に高い新人獲得率があったからと言うのもあるのだろう…

 

元々中央からの評判が悪く、毎日がワルのオリンピック状態と言われた基地の提督が左遷させられるのも納得と言うものです

 

「まー…そーゆーワケでな」

 

「それで?私達………と言うか、基地はどうなるんですか?」

 

「とりあえずだ、基地には新人の少尉が配属されるコトになっておる」

 

「新人の…?」

 

「兵学校を3位で出たなかなか優秀な若者だぞ、ほれ、写真もある」

 

「…かわいい子ですね」

 

写真を見るに、年齢のわりにやや幼い顔つきっぽいのでカッコいいよりはかわいいと言った感じですが、もう2〜3年もすればなかなかのイケメンになるとみた

 

「と言うかいいんですか?ウチ、結構大所帯ですし、新人の新人さんだとなかなかアレなのでは?」

 

「まぁ、名目としては研修に近い感じの配属になる、お試し提督ってヤツだ、カッカッカ!」

 

「お試しって…」

 

お試しで任せていい規模ではない気がしますけど…

私が新人だった頃は提督と由良さんと3人で研修とか無しにしょーもない町工場みたいなボロい基地に行かされましたが………今は時代が違うんですかね

 

「なるほど……とりあえず話はわかりました、お試し提督のお試し秘書艦って感じですか」

 

「なんならサミちゃんはワシんトコに残っても構わんぞ」

 

「私、エアコン苦手なんですよ」

 

◇◇◇

 

大将殿との食事も終わり、今後についてどうしたものかと考えつつ自販機コーナーでジュースでも買うかと歩いていると…

 

「五月雨!アンタ、五月雨でしょ!」

 

「はい?」

 

声がした方向に顔を向けると見知った顔………白髪なのか銀髪なのかよくわからない髪と、よくわからない浮力で浮いてる頭の上の変な耳…

 

「あぁ、叢雲ちゃんじゃないですか、お久しぶりです」

 

「久しぶり……って、アンタそーゆー感じだったっけ?」

 

「う〜ん、どうですかね?」

 

声をかけてきたのは私の同期の叢雲ちゃん、同期の中では1番優秀でイケメンな提督の秘書艦として配属され心底羨ましいと思ったのも今は昔と言うやつですか…

 

「そう言えば叢雲ちゃんはなんで中央に?」

 

「なんでって……私、ヨコスカ所属だし」

 

「あ〜…なるほど」

 

中央司令部に隣接する四大鎮守府の一角、ヨコスカ

サセボ、クレ、マイヅルと並ぶ海軍最大戦力であり、四大鎮守府に所属する提督とは地方の提督と違いエリートの証でもある

 

「って!聞いたわよ、アンタ、え〜……その、アンタの提督、なんか逮捕されたとか…」

 

「いや、逮捕はされてないですけど…」

 

「え?そうなの?」

 

「左遷されましたけど」

 

「な〜んだ、左遷かぁ〜………って!?左遷されたの!?ウソでしょ!?」

 

「いや、ホントです」

 

どうやらウチの提督は悪い意味で評判あり話題性があるらしく、今回の件、もう既に尾ひれどころか背びれも胸びれも付いた状態で情報が出回ってるらしい…

 

「そ、そっかぁ〜……へぇ〜、あ、いや、私の提督がその話聞いて珍しく難しい顔して考えこんでたから、ほら、私の提督とアンタのって同期でしょ?」

 

「そうですね」

 

叢雲ちゃんの提督はヨコスカ所属のエリートでウチのメガネはFラン提督でしたけど…

 

「それで……アンタどうすんの?」

 

「どうするって………普通に基地に戻りますけど?」

 

「あ、そうなの……いや、アンタも左遷のとばっちりで変な島に島流しにされるのかもって…」

 

「心配してくれたんですか?叢雲ちゃんは昔からホントに口は悪いけど根は良い子ですね、ツンデレってやつですか?今どき流行りませんよ」

 

「やかましい!」

 

「心配してくれて嬉しいのは本当です、でもまぁ、なるようになりますよ」

 

「なるようにって…」

 

「ウチの提督は執念深いんですよ」

 

その執念深い提督が、今、何を考えているかはわかりませんけど………

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

青い空、白い雲、そして赤道に近いのかやたらと熱い太陽…

 

「…………オイ、なんだここ?」

 

「ポリネシア諸島基地(仮)ってここですかね」

 

栄光の海軍中佐から少佐に降格させられ、あげくに左遷の憂き目にあった俺、そして、基地での違法な営業行為を問題視され、必死の抵抗を試みたがふざけんなピンクが!海軍ナメとるんかキサマァ!と怒られ、俺と共にこのポリネシア諸島に左遷された明石は俺達が作る新しい城へと来ていた…

 

「ワラじゃん!!コレ、ワラの家じゃん!!」

 

「いや、コレたぶんワラじゃないでヤシの葉っぱとかじゃないですか?たぶん」

 

「似たようなモンだろーが!!」

 

 

拝啓

親愛なる我が右腕にして共に銀河を手に入れようと誓った秘書艦サミダリューン

 

 

僕は今、地獄に来ています





次回
再生!健全鎮守府!


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ようこそ 健全鎮守府①

今日から健全鎮守府!

【登場人物】

陸海 空(むつみ そら)
海軍少尉、海軍兵学校を上から3位の成績で卒業し、今までも3位と銅賞が多い善戦マン
身長もあまり高くなく年齢のわりに童顔らしく、兵学校の姫とディスらたコトもあり、本人はかなり気にしている
故郷には家が隣同士で友達以上恋人未満のツンデレ幼馴染みがいる




「ついに提督としての初めての仕事かぁ〜……よーし!ガンバルぞ!おー!」

 

ボクの名前は陸海、この春海軍兵学校を卒業し、いよいよ艦隊を率いる海軍の提督としてデビューすることになった…

 

でも、ボクが配属されるのは所謂“ブラック鎮守府”!!噂では15歳以上の男子の生存率1%以下とまで言われる海軍屈指の危険地帯に配属されるコトになったボクはこれからちゃんとやっていけるのだろうか…

 

いや、難しく考えても仕方ない!卑劣な提督に苦しめられたブラック鎮守府立て直しの件とかよくある話じゃないか!大丈夫、ボクならやれる!

 

こうしてボクは、“不健全鎮守府”と呼ばれた悪の巣窟の門を叩いたのだ…

 

□□□

 

「この基地に配属になりました陸海です、階級は少尉です、よろしくお願いします!」

 

「五月雨と言います、よろしくお願いします」

 

まず最初に会ったのは秘書艦(仮)と書かれたネームプレートを付けた艦娘、えっと………たしか五月雨、うん、そうだ、五月雨だ

基本的には新人提督が艦隊司令として配属される際には初期艦と呼ばれる暫定秘書艦を選ぶことになるらしいが今回、ボクは特例での配属と言うコトで専属の初期艦は無し、現地にいる経験値の高い秘書艦を付けてくれると言うコトだったが…

 

「陸海少尉とお呼びすれば?それとも提督(仮)と?あ、(仮)提督の方が…」

 

「陸海でお願いします」

 

(仮)ってなんだよ!(仮)って!いや、たしかに(仮)だけど…ってか前とか後ろとか関係あるのかよ!(株)じゃあるまいし…

 

「冗談です、小粋なサミダレジョーク」

 

「ハハハ……あぁ、そう…」

 

五月雨はボクの反応をみてクスクスと笑い、改めてよろしくお願いしますと軽く頭を下げた

もしかして今のは彼女なりにボクの緊張をほぐそうとしてくれたのだろうか?

 

「それで?陸海少尉、とりあえず今日は基地の中を見て回ってみますか?」

 

「そうだね」

 

そう………ここは噂に名高いブラック鎮守府だ、まずは現場の状況と言うものを確認し、問題点は適切に改善をしなくちゃいけない

兵学校時代の友人、肝川汚太助(キモカワ オタスケ)くん、通称肝汚太(キモオタ)くん曰く、ブラック鎮守府とは前提督に道具としてみられ人間扱いされないコトが多く、それどころか、性的な奉仕とか強制されてしまったりとかして心を磨り減らした艦娘が多くいるでござるでしょう!と言っていたが……ここもきっとそうなのだろうか

 

正門からここまで歩いてきた感じ、特に大した違和感を覚えなかったが、ここにはきっと何かがある!

 

「よし、じゃあまずは基地の中を見て回るから案内をしてくれないか」

 

---

 

①スイーツショップ マミー屋

 

「食堂です」

 

まず最初にやって来たのは基地内での食料事情を一手に担う台所、間宮!

この“間宮食堂”と“明石酒保”はどこの基地にもあるものだと兵学校で聞いていたけど……今の時間は食事時間からズレているのか、人もまばらだ…

 

肝汚太(キモオタ)くん曰く、ブラック鎮守府あるある第二条!食事がまともに供給されず艦娘が常に飢餓状態!と言うワケではなさそうだな

 

「間宮さんいますかー?」

 

「いらっしゃいませー……って、秘書の人じゃないですか、間宮さんなら居ませんよ」

 

五月雨が食堂のカウンターに声をかけて出て来たのは割烹着的なものを着た可愛い感じの女中さん…

 

「昨日から有給とってます、なんかNEOが動き出したとか言ってグ●メ界に行くとかなんとか言ってましたけど…」

 

「あー…NEOですか、NEOなら仕方ないですね」

 

NEOってなんだよッッ!!ってかグ●メ界ってなんだよッッ!!

 

「そちらの方は?」

 

「新しい提督(仮)の陸海少尉です」

 

「え?あのメガネまた死んだんですか?」

 

「いえ、左遷されました」

 

また…?え?前の提督って死んだことあるのか…?

 

「陸海少尉、こちらマミー屋で働く…………間宮さんの子分です」

 

「伊良湖!伊良湖です」

 

「ハハハ………そう、伊良湖ね、ボクは陸海です、よろしくお願いします」

 

「あ、ハイ、よろしくお願いします」

 

ちなみに店主の間宮は本日は不在らしく、後日改めてとなったが五月雨曰く、お尻が安産型ですよといらない情報をくれた

 

---

 

②みんなの店 アカシメイト

 

「明石酒保(廃業)です」

 

次にやって来たのはシャッターの下りた薄暗い場所…

シャッターの前には段ボールだの鉄パイプだのが雑に置かれており、どう考えても営業しているようには見えない…

 

「いや、明石酒保(廃業)って………え?この基地に明石はいないの?」

 

「はい、つい先日までいましたけど、前の提督が左遷される時に基地運営状況にもメスが入りまして、扱ってはいけない商材を扱ったり納入業者との黒い癒着があったり結構な額をピンハネして私腹を肥やしていたのがバレて提督共々左遷されました」

 

「えぇぇ…」

 

五月雨曰く、最後まで私は悪くない!そうだ!金だ!私を救えば金を出す!クソっ!ヤメロー!と必死に抵抗したらしいものの憲兵に捕まり、本来なら逮捕されてブタバコごはん生活にされるところだったが、どうせ生きちょっても仕方ないゴミクズと断じられ、前の提督1人で逝くのは寂しいじゃろうとついでに左遷されたと…

 

「まぁ、前の提督と明石さんは基地クズ大人のツートップでしたから」

 

「なんかこう……色々ひどいな」

 

「とりあえず今は明石酒保(廃業中)ですけど、今、新しいテナント募集してるらしいのでまぁ気長に待っててください、コンビニとか入るかもですし」

 

「いいのか、そんなので…」

 

---

 

③倶楽部 HO-SHOW

 

「ママの店です」

 

「…ママ?」

 

次にやって来たのは軽空母の鳳翔が経営しているらしい居酒屋………

 

「って!!居酒屋じゃないだろォ!!」

 

「まぁ、正確には特定遊興飲食店(1号許可)ですね」

 

薄暗い店内に薄暗い照明と天井にミラーボール…

バーカウンターのようなカウンター席と間仕切りで分けられた複数のテーブル席…

 

これは所謂アレだろうか?スナックとか、キャバレーとかそんな感じの店……知識としては知っているけどボク自身は行ったことがない、兵学校の友人、肝汚太(キモオタ)くんはよくメイドキャバとか行っていたらしく今度一緒に行くでござるでしょう!と誘われたものだ

 

「フーッ~………うるさいねぇ、まだ営業時間じゃないよ」

 

なんか奥からやたらと長い煙管を手にした和風の人が出てきた…

 

「ママ!」

 

「なんだい、サミーじゃないかい……珍しいね」

 

ママ…?この人が、え?じゃあこの人が軽空母の鳳翔……さん?

 

「フーッ~………で?アンタがアレかい?BOYの代わりに来たって子かい」

 

ケムリを吐きつつまだ子供じゃないかと言った鳳翔さんは煙管をトントンと叩いた

 

「陸海です、軽空母の鳳翔…さん?でいいんですよね?あと、ボクは子供じゃない」

 

「フーッ~…そりゃ悪かったね、お詫びになんか飲み物でも出してやろうさね、ミルクでいいかい?」

 

「結構です!」

 

バ、バカにして…ッ!!たしかにボクは平均からみればやや身長は低いかもしれないし童顔系とからかわれていたけどボクだって男だ!ここはひとつガツンと…

 

「フーッ〜………」

 

「ゲホッ!!ゲホッ……!痛い!ケムリ!ケムリで目がァァァァ!」

 

「ん?あぁ、悪いさね」

 

ーーー

 

④基地グラウンド

 

「グラウンドです」

 

「見ればわかるよ!」

 

外にやって来たボクと五月雨、ここは基地施設内に作られた大きなグラウンドと言うやつで主に走り込みやその他の運動が行える………いや、まぁ見たまんまだよ

 

今は数人の艦娘達が野球?をしているらしく、なにやら歓声が上がっていた…

 

『ヘイヘーイ!SARAダイジョーブかー?』

 

『ボールとバットが5フィートは離れてたぜー!』

 

『HAHAHA〜!』

 

…なんか汚い野次が上がってる気がするけど、まぁ、スポーツなんだし多少はあるかな

 

「あれはこの辺の艦娘の間で流行ってるワンナウツってゲームです」

 

「ワンナウツ?」

 

「バッターとピッチャーのサシの勝負でピッチャーがバッターからアウト1つ取れるかってゲームで三振をとるか、打たれてもインフィールドに打球がバウンドしたらピッチャーの勝ち、それ以外はピッチャーの負けです」

 

「へぇ〜」

 

なるほど、要は外野に打ち上げれば勝ちってコトか…

 

『HAHAHAー!イエー!やったぜ!』

 

『大金突っ込んだ甲斐あったぜ!』

 

ってよく見たら!ゲームが成立する毎に観客の間でなんか現金をやり取りしてるーッ!!博打じゃないか!!コレ!

 

「陸海少尉もやってみますか?」

 

「やるワケないだろォー!!ダメだダメだ!こんなコトはやっちゃあいけない!」

 

「まぁまぁ、何事も息抜きは必要ですよ」

 

「息抜きの範疇を超えてるだろォ!!」

 

クッ!!そうだ、ここは悪名高きブラック鎮守府なんだ!とにかくこんなコトは認められない!

 

ボクはヘイヘーイとか言って盛り上がる艦娘達のところへ行き、こんな賭博行為は認められないと声を大にした

 

「なんだこのガキ」

 

「あ、コイツもしかしてメガネの代理ってヤツじゃね?」

 

「え?マジ?NEW・テートクってやつ?」

 

…な、なんか見た目に反してガラ悪いなコイツら…

 

「そうだ、こんな違法行為は金輪際ヤメて貰う、海軍のブランドに傷がつくからな!」

 

「ハァ?どうせウチはFラン基地なんだからいいじゃねーか!」

 

「こんなワルどもの溜まり場に権威なんてありませぇえええん!!」

 

なんだとォ……って!そんなコト言ってる場合じゃないと憤りを感じていると、秘書艦(仮)の五月雨がまぁまぁとボクの肩を叩いた

 

「陸海少尉、どうせならひとつゲームでもして皆さんと親睦を深めてはどうですか?」

 

「親睦…?」

 

…なるほど、まぁ、たしかにそれもありかもしれない

彼女らにとってボクは今日やって来たばかりの名も顔も知らない新人、そんなボクが偉そうに上からアレコレ指示するのは面白くないか…

 

「いいだろう、ボクもやらせて貰う!」

 

そう言って落ちていたバットを拾ったボクは高々とホームラン予告をカマしてやった

 

「ヒュー!あのコゾー!カッコいいコトしてくれるぜーッ!」

 

「コイツはマジでヤるかもな!」

 

こう見えてもボクは小中と野球をやっていた経験があるし、中学時代は県ベスト8にもなった、ちなみに、ベスト4を目指して戦った準々決勝の相手は強豪の聖ユリアンナ学院付属中、当時中学世代最強スラッガーと呼ばれた肝汚太(キモオタ)くんが居たコトもあり健闘むなしく破れ去った

 

「こい!」

 

「SARA、どーするよ?」

 

「いや、ここはIowaでしょ?」

 

…え?外人?外人が投げるの…?ってかスゴい格好してるなあの人、金髪で巨乳ってだけでも目のやり場に困るのに…

 

「陸海少尉、アイオワさん、ウチに来る前はMAJORで投げてたので球メッチャ速いですよー、今でも100マイル投げますからー」

 

ウソだろォ!?五月雨!その情報!今言われても困るんだけど!?

 

「ヘイヘーイ、Young boy!ハンデをあげるワ、meのタマをyouのそのぶっといバットに当てたらyouの勝ちでいいワー!」

 

「は?」

 

「マ、カスリもしないでショーケド」

 

周りの艦娘達からHAHAHA!と小粋なアメリカンジョークに大爆笑………

 

ナメやがって…ッ!!

 

「ふざけるな!!本気でこい!その球、スタンドにブチ込んでやる!」

 

「ワォ!ブチ込んでヤルなんてカワイイ顔してなかなか過激ネ!いいワ〜……」

 

こうしてボクとアイオワの真剣勝負が始ま……

 

 

『ストライク!バッターアウトッッッ!!』

 

 

…………終わった

 

 

「ヘイヘーイIowa!Rookieイジメすぎだぜー!」

 

「オイオーイ!カッコいいの口だけかよボクぅ〜?」

 

「あー…終わった終わった、マミーヤいこーぜ、マミーヤ、チョコレートパフェ奢れよ」

 

「え?やだよ、自分で払えダボ」

 

HAHAHA〜………と陽気な笑い声とともに去って行く艦娘達…

バットを持ったまま打ちひしがれたボクの肩を軽く叩き秘書艦(仮)はこう言った…

 

「まぁ、こーゆーコトもありますよ」

 

笑顔で







【登場しない人物】

肝川汚太助(キモカワ オタスケ)
海軍少尉、海軍兵学校を上から4位の成績で卒業したなかなか優秀な人物、陸海少尉とは子供の頃から知り合いらしく、中学で私学に進学して別れたものの海軍兵学校で再会、中学まではスポーツ万能の爽やかイケメンだったが再会した彼は妹属性を至高とするとアイドルアニメオタに転落していた
初期艦には電を指名したが本人から拒否され、じゃ、コレでいいですと吹雪さんを選んだ哀しき過去を持つ


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ようこそ 健全鎮守府②

不健全なんてもう古い!どこに出しても恥ずかしくない、パンツじゃないから恥ずかしくない健全鎮守府

新提督 VS 鈴谷

【登場人物】

睦海少尉(新提督)
ナリは小さいけど夢は大きなフレッシュな新人
一応、性的なことに興味あるけど興味ない感じで装うこじらせ童●気味

鈴谷(自称メインヒロイン)
鈴谷のパンツ?あーダメダメ、鈴谷そんな安い女じゃないから、味噌汁で顔洗ってきなよ


前回までのあらすじ…

新提督、4万ドルの勝負に負ける

 

 

□□□

 

拝啓、姉さん

この春、ボクは無事に海軍兵学校を卒業し、色々ありましたがついに艦隊司令として配属されることになりました…

配属先は地方の基地とは言ったもののかなりの規模があり、まだ右も左もわからない状態ではありますが、配属先の艦娘はみんな良い子達です、だから心配はしないでください、本当にボクは大丈夫です…

 

「はぁ…」

 

ここに来て早3日、海軍きっての問題児達が集められたブラック鎮守府と噂されていたこの基地に来てわかったコトが3つある

 

1つは、提督による艦娘への虐待、所謂、性的な奉仕などは特に行われていなかったと言うコト…

何人かの艦娘にヒアリングをしてみたが、前の提督は風紀にはわりとうるさかったらしく、やれスカートが短いだの露出が激しいだの口うるさかったとの声を聞いた

 

ただ、日常的にセクハラめいた言動はあったらしく、挨拶代わりにおっぱ……胸や尻を触られたなどはあったらしいけど…

 

もう1つは資材に関して、ブラック鎮守府では提督による資材の横流しや私的な流用などデフォでござるでしょうと友人の肝汚太くんが言っていたが、この基地、燃料や鋼材などの資材に関してはやたらとキッチリしていたらしく、倉庫を開けてみたら各資材が350000づつ、高速修復材も3000とおそろしく貯め込んでいた……

 

五月雨曰く、資材が完璧に整ってないと出撃許可を出さない石橋を叩くどころか石橋を一度破壊し現在の安全基準に則った安心安全な橋を作ってから渡るクソめんどくさいタイプだったとか…

 

「陸海少尉、コーヒーをどうぞ」

 

「ん、あ、あぁ…ありがとう」

 

そして最後の1つは……

 

五月雨の淹れるコーヒーはやたらとマズいと言うコトだ

 

何故こんなマズいコーヒーを淹れてそんな誇らしげな佇まいでいられるのか理解に苦しむが、ハッキリ、マズいと本人に告げるのもアレなので我慢して飲んでいる…

 

「どうです、新生活の方は?慣れましたか?」

 

「まだ3日目だからね…」

 

とりあえずここに来て、基地の中を色々見て回ったけど必要設備がボロかったりとか艦娘達が生活する上で何か 致命的に困るようなものは見当たらなかった…

あえて目についたとすれば、駆逐艦の寮かな…?なんかやたらと壁にラクガキされてたり、駐車場に所謂DQNカーが駐車されているのが目についたぐらいだろうか…

 

「あ、そう言えば五月雨、戦艦寮なんだけど…」

 

「戦艦寮がどうかしましたか?」

 

「なんか地図上では奥の方にやたら広い謎の区画があるんだが…」

 

「あぁ、そこは金剛姉妹専用寮、通称、天動宮です」

 

「て…天動宮?」

 

なんだそれ?前の提督はそんな特別扱いを許していたのか?

 

「一応警告しておきますが、天動宮に文句言ってやろうとか考えているなら考え直してください、死にますよ」

 

注意ではなく警告ときたか………と言うか、死にますよってなんだよ!死にますよって!

 

「金剛さんはもう何年もこの基地の暴の頂点に君臨し、裏から基地を支配してきたこの基地の“帝王”です」

 

五月雨曰く、表の支配者である前の提督と裏の支配者である金剛は互いに反目し合っていたらしく、前の提督は常に金剛に命を狙われていたらしい…

 

「いやいやいや!なんだよそれ!おかしいだろォ!?」

 

「何がですか?」

 

「何がですか…って、自分の基地の提督の命を狙う艦娘って時点でアレだろ」

 

「まぁ、よく考えたら金剛さんだけじゃなくて隙あらば大和さんにも命狙われてましたね…」

 

「大和ォ!?」

 

大和って……え?あの戦艦大和だよね、前にクレで1回見たことあるけど、なんと言うか……ザ・大和撫子!みたいな気品のある凄い戦艦だ、兵学校時代、クレでその戦艦大和を見た時に戦艦大和がこちらに気付いて手を振ってくれた時は同級生の何人かがカルチャーショックで失神したほどだ…

 

「大和さんの中には提督の地位を狙う邪悪な大和さんと正義の心を持つ大和さんが常に戦ってるんですよ」

 

「え?なにそれ、怖い…」

 

に、二重人格と言うやつだろうか…

五月雨曰く、本来なら次の提督には戦艦の中でも仁・智・勇に優れた大和か長門かで悩んだが、大和の中にとてつもない邪悪が潜んでいる気がすると常々悩んでいたとか…

 

そんな唐突かつ途方もない話を聞いていると、執務室の扉を叩く音がし、こちらの返答を待たずに扉が開いた

 

「ティーッス、鈴谷が遊びに来ましたよォ~」

 

…鈴谷と名乗る少女?いや、艦娘か…

艦娘はヘラヘラ笑いつつ執務室に入ってくると応接用のソファーに座り、五月雨になんか冷たいのない?と声をかけた

 

「あれ?テイトクは?」

 

「提督なら左遷されました」

 

「は?マジで?ナニやったの?レ●プ?」

 

いきなりレ●プとか………やはり前の提督は相当アレだったのだろうか

 

「そんなワケないじゃないですか、別件でしょっぴかれてデスク●ーン島送りになりました」

 

「ふ~ん」

 

鈴谷は大して興味なさげに相づちをうちつつ五月雨から手渡された麦茶に口をつけた

 

「ふ~………で?その子誰よ?」

 

「新人で提督(仮)の陸海少尉です」

 

もうちょいマシな紹介はないのだろうか?いや、まぁ、たしかに(仮)なんだけど…

 

「へぇ~新人かぁ~」

 

「陸海です、よろしく」

 

「私、鈴谷、よろしくねー」

 

そう言って鈴谷はヒラヒラと手を振ってくれたが……

なんと言うか、座ったままテキトーな挨拶とか失礼な艦娘だな、見た目、なんかギャルっぽいし…

やはりこーゆーところは正していかないとな!

 

「え~…鈴谷、だっけ?」

 

「そうですけどー?」

 

「執務室に何か用があって来たのか?」

 

「遊びに来たって言ったじゃん」

 

遊びに来た………遊びに来た、か

本来なら執務室は遊びに来るような場所ではないのだが、前の提督はそこら辺が緩かったのだろうか

 

それとも、遊びに来るぐらいだから前の提督とこの鈴谷はそれなりに友好的な関係だったのだろうか?まぁ、少なくとも提督に対して悪い感情を持っていたと言うワケではないだろう

 

「鈴谷、執務室は遊びに来るところじゃない」

 

「へいへい」

 

「わかったならそれでいいよ」

 

「へいへい…………って、ナニ?出てけとか言わないの?」

 

「いや、別にそこまで言うつもりはないけど…」

 

正直、遊びに来るぐらいフランクな関係は決して悪いとは言わない、公私をわきまえるコトが前提だけど…

 

「へぇ~……提督は鈴谷が来た瞬間、死ねだの消えろだの言ってたのに」

 

…………フランクな関係だったのだろうか?

 

「あげくに鈴谷のコトをビッチとかディスるし!どーよ?ね?新提督は鈴谷のコトどう思う?ビッチじゃねーよね?」

 

そう言って立ち上がった鈴谷はボクに近付きグイグイきた、いや、近い!近い近い近い!って胸、でか……やわらか……いや…不可抗力!不可抗力!

 

「いや、離れて…!ちょ、離れてくれ!」

 

「なんなの!?パンツ見せよーか!」

 

「ハー…ハー……別にボクはその……ビッチとかそうは思わないし、パンツも見せないでいい」

 

「あ、そーなの」

 

あー…ビックリした、やばいやばい、艦娘は基本的に美人な娘が多いし、いきなりあんなグイグイこられたらビックリするよ

兵学校の友人、肝汚太(キモオタ)くん曰く、艦娘は見た目美少女ばかりなので提督の権威とか圧力をふりかざして性的な関係を迫るだけでなく幾多の死線を共に乗り越えピュアな恋愛関係に発展する場合もあるでござるでしょう!と言ってたし……これは勘違いする者も多いハズだ

 

「ま、いいや、新テイトク、ゲームしよーぜ!ゲーム!」

 

「ゲーム?」

 

そう言って鈴谷は執務室の戸棚の奥からなにやら家庭用ゲーム機のようなモノを取り出した…

戸棚の奥までは見てなかったが、前の提督の私物だろうか?

 

「さっ!ヤろーぜ!」

 

「ヤろーぜ、じゃない!まだボクは業務時間中だ」

 

「えー!いいじゃーん!ヤろーぜぇ~!鈴谷とヤろーぜぇ~!鈴谷ヤリたくてヤリたくて仕方ないんだって」

 

そう言って鈴谷はボクにねー?ねー?と誘う、えぇい!イチイチなんかエロいなこの娘ッ!

 

「やらない、片付けなさい」

 

「まぁまぁ陸海少尉、ちょっとぐらい息抜きしてもバチはあたりませんよ」

 

「五月雨…」

 

「部下とのたわいもないコミュニケーションと言うものも組織的にはわりと大切なものですよ」

 

ふむ、たしかに五月雨の言ってるコトも一理ある気もする…

 

「…よし、いいだろう、1回だけ付き合ってやる」

 

「よく言ったし!じゃ、ゲームはK●F98でいい?」

 

「構わない」

 

ゲームは格闘ゲームってヤツか、見たところ最新のゲームってヤツじゃないみたいだが…

まぁ大丈夫だろう、ボクだって友人の肝汚太(キモオタ)くんに付き合ってそれなりにTVゲームはやっていた世代だ、むしろボクの世代から見れば、もう飽きたよと言っていいぐらいの格ゲーだな

 

よし、ここはひとつ!提督の威厳ってヤツを………

 

『どぉしたぁ!どぉしたぁ!!』

 

提督の威厳ってヤツを……

 

『泣け!叫べ!そして死ねェェェ!!』

 

威厳ってヤツを…

 

『フフフ…ハハハハハ…ハァーッハッハッハッハ!』

 

………威厳を

 

「うわ、ざっこ、新テイトク、弱すぎ」

 

「ま、待て待て待て!待ってくれ!もう1回!もう1回やろう!今のはまだ勘を取り戻してなかったからだ!」

 

「別にいいけどー」

 

ざ……ザコ?いやいや、そんなワケがない、TVゲームなんて久々だし、うん、久しぶりだし!

 

『泣け!叫べ!そして死ねェェェェ!!』

 

久しぶり…

 

「うわ、ザコすぎ…」

 

「待て待て待て!!待って!もう1回!もう1回もう思い出した!昔の勘取り戻したから!全盛期になったから!」

 

「別にいいけど…」

 

ありえない…ッ!!かつて肝汚太くんとゲームをやり込んだボクがここまで一方的に負けるなんてことは…

 

『そのまま死ね』

 

負けるなんて…

 

「ハァ〜………もぉ、いいや」

 

「待て!!待て待て待て待て待て!!まだだ!!」

 

「ハァ?鈴谷弱いモンいじめとかシュミじゃないし」

 

「ボクは弱いモンじゃない!」

 

「や、フツーにザコいじゃん」

 

嗚呼そうか…テイトクもこんな気持ちだったのか…と呟き、鈴谷はゲーム機の電源を引っこ抜いた

 

「鈴谷に相手して欲しかったらもうちょいデキるよーになってよね、ま、鈴谷に勝てたらパンツくれー脱いでやるよ」

 

「クッ…!」

 

そう言って鈴谷はまるでアデュー!とでも言うよに二本指を立てて無駄にスタイリッシュに執務室から去って行った…

 

「くっ…!!クソォ!!クソォォォォ!!」

 

生まれて初めてだッ!!こんな屈辱感は…ッ!!たかがゲーム!されどゲーム!ゲームに負けたことなんか今までだって何度もあるが、これほどの屈辱は初めてだ!

 

「まぁまぁ、陸海少尉…」

 

ゲームパッドを持ったまま打ちひしがれたボクの肩を軽く叩き秘書艦(仮)はこう言った…

 

「ま、こーゆーコトもありますよ」

 

笑顔で…!



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ようこそ 健全鎮守府③

健全化基地3回目

【登場人物】

睦海少尉(新提督)
アケコンなら負けなかったと言い張る負けず嫌い

香取先生(先生)
数多のワルどもを更生させてきたアツい熱血教師魂を持つ教育者の鑑

鹿島先生(普通にイケメンが好き)
三蔵一行なら普通に三蔵が好き


前回までのあらすじ…

このままでは終わらんぞぉー…終わらんぞぉー…らんぞぉー…

 

 

□□□

 

拝啓、姉さん

試用期間とは言え提督として着任し早2週間が経ちました

兵学校での教訓を活かし日々是勉強の日々です、配属先にいる艦娘達は皆これまで数々の任務をこなしてきた経験と豊富な知識があり、本当に頼りになる艦娘達です…

 

「はぁ…」

 

ここに来て早2週間、着任前は毎日がワルのオリンピック状態と聞いていたけど、意外にもそこまで荒れている様子はなく、少し拍子抜けだなと感じているのも事実…

 

しかしッ!!

 

問題がまるでないワケじゃない、むしろ問題があまりに難し過ぎて手が出せないのが現状である

 

「陸海少尉、コーヒーをどうぞ」

 

「ん、あぁ、ありがとう…」

 

秘書艦(仮)のネームプレートを付けた五月雨はこだわりの豆と器具で淹れたコーヒーをボクの机に置いた…

正直なところ、五月雨の淹れてくれるコーヒーは普通にマズく、好き好んで飲みたくはないのだが勧められると断り辛い…

コレを毎日飲んでいたらノイローゼになりそうな気がする

 

「あ、そうそう、陸海少尉、今日は香取先生がお時間がとれれば教育棟に顔を出して頂けますかって言ってましたよ」

 

「教育棟…?」

 

教育棟、駆逐艦以下の艦娘には所謂、義務教育のようなものを受けるのが必須らしく、出撃や遠征、訓練などの合間に学業の時間がある

たしか教員免許を持っている練習巡洋艦が教鞭を執ってるとかなんとか聞いたな…

 

「…わかった、行こう」

 

「行くんですか」

 

「いや、行くけど……え?なに?何か問題でもあるの?」

 

「いえ、特にないですけど…」

 

■■■

 

皆さんこんにちは、練習巡洋艦、鹿島です♪

新しい年が明けてすぐ、突然メガネ……じゃない、提督が左遷されて(明石さんも)もう二週間も経ちました

 

正直、最初は戸惑いもありましたがすぐに新しい提督が着任し、基地は大きな混乱もなく不気味な程に通常営業です…

 

………不気味なほどに

 

「鹿島、テストの採点は終わった?」

 

「え?あ、あぁ、うん、今やってる」

 

今、採点しているのは冬休み明けに実施した冬期実力テスト、ウチの子達は基本バカばかりだけど、学業は学業でキチンと手を抜かないでやる!と言うのが基本方針らしく、メガネ……前の提督と香取姉ぇは教育に関してはわりとうるさかった

 

「え〜……なになに、2つの軍が戦争をしています、開戦当初A軍は20万、B軍は5万です、1日目の戦いが終わりA軍は19万になりB軍は4万5千です、以降もA軍は1日1万、B軍は1日5千づつ減っていきます、1週間後に勝っているのはどちらの軍でしょう、か…」

 

算数の問題かぁ〜…ってか香取姉ぇの作った問題なんだけど例えが物騒だなコレ、リンゴの数とかじゃダメだったのだろうか…まぁいいや、え〜……

 

清霜の答え『たぶんB』

リベッチオの答え『たぶんB』

 

たぶん、たぶんかぁ〜……たぶんで答え決めちゃダメなんじゃないかな〜…ってか計算してないよね、この子達、知ってたけど

 

狭霧の答え『A軍(A軍130000 B軍15000)』

天霧の答え『しらす』

 

狭霧ちゃんはまともで良かった、だよね!狭霧ちゃんはまともだよね、先生知ってたよ!って………腹筋の方!腹筋の方!!しらすってナニ!?しらすって!?ってか真面目に解いてないでしょこの子、なんか答案の隅に変なラクガキしてるし…

 

陽炎の答え『るああぁぁぁぁぁぁ!!!!飛 ● 隊 行くぞォォォォォ!!』

不知火の答え『う、うぉー!なんだあの隊は!スゲー勢いだ!と、止まらねぇぇ!!』

 

バカかッッッ!!!コイツら毎度毎度いい加減にしろよッ!!飛●隊来ちゃったよ!勝手に五千人将投入するなよ!

 

「………はぁ」

 

相変わらず頭痛いわ、いや、ホント…

 

「鹿島、紅茶淹れるけど飲む?」

 

「え?あー……うん、飲む」

 

香取姉ぇの方はもうとっくに採点終わってるらしく、机の上も綺麗なモノだ、ってか、香取姉ぇの机の上が綺麗じゃない状態なんか見たことがないケド…

 

「あ、香取姉ぇ、私ミルクティーがいいなぁ〜」

 

「鹿島、公私は分けなさい、公私は、業務時間内は香取姉ぇじゃないでしょ…」

 

「はいはい、そーですねー」

 

「ハイは1回、はぁ…まったくこの娘は……」

 

相変わらず香取姉ぇはカタいなぁ〜……メガ……じゃない、前の提督が左遷されたと言うのに香取姉ぇは何も変わらない

 

………そう、何も変わっていないのだ

 

前の提督に対して実の妹である私がドン引きするほど異常に高い好感を持っていたこの姉がだ…

 

正直、この姉なら前の提督が左遷されるならば共に行くのが当然とばかりに付いて行って不思議ではないし、最悪、前の提督を左遷させた中央に乗り込み、文字通り、壊滅させるんじゃあないかって恐怖すらあった…(その場合、私は中央襲撃の超A級犯罪艦の妹として扱われるのでそれだけはカンベンして欲しいけど)

 

そんな姉が…………普通なのだ

 

これが表面的だとしてもあまりにも不気味すぎる…

正直、そろそろ香取姉ぇがナニを考えているのか聞いてみたい

 

「ね、ねぇ、香取姉ぇ…」

 

「ハァ……香取先生でしょう?」

 

「あ、あぁ、うん、そうだね、うん…」

 

ミルクティーをテーブルに置きつつ香取姉ぇは溜め息を吐き、自分も椅子に座った…

 

…聞くべきか?いや、聞いていいのだろうか?

本当に?

 

………香取姉ぇのコトだ、もしかしたらもう中央絶滅作戦の準備を整えているのかもしれない、もし聞いてしまったら私も超A級犯罪艦の仲間入りになるかもしれないリスクがあるッッ!!

 

いや、ひょっとすると…もう既に中央の偉い人を何人か惨殺しているのかもしれない…ッ!?

普通なら、いやいやアハハそんなワケないないとジョークで済ませられそうな話が、この姉に限っては絶対にないッ!!

 

香取姉ぇならやるし、できるのだ…

 

こ、怖い!!怖い怖い怖い怖い怖い!や、やっぱり聞くのやめようかな…

 

いや、でも……聞いておきたい気持ちもある!そう、たった1人の実の姉のコトだ、妹の私が心配してナニが悪いか!そうだ!ナニも悪くない!

 

「鹿島?どうしたの?」

 

怖い!!でも、カミサマ!私にもっと強い勇気を与えてください!よぉーし聞くぞぉー!よぉーし!スゥーハァースゥーハァー…!落ち着いた、よぉーし!

 

「か、香取姉ぇ…ちょっと聞いていいかな?」

 

「香取先生、公私を分けなさい」

 

「妹として聞きたいの!」

 

思わずテーブルをダァン!してしまった私を香取姉ぇはちょっと面喰らったように目を丸くし、ハァ…と溜め息を吐いた

 

「ま、今は休憩中として………なにかしら?」

 

「え?あ、いや……香取姉ぇ、この前、提督が左遷されたコトなんだけど…」

 

「………………左遷?」ジロッ!

 

「ヒイッ!?」

 

こ!怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!やっぱ聞かなきゃ良かった!!香取姉ぇに睨まれ…………あ、これ絶対漏らした、ちょっと漏らした

 

「鹿島、アナタ…」

 

香取姉ぇは紅茶を一口啜ると口元をおさえてクスクスとおかしそうに笑った

 

「提督が本当に僻地に左遷をされたと本気で思っているの?」

 

「え………え?」

 

香取姉ぇはだからアナタはダメなのよと言いたげに笑った

 

「え?いや、だって……」

 

「鹿島ったら……提督は私達が考えているようなコトは全てお見通しよ」

 

「そ、そうなの…?」

 

「提督は私達程度の愚か者では想像すらできない智略と鬼謀を持つ御方、この一連の行動にも提督には何かお考えがあると考えるのが当然よ」

 

その提督のお考えに対し、何を狼狽える必要があるのかしら?と言ってにこやかに微笑みを浮かべる香取姉ぇの顔に迷いはまるでない…

 

………いや、香取姉ぇ

 

たぶんあのメガネ、マジで左遷されただけなんじゃ…

 

「鹿島」

 

「は、ハヒッ!!」

 

ダメだ、言えるワケがない…ッ!!間違ってもそれを口に出すべきではない、今、香取姉ぇは私の顔を見て考えているコトを察したんだ……ダ、ダメだ!震えが止まらない

 

「私達はただ、いつものように変わらずにしていればいいの、わかった?」ニコッ

 

「は…はぃ、わかった、わかってるよ香取姉ぇ…」ガタガタ…

 

「あ、そうそう、そう言えば今日、陸海少尉さんがいらっしゃるそうよ」

 

「陸海…?あぁ、あのなんか小さい提督…」

 

メガネに代わってやって来た新提督、顔はわりとイケメンの部類に入るけどいかんせん身長が低く、どうにも子供っぽいよね…

私としては普通にイケメンが好きなので、なんかちょっとショタっぽいのはややストライクゾーンから外れている

 

もう4〜5年したら抱いてやってもいいかな(上から目線)

 

「失礼のないようにね」

 

「はいはい、わかってまーす」

 

「ハイは1回」






次回

VS ハッキリ言って自信作です


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真‼︎不健全鎮守府-提督最後の日-①

健全の裏には不健全がいる、不健全が戦える……って言うコトは、勝てる…!そういうことだよ


帰ってきたイケメン主人公…!


キサマ!このワシにこんなコトをしてタダで済むと思うなよ!えぇい!離せ!離さんか下郎が!ワシを誰だと思っておる!誰よりもこの国を憂い!この国の為にと尽くしてきたこのワシを!あ、あり得ぬ…っ!な……な、何かの間違いだーッ!ワシはいずれ中央へ行き、海軍の……いや、この国を手中に収める男なのだ!離せ!離さんかァァァァァァァァ!!

 

ーーー

 

「…………あー息をするのもメンドクセー」

 

このワケのわからん島に上陸してどれくらい経っただろうか?つい先日まで海軍中佐、一地方拠点の艦隊司令として辣腕を振るい、この地上の愛と正義の為に粉骨砕身努力していたハズの俺は上層部の卑劣なる策略に嵌り、ワケのわからん南国へと流された…

 

まったく、俺がいったいナニをしたと言うのか?地上の愛と正義の為に戦ってきた俺に対するこの仕打ち、もし仮にここに海皇ポセイドン様が現れ、たまたま鱗衣があったらシードラゴンにございます!って速攻で忠誠を誓って俺を追放したクズどもに神の怒りを喰らわせてやりたい気分なのだよ…

 

「あ、テイトク、ゴハンできましたよー」

 

「ご苦労」

 

「今日はなんと海で拾った貝をふんだんに使った貝汁です」

 

「それ昨日も食べたよな?っーか毎日食ってるよな?」

 

明石のヤツはそうですかねー?とか言いつつゲラゲラ笑っているが、たぶん拾った変なキノコでも食ったのだろう

明石のバカも俺と同じくポリネシア諸島基地(仮)に島流しされ、今、このよくわからん島の廃墟みてぇーなボロい基地で俺は明石と生活を共にしている…

 

ちなみに食事は交代制、今日は明石、昨日は俺、今日は貝汁、昨日も貝汁である

 

「はぁ〜………こうして自然の中で生活しているとだんだん心が洗われてきましたねぇ〜」

 

「そうか?」

 

「えぇ、以前の私は一にも二にもとにかく金!金こそ全てだ!金さえあれば勝ちまくりモテまくりと欲望にまみれた考えをしていました」

 

ナニが勝ちまくりモテまくりなのだよ

 

「こうして自然と言う名のネイチャーを感じるとザ・ナチュラルって気がしてきましたよ〜…」

 

「オマエやっぱ変なキノコ食ったろ?」

 

「やだなぁ、食べてませんよ」

 

いやコイツ絶対なんか変なキノコ食ってる、だって目がキマってるもん、ア●ルに木の棒でファックした時よりガンギマリしてる目だよ

 

「まぁいい、ちゃんと後で吐いとけよ」

 

そう言って明石にお腹パンチをブチ込んだ俺は上着のポッケに入っていたケイタイがブーブー振動しているコトに気付いた

 

ケイタイとか繋がるんだな、この島…

 

「はいもしもし、ハンサムな提督です」

 

『おう、まだ生きとったか!』

 

「なんだ大将殿か…」

 

このクソオヤジ、ナニがまだ生きとったかガハハハだっーの、なめてんのか…

 

『どうだ?ポリアンナ島は?』

 

「エアコンの効いたオフィスが懐かしいよ」

 

『カッカッカ、ま、リフレッシュも兼ねてネイチャーを満喫するのも悪くないだろう?ザ・ナチュラルと言うやつじゃな』

 

流行ってんのか…?それ?いやいや、ナニがネイチャーだよ、ナイス・ネイチャーどころかバッド・ネイチャーだよ

 

「…で?わざわざ何の用だ?そろそろ中央に席を用意するって話か?」

 

どうせくだらない用かと思いきや、クソオヤジは一つ咳払いした…

 

『…某国に引き渡す予定だったガレムソンが移送中に襲撃されて脱走した話は前にしたな』

 

「誰だよそれ?」

 

『オマエがぶちのめしたテロ屋だ』

 

あー………アレか、前に有馬のお嬢様関係の仕事した時にテロ行為を働いたアゴヒゲ外人、たしか天海の宿敵みたいな空気だったが、空気読まずに俺がヤっちゃったんだよな…

っーか天海の上司の方がヤバすぎてアゴヒゲしか思い出せねぇわ、なんだよあのジジイは、生まれて初めてマジで二度と会いたくねーと思わされたぜ

 

『そのガレムソンが今度は某クルーズ船を襲撃、今現在占拠中だ』

 

「へぇ〜…」

 

『で、その船には有馬嬢が乗っておる』

 

「オイオイオイ、またかよ」

 

どんだけ巻き込まれ体質なんだあのお嬢様は、メインヒロインかっーの

 

「そいつは大変だな、あの凶暴お姉様がブチ切れ案件ってヤツだろ」

 

『その凶暴お姉様は今すぐ妹のところに行くとダンビラ持って暴れていたが聡明なお兄様にストップをかけられておるわい』

 

「なるほど」

 

『でだ、そのクルーズ船は今現在、赤道付近を航行中でな…』

 

「ヘイ!ヘイヘイヘイ、オヤジぃ!あんまムチャゆーなよオヤジぃ!俺にどーしろってんだ?あ?」

 

ロクな船もなければロクな装備もない、そしてロクデナシな部下が1人しかいない今の俺にできるコトなんてのはお嬢様の無事を神に祈るぐらいしかない!違うか?

 

『問題ない、今、そっちに人をよこしとるからまずはそいつと合流しろ』

 

「人をよこしとる?ハハ…ナニ言ってんだこのオヤジは」

 

『ま、詳しい話は合流してからにするか、じゃあな』

 

「あ?ちょ、待てよ!オイ!もしもし!もしもぉーし!!」

 

…………切りやがった、なんてオヤジだ

 

「なんだったんですか?今の電話」

 

明石の野郎はお腹パンチのダメージから復帰したらしく、自分だけ焼いた魚みたいなのをバリボリと貪っていた…

 

「中央の大将殿だ、っーか魚あるじゃねーか!よこせ!」

 

「イヤですよ!コレは私が捕まえた魚ですよォー!」

 

「やかましい!だからオマエはピンクなのだよ!」

 

「ピンク関係ないですぅー!あ、ヤバ、また吐きそう」

 

 

■■■

 

 

…………ナニやってるんだ?あの人

 

「醜い奪い合いと言うものはいつ見ても心が痛みますねぇ」

 

この男が心を痛めるなどあるのだろうか?いや、たぶんない…

アホを見ていても仕方ないと手にしていた双眼鏡をしまい、さっさと合流するべく再び船を始動させる

 

「行くぞ」

 

「…天海クンにはジョークのセンスが必要ですねぇ」

 

「天海じゃな………」

 

…いや、この仕事は天海キョウヤがやり残した最後の仕事だ

 

「…天海でいい」

 

「ツンデレってヤツですか?モテませんよ?」

 

「やかましい!」





次回は健全回④

たぶん


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ようこそ 健全鎮守府④

KENZEN回の第4回

新提督 VS 狂気のマァァァァッド軽巡

【登場人物】

陸海中尉(童●)
S●Xは好きな子とだけしたい派?いや、うん…え?その質問答えないとダメ?いや、まぁ……

五月雨(仮)
年齢なんか関係あるか!女はみんなブチ込むんだよ!………とか言ってましたよ





前回までのあらすじェ…

妹には理解できない実姉の絶対的信頼、そうだ…最●記見よ(逃避)

 

 

ーーー

 

拝啓、姉さん、海軍兵学校で在学中には士官候補としてあらゆる技能実習や専門的知識を学ぶ事もありましたが、最近ふと思い出したことがあります、近代海軍史の座学で聞いた三大悪行提督、そして海軍三大奥義と呼ばれる謎に包まれた奥義…

噂では海軍兵学校の体育館裏の壁に描かれた抽象的なラクガキがその奥義の鍵と噂されていましたが、あとから聞いた話、そのラクガキは過去の卒業生が描いた特に意味のないものだったとか…

 

「…はぁ」

 

「お疲れ様です、コーヒーを淹れましょうか?」

 

「あ、いや……今日はお茶の気分かな、その……熱いやつ」

 

「そうですか」

 

最近、ようやく五月雨の勧めてくるコーヒーを彼女のプライドを傷つけないように上手く断れるようになってきた気がする…

正直、あまり美味しくない、むしろマズイとストレートに伝えるワケにはいかず、どうしたものかと考え抜いたその答えがコレだ

 

「お茶です」

 

「ん、あぁ、ありがと………って!!アツィィィ!?」

 

フットーしちゃってるのかよ!ってぐらい熱いお茶入りの湯呑みを出した五月雨は、ナニやってるんだコイツ?みたいな顔をしつつもお茶受けの小菓子を置いた

 

「もしかして、熱かったですか?」

 

「あ、あぁ……かなり」

 

「そうですか、アツいやつと言われたので…」

 

天然なのか?それとも単に僕は嫌われているのだろうか?

そんなことを考えつつ、とりあえず湯呑みをフーフー吹いていると、執務室の扉を叩き、こちらの返事を待たずにその扉が勢いよく開いた

 

「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

開いた扉の前で不敵な笑みを浮かべる艦娘………えっと、誰だっけ?たしか、え〜……あ、そうそう夕張だ、夕張、たしか兵装実験軽巡とかいう特殊な艦種の

 

「君はたしか…夕張だったかな?」

 

「ご覧の通り、夕張です…………って、アナタ誰ですか?と言うかテイトクは?」

 

夕張はまるで不審者を見るような目で僕を見て、秘書艦席に座る五月雨に視線をやった

 

「提督ならついこないだ左遷されましたよ」

 

「ゲェーッ!!」

 

五月雨曰く、ここ最近、夕張はずっと地下にこもってグチュグチュなんかヤってたらしく、前の提督が左遷された事も僕が来たことも知らなかったらしい……ウラシマタロウかよ

 

「な、なんてコト…あ、あああ、なんてコト!嗚呼、ああああああ!」ガクガク…

 

「まぁまぁ夕張さん、お茶でも飲んで落ち着いてくださいよ、ハイ」

 

「ありがとう五月雨ちゃん!!ってアツゥイィィィィィ!!!」

 

夕張は受け取って湯呑みをイッキに飲み干したせいか、女の子があげてはならない汚い地獄のような声をあげながら床を転げ回り、執務室の壁に顔面を強打して止まった…

 

「…」死ーン

 

「お、おい……夕張?」

 

ま、まさか死んだりしてないよな?なんか顔のあたりから赤い血溜まりが広がってきたけど、いや、全然大丈夫じゃないよなコレは!?

 

「大丈夫か!オイ!!大丈夫なのかーっ!」

 

「夕張さんなら大丈夫ですよ、ウェストとか超細いですし」

 

「それ関係ある!?」

 

ーーー

 

「いやいやお見苦しいところをお見せしました」

 

顔面強打で白目を剥いていた夕張だったが、五月雨がどこからか持ってきたバケツの液体をかけると目を覚ました…

もしかしてアレが高速修復材と言うやつなんだろうか?

 

「改めまして、私は夕張です、よろしくお願いします」

 

「あ、あぁ…僕は陸海だ、よろしく」

 

夕張は勢いよくペコォっと頭を下げた、なんかやたらと腰が低いなこの艦娘……珍しく

 

「それで…?何か新しい装備を開発したとか…」

 

「そうなんです、ハッキリ言って自信作ですよ」

 

そう言って自信満々に胸を張る夕張…

しかし新しい装備か、たしか工廠では装備の開発や改修もできるんだよな

 

「それは楽しみだ、早速見せてもらっても…」

 

「いいですとも!」

 

そう言って夕張は一旦執務室の外へと飛び出すと、なにやらブルーシートにくるまれた何かをズルズルと引きずりつつ戻ってきた

 

「今回開発しましたビクーリドキーリメカはこちらァァァァァ!!」

 

勢いよくひっぺがされたブルーシートの中から現れたのは…………人型をした何かッ!!

 

いや……え?なにコレ?ロボ………?いや、違う?え?

 

なんだコレ…?特撮ヒーロー的な…?

 

「究極の戦闘兵士の開発を目的とした“アルティメットトルーパー計画”をコンセプトにしたガイボーグとミューティアンのハイブリッド!名付けまして、GX-04!またの名を七星闘神キヨファードです」

 

『クラウン絶対ェ許さねェ!』

 

…………え?なに?……キヨファード?え?

 

「このGX-04もといキヨファードは戦艦になりたい、しかし戦艦になる事は決してできない矛盾を抱え、日々悩んでいた清霜ちゃんに戦艦を超える力を授けようと甘い言葉と甘いお菓子で釣って人体改造しました」

 

「人体改造!?」

 

清霜って……たしか夕雲型の駆逐艦の子だよな、昨日廊下で菓子パン食べながら歩いてた…

 

「夕張さんは倫理感とか人道とかくだらないヒューマニズムをママの子宮に忘れたままこの世に産み落とされた生粋のマッド軽巡なんですよ」

 

「生粋のマッド軽巡!?」

 

五月雨…っ!その情報……今必要なのか!?と言うか五月雨!くだらないヒューマニズムとか君のその言い草も大概だよォ!

 

「キヨファードの戦闘能力をもってすれば深海棲艦など赤子の首をひねるようなもの、拳にパワーを集中させた必殺王気極●拳は戦艦棲姫のボディぐらいなら処●膜感覚で軽くブチ抜いてアヘ顔失禁KOさせます」

 

「イチイチ喩えが卑猥だよ!と言うか!しょ……膜とか軽くブチ抜くとかゆーな!」

 

「…?五月雨ちゃん、この人は何を怒ってるんですか?」

 

「陸海少尉は地元に可愛い彼女がいるとは言えまだ童●なので下ネタは勘弁してあげてください、まだまだグリーン・ボゥイなんですよ」

 

「そうですか!それは失礼しましたァ!」ペコォ!

 

「うるさいよ!!」

 

誰が童●だよ…っ!いや、童●なんだけど……クッ!なんかこう、腹立つな

 

「と言うか夕張、君、さっき人体改造とか言ってたが…」

 

「ハイ!人体改造しました!でもキヨファードはまだ脳の改造が済んでないので忠実な悪の戦士に染まってはいません!」

 

ドゴォ!!(王気極●拳)

 

『フンッ!!』

 

「ゴデュファ!!?き、キヨ!キヨファード、キサマァ!」

 

突如としてキヨファード?にお腹パンチを喰らった夕張は壁にメリ込みつつ光る吐瀉物を吐いた

 

『夕張さん、本来人類の発展と平和を守る為に使うべき科学力を悪用し人類の支配を企むアナタを許すワケにはいかない!』

 

「クッ!キヨファード!キサマァ…!私に、いや!悪の秘密結社クラ●ンに刃向かうつもりか愚かものめぇー!」

 

『オマエ達は生かしておけない!』

 

ビシッ!とポーズをとるキヨファード?に対し、口元の吐瀉物をぬぐいつつフラフラと窓際へと歩いた夕張は、窓を全開にすると窓枠に足をかけ、キサマはクラ●ンを敵に回したのだキヨファード!これからオマエを倒す刺客達が毎週現れることになる!果たしてオマエは生き残るコトができるかなぁー?ハァーッハッハッハッハと笑いながら窓から外へ転落し……………爆発した

 

爆発した

 

『……』

 

「あ、あの…キヨ、清霜?」

 

『悪の秘密結社クラ●ン、絶対に許さない!』

 

…〜♪(BGM B● friend)

 

どこからかよくわからないBGMが聴こえてくるとキヨファード?は夕陽に向かって走り出した

 

そう、クラ●ンを壊滅するその日まで彼女は止まらない

 

戦えキヨファード、七星闘神 キヨファード!

 

 

「…って!!なんでだよッ!!なんなんだよキヨファードって!!なんだよクラ●ンって!なんで落ちた夕張が怪人みたいに爆発してんだよ!!なんでイイ感じで夕陽が出てんだよ!」

 

「まぁまぁ、陸海少尉」

 

「ハァー…ハァー……ハァ、ハァ…」

 

いかん、ツッコミが追いつかない、と言うか…理解が追いつかない

 

「とりあえずお茶でも飲みますか?バ●リースもありますよ?」

 

そう言って五月雨は僕の肩を叩いた

 

笑顔で…!!!



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ようこそ 健全鎮守府⑤

話が前に進む折り返し地点の第5回
激震!!最大最強四大鎮守府

【登場人物】

睦海少尉(提督仮免)
前世でどんな大罪を犯したのか疑われ気味ないずれはイケメンの提督、でも、今じゃない

五月雨(寒色系)
地味に、睦海少尉、としか呼ばない


「公開演習…?」

 

「はい、公開演習です」

 

拝啓、姉さん

仮とは言え基地の責任者として配属されてそろそろ1ヶ月になろうとしていたある日、秘書艦(仮)の五月雨から公開演習に参加せよと上からゴリゴリに圧されているとの話…

 

「なんか大将殿……あ、梶和大将ですね、梶和大将と仲悪いのが色々手を回してここぞとばかりにウチを吊るし上げたい感じらしいですよ」

 

「えぇ……」

 

「困ったコトにうちは対外試合での態度の悪さとモラルの低さとラフプレーのヒドさから結構恨み買ってるらしくて、あの狂犬がいなくなった今こそ恨み晴らさでおくべきか〜…って、話です」

 

「えぇ……それ僕のせいじゃなくない?」

 

恨み買ってるって……それ、前の提督が恨み買ってるワケだろ?正直なところ、そんな知らない恨みの責任をなすりつけるなんて勘弁して欲しいんだが

 

「ちなみに公開演習の内容は全5戦、相手はヨコスカ、マイヅル、クレ、サセボ、それぞれから各鎮守府でもエース級の提督が率いるが艦隊相手になるらしいです」

 

「ウソだろォ!?」

 

海軍最大戦力の四大鎮守府からそれぞれエース級…ッ!?そ、そんなの勝てるワケがないじゃないか!こっちはまだ提督(仮)なんだぞ!!

提督(仮)の僕が最強鎮守府の最強提督艦隊相手に無双しちゃいました、なんて都合のいいハナシはラノベの中だけで現実にはありえない…

 

「………ちょっと待ってくれ五月雨、さっき、全5戦って言ったよね?」

 

「はい」

 

「四大鎮守府からそれぞれエース級の提督で4人、あと1人は…?」

 

まさかこの流れでいくなら中央の大将とか出てくるんじゃないだろうな、いやいやいや、さすがにそれは考えすぎか…

そんな四天王+魔王のボスラッシュ絶望負け確バトルとかいくらなんでやりすぎだろう、うん

 

「梶和大将とめっちゃ仲の悪い鞍馬大将です」

 

「ウソだろォ!?」

 

「はい、ウソです」

 

五月雨はびっくりしましたか?と言ってニコリスと擬音付きで笑い、手にしていた書類を机に置いた…

し…心臓に悪いな、ホントに……五月雨、ジョークの才能がないんじゃないか?いや、ホント

 

「ちなみに公開演習と相手が四大鎮守府だったりは…」

 

「そこはジョークじゃありません、マジです」

 

「ああ、そう…」

 

そこはマジなのか………はぁ、乾いた笑いしかないな

 

「ちなみに5人目の相手は四大鎮守府の提督から比べたらカス同然のペーペーですから安心してください」

 

カス同然とか……キミ、結構口悪いよね…いや、まぁ、なんとなくこの1ヶ月の付き合いでわかってはいたけど…

五月雨が机に置いた書類に目をやると、たしかに、そこには公開演習への参加と演習相手の所属階級名前が…

 

「………五月雨、コレはマジなんだよね?」

 

「マジです」

 

5人目の相手の名前は………僕の兵学校時代の第1位だった男、所属も、階級も……間違いない、本人だ

 

「ね?カスでしょ?」

 

「そりゃ、四大鎮守府のエースから比べたらね…」

 

兵学校時代、一度として勝つことができなかった相手だ

しかも僕と違って仮免ではない本物の提督として今は一地方の基地を任されている…

 

勝てるだろうか…?

 

「勝てるだろうか?とか考えるだけムダですよ」

 

「…キミは心でも読めるのか?」

 

「そんなもの読まなくても陸海少尉の考えてそうなコトぐらいはわかりますよ」

 

「そうか…」

 

「相手はほぼ格上なんですから、ドーンと構えときましょうよ、この公開演習自体、鞍馬大将のイヤがらせみたいなモノなんですから」

 

イヤがらせかぁ〜……いや、ホントに勘弁してほしいんだけど…

 

「ま、なるようになりますよ」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

本日の業務も終わり、陸海少尉にお疲れ様でしたと挨拶して退室し、たまにはマミー屋でアマイモンでも食べたい気分だった私のポッケに入っていたケイタイがブルブル震えていたので何事かと思って画面を見たら知り合いからの着信…

 

「お疲れ様です叢雲ちゃん」

 

『お疲れ様………アンタ、演習出る?』

 

「出ませんけど?」

 

『あ、そ……じゃ私も出ない、ちょっと待って、ちょっとだけ………あ、もしもし?消したから大丈夫、うん、大したコトじゃないから、っっ!ちょ、笑ってんじゃないわよ!』

 

「あの〜…なんかつまんない惚気なら切っていいですか?」

 

『惚気じゃないし!提出する演習参加予定をちょっと修正してたのよ』

 

「叢雲ちゃん出ないんですか?」

 

『アンタが出るなら出るケド?出ないんでしょ?』

 

「出ませんけど?」

 

『ならいいのよ』

 

相変わらず叢雲ちゃんはメンドくさ可愛いですね、イケメン提督の秘書艦たる者、やはりこうありたいと考えていた時期が、私にもありました

 

「しかし公開演習の件、よく参加しましたね?叢雲ちゃんの提督はそーゆーのあまり関心なさげと言うか好きじゃなさそうと言うか…」

 

『上からゴリゴリに圧されたのよ、あのクソ大将!イヤがらせに部下を使うなっーの!あー!!腹立つ!!』

 

「あははは…」

 

『ってか今回の公開演習、ウチも含めてマイヅル、クレ、サセボ、同期が全員集まるみたいじゃない』

 

「らしいですね」

 

海軍兵学校時代、最初から最後までトップの成績を誇った叢雲ちゃんの提督だけでなく、卒業後に各地に散り、それぞれが各地で戦果を挙げて今や四大鎮守府内でも屈指のエースに成長している同期が集まるのなんて最初の配属式以来でしょうか…

 

『まぁ、アンタのトコのは左遷されたけど…』

 

「………………そうですね」

 

『じょ……ジョークよ!いい?今のは軽いジョークだからね!』

 

「知ってます、正直ちょっとイラっときましたけど叢雲ちゃんの高度なヨコスカジョークですね」

 

そして左遷されたテイトクは成績下位者から数えた方が早い系でしたけど…

 

『ま、なんにせよ楽しみにしているわ!』

 

「なんかお土産買って来てくださいよ、ヨコスカ土産」

 

『お土産ってアンタねぇ……あ〜……ま、いいわ、買って来てあげるからお茶ぐらい用意しときなさいよ!』

 

「コーヒーでいいなら用意しておきます」

 

◆◆◆◇◇◇◇◆◇

 

「あー…………食い過ぎた、吐きそう」

 

「アタシはアンタと席が近いだけで吐きそうだわ」

 

公開演習の地、キュウシュウへと向かう海軍特別運行列車…

 

この列車には今、3組の勢力が乗車している…

 

1つはヨコスカ、兵学校時代からトップを譲らず、未だ世代最強の名を欲しいままに手にする海軍大佐、川奈大佐

 

もう1つはマイヅル、兵学校時代、同世代に居た川奈という天才のせいでトップに立つ事は出来ずに銀メダリストに甘んじたもう1人の天才、雪之丞大佐

 

そして最後、クレ、兵学校時代、同期に天才2人がいる中では見劣りするが彼もまた紛れもなく成績上位、獅子王大佐

 

それぞれの司令官に率いられた3つの勢力とその所属艦娘達が今、この列車には乗っていた

 

「ゲェーップ〜……」

 

「ちょっと獅子王!ヤメてよね!アンタ下品過ぎでしょ!」

 

「悪い悪いユキ、しかしゲップはどうしようもねーだろ?ガハハハハ!」

 

「もぉ〜!ジュンからも言ってやってよォ〜」

 

「………」

 

かつての同期達と言っても互いにそこまで仲良くはなかった

 

「しかし獅子王、アンタまた指輪増えたんじゃない?」

 

「お?ワカったか?そうよ!たぶんオマエと前に会ったのはケッコー前だったからな、前に比べりゃそりゃー嫁の数は増えてるな!ガハハハハハハ!」

 

雪之丞が指した獅子王の首にかけられたチェーン、そのチェーンには10、20では到底済まされない数の指輪が通されている、その指輪の数こそ、獅子王がケッコンカッコカリをしている数であり、彼の愛すべき嫁の数である

 

「なぁに!まだまだ増えるからな!毎日毎日嫁の相手をせにゃならんからオレはこうして自らを鍛えているのだ!」ムキッ!

 

「ナニがムキッよ、気持ち悪っ…」

 

「セックスパワーアップと言うヤツだ!だいたいユキ、オマエは嫁の数が少なすぎる!ケッコンカッコカリ(セックスパワーアップ)はいいぞ!」

 

「やーよ、アタシはお気に入りのコにしか指輪を渡さない主義なの」

 

ケッコンカッコカリによる練度上限の突破が海軍にて正式に採用されて以来、その使用法は全て現場の司令官に一任されており、獅子王大佐のように片っ端からヤる者、雪之丞大佐のようにお気に入りの娘にだけ渡す者、他にも戦力して有能だと判断した者にのみ渡す者、ただのロリコン、その使途は様々である…

 

「だいたい嫁の数とか言ったらジュンの方が問題よ、まだ使用ってないんでしょ?」

 

「……あぁ」

 

「川奈!ケッコンカッコカリ(セックスパワーアップ)はいいぞ!昨日までは勝てなかった相手に今日は勝てるからな!ガハハハハハ!」

 

「アンタさっきからセックスセックスって、アンタはいちいち下品なのよ」

 

「下品とはなんだ!!オレはオレの嫁を愛す!セックスは愛だ!!オレはアイツらに愛を教え、アイツらはオレに愛を与えてくれる!!」

 

「…ハァ、もぉいいわ、アンタ昔からバカだものね」

 

 

 

続々と集まって来る各地の参加者達を迎え……

 

いよいよ公開演習の日がやって来る







【登場人物】

川奈大佐(ヨコスカ)
先んじている最終章、提督地獄変に出てくるイケメンの提督、どちからと言えば無口でクールと評判、実はただのコミュ障の疑惑がある

雪之丞大佐(マイヅル)
提督の同期生、オネエ提督、オネエとオカマは強キャラ

獅子王大佐(クレ)
提督の同期生、名は体を表す豪快な快男児、レ●プは趣味じゃない、愛が必要

山座大佐(サセボ)
提督の同期、次回登場


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真‼︎不健全鎮守府-提督最後の日-②

死人に口なし、死人部隊

【登場人物】

天海(あまみ)
元海軍特務部隊の悲しき過去を持つイケメン主人公
多少シスコン気味

ドクター・モロ(モロ)
元海軍特務課の超外道、倫理観と道徳と悪気がないのでタチが悪い、結果的に、人助けをする事もあるもののあくまで結果的にそうなったと言うだけが多く、善人ではない




絶海に浮かぶ南国の孤島に存在する海軍基地…

 

「まぁ、見るからにイケメン!」

 

「明石黙れ」

 

絶海に浮かぶ南国の孤島に存在する海軍基地………と言う名の粗末な木造建築で造られた小屋に左遷された俺と明石、そして、なんの因果か今、この小屋には死んだハズの男がさらに2人…

 

「お久しぶりです、中佐」

 

「フーッ〜…今、大尉だけどな」

 

死んだハズの男その1、イケメンの天海クン

以前、海軍の些かアレな部署でアレな仕事やってた関係で俺の命を殺ろうとしたりしたが色々あって所属してた部署は壊滅、本人も死亡者リストに入り、現在公的には死者である

 

「上がったり下がったり落差が激しいですねぇ、これがホントの下げチンとか言うヤツですかね?アッハッハ」

 

「やかましい、眼球に掌底喰らわすぞ」

 

死んだハズの男その2、イケメンで露出狂のドクター・モロ

正直、コイツに関しては俺もよく知らないが軍内でも相当闇の深いヤバイ部署に居たらしく、公的には死人扱いにされているが、未だにいたるところから始末屋が送り込まれても平然と返り討ちにしてる完全にヤバイ奴だ

 

「でだ、ここに来たってコトはオマエらもクソオヤジから事情は聞いてるんだよな?」

 

「まぁ、そうなりますね」

 

「ならいい、で?他に戦力は?」

 

「大尉とオレと、コイツ」

 

そう言って天海が指差したのは俺と自分と変態をそれぞれ指差す………えぇ、マジか?たった3人かよ、これで50人がた居るらしいヤンチャなテロリストをブチのめしてお姫様を助けるのか…?

 

正直、心の底からやりたくはないが……やりたくはないが、あのお嬢様のコトを考えたらやるしかねぇよな、まったく、大したやりがい搾取だわ…

 

「とりあえずこっちの戦力はハンサムなだけで暴力には向かない俺と、元殺し屋の天海クンと、全身凶器の殺人ターミネーターか…」

 

「殺し屋ではないんですが…」

 

「全身凶器とは心外ですねぇ…」

 

正直なところ、この全身凶器のイカレドクターならたかがクルーズ船1隻沈めるのなんてワケない気がするが、まさかお嬢様ごと沈めるワケにもいかない

最悪、他の乗客はムリでもお嬢様だけはなんとかしないとな…

 

「とりあえずおおざっぱな作戦としては俺と天海で船に乗り込んで天海がイイ感じにテロリストを制圧、俺がお嬢様の安全を確保して脱出、その後、医者が膝からミサイルで船ごとバーンとヤっちまう感でいいか?」

 

「いいワケないでしょ、いくらなんでもオレ1人で乗客を気にしながら50人はムリですよ」

 

「そこは大丈夫、天海クンはイケメンだからな!」ニカッ!

 

「いや、イイ感じに誤魔化されませんよ」

 

チッ!さすがにイケメンでもやっぱそーゆー感じのはムリか、ならば全身最強個人兵装のこの変態医者なら…

いや、ムリだな、どう考えてもムリだ、間違いなくコイツ人質とか関係なくバーンとやっちゃうタイプだ、人道とか倫理観とか持ち合わせてないわ、夕張と同じ匂いがプンプンするもん

 

「…しゃーなしだな」

 

まさか左遷先で死人2名とつるんでテロリストとの戦いにカリ出されるコトになるとは…

 

「明石」

 

「なんですか?私は絶対行きませんからね!」

 

「オマエみたいな野良犬にすら負けるゴミクズは最初から戦力に数えとらんわい」

 

「ハァ!?失礼な!こー見えて私は艦娘ですよ!人間では艦娘には勝てない、これは既に常識!」

 

どうやら俺と明石とでは価値基準が違うらしいな…

 

「とりあえずオマエはここで待機だ、パインサラダでも作って待ってろ」

 

「いや、そんな材料ないんですケド…」

 

「あと、俺が戻るまでオナ禁な」

 

「なんですかその指示は!?そんな…まるで私がHなコトが大好きな淫乱ピンクみたいじゃないですか!」

 

「淫乱ピンクだろーが、だいたいオマエ……なんだその服は?誘ってんのか?そのスカートの横の穴は手を入れてくださいって言ってるよーなモンだろーが」

 

「ちーがーいーまーすぅー!コレはそーゆーデザインなんですぅ!上の変態デザイナーがデザインしてるんですぅー!」

 

「まぁいい、帰ったら失神するまで喉奥にココナッツオイル注いでやる」

 

「サイアクかッ!!」



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提督とバレンタインについて考える日 verβ

たまには普通のお話
普通とはなんぞや…?

【登場人物】

S.H.B(スーパー・ハンサム・ボーイズ)
提督、天龍、木曾からなる未だ中二病から抜け出せずにいる恥ずかしい大人、例年のバレンタインの獲得数は提督1、天龍1、木曾4

第四駆逐隊(剣埼ガールズ)
陽炎姉妹の舞風、野分、萩風、嵐で構成されたチーム
深海棲艦が相手の場合、踊るより躍らせるのがチームのモットー


ギャルゲにおける天王山と呼ばれるイベント、夏休み、文化祭、クリスマス、そしてバレンタイン…

好意を持つ女子が男子にチョコレートと共に想いを託すこのイベントを抜くのはあってはならないコトだ

 

「と、言うワケでだ、今年もバレンタインが近づいてきたワケだが、我々S.H.Bは例年このイベントを苦手としている、しかしだ、我々は今季こそ獲得数を大幅に伸ばすべく活発なディスカッションをしたいと思う」

 

「ヘッ!オイオイテイトクよ!今更オレ達にどーしろってんだ?」

 

世界で一番自分がカッコいいと心の底から信じているおっぱいのついたイケメン、天龍

 

「獲得数か、ま、この中では毎年俺が一番だな…」

 

ダメージ仕様の黒マントを愛用するカッコいいポーズでしかカッコ良く話せない残念なイケメン、木曾

 

「んだとォ…木曾ォ……テメーは毎年お姉ちゃん達だろーが、そんなの数に入るかボケ!そんな身内チョコはまとめて1だぜ!そんで同じ身内チョコならオレの方が“上”だ、なんたって!毎年1人じゃ食い切れねーぐれーデカいヤツだからな!」

 

「ハァ…?天龍テメェ…姉ちゃん達をバカにしてるのか?言っとくがオレが毎年貰ってるのはその辺のスーパーだのコンビニで売ってるよーな安物じゃないぜ、大井姉ちゃんがネットとかで調べて厳選したヤツらしいしな!」

 

「んだとォ!木曾、オモテ出ろよ!タイマン張ろーぜ」

 

「オレとやる気か…?死ぬぜ、オマエ」

 

「やめんか愚か者ども!」

 

俺は机をダァン!してイキリ勃つ血気盛んなバカどもを諌めた

 

「天龍、木曾、今日はより良い話し合いをするべく集まったハズだが?」ギロッ!

 

「へ、へへへへ…ジョーダン、冗談だぜ、なぁ木曾!」

 

「あ、あぁ…オレらまだヤンチャな年頃なんだよ、悪かった、悪かったよ」

 

「ワカればいいのだ」

 

まったく、どうやらコイツらにわからせは必要ないらしい…

 

「しかしよォ〜…獲得数を伸ばすってもどうやって伸ばすんだよ?」

 

「あぁ、ハッキリ言って難しいな」

 

ここ近年、我々S.H.Bは例年、身内(秘書艦・妹・お姉ちゃん達)からしかチョコレートを貰ってない憂き目にあっているのもまた事実…

 

「そこでこの提督は考えた、何故俺たちが身内からしかチョコを貰えないのか…?天龍」

 

「…………オレがカッコ良すぎるから?」

 

天龍はアホだった、知ってたけど…

 

「木曾、君の意見を聞こう」

 

「なんっーか………カッコ良すぎるから?」

 

木曾もアホだった、知ってたけど…

 

「ヴァカめ、だからオマエらはダメなのだよ」

 

「んだとコラァ!誰が敗北者だとォ!」

 

「よせ天龍!のるな!」

 

何故俺たちは身内からしかチョコを貰えないのか?それは俺たちがハンサムであるのも理由の1つだが、それだけでは100%の解答とは言えない、そしてその答えを知っている者こそ俺たちの現状を打破できるのだ

 

「我が基地におけるバレンタインチョコレート獲得ランキング不動の1位、そやつこそ答えを知っている」

 

「な、なるほど…」

 

「さすがテイトクだ」

 

「よし!では皆で会いに行くとするか!のわっちクンに!」

 

◆◆◆◆

 

俺たちS.H.Bはのわっちクンに会うべく駆逐艦どもの巣窟である駆逐艦寮へ向かったがあいにくのわっちクンは不在だった、しかし、のわっちクンの姉妹である陽炎型の長女と次女からのわっちクンは同じく姉妹でありチームメイトである第四駆の姉妹達と体育館あたりでゲロ吐くまでダンスしてんじゃね?と有力な情報をもらい、体育館へと来ていた…

 

「ショウ・イズ・ザ・グレーテスト!」

 

『『YEA!』』

 

「ショウ・イズ・ザ・ビューティフル!」

 

『『YEA!』』

 

「ショウ・イズ・ザ・キング!」

 

『『YEA!』』

 

『『『S H O W!Let's GO!SHOW!』』

 

第四駆逐隊、またの名を剣埼ガールズの異名を持つ実力派ダンス集団である

スーパースター・剣埼こと軽空母祥鳳の熱狂的なファンらしく、祥鳳がファイトする際はどこからともなく聞きつけ場を盛り上げ、ダンスの際におパンツをみせつけ観客席のお客様も盛り上げてくれる

 

「おーい、オマエらちょっといいかー?」

 

「はい?あ、テイトクだ」

 

「ホントだ、珍し、と言うか……天龍さんと木曾さんも?」

 

剣埼ガールズのリーダー的存在である舞風は、よし!ちょっと休憩にするかと姉妹達に声をかけると、今まで何時間ブッ通しで踊っていたのかわからない嵐と萩風は口を押さえて体育館の外へフラフラと走って行った…

 

「なんか用?もしかしてショー様の試合?相手は?アメリカ人?巨乳?」

 

舞風はヤるの!まさかJesusとヤるの!と興奮気味にグイグイきた

 

「ヤらない、と言うか俺たちはのわっちくんに用があるのだよ」

 

「のわっちに?」

 

外に吐きに行った2人よりまだ慣れているらしいのわっちくんはスポドリを飲みつつタオルで汗を拭いていた…

 

「のわっち、なんかこの人、のわっちに話あるって」

 

「…私に?なんですか?」

 

第四駆の構成員にして基地バレンタインチョコ獲得ランキング毎年1位を誇るイケメンの子、のわっちクン

 

「のわっちクンはなんでそんなにモテるんだい?」

 

「……………ハァ?」

 

「バカ、テイトク!イケメンだからモテるにキマってるじゃねーか!」

 

「そうだぜ、だからアレだ……野分、なんでオマエそんなイケメンなんだ?」

 

「……………あの、ちょっと質問の意味がよくわからないんですけど」

 

俺たちの質問が高度過ぎたのか、のわっちクンはナニ言ってんだコイツらみたいな顔をしていたところ、リーダー・舞風がのわっちクンの肩を叩いた

 

「それはアレですよ、ウチののわっちは“レズの王子様”の異名を持つイケメンですからね!」

 

「いや、私レズじゃないし……普通にイケメンとか好きなんだけど…」

 

「え?なんだって?ノンケで悪いかって?いいのよ!!のわっちはそれでいいの!ただ普通にイケメンムーヴしてるだけでのわっちはいいの!」

 

「あ、そう……いや、私、別にイケメンムーヴとかしてないけど…」

 

「ちなみに私はのわっちのコト好きだけどレズじゃないけどね!!姉妹として!チームメイトとして好き!citrusな意味じゃないからね!」

 

「あ、うん……そうなんだ、とりあえず今日から私がお風呂入ってる時に入ってこないでね」

 

「え〜……たまにはいいじゃ〜ん」

 

「…私の中で舞風への警戒心が上がったよ」

 

のわっちクンは肩にベタベタ置かれた舞風の手をハタキ落とした

 

「それで……え〜、テイトク?と天龍さんと木曾さんは何の用なんですか?モテとかなんとか…」

 

「そうだな…」

 

俺はS.H.Bのこれまでの現状、そしてこの現状を打破するにはやはりバレンタインチョコ獲得ランキングNo.1ののわっちクンの意見を聞いてみるべきとの考えに至ったことを懇切丁寧に説明した

 

「…ハァ?」

 

「それで?のわっちクンは普段から何か特別なコトをしているのかな?」

 

「なんかあんだろォ?イイ匂いがするシャンプー使ってるとかよォー?」

 

「オ●ニーは週に7回とかあんだろ?」

 

「………いや、普通にないですけど」

 

ないのか…!?本当に…?いや、のわっちクンが嘘をついている可能性もある!

 

「のわっちの使ってるシャンプーは萩風が買ってきた天然由来の健康にイイなんかやたらと高いやつでオ●ニーは月イチぐらいだよ、机の奥に通販で買ったロー…」

 

「舞風ェ!!!」

 

のわっちクンの鋭いお腹パンチが舞風のボディに突き刺さり、舞風はオゴォ!と白目を剥いて床に転がり4〜5回ほど痙攣して動かなくなった

 

「……………すいません、舞風がお腹痛いらしいんで医務室に連れて行きます、失礼します」

 

「あ、あぁ、お大事に」

 

のわっちは舞風を俵のように持ち上げ、懇切丁寧にペコォと頭を下げて去って行った…

 

 

結局、何故俺たちはモテないのか、そして何故のわっちクンはモテるのか………その謎は、今年も解けない気がする、そう感じた俺たちは、とりあえずマミー屋行ってエクレアでも食うかー!と歩き出した



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提督と基地ペット事情実態調査

※今週は書いてる人が疲労と偏頭痛と絶不調の為、健全鎮守府編はお休みします

【登場人物】

提督(メガネ)
動物にはあまり好かれないタイプ、原因はタバコ臭

山風(トゲトゲ)
最近ジュラシックパークを観た


寒いような寒くないような日が続いたり続かなかったりする2月の執務室、明石の店で買ったバナナを食べつつメランコリックな気分でモネの画集のページをめくっていると、執務室の重厚な扉が勢いよく開いた…

 

「…遊びにきたよ」

 

「山風クン、執務室は遊びに来るところじゃあないのだよ」

 

明石の店で譲り受けた愛猫の毛のないネコを雑に持った山風クンは毛のないネコを雑に俺の執務机に置き、自分は俺の椅子をグイグイ後ろに引き、空いた隙間から俺の膝の空いたスペースに座った…

 

「山風クン、ジャマなのだが…」

 

「…遊びにきたよ」

 

相変わらずアレだなこの子は、白露姉妹特有の良く言えばマイペース、悪く言えばメンドくさいと言うヤツなのだよ…

こうなればこの子はなかなか動かないタイプだ、どこかで折を見てサミー子にお菓子でも出させてイイ感じに動かすしかない

 

「しかしこのネコ、相変わらずキモいな」

 

「…キモくない、普通にかわいい」

 

「いや、普通にキモいのだよ」

 

執務机でグィーッと伸びをするお高価なネコ、正直、お高価なネコじゃなかったら窓から外に放り出すところなのだよ

 

「そういや山風クンのキモいCatsはいいとしてだ」

 

「…キモくない、ほら、かわいい」

 

山風クンは毛のないネコを持つと俺の顔にグイグイ押し付けてきた、グイグイ……いやっ!スッゴい生暖かい!なんか生暖かい!!

 

俺は努めて紳士的に生暖かい肉塊をひっぺがし、いけないなァ…テイトクの顔にネコを押し付けてはと山風クンに注意した

 

「サミー子、ペットの申請許可はどうなっている?」

 

「申請許可ですか?」

 

よくよく考えたら、ウチにはこの山風クンのキモいネコ以外にもシレっとペットを飼っているバカどもがいる…

だいたいアレだ、どいつもこいつも犬だの猫だの勝手に飼いやがって……誰の許可得てんだっーの

 

「申請書なら青いファイルに入ってますよ、あと、提督が書類に印鑑押してるからみんな提督の許可を得てますね」

 

「こやつめ!ワシの心を読みおったわい!こやつめ!」

 

グゥゥゥム、そういや何回かそんな書類に印鑑押した気がしないでもないな、金の話以外のワリとどーでもいい書類はあまり気にしてなかった

 

「とりあえず申請書が出てないけど見たことあるのはグラーフ・ツェッペリン犬ですね」

 

「グラーフ・ツェッペリン犬か…」

 

インターナショナル寮で飼われているダルメチアンの老犬…

いつの頃からか、基地の周りをウロついていたらしく、ある日、何を思ったのかグラーフの後をついてきてしまったらしく、寮に帰ると同じドイツ人のレーベきゅんとマックスきゅんにそれはグラーフの犬か?と尋ねられ、グラーフは少し考えた後“…そうか、私の犬に見えるのか?”と答え、それ以来、インターナショナル寮で飼っているらしい…

 

「っーか申請書出してねーのかよアイツ」

 

「日本語はよくわからないんじゃないですか?たぶん」

 

グゥゥゥム、ウチもわりかし国際化してきたと思ったがやはり言語の壁と言うやつは高いのか…

 

「まぁいい、山風クン、ヒマならそこの棚に入ってる青いファイルをとってくれんかね?」

 

「…わかった」

 

ごくごく自然な流れで提督の席から山風クンを排除成功、やはり私は天才だ、やはり私は天才だッッッ!!と己の天才的頭脳に感心していると、山風クンは件の青いファイルを持って来て机に置き、提督の座る椅子を後ろに引くと、その空いたスペースにごくごく自然な流れで侵入し再び提督の膝を占拠した…

 

どうやらこの子のマークを外すのは容易にとはいかないらしいわね…

 

「なるほど、よく見るとわりと申請書って出てたんだな」

 

「…コレ、ネコだって」

 

山風クンが書類に載っている写真を指しているそれは…

 

「ネコ?あぁ、ビスマルクさんの飼ってるやつか…」

 

これまたインターナショナル寮、戦慄のドイツ軍団の首領を務める強さと美しさを兼ね備えたビスマルクさんが飼っている猫、その……猫と呼ぶにはあまりにイカつく、黒く、そしてあまりにもデカすぎた、それはまさに黒豹だった、そしてその名もロ●ム

 

「たしか普段はプリンツのバカが世話してるんだったな…」

 

このロ●ム、高貴である飼い主のビスマルクさんには逆らわないが普段世話をしているプリンツはなめ腐っているらしく、よく頭を噛まれている姿を見かける、好い気味だ

アイツが苦しむ姿を見ると心がスーッと晴れよるわい

 

「そういや他にもネコと言えばジャーヴィーくんの飼い猫がいたな」

 

「…ふ〜ん」

 

以前、近所のペット・ショップで購入したシコティッシュホールドだっけか?なんかそんな名前のやつ、聞いた話ではジャーヴィーくんにはまるで懐いてないらしく、女騎士からキチンと世話をしなさいと怒られているとか天パの子から聞いたな…

しかしそのシコティッシュ、不遜にも陛下の膝に乗ることを許されている存在らしい

 

「…他になんかいないの?ネコ以外」

 

「他ァ…?あぁ、あるぞ、ハムスターの申請書が5枚」

 

ハムスターか、まぁハムスターぐらいなら害はないな…

え〜……対馬、朧、妙高、高雄………って、対馬と朧はわからんでもないが、妙高と高雄ってなんだよ!妙高と高雄って!アイツらがハムスター飼ってます!ってツラかぁ?アレ、ヤンキーは小動物には優しい的な…

 

「しかもアイツらナマイキにもちょっと高価そうな種類のやつ飼ってやがる」

 

あとは………アイオワか、アイツもハムスターなんか飼ってんのかよ、名前は〜……ジョージ、ハムスターにジョージなんて名前つけんなよ

 

「次は犬だな、フレッチャーくんが届けを出してる」

 

「…イヌ」

 

フレッチャーくんの飼っている犬は犬か犬ではないのかよくわからない哀しき存在なんだが、まぁ、聖女であるフレッチャーくんが犬扱いしてるから犬なんだろう…

 

「あと長門が届けを出してるな、時津風の」

 

「…それは犬なの?」

 

「犬みたいなモンだろ」

 

ペット・ブームが生んだ被害者であり自分達を裏切った人間達を憎悪することで生きてきた哀しき存在…

かつては誰にも心を開かなかった時津風だが、長門と言う絶対強者の前ではお腹を見せる

 

「…何かスゴいのいないの?ティラノサウルスとか」

 

「いるワケないだろ、ナニ言ってるのかねこの子は」

 

「…あ、ハリネズミ」

 

「ハリネズミ…?あぁ、たしか自称パリっ娘が飼ってるとか言ってたな」

 

山風クンの指した写真にはトゲボールを両手で持ち、笑顔だが痛みに口角を上げたリシュリューの写真…

たしかハリネズミは人に懐き難いとか聞いたが、リシュリューのやつはなんやかんや世話をしているらしく、最近の悩みは回し車でウ●コとションベンすることらしい

 

「しかしこのトゲトゲっぷりは山風クンに似ているな」

 

「…似てない」

 

山風クンは頭部を俺の顎にブチ当てて抗議の意を示したが、山風クンの頭突きは打突による痛みだけではなく、そのトゲトゲしい髪が刺さる

 

「…他になんかないの?T-レックスとか?」

 

「だからそんなやついないのだよ、ナニ?山風クン、恐竜とか好きなの?」

 

「…別に」

 

「恐竜とか好きなら天霧クンに見せてもらったらいいぞ」

 

「…恐竜飼ってるの!?」

 

「いや、飼ってない」

 

「…なんだ」シュン…

 

露骨にテンション上がったと思ったらこの下りっぷり…

 

「飼ってはない、飼ってはないが………天霧クンなら恐竜を見せられるのだよ」

 

「…どうやって?」

 

「イメージするのだよ」

 

 

この後、ワケわからんとか言ってスネる山風クンを連れ、天霧クンのいる寮の部屋へと行き、天霧クンに、その……この子が恐竜とか見たいって言うんですケド、と懇切丁寧に頼むと天霧クンは快く引き受けてくれた…

 

 

「じゃ……こんなカンジかな」

 

 

この重量感ッッッ!!この力強さッッッ!!この闘争心を秘めた眼光ッッッ!!人類には絶対に止めらないと確信できる圧倒的な突進力ッ!!

 

ト…………ッッ トリケラトプス………拳ンン!!

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!」

 

「やはり君は天才だ!やはり君は天才だッッッ!!」

 

後日、山風クンはやっぱりなんか違うとか言ってたが実物なんか見たコトないのでそもそも違いなど誰もわからないと懇切丁寧に説明した



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ようこそ 健全鎮守府⑥

3月です、イベントも始まってます

はい、わりと余裕がありません、はい
明日の予定も明後日の予定も来週の予定も再来週の予定もギチギチに詰まってます、すごい予定がギチギチに詰まってます

お話の投稿頻度が下がってますが、勘弁してやってください

【登場人物】

陸海少尉(少尉)
未来溢れる希望の新人、犬か猫と問われれば犬派

五月雨(秘書艦)
メガネからの信頼厚い専業秘書艦、勝ちたいんですか?鬼になれ


遂に幕を開けた新人提督(仮)VS演習五連戦…

 

初戦、川奈大佐率いる艦隊に1人のダメージも許さない6-0の完全試合

 

続く二戦目、雪之丞大佐率いる艦隊に6-0の完封

 

そして三戦目、獅子王大佐率いる艦隊に対し健闘するもやはり結果は6-1の大差をつけられ敗退

 

勝ち越しの目は消えたものの一勝は欲しい四戦目…

 

「…………ま、敗けた」

 

「まぁ、敗けますよ、フツーに」

 

佐世保鎮守府からの刺客、山座大佐率いる艦隊にノーヒット・ノーダメの圧倒的大差での敗北…

 

ーーー

 

前略、姉さん…

この毎日がワルのオリンピック状態とディスられている地方基地に司令官(仮)として配属され一月が経過し、自分的にはそれなりに頑張っているつもりです

 

「………いや、ムリだろ、フツーに」

 

「そうですね」

 

四大鎮守府が誇るエース級の大佐を相手にほぼ完璧と言っていい大敗北、四戦試合してこちらの大破数24、敵の大破数1…

艦娘単体の練度で言えば大差はない、むしろほぼ互角と言っていいのだが、やはり艦隊としての練度の差、艦隊を率いる艦隊司令の経験値と練度の差はあまりにも大きい

 

「まぁ、ここまでは予定通りですね、陸海少尉」

 

「…予定通り、か」

 

辛辣か、この秘書艦は…

まぁ事実とは言えこうハッキリと言われるとややヘコむな、事実だけど

 

正直、勝てるとは思ってなかったけどもしかしたら案外イケるのかもしれないと思っているところもあった、が、現実はやはり厳しい

 

でも、せめて…一勝は欲しいなぁ

 

「…はぁ」

 

「勝ちたいんですか?」

 

「は?」

 

ナニを言ってんだこの秘書艦…?勝ちたいかって……そりゃあ勝ちたいよ、仮とは言え僕だって艦隊司令の任を任せられているんだ、勝ちたいに決まっている

 

「そりゃ、勝てるものなら勝ちたいよ」

 

ここまで四戦全敗、残すはあと一戦だが、やはり五タテでの完全敗北だけは避けたい、避けたいが…

 

正直、どうしていいのかがわからない…!

ここまでの四連敗は全て経験の差と言い訳ができるが、最後の相手は僕の同期、兵学校時代、艦隊模擬演習で一度も勝った事がない相手だ

 

「陸海少尉、一つ提案があるのですが?」

 

「提案?」

 

「はい、画期的な提案です」

 

五月雨に妙案あり、か…

彼女はまがりなりにも前提督の下で長年秘書艦を務めていたし、経験値で言えば僕より遥かに上回る

 

「最後の一戦、全部私に任せてもらえませんか?」

 

「…は?」

 

ナニを言ってるんだこの秘書艦…?

え?ナニ?僕に代わって艦隊の指揮をするってコト?

 

「い、いやいや…さすがにそれは……」

 

「大丈夫ですって、表向き指揮官はあくまで陸海少尉ってコトでベンチでドーンと構えといてもらってればいいんで」

 

「いや、ドーンと構えとけって……キミねぇ」

 

「あ、もしかして私、信用されてないですか?」

 

「いや、信用もナニも…そーゆーコトじゃなくて」

 

五月雨はそうですね〜…と言いつつポケットから何やら紙束みたいなのを取り出して僕の手に握らせた

 

「ナニコレ…?って!!!?」

 

げ、現金ッッッ!?ってか、札束…ッッッ!?

 

「陸海少尉、これで信用を形にするってコトで…」

 

「いやいやいやいや!!違うッ!!いや、こーゆーのじゃ…」

 

「あ、もしかして足りませんか?」

 

そう言って五月雨は左手で再びポケットをゴソゴソとまさぐると同じく札束を取り出した

 

「いやいやいやいやいやいや!!だから違うって?!僕が言いたいのはこーゆーのはよくないって言うか…」

 

「そうですか………あ、じゃ、陸海少尉、もし私の提案に乗って、演習に勝ったらそれ返してください、敗けたら全部少尉にあげます」

 

いや、勝つも敗けるもこんなの受け取れないよ…

 

「いや、五月雨……いや、おかしいよ!?なんなのコレ?ダメだよこんなコトしちゃあ!」

 

「いいから、乗るんですか?乗らないんですか?3秒で決めてください、はい、さーん、にー、いち」

 

「早いよ!!わかったよ、いい!キミに任せる!そこまで言うんならキミの力を見せてもらおーじゃないか!」

 

イマイチ釈然としないが、彼女がこんなにやる気を出しているのは初めてだ…

いや、きっと彼女はこのままでは僕が最後の五戦目も落とすだろうコトが予想できるだろう、だからこんな強引な手を使ってまで……

 

「ありがとうございます、じゃ、早速ですけど演習出す娘全員呼んでください、ミーティングしましょう」

 

「あ、あぁ…」

 

…本当に大丈夫だろうか?

 

◇◇◇

 

こうして始まった全敗を賭けた演習第五戦、陸海少尉率いるチームVS合馬少尉率いるチーム

ここまで四戦全敗、ノーヒット・ノーダメージを含む悲惨な結果から見るに五戦目もかなり危ういと言うのが総合的な評価…

 

「…ん」

 

「あぁ、ありがとう」

 

さっき自販機で買ってきたペットボトルのお茶を渡し、提督の隣に座った私はここまでの戦績に目を通していたらしい提督に次はどうかと尋ねてみた

 

「どうだろうね」

 

「ハッキリしないわね、モテないわよ」

 

「そうかな」

 

いや、普通にモテるけどね、うちの提督は…

イケメンな上にヨコスカでも上位に数えられる戦績とあればモテない方がおかしい、たぶん本人もジョークとして流してるんでしょうけど…

 

「叢雲はどう思う?」

 

「まぁ、フツーにやってたらムリでしょうね」

 

ここまで四戦、格上が相手だったとは言えその采配は精彩に欠ける、なんと言うか………うまく艦娘達を使いこなせてない?と言う感じだろうか?

まぁ、そもそもあの陸海ってのはほぼ新人で、今、指揮してる艦娘達はもともと別の提督との付き合いが長いんだからそう簡単に行くわけがない

 

フィクションにある無能な提督の下でクサクサしていた艦娘が突然現れたFラン提督の指揮で無双する俺スゲェ…みたいな展開なんかあるワケがない

 

「あ、出てきた」

 

「そうだね」

 

敗け越し確定とは言え最終戦まで落としたらカッコつかないから〜…で、あの娘(五月雨)が出てくるかなとちょっと期待したけど、どうやら普通にベンチみたいね

ってか、出てくるんなら私とやる時にだけ出てくりゃいいのよ、そしたら私だって今日の演習に出たのに…

 

「………ん?」

 

「どうした?叢雲」

 

「いや、なんか……今出てきた艦娘、なんか気合入ってたなって…」

 

「そうか」

 

いや、気合入ってると言うか、なんかうちとやった時と……いや、これまでの四戦と目ツキが違うと言うか

 

提督もそれに気付いたらしく、開いていた本を閉じ、頬杖をついて演習場に出てくる艦娘達に視線を向けている

 

「これは何かあるかもな」

 

「どうかしら?」




次回はもうちょい早めに頑張りたい


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ようこそ 健全鎮守府⑦

第7回、欲望の魔王降臨

【登場人物】

陸海少尉(健全)
健全系純情派、MVPチケット制に関しては知らない



演習開始前ミーティング…

 

「えー………次の試合、魚雷投げる禁止します、攻撃は全部主砲で撃ってください」

 

『『『ハァ!?』』』

 

ざわ……ざわ……

 

「えー…主砲を撃つ際、狙うのは相手の顔面のみ、顔面以外を狙ったらペナルティが課されます」

 

『オイオイオイ…』

 

『なんだよペナルティーって、お茶か!?』

 

「具体的にはイマイチな砲撃をした場合、ペナルティとして100万」

 

『ハ?』

 

『ハァ?』

 

『『『ハアアアアァァァ!?』』』

 

ナニ言っとんじゃワレーとエキサイトする艦娘達

うん、たしかにそりゃ驚くよね、僕だって驚いているよ、だってそんな話、僕だって今聞いたからね

 

次の試合、五月雨に全部任せて欲しいと頼まれ、こうして事前ミーティングを開催しているワケだけど………

姉さん、僕は彼女が何を考えているのか、まったくわかりませんッッ!!

 

「しかし逆に、当たらなくてもイイ感じの砲撃をした場合は1発につき30万支払われます」

 

『え?マジ?』

 

『なんだよ、そっちを先に言えよ…』

 

『ちなみにそのイマイチな感じとかイイ感じとかの判断はどうつけるんですか?』

 

「そこは陸海少尉の主観です、あと、ここまでの4試合で皆さんから陸海少尉の指示がイマイチよくわからん、難しい、細かい、童●か、だの意見がありましたので次の試合は皆さんの知能指数に合わせた画期的なサインの出し方を陸海少尉が考えてくれましたのでそれを使います」

 

え?ナニそれ!?聞いてないんだけどォ!?

 

『んだよ、そーゆーの考えてたのか』

 

『なかなかヤるじゃねーの、ボーヤ!』

 

「あと、陸海少尉がこの試合に限りMVPチケット制を採用するとのことなので皆さん頑張りましょう」

 

ざわっ……

 

『よっしゃあ!!やる気がMORI MORI出てきたー!』

 

『皆殺しじゃあ!!』

 

◆◆◆◆◆

 

遂に開始された選抜演習5連戦、最終戦

陸海少尉VS合馬少尉の艦隊演習試合、この最終戦に限り、演習は連合艦隊編成が採用される…

 

「よ、よぉ〜し!やるぞー……やるぞー…」

 

松型駆逐艦、桃

アイドルになる為に田舎を出てパラ宿へ行こうとしたものの、何の因果か海軍に入隊、歌やダンスではなく人の殴り方、銃の撃ち方を叩き込まれたがやはりアイドルになりたい夢を捨てる事ができず、今なお独学でアイドルの勉強を続けている努力家である

 

ちなみに、2つ上の姉からはバカじゃねーのとディスられており、よく冷蔵庫に入れたアイスをパクられている

 

「くらえ!桃ビーム!」

 

ズキューン!!(主砲)

 

アイドル道のレッスンは真面目だが、こと、戦闘訓練の方はイマイチな彼女が撃った弾は相手を大きく外れた…

 

【桃さん、現在マイナス100万】

 

「ヒィ!?」

 

主砲を外し、ベンチをチラ見した桃の見たものはマイナス100万と雑に書かれたプラカードを持っている秘書艦サミー子と腕を組み難しい顔をして座っている陸海少尉…

 

いきなりマイナス100万……

 

マズい、コレはマズい……!ただでさえそんなにお金持ってないのに!!

 

やるしかない、たとえ当たらなくても誰でもいいから敵のキレーな顔フッ飛ばしてやらなくちゃならない!

 

「死ねッッ!!桃ビーム!!」

 

ズギューン!!(主砲)

 

とにかくマイナスを減らさなくてはならない!!桃は勢いよく適当な相手に急接近し主砲を撃つが、残念ながらその弾は外れてしまった…

 

【桃さん、現在マイナス70万】

 

ベンチをチラ見すると、新たに書き込まれたプラカードを持った秘書艦サミー子…

 

「へ、減った!!よ、よぉーし!まだまだ!まだ減らさないと!!」

 

 

「オイオイ、どうやらマジみたいだな」

 

「外れてもイイ感じに狙うだけで30万か…」

 

「コイツはやるしかねーよなァ!なぁオイ!」

 

◇◇◆◆

 

「あきらかに動きが変わったわね」

 

「そうだな」

 

五月雨(あの娘)、なんかベンチのとこでプラカード出したり変なサイン出してるケド、アレが関係あるんでしょうね

 

「陸海少尉のやり方は良くも悪くも基本に忠実、だったハズだがね」

 

「そーね」

 

ウチとやった時はそうだったし、むしろ今までの4戦全部そう、でも今は違う、あの動きはマトモな指示が出てるとはとても思えない

足を止めるとか体勢を崩すとかそーゆーのは無く、どいつもこいつも執拗に相手の顔面を狙ってるし…

 

「あ、外した」

 

「外したね」

 

普通、チャンスの際に仲間が外したら落胆するものだが…

なんだろう、このチーム、仲間が外したのになんか喜んでるようにすら見え、逆に、イイ感じにヒットさせれば露骨に舌打ちしたり罵声を浴びている…

 

…まるで、自分が殺りたかったと言わんばかりにギラギラした目

 

「…なんか少尉クンが五月雨に言ってるわね」

 

「“オレ、聞いてないよ?”…かな」

 

「アンタ、読唇術とかできたの?」

 

「冗談だ」

 

「あぁ、そう…」

 

 

 



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提督と鈴熊と普通の話

オデノカラダハボドボドダ…!な状態が継続中なので、ここで何も考えてない頭の悪いお話

【登場人物】

提督(巨乳ウォーズ)
過ちを認め次の糧にできる大人、それが大人の特権だよ

鈴谷(パイ●リ可)
自称、誰もが羨むメインヒロイン、扱いが雑

熊野(パイ●リ不可)
お嬢様はエセガント、扱いが雑




「テイトク、カレー作ろうぜ!」

 

「あ?」

 

ある晴れた日下がり、今日は秘書艦サミー子が有給で不在なのでパン1で執務机に足を載せノビノビとペンギンク●ブを読んでいると執務室の重厚な扉を勢いよくこじ開け、ビッチ臭いのがやって来てワケのわからないコトを言った…

 

「ナニ言ってるんだオマエ?イカレているのか…?」

 

「イカレてねーし」

 

「イカレてなくてよくそんなコト言えるなオマエ、暇ならそのションベンクセーパンツ脱いでパパ活でもしてこいよ」

 

「鈴谷パパ活とかしねーし、そーゆーのキョーミねーし」

 

「マジかオマエ、パパ活興味ない鈴谷とかそれつまり清純派じゃん」

 

「鈴谷清純派だし、はぐれケージくれー純情派だし」

 

純情派じゃん!と胸を張り、鈴谷はズカズカと執務室に入りお客様ソファーに座った…

 

「あれ?今日サミーは?休み?」

 

「休みだ、なんかコーヒーミル買いに行くとかなんとか言ってたが…」

 

「へぇ〜…」

 

この間、シェフィールドくんに自慢のコーヒーを振舞っていたサミーだが、シェフィールドくんは気を遣ってくれたのだろう、ハッキリ言ってマズくて吐き出したくなる衝動を必死に堪え平静を装い笑顔でおかわりを断ったシェフィールドくんは本当の紳士なのだろう

 

「まぁいいや、カレー作ろうぜ!」

 

「あ?」

 

「カレー作ろうぜ!」

 

コイツ、マジでナニ言ってんだ?イカレているのか…?なんで俺がカレーなんぞ作らにゃあならんのだ?それはアレか?殺してくれってコトでいいんだよな?

 

俺は右手をバキバキしつつ椅子から立ち上がると同時に、身に迫る必殺の気配を感じたのか鈴谷はお客様ソファーから飛び上がり必殺の間合いギリギリに抜けた

 

「良い判断だ、そして即座に迎撃の態勢をとる姿勢、悪くない」

 

大したやつだ、最上型のツラ汚しとディスられてはいるがその残忍性!異常性は熊野以上ッ!冷酷性も十分ッ!

俺は必殺の気配を解き、執務室備え付けの冷蔵庫からバヤ●ースを取り出しグラスに注いだ

 

「で?何故カレーを作るのかね?」

 

「カレーが食べたいからです」

 

「ほぉ…カレーが」

 

カレーぐらいマミー屋なりカレー屋に食いに行けよ、脳ミソが頭に詰まってないのかこのビッチは…

 

「カレーぐらいマミー屋なりカレー屋に食いに行けよ、脳ミソが頭に詰まってないのかこのビッチは…」

 

「心の声がダダ漏れッ!!」

 

「む、いかんいかん、ついオブラートに包むのを忘れていたな、紳士として恥ずべき事だ」

 

「っーかビッチじゃねーし、鈴谷清純派だし」

 

「ナニが清純派だゴミめ、貴様の並ぶ棚は清純派ではなく現役・援交の棚だ」

 

鈴谷はそんなワケねーしそんなワケねーしと言いつつ、冷蔵庫からバヤ●ースを取り出しグラスになみなみと注いだ

 

「カレー作りたいならボンカレーでも温めろよ」

 

「いや、鈴谷そーゆーの滅多にしないから、カレーってのは手間暇かけて自分で作りたい派だから」

 

「ふ〜ん」

 

「ふ〜ん、じゃねーし」

 

「まぁカレー作りたきゃ作ればいいじゃねーの?ガンバれよ、ちなみに俺の嫌いな言葉はガンバると努力するだ」

 

「一言多い、だから、カレー作るから一緒に作ろうぜ」

 

「やだよメンドくさい、カレーぐらい1人で作れよ」

 

「モチロン1人でも作れますよ?しかし1人で作るより2人で作る方が作業が分担でき効率が良いと思うのですよ」

 

「なるほど…」

 

わかった、コイツやっぱバカなんだな

 

「わかった、しかしそーゆーのは忙しい大人の提督ではなくヒマでアホな妹の熊野でも誘いなさい」

 

「え?やだ、だって熊野マジキッチン立ったらダメ系じゃん」

 

「え?ダメなの?」

 

「え?テイトク、もしかして…熊野が料理的なもの作れると思ってんの?」

 

冷静になって考えれば、たしかに熊野が料理的なものをする姿を考えるのは難しい、アイツはいつだって出された料理にケチをつけ、この料理を作ったのは誰ですの!シェフィーを呼びなさーい!シェフィーをー!とゴネる系!

 

「しかしそんな熊野でもヤってヤれないコトはない、熊野は度胸、なんだってチャレンジさせるべきさ」

 

「えー…いや、ムリ」

 

そうか、ムリか………あの鈴谷の顔、アレはマジでムリな顔だ、たぶんナニかイヤな思い出とかあるのだろう

 

そんなセンチメンタルな予想をしつつ、そろそろ寒くなって来たのでズボンを穿いていると、執務室の重厚な扉が再び勢い良く開き、何者かがやって来たッッッ!!

 

「テイトクー!!テイトクはいますのー!!」

 

「オマエは………熊野?」

 

「熊野じゃん」

 

「いましたわね!………あと、鈴谷も!密室にズボン半脱ぎの男とビッチが2人、ハッ!?もしかしてお楽しみの最中だったのでは!?」

 

Wショーック!と両手で膝を叩く熊野に対し、俺はにこやかに笑いかけつつお腹に非貫通型お腹パンチをブチこんだ

 

「オラァ!!」

 

メリメリィ!!(お腹パンチ)

 

「オゴォ!!…………ブハァ!!ゲエエェェェ………ナニ、ナニをしますのォー!!許さん!!」

 

「やかましい、なんで俺が真っ昼間から鈴谷なんぞをファックせにゃならんのだ、そんな無駄な事するぐれーなら写経でもするわい」

 

「そ……それもそうですわね、テイトクが鈴谷をファックすると言う勘違い、これはたしかに私に非がありますわ、紳士として恥ずべき!」

 

「いや、オマエらさっきから鈴谷に対して失礼すぎじゃね?鈴谷基本温厚だけどキレるときはマジキレるから、マジキレっからね?」

 

俺はお腹パンチのダメージから復帰したらしい熊野の手をガッチリ掴み、その紳士的な謝罪を受けることに躊躇いなし!と抱きしめてアツくその背中をバシバシ叩いた

 

「で?オマエはいったい何の用だ?くだらねー用事だったらア●ルにすりおろした山芋流し込んでピストンマシーンに固定するぞ」

 

「くだらねー用事ではありませんわ、メイジンVSチャンプのビデオが手に入りましたから一緒に見にきましたわ」

 

「マジかよオマエ、メイジンVSチャンプかよ」

 

水上機による水上の格闘技、ZPD(ズィーピーディー)…

絶対的な強さを持つ無敗のチャンプ、日向(瑞雲12型マグナム)とチャンプにも劣らぬと噂されるメイジン、川内(九八式夜偵・アメイジング)のノーコンテストマッチ…

無観客でヤっていい試合じゃあない…ッ!

 

「さっそく見ますわ!ビデオ・デッキは!」

 

「ねぇよそんなモン、っーかVHSかよ」

 

「いやいやいや、熊野、今から鈴谷とカレー作る感じなんだけど?」

 

鈴谷はニコニコしながら熊野の肩に手をやると、熊野はまるで汚物を払うようにその手を叩き…

 

「譲れ」

 

「は?譲れませんけど?」

 

「カレーなんか明日でも作れますわ、明日にしてくださいまし」ピキ!パキ!

 

「そのくだらねービデオを明日にしろっての、っーか誰に意見してんだテメー、お姉様だぞ?」ピキ!パキ!

 

鈴谷と熊野はアンアン言いながら思わずKISSしちまいそーになるぐれー顔を近づけてメンチを切り合った

 

「やめんか見苦しい、そして俺はカレーも作らんし、ここにはVHSが再生できるビデオ・デッキもない、貴様らの願いは叶わぬ」

 

「マジかテイトク、カレー食いたくないんか!?」

 

「チャンプVSメイジンですわよ!見たくありませんの?」

 

「あと、俺は今から香取先生とティーをしつつ会議の予定が入っているのでな、カレーか食いたいならマミー屋に行け、ビデオが見たけりゃ青葉の部屋にでも行け、アイツ、ビデオ・デッキ持ってるから」

 

「チッ!なら明日ね!明日!予定空けとけよ!」

 

「青葉…?あぁ、あの死んだ魚みたいな目をした方」

 

ああ見えて青葉はしょーもない家電を持ってるからな、以前、古いダンボールから出てきた巨乳ビデオをどうしたものかと考え、青葉にコレ、DVDにダビングしといてくれと頼んだっけか…

 

「あ、そーいや青葉にダビング頼んで放置してたな、熊野、青葉に会ったら以前ダビング頼んでたやつくれって言っといてくれ」

 

「別に構いませんけど…?ちなみに、タイトルは?」

 

「巨乳ウォーズ」

 

「死ね!ですわ!」



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続続続続続続続続続続続続続続続続・提督?と新人と面接

新年度ですわ!ちょっと余裕がでてきたところでペースを上げていく所存でございますわ!

そんな新年度一発目はイベント回は無かったけど新人面接回で!

【登場人物】

提督?(テイトク?)
未だ基地に帰って来てない提督の影武者、オネエ口調で喋り、口から蛇を吐いたり袖から蛇を出したりできる

五月雨(専業秘書艦)
…やっぱやめとくべきでした


「相変わらずアナタの淹れるコーヒーはマズいわ……」

 

「イラっとします」

 

春の小川の執務室、ギンギンに暑いワケでもなくキンキンに寒いワケでもない春と言う季節、そんな、たった一度の今日と言う日に、桜舞う基地の門を叩いた新たなる仲間達との大事な大事な面接の日……

 

「そーゆーとこは真似しなくてもいいです」

 

「別に真似してるワケじゃないんだけどねぇ……」

 

自分の机でペラペラと書類を捲りつつ提督?に不満の声をぶつける五月雨、そして、提督の席に座る眼鏡の男は本心だけどねぇ……と小声で漏らしため息を吐いた

 

「それで?今日の面接は何人かしら?」

 

「4人です」

 

「4人ね、ふむ…………駆逐艦が3人に護衛空母?かしら?どの子もなかなか美しい容姿ね、好みのタイプだわ……」

 

提督?は蛇のような目を開き、舌舐めずりしつつ不気味な笑みを浮かべた

 

「好みか好みでないか個人差がありますが、面接はちゃんとやってくださいよ、テイトク(川内さん)」

 

「大丈夫よ、私に任せておきなさい」ニマァ……

 

ーーー

 

さすがに大事な大事な面接に責任者不在は体裁が悪いとの判断から、ニセテイトクを執務机に据えての新人面接

 

次の方どうぞー……からのやや緊張気味が感じとれるノックから1人目の面接者が入室してきた

 

「第四十三駆逐隊、丁型駆逐艦、梅、着任しました!提督、艦隊の皆さん、どうぞよろしくお願い致します!」ペコォ……

 

1人目から珍しく礼儀正しい系……そして、駆逐艦としては一目で規格外とワカるその特徴

 

「アナタ、おっぱいデケぇわねぇ(これからヨロシク)」

 

「いきなりセクハラッ!?」

 

「あらごめんなさい、テイトクらしく振る舞うつもりで言ってみたけどオブラートに包み忘れていたわ」ニマァ……

 

「ヒイッ!?」ビクッ!!

 

まるで大蛇のような目で小粋なテイトクジョークよ……と笑う提督に対し、梅は危機を感じた、危機を感じたのだが……

それと同時にこの場から逃げる事はできない事も直感していた

自分の目の前に座る男は普通じゃあない……!まるで生きたまま蛇に呑まれる蛙の気持ちを本能て理解してしまった……

 

「それでアナタ、え~……松型だったわねぇ」

 

「え?あ、あ……ハイ、松型です」ビクビク……

 

「たしかウチにも姉妹の娘が何人かいたと思うけど……」

 

「あ、ハイ……たしか姉2人と妹が1人ここに配属されていると……」

 

「そう……姉妹がね、フフフ……姉妹は大切にしなくちゃあねぇ……」ニマァ……

 

「ヒイッ!?ま、ま、まさか!松姉ちゃん達にナニか!?ゆ、許しませんよ!!わ、私だって艦娘!たとえ上官と言えど刺し違えるくらいは……」

 

梅は必死に勇気を振り絞った!!そう、自分だって艦娘だ!人カスなんかに負けるワケがな……

 

ゾクッッッ!!!(悪寒)

 

「できればだけど……」

 

「(くっ!刺し違える……!?バカか、私は……!)」

 

今、一歩でも前に出ていたら死んでいた……!その確信がある、梅は泣いた、生まれて初めて心の底から震え上がった……真の恐怖と決定的な挫折に……恐ろしさと絶望にちょっとおしっこを漏らしパンツが濡れた、これも初めてのことだった……

 

「まぁいいわ、ガンバリなさい」

 

この子トイレに行きたいみたいだから面接は早めに終わりでいいわと1人目を無事に撃退したテイトク……

 

そして、1人目が涙とおしっこを流しつつ執務室から出てきた様子は執務室の外で待機中の残る3人を震え上がらせるにはあまりにも効果的だったと言う…

 

ーーー

 

「言いたいコトは色々ありますが、とりあえずそのオネエ口調はなんとかなりませんか?」

 

「オネエもナニも私は長女だからねぇ……」

 

「いや、そうなんですけど、今は見た目提督だから違和感がハンパないと言うか……むしろただのオネエ提督みたいなキャラになってるとか……」

 

「フゥ……注文が多い子ねぇ」

 

五月雨から提督演技指導のガサ入れを受け、迎える2人目……

 

「特2TL型特設輸送空母の山汐丸であります、よろしくお願いします」ペコォ……

 

「私がテイトクよ」

 

2人目の面接者、特設護衛空母?と言うよくわからない艦種のよくわからない娘、山汐丸……

 

「え~……山汐丸だったかしら?そもそもアナタなんなの?空母なの?違うの?」

 

「え?いや……特設輸送空母で、その……なんと言うか、既存の護衛空母とはまったく別物で戦闘は不向きで、どちらかと言えば輸送タンカー的な……」

 

「よくわからないわね」

 

「は、はぁ……スイマセン」

 

手元の資料を眺めつつ、時折蛇のような視線を向ける提督に山汐丸は戦慄した……

さっき最初に面接に行った同期の梅ちゃんが失禁して泣きながらこの執務室から出てきた理由がよくわかった

 

この人、めっちゃ怖い

 

生きたまま蛇に呑まれる蛙の気持ちを山汐丸も理解した

 

「なるほどね…………でも、他にはない“特別”なモノをアナタには感じるわねぇ……」ペロォ……

 

「ヒイッ!!?」

 

「望むならアナタは“下”で鍛えてあげるわ、私が、直々に……」

 

「いいいや!!イヤイヤイヤ!!大丈夫です!普通ので大丈夫です!!ハイ!ホント大丈夫です!」

 

「そう……残念ねぇ」

 

ーーー

 

「もうちょい圧迫感なんとかなりませんか?さっきの人、ちょっと漏らしてましたよ」

 

「圧迫感ねぇ……」

 

五月雨からもうちょっとユーザーフレンドリーな感じでお願いしますと演技指導のガサ入れを受け、続く3人目……

 

「夕雲型駆逐艦、その九番艦、玉波です!よろしくお願いします」

 

「ヨロシク、私がテイトクよ」ニマァ……

 

3人目はスーパーエリート駆逐艦姉妹でお馴染みの夕雲姉妹、その九女、高波の妹、涼波の姉と言うポジション

 

「夕雲姉妹ねぇ……そう言えば最近新しい子は見なかったから新鮮な気がするわ」

 

「そ、そうですか……」

 

1人目の梅ちゃんが失禁涙目KOさせられ、2人目の山汐丸さんも面接が終わって部屋から出てきた途端ありえないぐらいガタガタ震えて涙目でトイレに行った……

 

先の2人から話を聞くことすらできなかったが、その理由はこの部屋に入ってすぐに理解した……

まるで大蛇の腹の中に居るような絶望感、目の前の男の機嫌を損ねる=死と言う恐怖感……

 

「能力で言えばごくごく平均的と言ったところかしら……」

 

提督はあまり興味なさげに書類を眺めつつ、コーヒーを一口啜ると、マズっ!と小声で呟いた

 

「まぁ、ウチにはアナタの姉妹がいっぱい居るから安心していいわ、みんな私好みの良い子たちよ……」ニマァ……

 

「ヒイッ!!」

 

「フフフ……ジョークよ、小粋なテイトクジョーク、面白かったかしら?」

 

「ジョ……ジョークですか、ハハ……ジョークですね、えぇ……ジョーク」

 

「玉波と言ったかしら……?私は昔から夕雲型の子とあまり縁が無くてねぇ、これもナニかの縁だし、もしアナタが“力”を欲したなら私の下に来なさい、力をあげるわ」ニマァ……

 

「あ、あ……」ガクガク……

 

ーーー

 

新人面接4人目、梅ちゃんと山ちゃんの2人が返り討ちに遭い、カタキとってきますよ……と自信満々に執務室に入室した玉ちゃんこと玉波……

きっと玉ちゃんなら大丈夫!なんか大人っぽいし!と期待を込めて送り出した同期組だったが……

 

「たっ……玉ちゃんッッッ!!」

 

「なっ……なんで…………」

 

玉波も無事返り討ちの憂き目に遭い、ちょっとおしっこ行きたいんで……とトイレへと力無く歩いて行ったのはついさっき、玉ちゃんのスカートが既に染みていたコトに、みんなは見ないフリして気を遣うことしかできなかった……

 

そして遂に面接は最後の1人となった……

 

「秋月型防空駆逐艦、その八番艦、冬月だ」

 

「私がテイトクよ、ヨロシク……」

 

新人面接最後の1人、貧乏姉妹のレッテルを貼られがちながら、姉妹の稼ぎは基地でも上位と言っても過言ではないジャパンが誇る対空の要……!その高さはワールドクラスであるアトランタにはさすがに劣るものの、駆逐艦としては破格の高さッッッ!!

 

「秋月姉妹の子ね、なかなか高く跳べるらしいじゃないの……」

 

「無論だ、高さで負けるつもりはない」

 

「フフフ……そう」ニマァ……

 

これが提督……ッッッ!!目の前に座るこの男が提督!同期の梅ちゃんと山ちゃんと玉ちゃんが散っていった理由を、冬月は一目で理解した……ッ!!

 

まるで大蛇と相対した様な絶望感、こんな怪物を前にして、みんなは立派に戦い抜いた、負けなかった、たとえお小水を流したとしても誇りを守り抜いた、ならば自分だって最後に戦おう……冬月は決意を新たにした

 

「まぁ、アナタもとりあえずは下で鍛える必要がありそうだけど……才能を感じるわ」

 

「そうか……」

 

提督は書類を眺めつつまるで蛇のような舌でペロォ……と舌舐めずりした

 

「ところでそれ、長10㎝砲だったかしら……?」

 

「あ、あぁ……私達姉妹の相棒的な存在だ」

 

「いいわねそれ、私も欲しいのよ…………それ」ペロォ……

 

絶望!!恐怖!!戦慄!!ありとあらゆる感情に冬月は泣いた、今まで生きてきて、辛いコトや悲しいコトは色々あったけど、こんなにも死が身近で、こんなにも生きたいと思ったのは初めてだった……

 

「あ……あ……こ、こ、この子は!この子達だけは!この子だけは許して!許してください!!」ガタガタ……

 

「冗談よ、小粋なテイトクジョーク……」

 

「おねがいします!おねがいします!おねがいします!」ポロポロ……

 

冬月は泣いた、刺し違えるとかバカなコト考える以前の問題に……

 

「随分とセンチメンタルな子ねぇ……アナタもそう思うんじゃない?サミー……」

 

「センチメンタルとかセンチメンタルじゃないとか以前にテイトクにはガッカリですよ」

 

「あら?これは手厳しいわね……」ペロォ……

 

 

こうして、新たな仲間を迎える今年初の新人面接は終わった……

 

そして、涙ながらに執務室から出てきた冬月を3人の同期達は温かく迎え、とりあえず、トイレはあっちだから、替えのパンツ用意してあるよ、と皆、冬月に気を遣ってくれた……






次回は健全回、たぶん


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ようこそ 健全鎮守府⑧

健全回その8
健全鎮守府回は全10回なのでもうすぐ終わります

【登場人物】

国後(占守姉妹)
姉妹の髪の色がファンキーなと方と覚えられている子
アホな長女とバカな三女に頭痛がする比較的真面目な子
比較的真面目な子


鬼才・陸海少尉の戦術が牙を剥く第五戦

ここまで格上が相手だった為に本領を発揮できなかったとでも言うかの如き第五戦は、大方の予想を裏切り陸海少尉率いるチームのリードで試合は遂に終盤戦へ!!

 

 

「う~ん、夜戦までにもうちょいリードを獲りたいですね、あ、次、阿武隈さんですか?イイ感じでお願いしますね、イイ感じで」

 

「…あの、五月雨クン」

 

「なんですか?」

 

ここまでの四戦、格上相手とは言え惨敗を喫した僕に代わりにこの第五戦、実質的なチームの指揮を執る五月雨…

そのやり方は正直褒められたものではないが、結果として、序盤からここまで主導権を握り試合を有利に進めているのも事実…

 

「コレ、前の提督のやり方なのかな?」

 

「う~ん………まぁ、基本はだいたい同じですかね、たぶん」

 

「たぶんなんだ…」

 

正直、僕の指揮では窮屈そうだった艦娘達の動きとは違い、今はどの艦娘もギラついた目で動いている…

あまり褒められた手段とは言えないが、やる気を出すと言う点ではコレはコレでありなのかもしれない…

 

「む、相手もなかなかやるみたいですね」

 

「そうだろうね」

 

最初はいきなり今までのやり方と違って対応が遅れがちになっていた相手も徐々にこちらの動きに対応してきている…

さすがは合馬クンだ、兵学校を首席で卒業し、いきなり中央に配属されただけはある…

 

「ま、でもこの程度で終わると思ったら大間違いですよ、陸海少尉、サイン出して指示をお願いします」

 

「え?僕が出すの?」

 

「当たり前ですよ、仮にも提督なんですから」

 

「いや、だって…キミ、どーんと座ってたらいいって…」

 

「ここからはプランBです」

 

なんだよプランBって……とりあえず五月雨から国後ちゃんにコレお願いしますとサイン表を受け取り、指定されたサインの内容を確認してみると……

 

【単艦突撃して敵戦艦撃沈】

 

「いやいやいや!!ムリだろ!?コレはさすがにムリだって!!」

 

しかもサイン送る相手海防艦じゃないか!?海防艦が単艦で突撃して戦艦撃沈しろってどんな無茶だよ…っ!通るか…っ!そんなの…っ!無理っ!どう考えても無理っ!

 

「いや!ムリだろコレ!!」

 

「大丈夫ですって、絶対成功しますから」

 

「いや、大丈夫って言われても…」

 

「絶対成功しますから」

 

うっ……なんだろう、この子に強く言われるとなんかホントに大丈夫な気がする、いやいやいや!そんなワケない!そんな無茶なサインを出すワケには…

 

「私との約束」

 

五月雨はポケットからチラッと現金のようなものを見せた

 

「勝ちたいんでしょ?」

 

「………ハイ」

 

◇◇◇

 

初めてメンバーに抜擢された大きな演習!姉さんとハチはいいないいなと羨ましがっていたが、やっぱり緊張する!

とにかく!占守型の代表として選ばれたんだからここでちゃんとビシッとイイトコ見せてやるんだ

 

「え~…っと、次の指示は」

 

ベンチの方を見てサインを確認、っと…

 

 

【単艦突撃して敵戦艦撃沈】

 

 

……………は?

 

「は?」

 

いやいやいや、ムリ、いや、ムリ…

あ、わかった!サインミスね!まったく、たしかに新提督はまだまだ新人クンだからね!間違いぐらいあるよね

 

スゥー…ハーァ…スゥー……ハァー………よし、落ち着いた、大丈夫!アタシはできる子!占守姉妹の良心と呼ばれた国後はできる子!さ、もう一度サインの確認を…

 

 

【単艦突撃して敵戦艦撃沈】

 

 

できるかァァァァァァァァァァァァ!!!

 

ナニ考えてんのよあの新提督!!脳ミソが頭に詰まってないんじゃないのォォォォォ!!

 

 

【いいからやれ 大丈夫 絶対成功する】

 

 

無茶ゆーなァァァァァァァァァァァァ!!敵戦艦って、戦艦よ!!アタシ海防艦よ!?アタシのパンチとか戦艦からしたらちょっと蚊が刺したぐらいのモンでしょ!?仮に奇跡的にイイ感じにお腹に刺さっても、いて…っ、ぐらいで終わるでしょ!?

 

ムリムリムリムリムリムリ!!絶対ムリ!!

 

っーかムリ!ナニ考えてんの?多少イケメンだから許されるっての?ムリ!!

 

……………よし、サインは無視しよう

 

「………よし」

 

だってそうじゃない?常識的に考えてムリじゃん、海防艦のパンチで戦艦沈められるなら駆逐艦も軽巡もいらないってのよ

 

でも、まぁ…まったくサインを無視するのもアレだし、一応爆雷とか投げてやるだけやってみた感を出してやったけどやっぱりムリだったわってアピールしとこ…

 

「よぉ~し…」

 

とりあえず爆雷を手に、敵の戦艦がいるところに勢い良く突っ込むべくスピードをあげる!

もちろん、そのまま突っ込んだら100%返り討ちに遭うので射程ギリギリ手前で急停止、爆雷だけ投げて即Uターンよ!!

 

そうと決まればあとはやるだけ!出来るだけ、そう、出来るだけ本気が伝わる感じで気合入れて突撃(のフリ)よ!よし!完璧!

 

「ウオオオオオォォォォォォ!!いったらァァァァァァァァァァァァ!!」

 

◆◆◆

 

「…なんか海防艦が戦艦に向かって突撃してるんだけど」

 

いや、無謀でしょ、あの子いったいナニ考えてんの??いや、フツーに無謀でしょ…

 

「いや、そうでもない」

 

「そうでもないって…」

 

戦艦に向かって鬼気迫るおたけびをあげて全速前進していた海防艦の子は射程ギリギリのところで急停止し、手にしていた爆雷をブン投げて全速で後退して行った…

 

しかも爆雷とかフツーに届いてないし…

 

もしかしてスゴい強肩なのかと一瞬期待してしまったけど、フツーに届かず、海中にドボンした…

 

ドボンして、ズドンした

 

ズドン!!!(爆雷)

 

「まぁ、そうなるわよね」

 

「…叢雲、手前をよく見てみるといい」

 

「手前?戦艦の?」

 

提督に言われて爆雷が炸裂したところをよく見てみると、どうやら爆雷が直撃したらしい潜水艦が撃沈判定でプカァ…っと浮いてきた

 

「ウソでしょ!?あんなトコに潜水艦…ってかあの潜水艦ってたしか旗艦じゃ……」

 

◇◇◇

 

「ウソだろ!?」

 

「だから大丈夫って言ったじゃないですか」

 

いや、キミ、絶対成功するとは言ったけど…

ええぇ……しかもアレ、旗艦マーク付けてるし、コレ、あと時間いっぱい逃げきれば判定勝ち狙えるんじゃ…

 

そんな事を考えていると、五月雨は手元のマイクのスイッチをONにし…

 

「さぁーて、旗艦も倒しましたし、あと残ってるのはカスばっかだから大したコトないですよねー!提督ーッ!」

 

「五月雨クン!声!!声デカい!!」

 

「大丈夫ですよー、最初にテイトクが言ったとーり!あんなカス、ケチョンケチョンに負かして首席卒業の顔に泥塗りたくって帰って貰いましょー」棒読み

 

な…なんてコトするんだコイツ…!!完全に相手を煽り散らかすなんて…!?

 

「大丈夫大丈夫、もう勝ったも同然ですから、陸海少尉はどーん!と構えといてください」

 

「いや、どーん!じゃないよ!!」

 

五月雨は大丈夫大丈夫、あ、紅茶飲みます?リプ●ンですけど?ペットボトルですけど?と言いつつリプ●ンのペットボトルを僕の顔にグイグイ押し付ける…!!

 

笑顔でッッッ!!!



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真‼︎不健全鎮守府-提督最後の日-③

お嬢様救出作戦開始、死人隊VSテロリスト

今回のお話は仁科大佐(ドクター・モロ)に加え、坂下郁様のご好意により“逃げ水の鎮守府”から登場人物をお借りしております

【登場人物】

ドクター・モロ(天才)
プッツンしてる天才、なかなか死なない、マジで死なない
どうやったら死ぬのか私にもわからない

刀の男(ミスター・サムライ)
ポン刀を持つ隻腕のスゴ味のある男、犠牲を考慮しないならむしろこの救出作戦は仁科大佐と彼だけで生存者0で全滅できる




赤道直下の南の島に左遷された俺と明石、これからどうしたものかと毎日釣り生活をしていた矢先、以前、なんやかんやあってブチのめしたテロリストが脱獄し有馬のお嬢様の乗ったクルーズを襲撃&占拠、俺と天海を名指しでブチ殺してやると犯行声明と言ってイキまいてるらしいのだが…

 

「あー…コレはかなりいますねぇ」

 

「まぁ、船一隻を襲撃するだけはあるか…」

 

天海とヘンタ…テンサイドクターは肉眼ではまだ遠くに見える船影を双眼鏡で見つつ冷静で的確な意見を述べているが………いや、話に聞いていた戦力と全然違うじゃん!

 

目的のクルーズ船の周りにはなにやら小型の船が何隻かウヨウヨしてるし、どう考えてもテロリスト50人からのお出迎えとは思えない…

 

「フーッ〜………帰るか」

 

「…別に俺は構いませんが?」

 

「私も構いませんよ」

 

「冗談だ、ジョーダン、小粋なテイトクジョークだよバカヤロウども」

 

クソッ!捕まってるのがお嬢様じゃないなら見捨てる選択もマジに考えるが、あのお嬢様が捕まってるとなると俺も腹をくくるしかない…

 

「で?どーすんだ?まず、あの包囲網を突破するだけで常人の俺には無理だが」

 

「無傷で目的のクルーズ船に辿り着くのは難しいか…」

 

「どーすんだよ天海クン、なぁ?天海クンよぉー」

 

「ちょっと黙って貰えますか」

 

グゥゥゥム、いきなり最強カードを使うのは躊躇われるが……やはりこの全身凶器のヘンタイドクターに外のウヨウヨしてる小型船を任せ、俺と天海でクルーズ船に突入するか…

 

正直、出来れば3人で突入してこの全身サイボーグの指マシンガンとか膝ミサイルとか目からビームとか口から怪光線とかでクルーズ船内部を無双、無人の安全地帯を悠々とピクニック気分で歩きたかったのだが…

 

「小型のボートが15と言ったところですか、ま、私1人で注意を引いてとなると少々手に余りますねぇ…」

 

「…となると、やはり俺と大尉である程度犠牲を覚悟でクルーズ船まで行くしかないか」

 

「なぁ天海クン、ある程度の犠牲ってどのくらいの想定だ?肋ぐらいで済みそうか?」

 

「どうですかね、まぁ、無傷で目的のクルーズ船に乗り込めはできないでしょうね」

 

そいつは参ったな、過酷なバトルフィールドを抜けてからが本番ってのが実に参る、あのクルーズ船に回復ポイントとかセーブポイントとかあるってなら多少無茶してもいいが、残念ながら現実は非情である

 

「アッハッハ」

 

「笑いゴトじゃねーよクソ全裸!どーすんだよ!」

 

「まぁーまぁー、このくらいは予想してましたからね、ま、周りの雑魚は私にお任せください」

 

お任せくださいって…マジでこの数をどーにかできるのかよコイツ

 

「こーゆーコトもあろうかと、無駄に荒事を好む知り合いに声をかけておきましたので」

 

「あ?なんだって?」

 

荒事?ナニ言ってんだコイツ、イカレてんのか?と考えていると、お嬢様の居るクルーズ船の方に向かって西側から謎の小型ボートが猛スピードで突っ込んでいるのが見えた

 

なんだアレ?テロリストの増援か?

 

「あー…あー、もしもぉーし?」

 

ドクター・モロはなにやら通信機器的なものをONにしたらしく、突然ナニもないところに向かって喋り出した

 

「とりあえず、私とキミの仕事はそのクルーズ船周囲を綺麗に掃除するコトです、ああモチロン、その辺にいるボートに乗ってるのは全部テロリストですから容赦なく斬って捨てて頂いて構いませんよ」

 

『…………了解した、一応確認しておくが、この場に居る外道は全員斬るからな』

 

「それで構いません、では後ほど…」

 

通話は終わったのか、ドクター・モロは不気味で可笑しそうな笑みを浮かべて、乗っているボートのヘリに立った

 

「さぁ〜て、有馬のお嬢様救出作戦開始といきましょうか」

 

ーーー

 

突如として海域に現れ、猛然と突っ込んできた謎の小型ボートに最初はなんだと疑問に思ったが、テロリスト達はすぐに敵だと気付いてボートを沈めるべく弾丸を浴びせたが、小型ボートは勢いを止める事なく、テロリストの乗るボートの一隻に勢い良く突っ込んだ

 

『Damn it!』

 

『Crazy idiot!』

 

爆発に混乱していたテロリスト達は自分達に何が起こったのかわからない間に、文字通り、両断された

 

「………」

 

『なんだコイツ!?』

 

『カタナ、カタナ持ってるぞコイツ!』

 

『Fuck!SAMURAIかよ!』

 

着ている汚い外套とは対照的に恐ろしく冷たく輝く刀を手にした男が立っていた

 

「あー………悪いな、ナニを言ってるかよくわからんが、オマエら全員斬るぞ」

 

『ナメやがって!』

 

『死ねッ!!』

 

銃器を持った5人に囲まれた刀の男だったが、テロリスト達が銃を構えるより速く、4人のテロリスト達は身体のいずれかが斬り飛ばされ…

 

『オイオイ、ウソだろ…』

 

残る1人も船から海へと首が飛んだ

 

「アッハッハ、まったく、容赦ありませんねぇ」

 

「…チッ」

 

刀の男が振り返ると、足の裏から火を噴くドクター・モロがゲラゲラ笑いながら手を叩いていた

 

「いやぁ、まさか私の依頼に応えて頂けるとは思ってませんでしたよ」

 

「俺にも俺の考えがあるんでな」

 

刀の男はドクター・モロの背後に迫っていた他の船へと跳び、目についたテロリスト達を斬り捨て…

 

「おっと」

刀の一閃がドクター・モロの身体を両断…………せず、一瞬速く動いていたドクター・モロのパンツの紐だけが斬れた

 

「今、私達は協力関係なのでは?」

 

「ここに居る外道は全員斬ると言った」

 

「嗚呼なるほど、それもそうですねぇ」

 

ドクター・モロはケラケラ笑って肘からミサイルを発射して小型ボートを一隻爆破した

 

「それではまぁ、せいぜい斬られないように気をつけましょう」



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提督とルート分岐のエンディング⑲+

週1ペースからどうにもアガらないだらしない書いている人ですまない…

今回は特に何も考えていない毒にも薬にもならないお話

⑳ではなく⑲+なのが私の心の弱さなのか…


かつて、戦争があった…

 

キュウシュウのとある繁華街の街角に立地する雑居ビルの1Fにその店はある、かつてはメイドカフェだったらしいがそれも今は昔、テナント募集の張り紙が貼られて久しいその店を居抜きで借り、新たにオープンした喫茶店……本格珈琲専門店五月雨堂

 

【続続・喫茶五月雨軒】

 

「コーヒーです」

 

「うむ」

 

キュウシュウのとある市街地、その市街地の雑居ビルに店を構える本格珈琲専門店、五月雨堂…

軍時代の元部下、五月雨が軍を辞めた後に退職金をつぎ込みオープンしたこの店は、ハッキリ言って客がいない

 

なんで客がいないってか?立地が悪い?店内の内装が悪い?一杯あたりのコスパが悪い?違う違う、答えはもっと単純だ

 

…………不味い

 

この一言に尽きる

 

「相変わらずオマエの淹れるコーヒーはマズいな」

 

「営業妨害ですか?ケイサツ呼びますよ」

 

「ケイサツは困る」

 

他に客が居たら営業妨害かもしれんが、幸いな事に?今は店内に俺と五月雨しかいないので営業妨害ではないだろう、っーかマズいのは事実なのだよ

 

頑なに自らの淹れたコーヒーの味に自信を持つ無駄に高いPRIDEの高さを両断する勇者の剣は未だに現れていない

 

「そーいや最近、近所にコ●ダ珈琲ができてな」

 

「へぇ」

 

「コーヒー的な味は普通だがモーニングの量がバカみてぇに多くてな、ワンパクな量なのだよ」

 

「へぇ」

 

「しかもお値段はまぁまぁ普通」

 

コレをウリに規模を拡大しているだけはあると納得したのだよ

 

「それで?ウチを裏切ってコ●ダ珈琲に鞍替えするのでケジメつける為に指ツめにきたんですか?」

 

「なんで俺がコ●ダに行くのに指ツめねーといけねーんだよダボが」

 

っーか裏切るもナニも俺はテメーんとこの従業員でもなけりゃファンでもねーってのな、どうやらコイツにはこの誰も来ない店をカワイソーと思い、わざわざクソマズコーヒーを飲みに来てやってる聖人だと言うコトをわからせる必要があるな

 

「っーかコーヒー以外のメニュー作れよ、コーヒー以外」

 

「オレンジジュースならありますよ、バヤ●ースですけど」

 

五月雨曰く、コーヒーがまだ飲めない子供連れの来店を想定し、一応バヤ●ースを用意しているらしい

 

「それに、ウチは本格的なコーヒーだけを味わって貰いたいこだわりの店です」

 

「そんなこだわり捨ててしまえ」

 

「イヤです、と言うかなんなんですか?さっきからイチャモンばっかつけて………コ●ダからウチを潰せって金でも握らされたんですか?」

 

「コ●ダがこんなカスみてーな店、ライバル視するワケねぇだろ」

 

「イラっとします」

 

コ●ダの1時間の売上はこの店の1日の売上を遥かに上回る、ハッキリ言って、この店とコ●ダでは神と虫ケラほどの差があるのは最早常識…

 

「イラっとしますけど、まぁ………お客さんが来ないのは正直困りますね」

 

「だろ?なんかこう、もっとイイ感じに経営を変えるべきなのだよ、若くてエロくておっぱいの大きい店員さんを雇うとかサ!」

 

「イヤですよ、ウチはあくまでコーヒーの味で勝負する本格コーヒー専門店です」

 

そのコーヒーの味が勝負にならない味だと言うのを頑なに認めようとしないから…っ!五月雨よ、オマエは優しすぎる、そして純粋すぎる、だがそうでなくては生きる資格がないと言うコトか!

 

「じゃアレだ、ムダだと思うが時雨様にでも頼んで店の宣伝してもらったらどうだ?」

 

「時雨姉さんにですか…」

 

プッツン駆逐艦姉妹、白露姉妹の次女、時雨

それぞれが大なり小なり天性の才能と輝きを持つ姉妹の中でも群を抜く天才性を持って生まれた次女はまるで息を吐くかの如くあらゆる分野でその非凡さを発揮し、特に、格上であるはずの戦艦重巡を含む海軍屈指の艦隊、絶対王者・西村艦隊を従える事ができるのはおそらくは時雨様のカリスマ性あってのコトだろう…

 

そんな時雨様だが、軍を辞めた後は実家の家業を継いだらしく、現在はやり手の経営者としてビジネスシーンで猛威をふるっている…

 

「時雨姉さんに相談すると店の場所が都心の一等地とかに変わっちゃいそうだからイヤです」

 

「いいじゃねーか、都心の一等地、ロックじゃねーか」

 

「あと、よくわからないヒゲのバリスタとかいっぱい雇われて私が仕事できなくなりそうだからイヤです」

 

「いいじゃねーか、よくわからないヒゲのバリスタ、ロックじゃねーか」

 

しかし時雨様ならそうする、ああ見えて、時雨様は妹想いで優しいとこもあるから妹である五月雨が相談したら、わかった、僕に全て任せていいよ、全てに勝つ僕は全て正しいと正しい方向でこの店を軌道に乗せてくれるだろう

 

「私は自分で淹れたコーヒーをお客さんに味わって貰いたいんです」

 

「そんなクソみたいなPRIDEは捨ててしまえ」

 

「イラっとします」

 

コイツ、マジで頑固だなオイ、いや、知ってるけど…

昔から頑固だったよコイツは、一ヶ月オ●禁したガチガチのチ●ポぐれー頑固だよ

 

「だいたいアレだ、コーヒーかバヤ●ースしかねぇ!パンとかケーキとかねぇ!店員のおっぱいもねぇ!そんなのでやっていけるワケねーだろーがよ」

 

「店の商品ラインナップはまぁ聞く耳持ちますが、胸に関してだけは謝ってください」

 

「ゴメーヌ」

 

「土下座してください」

 

「誰が土下座までするかボケ」

 

ったく、相変わらず人のハナシを聞かないのね、この子は…

 

そんなコトをしみじみ考えつつ、店内の時計を見るとそろそろ待ち合わせの時間になりそうだ…

 

「おっといかん、もうそろそろ時間か…」

 

「待ち合わせですか?」

 

「ああ、白露姉ちゃんとな、買い物ついでに俺の性奴隷にしてやるって約束してんだ」

 

「へぇ」

 

五月雨は興味なさげにコーヒーカップを拭いていた手を止め、右手を俺の前にズイっと出した…

 

「…380円です」

 

やっぱフツーに金とるのかよ、コイツ



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提督とルート分岐のエンディング⑳

ゴールデン・ウィーク特別編成第1弾、予告無しifエンド回

最近……と言うより、特に、今年に入ってからはスローペースぎみだったので、まとまった休みにここぞとばかりに何も考えないお話

第1回は【Sister Jazz】




【Sister Jazz】

 

かつて、戦争があった…

 

深海棲艦と人類の戦いは人類の勝利と終わったものの、その後も人類は新たなる敵、恐●帝国、百●帝国などとの戦いに明け暮れ、かつて科学万能と呼ばれた地上はバイオレンスでジャックな荒廃した地となった…

そして、神は、いや…!ゲ●ターは人類に進化を促すゲ●ターの光を輝きを放つ!!

 

バ●との決戦のその時、遂に地下深くからそいつが目を覚ます!!

 

『でたな ゲ●タードラゴン!!』

 

◆◆◆

 

深海棲艦との戦いが終わり、海軍で普通に早期退職を勧められた俺は大して残る理由もなく、かと言ってゴネて残って軍内ニートの憂き目に遭うのもアレだったので早期退職で二割増しになった退職金を貰い軍を辞めた

 

とりあえず軍を辞め、1年ぐらいは失業保険貰いつつプラプラしてていいだろうとプラプラしていると、なんの因果か、近所のハードオ●でかつての部下である阿賀野と再会、再会を祝してメシでもどうだと夜の街に繰り出し、最近ナニしてんの?ニート?と酒の席で話が盛り上がり、ふと、気がつくと俺の隣で全裸の阿賀野が尻を出して寝ていた…

 

まぁ、ゴプッとか擬音付きで垂れてたのはア●ルの方だったし、ア●ルならセーフってなんかの漫画かエロゲーでも言ってたし、その時は大丈夫だと考え、とりあえずタバコに火を点けてミリミリと吸い込んでケムリを吐き出してからもういっぺん阿賀野の尻に朝勃ちする己自身を突き刺したよ

 

「記憶に御座いませんじゃないんですよ、記憶に御座いませんじゃ、政治家ですか?ええ?違いますよね?阿賀野姉ぇレ●プしといてなんですかその態度は?」

 

「異議あり阿賀野姉ぇをレ●プしたと言うのは状況証拠だけの話であり、レ●プしたと言う客観的事実とは異なると考えられます!」

 

「ヤったんでしょ!!」

 

「ヤってません、当時、前後不覚であったかもしれませんが前ではヤってません」

 

「阿賀野姉ぇ、テイトクと結婚するんだ〜…って役場に婚姻届貰いに行ってるんですよ」

 

ブザマにアヘ顔晒した阿賀野の鞄から免許証など住所のわかるものを見つけた俺はブザマなアヘ顔のままではさすがにアレだろうと気絶したままの阿賀野をシャワーでキレイキレイし、阿賀野の住んでるらしきマンションへと送り届けに行くと、どうやら住んでいたのは阿賀野だけではなかったらしく、次女の能代が出てきたので白目を剥いたままの阿賀野を能代に押し付けてクールに去ろうとしたら能代からスゴイパワーでちょっとアガって行けよ、ハナシでもしよーや…と肩を掴まれ、現在に至る………

 

「セキニンとって阿賀野姉ぇを貰ってください」

 

「異議あり、現時点ではセキニンの所在が曖昧であると考えられます」

 

「曖昧なワケないでしょ!!」

 

能代クンはニ●リで買ったらしいテーブルを勢いよくダァン!した

 

「阿賀野姉ぇはああ見えて尽くすタイプです、それにほら、黙ってたら可愛い系だし」

 

「然り」

 

「阿賀野姉ぇもレ●プされたとは言えまんざらでもないっぽいし、テイトク、貰ってくれますね…?」

 

「え?やだよめんどくさい」

 

「ハァ!?なんですかその態度は!!ハイ!もぉーわかりました!テイトクを訴えます、連続レ●プ犯に仕立てあげて必ずブタ箱にブチ込みますからね!50年はシャバに出られないよーにしてやりますからね!」

 

「それは困る」

 

そういや昨日、阿賀野から妹の能代は軍を辞めてから弁護士になり、毎日のように法廷行っては罪人をムショにブチ込んでいる辣腕弁護士として腕をふるっているとか聞いたな…

 

「で?どーするんですか?阿賀野姉ぇ貰ってくれますか?」

 

…コイツ、どーあっても俺に長女を押し付ける気か…ッ!!たしかに、コイツからすれば軍を辞めて以来、妹の家に転がり込み、妹の稼ぎをアテにして毎日ダラダラするニート姉をどうにかしたいのだろう

 

だが、ここで俺がハイそうですかと折れるワケにはいかない!

 

「実は俺、提督時代から阿賀野より能代クンの方が好きだったんだ」

 

「はいウソ、懲役3年追加しますね」

 

「本当さ!でも僕は提督、キミは軽巡、上司と部下!みんなの手前アプローチできなかっただけでキミの事がずっと気になっていたんだ!」

 

「安いドラマですか、そんなしょーもないウソで弁護士が騙されるワケないでしょ、それに私、普通にイケメンが好きなんで…」

 

「チッ…!」

 

「それに…………阿賀野姉ぇから解放されるこの絶好のチャンス、私がみすみす逃がすと思ってるんですか?」

 

コイツ!!自分の為に!!

 

「能代、オマエ………長女を売るのか!」

 

「テイトクにはわからないでしょうね!!ずっと阿賀野姉ぇに寄生され続けたこの私の人生が!阿賀野姉ぇがようやく私の前から消えてくれる、あははは、そう、ようやく私の人生が始まるのよ、アハハハハ!」

 

能代はニ●リで買ったテーブルを両手でバシバシ叩きつつ狂ったように笑った…

 

「思えば学生時代、私が好きになった男子はことごとく阿賀野姉ぇが好きになり、芋ばっか食ってブーブー屁ぇコイてた阿賀野姉ぇがモテて学業も部活動も頑張っていたハズの私は常に敗北者だったわ…」

 

「闇深いな、キミ…」

 

ちなみに、三女と四女は昔から大して手がかかるワケでもなかったらしく、現在は2人とも近所のハンバーガーショップでアルバイトしてるそうな…

そんな闇の深い次女がそうよ!それがいい!それが一番よ!阿賀野姉ぇなど嫁に行ってしまえー!とゲラゲラ笑っていると、マンションの扉が開き、その長女がヘラヘラしながら帰ってきた

 

「能代ぉー、貰ってきたよー」

 

「でかした!!さぁ阿賀野姉ぇ!さっそく書いて!私がコイツを押さえているうちに!!」

 

能代は俺の背後から両足を内側から引っ掛け、両腕をチキンウイングで絞り上げた!!

 

「グゥゥゥム!!こ、このホールドは…っ!!」

 

「さぁ!!はやく!!」

 

「能代ぉー、阿賀野の旦那様と仲良くしすぎじゃなーい?」

 

これが仲良しに見えるのかこの長女は!!脳みそがアタマに詰まってないのか!?

 

「ま、いいや、役所に行ってもなんかよくワカんないからテキトーに貰ってきたけど、コレでいい?」

 

ペラッ…(戸籍謄本)

 

「違ァァァァァァァァう!!!阿賀野姉ぇ!それじゃない!!」

 

「えー…じゃこっち?」

 

ペラッ…(住民票)

 

「それ住民票ォォォォー!!赤いやつ!赤い紙のやつ!!」

 

「赤いのぉ?あ〜………なんかあったっけ?あ、緑のやつは貰ってきたよ」

 

能代の決めたフィニッシュ・ホールドに俺の膝は耐えきれず体勢が崩れてなお技をかけ続けられたこの肩関節はバキ!ボキ!ベキ!と完全に破壊されたッ!!

 

「ぐわあああああああああー!」

 

「阿賀野姉ぇ、今から一緒に役所に行こう、私もついてくから」

 

「え?いいの?今日たしか痴漢をブタ箱に放り込むとかなんとか言ってなかった?」

 

「いいのよ、たかが痴漢ぐらい、そんなことより阿賀野姉ぇの方が大事よ」ニコォ…

 

 

こうして、肩関節をジ・エンドされたまま阿賀野を押し付けられた俺だったが、やられっぱなしではなかった…

俺と阿賀野は能代と同じマンションの隣の部屋を新居とし、引っ越しの挨拶をしに行った日、能代は玄関で吐いた…



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提督とルート分岐のエンディング㉑

ゴールデンウィーク特別編成その2

提督不在の変則ifエンド回(提督は含まれておりません)


やっぱ怖いっスね、球磨型は…




かつて、戦争があった…

 

人類との戦いに敗れ深海棲艦は深海コロニーでの生活に新たなる希望を持っていた…

しかし、地球圏統一連合は徹底的な正義とゆるい平和の名のもとに圧倒的な軍事力を以って各深海コロニーを制圧していった…

 

アフター深海195年、作戦名『オペレーション・メテオ』

 

連合に反目する一部の深海コロニー居住者達とイカレマッド博士達は流星に偽装した深海棲艦を地上に送り込む行動にでたのだった…

 

◆◆◆

 

【オレの姉ちゃん達がオレに構いすぎる件】

 

深海棲艦との戦いが終わり、海軍からお役御免を言い渡されたオレ達艦娘はそれぞれの生活へと別れることになった…

 

ある者はクールに去り、ある者は田舎に帰ってもしょうがねぇって仕事がありそうな都会へ行ったり、またある者は海軍暮らしが長かったせいか満足に学校にも行けなかったからと言って故郷に帰って学校に通うんだと言って旅立って行った…

 

そしてはオレはと言うと…

 

「木曾、オマエちゃんと学校行ってるクマ?」

 

「い、行ってるよ…なんだよ?疑うのかよ?」

 

カチャ…カチャ……(食器)

 

「…ちゃんと行ってるならいいクマ」

 

プァーーー!ガタンガタン、ガタンガタン…(電車通過音)

 

…気まずい、ハッキリ言って気まずい、球磨ねーちゃん自分が聞いてきたくせにこっちを見るワケでもなく新聞読んでるし

 

「ナニ朝っぱらからつまんない邦画みたいなコトやってるにゃ、っーか球磨ねーちゃん、ご飯にするか新聞読むかどっちかにするにゃ」

 

クソつまんない邦画シーンを一瞬で終わらせてくれたタマねーちゃんはさっさとメシ食うにゃと卵焼きをちゃぶ台に置いた

 

「木曾、そういや来週三者面談あるとか言ってなかったかにゃ?」

 

「あ、うん、あるよ、でも…まぁ来なくていいよ、ねーちゃん達もみんな忙しいだろうし、うん」

 

ダァン!!!(ちゃぶ台)

 

「ヒイィィ!?」

 

「ハアァ!?ナニ言ってるクマァァァァ!!木曾!三者面談ってナニクマ!ネーちゃん初めて聞いたクマよ!!」

 

「だ、だって…クマねーちゃんに言っても意味ねぇし…」

 

「意味ねーしとはなんだクマァ!!意味ねーしとは!?だいたい木曾、その汚い言葉遣いはナニクマ?ネーちゃん木曾にそんな言葉遣い教えてないクマ!!オラ!座れ木曾!ここ座れ!説教してやるクマ!」バシバシ!

 

「まぁまぁクマ姉ちゃん、落ち着いて…」

 

「タマは黙ってろクマ!!だいたい木曾、オマエ最近帰りが遅くないクマ?帰りが17時過ぎるとはちゃんと事前に遅くなります、何時になりますって連絡するってネーちゃんと約束したクマよね?」

 

「う、うるせーよ!!ナニが17時だよ!オレだってガキじゃねーんだよ!」

 

ブチィッ!!!(堪忍袋の緒)

 

「木曾ォォ!!今なんっつたクマァァァァ!!」

 

球磨ねーちゃんは怒りの形相で俺の首を掴み上げ(ハンギング・ベアー)し、ネーちゃんをなめてんのかー!と吠えた

 

「あー……朝っからうっさいなー……ゲッ!木曾が吊るされてる」

 

「球磨姉さん、やりすぎ!やりすぎよ!北上さん!ほら北上さんも止めて!」

 

この後、怒れる球磨ねーちゃんをオーねーちゃんとキーねーちゃんがなんとか止めてくれたらしく、オレは朝っぱらから軽く………いや、マジに死にかけた

 

いやマジで

 

ーーー

 

「で?三者面談ってなんの三者面談クマ?」

 

「ハァ…球磨ねーちゃんは何の三者面談か知らずに木曾を絞め上げてたにゃ…?」

 

みんなが集まる朝の八畳間、中央に置かれたちゃぶ台をぐるっと囲み、4人のねーちゃん達とオレ(正座中)は座っていた

 

「…進路のだよ」

 

海軍を辞めて以降、オレはこの4人の姉と共に所謂、普通の生活をしていた、球磨ねーちゃんは何の仕事してるのかよくわからねーけど働いてるらしいし、タマねーちゃんもスーパーでパートとかしてるし、オーねーちゃんとキーねーちゃんはアパレル的な業界で働いている…

 

で、オレはと言うと…………真面目に学校に通っている

 

海軍を辞めた時、オレもこれからやりたい事やるぜー!と思ってたら、球磨ねーちゃんからせめて高卒の資格ぐらいとるクマと説教され、大井ねーちゃんに助け船を出してくれよ頼んだら、木曾には良い学校出て貰いたいのよね〜…と、まさかの追い討ちを喰らい、とりあえずねーちゃん達が納得するならと渋々従っているワケだ

 

「進路ォ?木曾、オマエ勉強して良い大学行けクマ」

 

「ハァ!?」

 

「いいから、ネーちゃんの言う通りにするクマ、大丈夫、お金の心配はいらないクマ、オマエ1人大学に通わすなんてワケないクマ」

 

「そうにゃ、パート増やせばいいだけにゃ」

 

「イヤイヤイヤ!!まずオレのハナシを聞け……いや、聞いてください」

 

クッ!!ダメだ、球磨ねーちゃんに対話は通じない、たぶんクア●タムバーストしても通じないであろう確信がある!そしてタマねーちゃんもオレ=進学派か、擁護は期待できないッ!

 

「まぁまぁ球磨姉さん、勉強だけが全てじゃないわ、木曾だってやりたいコトあるわよ?ね?」

 

「オーねーちゃん!」

 

さすがオーねーちゃんだぜ!普段はやる気ないキーねーちゃんとかつては海軍史上最強と謳われた四割打線を任されていただけはある!

 

「まー、一応ハナシ聞くだけ聞いてやりなよー」

 

「キーねーちゃん…」

 

よし!!これで敵は2!味方は2!数の上では互角になった!

 

「ダメクマ、北上、大井、だいたいオマエらは木曾に甘すぎるクマ、甘やかして木曾がクズになったらどうするクマ?」

 

無茶苦茶言うなこの長女は……まぁ、たしかに、この2人の姉はオレに対して若干甘いところがあるのも事実、だってオレも雷巡やってたし

 

「とりあえず木曾の三者面談は私が行こうと思うけど?」

 

「は?大井、オマエナニ言ってるクマ」

 

「だって球磨姉さんが行くとメンドくさくなりそうじゃない?だったら姉妹で1番対人スキルが高くて話がワカる私が行くのがスジ…」

 

「ナニ言ってるクマ、そーゆーのは長女の仕事クマ、あと大井、オマエあとで説教クマ」

 

「にゃあ、多摩が行ってもいいにゃ」挙手

 

「ハアァ!?多摩、オマエまでナニ言ってるクマ!」

 

「えー……じゃ、私もー」ヘラヘラ

 

「北上さん!?あ、あの息をするのもメンドクセーが口癖の北上が…」

 

オイ、なんか空気がヤバくなってきた気が……

よし!逃げよう!とりあえずここは逃げて後の事は後の自分に任せよう!

オレはかつての上司である提督から教わった“絶”を使い、誰にも気付かれないようにゆっくり、そう、まるで中国人がする太極拳のようなスローな動きで、それでいて万力のような力を込めつつ部屋から、そして玄関から脱出した!

 

ーーー

 

「ヨォ、今日も朝からシケたツラしてんなーオマエ」

 

「うるせーよ」

 

今にもハイパー・バトルが開始されそうな家をなんとか飛び出し登校している途中、ママチャリに乗ったバカに会った

 

コイツは天龍、見ての通りイタイ奴だ

 

「オラ、ケツに乗れよ!チコクすんぜ!」

 

「あーかったりぃーなぁー…天龍、今日ガッコ行くのヤメてフケよーぜ」

 

オレは天龍のママチャリのケツに乗ると天龍は特攻んでイクでヨロシクーとペダルを漕ぎだした

 

「そうしたいのはヤマヤマなんだがなぁ〜、俺、出席日数ヤベーんだよ、こないだ龍田から次サボったら殺すと念押しされてるし」

 

「あー、オマエの妹コエーもんなぁ〜」

 

「そーいや三者面談どーすんべ?球磨ねーちゃん来るん?」

 

「さぁ?なんかソレで朝から揉めてた」

 

「ま、球磨ねーちゃん来たら三者面談どころかモンスター・ウォーズが勃発しかねねーからな、ハッハッハ」

 

「笑いゴトじゃねーよ!!」

 

キコキコ…キコキコ…(ペダル回し)

 

「でもアレだろ!高校出たら俺ら都会に行ってミュージシャンになるってのは忘れてねーだろ?」

 

「ヘッ!当たり前だろ!」

 

そうだ、オレ達は今のニホンのクソみたいな音楽シーンを塗り替えるロックな音楽がヤリたいんだ!本物のミュージックで世界を席巻してやるんだ!オレ達2人で!!

 

「よっしゃ!トバすぜー!!」

 

「おう!!」

 

 

 

この後、オレと天龍は下り坂でブレーキが利かず田んぼにダイヴすることになったし、初めて買ったギターを買ったその日に喧嘩して壊したが、それもまたロックだ



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JohnstonとFletcherと悪魔聖女

なんやかんやで梅雨に入ってます、梅雨に
イマイチ調子が上がらないまま半年近く経過しているコトに人生の悲哀を感じますね

【登場人物】

Johnston(妹)
自分の可愛さを疑わない自分大好きワガママガール、意外にもアメリカ人の中では常識人寄り

Fletcher(姉)
この掃き溜めのような基地に居てならないタイプの聖女、常識人っぽく見えてわりとボケ寄り

犬(最新AI兵器)
フレッチャーには懐いてる犬型サイボーグ、その戦闘力は本気になればウィルスのスピードで大量殺人できるとかなんとか…


今日も鏡の前で自分がcuteであるコトを1時間念入りに確認した私は朝食を摂るべくlivingに行くと、既に朝食を終えたらしい姉が飼い犬にちょっかいをかけていた…

 

「おはようJohnston」

 

「おはよ、私の分は?」

 

テーブルに並んでいるのはbacon and eggs、Wakame miso soup、Grilled saury with salt、そして………Heaps of cabbage、ゴキゲンな朝食だわ

 

いや、ゴキゲンすぎるわ!私、朝はパン派なんだケド!なんなのこの姉、いやがらせか…っ!!

 

「パンないの?パン、私、朝はパンとコーヒー派なんだケド?」

 

「モンク言わずに食べなさい」

 

飼い犬と戯れつつコッチの意見をshutoutする姉にイラっとしたが、この姉に意見するコトの無意味さを私はよく知っている

 

「Johnston、ちょっと相談があるの」

 

「相談?」

 

…猛烈にイヤな予感がする、Fletcherが私に相談…?ハッキリ言ってイヤな予感しかしない

この姉、ハッキリ言って優秀だ、私ほどではないにしても対空に優れ、私ほどではないにしても対潜にも優れ、私ほどではないにしてもおっぱいも大きく………いや、デカいけど、まぁそれはいいとして、私ほどではないにしてもそこそこKAWAII

 

「私、悪役になろうと思うの」

 

「へぇー…」

 

「悪に徹しようと思うの!」フンス!

 

…ナニ言ってんのこの姉?イカれてるの?いや、正直この姉がわりとヌけているのはいつものコトだけど、え?ナニ?悪?悪役になりたい?え?悪女役が専門の女優にでもなりたいの?

 

「えぇ……?えぇ〜と、ナニ?悪になりたい?」

 

「そうなのよ、だから基本的にワガママで自分勝手でそれでいて自身の非を決して認めないJohnstonにでも聞けば手っ取り早いと…」

 

ナチュラルに私のコトをディスるわねこの姉、しかもまるで悪意がないからなおタチが悪い

 

「や、私、悪女じゃないから」

 

「ナニを言ってるの?Johnston」

 

「ナニを言ってるの?じゃないわよ!私のどこが悪女なのよ!」

 

「ワガママで自分勝手で自分の非を絶対認めないところ?」

 

「あ、ハイ、スイマセン」

 

クッ!この私のどこがワガママで自分勝手で自分の非を認めないbitchよ!

 

「と言うか、なんでまたいきなり悪女になりたいの?」

 

まずはそれよ、それ!なんでこの聖女の塊みたいな姉が悪になりたいのか…?なんか変なcinemaにでも影響されたのかしら

 

「最近ね、ニホンのマンガを読んでみたの」

 

「マ、MANGA…?」

 

そう言えば、最近Fletcher、紙袋になにやらいっぱい持ってたわね、アレ、マンガだったんだ…

私はstatesに居る時からX-M●NとかAVEN●ERSとか好きだったからコミックもいっぱい持ってたケド、当時、Fletcherは特にそれに興味なさげだったわ

 

「談話室でお茶を飲んでる時に絵が可愛いなって思って手に取ってみたのだけど、読んでいるうちにハマってしまってね…」

 

「へぇ〜」

 

「でも談話室には3冊しかなくて続きのコミックがなかったの、それで、ニホンのマンガに詳しそうなSARAにコミックを持ってないかって尋ねたんだけど…」

 

 

『え?持ってないわ、むしろ私はそっち系はあまり読まないから………え?サラのオススメ?い、いやぁ……ちょっとFletcherには早いと言うか、いささか刺激があると言うか……あ、そーよ!Iowaの方が詳しいわ!えぇ!Iowaに聞いてみて!』

 

 

「…と、断られて」

 

SARA…ッ!!………な、なんでッッッ!!

 

「それでIowaに聞いてみたのよ」

 

 

『ニホンのマンガ…?いや、普通にミーは詳しくないケド…………そうネー、あ、アキグモセンセイ!アキグモセンセイはニホンのマンガ家よ!』

 

 

「…で、アキグモセンセイを紹介して貰ったの」

 

「え?誰それ?」

 

「ニホンの駆逐艦よ、なんでも、プロのマンガ家を目指して日夜頑張っているそうよ」

 

「へぇ〜…そんなのがいるんだ、ってかそいつ駆逐艦なのよね?日夜頑張る方向がおかしくない?」

 

そう言えば、たまにマミーヤで原稿用紙バシバシ叩きながらテイトクとギャーギャー盛り上がってた顔色の悪いやつがいたわね、アイツか!

 

「で、そのアキグモセンセイから読みたいやつあったらなんでも持って行ってくださいっす、ってコミックを借りたの」

 

Fletcher曰く、アキグモセンセイは金やちやほやして欲しいからではなく、純粋に、読者に読んで貰いたいからマンガを描いている!とても高潔な人物で、自分のマンガがいかにオモシロくなるのか模索すべく様々なジャンルのコミックを買っているとのコトだ

 

「なるほど………で?前置きが超長いんだケド、その、アレなの?その、ニホンのマンガを読んで悪女になりたいと思ったワケ?」

 

「そうなのよ」ニコッ

 

なれるワケねぇだろッッッ!!!そんな聖女みたいSmileする女がッッッ!!邪悪から一番遠い存在だろッッッ!!

 

「色々読んでみたのだけど、主人公が物語の悪役heroineになって婚約破棄したり婚約破棄されたり実はスゴイ力を持ってたりズルイ力を持ってたり…」

 

「あ、いい!いいからッ!!そのハナシ長くなりそうだから!!」

 

「そう…」

 

Fletcherは残念そうにシュンとするが、思えばこの姉は昔からわりと人のハナシを聞かないところがある

 

「とりあえずさ、Fletcherにはムリじゃない?」

 

「ムリなの!?」

 

「いや、フツーにムリでしょ…」

 

「どうして!?私、頑張ってみたいの!」

 

「いや、頑張る方向がおかしい…」

 

この生粋の聖女が悪に染まるとかそれこそ世界が暗黒に包まれる時よ、9回裏3者凡退3アウトゲームセットだわ

 

「とりあえず、悪女になりたかったら気に入らない奴には誰彼構わず問答無用でアゴにアッパー喰らわせるくらいのTOUGHな精神力が必要ね」

 

「Johnston!いけないわ、そんなコト!」

 

だがそんなコトを平然とやってのけるがAtlantaと言う狂犬だ、その残虐性、残忍性、残酷性はMAJORの中でも群を抜いているッッ!!

 

「何の理由もなくアゴを砕くなんて私にはできないわ」

 

「なら諦めなさい、やっぱりアナタにはムリなのよ」

 

そう、この姉にはそもそも悪に染まるなどムリなコトなのだ、これで諦めてくれるでしょ…

 

「でも、そこをなんとかできないかしら?」ニコッ

 

「諦めが悪いッッッ!!」

 

ビックリよ!!ここまで諦めが悪いなんてビックリよ!笑顔でなんてコト言うの!?フ…Fletcher、どうやら私はアナタを少々みくびっていたみたいだわ…

 

「なら、私のHalloween衣装着てみる?まずは形から入ってみるのもいいんじゃない?」

 

「Johnstonの…?あぁ、あのbitchみたいな…」

 

「bitchっーな!vampireよ!vampire!」

 

「あれ、vampireだったの…?」

 

失礼通りこしてマジでムカつくわねこの姉、とりあえず、私は自室に戻るとクローゼットからHalloween衣装を取り出し、リビングにいる姉にとりあえず着てみなさいよ!と押し付けるとFletcherはちょっとイヤそうな顔をしていたが、一言、わかったわと言って自室に引っ込んだ…

 

「……ふぅ」

 

とりあえず、Fletcherのいない間にひと息ついてCoffeeでも飲もうとソファーに座ると、Fletcherの飼い犬がジッとこっちを見ていた…

なんだっけコイツ?なんか変な名前だったのよね、たしか……え〜………D51(デゴイチ)とかなんとか…

 

「…アンタも食べる?」

 

パンをひとつ手に取り、犬の鼻先にズィっと出してやるも犬はなんかイヤそうな顔してそっぽ向いた

 

「…カワイクない犬ね」

 

なんか知らないケド、Fletcherにしか懐いてないし…マァ、私は犬が嫌いなんだケド!

 

「お、おまたせ、Johnston、どうかしら?」

 

「別に待ってないわよ、ってか!!ムチッとしすぎじゃない!?」

 

「ムチッとって……Johnston、この衣装、私には少しサイズが小さいわ」

 

主に胸の辺りがと余計な一言をつけ加えて恥ずかしそうにする姉………いや、なにこのプレイ?いや、まぁ…なるほどね、これは並のオトコならゴクリだわ

 

「コレじゃvampireじゃなくてSuccubusね」

 

「Succubus!?Johnston!違うわ!私はSuccubusになりたいんじゃないわ」

 

「あーハイハイ、似合ってる似合ってる、そのカッコで街で歩いて来たら?」

 

上級サキュバスともなると直接対象に触れることなくその場に居るだけでイカせると言うが、もはやコレはその領域………もし、この姉が街を練り歩いたらとんでもないコトになるだろう

 

「コレで外に出るのはさすがに………」

 

まるでbitchだわと余計な一言を忘れない聖女の姉、そのbitch衣装で去年練り歩いた私はいったいなんなのか…

 

「悪の女幹部ならもっと堂々としないと!堂々と!」

 

「悪の女幹部………そんなふうに見えるかしら?」

 

「うん」

 

見えないケドね、いかがわしい店のプレイにしか見えない

 

「なんか思ってたのと違うけど……Johnstonがそう言うならそうなのよね、うん」

 

「あー…うん、でもそれ早く脱いでね、なんかミチミチしてるし、主に胸の辺りが」



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真‼︎不健全鎮守府-提督最後の日-④

だらしない書いてる人です、最近晴れの日中は暑くなりました、もうホントに

南の島に左遷された提督編その4、艦娘要素0の皆殺し饗宴




オス!オラ元提督!提督業をクビになってポリネシア諸島に左遷されちまったケドよー、煩わしいバカどもの相手しなくてもいいって考えたらよく考えたらケッコーこの暮らしも悪くねぇなって思ってたら、いいーっ!またあのお嬢様が大ピンチちゅーんだ!

 

正直、あんま関わり合いになりたかねぇけど、お嬢様のピンチっーならヤらねぇワケにはいかねぇ!天海!モロ!今回ばっかしはオメーらの力を借りねーワケにはもいかねぇ…!オラと一緒に戦ってくれ!

 

「オイオイオイ、なんだアレ?」

 

「さぁ…一応、見当はつきますが………とりあえずは今は考えない方がいいですね」

 

「そうだな、それがいい」

 

帰ってきた復讐のテロリストVSハンサムな提督とゴキゲンな仲間たち-囚われのお嬢様救出一本勝負-の火蓋が切って落とされた今日この頃

予想以上に多いテロリスト軍団の前にどうしたものかと攻めあぐねていた俺達の前に突如現れた謎の男は手にしたダンビラでテロリストを斬りまくり刺しまくり、さらに全身凶器のヘンタイドクターもテロリスト撃ちまくりで、もぉー!私のピンチはどうなっちゃうの!

 

「まぁ、とりあえず外のはあの人たちに任せられたのでこっちは楽に目的のクルーズ船に乗り込めましたが…」

 

「それな!」

 

「…大佐、いや中佐でしたっけ?」

 

「大尉だ、たぶん」

 

「外はいいとして、中はオレ達だけでなんとかしますよ、わかってますよね?」

 

「ワカってるって、でもピンチになったらちゃんと守ってよね!」

 

「ヒロインですかアンタは」

 

「ジョークなのだよ、小粋なテイトクジョーク」

 

ま、お嬢様を助けに行くのにヒロインじゃサマにならねぇわな、しかしあの変態博士、どっからあんなヤバいの呼んだんだ?チラッと見たけどあのニイちゃん、正面から銃弾を刀で弾くとかメルヘンやファンタジーの住人だぞオイ

 

『Hey!Hey Hey!』

 

『Fuckーッ!!』

 

ハイハイ来ましたよ血気盛んなテロリストの皆さん、どうせ日本語的には“な、なんだー!貴様ー!”とか言って銃を抜いてるんだろーよ

 

「天海クン、ぶっとばしてさしあげなさい」

 

「言われなくても…」

 

言われなくても既に動いてくれてる天海クンは銃を構えた下っぱチンピラに至近距離からそれぞれ一撃、頭に一発、心臓に一発ブチ込み仕事を終えていた…

 

「オイ、殺すなよ」

 

「危ないと思ったら躊躇わない、そうやって生きてきましたから」

 

「ハイハイ、そーですか」

 

海軍の闇は深いってか、ま、染み付いたモンはファブ●ーズでもどうしようもないし、外道は死ぬまで外道味っーしな

 

しかしだ、コイツの過去に色々あったのは大将殿から一応聞いてるから知ってはいるが、今は今だ、何よりも大事なモノを取り戻したコイツはもうこんな仕事に手を染めるべきじゃない…

 

…と言ってる俺の批難の目に気付いたのか、いつもの胡散臭い空笑顔を作り、先を急ぎましょうと俺を急かした

 

「…ま、帰ってから可愛い妹にお兄ちゃんクサーいって言われねぇ程度にな」

 

「善処します」

 

ま、こっちは俺もいるし出来るだけはするが………あっち()は残念ながらR18、ガキには見せられない展開になってるだろうなぁ〜…

 

ーーー

 

「どうしました?まだ弾倉に弾は入ってますよね?あ、入ってませんか?いやいやコレは失礼、どうぞ、こちらをお使い下さい、そんな遠慮せず、ほら、アナタのお仲間がせっかく残してくれたのですから、ほら、どうぞ」

 

『ヒ、ヒイイイィィィィィ!?』

 

「さぁ!人生に悔いを残さない為にも弾は全部撃ち尽くして!」

 

撃ち尽くして!と言い終わらないタイミングで私の首ごと斬り飛ばす勢いの横一線が目の前の彼の首を海へと飛ばしてしまった……あーぁ、彼、悔いを残してしまいましたね

 

「…と言うか、今、君と私は味方同士なのでは?」

 

「味方…?お前と…?」

 

刀に付着している血を飛ばし、ナニを言ってるんだコイツ?みたいな顔をした槇原南洲はさらに後方から飛んで来た十数発の弾丸をその刀で彼方へと弾き飛ばした…

 

まぁ、人間技とは思えませんが、彼の場合はその、人間の枠を超えていると言っていいでしょう…

 

「だいたいお前、何を考えている?いつから人助けのマネをするようになった?」

 

「人助けのマネなんて人聞きの悪い!私は常に困っている人間に出来得る限りの協力をしていますよ?」

 

「その“協力”ってのがクソ以下にメイワクなんだがな」

 

「失礼な」

 

私との軽いトークをこなす間に3人、いえ、4人ですか、流石ですねぇ

 

「しかし槇原南洲、この数、腕一本ではキツいのではありませんか?」

 

「たかがこれくらいの数とバカ1人を斬るぐらいは腕一本あれば足りる」

 

「そうですか?あ、なんなら今度、私が新しい腕を用意しましょう!一本、いえ、二本ぐらい付けてみませんか?」

 

「死ね」

 

男の子は古来よりロケットパンチや目からビームに憧れるモノ、この浪漫が理解できない槇原南洲とはやはり相容れませんねぇ…

 

ズッ!!

 

「…ん?」

 

おや?私の腕がもげた…?いえ、コレは切れた…?刃物による切断?いえ、これはもっと鋭利なものですか?たとえば単分子ワイヤーのような…

 

『なるほど、これはたしかに人間ではない』

 

「誰ですか?」

 

本命のクルーズ船以外の守りは下っぱチンピラだけかと思っていましたが…これは少々誤算でしたか、まぁ、誤差の範囲ですが

 

「たしか君は……嗚呼、たしかアレだったか?あの妖怪老人の手下の」

 

「手下、とは違いますよ」

 

いつの間にやらボゥトに乗り込んでいた身なりの良い壮年の男、見覚えがありますね……

 

「そして君は………嗚呼、たしか槇原南洲だったかね?」

 

「俺もアンタのツラには見覚えがあるな、たしか第五特務課の課長だろ?」

 

「それは前職だね、今はそう……アルバイトで生計を立てているよ」

 

「よく言う、大したアルバイトだ」

 

未だ数だけは多いその他の下っぱチンピラを無視させるほど槇原南洲をして警戒させる男ですか、これは誤差修正が必要ですかね…

 

「腕一本で勝てる相手ですか?」

 

「十分だ、ただし、お前は邪魔だから視界に入るな、あと死ね」

 

「辛辣ですねぇ」

 

ーーー

 

「ところで天海クン」

 

「なんですか?」

 

「今日はその……あのオッさん来てねぇよな?」

 

「ジイさん?あぁ、教授ですか…」

 

俺の質問に天海は微妙なツラして来てないといいですねと一言だけ答えて再び船内を歩き出した

 

前のゴタゴタの時、軍を裏切ってテロリストに手を貸した天海の上司とヤリ合ったが、ハッキリ言って二度とヤリたくねぇなと心の底から思ったね、俺と天海の2人がかりで互角……いや、たぶん互角に合わせてくれた感があるな、ありゃ…

 

一応、最後はビルから落下してるから普通ならあの高さなら間違いなく死んでるが、あの手のヤツはほぼ間違いなく生きてるだろう

そんなバケモンとまた遭遇したりしない事を神に祈りつつ天海と共に船内を歩いていると…

 

「………居ますね、ここに」

 

「え?何が?」

 

「人質になってる乗員乗客ですよ」

 

「あぁ、そっち…」

 

ビビらせやがって、バケモンの話してたからてっきりあのオッさんかと思ったのだよ

ハンドサインを出す天海が中を見てみろと指示してるので窓から中を見てみると……たしかに、やたら広いホールみたいなとこにお金持ってそうな紳士淑女の皆さんと、銃火器を持った数人のチン・ピラみたいなのがいた

 

………お嬢様もあの中か?ここからじゃよくワカらんが

 

「どーするよ?天海クン」

 

「迂闊に飛び込んで人質に銃を向けられてはこちらもやり難いですね」

 

「そうだな」

 

だがしかし、このままではラチがあかない

 

「よし、俺があっちの扉から入ってイイ感じにチンピラの皆さんの注意を引くから天海クンは俺がイイ感じになんとかしてる間に銃持ってるやつなんとかしてくれ」

 

「ハァ?」

 

「何秒かかる?2秒か3秒か?ひょっとして5秒ぐらいかかるか?」

 

「………そうですね、8……10人………60秒あれば」

 

「なるべく早くしてくれ」

 

60秒か、まぁ、カミサマは俺の善行をみてるだろうし、なんとかなるか…?

 

「よっしゃ、作戦開始っーコトで」

 

俺は天海にできるだけ早くな!と念を押し、1人ホールの扉の前に行くと、お高価そうな扉に勢いよく蹴りを入れてホールに侵入した

 

「オラァ!!!!どっからでもかかってこいやァ!!外道共に今日を生きる資格はねェェェ〜…!!」



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提督と群像死闘伝モモタス

オイ、同世代のバカどもに教えてやれよ、早く逃げろ!オレ達がやっていたのは“アイドルごっこ”だった…ってよ!

【登場人物】

提督(マネ)
アイドル知識はアイ●リープライドとセレクシ●ンプロをふわっと見たぐらいしかない愛奴隷調教師、好きな言葉はア●ルならセーフ

桃(モモタス)
松型姉妹の四女、幼い頃に見た伝説のアイドルに魅了されて自らもアイドルを目指す王道系、姉妹の中でも特に、ぶっちぎりに頭が悪いらしく、わり算が怪しい

NAKAさん(トップ・アイドル)
現役最強のトップ・アイドル、口先だけの新人には厳しい


「オイ、次のLIVEがキマったぞ」

 

「ハイハイ、どーせまた近所の公民館かクソみたいな田舎のジジババしかいないクソみたいなステージイベントでしょ?知ってるし」

 

「ナマイキ言うんじゃないよこの子は」

 

可愛くして生まれたからには誰でも一生のうち一度は夢を見る“トップ・アイドル”!!

松型駆逐艦桃とは、トップ・アイドルを目指す駆逐艦の事である

 

…………今日も日差しはないものの何気にクソ暑い5月の日、いつものように駆逐艦の本分である戦闘トレーニングをサボり、体育館裏でアイドル・トレーニングを積みハァハァ息を吐きつつ水ないの?水?フランス産、すぐ買ってきてよ!使えないマネね!と息を吐くようにモンクタレたので往復ビンタをくれてやった

 

「ぐえっ!?アイドルは顔が命ぃ!しかも二度もぶった!」

 

「やかましい、キサマの顔など良くてB級だ」

 

「B級!?」

 

とりあえず、まずその汗クセーのをなんとかしろと今治タオルを投げてやるとモモタスはクサくないもん!とか反論しつつ汗を拭き、日陰の手近な石の上に座った

 

「で?LIVEの内容は?」

 

「そのLIVEだが………今回はライブ・バトルだ」

 

「ライブ・バトル…ッ!!」

 

ライブ・バトルとは…ッッッ!!

 

アイドルとアイドルが互いのPRIDEと人気を賭けて戦う伝統と格式のある戦いである、古来より、アイドルとアイドルが己の方が相手より優れていると広く民衆に知れ渡す画期的なイベントとして現在も盛んに開催されている…

 

しかしこのライブ・バトル、勝てば天国、負ければ地獄を地でいく戦いである

 

勝ち続ける事はそれすなわちトップ・アイドルへのビクトリー・ロードだが、その反面、ただ一度の敗北が二度と這い上がる事のできないデモンズ・ホールにもなる…

 

「……」ブルブル…

 

「どうした?ビビってんのか?」

 

手にした今治タオルを握りしめて肩を震わせるモモタス、無理もない、勝者は全てを得る、しかし敗者は全てを失う、この恐怖に打ち勝つのは…

 

「つ……ついに、ついにアタシも参加できるのね!」

 

「お?おぅ…!」

 

「よっしゃー!!勝つぞぉー!」

 

フッ、どうやらいらない心配だったらしいな…

たしかに、モモタスには才能がある、アイドルとしての才能が、しかし今はまだ未熟、本物のアイドル達に比べれば努力も経験も体格も劣る………が、しかし!!俺はあの日、この子に、いや、この子の綺羅星のような才能に賭けてみたくなったのだ

 

「で!相手は!?もしかしてNAKAサン!?」

 

「馬鹿者、オマエのようなアイドル弱者がいきなりNAKAさんと同じステージに立てると思うな」

 

「アイドル弱者じゃないもん!」

 

「今のキサマなどNAKAさんからすれば視界にすら入らぬゴミ同然だ、まずは視界に入るゴミになれ」

 

「ゴミってゆーな!」

 

コイツめ、いきなりトップ・アイドルであるNAKAさんと同じステージに上がるつもりとは……バカなのか、大物なのか、いや、バカだな、この顔は考えなしの大バカの顔だ!

 

だが、それでいいッ!トップ・アイドルを目指すなんて口にできるのは大バカ野郎じゃないとな!

 

「で!相手は誰なの!まぁどんなアイドルが相手でもギタギタにしてやるわ!」

 

今どきギタギタにしてやるとかジャイアンでも言わないのではないだろうか?まぁいい

 

「今回のライブ・バトルの相手はオマエと同じ駆逐艦の梅、オマエと同じく松型ファイト・クラブ出身、言うなれば同門対決だ」

 

「梅ッ!?な、なんで…?」

 

「そんなコトは知らん!だが、今回のライブ・バトルは相手からオマエに名指しでの挑戦と聞いている」

 

松型駆逐艦、梅

松型姉妹の三女であり、モモタスの姉にあたる…

なんでも、常日頃からアイドルになるとかバカな夢を見ている妹にUNZARIしていたらしく、今回、そのバカな夢を諦めさせるべく、自らバカな妹に引導を渡すべくライブ・バトルへ参戦したとのコトだ

 

「あ、あのヤロウ…っ!日頃からアタシにアイドルなんかムリ、ムリな夢は見るなとか現実を見なさいとか言ってたのにぃ…」プルプル…

 

「あと、今回のライブ・バトル、負けたらオマエはアイドルを目指すの止めて公務員を目指して貰うとのコトだ」

 

「マネ!アタシ今公務員じゃないの!?」

 

「バカ者!勘違いするな、オマエは艦娘であって軍人ではない!言うなれば軍の備品みたいなものだ!」

 

「備品って……えぇ、ヒドくない?」

 

「フン、口答えだけは一人前だな!」

 

「ま、いいわ!とにかく梅をアタシのアイドル力で倒せばいいのよね、カンタンじゃない」

 

「バカ者!」

 

「ま、またバカって言った…ってかマネ!さっきからアタシのコト、バカバカ言いすぎじゃない?アタシおバカじゃないんですケ…」

 

ビタンッ!(平手打ち)

 

「どぉ!!」

 

アイドルは顔が命ぃー!と叫びつつモモタスは勢いよく地面に転がった

 

「フン、何度でも言ってやる、キサマはバカだ、それも大バカだ、いや…ウルトラバカだ」

 

「う、ウルトラ…っ!!」

 

「ハッキリ言ってやろう、今のオマエではこの梅には勝てん」

 

「ハアァ!?な、なんですって!!アタシが梅に勝てない…!?フザケんじゃないわよッ!!」

 

「フン、口答えだけは一人前だな!ならばその身をもって教えてやろう、何故オマエが梅に劣るのか」

 

俺はモモタスの身体を正面から掴み上げて勢いよく落とし、モモタスの両足と己の膝を激突させモモタスのダブルニーをクラッシュした

 

ゴガァ!!(ダブルニー・クラッシャー)

 

「ぎゃー!!」

 

「わかったか?」

 

「わ、わかるかァァァァ!!ただ痛いだけじゃない!って痛い!ホント痛い!」

 

「ならばさらに言葉で説明してやろう」

 

…たしかに、同じ駆逐艦同士、そして姉妹艦、モモタスと梅の性能に大きく性能差はない、可愛さと言う名のビジュアル面でもモモタスは決して劣らないだろう…

だが、モモタスにはなく、彼女にはある最大の武器が……いや、凶器があるのだッッ!!

 

それはあの凶暴な上半身にあるッッ!!

 

胸部に搭載されたあの暴力的なサイズは彼女のベビー・フェイスと相まって相当な破壊力!さらに眼鏡を添えて……バランスが良く、驚異的と言わざるを得ない

ライブ・バトルになれば、並の中高生程度ならあのパイオツだけで釘付けに、いや、ギンギンにできるだろう…

 

「わかったか?」

 

「クッ!あのおっぱい女ァ〜…!」

 

「アイドルがおっぱい女とか言うんじゃあない」

 

対して、モモタスにそれはない、揺れるものなどないのだ

これは並の中高生からすればとても残念なものに映るだろう…

 

だが、おっぱいのあるなしは重量的なハンデとなり、余計な重量を背負う分、スピード感が出ず、パワーとスタミナが要求される…

 

「マネ!なんかないの!?ゼッタイ勝てる方法!」

 

「…勝ちたいのか?」

 

「勝ちたい!!」

 

ゼッタイに!と続けるモモタスの目に迷いは無く、輝きはある…フッ、まったく……不利な勝負とわかっていながらあえて挑戦を受けるとは、大した大バカ野郎だ!

 

「あるさ!ここにな!」

 

俺はポケットから若干クシャっとしたメモ帳を取り出した

 

「よぉーし!マネ!トレーニングよ!トレーニング!」

 

「フン、よく言った!だが…このトレーニングはかなり厳しいものだ、並のアイドルでも途中で脱落は免れないだろう、それをオマエが………いや」

 

この目、真っ直ぐなモモタスの目、フン、どうやら下手な脅しなど必要なかったようだな

 

「よし、トレーニングに出発する!着替えをまとめておけ、シャツとパンツの替えを用意して……いや、パンツは少なめでいい」

 

「なんでよ!!」

 

「アイドルのパンツは多少匂いと染みがある方が味がある」

 

「ヘンタイかッ!!」



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提督と超戦艦の誕生!

戦慄!!大和改二!

【登場人物】

提督(メガネ男子)
最近の悩みはなかなか自分の時間がとれないコト

大和(超戦艦)
たまにロー●ンでバイトしている人妻オーラのある戦艦
警戒して、人妻よ




超戦艦とは…ッ!

ひとつ 無敵なり!

ふたつ パイオツが大きく!

みっつ 決して轟沈することはない!

よっつ あらゆる艦娘の能力を兼ね備え、 しかも!その能力を上回る! そして!その形はギリシアの彫刻のように美しさを基本形とするッッ!!

 

「お…俺のせいだぁ!俺が大和さんに安易に3枚も改装設計図を渡してしまったからだぁ!」

 

「どうするんですか?」

 

「どうするんですか?じゃあない!!提督はうろたえない!」

 

「いや、普通にうろたえてるじゃないですか…」

 

秘書艦サミー子の冷静で的確な意見はいいとして、この場に居合わせた俺として、確かな事が1つだけある、確かな事が、それは………

 

ヤツは無敵になった!不老不死!不死身!誰も倒せない!!完全なる戦艦!アルティメット・バトルシップ・大和改二の誕生だああああああ!!!

 

ーーー

 

つい今しがた、スキップしながら鼻歌まじりにゴキゲンで執務室にやって来た大和さん、大和さんは執務室に来るなり改装設計図くださいと笑顔で手を出してきたので1枚渡すとなんか不満そうにその改装設計図をポッケにしまい、再び手を出してきたのでもう1枚渡すとその改装設計図を再びポッケにしまい、三度手を出してきた………笑顔で

 

「3枚か?甘いの3枚か?」

 

そう尋ねると、大和さんはニコニコしつつ首を縦に振り、そんな上機嫌な大和さんならもう1枚くらい渡してちょっと頼めばパ●ズリぐらいしてくれるかもしれない…

 

そんな欲望を考えつつ3枚目の改装設計図を執務机の引き出しから取り出した俺はその大事な大事な改装設計図を大和さんに手渡した…

 

まぁ…………その結果が今だ

 

謎の爆発によりとても風通しが良くなった執務室…

その、風通しが良くなった執務室の壁をブチ抜く大穴を背景に、今、超戦艦が誕生したのだっ!!

 

「ふぅ〜………生まれ変わった気分です」

 

大和さんはそう言って右手をグーパーグーパーして拳の感触を確かめ、トントンと軽快そうにその場でジャンプしている…

 

「お…オメデトウ」

 

「ありがとうございます」

 

俺のオメデトウに対し、素直に微笑みで返してくれる大和さん………なんだろう?この形容し難き違和感は、大和さんと言えばこの聖域において最大最強と名高き戦艦の中で誰よりも仁・智・勇に優れ、高潔さと慈愛の心を持つことから基地周辺の住人達からもまるでカミサマのようだと慕われている…

そして、俺もそんな大和さんを次期提督にと…………考えていた時期が俺にもありました

 

そう、大和さんの中にはこの地上を愛し正義を愛する大和さんとこの光溢れる地上を力で支配するというとてつもない野望を持つ邪悪な大和さん、2人の大和さんが居るのだ

 

「さっそくこの力を思う存分使ってみたいですね!提督!」

 

「え?あ?うん、そう?」

 

「使ってみたいですね!!」

 

たしかに、今は海域作戦期間中のまっただ中、きっと大和さんの出番もあるだろう、たぶん

大和さんは穴に向かってシャドーしながら、あー誰でもいいから殴りてぇ〜…みたいな不穏なコトを言ってハシャいでいるが、まぁ、気持ちはわからなくもない

 

「ちなみに大和さん、なんか動きが速くなってないか?」

 

「そうですか?まぁ、言われてみると高速戦艦になったみたいな気分ですね」

 

「高速戦艦…」

 

そういや設計図の他にも天津風の持ってた新型高圧缶とか地味に持ってたな、おそらくはオリジナルの新型高圧缶2つをツイン・ドライヴとして同期させたのだろう…

 

「あー!誰でもいいから殴りたいですねー!」

 

「大和さん、そーゆーの大和さんが言っちゃダメなセリフ!」

 

「提督!今から殴りっこしましょ!殴りっこ!ルールは目突き噛みつき金的ありで!あ、でもASSの穴への突きはなしで!」

 

「やだよ、あと、ヤマトナデシコの大和さんがASSの穴とか言うんじゃないよ!」

 

普段はヒマな人妻みたいにアンニュイな顔してマミー屋でティーしている大和さんだが、新たな力を手に入れ珍しくテンションがアガっているのだろう

 

「ブー!じゃ、武蔵とでも殴りっこしてきます」

 

「ヤメて!そんなお金とれるマッチをノーコンテストでやるのヤメて!」

 

大和VS武蔵………そんなの、無観客でヤっていい試合じゃあない………そんなッッ!!金の匂いがプンプンする試合ッッ!!是非!!僕に開催させてくださいッ!!

 

「じゃあ私は誰を殴ればいいんですか?」

 

「待とう、大和さん、まずはそのバイオレンスな思考は一旦置いて欲しい」

 

「五月雨ちゃん、私と殴りっこしませんか?」

 

「え?普通にイヤですけど…」

 

五月雨の心底イヤそうかつ冷静で的確な返答に大和さんは、あー!誰か殴りてぇー!と執務の壁にさらにダメージを与えた

 

「だいたい、最大・最強と名高い大和さんとヤり合える相手なんかいませんよ…」

 

()()はね…と余計な一言を付け加えつつ秘書艦サミー子は自分の淹れたコーヒーを啜り、中断していたらしいクロスワードパズルの本を開いて再開した…

 

「わかった、わかりましたよ大和さん、じゃ、とりあえずイ級でも殺りますか?はぐれイ級」

 

「そんな雑魚ミンチにしても面白くありません」

 

チッ、とりあえず近場の手頃なヤツでお茶を濁そうと思ったが……どうやら今の大和さんは最低でも鬼とか姫とかじゃないと満足しないらしい

 

そう、鬼とか姫とか……

 

あ、そういやいたな、近場で手頃な姫級が

 

「大和さん、ちょっと待ってて貰えますか?コーヒーでも飲んで」

 

「ちょっとしか待ちませんよ」

 

◇◇◇

 

「あの…………テイトク、コレ、どーゆーハナシ?」

 

自室のベッドで漫画を読みつつ股間が痒いなとカリカリしていたらなんかちょっとコーフンしてムラムラするなぁと思っていたら、テイトクからケイタイで今すぐ執務室に来い!来ないとテメーが自販機コーナーでサカってたオナ画像SNSでバラ撒くぞ!と、呼び出しと言う名の脅しを喰らいやって来た執務室…

 

「シッ!シッ!フッ!!」

 

なんかリアル・シャドーしてる戦艦がいるし…

ってかコイツ大和じゃん、マジコエー…

 

「よく来たなハルサメ」

 

「よく来たなじゃねーよ、なんだよ!ってかなんでワタシのそんな画像持ってんだよ!盗撮か!」

 

「盗撮じゃない提督だ、たまたま缶コーヒー買いに行った時になんかオマエがオナってたからつい撮影しただけだ、俺は美しいものを美しいと感じた瞬間を大事にするタイプだからな」

 

「いや、美しいとか……いや、ハズいコトゆーな!」

 

「まぁ、後でオカズにでもなるかなと思って撮ってみたが後で見返してみるとやっぱあんま使えねーと思ってガッカリしたがな」

 

「台無しかよクソが!!」

 

台無しかよ!とイキり散らし腕をグルグル回したが、イキり散らすなと左手でビンタされた

 

「イテェ!!!」

 

「まぁいい、とりあえずハルサメ………駆逐棲姫!大和さんとヤれ」

 

「ハアアアァァァァ!?」

 

「ハァー?じゃない、ヤれ」

 

「いやいやいや、ワタシ、アレだし、駆逐棲姫とかじゃないし、ほら!ハルサメ!白露型のハルサメちゃんだし!」

 

「やかましい、たまには誇り高き深海の戦士の誇りを思い出さんかい」

 

クッ!このメガネ…ッ!!自分の都合でワタシの正体がバレないよーにしてるくせに、こーゆー時だけ…ッ!

 

「大丈夫だ、大丈夫、お前は誇り高き深海の戦士なうえに地上で覚えたゼス●スもあるし明石の店で買ったナノテク満載のメカ・フットもある」

 

ゼス●スに関してはコイツへの恨みで発現したけどな!あの拷問の日々だけはマジ忘れない、コイツとプログ●スだけはマジで許さない

 

「提督!まだですかァァァァ!!」

 

「や、ヤバイ!!大和さんがもうガマンできねぇみてぇだ!」

 

「あと10秒だけ待ちます」

 

戦艦大和は10、9、8と自分でカウントを始めたが、普通に、ヒャア がまんできねぇ!と凄まじいスピードでこっちに向かって来たッッ!!

 

「クッ!!来るぞー!!覚悟を決めろハルサメぇ!!」

 

「えっ!?なんで!?ワタシ巻き込まれてるだけじゃない!?」

 

メキャア!!(大和パンチ)

 

戦艦大和のパンチを咄嗟に両腕でクロスガードしたが、たったイッパツで折れたのがわかった

 

「ウッギャアアアアアア!!折れたァァァァ!!」

 

「あー………良い悲鳴ですねぇ、もっと聞かせてください」ニマァ…

 

「ヤバい!テイトク!ヤバいよこの人!正義の味方が言っちゃダメなコト言ってるよ!」

 

 

この後、ハルサメは戦艦大和のパワーの前に岩山メリメリの刑に処され、誰か殴ってスッキリしただろうと思って安心していた提督の顔面を掴み、提督は地面メリメリの刑に処された…

 

2人を血祭りにあげ、なおも満足しなかったらしい戦艦大和は更なる美しき獲物を求めて基地を徘徊し、実の妹である武蔵を血祭りにあげようとしたが、清霜とリベッチオがフュージョンしたリベッシモとそれなりにイイ感じに勝負でき満足したらしく、途中でお腹が空いたからと自室に帰って行った…



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提督と群像死闘伝モモタス-ライブ・バトル編-

怒らないでくださいね、アイドル知識ないのにアイドルもの書くとかバカみたいじゃないですか?

【登場人物】

提督(マネ)
常に生気のない顔したマネ提督

桃(モモタス)
まさかの使い捨て展開ではなかったことに驚きを感じますね

梅(うめ)
松型姉妹の三女、メガネで巨乳、ノーザンプトンとキャラかぶり気味な点を気にしてる


ライブ・バトルッッッ!!

 

アイドルとアイドルが互いのPRIDEと人気を賭け己の人気と技術を競い合う伝統と格式のある決闘法である…

 

そしてこのライブ・バトル、勝者は称賛とオーディエンスを獲得し、敗者は地獄へと突き落とされるのが必定であり、古来よりライブ・バトルの勝者とは対戦相手よりも汗と血を流した方が勝つとまことしやかに囁かれており、まさに血で血を洗う血戦の名に相応しい決戦であり、血戦であるッッッ!!

 

ーーー

 

ライブ・バトル サバイバルシーズンッ!!

地上に地下に星の数ほどいる天下にまだ名を知らぬアイドル達が生き残り、そして勝ち上がり目指して戦う11ヶ月!!それこそがサバイバルシーズン!!

 

11ヶ月の間により多くのオーディエンスを獲得した者がファイナルシーズンに出場可!サバイバルシーズンを勝ち上がった次世代の超新星だけではなく既にトップ・ステージに立つ怪物達が唯一無二の称号、アイドル・ザ・アイドルの目指して覇を競うのだ…………

 

しかしッッッ!!今年は例年とは違うッッッ!!

 

 

『そんなの…アイドルがかわいそうだよねぇ…!』

 

 

自分自身アイドルが嫌いになる前に、誰にも越えられない最強のまま引退する!!

前人未到のライブ・バトル9連覇!!現役最強であるトップ・アイドル、NAKAさんはこのライブ・バトルを制し、10連覇を達成することで地球征服を完了であると宣言したのだッッッ!!

 

「…宣言したのだッッッ!!」

 

「いや長い!!マネ、導入が長すぎ!」

 

「やかましい、あとマネじゃない、提督だ」

 

遂にモモタスが迎えるライブ・バトル サバイバルシーズン初戦、今回のステージである町の運営する町民運動公園、その、特設ステージに俺たちは来ていた…

 

「いいかモモタス、今日までの教えを最大限に発揮しろ、お前なら勝てる、いいな?」

 

「わかってるわかってる!ハァー…マネ、それよかアタシ喉かわいた、水買ってきてよ、水」

 

「オラァ!!」

 

ドゴンッ!!(お腹パンチ)

 

「オゴォ!!」

 

「調子に乗るな未熟者めが、あとマネじゃない、提督だ」

 

俺の非貫通式お腹パンチを受け、お腹を抱えたままうずくまり光る吐瀉物を吐き出したモモタス、そうだ、アイドルはステージでは吐かない、吐くならバック・ヤードだ、心の中にある油断や慢心と共に全て吐き出してしまえ!

 

「…フッ、どうやらステージに上がる前から既に勝負は決まっているみたいね、桃」

 

光る吐瀉物をゲーゲーしていたモモタスの前に、何者かが現れた…

 

「キミは…?」

 

「あ、アンタ!梅…っ!!」

 

梅…っ!そうか、この子が………モモタスと同じく松型デビル・ファクトリー出身でありモモタスの実の姉

まだまだションベン臭いのがデフォルトである駆逐艦でありながらその凶暴な上半身は重巡にも匹敵する駆逐艦にあるまじき規格外のモンスター・サイズ…

 

「ステージに上がる前からこの勝負、私の勝ちは100%決まっているわ」クイッ!

 

そしてデータキャラにありがちな伝統芸、メガネ・クイッ!をマスターしてるとは…

 

「それはどうかな?」クイッ!

 

「フッ、アナタが桃のマネですか?ウワサだけは聞いていますよ、ウワサだけはね…」クイッ!

 

バチバチバチバチ!(メンチビーム)

 

「ちょっとアンタら、アタシ抜きで盛り上がらないでよ!ってか梅!アンタの相手はアタシなのよ!」

 

「フッ…桃、宣言してあげるわ、このライブ・バトルでアナタが勝つ確率は0%よ」クイッ!

 

「ハアアア!?なめてんじゃないわよこのブタ乳女ァ!返り討ちにしてやるわよ!!」

 

「フッ、相変わらず下品な言葉使いね、よくそれでアイドル目指すとか言えたものだわ」

 

梅は残念だけどアナタは明日から公務員目指して真面目に勉強してもらうわとメガネをクイッとしつつアデューと言いながら去って行った…

 

「キィィィィィィィ!!!あのブタ乳女ァ!マネ!アイツ絶対泣かす!100%泣かす!!」

 

「うむ!その意気や良し、熱意や良し!今日のデータは昨日のデータより勝る!あと、マネじゃない、提督だ」

 

俺とモモタスはガッチリとシェイク・ハンドを交わし、今から始まるステージへの熱意を確かめ合った

 

◆◆◆

 

「バ、バカなっー!こんな動き!これまでの桃のデータにない!2000プリズム……2500プリズム、3500プリズム!そ、そんな!まだ上がる…っ!5、5000プリズ……う、うわああああぁぁぁぁー!!」

 

 

『な、なんだぁ…っ!』

 

『アイドルって言葉はモモタスの為にある』

 

『みんなで推すから尊いんだ、絆が深まるんだ』

 

勝負ありッッッ!!の銅鑼と桃の叫びがステージに鳴り響き、モモタスVS梅、仁義なき姉妹のライブ・バトルの勝敗は決した…

 

「決着ゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

 

『う、う あ あ あ あ あ あ!勝ったのはモモタスだァー!』

 

 

ライブ・バトル サバイバルシーズン初戦、圧倒的不利かと思われたこの戦いを制したのはモモタス!!地方ステージにあるまじき5000プリズム力を叩き出しての勝利!

 

「ハァ…ハァ…ま、まさか、私のデータを超えるだなんて…」

 

ちなみに梅は対戦相手のデータはスピード・パワー・スタミナ・性格・好きな食べ物・性癖など徹底的に調べ上げるほどのデータキャラではあったが自分自身のことをまるでわかってなかったらしく、その凶暴な上半身を活かすパフォーマンスがまるでデキておらず、しかも致命的なまでに歌がド下手だった…

 

いや、ヤバいぐらいド下手だった

 

「よくやった、よくやったモモタス!」

 

「どーよマネ!アタシの実力は!」

 

ドゴンッ!!(お腹パンチ)

 

「オゴォ!!」

 

「調子に乗るな未熟者め、まだ貴様は勝ちの途中にすぎんのだ」

 

しかし地方予選に過ぎないサバイバルシーズンで、しかもその初戦で5000プリズムを叩き出すとは…

やはり彼女には才能がある、そしてセンス、さらに熱意もある…

 

そう、コイツならヤれる…!サバイバルシーズンを勝ち抜き、ファイナルシーズンの怪物達を蹴散らし日本一の頂へと至れる、そんな夢を、今日、彼女はこのステージに集まってオーディエンス達に見せてくれたのだ

 

 

モモタスはようやくのぼりはじめたのだ、この、果てしなく遠いアイドル坂をよ…



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提督とグレカーレと酷暑列島

週1ですらないスロウペースに転落中

【登場人物】

提督(メガネ男子)
寒暖差のせいでメガネが…

グレカーレ(メス)
社会と大人をナメたクソガキ、必殺技はメスガキシュート


記録的スピードでの梅雨明けと共に連日の酷暑に列島が震撼する今日この頃…

 

「ハーアッツイアッツイ、ねー!アタシ、ジェラート食べたーい」

 

「死ね」

 

「死なねーし、オマエが死ねハゲ」

 

「ハゲじゃない、提督だ」

 

クソ暑いのもイヤだが、連日の雨で買ったばかりのクルマが汚れるのはもっとイヤな今日この頃、執務室でダラダラしていたが、大してやるコトもないので洗車でもするかと駐車場にクルマを洗いに来たワケだが…

 

「ねー!ジェラート!ねー!聞いてんのかよザコ!」

 

「ザコじゃない、提督だ」

 

駐車場へと向かう道中、マミー屋でイタリア人どもがランチしているのを見かけた俺はザラ姉ぇに、ポーラ、明石のとこで隠れてワンカップ買って飲んでますよと懇切丁寧に教えた、イイコトした後は清々しいキブンだと鼻歌まじりに歩いていると日焼けしたメスガキ臭いのがスカートをヒラヒラさせながらこっちを見てニヤニヤしつつまとわりついてきた…

 

「うるせぇ!!」

 

ブシャァアッ!!(水道水アタック)

 

「ぶべっ!!ちょ、ナニすんのよコノヤロー!!ふざけんなよ!!あーもう!ビショビショじゃない!」

 

「やかましい、今日はイイ天気だ、そこらでボーっと突っ立ってりゃ乾くわい」

 

「ハァ!?パンツの中までビチョビショなんですけど!」

 

「あ?どうせ別に普段から穿いててもビチョビチョだろーが」

 

「ハアァ!?アタシがお漏らししてるっての!?訂正、いや、謝罪しろハゲ!」

 

「だからハゲじゃねーって言ってるだろーがこのクソガキがァ!!」

 

ギリギリギリギリ!(魔のテイトククロー)

 

「イダアァァァァァ!!痛い痛い痛い痛いィィィィーッッッ!!」

 

ただでさえアツくてイライラしてるのに、このバカガキのせいで余計にイライラするわい

俺の魔のテイトククローに顔面をガッチリとホールドされていたグレカーレだったが器用に足をバタバタバタつかせ、俺の腹に蹴りを入れてクラッチが緩んだ隙に魔のテイトククローから脱出した

 

「グゥゥ…!やりおる」

 

「ハーッ!ハーッ…!ナニすんのよこのメガネ!ザコメガネ!」

 

「ザコではない、提督だ……どうやらキサマにはより高度なわからせが必要なようだな」

 

子供は大人には勝てない、決してな、過ちを認め、次に活かす事ができる大人には…

 

「クソが!!どうやらこのグレカーレちゃんを本気にさせてしまったみたいね……ククク、プークスクス…本気に」

 

グレカーレはニヤニヤ笑いつつビチョビチョに濡れた服に手を突っ込み、まるで今、穿いてましたと言わんばかりのパンツを勢いよく脱ぎ捨てこちらに投げつけてきた

 

「オマワリさーん!コイツでーすー!」

 

「なんだとキサマ!やめんか!」

 

「キャー!●されるー!この人、やっぱりロリロリ駆逐艦オ●ナは最高だぜー!とか言ってるぅー!」

 

コイツ!!イカレているのか!そんなコトをしたら今までコツコツと築き上げてきた俺の“ハンサムで理解ある上司像”が崩れ去るじゃあないか!コイツ、社会的に俺を殺すつもりか!

 

俺はグレカーレを背後から羽交い締めの型で掴み口を塞ごうとするが、グレカーレのヤツはサメのように歯をガチガチして抵抗の意思をみせる!!

 

が!クッ!人が集まって来た…ッッッ!!

 

『あ、テイトクだ』

 

『やっぱロ●コンだったのね…行きましょう北上さん』

 

『テイトクはホ●、ハッキリわかるんだね』

 

『ロ●コン…?いや、ホ●は嘘つきと言いますしね』

 

ざわ…っ!ざわっ…!

 

クッ!!なんてコトだ…!この提督は植物のように穏やかに生きたいだけなのに大衆にこんな屈辱を!いや、大丈夫だ、そう大丈夫、こんなときこそBe cool、この提督は新緑の知将と呼ばれたcoolな男だからだ

 

「ハッハッハ!グレカーレくん!ハッハッハ!グレカーレ!ハシャぎすぎだよグレカーレクゥゥン!」

 

「クッ!コ、コイツ!」

 

俺は掴み上げたグレカーレの身体をミスミスミスと回し、まるで仲良しの親子がハシャいでいる体を装う策に出た

 

『なんだ、ハシャいでるだけか…』

 

『でもあの子、ノーパンですよ』

 

『外国の子だからススんでるんじゃないですか?』

 

『それな!』

 

よし!誤魔化せた感がある!良かった、バカばっかりで!それにグレカーレよ、キサマは既に致命的なミスを犯しているのだ………そう致命的な!

 

何故ならウチにはオマワリさんと言う名の憲兵などいないのだからなッ!!

 

どこで仕入れた知識かは知らんがマヌケめ、たしかに、海軍には悪徳提督による艦娘への淫行や悪行を抑制するべく一部の基地には“オマワリさん”と呼ばれる提督の権力の外にあり、絶大な戦闘力を有するKENPEIが配備されているらしいが…ウチにはその予算がないらしく、倉庫の隅で埃を被った残骸らしきものが転がっていた

 

「トアーッ!」

 

俺はグレカーレをミスミスミスしつつ上空に放り投げ、ついでに自分も飛び空中で放り投げたグレカーレの首にニードロップの形をキメつつ落下を開始した

 

「グエッ!!グェェェェ!!こ、こんな…っ!!」

 

「ぬうっ!!こやつ!」

 

キメていたニードロップを力ずくで外し、空中で脱したグレカーレは俺の腹に蹴りを入れてそのまま地上に落下した

 

「グハァ!!こやつ…どこにそんな力が!」

 

「ハッ!あんなのただの首へのニードロップじゃない!このグレカーレちゃんをナメんじゃないわよ!ハゲ!」

 

「フッ、どうやらオマエにはこのホースで直接直腸にわからせが必要らしいな…」

 

「やれるモンならやってみろクソハゲ!足クセーんだよ!」

 

このガキァ……ハゲだの足がクセーだの散々この提督様をナメやがって、どうやらそのナマイキな精神からわからせる必要があるらしいと考えていると、いったい何の騒ぎですか?と香取先生がやって来た…

 

「これはこれは……香取先生」

 

「ゲッ!センセイ!」

 

「提督…………と、たしかグレカーレだったかしら?マエストラーレ級の」

 

香取先生はとりあえず俺たちを一瞥し、軽く考えた後に首を小さく縦に頷いた、さすがは香取先生だ、どうやら一瞥しただけで今のこの状況を“理解”してくれたのだろう…

 

「だいたい事情は察しましたが………そうですね、提督、ここでお話しするのはなんなので、どこか涼める場所へ移動しては?」

 

「そうですなぁ」

 

「ナニがそうですなぁ、よ!ってアタシのパンツ返して!」

 

「あ?あぁ、テメーのクソ染みのある小汚いパンツな、ほれ」

 

「ハァ!?染みてないし!アンタこそ小便のついたジッパー野郎でしょ!ざぁこ!」

 

「ハイハイ、話は冷たいモノでも飲みながら聞きます、いいですね?」

 

 

この後、香取先生と共にマミー屋で冷たいティーを飲みつつこの国際問題児について話し合い、グレカーレのヤツはうるせーよ!ってかパフェ食べていいべ?ね?パフェ頼んでいいべ?とまるで反省の意思を示さず、とりあえず同じくマミー屋にランチに来ていたイタリア人の良心と噂されているリットリオことイタリアに意見を求めると、イタリアはスイマセンスイマセンとウチの子がスイマセンでも根は良い子なんですと何度も頭を下げるその姿とその躍動感のあるパイオツに母を感じた

 

ちなみに、グレカーレはうるせーよ!テメーはアタシのママンかっーの!とあまり反省していなかったが、後でローマから前歯を折られて床を転げ回っていた



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ようこそ 健全鎮守府⑨

健全回その9

【登場人物】

陸海少尉(童●)
若き凡才、新聞沙汰になってから同期からいらん連絡が増えたり着拒されたり…

五月雨(秘書艦仮)
いちいち言葉のふしぶしに鋭利なカミソリが含まれ気味のカミソリ秘書艦



「身分の違いを教えてやろう、この場にいる者、全てに」

 

いやがらせ演習五連戦の最終戦、ヨコスカ、マイヅル、クレ、サセボのトップエースと名高い歴戦の提督になすすべくもなく完全試合も含む四連敗を喫し、迎えた最終第五戦、兵学校で同期だった因縁の相手を前に、これまでの戦術を全て捨て、新たな戦術眼に目覚めた陸海少尉

昼戦をほぼ完封でシャットアウトし、迎えた夜戦ではここまで温存していたであろう秘密兵器の力を遺憾無く発揮して第五戦の勝利を収めた…

 

 

某月、海軍スポーツより抜粋…

 

ーーー

 

「ムツミ・マジック、キレッキレの采配ハマる」

 

「もうヤメて……いや、ホントヤメて」

 

先日行われた演習五連戦から早三日、海軍御用達エキサイトスポーツ紙を眺めつつズゾゾォォとパックの野菜ジュースをストローで啜っていた五月雨は特に興味もなさげにその紙面をデスクに置いた

 

「陸海少尉の今後の動向が注目されてますよ」

 

「今後、ねぇ…」

 

演習最終戦、実質、この秘書艦がチームの指揮を執って勝利を収めたワケだけど、対外的には僕が指揮をしたコトになっており、海スポなどで大きな扱いを受けている…

 

僕は提督と言っても研修中みたいな身だし、ここでの研修期間ももうじき終わりになる

 

「とりあえず中央から偉い人が来るみたいですし、そこで進退とかなんとかなんらかのお話がありそうですね」

 

「言い方ァ!」

 

ナニが進退だよ、まるで僕がなんかやらかしたみたいじゃないか…

いや、まぁ、たしかに僕の今後に関しての話はあると思うんだけど、考えられる未来はだいたい3つ……

 

①このままここで正式な提督に就任

②別の基地で正式な提督に就任

③クビ、現実は非情である

 

僕がマルをつけたいのは普通に②だが、僕に決定権はないし、それに……

 

「どうしました?」

 

「いや……別に」

 

①の選択肢もないワケではないけど、正直、この髪長秘書艦を始めとし、この基地に巣食う艦娘達を上手くやっていける自信はない…

 

「………まぁ、なるようにしかならないか」

 

「提督(仮)、コーヒー飲みますか?」

 

「遠慮しておく」

 

◆◆◆

 

「あーもしもし?ワシワシ、ワシだよワシ、あーそうそう、ワシ」

 

海軍中央司令部、梶輪大将の執務室…

先日の公開演習の件で聞きたいコトがあると呼び出されたヨコスカ所属の川奈大佐とその秘書艦叢雲…

 

「ヒトを呼び出しといて電話してるとかないわー」

 

「叢雲」

 

「ハイハイ、口が悪くてスイマセンね」

 

川奈大佐の秘書艦である叢雲は誰が見ても心のこもっていない反省の弁を述べたもののこの場に居る誰もが気にしていなかった

 

「あースマンスマン、で?なんのハナシだったか?」

 

「いや、呼び出しといて用件忘れるとかないでしょ…」

 

「ま、軽いジョークじゃ、小粋なテイトクジョーク」

 

「…」イラァ…

 

「叢雲」

 

「…わかってるわよ」

 

イラっときたものの、とりあえず自分の提督に軽く諫められた叢雲はテーブルに出された麦茶を飲んで気分を落ち着かせようと思ったが出されていた麦茶は微妙にヌルかったのでちょっと微妙な気分になった…

 

「で、川奈、オマエ的にはどうだ?陸海は…」

 

「狂犬の血脈ですね」

 

「そうか〜」

 

梶輪大将はそうかそうかと頭を掻き、ま、しゃーなしだのとタバコに火を点けた

 

「陸海少尉はこのまま続投ですか?」

 

「フーッ〜…いや、そうはならんじゃろ」

 

さすがに荷が重いと付け加え、紫煙を吐き出した梶輪大将だったが、叢雲から露骨にイヤな顔をされて無言で大将の背後にある窓を全開にされた

 

「ま、陸海はどっかテキトーなトコで裸一貫、大提督に俺はなる!とガンバってもらうわいガハハハ!」

 

「ガハハハじゃないわよこの駄オヤジ、悪質な新人潰しか!」

 

「新人潰しとは人聞きが悪い、オイ川奈、オマエの秘書口悪すぎくないか?なぁオイ」

 

「…若干口が悪いのは認めますが」

 

「ヒドくない!?」

 

ただ、それを含めて俺の秘書艦は彼女しかいませんから…とナチュラルに一言付け加えられるのがイケメン提督…

 

「梶輪大将」

 

「なんだ?」

 

「陸海少尉を動かすとなると、あの基地には今度は正式な責任者が?」

 

「フーッ〜…オマエ行くか?執務室にエアコンついとるぞ」

 

「お断りします、過度なエアコン苦手なので」

 

「カッカッカ、小粋なテイトクジョークってやつだ、カッカッカ!」

 

「…それで?誰が行くんですか?」

 

「ま、そこは今、鋭意調整中ってヤツだな」

 

「調整中ですか」





次回、健全鎮守府最終回


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提督と夕張と石造りの世界

夏です、暑いです、脳みその仕事リソースが多いせいか、いつもより頭がおかしい感じです

【登場人物】

提督(パワータイプ)
テクニカルな技はあまり得意ではなく、とにかくパワーで押すタイプ、スーパーアーマーもない

夕張(狂気の天才軽巡)
未来夕張とはまた違う未来




深海棲艦と人類存亡を賭けた激しい戦い、その、アツく、ハゲしい戦いの最中、世界中に突如として降り注いだ謎の光!その、謎の光は人類も、深海棲艦も、あらゆる生きとし生けるものを石化させた…!

 

そして、謎の石化光線から2万年後………

 

「なんじゃあァァァァ!!こりゃあァァァァ!!」

 

提督は死滅していなかったッッッ!!

 

丁度2万年、夏の暑さにうなだれつつ喫煙所でタバコを吸うかと基地内を歩いていたところ、海防艦のバカガキにアイス!アイス奢ってくれっしゅ!と付きまとわれ、あまりのウザさにスピンダブルアームでミスミス回していたところ、謎の石化光線を浴びた提督はミスミスしつつ石化してしまい、色々あって2万年後の今、石化から復活したのだった…

 

そして…

 

「あ、テイトクじゃないですか!やっと復活出来たんですね!」

 

「ゲェーッ!お、オマエはーッ!!」

 

提督よりも先に石化から復活していたらしい夕張は弥生人ルックでこのストーン・ワールドを満喫していたらしく、提督が石化から復活できたのも夕張のおかげらしいと夕張から懇切丁寧に説明を受けた

 

「で?これからどーすんだオマエ、人類どころか文明滅んでんだぞオイ」

 

「大丈夫です!人類と文明は滅んでも科学は滅んでません!科学があればなんとかなります」

 

「科学ねぇ…オマエ、でも科学っても電気もガスも水道もねぇし、インターネットもなけりゃ歩いて5分のコンビニもねぇんだぞオイ」

 

「大丈夫です!科学は全て解決します」

 

夕張は、手にしていた石のナイフを舌でペロリと舐め、この世界、人類も深海棲艦も文明も科学の力でもれなく救ってあげますよぉ〜…と謎の自信に満ちていた

 

「唆りますね!」

 

「オマエ、なんでそんな元気なんだ…?」

 

「ところでテイトク、その…腕にガッチリハマってるオモシロオブジェはなんですか?ストーン・オシャレですか?」

 

「オモシロオブジェじゃねーよ、たぶん占守クンだよ!っーか重いんだよコイツ、なんとかならねーのか?」

 

「ハマってる腕をブチ割ったら取れますよ」

 

「いや、さすがに石化中とは言え提督としてはさすがにそんな残酷な事はやりたくないな…」

 

「そうなんですか?」

 

◆◆◆

 

「ところでテイトク、テイトクを復活させて人手はちょっとアップしましたが、根本的に科学で世界を救う為には人手が足りません、あと、この世界、そこら辺に300キロを超える虎とかアームライオンとかウロウロしてます」

 

「ヤバいじゃねーか!!」

 

「そこでなんですが、やはり私とテイトクだけでは些か暴力パートに不安があるので、暴力パート担当の人を復活させてみようと具申します!」

 

「暴力パート担当か…」

 

さすがにこの原始生活で野生の虎だのライオンだのはいくらなんでも分が悪すぎる…

 

「一応、野生の猛獣にも勝てそうな石像に2人ほどアテはあるんですけど…」

 

誰だよそんな野生の猛獣よりヤバいヤツ、夕張は木の板みたいなものを取り出し頭をガリガリ掻きつつ木の板に書いた内容を読む…

 

「まずは金剛さん」

 

「ダメだ」

 

「ダメですか」

 

金剛だと?冗談じゃない、あんなヤツを復活させたが最後、この世は力と暴力が支配する世界になるわい、ヤツはこの先も永遠に石となり宇宙の闇を旅すべきだろう

 

「あとは長門さんですね」

 

「長門か…」

 

グゥゥゥム、正直、金剛よりも命の危険を感じずに済みそうだが、個人的にはヤツも些かアレだしな……

 

「…が、仕方あるまい」

 

背に腹は代えられないと言うヤツだぜ

 

「じゃ、長門さんに復活液をBUKKAKEますよ」

 

「オイ、その復活液って余分にないのか?」

 

「余分と言うほどはないですね、せいぜい長門さんとあと1人分ってとこです」

 

「よしわかった、ならもう1人分はこの俺の腕に付いたオモシロオブジェにBUKKAKEろ、重くてかなわん」

 

◆◆◆

 

「300キロを超えるトラにスープレックスだあっ!」

 

「やっぱ怖いっしゅね、戦艦は」

 

復活液をBUKKAKE、遂に復活した鉄の城!最強の戦艦は誰か?大和、武蔵、アイオワ……いつの時代にも尽きる事のない最強論ではあるが、ただ一つ、ただ一つだけ確かな事がある…最強論を唱える誰しもが確かな確信を持ち、その言葉で締めくくる…

 

“まぁ…ステゴロなら長門でしょう…”と…

 

「フッ…オマエ達に約束しよう、この長門がいる限り、これからオマエ達に危機が訪れる事はない」

 

「さすが長門サン!100億パーセントやべーっス!」

 

「フッ、たのもしいやつだ…!」

 

「ああ!この俺が神に感謝することがある、奴が敵ではなかったことをな!」

 

暴力パート担当、長門を復活させた俺たちはこれから科学の力で復活液を量産!文明開化の夜明けは近いぜーッ!と喜びを分かち合った…

 

しかし、それが間違いだったコトに後日、俺たちは気づくことになる…

 

長門復活から一ヶ月、相変わらず占守のバカがアイス!アイス的なモン食いてぇーっしゅー!とウザがらみしてきたある日…

 

「なぁ、同志提督よ」

 

「なんだ?あと、同志じゃねーから」

 

「このストーン・ワールドは美しいと思わないか?」

 

「そうか?俺は原始的な生活より、エアコンの効いた快適なオフィスでエ●トピア読んでいたいがな」

 

「フッ、まぁ考えてみろ同志提督よ、今、このストーン・ワールドは汚れなき世界なのだ」

 

「そうだな、2万年も経てば環境汚染も多少は改善されてるわな」

 

「そう言う意味ではないぞ、同志提督よ」

 

「じゃ、どーゆー意味だって言うんですか?あ?自然とか緑溢れる地球が美しくないっーならデ●ルガンダムだっていらねーっの」

 

「…同志提督よ、この、ストーン・ワールドは今や我々しかいない世界であり、復活液は我々の手の中にある」

 

長門は長門らしからぬ知的な笑みを浮かべてなにやら歩き出した…

 

「つまりだ、今、我々はこのストーン・ワールドで復活液を使い、キャワイイ駆逐艦や海防艦のエンジェルスだけを選び、復活させる事ができる…っ!」

 

「コ、コイツ…!!」

 

真性ロ●コンのペ●野郎だとは知ってはいたが…ッ!!コ、コイツ…!なんてことを考えやがる…っ!イ、イカレている!!

 

「この穢れなき楽園に穢れなきエンジェルスだけを復活させる………楽園(エデン)だ、争いも、奪い合いもない、そんな世界…」

 

「な、長門ッッッ!!!」

 

「どうだ同志提督よ?最高じゃあないか?」

 

ダメだコイツ、早くなんとかしないと…

っーか復活液の作り方とかなんとかを知ってるのは夕張なんだが…

 

「まぁ、とりあえず夕張に相談したらどうだ?」

 

「そうだな」

 

そうして、恐るべき野望………ナガト帝国の野望を秘めた長門は夕張に同じ提案をしてみたが……

 

「え?フツーにイヤですよ、科学の力でもれなく全員助けるんですから」

 

フツーに断られた

 

「そうか、なら…………死ぬしかないな」

 

「え?マジですか!?ちょ、テイトク!長門サン、頭がおかしくなったんですか!?」

 

「いや、コイツは最初から頭がおかしいんだ、悔しいんだろうが仕方ない」

 

「やっぱ怖いっスね、長門型は…」

 

ハッキリ言って、俺、夕張、占守クンでは長門には到底かなわないだろう、ヤツの強さは常軌を逸している…

300キロを超えるトラにジャーマンスープレックスするだけでなく小型のヘリ・コプターでもジャーマンスープレックスだあっ!してしまうような怪物に勝てるわけがない

 

「…仕方ないですね、しかし長門さん、私はアナタには協力できません」

 

「ほぉ……この長門がこれ程頼んでもか?」

 

「ハイ、私にとっては科学の力で全員もれなく救うコトとテイトクにア●ル責めをされるコトだけが大切なので、全員もれなく救い、なおかつ、テイトクのア●ル隷奴になる!それが科学なんですよ」

 

「そうか…」

 

…コ、コイツもイカレてやがった…っ!!夕張のヤツ、なんか夜な夜な木を削ってなんかエグい張型を作ってるなと思ってはいたが……

 

「待て待て待て待て!ちょっと待て!な?2人ともちょっと待とう!な?長門、夕張を殺ったら復活液の作り方がわからなくなるぞ?」

 

「むっ…」

 

「夕張、長門がいなくなったら俺たちはベンガル・トラの餌になるしかないんだぞ?」

 

「大丈夫です!ベンガル・トラくらい科学の力ですぐに抹殺してあげますよ!この地球からね!」

 

脳みそが頭に詰まってないのかコイツはッ!!!

 

 

この後、夕張は長門から長門には陸奥の知らぬ技がある…と喰らってはいけない大技をその身に喰らい、崖から転落、水没KOされた……

 

正直、死んだと思ったが、水没KOならたぶん生存フラグだろう…

 

そしていつの日か、夕張は甦るだろう、ナガト帝国を打倒する為にッッ!!



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続続続続続続続続続続続続続続続続続・提督(代理)と新人と面接

提督もニセ提督もいない新人回、あと、未だにショーナンくんはいません

【登場人物》

伊201(潜水艦)
フーミンのお姉さん、フーミンより目ツキが悪いがフーミンより態度は悪くない

早潮(駆逐艦)
些かビッチ臭が漂うライト系ガール、センパイの鈴谷サン、ウリやってるらしいってウワサだよ、ヤバくね?

倉橋(海防艦)
御蔵型の姉妹、御蔵型特有のやらしいスカートに疑念を抱いているがそれはゲスの考えだと改めた

Maryland(Big7)
政府から掠奪を許された世界の海軍問題児7人の1人、コロちゃんの妹らしく、コロちゃんと同じ低身長でもパイオツはMAJOR級、以前、海軍のスーパーポリスアカデミーでアイオワにケンカ売りお腹パンチされて漏らした悲しい過去がある


前回までのあらすじ

書いてる人がだらしないせいで未だ基地に戻って来ていないハンサムな提督、未だ戻って来てはいないものの、イベント海域は絶賛開催されるし新人だって配属される!

前回、とりあえず替え玉提督を用意した結果、新人達に深いトラウマと決して癒えない傷を負わせたコトに関して心を痛めた秘書艦サミー子は、今回は替え玉とか使うのはヤメ、いないものはいない、いないものの話はよせ!と心を改め今回の新人面接に挑むのであった…

 

 

 

「…と言うワケで、今回は提督の代理、よろしくお願いします」

 

「五月雨ちゃん、全てこの大和に任せて貰って大丈夫です!私が提督の代理、ふふ……光栄なコトね、いえ、今日の私は提督の代理ではなく提督そのもの!もはやオイボレの帰るところなどない、この海上の全ては我が手にあるも同然!あははは…ハハハハハ、ハーァッハッハッハ!」

 

前回、替え玉提督作戦は失敗したので今回はとりあえず提督の代理で新人面接してくれるヒマでやる気のある人材を基地内で募集したサミー

すると、募集してすぐに壁に貼ったポスターを握りしめてやって来たのは最強の声が高い戦艦を超えた超戦艦、大和さんであった…

 

大和さんはやります!私!提督の代理やります!とメッチャ息巻きグイグイきたので大和さんにとりあえず提督なりきりセット(制服)を貸し、今回の面接は始まる………

 

ーーー

 

「私が潜高型の長女、伊201よ」

 

夏の新人面接4連戦、大事な大事な初戦

まず最初に迎えるはどこかで見たことあるような気がする超絶美形潜水艦…

 

「潜水艦ね!!私が、この基地の絶対支配者、提督よ!!」どんっ!

 

「え?ぜ…ぜったいしはい……アレ?ここ、司令官は女の人…?いや、と言うかアナタ艦娘…」

 

「そう!!私が提督よ!!」ドヤァ!

 

とりあえず、自分が提督である事に関してグイグイくる大和さんにちょっと圧が強すぎるんで、ちょっとグイグイきすぎてますからと秘書艦サミー子は提督代理(大和)をたしなめた…

 

「…あの、よくわからないけど、あ、たしか妹が先に来てると思うケド…」

 

「妹?アナタ妹がいるの?私にもいるわ!!武蔵って言うんだけど!!」どんっ!

 

「やっぱりアナタ艦娘ですよね!?しかも戦艦大和さんですよね!?」

 

「…伊201さん、たしかにこの人は泣く子は黙るし笑う子はもっと泣く戦艦大和さんですが」

 

秘書艦サミー子は伊201に現在提督は不在であり、とりあえず今回は大和さんに提督代理をお願いしていると懇切丁寧に説明すると伊201は若干引き気味ながら理解してくれた…

 

「なるほど…わかりました」

 

「理解が早くわからせが必要なタイプでなくて助かります」

 

「あの……ちなみに、なんで提督はいないんですか?」

 

「まぁ色々ありまして」

 

「はぁ…色々」

 

伊201はわからせが必要なタイプではないので色々と察してくれた…

 

「アナタ、伊201クンだったわね!!」

 

「え?あ、ハイ」

 

「とりあえず履歴書的なものを見たけど………ま、私からすればザコね、私とは神と虫ケラほどの差があるわ!!」

 

「えぇ………ま、まぁ、そりゃ戦艦大和さんから見たら…」

 

「でも大丈夫よ!私は、いえ!提督はどんなザコでも見捨てたりしないわ!だって私は提督!万人に優しく神のような存在なのだから!」ドヤァ!

 

「あ、ハイ…」

 

「とりあえず下で徹底的に痛めつけ……鍛えてあげる!大丈夫よ!私が提督なんだから!すぐにザコから使えるザコになるわ!」

 

「伊201さん、当基地では潜水艦は潜水艦で独自の育成プログラムがありますから、とりあえずセンパイ潜水艦がここのルールとか優しく教えてくれます」

 

「そうなんですか…と言うかこの提督代理、ちょいちょいイラっとくるんですけど」

 

「提督代理は基本的に良い人なんですけど最強過ぎて弱き者の気持ちがわりと理解できない系なんです、基本的に良い人なんですけど」

 

早くも人選を失敗した感を覚えつつも提督代理へのフォローを忘れないあたり、秘書艦サミー子は秘書艦の鑑であった…

 

ーーー

 

なんか微妙な空気を醸し出しつつ初戦を終え、続く新人面接2回戦…

 

「はい!あたしが陽炎型駆逐艦五番艦、早潮!浦賀生まれ!提督!よろしくね………って、え?テイト、ク?」

 

「そう!!私が!!!提督です!」どんっ!

 

「えぇ………いや、提督ってか、え?この人、戦艦大和じゃ…」

 

夢と希望をその胸に抱き、ついに艦娘として配属されたその基地で待っていたのは若くてイケメンな提督ではなく、なんかグイグイくる戦艦だった…

 

「たしかにこの人は大和さんですが、今日は提督が不在なので提督代理をお願いしています」

 

「あ、そーなんだ…」

 

秘書艦サミー子から懇切丁寧に説明を受けた早潮はとりあえず納得したらしくウンウンと頷いた

 

「え〜…アナタは陽炎型の駆逐艦ね、ふむふむ……まぁ履歴書的なものを見る限り………ザコね!私とは神と虫ケラほどの差があるわ!」

 

「いや、そりゃ戦艦大和から見たら大抵の娘はザコなんですけど…」

 

「でも大丈夫!アナタは下で徹底的に鍛え直してあげるわ!なんと言っても提督は白ギャルとかビッチとかいかにも遊んでそうな娘に超厳しいコトに定評があるから!!」

 

「ちょ、待ってよ!なんで初対面でいきなり遊んでそーとかディスられちゃってるの私!?」

 

「提督の勘よ!!」

 

「うわ……五月雨ちゃん、私、初対面だけどすでにこの人嫌いになったんですケド」

 

「大丈夫です、本物の提督の方がもっとゲスチンヤローなので」

 

「ウソでしょ!?………うぅぅ、私、ここでやっていけるのかなぁ」

 

「さぁ?とりあえず親潮さんとかワリと真面目にやっていけてますし」

 

「へぇ〜…ま、親潮は元々真面目系だし」

 

「まぁ、そんな親潮さんが下着の色は攻めまくりなコトに提督は心を痛めてましたね」

 

ーーー

 

戦慄のスーパースター集団、陽炎型姉妹を迎え、続く折返しの3人目…

 

「海防艦、倉橋です、御蔵型の五番艦です…」

 

「ザコね!!」

 

「やま……提督代理、いきなり失礼カマすのはヤメてください」

 

秘書艦サミー子の冷静で的確な意見を素直に聞いてくれたのか、提督代理こと戦艦大和はわかったわ!何故なら私は提督だから!と力強く右手の親指をグッと立てた

 

「私はこの基地の絶対支配者であり全ての艦娘の頂点に立つ存在、提督よ!!」

 

「…は、はぁ……?」

 

「楽にしていいわ、秘書艦!ハイ!秘書艦!この子にジュースでも入れてあげて!ジュース!クラパシちゃんだったかしら?オレンジジュースでいい?それともカル●スがお好みかしら?」

 

「オレンジジュースでいいです…あと、クラハシです」

 

絶対支配者的には小さい子には優しくしてみようと実践してみたが、あまり意味はなさげだった…

 

「クラパシちゃんは海防艦ね、うんうん…!いいわね!青春してるわ!!クラパシちゃん!まずは下からスタートね!」

 

「下…?あの、下って…?」

 

「ファームのことよ!ウチはどんなゴミクズでも見捨てない!徹底的に鍛え上げ殺戮の為にマシーンに仕立てるカリキュラムを準備しているわ!」

 

「…ゴミクズ」

 

「でも大丈夫!!私がいる!!」

 

「あの……提督はちょっと黙ってて貰えますか?倉橋ちゃんのメンタルがちょっとアレなんで」

 

ーーー

 

夏の新人面接回、これまで潜水艦→駆逐艦→海防艦……ジュニア級やライト級が続いていたが、最終戦、MAJORから大型新人が来てくれたッッ!!

 

「Hi! Colorado級戦艦、二番艦、USS Marylandよ!そうよ、Big7ってわけ!!」ドヤァ!

 

「そうですか」

 

「アナタがAdmira………?アナタ、Admiralじゃないわよね?」

 

「ハイ、ただの秘書艦です、ただ今、提督もニセ提督も提督代理も不在なので急遽私が面接させていただきます」

 

「不在って………このBig7、いえ!Big7中でも最も強さと美しさを兼ね備えたBig7のリーダー的存在であるMarylandサマがわざわざ着任のアイサツに来てあげたのよ!!」WANA-WANA

 

「それは失礼しました、提督には後で私からよく言って聞かせますので」

 

「そう!!それならいいわ!」

 

夏の面接回最終戦、前3人の対応に対してさすがに思うところがあった秘書艦サミー子は提督代理に今すぐ近くのコンビニでミネラルウォーター買ってきてくれませんか?フランス産の、硬水のやつと懇切丁寧に頼み、提督代理は最初はイヤそうな顔をしたが提督にしか頼めない重要なコトなのですと付け加えるとしょーがないですねー!と出かけて行った…(ちなみに、近くのコンビニにフランス産で硬水のミネラルウオーターは売ってない)

 

「えー……メリーさんはたしかコロちゃんさんの妹でしたっけ」

 

「コロ……?あぁ、バカ姉貴のコトかしら?」

 

「そうそう、来た早々自分がBig7であるコトをドヤってる感とがそっくりです」

 

「フッ、私たちを同格に見るのはやめてもらおうかしら?」

 

メリーさんはフッフッフと笑いつつ腕を組んだ

 

「何故なら最強はアタシ!このアタシなのだから!!見てなさい、アタシはColoradoみたいにチンケな島国のヤツとか英国野郎に負けた情けない姉とは違うってコトよ!」

 

まずはアイサツが必要ね!!他のBig7を今すぐここに呼びなさい、誰がBig7のリーダー的存在なのかわからせてあげるわ!と机をバンバン叩いた

 

「やめといた方がいいですよ」

 

「ハアァ!?なんで!?」

 

「いや、そーゆートコ、ホントにお姉さんそっくりですよ、ホント、と言うかそのやらしい制服なんなんですか?胸回りとかもう捲ってくださいって言ってるみたいなモンじゃないですか、sex appealですか?」

 

「違うわよ!!ってかムダにイイ発音!」

 

「まぁ、他のビッグ7の人にケンカ売るのはいいですけど、あまりの恐怖にオシッコ漏らしたりしないでくださいね」

 

「漏らすか!!全員ボコボコよ!ボコボコ!!」

 

後日、とりあえずナガートね!ナガートから殺るわ!と勢い勇んでナガートのいるトレーニング室に行ったメリーさんはバーベルに潰された

 

◆◆◆

 

近所のコンビニ………

 

「ラッシャマセー…」

 

夏だってのに今日は近所のコンビニでバイトだよチクショウとテンション下がり気味なジョンストンはレジでスマホを見つつイライラしていた…

ちなみに、姉のフレッチャーは裏でドリンクを補充中…

 

「ま、ナニよその接客態度!ホントにこの地域のコンビニは民度が低いですね、絶対支配者であるこの提督をもてなす態度なの?それが」

 

「…」イラァ…

 

「客の前で爪を噛まないではしたない……ミネラルウォーターはないの?フランス産の硬水のやつ!こっちは急いでいるのよ!」

 

「このアマァ…」

 

「Drinkの補充は終わったわ、どうしたの?Johnston?」

 

「やってられるかー!!Fletcher!アタシ、バイトやめる!!」

 

「急にどうしたの!?」



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提督と由良とBBQ?

頭痛が痛い(3日目)…
いや、ホント、もう勘弁して欲しい

【登場人物】

提督(薄型メガネ)
紳士道を尊ぶ紳士的提督、巨乳好き

由良(由良さん)
かつては絶壁と言われた時代もあったが最近はわりと盛られる感がある疑惑の軽巡、提督からは特に変わらず絶壁扱いされる事に殺意を抱いている



夏!クソ暑いのだか梅雨戻りしているのかよくわからないそのステキな天候が提督を行動させた…ッ!

 

とりあえず明石の店で菓子パンと缶コーヒーを買い、基地体育館の裏にあるベンチで水着でウロつく艦娘でも眺めて各人の健康状態が“良好”であるか否かをチェックしようと考えた…

 

「ふむ…」

 

10点(朧)

20点(曙)

45点(潮)

10点(伊47)

2点(白露)

30点(竹)

 

どいつもコイツもまだまだ熟しきっていない、まだ青い果実………狩るか、いやいやダメダメ、我慢我慢と菓子パンを齧っていたその時……

 

95点……

 

背後に感じたその脅威に、思わず臨戦態勢で振り向いた…!!

 

「ね?ナニしてんの?ね?」

 

「なんだ由良さんか」

 

「なんだとはゴアイサツね?それは殺してくれって意味でいいのかしら?」

 

「いいワケねぇだろ、まったく、由良さんはいつだってバイオレンスだな」

 

俺は小粋なテイトクジョークを交えつつ冷静に、そして正確かつ精密に由良さんとの距離を測る…

俺の射程は最大15メートル、しかしそれは蛇使い座の詠唱を完璧に唱えた限定的条件に限り、そうでないなら射程2メートルがいいところ、この状況ならノーモーションから撃てる最速最大の技となるとスネーク・バ●トだが由良さん程のレヴェルの相手となると必殺に成り得ず、手痛い反撃は必至…

 

奥の手とも言える必殺の邪●もスリー・セコンド先が視えている由良さんには通用しない…

 

まさしく由良さんは俺にとって最悪の相性と言っていい…

 

仮に、基地内でルール無用のデスマッチを挑まれたとして……“強い”のは金剛だが、“怖い”のは由良さんを措いて存在しないだろう

 

「今から姉妹でBBQするの、提督さんも来る?」

 

「行かない」

 

「なんで?」

 

「俺は由良さんが嫌いだからだ」

 

「そうなんだ、由良も提督のこと嫌いだから一緒だね?ね?」

 

既に俺たちの間合いは互いに必殺の間合い、先の先を打つか後の先をとるか…

由良さんにとって暴力はまるで息をすることぐらい自然な行為に過ぎず、それ故に由良さんには常人が攻撃的行動をとる際に発する気のようなものが感じられない為、攻撃を開始する瞬間がわかりにくい…

 

むしろ、由良さんの全ての動作が攻撃と思うのが対由良さんにおけるセオリー…

 

「そもそも何故俺が由良さん達仲良し姉妹のバーベに参加せにゃならんのだ?そーゆーのは姉妹仲良く、水入らずでやるから尊いんじゃないか?姉妹でやるから絆が深まるんじゃないか?」

 

「大丈夫大丈夫、提督1人増えたぐらいじゃ誰も文句言わないし、今、鬼怒と阿武隈が自分達が行きますって志願して肉を買いに行ってるから由良達は準備しないと、ね?」

 

買いに行かせてるの間違いだろう?由良さんのコトだ、自分には決して歯向かえない従順な妹達にドン引きするほど紙幣を手渡し、これで美味しい肉買ってきて、ね?といらんプレッシャーを与えたに違いない…

 

今頃、鬼怒と阿武隈は本当にこの肉でいいの?でも高価いやつだし、たぶん美味しいと思うけど…バカヤロウ!死にたいの!?たぶんじゃダメなのよ!たぶんじゃ!!と恐怖と絶望と疑心暗鬼で涙しているだろう

 

「しかしねぇ…」

 

「しかしもナニもない、早く行きましょ、ね?」

 

今日の由良さんはいつになくグイグイくるな、そんなに俺とヤリたいのか?俺とヤリ合いたくてウズウズしてるんだろうか…?

 

とりあえず、このままでは話は平行線になると考えた俺はあえて由良さんの誘いに乗ることにし、由良さんと共に長良姉妹夏のバーベキュー会2022-華天-へ行くコトとなった…

 

◆◆◆

 

基地体育館裏…

既にバーベキューの為にコンロを用意し、炭を入れたりクーラー・ボックスにドリンク的なものを入れている長良姉妹の姉妹達……

 

「お待たせー」

 

「遅いわよ!!由良、アンタ手伝いもしないでどこで道草食って………って、テイトクじゃない?どうしたの?」

 

長良姉妹の次女にしてあの由良さんを頭ごなしに怒鳴る事ができる唯一の存在、五十鈴サンは炭をパチパチさせながらごくごく当たり前の質問を口にした

 

「おたくの妹に誘われてな」

 

「あー……そう、なるほど」

 

さすが五十鈴サンだ、一眼で全てを察してくれたらしい…大した眼力(インサイト)

 

「アンタも大変ね」

 

「そう思うなら妹をどうにかしてくれんかね?」

 

「え?普通にムリだケド?」

 

提督にムリなモンが私にどうにかできるワケないでしょと無責任にケラケラ笑う五十鈴サン…

もし五十鈴サンのパイオツがデカくなかったら今すぐこの場で半殺しにするところなのだよ

 

「五十鈴姉ェ、鬼怒と阿武隈は?まだ肉買って来てないの?」

 

「知らないわよ、長良姉ぇと名取はあの子ら見た?」

 

「見てないわね!!それより五十鈴!まだ焼かないなら走り込みしてきていいかな!!」

 

長良姉妹の長女、ナイスガッツ陸上部のナイスガッツ長良主将

そのアツいナイスガッツはハンパではなく、どんな苦境、どんな強敵を前にしてもナイスガッツさえあればいい、ナイスガッツさえあれば全て解決できるとナイスガッツを心の底から信じているナイスガッツの持ち主である

ちなみに、あの暴力が服を着ているといわれているバイオレンス軽巡の由良さんですら長女でナイスガッツな長良主将は苦手らしい

 

「み、見てないよ…」

 

長良姉妹の三女、名取クン

性格も真面目で控えめで礼儀正しい姉妹唯一の良心でありパイオツも大きい、特に、浴衣での破壊力はハンパではなく、もし俺が紳士でなかったならば首輪で繋いで毎日俺の性処理する為だけの性奴隷として地下の拷問室で飼っているところなのだよ…

 

「…狩るか♠︎」ニマァ…

 

「ナニを狩るのかな?ね?」

 

ノーモーションから放たれた由良さんの手刀が俺の頬を掠める、今のはかなり速いね、俺じゃなきゃ見逃してたよ

 

「由良さん」

 

「ナニかな?」

 

「知っていると思うが俺は名取クンとならステディな関係になっても全然OKだが由良さんだけは絶対にNOなのだよ」

 

「へぇー、奇遇ね、由良も提督だけは絶対にNOだけど」

 

「奇遇同士、アレだよ、ほら、アレ…」

 

「あー…アレな感じ?」

 

「そうだよ」

 

「なるほどねぇ、うんうん、なるほど………ね!」

 

ね!のタイミングで容赦なく俺の顔面を抉りにきた貫手を必殺のスネークバ●トで迎撃し、俺と由良さんは互いに距離を取るかと思いきや、距離を取りたいのは俺だけだったらしく由良さんの足刀が俺のお腹に被弾した

 

「ゴハァ!!」

 

「今のはワン・セコンドよ、提督さん?」

 

「アンタたち!!暴れるなら五十鈴の邪魔にならないとこで暴れなさいよ」

 

「えー…?ナニそれ?偉そうにさぁ、それ、由良にメーレーしてんの?ね?」ピキッ!パキッ!

 

「あ゛ぁ?ナニそのツラと態度…………アンタ久々にオシオキが必要るみたいね、由良ァ…」ピキッ!パキッ!

 

ま、まずい!!五十鈴サンは超無礼な妹の態度より炭火焼きグリル調節の邪魔をされたことを怒るタイプ!

ダメだ!この姉妹を止められるのは長女しかいない!なんやかんやで一番上の長女なら…!!

 

「あ、あの…長良姉ぇなら、その…」

 

「そうだよね、知ってた」

 

走り込みに行っていいかな!ってナイスガッツに言ってたしな、ならば仕方あるまい…

 

 

この後、1時間後に美味しいお肉を買って来た鬼怒と阿武隈だったが、そこにはもう名取クンしか残っていなかったらしく、名取クンから他は誰もいないし3人で食べようと提案され、鬼怒と阿武隈は今日イチ安らいだ笑顔でそれに応えたと言う…

 

ちなみに、長良主将は走り込みから夜まで帰って来なかった



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提督とSamと夏のExhibition

ダラダラ書いてる間にmark2になってた…

【登場人物】

提督(紳士)
紳士道を尊ぶ本物の紳士を目指す紳士、巨乳好き

Samuel B.Roberts(駆逐艦)
通称サムくん、美味しいコーヒーが淹れる技術があるがコーヒーを持ってくるのが致命的に下手

Iowa(戦艦)
最大・最新・最強のMAJORの切り札、その実力はあの大和さんすらも戦慄させたことがある


夏も近づく八十八夜、暑いだけならまだしも蒸し暑いのはカンベンして欲しいのだよと考えつつ、喫煙所でタバコを吸うべく廊下を歩いていると、サムくんが中庭のベンチに居るのが目に付いた…

 

「よぉ、サムくん、こんなトコで珍しいな」

 

「あ!テートク!サムはゲンキネ!」

 

クソ面倒くさいPRIDEの高さと実力派エリートの顔を併せ持つMAJOR出身でありながら、珍しく真面目で素直で°C-uteなカノジョ、サムくん

MAJOR出身者は大なり小なりアメリカン・サイズを常識としながら(パイオツ的な意味で)サムくんはその常識にとらわれず、むしろ誰よりも“自由”な存在である(ノーパン的な意味で)

 

「こんなところでナニをしているのかね?」

 

「サムはIowa teacherとtrainingしてたヨ!」

 

「ほぉ…」

 

「デモ、今はキューケー中!Iowa teacherがice買ってくるからってサムはここで待ってるネ!」

 

自己中でワガママでバカばかりが基本のMAJORだが、やはりサムくんは良い子だ、MAJOR筆頭のハード・パンチャーであるアイオワのやつもサムくんを可愛がっているらしく、よくトレーニングをつけてやっている

 

「Admiral!Admiralもここ座って!ココ!」

 

そう言ってサムくんはベンチの空いてる場所をバシバシ叩き、ここ座れ!ほら!座れ!とアピールしてきたが…

 

「残念だがサムくん、テイトクがそこに座るとせっかく冷たいアイスを買ってきたアイオワが座れなくなってしまうのだよ」

 

「ダイジョーブネ!Iowa teacherはココロ広いしオッパイ大きいカラ許してくれルネ!」

 

「フッ、まったくサムくんらしいのだよ」

 

やれやれ、さすがはサムくんだ、たしかにナリはまだまだMINORレベルだが強引さは既にMAJOR級なのだよ

そんな未来のMAJOR LEAGUERのサムくんの誘いを断るのは紳士のするコトではない、そう考えた俺はサムくんの隣に座った

 

「しかしサムくん、ちょっと背が伸びたかね?」

 

「伸びたネ!セーフクも新しくしたヨ!」

 

「ハッハッハ、そうかそうか!ハッハッハ」

 

「テートクはslimになったネ!」

 

「ダイエットしたのだよ」

 

嘘である、この季節は朝も夜も無駄に暑いし汗もかくし食欲も減退するせいか、ただ立ってるだけでミリミリ痩せていくのは最早常識と言っていい…

 

「ダイエット?サム知ってる!トオル・リキ●シ戦法!」

 

「ハッハッハ、サムくんは難しいコトをよく知っているな、ハッハッハ」

 

俺は紳士としてサムくんの頭を紳士的に撫でサムくんの無駄な知識を褒めた、サムくんのような伸び伸びとした良い子は頭ごなしに罵倒するのではなく褒めて伸ばすのが最善である、そうですよね?香取先生ェ!

 

そんなサムくんによしよしよしよしと褒め千切っていると、両手にアイスを手にしたアイオワがやって来た…

 

「ヘーイ、Samー……あら?Admiralも!」

 

「Iowa teacher!」

 

MAJORが誇る最大・最新・最強の戦艦、アイオワ

見ての通り、男なら誰でも思わず生唾ゴックンしちまうダイナマイト・パッキンガールだ

 

「Admiralにアソんでもらってたノ?いいわネ!」

 

アイオワはHAHAHAとMAJOR特有のウィットにとんだ笑いをあげつつサムくんにアイスを手渡し、サムくんはThanks!とゲンキにお礼を言って一旦ベンチから立ち上がるとごくごく自然な動きでベンチに座った俺の膝に改めて座り直し、アイオワにここ空いてる!ここ!とベンチをバシバシ叩いた

 

「Wow、Admiral、Samがアンマリcuteだかラってinsertはナシヨ!HAHAHA」

 

「バカ言うんじゃないよこの娘は、俺は紳士だからな、子供にムラムラなどしないのだよ」

 

「OK、ナラ安心ネ、ちなみにSam、skirtの中は穿いてないワ」

 

「オーケーオーケー、知ってるよそんなコトは、それより俺としてはオマエのスカートの中の方が気になるね」

 

「HAHAHA!そのセリフの続きはPinkのCaddyに乗ってから聞きたいワ」

 

「オーケーオーケー、今夜のキミを予約していいかい?」

 

「ザンネン、今夜はArmageddon観る予定なのヨ」

 

ヒュー、まったく大したパッキンボインなのだよ、しかしいつかアンタを夢中にさせてみせるぜ!

 

「モォー!!テートクもIowa teacherもSamをノケものにしテー!!」

 

俺の膝上に座るサムくんの突き上げる右拳が俺の顎を勢いよく砕いた

 

「ごでゅふぁ!!」

 

「テートクー!?嗚呼、ごめんネ!ゴメンネ!」

 

「が……ガハァ……いや、大丈夫、大丈夫なのだよ、No 問題、問題なしなのだよ」

 

「ダイジョーブヨSam、そんなションベンパンチでAdmiralはKOできないワ、ネ?Admiral?」

 

「あ…あぁ」

 

ションベンパンチだと…?たしかに今のは不意を突かれたとは言え、たかが駆逐艦のボウヤのパンチ程度ではこのハンサムな顔に傷一つつけるコトなどできない自信がある

 

いや、あった…

 

だが今のパンチ、以前よりパワー・スピード共に増している、サムくんはたしかに逸材とは言え、アイオワ……まさかサムくんをこれ程までに成長させているとは…

 

「あ、そーいやテートク!Sam、最近足もハヤクなったネ!」

 

「足が…?」

 

「Sam、マイニチRunningして生卵飲んでるからネ!」

 

ロ●キー戦法か、また古風なトレーニングを…

 

「今度エキシビションでヤるから観に来てネ!」

 

「エキシビション…?対戦相手は?」

 

「Helenaネ!」

 

ヘレナだと…ッ!?ム、ムリだ…!ヤツは軽巡級でありサムくんより階級も上、しかもヤツは軽巡級の中でもとびきりのハード・パンチャーだ、いかにサムくんが天性の才能を持っているとは言えこのマッチメイクは…!

 

「アイオワ、それは…」

 

「マ、見てのお楽しみネ」

 

MAJOR特有の悪戯っぽくウィンクしたアイオワはHAHAHAと笑う………勝算があるのか…っ!?あの怪物を相手にッッ!!あのヘレナくんはこの俺が思わずブルっちまう程のパンチ力がある、もしサムくんが一発でもお腹に被弾しようものなら一週間はお粥しか食えなくなるんだぞ!!

 

「見ててネー!Samは勝つヨー!」

 

サムくんはシュシュシュワンツーワンツーとシャドーをしつつ自信をアピールした

 

「ちなみに、Exhibitionの二戦目はAtlantaとHonoluluのmuchネ」

 

「うわ、観てぇ…」

 

 

後日、自販機コーナーでうろついていたヘレナくんを見かけた俺は、よっ!今日も良いケツだね!と尻を叩き、気さくな上司アピールをしてみたら、顔面が凹むほどの打ち下ろしの右を喰らい、死ねッ!!と罵倒された



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真‼︎不健全鎮守府-提督最後の日-⑤

忘れた頃にやってきたその⑤
真‼︎はあと2回で終わる感じです

【登場人物】

提督(ザ・提督)
イインだよ!細けぇーコトはよォ!で無双するタイプの快男児、専用武器のスーパーブラックホークは主に鈍器と使用する

有馬優(お嬢様)
喋らない事に定評のあるワリと感情豊かなお嬢様、攫われ・巻き込まれ属性は生れついてのデバフらしい




「うぉー!外道に人権はねぇーッ!!」

 

洋上でのテロリストによるクルーズ船占拠事件、お嬢様(+その他大勢)の奪還作戦、外を囲むゴキゲン集団はイカレ露出狂博士と謎のラスト・サムライに任せ、俺と天海はクルーズ船に突入、人質になっている紳士淑女の皆様が集められたホールを確認した俺たちは人質を解放すべく作戦を決行するのだった…

 

『What is this guy crazy!』

 

『Kill the relationship!』

 

『Don't give it back alive!』

 

「アーン?アイアムアボーイ、ジスイズアオクトパスーッ!」

 

『W…what is this guy!?』

 

ーーー

 

「………1人で十分でしたね」

 

「援護が遅せぇよ!死ぬ…っ!死ぬトコだったわい!」

 

事前に決めていた話では俺がシレっと囮になって飛び込み、天海クンがイイ感じに始末にしていくプランAだったハズが、シレっと囮になる時点であまりシレっとデキていなかったらしくホールのテロ・リストの注目を一点に集めてしまい、な、なんだぁ!とガ●メントを抜くテロ・リスト相手に仕方なしにバトル・フェイズに突入してしまったワケだが…

 

「いや、正直、モブとは言え銃持ってるテロリスト17人を相手に素手で無双はドン引きですよ」

 

「やかましい、俺はモブキャラとビッチとメスガキにはめっぽう強ぇーんだよ」

 

「そうですか」

 

ハハァン?もしや天海のヤロウ、自分の活躍が無かったからってスネてるんだな?フッ、まぁそうだろうな、こーゆーのは主人公属性持ちの主人公様がなんやかんやで大活躍して人質になってるキンパツ・巨乳の美女に、好き!ケッコンして!ってなるアレだからな!………と我ながら完璧な理論で納得していると、安全な場所で待機中の明石のバカから着信…

 

「もしもぉーし?ハンサムです」

 

『あ、テイトクですか?外めっちゃヤバいんですけど?テイトクまだ死んでないんですか?』

 

「誰が死ぬかボケ、俺が死ぬ時はお前だけは必ず道連れにするわい」

 

『え!?いやぁ〜………や、ちょ、そーゆーのはもうちょいムードがあるシーンでお願いできます?私だってほら、えー…乙女ですし、テイトクのコトは人間性的としてはマジでNOですけど、ある意味でOKなトコもありますし』

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれてんのか…?いや、イカれてるんだったな、だってピンクだし

 

「とりあえず人質っぽいその他大勢は今助けたが、一番の目的のお嬢様は〜……………あー、悪い、かけ直す」

 

『は?え?ちょ…!』

 

俺は明石との通話を切ると手にしていたケイタイを投げ捨て、ホールの奥に現れたそいつに集中した…

 

『Ah………This bastard did it………I knew this was going to happen』

 

「よぉー…アゴヒゲ外人、久しぶりだな?なぁオイ?ジャパニーズOK?」

 

『…相変わらず憎らしいツラしてんなァ?アァ?』

 

ニホンゴOKなアゴヒゲ外人はイラっとくるがニホンゴで返してきた

 

「テメーらをブッ殺すために盛大なパーティーを用意してやったんだぜ?」

 

「あー…そうかい、パーティーへのお招きアリガトウって言いたいところだが〜」

 

アゴヒゲ外人の横には手枷で繋がれ自由を奪われた少女、もう何度も目にしたコトがあるお嬢様が……

 

「って、オイ!」

 

「なんだ?Mad dog bastard」

 

「…お嬢様の頰が腫れてるみてぇーだが…?」

 

「アァ?アー……ちっとばっかウルセーからハタいた程度だ、なんだオマエ?もしかしてこのガキ心配してんのか?」

 

「いや、心配はしてねぇよアゴヒゲ外人、心配ってのは俺じゃなくてその子の身内がするモンで俺はアカの他人だからな………だが」

 

その……頰をぶたれたお嬢様は一応俺の婚約者様なんでなッ!!!

 

「イイねぇ…!オレが味わわされた屈辱の万分の一ぐらいは感じてくれたみてぇーでパーティーの主催者のオレも鼻が高けぇよ!」

 

「オイ、とりあえずそのお嬢様放せや、タイマン張ってや…」

 

クソテロリストが、お嬢様になんてことしやがるんだクソが…と臨戦態勢になった右手をバキバキしていると、そんな俺の右手を掴み、天海が止めた

 

「何の真似だオイ?」

 

「悪いんですけど、今回は譲って貰います」

 

「譲ってってなぁ…」

 

「…頼みます」

 

…ムゥ、まぁ、たしかに以前、どう考えても天海の親と妹のカタキであり一番因縁のある相手だったコイツをブチのめし監獄送りにしたのは俺だが、天海的には結果的に妹は無事だったとは言え人生の大半を犠牲にして追った仇敵ってヤツだ

 

「………ま、しゃーなしだな」

 

「ありがとうございます」

 

正直、さっきまで興味もナニもなかったが、お嬢様に手ぇあげたとなれば俺も若干殺意が湧いたが、天海の殺意は俺の比じゃないし、ここはどう考えても主人公に場を譲るのがcoolってモンだろう

 

「そーゆーワケだアゴヒゲ、俺にリベンジしてぇーならまずは手下Aを倒してみな」

 

「なんだァ?テメーが相手してくれるんじゃないのか?ま、どっちみちそっちのニイちゃんも殺す予定に入ってるけどな」

 

以前の仕事で致命的に邪魔してくれた天海もブッコロリストに入ってるらしく、アゴヒゲ外人はガリガリと頭を掻いていると、天海は手にしていた銃を構えた

 

「ギーガー・ガレムソン、20年前にお前が起こしたテロ事件の事は覚えてるか?」

 

「20年前…?さぁな、仕事し過ぎてどの仕事か覚えがないな」

 

「そうか」

 

「あー…いるんだよなァ、仕事柄、テメーみたいなのが……ま、いいぜ!相手してやる、正々堂々とな!」

 

アゴヒゲ外人も銃を抜き、左腕で掴んでいたお嬢様の身体を前に出して蹴り飛ばした!

 

「テメェ!!」

 

ヤロウ!!お嬢様の身体を盾にするように銃を構えて走り出したヤツとその動きに反応して同時に動いている天海

 

クッソ…!たぶん超痛いだろうが、しゃーなしだな!!

 

「死ねや!!」

 

ヤローと天海、その間に飛び込み、お嬢様にタックルするように銃弾から庇いつつブザマに壁側まで転がると、お嬢様が俺を見て顔を上げ…

 

「!!!?」

 

「…あー………大丈夫すか?いや、大丈夫じゃないか、あー…まぁ、もうちょい辛抱してください、すぐ終わると思うんで」

 

「ぁ…」

 

「でも、もう大丈夫です、すぐ家に帰れますよ」

 

背中が超痛いがお嬢様の前でブザマ晒してただでさえ不安なのにさらに不安にさせるワケにもいかず、イイ感じのハンサムスマイルで安心させてみようとしたが、あんま効果ないか…?



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提督と英国式野外炊飯部

本日珍しく二本立て、誰得長編回と普通のお話のデリシャスミックス

【登場人物】

提督(クズ)
まっことクズ、個人的には女騎士より姫騎士の方が好き

Ark royal(女騎士)
女王陛下が頭を痛める真面目系めんどくさい残念騎士

Victorious(女騎士)
アークロイヤルと同じく女王陛下に忠誠を誓う騎士、わりと真面目系でめんどくさいタイプらしく、女王陛下が頭を痛める新たなる火種でもある


夏!その…ステキな季節が提督を行動させ………なかった

 

単純に日差しが暑いわ、妙に蒸し暑いわ、よくわからんタイミングで通り雨が降るわ、こんな日は何も考えず、ただ、過ぎ去るのを待つのも大人の特権である

 

そんなコトを考えつつ明石の店で買ったガリ●リくんをガリガリしつつ基地の中を歩いていると、基地グラウンドの隅にある林から煙が上がっているのが目についた…

 

「え?ナニ?火事?」

 

いやいやいや、火事とか困るよキミぃ!ウチで問題とか起こると困るんだよキミぃ!ただでさえ上からの評判が悪いんだから、これ以上問題を起こして私のキャリアに傷がつくのはマズいよキミぃ!

 

とりあえず、まずは現場を確認、然るのち対応を決めるべくなにやら煙がモクモクしている現場へ向かった…

 

ーーー

 

「チョットArk、火力が足りてないんじゃない?火力が、まったく、コレだから田舎騎士は…」

 

「火力か……そうだな、Jervis、薪を持って来てくれ」

 

「エー…メンドくさいからヤダー、Janus持ってキテー」

 

「ヴェ!?なんでアタシだけ…!?Jervis!アンタも手伝いなさいよ!」

 

「メンドくさいからイヤ」

 

火災現場(仮)へとやって来た俺だったが………ナニやってんだアイツら?

そこに居たのは2人の女騎士とキンパツ英国小淑女の2人、その、女騎士達とキンパツ少女達はなにやら薪のようなものを集めて火を囲んでいる…

 

「ナニやってんだ?オマエら…」

 

「む?あぁ、Admiralか」

 

女王陛下への忠誠心と騎士としてのPRIDEの高さに定評のある赤い髪の女騎士、アークロイヤル、見ての通り、女騎士だ

 

「え!?Darling!」

 

見た目はロイヤルなサラサラキンパツ美少女でありながら驚異的な侵略を持つスピードアタッカーでグイグイくるキンパツ少女、ジャーヴィーくん

 

「あ、テイトクだ、ちょうどいいや!テイトクも手伝って!」

 

姉と違ってワリと強烈なパーマのジェーナスくん、姉と違って比較的常識人である

 

「こんなトコでナニやってんだ?まさかこの高度な情報化社会に狼煙とかあげてるんじゃあないだろうな?」

 

「そんなワケないでしょう?コレだから田舎者は……フッ、お里が知れるわね」

 

とりあえず二言目にイラっとくる感じのいらんコトを付け加えるのが高貴の証、ア●ルが弱そうなキンパツ美女騎士、ヴィク……ビクトリーだっけ?コイツ

 

「我が女王陛下からせっかくのナツヤス・ミーなんだからJervisとJanusにナニかプライスレスな感動体験をさせてはどうかと勅命を頂いてな」

 

「ハァ?」

 

アークロイヤル曰く、せっかくのナツヤス・ミーなのに部屋でダラダラ(主にジャーヴィスが)ナツヤス・ミーの宿題もテキトーにダラダラ(主にジャーヴィスが)なコトに心を痛め、この機会に子供達を鍛えなお……非日常的体験をさせてはと提案し、色々と案を出し合った結果、基地の外れに森と川っぽいものがあるのでCampでもしてはどうかとなったらしい…

 

「それでだ、基地内とは言えやはり子供だけでCampは危険が伴う事を考え、このアークロイヤルがCamp指導員として同行している」

 

「なるほど」

 

アークロイヤル曰く、英国に居た頃に遠征中に野営などは何度も経験しているらしく、食材を森や川で調達したり、夜は仲間と交替で見張りをしたりと経験豊富なのだとアピールしてきたが話が長くなりそうなので途中からスルーした

 

「で?アーッくんはいいとしてだ、このア●ル弱そうな………いや、縦ロール様も指導員なのか?」

 

「ハァ?このVictoriousがこの田舎騎士と同じ指導員……?笑わせないで貰える?死罪にするわよ」

 

いきなり死罪かよ、なんだよコイツ、見た目を裏切らないPRIDEの高さ…ッ!ナチュラルに貴族階級にあぐらをかき、平民を見下す目!

 

「このVictoriousはArkがヘマをしないか監視しているだけよ」

 

「ふ〜ん」

 

「言っておくケド!女王陛下が心から信頼してくださる真の騎士はこの私、決してッッ!Arkではないから!覚えておきなさい」

 

PRIDE高けぇなコイツ…

後でジェーナスくんから聞いた話だが、このビクトリーくんはアークロイヤルを目の敵にしているらしく、地方出身の田舎者が貴族でエリートである自分より女王陛下の信頼が厚いっぽい気がするといらん妄想に取り憑かれているそうな

 

「ねーねーDarling、ヒマなんでショー?ねー?」

 

「いや、テイトクはヒマではないのだが…」

 

「Darling!一緒にカレー作りまショー!カレー!ワタシ、bitchシショーから教わったコトあるねー!」

 

「bitch…?あぁ、鈴谷か」

 

そういやジャーヴィーくん、何故か鈴谷のアホと仲良いんだったっけな……テイトクとしてはジャーヴィーくんのような根は良い子はあんな真性ドビッチと仲良くしてるとか悪影響しか与えないからあまりオススメはしないのだが…

 

「ナニを言っているのだJervis、今日はカレーなど作らないぞ」

 

「ハァ!?ナンデ…っ!?」

 

「材料が無いからだ、材料は現地調達、もしくは事前に立ち寄った町や村で購入した保存の利く干し肉などが原則だ」

 

「キビ・シー!!」

 

さすがは英国のどこぞの田舎出身の女騎士、コイツ、女王陛下に仕える前は冒険者でもしていたのだろうか…

 

「ヴェ!?じゃ、じゃあテントは…!せっかく持ってきたのに!」

 

「それはアリだ、何故なら事前に用意しているからな」

 

「そ、そっかぁ」

 

ジェーナスくんはホッとしたように無い胸を撫で下ろし、しまりのない顔で笑っていると、高貴な方の騎士がWANA-WANAと肩で震えていた…

 

「こ…こんな粗末なテントで私に寝泊まりしろと!?貴族である私を!!ありえない……ありえないわ!Ark!アナタ、この私にこんな粗末なテントで一夜を過ごせと言うのか!」

 

「粗末粗末言うなVictorious、イヤならここでなく普通に部屋で寝れば良かろう」

 

アークロイヤルはこの任務はあくまで自分が受けたものでありビクトリーくんは関係ないのだから好きにすればいいと無自覚にいらんコトに油を注ぐとビクトリーはなめてるんじゃあないわ!とキレた

 

「ちょっと女王陛下から気に入られているからって調子に乗るんじゃあないわよ平民上がり!貴女程度にできるコトをこのVictoriousにはできない…?こんな屈辱!あってはならないわ!」

 

「いや、別に私は…」

 

「うるさい!そこのメガネ!このお金でもっといいテントを買ってきなさい!貴族の私に相応しいやつを!今すぐに!!」

 

そう言ってビクトリーくんはポッケからありえない量の札束を取り出し俺に押し付けた…

 

「Victoriousは貴族でお金持ちだからすぐにお金で解決するのが悪い癖よ」

 

ジェーナスくん曰く、ネルソンも同じく金持ちだが、その使い方には致命的に違いがあるらしく、ネルソンは大抵のコトは金で解決するのがデフォルトだが、ビクトリーくんは本来、金で解決するのは良しとせず、物事が自分の思い通りにいかず困った時に金や権威をチラつかせる悪役令嬢タイプだそうな…

 

「悪役令嬢ってホントにいたんだな」

 

「いるのよ」

 

それ故に、平民上がりなのに貴族である自分を差し置いて女王陛下のお気に入りで第一騎士な(偏見)アークロイヤルとはトコトン、ウマが合わないそうだが、アークロイヤルはビクトリーくんとは同じ女王陛下に忠誠を誓う騎士同士、仲良くやっていきたいと…

 

「ねー!Darling!今日は一緒のテントで寝てくれルー?夜はいっぱいオシャベリしまショー!オシャベリ!好きな子の名前言い合っことか!」

 

「いや、テイトクは普通に自分の部屋で寝るが……」

 

「エー!!じゃ、ワタシもDarlingと一緒にDarlingの部屋に行くネー!」

 

相変わらずグイグイくるなこの子は、テイトクはこーゆーグイグイくる感じの今風で繊細な子は苦手なんだが…

 

「Jervis、夜は交替で見張りをするのだ、勝手な行動は許さんぞ」

 

「チッ、このカタブツ女騎士!ってかナンデ見張りとかいるの?ここ、基地の中でショー?」

 

「夜だと言って油断はできない、いや、むしろ夜だからこそゴブリンには警戒が必要だ」

 

「え!?この基地ゴブリンでるの!?Darling!ゴブリンいるの!?」

 

いや、基地には普通にいないし、この国のどこを探してもゴブリンなど存在しない、ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし…

 

「フッ、JervisやJanusのような王都育ちにはピンとこないか………あれはそう、かつてまだ私が生まれ故郷の村にいた頃だ……あの日は昼間は快晴で私も父や兄達と家畜の世話に精を出し……」

 

とりあえず、アークロイヤルの話は長くなりそうなのでスルーしておくかとジャーヴィーくんとジェーナスくんにアイ・コンタクトを通すと2人は即座に理解してくれた

 

っーか英国ってゴブリン出るのかよ、ヤベーな英国



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提督と美しき暗殺者と狂気の魔獣

夏の狂気山脈強行軍

【登場人物】

提督(メガネ男子)
非データキャラのメガネ男子、難しいコトはよくわかんねーケドよぉ〜

神州丸(暗殺者)
陸軍から来た美しき暗殺者、同僚のあきつ丸とは殺しに対するスタンスが違うせいか、そこら辺の話題だけは合わない


男には1人、缶コーヒーでも飲みながらタバコでも吸いたい時間がある…

常にタフ&ハードかつハード・コアな日常を一時でも忘れる術を持つのもまた、紳士道であり、紳士である俺は今日もこの欲望の紫煙を口から吐き出しつつグラウンドでヒィヒィ言いつつダッシュさせられてる駆逐艦のバカガキどもを眺めていた…

 

あ、なんかコケた、全力でダッシュで前のめりに倒れていた親潮クン似の子に神通はスタスタと近づいてお腹にキックを入れた

 

『ゲボォ!!』

 

『立て、まだトレーニングは終わってないぞ虫ケラが』

 

『じ、神通教官!早潮はもう限界ですっ!少し休ませてやってください!』

 

『休ませて欲しい?オマエは戦場で敵に疲れているから休ませてくれと頼むのか?甘えるなクズが!さぁ立て!まだ地獄は始まったばかり………いや!貴様らはまだ地獄の入口にすら立っちゃいない』

 

お腹キックで悶絶中の親潮クン似の子を庇い、たぶん本物の親潮クンが神通に意見しているようだがそこはさすがに戦いのプロフェッショナルである川内姉妹の次女神通、親潮クンに甘えるなと容赦ないビンタ!

駆逐艦のバカガキへの指導を始めるにあたり、私は神、神通、これから先、貴様に地獄をみせる艦娘だ!と言うだけはある

 

「フーッ〜………」

 

カッカッカ、まったく、バカガキどもが苦しむ顔を見ながら吸うタバコは格別じゃわい、苦しめ苦しめ、もっと苦しむがいい、オマエらの苦悶に満ちた表情と怨嗟の声が最高のスパイスなのだよ

 

「提督殿は性格が悪いでありますな」

 

「!?」

 

気分良くタバコを吸っていた俺の喉元で真一文字に引かれた白刃をギリギリで回避ッッ!!

今、攻撃の瞬間までまるで気配を感じなかった…ッ!こんなコトができるのは彼女しかいない…

 

「残念、今のは殺ったと思ったのですが」

 

陸軍と言う名の闇ギルドから来た美しき暗殺者、神州丸クンは言葉とは真逆に大して残念そうでもなく手にしたナイフをお腰につけたホルスターにしまいしまいした

 

「大したヤツなのだよ、と言うか神州丸クン、キミ、提督の頭の中を読む能力でもあるのかね?」

 

「いえ、オマエらの苦悶に満ちた表情が〜…のあたりから普通に声に出てました、であります」

 

「そうかね」

 

いかんいかん、考えていることをつい口走ってしまうのがボクの悪い癖

 

「しかし神州丸クンは提督にナニか用かね?提督の命を取りたいってなら出来ればベッドの上で頼みたいんだがね、鍵は開けておくよ」

 

「…その手の技は些か不得意、であります」

 

あ、ちょっとムッとしたよこの娘、この娘、常に死んだ魚みたいな目をしてるせいか感情が読み難いが、下品な話題はあまり好まないらしい

その澄ました美しいお顔を是非とも狂える悦楽で染め上げてみたいものだよ

 

「提督殿にお伝えしておかねばならない事があるのであります」

 

「俺に?」

 

なんだ?闇ギルドから奴隷オークションに参加してねってお誘いか何かか?ハハッ、参ったなぁ、薄汚い獣人や亡国のプリンセスを買う趣味は俺には無いんだがね

 

「実は今朝、日課になっている迅鯨殿の洗脳調教をサボってしまいまして…」

 

「へぇ…」

 

洗脳…?調教……?え?この娘、今なんかサラっとトンデモないコト言わなかったか?ってか日課?

 

「つまり、どーゆーことだってばよ?」

 

提督と出逢ったその日から運命的なナニかを感じて刃物を手に暴れ回ったプッツン潜水母艦の迅鯨クン

その、プッツン迅鯨クンは神州丸クンによる暗示と薬物によるプロの手口で比較的マトモな真人間に生まれ変わったハズだったが、神州丸クン曰く、迅鯨クンの精神力はマジハンパねーらしく、定期的に暗示と薬物を使用しないとすぐに自力で洗脳を解き狂気のプッツン迅鯨クンになるのだとか…

 

「しかもだんだん洗脳への耐性が付いてきたらしく、最初の内は月1ぐらいで良かったのですが、最近は毎日ペースになっていたのであります」

 

「迅鯨クンパネぇな」

 

「あれほどの内なる狂気はそうはいないであります、あ、提督殿、ちょっと右にずれてもらえますか?20㎝くらい、であります」

 

正直、常に額に金の洗脳装置でも付けてないとダメなレベルでありますと神州丸クンが懇切丁寧に付け加えてくれたその時…

 

ズドンッッッ!!!(出刃包丁)

 

「はおっ!!」

 

突如として飛んできた出刃包丁が俺の頬を掠り背後のコンクリ壁に勢いよく突き刺さった

 

「テ〜イ〜トォォォォォォォォクゥゥゥゥゥゥゥゥ〜…」

 

「ひ、ヒイッ!?」

 

狂気の光を灯した真紅の眼光と口許からよくわからない白い煙を吐きつつ新たな刃物を手にして狂喜の笑みを浮かべ、今、扉の隙間からヌルリと姿を現したッ!!

 

「テ〜イトォォォクゥゥゥ〜…ずっと前から好きでしたぁぁぁ〜」ペロォ…

 

手にした刃物をペロォと舐め、豪速球の火の玉ストレートな愛の告白を告げた迅鯨クンは恍惚とした表情を浮かべている…っ!

 

な…なんて嬉しくない告白なんだ、いや、正直、彼女がマトモだったらおっぱいとか大きいし提督的には全然アリなんだが、いかんせん、彼女はマトモじゃあない!と言うか、ハッキリ言って提督は迅鯨クンのコトを何も知らないに等しい!好きな音楽のジャンルだって知らない仲だ!

 

だが!彼女は違う!!彼女は初対面からキレていたッッ!いわゆるHITOME-BOREと言うやつだろうか?出逢った最初からキレっキレだったのだッ!!

 

「迅鯨殿、申し訳ないのですが提督殿の殺害は少々待って頂きたい、であります」

 

「………あ?テ〜イトォォォクゥゥゥ〜……誰ですか?この女」

 

「誰も何も神州丸クンなのだよ」

 

「神州丸……へぇ、それがその間女の名前ですかぁ〜」

 

迅鯨クンは間女狩りの時間だぁ〜と出刃包丁をペロリと舐め…

 

「神州丸さん………でしたっけ?今すぐ私の提督と別れて貰えますかぁ?あと10数える間だけ待ちますね、10、9、8、7……ヒャア がまんできねぇ 0だ!」

 

迅鯨クンのスラッシュ投げ出刃包丁×3が神州丸クンに放たれたが、神州丸クンは自前の暗殺ナイフでその一閃を弾いた

 

「刃物の扱いは小生も些か自信がある、であります」

 

「ほぉぉぉ〜…なるほどなるほどぉぉぉぉ〜…」

 

迅鯨クンはさっき投げたハズなのにいつの間にやら手にした出刃包丁をペロォと舐め、今度はダッシュで神州丸クンとの距離を詰め出刃包丁を振るう!

 

「提督殿、迅鯨殿殺していいでありますか?」

 

迅鯨クンとナイフで打ち合いつつ死んだ魚みたいな目でなんてコト言うのかねこの娘は

 

「いいワケねぇだろ!!なんかイイ感じに無力化しろよ暗殺ギルド!!」

 

「暗殺ギルド?ではない、であります」

 

「ヒャア !!」

 

迅鯨クンのスラッシュダマスカス包丁が神州丸クンの暗殺ナイフを弾き飛ばしたが、神州丸クンはごくごく冷静に迅鯨クンの手にしていたダマスカス包丁を奪い取り、その、凶器と言える太ましいフトトモが光る膝を迅鯨クンのお腹にブチ込み、迅鯨クンは壁際までブッ飛んだ

 

「ゲボォ!!」

 

「プロ相手にケンカを売るのはオススメしない、であります」

 

「このアマァ〜…!クッ…!!」

 

攻めあぐねている…!あの狂気の潜水母艦迅鯨クンが!さすが美しき暗殺者神州丸クンだ、殺しのプロフェッショナルはやはり格が違うか!

 

しかし、攻めあぐねていた迅鯨クンだったが、ちょっと考えて……恍惚な笑みを浮かべると、その両手には8本の出刃包丁を構え、そんなコトは関係のない処刑法を思いついたぁ!と手にした包丁を雨あられのように投げつけてきた!!

 

「どうですかぁ!この出刃包丁は!もはや脱出不能!」

 

勝ち誇った迅鯨クン!!が………!!

 

「言ったハズであります」

 

既に音もなく迅鯨クンのフトコロに入っていた神州丸クンの悶絶お腹パンチが迅鯨クンのお腹に突き刺さり…

 

ドゴォ!!(お腹パンチ)

 

「おごぉ!!!」

 

ドゴォ!!(お腹パンチ)

 

「おごぉ!!!」

 

ドゴォ!!(お腹パンチ)

 

「お、おごぉ!!!」ビチャビチャビチャ…

 

お腹パンチ三連発、さ、三連お腹パンチや…っ!!

防御も回避も不能なお腹パンチ三連発を受けた迅鯨クンは、さすがに白目を剥き、光る吐瀉物を吐きながらその場に崩れた

 

「提督殿、不殺でありますよ」

 

「あ、あぁ、うん」

 

「さて、迅鯨殿には改めて暗示をかけておくでありますか、それでは提督殿、失礼するであります」

 

そう言って神州丸クンは白目を剥いた迅鯨クンをズルズルと引きずりつつクールに去って行った……

 

 

後日、マミー屋でメシ食ってると迅鯨クンの妹の長鯨クンとたまたま会い、長鯨クンから最近姉がますます真人間になってくれたみたいで嬉しいです!これも更生プログラムのおかげですね!と嬉しそうに話してくれた



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熊野と鈴谷となるほど日曜じゃねーの

日曜じゃねーの(日曜じゃない)

【登場人物】

熊野(くまの)
最上姉妹の末妹、エレガントにみせかけたエセガントに定評のある暴力系、提督とはわりと仲が良いらしく、好きな超人プロレス技が似ている

鈴谷(負け確ヒロイン)
自称・メインヒロイン様、ビッチなことに定評があるが本人はビッチではなく清純派と言い張る清純派ビッチ、闇払いと鬼焼きが得意


クソみてぇな重巡の住む寮、さわやか寮…

 

「ただいまーですわ、ってクサッ!!クソい!!お部屋がクサいですわ!!ありえないぐらいクサいですわ!!」

 

「おかえりー…」

 

ある晴れた休日、今日は良い天気だから街に行ってショッピングでも楽しみますわー!と朝から出かけていた熊野が寮の自室に戻ると、部屋がありえないぐらいクサかったらしく、熊野は即座にハン・カチを口にあてて姿勢を低くしてダッシュで部屋の窓をカチ割った

 

「ハー……ハー……」

 

「ナニやってんじゃん熊野、部屋のガラス割ったらまたテイトクに怒られるじゃん」

 

「やかましいですわ!!」

 

「えー…なんでそんなキレてるし」

 

「気分良くショッピングして帰ったら部屋から刺激臭がすればそりゃキレますわ」

 

私が菩薩でもキレますわよと買い物袋を自分のベッドに放り投げ、熊野は冷蔵庫から冷たい麦茶の入ったペットボトルを取り出しグラスに注いだ

 

「ブハァ!うんめェーですわ!」

 

「ってか今日熊野出かけたんだ?プラモでも買ってきたの?」

 

「靴と鞄ですわ」

 

「マジかよオマエ、マジか熊野オマエ、どーしたよ熊野ちゃん?ナニ?急にオシャレに目覚めちゃった系?お姉ちゃんマジビビったわ」

 

「やかましいですわ、私は元々オシャレですわ」

 

「へぇー…」

 

「と言うか鈴谷はナニしてましたの?部屋で1日オナってたにしては並の匂いではありませんでしたわよ、ゴブリンの巣穴ぐれーのクサさでしたわ」

 

「オナってねーし、ってか熊野はゴブリンの巣穴臭とか知ってんのかっーの」

 

「私は知りませんけど、この前、テイトクと女騎士がそれっぽいお話をしてましたわ」

 

「へぇー…」

 

鈴谷は興味なさげに椅子から立ち上がると、あー腰痛てぇー…腰パンパンだわーとか言いつつ冷蔵庫を開けて麦茶の入ったペットボトルを取り出し、ワイルドに直飲みした

 

「ブハァ!!うんめー!」

 

「ちょっと鈴谷!!アナタ今ナニしてくれましたの!?」

 

「ナニって…茶飲んだんだけど?」

 

「茶飲んだんだけど?じゃありませんわよ!共用で買ってる麦茶を直飲みするんじゃありませんわよ!汚らわしい」

 

「いや、汚らわしいはいいすぎっしょ…」

 

「そうですわね、言われてみればまぁ汚らわしいは言い過ぎかもしれませんわ、鈴谷が口をつけたペットボトルなら出すところに出せば3諭吉ぐらいはイケそうなお宝グッズとも言えますわ」

 

「ナニが3諭吉だよコノヤロー」

 

鈴谷は飲みかけのペットボトルを冷蔵庫に戻し乱暴に冷蔵庫の扉を閉めた

 

「と言うか鈴谷、あの刺激臭はなんだったんですの?オナ臭にしてはバイオ・テロぐれーの刺激でしたわよ」

 

「オナ臭じゃねーし、鈴谷清純派だからオナったりしねーし」

 

「ハイハイ、オナ禁クイーン オナ禁クイーン」

 

「オナ禁クイーンじゃねーし、今日1日カレー用のスパイスを調合してたからその匂いじゃね?」

 

「カレー用…?あぁ、加齢臭…」

 

「加齢臭じゃねーし、美味しいカレーにスパイスはかかせないじゃん?」

 

「はぁ?」

 

熊野はナニ言ってんだコイツ、イカレているのか?と言いたげな顔で菓子棚に入っていたファミリーサイズのオ●オの袋を開けた

 

「鈴谷、軍辞めたらカレー屋やろーかなぁ〜って思っててさぁ〜」

 

「死亡フラグですわ!?」

 

「誰が死ぬかっーの、鈴谷死なねーし」

 

「…で?軍を辞めて1人寂しくカレー屋を開店した鈴谷は生涯処●のまま楽しく暮らしましたとさ、と言うオチでいいんですこと?」

 

「ハァ?鈴谷処●じゃねーし」

 

ア●ルはだけど…と小声で付け加え、鈴谷は枕元にあったキモい犬のぬいぐるみを熊野に投げつけたが、そのぬいぐるみは熊野の打ち下ろしの右で床に叩き落とされた

 

「…まぁ、鈴谷の明るい人生設計にグチグチ言うのは私の美意識に反しますし、私の健康に著しい害を残しますわ」

 

「なんでテメーにそこまで言われなくちゃならねーし、っーか熊野、さっきからナニ?ナメてんの?なぁオイ?さっきからお姉様のコトナメてんの?なぁ?ガキんときオネショでアレフガ●ドの地図作った熊野ちゃん?」

 

鈴谷はベッドの横に立てかけてあった金属バットを手にピキッ!パキッ!っと立ち上がった

 

「相変わらず野蛮ですわね、そんなコトだからモテませんのよ」

 

「ハァ?鈴谷モテますけどー?超モテモテですけどー?今だってキープくん30人はいますけどー?」

 

※キープくん

主にバブリーな世代や足柄が好んで使う死語、本命ではないけどまぁ足代わりとか財布代わりになる男をさす

 

「超モテモテのヤリ●ン女が休日を潰しておハーブの調合とかマジおハーブですわ」

 

「おハーブじゃねーし、スパイスだし」

 

「ハァ……休日におハーブカクテルキメるぐらいならテイトクでも誘ってゲーセンにでも行くぐらいのガッツを見せてくださいまし」

 

「はぁ?なんで鈴谷がテイトク誘ってゲーセンとか行かなきゃいけねーし、むしろあっちから誘うのがスジじゃね?」

 

「な、なんと言うPRIDEの高さ…」

 

しかし今日、提督はなんか海防艦の生っ白いメガネの子とゲーセンに行き、テト●スとぷよ●よでメチャメチャにボコられたコトを熊野は知っていた…

 

つまり、今日、鈴谷がゲーセン行こうぜ!と誘っても死なすぞダボの一言で斬り捨てGOMENだったであろう事実も…

 

「フッ、大した鈴谷ですわ」

 

「わかればいいじゃん」

 

「ちなみに私、今日のディナーはテイトクにカレーを奢っていただきましたわ」

 

「ファーックス!!!」



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提督と夏休みゲーセン

あの……JマスS勝利×2とか初手から些かハードモードなのでは…?

【登場人物】

提督(ハンサム顔)
ハンサムなことに定評のあるメガネ男子、気に入らないなら女子供でも容赦しない鉄拳の持ち主

平戸(メガネ)
択捉姉妹の子、いつもしまりのないヘラヘラした顔をしているように見えるがワリと真面目な子


このままでは終わらんぞぉー…終わらんぞぉー……終わらんぞぉー………ぞぉー……

 

「いや、やっぱつえーな、キミ」

 

「そうですか」

 

都市部から微妙に離れたクソみてぇな田舎に根付く地域密着型海軍基地、その、クソみてぇな海軍基地の近所にある日焼けした機械とヤニ焼けした壁紙とでお馴染みの本格派ゲームセンター覇我亜怒…

昨今の女子供でも気軽に入れるゲームセンターとは違い、子供だけで入ればほぼ間違いなくカツアゲの憂き目に遭い、向かい側の筐体からは当たり前のように灰皿が飛んで来てからのリアル・バウト率の高さ…

 

近所の小学校等では夏休みの前などに決して子供だけで入ってはならないと夏休みのしおりに一文が記載されているのは最早常識である

 

「ヤメヤメ、勝てる気がしないのだよ、俺あっちでテクノド●イブやってるから平戸クンはコレで好きなゲームでもするといい」

 

俺は財布から千円紙幣をスタイリッシュに取り出し平戸クンに握らせてやった

 

「ありがとうございます」

 

「しかし強いねキミ、ハンパじゃないのだよ」

 

「そうですか?」

 

腕に覚えのあるぷよ●よで完封されたのが悔しくてK●F98でリベンジしようとか考えたものの、こっちでも普通に完封の憂き目にあった俺はジュースでも飲むかね?と平戸クンに尋ねると、じゃあオレンジジュースで…との安心のキッズ回答

 

『クソが!ミョーコォ…テメー!!そのアタマ、鉄腕ア●ムみてぇーに刈り上げっど!』

 

『先にハメ技使ってきたのは高雄ォ…テメーだろーがァ!』

 

 

自販機でジュース買って飲んでいると、なにやらアホな客どもがざわつき、怒号と椅子が店内を飛び交い始めた、まったく、マナーの悪いアホンダラどもなのだよ…

 

「平戸クンはあーゆー大人になってはダメなのだよ」

 

「そうでしょうか」

 

まぁ平戸クンはどちらかと言えばおとなしめで真面目なタイプだろうからきっとあのバカどもとは違ってまっとうな大人になるだろう、きっと将来は美人になり引く手数多なステキなお嫁さんになると見たネ!

 

「あ、テイトクだ」

 

「ホントだ、テイトクティーッス」

 

自販機コーナーでジュースを飲んでいると、見知った顔の2人がヘラヘラしながら歩いて来た…

 

「よぉ、オマエらは今日も練習か?」

 

「んにゃ、今日は暇潰し」

 

上位ランカーの望月さん

特に、バ●チャ2では凄まじい強さを誇り、ランキング1位の“殺戮機械(デス・マシーン)”すら望月さんとはバ●チャ2では対戦を避けるとすら噂されている…

ちなみに、平戸クンはそのバ●チャ2でこの望月さんを破ったコトがある

 

「私達にもジュースおごってくださいよー」

 

望月さんよりは格下ながらランキング的には上位と言っていいランカー、巻雲…

そのテクは少し腕に自信がある程度のルーキーとは別次元、覇我亜怒にはオマエ程度のイキがったルーキーはゴロゴロいるぜとこのゲーセンのレヴェルの高さを教えてくれる

逆に、巻雲に勝てるレヴェルならランカーを狙えるとも言えるが、そんな奴はなかなかいない

 

「やだよ、テメーで買えや、甘えんな」

 

「その生っ白い子には買ってあげてるのにフコーヘーじゃないんですかー?」

 

「やかましい、平戸クンはアレだ、良い子だからな」

 

「巻雲だって良い子ですよ!」

 

「良い子はガキだけでこんな不良の溜まり場みてぇーな店に来ねぇんだよ、香取先生にチクられてーのか」

 

「ヒッ!!そ……それは、へ、へへ…ジョーダン、ジョーダンですよテイトク〜」

 

夏休みのしおり第一条、子供だけで盛り場に来てはいけない!ですよね!香取先生!

 

「ちょい待ち巻雲、今ならテイトクがいるからアリじゃね?保護者付き」

 

「それな!もっちー頭いいなオイ!!」

 

望月さんによる逆転の発想!なるほど……たしかに、仮に今、香取先生が抜き打ち盛り場巡回に来てもテイトクが一緒ですと言い張れば通る可能性がある…

 

「大したとんちだ、望月さんにはジュースを奢ってやろう、ナニがいいかね?」

 

「え?じゃ、オレンジ」

 

「あの…テイトク、巻雲には…?」

 

「うっせぇな、望月さんと半分こしなさい、半分こ」

 

俺は自販機に金を入れファン●オレンジのボタンを連打し、出てきた缶を望月さんに投げつけた

 

「あざーす」

 

「もっちー!半分こね!半分くださいよ!」

 

「あいよー」

 

仲か良いのだか悪いのだかわからん奴らだな、まぁ駆逐艦のガキどもの間にはまだ友情と言うアツき絆があっても不思議ではない、いずれ大人になり、失われていくものだ、今くらいはあってもいいさ

 

「まぁどうでもいいか、オイ、オマエらヒマなら平戸クンもゲームの仲間に入れてやれ」

 

「えー…でもそいつめっちゃ強いし…」

 

「もうこのゲーセンでその子が本気のファイトができるのはランキング1位の“殺戮機械(デス・マシーン)”か“バトル・キング”しかいないってもっぱらのウワサですよ〜」

 

「え?マジかよオイ」

 

平戸クンが数多のシングルナンバーを次々と撃破しているとは聞いてはいたがまさかここまでとはね…やはりこの子、天才ね…

 

「ぶっちゃけテイトクとかそいつから見たらカス中のカスだよ」

 

「内心、才能ねーカスは死ねよって思ってますよ」

 

「平戸クンがそんなコト思うワケねーだろーが、なぁ!?平戸クン!!」

 

「…まぁ、そこまでは思ってません」

 

そこまでは……と言う辺りに彼女にいらぬ気遣いをさせていたのか、俺は

 

「まぁそう気を落とすなよオッさん」

 

「そうですよオッさん」

 

「オッさんじゃない、ハンサムな提督だ」

 

望月さんと巻雲のいらん同情にややイラっとしたが、ここで怒り狂うのは紳士である俺のすることじゃあない、紳士道を尊ぶ俺じゃなきゃコイツら2秒前には天井に頭が突き刺さっていたね

 

「まぁいい、貴様らには後で罰を与える、グラウンド10周だ」

 

「ゲェーッ!」

 

「もっちーが余計なコト言うからぁ!!」

 

 

この後、俺たちがベンチのところでたむろしつつどうでもいい話題でダベっていると、香取先生が見回りにきたらしく、ヤベ!香取ティーチャーだ!補導されるゾ!逃げろ!と身に覚えのあるバカどもは店の裏口からダッシュで逃げて行った…

 

ちなみに巻雲の夏休みの自由研究は基地に居るあの仙人みたいなデカパイ空母が本当に妖怪仙人の類なのか、もしくはドラドラの実(巨乳種)を食べた能力者なのかを研究したらしい



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提督と雲龍VS S.H.B

暴君VS暴君

【登場人物】

提督(知性的レスリング)
いけないなァ、テイトクの事を悪く言っては

雲龍(ドラゴンタイプ)
火は吹かないけど雷を出すタイプの龍、女子供にも容赦なく杖で殴打する


「お腹が空いたわ」

 

「フーッ〜…そりゃ良かったな」

 

夏の暑さが未だに思い出にならない今日この頃、執務室で真面目に仕事するのに飽き、喫煙所でタバコでも吸うかと自販機コーナーで缶コーヒーを買って喫煙所に来ると、喫煙所の横に設置されたベンチのところに態度とパイオツがデカい仙人みたいな空母、雲龍が座っていた…

 

「お腹が空いたと言っているのよ、耳糞が詰まってるの?」

 

「詰まってねぇーよ、腹減ったらマミー屋に行けよ、マミー屋」

 

「お金を持ってないわ」

 

「そうか、ならそこら辺の霞とか食ってろよ」

 

そんなものでお腹が満たされるワケないわと至極真っ当な回答が返ってきたついでに、手にしていた杖で俺のベンケイを的確にスマッシュしてきた

 

「痛てぇよ!!」

 

「お腹が空いているのよ、何か持ってないの?」

 

「何かねぇ……タバコと缶コーヒーと、あ、オールシーズンチョコならあるな」

 

「使えないメガネね、生きてるのが恥ずかしくないの?」

 

「やかましい」

 

このクソ空母が、この俺が思わずゴクリっ!としちまいそうな巨乳じゃなけりゃ必殺のスネークバ●ト→小パンチ→小パンチ→スネークバ●トの地獄ループでハメ殺してやるところなのだよ…

 

「そんなに腹が減ってるならその辺の草でも食べてろ、たしかあっちにハーブ的なモンが生えてるとか誰か言ってたぞ」

 

「ハーブなんか食べても美味しいワケないでしょ、殺されたいの?」

 

暴君かコイツは……さすが、駆逐艦のバカガキどもからドラドラの実を食った全身ドラゴン人間だの、金鰲出身の超大物妖怪仙人だの噂されているだけある

その危険性たるや同じく金鰲出身の妖怪仙人と噂されている雅な御カタ、初春様と互角、いや……残虐性、異常性はそれ以上ッ!!

 

「だいたいお前、なんでそんな飢餓状態なんだ?朝飯食ってないのか?」

 

「食べたわよ」

 

「食ったのかよ」

 

「葛城が食べ残したバウムクーヘンも食べたわ」

 

意外ッッ!!見た目の貧乏風味では秋月姉妹にも負けていない雲龍姉妹が朝からバウムクーヘンを食べているッッッ!!

 

その、衝撃的事実に動揺を隠しきれなかったが、そのバウムクーヘンは妹の天城が近所のスーパー銭湯で歌謡ショーのバイトした際、おひねりの一環としてお土産にもらったと後日天城本人から聞いた

 

「葛城はああ見えてワリと少食なのよ」

 

「ああ見えなくとも少食だろ、アイツは」

 

そりゃお前や天城と比べたら余計なモン搭載してねぇしな、しかしこの雲龍ほどではないにしてもすぐ下の妹はかなりのご立派様を搭載しているが、コイツほどエンゲル係数が高そうに見えない不思議…

 

「そう言えば葛城、こないだなんとか言う先輩からご飯に誘われたけど失神したらしいわ」

 

「へぇ」

 

そういやこないだ瑞鶴が後輩をご飯に誘うんだけどなかなかうまくいかないとか珍しく悩んでたな、アホのくせに

 

「テイトクは私をご飯に誘わないの?」

 

「誘うかボケ」

 

っーかウチにいる空母なんてだいたい俺の財布の中身を気にしないクソヤローばっかじゃねーか、食い放題以外のメシに誘ったら俺を破産させる気で食いやがるし、仮に食い放題に誘っても出禁になるのがオチなのだよ

 

そんなごくごく当たり前な事について考えていると、ビニル袋を手にした天龍と木曾が歩いて来た…

 

「お、テイトクじゃねーか」

 

「デートか?フッ、妬けるじゃねぇか」

 

「これがデートに見えるんならお前らはデートについて考え直した方がいいのだよ」

 

世界で一番自分が強くてカッコいいと心の底から信じているアホの天龍(中二病)と性格と人格に難はあるものの個性派揃いで魅力的な4人のお姉ちゃん達から構われがちなラノベ

主人公属性持ちの木曾(中二病)…

 

基本的にはアホだが、2人は俺のベスト・フレンドである

 

「貴方達、何か食べるもの持ってないの?お腹が空いてムシャクシャしているのよ」

 

「食い物?チューインガムならあるぜ、コーヒー味」

 

「オレは何も………あ、そういや朝、北姉ぇから兵●餅貰ったのなら…」

 

「どいつもこいつも使えないわね、殺されたいの?」

 

新たに現れた2人もロクな食い物を所持していないコトにイラついているのか、雲龍は頭から電気的なスパークをバチバチさせるッッッ!!クッ!なんて覇気だ!心の弱いものなら今の覇気で死んでいるぞ!

 

「オイ雲龍、弱い者イジメはやめ……やめろ」

 

天龍と木曾はたしかにアホだが俺のベスト・フレンドだ

 

「んだとぉ…誰が弱き者だ!」

 

「よせ!天龍!のるな!」

 

木曾は弱き者とディスられたベスト・フレンドの天龍を諌めるように肩を掴んだ

 

「まぁいいわ、そもそも、金なし、暇なし、甲斐性なしの基地マヌケトリオに期待した私が悪かったわ…」

 

「誰がマヌケトリオじゃコラァ!!」

 

「よせ!テイトク!のるな!」

 

木曾にのるな!と肩を掴まれたが……このクソアマァ、ちょっとおっぱいデカいからってチョーシにノリやがって、そのパイ●リ専用パイオツでズリセンコかせてもらってもモンクねーよな!!

 

そしてどうやらコイツにはわからせが必要らしい、この基地の絶対支配者が誰なのかを………と考えていると、何やらチーズ臭い箱を持った長鯨クンが歩いてきた

 

「あ、テイトク……と、雲龍さんと天龍さんと木曾さん、珍しい組み合わせですね」

 

プッツン潜水母艦、迅鯨クンの妹でありながらプッツン姉とは対照的にワリとマトモな妹、長鯨クン、見ての通り、この基地には珍しい善人だ…

 

そんな長鯨クンが手にしたチーズ臭い箱に、雲龍はスンスンと匂いを嗅ぎつつ長鯨クンの手をとった

 

「なにコレ?チーズ臭いわ」

 

「え?あ、ハイ、コレはピザです、なんか潜水艦の皆さんから頼まれて今から持っていくところです」

 

長鯨クン曰く、潜水艦のバカどもから寮でカラオケするからピザ持って来いよ!ピザ!とデリバリーを依頼されたらしいのだが、長鯨クンはピザの作り方を知らないらしく、たまたまマミー屋にいたメガネの魔女みたいなイタリア人に頼んで作って貰ったそうな

 

「へぇ、美味しそうね…」

 

「たぶん美味しいと思います!本場イタリア人の人が作ったものですから!」

 

「そう…」

 

雲龍はスンスンと匂い嗅ぎつつごくごく自然な流れで箱を開け、中に入っていたアツアツのピッツアを一切れつまんで口に放り込んだ

 

「美味いわ」

 

「ですよね!私もそんな気がしてました!」

 

「もっとよこしなさい、いえ、全部よ」

 

「え?いや、でも全部だと潜水艦の皆さんに持っていく分が…」

 

「全部よ」ギロッ!!

 

「ヒギィ!?」

 

なんて覇気だッ!!雲龍の覇気の前に長鯨クンは若干漏らしつつ両膝から崩れ落ちた

 

「…………美味いわ」ナポォ…モニュ……モニュ…

 

「暴君かッ!!」

 

 

この後、もっと食べたいわ、マヌケトリオ、今すぐマミー屋に行って追加を貰ってきなさいと更なる追加を求めた雲龍だったが、マヌケトリオとディスられた俺たちの怒りを買い、ハゲしい戦闘状態となった…

 

この戦いで、天龍は壁にメリ込み、木曾は地面にメリ込み、俺も危うくイ●ポになりかけるぐらいに電撃を浴び、雲龍にもそれなりのダメージを与えたつもりだったがワリと大丈夫だったらしく、戦いの途中、そろそろ天城がバイトから帰ってくる時間だわと雲龍は何事もなかったように去って行った…



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提督と雅な御方の初春様

台風一過ですの

【登場人物】

提督(ハンサム)
車に瓦でも刺さったらイヤなので近所イ●ンモールの立駐に避難させる名采配

初春様(雅な御方)
提督からもナチュラルに様付けをされているナチュラル高貴な御方、雲龍と同じく妖怪仙人疑惑がある


ある晴れた昼下がり、小粋なテイトクジョークを交えつつ秘書艦サミー子とババ抜きをしていると執務室の重厚な扉が開いた…

 

「テイトクはおるかの?」

 

「ゲ、ゲェーッ!!」

 

「いや、ゲェーは失礼すぎでしょ…」

 

秘書艦サミー子の冷静で的確なツッコミはいいとして、執務室にやって来たのは隠しきれない妾さと高貴さを持つ雅な御方、初春様

 

基本的には駆逐艦=バカガキであるのは最早常識だが、この初春様は違う…っ!一説には金鰲出身の妖怪仙人と噂されているがその真偽は不明、しかし、その隠しきれぬ雅さは只者のそれではなく、この…俺ですら油断すれば膝を屈しかねない

 

「これはこれは初春様、わざわざ足を運ばなくとも呼び付けて貰えれば……」

 

「よい、妾とて基地では一艦娘にすぎぬからのぉ、テイトクに用があれば自ら足を運ぶことに不思議はあるまい?」

 

「ガハハハ、ご冗談を」

 

一人称が“妾”の時点でもう普通ではない、この御方のヤバさはオレじゃなきゃ見逃しちゃうね

 

「して、初春様がわざわざとは……何の用件でありましょう?」

 

マミー屋に和菓子のラインナップが少ない事か?それとも明石のとこで売っていたミックスゼリーが最近品薄状態な事か?

 

「うむ、テイトクよ………妾の妹とヤってくれぬか?」

 

「…………はぁ?」

 

「どうじゃ?」

 

「…………はぁ?」

 

え…?なに…?妾とヤってくれ?なんで?いや、違う、妾、妾の妹?え?妹?妾に妹いるの…?妾の妹…?え?ヤる…?妾の妹と…?なんで…?

 

混乱…っ!!そんな俺の混乱と動揺の中、秘書艦サミー子は俺の頰にアツアツのティーがなみなみと注がれたマグカップを押し付けた

 

「アツゥイ!!ナニすんだテメェ!!」

 

「さっきからティー淹れたけど飲むか聞いてたじゃないですか?モンクの前に3回も無視された私の気持ちを考えるべきです」

 

「そうか…」

 

クッ!この寒色系が……まぁいい、頰に喰らった激アツのおかげで冷静さを取り戻せたのだよ

 

「初春様も紅茶でいいですか?あ、ミロもありますけど?」

 

「ふむ、聞いた事がない飲み物じゃな、ではその…“みろ”とやらを貰おうか」

 

コイツ、雅な御方である初春様になんてものススメるんだ、初春様はお茶にキマってるだろーが!!

 

「あの………初春様、初春様の妹と言うと…?」

 

「うむ、見ての通り妾とて人の子、不出来とは言えやはり妹は可愛いものでな…」

 

見ての通り…?人の子…?

 

「なんじゃ?妾に何か言いたいことでもあるか?」

 

「い、いえ!ございません!!ございませぬ!!」

 

しからば命だけは!命だけはァァァァ!と誠心誠意を尽くし頭を下げ初春様に許しを乞うた俺に対し、初春様は5秒程考えて許すと手にした扇子を広げた

 

「それで……その、初春様の妹?とは…?」

 

「ん?あぁ、その話じゃったな、そう、アレじゃ、妾の妹なんじゃが、最近テイトクのコトばかり考えているようでのぉ、起きていても、寝ていても、食事をしている時も、なんと言うか………そう、惚れておる」

 

「えぇぇ…」

 

ウソだろオイ、ビックリだよオイ、いや……まぁ、たしかに?俺ぐらいのハンサムなんだからそれぐらいは普通にあるよな?うん、普通に、だってハンサムな提督なんだから、そりゃーあるよな?うん、ほら、だってアレじゃん!他所の基地とか鎮守府とかだと提督と艦娘、上司と部下、なんっーかオフィス・ラブ的なモンとか当たり前っーし、上司と部下の関係は5時までであとはアフター5な関係っーか、そーゆーのはよくあるし

 

むしろ!今まで俺にそーゆー話がなかったのは俺が硬派な提督だったからであり、やっぱ上司と部下ってのは一線を引いとかないとアレなワケで、俺としてはやっぱそーゆーのは良くないっーか、示しがつかないっーか…

 

「初春様、妹って言ってもどれなんですか?」

 

「む?おぉ、そうであったのぉ」

 

秘書艦サミー子の冷静で的確な疑問……そういやそうだ、初春様の妹って言っても何人かいるんだよな、そもそも初春様の妹って誰だ…?子日…?

 

「有明じゃ」

 

「あー…有明さん」

 

「有明…?誰だそいつ?」

 

「アレですよアレ、昔から白露姉さんが好きで好きでわざわざ軍まで追いかけて来た幼馴染系残念イケメンの」

 

「あー……アイツか」

 

そういや居たな、そんな残念イケメンが…

たしかいきなり俺にライバル宣言カマしてアデューとか言ってた…

 

「え?ナニ?アイツ、俺のコト好きなの?」

 

「まさか…あの人、昔も今も白露姉さんにゾッコン・ラブですよ」

 

サミー子曰く、有明は白露のアホにちょっかいだそうとしては次女の時雨様の逆鱗に触れているらしく、基地と病院を行ったり来たりする生活を送っているそうだ

 

「夕立姉さんと村雨姉さんにもボコられてますから、あの人」

 

あのバカコンビどもにボコられてなお挑み続けるTOUGHさだけは大したものだ

 

「あの…初春様?」

 

「なんじゃ?」

 

「その……有明クンなんですが、惚れてるんですか?俺に?」

 

「うむ、寝ても覚めてもテイトクを倒すコトだけを考えておる」

 

「あー……そっちかぁ〜」

 

初春様曰く、正直、ホントに妾の妹かどうか疑わしく、一時は武から身を退けと言ったものの、それでも!とひたすらにトレーニングを続けているらしく、なんでも2020夏同期会なる仲間達の協力もあり、最近メキメキと力をつけてきたのだと…

 

「へぇ…サミー子、知ってた?」

 

「えぇ、なんかアメリカ人の人に殴り方とか、殴り方とか、殴り方とか教わってるらしいですよ」

 

「へぇ〜…」

 

殴り方しか教わってねぇのかよ、その同期会のメンツはよく知らないが、どうせヘレナくんとかその辺だろ…

 

「それでじゃ、テイトクよ、有明とヤってくれぬか?」

 

「あ〜……では初春様、受けるのは構いませんが条件を有明クンに伝えて貰えますか?」

 

「条件とな?」

 

「えぇ」

 

ーーー

 

ベストコンディション…

最高の状態で試合場に立て、ならば相手する…

 

「…と、コレが試合を受ける条件じゃ」

 

提督に試合の約束を取り付け、寮の部屋に戻ってきた初春はとりあえずに子日に茶を淹れさせ、若葉と初霜にも楽にせよと促した…

 

「ベストコンディション!フッ!いいね!ベストコンディションか!」

 

有明は陽気なアメリカ人から借りたサンドバッグをバシバシ叩きつつニヤリと笑みを浮かべた…

 

「どうする?今からでよいか?」

 

「今からァ!?あ、いや……ちょっと、今はベストじゃないし…先週夕立に折られた肋骨とかまだちょっとアレで……」

 

「はぁ……お前、本当に妾の妹か?」



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提督とよくある日常系日常

最近お留守な感がありましたが、ようやくわりと大きな仕事が終わって一安心

【登場人物】

提督(冷酷・冷徹・冷血)
知性溢れるストロングスタイル、そのペンチで破壊してやれ!


秋の陽気な執務室…

 

「ティーッス、鈴谷が遊びに来ま…」

 

執務室の重厚な扉を開き、ヘラヘラとしまりの無い顔でやって来た鈴谷はアイサツもそこそこに強烈なダッシュで提督との距離を詰め、素早く提督の身体をクラッチしパワフルに空中に放り投げ、空中で仰向けになった提督の首と左足を掴み、そのまま執務室の床に激突させるッッッ!!

 

「大●山落としーッ!!」

 

「ドヘァ!!」

 

さらに続けざまに提督の両腕をクラッチした鈴谷はミスミスとスピンし、必殺のスピンダブルアームソ●トで提督の両腕を破壊しにかかる!!

 

しかし!!

 

「ゲェ!!こ、コイツー!!」

 

鈴谷のスピンダブルアームソ●トを強靭なブリッジで耐えた提督は逆に鈴谷の身体をミスミスとスピンし、その両腕を破壊、さらに、鈴谷の身体を抱えあげて自分の膝に鈴谷のダブルニーを激突させダブルニーを破壊した

 

「続きは私がやってやろう、ダブルニークラ●シャー!!」

 

「ウッギャアアアアアア!!」

 

◆◆◆

 

こやつめ、アイサツもそこそこの強襲、さらに俺に対して掟破りの九所封じでの大胆な攻めは評価に値しよう…

冷酷・冷徹・冷血を尊ぶ我が聖なる完璧の基地に相応しいツラ構えになったと言えよう

 

「で?何の用だ?」

 

ラスト・ワン、提督圧搾機まで喰らい全身をズタズタに破壊され執務室の床に転がっていた鈴谷は2回程痙攣した後、破壊されたはずの両足でゆっくりと立ち上がりうすら笑いを浮かべた

 

「カレー食いに行こうぜ」

 

「断る、何故なら提督の昨日のディナーはカレーだったからだ」

 

「ハァ?昨日のディナーがカレーとか関係ないっしよ?次の日もカレーでもいいっしょ?」

 

「いいワケねーだろ、俺は人並みにカレーは好きだが三食カレー食ってるほどカレー好きじゃねーんだよビッチが、ア●ルにバーモント甘口(固形)挿入されてーのか?」

 

「ビッチじゃねーし、っーかカレーに飽きるとかテイトク、頭おかしいんじゃね?ビョーイン予約しとく?」

 

「よしわかった、つまり………殺してくれ、って意味でいいんだよな?」

 

「殺してくれとか言ってねーし、ってかテイトク、昨日のディナーがカレーって………ナニ?どっか外に食べに行ったの?それとも中で?1人で?誰かと?あ、わかったサミー子だ!」

 

鈴谷は物理的に俺の身体に自分をグイグイ押し付けつつどうでもいいことを根掘り葉掘りと……ヤンデレカノジョかナニかかコイツは

 

「昨日は自室に帰ったら自称御奉仕メイ……いや、自分で作って自分で食ったわい、バーモント甘口を、リンゴとハチミツのよぉ〜…」

 

いかんいかん、何よりも神聖な空間である提督様の私室に自称御奉仕メイドと言う名の悪魔が巣食っているのは秘密にしておかなければならない…

この基地にはもうハルサメがいる、そう、アイツはハルサメだ、妙に白い髪だとかナノテク仕込みの鉄の足だろーが誰がなんと言おうと白露姉妹の五女ハルサメだ

 

「バーモント甘口ですか?ほぉー…」

 

そう言いつつグイグイくる鈴谷は俺の頰をベロォ…!と舐めた!!

 

「うわ!汚ねっ!ナニすんだこのビッチが!!発情期か!?」

 

「この味はバーモント甘口の味じゃねー!!ウソをついている味だぜ!!」

 

この味はバーモント甘口じゃあない、ダイエットカロリー50%オフ バーモント ジャワカレーの味だぜ!と力強く宣言する!!

 

「それにおそらくインスタントコーヒー……おそらくザ・ブレンド114を少量混ぜこんでいると言うところじゃん」

 

「そ…そんなコトまでワカるのか?」

 

「まぁ、鈴谷カレー好きですし?」

 

カレー好きの範疇を超えてるだろ、正直引くわ

 

「ま、テイトクが昨日ナニ食ってても別にどうでもいいし、とりあえずカレー食いに行こーぜ!鈴谷美味そうな店見つけたじゃん」

 

「やだよ、熊野と行け、熊野と」

 

「ん〜…熊野のやつ、昨日の夜からなんか全巻読破しますわーとか言って漫画読んで完徹してまだ寝てるんだよねー」

 

「漫画ぁ?熊野が?三国志でも読んでたのか?」

 

「いや、こ●亀」

 

こ●亀かよ、バカじゃねーのかアイツ……いや、バカだった

 

「ふ〜ん、ま、熊野が白眼剥いてよーがアヘ顔失禁KOしてよーが俺には関係ねぇか」

 

「いや、フツーに寝てるだけだけど?イビキ超うるせーケド」

 

アイツ、イビキうるせぇんだな……やっばエレガントの皮を被ったとんでもない下女だなオイ

 

とりあえずこれ以上鈴谷の相手するのもウゼーし、明石の店で菓子パンとタバコ買ってからベンチにでも行ってコロちゃんの横乳でも眺めるか…

 

「あ、テイトク、どっか行くの?カレー屋行く?」

 

「行かねーよ、明石の店行ってからコロちゃんでシコるんだよ」

 

「や、まったく意味ワカんねーし、っーかカレー食いに行こーぜ!!カレー!」

 

「うるせぇなぁ〜……」

 

◆◆◆

 

マトモに相手をすると不屈のタフネスと驚異的な回復力で蘇る鈴谷に対し、必殺の邪●でイイ夢を見せてからのスネークバ●トで執務棟の廊下の壁にメリこませるメリこみ失禁KO…

邪●→スネークバ●トは強力な必殺コンボではあるが1日3回限定だから使いどころが難しい故に、この俺にここまで使わせるのは誇っていい、ただし、あの世でな

 

「いらっしゃいませ〜…って、ゲェ!テイトク!」

 

「ナニがゲェ!だ、なめてんのかピンクが、誰のおかげでここでショーバイできてると思ってんだオラ!」

 

基地内にあるコンビニ的な店、アカシストアー…

一般的には明石酒保とか言う名前が正式な名前らしいが、明石酒保だとロイヤリティが発生するらしく、ウチの明石はロイヤリティをケチった上に明石酒保を訴えると言う暴挙に出たこともある正真正銘のクズだ

 

「そ、そりゃ〜テ、テイトクのおかげですよぉ!エヘ…エヘヘへ、ジョーダン、ジョーダンですよぉ」

 

「ナニがジョーダンだクズが、まぁいい……あ、そういや今月テナント料まだ払ってねーだろテメー」

 

「払いましたよ、3日くらい前?サミー子ちゃんが取り立てに来たんで」

 

「そうか」

 

「そうです」

 

「それはそれとして、俺はまだテメーから今月のテナント料を受け取ってないが?あ?この始末はどーつけるんだ?」

 

「ヤクザか!!っーかヤクザよりタチ悪い!!」

 

「うるせぇなぁ、海軍なんてヤクザみてーなモンだろーが、前にエライ人が正しくなけりゃ生きる価値はありゃあせん!とか言ってたぞ」

 

「おーおー、怖いことを言いなさる………って!私払いませんからね!もう払ってるし!領収書あるし!」

 

「おーおー、そんな紙キレ1枚でこの提督様が黙る思うちょるんですかこのピンクは?まるで知性を感じませんね」

 

まったく、相変わらずコイツはアレだな、アレだよ、まっことアレだなオイ、どうやらこのピンクにもわからせが必要らしい、この基地の絶対支配者が誰なのか…

 

「まぁいい、とりあえずそのスケベスカート脱いで土下座して心から謝罪しろ、卑しい工作艦でスイマセンとな」

 

「イヤですよ、っーかテイトクこそ私に謝ってくださいよ、名誉毀損ですよ!名誉毀損!」

 

「ハァー?オマエのようなピンクに名誉などあるかー?あー?」

 

「バ、バカにして!」

 

明石のやつはレジの後ろからカラフルボールを取り出し投げつけてきた

 

「痛い!………いや、痛くはない?なんだコレ?防犯ボールか?」

 

「いえ、ただのカラフルなゴムボールです、小さな子供でも安全に遊べるように国の安全基準を満たしてます」

 

「なるほど」

 

「他にも誰でも魔球が投げられるボールとか入荷してますよ、買いませんか?」

 

「買わねーよ、誰が買うんだそんなもん?」

 

「最近だと駆逐艦とか海防艦の子達が買ってますね」

 

「ふ〜ん」

 

なるほど、たしかにアホなガキどもが好きそうなグッズではあるなと考えていると、アカシストアーのドアが開き酒臭いのがやって来た…

 

「アカシさ〜ん、お酒、お酒売ってくださいよぉ〜…エヘヘ〜………あ、テイトクだぁ〜、テイトクもお酒買いに来たんですかぁ?ワンカ●プ大関」

 

「んなワケねぇだろ」

 

こいつの名はポーラ、見ての通りアル中だ…………

見ての通りアル中だが、見た目だけなら超絶美少女と言っていい、見た目だけなら

 

「オマエ、こんなとこでシレっと酒買ってたらまたザラ姉ちゃんに殺されるぞ」

 

「エヘヘ〜……大丈夫ですぅ〜、たしかに、ザラ姉さまに見つかると殺されますけどぉ〜…ここで飲んでから行くのでバレませぇん」

 

…たしかに、普段から酒臭いコイツだ、多少シレっと酒を追加してもバレにくいのだろう、たぶん

そんなポーラはポケットからなけなしのお小遣いであろう小銭を取り出してレジカウンターに置き、お酒!お酒!とギンギンに明石に詰めた

 

「ハイハイ、ワンカ●プ大関ね、ワンカ●プ大関……はい、まいどありー………っと、あとコレ、ポーラちゃん可愛いからお姉さんからのサービスね」

 

明石は賞味期限の切れたさきいかの小袋を取り出した

 

「あ…アカシさん、アカシさぁん!!なんていい人!」

 

「コイツが善人なワケねーだろ」

 

「失敬な、っーかテイトク、ナニも買わないならとっとと消えてください、商売のジャマですよ、ジャマ」

 

「うるせぇな、買うよ、菓子パンと缶コーヒーとタバコ、あと今夜の君を買いたい」

 

「菓子パン(150円)と缶コーヒー(130円)とタバコ(550円)は売りますけど今夜の君はウチでは取り扱ってないですね、エロいおねーちゃんの店に行ったらどうですか?」

 

「小粋なテイトクジョークだ、っーか誰がテメー買うのに金払うかボケ、謝罪しろ」

 

「ハァー?私に金払う価値がない!?ちょっとプライド傷つくんですけど!!」

 

「オイ、ポーラ、小遣いやるからおっぱい揉ませろや、1000円」

 

「うぇぇー!1000円!?やりますぅ!!」

 

「安い!!ポーラちゃん!!ダメよポーラちゃん!自分をそんな安売りしちゃあダメっ!ポーラちゃんのおっぱいならもっと高く売っていいのよ!!」

 

「え〜?じゃあいくらならいいんですかぁ?1500円?」

 

「ダメダメ!!もっと自分を高くして!ポーラちゃんは見た目だけは美少女なんだから」

 

「じゃ10億リラぐらいでぇ〜?」

 

「いいよポーラちゃん!!そう!もっと自分の意識高くして!10億!10億リラ!テイトク!10億リラですよ!」

 

明石のアホは1000円を10億リラ(約7千万)に吊り上げた

 

「じゃいいわ、ザラ姉ちゃんに頼んでくるわ」

 

「うぇぇ!じゃあ1000円でいいですぅ!テイトクぅ!」

 

「ポーラちゃん!?」

 

バカめ、ポーラにとっては1000円も10億リラも関係ないのだ、こやつに必要なものは目先の金!今、酒を買うための金があればそれでいいのだ!

まぁ、むしろザラ姉ちゃんに1000円だすからおっぱい揉ませてくれと言ったらまず殺されるだろうから実際にはやらないがね!

 

「1000円ンン〜?ポーラくぅぅぅん、500円じゃなかったかなぁ?ポーラくぅぅぅん?」

 

「あうっ……ぁぁ、で、でもテイトク最初1000円って…」

 

「じゃいいですぅー!」

 

「あわ!500円!500円でいいですぅ!!」

 

ポーラは涙目で500円を了承した…

 

「な……なんて汚い!!テイトク、なんて汚い!!アンタ、それが大人のやることですか!」

 

「明石、貴様にだけは言われたくないな、同じ大人である貴様には!」

 

「大人にだって節度があるでしょ!」

 

「今更否定するか!やはり貴様もまた子供じみた理想を捨て切れない理想家だな!」

 

「理想家で何がいけないか!人は皆、理想があるから生きていける!理想を失ったアンタにはわからないだけだ!」

 

「ナンセンスだな!」

 

 

この後、俺と明石は大人であることを徹底討論すべくママの店へ行き、深夜まで徹底討論に及んだ…

ちなみに、ママの店で決着をつけようと相成った際、ポーラも同行すると名乗りを上げただけではなく、お姉さんに内緒でこっそり酒を買いにアカシストアーの前に来ていたイヨティンも私も同行するとメンバーに加わり、4人並んで行くぞ!とママの店まで旅に出た…

 

翌日、ゴミ箱から朝帰りをしたポーラに事情を聞いたザラ姉ちゃんに俺と明石はメチャメチャ怒られポーラはメチャメチャボコられた…

 

あと、イヨティンもお姉さんから10時間正座させられたらしい



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提督と鹿島先生とディナー・タイムス

好感度が異常に高い

【登場人物】

提督(メガネ)
メガネ男子、得意な料理はクックドゥー

香取先生(メガネ)
メガネ女教師、得意な料理は卵焼き

鹿島先生(巨乳)
どエロイ女教師、駆逐艦のアホガキどもからスケベの化身かよ!とディスられている


夏の暑さも去り、なんやかんやで日中も寒さを感じつつある初秋の執務室、アフター5の鐘と共に今日は姉妹で焼肉するのでこれで失礼しますと言って颯爽とGET W●LD退勤をカマす秘書艦サミー子の背中を見つつ俺も本日の業務を終えた…

 

しかしあの姉妹、昔から仲良いのか悪いのかよくわからんな…まぁ、俺には関係ないコトだが……

 

「さて…」

 

今日はもう仕事する気もねぇし、ママんトコにでも行って一杯ヤるか、マミー屋に行ってアツアツに焼いたステーキでも食うか……

間宮の子分から聞いた話では、間宮は最近グ●メ界に行っていたらしく、なんかスゲー稀少な肉を仕入れたとかなんとか言ってたしな〜……と考えていると、執務室の重厚な扉をキチンとノックする音が響き、扉が開いた

 

「失礼します、提督、少しお時間よろしいでしょうか?」

 

「これはこれは香取先生!モチロン」

 

エレガントに扉を開いたのはメガネがステキな香取先生

ウチの救いようの無いバカどもにアツく熱血指導してくださるまっことアツい教育者の鑑である

 

「今度の基地開放祭について少し相談が…」

 

基地名物秋の基地開放祭ッッッ!!

当基地では毎年この時期に基地開放イベントとして開催しており、秋の地域密着型イベントとして多くの地元民達に愛されている大事な大事な年間行事である

 

毎年大好評であり目玉である“撲針愚”や“羅惧美偉”は特に大盛況であり基地の大事な大事な運営費獲得イベントでもある

 

「ほぉ、開放祭の…?」

 

「えぇ、今年の合唱コンクールなんですけど一部の海防艦の子がちょっとアレでして…」

 

「ほぉ…アレですか」

 

「えぇ」

 

ちなみに、毎年血を血で洗うデスマッチとか宣伝してるせいか開催日に警察が飛んでくるがその度に派手な宣伝してる学芸会ですわガハハハ!とサラリと流している

 

「香取先生、なんでしたらお話はディナーでもとりつつ…」

 

「まぁ!提督から誘って頂くなんて…」

 

モチロン構いません、えぇイエスです、イエスです提督と俺とのディナーを快く了承してくれた香取先生、まったく、香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる…

 

「では提督、少し準備をして参ります、えぇと……」

 

「では18……いえ、19:00に駐車場前にでもしておきましょうか」

 

「わかりました、19:00に駐車場前ですね」

 

そう言ってエレガントに一礼し香取先生は執務室を去って行った……

 

さて、俺も準備するか、準備、相手は香取先生だしな!これがサミー子とかだったら黒に金のラインなジャージにキ●ィちゃんのサンダルでもハッキリ言って俺は気にしないが、相手が香取先生となればハンサムな俺としては努めて紳士な装いでなければ香取先生に恥をかかせてしまう

 

◆◆◆

 

皆さんこんにちは、鹿島です

練習巡洋艦鹿島と言えば世間的には突然基地に着任し提督をメロメロにし古参の艦娘から嫌われる鎮守府クラッシャーとかディスられたり、秒で搾精する淫魔とかディスられたりしてるらしいですがそれは一般的な鹿島です、私ではありませんし、そんなふうになりたいと考えていた時期が、私にもありました……

 

「あー………もう夕方じゃん、香取姉ぇまだ帰ってきてないし」

 

本日の私は休日、普段は先生と呼ばれて駆逐艦や海防艦の子の模範にならないといけないと言う責任感からパリッとした制服を着こなしているが、休日の部屋着はジャージ、しかも高校の時…

まぁ、誰に見られるワケでもないのだからジャージで何の問題もないワケだけど…

 

「ハハ…撮り溜めしたアニメ見てたら休日終わってるとか色々終わってるわ、私…」

 

ぼんやりと窓の外を見つつ冷蔵庫から取り出した缶チューハイのプルトップの蓋を開け、それを口に流し込むと少し涙が出てきた…

 

………昔は若くてイケメン提督のいる基地に配属され、イケメンな提督とイイ感じになってみんなから先生先生ってちやほやされたいな〜…って夢を持っていた

 

でもね、夢だった、夢だったんですよ…

 

まだ夢見ちゃってた頃の自分にショボい人生でゴメンねって謝りたい気持ちでいっぱいですよ

 

……と、そんなコトを考えつつ冷蔵庫にたしかカニカマがあったなと漁っていると、部屋の扉が開く音が聞こえてきた、香取姉ぇが帰ってきたのか…

 

「ただいまー………って、鹿島、休みだからってまたそんな格好で…」

 

「おかえり〜香取姉ぇ、今日の夕飯なに〜?」

 

「夕飯なに〜?じゃありません、鹿島、今日姉さん提督にディナーを誘われてるからアナタはアナタで適当に済ませて」

 

「…はぁ?」

 

マジかあのメガネ、香取姉ぇをディナーに誘うとかやるなあのメガネ

 

「はぁ………しゃーない、カップ麺にしよ、香取姉ぇ、カップ麺のストックってこの棚だっけ?」

 

「……アナタねぇ」

 

「別にいいでしょ、たまにはカップ麺で済ませても」

 

香取姉ぇは呆れたように溜め息を吐くが、私は私だ、誰もが香取姉ぇのように公私共に完璧には出来ない

まぁ、完璧かと言われたら香取姉ぇも男の趣味だけは最悪だけど…

 

「…………鹿島」

 

「ナニ?」

 

「すぐに着替えなさい、アナタも行くのよ」

 

「…………は?」

 

「は?じゃありません、は?じゃ、アナタも一緒に行くと言ったんです、早く支度しなさい」

 

ナニ言ってるのこの姉…?言っている意味がわからない、提督とディナーに誘われた、この状況で………イカレているの…?

 

「いやいやいやいや、香取姉ぇ!私、関係なくない!?ディナーに誘われたの香取姉ぇだよね!?」

 

「たしかに、ディナーに誘われたのは私ですが、提督からは食事でもしつつ今後の教育方針に関するディスカッションでもどうかと誘われています」

 

「はぁ?」

 

香取姉ぇ曰く、基地の教育方針に関する話をするのだからアナタもいなきゃダメでしょ、とのコトだが………え?ナニ?この姉、ヘタったの?この必勝を約束された空前の土壇場でヘタったの?あの香取姉ぇが………?

 

「とりあえず、超失礼なコトを考えているのはわかります」

 

「か、考えてないよ!!」

 

「………はぁ、鹿島、だからアナタはダメなのよ」

 

香取姉ぇは溜め息まじりに東方先生みたいなコトを言った…

 

「鹿島、アナタはナニ?」

 

「え?え〜………練習巡洋艦?」

 

「何故疑問形…?まぁいいわ、練習巡洋艦鹿島、アナタの仕事は?」

 

「え?え〜……若くて将来有望そうで見た目よりエッチがスゴそうなイケメンの提督とイイ感じの関係に…」

 

ダァン!!!(禁鞭)

 

香取姉ぇの鞭が私の頰を掠めて床を叩いた………

 

「わ、わたし……わたしのお仕事は、くちくかん、とか…カイボーかんとか……小っちゃい子たちに、一般的な常識とか教養を与え健全な大人になれるようにお手伝いする、お…お仕事、ですっ!」ガタガタ…

 

ヤバい、怖い、ダメ、死ぬ、ヤバい、殺される、あ、ダメ、漏れそう…

 

「そう…」

 

「こ……殺さないで…」ガタガタ…

 

「殺すワケないでしょ、ほら鹿島、はやく準備しなさい、準備、提督をお待たせするわけにはいきません」

 

「は、はぃ!!」

 

 

この後、私は香取姉ぇと共に提督と待ち合わせしていると言う駐車場に行ったものの、提督の車は2シーターだったので、コレ!私邪魔ですよね!私マミー屋行きますから!と手を挙げたが、では私の車で行きましょうと香取姉ぇに提案され、3人で食事に行くコトになった…

 

移動中、そして食事中も提督と香取姉ぇのトレンディ小芝居にちょいちょいイラっとしたが、香取姉ぇが怖くて私は心の中でツッコんだのに、そんな私の心の中を見透かす鹿島?と言う微笑みに生きた心地がしなかった…



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続続続続続続続続続続続続続続続続続・提督と新人と面接①

新人面接回、今回もショーナンくんは来ませんでした

【登場人物】

鵜来(うくる)
以前から名前だけ聞いてた謎の海防艦、普通にかわいい系

夏雲(ナツ)
遂にその姿を現した朝潮型最後の戦士、白髪

Langley(らんぐれん)
MAJORから来たロッケンローラー、パイ乙のサイズはあまりロックじゃない


しれっと始まりしれっと終わっていた秋の海域作戦…

そんなしれっとした海域作戦ではあったが、終わってみれば久々に備蓄燃料が6ケタを割る大惨事…

 

「今回の面接はなんと6人です」

 

「なんと6人かよ」

 

多いな……いや、多いのか?正直、俺にはよくわからない、たしかに、私は作戦海域を煩わしいと感じ、マシーンのように指示を出していたからだ……

 

「内訳としてはジャパニーズ2、アメリカ人3、フランス人1です」

 

「アメリカ人多いな」

 

オイオイオイ、ここはジャパンだぜジャパニーズ!いつからウチはアメリカ海軍になっちまったんだオイ

思えば、アイオワを皮切りに毎回のようにMAJORから多数の電撃移籍しっぱなしだよオイ、もう助っ人外国人の枠を超えてるんじゃあないのか?

 

「まぁいい、で?最初は誰だ?また海防艦か?」

 

「珍しく鋭いですね」

 

海防艦かよ、まったく……ウチは保育園じゃねーっの、殺すか殺されるか、血と暴力を好み、虐殺を何よりも尊ぶ殺戮の為のマシーンを育成し、戦場と言う名の四角いジャングルに送り込む海軍の基地なのだよ

 

そんなイカレた時代の淀んだ街角みたいなみたいところに年端もいかない子供を送り込むなど、やはり上層部の闇は深いな……

 

ーーー

 

「鵜来型海防艦の鵜来です!提督、私、末永く頑張ります!」

 

あらら、こりゃまた可愛らしい子じゃないの

海防艦の例に漏れない下手すりゃ完全に声かけ事案で手が後ろに回る系なのだよ…

 

「鵜来クンか………ふむ」

 

履歴書的な書類を見るに、トクベツなものは感じないが……まぁアレか、ちょい運が良いって感じか、運が

 

「ふむ……サミー、彼女にオレンジジュースを、あと、冷蔵庫の中にシュークリームがあっただろう、出してあげなさい」

 

「はぁ?」

 

五月雨はナニ言ってんだこのロリ●ンのペ●野郎、イカレているのか?みたいな目をしつつ、冷蔵庫に入っていたバヤ●ースをグラスに注ぎ、箱に入っていたシュークリームを一つ取り出して皿に載せてどうぞとテーブルに置いた

 

「うわぁ、ありがとうございますっ!」

 

「いいんですよ、あのメガ……いえ、提督は子供にはわりと優しい系ですから、特に、幼女には」

 

「オイ、テキトーなコトを言うんじゃあない」

 

俺は気に入らない奴は女子供には容赦しない鉄拳の持ち主だが、基本的にはナイス・ガイだ

五月雨はそれは失礼しましたとあまり反省してなさげに自分のデスクに戻った

 

「とりあえずアレだ、鵜来クンはファームで鍛えてからだな!ウチはやる気があれば誰でもすぐに一軍登用できるレベルまで鍛える充実のカリキュラムで苦手分野もすぐ克服なのだよ」

 

「へぇー」モグ…モグ……

 

「ま、とりあえずは他の海防艦のバカガ……他の海防艦のやつに当基地のイロハを教えてもらうといい、基本的にはアホばかりだが……まぁ、悪い奴らじゃあない」

 

「あ、知ってます、対馬ちゃんもいるんですよね?」

 

「対馬…?あぁ」

 

曖昧に答えてみたが………誰だっけ?対馬?そんな奴いたっけか……?いや、いた、あー……ほら、アレだよ、アレ、たしか佐渡さまからよく尻キックされてる子、たしかあの子がそうだったような、たぶんそうだ、いかんなぁ…トシのせいか、最近名前がポンとでらんわい

なんっーかアレだ、親戚の集まりに顔出した時に、この子誰の子だっけ?と悩むアレだ

 

「鵜来クンは対馬クンとは仲良いのかね?」

 

「はい!一緒にジェンガするくらい仲良しです」

 

「そうか、ジェンガか…」

 

無邪気なものだ、まったく…海防艦って最高だな。その純粋さに照らされて、僕も自分を偽らず、素直に生きられる気がするのだよ…

 

ーーー

 

お土産にシュークリームを1つ持たせ、無事に退室した鵜来クン

秘書艦サミー子からペ●野郎とディスられたが俺は別にロリ●ンでもないしペ●野郎でもないと厳重注意し、続く2人目…

 

「朝潮型駆逐艦、7番艦の夏雲です」

 

幾星霜をこえて、今この時、この聖域(サンクチ●アリ)にすべての朝潮型艤装(クロス)、10体が結集したのだ!!

 

「夏雲クンか…」

 

手元の履歴書的な書類を見るに、性能的にはごくごく一般的な朝潮型………しかし朝潮型と言えば対・陸上型戦のスペシャリストが揃う駆逐艦きってのハードコア駆逐艦姉妹…

 

「ちなみにその髪、入隊前にマッキンキンに気合入れるつもりが薬剤が強すぎて脱色した系かね?」

 

「これは地毛です」

 

「そうか」

 

地毛か、まぁ…そーゆー地毛もあるよな、うん

 

「まぁ、夏雲クンはとりあえずファームで徹底的に鍛えてからになるので今のうちからカクゴしておくよーに」

 

「わかりました」

 

なんだ、案外素直な子じゃあないか……あの朝潮姉妹最後の1人っーからにはタダの問題児じゃないとビビってたが、わりとまともそうで提督は安心したのだよ

 

「サミー、彼女にオレンジジュースとシュークリームを」

 

「はぁ?」

 

秘書艦サミー子はめんどうくさげに立ち上がってオレンジジュースとシュークリームをささっと用意してテーブルに置いた…

 

「あ、なんだか美味しそうですね!」

 

「貰い物だがね」

 

そういや冷蔵庫のシュークリーム、あれは誰から貰ったものなのだろうか?なんか昨日から冷蔵庫の中にあり、サミーになんだこれ?と聞いたら貰い物なのでテキトーに食べていいですよと言われたが…

 

「サミー子、このシュークリームなんだが…」

 

「うぶっ!!ゲボッ!!ゲボッ!!」

 

「大丈夫かね夏雲クン」

 

シュークリームを喉に詰まらせたらしい夏雲クンは自身の無い胸をバシバシ叩き、バ●リースをイッキ飲みして難を逃れた

 

「ハー……ハー……お見苦しいところを、す、すいません」

 

「いや、提督は別に気にしないが……サミー、彼女にオレンジジュースを」

 

「オレンジジュースもう無いのでミルクティーでいいですか?」

 

ーーー

 

オレンジジュースが無いのか、困る気がするが、まぁ、無いなら無いで大丈夫だろの精神で乗り切ろうと心の中で誓い、続く3人目……?

 

「次の方どうぞー………って、返事がありませんね」

 

秘書艦サミー子は返事がないので扉を開けて廊下を見回してみるも、誰もいないとの回答…

 

「初日から遅刻かぁ?イイ度胸してるじゃねーか、あー?」

 

「おかしいですね、ちゃんと面接の連絡は…………あ」

 

「あ、ってなんだ?あ、ってのは?」

 

ガッシャアァァァァァァァン!!!(最後のガラス)

 

「なんじゃい!!?」

 

俺の座る場所、執務机の背後にある窓ガラスがナニかに当たったように勢いよくブチ割れ、何かがゴロゴロと転がり込んできたッッッ!!

 

「MeはIndependence級航空母艦!Langley!!ヨロシク!Whoooo!」

 

転がり込んできたナニかはスタイリッシュに立ち上がり、ヨロシクWhooo!と言ってお客様ソファーに座った

 

「あー……とりあえず、オマエ」

 

「Langleyだぜ!」

 

「窓ガラス、弁償しろ」

 

「Whooooo!!」

 

前代未聞のロックな登場をカマしたバカに、ごくごく当然の要求をすると、ミーはカネ持ってないぜ!とロックな回答が返ってきたので、とりあえず俺はそのロックな顔面をまるで生卵を掴むように掴んだ

 

「弁 償 し ろ」

 

ギリギリギリギリギリギリ(魔のテイトククロー)

 

「GYAAAAAAAAAAAAA!!痛い痛い痛い痛い痛い!Meのガンメン割れるゥゥゥゥ!!」

 

「ナメてんのかテメーは?アァ?今すぐ金持って来いや、5分以内、逃げたら●すぞ」

 

とりあえず現金とカード類だけ置いていけよと言い、魔のテイトククローから解放してやった

 

「クッ!そ、そんなカネねーよ!!」キッ!

 

「アー?金がないだとぉー?ならその貧相な身体で払うってかー?笑えねぇジョークだぜ」

 

「だいたい…いくら払えって言うんだよ、たかが窓ガラス1枚だろーが!」

 

「たかが…?そうだなぁ〜……よし!100万円持って来い!」ニマァ…

 

「百万ッ!?ふざけろよテメー!!窓ガラス1枚でそんなにするワケねーだろォ!」

 

「うるせぇー!!悪いのはそっちだろーがァー!!もし払えねーっーなら、こっちはオヤでもガッコーでも連絡してやってもいいんだぜー!!」

 

「ッッッ!!」

 

俺は執務机の上に置いた足を勢いよく叩きつけ、菓子皿にあったチ●コパイを投げつけた

 

「クッ!」

 

「ま、どーしても払いたくないっーなら南方海域でも行って深海のバカどもをシメて来いや」

 

「わかった……いいぜオイ!やってやんよォー!!」

 

窓ガラスブチ割り犯は言ったコト忘れんじゃねーぞぉー!と勢いよくタンカを切って執務室を飛び出して行った…

 

◻︎南方海域◻︎

 

『ナンダコイツ!頭オカシインジャネーノカ!』

 

『深海ナメンジャネーゾコラァ!』

 

『生キテ帰レルト思ウナヨテメー!』

 

 

ラングレーはボコられた………

それはまぁ当たり前のように…

お気に入りのF4F-3にツバを吐きつけられ、ついカッとなってキレちまって暴れたはいいが普通にボコられ、バカっすよね、Me…ナニやってんだか……と執務室の前の廊下で転がっていた

 

「へっ……へへへへ…」

 

「…バカなんかじゃねーさ!………それでいいんだよ!」

 

「え?」

 

「初めて貰った艦戦は真っ白なF4F-3!貰ったその日にケンカでたたき壊しました!ロックンローラーなんて、それでいいんだよ!オマエ………カッコイイぜ」

 

「テ、テイトク!」

 

 

この後、ラングレーは無事、初日から医務室送りとなった



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続続続続続続続続続続続続続続続続続・提督と新人と面接②

面接回その2、助っ人外国人枠とは…?

【登場人物】


Brooklyn(ブルック)
ホノルルくんのお姉さん、最近あまり見なかった正面から来る正統派キンパツ美少女、騙さやすい

Ranger(裏切りの聖女)
最近あまり見なかった正統派美女………?

Jean Bart(ジャン・バール)
最近あまり見なかったフランス人、リシュリューの妹らしくPRIDEが高く、人の話はあまり聞かない



ガラスブチ割り犯のロッケンローラーが医務室に送られるアクシデントがあったものの、面接は未だ半ば……

続く4人目に迎えのもまた、MAJORからの刺客…ッッ!

 

「It's lovely to meet you!あたしが、Brooklyn級のnameship、Brooklynよ!」

 

「………ハァ?」

 

「ナニ?ナニか文句でもあるっての!」

 

おかしいな、たしか今日は新人の面接日だったハズだが……え〜と、たしかに次はブルックリンくん、だったかな?うん、たしかあの戦慄のロケットパイオツでこの俺を戦慄させたホノルルくんのお姉さんで、姉妹の長女

キンパツロングのややカタめな髪質のストレートヘアでパイオツは妹に劣る、試合には常に予備を含め30本のコルク入りバットを用意しており、口癖はガッデム!

 

…と、手元の資料にはあるが………

 

「いやいやいや、え?ナニキミ?死んでるの?」

 

面接に来たのは、ゾンビーだった…

いや、どう見てもゾンビーだろコレ、花嫁の格好したゾンビーだよオイ、花嫁の格好したゾンビーだよオイ(2回目)

 

「死んでないわよ」

 

「死んでない…?ハッ?まさかアレか?夕張か!ここに来る途中、夕張に改造されたのか!?人造人間に!」

 

「誰よユーバリって…」

 

夕張のやつ、そういや最近ガルヴァーニ電気がどうのとか機能特化型人造人間がどうのとか天麩羅そば食いながらアホなコト言ってたが……とうとうヤリやがった!あの野郎!ヤリやがった!スゲェ!

 

「いや、普通にメイクだし」

 

ブルックリンくん?はタオル的なもので顔をゴシゴシ拭くと血色のいいキレーなお肌になった

 

「メイクかよッッッ!!!スゲェ!Hollywoodスゲェ!」

 

俺は執務机をバシバシ叩きHollywoodの超技術を改めて再認識させられた

 

「と言うかホノルルのやつ、面接はまず見た目でバシッと勝負だぜねーちゃん!Impact勝負でinitiativesを握って有利にdiscussionだぜ!とか言って……ゼンゼン話違うじゃない、コレ、アタシ、大事な面接でふざける頭おかしい女みたいじゃない」ブツブツ…

 

「どうかしたかね?」

 

「え?あ、いや…いえ!ナンでもないわ!」

 

「そうか」

 

たしか手元の書類には、ねーちゃんわりとツン・デレだからちょっと押したら即Fuckよ!(ホノルル談)とか書いてあったな…

 

「しかし花嫁衣装か…」

 

なんで花嫁衣装…?この大事な大事な面接に花嫁衣装で…?いや、むしろコレが制服なのか?ケッコン式から直行したのか…?ケッコン、ケッコンか………

 

「…ブルックリンくん」

 

「ナニよ?」

 

「いいか?ブルックリンくん、ケッコンってのは……幸せで、幸せで、幸せの絶頂で…………」

 

そう、幸せで……

 

「あああああああああああ!!あー!!あー!!うわァァァァ!!」

 

「っ!?」ビクッ!!

 

「ヘレナァァァァァァァァ!!愛してる!!オマエに夢中だァァァァ!!ヘレナァァァァァァァァァァァァ!!」

 

「な、ナニ!?なんなの!?この大胆すぎるpropose…!ってアタシにじゃないの!?」

 

ーーー

 

“すいません、発作みたいなものです、テイトクは頭がおかしいので…”と頭のおかしい秘書艦からの冷静で的確な頭のおかしいフォローにとりあえず納得したらしいブルックリンくんが退室し、続く5人目の刺客…

 

「Nice to meet you.Admiral? お会いできて光栄です、私、CV4 USS Rangerと申します」

 

「おう、俺がこの絶対支配者である提督様だ」

 

MAJORから3人目の刺客、レンジャーくんか……

なんだろう?一見すると、前2人と違いかなりまとも…いや、かなりお清楚な感じに見えるが…

 

「あの…?ナニか?」

 

「いや、なんでもないのだよ」

 

グゥゥゥム、このレンジャーくんから感じられるオーラは聖か邪かと問われれば紛れも無くこれは“聖”のモノ!

この提督!残忍・残酷・残虐を尊び、卑怯と卑劣と言う言葉を称賛に浴びる事を至上とするが故に聖なるものを極端に苦手とする…っ!

たとえばそう……フレッチャーくんのような聖女は

 

「レンジャーくんは〜……ふむ、空母か」

 

「ハイ、でもどちらかと言えば古参の空母ですから性能はアレですが…」

 

「いや、問題ないだろう」

 

謙遜したとしてもやはりMAJOR、よくわからんが風格がある…

そんな謎の風格にやや戸惑いを隠せずにいた俺だったが、レンジャーくんが先程からチラチラとある一点を見ている事に気付いた

 

「レンジャーくん、その……なんだね?提督のワイン棚が気になるのかね?」

 

「え?あ、あ〜………いえ、あ〜……」

 

ここ毎年、リシュリューの実家からワインが届くようになったせいか、やっぱ安くてもワインセラーぐらい買っとかないと格好悪いなと思い買ったワイン棚

まぁ、俺は基本的にワインは悪酔いするからあまり飲まない派なので基本的にはお部屋インテリア扱いなんだが…

 

「好きなのかね?ワイン?」

 

「え?あ〜……いえ、別にワインが好きと言うワケでは…」

 

「ふむ」

 

俺は手元にある履歴書的な書類に目をやると、その、末尾の辺りに小さく、そう……わりと小さくその二文字が書かれていた

 

“酒乱”と…

 

「そうか…」

 

酒乱、酒乱か……そうか、見た目お清楚に見えたが、フレッチャーくん程の提督を戦慄させる聖女力を感じなかった答えはコレか…

 

そう言えば、メチル・モンスターの異名を持つポーラも見た目だけなら超絶美少女、見た目だけなら…

 

「堕ちた聖女め…」

 

「に、堕ちた聖女っ!?」

 

ーーー

 

戦慄のMAJOR三連戦を制し、遂に迎える最終6人目

自由・博愛・平等の国から来た美しき刺客!!

 

「Bonjour?Enchantée 私がRichelieuの妹、Jean Bartよ」

 

「え?なんだって?」

 

「Jean Bartよ、跪きなさい」

 

あらら、こりゃまた面倒くさそうなオーラがプンプンするのだよ、正直、一目で面倒くさそうと見破ったよ

 

「えー……ジャン・ポールくんはリシュリューの妹と…」

 

「Jean Bartよ」

 

「あぁ、こりゃ失礼、ジャン・ピエールくんはお姉さんと同じく戦艦と…」

 

「Jean Bartよ、J e a n B a r t!次間違えたら石を抱かせて海に沈めるわ」

 

「冗談なのだよ、小粋なテイトクジョーク」

 

そういや前にリシュリューくんから妹がいるとかいう話を聞いたコトがあったな、自分よりは強さ、美しさ、賢さは劣るけどまぁまぁ美形な妹がいるとかなんとか…

 

たしかに、リシュリューが美形とか言うだけあってこのジャンバールくんもかなりの美形だ、並のスーパーモデルでは太刀打ち出来ない本物の“美”のオーラを感じる…ッ!

 

「…姉さんから少しは聞いていたけど、アナタ本当にこの基地のamiralなの?」

 

だとしたら、ニホンの人材不足は深刻ねと嘲笑を浮かべたジャンバールくん…

 

「フッ、免許なら持っている」

 

提督免許(丙種)だがな!更新期間がやたらと短い上に更新時には毎回毎回有難い2時間講習があるが…

 

「まぁいいわ、どうやってあの姉さんをタラし込んだか知らないけど……私はそうはいかないわ!」

 

タラし込んだとか難しいニホン語知ってるなオイ、っーかタラし込んだ覚えとかないんだが、リシュリューのアホはいきなりニホンの戦艦にイキリ散らしてケンカを売り、地元じゃ最強最強とちやほやされてた自信とPRIDEをペッキリとヘシ折られただけなんだが…

 

「とりあえず、私が姉さんの失ったPRIDEを取り戻すわ、だって姉さんはいつだって高慢で、我儘で、私を見下していたんだから!」

 

「それ、取り戻さなくていいのでは…?」

 

「イヤよ!私に優しい姉さんとか心底気持ち悪いのよ!!」

 

 

「えぇ…」

 

「そう…姉さんは常に自信に満ちていないといけないの、高慢で、高圧的で、理不尽で……私が大事にとっておいたcanneléをシレっと食べても悪びれすらしない、むしろ、マズかったわとディスり、mamanが買って来たtiramisuを独り占めするくらいに……!ウフフ……!そうよ!それがいい、それが姉さんよ!」

 

闇深いなこの娘、姉に対する絶対なる信頼は当基地でもそこまで珍しいものではないが、これほど歪んだ信頼はなかなか無いのだよ

 

「とにかく、姉さんにとってアナタは悪い影響しか与えないみたいだし、今後は気軽に姉さんに近づかないコトね」

 

そう言い残し、ジャンバールくんはadieuとかイイ発音をしながら執務室から去って行った……

 

 

「なんなんだ、アイツは」

 

「まぁ、お姉さんと同じで面倒くさい系なんじゃないですか?」

 

「んなこたぁワカってんだよ」



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続続続続続続続続続続続続続続続続続・提督と新人と面接③

未着任ではなく普通に忘れていただけと言う闇…

【登場人物】

Massachusetts(マサさん)
MIT出身のインテリ戦艦、MAJORの例に漏れないパイ乙でありつつ太ももとか超エロい


秋の新人面接を終えて翌日…

 

「そう言えば提督」

 

「なんだ?」

 

本日晴天のゴキゲンな天気、風は向かい風で喫煙所まで15から20ヤード、そんなゴキゲンな執務室で朝から特にやることもなくメガス●アを読んでいた俺に、秘書艦サミー子がどうにも神妙な顔で1枚の書類を差し出してきた

 

「ナニこれ?休暇申請か?」

 

「いえ、新人さんの履歴書的な書類です」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか…?だって面接、昨日終わったじゃん…?

 

「いや、それが普通に1人忘れてました、アメリカ人の戦艦の人が」

 

「コイツ!俺の心を読んだ……!?能力者か!」

 

「いや、普通に能力者じゃありませんし、提督の浅い考えなんて顔見りゃすぐわかります」

 

「やかましい、誰が浅い考えだ」

 

っーか普通に1人忘れたとか真面目にヒドすぎじゃねーの?じゃあナニか?新人面接6人とか聞いてたけどホントは7人だったってコトか?ナチュラル非道体質だよオイ、訴えられたら負ける要素しかないよ

 

「とりあえずアメリカ人でマサさんって言うんですけどね」

 

「マサさん…?」

 

「なんこう……ちょっと手違いがあってマサさんだけ面接日が1日違いなんですよって一応事前に連絡してあるので、まぁ、たぶんいきなり殴られるコトはないとは思います」

 

「殴られる前提かよ、っーかお前が殴られろよ、お前がミスったんだろーが」

 

「え?普通にイヤですよ」

 

ーーー

 

まさかのナチュラルに1人忘れていたと言う緊急事態発生にも安心の対応力、過ちを気に病むことはない、ただ認め、次への糧にする、それが大人の特権なのだよと特権乱用し、新人面接7人目…

 

「Nice to meet you?My name is Massachusetts、よろしく」

 

「Nice to meet you Ms.Massachusetts」

 

MAJORから来た本格左腕Battleship、マサさん

見た目がアメリカナイズで愛国心に溢れるサウスダコタの妹らしく、よく見るとなんとなく似てる感がある

 

「Admiral、ニホン語でOKよ」

 

「Thanks、では日本語で…」

 

グゥゥゥム、さすがマサさん……ナチュラルにさん付けされるだけはある、基本的に戦艦と言えば落ち着きがなかったり人の話を聞かなかったりとアレなやつが多い気がするが、このマサさんは違う!!

なんと言うか、知的でクールで、落ち着きがある…ッ!

 

「えー……マサさんはあのサウスダコタの妹と聞いてますが」

 

「そうね、South Dakotaは私の姉妹よ」

 

さすがはマサさんだ、今までのバカどもとは落ち着きのレヴェルが違う、MIT出身の超インテリと言うだけはある

 

そんな超インテリのマサさんに感心していると、秘書艦サミー子が冷蔵庫から取り出したバームクーヘン(俺の)をマサさんの前にどうぞと置いた

 

「Thanks、ありがとう」

 

「あ、コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「そうね、お願い、Blackでいいわ」

 

「ブラックですね」

 

サミーはにこやかに笑い、愛用のコーヒーセットをISO-ISOと準備し始めた…

 

いや、ダメだろ?超インテリのマサさんにお前のクソマズコーヒーとか飲ませたりしちゃ、知的でクールなマサさんでもキレるんじゃあないのか?

と言うかそのバウムクーヘン、俺が買ってきた俺のOYATSUだったんだが…

 

「ところでテイトクさん」

 

「ナニかね?」

 

「Dakotaのやつ、ナニか迷惑をかけてなかった?一応、本人からは真面目だぜ!とか言ってたけど、イマイチ信用できない」

 

「あー…特に迷惑と言う迷惑は…………あ、むしろワシントンとつるんでコロちゃんに迷惑かけてた気がするなぁ」

 

「コロ……?あぁ、Coloradoさん?」

 

「それな」

 

マサさん曰く、本国………と言うか、high school、college時代とサウスダコタとワシントンの2人はコロちゃんにレポートを書かせるわ、代返させるわ、学食を奢らせるわ、車を廃車にするわとチンピラそのものの所業を繰り返していたそうな…

 

「まぁ、アイツら昔から特にColoradoさんに懐いてたけど…」

 

「コロちゃん先輩(笑)って1ミリもリスペクトする感じない懐き方だけどな」

 

そんなワリとマトモなマサさんと、コロちゃん先輩(笑)に対するバカどもの対応が任意の自然数 n について、n2 と (n + 1)2 の間には必ず素数が存在するか否かを当てはめて改めてアプローチしつつ議論をかわしていると…

 

「コーヒーです」

 

「Thank」

 

ご自慢のブレンド·コーヒーを淹れた秘書艦サミー子がやって来た

 

「…………ウッ!」

 

コーヒーを一口啜り、顔をしかめたマサさん………しかし

 

「…………個性が強い味ね」

 

優しい!!マサさん優しい!空気読めないジョンくんと違って空気が読めるアメリ艦だった…!

 

そしてサミー子よ、何故お前はそんな唯一無二の殺人コーヒーを出しておいて誇らしげな佇まいでいられるのか…

本場アメリカ人から文句が出なかったことに気を良くしたのか、秘書艦サミー子は菓子棚からちょっとお高価なクッキーを取り出し菓子皿に入れた

 

「………テイトクさん」

 

「いいんだマサさん、言葉ではなく、心で理解している」

 

「そう…」

 

 

この後、無事に面接は終了し、自慢のコーヒーがアメリカ人にも受け入れられたことに気を良くしたサミー子から、やっぱりジョンストンさんも提督と同じで舌がおかしいだけですよと言われ、ややイラッとした

 



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提督と夕村とダーティー・ハロウィン

まとまった休暇が欲しい今日この頃

【登場人物】

提督(メガネ)
週末は頭痛薬

夕立(四女)
キレてる駆逐艦、キレてるチーズよりキレてる

村雨(三女)
キレてる駆逐艦、キレた天使と悪魔のハーフ


暑さ寒さも彼岸まで、秋と言う名の暑いような寒いような気がするこの季節、人間、どんなダセェ野郎にでも一生のうち一度は出番の日がくる……その、たった一度の今日と言う日が今日なのか否か考えつつ自販機コーナーで缶コーヒーを買ってベンチでサボっていると、いかにもアタマの悪そうなバカコンビがゲラゲラ笑いながら歩いて来た…

 

「でよぉー!そいつ、できませぇ〜んって半泣きで侘びいれてんの!」

 

「ギャハハハハ!ウケる、っーかそいつNTじゃねーの?」

 

プッツン姉妹、白露姉妹の中でも群を抜いたプッツンぶりを発揮する姉妹のバカコンビ、夕立と村雨

その…頭のおかしさと頭の悪さはハンパではなく、凶暴性・異常性・残忍性は当基地の駆逐艦トップクラス!

 

「よぉ、クズども」

 

「あ、テイトクっぽい」

 

姉妹の四女、夕立、天性の“野性”と“敏捷性(アジリティ)”を持つまさしく戦闘の天才、しかし…………バカである

 

「ジュース奢って〜」

 

姉妹の三女、村雨、駆逐艦離れした超肉体に加え夕立にも劣らぬ戦闘センスだけではなく大発系が使える繊細さを併せ持つ、しかし…………バカである

 

「誰がキサマにジュースなんか奢るかダボハゼどもが、あっちに水道の蛇口あるからフェラでもしてろ」

 

「誰がするかっぽい」

 

「ハイー?ブチのめされたいですかー?このメガネはー?」

 

「アァ?提督様に対してナマイキ言ってんじゃねーぞクソガキどもが、首折・背骨折・股裂されてぇーのか?」

 

俺は飲み干した缶コーヒーを高弾道にダストシュートした

 

「だいたいなんだ?夕立、そのふざけた格好は、海軍をナメちょるんか?」

 

「ハーローイーン推奨期間だからモンク言われる筋合いないっぼい、あ、そーだ、え………トリックorトリート?」

 

「オマエに与える菓子はない、失せろ」

 

「ギャハハハハ!村雨よォ〜…聞いたかコイツ、お菓子持ってねぇってよォー!」

 

「ハイハーイ、じゃ、死刑(トリック)確定ーっ!」

 

何が死刑(トリック)なのだよ、ハロウィンっーのはそんな野蛮なイベントじゃあないのだよ

 

「だいたい村雨、なんだオマエの格好は?あ?悪の女幹部のコスプレか?あ?ナニ食ったらそんなヤラシー身体になるんだ?」

 

「ハァ?村雨、別にコスプレとかしてないですけどー?普通に制服なんですけどぉー?」

 

ニヤニヤ笑う村雨は手にした鎖を自分を中心に渦巻き状に配置する………なるほど、この俺を挑発しつつも鎖による鉄壁の守りは忘れないとはな、なかなかヤりおるわい…

 

「しかし駆逐艦のボウヤがどれだけ背伸びしても所詮は駆逐艦、提督の前では神と虫ケラほどの差がある」

 

「クッ!なんて強大な小●宙!鎖が…!鎖が反応している!」

 

村雨の鎖は自動的にmassacreと文字を描くッッ!!

massacre!!その意味は、皆殺し!!

 

「クッ!夕立、1秒足を止めるからその隙に殺りなさい!」

 

「村雨ェ!」

 

「悔しいけど私達1人1人じゃ勝てない、でも2人なら勝てるッ!そうでしょ?」

 

「村雨ェ……ヘヘッ!」

 

夕立はまるでイタズラっ子のように鼻の下を拭い両拳を握りしめ、チャ●ラを集中し始めた…

 

ほぉ………このチャ●ラ、駆逐艦とは思えないほどのチャ●ラ量、アレは喰らうと死ぬわね…

 

「村雨、俺の側に付く気はないか?」

 

「ハッ?ないわね!村雨と夕立がアンタを倒す、財布をゲットする、これが結果よ!」

 

「そうか、今、夕立を裏切ったら1000円やろう」

 

「1000円…っ!」

 

「村雨ェ!!」

 

ちょっと揺れた村雨だったが、夕立の一喝で正気を取り戻した、やはり1000円じゃムリか

 

「ならば、10000円で」

 

「オラァ!!死ね夕立ィ!!」

 

村雨の鎖が夕立の足に絡みつきガンメンから地べたに叩きつけた

 

「グハァ!!む、村雨ェ…!?テメェ!!」

 

「フッ、村雨の束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)は捕らえた白露型を強制的に“絶”にするのよ、夕立、10000円の為に死になさい」

 

「テメェ!裏切りやがったなっぽい!」

 

「裏切る…?アハハ、村雨は誰の味方でもないわ!しいて言うならお金の味方、10000円の前では姉妹の絆とかゴミクズ同然だわ!」

 

特に悪びれることなく姉妹を裏切り、ゲラゲラと高笑いする村雨の姿は古き良きまっこと悪の女幹部そのもの…ッ!!

 

「さぁ!トドメのアンタレスを撃ち込んでやるわ!!」

 

「村雨、ちょっといいか?」

 

「ナニ?お金なら今頂戴」

 

俺は村雨のお腹に右手を当て、フーッ〜……っと気合を入れ…

 

「通 ● 拳!」

 

ドゴォ!!(通●拳)

 

「オゴォ!!」

 

村雨は光る吐瀉物をブチ撒け床に転がった

 

「ゴポォ……!な、なんでッ!?」

 

「いや、なんとなく…」

 

「なんとなく…って!いや、ゲフッ……!!なんとなくでフツー、する?通●拳」

 

「すまんすまん、あと、10000円だすと言ったがアレは嘘だ」

 

俺はクズが!と唾を吐き、床に転がった村雨のボディに追撃の蹴りを入れてやった

 

「オゴォ!!」

 

「ペッ!バカめ、何回同じことすりゃワカるんだテメーは」

 

 

この後、村雨は夕立から裏切りの制裁、アバラ折りの儀式を受けたが村雨の執念深さはなかなかのものだったらしく、夕立のア●ルに律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)をブッ刺し共倒れの憂き目にあった…



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提督と黒の万力

なんやかんやで900回目、最終回が見えてきましたわ!

【登場人物】

提督(クズの鑑)
艦娘を下等と見下すイヤな感じの男、金と権力が好き

五月雨(秘書艦)
提督とはわりと付き合いの長い秘書艦、髪も長い


塵も積もれば塵芥、人の命も塵芥、しかしカミサマから見ればそんなちっぽけな存在である人間も魂を燃やして生きている…

 

「卿もそうは思わないかね?」

 

「ナニがですか?」

 

秋の夜長の執務室、本日の業務を当たり障りなく終え、満月を肴にセンチメンタルな事を考えていた俺は、我が右腕にして共に銀河を手に入れようとあの日誓った莫逆の友、秘書艦サミー子からナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?と言いたげな目を向けられた…

 

「え?アレだろ?オマエほら、アレだろ?なんっーか、ほら、なんかを心を見る能力とかそーゆーの持ってんだろ?」

 

「いや、普通に無いですけど」

 

「ウソつくんじゃないよこの子は!」

 

「そーゆー厨二的な能力は無いですが、またテイトクがアホなコト考えてるな〜…ってのはそのツラ見たらワカりますよ」

 

「誰がマヌケヅラじゃコラァ!そのドラゴン●龍みてぇーなロン毛、アトムみてぇーに刈り上げっど!」

 

俺は執務机の上にあったハンドスピナーを秘書艦サミー子に投げつけたが普通にキャッチされた

 

「で?今日は何ですか?また浜風さんをレ●プする画期的な案でも思いついたんですか?」

 

「まるで俺がレ●パーみたいに言うんじゃないよ、この子は…」

 

「まぁたしかに、そのレ●プが一度も成功してないですしね、これは失礼しました」

 

…コケにしやがって、しかしだ!しかしサミー、たしかに、なんやかんやで連載900回もかけて俺は浜風ちゃんをレ●プするコトができていないコト、認めよう…

そして!今までの俺には甘さがあり、レ●プを侮っていたコト、認めよう…

 

認めることで人間と言う生き物は“成長”をする、そしてその“成長”こそが大事なのだッッ!!今までの俺はその人間の“成長”を侮っていた、軽視していたのだッ!その人間の持つ侮りがたい爆発力が幾度となくこの俺を邪魔してきた要因ッッ!!

 

「コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「いらん、貴様の淹れたコーヒーを飲むぐらいならヘドロでも飲んだ方がマシだ」

 

「イラッとします」

 

秘書艦サミー子は左手でクルクル回していたハンドスピナーを止め、外角に逃げるスライダー気味に投げ返してきたが俺はそれを片手でガッチリとキャッチした

 

「そう、なんやかんやで900回目だ」

 

「はぁ…?」

 

サミーはナニメタいコト言ってんだコイツ?イカレているのか?と言いたげなツラをしていたが、俺はイカレてはいない

 

「“ハードボイルド医療ロマン”と銘打って始まった不健全鎮守府だが…」

 

「いや、ハードボイルドでも医療ロマンでもないですよね…」

 

「最終回まであと100回です」

 

「へぇ〜…」

 

コイツまったく興味なさげに…

サミー子は机からホチキスを取り出し、新しいホチキスの針を詰め始めた…

 

「trueエンドは俺が浜風ちゃんを無事レ●プしてチ●ポ大好き性奴隷へと堕とすエンドなのだよ」

 

「クソエンドじゃないですか」

 

「クソエンドじゃない、提督だ」

 

「それに、なんか放置気味の長編もあるし、やる気あるんですか?」

 

「やる気はある」

 

「はぁ?」

 

「やる気はあります」

 

「声が小さい」

 

「やる気はありまぁす!」

 

知ってるんだよ!!そんなコトはよォー!こ、国語の教師かよォー!テメーはよォー…!!

わかってんだよ、ただ、なんかイマイチ気分がと言うか……ほら、アレだよ!アレ、アレな感じなんだよ

 

「とりあえず、浜風さんをレ●プする前に放置気味のやつなんとかして無駄にフラグを立てた人をキチンとお断りするなり始末するなりして有馬のお嬢様の件はなんかイイ感じの当たり障りない言い訳してからにしてください」

 

「お、おぅ…!」

 

こやつめ、今、俺が抱える問題をなんと冷静に的確に…

フッ、まったく……大したやつだよ、オマエは

 

「あ、あと由良さんもなんとかして下さいよ、trueエンド条件は由良さんをア●ル隷奴に堕とすこと、金剛さんとの完全決着(最後に風の拳で倒せ!)、浜波さんの両目開放イベントが必須ですよ」

 

「条件キツいなオイ!!」

 

特に由良さんをア●ル隷奴に堕とすとか無理ゲーすぎるだろ、付き合いは長いが由良さんをなんとかする必勝法は無い、しいて言うなら“起き上がりに足払いを重ねる”ぐらいだろうが、それでもひょっとしたら倒せるかもしれないってレヴェルだ、由良さんからテイクダウンをとると言うコトはそれだけで一流と言っていいだろう

 

「っーか浜風ちゃんの両目開放イベントってなんだよ」

 

「浜風さんじゃないです、浜波さんです」

 

「誰だそいつは!新手の敵か!」

 

「夕雲さんとこの姉妹の子ですよ、ほら、なんかエロゲの主人公みたいな前髪の…」

 

「女の子がエロゲの主人公とか言うんじゃあない」

 

…あぁ、あの子か、そうそう、たしか浜波ちゃんと言ったっけな、バカガキがデフォルトなウチには珍しく真面目で良い子っぽい子

前にサミーがチラっと見て戦慄し、あのリシュリューすら美しい…と言わしめた浜波ちゃんの素顔…

 

たしかに、興味がないコトはないが、古来より、前髪目隠れと瓶底眼鏡は超絶美少女、これは既に常識…俺ほどの男にはそう珍しいものじゃあない

 

そして、浜波ちゃんがその素顔を晒してしまえば今までヒロインヅラしてイキっていたバカどもが全て霞むだろう、真のヒロインはそれだけで全ての偽ヒロインをブッチギリに超越するのだ

 

「っーか前髪なんかフツーに上げられるだろ、なんかそれだけ条件緩いな」

 

「とんでもない、浜波さんの両目開放イベントこそ最難関と言っていいレベルですよ」

 

「ハハ…んなワケないない」

 

「まずは浜波さんを除く夕雲型全員の好感度★8以上にあげつつコレを15ターン維持、すると7月の第1週で清霜さんが異世界転生するイベントが発生しますがこれを阻止、阻止する為には陽炎さんの下の毛、平戸ちゃんの右目、デスブリンガーが必要になります、異世界転生トラックをファイトネスポイント20万以上ある状態でスタイリッシュKOしてください、そうすると7月の第3週で白露姉さんが闇堕ちするので…」

 

「もうよい、卿の話はわかった!もうよい!」

 

「そうですか?」

 

攻略本かコイツは!っーか条件が厳しいとか厳しくねーとかそんな次元じゃねーぞオイ!

 

「ちなみに陽炎さんの下の毛はケツ毛でも代用できるそうです」

 

「女の子がケツ毛とか言うんじゃあないよ、この子は」

 

っーか陽炎にケツ毛なんか生えてるワケねーだろ、下の毛すら怪しいだろアイツ

 

「とにかく卿の話はわかった、難しいコトはよくわからんが…………とにかく俺は浜風ちゃんとヤれる!ってコトだな!」

 

「…………はぁ?」

 

「オイ、なんだその目は、眼球からゲロ吐きてぇーのか?あ?」

 

「いえ、むしろ眼球が洗われた気分です、とびっきり汚いものを目にするとそんな気分になりません?」

 

こやつめ、ナチュラルにこの提督様を見下しおって…

どうやら自分が下等艦娘であることをわからせる必要がある

 

「まぁいい、俺、今から浜風ちゃんレ●プしに行ってくるから、オマエも一緒に来い」

 

「え?普通にイヤですよ」

 

「バカオマエ!オマエが居ないと始まらねーだろーが!オマエが撮らなきゃ誰が撮影係するんだ!」

 

「ハメ撮りすればいいじゃないですか」

 

「女の子がハメ撮りとか言うんじゃあない!第三者視点での映像がいるだろーが!第三者視点の!」

 

「定点カメラでもセットすりゃいいじゃないですか」

 

「バカオマエ!レ●プには臨場感が必要なんだよ!イイ感じのカメラワークが!」

 

たしかに定点カメラと言う手も無いこともない、あえて無機質なカメラに向けて自らの痴態を撮影されているんだぞ!っと羞恥心を煽る効果も期待できる

しかしそれはエレガントではない、ノット・エレガント

 

「ほら、俺のハンディカム貸してやるから」

 

「なんかテープ入ってますけど?」

 

「あー?あ〜………たぶん去年の運動会のやつだな、いいよ、そんなもん消して」

 

たしかリレーで頑張る暁ちゃんを撮影してる最中、同じく礼号組のバカガキを撮影してた足柄のボケから邪魔だボケと肘を入れられたり入れたりして熾烈なポジション争いをしたっけな…

 

「まぁいいですけど」

 

「よし!ハンディカムは持ったな!ハンカチーフとティッシュも持ったな!では行くぞ!」

 

「別に構いませんけど、あとでチョコレートパフェ奢ってくださいよ」

 

 

この後、五月雨と浜風ちゃんをレ●プするべく駆逐艦のバカどもが住む寮に向かったが、あいにくと浜風ちゃんは不在、同じ部屋に住んでいる浦風から浜風なら昨日から釣りに行って帰ってきてねーと説明されたが、なんかその態度がムカついたのでお腹パンチをブチ込むと浦風は当然の如くナニすんじゃワレェ!と俺の胸ぐらを掴んできたのでもう1発お腹パンチを叩き込み失禁KOした








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提督と扶桑姉妹と生牡蠣

新アニメが始まりましたね、佐世保でチラ見したのはいつだったか……ホントに作ってたんだ

【登場人物】

提督(メガネ男子)
好きなアッパーはタイガーアパカッ

扶桑姉妹(航空戦艦)
菩薩の生まれ変わりと噂されている姉と姉以外は全て下郎と見下すの妹の仲良し戦艦姉妹、昔は姉妹揃って運が悪かったせいか不幸姉妹とディスられていたが改二になって若干改善した


たった一度の今日と言う秋の日、執務室で真面目に仕事をした俺は秘書艦サミー子とたまにはマミー屋でメシでも食うかとマミー屋に来てみたワケだが…

 

「ハアァァァァ!?なんでコレを焼けないのォォォォォ!!」

 

「なんでもナニも当店は食材の持ち込みNGだからです」

 

「せっかく姉様が持ち込んだ食材が調理できないなんて………そんなルールどうでもいいでしょォォォォ!!」

 

「どうでもよくありません、当店は私が毎日厳選に厳選を重ねた食材のみを使用し、常にお客様に最高の味を提供しています」

 

悪質なクレーマー戦艦が間宮にクレームをつけつつカウンターをバシバシ叩いていた…

 

「…山城、いいのよ」

 

「し、しかし姉様!?」

 

「…いいのよ」

 

悪質かつエキサイティングなクレームをつけていた妹を宥めるように、そっとその手を握り、残念だけど諦めましょうと首を横に振った姉妹の姉、扶桑…

 

そんな姉の心中を察してか、未だ禍根ありげなツラをしていた妹の山城はその怒りの矛をようやく収めた

 

「クッ!せっかく姉様がわざわざ牡蠣を用意したと言うのに…ッ!」

 

「…残念だけど仕方ないわ、それに、そもそもこの牡蠣は私が用意したワケではなく通りすがりの潜水艦の子達から買っただけよ」

 

「クッ!あの潜水艦のガキどもッ!!よくも……!よくも姉様に恥をかかせてッ!!●してやる!あのガキどもっ!●してやるわ…」

 

右手の親指の爪をガリガリ噛み、●してやると連呼する妹に、いけないわ山城と菩薩の姉はそっとその肩に手をやった

 

「ナニ見てんのよ!見世物じゃないわよ!」

 

「あ、バレてた」

 

山城のヤロウ、キレ散らかして俺らには気付いてねぇかと思ってたら普通に気付いてやがったか…

 

「見たくて見てたワケじゃねぇよ、なぁ?サミー?」

 

「そうですね、まぁ提督は扶桑さんの横乳ガン見してましたけど」

 

「ハアァァァァァァァァ!!?このクソメガネ!!姉様の上着の開いている部分から手を挿れて姉様の美しい乳房を揉みしだきたいですってェェェェ!!」

 

山城は手元にあった生牡蠣を1つ俺のガンメンに向けて正確に投げつけてきた…ッ!ほぉ……この牡蠣、ジャイロ回転してるやんけ…!と瞬時に判断した俺はそのまま捕球するのは危険と考え、必殺のスネークバ●トでその生牡蠣を迎撃した

 

「危ねぇなオイ」

 

「…そうよ山城、提督にいきなり牡蠣を投げつけるなんて……」

 

「しかし姉様ッ!」

 

「…提督に対して失礼はいけないわ、山城………提督、妹が大変失礼しました、この非礼は妹に代わり私が命をもって償いま…」

 

扶桑はどこからか取り出した匕首を己の首筋にあて、五月雨は露か涙か不如帰我が名をあげよ雲の上まで…と辞世の句を唱えた

 

「待て待て待て待て!!待って!!ちょ、待てよ!待って扶桑クン!」

 

「お待ちください姉様!キャッチボール!私とこのク……テイトクはキャッチボールしていただけですから!そうよね!

 

「嗚呼!そうさ!山城クン最近ピッチャーに興味あるらしくてね!イイ肩してるよ!」

 

俺と山城はガッチリと手を組み仲良しアピールをすると、扶桑クンはそうなの…と言って匕首を首筋から下げた

 

「…でも山城、牡蠣を投げるのは良くないわ、ちゃんとボールを投げないとね」

 

「そうですね!ええ姉様!そうですね!あ、あはははは、私ったらそそっかしくて」

 

「…でも山城がピッチャーに興味があるなんて知らなかったわ、ごめんなさいね……私が貴女の事を知らないばかりに…」

 

「いえ!そんなコトありません!そ、そうだ!今度グローブを買いに行きましょう!!グローブ!私、姉様とキャッチボールするのが夢だったんです!」

 

「…まあ、山城ったら………そうね、それならついでに西村艦隊のみんなの分も買いましょう、みんなですればきっと楽しいわ…」

 

「さすが姉様…っ!なんて尊い…!美しすぎます!」

 

山城は扶桑の手を握りさすが姉様です!私、感動しました!とアツい涙を流した

 

「ボールとグローブぐらいなら時雨様に言えば用意してくれるんじゃないか?」

 

「ナニ言ってるんですか、時雨様に頼んだらボールとグローブどころかドーム球場観客審判付きで用意されますよ」

 

五月雨曰く、下手に時雨様にそんな頼みをしようものなら必要はものは足りているかい?と必要以上の規模のものを平然と用意してくるからタチが悪いらしい

 

「…でもこの生牡蠣、どうしたらいいかしら……?」

 

「あの潜水艦のガキどもッ!マミー屋にでも持って行って焼いて貰えばいいのねとかテキトーなコト言って……ッ!!姉様、私があのフナムシどもを皆●しにして参ります」

 

「…皆●しにするんて………いけないわ山城」

 

テキトーなコト言って買わされたにもかかわらず、扶桑は怒るどころか妹の皆●し発言を諌め、許しましょうと微笑みを浮かべた

 

「っーかここで焼けないなら外行って焼いて来いよ」

 

「ハァ?なんですかこのゴミは、ゴミのくせに喋るんじゃあないわよ」

 

「…山城」

 

「す、すいません姉様!い、今のは冗談!冗談です」

 

「…それで提督、今、外に行って焼いてくればいいとおっしゃいましたが?」

 

「たしか執務棟の裏に焼肉だかバーベキューだかに使ってる金網とかコンロとかあったからアレ使っていいぞ」

 

俺のじゃないけど、たまにバカどもがなんか焼いたりしてるし、まぁ別に誰のモノってワケでもないのだろう

 

「…まぁ、聞いた?山城、執務棟の裏に金網とコンロがあるそうよ」

 

「え?えぇ……」

 

「…ありがとうございます提督、あ、そうだ……よければこの生牡蠣、提督と五月雨ちゃんも一緒にいかがですか?」

 

「姉様!こんなゴ…………に、せっかく姉様が買った牡蠣を振る舞うなど!」

 

コイツ今ゴミと言いかけやがったなオイ

 

「…いいのよ山城、それにほら、こんなにたくさんあるのだから、きっと私達だけでは食べきれないわ…」

 

「いえ、私は食べます、姉様の牡蠣を残すなんてありま…」

 

「…はい決まり、さぁさぁ早く準備してみんなで食べましょう、山城もそれでいいわね?」

 

「……………姉様がそうお決めになったなら」

 

山城は心底イラついたような目で俺を睨み、姉様に厭らしい目を向けたらその目を抉って直火焼きすると小声で俺に囁いた

 

 

この後、俺たちが執務棟の裏でバーベキューコンロの準備をしていると、海で密漁して来たらしい潜水艦のクズどもがゲラゲラ笑いながら歩いていたので貴様らも手伝えと26の膝にローキックと19の腹に膝蹴りを叩き込んでやり、ついでに、密漁してきたものを巻き上げた

 

山城は生ヌルいと言っていたが、姉様の手前、怒りの顔面焼き金網はできないのでブツブツと文句をタレていたが新鮮な海の幸は美味かったらしく、わりと上機嫌だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、扶桑と山城は牡蠣に当たって入院した

 



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提督と悪魔王女と軽巡狩り

今年最後であろう面倒仕事がようやく終わった…
いや、ホントに最後にして欲しい

【登場人物】

提督(メガネ男子)
最近左肩の痛みに悩まされている四十肩男子

海防艦三十号(みと)
純粋に由良さんをリスペクトする子、あの由良さんが扱いに困っている


ある晴れた昼下がり、今日のディナーは子牛のソテーかしらとウィットに富んだジョークを考えつつ執務棟と教育棟の中庭を歩いていると何やら小さいのに声をかけられた

 

「あ、テイトク!探していました!」

 

「…キミは、えぇと……たしか海防艦の、え〜…」

 

「みとです!」

 

そうそう、たしかそんな名前………いや、名前?たしかこの子には名前なんてものは無いのだ、海軍で極秘裏に行われていた最強艦娘建造実験なる闇の深いプロジェクトにて造られたらしい悲しき存在なのだ…っ!(たぶん)

 

しかしあまりにも闇が深すぎるそのプロジェクトは凍結され、被験者であった子供達は全員廃棄されたハズだったが、なんやかんや生き残りがいたらしく、みとクンもその類、かつては被験体No.15と呼ばれた彼女はあの暴力が服を着ているバイオレンス軽巡、悪魔を超えた悪魔とディスられる由良さんに実の妹より可愛がられているらしく、そんな彼女はみんなから悪魔王女と呼ばれているそうな

 

「え〜……みとクンは提督にナニか用かな?残念だが提督は今これしか持ち合わせがなくてね」

 

そう言って俺はポケットに入っていたS●Y JOY(ピーナッツ)を取り出しみとクンに手渡してやった

 

「うわぁ、ありがとうございます!」

 

「ハッハッハ」

 

お菓子を貰ったらキチンとお礼が言えるなんて、まったく……海防艦ってヤツは最高だな、いや……そうでもないか、アホの占守クンとか提督にタカるコトに味をしめたアホガキもいるし

 

「それで?みとクンはなんで提督を探していたのかな?」

 

「はい!由良さんがテイトクを探していたのでみともそれをお手伝いしてました!」

 

「……………由良さんが?」

 

由良さんが俺を探している………

 

その、嘘偽り無い無邪気な言葉に俺は一気に警戒レベルを上げた、俺の“円”は射程大体2メートル、少なくとも2メートル以内に由良さんが居ないのは確かだ

むしろ、2メートル以内に由良さんが立つと言うコトはそれは既に必殺の間合いに他ならない

 

「なんか……ユー……ユーツーブーってインターネットを見て幻魔拳を覚えたからテイトクのチ●コに幻魔拳だあっ!って言ってました」

 

あのヤロウ…っ!!なんてコト思いつきやがるッ!!正気じゃあない…!なんて発想しやがるんだ!

 

「と言うか、みとクン、女の子がチ●コに幻魔拳だあっ!と言うんじゃあない」

 

「そうなんですか?」

 

「そうなのだよ」

 

まったく、由良さんのヤロウ…純真な子供になんて単語を教えるのだよ、清く正しく生きていたらチ●コに幻魔拳だあっ!なんてセリフ思いつかないのだよ

 

「とりあえず、由良さんは目についたヤツに実験がてらに幻魔拳だあっ!しながらテキトーにテイトクを探し回るって言ってました!」

 

「サイアクだよオイ!!」

 

な、なんてヤツだ…っ!しかも由良はユーツーブだかなんだかで幻魔拳を覚えたせいで幻魔抜きができない幻魔拳素人、このままでは由良さんによる無責任幻魔拳で基地が阿鼻叫喚の坩堝に突入してしまう!!

 

「ハァ………しゃーなしだな、みとクン、由良さんはどっち行ったのかね?」

 

「え〜……たしか、手始めに実の妹達に幻魔拳してくるって言ってました!」

 

「鬼かッ!!」

 

このままでは鬼怒と阿武隈がアブない!いや、むしろもう手遅れな気もするが…っ!

 

俺は由良さんの凶行を止めるべく、みとクンと一緒にとりあえず歩いて鬼怒と阿武隈が居ると言う談話室の方へと向かった…

 

◆◆◆

 

「………既に遅かったか」

 

談話室には鬼怒と阿武隈が転がっていた…

とりあえず、胸のあたりを両手で押さえた鬼怒を抱き上げた

 

「大丈夫なのかァ!!だ、誰にヤられたーッ!」

 

「う…ぅぅ、テ、テイトク」

 

「由良さん!!由良さんだなーッ!由良さんにヤられたんだなー!」

 

「そ…そうだよ、鬼怒の、お……おっぱい、おっぱいが爆裂しちゃったよ…」

 

鬼怒曰く、談話室で阿武隈とティーを飲みつつ龍驤のやってるダビ●タを眺めていると、突如として現れた実の姉から幻魔拳だあっ!の直撃を受け、鬼怒っぱいが爆裂したらしい

まぁ、見た目は変わりないから本人にしかワカらないのだが…

 

「う…ぅぅ…!」

 

「阿武隈ァ!オマエはどこをヤられたんだーッ!」

 

「あ、アタシも…アタシもおっぱいを…」

 

「なら大丈夫だ、最初からほぼねぇからな」

 

「ヒドィ!!」

 

よくわからんが阿武隈は幻魔拳の影響をあまり受けていないらしく、しいて言うなら阿武隈の武の字が爆裂して現在阿◾️隈になってるぐらいだろう…

 

「由良のヤツ、覚えたての幻魔拳でハシャいでおったわ」

 

「RJ!居たのか!」

 

「まぁな、しかし幻魔拳か……厄介な技身につけおったのぉ」

 

日がな談話室のスーパーファミ●ン内蔵テレビでダビ●タに興ずる暇人空母、龍驤

その実力、そしてカリスマ性は高く、基地空母界の中でもビッグママと唯一並ぶと言われている…

 

そんなカリスマ空母はみとクンに黒棒食うか?と菓子皿に入ってた黒棒を渡してやった

 

「うわぁ、ありがとうございます!」

 

「アッハッハ、悪魔王女言われとるわりにキチンとお礼言えるんやな、えぇ子やん、うちの子になり、百足固め教えたるわ」

 

◆◆◆

 

RJ曰く、由良さんは次はウチとやろーか?と言ったらビビり散らして軽巡狩りだあっ!とか言いながら談話室から出て行ったそうだが…

 

「いったいどこへ…?」

 

「あ、テイトク!あっちから由良さんの匂いがします!」

 

「匂い…?え?ナニ?みとクン、由良さんの匂いとかワカるのかね?」

 

さすがは悪魔王女………大した子ね

とりあえず俺たちはみとクンがたぶんあっちです!と言う方へと向かってみると…

 

「デロ子ォー!!」

 

デロ子が転がっていた…

 

「大丈夫かーッ!!誰にヤられたァーッ!!」

 

「ヘッ…へへ、テイトク、ヤられちゃったよ…」

 

合法ハーブの香りがするわかりみが深い軽巡、デロ子は髪の長い軽巡からいきなり幻魔拳だあっ!と幻魔拳をおっぱいに喰らいおっぱいが爆裂したと…

 

「なら大丈夫だな、最初から無いから」

 

「ヒドくない!?」

 

「そんなコトよりパースちゃんとヒューストンくんは一緒じゃないのか?チームABDAは常に一つ、決して散る事のない鉄の結束じゃないのか?」

 

「パースなら今日はヤマダナントカ先生の新刊出るから話しかけるなボケって、ヒューストンはお姉さんとスーパーボールを観に行くって…」

 

脆い鉄の結束だなオイ、まぁ、被害に遭ったのがデロ子だけなのが幸いか…

 

「デロ子、由良さんはどこへ行った?」

 

「知らないよ…っ!ってかなんなのコレ!アタシのお腹穴開いてるんですケド!?」

 

「お腹に風穴ぐらいで文句タレるな、俺なんかチ●コを爆裂させられる危機なんだぞ」

 

「別にいいじゃん」

 

「良いワケねーだろ、俺のおチ●ポ様をなんだと思ってるんだ」

 

「意味わかんない、ってかコレ治るの?」

 

「知らん」

 

 

この後、天龍、木曾、夕張と幻魔拳の餌食になり………いや、正確には夕張はノーダメージだったらしいが、たぶんアイツは性格的なものと言うか、人間性がゼロなので幻魔拳が効かない系なんだろう、悔しいんだろうが仕方がない…

 

そして、ついに度重なる実践幻魔拳を積んだ由良さんは俺のチ●コを爆裂すべくその姿を現したッッ!!

 

一触即発………今、まさに俺と由良さんの頂上決戦か幕を開けようとしたその時、みとクンが由良さんとお買い物に行きたいです!となんかグイグイきたので、結局俺と由良さんの頂上決戦はイイ感じにお流れになった…



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提督と夕張とミュータント

ミュータント・ウォーズ

【登場人物】

提督(クズの人)
過ち認められる大人、シュレッダーのことはサワキちゃんと呼ぶ

夕張(ヘソ)
そもそもヘルシーな量しか食べないせいか、腰回りもヘルシー寄り、食べても太りにくいイヤな体質


たった一度の今日と言う日、大してやることもないので釣りにでも行くかと考えた俺は秘書艦サミー子に今日のおススメはナニかね?と懇切丁寧に聞くと、KISSとかじゃないですか?とロックな回答、そんな執務室の重厚な扉を叩き、ぬるりと現れたのは…

 

「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

倫理観と道徳観をママの子宮に置き忘れてきた真性マッド軽巡、夕張ッッッ!!!

こと開発力に関してだけは天才的なテクを持ち、その溢れる知性と神技的な腕から生み出されるビクーリドキーリメカはまさしく戦争を根本から変えると言っていいだろう…

 

「またクソみてぇなモン作って来たんじゃねぇだろうなオイ、っーか暇なら探照灯フル装備してサンマ釣りにでも行って来いや」

 

「暇じゃないです、めっちゃ頑張って作りました」

 

そういや最近、俺のケイタイに知らんアドレスからイェーイ!テイトクさん見てるぅー?今から釣ったばかりのサンマを焼きまーす!とかフザケた動画を送りつけたバカがいたな、浦風、帰ったら母乳が出るまで肉体改造してやる、してやるぞ…

 

「で?ナニ作ってきた?足はあるんだろうな?」

 

「いえ、足はありません」

 

「ハッキリ言う……気に入らんな」

 

そして夕張は今回はマジスゲーですよ、マジスゲーですよとテンション高めにアゲアゲ気味だったので、とりあえず俺は夕張の頰にビンタしてやった

 

ビタンッ!!(平手打ち)

 

「タスこっ!!…………い、今、なんでぶたれたんですか?私」

 

「殴られもせずに一人前になった奴がどこにいるものか」

 

「…たしかに」

 

夕張はぶたれた頰をさすりつつ気色の悪い笑みを浮かべていたが、コイツにとっては痛みこそが命を……いや、自分が生きていると実感できる瞬間らしい

 

「まぁ、ぶたれたコトはいいです、それより今回の自信作を見てください、スンゴイので」

 

「スンゴイかスンゴくないのかは私が判断するコトだ、もし私がスンゴくないと判断すれば貴様のア●ルが無事に済むとは思わないことだ」

 

「はい!!」

 

なんでちょっと嬉しそうなんだよコイツ…

夕張は元気良く今回のビクーリドキーリメカはこちらァァァァ!!と勢いよくビニルシートを剥いだ!!

 

『『『『カワバンガー!!』』』』

 

…………なんか亀?亀……?いや、亀?二足で自立する亀の妖怪みたいなのが4匹立っていた、亀…?亀って4匹でいいのか?

 

「今回開発しましたのはミュータントを作り出す化学薬品、ミュータ●ジェンです」

 

「ミュータント…だと?」

 

「はい、こちらのミュータ●ジェン、この液体を適当な生物にBUKKAKEると手近な生物の特徴を持ったミュータントに変身します」

 

夕張曰く、とりあえずモノは試しにとその辺の池にいた亀にBUKKAKEると亀はミュータント・ソルジャーとして生まれ変わったのだと…

 

「名付けまして、TMNT・ミュータント・ニンジャ・亀ズです」

 

ビタンッ!!(平手打ち)

 

「ダビでっ!!」

 

「ナニが亀ズなのだよ、バカにしてんのか」

 

どの方面に喧嘩売ってんだよコイツは、亀ズってなんだよ!亀ズって!タート●ズじゃねぇのかよ!!

 

「ちなみに4匹には名前がありまして、青いハチマキのがレオポルド、赤いのがラファエル、オレンジがミケランジェリ、紫のがドナテラです」

 

「また微妙にパチモンみてーな名前だなオイ」

 

「彼らは下水の亀時代、ドブネズミを師と仰ぎニンジュツを学んだらしくてニンジャのスキルを持ってます」

 

「ネズミなのかよ!そこはスプリンター先生じゃねぇのかよ!!」

 

ダメだ、コイツのやるコトにイチイチツッコんでいたら胃に穴が開くどころか胃が溶けかねん、cool……そう、coolだ、兵学校時代、深緑の知将と謳われた俺は常にcoolでなければならない…

 

「彼らを深海棲艦の巣に送り込めばヤツらの殲滅など赤子の首を捻るようなものです、最速・最善にヤツらを皆殺しにして来るでしょう」

 

「そんな強いようには見えんのだが…」

 

「大丈夫です、ミュータ●ジェンをBUKKAKEるついでに柱間細胞も埋め込んでおきました、全員、木遁もイケます!」

 

ヤツらの巣で樹海降誕ですよ!とお腹を抱えてケラケラ笑う夕張に対し、両目にレモン果汁90%ををBUKKAKEてやると転げ回った

 

「ウッギャアー!!目がぁー!目がァァァァ!!」

 

『Hey ダイジョーブかユーバリ!』

 

『HAHAHA!』

 

ミュータント亀に心配されているのやらされていないのやら、夕張は目をゴシゴシしつつ立ち上がり、まだヤれる!まだヤれるとアピールしていた

 

『ヨッシ!まだイケるイケる!ユーバリまだイケる!』

 

『よっ!アンタが大将!Fooooo』

 

クールでゴキゲンな亀どもの声援を受けて立ち上がった夕張は床にペッ!!とツバを吐き捨て、果敢にファイティングポーズを……

 

グシャアッ!!!(スネークバ●ト)

 

「ゴバァ!!!」

 

「ナニ執務室の床汚してくれてんだテメーは?アァ?そいつは殺してくれってコトでいいんだよな?アァ?なぁオイ、いいんだよな?なぁ?」

 

頭部を壁にメリメリされ執務室のオモシロオブジェみたいな夕張のケツに蹴りを入れてやると胴体がビクンッ!と跳ね上がった

 

『なんてこった!コイツはゴキゲンなオブジェだ!』

 

『HAHAHA!』

 

ミュータント亀ズはそんなオモシロオブジェを見てゲラゲラ笑い、執務室の電話を手に取るとピザのデリバリーを頼んだり、よせばいいのにクロスワードパズルをやっていた秘書艦サミー子に絡んだりして目にタバスコを突き刺されていた

 

『UGYAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

『HAHAHA!』

 

『もー!アタマきた!このタバスコ、ユーバリのAn●lに入れてやる!そぉーれ!』

 

『HAHAHA!』

 

この後、陽気な亀ズはひとしきりゲラゲラ笑いヤンチャした後、じゃ、ボクら下水道に帰るんでとチーズ臭いゲップをしつつ去って行った…

後日、自販機コーナーで缶コーヒーを買ってると、ジョンくんがタート●ズ!タート●ズがいたのよ!基地の中歩いてたのよ!ホントよ!と興奮気味にグイグイきた



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提督と潜水艦とVRな世界

週1ペースぐらいは頑張りたい所存

【登場人物】

提督(知性溢れる天才ファイター)
インテリジェンス・モンスターの異名を持つストロングスタイル、最近尿が近い

潜水艦ズ(実力派エリート集団)
かつては基地1番の働き者であり、基地の高度成長期を支え、羽振りのいい生活を送っていたが昨今の海域刷新により失職、でも蓄えはある


師匠も走る師走に入り、今年も俺はナニやっていたのだろうと自問自答に余念がない今日この頃、執務室で真面目に公的書類に目を通して決裁印を押す大事な大事な仕事をしていたが小便がしたくなったので便所に向かっているワケだが…

 

「キャオラッ!」

 

「ギャハハハハ!168サン、バカみてーっス!」

 

「アホ丸出しなのね」

 

…潜水艦のアホどもが自販機コーナーでたむろしてゲラゲラ笑っていた、ナニやってんだ?アイツら…

 

「オイクズども、ナニやってんだ?クスリか」

 

「あ、テイトクなのね」

 

「なんか168サンが買ってきたVRゲームやってますですです」

 

「VR…?」

 

たしかに、168はナニやら変なゴーグルみたいなのを装着しており、虚空に向かってボッ!ボボボッ!パンパンパンッ!とやっているようだが…

 

「ウゲェ!!」

 

168は見えないナニかに悶絶ボディを喰らったかのように膝を折り、頭に被っていたゴーグル的なものを取り外した

 

「ハー…ハー……なかなかイイ運動になるわ、コレ」

 

「へぇー、じゃ、次は19にヤらせるのね」

 

「ハイハイハイ!26も!26もヤリたいです!」

 

「ろーも!ろーちゃんもヤリたいって!」

 

「…ユーも、ちょっと、興味ある」

 

次はオレにヤらせろ!いや、オレだ!とバカどもはこぞって168から変なゴーグルを奪い合う醜い争いを始めたが、

168は、はいはい順番順番、じゃんけんして、じゃんけん!とバカどもに順番待ちをすると言う極めて理性的で文化的なコトを伝えると、とりあえず19が26の両目にチョキを突き刺し、26は床を転げ回った

 

「ぎゃああああああああ!!26の目が!26の目がァァァァ!!」

 

「大丈夫ですって!ろーちゃんが治してあげますって!」

 

ローは床を転げ回る26の股間にカウンターショックですって!と容赦のない蹴りを入れ、アレ?ガンマナイフの間違いでしたっけ?と首をかしげているが、たぶんガンマナイフも間違いだろう

 

「オイ168、なんなんだ?コレは」

 

「あらテイトク、いいでしょー?新しいゲーム機買ったのよ!VRよ!VR!すごくない?」

 

「スゴいスゴくないかはワカらんが…」

 

168曰く、VRゲーム機を買ってみたものの、とりあえず最初は操作がわかりやすいゲームでもやってみようとボクシング的なゲームを買ったそうで、なかなかのリアリティを感じたと…

 

「ふ〜ん、バーチ●ルボーイのテ●ロボクサーみたいなモンか?」

 

「ナニそれ?」

 

「ご存知ないのですか?」

 

バーチ●ルボーイ…

今を遡ること27年前、1995年に任●堂から発売された画期的なニュー・ハードである、その、最大の特徴はヘッドマウントディスプレイを使用し、3Dでゲームが楽しめると言うまさしく未来に生きたマシン………だが、当時の人類にはあまりにも急な変革に対応する事が出来る者は少なく、1995年の人類にこの画期的ニュー・マシンは早かった、いや、早過ぎたのだ…

1995年と言えば既に任●堂の牙城を崩す次世代機、セ●・サターン、そしてプ●イ・ステーションが発売・センセーションを巻き起こしており、この早すぎたマシンは時の流れにひっそりと消えて行った

 

「と言うワケなのだよ」

 

「説明長すぎ!信者か!」

 

「信者じゃない、提督だ」

 

「ってか、その説明じゃよくわかんないんだケド?なんなの?昔そーゆーのっぽいのがあったってコト?」

 

168のヤロウは説明下手かっ!と俺の説明をディスり、膝に蹴りをブチ込んできたが、俺の硬度10、ダイヤモンド・フットの硬度に逆にダメージを喰らいウッギャアー!と床を転げ回った

 

「フン、下等艦娘の軟弱な蹴りなどでこの膝を崩せるとでも思ったかーっ!」

 

「クッ!なんて硬さ!」

 

「ペ●スのくせにナマイキなのね」

 

「フニャ●ンですです!」

 

「ア〝ァ?誰のチ●ポディスってんだこの色情魔どもが、おチ●ポ様の間違いだろーが!」

 

ギリギリギリギリギリギリギリギリ!!(魔のテイトクダブルクロー)

 

「ギャアアアアアアアアア!!痛い痛い痛い痛いのねー!!」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさぁぁぁぁい!!」

 

左右両手のアイアンクローでガンメンを掴んだ19と26を同時に床に激しくKISSさせる制裁を喰らわせてやり、ついでに、ケツにネオ・ファイヤーだぁ!をブチ込んでやった

 

「ペッ!クズどもが」

 

「おーおーオッサン、あんまウチらの仲間可愛がらんでやってくれでちかー?」

 

実力派エリート集団と呼ばれた潜水艦だが今やそれも過去の話、だが、潜水艦どもは仲間意識だけは高い、生まれも育ちも海外艦もない、まるで潜水艦は皆ファミリーであるようにアツく、そして固い結束を持っている

 

そして、その結束の中心に居るのが基地潜水艦のカリスマ的存在、生ける伝説(レジェンド)と呼ばれ多くの潜水艦達からリスペクトされている伊58の存在だ

 

「フン、躾がなっていないぞ、58」

 

「ウチのモンは昔からこんなモンでち、まぁ、19と26はマリフ●ナ抜けてねーケド」

 

「フン、まぁいい」

 

とりあえず件のVRゴーグルをろーが被っており、死ね!死ね!死ねですって!と汚い言葉を吐きつつ暴れており、たまに近くに居たユーにキックを入れていた

 

「…痛い」

 

「ルイも!次ルイもやりたい!」

 

そんなアホどもを眺めつつさっさと便所にでも行くかと考えていると、赤い髪の女騎士が廊下を練り歩いて来た

 

「む、Admiralではないか」

 

「よぉ騎士サマ、こんなところで珍しいな」

 

赤い髪の女騎士こと女王陛下の騎士、アークロイヤル、見ての通り、女騎士だ

 

「おやおや騎士サマがこんな場末の自販機コーナーにいらっしゃるとは〜?」

 

「ここには騎士サマが嗜むような上等なミルクは置いてないですです!」

 

「帰ってママのミルクでも飲むのがお似合いじゃないですかねぇー?ギャハハハハ!」

 

アークロイヤルは潜水艦どもの汚いヤジを特に気にした様子もなく、フッ…と笑い首を横に振った

 

「で?騎士サマがこんなところに何の用だ?」

 

「陛下が基地内を散策なさるとのコトでな、警護だ」

 

……今、コイツなんて言った?散策?

 

陛下が…?

 

「アナタ、それは一体なんなのでしょう?」

 

………声だけで理解るッ!その、圧倒的とも言える王の存在感

 

陛下がッ!!絶対にして高貴なる女王陛下が変なゴーグル付けてハシャいでいる潜水艦のアホガキどもに興味津々丸じゃねぇかァァァァ!!

 

「コレ、VRゲーム機ですって」

 

「…すごい見える」

 

「まぁまぁ、スゴいのですか!」

 

………ヤバい、この流れはヤバい、絶対的高貴な存在であるあの方に万が一にも失礼があればそれは即ち死罪を意味するッ!

 

そして、それはこの失礼の塊である潜水艦どもには無理な話っ!間違いなく致命的な失礼をカマし、陛下の逆鱗に触れ、良くて俺と潜水艦一族郎党死罪、悪くて第三次世界大戦勃発となる…っ!

 

…その、世界の危機に気付いたのは俺だけではない、58や168など潜水艦の中でも最古参でありリーダー的存在達…

ヤツらもコイツはマジヤバイと冷や汗を流していた

 

「さて、提督はこれで失礼させてもら…」

 

「オイ待て失礼するんじゃないわよ」

 

最初で最期である自然な流れでの離脱、が!168に肩を掴まれたッ!!

 

「チイッ!放せ!放さんか下郎め!」

 

「逃すかよっ!」

 

「バカな!今ざっと計算してみたが任意の環RとRの任意の nil イデアルJに対して、行列イデアル Mn(J) は任意のnに対して Mn(R) の nil イデアルは…」

 

「ワケわからんコトゆーな!」

 

なんだこの168のパワーは!グゥゥゥム!振りほどけん!潜水艦には私の知らないパワーが隠されているとでも言うのか!168の目にハッキリと“お前も死ぬんだ!”と力強さもある!

 

「168クン!聞こえているならやめろ!ナンセンスだ!」

 

正気か!?このままでは死ぬ!俺もお前達も死んでしまうんだぞ!ならばこの基地の責任者であるこの俺だけでも逃すのがベストであることが何故わからん!

 

「Admiral、女王陛下があのヘンテコなゲェムに大変興味津々丸のようだが…」

 

「オマエは黙ってろ!っーかオマエが止めろよ!女王陛下の騎士サマだろ!」

 

「ハッハッハ、Admiralジョークと言うやつだな!ハッハッハ」

 

「笑ってんじゃねーよ!」

 

 

この後、誰かが陛下に対して無礼を働かないか、陛下に気持ち良くVRゲームを楽しんで頂き、何事もなく帰って頂くべく俺たちは心をすり減らし精神を摩耗した…

 

あと、小便の事を忘れていた俺は便所まで行くのは不可能と判断し、とりあえず建物の裏で用を足していたら、たまたま通りがかった白露姉ちゃんに汚物を見るような目で見られた

 



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提督と戦慄!鳳翔改二

ギリギリ週1ペースのロックなペース

【登場人物】

提督(メガネ男子)
12月でも予定開かない不思議に頭を悩ませている大人

鳳翔(軽空母)
通称ビッグママ、主な仕事は店の経営なせいか、最近は空母の仕事道具を倉庫に入れっぱな


「………なんだコレ?」

 

基地内の至る所に飾り付けられた、飾り!飾り!飾り…っ!提灯!花輪!ネオンサイン…っ!ちょっとタバコでも吸いに行くかと喫煙所へと向かっているとイヤでも目に付くこの異様な光景…っ!ハッキリ言って、俺じゃなくても見逃さないね

 

いや、マジでなんなんだコレ?宴…っ!宴の準備……いや!宴の本番なのか…っ!

 

「うっお―――っ!くっあ―――っ!ざけんな―――っ!」

 

いったいなんの宴だよてめ―――っ!と、そこらの木材を投げたり蹴ったりして心を落ち着かせ、とりあえず冷静に周囲を見回してみる俺…

 

注意深く観察する事でこの飾り付けがなんなのか、それを推理する事は俺であれば可能…っ!

 

「こんなところでナニやってるんですか?」

 

「オ……オマエはーーっ!さ、サミーーー!!」

 

注意深く観察しようとしていると、なにやら酒瓶のようなものを持った秘書艦サミーーー子が背後に立っていた

 

「いや、なんなんですかそのテンション…」

 

「聞いてくれサミー!変なんだ!」

 

「はぁ…?提督が変なのはいつものコトですが?」

 

変の後ろに態が付きますケドと余計な一言を付け加えるのを忘れない秘書艦サミー子はナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?と言いたげなツラをしていた

 

「そうじゃない!そしては俺は変じゃない!提督だ」

 

「まぁ、提督が変態なのも足が臭いのも今に始まったコトではありませんが…」

 

「オイオイオイ、この青髪ロング子さん、ナチュラルに上司をナメちゃってるよオイ」

 

「別にナメてないですよ、尊敬はしてませんけど」

 

「カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!」

 

こやつめ!言いおるわい!本来ならば提督に対する不遜、残酷なる死と無限の苦しみをもって制裁を与えるところだが………我が最も信を置く重臣、いや、莫逆の友たるこやつであれば、あえてその無礼は許そう

 

「で?この妙ちきりんな飾り付けと祭囃子はなんだ?クリスマスにはまだちょい早いんじゃあないの?」

 

「今日はビッグママが改二になった事を祝う祝いの式典が開催されてます」

 

「あ?」

 

「今日はビッグママが改二になった事を祝う祝いの式典が開催されてます」

 

「あ?」

 

「耳クソ詰まってるんですか?」

 

「詰まってねーよ、で?なんだって?ババアが改二になっただと?誰の許可得てやってるんだよ?なぁオイ」

 

「提督よりもっと“上”の上層部の許可でしょ、あとババアとか言ったらまた殴られますよ」

 

秘書艦サミー子による冷静で的確な意見、たしかに、ババアとか言ったらまた殴られるな

 

「で?サミー子ちゃんよォ、その酒はなんだ?俺へのバースデープレゼントか?」

 

「違いますケド?あと、提督の誕生日はずっと先じゃないですか」

 

「それな」

 

「ちなみにコレはママへのお祝いの品です、お高価いヤツを買いました」

 

「そうか…」

 

このヤロウ、俺のバースデーにプレゼントの一つもしねぇくせにママにはお高価な酒だと?ズイブンとナメられたものだな、俺も

 

「あとお金です、ほんの気持ちですけど」

 

そう言って五月雨が取り出したズシッ…と擬音付きの茶封筒………

 

「オイオイオイ、気持ちにしてはちょっと重すぎじゃあないかね?」

 

「ナニ言ってるんですか?みんなこのくらいは包んで来ますよ」

 

この俺が、ハハハ…ないないそれはない、と小粋なテイトク笑いで流せない辺り、かなりガチなヤツだ…

 

あのバ……ビッグママはこの基地で唯一、この五月雨や凶暴が服を着ている由良さんですら頭が上がらない存在、それに、あのチンピラ空母どもすら思わず目を逸らしちまうぐらいのカリスマ性を持っているのだ

悔しいが、あのババ……ビッグママはこの基地においてこの俺よりも皆の尊敬と畏怖を集めていると言っても過言ではないだろう…

 

かく言う俺も、あのババアにはやや頭が上がらないところがないワケでもないが………いや、そんなコトはない!俺はこの基地の“帝王”なのだッ!依然変わりなく!

 

「まぁいい、で?そのババアはどこにいるんだ?店か?」

 

「今日は店を貸し切ってみんなでお祝いしてますから、たぶん店にいますよ」

 

「よし!わかった、ならこの提督様も男を見せてやらねぇとな!ババアの為に!」

 

「提督の場合は男を見せる前に溜まってるツケ払った方がいいですよ」

 

ーーー

 

『ママ、本日はオメデトウ御座います!』

 

『おめでとうゴザイマス!ビッグママ、いつも空母をベンキョーさせて貰ってます!』

 

『コレ、マ●カラン40年っス!ほんの気持ちっス!』

 

『あ、コレ……少ないんすけど、オレらからママへの気持ちです』

 

ざわ…ざわ……

 

薄暗くシックな店内を照らす煌びやかなライトに高級感を感じる革のソファー………夜の店、倶楽部HO-SHOW…

ビッグママこと鳳翔が経営するこの店は夜と言う闇に輝く大輪の花…

 

今日、そんな倶楽部HO-SHOWは貸し切り御礼、ビッグママを祝うべく基地中から多くの有力者達が顔を出していた…

 

「オイ、あの胡蝶蘭、金剛の名前書いてあんぞ」

 

「そりゃ金剛さんだって花ぐらい贈りますよ」

 

マジかよ、あの金剛だぞ!?この基地に頭は二ついらぬと今なお俺の命を狙い続けているあの金剛だぞ!!

 

「あ、テイトクと五月雨じゃない?今来たの?ね?」

 

「ゲェー!ゆ、由良さん!」

 

俺のゲェー!に特に気にした様子もなく、由良さんはヒラヒラと手を振り、ごくごく自然な流れで俺の喉元に手刀を放っ…

 

「由良さんも今来たところですか?」

 

「そう、ちょっと買い物手間取ってね、ね?」

 

五月雨は由良さんにしては珍しいですねと余計な一言を付け加えつつ由良さんの手刀を横にいなした

 

「なんでジャマしたの?ね?」

 

「今日は祝いの席ですよ、ママへのプレゼントをラムレーズンからストロベリーチップにしちゃうつもりですか?」

 

「…そうね」

 

由良さんにしては珍しくアッサリ引き下がったな…

 

「まぁいいわ、今日はママの顔を立てましょ?ね?」

 

「そうですよ、今日くらい昔みたく仲良しな感じアピールしてママを安心させましょう」

 

「ヘドがでるわ、ね?」

 

「まったくです」

 

っーかコイツら仲悪すぎだろ!どんだけ仲悪いんだよ、俺たちが誇れるのは付き合いの長さだけだよ

 

「フーッ〜………おや、アンタ達かい?」

 

バカみてぇに長い煙管からプカプカ煙を吐きつつ現れたのは本日の主役!倶楽部HO-SHOWのオーナーこと鳳翔…ッ!

 

若僧(ボーイ)が顔出すとは意外だねぇ…」

 

「オイオイ、ママ、いつも言ってるだろ?いい加減若僧(ボーイ)はヤメてくれよ、兵に笑われてしまう」

 

「フーッ〜………軽口だけは一丁前だねぇ、そーゆーのは好きなあの娘を口説いてからにしな」

 

「うっせぇよババア」

 

相変わらずムカつくババアだな………って痛てぇ!!左右から俺の脇腹を抉るような痛みが!!痛みが!!

 

「ママになんて口利くんですか」

 

「バカじゃないの?ね?」

 

「アンタらも相変わらずだねぇ、フーッ〜…サミーも由良もあの頃から変わりゃしないさね」

 

「いやいやママ!由良は変わってるよ!ほら、なんかオシャレになってるし、ね?」

 

「由良さん、なんで今こっち見たんですか?ケンカ売ってるんですか?」

 

「フーッ〜………アンタら、仲良くしな」

 

『『…はい』』

 

グゥゥゥム、コイツら、俺の言うコトはまるで聞かねぇくせに昔からビッグママの言うコトだけは聞きやがる

 

「あ、そーいや改二になったお祝いだったか………あー………肩叩き券でいいか、サミー、紙とペン貸してくれや」

 

「アンタも相変わらずだねぇ、っーかアンタはまずツケ払いな、ツケ、あの顔はキレーなイタリア人と潜水艦のお嬢ちゃんの分も」

 

「なんでそのバカどもの分もなんだよ!!」

 

「フーッ〜…ナニ言ってんのかね、アンタのカキタレだろ?ならアンタが払いな」

 

「おかしいですよ!」

 

 

とりあえず今日は持ち合わせがないと華麗にスルーした俺は後日、ツケを払ってやるべくアホのポーラとイヨティンを連れて再びHO-SHOWに来店し、何故かツケが増えると言う大惨事に見舞われた

 

あと、ババアには最近ラジオの調子が悪いとか言ってたので新しいラジカセを買った






次回
①メインヒロインが遊びにくる
②山風とジャーヴィスが殴り合いになる
③フランス人が酒瓶で頭を殴る

…の、どれかですって


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提督と鈴谷と悪鬼の戦い

提督VS鈴谷 なら燃え尽きろ、潔くな

【登場人物】

提督(快男児)
おばあちゃんの言いつけを守り、ビッチには厳しい快男児
好きな対空技は鬼焼き

鈴谷(自称)
メイン・ヒロインを自称する異常者、悪魔超人並に都合の悪いことはすぐに忘れる超絶ポジティブ
好きな対空技は鬼焼き


「ティーッス、誰もが羨むメインヒロイン鈴谷様が遊びに来ましたよぉ〜」

 

年の瀬が迫る師走の執務室、その…神聖なる執務室の重厚な扉をノック無しで勢いよく開き、いかにも股が緩くてアタマの悪そうなJKみたいなのがヘラヘラ笑いつつ入って来た

 

「ナニが遊びに来たZE!だ、土下座しろ」

 

「しねーし、ってかサミーは?休み?」

 

「有給だ、見たい番組でもあるんじゃないのか?」

 

なんと言ってもウチは常に人材が働きやすい環境を考え、幅広い意見を取り入れる優良基地である、そりゃ秘書艦サミー子だって有給くらい取るさ

 

「ふ〜ん、で?テイトクはサミーいないからサボってエロ本読んでたワケ?」

 

「エロ本じゃない、コミックヴ●ルキリーだ」

 

「や、エロ本じゃん」

 

コミックヴ●ルキリーは“戦うヒロインが活躍するものの、調子コイた結果なんやかんやでやっぱりエロピンチになる”が大まかなコンセプトの大人気漫画雑誌である(※紙媒体は2012年11月に終了済、現在はwebのみの電子雑誌である)

 

「で?何の用だ?今の俺は機嫌が悪い」

 

「遊びに来ましたよぉ〜…って、最初に言ったじゃん、耳クソ詰まってんの?」

 

「遊びに、か…」

 

俺は椅子から立ち上がり首をゴキゴキしつつ右手のコンディションを確かめた、フゥゥゥム…右手のコンディションは悪くない、射程2メートル以内なら俺のスネークバ●トは最速であり必殺の威力は必至…

 

「フーッ〜…ルールは目突き、噛みつき、金的なし、オマエが死ぬまでヤる完全決着でいいか?」

 

「いいワケねーし!っーか鈴谷が死ぬ前提じゃん!そーゆーのは普通どちらかが死ぬまでじゃね!?」

 

「オイオイ、まさかオマエ程度がこの俺を倒せるとでも勘違いしているのか…?フッ、これだから身の程をわきまえない航巡は困る、オマエの固有のスキル“ビッチ”で役に立っているとでも思ったかマヌケめ!」

 

オマエのような劣等艦娘はこの提督様のパーティには相応しくないのだよヲォン!と力強く宣言、さらに、とっとと出て行くんだな!と言い渡し、あと、装備は全部置いていけよ!完璧な追放スキルをキメてやった

 

「あとパンツも脱いで行けよ」

 

「誰が脱ぐか!!っーかなんで鈴谷が追放されなきゃいけねーし!」

 

「フッ、ならば着ているものを脱いで土下座しろ、そうすれば許してやらぬ事もない」

 

ただし、ニーソと胸のリボンだけは残していい…と慈悲を与えることも忘れない

 

「ヘンタイかッ!!なんなのその微妙な拘りの着エロ!!キモい!!」

 

「キモくない、提督だ」

 

「や、マジでキモいんですケド…」

 

「うるせぇーなァ〜…だいたいアレだ、あ?ビッチのくせにナマイキなんだよ」

 

「ハァ?鈴谷ビッチじゃねーし」

 

「ビッチじゃなけりゃオマエはなんだ?」

 

「鈴谷ですケド?」

 

「ほら見ろ、ビッチじゃねーか」

 

「いやいやいや!ビッチ=鈴谷かよ!!なんなのそのシツレーな公式!おかしくね!?」

 

「ビッチ=鈴谷は学術的にも証明されているのだよ」

 

ビッチ=鈴谷と言う定説はその式と解の美しさから不変とされており、今なお多くの研究者達がこの難問に対して挑戦し続けている…

 

「ま、いいや、とりあえずゲームで勝負しよーぜ!ゲーム!」

 

「ゲーム…?闇のゲームか?」

 

「や、もうちょい普通のゲームで、TVゲーム的なやつとか…」

 

「TVゲームか………残念ながらここにはそんなものは無いのだよ」

 

「いや!あるじゃん!テイトクの机の引き出しの中にネオ●オミニとか隠し持ってるじゃん!」

 

「アレならだいぶ前に平戸クンにあげたのだよ」

 

「平戸クン…?誰それ?鈴谷の知らない女?」

 

どーゆー聞き方だ、ヤンデレカノジョかコイツは…

 

「海防艦のメガネの子だ、ほら、なんか白いの」

 

「あー…あの白いの」

 

鈴谷はなんか思い出したような思い出してないような曖昧さに頭をひねってはみたが、どうでもいいコトはすぐに忘れるタイプなので平戸クンに関しては忘れていたのだろう

 

「じゃナニ?ゲームないの?」

 

「ねぇよ」

 

「じゃゲーセン行こーぜ!ゲーセン!」

 

「行かないのだよ、ゲーセンぐれー1人で行け、1人で行ってプリクラでオ●ニー写真でも撮って来い」

 

「誰が撮るかっーの、っーか鈴谷プリクラに金入れたコトねーし」

 

「マジかよオマエ、いかにもアタマのネジと股がゆるそうなJK風なのに?」

 

「いかにもアタマのネジと股がゆるそーとかゆーな!鈴谷こー見えてお嬢様だし、実家は金持ちだし」

 

「ふ〜ん」

 

「アレ?興味なし!?鈴谷が実は金持ちお嬢様とか衝撃的事実くね?」

 

「いや、別に衝撃的事実でもなんでもないが…」

 

そりゃオマエ、俺はこう見えてもこの基地を統べる絶対支配者、提督様だからな、ウチに配属されてるバ……艦娘の身辺調査とか普通にやってるからな、未成年が多い以上、保証人も必要だし

 

…まぁ、一部、どんだけ調べても何もわからない謎の多い艦娘もワリといるのだが…

 

「まぁ仮にオマエが金持ちお嬢様だろうが所詮は庶民お嬢様レヴェル、本物の輝きの前には跪き、許しを乞う姿を見せるしかないがな」

 

「クッ!」

 

「わかったのなら服を脱いで全裸になって壁に手をついて尻をこっちに向けろ、修正してやる」

 

「修正かよッ!!っーか服を脱ぐ意味がワカんねーし、ヘンタイかッ!!」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ、あと、服を脱がせる意味はある」

 

「あるのかよッ!いや………ないっしょ?」

 

「全裸にするコトで屈辱感と無力感を与え、自分がおチ●ポ様には絶対勝てない“牝”である事を強く自覚させる効果があるのだよ」

 

「な、なるほど………言われてみると、たしかに…」

 

「わかったのなら早く脱げ」

 

「いや、脱がねーし!!鈴谷そんな安い女じゃねーし」

 

「なら妹に脱いでもらうしかないな」

 

「妹…?まさか熊野に………!!クッ!ゲスが!」

 

「ゲスじゃない、提督だ」

 

「…っーか、冷静に考えたら熊野がどーなろーと鈴谷の知ったコトじゃねーし、鈴谷カンケーねーし」

 

コイツ、オマエじゃないなら最愛の妹がオマエの代わりになるしかないなァ…作戦をこうもアッサリと!

まぁ、冷静に考えたら鈴谷と熊野はそんな仲良くねぇか

 

「っーかさっきからなんなの?脱げとか脱ぐとか!コミックヴァ●キリーの読みすぎかッ!」

 

「バカ言ってるんじゃないよこの娘は、コミックヴ●ルキリーにシツレーだろーが!」

 

「ハァ〜…………もぉいいや、テイトク、鈴谷腹減ったしマミー屋行こーぜ、マミー屋、パンツ見せるからチョコレートパフェ奢ってよ」

 

「キサマの小汚いパンツごときで奢るかクズが、直腸に流し込んだプリンをア●ルと上の口をホースで連結させて流し込まれてーのか」

 

「鬼畜かッ!!っーか、よくそんなコト思いつくし…」

 

 

この後、俺と鈴谷はマミー屋へと行き、執拗に本日のオススメをススメられたが紳士的に断り、普通にイチゴのショートケーキを、鈴谷は金がないので水道水となりかけたが、とりあえずカルピス原液イッキと引き換えに洋梨タルトを奢ってやった

 

カルピス原液イッキしている際、必殺のボディが甘めえぜ!をお腹にブチ込み、甘くてトロみのある白濁液を逆噴射したせいで店を汚すなと間宮の怒りを買い、ピカピカになるまで掃除させられたが俺は悪くない





次回はクリスマス回

もうそんな時期ですって!


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提督と聖なる完璧のクリスマス 前編

今年はルート分岐なしの簡素にクリスマス回、前後編




今年もあと一週間たらずのこの時期にやって来た、たった一度の今日と言う夜、今夜でなければダメなんだ……同じ夜はもう二度とやってこない…

そんな“悪魔”と出逢いそうな今日と言う日の名は、クリスマス…

 

「でたー!高雄サンの閃光左ストレート!」

 

「あのパンチを喰らって顔面粉砕しなかったヤツはいねぇぜーッ!」

 

「い、いや…!た、立っている!立ち上がっている!あの左をモロに喰らって妙高サンは立ち上がっているーッ!!」

 

「TOUGHって言葉は妙高サンの為にある」

 

福利厚生の充実に定評のある当基地で毎年催しているクリスマス・パーティー、毎年、駆逐艦以下のバカガキどもには近所のトイ・ザ●スで購入したステキなプレゼントを、アホどもには浴びるほど用意した酒と前日から超A級グルメ犯罪艦、間宮が腕によりをかけた豪華なパーティー料理を振る舞い、無礼講の催しとなのは既に常識…

 

「やったぁ!新しいベ●ブレードだぁ!よしっ!対馬、あとでオマエのハムスターとケンカさせよーぜ!」

 

「え?や、やだよ…可哀想だよぉ」

 

「軟弱者かーっ!」

酒が入ってバイオレンスに拍車がかかるバカども、サンタ・ルックの鹿島先生からつまらんプレゼントを貰ってハシャぐガキども………最早毎年恒例の様式美と言えよう

 

「…………そろそろ狩るか♠︎」

 

そんなアホどもに関わり合うのはナンセンスであると言うコトを知る大人である俺は“絶”を使い、誰にも気取られないようにテーブルに並ぶ料理を掠め取りに行く…

 

「あ、テイトクじゃん、Merry Christmas!」

 

「ムダに良い発音かッ!」

 

地味に良い発音をしつつ蒸したサツマイモを手にしているのはよく見ると美少女と定評のある白露姉妹の長女、白露

 

仕事はまじめでそつなくこなすが今ひとつ情熱のない艦娘、なんかよく見ると美少女っぽい気品ただよう顔と物腰をしているため童貞にはモテるが海軍からは遠征とか使いっ走りばかりさせられているんだぜ

悪いやつじゃあないんだが これといって特徴のない……影のうすい艦娘さ…

 

「またイモばっか食ってんのか」

 

「そりゃ美味しいからね、1ついる?」

 

「いらねぇよ、それよかなんだクリスマスなのにその乳は誘ってるんですかー?」

 

「誘ってないよ、ってか息を吐くようにセクハラか!クリスマスカンケーないし」

 

「セクハラじゃない、小粋なテイトクジョークってヤツなのだよ」

 

「いや、普通にセクハラ発言だし」

 

「フッ、心配せずとも俺は駆逐艦程度の乳臭いガキに欲情などせぬわ、この俺からすればキサマらなどまだまだ嘴の黄色いボウヤにすぎん」

 

一般的な駆逐艦はマッハ1程度、軽巡・重巡はマッハ2〜5程度の動きだが提督ともなるとその動きは光の速さ、つまりはその拳は光速拳となるのだ

 

「乳臭いとはナニよ!乳臭いとは!」

 

「まずはそのイモばっか食ってブーブー屁をコいて歩き回るのをやめるのだな」

 

「ま、まぁ…たしかに多少食べすぎた感はあるけど、ってか屁なんかしながら歩いてないし」

 

とりあえず白露ねーちゃんと軽くセクハラトークを交えつつカラアゲなどを物色していると…

 

「あ、テイトクっしゅ!」

 

「なんだぁ…?テメェ…?」

 

頭の悪そうなバカガキがゲラゲラ笑いつつウザ絡みしてきたので俺はそんな占守クンの小脇を抱えて持ち上げ、勢いよく落下させて占守クンのダブルニーを破壊した

 

「ダブルニークラッシャー!」

 

「ウッギャアアアアアア!!痛てぇぇぇ!痛てぇっしゅゅゅゅゅ!!」

 

「提督からのクリスマス・プレゼントだぜ」

 

「プレゼントが痛すぎるっ!!ってか今のがプレゼントとかおかしくねーっすか?」

 

「おかしくない、何故なら私は提督だからだ、それ以上でもそれ以下でもない」

 

「いや、今のはフツーにヒドいっしょ…」

 

白露め!アホの占守クンの味方をするつもりか!長女であり、歳下に対し面倒見が良いことをアピールするつもりだろうが…

 

「うっせっす!触んなっすよメスブタが!」

 

「メスブタぁ!?」

 

占守クンめ、掛け値無しに理解を示そうとしてきた白露の手をビシッと払いメスブタ呼ばわりするとは……コイツ、クソっすね

 

「シムはおっぱいデカい駆逐艦のセンパイとは仲良くしない主義なんすよ」

 

「おっぱいデカいって……いや、普通じゃない?」

 

「ナニ言ってんしゅか!!ナニ食ったらそんなやらしいカラダになるんしゅか!!」

 

占守クンは白露の乳に強烈なビンタを左右から浴びせ、メチャメチャ柔らかいっすよ!コレ、メチャメチャ柔らかいっすよ!と叫ぶ!!

 

「そ…そんなに柔らかいのん?」

 

「柔らかいっすよ!ハッキリ言ってそこらの戦艦よりモチっとしてるっしゅね、テイトクも揉んでみるっすか?」

 

「いや、やめておこう、提督は真摯な男なのでね」

 

俺は占守クンを白露から引き離すと、提督が確保していたフランク・フルトを占守クンの口にねじ込んでやった

 

「ウゲェ!!」

 

「ナニ吐き出そうとしてんだコラ、肉汁を丁寧にしゃぶれ、提督のフランクフルトありがとうございますだろーが」

 

「やめなよテイトク!イヤがってるじゃん!」

 

白露はここにきて正義の心に目覚めたのか、俺の肩を掴み、やめなよカノジョイヤがってるぜとイケメン特有のムーヴを使った

 

「バカな、それはイケメンにしか許されないムーヴ!何故キサマ如き下等艦娘がそれを……まさか!偶然か!いや、白露には元々その才能があったとでも言うのか、そして、その才能の片鱗が今、まさに目覚めたとでも…!」

 

思えば白露はあのプッツン姉妹と名高き白露姉妹の長女、生まれながらに“帝王”の資質を持つ次女に全てを奪われた出涸らしの長女と言われていた白露だったが、やはりあの時雨様が一目を置くだけはあるのか!

 

えぇい!この基地にイケメン枠は2人といらんのだよ!白露、君に眠る才能がどれほどかは知らんが基地No.1イケメンののわっちクンを脅かす可能性かあると言うならば今、この場で君を排除す…

 

グシャアッ!!(アンクルブレイク)

 

「バ、バカな…っ!!」

 

ふと、背後から俺の肩に手を置かれたと思ったらこの俺の膝が力無く崩れ、尻もちをつかされた…!こ、こんなバカみてぇーにアッサリ、アンクルブレイクをキメるなんて芸当ができるのは…っ!!

 

「やぁ、白露姉さん、あっちで姉妹で集まっているから姉さんも呼びに来たよ」

 

駆逐艦でありながら基地最強チームと名高い絶対王者!西村艦隊を率いる唯一無二の帝王、時雨様…!

時雨様は俺にバカみてぇーにアッサリとアンクルブレイクをキメたことを気にした様子もなく、アッサリと長女の手を引いた

 

「あ、時雨じゃん、ってか姉妹で集まるって……よく集まったね」

 

「僕の命令は絶対だからね」

 

ちなみに、ここに来る前にプレゼント箱を持ってソワソワしていた有明を床にメリ込ませたらしいが、それはまた別の話

 

「じゃ、テイトク、私行くから、あんま子供イジメるとかやめてよね」

 

そう言って白露はヒラヒラ手を振りつつ焼き芋を俺の皿に置いて去って行った…

 

「やっぱ怖いっしゅね、白露型は」





後編はバイオレンス編、帰ってきたゴトランドさん


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提督と聖なる完璧のクリスマス 後編

メリークリスマス(便乗)
前後編の後編ですって、ケーキ食べました?私は食べました、吐きそう


「はー…やっぱケーキはインドアで堂々に限る」

 

クズどもにウザ絡みされるリスクを回避するべくクリパ会場である基地体育館の隅で生クリーム少なめクリスマスケーキをナポォ…していると

 

「あ、テイトク」ペコォ…

 

「やぁ、岸クンじゃないかね」ペコォ…

 

夕雲姉妹の15女、岸クン

ゆるっとふわっとしたヘアーと死んだ魚のような目がチャーミングなコトに定評のあるアホな駆逐艦の中では比較的真面目で良い子である

 

「テイトク、ちょっとお願いがあるんですけど」

 

「ナニかね?お小遣いの前借りなら応相談なのだよ」

 

「いえ、お小遣いの前借りとかはいいんです、ゴトランドさんが酒飲んでなんとしても彼氏欲しい!って暴れてて手がつけられないんです」

 

「へぇ…」

 

「へぇ…じゃないですよ、デロ子さんがワインの瓶でアタマかち割られて今年のボジョレヌーボーは当たり年でヤバ〜イ☆…とか言ってビール瓶で反撃する血で血を洗う惨劇なんですよ」

 

「そいつはマイッタな」

 

岸クンはそのケーキ美味しいですか?と言って俺の皿にあるケーキを指差したので、まぁまぁですねと社交辞令的に答えておいた

 

「岸クン、ハッキリ言って提督は今、忙しいのだよ」

 

「そうですか?超絶暇そうに見えますけど」

 

「今日は楽しいクリスマスなのだよ岸クン、艦娘たるものケンカの1つくらいするだろう!殴り合い大いに結構!殴られもせず一人前になったものなどいるものか!」

 

「まぁ、後で国際問題とかなんとかで揉めないなら別にいいですけど…」

 

岸クンは背中に担いでいた大きな袋からゴトランドから貰ったとかいう北欧仕立ての大きなノッポの古時計を取り出すと、クリスマスプレゼントですと言ってクールに去って行った…

 

ーーー

 

「さて、そろそろタバコでも吸うか…」

 

「あ、テイトク…」

 

「うわ…」

 

タバコでも吸うかと歩いていると、かつての悪魔的弾丸シフトを知らぬ新世代悪行潜水艦ズと目が合った

 

目ツキと態度が悪く、年中水着がデフォである潜水艦界に革命を起こすオシャレ潜水艦、フーミンくんとフーミンくんの2Pカラーみたいな潜水艦にしてはわりと真面目で礼儀正しいフレ……フレーくん?だったか?

 

「やぁキミたち、Merry Christmas」

 

「ムダに良い発音!」

 

「提督はこう見えて英語はわりとイケるクチだからね、渡航歴もある」

 

まぁ、パスポートはとうの昔に期限切れしたがね、再び気兼ねなく海外に行ける世界になったらまた行きたいものなのだよ

 

「潜水艦のバ……いや、潜水艦のセンパイ達ならあっちでバーボンをイッキしていたぞ」

 

「そのバカなセンパイどもがイヤだから逃げてるのよ、わからない?」

 

「ヨナは置いて来ちゃったけど…」

 

「そうか、ヨナタスは犠牲に…」

 

地獄を知らない新世代悪行潜水艦は彼女達だけではない、だがヨナタスなら大丈夫だろう、あの娘は純粋で、素直で、なんて言うか……そう、真っ直ぐで、あの168や58からも可愛がられており(かわいがり的な意味でなく)

新世代の潜水艦の中でもただ一つの希望と言っていい

 

「まぁ、ヨナタスは愛され系だがキミたちはナマイキ!系だしな」

 

「誰がナマイキ系よ」

 

「ナマイキなのはフーミィだけで私はそうでも…」

 

反体制派と言っても一枚岩ではないらしい、フーミンくんは裏切りは許さないと言ってフレーくんの口に骨付きチキンをしゃぶれよ!しゃぶりなさいよ!とグイグイと押し込んでいた

 

「あ、そういやもう1人いたな、地獄を知らない潜水艦が………ほら、あのMAJ●Rから来たルーキーの」

 

「すきやんぷ?あぁ、アイツなら目ツキ悪くてオッパイデカいアメ●カ人にお腹にパンチされて連れて行かれたわ」

 

たぶんアトランタくんだろう、オッパイデカいはデフォルトだが目ツキ悪いはMAJ●Rにもそうはいない…

 

「まぁ、キミたちもこんなところでウロついてないで用がないなら早く部屋に帰りなさい、サンタさんが来ないかもしれないのだよ」

 

「は?サンタ?」

 

「そんなの信じてるのヨナくらいですよ…」

 

ーーー

 

「フーッ〜………」

 

タバコ税と言う名の余計な税金払ってんのになんで高額納税者じゃないのか?むしろ、余計な税金払ってる分お国に貢献しているんじゃないだろうか…?

 

「あら?テイトクじゃない?」

 

「あぁ…?なんだ足柄か」

 

「なんだとは何よ、なんだとは」

 

愛と言うカゲロウを求めさ迷う狩人、その名は伝説の狼、足柄…

基地重巡界を二分する二大勢力、妙高姉妹の三女であり、決して散る事のない鉄の結束に定評のある礼号組の精神的主柱的存在…

 

「タバコ休憩?まだ飲むなら付き合うわよ?」

 

「冗談、オマエなんかと飲んでたらみんなから噂されたりして恥ずかしいし」

 

「とき●モか!」

 

さすがは伝説の餓狼、ツッコミにも牙のような鋭さがある

 

「オマエ、ちゃんと礼号組のバカガキどもにプレゼント買ったか?プレゼント、キヨシのヤロウ、カブトムシ欲しいって言ってたぞ」

 

「カブトムシは買ってないけど自転車なら買ったわ、50万の」

 

「高価すぎだろ!!ママチャリでいいだろ!?」

 

足柄曰く、大淀とプレゼントを買いに行こうとした際、たまたま通りがかった妙高姉妹の長女、妙高からコレでビッとしたモン買ってやれとクロコっぽいサイフごと渡されたせいか、ハンパなモンは買えなかったそうな

 

妙高サン、メチャシブいっす

 

「ちなみに霞にはcoachのバッグ買ったわ」

 

「子供の夢!!子供の夢を買ってやれ!!」

 

「妙高姉さんから領収書とかいらねーからとか言われて安いモン買えるワケないじゃない!私が殺されるわ!!」

 

足柄的には予算2万ぐらいで大淀と折半する予定だったが、突如として気合の入った財布渡されたせいで命を天秤にかけざるをえなかったらしい

 

「あ、そうそう、羽黒からプレゼント貰ったのよ、Burberryの財布、あの子ホント良い子なのよねぇ」

 

それはたぶんオマエにだけだ、羽黒って言ったらあの妙高クンや高雄クンすら思わずブルっちまうぐれーヤバイヤツって定評があるが、一つ上の姉である足柄に対してだけはお姉ちゃん大好きお姉ちゃんっ子の分厚い仮面で通しているらしい

 

「そうか」

 

「さて、まだ飲むんでしょ?ちょっと付き合いなさいよ、大淀と明石も呼ぶわ」

 

「そんな負け組に俺を巻き込むな」

 

「誰が負け犬よ、ほら、さっさと行くわよ、バスターウ●フするわよ!」

 

「へいへい、行けばいいんだろ、行けば…」







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提督とそれいけ科学調査隊2022-The Midnight Carnival-

ギリギリを攻める今年最後のお話
本年もクソお世話になりました、秋雲先生はこれからも“男”を描き続けます

【登場人物】

提督(霊)
見たことないものは信じない派、ビビリくんではない


今年も最後の執務室…

あとはマミー屋でそばでも食ってマンガアプリでなろう漫画の1話でもハシゴするかと考えつつズボンに手を入れやや左寄りなチンポジを整えていると、雑誌クロスワードパズルに興じていた秘書艦サミー子が何やら思い出したように顔を上げた

 

「最近インターナショナル寮に“出没()る”らしいですよ」

 

「ほぉ……インターナショナル寮で“射精()る”と」

 

たしかにインターナショナル寮に在住する外国人には魅力的な女が多い、正直、アイオワなど洋物はハッキリ言って生唾ゴックンのビシバシもんだと言っていいし、激烈ナイスバディのイタリア人女優のルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィくんなどは並の提督程度では同じ部屋の空気を吸うだけで絶頂射精必至であろう…

 

「夜、インターナショナル寮に霊的なものが出るらしくてビスマルクさんが夜おしっこに行けないって苦情が来てるんですよ」

 

「そんなワケないだろ」

 

「キンパツ美女で普段から偉そうにしてるわりにチョロいメンタルらしくて困るとグラーフさんが言ってましたよ」

 

「グラーフ呼んで来い、ブン殴ってやる」

 

あの、強く!気高く!美しい!まっこと一人前のレディであるビスマルクさんがそんなチョロいメンタルしてるワケがないだろーが!グラーフめ、未だに自分がキッズ達から血を吸うタイプの闇の上級魔族と恐れられ、ビスマルクさんがキッズ達から人気が高い事を妬んでおるのか!

あやつめ!まっことケツの穴の小さい!

 

「まぁ苦情が来てるのも事実ですし、幽霊ぐらいバシッと除霊してきてくださいよ」

 

「除霊してきてくださいよ、じゃねーよ」

 

「まぁ、提督がビビりクンなのは最早常識ですけど」

 

「誰がビビりクンだ、俺はオマエ以上にトクベツだ」

 

「そんなトクベツな提督だけでは手に余るかもしれないので今回も頼れそうな人に声をかけてますので、みんなで力を合わせて、一致団結して除霊してきてください」

 

例によって私は夜は普通に寝るタイプなので同行できませんのでと余計な一言を付け加え、サミー子は雑誌を閉じた

 

「だから、除霊してきてくださいじゃねーよ、いいかサミー?霊なんてのは存在しねーんだ、それは悪霊であって悪霊じゃねーんだよ、わかるか?オマエが悪霊だと思ってるのは生命のエネルギーでありパワーある(ヴィジョン)なのだ、傍に立つというところからその像を名付けて…」

 

◆◆◆◆◆

 

草木も眠る丑三つ刻…

ビビりクンではない俺はインターナショナル寮の見廻りをするべくこの地に立っているワケだが…

 

「よし、異常なし、解散」

 

「まだ寮に入ってないじゃないですか」

 

「大丈夫だ、この寮からは悪しきE(エネルギー)は感じない、俺にはわかる」

 

「悪のエネルギー源みたいな人がナニ言ってるんですか…」

 

誰が悪のエネルギー源だコラァ!と魔のテイトククローをガンメンにメリメリされ、ギバップ!ギバーップ!と俺の手をバシバシとタップするこいつは夕張、スーパーサイエンス軽巡と呼ばれる科学の申し子であり、科学の力で唆りまくる生粋のサイエンス・モンスターである

 

「ハー…ハァー……ま、まぁ、仮に悪霊でも亡霊でも出てきたところでこの私の前では無力に過ぎませんよ、この………ドリルの前ではね!」

 

背中に負ったリュック的なモノから取り出したドリルを手に、自信に満ちた笑みを浮かべる夕張だが、その自慢のドリルは俺の記憶が確かならば無茶も道理も不可能も衝けず、お前のア●ルしか衝いたことがないがな

 

「まぁまぁAdmiral、彼女も決して悪気があるワケではありませんし…」

 

「あ、あぁ…そうだな、そうか」

 

今回、新たに科学調査隊の仲間に加わったのはMAJORから来た大型新人のレンジャーくん

レンジャーくんは夕張にガンメンに掌の痕がありますが大丈夫ですか?と優しく気を遣える彼女は聖か邪か問われると間違いなく聖なる属性、この基地には珍しい正統派美女ってヤツだぜ…

 

…………だぜ、と言いたいところだが

 

その手に酒瓶を持っているところがなんとも気になる

 

「…レンジャーくん」

 

「ハイ、なんですか?Admiral」

 

「一応聞くんだが………その瓶、その……アレかね?聖水的な?」

 

MAJORと言えばどいつもこいつもそのダイナマイツを隠そうともしない、むしろ、あえて強調するド・スケベ・ファッションは当たり前だが、このレンジャーくんは違う、見た目だけなら超お清楚系、俺が知ってる神に純潔を捧げた敬虔なシスターさんとかまさにそんな系だ

 

そんな見た目超お清楚なレンジャーくんだ、きっと……そう、アレだ、今回のクエストは除霊って聞いてるから聖水多めとか用意してきたのだろう、たぶん

 

「え?え〜………まぁ、ハイ、聖水と言うか……そうですね、命の水と言うか…」

 

「だよね!そーゆー感じだよね!さすがレンジャーくん!」

 

「え?あ、あははは…」

 

俺はレンジャーくんのお清楚な手を握り、どんな危険があっても俺がキミを守りますよォ!とその手をブンブン振った…

 

ーーー

 

小石を投げて安全を確認しつつGOGOGOとハンドサインを送りつつやって来たインターナショナル寮、1F出入り口付近…

俺、夕張、レンジャーくんはとりあえずここをセーブポイントにしようと出入り口付近にあった両手のあるヴィーナス像の辺りに座りここからどう動くべきか、寮の見取り図を広げた

 

「こっちの方がStatesのareaでこっちがUK、少し離れてこちらがItalyで〜…」

 

さすがはレンジャーくん、この寮に住んでるだけあって詳しいなオイ

 

「コロちゃんの部屋はこっちかね?」

 

「コロチャン…?あぁ、Coloradoさんの部屋ですか?Coloradoさんの部屋なら〜」

 

「テイトク、コロラドさんの部屋になんかあるんですか?」

 

「いや、特に無いが…」

 

こんな夜だ、眠っているコロちゃんのバカ面を眺めてもバチは当たらな……いや、眠ってるコロちゃんの可愛いお口に挿入しないのは無作法ではないだろうか?

 

「むむっ!」

 

夕張は顔の右側に着けていたサ●ヤ人が戦闘力を測るのに使っていたアレによく似た装置に何か反応があったらしく、1000……2000……3000!大した霊圧だぜ!と顔に着けてた装置を取り外しバギィ!と握り潰した

 

「みなさん!!こっちですよォォ」

 

夕張はGOGOGO!とハンドサインを送りつつ勢いよく走り出した!

 

「チィ!勝手なことを…!レンジャーくん、俺たちも行くぞ!」

 

「は、ハイ!」

 

俺とレンジャーくんも先走った夕張を追いかけるべく走り出した

 

ーーー

 

インターナショナル寮、1F北側エリア…

先走った夕張は廊下のど真ん中に止まっており、その前には何やら人型の青白いものが……

 

「…プラズマか?」

 

「plasmaなんですか?アレ」

 

聖なる属性であるレンジャーくんにはわからないかな?アレはそう………プラズマの類だ、なんか青白いし、よく見たら髪の長い女のように見えなくもないがアレはプラズマだ、超常現象の真相ってのは大抵はプラズマで説明できる

 

そして夕張はそのプラズマに対し、頭、右手、左手、体とその全身にドリルを装備するフルドリライズ!その超攻撃的見た目に反し、物理・魔法防御だけはやたらと高くなっており、夕張は全身のドリルをフル回転させつつ勢いよく走り出した!

 

「ウオオオオオォォォォォ!!逃げない!引かない!振り向かない!これがドリルだァァァァァァァァ!!」

 

グキッ!!!

 

「あ」

 

全身ドリル装備と言う無理が祟った、勢いよく走り出したハズだった夕張は勢いよく顔面から床にコケ、その勢いで頭に装備していたドリルが外れて空中を舞ったドリルは転倒していた夕張のア●ルを勢いよく衝いた

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛アアアアアァァァァ!!ア゛アアアアア!!ア゛ガッ!ンギィィィィィィィ!!オホォ!ほおおおおおォォォォー!」

 

「あー…」

 

「Jesus………」

 

レンジャーくんは目の前で起きた哀しき事件に手で十字を切り目を伏せた

 

「やはり、こうなったか…」

 

「Admiral、これは…」

 

「弔ってやってくれ、レンジャーくん」

 

俺はレンジャーくんの肩に手を置き、聖なる属性であろう彼女に夕張を“送って”貰うように頼むと、レンジャーくんは少しだけ考え、手にしていたたぶん聖水入りの酒瓶の蓋を開け、それを夕張にドバドバとBUKAKKEた…

 

「夕張ェ…」

 

…………ビクン!ビクンッ!と小刻みに痙攣していた夕張だったが、なんか酒臭くなった…

 

いや、この匂い結構強めのブランデー…?

 

「…レンジャーくん」

 

「ハイ?」ニコッ

 

「…………いや、なんでもない」

 

いやいやないない、こんな見た目超お清楚な美女がな…

いや、そういやポーラも黙って立ってりゃ見た目だけは超絶美少女だっけか…

 

いつの間にやら青白いプラズマは消えてしまったらしく、俺はレンジャーくんに夜遅くなったが食事でもどうかな?と誘い、颯爽とその場を離れた…

 

 

翌日、爽やかなモーニングを迎え、廊下に出たコロちゃんがやたらと酒臭い上にア●ルにドリルが刺さった変死体を発見し失神したらしい





よいお年をお迎えください


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提督と謹賀新年Ⅶ

あけましておめでとうございます
今年もクソみてぇなお話を書いてます、このペースで今年中には終われるかしら?

【登場人物】

提督(メガネ男子)
目・肩・腰が年齢相応からマイナス

五月雨(青髪ロング子)
専業秘書艦、人間ドックの結果来てましたよ


新年に相応しい曇りなき元日を迎え、朝から新しいパンツを穿き執務室へとやって来た俺は既に執務室に来ていた秘書艦青髪ロング子に新年のアイサツをし、革張りの提督様専用椅子に座り基地スポを広げた…

 

「禁断の姉妹対決!コロラドVSメリーランド!ビッグセブン統一マッチ、6Rに強烈なお腹パンチを受けてリングに光る吐瀉物をブチ撒け、半泣きで命乞いするもののメリーさんの強烈な地を這う上昇ライトアッパーで失禁KO、試合前にビッグセブンのNo.1として、長女としての威厳を見せてやる、メリーは二度とお姉ちゃんに逆らおうと考える気はなくなるだろう、とイキり散らしていただけにこの結果が残当………残念でならない、本紙の取材に対しノーコメントとだけ言い残し、新しいパンツに穿き替えていた…………か」

 

そういや昨日、体育館がやけに騒がしかったな、なんでそーゆー金取れそうなイベントをシレッとやるんだあのバカどもは…

 

「サミー子くん、コレ、少ないけど…」

 

「ありがとうございます」

 

机の引き出しに入れておいたお年玉と書いた茶封筒を秘書艦サミー子くんに渡し、冷蔵庫から缶コーヒーを取り出してイッキしてみる………ゴキゲンな缶コーヒーだ

 

「あー…やる気ねぇなぁ〜」

 

「年始からアレな発言ですね」

 

「年始だからなのだよ、考えてもみたまえよキミぃ、年始から提督のやる気に溢れる基地なんてブラック愛国心そのものだよキミぃ、深海棲艦だって大晦日も三が日も休みだよ」

 

「そんなモンですかね」

 

「そんなモンなのだよ」

 

そもそも昔は正月の三が日に買物ついでに遊びに行くなんて言っても店なんか開いてない、初詣行って親戚回りして後はダラダラ箱根駅伝見るか24時間ブッちぎり時代劇見るか、テレビに飽きたらレンタルビデオ屋に行ってビデオ借りるってのが定番の流れだったのだよ

 

それがアレだ、今は元日から近所の大型ショッピングモールが絶賛オープン状態、そんなフライング上等の近所の大型ショッピングモールに負けてはいけないと中小規模のショップも無理して開けてしまう始末………そう、いつの頃からか、ジャパン人は働き過ぎなのだ…

 

「だからこそ、我々は何もしない」

 

「働き方改革ってやつですか」

 

「然り」

 

むしろ、改革してしまった働き方を元の形に戻すと言っていいだろう

 

「そーゆーワケだから今日はやる気なくていいのだよ」

 

「まぁ、提督のやる気が無いのはいつものコトですが…」

 

秘書艦五月雨はやる気なさげに立ち上がり冷蔵庫からバヤ●ースのペットボトルを取り出し、グラスにドプッ!と注いで自分のデスクに戻りクロスワードパズルの雑誌を開いた

 

ゴンゴン!(ノックしてもしもし)

 

執務室の重厚な扉をノックする重低音…

誰だよ?正月から執務室なんか来るやつは……暇人か?それとも敵か?

 

「Mes Meilleurs Voeux pour la nouvelle année Mon amiral」ドヤァ!

 

「なんだリシュリューか…」

 

「なんだとはナニよ!な ん だ と は!」

 

フランスから来た自称最強戦艦、リシュリュー

軍に入る前はパリでスーパーモデルをやっていたらしく、その飛び抜けたbeautifulはそこらの自称beautifulとは一線を画すbeautifulであると言えよう、見た目だけは

 

その、見た目だけはこの天と地のはざまに立つ美の闘士と呼ばれた俺も認めるところだが、この基地ではただ美しいだけでは実力不足、強さと美しさを兼ね備えた完璧戦艦にはほど遠い…

 

「このRichelieuが新年の挨拶に来てあげたのよ?他に何か言うコトはないの?」

 

「ねぇよ、っーかその振袖ナニ?成人式?み●び?み●びで借りたのか?」

 

「違うわ、これは自前よ!そのみ●びってのがナンなのかは知らないケド…」

 

「バカお前、み●び知らねーとか成人式ナメてんのか」

 

新成人達に日本一ド派手な成人式を全力で応援するF県に存在する有名店舗である、その、ブッ飛んだ品揃えはまっこと日本一であり、新成人達を一生に一度、派手に輝かせている

 

「で?新年の挨拶に来たらしいが………なんだ?金か?金の話に来たのか?」

 

「なんで新年早々金の話なんかするのよ!」

 

「違うのか?じゃなんだ?金以外の話となると提督に心当たりは無いが…」

 

「な、なんて心の貧しい男…」

 

「やかましい」

 

まったく、コイツは新年早々提督様に喧嘩売り来たのか?だとしたら大したやつだと言わざるを得ないな

 

「Mon amiral、これからハツモーデに行くからついて来なさい」

 

「え?やだよめんどくさい」

 

「即答…っ!こ……このRichelieuの誘いを秒で断るなんてね、フッ…大した男ね」

 

リシュリューは一瞬イラっとしたような顔をしたが、すぐに平静を取り戻し爪を噛んだ

 

「何故私とハツモーデに行きたくないか、このRichelieuが納得できる理由を述べてくれる?」

 

「え?だってお前と一緒に歩いてたら恥ずかしいじゃん」

 

「Je suis choquée!」ガーン!

 

考えて欲しい、リシュリューは目立つ、ハッキリ言って見た目は美女以外の何者でもない、こんなスーパーモデル級の女と共に歩くなんてのはハリウッド俳優でもないと格好がつかないだろう?

それがほら、俺みたいな冴えないオジさ……いや、オッさんじゃない、まぁ……どう考えても合わない

 

「お前みたいな人目引きまくりの女と歩いてたら俺の存在そのものがかき消されるわい、良くてもスーパーモデルの日本ツアーの案内人、むしろたまたま隣を歩いていただけのラッキーな東洋人認識なのだよ」

 

「そんなものかしら?」

 

「そんなものなのだよ」

 

コイツ、前は自らの美をもうちょい鼻にかける高慢な女だった気がするが………もしかして、この国に来てから自分がスーパーモデルで地元じゃちやほやされていたのを忘れてるんじゃあないのか?

 

「そう、ならもう少し目立たないようにするべきかしら?」

 

そう言ってリシュリューはバッグからCH●NELっぽいサングラスを取り出してみたが、安い量産型アイドルじゃあるまいし…どう考えてもそんなモノでコイツの美をどうこうできるモノではない

 

「サミダーン、卿の意見を聞こう」

 

こういう時は我が頼れる右腕の意見を求めるのが吉であろう、秘書艦サミー子はクロスワードパズルを解く手を止め少し考えて……

 

「そうですね、いっそグレートサ●ヤマンぐらいダセー格好したらどうですか?」

 

「グレートサ●ヤマンはダサくないわ!カッコイイじゃない!」

 

リシュリュー的にはグレートサ●ヤマンはダサくないらしい

 

そんなグレートサ●ヤマンがダサいだのダサくないだの銀河一どうでもいいコトで言い合っていると、執務室の重厚な扉が開き、新たなる来訪者が現れた…

 

「姉さん?ここに姉さんは来ているかしら?」

 

「あら?Jean Bartじゃない?聞いて頂戴Jean Bart、グレートサ●ヤマンはダサくないわよね?」

 

「ダサいわ」

 

「Je suis choquée!」ガーン!

 

やって来たのはリシュリューの妹、ジャ…ジャ……ジャンポールだっけか?リシュリューの妹なだけあってこのジャンパークも一目でワカる美女だ、俺じゃなくても見逃さないね

 

「そんなワケのわからないハナシはどうでもいいわ、姉さん、買い物に行くわよ、aller faire les courses」

 

「え?普通にイヤよ、私はこれからamiralとハツモーデに行くのよ」

 

「行かないのだよ」

 

「行かないって言ってるわよ?」

 

「行くわよ、そうでしょ!Mon amiral」ドヤァ!

 

「行かないのだよ」

 

「そうだわ、アナタ車出しなさい、街に買い物に出たいのよ」

 

「悪いな、俺の車2人乗りなんだ、タクシーでも呼んでくれ」

 

「使えない男ね、姉さん、やっぱコイツダメだわ、相変わらず姉さん男見る目ないわ」

 

「うるさいわね!ケンカ売ってんの?それとも蹴られたいのかしら?」

 

 

この後、美しきケダモノ達は背景に薔薇が舞うビンタしたりビンタされたりと美を美で洗う熾烈な争いになったが、新年早々、神聖なる執務室が血で汚れるのがイヤなので2人にはジャスト1分の良い“夢”を見せて執務室から叩き出した



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提督と夕張と機動艦娘

今年最初のハッキリ言って自信作回(昭和向け)

【登場人物】

提督(昭和向け)
正義の心はメタルヒーローから学んだ

夕張(M女)
海軍入隊前、悪の組織に悪の女幹部の募集に面接行ったらキミ、エロくないからダメと言われてちょっとヘコんだ


どんなシャバい奴にも一度はやって来るたった一度の今日と言う日、そんな良き日に大してやるコトもなく執務室で古鷹さんから借りたブルーロ●クを読んでると、執務室の重厚な扉がギィィィと開き、ドブ川のように濁った目をした軽巡がヌルリと顔を出した…

 

「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな」

 

ヌルリと顔と身体だけ出したのは良識と人間性を産まれる前にカオスの闇に捨ててきた生粋のサイコ軽巡、夕張

かつては駆逐艦以下の貧弱な肉体に天才の頭脳と神の腕を持つスーパー軽巡と呼ばれた事もあるとかないとか…

 

あと、生粋のマゾである

 

そんなマゾ軽巡夕張は不気味な笑みを浮かべつつヌルリと執務室に入って来た夕張は秘書艦サミー子にナニか飲み物とかないですかねぇぇぇぇ!と声をかけた

 

「麦茶か烏龍茶かギムネマ茶ならありますが?」

 

「なんでそんなお茶ばっかなの!?まさか五月雨ちゃん、お茶に凝ってるの?」

 

「いえ、単純に買い置きがやたらあるだけです、邪魔なので早く処分したいんですよ」

 

そう言って五月雨は夕張に烏龍茶のペットボトル(1.5L)を手渡し、それを受け取った夕張は片手を腰につき、勢いよくペットボトルを呷った

 

「ブハァ!うんめぇ!」

 

「それで?今日はどんなゴミを作ってきた?あ?」

 

「ゴミではありません、自信作です」

 

「やかましい、それを判断するのは俺だ、ペットボトルの茶を口いっぱい含め、修正してやる」

 

「まぁまぁ、まずは見てから判断してくださいよ、もし気に入らなければ如何なる処罰でもこの身に受ける所存です」

 

そう言って夕張は悪意のカケラも感じない、ただただ不気味なだけの笑顔のスマイルを浮かべたのでとりあえず右の弁慶にローキックを入れてやった

 

「キャオラッ!」

 

「痛い!!い………いた、なんで今、蹴られたんですか?私」

 

「痛いか?蹴った提督も痛い」

 

「いや、絶対ウソですよね…」

 

夕張は右足をガクガクさせつつもそれでは今回のビクーリドキーリメカ〜…とイマイチやる気あるのかないのかわからないテンションで自信作とやらのビニル・シートを勢いよく剥ぎ取り、そこから現れたのは…ッ!!

 

「ゲ、ゲェーッ!」

 

シルバーを基調としたフルメタル・ボディのメタルヒーロー的なナニかだったッッッ!!

 

「今回開発しました対・犯罪組織バイ●ロン取り締まりサイボーグ、名付けまして機動艦娘キヨシです」

 

「………足があるな」

 

「足なんて飾りです」

 

足があるいつもの様式美ノルマをこなし、夕張はでは早速ご説明しますとポケットから小汚いメモ帳を取り出した

 

っーかバイ●ロンってなんだよ、バイ●ロンって!そんなの取り締まる前に深海棲艦を取り締まれよ!

 

「こちらの機動艦娘キヨシ、ボディはジンファイバー製で並の火力程度ではまるで歯が立たず、35.6cm砲の直撃でもビクともしません、そのパワーも鉄骨を軽がると持ち上げ、スピードはサラブレッド並みです」

 

ちなみに、サイボーグ戦士なのでサイボーグ改造された被害……被験者は執務棟の中庭でアイス落として泣いてた清霜だそうだがコイツの心には僅かながらでも良心の呵責とかないのだろうか…

 

「次は五段のやつ買ってあげるから改造させてくださいと頼んだら快く引き受けてくれました」

 

「お前のズボンがアイス食っちまったワケじゃねぇのな」

 

そういやコイツ、たまにツナギみたいなの着てるが妙にサイズが合ってないんだよな、ちゃんと試着して買ってんのか?

 

「機動艦娘キヨシの武装ですが、まずは主武装のマクシミリアンTYPE3、十手形態マクシミリアンスティック、銃形態マクシミリアンガン、剣形態マクシミリアンソードの3種のモードに変形します」

 

「ほぉ〜…カッコイイじゃねぇか」

 

「そして右腕部に内蔵されたドリル型武器、マルチワーカーはニードリルやハイパービームが使え、左腕部にはグリップガンと言うワイヤー付きの手錠を内蔵しています」

 

さらに!と、夕張は前置きし、現在開発中ではありますが装着することで空中戦が可能となるサポートユニット、ダイダロス!そして最強最大火力を誇る大型火器、オートデリンガーがあるとのコトだ…

 

「オートデリンガーには敵をいたぶるサブマシンガンモードとストーリーの締めを飾るファイナルキャノンモードがあり、特にファイナルキャノンモードの火力は戦艦タ級ですら1発で消し飛ばします」

 

「ふ〜ん」

 

コイツはメチャスゲーですよぉ!メチャスゲーですよぉ!とコーフン気味に語る夕張にやや鬱陶しさを感じつつ俺は冷蔵庫から麦茶を取り出してグラスに注いでからイッキに呷った

 

「あ、そうそう、機動艦娘キヨシは対バイ●ロン法に基づく行動が許されています」

 

「あ?なんだって?対バイ……なんだって?」

 

最近耳が遠いせいか、どうにもヨコモジネームか聞き取り辛いのでもう一回言ってみろと耳に手をあてジェスチャーな動きをしていると、機動艦娘キヨシがなにやら電子手帳みたいなのを取り出して夕張に発砲した

 

ズギュン!!(マクシミリアンガン)

 

「痛いっ!!」

 

「対バイ●ロン法 第二条 機動艦娘キヨシは相手がバイ●ロンと認めた場合、自らの判断で犯人を処罰することができる!(※補則 場合によっては抹殺することも許される)」

 

「クッ!き、機動艦娘キヨシ!キサマぁ!この私に牙を剥くとは……!」

 

「夕張さん、アナタがバイ●ロンの一味だってことはもうわかっている!」

 

ズギュン!!(マクシミリアンガン)

 

「アイッター!!」

 

「対バイ●ロン法 第五条 人間の信じる心を利用し、悪のために操るバイ●ロンと認めた場合、自らの判断で処罰することができる」

 

「やめ、やめろキヨシ!戦艦を超えた戦艦になりたくないのか!そう、私にならできる!そうだ、ハハハハハ!私ならキミの望みを叶えられる!武器を捨てろ!」

 

夕張はどてっ腹に2発被弾しながらも不敵な笑みを浮かべ、アタマのおかしい科学者特有の大仰なムーヴで両手を広げてゲラゲラ笑いだした

 

ズギュン!!(マクシミリアンガン)

 

「アガァ!!ちょ…痛い!ちょ!待てよ!」

 

「対バイ●ロン法 第六条 子供の夢を奪い、その心を傷つけた罪は特に重い」

 

機動艦娘キヨシはマクシミリアンガンをマクシミリアンソードに変形させ、夕張とすれ違いざまに斬りつけ、振り向きざまに縦斬りをキメた!

 

ズバアァン!!(キヨエンド)

 

「ウギャアアァァァァァァァ!!き…キヨシめェ…!覚えていろ、バ、バイ●ロン万歳!」

 

夕張はフラつきながら断末魔のセリフを吐きつつ執務室の窓を開け、下に落下して爆発した…

 

「バイ●ロン…っ!まさかこんなところにまで入り込んでいるとは、必ず叩き潰してやる!」

 

機動艦娘キヨシはこの世からバイ●ロンを必ず根絶やしにしてやると宣言し、執務室から飛び出して行った…

 

 

 

何故ならキヨシは機動艦娘なのだから、この世からバイ●ロンを抹殺するその日まで、キヨシの戦いは終わらない、戦え!機動艦娘キヨシ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、犯罪組織バイ●ロンがどうなったのかは知らないが、清霜はアホ友達のリベッチオと執務棟の中庭でアリの巣にサラダ油を流し込んでキャッキャとハシャでいた



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提督と鈴谷とオタクに優しい鈴谷

メイン・ヒロイン回だあっ!

【登場人物】

提督(マネ提督)
モモタスのマネ・ジャー、アイ・ドルの知識はないのでとりあえずビンタするスポ根気質

鈴谷(マネ航巡)
たまに軽空母のダブスタクソ航巡、最近なろう漫画を読むのが趣味らしい


「ティーッス、今年もメインヒロインオーラ(ぢから)がバリンバリンの全開な鈴谷様が遊びに来ましたよぉ〜」

 

「ナニがメインヒロイン(ぢから)なのだよ、それは殺してくれって意味でいいんだよな?」

 

新しい年が始まって早2週間、今日は真面目に仕事でもするかと決裁印が必要な書類に目を通しては印鑑を押すマシーンと化していると、ビッチ臭のする頭のおかしい航巡がヘラヘラ笑いつつ執務室にやって来た…

 

「あれ?サミー子いないじゃん、休み?」

 

「休みだ、見たい番組でもあるんじゃないか?」

 

…いや、たしか夕張のヤロウと買い物に行くとかなんとか言ってたような気がするな、まぁどうでもいいか

提督は部下のプライ・ベートには干渉しない上司の鑑ってヤツなのだよ

 

「あ、ヨーロンピ●ンシュガーコーンあるじゃーん、鈴谷ヨーロンピ●ンシュガーコーン好きなんだよねぇ〜、1個もーらい♪」

 

「ナニ勝手に冷蔵庫漁ってんだテメーは、ケツの穴からカル●スの原液直腸イッキで流し込まれてーのか」

 

「ナニその拷問、ウケる」

 

鈴谷はヨーロンピ●ンシュガーコーンうんめーとか言いつつお客様ソファーに座りテーブルに置いてあった基地スポを広げた

 

「ギャハハハハ、この4コマおもしろくない?」

 

「面白くねぇよ、っーか用がねぇなら帰れよ」

 

「用ならありますよ?遊びに来ましたって言ったじゃん?」

 

「脳ミソが頭に詰まってねぇのか?ここはこの基地で最も神聖なる聖域、執務室であって気軽に遊びに来ていい場所ではないのだよ」

 

「ハイハイ、そーすね」

 

「ハイハイじゃねーよ、ハイは1回なのだよバカヤロウ」

 

このヤロウ、人が真面目に仕事してるっーのに苛つかせてくれるじゃねぇか、これはどうやら神に等しい力を持つ提督様と下等艦娘の間には神と虫ケラほどの差がある事を今一度わからせる必要があるらしい

 

「とりあえず遊びに来たと言うのはわかった、オセロを貸してやるから1人で遊んでいなさい、提督は忙しいのだよ」

 

「やだし、1人でオセロとか末期じゃん」

 

「末期とかゆーな、なら1人で自慰行為でもしてろ」

 

「やだし、鈴谷自慰行為とかしねーし」

 

「だよな、鈴谷は自慰行為とか必要無いぐれーキープくんもアッシーくんもメッシーくんもダースでいるわな」

 

「セクハラかよ、っーか然るべき機関に電話したら提督の人生終了じゃん、ウケる」

 

「ウケねーよ、股間に10㎝の爆弾パンチ喰らわされてーのか」

 

とりあえず印鑑を押す作業はイイ感じに一段落した俺は冷蔵庫から買い置きの缶コーヒーを取り出し一口呷り、窓を開けて大きく息を吐き、お客様ソファーに座ってヘラヘラと笑う鈴谷の頭頂部の秘孔を突いた

 

「あべっ!!痛ゥゥゥゥ!!痛てーし!!」

 

「百会と言う秘孔を突いた、キサマはもう下痢が止まらない」

 

「ハァ?神拳使いかっーの、んなモンこの鈴谷様に効くワケね………はおっ!!腹!腹超痛いッッッ!」

 

「さっさとトイレに行くがいい、ただし、キサマの脆弱なア●ルがトイレまで保つかはわからんがな」

 

「ハァ…!た、耐えられるし!ってか逆の秘孔ないの?逆の……!下痢が止まるやつ!」

 

「俺が使えるのは突いてから1分後に背骨が背中の筋肉の張力に負けてブチ折れる命門か、突いたら3秒後に死ぬ人中極しかないのだよ」

 

「殺意の塊かッ!!ロクなモンねぇなオイ!!ってかヤバイ!!お腹がマジヤバイ!!これもう1歩でも歩いたらケツが決壊する!」

 

鈴谷は両腕でお腹を抱え込みお客様ソファーに座り込み大きく深呼吸を繰り返した、なるほど、とりあえず深呼吸で気とコンディションを最低限便所まで保つべく整える策に出たか、とっさの事態でありながら良い判断だ、それでいて即実行に移せる行動力には好感が持てる

 

「言っとくがここで漏らしたらマジで殺すからな、それはもうありえないほど残酷な方法で処刑するからな」

 

「ハー……ハー………っー………か、9割テイトクのせいじゃん、マジなんとかしてくんね?」

 

「グゥゥゥム、今、俺にできる事は窓からお前を外に投げ捨てるかバケツを用意するかしかないな」

 

「どっちもサイアクじゃん!」

 

窓から投げ捨て外で脱糞か、屈辱のバケツ脱糞かの二択に悩む鈴谷だったが思考力の低下だけでなく限界が近い二重苦!!

 

「……………バケツで」

 

「え?マジで?部屋臭くなるじゃん、外に行けよ」

 

「ハァ!?臭くならねーし!むしろフローラルな香りするかもよ!!」

 

「オマエ、昨日ナニ食った?」

 

「カレー!!…………ゔっ!」

 

「ゔっ!じゃねーよ、オマエ今ちょっと出たろ、若干カレー臭がするぞ」

 

「ハー…ハー……出てねーし!っーかヤバイ!もう声出すのもヤバイ!」

 

「わかったわかった、今バケツ持って来てやるから、提督様の目の前で全部出してスッキリしなさい」

 

「ヘンタイかッッ!!」

 

「冗談だ、小粋なテイトクジョーク、誰がキサマの脱糞など見たいか、終わるまで外に行ってタバコ吸ってくるから心置きなく出すといい、あと、俺が帰るまでに色々始末しとけよ、ファ●リーズとか」

 

「わかった!!わかったからはよ!!バケツ!!」

 

◆◆◆

 

外の喫煙所に行ってタバコを吸い、ついでに、小腹がすいたので明石の店でペンギンク●ブを立ち読みしてから菓子パンとタバコを買って執務室に戻ると、ややカレー臭がした…

 

「ビッチ臭がするな」

 

「ビッチ臭とかしねーし」

 

屈辱のバケツで脱糞にさすがにダメージを受けたのか、鈴谷はゲソーリとしたツラで俺の椅子に座っていた…

 

「どけよ」

 

「どきませんケド?テイトクのくせになかなか良い椅子じゃん、ニ●リ?」

 

「リサイクルショップなのだよ」

 

「リサイクルショップかよ!ウケる」

 

「ちなみに執務室には7ヶ所の監視カメラがあるのだよ」

 

「マジで!?え…?いや、マジで……?ヤバイじゃん、鈴谷、テイトクのオカズにされちゃうじゃん」

 

「誰がキサマなんぞオカズにするかクズが、知り合いの艦娘脱糞マニアの変態に映像を売るのだよ」

 

「やめろよ!!」

 

「大丈夫だ、ちゃんと目に線入れるから身バレの心配もないし、局部もうっっっっすいモザイク入れといてやるから」

 

「ファーックス!!」

 

鈴谷は執務机を勢いよくDAN-DANと叩き、マジかよチクショウ!やりやがったチクショウ!と叫んだ

 

「鈴谷今年のコンセプトはオタクに優しいギャルになるだったのに!!なんなのこの仕打ち!」

 

「ナニ言ってんだオマエ?オタクに優しいギャルなんかいるワケねーだろ、ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし」

 

「いるよっ!ここにひとりね!!」

 

「んなワケねーだろ、なんならサミーにでも聞いてみるか?」

 

俺はポケットからケイタイを取り出し休日を謳歌しているであろう秘書艦サミー子に電話してみるとわりとすぐに繋がった

 

『……………オタクに優しいギャルなんかいるワケないでしょ、ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし』

 

ピッ!(通話終了)

 

「だとよ」

 

「ファーックス!!」

 

◇◇◇

 

欲しいものは従順なネコミミ美少女奴隷以外はなんでもある大型ショッピングセンター、イ●ンモール…

 

上司からのアホな電話を切り、ケイタイの電源を切ってからバッグの中に入れた…

 

「誰から?テイトクですか?」

 

「えぇ、なんかオタクに優しいギャルがどうのとか…」

 

…そう言えば夕張さんはオタクに優しいギャルなのでは……?いや、よく考えたらどちらかと言えば夕張さん自身がオタクみたいなものですし違いますか

なら陸奥さんとか…?う〜ん、陸奥さんの場合はギャルって歳じゃないし…

 

「あ、五月雨ちゃん、服買いたいから服見ましょう、服」

 

「…夕張さんオシャレに興味あるんですね」

 

「え?五月雨ちゃん、なにげにヒドくない…?」



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明石と野望の明石酒保-A New Translation-

ハードボイルド酒保浪漫回

【登場人物】

明石(クズ)
基地クズ大人ツートップの一角、金と権力が本当に好き



ああ………それにしても金が欲しいっ………!!

 

円が!ドルが!ユーロが!元が!とにかく欲しいっ!金を!マネーを!キャッシュを!!あまねく財をこの手に掴んだその暁には我一切の不労を課し、ハワイあたりでイケメンのボーイズ達を召使いにして悠々自適に暮らしたい…っ!!

 

「明石さん!今日も買いにきたわ!」

 

「今日こそ激レアカード引くのです!」

 

「あーはいはい、いいの入ってるといいねー」

 

150円、150円か………ボーイズにちやほやされて悠々自適な生活は遠い、手にした小銭をレジに入れて保温器に入っている缶のミルクティーを取り出しフタを開け、一口飲んでみる………ん、甘いなコレ

 

この、明石には黄金のような夢がある!

 

今はこんな小汚い小売店の店主だがいつかは大金を掴み、最高の酒を飲み!最高の料理を喰らい!最高のボーイズをはべらせ豪華で優雅な暮らしをしたい、そんな慎ましい夢が…

 

「ゲェーッ!またマン●スの墓場だわ!」

 

「今日もハズレだったのです!」

 

それがどうだ!そんなささやかな夢か遠い現実!ガキども相手にしょーもないカード売ったり、クズども相手に雑誌だの菓子パンだのタバコだの新聞だの売ったりして小銭を稼ぐ日々…

 

「…明石さん、エサやり終わったよ…」

 

「んまー、山風ちゃんおつかれー、ホント助かるわー、はい、お駄賃」

 

金の鳥かと思いきやまるで金にならない穀潰しのエミュー牧場、その、クソみてぇな鳥を飼うことを強いられているのは頭が痛いし懐も痛い、この山風ちゃんが安価でエサやりと世話をお手伝いしてくれるのが唯一の救いか…

 

「あ、あとコレもあげる、ミルクティー」

 

「…いいの?ありがとう」

 

お手伝いのお駄賃(500円)と保温器から取り出した缶のミルクティーを山風ちゃんに手渡すと山風ちゃんはキチンとお礼を言って頭を下げた…

んまー、まったく良い子だわー、山風ちゃん良い子だわー、私ひとりっ子だからこーゆー素直で可愛い妹とかマジ欲しかったわー

 

「…明石さん、今日テイトクみた?」

 

「テイトク?見てないけど?」

 

「…そう」

 

山風ちゃんはベンチに座ってミルクティーを啜りつつ飼い猫のお高価い猫の後ろ足を持ち上げてプラプラと身体を振って遊び始めた…

なんなのその遊び?虐待?え…?虐待なの?いや、でも猫も別にイヤそうでもないし、まさか私が知らない高度な遊びだとでも言うの?

 

「あ、そー言えば昼頃にマミー屋のとこでちらっと見たかも、五月雨ちゃんと一緒だったし、今日ナニ食う?的なハナシでもしてたんじゃない?」

 

「ふ〜ん」

 

心底興味なさげに猫をプラプラしていた山風ちゃんだったが、さすがに猫の方がイヤだったのか、猫は勢いよく飛び出しその辺の床に着地し、何事もなかったかのように山風ちゃんの膝の上に戻ってきた…

 

「そういや五月雨ちゃんって山風ちゃんのお姉さんだっけ?」

 

「…そう、五月雨姉ぇは海風姉ぇの1つ上だから私の2つ上」

 

「海風…?あぁ、あのおっぱいデカい子」

 

「そう、おっぱいデカい海風姉ぇ」

 

五月雨ちゃんは絶壁なのにすぐ下の妹は駆逐艦の枠を超えるモンスター・サイズ………姉妹の悲哀を感じますね

 

「海風姉ぇは口うるさいけどおっぱいデカいし、真面目だから五月雨姉ぇと秘書艦代わって欲しい」

 

「いやいや、あんなおっぱいデカい子に秘書艦やらせたらテイトクがチラチラ見てギンギンになって仕事にならないでしょ…」

 

「むしろそれでいい」

 

「え?ナニ?山風ちゃん、海風ちゃんになんか恨みでもあるの?」

 

「…ないよ?」

 

う〜ん………やっぱり山風ちゃんみたいな今風で繊細な子はナニ考えてるのかさっぱりわからん

っていかんいかん!まるでこの私が若くないような発想!ダメダメ、私は若い!まだ全然イケイケよ!

 

そんなジェネレーションについて深刻に考えていると、店の扉を開け、酒臭い美少女が入ってきた…

 

「えへ、へへへへ〜…明石さ〜ん、酒、お酒売ってくださぁ〜い」

 

「ポーラちゃんいらっしゃい、いつもの?」

 

「はい〜!いつものやつを〜…」

 

ポーラちゃんはスカートのポケットからクシャクシャになった紙幣を取り出しカウンターに置いた…

 

「…おねえさん、酒臭い」

 

「え?そうですかぁ〜?」

 

ベンチに座っていただけの山風ちゃんにすら溢れるアルコール臭を指摘されたポーラちゃんだったが大して気にした様子もなく、スィマセェンと山風ちゃんのトゲトゲしい頭を撫でてイテェ!と壁に頭をぶつけた

 

「ダメダメ、山風ちゃんのトゲトゲヘアーは普通に触るとめっちゃ刺さるから」

 

「なるほどぉ〜」

 

ポーラちゃんはトリートメントはしてますかぁ〜?と聞きつつ改めて頭を撫で、山風ちゃんは煩わしげにその手を叩いた

 

「うっさい、あとお酒臭い」

 

「まるでキレたナイフみたいな子ですねぇ〜」

 

ポーラちゃんはよっこらセクメトとか言いつつベンチに座り、手にしたワンカップ●関のフタを開けグィーッ!とひと息に呷った

 

「ぶはぁ!!うんめェ〜…!犯罪的過ぎるっ!」

 

「あ、そうそう、そういや最近なんか羽振りのいいアメリカさんが居てね、ビールサーバー部屋に設置したいからって言ってきてねー、キャッシュでポンっと」

 

「ゔえっ!?な、なんなんですかぁ!?そのアメ公!?」

 

「なんかキンパツの美人で名前なんったけかな〜…え〜…」

 

「アメ公の癖にナマイキですねぇ〜……ポーラなんてザラ姉さまに頼み込んで必死に頭下げてお小遣い貰ったり、テイトクにおっぱい揉ませたりしてお金稼いでるのに〜……世知辛いですねぇ〜」

 

「…酒臭いおねえさん、テイトクにおっぱい揉まれたりしてるの?」

 

「はい〜たまに、15分1000円でぇ〜」

 

「…ふ〜ん」

 

「ちょ!ポーラちゃん、ダメよ!山風ちゃんはポーラちゃんとこのアホガキと違って(ピュア)なんだから!山風ちゃん、このお姉さんとテイトクはアダルトな関係でありセンシティブな関係じゃないのよ?」

 

「…ふ〜ん」

 

「明石さ〜ん、ビールサーバーっておいくら万円ですかぁ〜?」

 

「業務用?家庭用?まぁ、そんなゲロ吐くほど高いモンじゃないけど」

 

「ポーラ頑張ってお金貯めたら買えますかねぇ〜?」

 

「買えるよ、でもポーラちゃんの場合、ビールサーバー部屋に置きたいとか言ったらお姉さんにギタギタにされるのがオチなんじゃない?」

 

「ゔえぇぇ〜…そうでしたぁ〜」

 

「あ、そうそう、思い出した!レンジャーさんですよ、レンジャーさん、最近ママの店にもちょくちょく入り浸ってるらしいってテイトクが言ってました」

 

その、レンジャーさんと同じくちょくちょく入り浸ってるテイトクもドン引きするほど飲むらしいですが、テイトク曰く、ポーラちゃんみたく吐く姿は見たことないらしく、やっぱ見た目聖なる属性は違うな!と感心してました

 

「ゔえっ!?テイトク、ポーラに黙ってママの店に行ってるんですかぁ!?な、なんで誘ってくれな……!許るさーん!!」

 

ポーラちゃんはベンチをバシバシ叩き力強く立ち上がるとポーラは許しませんよぉー!とか言いながら千鳥足で走って行った…

 

「山風ちゃんはあーゆー大人になっちゃダメだからね」

 

「…知ってる」



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提督とデロ子と相互理解

オランダから来た尻軽ガール

【登場人物】

提督(ストロングタイプ)
女子供にも容赦しない鉄拳の持ち主、胆石がある

デ・ロイテル(ABDA)
通称デロ子、チャラチャラした見た目で中身もわりとチャラい、意外にもロマンス小説を愛読しているらしい


キュウシュウでも雪降ったり降らなかったりと交通機関と道路状況に振り回される今日この頃、冬場と言えば冬季基地名物、地獄駅伝の為に駆逐艦のバカガキどもがヒィヒィ言いながら横っ腹を痛めつつ苦悶の表情で運動場を走る様を見ると心がスッとするのだよ

 

「フーッ〜………あー………スーッとするわい」

 

「あ、テイトクだー」

 

「あ゛?」

 

そんな胸がすく想いでタバコを吸っては吐いていると、なんかチャラチャラした感じのチャラ女がチャラチャラした感じのドリンク片手にチャラチャラと声をかけてきた…

 

「誰だオマエ?ここは神聖なる海軍の基地だぞ」

 

「誰だオマエはないでしょ、私だよ!私!デ・ロイテルー!」

 

「デ・ロイテルー…?あぁ、いたな、そんな奴が…」

 

「ヒドくない?」

 

まるでレ●プされたかのような目で持っていたドリンクを床に落とし、ヒドいよォ〜…と涙を流すコイツはデ・ロイテル、見てのとおりチャラチャラしたヤツだ

 

「チャラチャラしてないよ!」

 

「心を読まれた…!?まさか……能力者かっ!」

 

「ワリと口に出してるよ!!」

 

そうか、無意識のうちに口に出ていたのか…それはおそらくは私がこの、デロ子を煩わしいと感じ、チャラ女として扱ったからか?

 

「謝って」

 

「誰が謝るかダボが、頭が高いぞ」

 

「あーやーまーっーてー!!ねぇー!!謝って!あと私のコーヒー弁償してよー!」

 

デロ子は俺の右腕を掴み謝れ、謝れよ、謝れよ!とウザ絡みしてきた

 

「えぇい!離せ!離さんか下郎め!ワシを誰だと思っておる!」

 

「え?テイトク」

 

「そう、この基地を統べる絶対支配者である提督様だ、本来ならキサマのような下等艦娘が気軽に声をかけていいものではないのだよ」

 

「えー?ウソだぁ、他の娘とフツーにダベったりゴハン食べたりしてるじゃん、いつもヒューストンのおっぱいガン見してるじゃん、私知ってるよ!」

 

「バカを言うじゃあない、俺はガン見していない」

 

「ヒューストンは優しいから言わないケド、テイトクの目が常にいやらしいって言ってるし」

 

「俺の目はいやらしくない」

 

「あとパースもテイトクのコト、なんかムカつくって言ってた」

 

「なんかムカつくってなんだよ!なんかって!」

 

「知らないし、パースは基本真面目だからテイトクみたいなクソ野郎は嫌いなんじゃない?」

 

「ハー…?キレたわ、久々によぉ〜………デロ子、服脱いでケツこっちに向けろ、修正してやる」

 

「イヤだよ!!ってか、テイトク!謝って!!まず私に謝ってよ!」

 

「お断る」

 

俺は胸ポケから新しいタバコを取り出して口に咥えて火を点けてミリミリと吸い込み、デロ子の顔面に勢いよく副流煙(ホワイトラ●チャー)を浴びせた

 

「ブハァ!!!ゲホェ!!ちょ…!サイアク!ホント最悪なんだケド!」

 

「アッハッハ」

 

「笑うなッッ!!もぉー怒った!!殴ってやる!」

 

「おやおや、私を殴ると?ハハ、実にくだらない冗談だ、キミ程度では実力差がありすぎてこの私に触れることすら不可能だと言う事が理解出来ていないと見える」

 

俺はタバコの火を消し、デロ子にさぁかかってきなさいと右手を前に出しクイクイとジェスチャーを出すとデロ子は上着を脱いでイッチニイッチニと屈伸を始めた

 

「パンツ見えてますよ」

 

「ウソ!?マジ!」

 

「あぁ、ウソだぜ」

 

俺の言葉に一瞬動揺を見せたデロ子の股間を蹴り上げ、さらに悶絶ボディブロー→悶絶ボディブロー→右ショートアッパーのコンビネーションを喰らわせ、デロ子は廊下に転がり3回ほど痙攣して動かなくなった…

 

「そのまま死ね!」

 

まったく、イイコトをした後は気分がいいわい、チョーシに乗ったバカを痛めつけると胸がスーッとするわい

 

「さて、ではヒューストンくんのパイオツでも眺めに行くか、たしかこの時間はお姉さんとトレーニング室でトレーニングしているらしいからな(青葉調べ)」

 

ジャリッ……!

 

「!」

 

なんだ…?今の音は………まさか、立ち上がったとでも言うのか?

 

「信じられん、まさか下等艦娘程度が今のを喰らって立ち上がるとは…」

 

「ヘッ……へへ、い、今のはヤッバーかったよ、へへ…」

 

振り向いた先に居たのは両足をガクガクさせつつも再び立ち上がっていたデロ子だった…

どうやら俺とした事がいささか手加減しすぎたらしい、クズとは言え腐っても軽巡、駆逐艦のボウヤよりは打たれ強いか…

 

「だが立ち上がって何になる?そのまま倒れていれば敗北のままやり過ごす事ができたのに」

 

「…な、仲間のピンチに、同じABDAの仲間がヤッバーいってのに……寝ているままなんていけないでしょ?」

 

「仲間の為か…フッ、美しい友情だ、だが友の為に立ち上がったとしても私と君の圧倒的な実力差は明白、死ぬ時間が少し遅くなっただけに過ぎない」

 

「…かもね」ニマァ…

 

なんだ…?デロ子のやつから感じる不気味な感覚は、何か逆転の秘策があると言うのか?

 

「テイトク、ヒューストンのおっぱい触りたくない?」

 

「…ナニ言ってんだオマエ?イカレているのか?」

 

「私と組んだら自然な流れで揉ませてあげる秘策があるケド…?」

 

「…いくらだ?」

 

「…とりあえず、さっきこぼしたコーヒー弁償して」

 

「いいだろう、話の続きはマミー屋でいいかね?甘いものは好きかね?」

 

「もち!」

 

 

この後、俺とデロ子はマミー屋へ行き季節のオススメゲロ甘セットを注文し、ヒューストンくんのパイオツについて活発なディスカッションをかわしていると、俺たちと同じく甘いものを摂取しにきたパースちゃんから汚物を見るような目で見られた…



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提督と江風と誠心誠意

ダラダラしていたせいで2週ぶり…
佐世保か〜…たまには旅にでたいですね

【登場人物】

提督(人間族)
ヒューマンのオッさん、腰に爆弾を抱えている

江風(人間族)
白露姉妹の九女、バカではあるがアホではない


天気が良いのか悪いのかよくわからない2月の日、そろそろ甘いものが食べたいですね→生でね、と来週に向けてのアピールをしつつ廊下を練り歩いていると、外でバカどもがハシャいでいる姿が目についた…

 

「死ね!メスガキシュート」

 

「うおっ!ペナルティエリア外からの弾丸シュート!」

 

「キーパー峯雲クンだからとれなーい!」

 

この寒いのに元気なコトだ、子供は風邪の子GENKIの子、なんだってチャレンジしてみるべきってヤツだなオイ

そんなくだらないコトを考えつつ自販機コーナーで缶コーヒーを買っていると、廊下の向こう側からいかにも頭の悪そうなバカどもが歩いて来た…

 

「だからヤベーンだって!山風のエクレア食ったのバレたら海風姉ぇにナニされるかワカンねーンだって!」

 

「ふーん、バカじゃねーの?」

 

「だからよぉー!なンかエクレアの代わりになるヤツ……あ、テイトクだ!」

 

やって来たのは白露姉妹の九女と末の十女、赤い髪のバカこと江風と見た目だけは五月雨によく似ているせいか間違われ、凶暴な方の五月雨、五月雨Bなどと呼ばれているある意味姉妹1の狂犬、涼風…

 

「ちょーど良かったぜテイトク!助けてくれよぉ!このままじゃ海風姉ぇにSATSUGAIされちまう!」

 

「ハハ、おっぱい大きい海風クンがそんなコトするワケないだろ」

 

「バカ!おっぱい大きい海風姉ぇだからやるンだよ!」

 

この迫真力……なるほど、江風の言葉にはスゴ味がある!

 

「どーすりゃいいンだよ!」

 

「そもそもなんで海風クンにブッコロがされるのかね?」

 

「いや、冷蔵庫に入ってた山風のエクレア食っちまって…」

 

コイツ、バカだバカだと思ってはいたがマジのバカなのだよ

 

しかしプッツン姉妹と名高い白露姉妹の中にあってもまだマシと言えるのがこの江風、姉妹のエク・レアを食べてしまい反省の心を持ち、どうしたらお姉さんに怒られないで済むかを本気で考えている姉妹の中では珍しい優しい子、いや、優しすぎる子なのだ…

 

これが夕立や村雨みたいなバカの上位種であったなら姉妹のエクレアを食べても反省の心を持たず、むしろ、どうやって相手を殺すかを考え躊躇いなく実行するだろう、場合によっては姉妹であっても平然と切り捨てる残酷性、残虐性、残忍性をも発揮するまさにワルのエリートと言えよう

 

 

「新しいの買って入れときゃいいだろーがよ」

 

「涼風ェ!オマエ天才かよ!」

 

姉妹の最後の子、涼風は袋から取り出したサキイカをクッチャクッチャ噛みつつ冷静で的確な意見を述べた

 

「あ、でもアタシ金ねンだわ!どうすりゃいい!?」

 

「知らねーよ、言っとくがアタイは貸さねーぞ」

 

「マジか!じゃテイトク!金!エクレア買う金くれよ!」

 

「甘えるなクズが、金が欲しけりゃ働け、7-5行って深海のゴミクズどもを皆殺しにしてくるか魚雷磨きのバイトでもして来い」

 

「う〜ン………どっちにしても今すぐってワケにゃいかねーよな、ハッキリ言ってアタシは今追い詰められている…っ!今、この瞬間にも冷蔵庫に山風のエクレアがないコトがバレて真っ先に疑うであろうアタシを探し海風姉ぇが制裁を与えにくる!事態は一刻を争っているンだよ!」

 

「もう制裁されろよ」

 

そもそも100%、いや……100億%コイツが悪いんだしな、まぁ海風クンは優しい子だ、制裁と言っても優しい彼女の制裁など児戯に等しかろう

 

「バカ言ってンじゃあねぇ!!テイトクは海風姉ぇがどんだけヤベーのかワカっちゃあいない!!」

 

「ワカっているのだよ、おっぱい大きいしな」

 

「ワカってねぇ、ワカってねぇンだよテイトクは……海風姉ぇのヤバさはおっぱい大きいだけじゃねぇんだよ…」

 

「そーだぜ、オッさん」

 

「オッさんじゃない」

 

涼風のヤローは食っていたサキイカをペッと窓から外に吐き出した…

 

なんだと?江風だけじゃない、あの涼風にすら警戒を強いるような相手なのか?海風クンが…?

 

いや、まぁ、ハッキリ言って海風クンの駆逐艦離れしたあの胸囲はハンパではない、妹である江風や涼風、姉で五月雨をも圧倒……いや、ブッちぎりに超越している…

もし彼女が駆逐艦でなければ72時間耐久ア●メ地獄で心と身体を俺色に染め抜きア●メ奴隷としていただろう…

 

「…海風とヤるのは時雨様ですら避けるからな」

 

「マジか!あの時雨様が避けんの!?」

 

「あぁ、めっちゃ相性が悪いらしい」

 

そうなのか、キ●キの世代と呼ばれた姉妹の中でも別格、絶対王者西村艦隊を率いるあの時雨様がタイマンは避けるのか…へへっ!そりゃヤベーな!

もし海風クンをレ●プしようと思ったら相当(リキ)入れねーとオラでも勝てねーかもしれねぇ

 

「ならなおさら制裁を受けるしかあるまい、good-by 江風」

 

「イヤだァァァァ!!」

 

江風は両膝を床に落とし、両手で床をハゲしくダァン!したがもはや運命は変えられない、そもそも冷蔵庫に入ってたらしいエクレアを勝手に食ったコイツが悪いし、代わりのエクレアを買う金を持ってないのも悪い

 

そんな江風の危機と慟哭が響く廊下の先から歩いてくる足音…ッ!!

 

「あ、テイトクと涼風と……江風じゃん」

 

「やぁ、こんなところで何をしているんだい?」

 

やって来たのは姉妹の長女、白露とその妹、絶対王者時雨様…

2人はどこか買い物にでも行った帰りなのか、手に袋を持っていた…

 

「おたくの妹がおたくの妹のエクレアを勝手に食っておたくの妹に制裁を受けるのだよ」

 

「いや、妹って言われても9人いるし……え?ナニ?状況がよくワカんないんですケド…」

 

「…江風が山風のエクレアを食べ海風に怒られそう………そうだよね?姉さん」

 

「あ、うん!それ!」

 

さすがは時雨様だ、白露のアホと違って一瞬で状況を把握した、それでいてその手柄を長女に譲る度量の広さ、まるで呼吸をするかの如くごく自然に人の上に立つ事が当たり前の時雨様だからこそできるのだ…

 

「ってかそれ江風が悪いじゃん、ちゃんと謝った?」

 

「謝る前に殺されそーで逃げてンだよ」

 

「ハー………なるほど、よし!わかった!この姉妹の長女である白露お姉ちゃんが一緒に謝ってあげる!」

 

「マジかよ白露のアネキ!」

 

そう言ってキャッキャとハシャぐ白露と江風だったが、その横で時雨様がエクレアくらい僕が買おうかい?今手持ちが少ないから20万あれば足りるかな?と言って財布から紙幣を出そうとしたが空気を読んでやめたのを俺じゃなきゃ見逃していただろう…

 

「アタシ謝るよ!誠心誠意!」

 

「そうよ江風!誠意を持って謝れば真心はきっと通じるわ!」

 

「よっしゃイクぜ白露のアネキ!」

 

江風は立ち上がり白露と共に走り出した、おそらく誠意を持って謝ってもダメなものはダメだろう、だが、それがいい、ワンパクでもいい、たまにはケンカに負けて来い…

 

「…ところで時雨様は白露ねーちゃんと買い物に行ってたのかね?」

 

「そうだよ、チョコレートを買いにね」

 

「へぇ〜………提督の分は?」

 

「ないよ」



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提督とバラ撒きバンバンバレンタイン

この時期に帰ってきたスーパー・ハンサム・ボーイズ

【登場人物】

TEITOKU(メガネ男子)
未だ中二病から抜け出せずにいる恥ずかしい大人、最近疲れがとれないのが悩み

TEN-ЯYU(眼帯)
世界で一番自分が強くてカッコいいと心から信じているおっぱいのついたイケメン、妹にはやや弱い

†KISO†(眼帯)
4人の個性豊かな美人の姉がいるラノベ主人公属性持ちのイケメン、家では良い子



2月14日、それは12月24日と並ぶモテない男達がこの世のアベックどもに天誅をくだすイベントである第二次ハルマゲドンの日である…

 

「では、各自戦果の報告を」

 

スーパーフ●ミコン内蔵テレビと誰かが買って放置したコンビニコミックが本棚に並ぶ基地No.1憩いスペース、談話室…

その、憩いのスペース談話室に集まった基地No.1のハンサム集団(自称)!スーパー・ハンサム・ボーイズ!!

 

「ハッ!俺は1だぜ」(龍田様)

 

一目で尋常ではないとわかる高級感が漂う包み紙に包装された箱をテーブルに置いたのはS.H.Bの厨二担当、煉獄より生まれし黙示録の龍(自称)TEN-ЯYU

 

「フッ、オレは4だ…」(お姉ちゃん達)

 

一目で価格・品質共に高級品ではないにせよそれなりに選んだ感のある包み紙に包装された箱を置いたのはS.H.Bの厨二担当、漆黒を纏い禁忌の力に手を染めたダーク・ナイト(自称)†KISO†

 

「なるほど、さすがはオマエらだ、期待を裏切らない」

 

「オイオイ、TEITOKUはどーなんだ?」

 

「漆黒の絆であるオレたちの間に嘘偽りは無しだぜ」

 

「フッ…」

 

まったく、コイツらは俺を飽きさせてはくれないな…

天龍と木曾がニヤニヤとする中、俺は持参した紙袋からチョコレートの入った箱を取り出した

 

「2個だ」

 

「ハッハッハ!んだよ!やっぱいつもと同じじゃねーか!」

 

「だな、フッ…やはり今年もオレ達は輝いてるってコト………ん?2個?」

 

「って1個多いじゃねーか!!TEITOKU!」

 

「オイオイ、不正はナシって言ったろ?1つはアレだろ、秘書艦の………え〜……なんだっけ、髪長げー子」

 

コイツ、基地歴長いのにサミー子の名前曖昧なのか…コイツがアホなのか五月雨の存在感が無いのか微妙なところだが、たぶん前者だろう

 

「たしかに、1つは秘書艦サミー子だ」

 

一目でわかるテキトーに買ったっぽい普通のキ●トカット、毎年思うがアイツは俺に対する敬意とか無いのだろうか

 

「じゃもう1個はなんだよ?」

 

「知らん、朝、執務室の前に落ちてた」

 

「それ、落とし物だろ?ゼッテーテイトクのじゃねーよ」

 

「バカ言うんじゃないよこのアホンダラどもが、俺宛にキマってんだろーが!シャイなあの子が名前も告げずに置いて行ったんだよ」

 

俺の予想ではやはり浜風ちゃんだと断言したいところだが、朝、秘書艦サミー子に尋ねてみたところ鼻で笑われた上に夢は見れたかよ?と俺のキメ台詞まで奪われた

 

「…………いや、フレッチャーくんか?」

 

基地には珍しい聖女であるフレッチャーくんならあるいは……ハハッ、参ったなこりゃ

 

「フレッチャーって誰だ?」

 

「知らん、外人だろ?」

 

ウソだろコイツら聖女であるフレッチャーくんを知らないのか!?どこの田舎から出て来たんだよオイ、それとも異世界から来たばかりか?

 

「ま、そのフレッチャーだかプレッシャーだか知らねーケド、普通に落とし物だろ」

 

「そうだぜ、テイトクのカウントは1だぜ」

 

「クッ!こやつらめ…!たしかに、この謎のチョコレートには誰からとも誰へとも書かれていない、つまりは俺宛であって俺宛でないとも言える数学上の難問と言える、つまりは3以上の任意のヒルベルト空間において相互に直交する一次元射影作用素からなる任意の集合についてその中の1つだけに射影作用素に1を与え…」

 

「よくワカんねーよ!」

 

「もっとワカりやすく言えよ!」

 

「つまり、愛=理解だ」

 

「な、なるほど…」

 

「正直、サッパリわからねぇがなんとなく理解できた気がするな…」

 

愛=理解であるように引力とは即ち(ラブ)である

これは現代社会においては常識とも言える定説であり、かつてダーウィンの進化論ほどではないが学会にてセンセーションを巻き起こした事もある

 

「ちなみに今年ものわっちクンがめっちゃ貰ってたな」

 

「あぁ…」

 

「ハンパじゃねぇよ、アイツ」

 

基地No.1の激モテイケメンボーイ、のわっちクン

その…飾らない、気取らない、素っ気ない、ないない尽くしのスタンスが最高にクールでありつつどこか可愛げがあるとこがチャーミングともっぱらの評判である

 

「アイツなんであんなにモテるんだろーな?オレの方がカッコいいのに」

 

天龍は妹から貰ったチョコレートの包み紙をワイルドに破り、ワイルドにチョコレートを口に放り込んだ

 

「さぁな、ただ、1つ確かな事があるとするなら……天龍、オマエよりもアイツの方が頭良さそうに見える気がするな」

 

木曾も龍田様謹製の高級チョコレートを1つ口に放り込んだ…

 

「んだとテメェ!木曾ォ!タイマンだ!オモテでろ!」

 

「フッ、オレとヤる気か…?やめてお……ウッ!鎮まれッ!鎮まれ俺の右手!フッ……どうやらオレの右手は血を欲しがっているようだぜ」

 

俺はそんな最高のマジダチである天龍と木曾にカフェ・オ・レしかないけど?と2人のグラスにカフェ・オ・レをなみなみと注いでやった

 

「まったく………キサマらときたら、遊びがすぎるぞ」

 

「ヘヘッ!」

 

「フッ」

 

 

…………しかしだ、あの落とし物、なんなんだろうな?

俺宛じゃないのならのわっちクン宛か?

そう考えた俺は天龍・木曾と別れた後にのわっちクンのいる基地体育館に訪れ、コレ、俺の気持ちだからと小粋なテイトクジョークを交えつつのわっちクンに渡してやるとのわっちクンは若干引いてた



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提督とゴトランドと岸クン

ヒャア、3月も日程ミッチミチ!
…せめて土曜くらいはドライブがてら佐世保でバーガーでも食い行こうかな

【登場人物】

提督(腰痛)
脳リソースの7割ぐらい仕事の予定で頭を悩ませる大人
有給使う前に休日を使ってまだ余る不思議…


三寒四温は死への遁走曲、イマイチ安定しない天気に頭痛を感じずにはいられない2月の日…

明石の店で菓子パンとタバコを買い、休憩がてら喫煙所へと歩いていると、死んだ魚のような目とゆるっとしたヘアーでお馴染みの岸クンが居たので声をかけてみた

 

「やぁ岸クン、今日もNICE DAYだね」

 

「コンニチハ、ナイスかどうかは怪しいですが少々肌寒いですね」

 

「小粋なテイトクジョークなのだよ、ところで岸クンはナニをしているのかね?」

 

どう最近?人、殺してる?と小粋なテイトクジョークを交えつつ親しみのある上司感を出していると背後から強烈な殺気を感じたッッッ!!

 

「キエェェェェェェェェ!!」

 

「背後攻撃かッ!しかしこの提督には…」

 

背後からの強襲に対し硬度0のスネークボディで柔軟にかわし、襲撃者の両腕をガッチリとクラッチするとジャイアント・スウィングの要領で回転しながらダブルアーム・スープレックスを放ち両腕を破壊したッ!!

 

「スピン・ダブルアームソ●トーッ!!」

 

ガカァン!!

 

「ウッギャアアアアアア!!」

 

「バカめ、そんな殺気まるだしの不意打ちなどこの俺に通じるとでも思ったか」

 

両腕を破壊され、ブザマに転がっていた襲撃者………北欧からの刺客!ゴトランド…ッ!!

 

「クッ!ちょ……ちょっと飛びかかっただけでこの仕打ちはヒドくない?」

 

「殺気まるだしで飛びかかってジャレていたは通じない、これ野生の鉄則」

 

「殺意は無かったわ」

 

「嘘をつけ」

 

こやつの攻撃、相手が並の提督であったなら最低でもアバラが2〜3本はイッていただろう

 

「で?なんだ?俺への殺意のダイレクトアタックは、俺が岸クンと仲良くお喋りしていた事に腹を立てたのか?」

 

「失礼ね、私はそんな心の狭い女じゃないわ」

 

「嘘つくんじゃないよ」

 

「失礼ね、私は心の広いオンナ、即ち……イイオンナよ!ねー?岸ちゃん」

 

「え…?あ、ハイ、そうですね」

 

黙って立っていたらですけど…と呟く岸クンの言葉は聞こえなかったのか、ゴトランドのアホは岸クンの頭を馴れ馴れしくよしよしよしよしよし!と撫で回した…

 

「まぁいい、岸クン、コイツになんかされたら基地の至るところにある非常ベルのボタンをすぐに押すのだよ、提督はいつだってスッ飛んで駆けつけますよ」

 

「はぁ…」

 

「ちょっと、ナニ言ってんの!ゴトが岸ちゃんのイヤがるコトなんかするワケないでしょ!」

 

「やかましい、この非モテ女が…っ!」

 

「誰が非モテ女よっ!!」

 

ゴトランドは俺の胸ぐらを掴み、取り消せよ!!今の言葉!と敗北者に相応しいセリフを吐いてイキり散らしてきたので俺はそんなゴトランドの右手を掴み…

 

「零の●劇ィー!!」

 

ギリギリギリギリギリ!!(零の悲劇)

 

「ウッギャアアアアアア!!手がァァァァ!!ゴトの手がァァァァァァァァ!!」

 

ゴトランドは零の●劇がヤバいと判断したか、即座に無事な左腕からショートブローを俺の脇腹に連打し、俺の体勢が崩れた瞬間速やかに俺の射程外に脱出した

 

「ほぉ、艦娘パワーを全て奪えなかったか……下等のわりになかなかやる」

 

「ハー……ハー……こ、コイツ!」

 

「まぁいい、キサマのような下等艦娘に用は無い、せいぜい岸クンにお高価なスイーツでも買ってやったり、ステキな服を買ってやったり都合の良いキープくんを演じるのだな」

 

「誰がキープくんよ!ゴトと岸ちゃんは仲良しよ!!ねー?岸ちゃん」

 

「え?あ、ハイ、そう……ですかね?」

 

「アレ!?岸ちゃんちょっと対応冷たくない!?」

 

ゴトランド、思えばこやつも哀れな女よ…

真実の愛とは何か?その、永遠にも等しい答えを求め続け今なお愛と言うカゲロウを求めさまよう狩人…

多少同情するところはあるが、こやつの愛はあまりにも大きすぎた、大きく、ぶ厚く、重く、そして………大雑把すぎた………それは、正に偏愛だった

 

「っーかゴトランド、だいたいなんだ?そのチャラチャラした格好は?オシャレか?あ?」

 

「オシャレだけど?ゴトはこう見えてオシャレだしね!」

 

「ハッ?」

 

「ナニがハッ?よ、だいたい…オシャレさでテイトクにディスられたくないっーの」

 

「なんだとぉ…?」

 

なんだとぉ…?と言ったものの、まぁ、たしかにオシャレかオシャレじゃないかと問われればそこまでオシャレじゃないのは認めよう、とりあえず、クルマに似合うオシャレ程度にはと心がけているが…

 

しかしゴトランドのヤローにディスられるのはムカつくな、この俺をナメやがって……この基地の絶対支配者が誰なのかわからせが必要なようだな

 

「オイ、ゴトランド」

 

「ナニよ?デートのお誘いなら間に合ってるわよ、岸ちゃんとするから!」

 

「いえ、私は普通にテイトクに譲りますから2人で買い物でもホテルにでも行ってください」

 

「岸ちゃん!?」

 

さすがは岸クンだ、このクソメンドくさいメンヘラ女への対応を決して間違えない…

 

「そのオシャレな格好脱いで今すぐサーモン行ってこいや、S勝利するまで帰ってくんなよ」

 

「横暴!!」

 

「横暴じゃない、提督だ」



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提督とLangleyと赤い夜

イベントが始まりました、まだ突入していないだらしない提督ですまない…

【登場人物】

提督(大人の特権)
大人の特権には責任も付きまとう

Langley(ロッカー)
幼い頃、街の楽器屋のショーウィンドーで●ックスを眺めていた時期もある


ある晴れた昼下がり、孔子の儒教について考えつつ歩いていると前方不注意からナニかにぶつかり、なんだよクソがと顔を上げたその時…

 

 

信じられぬものを見た

 

 

ロックのカケラすら失った“ロッカー”の姿がそこにはあった…

 

USS Langley………ロッケンローラーだった空母…

 

最後にコイツを見たのはいつだっただろうか?年始?クリスマス…?たしかその頃はまだ若く、荒削りながらもアツい情熱を持った“ロック”を感じるストリートパフォーマーだった…

 

「よ………ヨォ、テイトク」

 

それがなんだ…?このチャラチャラした姿は?まるでこじらせ童提督を狙い撃つようなチャーミング&キュートに全振りしたようなファッション…

 

「ラ……ラングレーか?オマエ?」

 

「そ、そうだぜ!……じゃない、そうわよ!」

 

わざわざ言い直してあざといポーズを作る、間違いないッッッ!!コイツはラングレーだッッッ!!いや、ラングレー………だったッッッ!!!

 

「なっ…なんで………」

 

なんでこんな…ッッッ!!あのラングレーがッ!ロッケンローラーだったハズのラングレーが!!

俺は変わってしまったラングレーの両肩を掴み、どうしちまったんだよォォォォォ!!とガックンガックンと揺らした

 

「ちょ、やめ!やめろよ!」

 

「洗脳かッ!洗脳されたのか!いや、催眠アプリか!催眠アプリだなッ!!目を覚ませ!本当のオマエを取り戻せ!!」

 

ビタン!ビタン!(往復ビンタ!)

 

「ちょ!痛い!マジで痛い!やめろって言ってんだろォ!!」

 

ラングレー?は俺の身体を突き飛ばしビンタされた両頬をさすった…

 

「オマエがラングレーだとはいいとしてだ、ナニがあった?」

 

「ナニって………?ナニが?」

 

「ナニが?じゃねーよ!!なんだオマエそのチャラチャラした格好は!!ロックのカケラもねーそのチャラいファッションはなんなんだ?ア゛ァ?オマエはロッケンローラーじゃなかったのかァァァァ!!」

 

「…………ロックはもう、ヤメたんだよ」ボソッ…

 

「え?なんだって?」

 

「ヤメたんだよ!!ロックは!!!」

 

「ラ…ラングレー………オマエ」

 

「ロックなんかやっててもアタシはBIGになれねー!向いてなかったんだよッ!!アタシにはロックなんて…ッ!!」ポロポロ…

 

ポロポロと涙を流し、ラングレーは語った…

 

毎日毎日大好きなロックでビッグになってやろうとロッケンローラーとしてのアツイいロックカツドウをしていたが誰の目にも留まらず、些か自信と方向性を失い、自暴自棄になり薬に手を出しヘル・ビ●ジョンをマッド・カクテルするまで堕ちた…

 

そんなクサクサしたある日、BIGになる為には今の自分を変えなきゃならない、あの女がアタシに声をかけてきた…

 

その女の名は、Immortal・Hornet

 

アメリカ海軍きっての頭脳派であり、cool&beautyと呼ばれたHornetだが、その実態は日本のオタク文化の重度の愛好家であり、Navy時代は同僚達の前で堂々と文章を英語に翻訳したエロゲーをプレイしている本格派…

Navy時代は“Immortal・Hornet”と不死身そうなアダ名をつけられていたが、単純に美少女ゲームの”妹”キャラ好きが原因で“イモート”が変化しただけらしいケド…

 

そんなHornetから売れ線になる為の指導を受けたアタシは変わった…

 

ロックは捨て、アイドル路線になれば売れる

 

ってか、実際売れた、めっちゃ売れた、今までもロッケンローラーとして動画配信とかしてたけどクソみたいな再生数しかなかったけど片手ハートとかして媚びまくったらめっちゃ再生数伸びた…

 

「アタシだってちやほやされてぇんだよっっ!!!」

 

「ラングレェ…」ポロポロ…

 

ラングレェ……オマエの承認欲求はそこまで………クソッ!気づいてやれなかった!オマエの闇にッ!!孤独にッ!!

 

「ハハ……笑えよテイトク、こんなアタシを!もうロッケンローラーじゃなくなったミジメなアタシを!」ポロポロ…

 

「バカヤロウ!誰が笑うかよ!」

 

俺はラングレーをそんなバカを!それでも愛そうと!アツく抱きしめた!

 

「迷ったっていいんだ!悩んだっていいんだ!道を間違えてもいいんだ!それが“ロック”ってヤツだろ…?」

 

「テイトクェ…!」

 

「ラングレェ…!オマエ、カッコ悪いよ」

 

初めて買ったギターを買ったその日にケンカして叩き壊すロックの申し子、ラングレー…

悩み抜いたその先がアイドル路線なのはヘドがでるが、彼女はまだ若く、未知への冒険心に溢れている、そこは評価すべきだろう

 

「だいたいラングレー、オマエ、アイドルナメてるよ」

 

「ハァ?ナメてねーし、っーかこの世界ならNo.1イケるね!」

 

「バカ言うんじゃないよこの子は」

 

アイドル道とは、ちょっとカワイイとちやほやされた程度でやっていける世界ではないのだよ

アイドル道に必要なものは、無秩序・無軌道・無慈悲の精神であり、生半可なものではない

 

そんなアイドルをナメ腐ったラングレーくんの姿をとりあえずスマホで撮影していると廊下の先からキラめく汗をダラダラ流しつつ歩いてくる存在があった…

 

「よぉ、モモタス」

 

「あ、マネじゃん、ナニやってんの?ってかマネなのに桃のトレーニング付き合わないとかありえなくない?」

 

「やかましい」

 

手持ちの今治タオルで汗を拭きつつ偉そうに文句タレるモモタスの右手をソフトに掴み…

 

「零の●劇ィィィィィー!!」

 

「ぎゃあああああああああ!!痛い痛い痛い痛い痛ァァァァ!!」

 

ギリギリギリギリギリギリ!!(握手)

 

「痛いって言ってんのよ!!」

 

モモタスはまだ自由な左腕で俺の脇腹にブローを乱発し、俺の体勢が崩れたところで即座に俺の射程の外に離脱した

 

「ほぉ…下等のわりにはなかなか良い判断だ」

 

「下等アイドルじゃないし!」

 

モモタスはダメージを受けた右手を摩りつつブッ●すぞ!とアイドルにあるまじき発言を吐いた

 

「ってかマネ!そいつ誰!!アタシとゆー担当アイドルがいながら…!!」

 

「マネじゃないし担当でもない、提督だ、そしてこの子はラングレーくん、ロッケンローラーだ」

 

「ロッケン…?え?ロックじゃなくない…?」

 

モモタスのわりに冷静で的確な意見………!まぁ、モモタスですら今のラングレーくんからはロックを感じないのだろう

 

「カノジョ、ロッケンローラー辞めてアイドルに転向したいそうなのだよ」

 

「ハァ…?」ピキッ!

 

モモタスはアイドルにあるまじきアオスジを立て、ラングレーくんにガンを飛ばすとズカズカとラングレーくんに近づき右頬をビンタした

 

ビタンッ!!(ビンタ)

 

「イテェ!!!」

 

「ちょっとカワイイからってナメてんじゃないわよ!!アタシ達アイドル艦娘は………鍛え方が違う!精魂が違う!理想が違う!決意が違うのよ!! 」

 

「!?」

 

「わかったらアイドルなんてヤメるのね、マネ!行くわよ!アタシ水飲みたい!フランス産の!」

 

モモタスはごくごく自然なムーヴで俺の腕を掴みその場を去ろうと歩き出したので俺はそんなモモタスの身体を持ち上げつつ腰を落とし自分の片膝をモモタスの両膝に勢いよくぶつけてモモタスのダブルニーをクラッシュした

 

「ウッギャアアアアアア!!なんでぇぇぇェ!!」

 

「すまんすまん、つい…」

 

「ついで桃の両膝破壊すんな!!」



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提督と五月雨とある晴れた昼下がり

誰だよ、あのE2考えた奴……ってかあのヌ級なんなの?無敵か!

【登場人物】

提督(最近の楽しみはヤキュウ)
メガネ男子、休日くらい何も考えたくない…

五月雨(最近の楽しみは風景動画)
髪長専業秘書艦、次女の時雨様が改三で爆乳になると聞いて少し希望を持った


春は曙、ようよう久しからない3月の空、基地の設備点検の報告出てないよと上からツッコまれ、グチグチ期日までに出せよとグチグチ小言を賜ったので真面目に設備点検をしているワケだが…

 

「消火器よし!」

 

「期限切れてないですか?」

 

「大丈夫だ、キレてない」

 

たった一度の今日と言う日、秘書艦サミー子と共に基地の設備点検に回っていたが、さすがに朝っぱらからやってると疲れる…もう膝がガクガクだ

 

「そこにベンチありますし休憩でもしますか?」

 

「バカ言うんじゃないよこの子は、俺のタフネスはまだヤれると言っているのだよ」

 

「膝はもうカンベンしてくれって言ってますよ」

 

こやつめ、冷静で的確な判断を……フッ、卿はいつでも俺が間違った方向に行くのを諌めてくれる

 

「卿の意見を是とする」

 

「そうですか」

 

そんなワケで俺と秘書艦サミー子はベンチに腰掛けたワケだが……嗚呼いかんなコレは、一度座るともう立ち上がりたくない欲求に駆られる

 

「サミー、なんか飲み物とか持ってないか?」

 

「持ってませんケド?」

 

「使えんやつめ」

 

「使えんやつで悪うございました、自販機でナニか買ってきましょうか?」

 

「そうだな、そうしてくれ」

 

俺はケツのポッケから財布を取り出し秘書艦サミー子に外角に逃げ気味に投げつけたがサミー子は難なくキャッチした

 

「おしること缶ポタじゃなきゃなんでもいい、あと、お前も好きなの買っていいぞ」

 

「あったか〜いですか?つめた〜いですか?」

 

「つめた〜い」

 

「つめた〜いですね、ちょっと待っててください」

 

そう言って秘書艦サミー子は手にしていたファイルをベンチに置き、自販機コーナーへと歩いて行った…

たしかここから1番近い自販機は体育館の裏辺りか……ゲータ●ードが売ってるやつ、そんなつまらないコトを考えてうなだれていると…

 

「………なんだ?犬?」

 

ハッハッと舌を出して歩いてきたのは犬、見た目はまごうコトなきただの犬だが、中身はただの犬ではなく米軍が開発した動物型最新AI兵器である

 

その名もD-●1(デ●イチ)

 

この毎日がワルのオリンピック状態のクソ見てぇな吹き溜まり基地に舞い降りた聖女、フレッチャーくんの飼い犬らしく、フレッチャーくんはこの自立型最強兵器を普通の犬と信じて可愛がっているそうな

 

「このクソ犬!勝手にどっか行ってんじゃないわよクソ犬!………って、テイトクじゃない?」

 

「君は…?ジョンくん?」

 

「なんで疑問形なのよ…」

 

犬の散歩用のリードっぽいヒモをブンブン振り回しつつ歩いてきたのは聖女フレッチャーくんの妹、聖女ではないジョンくん、見てのとおり、昔、好きだったアイドルに似ている気がするが、今はもう………わかりません

 

「こんなトコでナニやってんの?」

 

「ご覧の通り、ベンチに座っているだけさ」

 

「そんなモン見ればワカるわよ、ベンチに座ってナニやってんのかって聞いてるのよ、Are you sick with your head?」

 

「やかましい、テイトクのことよりジョンくんはナニをしているのかね?犬の散歩に見えなくもないが…」

 

「見てのとーり犬の散歩よ、Fletcherから頼まれて仕方なくよ!シカタナク!」

 

「ノーノー、アイムテイトク、イングリッシュノー、ジャパニーズオンリー」

 

「ニホンゴで言ったでしょ!!バカにしてんの!!」

 

「小粋なテイトクジョークなのだよ」

 

そう言って俺はそんなにカリカリするなYO、チャーミングな顔が台無しだZE!とハンサムなフォローを入れてやったが、ジョンくんはナニが気に入らなかったのか、俺のベン・ケーに鋭いローキックを放つが…

 

「ITE!………なんて硬さッッ!!ナニよその足!鉄板でも仕込んでるの!?」

 

「バカめ、提督の硬度10ダイヤモンド・フットはキサマごとき下等艦娘がどうこうできるものではない」

 

せめてアイオワぐらいのハード・パンチャーでも連れて来るんだなと小粋なテイトクアドバイスを送ると、なんか早口な英語でペラペーラ言ってたが、ところどころFuckとか交じってたので多分提督を罵倒していたのだろうと考えていると、冷たいものを持った秘書艦サミー子が帰ってきた…

 

「ゲー●レードでいいですか?」

 

「うむ、褒美に頭を撫でてやろう」

 

「結構です、あと……ジョンストンさん、コンニチハ」ペコォ…

 

「コンニチハ」ペコォ…

 

サミー子につられてか、ジョンくんも律儀に頭を下げて挨拶を交わした

 

「ジョンストンさん、犬?の散歩ですか?」

 

「そーよ」

 

サミー子はあまり興味なさげに忠犬D-●1(デ●イチ)をチラ見してベンチに座った

 

「で?テイトクとSammyはなんなの?もしかしてDateのおジャマだったかしら?」

 

「コレがDateに見えるのならジョンくんは眼科に行った方がいいのだよ」

 

「Jokeよ、小粋なNavy jokeってヤツね」

 

なるほど、仕返しってワケか……なかなかイイ性格してるわね、この子

 

「あ、そー言えばテイトク、Atlantaがテイトク殺すって言ってたケド」

 

「なんで!?」

 

「知らないわよ」

 

アトランタくんに殺される心当たりなんか無いけどなぁ…

あ、もしかしてアレか?こないだ俺のズボンが暁ちゃんのアイスを食っちまったコトか?次は五段のを買うといいって金渡したんだがなぁ…

 

「最近の出撃シフトの件で怒ってるんじゃないですか?」

 

秘書艦サミー子の冷静で的確な意見…っ!

 

「出撃シフト…?あぁ、シフトね、だってしょーがねーだろ、大和さんが秋月姉ちゃん達じゃ不安だって言うんだし…」

 

高さでは駆逐艦最高の秋月姉妹を上回るまさしくワールドクラス、MAJORの切り札、アトランタくん

ここ最近、なんか大和さんに連れ回されてるらしいがストレスでも感じているのだろうか…

 

「Atlantaはマジでヤバいからね、地元じゃ殺人以外の悪事は全部ヤってるってハナシだし、狂犬を超えた狂犬ってよばれてたらしいわ」

 

しかしそんなアトランタくんも地元で暴れ回っていたがアイオワに目をつけられ、半ば強制的に海軍に入隊させられた哀しき過去がある…

 

「ま、アタシには関係ないか、せいぜい殺されないよーに気をつけなさいよ」

 

「そうするのだよ」

 

「なんならこのアタシがAtlantaにハナシつけてあげてもイイんだケドなー」

 

「オイ、サミー子、スタンガンと荒縄とクロロホルムと三角木馬の在庫あったか?」

 

「知りませんよ、そんなもの」

 

「聞きなさいよ!!アタシのハナシ!!」



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提督と海風と大したコトない話

もう雨はカンベンして欲しいんスけど、テンションさがるわー

【登場人物】

提督(メガネ)
年度末に頭の痛い大人、有休消化?無理じゃない?

海風(七女)
五月雨の妹、ナニ食ったらそんないやらしい身体になるのかと五月雨に不思議がられている


春!その、素敵な季節が提督を行動させ………なかった

 

「フーッ〜………あー…息をするのもメンドクセー」

 

仕事の合間に喫煙所と言う名の聖域に来てケムリを吸って吐く、缶コーヒーを一口あおり、ケムリを吸って吐く…

こうやって吐き出したケムリを眺めていると自分の中のストレスが形となり、健康と共に出て行っているのではないかと感じるのだよ

 

「フーッ〜……」

 

最近やたらと燃料が減っている気がするが、なんか大和さんがガブ飲みミ●クコーヒー感覚でガブ飲みしてお出かけているのが原因と聞いたが、大和さんは結果出してるし、文句言ったら嫌われますよってのが秘書艦サミー子からの冷静で的確な意見だ

 

「あ、テイトク」

 

「ん…?あぁ、海風ねーちゃんか」

 

喫煙所のベンチに座る俺は背後から声をかけられたので誰ぞや?と思って振り向いたらそこに居たのは海風クン…

七女であり長女でもあるキセキの矛盾を孕んだラノベヒロイン顔みてーな美少女である

 

「どうしたよ?ここに主人公はいないぜ?」

 

「主人公…?よくわかりませんけど、たまたま通りがかっただけですよ、あ、そうそう新しいお茶っ葉買ったんです」

 

「へぇー」

 

海風ねーちゃんとお喋りしていると海風ねーちゃんとお喋りしているのかパイオツとお喋りしているのかわからなくなるな

 

ハッキリ言って彼女が駆逐艦のボウヤでなかったならば即ファックして己が牝である事を教え込んでいたのだよ

 

「ところでテイトクはおヒマなんですか?」

 

「おヒマに見えるかね?俺が?」

 

「……………見えますね」

 

即答でなく熟考するあたりが海風ねーちゃんが海風ねーちゃんたる由縁だろう、仮に、同じ質問を五月雨にしたら即答する上に冷酷な言葉のナイフすら感じさせるだろう

 

「ご覧の通り、おヒマと言うワケではないのだよ」

 

「どの辺がご覧の通りかはわかりませんが………もし宜しければ少し相談したいコトが…」

 

「相………談?」

 

「はい」

 

海風ねーちゃんが?俺に…?なんの相談だ…?金か?やはり金の話か!!

 

「いくらかね?」

 

「………はい?」

 

「いくら欲しいんだ?千円か?二千円か?」

 

「いや、別にお金の相談ではないのですが…」

 

「そうなのかね?なんだ、ハッハッハ、そうかね、いや、ハッハッハ!大抵提督に相談があるって時は金の話ばかりだからつい…」

 

海風ねーちゃんは、えぇ…とややドン引きしている感があるが事実である以上オブラートに包む必要はない、つい先日も村雨のバカが小遣いくれとおっぱい強調しつつ相談しにきたので、とりあえず股間を蹴り上げてからお腹パンチし、ロメロスペシャルで全身ギタギタにした後、もう一度股間にタイガーショットをキメて敗北アクメポーズをスマホで撮影してやった

 

「そうなんですか…大変ですね、あ、まさかと思いますケド江風がそんな相談してませんよね?」

 

「え?」

 

「もしそんな相談してたらとっちめてやらないと…」

 

「いや、江風クンは来てないな」

 

「そうですか」

 

江風ェ…、オマエ、ねーちゃんからの信用低いな、今度会ったらジュースぐらい奢ってやるか

 

「それで?金の話でないなら提督に何の相談だね?」

 

「え?あぁ、はい、相談と言うのは山風のコトなんですけど………最近反抗期と言うか…」

 

いや、年中反抗期だろ、あの子は…

 

「やかましい!うっおとしいぜ!とか乱暴な言葉を使うんですよ、微妙に間違えてるあたりが微笑ましいんですけど」

 

「それたぶん奇妙な漫画の影響じゃないのかね?」

 

「漫画…?あぁ、そう言えば最近変な漫画読んでますね、たしか古鷹さんから借りたとかなんとか……あ、江風も読んでました!」

 

「ま、まぁ、飽きたらいつもの良い子の山風クンに戻るんじゃあないかね?たぶん」

 

「そうでしょうか?」

 

「海風ねーちゃんに出来るコトは妹達が間違った方向に行かないように毎朝のコーンフレークを欠かさないくらいじゃあないかな?」

 

「うち、朝はご飯とお味噌汁なんです」

 

「そうかね」

 

朝はライス派か、いいんじゃあないかな?

 

「提督はコーンフレークなんですか?」

 

「いや、普通にパンとコーヒーだが?」

 

「そうなんですね…」

 

何がそうなんですねかはワカらんが納得して頂けたのならばなによりなのだよ

 

「あ、テイトクと〜……海風じゃん」

 

「あ?」

 

「あ、白露姉さん」

 

俺と海風ねーちゃんがお喋りしていると、廊下の向こう側から白露ねーちゃんがヘラヘラ笑いながら歩いてきた…

 

「よぉ、相変わらずイモ食ってんのか?」

 

「うっさいな、1個食べる?食べかけだけど?」

 

「んなピ●リ菌まみれの食いかけなんかいらねーよ」

 

「ナニがピ●リ菌だよ!!失礼すぎじゃない!?」



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提督と速吸と春シーズン開幕

勝ち残るとは屍を越える事だ…決して美しい事じゃない、むしろ残酷な事なんだ、それでも頂点に立ちたいと言うのなら ……鬼になれ!

【登場人物】

提督(変化A)
球種は全てファックボールのみの生粋のファックボーラー、7人連続デッドボールで退場した

速吸(球速S)
MAX163キロ右の豪腕、足も結構早い




「よぉしいいぞォ!イイ感じだあっ!」

 

「ありがとうございます!かなりイイ仕上がりみたいです!」

 

列島を震撼させたヤキュウ……いや、ベースボールの祭典も終わり、当基地でも来週からいよいよシーズンが開幕する、“国宝”とよばれる豪腕ピッチャー速吸クン擁する大鯨ホーエヌスは開幕から古鷹さん率いる殺天エンジェルスと3連戦

前シーズン、夏に肘を痛めて戦線離脱を余儀なくされたエースである速吸クンだったがアメリカで最先端医療を受けて無事に完治したらしく、今日は俺とキャッチボールをしていた…

 

「今年は開幕から全開で投げれますね!」

 

「いやいや、いきなり全開は……まずは様子を見つつになるじゃあないかなぁ」

 

万年Bクラスである大鯨ホエヌーズが存続できるのもこの速吸クンと言う国民的スター選手がいるからである

 

…しかし、開幕戦の相手は盤石の強さを持つ殺天エンジェルス、かつては国産重巡のみで構成された古き良き硬派さを持っていたが近年はMAJORからの電撃移籍も受け入れており、安打製造機と呼ばれるMAJORの安打職人ヒューストンくんや頭脳的リードで打者をキリキリ舞いにさせる捕手のノーザンプトンくんが加入し、今やモンキー並みの知能指数しかなかったバカどもとは言えなくなっている

 

「まぁでも、たしかに、開幕戦で速吸クン対古鷹さんのエース対決はギャラリーが望むものではある」

 

「ですよね!」

 

速吸クンの100マイル超えと古鷹さんの44ソニックの投げ合いは互いに点が入らない事に定評がある

 

「ま、ムリしない程度でガンバってくれたまえよ」

 

「はいっ!」

 

俺の投げた球を軽くキャッチし、ありがとうございましたー!とキチンと頭を下げてお礼が言える速吸クンはナイスガッツ体育会寄りなのだろう…

 

朝のキャッチボールを終え、タバコでも吸うかとベンチに座って速吸クンから貰ったスポドリをガブ飲みしていると、グラウンドの向こう側から軽巡集団が走って来た…

 

「ハァ…ハァ………ウゲェ!」

 

「ヒィー…!ヒィー!」

 

「阿武隈ァ!!鬼怒ゥ!ガッツが足りてないよガッツが!ガッツがあればまだ辛くない!」

 

誰よりもナイスガッツ溢れるナイスガッツの化身、ナイスガッツ陸上部のナイスガッツ長良主将のアツいナイスガッツの鼓舞が響く中、走り込みと言う名のナイスガッツトレーニングをする長良姉妹…

 

「あ、長良主将!」

 

「ん…?速吸!!アナタもトレーニング中?いいね!」

 

「あ、いえ、私はテイトクとキャッチボールしてて…」

 

「そうなの!!それは健康的ね!」

 

相変わらず声デケぇな、長良主将は…

まるでナイスガッツの精神が形になったようだ…

 

長良主将が立ち止まってくれたおかげか、鬼怒と阿武隈はここぞとばかりに前のめりに倒れ込み、自然な流れで休憩する高度なテクニックを使用したのは俺じゃなきゃ見逃していただろう…

 

「大丈夫か?オマエら、何時から走ってた?」

 

「……………4時」

 

「タスケテ……オネガイ………タスケテ…」

 

4時かぁ〜…長良主将はめっちゃTOUGHやし、誰でもナイスガッツさえあれば大丈夫と心の底から信じているせいか、加減と言うものが無い

 

「速吸クン、彼女たちに冷たいドリンクを」

 

「あ、はいっ!」

 

速吸クンはベンチに置いてあるクーラーボックスからキンキンに冷えたドリンクを取り出し、長良主将とグラウンドに倒れた鬼怒と阿武隈に手渡してやった

 

「キンキンに冷えてるわ!!」

 

「長良クン、名取クンと五十鈴さんと由良さんは周回遅れかね?」

 

「名取は朝ごはんの用意するからって25キロでアガりました!五十鈴と由良はなんか対潜希望の子に指導があるからって今日は不参加ですね!!」

 

…声デケぇなオイ、っーか五十鈴さんと由良さんは体良く逃げやがったな

 

「そうかね」

 

「テイトクと速吸も一緒に走りませんか!!」

 

「いや、提督は既に全身がズタズタなのでヤメておくのだよ、速吸クンも来週からシーズン始まるし…」

 

「そうですか!!」

 

長良主将はアツく返事をしてドリンクをイッキに飲み干し、さあ!まだ今日の走り込みは終わってないぞと鬼怒と阿武隈にアツいナイスガッツを奮い立たせ!とまるで三人四脚のように立ち上げてアツく走り出した…

 

「タスケ……タスケテ……」

 

タスケテと力無く手を伸ばし引きずられてゆく2人の姿を見て、俺が無意識にとった姿は敬礼だった、声はかけなかったが無言のナイスガッツがそこにはあったのだろう

 

「…あの、さすがにちょっとヒドくないですか?」

 

「ヒドくはない」

 

…4時からか、そろそろ名取クンの作ってくれた味噌スープが冷めちまうんじゃあないだろうか?

 

「速吸クン、マミー屋で軽く朝食でもどうかね?」

 

「そうですね」

 

◆◆◆

 

基地と言う暗闇の中に存在する煌びやかな別世界、日々疲れた旅人(オトナ)達が命の水を求めて辿り着く場所、倶楽部HO-SHOW…

 

「でよぉー!今年の速吸クンから打つのはよぉー!」

 

「フーッ〜………へぇ、そうさね」

 

愛用のやたらと長いキセルのケムリを吐き出し、棚に置いてあるラジオを叩くビッグ・ママはまた壊れたかねとケムリを吐いた

 

「ババア、景気づけにシャンパン開けよーぜ!シャンパン」

 

「誰がババアだい、ったく…いつまでも口の減らない若僧(BOY)さね」

 

「誰が若僧(BOY)だ、テメーこそいつまでもガキ扱いしてんじゃねーよ」

 

「フーッ〜………あ、そうそう、そういや新聞に古鷹んトコ、新しい外人が入るとかなんとか書いてあったね」

 

「外人?またMAJORかよ」

 

「なんて名前だったかねぇ…たしかタスケテーナとタスカルーザーとか…」

 

なんだよ、その中日あたりに居そうな新外国人みてぇな名前…

 

「ま、外人さんのコトはよくわからんさね」

 

「それな!ギャハハハハハ!」



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提督と季節のザクロ

春なのにローテンションに遅筆中

【登場人物】

提督(ロー)
エンジンブロー気味の昨今




世は心機一転の時代、老いも若きも等しく新しい春を迎える…

そんな爽やかな春の執務室、俺は春のSHINSENな空気でも取り入れようと窓を開け、マグマのようにアツいコーヒーを一口啜った…

 

「…相変わらず卿の淹れるコーヒーは不味いな」

 

「失礼な」

 

何故この専業秘書艦はこれだけ不味いものを人に出しておいて誇らしげな佇まいでいられるのか…

そんなつまらない事を考えつつもう一口啜っていると、秘書艦青髪ロング子は、あ、そうそうと手を叩き…

 

「金剛さんから提督に話があるから取り次ぐようにって…」

 

「………金剛が?」

 

「えぇ、金剛さんが」

 

オイオイオイ、マジかよオイ、金剛が?俺に?話がある?あの、金剛が…?

 

「デートのお誘いじゃないですか?」

 

「………………フン、卿は相変わらずジョークの才能がないな、再就職先にコメディアンは諦めた方がいい」

 

「そうですか」

 

金剛が俺に話がある、か………

遂にヤる気になったか?俺と…?いや、まだそうと判断するには早い

 

基本的には俺はこの基地に配属されたバカどもを“家族”と考えているし、どんなバカでも、それでも愛そう!と深い懐を持っているが、そんな俺でも明確に“敵”と認定しているヤツがいる…

 

1人は金剛、この基地の絶対支配者であるこの俺を差し置いてこの基地を裏から恐怖と力で支配する基地の“帝王”…

その…絶対的な力と圧倒的なカリスマ性はまさしく帝王と呼ぶに相応しく、もう何年もこの基地の裏に君臨しこの俺と反目し合っている

 

ちなみに、2人目はプリンツだが特に細かい理由はない、アイツはいつか●す

 

「それで?金剛さんの呼び出し、どうします?」

 

「…時間と場所を聞いておけ」

 

下手に誘いを断って寝てる時とかメシ食ってる時とかウ●コしてる時とかに襲撃されたらかなわんしなと考えていると秘書艦サミー子は電話機のプッシュボタンを押し、もしもーしと普通に電話していた…

 

「提督ですけどいつでもどこでもOKだそうです、命を賭けてかかってこい!と…」

 

「余計なコトゆーな!!」

 

「はい?あぁ、はいはい、伝えておきます、はい、では失礼します」

 

秘書艦サミー子は受話器を置いてひと息ついた

 

「で?どこに来いって?」

 

「今からここに来るそうです」

 

「は?今から?」

 

「そう言ってましたよ」

 

金剛が?わざわざ?なんなんだアイツ、何を考えている?ヤる気か?ここで…?いや、まさかいくら金剛のヤツでもこの神聖なる執務室で即開戦ッ!!とは考え難い…

やはり今回は何か話があるだけなのか?あの金剛が…?

 

いやいやいや、あの金剛だぞ?テイトクの“心臓(ハート)”はワタシのモノデースと提督抹殺宣言を誰にはばかるコトなく公言してるあの超危険人物だぞ?

 

…この基地には大和、武蔵、アイオワと誰しもがアツい最強議論に花を咲かせるスーパースターが揃ってはいるが、そんな最強議論に、なら…ステゴロなら?と付け加えると誰もが同じ答えに行き着く……

 

まぁ、ステゴロなら長門でしょう、と……

 

「相手は長門さんじゃなくて金剛さんなのでは?」

 

「コイツ!俺の心を読んだ…!?能力者か!!」

 

「いや、別に心を読む能力とかないですけど、くだらないコトを考えている顔がバ●風味だったので…」

 

五月雨曰くだいたい最強死刑囚編くらいの風味だったらしい

 

「しかしだ、秘書艦サミー子よ、見ての通り、ボクは今“ベスト”の状態じゃあない」

 

金剛が求める俺との対戦は“万全(ベスト)”の状態であること、つまり、今日じゃあない…

 

「そうですね、まぁ“臆病者(チキン)”らしくていいんじゃないですか?」

 

「…………あ゛?」

 

こやつめ、俺がチキン野郎だと?フッ、この俺を愚弄&侮辱しているつもりか、しかしこの提督は大人だ、この程度の挑発に乗るほど安くは…………

 

「誰がチキン野郎だとコラァ!!俺が金剛にビビってるだとォ?上等だよ、死ぬまでヤってやんよ!!」

 

提督は愚弄されるのが何よりムカつくのだ

 

金剛だぁ…?ジョートーだよ、俺のスネークバ●トでそのキレーな顔グシャグシャにしてやんよ

 

ゴン!ゴン!(ノックしてもしもし)

 

「あ゛?誰だ!?」

 

執務室の重厚な扉を叩く音、そして、重苦しい扉が開くとそこに……

 

「テイトクは居ますかネー?」

 

「ヒイッ!?こ、金剛ォ!」

 

なんでさっきまで上等とか言ってて世紀末のモヒカンみたいな反応なんですか……と秘書艦サミー子の冷静で的確な意見でいつものCOOLさを取り戻し、改めて金剛に向き合った

 

「貴様がわざわざ出向いて来るとはな、で?何の用だ?」

 

「別に、大した用ではありまセーン」

 

大した用ではありまセーンだぁ?ありえんな、俺とコイツの間にある関係性は提督と艦娘、上司と部下、殺すか殺されるかの関係のみでそれ以上も以下もない

 

「なんだ?金か?金の話か?」

 

「別に金には困ってまセーン」

 

「なら何の話だ?もったいぶらずに早く言え」

 

既に距離は互いの射程圏内、必殺の間合いには1m足りないと言ったところだが瞬き一つ見逃しすだけで命取りになる

 

「たまにはテイトクをティーにでも誘ってみようと思っただけデース」

 

「…………ティー?」

 

なんだ…?何かの隠語か?ティー……Tea、いや、T…?テイトクのT、TellerのT?それともTerminateのTか?

 

「マミー屋にイイ茶葉が入ったらしいデース」

 

「マミー屋に?」

 

…間宮も交えてヤろうってのか?金剛だけでも手一杯だってのに間宮を同時に相手取るのは難しい、可能であればまず間宮と組んで金剛を撃破、もしくは金剛と組んで間宮を撃破、最悪なのは間宮と金剛が組んで俺を殺りに来ることだが流石にそれは無いだろう

金剛は他人の手を借りるタイプではないし、むしろ、自らの手のみで俺を殺したがっている

 

「…………いいだろう、秘書艦を同席させたいが構わんかね?」

 

「別に構いまセーン」

 

そう言って金剛は快く了承し、秘書艦はコイツマジかよ…ウソだろメンドクセーな目を俺に向けたが俺は当たり前のように無視してやった

 

「では行こうか、マミー屋へ」

 

「そーデスね」

 

◆◆◆

 

甘いモンも辛いモンを取り扱う極上のスイーツショップ、マミー屋…

 

「紅茶3つ」

 

「本日のおススメはザクロのタルトです」

 

「じゃそれも3つくれ」

 

「丁ポイントカードはお持ちですか?」

 

「ねぇよ、っーかTポイント対応してんのかよこの店」

 

「Tポイントとやらには対応してませんが?」

 

後で聞いた話だが、この時間宮が言っていたのはごくごく一般的なTカードではなく丁カード(テイトクカード)と言う最近海軍で取り扱い始めたカードらしく、永遠に甲提督になれないミジメな敗北者にいやがらせのように上から送られてくるそうだ

 

「まぁいい、とりあえずそのザクレロのタルトと紅茶くれや」

 

「ザクレロじゃないです、ザクロです」



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提督と熊野と新しい翼

熊野でございますわ、熊野丸?私のファンガールかしら?

【登場人物】

提督(旅に出たい)
最近の趣味は空想旅行、パスポート…?もう切れたよ

熊野(アホ)
最上姉妹の末っ子でエセお嬢様風エセお嬢様、一応、自分の胸囲に関しては気にしてるあたりがJK風





「スゲェ作り込みですわ!スゲェ作り込みですわ!」

 

「あぁ、さすがチャンプだ、ハンパじゃねぇ…」

 

世界中の水上機バトラー達が集う水上機バトルの頂点を決めるアツかりし戦い、ズイウン・バトル…!!

その第11回世界大会の幕開けは前人未踏の大会10連覇を達成しているチャンプとメイジン・カワウチのエキシビション・マッチから始まった!!

 

『フッ、やはりそうなるか』

 

『やるわね、あえて言っておくわ、さすがはと…』

 

チャンプの愛機、瑞雲改二・マグナムとメイジンの九八式夜偵・アメイジングの世界レヴェルでの戦い、このファイトを目にして興奮しない水上機バトラーは居ないだろう、いや、水上機バトラーでなくともこのアツい戦いを見て奮い立たない………いやあえて言わせて貰おう!そう、勃起しない男子はいないだろう!と

 

史上、最もアツかりし水上の戦い!それこそがズイウン・バトル!!

 

◆◆◆

 

「…と言うワケで、次の大会に向けて私のズイウンも思い切って改良しますわ」

 

「へぇ…」

 

甘いモンも辛いモンも扱う本格派スイーツ・ショップ、マミー屋…

その、本格派スイーツ・ショップに来ていた俺の向かい側に座る熊野はへぇじゃありませんわー!とテーブルを勢いよくダァン!した

 

「私とテイトクは一心同体!勝利の喜びは2人で倍に!敗北の悔しさは2人ではんぶんこですわ!」

 

「いや、そもそも俺たちチームじゃねぇし」

 

「えぇ、チームではありませんわ………名コンビ、ですわ!」

 

なんかウマいコト言ってやったみたいにビシッと指を立てて紅茶をグィーッとイッキ飲みした熊野はアツゥイ!と紅茶を噴き出した

 

「うぅ……ゲホッ!と、とにかく、次の選手権こそ勝ち上がり、チャンプと……そしてメイジンと戦いますわ!ワールド・チャンピオンの座を賭けて!」

 

「バカ言ってんじゃねーよ、チャンプもメイジンも次は出ないだろーが」

 

「え?なんでですの?」

 

「オマエ、本気で言ってんのか…?」

 

ズイウン・バトル、前人未踏の10連覇を達成したチャンプは史上初のズイウン・バトル殿堂入りを果たし大会には参加できなくなり、そしてメイジンもチャンプと言う最高の好敵手(ライバル)と競い合えないのならば出る価値無し!と宣言し、今後は後進の育成、そして楽しい夜戦を子供達に伝えるとして公式大会から引退を表明した…

 

「ファーックス!!」

 

さらにスター選手を失ったズイウン・バトルは実機である水上機をリアルで戦わせるズイウン・バトルに代わり、これからは電脳仮想空間でリアルに近い感覚でより身近に、誰しもがズイウン・バトルが楽しめるZBN(ズィービーエヌ)、ズイウンバトル・ネクサスオンライン)へと移り変わっていくだろう

 

「オトナになれよ、熊野」

 

「クッ!大人はいつだってそう言う!」

 

俺はコーヒーを一口啜ってシュークリームにかぶりつき、読んでいた旅行雑誌のページをめくった…

 

「ハァ〜…なんっーかこーゆートコに旅行に行きたいよなぁ、ノスタルジーっーのかなぁ、こーゆーナニもないトコで1日何も考えずに過ごしたいっーかさぁ〜」

 

「そんなくだらねーハナシはどうでもいいですわ!」

 

「熊野、熊野熊野熊野熊野よぉ〜…くだるとかくだらねーとかじゃねぇんだよ、ほら、見ろよ、オマエもタイとか行きたくねーか?タイ、神秘の国だぞ、タイ行って自分を見つめ直してこいよ」

 

「興味ありませんわ」

 

「タイに行ったら巨乳になるらしいぞ」

 

「………マジですの?」

 

「マジマジ(適当)」

 

熊野は俺の食べかけシュークリームを手に取るとペロリと口に放り込み紅茶で流し込んだ

 

「………この味は嘘をついている味ですわ!」

 

「オマエ、ナニ俺のシュークリーム勝手に食ってんだボケ、謝罪しろ」

 

「すいませんでしたわ」

 

「ならばよし」

 

俺はカウンターへ行き間宮に新しいシュークリームを2つ注文するとカスタードですか?生ですか?と聞かれたのでテメーの乳首に塗って興奮する方だボケと小粋なテイトク・ジョークをまじえつつトークしていると、間宮から麺棒で顎をアッパースイング気味に強打された

 

「お゛またせ」

 

「顎が砕けてますわよ」

 

「ハンサムが台無しだな、コレは」

 

ダメージを受けた顎にチャクラを集中し、ハンサムを取り戻しつつコーヒーを一口啜った俺は再びトラベル雑誌のページを眺めることにした

 

「とりあえず私としてはやはり今までのズイウン六三四空をベースにあらゆる状況に対応できるカスタマイズを考えていますわ」

 

「へぇ…」

 

「そこで考えているのがこのプラネッツ………って!!聞いてますの!?」

 

「聞いてる聞いてる、アレだろ?ドッキング・ゴーだろ?」

 

「…意外と聞いてましたわね、まぁ聞いてるならよしですわ」

 

「それよかオマエ、タイに興味ねぇか?タイ、煌めきの国タイ」

 

「なんなんですの?その異常なまでのタイ推しは…?まるでタイが曲がっているかの如きタイ推し…っ!」

 

熊野のシュークリームを己の口に放り込み、アツアツの紅茶で流し込んだ

 

「っーかそんなズイウンバトルしてぇなら秋津洲クンと組めよ、秋津洲クンと」

 

艦娘としての能力は底辺だが、水上機ビルダーとしては天才的なテクを持つKAWAIIの化身、秋津洲クン

その、天才的かつ独創的、それでいて厨二心をくすぐるKAKKOIIデザインは他の追従を許さず、秋津洲クンの愛機、二式大艇・ノーネイムは大艇ちゃんの本来の愛らしさがカケラも感じられない凶々しさで仕上がっている

 

「あの方とは趣味が合いませんわ」

 

「そうかぁ?」

 

「私などちらかと言えばチャンプのように正統派なカスタマイズが好きですの」

 

たしかにチャンプこと日向の愛機、ズイウン改二・マグナムは見た目に派手なカスタムは無いが一目で凄まじいチューンだとわかる、純粋な水上機の走りを徹底的に追求したまさしく(ピュア)スポーツ・ズイウンだ

 

「まぁ、オマエにはムリなハナシだがな」

 

「ハァ?できらぁ!ですわ!」

 

「ムリムリ、できるワケがない、熊野、オマエはこれから3回だけ“できるワケがない”と言っていい」

 

「クッ!なんたる傲慢さ!テイトク、私とアナタは一心同体!WZPワールドチャンピオンになる夢を忘れましたの!?」

 

「ワールドチャンピオン…?」

 

「そう、ワールドチャンピオンになる為に」

 

「ワールドチャンピオンになる為に…」

 

「そう!ワールドチャンピオンになる為に!」

 

「ワールドチャンピオンになる為に…」

 

「ハイもう1回!」

 

「ワールドチャンピオンになる為に…」

 

「ハイ!元気よく!」

 

「ワールドチャンピオンになる為に!!」

 

「私とテイトクはァ!!」カッ!

 

「上司と部下ァ!!」クワッ!

 

「そ……そこは名コンビと言うところなのでは?」

 

「誰がキサマなどとコンビを組むかダボが」

 

この後、間宮から店内でデカい声で騒ぐなと怒られた俺たちは熊野に引きずられチャンプが経営するカスタムズイウンショップへと行き、なんかよくわからんお高価なパーツが欲しいですわと強請られ、とりあえずパンツ脱いでここでションベンしろよと交換条件を出したら熊野は10秒ほど悩みパンツに手をかけたところ、そう言う変態プレイは外でやってくれとチャンプに店を追い出された






【登場しない人物】

日向(チャンプ)
ズイウンバトル界の絶対王者にしてカリスマ的存在
基地の中にカスタムズイウンショップを作っており、ズイウンバトルを広めることに余念がない
今までのズイウンバトルは水上機が持てる軽巡以上限定と敷居が高かったが、今後広まるであろうZBNなら駆逐艦でもズイウンバトルが楽しめると期待している

川内(メイジン)
通称、メイジン・カワウチ、チャンプに匹敵する力量を持つ凄腕、特に夜戦ステージでは無類の強さを誇り、チャンプにも勝った事がある
蛇のような目をしているせいか、駆逐艦のキッズたちからはちょっと怖がられている



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提督と夕張とエ●トラップ・D

暑いような、そうでないような…

【登場人物】

提督(テイトク)
メガネ男子、最近の趣味はラーメン屋巡り

夕張(ユウバリ)
狂気のマッド軽巡、最近の趣味はお菓子を食べること


「新しい装備?を開発しました!ハッキリ言って自信作です」

 

「そうか」

 

ある晴れた昼下がり、今日の晩飯ナニ食おうと考えつつ資材の粉飾決算の証拠となりそうな書類に黒塗り線で塗り潰し作業に従事していると、今日もヘソ・マルダシの頭のおかしい軽巡が執務室に来た…

 

そいつの名は夕張、邪悪の化身!!

 

我々は100年前からそいつと戦う宿命にある!とぼんやりと考えた俺は、とりあえず机の引き出しからガバメントを取り出して夕張に手渡し、にこやかに言った

 

「しゃぶれよ」

 

「いやぁ、私、銃フェラする趣味はないんですケド…」

 

「いいから口開けろや、心配すんな弾は入ってる」ニコォ…

 

「弾入ってたら危ないじゃないですか!」

 

「危なくない、むしろお前がこの世界に生きているコトの方が危ないと言うことが何故わからん」

 

「そんな大人の理屈!いつだって大人は勝手なことを言う!」

 

とりあえず、こんなにも青い空の昼下がりにヒートを上げるなんてバカらしいと気付いた俺たちはまずはティーでも飲もうかと自分の机で我関せず感を出していた秘書艦サミー子にティーを淹れてくれたまえ、午後のティーをね!とWinkした

 

「…それで?今日はどんなクソみてぇなモン作ったんだ?あ?」

 

「クソみてぇなモンではありません、ハッキリ言って自信作です」

 

「夕張ィ、夕張夕張夕張夕張夕張よォ〜…オメーの言う自信作ってのはクソかクソみてぇかの二択しかねぇだろうがよォー?毎度毎度しょーもねぇーモン作ってよォー…なんなんだオメーはよォー?オシオキされるのがクセになってんじゃあねぇのか?」

 

「クソかクソみてぇなモンではありません、自信作です、今回は提督もマジビビりますよ、ホントビビっちゃいますよ」

 

「んなワケねぇだろ、言っとくがもしロクなモンじゃなかったらテメーの口にエミューの卵まるごとねじ込んで擬似魔族の産卵させるからな」

 

「そ、それは………なかなか唆り……いえ!大丈夫です!ハッキリ言って自信作ですから!」ニマァ…

 

夕張は不気味な笑みを浮かべ100億パーセント大丈夫です!とワケのわからない自信を持っていたが、基本的にコイツのコトを信用していな………いや、ある意味では信用している、ロクでもねーヤツって点だけは

 

「で?そのつまらん作品を見せてみろ、見てからキサマの罪を断じてやる」

 

「あ、いえ、今回作ったものですが〜………些か大きいと言うか、広大と言うか〜…ちょっとここには持って来れないとか言うか〜…できれば提督には足を運んで頂きたいな〜…って」

 

「ハァ?」

 

「下にあるんです」

 

「下ぁ?」

 

ナニ言ってんだコイツ、イカレてるのか?いや、元からイカレてるんだっけか

 

「ナニ作ったんだ?デカいロボットか?またガイ●ンか?それともモ●ラか?」

 

「いえ、エロトラップ・ダンジョンです」

 

「……………あ?」

 

「エロトラップ・ダンジョンです」キリッ

 

…………言っている事がわからない、イカレてるのか?この状況で…

 

いやいや待て!思わず禁断のイカレてるのか?二度打ちしちまったが、なんだって?エロトラップ・ダンジョンって言ったのか?コイツ

エロトラップ・ダンジョンって言ったらアレだよな?エロいトラップがフル満載で先に進めば進むほど淫紋レヴェルが上がってく…

 

…っーか今更だが装備どころかメカですら無いあたりがコイツがイカレている事の確かな事実だろう

 

「1度入ったが最後!ありとあらゆるトラップを潜り抜け、地下27階にある“し しあわせェ…の箱”を手に入れて無事に上りきるか、リレ●トの巻物を使用して脱出する以外の脱出方法なし!1000回遊べるダンジョンです」

 

なんだよ、そのクソみてぇな目的のアイテムは!どーゆー箱だよ

 

「服以外を溶かすスライムや鉄の棒すら引きちぎる万力のような力で締めつける触手など多種多様なトラップを用意してます!」

 

「ふ〜ん」

 

殺意高けぇなオイ、コイツ、エロトラップがなんなのかわかってないんじゃねぇのか?

 

「では早速ですが、ダンジョンの紹介をしたいと思いますので提督、下に来て頂けますか?あ、五月雨ちゃんも来る?」

 

「え?普通にイヤですけど」

 

五月雨は心底イヤそうな顔をして冷蔵庫からペットボトルの麦茶を取り出しグラスに注ぎ、ハイどーぞとキンキンに冷えた麦茶を夕張に手渡した

 

「ブハァ!!うんめー!」

 

「ナニがうんめーだ、バカかテメーは」

 

「よし!じゃ一緒にダンジョン見に行きましょう!エロトラップ・ダンジョン!これはもうマジすんげーですから!ホントすんげーですから!ホント、テーマパーク来たみたいにテンション上がっちゃいますよ!」

 

「んなワケねぇだろ」

 

 

………こうして、夕張によって工廠の裏に作られたエロトラップ・ダンジョンの入り口へとやって来た俺たちだったが、とりあえず入り口の前でペラペーラとエロトラップ・ダンジョンの説明をしていた夕張のケツにノン・ファイヤーショットを叩き込み帰ろうとしたが、夕張は執念で俺の袖を掴み俺ごとこのエロトラップ・ダンジョンへと引きずり込まれた

 

『1F』

「あ!服だけ溶かさないスライムですよ!」

 

「1Fから殺意高すぎだろ!」

 

『8F』

「あ、さまよう触手アーマーですよ!」

 

「キモいよ!」

 

『13F』

「あ、元人間でガスにより石像化されて悔しくて悲しくて自分と同じ仲間を増やそうとする動く石像ですよ!」

 

「あーあるある、あるよね、そーゆー帰ってこない先輩冒険者」

 

『18F』

「あ、アーックデーモンですよ!弱点はケツア…」

 

「見りゃわかるよ!っーかデケぇなオイ!」

 

『26F』

「あ、モンスター・ハウスですよ!トランス・ヒューマニズムの手術により幻獣(モンスター)として甦った四大●獣(モン●ター・フォー)が揃い踏みですよォ!!」

 

「ナニが四大●獣(モン●ター・フォー)だ、ヒエラルキー最下層の人間にたった5秒で殲滅させられる最低のポンコツチームだろーが」

 

『27F』

「ようやく“し しあわせェ…の箱”を手に入れたのにドラ・ゴンの群れに囲まれてしまうとは…」

 

「なんでドラゴンはガチのヤツなんだよ!エロトラップ・ダンジョンに居ちゃいけねー類じゃねーかよ!」

 

「クッ、まさかこんなコトになるとは……あ、リレ●トの巻物拾っちゃいました」

 

「なんだと?」

 

「しかし“し しあわせェ…の箱”を持っているとリレ●トの巻物は不思議な力で効果がかき消されてしまうのです」

 

「よし、その巻物を貸せ」

 

「どうぞ」

 

「じゃあな!」ニコリス…

 

「え?ちょ、ま、待って!」

 

 

後日、力尽きたらしい夕張がダンジョンの入り口に無惨な姿で叩き出されているところを発見された



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提督と秋雲と婚約破棄

世間は大型連休に突入!雨やけど!

【登場人物】

提督(メガネ)
メガネ踏んだら曲がった

秋雲(非メガネ)
原稿にコーヒー吹いた


夏も近づく八十八夜、そんなセンチメンタルなコトを考えつつ執務室でオートメ●ニックのページをめくっていると、執務室の重厚な扉を勢いよく開けてやって来たのは陽炎型でありながら夕雲型にも片足を突っ込んでいるせいでそもそもどちらの姉妹なのか、陽炎も夕雲もわかっていない記憶の中でふわふわした駆逐艦、秋雲…!

 

海軍所属の軍人でありながらも駆逐艦である自分を良しとせず、常に、軍なんてヤ●ザみたいな仕事から早く足を洗ってプロの少年漫画家としてやっていきたいと考えているアツい心とアツい筆を持つ少年漫画家志望である

 

「テイトク、秋雲さん、婚約破棄しようと思うんすけど」

 

「ケッコンしたのか…?俺以外のヤツと…」

 

「いやいや、秋雲さんはフツーにミコンっすよ」

 

「じゃなんだよ?婚約破棄って、九十番台か?」

 

「それは詠唱破棄っす」

 

婚約破棄…ッッッ!!

それは、昨今大人気ジャンルとして確立しつつあるファンタジー・スタイルである!

主人公は物語開始からイケメン王子から2ページ目にはインネンをつけられ婚約を破棄されると言ういきなり破滅から始まるジャンルであり、破滅かと思いきやなんやかんやあってザマァ!な展開が目白押しなのが人気らしい…

 

「たまには流行りもんでも描いて小遣い稼ぎでもしようと考えたんすよ」

 

「ナニが小遣い稼ぎだ、漫画ナメてんのかコノヤロー」

 

この秋雲、ハッキリ言って絵は上手い、メチャシコなドエロい絵からキャッチーなイラストまで用途によって描き分けられる高い技術を持ってはいるが、本人は本宮ひ●し先生を敬愛しており、本宮ひ●し先生のようなアツい少年漫画を描いて憧れの少年ジャ●プで連載したいと心の底から思っている

ただ、めっちゃエロい絵が描けるのでワ●マガジンとかコミックアンリ●ルとかに持ち込んだ方が普通に売れるだろう…

 

「で?なんで婚約破棄なんだ?」

 

「山田ゼレフのコミカライズ頼まれたんすよ」

 

「山田ゼレフ先生の?」

 

ラノベ界史上、最も凶悪だったと言われている黒ラノベ作家、山田ゼレフ先生

その作風はハードコア・エロスを得意とし、暴力!セックス!ドラッグ!花とか夢とかまるで無い切れ味抜群のティーンズ向けラノベを多数刊行している新進気鋭の若手作家である

あの、プライド高くてア●ルが弱そうなキンパツ美少女のパースちゃんも山田ゼレフ先生の作品を愛読しており、山田ゼレフ先生の新作を早く読みたいが為にニホン語を勉強しているほどだ…

 

「なんか山田ゼレフのヤローも一応売れるからって出版社さんから婚約破棄書かされたらしいんすよ」

 

「ラノベ屋ってのも大変だな」

 

「で、気乗りはしないけど書いてみたら案外売れたらしく、ここで1つコミカライズでもってハナシになったらしくて、山田ゼレフのヤローがそれなら良い人いますよって出版社さんとハナシになって秋雲さんに描かないかって…」

 

「ふ〜ん、そうか」

 

山田ゼレフ先生も大変だな、前に天霧クンに聞いた話だが山田ゼレフ先生こと狭霧クンも本当はめっちゃ糖度の高いピュア・ラブ・ストーリーを書いて世の若者たちをキュン死させたいとか言ってるらしいが、いかんせん彼女にはそっちの才能が無いらしく、ピュア・ラブを書こうとするとすぐに酒!女!暴力!レ●プ!とかになるそうな

 

「まぁそんなワケでテイトク、婚約破棄してくれねーっすか?」

 

「やだよ、っーか俺は婚約などしていない」

 

「いいっすかテイトク、秋雲さんはどんな作品でも描く以上はリアリティを求めるんすよ、リアリティ、これが重要なんすよ、リアリティこそが作品に生命を吹き込むエネルギーでありリアリティこそがエンターテイメントなんすよ、マンガは自分で見た事や体験した事、感動した事を描いておもしろくなるんすよ」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレてるのか…?

 

「だから秋雲さんはリアリティを得る為に婚約破棄をしなくちゃあならない」

 

そして、その相手は誰でもいいってワケじゃあない!身近ですぐに婚約できて手軽に破棄できる人材………つまり!テイトクが相応しい!!と秋雲はテーブルを叩いた!

 

「オイオイオイオイオイオイオーイ?秋雲よ、俺はこの美しい海上の愛と平和を守る為に日々深海棲艦と戦う海軍の将校なんだぜ?田舎とは言え地方の基地を預かる責任ある立場なんだ、しかも!駆逐艦と婚約だぁ?俺の社会的立場を考えたらロリ●ンのレッテルを貼られちまうのは想像に難くない!」

 

「“どエロいの”描きます」

 

「だから気に入った」ドン!

 

リアリティの為だもんな!そう、リアリティ!まずは自分で婚約破棄してみなくちゃ婚約破棄される気持ちは理解できない!

 

「よし、じゃとりあえず婚約っすか、どうすればいい?」

 

「いや、秋雲さんも知らないっすよ」

 

「マジかよオマエ、婚約破棄ナメてんのか?」

 

「まぁ、よくワカんねーっすけど、とりあえず役場とかに行くんすかね?」

 

グゥゥゥム、そもそも婚約とは何か?俺たちは婚約破棄の前に婚約と言うもの自体をよく知らないのだ、婚約とは何か…?祝福?祝福が必要なのか?

 

「テイトク、とりあえず腹減ったんでマミー屋行かねーっすか?マミー屋」

 

「マミー屋か…」

 

「今日なんかガッツリしたモン食いたい気分なんすよ、カラアゲみてぇーな」

 

「カラアゲか、いいな!よし!行くか!!」

 

こうして、俺たちは胃に対してガッツリとした攻めを行うべくマミー屋へと向かった…

 

◆◆◆

 

甘いもんも辛いもんも扱う本格派スイーツショップ、マミー屋…

本格派スイーツショップと銘打っているものの、普通に定食メニューもあり、ワンパクな空母達にも足りないとは言わせないグルメ大衆食堂でもある…

 

「…………はぁ」

 

そんな本格派スイーツショップの窓際席に座り、ため息を吐きつつイチゴのショート・ケーキにフォークを刺していたのは、見た目薄幸な美少女でありながら内面はわりとドス黒いと姉妹からディスられることのある見た目薄幸の美少女、狭霧

 

史上最悪の黒ラノベ作家と推されている山田ゼレフ先生その人である

 

「………はぁ、面白いの?コレ?」

 

自分で書いていて常々思う事だが、自分が書いている作品は本当に面白いのだろうか?と考えてしまう、いや、そもそも自分が本当に書きたいものはもっと明るく、キラキラして、読んだ人がハッピーになれるものが書きたいのだ

 

しかし皮肉にも彼女にその才能は無く、その逆、ダークな雰囲気、ギラギラした人間関係、悪い意味でハッピーハッピーやんケな作品を書く才能はあった

 

「あ、山田ゼレフじゃねーすか?」

 

「…はぁ?あぁ、秋雲さんと……提督」

 

そんな悩める狭霧のいるテーブルに、コーヒーとケーキっぽいものを持った秋雲と提督がやって来た

 

「なんすかなんすか?一丁前にため息とか、アレっすか?次は誰を殺すか考えてるんすか?」

 

「そんなコト考えてないですよ」

 

「アンドレイ殺さねーっすか?アンドレイ、あいつヤなキャラっしょ?」

 

「あぁ…そのうち殺しますよ」

 

そう言えば、秋雲に自分のクソラノベのコミカライズやらないかって頼んだっけか……そんなコトをぼんやりと考えつつ狭霧はケーキを一口食べた

 

「秋雲さんと提督はデートですか?」

 

「違うっすよ」

 

「今日コイツと婚約破棄しよーと思ってな」

 

「……………え?ケッコンしたんですか?私以外の駆逐艦と…?」

 

ナニ言ってんだこの提督、イカレているのか?と思ったが、よくよく考えたら自分はこのおっさんのコトに対して特に好意は持っていなかったので言ってみてから狭霧は苦笑した

 

「カッカッカ、小粋なゼレフ・ジョークってやつだな」

 

「ちょ、あまり外でその名前は呼ばないでくださいよ、一応秘密にしてるので…」

 

「あぁ、すまんすまん」

 

「そういやこないだキンパツ美少女のガイジンさんが山田ゼレフの新作はいつ出るのかしら!ってグイグイきたんすけど」

 

「さぁ…?今のペースだと再来月には……ですかね?」

 

「マジグイグイくるんすよ、なんなんすかあのガイジン、テイトク、あのキンパツ美少女なんなんすか?」

 

「キンパツ美少女のパースちゃんだ、それ以上でもそれ以下でもないのだよ」



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絶対防衛線!「小笠原兵団」救援【ダイジェスト版】

世間的には大型連休最終日、雨が降ってましてよ

【登場人物】

提督(めんどくさくない)
メガネ男子、料理スキルは低い

五月雨(めんどくさくない)
髪長い系秘書艦、料理スキルはやや低い
むしろ姉妹全体を見ても料理スキルはわり低いキセキの姉妹


いきなりこちらの心をペッキリとヘシ折るレヴェルで猛威を振るう南西諸島・沖縄諸島戦を抜け、遂にたどり着いた決戦の地、硫黄島!

 

『ヤ…ヤメロ…サウスダコタ!コンナ事ヲ…!フーミンヲ止メロ!!サウスダコタッ!コンナ事ヲサセルナァーーーッ!』

 

「おまえは“運命”に負けたんだ!“正義の道”を歩む事こそ“運命”なんだ!」

 

『ヤメロォオオオオ知ッタ風ナ口ヲキテイルジャアナイゾオオオオオオ!コノチッポケナ艦娘ガアアアアアア!』

 

グシャアッ!!!

 

◆◆◆

 

「いやぁ~ハッハッハ、今回もナイス・ゲームだったじゃあないかね、ハッハッハ」

 

「そうですね」

 

「ハッハッハ、私もこの基地のオーナーだからね、チームの勝利は喜ぶさ、ハッハッハ」

 

今回の作戦海域は序盤から白熱の好ゲームが目白押し、編成を整える→拝む→祈る→退却と言う一連の流れを繰り返し、謎のヌ級に殺意を覚えた…

 

ってかなんだよあのヌ級、無敵!完全なる無敵!ヤツを倒す方法はない!もう人間でも艦娘でもあのヌ級は殺せない!ヤツは不死身の超軽母になったんだぁーッ!と恐怖に震えちまったがね

 

「あ、そうそう、そう言えばコロラドさんがテイトクに話があるって言ってましたよ」

 

「コロちゃんが?」

 

「はい、なんか怒り狂って寮の壁に蹴り入れてたら足を骨折したから訴えると…」

 

「アメリカン訴訟スタイルかっ!」

 

五月雨曰く、同郷のMAJORリーガー達は毎日のように今日は深海何匹殺っただの打率も打点も上乗せだぜHAHAHAとcoke飲みながら楽しくおしゃべりしているのに何故か自分は今日の出撃リストに名前がなく毎日毎日部屋でメソメソしていた分の慰謝料もふんだくってやるわ!覚悟するコトね!とドヤ顔して去って行く際に扉に足の小指を強打しメソメソしながら去って行ったそうな

 

「いちいちかわいいな、コロちゃんは」

 

「そうですね、ああゆーちょっぴりヌケている感が自然にできるのも才能じゃないですか?」

 

「まぁいい、コロちゃんには夜に提督の部屋に来なさいと伝えておきたまえ、モチロン、下着は着けずにねと」

 

「普通にイヤですよ」

 

◆◆◆

 

執務室で真面目に仕事に取り組んで早3時間弱、そろそろお腹がペコちゃんだなと感じ、同じく自分の机で粉飾決算のツケを埋め合わせる書類仕事をしていた秘書艦髪の長いヤツに声をかけた

 

「ランチはどうするかね?ランチは?」

 

「特にナニも考えてないですね」

 

「お弁当とかないのかねキミぃ?」

 

「ないですよ、なんなんですか?セクハラですか?」

 

「なんで弁当持ってるか聞いただけでセクハラなんだよっ!」

 

しかしセクハラだパワハラだと叫ばれる昨今、どんな発言がハラスメントになるのかを悩む大人は多い

正直、どいつもこいつもボイス・レコーダー持ってるんじゃあないのか?あーっ?と疑いたくなるのだよ

 

「オマエ、昔は弁当とか作ったりしてなかったか?」

 

「昔………?嗚呼、ありましたね、そんな時代も」

 

まだ俺らがこの基地に来たばかりの頃、人手もなければ金もなく、節約の為に毎日弁当とか作ってたんだよなぁ~

 

「由良さんはシャケが好きだったっけな」

 

「イクラじゃなかったですか?」

 

「そうだったか?」

 

「たぶん」

 

最初の頃は俺とサミー子と由良さんのかわりばんこで弁当係をして弁当を作っていたが、由良さんは早々に弁当係から追放され、その後、俺の弁当をマンネリとかディスったサミー子とケンカしてどちらからともなく作らなくなったっけか…

 

まぁ、その頃にはビッグママが居たからってのもあるが…

 

「そういや知ってるかオイ、基地運営が健全な提督ってのは秘書艦が朝昼夕と食事を用意してくれるらしいぞ」

 

「そうらしいですね、まぁ、基地運営が健全な提督(イケメン)に限るらしいですけど」

 

「こやつめ言いおるわい!カッカッカ!こやつめ!カッカッカ!」

 

「なんなんですか今日は?めんどくさい日なんですか?」

 

「誰がめんどくさいカノジョだ、俺はめんどくさくない」

 

「いや、結構めんどくさいですよ、提督はロリ●ンかホ●じゃないかってニューヤーク基地の連中はみんな知ってますよ」

 

「俺はロリ●ンでもホ●でもない、その噂流してるやつどいつだ?俺が直々にこの手で貫通腹パンしてやる」

 

その後エリ●サーをBUKKAKEて治療した後、もう1回貫通腹パンしてエリ●サーで癒してやる

 

「まぁ、提督がロリ●ンでもホ●でも男もイケるジェンダーレスでもいいですが、とりあえずお昼はどうするんですか?マミー屋行きます?マミー屋」

 

「俺はロリ●ンでもホ●でも男もイケるジェンダーレスでもない、マミー屋かぁ~………なんか今日はマミー屋の気分じゃねぇな」

 

「では基地の外にあるうどん屋行きますか?」

 

「うどん屋か、ふむ………卿の意見を是とする」

 

◇◇◇

 

主に海外艦が住んでいるインターナショナル寮…

 

「Mary、レーゾーコに入ってた私のMILK知らない?」

 

「ハァ?知らないわ」

 

インターナショナル寮の一室、MAJOR出身であり、世界政府から問題児の烙印を押された7人の超弩級戦艦、コロラドとメリーランド…

 

普段からあまり仲の良くない姉妹と見られがちだがそれもこれも長女がややポンコツなのを妹が憂いている半面、お姉ちゃんは本当はスゴいんだぞ!と想う複雑さが姉妹の仲を険悪にしていた…

 

「マイッタわね、あのMILKがないとプロテインが飲めないわ」

 

「別にMILKで割らなくてもいいでしょ…」

 

「ダメよ!ムツーから聞いたのよ、ナガートは毎日プロテインのMILK割りを飲んでいるから腹筋バキバキなのよ(笑)って!」

 

「いや、バカにされてるでしょ!(笑)ってナニよ!(笑)って!」

 

お姉ちゃんは本当はもっとデキる子、まだメリーランドと下の妹がkindergartenに通ってたあの頃は姉もまだ頼りになったし2人はお姉ちゃんが大好きな仲良し3姉妹だった………

 

そう、あの事件が起きるまでは………

 

「マァいいわ、Mary、MILK買ってきて」

 

「自分で行きなさいよクソ姉貴」

 

「ハ、ハァーッ!?」





次回は新人面接回
新外国人タスカルーサ(外野手)あらわる


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続続続続続続続続続続続続続続続続続続・提督と新人と

イベントは二週間前に終わったのに今更新人面接会
今回は助っ人外人枠より国産が多い

【登場人物】

提督(メガネ男子)
五月病?毎月病の間違いでしょ…?
温泉に行きたいと考え、トラベル雑誌を読むのが最近の趣味


大型連休週間も明け、雨空も明け、今日はナイス・デイな気がする五月の日

 

本日は海域作戦後にある恒例行事、春の新人面接なのでクリーニング済みのビッ!とした制服で執務室に来たワケだが…

 

「提督、靴が安全靴ですよ」

 

「別にいいだろ靴なんか、どうせ誰も見やしねぇっての」

 

そんなどうでもいいトークをしつつ迎える本日の新人面接6連戦、この長丁場に対し、無駄球を可能な限り減らし出来る限り終盤までスタミナが温存出来るかが一流の海軍将校…!

 

まずは1人目…

 

「ごきげんよう、初春型の夕暮と申します」

 

やって来たのはゴキゲンな駆逐艦……いや?ごきげんよう?え…?ナニ?ゴキゲンなの?

 

「あ、そうそう、有明型の二番艦と言う殿方も居ますわ」

 

そう言ってエレガンテに笑う少女、一目でワカる、俺の直感が、本能が警告げている、コイツは………手強いッッ!!

 

コイツ、あまりにも自然に“ごきげよう”を使い慣らしてやがる…っ!“ごきげよう”はエレガントークにおける必須スキルであり駆逐艦レヴェルでは習得は難しく、かつて暁ちゃんが無理して使おうとしてその威力に振り回された過去すらある、つまり並の駆逐艦程度には使いこなせない上級呪文と言っていい

 

俺が知る限り、駆逐艦でありがなら“ごきげんよう”を使いこなせるのは神風クンの妹の春風クンぐらいだろう…

 

しかしこの夕暮と言ったか…?春風クンと同等……いや、近い水準で苦もなく使いこなしている

 

「…俺がこの基地を預かる提督様だ、貴様を歓迎しよう」

 

「お世話になります」

 

「…えー、なんだ?夕暮クンは?えー…?初春様の妹ってコトだが」

 

「はい、わたくしの姉です」

 

あの初春様の妹か………っーか初春様の妹ってなにげにあんま似てないんだよな、初霜とか若葉とかは暁ちゃんの親戚なツラしてるし、あと、あの変なの、なんだっけか?なんかグッドルッキングボーイみてぇな…

 

「サミー子、アイツの名前なんだっけ?」

 

「アイツでわかるワケないでしょ」

 

「アイツだよアイツ、ほら、白露ねーちゃんのファンボーイみたいな…」

 

「あぁ、有明さんですか」

 

「あぁ、それそれ、有明」

 

そういやこの子、有明型と言ってたな、よく見たらあのグッドルッキングボーイに制服とか似てる気もするし、駆逐艦にしては発育がいい

 

「ちなみに夕暮さんは有明さんのガチ妹で有明さんに対して末期のシスコンです」

 

末期のシスコンってなんだよ、末期のシスコンって…

え?ナニこの子、お姉ちゃん大好きっ子なの?

まぁ、お姉ちゃん大好きっ子ぐれーそこまで珍しいワケでもないが…

 

「夕暮さんは昔から有明さんが好きすぎてウチの長女を有明さんを誑かし堕落させた魔女として心底嫌ってます」

 

「へぇ…」

 

「しかも、あの基本的には逆らう者にはトリプルスコアで容赦なく心を折る時雨様に“厄介だな”と言わしめたコトもあります」

 

…そいつはヤバいな、あの時雨様に厄介と言わせるとは…

 

あの有明ボーイには感じられなかった初春様のDNAがこんなところで開花していたのか…

とりあえずこの危険な子の取り扱いは気をつけた方がいいだろう

 

「ま、まぁ、ウチには有明クンだけでなく他の姉妹もいるし、ファームからゆっくりスタートしてくれたまえ」

 

「ハイ」

 

ーーー

 

戦慄の初春姉妹最後の1人との面接を終え、次に迎えるのは最早毎回恒例と言っていいMAJORからの電撃移籍!

…と言うか、既にウチの助っ人外国人枠はその大半がMAJORと言っていいだろう

 

「Fletcher級駆逐艦、Heywood L. Edwardsです」

 

「うむ、俺がこの基地の提督である」

 

やって来たのはフレッチャー級を自称するメガネ・ガール、ふぅんなるほど、なかなかC-uteじゃないの?

 

「えーっと……なんだっけ?ヘイ……ヘイ、ヘイ」

 

「Heywoodです」

 

「あぁそうそう、ヘイウッドくん」

 

基本的に過剰な自信に裏打ちされたMAJORの実力派は口もデカけりゃ態度もデカい、しかしこのヘイウッドくんはなんかアレだな、なんかおとなしそうな子だ

やはりメガネガールなだけに理知的なんだろうか?

 

「キミはたしかアレか、フレッチャーくんの妹にあたるのかな?」

 

「そうですね、一応」

 

ヘイウッドくん曰く、一応と付くのも、フレッチャーくんとは生まれも育ちも違うのでわりと疎遠らしく、妹と言うよりは親戚みたいな認識らしい

 

「まぁ、ウチは会ったコトない姉妹が多いですから」

 

さすがはMAJORだ、島国とは色々な意味でスケールが違うな

 

そしてこのヘイウッドくんもまだまだ成長期でありながらジャパンのバカガキどもとはレヴェルが違うものを持っている、きっと将来はいい挟み具合になるだろう…

 

「たしかこの基地にはJohnstonもいるんですよね?」

 

「いるよ、ジョンくんとは仲が良いのかね?」

 

「あの子は苦手です、私のマンガにcrackerのカスをボロボロこぼすし、あと、謝らないし」

 

ジョンくんェ………

 

ーーー

 

MAJOR期待のメガネガールに後でみんなで食べなさいとシル●ーヌ(お徳用)の袋を持たせ無事に面接終了し、迎える3人目、今回は6人の予定だが、なんと6人中4人がジャパニーズと昨今珍しいジャパニーズ多め配属…!

だってほら、ウチはニホンだからね、そもそも新人がガイジンだらけってのがおかしいんだよ

 

「日本陸軍特種船!!揚陸母艦!!!熊野丸だ!!貴様が提督か!!」

 

「俺が提督だ!!」

 

「そうか!!ふぅん、成程……そうか!!貴官の指揮下に入ろう!!!よろしいか!!!」

 

声デケぇなコイツ、名門ラグビー部かよ…

ってかなんだって?陸軍特種船って言ったかコイツ?

 

「よくってよ!!」

 

「そうか!!ならよろしく頼む!!!」

 

まるでナイスガッツ体育会系運動部のようにアツいやりとりをかわし、とりあえず秘書艦サミー子に彼女に麦茶を出してあげなさいと指示を出し、フーッと一息ついてみた……

 

いや、めんどくせぇな………コイツ

 

なんだっけか?陸軍?陸軍って言ったらアレだべ?死んだ魚みたいな目をした暗殺専門のスペシャリスト育成及び運営の闇ギルドみたいなアレだべ?あきつ丸クンとか神州丸クンみたいなのを寄越すタチの悪いトコだよ

 

「っーか、キミ、熊野丸って言ったか?」

 

「そうだ!!陸軍特種船M丙型揚陸艦!!熊野丸である!!」

 

「エセお嬢の熊野の親戚かナニかかね?」

 

「知らん!!!誰だそれは!!」

 

まぁ、親戚には見えないか……名前が似てる他人なんてよく居るしな、丸があるかないかなんてのは些細な違いなのだよ

 

「あ、そうそう!!提督にはまずコレを渡すべきと先任殿から言付かっていたのだったな…」

 

そう言って熊野丸クンはポケットをまさぐると、コルト・ガバメントみたいなピストンを取り出し、躊躇うことなく俺に向けて発砲した

 

パン!!パン!!パン!!(発砲)

 

「はおっ!!」

 

計三発発射された銃弾だったが、銃口を向けられた時点で既に回避行動をとっていた俺には当たらず、俺の背後にあるガラス窓をブチ抜いた

 

「な………ナニすんじゃテメー!!カチコミかァ!!」

 

「おお!!やはり避けたか、先任殿の言った通りだな!!!」

 

「先任殿先任殿って、ダレの指示じゃコラァ!!」

 

「あきつ丸先任だ!!!」

 

「あきつ丸か!!」

 

熊野丸クン曰く、先任であるあきつ丸から提督殿へのアイサツはまずは銃弾をブチ込むのが礼儀でありますよ(笑)と説明を受けていたらしい

あのヤロウ、後で野球やろっか?と裏に呼び出して164キロでピッチングマシン叩きこんでやる…

 

---

 

陸軍と言う名の暗殺ギルドからの刺客を退け、新人面接もついに後半戦、とりあえずトイレに行って尿を出してから改めて執務室へ戻ってきたワケだが、最近やはり尿のキレが悪いな、やはりハル●ケアが必要だろうか…

 

「御蔵型海防艦四番艦、能美と申します、よろしくお願いします」

 

「うむ、俺が提督だ」

 

後半戦最初は海防艦のガキか…

まぁ、海防艦ね、まぁいいんじゃない?今更珍しいモンでもないし、うん

 

「えー…能美クンは御蔵型と言うコトで?」

 

「ハイ、御蔵は姉です」

 

なるほど、基本的にはバカガキの多い海防艦のキッズだが、御蔵チャソの姉妹は姉に倣って真面目で礼儀正しい子が多い

この子も、まぁ、真面目で礼儀正しいタイプなのだろう、うんうん、こーゆー良い子には好感が持てる

 

「サミー子、彼女にオレンジジュースを、あと菓子棚にクッキーがあるから出してあげなさい」

 

「はぁ?」

 

秘書艦サミー子は菓子とオレンジジュースを用意しつつ小声でロ●コンが…と俺をディスったのは俺じゃなきゃ聞き逃しちゃうね

 

「まぁ、能美クンはファームからスタートになるが安心したまえ、ウチではどんなカスでも一流のマシーンに育てあげる安心安全のカリキュラムがあるからね」

 

「そうですか」

 

しかし海防艦か…いつの間にやら増えたもんだな、毎度毎度、新人が来るって度にノルマのように配属され、今や海防艦だけでヤキュウの試合ができるレヴェルだ

 

「…そういやサミー子」

 

「なんですか?」

 

「ほら、前にお腹痛いだの膝を故障しただので配属を見送っている子ってのはどうなったんだ?実は俺が知らんだけでしれっと居るとか?」

 

「ああ、いましたね、そんな人が………え~………昭南さんって名前ですね、たしか」

 

「そう、そいつ」

 

「昭南さんならまだ来てませんよ、テニスの試合で肘を壊してドイツで肘の手術中らしいです」

 

「なんだそいつ?やる気あんのか!?」

 

「さぁ?」

 

---

 

すでに2年程前に配属の話がいってるハズなのに未だにその姿を見せない謎多き海防艦、ショーナンくんはさておき、新人面接もついに5人目

3番4番と続くクリンナップの最後に迎えるのはMAJORから来た新外国人

 

「USS Tuscaloosa、New Orleans classの四番艦、よろしく」

 

「タス?タスカ……Tuscaloosa?」

 

「そう、と言うか、急に流暢になるのね…」

 

本日2度目のMAJORの電撃移籍、重巡のタスカルーサくん、見ての通り、キンパツで美女でボインちゃんだ

フッ、俺はボインちゃんが好きでな

 

「タスカルーサくんは重巡と言うコトで~……え~…に

アレか?ヒューストンくんとまぁまぁ互角と考えていいのかね?」

 

「まぁまぁ互角って言い方は気に入らないケド……まぁ、そんなトコね」

 

まぁまぁ互角と言ってはみたが、その立ち居振舞いから滲み出るエロさではヒューストンくんが上と言っていいだろう、ハッキリ言って彼女とおしゃべりしているとムラムラしてくるが、このタスカルーサくんはあんまムラムラしそうにない

 

「…貴方、ちょっと失礼なコト考えてない?」

 

「NO、カンガエテナイ」

 

そして勘もいい

 

「まぁいいわ、同じClassで先任もいるし、配属前に前もって色々聞いてきたから」

 

「ほぉ、たとえばどんな?」

 

「キヌガサが敵でなく味方であったコトに神に感謝しなければならないってね」

 

「そうかね」

 

衣笠さんの44ソニックを打ち崩せる打者はMAJORをもってしても難しく、キヌガサ攻略はある意味、この基地へ来るMAJORの合言葉と言えるそうだ

 

「ま、あたしが来た以上!チームのエースの座は頂くけどね!」

 

「なるほど、大した自信なのだよ」

 

「こー見えても入隊前はマイナーの3Aで4番を打ってたからね、100マイルなんか見慣れたものよ」

 

「そうかね、まぁキミはとりあえずファームからスタートして貰うとして、衣笠クンには後でアイサツに行くといい」

 

「アイサツ?あっちから来るんじゃないの?」

 

「来ねぇよ、あと衣笠クンめっちゃ礼儀に厳しいからな、グラウンドにガム吐いたりするとメタクソに殴られるから気をつけるように」

 

---

 

3Aからの刺客、タスカルーサくんとの面接を終え、いよいよ面接も最終戦、最後に迎えるのは本日2人目の闇ギ……陸軍からの刺客!!

 

「第百一号型輸送艦………えっと、そうだ!二等輸送艦の方がわかりやすいですよね!一番艦、第百一号輸送艦です!気さくに、ももちで構いません」

 

「はぁ…?百道?」

 

「ももちです」

 

ももちを名乗る陸軍からの新たなる刺客………

いや、ナニこの子?今までの陸軍からの刺客とは随分と毛色が違うじゃないの?

妙に馴れ馴れしいと言うか、フレンドリーと言うか…

 

「百道くんはナニかね?輸送艦的なアレかね?大発とか積んじゃう系の?」

 

「そんな感じです、あ、ちなみに私専用マシンのチハがあります」

 

「はぁ…?」

 

そう言って百道くんが取り出したのはゴキゲンなディティールをしたスケール・ モデル、九七式中戦車(チハ)

今までも陸戦マシンは何台かあったが初めてみるタイプのマシンだな…

 

目に見えてカスタマイズされていないが、そのフォルムは対陸戦に特化されたピュア・スポーツマシン…

 

「なるほど、いいマシンだ」

 

「ですよね!私専用なんです!」

 

百道くん曰く、これより上のカスタム・モデルもあるらしいが、陸軍の上司に言っても買ってくれなかったらしい

 

「テストで80点以上とったら買ってくれるって話だったんですけど、普通に40点しか取れませんでした、難しくて!」

 

「そうかね…」

 

嗚呼そうか、この子、たぶんアホなんだな…

 

「ちなみに百道くんは陸軍のパイセンどもとは仲が良いほうかね?」

 

「う~ん………どうなんですかね?あきつ丸パイセンには前に塩アイス奢ってもらったコトありますけど」

 

「ほぉ」

 

「その後、あきつ丸パイセンが万引きした罪を私が被せられてお店の人にケツバットされました」

 

サイアクだよアイツ、ナニ考えてんだあのヤロウ!

 

「神州丸パイセンは普段からナニ考えてるかわからないですがわりと良い人だと思います、ガムくれたんで」

 

「そうかね」

 



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提督と鈴谷と地域会合

コーティングと新ホイールでゴキゲンですわ!

【登場人物】

提督(ツーシーター)
佐世保は暇ならドライブがてら行こうかなと記憶の中でふわふわした考え中

鈴谷(すずや)
自称メインヒロイン、好きな対空技は鬼焼き



「ティーッス、誰もが羨むメインヒロインの鈴谷様が遊びに来まし……ってアレ?テイトク、なんで服着てんの?」

 

「まるで俺が普段から服を着てないような誤解を招く発言はやめたまえ、膝の皿叩き割るぞ」

 

「へいへい」

 

五月の晴れやかな気分の日、無礼にもNOノックで執務室の重厚な扉を勢いよく開いた鈴谷はわかったようでまるでわかっていない返事特有のやる気なさげな返事をしてきたので俺は執務机の引き出しにしまっていた拳銃を取り出し、鈴谷のどてっ腹に向けて発砲した

 

どんっ!!(44口径)

 

「あぶなっ!!」

 

「チッ、外したか…」

 

「危なすぎるわっ!!なんなの!?今、鈴谷を躊躇いなく撃った?え…?ナニ?撃ったの?鈴谷を!?」

 

「やはり銃は性に合わんなぁ〜…ハッハッハッハ」

 

「いやいやいや!!ハッハッハッハじゃねーし!!フツーに殺す気か!!」

 

「…………殺意は無かった、と、言ったらどうするね?」

 

「や、普通に殺意の塊じゃん、44口径を人に向けて殺意無かったとかド刑事でもムリじゃん、コレもしかして鈴谷が海軍の然るべきところに通報したらテイトクは破滅するんじゃね?」

 

こやつめ知った風な口を利きおるわい、だが鈴谷よ、わかっているのか?ド刑事でもムリじゃんと言うコトはそれは同時に外道に人権はねぇ〜と言うコトが…

 

「バカめ、それだけ得意げにペラペラ喋って俺が生かして帰すとでも思っているのか?キサマに残された選択肢は俺と真のデュ●マで勝負するか全裸で土下座をするかだ」

 

 

「や、どっちもやだし、っーか鈴谷デュ●マ知らねーし」

 

「大丈夫だ、俺もよく知らん」

 

「知らねーのかよッ!!」

 

ーーー

 

「ってか今日サミー子は?休み?」

 

「休みだ、見たい番組でもあるんじゃないのか?」

 

神聖なる執務室の冷蔵庫を我が家のように勝手に開け、中に入っていたカル●スウォーターのペットボトルを取り出しグラスに注いでイッキに呷った

 

「で?何の用だ?ご覧の通り、俺は忙しい」

 

「ナニがご覧の通りじゃん、ってかなんで真面目にセーフク着てんの?ウケる」

 

真面目なセーフクの着こなしとはなんぞや……?スカートは膝丈2センチでブラウスの第2ボタンまで留めないとかそんな感じであろうか?

 

「今日は街の商工会議所とか役場とか行くんでな、執務室誰もいねーからって好き勝手すんなよ、じゃあな」

 

「じゃあな、じゃねーし!ナニ?アイサツ回り行くの?鈴谷も行っていい?」

 

「いいワケねーだろ、今日は真面目な会合なのだよ」

 

「ハッ?どうせ豚尻孕臓議員(49)とかアブラのノったオッサンと、いやぁ~私最近95を切りましたよ、今度一緒にどうですか?ガッハッハ!とか酒飲んで話するだけじゃん」

 

「失礼なコト抜かすな売女が」

 

「売女じゃねーし、ってかビッチより辛辣くね?」

 

「辛辣じゃない、提督だ」

 

鈴谷は再びカル●スウォーターをグラスに注ぎ口に含んだの見た俺は魔のテイトク・クローで鈴谷の頬を掴むと鈴谷はカル●スウォーターを勢いよく噴き出した

 

「ブゥー!!!」

 

「オイオイ汚ねぇじゃねぇか、ちゃんと床舐めて掃除しとけよ、テメェの舌でキレイにな」

 

「やだし」

 

「やれやれ、相変わらず生イキ!な子だわね、この子は…」

 

「生イキじゃねーし、鈴谷素直で良い子だし」

 

「バカ言ってるんじゃないよこの子は、いいか?良い子のとこには毎年クリスマスにサンタさんが来るんだぞ、お前のとこサンタさん来るか?来ねぇだろ?つまりそーゆーコトなのだよ、わかったらこの銃で自害したまえ」

 

「誰がするかバーカ、お前が自害しろ」

 

仮にも上司に向かってなんて口きくのかねこの子は、親の顔が見てみたいものね

 

「まぁいい、俺もお前に付き合っているほど暇人じゃねぇんでな、アバヨ」

 

アバヨとクールかつ颯爽とその場を去ろうとした俺だったが、かわしたハズの鈴谷は強烈なターンオーバーから再び俺の前に立ちはだかった

 

「鈴谷も一緒に連れてってって言ってんじゃん」

 

「イヤだと言っている」

 

「………平行線か!」

 

「平行線だな」

 

平行線ならばどちらかが折れるしかあるまい、物理的に

俺は即座に鈴谷に掴みかかるべく両手をあげて襲いかかるが、鈴谷は俺と手を合わせるコトなく体勢をスライドさせた

 

「ほぉ…!俺とのパワー比べには自信が無いと見える!」

 

「ハッ!テイトクとパワー比べなんかするだけムダじゃん!」

 

鈴谷は鋭いミドルで俺の脇腹にダメージを与え、即座に射程外へと間合いを取った

 

「ほぉ…!随分と消極的なファイトをするようになったな」

 

「賢くなったって言えし、鈴谷褒められて伸びる子なんですぅー」

 

なるほど、どうやら褒められる勉強法を身につけたらしい、誰がこのアホを褒めてるのかは知らんが…

 

「アレか?動画配信とかそんなの始めたのか?それともサークルの姫にでもなったのか?」

 

「そんなのヤってねーし、鈴谷は自分で自分を褒めてるじゃん」

 

「マジかよオマエ」

 

しかし自分で自分を褒めると言うのはそう悪いコトではない、自分を信じる、自分が信じる自分自身を信じる、ある種究極的な自己肯定感は自己暗示の理想とも言える

 

もともと、この鈴谷は超絶ポジティブ精神の持ち主…

 

自分がメイン・ヒロインであることに対し、夢はいつかきっと必ず叶う!とポジティブな目で言える暗黒の太陽だ

 

「………まぁいい、これ以上お前に足止めされて大事な大事な会合を遅刻してもかなわん、お前の同行を許可する」

 

「マジで?やったぁ!!その変な集まり終わったら帰りに映画見てカレー食おーぜ」

 

「変な集まりとかゆーな、おデート気分か!」

 

「ハァ?おデート気分とかじゃねーし!」

 

「ま、お前と歩いてたらおデート様気分どころか援交の疑いでポリスからお声がかかるわな」

 

「ならねーし!」

 

まぁ、同行するのが鈴谷ではなくフレッチャーくんなら、帰りに映画見てディナーしてのおデート様がしたいと俺からお願いするがね!

 

ハッキリ言ってフレッチャーくんが駆逐艦のヤングガールじゃなかったら間違いなく出会ったそのその日に即ファックからの14日間監禁&昼夜無く搾乳器とア●ルとホースを直結して搾りたての母乳を自身のア●ルに流し込んでいただろう…

 

「ククッ、さすがは聖女様だな、その目はまだ希望を失っていないと見える…」ニマァ…

 

「ナニが!?」

 

「おっと、考えているコトがつい口に出てしまうのが僕の悪い癖」

 

「や、ナニ考えてたらそんなセリフ吐けるじゃん…」

 

「まぁいい、さっさと行くぞ」

 

「へいへい、あ、執務室鍵閉めんの?」

 

「いや、別に盗られて困るモンはね…………あ、いや、あったか」

 

俺は自身の執務机の引き出しを開け、二重底になっている棚から微妙にひしゃげた金属のリングを取り出した

 

「ナニそれ?シルバーの指輪?ダサくね?」

 

「ダサいとかゆーな、コイツはほら、アレだ、上から支給されたケッコン指輪だ」

 

「あー…………前に失くしてモメたやつ」



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提督と春の告白シーズン

ヘレナは二度刺す…っ!

【登場人物】

提督(メガネ男子)
お前に一目惚れじゃあ!抱くぞ!

ヘレナ(鉄拳の持ち主)
全米屈指のハード・パンチャー、生半可なガードをすると腕がいっぱつで折れる




梅雨入り待ったなしの五月も終わりの執務室…

 

「ずっと前から好きでしたーッ!」ペコォ…

 

「Hi Reportを持って来てあげたわよ……って、ナニやってんの?」

 

もしかして、ヘレナお邪魔だったかしら?と言いつつ手にしたファイルを遠慮がちに執務机に置いたヘレナくんだったが、俺と秘書艦サミー子を交互に見て、なんか思ってたのと違うのでは?とすぐに察してくれた…

 

「…いや、マジでナニやってんの?」

 

「見てわからんか?告白の練習なのだよ」

 

「ハァ?告白……?え?proposeのコト?」

 

「プロポーズか、フッ、オシャレな言い回しをするとそうとも言うかもな、ハッハッハッハ、ほら!サミーも笑え笑え!外人さんはやはり告白もオシャレなようじゃわい!ガハハハ!」

 

とりあえずひとしきり大爆笑したところで、秘書艦サミー子にヘレナくんに冷たいティーでも淹れてあげなさいと冷静で的確な指示を出すと、秘書艦サミー子はレモンティーしかないですけど?と言ってカップを用意し、粉末タイプのレモンティーをサッー!とカップに入れた…

 

「…で?バカなの?」

 

「失礼だなキミは」

 

「いや、バカすぎでしょ、秘書の人もタイヘンね」

 

秘書艦サミー子はそうなんですよと冷静で的確な回答と共に頷き、レモンティーと菓子皿に載せたチ●コパイをヘレナくんにどうぞと手渡した

 

「それで?コクハクのレンシューはどうなの?イケそうなの?」

 

「あたぼうよ!」

 

「へぇ~」

 

「…………と言いたいところだが、まだまだだな、完璧ではない」

 

「そうなの?」

 

「おそらく今の完成度では勝率は2割………いや、1割弱、まだ実戦で使えるレヴェルではない」

 

「全然ダメじゃない、そんなんでよくアタボーヨ!とか言えたわね」

 

「やかましい」

 

完璧な告白とはナニか?その、答えを探し続けてどのくらい経ったのだろう…?古来より先人達が考え抜き、古代、近代、そして現代にまで至り、人類はその答えを手にしたのだろうか?

 

否ッッッ!!!

 

断じて否ッッッ!!!

 

人類は未だ………“完璧”を手にしていないッッ!!

 

「テイトク、どうせならヘレナさんに相手をしてもらったらどうですか?」

 

「え?ムリ」

 

サミー子の何気ない提案……

 

いやぁ………ムリっしょ?

 

「ハァ!!?ちょっと!!ムリってナニよ!ムリって!!ヘレナじゃ不満なのかしら?」

 

「いや、ハハハ……だってヘレナくん、ハハハ…ヘレナくんだぜ?ハハハ…」

 

「ナニよそのムカつく顔は!!頭くるわね!」

 

「せめてホノルルくんとかアトランタくんならやる気出るっーか………ヘレナくんじゃ、その……ハハ」

 

「よし、それは殺してくれって意味でいいのよね?」ニコォ…

 

ヘレナくんの右拳に目に見えてワカるほどの念のオーラ………なるほど、アレは死ぬわね

 

「やめてくれヘレナ、そのパンチは俺に効く」

 

「へぇ~」ニコォ…

 

「やめてくれ」

 

俺の必死の懇願に、とりあえず右拳を下げてくれたヘレナくんだったが、オーラはそのままなのでたぶん次に何かをミスった場合に即発動する気満々なのだろう

 

つまり、ここから先は

 

選択肢を間違える=DEAD END

 

…………なるほど、TOUGHな展開になりそうね

 

「わかったわかった、オーケーオーケー、わかったよ、オーケー、俺は今からヘレナくんにプロポーズする、I'm going to make a proposal to Helena right now、オーケー?」

 

「ワカればいいのよ、やってみなさい!」

 

ナニがワカればいいのよだこのアマ…

っーかなんだそのドヤァ顔は…!クソみてぇに腹立つツラしやがって…

 

まぁいい、とりあえず、俺はヘレナくんに対して告白すればいいのだ…

 

…………だが、俺は一見テキトーな男に見えるとかディスられがちだが、そうでもない、何故なら俺は紳士道を尊ぶ紳士であり、本当の紳士をめざしているからだ!

紳士には勇気を持って戦わなくてはならない時があるからだ!

 

「………えー」

 

しかしだ、しかし相手はヘレナくんだ

 

ハッキリ言って僕はヘレナくんを見てムラムラする気持ちにはならない!それは僕が紳士だからなのか、もしくはマジでヘレナくんに対して興味がないからなのか(性的な意味で)たぶん前者だろう

 

1人寂しいクリスマスの夜に自宅に来たサキュバスはエッチで巨乳でなければ往復ビンタして叩き出す、それが本当の紳士だろう

 

「早くしなさいよ、ヘレナもヒマじゃないのよ」

 

「まぁ待ちたまえよ、俺はこう見えて練習とは言え手は抜かないタイプなのだよ」

 

そう、だからこそ練習とは言え本気でなければならない…

 

つまり、本気でヘレナくんの良いところを考える必要がある

 

ヘレナくんのコトを考える、貫く…

 

ヘレナくんのコトを考える、弾く…

 

ヘレナくんのコトを考える、砕く…

 

ヘレナくんのコトを考える、響かせる…

 

ヘレナくんのコトを考える、切る…

 

ヘレナくんのコトを考える、跳ばす…

 

ヘレナくんのコトを考える、潰す…

 

ヘレナくんのコトを考える、壊す…

 

ヘレナくんのコトを考える、抉る…

 

ヘレナくんのコトを考える、折る…

 

 

ヘレナくんのコトをだけを考える、そう…ヘレナくんのコトだけを、ヘレナくんのコトだけを……ヘレナくんのコトだけを…………

 

 

「あ、ああああああああー………!!ああー!!あー!!あー!!ウォォォォー!!」ガクガク!

 

「え?ナニよ急に!?」ビクッ!

 

「ヘレナァァァァァァァァァァァァ!!」

 

「ハァ!?」

 

「愛してる!!お前に夢中だァァァァァァ!!ヘレナァァァァァァ!!」

 

そうだ!!難しいコトなんかナニも無い!!

 

告白とは、プロポーズとは…

 

 

こんな単純なコトだったんだ!!

 

 

 

「ウワアァァァァァァァァァァァ!!アーァァァァァァ!!」

 

 

 

「どうですか?ヘレナさん、キュン死しました?」

 

 

「お、お……O、Oh……あまりの勢いに危うくヘレナもOKしかけたわ」

 

「なるほど、やはり勢いは大事なんですかね」

 

「…いや、どうかしら?ってかSammy、テイトク、なんかクスリとかヤってるの?」

 

「さぁ?たまに頭痛薬飲んでますけど」

 

「それ大丈夫なクスリ?」

 

 

この後、とりあえず外で頭で冷やして来いと執務室から叩き出された俺は執務棟の中庭のベンチで缶コーヒーを飲みつつ、中庭で飼い犬と戯れるフレッチャーくんのおっぱいをガン見していると脳が回復した



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提督と村雨+夕立とサイコメンヘラ

佐世保?腰が痛くて行けませんでしたわ!行けませんでしたわ!

【登場人物】

提督(快男児)
腰に爆弾を抱えた中年、マジで痛い

村雨(嬢)
テイトクとはエロトークするくらいは仲が良いビッチ界の雌、鈴谷を超えた鈴谷ぐらいのビッチ臭

夕立(狗)
テイトクとはマンガ貸し借りするくらいは仲が良い白露姉妹のエース、最近の趣味はディスカバリーチャ●ネル


ある晴れた昼下がり、今日のディナーは子牛を使ったズッキーニのハニーマスタード添えかなと考えつつ歩いていると、自販機コーナーのベンチで下品な笑い声をあげつつ下品なパンツを見せつけるバカが2人…

 

「ギャハハハ、そしたらよぉー!見ての通り、ボクはベストの状態じゃあないっーから股間に蹴り入れてやったら悶絶して転がってんの!」

 

10年に1人の天才が同じ時期に集ったとディスられる白露姉妹キセキの世代…

その天才達の中で最も早くその才能を開花させ、駆逐艦にあるまじき火力に超攻撃的なスタイルを組み合わせた狂気の四女、夕立…

 

「ギャハハハハ!オメー容赦なさすぎだろ!相手がカワイソーで泣けてきちまうぜー!」

 

その駆逐艦離れした肉体は並の軽巡……いや、重巡にも引けを取らないキセキの世代の誇る大型センター、村雨…

 

姉妹はいずれも劣らぬ手のつけられないおきゃんどもであるが、その中でもこの2人のガラの悪さは群を抜いており、ある意味、当基地が尊ぶ、無軌道・無慈悲・無秩序の教えに誰よりも忠実なまさに悪のエリートと言える

 

「よぉクズども」

 

「あ、テイトクっぽい」

 

「なんか奢ってー」

 

そんなクズどもにもフレンドリィに声をかけてやった俺だったが、早くも後悔した…

 

「クズが!吐き気がするッ!」

 

「クズじゃねーっぽい」

 

「オマエにだけは言われたくないし」

 

まったく、なんてナマイキッ!な子たちなのかね、この子たちは………どうやらキツいわからせが必要らしい、この基地の絶対支配者が誰なのかを…

 

「オマエらこんなとこでサボってねーでベンキョーしろ、ベンキョー、鹿島先生がオマエらがバカすぎるって泣いてたぞ」

 

「鹿島ちゃんが~?ハハ、ないないっぽい」

 

「保健体育だけは真面目に受けてまーす、ギャハハハハ!」

 

とりあえず俺は自販機で缶コーヒーを買い、ベンチに座ってタバコに火を点けた…

 

「ここは喫煙所じゃないっぽい!」

 

「だからなんだ?クズが、キサマごときが俺に指図するとは良い身分になったものだな」

 

「喫煙所じゃないとこでタバコ吸ってたって香取ーヌにチクるっぽい!」

 

「それは困る」

 

夕立は下卑た笑みを浮かべて右手を俺の前に出した

 

「…なんだそれは?」

 

「チクられたら困るっぽい?」

 

なるほど、チクられたら困るのは俺だから口止め料を寄越せと…

俺はニコニコと笑みを浮かべていた夕立の右手のひらに火の点いたタバコを押し付けた

 

「熱っ!!あ゛ぢいぃ!!あちーっぽい!!」

 

「ギャハハハハハ、ダッセーなぁ~夕立ィ」

 

「クッ!村雨ェ……!テメェ……!」

 

「オイオイなんですかぁ?なんなんですかぁ?その目はぁ?まさかこの村雨さんとヤろうって言うんですかぁ?」

 

村雨は下卑た笑みを浮かべ手にしている鎖をチャラチャラと回し始めた…

 

対・白露型という一点に於いて、白露姉妹の歴史上、村雨ほどの適任者は他にはいない…

他の姉妹達が大なり小なり対・戦艦、対・潜水艦、対・提督、対・深海棲艦を想定して己の技と武器を研鑽しているのに対し、この村雨は対・姉妹を想定して技を磨いてきた生粋の姉妹殺し…

 

駆逐艦離れした超肉体を持ちながら、この村雨の性格の悪さは姉妹の中でも群を抜き、あまりにも執拗で、あまりにも狡猾で、あまりにも徹底的で、あまりにも容赦がない…

 

「やめんかクズどもが、ヤるなら今度舞台を用意してやるからそこでヤれ」

 

金取れるしな!!禁断の姉妹対決!夕立VS村雨!TVでは絶対に見られない迫力!生か死か!今世紀最大のデスマッチ!………まぁ、このくらいキャッチーな宣伝すれば客は集まるし金も集まるわい、ガハハハハ!笑いが止まらんわい!

 

「チッ!テメー逃げんなよ」

 

「は?来週の村雨はいつでも逃げませんけどー?」

 

「わかったらとっととベンキョーしに行け、ベンキョー、今から体育の授業だろ?早くブルマーに着替えて走りに行きたまえよ」

 

「ブルマーとか持ってないっぽい」

 

「イマドキ、ブルマーとかいかがわしいビデオしか見なくない?」

 

「ナニ言ってんだ?明石の店で売ってるぞ」

 

以前、明石に頼んで仕入れさせたしな、前にウチの体育着を見たジョンくんが運動用の℃-uteな服ないの?と、くだらん進言をしてきた際、俺は天才的なひらめきを発揮し、ジョンくんにはお姉さんにコレは当基地公式の体育着ですと念を押すようにと伝えたがね!

 

「いや、買わねーしっぽい」

 

「いかがわしいプレイ用かっての」

 

「いかがわしくない、提督だ」

 

まぁ、このクズどもがブルマーだろうが短パンだろうがどうでもいいコトだがな

そんなどうでもいいコトを考えていると、エコバッグ的なものを肩にさげ、ニュルンベルクのマイスタージンガーをフンフン鼻唄に何者かが歩いてきた…

 

「あら?テイトク、と………村雨さんと夕立さん、ごきげんよう」

 

「ごきげんよう(ライオンの)」

 

やって来たのは雅な御方でお馴染みの初春様の妹と噂されている美少女、夕暮クン…

 

「ゲエッ!夕暮ェ!」

 

「チッ!コイツ、まだ生きてたんだ…」

 

なんだ?コイツら、夕暮クンに対して露骨に嫌そうなツラしてやがるな…

 

「なんだオマエら、夕暮クンと知り合いなのかね?」

 

「知り合いっぽい」

 

「ま、昔馴染みってやつね…」

 

村雨曰く、夕暮クンとは海軍入隊前、むしろ実家の近所に住んでいた所謂幼馴染みと言うやつらしく、この2人どころかあの全てに勝つ僕は常に正しいでお馴染みの時雨様をして苦手と言わしめる存在だそうな

 

「そうそう、テイトク、先日、有明さんが入院した件ですが…」

 

「アイツまた入院したのか…」

 

夕暮クンの姉妹で白露ねーちゃんにゾッコン・ラブ!と不毛な感情の持ち主、有明クン

彼女はよく白露ねーちゃんにアプローチをキメようとして時雨様から制裁を下されているものの、何度でも甦り、あの時雨様をしてクソめんどくさいと言わしめている…

 

「……………また?」

 

「ヤベッ!テイトク!!テイトクちょっとこっち来るっぽい!」

 

「ちょーっと村雨達とイイコトしない!?」

 

「な、なんだキサマら!無礼だぞ!!」

 

夕立と村雨は左右から俺をガッチリとホールドし廊下の隅にズルズルと俺を引き込み壁にドン!した

 

「ナニすんだコラァ!!」

 

「声デカいっぽい!」ヒソヒソ…

 

「黙らないとキン●マ握り潰すわよ!」ヒソヒソ…

 

コイツら!正気か…!?まさかこの俺のタマを人質……いやタマ質にとるとは……!!クッ、こーゆー場合、犯人はコーフン状態でナニをするかワカらない状態であるケースが多い、ここはひとまず従っておくか…

 

「…要求はなんだ?提督はエロには屈しない」ヒソヒソ…

 

「ゲエッ!コイツ勃ってやがる!」ヒソヒソ…

 

「村雨!そのままキン●マ押さえてるっぽい」ヒソヒソ…

 

「えぇー…うっ、普通にヤなんだケド…」ヒソヒソ…

 

「もう1度言う、提督はエロには屈しない!」ヒソヒソ…

 

コイツらアタマは悪いが駆逐艦としては発育は悪くない、もう5~6年熟成すれば………喰うに値するだろう

そんな2人に再接近されれば健康的な男児ならば誰でも勃つのは当然のコトだろう

 

「…まぁいいわ、私らあのオンナとはあんまモメたくないの」ヒソヒソ…

 

「夕暮クンと?」ヒソヒソ…

 

「そう、あのメンヘラサイコ女とはね…」ヒソヒソ…

 

「わかったならチ●コを勃てるっぽい」ヒソヒソ…

 

「女の子がチ●コとか言うんじゃあない」ヒソヒソ…

 

なるほど、よくわからんがコイツらはあの夕暮クンが苦手………と言うか、関わり合いになりたくないらしい

ふむ、どーゆー関係なのかはイマイチわからんが、ここは要求を呑んでおくが吉…

 

「いいだろう、要求を呑んでもいいが提督はエロには屈しない、交換条件としてお前ら2人のどちらかのア●ルにメン●スを挿入しコーラを流し込む」ヒソヒソ…

 

「それは村雨がやるっぽい、村雨、脱糞アクメとかキョーミあるっぽい」ヒソヒソ…

 

「ハァ!?ねぇよ!!!」

 

「あの………?お話は終わりましたか?」

 

俺たちのミーティングが終わるのを律儀に待っていたのか、夕暮クンはやや遠慮がちに声をかけてきた

 

「ああ、終わったのだよ」

 

「そうですか、ではお話の続きですけど、有明さんがまた入院と…」

 

「有明はよく階段でコケるっぽい」

 

「あとナニもないところでもよくコケるのよねぇ~、ね?テイトク」

 

「ん?あぁ、よくコケるらしいぞ」

 

「まあ!…………そうでしたか、わたくしはてっきり、そこのゴミ屑どもが有明さんにちょっかいをかけたものかと…」

 

…………ゴミ屑?今、この子、コイツら(夕立と村雨)をゴミ屑と?

 

「まぁ、テイトクさんがそう仰るならそうなんでしょうね…」

 

夕暮クンはエコバッグから果物ナイフとリンゴを取り出すとリンゴを空中に放り投げ、右手でそれをキャッチし、それを俺に手渡してきた

 

「それでは、わたくしは有明さんの部屋に参りますので、ごきげんよう」

 

「あ、あぁ、ごきげんよう…」

 

ごきげんようとリンゴを残し、夕暮クンは再びマイスタージンガーをフンフン鼻で唄いながら去って行った…

 

一体なんだったんだ…?と思いつつ、俺の右手に置かれたリンゴを見ると……

 

「ヒイッ!?」

 

「こ…コレは!!」

 

リンゴの表面につけられた無数の傷ッッッ!!いや、それはむしろ傷と言うよりは芸術ッ!リンゴの表面に刃物により刻まれていたのは白露ねーちゃんの顔ッッッ!!

 

そのリンゴは、俺の手の平で、 まるでタイミングを計っていたかのように…………

 

真っ二つに割れた

 

「こ、怖ぇ……」

 

「やっぱアイツヤバいっぽい」

 

「っーか白露ねーちゃんになんか恨みあんのか?あの子は」

 

「有明ってさ、ウチの長女にゾッコン・ラブじゃない?それが気に入らないのよ、あのサイコメンヘラ女」

 

「なるほど…」

 

 

この後、交換条件として提示したメントスコーラを夕立と村雨のどちらがヤるかでモメ、一時は村雨が捕らえた白露型を強制的に“絶”の状態にする必殺の“束縛する●指の鎖(チェーン・ジ●イル)”で優位に立ったものの、持ち前の調子に乗って油断しやすい性格が災いし、夕立の本気顔面パンチを喰らい壁にメリ込む失神KOを喫し、ア●ルにメントスを挿れようとしたら残念なコトにメントスの手持ちがなく、仕方ないのでフリスクで代用した…



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提督と戦慄!時雨改三!

新アニメに合わせて改三実装するんだな!そんなふうに考えていた時期が、俺にもありました

【登場人物】

提督(腰痛)
2週間ほど苦しみようやく復帰、病院だよッッッ!!

時雨(様)
雪風様、初春様に並ぶナチュラルに様付けされることを許されている駆逐艦、全てに勝つ僕は全て正しい


「時雨様が改三になったそうですよ」

 

「へぇー…」

 

「なんか反応薄いですね、改三ですよ、改三」

 

「だってオマエ、時雨様だろ?」

 

10年に1人の天才が5人同時に存在したと言われる白露姉妹、その、天才達の中でもひときわ才能のある時雨様だ、未だ改二と言う門を開くことができない才能の無い駆逐艦が多い中、駆逐艦でありながらナチュラルに様付けされることに違和感を覚えない時雨様なら改三の扉を開けるなど容易であろう…

 

さらに、改二と言う門に入門した者でもさらなる次元に達した者は改二丙とか乙とか改二なのかそうじゃないのか中途半端な記憶の中でふわふわした存在になりがちだが、そんな中途半端ではなく改三、まさに時雨様、器が違う………

 

「それで?その箱はなんだ?」

 

「見ての通り、時雨様にお祝いの品です」

 

五月雨曰く、今日は姉妹で“時雨様の更なる改装を大いに祝う会”なる政治パーティーみたいな名前の会が開催されるらしく、姉妹はそれぞれ時雨様へのプレゼントを用意しているのだと…

 

「ちなみに中身はなんだ?」

 

「つまらないものです」

 

「そうか、つまらないものか…」

 

つまらないものを贈られる時雨様も災難だな

 

「提督も来ますか?時雨様の更なる改装を大いに祝う会」

 

「ハッ?冗談じゃない、頼まれてもそんな会には行かな…」

 

バァン!!!(扉)

 

「な、なんだぁ!?」

 

執務室の重厚な扉が勢いよく開き、緑色のトゲトゲしいアロエみたいなのが立っていた……

 

…………いや、山風クンなんだけどな

 

五月雨の2つ下の妹で髪質は非常にトゲトゲしく、気難しく繊細な今風の子である、ちなみに、五月雨の2つ下だがその将来性は五月雨を遥かに上回る(絶壁的な意味で)

 

「…テイトク、ヒマ?」

 

「ヒマに見えるかね?提督は忙しいのだよ」

 

来て早々なんて失礼な子なのかね、この子は!姉の顔が 見てみたいものだわ…

 

「…五月雨姉ぇ、テイトク借りていい?」

 

「どうぞ、どうせヒマ人ですし」

 

山風クンは2つ上の姉に問うと、2つ上の姉は懇切丁寧に回答した

 

「ヒマ人じゃない、提督だ」

 

「…今日、時雨姉ぇをなんかお祝いする会するから、テイトクもヒマなら参加して」

 

「やだよメンドくさい」

 

「…五月雨姉ぇ、テイトクが冷たい」

 

「提督は冷血動物ですからね、でも大丈夫です、山風さんだけではちょっとパンチ弱いですけど、海風さん呼んで来てちょっとおっぱい押し付けてやれば即堕ちですよ、即オチ2コマです」

 

「…わかった、海風姉ぇ呼んでくる」

 

そう言って、山風クンは生暖かい感触のするお高価なネコを五月雨に押し付けて足早に執務室から去って行った…

 

「オイオイオイ、五月雨よぉ~…オレが海風ちゃんにちょっとパイオツ押し付けられたぐれーで即オチする安い男だってか?ハッ!甘くみられたモンだな」

 

「いや、普通にダメでしょ」

 

「言っておくが俺は海風ちゃんのパイオツには決して屈しない」キッ!

 

◆◆◆

 

基地体育館を貸し切り開催されている時雨様の更なる改装を大いに祝う会…

 

「テイトクは山風と飲み物同じでいいですか?オレンジですけど?」

 

「いや、俺は…………いや、やっぱオレンジでいいや」

 

時雨様の改三を祝う姉妹のイベントがまことしやかに開催される中、俺は会場に用意されていたパイプ椅子に座り、今日のプログラムと書かれた紙を眺めていた…

 

いや、紙の内容見たいんだが、俺の膝の上に何故か山風クンが着席してるせいでよく見えない、ってか!さっきから微妙に山風クンのトゲトゲヘアーがちょいちょい俺の顔に刺さるから痛いんですけど!!

 

「サミー、席替われ」

 

「普通にイヤですけど?」

 

この寒色系秘書艦、なんて冷たいのかしらね!

 

「山風さんは髪質は硬めですからね、トリートメントしてますか?」

 

「…してる、でもあんま効果ない」

 

「そうですか」

 

「…五月雨姉ぇは超サラサラ、なんで?」

 

「さぁ?毎日朝食にコーンフレークを山盛り2杯食べてたからですかね?」

 

五月雨は特に興味なさげに小粋なサミダレジョークを交ぜつつ手にしているドリンクの入ったグラスを眺めていた…

 

「あ、テイトクじゃん」

 

「アァ?………なんだ白露ねーちゃんか」

 

「なんだとはナニよ!なんだとは!」

 

まるでコロニーカラテのチャンプみたいにキレ散らかし俺の胸ぐらを掴む短気なこの美少女は姉妹の長女、白露ねーちゃん、よく見ると美少女だ

 

「離せよ、祝いの席だぜ」

 

「…………それもそうね、ま、今日のところはカンベンしてあげるわ」

 

「オイオイ、命拾いしたのはそっちじゃないのか?フトモモに液体が垂れてきてるぜ」

 

「垂れてないし!セクハラか!」

 

「セクハラじゃない、提督だ」

 

まったく相変わらず小粋なテイトクジョークの通じない子だわね

 

「そんで?テイトクはなんで山風膝に乗せてんの?そーゆー趣味?」

 

「そんなワケなかろう、長女としてこの子をなんとかしてくれんかね?」

 

「え?ムリ」

 

クッ!なんて役に立たない…ッ!いや、知ってたけどよ

そんな役に立たない旧型の長女に失望していると、ドリンクの入ったグラスと山盛りのポテトフライを持った新型の長女がやって来た…

 

「お待たせしました………って、あ、白露姉さんも居たんですね」

 

「海風ェ…」

 

白露は海風クンを見て一瞬イヤそうなツラをしたのはオレじゃなきゃ見逃していただろう

 

可愛さ、気配り、性格の良さ、おっぱいの大きさ、あらゆる面で旧型である白露より一回り上位モデルとも言える新型の長女である海風クンはまさに白露の天敵と言える…

 

「白露姉さんもどうですか?ポテトフライ、好きですよね?ポテト」

 

「オイオイ海風クンよ、白露が好きなのはポテトじゃないで焼いた芋だぜ」

 

「うっさいな、ポテトフライも好きだっーの!」

 

1年の3分の2ぐらい焼き芋食ってた気がする白露はポテトフライを無造作に掴み、口にナポォ…と突っ込んだ

 

「そういや時雨様はどうしたんだ?時雨様、今日の主役じゃないのか?」

 

「時雨?なんかヤボ用があるから済ませてくるって言ってたケド?」

 

「ヤボ用…?」

 

時雨様のヤボ用とはいったい………?そんなつまらないコトを考えていると、体育館の扉が開き、ヤボ用とやらを済ませてきたらしい時雨様がやって来た…

 

「やぁ、遅くなって悪かったね」

 

白露姉妹の次女、時雨…

 

10年に1人の天才が5人同時に存在したと呼ばれる白露姉妹キセキの世代……

 

未だ駆逐艦には改二の門すら入門できない者達が多く居る中、ただ一人、改三と言う名の未知の領域へと到達した本物の天才…

まるで呼吸をするかのように自然に人を従え、この俺ですら時雨様には様付けをすることにまるで違和感を覚えないのだ…

 

そんな改三と言う未知の領域に到達した時雨様を前にして、俺は…………ガードを固めた!!

 

ガードを上げない、長門、武蔵、アイオワ……いかなるモンスターと向き合っても…

提督と艦娘にはそれほどの開きがあった…

 

わかってもらえただろうか?提督がガードを上げたその意味の大きさが、会場に姿を現した時雨様にそれほどの脅威を感じたのだッ!!

 

「遅かったじゃん、用事は済んだの?」

 

そんな時雨様に対し、ヘラヘラとしまりのないツラで話しかける白露はもしかしたらスゴい奴なのかもしれない…

 

「済ませてきたよ」

 

そう言ってにこやかな笑顔で返す時雨様の拳に僅かな血痕があったのはオレじゃなきゃ見逃しちゃうだろう

 

「…有明か」

 

「たぶんそうでしょうね」

 

秘書艦サミー子も何かを察したらしく、たぶんと同意した

 

「今日はみんな僕の為にありがとう、テイトクもわざわざ来てくれたんだね」

 

「あ、あぁ…オメデトウ」

 









私はキャプテン・アドミラルだあっ!


第931回を見てる君は選ばれし者!最後のifエンド回を掴むチャンスを与えられた強き者!

単刀直入に言おう!残り69回で真エンドに到達するこの不健全鎮守府、最後のifエンド回を書こうと考えているがいかんせんネタが無い、もちろん書くのもめちゃくちゃ遅い

だが今回は最後の!と銘を打つことで、希望ifエンド艦は全て書くことにした!艦種による縛りは撤廃された!駆逐艦、軽巡、潜水艦、空母、もちろん海防艦もアリだ!純愛・恋愛・初恋…とにかく手段は選ばない!

希望募集期間は次回更新予定までだ!急げっ!乗り遅れるな!“ウンリュウ・ラッシュ”だ!













よろしくお願いいたします


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提督と古き良き覇我亜怒

ナガラ・ファクトリーの門を開け!完全なるアスリートの誕生だあっ!

【登場人物】

提督(梅雨)
最近、雨が多いせいか車が洗えないことにイライラする大人

巻雲&望月(メガネ)
わりと仲良しなゲームセンター覇我亜怒のランカー、普通にテイトクより強い



炎がお前を呼んでるぜ!

 

なら燃え尽きろ、潔くな…

 

「あ、クッそ!やっぱ平戸クンつえーな」

 

「そうですか?」

 

都市部から微妙に離れたクソみてぇな田舎に根付く地域密着型海軍基地、その、クソみてぇな海軍基地の近所にある日焼けした機械とヤニ焼けした壁紙とでお馴染みの本格派ゲームセンター覇我亜怒…

 

最強の称号を求める餓えた狼達がウヨウヨしており、生半可な腕でこのゲーセンの常連に挑戦しようものなら今まで積み重ねてきた自信とPRIDEをペッキリと折られて半泣きで店を去ることになるだろう…

 

「あーやめやめ、やめってばよ、強すぎて勝てる気がしないのだよ」

 

「強すぎてすいません」

 

強すぎてすいませんと特に嫌味も悪びれもなく謝れるメガネの子、平戸チャソ

ハッキリ言ってその実力はハンパではなく、彗星の如くこのゲームセンター覇我亜怒に現れて以来、ランカー達をその圧倒的なテクで蹂躙、瞬く間にランキングを駆け上がり、今やランキング1位“殺戮機械(デス·マシーン)”に次ぐランキング2位、2代目(セカン)と呼ばれている…

 

「テイトクはあっちでテ●ノドライブやってるから平戸クンは好きに遊んでいるといいのだよ」

 

俺は財布から紙幣を1枚取り出し平戸クンに握らせてやった

 

「じゃあ、私、サム●イスピリッツ零SPECIALあるらしいからそっちで遊んでます」

 

「マジかよオイ、マジかよ平戸チャソ、マジかよオイ…」

 

零スペ入荷してんのかよこの店……

ぶっちゃけ、昨今はPS4版とかあるからワリと気軽にプレイ出来る環境にあるが、ガチのACのサム●ピ零スペとか激レアじゃねぇかオイ

 

「ちなみに平戸クンはナニ使いかね?」

 

「そうですね………特に得意キャラはないですが、妖怪腐れ●道とか好きですね」

 

いやだわこの子、本物だわ…

 

「そうかね、まぁ、楽しんでくれたまえよ」

 

「そうですか、では…」

 

平戸チャソは懇切丁寧にペコォと頭を下げ、修羅のアーケード台コーナーへと去って行ったのでとりあえず俺は自販機コーナーでファン●を買い、タバコに火を点けた…

 

「フーッ~…………」

 

「あ、テイトクだ」

 

「ホントだ、ってかタバコくせっ!」

 

「タバコくせっ!じゃない、テイトクだ」

 

タバコを吸いつつベンチに座っていると、巻雲と望月さんがやって来たので俺はタバコのケムリをミリミリミリと吸い込み、一気に吐き出した

 

「ウゲェ!!」

 

「ちょ!やめろよ!オッサン!」

 

「オッサンじゃない、テイトクだ」

 

俺のホワイトランチャーにブーブーモンクたれる巻雲と望月さんだったが、ゲームセンターとは本来そーゆー場所である(個人の感想です)

 

「オマエらも零スペしに来たのか?」

 

「んにゃ、巻雲はワール●ヒーローズ2JETでもっちーはバー●ャ2です」

 

「そうかね」

 

コイツら、基本的にはクソだが格ゲーのテクはハンパではなく、俺程度ではまるで相手にならない

わかりやすく、基本的な格ゲー力を1スズヤとするならば俺はせいぜい4~5スズヤ、ランカーである巻雲や望月さんならば最低でも2000スズヤと言ったところだ

ハッキリ言ってレヴェルが違いすぎる…

 

「テイトクはナニしに来たんですか?」

 

「どーせ脱衣マージャンだろ」

 

「失礼なコト言うんじゃないよこの子らは、俺は今からテ●ノドライブするんだよ、テ●ノドライブ」

 

「テ●ノドライブなら先週撤去されましたよ」

 

「マジかよオイ!!ウソだろオイ…!マジかよ!」

 

巻雲曰く、もともと印字用の用紙が無くなったら撤去する予定だったらしい…

 

「チクショウ!!なら俺はいったいナニをして遊べはいいんだよ!!」

 

「ファイナルロ●ンスでもしてろよ」

 

望月さんは俺のファ●タオレンジを自然な流れで奪い、ゴクッ…!ゴクッ!とイッキに呷った…

 

「ぶはぁ!うんめー!」

 

「あー!もっち!私にも!私にもくださいよー!」

 

マジかよオイ、テ●ノドライブ撤去するとかナニ考えてんだよ、クソ!店主を呼べ!店主を!モンク言ってやるわい

 

「あ、そーいやテ●ノドライブ撤去して来週から技●体入るらしいですよ」

 

「マジかよオイ!ウソだろオイ!マジかよ!」

 

技●体かよ!まだ現役のヤツあんのかよオイ!チクショウ!

 

「そうそう、そういや最近、知らない外人が来てるらしいよ」

 

「知らない外人?なんだそりゃ?美少女か?」

 

「美少女らしいですよ」

 

「マジかよオイ」

 

「なんか銀髪?の子らしいですよ、メガネの」

 

ふ〜ん、いけないなァ…そんな美少女がこんな場末のゲーセンに来るとは…

 

「ちなみに強ぇのかい?そいつは」

 

「さぁ?たぶんテイトクのカキタレとそんな変わらないんじゃね?」

 

「バカみたいに最終決戦奥義●式狙うから読み合いもクソもないですね、レヴェル低すぎて家庭用でシコシコシコってろてな感じですね」

 

「女の子がシコってろとか言うんじゃあないよ、あと、俺にカキタレなどいない」

 

「え?あのいかにも遊んでそうな頭スカスカのJKみたいなのは…?」

 

「アイツはただの頭スカスカのJKみたいな航巡だ」

 

このクソガキども、そんな目で見ていたとは………まったく、どうやらこのクソガキどもには提督が硬派な男であると言うことをわからせる必要があるらしい

 

「あ、アイツですよ!アイツ!」

 

「あん?」

 

巻雲が指差した方を見ると、たしかに、見慣れないメガネの外人美少女がいた…

一見するとただの見慣れないメガネの美少女ではあるが、その、隠しきれないMAJOR級の魅力は俺じゃなきゃ見逃しちゃうだろう…

 

そんなメガネでは隠しきれない魅力を持つカノジョ、迷うことなくK●F98の台に座ると意気揚々とコインを投入した

 

「テイトク、ボコってやれば?」

 

「俺は弱い者いじめが嫌いでな」

 

「ヒュー!弱き者!」

 

「誰が弱き者だ」

 

しかしここは古き良き罵声と血飛沫が舞う事を是とするゲームセンター覇我亜怒、弱き者から狩られるのもこれもまた是とされる…

 

そんな古き良きゲームセンター感に浸っていると、零スペのプレイに飽きたらしい平戸チャソがプラプラと歩いているとK●F98が目に留まったらしく、どうしようかとちょっと悩んで普通にコインを入れた

 

「ちょっと悩んだな、平戸クン」

 

「コイツ雑魚っぽいケドどーすっかな?まぁいいや、殺そうってヤツですね」

 

巻雲の冷静で的確な意見…

 

「フツーにボコられたね」

 

「ああ、フツーにボコられたな」

 

びっくりするほどではないが普通に惨殺されたな、平戸チャソにボコられたメガネの外人美少女は悔しいのか、涙目でプルプルしつつも果敢にコインを入れて乱入し返した

 

「オイオイオイ」

 

「死んだわ、アイツ」

 

「まぁ、相手が悪すぎるわな」

 




















キャプテン・アドミラルだあっ!


最後のifエンドの題材募集に色々なご意見を頂き、まことありがとうございます

頂いた全てを書く感じで頭をヒネっていますのでお時間少々いただき、次回より順次書いていきます


書いていきます、はい


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提督と夏休みの莫逆の友

IFエンド準備中

【登場人物】

提督(クズの人)
梅雨?明けたんスか…?

五月雨(秘書艦の人)
さぁ?天気にルールは無用でしょ


雨が降っては微妙に晴れ雨が降ってはまた微妙に晴れると言う無間獄に突入中のたった一度の今日と言う日…

今日は珍しく晴れているので基地内を巡回がてらパイオツの大きな美女にセクハラでもするかと歩いていると、基地グラウンドでバカどもがワーワーハシャいでいた…

 

『コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!』

 

『オイオーイ!藤波、ちゃんと投げないと相手のエースにケガさせちゃうぞぉ』

 

…どうやら陽炎姉妹と夕雲姉妹がヤキュウをしているらしい

ピッチャー藤波の投げた球がバッター不知火のあわや頭部直撃になりかねない危険球

 

たしかに、藤波のコントロールの悪さはわりと有名ではあるが、これは夕雲の指示か………?いや、ないな、夕雲クンはそんなケチな真似はしないだろう、普通に藤波が悪い

 

『アーッ!不知火のヤロウ!危険球の報復に藤波に向けてバットを投げたー!』

 

『ナメてんのかテメー!!』

 

『は?不知火の落ち度とでも?あんな怖い球2球続けて投げられたらバットを握る手に力が入らなくなるのも当然では?』

 

不知火のヤロウは何事もなかったように投げたバットを拾いに行くと、バットを回収して何事もなくバッターボックスに戻り、あーまたあんな怖い球きたら、またバットを握る手から力が抜けちゃうかもなーとヌケヌケと言った…

 

これは陽炎の指示か………?いや、間違いないな、ベンチにいる陽炎の顔を見てくださいよ、ほら、なんて悪い顔してるんでしょうね、あの子は

 

そんなアホンダラどものハリキリベースボールを眺めつつ胸ポッケから取り出したタバコに火を点けてケムリを吸っていると薄着なアメリカ人どもがコンロを囲んでたむろしているのが目についた…

 

「おーおー、神聖なる海軍基地でバーベキューとはムチャをなさる」

 

「アラ?Admiralじゃナーイ?」

 

MAJORから来た最初の刺客にしてアメリカ最強、全米中からとびきりの強ぇヤツが集まるスーパーポリスアカデミー4701名、その、全米の荒くれ者どもを力で抑え頂点に君臨するアメリカでイチバン強ぇヤツだ…

 

「誰の許可得てバーベキューなんかヤってんだテメーらは」

 

「ンー?…………it's me?」ニカッ

 

「なるほどなるほど、HAHAHA」

 

アイオワにNO!と言えるヤツなどそうはいない……そうはね

アメリカ最強とは“自由”でなければならない、そう、彼女こそ“地上最自由”なのだ…

 

「まぁいい、後片付けまでちゃんとヤれよ、キチンと片付けるまでがバーベキューだからな」

 

「Of course、モチロンネ!」

 

既にバーベキューは狂乱の宴と化しているのだろうか?サウスダコとワシントンがアンアン言いながらメンチを切り合っていたかと思ったら互いの大ジョッキでクロスカウンター・カンパイをキメ、そのままキィーキィー言いつつ掴み合いを始めていた…

 

『コノヤロー!ブッ●してやる!』

 

『ハァ?ブッ●す?そのまま返してやるわ!』

 

『オー!ヤれヤれー!』

 

『SARA、どっちが勝つと思う?』

 

『ン~………Princeに10』

 

『よし!ワタシはMightyに15よ!』

 

全米ハードパンチャー同士のケンカを肴に博打とはイイ根性してやがるぜ、まったくアメリカさんの海兵の教育はどうなってるのかね

 

「あ、Admiralね!」

 

「よぉ、サムくん」

 

ヤン・キーの集まりであるMAJORきっての良心、サムくん

基本的にガラの悪いMAJORの刺客達だが、サムくんはノーパンツだがとても素直でかわいい子である、きっと将来は良いおワイフさんになるだろう

 

「AdmiralもBBQ?」

 

「そんなワケないのだよ、テイトクは陽キャではないからね」

 

「ヨーキャ?ナニそれ?」

 

「昼間に外でバーベキューをしていいのは陽気なアメリカンファミリーか陽気なパーティーピープルだけなのだよ」

 

「?、Admiralのニホンゴはサムにはたまにムズかしいネ!」

 

「アー………Only cheerful American families or cheerful party people are allowed to barbecue outside during the day、オーケィ?」

 

「OKネ!」

 

「HAHAHA!」

 

俺はサムくんの頭に手を置き、Stand and Fight、立って、そして戦いなさい、とだけ伝えてテーブルに置いてあったBudweiserの缶を1つ手にとってその場をクールに去った………

 

◇◇◇

 

雨が降っているようでたまに晴れる今日この頃、この夏に向けて備蓄資材でもチェックしておこうかと考え、書類棚に入っているファイルを取り出していると、執務室の扉を叩く音がしたのでどうぞと返答したらイヤな顔が来た…

 

「テイトクさん、由良が来てあげましたよー…って、テイトクは?」

 

「いませんよ」

 

「なんだ、いないのか………死んだの?」

 

「さぁ?基地の中をセクハラしつつ練り歩いてるんじゃないですか?」

 

「ふ~ん」

 

由良さんは興味なさげに私の回答を聞き流しつつテイトクの執務椅子によっこらしょとか言いながら座って執務机の引き出しをガタガタと引き始めた

 

「エロ本とか入ってないかしら?ね?」

 

「エロ本なら一番下の引き出しに入ってますよ、快●天とメガス●ア」

 

「詳しいじゃない?テイトクとは仲良いの?」

 

「由良さんとあんま変わらないくらいじゃないですか、たぶん」

 

とりあえず、由良さんにナニか飲みますか?と尋ねたらコーヒーと言われたので缶コーヒーでいいですかと言って冷蔵庫から缶コーヒーを1つ取り出して由良さんの前に置いてやった

 

「あれ?サミー子が淹れてくれるんじゃないの?」

 

「味のわからない人に淹れたくありません」

 

「あ、そっ」

 

由良さんは缶コーヒーのフタを開けて一口啜ると苦っと顔をしかめた

 

「ちなみにナニか用ですか?」

 

「テイトクさんに?」

 

「テイトクに用があるから来たのでは?」

 

「あぁ、用ね………あー………うん、特にないケド?」

 

「そうですか」

 

由良さんのめんどくささは今日に始まった事ではないのでイチイチ気にしても仕方ない

 

「そういや由良さん、最近テイトクが消火器のカタログ見ながらコイツで殴れば由良さんでもKOできっかなーって言ってましたよ、死んだ魚みたいな目で」

 

「へぇー…そうなんだぁ~…へぇー」

 

由良さんは缶コーヒーの中身を机の一番人気の引き出しにドボドボと流し込み、缶を握り潰した

 

「あーあ、怒られますよ」

 

「由良はそれ以上に怒ってるけど?ね?テイトクはまだ戻って来ないかな?」

 

「さぁ?今ごろ酒でも飲んでベンチで寝てるんじゃないですか?」






次回からIFエンド回ですって


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提督と鈴谷と真のエンディング?

IFエンド準備中…【二回目】
ボチボチしか書けないだらしない書いてる人ですまない

【登場人物】

提督(メガネ男子)
眉毛でも整えるかとゾッてたら失敗した

鈴谷(ビッチ)
自称誰もが羨むメインヒロイン様、ポジティブさとタフネスさは提督も一目置いている




「ヘイヘーイ!誰もが羨む超絶美形メインヒロイン鈴谷様が遊びに来てあげましたよぉ~」

 

「ナニが超絶美形メインヒロイン様だ、死なすぞ」

 

蒸し暑さと線状降水帯と夏の海域作戦が同居するたった一度の2023と言う夏、その、素敵な夏に…ハジけるビッチ臭を纏い……………牝が立っていたッッ!!

 

「何の用かは知らんが、早々に俺の前から去るがいい、俺は今メガス●アを読むのに忙しい」

 

「遊びに来たって言ったじゃん」

 

「消えろ、俺はキサマのようなビッチとは遊ばない、何故ならおばあちゃんからビッチとは遊んではいけないと言われて育ったからな」

 

「おばあちゃんっ子かよ、っーか鈴谷ビッチじゃねーし」

 

こやつめ、一度は見逃してやると言っている提督の慈悲がわからんとはな、救えん奴よ…

 

そんな救えん奴こと鈴谷はクッソマジアッチィーとか言いつつ執務室にズカズカ入ってくると、まるで我が家のように執務室の冷蔵庫を開けてペットボトルのバヤ●ースを取り出して口をつけて呷った

 

「ブハァ!うんめぇ〜…」

 

「うんめぇ〜…じゃねーよ、ナニ直飲みしてくれてんだテメーは、汚染されたからもう飲めなくなちまったじゃねーか」

 

「汚染とかゆーな、え?ナニ?テイトクは間接KISSとか気にするタイプですか?」

 

「ハァ…ビッチの体液が混ざったバヤ●ースなどバヤ●ースじゃない、バヤ●ース風味の強力媚薬だ」

 

「だからビッチじゃねーし!っーかなんなのその能力!サキュバスかよッ!」

 

古来より淫魔の体液には強烈な催淫効果があると聞く、その威力たるや屈強な女騎士や気高き姫騎士、高潔なる聖女すらほんの数滴で濡らすのはもはや常識…

 

「そのバヤ●ースはキサマにくれてやる」

 

「なんかムカつくけどくれるってなら貰うし、ってかサミー子は?休み?」

 

「休みだ、なんか豆買いに行くとか言ってたな」

 

「ふ〜ん」

 

鈴谷は大して興味なさげに相槌を打ちつつ、菓子棚から袋菓子を取り出してお客様ソファーに座った

 

「で?ナニして遊ぶ?鈴谷K●F98めっちゃ練習してきたから、ハッキリ言ってテイトクとかもうザコだから」

 

「やかましい、キサマとは遊ばんと言ったろーが」

 

「ハィー?この超絶美形メインヒロイン様に今なんか言いましたかー?」

 

「ナニが超絶美形メインヒロイン様だ」

 

「ってかテイトク」

 

「なんだ?」

 

「こないだIFエンドについてボシューとかしてたじゃん?」

 

「メタいことゆーな、それがなんだ?」

 

ボシューしましたよ、えぇ、まだボチボチ書いてますよ、えぇ、次回からIFエンドするって言いましたよ、えぇ、謝りたいと感じていますよ?えぇ

 

「そんでまぁ、鈴谷さぁ、IFエンドのリストってのを入手したワケじゃん」

 

「リストだぁ?いったいなんのリストだよてめ―――っ!!」

 

「………………IFエンド、それはIF(もしも)である」

 

鈴谷はスーッ〜…と立ち上がり、右手で顔を覆った

 

「つまりッッッ!!IFとは真のエンドに辿り着く資格の無い負け犬の結果ッッッ!!ありえない結末ッッ!!妄想!!夢!!…………そこにラインナップされた時点で永遠の敗北者に決定されたも同然」

 

「…お、おぅ?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカれているのか?

 

「つまりはそこにラインナップされなかった鈴谷こそ最後の勝利者である真のメインヒロイン!フフッ…書いてる人より読んでる人の方がよくワカっているじゃん!!フフッ…ハハハ……ハァーッハッハッハ!」

 

な、なんてポジティブ…ッッッ!!なんと言う前向きな考えッッッ!!自分をメインヒロイン様であると信じて疑わない強固にして確固、決して揺るがぬ()ッッッ!!

 

我以外負け確ヒロイン也…

 

そこまでかッッッ!!鈴谷と言うビッチは俺の想像を遥かに超えた“怪物(モンスター)”だったのか…ッ!!

 

「まさかここまでとはね…」

 

大したやつだよ、オマエは…

 

俺はまるでイタズラっ子のように鼻の頭を掻き、ゲラゲラと笑う鈴谷のお腹にそっと手を置きスゥー…っと息を大きく吸い込み通●拳を叩き込んだ

 

ドンッ!!!(通●拳)

 

「おごぉ!!!お…ぉぉ……おごぇあ…っ!!」

 

鈴谷は誰もが羨むメインヒロイン様にあるまじき光る吐瀉物を吐きつつその場で両膝を折りかけたが耐えた

 

「え…?ナニ?え………?鈴谷なんかした?って今のガチの通●拳だったよね?鉄拳チ●ミでも見開き使う系のガチのやつ…」

 

「通●拳を受けてまだ倒れないか、大したタフネスだ」

 

「や、質問に答えろし!」

 

「やかましい、ナニが真のエンディングだ、ナニがメインヒロインだ、キサマはなんだ?ビッチだろう?」

 

「ビッチじゃねーし」

 

「ビッチはメインヒロインにはなれない、これは既に常識」

 

「だから!!ビッチじゃねーし!!鈴谷バリバリの清純派だし!!」

 

「やかましい、たまたま清純派の棚に置いてあるだけだろーが、オマエに相応しい棚は援交とJKの棚だ」

 

「ハァー?鈴谷援交とかしませんケドー?こう見えてめっちゃ一途に尽くすタイプなんですケドー?」

 

「ガハハハハ、一途ときたか!ガハハハ!」

 

「笑うなァ!!」

 

これを笑わずにナニを笑うか!!ハハッ、ウケる

 

「鈴谷よ、オマエ、リストに名前が載っていなかったと言ったな?」

 

「言いましたけど?」

 

「リストに名前が載っていないと言うコトは、むしろオマエへの需要がないとは考えなんだか?」

 

「は?んなワケねーし」

 

絶対的とも言える自分への自信、これが超絶ポジティブたる所以か…

 

「大したやつだ、ガハハハ!」

 

「そーよ!鈴谷は大したやつよ!ガハハハ!」

 

「いいだろう、尻を出しなさい」

 

「尻ね!そんなの軽い軽………って!!出すかッ!!!ヘンタイかッ!!」

 

「ヘンタイじゃない、提督だ」

 

「ってか、なんで尻?おかしくね?」

 

「おかしくない、ア●ルならセーフと言うように、古来よりサキュバスはア●ルが弱い」

 

「や、聞いたコトねーし、ってか鈴谷サキュバスじゃねーし」

 

前の穴で精気を絞り尽くすのを得意とするサキュバスだがア●ルでは精気を吸収することが出来ず弱体化する事は近年の研究で確証されつつある、これが正式に立証されればダーウィンの進化論ほどではないが学会でセンセーションを巻き起こせるだろう…

 

「まぁいい、俺はキサマがメインヒロインだとか負け確ヒロインには興味がないのだよ」

 

「ハァー!?」

 

「ゴメン、興味がないから」

 

「ふざけんなよテメー!チ●ポついてんのかコラァ!」

 

鈴谷は俺の胸ぐらを掴みオォン?とイキってきたので俺の胸ぐらを掴む鈴谷の肩をガッチリと掴み、鈴谷の身体を勢い良く持ち上げ………

 

「大●山落としーッ!!」

 

「グハァ!!!」

 

俺の大●山落としを受けた鈴谷はウッギャアー!とか言いながら床を転げ回った

 

「い、いきなり…大技はヒドくない?」

 

「ヒドくない、何故なら俺は提督だからだ」

 

「あと、女の子が大声でチ●ポとか言うのはいけない」

 

「うるせぇし」

 

しかしベッドの上ではチ●ポと言っても問題ない、いや、むしろ推奨されると言っていいだろう

 

「わかったらさっさと消えろ、そろそろ俺の怒りゲージもギチギチに貯まってきたところだ」

 

「ハァ?鈴谷の怒りゲージは既にバクハツしてるっーの!」

 

「今こそ汝が右手にその呪わしき命運尽き果てるまで…」

 

俺の右手にパワーが集中すると同時に鈴谷は即座にバックステップで右手の射程から脱出してみせた、なるほど、この技の危険性を即座に回避行動に移るとは大したやつだ…

 

「高き銀河より降りたもう蛇遣い座を宿すものなり…」

 

「ちょ!詠唱やめて!それマジやめて!!」

 

「なんだ?ビビってんのか?あ?」

 

「は?ビビってねーし」

 

「されば我は求め訴えたり」

 

「だから詠唱やめろし!!それガード不能じゃん!!鈴谷の頭が壁にメリ込むやつじゃん」

 

「ガード不能なら避ければいいのでは?避けれるものならなァ」

 

「は?避けれるし、メインヒロイン様にスネークバ●トとか当たらねーし」

 

「そっかそっかぁ~!当たらねーかぁー!そっかぁ~、ガハハハハハハ」

 

「そんなん当たり前じゃん!ウケる、ガハハハハ!」

 

俺と鈴谷はまるで小粋なジョークのように和やかに笑い、笑顔が空間に溢れた

 

「 喰らえ、その毒蛇の牙を以て」ニコォ…

 

「は?」

 

 

 

【同日同時刻、たまたま愛犬の散歩の為に執務棟の外を歩いていた朝潮型駆逐艦 朝潮は後にこう話した…】

 

 

えぇ、突然でしたね、なんかこう………ドンッ!って音がしたんですよ、近くに雷が落ちたみたいな……音と、衝撃が…

なんだろう?と思う前に執務棟の壁が壊れるのがワカりました、えぇ…執務棟の壁は鉄筋コンクリートです、それが何の前触れもなく…

それで、壊れたコンクリート片に交じって人みたいのが落ちてきたんですよ、えぇ…3階からコンクリートをブチ抜いて落下してきたワケです、普通なら死んでいると思います

 

ですが、これは鈴谷さんの話ですよね?

 

頭からダラダラ血を流しつつコンクリートの瓦礫の中から立ち上がったと思ったら、急にダッシュですよ、えぇ、執務棟の入口方向に走っていきました、えぇ、速かったですね、たぶんオリンピックなら金メダルだと思います

その後はどうなったか…?さぁ?私はそのままワンタの散歩に行きましたので知りません

 

 

【朝潮とほぼ同時刻、執務棟の3階廊下に居た練習巡洋艦 鹿島教諭は我々のインタビューに答えてくれた…】

 

びっくりしましたね、えぇ、単純に…

それと同時にまた夕張さんあたりが何かやったのかと思いましたが、えぇ………違ったんですね

 

スゴい勢いで階段を駆け上がってきた鈴谷ちゃんがこれまたスゴい勢いで執務室の扉に飛び後ろ回し蹴りですよ、えぇ、立ち技では最強ですからね…

正直言って、この娘ナニやってんの?と思いましたけど、執務室に飛び込んだハズの鈴谷ちゃんが次の瞬間には執務室から垂直に飛び出してきて廊下の壁にメリ込みました

 

たぶん通●拳ですかね、あの威力は…

 

お腹のあたりがヘコんでましたね、廊下で通●拳はマジヤバイですから、街のケンカ自慢のお腹パンチの比じゃないですよ…アレは

ハッキリ言って一週間は下痢気味になりますよ…

 

でも、これは鈴谷ちゃんの話ですよね?

 

さすがはビッチ・オブ・ビッチとディスられるだけはあります、メインヒロインとは思えないゲ●を吐いてたと思ったらすぐに動けるあたりが普通じゃないですよね

 

そんな鈴谷ちゃんがこう言ったんです…

 

『その詠唱やめて!マジやめて!』

 

えぇ…………完全にビビってましたね、はい

 

私からは見えない角度なんですが、執務室から“その呪わしき命運受け入れし者にのみ賜うべきは~…”とかなんとか中二くさいセリフがちょっと聞こえてましたけど……

 

え?それからどうなったか…?あはは、ごめんなさい、私、そこでそう言えば香取姉ぇ……じゃない、香取姉さんから夏休みの課題の資料を持ってきてと言われたの思い出してダッシュでその場を去りましたから、えぇ、香取姉さんはナニよりも怖………いえ、香取姉さんを待たせるワケにはいきませんでしたから!

 






とりあえず今月中にはIFエンド初回が出す予定ですの


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提督とLangleyの乱

三ヶ月も音沙汰なく死んだと思っていたかしら?フッ、どうやら閻魔様にも嫌われちまっているらしい

そんなワケで何事もなかったように再開ですわ

【登場人物】

提督(メガネ男子)
異世界に行って大魔王を倒して帰ってきた異世界帰り、好きな魔法はラナルータ

ラングレー(ロック)
よくロック道を踏み外してドラッグに溺れる、よく見たら美少女、成長性E






もういくつ寝るとクリスマス、今年も駆逐艦や海防艦のバカガキどもに素敵なプレゼントを支給するべく街のトイザ●スへ行き、思わず生つばゴックン!な領収書を頂いた帰り、とりあえず執務室に行く前に缶コーヒーでも買って喫煙すっか!と考えた俺は自販機コーナーへと向かい…

 

………信じられぬもの見た

 

「よ…ヨォ!テイトク!」

 

ロックのカケラをも感じない最近久々に現れたであろう正統派美少女…

 

初めて買ったギターを買ったその日にケンカで壊したロッケンローラーはもういない…

 

USS Langley………かつて荒削りながらも若さと情熱だけはあったアツきロッケンローラーだったもの…

 

「MERRY Xmas!」

 

「ら…ラングレェ…」ポロポロ…

 

「なんで泣くんだよ!!」

 

「…わかるってばよ、オマエの辛さ、俺にはスゲーわかるってばよ」ポロポロ…

 

たしかにお前の“ロック”は売れなかった、ハッキリ言って売れなかった、モモタスのLIVEと互角か、ちょい下回るかぐれーだった…

でもお前には“ロック”があった!誰よりもアツい“ロック”が!!

 

「それがなんだ!?今のお前のその姿は!アイドルかッッ!アイドル気取りかッッッ!?」

 

「ウルセェェェェェェ!!アタシだってワカってんだよ!!」

 

「ラングレェ…」

 

「ハハ…笑えよ!!ほら!笑えよ!羽なんか付けて美少女前面押し出し中の推しの娘なアタシを!笑えよ!ナァ!?」

 

ラングレーはナニがMerryだよFucKーッ!と腰の羽をムシって地面に叩きつけた

 

「アタシもちやほやされてェんだよォ!!悪りぃかよ!!」ポロポロ…

 

「ラングレェ…」ポロポロ…

 

思い返せば今年の春、ロッケンローラーである自分に自信を失い、自暴自棄になってヘル・ヴィジ●ンのマッドカクテルに手を出したりして荒れていたラングレーくんはMAJORの同僚、ホーネットくんの勧めでcute&girlyなアイドル路線へ道を踏み外した…(第918回 提督とLangleyと赤い夜 参照ですわよ!)

だがその急な路線変更はアイドル道をなめているとアイドル道の求道者、モモタスにより戒められ、ラングレーくんはまたギターを手に取ったハズだったが………

 

「アーッハッハッハッハ!ブザマなアタシを笑えよ!どうしたぁ?ほら、パンツ見るかよ?美少女のパンツだぜ!」

「クッ…!目を、目を覚ませ!!流●指刺(スター・フ●ンガー)ーッ!」

 

グサァ!!(目突き)

 

「ウッギャアアアアアアアア!!目が!!目がァァァァァァァァ!!」

 

ラングレーくんは目がァァァァァァァァと叫びつつ背後の壁に激突して後頭部を強打してピヨった…

 

「ボディが甘めぇぜ!」

 

メリメリィ!!(お腹パンチ)

 

「ウゲェ!!」

 

追撃の悶絶ボディブローを喰らってうずくまり、光る吐瀉物を吐いたラングレーくんだったが、そのままKOとはいかず、膝ガクガクでも立ち上がった…

 

「…な、なんで今、お腹殴った?」

 

「すまない、隙をみたらつい…」

 

「ついで殴んなよッッッ!!ついで!!DVカレシかッ!!」

 

「すまない、本来なら葵花を叩き込むところだったが………つい」

 

「だからついじゃねーよ!!っーかアオイバナってなんだよ!?」

 

たぶん相手が鈴谷だったらキメていただろう、しかし相手はロックを捨てたとは言え元はロッケンローラーのラングレーくんだ、俺の中の良心がきっと無意識のうちに手加減を選んでしまったのだ

 

「っーかアタシみたいな美少女に目突き→腹パンとかよく躊躇なくできるのな、サドかよ」

 

「サド様じゃない、提督だ」

 

モチロン、提督だって鬼ではないし理由なく美少女を痛めつけることに喜びを感じたりはしないのだよ

 

「ま、いいや…とりあえずアタシはちやほやされてーからよ、ロックとかもうどーでもイイんだよ」

 

「ダセェやつだな、ラングレェ…今のお前、ダサすぎだぜ…」

 

「クッ!」

 

「ガッカリだぜ、まぁ…そんなダサ坊になっちまったラングレェくんは好きじゃなくなったね、さて、提督はフレッチャーくんにおっぱいを揉ませてくださいと頭下げに行くか」

 

「いや!そっちのがダセーだろ!!」

 

「ハァー?じゃ、ラングレェくんが揉ませ…………ハハッ、ソーリー」

 

「ナニがsorryだコラァ!!」

 

ラングレーくんは汚い英語を交ぜつつ俺の胸ぐらを掴み、取り消せよ!!とスゴ味を出してはみたが、だが今のラングレーくんでは提督のメタルハートには響かないのでラングレーくんの腕を掴んで捻りあげた

 

「イダァァァァァァァァァ!!痛い!!ちょ!痛い!!」

 

「やめてよね、本気でケンカしたら、ラングレーくんが提督に敵うはずないのだよ」

 

「んだとコラァ!!」

 

たしかに、ラングレーくんはMAJORの資質はあるやもしれない、だが………アイオワ、サラトガ、ホノルル、アトランタ………ホンモノのMAJOR LEAGUERは誰もが提督を震撼させるアメリカンサイズをお持ちなのだ

 

そんなMAJORの怪物の中でもフレッチャーくんは群を抜く怪物、まだ駆逐艦という本来ならばJr.リーグーでありながらその隠しきれない才能(お胸様)はサイズはまっことMAJOR級、JAPANでは一線級であるはずの重巡軽巡でも相手にならないのだ

かつてこのフレッチャーくんのMAJORからの移籍に際して各資材5桁を積むという破格の契約交渉があったのだが………アレはTOUGHな交渉(ネゴシエーション)だったわね、うん

 

「Fuck!離せよ!!」

 

「いけないなァ、サンタ美少女がFuckなんて汚い言葉を使っては…」

 

「ウルセーな!ナニがXmasだよ!ナニがメリクリだよ!やってられっか!!」

 

ラングレーくんは腰のエンジェル・フェザーを勢いよく毟り取り地面に叩きつけた

 

「だいたいテートク!!テメーごときのお腹パンチで内臓イッちまうようなヤワな腹筋じゃあ………“ロック”は歌えねえんだよ」

 

「ラ、ラングレェ…!お前…っ!」

 

誰かが言った…

 

ROCK’N ROLL IS DEAD!!ロッケンロールは死んだ…って

 

だがしかし、今、俺の目の前にいるのは………あれはイカれたジャンキーの目じゃない、強くてキュート、何かに飢えているロッケンローラーの目だ

 

「やっぱラングレェは変わっちゃいねぇ……変わってなんかいないぜ、オマエ」

 

「ヘヘッ…!」

 

ラングレーくんはまるでイタズラっ子のように鼻の下をかき、心配かけちまったなと照れ臭さそうに笑い、俺はそんなラングレーくんをアツく抱きしめてその身体を持ち上げて勢いよく腰を落とし、自らの片膝にラングレーくんの両膝を叩きつけた!!

 

「ダブルニークラ●シャー!!」

 

ガゴォ!!(ダブルニークラ●シャー)

 

「ウッギャアアアアアアアア!!!アタシのダブルニーがァァァァァァァァ!!」

 

ダブルニーを破壊されたラングレーくんは地面を転げ回り、壁に勢いよく激突して動かなくなった…

 

「…………さて、タバコ吸いに行くか」

 

 

後日、ラングレーくんはギター買い直したいからお小遣いくれとやってきたので顔面めり込みパンチした





まだ本調子とはいきませんが、とりあえず次は年末
地道に書いていたifエンド、年末ワイド特番でひりだしますわ


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提督とクリスマス的祝祭

メリークリスマス、と言うやつだぜ…
今年は小規模なクリスマス回なだらしない書いてる人ですまない

【登場人物】

提督(社会派)
好きな菓子パンはマンハッタン

五月雨(穏健派)
好きな菓子パンはまるごとバナナ


もしもし?オレオレー?今年の“サンタ狩り”どうするよー?そんなナウな言葉が飛び交うクリスマスの季節

今年もやってきたアベックどもに天誅下すこの日がやって来たことを俺たちは神に感謝しなければならいだろう…

 

「何バカなコト言ってるんですか…」

 

「コイツ、俺の考えていることを………能力者かッ!!」

 

「いえ、アベックどもに〜…のくだりの辺りから声に出てましたけど」

 

今年も基地福利厚生イベントの一環として絶賛開催中の基地クリスマス会、バカなガキどもにはトイ●らスで購入してきた(福利厚生費で)プレゼントを配り、アホな大人たちにはこの日の為にグ●メ界で仕入れてきた(間宮が)グ●メ細胞が歓びに震える料理と、ビールかけとワイン祭を開催しても大丈夫な量のアルコール飲料を用意している…

 

『ヤベェぞ!高雄クンと妙高クンがメンチ切り合ってんぞ!』

 

『高雄クンが妙高クンの髪にケチャップかけちまったらしい…』

 

『こりゃタダの“聖夜”じゃ済まねーぜ…』

 

既に“パーティ”は開催されているらしく、会場のあっちの方ではピキッ!パキッ!とアレなコトになっているようだが、会場内で起きる事故や事件に関して提督は一切関知しない、これはもはや常識…

俺は五月雨と今日のケーキ何?イチゴの載ったやつ?俺イチゴのショートケーキ食いたいんだよねとワリとどうでもいい世間話をしつつテーブルで食い物を物色していると、足元にヌルッとした感触のなんかキショい生物がまとわりついてきた…

 

「なんだ?このキショいのは…?」

 

「山風さんのネコでしょ」

 

「あー…」

 

そういやそうか、この毛のないネコは……俺は毛のないネコの首の後ろを掴んで持ち上げてみると、ネコは大して抵抗するわけでもなくダラリと持ち上がりやる気のない声を発した

 

「なんでコイツだけいるんだ?飼い主はどうした?」

 

「さぁ?その辺で遊んでるんじゃないですか?」

 

「いけないなァ、飼いネコを放置しては…」

 

とりあえず辺りを見回してみると、緑色のトゲトゲしいヘアーの子とキンパツサラサラヘアーの子まるで絡み合う2匹の大蛇の如く床をゴロゴロと転がりながらお互いにマウント・ポジションを奪い合いつつ汚く罵り合っていた

 

『うおー!このキンパツ!私は!お前が!泣くまで!殴るのをやめない!』

 

『この爆発力!このトゲトゲチビを侮っていた!こ…このきたならしい阿呆がァー!』

 

まぁ駆逐艦たるものケンカの1つはするだろう、しかし楽しいクリスマスにあまりエレガントではなかったのか山風クンはカットに入った海風ねーちゃんに羽交い締めにされたままスープレックスで後頭部を強打され、ジャーヴィーくんは女王陛下の王笏で顔面を強打されて壁まで吹っ飛び白目を剥いていた…

 

「海風ねーちゃんやりすぎじゃねーの?」

 

「大丈夫ですよ、海風さんは胸にご立派なクッションついてるから大したコトありませんよ」

 

そのクッションは山風クンの後頭部をクッションしてないのでは…?と疑問に思ったが、サミー子はすぐ下の妹が駆逐艦にあるまじきパイオツの持ち主であることに憎悪があるらしいのであえて口に出さず言葉は呑み込んだ、提督は大人である

 

「むしろジャーヴィスさんの方がアレなのでは?」

 

女王陛下の覇気をまともに被弾して無事である理由はない、むしろ原型が残っていることに女王陛下の懐の深さが窺えるものだ

 

俺は毛のないネコをサミー子のアタマに置いてみたが、ネコがずるりと頭から落ちてしまった…

 

「なんてことするんですか、髪が傷むじゃないですか」

 

「いや、ほら、山風クンはアタマに乗せてるからお前でもイケるのではと…」

 

「私と山風さんじゃ髪質が違いますから」

 

そういや山風クンは海風ねーちゃんからトリートメントはしているか?と小言を言われてたな…

五月雨曰く、同じ姉妹でも髪質の違いはかなりあるらしく、意外にも白露ねーちゃんが髪質的には似たようなタイプなそうな

 

「へぇ、まぁどうでもいいハナシってやつだな」

 

「そうですね」

 

俺たちはドリンクを片手にとりあえずこの場にとどまることはリスキーであると本能で察し、適当に皿に載せた料理を持って会場内の別のビュー・ポイントへと移動した………

 

*****

 

「そう言えばテイトク、こないだ風邪引いてませんでした?」

 

「ひくよ、そりゃ俺だって風邪ぐらいひくのだよ」

 

「へぇ…」

 

自分で聞いておきながら心底興味なさげにねぎまの串を食べる秘書艦サミー子、コイツ………俺が心の広い理解ある提督クンじゃなかったら即座に顔面パンチでわからせられるところなのだよ…

 

そんなどうでもいいコトを考えていると、俺の中の危機管理センターが一気にレベル5まで警戒レベルを引き上げてきたッッ!!

 

「テイトクさん、こんなところに居たんだ?ね?」

 

「…やはりキミか」

 

由良さんは両手にケーキの皿を持っており、普通に考えたら手による先制攻撃はないだろうと考えるところだが、この由良さんは違う、ケーキだろうが皿だろうが平然と凶器として使用してくる

 

「テイトクさんとサミーもケーキ食べる?取りすぎちゃって由良1人じゃ多すぎかなって思ってたの、ね?」

 

「は?」

 

「…ちょっと言ってる意味がわからないですね、ナニ言ってるんですか?イカレてるんですか?」

 

「テイトクさんもサミーも由良に対して失礼すぎじゃない?」

 

由良さんが俺たちにケーキを振る舞う?オイオイオイ、ありえねぇだろ…由良さんの性質的に

この異常とも言える由良さんの言動に、俺だけではなく五月雨も戸惑いを隠せないらしく、俺達はアイ・コンタクトによる情報と行動の共有化を実践した…

 

“ハッキリ言って由良さんが善意100%でケーキなんか振る舞うなど100億%ない、唆るぜぇ…これは!”

 

「とりあえず、テイトクさんとサミーが殺してくれと言ってるのはわかるけど」

 

「言ってないのだよ」

 

由良さんは俺とサミーが座っていたベンチの上司と部下の社会的な距離をグイグイとねじ込み座った

 

「たまには同期の3人で仲良くしたいじゃない?ね?」

 

「…いや、どうしたの由良さん、え?ナニ?由良さんなの?」

 

「…ちょっと何言ってるかわからないですね」

 

由良さんに何の考えがあるのかわからないが、とりあえずいきなり貫通お腹パンチとかはなさそうだな…

しかし、必殺の間合である事に変わりは無いので警戒は解けんな

 

「テイトクさんどれ食べたい?この黒いの?赤いの?」

 

「せめて名前で言えよ、女子力低いなオイ」

 

「ケーキに名前なんか必要なくない?ね?」

 

ケーキに対してなんてこと言うのかね、この娘は…

 

「私はこの赤黒いやつがいいですね」

 

そしてサミー子、お前もか…

 

「へぇ、なかなか見る目あるじゃない、それ、ウチの阿武隈が食べたいって言ってたから前歯を折ってやったの」

 

鬼かッッッ!!!!クリスマスに阿武隈へのとんでもないプレゼントなのだよ

 

「阿武隈に謝れよ」

 

「謝ったよ、カルシウム足りてないんじゃない?って、ね?」

 

それのどこが謝罪なのか?由良さんにとっては顔面パンチですら謝罪の意味があるのかもしれないが…

 

「で?テイトクさんはどれにするの?ね?由良も同じのにするから」

 

「ヤンデレカノジョか!!」

 

「ま、フツーにウソだけど」

 

「クッ!ナメやがって…!イチゴだよ、イチゴの載ったショートケーキが食いてぇんだよ!俺は」

 

「へぇ、じゃ、由良もそれにしよ」

 

「クソッ!!意味わかんねぇ!!」

 



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提督とルート分岐のエンディング㉒

今年もお世話になりました、とりあえず今年はこれで最後でございます

続きはわりと間を置かずにイケる予定で御座います


【ステーキハウス・コロラード】

 

かつて、戦争があった…

 

古代ギリシャオリンピア祭の五種競技とは 競走・幅跳び・槍投げ・円盤投げ・レスリングから成り立つが それは戦争の際に必要な動作・所作を細分化し競技化したものだと言われる…

つまり すべてのスポーツの発祥は“人を殺すため”の技術向上から誕生したものである!!

 

なにが平和の祭典だ!!

 

歴史を見ても人を殺すことに長けている国のみが支配者として君臨するのだ!力こそ正義だ!出でよ!血に飢えた勇者ども!“ハイパー・バトル”という血戦の場へ!

 

ーーーーー

 

深海棲艦とのあくなき戦いも終わり、海軍と言う名の組織から無事に族抜けした俺はギブ●ンの待つMAJORへ挑戦するべく海を渡った…

しかし、海を渡ったその先で待っていたのはギブ●ンではなくギャングの洗礼であった…

色々あって利き腕を負傷し、唯一の球種であるファックボールを投げることができなくなった俺はMAJORへの挑戦を諦めマウンドに立つ事なくマウンドを去り、これからナニを生きがいに生きれば良いのかと悩みつつジョージアのダウンタウンで楽器屋のショーウィンドーを眺めていると見知ったキンパツから声をかけられた

 

「Admiral!Admiralじゃナイ?」

 

「あァ…?」

 

「に、睨まなくてもイイでしょ!ワタシよ!ワタシ」

 

「…………誰?」

 

いや誰だよ、見た目だけで言うならキンパツ美少女だが………フレッチャーくん?いや、違うな、フレッチャーくんはもっとこう……唆るもんな

 

「シツレーね!Coloradoよ!Colorado!!偉大なるBIG7のリーダー的存在の…」

 

「コロ……あぁ、コロちゃんか」

 

「Colorado!!USS BB-45!Colorado class nameship Coloradoよ!!」

 

コロちゃんはキィーキィー言いつつ大振りでスロウなパンチを繰り出してきたがそんなテレフォパンチが俺に当たるハズもなく、勢い余って顔面から壁に激突した

 

「ピギャ!!う、ぅぅぅ…!」ポロポロ…

 

「大丈夫かね?」

 

「だ……大丈夫よ!ワタシは元BIG7よ、こんなもの…痛くも痒くもないわ!」

 

たぶん内臓が損傷してるんじゃあないかと疑いたくなる量の鼻血が流れているが本人が無事と言うなら無事なのだろう

 

「で?コロちゃんはこんなトコでナニしてんだ?サックスでも買いに来たのか?」

 

「ナニしてるわワタシのセリフよ!Admiralこそなんでstatesに居るのよ?ニホンに居るんじゃなかったの?」

 

「色々あってな、今はアツい就職カツドウ、略して就活中なのだよ」

 

「ふ〜ん」

 

コロちゃんはイマイチ納得いってなさげな顔をしていたが、特に気にすることでもないと切り替えたのか、よくわからないがウンウンと頷いた

 

「Admiral、シゴト探してるならワタシの店で働かナイ?」

 

「ハァ?」

 

コロちゃん曰く、コロちゃんの実家はデンバーでも有名なステーキチェーンを営んでいるらしく、今度このアトランタにも新しい店を出店する計画があり、今日はその下見にやって来たのだと…

 

「へぇー…」

 

「ナニよ、イヤなの?」

 

「いや、別にイヤってワケじゃないが…」

 

後で知った話だが、海軍を退役し実家に戻ったコロちゃんはこれからはパパの事業を手伝うわ!と息巻いてとりあえず色んな事業に首を突っ込んではトラブルを起こし、どうしたものかと考えたコロちゃんのパパは自社の事業の中でも大して重要ではなく、最悪赤字を垂れ流しても問題ないステーキ屋を可愛い愛娘(重要)に任せてみることにしたそうな…

 

「どうせヒマなんでしょ?」

 

「ヒマじゃねぇよ、ナメてんのか」

 

「ナニが不満なのよ、お金?お金なら払うわ、いくら欲しいのよ?」

 

金持ちお嬢様かよ、コロちゃんはこの庶民はナニが不満なのかわからないといったツラで腕を組んだ

 

「ま、やるからにはこの街でイチバンの………いえ!全米でイチバンの店にしてみせるわ!」

 

「全米No.1か…」

 

コロちゃんのコトだ、イチバンの店にしてみせるとか息巻いてはいるが、おそらくはノー・プランだろう…

俺はそんなコロちゃんの上着をそっと掴み、勢いよく上着のボタンを引き千切った

 

「ピギャ!?な、なにするのよッッッ!!」

 

「いいだろうコロちゃん、コロちゃんの店を手伝っていい………だが!もし店を潰したり店の経営がヤバいと途中でバレた時は俺はお前を助けない、自分の失敗は自分で償うんだ、それ以外は、自分の上着をひきちぎったほどの おまえの気高き“覚悟”と………黄金のような “夢”に賭けようコロちゃん」

 

「ヘンタイ!!ヘンタイ!!!ナニすんのよバカァー!!」

 

 

2年後、ステーキチェーン『Colora-do』は意外にも盛況となり、コロちゃんのパパから全米No.1にしたら愛娘を譲ってもいいと口の中に猟銃を突っ込まれながら念書をかわし、その約束は、それから8年後に果たされることになった…

 

 

おわり

 

■□■□■□■□■□

 

【ファイナルブレット】

 

かつて、戦争があった…

 

俺たちは騙されない!“努力”などという言葉は成功者の詭弁だ

努力して成功するのならモモタスはアイドル・艦娘としてもスーパースターになっていたはずだ!

極東の小さな島国から大戦艦になったナガトやムツは持って生まれた才能があったんだ…

ナガトは40㎝の砲弾を遠くへ飛ばす才能があった、ムツはどんな敵でもぶちのめす才能があった…

ナガトやムツ程度の“努力”はBIG7なら普通にやっている!そして!!このリングに立っている艦娘達も生まれながらに人を殴る才能・投げる才能・極める才能・殺す才能に長けている!凡庸な提督達よ!殺艦技エリートたちの血の競演に括目しろ!

 

ーーーーー

 

深海棲艦とのこの海の生き残りを賭けた戦争が終わり海軍を早数年…

海軍はその役目を終え、提督と艦娘はお払い箱となり、ある者は故郷へと帰り、ある者はもう戻れない青い春を探しに行き、またある者は次なる闘争のフィールドを求めて旅立った…

 

しかし、多くの艦娘が新たなる人生を見出だす中、未だ、新たなる人生を見出だす事ができない者達もいた…

 

『しれぇ…次は誰を●せばいいんですかねぇ?』

 

数ある駆逐艦の中にあって、イチバン強いのは誰か?その、あまりに難しい質問を受け有識者達の活発な意見が飛び交い、様々な論争を巻き起こすであろうその問題…

しかし、その結論は常にこう締められる…

 

“まぁ、ルール無用なら雪風でしょう…”と…

 

史上、最も深海棲艦を殺害し、生き残った深海棲艦もその姿を思い出すだけでも未だ震えが止まらないと涙を流す恐怖の象徴、陽炎型姉妹の八女、その姿を見て生き帰れないと深海棲艦を恐怖のズンドコに叩き落とした死神…

 

その彼女は今……………普通の学校に通っていた

 

 

「ただいまー!」

 

「うるせぇよ、ドアぐれー静かに開けろ!」

 

深海棲艦との戦いが終わり、多くの艦娘が社会復帰なりセカンドライフを送ろうとする中、提督最後の仕事として全員が元気に巣立つのを見送る仕事をしていた俺だったが、最後の最後まで次が決まらずに残っていたのが雪風と島風だった…

 

まぁ軽巡重巡ぐらいなら社会と言う名の四角いジャングルに放り出しても心は痛まないが、さすがに駆逐艦となると〜…と考え、とりあえず2人を一応引き取る形になった…

 

「っーか雪風だけか?島風のアホはどうした?」

 

「島風なら殺人的な加速だッ!と言いながら走って帰ってました、まだ帰ってないんですか?」

 

「あのヤロウ、どうせ買い食いでもしてるんだろ…」

 

まぁガッコーの帰り道に買い食いするなとは言わないが…

 

「今日の晩御飯はカレーですか?」

 

「いや、ハヤシライスだ」

 

「ハヤシライスですかぁ…」

 

ハヤシライスと聞き雪風は露骨にテンションが下がったのか、大きくため息を吐いた

 

「オイオイ、ハヤシライスをバカにしてんじゃあないよこの子は、ハヤシライスは薄切り牛肉・たまねぎ・デミグラスソースを煮たものを白米にかけた完全食だぞ」

 

「雪風はカレーの方が好きです」

 

「ナマイキな子だわね」

 

このナマイキぶりは誰に似たのかね、長女か?長女だな、間違いない

 

「そう言えばこの間、ガッコーの近くにカレー屋さんができてました」

 

「ふ〜ん、CoC●壱か?」

 

「いえ、なんかインドで修行した女の人が作ったとかなんとかの店です」

 

「本格派ってヤツか、意識高けぇなオイ」

 

「ガッコーではお店の店長さんゲロマブー!毎日通っちまうぜ!うっ…!って話題です」

 

「そうか」

 

うっ…!じゃねーよ、なんだよその店、サキュバスでもいるのかよ

教会に通報して早めにエクスキューションして貰った方が良いのでは?

 

「雪風もクラスの子から一緒に行かないかって誘われました」

 

「ほぉ、そうかそうか、ちなみにその誘ってきたやつは男か?それならばわからせる必要があるからな」

 

「女の子です、雪風より島風の方が男の子には人気があるみたいですよ、黙ってたら可愛いので」

 

「…オマエ結構よく見てるな」

 

島風は未だに友達が居ないらしく、学校ではあまり喋らない・動かないの孤高なお清楚で通っているそうな

そんなパチモンお清楚の島風の話をしていると、部屋のドアが勢いよく開いた

 

「ただいまー!!今日の晩御飯なに?カレーうどん?」

 

「やかましい、ドアは静かに開けろ!静かに!」

 

「痛い!!ちょ、痛いー!アイアンクローやめて!」

 

 

コイツらの面倒見るのもあと2〜3年ってところだろうと考えると多少のハシャぎぶりは寛容にみてやるが、コイツらそもそも学校卒業してからのコトとか考えているのだろうか?

いまいち聞くのが怖いので聞いたことはないが………まぁ、ナニも考えてないってコトはないだろう、うん

 

ナニも考えてないってコトは…

 

 

おわり



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提督とルート分岐のエンディング㉓

あけましておめでとうございます………とは若干言いづらいですが、あけましておめでとうございます

今年も若干スロウスタート気味ですがよろしくお願いします

とりあえず年始のスタートはifエンド回

【不健全鎮守府-Latest days-】
【サブマリン・γ】

…2本立て


かつて、戦争があった…

 

桃源郷……人と妖怪、化学と妖術が共存を果たす、無秩序な世界…

その均衡は突如崩れた!500年の昔葬られた大妖怪・牛魔王の蘇生実験によって発するとされる負の波動その負の波動の影響を受けた妖怪たちの暴走と云う、謎の異変によって……

 

おいおい、な~に今さら説明してんだか

 

かくして、四人の若者が西域天竺国への旅を余儀なくされた、異変の元凶と見られる牛魔王蘇生実験を阻止し、この世界に平和を取り戻すために!

 

世界のため? フッ、それこそ今さらだな……四の五の理屈はいらねえんだよ!!さあ、準備はいいか、野郎共!

 

ーーーーー

 

【不健全鎮守府-latest days-】

 

海軍と言う名のヤ●ザに入隊し、妖精さん(隠語)とか言うワケのわからんふわふわした存在も見えないまま艦娘を率いる提督業を任せられ、深海からやって来たとかいう謎の生物、深海棲艦との海の覇権をかけた戦いを強いられた日々…

 

しかし、いつしかそんな戦いも終わり、平和が訪れたのも一時…

深海棲艦に替わる新たなる強敵達は平和になったかと思いきや定期的に現れ、戦いの日々に終わりは無かった

 

「…………フーッ〜…あ〜…」

 

戦いに終わりがないようにタバコの煙を吸って吐くというルーティーンにも終わりがない、いや、タバコの火を消せば終わるのだが……ま、再び火を点ければ繰り返される不思議

 

「あ、やっばりここにいましたか」

 

「なんか用か?」

 

「河奈大将から連絡がありましたよ、至急折り返しで」

 

「へいへい」

 

至急折り返しってのがイヤな予感を掻き立てずにいられんのだよ、俺は新しいタバコをポケットから取り出して火を点けた

 

「フーッ〜………」

 

「至急って言ったじゃないですか、ナメてるんですか?」

 

「サミダソース、卿は紳士には如何なる時にも余裕が必要とは思わないかね?一杯のコーヒーを、そして一服の喫煙を愉しむことが紳士であると…」

 

「いえ、まったく思いません、あと、五月雨です」

 

「ハハッ、相変わらず卿は堅くていかんな」

 

五月雨はさっさと電話しろと言わんばかりにケイタイを俺に押し付けてきたが、至急の用件ともなれば秘匿性の観点から軍の回線とか使った方が良いのでは?と思ったが、あんま用件の秘匿性は高くないのだろう

 

とりあえずアドレス帳に登録してある河奈くんの番号にコールすると、2コールめで出た

 

「もしもーし?オレ、オレオレ、オレだよオレ、風邪引いちゃって声がイケボだけどオレだよ、今ヤ●ザの車と事故起こしちゃってさぁ」

 

『ナニがオレよ、ふざけてんじゃないわよクソメガネ!』

 

「なんだ、河奈くんじゃないのか…便所?」

 

電話に出たのは河奈くんトコの秘書艦の〜…えぇと、なんと言ったっけか?アブド●ルとかポル●レフとかたしかそんな名前の…

 

『叢雲よ!!』

 

「コイツ…電話越しで俺の心を読んだ……!能力者(スキルホルダー)か!」

 

『河奈なら別の用件で席を外してるから用事があるなら後にしなさい』

 

うえぇ……そっちが至急って言ったじゃあ…

 

「じゃ、いいですぅー」

 

『は?なんですって?』

 

ピッ!(通話終了)

 

「…至急ちゃうやん」

 

「提督がチンタラタバコなんか吸ってるからですよ」

 

「失敬な」

 

まぁ、急ぎの用ならまたすぐに折り返してくるだろ、中央の連中ってのは何事もセカセカしていかんな、人間ふと立ち止まり、後ろを振り向いて自らが地球環境を破壊をしていたと後悔しつ絶望する時間は必要だろうに

 

「まぁいい、第一から第五部隊はいつでも緊急出撃(スクランブル)できるようにスタンばらせとけ」

 

「もう連絡済みです、由良さんなんて今すぐ誰か殴りたくて殴りたくてウズウズして思わず阿武隈さんをパイプ椅子で殴って五十鈴さんから怒られたそうですよ」

 

「そうか」

 

相変わらずバイオレンスな姉妹だなオイ、姉妹の中でバイオレンスじゃないのは名取クンだけじゃないだろうか…

そんなコトを考えていると、手にしていたケイタイがブルブル震えたので着信かと思って画面を見てみると、メールが一件…

 

「…さて、とりあえず部屋に戻ってコーヒーでも飲むか、卿の淹れるマズいコーヒーをな」

 

「失礼な、提督の舌がおかしいんですよ」

 

あの時カッコつけないで中央行ってりゃ今ごろエアコンの効いた快適なオフィスで、お高価なレザーの椅子に座って“お前がやれ”と言ってふんぞり返ってられたんだろうが…

 

ま、この基地のバカどもを放って行けるワケもないわな

 

「…お前、髪伸びたか?」

 

「そりゃ伸びますよ、提督と違って」

 

「こやつめ!カッカッカ!こやつめ!」

 

やはり我が秘書艦の髪は鬱陶しいくらい長い髪がよく映える

 

「行くぞ五月雨」

 

そう言って廊下を歩きながら上着のポケットから新しいタバコを取り出して火を点けた

 

 

おわり

 

■□■□■□■□■□

 

かつて、戦争があった…

 

少女は華やぐ、輝くスターを瞳に映し

少女は舞う、弾ける夢を胸に掲げ

少女は奏でる、無限の未来を追いかけて

憧れのプリズム・クイーンを目指し、ダンスと歌とおしゃれ、それにちょっとのラブをミックスした、ハッピーでラッキーなガールズ・ストーリー、スタートだよッッッ!!!

 

ーーーーー

 

【サブマリン・γ】

 

この光溢れる地上の愛と平和を守るべく艦の艤装を身に纏い、邪悪な深海棲艦との長きに渡った死闘の日々は終わった…

海軍、艦娘達もその役目を終え、それぞれが帰るべき場所へ帰ったり新たな場所へと旅立ったりした

 

そして、艦娘を率いた海軍将校の俺もその役目を全うし、上からペラッペラの退職金を渡されて軍を追い出された…

 

これからは深海棲艦の脅威に怯えることなく地域に根付いた太いパイプを活かして甘い汁を吸って私腹を肥やし、2年に1回関連会社に顧問で入って天下りして私腹を肥やそうと思っていたのに、ガーンだな、出鼻をくじかれた

 

そんなペラッペラの退職金を手に、洞海湾から青い海を……いや、あんま青くないわ、すまない、ウソをついた

まぁ海を眺めていると、だんだん体色が青くなりそうな気がしたので嫌気がさして俺はキタキュウシュウ空港からハワイに行くべく飛行機に乗ろうとキタキュウシュウ空港に行ったら、この空港、ハワイ行き直行便の国際線ないんだって、ガーンだな、出鼻をくじかれた(2回目)

 

しかし俺は諦めなかったね、キタキュウシュウ空港がダメならF空港に行けばいいじゃない、そんなワケでキタキュウシュウ都市高速に乗りF空港のあるF市内へと向かった俺だったが都市高速から高速道路へ入らずに都市高速の終端を降り、T市へと車を進めた

T市からバイパスを経由して峠を1つ越えるとすぐにF市内へと行けるのだが、何も高速料金をケチったワケじゃあない、T市からF市へと続くバイパス沿いにあるラーメン屋に寄ってトンカツを食べてから行こうと考えたワケだ

 

別に今食べる必要なくね?そう思ったかもしれないが、1度トンカツを食べようと思ったなら俺のお腹はまるで死んだ魚みたいな目をした仙人みたいな空母のようにもうトンカツを食べる準備でバッチリ整っていた、そんなウキウキした気分で車を進め、T市へと入り、目的のお店の駐車場に入ろうとしたその時、お店の入口に定休日の札がかかっているのが目に入った、ガーンだな、出鼻をくじかれた(3回目)

 

目的のトンカツが食えなかった俺は1度車を降り、紙タバコに火を点けた、せっかく楽しみにしていたのにと言う残念な気持ちと空腹感が混ざり合う紫煙が肺から口へと出ていき、俺は改めて自分が何故F空港に行こうとしているのか考えた、紙タバコはミリミリと紙と葉を焼き灰が靴へと落ちた…

 

「前置きが長げぇよ!!」

 

「そのハナシいつ私達出てくるの!?」

 

「ってか、ガーンだな多用しすぎなのね、頭悪いのね」

 

水で濡れたハンドタオルで顔面を叩かれ、いわれなき非難を受けた俺は右の中指に力を込め、19のヘソに突き刺さした

 

「はおっ!」

 

「誰が頭悪いだ、あ?誰の頭が悪りぃだとぉ?このマリフ●ナ潜水艦が」

 

「19パイセンがヤられたですって!」

 

「女の子の穴に無造作に刺すなんて……ニンゲンじゃない!」

 

「うるせぇなぁ、でぇーじょーぶだ、19はマリフ●ナキマってるから痛いのも痛くないんだよ、なぁ?なぁオイ?」

 

グリグリグリグリ!(一指拳)

 

「おほぉ!オゴォ…!ちょ、痛い!マジ痛いのね!お腹やば、ヤバいのね!」

 

19は思わず逝きそうなのねと俺の肩を叩いてタップの意を示したので、指を抜いて顎にショートアッパーを叩き込むと19はヒキガエルみたいな声で鳴いて床に転がった

 

「19パイセン!」

 

「19パイセン!しっかりするですって!」

 

「負け犬が、俺様に逆らうとこうなるのがわかったかマヌケめ」 

 

ハワイ州オアフ島…ニホン人なら誰もが1度は憧れるであろう常夏の楽園

そんな楽園に居るのはまだ天国にいるつもりでいる狂った堕天使……ではなく、頭のおかしさと露出度がおかしい集団である潜水艦娘………いや、元か、元・潜水艦娘どもだな

 

「ちょっとテイトク!いつもながらヤリすぎでしょ!」

 

「ヤリすぎぃ?やかましい、お前如き貧乳が意見するじゃあない」

 

「誰が貧乳よ!」

 

168はナメてんじゃあない!とハイキックを繰り出してきたが、そんなスロウなハイキックに当たるほど俺はスロウじゃあな…

 

「168サン!やるですです!」

 

「26!キサマっ!」

 

姉妹のように仲の良い19のカタキを討つ!26は俺の背後から力強く抱き付いてきたが、その程度の拘束で俺を拘束できるワケもな……いや、なんか背中にクッション要素がある!クッション要素がある!

 

「キャオラッ!」

 

ズビシッ!!(ハイキック)

 

「ドヘァ!!クッ、俺としたコトが……目の前のハイキックより背後のパイオツに気をとられたか」

 

「へ、ヘンタイ!ヘンタイですです!」

 

「テイトクはヘンタイ、これは既に常識ですって」

 

「…ユーも、知ってた」

 

クッ!このガキどもがぁ、どいつもこいつもこの俺をナメやがって……潜水艦はおじさんには勝てない、わからせが必要らしいな

 

「オラ、バカやってねーで開店準備するでち」

 

「58サン!」

 

「58サン!でも…!」

 

「うるせぇー!!26は厨房!ローとユーはホール行ってテーブル拭いてこいでち!!」

 

潜水艦どものリーダー的存在、58にだまらんかー!と一喝され、バカどもはヒギィ!と情けない返事をしつつ散り、58は床に転がったままの19のお腹を蹴り上げた

 

「イグっ!!」

 

「テメーも厨房行けやマリフ●ナ野郎、168、ハチは?」

 

「8っちゃんさんなら外で本読んでるケド…」

 

「いつもどーりでちね、テイト……テンチョーもセクハラしてねーで仕事しろでち」

 

「へいへい」

 

色々あってこのオアフ島に来て、何の因果か潜水艦のアホンダラどもとステーキハウスを始めてもうどのくらい経っただろう…

相変わらずコイツらはアホだが、見た目だけはいいので客寄せウェイトレスとしては役に立つ、水着で接客がデフォなのでステーキがウェルダンになる前にアソコがカチンコチンになっちまう店としてそこそこ有名になってしまった

 

しかしだ、そこそこ有名にはなったがこの成功をパクってホノルルのヤツがアメリカンサイズのステーキとアメリカンサイズのパイオツのステーキハウスをオープンしてウチの強力なライバルになりやがった、いつかあのアメリカンサイズのパイオツをパンズで挟んでバーガーにしてやんよ

 

「そういやイヨティンと13ちゃんは?」

 

「アイツらならホノルルの店に行って肉が焼けてないってインネンつけてこいって行かせたでち」

 

「タチ悪いなオイ」

 

だがそれがいい、目的の為には手段を選ばない冷徹さ、いざとなったら仲間を切り捨てる冷酷さと冷血さ、それこそが艦娘時代より受け継がれてきた魂と言うものだ

 

そんな3冷に感心していると、開店前なのに店のドアが開き、誰かが入ってきた

 

「センパ〜イ、今日ガッコーお休みだからヨナも手伝いきた〜」

 

「ヨナ………フッ、いい子でちねぇ、ヨナは」

アホな潜水艦とは言ったものの、オリョールの荒波を知らない新世代潜水艦娘は基本的には店の手伝いではなくマトモな学校に通わせている

これには58や168らも賛成しかなく、ヨナタスには自分らのようなクズになって欲しくない、真っ当な大人になってほしいとの願いであった…

 

「フーミンとフレーとカッペはどうしたでちか?」

 

「フーミンとフレーはお買い物、カッペーはアイス食べてお腹痛いって言ってた〜」

 

ちなみに、スキャンプは海軍を抜ける際に故郷へと帰り、故郷に帰って真面目に学校に通っているらしい、将来の夢はハリウッド俳優のお嫁さんとか言ってたがたぶん無理だろう

 

「よーし、じゃ開店するぞ」

 

『『イエ、イェーイ!』』

 

 

ここから数年、俺たちの店はホノルルの店とこのオアフ島を舞台に熾烈な激戦を繰り広げることになるが、新たに現れたアメリカ本国のライバル店の登場や信じていた仲間の裏切りなど息つく間もないタフな展開が目白押しになるがそれはまた別のハナシ

 

 

あと、数十年後…………ヨナタスは州知事になった

 

 

おわり






次回は㉔、浦風回と春雨?回


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提督と立春の日

ifエンド回も書いてはいるものの、とりあえず先にこちら、すぐお持ちしまーす

【登場人物】

提督(メガネ男子)
毎日の血圧チェックに朝からうんざりしてる系男子

早霜(ハヤシ)
提督からは対・妖怪のスペシャリストと信頼が厚い駆逐艦
妖怪語ペラペラの妖怪語ネイティブらしい


「今日も元気だウ●コもぶっとい〜♪」

 

「…おはようございます」ボソボソ…

 

どんなダセぇヤツにでも必ずある、たった一度の今日と言う日…

日々、明日を捨てた今日を生きる事について考えつつトイレで朝の排泄ア●メをキメて執務室に行くと、知らない子?が深々と頭を下げてアイサツをキメていた…

 

「…おはよう、キミは…?キタローくん?」

 

「…早霜です」ボソボソ…

 

「あぁ、そうか、いや、そうだな、ハハ…いつもと服装が違うから少し戸惑ってしまったのだよ」

 

この基地の仲間達は皆“家族(ファミリー)”じゃねぇか!グラララ、“家族(ファミリー)”を忘れたり間違えたりはしねぇよ?俺は、うん

俺はキタローくんにチャーミングな服だねとイケメン特有のフォローを入れつつ努めて平静に椅子に座った

 

「…で?なんでまた朝からキタローくんが…?と言うか、サミー子は遅刻か、けしからんな」

 

「…五月雨さんなら今日は体調があまり良くないのでお休みするそうです」ボソボソ…

 

キタローくん曰く、朝、食堂に来ていた寒色系秘書艦のサミー子が鼻水と咳を患っていたので体調がおもわしくない状態であれば今日は自分が秘書艦業務を代わりましょうと言ってくれたそうな

よく見たらケイタイにメールが来ていたな……たぶんサミーだろう

 

「そうか、なら今日はキタローくんにお願いしないとな!」

 

「…はい」ボソボソ…

 

俺はとりあえず机に置かれた今日の基地スポを広げ…

 

「とりあえずお茶でも…」

 

「…お茶です」ボソボソ…

 

早いッッッ!!まるで俺が普段から朝は基地スポを読みつつアツゥイお茶を飲むコトを日課の紳士道としているのを熟知しているかのような速さ…ッ!

普段ならばオイ、茶と言ってからめんどくさげなツラしてグツグツ煮えたったマグマのような茶が出てくるのに…

 

まるで数秒時間が飛んだような奇妙な感覚……

 

「あ、あぁ、ありがとう」

 

「…いえ」ボソボソ…

 

キタローくんは何事も無かったかのように秘書艦席に戻り書類ケースの中に入っている書類に目を通し始めた…

 

どうやらキタローくんは見た目に違わず真面目な子のようだ…

駆逐艦のキッズと言えば基本、バカガキかアホガキしか居ないイメージだがたまにこーゆー真面目で良い子がいるものだ

 

ゴン!ゴン!(ノックしてもしもし)

 

「入って、どうぞ」

 

俺の返答の後、執務室の重厚な扉が開き入ってきたのは自称キラッキラのアイドル(自称)を名乗る異常者モモタス…

 

「マネ!昨日の公民館なんで来なかったの!?」

 

「忙しいからだ」

 

「ハァ?忙しい…?マネ!忙しいからって担当アイドルを1人で送り出すとかありえなくない!?」

 

「やかましい、いいですかモモタスさん、アイドルにはランクと言うものがあります、ブロンズ・シルバー・ゴールド……シルバーやゴールドとなればそれなりのハコやステージで仕事する事になりますのでアイドル1人に行かせては問題がありますが、主な仕事が近所の公民館でジジババの相手をするのがメインのモモタスさんには基本的にマネージャーは同行しません、たしかに私はモモタスさんは担当ではありますがモモタスさん専属と言うワケではありません、ハッキリと言わせてもらえばモモタスさんはその他大勢の1人にすぎないのです、ここまではよろしいですか?」

 

「…………お、オウヨ!」

 

わかってねぇなコイツ、だがそれでいい、この手のアホンダラには反撃のゆとりを与えない怒涛のラッシュが有効打であると古事記にもある

 

「わかったら消えろ、お前はつまらん」

 

「ハァ!?つまらんってナニ!!つまらんって!頭きた!殴ってやる!」

 

「殴る…?バカめ、お前は既に俺の射程内だ、教えてやろう…艦娘は提督には決して勝てないと言うコトをな!」

 

俺は椅子からゆらぁ〜っと立ち上がり右手のコンディションを確かめる………うむ、良好だ

射程内とは言ったものの、俺の必殺圏は射程2メートル以内、頭にきたとか言ってズカズカ歩いてくるモモタスが2メートルの範囲に入ってくるにはまだ余裕がある、もう少しだ、もうほんのちょっぴり怒りに任せて歩いてきたらスネークバ●トでそのエ●ゲ顔を壁にメリ込ませてやる

 

「…っと、あぶない」

 

「…なにっ!」

 

な、なんだぁ!コイツ!!俺の射程に入らず立ち止まっただと!?バカな……ありえない、コイツにそんな知能があるとは………?いや、まさか本能!これ以上踏み込むのは危険と頭ではなく本能で察知した?コイツ………“本能型”か…ッ!!

 

「ふっふっふ、テイトクに近付くのはキケン!桃知ってるんだから」

 

「なにィ…?誰だ?誰がキサマにそんな入知恵をした?」

 

「答える必要はない」

 

モモタスは勝ち誇ったように三流アイドル顔でにやけた

なるほど、どうやらモモタスと言うアイドル(自称)の認識を少し改めねばなるまい

 

俺は胸ポケから黒バラを取り出してモモタスに投げた

 

「痛いっ!!」

 

「ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!」

 

「痛いっー!!痛い痛い痛い!!ナニそのバラ!地味に超痛い!!」

 

「バカめ、俺を掴み技しかない投げキャラだとでも思ったか?残念だか提督には飛び道具が実装されている」

 

ピラ●アンローズ(↓↘→+Pボタン)

提督戦法の基本技の1つ、所謂波●拳であり、軌道は一直線だが弾速が速く、カ●ザーウェイブ以外の飛び技は全部貫通する驚異の貫通性があり、キャラによっては画面端で連射されているだけで詰みかねない

 

「クッ!喰らえ!桃ビームー!!」

 

桃ビーム(↓↘→+Pボタン)

モモタス戦法の基本技の1つ、キラキラを発射するらしい、弾速も射程もなく発生も遅い死に技だがたまに画面を埋め尽くす極太レーザーがでる可能性があるらしいが実装はされなかった(データ内に没データがある)

 

「あ!なんかでた!」

 

モモタスの前にキラキラしたナニかが出てきて1メートルほどフォーク気味に前に進んで消えた…

 

「ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!」

 

「だから痛い!!痛いってば!やめてよ!!桃にバラ投げるのやめて!!ハッ…!いや、アイドルが花を投げられるのはむしろ当然のコトなのでは?ま、まさかマネ、マネは……私にそれを教える為にあえて桃に嫌われる悪役を!い、痛いっ!たしかにこのバラは痛いけどバラを通してマネの哀しみが伝わってくる気がする、そうだ…!投げバラは己の愛を表現するものだと教えてくれたのはマネだった…!」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?

 

「わかったわマネ!桃は今日こそマネを超えてみせ……って、痛い!!」

 

「ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!ピラ●アンローズ!」

 

「痛い痛い痛い痛い痛い!!ちょ!待って!痛いから!ホント痛い!」

 

◇◇◇◇◇

 

朝っぱらやって来た自称アイドルを撃退し、今日のランチはナニにするかね?とキタローくんと話をしていたら、再び執務室の重厚な扉を叩き、新たなる挑戦者がやって来た…

 

「うりーっすテイトク」

 

「なんだ?秋雲か…」

 

「なんだとはなんすか?なんだとは、秋雲さんが秋雲さんじゃあいけないんすか?」

 

自称、史上最もアツかりし少年漫画家(自称)秋雲…

金やちやほやしてもらいたいからではない、読んでもらいたいから漫画を描いている!と断言するアツい熱意を持っており、本人は艦娘なんかさっさと辞めて憧れの週刊少年ジ●ンプで連載したいと考え、日々努力している…

 

「なんだ?新作か?エロいの描いてきたか?」

 

「エロいのなんか描いてねぇっすよ、っーか山田ゼレフのせいで最近ストレス溜まるモンばっか描かされてるし」

 

「なんだ、ジ●ンプ持ち込む漫画描いてないのか?」

 

「ヒマがねぇんすよ、山田ゼレフのコミカライズで」

 

まぁ秋雲としてはそいつはかなりストレスが溜まるだろう

 

「テイトク、メシまだっしょ?今から秋雲組で会議がてらランチするからテイトクもきてネタと金出してください」

 

「ハハッ、遠慮がないな!」

 

だがそれでいい、秋雲は常に自由であるべきだ、そう!まるで秋の雲のように薄く、水平に流れるように…

 

「いいだろう」

 

「…私も同行しても?」ボソボソ…

 

「うおっ!早霜じゃねーっすか?アンタさんいつから居たんすか?」

 

「…最初からよ」ボソボソ…

 

「まぁ、別にアンタさんが居ても問題なしこちゃんっす、ガッハッハッハ」

ーーーーー

 

「秋雲さんはカツ丼大盛り、夕雲姉サンは?」

 

「では私もカツ丼で、巻雲さんは?」

 

「じゃ、私もカツ丼で、風雲は?」

 

「私は〜………もりそばで」

 

「カーッ!!風雲ォ!風雲風雲風雲よォ!テイトクのオゴリなんすからそんなケチなモンじゃなくてもっと攻めてイイんすよ!もっと!ほら、このシャトーブリアンのやつとか超美味そう!ってかコレ頼んで秋雲さんにも一切れください」

 

史上最もアツかりし少年漫画家(自称)をサポートする最高のアシスタント集団、通称、秋雲組…

トーン、背景、お茶汲みなどあらゆる面で秋雲をサポートし、秋雲を“夢”を叶えるべく苦楽を共にしている

 

「キタローくんも好きなものを食べてくれて構わんよ」

 

「…では私はBLTサンドで」ボソボソ…

 

基地食堂でもあり甘いモノも辛いモノも取り扱う本格派スイーツショップ、マミー屋…

その…マミー屋に集まった秋雲組の面子と俺とキタローくんはとりあえずランチを注文して席に座った

 

もちロン、注文する際に間宮に、よっ!いい尻してるね!おじさんもうギンギンだよ!と小粋なテイトクジョークを交えつつ上司と部下のコミュニケーションをとるコトを忘れなかったがね!

 

「えー…では皆さん、えー…今日は秋雲さんの為にアリガトウ、えー…こんな秋雲さんなのにアリガトウ」ペコォ…

 

「秋雲さんならイケます」

 

「そうです、自信を持って!」

 

「秋雲の漫画は面白いよ!きっとジ●ンプで連載できるって!」

 

「お、オマエらぁ…!」ポロポロ…

 

コイツらホントに仲良いな、しかし、何故その美しい連携を対深海棲艦との戦いに活かすコトができないのか…

 

「みんなアリガトウ…!心からアリガトウ!謝りたいと感じているからアリガトウ!秋雲さんはこれからも男を描き続けます!」

 

「もうジャ●プで連載目指すのやめてコミックアン●アルにしとけよ、そっちの方が売れるぞ」

 

「イヤっす、秋雲さんは週刊少年ジャ●プで連載したいんすよ!月刊でもフレッシュでもビジネスでもない!週刊少年ジャ●プなんすよ!!」

 

「月刊もフレッシュもビジネスももうねぇよ」

 

まぁ、秋雲の週刊少年ジャ●プへの信仰は提督もわからなくないがね…

少年達に大切なものを教えてくれたのは教科書だけじゃあない、友情・努力・勝利を教えてくれるのは何時だってジャ●プなのだ…

 

「だがそれでいい」ニコォ…

 

「て、テイトクェ…!」ポロポロ…

 

秋雲は俺の手をアツくガッチリと掴み、アリガトウ!こんな秋雲さんにアリガトウ!とアツいNAMIDAを流した

 

「秋雲さんがジャ●プで連載してアニメ化したらケッコンしてください」

 

「え?やだよめんどくさい」

 

「えー!そこはお清楚に、喜んでー!とか言って恥じらいを含んだ返答するトコっすよー、ガッハッハ!」

 

「マジ?ガハハハハ!」

 

俺たちは小粋なジョークで笑いつつ互いの背中をバシバシ叩きあった

 

「…秋雲、死ねばいいのに、死ねばいいのに、死ねばいいのに、死ねばいいのに…今すぐ提督に触れるその穢らわしい手を掴んでうずまきにしてやりたい…」ボソボソ…

 

殺意…………!!いや、そんな生温いモノではないものを一瞬感じたが気のせいだったか?

 

「どうかしたかね?キタローくん」

 

「なんかうずまきとか聞こえた気がしたっすけど……あ、そーいやテイトク、うますぎソフトって知ってるすか?」

 

「うずまきソフトだろ、ナニ言ってんだオマエ、イカレてんのか?」








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提督のある晴れた春の日

その鳥は自ら炎に身を投し灰の中から蘇る 不死鳥!不死鳥の男よ!
死神すらヤツに恐れをなすことはもはや常識!

【登場人物】

提督(大人)
偏頭痛と腰痛に悩まされる大人、あとついでに慢性的に首も痛い
イベント海域は第三海域で足止め中




「ティーッス、今日も元気だウ●コもぶっとい」

 

どんなダセぇやつにも一生に一度はあるたった一度の今日と言う日、そんな今日と言う日も特にいつもと変わらず元気に出勤して執務室の扉を開くといつもの寒色系秘書艦がいた…

 

「おはようございます、まだ生きてたんですか?」

 

「なんてコト言うのかね、この子は…」

 

本来ならば提督への不敬罪として即処刑でも問題なしこちゃんだが、俺は心と懐が広くチ●コもデカい男なのでこの寒色系秘書艦の暴言を許そう

 

「なんか変わったコトあるか?誰それが付き合ってるとか、付き合ってたけど別れたとか?」

 

「特にないですね」

 

「なんだよつまらん」

 

「人生なんてほぼつまらない日ですよ、あ、そう言えば本部から作戦海域行けってFAXきてましたよ、机の上に置いてます」

 

「へいへい」

 

ナニが作戦海域だっつーのな、だいたいイマドキFAXとかどんだけ古風なんだよ、メールにせぇよ!メールに、見ないけどな!

そんな今風のドギマギを感じつつ机に置いてあるFAXの紙を眺めつつ

缶コーヒーを啜っていると、執務室の重厚な扉が勢いよく開いた

 

「ティーッス、テイトクいるぅー?」

 

「いるよ、ただし、提督は良い子の前にしか現れないがね」

 

「じゃ鈴谷良い子じゃん」

 

「自惚れるなクズが、提督と会った者は多いが何故情報が少ないか?それは提督と出会った者は生きては帰れないからだ」

 

「物騒か!!」

 

やって来たのはビッチの中のビッチ、難攻不落のビッチ兵の二つ名を持つ最上型のツラ汚し、鈴谷、見ての通りビッチだ

 

「ビッチじゃねーし」

 

「言ってないですが?」

 

「や、今言った!心の中で鈴谷のコトビッチってディスったしょ?」

 

「ほぉ…心を読む異能か、貴様、覚醒者だな?」

 

「や、違いますけど?」

 

そうか、違うか………まぁ、この程度のビッチが異能に目覚めるとは到底思えぬ、きっと当てずっぽうだろう

 

「で?何の用だ?用がないなら去れ」

 

「ゲームしよーぜ、マ●オゴルフ」

 

「誰がするか、俺は忙しいのだよ、部屋に帰ってオ●ニーでもしてろ」

 

「しませんけど?鈴谷ビッチじゃないからオ●ニーとかしないし」

 

「ビッチじゃなくてもオ●ニーぐらいするだろ、いや………むしろビッチの方がオ●ニーをしないのでは?」

 

むしろビッチであればオ●ニーの必要がないくらい遊んでいると言えよう、つまりはオ●ニーが多い方がビッチではないと考えられるのではないだろうか?グゥゥゥム、この学説は学会に新たなセンセーションを巻き起こすやもしれぬな…

 

「…その学説ではテイトクが聖女とまで断言するフレッチャーさんとか相当ヤバいのでは?」

 

「サミー子ッッッ!!オマエはッッッ!!」

 

こやつめ、俺の心を………いや、今はそれはいい

しかし、たしかに……今の学説を提唱するのであれば、このゴミ捨て場の如き掃き溜めにまるで似合わない現代に生まれ変わりし聖女であるフレッチャーくんはかなり手練のオナ●ストと言えるだろう…

 

そんなコトはありえるだろうか?

 

いや、ない、断じてない、ないない、それはない

 

ジョンくんなら納得できるが聖女たるフレッチャーくんにそれはあり得ない、何故なら彼女は聖女なのだから

 

聖女はオ●ニーしない、これは既に完成された定義であり、神が定めた世界の理…

 

「つまりはx=聖女と仮定し、n が3以上のとき、n が m で割り切れるときのみ Fn が Fm で割り切れることにより………いや待て自然数yがビッチとするならば…」

 

「え?ナニ?テイトク、もしもぉーし?」

 

「話しかけんなビッチがァ!!今、俺は人類史に新しい公式を生み出そうとしているのがわからんかー!!」

 

「お…おう!」

 

なんと言うコトだ、こんな理論………まさかこんな解が存在するのか?これは学会で発表したらトンデモないコトになるやもしれないな、あくまで慎重に扱かわねばならない、慎重に…下手に扱えば人類史を、いや、46億年かけて進化し続けてきた生命進化の歴史を塗り替えてしまいかねない…!!

 

「クソッ!!なんてコトだ!!」

 

俺は黒檀の執務机を勢いよくダァン!!した

 

「サミー子、テイトクってたまに頭おかしくね?」

 

「そうですね、今更ですけど」

 

「なんか飲み物ない?コークとか」

 

「バヤ●ースならありますよ」

 

ーーーーー

 

新しい理論をFAXの裏に書き留めた俺は冷たいバヤ●ースでひと心地つき、冷静に考えられるようになったところでふてぶてしくお客様ソファーに座る鈴谷に制裁と言う名のダブルニークラッシャーでダブルニーを破壊し、気分良くタバコを買いに来たワケだが…

 

「ゲェ!テイトク!」

 

「ナニがゲェ!だ、ブチコロがされてぇのかこのピンクは?」

 

この基地の絶対支配者である提督様に対しゲェ!などと失礼なコトを吐くこのピンクは明石、見ての通り淫乱だ

 

「タバコと缶コーヒーとマンハッタンくれや、あと手書きの領収書な、宛名はフ●ーザ様で」

 

「うち手書きの領収書やってないんですよ、ってかなんなんですか、そのクソみたいなイヤがらせ」

 

「イヤがらせじゃない、提督だ」

 

明石はぶつくさ文句をタレつつ棚からタバコを取り出し、レジカウンターに置いた…

 

「最近どうだ?儲かってるか?」

 

「儲かるワケないじゃないですか、毎日毎日ピーピーですよ、売り上げもお腹も急降下です」

 

「なんだ?下痢気味なのか?どうりでこの店クセーと思ったぜ」

 

「こないだテイトクが下痢になるツボとか言って私のお腹にパンチしたから下痢気味なんですよ、セキニンとってくださいよ」

 

「セキニンを痛感している、最大限の補償と補填を検討している」

 

「政治屋かッ!!」

 

明石は保温器から取り出した缶コーヒーをスライダー気味に投げつけてきたが、そんなカスみたいな変化は提督には通用しない、これは既に常識

 

そんなカスみたいな缶コーヒーをキャッチした俺はスタイリッシュにプルトップを開けてイッキに飲み干した

 

「ふぅー…マズい、もう1本!」

 

「青汁かッ!!今の子は知りませんよ、そのCM」

 

「今じゃない子は知ってるんだろ、それでいいんだよ」

 

ロックンローラーなんてそれでいいんだよ、そんなロックを明石と話していると、店のドアがしれっと開き、緑色のトゲトゲしい頭をしたナニ者かが入ってきた…

 

「…明石さん、エミューの餌やり終わった」

 

「ンマー!山風ちゃん!ンマー!ゴクローサマ、いつもいつもお姉さん助かるわー!」

 

明石は山風クンの頭を撫でようと頭に手を置いてみたが、痛っ!と言ってひっこめ、保温器から温かいティーを取り出して山風クンに手渡した

 

「お前まだあの鳥牧場やってたのか」

 

「えぇ、金になると思ったんですがねぇ…」

 

金になると思って始めたエミュー牧場(提督に無許可で)、当初は新しいビジネスになると期待してみたものの、思ったよりもビジネスにならず、ぶっちゃけ採算が怪しいので処分しようとしたものの、エミューの餌やりのバイトに雇っている山風クンがエミューを大変可愛がっており、事業を打ち切り、エミューを処分するとは言い出せないのが現状であるらしく、提督にもなんか良い知恵ないですか?と前に相談されたが、鼻で笑ってやった

 

「まぁ、慈善事業ですよ、慈善事業」

 

「オマエの口から出た慈善と言う言葉のなんと薄っぺらいコトか、うすうす1000並みのペラッペラさよのぉ」

 

「失礼な」

 

「…明石さん、うすうす1000ってなに?」

 

「や、山風ちゃんは知らなくていいものよ!今はね!」

 

「教えてやれよ明石ィ…」

 

「イヤですよ!じゃテイトクが教えてくださいよ」

 

「お断る」

 

「自分がイヤなコトを人に押し付けるとか………山風ちゃん、山風ちゃんはこんな大人になっちゃダメですよ、クズですよ!クズ!人間のクズ!」

 

「やかましいわ、クズとかオマエにだけは言われたくないわい」



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